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1982-08-04 第96回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年八月四日(水曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 川俣健二郎君    理事 工藤  巖君 理事 渡辺 秀央君    理事 池端 清一君 理事 木島喜兵衞君    理事 柴田  弘君 理事 横手 文雄君       植竹 繁雄君    大石 千八君       川崎 二郎君    木村 守男君       北口  博君    久間 章生君       桜井  新君    笹山 登生君       田原  隆君    田村 良平君       高橋 辰夫君    近岡理一郎君       戸井田三郎君    畑 英次郎君       阿部喜男君    伊賀 定盛君       田口 一男君    田中 恒利君       中村 重光君    福岡 義登君       森中 守義君    草野  威君       薮仲 義彦君    小渕 正義君       野間 友一君    林  百郎君       石原健太郎君  出席国務大臣         建 設 大 臣 始関 伊平君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 松野 幸泰君  出席政府委員         国土庁長官官房         審議官     荒井 紀雄君         農林水産大臣官         房審議官    大坪 敏男君         建設省河川局長 川本 正知君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      斉藤 次郎君         文化庁文化財保         護部建造物課長 鈴木 嘉吉君         厚生省医務局指         導助成課長   小沢 壮六君         厚生省社会局施         設課長     田中 健次君         農林水産省構造         改善局建設部防         災課長     吉川  汎君         林野庁指導部治         山課長     小澤 普照君         中小企業庁小規        模企業部参事官 佐々木恭之助君         気象庁予報部予         報課長     立平 良三君         建設省河川局河         川計画課長   岸田  隆君         建設省河川局治         水課長     玉光 弘明君         建設省河川局都         市河川課長   萩原 兼脩君         建設省河川局防         災課長     狩野  昇君         建設省河川局砂         防部長     釣谷 義範君         建設省道路局企         画課長     鈴木 道雄君         建設省道路局国         道第二課長   高見 昌信君         建設省住宅局民         間住宅課長   鹿島 尚武君         自治大臣官房参         事官      松本 和雄君         消防庁防災課長 土井  豊君         日本国有鉄道施         設局長     伊能 忠敏君         日本国有鉄道施         設局土木課長  村上  温君     ————————————— 委員の異動 八月二日  辞任         補欠選任   保岡 興治君     川崎 二郎君 同月四日  辞任         補欠選任   木村武千代君     久間 章生君   高鳥  修君     畑 英次郎君   東家 嘉幸君     北口  博君   伊賀 定盛君     中村 重光君   田中 恒利君     森中 守義君   米沢  隆君     小渕 正義君 同日  辞任         補欠選任   北口  博君     東家 嘉幸君   久間 章生君     木村武千代君   畑 英次郎君     高鳥  修君   中村 重光君     伊賀 定盛君   森中 守義君     田中 恒利君   小渕 正義君     米沢  隆君     ————————————— 本日の会議に付した案件  台風第十号による被害状況について説明聴取  災害対策に関する件  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 川俣健二郎

    川俣委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  まず、去る七月二十八日及び二十九日の二日間、昭和五十七年七月豪雨災害による被害状況調査のため、長崎県及び熊本県に本委員会から委員を派遣いたしましたので、派遣委員から報告を聴取いたします。渡辺秀央君。
  3. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員 昭和五十七年七月豪雨災害による被害状況調査のため、去る七月二十八日から二日間、議長の承認を得て、長崎県及び熊本県に派遣されました派遣委員を代表いたしまして、私から調査の概要を御報告申し上げます。  派遣委員は、川俣委員長を団長として、自由民主党笹山登生君、日本社会党池端清一君、阿部喜男君、公明党・国民会議柴田弘君、民社党・国民連合横手文雄君、日本共産党野間友一君、新自由クラブ・民主連合石原健太郎君、そして私、自由民主党渡辺秀央の九名で、ほかに長崎県では倉成正君、久間章生君、中村重光君及び小渕正義君、熊本県では野田毅君及び森中守義君の地元選出議員方々の御参加を得まして、現地実情をつぶさに調査いたしてまいりました。  まず、今般の被害をもたらした要因について申し上げますと、済州島付近にあった低気圧オホーツク高気圧影響によりほとんど動かず、これに伴って前線が北上、九州中部を通って東西に伸びて停滞しました。この低気圧に向かって南西側から湿った空気が流れ込んだため、次々に発達した積乱雲が発生して集中豪雨をもたらしました。  長崎県について申し上げますと、七月二十三日の降り始めから翌二十四日の午後七時までに、長崎市周辺においては五百七十二ミリに達しました。特に二十三日の午後七時から八時までの一時間の雨量は、百十五ミリと記録的な豪雨となり、降り続く雨はそのまま流れ出し、中島川や浦上川に注ぎ、河口の長崎港の満潮時と重なったため、川がはんらんし、濁流が市街地にあふれ出しました。また、平野が少ないため、急傾斜地を開発利用した住宅各地土砂崩れの直撃を受けて、家もろとも生き埋めになってしまう大惨事を続発させました。  第一日目、派遣団は、まず長崎県庁において知事県当局長崎市長から被害状況等につきまして説明を聴取いたしました。  それによりますと、七月二十七日現在、長崎県において、死者二百三十八名、行方不明者八十六名、負傷者二百七十三名に達しており、家屋につきましては、全壊が三百七十五戸、半壊五百六戸、一部破損三百四十一戸、床上浸水六千三百五十七戸、床下浸水一万三千五十三戸、このほか公共土木施設商工業農林水産業等被害は甚大なため、被害総額は判明しておりません。  県当局は、七月二十三日午後八時三十分災害対策本部を設置し、長崎市、諫早市等二市八町に災害救助法を適用し、自衛隊災害救助出動要請して、被災者の救援、復旧活動行方不明者捜索全力を挙げて取り組んでおりました。  次いで、調査団被災現場視察を行いましたので、視察順序に従って御説明いたします。  最初に、長崎市内を流れる中島川と市内随一繁華街である浜町商店街視察いたしました。  中島川は、国の重要文化財指定されているわが国最初アーチ橋と言われる眼鏡橋がありましたが、川のはんらんにより橋げたの一部と欄干部分崩壊し、無残な姿となっており、長崎指定文化財の十一の石橋も多くの橋が崩れ落ち、護岸損壊個所が多く、台風シーズンを前に橋及び護岸早期復旧が望まれます。  浜町商店街は、中島川のはんらんにより、濁流が大量の土砂とともに商店の軒下近くまで迫り、一階の商品全滅状態となり、商店街の人々は商品の整理、店内の清掃に追われていました。  商店街道路は、ブルドーザーで懸命に整備しているにもかかわらず、いまだに相当部分が亙れきの山で通行不能となっており、洪水の恐ろしさを実感するとともに、被災商工業者に対し、一刻も早く長期、低利の融資が必要と痛感いたしました。  次に、鉄砲水で二十四名の死者行方不明者を出した長崎本河内奥山地区に向かいました。  ここは二十世帯から成る谷間の部落で、うち八世帯倒壊、埋没いたしました。道幅が狭いため、二十分ほどの間、徒歩にて現場に向かったのですが、途中ひつぎを運ぶ車と出会いましたので、一同黙礼をして見送りましたが、痛ましい御遺族の姿を見るにつけ、一日も早く立ち直っていただくよう祈らずにはおられませんでした。  現場は、一面えぐられたように赤茶けた土と大きな岩石が点在し、その下に被害者家屋が埋没しておりまして、自衛隊第四師団二千名の隊員が、三十度を超す暑さの中、汗と泥で真っ黒になりながら、懸命に行方不明者捜索活動を行っておりました。指揮官状況説明によりますと、不明者の中に下流本河内水源地に流されている可能性もあるので、あわせて、そちらの方でも流木や流失した家屋の破片の中をボートで捜索しているとのことでありました。一刻も早く不明者が発見されて、もとどおりの姿に復旧されることを祈りつつ、奥山地区を後にしました。  次に、土砂崩れにより死者行方不明者二十八名を出した長崎市鳴滝町の現地視察いたしました。  現場は急傾斜地を利用した新興住宅地で、下の家の屋根の上に他の家があるような状態でありました。二十四日午前一時半ごろ、多量の水を含んだ土砂民家もろとも下方の河川まで一気に崩れ落ち、七世帯二十八名が一瞬のうちに生き埋めになりました。  現場道路状況の面から大型機械が導入できず、行方不明者捜索活動は困難をきわめておりました。被災現場の上方から作業を見守りながら、集中豪雨の恐ろしさとともに、こうまで被害を大きくした原因について、平野部の少ない長崎市における宅地開発のあり方にも問題があるように感じられました。  最後に、長崎市川平町の砂防ダム決壊場所視察いたしました。  ここでは、土石流により死亡、行方不明三十四名という多くの犠牲者が出ました。通常二メートル足らずの流れが、上流より襲った土石流により砂防ダムが決壊し、さらにその下にあった集落を襲い、十五戸の家を押しつぶし、多くのとうとい人命をのみ込んでしまったのであります。  現場では県警、自衛隊員等捜索活動に励んでおりましたが、行方不明者の生死が確認されるまでは人力に頼らざるを得ず、思うようには進んでいないように見受けられました。  以上、視察いたしました個所の現況について述べてまいりましたが、いまでも、多数の死者行方不明者を出した現場の悲惨な光景は、目に焼きついて離れません。  なお、今回豪雨により過去に例を見ない甚大な被害を受けた長崎県から、県としても目下復旧全力を挙げて取り組んでおりますが、国においてもしかるべき措置を願いたいと、切々たる要望がございましたので、その主要なものについて、以下御報告申し上げます。  一、激甚災害指定並びに特別の財政援助について  一、天災融資法による天災指定し、天災資金枠の配分について特段の配慮を願いたい  一、商工業被害に対する政府系金融機関特別融資  一、主要幹線道路並びにその他、国、県及び市町村道早期復旧  一、主要河川改良復旧並びに緊急砂防対策事業等採択 その他多くの要望がございました。  被害地域視察いたしまして、住民の皆様が今般の激甚な被害にもめげず復旧に鋭意努力されておりますのを拝見いたしまして、深く敬意を表するところであります。  この際、政府におかれましても、長崎県における被害の実態を早急に把握され、各要望事項につきまして期待に十分こたえられるよう特段の要請をいたす次第であります。  第二日目は、熊本県の被害状況調査いたしましたが、まず、長洲港より三加和町に向かうバスの中で、県当局から被害状況について説明を聴取いたしました。  それによりますと、七月十一日から十四日にかけましての集中豪雨で、芦北、八代、球磨などの南部地区に多大の被害をもたらしました。また、七月二十三日から二十五日にかけての記録的な豪雨は、県下全域にわたって被害を発生させました。  被害は、死者行方不明者合わせて二十四名、負傷者四十二名、家屋全壊七十二戸、半壊百三十五戸、一部破損三百六十三戸、床上浸水五千七百四十一戸、床下浸水二千二百十一戸、公共土木施設農林水産施設農作物及び商工業等被害額は、約六百三十億円に達しました。  県は、災害救助法を七月十一日から十四日の豪雨につきましては田浦町など三町村に適用し、七月二十三日から二十四日にかけての豪雨では熊本市、山鹿市など二十一市町村に適用いたしました。  次に、二十三日からの豪雨による被災現場視察いたしましたので、視察順序に従って御説明いたします。  まず、二十四日の集中豪雨死者五名、行方不明者一名を出した三加和町を視察いたしました。  特に、裏山崩壊により校舎並びに用務員住宅土砂に押し流された緑小学校十町分校では、用務員親子救助活動をしていた近所の人二人を含めて四名の犠牲者を出しました現場は、ここも谷間を流れる川から裏山に至るわずかな平たん地でございまして、校舎はその部分にありましたが、われわれが訪れたときには、倒壊、埋没し、跡形もなくなっておりまして、いまだ行方不明の用務員であるお母さんを捜すブルドーザーの音が、まことに痛ましく響いておりました。  また、特にわれわれの涙を誘ったことは、近くに住む荒木さん親子であります。父が救助活動中に足を滑らし濁流に落ち、流されるのを見た息子さんが助けようとして川に飛び込み、ともに犠牲者となったことであります。御遺族の気持ちを思うとき、一刻も早い復旧が望まれるところであります。  次に、山鹿市の下水処理場視察いたしました。  ここは、すぐ近くを流れる菊池川が溢水し、同処理場及び管理事務所の地下にある電気室が水浸しで使用不能となりまして、損害額は五億円に達する見込みとの説明がありました。市民生活に重要な影響を与える下水処理場の一日も早い復旧が望まれるところであります。  次に、菊池川に沿って下流市郊外坂田地区まで車中からはんらん個所視察してまいりましたが、場所によっては、道路の四メートルほど上にある電話ケーブルまで水があふれ、農作物家畜等被害が生じました。  次に、山鹿市内下町商店街に至り、菊池川はんらんによりその商品に甚大な被害を受けたつめ跡を視察しましたが、ここでは人的被害がなく、不幸中の幸いと申せましょう。  その後、山鹿市役所において、市長から市の被害状況について説明を聴取いたしました。  被害は、床上浸水六百七十三戸、床下浸水四百九十九戸、公共土木施設農作物被害商工業被害等総額十六億六千万円になりました。  引き続き、激甚災害指定及び商工業者災害融資に対する利子補給等要望がありました。  次に、県庁において熊本県知事から、このたびの災害に関し、激甚災害指定及び河川改修促進等要望を承りましたが、中でも緊急治山事業及び林地崩壊防止事業採択について、人命被害にかかわるとして特にお願いがありました。  引き続き、今回の豪雨により被害を受けました佐賀県、大分県、宮崎県及び鹿児島県の各県からも要望がありましたが、長崎県及び熊本県の詳細な要望事項とあわせまして、これを本日の委員会議録末尾参照として掲載するよう委員長にお願いいたしたいと存じます。  次に、今回の豪雨による加勢川はんらんによるその流域水田冠水状況視察嘉島町に参りました。  嘉島収入役説明によりますと、加勢川流域熊本市、嘉島町及び益城町の水田三千三百三十ヘクタール中、冠水面積が一千四百六十三ヘクタールとなり、収穫皆無面積三百四十四ヘクタールの大きな被害が生じており、今後の対策等の陳情がありました。  原因として加勢川改修工事のおくれが指摘されましたが、これについては、下流域の拡幅のための用地の確保に苦心しておるところであるとの説明でありました。  干ばつによる田植えのおくれから生育がいま少しだった苗も黄白色に変色し、その無残な冠水田を見ていると、これの対策とともに、このような被害を再び発生させないためにも、河川早期改修が強く望まれるところであります。  以上で被災地視察は全部終了いたしましたのでありますが、最後に、今回の豪雨災害で亡くなられた方々の御冥福と負傷された方々の一日も早い復帰をお祈りいたしますとともに、調査に御協力を賜りました長崎県、熊本県の関係各位に心から感謝申し上げまして、報告を終わりたいと思います。
  4. 川俣健二郎

    川俣委員長 これにて派遣委員からの報告は終わりました。  派遣委員各位にはまことに御苦労さまでした。  なお、ただいま報告者渡辺委員から申し出のありました長崎県等からの要望事項等につきましては、要請どおりこれを本日の委員会議録末尾参照として掲載いたしたいと存じますが、そのような取り扱いで御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 川俣健二郎

    川俣委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
  6. 川俣健二郎

    川俣委員長 ここで九州地区豪雨対策に対する審議に入る前に、台風第十号による被害状況について、政府から説明を聴取いたします。松野国土庁長官
  7. 松野幸泰

    松野国務大臣 昭和五十七年台風第十号による被害状況について御報告申し上げます。  台風第十号は、八月二日午前零時過ぎ愛知県の渥美半島に上陸した後、中部地方西部を通って日本海に抜け、温帯低気圧となりました。上陸時の中心気圧は九百七十ミリバール、最大風速は毎秒三十メートルの大型台風でありました。この台風に伴って、中国地方及び四国東部から東北地方にかけての広い範囲で大雨を降らせました。  このため、各地土砂崩れ等による被害が発生しましたが、被害状況は、八月三日十七時現在、死者五十二名、行方不明二十七名、建物の全半壊三百八十三棟、床上浸水六千四百五十四棟などとなっております。  なお、施設関係被害状況につきましては、現在、各省庁において調査中であります。  この台風災害に対し、六県の十六市町村において災害救助法が適用されましたほか、奈良県、三重県など六府県を初め二百五十九市町村災害対策本部が設置されたところであります。  被災現地においては、行方不明者捜索救助を初めとする応急対策全力を挙げているところでありますが、政府におきましても、八月三日に災害対策関係省庁連絡会議を開催し、関係省庁間の密接な連携と協力のもとに各般の施策の推進を図ることとしました。  主なるものとしましては、  災害弔慰金の支給、災害援護資金の貸し付けを早期に行うこと、  現在不通となっている国鉄、道路などの応急復旧全力を尽くすこと、  土石流による被災渓流のうち、補助採択基準に適合するものについては緊急砂防事業として早急に実施すること、  直轄河川については直ちに復旧工法検討に入り、早急に現地調査を実施すること などであります。  なお、昭和五十七年七月豪雨災害被害状況対策につきましては、七月二十七日の当委員会で御報告したところでありますが、その後の状況について申し述べたいと存じます。  八月三日十七時現在、死者は、長崎県の二百九十名、熊本県の二十三名、大分県の八名を初め三百三十六名に上っており、行方不明は長崎県で九名、熊本県で一名となっています。建物の全半壊は、長崎県の一千三百九十一棟、熊本県の二百二十棟を初め一千七百七棟となっております。床上浸水は、長崎県で一万八千二百十七棟、熊本県で五千九百九十三棟を初め二万五千七百十六棟となっております。  政府におきましても、市民生活の安定のため全力を挙げてきたところでありまして、電気及びガスは全面的に復旧しており、水道につきましても、長崎市の一部を除き平常どおり給水が行われております。交通、通信につきましては、電話全面開通長崎バイパスの二車線確保無料化の実施、長崎本線開通を初め応急復旧を急いだところであります。  さらに、被災地方公共団体に対する普通交付税の繰り上げ交付を、長崎県のほか、熊本県内六十七市町村長崎県内二十七市町村佐賀県内二十六市町村など、合わせて百五十市町村に対して行っております。  また、被災した公共土木施設、農地、農業用施設文教施設等被害額は、現在各省庁において鋭意調査中であり、できる限り速やかに災害査定を実施し、早期復旧を図ることとしております。  激甚災害指定につきましては、指定すべく現在鋭意検討を進めております。  以上、これまで政府が講じた各般対策のうち一部を御報告しましたが、今後本格的な復旧に向けて全力を尽くす所存でありますので、委員各位の御協力、御配慮をお願い申し上げます。
  8. 川俣健二郎

    川俣委員長 これにて説明は終わりました。     —————————————
  9. 川俣健二郎

    川俣委員長 これより質疑を行います。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。北口博君。
  10. 北口博

    北口委員 熊本県の北口でございます。  きょうは、熊本実情を御説明申し上げる機会を、川俣委員長初め災対の各位皆さん方、時間をお与えいただきまして、まずもって心から厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。  さらにまた、ただいまは自民党の渡辺理事さんから、西日本災害視察、またお見舞いにつきまして詳細に御報告をちょうだいいたしまして、地元県民を代表いたしまして、派遣委員皆さん方に心から厚くお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。  今回の西日本災害は未曽有災害でございまして、きょうは災対委員会でも特別の取り計らいをいただきまして、熊本県から私に発言の機会を許していただき、さらにまた、大分県から畑議員に、長崎県から久間議員質疑機会を与えていただいて、大変恐縮をいたしておりますが、時間の制約がございますので、私が尽くせない分はお二人の議員さんの方にお譲りをいたしたいと思いますけれども、まず私から、熊本中心にする今回の災害について大臣に御見解をただしていきたいと思います。  その前に、松野国土庁長官は、長崎集中豪雨に、御多忙の中にもかかわりませず早速大災害現地をじきじきに御視察をいただきまして、大変県民を激励していただきまして、被災者大臣の励ましを受けながら、いま懸命に復旧作業に取り組んでおるところでございまして、御労苦に対して心から厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。  そこで、今回のこの災害を振り返ってみますると、まず梅雨入りの宣言がありました六月の十三日ごろから七月の初めにかけましては、西日本一帯は極度に雨が少ない水不足の危機が実は始まっておったのでありますけれども、しばらくして七月の五日ごろになりましたら気象が一変いたしまして、熊本地方中心に、九州全域で十日から十二日にかけてその降雨量は二百ミリから五百ミリに達するという異常気象になってまいったのでございます。さらにその後も十三日から十四日、さらに二十日にかけまして、二百ミリを超える大雨が断続的に降ってまいりました。その後、二十三日から二十四日にかけまして、御存じのとおりの長崎県を中心にする三時間に約三百ミリを超すという想像を絶する大雨になりました。  今回の大災害は、まさに伊勢湾の台風に次ぐ、一地域といたしましては大きな犠牲者を出したということになっておりまして、お亡くなりになった皆さん方、さらにまた大災害をお受けになりました皆さん方には心からお見舞いを申し上げ、そしてまた、復旧の一日も早からんことを念じて、質問を進めてまいるものでございます。  その後はまた、きょうはやっと本当の梅雨明け宣言みたいな幕あけの天候になってまいりましたが、きのうまでは第十号の台風、さらにまたそれに続く大雨災害という、毎日毎日災害情報の電話が鳴りっ放しという状態で今日を迎えておるわけでございますが、今回の大雨被害というのは、どうも一連の気象状況の連鎖によって引き起こされた災害でありまして、北海道と沖繩を除く日本列島はまさに水浸しというような強い印象をわれわれに与えたのであります。  この大災害で先般松野長官は長崎県をお訪ねになりましたときに、長崎県の激甚災害は私が閣議で何とか善処したい、こういうありがたい発言をいただきまして、長崎県民はほっといたしておるわけでありますけれども、ここで改めてお尋ねを申し上げたいと思いますのは、この一連の気象というのは、熊木を含め、また大分を含め、西日本全域の気象条件による災害だ、私はこういうふうに認識をし、また、長官も御理解いただいておるのじゃないかというふうに思っておるわけでございまして、どうぞひとつ、これを西日本一帯激甚災害としてぜひ今回指定をしていただきたい。  これは実は私がきのうまで災害現地を回りましたときも、被災の皆さん方はもちろんでありますが、市町村長さん、あるいはまた議員さん、あるいは県議会、県知事、すべて松野長官の勇気ある決断、思いやりのある判断を今回はぜひお願いするという陳情を受けてまいっております。どうぞひとつ被災民の苦しい実情を御理解いただきまして、前向きで検討していただきますように私は長官にじきじきにお願いするわけでございますけれども、長官の御所見をお聞かせいただきたいと思います。
  11. 松野幸泰

    松野国務大臣 お答えいたします。  七月豪雨においては、長崎県、熊本県、大分県など九州北部において大雨が降り、これらの県において大きな被害が発生したところであり、激甚災害指定についてもこれらを一括して対象とすべく被害状況の把握に全力を挙げているところでありまして、まとまり次第早期指定すべく事務手続を進めております。
  12. 北口博

    北口委員 ただいま本当に心温かい、御理解ある積極的な御答弁をちょうだいいたしまして、早速被災民の皆さん方にひとつ朗報として私はお伝え申し上げたいと思います。今後ともひとつ早急な対策をお願い申し上げます。  その中で、時間がたっていいものと、もう一日でも早く、たとえば中小企業関係のお店の被害等につきましては、実はいち早く救済策をと待ち望んでおるわけでありますので、この点は逐次早い方から激甚災の指定を決めていただくなら大変ありがたい、ひとつ方法についても御検討いただきたいと、特に御要望申し上げておきます。よろしくお願い申し上げます。
  13. 松野幸泰

    松野国務大臣 激甚災害指定のためには、その前提として、御承知のように被害額の把握が必要であり、現在、関係省庁調査を急いでいるところであります。公共土木及び農地、農業用施設についての被害額は現在なお増加している状況であり、まだ調査がまとまる段階に至っておりませんので、激甚の指定についてはなお若干の日時を要する見込みでありますが、中小企業関係については手続を八月中旬を目途に早急に行うべく検討を進めているところでございます。
  14. 北口博

    北口委員 本当にありがとうございました。  次に、各論に入ります前に、災害復旧につきまして一群御提言を申し上げたいと思います。  特に、今回の災害は大変な金額に上っておりまして、未曽有の被災人口を抱えたわけでありますが、去年の東日本の災害復旧におきまして、三年間で復旧をやっていくということであるわけでありますが、その復旧の比率につきまして、昨年は新しい予算配分で着工してもらった、私はこういう記憶をいたしておるわけでございます。  従来考えられております予算の割り振りと申しますと、最初は三〇%の予算、二年目になりまして五〇%、さらにまた三年目が残る二〇%と、大体こういうような配分で災害復旧が行われておるわけでありますが、昨年の東日本の災害復旧では、まず当初に六〇%を組んでいただいて、現地はこれに非常に助けられたわけでありまして、今度の災害につきましても、そういうよき前例にならっていただいて、まずひとつ六〇%の復旧の予算措置から今度の災害に取り組んでいただくなら大変ありがたいと思っております。  また、このことが、やがては補正も組まなければならぬという、十月ごろの臨時国会も考えられておるときでありまして、御承知のように、現在景気も大変沈滞をいたしております。そういう点では、まさに景気刺激策の大事な分野を担うこともできるのじゃないか。両々相まって、昨年の東日本中心復旧予算のように、今度も初年度から六〇%あるいはそれ以上の災害復旧予算でぜひひとつ取り組んでいただけないか、このことについての御所見もちょうだいいたしたいと思います。
  15. 狩野昇

    ○狩野説明員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、災害復旧事業の標準進度は、初年度三〇%、二年目五〇%、三年目二〇%ということになってございます。しかし、ここ数年、進度アップの要望が非常に強うございまして、特に昨年は、関東、東北、北海道地区を中心に激甚な災害が発生したこともありまして、補正予算を含めて、初年度において先生おっしゃるように大幅な進捗を図ったところでございます。本年も、七月に入りまして激甚な災害が発生しておりますので、今後の災害の発生の状況を見きわめまして適切に対処してまいりたいと思います。
  16. 北口博

    北口委員 大変前向きな御答弁をいただいて、ありがとうございました。景気刺激策も兼ねた今回はどうぞひとつ進捗率を上げていただきたい。心からお願いを申し上げます。  さて、各論に入ってまいりますけれども、熊本の被災額、これは総額で見ますと八百二億という大変な額になったわけでありますが、とりわけその中でも、農林水産だけのことについての農林省の取り組み方についてまずお尋ねをいたしたいと思います。  熊本県は、八月二日現在、農林水産百三十六億、その他土木、商工関係含めて八百二億でありますけれども、いま私が現地を回りまして非常に強い要請を受けておりますのは、農地の流失が非常に激しい。さらにまた、農業用の施設、これが大変な被害を受けております。加えまして、林道の決壊も実はたくさん出ておるわけでありまして、そういう農地、林道関係だけでも、熊本県はいま百三十六億の被害を出しておるわけでありまして、これは農地関係だけでも全国では五百億に上るというふうに聞いております。したがいまして、この際、復旧のための早い災害査定をやっていただきたいということ、さらにまた、この早期復旧を急ぐために、農林省として激甚災害指定をして補助率のかさ上げをやっていくべきだというふうに考えておるわけでありますが、農林水産省のお考えをお聞きしたいと思います。
  17. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 七月豪雨災害におきましては、九州地方を中心といたしまして、農地、農業用施設等に甚大な被害が生じているわけでございまして、農林水産省といたしましては、被災後直ちに担当課長並びに係官を現地に派遣いたしまして、当面応急工事の実施を指示するとともに、被災個所復旧工法の指導等を行った次第でございます。  さらにまた、ただいま御指摘の査定の問題につきましては、復旧について緊急を要する地区につきまして緊急査定を行うべく、八月十六日から査定に取りかかるという方向で目下準備を進めているところでございます。  さらに、災害復旧事業の計画書の作成についてでございますが、これにつきましても、当該県のみならず他県の職員、土地改良事業団体の職員等の派遣も求めまして、応援体制のもとに迅速に作成に当たるという準備も進めております。  また、査定の迅速化を図る意味から、従来から査定設計書の作成方法につきまして利用いたしておりました総合単価の適用範囲を拡大し、さらにまた、現地査定を原則としておりました査定業務につきましても、非常査定を取り入れる等々の簡素化措置もとるべく現在検討を進めておるところでございます。また、査定が終了した個所につきましては、直ちに工事に着手するという方向でおりまして、特に緊急を要する個所につきましては、初年度または第二年度で完了するように対処してまいりたい、かように考えている次第でございます。  次に、農地、農業用施設等につきましての激甚災の指定の問題でございますが、先ほど国土庁長官から御答弁がございましたように、私どもといたしましては目下被害額調査取りまとめ中でございます。調査結果がまとまり次第、指定の手続を進めるというふうなことでおるわけでございます。
  18. 北口博

    北口委員 農林水産省も前向きに激甚災害指定検討中だということを聞きまして、本当にありがたく思っております。  さらに、林野庁にお尋ねをいたしますが、今回の災害で特にがけ崩れというのが大変目立っておりまして、もちろん林道の決壊等もございましたけれども、熊本県の被害だけでも六百九十五カ所という決壊場所が出てまいったわけであります。金額で言いますと八十四億円。実は、これは熊本県にとりましてはまれに見る被害であったわけであります。これは林野庁だけに責任があるわけじゃございません、建設省を含めた問題だと思っておりますけれども、どうも全国の急傾斜の危険個所というのが、まだそのままほうってあるのが六万四千ぐらいあるということであります。そして、やっと手をつけたのがその一割にも満たない六千件ぐらいで、そういうことが多少行われておるということでありますが、これは災害国日本ということから、もうどうしようもないわけであります。この辺は、国土庁長官もいらっしゃいますけれども、安心して住める環境というものに真剣に取り組んでいただきませんと、特にがけ地に対する宅造あたりも、これは建設省でございますけれども、そういうことまで案外見逃すというようなこともあっております。  後で熊本の実態も申し上げますけれども、そういうことで林野庁としてはこれからどういう防災対策を考え、さらにいま起きております災害現場に対してどのような緊急の復旧工事を進めようとしていらっしゃるのか。また、この後もう雨は終わりというわけじゃないわけでありまして、次から次に台風が来た場合、まさに二次災害の危険をたくさんはらんでおるわけでありますから、こういうことに対する当面の緊急対策についてどういうことを考えていらっしゃるのか、まずこのことからお尋ねをいたしたいと思います。
  19. 小澤普照

