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1982-04-14 第96回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年四月十四日(水曜日)     午前九時四十六分開議  出席委員    委員長 西中  清君    理事 三枝 三郎君 理事 浜野  剛君    理事 林  大幹君 理事 安田 貴六君    理事 竹内  猛君 理事 永井 孝信君    理事 斎藤  実君       北川 石松君    左藤  恵君       佐藤 守良君    関谷 勝嗣君       丹羽 兵助君    新盛 辰雄君       三浦  隆君    辻  第一君       伊藤 公介君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 小坂徳三郎君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   世耕 政隆君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      滝田 一成君         警察庁交通局長 久本 禮一君         運輸大臣官房総         務審議官    石月 昭二君         運輸省海運局長 永井  浩君         運輸省港湾局長 松本 輝壽君         運輸省鉄道監督         局長      杉浦 喬也君         運輸省自動車局         長       飯島  篤君         運輸省自動車局         整備部長    宇野 則義君         運輸省航空局長 松井 和治君         気象庁長官   増澤譲太郎君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部少年課長  石瀬  博君         大蔵省銀行局保         険部長     猪瀬 節雄君         厚生省公衆衛生         局精神衛生課長 野崎 貞彦君         通商産業省機械         情報産業局自動         車課長     西中真二郎君         資源エネルギー         庁長官官房鉱業         課長      島田 隆志君         海上保安庁警備         救難監     吉野 穆彦君         労働省労働基準         局監督課長   岡部 晃三君         建設省計画局建         設業課長    北村広太郎君         建設省道路局企         画課長     萩原  浩君         建設省道路局有         料道路課長   稲見 俊明君         日本国有鉄道常         務理事     坪内 亨嗣君         日本国有鉄道貨         物局長     大森 義弘君         特別委員会第一         調査室長    長崎  寛君     ————————————— 三月一日  名神高速道路交通安全対策に関する請願(西  中清君紹介)(第八六五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ————◇—————
  2. 西中清

    西中委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北川石松君。
  3. 北川石松

    北川委員 本日は、質問の機会を与えていただきまして、深く感謝を申し上げます。  まず冒頭に、小坂運輸大臣また世耕国家公安委員長に御出席をいただきまして、御多忙の中大変ありがとうございます。  最近、交通問題につきましては、陸海空にわたりましていろいろの問題を惹起いたしておりますが、これに関係される行政の各位には、いろいろと御心労を煩わしていることと存じますが、国会立場から二、三指摘を申し上げまして、御見解を承りたいと思うものでございます。  この十五、十六日に国鉄ストが予定されておりますが、その後の進行状況はいかがでございましょうか。
  4. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 十三日は私鉄ストがなくなりました。前々からもそのような雰囲気で推移しておりましたので、十三日のスト国鉄労働組合は敢行しなかったわけであります。さらに、十五、十六日のストはもしもやるとすればこれは違法ストでございますので、先般来、国鉄総裁に対しても、この違法ストは絶対にやらしてはならぬ、またわれわれも、各方面に対して、違法ストに対しては絶対にこれを行ってはならないという警告を発しておるところであります。いまの時点において十五、十六日のストが中止されるということはまだ聞いておりませんが、今後最大の努力をふるってこの両日のストを行わせないよういたしたいと思っております。
  5. 北川石松

    北川委員 ただいま小坂運輸大臣から御答弁をちょうだいいたしたのでありますが、これは法第十七条第一項で争議行為の禁止がございますので、労働大臣とも密接に連携を保っていただきながら、いろいろな方面においての適切なる御指導をお願いいたしておきます。大変迷惑するのは国民でございますので、その点を強くお願いいたしておきたいと思います。  次に、国鉄再建についてでございますが、再建を言われておりますけれども国鉄再建ということでマンネリ化してしまった国鉄の大きな世帯の中で、これに従事するところの皆さんが、自分の行うべき職責をつい忘れてしまって、あるいはそこに怠慢の形が随所にあらわれてきて、それが大きな惨事を引き起こしておる、こういうことも年々増加の傾向にあるということを見ますとき、これについて大変心外でございます。この点について大臣としての御所見を聞きたいと思います。
  6. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 いわゆる職場規律の紊乱と申しますか、われわれから見ますならばまさに職場規律は崩壊していると言わざるを得ないような状態でございまして、こうした事態を早く直すことが何よりも重要なことであります。また、私の運輸行政に対する最も基本的な立場は旅客の安全を守るということ、旅行が安全であるということ、これが何よりも優先する課題であるという認識を持っておりますが、今日のような職場規律の大変な乱れというものは、各所にいろいろな批判とまた国鉄に対する不信を増幅させておると思うのでございまして、こうした事態をわれわれも深く憂慮して、先般来国鉄総裁に対しまして、約五千カ所、全職場にわたっての総点検を命じております。先般も中間報告を受けましたが、近くその実態が、過去自分で調べたものの報告と、それに対してどのような処分をしたかという報告を受けることになっておりますが、われわれといたしましては、まず職場規律が厳正に守られるということが安全対策の第一歩であると思って、今後もこの問題については非常な強い関心を払ってまいりたいと思っております。
  7. 北川石松

    北川委員 ただいまの御答弁の中でも、所信に述べられた強い姿勢で当たっていくということをおっしゃっていただいておりまして、大変深く敬意を表するものでありますが、三月十五日のあの名古屋駅構内の問題なんかは、全く自分使命を忘却して、みずからがその酒の中に酔いつぶれ、それを、その形の中で気にするじゃなしに、どのような自分使命を持っておるかということも忘れて、その行動をなしたということが原因になっておると思うのであります。大臣所信表明でもそれは強力に推進するとおっしゃっておりますので、この点について今後なお一層の強力な御指導をお願いいたしておきたい、このように思うものでございます。  それからいま一つは、昨年の八月十五日、新幹線が、米原駅を過ぎましてからパンタグラフが飛んでしまってストップいたしました。この事故について、大臣は、当時は運輸大臣でございませんでしたが、どの程度に御承知あるかどうかを一応お聞きしたいと思います。
  8. 坪内亨嗣

    坪内説明員 八月十五日の事故につきまして、利用者の方々に大変御迷惑をかけまして、深くおわびを申し上げたいと存じます。  この事故につきましての原因でございますが、架線系ブースターセクションという個所がございまして、そこの電線の縁まわしがその個所で間違ったということで、そこに分流回路が生じまして、そして電気的な腐食で、約三年弱でございますが腐食が進行いたしまして、断線に至ったということでございます。  これにつきましては、当時直ちに総点検をいたしまして、同様の個所を当たりました結果、その個所だけであるということが判明いたしました。また、ほかの点については全部異常なしということでございます。  二度とこのようなことのないように、設計段階ダブルチェックをきちっとやるという責任体制を確立いたしております。  以上でございます。
  9. 北川石松

    北川委員 大臣が御承知あるかどうかということをお聞きしたのであって、あなたが出る場所ではまだないのです。私は国鉄総裁出席を要求しておったが、何かきょうは所用があるから御了承願いたいということで了承はいたしましたが、大臣が御承知ない当時のことでございますから、この点については深くは申さないのでありますが、いやしくも国鉄新幹線発足以来無事故できておって、あの事故をいまあなたは三年間そのままであったとおっしゃっているのです。架線ミスがそのままで放置されておったためにパンタグラフが飛んだ、こう言うのですが、そんな簡単なものですか。
  10. 坪内亨嗣

    坪内説明員 この縁まわしにつきましては、当初の設計段階、そしてこれの工事の終わりましたときに検査をいたしたわけでございますが、結果的には検査が粗漏であったということであります。そして、日常の検査に当たりましては、いま先生おっしゃいますように、こういった間違いを発見するのが当然ではないか、あるいは異常の有無がなぜわからなかったかという御指摘だと存じます。図面に書けば比較的簡単でありますけれども、現地でそういう目で見なければこういった間違いはなかなか発見しづらいというのが実態であるということをおわかりいただきたいと思います。  それでは、そういった腐食が進行している状態を外から見れるかということでありますが、電線を支えております金具の中にそういった腐食が進行しているということでありまして、外見上はなかなか発見しづらいという状態でございます。今回の総点検でも、全部一度その線は外してそして見たということでありまして、外見上はなかなかむずかしいというのが実態でございます。やはりこういったものは設計のとき、そして設計を終了するとき、竣工検査のときに発見するのが至当かと心得ます。そういった意味で私ども対策をとった次第でございます。
  11. 北川石松

    北川委員 時間がないので私は長々と物は言いたくない、言いたくないのだけれども、私は当時あの列車に乗っておってあの事故に遭ったのですが、スピードは何ぼぐらい出ておったの。
  12. 坪内亨嗣

    坪内説明員 事故を起こした列車は、二百キロの運転をしていたと記憶しております。
  13. 北川石松

    北川委員 だから、高木国鉄総裁に出てこいと私は言ったのだ。あれが二百キロのスピードだとあなたは言い切れるのか、どうなんだ。そういう答弁国会でするということは、国会軽視じゃないか。そういう国鉄だから、今日いろいろの世評の中にあって呻吟しておるのだ、国鉄みずからが。そういう指導ではよろしくない。もう一度スピードについてはっきりと答弁しなさい。そんなことで交通安全が保てるか。何と心得えておる。
  14. 坪内亨嗣

    坪内説明員 事故がございました地点から列車が停車いたしましたところまで、二キロちょっとでございます。架線がいつ切れたかということについてははっきり確認はできませんが、少なくとも列車が二百キロで走れば、二キロ有余のブレーキ距離がございます。そういった意味で、私どもとしては、架線断線列車関係をそのように推定しております。
  15. 北川石松

    北川委員 いまのあなたの答弁じゃ私は満足できない。あれは直流か交流か、ACかDCか知らぬが、二万五千ボルトですか、そういう非常に高い電圧の架線を、三年間も装置の取りつけの失敗で放置しておくということはでき得ないはずなんです。取りつけが悪かったから十六両のパンタグラフが全部飛んでしまった。その飛んだ原因はどこにあると思いますか。その電線工事をした会社を知ってますか。ここで会社名前を言ってみなさい。いま言いなさい、それだけの答弁をするならは。会社名前を言いなさい。——時間がもったいない。言えないのだろう。言えるか。(坪内説明員「いま調べまして……」と呼ぶ)そんなことでは、私がきょう新幹線の八月十五日の事故について答弁を求めると言ったことに、余りにも不誠実じゃないか、信義がないじゃないか、真心がないじゃないか。ここに国鉄の大きな原因があると私は推理せざるを得ない。本当に悲しいよ。もっと言うならば、そのときワイシャツ一枚で、汗だくだくになりながら車掌に協力して、乗客の憤怒を慰めたんだ。もしここで国鉄新幹線が転覆したら、すぐに上り列車が来るんだよ、あのタイミングは。そういういろいろなことを想像しながら、翌週早々国鉄本社へ飛んでいって、この間の三日前の事故はどうだったと言ったときに、木で鼻をくくったような、厄介者が来た、帰りなさいというような応対をしたのが国鉄なんだ。だから私は、スピードに対してオシログラフですかタコグラフですか、そういう何かのスピードの形が残っておるものがあるなら見せてほしいと言ったら、そんなものはありませんと言った。二百十キロ以上は出ませんという答弁だけなんだよ。この点どうなのか。  じゃ、言っておこう。その架線工事をしたのは日本電設だろう。違うのか。日本電設株式会社でしょう。じゃ、日本電設に何かの形において究明はしましたか。してないでしょう。そういうマンネリと、ずぼらと、おもねることと、こびることが今日の悪い形を呈しておると思うのです。
  16. 坪内亨嗣

    坪内説明員 後で調べましたところ、設計書類過ち指示をしていたということでございます。先生指摘のとおりに、確かに過ち指示はしてありましても、当然業者としても、それを発見し、直していくという技術力は欲しいわけでありますけれども書類上の過ち指示があったということでございます。
  17. 北川石松

    北川委員 大臣、ここはただ答弁質問だけで終わってしまっては好ましくないと思うのです。そういう意味で、声を大きくしたことは私の情熱のあらわれだと御了解願いたいが、僕はスピードは二百キロということでは承服できませんよ。グラフを持ってきておられますか。新幹線グラフはどのようになっていますか。発進のときにはDですか。CになりBになりAになるんじゃないですか。新幹線スピードの総局におけるところのデータに出てくるのは、そうじゃないのですか。
  18. 坪内亨嗣

    坪内説明員 車内記録はそのとおりでございます。
  19. 北川石松

    北川委員 当時の運転士名前も私は記憶しておる。車掌も記憶しておる。八月十五日は暑いですよ。乗っておって、私の横におった方が、どっちもワイシャツ一枚でおった。その私の隣に乗っておった方が川崎医大教授なんですよ。私は、八月十五日の月を見ながら、ああ満月が美しいなと思って、しかし、きょうのスピードは物すごく出るなあ、十二号車に座っておって、ふわっと体が浮いた途端に、ばかっという音とともにパンタグラフが飛んだ。僕は車掌のところへ飛んでいって、スピードの出し過ぎだな、パンタグラフが飛んだと言ったら、車掌は、雷ですかと、こう言っておるんだ。それがとっさの事故。そして、十四号車の窓がパンタグラフによって割れたんだ。すぐに飛んでいってその周辺の人に聞いた。そこはだれも座っていないんだ。八月の十五日だから満員なんですよ。しかし、その十四号車の割れた窓の横にはみんな座ってないんだ。こわくて座ってられませんと言う。寿命が縮みましたと言うんだよ。そういうことまであなた方はつぶさに、そういう国鉄を利用される国民皆さんの愛用されるあの心というものをわきまえてやっておられるかどうか。それを二百キロで固執するなら、私、申し上げますよ。A、A’になったときにZがかかってとまるようになっているのでしょう。違いますか。
  20. 坪内亨嗣

    坪内説明員 架線が停電すれば、先生のおっしゃるとおりでございます。
  21. 北川石松

    北川委員 この問題で時間をとると恐縮ですが、じゃ言っておきますが、よく聞いておいてちょうだい。次のときに課題に残しておこう。  関ケ原でA、Aと出たのですよ。A’でZがかかった。新幹線は、走っていますとちょっとがたっとなるでしょう。スピードを出し過ぎたときがたっとなるでしょう。ところが、その後米原からそこまでAというのが何ぼ続いていると思いますか。あそこは下りになっている。緩いスロープになって下りになっているのですよ。それがA、A、A、A、A、A……Aの連続ですよ。それで二百キロというようなことを国鉄指導者が簡単に言うならば——これは私は、新幹線というものがもし大事を起こしたらということを憂えて言っているのだよ。それを、二百キロですというようなことを言って、甘えていたらいかぬよ。いみじくも、私の横におられた川崎医大教授がどう言われたか。うまく設計してますね新幹線は、こう言われた。スピードが出過ぎて大惨事が起きようと思うとパンタグラフが飛ぶんですね、人間でいうと鎖骨が折れるようにできているんですね、こう言うのですよ。それはどういうことでしょう先生、と私が申し上げたら、大きなショックによって危険な状況に陥るときに、人間の体は鎖骨が折れることによって脊髄その他をかばうことになっているらしい、それを先生に説明していただいた。なるほどお医者さんはそういう見方をされるんだなと思って、私は感心しておったのです。それほどスピードが出ておったということを申し上げたい。もし私が言うていることが間違いなら間違いとはっきり、国鉄の総力を挙げて二百キロだという証明をしていきなさい。これは次の課題にしておきます。  運輸大臣、この問題についていかがでしょうか。
  22. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 ただいまの北川委員の、実際の体験されたきわめて貴重なお話であると思います。また、こうした問題に対してその後どのような措置がとられたのか、設計上のミスということだけで問題がふたをされてしまったのではないかというような印象を受けるわけでございますが、やはり国鉄再建という問題の中には、そうした問題も含めて非常に、実に多種多様な問題が伏在をしておるというふうにも思いますし、本日の委員の御指摘は、今後の国鉄に対する、運輸省といたしましても、十分そうした問題にまで気を配りながら、乗客の安全という問題について一層努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  23. 北川石松

    北川委員 大臣の大変前向きの御答弁をちょうだいいたしまして、ありがとうございました。  次に航空問題でございますが、もう皆さんも御承知のように、過日羽田沖日航がああいう事故を起こしました。私は、これは大変な国民の信頼を失う形が出たと思っておるのです。  なお、それと同時に、はるか過ぎしことではありますが、雪まつりの後、全日空東京湾事故を起こしました。この問題は、航空会社機長責任にゆだねてしまうということがあっては問題を残すのじゃないか。これは機長責任だということで、当該会社というのですか、日航全日空を初めとする航空事業にタッチする会社が、機長責任のみにおいてこれをとどめてしまってはいけないと思うのでありますが、いかがですか。
  24. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 先般の日本航空事故でありますが、飛行中においては機長が、少なくとも乗員並びに機体の運航については最高の責任をとるべきものであると考えております。  なお、こうした問題についての対応策としての今後の安全の確保ということについては、日本航空全般努力を傾けて、二度とこうした事故の起こらないような努力対策を完全に実施していくということにつきましては、私は会社責任があると思っております。
  25. 北川石松

    北川委員 ただいまの運輸大臣の御見解は私も了解いたします。ただ、会社責任の中に立って、機長がそういう事故を起こさないような、今後の厳しい、しかもそこに責任と心ある動作ができるように、常々指導していっていただきたいと私は思います。  時間があと五分でございますが、次に公安委員長に、最近の交通事故の中で、いろいろと多発をしておりまして、数字を挙げると限りがございませんが、年々歳々多かった交通事故が、一時減少の形を呈しながら、本年の三月に至ってはまた大変な上昇の好ましくない数字が出てきておりますが、国家公安委員長として、今後の交通安全に対してどのように御指導を賜るものか、御見解をお伺いしたい。
  26. 世耕政隆

    ○世耕国務大臣 御指摘のとおり、去年とことしの交通事故発生状況を見ますと、ことしの方がふえてしまっているので、いささかびっくりして心配しておりましたのですが、昭和六十年までに交通事故の死者を年間大体八千人以下に抑えようという計画でずっとやってきたのですが、なかなか思うに任せない。この理由は、一つには自動車台数、それからダンプとかトラックとかそういうものの台数がかなりふえてきていることも大きな理由だと思うのです。交通事故対策は一生懸命やっておるのですが、なかなか思うようにいかない。  今後の対策としては、全般的に取り締まりやいろいろな規制をやっていく反面、一番できるところからやっていこう。最もできやすいのは生活ゾーンを中心としたいろいろな規制のかけ方、歩行者歩行道路の拡充とか数をふやすとかそういうことは、われわれ警察だけじゃなくて、関係各省庁と連絡をとりながらいま対策を急遽練り上げているところでございます。そこいらからまずやっていって、あとは、自動車相互の衝突とか高速道路におけるガードレールに衝突するとか、いろいろ事故理由の中に雑多なものがあって、これも次々といろいろな方法を考えながら努力をして事故死を少なくしていく、そういうことで具体案をいま練りつつございますので、御了解をいただきたいと思います。
  27. 北川石松

