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1982-08-12 第96回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年八月十二日(木曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 川俣健二郎君    理事 天野 光晴君 理事 工藤  巖君    理事 佐藤  隆君 理事 渡辺 秀央君    理事 池端 清一君 理事 木島喜兵衞君    理事 柴田  弘君 理事 横手 文雄君       稲垣 実男君    植竹 繁雄君       大石 千八君    川崎 二郎君       熊川 次男君    佐野 嘉吉君       桜井  新君    笹山 登生君       田原  隆君    田村 良平君       高橋 辰夫君    近岡理一郎君      三ツ林弥太郎君    阿部未喜男君       川本 敏美君    串原 義直君       田口 一男君    薮仲 義彦君       吉田 之久君    辻  第一君       林  百郎君    阿部 昭吾君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 松野 幸泰君  出席政府委員         国土庁長官官房         審議官     荒井 紀雄君         農林水産大臣官         房審議官    大坪 敏男君         建設省河川局長 川本 正知君         自治省財政局長 石原 信雄君         消防庁長官   砂子田 隆君  委員外出席者         警察庁警備局災         害対策官    長倉 眞一君         国土庁長官官房         震災対策課長  小松原茂郎君         国土庁地方振興         局過疎対策室長 相馬  実君         国税庁直税部所         得税課長    日向  隆君         農林水産省構造         改善局次長   中川  稔君         農林水産省構造         改善局農政部管         理課長     日出 英輔君         農林水産省構造         改善局建設部防         災課長     吉川  汎君         林野庁指導部造         林課長     谷口 純平君         林野庁指導部治         山課長     小澤 普照君         林野庁指導部林         道部長     松田 忠好君         林野庁業務部業         務課長     松本 廣治君         気象庁総務部企         画課長     駒林  誠君         建設省河川局治         水課長     玉光 弘明君         建設省河川局都         市河川課長   萩原 兼脩君         建設省河川局防         災課長     狩野  昇君         建設省河川局砂         防課長     近森 藤夫君         自治大臣官房参         事官      松本 和雄君         消防庁防災課長 土井  豊君         日本国有鉄道地         方交通線対策室         審議役     佐々木峻一君         日本国有鉄道旅         客局営業課長  有馬 訓祥君         日本国有鉄道施         設局長     伊能 忠敏君         日本国有鉄道施         設局土木課長  村上  温君         日本電信電話公         社業務管理局次         長       大橋 幸雄君         日本電信電話公         社保全局次長  堀場 信雄君     ――――――――――――― 委員の移動 八月九日  辞任         補欠選任   石原健太郎君     阿部 昭吾君 同月十二日  辞任         補欠選任   東家 嘉幸君     熊川 次男君   伊賀 定盛君     串原 義直君   田中 恒利君     川本 敏美君   渡辺  朗君     吉田 之久君   野間 友一君     辻  第一君 同日  辞任         補欠選任   熊川 次男君     東家 嘉幸君   川本 敏美君     田中 恒利君   串原 義直君     伊賀 定盛君   古田 之久君     渡辺  朗君   辻  第一君     野間 友一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件(台風第十号による災害対  策)      ――――◇―――――
  2. 川俣健二郎

    川俣委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  なお、委員各位のお手元に、国土庁作成による、昭和五十七年七月及び八月豪雨による被害状況とその対策として講ずる措置についての資料を配付いたしておりますので、ごらんいただきたいと思います。  それでは、本日は特に台風第十号による災害対策について質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川崎二郎君。
  3. 川崎二郎

    川崎委員 私は、冒頭に、このたびの災害で亡くなられた皆さん方に心からの弔意をあらわすと同時に、被災者皆さん方にお見舞いを申し上げたいと思います。政府におかれましては万全の体制復旧全力を挙げていただくよう、強く要望させていただきたいと思います。  第一番目には、国土庁においては五十七年七月及び八月豪雨非常災害対策本部を置かれて対策を急がれていますが、こうした呼称をつけられたということは、このたびの災害異常気象による一連災害ととらえられているというふうに解釈してよろしいでしょうか。一連災害というふうにとらえれば、激甚災害対象、特に公共土木関係復旧適用になるというふうに考えますけれども、その指定の時期は大体いつごろ大体の数字が上がってきて現実指定となるか、その辺のところを長官にお聞かせ願いたいと思います。
  4. 松野幸泰

    松野国務大臣 指定の時期でございますが、いま事務出局で鋭意作業を急がせておりますが、中小企業関係は、半ばといいましてももうすぐでございますが、指定のできる見通しでおります。  なお、河川その他の激甚災害につきましては、まだ少し書類を整えるのに時間がかかりますけれども、実際においては指定をするという方向で決めておりますので、そのように地元で対処していただきたいと考えております。
  5. 川崎二郎

    川崎委員 それでは次に、建設省お尋ねいたします。  いま建設省においては復旧全力を挙げていただいておりますが、特に生活幹線道路の分断に対する早期復旧対策について苦心されているところがありましたら、お聞きしたいと思います。  また、今回の災害、特に台風十号の災害最大特色と言えますのは、八月の最初に来たということでございます。もうすでに十一号の到来ということも言われております。また、ことしの九月になれば、台風シーズンでの二次災害というものに住民は大変おびえているわけでございます。二次災害防止最大の急務と考えておりますけれども、その辺について建設省としてどういう対策をとられていくか、防災体制についてお聞かせ願いたいと思います。
  6. 狩野昇

    狩野説明員 お答えいたします。  七月豪雨に引き続きまして台風十号による災害に対しての復旧につきましては、被災が激甚な個所については、県の要請に応じまして災害査定官をそれぞれ現地に派遣いたしまして、実情調査並びに応急復旧等技術指導に当たっております。  特に、ただいま先生から御指摘のございました生活道路被災、非常に数多くございますが、民生の安定を図るためにできるだけ早く応急工事に着手するよう指導しておりまして、早急に交通開放の確保に努めているところでございます。  それから、九月の台風シーズンを間もなく迎えるわけでございます。それに向けての防災体制でございますが、先生指摘のように、河川等においては増破のおそれのある個所もございます。そういった個所については、もうすでに応急工事あるいは事前協議によりまして事前木工事を着工しておりまして、今回の被災地における三次災害防止に対しましては万全の体制をとるよう県当局に対しても指導しているところでございます。
  7. 川崎二郎

    川崎委員 林野庁にちょっとお尋ねをしたいわけでございますけれども、実は私、きのうも現地を回ってきたのでございます。各地で杉、ヒノキなど若い人工林地崩壊が生じ、それが土石流流木となって河川道路民家に甚大な被害を与えたわけでございます。一部には、経済優先の植林が災害を拡大したのではないかというような批判も出ております。今後の森林造成に当たり、こうした実情をどのように反映させていくのか、また、現実に九月の台風に備えて、緊急の治山対策をどうやって進めていくのか、お聞かせ願いたいと思います。
  8. 谷口純平

    谷口説明員 お答え申し上げます。  今回の台風十号に伴います豪雨などによりまして、各地相当程度林地崩壊発生しておりますけれども、これは局所的に森林土壌保全能力を超える記録的な豪雨があったことにより発生したものと推定しております。こうした豪雨による林地崩壊は、林地を被覆いたします植生の状況のみならず、地形、地質、土壌、地層の走向などの各種の因子が複雑に絡み合って発生するものでございます。崩壊人工林天然林を問わず発生をしておりまして、その発生率も大きな差異はないというふうに承知をしているのでございます。  今後の森林造成整備に当たりましては、地域条件に適しました造林方法あるいは樹種の選定、間伐を初めといたします適切な森林管理の推進を図り、また同時に、治山事業の計画的な実施と相まちまして、災害に強い健全な森林整備に努力していきたい、かように考えております。
  9. 川崎二郎

    川崎委員 緊急の治山対策として考えられていることがありましたら……。
  10. 小澤普照

    小澤説明員 お答えいたします。  今回の災害林地荒廃が非常に多いということでございましたのですが、私どもといたしましては、こういう林地荒廃のうち、次期の降雨等によりまして人家あるいは公共施設等被害を与えるおそれのある個所につきましては、緊急治山事業で早急な対処をしたいというふうに考えておるわけでございます。  さらに、人家裏山等発生した小規模な林地崩壊というのがございますけれども、これにつきましては、激甚災害指定を受けた場合には林地崩壊防止事業、その他の場合につきましては小規模山地災害対策事業で緊要な個所から復旧することにいたしております。
  11. 川崎二郎

    川崎委員 特に二次災害が心配されますので、格段の御配慮お願いしておきたいと思います。  今回の被害の次の特色として、山間部民家土石流に押しつぶされ、三重県における二十四名の死者もほとんどその理由によるわけでございますけれども復旧なり防災を進めていただいても、私ども首をかしげざるを得ない、果たしてここに住んでいてどうだろうか、万全の体側をしけるの、だろうかと思う個所があるわけでございます。危険な場所にある家屋の対策として、集団移転等対策について国土庁として何か方策を練られているか、その辺についてお聞かせ願いたい。
  12. 相馬実

    相馬説明員 お答え申し上げます。  すでに御案内のとおり、被災現地住宅を再建したのでは当核地域住民の生命、身体、財産の安全を期しがたい場合には、市町村が安全な地域住宅団地整備いたしまして、そこへ住民集団移転を行う、国がこれに対しまして補助金等財政上の特別措置などを講ずるという防災集団移転促進事業を実施しておるところでございます。ただいまお尋ねのありましたようながけ地等被災地域において、市町村等から集団移転要望等が出てまいりました場合には、関係住民の意向を十分尊重の上、関係地方公共団体と緊密な連絡をとりながら適切な措置を講じてまいりたいと考えておるところでございます。
  13. 川崎二郎

    川崎委員 いまの御説明でわかるわけでございますけれども、特に町村長がその辺のところをなかなか理解していない、はっきり言えば国土庁でそういう対策まであるのだというPRがなかなか行き届いていないのが現実の姿であるように思います。それについて県なりを通して格段の御指導を賜りますようお願い申し上げたいと思います。  もう一つ、今回の災害で私、見てまいりましたが、実は一つの川では十七ある橋が、一つも傷んでおりません。大変丈夫な橋をつくっていただいてありがたいわけでございますけれども、橋の被害が少なかった一方、逆の問題として、橋脚にまず流木がひっかかり、その後土石流がそこへどんどんひっかかっていく、最後にそれがせきどめとなって橋の近くの家に逆流、浸水した。ほとんどの橋でそういう事象が起きたというのが実態でございます。最近の工法によればほとんど橋脚ピアはないという形で問題はないわけでございますけれども、二、三十年以上前にできた永久橋というものについて、これからも当然山間部ではこうした災害が予想されるわけでございますが、こうした問題について、つけかえ等今後の対策を考えられているかどうか、建設省お尋ねを申し上げたいと思います。
  14. 玉光弘明

    玉光説明員 お答えいたします。  橋梁基準につきましては河川管理施設等構造令というのに規定されておりまして、これは昭和五十一年七月に制定されまして、十月から施行されております。これは河川区域内に新設または改築する橋梁についての基準でございまして、計画高水位以下の高水流量を安全に流すような構造ということを主体にして書かれているわけでございます。この適用につきましては、それ以前につくられているものについては適用するものではございませんで、新築または改築するものに適用していくという趣旨でございます。構造令の規定に適合しない既設の橋梁につきましては、道路改築を行う際にこの基準に合わして行うとか、河川改修を実施する場合にこの構造令に適合するように橋梁改築してまいる、こういう事業と一緒に徐々に改築を進めていくということでございます。
  15. 川崎二郎

    川崎委員 実は地元では、木の橋だったら自分のところは浸水しなかったのにという声が非常に多いわけでございます。木の橋に戻すというようなことはできないわけでございますけれども、何らかの対策といいますか、橋脚を少なくする方法を順次御検討願いますよう重ねてお願いを申し上げておきたいと思います。  次に、国鉄についてお聞かせ願いたいと思います。今回の国鉄災害状況復旧の現況についてまずお聞かせを願いたいと思います。
  16. 伊能忠敏

    伊能説明員 お答え申し上げます。  台風十号に伴う豪雨のために、名松線では築堤崩壊切り取り崩壊等災害が二日早朝に発生しまして不通となりました。災害の規模が比較的少なかった松阪-家城間、これは二十六キロございますが、この間につきましては八月九日昼に開通しておりますけれども家城-伊勢奥津間十八キロにつきましては、雲出川の増水による護岸の倒壊とか築堤崩壊、あるいは斜面の崩壊土石流による土砂流入とか橋梁被害等線路がなくなってしまったようなところもございまして、壊滅的な被害発生しております。現在、担当の、天王寺鉄道監理局の職員、それに岐阜工事局から専門家を派遣いたしまして、被災状況調査中でございます。家城-伊勢奥津間については、残念ながらまだ復旧見通しは立っていないのが現状でございます。
  17. 川崎二郎

    川崎委員 先に名松線のことを答えていただいたのですけれども国鉄被害状況といまの現状をお聞かせ願いたい。
  18. 伊能忠敏

    伊能説明員 台風十号に関連する被害につきましては、全体として国鉄各地被害を受けております。一番大きなものとして世の中を騒がしたものとしては、富士川橋梁の四番目のピアが倒れまして東海道線不通になったということでございます。これにつきましては、上り線橋梁ピアは資金でございましたので、直ちに単線運転でもって東海道本線を動かしております。現在まだ富士-富士川駅間の一駅間だけ単線になっておりますが、単線でありますと列車本数が非常に少ないものでございますから、実はきのう六時間列車をとめさせていただきましたけれども、その間におきまして単線区間約三キロ余りを一キロ余りに短縮いたしまして、単線自動信号という特殊な信号方式を取り入れまして列車回数をふやしております。その結果、それまでは二百回以上の列車回数があったわけでございますが、単線運転を始めたころは九十回、百回足らずでございましたが、きのうから百五、六十回のところまで輸送が回復しております。  それから、中央本線被害が大きゅうございまして、中央本線長野県の信濃境のところで約六万立米の築堤崩壊いたしまして、これで一時とまりました。しかしながら、たしか八月十日だと思いますけれども単線で開通しております。また、甲府から東京までの間につきましても単線運転で一週間ばかりやりましたけれども、八月七日に全通いたしまして、八日からは、中央本線甲府-東京間は複線になっております。その後長野県の方も複線化工平が終わりまして、現在中央本線復旧しております。  現在不通線区状況を申し上げますと、御殿場線御殿場-駿河山間のところで築堤崩壊護岸流失がございまして、ここにつきましては、御殿場緑川線、片は複線でございましたので、いま、昔の方の線路線路を振りまして、八月下旬に復旧したいと考えております。  それから、もう一つとまっておりますのは小海線でございます。信濃川上と佐久海の口の間でございまして、ここでは、第二千曲川橋梁橋台裏築堤崩壊いたしまして、橋脚も変状いたしました。そこで、現在鋭意復旧をやっておるわけでございますが、開通見込みは、これも八月下旬の見込みでございます。  以上でございます。
  19. 川崎二郎

    川崎委員 いまお聞かせ願うと、大体の線が復旧見通しがついているようでございます。名松線だけがどうもまだはっきりしないということのようでございます。  実は地元住民災害に打ちのめされ、また、先ほどの話のとおり、第二次災害におびえているのが現状でございます。その中において復旧全力を挙げている。特にこの名松線地域、美杉村というところは二百億以上の災害が出たところでございます。その上に、このままでいくとどうも名松線が置き去りにされていくのではないかという大変な不安感が出ているのが実態でございます。地元住民の感情を慰める意味でも、早急に調査完了お願いしたいというふうに思います。その点で、いま岐阜工事局が入っていただいているようですけれども調査完了の予定の日をとりあえず教えていただきたいと思います。
  20. 伊能忠敏

    伊能説明員 実は現在、家城から伊勢奥津までの間は一応道路が開通しておりますけれども、舗装区一車線だけ確保している状況のままでございまして、いま岐阜から専門家を派遣しまして一つ一つ調査をしている状況でございますので、申しわけございませんが、まだちょっといまここでいつ調査完了ということを申し上げる段階に至っておらないのでございます。
  21. 川崎二郎

    川崎委員 実は、その辺のあいまいさが地川住民に非常に不安感をつのらせている。ぜひ、いつまでに調査完了すると、早急に国鉄の方から御言明をいただきますよう重ねてお願いを申し上げておきたいと思います。  国土庁長官に一点お願いしたいのですけれども、実はここに国土庁の方からも、「残る三線区についても、復旧全力を尽すよう督励する」と、国土庁長官として、復旧対策本部として出されているわけでございます。先ほどからの論議のとおり、名松線一線だけが復旧見通しがまだ立ちませんという国鉄からの回答になっているわけでございます。その辺について、国土庁長官にぜひ国鉄を改めて督励いただきますようお願いを申し上げたい。ひとつ御答弁をいただければと思います。
  22. 松野幸泰

    松野国務大臣 委員の御質疑、私、全く同感でございますから、災害対策本部長として督励をいたしますので、よろしくお願いします。
  23. 川崎二郎

    川崎委員 それでは、続いて国鉄お尋ねしたいのですけれども、現在建設省におかれて、また県におかれて道路復旧を急いでいるわけでございますが、名松線不通期間中の輸送をどうするのかという問題でございます。特に、九月から学校が始まります。そうすると約四、五百名の生徒の通学に重大な支障を与えるかと思いますけれども、その辺の対策についてお聞かせ願いたいと思います。
  24. 有馬訓祥

    有馬説明員 お答えいたします。  現在、道路バスが通れる状態になっておりません。通常ですと、代行輸送ということでバスをチャーターいたしまして列車かわりに走らせるわけでございますけれども、そういう状態に至っておりません。家城から奥につきましてはそういう状態に至っておりませんので、バスが通れる状態になりましたら、列車かわりバスをチャーターいたしましてお客様をお運びする。私どもでは代行輸送と申しておりますけれども、そういう措置をとるべく現在準備中でございます。
  25. 川崎二郎

    川崎委員 ぜひ国鉄バスによる代行お願い申し上げておきたいと思います。  最後に、今回の災害で、実は国鉄防災補助金というものがあるというふうにお聞きしておるわけですけれども、これはどういう目的でお使いになっているか、また、この防災補助金は年々予算が減っているという状態であると聞かせていただいているのですが、その辺の実態をお聞かせ願いたいと思います。
  26. 伊能忠敏

    伊能説明員 お答え申し上げます。  国鉄防災工出のうち、国土保全民生の安定にも資することができるもの、すなわち、河川改修工事と落石、なだれ対策、それから海岸保全等工事について、一定の基準に合うものにつきましては昭和五十三年から防災補助金をいただいております。つまり、鉄道防災と同時に道路あるいは国土防災にも資するという条件に合ったものについてのみ補助金をいただいているような次第でございまして、工事費の三分の二から三分の一の間で、条件によりまして、たとえば国の直轄する河川改修をするときには国鉄工事費の三分の二、中小河川の場合には三分の一という場合もございますが、こういうようなルールによりましていただいております。この防災補助金は、災害復旧工事につきましては対象になってございません。  いままでの防災補助金の実績につきましては、昭和五十三年度からいただいておりますけれども、大体九十五億から百億の間を行ったり来たりしているという状況で、五十七年度は九十六億程度ということになっております。
  27. 川崎二郎

    川崎委員 今回の災害状況を励ますと、これから国鉄復旧をしていただくとして、本当はこれは建設省がやるべきなのか、国鉄がやるべきなのか、どちらかというふうに考えさせられるものが非常に多いわけでございます。護岸をやらないとその上に鉄橋を引くことはできない、そんな状態でございます。そうした意味合いにおいて、いまのところ国鉄に対する財政援助は全くできないという形になっておるわけでございますけれども、こうした災害復旧のときに、やはり国鉄に対して何らかの災害援助というものも政府におかれてひとつお考えを順いたいと思います。  また、年々予算が、防災補助金一つ見ても減っているように聞いております。その辺について、国土庁長官にもぜひそうした、血においての御配慮を賜りますよう、特に復旧に対する難役省なり国土庁国鉄とのタイアップといった面について格段の御配慮を賜りますようお願い申し上げまして、私の質疑を終えさせていただきます。どうもありがとうございました。
  28. 川俣健二郎

    川俣委員長 次に、大石千八君。
  29. 大石千八

    大石委員 ただいま国鉄の話が出ましたので、ほんのわずかな時間でございますけれども、一言伺いたいと思います。  静岡県でも、富士川にかかる東海道線下り線鉄橋が流失したということがございまして、単海道線といえば何といいましても東海道メガロポリスの要衝でありまして、交通にきわめて大きな支障を来しているわけでございます。もちろん、これはもう全国の人が知るような非常に大きな国鉄橋梁の流失ということでありますので、国鉄の方でもその復旧対策全力を挙げておられると思いますけれども、その見通しと、復旧するまでの国鉄のダイヤの組み方とか、そういったものに対しての対策をお聞かせいただきたいと思います。
  30. 伊能忠敏

    伊能説明員 お答えいたします。  東海道本線富士川につきましては御迷惑をかけておりまして、まことに申しわけないと思っております。まず、上り線を使いまして単線運転をいたしまして、約九十回の列車本数で実はきのうまでやっておりました。本来ここは二百回以上列車回数がございますから、非常に御不便をおかけしておったわけでございますけれども、きのう昼間に六時間ばかり時間をいただきましてポイントを挿入しまして、信号方式単線自動信号方式ということで、単線ではあっても列車が続いて走っていけるという信号方式に変えました。単線区間もいままでは富士と富士川の駅間約三キロ余りでございましたのを二キロ足らずにいたしまして、信号万代亀変えることと単線運転区間を短くしたことによりまして、列車回数をきょうからふやしております。それによりまして約百五十回程度列車本数になると思います。かなり不便さは回復しておると思いますけれども、しかしながら、まだ複線になってございませんので、御迷惑をおかけしておる部分がございます。  そこで、早く下り線復旧したいと思っておりますけれども、実は富士川ピアがどういうふうに倒れておるのか、基礎の状態がどうなっておるのかというのが、まだ水が全部引きませんで確認されておりません。その点がはっきりと工程を申し上げられないことは非常に残念でございますけれども、いつまで待っておっても仕方がありませんので、建設省とも御相談いたしまして、川の中の水の流れを変える工事をいまやっております。倒れたところのピアの下に水が流れておる状態ではなかなか工事ができませんので、それを変えるようにいま鋭意やっておる最中でございます。内に何とか水の流れを変えていきたい。そういうことにいたしますと現在のピアの下に水が流れぬようになりますから、工法が確定するわけでございます。  ただ、上部構造、トラスが流失しております。これは下部構造が全部できてからやったのでは遅くなってしまいますので、上部構造はすでにもう発注してございます。そして、橋を両側のかかっているピアの方からトラスを持ち出しでかけながら、その間に基礎の状況を調べて、そうしてから建ち上がっていくという工法をいま考えております。  ただ、ピアがどういうふうに倒れておるのかということがまだ確認できませんので申し上げられないで残念でございますけれども、そのピアの倒れ方、これが特に支障がないように確認できますれば、はっきりとした工程を申し上げられると思いますけれども、いまといたしましては、何とか年内にやっていきたいという希望でやっておる状況でございます。
  31. 大石千八

    大石委員 そのような状況であろうと思いますので、申し上げるまでもございませんが大事な交通網でありますから、早期復旧のために引き続き御努力をお願いしたいと思う次第でございます。  国鉄の方は結構でございます。ありがとうございました。  それから、今回の台風第十号、それに続く集中豪雨でございますけれども、静岡県におきましての特徴は、ただいま申し上げました富士川にかかる東海道線橋梁の流失ということと、それから海岸線における国道の流失、そしてまた山側地における国道及び主要地方道とか林道の流失。簡単に言いますと、海岸線の一部と、それからその他の多くは山間地に集中豪雨が集中した結果、山間地で非常に大きな被害が出ておるというのが静岡県の災害の場合の特徴でございます。  そこで、建設省にお伺いしたいわけでございますけれども、国道百五十号線、つまり静岡市の久能海岸が、再三、毎年のようにと言っていいぐらい台風その他の水害で決壊をするわけであります。それから、静岡県四部の天竜の方に行っている国道百五十二号線、それから静岡市から榛原郡の北部、本川根を通って春野町の方へ抜ける国道三百六十二号線、これらの主要国道も今回の集中豪雨によりまして相当大きな被害を受けているわけでございます。  申し上げるまでもなく、国道は百五十号線を含めてもちろん山間地といえども重要な交通の要衝でございますけれども、まず、そういった国道を中心にする道路の決壊に関しましての復旧作業をどのように行っていくのか、現在もちろん応急的にすぐに着手しておられるところもございますが、その辺のことからお伺いしたいと思います。
  32. 狩野昇

    狩野説明員 お答えいたします。  まず、国道の復旧状況と今後の対策についてお答えいたしたいと思います。  国道三百六十二号線は静岡市と三ケ日町を結ぶ国道でございますが、先生指摘のように、八月豪雨によりまして、崩落、道路決壊等により五十八カ所において被災しております。現在、応急復旧工事を実施した結果、一部区間、これは本川根町の崎平地区四十メートルを除いて、大型車以外のの車の通行は可能となっております。この不通区間につきましても迂回路を確保いたしまして、現在通行を確保している状況でございます。  それから、国道百五十号。これは海岸堤防等を……(大石委員「いまの現状は結構でございますから、復旧対策をお答えいただきたい」と呼ぶ)  それでは、現況は簡単にいたしますが、百五十号、百五十二号、それから、ただいま申し上げました三百六十二号、いずれもいま申し上げましたように応急工事をできるだけ急いでおりまして、いずれの路線も八月末には全面通行可能という見通しとなっておるという報告をいま受けております。今後早急に査定を実施いたしまして本復旧に努めたい、かように考えております。  それから、もう一つの久能海岸の海岸堤防でございますが、これも三、四、六月の波浪により災害を受けた後、今回の台風十号によりまして古安川の西側で三百七十メートル、それから国道百五十号が一車線決壊、あるいは二車線決壊した部分もございます。こういった海岸堤防につきましては、三、四、六月の災害を含めまして延長千三百六十メートルの区間につきまして災害助成事業をやることに予定しておりまして、この助成事業も、毎年毎年災害が繰り返し起こっておる現況でございますので、通常の進度を大幅に早めまして、おおむね二年程度で堤防を概成するということにしております。本年度消波工を千三百六十メートル施行いたすことといたし決して、一部はすでに発注しておりまして、残りのものにつきましても早急に完成するように県を指導してまいりたいと考えておるわけであります。
  33. 大石千八

