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石岡説明員 細かい数字の問題でございましたので、私からお答え申し上げます。
一人当たりの
利子補給額は、ただいま御案内がありましたように、正確に申しますと、私ども三十七万八千円ぐらいだと考えておりますが、そういう
金額に相なります。
これに対しまして、住貯の場合は十年間で五十万円の
税額控除があるから、個人的なメリットはむしろ住貯の方にあるのではないかという御
指摘でございますが、実は
財形貯蓄の限度額は五百万円と御承知のようになっておりまして、そういう
関係から申しますと、結論から申しますと、十年間で五十万円の
税額控除が実際には受けられないということになろうと思います。なぜならば、五十万円の
税額控除を十年間で受けるということは、毎年五万円の
税額控除を受けるということになります。この毎年五万円の
税額控除というのは、実は
貯蓄が五十万円以上ありましてその一〇%だということであるわけでございますから、五十万円の
税額控除を受けるためには、十年間毎年五十万円ずつかける、こういうことになります。そうしますと、十年で掛金だけで五百万円に達するわけでございます。しかしながら、この十年間におきましては、その五百万円から実は金利が生じまして、それがその都度元本の方に加わっていくわけでございます。そういうことからいたしますと、五百万円を掛金でおかけいただきますと、実は元金が、いろんな金利によって違いますが、十年目には、たとえば九百万とか一千万にもなりまして、
財形貯蓄の非課税枠である五百万を超えるわけでございます。
かようなことから、五十万円の
税額控除を受けることは現実問題としてはむずかしいわけでございまして、十年間でございますと、大体年三十五万円ずつくらい
貯蓄をされまして、十年目に三百五十万円になったところでそれに利息を加えまして、大体元本五百万の範囲におさまる、こういうことでございますから、大体十年間で受けられる
税額控除は、
貯蓄額に比例しまして三十五万円くらいになるのが現実ではなかろうかと思います。そうなりますと、個人的には住貯の方が
利子補給よりも大きなメリットがあるということは、私率直に申し上げまして言えないのではなかろうかと思います。
それから、それに対します八%の金利の問題をおっしゃいましたけれども、
税額控除につきましては、確かに理論上金利を付しましてこれを計算することができます。しかしながら、と同時に、約三十八万円の
利子補給をいただきましたときには、それだけ返済金が少なくなり手元に
お金が残るわけでございますから、それをたとえば銀行に預けたケースを御想定いただければわかりますように、三十八万円につきましても同様に金利が理論上生ずるわけでございまして、約三十八万円と、先ほど申しました意味での
税額控除三十五万円と比べますと、金利面でも大差がないのではないかというふうに私は考える次第でございます。
これが第一点に対するお答えでございます。
第二点は、公庫の五・五とかあるいは
年金事業団の六・〇%の融資がありますので、かかる
利子補給制度をとりましても、
財形制度を御利用される
方々が期待できないのではないかという点につきましては、公庫の融資にいたしましても、
年金の融資にいたしましても、限度額がございます。公庫の場合はたとえば新年度から六百二十万、
年金の場合は六百万になっていますが、これは保険に入るのが十五年以上という実は一番最高の融資額でございます。かかる融資額に限度がございますので、それだけでは現下の
住宅事情に照らしますと、家がなかなか建たないという
事情の
方々も多いわけでございまして、それにさらに財形の融資を組み合わせまして、
勤労者ができるだけ負担の少ない形で公的融資をうまく組み合わせまして
持ち家を建設していきたいというのが私どもこの
利子補給を導入しました際の基本的な
考え方でございます。