    ○小澤(普)説明員 お答え申し上げます。  先生からただいま御指摘がございましたように、今回山崩れの災害が非常に多かったわけでございます。私どもといたしましては、現地災害の担当官を派遣いたしまして調査あるいは指導に努めておるわけでございます。  まず、当面の対策でございますけれども、御指摘のように、次にまた大きな雨が降りますと非常に危険であるということでございますので、今回新たに発生いたしました林地の荒廃につきましては、次期降雨等によりまして人家、公共施設等に被害を与えるおそれがある個所につきましては、緊急治山事業で対処する予定にいたしております。  なお、民有林の治山施設あるいは林道施設につきましては、早急に現地査定を実施いたしまして、緊急を要する個所から順次復旧してまいりたいというふうに考えております。また、人家の裏山等に発生しております小規模な林地崩壊につきましては、いわゆる激甚法によりまして激甚災害指定がございました場合は林地崩壊防止事業、その他の場合につきましては小規模山地災害対策事業、このような形で緊急な個所から復旧してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  20. 北口博

    北口委員 前向きの姿勢はわかるわけでありますが、災害は待っていないわけでありますから、この辺はひとつ緊急度を厳しく点検してもらって、いち早く手当てをやっていただきたいと思います。さらに、今年から始まりました第六次の治山治水五カ年計画を積極的にやってもらわなければならぬし、また予算措置等も、われわれも大いにバックアップいたしますから、災害を未然に防ぐという大義の上に立ってこれからひとつがんばっていただきたい、かように思うわけでございます。  時間が五十四分まででございまして、もう時間がないわけでありますが、最後に、今回の災害を眺めてまいりますと、どうも二つの特徴があらわれておるのじゃないかというふうに思っております。一つは急傾斜地のいわゆる地すべり災害、もう一つは中小河川の大はんらん、こういう挟み打ちのかっこうで大変な災害を引き起こしたということが私には強く印象づけられておるわけでありますけれども、一口に申し上げまして、今回は、むやみやたらに乱開発をするための自然の摂理の制裁である、こういうことも深く認識していくべきではないか。  かつては水の道であって小さな川であったところに、山地に平気で宅造して水の流れ場をふさいでしまう。まさにこれは常識上考えても災害がない方がおかしいわけでありまして、その辺を第一線で指導してもらっておる宅造関係の行政指導は、こういうことを含めて、これからは自然の摂理に沿ったような原理、原則だけは徹底的に守っていかなければならぬ。これを見過ごしておりますと、永久に災害は連年災害として毎年大変な出費をしていかなければならぬし、大変な犠牲とエネルギーを払っていかなければならない。こういうことはあるよりもない方がいいわけでありますから、やはり自然に帰るような生活環境、住宅環境をこれから厳しく見詰めていただきたい。  そういうためには、この災害を契機に、各県の行政指導で本当に自然の摂理に沿って宅造や開発が行われておるのかどうなのか、この際一斉に厳しく点検する必要があるのではないか。建設大臣もそうでありますが、関連する国土庁も、ちょうどきょうは長官もいらっしゃいますから、ひとつ長官に陣頭指揮をとっていただいて、このことだけは今回ぜひやっていただきたい。  実は熊本の池田町の四名の生き埋めの事故でありますけれども、現場に行ってまいりますと、まさに災害が起きない方が不思議なくらいでした。宅造業者の開発でありましたけれども、舗装といいましてもまさにせんべいみたいな舗装で、厚さは三センチあるかないか、そういう道が地割れをしている。その地割れの下の急傾斜のところに一軒家を建てて、それを買った方が亡くなったわけでありますけれども、まさにこれは天災ではなくて人災であります。また、ほかにもたくさん、私たちが現地を回ったところ、これはもう政治が悪いのだ、本当のところ、これは天災ではなくて人災である、われわれは裁判でもして黒白をつけたい、こんな大変せっぱ詰まった被災者の訴えもあるわけでありますから、この際ひとつ行政庁といたしましては、もう一遍そういうところの見分け、あるいは線の引き直しを、市街化区域、既成の地域を含めてこれから再検討していただきたい。  さらにまた、どうしても住宅が密集して困っておるということであれば、いわゆる市街化調整区域あたりも、何も一遍線を引っ張ったから何が何でもこれはもうできない、また改定期間が来るまでできないということではなくして、やはり優良な住宅を与えるという弾力ある判断を持ってまいりませんと、いつまでもこの災害は日本列島から追放ができない、こういう運命をたどっていくわけでありますから、私はこの際、長崎は特にそうでありますけれども、急傾斜地でないと住宅は建てられない、そういうところを含めて、熊本市もそうでありますが、りっぱな平野もたくさんあるわけであります、住宅に最適だという農地もまだたくさんあります、調整区域の中にも本当にすばらしい土地も残っておりますから、そういうところは弾力的にこれから行政の中で取り組んでいただきますように、このことについて、松野長官がいらっしゃいますから、最後に御決意をお聞きいたします。  さらに、三重県はもちろんでありますが、山梨県が、二百七十六億だったかと思いますが、大変な被害状況だ、きょうは災害対策本部を設けられて、これから被災状況が判明するけれども、ぜひひとつ松野長官に山梨県の今回の災害についても特段の配慮をしてほしい、こういう山梨県からの陳情がいまここに来たわけでありますから、そのことに対する対策もお考えいただきたい、このことをつけ加えさせていただきます。  乱開発についての所見をお聞かせいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  21. 松野幸泰

    松野国務大臣 ただいまの乱開発についての御意見は、私は大変結構な御提言だと考えておりますので、関係省庁と十分連絡をとりまして最善を尽くしてまいりたいと考えております。  山梨県の陳情の件につきましても、同様、最善を尽くしまして御期待に沿うよう努力いたしますことを申し上げて、答弁にかえさせていただきます。
  22. 川俣健二郎

    川俣委員長 次に久間章生君。
  23. 久間章生

    久間委員 質問に入ります前に、一言御礼を申し上げさせていただきたいと思います。  本特別委員会におかれましては、委員長初め各党の代表の皆様方、そしてまた国土庁長官を初めとする政府関係各省庁方々がいち早く行動を起こしていただきまして、適切かつ迅速に対処していただき、あの悲惨な長崎に入っていただきました。災害のために花然自失の状態になっておりました長崎県の被災者住民としては、どれほど心強く感じたことでありましょうか、本当にありがたいと思っております。本席をかりまして厚く御礼を申し上げる次第でございます。  ところで、今回の長崎中心として襲いました集中豪雨災害についてお尋ねするわけでございますけれども、その規模、またその深さ、そして犠牲となられた方々の数等、過去の多くの災害と比べてみましても、本当に特筆すべきものだろうと思います。大臣は早速長崎に入られてその直後の状況を見られたわけでございまして、その御感想等も含めて大臣から御所見を承りたいと思うわけでございます。  ところで、県を初め関係住民から非常に要望が出ておりますことは、先ほど北口委員からもお話がございましたとおり、激甚災の指定を一日も早くしてもらいたいということでございます。  激特法によります指定でございますけれども、これは御承知のとおり、公共土木関係、農地、農業用施設、そして中小企業等といったふうにそれぞれ事業ごとに分かれておりまして、先ほどの大臣の御答弁によりますと、被害が比較的早く把握できる中小企業等の激甚災の指定については、八月中旬をめどに鋭意努力をしておるというお話でございます。私どもが聞いております話によりますと、中小企業の被害額について集計が出て、これについてはそのような見込みだということをいまも聞きまして、喜んでおるわけでございます。また、農地、農業用施設についてもだんだん被害額が上がってくる中でどうやらこれも激甚災の指定ができそうだ、そういう話も伺っておりまして、非常に富んでおるわけでございます。  御承知のとおり、公共土木の激甚災の指定については、いわゆる標準税収入額との比率によってこれが指定されることになっておりますために、局地激甚災を指定するとしましても、各市町村で激甚災の指定になる町もあればならないところもあるというようなことになりはせぬかということで、非常にみんなが心配しておるわけでございます。今回の大水害のように、一県の人的被害としては伊勢湾台風以来の二百九十八人という大惨事をもたらしたこういった災害が、もしも激甚災として指定されないようでは、法の趣旨が生かされないのではないかと思うのですけれども、今回のこの災害を機に、私自身はこの基準についても現時点で見直す時期が来ているのじゃないかというような気がいたします。  そういう意味で、先ほどの北口委員の質問と若干重複する点があるかと思いますけれども、この激甚災の指定についてそれぞれの指定がどういう見通しに立っているか、特に私が取り上げました公共土木関係につきましても激甚災として指定し、その措置すべき適用措置としての政令指定をしてもらいたいと思うわけでございますけれども、そういう意気込みで最後まで取り組んでいただけるのかどうか、この点について国土庁長官にお尋ねいたしたいと思います。
  24. 松野幸泰

    松野国務大臣 お答えいたします。  このたびの豪雨災害により多くのとうとい命が奪われ、多数の人々が多大な被害を受けられたこと、まことに残念であり、心からお見舞い申し上げます。  これらの甚大な被害は、急激に、しかも短時間に記録的な雨量の豪雨に見舞われたことによるものと考えられますが、平地が少なく急峻な山地の多い地形などの要因が重なり生じたものと受けとめております。  また、被災者の生活の安定は何よりも急務であり、関係者の懸命の努力により、一時はかなりの数に上った停電も現在まで復旧し、断水家庭も大幅に減少し、ガスの供給も安全を確保しつつ順次再開されてきたところであります。  今後、中小企業、農林水産業対策道路等の復旧へ向けて引き続き努力するとともに、一日も早く被災者方々がもとの平和な生活を取り戻されるよう全力を尽くしてまいりたいと考えております。  激甚災害指定については、目下関係省庁において鋭意被害状況の把握に努めているところでありますが、公共土木については現在なお被害が増加している状況であり、現在まだ調査がまとまる段階になっておりませんので、激甚の指定の見込みについてはなお若干の日時を要すると思われますけれども、これは全力を挙げてやりますので、御協力をお願いいたしたいと思います。  農林関係についても同様の事情にありまして、できる限り早く見込みを立てたいと考えております。  中小企業については被害が甚大でありますので、八月中旬を目途に指定手続をとるべく検討を進めております。
  25. 久間章生

    久間委員 従来の激甚災害指定等について調べてみますと、大体六月から七月にかけて災害があったものにつきましては、九月には指定がなされておるわけでございます。そういう意味では、今回の集中豪雨は七月下旬ということで少し時期的にずれ込んでおりますけれども、従来のようなペースで、遅くとも九月じゅうには指定をしてもらえるように、そして、次のいろいろな市町村の負担その他の対策市町村にとっても県にとっても立てられますように、ぜひ一刻も早い指定をお願いしたいわけでございます。  個々の問題に入ります前に、国土庁長官にもう一つお尋ねをいたしたいと思います。  過日、わが自由民主党の幹事長でございます二階堂幹事長が被災地長崎に入られたわけでございます。その折、今回の災害を単に復旧いたしましても、谷合いの住宅とか渓流など、現在までの状況をそのままにしておいたのでは、また今度のような大雨が降ったら同じ災害が起きるのではないか、道路道路、水路は水路、住宅住宅、あるいは急傾斜は急傾斜、砂防は砂防といったような、これまでのようなばらばらの形で復旧したのでは、また同じようなことになってしまうのではないか、総合的な都市改造として、今回の長崎災害を契機に、長崎をひとつモデル地区に選んでやってみてはどうか、そういう趣旨の発言があったのでございますが、私もそれを聞いておって、まさに至言ではないか、そのとおりではないかという気がしたのでございます。  政府としても、国土庁が音頭をとって、これまでみたいな各省各庁がばらばらにやるという形ではなくて、この長崎みたいな都市をモデル都市として、もう二度と災害が来ないようなそういう復旧というか、都市改造を行ってみてはどうかと思うわけでございますけれども、こういうような発想、こういうような観点から、今度の災害を契機に何か考えてみようというお考えが国土庁長官にあられるのかどうか、お尋ねしたいと思うわけでございます。
  26. 松野幸泰

    松野国務大臣 今後の復旧に当たっては、今次災害による多大の犠牲をむだにすることのないよう、激特事業を含む河川改修事業など、災害に強い都市づくりを総合的に推進する必要があると考えております。今後早急に関係省庁と密接に連絡をとって、その方策の研究を進めてまいりたいと考えております。このためには地元関係者の理解と協力がきわめて重要でありますので、よろしくお願いしたいと存じます。  なお、幹事長のお話が出ましたが、先般、災害の直後に御相談しましたときに、鹿児島は特殊土壌で長崎よりも地盤が弱いが、思い切って特殊土壌対策や激特などでやってあるので、鹿児島の方が長崎よりも条件は整っておると思うから、それを大いに参考にしてやっていきたいということが、いま久間先生の現地でのお話と符合すると思っておりますので、この点十分配意して努力してまいりますので、よろしく御了承いただきたいと思います。
  27. 久間章生

    久間委員 それに関連して、建設省から来ておられれば建設省の方にお尋ねしたいわけでございますけれども、災害復旧の事業として助成事業とか関連事業とか激特事業とかいろいろあるわけで、地域的な面の広がりを持ったそういう地域についての災害復旧、たとえば都市計画法に基づく都市計画事業でございますとか、河川復旧道路復旧、それから急傾斜、砂防といった事業を共同的に施行するというか、合併して処理するというか、そういうようないわゆる一定災という概念があるというふうに私は聞いておるわけでございますが、この一定災という概念はどういう概念なのか、もしそういう概念がございましたら、ひとつ御説明を願いたいと思うわけでございます。
  28. 狩野昇

    ○狩野説明員 お答えいたします。  先生御指摘の災害を契機としました安全で機能的な町づくりという件でございますが、それに関連しまして、ただいま一定災というお話がございました。  建設省としましては、過去、伊豆地震におきまして被害のあった一定の地区を面的にとらえまして、面的な総合的な復旧対策という、内容としましては当然住宅から、道路から、その他総合的な対策を実施したことがございます。今回の長崎中心部の中島川のはんらんによる激甚な被害中心としました復興対策でございますが、これについて河川、街路、これは道路ですが、都市住宅等を各省内の担当官が集まりまして現地調査を実施しまして、現在その結果によりまして総合的な、安全で機能的な面的な復興の方策といったことにつきまして検討しておりまして、地元と十分協議をしながら今後進めていきたい、このように考えております。
  29. 久間章生

    久間委員 国土庁長官にも重ねてお願いしておきたいわけでございますけれども、いまお聞きのように、伊豆地震のときに各省庁の各部局のいろんな仕事を、面的な広がりを持った一つの災害としてとらえて、いわゆる面の一定災として実施したことがあるということでございまして、まさに今回の災害のようにいろんな形のものが入り組んだときには、そういう考え方でとらえていくのが非常にいいのじゃないかというふうな気が私もしておるわけでございます。  いま中島川の話をされましたけれども、中島川だけではなくて、八郎川という川がございます。この八郎川の沿線というのは、都市計画事業として区画整理がもう計画決定されておる地区でございまして、その地区が非常に大きな被害を今度こうむったわけでございます。県としては助成事業に乗せて川の改修をやりたいという話でございますが、私は、川の改修はそれでいいけれども、区画整理事業等もこれを機会に一気に進めた方がいいのじゃないかというふうな気もいたしておりまして、そういう意味では区画整理による立ち退き、それと河川復旧改良、それからそれ以外のがけ崩れ、そういったすべてのものを面の一定災としてひとつ取り上げてみたらどうかというような気がするわけでございます。  建設省内の問題だけならそれで結構でございますけれども、あわせてその地域は農林関係の農地、農業用施設復旧も急がなければならないところがたくさんございます。また、がけ崩れ等がございまして、その土砂が流れ込んできたのもたくさんあるわけでございまして、林地の崩壊も防止しなければいけないということで、各省庁にまたがるのじゃないかという気もいたします。そういう意味で、そういう点については国土庁が中心になられて、ぜひいま建設省の防災課長がおっしゃられました一定災という概念でもって強力に進めていただきたい、そういうことをこの際国土庁長官にもお願いをしておきたいわけでございます。  それともう一つ、最近の財政状況から非常に気になりますのでお尋ねさしていただくわけでございますけれども、今回の災害復旧いたしますとなると、かなりの予算措置が必要でございます。今日、財政再建に向けて政府は一生懸命努力しておられるわけでございますけれども、やはり災害復旧というのは一刻も早くやらなければいけないことでございまして、予算措置がどういうふうになっているのかが非常に関係住民も気にしていることでございます。地方公共団体も非常に気にいたしておりますので、公共土木あるいはまた農地、農業用施設等についての予算措置は十分であるのかどうか、その辺について国土庁あるいは関係省庁から御答弁をお願いしたいと思います。
  30. 松野幸泰

    松野国務大臣 ただいまの御趣旨については大変結構な御提言だと考えておりまするし、災害復旧が最優先である国の政治のあり方ということも当然でございますので、関係省庁と十分の連絡をとって努力をしてまいりたいと存じますが、私の全国的な視野から見た経験から見ますると、いわゆる区画整理、土地改良が一方に行われる。そして、中小河川が後回しになっておる。そして、土地改良や区画整理が行われたときにはどれだけの中小河川に圧力がかかるということは検討はしておられると思いますけれども、私は自分の経験から見まして、それがために大変な被害を受けて非常に苦しんでおる地域を全国各地で承知しております。  これは省庁の連絡を密にしなければなりませんが、国土庁も六年前にできた役所でございますからまだ歴史が浅いけれども、その国土庁のできました趣旨を生かしまして、そういうような悲惨に嘆く人が後から後から出てこないように最善を尽くしてまいりたいと思いますので、これは与野党の関係ではなく、政策の問題として皆様方の御協力をいただいておりますことを大変ありがたく存じておりますと同時に、なお一層の御協力をお願い申し上げておきます。
  31. 荒井紀雄

    ○荒井政府委員 お答え申し上げます。  予算の問題でございますが、先生おっしゃいますとおり、災害復旧事業は被災地にとりまして緊急にやらなければいけない事業でございます。早急に実施する必要がある予算につきましては、全力をもってこれを確保したいと思っておりますが、当初予算におきまして現年災の枠をとってございます。したがいまして、災害査定の結果を待ちまして、状況を見つつ必要な措置につきましては万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  32. 久間章生

    久間委員 ただいまの審議官の御答弁を聞きまして、恐らく関係地方公共団体、また被災者皆さん方も非常に心強く思われるのじゃないかと思います。  それから、少し個々の具体的な問題についてお尋ねいたしたいと思います。  まず、建設省関係でございますけれども、御承知のとおり、長崎というところは一番端にございますために、交通の非常に不便なところでございます。そこに通っております国道三十四号線というのが大動脈でございまして、今度の災害でこの国道三十四号線が九カ所、九・六キロメートルにわたりまして寸断されて、全面的に交通どめとなっております。長崎のごみを処理するにも、この三十四号線を通って郊外の東長崎というところに運ばなければなりませんし、また、長崎市へ青果物を運んでまいりますのも、この三十四号線を通って東長崎の青果市場から長崎市内に運び込まなければならないわけでございまして、まさに大動脈でございます。この三十四号線がいつ復旧するのかが住民としては非常に気をもんでいるところでございまして、これが一日も早く復旧されるように願っているわけでございますが、その見通しについてお聞きしたいと思います。  それからもう一つ、同じくこの三十四号線が非常に混雑する、またいままでも災害のたびに不通となったというようなことから、先般建設省においても大英断を下されまして、三十四号線のいわゆる日見バイパスを着工していただいたのでございます。しかしながら、いま思いますと、この日見バイパスを着工しましたものの予算の都合でなかなか進まない。遅々として進まず、このままいったのではあと十年先か、二十年先か、ひょっとすると三十年先になるのじゃないかというような心配すらみんな持っているわけでございますけれども、今度の災害を見ましたときに、このバイパスが完成していればなあと、本当に痛切に感じたわけでございます。  そういうわけでございますので、この早期完成は、住民にとっても地方公共団体にとっても非常に望んでいるわけでございますけれども、予算の大幅な増額を願って早期に完成するめどを立てていただきたいと思うわけでございます。この点についてどのようなお考えなのか、これも建設省からお聞きしたいと思うわけでございます。  それから、先ほど申しました八郎川でございますけれども、この八郎川を先ほど言いましたように面の一定災としてとらえてもらえば非常に都合がいいわけでございますが、やはりこれは支川も含めてとにかく改良しなければならない河川でございます。今度の災害復旧事業でいわゆる災害助成として、面の一定災でとらえれば一番いいわけでございますけれども、そうでない場合にも、少なくとも災害助成事業として改良復旧してもらいたいと思いますが、どのようなお考えなのか、これについてもお聞かせ願いたいと思います。  それから、大臣現地視察していただきました中島川と浦上川でございます。これは周囲に住家、商店が立ち並んでおりますだけに、住民の協力なくしてはなかなか改良ができないということで、先ほど国土庁長官からも住民の方々の御協力もぜひお願いしたいというような御発言がありまして、私どももそのとおりだというふうに思っておりますが、これを激特事業として、激甚災害対策特別緊急事業として採択をしていただきたいわけでございますけれども、この採択についてはどういうふうにお考えなのか、これらについて建設省のお考えをお聞きしたいと思います。
  33. 鈴木道雄

    鈴木(道)説明員 お答えいたします。  一般国道三十四号線につきましては、先生がただいま御指摘のように、長崎市の平間町から同市の本河内町の間、延長約九・六キロメートルにわたりまして九カ所の大規模なのり面崩落、道路決壊が発生し、甚大な被害を受けております。その後、通行不能区間の両端より復旧全力を挙げておりまして、すでに長崎市の平間町から宿町の区間につきましては、二車線で一般に供用しております。また、本河内町の道路決壊につきましても、堆積土砂の排除、応急橋梁の設置等によりまして一車線を確保したところでございます。ただ、その区間の中ほどに位置いたします芒塚の災害個所につきましては被害が特に甚大でございまして、現在復旧全力を挙げておりますが、さらに堆積土砂の排除、迂回路の設置等の応急復旧対策を急いでおりまして、八月末までには全区間の二車線を確保し、供用する見込みでございます。なお、供用後も引き続きのう面構造物の本格復旧対策も行いまして、五十七年度末には本格的な復旧を終わらせるという予定でございます。  次に、日見バイパスでございますが、日見バイパスは、長崎中心部に通じます交通の混雑緩和と安全確保を図るために、長崎市の田中町から馬町まで約七・一キロについて計画された四車線道路でございまして、五十一年から事業に着手しております。現在まで交通混雑の最も著しい長崎市の中川町から同市馬町までの区間一・一キロにつきましては、現道拡幅のための用地買収を行い、さらに工事を進めているところであります。  今回の災害の経験を踏まえまして、防災対策を含めた三十四号の恒久的対策という見地からも、日見バイパスの計画あるいは事業の進め方についてさらに検討する必要があると考えておりますし、今後も御指摘の趣旨を踏まえまして、用地買収等地元の御協力を得ることが多々ございますが、早期完成を目指しまして一層事業の促進に努めてまいる所存でございます。
  34. 狩野昇

    ○狩野説明員 お答えいたします。  中小河川八郎川の復旧方針でございますが、八郎川は広範囲にわたって非常に激甚な被害を受けております。破堤はんらん等の被害を受けておりますので、一定計画に基づく改良復旧、先生おっしゃられました助成事業を実施するという方針のもとに、目下長崎県と協議をしておる段階でございます。
  35. 玉光弘明

    玉光説明員 ただいま先生から、激特事業について中島川と浦上川の採択をというお話でございました。御承知のように、施設災害がない場合で一般災害が大変多い、浸水の多い地域につきまして、改修事業の中の一つの項目としまして激甚災害特別緊急事業というのがございます。それにつきましてただいま採択基準に照らしながら現地調査中でございまして、もう少ししたら結果が出ると思います。
  36. 久間章生

    久間委員 次に、中小企業庁の方にちょっとお尋ねしたいと思います。  政府系金融機関特別融資でございますけれども、現在、国金と政府系金融機関激甚災害特別措置としての限度額は八百万円、期間は三年というふうになっておるわけでございますけれども、地元の要望として、やはりこれでは少ないのじゃないか、これを一千万にアップし、期間も十年——十年まではいかないにしても、とにかく現在の三年をもう少し延ばしてもらいたい、そういう要望が非常に強いわけでございます。そしてまた、被災者は、担保も流失してしまった、そういう場合もございます。だから、無担保で貸してもらうこともできないかという要望があるわけでございますけれども、これについてどういうふうにお考えなのか、この要望に沿って措置してもらえるのかどうか、お尋ねしたいわけでございます。  それからもう一つ、現在、各県に信用保証協会がございますけれども、この信用保証ももう目いっぱいに保証しておるわけでございます。したがいまして、今度みたいに災害が起きますと、新規のいわゆる保証要求がたくさん出てくるわけでございますが、今度のような災害に対しましては特別枠を設けるべきではないかと考えますけれども、この点についてどのようにお考えなのか、お尋ねいたしたいと思います。  それからもう一つ、長崎には卸団地というのがございますけれども、この卸団地の位置がちょうど先ほど言いましたように三十四号線の途中にございますために、全く稼働できない。それでなくても、今度は中小企業の商店被害が出ておりますために資金が回収できないということで、卸業者は非常に苦労しておるわけでございますけれども、この卸団地の卸業者を初めとするそういう卸業者に対しても、やはり今度の災害被災者として、間接的ではございますけれども、少し拡大して、いろいろな融資面その他の措置を講ずることができないのかどうか、その点についてお尋ねをいたしたいわけでございます。  それから、中小企業で最後になりますけれども、個々の被災された中小企業家の方々にいわゆる補助金を出すことは、現在の制度上できないと思います。しかしながら、商工会を初め、中小企業者のいわゆる環境整備のために小規模事業の補助制度がございますけれども、この小規模事業指導費補助金の制度をこういった災害についても適用する必要があるのじゃないか。現に、商工会の会館が今度の災害で東長崎あたりはかなりやられているわけでございますけれども、そういうものの改修を初め、いろいろな形でこの小規模事業指導費補助金の考え方を災害復旧にまでもう少し広げていいのじゃないかという気がいたしますが、これらについての御見解をお尋ねしたいと思います。
  37. 佐々木恭之助

    ○佐々木説明員 先生の御質問は四点ほどあろうかと思います。順次お答え申し上げます。  最初に、政府系金融機関特別融資、これは特利の適用される限度額の引き上げの件、それから特利の適用される期間、これは金融機関全体で五年ないし十年ございますが、そのうちの三年間は特利でございます。この優遇措置をさらに強化できないかという御質問でございますが、この件につきましては、政府系中小企業金融三機関の災害貸付制度は、五十六年度に全体の貸付限度額の引き上げを行ったところでございます。また、特利部分につきましては、制度もともとの趣旨が災害からの立ち上がりの時期に要します資金需要にこたえるということで特に設けられたものでございます。そういうことでございますので、被災中小企業の救済につきましては、現行の制度を最大限に活用してまいりたいと考えております。  また、融資に際しまして無担保にという御指摘でございますが、この点は金融一般の原則がございます。なお、政府系中小企業金融三機関の災害融資につきましては、従来から企業の実情に応じ、担保の徴求につきましては弾力的な扱いをするよう指導してまいりました。今回の災害につきましても、さらに一層努力するよう指示いたしたところでございます。  二番目の信用保証協会の保証特別枠でございますが、これは先ほど来御質疑がございます激甚災害指定、この指定が中小企業関係になされる場合には、御承知の普通保険、無担保保険、特別小口保険それぞれにつきまして、通常の付保限度額のほかに別枠で同額まで保険枠が拡大されます。これによりまして保証限度も同様の引き上げが行われることに相なります。  三番目の卸団地の件でございますが、これはいわゆる間接被害ということでございまして、現在、国と県が協力してすでに発動してございます中小企業体質強化資金、この制度の活用を図ってまいりたいと考えておりますほか、被害実情に応じまして、政府系中小企業金融機関の災害貸し付けの利用も可能でございます。  最後に、小規模企業者の補助金関係でございます。商工会関係の補助金の問題でございますが、今回の長崎中心とします大水害により、商工会等がこうむった被害復旧等に要します経費につきましては、県の調査結果が出次第、これを踏まえまして、御指摘の小規模事業指導費補助金におきまして、実情に応じて経費の配分変更等・所要の措置を講じてまいりたいと考えております。
  38. 久間章生

    久間委員 時間が来ましたので終わりますけれども、最後に、農林省関係の人にお願いしておきたいと思います。  今度の災害では、農地等も流失してかなり被害が出ております。したがいまして、天災融資法の発動による天災融資あるいはまた自作農維持資金の災害特別枠の配分等についても、ぜひ御配慮を賜りたいということを最後にお願いして、私の質問を終わらせていただきます。
  39. 川俣健二郎

    川俣委員長 次に、畑英次郎君。
  40. 畑英次郎

    ○畑委員 質問に入ります前に、まず冒頭に、今回の災害によりまして犠牲になられました方々の御冥福を心からお祈り申し上げ、御関係の皆様方に深く弔意を表してやまないところでございます。  なおまた、松野長官を初め、本委員会委員長を団長とされます適切な視察団等の編成によりまして現地の御調査を賜りましたことを、被災者側の立場の一員としまして、この場をかりまして心から厚く御礼を申し上げる次第でございます。  私は、今回のこの災害の実態にかんがみまして、適切にしかも迅速に現地を御調査賜りました松野国土庁長官に率直に、現地をごらんになりまして今回のこの災害に対する物の考え方、御認識、そしてまた、災害復旧に対する御決意、そういった点につきまして所信をまずお伺いを申し上げたいと思うわけでございます。
  41. 松野幸泰