    北川委員 ただいま公安委員長から所信を聞かせていただいて、また所信表明でも大変厳しく臨むということを承っておりますので、お願いしたいと思います。ことしの一月から三月まで千九百五十四人、対前年度比九・六%増ということでございますから、なお一層御努力を賜りたい。  それにつけても、交通違反だということで当局が出頭を要求して、なぜ交通違反を犯したんだ、いかぬじゃないか、そういう違反者が出頭要求したのに出てこない、それをそのまま放置しておる形が見られるのですが、こういうことも、スピード違反を犯しながらそのまま逃げおおせるのだという形を放置しておいてはいかぬと思うのです。簡単に言ってください。
  28. 久本禮一

    久本政府委員 先生おっしゃいますとおり、逃げ得を許すということは、ほかの善良な違反者、という言い方はどうかと思いますが、それと公平を欠くという点で、きわめて遺憾に存じます。したがいまして、各県警とも、こういったいわゆる逃げ得を許さないような形の取り締まりを厳密にやるように努力もしておりますし、またそういう指導もいたしております。今後ともその方向で努力をいたしたいと思います。
  29. 北川石松

    北川委員 あと一分でありますから、総理府に対する質問は次のときにお願いすることにいたしまして、私は、行政また私たち国会立場から、国民の、特に今日のふくそう多様化した交通安全ということについては、全力を挙げて対処しなければいかぬと思っております。  また、われわれは、対処しなければいかぬという形を国会の場で質問はいたしましても、実際にそれにタッチする立場にありません。これに実際に行政指導立場にあるのはやはり行政府でございます。その頂点におられる両大臣を初め、その各部局におられる方にお願いをいたしておきたいのは、有機的に、また有機的な構造の中で行政がマンネリ化せずに、常にアクティブに濶達に、真心と真実を持ってタッチしてもらうならば、下の方にまでその良好さが浸透していくのじゃないだろうか。ところが、おもねることと、甘やかすことと、こびることと、ごまかすことの中で行政が行われていくならば、それはマンネリ化とそうした悪弊が蔓延化していって、抜き差しならぬ悪い形を呈するのじゃないか、それが事故につながっていき、善意の第三者である国民が迷惑することになっては大変好ましくない、こういうことを思いまして、何とぞ、大変な今日の社会情勢でございますが、そういう点を両大臣に、御苦労でございますというお礼とともにお願いをいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  30. 西中清

    西中委員長 次に、永井孝信君。
  31. 永井孝信

    永井委員 公安委員長が時間の都合もあるようでございますので、公安委員長の方から先にお尋ねをしていきたいと思います。  この前の当委員会において所信表明がなされたわけでありますが、その中で、交通事故の発生件数が五十三年度以降増加の一途を続けているということに触れられまして、それをきわめて憂慮されるという立場からの所信表明がございました。もちろんこれは社会的な大きな問題でありますので、あらゆる面からこの交通事故をなくしていくという努力はお互いにしていかなければならないのですが、その中で、一つは免許証の問題に触れて、大臣は、「四千五百万人に及ぶ運転者の免許証更新時における負担軽減を図るため、その更新手続の簡素合理化等諸施策の推進にも鋭意努めてまいる」ということに触れられているわけであります。さらに、昨年の七月十日には、臨時行政調査会の方から「自動車運転免許証の更新については、国民負担軽減の見地から、更新の方法・手続の大幅な簡素合理化を図るとともに、更新時講習については、無事故違反者」こういう優良運転者に対する講習を省略するなど、その運営改善を図るべきだ、そうしてさらに、「なお、運転免許証の有効期間の見直しについても検討する。」このように答申が出されているわけでありますが、これについて公安委員長としてどのように所見を持っておられるか、お伺いをいたします。
  32. 世耕政隆

    ○世耕国務大臣 臨調からの御指摘がありまして、許認可の中で特に運転免許証なんかの更新手続はもっと簡素化してスピード化しなければいかぬ、こういうあらましの提案でございました。それを受けとめまして、私どもの方も率直にそれを了解したわけでございますが、その上で、簡素合理化というとまず運転免許証の期間を延ばすか、そういう案が出ました。これが大体最初は五年間という案でございました。それもまたいろいろ問題のあるところでございまして、三年にしよう、三年でいこう、その上でもう一つ、今度は日曜日もいろんな窓口を開くようにしよう、それから即日運転免許証を交付するようにしょう、そういうことを中心にしまして、とにかく遠くから来る人でも、それからふだん時間のない人でも、なるたけ門戸を開放してもっと手続、それから検査、そういうものを簡素化しよう、こういうことで大体立案いたしまして、現在に及んでいるところでございます。
  33. 永井孝信

    永井委員 それで少し細かくなるのでありますが、ちょっと具体的な問題でお聞きをしてみたいと思うのです。  まず、運転免許証の更新に際して警察署で適性検査を受ける、そして、その後で指定された日に講習を受けるということになっておるのですね。この講習を受けることがきわめて交通安全にとって重要なことであることは、これはだれしもが認めているところでありますが、最近、この講習を受けるに際して、もっと十分な講習が受けられるような施設とか、あるいは器材などを講習を受ける個所に充実をさせてもらいたいということが、かなり私たちのところの耳にも入ってくるわけですね、要望として耳に入ってまいります。で、警察庁がこれから進めていこうとするこの免許証の更新手続の簡素化とかあるいは有効化、こういうものを考えるときに、こういう改善策も講習の場合含まれているのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  34. 久本禮一

    久本政府委員 講習は、先生指摘のように、免許更新という運転者にとって交通の安全の意識を十分に植えつけていただけることのできる唯一の機会でございますので、おっしゃるとおり、十分整えられた環境、設備等によって有効な講習をしたいということは御指摘のとおりでございます。  ただ、先生指摘のとおり、警察署で更新を含めた手続を行うという県がかなりございますが、こういうところでは、警察署はもともとそういう人を集めて講習をするということに適当な場所ではございませんので、かなり問題があるということは事実でございます。したがいまして、基本的には、いままでもこういう更新手続につきましては運転免許センター及びサブセンターを整備いたしまして、そういった充実をした施設でじっくりとした講習を行って、有効な更新手続をするという方向できたわけでございますが、これはいろいろその過程で、それはいいとしても、いままで身近なところで更新ができたのに遠くへ行かなければならぬのも不便だという声もございますので、その辺の調整がやはり必要であるというふうに考えているわけでございまして、そういうセンター、サブセンターの充実を図りますとともに、ある程度警察署におきましてもやはりそういう状況にすることは好ましいことでございますので、可能な限りの整備はしていく。ただ、これは限界がございますので、警察署はどちらかと申しますと、講習をしなくてもよろしいといいますか、ただいま御指摘になりましたように、優良なドライバーにつきましてはできるだけ簡素な講習で、時日的に余り手間をとらせずに更新手続を終了させようという方針でございますので、そういう方は、警察署においでいただいてもそれほど講習で、不適当な場所でいろいろお願いするということにならなくても済むと思います。  したがいまして、検査を行うという点につきましてできるだけ設備の改善充実を図りまして、更新につきましては、簡素化と同時に、そういうセンターあるいは試験場における講習において充実したものを行おう、そういう考えでございます。
  35. 永井孝信

    永井委員 そこで、免許証の更新手続を受ける際に免許証を持っておる者の便宜を図ろう、あるいは負担の軽減を図るということの中に、たとえば会社勤めしている者が一日休んで免許証の手続をとりに行かなくてはいけない、それがまた今度は講習も別の日に行かなければいかぬということで、そういう面ではかなり負担になってくるわけですね。  ところが、警察庁から出している通達がここに手元にあるわけです。一つは警察庁の交通局長一つは警察庁の次長から出されているわけでありますが、たとえば日曜日の窓口の開設という問題です。これは前からユーザー側の非常に強い要望になっておったわけですね。ところが、窓口の開設をすることを通達でおろしておりますから、これはそれだけ非常に前進をしておるわけでありますが、しかし、この通達の中身を見ると、「日曜日においても、各都道府県内に少なくとも一箇所の更新手続のための窓口を開設すること。」こうなっているわけですね。私は兵庫県ですけれども、兵庫県というと日本海から瀬戸内海、淡路島まであるわけですよね。仮に兵庫県で一カ所の、仮にですよ、仮定の話でありますが、一カ所の開設をしてもらって、それで果たして便宜を図ることになるんだろうかという気がまず一ついたします。  もう一つは、同じく警察庁交通局長の通達の中に、日曜日の窓口を開く場合に、「運転免許試験場、運転免許センター等において開設することとし、警察署においては開設しないこと。」明確にこう開設してはいけないという通達になっているわけですね。これは、ふだんは何かというとすぐ警察に呼ばれるわけですからね、免許証の更新手続を私は常に警察署でやっているのでありますが、警察署に日曜日も開設するんなら、全部の警察とは言わないけれども、地区の中心の警察署ぐらいに窓口を置くぐらいのことをやらないと、運転免許試験場なんて各県に一つか、大きいところでせいぜい二つなんですよね、東京は別にいたしましても。兵庫県でも免許証の試験場というのは二カ所しかないわけですね。そういう状況の中で、警察は、こういう通達は出すけれども、やるのは別のところですよ。警察はもっとほかのことで忙しいんだということだろうと思うけれども、それでは余り親切心がないんじゃないかという気がいたします。これがまず一つです。  もう一つは、ついでのことに言っておきますが、優良ドライバーについて便宜を図ってもらう、これは非常にいいことなんですね。たとえば全体の三年間ですね、無事故、無違反のドライバーが大体四四%近くいる、こういうように言われておるわけですね。この人たちについて特別にうまく短い時間でやれるように便宜も図っていこう、こういう趣旨なんですね。だから、おまえらそういうことをやってもらいたかったら事故を起こさぬようにせいよという、啓蒙活動も入っていると思いますよ。入っていると思うけれども、たとえばペーパードライバー、これはたんすの引き出しに免許証をしまっておけば何年たったって事故は起きないんですよ。この人たちはなるほど事故を起こしてないのだから優良運転者かもしらぬけれども、これは一体どうやって見分けるんですか。たまたまペーバードライバーになっている人がたまに乗って事故を起こすこともあるだろう、私はこう思うのです。この辺の関係はどうとらえているのですか。  その手続の場所とこの二つの問題、局長から答えてくれませんか。
  36. 久本禮一

    久本政府委員 まず窓口の問題でございますが、日曜日と土曜日の午後でございまして、要するに、いままでやっていなかった時間帯におきましても、そういう時間でなければ非常に来にくいという方のために窓口をオープンにするということは、こういった週休二日といったような時代ではございますけれども、やはり国民に窓口を開いておる行政一つの方向であろうというふうに考えまして、そのようなセットをしたわけでございます。  ただ、こういう時節でございまして、余り人の増員であるとかあるいは大幅に金をかけることをせずに、できるだけ実施をするということでございましたので、ともかく少なくとも一カ所は窓口をあけなさいという形でオープンしたわけでございまして、今後、日曜日の集まり方等も見きわめまして、日曜日に更新できる場所の拡大を考えてまいりたいということでございまして、現状はともかくそういう形で、風穴をあけてやってみようということで始めたものであるということを御了解いただきたいと思います。  ただ、警察署内に日曜日オープンするということにつきましては、警察署は交通だけではございません、いろいろな警察事象を扱うところでもございますので、日曜日というのは警察においてもやはり手薄になりますし、そういうところでは自然に更新手続に来られた方への対応等も十分ではなくなります。そういった点も考えますと、警察署でやることがかえっていろいろそれ以外の問題を起こすようでは、交通警察の姿勢あるいは対応としても好ましくないと思いますので、できるだけ安直な形でなく、これは決して一カ所だけということではございませんので、そういう事情があれば、特に地域的な広がりの多いところでは今後整備の方向で考えるという形でちっとも差し支えなかろうと思いますが、これは今後の問題といたしまして、当面そういう形で窓口の風穴をあけようということで実施をしたわけでございます。  それから、御指摘になりましたペーパードライバーの関係でございますが、これは率直に言って泣きどころでございます。いろいろな物差しを考えましたけれども、これだけ数の多いドライバーを公平に区別をつけて、比較的問題を起こさないということの最良の方法としては、無事故、無違反しかないということでございまして、これは、手続に差別をつけるということの中で国民のコンセンサスを一番得やすい物差しではないかということで設けたわけでございます。したがいまして、ペーバードライバーの問題はかなり議論になったわけでございますが、一般的に言って、比較的運転のチャンスがない、あるいはほとんどしないということでございますので、実害の出方としては一番問題が少なかろうということでございまして、この点決して十分安心ができるというふうには考えておりません。この点につきましては、率直に言って大きな検討課題でございます。この中でどういうふうにチェックをするかということで、今後この辺の扱いにさらに細かな処理が必要であるというふうになる可能性はございますけれども、それは今後の課題として十分注意をして見詰めてまいりたい、そういうことでございます。
  37. 永井孝信

    永井委員 このペーパードライバーの問題、きょうは多くは言いませんけれども、ペーパードライバーと言われている人がたまに乗って事故を起こすことがやはり心配なんですよ。だから、更新手続のときに、たとえば毎日ハンドルを握っているか、あるいは一年にどのくらいしか乗らないかということをチェックするぐらいのことは、何らかの方法で考えてもらいたいと思います。これは一つ提起しておきます。  その次に、免許証の有効期間の問題でありますが、私が冒頭に申し上げましたように、去年の行革の七月十日の答申の中にも、免許証の有効期間を延長することなどについて検討すべきだということの答申をしているわけですね。この有効期間の延長という問題で、警察庁の資料によりますと、現行において更新手続をとるときに、大体年間四十万人程度の運転の不適格者が出ているということが出ているわけですね。そうしてそのことを考えた場合に、簡単に言えば三年をそのまま据え置くのが妥当だ、そういう見解になっているわけですね。  この三年を五年に、あるいは私たちは十年と言ったこともあるのですけれども、三年を五年に延ばしたから、それでは決定的に事故がふえるのかということになると、私はどうもそこのところが納得できにくいのですね。ただ単に、更新手続のときに四十万人の不適格者が出ておるから三年でなければいかぬということなら、突き詰めて言えば、更新手続は一年の方がよりいい、こういうことになってしまうのですよ、極端に言えば。だから、三年でなければいかぬという根拠にしては、どうもその根拠が納得できないと思いますので、その関係について見解をお伺いいたします。
  38. 久本禮一

    久本政府委員 先生のおっしゃることは十分理由があるわけでございまして、現に、この議論の過程でも同じ趣旨の議論がずいぶん多かったわけでございます。ただ、私どものスタンスで申し上げますと、交通事故が減少していくということは、これはいろいろな機会に申し上げておりますけれども、環境の問題、あるいは警察官の街頭活動といった外的なインパクトの問題、あるいは運転者に対する免許制度を含めたその辺の影響力の問題等を含めました、いろいろな対策の総合的な効果によるというのが、いままで申し上げておる内容でもございますし、私どもの認識でもございます。したがいまして、三年ごとの免許証の更新が事故防止に及ぼす効果というものを明確に分離して申し上げるということは、きわめてむずかしいわけでございまして、いろいろ申し上げておることも、そういった点の一端を御参考に申し上げておるということでございます。  しかし、更新制度を持たない外国に比べた場合に、やはり三年ごとの更新制度を持つわが国の交通事故率というのは、一般的に言って低いと申してよろしいのじゃないかと思います。したがいまして、一面、おっしゃいますように、それなら一年ごとにしたらいいじゃないかという議論もございます。しかし、それも、現実の各種の制度との整合性で考えますと、免許だけが突出して一年にしていいかという議論もまた逆にございます。そういったようないろいろな議論の兼ね合いの中で、現行の制度というものは、現在の交通安全対策の幾つかの大きな柱の中の一つの重要な柱であるというふうに組み合わせられているわけでございまして、そういったものが回り回って、十年間でピーク時の死亡事故の半減がもたらされたということも事実ではなかろうかと思うのでございます。  そういった見地から、当面、更新の期間につきましては、そういった期間の持つ国民負担の軽減といったいろいろなチャージを減少していきながら、基本的な線では、この制度の持つチェック機能を残すのが妥当ではあるまいかということで、各方面に申し上げておるという状況でございます。
  39. 永井孝信

    永井委員 限られた時間ですので、もうちょっと免許証のことを深く掘り下げてやってみたいのですが、これはちょっと後におきまして、公安委員長が退席されるそうでありますので、その前にぜひ触れておきたい問題が一つあります。  それは、この交通委員会で、前の国会でも私が取り上げた問題でありますが、一つ交通事故の大きな原因に過積載の問題があるんですね。これは古くて新しい問題かもしれませんけれども、たとえば過積を摘発する、これは警察の仕事ですね。これは運輸大臣も聞いていてほしいのでありますが、この過積の問題で常に摘発されるのは運転者であり、運送業者であるわけですね。これは何とかの上のハエを追うのと一緒なんですよ。このことをこの前かなりの時間をかけてこの委員会で取り上げたのでありますが、たとえば、もう一回言いますと、認可運賃というのがある、この認可運賃は運輸大臣が認可をするわけでありますが、荷主の側からすると、この認可運賃が本当は守られていない。企業の側からすると、お抱えの運送会社を持っている、そのお抱えの運送会社がまた下請の運送会社を持っている。一般の建設工事と一緒で、下請、孫請があるんですよ。その下請、孫請までいったときには、さらに運賃が安く抑えられているという問題、ここを正さないことには過積の問題は片づかないのです。ハエを追うと同じことなんです。その認可運賃は守られているのかということで、この委員会でも取り上げたと思うのであります。  なるほど運輸省は、認可運賃を守るということを何回も何回も繰り返して指導している、指導しているのだけれども、その指導は守られていない。片方で、警察の方はハエを追うような形になる。これは公安委員長公安委員長としては取り締まりの方なんだけれども運輸大臣そばにいらっしゃいますけれども、この認可運賃を守らせるようなことを公安委員会の方としても取り組めないかどうか。退席されるそうでありますから、その問題一点にしぼってちょっとお答えいただけませんか。長い答弁は要らぬですから。
  40. 世耕政隆

    ○世耕国務大臣 これはお互いに会社運転側との生活の問題が絡んでいるので、いろいろ御指摘になるような事情があるのだろうと私は想像できるのですが、これはわれわれの方でよく検討してみまして、もう一度また機会を見てお答えしたいと思います。
  41. 久本禮一

    久本政府委員 先生の御指摘は、過積みの問題の背後にある大きな問題点だという形で、ただ取り締まっただけではけりがつかないということは十分に承知をしております。したがって、関係省庁ともこの点についての協議の機会があるわけでございますが、私どもは担当は取り締まりでございますけれども、そういう取り締まりを通じてこの問題の根源対策を進めるに資するように、十分考えてまいりたいということでございます。
  42. 永井孝信