    大石委員 それから、ただいま申し上げましたように、交通の表玄関である東海道筋の方のそういう道路の決壊もございますが、何といいましても今度非常に集中豪雨に見舞われたのが静岡の奥の山間地でございまして、非常に雨量の多かったところでは千五十ミリ心超えているというところもありますし、静岡市の奥地では、安倍奥では平均でも六百ミリ前後というような状況でありまして、雨量の多さによる被害ということが非常に特徴的でございます。  そういうわけで、山間地の、特に安部奥の交通網の遮断は大変ひどいものがございまして、林道の関係でも平野線などは奥地の交通の要衝として大変に重要な役割りを果たしており、それが各地で壊滅的な打撃を受けているような状況でありまして、これも早急に調査をしていただき、そして一日も早い復旧が望まれるわけであります。そういう点では、その奥地の部落で交通がとだえてしまって孤立をしておるというような状況もあるわけでございまして、特に過疎化が進んでいるような現状の中では、そのような状況でありますとますます地域の方々の生活にも不便があるわけでありまして、過疎化に対しての拍車がますますかかってしまうという心配を私はしているわけでございます。  そういう意味におきまして、大変全国的な被害でありまして、中期にやるといっても大変なこととは思いますけれども山間地というところの災害もいま申し上げましたようなきわめて重要な意味合いを持っているわけでありますので、ぜひひとつ、林道あるいは治山事業を含めて、復旧のことに対して格別な御認識をいただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  34. 松田忠好

    ○松田説明員 先生から御指摘のありましたとおり、今回の災害山間部で非常に大きなものになっております。静岡県下におきましても、林地災害、それから林道の災害を合わせまして千四百カ所、百三十三億円に及んでおります。  まず、林道のことでございますが、昨日現在で取りまとめたところによりますと、静岡県全体では約八百カ所被害をこうむっており、金額的には約二十億円ということでございます。そのうち、いまお話のありました安部川の流域につきましても百カ所、三億円ということで、大変大きな災害になっております。中でも、ただいま御指摘のありました平町線といいますか、林道でございますが、これにつきましてもかなり大きな被害を出しているということで、七カ所、約四千万程度というふうに報告を受けております。  復旧についてでございますが、特に生活に関連するような重要な道路につきましてはすでに応急工事ということで若手しておるところもございますし、また、本格的な復旧につきましては九月十三日から現地に査定に入るという予定をしておりまして、この結果に基づきまして、緊急の個所から順次本格的な復旧をしていきたいというふうに考えております。  いまお話のありました平町線につきましても特に重要な路線でございまして、これにつきましては八月十九日に県の方と協議をしまして、査定前着工ということで速やかに対応してまいりたいというふうに考えております。  また、山地の災害につきましても相当ございまして、静岡県下では六百カ所、百二億円という報告を受けておりますし、安部川流域におきましても約二百カ所、四十億円ということでございます。  災害復旧につきましては、特に次期の降雨等によりまして人家あるいは公共施設等被害を与えるというようなおそれがある個所につきましては、緊急治山事業ということで対処したいというように考えております。さらに、人家あるいは裏山寺に発生しております小規模な林地崩壊につきましては、これが激甚災に指定されたという場合につきましては林地崩壊防止事業ということで、また、その他の場合につきましては小規模山地災害対策事業ということで、緊急な個所から復旧をしていきたいと考えております。また、治山施設につきましても、緊急を要するものから早急に復旧していきたいということで考えております。
  35. 大石千八

    大石委員 ひとつ山間地に対しても、格別の重要性の認識をいただいた上で御努力を願いたいと思う次第でございます。  それから、国土庁にお伺いしたいわけでございますけれども、現在、一般災害あるいは激甚災も含めてでございましょうけれども災害がございますと、復旧は一応三年計画ですね。初年度三〇%、二年度五〇%、三年度二〇%、三、五、二というのが大体災害復旧の目安になっている、予算的にもそのように処置をしておるやに聞いておりますけれども現状をいろいろ考えてみますと、もちろん災害復旧はその進捗の度合いを早めていただくことが望ましいわけでございます。  いろいろな事情で三、五、二というような状況でございましょうけれども、特にまた側面のことを見ましても、現況の公共事業関係の仕事なども、あるいは一般の民間の事業を見ても、土木事業がさほど満杯であるというように思えません。そういうような状況にかんがみていろいろ考えますと、もう少しその進捗の度合いを初年度にウエートを置けるような対策を講じてもいいのではないかというふうに思うわけでございますけれども、その辺のことはどのようにお考えでしょうか。
  36. 荒井紀雄

    ○荒井政府委員 先年おっしゃいますとおり、現在三、五、二というのが通常のルールでございます。しかしながら、過去の例におきまして初年度にウエートを高くしたという例もございますので、現在の財政事情大変厳しい折からで、非常に困難を伴うと思いますけれども、しかし、事柄は災害復旧ということでございます。緊急にやらなくてはならない仕事が非常に多いということもよく承知いたしておりますので、今後関係各省とも連絡をとりながら、十分にその点を努力していきたいというふうに考えております。
  37. 大石千八

    大石委員 建設省の方にもその辺のことをお伺いしたいと思います。
  38. 狩野昇

    狩野説明員 お答えいたします。  災害復旧事業の標準進度につきましては、先年御指摘のように三、五、二の三年が標準になってございますが、ここ数年、建設省関係におきましても進度アップの要望が非常に強うございまして、特に昨年は関東、東北を中心に激甚な災害が起きましたので、補正予算を含めまして初年度において大幅な進度アップを図っております。ことしにつきましても、こういう激甚な災害発生しておりますので、今後事業の進捗を図るように適切な対策をとっていきたいというぐあいに考えております。
  39. 大石千八

    大石委員 ぜひよろしくお願いいたします。  最後に、農林あるいは農用地、施設等の被害に関してお伺いをしたいと思います。  ただいま申し上げましたように、農業災害に関しましては山間地が今度はまた非常に大きな被害を受けているわけでございまして、全般的にも花卉とか野菜、果樹、水稲など、これは静岡県だけでなくて全国的にも大きな被害があるものと思いますが、特に今度の静岡県の特徴として、山間地の特有のものであり、また静岡の特産物であるワサビ田が大変大きな被害を受けたというのが特徴でございます。  特にワサビ田は、ワサビ田をつくるために十アール、一反歩一千万以上の造成費、施設費がかかるというのが通例のようでございまして、これを復旧させるにはやはり最低でも七百万以上、一千万前後の災害復旧費がかかるということが大きな特徴でございます。そういう意味からいきますと、なかなか現在の金融措置ではワサビ田の復旧が非常にむずかしいというような状況でございますけれども、このワサビ田そのものが造成に非常に高額な工事費がかかるということに関して、いままでの融資制度の適用以外のものを考えていただくようなこともひとつお考えいただきたいと思うわけでございます。  この農業に関しての災害でございますが、早く調査していただき、もちろん激甚災の指定を一日も早くやっていただきたいと思うわけでございますけれども、このようなワサビ田の被害は、まず第一にいま申し上げましたように非常に高い復旧費がかかるわけでございまして、たとえば災害復旧事業としてやっても、反当たりの最高負担額は全国平均の百六十五万円というのが補助金としても最高だということになっております。ですから、これが二百万、三百万という程度の一反歩当たりの復旧工事費であれば、これは相当大きく助かるわけでございますけれども、一反歩、最低でも七百万工事費がかかるというワサビ田の場合には、この百六十五万円の反当たり最高限度補助額というのは、むしろこれでしたら全面的に非常に低利な融資でやった方が計算上得になる。  たとえば農地造成などに使われます三・五%の低利資金、これは災害には適用されませんけれども、たとえばこういうふうな非常に高価な工事費を伴うものに対しては、これを使ってやった方がむしろ有利であるというような矛盾も出てきているわけでございます。そういう意味では、この百六十五万円の反当たり限度額の頭打ちというものはやや低過ぎるのではないかという感じがするわけでございますけれども、その辺のことに関しては農林省はどんなふうにお考えでしょうか。
  40. 吉川汎

    ○吉川説明員 お答え申し上げます。  御指摘のように、農地の復旧につきましては反当限度額を設けてございます。ただいま御指摘の百六十五万というのは一応の標準でございまして、これは農林水産大臣が定めます一戸当たりの国庫補助基準額というものをもとにしまして市町村ごとに反当基準額を設けておりますので、高いところでは二百万を超えておるところもあろうかと思います。この思想は、先ほど申し上げましたように、一戸当たり幾らの補助金を差し上げるかということを基準にいたしまして、反当に換算いたしております。施設につきましてはそういう基準を設けておりません。これはかかった費用に対しまして所定の補助率で補助いたしております。  農地につきましては、やはり私有財産である農地ということもございまして、一定の限度額を設けることはやむを得ないのではないかということで、御指摘のワサビ田の災害につきましては、過去の災害におきましても、たとえば伊豆の地震とか狩野台風等におきましてもいろいろ御要望がございまして、それぞれ対応してまいったところでございます。  現在のところ、私どもの感じではほとんどの地区がこの基準額に入っておりますが、ワサビ田は非常に耕法が特殊でございまして、機械化ができないというようなことで、かなり多額になっておることも事実でございます。したがいまして、復旧する際には、保全の施設として施設で免れるようなものにつきましては極力施設で災害をとりまして、農地として復旧するものにつきましては限度額の範囲内で復旧お願いする。補助対象外になりましたものにつきましては非常に低利の融資制度もございますので、そういうものを御活用いただきまして、農家負担の軽減を図っていくというふうに努めておるところでございます。  具体的事例につきましては、まだ静岡県からその詳細については把握いたしておりませんので、個々のケースにつきましていろいろ相談いたしまして、しかるべき対応をしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  41. 大石千八

    大石委員 またその辺に関しましては、いろいろ細かい状況がわかり次第、いま私が申し上げましたようなことを十分に御理解をいただきまして対応に当たっていただきたい、ワサビ田の非常に大変な状況を御理解いただきたいと思うわけでございます。  そういった中で、ワサビ田をつくったばかりでまだほとんど収益も上げていない、そのために負債を大量に抱えておるというようなワサビ田がやられているケースがある。たとえばワサビの産地でございます有東木という地区におきましても、二百五十戸の農家がワサビ田を経営しているわけでございますけれども、そのうちの五十戸ぐらいは、いま申し上げましたような理由で最近ようやく大量の借金をしてつくったばかりのワサビ田でございます。五戸に一戸ぐらいは負債倒れになるのではないかという心配をしているところでございます。  そういうことからかんがみまして、負債農家の救済については既貸付金の償還の猶予措置を含めて十分配慮していただきたいと思うわけでございますが、その辺のことに関してはどんな見解を持っておられましょうか。
  42. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 ワサビ農家を含めまして、今般の災害によって被害を受けました農家に対する資金対策でございますが、まず、先生指摘のようにすでに借り入れております資金の問題があるわけでございまして、この問題につきましてはすでに八月五日付をもちまして通達を出しておりまして、関係金融機関につきまして、償還猶予等貸し付け条件の緩和を行ってほしい旨の指導をしているところでございます。  その他の資金対策としては、私ども現在被害状況把握中でございまして、まだ最終的な結論は持ってないわけでございますが、被害の数字いかんによっては天災融資法の発動が行われる。そうなりますと、これは御案内のように、被害の態様に応じまして三%から六・〇五%の段階がございますが、低利資金を供給していく。さらにまた、天災融資法の発動をにらみながら、被害実態なり被害農家の資金需要を勘案した上で自作農維持資金の融通もやっていきたい。その際には、融資枠全体の問題のほかに、限度額につきましても農家の実態を踏まえてどうするかというのも検討したいということでございまして、私どもといたしましては、今回の被害が相当激甚である実態を踏まえまして、可能な限り総合的な資金面の対策を講じていきたい、かように考えております。
  43. 大石千八

    大石委員 ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。  時間もございませんが、最後に、国土庁長官に、今回の台風十号並びに集中豪雨に関して各県から寄せられたいろいろな災害状況に大変頭を痛め、また御苦労されておると思いますけれども災害復旧のための御決意を一言お伺いしたいと思います。
  44. 松野幸泰

    松野国務大臣 いろいろ御意見がございましたが、貴重な御意見として、総力を挙げて関係の行を督励をしながら万全を期してまいりたいと考えております。
  45. 大石千八

    大石委員 よろしくお願いいたします。  それでは、質問を終わります。
  46. 川俣健二郎

    川俣委員長 次に、熊川次男君。
  47. 熊川次男

    熊川委員 質問に先立ちまして、このたびの台風十号によって亡くなられた方々の御冥福を祈り、そしてまた、被害に遭われた広い地域被害者の方々に心からお見舞い申し上げたいと思います。  ところで、今回の広範囲な被害、死亡者あるいは家屋の損壊、道路の損壊を初め大変な被害がありましたが、ことに群馬あるいは埼玉、この農村に重点のある県においての農作物あるいは農業施設などの受けた被害はことのほか甚大でありますが、農水省のこのたびのこれら農水省関係における基本的な姿勢をまずお伺いいたしたいと思います。
  48. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 今般の七月豪雨並びに十号台風によります農業関係の被害はきわめて甚大であると認識しておりまして、私どもとしては、災害発生直後から主な被災地に係官等を出しまして、被害状況の把握と同時に現地指導に当たらせる等、適時適切な対策を講じているところでございます。その際には、被害農家に対する資金面での対策被災しました農地、農業用施設の復旧、農業共済制度の円滑な運用等々総合的な観点に立ちまして、被災農家の生活の安定と同時に再生産の確保を図るよう、万全の措置を講じてまいる考えでいるわけでございます。
  49. 熊川次男

    熊川委員 出荷直前にして七〇%から九〇%の落果を見たようなナシの被霊、あるいは桃、こういった被害、ほとんど生活をこれだけに頼っているような農家が相当数あったわけで、特に一面に落ちた――写真でも明らかなように非常に激しいわけなので、すでに的確な御調査と、また温かい救済の手を進めておるようでありますけれども、こういった農家の方々に対する天災融資法の発動などについてはどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  50. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 今般の七月豪雨ないしは十号台風に対します天災融資法発動の問題でございますが、この点につきましては、先年御案内のように、まず基礎となります被害状況を把握するのが先決でございますので、私どもとしては統計情報部におきまして目下被害状況調査取りまとめ中でございます。現存の情勢では、今般の被害がかなり広範囲にわたるということ、もう一つは、被害を受けました作物が多様にわたることからやや時間を要しておりまして、担当部局の話によりますと、今月下旬まではかかるのではないかという話でございますが、私どもとしては極力調査取りまとめを急いでもらいまして、その結果を待って天災融資法の発動につきましては判断をいたしたい、かように考えております。
  51. 熊川次男

    熊川委員 一棟二千万円もかけたような鉄骨ハウスですけれども、一緒に建てたものでも片方は全く異常がなくて、同じ工法で同じ県または国の御指導によってつくったこういったハウスが一瞬にして倒壊したというようなこともございますし、また、流倒木なんかに関しましては、これは現地を御存じかもしれませんけれども、昨年の大雨とは全然違うわけです。こういう状況でのお調べについては、被害が大きいからこそ時間がかかるということも一方では言えると思いますが、逆に見ればそれだけ被害が大きいということも言えますので、被害の特に大きい私どもの群馬県などに関しては、特別被害地域指定というようなこともしていただけるかと思いますが、その辺のお見通しはいただけるでしょうか。
  52. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 ただいまお尋ねの特別被害地域は、天災融資法を発動した際に都道府県知事が特別被害地域として指定すれば金利が安くなる、そういう仕組みの特別被害地域のことかと思うわけでございますが、これに関しましては、先ほど申し上げましたように、今般の被害につきまして詳細調査中でございますので、それを踏まえまして、群馬州につきましては特別被害地域として指定し得る票であるかどうか判断した上で適切な対応をいたしたいと脅えております。
  53. 熊川次男

    熊川委員 ありがとうございました。そのような形でもって迅速かつ的確な御配慮を仰ぎたいと思います。  それから、当然融資上面での御配慮も仰ぎたいわけですけれども、自作農維持資金の融資枠の拡大とかあるいは融資限度の引き上げ、こういう点も考えていただけたらと思うのですが、この点、いかがでしょうか。
  54. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 ただいま御指摘の自作農維持資金の融資枠なり限度額引き上げにつきましては、すでに群馬県当局から要請を受けておりまして、被害状況を現在調査取りまとめ中でございますので、その結果をもとにいたしまして、被害の態様ないしは被災農家の資金需要に十分対応し得るような措置を講じたいと考えております。
  55. 熊川次男

    熊川委員 よろしくお願いいたします。  また、農業関係の制度資金について、被害を受けた農家に対してすでに貸し付けてある貸付金の償還の猶予というようなこともしていただけたらと思うのですが、この辺の見通しはいかがでしょうか。
  56. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 ただいまの点につきましては、すでに八月五日付をもちまして、関係金融機関等に対しまして、今般の災害によりまして被災いたしました農林漁家に対しての制度資金等の既貸付金については償還猶予等の貸付条件の緩和をしてほしいという旨の通達をいたしております。これを受けまして、各県におきましてはそれぞれ県の方から関係の農協等の金融機関に通達を出す、さらには各種金融機関が入った会合におきましてその趣旨の徹底を図るというようなことで、私ども指導の線に従った措置が浸透しているというふうに考えております。
  57. 熊川次男

    熊川委員 その償還猶予とかあるいは緩めた内容など、指導した基本的な内容などを一口お願いできますか。
  58. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 ただいまの点、的確な資料が手元にないわけでございますが、一昨年の冷害の際に農林漁業金融公庫で行いました条件緩和の内容につきまして、概要だけ御説明させていただきますと、まず、被害の態様によっても異なるようでございますけれども、償還期限を一年ないしは二、三年延長するとか、償還に入っている段階で新たに中間据え置きを設けまして、その期間につきましては元本の償還を猶予するとか、さらにまた、利息につきまして猶予いたしまして、翌年以降数年間にわたりまして分割で償還する等々の条件緩和をした事例がございます。
  59. 熊川次男

    熊川委員 ありがとうございます。  ただいま委員長がごらんになりました、大臣もごらんになっていますが、写真をちょっとごらんいただきたいのですが、そういった一瞬にして一、二年前につくった二千万円ほどのものが倒壊してしまったというようなものに対しては、何らか、たとえば税法上などは便宜を御検討いただけないでしょうか。
  60. 日向隆

    ○日向説明員 御指摘の群馬川下の被害につきましては、すでに所轄の関東信越国税局に、被害実態を正確に把握しろ、並びに課税上の措置についても、納税者の方がいささかの不安も抱くことのないように十分PRするように指示したところでございます。  委員が具体的にお触れになりました鉄骨ビニールハウスの倒壊の件でございますが、これは事業用固定資産に生じた損失ということになっておりまして、たとえばいま写真で拝見いたしましたが、全壊してしまったというような場合には、そのビニールハウスの未償却残高並びに後片づけ費用も含めてその年度の必要経費に算入するということになっております。したがいまして、この点は課税上十分の手当てができると思っております。  なお、純損失、つまりその年度の必要経費で引き切れなかった場合には、来期以降三年間もその損失は課税上めんどうを見ることができるということになっております。
  61. 熊川次男

    熊川委員 よろしくお願いします。  それから、艇作物に対するところのいわゆる共済金の支払い関係についても、もちろん鋭意温かい御配慮をいただいていると思いますけれども余りにも突然の、しかも広範囲、その被害の甚大さというようなこともありますので、この辺に対する別荘の進行状況並びに将来の展望なども一口お聞きいたしたいのですが。
  62. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 今般の被害に伴います農業共済上での事務処理の問題でございますが、この点につきましては八月五日付をもちまして農業共済団体等に対しまして通達を出しておりまして、その意味するところは、被害実情に応じまして極力損害評価を迅速に行ってほしいということと、損害評価が終わり次第、共済金の支払いを早期に行うようという趣旨での内容の通達を出した次第でございます。  なお、その際、特に損害が激甚であり、かつまた明らかなものにつきましては、通常でございますと収穫期を待って損害評価等を行うのが例でございますが、こういった場合におきましてはそういった時期を待つことなく速やかに農家の希望に応じまして損害評価を行い、かつ共済金の仮渡しを行うようにあわせて指導いたしている次第でございます。  ただ、先生お尋ねのように具体的なことになりますと、やはりこれは何と申しましても被害程度ないしは態様等によっても異なりますし、かつまた、この損害評価なり共済金の支払いの実務を担当いたします共済組合等の事務の処理体制のいかんにもよるわけでございますので、いまの段階では具体的にいつごろという目安は申し上げかねますが、極力被害実態に応じまして迅速に行うように、さらに指導の徹底に努めたいと考えております。
  63. 熊川次男

    熊川委員 ありがとうございます。  それから、山崩れだとか広範囲にわたって発生した風倒木といったものの、山そのものの地ならしといいましょうか、こういった再びの災害防止するための緊急治山事業あるいは林地崩壊防止策といった事業を実施する必要があろうと思いますし、また、まだまだ伐期に到達しないもの、あるいは伐期には到達したけれども損倒してしまったようなものの被害も非常に大きいわけです。これらに対しては、昨年御協力いただいてつくられた激甚法の改正によって、豪雪地帯におけるところの立木に関してはその折損木の処理について補助の道を開かれたわけでありますけれども、雪でない今回の南風といったものによる折損、風で倒れたものに対する適用についての態度をお聞かせいただけますか、お考えをお聞きいたしたいのです。
  64. 小澤普照

    小澤説明員 お答えいたします。  御質問が三点ございまして、一つは山地災害の問題、もう一つは風倒木等の問題がございますけれども、私、緊急治山等を担当しておりますので、先にこの点につきましてお答えいたします。  今回山地の災害が非常にたくさん発生いたしておりますが、こういう山地災害のうち、次期の降雨等による再度災害の心配の個所がございまして、こういう中で人家公共施設等被害を与えるおそれがあるという個所につきましては、緊急治山事業で対応してまいりたいと考えております。また、人家裏山等発生しております小規模な林地崩壊につきましては、激甚災害指定された場合には林地崩壊防止事業で対処することとしたいと考えておりますが、その他の場合につきましては、小規模山地災害対策事業で緊要な個所から復旧してまいりたいと考えております。いずれにいたしましても早急な対応が必要と考えておりまして、現在調査あるいは県との協議を行っているところでございます。
  65. 谷口純平

    谷口説明員 お尋ねの後段の森林災害についてお答え申し上げます。  台風十号に伴います暴風雨等によりまして、群馬県あるいは長野県を中心にいたしまして、十年生から三十年生のカラマツ、杉、アカマツ等相当程度に倒伏あるいは折損の被害発生しているのは、先生指摘のとおりでございます。林野庁といたしましても、担当係官を直ちに現地に派遣いたしまして被害の概況把握に努めたのでございますけれども、引き続き関係県の協力を得まして、被害の全貌の調査をただいま進めているところでございます。この調査結果を踏まえて、森林災害に係る復旧制度の適用を図って復旧に万全を期したい、かように考えておりますけれども、御指摘激甚災害法に係る森林災害復旧事業につきましても、調査結果を踏まえて検討していきたい、かように考えております。
  66. 熊川次男

    熊川委員 よろしくお願いいたします。  ところで、昨年大きな出水があったばかりのところへまたことしですが、利根川あるいは吾妻川に関する被害状況、そして復旧見通しというようなものを簡潔にお伺いいたしたいと思います。
  67. 狩野昇

    狩野説明員 お答えいたします。  まず、被害の概況でございますが、利根川全般につきましては直轄災害被害個所が六十八カ所、被害額はおおよそ九十億円。それから、補助の区間におきましては約七十カ所、被害額五十億円程度になっております。これは群馬県分でございます。  それから、支川吾妻川につきましては、被害個所は六十カ所、被害額は約二十八億円というぐあいに現在把握しておりますが、これらの被害個所につきましては、先生指摘のとおり昨年も非常に大きな洪水がございまして、ことしは昨年を上回る戦後二番目というような大きな洪水が出ております。再度災害防止のための応急復旧にすでに着手しておりますが、早急に査定を実施いたしまして、復旧事業の積極的な進捗を図っていきたいというぐあいに考えております。
  68. 熊川次男

    熊川委員 よろしくお願いいたします。  「天災は忘れたころにやってくる」というのがことわざであったのですが、どうも忘れないうちにやってきてしまった。特に私どもの水源県のようなところには、なおさら特別な配慮を期待しておるわけです。あるいはダムの建設というようなことでこのような天災から逃れられるであろうというような安易な考え方もあったかと思いますが、それは地元民の反省もさることながら、政府の方においても、この災害復旧が従前三年がかりで、初年度三〇%、次年度五〇%、三年目に二〇%というような復旧状況にあったことも、これを機会にちょっとお考え直しいただけたら、再度の被害防止に大きな効力を生ずるのではないかと思いますが、この辺の見通しといいましょうか、取り組む姿勢についてお伺いいたしたいと思います。     〔委員長退席、池端委員長代理打席〕
  69. 狩野昇

    狩野説明員 お答えいたします。  先生指摘のように、災害復旧事業は三年間で完成することが標準進度になっておりますが、この全体の制度を変えるというのはいろいろ問題があろうかと思います。われわれといたしましては、緊急に必要とする個所、翌年の出水時までに必要とする個所につきましては初年度のうちに災害復旧完了させる、それから、その他できるだけ早急に復旧させるという方針でございまして、先ほどもございましたが、激甚な災害の起きた年につきましてはこの標準進度をできるだけアップするという方向で今後適切に対処してまいりたい、かように考えております。
  70. 熊川次男

    熊川委員 よろしくお願いいたします。  まさに生活道路でもあるところの国道百四十四号線、特に群馬県吾妻郡嬬恋地内の国道がこの台風によってまだ不通でありますけれども、これらの開通見通しなどについてお伺いいたしたいと思います。
  71. 狩野昇

    狩野説明員 お答えいたします。  国道百四十四号線につきましては、現在応急復旧に努めております。羽根尾-三原間につきましては八月十二日、きょうでございますが、大前―田代間につきましては八月二十六日を目途に、一車線の通行を確保するようがんばっております。また、全線の開通についても今後鋭意努力をいたしまして、十月末を目標に共用を図ることにいたしております。
  72. 熊川次男

    熊川委員 よろしくお願い申し上げます。二十日近くなると学童の夏休み後の通学も始まりますので、特段の御配慮を仰ぎたいと思います。  それから、先ほどの利根川にかかっておった橋梁国鉄両毛線の前橋-新前橋駅間のピアが傾いたということで、台風直後は「開通のメド立たず 不便さ嘆く利用客 橋脚補強へ全力」という新聞の見出しで非常に心配したのですが、国鉄当局並びに地元建設業者の大変な御努力、御協力によって、ようやく徐行運転はできるようになったやに聞いておりますが、この辺の安全性の確保と今後の修復、原状回復的なものの見通しについてお伺いいたしたいと思います。
  73. 村上温