    松野国務大臣 報道ではいろいろ聞いておりましたが、現地へ参りまして、その生々しさというものはテレビなどで見ましたのとまたさらに深刻さを感じたわけでございます。したがいまして、先ほど来、政府答弁として激甚その他についてお答えをいたしましたけれども、それは率直に申し上げまして、私の経験から見て、あの大きな被害があれば、これはもう勘だけで激甚、激特の指定は当然である。もちろん役所でございますから書類の整備というものが当然必要になってくるのでありますが、その書類の整備があるないにかかわらず、あの現場へ行けば、これは激甚、激特の法律がある以上は当然適用されるべきであると考えましたので、私はその現場で、手続には多少時間がかかりましてもこれは指定を当然受けられるものとして皆さんがんばってくださいということを申し上げたのでございまして、この点は委員の皆様方の格段の御理解をお願いいたしたい、その決意をもって今後対処していくことを申し上げまして、答弁にかえたいと存じます。
  42. 畑英次郎

    ○畑委員 ただいま松野長官から、私ども、なおまた被災者の立場におきましても心から期待を申し上げております内容に沿った御答弁を賜りまして、まことに心強く感ずるわけでございまして、異常気象に伴います予期しなかった大きな災害でありますだけに、ただいま長官御答弁のとおり、これは現地におりますと、激甚災の指定はもうすでになされ、一日も早く災害復旧への着手をお願いしたい、当然していただけるものだというような認識を関係者の皆様方が持っておる、この点については、長官のお立場におきましても、委員長初め当委員会におきましても、その方向での積極的なお取り組みを引き続きお願いを賜りたいというように考えるわけでございます。  そういうような中にございまして、災害が起きますたびに、ただいまお話がございました激甚の指定になるかならないか、こういうことがいろいろ論議をされるわけでございますが、やはりいま長官の御答弁の中にございましたように、まず現地を見ていただいたその常識的な受けとめ方、こういうものを踏まえて、行政官庁のお立場ではいろいろ問題があると思いますけれども、やはりこれは日を置くということが一番行政不信につながるのではないかというように私は考えておるわけでございまして、さような意味合いにおける御関係各省庁の積極的なお取り組みをこの機会にお願い申し上げますとともに、残念ながら大分県の場合は、竹田市あるいはまた玖珠、天瀬等々、非常に大きな災害地域と、いささか面的に広がりまして計数的には数字が低い、そういう地域もあるわけでございますが、罹災者側の立場から言いますと、ある地域が激甚の指定を受け、かなりテンポの速い姿の中で災害復旧がなされる。同じ被害者でありましても、その地域の面的な意味合いから残念ながら激甚の指定を受けない。  この辺につきまして、すでに従来からいろいろ当委員会においても論議がなされたやに承知をいたしておるわけでございますが、私は一つの考え方としまして、とりわけ中小企業のお立場にございます方々におきましては、やはり一件あるいは二件の罹災でございましても激甚のような低利長期資金の融資をいただきたい、これは罹災者側の立場からしました場合には、私は当然な姿ではないかと考えるわけでございまして、農水あるいは建設省の立場と違いまして、融資の問題につきましては、ただいま申し上げましたような意味合いで、ほとんどすべての方々が激甚の救済措置の恩恵を同様に受けられるような御配慮を、事務的には現行のルールの中では無理があろうかというように考えますが、こういった意味合いの物の考え方、これからの対応、そういう御検討が中小企業庁におきましてはただいまなされつつあるのかどうか、この辺、まずお伺いを申し上げたいと思うわけでございます。
  43. 佐々木恭之助

    ○佐々木説明員 御指摘の激甚法の指定の対象になるかならないかで差が出るのではないかという問題でございますけれども、御承知のように、激甚法の現行のルールでは、そこら辺、指定をいたします災害、それを適用いたします地域については一定の基準がございます。この基準に合致いたしませんと、大変申しわけないことながらその激甚法の特例措置は受けられない地域が出ることがございます。しかしながら、私どもといたしましては、御指摘のとおり被災を受けた中小企業者に変わりはないとも考えますので、たとえば中小企業体質強化資金制度等の活用をいたしまして、そういった方々の救済にも当たりたいと考えております。
  44. 畑英次郎

    ○畑委員 大変具体的なケースで申しわけないのですが、長崎県あるいは熊本県のお立場と比較いたしました場合に、大分県はそれなりの被害を受けておるわけでございますが、この中小企業関係についてはやや地域が限定される、そういう中で、今日この時点で伺っております範囲では、大分県の場合竹田市は災害救助法を適用されておる、あるいは日田郡の天瀬町においては災害救助法の適用がされていない、こういうことによって、天瀬町の方は指定は困難ではあるまいかというようなことが現地ではささやかれておるわけでございます。私はこの辺についてはどうも納得がいかないわけでございますが、まあ災害救助法との絡み合いがあるのかないのか、ちょっと事務的な要素が入るわけでございますが、中小企業庁のお立場でのこの辺のお考えをお答えを願いたいと思います。
  45. 佐々木恭之助

    ○佐々木説明員 いわゆる激甚災害法の施行令二十五条、これにて激甚法の特例措置の講じられます地域を定めることとなっておりますが、これによりますと、「災害救助法施行令第一条第一項第一号から第三号までのいずれかに該当する被害が発生した市町村」これを適用地域とする、こうなっております。御指摘の災害救助法が適用されているか否かは直接の要件ではございません。災害救助法が適用になる程度の被害が発生したかどうか、これが要件でございます。
  46. 畑英次郎

    ○畑委員 私も大体のルールは存じ上げておるわけでございますが、実際の現地を歩いてまいりました実感の中におきまして、ただいま申し上げますような不公平感といいますか、そういうものをなくするように、なるべくあらゆる制度をかなり弾力的な運用の中で、中小企業庁におきましても救済措置あるいは適用の問題に前向きでひとつお取り組みを願いたいというように考えるわけでございます。  次に、先ほどもすでに御質問等がなされておったわけでございますが、災害復旧の標準的な進捗度合い、これにつきましては、従来いわゆる三、五、二といいますか、そういうことで三カ年間、こういうようなケースで行われるわけでございますが、五十六年度は補正予算の関係等もございまして、実際には五、三、二というように、あるいは六〇%といったようなケースもあったのではなかろうかというように考えているわけでございますが、こういうように積極的な対応がなされたわけでございます。私は、今回のこの五十七年度におきまして、これから先、ただいまの財政事情等考えますとなかなかむずかしい問題があろうかと考えますが、ただいま予測されます災害対策の予算額、これはやはり場合によっては予備費の流用、そしてまた補正予算の問題等々絡むわけでございますが、なおまた今回の台風十号の問題もございまするけれども、これらを踏まえまして、大蔵側におきましてはこの災害関連の補正予算等の対応につきましては現時点でどのような御見解をお持ちであるか、お答えを賜りたいと思うわけでございます。
  47. 斉藤次郎

    ○斉藤説明員 お答えいたします。  災害復旧については、私どももあらゆる経費に優先する支出であると考えておりまして、当面は当年度五十七年度の予算の中に当年災の枠というものがございます。まずそれでもって対処していただきまして、それで不足する場合には予備費の支出で対処する、予備費は現在使用残が三千四百八十八億ございます。それを優先的に充てるということで当面対処していきたいというぐあいに考えております。
  48. 畑英次郎

    ○畑委員 ただいま大蔵省の方から従来の当然の姿という中でお話があったわけでございますが、私は、また今後さらに大きな数字が出てくることは当然予測されるわけでございまして、さような意味合いにおきましては、各省庁におかれましても積極的なお取り組みの中における大蔵の対応をぜひよろしくお願いを申し上げておきたいと考えるわけでございます。  そういう中で、ひとつ物の考え方としてお願いしたいわけでございますが、この激甚災の指定に絡みまして当然いろいろな計数を出す。その場合に、この被災額、これは従来の災害ですと、たとえば台風十号なら十号という一つの期間に発生しました災害の数字をもって対処する。今回のように長雨と梅雨どき、そういう中におきましての集中豪雨、それにオーバーラップしたような形の台風十号、こういうことになってまいりますと、たとえば従来のケースですと、あるいは私の認識違いかもしれませんけれども、長雨に対する被害額をトータルいたしまして、それによって激甚災あるいは局激の対象になるかならないかということの試算をする。  今回のような場合、きょうは幸いに快晴でございますが、いささか長期間にわたって災害が引き続き発生する、こういう中におきましては、この激甚あるいは本激といいますか、局激といいますか、こういうものの指定をします段階における一つの数字を出しますこれは事務的な要素になりますが、期間、その時点というもの、設定します時期といいますものは、今回の場合はどういうふうに各役所では、たとえば建設、農水等におかれましてもお考えになっていらっしゃるか、これは気象庁のいろいろ気象現象との絡み合いが従来あるやにも伺っておるわけでございますが、ただいま申し上げましたような意味合いにおける災害額を算出する期間あるいは時点、時期、こういうものにつきまして、建設あるいは農水からお考えをお答え願いたいと思います。
  49. 荒井紀雄

    ○荒井政府委員 お答え申し上げます。  今回の七月及び八月の被害につきましては、気象庁の御説明によりますと、七月の五日から梅雨前線豪雨が始まりまして、それがずっと七月末まで続きまして、八月に入りまして東日本に依然として梅雨前線が引き続いておった、これが台風十号の関係で豪雨となりまして被害をもたらした、こういうふうなことでございますので、この気象庁の説明に基づきまして、私どもとしましては今回の七月及び八月の被害を一連のものとして把握したいというふうに現在検討中でございます。
  50. 畑英次郎

    ○畑委員 私がいま御指摘申し上げましたのは、その災害額を算定します時期によっては、本激あるいは局激の指定にボーダーラインの地域ではならなかったりなったりすることがあるのではなかろうかという一つの懸念から申し上げたわけでございますので、この辺につきましては、ただいま一連のというようなお考えでございますので、前向きで積極的にその被災額の算出の場合に算定を賜りたいというように考えるわけでございます。  私は、大分県の竹田市の災害現場を見ました際に一つ感じましたのは、あそこの稲葉川といいます中小河川が大きくはんらんをしたわけでございます。そういった際に、それに伴います農林関係被害等々いろいろあるわけでございますけれども、この災害復旧の際に、大変失礼な言い方でございますが、各役所の縦割りといいますか、そういう中で災害復旧に従来積極的に対応していただいておった、こういうことであるわけでございます。国土庁という役所が発足しましてまだ日が浅い。今回の災害にかんがみまして、国土庁の災害に対する対応において、各省庁の調整といいますか、そういうことにウエートがかけられておるやに私自身は感ずるわけでございますが、国土庁の一つの存在価値の中に、調整費ということに対しまして、各地方自治体、現場の関係者は大きな期待を持っておるわけでございます。  私は、この災害復旧の予算の支出の仕方、こういった際に、各省庁に関連するその進捗度合いの率によりましては非常に投資効率が変わってくる、こういうことを考えますと、国土庁自体がかなり思い切って調整費をお持ちになるというような対応を災害復旧の面でもお考えになってはどうであろうかというふうに考えるわけでございます。これは逆に言いますと、各省庁はおれのところの災害復旧費を持っていかれたのではぐあいが悪いというようなお気持ちもあろうかと思いますが、これは別枠といいますか、そういう意味合いで常時持っておるということができるかどうかわかりませんけれども、国土庁はこの辺で、災害を契機にと言ったのではちょっとぐあいが悪いかもしれませんが、今回の一つの教訓を踏まえて、国土庁としましても災害対策の予算面の機動的な対応、こういうものができる一つの力を持つべきではなかろうかというように私は考えるわけでございます。この辺につきましての御見解を伺いたいと思います。
  51. 松野幸泰

    松野国務大臣 大変ありがたい激励の御質問といいますか、お言葉をいただきましたが、これは国会の先生方の御協力をいただけば私の方では大変ありがたいことであって、各省とのそういうむずかしい問題は起こらないように私たちも努力をしますので、よろしくお願いいたしたいと存じます。
  52. 畑英次郎

    ○畑委員 長官とされましてはいささか謙虚な御答弁であったわけでございますが、私は、現在の行政対応はそれなりの積極的な対応をなされておりますことを評価するにやぶさかではございませんけれども、従来、どうしましてもこれは縦割りといったような面が強い。とりわけ災害等の場合におきましては、そういった要素が現地サイドからしました場合にはいささかも感じられないという対応が賜りたいがというような意味合いで、これは今後私どももひとつ積極的に推進をしていかなくてはならない。役所側におきましても、なおまた本委員会におきましても、さような意味合いにおける御検討をひとつこの機会にお願いを申し上げておく次第でございます。  なおまた、私自身感じますことは、この災害復旧全力を挙げること、これは当然なさねばならない大きな行政責任であり、政治責任であるわけでございますが、最近よく言われますように、先取り行政と申しますか、予防行政と申しますか、そういうような対応がこの災害国の日本におきましては特に必要ではなかろうかというように痛感をいたすわけでございます。  さような意味合いで、あるいはこの特別委員会におきましてすでに論議がなされたのではなかろうかというふうに考えるわけでございますが、防災といった面にかなり思い切った先取り行政を展開しませんと、日本の場合はこういった災害は毎年のように繰り返されるのではなかろうかというように私は思うわけでございまして、これもこういう国家財政の中でどうかと思いますが、私は、たとえば防災債券といいますか、国債といいますか、これを思い切った優遇措置をして、最近マル優とかあるいは無記名とか無税とか、いろいろなことが言われるわけでございますが、防災国債というか、そういうものを発行してでも一つの大きな基金を持っておく、こういうことがこの日本の実情からしました場合にはきわめて大切なことではなかろうかというように考えるわけでございます。  従来の災害対策のあり方、この上に、あるいはこれとは別に、新たな一つの対応、物の考え方、発想、こういうことを強く要求されました今回のケースではあるまいかというように考えるわけでございまして、この辺も、先ほどの国土庁の存在価値を商からしめる、しかもまた、長官におかれましては知事さんといったような地方行政のベテランでもございますし、さような御経験を踏まえております長官の時代に、こういった問題につきましてもひとつレールを敷いていただきますようにお願い申し上げ、激励を申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  53. 川俣健二郎

    川俣委員長 次に、中村重光君。
  54. 中村重光

    中村(重)委員 私は本会議でも質疑を行いましたが、きょうは四十分という時間の制約があるわけでございますけれども、若干具体的に政府の見解をただしてまいりたいと思います。  その前に、二十三日夜半からの集中豪雨は、きわめて短時間でありましたが、御承知のとおりの大災害ということになりました。いち早く現地見舞い調査に足を運ばれた松野国土庁長官ほか政府調査団、さらに当災害対策特別委員会川俣委員長ほか調査団皆さん方に、その労をねぎらい、心から敬意を表したいと思います。  時間の制約がありますから端的にお尋ねをするのですが、これは新聞の記事ですけれども、ここで「七・二三大水害を振り返る」ということで記者座談会が行われているわけであります。「あざむかれた防災計画」「目を覆う惨状 想像絶する水の力」「出なかった避難命令」「即応できる体制が急務 迫られる河川改修 本腰入れた行政指導を」、さらにまた「長崎大水害を考える」ということで、「無防備さらした都市づくり乱開発が洪水に 情報、観測データも不足」ということがすべてを物語っておるというように思います。  そこで、現地調査された松野長官は、長崎市の地形ということ、その原因等が何であったかということを十分把握していらっしゃる。先ほど同僚委員の質問に対しまして、現地に行ってその惨状を見て、私の勘として激甚災害指定並びに激特災害採択が必要であると考えたというお答えがありました。私は人間性の発露であると思います。そのことが施策の基本であるわけでありますから、勘としてお答えになったということはきわめて至当であった、私はかように考えるわけであります。  そこで、ただいま私が記者座談会その他のこの記事を読み上げて申し上げましたが、反省を含めて、今後の都市づくり、再び災害を起こさない明るい町をつくるためにはどうあるべきか、その点に対する考え方をひとつ端的にお聞かせをいただきたい。
  55. 松野幸泰

    松野国務大臣 お答えをいたします。  率直に申し上げまして、長崎市は、戦後十四万ぐらいの町であったと聞いておりますが、その町が急速に四十五万を超える大きな町にふくれ上がった。適当な住宅場所を求めることが困難であって、だんだんと山の木を切って、山の上、山の上へと、私はあの被害のあった直後にもヘリコプターで空から各地を見てまいりましたが、山の上まで家が建ってしまった。ところが、その建築に際しては、もちろん県、市の指導も、その建て方だけについて言いますると、ある程度適切な処置がとられておったと思います。したがって、きょうの報告までには、そういう指導のもとに住宅を建てられた方々に大きな被害は出ていなかった。従来のところにむしろ大きな被害があった。  ところが、問題は、いままで木が生えておったのが宅地化されたのですから、雨が降れば一挙にすり鉢の底、商店街の方へ雨が流れ込んでくる。その流れ込んでくることに対して、二つの都市河川の改修が負担が非常に重かった。その負担に対する対策がおくれておったことだけは率直に認めなければならない、これは否めない事実でございます。しかし、県も市も、この都市河川の改修についてはいろいろの角度から努力しましたけれども、残念ながら、皆様方とともに理解を深めて事を進めることがおくれておった。これが商店街に大きな被害をもたらした。  もう一つは、あの集中豪雨のときに、不幸なことに満潮が重なった。もしこれが満潮でなかったら——そんなことを言っても説明になりませんけれども、満潮でなかったならば、ああいう町の真ん中に二メーター近くの水が入り込んで、そして町の中に車を置いておった人が、これはと言って大変あわてて飛び出していってその車に乗って、そのまま海に押し流されてとうとい命を失ったという悲惨な事情も聞いておりますが、そういうことから考えますると、皆様方の御了解を得て、都市河川の改修の重要性ということはわかっていただけるでしょうけれども、極力ひとつ政府も、県も、市も、そして住民の方も一体となって、今後こういうことがあっても都市河川の改修によってびくともしないような体制にするために激特の指定を急ぐべきである、そして国がこの経費というものはほとんど負担をしてやるべきであるというようなことで私は現地で申し上げたのでございますので、せっかくの御理解と御協力をお願い申し上げたいと思います。
  56. 中村重光

    中村(重)委員 まず、気象庁からお見えですからお尋ねするのですが、二十三日の十六時五十分に強風雷雨波浪注意報を出しておられます。その後、大雨洪水警報に内容を更新しておられるのですよ。その一時間後には、一時間当たり百十五ミリでありますから、私は家から百メートルというところにおりまして、家に帰ることができなくなって腰近くまで水に浸って実は歩いて帰ったわけでありまして、恐らく八十ミリぐらいの雨が降ったのではないか、こう思うのですが、その間、避難勧告も避難命令も出なかった。それらのことを考えてみますと、どこに欠陥があったのだろうか。  この注意報から内容更新をして警報に切りかえたのは不可抗力であったのか、もう少し早く注意報ではなくて警報をやる、そして災害基本法に基づきましていわゆる官庁間の、あるいはいろいろと業者、団体等々との協力体制が当然これは決められているはずでありますから、それに対応するところの措置が、少なくとも二十三日夜半からの避難勧告なり避難命令、あるいは二十四日早朝からそういう体制が行われるべきであった。にもかかわらず、それが行われることなくして混乱を非常に強めていったというのが事実であるわけでありますが、それらの点に対してどのようにお考えになっていらっしゃるのでしょう。災害基本法に基づくところのその体制については国土庁長官から、警報の問題については気象庁からお答えをいただきます。
  57. 立平良三

    立平説明員 まず、警報の問題についてお答えいたします。  九州のどこかで集中豪雨があるということは、大雨のありました朝、二十三日の早朝から予想されておりまして、気象庁は大雨情報を発表しまして警戒を呼びかけておりました。しかし、まだこの段階ではどの県に集中豪雨が起こるのかということを特定するのは技術的にも不可能でございます。この後、九州の各県の気象台では監視体制を強化いたしまして集中豪雨早期把握に努めまして、注意警報を適時に発表するように備えておりました。その後、午後になりまして強い雨雲が長崎県に接近しつつあることがレーダーでとらえられまして、長崎県に集中豪雨が始まるおよそ二時間ぐらい前に警報を発表した、こういう次第でございます。こういうふうな処置は現在の予報技術から見ますと精いっぱい、最善の処置であったのではないかというふうに判断しておりますけれども、今後なお技術の向上を図っていきたいというふうに考えております。  それから、こういうふうにして発表されました警報は、一斉同時送話装置というものがございまして、それぞれ取り決めがございまして、県内の防災担当機関に対して一斉に伝達されるということになっております。この点につきましても、長崎海洋気象台はきちんと警報発表と同時に直ちに伝達を行っております。
  58. 松野幸泰

    松野国務大臣 長崎市が防災無線が集落までできていなかったということが今回の大きな教訓だと、私は非常に残念に思っておりますので、これを契機に、全国的にも防災無線の未設置の地域についてはいろいろな角度から皆様方の御協力を得て、いま気象庁のおっしゃったようなことになれば防災無線を通じて全部各集落にも徹底するよう、関係各省とよく連携をとってまいりたいと考えております。
  59. 中村重光

    中村(重)委員 反省として申し上げますが、市の方からはそういう避難勧告なり避難命令は出なかった。しかし、集中豪雨のごうっという物すごい音を立てて雨が降り出した。そこで三ツ山町というところ、眼鏡丘原爆ホームのある町でありますが、この自治会の副会長が、これは危ない——これは土建業者であるわけですから、みずからのそうした事業の面からの経験も働いたのだと思うのです。責任感が生まれた。危ない。そういうことで、避難をしなさい。住民はきょとんとした感じだったのだろうけれども、強いそういう呼びかけに対して避難をした。地すべりが随所に起こった。がけ崩れが起こった。ところが、幸いにして避難をしたために一人の死人も出ないで済んだという事実がある。  これらのことを反省として十分受けとめて、いまお答えがありましたけれども、少なくとも災害対策基本法に基づくところの体制づくりが不十分であったということだけは事実であります、これは単に地域長崎県なり長崎市の対応が遅かったのだということにとどまらず、少なくとも国土庁長官の今後の反省として十分受けとめて対応していただくのでなければ、今回のような大災害を今後も続出させる結果になるであろうということを、警告として申し上げておきたいと思います。  それから、先ほど激甚災害指定についてお答えが実はあったわけですが、これは台風十号を含めて激甚災害指定検討していらっしゃるのでしょうか。時間が大変かかってくることになりますが、ある場合は長崎市の局地激甚といったようなことも考慮しておられるのか、そこらあたりいかがでしょうか。
  60. 荒井紀雄

    ○荒井政府委員 お答え申し上げます。  本激甚の指定ができるかどうかを現在鋭意検討しておりますが、災害現象と申しますものを台風十号を含めまして一連のものとしてとらえることができるのではないかという気象庁の御判断がございましたので、現在鋭意一連のものとして被害を算定すべく検討をしております。局地激甚につきましては、もちろんこの制度もございますけれども、まず本激甚の検討を先にいたしまして、その上でまた対処してまいりたい、こういうように考えております。
  61. 中村重光

    中村(重)委員 建設大臣にお尋ねをいたします。  先ほど来同僚諸君から中島川、浦上川の激特事業の指定についてお尋ねがあり、それぞれお答えがあったわけですが、中島川が二十平方キロメートル、浦上川が四十平方キロメートルという集水面積を実は持っているわけです。ところが、今度改修をするということになってまいりますと、どの程度の集水面積を必要とお考えになるのだろうか。これは当然改修をされるのでしょうから、原形復旧という形ではないと私は思いますから、この点に対してひとつ考え方をお示しいただきたいと思います。
  62. 川本正知

    ○川本政府委員 ただいま中島川及び浦上川のお話がございましたけれども、私どもの方でまとめております調査によりますと、流域面積はおおむね先生のおっしゃったとおりでございまして、中島川につきましては十九・一平方キロメートル、浦上川につきましては流域面積三十八・六平方キロメートルでございます。  これをどういうふうに復旧していくかというお話でございますが、当然のことながら、先ほど来国土庁長官から御答弁がありましたように、そこの両河川につきましては、被害の実態にかんがみまして、原形復旧ではなくて改良復旧あるいは激特事業、そういったものも含めまして総合的に検討しておるところでございます。  集水面積がどうなのかということでございますが、これは当然のことながらこういった小さな河川流域でございますので、ただいま申し上げたすべての流域面積を対象にして改修計画は立てていかなければいかぬ、そう思っております。ただし、その改修計画を立てるにつきましてどういった方法論がいいのか、ああいった住宅密集地のど真ん中を流れておる川でございますから、それについては現在担当官を本省からも派遣をいたしまして、県あるいは市と協議を重ね、調査を重ねているところでございます。
  63. 中村重光

    中村(重)委員 先ほど長官は、地元においても中島川あるいは浦上川の改修の問題については鋭意努力していると言われた。私は政府にこの点をただしたいわけですが、浦上川は昭和七年から十年にかけて改修をした、中島川は戦後四回、環境整備の程度の、局地改良とも言えない程度の整備をしたにすぎないのです。これが実態ですね。そこで、まさか長崎に、全国中小河川は時間当たり雨量が五十ミリが平均であるわけですから、今回のような大水害が起こるであろうということを予想しておられなかった。だからして、改修を実は中止をしているわけなんです。  この点は北海道と違いまして、九州は非常に雨が多い。二十五年前の昭和三十二年、くしくも七月二十五日、長崎と二日間違うわけでありますが、七百八十二名でありましたか、あのようなたくさんのとうとい生命を奪うというような大水害がありました。佐世保にも戦後大水害がありましたことは、記録によって明らかであります。これらのことを考えてまいりますとき、私は、自然に対するところの政治の甘さというものが実は不自然な町づくりを行ってこのような大水害をもたらしたということは否むことのできない事実である、そのように考えるわけであります。  ところが、中島川、浦上川、いま流れておりますところの川は、集水面積二百平方キロメートルというのが中小河川ということになるわけでございましょうから、浦上川、中島川は集水面積は非常に狭いというか、弱いわけであります。これを改修をいたしましても、特に中島川の場合、町のど真ん中にあるわけでありますから、今回のような大水害を再び起こさないというような徹底した改修というのには無理があるのではなかろうか。しかしそれは、何といっても災害を起こしてはならないわけでありますから、万難を排してやらなければなりません。しかし、どうしても改修だけでは安全だということにはなり得ない、そのように考えます。そうなってまいりますと、どうしても治水ダムが必要ではないか、そのように思います。  中島川の上流に本河内水源池というのがあります。この水源池がもし治水ダムであったならば、中島川のあのはんらんを食いとめることができたであろう、そのように思います。だとするならば、いまの本河内の水源池を治水ダムに変更する必要が検討されなければならないのではないか、そのように考えます。  時間の関係から続けて申し上げるわけでありますが、もしこれを治水ダムに変更いたします場合、長崎は非常に飲料水に不足をいたしておる町でありますから、どこかに飲料水用の水源池をつくらなければなりません。これをつくるということになってまいりますと、仮に適地があったといたしましても、政府の助成、いわゆる補助額そのものが治水ダムと飲料水用の水源池とでは違うわけでありますから、本河内を治水ダムとして買収する、そういったような形で飲料水用の水源池をつくっていくということになりますと、それらの点も配慮していかなければならない、いわゆる負担割合といったような点も配慮していかなければならないと考えますが、これらの点に対しまして、建設大臣を初めそれぞれ関係者のお答えを伺いたいと思います。
  64. 始関伊平

    始関国務大臣 ただいまの御意見を含めた御質問、大変ごもっともでございまして、今回のような局地的集中豪雨による大災害に対処いたしますために、建設省におきましては治水ダムを積極的に進めているところでございまして、現在までに全国で三十六ダムを完成させ、六十一ダムにつきましても鋭意建設の施行中でございます。  長崎市の都市地域災害を防止いたしますために、水資源の有効開発を考慮しながら、十分な調整を図りまして洪水調整等の水利対策を進めてまいりたいと考えておりますが、利水ダム等を治水ダムへ転用するということは災害の防止の上から申しまして有効であることはただいま御指摘のとおりであると思いますが、これにつきましては、地元の県、市、それから電力会社もあるかもしれませんが、こういう利水ダムの水を利用しております方面と早急に協議いたしまして検討して善処してまいりたい、かように存じております。
  65. 中村重光

    中村(重)委員 私ども日本社会党は、二十四日早朝、中央に対策本部を設置をし、県本部におきましても対策本部を設置をいたしまして、松野長官の現地調査を速やかに実施をしていただきますことを申し入れをいたしますとともに、県、市に対しましていろいろと具体的な提言を行い、実はこの混乱を防止をするために、ともに復旧のために努力をしてまいりました。したがいまして、知事あるいは市長とも絶えず接触を保ってまいりましたが、実は長崎県知事は私と同じような考え方でもって、もうすでにこれを治水ダムにするための検討を始めるようにということが指示されているわけであります。したがいまして、現地を見られた松野長官、また、いまのようなお答えをされました始関大臣にいたしましても、こういうことは必要なんだ、こうしなければならないのだということは、松野長官の現地に行った勘ではありませんけれども、もうお考えになっていらっしゃるのではないか。だから、単にこれは大切なものだからうっかりした答弁はできないぞということではなくて、災害を再び起こさない、そのためにはどうあらねばならないのか、どうしなければならないのかということはもう頭の中に描いていらっしゃるのではないか、そのように思います。したがって、もう少し端的に、災害防止のためにこうしなければならぬ、そういう観点からお答えをいただけませんか。
  66. 始関伊平

    始関国務大臣 先ほど御答弁申し上げましたが、もっと積極的に取り組む姿勢が必要だ、こうおっしゃっているわけでございますが、ただいまの御質問の趣旨を十分に体しまして、県当局等との協議を至急に進めまして、御期待に沿うように善処してまいりたい、かように存じております。
  67. 中村重光