    永井委員 それから、時間がありませんので、免許証の問題でもう一点だけ触れておきます。  交通局の、おたくの出されておる資料から見てどうしても気になることがありますので、一点だけつけ加えて聞いておきますが、免許証の有効期間の延長はやるべきだと私は考えているのです。私はそういう立場をとっているわけです。だから申し虐げるのでありますが、延長できない理由の中に、簡単に言えば、たとえば悪質運転者が三年間逃走したら、更新手続のときつかまるから、三年以上は逃走できない。これを五年に延ばせば、五年間逃走期間を保証することになってしまうという意味の問題提起が一つあります。これをあえて反論すれば、その悪質違反者を三年間も逃走させている警察の態勢はどうなっているのかということが一つ出てまいります。  もう一つは、免許証を停止をされたとかあるいは免許証を持っていないとか、こういう無免許者の運転事故というのは非常に多いのですね。新聞で見る限りでは、酔っぱらいと無免許運転というのが一番多いのですよ。では、更新手続を三年間にしておくだけでそういうものが全部解消できるような状態に持っていけるのかというと、必ずしもそうではない。それは三年であろうと五年であろうと同じことではないかということが一つ言えます。  あるいは、住所などについて免許証に明示して、そうして変われば手続のときにそのことがチェックできる、だから警察がいろいろな問題で活動するときにそういうものが把握しやすいということも、この中で触れているわけです。しかし、警察は、現実に免許証が有効期間であっても住居が変われば直ちに手続を求めているではないですか。少なくとも一週間以内には手続をとりなさいという指導もされておって、住居変更の手続もするわけですね。  だから、この種のことがずっとその資料の中に書いてあるのですが、私はこのことだけからして延長をしてはならぬという理由にはならぬと思います。時間がありませんから、この問題について私としては延長すべきではないかという立場に立っておりますので、それを要望として申し上げておきますので、一言だけ答えてください。
  43. 久本禮一

    久本政府委員 先生のおっしゃる、私どものつくりました資料で申し上げておるいろいろなことは、それぞれ期間延長に際して生ずる問題の幾つかのことでございます。一つ一つは、おっしゃるようにそれで全部を尽くしておりませんし、また、悪質なものについてそれだけではおさまらないものがあるのも事実でございます。これはそういった理由の中の一つのあらわれだというふうに御承知いただきたいと思います。やはり全体的な、トータル的な、安全施策というのはトータル的なものでございますので、その中における三年更新の運転者に与える機能と役割りというものが結果的にいまの安全対策で大きな比重を占めているということによって、この制度を維持したいということでございます。
  44. 永井孝信

    永井委員 この問題はこれでおきますが、政府としても何々の審議会の答申というものは常に尊重するという立場でやってこられているわけですが、免許証の期間の延長問題については答申を具体化しようとされていないということでありますので、臨調の答申でそう言っているわけですから、もう少し具体化できるような方向で検討してもらいたいということを要望しておきます。  次に、これは運輸省国鉄当局に対してお聞きをしてみたいと思うのであります。  初めに、いまも北川先生から問題が提起されておりましたけれども、最近国鉄をめぐる批判が非常に厳しい。そのぐらい厳しくなくては国民の負託にこたえられぬのは当然でありますが、国鉄に対して経営状態から言えば破産だ、そういう状況にあるということが言われて、私の記憶ではもう十年を超えているわけです。四十万人もいる国鉄職員の中に確かに悪いやつもいる。しかし、これだけ毎日批判されると、人情として、国鉄職員の士気が低下することは当然ではないかという気が私はするのです。だから、信賞必罰ということがありますから、悪いのはどんどんたたく、そのかわりによい者は褒めていくという、信賞必罰の態度でもって国鉄指導してもらいたい。このことについて初めに大臣に所見を伺いたいと思います。
  45. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 委員の仰せられるとおりであると思います。遺憾ながら最近はほとんど余り褒められたことがないので、四十万の国鉄皆さんも大変苦悩に満ちておるのではないかと思いますが、こうした中でも非常にまじめに勤務をしていらっしゃる方もおるし、またその半面に、それは同時に少なくとも、嫌な事故は別としまして、一般の列車の運行はスムーズにいっていることも事実でございます。私らは決していま悪い面だけをことさらに取り上げて申しているわけではないのでございますが、しかし余りにもどうもひどいという面もあるのであります。おっしゃったとおり、一生懸命勤務している方に対しては、これは当然のこととして十分な評価をしていきたいというふうに思います。
  46. 永井孝信

    永井委員 この問題はこれ以上触れませんけれどもあと国鉄関係について運輸行政という立場からぜひお聞きしておきたいことがあります。  実はこの間、この委員会から私たち東京湾の港湾調査に参りました。そのとき現地で指摘をされたりいろいろ言われていることは、目覚ましい発展を遂げている港湾施設、その港湾の荷役量もぐんとふえてきている。このことに対して、きょうは建設省は参っておりませんけれども、簡単に言えば道路が追っつかない。だから東京湾で言えば、湾岸道路や高速道路とのつなぎの専用道路をぜひ一日も早くつくってほしいという、強い地元からの陳情も受けたのです。そのときにもらってきた図面がここにあるわけです。ちょっと遠いからわかりにくいかと思いますけれども、横浜港、川崎港をまたいでベイブリッジという橋をつくって、この湾岸道路をつなげよう、そして上の既存の高速道路には市道を埠頭専用道路にして貨物の輸送を進めたい。  その主たる理由か、荷物を運ぶのに行き詰まってしまって、ふん詰まりになってどうにもならぬということがまず一つであります。  もう一つは、横港市における交通事故者数を見ても、死亡者数がきわめて多い。死亡率が高い。年々ふえてきている。そして道路の整備状況を見ますと、たとえば一般道路で整備率は約三九・一%、主要地方道では三〇・五%、市道では三九・二%、県道では四五・五%というふうにずっと資料が出ているのですが、この整備率というのは、原則として車のすれ違いができて渋滞、混雑のない区間の割合を言うそうでありますので、舗装してあるとかしてないかという問題ではないと思うのです。しかし横浜ではそういう状態になっている。だから何とかすべきだという地元からの強い意向がありました。  そこで、私はちょっと考えてみるのに、あの港湾施設を、特にコンテナ基地なんかは横浜だけじゃなくて、神戸にもありますし、大阪にもありますし、あちらこちらにどんどんつくっているのですが、これは国の大きな一つの政策として進めているわけですね。ところが、その横浜港に例をとってみますと、横浜港における取扱貨物量というのは、五十四年度が一億二千四百万トン、そのうちコンテナ貨物が七百六十五万トン、これが五十五年には、貨物の総量が一億二千七百万トンとふえてきて、コンテナも九百六十万トンになっているわけですね。ところがこのコンテナを運ぶのは、実はほとんど自動車なんです。しかも四十トンを超える大型車なんですよ。四十トンを超える大型車、これが横浜市内を走ることになって、交通事故もふえる、地域に公害をまき散らす、道路を傷める率も多い、いろんなことで影響を与えてきているわけですね。これはほとんど自動車で送られているのですが、この貨物の輸送、流通関係を受け持つ運輸行政立場から見て、一体これをどう運輸大臣、お考えになりますか。冒頭にそのことをお聞かせいただきたいと思います。
  47. 石月昭二

    石月政府委員 お答え申し上げます。  国際海上コンテナの輸送は、いま先生が御指摘のように、ほとんど八〇%以上が自動車で行われております。残りが一部内航海運等を使っておりますが、鉄道の輸送はほとんどないというのが実情でございます。  私どももこの国際海上コンテナ、八×八×二〇の大型コンテナでございますが、それの流動を調べているわけでございますが、一般的に言いまして、このコンテナの行く先というのが大体後背地の都市である、輸送の距離というのがほぼ五十キロ以内というのは、私どもの言葉で非常に足が短こうございます。なおまた、ロットといたしまして非常にまとまったロットがないというようなことでございまして、どうも鉄道貨物その他にはなじまない、やはり面的輸送をやる最終の輸送機関である自動車で輸送するのに非常に適合した貨物である。  一方、御指摘のように都市交通の混雑緩和、交通事故の防止という観点から、こういう大型なトラックが都市内を走ることは非常に問題がございまして、その意味で大黒埠頭の周辺の道路整備というのがいま非常に問題になっているわけでございますが、この点につきましては、やはり道路の整備を完成いたしまして、できるだけ一般交通とこういう物流の専用の道路というものを区分していく、こういうような方向で解決せざるを得ないのではないかというぐあいに考えている次第でございます。
  48. 永井孝信

    永井委員 その陸揚げされた貨物が、足が短いとかいろんな問題はあると思うのですよ、あると思うのですけれども、港湾施設をつくるときに、もともと鉄道というものを考慮に入れなかったのかどうなのか。どこへ行っても私はそう思うのですけれども、そばまで駅があって、いま国鉄の貨物のシェアがどんどん落ち込んでいる。一体国鉄はどうしておるかという経営面でのおしかりを、政府からも国鉄当局は受けておるはずなんです。世間からも批判されているはずなんです。だから、聞くところによると貨物のヤードもどんどん減っている。近くは、さらにこの貨物のヤードを今年度中に減らす計画もあるというように聞いているのです。貨物のヤードはどんどん減らし、取扱場所が少なくなっている、だから荷物は自動車に持っていかざるを得ない、そういう状況が周囲からつくられて、全体の貨物が落ち込んでいくということもあるのです。ところが、そういう港湾施設をつくるときに、道路はなるほど建設省がつくるのか知らぬけれども、しかし貨物の流通という面から考えて、運輸行政として国鉄の問題をそこに意図的に考えていく余地がなかったのか。私は、そういう行政を続けていく限り、国鉄の貨物なんて減る一方だと思うのですよ。  だから私は、あえて運輸大臣に聞いているのでありますが、たとえば、この横浜のいまベイブリッジをつくるところの近くに高速道路へつなぐ大黒道路をつくってくれ、こういう要求が出てきている。この大黒道路をつくるのに国鉄の新興駅という貨物駅が邪魔になる、何とかならぬかという陳情を私は地元から受けた。目の前にある貨物の駅が邪魔になるから、何とかそれを、簡単な言葉で言えば、横へどけて道路をつくれという要望なんですよ。その要望する側が悪いとは言いませんよ。しかし、少なくとも、この運輸という行政をつかさどる立場からすると、その新興駅をむしろ、コンテナ基地のすぐ隣でありますし、揚がってくるのはコンテナばかりとは限ってないのですから、その駅を活用することを考えてみたらどうか。  ちなみに、このコンテナを扱っている横浜羽沢という駅がありますが、この横浜羽沢という駅は、横浜から陸揚げされるコンテナで言うと、九百六十万トン中わずか九万トンしかそこへ持ち込まれていない。しかもこれは、かなり駅から離れているところに持ち込むようになっているわけですね。すぐそばにある高島という駅は最近はコンテナの取り扱いをやめてしまっている。そうして一般の貨物で言っても、この横浜羽沢では一億二千七百万トンのうちわずか十一万トンしか貨物が運ばれていない。もっと有効に行財政改革を進めるのなら、既設の施設をもっと有効に使うという視点が運輸省にも国鉄当局にもあっていいのではないか。  まず一つは、運輸省がそういう港湾施設をつくるときに、国鉄という問題をどういうふうに見つめて扱ってきたのか。国鉄当局からすればこの種の問題は指をくわえてただ見ているだけか。駅員に貨物のセールスをしてこいと言ったって、なかなかそんなことは思うようにいかないのはわかっているのだから、もっと具体的に、貨物を輸送できるような立場に立った営業施策を国鉄当局はとれなかったのかどうなのか。私は港湾を調査しておりましてつくづくそう感じました。なるほど港湾施設はりっぱになっているけれども、それに付随して道路ができて、自動車でもって道路を利用して運んでいく、それはいいんだが、このことは交通事故と密接不可分の関係にある、大型車ですからね。四十トンを超える大型車が多いんですから。そういう状況にあって、片っ方では国鉄が、そばに線路が来ておっても、それは一顧だにもされないということでは、流通を預かる運輸行政として私はきわめて問題があるんではないかという気がいたしますので、大臣国鉄当局の両方から答えてください。まず大臣から答えてください。
  49. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 ただいまの具体的な御提案でございますので、よく検討してみたいと思います。ただ、国鉄から荷物がどんどん逃げてしまうという実態が、単なる設備上だけの問題なのかあるいはもうお客の方でごめんだというのか、その辺のところが大変むずかしいところじゃないかと思いますが、おっしゃるように、ある施設を有効に使うということは当然のことでございまして、これは国の経営も民間の企業も同じではないかと思います。御指摘ございましたが、よくわれわれとしても検討してみたいというふうに思います。
  50. 石月昭二

    石月政府委員 御指摘のとおりでございまして、コンテナターミナルの後ろの方に、鉄道のターミナルなりトラックのターミナルというものを近接してつくれば、物流の効率というのが上がるわけでございます。私どもそういうターミナルを複合ターミナルと称しまして、従来から一貫して、そういう複合ターミナルが活用できるところにはその推進を図ってきたわけでございます。現実にも、たとえば東京貨物ターミナルの前は大井の埠頭でございますし、そういう形で、国鉄の方でも、投資に当たりましては海陸一貫性というようなものを考えてやってきたことは事実でございます。  しかしながら、先ほど申し上げましたように、荷物の性格、荷主の選択というものがどうも鉄道輸送になじまない。まずそのバン詰めをするために、コンテナの中に詰めるための輸送というものは、鉄道でやられるケースもございましょうし、トラックでやられるケースもございましょうが、現実にコンテナに詰めてからの動きは非常に短いというのが事実でございます。また、先生ごらんになって御承知だと思いますけれども、非常に大きなガントリークレーンが要るというような形で、海上コンテナを積みかえるということについては膨大なスペースと膨大な設備投資が必要でございます。そういう観点から、国鉄としても、この辺の市場開発というのは余り採算的に見て望ましくないということで考えられたのではないかと私は推測しております。  後ほど貨物局長から恐らく答えていただけるかと思いますが、ただ一般論といたしまして、鉄道というものは大量高速の輸送機関でございますので、そういう輸送量のあるところでは非常に効率的な輸送でございますので、将来とも、省資源・低公害という観点からは、そういう鉄道を核とした協同一貫輸送というようなものを推進していかなければならない。そのためにはやはり、先生指摘の複合ターミナルというような問題も考えていかなければなりませんし、鉄道利用のコンテナを荷主が皆さん持つような、私有コンテナ制度というようなものについても知恵を出していかなければいかぬ。さらには、国鉄サイドでも、自動車に対応できるようないい時間帯で、荷主のニーズに対応するようなサービスができるような作業体制というようなものがやられなければならぬ。その辺、私どもも、御指摘の線に沿って、現在もやってまいりましたけれども、これからもますます勉強してまいりたいというところでございます。
  51. 大森義弘

    ○大森説明員 先生指摘の点でございますが、国鉄のコンテナ輸送も、実は海上コンテナにつきましては昭和四十三年ごろから取り扱いを始めておりまして、その後非常に扱い量がふえてまいりまして、昭和四十六年度には、取扱数量が約二十九万トンに達しております。当時はまだ本牧とそれから神戸の摩耶埠頭でございますか、この二カ所程度で扱っておったわけでございますので、内陸の輸送というのがかなりあったということで、鉄道輸送もかなり活発に使われておったわけでございますけれども、その後、港湾整備が進みまして、近距離の貨物はそれぞれその一番近い港湾に荷揚げされる、こういうことになりましたために、内陸の高速輸送というものが非常に少なくなってまいりまして、その後徐々に減り始めまして、最近に至りましては、これは五十五年度の数字でございますけれども、もう三千トンぐらいしか扱っていないということで、本当に微々たるものでありまして、現在扱っておりますものは、新潟から洋食器を東京まで運んでまいりましてそこから輸出に充てる、あるいは長崎の方から神戸港へ列車で運んでくる、こういうものが一部残っているだけでございまして、ほとんど鉄道からは輸送が減ってしまったということでございますが、この原因は、先ほど申しましたように、それぞれ港が整備されて、そこからの輸送は三十キロもしくは五十キロ圏内のところに大半が運送されるということでございますので、言ってみればトラックの適正距離でございまして、鉄道としては向かないという輸送になってしまったのではないかというふうに私どもも考えております。  ただ、どんどんヤードをつぶしたりあるいは貨物扱いをやめたからそうなったのではないかというお話でございますけれども、むしろ、鉄道の貨物輸送の特性に合った輸送というのは、何といいましても、陸上輸送では、一人の運転士で数百トンを牽引できるというのはトラックにない特性であります。これにはある程度まとまった荷物というものが必要でありますので、そういう面については、国民経済的にもまだまだお役に立ち得る輸送機関であるというふうに考えておりますので、今後とも、できるだけ大量定型的な輸送にシフトしてまいりまして、できるだけ省エネルギーあるいは低公害という面での貢献をしてまいりたいというふうに考えておりますし、また、先ほどお話のございましたトラックとの協同一貫輸送というものも大いに進めてまいりまして、できるだけ荷主のニーズに合った輸送体系に変えていきたい、このように考えております。
  52. 永井孝信

