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1982-05-14 第96回国会 衆議院 商工委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年五月十四日(金曜日)     午前十一時二十九分開議  出席委員    委員長 渡部 恒三君    理事 梶山 静六君 理事 野田  毅君    理事 森   清君 理事 渡辺 秀央君    理事 後藤  茂君 理事 清水  勇君    理事 北側 義一君       天野 公義君    植竹 繁雄君       浦野 烋興君    奥田 幹生君       狩野 明男君    島村 宜伸君       泰道 三八君    東家 嘉幸君       中川 秀直君    中島源太郎君       丹羽 雄哉君    野中 英二君       橋口  隆君    鳩山 邦夫君       林  義郎君    松永  光君       宮下 創平君    粟山  明君       上田  哲君    木間  章君       上坂  昇君    佐藤  誼君       城地 豊司君    中村 重光君       永井 孝信君    渡辺 三郎君       長田 武士君    横手 文雄君       小林 政子君    渡辺  貢君       小杉  隆君  出席政府委員         通商産業政務次         官       原田昇左右君         通商産業大臣官         房長      小長 啓一君         通商産業省立地         公害局長    神谷 和男君         通商産業省基礎         産業局長    真野  温君         通商産業省生活         産業局長    志賀  学君         資源エネルギー         庁長官     小松 国男君         資源エネルギー         庁次長     柴田 益男君         中小企業庁長官 勝谷  保君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      兵藤 廣治君         日本電信電話公         社建設局長   花木 充夫君         商工委員会調査         室長      中西 申一君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十四日  辞任         補欠選任   亀井 静香君     狩野 明男君   木部 佳昭君     丹羽 雄哉君   田原  隆君     東家 嘉幸君   城地 豊司君     永井 孝信君   水田  稔君     木間  章君   石原健太郎君     小杉  隆君 同日  辞任         補欠選任   狩野 明男君     亀井 静香君   東家 嘉幸君     田原  隆君   丹羽 雄哉君     木部 佳昭君   木間  章君     水田  稔君   永井 孝信君     佐藤  誼君   小杉  隆君     石原健太郎君 同日  辞任         補欠選任   佐藤  誼君     城地 豊司君     ――――――――――――― 五月四日  武器その他の軍用機器輸出等禁止に関する  法律案渡辺貢君外二名提出衆法第一九号)  大企業者等小売業事業活動規制に関する  法律案小林政子君外二名提出衆法第二〇  号)  訪問販売等に関する法律の一部を改正する法律  案(北側義一君外二名提出衆法第二三号) 四月二十八日  旅館業の経営安定のため大企業ホテル等につ  いて中小企業分野調整法による規制適正化等  に関する請願阿部文男紹介)(第二六五  九号)  同(戸沢政方紹介)(第二六六〇号)  同(丹羽兵助紹介)(第二六六一号)  同(森清紹介)(第二六六二号)  同(山下徳夫紹介)(第二六六三号)  同(江崎真澄紹介)(第二六九〇号)  同(渡辺省一紹介)(第二六九一号)  同外一件(長野祐也紹介)(第二七一四号)  同(竹内黎一君紹介)(第二七三九号)  同(登坂重次郎紹介)(第二七四〇号)  同(三池信紹介)(第二七四一号)  同(瓦力紹介)(第二七七六号)  同(山中貞則紹介)(第二七七七号)  化学産業政策確立に関する請願湯山勇君紹  介)(第二七七八号) 五月七日  旅館業の経営安定のため大企業ホテル等につ  いて中小企業分野調整法による規制適正化等  に関する請願小此木彦三郎紹介)(第二八  二三号)  同(中野四郎紹介)(第二八二四号)  同(橋本龍太郎紹介)(第二八二五号)  同(金丸信紹介)(第二八五二号)  同(稻村左近四郎紹介)(第二八七五号)  同(小里貞利紹介)(第二八七六号)  同(武藤嘉文紹介)(第二八七七号)  同(金子一平紹介)(第二九一五号)  同(佐藤文生紹介)(第二九一六号)  化学産業政策確立に関する請願横路孝弘君紹  介)(第二八五三号)  日本航空機製造株式会社廃止及び業務民間  移管方針撤回等に関する請願伊藤茂紹介)  (第二八七八号)  同(小林恒人紹介)(第二八七九号)  同外二件(山本政弘紹介)(第二八八〇号)  同(伊賀定盛紹介)(第二九四〇号)  同(森井忠良紹介)(第二九四一号)  景気浮揚対策に関する請願(林百郎君紹介)(  第二九一七号) 同月十日  旅館業の経営安定のため大企業ホテル等につ  いて中小企業分野調整法による規制適正化等  に関する請願竹下登紹介)(第二九八三  号)  同外六件(地崎宇三郎紹介)(第三〇三九  号)  同(秋田大助紹介)(第三一〇〇号)  日本航空機製造株式会社廃止及び業務民間  移管方針撤回等に関する請願井岡大治君紹  介)(第二九八四号)  同(矢山有作紹介)(第二九八五号)  同外一件(吉原米治紹介)(第二九八六号)  同(下平正一紹介)(第三〇四〇号)  同(福岡義登紹介)(第三〇四一号) 同月十一日  旅館業の経営安定のため大企業ホテル等につ  いて中小企業分野調整法による規制適正化等  に関する請願植竹繁雄紹介)(第三一四〇  号)  同(後藤田正晴紹介)(第三一四一号)  同(福永健司紹介)(第三一四二号)  日本航空機製造株式会社廃止及び業務民間  移管方針撤回等に関する請願関晴正紹介)  (第三二三五号) 同月十二日  旅館業の経営安定のため大企業ホテル等につ  いて中小企業分野調整法による規制適正化等  に関する請願(坂本三十次君紹介)(第三三一  三号)  同(園田直紹介)(第三三七一号)  同(松本十郎紹介)(第三五〇九号)  同(宮田早苗紹介)(第三五一〇号)  日本航空機製造株式会社廃止及び業務民間  移管方針撤回等に関する請願上坂昇紹介)  (第三三七二号)  同(中路雅弘紹介)(第三三七三号)  同(三浦久紹介)(第三三七四号)  同(小林政子紹介)(第三五一一号)  同(後藤茂紹介)(第三五一二号)  同(中村茂紹介)(第三五一三号)  同(四ツ谷光子紹介)(第三五一四号)  同(渡辺貢紹介)(第三五一五号)  木工関連産業等振興対策に関する請願外一件  (野間友一紹介)(第三五〇六号)  木工関連産業等振興に関する請願外一件(野  間友一紹介)(第三五〇七号)  中小企業に対する融資の改善等に関する請願(  正森成二君紹介)(第三五〇八号) 同月十三日  大資本小売店舗進出規制等に関する請願外二  件(松本善明紹介)(第三六九五号)  旅館業の経営安定のため大企業ホテル等につ  いて中小企業分野調整法による規制適正化等  に関する請願天野公義紹介)(第三六九六  号)  同(池田淳紹介)(第三六九七号)  同(石田博英紹介)(第三六九八号)  同(石橋一弥紹介)(第三六九九号)  同(石原慎太郎紹介)(第三七〇〇号)  同(小澤潔紹介)(第三七〇一号)  同(小渕恵三紹介)(第三七〇二号)  同(粕谷茂紹介)(第三七〇三号)  同(久保田円次紹介)(第三七〇四号)  同(近藤鉄雄紹介)(第三七〇五号)  同(白川勝彦紹介)(第三七〇六号)  同(白浜仁吉紹介)(第三七〇七号)  同(染谷誠紹介)(第三七〇八号)  同(田中伊三次君紹介)(第三七〇九号)  同(高鳥修紹介)(第三七一〇号)  同(谷垣專一君紹介)(第三七一一号)  同外二件(近岡理一郎紹介)(第三七一二  号)  同(中村正三郎紹介)(第三七一三号)  同(長谷川四郎紹介)(第三七一四号)  同(林大幹君紹介)(第三七一五号)  同(福田赳夫紹介)(第三七一六号)  同(藤尾正行紹介)(第三七一七号)  同(水野清紹介)(第三七一八号)  同(村山達雄紹介)(第三七一九号)  同(毛利松平紹介)(第三七二〇号)  同(山村新治郎君紹介)(第三七二一号)  同(渡辺紘三君紹介)(第三七二二号)  同(渡辺秀央紹介)(第三七二三号)  日本航空機製造株式会社廃止及び業務民間  移管方針撤回等に関する請願上坂昇紹介)  (第三七二四号)  同(小林政子紹介)(第三七二五号)  同(渡辺貢紹介)(第三七二六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十日  大型店出店規制強化に関する陳情書外一件  (第二〇八号)  中小小規模企業経営危機打開に関する陳情  書外八件  (第二〇九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  深海底鉱業暫定措置法案起草の件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 渡部恒三

    渡部委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件について調査を進めます。  深海底鉱業暫定措置法案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先日来の理事会等におきまして、委員長において作成いたしました起草案について御協議を願い、本日、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案が調いましたので、その趣旨及び内容について、委員長から御説明を申し上げます。  深海底鉱物資源探査開発の問題は、新しい海洋秩序を確立するための第三次国連海洋法会議において、最後に残された重要な検討項目となっておりました。  わが国は、深海底鉱物資源人類共同の財産とする国連総会決議を尊重する立場でこれに対処してまいりましたが、先進諸国開発途上諸国との間の交渉が難航をきわめていたのであります。しかしながら、会議最終段階に至り事態は急転し、米国等の反対はありましたが、事実上の国際的合意が成立することになったのであります。  この結果、本年中に予定されているカラカスにおける条約採択総会において、新しい海洋法条約が正式に採択される見通しとなりましたが、重要なことは、深海底鉱物資源開発についての先進諸国鉱区申請が、条約採択の日までに自国政府提出されていなければ、鉱区重複した場合の国際的調整において著しく不利に扱われる内容先行投資保護に関する決議が同時に確定されることであります。  これにつきまして、米、英、西独、フランス、ソ連などの先進諸国は、すでに深海底開発に関する国内法令を制定し、着々と開発体制の整備を進めており、近く鉱区調整予備的交渉が始められる事態も予想されているのであります。  ニッケルコバルト等を含む深海底マンガン団塊は、貴重な希少鉱物資源でありまして、資源小国であるわが国が、これをみずからの手で開発することは、国民経済発展国民生活の向上にはかり知れない利益をもたらすものであります。  政府も、この点に着目し、かねてから深海底鉱物資源賦存状況調査並びにその採鉱技術研究開発を進めており、今日、世界的にも最新鋭の技術水準探査活動を行う段階に達しております。  このような情勢において、各国から鉱区申請された場合、有望海域は限られておりますので、鉱区重複する可能性はきわめて高いと言われております。  その場合、主要諸国のうちわが国だけが国内法を持っていないために、はなはだしく国益を損なうおそれが生じているのであり、早急に国内法を整備して、各国と同等の立場国際的調整に対応することが必要であります。  本案は、かかる観点から、国益を損なうことのないよう、立法府の責務を全うするため、急遽各党間の協議を尽くし、海洋法条約わが国において効力を生ずるまでの暫定措置として、深海底鉱業事業活動調整する等の措置を講ずるため提案することとした次第であります。  次に、本案の主な内容について御説明いたします。  第一は、総則において、本案は、海洋法条約わが国において効力を生ずるまでの暫定措置であること、深海底わが国の主権または管轄権のもとに置こうとするものではなく、公海の自由を行使する他国の利益を害するものでもないことを明確にしております。  第二は、開発の対象としている深海底鉱物資源を銅、マンガンニッケルまたはコバルト鉱のうち一種または二種以上の鉱物を含む塊状の鉱石としております。  第三は、深海底鉱業を行おうとする者は、探査または採鉱を行う区域を定めて、通商産業大臣許可を受けなければならないことにしております。許可の要件は、申請した区域が他人の区域重複しないこと、事業適確に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力があること等、合理的かつ円滑な開発が行われるために一定の基準を設けております。  第四は、深海底鉱業者事業を実施する場合の遵守事項でありまして、許可を受けた日から六カ月以内に事業に着手しなければならないこと、引き続き六カ月以上事業を休止してはならないこと、認可を受けた施業案によらないで事業を行ってはならないこと等を定めております。  第五は、通商産業大臣は、外務大臣協議の上、深海底鉱物資源開発事業を行う国を、深海底鉱業国として指定することができることとし、指定した深海底鉱業国における申請わが国申請人との間の申請区域重複の有無を確認し、重複する場合は、その範囲及び重複を解消するための調整に必要な事項等申請人に通知しなければならないこと等を定めております。  第六は、この法律に規定している事項について、条約に別段の定めがあるときは、条約が優先することを定めております。  以上のほか、許可の取り消し、損害の賠償、鉱山保安法の準用、適用除外罰則等につきまして所要の規定を整備しております。  以上が、本起草案趣旨及び内容であります。     —————————————  深海底鉱業暫定措置法案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  3. 渡部恒三

    渡部委員長 お諮りいたします。  お手元に配付いたしております深海底鉱業暫定措置法案の草案を本委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案といたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  4. 渡部恒三

    渡部委員長 起立総員。よって、本案委員会提出法律案とすることに決定いたしました。  なお、ただいま決定いたしました本案提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 渡部恒三

    渡部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  この際、委員長より、理事会協議に基づき政府に対し、次の点について要望しておきたいと存じます。     要望事項   政府は、本法の運用にあたり、立法の経緯及びその趣旨に照らし、新海洋秩序に関する国際的合意をふまえ、公正な国際経済発展に資するよう努めるとともに、関係省庁間の密接な連携を図り、深海底鉱業における事業の展開が的確かつ円滑に行われるよう万遺憾なきを期すること。   以上であります。  この際、政府から発言を求められておりますので、これを許します。原田通商産業政務次官
  6. 原田昇左右

    原田(昇)政府委員 ただいま御要望いただきました点につきましては、その趣旨を十分尊重し、万全を期する所存であります。(拍手)      ————◇—————
  7. 渡部恒三