    中村(重)委員 次に、三十四号線の改修、復旧の問題に対しまして、先ほど応急措置と本格的な復旧を含めて年度末までだとおっしゃるのですが、これはどうなんですか、年度末まで通行の規制をするという形につながるのですか。
  68. 鈴木道雄

    鈴木(道)説明員 三十四号の現在交通が不能になっています芒塚につきましては、現在、堆積土砂の排除とか迂回路の設置等応急復旧をやっておりまして、先ほどの御答弁でも、八月末までに二車線を通れるようにするということでございます。それで、本格的には現在堆積土砂を排除いたしまして、そこに新しい橋梁等を交通を通しながらやりまして、年度末までにきちんとした道路に戻すということでございまして、交通は八月末までに二車線、一般車に開放できるという見込みでございます。
  69. 中村重光

    中村(重)委員 私、承知しておりますから、状況説明は要りません。  バイパス、これもまだ規制しています。三十四号線はいまお答えいただきましたから、二百二号線、二百六号線、三百二十四号線、これの復旧は大体いつごろ終わりますか。
  70. 鈴木道雄

    鈴木(道)説明員 交通をとにかく通すという点から申し上げますと、先生が御指摘になりました二百二号、二百六号、三百二十四号のうちで、現在通行が不能区間は二百二号の長崎市の相川地区でございまして、これについては鋭意復旧に努めておりまして、八月十日ごろにはそこが通れるようになるということでございます。先ほども申し上げましたように、当面一車線ないしは二車線で車が通れるようになるわけでございまして、車を通して以後、きちんとした復旧を引き続いて行うということでございます。
  71. 中村重光

    中村(重)委員 今度の大災害でたくさんの死人をがけ崩れのために出しましたところが本河内、鳴滝、川平、いずれも名称に川がついているのですね。くしくも何かを意味しておるような感じがしてならない、のです。  そこで、本河内の奥山というところ、これは松野長官も川俣委員長も一緒においでになって見られたのですが、二百九十名亡くなられた方々の八割はがけ崩れによって亡くなった。そうなってまいりますと、急傾斜地対策事業の採択というものは速やかに行っていくのでなければいけない、そう思うわけですが、この点はいかがでしょう。これは調査調査という形で時間をとられたのではどうにもならないのですが、いかがですか。
  72. 川本正知

    ○川本政府委員 今回の長崎市におきます多数の死亡者が出ました人命災害の直接の原因といいますか、そういったものは、がけ崩れとか土石流による死亡者が全死亡者の七割ぐらいを占めているというふうに私ども報告を受けております。  そういったことの今後の対策のためには、ただいま先生おっしゃいましたようながけに対する対策事業、これを早急に査定といいますか、県とも協議を重ねまして、そして緊急急傾斜地対策の事業として取り上げまして、それに対する再度災害を防ぐということが最も肝要なことと思っております。そういったことで、県の方がただいま大変混乱をしておりまして、なかなか体制ができておらなかったこともございますけれども、私どもの方から強力に指導いたしまして、そういった緊急急傾斜地対策というものを事業として採択し、また確実に施行ができてまいりますように指導しているところでございます。
  73. 中村重光

    中村(重)委員 文化庁からお越しですか。眼鏡橋が重要文化財、それからこれは全部中島川にかかっているのですが、流失いたしました五橋も実は文化財であるわけです。これは原形復旧をなさいますか。
  74. 鈴木嘉吉

    鈴木(嘉)説明員 お答えいたします。  国の重要文化財として指定しておりますのは眼鏡橋一つでございます。寛永十一年につくられました日本で最古の石造橋でございます。いま私どもの調査官が現地で細かい調査をしておりまして、どういうふうな形で復旧すべきかというふうなことを検討しております。これは市が所有しておりますので、文化財の復旧事業といたしましては、私ども市に助成をして財政的あるいは技術的に援助をして復旧をするということを考えておりますので、いまその点についても市といろいろ相談をしておりまして、これはなるべく早い機会にかかりたいと思っております。  それから、そのほかに、流失いたしました石橋、全体で石橋が十一あるわけでございますけれども、国の重要文化財が一つ、それからあとの十が市の指定になっております。これは多少眼鏡橋よりも年代がおくれるというふうなことから市の指定ということになっておりまして、これは市の方で復旧されるかどうかという御検討をされるというふうに伺っておりまして、私どもとすれば、市の方からの要請がございますれば、その技術的な面についてはいろいろ御援助申し上げたいと考えておる次第でございます。
  75. 中村重光

    中村(重)委員 これはどなたにお答えをいただけばよろしいのかわかりませんが、河川を改修いたしまして広げます。これは小さい質問になるのですけれども、広げますとそれだけ橋が短くなりますから、原形復旧がどういう形で行われるのかという技術的な問題があるのだろう。それから、おっしゃるように、他の橋が国の重要文化財ではないが市の文化財ということになっている。市長としてはやはり石橋を残したいという考え方であるわけだ。ところが、そういう形で復旧をいたしますと経費が二倍から三倍かかる。この負担はどういう形になるのでしょう。いかがですか。
  76. 鈴木嘉吉

    鈴木(嘉)説明員 国の重要文化財につきましては、私ども緊急のことでございますので、大蔵省の方とも協議いたしまして何とか早急に手を打ちたいと思っておりますが、市の指定のものにつきましては、残念ながら財政的な面での私どもの方からの助成というふうなことはできないような仕組みになっておりますので、その点については御容赦をいただきたい、技術的な面で要請がございましたならば、それについては幾らでもおこたえしたいと考えておる次第でございます。
  77. 中村重光

    中村(重)委員 大蔵省からお見えでしょうが、これは市の単独事業という形で復旧しなければならなくなるのでしょうか。これは激甚災害指定が行われるということを前提にして、こういう場合はどうなるのか、どなたか適当な方、いらっしゃるのでしょう、お答えくださいませんか。
  78. 狩野昇

    ○狩野説明員 お答えいたします。  先生いま御指摘の橋梁は、文化財という面はございますが、れっきとした市道でございます。市道は災害によって傷んだ場合には公共施設としての負担法の対象、結局市の補助事業ということになりまして、私どもの方でといいますか、公共土木施設としての補助事業ということになろうかと思います。  ただし、眼鏡橋というお話がございましたけれども、あれをそのままその形で復旧する費用を私どもの公共土木施設災害復旧の対象として見れるかということについては、今後検討をしていきたいと思います。他の五橋についても同様でございます。
  79. 中村重光

    中村(重)委員 どうも歯切れが悪いのですが、このことを余り深くお尋ねをいたしましても、時間の制約がありますから……。激甚災害指定、私は恐らく間違いなく指定をされるであろうと考えます。文化財がいかに大切であるかということについては、いまさら私が申し上げるまでもありません。十分これらの点は配慮された復旧ということをやっていただくように強く要請をしておきます。  それから、家を失った被災者が非常に多いわけですが、仮住宅の建設等を進めておられると思うのですが、現状はいかがでしょう。
  80. 田中健次

    田中説明員 厚生省といたしましては、災害救助法によりまして、先生いまお話しの家を失った方々に対しまして応急仮設住宅の建設をするということでございまして、現在長崎県の場合には、長崎市で七十八建設したいということでお話がございまして、建設を進める過程でございます。それから、長崎市以外の県下で三十ばかり応急仮設住宅をつくるということで、現在作業が進められておる状況でございます。
  81. 中村重光

    中村(重)委員 次に、建設省にお尋ねをするのですが、赤道とか青溝というのがこの災害で相当崩壊をしてしまっている。これは地籍は国なのです。ところが、国はこの復旧については責任を持たないという態度のようですし、かといって、地方自治体においても赤道とか青溝の復旧というものは責任はない。だれがこれを復旧することになるのか。これはやらなければ、個人がこれを利用して専有しているのではないわけです。そこをいろいろ通ったりなんかしているのですが、そこには決して個人の建物なんか建ってないのです、建ててはいけないわけですから。これは復旧をやらないと、個人災害でやられた人たちは非常に困るわけです。この点はどういうような形で復旧をされるのでしょうか。
  82. 狩野昇

    ○狩野説明員 お答えいたします。  ただいま先生から御指摘ございましたいわゆる赤道、青海でございますが、まず溝の方でございますが、これは普通河川の一つの範囲に入ろうかと思います。市町村長が維持管理している直高一メーター以上の普通河川については、国庫負担法の対象施設として、災害復旧事業として採択いたしております。  それから、道路の方でございますが、これについては幅員二メーター以上の市町村道が国庫負担法の対象になっております。したがって、直高一メーター以下の普通河川あるいは幅員二メーター未満の市町村道及び通称里道と申しておりますが、そういったものについては、現在の制度としては国庫負担法の対象施設として採択することは困難でございます。  したがって、こういった赤道、青溝については、これは国有地ということにはなっておりますが、一応その発揮している機能として管理しております市町村において復旧をするということになろうかと思います。
  83. 中村重光

    中村(重)委員 きわめてあいまいですが、時間の間違いで、もう時間が参ったようでありますから、まとめて申し上げてお答えいただきます。  中小企業関係の問題に対しては、商工委員会においてお尋ねをしてまいることにいたします。  そこで、世帯更生資金や災害援護資金の貸し付けの増額の問題、農地や農業用施設、林道の復旧天災融資や自作農維持資金の貸し付けの問題、農業、漁業共済資金の早期支払いの問題——個人災害の問題に対しては改めてお尋ねをすることにいたしますが、以上申し上げた数点について簡潔にお答えをいただきまして、質問を終わることにいたします。
  84. 田中健次

    田中説明員 災害弔慰金法に基づきます災害援護貸付金あるいはまた世帯更生資金の貸し付けにつきましては、できるだけ現地の事情に沿えるように貸付資金等にもできるだけ配慮してまいるつもりで、現在現地と話を進めております。
  85. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 三点のお尋ねがあったわけでございます。  まず第一点の農地、農業用施設等の災害復旧につきましては、現在被災状況の把握に努めながら、緊急地区の応急工事、被災個所復旧工法等について指導を行っているわけでございますが、さらに復旧工事につきましても、事業主体の準備が整い次第緊急査定を実施し、早期着工を図るように努めてまいる考えでございます。  第二点の天災融資法の発動と自作農維持資金の問題でございますが、現在私どもの統計情報部において被害の数字の調査取りまとめ中でございますので、その調査結果を見た上で判断をいたしたい、適切に対応いたしたい、かように考えております。  三点目の農作物ないしは漁業の共済金の支払いの問題でございますが、いずれも被災、被害の実態に対応いたしまして早期な損害評価の実施と共済金の早期支払いを行うという方式のもとに、現在関係団体を督励しているところでございます。  以上でございます。
  86. 中村重光

    中村(重)委員 これで終わります。
  87. 川俣健二郎

    川俣委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時三十九分休憩      ————◇—————     午後一時三十二分開議
  88. 木島喜兵衞

    ○木島委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。森中守義君。
  89. 森中守義

    森中委員 非常に短い時間でございますが、お許しをいただいて少しくお尋ねを申したいと思います。  なおまた、質問に先立ちまして、去る二十九日、当委員会委員長を初め各党の理事皆さん方中心に、態本県に水害の御調査をいただきました。その際に、全議員から御厚情を賜りまして、委員長を通じて知事に見舞い金の贈呈をいただきました。関係者一同非常に感謝申しております。この機会に、私より厚く御礼申し上げる次第でございます。  早速でございますが、三十日の本院の本会議で非常に重要な御答弁が政府より行われております。その中で、始関建設大臣より、危険区域を全国的に調査をしたい、ついてはその上に総合的土石の対策を早急に発足させたい、こういう答弁があっているのですね。これはどうなんでございますか、いままでこれを契機にというお話はよくあったし、より積極的にというお話がありました。しかし、私どもの記憶する限り、毎年どこかでこういうたぐいの不幸な事態が発生をしておる、いま調査をしなければならぬというような状況にあるのですか。  私も何かの記憶がちょっとあるのですが、全国で危険個所が約六万四千、それにそういう危険な地帯に居住する人たちが約百万人おる、こういうことのようですね。これはもちろん精密に確認されるものであるかどうかよくわかりませんけれども、ほぼこの程度のものであろうということはわかる。ですから、これより調査して再発しないように努力をする、こういうことではちょっと今日の体制からしてどうなのかという気がするのですね。  そこで、いま建築基準法がある。片や宅地造成等規制法というものがある。しかし、残念ながらこの二つの法律でこういう危険な個所に居住する者、その家屋を、私有権の問題等もございましょうからそう簡単にこの措置というものはできないと思うのですが、一度こういうことを機会に、現行法の見直しといいましょうか、あるいは場合によっては新法の制定といいましょうか、そういう法的な根拠をこの際確立する必要があるであろう、こういうように私は思うのですが、三十日の答弁より感ずる一つの項目として、まずそれをお尋ねしておきたい。
  90. 始関伊平

    始関国務大臣 がけ崩れ対策についての御質問と存じますが、法のたてまえといたしましては、一応現在体裁の整った体系ができておるのでございます。  一つには、がけ崩れの危険のありますような地域につきましては、建築基準法の指定行政庁、これは大体市でございますが、市が危険区域であるということを指定いたしまして、その区域には建築基準法の確認をいたさない、こういう法的なたてまえがはっきりしておるのでございますが、実際問題といたしましては、そういう規定が一向にうまくいっておらない、こういうことが一つございます。これは必ずしも地方の怠慢ということは言えませんので、建設省が全体といたしましてそういった面の指導監督の責任もございますから、私どもの責任でございます。  調査をし直してと申しましたのは、該当個所が非常に多いのでございますから、そのうちでどういうところを先にやったらいいかというような意味の調査という意味を含んでおるわけでございまして、いまお話しの法的な見直しということよりも、むしろせっかく法律的には体裁が整っておりながら、実際上それが実行されておらないという点に中心を置きまして、今後それを促進してまいる、こういうところが重点ではないか。調査をすると申しますのは、一体どの地点が最も急ぐのかという事柄を中心にやってまいりたい、こういう趣旨で申し上げた次第でございます。
  91. 森中守義

    森中委員 時間が余りありませんから、細かく深入りするわけにまいりませんけれども、要するに、教訓であるとかあるいはこれを機会にとか、もう言葉の時代ではない。むしろ、ことしから第六次治水事業五カ年計画が始まるのですね。こういうものと連動させて見るとか、あるいは国土庁ともよく相談をなさって、少なくとも建築基準法もしくは宅地造成等規制法、こういうものが、緩やかとは言わないけれども、拘束力がある程度緩やかになり切っているというところに問題があるのじゃないか。御指摘のように、自治体の権限の委任等もございましょうけれども、これはやはり六次計画などを軸にしてもう一回総体的な点検というものが進んでいかないと、法律はありますよ、これがまともに作動しておればこういう問題は発生しませんというのでは、ちょっとこれは大臣のお答えとしてはいかがなものであろうかという気がするのです。これはもう時間がありませんから答弁は要りません、先に入りますが、こういう一つの基本的な問題をぜひこの際は御検討いただきたい、こう思うのです。  それから、激災の指定ですが、午前中の質問で、大体六月ごろあったものが九月ごろに指定されるのだ、こういうお話でしたね。約三カ月間。しかし、こういう被災地もしくは被災者にとりまして、きょうただいまが勝負なんですね。三カ月間、なるほど政府の方ではさまざまな資料を集めなければいかぬ、調査もしなければいかぬということで、ある程度時間を要することはわかりますけれども、なお三カ月時間が経過しなければ激災の指定ができないということになると、さまざまなことで障害が発生する、こう思うのであります。  そこで、どうなんですか。国土庁の長官が本部長になられた各省庁の連絡会議をおつくりになっていますね。これを称して国の対策本部というのですか、大体このあたりで一切のことを掌握して、それで閣議に持ち込んでいかれるということなのかどうなのか。もちろん、この激災の指定については国土庁初め七つの省庁が関係しておりますね。七省庁で決定されるのか、決定に至る手順というのか、それはどうなっているのでしょうか、ひとつ手短に御答弁いただきたい。
  92. 松野幸泰

    松野国務大臣 端的にお答えいたします。  八月半ばごろまでに指定をするつもりで、大急ぎでやっております。
  93. 森中守義

    森中委員 それから、経企庁長打と大蔵大臣をお呼びしておりませんが、これも本会議の答弁の中で、次年度はマイナスシーリングでやる、けれども、治山治水、防災関係についてはこのマイナスシーリングの対象外にしたい、実はこういう見解表明があったようでございますが、これは間違いございませんか。
  94. 始関伊平

    始関国務大臣 いわゆる予算の要求枠といたしましては、マイナスではなくてゼロだということでございまして、間違いございません。
  95. 森中守義

    森中委員 そのことは正確に予算委員会等でまだ議論が展開されておりませんが、新聞等では、ゼロシーリングでなくて五十八年度はマイナスシーリングだ、こう言われているでしょう。それはそれとして、要するに予算を極度に抑制をする、そういう抑制する中においてでも、この種災害等を想定するならば、一般的な予算の抑制ということは適当でなかろう、河本長官がそう言明されておりますね。それを追認してもらいたい、こういうわけです。もちろん、まだ閣議でそういうものが決定をされるとかいう時期、予算編成の方針確定の時期ではないので、どうかというような気もいたしますけれども、そういう財政運用の中に災害対策というものをお考えになるのかどうなのか、もう一回はっきりさしてもらいましょうか。
  96. 始関伊平

    始関国務大臣 防災応急はいまの予算の範囲内でやることになります。それから、治水事業五カ年計画につきましては、改修なり本格的な復旧なりはそちらの方で行う、こういうことになるわけでございます。
  97. 森中守義

    森中委員 どうもはっきりしませんな。しかし、非常に大事なことですから、これはひとつ、両閣僚おいでになりますので、閣議等の際には極力——河本長官もそれを言明されたわけですから、一般的な予算編成の中にこういうものは別扱いだというような措置を願いたい、こう思う。  それから、激災の指定の方式ですけれども、たとえば熊本県を一つの単位として考えていくのか、あるいは部分的、局地的、局所的に指定があり得るということなのか、その方式はどうなのでしょう。
  98. 松野幸泰

    松野国務大臣 激甚災害指定については、目下関係省庁において鋭意被害状況の把握に努めているところであります。  熊本県について該当するかどうかのお尋ねでありますが、中小企業関係については、激甚災害指定を八月中旬を目途に指定手続を行うべく検討を進めております。その他の公共土木施設及び農林関係施設につきましては、現在なお被害が増加している状況であり、まだ調査がまとまる段階に至っておりませんので、激甚災害指定の見込みについてはなお若干の日時を要するものと思われます。
  99. 森中守義

    森中委員 長官の御答弁、やや前向きで結構だと思うのです。  ただ、これだけはひとつ御了承願っておきたい。つまり、熊本県県内のことばかりで大変恐縮ですが、本省の方に県から報告してきたものでは、六百三十億が被害総額になっていたと思う。これが数日間にどんどん累増してきまして、八月二日現在で八百二億になった。しかもまだこれは累増の傾向にある。  それは、けさこの委員会に配付されました国土庁からの被害報告、これをごらんになると一番わかる。といいますのは、大変不幸中の幸いでございますけれども、死亡者二十三名、行方不明一名、こういう人災が長崎県に比べて比較的少なかった、これはもう不幸中の幸いだとも思いますが、その他の、たとえば建造物の被害あるいは道路の損壊、橋梁の流失、河川の決壊あるいは山崩れ、鉄道の寸断、こういうものをずっと見ますと、熊本県の場合には範囲がきわめて広域にわたっている。しかも被害の額にしても、せんだって、ちょっと県の知事や副知事に会う機会がございましたけれども、どのくらい想定するんだ、こういう私の問いに対しまして、下手すると一千億を超すのではないだろうか、こういう一つの想定を持っているのですね。もうずいぶん以前ですか、昭和二十八年に大災害熊本はこうむりました。あのときの規模にも匹敵するようなそういう惨状ですよ。  それで、このことは長官におかれましても、実際激災をどういうように始末をつけるかという中においては、よほど慎重に熊本県は見てもらいたい。その範囲の広さ、しかも厚みがある、こういうことですからね。ですから、これはまあ個々的に、部分的にというよりも、いま私は特に急いでほしいと思いますのは、もし部分的におやりになるならば、県の南部になりますが、田浦町であるとか、あるいは坂本村であるとか、あるいは芦北町であるとか、あるいは北の方では、菊水町であるとか、山鹿市であるとか、熊本市であるとか、熊本市の一部に江津湖というのがあるのですが、このあたりは惨たんたるものですよ。三日も四日も水につかったまま、こういう状況ですから。もちろん、委員あるいは各党、各省庁それぞれ調査においでいただいておるようですが、願わくば、この被害の内容というものは十分吟味していただいて、速やかに全域にわたって激災の指定をお願いしたい、こう思いますし、かたがた、それに伴って天災融資法の発動というものは当然だと思うのですが、あわせてお答えいただきたい。
  100. 荒井紀雄

    ○荒井政府委員 天災融資法は、後ほど農林水産省の方からお答え申し上げるかと思います。  激甚災害の問題でございますが、私ども、現在、先ほどもお答え申しましたが、本激甚ということを考えております。したがいまして、激甚災害指定そのものにつきましては、災害が激甚だということに指定されますと、地域とは無関係に、その災害によって生じました被害がその団体の財政規模に対してどのぐらいあるかということが次に問題となってくるわけでございます。その団体の標準税収入といいますか、それの一定割合を災害復旧事業に要する負担額が超えます場合には、かさ上げ制度の適用を受ける、こういうことでございます。ただいま、熊本県下の市町村別の精査結果を待っておるところでございますが、お話しのとおり、熊本県は公共土木関係につきまして被害が非常に激しいということもよくわかっております。被害の実態から見ましても、かなりの該当があるのではなかろうかというふうに推定されますけれども、今後なお鋭意調査いたしまして、なるべく早くその結論を出すようにしてまいりたいというふうに考えております。
  101. 森中守義

    森中委員 それで、先ほど長官から中小企業のお話がありましたから、あと全体的に、そういうものをぜひひとつ速やかに指定をしていただくように重ねて懇請しておきたいと思う。  それから、今回の被災をちょっとつまびらかに見てみますと、菊池川という一級河川加勢川という一級河川、この二つの河川が非常に問題があるのですね。もうすでに建設省の方でもその調査はお済みだと思いますが、山鹿の問題というのは、菊池川の本流から堤防を越えたのではないのですよ。高森ホテルと清流荘という二つのホテルがある。この前の築堤がもともとない。一メートル三、四十ありましょうか、どういうものかそこだけ約八十メートルぐらい堤防を築いていない。もしそれがあったならば本流があふれたわけはないわけだから、当然水は防げた。これはもういろいろ聞いてはおりますけれども、何としても、やはり一級河川の管理は国ですから、どういう経過であろうと築堤をしなかったというところに問題がある。ですから、これは早急にやってもらわなければいかぬ。  それから、菊池川の上流及び下流は改修が終わっていて、水系の中流は全然改修が行われていない。早く言うならば、上下が広がって中が帯で締めたようになっている。問題はここですよ。しかも、中流に流入する小河川というのは幾つもあります。これがふくれ上がって、菊水町あるいは山鹿市の下流は大惨害を起こした。  もう一つここで問題になりますのは、玉名市に寄った方に白石というせきがあります。そのせきの上流に、もともと存在したアイランドではないようですけれども、何か州がだんだん島みたいになったのがある。これがいわば水はけを非常に悪くしている。こういう状況のようですね。ですから、菊池川のこの問題が除去されない限り、もちろんいまダムの建設等々いろいろ議論はされておりますけれども、こういう問題の決着まで放置するならば、毎年この時期には、この水系の住民はいわば災害の苦しみを除去するわけにいきませんね。だから、これは一体どうなさるのか。  それからもう一つ、加勢川というのがあるのですが、これはまた奇妙な川ですよ。大臣、よく聞いておいてください。扇の広がったところが上流、下流の方が扇のかなめですよ。一体河川の改修の工法にこういうものがありますか。何か聞けば、いや、それは清正公時代からだと言う。三百何十年か四百年前でしょう。しかも、この加勢川というのが一級河川に算入されてどのくらいたっていると思いますか。この間に、県及び沿岸の町村ないしは熊本市というものは、毎年のようにこの改修の陳情をしてきている。どこまでどうなったのか。しかも、あり得べからざることに、上手の方が広く、下の方を縮める。水害になるのはあたりまえでしょう。何で建設省はそんなことをほっておくのですか。一体菊池川河川改修加勢川の改修をどうなされますか。  もちろん、白川はおかげで大分よくなりました。ただ、立野のダムを急いでほしい、こういう意見がある。また、白川の下流も、三十三億か激特の指定を受けて、ずいぶん工事は進んでいる。坪井川並びに井芹川も、九十八億の予算をいただいて五カ年計画でやっておりますけれども、これなども、用地取得や何かあるでしょうから五カ年ぐらいの年数は必要であるかわかりませんが、もう少し集中的にできないものだろうか。下手すると、これはさいの河原ですよ。ことしこれだけやったら来年まただめになった、こういうことがあり得るのですね。幸いにして、坪井川及び白川あるいは井芹川は、すんでのところでことしは助かりました、来年どうなるかわからない、こういうことなんですね。  だから、つけ加えておきますが、山鹿のいまの築堤にしていない個所は、災害の後に土のうを積んで土を盛った。私は現場に行って、そうかい、これは来年の準備をしているのかい、こう言ってひやかしてきましたが、こういう状況ですよ。こういうことに対してどうお考えでしょうか。速やかに河川改修を実施してもらいたい、こう思うのです。
  102. 玉光弘明

    玉光説明員 まず、菊池川からお答えいたします。  いま先生が山鹿に築堤がないとおっしゃいましたけれども、その地点は実は築堤がございます。ただし、上流ほど完成した築堤ではないわけです。と申しますのは、その間、約六十メーター・プラス下流の方に二十メーターで八十メーター間でございますが、川におりる坂道がございます。それともう一つ、そのほかの堤防につきましては、用地買収を大分前から鋭意やってきたわけでございます。一生懸命やりましたけれども、なかなか折り合わずにそれが進まず、したがって築堤の幅をふやすことができずにパラペットが載せられなかったわけでございまして、パラペットの分だけ低いわけでございます。ただし、そのパラペット高も、ほぼ計画高水位に近い高さがございます。いま堤防がないと言ったところですが、実は小さい堤防ですけれどもございまして、今回はその計画高水位をさらに上回る、過去で最高の昭和二十八年を超える水位になったわけでございまして、それでパラペットのあるところについてはあふれずにパラペットのないところであふれ、それから坂道であふれたという事情でございます。そのあふれた量と内水とが一緒になりまして、山鹿市内約五十三ヘクタールが浸水したわけでございます。(森中委員「だから、結論をどうするのか」と呼ぶ)  それで、用地買収を鋭意続けておりまして、地主が五十二年ごろ変わりましてさらに理解のある方になりまして、ようやくいま用地買収の話が大体まとまったところでございまして、今後直ちにこの補強と申しますか、完成した堤防にすべく努力しようとしているときでございます。そういうふうに早急にしたいと思っております。  それから、もちろんそのときに水防団が出たわけでございまして、それが土俵を積みましたけれども、流されて、とうとうその目的を達することができなかったわけでございます。  それで、その菊池川でございますが、中流部の白石堰の上の州のお話がございました。現在、菊池川におきましては、山鹿市と並行しまして、下流の岩野川、それからそのすぐ下にあります中流部の改修に手をかけたところでございまして、おっしゃいました白石堰の上流の中州等の除去等につきまして、早急に検討しているところでございます。  それから、加勢川に参りますが、加勢川につきましては、先生おっしゃったとおりに大変改修がおくれてございます。緑川の中でもいま一番おくれておるところでございます。加勢川流域が非常に低いところでございまして、下流に二つ大きなせきがあります。一つは野田堰で、それから緑川との合流点に六間堰というのがございます。おかげさまで野田堰の改築は終わりまして効果は上がっておるわけでございますが、一番下の緑川に入る河口の六間堰につきましては、鋭意改修を進めようとしているわけでございますが、何分にもかなりの用地買収がかかりまして、右岸が天明町でございますが、そこと鋭意用地交渉をしているところでございまして、この出口を切り下げ拡幅をしないと、その上流の先生おっしゃいました地域の水は引きませんので、それに鋭意努めているところでございます。今後もちろんそれに努めると同時に、上流の改修をあわせて進めたいと思っております。  白川につきましてはお褒めをいただきましたけれども、これも五十五年に大きな災害がございまして、激特事業としましていま鋭意やっているところでございます。この効果は多少出たと思います。  それから、井芹川、坪井川につきましても、同じ五十五年に大災害がありまして、これも激特事業でやっております。激特事業は五年間で完成するように考えておりますので、完成間近というか、あと一、二年残しておりますが、それで完成したいというふうに考えておるわけでございます。
  103. 森中守義