    永井委員 トラックの運ぶ適正範囲が多くなってきたというお話でありますが、しかし、それだけで国鉄当局が貨物の落ち込みを是認するという姿勢であっては困ると思うのですよ。これだけ国鉄が財政問題を言われておるときだから、どうやってもその荷主をわが方に確保するというぐらいの、むしろ運輸大臣からおしかりを受けるぐらい積極的な姿勢をもって、この貨物を運ぶために荷主を確保するという努力は私はぜひしてもらいたいと思います。また、そうでなくては国鉄の財政再建はできない、こう思いますので、それは強く求めておきます。  それで、いま大臣もお聞きのように、港湾設備ができ、道路がよくできて、結果的に国鉄にどんどんしわ寄せが来たという形になっているのですが、これは旅客だって一緒なんですよね。ローカル線、ローカル線と言われても、ローカル線のすぐそばには必ずりっぱな道路ができるのだから、乗ってくれるなよということを、片一方で建設省が同じ内閣でやっているようなものですよ。これは建設省、これは運輸省というふうに、縦割りの行政の最もいけないところの一つの例が出てきておると思うのですね。だから、道路はつくるなとは言いませんけれども、道路をつくることによって国鉄のシェアが旅容、貨物とも落ち込んでいくという、ここのところはやはり政策上の問題ですから、これは総合交通政策というものがまだ確立されていないところに問題があるということをひとつ指摘しておかなければいけません。  もう一つは、大臣、たとえばいまトラックの輸送の適正範囲という言葉が出ましたけれども、それでは、鉄道の特性を生かした適正な輸送体系ができているのか。決してそうなっていないわけでしょう。鹿児島の端から北海道の端まで長距離トラックが走っているんですよ。高速道路網までどんどんつくって、長距離で輸送ができるようなことを片方では政策として進めているんですよ、大臣。道路をつくることはいけないとは言いません。しかし、全国ネットワークを持つそういう貨物の大量輸送を全国に向けて行っている輸送会社も、輸送業者も、認可するのは運輸大臣なんです。この矛盾は一体どうなんですか。片方で、国鉄もっとしっかりせいと言って、高速道路はどんどんつくって、全国ネットワークを持つ大運送業者をどんどん認可していく、地域におけるトラックの特性を生かした輸送範囲をはるかに超えるところまでどんどんやっているんだから、これは一体運輸大臣としてこの交通政策をどうお考えになりますか。あと時間がありませんので、別の質問もありますので、この問題に限りますけれども、ひとつお答えいただけませんか。
  53. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 国鉄の現状の改善のために、貨物についてきわめて重点的にいま合理化なり能率化を進めなくちゃならぬというような結論にだんだん近づいておるのは御承知のとおりでございますが、一方、現在の日本の経済運営の全体の姿勢の中で、国鉄に輸送力を頼るという面がだんだん国民のニーズになくなっているというのも、これまた一つの現実ではないかと思うのです。  いまおっしゃるように、地方路線のそばにりっぱなハイウェーができていくというようなこと、これはやはり国内の一つの社会的な、構造的な、あるいは国民のニーズの大きな変化の反映であると私は思うのでございまして、こういうような問題に対して、先ほど委員がいみじくもおっしゃいました、腕ずくでも何でもいいから荷物をとれというようなそういう気持ちがないと、これはもう過去十年間にわたって国鉄が全く、いわゆる輸送革命と申しますか、一種のモータリゼーションの社会の中で埋没して、対応力を失ってしまったというような結果が現在の問題でございまして、いま私らは、ここで、きわめて政策の整合性がないという御指摘を受けておりまして、また先般来の予算委員会においても、総合交通政策の確立がないからこんな状態になったんだといって、委員各位からいろいろと御意見を承っておるところでありますが、私らといたしましても、決して総合交通政策というものの対策を考えておらないわけじゃないのであります。しかし、役に立たなくなってしまったものをどう生かすかというような問題にいまやなってしまっている。しかし重要性のある、きわめて重要な御提言であることは毎回御答弁申し上げているところでございますので、今後よく検討してまいります。  ただ、それだけで国鉄自体が二兆円もの毎年の赤字を解消し得るというものにはなかなかならぬというところにまた、やはり委員も十分お考えの上での御発言と思うのでございますが、こうした問題には、いろいろな立場からも十分な議論を尽くしながら、再建問題を議論していかなければならないというふうに思っております。いろいろと具体的に、たとえばコンテナのいまの基地のお話などを承りまして、そうしたものをむだにしておるのはいかにも惜しいなという気もしていることは事実でございます。
  54. 永井孝信

    永井委員 いま大臣の御答弁にもありましたように、むだをなくすることを含めて、やはり総合交通政策ですね、地域の総合交通政策も要るし、全体的な総合交通政策も要るという立場で、貨物の輸送についても、自動車と鉄道という関係について、いま言われたように、もう一回検討を加えていただきたいということを強く御要望申し上げておきます。  そこで、時間がだんだんなくなってしまいましたので、あと別の問題をお聞きするわけでありますが、実はいま運輸委員会の方で、道路運送車両法の一部改正案が審議をされております。聞くところによりますと、きょう採決があるとかなんとかということも言われているわけでありますが、この運送車両法の一部改正案が出される前に、一月二十八日ですか、答申が出されましたものを受けて、関係当局で立案をされたと思うのであります。その中で、聞くところによると、全会一致でいわゆる車検問題の答申がまとまったと言われておるのです。全会一致でまとまったと言われておるのでありますが、この審議委員の中に元運輸省の高官もいらっしゃるわけです。道路運送車両法の改正に伴って、直接利害関係を持つ業者の代表として入っておられるわけです。簡単に言えば、全会一致で決まったのだから、その決まった方向で進むのが当然でありますが、しかし、車検がたとえ新車にせよ延長されることによって整備業界が影響を受けるということから、その人がかなりそのための政治的な運動も行われたというふうに私たちは聞いているわけであります。大臣、審議委員に入っている人はそれぞれの立場で選ばれておるのでありましょうけれども、その審議委員の人が、審議会の答申が出た後で、今度は自分の利害関係に基づいて仮にもそういう動きがあるということは、私は好ましいことではないのではないかと思うのですが、これは一言で言ってどうでございましょう。
  55. 飯島篤

    ○飯島政府委員 運輸技術審議会の答申は、先生のおっしゃるとおり、それまでの間相当激しい討議が行われましたが、最終的には、ニュアンスの差はありましても、全会一致で取りまとめられたものでございます。  いま御指摘の方は、恐らく日整連の専務理事のお話かと思います。この方は、実はこの団体の利益代表として特別委員に入っておるのではなくて、従来から自動車部会の特別委員になっておった方でございます。要するに学識経験者、専門家の一人として自動車部会に従来から参加していただいておったということでございます。ただ、それぞれの委員はまた団体の組織にも属しておるのでございまして、審議会の委員という立場を離れていろいろ行動され、またおっしゃることはやむを得ないのではないかというふうに考えております。
  56. 永井孝信

    永井委員 ちまたにはいろいろな雑誌がはんらんしておりまして、必ずしもその雑誌の書かれておることを私は頭から信用するつもりはありません。信用するつもりはありませんけれども、こんなにでっかく「車検問題」だって言って、具体的には名前まで出まして週刊誌に書かれておるのです。そして、いま一番悪評高い臨調からも注文をつけられている六カ月点検の十万円の罰金制度についても、かなりこの中でいろいろなことを書いておるわけです。私は、書かれていることが全部本当だとは言いませんけれども、少なくともそういうふうに疑われるような動きがあったことだけは事実だ。私は、これはきわめて大きな問題だと思うのです。だから、そういうことの疑惑を持たれないような態度でちゃんと対応してもらわなければいかぬし、それだけに、いま出ているこの六カ月点検の問題というのは、私は将来ずっと根が深く残っていくと思うのです。  たまたま当委員会から運輸委員会に対して連合審査を申し込んだのですが、運輸委員会の方で受け入れてもらえなかったので、十分にこの問題を質問する時間もありませんでしたけれども、これはもっともっと慎重に扱ってもらいませんと、何のことはない、ユーザーの負担軽減が結果的に負担をふやすことになってしまいかねないというふうに考えます。理由的にはいろいろありますよ。六カ月点検を怠ったために事故が一体幾らあったのか。恐らくそのことだけで事故がどんどんふえていったというケースはないと思うのです。だからといって六カ月点検をおろそかにせよというわけではありませんけれども、罰金まで設けて強制力をつけるのは好ましい方向ではないということを、時間がありませんので私の一方的なおしゃべりになりますけれども、まず申し上げておきます。  もう一つは、昨年の十月二十日に同じ運技審から中間答申が出されまして、点検でかつての医療機関のように乱診乱療と同じようなことが整備会社にもあるのではないかというふうにずいぶん指摘されまして、当委員会でも問題になったことがありました。だから、整備をした場合に、整備保証制度をつくるべきではないかということが去年の十月に答申されているのです。車検の問題は直ちに一月の答申を受けていま法律案が審議されておるわけでありますが、その中にもこの整備保証の問題は一切触れられていない、検討が煮詰まっていないようでありますね。一般の家庭でも品物を買えば一年なり二年なり保証期間があるように、自動車にだって、車検を受けたり点検を受けたら、その一定期間というものは保証制度があってしかるべきだと私も考えるのです。そのためにはいろいろな問題があるでしょう。たとえばメーカーから協力を求める、品質の問題、部品の問題、技術の問題というものもあるでしょう。あるいは整備事業者が総体的にレベルを上げて同じような水準でないと、同じところだけに頼らざるを得なくなる。同じところに頼っていると、そこの技術が悪ければまともなものができないということになってくるのです。そういう問題もありますが、時間がなくなってしまいましたので、この整備保証制度を一体どう考えようとするのか。中間答申が出されているわけでありますけれども、通産省もお見えになっておると思うのでありますが、通産省はこれに対して、メーカー側に協力問題についてどのような行政指導を行っていらっしゃるのか、この関係についてお答えをいただきたいと思います。
  57. 飯島篤

    ○飯島政府委員 先生指摘のとおり、運輸技術審議会の中間答申で、整備保証制度の導入を早急に図るべきであるという御指摘があったわけでございます。私どもとしては、関係業界に早急に、本件について前向きに検討するように指示をいたしたところでございます。  ただ、実際に保証範囲をどうするか、保証期間をどうするか、それから遠隔地で問題が起きたときにどう対応するか、あるいは整備をした個所がふぐあいになったために事故が起きて賠償問題が起きた場合どういうふうにするか、また仕組みとして共済制度でいくか保険とのリンクを考えるか等、なかなかむずかしい問題がございます。  日整連の方は、そのための委員会をつくっていま一生懸命努力をいたしておるところでございます。ただ、個々の事業者によってはディーラー等で個別にある程度の整備保証をいたしておる向きもございますが、団体としてはできるだけ全国レベルのものにしたいということで、いま鋭意研究をしているところでございます。また、お話のありましたメーカーの部品の供給、技術協力についても当然協力が必要であるというふうに考えておりますし、技術水準のレベルを一定にするという問題も大事な問題であるということで、これまた構造改善事業で研修センター等もつくったりいたしておりますが、そのほか、あらゆる手段を講じて研修体制の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
  58. 西中真二郎

    西中説明員 通産省でございますが、ただいまの御指摘の点でございますけれども、メーカーといたしましては、サービス供給体制ということも販売政策上非常に重点項目の一つでございますので、現在も、整備業者あるいはディーラー等に対するそういった技術指導というふうなこともいろいろやっておろうかと思うわけでございますが、なお運輸省の方からいろいろ御相談等ございますれば、私どもとしましてもよくその御趣旨を承りまして、前向きに取り組んでまいりたい、かように考えております。
  59. 永井孝信

    永井委員 時間がなくなりましたが、最後に一言だけであります。  いま整備工場で車を整備した場合、これは認証工場ですが、認証工場で点検整備を受けた車が、国の車検場で毎年一三%もはねられておるのです。年間百万台だと言われているのですよ。実際は点検整備工場はそれほどお寒い状況なんですね。そのお寒い状況を放置したままで、六カ月点検を受けなかったら十万円の罰金だというやり方は、どうも本末転倒ではないかという気がいたします。したがって強くこの問題については考え直してもらいたいということを、ここで私の意思として申し上げて、そして、まず整備工場の技術レベルアップを図る、このことが交通の安全に直結しているとするならば、整備保証問題も含めて早急に検討してもらいたいということを最後に申し上げて、残念でありますが、時間がありませんので、そのことだけ答弁を聞いて、終わりたいと思います。
  60. 飯島篤

    ○飯島政府委員 整備保証制度の充実あるいは研修体制の整備という問題については、先生の御指摘のとおり今後強く指導してまいりたいと考えております。
  61. 永井孝信

    永井委員 どうもありがとうございました。
  62. 西中清

    西中委員長 次に、斎藤実君。
  63. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 最初に、運輸大臣にお尋ねをいたします。  運輸省が今回、運輸技術審議会あるいは臨調の答申に沿いまして、道路運送車両法の改正案を提出をいたしました。臨調、運輸技術審議会の検査整備制度のあり方の検討に当たっての基本姿勢は、国民負担の軽減と自動車の保守管理責任の主体はユーザーだということであったと私は思うのですね。この改正案はその答申の趣旨が反映してないと私は思うのですが、大臣、御見解を承りたいと思います。
  64. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 今回の法改正に対して、臨調からきわめて不満であるという意思表示があったことは聞いておるわけでございますが、この法案をつくるまでの間、十分な連絡を相互に事務的な面で取り合ったことも事実でございます。  それからもう一つは、検査制度そのものにつきまして、車検の延長ということはユーザーにとって大変結構なことでございますけれども運輸省としましては、これはきわめて技術的な問題であるので、技術審議会にこの車検の延長ということを図ったわけでございます。特に一番のテーマは安全の基準を守るということ、それからまた、もう一つは現行の公害対策に対して十分対応できるということ、この二点が議論の集中されたところでございまして、この二つの問題、そしてまた、それを遂行していくのがユーザーの責任というふうな結論になったのが大体の筋道だと私は理解しておるわけでございます。     〔委員長退席、三枝委員長代理着席〕
  65. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣、私が特に御指摘を申し上げたいことは過料制度の導入でございます。答申の趣旨に逆行するという形になっているわけでございまして、なぜ運輸省が、現行法にも規定はなくて答申にも盛られていない罰則を設定したのか、非常に私は理解に苦しんでいるわけでございます。たとえば、先ほど永井議員も触れられましたが、罰則を新設するといたしましても、国民に義務違反としての罰を科する場合には、審議会の諮問、公聴会の開催等によって広く国民の意見を聴取した後に行うということが私は民主国家としての手続ではないかと思うのですが、大臣、いかがですか。
  66. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 先般来の運輸委員会におきましても、もっぱらその問題でございました。しかし、われわれの方で過料というものを考えましたのは、第一義的に、やはり車の点検整備そのものはユーザーの責任だということであります。そしてまた、ユーザーの責任において点検整備が十分行われるということは、もちろん車の故障によって起こる事故ということよりももっと広く、公害対策であると私は考えておるのでありまして、そうしたようなことをユーザー自身がやってもらうという必要が大いにある。また現実に、今日まで点検整備を自主的にやっている人は全体の六割程度しかなくて、四割程度の方々は実際のいわゆる車検と称するところまではほとんど何もしてないというのが実態のようであります。そのようなことであっては、せっかくの今回の改正によっても、ユーザーには大変ぐあいがいいのかもしれないが、ユーザーだけがよくては困るのであって、やはり運輸行政といたしましては、これによって引き起こされる社会的な公害というものがかえって増大するようなことがあってはならないしというような配慮があって、自分点検自分でやるかあるいは整備会社を使うか、いずれにしましても点検をぜひ励行してほしい、これが一貫した思想でございます。  こうしたようなことでございまして、先般来わが方の御答弁をここで簡単にかいつまんで申し上げますと、路上であるいは運行中の車をチェックする人間の数なんというものは御承知のように知れた数でございまして、でありますから、このことによって運悪く整備記録簿というものに検査がやってなかった、記録漏れの人が、本当にごくわずかの人がそれに注意を受けることにはなるだろうと思うのでありますが、注意を受けた人がすぐここで十万円取られるというものではないのでありまして、その注意を受けた人が十五日以内に、その点を十分整備をしたという証明を持ってそれを陸運局に届けていただければ、それでいいのであります。それと同時に、過料制度というものは一種の秩序罰でございますから、秩序を維持するという意味でございますから、これは必ずしも十五日以内に届けなかったから、すべてすぐやるというものではもちろんございません。何回もそれに対して、あともっとおやりくださいとか、早くこちらにも通知を出してくださいとかいうことを、相当小まめに陸運局はやるはずであります。そんなようなことでございます。  それからもう一つは、秩序罰であって、言うなれば、転居届とかあるいは婚姻届とか出生届と同じようなものでございまして、あれにもやはり過料というのはついております。ただ、三万円程度であると思うのでありますが、こっちは十万円だ、十万円だから過料はけしからぬというのでは困るのでありまして、この十万円というのは、今度法務省が一律に過料は十万円にしよう、こういうことであったので、政府サイドとしてはそれに従わざるを得ないというわけでございます。でありますから、金額は十万円というと大変大きいというふうな印象を皆さん持たれて、けしからぬというふうに言われておるのでありますけれども、何も摘発されて指摘されたらすぐ払うのだというものじゃないということでございまして、問題は、やはり秩序を維持するためになるべく多くの方が点検整備をしてほしいというために、このような一つの歯どめをつけたというふうに御理解いただきたい、このことを運輸委員会ではるる御答弁申し上げておりますので、大変長くなって恐縮でございますが、先生の御質問に対してそのようにお答えをして、御理解を賜りたいというふうに思います。
  67. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣、秩序罰だということでございますが、やはり法律事項ですから、これは厳しくやられたらこれまたえらい国民の負担になるわけでございますので、私は違った立場で、大臣と考えを異にするものでございますから、これはこれで終わらしていただきたいと思うのです。  次に、最近交通事故が減るどころかだんだんふえてまいりまして、非常に大きな問題になっているわけでございますが、本年三月末までの交通事故による死者数は、警察庁の統計によりますと一千九百五十四名で、対前年比で百七十一名がふえているわけでございます。いろいろ原因はあると思いますが、ふえているという現実にわれわれはきわめて重大な関心を寄せざるを得ません。  事故防止対策の一環として、自動車事故対策センターが実施をしております運転者に対する適性診断というものが行われているわけでございます。この適性診断の実施状況を見てみますと、職業運転者を対象とした実態がここにあります。全ドライバーに対する職業運転者の占める割合はきわめて低いですね。全ドライバー四千五百万人のうち職業ドライバーが百十万人、この現状認識に立てば、職業運転対策よりもむしろ自家用運転者に対する適性診断の窓口を積極的に拡大すべきではないか。また、白ナンバーの適性診断実施のための施策をどのように考えておられるのか。まず伺いたいと思います。
  68. 宇野則義