    渡部委員長 次に、通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺三郎君。
  8. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 私は、大分県の鶴崎製紙の問題について質問を申し上げたいと思いますが、質問の時間がきわめて短時間でございますから、端的に問題点を拾いながら御質問を申し上げたいと思います。そういう立場でひとつ通産側考え方をお答えいただきたいと思います。  鶴崎製紙につきましては、五十五年の十一月に会社更生法適用申請以後、再建に向かって関係者の真剣な努力がいままで行われてまいりました。特に、これに関係する労働組合、さらにはまた大分市、大分県、そして地元経済界再建のための協議会を設置して、いま申し上げましたそれぞれが一体になって管財人候補の擁立あるいは紙・パルプ関連業界への支援の要請、さらに裁判所への陳情、こういった活動を真剣に展開してまいったことは、通産省としてもすでに御案内のとおりであります。このような地元の熱意は、再建が今日非常に厳しい情勢になっている現段階においても、全く変わりなく進められているというふうに私どもは認識をいたしておるわけであります。これらの地元再建努力に対して、通産省としての基本的な見解を最初に承りたいと存じます。
  9. 志賀学

    志賀政府委員 お答え申し上げます。  鶴崎製紙の問題に関しまして、その再建のために地元関係者方々が大変な御努力をなさっておられるということにつきましては、私どもも十分よく承知しております。現在この鶴崎製紙の問題は、ただいま先生からお話がございましたように、五十五年の十一月に広島地裁に対しまして会社更生法適用申請があったわけでございますが、その後、五十七年の三月に広島地裁におきまして、この申請が棄却されたわけでございます。現在、それに対しまして、会社従業員方々広島高裁に対しまして即時抗告を行っておるということも私どもよく承知しております。この間一貫して地元関係方々に大変な御努力をいただいているわけでございますけれども、私どもといたしましても、従来からこの鶴崎製紙再建問題につきまして、地元方々と連絡をとりながらできるだけの努力をしてまいったところでございます。  今後の問題といたしまして、これは広島高裁判断が前提になるわけでございますけれども、私どもといたしましては、引き続き地元方々の御努力に対しまして側面からできるだけの御協力を申し上げたいというふうに思っております。     〔委員長退席、森(清一委員長代理着席
  10. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 この再建問題の経過については、非常に長い期間を要しておりますから、その間にいろいろな紆余曲折を経たことはいまさら申し上げるまでもございません。ただ、この倒産の本質あるいは経過の中で、特に指摘をしなければなりませんのは、広島にございますところの大竹紙業、これが倒産をしたことに関連をして子会社である鶴崎製紙倒産をした、このような事情にあるわけであります。したがいまして、私どもとしては、先ほど来通産側もおっしゃっておるような、地元関係者が相協力し合って再建努力をしてきたそういう過程の中で、いやしくも親会社だけが再建をされて、そして関連をして倒産した鶴崎製紙が切って捨てられるというようなことは社会的にも許せない。同時にまた、ここに働いている従業員生活の問題を考えればなおさらでございますし、また大分市としてもこれは誘致企業第一号の会社であります。そういうふうな点からいろいろ考えてまいりますと、倒産をして、それに関連して倒産させられてしまった、このような性格から考えますと、親会社である大竹紙業だけが再建をされて、その結果子会社が切って捨てられるというふうな状況であれば、これは産業のあり方、秩序、こういう点からいっても大変な問題を将来に残すことになるのではないか、これが関係者の一致した見解であり、私どももそう思うわけであります。  そういうふうな点から経過をずっと見てまいりますと、昨年の九月にこの大竹紙業については更生手続開始決定がなされました。そして先ほど局長から御答弁がありましたように、この子会社である鶴崎については広島地裁において却下をされてしまった。結果的にはそうなっておるわけでありまして、これは今後に非常に大きな問題を残すのではないか、こういうふうに思うわけであります。  そこで、これらの地元の熱心な努力にもかかわらず、三月の十五日でありますけれども、結局広島地裁会社更生法適用申請を棄却してしまった。それで労働組合としては三月の二十三日に即時抗告を行って、現在は広島高裁判断いかん段階に移っているというふうに考えるわけであります。この判断に当たって、再建可能性について十分な見通しが得られるかどうか、これがやはり大きなポイントになってくるわけであります。  このような事態を打開するためには、幾つかの問題点があるだろうというふうに考えますけれども、私は、以下簡潔に問題点を二、三点にしぼりながら、通産省としての考え方もこの際明確にお伺いをしておきたい、このように思うわけであります。  まず一つは、大変な苦労をしながら、しかし、現地においては一致した管財人候補として大橋良造氏を考えておられるようであります。いままで通産省としても再建努力をなさってきたわけでありますから、この大橋さんに直接会われて、そしていろいろ考え方をお聞きになったり、あるいは大変失礼な言い方で申しわけございませんけれども大橋さんの人物についてどのようにお考えになっておるか、その点をまず第一点お伺いしておきたいと思います。
  11. 志賀学

    志賀政府委員 お答え申し上げ、ます。  ただいま先生からお話しございましたように、地元におきまして、現在大橋さんという方を管財人候補として、再建に向かって努力をされておるということはよく承知しておりまして、大橋さんに対しましても、残念なことに私はまだお目にかかっておりませんけれども、担当の課長はよくお会いしておりまして、経験、人物などから申しまして適当な方ではあるまいかというふうに思っております。
  12. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 これまでの経過によりますと、たとえば五十七年、つまりことしの三月三日に広島地裁でこの問題についての審尋が行われました。この地裁審尋に対して、大橋さんは大橋さんなりに、この会社再建に関してこういう点が  一番問題ではなかろうか、そういう点についてはこのようにしていきたいというふうな考え方地裁の方に上申しておられるのであります。私もそ  の上申書内容については逐一検討させていただきました。ところが、これは地裁の機能といいますかやり方として、ある意味ではやむを得ないのかもしれませんけれども、幾人かの方々地裁が呼んで審尋をされた。そのうちの一人として、大橋さんも審尋を受けておられる。しかし、きわめて短い時間です。まあこういう言い方は妥当かどうかわかりませんが、私どもから言わせれば、形式的な一、二の質問で終わっている、それについて十分に詳しい説明をし得る時間もなかったというふうに考えます。  先ほど申し上げましたように、広島にある大竹紙業、この親会社倒産関連をして鶴崎が倒れておるわけでありますから、問題がある意味では非常に複雑であり、しかも管轄裁判所大分ではなくして広島地裁で行われたというふうな事情、それから期間も相当長くなっておりますが、その中で関係者がいろいろな努力をいままで積み上げられて、それの一つの結実といいますか、そういう形で大橋さんがお出しになった上申書が十分に説明の機会もないままに審尋が終わってしまった。ここに何か、これだけ地元方々が熱意を持っておられるにもかかわらず、十分にそれが参酌されなかったのではないかというふうな考え方を私は私なりに持つわけであります。したがって、広島の高裁に舞台が移っておるわけでありますから、この考え方がこれからこの中で十分に検討されて、その上で結論が出されることが一番望ましい、こういうふうに考えておるわけであります。  そこで、すでに地裁に出されたこの大橋さんの上申書の中にもございますし、いままで関係なさったもとの会社や組合や大分市や大分県あるいはその他いろいろな有識者の中で一致してこういう点が問題ではなかろうかというふうに言われておる点、これについて通産の見解を承りたいと思いますけれども一つは、鶴崎製紙のいままでつくっておった製品の評価、あるいはいま結局倒産をしてしまっておるわけでありますから、その後どうなっているかという問題とも関連をしながら、通産側としては市場性について一体どのように考えておられるのか、この点の見解をひとつ端的に承りたいと存じます。
  13. 志賀学

    志賀政府委員 鶴崎製紙は片つやさらしクラフト紙という製品をつくっていたメーカーでございます。片つやさらしクラフト紙のメーカーといたしましては、たとえば昭和五十五年のシェアを見ますと、全国の生産量のうち二五%ぐらいの生産を占めておりまして、その面では業界第三位の主要メーカーでございます。その製品なり製造技術の評価でございますけれども、私どもが承知しているところでは、製品なり製造技術についての市場におきます評価は大変高いものがあったというふうに聞いております。したがいまして、今後広島高裁判断によるわけでございますけれども鶴崎製紙再建に向かうといったような場合におきましては、こういった鶴崎製紙の製品に対する市場における評価あるいは製造技術についての評価は大きな財産になっていくだろうというふうに私どもは思っております。
  14. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 わかりました。  第二点でありますが、これはもちろん言うまでもありませんけれども再建のためにはかなりの資金を調達する必要があるというふうに思います。私は先ほど、関係者努力誘致企業であるという性格やいろいろな点から、むしろ一般的な精神論みたいなことを申し上げましたが、会社再建するということになりますと、言うまでもなく資金調達が前提になるわけであります。ところが、鶴崎製紙の資産についていろいろ検討してみてまいりますと、親会社である大竹紙業のために鶴崎の全資産に担保がかけられている、こういうふうな事情があるために、資金調達がきわめて困難である、これがやはり一番大きな問題点だというふうに思っておるわけであります。このためには、まず根抵当権の空き担保を利用して当面の資金調達を行わなければならないと思います。  もちろん、この前私も、現地にお伺いをしながら、市や県の幹部の方々からこの問題についていろいろお話をお聞きしました。市も非常に熱心に、この再建のためには特別の融資も考える、こういうふうなお話でございましたし、市のそういう資金手当てを基本に据えながら、県としても何らかの形でできるだけ協力をしたい、こういうふうにおっしゃっております。そういう点では、他にもたくさん同じような例があるかと思いますけれども、地方経済界を挙げてこれに対する温かい支援体制をつくっておる。そういう意味ではまさに、この鶴崎をめぐる問題は異例だというふうに言ってもいいほど大変な熱意を持っておられるということで、私も感謝をしてまいったわけでありますけれども、そういう地方公共団体の政策的なといいますか制度的ないろいろな資金の応援、これは再建のために欠かすことのできない要素になるとは思いますが、やはり基本的には、空き担保を利用して当面の資金調達を行うということが欠かすことのできない非常に大きなウエートを占めるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。  それで担保の実態をずっと見てまいりますと、いま申し上げましたように、親会社のための担保を解除することが必要でありますが、その場合には担保権者である日立造船の協力が不可欠のものになる、どうしてもそうなってしまう、こういうふうに考えるわけであります。これはいままでの過程でもそれぞれの関係者方々努力はなさったと思いますけれども地裁の決定も却下という形で一回目が出たわけでありますから、そういう点も関連しながら、この点はなかなかむずかしいように思うわけであります。  そこで、この担保の解除の問題等について、日立造船その他の関係担保権者との間の話し合いで、通産省としても努力をしあるいは協力をするというやり方がどうしても必要だというふうに思うわけです。いままでも協力はなされたと思いますけれども、この問題が再建にとっては欠かすことのできない大きな問題でありますだけに、ここでひとつ通産側のきちんとした前向きの考え方をぜひともお答えいただきたい、こういうふうに思うわけです。
  15. 志賀学

    志賀政府委員 お答えいたします。  鶴崎製紙再建に向かうという場合に、確かに資金問題というのが一つの大きなポイントでございます。それで、先生御案内のように、鶴崎製紙の工場財団の被担保債権の大部分は大竹紙業関連の債権でございますし、そのかなりの部分は日立造船の債権でございます。したがいまして、空き担保の利用にいたしましても、いずれにいたしましても、大口債権者である日立造船の協力というのが一つのポイントになってくるだろうというふうに私どもも思っております。そういう観点から、私どもといたしましても、従来から日立造船に対しましていろいろ話をしてきたところでございます。  それで、日立造船の考え方といたしましては、更生開始決定があり、正式の管財人が決まり、正式の管財人からお話があった段階において、日立造船としても検討したいという気持ちを持っておるというふうに私ども承知しておりまして、私どもといたしましても、そういう段階になりました際に、日立造船に対しましていろいろ助言をしてまいりたいというふうに思っております。
  16. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 非常に長期間かかって、しかも、広島地裁が三月にこれを却下したというふうな事情、なぜそうなったんだろうかということをいろいろ経過をお聞きしながら考えてまいりますと、いまの担保の解除、あるいは資金、この問題が非常に大きなウエートを占めておるということは、先ほど申し上げたとおりであります。  それで、更生開始が決定される、あるいはいまもう高裁の段階に入っておりますけれども、高裁が仮にそういう決定をしたという場合には、日立もそれらの事情を十分に勘案をしながらこれに協力体制がとれるだろう、また、そうなるように、通産側としても行政面からいろいろな支援、協力をやっていく、このお考えはわかりました。しかし、いわばこれはイタチごっこみたいなものでありまして、結局、これについての資金の見通しがどうもまだあいまいではないか。したがって、再建はなかなかむずかしいんだというふうな判断がどうも地裁の側にあったような気がいたします。あるいは、大橋さんという新たな有力な管財人候補の方の御意見は別といたしまして、いままで実際にその立場に立ってこられた宮田さんなりの考え方では、担保の問題、これに絡む資金手当ての問題がどうもイタチごっこみたいなかっこうで、これが明確に出てくれば再建は可能かもしれない。しかし、裁判所による更生開始決定が行われたという前提でなければ、これは話にならぬというふうな形で、どっちが先かというふうなイタチごっこから、どうもこの点がすっきりしないというふうに思われておるのではなかろうか、あるいは地裁判断の根拠の一つもそこにあるのではなかろうか、こういうふうに思うわけであります。  そうしてまいりますと、いま局長から御答弁がありましたように、今度は高裁で更生開始が認められるというふうなことになればということではなくて、認められるように、日立の担保解除の問題の話し合いが相当鮮明に浮き上がっていかないと、なかなか更生開始決定には至らないんじゃないか。その辺は裁判所の独自の判断でありますから、行政側がどこまで言えるか、やれるかということはおのずから限界がありましょう。私もその点は認識をして、その上で質問を申し上げるわけでありますけれども、ぜひともそういう判断が高裁でおりるようになるために、通産側としてさらにいろいろ知恵を出していただいて、高裁への、別に領域を侵すという意味ではなくて、反映されるようなやり方がないものだろうか、あるいはそのための努力についてどのようにお考えなのかという点を、ちょっともう一回お聞きしておきたいと思います。
  17. 志賀学