    ○村上説明員 お答えいたします。  両毛線にかかります利根川の鉄橋が、御指摘のように増水によりまして第四番目の橋脚が若干傾きました。水が引きませんと工事ができないということで、最初不通になりましたときに見込みが立たないというような発表で非常に御心配をかけたと思いますが、幸いにしてふだんはたくさん水の来ないところにある橋脚であったということと、傾いた度合いがそれほどでなかったということで、応急にコンクリートで下を固めまして、現在、時速三十キロメートルの徐行運転をしてございますが、さらに補強工事を続けますことと、それから列車の運転によってどのぐらいの沈下、振動があるか、あるいはその後変状が続かないかということを現在監視中でございます。この辺の監視の資料を見まして順次スピードアップをしていきたい、できればできる限り早くもとに戻したいというふうに考えてございます。     〔池端委員長代理退席、委員長着席〕
  74. 熊川次男

    熊川委員 ありがとうございます。県都前橋と第二の町高崎との間の重要な旅客輸送線路でもございますので、安全と迅速な復旧によろしく御配慮いただきたいと思います。  最後に、このたびの台風によってこうむった被害は文字どおりまことにはなはだ激しいものがありますが、いわゆる激甚法の適用、発動、こういうものに対して大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  75. 松野幸泰

    松野国務大臣 激甚災害指定のためには、その前提として御承知のように被害額の把握が必要であり、現在、関係省庁で調査を急いでいるところであります。  なお、七月豪雨台風十号被害を合わせるかという問題もありますが、両者に気象上の密接な関係があり、連続して起こった気象現象であるとの気象庁の見解も踏まえまして、目下関係省庁で鋭意検討し、激甚の指定をするように最善の努力をいたしております。
  76. 熊川次男

    熊川委員 ありがとうございます。大臣の愛情ある勇断を心から期待させていただきます。  以上で終わります。ありがとうございました。
  77. 川俣健二郎

    川俣委員長 次に、田口一男君。
  78. 田口一男

    ○田口委員 私は、質問に入らせていただく前に、今次災害によって被災された方々に、心からお見舞いを申し上げますと同時に、不幸にして亡くなられた方々に哀悼の意を表したいと思います。  同時に、災害救助、復旧作業に昼夜を分かたず御苦労なされた自衛隊、警察関係、県、市町村の職員、消防団員などの関係者の方々に、この場をおかりいたしまして厚くお礼を申し上げたいと思います。  そこで、まず、長官お尋ねをしたいのでありますが、いわゆる激甚災害として指定をする、いずれ調査の結果わかってくるだろうと思うのですけれども、きょういただきました資料によりましても、正確に言えば昭和五十七年七月豪雨、それから八月にかけての台風十号、それに引き続く前線の活動、こういったものによる被害、これら一連のものをとらえて激甚災害として指定をされるお考えがあるのかどうか、その辺のところをまずお伺いしたいと思います。
  79. 松野幸泰

    松野国務大臣 激甚災害指定のためには、先ほども御答弁いたしましたように、前提として被害額の把握が必要であり、現在関係省庁で調査を急いでいるところであります。  それから、公共土木及び農地、農業用施設についての被害額は、現在まだ最終的な調査がまとまる段階に至っておりませんので、激甚の指定についてなお若干の時間をおかりしまするけれども、鋭意その方向で努力をいたしております。  もう一つは、中小企業関係については八月中旬を、もうすぐでございますが、目途に行うべく検討を進めております。  なお、このたびの災害一連災害としてとらえるかどうかについては、七月の豪雨台風十号は御承知のように気象上密接な関係があって、連続して生じた気象現象であるとの気象庁の見解を踏まえまして、目下関係省庁で鋭意検討を進めて、御期待に沿うように努力いたしております。
  80. 田口一男

    ○田口委員 そうしますと、いまの長官のお答えによれば、気象庁のそういう見解もあるようでございますから、七月からの異常気象、それに長崎、熊本、大分、あの辺がやられたのですけれども、さらに七月三十一日から八月三日にかけての台風十号及び低気圧による暴風雨等大雨、こういったものに伴う災害一連災害として取り上げる可能性がある、こう理解をしてもいいわけですね。そういう点でひとつ進めていただきたいとお願いをします。  やや事務的なことになりますが、指定のための作業状況被害状況の把握にいま努めてみえるそうでありますけれども、その見通し、さらに建設、農水、中小企業庁、こういった関係省庁の査定の状況、日程などについて、いまおおよそのところでもわかっておればお示しをいただきたいと思います。
  81. 荒井紀雄

    ○荒井政府委員 お答えいたします。  中小企業につきましては、比較的早目に被害額がまとまる見込みでございまして、現在、そのために八月中旬を目途に指定を行うべくまとめておる最中でございますが、公共土木等、農地、農業用施設につきましては、ただいまも申しましたように、八月の分も合わせて調査対象といたしておりますので、現在まだ最終的な調査がまとまっている段階に至っておりません。大変恐縮なんでございますが、特に道路等が寸断されまして奥地等の被害等もこれからふえてまいるというふうな状況でもございますので、早急に調査をまとめまして結論を得たいというふうに考えておりますが、なお若干の日時をいただきたいと考えているところでございます。
  82. 狩野昇

    狩野説明員 建設省の公共土木施設の災害につきましては、三重県と目下協議中でございますが、おおむね九月二十日ごろから査定に入るよう鋭意準備を進めております。
  83. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 農地、農業用施設並びに林道に関します被害状況でございますが、八月九日現在で、農地、農業用施設、林道につきましては、これは七月豪雨関係でございますが千二百七十三億、さらに、台風十号関係につきましては六百四十五億という数字でございますが、なお今後とも増大を見るのではないかと見ておるわけでございます。したがいまして、激甚災に指定し得るかどうかの判断につきましては、何と申しましても被害額の確定を待つ必要があるわけでございますので、現在確定作業を鋭意進めておるという状況でございます。
  84. 田口一男

    ○田口委員 では、次に、自治省にお尋ねをします。  今度の災害応急復旧のために、被災市町村については相当の出費を強いられております。これは私の関係しておる三重県名張市の一つの例なんですけれども被害の金額は別といたしまして、応急復旧費の見込み額、たとえば道路関係であるとか公営住宅であるとか、農林、観光、衛生、消防団の出動費等々含みまして、わずか三日、四日の間に八千八百四十五万何がしという支出をいたしております。他の町村についても同様の支出をいたしておるわけでありますけれども、こういった莫大な財政負担に対して、財政措置といいますか、特別交付税の交付なり政府資金による地方債の配分といったことについて特段の御配慮お願いをしたいと思うのでありますけれども、自治省としてはどういう対応をされるのか、お伺いしたいと思います。
  85. 松本和雄

    松本説明員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、被害を受けられました団体におきましては、災害復旧等に大変物入りでございます。自治省といたしましては、これらの団体が行います災害復旧対策等に要する経費につきましては、その実情を十分調査をいたしまして、それぞれの団体の被害状況あるいは財政状況等も勘案の上、地方債の配分あるいは特別交付税の算定を通じて適切に配慮してまいりたいと考えております。この場合におきまして、特別交付税の措置につきましては、この十二月に算定をいたすものの中におきまして配慮いたしたいと考えております。  なお、これらの団体のうち、特に被害の大きな団体につきましては、普通交付税の繰り上げ交付というものを考えております。去る八月二日に、とりあえず長崎県分及び長崎県を初めとする七県下の百五十市町村に対して、合計百八十六億円ほどの九月交付分の交付税を繰り上げ交付いたしたのでありますが、その後の被害を受けられた団体のうち、特に大きなもので一定の基準に該当する団体につきましては、重ねて八月二日の措置のほかに、さらに九月交付予定の普通交付税の一定割合を繰り上げ交付しようということで検討中でございます。したがいまして、八月二日の措置に漏れた団体につきましても、一定基準以上の団体につきましては普通交付税の繰り上げ交付も検討中でございます。
  86. 田口一男

    ○田口委員 自治省に重ねてお尋ねをしますが、いま何回も言われている一定基準ということと激甚災の指定と関係があるのかどうか、その辺だけ。
  87. 松本廣治

    松本(廣)説明員 お答えいたします。  普通交付税の繰り上げ交付をやります場合の基準といたしましては、被害を受けた団体の基準財政需要額と、その被害を受けた団体における公共施設の被害状況被害額、これとの一定の比率をもって算定の根拠といたしております。
  88. 田口一男

    ○田口委員 次に、建設省お尋ねをいたします。  先ほど御報告がありましたように、大変な被害でございます。三重県の場合いに限りましても、八月八日現在、国道、県道で千七百六十三カ所、市町村道で千六百九十二カ所、橋梁八十一カ所が決壊、流失をいたしております。こういう現況にかんがみまして、いま鋭意復旧に努力をしていただいておるのですけれども、まず一つお願いをしたいことは、木工事の中期着工ということでございます。御存じのように、今月から来月にかけてはいわゆる本格的な台風シーズンが参ります。それを考えますと、一日も早く本工事に着工をしていただかなければ、二次災害といいますか、大変な被害をまたこうむるのではないのか、こういう危惧がございますので、ひとつ早期着工をお願いしたいと思います。  関連をいたしまして、先ほど同僚委員のお話の中にもありましたけれども生活道路の開通といいますか、俗にあけると言うのですけれども、今度、私も地元へこの間もちょっと行ってみますと、道路が崩れて車が通れない。自衛隊のヘリコプターでとりあえず応急物資なんかを送ってはおりますけれども、これのよしあしは別として、プロパンガスが欠乏してくる。薪があるじゃないかと言っても、そういう薪で炊飯のできる状態じゃありませんから、プロパンガスがないと炊飯ができない。簡易水道がつぶれる。さらに、野菜、生活必需品が欠乏してくる。こういうことで、軽トラックが通る程度の道をあけてもらえればという要望が強いわけであります。努力をしていただいておることは認めますけれども、そういった取り残された集落の生活安定のための生活道路をまずあけること、これに全力を注いでいただきたい。いまの土建業者の実態なり何なりを考えれば可能であると思いますので、そういった点、強く御指導をいただきますように、特にこれは建設省だろうと思いますが、お願いをしたいと思いますが、まずお考えのほどを伺いたいと思います。
  89. 狩野昇

    狩野説明員 お答えいたします。  第一点の本復旧工事の一期着工でございますが、先ほども申し上げましたが、県当局といいますか、地元の準備が整い次第早急に査定をいたしまして、査定終了後、緊急な個所から直ちに復旧工事を着手するというように指導していきたいと考えております。  それから、二番目の生活道路不通地元の方々に非常に御不便をかけておる件でございますが、建設省としましても、民生の安定を図るために直ちに応急工事に着手するよう県を指導しておりまして、災害発生以来、県においても通行の確保に全力を挙げているところでございます。三重県におきましても通行不能の個所が非常にたくさんあったわけでございますが、当初は先生指摘のようにヘリコプター等の空輸に頼っておったわけでございますが、昨日の時点におきましては、すべて復旧いたしまして通行を確保しているという報告を受けております。
  90. 田口一男

    ○田口委員 今度の災害一つの特徴だろうと思うのですが、中小河川、とりわけ渓流というのですか、谷川、これがはんらんをいたしまして、土石流で住家が埋まる、生き埋めになる、こういうことになっておるのです。今度は林野の方にも関係すると思うのですが、まず河川なり渓流の災害復旧、砂防枠の拡大、こういう点について御努力を願いたいのです。  これは定説があるようでないような話でありますから議論の分かれるところでありますが、私は被災地へ行って相当年輩の方にいろいろ話を聞いてみますと、昔からこういう言い伝えがあるようですね。住居の近くと渓流のそばには広葉樹を植えろ。うちの方だけかもしれませんけれども、針葉樹じゃなくて広葉樹を植えろというわけですね。家の近くと渓流のそばには雑木なんかを植えろ、こういう言い伝えがあるそうで、それにかんがみて言うと、今度立木がどんどんと流れましたし、渓流がはんらんをしたところが、杉の木だから悪いというきめつけはいたしませんけれども、杉の植林が多い。それで、今後のことを考えると、植林政策とまではいかないにしても、植林についての指導はそういったことも考えてもらう必要があるのじゃないのか。  もちろん、木の質だけで一概に言えません。土壌の質ということもありますから、一概には言えぬということは十分知ってはおりますが、そういう古老といいますか、生活の知恵から、いま申し上げたような苦い伝えも必要なのじゃないか。災害の現況を私は見ましてなるほどなと思ったのですけれども、林野の専門の立場からどう考えておるのか。私は前もって言いましたように定説があるとは言いませんから、議論の分かれるところだと思いますが、そういうことにも一応耳を傾けていただきたい、こう思います。
  91. 狩野昇

    狩野説明員 お答えいたします。  先生指摘の渓流あるいは土石流等による被害が非常に多発しておるという問題でございますが、建設省といたしましては現地を十分調査いたしまして、採択基準等も勘案しながら、砂防の災害復旧事業、あるいは河川としての復旧事業、または緊急砂防事業等によりまして、再度災害防止するための復旧事業を早急に実施する所存でございます。
  92. 谷口純平

    谷口説明員 後段の造林方針等につきまして御説明させていただきたいと存じます。  先年御指摘のように、今回の台風十号に伴います豪雨等によりまして各地で相当の土石流発生や渓流のはんらん等が生じたのでございますけれども、これは局所的に、森林土壌保全能力あるいは保水能力を超えるような記録的な豪雨があったことによって発生したものと推定をしております。こうした豪雨によります土石流等は、林地を覆っております植生の状況だけではなくて、地形、地質あるいは土壌、地層等の各種の要因が複雑に絡み合って発生するものでございますので、その植生が針葉樹林であるとか広葉樹林であるとかを問わないで発生し、またその発生の率も、そういう森林の種類によって大きな差はないというふうに承知をしておるのでございます。  今後の森林造成整備に当たりましては、地域条件に適しました造林の方法なり樹種の選定を行い、間伐を初めといたします適切な森林管理を推進いたしますとともに、治山事業の計画的な実施を図りまして、災害に強い、健全な森林整備に努めていきたい、かように考えております。
  93. 田口一男

    ○田口委員 いまの話は定説がございませんから、なんですが、そういった災害が今度の場合の特徴の一つでもあると思いますので、早期復旧と再度の災害防止のために、緊急治山事業なり林地崩壊防止事業をひとつ急いでいただく必要があるのではないのか、その辺のめど、考え方をお示しいただきたいと思います。
  94. 小澤普照

    小澤説明員 お答えいたします。  今回発生いたしました山地の災害のうち、次期の降雨等によりまして人家公共施設等被害を与えるおそれのある個所につきましては、緊急治山事業で対処いたします。また、人家裏山等発生した小規模な林地崩壊につきましては、激甚災害指定された場合は林地崩壊防止事業で、その他の場合は小規模山地災害対策事業で、緊要な個所から復旧してまいりたいと考えております。  それで、先生御質問のめどでございますけれども、現在、七、八月豪雨に係る緊急治山事業につきましては、一部はすでに協議を了しまして、事業の着手方を指示したところもございます。さらにまた、台風十号を中心といたしまして災害発生いたしておりますので、この台風十号関係に係る緊急治山事業につきましては、目下関係都府県と鋭意協議を行っているところでございますけれども、私どものめどといたしましては、少なくとも今月中には協議を終えまして緊急な着手を図りたいというふうに考えております。  なお、林地崩壊防止事業につきましては、激甚災害指定との絡みがございますので、この指定が行われ次第、早急に協議を行うということを考えております。
  95. 田口一男

    ○田口委員 では、最後に、国鉄の問題について。  さっきもお話がございましたが、名松線の問題です。おかげで松阪-家城間は開通をいたしまして、残る十八キロの家城-伊勢奥津不通ということなんですけれども、実は現場を見てまいりました。いまさらのようにこの災害のこわさがわかったのですが、私は国鉄の方に二つだけ申し上げて、きっぱりした御返事をいただきたいと思うのです。  一つは、名松線は、御存じのように通勤、通学という意味で言えば通学の方にややウエートがかかる。いま事か不幸か夏休みでございますので、なんですけれども、いま言いました家城というところに県立白山高校がございまして、そこに毎日多数が通学しておる。ですから、日限を切った言い方で恐縮なんですが、三学期が始まるまでに開通のめどが立たないか、立たない場合には代替輸送という点で、これら生徒、父兄に心配のないような状態をとっていただく必要がある。これが一つ。  それから、二つ目は、御存じのように名松線はいわゆるローカル線、廃止対象線第二次ということになっておるわけですが、この間、天王寺の局長が三重県の市町村長を訪ねまして、営業線ですから心配はございませんという返事を市町村長にしております。これはあたりまえだと思うのですが、その営業線ですから心配要りませんということを言ったその次の言葉は、大変な費用がかさみまして、ちょっと、と言葉を濁しておる。その辺を聞きまして、言葉は悪いのですが、今度の災害をもっけの幸いに、このまま廃止の既定事実をつくってしまうのじゃないかという心配を持っておるわけですね。  そこで、昔、わが帝国陸軍には鉄道連隊というのがあったそうですけれども、泰緬鉄道の例は別といたしまして、一晩で橋をかけて汽車を通すという実力を鉄道の方は持ってみえる。その実力をもってすれば、今次災害は確かにひどい被害ではございますけれども、木下藤吉郎が墨俣城をつくるということは別にして、一カ月二カ月で汽車が通ることだって可能じゃないか、こういう意見があるわけです。確かに無理からぬ。したがいまして、廃止予定線だからどうだこうだというふうなことを沿線住民に心配させないように、そしてまた、線路が赤さびていつまでも残っておるというのは、被災地住民にとって気持ちのいいものではない。民心安定という意味からも、一刻も早く汽車を通らせる、こういう観点から、廃止予定線であろうとなかろうと、住民の足でありますから、いつ幾日までということは無理にいたしましても、汽車を通します、これをはっきりとここで言ってもらう必要がある。この二つについてお答えをいただきたいと思います。
  96. 村上温

    ○村上説明員 最初に、被害状況でございますが、先生の御指摘のようにひどい状態でございます。松阪-家城間につきましては、被害が軽くて九日に開通いたしましたが、奥につきましては、先ほどの川崎先生の御質問でもお答えいたしましたけれども、まだ被害の全貌そのものがつかめない状態で、専門の岐阜工事局の手をかりまして、とにかくどういう状態なのか、被害の額その他もまだつかんでおらない、こういう状態で、もちろん技術力がないというふうには考えておりませんが、とても直ちに、たとえば一カ月とか二カ月とかということで復旧できるというふうには、残念ながら考えられない状況にございます。
  97. 有馬訓祥

    有馬説明員 お答えいたします。  不通区間の代替輸送につきましては、家城までは九日の正午に開通しておりますけれども家城から奥につきましては、まだ道路バスが通れる状態になっておりませんので、現段階では代行輸送列車かわりバスでの輸送をやっておりませんけれども道路バスが通れる状態になりましたら、直ちに列車かわりバスをチャーターいたしまして動かすということで、現在準備中でございます。
  98. 佐々木峻一

    ○佐々木説明員 ローカル線の問題についてお答えいたします。  国鉄では、ローカル線問題は、国鉄再建法、それから五十四年十二月の閣議了解に基づきまして、現在六十年度までに一日二千人未満の輸送密度の線区につきましてバス等への転換を行うことにしておりまして、その中で第一次特定地方交通線といたしまして比較的距離の短い線区四十線区を選びまして、運輸大臣の御承認を得て、現在協議会の開催など所定の手続で進めておるところでございます。それ以外の線区につきましては、現存のところ、まだ特定地方交通線としての選定をやっておらないわけでございます。名松線の特定地方交通線としての選定というのはこれからの課題ということになってまいりまして、線区の廃止につきましては、あくまでもこれは法律に基づく手続を踏んでまいるわけでございまして、災害によりましてその時期を早めるというふうなことは考えておりません。
  99. 田口一男

    ○田口委員 終わります。
  100. 川俣健二郎

    川俣委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ――――◇―――――     午後一時二分開議
  101. 川俣健二郎

    川俣委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。川本敏美君。
  102. 川本敏美

    川本委員 私は、この間七月三十一日襲来いたしました十号台風並びにその後八月二日、三日近畿地方を襲いましたいわゆる大雨災害、このことについて関係御当局も大変御告労いただいておることと思いますが、深く感謝申し上げる次第であります。私は、被害実情を申し上げて、質問をいたしたいと思うわけです。  この十号台風とその後の大雨は、私どもの奈良州内では史上空前というような大きな被害をもたらしました。人の被害は死者が十三人、行方不明が三人、負傷者十九人、こういうことで人の受けた被害は最小限に食いとめることができたわけですけれども、これは、さきの長崎県の被害あるいは奈良県内でも一番先駆けて土砂崩れがありました生駒郡平群町の被害を教訓として、県や市町村が早期に住民の広範囲にわたる避難命令を出した、こういうことによって人的被害を最小限に食いとめることができたという点で、私は関係者の皆さんにも感謝申し上げる次第であります。  特に、あの西吉野村の大きな山崩れは、京都大学防災研究所の奥田節夫教授が現地を見て、この十年間の大きな崩れの中で日本三大崩れの一つだと言われるような大崩壊でありまして、古野川支流の丹生川をせきとめて国道を川のように水が流れるというような大きな災害であったわけですけれども、人の被害というのは全くゼロであります。これはもう前日の夕方から村当局が避難命令を出して、上流下流約千五百人の人を完全に避難させておった、こういうようなことによって人の被害をゼロにすることができたという点で、私どもは大きく評価しなければならぬと思うわけです。  しかし、全県的に見ますと、住宅が全壊、半壊あるいは一部破損、床上浸水、床下浸水、床上浸水といっても二階まで浸水しておるのですから、これは大変な浸水です。そういう形で一万二千戸が浸水して、被災者は四万人を超えているわけです。この一連災害で受けました公共土木施設における被害は、県の発表だけでも個所数にして七千カ所、その他農林関係あるいは商工関係、文教関係等の施設を合わせますと、現在累計されておるだけで六百八十億を越える大被害となっておるわけであります。  そこで、まず国土庁長官にお聞きしたいのですが、このような大きな被害をもたらした災害、これは奈良県だけではなしに、大阪府も三重県も広い範囲にわたる災害ですけれども、この一連災害に対しては激甚災害適用されるのですか。
  103. 松野幸泰

    松野国務大臣 午前中にも答弁申し上げましたように、九州の災害と、それから奈良県、三重県地域、静岡、山梨などを襲いました災害等は一連に考えまして、激甚指定をするべく書類の整備を急いでおります。
  104. 川本敏美

    川本委員 私は、これはぜひ激甚災害として指定をしていただいて、そして災害復旧が、一日も早くできますように特別の御努力をお願い申し上げたいと思うわけです。  そこで、この奈良県内の災害の特徴を見てみますと、実は災害直後に大阪府の岸知事が新聞記者会見で、今回の大阪府下に起こった災害は大和川上流の奈良県内における宅地の乱開発が原因で、建設省にも責任がある、こういうことを言われたわけです。これが大きな物議を醸しまして、後日これは岸知事も取り消されたといういきさつがあるのですけれども、私どもからこれを見ますと、奈良県は確かに全国有数の人口急増地帯、そして宅地開発も進んでおりまして、人口はすでに百二十五万を越えておるわけです。そういう中で、人口急増によって宅地開発が進んできておるにもかかわらず、建設省の直轄河川である大和川のいわゆる人口増に伴う改修計画あるいはその支流の各河川改修計画が全然進んでいない、言いかえれば、建設省河川改修計画をさぼってきたために今度の災害が起こった、いわば人災ではないかという声があるわけですけれども、これについて建設省はどう考えておられるか。
  105. 川本正知

    川本政府委員 お答えいたします。  全国の河川改修状況といいますか、これは確かに大河川におきましても、当面の目標といたしまして戦後最大洪水を目標に改修を進めてはおりますけれども、それにいたしましても現存五八%という整備率でございまして、中小河川に至ってはまだ一八%というような現況でございまして、河川整備がまだまだ満足できないということは事実でございます。  そういったことから考えましても、私どもといたしましては、ちょうど今年からスタートさせました第六次の治水事業五カ年計画、これが総投資規模一二兆一千億円でございますけれども、これを強力に推進することによりましてさらに河川整備を促進してまいりたい、それに懸命の努力をしてまいりたい、そう思っているところでございます。
  106. 川本敏美

    川本委員 大和川というのは御承知のように天井川でして、川底の方がたんぼや宅地よりも高い、こういういわゆる典型的な天井川です。ここで、この間の雨は大台ケ原には千三百ミリ、一年間の雨量の三分一の三日間で降ったわけですから大変ですけれども、大和平野一円にも約三百ミリ近い大雨が降ったわけです。だから、これは異常な大雨による被害だと言って片づければそれまでですけれども、私どもはそうは思わないわけです。  御承知のように、大和川は奈良県と大阪府との境目に亀の瀬の地すべり地帯がある。この亀の瀬の地すべり地帯は、古く明治三十六年に川底が隆起をして、その後国がいろいろ対策をとり続けてきたところでありますけれども、その後も昭和六年から七年にかけて三カ年間に大地すべりがあった、あるいは昭和三十六年にも地すべりがあった。そういうことで、建設省はおくればせながら昭和三十八年から建設省の直轄事業としてこの亀の瀬の地すべり対策を行っておるわけですけれども、聞きますと、大体上の土を取ってそこへかかる圧力を軽くするというような工法をとっておるらしい。  ところが、先ほど申し上げたように、大和平野に三百ミリもの大雨が降ると、昔は宅地が少なかったですから一日半ぐらいかかって亀の瀬に増水した水が到着をする。現在では三時間か四時間で流れてくるわけですから、そこでたまってしまう。亀の瀬でせきとめて、大和平野全体を大和川の遊水地にして下流の大阪府を水害から守る、このような発想で今日まで建設省はこの大和川改修計画やってきたのじゃないか。今後もそういう発想でいかれると、雨が降るたびに大和平野全体が水につかって遊水地になって、大阪の災害を最小限に食いとめる、こんなことをされたのでは、これはもう今後幾らたってもこの災害をなくすることはできぬと思う。今後大和平野に三百ミリ近い雨が降らぬという保証がどこにありますか。  そこで、私は、まず亀の瀬の地すべり地域の川幅を広げる対策を早急に取り組むと同時に、大和川本流の抜本的な改修をやる、その改修計画を根本的に改めて計画を練り直す、このことが当面一つは大事だと思うわけです。  それにもう一つ応急対策としては、亀の瀬の上流の王寺のところで支流の葛下川というのが合流しておる。本川は建設省の直轄河川だから改修しておるけれども、支川の葛下川というのは全然放置されておるわけですから、本流の水かさがふえると支流の水をのみ込めない。逆に本流の水が逆流をして、二メートルぐらい堤防を越えて滝のようになって町の中に、商店街に、工場地帯に、そして王寺の国鉄の機関区に流れ込んで、二日間も三日間も国鉄の電車もとまるというような大事態になったことは御承知のとおりです。これは本川を何ぼ改修しても、支川の改修をしなければいけない。ところが、当面はやはり二メートルぐらいは土のうを積んで矢板を打ってでも応急対策を講じなければ、今度のさらに予想される二百十日、二百二十日というような台風災害にも対処できないと私は思うのですけれども、その点について建設省ではどのように考えておられるのか、お聞きしたいと思うのであります。
  107. 川本正知