    森中委員 この辺、もうちょっと質問したいところがあるのですけれども、時間がありませんから……。大体一口で言えば、経過がどうあろうと、菊池川にしても非常に立ちおくれて、災害が発生した、加勢川にしても同様、こういうことですから、その動かしがたい事実というものを、建設大臣、厳粛に受けとめてもらいたい。  それと、五カ年計画というようなこともやみくもにおつくりになったわけじゃないでしょう。自治体のいろいろな都合等も勘案の上の決定と思いますが、できるだけこういうものを集中的に短期でできるようにお願いしたい、こう思うのですね。  それから、もう時間がありませんから、農林水産省にちょっとまとめてお尋ねしますが、天災融資法の発動、これは一体どういうお考えなのか。それから、自作農維持資金の融資枠の確保、これは一体どういうことなのか。それから、農業の近代化資金の償還期限の延長ですね。それと、御承知のように熊本県はいわば一次産業県と言われるように有数な農業県、しかも米を中心にしているところですが、今回の水害によって米作が一体どうなるのか、非常に気になっております。したがって、こういうものをどういうふうに御措置になるのか。これは私の一つの考えですが、農業共済の制度がありますね。これはたしか九〇%ぐらい出るのじゃないですか。こういうものが対応としてとれるならば、こういう措置を速やかにとってもらうと非常にありがたいかなというような気がするのですよ。これだけをちょっとまとめてお尋ねしまして、質問を終わりたいと思います。  とにかくさっきも申し上げたように、国土庁から出された資料によってでも、熊本県の被害状況というものは、人の犠牲は比較的に少なくて不幸中の幸いであったわけですが、その他の状況からするとこれはかつて例を見ないような大災害でございますから、その点を御勘案の上、政府におかれても重点的に熊本にさまざまな御配慮をお願い申し上げておきたいと思います。答弁をいただいて、質問を終わります。
  104. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 三点についての御質問でございますので、まとめてお答えさせていただきます。  まず第一点の天災融資法の発動と自創資金の融資の問題でございますが、これに一つきましては、現在私どもの統計情報部におきまして被害の数字を調査取りまとめ中でございます。この数値がまとまった段階で判断いたし、適切に対処いたしたい、かように考えております。  次は、近代化資金と制度資金についての償還期限の延長問題、これは特に被災農家に対する対応措置ということだと思いますが、これにつきましては、近々関係の金融機関に対しまして償還猶予等を行うよう必要な通達を出したいと考えております。  三点目の農業共済に関する点でございますが、米に限らず、果樹等におきましても損害が発生しておりますので、農業共済の制度におきましても早期の損害評価、かつまた共済金の早期支払いという線で対処すべく、現在関係団体を督励している状況でございます。
  105. 森中守義

    森中委員 国土庁長官、ひとつ御見解を……。
  106. 松野幸泰

    松野国務大臣 御趣旨については、関係各省庁と十分連絡をとって最善の努力をいたします。
  107. 森中守義

    森中委員 どうもありがとうございました。
  108. 木島喜兵衞

    ○木島委員長代理 次に、阿部喜男君。
  109. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 実は私も九州の災害調査に派遣をされた一人でございますが、質問の冒頭に当たって、今回の災害で被災をされた皆さん方に心からお見舞いを申し上げ、同時に、関係省庁の並み並みならぬお骨折りに敬意を表しているところでございます。  時間もございませんから簡単に質問をいたしますので、簡単に御答弁を願いたいと思います。  先ほど来議論がありまして、今回の災害の激甚指定をするかどうかに当たっては、台風十号も含めて一連のものとして検討しておるとか、こういうえらいむずかしいお話でございましたけれども、端的に申し上げますが、具体的には九州地方を中心に起きた七月十日から二十日にかけての大雨及び七月二十三日から二十四日にかけての集中豪雨並びに今回の台風十号の被害を一括して調査をし、激甚指定をするかどうか決定をする、これは間違いございませんか。
  110. 荒井紀雄

    ○荒井政府委員 お答えします。  現在そういうふうな方向で検討いたしております。
  111. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 方向とか、とらえてとか、むずかしいことを言うが、一括して調査をし激甚指定をするかどうかを決める、それでいいのでしょうか。
  112. 荒井紀雄

    ○荒井政府委員 一括して調査をしております。
  113. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 したがって、この気象に伴う災害は、もし本激の指定を受くれば局地激甚災害というものはあり得ない、こう理解をしていいですね。
  114. 荒井紀雄

    ○荒井政府委員 本激甚の指定を受けましてその適用を受けました団体は、局地激甚ということはあり得ません。
  115. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこで、次ですけれども、先ほどちょっと質問がございましたが、今次の災害で激甚指定が行われたという前提に立って、災害救助法の発動をされた地域と発動されない地域とのかかわりについて特段の差はないはずだというようなお話がありましたが、これは各省庁関係、間違いございませんか。
  116. 荒井紀雄

    ○荒井政府委員 災害救助法が発動されましたことによりまして適用を異にする制度と申しますと、激甚関係につきましては中小企業関係でございます。先ほどもちょっと御答弁ありましたように、災害救助法施行令一条の一号から三号までに該当する地域につきまして激甚の制度が適用になるということでございます。
  117. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは、先ほど私は答弁を聞いておってちょっと理解できなかったのですが、国土庁の長官にお伺いしたいのですが、全国的に今次の気象に対しての激甚災害指定をされた、こうなった場合、具体的に申し上げます、大分県の場合は、恐らく竹田市については、これは災害救助法も適用されておりますから問題はない。しかし、玖珠あるいは天瀬という地域については、災害救助法の適用がされていないけれども、中小企業の温泉街の旅館が相当流失しておる。それが、全国的にこの気象による災害が本激の適用を受けるのに、その地域災害の戸数、数がたまたま少なかったからということで適用を受けないということになると、これは分け隔てをした取り扱いになるように思いますが、この関係はどうでしょうか。
  118. 松野幸泰

    松野国務大臣 大分県では、竹田市で七月二十四日七時から午後六時までに三百ミリに近い降雨量があって、このため、竹田市を中心にして死者八名、負傷者十九名、家屋の全半壊四十六棟、床上浸水三百五十棟などの被害が発生しました。亡くなられた方々は、一人を除いてがけ崩れにより生き埋めになるという痛ましいものでありました。また、稲葉川のはんらんにより住家が流失、浸水し、多くの被害をこうむったことに、心からお見舞い申し上げます。  大分県の災害について、今後とも災害応急対策を十分行うとともに、本格復興に向けて積極的対策を講じてまいります。また、長崎市その他の場合と同様に、多量の降雨があったとはいえ、がけ崩れによる死者の発生を未然に防ぐ方策を一層推進する必要があると痛感しておる次第であります。
  119. 佐々木恭之助

    ○佐々木説明員 天瀬ほかの二町の件でございますけれども、先ほど申し上げましたように、激甚法の施行令の二十五条で、災害救助法適用の有無に関係ありませんで、災害救助法を適用するに足る被害が発生した市町村ということでございますので、現在、大分県を通じましてその辺の事情について詳細を伺っている最中でございます。
  120. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大変前向きの大臣の御答弁と、いまの御答弁を聞きまして、安心いたしました。災害救助法の適用はない地域ですけれども、やはり法のもとに同じ気象のもとでの災害でございますから、内容を十分御調査の上、措置をしていただくようにお願いしておきます。  そこで、具体的に少しお伺いしますが、自治省は今回の災害対策として、九月期の地方交付税を繰り上げて支給をされたという適宜な措置をおとりになっておるようですけれども、地方自治体の財政事情等を勘案して、今年度の地方交付税を再度繰り上げて交付をされる、たとえば団体から要望があれば交付をするというようなお考えはございませんか。
  121. 松本和雄

    ○松本説明員 お答え申し上げます。  去る八月二日に、九月定例交付予定額のうち百八十六億円を繰り上げて交付いたしました。御案内のとおり、普通交付税の繰り上げ交付は、一般の補助金等と違いまして財源手当てでありませんで、当座の資金手当てでございます。かつ、基礎にいたします被害額も、当該団体の報告額をそのまま採用しております。そういったような関係で、その後の雨等によりまして若干被害額等が動いたといたしましても、そのことのゆえをもって直ちに再度その団体に繰り上げ交付をすることは考えておりません。また、要望はありません。  ただ、その後非常に前と違った大きな災害に見舞われておる団体につきましては、その実情調査した上で対応策を考えたいと存じております。
  122. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大体わかりました。しかし、私が申し上げたのは、地方の団体では、次に述べるところのいわゆる今回の災害地域に対する特別交付税の配分があるだろうという期待があるわけですね。したがって、早く手当てをしなければならないから、普通の交付税をなるべく早く繰り上げて交付してもらうことによって、あと特別交付税で充当していきたい、そういう期待があると私は思いますので、もし地方団体から要望があった場合には十分検討してもらうようにお願いしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  123. 松本和雄

    ○松本説明員 御要望があれば、十分検討いたしまして対応策を考えたいと思います。
  124. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 もう一つ、地方自治体の災害復旧事業に係る起債について、十分起債の枠をとっていただいて起債ができるような配慮を願いたいと思っておりますが、この点はどうでしょうか。
  125. 松本和雄

    ○松本説明員 被災団体が行います災害復旧事業等に係る経費に充てるための地方債、これにつきましては十分手当てをしたいと考えております。
  126. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 次に、農林水産省、それから建設省にお伺いします。  先ほど来、なるべく早く調査を終えてというお言葉でございますけれども、被災をしておる人たちはもとより、それを抱えておる地方団体は、どうなることだろうかと大変な心配をしているわけでございます。したがって、農林省並びに建設省が大分県についてはいつごろの時期に査定を行う予定であるか、見通しをお伺いしておきたいと思います。
  127. 狩野昇

    ○狩野説明員 お答えいたします。  建設省としましては、大分県の災害査定は八月末から行う予定で現在考えておりまして、鋭意準備を進めておるところでございます。
  128. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 農林省関係でございますが、緊急査定につきましては八月中旬目途に開始をいたすということでございまして、全体を通じまして十一月中旬には査定を終わらせるという方向で、いま万端進めておるところでございます。
  129. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 十一月までかかる。八月中旬から入ってもらうわけですから、なるべく早く査定を終わって措置ができるように、ひとつ大臣の方から督励をしてもらいたいと思いますが、いかがでしょう、大臣
  130. 松野幸泰

    松野国務大臣 午前の御質疑にお答えいたしましたように、八月中旬ということを目標にしてやっております。  そこで、大分県の件でございますが、激甚災害指定については目下関係省庁と鋭意被害状況の把握に努めているところであり、大分県については該当するかどうかというお尋ねのように思いますが、中小企業関係については、激甚災害指定を八月中旬を目途に指定手続を行う検討をいたしております。その他の公共土木施設及び農林関係施設につきましては、現在なお被害が増加しておる状況でございまして、まだ調査がまとまる段階になっておりませんので、激甚災害指定の見込みについてはなお若干の日にちをかしていただきたいことをお願いいたします。
  131. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大変りっぱな御答弁をいただきました。長官としてはそういう御答弁になると思いますけれども、長い経験をお持ちになる各省庁の担当の皆さん方、たとえば農林水産省、建設省、いかがでしょうか。大体被害報告されておるわけですから、あとふえても減ることはあり得ないのですが、従来の経験に照らして、大分県の農林水産並びに公共土木、この関係は激甚の指定を受ける見通しであるかどうか、ちょっとお伺いをしておきたいと思います。
  132. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 農地、農業用施設についての激甚災指定問題につきましては、私どもとしては単に大分県ということでなくて、全体としてこれを取り扱いたいという考え方でおりまして、現在被害の数字を取りまとめ中でございます。したがって、数字がまとまった段階で判断をいたし、適切な対応をしてまいりたい、かように考える次第でございます。
  133. 狩野昇

    ○狩野説明員 建設省の所管している公共土木施設関連でございますが、目下資料を鋭意収集中でございます。この台風の結果によりまして現在被害が日々増大しておりまして、その結果を待って早急に対処したい、このように考えております。
  134. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 長官、被災者並びに地方団体は、激甚の指定を受けるだろうかどうだろうかということをいま一番心配しておるわけで、今日質問に立ったすべての皆さんから激甚の指定という言葉が出ておりますが、これが一番気になっておるところなんですよ。したがって、私が大体見通しだけでもと申し上げたのは、大分地域指定を受けるところが出てくればあとは問題ないだろう、そういう気もしたわけですので、非常に慎重な御答弁ですけれども、いま申し上げましたようにそれを一番心配しておるわけですから、なるべく早く調査を終わって、そしてなるべく関係の被災地域については指定をしてもらうように、特にお願いをしておきます。  次に、もう一つ、農林水産省ですけれども、災害の農地復旧の十アール当たりの限度額というのがございまして、これが地域によってはいまの限度額ではなかなか復旧できないといういきさつもあるようでございますが、これを撤廃するとか、あるいは少し適用の緩和ができないかという声が強いのですが、御見解を承りたいと思います。
  135. 吉川汎

    ○吉川説明員 十アール当たり限度額の撤廃または緩和をというお話でございます。私どもの所管しておりますのは、農地の災害復旧農業用施設災害復旧の二つでありまして、そのうちの農地だけに限りまして、法律の定めるところによりまして市町村ごとに反当限度額が定めてあるというのは、御指摘のとおりでございます。この限度額を定めるに当たりましては、毎年経済指数を勘案いたしまして、農林水産大臣が定める一戸当たりの国庫補助基準額、一戸当たり補助金を幾ら差し上げるのが適当かという一応の基準額を定めまして、それを換算して反当復旧限度額を定めておるわけでございます。  すなわち、農地復旧という性格からいいまして、一定の限度額があるのはやむを得ないのではないかというふうに考えておるわけでございまして、問題は、その限度額が農家の負担に耐えられるかどうかということであろうかと思います。過去の事例等を見ますと、ほとんどの地区がこの限度額の中で復旧できるというような実態でございます。中には二、三そういうような地区がございますので、具体的には現地に適応した工法等を十分指導いたしまして、農家の負担が酷にならないように今後とも措置をしてまいりたいというふうに思っておりますので、御了承をお願いしたいと思います。
  136. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 次に、建設大臣、ちょっと伺いたいのですけれども、先ほど来各委員から質問がありましたが、この中小河川復旧は、単なる復旧でありますとまた災害が起こる、大雨の都度災害が起こる、そういう状況にいままでの経過からあるようでございますので、この際、単なる復旧だけではなくて、河道の拡幅とかそういうものを含めて、改良復旧ということを重点にやれないものだろうかというふうに考えますが、大臣の所見を承りたいと思います。
  137. 川本正知

    ○川本政府委員 今回の全国各地にわたります災害におきましても、中小河川の被災というのが大変数多いわけでございますが、ただいま先生おっしゃいましたように、災害復旧に当たりましては、災害関連事業であるとか、災害復旧助成事業であるとか、いわゆる改良復旧の制度、これを適用できるものは極力適用していくという態度で進んでまいりたい、こう思っておりまして、できるだけそういったことで再度災害をこうむることがないように対処してまいりたいと思っております。
  138. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 先ほど、中小企業庁の方でございますけれども、特利の融資につきましては現行のままでいきたいというお話でございまして、信用保証保険の関係については激甚指定があれば現行の普通の貸し付けの同じ枠を上積みすることができる、こう答弁されたようですが、これは間違いございませんか。
  139. 佐々木恭之助

    ○佐々木説明員 信用保証の関係は、おっしゃるとおり激甚法の指定になりますれば通常枠と同額が別枠で上積みされます。
  140. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 そこで、大蔵省の方にお伺いしておきたいのです。  財政事情が非常に厳しいようでございますけれども、何といっても天災でございますから、今回の災害の措置については、大蔵省としても十分な財源の措置を講じていただくようにお願いをしておきたいと思いますが、この点、大蔵省いかがでしょうか。
  141. 斉藤次郎

    ○斉藤説明員 お答えいたします。  私ども、災害関係の支出については優先的に考えるということを基本といたしておりまして、本年度の予算に当年災の枠というのがございまして、まずそれで対処していただいて、足りない場合には、予備費が三千四百八十八億ほど残っておりますので、予備費の支出で優先的に対処するということでございます。
  142. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 最後に、これも先ほど来お話が出ていますが、天災融資法の適用について農林省に具体的に伺いますけれども、大分県もこの天災融資法の対象の枠に入りますか、これをちょっと聞かせてください。
  143. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 天災融資法の発動の問題につきましては、地域を限定することなく全国的に行う性格でございまして、これに対しても全国的な意味での農作物被害状況を現在調査しておりますので、その結果を待って判断させていただきたい、かように考えております。
  144. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 両閣僚の決意なども伺いましたから、改めて伺いません、格段のお骨折りをお願いいたしまして、質問を終わります。
  145. 木島喜兵衞

    ○木島委員長代理 次に、柴田弘君。
  146. 柴田弘

    柴田委員 私は、今回の長崎地方を中心といたします集中豪雨災害に対しまして、被災者の皆様方に対して心からお見舞いを申し上げるとともに、今後の復旧の一日も早からんことをお願いいたしまして、質問をいたしたいと思います。  そこで、まず、本題に入る前に、この七月二十三日の集中豪雨、そしてつい先日来の台風十号の集中豪雨によりまして各地に甚大な被害がもたらされたわけでありますが、特にこの中で、もちろん被害をこうむったところの復旧事業というものも大事ですけれども、生鮮食料品が非常に入荷難ということで大幅に値上がりをいたしまして、国民生活を圧迫しております。でありますから、こういった問題について一日も早く対応して、民生の安定を図っていかなければいけない、こんなふうにいま思っております。  たとえば東京都の中央卸売市場によりますと、都内九市場への野菜の入荷量は、普通でいきますと日量五千二百トンから五千三百トンあるわけでありますが、昨日の場合はこれが三千九百十五トンと二四%の減。果物は二千トンが一二%減の千七百六十一トンの入荷量であります。  こういった原因は、やはり生鮮食料品の供給に対して産地が災害にやられている、あるいはそれを運ぶ道路各地で寸断をされているといったことにあると思いますが、今回のこの被害によって生じた生鮮食料品の需給の問題、値段の問題について、政府としては現状をどういうふうに把握され、今後対応されていくのか、まずお伺いをしていきたいわけであります。
  147. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 先生御指摘のように、生鮮食料品の確保なり価格安定は、国民生活の安定という意味から最も緊急を要する課題でございますので、私どもといたしまして最も意を用いている点でございます。  そこで、七月豪雨に際しましては、長崎におきまして生鮮食料品の高騰という懸念がございましたので、早速担当の課長現地に派遣いたしまして、集出荷団体の集出荷の督励等々について現地指導をやりますとともに、幸いにいたしまして道路につきましても緊急車扱いということで道路通行の確保ができたということから、全般的に見まして平静を保っているというふうに判断いたしております。     〔木島委員長代理退席、池端委員長代理     着席〕  なお、小売価格の監視につきましては、食糧事務所の職員でございます食品流通改善推進員というものをこの際動員いたしまして、小売価格の安定につきまして巡回パトロールをやっておるという状況でございまして、小売の段階では概して申せば安定した価格として推移をしているというふうに理解しているわけでございます。  次は、いま先生お尋ねの東京におきます十号台風以降の生鮮食料品、特に野菜関係につきまして若干御説明申し上げますと、私の手元には神田市場のデータがございますが、昨日の神田市場の野菜の入荷量は九百九トンということでございまして、これは平常の入荷量に比しますと二割五分の減という形になっております。価格でございますが、昨日の卸売価格を見ますると、高いもので五割、やや高いもので二、三割という見当でございまして、この数値で見る限り異常な高騰ということではないのじゃないかというふうに考えている次第でございます。  このような状況なり今後の展望になるわけでございますが、今般の台風十号によります野菜の被害でございますが、やはり葉菜類あるいは果菜類等々につきまして、主産県の長野県、群馬県、福島県等々におきまして災害が生じておるということでございますが、災害の程度も、私どもが当初懸念していたほどではないというふうな状況のようでございます。  ただ、現地の出荷につきましては、先生も御指摘のように、道路破損によりまして輸送関係がやや難渋しているという点、それから、やはり果菜類等は倒伏したものがございますので、そういったものの引き起こしなど、農家の作業に手間がかかる等々の問題がございまして、当面は出荷量が減少するのはやむを得ないかと考えております。したがって、この間の価格の堅調は残念ながら否定できないと考えております。  ただし、私どもといたしましては、極力集出荷の確保をするという観点から、現在被害が生じておりません東北なり北海道等々の産地から集出荷の協力をいただく、あるいは集出荷団体なり小売店の団体に協力要請するということで、極力出荷量ないしは販売量の確保に努めてまいりたいということでございまして、また、小売価格につきましても極力便乗値上げ等がないように意を用いてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  148. 柴田弘

    柴田委員 いま農林水産省の方から御答弁があったわけでありますが、御説明によりましても五〇%あるいは二〇%から三〇%高い、これは大したことないというふうにおっしゃっておられたのですけれども、私は決してそうは思ってないわけでありまして、やはり民生安定という立場から、被害を受けていない東北あるいは北海道地方からの入荷量をふやしていただいて、一日も早くこの対応策というものを整えていただきたい、これを要望しておきます。  続きまして、本題に入りまして、今回の長崎中心とした北九州地方の災害に対しまして、私ども公明党といたしましてもいち早く九州地方集中豪雨災害対策特別本部を設置いたしまして、被災地の救援、そして調査活動に当たりました。そして、地元の県本部等々とも協力をいたしまして、いろいろ被災者皆さん方の訴えあるいは現状をもとにしまして、去る七月の二十六日に六項目にまとめまして、災害対策本部長としての松野国土庁長官に御要望を申し上げました。  簡単にこの六項目を申しますと、第一点といたしまして、行方不明者などの早期発見、発掘のための機械、機動力の投入。二つ目には、飲料水、都市ガス、電話電気、交通などの早期回復。第三番目としては、屎尿処理、生活粗大ごみ処理の問題。第四点といたしまして、防災、防疫、防臭などの衛生処理の実施。第五点といたしまして、中小企業への低利融資の問題。第六点といたしまして、先ほど来問題になっております激甚災害法の適用。この六項目を申しました。  長官からも、この問題については全力を挙げて取り組む、こういう御回答をいただきまして、意を強くいたしているわけでありますが、その後この要望に対しましてどのような処置をとられ、今日どういう結果になっているか、簡単で結構でございますから、それぞれまず御答弁をいただきたい、こんなふうに思うわけでございます。
  149. 荒井紀雄

    ○荒井政府委員 災害対策本部あるいは関係各省庁連絡会議におきましてお申し入れの事項につきまして十分に検討させていただきまして、早急な対策を講じるべく現在もなお努力をしておる最中でございます。  行方不明者生き埋めになっておられる方々早期発見、発掘のための機械、機動力の投入等につきましては、当初は、道路の事情等によりまして重機械が入らないというふうな事情がございましたけれども、中間の段階から思い切って機械を投入いたしまして、おかげさまで、まだ若干の不明者がございますけれども、大方が発見をされたということでございます。  それから、水あるいは都市ガスの早期復旧につきましても鋭意意を用いまして、現在若干の家庭で断水がまだありますけれども、ほぼこれも復旧の見込みがついた状況でございまして、電話電気等についてもかなり早い段階に見込みが立ったわけでございます。  屎尿処理につきましても、現在、災害関係の屎尿につきましてはほぼ目的を達した。計画集水の分につきましては、徐々に平常ペースに戻るべくいま市の方におかれまして努力をされておりますが、われわれとしましても、その推移を見守りつつ今後十分に対処してまいりたいというふうに考えております。  それから、防疫関係、防臭関係等につきましても、市民生活にとりましては非常に大きな問題でございますから、これにつきましても今後とも、これは防疫をする必要性との関連がございますけれども、至急に対策を講じてまいる予定でございます。  被災産業のための低利融資等につきましては、先ほど来中小企業関係につきまして御答弁を申し上げておるところでございます。
  150. 柴田弘

    柴田委員 先週末の段階で私どもが報告現地から受けている状況では、今回の災害の総被害額は千三百億円、現在、被災者は悪臭とすさまじい砂ぼこりの中で悪戦苦闘をしている、断水もまだ一万戸を超えておる、また、都市ガスも二万戸ぐらいとまっているのじゃないか、家を失って避難所生活をしている方たちは約七百名に上るのではないか、また、七カ所の小中学校の校庭には約十カ月分程度のごみがたまっておる、このような状態であるというふうに聞いておるわけでございます。  その後作業が進んでおり、あるいはまた復旧がされているかもしれませんが、そういった報告を受けているわけでございまして、最終こういった諸問題が、いわゆるとりあえずの緊急対策応急対策として八月いっぱいに一切処理されるのかどうか、この辺だけひとつ簡潔に御答弁をいただきたいと思います。
  151. 荒井紀雄

    ○荒井政府委員 お答え申し上げます。  ごみ等につきましても、おっしゃるとおり、現在、小学校の校庭に三校ほどまだ残っております。そのうち一校につきましては、自衛隊等によりまして鋭意除去作業をやっておりまして、これは間もなく片づくかと思いますが、もう一校につきましても、さらに残る力を動員いたしまして早急に撤去したいということでございます。その他の生活関連のいろいろな不自由につきましては、今後ともさらに市あるいは県とも十分協議いたしまして、国といたしましてもできるだけの協力をしてまいりたいというふうに考えております。
  152. 柴田弘

    柴田委員 では、この点については一日も早く対策を完了していただきますように御要望いたしまして、次に質問を進めたいと思います。  先日も私は、当委員会調査団の一員として現地に行ってまいりました。聞きしにまさる惨状と申しますか、新聞、テレビ等で報道されるのを見ておりました以上に、実感として、今回の災害がいかにひどいがということをしみじみと見てまいったわけでございます。それで、長崎に参りまして私、思いましたのは、今回の災害は決して天災ではなく、これはもう人災である、すり鉢型の地形の山のてっぺんまで家が建ち並んでおる、この現状を見まして、やはり災害が起きない方がおかしい、このように思ったわけであります。聞くところによれば、そういった状況にあるにもかかわらず、記録的な集中豪雨であったにもかかわらず、緊急避難命令は出されなかった、こういった状況であり、私は、今回の災害に対しては、国はもちろん、地方自治体としても、決して天災ではなく、あくまで人災であるというふうにとらえて、今後の根本的な防災対策、安全対策を講じていかなければいけない、こんなふうに考えているわけでございます。  そこで、長官と大臣にお伺いをしていきますが、特に長官はいち早く現地視察されたということでございますが、果たして天災であるか、人災であるか。先日の本会議の総理答弁を聞いておりましても、今回の原因は、一つは記録的な集中豪雨である、もう一つは坂の多い、すり鉢型の長崎という特異な地形である、この二つに原因をおっしゃっているわけでありますが、これは他に責任を転嫁するものである、こういうふうに私は思うわけでございますが、この辺の御認識は、まずどうお考えになっているのか。私は、今回の災害はあくまでも人災としてとらえて、こういった災害が二度と起きないようなしかるべき防災対策と安全対策を講じていく決意がなければならない、そこに行政の責任がなければならない、こんなふうに考えている一人でございますけれども、国土庁長官と建設大臣に、その辺の御所見を伺っておきたいと思います。
  153. 松野幸泰

    松野国務大臣 お答えいたします。  御意見につきましては、大変貴重な御意見として傾聴いたしますが、御承知のように、異常の五百七十ミリという集中豪雨、しかも満潮と一緒になった。それから、十四万余りの長崎市が四十五万という急速に膨張した町であって、いままで山に木が生えておったのを、午前中にも申し上げましたが、その木を伐採しながら住宅が建っていった。しかし、その住宅を建てるについては適切な指導があったと言われておりますので、不幸な出来事でございましたけれども、指導によって建てられた住宅にはほとんど被害がなかったということは、私は、指導は一応よきを得たというふうに解釈したいと思います。  しかしながら、問題は、すり鉢の底にあるあの繁華街などの、いわゆる二つの都市河川の処置というものに手おくれがあった。これはいろいろな理由がありますので、こういうところでは申し上げにくいのでありますが、午前中にもお話がありましたように、いわゆる治水を最重点にする河川か、治水と利水を併用にするのかという問題については、これは治水を重点にして、利水の河川の方法については別途に考えるというような御意見もありましたが、こういうような御意見を十分参酌して、しかも二つの都市河川は住民の格別な御協力を得て、激特事業によって最善を尽くして、こういうことが再び起こらないように、いままでそういうような集中豪雨がなかったから、ややもすればまあまあというようなことを考えられた一面があるかもわかりませんけれども、もうしかし、こういうことが起こったということは何年後かにまたあるということを十分把握していかなければならぬ。  それから、避難命令などについての御批判も午前中にありましたが、いろいろ調べてみますると、地域によってはその地域の代表の方が避難について非常に適切な処置をとられて、非常な被害があったけれども幸い人命に損傷がなかったという、報道で聞いておりましたような話もきょう午前中出ましたが、残念なことには防災無線が長崎市には普及していなかったということも反省の材料にして今後対処していきたいと考えておりますので、格別な御協力をお願いいたします。
  154. 始関伊平

    始関国務大臣 お答えを申し上げます。  このたびの長崎災害天災か人災か、人災と受けとめて今後しっかりした対策を実施せよというお話でございますが、ただいま国土庁長官からもお話がございましたので、繰り返して申し上げませんけれども、やはり天災的な要素が大きかったということは否定のできない事実だろうと思います。と同時に、政治や行政がその責任を果たしていなかった点があるのではないかという意味におきまして、人災だという見方にもそれ相当の理由があると私は考えております。  いろいろな問題があると思いますが、建設省のサイドといたしまして特に注意すべきであると思われます点は、さっきも御答弁申し上げたのでありますが、たとえばがけ崩れの危険のあるような場所につきましては、建築基準法の所管官庁と申しますか、責任官庁ですね、いわゆる指定行政庁としての市が、こういう地域住宅をつくってはいけませんよという禁止命令を出しまして、住宅の建設を認めないことができるという制度はできておったのでございますが、これは実際問題としてさっぱり実行に移されていなかった。  それから、すでにがけ崩れのおそれのある地域住宅ができてしまったという場合に、これは今度は県知事がそれに対応する策を講じなければならないことになっておるのでございまして、建設省はこれを受けて半額助成をすることになっておるのでございますが、建設省が応接に困るように半額助成の申し込みがあったという事実も余りないようでございます。  いま国土庁長官からもお話がございましたが、宅造法の規定などによりまして、正式に認可を受けてはっきりした土地造成をいたしたところの住宅災害がない、あるいは少ないのでございまして、そういう点から見て、やはり法的な整備についても見直すべき点があるかもしれませんが、せっかくできている法律が実施が余りうまくいっていなかったという点を私は指摘せざるを得ないのです。  また、いわゆる都市計画法上、市街化区域については勝手に住宅をつくってもいいことになるわけでございますが、実はその範囲内においても大変危険な場所もあったというような事実があるわけでございまして、今後地方の方とも十分に連絡をとりまして、また、いま申し上げましたような事項は総括的に申しますならば建設省の指導監督の責任範囲に属する事柄でございますから、今後、ただいまの御質問の趣旨も受けまして、人災による要素も大きいということを受けとめて、しっかりした対策を立てまして、こういう災害が余りちょいちょい起こらぬように万全を尽くしてまいりたい、かように存じております。
  155. 柴田弘