    ○宇野政府委員 お答えいたします。  先生承知のように、自動車事故対策センターで運転者の適性診断を実施しておるわけでございますが、現在行っております適性診断は事業用自動車運転者を中心にして実施をいたしておるわけでございます。     〔三枝委員長代理退席、委員長着席〕  その一つの目的は、事業用自動車が他人の貴重な生命、財産を輸送するものである、したがって事故の及ぼす影響がきわめて大きい、しかも質的にも量的にも運行形態が複雑多岐でありまして、交通事故が発生するリスクも大きいということを考慮して、事業用自動車運転者を中心に実施いたしておるわけでございます。昨年の本委員会でも、マイカー、自家用自動車運転者に対してもこの適性診断の枠を広げるべきではないかという御指摘をいただいておりますが、私どもの方でも、できる限り、希望があれば自家用自動車運転者をも対象として適性診断を実施してまいりたいと考えております。  ちなみに実績的な数字を申し上げますと、五十五年度には自家用自動車運転者の適性診断の実施実績が九千三百四十三人ということになっております。これは五十一年当時は七千人程度であったわけですが、逐年ふえてきておりまして、今後ともそういうことも考慮いたしながら、事故対策センターの仕事の案分といいますか、そういうことも考慮しながら、自家用自動車についてもできる限りの、希望によりましてそれに対応してまいりたいと考えております。
  69. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 交通事故原因はいろいろあると思うのですが、わき見運転それから前方不注意、こういうものが非常に高い率を占めているわけでございまして、ドライバーの教育がいかに大事か、これはやはり交通事故対策の柱にしなければならないと私は思うのです。  それで、適性診断を受けた後と前と、これは事故対策センターの資料でございますが、バスに例をとってみますと、適性検査の前は百五十件、それが適性検査を受けた後は四十二件に減って、百八件減っているわけです。それからハイヤー、タクシー、これが受診前は六十二件、それが適性診断を受けた後は三十五件に減って二十七件の減、トラックは五十二件が適性検査後二十二件、三十件減っているというように、この適性診断の効果がここにはっきりあらわれているわけです。  そこで、いま整備部長がおっしゃったように、自家用運転者に対して希望があれば窓口を広げるという御答弁でしたが、希望があればというのじゃなくて、運輸省として積極的に何らかの手を打つという施策が必要だろうと私は思うのです。こういうふうに、職業ドライバーでも受診前と受診後では大きく減ってきているわけです。これを全自家用自動車のドライバーに対して積極的に、希望があればというのじゃなくて、運輸省交通安全対策の基本としてひとつこれは積極的に取り組む必要があると私は思うのですが、いかがですか、大臣
  70. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 大変な成果が上がっていることを知ったわけでございます。ただ、これを全ドライバーに強制するとなりますと、ただいまも過料でこれだけいじめられておりますので、恐らく臨調は激怒をするのではないかと思うのでございまして、そうした面もございますので、御希望の方に対しては門戸を開放するということしかない。むしろこれは、ドライバー自身が自発的にそういうふうに動いていただくことが交通安全の面から見れば絶対大事なことである、そのような認識を持っておりますが、行政的にはいまのところが限度ではなかろうか、そのように思っております。
  71. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 私は、一遍に全ドライバーに受診をさせるということを言っているわけじゃなくて、また希望者があればというのじゃなくて、もうちょっとPRなり指導なり何らかの、まだまだ知らない方はたくさんいると思いますので、そういう意味でPRなり行政指導なりにもっと力を入れるべきではないかと思うのですが、どうでしょうか。
  72. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 まことに結構な御提案だと思いますが、いま申し上げたように、何かの強制力を持つということにつきまして、ぜひ当委員会においていろいろと御検討いただけば一われわれとしてはそれに従ってまいりたいというふうに思います。
  73. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 これは当委員会としても十分また論議いたしますけれども、これはひとつ運輸省としても前向きに取り組んでいただきたいということをまず申し上げておきたいと思います。  それから、自賠責保険の五十五年度決算で余剰金が一兆一千二百九十七億七千万円余っている。この余剰金はどういうふうに使うのか、伺いたいと思うのです。私はこの余剰金はユーザーに還元すべきだと考えるわけでございます。この点、いかがですか。
  74. 飯島篤

    ○飯島政府委員 いまおっしゃった数字は、自賠責再保険特別会計の昭和五十五年度の決算におきまして、保険勘定で約一兆一千三百億円の剰余金を生じているというお話でございます。先生よく御存じのとおり、この保険という特殊な分野の経理は、現金主義の歳出といいますか、歳入計算書にあらわすため、一見多額の利益が生じているというふうに見えるものでございまして、この剰余金の中には、すでに生じた事故にかかわります次年度以降の保険金支払いに充てるための支払備金、それから、二年もの以上の保険料収入のうち次年度以降の分として繰り越す必要のある未経過保険料等が含まれておるわけでございます。  五十五年度決算の保険勘定の損益計算の方で見ますと、保険勘定におきましては四百二十八億円の利益を計上はいたしておりますが、これは利子収入が六百七十四億円ございます。これを除外しますと、単年度収支で実質は二百四十五億円の赤字ということになるわけでございます。  それで、保険収支の状況なり運用益の累積について考える場合に、御案内のとおり国は六割再保険をいたしておるわけでございます。全体として民間の四割分、これは保険会社、農協とあるわけですが、その全体の収支がどうかということで考えざるを得ないわけでございますが、損保会社の運用益の累積はそれほど多くございません。農協に至ってはほとんどないという状況でございます。したがいまして、いま御指摘のように、この剰余金をもって保険金の限度額を引き上げたり、料率の引き下げに充てるというわけには、いまの全体の保険収支の状況ではまいらないというような状況でございます。  これまた御存じのとおり、四十五年以来保険料の引き上げを行わずに、これまでの間に、保険金の限度額につきまして、死亡については三回にわたって五百万円から二千万円に引き上げてきてまいったわけでございますし、支払い基準につきましては一、二年ごとに改定をし、最近では昨年五月に改定をいたしまして、自賠責保険の公正な支払いと、被害者の保護に欠けることのないよう措置してきているところでございます。  なお、いまお触れになりました限度額の引き上げ等の問題につきましては、損害賠償水準の推移、物価、賃金等経済社会情勢の動向、保険収支の状況というようなものを勘案しながら検討するという原則になっておりますけれども、先ほど申し上げたような保険収支の状況でございますので、慎重に今後検討してまいりたいということでございます。
  75. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 死亡限度額の引き上げについて御答弁がございましたが、五年たっておるわけですね。大分物価も上昇しておりますし、現在死亡二千万、傷害が百二十万ですか、それから大分たっておるわけですね。ですから、当委員会でもずいぶん論議がありましたが、そろそろこれは引き上げるべきではないかという声がありますので、十分ひとつ御検討いただきたいと思うのです。  次に、自賠責保険は創設後約二十五年を経過しております。特に代表的な問題は、自賠責保険審議会答申に盛り込まれましたメリット・デメリット制度の導入、ドライバー保険の創設、自損事故担保の可否、重複支払いの廃止等でありますが、どれも実行されていないわけでございます。この審議会答申をどのように考えておられるのか、伺いたい。  また、本院の昭和三十年あるいは四十五年の附帯決議をどういうふうに判断されるのか、伺いたいと思います。
  76. 飯島篤

    ○飯島政府委員 先生いま御指摘のとおり、自賠責審議会から四十四年、四十八年及び五十三年の過去三回にわたりまして、自賠責保険の制度改善の答申がございました。  他方、衆議院におきましては、昭和三十年の自賠法制定のとき及び四十五年の自賠法の一部改正の審議の過程で附帯決議が付されており、いろいろな提言がなされていることは存じております。  運輸省といたしましては、大蔵省等関係方面と協議を行いまして、できる限りその実現に努めたところでございます。  例を挙げさせていただきますと、交通医療体制の整備充実、休業補償費の限度額の設定、自家保障制度の廃止、商品自動車についての料率の設定、自賠責保険の適用除外範囲の縮小、交通事故防止対策等の推進、自賠責保険と任意保険の二重手続の簡素化、重度後遺障害者の救済等の措置を講じてきているところでございます。それ以外の項目につきましても、部分的にできる部分を実施したというものもございます。  ただ、いま御指摘のような問題というのは非常に困難な問題が多そうございます。たとえばドライバー保険という問題につきましては、運転者に対します責任を自賠法三条の責任にまで加重するということが前提になりませんと、被害者保護に欠けるわけでございます。また、被用者運転者等の場合には、独立の運行支配、運行利益の帰属がございません。賠償資力も乏しいという状況で、わが国の企業責任を重視した損害賠償法の体系にむしろ逆行するという等の問題がございます。非常にむずかしい問題でございますが、引き続き勉強をいたしてまいりたいと思います。  自損事故につきましては、加害者の賠償責任を担保するという自賠責制度の根幹に触れる問題でございまして、付保を法律で強制するまでの必要があるものかどうか疑問がある。  それから、デメリット制度につきましては、事故率から見まして、ほとんどの契約がメリット料率の適用対象になってしまうということで、むしろ一般料率化してしまうというような問題がある等々、むずかしい問題がございます。引き続き勉強させていただきたいと思います。
  77. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 仮に自賠責保険の限度額が引き上げられたとしても、これは基本補償であるわけでございますから、すべての被害者に十分な補償ができる制度ではないことは御承知のとおりですが、そのためには任意保険をすべての車の保有者に契約させる行政も配慮すべきではないかと思うのですね。任意保険の加入率の低いのは保険料が高いのではないかというふうに一般的に言われているわけでございます。対人保険八千万円のもので、自動車共済と比べて初年度で三万五千三百二十円、五年間で十四万一千二百八十円、任意保険の方が高くなっているわけであります。共済と損保は商品としては両者にその差がないというふうに言われているわけでございますが、保険審議会はその答申の中で、損保の保険料は引き下げられるべきであるというふうに言っておるわけですが、この点について運輸当局はどう対処するのか、具体的に伺いたいと思います。
  78. 猪瀬節雄

    ○猪瀬説明員 大蔵省の保険部長でございます。  被害者救済の観点から考えますと、任意の自動車保険の普及率が高まりますことはそれだけ賠償資力の向上につながるわけでございますから、この普及率をさらに向上させるべきであろうという先生の御指摘は、まことに私どもごもっともだと思うのでございます。私どももそういった観点から、保険会社あるいは損保協会というところを指導いたしまして、任意自動車保険の普及率の向上ということを指導しておるところでございますが、何分にも任意でございますから強制するというわけにはまいらないのでございまして、できるだけ、いつでもどこでも保険契約者が簡単に加入できるような代理店網を整備するとか、あるいは自賠責の契約をいただきます場合に、任意保険に加入しておられない方に対しましては強力に勧奨をいたしますとか、さらには商品面において魅力のあるような開発をするとか、そういった努力をいたしておるところでございます。そのほかにもいろいろキャンペーンを続けておるのでございますが、現在その成果が徐々に上がってまいっておりまして、たとえば昭和五十年度末で任意保険の普及率は四八%であったわけでございますが、現在と申しますか年度の終わりました五十五年度末でございますが、五八・一%と逐次普及率は向上を見ておるわけでございます。  ただ、先生指摘のように、共済に比較いたしますと任意保険がかなり割り高であるということは先生指摘のとおりでございます。ただこれには、共済が一つの危険集団という立場から見ますとリスクの安定している一つの集団を相手にしているということに対しまして、保険会社は、国民だれでもどんな危険のある人でも加入してくるということでございますので、いわゆる集団としての危険性が一つには違うわけでございます。また、組合活動の一環として募集を行っておられます共済とは募集のコストが大きく違っておるわけでございますし、そのほか、商品の開発あるいは一定の商品の品ぞろえといったことに伴う維持経費というものが相当に違ってまいります。そういったことから、一概に共済に比べて高いというふうに決めつけるわけにもまいらないのでございますが、ただ、私どもできるだけこの料率は引き下げるように、効率化行政が展開されてしかるべきであろうという気持ちでおります。これは審議会の答申にもおこたえするところでございますけれども、審議会の答申も、一挙に料率の自由化というところまでは無理かもしれない、しかし、商品開発あるいはその販売というようなところでのいろんな各社の経営努力が生かされるような行政を弾力的に展開いたしまして、そういった競争原理の働くような環境整備に努めるべきであろうというような御指摘を受けておるわけでございまして、私ども、こういった答申の趣旨に沿いながら、たとえばサラリーマンには特に安くなるような一つの商品価格ができるかどうか、こういったことに対しまして積極的に取り組みまして、またその間におきましても検証を厳格に行いまして、できるだけすぐ料率に反映させる。五十六年度で申しますと、昨年度は自動車保険につきまして対物で七・六%、車両で一六・三%、平均いたしまして四・五%という引き下げを行ったわけでございますので、今後とも、こういった検証を十分にしながら、こういう指導をしてまいりたいと思っておるところでございます。
  79. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 保険審議会の答申どおり、保険料の引き下げについては十分ひとつ努力をしていただきたいと申し述べておきます。  では、国家公安委員長が見えていますので、ちょっと三点ばかりお尋ねしたいと思うのですが、今回の公安委員長所信表明で、交通事故の発生件数は昭和五十三年以降増加を続けている、依然としてその減少の兆しがない、年間六十万人を超えるきわめて憂慮すべき状態にある、というふうに公安委員長は述べられておりますが、ことしも春の交通安全運動が、六日から始まって十五日まで、全国で一斉スタートしたわけですが、ことしはすでに愛知、東京、神奈川、千葉が交通事故の死者数が百人を突破している状況でございまして、本年一月から三月までの交通事故は発生件数が十万六千百六十件、死者数が千九百五十四人、前年度に比べて百七十一名増加をしております。また負傷者も十三万三千二百五十四人、こういう状況が続いてまいりますと、今後の死者数は減るどころか大幅に増加するだろうというふうにわれわれは考えているわけでございまして、この事態はまことに憂慮すべき事態だと思うのですが、この死者数あるいは負傷者数が増加をしておるという実態に対する公安委員長の所見をまず伺いたい。
  80. 世耕政隆

    ○世耕国務大臣 御指摘のように、昨年もそうですが、ことしに入りましてから急に死者数がかなりふえてきておりますので、非常に憂慮しておるところでございます。  われわれの方としては、やっと死者数が年間八千人台になりましたので、これを八千人以下に減らしていくことを当面の目標としてやっていこうというので、総合交通安全基本計画を一生懸命やっておりますのですが、それにもかかわらず、ことしに入ってから負傷者も死者もふえてきた、こういうことで、問題点をいろいろしぼってどういうわけかということを考えておるのですが、大まかなあれとしては、交通量がそれだけ激増しているということだろうと思うのでありますが、細部の点についてまだなかなかつかみ切れないでおるわけでございます。  それで、とにかくできるところから、仮に生活ゾーンの拡大整備、歩行者道路をもっとうんとふやすとか、安全道路を幅広くやるとか、ガードレールをつくるとか、警察だけではなくて、建設省とかあるいは運輸省とかいろいろなところと相談しながら、早急に一体どこに原因があるのか細かい原因を調べ上げて、もっと細かに対処していこうではないか、こういうことで、いま盛んに計画を練り上げているところでございます。
  81. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 交通事故発生の上で地域間の格差が非常に大きいのですね。人口十万人当たりの事故率を見ますと、全国平均七・四五人に対して最低は東京の二・九三人、最高は滋賀県の一二・九六人、四・二倍の開きがあるわけです。私の選挙区の北海道の場合は八・九八人、東京の三倍弱になります。平均より上回っておるわけでございまして、このように各県においてかなり格差が見られるわけでございますが、これをとりあえず是正することが当面の問題だろうと私は思います。  そのために、交通安全施設の整備、交通安全の基盤の整備が立ちおくれておるために事故率が高くなっておる、こういうふうに言わざるを得ないのですが、この見直しを図らなければ事故を抑制することができない。このままでいきますとまだまだ事故がふえるだろう。したがって、事故率の格差の解消についてどういうふうに取り組むのか、伺いたいと思うのです。
  82. 久本禮一

    久本政府委員 先生指摘のとおり、各県の交通死亡事故事故率についてはかなり格差があるのが現実でございます。御指摘のとおり、そういう点で最も事故率の低いのは東京でございまして、東京、大阪といった大都市がそういう実態になっておるわけでございますが、やはり一番大きなものは、先生指摘のとおり、長年積み上げてまいりました交通安全についての投資の額だろうというふうに考えます。これだけではございませんので、そのほかにもたとえば、救急関係の施設整備であるとかあるいは地方特有の安全意識の問題であるとかもかなり絡んでくるとは思いますが、大きな比重はやはり環境整備にあるということは御指摘のとおりだろうと思いますので、格差是正ということは今後の大きな課題でございますが、やはりその中で、特に事故率の高いところでは、こういう環境整備のために思い切って安全のための投資をしていくということが第一に必要であろうというふうに思うわけでございます。ただ、これを有効にするためには、これを包み込むところのいま申し上げましたような他の施策の関連が必要でございますので、その辺の見きわめをつけながら、そういう問題性の多い府県につきましては重点的に指導してまいるという考えでございます。
  83. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 特定交通安全事業の事業費の内訳を見ますと、一番死亡率の少ない東京は五十三億一千七百万円、五十六年度ですね。それから山梨が十九億七千百万円、滋賀県が十九億二千万円ですか、非常に事業費が低いのです。むしろ死亡率の高いところ、これに対して安全事業費というものを十分に配慮するという考えが私は必要だろうと思うのですが、いかがですか。
  84. 久本禮一

    久本政府委員 御指摘のとおりでございまして、毎年毎年の事業実施につきましては、そういった着意を持ちまして、特に施設整備のおくれておるものに重点を置いて配分をするという考えでございます。  先ほど申し上げましたのは、そういった単年度の処理とは別に、いままでの積み上げの結果が大きく物を言っているという点で申し上げましたので、なかなかそういう単年度の配分だけで一挙に逆転するということは困難でございますが、そういう着眼は十分に持っておるわけでございますので、御了解いただきたいと思います。
  85. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 次に、交通弱者に対する交通事故問題でございますが、歩行者と自転車乗車中を含めたいわゆる交通弱者、これは死亡数が非常に高いのです。五十六年度における歩行者の死者数が二千六百七十九人、自転車乗車中の死亡数は九百九十人、全死者数の四二・一%、非常に高い率がここにデータとしてあるわけですが、この高い死亡率は一体どこに原因があるのか。また、今後の取り組みについてお尋ねをしたいと思います。
  86. 久本禮一

    久本政府委員 なかなか一挙に申し上げることはむずかしゅうございますが、主なものとして幾つか私どもが感じておる点を申し上げますと、やはり第一には、わが国のモータリゼーションが非常に急速でございましたので、それまでの生活感覚と車が走り回るという感覚とが十分に整合しないというところで、きのうまで安全だった道がもうきょうから安全でないといったすれが、やはり特に弱者である歩行者に集中的に影響を及ぼしてくるということが大きかろうと思います。  また、それと並行いたしまして、わが国の狭い国土の中における土地利用の密度の濃さというようなものを原因にいたしまして、わが国の混合交通の形態というものはなかなかこういう日本の国土の中では問題性が多い。これはいい悪いというよりは、むしろそういうようなのが現実であろうというふうに思うわけでございまして、そういったようなことの中での各地域における地理的条件が絡み合って、特にわが国においては弱者の事故が高いということをつくり出しているのであろうというように考えるわけでございます。  したがいまして、それを正面から受けとめましてそういう事実を逐次除いていくよりほかはないわけでございまして、したがいまして、先ほど大臣が申しましたように、人々の生活しておる地域における安全対策、密度の高いところの安全対策を特に環境の面で整備していくという点が非常に重要であるということが言われるわけでございます。  その意味では、いわゆるスクールゾーン対策あるいは生活ゾーン対策、そういった、住んでいる人がその付近で安心して生活できるという状況をつくり出していくということに大きな重点を置いているわけでございまして、それを当面の対策として実施をいたしながら、それを包み込むところのわが国の国土全体のそういう安全な構造というものを、少しずつ長期的な目で変えていくということ以外に対策はなかろうというように思うわけでございまして、その辺の短期的、長期的な組み合わせをそれぞれ関係省庁との御相談の中で検討しながら効果的に進める、これがわが国におけるいわゆる弱者対策の根幹であろうというように考えているところでございます。
  87. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 交通事故対策について、これは何も警察だけの問題じゃありませんし、いろんな要素が絡み合っていまして、建設省も運輸省も十分関心をお持ちだろうと思うのですが、国家公安委員長、先ほども答弁がございましたように深刻にこれはわれわれ考えなければならぬ問題ですが、ひとつ各関係省庁と、このきわめて憂慮すべき事態というものを御認識いただいて、いままでとは違った角度からこの交通事故対策というものをお考えいただきたいということを申し上げるのですが、最後にお答えいただきたい。
  88. 世耕政隆