    志賀政府委員 先生からただいまお話がございましたように、現在広島高等裁判所判断を待っている状況でございますので、なかなかむずかしい問題がございます。ただ、いずれにいたしましても、私どもの気持ちも渡辺先生のお気持ちもそれほど違っていないのだろうというふうに思っておりまして、私どもとしても、なお引き続きまして関係方面にいろいろ働きかけをしてまいりたいというふうに思っております。ただ、いずれにいたしましても、現在、裁判所が絡んだ問題でございますので、その辺でなかなか限界があるということは御了承いただきたいというふうに思っております。
  18. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 事態は非常に差し迫っておりまして、もっと早い時期に高裁の判断がおりるのではないかというふうに、ある意味では、いい方に行けばいいのでありますけれども、悪い方におりてしまうとどうにもならぬなという心配を絶えず持ちながら今日まで来たわけですが、幸いきょうの時点でまだ悪い判断が下ったわけではございません。しかし、いずれにしても、事態はきわめて緊迫していると思います。ですから、いままでも御努力はいただいたわけでありますけれども、通産としても、さらに一層迅速に、少しでも通産の持っておられるような熱意が高裁に反映されるように一それから繰り返すことになりますけれども、いままで異例とも言えるほど地元が総ぐるみで、何としてもこの再建は図らなければいかぬというふうな立場で来られた、これが実るようにひとつ万全の努力をしていただきたい、こういうふうに重ねて強く要請を申し上げたいと思っているわけであります。  時間の関係もございますから、紙・パルプ産業全体がいま大変な不況の時期にあるわけでありますけれども、通産としては、当面これらに対する抜本的な、政策的などのような中長期の展望を持っておられるかというような点については触れる時間がございません。しかし、紙だけではなくて、素材産業全体について政策的にもう少し思い切った前向きの方針を打ち出そうという意味では、次の通常国会あたりをめどにしながらいろいろ努力を続けられておるということは承知をいたしておりますけれども、現実に起きておる倒産問題、しかもこれに向けて異常とも言えるような各界挙げての協力体制、こういうことが不幸にして画餅に帰すということになれば、せっかくのそういった諸施策というものも生きてこないわけでありまして、このような再建の熱意に燃えた地元の結集が十分に生かされるように、繰り返すようでありますけれども通産側でも一層の御努力を強くお願いしたいという点を結びといたしまして、時間もありませんから、私はきょうはこれだけに質問をとどめたいと思います。その点についてもう一度考え方をお聞きをして終わりたいと思います。
  19. 原田昇左右

    原田(昇)政府委員 ただいまのお話、まことにごもっともでございまして、御承知のように、紙・パルプの構造不況というのは大変深刻でございます。私どももこの対策に苦慮しておるわけでございますが、鶴崎製紙再建問題について、地元が一丸となって再建に向けて大変努力しておられる点については大いに評価をし、またその地元の期待におこたえをしなければならないという気持ちは、われわれとしても十分持っておりますが、何分高裁の判断待ちということでもございますし、われわれとしても万全の協力体制をしくことにやぶさかでないということを申し上げておきます。
  20. 渡辺三郎

    渡辺(三)委員 終わります。
  21. 森清

    ○森(清)委員長代理 上坂昇君。
  22. 上坂昇

    上坂委員 私は、官公需適格組合に関する問題について質問をいたしたいと思います。  中小企業庁にお伺いしますが、日本の企業群全体の中で中小企業というのはどんな位置を占めているのか、どのぐらいあるものか、通産省でつかんでいるものを説明していただきたいのです。
  23. 原田昇左右

    原田(昇)政府委員 ただいまの御質問を正確に理解したかどうか、大変恐縮でございますが、官公需の関係について、製造業等についての中小企業の定義はどうかということでございますか。
  24. 上坂昇

    上坂委員 官公需ということにとらわれないで、わが国中小企業企業全体の中でどういう位置を占めて、またどのぐらいあるものか、パーセンテージで結構ですから御説明願いたい。
  25. 原田昇左右

    原田(昇)政府委員 それでは、政府委員にお答えさせます。
  26. 勝谷保

    ○勝谷政府委員 中小企業は五百八十万余の企業数でございまして、企業数では九九・八%前後ではないかと考えますし、従業員におきましては八〇%を占めておると考えます。なお、中小企業の家族まで含めますと、中小企業関係の人口がわが国の人口に占めます比率は、私どもは六六%ぐらいだという計算をいたしておりますので、国民生活、日本経済のマジョリティーを形成しているというように考えております。
  27. 上坂昇

    上坂委員 中小企業のつかみ方なんですけれども、基本法によりますと、資本金が一億円以下で従業員が三百人以下、こうなっておるわけです。それから小売、サービス業の場合には、御承知のように資本金が一千万円以下で従業員が五十人以下、こうなっております。ところが、統計ではこういうつかみ方ができていないわけですね。大体一人から二百九十九人までは幾らであるとか、あるいは小売業だとすれば一人から五十人未満ですから、四十九人まではどのぐらいのパーセントと、こういうふうなつかみ方になっておるわけです。  そこで、問題なのは、官公需を出す場合、資本金が八億あっても従業員が二百人だと中小企業になってしまう。それから五千万円でも三百十人いれば大企業に入ってしまう。こういうかっこうになってきますから、統計のとり方によっては、非常に資本力が強くて大変力を持っている企業だなとわれわれが思っても、その企業従業員が非常に少ないので、中小企業の部類に入ってしまって大企業に入ってない。したがって、官公需を出す場合も、そういうところに集中的に出されますと、業種によっては、資本金が非常に多くて力の強い企業に対して仕事が集中をしていく、こういう結果になってしまうのじゃないかと思うのですね。そこのところのつかみ方が官公需の場合にはどうなっているかということを御説明いただきたいのです。
  28. 勝谷保

    ○勝谷政府委員 先生の、官公需の際の中小企業向けのある程度の規模別の発注状況等々つかんでいるかという御質問でございますが、まことに申しわけございませんが、私ども、現時点では官公需総額に占めます中小企業向けの発注実績を中心にしてデータを把握いたし、この比率を高めること、この比率を高めるための手段いかんということを鋭意政策として遂行いたしているところでございまして、特に小規模企業にどれだけ与えているかというような点につきましては、残念ながら国、地方公共団体の両面で把握をしていないのが実情でございます。  ただ、個別の問題として、ABCDEまで分けて、発注金額ごとに対象の中小企業者をしぼるとか、そういうようなことは具体的な政策としてはいたしておりますが、先生いま御指摘のデータとしてつかんでいるかという点につきましては、残念でございますが、そのような実態にないことをお断り申し上げたいと思います。
  29. 上坂昇

    上坂委員 昭和五十五年の中小企業向けの実績というのは三兆四千四百七十六億円、三六・三%の比率を占めている、こういうふうに言われております。地方自治体では七〇%を超しているのではないか、こういうふうに言われておるわけでありますが、いま私が言ったようなつかみ方をしないと、この中でどのくらいいわゆる本当の零細小企業小規模企業あるいは本当に常識的に中小企業と言われるところへこの発注が行われているかということをつかまないと、官公需の制度ができてからもう十五年になるわけですね、四十二年ですから。十五年たってその点がつかまれていないということになると、これはまさに仏つくって魂入れずという結果になってしまうと思うのですね。  そこで、いま私がこう言っても、資料がないのに出せ出せと言ったって出せるはずがないのだから、だからこれからはそうした統計のとり方というものに努力をして、これを早急に確立をしていくということでなければならぬと思うのです。これをやる御意思があるかどうか、ひとつお答えをいただきたいのです。
  30. 勝谷保

    ○勝谷政府委員 きめの細かい中小企業施策を展開する必要は先生御指摘のとおりで、私どもも同じ認識を持ちます。ただ、膨大な発注量の一つ一つをそういうふうな区分ごとに整理をして出すということが果たして可能かどうか。そのために必要な経費、人員等々を考えますときに、とりあえず私どものいまの政策は、個別の国、地方公共団体ごとの発注をできるだけ中小企業分野に引き寄せるということ。そして実際のやり方では、数字としては出ていないけれども、なるべく小さいところにも均てんするような努力ということをいたしておりますので、数字をそろえることはもちろん重要でございますが、まず、その前段階でございます中小企業分野の確保をできるだけ拡大するという方向で精いっぱいの努力をさせていただきたいというような気がいたすわけでございます。人員の面も予算の面も見てやるから大いにやれということを、私ども各省にいまこの時点で言うだけの確信がございませんので、先生の先ほど来の御意見は十分私ども共通の認識として持たせていただきまして、中長期的な問題として検討させていただいたらいかがかと思うわけでございます。
  31. 上坂昇

    上坂委員 各省たくさんありますからね。いろいろ仕事がまたがっているから、全部統計いますぐ出すというわけにいかない。さしあたりこれはと思うところを一省か二省選んで、そしてその動向というものをつかんでいくという形になれば、官庁というのはそんなに違わないものだから、そういうような方向というのは、それで私は大ざっぱにつかめると思うのであります。そこで通産省としては方針を出して、そしてこういうふうな形を見習いなさいという指導をしていくということが必要だろうと思うのです。これはやはり一つか二つ早急に実施をしていくという方向でひとつ検討していただきたいと思いますが、いかがですか。
  32. 勝谷保

    ○勝谷政府委員 実は、隗より始めよで、通産省におきまして、通産省の会計課と私どもの担当の課の間で、この問題については、この時点で先生に言われてからということではございませんで、前々から検討をしているところでございます。会計担当実務の定員の問題等々種々検討いたしまして、最近での会計課の残業の問題その他も全部検討いたしまして、私どもとしては、直ちにやってみせますということが言えないという点を、残念でございますが、ここでお断り申し上げたいと思います。よろしくお願いしたいと思います。
  33. 上坂昇

    上坂委員 いまの点努力をしてもらうようにして、そこで、官公需の場合特に必要なのは、適格組合の問題がありますが、その前に、先ほど長官が言いましたABCのランクに分けているというのがありましたね。その統計が出てきたら、後で結構ですから、どこのでも、一つでも二つでもいいですから、資料をひとつ私のところへ届けてください。  そこで、適格組合の問題なんですが、御承知のように、適格組合をつくる前に事業協同組合を実際はつくるわけです。きょう「月刊中小企業」が配付になりましたが、ここにもちゃんと中小企業庁の指導部組織課の上野君が書いている。「中小企業経営の合理化や、取引条件の改善など事業活動における社会的・経済的不利の是正を効率的に解決する手段として、組合を活用」、こうなっているわけですね。そして共同化を図ったり何かするというふうに出ているわけです。このぐらい一生懸命進めているわけでありますから、私は、協同組合をつくらせるということを中小企業庁の方は非常に理解を持っておるし、一生懸命やっておられる、これもよくわかる。ところが、各省に行きますとなかなかそうはいかない。事業協同組合というのはどんなものだか知らないような担当官がいっぱいいるのです。これを一々説明するのに、私のところへ呼んで説明しなければならない。こっちもよくわからないから、なかなかむずかしくなってしまう。  ところで、そういう状況がありまして、担当者がきちんと把握していないと、実際に中小企業の協同組合をつくって、そしてせっかく官公需の適格資格制度をとって持っていっても、これはだめだ、こうなってしまう。これは御承知のように、ビル管法ができて、そしてビルのサービスの人たちとの間になかなか問題があって、法律ができて一年かかってもまだきちっといっていないという問題があるわけです。こういうことではだめなので、各機関の認識を本当に徹底してもらわなければならないと思うわけであります。その点についての状況をひとつ説明していただくようにお願いをいたします。
  34. 勝谷保

    ○勝谷政府委員 先生のただいまの御指摘の点につきましては、私どもも重要な問題として認識をいたしております。地方の推進協議会の場では、この適格組合をよく利用するようにという問題点は常に取り上げております。したがいまして、PRを十分いたすということが第一でございますが、PRをいたしましても、この適格組合自体が適格組合としての内容を整備しておく必要があるわけでございますので、適格組合が官公需を受注するに当たっての十分な対応策をとるための研修といいますか、そういうものにつきましては、組合の中央会を通じまして研修等々を実施いたしておるわけでございまして、そのための予算等もいささか計上させていただいておるわけでございます。
  35. 上坂昇

    上坂委員 これから十分努力をして、適格組合になるべくいろいろ官公需の仕事をやる。特にみんな中小企業というより零細企業の人が多いのですから、これを十分活用するようにお願いをしたいと思います。  ところで、昨年の五月二十八日に衆議院の決算委員会で、わが党の小川国彦君が取り上げました、千葉県通信工事協同組合の問題について、質問をしてみたいと思うのです。  実は、下請企業というのは、私たちがあっちこっち調査をするわけですが、本当のことを言うと、名前を出してもらいたくないわけなんです。実態があっても、ここに実態を出せないわけです。はっきりと名前を出せないから、質問でもどうしても皆抽象的になってしまうのですね。ところが、幸いに、小川君の取り上げた問題については、たくさんあちこちに発表されているわけであります。もちろん、いま言ったように、決算委員会の議事録があります。それから「近代中小企業」、これは五十七年の三月号でありますが、ここでも非常に長く何ページかにわたって取り上げられている。それから週刊新潮であるとか週刊現代でも出ているわけですね。おかしいじゃないか電電公社は、という形で出ているわけです。それから参議院の秦豊君が質問主意書を出して、これに政府が答えているという形で、非常にポピュラーになっているわけです。  ですから、私は遠慮なくこの問題を取り上げさせてもらいたいと思うのですが、この組合は、昭和五十四年の三月に適格組合の証明を取得して、そしてできることならば、電電公社のいわゆる下請、第一次下請ですね、そこへ入りたい、こう出したわけであります。ところが、これは書類を受け付けない、みんな突っ返されてしまった。突っ返す理由というのは、幾らでも理由はつけられるわけだから、私は突っ返した理由を言ってもらえば、こっちは納得する、せざるを得ないかもしれない。しかし、問題はそういうところにあるのじゃなくて、そうした組合は、さっき言ったように、中小零細企業として育てていかなければならぬというものであるのだから、少しぐらいの書類の不備があろうと、あるいは問題が少し残っていようと、そこのところは指導してきちんとした書類を出せるとか、あるいは受け付けて、足りないところは指導していくという精神がなければ、いつまでたっても中小企業は食い込むことはできない、参入できないわけであります。  ところが、電電公社は絶対に参入させないのですね。第一次の元請七十一社以外は、通信工事には一切参加させない。かたくなにそれを二十年、三十年にわたって守ってきているというのが実態なんですね、実を言うと。そのことについては、決算委員会でもきちんと指摘されているわけであります。ですから、いろいろな資料を見ても、だれが見てもそういうことが常識的に考えられる。  そこで問題なのは、なぜ千葉のいわゆる通信工事協同組合を入れなかったのかということ、このことについて一点答弁をいただきたいと思うのです。もう一つは、これに類するような事例がいままであったかどうかということ。このことについて、きょうせっかく電電公社から来ていただいておりますから、公社の方からひとつ直接承りたいと思うのです。
  36. 花木充夫