    川本政府委員 まず最初の点の、大和川の本川の亀の瀬の地先のことでございますが、ただいま先生お話しのように、亀の瀬といいますものは、奈良盆地から大阪平野に流れ出る狭窄部となっておりまして、その右岸が全国でも有数の地すべり地帯でございます。この地すべりが現在の河道をふさぐことがないように、昭和三十七年から直轄工事で毎年相当な投資を行ってその対策を実施しておるところでございますけれども、この地区の地すべりというものは非常に膨大な規模のものでございまして、河道を拡幅するために開削するということは、技術的にはきわめて慎重に対処しなければいけない重大な問題だというふうに考えておりまして、その対策に腐心しておるところでございます。  さらに、この部分を開削するということは、先年おっしゃいましたような下流への影響ということもございますから、上下流の治水の安全度、そのバランス、あるいは上下流の改修の進捗状況、そういったものも勘案しながら、慎重に検討しなければいかぬと思っております。  また、上流の改修につきましては、特に西浦の窄狭部の拡幅であるとか、勢町地区の築堤とか、初瀬川の改修とか、いろいろなものを含めまして、さらに佐保川等につきましては総合治水対策の特定河川事業というものもやっておりますし、そういったものをすべて含めまして、今後とも総合的な治水対策を考えながら改修の促進に努めてまいりたいと思っております。  それから、あとの点の葛下川の応急対策ということでございますけれども応急対策といたしましては、今回溢水しました合流点の上流の約四百メートルの鎌窪橋付近から上流の七百メートル区間につきましては、土のう積みによりまして河川管理者である奈良県がすでに対応しているところでございまして、確かに本川に比べまして葛下川の改修がおくれておる。これは、まずは木川によります水害というものが影響が甚大でございますので、やはり木の幹の方から次第に支川に及ぶ、枝の方に及ぶというのは、改修の常道としてやむを得ないことでございますけれども、今回の被災ということもございますし、葛下川の恒久対策といたしましては、木川の堤防と同じ高さの堤防をいわゆる本川からのバックが入ります区間まで堤防をつくる、そういったような抜本策を講じなくてはいかぬ。今回の災害にかんがみまして、その事業の具体化について早急に検討してまいりたいと思います。
  108. 川本敏美

    川本委員 さらに、建設省道路局長にお聞きしたいのですが、奈良県は、御承知のように、五十九年わかくさ国体、五十八年にはその事前のいわゆる体育大会が予定をされておるわけです。ところが、今度の災害で、その国体関連の道路とかあるいは運動施設等も非常な傷みを受けておるわけですけれども、これを従来の災害対策のように三年計画で道路復旧とかをやられると、国体に間に合わない、国体の開催にも支障を来す、こういうおそれがあるわけですけれども道路災害につきましては国体までに二年間ぐらいで完成できるようにひとつ措置していただきたいと思うのですが、どうですか。
  109. 狩野昇

    狩野説明員 お答えいたします。  先生指摘道路災害復旧でございますが、三年計画ということは御指摘のとおりでございますが、今回の災害実態を踏まえまして、それと、先生指摘の国体というようなことも控えております、その二カ年早期復旧ということを目標にしまして全力を尽くしていきたいというぐあいに考えております。
  110. 川本敏美

    川本委員 次に、農林省にお聞きしたいと思うのですが、御承知のように、今度の十号台風のときに、吉野川上流の川上村の大迫に築堤してあります大迫ダムが、一日の朝、午前二時三十分ごろに放水をしたわけです。これも、従来、雨が降り始めてから半日以上たたなければ、農林省の管理事務所があります大淀町の下渕頭首工の付近までは増水してこない。ところが、午前二時半に雨が降りかけると同時に大迫ダムが放水をしたわけです。そのために、この流域で、吉野町の宮滝で一人、下市町の阿知賀で一人、五條市内で三人、さらに下流の和歌山で一人、計七人の人がこのダムの放水によって行方不明になり、そのうち三人は死体を確認されましたが、現在まだ四名が行方不明になっておるわけです。全くこれはダム管理上の問題だと私は思うのですけれども、大迫ダム管理体制について、農林省はどのようにやっておるのか、ひとつお聞きしたいと思う。
  111. 日出英輔

    ○日出説明員 御説明申し上げます。  先生お話しのとおり、八月一日の午前零時から一時のころに、大台ケ原で百七ミリという、時間降雨量としてはあの付近では史上第二位だそうでございますが、大変な雨が降りましたし、その下流域におきましてもかなりの雨が降っております。そこで、大迫ダムの方ではダムの管理のために操作規程というものをつくりまして、その規程によりまして放流等その他の業務をやっておるわけでございますが、その操作規程に定められているやり方で二時半に実は放流をし、その前に関係機関への通知、それから警報車による警告等をやりまして、放流をしたわけでございます。  大迫ダムの管理の体側につきましては、私どもの方の農林省の職員が四名と、それから業務を委託をしております民間の職員三人、計七人で管理をいたしております。そんな状況になっております。
  112. 川本敏美

    川本委員 私は、いまここに大迫ダムの操作規程を持っておるのですけれども、これを見ますと、いわゆる大迫ダムの管理については、放流の際の一般に周知徹底させることが必要な区間ということで、ダムサイトから川上村の中井川合流点までの、区間とするということがこの操作規程の「放流の際にとるべき措置等」に書いてあるわけです。ところが、これはいわば建設省がいま築造中の大滝ダムのダムサイトのすぐ下になる部分に当たるわけでありまして、大滝ダムが完成した後であれば管理区間はこれでいいけれども、まだ大滝ダムが完成していない現在では、下流の紀ノ川に至るまでの管理区間について、放流しても人命に損傷がないかどうか、こういうことを十分確認の上放流する責任がある。そういう点から見ると、私はこの操作規定というのは不備だと思うのですけれども、その点について農林省はどのように考えておるのか、あるいは建設省もどのように考えておるのか、私はお聞きしたいと思うのです。  ちなみに、これは河川法四十七条、四十八条によるダムの傑作規程だと思います。さらに、施行令の三十一条に基づいてつくられた操作規程だと私は思うわけです。その河川法施行令第三十一条の規定を見ろと、ダムの管理者は、放水をするときには、その放水の時間、放水の量並びにそのことによって通常水位よりどのぐらいの水位が上がるかということを、関係知事とか市町村長とか警察署長に事前に通報しなければならぬ、このようになっておるのに、私が操作規程に基づく関係の下流の市町村長に聞きますと、放流が午前二時半ですよ、二時半に放流をして、三時ごろに関係市町村長や警察署長のところへ大迫ダムで放水しましたという電話があっただけで、量も時間も水位も、何の報告もなされなかった、こういうことを警察署長も、そして関係市町村長も私に電話で答えておるわけです。そうなると、ダム管理上これは手落ちがあったのじゃないか、そのために七人の人が命を落とした。  たった七人の管理所の人数も少ないですよ。こんなもの、何ぼ行政改革でもむちゃくちゃだと思う。人の命が大切だと思えば、もっと管理体制を強化してもらわなければいかぬ。人だけじゃないのです。自動車も流れ、テントも流れ、七月三十一日は土曜日でしたから、川の水はきれいだし、大ぜいの人が大阪や近府県からレジャーを求めてやって来ておった。その人たちのことを考えると、これは大変な責任問題だと思うのですが、農林省は今後こういう被害を受けた人たちにどのような誠意を示すつもりなのか、私はお聞きしたいと思うのです。
  113. 日出英輔

    ○日出説明員 操作規程の問題につきましては、ただいま事実関係等を調べ、分析をいたしておりますので、その後に必要でございますれば一つ一つ見直しをしていきたいと思っております。  ただ、先生お尋ねのお話の中で二、三申し上げたいのは、一つは関係機関への通知でございますけれども、これは当日の一時二十分ごろから三時半ぐらいまでにかけまして、奈良県吉野町その他の関係機関、決められているところに連絡をしてございます。  それからもう一つは、河川法の四十六条なり施行令三十一条のお話がございましたけれども、私どもの方でダムの方から関係機関に通知をいたしましたのは、放流の日時と放流量でございます。先生お話しのとおり、操作によって上昇する下流の水位の見込みというのは、今回は通知をしていないわけでございますが、この河川法施行令の三十一条の規定では、その下流の水位の見込みの方は「又は」という書き方になっておりまして、私どもの理解としましては、この下流の見込みというのは、見込み数字をつくるのは非常にむずかしいと聞いておりますが、これについては法律上そういうような通知をしなければいかぬというふうになっていないと思っておるわけでございます。  ただ、いずれにしましても、当日の大変な降雨量で川が増水しまして七名という行方不明の方が出たわけでございますので、今後のダムの管理等につきましては、もう一度見直しをいたしたいと思っておる次第でございます。
  114. 川本敏美

    川本委員 被守を受けた人に対してはどうするのか。
  115. 中川稔

    ○中川説明員 事故に遭われました方及びその御遺族に対しては、まことにお気の毒であるというふうに思っております。  また、今回の大迫ダムの放流に当たりましては、いまお答えいたしましたように、河川法に定められました関係機関に対する連絡とか警告はちゃんと行った上で放流いたしたものでございます。それで、当方といたしましては、今回の事故はこの地域を襲った多量の降雨による河川の異常な増水によって発生したものと考えております。ですから、事故が発生している現実は厳粛に受けとめまして、今後管理のあり方についてさらに研究してまいりたいと思っております。
  116. 川本敏美

    川本委員 私は、いまおっしゃることは全く承知できないと思うわけです。これは天災だと言っておるわけですが、ダムの放水でたくさんの人が亡くなっておるわけですし、あるいは自動車なんかも流されて損害を受けておるわけですから、操作規程も、一つ管理区間そのものが問題がある、あるいは警報の出し方についても、法律や操作規程で課せられた責任を果たしていないと私は思うわけです。だから、その点についてはよく調査してということですけれども、よく調査してでは納得できないわけでありまして、この点については農林省が誠意を持って被害者の救済に当たる、このことを確約だけしてもらいたいと思います。
  117. 中川稔

    ○中川説明員 先生のお言葉でございますが、事実関係等について、警告を出した時間その他いろいろまだ調査を終わっていない点も非常にございますので、私どもの放流がすべての原因であったというふうにも考えられない点もございますし、また、放流を行わなかったならばダムが決壊するような大事故に至ったという、異常なダムに対する増水というような問題もございますので、そういう点、現在事実関係をいろいろ調べておりますので、その上でお答えいたしたいと思います。
  118. 川本敏美

    川本委員 もう時間がありませんので、これ以上言いませんが、警察署長すら三時過ぎにしか通報を受けなかった、こう言っておるのですから、警察署の署長がうそを言う道理はないと私は思うわけです。その点については、農林省は自分たちのいわゆる責任回避のために事前にやったと言っているけれども、決して事実はそうではない。だから、その辺について国民が納得のいくような対策を講じていただきたい。このことを強く要求しておきたいと思うわけです。  時間がありませんので、あと一、二点だけお聞きしておきたいと思うのです。  国税庁にお聞きしたいのですが、今度のこの災害で、サラリーマンの家庭の住宅とか、あるいはその他についても中小企業の工場施設、あるいは商店のいわゆる商品、あるいは農家のビニールハウス、こういうようないろいろなものが被害を受けておるのですが、これについて税の減免とかその他の制度はありますか、それが一つ。  もう一つは、自治省にお聞きしたいのですが、県や市町村は今度の台風災害で大変な財政負担をしておると思うわけです。これに対して自治省はどのような財政措置を講ずる予定でございますか、あわせて聞きたい。
  119. 日向隆

    ○日向説明員 今回の奈良県下の災害の特徴は、先ほどから委員が御指摘になっておりますように、水害によりまして多大の浸水または土砂崩れが起きたということであるように承っております。したがいまして、まず第一に御指摘になりましたように、サラリーマン等々の住宅や家屋等の生活用の資産に損害を生じた場合でございますが、この場合につきましては雑損控除という規定がありまして、損害額が所得金額の一〇%を超える場合にはその越える部分について所得控除ができるという規定になっております。また、災害減免法による税の減免という措置もございます。一般的に申し上げますと、損害額が大きい場合には所得控除による控除をした方が有利であるというふうになっております。  それから、もう一点御指摘がありました、店とかあるいは商品ないしは農業用施設等の事業用資産、これに損害が発生した場合でございますが、この場合には、その施設の損害のみならず、後片づけ費用も含めまして、その年度の所得計算上いわゆる必要経費として算定できることになっております。  なお、申し添えますと、その年度におきまして全部所得控除なり必要経費なりとして控除し切れなかった場合には、純損失ないしは雑損失といたしまして、来期以降三年間にわたりましてそのめんどうを見ることができるというふうになっております。  国税におきましては、災害につきましてはこのようなかなり手厚い措置をとっておりますので、このような措置につきまして、先生指摘の奈良県下につきましては、私ども大阪国税局の管轄でございますので大阪局に十分の指示をいたしまして、そういった措置のPRといいますか、納税者に対する周知徹底につきましても十分な措置を講じていきたい、こう思っております。
  120. 石原信雄

    石原政府委員 お答えいたします。  今回の豪雨災害によりまして、関係地方団体は巨額の出費を余儀なくされております。そこで、私どもといたしましては、まず当面の資金繰り対策といたしまして、普通交付税の繰り上げ交付を行いたいと考えております。これにつきましては、現在、計数整理を行っておりますが、できるだけ早く、可能ならば来週中にでも繰り上げ交付を実施したい、このように考えております。  それから、恒久的な対策といたしましては、災害復旧事業については単独事業、公共事業それぞれにつきまして地方負担額について地方債の発行を認め、また、その償還費については地方交付税による財源措置をしたい。それから、建設事業を含めて起債対象になじまないような事業もたくさんありますので、これらについては今年度の特別交付税の配分に当たりまして最大限の配慮をしてまいりたい、このように考えております。
  121. 川本敏美

    川本委員 終わります。
  122. 川俣健二郎

    川俣委員長 委員長から申し上げます。  ただいまの川本敏美君の質問のダム放流に絡む事実関係については、早急に調査の上、次の理事会に報告していただきたいと思います。  次に、串原義直君。
  123. 串原義直

    串原委員 今回の豪雨災害被災された皆さんに、心からお見舞いを申し上げたいと思うわけであります。  さて、国土庁長官に伺いますが、今回の災害激甚災害法による指定をするという方向で作業を進めておりますということでありましたけれども、その指定はいつごろをめどとお考えになっていらっしゃるか。
  124. 松野幸泰

    松野国務大臣 中小企業関係は大急ぎで資料を整えましたので、わりあい早く、中旬ごろ、というともう現在でございますが、間もなく指定をいたします。  それから、ほかの激特などはいま資料を大急ぎでやっておりますので、そんなに時間のかからぬように、前例からいきますと三カ月もかかったことがありますけれども、そういうことは絶対ないように、早くやるようにいたします。
  125. 串原義直

    串原委員 これは大臣、言うまでもないことですけれども災害対策の大切なことはやはり一日も早いということ。いま一つは、被災された皆さんに安心してもらうということですね。そうであるとするならば、できるだけ早いということが激甚災の指定に求められているのではないか。さらに言うまでもありませんけれども、すべての災害復旧対策の根幹になるのは激甚災の指定ということでありますから、大臣が言われるようにできるだけ早くということで作業を進めてもらいたいけれども、重ねて伺いますが、大体今月の下旬、これをめどと私ども理解していてよろしゅうございますか。
  126. 松野幸泰

    松野国務大臣 私、長崎のことから先に申し上げますが、長崎に行きまして、激甚災と激特の要望がありましたときに、これは指定をする、指定や受けるというつもりで地元ではひとつがんばってくださいということを申し上げましたが、今度の広域にわたるところの地域的な災害などは市町村がそれぞれ集約をしていただいておりますので、いままとまっておる状況などを調べてみますると、激甚、激特の指定ができるような資料が間もなく整うと思います。国と地元と一体となって急いでおりまして、罹災者の方々に御不安のないようにわれわれは努力してまいりたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
  127. 串原義直

    串原委員 期待をしていますけれどもね、大臣、重ねて伺いますが、それは早い方がいいという意味を含めて、私、強調するのですけれども、八月の下旬ごろということをめどに考えていいのですか。
  128. 荒井紀雄

    ○荒井政府委員 私どももできるだけ早く指定したい、指定見込みもまだ立てたいと考えておるわけでございますが、何分今回の八月の分も加えて現在調査をしておりますので、この被害が非常に広範囲にわたっております。それからまた、道路が寸断状況にございまして、奥地関係の被害が非常に流動的な要素がございます。そういった要素もございますので、関係省庁力を合わせていま鋭意調査しておるわけでございますけれども、現在の段階におきまして、八月下旬ということをここで申し上げるのはちょっとまだむずかしい状況でございます。とにかく早急に指定のめどを立てたい、従来は、遅い場合ですと二カ月あるいはそれ以上、早い場合でも一カ月半ぐらいのペースであったわけでございますが、少なくともそれよりも早目にひとつ見込みを立てたいというふうに考えております。
  129. 串原義直

    串原委員 長官に伺いますけれども、先ほども議論がありましたが、被害復旧の仕事のめどが、当年度が三、次の年が五、三年目が二、三、五、二の割合で従来復旧してこられた。おおよそことしもその方向を踏襲するというふうに先ほどの答弁で私は受け取りました。  そこで、私、大臣に伺っておきたいことは、実はいま経済がまことに冷えている。そこで、景気対策も含めて何らか手段を講じなければならぬということが政府筋でも検討されているやに伺っている。さらに、そのために臨時国会も開かなければならぬというような話も出ているというふうに伺うわけですね。そのことについての議論を私はここではいたしませんけれども、そういうことを政府が考えて、公共事業の追加予算等々も含めながら景気対策を考えなければならぬという時期であるならば、私は、災害復旧被災民の気持ちにこたえるということも含めてまず優先して取り上げていくべきではないか、極端なことを申し上げますならば、ことしと来年、五、五というくらいな割合で一刻も早く災害復旧を急ぐべきではないのか、その作業がある意味では景気対策にもつながっていくという議論もできるだろうと思うのです。大臣、対策本部長という立場でどんなぐあいにお考えになりますか。
  130. 松野幸泰

    松野国務大臣 昨年の北海道を初めとするところの大災害に対しまして、私、就任直後でございましたが、総理にいろいろ御相談をいたしまして、三、五、二というのを五、三、二ということで、去年の災害は初年度に五やりましたことは御承知のとおりでございます。したがいまして、それ以上になるようにいま私たちは一生懸命努力しておりますので、皆様方の御協力をお願いいたしたいと思います。
  131. 串原義直

    串原委員 その作業が進むことを、私は大臣に強く要請をしておきたいわけです。  そこで、建設省に伺います。  いまの大臣答弁も関連をするのですけれども、できるだけ災害復旧の仕事を今年度に多くやってもらうように求めたいのでございますが、私、特に強調したいのは、私ども長野県のたとえば高遠町、あるいは諏訪の富士見町というようなところで大変な災害を受けたのでございますが、とりわけ中小河川の場合、非常に災害個所数が多い。災害個所が連檐している。したがいまして、この復旧は急がなければなりませんけれども災害復旧だけ、その地域だけ復旧をいたしました場合には、災害を受けなかった個所がまた次の雨で災害を受けるという危険性を持っている。したがいまして、この際、災害が多く連檐しているところは、関連事業といいましょうか、改良復旧といいましょうか、思い切ってその関係する県、自治体と打ち合わせをする中で改良復旧を急ぐべきではないのか、改良復旧に力を入れていくべきではないのか、こう思うのです。これは私は非常に大事なところだと思う。いかがですか。
  132. 狩野昇

    狩野説明員 お答えいたします。  河川災害復旧に際しまして、先生指摘のように被災個所が連続しておりまして、非常に激甚な災害を相当な区間について受けておる場合におきましては、再度の災害防止するために、被害を受けなかった区間を含めまして改良復旧事業名としては災害関連事業、あるいは大きな場合には災害助成事業になりますが、そういった事業で積極的に対処するようにしておりまして、今回の災害につきましても十分現地調査いたしまして、県あるいは市町村等地元と協議してまいりたい、かように考えております。
  133. 串原義直

    串原委員 大事なところですから重ねて伺いますが、いまのような方向で取り組んでもらいたいが、さらに伺っておきたいことは、長野県なりあるいは該当する市町村なりで、ぜひこれはいまあなたが答弁をされたような方向で、改良復旧といいましょうか、関連事業としてやりたいのだという強い要請をした場合にはそれにこたえていく、こういう理解でいいですか。
  134. 狩野昇

    狩野説明員 先生指摘のとおりでございまして、われわれも改良復旧には積極的に対応してまいりたいというぐあいに考えております。
  135. 串原義直

    串原委員 建設省に重ねてもう一つ伺っておきますが、あなた方は十日付で土石流災害防止するために通達をお出しになった。そして、土石流危険渓流の表示板を危険個所に設置するようにされた。私はいいことだと思う。いいことでございますから、このことは評価をいたしますけれども、もう一足進めてもらいたい。進めなければいかぬ。看板を立てただけではどうにもならぬということですね。診断書だけではだめだということです。どういう診察をするか、具体的な診療をするか、手当てをするか、こういうことですね。だからこの表示板の構想は多といたしますけれども、この災害予防措置というものをどうやってこれからやろうとなさるのか。大変に人家にまつわる危険個所も多いはずだと思う。その点に対して、今回の災害の教訓を得てどんな取り組みをこれからなさろうとしているのか、教えてください。
  136. 近森藤夫

    ○近森説明員 お話がございましたように、十日付で総合土石流対策の推進というようなことで通達を出してございますが、土石流の危険渓流に対します抜本的な対策というものはやはり砂防工平の推進であるということはよく承知をしておるところでございます。  そういったところで、第六次の治水事業五カ年計画におきましても土石流危険渓流に対する砂防工事を重点的に行うということにしておるわけでございますが、その内容といたしましては、発生の危険度の高い渓流で、かつ保全人家戸数の多い渓流から順次整備を進めていきたいというふうに考えており決して、五カ年が終わります昭和六十一年度末におきましては約一九%の整備率になるというような予定でございます。  また、危険渓流の表示と工事の取り組みでございますが、膨大な数字を抱えてございますので、この対策につきましては苦慮しておるところでございますが、いずれにいたしましても、人命に関する災害を何とかなくしたいというふうに考えておりまして、表示から警戒保安体制整備、また対策工事というものを順次組み立てていきたいというふうに存じておるわけでございます。  以上でございます。
  137. 串原義直

    串原委員 林野庁、見えていますね。  今回の山の災害もなかなか大変であることは御承知のとおりでございますが、その中で、私ども長野県を含めてでございますけれども、風倒木の被害が非常に大きいわけです。たとえば長野県の場合でありますが、民有林で二千ヘクタール、五十三万本ぐらいといわれている。被害総額は三十二億円。さらに、国有林の場合など、岩村田営林署などは二十万立方メートル近い立木被害がある。これはこの営林署の事業から見るならば十年分に近い数量だといわれているわけですね。大変なことだと思う。  この風倒木の処理を完全にやりませんと、次の作業が進まない、植栽も進まない、こういうことになりますことは御承知のとおりでございますが、この仕事ができない、作業ができないというのでこれを放置しておくならば、山が緑に戻らないでまた次の災害をもたらす、こういう危険性もあるわけでございますから、何としてもこの風倒木の処理対策には万全を期さなければならぬ、こう考えるわけでございますが、その対策はいかがですか。特に森林災害復旧事業対策で十分対応できるのかどうか、この辺も含めて御答弁願いとう存じます。
  138. 谷口純平

    谷口説明員 ただいま御質問の民有林関係について答弁させていただきます。  林野庁におきましては、災害発生直後直ちに担当官を現地に派遣いたしまして、被害状況の把握と現地指導等に当たらせたのでございますけれども、今後引き続きまして関係県の協力を得て、できる限り速やかに被害全貌の調査、把握を行いたいと考えております。その状況を踏まえまして、森林被害復旧に係る諸制度の適用を図って復旧に万全を期したいと考えておりますけれども、御指摘激甚災害法に基づきます森林災害復旧事業適用につきましては、ただいま申し上げました被害状況調査結果を待って検討したいと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
  139. 串原義直

    串原委員 調査結果を待ってということでありますけれども森林災害復旧事業対策という仕事で処理できるのかどうか、これが私は、実は若干気にかかるところなんですよ。その辺はどうなんですか。
  140. 谷口純平

    谷口説明員 お答え申し上げます。  森林災害復旧事業は、折損木の整理とか、あるいは跡地の造林とか、あるいは倒伏木の引き起こしといったようなものが助成の対象になっております。一般の災害復旧にかかわります造林の制度の場合には、折損木の整理というのがございませんで、跡地の造林と、それから倒伏木の引き起こしが助成の対象になっておりますので、若干制度が違いますけれども、今回の災害は、現地調査等によりますと折損木あるいは倒伏木が非常に多いということでございまして、この調査結果を待ちましてその制度が適用できるかどうかということを検討したいということでございますけれども、いずれにいたしましても、現在の諸制度を有効に活用いたしまして災害復旧に万全を期したい、かように考えております。
  141. 松本廣治

    松本(廣)説明員 先生指摘の岩村田の営林暑管内では、長野営林局の中でも特に折損木、風倒木が多かったわけでございますが、これはいま申し上げましたような森林災害復旧の制度に国有林でございますので乗りませんので、独自で調査しました被害地につきましては、資源の有効活用ということも含めまして、その風倒木等を収去いたしました後できるだけ健全な森林が更新できますような方法を検討いたしまして、整備いたしたいと存じております。
  142. 串原義直

