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小渕(正)
委員 このたびの七月二十三日夜半を
中心にいたしました
長崎地方並びに
熊本、
大分、このような
集中豪雨による
災害に対しまして、本
委員会を
中心に、また
政府においては
松野国土庁長官が、いち早く
調査に参られ、それぞれ機敏な対応をしていただいておるわけでありますが、この点、同じ
被災地の出身の者といたしまして、心から感謝申し上げる次第でございます。
そこで、午前中からのそれぞれの御
質疑の中でぜひひとつ認識を新たにしておっていただきたいという点で、まず
最初に申し上げますが、先ほど来、今回の
長崎地方を
中心にいたしましたこれらの
災害に対しましては、人災か
天災か、いろいろな論議が行われているわけであります。私も、この点について何もそれぞれ人災だ、
天災だということを申し上げることではありませんが、ただ二、三点、ぜひひとつ今回の
災害について御理解しておっていただきたいと思いますのは、
松野国土庁長官は人口十四万の都市が四十五万までふくれ上がったのだということも一つ大きく強調されているわけでありますが、確かに、これだけとらえて見ますならば、急激に非常に無理な都市開発が進んだのじゃないかというように第三者的には印象を受けるわけでありますけれども、
長崎市がこれだけ人口がふえた、大きく増加したものの要因の中には、人口十四万以後、それぞれ周辺の町村合併によりまして
地域がかなり広範な
地域まで実は広がっているわけでありまして、ただ十四万が四十五万に急激にふくれ上がったと、そういう意味で受け取ってもらっては困るわけであります。
それから、あと一つ、無理な宅地造成等が今回の
災害の大きな要因でないかという見方もありますが、今回
災害発生した山崩れ、がけ崩れの
個所は、そういった
個所はほとんどございません。宅地造成によって無理にそういった急
傾斜地のところにやったという
個所は、一部鳴滝が、もし指摘されるとすればされましょうけれども、その他のところでは大体そういう傾向のところでなかったわけでありますから、そういった点についての認識を実態としてはまず十分御理解しておっていただきたいと思います。
それから、長官の方から言われている、治水か利水かという意味での水の活用の仕方にいろいろ問題があったのではないかということもあるでしょう。確かに、今回の
長崎水害を見ますならば、従前、
長崎地方といたしまして何年かに一回
台風が来るという意味での風によるそういった
災害というものについては、割合それぞれが心構えを持ち、それぞれの
対策を持っているわけでありますが、概して水に弱い都市づくりでなかったか、そういう点は言えるのじゃないかと私は思います。現に、三百五十年経過した眼鏡橋が、いままでああいった水害によっていろいろ
破損するというような事故は一切なかったわけでありますから、そういう点を考えますならば、今回の
災害がそういう意味では
天災的であったと言われてもやむを得なかったという面は十分うかがえると私は思います。
ただしかし、概して見ますと、もう少し水防という意味で水に強い町づくりという点においての視点が欠落しておったのではないか、そういう点での御指摘であれば、素直にこれから
長崎の町づくりのために、中央官庁としてもそういう意味での指導性を発揮していただければと、かように思うわけであります。
そういう
状況の中で特に一つだけ私から申し上げたいのは、先ほど来もお話があっていましたが、確かに未
曽有の
降雨量であります。
長崎の場合に、七月になりましてから雨が降らなかったのは六日間ぐらいで、あとはほとんど降っていた、そういう中で約七百ミリ以上の
降雨量に達しておった。そういう直後にあれだけの
集中豪雨でありますから、そういうことをいろいろ考えますならば、やはり水防というのですか、水に対するそういう意味での備えというものが防災の指導面においても欠如しておったのではないかということは言えますし、また、あの
集中豪雨の
状況の中でも、ああいう人家がいろいろ押しつぶされるということ、また
河川が
はんらんするということについてはやむを得なかったにいたしましても、もう少し避難誘導という点について、そういったものが自治体を
中心にして強力に行われておったならば、少なくともあのような大きな
人命の損失はなかったのじゃないか、そういう角度から問題を見るならば、そういう意味では人災でないかという指摘もこれは当然のことじゃないかと私は思います。
したがって、そういう意味で、先ほどの質問の中にもありますが、避難誘導といいますか、いろいろな
気象条件の中で
気象庁がいろいろな警戒警報を発する、それに対応して自治体がどのような形で防災体制をとっていくかということは、これは自治体の裁量に任せられているかもしれませんけれども、やはりそういった点ではもっと強力に自治省あたりが、こういった問題に対しての指導の強化という点が必要ではないのか、ただ自治体だけの裁量の中でこういった問題を任せるのではなしに、少なくとも、ある程度の基準といいますか、規範的なものをつくりながら、半ば一つの強制と言っては語弊がありますが、そういう義務づけるような形の中での広範な防災体制づくりの指導を自治省を
中心にもっとやるべきではないかと思うのでありますが、ひとつその点に対しての自治省の御見解を承りたいと思います。