    ○世耕国務大臣 いろいろ御指摘いただきまして、大変ありがとうございました。  実は事故数が非常にことしに入ってふえてきたという通知を受けまして、非常に私も動揺し憂慮したわけでございますが、これは私どもの警察関係だけでは処理できない問題が非常に多うございますので、それでいろいろ細かく立ち返りまして聞きましたところが、仮に道路にガードレールを敷くとどうだ、ガードレールを敷いたところは確かに事故の数は極度に減ってくる、いろんな方法をとりますとそれに付随して必ず反応が出てきていい成績が出てくる、こういういろんな資料を見た上で答えが出てきましたので、これに力を得まして、やはりこれはわれわれの方が音頭をとりまして、それから運輸関係、それから建設関係、いろんな方に御協力を得るのには閣議で私が一度発言してお願いをしよう、それにはもうちょっと具体的な資料を集めて具体的な方法を練り上げたところで、そこで全般にお願いして御協力を得てこの交通の災害をなくしていこう、こういうことで協議した結果、結論が出ましたので、いま盛んに具体策をやっておるところでございますから、できるところからとにかく早急にやっていこう、こういうことでおりますので、御理解をいただきたいと思います。
  89. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 以上で終わります。
  90. 西中清

    西中委員長 次に、竹内猛君。
  91. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、トラックの過積の問題と、それから常磐線の複線に関する問題に関連をして地磁気観測所をめぐる諸問題、こういう点について御質問をしたいと思います。  まず、運輸省は、運輸大臣所信表明の中において、自動車の運送事業者に対する過積載及び過労運転の防止のために指導を徹底すると述べておられますが、トラックによるところの交通事故は、事業種類別の重大事故発生状況が、運輸省の資料を見ても総件数の半数以上を占めており、特に高速道路は整備され、高速道路交通が一段と増加した現在においては、高速道路上の事故といえば必ずと言っていいぐらいにトラックが第一番になっている。運輸省は、トラックによるところの交通事故防止のために、事業者に対してどういう指導と監督を行っているのか。先日の臨時安全の総点検の結果はどうなっているのか。そういう点からひとつ御質問したいと思います。
  92. 宇野則義

    ○宇野政府委員 最近におきます大型トラックの事故等がいろいろな問題になるわけでございますが、常日ごろ、運輸省といたしましては、運送事業者に対する交通安全の見地からの指導をやっておるわけでございますが、特にトラックの事業者に対します指導につきましてお答え申し上げたいと思います。  運輸省といたしましては、特に運行管理の面におきまして、いま御指摘がいただけましたような発生した事故原因の解析、分析を十分やりまして、これらの情報を運送事業者の方に流して、事故の再発を防止するということを一つ実施いたしております。これは、形式的には事故警報とかあるいは警告という形で情報を流すわけでございますが、そのほかに運送事業者に対します監査を実施いたしておりますが、これは運輸本省並びに陸運局におきまして監査を実施いたしておりますが、これらの充実を図ってまいりたいというふうに考えております。  それから、運送事業者には運行管理者及び整備管理者というものを選任するように規則で義務づけておりますけれども、これらの運行管理者、整備管理者の研修を実施しておりますが、これらの充実についても今後さらに努力をしてまいりたいというふうに考えております。  それからもう一つは、先ほどもお話が出ましたけれども自動車事故対策センターの活用によりますところの運転者の適性診断の実施の推進を図っておるわけでございますが、このような形で運行管理の徹底、適正化を図ってまいりたいというふうに考えております。  特にトラックにつきましては、ただいま御指摘がありましたように、高速道路上においての重大な事故が発生しているという現実にかんがみまして、昨年の十月に「高速道路における事故防止について」という通達を発しまして、さらに注意を喚起をしたところでございます。特にその中におきましては、適切な運行計画の策定等の運行管理の適正化、それから車の面から、車両の点検整備の完全実施といった車両管理の徹底、さらには安全運転の励行、特に安全速度の遵守あるいは適切な車間距離の保持、こういった具体的な項目を指示いたしまして、指導してまいったところでございます。  特に本年の二月、運輸大臣指示によりまして臨時安全総点検というものを実施いたしまして、重点事項を取り上げて運送事業者等の指導監督をしてきたわけでございます。  今後もなお一層、この運行管理者の教育それから事業者の指導監督の徹底を図りまして、トラック事故を中心にいたします事故防止に努めてまいりたいというふうに考えております。
  93. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 努力をしていることはわかるけれども、その結果が前から見てどうなったのかということはまだわかっていないのですね。それはどうなっているんですか。前よりも減ったのかふえたのか、それとも平行なのか。
  94. 宇野則義

    ○宇野政府委員 事故件数そのものにつきましてはただいま手持ちがございませんが、先ほど申し上げました臨時安全総点検の実施結果について、概況を御報告申し上げます。  まず、運行管理の徹底という重点事項に対しましては、健康状態の確認をするようにということを指示してあるわけでございますが、この点につきましてはそれぞれの事業者において適性診断の受診が計画的に行われている、あるいは指導教育等にそれが活用されているということで、良好な状態でございました。  それから過労防止の徹底につきましては、先ほども申し上げましたように乗務割り、勤務割り等の作成という適正化を指導しておるわけでございますけれども、この点につきましては、一部のトラック事業者におきまして連続勤務者が見受けられたということがわかっております。その点は、過労とならないように、その勤務割り等の適正化について指導したところでございます。  それから安全運転指導の徹底、特に高速道路上の安全運転の徹底につきましては、日常教育あるいは毎日行います点呼の機会をつかまえまして各社で指導し、また、運行記録計の結果等を活用して個人指導をやっておるという状態でございます。  それから車両の点検整備の問題につきましては、仕業点検、これは毎日朝行うわけでございますが、この仕業点検につきまして、一部の事業者におきまして、これを管理しております整備管理者の確認が不明確であったという結果が出ておりますが、これにつきましても確実にそれを確認するようにという指導をしたところでございます。  運送事業用の自動車の定期点検につきましては、実施計画表が作成されておりましてそれに基づいて実施されておって、おおむね良好な状態でございます。
  95. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いろいろ報告があったわけですが、これからいろいろやろうという話になっておるし、一番の問題は、トラックの事故を防止するためには、事業所におけるところの運行の管理体制の整備が重要であり、同時に、トラック事故原因調査をしてみると、運行管理業務が適切に行われたかどうかということが大変重要な課題になっておりますので、運輸省は、事業所における運行管理業務の実施状況についてなお具体的に把握をしていずれかの機会に報告をしてもらいたい、そういうことを要望します。  次いで労働省にお伺いしますが、五十四年の十二月にいわゆる新二九通達を策定をした。これに基づいてトラック事業場を監督指導しているが、五十六年度上半期の実施状況の監督の結果によると、監督事業場の半数を超える五八・五%が違反をしている。この通達は実施までに半年間の猶予期間を置き、しかも実施に当たっては関係団体、荷主団体に周知徹底したと労働省は国会答弁しているが、なぜこのように違反事件が多いのか。主な違反事故はどういうことか。違反事業に対する処分の状況はどうか。この点については労働省の方からも答えてもらいたいし、公安委員会の方からも所見を述べてもらいたい。
  96. 岡部晃三

    ○岡部説明員 先生指摘のように、五十六年度上半期におきますトラック関係の監督指導結果でございますが、三千二百五十一事業場のトラック関係を監督指導いたしましたところ、その結果、二七通達の改善基準の諸項目につきましては、何らかの違背が認められた事業場は五八・五%でございました。しかしながら、これは、その前の五十五年度の一斉監督指導における違背率六一・六%から見ますと三・一ポイントの減少、改善を見ているわけでございます。若干ではございますが、改善されているわけでございます。  どういう点が違反であったのかということでございますが、主なトラック関係で申し上げますと、たとえば日勤勤務の場合に一日の最大拘束時間は十六時間を超えてはならないというふうに二七通達では言っておりますが、これの違背率が三二・五%と高く上がっております。それから、隔日勤務の場合には最大拘束時間は二十一時間を超えてはならないとなっておりますが、その違背率が二六・九%であります。それから、連続ハンドル時間は四時間を超えてはならないとなっておりますが、違背率が三六・一%でございます。  この三つの点について五十五年と比較をいたしますと、日勤の場合の一日の最大拘束時間は二・四ポイント改善を見ております。それから、隔日勤務の最大拘束時間につきましては九・九ポイント改善を見ております。それから、連続ハンドル時間の四時間につきましては二・四ポイントの改善ということでございます。  そういうふうな改善がだんだんに出てきておりますけれども、まだ私ども十分とはとうてい考えていないわけでございまして、今後とも監督指導の徹底を期していきたいというふうに考えています。  なお、違背が認められました事業場に対しましては、この事項につきまして厳正な指導を行っているという状況でございます。
  97. 久本禮一

    久本政府委員 御指摘の点につきましては、ただいま数の資料を持っておりませんので、申しわけございませんが、数字のお答えは申し上げかねます。  ただ、警察の所見といたしましては、この問題が特に安全に大きく影響するという認識を十分に持っておりますので、取り締まりの段階で聞知いたしました事項につきましては通報を申し上げまして、特に、関係行政の必要な行政指導に資するように十分配慮してまいるという姿勢で、今後も努力するつもりでございます。
  98. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 特に、労働者の体を大事にするということとそれから安全な運転ということは不可分の関係にあるわけですから、この点を十分に注意していくように要請をしたいと思います。なおこれからの努力を要請したいと思います。  そこで、高速道路についてトラックによる重大事故が依然として多いのは、先ほどのような問題があるためと思われるが、労働省は、今後、通達の遵守徹底のために、各関係団体をどのように督励をし、指導をし、あるいは関係官庁に協力を求めていくかということについて、再度労働省のお答えをいただきたい。
  99. 岡部晃三

    ○岡部説明員 この二七通達の実施につきましては、労働条件の改善という観点、あわせまして交通事故の防止という観点から、非常に重要なものというふうに考えているわけでございます。この遵守徹底を図りますために、今後とも引き続きまして、まずは関係諸機関との連携を強化する、これにつきましては、たとえばこの通達の実施につきまして関係省庁の非常に大きな御協力を賜っておりまして、関係五省庁による会合も定期的に開いているところでございます。それから、業界団体等を通じてのより一層の改善基準の周知徹底を図るということで、地方局署挙げまして取り組んでいるところでございます。  たとえば、今年度の行政運営方針につきましてもこれを特記いたしたわけでございます。それから、私どもの末端機関であります監督署におきまして厳正な監督指導の実施を行っているということは当然のことでございますが、加えまして、この通達の実施に当たりましては荷主団体の御協力が非常に大事であるということで、協力要請を重ねてまいるわけであります。それから、たとえばハンドル時間の遵守ということにつきましても、トラック運転者についての休憩、休息のための施設の確保が重要であるというふうに考えておりまして、これも関係業者団体、関係省庁との協調体制をさらに進めるというふうなことで、総合的に遵守、確保を進めてまいりたいというふうに考えております。
  100. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 なおこの指導を徹底するように要請をしたいと思います。  そこで、ダンプカーによる無免許事業者の過積載と過重労働が原因となって、交通事故その他の公害がかなりまだ今日社会問題になっておりますが、私の先輩である久保三郎委員が昨年の一月にお亡くなりになりました。その私の先輩が、この委員会を通じて、皆さんとともに努力をし、そして議員立法によって四十二年の八月に成立した法律があります。それから十五年たっておりますが、適法に事業が運営されているというのはほとんどありませんで、実際はこれが無視されているような形になっているのが現状だというところから、何としてもこれは法律の趣旨に沿って運営をしてもらいたい、こういうことを強く要請をしたいと思うのです。  この問題は道路運送法第百一条の規定との関連がありますので、まずその道路運送法の百一条は確実に守られているのか、いないのかという点を御答弁いただきたい。
  101. 飯島篤

    ○飯島政府委員 お答えいたします。  先生指摘の条項は有償運送の禁止の規定だと思います。そのほか、無免許営業であれば四条違反という問題が起きてくるわけでございます。  それで、いまお話がございました違法白トラ、過積載、特にダンプの問題についての御指摘でございますが、いわゆる輸送秩序の問題として私どもはとらえておるわけでございます。これは非常に根の深い問題でございまして、従来からいろいろ努力をいたしておるのでございますが、五十二年度からは各陸運局、主要陸運事務所に十七名の貨物輸送監理官を置きまして、警察当局と連携をとりながら取り締まり指導に当たっております。それから、従来から、これは民間でも同時に努力してもらわなければ解決できない問題であるということで、各都道府県のトラック協会が自主的に配置しております輸送秩序改善指導員というものがございますが、この指導員につきまして、今年度の予算で、陸運局長が輸送秩序改善のための業務を委嘱するという若干の経費をいただきました。今後この指導員に準公的な立場を与えまして、陸運局と指導員が一体となって、輸送秩序の改善に当たることにいたしたいと考えておるところでございます。  御指摘のとおり、特にダンプカーでございますが、トラック輸送における過積載が、交通事故原因となる等輸送の安全を脅かすものでございますので、従来からその防止に努めているところでございます。  残念ながら、過積載については、五十五年以降から、一時よかったのでありますが、また増加の傾向にございます。五十六年の八月に関係省庁でいろいろ協議をいたしまして、過積載による違法運行の防止に関する当面の対策につきまして協議を行い、九月に関係の団体に通達が出されたような状況でございます。
  102. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私どもの現地の状況からすると、五十四年の十一月二十八日に、自動車局長名をもって各陸運局長あてに、ダンプカーの登録に当たっては、その使用目的の確認に関し是正をしてもらいたいという通達が出されたわけですが、その後、ダンプカーの販売会社指導により、違法事業者は建材業を経営する業者として擬装を図ることになり、すなわち、現在運送業営業に利用されている企業に事情を明らかにし、その企業と建材営業に必要な材料の年間売買契約書を偽造する、その契約書を陸運事務所に提出すれば登録が完了する、こういう形になっている。自動車局長通達は、擬装工作と偽造契約書を作成するという抜け道をつくる結果になっているというのが現状なんだ。だからこの問題について、これを徹底しない限りこの問題は解決しない、こういうふうに思うのだけれども、これはどうですか。
  103. 飯島篤

    ○飯島政府委員 先生いまお触れになりましたとおり、五十四年十一月に関係の通達を出しておりますが、まずねらいは、既存の零細なダンプカーの使用事業者の協業化、企業組合あるいは協業組合、あるいは共同で新しい会社をつくるというような方向が考えられますが、それを積極的に推進する。なお並行して、事業開始をする資金調達について、低利の中小企業高度化資金の融資の道をこの際開いたわけでございますが、そういたしまして、免許基準を弾力的に運用をして、道路運送法上の青ナンバーにするという方針を一つ出しております。  協業化につきましては、五十四年の十二月から昨年の十月までの状況を申し上げますと、免許いたしましたのは三十四、申請中が二十、いまそういう方向で関係者が努力しているのが十二ございます。  それからもう一つは、あいまいなダンプカー使用事業者を排除するという目的で、ダンプ規制法による使用の届け出に当たりまして、内容を改善したのでございます。この使用の届け出に際しまして、事業を証明する書類の添付というものを指導いたしておるのでございます。建設業、砂利採取業、採石業、それから廃棄物処理業、生コン製造業等は、何らかの形で、許可または登録ないしは設備についての登記というようなものが行われますので、それをつけてもらっておるわけであります。その面は効果があったと考えておるのですが、いまのいわゆる砂利販売業、これについて山元または買い主と売買契約書または仮契約書の写しをつけさせる、できれば商工会議所とか市町村等によります事業内容の証明書、または納税証明書をつけてもらうという指導をいたしておるのでございますが、本当に砂利販売業であるかどうかということを確かめる方法がなかなかむずかしいということは事実でございますが、関係省庁ともよく相談をしながら、何かいい道がないかということについて努力をしたいと考えておる次第でございます。  なかなか市町村の方で事業証明書を発行していただけないというのが現状でございますし、また、たとえば骨材事業者の許認可をする際に一定の条件をつけていただくとか、公共事業を実施する際に違法運行のダンプカーを使用しないようにしていただくとか、いろいろあると思うのですが、これはそれぞれの省庁でそれなりに問題があるようでございますが、その点、今後さらに打ち合わせをしたいと思います。じみちではございますが、先ほどの協業化というものをまず進めて、さらに違法行為の取り締まり指導について努力をしたいというふうに考えております。
  104. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そのダンプカーの白ナンバーに対しても、これを協業化していくということで努力をされて、総理府がそれに対していろいろと指導されたということも聞いておりますけれども、依然としてこれが進まないで裏街道がはびこるということになると、これは通産省、来ていますね。通産省の方では、たとえばこの砂利を取ることを許可する場合に、その運行について注意をされているかどうか。されていないとしたら、今後はやはり注意をしなければならないと思うけれども、これは通産省、どうですか。それから建設省の方にも、建材を運ぶという場合に、それが過積をした場合には、しないようにというような指導がされているかどうか、これも聞きたいわけですね。この二点、どうでしょうか。
  105. 島田隆志

    ○島田説明員 ただいま先生から、砂利という話でお話がございましたが、また大体似ているかと思いますが、私、担当が採石の関係でございますので、大体法律も同じような体系でございますので、採石でお答えさせていただきたいと思います。  先生御案内のように、採石法におきます災害防止規定は、いわゆる岩石を採掘する場所での岩石の採掘に伴う岩石の発破ですとか、破砕ですとか、あるいは岩石の洗浄ですとか、そういうものによって生じる災害、たとえば土地の陥没ですとか、廃石あるいは捨て石等の堆積の崩壊、あるいは粉じんの飛散、水質問題、騒音、発破の飛び石の防止、そういうようなものを目的にしているわけでございますが、いま先生の御指摘にございましたような、県道ですとか国道ですとか、そういう公道におきます岩石の運搬に伴います交通事故、あるいは道路破壊等の問題、いわゆる交通災害につきましては、道路交通法ですとか道路法ですとか俗称のダンプ規制法ですとか、いろいろほかの法体系で規制をされているわけでございますので、直接的にはそちらの方の規制になろうかと思います。  ただ、通産省としましては、採石なり砂利法の所管官庁でもございますので、積極的に交通災害の防止を図るという観点から、たとえば採石について申し上げますと、二県にまたがる場合は通産局長でございますが、県知事が岩石の採取計画の認可を行います。その際に、私ども、いわゆる都道府県の公安委員会ですとか、そういう取り締まり官庁との十分な連絡あるいは市町村の意見の聴取、あるいは直接申請者に対しまして過積載問題につきましても十分厳重に守るようにというような指導もしております。  また、やはりこれは業者の、いわゆる経営者の問題でもございますので、いわゆる関係団体への指導、あるいは毎年七月に採石災害防止月間を行っておりますので、そういう中で、いろいろな広報活動あるいは講習会だとかという場を使いまして、従来からいろいろ指導してきているところでございますが、私どももこういう交通災害問題につきましては十分な関心を持っておりますので、今後とも、先生の御趣旨も踏まえましてより一層指導の強化を図っていきたいと思っております。
  106. 北村広太郎