    串原委員 次の質問に移りますけれども林野庁に伺いますが、南アルプス・スーパー林道の被害はどのくらいあったのか、その林道の開通はいつごろ可能なのか、お答え願います。
  143. 松田忠好

    ○松田説明員 最初に、被害状況程度でございますけれども、御承知のとおり、この林道は山梨県並びに長野県両県にまたがってございます。山梨県側につきましては百六十カ所、約八億円、それから、長野県側につきましては四十カ所、約二億円ということでございます。合わせまして二百カ所、約十億円ということでございます。  被害の態様といいますか、様子でございますが、小さな渓流にかかっております橋の流失、あるいは路体あるいは路肩の決壊というようなものでございます。  復旧見通しといいますか、開通の問題でございますけれども、すでに特に緊急を要する個所については応急措置ということで復旧に着手してございます。  それから、今回の災害につきましては、農林水産業施設災害復旧につきましての国庫補助のいわゆる暫定法、これに基づきまして復旧するというふうになると判断しております。したがいまして、林野庁としましても速やかに復旧ができるように関係の省とも連絡をとっておりまして、今月の下旬から現地の方の調査に入りたいというふうに考えております。この結果に基づきまして、急ぐところから復旧事業をしてまいりたいと思っております。  見通しでございますけれども被害程度からいたしまして、本年を含めまして完全に復旧するには三年ぐらいかかるのではないかということで、最大限の努力をしたいと思っております。ただ、長野県側につきましては、被害状況から見ましてわりあい早く開通するのではないかというふうに判断しております。
  144. 串原義直

    串原委員 できるだけ急いでください。  そこで、この復旧の負担はどこがやるのですか、市町村か、県か。私は国がやるべきだと思う。いかがです。
  145. 松田忠好

    ○松田説明員 この林道につきましては、現在管理の主体は、山梨県側につきましては山梨県が管理しております。また、長野県側につきましては御承知のとおり長谷村が管理しております。  復旧事業の主体、これにつきましてはそれぞれの管理主体が当たるというふうになりますが、先ほど申し上げましたように、この財源の問題につきましてはいわゆる暫定法によります国庫補助事業というかっこうで措置される。それからまた、補助の残でございますが、そういうものにつきましては起債の道が開かれておりますし、また、これの元利償還につきましては基準財政需要額の中に算定されるというような方途が講ぜられることになっております。
  146. 串原義直

    串原委員 つまり、激甚災の指定を受けてやっていくということになれば、復旧の主体は市町村、県、こういうことになるけれども、実はその自治体にはほとんど負担はかかってこない、こういう理解でいいですね。ちょっとこれを御答弁願いたい。
  147. 松田忠好

    ○松田説明員 暫定法の適用を受けることになりますと、基本的な補助率としましては、この場合は幹線林道でございますので国費が六五%というふうになります。被害程度によりまして若干のかさ上げがある。また、激甚災の指定を受けるということになりますと、それに伴いましてさらにかさ上げがなされるということでございます。  補助残につきましては、先ほど申し上げましたように起債が認められているということでございますけれども、これはいわゆる全額ということではございませんで、当年度分につきましては八割、次年度以降については七割、それの償還につきましてはさらに九五%が地方交付税の算定の基礎となります基準財政需要額に算定されるということでございます。
  148. 串原義直

    串原委員 大臣にひとつここで伺いたいわけですけれども、今回の災害において、たとえば長崎等における中小企業の大被害台風十号による広範囲にわたる農業被害状況を見ますときに、激甚法による被災中小企業や被災農家に対する融資枠の拡大、据え置き期間、償還期限の延長など、実態に即して改正すべき段階に来ていると私は思うわけでございますけれども、この際、法改正の考えはございませんか。
  149. 松野幸泰

    松野国務大臣 時代が、だんだん変わってきておりますので、御指摘の点につきましてはわれわれも十分理解をいたしまして、最善を尽くすよういま努力をいたしております。
  150. 串原義直

    串原委員 農林省に伺いますけれども、天災融資法を早期に発動すべきだと思う。いかがですか。そして、長野県の場合、被害を受けたわけでございますが、その被害が大きいということから特別被害地域指定すべきものではないか、こう考えておりますけれども、いまのところの方針をお伺いいたします。
  151. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 今般の七月豪雨ないしは台風十号につきましての天災融資法の発動でございますが、特に今回の台風十号につきましては、長野県におきまして甚大な被害発生したことは承知しておるわけでございまして、最も新しい県報告によりますと、農業関係で二百二十一億円、そのうち果樹、野菜等作物関係が百五十九億円、その他林業関係百二十一億円、農林業合わせまして三百四十二億円という、多分全国的に見まして県単位で最大被害ではないかと思うわけでございます。  ところで、天災融資法の発動についてでございますが、これにつきましては従来からのルールのように、やはり被害状況の数字を把握した上で判断をするということになるわけでございまして、現在私どもの統計情報部におきまして被害の数値を調査取りまとめ中でございます。まだ若干の時日を要すると考えておりますので、その数値を見た上で判断をさせていただきたい、かように存ずる次第でございます。  また、第二点の特別被害地域の問題でございますが、これにつきましては、先生御案内のように、県単位に天災融資法を発動する際、政令において特別被害地域指定できる県というものを指定するわけでございますが、これにつきましても県単位の被害状況を十分にらんだ上で判断いたしたい、かように考えております。
  152. 串原義直

    串原委員 農林省に具体的な点で一つ伺いますけれども、この災害資金の中で自作農維持資金の制度がございますね。この資金枠がちょっと少な過ぎるのではないか、枠の拡大を図らなければいけないのではないか。それからいま一つは、個人の場合、これはたしか百五十万円でしたね。いまの物価高の時代にこれはいささか少な過ぎるのではないか、少なくとも二百五十万ぐらいに上げなければいかぬのではないか、こう思う。いかがですか。
  153. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 ただいま先生指摘の自作農資金の限度枠の問題でございますが、確かに現在のところ、一般的には百五十万という限度で融通しているわけでございます。ただ、都府県で見ますると二百五十万までの限度で融通をしている県もございます。これらはいずれにいたしましても被害の県単位の実情ないしは当該県の被害を受けました農家の資金需要等々を勘案した上で判断するわけでございまして、たしか現在、長野県につきましては限度額は百五十万かと考えますが、今般の被害の激甚さを十分考慮いたしまして、長野県当局とも十分相談した上で適切な対応をしてまいりたい、かように考えます。
  154. 串原義直

    串原委員 時間が参りましたので、終わります。     ―――――――――――――
  155. 川俣健二郎

    川俣委員長 この際、お諮りいたします。  先刻の地震について、気象庁からある程度の詳細な報告を受けるまで、国土庁から速報を求めたいと考えますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 川俣健二郎

    川俣委員長 それでは、小松原課長。
  157. 小松原茂郎

    ○小松原説明員 先ほどの地震について御報告いたします。  発生の時刻が十三時三十三分ごろでありまして、震源の位置は伊豆大島の近海でございます。最大の震度が東京、館山の四でございまして、以下横浜が三、熊谷、日光、秩父が二、水戸、宇都宮、銚子が一となっておる旨、気象庁から報告をいただいております。  被害状況はわかりませんが、震度四程度でございますと、被害は生じていないものと考えられます。  以上でございます。
  158. 川俣健二郎

    川俣委員長 なお、委員会開会時刻終了までにさらに詳しい結果が出た場合は報告を求めることとして、次に進みたいと思います。     ―――――――――――――
  159. 川俣健二郎

    川俣委員長 薮仲義彦君。
  160. 薮仲義彦

    薮仲委員 ただいま国土庁から五十七年七月、八月の豪雨による災害の資料をいただいたわけでございますが、四百名を超すとうとい人命が失われたわけでございまして、亡くなられた方に対して心から御冥福をお祈り申し上げ、けがをなさった方が一日も早く回復するように、そして被災なさった方々に対しお見舞いを申し上げるものでございます。  亡くなられた方々の御冥福を祈りながら、私は今回のこの長崎豪雨被害、これを通じて国が、そしてわれわれが持たなければならない責任というものは、今後こういう痛ましい事故を何とか最大限防いで人命だけは守っていかなければならないと、決意を新たにするものでございますが、きょうは国土庁長官にその点をしかとお伺いすると同時に、消防庁長官にもおいでいただきまして、地域防災の重要性の観点から今後行政がどう対応していったらいいのか、そういう問題を何点かにわたって指摘しながらお伺いしたいと思うのでございます。  先ほど来何人かの方がお伺いしておりますけれども、私は、やはり大臣にこの際重ねてお伺いしておきたいのは、激甚災害指定ということは、災害に遭われた地域、そして財政事情の厳しい町村においては非常に重要な事柄でございます。今日のようにゼロシーリング、行財政改革という折に、大蔵当局との折衝は一に大臣の御努力にかかるわけでございますが、やはりそういう中で、長官として災害に遭われた方々の復旧の一日も早からんことを願い、また御決意なさっていることは当然として、この激甚災害に対する指定を大臣としてはいまどのような御決意でいらっしゃるか、冒頭にお伺いしたいと思います。
  161. 松野幸泰

    松野国務大臣 お答え申し上げるまでもなく、先ほど来申し上げておるように、激甚災害という問題は何物にも最優先の予算獲得をしなければならぬという決意で私はおりまして、その点は先生と全く同感でございます。  そこで、激甚災害指定のためには、先ほど来申し上げておりますように、前提として被害額の把握が必要であり、現在関係省庁で調整を急いでいるところであります。公共土木及び農地、農業用施設についての被害額は、現在まだ最終的な調査がまとまる段階に至っておりませんので、激甚の指定についてなお若干の日時を要する見込みですが、私といたしましては、激甚の指定ができるものと見ております。  中小企業関係については八月中旬を目途に行うべく検討を進めておりますということも先ほど申し上げておりますが、全力を挙げておりますので、よろしく御了承いただきたいと思います。
  162. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうか大臣のその御決意で、ここにいる委員はもちろんのこと、全国会議員心を同じくしていることでございますので、御努力を重ねてお願いして、そのことは終わります。  それでは、具体的な問題に入りますけれども、これは今度一番災害に遭われた長崎市の地域防災計画、このようにりっぱな本、これは大臣は篤と御承知だと思います。直接の指導監督は、消防庁長官もお見えでございますが、消防庁がいろいろ御苦心なさってこのようなものができ上がっているわけでございます。この地域防災計画というものがこのように整備されておる。しかし、これで多くの方が亡くなったということになりますと、やはりわれわれはこの中から幾つかの教訓を学び取って、次への大事な参考といいますか、そして改善を図っていかなければならないと思うわけでございます。  そこで、長崎においては大変多くの方が亡くなられた。私は、大臣が岐阜の出身で、岐阜の知事もおやりになっておった、その立場から、大臣が最もたなごころを指すように知っていらっしゃる岐阜の例を引いて、地域防災というのはどうあらねばならないかという点を具体的にお話ししたいと思うのです。  私は、まず岐阜のことはたなごころを指すようにわかっている大臣でございますから、ちょっと当時のことを思い起こしていただきたいと思うのでございますが、岐阜県で、同じようなといいましても規模は大分違いますけれども土石流災害発生いたしました。そのときに人的な被害がどうであったかという面について、事実関係だけで結構でございますが、昭和五十六年七月十二日から十三日にかけまして激甚な被害岐阜県の八幡町、大和村、板取村で受けております、大臣御承知だと思います、このときの人的被害はどうであったか、この点、被害の内容と人的被害について、まず国土庁からお伺いしたいのです。
  163. 荒井紀雄

    ○荒井政府委員 昭和五十六年七月十二日から十三日にかけまして、岐阜県下一帯に集中豪雨があったわけでございます。御指摘の八幡町、大和村、板取村におきましてはそれぞれ、八幡町におきましては軽傷一、住宅の全壊二、半壊一、大和村におきましては重傷一、軽傷一、全壊が六、半壊が十二、板取村におきましては住宅の全壊七、半壊五十一という結果でございまして、人的事故がきわめて軽少にとどまったというのが特徴でございます。
  164. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣、いま報告がありましたように、亡くなられた方はゼロでございます。私は、長崎は異常豪雨である、これはわかります。ただし、同じような土石流があって、片やなぜ人的被害がゼロだったのか、ここに私はこの地域防災計画というものをもう一度見直す必要性を痛切に感じておるわけでございます。  具体的に言いますと、「長崎市地域防災計画」、この五ページにこういうことが出ております。長崎というのは年間、平均雨量は二千ミリです。ここにこう書いてあります。「一応本県における雨量と災害の関係の基準としては、雨量二百ミリで広範囲にわたるがけくずれ 三百ミリで河川のはんらん、地すべり四百ミリで大地すべり山津波の大災害が予想される」と冒頭に書いてあります。  では、ここで、気象庁お見えだと思うのですが、一体長崎はどのような降雨状況であったかということをお伺いしたいのでございます。いまここで二百ミリあるいは四百ミリという数値が出ておりますけれども、長崎は異常でございますから、当時七月十日から長崎は雨が降り始めております、七月十日から降り始めた雨が何日目で二百ミリをオーバーしたか、あるいは五百ミリを何日目でオーバーしているか、この二十四日までの間に何ミリの雨が降ったか、簡単で結構でございますから、数字だけ言っていただけますか。
  165. 駒林誠

    ○駒林説明員 お答え申し上げます。  積算した雨量が二百ミリを突破いたしましたのは七月十三日でございます。五百ミリを突破したのは七月二十日でございます。総積算雨量は約千百ミリでございます。
  166. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣、いまおわかりのとおり、約一カ月間に一年の半分の雨が降ったのです。しかも、ここの中で言っている二百ミリあるいは三百ミリ、四百ミリで危ないですよというのは、すでに降り始めて四日目です。そして、二十日までにはもう五百ミリを越えて、六百ミリ近い雨が降っているわけです。  こうなりますと、確かに雨というのは素因ではございませんけれども災害の要因です。これだけ雨が降ったら一体どうなるのかというと、この長崎の緊急配備の体制で、ちょっと見てみますと、ここにこう書いてあるのですよ。「警戒配備基準雨量」というのが百四十五ページに出ているのです。そうしますと、これだけの雨が降ると、当然これは非常に大変だなという警戒事態に入ると思うのでございますけれども、これは消防庁から、この雨量というものに対して避難体制というのはどういう事態であったのか、その辺、おわかりになればちょっとお答えいただきたいのです。
  167. 土井豊

    ○土井説明員 大雨洪水警報等を受けましてどのような対応策をとったかという点でございますけれども、当日におきましては、特に消防局の中に災害対策本部というのが設置されました。そして、これは大雨が降り始めた直後でございますけれども、十九時二十分消防局として第四警戒配備、これは全消防職団員という形の全員招集の配備でございますが、そういう体制をとったわけでございます。
  168. 薮仲義彦

    薮仲委員 いまのをちょっと正確に、七月の何日でございますか。
  169. 土井豊

    ○土井説明員 二十三日でございます。
  170. 薮仲義彦

    薮仲委員 いま申し上げましたように、七月二十三日に初めて警戒配備につかれたわけです。しかし、私が申し上げるのは、二十日の時点で六百ミリに近い雨量があったわけです。これは年間雨量の約半分近いものが降ってきたわけでございますから、この雨量だけでも異常を感じなければならない。このような地域防災計画があっても、二十三日の時点まで警戒配備というものがなされていないという点は、私、検討の余地ありと思う問題点の一つなんです。  消防庁長官がお見えでございますから、私の趣旨をちょっと申し上げておきますと、私はここで一つ一つのことがよかった、悪かったということを言うつもりは毛頭ございません。次への前進のために、事実はどうであったかということをお互いに正確に理解した上で、では今後どうすればいいかという判断を確立するために、事実関係だけ確認をさせていただきますので、その点は御了承の上で御答弁いただいて結構でございます。  それから、一番問題なのは、いわゆる地域防災計画。大臣御承知の災害対策基本法の六十条で、市町村長は避難命令を出さなければなりません。避難命令を出す責任がございます。  この百三十二ページに「避難の勧告、又は指示の基準」というのがございます。これを一つずつ読んでまいりますと、「市長が豪雨台風、地震、津波等災害に関する注意報若しくは警報を知り、又は警報を発令し危険地域の避難を要すると判断されるとき。」避難命令を出しなさい、こう書いてあるのです。  さあ、これで、たとえば長官、あなたも知事をおやりになった、あるいは御家族の中に首長さんもいらっしゃる。判断基準として、果たして町長さんなり村長さんなり市長さんなりが蛮勇をふるって避難しろと言う条件がこれだけの行数でおわかりになるかどうか、これが一つ。  もう一つは、「河川が、警戒水位を突破し溢水、又は漏水のおそれがあるとき。」これは、では具体的にお伺いしますけれども、一番問題になった中島川、浦上川ですが、浦上川の流下能力は七百トン・パー・セカンドですね。中島川はそれより小さい六百五十トン・パー・セカンド、これぐらいの流下流量しか持っておらぬのです。これが警戒水位を超えたのは一体何時の時点で、それで果たして間に合ったのかを含めて、防災課長、いかがでしょう。
  171. 土井豊

    ○土井説明員 恐縮でございますが、具体的に何時何分にいま言った水位になったかという詳細な報告は私どもまだ承っておりませんので……。
  172. 薮仲義彦

    薮仲委員 もう一点、ここにある「市長が避難を要すると判断される」この判断の基準ですけれども、では、警戒水位以外のことではどういうことで判断することが妥当な判断でしょうか、いかがでしょう。
  173. 土井豊

    ○土井説明員 現実的には大変むずかしい問題かと思いますが、基本的には住民の生命、財産が危機に瀕するおそれがあるというような状況であろうかと思います。
  174. 薮仲義彦

    薮仲委員 まあ、そういう御答弁でやむを得ないと思って次へ進ませていただきますけれども、百三十三ページに伝達方法がございます。これは地域住民に避難しなさいよという伝達方法です。ここには系統図が書いてございますが、これで見てまいりますと、住民に対してどういう系統になっているかといいますと、消防署がやるのは拡声器と巡回、消防団はサイレン、警鐘、巡回、警察は巡回。ということは、本来こういうときに一番有効なのは防災無線であるということは消防庁も篤と御認識の上で予算措置を講じていらっしゃるわけでありますけれども、この徹底のあり方にも非常に反省の材料があるのじゃないか。「戸別毎に警報の周知徹底を期する。」とありますが、あれだけの雨量になりますと、戸別に回れたのか、あるいは巡回といって広報車が走ることになっているのですが、広報車が走れたのかどうか、あるいはサイレンと言いますけれども、電気が切れてしまったらサイレンが鳴るのか等々を考えますと、私はもっともっと改善しなければならぬのじゃないかなと思いますが、この点、いかがでありますか。
  175. 土井豊

    ○土井説明員 おっしゃるとおり、当日の状況におきましてはサイレンあるいは広報車等による伝達というのは非常に困難であった、事実上ほとんどできなかったという状況でございます。ただ、消防職団員が先ほど言いました招集を受けた後、可能な範囲内で戸別に部分的な避難勧告といったようなものを行った。しかしながら、われわれといたしましても、いま御指摘市町村の中における防災行政無線網がこういったケースの際には有効であろうというふうに考えておりまして、今後ともその充実に努めていきたいと考えております。
  176. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、挙げれば数限りないが余り言うのもいかがかと思うので、もう一点でとめておきますけれども、冒頭に雨量を出しているわけです。百四十五ページに「警戒配備体制」というのがあって、「第一警戒配備」「第二警戒配備」として、雨量がかくかくしかじかの場合はこうですよ、前日雨量あるいは当日雨量がこの場合はこうですよということが出ているのです。これは警戒配備に入りなさいということでありますけれども、ここに欠落しているのは、では、住民がどの時点で逃げたらいいのか。五ページには「地すべり」「がけくずれ」「大災害」と書いてあるのですが、では、どの雨量で迷げたらいいのかということがここに欠落しているように思うのですけれども、こういう点はいかがお考えでございますか。
  177. 土井豊

    ○土井説明員 確かに大変むずかしい問題でございまして、当日のたとえば夜の八時前後の状況というのを考えますと、道路が相当深い水であふれておる、そういう状態で外へ出るということは出ること自体が危険を伴うといったようないろいろな特別の事情もあったかと思います。そういう点では、われわれも地域防災計画の内容あるいは長崎市の当日の具体的な事情というような情報をできるだけ早く市の当局からよく聞きまして、今後の検討の材料といたしたいというふうに考えております。
  178. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、気象庁にもう一回お伺いしたいのは、警報を発令したのは二十三日の十六時五十分だと思いますけれども、この時間で間違いがないのかどうか。  それから、国土庁災害対策本部を長崎市に設置したのは何時か、その二点を両省からちょっとお答えいただきたい。
  179. 駒林誠

    ○駒林説明員 十六時五十分で間違いございません。
  180. 荒井紀雄

    ○荒井政府委員 長崎県災害対策本部設置は二十時三十分でございます。市の災害対策本部は、水防本部の設置が十六時五十分、それから消防局の災害対策本部設置が十六時五十分、それから災対本部切りかえが二十時三十分でございます。
  181. 薮仲義彦

    薮仲委員 いまお聞きのように、市の災害対策本部は警報発令後二時間です。これは早いとか遅いとかいうのでなく、事実関係として大臣に知っておいていただきたい事案なのです。消防庁に対しても何点か指摘させていただきましたけれども、これは今後の検討としていただきたいという意味で申し上げたことでございますので、きょうはこのぐらいにしておきますが、大臣、ここからいよいよあなたの出番でございます。  なぜ私が大臣の一番わかりやすい例を出したかといいますと、先ほどの岐阜災害で言いますとこういうことなのです。まず、警報の段階ですが、「村長の集中豪雨による事故防止の呼びかけ、ならびに区長・消防団員による危険住宅への警戒・避難の呼びかけが行なわれた。岐阜県下に大雨洪水雷雨警報が発令されたのは、役場に災害対策本部が設置されてから一時間三十分後であった。」これは完全に災害対策本部ができてから警報が出ましたよということです。ということは、もう警報が出る前に災害対策の対応をつくっておるということで、私はここに一番大事な事柄があるのじゃないかと思うのです。  そこで、なぜ警報が出る前にこんな災害の準備ができたのか、これについて私は幾つかの経験的なことで大臣にお願いしたいのは、大臣は岐阜ですが、これは国全体の問題としてお願いしたいのですけれども、ここに「非難勧告の指示者とその理由」というのがある。いま私が読んでいるのは建設省のアンケートをとった資料なのですけれども、「避難に際しては、誰が・いつ・どのような理由により避難の勧告をするか」というのが一番大事です。この岐阜の場合に人的被害が起こらなかったのは、こういうことなのです。この方々は昭和三十四年の伊勢湾台風のときの洪水を経験していたから、雨の降り方から、伊勢湾台風のときよりも大洪水になるぞと、この地域の人はみんな思った、これが一つ。二つ目は、川の増水の仕方が異常であり、なかなか水位が下がらないので危険だなと思った。それから、ことしの冬の豪雪で山崩れが起きて、その崩れた土砂が山間部にたまっているし、木の根も緩んでいるから危ないと思った。ガラガラという音がした。こういうように、水位が下がらないとか、あるいは大雨が出たぞというときに、もう皆さんは警戒態勢に入っているわけです。  こういうことは、私はこの間から建設省の方あるいは国土庁、気象庁、いろいろな方々の御意見を伺っておりますけれども、一番大事なのは、逃げるときの判断基準というものをここできちんとしておきませんと、先ほど消防庁にお伺いしたように、抽象的な答えしか返ってこない。市長が一体どの段階で逃げろと言っていいのかわからない。また、それを待っていたのでは危ないから、住民の方は先に逃げなければならない。こういう点を踏まえまして、生きたとは言いませんけれども長官のところで、本当に人命尊重に役に立つ地域防災のあり方というものを、国土庁が中心になって、国全体の問題として検討していただかねばいかぬ。  消防庁は消防庁でいろいろ御努力なさって、地域防災計画を一生懸命つくってくださっている。でも、いま育ったように、専門的な部分ではこういう指摘があるのですよ。住民だけではなく砂防関係の専門家も一緒にならないとだめだとか、たとえば水害には安全でも土石流災害では危険である、だから総合的な対策が必要ですと、その地域の人は教訓として言っているのです。ということはやはり、その地域には急傾斜もあります。土石流もあります。川の溢水もあります。そうすると、建設省の持っている技術や豊富な資料、情報も必要でしょう。また、避難した後の警戒誘導は警察庁にお願いしなければならぬでしょう。気象庁の持っている力によってある程度の、雨量の予報も必要でしょう。あるいは消防庁の持っている力によって、水防団、消防団の応援も必要でしょう。  総合的なものは各地域において市町村でやっているのですけれども、今度建設省土石流の危険地域を事務次官通達で出しました。遅まきと言うと怒るかもしれません、時を得たと言った方が喜ぶのかどうか知りませんが、私はそのどちらでもあろうかと思うのですけれども、いずれにせよ、あれは建設省でなければできない資料であり、指摘だと思うのです。急傾斜地、土石流の危険がありますよ、標識を立てなさい。そういうものを総合して、国土庁に今後の災害防除のためにしっかりとした検討機関をつくっていただいて、この地域の知恵というものを生かしつつ、人命だけは何とか守っていただきたいな、こう私は思うのです。  長官、この中にもっといいことが書いてあるのです。情報伝達、地区間の情報は消防団の無線を通じて円滑に行われた、豪雨の音や土石流のゴーゴーという音で、サイレンでの危険の周知は徹底を欠く、やはり無線や何かでやっていただくのが結構だ、電気が切れたら大変ですということも、ここに書いてあるのです。  こういう問題を見てまいりますと、この地域防災のあり方については、河川について、土石流の危険のある地域について、急傾斜地について、一つ一つそのマニュアルは違うと思うのです。長崎市でも、あのすり鉢の底のところとがけ崩れのあったところでは全部対応が違うと思います。こういうものについて一つ一つ、人命尊重の立場から、安全な避難の手引書、マニュアルを各省庁に協力いただいておつくりいただきたいと私は思うのでございますが、大臣が長官のときに、人命の損傷といいますか、被害が最小限に食いとめられる方法を何とかつくっていただきたい。この岐阜の例、このペーパーの中に多くの教訓を私は学び取っておりますので、大臣にこの点をお願いしたいと思いますが、いかがでございますか。
  182. 松野幸泰