    柴田委員 とにかく天災的な要素は多かったかもしれません。しかし、行政の当局者としては、いま御答弁がありましたように人災と受けとめて、今後とも万全の対策を講じていく政治の責任というものがある、こういう点を申し上げておるわけでございますので、よろしく御理解をいただきたいと思います。  そこで、建設大臣、急傾斜地崩壊対策事業というのがございますね。現在、全国でこの危険個所は約六万四千個所もあると言われております。そして、防災対策を講じているのはその一〇%にも満たない六千三百何個所、このようなことであるわけでありますが、やはり今回の災害を一つの教訓といたしまして、そういった急傾斜地崩壊対策事業というものは、今後都市河川の整備とあわせて、来年度以降の予算配分を最重点的にしたいわゆる防災対策の計画実施というものを推進をしていかなければいけない、こんなふうに考えているわけでございます。この辺のお考えはありませんか、どうでしょうか。
  156. 始関伊平

    始関国務大臣 がけ崩れ対策の問題は、われわれといたしましても頭の痛くなるような緊急な大きな問題だと受けとめております。  それで、手近なところで御報告を申しますと、今回のがけ崩れによる被災個所に対しましては、緊急急傾斜地崩壊対策事業というものがございますので、それを取り上げまして年度内に対応することにいたしたい、かように存じております。  それから、来年度以降も引き続きましてこの事業を重点的に取り上げてやってまいるわけでございますが、何と申しましても六万個所もあって、全国の各地区に散らばっておるということでございますから、各地区の行政の長、知事さんとか、市長さんとか、そういう方々にいままでよりもっともっとよけいに関心を持っていただくということが、この事業の性質上、解決に不可欠な前提ではなかろうかと私は思います。半額助成のたてまえでやっておりますが、予算が足りないといったような事実は今日まで余りなかったようでございますけれども、足りないということであれば、緊急でございますから予備費なりあるいは予算の補正なりをもってこれに対処してまいる。中央、地方一体となりまして、災害のたびに問題になるこの大きな問題、それから土砂流の問題がございますから河川における砂防対策事業、この二つを同時に推進いたしまして、ただいまの御注意にこたえてまいりたい、かように存じております。
  157. 柴田弘

    柴田委員 そこで、五十五年度以降、この急傾斜地崩壊対策の事業費は五百十五億八百万と言われておる。これは五十五、五十六、五十七と、ほぼ横ばいである。来年はマイナスシーリング、それを何とかゼロシーリングということで災害対策については前向きに取り組んでいくということでありますが、この予算の増額要求の問題、いま一つは、やはり五カ年計画を策定してしっかりやる、こういうことも私は大事だと思いますが、そういった計画立案の策定ということについてはお考えになっていないのか。時間がほとんどありませんが、ひとつ簡単にお答えをいただきたいと思います。
  158. 釣谷義範

    釣谷説明員 お答えいたします。  急傾斜地崩壊対策事業につきましては、従来から危険度が高くて保全対象人家が多いところから計画的に順次実施してきたわけでございますが、今回の災害の実態、並びに実は昨年度、五十六年度から再点検を実施中でございまして、その集計結果が十月ごろにはまとまりますので、それをもとに今後五カ年計画の早急な策定について検討してまいりたい、かように考えております。
  159. 柴田弘

    柴田委員 ひとつよろしくお願いをいたします。  それから、あと薮仲委員が関連質問をいたしますので、私はあと一問質問をいたしたいわけでありますが、先ほど申しましたように、私は今回の長崎地方の災害を見てまいりまして、やはり避難命令がしっかりと出ておったならば、三百五十名を超える死者、行方不明はこれだけは出なかったであろうと思っております。仮にがけ崩れ等々があったとしても、ぴしっとした避難計画のもとに避難命令が出され、避難措置がなされておれば出なかったというふうに思います。現実に各所を見てまいりまして、同じ一家の中でも避難をした人、あるいはまた隣近所でも、これは大変だということで自主的に避難をした人は人命が助かっておる。こういうことをこの目で見、聞いてまいりまして、そのように思いました。  そこで、これは気象庁にも問題がありますが、やはり情報伝達体制の確立、こういったことにメスを入れていかなければならないし、国としても地方自治体、あるいは警察、消防、気象庁等々との連携のもとに早期避難体制を確立をし、きちっとした避難計画のもとにやっていくということが必要であると思います。これにはただ行政機関だけでなくて、やはり国民、地域住民の、関係者の一体となった防災意識の向上ということも必要になってくると思うわけであります。これは今後大きな一つの課題ではないか。特に避難計画のきちっとした策定と早期避難体制の確立、こういった問題について、国としてはどう地方自治体を指導し、具体的な対応策を立てていかれるのか。時間がありませんから簡単で結構でございますので、その辺の状況について御説明を承りたいと思います。
  160. 釣谷義範

    釣谷説明員 建設省といたしましても、ただいま先生おっしゃいますように、土石流の危険個所並びに急傾斜地崩壊の危険個所、これらについては警戒避難体制の万全を期しまして、事業が完成するまでの間、貴重な人命を何とかこの土砂害から守りたいというのがわれわれの悲願でございまして、これについて強力に行政指導をやっておるところでございます。  土石流につきましては、近日中に事務次官通達を出しまして、土石流危険渓流の危険個所現地に公示しまして、避難体制を確立するように努力する予定でございますし、また急傾斜地崩壊対策の危険個所につきましては、毎年六月上旬、梅雨期の前に、がけ崩れ防災週間というものを設けまして、各都道府県を通じ、地域住民の危険な個所に住んでおられる皆さんに警戒避難体制の呼びかけをやってきたわけでございます。今後とも今次災害にかんがみましてなお一層努力をし、行政指導を続けたい、かように考えております。
  161. 土井豊

    ○土井説明員 各地方団体におきましては、地域防災計画をつくりまして情報連絡体制あるいは避難誘導体制を定めているわけでございますが、今回の事情をさらに十分調査検討をいたしまして、関係各省とも十分連携をとりながら、将来万全を期してまいりたいというふうに考えております。
  162. 池端清一

    池端委員長代理 関連質疑申し出がありますので、これを許します。薮仲義彦君。
  163. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、先ほど松野長官から台風十号についての報告がございました。これはまた当委員会で後日あるそうでございますので、きょうは緊急を要する十号台風の中の影響といいますか、一つの問題点として一点だけお伺いをさせていただきます。  それは、八月二日の早朝、東海道本線富士川の鉄橋が流失いたしました。これは両大臣とも直接の担当大臣ではございませんが、政府閣僚として十分御認識いただきたい。  と申しますのは、現在西日本を襲った災害あるいは十号の台風被害が余りにも数多いものですから、その中の一つとして数えられておりますけれども、東海道本線がとまっておるということは、これは日本の大動脈です、いまはまだ影響は騒々しい中での問題ですけれども、これは日を追って深刻になります。この東海道本線が動かないことは、民生安定のいわゆる生鮮食料品について、その影響はもろに陸の東名高速であるとか、国道一号その他の主要国道によって来ます。そうしますと、非常な影響が日を追って深刻の度合いを深めてくるのじゃないか、こういう意味で、日本の大動脈がこういうようなことで放置されることは好ましくない。そこで、私は、きょうは国鉄にだけ伺いますけれども、どうか両大臣ともこのことについては政府閣僚としてこの問題解決に御努力を願いたいと思うのでございます。  私は、まず国鉄の認識を聞きたいのです。というのは、国鉄では構造物健全度というものを持っていらっしゃる。これはいわゆる橋脚あるいは鉄橋等、これにA、B、C、Sという四段階をつけて、実際これは中身から言えば危険度でございますけれども、Aというのは、構造物にひび割れ、傾き、ひどいさびなどが発生しておって、変化があって、機能が低下しておってこのままでは危険であるというのをAとしていらっしゃる。Aにもいろいろランクがあって、富士川鉄橋の場合はA2という、A2というのはここ数年で改修の必要があるのじゃないかと認められておるもの、こう言われております。  そこで、私は、今回の事故にかんがみて、まず第一点は、国鉄がこの富士川鉄橋についてどういう認識だったのか、いわゆる安全と思っていたのかどうか、それともここ数年で改修しようと思っていたのかどうか、この点をお伺いしたい。もしも改修しようと思えば、どの時点でやろうとしておられたのか。きょう私は詳しいことは聞きません。ただ、私が調べた結果、岐阜工事局ではすでに昭和五十四年の段階で改修計画を立て、これはここ数年で改修しなければならないという認識を持っていた。それがおくれている。なぜおくれたのかと言えば、まだ大丈夫だろうという認識の甘さがあったのじゃないか、この点いかがか。  それから、第二点。これは明治四十三年にいわゆる橋の下部構造ができております。私は、古いから危険だというような認識に立ってはおりません。ただし、七十年以上たっておるのは事実です。そうしますと、当時の安全度でいきますと、けた下七・五というのが当時の安全係数だと私は聞いております。しかし、現在は河川流域というのは非常に都市化が進んでおります。今度の長崎の場合もそうですけれども、都市化が進みますと、単位時間内のいわゆる河川に流入してくる流下流量というものは巨大なものになります。建設省も河川の高水流量というものは絶えず見直しております。そして、河川の河道改修をやります。同じように国鉄も、安全度について、年々変わっていく都市化に対応して、いまの安全度でいいのかどうか、古い安全度では私は危険ではないかと思いますので、安全係数の見直し、そしてこの危険度については公表したらどうかと思うのです。  というのは、現在の国鉄は十数兆の累積赤字を抱えております。臨調、行革のさなかで、とてもとても国鉄だけで処理できないと思う。こういう日本の大動脈、主要幹線の改修についてはどうしますか。これは国会の場で、国の全体の問題として、国鉄に責任を持てと言ってもできないのだったらば、どういう選択をするかをはっきりして、政府全体の問題としてこういう主要幹線の改修については論議を呼び、その対応をここですべきだと思いますけれども、いかがか。  それから、三番目。昨日、いまある上り線を試験をして、単線運転で回復しようとした。きのうの雨でできなかった。きょうやったと思うのですけれどもその結果はどうだったのか。単線だけやったときに運行能力は何分の一回復できるのか、これは非常に大きな問題です。単線だけでどのような能力まで回復できるのか。と同時に、やはり一番大事なのは、いつごろまでに上り下りが改修できるのか。現時点における国鉄の見通しを伺って、私の質問を終わります。
  164. 伊能忠敏

    ○伊能説明員 お答えいたします。  最初の先生の御質問は富士川鉄橋に対する国鉄の認識の問題でございますけれども、富士川鉄橋につきましては、先生の御指摘がありましたが、Aランクということでわれわれかねてから注意をして監視しておったものではございます。しかしながら、これは、健全度というのは危険度というふうなものではないのでございまして、実は健全度というのはその構造物がどの程度古くなっているか、これは明治四十三年に下部構造をつくったものでございますから古くなっているという点、それからもう一つは、富士川の周りの環境変化が大きい、あるいは砂利の採掘等で河床変化があるということを総合しまして、Aランクとしてわれわれ注意をしておったものでございます。したがいまして、昭和五十四年岐阜工事局に調査を命じまして、改修する場合にはどうしたらいいかという調査はしてございます。  しかしながら、この富士川橋梁はもちろん注意をして、将来の改修計画いつということを決めておったわけではございませんけれども、状況を見ながらできればなるべく早いうちにやりたいという考えはもちろんございました。そうして警戒しながら、警戒水位はけた下七・五メートルでございますけれども、けた下六メートルになりましたときには列車の徐行をとる、五メートルになりましたならば停止させるというような措置も講じまして、安全には万全の措置を講じておったわけでございます。  ただ、富士川の砂利の採掘が、初めは昭和四十年代までは全面的に行われておったわけでございますけれども、四十年代から砂利の採掘を規制してもらいまして、特に下流部については、五十年あたり以降、現在規制してもらっております。そのことによりまして多少河床の低下は防げ、富士川橋梁の近くはむしろ少し河床が上がってきた、根入りが深くなってきたということもございますし、また、根固め工をいたしまして、国鉄も昭和四十二年から五十二年までの間に二・五億円の金を投じまして、橋梁の安全に注意してまいりました。ところが、今回このような災害をこうむったわけでございますけれども、今回の災害にかんがみまして、河の流れ、流心の位置の変化がどうもあったように思われる、そして倒れました四Pという真ん中のピアーのところに集中的に川の流れが強く当たった、そしてそこの明治四十三年にできた橋脚が倒れたということのように思っております。  ただ、まだ水が全面的に引いておりませんために、その橋脚の下の状態がどうなっているかということがはっきりわかっておりませんので、今後どういう改修をするかということにつきましては、そういう橋梁の下部の実態を確認しましてから具体的には決めていきたいと思っております。しかしながら、今回のこともありましたので、われわれとしては、具体的にどうやったら全面的な改修ができるかということを技術的に詰めましてぜひ検討していきたいと思っております。川の流れがいろいろ変わってきて、環境変化によって、われわれの想定した以上の強い力が倒れました四Pにがかったということにつきましては、われわれ技術者として反省すべきものは反省して、今後の役に立てていきたいと思っております。  次に、環境変化に対する安全の見直しの点でございますけれども、この点につきましては、日本じゅうの河川で常に環境の変化がどこでも少しずつ起きております。それにつきまして毎年、構造物検査センターというところで検査をしております。それと同時に、状況の変化に応じて、数年ごとに一遍安全の見直しもしております。しかしながら、先生御指摘になりましたように、今回のような状況を勘案してなお一生懸命今後とも勉強して、見直しの問題についても勉強していきたいと思っております。  それから、きょう実は午前中に試験運転をいたしまして、その後、振動試験のデータ、試運転電車によるデータを解析いたしまして、安全であるという確認を得ましたので、きょう夕方から単線運転を始める予定になっております。しかしながら、もちろん単線でございますから、本数は少のうございます。大体九十本ぐらい単線で通したいと思っております。タブレットでやりますので、九十本ぐらい。いままで二百本強通っておりましたから、半分までまだちょっといかない状況でございます。  しかしながら、これではもちろんまだ足りませんので、次に、できるだけ早く本数をふやすために、富士−富士川駅間の一部を複線にいたしまして、ポイントを挿入しまして、単線ではありますけれども、タブレットではなくて単線自動方式という信号方式に変えまして、できるだけ本数をふやすことをいま検討しております。資材も調達してございます。それで、何とかあと十日間ぐらいで五割増しぐらいに持っていきたいというのがいまの希望であります。何とかできるだけ早く九十本、五割増しぐらいへ持っていきたい。そのために、信号装置をかえること、新たにポイントを挿入することをしたいと思って、いま準備中でございます。  それから、複線化に戻すことでございますけれども、いままだ水が全部引いておりませんために、橋脚の改修をどういうふうにしてやるかということの技術的判断がまだはっきりできませんので、具体的な細かいことを申し上げられないのは非常に残念でございますが、半年近くかかるのではないかということにいま想定はしておりますけれども、何とか少しでも早くやるように、あらゆる技術を結集いたしましてやりたいと思っております。
  165. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  166. 池端清一

    池端委員長代理 次に、小渕正義君。
  167. 小渕正義

    小渕(正)委員 このたびの七月二十三日夜半を中心にいたしました長崎地方並びに熊本大分、このような集中豪雨による災害に対しまして、本委員会中心に、また政府においては松野国土庁長官が、いち早く調査に参られ、それぞれ機敏な対応をしていただいておるわけでありますが、この点、同じ被災地の出身の者といたしまして、心から感謝申し上げる次第でございます。  そこで、午前中からのそれぞれの御質疑の中でぜひひとつ認識を新たにしておっていただきたいという点で、まず最初に申し上げますが、先ほど来、今回の長崎地方を中心にいたしましたこれらの災害に対しましては、人災か天災か、いろいろな論議が行われているわけであります。私も、この点について何もそれぞれ人災だ、天災だということを申し上げることではありませんが、ただ二、三点、ぜひひとつ今回の災害について御理解しておっていただきたいと思いますのは、松野国土庁長官は人口十四万の都市が四十五万までふくれ上がったのだということも一つ大きく強調されているわけでありますが、確かに、これだけとらえて見ますならば、急激に非常に無理な都市開発が進んだのじゃないかというように第三者的には印象を受けるわけでありますけれども、長崎市がこれだけ人口がふえた、大きく増加したものの要因の中には、人口十四万以後、それぞれ周辺の町村合併によりまして地域がかなり広範な地域まで実は広がっているわけでありまして、ただ十四万が四十五万に急激にふくれ上がったと、そういう意味で受け取ってもらっては困るわけであります。  それから、あと一つ、無理な宅地造成等が今回の災害の大きな要因でないかという見方もありますが、今回災害発生した山崩れ、がけ崩れの個所は、そういった個所はほとんどございません。宅地造成によって無理にそういった急傾斜地のところにやったという個所は、一部鳴滝が、もし指摘されるとすればされましょうけれども、その他のところでは大体そういう傾向のところでなかったわけでありますから、そういった点についての認識を実態としてはまず十分御理解しておっていただきたいと思います。  それから、長官の方から言われている、治水か利水かという意味での水の活用の仕方にいろいろ問題があったのではないかということもあるでしょう。確かに、今回の長崎水害を見ますならば、従前、長崎地方といたしまして何年かに一回台風が来るという意味での風によるそういった災害というものについては、割合それぞれが心構えを持ち、それぞれの対策を持っているわけでありますが、概して水に弱い都市づくりでなかったか、そういう点は言えるのじゃないかと私は思います。現に、三百五十年経過した眼鏡橋が、いままでああいった水害によっていろいろ破損するというような事故は一切なかったわけでありますから、そういう点を考えますならば、今回の災害がそういう意味では天災的であったと言われてもやむを得なかったという面は十分うかがえると私は思います。  ただしかし、概して見ますと、もう少し水防という意味で水に強い町づくりという点においての視点が欠落しておったのではないか、そういう点での御指摘であれば、素直にこれから長崎の町づくりのために、中央官庁としてもそういう意味での指導性を発揮していただければと、かように思うわけであります。  そういう状況の中で特に一つだけ私から申し上げたいのは、先ほど来もお話があっていましたが、確かに未曽有降雨量であります。長崎の場合に、七月になりましてから雨が降らなかったのは六日間ぐらいで、あとはほとんど降っていた、そういう中で約七百ミリ以上の降雨量に達しておった。そういう直後にあれだけの集中豪雨でありますから、そういうことをいろいろ考えますならば、やはり水防というのですか、水に対するそういう意味での備えというものが防災の指導面においても欠如しておったのではないかということは言えますし、また、あの集中豪雨状況の中でも、ああいう人家がいろいろ押しつぶされるということ、また河川はんらんするということについてはやむを得なかったにいたしましても、もう少し避難誘導という点について、そういったものが自治体を中心にして強力に行われておったならば、少なくともあのような大きな人命の損失はなかったのじゃないか、そういう角度から問題を見るならば、そういう意味では人災でないかという指摘もこれは当然のことじゃないかと私は思います。  したがって、そういう意味で、先ほどの質問の中にもありますが、避難誘導といいますか、いろいろな気象条件の中で気象庁がいろいろな警戒警報を発する、それに対応して自治体がどのような形で防災体制をとっていくかということは、これは自治体の裁量に任せられているかもしれませんけれども、やはりそういった点ではもっと強力に自治省あたりが、こういった問題に対しての指導の強化という点が必要ではないのか、ただ自治体だけの裁量の中でこういった問題を任せるのではなしに、少なくとも、ある程度の基準といいますか、規範的なものをつくりながら、半ば一つの強制と言っては語弊がありますが、そういう義務づけるような形の中での広範な防災体制づくりの指導を自治省を中心にもっとやるべきではないかと思うのでありますが、ひとつその点に対しての自治省の御見解を承りたいと思います。
  168. 土井豊

    ○土井説明員 地域防災計画におきまして、いま先生御指摘のような諸点についてはいろいろと各地方団体が地域実情に応じましてつくっておるわけでございます。私どもといたしましては、毎年通達によりまして、いろいろな災害の危険の見直し、地域防災計画の見直し、特にただいま御指摘にありました住民に対する警報、避難の指示等の伝達あるいは避難経路、避難場所等につきまして、実情に即して見直しをするように徹底を指示しているところでございます。さらにそれと同時に、住民に対しましてもそういった内容を周知徹底しておくということがきわめて大切でございますので、そういう点についての指導を行っているところでございます。  しかし、今回不幸にいたしましていろいろな悪条件が重なったという点もございますけれども、このような事態になりましたが、今後十分今回の事情を調査いたしまして、関係省庁と連絡をとりながら、私どもとしても地域の実態に即した避難誘導というものを、地域防災計画の中にさらに徹底して見直しを行うように強力に指導してまいりたいというふうに考えております。
  169. 小渕正義

    小渕(正)委員 災害は忘れたころにやってくるということを先人が言われているわけでありますが、そういう意味でひとつぜひ防災体制の整備、少なくとも強力な指導という点では、後になって、もう少しそこらあたりが万全にいっておったならばというような悔いを残すようなことがないように、十分な強力な指導体制をひとつぜひ確立されるよう特にお願いしておきたいと思います。  次にお尋ねいたしますが、今回の長崎地方を中心にいたしました災害については、激甚災害指定はもう当然のことだというふうにはわれわれも受け取っているわけでありますが、確かに行政側といたしましては実態をまず把握する、調査する、その上に立って物事を判断していくということになるので、やむを得ないことかとは思いますけれども、どうも先ほどからお聞きしておりまして、いろいろな物事の判断をしていくめどを一体どこに置いているのかということがわれわれから見ると非常にまどろっこしい感じがするわけであります。特に今回の災害については、十号台風も絡めた総括的な広い範囲の中における物事を十分把握した上で判断を下すというようなことを言われているようでありますが、そういうことになりますと、かなりまたこれからも期間を要するのではないかという気がいたします。  そういう意味で、長崎地方の今回の集中豪雨による災害については、地域的な激甚災害として速やかな指定ということができないものかどうか。そういった判断を下すとすればいつごろになるのか。早くて八月中旬ごろには何とかしたいというお話もあったようでありますが、そういう意味で受け取っていいかどうか、その点をお尋ねいたします。
  170. 荒井紀雄

    ○荒井政府委員 激甚災害指定に該当するかどうかにつきましては、被害の把握が前提になるわけでございますが、先ほどから申し上げておりますとおり、従来三カ月程度かかっておりましたケースでございましたが、これを今回は半分ぐらい、一カ月半ぐらいにしたいというふうなことで現在努力しております。しかし、御案内のとおり、指定につきましては政令あるいは中央防災会議あるいは閣議等の手続が要るわけでございますから、それが終わるまでを一カ月半ぐらいというふうに考えておりまして、できるだけ見込みを早く立てたい、そういった手続を踏む前に、該当するか否かの見込みだけは少なくとももっと前に立てたいというふうに考えております。
  171. 小渕正義

    小渕(正)委員 従来のペースより短縮されて、一カ月半程度で何とかしたい、なおその前の見込みだけは早くしたいということでありますけれども、そういう見込みからいって、今回のこの災害は当然激甚災害指定されるということについてはいかがですか。
  172. 荒井紀雄

    ○荒井政府委員 これは現在のところまだどうなるかはっきり見通しは立っておりませんけれども、勘でいきますと、大体一月近くあれば十分見通しが立つかというふうに考えております。
  173. 小渕正義

    小渕(正)委員 いまのは、見込みを立てるのにまだ一月くらいかかるという意味ですか。
  174. 荒井紀雄

    ○荒井政府委員 見込みはもう少し早くしたいと思っております。
  175. 小渕正義

    小渕(正)委員 それでは、次に移ります。  緊急にやらなければならない問題として、急傾斜地に対する対策があります。今回の災害の中で、一部のがけ崩れ、山崩れは人家に対してまでの被害を与えていないけれども、その後第二次災害が発生すれば当然人家までいかれてしまう、こういうふうな危険個所が、現在長崎市を中心にして調べられておるだけでも二十カ所を超えるというふうに私は聞いておるわけであります。これらの急傾斜地対策は即刻手をつけていただかなければならない状況に置かれております。ましてや台風シーズンでございまして、いよいよこれから九月の中ごろまで九州を中心台風が来るわけでありますから、そういう点を考えるならば、これはいっときたりとも放置することができないような緊急状態でありますが、これらの緊急的な急傾斜地対策については、即時着工ということで進められるのか、もしされないとすれば、どのような見通しの中で、いつごろになるのか、そこらあたりの状況と判断についてお尋ねをいたします。
  176. 釣谷義範

    釣谷説明員 お答えいたします。  ただいま先生がおっしゃいましたような、次期豪雨等でさらにがけ崩れが大きくなって人家等に被害を与えるというようなものも、緊急急傾斜地崩壊対策事業の対象になるわけでございまして、現在それらを含めまして鋭意取りまとめ作業に当たっておるところでございます。取りまとめが終わり次第関係省庁と協議の上、できるだけ速やかに着工できるようにしたい、かように考えております。
  177. 小渕正義

    小渕(正)委員 できるだけ速やかにという言葉でありますから、これ以上それをお聞きするのも酷ではないかという気もするわけでありますが、お役所の答弁はどうしてもすべてそういう形でしかないものですから、われわれは非常に困るわけです。できるだけ速やかにということですが、期日的に、いままでの皆さん方作業で御経験なさった観点からいって、大体あと十日もあればとか、あと二週間もあればとか、何かそういう一つのめど的なものは持たれるのじゃないかと思いますが、そこらあたりについてのもう少し具体的な御答弁がいただけないでしょうかね。
  178. 釣谷義範

    釣谷説明員 お答えいたします。  ただいま先生おっしゃいましたように具体的なめどとなりますと、各県で現在その申請の作業を進めておりますので、はっきりしたことはちょっと申し上げかねるわけでございますが、従来の経験からしますと、大体八月末までには一応取りまとめを終わって各県から出てくる、かように考えております。一部被害報告については現在キャッチしておるわけでございますが、それの工法等を検討し、それの対策の工事の設計等に現在県がかかっておるわけでございまして、それのまとめは八月いっぱいはかかる、かように考えております。
  179. 小渕正義

    小渕(正)委員 一応のめどが示されたわけでありますが、ひとつぜひそれを少しでも短縮できるように、これはもちろん中央官庁だけの努力ではなしに、それにこたえ得るようなそれぞれ地方自治体の努力が必要でありますが、そういった点については十分こちらの方でも万全を期したいと思いますので、そういう意味ででき得る限り早期着工できるような体制づくりをぜひお願いしておきたいと思います。  そういう立場から、あとお尋ねいたします。午前中も論議されておりましたが、長崎の場合には浦上川、中島川のはんらん、東長崎に流れている八郎川、次に西彼杵郡長与町の長与川、こういうところが相当な被害を受けているわけでありますが、こういう現在被害を受けているところの護岸工事を緊急にこれまたやらなければ、もしも台風が来た場合にどうなるかということを考えますと、非常に憂うるべき状態のところが何カ所もあるわけであります。これらの河川についての改修工事といいますか、とりあえず緊急的な工事といいますか、そういうものについては先ほどの急傾斜地緊急対策と同様の考え方で対応されようとしておるのかどうか、その辺のお考えをお聞きしたいと思います。
  180. 狩野昇

    ○狩野説明員 お答えします。  浦上川、中島川、八郎川、長与川等の被災河川につきましては、先生御指摘のとおり、次期出水に対処するため、災害後直ちに護岸等の決壊個所につきましては土のう積み等の応急復旧工事を行うよう指導しておりまして、すでに現地で措置しておるという状況でございます。  なお、早期復旧を図るための査定でございますが、県の準備が整い次第できるだけ早急に実施して本復旧工夢に着手したい、このように考えております。
  181. 小渕正義

    小渕(正)委員 応急的な護岸工事に取り細まれておるということはわかりますが、河川の話でありますので、あと一つ特にお尋ねいたします。  今回の水害の中で、特に河川はんらんによる水害の一番大きいのは、八郎川による水害であります。地名で言いますと、東長崎を流れている川でありますが、この川のはんらんにより、東長崎矢上町を中心にしてそれぞれ大きな被害を受けたわけであります。この八郎川の改修工事は、現在までどの程度されておったのか。私たちが日常八郎川を見る限りにおいては、浦上川や長与川、そういったものはそれなりの護岸改修工事等が行われていて、そういった個所は今回の水害の中でも比較的崩壊しないが、やはりまだ手がつけられていなかった個所が今回の災害で実は大きくやられておるわけであります。そういう点で見ますならば、この八郎川の改修工事はほとんど手がつけられていなかったのではないかという私なりの判断をしているわけでありますが、その点、今日まで八郎川改修工事に対して行われた国としての状況を、簡単で結構ですからひとつ御説明いただきたいと思います。
  182. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 お答えいたします。  八郎川につきましては、昭和四十七年から中小河川改修事業として採択をいたしまして、現在までに十五億円ほどの中小河川改修費の投資をしてございます。ただ、用地費に大半をかけておりますので、先生御指摘のように、目に見えて護岸ができておるという個所は少ないかと思います。  以上でございます。
  183. 小渕正義