    ○北村説明員 ダンプ公害の防止につきましては、かねてより建設省におきまして、建設業者団体等の指導に努めているところでございます。  その指導の主な内容は、第一に、土砂なり工事用資材等の過積載を行わないこと、第二番目といたしまして、過積載を行っていると認められているような資材納入業者からは資材を購入しないこと、第三といたしまして、元請建設業者が下請建設業者を使う場合に、その下請業者が過積載を行うような行為を行わないことということを元請に指導しているわけでございます。第四番目に、差し枠等によるような改造ダンプカー、これは外見上一見明らかでございますので、こういうものの使用については特に厳重に慎むこと、五番目といたしまして、資材の買いたたき等によりまして過積載を誘発するということがございますので、資材購入に当たっては適正な価格で購入し、不当に資材納入業者を圧迫することのないようにという指導を、業界に対してはしておるわけでございます。  このほかに、発注官庁といたしまして、公共工事の発注に際しまして設計図書、また現場説明に際しまして周辺の道路状況、また周辺の人家、家屋の配置状況、学童の通学状況等に特に配慮いたしまして、建設業者の土砂の運搬または建設資材の納入等に配慮し、交通事故を起こさないように指導しているところでございます。  なお、今後とも業者の指導については特に力を入れて当たりたい、かように存じております。
  107. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いま通産と建設の方からそれぞれお話がありましたが、かなり努力をされているようですけれども、やはりそうした努力が拘束力を持つよう指導をしてもらいたいと思う。特に北村課長は、茨城県の元企画部長で茨城県の内容をよく知っているはずだから、鹿島の資材がどう運ばれてどこにどんな事故があるのか、それから採石場も多いわけですから、あのダンプカーが道路を独占しいろいろな事故が起きていることも承知のはずですから、こういうことが未然に防げるように一層の努力を願いたいと思います。  そこで、時間の関係がありますから先にいきますが、実はきのうも車検の問題で質疑をしたわけですが、問題は、車の生産が年に一千万台、国内で五百万を消化する、それから免許証は二百万人におろす、現在四千五百万の免許証を持っている者がいる、動いている車は四千万ということになっておる中で、道路は一体どうなっているのか。道路というものは無限に延ばしたりふやしたりするわけにいかないわけで、道路と車の生産と免許証との関係の整合性はどこでやるのか。総理府がこれをやるのですか、どこでやるのですか、この点はどうなっていますか。運輸大臣、どうですか。
  108. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 委員の御質問にちょっとお答えできないのは、申しわけないと思います。
  109. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この問題は、解決しなかったらぐあいが悪いでしょう。勢い込んでどんどん車を生産する。最近は、ECでもアメリカでも、日本の車を輸入するのを少し抑えようじゃないかというような声も出ている。ところが自動車工業というのは盛んに車をつくっているわけでしょう。まことに景気がいいと言われています。免許証をとるのは、自動車学校で資格があれば、これをやめろというわけにはいかないのです。そうすると、道路がそれと同じように拡張されなければ、事故が起こったり過密になったりするのはやむを得ない。この問題を解決しなければどうにもならない。建設省はこれについて何か考えたですか。
  110. 萩原浩

    ○萩原説明員 先生指摘のように、車の台数は非常にふえておるわけでございます。ちなみに、昭和三十年の自動車の保有台数は九十二万台でございました。それが現在、先生指摘のように四千万台近くになっておるわけでございます。これに大体比例をいたしまして、自動車の走行台キロというものもふえているわけでございます。昭和二十九年の第一次道路整備五カ年計画以来、私どもは、ガソリン税の特定財源化あるいは有料道路制度の導入というものを柱といたしまして、懸命に道路の整備を進めてまいりました。  ちなみに、昭和三十年から四十年の十年間に自動車保有台数は平均二三%の伸びを示しております。四十年から五十年の十年間には一五%の伸びでございます。五十年から五十五年の五年間の平均は約六%ということになっております。私どもの予測によりますと、五十五年から六十五年まで、今後十年でございますが、大体三%強の伸びになるのではないか。それから六十五年から七十五年、二十一世紀初頭までございますが、そのところになってまいりますと年間一%程度の伸びになるのではないか。すなわち、二十一世紀初頭ぐらいには車の伸びは大体横ばいといいますかそういう状況になるであろうという予測を立てまして、それに基づきまして道路整備の長期計画を立てておるところでございます。  御承知のように、わが国の道路は昭和三十年ごろから本格的な整備をいたしました。したがいまして、欧米諸国に比べますと水準が非常に低いというのが現状でございますが、これを欧米水準並みに持っていくためになお懸命の努力をして、二十一世紀初頭には欧米並みの水準に持っていきたい、こういうように考えて懸命に努力をいたしておるところでございます。
  111. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いま建設省からお話があったように、この道路の問題と車の生産と免許証の問題は、大変大事な問題ですから、閣議でもひとつ取り上げてもらって、いまの話をさらに裏づけをして、道路整備について一段と努力をしてほしいということを小坂運輸大臣に特にお願いしたいと思うのですけれども、いかがでしょう。
  112. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 ごもっともな御意見だと存じております。
  113. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで私は、今度は地元の問題に関連してお尋ねをしますが、これは地元といっても地磁気観測所に関する問題でありますけれども、ことしの十月ごろになると取手と我孫子の間の利根川に架橋が完成して、取手までは複々線になると思いますね。聞いてみますと、八年間かかって百三十七億という費用を投じて橋がかけられた。取手以東、藤代、土浦、水戸方面に行くと、これはもう複々線化は無理だ。理由は、八郷町柿岡というところに気象庁の管理下にある地磁気観測所があり、その観測をするためには直流の電流はだめだ、どうしても交流でなければだめだということで常に拒否をされてきました。最近、科学博覧会などをめぐって何としても輸送力を強化しなければならないということで、茨城県の県西、県南地区におけるところの輸送問題というのは、だれが見ても大変気になるところであります。そういうときに、依然としてこの観測所があるためにそこは複線にもならないし、まして複々線は無理だ。常総線は、いまはガソリンで動いているからいいにしても、これが電気を使うようになると同じような問題が出てきます。一方また、地震の予知をすると言うけれども、北海道浦河にマグニチュード七・四の地震があった、水戸には四の地震があった、最近は地震のことが新聞に書かれないときはない、そういうときに地震の予知という確実な予報でも出るかと思うと、どうもそれも余り出てこない。国際的な条約のもとにあることはわかっていますけれども、どうしてもあそこでなければならないという理由が一体あるかないか。  ある学者によると、いろいろと科学技術が進んでくる中ではもう移ってもいいのではないか、そしてもっと性能のいい、十分に観測ができるようなところへ移っていく、つぶしてしまえというわけじゃない、移った方がいいじゃないのかと言う学者もいます。そういう点で、地磁気観測所の問題について、ことしの一月には県知事、筑波大学の教授の人たち等々の中からも、地磁気観測所に対するいろいろな注目がされているところですが、これに対して、責任者である気象庁長官並びにその監督官庁である運輸大臣、どのようにお考えか、お答えをいただきたい。
  114. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 お答え申し上げます。  地磁気の観測は、航空機それから船舶等の交通安全、並びに電波障害のための寄与、並びに地震予知等の問題に対して寄与しているところでございますけれども先生指摘のとおり、現在点から移転は不可能かどうかということでございますけれども、この観測所はわが国ばかりでなく国際的な基本観測所でございまして、ここにおける観測値は、国内ばかりでなく国外の多くの関係機関によって利用されてまいっておるところでございます。  また、ここで観測が始まったのはいまから七十年前でございまして、今後とも、同一地点における観測を継続することは、長期にわたる地球環境を監視するという上で、きわめて重要なところでございます。  さらに、柿岡という場所は地磁気を観測する上で大変安定した場所でございまして、しかも日本列島のちょうど中央部にございまして、気象庁には、このほかに、北海道の女満別並びに九州の鹿屋というところに二つの出張所がございまして、この三つの地点で常時観測しているということで、大変適した場所にございます。  以上のような理由で、移転は大変困難な状態にございます。
  115. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 ただいま気象庁長官からお答え申し上げたとおりであると思います。特にこのことはきわめて技術的な問題であるので、専門の方の意見も十分留意していく必要がある問題だと思います。
  116. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 それは、いまの気象庁長官の言ったようなことは前から言っているのです。ところがある学者によると、名前は余り言わない方がいいと思うのですけれども、ロケットが飛んだりコンピューターができた段階において、いつまでも、昭和二十八年ごろに特別委員会か何かを設けて、擾乱防止云々というあれをやったことがありますけれども、そういうような時代とはもう違うのではないか一初めから柿岡にあったものではない。一番初めは東京の紀尾井町にあって、電車が通ってきたから今度は柿岡へ移っていった。これは百年前にできたものでしょう、明治十六年に。それが大正三年に柿岡に移って、その間に戦争があったときには観測はやめたのじゃないですか。観測は中止しているでしょう。そういうようなものをいつまでもいつまでもあそこに置くということが、果たしてあの地域の産業経済、あるいは交通のためになるかならないかということになると、ならないと言っているのが地元の意見なんです。あるいはまた地震の問題にしても、地震の観測をすると言うけれども、それじゃ地震を確実に予知するかというと、常に地震が起きてから後で問題にしている。確かに南伊豆の対策はこれは特別の法律のもとによくできているけれども、その他のところによると、私もずいぶん地震の問題についてはいろいろと連絡をしてみたけれども、地震予知連絡会があり、あるいは気象庁には地震課があり、それから長野県の松代には地震観測所があり、東京大学にも地震研究所があるというように、どこのだれに聞いたら、一体確実な責任を持った予知ができるのかということがわからない。政治が人命と財産を守るというならば、もっと誠意のある態度と方針があっていいじゃないですか。どうですか。
  117. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 まず最初に、現在の科学技術のレベルだったならばもっと違ったやり方ができるのではないだろうかという御質問に対しましては、先生いま御指摘のとおり、昭和二十八年から三十一年にかけまして運輸省内に設けられました、地磁気擾乱対策協議会というところで討論をしていただきました結果、取手以北の電化については現在の交流方式が採用されているわけでございます。当時から地磁気観測の精度は国際的にも〇・三ガンマ以内と定められて、現在もその点については変わっておりません。この〇・三ガンマを超える人工的な磁気が発生した場合に、これを除去して真の地磁気を測定する方法は、大変残念ではございますけれども、現在はそういう方法はございません。それが第一点でございます。  第二点では、地磁気の観測所等も地震観測センターというようなものをつくって一括してやったらどうかという御指摘でございますが、現在気象庁では、大規模地震対策特別措置法に基づきまして、マグニチュード八のような大規模な地震について予知する体制をとっておるわけでございますけれども、残念ながらそれ以下のマグニチュード七、この間浦河沖で起こりましたような規模の地震については、まだ予知する学問的水準になっておりませんので、予知ができない状態でございます。
  118. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 運輸大臣にお尋ねしますけれども、マグニチュード八以上なら観測し得るが七まではいかないと言うが、仙台の地震にしても新潟の地震にしても、みんな八までいってないでしょう。そういうような地震の予知ができるようにすることが大事じゃないですか。自衛隊の金をふやす、防衛庁の予算をふやすことには一生懸命になるけれども、何で地震国の日本の国内においていつ起こるかもわからない地震、こういう問題についてもっと金をかけてこれを予知する、その場所と研究と人間を集めてやらないか。これは大臣、どう考えますか。
  119. 小坂徳三郎

    小坂国務大臣 あなたの私に対する御注文と承ります。
  120. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 気象庁長官、あなたは長官として、八から以上のことはやるけれども、八以下はしようがないとおっしゃるのですか。
  121. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、海洋性の規模が八程度の地震につきましては、どういう機構で起こるかは学問的にある程度わかっておりまして、それに対応する観測網を展開いたしますれば予知ができるというほぼ学界の統一見解によりまして、大規模地震対策特別措置法に基づきます地震予知をやるようにという責任を気象庁に負わされたわけでございますけれども、それ以下の地震につきましては、気象庁ばかりではなくて、大学その他の関係機関が一生懸命になって現在研究を進めておる段階ではございますが、先ほど申し上げましたように、地震の起こるメカニズムについてはなおはっきりしておりませんので、残念ながら予知ができないというのが現状でございます。もちろん先生指摘のとおり、こういう地震は被害が非常に大きいということはわれわれも十分承知しておりまして、ぜひこういうものを予知するように将来はしたいと考えておるところでございます。
  122. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 きょうの話は、理解はしないけれども話として聞いておきますが、私たちは、現地に責任を持つ者として、そういう八以上のことはわかるけれども八以下のことについてはというような、そんなことはどうしたってがまんできない。だとすれば、七でもって、新潟の地震にしても仙台の地震にしても、ああいう事故が起こった場合に、これは一体だれの責任かということにもならないとも限らない。  私たちはこれから運動を起こしますが、いろいろな学者の話を聞いてみて、いろいろな意見がある。今日のようにロケットがあるいはコンピューターができたときには、あの資料でもコンピューターの中に詰め込むこともできるし、いろいろな点で宇宙のいろいろな勉強もすることができる、こういうことについてはそれぞれの学者から意見があります。そういうものを集中をして、もっと権威のある研究所なりをつくって国民が安心をしてそれに任せられる、その情報であれば信頼ができるというようなことにしてはどうかということを提案しているわけです。だから、きょうは時間がないから、初めてこういう話をするわけですから、ここではどうにもならないと思いますけれども、これは大臣にも注文としていま申し上げたし、それから国家公安委員長も聞いていらっしゃると思いますから、これはぜひ聞いておいていただきたいし、増澤長官にも一層の努力をしてもらいたいと思いますね。この点はどうですか。
  123. 増澤譲太郎

    ○増澤政府委員 地震災害は日本にとって最も大きな災害であることを認識しておりまして、気象庁といたしましても、最大限の努力を払って今後対応していきたいと思っております。
  124. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 次の質問の時間との関係で、これで私の質問を終わります。
  125. 西中清

    西中委員長 次に、辻第一君。
  126. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は、障害者の自動車免許の問題について質問をいたします。  障害者、中でもいわゆる車いす障害者が社会へ参加されるについては、乗用車を使用されるということが重大な役割りを占めていると思うわけでございます。  そこで、障害者の自動車運転免許取得についてどのような便宜を図っておられるのか、この点についてお尋ねをいたします。
  127. 久本禮一

    久本政府委員 お答えいたします。  身体障害者で運転免許の取得を希望される方は、御指摘のとおり非常にすそ野が広うございます。それで私どもといたしましては、これを組織的に受けとめる必要があるという構えでございます。  具体的には、各県の運転免許試験場に適性相談室あるいは適性相談コーナーというものを設けておりますが、ここで障害者の方が免許を取ろうという場合に、いろいろ事情あるいは方法のわからないことが多うございますので、そこで具体的な相談を受け付けるということにいたしておりまして、できるだけ障害者の方の具体的な希望に沿うように適切なアドバイスをしなさいということを指示し、指導いたしております。そして、場合によりましては、そういった方の修習に非常に適当であるという指定自動車教習所を御紹介をするということもあわせていたしております。  それから、指定自動車教習所に対しましては、身体障害者のための教習用車両、これはやはり車両に工夫をする必要がございますので、これを整備するということと、それから運転装置の特殊性あるいは身体障害者の利便、そういう問題を考えまして、要するに持ち込み車両によって、自分はこの車で初めてできるというような条件がある程度セットできますので、これを認めるように指導いたしております。なお、こういった点を加味いたしまして、各施設につきましては、車いす用のスロープあるいは障害者用トイレの設置など、障害者が見えた場合の利用という点についても整備方を指導しているところでございます。  なお、これはつけ足しでございますが、昭和五十六年度におきまして、聴覚障害者の学科教習の内容を理解できるようにするということを目指しまして、聴覚障害者用の学科教習用の映画をつくりまして、これは一線にその点を周知させまして活用方を図っておるといったようなことが、現在図っております障害者に対する利便方でございます。
  128. 辻第一

    ○辻(第)委員 ところで、指定自動車教習所が全国で千四百六十四カ所、ところが障害者用の教習車両を備えているのは三百十七カ所、二二%、こういうふうに聞いております。障害者が本当に身近な教習所で講習や検定が受けられる、このことが大切だと思うわけでありますが、そういう点で、指定教習所に障害者用車両を常備するように指導をしていただきたい、このように思うのですが、いかがですか。
  129. 久本禮一

    久本政府委員 御指摘になりましたように、各県の指定自動車教習所に汎用の特殊な補助手段を講じた身体障害者用の自動車を整備するという点につきましては、いままでも努力しておりますが、御趣旨を十分踏まえまして逐次増加をしているというふうに私どもは見ております。  ただ、これは、障害者の教習生の方の需要等の絡みもございますけれども、その辺を踏まえながら、整備方につきましては今後も前向きに指導してまいるという考えでございます。
  130. 辻第一

    ○辻(第)委員 一層の御指導をいただきたい、お願いをいたします。  次に、障害者の運転免許について自動車の重量制限がつけられているものがあります。それはどのような理由なのか、お尋ねいたします。
  131. 久本禮一

    久本政府委員 御指摘のように、普通免許にかかります技能試験において、特に障害者関係に重量制限というものがございます。この趣旨を申し上げますと、こういった試験に使用する自動車の大きさは、道路交通法の施行規則に定めるところによりまして、乗車定員五人以上の普通乗用車で長さが四・四〇メートル以上、幅が一・六九メートル以上、それから軸距が二・五〇メートル以上、輪距一・三〇メートル以上でございまして、この大きさの試験車、これは標準試験車と言っておるわけでございますが、これによって合格した者は、車両総重量八千キログラム未満のもの、最大積載量五千キログラム未満のもの、または乗車定員十一人未満の四輪車を運転することができるということになっております。身体障害者の方の場合でございましても、標準試験車によって受験をし合格した場合には、当然この範囲内での自動車運転をすることは認められますので、重量制限という問題は起こってまいりません。  しかしながら、身体障害者の方の中には、標準試験車ではちょっとむずかしいが、特殊な補助手段でございますね、たとえば手動式のアクセル、ブレーキをつけるとかした、小さなといいますか軽い自動車を使用して試験を受けたいということを希望される場合がございます。公安委員会といたしましては、御本人の身体障害の度合いから見まして、その方が、交通安全上の見地からもまた車を何とか使えるようにしたいという御本人の見地からも適当であると考えますときには、そういう車によって技能試験を受けていただいて差し支えないということにいたしております。ただ、この場合においては標準車でせずにそういう特殊な車両で受けるという点がございますので、身体障害者の方が試験に合格した場合には、何といっても御本人を含めた安全の見地が大きいわけでございますが、使用いたしました車の大きさ、重さに従って運転することができる自動車についての条件をつけるということでございまして、これがお尋ねの重量制限というものの趣旨でございます。
  132. 辻第一