    ○花木説明員 お答え申し上げます。  電気通信設備の工事というものにはそれなりの特徴がありますが、公社は、工事の参加を御希望になる場合におきましては、官公需適格組合であろうとも、あるいは一般の企業でありましょうとも、在来から認定された業者でありましょうとも、二年に一回の割合で審査をやっております。五十五年に千葉県の通信工事協同組合からの申請がありましたけれども申請書の内容に不備がありましたために、結局申請期限まで間に合わない、結果的には認定業者になれなかったということでございます。  なお、参考までに申し上げますが、今年度がちょうど申請を受けて審査する時期でございます。このたびは、前からもそうでございますが、組合だからといって特にだめだということは言っておりませんし、どのような会社でも、有資格の会社があれば、私どもはそれを断る気持ちは全然ございません。
  37. 上坂昇

    上坂委員 もう一つ、いままであったかどうか。
  38. 花木充夫

    ○花木説明員 従来そのようなことはございませんでした。
  39. 上坂昇

    上坂委員 大体答えはそう言うだろうと思っていたんです。大体答えはわかるのです。これは問答集じゃないけれども、先にわかってしまうのですけれども、いままで一回も実際はそうした例がないわけですね。この制度ができてから二十数年になるわけでしょう。出ないわけです。出せないような状況があるんじゃないですか、どうなんですか。  それからもう一つは、この千葉の組合の場合も、とにかく五十五年に出した。あと一年、ことしはもう二年目に入ってしまったのですが、あと二年ぐらいたつうちには、受け付けないでおけば、これは何とも方法がない。しかもそういうことをやった下請企業組合というのは、いわゆる元請の七十一社に大体つながっているのです。みんなつながっているのが集まったわけだ。そうすると、そのつながったのを元請から圧力をかけて、それで君のところに仕事をやらないぞと言われてしまうと、これはだめなんですね。私などずっと全国あちこち歩いたが、下請と元請との関係によるものは全部そうなんです。これは自動車産業と言わず何と言わずみんなそうなんだ。トヨタだって日産だって、ちょっと文句を言えばすぐ出入り禁止になってしまうくらいやかましい。そういうかっこうになるのじゃないかというように思うのですが、いかがですか。
  40. 花木充夫

    ○花木説明員 お答えいたします。  先生御指摘のように、一般の会社の場合でも系列化ということが進んでおるように思います。公社の場合も、私ども直接下請を指導する立場にはございませんが、やはり系列化が進んでおると伺っております。そういう意味において先生御指摘のとおりだろうと思っております。
  41. 上坂昇

    上坂委員 そこで、またお伺いしますが、この元請というのは認定業者と言われておるわけですね。そして認定業者に対するいろいろな基準などというものを検討したりなんかして、最近少し直したりあるいは改正をするというのですか、そういう形でやっておるらしいんだけれども、しかし実際問題としては、七十一社以外にふえもしなければ減りもしないというような状況でここ数年来来ているわけであります。しかも小川君の指摘によると、上位大手の十社で役員が百五十二名いて、そのうち官公庁から行っている天下りが、電電公社の方から天下っていると思うのですが、八十七名もいて、これが五七・二%含まれている。これは私が言うのではなくて、資料が言っているわけですから。五十四年度の発注価格は五千七百五十六億円で、そのうち十社で三千三百三十七億円、六〇%を占めている。これも資料が言っているのです、私が言うんじゃありませんから。大手十社をずっととってみますと、いま言ったような形が歴然としてあらわれているわけですね。  そこで、認定業者というのは、私の聞いているのでは直接工事には絶対タッチしない、こう聞いているわけです。大体機械を持ってないんだ、こういうわけです。これは本当なんですか、どうですか。
  42. 花木充夫

    ○花木説明員 お答えいたします。  元請業者は機械器具その他技術者も持っておりまして、私たちの資格審査は技術力ということを非常に重要視してやっております。そのほか、御存じのとおり電信電話事業ないしは電気通信設備工事をやるには、公社が国内においては最大手というよりは、ほかのところではほとんどやっていらっしゃらないというようなことから、公社のこういう認定業界が閉鎖的であるという御指摘もさきの国会において指摘されたところではございますが、ある意味においては、必然的にこのような状態になっているというのが現実の姿でございます。
  43. 上坂昇

    上坂委員 いまちょっと聞き漏らしたのですが、機械は持っていないのですね。
  44. 花木充夫

    ○花木説明員 おります。
  45. 上坂昇

    上坂委員 どんな程度のものを持っているんですか。
  46. 花木充夫

    ○花木説明員 機械について細かいものはあれでございますが、工事に必要な測定器あるいは機械器具、こういうものは元請がすべて持っておりますし、認定の際にもその持っている機械器具の量によって評価しております。
  47. 上坂昇

    上坂委員 元請の系列下にある下請で、その元請の持っている機械よりもっとりっぱな、もっと優秀な、もっと多量にその機械器具を持っている会社がありますか。
  48. 花木充夫

    ○花木説明員 私ども、下請の方につきましては特段調査しておりませんので、したがいまして、元請より多く持っているかあるいは持っていないか、これについてはっきりとお答えすることはできません。
  49. 上坂昇

    上坂委員 私は、千葉の通信工事協同組合だけでなくて、いまから八年ばかり前に私の知っている友人がおたくの元請の下請をやっていたわけです。そこは、実を言うと、ほかにちょっと手を出したものだからつぶれちゃったんだけれども、そのときもよく事情は聞いていたんだけれども、実を言うと、私のところがほとんど仕事をするので、元請会社というのは監督者をよこすだけなんですよ。あとは、小川君も指摘しているのだが、プレハブを持っているだけだ。プレハブというのは監督者が行って座っているところだと思うのだけれども、それしかないのですよ。実は私たちがほとんど全部仕事をやるのです、けれども元請には絶対入れないのだ、こういうふうに私は聞いていたのです。この千葉の問題でも大体そういうふうに聞いているわけです。そのことが一つです。いまこれはそうじゃないんだというお答えのようですが、はっきりそう言えるのかどうかということが第一点。  そこで、その一点に絡んでもう一つ、大手十社について、どういう機械を持っていて総従業員が何名いて工事料が幾らというものを全部一覧表に出して提出をしてもらいたいと思います。これは委員長にお願いをします。  それから、こういうのがあるというふうに言われている。先ほど言ったいわゆる現場の監督の人の問題なんだけれども、その監督者というのは、元請の方から下請が仕事をやっているところへ出ていって監督をしていると思うのですね。その監督する人の給料は下請の方から出させるのだ、天引きしてしまうのだ、こういうふうに聞いているわけですが、これは事実ですか。また長官に、こういうことを私は聞いているんだけれども、そういうことを知っているかどうか。これはお二人にお聞きしたいと思います。
  50. 花木充夫

    ○花木説明員 お答えいたします。  元請、下請間の契約の内容につきましては、基本的には私たちは関与をしないという態度を持っております。すなわち、元請、下請間におきまして、しっかりした契約を結んでおくこと、あるいは建業法あるいは国等の御指導によります下請価格が工事原価に満たないことのないようにというような指導につきましては、発注者として私たちは指導しておるところでございますが、先ほどおっしゃいました元請、下請間にどのような細かな契約がなされているかということにつきましては、詳しく存じておりません。
  51. 上坂昇

    上坂委員 長官、じゃひとつ。
  52. 勝谷保

    ○勝谷政府委員 ただいまの千葉県における下請企業に対するまる抱え的な契約状態というものにつきましては、報告を受けておりませんでしたので、存じませんでした。
  53. 上坂昇

    上坂委員 そうしますと、下請のことは、もう元請と下請の間に全部任したんだ、こっちは発注すればそれで終わりだという態度になっちゃうと思う。それでは、サービスをモットーとしている電電公社としては、国民に対する責任として少し不足するものがあるのではないかという感じが実を言うとせざるを得ないのです。そこで、実際に国民の生活にとって非常に重要な通信情報業務というものの設備をするわけだから、そのことについて、元請であろうと下請であろうと、元請から特に下請にいけばいくほどそこのところはやはりきちんと把握をするということが大切ではないか。もしそういうことをやらないで、元請に全部任してしまうというかっこうになってしまうから、元請が勝手なことをするような形になって、結局、実際に仕事をする零細企業の人たち、あるいは中小企業の人たち、あるいは技術を非常に尊重しながら一生懸命やっている労働者の人たち、そういう人たちのいわゆる労働条件というものが悪くなったり低下をしたりする。そうしますと、そのことは通信の施設をつくるというものに対して非常に大きな影響を持ってくる、そのことが国民サービスの低下につながるのではないか、私はこういうことを恐れざるを得ないわけであります。そこでは電電公社の責任というものが回避をされているのではないかというふうに私は思わざるを得ないわけであります。この点はいかがでしょうか。そういう反省はありませんか。
  54. 花木充夫

    ○花木説明員 お答えいたします。  認定いたしました会社につきましては、元請であるという立場ではございますので、下請を使う場合においては、下請の指導をすることを含めて優良会社であるというぐあいに考えておりますので、元請が下請を指導することにつきましては、公社は法令等に定められたことにつきましては指導いたしますが、それ以外につきましては、元請の責任においてやる、それができないような元請の場合は、その元請から場合によっては排除しなければいかぬ、このように思っております。
  55. 上坂昇

    上坂委員 そうすると、元請の方だけはとにかく電電公社はきちんと把握をしているわけだから、私がさっき言ったように、大手十社ありますね、名前を言わなくたって局長だからわかっているでしょうから、局長、わかっているでしょう。大手十社について、先ほど言ったように、従業員がどのぐらいいるか、それから機械はどういう機械を持っているか、そういうことについてひとつ資料を国会の方に提出をしてくださるようにお願いをします。  そこで今度は、問題なんですが、代金でこういうのがあるのですね。公社の方では、中小企業に発注したりなんかする場合には、大体代金を前金で払う場合だって実際問題としてあるわけですね。だけれども、元請が下請に出すときには、本当は労務賃は現金で払わなければならない。下請代金支払遅延等防止法にのっとってやらなければならない。ところが、実際には手形を出して、そして三カ月も四カ月も払わない、こういう例がある。しかも管理費を取られたり、先ほど言ったように、監督者の給料まで払ったり何かするから、全く困ってしまう。そうすると、元請の方は現金もらっているのに、下請の方は手形をもらうから、今度は手形の割引率まで取られちゃうということになって、ますます経営が困難になる。しかし、そこの系列につながっていなければどうにもやっていけない。特に、こうした景気の悪い時代には何としても食いついていかなければならないというかっこうになってしまうと、これは官公需という流れの中での中小企業を本当に大切にして、そこの企業を助けていくという、いわゆる法律に基づくところの対策というものがとれていないということになってしまう。これは監督官庁であるいわゆる中小企業庁あるいは通産省も責任はあると思うけれども、そこまでなかなか目を通すことができないということになれば、やはり三公社の一つとしての電電公社は社会的な信用があるわけだから、そういうことをきちんとやらなければならないのではないかというふうに私は思うのですが、その点はいかがですか。
  56. 花木充夫

    ○花木説明員 お答えいたします。  公社といたしましては、確かに御指摘のように、前払い金を払っているケースはございます。そういう場合には、国の方針に従いまして、下請業者に現金で支払いをするように常日ごろから指導しているところでございます。万一、先生が御指摘のような事実というようなことがあるとしますれば、公社としまして厳重に注意いたしたい、このように思っております。
  57. 上坂昇

    上坂委員 昨年の五月二十八日の小川代議士の質問に、こういうのがあるのです。七十一社の業者以外認定を認めない、電電公社の退職者が五割以上いないところは認めないのだ、これでは、どんなに中小企業の人たちが営々と努力してやろうとしたって、あなた方は審査規定があって、それに外れたからといってこれを受け付けない、これではだめじゃないか、こう質問しているわけですね。そうしたら一山口説明員という、おたくの公社の人かどうか知りませんが、答えているのは、こう答えているのです。認定の基準について今後検討していかなければならないことが多いと思います。そして山内国務大臣は、郵政大臣ですが、「そこでだんだん仕事がふえるにつれて、元請業者だけに固定しないで、下請業者も元請業者に育成する必要があると思うのです。」こう答えているわけでありますが、そういう方向を確認をしていいかどうかということと、いま千葉の工事組合がこれからどういうかっこうになって育っていくのかどうかわかりませんけれども、この二十二社の人たちが、各元請につながっていた人たちが、それぞれいつまでたってもうだつが上がらない、これはどうしても私たちが独立をしなければだめだ、独立するためにはお互いに助け合っていくのだから、協同組合をつくって、そこで元請の一角に入れてもらう。私たちの技術というものは、もう長年にわたって電電公社の仕事をしていて十分やれるという自信があるのだから、これをやってください、こういう形でつくって参加をさせてくれ、こう出したと思うのですね。ところが、書類が不備だからとさっき言われたけれども、間に合わなかったのが不備だったということで、だめだったわけであります。だから、ことしやりなさい、こういうことになっているのですが、その間に脱退する人がいたり、これはとても電電公社を相手にしたのじゃ、幾ら協同組合をつくったって、官公需組合をいかに尊重しろなんて言ってみたって、電電公社の体質としては、そういうのは絶対にできないのだ、こう思ってあきらめちゃって、そして脱退する人が出たというふうにも聞いているし、そういうふうに書いてあるのですね。ところが、もう一つの方を見ると、これはそうでなくて、圧力がかかってやめさせられちゃったんだ、抜けなさい、抜けなさいというわけで、脱退せざるを得ないところに追い込まれたのだ。これは私が言っているのじゃないのですからね。これだってちゃんと資料に書いてあるわけだから、それを言っているわけだ。そういうことを世の中にちゃんと発表されておるわけですよ。ここのところが私は問題だと思うのです。ですから、今後千葉のような状況が起こったときには、先ほど言いましたように、書類の不備とかなんとかいうものは十分指導して、こういうふうに書きなさい、そうすれば私たちは受理しますよ、しかし受理した以上は、認定の基準というものがあるんだから、その認定の基準の上に乗っかってきちんと審査をして、その上で許可をするかしないかということを決めますよ、このぐらいの大きな気持ちでやってもらわなければならないと思いますが、これからは絶対にそういうふうにやると言い切ることができますか。     〔森一清一委員長代理退席、委員長着席〕
  58. 花木充夫