    松野国務大臣 岐阜の例を挙げていただいて、私も大変ありがたく思います。そのとおりでございましたが、実はもう一つ、古い話でございますけれども昭和三十四年の伊勢湾台風のときに、藤橋村の杉原地区で大きな土砂崩れがあって、一部落全部土砂に埋まってしまいました。私もそのときヘリコプターで現地に行きましたが、一人の死傷者もなかったのはどういうことかといいますと、背から安全な場所に古いお宮さんがあるわけです。電気が消えてどうにもならなかったけれども、どしゃ降りの中を老若男女を問わず全部そのお宮まで避難しておった。私が現地に行きましたところが、家の中まで全部土砂で、一部落埋まってしまった。その教訓というものがさらに生かされまして、五十六年のあの災害防止もできたと私は思います。  先ほど来のお話は、一地方の問題ではなく、せっかく御指摘をいただきましたし、国土庁としては、これは総合的な立場に立って全力を挙げて答弁をさせていただきたいと思いますが、御承知の今次の災害から、改めて豪雨災害に対しては気象警報の迅速かつ確実な伝達、がけ崩れ等の危険のある地域をあらかじめ指定し、住民への周知徹底を図ること、緊急時には早期避難を初め的確な対応ができる体制整備することについて、真に実効が上がるような総合的な土砂災害対策を進める必要性を痛感した次第であります。  これまでも、警報の住民への伝達及び避難に関する事項は市町村災害対策の中でも最も重要なものの一つであり、市町村地域防災計画に、避難の勧告、指示、その伝達方法、避難場所の開設等についてあらかじめ定めてありますが、具体的な避難指示の基準の定めがない、あるいはあっても生きたものとして住民にとらえられていないなど、不十分な点があることも事実でございます。  国土庁としましても、今回の災害を貴重な教訓として、避難誘導体制を初め総合的な土砂災害対策のあり方について、警察庁、消防庁、建設省を初め関係省庁と協力して調査研究を進め、市町村災害対策を一層充実すべく十分努力してまいる所存でございます。
  183. 薮仲義彦

    薮仲委員 先ほどから私は、消防庁長官がお見えなのに大変一方的な言い方をしておりまして、はなはだ恐縮しておるわけでございますけれども、消防庁が日ごろ地域防災あるいはいろいろな防災全力を尽くしてがんばっていてくださることを十分承知の上で際立ったことを申し上げたので、大変聞きづらいといいますか、私も言いながら心の中で悔やみつつ指摘をさせていただいたわけでございます。  私は、人命尊重の立場から、いま松野国土庁長官からお話がございましたように、国を挙げて災害防除、そして人命救助には御尽力いただきたい。そういう意味において、国土庁がそういう形で協議をしようというとき、やはり消防庁の持っていらっしゃる経験というのは非常に生かされなければならないと私は思いますし、積極的に、この地域防災の改めての人命尊重の立場からの確立といいますか、いまの長官のお話のように、人命が救助される、生かされた防災計画を立案することに御尽力いただきたいと思うのでございますが、長官、いかがでございましょう。
  184. 砂子田隆

    ○砂子田政府委員 先ほどから長崎に関します防災につきましていろいろな御指摘がございました。私もお聞きをいたしておりまして、私たちが指導いたしております地域防災計画が万全であるとは思っておりませんので、むしろいろいろな御指摘をいただいたことを大変ありがたいと思っております。そういう点が一つ一つ積み上げられまして、これからの地域防災がうまくいくように私たちも努力をしなければいかぬ、かように思っております。  もともと私は、消防団の方々があの夜にまず最初に出動して各方面でいろいろ御活躍願いましたし、その中には不幸にしてお亡くなりになった方もありましたし、また、多くの市民の方々がこの災害に巻き込まれて亡くなられるという大変痛ましい状況が出ておることに対しましては、大変残念に思っておりますし、そのようなことが今後あってはならないものだと常に思っております。  いまお話にございましたように、災害が起きたとき一番先に守らなければならぬのは、消防としては生命であるとか財産であるとかいろいろなことがございますが、やはり私は人間の命を守るということが最も大事なことだと思っておりますし、そのための避難体制の確立ということは何をさておいてもやらなければならないことだと思っております。  そういう点におきましても、お示しの長崎の防災計画にいろいろなことが書いてはある、書いてはあるが、その書いていることすらあるいは実行できなかったのではないか、その事情、どうしてそういうふうになるのかということも、これはその地域におけるいろいろな実態として存在をすると私は思います。いろいろなことが起きまして、ときどきあわてて何もできない、そういうこともありますけれども、ともかく、やはりそういう災害のための平時の訓練というのが、またこれは大変大事だとも思っております。  そういう意味で、いまお話がありましたように、地域防災計画というのをやはり実態に合ったような見直しをしていくということがまず非常に大事だと思っております。しかも、これは厳しく見直しをしなければならぬだろう。さらには、避難体制をどうするか。いまお話がありましたように、どういう点でだれが判断をしていくかということも大変大事ですし、住民自身もやはり判断ができるような体制を整えておくという自主防災体制の確立ということも、これまた非常に大事だと思っております。  そういう点を含めながら、やはり住民がそういう事態が起きたときに一刻も早く避難ができる体制をとる。そのために、お話にございましたような防災計画に関するそういう避難のマニュアルというものを検討するということは、大変時宜を得たお考えであると私は思っております。いま国土庁長官からお話がございましたが、そういう点をかんがみまして、国土庁がもしそういうお考えで研究会をおつくりになる、あるいはそういうことについておやりになるということであれば、消防庁としても積極的にこれに参加をして、一日も早くそういう災害から住民が守られるような体制をしていくことに、全く異存はございません。
  185. 薮仲義彦

    薮仲委員 消防庁のその大変な御苦労を多としておりますので、どうかよろしくお願いをしたいと思います。  きょうはいろいろな問題を聞こうと思ったのですが、もう時間が参りましたので、まとめて各省庁にお伺いしたいのでございますが、建設省、ぜひともただいまの国土庁長官の御発言に御協力いただいて、土石流初め急傾斜、河川の溢水等は建設省の最も専門でございますので、この点十分な対応をしていただいて、住民の生命を守るために御尽力、御協力いただきたいと思います。河川局長の御決意を伺いたいのでございますが……。
  186. 川本正知

    川本政府委員 今回の長崎を初めといたします全国各地での大水害は、大変深刻な被害各地に与えておるわけでございまして、特に、先生いま御指摘の人命災害が非常に多かったということが非常に重大なことであると私ども受けとめております。  こういった災害をなくしますためには、やはりいま申されたような河川あるいは土石流対策、砂防設備も含めまして、そういった河川整備水準、治水の整備水準を上げるということがまず第一に肝要だと思っております。そのためには、やはり、現在、今年からスタートいたしました第六次の治水事業五カ年計画を何としてでも達成したい。そのために最大の努力を傾けるという決意でございます。  また、そういったものとあわせまして、いま御指摘にありましたような警戒避難体制といいますか、そういったものにつきましても、やはり大事な一つの方策でございまして、お話がございましたように、ついごく最近次官通達を出したところでございますが、それを実効あらしめるために、やはりきめの細かい現地に対応したやり方を徹底していかなければいかぬと思っております。そのためには、今後引き続いて砂防部上長通達等を追いかけて出しまして、地建なりあるいは府県を強力に指導して、警戒避難が十分徹底されますように指導してまいりたい、そう思っておるところでございます。
  187. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、警察庁、それから気象庁、いま大臣のお話もございましたので、両庁はただいまの大臣の御決意に対していかがか、警察庁と気象庁のお考えをちょっとお伺いしたいと思います。
  188. 長倉眞一

    ○長倉説明員 お答えします。  警察といたしましても、関係省庁と緊密の連携のもとにおきまして協力してまいりたい、このように存じております。
  189. 駒林誠

    ○駒林説明員 気象庁が発表いたします注意報、警報はとうとい人命、財産をお守り申し上げるためのものでございます。先年に御指摘いただきましたように、地域防災のなお一層の充実のために積極的に協力してまいりたいと考えております。
  190. 薮仲義彦

    薮仲委員 以上で質問を終わります。どうか大臣、ただいまの大臣の御決意を具体的な形でお示しいただいて、これからいよいよ台風シーズンでございますが、大臣を初め、関係省庁の御尽力で人命が損なわれなかったという一年にしていただくよう、重ねてお願いをする次第でございます。  また、国鉄の方には質問をする時間がなくなりまして、申しわけありませんでした。  終わります。
  191. 川俣健二郎

    川俣委員長 次に、古田之久君。
  192. 吉田之久

    吉田委員 今度の台風十号及びそれに伴う大雨の災害によりまして、九州、長崎を初め、奈良、三重、長野、静岡その他、全国あらゆるところでかつてない大規模な被害が生じておりますこと、まことに憂慮にたえない次第でございます。    〔委員上長退席、池端委員長代理着席〕  それにしても、長官、今度のこの一連災害というものは非常に異常であると思うのです。いかに不確実性の時代とは申せ、ちょっとわれわれ、皆さん方がきょうまで、想定してきた災害に対する常識から逸脱したような形でいろいろ被害発生しておる、そういう感じを持たざるを行ないわけなんです。  そういう中で、いま罹災地の人たちが一番心配いたしておりますのは、また最も深い関心を払っておりますのは、一刻も早く激甚災害指定を受けたいということであろうと思います。先ほど来、各委員の質問に対しまして長官の方から、これら全国各地災害一連のものと考え、そして激甚災害指定を一体として指定するように、いまその事務的な手続を急いでいるということでございまして、大変御配慮いただいていると思いますが、いずれにしても、一刻も早くその決定をなされなければならないと思うのです。  在来から、この種の報告は各都道府県からまとまってまいりますだけでも約一カ月かかる、あるいは最終的には十二月の末ごろ改めて現地調査をやる、こういう非常に時間を要することが常識になっておりますけれども、特に今度の災害は、まだ台風シーズンの初めでございまして、それだけによほどスピーディーに処理されないと、またまた思わざる災害が続発してくるかもしれない、こう思うわけでございます。こういう中で気になりますのは、ただいま行財政改革が急がれておる、いわば国家として財政再建中であります。しかし、私は、国教の財政を再建することはきわめて重要でありますけれども、同時に、このような災害復旧を急ぐということ、これはまさに国家の富を守るということで、またきわめて重要な課題であると思います。したがって、いかに財政再建中、国家財政不如意の折からとは申せ、事このたびの復旧に関しては、政府としては一切けちることはない、金に糸目をつけないというぐらいの気持ちで臨んでいただきたいと思うのでございますけれども、その辺の御意見をまず初めにお伺いいたしたいと思います。
  193. 松野幸泰

    松野国務大臣 激甚災害、激特の指定につきましては、先ほど来皆さんにも御答弁申し上げましたが、御指摘災害復旧という問題は何物にも優先されることは当然であります。もちろん、臨調の問題も尊重しいくことは一方で大切でありますけれども災害の問題だけは何物にも優先して全力を挙げてまいりますので、せっかくの御指摘について格別な御理解と御協力をお願いいたします。
  194. 吉田之久

    吉田委員 次に、建設省にお伺いしたいのでございますけれども、在来、一日に降ります雨が八十ミリを越えた場合には災害対象となる。大体その辺が一定の判断の基準であったように私は思うわけなんでございますが、しかし、今度の一連の雨の降り方などを分析してみますと、そういうわれわれの今日までの常識とはおよそ異なった現象が続出し始めておるというふうな気がするわけでございます。  わが奈良県におきましても、大体、一日目に、七月三十一日から八月一日の朝にかけまして、平たん部では百六十ないし二百十ミリ、南部山間地帯では三百ないし九百五十ミリの雨が一挙に降っております。二日夜半から三日にかけてさらに平たん部では百三十ないし百六十ミリ、南部山岳地帯では百三十五ないし百五十ミリに達する大雨が降っておるわけでございます。ですから、何か地球上に変化が起こっているような気さえするわけであります。  問題は、今後災害に対する行政の側から見た一走の尺度というものに対して一つの変更を加えざるを得ないのではないか、災害復旧に伴いましても、在来の発想や想定とは変わった、一歩踏み込んだ新しい対策というものが必要になってきているのではないかというふうな気がするわけでございます。いわば天然現象の中に何らかの変化が起こり始めているのではないか。さらに、一方、われわれの住んでおります社会全体がかなり環境の変化を来しております。いろいろ問題も生じておりますけれども、そういう二つの変化が相まって増幅して、こういう災害というものが激増されていく。だから、それは決して今度の災害に見られるだけの例外的な一過性のものではないと思わざるを得ないわけでございます。この辺、今後建設省としてはどのような新しい対応をなさろうといたしておりますか、お答えいただきたいと思います。
  195. 玉光弘明

    玉光説明員 先生指摘のように、このたびの台風十号並びにその直後の低気圧によります豪雨は、大和川では過去にない未曽有のものであったわけでございまして、今回の災害と出しますのは、まだ十分治水施設ができておらないところに容量以上の豪雨があったということに私ども考えているわけでございます。  流域におきましても開発は進んでおりますけれども、ある程度の開発は見込んだ上で工事実施基本計画というものを立てまして、それに沿って改修を促進しているわけでございます。河川整備に当たりましては、水系一貫しまして上下流等を考えながら、バランスをとりながらやっていかなければいけませんし、そういうことも考えながらより一層の整備を進めていきたいと思います。また、河川が持っております保水機能等も維持するような考えで総合的な治水という考え方を取り入れて、あわせて今後進めていきたいと考えているわけでございます。
  196. 吉田之久

    吉田委員 私どももいまいろいろ反省しているところなんでございますが、大体奈良県というところは、神武以来、日本でも最も安全な、安定したところだ、地震も少ないし、台風もまずはなかなか直撃しない、こういう感じでおったわけでございますけれども、今度のこの災害発生を見まして、そういう従来の常識というものが一挙に壊されてきているような気がするわけでございます。特に、まだ記憶に生々しい伊勢湾台風の場合、あれもかなり惨たんたる被害を受けたわけでございまして、そのときの被害総額は百八十三億円余りでありますけれども、今度の場合には何と六百八十億を超えるであろうと言われている事態なのでございます。  こういう中で、われわれは今後どう対応すべきであるかということでございますけれども、まず、災害の場合には原形復旧が原則でありましたが、しかし、いままでどおりのところに復旧したって、それではもうもたないということが証明され始めておるわけでございます。だとするならば、今後復旧というものはすべて改良復旧そのものでなければ今後の災害防止することができないのではないか、そういう点で、復旧の質の問題が改めて問われなければならないと思うわけなんでございます。こういう点にわたりまして、建設省としては今後総合的にどのような新しい指導をなさろうとするのか。  いま一つは、時間もございませんので、かためていろいろ御質問いたしますけれども、各市町村長の判断だけでは、あるいは一つの府や県だけの判断だけではもはや対策は成り立たないと思うのです。上流の県から下の県や府に至る一連の総合的な判断、あるいは各市町村長が全部一貫して総合的に対応しないと、一カ所だけがよくなっても、一部分に欠落した場所がありましたら、それで災害は再び発生するわけでございます。この辺のグローバルな対策というものがいよいよ必要ではないかと思います。先ほど申しました原形復旧から改良復旧へ、こういう新しい発想の転換あるいは総合的な指導、こういう点にわたりまして建設省並びに国土庁長官の御所見を拝したいと思います。長官は、おられなければ結構です。
  197. 狩野昇

    狩野説明員 お答えいたします。  まず第一点、先生の御指摘の改良復旧で今後対処すべきでないか、こういう御意見でございます。私どもとしましても、改良復旧を今後ますます積極的に取り入れていかねばならないというぐあいに考えている次第でございます。原形復旧ということが負担法の原則ということにはなっておりますが、在来も、その工法あるいは技術面におきましても、再度災害防止するために、その時代時代のと申しますか、新しい考え、新しい工法を取り入れて対応していくといった実態でございますが、今後なお一層改良復旧の方向に向かって積極的に努めてまいりたいというぐあいに考えております。  それから、第二点目の、一つ市町村ということでなくて、上下流といいますか、あるいは数府県にまたがる問題でございますが、河川の問題といいますものは、流域全体を眺めて把握して、それを上下流のバランスをとりながら、それぞれの治水効果を考えながら対処していくというのが基本でございます。いわゆる水系一貫で対応していくということでございますが、特に、最近は開発等も非常に盛んに行われております。そういったことによります流出の変化等にも、やはり同様に上下流一貫して対応しなければいかぬというぐあいに考えておりまして、保水機能、遊水機能の維持といった問題等もあわせまして、総合的な治水対策を今後推進してまいりたいというぐあいに考えております。
  198. 吉田之久

    吉田委員 そこで、具体的に、たとえば今度私の町を流れております初瀬川が決壊し、そして、その翌日、またそこから大量の雨が平野に流れ込んだという事態が起こっているわけなんでございますが、いま現地で一番憂慮いたしておりますのは、しかしあすにも次々とまた台風が来るかもしれない、だから、いま改良復旧あるいは本格的な復旧はできないわけです。ここ当面の二カ月をどう対応するかという問題が一つであります。  それから、いま一つは、いま申しましたような来年にかけてどういう改良を加えるかという問題が出てまいります。同時に、抜本的な改修をやはりこの辺でいよいよ決断せざるを得ない。ここ十数年来絶えず問題になってきた川でございます、天井川でもありますし。大体、大分下流の方からは本格的な改修をしてきております。上の方からも手直しをしてきております。しかし、あの法貴寺あたりを中心にいたしまして、今度決壊いたしましたあたりは非常に川幅自身が狭くなっておりまして、町の真ん中を流れておってもはや身動きもできない、それ以上川幅を大きくすることもできない、こういう問題があるわけなのでございます。かねて建設省の方では、この河川の抜本的な改修をどうするかというようなことをいろいろ御検討いただいてまいりました。しかし、このところ数年間あるいは十年余り現地のいろいろな対応がはかどりませんで、たなざらしになっておったまま今度の被害を受けたわけでございます。したがって、この現地との今後の交渉をどう早めていただくか、建設省のただいま時点の抜本的な対策、それから、さきに申しましたここ当面の応急措置、その辺につきましてさらに具体的に申していただきたいと思います。
  199. 狩野昇

    狩野説明員 お答えいたします。  先生指摘の大和川の支川の初瀬川の件であると思いますが、御指摘のように、八月一日、三日と二度にわたってはんらんしておりますが、県におきまして、締め切り工も第一回のときにも応急に着手したわけでございますが、第二問の破堤の直後から仮締め切り工に着手して、現在盛り土及び矢板工を完了して、土俵による盛り土を完了しております。これで当面、本年の出水期間を何とかしのぎたいというぐあいに考えております。本個所の本復旧につきましては、本年の出水期後早急に着手いたしまして、来年以降の出水に備えたいというぐあいに考えております。  なお、恒久対策につきましては、この河川につきましては相当以前から、中小河川改修事業ということで、抜本的な改修ということも含めて着手しておったわけでございます。先生指摘のように、上下流からそれぞれ進めておったわけでございますが、いろいろ地元との協力等に問題もございまして、なかなか難航しておるわけでございますが、今後、この災害を機会にひとつ強力に推進いたしたいと考えておりまして、県と十分協議をいたしまして、実施可能といいますか、実現に向かって強力に推進していきたいというぐあいに考えております。
  200. 吉田之久

    吉田委員 なお、ここ当面の応急復旧作業あるいは工法等につきまして、平時のように丹念に、時間をかけていろいろ設計図をつくって、関係当局と相談してというような時間的余裕がないと思うわけなんです。しかし、こういう災害応急復旧等につきましては、国の方からいろいろな補助や助成を当然仰がなければなりません。こういう場合、地方公共団体が責任を持って指示した仕事というもの、工事というものは、そのまま正式なものとして間違いなく認定されるものかどうか、あるいは、とりあえず現場の写真等を撮っておいて、そして後で復旧してこうこうしたということで済まされなければとても間に合わないと思うわけでございますけれども、その辺はそれでよろしゅうございますか。
  201. 狩野昇

    狩野説明員 お答えいたします。  応急の仮工事につきましては、地元の判断によりまして緊急に施行したものについては、当然負担法の対象といたしております。それから、さらに応急に本工事を施行しなければならないといったような場合におきましても、御指摘のように、工法等の協議を受けまして、査定以前にも着手して実施していただき、それを災害復旧の負担法の対象にいたしております。
  202. 吉田之久

    吉田委員 次に、電電公社の方、来ていただいていると思うのですが、ちょうど八月一日の日、日曜日でしたが、私は東京におりまして、その夜、家と連絡をとりながら、少し降っているなという話をいたしておりました。翌日、二日の朝、テレビを見ましたら、奈良県の私の町が大変な災害を受けているのが報道されたわけなんです。すぐに家へ電話しましたら、全然かかりません。もう一通の電話にも電話しましたが、全く反応はありません。向かいに住んでいる弟の家に電話したけれども、通じません。もうどうにもならないわけなんです。ややあって電話いたしましたら、この地域はただいま電話はふくそういたしておりますので後刻かけ面してくださいと言うだけのことでございます。  非常に情報手段の発達した今日の社会におきまして、テレビで災害がどこそこに起こったというようなことが報ぜられたら、恐らく日本じゅう一挙にそこへ電話がかかると思うのです。もはやそれで電話は全く機能を果たさなくなっておるわけなんでございます。しかも、それが短時間ではなしに、二日、三日とそういう状態が続きます。そういたしますと、電話も通じないということはよほどのことが起こったのだろうということで、関係者、離れておる人たちにとっていよいよ大変な不安がつのってくるわけでございます。また、災害を受けた地域からもいろいろ外に連絡をしようと思いますけれども、電話はもう全然ないに等しい状態になってまいります。  こういう現代の社会において、たとえばこういう災害、あるいはまた、その他有事の場合に一体どう対応すればいいのだろうかという問題を私どもは改めて考え直さなければならない、こう思うわけなんでございます。こういう災害時に一体電話というものはどのような状態になり、そういうことには対応できないものなのかどうか、その辺の事情をお聞かせいただきたいと思うのです。
  203. 大橋幸雄

    ○大橋説明員 お答えいたします。  第十号台風によりまして、先生の郷里へのお電話も大変御迷惑をおかけしましたこと、まずおわび申し上げます。  私ども電電公社といたしましては、集中豪雨だとか台風等によりまして災害発生する場合、安否の照会電話や見舞い呼が大変殺到いたしまして、通話対策に対しましては苦慮しているところでありますが、一般的には、なるべく多くの通話をさばくために臨時回線を設けたり、あるいは迂回ルートをつくったりして、最大限に呼が疎通できるように対処しておるわけであります。  ただ、今回のようにある一定地域災害の場合には、そういった応急の回線設定等ができない場合もございます。そういった措置ができない場合とか、あるいはそういった措置を設けても、呼が多くあって疎通の確保ができないような場合には、現在私どもといたしましては、重要加入者をすでに選定しておりまして、災害救助機関だとか、あるいは公安関係機関だとか、その他いろいろの重要な機関につきましては、優先的に通話を確保する手段を講じております。  具体的には、一般の電話と重要な加入電話からのダイヤル通話を区別いたしまして、重要加入電話からのダイヤル通話を優先的に疎通させるようにし、一般の加入電話は通話規制をいたしまして、先生おっしゃいましたような形での話し中というような状態を設けておる場合があるわけであります。ただ、その話し中の場合につきまして、私ども通話規制をした場合にはトーキーを装入することにいたしておりまして、先生指摘のように、トーキーの内容がきわめて不十分な説明の仕方ということもあったわけでありますが、そういった形で、なるべく集中的に通話が発生しないような形で、通話の分散といいますか、その辺を図っているわけでございますが、何分災害時はいろいろの電話、慰労の通話、見舞いの通話という形で大変な込みぐあいになっておるわけでございます。  そういうことで、重要な電話については通話を確保すると同時に、一般の電話につきまして通話を規制した場合には、私どもこれからさらに、そういったトーキーの問題につきましても、トーキーを入れるタイミングだとか、あるいはそのトーキーの内容等につきまして一層の工夫をこらして、御迷惑をかけないように対処していきたいと思っております。  また、一般の方々につきましては、そういった形で通話が規制された場合には、黄色電話でございますね、ボックスに入っております黄色電話あるいは青電話のような街頭にあります公衆電話につきましては、重要加入電話と同じような扱いにして、優先的に疎通できるような形で対処しております。  以上、通話確保関係でございますが、設備関係の問題につきましては、私どものもう一人の説明員から御説明さしていただきます。
  204. 堀場信雄

    ○堀場説明員 引き続きお答えさしていただきます。  ただいまは、数の上で限りがあります設備を有効に使っていただいて、通話をなるべく効率よく流したいという観点からお答えを申し上げたわけでございますけれども、これも実際の平常時の数十倍といったような呼が殺到するという現実でございまして、極力御協力いただいて、なるべく長時間の間にならして御利用いただいて疎通を図りたいというのが私どもの念願でございますけれども、これはあくまでも設備が無事に保存されている状態でのことでございまして、不幸にして通信の設備自身が損害を受けるということもあるわけでございます。こういったようなことも想定いたしまして、そういった設備のサイドから私ども平生考えております基本的な点が三点ほどございますので、それについて御説明させていただきたいと思います。  日ごろから国会の先生方からいろいろ御指導いただいて取り組んでいる内容ではございますけれども、こういった災害等の場合の通信が途絶しないための方策の第一点といたしましては、まず、平生から電気通信網そのものを信頼性の高いものにしていくということ、災害に強い設備にしていくというふうな、設計面あるいは工事面、いろいろな設備に対する信頼度を平生の取り組みの中で問いものにしていくというふうなことでございます。  たとえば、先ほど御指摘のございましたような災害を受けなかった都市、設備が正常に運転しております都市、この相互間の問題に対応する部分といたしましては、東京とか大阪、名古屋といった大都市のような場合には、市外の通話を流すために使っております交換機、これそのものを何カ所かに分散して設けるとかというふうなことも行っております。また、市外通話を運んでおります、私ども伝送路と呼んでおりますけれども、こういった回線の部分につきまして、たとえば環状といいますか、ループといいますか、バイパスを、幾つかのルートをつくりまして、これらを相互に切りかえて、あるいはあいているところを選択させながら使っていくというふうな、市外都市間の伝送路を多ルート化するといったような施策も講じているわけでございます。  また、特に地震等を意識いたしました場合には、大都市の中は特に回線も多数敷設されておりますので、洞道網と私ども申しておりますが、地下にケーブルを通しますルートを建設いたしまして、激震等に十分耐える強度のある洞道網を作成いたしまして、この信頼性の向上を図っていくというふうな取り組みもしているわけでございます。以上が第一点のポイントでございます。  第二審目には、万一被害を受けました場合でも、通信が地域といたしまして全く途絶するということを防止しようという対策を考えております。  これにつきましては、私ども孤立防止用というふうな名前で呼んでおりますけれども、移動型の無線機を用いまして、これは多くは市町村の役場等にお預かりいただいているわけでございますけれども、これと最寄りの電話局の間を無線回線で接続するというふうな形で地域としてこれを活用していただくというふうな設備を平生から配備しております。これの運転、使用につきましても、地方自治体の職員の皆様に日ごろ御協力いただきまして十分訓練に励み、効率よく使用できるように努めておるというようなことが第二点でございます。  次に、節三点といたしましては、万一災害を受けてしまった場合には、この通信の設備をできるだけ早く復旧するという点がございます。  これにつきましては、まず第一の応急的な措置といたしましては、たとえば非常用の電話局装置といったようなものも全国に三十組をちょっと超えるだけ現在配備をしておりまして、それらをトラックあるいはトレーラーの形で移動させまして、あるいはヘリコプターで運びまして、小規模ではございますけれども新しい移動型の電話局を被災地一つつくり上げるというようなことで、短期間に対応できるような準備も進めておるわけでございます。  そのほか、各種の無線機、これは被災地等に、今回も避難所等を中心にいたしまして、特設の無料で御使用いただけるような公衆電話を設置したりして対策を講じておりますけれども、こういった際に使用するべく、数回線ないし二十数回線ぐらいが使用できるような無線機を全国に配備しておりまして、被災地へはいち早くこれを人力でもって私ども運びまして回線の復旧に努めるというような取り組みをしておるわけであります。  こういったように、設備面での対策というのは日ごろから三つのポイントに力を入れて取り組んでおりますが、あくまでもこれを災害の時点で十分に有効に活用するというためには、関係します職員の訓練の問題が大事でございます。そういったような意味合いからは、日ごろ私ども、地方のブロックを担当しております通信局、県単位の通信部、現場の電話局の段階それぞれに、防災演習というふうな形で机上の想定の訓練あるいは実際に設備の被害を想定した作業の訓練といったようなことに取り組んでおります。また、県等の地域の単位でこういった防災演習等が行われますときには参加させていただくというふうな形で、実際に災害をこうむった場合に各関係の機関と御一緒に効率よく作業できるようなトレーニングに日ごろ励んでおります。  こういったようなことで取り組んでおりますので、どうぞ今後とも御指導いただきまして、さらに効率のいい対策を進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  205. 吉田之久

