○
渡辺(貢)
委員 そうしますと、ほとんどいままで出ているものと変わりがないんじゃないかと思うのです。これはニューヨークの
商品取引所の
関係でやっている
企業から出されているリスク開示告知書というのですが、これにはこういうふうに書いてあります。第五項目に「少額の
保証金による、高度なテコの法則を応用した
先物取引においては、時に有益に、また不利益に働き、この作用により大きな益金あるいは損金を生じます。」損金を生じるという話を余りするのではなくて、大きな益金、つまり少額の
保証金がてこになって大きな益金を生み出していく、こういう
勧誘をするわけでして、これは書面には残らないのですね。
具体的に
相談に来られた方がずっと事実経過を話されているわけでありますけれ
ども、ことしの一月二十日にパブリック社というところからKさんに、三十歳ぐらいの奥さんですが、電話があって、断ったのですけれ
ども、夕方営業の方が来られる。そしてこれから夏に入るのだから清涼飲料水が出回り、砂糖の需要期に入る、絶対にもうかると。そして十日か二十日ぐらいで
相当の利益があって手元に戻ってくるんだ、こういう話を持ちかけるわけですね。それでKさんは、
取引委託契約書、これ一枚ですけれ
ども、これに判を押すわけです。そしてこれには準則受領印も一緒に押されるわけですが、数日後に至ってこの準則書が来て、その際に
証拠金として六十万を支払うわけです。ところが今度は二月上旬になると、六十万だけでは損をしてしまう、だから両建てで
取引をしなければならないからさらに五十万必要だ、こう言うのですね。いままでの奥さんとの会話は全部テープにとってある。だから、もし履行しなければあなたは犯罪人になる。この奥さん、だんなさんに
相談しなかったのですけれ
ども、だんなさんに示したらどういうことになるかというふうに言われて、二月二十五日にさらに五十万円渡すわけです。さらにこれが三月十日になると、今度は両建てをやめて、そしてもう少しうまくやるからさらに四十万出してくれというふうに言ってくるわけですね。それでたまらなくなって、私の事務所に
相談に来た、こういう経過なんですね。
ですから、こういう経過を見ますと、書面を交付する、書面上では一応の体裁は整っているけれ
ども、実際の
取引というのは口頭で、電話で、あるいは対でやって、ときにはそういうおどしもかげながら
取引をしていくということでありますから、表の上では、いかにも書面で整えば担保されているように見えますけれ
ども、実際の
取引はそういうふうになっていかない、こういう危惧は十分にあると思うのですね。むしろ
通産省の省令で決まったそういう書式ですよというふうになれば、その書式が相手に対しては何か
通産省のお墨つきである、公認だというふうな形で、
取引が
業者の側にとってみれば容易になっていく、こういう性格を持っているのではないかということで、私は、書面によって担保するということが
現実には実効性がないのではないか、効果がないのではないか、むしろ逆に
業者のそういう不当な
行為を助長させるような
役割りを果たしていくというふうに考えるわけでありますけれ
ども、その点についての御見解はどうでしょうか。