    ○花木説明員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり私どもの方はやるつもりでございますし、工事参加を希望する業者に対しては、説明書もつくりまして、ことしの三月に出して皆配ってありますので、関係の方はよく御存じのはずでございます。
  59. 上坂昇

    上坂委員 それを聞くと、私も非常に安心して、これから私の知っているようなところでもしあったら、その人を私も指導して、電電公社へ行ってきなさい、書類をもらいにいくと説明書から何から全部くれるから、そうしたらぼくは協同組合つくってやるから持ってきなさい、こうやれるわけだね。これは非常に心強い回答をいただいてまことにありがたく思うわけであります。  そこで、時間も迫ってきましたから、最後にちょっとお聞きしておきますが、千葉県通信工事協同組合というのは見込みありますか、その辺ちょっとお伺いしたいと思うのです。
  60. 花木充夫

    ○花木説明員 お答えいたします。  申請書を受け取っておりませんので、どのような業態にあるのか、私どもわかりません。したがいまして、いまここで見込みがあるとかないとか申し上げることはむずかしいかと思います。
  61. 上坂昇

    上坂委員 書類を見てないから本当にわからないと思うのですね。今度これから出てくれば、さっき言ったように、きちんとやれるかどうかということを指導してやるということになるから、もし千葉の方で出すということになれば出してもいいわけですね。そうしたら、さっき私が言ったように、十分指導して、不備なところは、ここを直してきなさい、そうすればちゃんと受け付けますよ、こういうふうに親切に言ってくれますね。大丈夫ですか。
  62. 花木充夫

    ○花木説明員 先生御指摘のとおり親切に指導したいと思います。
  63. 上坂昇

    上坂委員 いまそういうお答えをいただいて本当にありがたいと思います。これから十分そういうふうにやってください。  さて問題は、官公需適格組合に対する考え方ですが、業者の認定に関する考え方であるとか、あるいは官公需適格組合に対する考え方であるとか、それから開かれた公社への考え方であるとかいうことが、実は公開質問書が出ているというふうに聞いておるわけなんですが、これは実際に出ていますか。それから出ているとすれば、それについて回答書は出されておるわけですか。もし出されておるならば、その回答書を私の手元の方へひとつ届けていただきたいと思うのです。
  64. 花木充夫

    ○花木説明員 回答書は何も出しておりません。
  65. 上坂昇

    上坂委員 そうすると、公開質問書が来ても、そのことについては下請と元請との問題なんで、そんなこと関係ないから出さない、こういう意味で出さないのですか。
  66. 花木充夫

    ○花木説明員 千葉の協同組合に関する秦先生の公開質問書でございましょうか。それにつきましては回答はさせていただいております。
  67. 上坂昇

    上坂委員 秦さんのいわゆる主意書に対する回答書は私の手元に持っております。そうじゃなくて、協同組合の方が電電公社の総裁あてに公開質問書を出した、こう聞いておるわけですが、それに対する回答がされて、もしありましたら届けていただきたいということでございます。
  68. 花木充夫

    ○花木説明員 業界からの申請書受け付けは、千葉の場合でございますと、関東電気通信局というところで受け付けをやっておりますので、関東通信局長からそれに対する回答は出しております。
  69. 上坂昇

    上坂委員 その関通局長が出しているものについてはいただけますか。
  70. 花木充夫

    ○花木説明員 関東電気通信局長から返事は出しておりますし、これを先生のところへお届けすればよろしいということであればお届けいたします。
  71. 上坂昇

    上坂委員 いまのこと委員長、お取り計らいをいただきたいと思います。
  72. 渡部恒三

    渡部委員長 はい。
  73. 上坂昇

    上坂委員 それから、長官にお伺いしますが、いま言ったように、これは電電公社と言わず国鉄と言わずどこでも同じなんです。各省にわたるわけでありますが、官公需というのは、実際に資格を取ってもなかなか参入できないのですね。もちろん、いまの元請にしましても、余り参入されると、こういう景気の悪いときだから競争が激しくなって、ますます経営が困難になるから、それは困るのだ、こういうふうになるかもしれません。しかし、十五年、二十年にわたって一つの仕事を独占して、そして全部その仕事を受け持つのは、本当の第一次下請あるいは第二次下請というようなものであるということになってしまいますと、そこで働いている労働者の人たちが低賃金に甘んじなければならないような結果に終わってしまうと思うのです。ここのところをそうでないようにしようということで、いわゆる零細企業者の経営を安定させる。その安定をさせることによって技術を高め、労働者の生活条件をよくするということにつながってくるということを考える場合、これはどんなに特殊な技術であろうと、その特殊な技術の中にもこうした協同組合なり何なりをつくって参入するというものを指導していくことが、やはり必要であろうと思うのです。そういう意味で、国鉄であろうと電電公社であろうと、遠慮なくひとつ中小企業庁の立場として指導していただきたいというのが第一点です。  それからもう一つは、先ほど言いましたように、適格制度というものがとにかくここまで来たのだから、これについてはもう本当に実のあるものにしていくようにもう一度努力してもらいたい。このことをもう一回お答えをいただきたいと思うのです。
  74. 勝谷保

    ○勝谷政府委員 注文を受けるに当たりまして、独占体制を維持しまして、その下の下請企業、さらに孫請企業等々が苦労する実態というのは、この問題以外にも種々あるわけでございます。私どもその問題を非常に重要な問題として政策を実施いたしております。したがいまして、先生のいま御指摘の点につきましては、従来の路線上さらに努力してまいりたいと思います。ただ、電電公社の場合は、先ほど来御答弁がございましたように、技術的な面で充実をしているものが出てくるならば、それを入れて、さらに国民生活の充実、サービスの充実のための改善を図るように申していらっしゃいますので、その点は私どもと全く同じお気持ちではないかという気がいたすわけでございます。  それから、内容の充実につきましては、先ほど来お答えを申し上げておりますが、今後とも努力を続けてまいる所存でございます。
  75. 上坂昇

    上坂委員 電電公社の花木さんにお話ししておきますが、いま電電公社は非常に大きな岐路に立っていると私は思うのです。民営論から特殊会社論からいろいろ出てきて、国民の注目の的になっていると思うのです。そういうところでは明るい電電公社といいますか、民主的な電電公社という実態を出していかないと風当たりはますますひどくなる。だから閉鎖社会であってはならないと思うのです。その閉鎖社会であって独占的に勝手なことをやっているという印象を与えると、どうしても分割論であるとか民営論というものが出てこざるを得ないわけです。私はいまの電電公社の技術というものを非常に高く買っていますし、国際的にもすばらしい技術を持っていると思うのです。そういうものが本当に生かされるような体制というものは、やはり民主的な企業組織というものの中から生まれてこなければならないと思うのです。そういう意味で、閉鎖社会であってはならないということを十分総裁あるいは理事、役員会に提言をしてもらって、国会でこういう問題が出ましたよと、私は電電公社を指弾しているわけじゃないのだ、電電公社の将来を思うから言っていることでありますから、十分その点を酌んで言っていただきたいと思うのです。その決意のほどを伺いたい。それで終わります。
  76. 花木充夫

    ○花木説明員 お答えいたします。  先生の御指導いただきましたその意を体しまして、今後ともがんばっていきたいと思っております。
  77. 上坂昇

    上坂委員 どうも忙しいところありがとうございました。
  78. 渡部恒三

    渡部委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後一時一分休憩      ————◇—————     午後三時十四分開議
  79. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。佐藤誼君。
  80. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 質問の機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。私は山形県の二区なんでございますけれども、今日非常に重要な政策課題になっております基礎素材産業、とりわけアルミニウム製錬の行方と地元の問題を関連させながら若干質問をいたしたいと思います。     〔渡辺(秀)委員長代理退席、委員長着席〕  住軽アルミ酒田工場は、ことし四月二十日、鋳造部門を除いて操業を停止し、地元が期待しておりました住軽アルミ工業株式会社は解散をいたしました。いま構造的不況にあるアルミ産業に対して政府の適切な対応が求められているときに、この事態通産省はどのようにとらえられておるのか、まずこのことについてお答えいただきたいと思います。
  81. 真野温

    ○真野政府委員 御承知のように、昨年来アルミ産業は非常に不況にございまして、政府部内におきまして、産業構造審議会等を通じましていろいろ審議を重ねてまいりまして、それに対する対応策を種々検討し、実施したやさきに、御指摘のような住軽アルミの酒田工場の閉鎖という事態を招いたわけでございます。御承知のように、住軽アルミの酒田工場、これはわが国のアルミ製錬企業の中で一番後にできました工場でございまして、特に石油危機の直後に発足したということから、コスト面等からほかのアルミ製錬に比べて相対的に不利な立場にございました。さらに加うるに、昨年来の状況から、電力コストの増大と国内の需要停滞、特に昨年の半ばぐらいから世界的にアルミ市況が非常に悪化いたしまして、世界的な過剰在庫が昨年の暮れからことしにかけて非常に累積いたしました。そのために、予想以上に国際市況が低落いたしまして、さらにその中におきまして、日本のアルミ産業の需要も、住宅建設の不振等から停滞を脱し切れない状況が続いたわけでございます。そういう意味におきまして、環境としてはきわめて悪い状況が続きました。  従来、住軽アルミとしては、中長期の観点から、一つは、いわゆる石炭火力への転換ということによる電力コストの低減を非常に積極的に進めてまいったわけでございますが、当面こういう状況でございますので、著しい過剰在庫の調整を図る必要があるという事態を招いたわけでございます。その中におきまして、特に先ほど申し上げましたこの企業、住軽アルミそのものが比較的後発の企業であるためによるコスト面での不利、財務面での不利性が大きかったために、これを何とかしなければいけないということから、今回住軽グループといたしまして、思い切った財務体質の改善を図る。このための措置として、当面会社の操業を停止し、かつ現在の設備を当分休止しておく。あわせて財務体質改善のために、住軽アルミという会社の解散という措置にまで至らざるを得なかったわけでございますが、そういう意味におきまして、単なる環境のほかに、住軽アルミそのものの財務体質の改善ということが急を要する事態であったということから、今回の措置に至ったものだと私ども聞いておりまして、そういう面におきまして、住軽アルミそのものの基盤をさらに再建する意味におきまして、今回とりました措置はやむを得なかったものだと考えておるわけでございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、住軽アルミ、住友軽金属グループとしては、現在ある九万九千トンの設備、これは引き続き維持する。あわせて酒田の共同火力の石炭転換、これを予定どおり工事を進捗させるということを私どもに明言いたしておりまして、そういった客観情勢、つまり石炭火力への転換及びその暁における経済的な見通しをつけた上で、この製錬の再開を行う、こういう考えと私どもは聞いておるわけでございます。  そういう意味におきまして、今後のアルミの世界市場の動向というのが非常に重要なポイントになってまいりますが、この点につきましては、特に最近、二百万トン程度が通常であろうかと思いますが、三百二、三十万トンの世界的な在庫の増加がございまして、これに対して、現在、日本はもちろんいま申し上げましたように、住軽アルミ以外の各社とも大幅な減産によって在庫調整をいたしておりますが、他方、世界的にもそういう在庫調整の動きは急ピッチに進んでまいりまして、現在アメリカでは操業度七割、社によってはそれを切るという状況で、需給調整を急いでおる情勢でございます。特に日本のアルミの昨年の国際的環境は、一時アメリカあたりからのアルミ地金のスポット輸入が急増した時期がございますが、最近に至りまして、アメリカにおける在庫調整、減産という状況から、実は昨年全体として見ますと、アメリカは従来アルミについては、御承知のように輸入国でございましたが、一昨年から昨年の前半にかけまして相当世界市場の中に輸出しておったわけでございます。ところが、そういう状況のもとで再びアメリカ自身が輸入国に変わりつつございまして、全体としての需給調整が現在急ピッチに進んでおる状況でございます。あとは、アメリカの国内における住宅投資及び自動車生産、これが復調いたしますと、かなりまた全体のアルミ市況の需給というのが改善してまいる、こういうふうに予測されておるわけでありますが、率直に申し上げまして、こういうアメリカの需給の改善がやや当初の見込みよりおくれておる。こういうのは事実でございまして、今後アメリカの国内の金利の低下あるいはインフレの収束等に合わせて、アメリカの経済の回復基調が出てまいりますれば、こういった面でのアルミの需給状況にも大きな影響が出てまいりまして、全体的な世界需給が再びバランスする、こういうふうに予測されるわけでございまして、そういう意味におきまして、今後、五十九年の半ばには石炭火力の建設が終わり、操業開始の時期におきましては、かなり現在と違った国際的なアルミの市場が予測されるわけでございまして、そういう意味での経済的な見通し、現在から直ちにこうということを予測することは確実ではございませんけれども、かなり状況は変わってまいる、こういうふうに私どもは考えておる次第でございます。
  82. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 お願いですが、時間が四十分しかありませんので、答弁される政府委員は手短にひとつ答弁されるようお願いしておきます。  そこで、アルミの全体の状況はある程度は私もわかるつもりでございますが、御承知のとおり日本の電力料金は国際的に非常に高いわけですから、その状況の中でアルミ製錬はどんどん減産体制に入っているわけです。私は、減産されてきているいまの体制がどこで歯どめがかかるかというのは、重要な今日的な課題であろうと思いますが、その中で、いまも答弁がありましたけれども、酒田住軽アルミの経緯をずっと見ますと、私は出発からかなり無理な状況の中でアルミ製錬が行われてきたのじゃなかろうかというふうに考えるわけです。  そこで、私なりに言いますと、この住軽アルミが設立されたのは昭和四十八年の二月なのです。住軽アルミ操業は昭和五十二年の一月、製錬目標十八万トン、その中の第一期として九万トン、実際はその時点では製錬能力四万五千トン、これが昭和五十二年一月段階なんですが、その前の昭和五十一年のアルミ製錬を見ますと、全国的に設備能力が百六十四万トン、生産量が九十七万トンという状況なんです。こういう減産体制に入っている中で、住軽アルミの第一期の操業が始まったという、こういう環境にあると思います。その五十二年の一月、その後に例の百二十五万トン体制、つまり昭和五十二年の十一月に百六十四万トンから百二十五万トン体制に入っていったわけです。以下、五十三年十月百十万トン体制、それから五十六年十月七十万トン体制、こういう形でずっと流れてきていることは御承知のとおりです。ですから、住軽アルミが操業したころには、先ほどもありましたが、第一次石油ショック後のアルミが非常に不況に入って減産体制に入っていったという、こういう中で製錬が行われたという非常に厳しい環境の中で出発があったというふうに思います。  以下の状況は御承知のとおりですが、たとえば五十六年の十一月七万五千トン、五十七年の三月五万トンということで、大体減産率にして三〇%から四〇%の状況です。これは権威ある資料かどうか私もちょっとわかりませんけれども、日本長期信用銀行の調査部社内報によりますと、その中に次のような資料があるのです。これは昭和五十一年なんです。減産率とコストアップ率の状況でありますけれども、減産率が三〇%の場合にはコストアップが一九%、減産率四〇%の場合にはコストアップ二九%と五十一年のときにすでに試算されているわけです。これから見ますと、住軽アルミの場合には、五十六年十一月は七万五千トン、五十七年三月は五万トンですから、三〇%から四〇%の減産なんです。こうなりますと、この資料が正しいとするならば、三〇%近いコストアップになっている。  こういう状況ですから、大体住軽の経緯を見てきますと、出発の時点から減産体制に入っていったというところに出発があり、しかも、どんどんこのような形で減産、操業短縮になっていけば、当然コストアップになりますから、今日のような累積赤字が出てくるというのは、流れから言えば、私はある程度当然のことではないかというふうに思うわけです。これはひとり通産省の指導云々というわけじゃありませんけれども、確かに国際環境は非常に厳しいという中ではありますが、ただ、このごろの状況を見ますと、住軽アルミに対しまして、五十六年十月答申では七十万トン体制下に入れてある。つまり設備廃棄のスクラップの対象にはなっていない。それから酒田共同火力については、石油から石炭だきにするので、住軽の場合には大丈夫だという、これが大体の通説であったのですけれども、いまのような流れからずっと推していくと、私はきつい言い方ですけれども、なるべくしてなったというような感が免れないのでありまして、そういう点から言うと、通産省見通しとしても、やや甘かったのではないかということを、私は今時点で言わざるを得ないのでありまして、その点について、さらにどのような受けとめ方をしているか、簡潔に通産省見解を聞いておきたいと思います。  以上です。
  83. 真野温