    吉田委員 いろいろ対策を講じていただいておりますことに敬意を表します。ただ、総じて申し上げまして、平時の電電公社を中心とする電話連絡の機能というものは大変進歩したと思うのですが、有事の場合、非常事態の場合には、国民の方のニーズと申しますか、需要の方がもっと急増いたしておりますので、もはや、まさかの間に合わないような感じがいたします。そこで、いまもお触れになりましたけれども、単に電電公社だけではなしに、いろいろ自治体や一般各団体と絶えず総合的に機能し合いながら、補完し合いながらその任務を果たしていくということにさらに発想を広げていく必要があると思うのです。  そこで、長官に国務大臣としてお願いをしておきたいと思いますし、お答えをいただきたいと思います。  電話の方はこういう事情でありますけれども、それとは別個に、それぞれ地方自治体ではかなり優秀な無線を持っております。あるいは警察は警察で完全なホットラインを持っておるわけなんです。電力会社も独自の通話網を持っております。恐らく消防団も持っておると思うのです。あるいは町のタクシー会社が全部無線で連絡し合って客を誘導していますね。こういう他にある情報手段を総合して、それをどういうふうにこういう災害時や有事のときに機能さしていくかという総合的な検討があっていいと思うのです。そういうものを利用しながら、この地域はいまのところ人命に支障は来しておりませんとか、テープでただふくそうしてどうにもなりませんと言うだけではなしに、少しでもやはり安心させるような、判断できるような、あるいは被害が起こればこういう被害が起こっておりますということを広く即刻すべての問い合わせに答えられるような、そういう対策がそろそろ必要だと思うのです。だから、ひとつ長官、この辺のところ、総合的にこれからの一つの課題として御検討いただきたいと思うのでございますが、いかがでしょうか。     〔池端委員長代理退席、委員長着席〕
  206. 松野幸泰

    松野国務大臣 大変貴重な御意見と承りまして、関係者とよく協議しまして、実現のできる方向に努力いたします。
  207. 吉田之久

    吉田委員 次に、農林水産省に対して御質問いたします。  実はいま御承知のとおり稲作をしている人たちに対して転作をお願いしている、こういうところが随所にあります。ところで、今度の災害を見ますと、いままでどおり水田で、稲作をやっておれば、それは共済制度に入っておったから、こういう場合にある程度補償の機会を得ることができるわけなんですけれども、たまたま転作した、そしてホウレンソウやイチゴをつくっておる、ところが、そこも同じように災害で砂に埋没してしまって、もはや生産手段を失っているわけなんです。今度の秋の作付もできない。しかし、この野菜関係は共済制度がまだ完備してないようですね。だから、救済される手だてが全然ないわけでございます。言うならば、国家のために転作ということに協力しながら、そのまじめに協力した人が災害のときに一番被害を受けて、何の報われもしない。これは非常に矛盾だと思うのですね。制度の欠陥だと思うのです。この辺のところをどうなさいますか。
  208. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 ただいま先生指摘のように、転作をお願いする過程で、農家によりましては野菜へ転作するという農家もいらっしゃるわけでございまして、昨年もそうでございましたけれども、やはり水害等の災害を受けた場合、野菜が被災する、これが従来つくっておりました水稲でございますと共済制度の対象になるけれども、野菜については制度がないために救済措置がないという点につきましては、私ども十分認識しているつもりでございます。  ただ、野菜につきまして、共済制度の現状について若干御説明申し上げますと、野菜の中でも園芸施設の中、たとえばビニールハウス等の中で栽培されるものにつきましては、すでに五十四年度から実施されております園芸施設共済の対象となっているわけでございます。  そこで、共済の制度ができてないのはいわゆる露地物の野菜ということに相なるわけでございますが、これにつきましては、すでに五十二年度から、キャベツ、白菜等六品目につきまして調査検討を進めております。また、その中でキャベツ、白菜、レタスにつきましては、五十六年度から試験調査に着手をするという段階に至っているわけでございます。  ただ、露地野菜の共済制度につきましては、基本的に多くの問題があるという点につきまして先生の御認識をいただきたいわけでございますが、たとえば露地物の野菜につきましては価格の年次別の変動がきわめて激しいという問題、さらに、広範な災害によりまして収量が減少した場合は、逆に今度は価格が高騰するという問題がありまして、災害によりまして収量が減少いたしましても、場合によりましては平年以上の収入が上がる場合もあり得る等々のきわめてむずかしい問題があるわけでございます。  そこで、こういった基本的な問題を念頭に置きまして調査研究を続けているわけでございまして、私どもとしては、連年野菜につきまして災害が生じておるという事態も踏まえまして、引き続きまして調査研究を進め、その結果を踏まえまして制度化を進めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
  209. 吉田之久

    吉田委員 野菜のいろいろな市場価格の変動とかむずかしさは、米や麦とはかなり違うと思うのですね。その辺のところはよくわかります。しかし、みずから欲して自己判断でそのことを永続的にやろうとしているのではなしに、転作させてそうなっているのですからね。そういう場合にこういう被害を受けて、あなたは一人泣き寝入りしなさい、そんな理屈はないと思うのです。ですから、私は、野菜に対する共済をどうするかという問題を一つ検討しながら、同時に、転作を命じてそれに応じてくださっている方々については、もし災害があった場合には稲作と同じように措置しますとか、何らかのそういう安全保障をしてやらないと、余りにも気の毒過ぎると思うのです。  それから、いま一つは、茶畑の場合でありますけれども、これも三反ないし四反の十五年ぐらいつくりました茶畑、お茶の山、そういうところがざあっと一挙に崩れて、そして川を乗り越えて向こうの山まで上ったということが東部山間部で起こっておるようでございます。この茶畑の場合の復旧もどうなるのか。特に樹体共済というのですか、木そのものに対する共済、この辺もまだまだ完備してないように思うのです。いま深刻な被害を受けておりますこの地域に対して、農林水産省はどう対応しようとなさっておりますか。
  210. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 まず第一点の茶畑の復旧の問題でございますが、茶畑といいましても一般の農地と同じで、農地でございます。したがいまして、一般農地と同様に暫定措置法に基づきまして復旧に当たりたい、かように考えております。  第二点のお茶の樹体共済の問題でございますが、先生御案内のように、お茶につきましては現在収穫量を対象とした共済の試験実施をしておるわけでございます。これはいわゆるお茶の葉でございます。現在、埼玉、静岡、京都、鹿児島の四府県におきまして試験実施をやっておるわけでございますが、やはり農家の意向から見ましても、まずお茶の葉の収穫量を対象として共済をやるのが先決であると考えておりまして、現在の収穫量を対象とする共済制度確立のための試験研究を進めてまいりたいと考えております。そこで、先生指摘のお茶の樹体を対象とする共済でございますが、これにつきましては、お茶の葉、つまり収穫量を対象とする共済制度の結果を踏まえて次のステップとして考えさせていただきたい、かように考えております。
  211. 吉田之久

    吉田委員 農業関係者あるいは中小企業の人たち、いま一、二の例を申しただけでありまして、大変惨たんたる状態にございます。だから、従来のいろいろな整備されているそういう制度を活用すると同時に、災害によって非常に窮地に陥っている人たちに対して可能なる限りそういう方策を積極的に講じていくことを皆様方に特に強く要望いたしまして、時間が参りましたので、私の質問を終わります。
  212. 川俣健二郎

    川俣委員長 次に、辻第一君。
  213. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、今回の引き続く豪雨による災害について質問をいたします。  まず最初に、犠牲になられた方々の御冥福を祈り、また、被災者に心からのお見舞いを出し上げて、質問に入りたいと思います。  今回の十号台風で、引き続く豪雨により近畿では奈良県、大阪府にまたがる大和川水系、そして、もう一カ所は三重県に大きな被害が集中をしたということであります。私は、これらの現地調査に入ってまいりましたが、その被害の深刻なこと、大変な状態であったわけであります。被害地は緊急対策と抜本的な対策、その他いろいろ要望があったわけでありますけれども、その強い要望の一つは、一刻も早く激甚災害指定されたいという要望であります。  そこで、国土庁長官お尋ねをするわけでありますが、今回の災害は、政府も七月、八月豪雨としてまとめておられるように、復旧対策も一括してまとめてやるべきものと思います。そうすると、被害の大きさからしまして激甚災害指定公共土木関係、農地災害、農業被害、中小企業被害のいずれについても適用になるのではないか、また、適用すべきだと思うわけでありますが、国土庁長官の御答弁をいただきたいと思います。
  214. 松野幸泰

    松野国務大臣 激甚災害指定のためには、先ほど来御答弁申し上げましたように、前提として被害額の把握が必要であり、現在関係省庁で調査を急いでいるところであります。公共土木及び農地、農業用施設についての被害額は、現在まだ最終的な調査がまとまる段階に至っておりませんので、激甚の指定についてなお若干の日時を要する見込みであります。  中小企業関係については、八月中旬を目途に行うべく検討を進めておりますし、いわゆる七月災害、八月災害を一緒にしてこれをやるということについては、こちらもそのつもりで一生懸命努力しておりますので、御協力をお願いいたします。
  215. 辻第一

    ○辻(第)委員 一刻も早く激甚災害指定をしていただくために御奮闘いただきたいというふうに、再度要望しておきます。  次に、大和川水系の災害についてでありますが、全国的に見てみましても、冷水の基本計画、整備率は大きな河川では五八%、中小河川では一八%と言われ、きわめて立ちおくれた状況であります。しかも、この大和川水系の地域は、全国有数の開発地域であります。奈良県の大和川水系で見てみますと、人口では昭和三十五年に五十六万人だったのが、五十五年には百万人になっておるわけであります。市街化地域の面積も三十五年が四・六%、五十四年には二〇・一%、このように増加をいたしております。大阪府の大和川流域も大体同様であると思います。  そこで、山や森林が削られる、そこが宅地化をされる、そして、ため池がつぶされ、遊水地が減らされていく、こういう状況の中で保水能力が著明に低下をする。このような十分な防災体制ができていないところへこのような状況が重なって、被害が大きくなったということであります。  被害状況で見てみますと、奈良県も大阪府も三重県もたくさんの死亡者が出ているわけであります。奈良県で床上の浸水は三千四百四十三戸、床下浸水は八千二百十八戸、大阪府では床上浸水が七千九百六十一戸、床下浸水が何と四万九千二百六十九戸でありますが、この大部分が大和川水系であります。  そして、王寺町というところで見てみますと、計画高水位を五十センチも上回るような危険な状況、あるいは王寺のやや上流に舟戸というところがあるわけですが、ここで見ますと何と一日の日は三十センチ、三日のときには十センチのところまで水が来て、きわめて危険な状態になったわけであります。また、王寺では、葛下川が大和川の逆流というような状況も含めてはんらんをする、約千八百戸が床上浸水をする大変な事態でありましたし、また、大和川の上流の初瀬川でも堤防が決壊をしてはんらんをする、多くの人が床上、床下浸水、また膨大な農地、農作物が被害を受けるという事態になったわけであります。  さらに、下流の大阪府を見てまいりましても、堺あるいは松原市の西除川あるいは今井戸川、私も見てまいりましたが、これまた逆流という状況での大変な浸水という状況があったわけであります。  こういうことを見てまいりますと、この深刻な災害の中で、大和川水系の上流も中流も下流も含めた総合的な抜本的な治水計画、それには遊水地の問題だとか、ため池の整備の問題だとか、それから開発の規制、もう乱開発と言ってもいいような開発が奈良県では進んでいるわけでありますが、この規制の問題、あるいは亀の瀬の問題も含めて、抜本的な総合的な治水計画の見直しが必要ではないか。そして、その上に早期に実現をしていただきたいと強く要望をするわけであります。  時間がありませんので、次へ移るわけでありますが、奈良県では、先ほども申しましたように王寺町の葛下川がはんらんをいたしました。しかも、一日と三日、二度にわたってはんらんをして、そこで千八百戸を超える床上浸水が出たということであります。初瀬川についても同じことであります。また、西除川、今井戸川など大阪の問題をとっても、同じような深刻な事態であります。  王寺町の葛下川の問題で見てみますと、先ほども申しましたように二度にわたって床上浸水、ひどいところは二メートルを超えるという状況であります。もう何とも言えない状況であったわけであります。しかも、すぐ台風が迫ってくる、台風のシーズンが来るというような状況でもあります。どうしても二度と再びこんなことは許さない、許してはならないということで、地元の人は本当に深刻になっているわけであります。  このような状態の中で、町当局、県当局がいま土のう積みなど緊急の対応をしておられるということでありますが、私は国としてもこの緊急対策に十分な対応をとられるべきであるということをまず要望すると同時に、今回のはんらんをしたところ、葛下川の大和川との合流点から上流約千二百メートルほど、この地域については国の直轄事業として、しかも激特工事などを適用して一刻も早く抜本的な施策を講ずるべきである、このように考えるのですが、当局のお考えを聞きたいと思います。
  216. 玉光弘明

    玉光説明員 お答えいたします。  大和川につきましては、流域の開発がかなり進んでおります。昭和五一年に工事実施基本計画を改定しまして、それでやっているところでございます。  ただいま御指摘のように、上流の葛下川の付近でございますが、この付近につきましても三郷町の西浦地区等を初めネックの部分をやっていたところでございますが、今回、支川の葛下川から流入しまして大変なはんらんがあったわけでございます。この復旧はどうするのかということでございますが、現在、奈良県におきまして県単事業として土のうを二メートルばかり低いところに積んでおりまして、当面の応急対策を立てていただいているわけでございます。  さらに、抜本的な対策としまして激特事業等で推進したらどうだということでございますが、これにつきましても、私どももこの地区、葛下川の支川の改修に重点を置きたいと思っております。現在、現地ですでに調査しまして、計画等、調査立案しているところでございます。
  217. 辻第一

    ○辻(第)委員 ぜひ十分な対応をとっていただきたい。再度要望しておきます。  次に、初瀬川の問題であります。  あの地域は、昭和三十一年にも一部決壊があったわけです。約一キロほど離れているそうでありますが、私は昨年、地元の町会議員とあの地域へ参りまして、非常に危険だから十分な対応をとってくれということを県の土木の方にお願いをした経緯があるわけでありますが、ことしこのように決壊をしたということであります。いま県当局は数キロ下流からかなり根本的な改修工事に入っておられるわけでありますが、この上流の方へ参りますと、まだまだ大変な日にちがかかるということであります。しかも、一カ所だけが弱いということではなしに、この初瀬川の田原本を中心にさらに天理へかけてのところは非常に弱いところがいっぱいあるというような感じが私はしているわけです。この点で、県にお任せするだけではなしに、建設省としてももっと十分なバックアップといいましょうか、援助をしていただきたい。しかも、激特工事のような適用もされるべきではないか、このように考えるのですが、いかがでしょうか。
  218. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 お答えいたします。  初瀬川につきましては、先生指摘のように、現在補助事業といたしまして下流の方から、佐保川の合流点から順次工事を進めているわけでございます。今回出水がございましたので、もう一度よく見直しまして、スピードアップを考えなければいけないと思っております。  また、激特に関してですが、これは現地の詳しい調査を持ちませんとわかりませんが、どうも激特の採択基準から見ますと、浸水されました家の戸数の総数がやや少ないような感じがいたしてはおりますが、いずれにいたしましても、正確な数字をいただいてから検討しなければならないと思っております。
  219. 辻第一

    ○辻(第)委員 王寺地域について言えば、いわゆる商店街がありまして、中小商工業者の被害が甚大でありました。このような対応を通産省あたり十分やっていただきたいと思いますし、この初瀬川の地域はいわゆる農業地域であります。農家や農作物の被害はこれまた甚大なものがありますので、農水省としては十分な対応をとっていただきたい、この点を要望をしておきます。  次に、先ほども少し触れたわけでありますが、本流の対応と支流、内水の対応も十分やっていただきたい、こういうことを重ねてお願いをいたします。  それから、やはり開発の規制ということですね、これも私は非常に大事なことだと思いますし、それから、大東市の経験では遊水地をつくってそれが非常に成功したということを私、聞いておるわけでありますが、そういう点でも遊水地の問題ということも十分対応していただきたい。また、ため池の問題ですね、こういうものも対応していただくなど、こういう施策も十分やっていただきたいということを要望をしておきます。時間がありませんので、次へ進みますが、とにかく大和川水系としては本当に抜本的な総合的な見直し、対応というのをぜひやっていただきたい、強く要望をいたしておきます。  次に、今度は吉野川水系に関連をしてでありますが、簡単に申します。西吉野村で地すべりがありました。いろいろ言われるのですが、五十万立米の地すべりというふうに言われているわけであります。大変な被害が出たわけであります。ところが、これで川が埋められた。それで二キロほど、人口湖みたいになって浸水が起こったというようなことでございます。ところが、これを取り除くのには、非常に高いところにまだ地すべりで残っておりますから、下を掘れば二次災害ども考えられる。私は非常にむずかしい作業になるというふうに思いますし、また、その費用も大変なものがかかるだろうというふうに思うわけであります。この点について、私は建設省や農水省など国が十分対応していただきたい、このように思うわけでありますが、これについての当局のお考えを聞きたいと思います。
  220. 狩野昇

    狩野説明員 お答えいたします。  先生指摘の西吉野村の地すべり、これは非常に膨大な規模のものでございまして、先生いま御指摘のように、約五十万立米といったような大きな土量が推定されております。建設省としましては、直ちに担当の係官を現地に派遣しまして、奈良県あるいは地元市町村と一体となりまして応急対策に努めてきたところであります。  現在、応急対策としまして河道部分の掘削を行っておりますが、約四万立米を予定しております。これをできるだけ早く完成しまして、それからその次には基本対策でございますが、先生おっしゃったように、まだその上に樹さ約九十メーターぐらい、のり長約二百二十メーターという大きな地すべりでございます。そのわきにもさらにすべりかねないような個所もございますので、ボーリング等の調査を行いまして地すべりの規模その他をつかみまして、根本的な対策に進みたいというぐあいに考えております。この被災した中には、村道、国鉄の専用道路その他農林関係の施設等もございますので、関係機関とも協議を進めながら早急に復旧計画を立てて実施をしたいというぐあいに考えております。
  221. 辻第一

    ○辻(第)委員 十分な対応をしていただきたいと思います。  次に、農水省にお尋ねをいたします。  いわゆる紀ノ川、吉野川の上流にあります大迫ダムの問題であります。もうその中身はよく御存じなので、省略をしてまいりたいと思いますが、とにかくこの大迫ダムの上流、大台ケ原の地域を中心として集中豪雨があった。そこで、私どもから見れば異常とも言うべき緊急放水があったという状況の中で、うんと下流のところなんですが、そこで七名の方が急激な増水に巻き込まれて犠牲になられたという非常に重大な深刻な災害の問題であります。  ここの問題点でありますが、私は、ダムの管理のあり方に重大な問題があったのではないかというふうに考えるわけであります。幾つもあるわけでありますが、その一つは、ダムの放流に対する広報体制というものも問題ではないかと思うわけであります。大迫ダム操作規程では、周知させる範囲は川上村だけ、中井川合流点まで、こういうことになっているのですね。それ以下の吉野川、古野町以下の下流市町村は、その範囲に入ってないのです。警報車では、五条近くまで三台の警報車で上下して広報活動をやっていただいているということでありますが、あのような事態の中で、雨が降っているとか、川の水音だとか、あるいは雷の音だとかいうような状況の中では、警報車ではどうも届かないようですね。そういう状況の中でああいう事態が起こったということであります。  それから、緊急に放流をするような場合に、まあそうでなくても放流する場合いろいろな条件があるわけですが、どの程度の放流をすればいろんな条件の中で下流にどの瞬間に到達をするのか、どのような増水、増量をするのか、水位がどうなるかというようなことの調査が十分されていなかった、私ども調査した結果、そのように聞いているわけであります。このことも非常に問題ではないか、このように私は考えます。  さらには、夜間の管理体制の問題や、さらに言えば、あの放流の操作についても問題があったのではないかというふうに思うわけであります。このようなダムの管理の問題点、このことが今回の重大な災害を引き起こした最大の原因ではないか、こういうふうに考えるのであります。  そこで、農林省としては、この大迫ダムの管理上の問題点を明らかにして、そして大迫ダムの操作規程を抜本的に改善をする、そして今後十分な安全対策をとられるということがまず一点。もう一点は、七名の犠牲者が出られたわけでありますが、この犠牲者、そしてその御家族に深く謝罪をされるとともに、必要な補償をされること、そしてその他のいろいろな被害についても補償をさるべきではないか、この二点について強く要望をする次第であります。この点について農水省の御答弁をいただきたいと思います。
  222. 日出英輔

    ○日出説明員 お答えいたします。  先生御存じのとおり、今回の問題、大変な豪雨だとか幾つかの問題がありますので、ただいま近畿農政局の方で事態についていろいろ分析検討をいたしております。それを待ちまして、管理のあり方につきましては必要であれば見直してまいりたいというふうに思っております。  先ほど先生のお話もありましたように、私どもの方の大迫ダムの関係での警告区間は中井川の合流点でございますけれども、それだけでは万全ではないということで、警報車でずっと警報して歩いたわけでございます。ここの辺につきましても、確かに警報卓では足りないというような問題もあろうかと思うのですけれども、他方、車の中で夜明けを待ったというような形になりますと、川全部一つ一つ当たらなければならぬというような問題もございます。おっしゃる御趣旨、わからないでもないのですけれども、現在の警告のやり方からしますと、ちょっとなかなかむずかしいのではないかというような問題があろうかと思います。  それから、どのくらいの時間がたちましたらどのくらいの量がダムの放流との関係で下流に到達するのか、どのくらいの水位が上がるのかといった問題、確かにそこの辺を十分解明する必要があろうかとは思うのですけれども、他方、河川はいろいろと複雑でございますし、それから、大迫ダムの流域のほかに、約四倍から五倍ぐらいのほかの流域がございます。そこから入ってきます降雨の影響等もございまして、フラットには計算ができても、今度のような場合にはなかなかむずかしいといった問題もございます。先生指摘のように、夜間の体制なり放流の操作なりその他につきましても、いま事実関係につきまして調べておりますので、管理体制のあり方につきましてはそのときを待ちましてあれしたいと思います。  今回の遭難なさいました方の御遺族の方は大変お気の毒でございます。私ども、これを機会に管理体制につきましては十分な体制をとりたいという覚悟でおる次第でございます。
  223. 辻第一

    ○辻(第)委員 大迫ダムの管理体制は本当に真剣に考えて、十分な対応をしていただきたいというふうに思いますし、十分な補償をされるべきであると再度申しておきます。  次に、今度は三重県の話でありますが、国鉄の方、見えていただいていると思います。  名松線の問題でございます。私もこの三重県の美杉村あるいは雄町町、現地へ参ったわけでありますが、美杉村の被害もこれまた深刻な事態であります。谷という谷はもう崩れておりますし、家も川も道もそれこそ大変な状況であります。同町に、国鉄名松線もこの美杉村の地域は甚大な被害を受けておられるわけでありますが、美杉村にとっては名松線はまさに大動脈であります。何としても一刻も早くこれを復旧していただきたい、これがもう村長さん以下美杉村のすべての人々の熱望であるというふうに、現地へ入って私はひしひしと感じてきたわけであります。どうしても一刻も早く国鉄復旧に努力をしていただきたい。いまの状況ではその対応が非常におくれているのではないかと私、考えているわけでありますが、その点の国鉄の考えをお聞きしたいと思います。
  224. 村上温

    ○村上説明員 お答えします。  八月一日に台風が参りましてから名松線不通になったわけでありますが、被害の軽い松阪-家城間はすでに九日に開通してございます。  いま先生がおっしゃいました奥の美杉村の部分、家城-伊勢奥津間十七・七キロでございます。午前中にほかの先生から御質問がございましてお答えをいたしましたが、大変な損害でございまして、はしご状態線路がなくなってしまったところ、あるいは川沿いに走っておりまして渓流があるわけですが、この谷からの土石流で完全に線路が埋まってしまったところ、あるいは橋がなくなってしまうようなところ、それから川沿いの護岸が全部流されてしまったところというように、手のつかないような状態でございますが、担当の天王寺の鉄道管理局のほかに、工事、土木の専門である岐阜工事局の職員を動員して、とにかく被害の全容をつかむべく全力を挙げておる状態でございます。残念ながら被害状況が幾らぐらいなのか、いつごろ開通できるのかという見通しがまだ立ってございませんが、とにかく早くこの状況をつかみたいというふうに努力をしておるところでございます。
  225. 辻第一