    小渕(正)委員 それでわかりますが、確かに、お金をかけた割りには、われわれが素人で判断するところでは余りそういった感じがしなかったわけであります。実はこの八郎川というのは、私ども専門家ではないのでわかりませんが、本流の長さが約五キロちょっと。ところが、この八郎川に注ぐ支流がありますが、その支流の長さを合わせますと十二キロ程度。本来の川の流れですか、本流に対する支流という関係から見るならば、ここは何か非常に特殊な川だそうですね。だから、それだけに今回の災害も、ほかの川に比べるとより大きくはんらんして、それぞれ流域に大きな被害をもたらしたのじゃないか、そういう見方でお聞きしますと、なるほどとうなずけるわけであります。そういう点でいきますならば、八郎川はそういう非常に特殊な状況の川のようですから、当然中小河川改修工事の中においてもイの一番にここらあたりを重点的に取り上げなければならなかったのじゃないかという気がするわけでありますが、その点についての御判断はいかがですか。
  184. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 お答えいたします。  八郎川につきましては、よく俗に言われます時間雨量で申しますと、大体百十ミリぐらいの時間雨量には対応できるような河道にしたいと思って改修に着手しておったわけでございますが、現在のところは恐らくその半分ぐらいの流下能力しかないのではないかと思います。今回の雨は、八郎川の流域ではきちっとした観測はございませんが、御存じのように山の上ですと百五十ミリ、時間にしてでございますが、平地でも百十五ミリ以上と言われておりますので、いずれにしましても現在の川に対しましては非常に大きな雨であったということが、やはり被害を大きくしている一番の原因ではないかと思っておるわけでございます。  また、少し手を抜いておったのではないかという御指摘でございますが、現在長崎県におきましては、そういう中小河川とか小規模といいますものを、年間大体四十五億円ぐらいかけて工事をやっております。この八郎川につきましては二億三千万ほど年間入れておりますので、長崎県としますれば、一河川平均一億ぐらいの工事をやっておるものに対しましては、一本当たりで言えば倍ぐらいの事業費は入れておったということになっておるわけでございます。いずれにしましても、あんな被害が出ましたものですから、よく検討させていただきまして、早く改良復旧ができる手段を考えなければと思っておるわけでございます。
  185. 小渕正義

    小渕(正)委員 今回の雨量が記録的な雨量だったということから見るならばやむを御なかったということですべてが処理されてしまうわけでありますが、浦上川、中島川、長与川というふうな河川に比較して、八郎川というのは長さが非常に短い割りに支流が多い、そういう特殊な川であったということを考えますならば、やはり付近の地域の人たちにとっては、一部人災じゃないかという声が出るのもやむを得ない面があります。したがって、この点は、ぜひ八郎川についてはそういった角度から問題をもう少しとらえていただいて、これからの対策の中で生かしていただきたい、かようにお願いしておきます。  時間も余りありませんので、次に移りますが、実は、今回のがけ崩れというか、そういう中で、生き埋めその他人家が壊されたというのが何カ所もあります。国道三十四号線の日見の芒塚においては、国道が二カ所において大きく崩れ落ちまして、その土砂によって国道下にある人家が埋められた、こういうふうな状態が出ております。それで、私どもも見まして、本当に国道があんなふうに崩れるなんて考えてもみなかったと、われわれ素人なりに思いますが、そういう点で一つ疑問に思うのは、いろいろな雨量の関係、水の流れもありましょうけれども、同じ国道三十四号線の日見から矢上に通ずるあの道路の中で、そういった土手の上というか、そういう流れのつくりの中でなぜあの二カ所だけが壊れたのだろうかという感じもしないでもないのです。  そういう点で、国道の路盤の強さといいますか、専門語でどう言うのですか、そういった国道の路盤の強さを何かチェックするようにしておるのかどうか、国道としていろいろな工事をされる場合に、何かそういう基準になるものがあるのかどうか、同じ三十四号線の同じ方向へ流れている道路の中で、部分的に二カ所だけがそういった非常に大きな陥没をして、その土砂によって大きな被害を与えているわけですから、そういう意味での路盤の強度といいますか、そういうものの日常的なチェックというものは何かされているのかどうか、そこらあたりは国道管理という意味ではどうなっておるのか、そういう点でお尋ねしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  186. 鈴木道雄

    鈴木(道)説明員 お答えいたします。  一般に道路を新設する場合には、いま御指摘のような盛り土、土を盛る場合の強度を一定に保つために締め固めの検査をしております。ただ、御指摘の芒塚の個所につきましては、県より移管を受けましたのが昭和三十四年でございまして、それから二十数年たっておりますので、当初の盛り土が不十分だということが原因というようにはちょっと考えられないわけでございます。  なお、現地には土木研究所の担当者等を派遣して今後の復旧等の対策も立てておりますし、また、そういった中で、どういった原因道路崩壊したかについては十分検討してまいりたいと考えております。
  187. 小渕正義

    小渕(正)委員 少なくとも国道下に住まわれている人たちから見ますならば、まさか国道があんな状態で崩れるなんて想像もつかないと私は思います。そういう点では、これから国道を管理する上において、そういったものについても厳しい一つの管理をやられるような方向で、この災害の経験をぜひ生かしていただきたいということを申し上げて、次に移りたいと思います。  次に、これは先ほどからも触れられておりますが、中島川のはんらんによりまして、中島川の下流水域は長崎商店街の一番繁華街の浜町かいわいでありますが、これが今回のはんらんによりまして、国土庁長官もお見えになっておわかりだと思いますが、二メートルの高さの浸水に実はなったわけでありまして、御承知のように、八月の中元商戦を控えてそれぞれ各商店街においては大量の品を在庫に置きながら、結果的に床上浸水等によって甚大な被害を受けておるわけであります。これらの中小企業商工業者、要するにああいった商店関係の人たちに対しての政府金融機関による特別金融対策が当然行われると思いますが、そういった点について現在どのような対応をされようとしておるのか、その点についてお尋ねします。
  188. 佐々木恭之助

    ○佐々木説明員 被災されました中小企業者の方方にとりましては、何よりも当面立ち上がりの段階での資金が必要かと思います。これを手当てすることが肝要だということで、すでに政府系の中小企業金融三機関、中小企業金融公庫、国民金融公庫、商工中金でございますが、それの災害貸付制度の発動を指示し、かつ中小企業体質強化資金助成制度の発動を行っておるところでございます。  なお、激甚法の指定によります被災中小企業者に対する特例措置の実施につきましては、先ほど来御説明申し上げておりますように、被害額の確定を見次第早急に手続を進めたいと考えております。
  189. 小渕正義

    小渕(正)委員 長崎県として、この被害額についてはたしかきのうあたり確実にまとめられて、それぞれ関係官庁の方にいろいろ資料を出されておると思います。だから、そういった点でぜひひとつ早く対策を立てていただきたいと思いますが、その中で特に強い要望といたしましては、政府の金融機関の特別措置の中で八百万円までを限度額として貸し付ける分がありますが、これらの分をもっと限度額を引き上げられないかどうか。たとえば一千万までとか、また三年間の三%の金利の猶予特別措置がございますが、こういう期間をもう少し延長できないかどうか、この点が実は関係者の方々の非常に強い要望であり、期待でもあるわけでありますが、この点はこういった要望にこたえ得るような状況になるのかどうか、その点、いかがでしょうか。
  190. 佐々木恭之助

    ○佐々木説明員 ただいまの激甚法指定に基づきまして行います低利融資の貸付条件の緩和の件でございますけれども、五十六年度に貸付限度枠全体の引き上げを行ったところでもございます。それから、いま御指摘の特利の適用限度額の引き上げあるいは期間の延長の問題は、まさしく災害を受けられた被災中小企業者の方が立ち上がられるときの緊急の融資ということで、特にそれぞれ限度額を設け、あるいは期間を設けて特利を適用する、こういうことでございますので、当面は、先ほど申し上げました中小企業体質強化資金助成制度等を含めた現行諸制度を最大限に活用して対処してまいりたいと考えております。
  191. 小渕正義

    小渕(正)委員 それでは、その点を期待いたすことにいたしまして、あと一つ、実はこれは直接被害じゃないのですけれども、長崎の国道三十四号線の芒塚のもう少し先の方に、長崎の卸売団地というのを業者の人たちが近代化資金その他を借りてつくられて、集団でおられるわけです。ところが、この卸売団地が、国道が完全に麻痺しておるために営業活動が一切できない。ここしばらく、恐らく一カ月以上は休業状態だと思いますが、そういう意味での間接的な大きな被害が発生しつつありまして、実はこういった人たちからも何とか特別金融措置等が講じられないかという強い期待もありますが、この点について、なかなかそういう間接被害までできるかどうか、いろいろな問題がありましょうけれども、ぜひひとつ前向きに御検討いただきたいということで、これはお願いをしておきたいと思います。  それから次に、実は先ほどから質問の中で、自作農その他農業従事者の関係に対しまして天災融資法の適用その他についてのいろいろのお尋ねがあっておりまして、何か八月中旬ごろまでには何とか調査を完了して、そういったものについての適用その他を進めていきたいというようなお話があったようでありますが、そういうふうに理解してよろしいのかどうか、農林省の方、おられますね。
  192. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 被災をされました農林漁業者に対する資金対策といたしましては、ただいま御指摘のような天災資金並びに自作農資金という制度があるわけでございますが、これにつきましては、現在私どもの統計情報部におきまして被害の数値を調査取りまとめ中でございます。実は午前中に国土庁から御答弁ございましたように、今般の七月豪雨及び台風十号に関しましては一連のものとして取り扱うということで動くやに承っておるわけでございますが、そうなりますと地域もかなり広がりますし、かつ被災いたしました作物の種類も多くなるということから、統計情報部におきます調査の取りまとめにつきましてはやや時間を要するのではないかというふうに考えておる次第でございまして、統計情報部の考えによりますと、一応今月下旬を目途に取りまとめを完了したいと言っておりますので、そこらの数字を見た上でこの天災融資の発動につきましては結論を出すということになるわけでございますし、自作農維持資金につきましては、天災法の発動をにらみながら、被害状況、さらには被災農家の資金需要等を勘案して、融資枠の問題等々につきましては結論を出したい、かように考えております。
  193. 小渕正義

    小渕(正)委員 それでは、時間がもうありませんので、まとめてお尋ねいたしますので、それぞれよろしく御答弁いただきたいと思います。  これは厚生省関係かと思いますが、実は長崎市の今回の水害の中で、長崎市立市民病院、成人病センターという二つの大きな医療機関がございますが、医療器具その他いろいろな施設を全部地下に設置しておったという関係から、これが全部水害に遭い水没いたしまして、それぞれの機能を果たせなくなったということで、両方合わせまして約十億ぐらい、復旧資金、買いかえるためのお金が要るというように言われておるようでありまして、早急にこれをやらないことには医療の機能ができないわけでありますから、そういう点で、ひとつ医療金融公庫等における優先的融資とか融資条件の緩和とかいった意味で特例的な考え方を今回の災害の中でぜひ生かしていただきたいと思うわけでありますが、その点に対していかがなものかということが一つ。  それから、政府が建設省を中心にいたしまして被災地におきます仮設住宅、先ほどのお話では全部で七十何戸でしたか、長崎を含めて現在七十何戸かを計画しているということが言われておりましたが、実は被災地の仮設住宅についての設置基準といいますか、これはいつごろおつくりになったのか、それもあわせてお尋ねいたします。  要するに、ワンフロアが設置基準になっておるわけですね。だから、家族二人か少数家族であればそれでもいいでしょうけれども、家族の多い方にとってワンフロアというのは、いかに仮設住宅と言いながらもちょっといまの生活実態に合わないのではないか。二、三日とか一カ月程度で済むのではなしに、結果的には少なくとも半年または一年居住せざるを得ないようになるのが火を見るよりも明らかでありますから、そういう点からいきますならば、これらの仮設住宅の設置基準についても、いまのお互いの生活環境等を考えるならば、これは何年前につくられたか知りませんが、もう少し考え方を改めていただいて、家族数の多い中では、ワンフロアではなしに少なくとも二間ぐらいできるように、基準の中で建設省としては地方自治体に指導をやっていただきたい、かように思うわけでありますが、その点についての建設省としてのお考えをお聞きしたいと思います。  それから、最後になりましたが、実は今回家屋全壊その他被災された方たちの大半は給料生活者でありまして、金融先は別といたしましても、ほとんどの人たちが住宅金融公庫または銀行ローンとか、いずれにいたしましてもともかくそれぞれローンで新築された方たちが家屋全壊または流失されておるわけであります。そういう点では、こういう緊急災害時において金融公庫の融資というものは特別制度がございますが、その特別制度の金額では、かてて加えて、いままだローンを返済中であるという条件の中で新しくまた家を再建、修築その他やらなければならぬわけでありますから、今日の持ち家の常識からいきましても、ものすごいお金がかかるような状況の中では、せっかくの緊急措置的な住宅金融公庫の金額が少し低いのではないか。そういった貸付限度額を引き上げていただきたい、あわせて、場合によってはそういった特例措置についてももう少し猶予期間を設けてほしいという政府に対する国民の強い期待があるわけでございますが、建設大臣の決断次第ではここらあたりの引き上げは可能ではないかというように思うわけでありますので、そこらあたりを含めてひとつ御答弁をいただきたい、かように思います。  以上です。
  194. 小沢壮六

    ○小沢(壮)説明員 第一点目の病院関係について御説明申し上げます。  長崎市民病院は、地域の基幹的な病院として従来から多くの市民が利用されている病院でございます。先生からお話がございましたように、この病院の機能が低下しているということは地域医療にとって大変問題でございますので、私どもといたしましても、この市民病院の速やかな復旧全力を尽くして援助いたしたい、このような考え方でおるわけでございます。  自治体病院に対します災害復旧につきましては、従来から必要な資金の補助をいたしております。したがいまして、今回の長崎の市民病院、それから成人病センターにつきましても、最終的な調査結果、被害状況が確認されました段階で助成措置について十分配慮してまいりたい、このように考えております。  それから、その他の資金につきましては、先生から医療金融公庫というお話がございましたが、自治体の場合はその他の資金については起債によって賄う、このような形になっておりますので、いずれにいたしましても、そういったものを通しまして一日も早い復旧が行われますように私どもとしても援助してまいりたい、このように考えております。
  195. 田中健次

    田中説明員 応急仮設住宅は厚生省の所管でございますので、こちらから御答弁申し上げます。  応急仮設住宅は、災害救助法に基づきまして、家が全壊あるいは流失した場合に一時的に居住の確保をする、こういう観点からの措置でございます。そうしたことで、先生いま御指摘のように基準面積が狭いのではないか、こういうお話でございまして、平均四人世帯で面積が七坪ということでございます。二十三・一平米でございますけれども、これは昭和五十年にできた基準でございます。そうしたことでいまのようなお話もあろうかと思いますけれども、私どもとしましては、世帯人員が多いというふうな特別な事情があるような場合、あるいは現在の建設単価ではなかなか建設できないというふうな事情がある場合には、厚生大臣の特別な基準として大臣承認で基準の拡大等弾力的に対応しておるところでございまして、現地からの要請がございますと、この点につきまして積極的に対応してまいりたい、かように考えております。
  196. 鹿島尚武

    ○鹿島説明員 住宅金融公庫が行っております今次の災害に伴います災害復興住宅融資について、先生からお話があったわけでございます。通常の貸し付けでございますと、利率につきましても五・五%でございますが、災害復興の住宅に関しましては五・〇五%、あるいはまた償還期間につきましても据え置き期間を設ける、あるいは限度額につきましては、特に長崎の例で申し上げますと、通常の貸し付けですと木造五百万となっておるわけでありますが、災害復興住宅の場合ですと七百三十万円お貸しを申し上げる。さらに加えまして土地費、整地費等にも融資の限度額を設けてこれに加えさせていただくということでやっておるわけでございまして、通常の資金の貸し付けの条件に比べまして、災害復興住宅の資金貸し付けの条件と申しますのは有利になっているわけでございます。したがいまして、一般的にはこれで対応していただけるものと考えておるわけでございます。  ただ、先生から貸付限度額につきまして強い御指摘がございました。現在の建設融資の木造七百三十万という額は五十五年度に決めたものでございまして、その後の状況等を含めまして諸般の事情を勘案しつつ、できることならば財政当局とも相談をいたしまして、改善の必要性等をこれから検討させていただきたいと考えております。  なお、蛇足でございますが、長崎市におきましては、この公庫の災害復興住宅資金の貸し付けにあわせまして住宅復旧資金の貸し付けを行うことといたしておると私ども聞いておるわけでございます。
  197. 小渕正義

    小渕(正)委員 貸し付ける道はいろいろ出てくると思いますが、やはりこれはみんな借りるわけですから、本人にとっての負担を考えると、できるだけそういった意味での負担軽減という立場からの視点でとらえて施策を運用していただきたいということをお願いします。  特に、両大臣がおられますので、これら災害について地方自治体、関係者それぞれいろいろ御無理な御相談をするかと思いますが、できる限りひとつ法の運用の中での決断をしていただくように特にお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  198. 池端清一

    池端委員長代理 次に、林百郎君。
  199. 林百郎

    ○林(百)委員 長崎の水害に続いて十号台風と、国土の荒廃を国民の目の前にまざまざと指し示したものでありますけれども、これは結局国土が荒廃している、国土の河川道路あるいは鉄道等にいろいろと不十分な点、手抜かりがあるということから、こういうような大きな災害、四百名に及ぶ人命が奪われるというような事態が起きていると思うのですね。  そこで、国土の環境を守り、国民の生活に安全を確保していくという面で、国政の面で一体国土の安全ということをつかさどる主管官庁というのは政府にあるのですか、どっちの大臣に聞いていいのかわかりませんけれども。  たとえば、国土庁長官の権限を国土庁設置法で見ますと、「災害に関する施策を企画し」とあるけれども、括弧して「(他の行政機関の所掌に属するものを除く。)」とある。そうすると、災害に関する施策で他の行政機関の所掌に属するものを除くというと、建設省、農水省、厚生省、運輸省というものを除いてしまう。そうすると、災害に関する施策を立案及び推進し、関係行政機関の災害に関する事務について必要な調整を行うというのは、何が残るのでしょうか。国土庁の大臣を窓口にしたって、結局は建設省と大蔵省が査定をして河川道路復旧をやるということになりますと、他の関係行政機関の災害事務について調整を行う、そういう権限を松野さんはお持ちなのですか。どういう調整を行うのですか。国政に関することですから、大臣から聞かしてください。
  200. 松野幸泰

    松野国務大臣 中央防災会議を開きまして、係省庁と連携をとるための主導権を持ってやりますが、地震を含めましていろいろ対策を立てていくことになっております。
  201. 林百郎

    ○林(百)委員 そうすると、関係官庁で実際の事業が施行されない場合、河川の問題、道路の問題あるいは環境の問題について国土庁自体が事業を施行する、そういう権限と予算を国土庁はお持ちなのでしょうか。
  202. 荒井紀雄

    ○荒井政府委員 お答えいたします。  ただいまの河川その他のお話でございますが、国土庁はそういった権限はございません。それは各省庁におかれまして、それぞれ所管の範囲内でおやりいただくということでございます。
  203. 林百郎

    ○林(百)委員 いま行革がいろいろ問題になっていますが、これはやはり何とか考えないと、屋上屋を架すようなことになってもいけないし、実際の実践力と予算を持たない役所があって、そして災害だというと国土庁長官が出てきてここで答弁されるのですけれども、実際現場の仕事は大蔵省と建設省がやるということになりますと、これはどうもおかしいのでして、行政改革についてはまた独自の見解をわれわれは持っています、それはそれでやるにしても、これは国土庁が権限を持つなら持って、国土の安全と国民の生活の安全を確保するような実権と予算と権限を持つようにするか、そうでなければ、国土庁の持っている権限を各省に分けるかしないと、どうもわれわれも松野さんと質疑応答していても、何だか現場へ行けば、これは建設省です、これは農水省ですと言われてしまいますので、どこへ行っていいかわからないという実情です。  まあその点は、ここですぐ私と長官との問答で決まるわけでもありませんので、ひとつ閣議で、始関さんも人ごとだと思わないで考えてもらいたいと思うのですよ。どこか一本で国土を守るなら守るということで、権限も予算も持たなければ、あっちこっちでややこしくてしようがないのですよ。きょうだって、ずらっと各省が全部出てきている。これだけ来なければ災害の問題が片づかないのですからね。そういうことをぜひひとつ考えていただきたい。このことを最初に申し上げまして、次の質問に移りたいと思うのです。  そこで、どうしても建設省に質問することになるのですけれども、急傾斜地崩壊の危険個所というのは全国に何カ所あるのか。それから、土石流で危険個所というのは全国に何カ所あるのか。地すべりで危険個所というのは何カ所あるのか。建設省、これはおたくの方の数字に出ているはずですが……。
  204. 釣谷義範

    釣谷説明員 お答えいたします。  全国で急傾斜地並びに地すべりあるいはがけ崩れ、土石流の危険個所は、五十二年度の総点検の結果によりますと、まず、土石流の危険渓流は全国約六万二千渓流ございます。それから、地すべりの危険個所につきましては約五千八百カ所ございます。それから、急傾斜地、がけ崩れの危険個所につきましては全国で約六万四千カ所ございます。
  205. 林百郎

    ○林(百)委員 この危険区域に住んでいる人口はどのくらいになりますか。
  206. 釣谷義範

    釣谷説明員 その危険区域に住んでおる人家戸数で申し上げますと、われわれ人家戸数で調査をしておりますので人家戸数で申し上げますが、想定被害人家戸数は土石流の危険渓流の個所につきましては約百二万戸でございます。それから、地すべり危険個所につきましては約十二万戸でございます。また、急傾斜地崩壊危険個所につきましては約百万戸でございます。
  207. 林百郎

    ○林(百)委員 建設大臣、こういう危険な地域に百万戸以上の人家があるというのですが、これに対してどういう対策を講じて、いまその対策がどこまで進捗しているのですか。そうでなければ、これは人災になりますわな。建設省で危険個所だということがわかっていて、そこの家に住んでいる人が百万戸ぐらいずつあるという、これはどういう対策を講じて、どこまでその事業が進捗しているのですか。
  208. 始関伊平

    始関国務大臣 ただいま事務当局から御報告を申し上げましたように、がけ崩れの危険地域あるいは土石流の危険地域個所が非常に多い。それによって生命の危険にさらされております人家も相当に多いものでございますから、これに対処いたしますためには、第一に、一体だれがそういう問題について一次的な責任を持つのか、それから二次的に監督と申しますか、総括的な責任を持つのかという法制上のたてまえの問題が一つあると思います。もう一つは、それに必要な予算を確保いたさなければなりませんから、そういったようなこと、その他と思います。  それで、要するに全国に六万カ所も七万カ所もあるということでございます。しかも、一つ一つは災害が起こると影響は大きいのでございますが比較的小さい工事でございますから、これを全部建設省の直轄工事でやろうと申しましても、とてもできない。そこで、現在法制はかなり整備されておって、実際上はそれが思うように実行されていないというのが真相ではなかろうかと私は思っておるのでございます。  第一、がけ崩れの危険のあるような地域とか、その他土石流のあるような場所とか、そういう場所につきましては住宅の建設などは抑えてまいらなければならぬわけです。それにつきましては、建築基準法によりましてそういう危険のある場所についてはこれを危険区域として指定いたしまして、いわゆる建築の確認をいたさない、これは県知事なり、あるいは二十五万以上の都市については当該市長でございますが、そういうことになっておる。なお、土石流などの危険のありますものは大体地方河川が多いわけでございますが、河川につきましても建設省が直接管理をいたします一級河川と県等の管理いたします二級河川とは分かれておる、こういうことでございます。  なおまた、冒頭に、ある地域指定いたしましてそこには建築を認むべきでないというお話を申し上げましたが、もし何らかのかげんでがけ崩れのおそれのある地域住宅がある程度できておるという場合には、がけ崩れ対策をやらなければいかぬ、そのイニシアチブは知事が持つべきであって、そして工事費の半額を建設省が知事の意向を受けて助成する、こういうたてまえになっておるのが実際であると思うのでございます。  ところが、これは地方を非難する意思は毛頭ありませんで、私どものやり方も悪いのでございましょうが、そういうふうに法的な整備は一応できてきておりますが、これがさっぱり動かない。今度の長崎なんかの場合でも、ここには絶対に災害がないのだというようなことで、地方自治体の当局だけではなしに、地域住民が全然関心がないということであったというのが真相であるというふうに聞いております、私もまだ行ってみませんで、近いうちに参ろうと思っているのでございますが。それから、がけ崩れにつきましても、予算は確かに総額が少ないと思いますが、予算をこれだけよこせということで、建設省までわいわい来まして対応に困るというほどにはなっていない。要するに、言うならば国民的に関心が薄いというのが実際ではなかろうかというふうに私は観察をいたしております。  そこで、そうは申しましても、何と申しましても全体についての指導監督責任というものはがけ崩れにつきましても土石流につきましても建設省にあるわけでございますから、今後地方とも十分連絡をいたしまして、また、これを非常に緊急の大事な対策といたしまして今後こういう過ちを繰り返さないように対処してまいりたい、こんなふうに考えておる次第でございます。
  209. 林百郎

    ○林(百)委員 なるべく答弁は簡潔にしていただきたいと思います。あとは数字ですから、事務当局で結構です。  ただいま申し上げました危険個所、急傾斜地崩壊の危険区域、土砂流の危険区域、地すべりの危険区域で、その個所数は示されましたけれども、これもおたくの方の資料にあるはずですが、五十二年調査時でこれに対して整備した率は、大体急傾斜地がどのくらい、土砂流が何%か、ちょっと数字を挙げてください。
  210. 釣谷義範

    釣谷説明員 お答えいたします。  五十六年度末におきます土石流危険渓流の整備率は約一四%でございます。また、地すべり危険個所の整備率は約二三%でございます。それから、急傾斜地崩壊危険個所の整備率は約一三%でございます。
  211. 林百郎

    ○林(百)委員 これは現状がこうだというわけですから、一三%ということになると、仮に全部これを完成するとしてこれから何年かかることになりますか。たとえば急傾斜地の場合、五十二年度調査時に対して一三%、土石流で一四%というと、このテンポでいくと今後何年かかることになるのですか。
  212. 釣谷義範

    釣谷説明員 先ほど申しましたのは、現在までに整備された、概成した個所の整備率を申し上げたわけでございまして、あと残りにつきましては今後鋭意努力して事業を実施していくわけでございますが、予算の関係もございますので、あと何年かかるかということは、はっきりした数字はちょっと申し上げかねるわけでございます。
  213. 林百郎

    ○林(百)委員 先ほど始関さんの言われましたことについて、岸田隆河川計画課長は、市街化により下流の既成市街地等に治水上悪影響を及ぼすおそれがあり、かつ、その対策が容易でない場合には、市街化区域への編入を安易にすべきでないと考えるというように述べています。実際は、大臣も答弁されましたように、地方自治体に任されておるという部分もありますので建設省の思うようにはいきませんが、ただ、鈴木総理が本会議野間議員の質問に対して、この市街化区域の規制法の適否も含めて検討し直すということを言っていますが、何かこういう考えはあるわけですか。  これは総理の答弁なんですが、市街化区域の線引きについて、規制の部分を含めて、規制法の適否も含めて検討する、これは一つは、いまは政令で決められていますが、これを法律にする、現行の市街化区域の線引きについても検討してみる必要があるのじゃないかということを言っていますが、根本的に何かそういう市街化区域の線引きについてこれを法制化するとか再検討するとかいう考えが建設省にあって、総理はこう言っているのですか。
  214. 始関伊平

    始関国務大臣 市街化区域と調整区域の線引きの見直しの問題でございますが、そういう計画はございます。つまり、住宅建設なり新市街地の形成というようなことに関連いたしまして、それを促進するために市街化区域という制度を設けたわけでございますが、必ずしも思うように進んでおりませんので、そういう対策を、都市計画審議会というものがございましてそこにただいま諮問いたしておりますが、近いうちに成案を得まして、今後市街化区域は本当の市街化区域になる。それから、市街化区域という名前がついておりましても、その中で今後相当長い間農業でやっていこうという地帯はこれを逆線引きをするとか、これは必ずしも安全という見地だけではございませんが、都市の開発を促進する、住宅建設を促進するというような意味で見直しをしておりますことは事実でございます。ただ、法律の改正ではございませんで、施行の方針ということが主になると考えております。
  215. 林百郎

    ○林(百)委員 次に、河川の問題をお尋ねしますが、現在河川はんらんの危険区域はどのくらいあると見ていましょうか。直轄河川と中小河川と分けても結構です。
  216. 岸田隆

    ○岸田説明員 お答えいたします。  河川につきましては、はんらんのおそれのあります現況を個所数で表現するということは非常に困難でございますので、整備率で申し上げたいと思いますが、大河川では当面戦後最大洪水を対象にして整備することとしておりますけれども、五十六年度末におきまして、要整備延長一万二千七百キロメートルに対しまして約五八%の整備状況でございまして、まだ……(林(百)委員直轄河川」と呼ぶ)直轄河川といいますか、大河川でございますので、約二百方キロ以上の河川、こういうことでございますが、まだ約五千四百キロメートルが未整備の状況でございます。  また、中小河川につきましては、当面時間雨量五十ミリに対して整備を図ることを目標としておりますが、五十六年度末におきまして、要整備延長七万三千五百キロメートルに対しまして約一八%の整備状況でございまして、まだ約六万キロメートルが未整備の状況でございます。
  217. 林百郎

    ○林(百)委員 この河川はんらんの危険性のある地域に住んでいる人口数はどのくらいですか。
  218. 岸田隆

    ○岸田説明員 いまの整備率に対応しました地域の人口というものはつかまえておりませんが、いわゆる想定はんらん区域と申しますか、これは計画高水流量に対してはんらん可能性のある区域でございますが、この想定はんらん区域について見ますと、面積が全国土の約一割、約三万八千方キロでございます。この面積の中に人口が全国の約五〇%、資産が約七〇%存在しておるような状況でございます。
  219. 林百郎