    ○真野政府委員 私ども昨年産業構造審議会アルミ部会におきまして七十万トン体制という答申をいただいたわけでありますが、この考え方は、実は国内製錬七十万トンの根拠として、特に今後日本のアルミの安定供給という視点から、海外の開発輸入ないし長期契約輸入、こういうものが相当ふえてくる、こういうものを同時に安定供給ソースに考える、こういう趣旨でございまして、その中におきまして、こういった海外開発等をいたしておりますのが現在の日本のアルミ製錬業でございますから、このアルミ製錬業が健全な経営基盤を持っていることが必要である。そういう意味におきまして、国内の製錬業を支援する必要があるということが一つと、あわせて、世界全体の中長期の需給を考えまして、その中におきまして、国際的なアルミ市場から日本が安定的に輸入できる量というもの、ただいま申し上げましたような開発輸入、長期契約というものを今後想定いたしまして、そのほかに国内製錬業の規模として七十万トン程度は必要であろう、こういう推計をいたしたわけでございます。そういう状況は引き続き変わっておらない、こういうふうに申し上げることができると思います。  ただ、先ほど申し上げましたように、世界的なアルミ需給の不均衡から、現在大幅な在庫調整を必要といたしておりますし、国内の製錬業も過剰在庫を相当抱えておりますので、その在庫調整を急ぐ必要がある。こういう事情が現在の日本のアルミの国内製錬の置かれておる立場でございまして、そういう意味におきまして、私どもの想定いたしました七十万トンというのは、そういう七十万トン程度の製錬能力を保持しておく。ただ、その場その場における経済の好不況によりまして、瞬間風速としての生産規模はアップダウンするだろう、こういうふうに実は考えておったわけでございます。その状況があるいは先生御指摘のように、甘かったんではないかという御指摘もあろうかと思いますが、特に最近のアルミの需給状況が著しく悪化いたしておりまして、そういう意味において、瞬間風速としての製錬の生産実績が相当落ちてきておる、これは事実でございます。ただ、規模としては、そういう意味で七十万トン体制というのは引き続き維持されるべきものと私どもは考えておるわけでございます。
  84. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 状況については先ほどからずっといろいろ答弁があるわけですが、しかし、あの酒田という地区、しかも莫大なる投資をして酒田北港開発をやってきたわけですが、そのメインになる住軽アルミが、先ほどありましたような操業停止、会社解散という事態になったことは事実であります。ただしかし、いま地元の皆さんはその対応に大変てんやわんややっているわけですけれども、先ほど局長からもありましたように、鋳造部分については操業を継続していく、それからアルミ製錬の設備については、少なくとも石炭だき転換が終了するまで保全会社等をつくって保守をしていく、こういうことを言われているわけでありまして、このことを地元の皆さんは、やがて二年後には再開されるであろうということを大変願いながら、また期待しているわけです。ただ、そういう願いはそのとおりで、またそのとおりしてもらいたいと私は思うのですが、ややさめた目で見ると、この二年間アルミ製錬の設備を本当に保守していけるんだろうか。これは金もかかりますし、物理的にも技術的にも設備は減価していくわけです。しかもこの二年間を想定していったときに、アルミの状況が好転するだろうか。つまり七十万トンが維持できるだろうか。また石油だきから石炭だきに変わっていったときに、どれだけ電力料金が下がって、国際的に日本のアルミ製錬がどれだけの競争力を持つのだろうか。こういう不安が、私は一面そういう期待を持ちながらも、さめた目で見ると、はてなという感じを持つのは免れないと思うのです。したがって、率直に言えば、二年後本当に再開されるだろうか、この辺のところをどう見通しされておるか、ひとつお聞きいたしたいと思います。
  85. 真野温

    ○真野政府委員 先ほど先生御指摘のように、この住軽アルミの酒田工場というのは、一番後発でございまして、設備費の償却負担等も大きい工場でございまして、そういう意味におきまして、今回思い切った債務処理を行いますれば、かなりこの設備コストは下がるであろうということは予想されるわけでございます。  それからいま一つ、いま御指摘の石炭火力への転換でございますが、石炭火力への転換につきましては、これは中長期の石炭事情あるいは石油事情等、変化ももちろんございますが、私どもがこの計画を承ったときには、大体現在の恐らく通常の、日本全体の平均という意味でございますが、買電コスト並みに維持できるであろう。その際におきまして、今後世界的な市場でアルミの需給が回復いたしますと、全体的な需給状況から設備を、国際的な生産能力をふやすという動きが出てまいると思うのですが、その際に、新しくつくる設備、これは一番多いのはオーストラリアでございますけれども、確かにオーストラリアにおきましては、電力コストは安いわけでございますけれども、最近の資本費、設備の建設費が非常に高くなっておりまして、そういう意味におきまして、将来建設される国際的なアルミプロジェクトの建設コスト及び電力コスト等は相当高くなる見込みでございます。そういう意味におきまして、今回の対応策におきまして、住軽アルミの方がいわゆる酒田の石炭火力転換ということを考えましたのは、全体的な資本費、電力費を含めたコストの中期的な見通しの上に立ってこういうことを考えたわけでございます。  そういう意味におきまして、先ほど先生御指摘になりました、世界のアルミの需給状況いかんということが非常に重要になってまいるわけでございます。これにつきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、現在大幅な相当思い切った在庫調整を進めております。その調整が終われば、世界全体としてのアルミの需給バランスは均衡をとるであろう。その場合において、現在アメリカ、カナダのアルミのメジャーでもコスト割れに悩んでおりますから、需給の均衡ができる暁においては、現在のような著しいスポット価格の低落という事態はなくなるだろう。いわばノーマルな生産コストに見合う生産が行われ、販売が行われる。こういう市場になってまいりますれば、ただいま申し上げましたようないろいろな要因を踏まえまして、住軽アルミの設備を再び活用する道というのは十分出てまいるだろう、こういうふうに予想しているわけでございます。ただ、全体として現在の状況が当初よりもやや悪い状況が続いておる、これは事実でございます。
  86. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 私たち地元の者としても、いま局長が答弁されているようなことを期待しているのですけれども、私は残念ながらそのようにはならないのではないかというような疑問が大きいのです。つまり二年後に再開される状況が、いろいろあるけれども、大きく言えば二つあると思うのです。一つは、二年の間に電力料金がどれだけ国際的に下がるかということだと思うのです。つまり国際競争力の問題。そうなりますと、いま局長も言われましたが、酒田の場合なども石炭転換になった場合にどれだけ電力料金が下がるのか。そのことによって国際競争力がどうなるのか。御承知のとおり、現に日本の場合は大体二倍ないし三倍の電力ですから、そういうことが果たして石炭への転換によって可能なのかどうなのか。この資料によりますと、これは電源開発の資料ですけれども、現在のところ電力コストは石炭は石油の七〇%だ、石炭は重油に対して七〇%だ。ところが、一九九〇年ごろには現在の価格の趨勢でいくと、石炭の方が石油をコストの点で優に上回っていくだろう、こういうことが言われているわけです。ですから、いまわれわれが描いているような状況、石炭に転換すれば電力コストは安くなるという見通しを、果たして無防備に考えていいのかどうかという疑問が残ると思うのです。この辺を本当にどう押さえているのかという問題が一つあると私は思うのです。  それからもう一つは、いま七十万トン体制の中に住軽アルミも入っております。この七十万トンがどんどん後退していって限りなくゼロに近づいていったとすれば、二年後にその体制自体がゼロになればはめ込む余地がないわけですから、再開する余地はない、こういうことになると思うのです。そのことをいまちょっとちなみに考えてみますと、たとえば五十六年十一月、設備能力が百十三万トン、操業水準が五十二万トンでしょう。もう七十万トンを割っているわけです。それから五十七年三月、これは同じ百十三万トンの設備能力で四十五万トン。この間の五十七年五月七日の朝日新聞によれば、五十七年度は三十五万トンだと言っているのです。そうでしょう。これが事実だとすれば、昨年の十月に七十万トンという、しかも六十年にはそういう体制に持っていくということを言っているのだけれども、もうどんどん五十二、四十五、三十五という体制になってきている。これをどのような条件の中で挽回していくのか。これは単に、こういう側面だけの問題ではなくて、将来の基礎素材産業全体のことを考えたときに、日本のナショナルセキュリティーから考えたときに、無限にゼロに近づくというのをどこで歯どめをかけるかということは、ひとり住軽の問題やアルミの問題だけではなくて重要な問題だと思うのです。これは私はことしの三月に例の予算分科会でエネルギー問題との関連質問いたしましたけれども、明確な答弁は得られませんでした。私はその点について非常に疑問に思うことが一つあるのです。     〔委員長退席、森(清)委員長代理着席〕  それからもう一つの問題は、住軽金の小川会長、住友金属の熊谷社長、これは日経新聞の報ずるところでありますから、新聞が正しければということになりますけれども、その新聞の中で二年後の再開について次のようなことを言っております。住軽金の小川会長は、石炭化によって電力コストが安くなれば将来再開することもあり得るという表現を使っているのです。それから住友金属の熊谷社長は、同じようなことを言いまして、製錬事業の再開もあり得る、しかし二年後すぐ再開できるとは思わないという非常に悲観的な表現をしているのですね。ですから、私たちは地元で大変このことに期待はしているのですけれども、一面からやはりさめた目で見ていかないと、がんばって期待はしたけれども、結果はゼロになったということでは大変な問題でありますので、その辺適切なる答弁をひとつ重ねてお願いしたいと思います。
  87. 真野温