    ○辻(第)委員 一刻も早く復旧のため御努力をいただきたいと思います。  時間が参りましたので、この美杉村の谷を守り山林を守るという点につきまして、農林省、そして雲出川の上流でありますが、これまた大変な事態でありますので、建設省としても、この治水の観点で十分な御努力をいただきたい、このことを要望いたしまして、質問を終わります。
  226. 川俣健二郎

    川俣委員長 次に、林百郎君。
  227. 林百郎

    ○林(百)委員 関連して質問させていただきたいと思いますが、私の質問は、毎年毎年同じような、少し雨が多く降りますと水害が生ずるような地域の問題であります。これは建設省がそういうことに対する対応がなまぬるい。予算の関係やいろいろありますから、しかも、全国の中小河川に対する手だては比率も三〇%以下ということでありますから、ここだけというわけにはいかないかもしれませんけれども、しかし、天竜川だとか千曲川だとかこういう一級河川が毎年毎年同じ被害を与えているということについては、建設省も心しなければならないと思うのです。  その一つは、諏訪湖という湖水がありますけれども、これは特殊な湖で、諏訪湖へ流れ込んでくる川は三本から四本ぐらいあるのですが、ここから出る川は天竜川一つしかない。ここに釜口水門という諏訪湖の水量を調整する水門がありまして、これは県が管理しておりますけれども、全部開放しても現状のままでは二百十七トンしか流れない。ところが、大体諏訪湖で水害が起きる場合は、今度も毎秒約四百トンぐらいの水量が流れ出して、諏訪湖の水位が一・七メートルも通常の水位よりオーバーしたわけですが、要するに四百トンも流入する、しかし、諏訪湖からの流出の能力は二百十七トンしかない、その半分ぐらいしかない。だから、二百十七トン以上の雨が降ればもう水害が出るのはあたりまえだ。市役所のあるところだとか、あるいは旅館のあるところだとか、こういう市の中心部がいつでも床下、床上浸水を受けている。今度もこのために約二千戸ぐらいの住宅が水害を受けているわけなんですけれども一こういうことですね。  それで、釜口水門は六百トンの流出の能力を持つようにいま改修して、これは昭和六十年度に完成の予定で、四十八年に策定された諏訪湖流域治水計画によって行われている。ただ問題は、諏訪湖から六百トンの水の流出をしましても、それを受ける天竜川がそれに耐えられるような護岸工事がされておらない、だから、毎年毎年諏訪市は水害を受けるという状態になっているわけなんですけれども、この諏訪湖の調整のための釜口水門の改修と、放水された水を受ける天竜川の改修、これを上流部門は県で行い、それと接着した部分は建設省が行っているわけで、中部地建の天竜川上流事務所がこの工事をやることになっておりますけれども、まだ進んでおりません。これは一体いつになったら釜口水門の六百トンの流出と、それを受けるための天竜川の護岸工事改修がマッチしてこれが完成するのか、この問題が一つです。時間がありませんから、続けて申し上げますが、これは河川局関係です。  それから、道路局関係で、これは地方生活道で町道なんですけれども国鉄と関係している重要なところなんですが、中央東線の信濃境という個所で六万立方メートルの土砂が流出した。これによって約三日か四日中央東線が、不通だったのですが、複線になっている鉄道の路線と町道とがこういうようにつながっているわけなんです。建設省は御存じだと思います。  ところが、この町道の方が崩壊してしまった。したがって、複線になっている国鉄線路も宙づりになってしまった。国鉄線路の方は、土のうを積んだりいろいろして何とか緊急には複線交通を確保することができたのです。しかし、これと連動している町道の方が崩壊したままで、これがちっとも改修できないものですから、国鉄の方も本当に臨時の措置しかできませんし、また、ここの生活道路、町道が回復しないものですから、富士見町の烏帽子地区という七十三戸、二百七十七人の住居地ですが、十キロも遠くを回っていかなければ駅へも出られない、それから、夏休みが済んで子供たちが学校へ通うのにも、ほんのわずかですけれども生活道路が中断されているために十キロも回らなければならない、こういう状況になっているので、国鉄の方はとにかく臨時に改修をして複線になりましたけれども、町道の方は一体いつ、どのようにして、国も援助して回復するのかどうかという問題を、道路局の方に聞いておきたい。  それから、もう一つの問題は千曲川の問題なんですが、長野県の千曲川の水域は、御承知のとおり、その河川敷にリンゴや桃、アスパラガスというようなリンゴ畑や野菜畑がずっとあるのですけれども、これが千曲川の水位より低いところにあるものですから、千曲川の水位が上がってくると、自然に千曲川の下の方から河川敷にあるリンゴ畑やアスパラガス、ナガイモのこういうところへ浸水してきて、二メートルも冠水する。千曲川の水がこの河川敷に流れないように、ところどころに冊みたいなものがあって、私もそれを見たのですが、しかし、千曲川の川底の方が改修されてないものですから、いつでもこの河川敷が水害を受けてしまうということで、これは毎年毎年同じ問題が起きてくる。去年も起きたわけです。これに対する措置ですね。リンゴが腐ってしまって臭気を発しているとか、ナガイモは掘ることができないとか、水が引いた後の畑は荒廃してしまって、もとの畑に戻らない。毎年行われているのです。これは河川局の関係ですけれども、どういうようにするのか。  もっと根本的に早く長野県に流れている千曲川の河川敷の耕作地と千曲川の川底の改修とをやらないと、同じ問題が毎年起きて、この災害対策委員会で私は毎年同じ質問をしなければいけないのです。諏訪湖の問題と絡んで、もっと基本的に何とか早く対策を講ずることは、建設省の義務だと思うのです。ことに天竜川、千曲川なんというのは一級河川で、建設省が責任を負わなければならない本来の川なんです。これをどうお考えになっているのか。いまの三つの点を河川局と道路局にお尋ねしておきます。
  228. 玉光弘明

    玉光説明員 まず、諏訪湖関連から御説明いたします。  諏訪湖の出口に先生御案内の釜口水門がございまして、これが大変老朽化してございまして修繕を繰り返しておったわけですが、危険な状態になっておりますので、これを早急に改修するということと、諏訪湖からの流量を増大するということで、現在、先生がおっしゃいました二百トン程度流れるところを改修後は大体六百トン流れるというふうに計画しまして、五十四年度に着手しまして、ただいまのところ六十三年度に完成を見込んでおるわけでございます。これとあわせまして、諏訪湖川辺の治水につきましては、湖岸堤を設けまして湖の周辺にはんらんが起こらないようにするという計画になっておるわけでございます。  ところが、この水門ができましても、先ほど先生おっしゃいましたように下流が末改修でございますと下流に影響を及ぼしますので、この工程とあわせまして、下流の辰野地区及び岡谷地区とございますが、これの改修を進めてきておるわけでございます。辰野地区におきましては、五十六年度までに特に重要な区間で約二キロばかり完成しておりますし、その後、追って完成に努めよう。それから、岡谷地区におきましては、観蛍橋の改築を含めましてその改修を進めておるわけでございます。  それから、先ほど申しました諏訪湖水門が完成しまして、その後旧水門を撤去しなければいけないわけでございまして、この旧水門の撤去によりまして初めてもう少し大きい流量が流れるということになるわけでございます。ということで、旧水門撤去も新水門完成後追いかけてやるように計画しております。ちょっといつごろ完成かわかりませんが、二、三年ぐらいの規模かと思います。そういうことで、これらの上流の整備ができる時点におきまして、先ほど申しました下流地区の流下能力があるように下流地区を整備していくということを目標に、現在改修を進めておるわけでございます。  次に、千曲川について御指摘ございましたが、千曲川につきましては、四十九年三月に工事実施基本計画を作成しまして、これに基づいて事業をやっておるわけでございまして、直轄管理区間では、中野市では大俣の築堤だとか、それから長野市の長沼の弱小堤の部分の強化、それから安茂里地区の築堤などの事業を進めてまいったわけでございます。  このたびの出水におきまして、長野市、それから中野市等で浸水地域がございました。中野市では無堤地区もございまして、大俣地先では外水が入りまして、その他はほぼ内水であっただろうということでございます。こういうことで、できるだけ一刻も早く千曲川の改修を進めなければいけないと思います。と申しますのは、無堤部の解消だとか弱小堤の強化、それから水衝部の護岸等もまだございます。これを施工したり老朽護岸改築していくというようなことを中心に促進していかなければならないと考えております。また、これに合わせまして、補助河川につきましても本川の改修と整合をとりながら改修を進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  229. 狩野昇

    狩野説明員 地方道の件についてお答えいたします。  現地復旧が技術的に非常にむずかしい個所というふうに聞いております。鉄道の方は仮復旧の形で先生指摘のように通しておりますが、地方道はそのまた川側にございまして、そのまま復旧するということにするのか、それとも、橋梁といいますか、桟橋といいますか、そういった形にするのか、目下現地でいろいろ検討しておりまして、早急に結論を出しまして対応いたしたいと思います。鉄道側とも十分協議をいたしまして計画を進めていきたいと思います。
  230. 林百郎

    ○林(百)委員 時間が参りましたので結構ですが、質問の最後に、大臣、いま私の質問したのは天竜川だとか千曲川だとか、これはもう建設省が全責任を負わなければならない河川で、しかも、毎年同じような水害が出るのですよね。だから、それに対してはやはり地域住民の非常に大きな不信を買っているわけなんですね。ですから、そういう毎年同じようなタイプの水害が発生する、しかも、それが一級河川建設省が全責任を負わなければならない河川だということに対しては、十分責任の負えるような、また予算的な措置もされるような、また臨調や行政改革、いろいろありますけれども、人の命は地球よりも重いと言われますから、そういう人の命が損なわれるようなものに対しては、大臣の政治力で、災害に対しては河川道路に対して十分な予算を取ることのできるようなそういう政治力を十分発揮されたいと思いますが、その所信だけお聞きしておきたいと思うのです。
  231. 松野幸泰

    松野国務大臣 先ほど来答弁申し上げておりますように、災害対策というのは最優先にやらなければならぬという決意を私は持っておりますので、よろしくお願いします。
  232. 林百郎

    ○林(百)委員 結構です。終わります。
  233. 川俣健二郎

    川俣委員長 次に、阿部昭吾君。
  234. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 いままで皆さんからいろいろな角度からお尋ねがございましたので、ごく簡潔に御質問いたしたいと存じます。  激甚の指定、それから天災融資法の発動につきましていままでお話がございました。御答弁もございました。そこで、私はこう感ずるのでありますが、もうちょっと実際発動するのを早めることができないのかという気がするのであります。従来だと災害発生をいたしましてから、特に農林災害あるいは公共土木被害等につきましても、ちょっとこの発動までの時間がかかり過ぎるのではないかというふうに思います。もうちょっとこれを早める手がないのか。もちろん、だからといって被害実態というものを正確に把握しなければいけないことは私どもも十分承知をいたします。それにしてもちょっとマンマンデーじゃないかという気がするのでありますが、全例のこの全国的な規模にわたる被害に対しても、私はこの発動の時期をもっと早めてもらいたいと思うのでありますが、御見解をお聞きしたい。
  235. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 私から天災融資法の発動に関しまして御説明させていただきます。  先生御案内のように、天災融資法の発動につきましては、何と申しましても農作物の被害状況を的確に把握した上で判断をすることになるわけでございまして、今回につきましては、国土庁から御答弁もございますように、七月豪雨と十号台風一連性のある災害として扱う、そういう考え方もあるわけでございますので、そうなりますと、先生もちょっとお触れになりましたように、被害地域自体が非常に広範囲にわたりますし、かつまた、被害を受けました作物自体も多種多様に及ぶということがございまして、実は私ども統計情報部で調査取りまとめをやっておるわけでございますが、出先の事務所を挙げましていまやっている最中でございまして、私、担当部局の責任者から聞いた限りでは、やはりどうしても今月下旬まではかかるというような情勢でございます。  先生の御趣旨については私ども十分理解はできるわけでございますが、何せそういった事情での調査でございますので、天災融資法の発動自体の判断につきましては、やや時間をおかしいただきたい、かように存ずる次第でございます。
  236. 荒井紀雄

    ○荒井政府委員 激甚法の関係についてお答えいたします。  激甚法につきましても、ただいま農林水産省からお答えがありましたように、今川七月の水害に加えまして、約一週間ないし十日の間に発生しました八月の分もあわせて調査をしております。他方におきまして、八月の水害そのものが非常に広域にわたりまして、しかも、奥地の関係が、道路が寸断されたというふうなこともございまして、非常にその被害の把握に手間取っているというような事情がございます。しかし、日夜全力を挙げて、早急にこれを把握すべく関係省庁力を合わせてやっておりますので、いましばらく時間をおかしいただきたい、早急にやりたいと思っております。
  237. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 これは私の考えでありますけれども、最初非常に大まかに調査をする、それから、さらにもっと詰める。その場合に、最近は調査の技術も行政機構の調査能力も相当進んでおる。余り大きな誤差は出ないのですね。したがって、それぞれ被災者は対応の仕方に、どういう被害からの復旧をしていくかということで思いをめぐらすわけです、これは大変なことでありますから。その場命に、最初大枠で判断をして、あとのことはあとのことで微調整をさらにやるという制度運営が、激甚の場合でも天災融資法の場合でもあっていいのじゃないかと私は思うのです。  なかなか微に入り細にわたり全部決まるまで、発動されるのかされないのか、これは現地では大変不安なのであります。最後にいろいろやってみたら思ったほどじゃなかったという、そこをちゃんと最終的調整では、これは該当にならなかったとか、あなたの場合はならぬとか、この程度下がるとか、いろいろなことがあっていいのじゃないかと思うのです。これが発動されるのかされないのかわからぬために、復旧の仕方に対してなかなか対応の仕方が数カ月間定まらぬというのがあるわけであります。少し荒っぽい議論ですけれども、制度の運用としてはそのくらいのことがあっていいのじゃないかと私は思うのですが、どうでしょうか。
  238. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 確かに先生の御指摘のようなこともあろうかと思うわけでございますが、何せ本件はやはり政府部内での十分な協議の上に立って方針を決めるというものでございますので、大まかな数字で議論をするというわけにはなかなかいかないという事情があるのじゃないかと思います。  そこで、ただ、事情だけ申し上げますと、天災融資法の発動に関しましてはやや時間がかかるということは先生指摘のとおりでございますが、実態を申し上げますと、大体の県におきましては国の天災資金に準じた資金制度を条例において設けておりまして、まずそれを発動する。仮に国の天災資金が発動された場合はその資金を乗りかえるということが、多くの県では行われているわけでございますので、私どもは、いまのルールによりましても、特に被災農家に対しましては特段の支障がないのじゃないか、ただ、先生おっしゃいますように、事務自体を急ぎまして国としての方針を迅速に決めるということは必要であろうかと思いますので、なお統計情報部と相談いたしまして、調査取りまとめの迅速方につきましては努力いたしたい、かように考えております。
  239. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 さっき吉田委員お尋ねをされておりましたが、私の地域なんぞは、これは一般論として申し上げるのでありますが、典型的な米作地帯であります。この中で、転作をしなければいかぬというので、野菜であるとか果樹であるとか、こういう分野に大変な努力をして転換をしてまいりました。今度の被害を見ますと、この転作をいたしました果樹であるとか野菜であるとかに大変大きな被害をこうむっておるのであります。  ところが、米作の場合は、これは全部共済加入であります。しかし、野菜、果樹の場合は、残念ながら米作のように完全な加入の状態にまだ至っていない。したがって、これはもちろん生産者の側の問題でもあります。しかしながら、まだまだ私ども、特に水田転作という政策課題の上に立って、政策的要求の上に立っていろいろな努力をした。今度の場合は、被害はそのあたりに集中的に来ておる。ようやくこの水田再編をやって、そこに一縷の希望をしっかり立てていこうということになっておるやさきにこういう被害で、相当大きな挫折という状況が起こっております。こういう分野に対する対策の立て方は、ちょうどこの水田再編という政策課題の上に立って、しかもいまはそういう被害を集中的にこうむった、こういう事態に対しては、しゃくし定規でない何か運営があっていいのじゃないかという気もするのであります。それが一つ。  第二は、私ども長年この農業共済の問題に非常な努力をしてまいりました。去年、おととし、二カ年連続の冷害でありました。おととしよりも去年の方がはるかに冷害はひどかったのであります。ところが、私の山形県全般で言ういますると、去年はおととしよりも冷害が非常にひどかったのに共済金は約三十億円、おととしは百億円でありました。そこで、これはどうもおかしいじゃないか。農林省の統計調査事務所の調査結果でも、はるかに被害は去年の方がひどいのであります。ひどい去年の方は、おととしの三分の一以下なのであります、共済の最終的に決定された評価額は。  なぜそうなったかということでいろいろな角度からの調査をいたしましたら、共済制度は御案内のように立毛主義、まだ農場、たんぼに作物が生えておる間に損害の状況調査しなければいけない立毛主義であります。もう一つは、ちゃんと申告をしなければいかぬ。そうすると、去年、おととしの場合を見ると、おととしは前々からどうもことしの冷害は厳しいようだというので相当の段取り、準備をした。去年は、いまごろまではまあまあ何とかいけるのじゃないかと思っておったら、お盆が済んで、そして収穫期に入ったらなおひどい。ところが、その間に立毛調査とかあるいは申告とかが実情以上におくれた。この二つの原則があるために、実際上は農林省の調査の結果でも減収率は一昨年に比べて倍以上ひどかったのに、農業共済の方の損害評価は三分の一ということになった。  確かにこれだって、立毛主義、申告主義というこの原則を崩したら、この制度が本当に公正な運営ができるかということになると、これもまた問題がありますし、これはいろんな農業共済組合の組織や行政なり何なりが的確に対応し、あるいは指導したかどうかということも問題がありますが、いまみたいな矛盾が起こる。したがって、やはりこういう面の指導というものも、今度も果樹はもう目の前で物すごい被害がちゃんとあらわれております。しかし、水稲などの被害は、もうちょっとたってみないとまだ予断はできないのでありまして、水稲などはあの十号台風でどういう影響が出ておるかという調査をいま盛んにやっておるわけでありますけれども、しかし、制度運用面ではこういう矛盾というのは至るところにある。これらは、何とか関係の組織そのものも努力をしなければいかぬけれども政府の側も制度運営あるいは指導、こういう面でいろんな対応を必要とするのではないかと思いますが、いかがでしょう。
  240. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 二点についてのお尋ねでございますが、まず第一点の野菜、果樹の共済といった面での救済措置と水稲の救済との不均衡と申しましょうか、その点についてでございますが、確かに水稲につきましては共済制度が確立しておりまして、ほぼ一〇〇%実施されている。したがって、災害が起こった際にはその制度の中で救済が行われるということがございますが、果樹につきましては、制度はあるわけでございますが、残念ながら、樹種によって差はございますが二十数%の加入率にとどまっているという実態がございます。これは昨年の災害の際も、いろいろ問題意識を持ちまして研究もしてみたわけでございますが、今回もまた果樹につきまして被害が大きいという事態が起こりまして、どうすべきかということをいろいろ検討したわけでございます。まず、手っ取り早く現地に入りまして農家を含めて関係者の意向を聞いてみようじゃないかという結論に達しまして、現在山形県も含めまして主要な果樹県に担当官を派遣いたしまして、果樹の加入権進上の問題点を洗ってみております。今後その問題点を踏まえた上で、加入推進いかにあるべきかにつきまして十分検討してみたいと思っております。  次は、野菜でございますが、野菜につきましては、先生御案内のように、現在六品目を対象として試験研究を始めているわけでございます。野菜の共済自体につきましては、いろいろのむずかしい問題がございます。問題がございますが、現在鋭意試験調査を進めている段階でございますが、これにつきましては、保険設計という問題でもございましてやはり時間がかかるという点もございますので、もう少し時間をおかしいただきたいと存ずる次第でございます。  次の第二点の先生指摘の点は、昨年青森、岩手、山形等におきまして、これは昨年の災害の特殊な結果でございますが、農家自身は収穫し脱穀するまではこれほど被害が出ているとは思わなかったということで、脱穀であわてまして、何とか共済金がもらえないかというふうなことを申し出てきたという事態が発生したわけでございます。私ども本件につきましてはきわめて苦慮いたしまして、共済団体はもとより、関係県と数回にわたりまして会合を持ちまして、いかにすべきかという点を種々議論したわけでございます。しかしながら、何と申しましても共済の基本的なルールといたしましては、立毛段階で、しかも事前に申告をしてもらった上で損害評価をするというこの基本を揺るがした場合には共済制度が根本から崩れはせぬだろうかということになりまして、私ども苦慮する中で、結論といたしましては、救済はできないという結論に達したわけでございます。  ただ、私どもといたしましても、県と相談いたしまして、自創資金の融通につきましては特別な配慮をいたしましたし、かつまた、県におきましても県単の事業をやるとか、あるいは市町村等が経費を出しまして低利資金を融通する等々の措置が行われたわけでございます。  そこで、問題はことしについてでございますが、再び去年のようなことが起こってはならないという点につきましては、私どもはもとよりのこと、関係県、団体も同じでございます。そこで、私どもといたしましては、昨年来、あらゆる機会を通じまして、県あるいは共済団体に対しまして申告漏れが起こらないように、十分の措置を講ずるように指導しておるわけでございます。その際には、生育の状況を的確に把握するためにたとえば標準田を設けてはどうかとか、あるいは損害評価に当たりましても検見眼の統一を図り、極力実測調査を採用してはどうか等々につきまして、目下指導の徹底を図っているわけでございまして、ことしにつきましては昨年のような申告漏れによる事態が起こらないように十分の措置を講じてまいるという考えでいるわけでございます。
  241. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 これは大臣にお伺いしたいのでありますが、この間の水害のように短時間の間にあのくらいの量の雨が降ったら、恐らくこの日本列島のほとんどの地域がやはりやられるだろうと私は思います。方々回って、これは決してたまたまああいう状況になったというのじゃなくて、あのくらい集中的に短時間の間に雨が降れば、日本列島のほとんどのところがやられるというふうに思われてなりません。  この前、日高地方の地震の調査に参りました。その場合に、幸いなことに、あれだけのひどい地震であったにかかわらず火災はほとんど起こらなかった。したがって、人命被害は非常に少なかった。この日本列島は、この間のようにわずかの時間にあのくらいの量の雨が降れば、長崎でなくても、どこでもほとんどやはりあのような事態は起こる。そうすると、その場合に、最低限度人命をいかにして守るか。これは、直ちに防災対策という、工事をやるとかなんとかということだけでは、わずかの時間内にはちょっと間に合わないでしょう。相当長期間かけていかなければならぬと思うのであります。  しかし、最低限度人命は守られる、こういう対策を私は日高の地震災害のあの状況を見ると痛感するわけであります。あの地域は地震がしばしば起こっておった。したがって、地震が来たらどんなことがあってもまず火を消す。転びながら火を消したというお話をたくさん聞きました。  そういう意味で、今度の場合でも、あれだけ短時間の間に鉄砲水や土石流が襲ってくる、その場合にどう対応するか。日本列島全部にわずか一年や二年の間にこれに対応できるような砂防工事とかいろいろな工事が間に合うというわけにはいかぬだろうと私は思うのであります。そうすると、災害対策のまず第一として人命をいかに守るか、こういう意味での教育的なあるいは広報活動的な部面のことももっともっと組織立ててやっていく必要があるのではないかというふうに痛感するのでありますが、大臣の方で今度のこの被害の中からお考えになっておられるものをぜひお聞かせをいただきたいと思うのであります。
  242. 松野幸泰

    松野国務大臣 御指摘のありました日高の地震に対する教訓を、私たちは非常に貴重なものとして受け取っております。したがいまして、日ごろからいざというときにはどうするかということを町内などでよく御相談をしていただいておりまして、いざというときの避難場所も、それほど心配がないと思われてもそのことだけは十分やっていきたいと思います。災害時には余りあわててもいけませんけれども、そうかといって敏速には行動しなければならぬ。いま、すぐ火を消したというお話がありましたが、これも大事なことだと思います。したがって、町内がお互いに助け合って、さあというときにはどうするかということを常に心がけていくことが大切だと考えております。
  243. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 これで終わりますが、いまの大臣のお考え方を組織的にどのようにしていくのかということに対して、第一線、現場までぴしっとおりるような、そういう手だてをぜひひとつ講じていただきたいということを希望申し上げまして、私の質問を終わります。     ―――――――――――――
  244. 川俣健二郎

    川俣委員長 ここで、さきに了解を得ておりますので、この際、午後の地震について、最新の情報を政府から説明を求めることとします。  まず、気象庁駒林企画課長
  245. 駒林誠

    ○駒林説明員 先ほどの地震について、気象庁から御報告申し上げます。  本日八月十二日十三時三十三分、伊豆大島近海に地震が発生いたしました。  この地震により、津波はございませんでした。  震源は、北緯三十四・九度、東経百三十九・六度でございまして、これは大島と房総半島との間の海の底でございます。震源の深さは四十キロでございまして、そのマグニチュードは五・八でございます。  この地震によりまして、気象庁は十三時四十一分、津波なしを発表いたしました。事実、津波はどこにもありませんでした。  十六時二十分現在、余震は、有感地震も無感地震も合わせてございません。  十三時三十三分の本震でございますが、各地の震度は、次のとおりでございます。震度四、東京、館山、網代。震度三、大島、横浜、甲府、三島。震度二、千葉、宇都宮、熊谷、河口湖、日光、秩父、諏訪、三宅島。震度一、福島、静岡、銚子、前橋、長野、小名浜、名古屋、八丈島、飯田、水戸、石廊崎、軽井沢、御前崎、新島、勝浦。以上が震度でございます。  なお、先ほどの地震の性質についての気象庁の見解を申し上げますと、地震の発生したメカニズムにつきましては現在調査中でありますが、震源の位置が伊豆半島南部にしばしば発生します群発地震とは違う場所にありますので、その群発地震とは別の性格の単発的な地震ではなかろうかと考えておる次第でございます。  以上、気象庁からの御報告を終わります。
  246. 川俣健二郎

    川俣委員長 次に、被害状況について、国土庁小松原震災対策課長
  247. 小松原茂郎

    ○小松原説明員 今回の地震の被害状況でございますが、特に被害発生したとの報告は入っておりません。  なお、東海道新幹線、それから在来線を含めまして、点検のため一時運転を見合わせた区間がございましたが、現時点におきまして運転をすべて再開いたしております。  以上でございます。
  248. 川俣健二郎

    川俣委員長 以上で説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十一分散会