    ○林(百)委員 人口はどのくらいですか、もう少し数字を……。
  220. 岸田隆

    ○岸田説明員 人口は約六千万人です。それから、資産が約四百三十兆円になろうかと思います。
  221. 林百郎

    ○林(百)委員 六千万人がこの区域に住んでいる……。
  222. 岸田隆

    ○岸田説明員 想定はんらん区域の中に住んでおるということでございます。
  223. 林百郎

    ○林(百)委員 大河川、いわゆる直轄河川と言ってもいいのですが、この危険個所は何カ所あるのですか。
  224. 岸田隆

    ○岸田説明員 危険個所という、個所ではちょっととらえることができませんので、先ほど申し上げましたように整備率で申し上げた次第でございます。
  225. 林百郎

    ○林(百)委員 この地域が危険地域だとか要注意地域だとかということは、国民の前に明らかにすることはできないのですか。その整備率だけじゃ、国民にとっては自分の住んでいるところが果たして危険区域なのかどうかということはわかりませんが、どうも建設省はここのところに来るとはっきりしないのですが、どういう理由なんですか。まあ住民にいたずらに不安を与えてはならないというような考慮があるのか。こういうことはむしろはっきりさせて、常日ごろそういう心構えをつくらせていくことが必要じゃないでしょうかね。
  226. 川本正知

    ○川本政府委員 お答えいたします。  先生おっしゃいました全国的な河川の危険個所、一般的に言う危険個所というものは、全国の河川の改修ができておるかどうかということになると思いますので、現実には確かに個々の個所を調べ上げるということは不可能な点もございますので、ただいま河川計画課長が御答弁いたしましたような整備率というもので置きかえて表現をしておるところでございます。  ただ、洪水の危険が予想される個所、そういったものにつきましては個々に各河川調査をしておりまして、そのものにつきましては個々の河川の、あるいは各県の水防計画書というものがございますが、その中におきまして明示してございまして、それをもって各関係市町村並びに水防団体、そういったものに周知徹底を図っているところでございます。
  227. 林百郎

    ○林(百)委員 そうしますと、国民の生活について非常に切実な影響を持ちます危険個所が、個所数と整備率だけはわかりましたが、急傾斜地崩壊危険区域、土砂流危険地域、地すべり危険地域、この整備率も大体一三、四%というのが出ましたし、それから都市河川については整備率が約三〇%、大河川に至っては五〇%、中小河川に至っては一八%というのが出たのですが、建設省の技術的な良心からいって、これを完全に整備するにはどのくらいの予算が必要なのですか。  それと関連して、戦後で結構ですが、いままでこういう河川崩壊地域に投下した資本というのはどのくらいで、それに対して被害はどのくらいだったか。  それから、今後こういうものを完全に整備するにはどのくらいの予算が必要なのか、概算ができていますか。国土庁でも建設省でもどちらでも結構です。
  228. 川本正知

    ○川本政府委員 手元に詳細な資料がございませんので、明確なものは後ほど御報告させていただきたいと思いますけれども、実際に戦後起こりました被害、いわゆる水害額、そういったものの総合計は、五十六年価格で十九兆円ぐらいであったと思います。  それに対しまして、三十五年に治水専業の第一次の五カ年計画がスタートいたしましたが、それから五十六年、昨年まで、第六次の五カ年計画がスタートする直前までに投資されました治水投資額の実績は、五十六年度価格にいたしまして二十一兆四千億ということになってございます。  先ほど河川の整備率をお話しいたしましたけれども、当面の暫定目標に対しまして御答弁いたしましたような数字の整備率になっておるわけでございますが、これを今年からスタートいたしました第六次治水事業五カ年計画、これは総投資規模が十一兆二千億円でございますが、それの達成ということが当面の目標でございまして、それを通じまして今後その整備水準の向上に努めてまいりたい。先ほど来申し上げております大河川、あるいは中小河川のうちでも都市河川、そういったものは、昭和七十年ぐらいには何とか概成をしたい。また、一般の中小河川につきましても、昭和七十年ぐらいには、三分の一ぐらいの概成でございますけれども、その程度までは達したい。特に先ほど申し上げたような河川に重点を置きまして今後促進について努力してまいりたい、そう思っております。
  229. 林百郎

    ○林(百)委員 松野長官にお尋ねしますが、いま言ったような数字が出ているわけですけれども、行革で言えば来年はマイナスシーリングだとか、これもいろいろの意味がありまして、軍事費などは決してマイナスにはなっていない、突出していますけれども、災害のこういう予算、年次計画も立っているわけですが、こういうものに対しては政府はマイナスシーリングに甘んずるのですか、それはそれで達成するための努力はなさるのですか。
  230. 松野幸泰

    松野国務大臣 全体の予算の関連がいろいろありますけれども、建設関連については現状を維持するという方針を内々いろいろ打ち合わせておりますが、私は、特に災害関連につきましてはその中でも最優先に努力を重ねていきたい。もちろん建設省、農林省、各省に関係がありますけれども、よく連携をとってやるつもりでおります。
  231. 林百郎

    ○林(百)委員 建設大臣、われわれから考えれば、国防と称するいわゆる軍拡の費用を削っても、こういう国民の生命の安全、居住の安全、河川あるいは崩壊地域の安全を守っていくことこそが国を守る道だとわれわれは思うのですよ。そういう意味で、こういうものにかかる費用をいわゆる行革のマイナスシーリングなるものによって削られるようなことは、われわれは絶対承知できないわけですが、建設大臣のお考えはどうなんですか。
  232. 始関伊平

    始関国務大臣 昨年まではいわゆるゼロシーリング、それから防衛費あるいはエネルギー経費など特別枠と、二つの範疇に分かれておりましたのですが、五十八年度につきましては、いままでゼロシーリングであったというのをマイナスシーリング、マイナス五あるいはマイナス三ぐらいと思います。それから特別枠というものは、いろいろ御批判もありましょうが、これはそのまま。その中間に今度はゼロシーリングと言われるもの、ふやさぬけれども減らしもしないという中間を一つ置きまして、建設省の公共投資関係の予算はここに入ったわけでございます。  一般の基準をマイナスに持っていったから、ゼロは少しよくなったといって喜ぶわけにまいりませんが、いろいろいま御指摘のございましたような点や、それからこれは要するにいわゆる投資でございまして、財源からいいましても道路などの特定財源と建設国債で賄っておりますので、一般の経費を切り詰めまして、そして赤字国債をなくそうということとはちょっと範疇が違うのだということを主張いたしましたが、まだまだ不十分であります。今後、シーリングの決定は要するに予算の要求枠でございますから、これは景気対策にも絡むわけでございまして、年末までのいろんな景気の動向等も見まして、具体的に数字的に予算を決めますときによく相談しようということが私と大蔵大臣との話し合いにもなっておるわけでございます。ひとつ御声援をいただきまして、国土の安全にも関係するし、それから積極的な国土の発展にも関係する大事な公共投資の予算をできるだけ確保したい、かように存じております。
  233. 林百郎

    ○林(百)委員 率直に言って、私はこの程度の雨で——この程度の雨といっても専門家から言わせれば相当の雨かもしれませんが、これでもう鉄道はずたずた、道路はずたずた、水害で亡くなる方は四百人、土手は方々崩壊している。もう国土はずたずたになっているわけですね。それでいて大砲や軍艦やP3CやF15を幾らつくっていっても、これは本当に国を守る道にならないと思うのですよ。そういう意味で、われわれも災害に対する費用というものはこれこそ別枠にしても予算を組むべきだと思っています。  まあ御支援をお願いしますと始関大臣は言ったけれども、大臣ががんばらなければわれわれが幾ら応援したってだめなのであって、始関建設大臣が閣僚の中でそのことは一線を画してぜひ守っていかなければ、これは本当の国防にならないと思うのですよ。国土が荒れて国防というものはあり得ないわけですからね。そういう意味で、あなたの今後の努力と、われわれもまた、建設に対する予算は、これは別枠でいいと思うのです。私はそう思っています。国民に対してこんなつらい悲しい思いをさせるくらいなら——長崎なんか第二の原爆だと言っていますからね、私はそういうことは大事だと思います。  そのことを大臣もひとつがんばってもらうことにして、次に自治省にお尋ねしますが、とりあえずの緊急対策は、これは各自治体がやらざるを得ないわけですね。道は壊れている。食料は欠乏している。それから、災害に遭っている方に対する救助、あるいは崩壊した家屋に対するとりあえずの手当て、これは相当の地方自治体の支出になると思うのですね。こういう自治体が個々に、市町村、県も加わりますけれども、そういうものに対して自治省としてはどういう対策を今後講じていくつもりですか。
  234. 松本和雄

    ○松本説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘のとおり、被害を受けました団体におきましては大変な財政需要がございます。私どもといたしましては、これらの団体が行います災害復旧事業等に要する経費につきましてその実情を十分調査しまして、それぞれの団体の被害状況、財政状況などを勘案の上、地方債の配分、特別交付税措置、これらを通じまして適切に対処してまいる所存であります。
  235. 林百郎

    ○林(百)委員 特別交付税というのは内容がちっともわからないのですが、災害の場合は、特別交付税の中にこれは災害の分だということをはっきり示されますか。何か政治的なつかみ金で、これの中に入っていますということでは、これは自治体としてはかなわないと思いますね。
  236. 松本和雄

    ○松本説明員 お答えいたします。  災害の場合につきましては、災害復旧事業に要する事業の大きさとか、あるいは死者行方不明者床上浸水ですとか、農作物被害状況ですとか、こういった外形基準をもとにルールで算定をいたします。  なお、市町村分につきましては、ルールで算定をいたしました総枠を県に与えまして、それぞれの市町村実情を一番よく知っております県において、さらに団体の実情に応じた、めりはりをつけた配分が可能になるような、そういったルールにいたしております。
  237. 林百郎

    ○林(百)委員 交付税については前倒しで支給すると言いましたが、前倒しで支給するということで、何月に何回目の交付税を支給することになるのですか。
  238. 松本和雄

    ○松本説明員 お答えいたします。  去る八月二日に、来る九月に定例交付を予定しております交付税のうちから百八十六億円を、長崎県及び長崎県を初めとする各県の被害が大きかった市町村百五十市町村分を繰り上げ交付済みでございます。
  239. 林百郎

    ○林(百)委員 次に、農林省にお尋ねします。  長崎でも大きな農業被害があったのですが、農業被害について、ことに冠水をした農作物ですね、野菜だとかあるいは果物だとか、そういうものはどういうように処理をしたらいいのでしょうか。  それから、天災融資法が適用になれば貸付金もあるわけなんですが、しかし、これはやはり担保が必要じゃないでしょうか。だから、天災融資法による貸付金の借り入れの手続をもっと簡潔にして借りられるようにしてもらいたいという要望があるが、これはどうするかということ。  それから、農業改善事業で上土を入れたのがこの雨で流れてしまって、また上土をどこかから持ってきて敷かなければならないというような場合がありますけれども、そういうものの費用はどういうように計算するのか、説明願いたいと思います。
  240. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 まず第一点の冠水等の被災をいたしました作物でございますけれども、現在水稲、野菜、果樹等につきましては改良普及事務所等を通じまして指導を行っているところでございますが、その基本的な考え方は、たとえば水稲につきましては、冠水した水田につきましては速やかに排水を行う。かつまた、排水した後に病気の発生も懸念されますので、防除を行う。さらに、追肥及び除草剤の使用は草勢等に留意しながら適切に行う等々の指導を行っているわけでございます。また、果樹について申し上げますと、やはりこれも病害虫防除のための薬剤散布、さらに葉の損傷が激しい場合は葉の活力を保つために適宜な摘果を行う等々の指導をする。また、野菜につきましては、草勢回復のために整枝、施肥、病害虫防除等々の指導を行う。そういう点に重点を置きまして、現在技術面の指導を行っているところでございます。  次は、第二点の天災資金の融通でございますが、これにつきましては、特にいまのところは担保につきましてはこれを追徴しないという考え方で融通に当たっているところでございます。  三点目につきまして、必ずしも先生の御質問の趣旨が理解できなかったのでございますが……
  241. 林百郎

    ○林(百)委員 構造改善で上土を盛っていたのが流れてしまって、また上土を持ってくるような場合です。
  242. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 上土と申しますと、客土でございますか。
  243. 林百郎

    ○林(百)委員 客土です。
  244. 大坪敏男

    ○大坪政府委員 これも、一つは農地の災害復旧といたしまして災害復旧事業の対象になると考えます。
  245. 林百郎

    ○林(百)委員 この辺で終わりますが、まとめてお尋ねします。  先ほどから中小企業に対する特別融資の問題がありましたが、これも保証協会の保証なりあるいは保証人が必要なので、簡潔な手続で何とかそれを緩和するような方法がないかどうかということ。  それから、国鉄がおいでになっておりますので、最後に一つだけお聞きしておきます。  まだ通らない線路で中央線がありますが、中央線の信濃境はいつ、どのようにして通過させるようになるのか。これだけ聞いて、私の質問を終わります。
  246. 佐々木恭之助

    ○佐々木説明員 被災地中小業者に対します特別融資に関しましては、担保の徴求あるいは保証の問題等、できるだけ御要望に沿うような方向で考えていきます。
  247. 村上温

    ○村上説明員 中央本線の信濃境でございますが、本日単線運転の開通をいたしまして、残り一線についてもできる限り早く、これは盛り土のところでございますので土の盛り返しをして運行したいと考えております。
  248. 林百郎

    ○林(百)委員 これで終わります。
  249. 池端清一

    池端委員長代理 関連質疑申し出がありますので、これを許します。野間友一君。
  250. 野間友一

    野間委員 申し合わせの時間が限られておりますので、総論を省きまして、端的に二点ばかりお尋ねをしたいと思います。  一つは、和歌山の紀ノ川にかかっております竹房橋、これは和歌山県の打田町にあるわけですが、これの流失についてであります。  今度の十号台風で、私も実はきのう来る予定が、国道も私鉄も国鉄も寸断されて、きのうは来られませんで、きょう来たわけですけれども、大変な被害を受けたわけです。この十号による大雨で紀ノ川が非常に増水をして、橋本市では危険水位を超えたわけであります。千二百名もの人たちが避難をしたというようなこともありました。  この竹房橋について言いますと、昭和四年にできた非常に古い橋でありますけれども、これは地域住民の切実な生活道路であるわけですね。打田町の窪というところと桃山町にかかっておる橋であります。しかも、紀ノ川の左岸の人たちは、この橋を越えましてミカン畑へ耕作に往復したり、あるいは学校がございますので、この橋を利用して通学しておるわけでありますけれども、これが橋を利用する場合には一キロの距離であったのですが、これが流失したために六キロも迂回しなければならぬ、こういう状況にあるわけです。そこで、この復旧については大変切実な要求があるわけですが、仮設の橋をいままでのところに早急につけること、これが緊急の要求であります。  と同時に、西部の縦貫道路との関連でこの上流の部分の新しいところに橋をかける、こういう計画が実はあるわけです。このかけかえ工事の早期実現、これも切実な緊急の要求として地元では自治体も含めて願っておりますけれども、これについてどう対応されるのか、答弁をいただきたいと思います。
  251. 高見昌信

    ○高見説明員 竹房橋の現橋の被災に対しましては、とりあえず応急復旧を行いまして交通確保を図りたいと考えております。このために、現地において被災状況調査応急復旧工法の検討を鋭意行っているところであります。  それから、本格的な復旧策としましては、新橋の建設促進に努力を払っていきたいと考えております。
  252. 野間友一

    野間委員 えらい抽象的な答弁で困るわけで、再度お尋ねしますが、この仮設の橋の必要性、緊急性、これは認めると思うのですけれども、その点についての確認と、いつごろをめどにやろうとしておるのか、これが一点でございます。  二つ目は、西部縦貫の道路との関係での新しい橋の計画、これはいつごろをめどに、どういうふうにいま進めておるのか、もっと具体的に答えてください。
  253. 高見昌信

    ○高見説明員 応急復旧につきましては現在調査中でございまして、仮橋で対応したい。それで、どういう応急復旧をするかによって工期がちょっと違ってまいりますので、現在調査中でございます。  それから、新しい橋につきましては、実は三百メートル以上ある長大橋でございまして、事業費が非常にかさむものですから、何年までにできるかというのは、いまの時点では、ちょっと具体的に何年度という話はむずかしいと思います。
  254. 野間友一

    野間委員 重ねてですが、前者の質問に対しまして、そうすると、調査はいましておる。速やかに調査をして、早急に仮の橋をつけるというようなことをやってくれるというふうに聞いていいわけですね。
  255. 高見昌信

    ○高見説明員 そのとおりです。
  256. 野間友一

    野間委員 その後のかけかえの橋についても、具体的に早急に進めてほしいということを強く要望しておきたいと思います。  さて、次の質問ですが、市田川、これは熊野川の支流ですけれども、これの改修についてであります。  これまた今後の十号台風で市田川のはんらんは大変なものでありまして、このはんらんの中で、熊野地、下田町、王子町、新宮市内の七地区の千八亘月のうち約千戸が床下浸水災害救助法も発動されたのは御案内のとおりであります。この市田川の洪水対策についてでありますけれども、前衆議院議員の井上敦君がよくこれを取り上げて建設省にかけ合ってきたわけでありますが、五カ年計画で七億円の浸水対策事業が、五十六年度が一億五千万、五十七年度が一億八千万、これがすでに予算化されておるわけですね。この事業は六十年が完成予定、こういうふうになっております。これについて、これではとうてい間に合わない、もっと早くやってほしいということで、実はこれは去年の七月にも、二千二百名の署名を添えて当時の斉藤建設大臣要請をしたという経過があるわけですけれども、その直後の災害ということであります。  さらに、今後水門二つをつけた後、ポンプアップにするのか、あるいは川のバイパスをつけるか、この点については検討事項になっておりますが、今回の水害で地元の皆さんの意見を聞いてみますと、いざというときは水門を閉めてポンプアップする以外にはないのだ、このことが今度の災害で明らかにされたのだということをほとんどの方が言っておるわけであります。これ以上何回も災害を繰り返すようなことは、とうていわれわれは認めるわけにいかない。  そこで、いま申し上げたように、この市田川は五カ年計画で浸水対策事業が進められておりますけれども、これを早期繰り上げて実施をされたいということが一つと、それから、今後の方策等について、いまバイパスでなくてポンプアップの問題について地元の声を私は申し上げたわけでありますけれども、こういうことで対応していただきたいという声を私はここで申し上げて、これに対する対応をぜひお聞かせいただきたい、こう思います。
  257. 玉光弘明

    玉光説明員 お答えいたします。  先生おっしゃいました新宮川の右支川の市田川でございますが、このたび新宮川も十号台風でかなり出水がございました。市田川もありました。新宮川の水位の影響も受けまして市田川の水位がかなり高くなっておりまして、はんらんいたしました。  この市田川につきましては、本川より合流点から二キロ区間につきましては四十七年から直轄事業で実施しておりまして、しゅんせつ、護岸、橋梁のかけかえ等を実施したわけでございます。五十七年度におきましては、本川の水位の影響を防ぐために、本川合流点に水門を設置する工事を進めております。この事業は五十六年に着工しまして、市田川水門は六十一年に完成する予定を立てております。  また、国道橋が二つございまして、第二橋梁につきましては五十五年に着工しまして、五十七年度に改良を完了するようになっております。もう一本、第一橋がございまして、それにつきましてもこの五カ年の中で着手するという計画を立てておるわけでございます。  直轄区間の上流につきましては、和歌山県で中小河川改修事業で四十五年度から改修を実施しております。河道の掘削、低水護岸、橋梁のかけかえ等を実施しているわけでございます。浮島川の出口にはポンプがございまして、五トンのポンプが設置されておりますが、今回市田川の水位が高かったので、このポンプは余りきかなかったような状況でございまして、一日も早く本川の水位を切るために、市田川水門を完成することが現在急務であると思います。これに沿いまして、計画的に河道の整備等もあわせてまいりたいという計画をいま立てておるわけでございます。
  258. 野間友一

    野間委員 時間が参りましたので、最後に建設大臣、いま事務当局が答えたことについてのお尋ねですけれども、私は、時間の関係で端的に二つの問題を提起して早期の実現をお願いしたわけです。その一つは、紀ノ川にかかっております竹房橋の流失、これについて早期に仮の橋をつけることと、それから西部縦貫道路との関係で、早く本来の計画にあります橋をつけること、これが一つです。二つ目は、熊野川の、新宮市ですね、和歌山の一番南にありますけれども、この熊野川の支流であります市田川のはんらんによる浸水問題、これについての浸水対策事業を早期に実現して住民の不安を取り除いてほしい、被害を取り除いてほしいという二つの問題を端的に要求したわけでありますけれども、この点についての答弁をお願いして、質問を終わりたいと思います。
  259. 始関伊平

    始関国務大臣 ただいま御質問いただいているのと同じ問題で、きょう、新宮市長がやってまいりました。事情は十分承知しておりますので、事務当局を督励いたしまして、事情の許す限り可及的速やかに御期待にこたえるようにいたします。
  260. 野間友一

    野間委員 いま市田川のことについてお話がありましたけれども、その前者、つまり竹房橋についても御同様の答弁とお聞きしていいわけですか。
  261. 始関伊平

    始関国務大臣 そのように御理解いただいて結構でございます。
  262. 野間友一

    野間委員 終わります。
  263. 池端清一

    池端委員長代理 次に、石原健太郎君。
  264. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 基本的な災害対策のお考えにつきましては、本会議などで、また、ただいままでの御審議を通じてお聞きしましたので、具体的にお尋ねしたいと思うのでありますが、緊急の場合の避難命令といいますか、避難を勧告するといいますか、その方法についてでありますけれども、長崎現地などを見てまいりましても、市長さんが避難しろと言うにしましても、がけ崩れなどが点々と各地で起こっている、山から下に逃げてくれば下の方は川がはんらんしているというようなことで、最近起こっておりますああいうがけ崩れとか、なだれとか洪水、そういったものに対する避難の仕方というのは、ごく地域的に限られてなされるような方法が考えられなければならぬと思うのであります。  それで、これからの方法として、危険ながけ地の下であるとか、あるいははんらんしやすいような河川の堤防沿いの一定の区間ごとにとか、緊急の場合のその地域の人たちのみに知らせるようなサイレンとか半鐘、そういったものの配置を考える時期に来ているのじゃないかと思うのでありますけれども、いかがでしょうか。
  265. 川本正知

    ○川本政府委員 今回の災害にかんがみましても、先生おっしゃるとおり、やはり警戒避難というものが最も肝要なことであろうかということで、今後の対応ということで私どもも真剣に考えておるところでございます。  急傾斜地あるいはがけ地とも申しますが、そういったものの警戒避難、これは急傾斜地法に基づきまして、市町村長さんに警戒避難体制をつくっていただくということで、また地域の防災計画にも組み入れていただくということでございますし、私どもの方もそれを強力に指導してまいりたいと思っております。  また、土石流等に関しましても、ごく最近ですが、次官通達を出しまして、警戒避難体制といいますか、土石流の危険渓流を公表いたしまして、そして、そういうものに対してどういう体制で避難をし、またどこへ、どういうルートで、どの広場へ逃げていったらいいか、どういう際にそうした行動を起こすべきか、いろいろなことを含めました警戒避難体制というものを整備していこうということにしております。  また、河川につきましても、長崎市の場合は特に急流河川でございます。あるいは集中的に洪水が出てまいります都市河川、たとえば東京都の神田川、そういったもので何度も洪水が起きているのが現状でございますけれども、そういったところでは、いまおっしゃったようなサイレンを各所につけまして、洪水が来るぞということが予報されるときにはそのサイレンを鳴らしまして、それによって即刻避難し、あるいは即刻水防体制を図るというふうなことを現実にやっております。長崎市の場合も、いまおっしゃったように大変な急流河川でございますし、一挙に今回のように水が出てまいりますと、そういったものをできるだけ遅滞なく的確に伝えるという体制が必要だろう、それが当然だと思います。そういったことで、今回の災害を反省材料といたしまして、県や市を強力に指導してまいりたいと思っております。
  266. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 そういうことでよろしくお願いしたいと思います。  次に、市街地、繁華街に近いようなところの住宅地などもがけで崩落しているわけでありますけれども、そういった住宅地の復旧ということはどういうふうになさっていくお考えかをお尋ねしたいと思います。
  267. 釣谷義範

    釣谷説明員 お答えいたします。  まず、崩れたがけに対しましては、われわれの方で急傾斜地崩壊対策事業の中の緊急急傾斜地崩壊対策事業として年度内に至急対応するという形で現在進めております。  それから、家の移転制度もございまして、がけ地近接危険住宅移転事業というものがございます。これは住宅局の方で所管している事業でございますが、それによって必要に応じ希望者には移転の補助をするという制度がございます。
  268. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 そうしますと、今回の災害で自分の宅地を流されたというような個人の住宅地が、国なり地方団体の補助金などを利用しながら復旧できるというふうに理解してよろしいわけですね。
  269. 荒井紀雄

    ○荒井政府委員 お答えします。  個人の住家に土砂が浸入いたしまして被害を受けたという問題につきましては、建設省で所管しています堆積土砂排除事業というのがございまして、これによりまして土砂の排除を進めることが可能でございます。そういった手段を使いまして、一刻も早く再建を促進していただくというふうにしたいと思っております。
  270. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 堆積した土砂だけではなくて、崩れてしまったのは、擁壁なり何なりをつくってまたそこに土砂を盛り面して復旧しなければならないと思うのですけれども、そういうことも今回のあれで可能なわけですね。
  271. 荒井紀雄

    ○荒井政府委員 公共事業の範囲内でできるものはできる限りやるというふうな方向で進んでおりますし、それからまた、自衛隊が現実に救助作業をするときに、できる限り個人の問題にまで及んで援助しておるというのが実情でございます。
  272. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 くどいようですけれども、緊急急傾斜地崩壊対策事業というものによっても、そういった補助金を利用しながらも宅地の復旧はできる、こう理解してよろしいのですか。
  273. 釣谷義範

    釣谷説明員 急傾斜地崩壊対策事業の中では、崩れてきた急傾斜地を再度崩れないようにする、そういう先ほど先生がおっしゃいました擁壁等はつくれるわけでございますが、被災した個人住宅復旧等は急傾斜地崩壊対策事業ではできかねるわけでございます。そういう個人災害住宅等に対する住宅金融公庫の融資等の制度があるように私は考えておりますが、その点については、ちょっと私、詳しくは存じません。
  274. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 こういう地形の日本のことでもありますし、開発がどんどん進んで、ますますそういう傾斜地住宅というものがふえていくと思うのです。今後も、今回長崎で起こったような傾斜地住宅地の崩落ということは予想をされないわけでもありません。長崎なんかは場所も非常に限られておるし、そこに住んでいた人にしてみれば、町の中にも大変近いし、ぜひそこにまた引き続いて住みたい、あるいはまた、今回の災害は二百年に一度ぐらいのまれに見る大雨によって起こったので、そこにちゃんとした擁壁をつくればこれは半永久的に使えるとなれば、りっぱな宅地として大いに活用していくべきじゃないかと思うのです。  そういうことを考えるときに、予防するためにはできるけれども、起こってしまったのを直せないというのでは、ちょっと気の毒なような気もするので、こういった点をひとつ何とか研究していただいて、復旧に際してもそういった制度を利用できるようにしていただきたい。それが狭い国土を有効に活用することにもつながるのじゃないか、こういうふうに思うわけでありますけれども、お願いできますでしょうか。
  275. 川本正知

    ○川本政府委員 担当部局の方へよく伝えておきます。
  276. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 それから、最近、不景気、消費も落ち込んでいて、中小企業なんかは大変容易でない。そういったところに今回の災害の追い打ちで、水浸しになった商店などは本当に大変だと思うのでありますけれども、先ほど来の御答弁を聞いておりますと、緊急融資の枠の見直しはしないということでありましたが、三%で利用できるこの資金というのは八百万円が限度のようでありますけれども、いまの時代に照らし合わせ、また、この間の災害にかんがみますと、八百万円という限度額はちょっときついのじゃないかという気がするので、これの見直しというものもぜひ必要じゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  277. 佐々木恭之助

    ○佐々木説明員 先生御指摘のとおり、特別融資の貸付条件緩和につきましては、全体の貸付枠は先ほど申し上げましたように引き上げを行ったわけでございますが、いま御指摘の八百万の点は、災害から立ち上がります当座の断面緊急に要ります資金に向けていただく、こういうことでございます。したがいまして、八百万程度でまずがんばっていただきたい。  なお、災害貸し付け全体、たとえば中小企業金融公庫で申しますと、一般枠のほかに五千万円が枠として用意されております。その枠の五千万円の中で八百万円を低利の三%なり六・〇五%、こういうことでございますけれども、これが三年間その低利の金利でいったあと、残りの貸付期間につきましては六・五五%ということで、比較的低利の金利でやっていただくようになっております。これはそれだけではございません。その他の体質強化資金等も使っていただいて、ともかく現行制度で最大限にやっていきたい、こういう趣旨でございます。
  278. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 それは借りる方からすれば、ああいう災害をこうむった場合、少しでもよけいに安い金利で借りたいというのが人情だと思うのですけれども、中小企業庁の方で八百万の限度を見直したくないその理由は、どういった点にあるのでしょうか。
  279. 佐々木恭之助

    ○佐々木説明員 先生も御承知のとおり、最近の財政状況、非常に財政再建の時期でもございますし、特に先ほど来申し上げておりますように、立ち上がりの時期の緊急の資金需要に応ずるという趣旨でございますので、現状の当面の状況では現行制度の活用でまいりたい、こういう趣旨でございます。
  280. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 あと菊池川とか加勢川早期改修についてもお尋ねしたかったのですけれども、先ほど御答弁がありましたので、ここで重ねて、再三災害を起こしている川らしいですから、できる限り速やかに改修していただくことをお願いして、質問を終わります。
  281. 川本正知

    ○川本政府委員 菊池川加勢川の改修でございますが、今回熊本県内では一番大きな被害を受けた河川でございまして、そういったものに対して河川の整備水準を上げるという努力をかねてからやってきたつもりではございますけれども、まだそれが至らずに、こういった被災を受けた。また、その改修をやる途上にいろいろの地元事情がございまして、なかなか私どもの思うようにはかばかしく進まなかったということもございますが、いずれにいたしましても、こういった大きな災害を受けました実態にかんがみまして、地元の住民の方々の御協力を得まして改修を促進してまいりたい、そう思っております。
  282. 石原健太郎

    ○石原(健)委員 ありがとうございました。
  283. 池端清一

    池端委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十一分散会