    ○真野政府委員 ただいま先生の御議論いただきました第一の石炭転換によりますコストなんでございますが、御承知のように、現在まで住軽アルミはいわゆる重油の共同火力でございまして、かつ新しい発電所だけに固定費負担もかなりかかっている状況でございます。したがって、おっしゃるように、減産いたしますとさらに電力コストが高くなる、こういう状況にございますが、私ども個々のそういう状況、操業状況のアップダウンは、そのときどきの情勢で、場合によれば起こり得るやむを得ない点があろうかと思います。  ただ、長期的に見ますと、石炭火力というのは、現在想定されておりますコスト予想では、現在のような高い重油火力のコストより相当下がるという見込みでございますし、かつもう一つ、先ほど申し上げましたように、実はこの住軽アルミというのは資本コストが非常に高いわけでございます。現在、日本のアルミ製錬業の設備のトン当たりのコストというのは千ドルから二千ドルだと思いますが、今後出てまいります新しい、たとえばオーストラリアあたりでの設備ですと、トン当たり四千ドルくらいかかるわけでございます。さらに現在のインフレ状況では、さらに上がってまいるということが考えられますので、そういう意味で、資本コストとの、いわゆる償却費とのバランスで考えて中期的な見通しを持っておるわけでございます。  それからもう一つ、減産の状況でございますが、現在日本のアルミ産業は六十万トンを超える、端的に申し上げて昨年一年の年産を超えるストックを抱えておりまして、これを急速になくす、平準化する、こういう状況にございまして、著しい減産は当然コストアップを招くのは御指摘のとおりでございますけれども、やむを得ずいたしておるわけでございます。  そこで、ただいま先生から日経新聞のお話がございましたが、私ども住軽アルミ、住友軽金属から報告を受けておりますことは、石炭火力をやることについては積極的にやりたい、とにかくこれは確実に進める、そのためにいろいろ港湾設備の問題その他を含めて早速動いておる、こういう状況報告を受けております。そういう意味において、二年後にそういう石炭火力の発足がございまして、そのときの需給情勢はまたちょっと現在予測できない点がございますけれども、需給情勢の改善につきましては、先ほど申し上げましたような事情がございますので、需給情勢の改善があれば、再開の運びに至るものと私どもは考えておりまして、単にあり得るということも、そういう客観情勢の展開が多少時点をおくらすことはあるかもしれませんけれども、場合によれば、世界的な需給がタイトになれば、逆に急ぐということもあり得る状況ではないかと考えております。
  88. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 これからの基礎素材産業、とりわけアルミ産業の将来というのは非常に重要だと思いますし、また関連して住軽アルミの再開ということがきわめて重要であり、地元として期待しているがゆえに、私は逆にさめた目で、はてどうなのかなということを質問しているわけです。しかし、地元としては熱いまなざしで製錬、鋳造部門の操業継続と、それからアルミ製錬の再開、それに関連する地元開発の進むことを大変期待しているわけです。詳細述べなくてもいいと思いますが。  そういう観点で、はてそれではこれからどうするかということについて、残された時間質問いたしますので、ひとつまとめて御答弁をいただきたいと思うのです。  この酒田地区は、昭和四十五年の八月に臨海型の酒田北港開発としてスタートいたしました。そして五万トン岸壁に着手し、第一期計画で八百九十三ヘクタールの工業団地の形成など大変な工費をつぎ込んできたのであります。いまその開発計画の中心としてきた、先ほど申しました住軽アルミは操業停止、会社解散、しかもアルミ製錬再開についてまだ確信が持てない、こういう地元の受けとめ方になっておるわけです。この事態は、住軽アルミに働くところの雇用労働者に与える影響  はもちろんのこと、御案内のとおり、関連下請企業及び酒田市を中心とした地域の産業経済にはいまはかり知れない影響を与えております。特に、先ほどから申し上げておるように、今後の酒田北港開発の行方について、まだその方向すら定まらないという、こういう非常に厳しい状況に地域は置かれております。  そこで、私はいままでもいろいろな角度から質問いたしましたので、次の三点について要望という形で提起をいたしますので、その点について通産省見解を承りたいと思っております。  その第一番は、具体的になりますけれども、鋳造部門の操業を持続してほしい。また酒田共同火力の石炭だき転換の、約二年後だと思いますけれども、製錬再開に努め、それに向けての条件整備を図ってほしいというのが一番であります。  二番の問題は、この酒田地区、ここだけじゃありませんが、酒田地区も構造不況にあえぐ素材産業の集中地域であります。いま申し上げたアルミもそうです。合金鉄、フェロアロイ産業もそうです。さらに苛性ソーダ、塩素、そういうものがすべてここに集中しております。したがって、御案内のとおり特安法の見直し改定がいま進められておりますから、それとあわせてその対策を強化してほしい。これが二番であります。  三番は、この酒田は、やはり臨海工業地域ですから、酒田のような臨海地域では引き続き港湾利用型の企業の導入を図っていきたい。しかし、それと同時に、いま工業再配置計画の再検討が進められているというふうに新聞で報道されておりますが、この際、それとあわせながら、酒田地区のような工業団地についてもそれにふさわしい、たとえば先端技術産業が進出できるような条件整備と誘導政策を進めてほしい。御案内のとおり、酒田のようなところは、まさに従来から単作の農業地域で、いま畜産との複合経営になっておりますけれども、大変な事態です。農家の皆さんや地域の皆さんは、のどから手が出るほど、すがるような気持ちで働き場所を求めているのです。このことをしっかり受けとめていただきまして、私いま具体的に三点申し上げましたけれども、いまの事情の中で通産省としてどのように考え、そしてどのように指導されるのか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
  89. 真野温

    ○真野政府委員 私の方から第一点と第二点についてお答えを申し上げます。  第一点の鋳造部門の操業でございますが、これは現在の住軽アルミ、住友軽金属グループとしては必要不可欠の部門でございますので、この操業の維持は確実に行うということが私どもに対する説明でございますし、私どももそういうふうに考えております。石炭転換につきましては、これを助成すべく、開銀融資のほかいわゆる建設補助金を従来よりも補助率を上げまして、その建設をいたす予定にいたしております。     〔森(清)委員長代理退席、委員長着席〕  第二点の酒田地区の構造不況に関連して、特安法の見直し改定との関係でございますが、現在、特安法につきましては、産構審の関係のいろいろな部会で、アルミ以外、たとえば石油化学でありますとか塩ビ、ソーダ工業でありますとか、あるいは肥料等につきまして同時並行的にいろいろ議論しております。そういう議論及びその審議の結果を踏まえまして、特安法をどうするかということを今後議論し、検討いたす手はずになっておりますが、その際に、当然地域問題、雇用問題等についても、各個別の審議の中において検討も出てまいりますし、またそれを踏まえて、今後の検討が行われるというふうに考えております。
  90. 神谷和男

    ○神谷政府委員 御要望の第三点目の問題につきましてお答えさせていただきます。  御指摘のように、酒田地区はいろいろな問題を抱えておりますし、私どもの大臣のところにも、同地区への企業誘致あるいは誘導の問題についての陳情等も承っております。したがいまして、この酒田団地あるいは遊佐団地等、具体的な地域についての工業誘致につきましては、私どもがいろいろ実業界の専門家の先生方にお願いして、工業開発指導員制度というのを設けておりますので、その先生方の御視察等もいただきながら、具体的に検討し、アドバイスしていただき、あるいはそれに基づいてわれわれもお手伝いをできる限りしていきたいと考えております。  それからまた、このような地域に関しての先端技術産業が進出可能になるような立地政策を考えろ、こういう御趣旨でございますが、御指摘の工業再配置基本計画そのものを改定するかどうかという問題につきましては、さらに検討させていただきたいと思いますけれども、いままでの基礎素材型産業の地方重点的配置というところにウエートを置いた産業再配置政策から、最近のようないわゆる加工組立て型あるいは知識集約型産業のウエートが非常に大きくなった時代の立地政策あるいは工業再配置政策というものは、スタンスのとり方あるいはウエートの置き方というものが、やはり従来とは異なってきてしかるべきであるというふうに考えておりますので、私どものところでは、現在、工業再配置基本問題懇談会というのを立地局長の諮問機関として設けさせていただいて、鋭意新しい情勢に基づいて、従来からの地域開発施策のあり方もレビューしながら御検討いただいておるところでございまして、それらの成果を踏まえながら、御趣旨を踏まえて、さらに先端産業の地方展開というものに力を入れてまいりたいと考えております。
  91. 佐藤誼

    佐藤(誼)委員 最後の、要望三点を含めた質問に対しましては、大変前向きに受けとめていただき、積極的な側面を含んだ発言がありまして、なおこの点については、先ほど私、地元事情をるる申し述べましたし、これは日本のこれからの基礎素材産業を中心とする一つのモデル的な地域でもあると思いますので、ぜひ積極的な、しかも地域の実情に即した適切なる指導を要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  92. 渡部恒三

  93. 小林政子

    小林(政)委員 私は、革製履物産業の自由化問題について政府見解を伺いたいと思います。  皮革履物産業は、東京の台東区、足立区、葛飾区、荒川区を初め埼玉、千葉など広範に広がっておりますし、歴史の古い伝統的な産業でございます。五十四年版の工業統計によりますと、革製履物製造業は全国で二千二百七事業所、従業員では三万八百四十三人となっておりますが、製靴業界のその分布状況を見てみますと、全国の業者の四五・三%に相当する千四十三事業所が東京に集中をしておりますし、その生産額を見てみても、四六・七%を占めております。このことは、東京が一大産地を形成していると言うことができるのだと思います。  また、全国的にも従業者の規模別で見ますと、非常に零細な業者が多い。事業所で九一・二%が二十九人以下の零細企業ということでございますし、東京都の五十五年度工業統計によりますと、二十九人以下の零細企業が九五%を占めております。革履物産業はこうした零細企業で成り立っているということがはっきりとここに出ているのではないかと思います。  ところが、現在、個人消費の大きな落ち込みがございますし、輸入品の増大もございますし、業界は深刻な不況に陥っております。革靴は現在輸入制限品目に指定をされておりますけれども、ここ数年、輸入量の動きを見てみますと、大幅にこれがふえています。たとえば輸入量で見ますと、一九七五年に七十四万八千足であったものが一九七九年には百五十九万八千足と、約二倍以上輸入量が大幅にこれも増加をしているという結果が出ておりますし、金額の面で見ましても、輸入額は、七八年には五十六億七千万円ぐらいであったものが、七九年には八十七億七千九百万円と、前年比で見ても五七%もふえている、こういう実態が明らかになってきております。  こうした中で、零細の上にも輸入量がふえて圧迫をされているこの業界に対して、通産省は、貿易摩擦の解消のためにと称して、革靴の自由化を検討されていると言われておりますけれども、もし自由化ということが行われた場合に、国内の靴履物産業にどのような影響があらわれるとお考えになっているのか、予想されていらっしゃるのか、まずその見解をお伺いをいたしたいと思います。
  94. 志賀学

    志賀政府委員 お答えいたします。  革靴製造業の実情がどうなっているかという点につきまして、先生からいまいろいろ零細性、産地性その他についてお話がございました。革靴製造業の実態は、私どもといたしましてもそのように認識をしているわけでございます。現在、革靴につきましてIQ制がとられているわけでございますけれども、そのIQ制がとられている理由といたしましては、一つは、革靴製造業というものが、先生御案内のように、歴史的な背景のもとに、社会的ないろいろな困難を抱えている業種であるということが一つ。それからもう一つの理由といたしましては、先生からお話がございましたように、大変零細企業が多いということもございます。それからまた、技術的に見まして、国際競争力の面でかなり問題がある業種でございます。それからかつ、産地性があるということで、急激に輸入がふえてまいりますと、業界に大きな影響が出るばかりでなく、地域経済にもいろいろな影響が出てくるという観点から、従来からIQ制度をとってまいっている、こういうことでございます。  一部新聞に、革靴について自由化を検討するというような報道がやや前にございました。この点につきまして私どもとしては、革靴については、ただいま申し上げたようないろいろな問題がある業種であるというふうに思っておるわけでございまして、現在ヨーロッパを中心にいたしましていろいろな国際的な要望があるということは事実でございますけれども、私どもとしては、先ほど申し上げましたような業界の実態、その辺を踏まえて慎重に対応してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  95. 小林政子

    小林(政)委員 御承知のとおり、現行の関税率は二七%ということになっておりますけれども、伝えられるところによりますと、これが何か一〇%だとか二〇%に下げられるのではないかというようなことも私は聞いたことがございます。業者の方々はこれで大変心配をされていたようでございますけれども、こうした中で数量制限が残されたとしても、関税の引き下げというようなことがされれば、業者に対して大きな打撃を与えることになるものだと私は考えます。通産省は、関税引き下げについてどのような考え方をお持ちになっているのか、この点について明確なお答えをいただきたいと存じます。
  96. 志賀学

    志賀政府委員 お答えいたします。  革靴につきましては、先生からお話がございましたように、現在二七%の関税率ということになっております。これは先ほども申し上げましたように、ヨーロッパを中心といたしまして日本の革靴の関税につきまして関心を示している国がございます。ただ、それにいたしましても、先ほど申し上げましたように、現在革靴製造業はいろいろな問題を抱えているということでございますので、その辺をよく先方に話をしながら慎重に対応していきたいというふうに思っております。ただ、これは自由化の問題を通じて同じことでございますけれども、私どもとしては、革靴製造業のいろいろな困難な問題についてよく認識をしておりますし、特にまた最近では景気も非常に悪いわけでございます。そういった点を踏まえて対応していくつもりでございますけれども、ただ、やや長い目で見ていきます場合に、国際的な環境というのは、これまた一方において非常に厳しいものがございます。したがいまして、業界におかれても、技術の向上なりあるいは設備の近代化なり、そういった業界としての御努力はぜひとも必要であるというふうに思っているわけでございます。
  97. 小林政子

    小林(政)委員 東京、埼玉、千葉、神奈川などで、昨年は一年間にメーカーだとか問屋、小売店、こうしたところが五十社も倒産をしているという報道がされておりますけれども、それほど苦しい業界でございますし、もしこうした中で自由化をされるということにでもなれば、そこで働いている多くの人たちの深刻な失業問題あるいは生活困難の問題が新たな角度で出てくることは目に見えるようでございます。したがって、こうした中で、絶対に自由化はいま考えていらっしゃらないということでございますけれども、将来にもわたってこれはお考えになってもらいたくないものであるというふうに私は思いますけれども、いかがでしょうか。
  98. 原田昇左右

    原田(昇)政府委員 自由化の問題は、小林委員御承知のように、日本が自由貿易を促進していかなければ貿易立国というのは成り立たないわけでございまして、むしろ各国に先駆けてみずからも市場を開放するということが非常に重要なときになってきておるわけでございます。しかしながら、先ほど来局長が御説明いたしましたように、革靴製造業という特殊な、非常に零細な企業の多い業界の苦衷というものを考え、対外関係を十分考慮しながら調整をしてまいらなければならないわけでございまして、そういう意味で、業界の方にも大いに合理化努力をしていただく、われわれも業界の技術の向上あるいは合理化について全面的に協力申し上げる、こういうことでこれからこの困難なときを乗り切っていかなければならぬというように考えております。
  99. 小林政子

    小林(政)委員 先ほど国際競争力というお話も出ましたけれども、私は、この業界は現在国際競争力がある業界とは言えないということがはっきり言えると思うのです。そのために、結局産地振興対策としてここの業界に対して国も八百万円ですか補助金を出して、この国際競争に打ちかっていくというような対策も立てられておりますけれども、これだけで本当に国際競争力がつくかどうかということは、今後も一層検討を要する問題ではないか、このように私は思っております。  こうした中で、東京製靴工業組合は、産地振興計画というものに取り組んで実際にやっているわけですけれども、片一方ではこうした振興対策、片一方では自由化という相反するようなことになれば、これは明らかに政策的にも大きな矛盾が出てくる。こうした問題について一体政府はどう考えていらっしゃるのか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。
  100. 志賀学

    志賀政府委員 革靴製造業に対しましては、いま先生からお話がございましたように、一つは、産地中小企業についての法律に基づきまして振興計画をつくり、いろいろな援助をやっているわけでございます。もう一つは、私どもの革靴製造業に対する特別の予算措置といたしまして、日本の革靴製造業者の技術レベルの向上を目指しまして業界団体が実施しております技術者の養成、研修、そういった事業に対しまして補助金を出してきているわけでございます。私どもは、そういう施策を通じまして、日本の革靴製造業の国際競争力を強めていくことが第一であるというふうに思っているわけでございまして、そういう施策を通じまして、国際的に十分に太刀打ちできるような革靴製造業になっていただくように、さらに努力を続けてまいりたいと思っておりますし、業界の方々におかれましても、厳しい国際環境をよく認識されて、さらに特段の御努力をお願いしたいというふうに思っております。
  101. 小林政子

    小林(政)委員 すでにいろいろと述べてまいりましたけれども、輸入量の増大あるいは不況の深刻化、こうしたもとで本当にこれがこのまま放置されれば倒産につながる、こういう危機に直面しているということも言えると思いますし、零細性ということがいままで言われてきた業界でもございますし、政府の産地振興策の一環として振興計画にも取り組んでいるというお話もございますが、私は、こうした中で、自由化というものはこの業界には絶対すべきではないし、関税引き下げもやるべきではないという見解を持っております。したがって、こうした点については強くその点を要望をいたして、次の問題に入りたいと思います。  次に、お伺いをいたしたいと思いますのは、官公需の問題についてでございます。  政府は、中小企業の官公需受注の機会の確保を図るため、一定の資格を備えた中小企業に対して官公需適格組合であることを証明する、積極的なその推進を図るというような措置をとられてまいりました。ところで、お伺いをいたしたいわけでございますけれども、五十五年度、官公需の適格組合で実際に行われた受注状況というものはどのような状況であったのか、まずそこからお伺いをいたしたいと思います。
  102. 勝谷保

    ○勝谷政府委員 官公需の適格組合につきましては、毎年度の閣議決定によりまして、中小企業者に関する国等の契約の方針という閣議決定でございますが、この閣議決定におきまして、随意契約制度の活用等により、その受注機会の増大を図るよう定めておりまして、その周知徹底を図っておるわけでございまして、先生ただいまどのような実態であるか、特に五十五年の数字を御要望でございます。このような方向で推進してまいりました結果、官公需適格組合自体の数は、五十一年度末に百七十七でございましたが、五十五年度末には三百六十七組合に一応増加をいたしております。そして官公需の受注額も、五十一年度の百三十五億円に対しまして、五十五年度には四百十二億ということで、一応数字の上では増加をいたしておるわけでございます。三百六十七の組合と四百十二億ということでございますから、私ども決して満足はいたしておりません。今後とも官公需適格組合の受注促進について努力をしてまいりたいと考えております。
  103. 小林政子

    小林(政)委員 私、ここに官公需適格組合が五十六年十二月に発表いたしました調査の実態報告書というのを持っておりますけれども、これで見ますと、いまおっしゃったように、全体が三百六十七組合、調査対象は三百三十九組合、回答を寄せたものが二百八十三組合というふうになっておりますけれども、五十五年度末、全国中小企業団体中央会がこういう調査をやって、その結果によりますと、受注が全然できなかった組合というのが百十四組合あった、そして受注実績があった組合というのは二百五十三組合だった、こういう結果が出ております。しかもその中身をずっと読んでみますと、その要因のなぜ受注できなかったのかということについての答えは、第一位は、入札参加の通知がなかった、こう答えたものが四五・二%、第二位は、適格組合を冷遇していると思うと答えたものが二九・八%、第三位は、いままで実績がないので排除された、これが二七・四%、第四位は、分割発注をしてくれない、このように答えたものが二三・八%となっています。私はこの結果について、いろいろ理由はあったと思いますが、国や発注者側の責任、またその消極的な姿勢というものがこうした結果となってあらわれてきたのではないだろうか、このように思いますけれども中小企業庁、どのように認識をされていらっしゃいますか。
  104. 勝谷保

    ○勝谷政府委員 五十六年十二月に出しました全国中小企業団体中央会のレポートの数字は、ただいま先生御指摘のとおりの数字が出ております。この中で適格組合サイドのレポートといたしましては、その要因が発注者側にあるとするものが非常に多いわけでございまして、先生がおっしゃいましたような、入札参加の通知がなかった、適格組合を冷遇している、そして実績がないので排除されたというようなものがありますと同時に、同じように二番目に営業活動が不足していたというのが二九・八%ございます。  ここらを考え合わせまして、まず第一に、先生御指摘のとおりに、今後とも官公需の適格組合の受注促進を図る必要がございまして、発注機関側に対して強い要望をいたさなくてはならないと私どもも認識をいたしております。そのために、地方推進協議会等の場では必ずこのことをPRをいたしまして、よくその認識を持つようにということをいたしております。実績がなければだめだといえば永遠にだめでございますから、ここらの点についてもよく注意をいたさなくてはいかぬと思いますが、営業活動不足と同時に、いま一つどもが反省しておりますのは、適格組合サイドの営業活動なり本当に発注サイドから信頼されるものにする必要があるということで、このレポートを出しました中央会で適格組合の研修等いたしておるわけでありまして、この線でも今後強力に進めてまいらなければならないと思っております。ささやかな予算でございますが、そのための予算も中央会につけておるのが実情でございます。
  105. 小林政子

    小林(政)委員 これもまたやはりこの中に出ている内容でございますけれども、官公需適格組合が要望しているという中を見てみますと、各発注機関の窓口に対して、適格組合制度の趣旨というものが徹底するよう国がもっと指導をしてほしい、こう答えた組合がやはり三十四組合、さらに分離分割発注を積極的に行ってもらいたいと要望したものが二十組合、随意契約制度を積極的に活用してもらいたいと回答したものが十八組合、随意契約の範囲を拡大してもらいたい、八組合となっています。こうした要望に対して、今後どのような対策を中小企業庁としてはとっていかれるおつもりなのか、その見解をお伺いいたしたいと思います。
  106. 勝谷保

    ○勝谷政府委員 先ほどのレポートの中で、先生のお話しのとおり、適格組合からの要望事項というところで、各発注機関の窓口に対する国の強力な指導の要請というのがございます。これが第一の要望でございまして、三十四組合が出しておりますが、これにつきましては、先ほども申し上げましたように地方における推進協議会の場等を中心に強力に進めてまいる必要がございますし、私ども関係のところを通じて鋭意努力を進めてまいったつもりでございますが、今後も御指摘のように進めてまいるつもりでございます。  第二は、分離分割発注を積極的に行えということでございました。これは非常に中小企業に対して意味がございます。国の方でも地方の方でも、これはできるだけ努めております。これもその方針で進めたいと思っております。  随意契約制度の積極的活用、随意契約の範囲の拡大ということ等々がございますが、これらにつきましては、現行制度の中で物品等の購入についてはできるだけその方針で進めてまいるということでございます。御趣旨よくわかりましたし、この要望書も私どもの方に出ておりますので、今後ともこの方向で進めてまいるつもりでございます。
  107. 小林政子

    小林(政)委員 官公需地方推進協議会を通じて今後指導の徹底を図っていくというような御答弁でございますけれども、五十五年度組合の受注のなかったもの、ゼロであったものが三一%も占めているという現実でございます。単なる指導ということだけではなかなかうまくいかないのではないだろうか、私はこういうふうに思いますけれども、こういう点については具体的な中身についてお伺いをいたしていきたいと思います。  一つは、官公需の適格組合の半数以上は建設及び建設関係の組合ということになっております。したがって、これは大蔵省ですか、お見えいただいていると思うのですけれども、予算決算及び会計令の九十九条で、会計法二十九条の三第五項の規定による九十九条十八号で定められております随意契約というのは、建設関係では現在これは認められていないということでございますけれども、これに対して九十九条二号の「予定価格が二百五十万円を超えない工事又は製造をさせるとき。」いわゆる二百五十万円以下でしか現在適用されていない、こういうのが実態だと思います。私は、組合が強く要望をいたしております九十九条十八号に含めてほしいと言っている内容を、ぜひ今後の中で検討してもらいたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
  108. 兵藤廣治

    ○兵藤説明員 お答え申し上げます。  国の契約方式の基本は、申すまでもなく先生御承知のとおりでございますけれども、広く競争を行いまして、最も経済的に有利な相手方を選定していくという一般競争契約方式が基本でございます。随意契約の場合におきましては、競争を行わずに相手方を適宜決めていく方式でございますので、契約金額が少額の場合、それから後は特定の場合に認めるというふうに限定いたしておるところでございまして、御指摘の事業協同組合の場合におきましては、先ほど先生が読み上げられたとおり、直接に物件を買い入れる場合について随契を認めておりますけれども、これは予決令の九十九条の各号を通覧していただきますとわかるのでございますが、多くの場合は、国の物件を売り払ったり貸し付けたりするときで、国有財産なんかを公共用、公益用に使う必要がある、そういうときに地方団体や公益法人に、その使用目的で売ったり貸し付けたりするときに多く認められておりますが、支出原因契約の方では随契の範囲が限られております。  それから、ほかの組合、農協等と、もともとは事業協同組合も農業協同組合も一緒に規定してありました。それを分割したわけでございますけれども、範囲を広げてないということがございますので、そういった随契が本来の会計制度の面からいくと一番例外性の強いところに位置しておりますので、いろいろなバランス上から拡大はなかなかやりにくい、いかがなものかというふうに私どもは考えておるわけでございます。  中小企業の受注機会の拡大については、いろいろと中小規模に限りまして制限つきに競争していただくとかいうようなことで、何とか中小企業者の組合の場におきましても、受注機会の増大に対処していくことが可能ではなかろうかと思っております。またそういう活用の道を何とか開いていく方向でお願いできたらというふうに考えておる次第でございます。
  109. 小林政子

    小林(政)委員 確かに競争契約ということが一つの筋であろうとは思います。また中小企業に対しては、ランクづけで、地元業者に対し一ランク上げるというようなこともやられております。しかし私は、官公需適格組合の建設業の実情等については、その実態に即して、その範囲をこの際拡大をしたらどうかと思うのです。なぜかと申しますと、御承知のとおりいま建設業の倒産というのは深刻なんですね。実際問題として中小企業倒産を見ますと、一九八一年一年間で一万七千六百十件の倒産のうち、これは全体の数字ですけれども、建設業は五千三百三十四件で三〇・三%を占めているのです。七九年、八〇年でも約三〇%が建設業の倒産と言われております。深刻な中小建設業に対して随意契約の枠を拡大する道をふやすことがどうしても必要ではないだろうか。ことしの官公需の方針を決めるに当たって、ぜひひとつ検討をしてもらうわけにはいかないかということを強く申し上げたいと存じます。  時間の関係でその点と、それからさらにもう一点だけお伺いをいたしておきます。  それは中小企業庁長官あるいはまた政務次官お見えですから、政務次官にお伺いしたいと思いますけれども、この十年間の中小企業への国の官公需の発注の割合を見てみますと、昭和四十六年には二五%であったものが、六年後の五十一年度には三四%と九%その間伸びているわけです。ところがこれに対して、五十一年度から五十六年度の最近の六年間をとってみますと、三四%から三六・八%とわずか二・八%しか伸びておりません。むしろ伸び率が非常に速度が落ちてきているということをこのことは物語っていると思います。やはり中小企業への発注を増大させるため、官公需適格組合に対する随契の枠の拡大ということは必要であろうと私は思いますし、また中小企業の指定品目の拡大など積極的な契約の目標を定めて、ことしの契約の方針に反映をさしていくことはきわめて重要ではないか、このように考えております。この間の商工委員会でもいわゆる公共事業の前倒しということが言われておりますときだけに、この時期も、官公需の発注についても急いでやる必要があるのではないか、このようなことも質問いたしましたところが、安倍通産大臣も、その点は十分考えてまいりたいというようなことも言っておられました。具体的にそれらの点を踏まえて、今後さらに比重を伸ばし、積極的な目標を定め拡大をしていく、また時期も早めていくというような点について、現在どのようなお考えをお持ちなのか、お伺いをいたしたいと思います。
  110. 原田昇左右

    原田(昇)政府委員 中小企業倒産が非常にふえておるということも事実でございますし、また景気低迷によって中小企業がそれだけ非常に大きな影響を受けておるということも事実であります。  そこで、中小企業のよりどころは官公需を大いに受注したいということでございますから、われわれとしても、今年度の目標策定に際しましては、ぜひとも昨年よりはより一層拡充した目標を定めたい、さらに策定時期も、公共事業の前倒しという事態もございますし、ぜひとも例年よりは早目にひとつ策定したい、こういうように考えております。
  111. 勝谷保

    ○勝谷政府委員 第一の問題でございますが、先生御指摘のとおりに、事業協同組合につきましては、予決令上随意契約を行うことができます場合は、物件の購入に限られております。工事等の発注も対象といたしますれば、中小企業の官公需の受注機会が増大するということは、私どもも考えられることだと思っておりますが、ただいま大蔵省の方からも御説明がありましたような法令上の種々の問題点もございますし、一方で現在建設省におきまして公共工事の発注問題につきまして、中央建設業審議会で検討を進めていると承知しておりまして、その審議結果も見きわめた上で、公共工事における随意契約方式の活用について検討することが必要ではないかというように考えるわけでございまして、この審議結果と、先ほど来の大蔵省の予決令上の、法令上の考え方等々もあわせて今後検討する必要があると考えておりますので、いま直ちに、前向きにこれを処理しますということが申し上げられない段階にあることを御認識賜りたいと思います。
  112. 小林政子

    小林(政)委員 政務次官からも、さらに拡大の方向をとっていきたい、それからまたただいまの御答弁によっても、いますぐにはなかなかむずかしい面はあるけれども、建設省といろいろと打ち合わせをしながら随意契約についての枠を拡大していく方向も、検討とはおっしゃらなかったけれども、しかし何とかこれもやっていきたいというような意味の御答弁があったと思いますので、私はこれらの点から考えて、倒産が続いている建設業界に対して、零細な業者に対して、仕事の確保と同時に安心して仕事を続けていくことができるような、協同組合を発展させていくという方向でもって努力をしてもらいたい、このことを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
  113. 渡部恒三

    渡部委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時三十四分散会      ————◇—————