    ○辻(第)委員 いま御答弁いただいたわけですけれども、いわゆる標準車並みの障害者用車両で教習を受けた障害者の運転免許証には重量制限がないわけですね。先ほどお答えいただいたのは車両総重量八千キログラム未満のもの、最大積載量五千キログラム未満のもの、または乗車定員十一人未満の四輪車を運転することができることになっている。こういうことですね。ところが、いろいろおっしゃったわけですが、一・五トンの車で教習を受けられた方は一・五トン以上はぐあいが悪い、また一・二トンについても同様だ、こういうふうに制限があるわけですが、一般的に言いまして、どうも合理的でない側面というものをそこに私は感じるわけですね。標準車では全然制限がない、一・五、一・二トンについては制限がある、こういうことでしょう。  それから、いまおっしゃったような理由で一・五トンあるいは一・二トンの試験を受けられるということではなしに、近くの教習所に標準車がなかった、それで一・五トンあるいは一・二トンで受けられた方もあると思うのですね。そういうことも含めて、私はやはり合理的でないというふうに考えられる側面があると思うのですが、その点はどうでしょう。
  133. 久本禮一

    久本政府委員 この点につきましては、私ども絶えず実態調査するようにいたしたいと思っておりますが、標準車で受けたいのにかかわらず、なかったのでやむを得ず下で受けたという形で、障害者の方が非常に不便を感じられたという事例にまだ接しておりません。そういう場合には、受け入れ体制の問題でもございますので、この点は十分に指導してまいりたいと思います。  ただ、制限のあり方につきまして、障害者の方の状況は千差万別でございますが、そういう点に着目をいたしまして、御本人のためにもこういう制限がなされているという趣旨でございますが、やはり自動車そのものの性能も変わってまいりますので、こういった点を加味して、どのように重量制限を運用するかという点につきましては、御指摘のように、合理的な形で見ていくという点の努力は今後もいたしていく必要があるというふうに考えております。
  134. 辻第一

    ○辻(第)委員 それではお尋ねをいたしますが、指定教習所に備えられている障害者の車両のうち、標準車並みの大きさのものはどのくらいの割合で置かれているのか。また一・五トン、それ以下というのはどれぐらいなのか。お答えをいただきたいと思います。
  135. 久本禮一

    久本政府委員 ただいま手元にございます数字では、標準車は全体の大体二割というふうになっております。
  136. 辻第一

    ○辻(第)委員 私が調べたのは、四百三十四台あるそうでありますが、そのうちの二割が標準車、一・五トンのが四割、それ以下が四割、こういうことですね。そうなりますと、私が一番最初に申し上げましたが、二二%しか身体障害者用の教習車両が置かれていないということですね、そのうちの二割しか置かれていないということになりますと、結局四%しか指定教習所の中で標準車並みの障害者用の車両が置かれていないということでありますから、本当に少ないわけですね。ですから、障害者が標準車並みの車両で試験を受けたいと思っても、そういうものは全体の指定教習所の四%しかないということですから、非常な制限を受けておるというのが私は現状だと思うのですね。ですから、いま局長は、障害者が標準車並みの教習車両がないので下のランクので受けたいということは聞いていないとおっしゃったのですけれども、それはどうも私は納得しかねる、こういうふうに考えるところであります。  そういうことでありますし、近年車両が非常に軽量化してきておるわけです。そういう状況の中で、重量で線を引くということにも問題があるというふうにも思うわけです。おたくの方のおっしゃる理屈もわかるのですが、この障害者の方のいろいろおっしゃる言い分も私は当然だと思うのです。そういう点をいろいろ加味しまして、仮に一定の重量制限が必要であるとしても、一・二トン、一・五トンにしなければならないという根拠は私はかなり減ってきているというふうに思うのです。  そこで、免許制度全体の再検討という条件のもとではなしに、とりあえず少なくとも普通の乗用車は乗れるくらいに制限を緩和されてもいいのではないか、こういうふうに考えます。しかもそのことはそんなにむずかしいことでもないし、また安全上の問題も十分カバーできる問題ではないか、こういうふうに思うわけでありますが、緩和をなさるのかどうか、されるべきではないか、この点について御見解を承りたいと思います。
  137. 久本禮一

    久本政府委員 御指摘の緩和ということにはいろいろな内容があろうと思うのでございますが、その中で御指摘になりました一・五トン、一・二トンというような制限の仕方につきましては、最近の車両の性能アップによる軽量化という点も踏まえまして、数字的にこのものにこだわるつもりはございません。これはやはり、全体の改善ということは抜きにいたしまして、私どものスタンスを踏まえながら、障害者の方々のために便宜を図り得る点については積極的に踏み込んでまいりたい、そういうことでございます。  なお、車両の整備につきましては、これは確かに二割という数字は一見少なさそうでございますが、私どもの認識といたしましては、障害者の方がおいでになって使われたいという御希望とそれほど食い違ったものではないというふうには思っておりますけれども、個別的にはいろいろな議論もあろうと思います。これは最初に申し上げましたように、県の適性相談コーナーというものも十分活用いたしまして、それがいわば表面化することなしに、埋もれるということのないような指導は十分にいたす、また整備につきましてもできるだけ、広く整備されるにこしたことはございませんから、この点につきましては今後も努力をいたすという考えでございます。
  138. 辻第一

    ○辻(第)委員 全体の指定教習所の中で標準車並みの障害者用車両を備えているのは四%というのは、それはお受けになる障害者も少ないということもありますけれども、四%というのはもっともっとふやしていただきたい。そのことのためにランクの下の車で試験を受けておられる方もある、私はこういうふうに思うわけであります。ぜひもっともっとふやしていただけるような対策をとっていただきたい、こういうことであります。そのことのために不必要な重量制限を受けることのないように御努力をいただきたいと思います。  それから、重量制限を受けておられる人がその制限解除を受けるのにはどのようにしたらよいのか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
  139. 久本禮一

    久本政府委員 お尋ねは限定解除の審査のことであろうと思いますが、これは、各県の運転免許試験場及び指定自動車教習所におきまして実施をいたしております。ここで必要な車両によりましてチェックをして審査する、そういうことでございますので、一応障害者の方の需要に応じてどの県でもその辺の対応ができるようにしておりますけれども、その辺につきましてもやはり気軽に適性相談コーナーに御相談いただきまして、その辺の御紹介なり御指導といいますか、広報はしてまいるという考えでございます。
  140. 辻第一

    ○辻(第)委員 限定解除ですか、その問題でもやはり相談所へ行かれるということ自身が大変なことであろうと思います。  それから試験場ですね、私は試験場にはすべて標準車並みの障害者用車両を常備されるべきである、こういうふうに思うのですね。ところが試験場の障害者用車両は百十カ所のうち二十五カ所、五十四台、こういうふうに聞いております。そして、約三割が標準車並みで、三割が一・五トン、四割が一・二トン、こういうふうに聞いているのですが、そのとおりでしょうか。
  141. 久本禮一

    久本政府委員 お示しのとおりでございます。
  142. 辻第一

    ○辻(第)委員 これも試験場の二三%ですね、二十五カ所でございます。都道府県だけでも七十幾つあるわけだと思うのですが、そうなりますと、その都道府県には、障害車用車両があっても標準車のないところがたくさんあるのではないか、こういうふうに思うのですね。こういうことになりますと、障害者の方にとっては、大変な御不便と申しましょうか問題があるわけであります。どうしてもこの限定解除を受けられたいという人にもっと便利なように、試験場にはすべて標準車並みの車両を常備する、このことが必要ではないか、こういうふうに思いますが、御見解を承りたいと思います。
  143. 久本禮一

    久本政府委員 確かに先生指摘のとおり、試験場の数字で言いますと全部でないという点から、そういう危惧をお持ちになることは十分わかるわけでございます。ただ、先ほど申し上げましたように、試験場と合わせまして指定教習所でもいたすということの組み合わせによりまして、私ども、現状では一応審査を受けようとされる方の需要に、これは実数としてはかなり少のうございますので、こたえているというふうに考えているわけではございますけれども、もちろんそういう体制を十分備えることに異論はございませんし、方向といたしましては、今後ともそういったような整備を目指しまして、各県の実態を見ながら指導をしてまいるという所存でございます。
  144. 辻第一

    ○辻(第)委員 最後に、障害者の人が自動車を使用することによって社会に手軽に参加できる、そのような方向を目指して一層の対応をとっていただきたいと強く要望して、公安委員会への質問を終わります。  次に、三月二十一日に千葉県の千倉町沖で座礁いたしましたアカデミースター号の問題について、質問をいたします。  このアカデミースター号は、もともと昭和四十三年に建造されたジャパンライン所有のジャパンオールダ号と聞いていますが、そのとおりでしょうか。
  145. 永井浩

    永井政府委員 そのとおりでございます。
  146. 辻第一

    ○辻(第)委員 そして運輸大臣は、一九七八年十一月二十八日付で、ジャパンラインがジャパンオールダ号をリベリアのガーベラーシッピングに譲渡するのを許可しておるわけでございます。ジャパンオールダ号が日本国籍を失ったのはいつでございますか。お答えをいただきたいと思います。
  147. 永井浩

    永井政府委員 登録抹消が五十四年の一月十一日でございます。
  148. 辻第一

    ○辻(第)委員 しかし、ジャパンラインでは五十三年十二月十一日に、リベリアのアカデミースターシッピングからパナマ船籍のアカデミースター号として、その同じ船を定期用船しているわけでございます。  ところで、座礁した現地には、船主の代理としてリージェントシッピングあるいはクレストインベストメントの関係者と称する者があらわれまして、補償交渉などを行ったようでございますが、これらの会社は船主及び用船者とどのような関係にあるのか、お答えをいただきたいと思います。
  149. 永井浩

    永井政府委員 最初にお話のございました会社はリージェントシッピングでございますが、これは全体から申し上げますと、アカデミースター号は現在リベリア法人でございますアカデミースターシッピングが所有いたしております。それで、これをジャパンラインが定期用船されておるわけでございますが、アカデミースターシッピングの事実上のオーナーと申しますか、これは香港法人でございますリージェントシッピングでございます。そういう意味で、実際上のオーナーであるリージェントシッピングの責任者が来日しておる、こういうことでございます。  それから、クレストインベストメントという会社はございますが、これは関係者より事情聴取いたしましたところ、このアカデミースター号の船員の配乗あるいは雇用関係等について責任を持っておる、あるいは修繕その他、船舶管理についてアカデミースターシッピングの業務を代行しておる、こういう会社でございます。
  150. 辻第一

    ○辻(第)委員 アカデミースター号というのはいわゆるチャーターバック船でございます。大変複雑な関係になっており、ちょっとぐらい聞いてもさっぱりわからぬというようなものでございますが、このような状況の中で、補償交渉は一応妥結したようであります。当初は責任の所在がなかなか明確にならないで混乱をした点もあったようでございますが、また交渉の過程でも、提案をのまなければ元も子もなくなるぞという説明でもって、被害額もはっきりしていないような段階で、どちらかといいますと強引に妥結に持ち込まれたというようなことも聞いておるわけでございます。  このような事故の場合は、少なくとも、運輸省や海上保安庁は、所有関係やあるいは用船関係などを直ちに調査をする、そして被害者の求めに応じてそれを速やかに明らかにするような手だてをとるべきでなかったのか、こういうふうに考えるのですが、その点ではいかがですか。
  151. 永井浩

    永井政府委員 損害賠償問題につきましては、基本的には当事者間で解決するものであると私ども考えております。また、今回の場合には、船主が外国法人でございますので直接私どもの監督権はございませんが、幸いに定期用船者がジャパンラインでございましたので、ジャパンラインを通じまして当該会社に、誠意ある対応をするようにということで行政指導をした次第でございます。
  152. 辻第一

    ○辻(第)委員 海上保安庁としてはどうお考えですか。
  153. 吉野穆彦

    ○吉野説明員 海上保安庁といたしましては、このような乗り上げ事故が発生いたしまして、油の流出とか、あるいは石炭が本船から外へ流れ出たとか、あるいは船体の除去とか、そういうような問題が出てまいりましたが、これにつきましては、船主の代理である弁護士、これを通じ、また一方では用船者でありますジャパンライン、そういうところを通じて、船主側に対して早急に措置するようにというようなことを指導しております。
  154. 辻第一

    ○辻(第)委員 こういうことがまた起こってはならないと思うのですが、こういうときには、すぐ所有関係あるいは用船関係などを調べていただいて、被害者の方への対応をもっと十分にしていただきたいと強く要望するわけでございます。  次に、海上保安庁にお尋ねをいたします。  現地の被害補償の交渉の過程で、船主側は、航海日誌などはない、このように主張しているようでございます。この航海日誌というのは船舶に常備しなければならない、このように考えているわけですが、これらの書類は、乗組員を収容した際に持ち出されたのか、海上保安庁が押収をされたのか、あるいはまだ船に残っているのか、いろいろ考えられるわけでありますが、どうなっているのかという点と、捜査上もこれらの書類は非常に重要なものであるというふうに考えるわけでありますが、その点についてはどのようにお考えになっているのか、お尋ねをいたします。
  155. 吉野穆彦

    ○吉野説明員 この船舶に備えております法定書類につきましては、浸水して沈没するおそれがありまして巡視船が乗組員を救助いたしましたが、その際乗組員が持ち出したものというふうに聞いております。
  156. 辻第一

    ○辻(第)委員 もう一つお尋ねしたいのです。捜査上にもこれらの書類は重要なものではないかということをお尋ねしたのですが、その点はいかがですか。
  157. 吉野穆彦

    ○吉野説明員 今回のこの海難そのものにつきましては、これは公海上で発生いたしました外国船の海難でございまして、わが国の刑事裁判権がございませんので、わが国の刑法等の適用といったようなものはできないような事案でございます。
  158. 辻第一

    ○辻(第)委員 そうなりますと、船主側が航海日誌はないと主張しているのはどうもおかしいですね。船員が持ち出しているというふうにお考えになっているということだと思います。私は、やはり航海日誌というのは非常に重要なものであって、捜査が必要なときには一番重要な資料になるのではないか、こういうふうに考えるものでございます。  次に、海洋汚染防止法に関連してでありますが、油や廃棄物の排出については、「船舶の損傷その他やむを得ない原因」こういうものによる場合は免責とされているということでございますが、船の損傷等を生じた原因、それに過失があったのかなかったのかということは問題にならないのかどうか、私は問題になると思うのですが、その点についてはどうでしょうか。
  159. 吉野穆彦

    ○吉野説明員 アカデミースター号からの油の流出に対します海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の違反ということにつきましては、現在その事実関係につきまして調査しております。  なお、海上保安庁といたしましては、現在のところ、流出しました油の防除とか、あるいは粉炭の除去とか、あるいは船体の早期撤去というようなことにつきまして実効を期するということに全力を挙げているところでございまして、その点につきまして目下船主側に対して強力に指導しているところでございます。
  160. 辻第一

    ○辻(第)委員 重ねてお尋ねをいたしますが、それじゃ、船の損傷などを生じた原因、それに過失があったかなかったかということは十分問題になるということですね。
  161. 吉野穆彦

    ○吉野説明員 損傷の原因というよりは、油が排出された場合に引き続く油の排出を防止するために可能な一切の措置をとったかどうか、こういうようなところが問題になろうかと思います。
  162. 辻第一

    ○辻(第)委員 そうではなしに、船が座礁をして、あるいはその座礁の上に損傷したですね、そういうことを来した原因に過失があったのかなかったのか、そういう点で問題になるのかならないのかということですが、いかがですか。
  163. 吉野穆彦

    ○吉野説明員 今回のアカデミースター号の場合は、公海上におきまして乗組員が巡視船に救助されまして、あと無人で流れてきたわけですが、そうしまして乗り上げた、乗り上げた結果損傷を生じて油が流出したということで、損傷を生じたこと自体よりも、油が流出してから後の方が問題になるというふうに考えております。
  164. 辻第一

    ○辻(第)委員 やはりその船の損傷した原因、それに過失があったのかなかったのかということが一つの大きな問題になるのではないか。問題になるとすれば私は捜査をされるべきであるというふうに考えるのです。いまのお話ではその後の問題がというお話ですが、そういうことじゃなしに、捜査をされるべきである、このように考えますが、御見解を承りたいと思います。
  165. 吉野穆彦

    ○吉野説明員 私どもは、ただいま申し上げましたように、損傷を生じて油が流出した以後のことが問題になるというふうに考えておりますが、その前の、海難が発生した、その発生した海難に対する問題につきましては、これは、先ほど申し上げましたように、公海上で発生しました外国船の海難でございまして、日本国の裁判管轄権が及ばないというふうに考えております。
  166. 辻第一

    ○辻(第)委員 その問題で言えばこういう話もあるんですね。海上保安庁が船員の方を全員収容された。ところがまだ自力で航行する能力があった時点で海上保安庁が強力に全員収容をお勤めになって、それにこたえて収容されたというようなことがあって、そのことで、いろいろ問題はありますけれども、結局座礁したということですね。その辺のところに問題があったのではなかったかというような疑問を抱いておられる方もあるわけです。そういうことも含めてお尋ねしているのですが、いかがですか。
  167. 吉野穆彦

    ○吉野説明員 ただいまのお話は、海上保安庁が乗組員を救助した時期あるいは判断に誤りがあったのではないかというようなことかと思いますが、十九日の午前三時のアカデミースター号から救助を求めてまいりました時点では、アカデミースターの四番船倉に浸水しているというような状況でございましたが、巡視船がこのアカデミースター号と会合しまして、十九日の午後二時五十分ごろ、特殊救難隊員を同船に派遣いたしまして調査しましたところが、一番船倉から六番船倉まで全部の船倉に浸水しておりまして、その水位は外側の海面の水位と同じくらいのところまで来ていたというようなことが一つございました。それともう一つは、出港時よりも喫水が一、二メートル増加している、つまり船が沈下しているということを船長が述べておりました。それから低気圧が接近しておりまして気象が悪化するということが予想されておりまして、それでこの船の沈没の危険というものはきわめて高いというふうに判断いたしました。それとあわせまして、これがもし荒天下に夜に入りまして沈没した場合は、乗組員を救助するのが非常にむずかしい作業になるわけでございます。そういうふうに判断したことと、船主の代理店から乗組員の救出についての要請がございましたことと、それからなお、そういった事情を船長にお話ししましたところが船長も同意したというようなことから、十九日の午後十時十八分ごろまでに、乗組員三十一名全員を救出したわけでございます。  この結果、この船は無人で漂流したということになるわけでございますけれども、人命優先の判断には誤りがなかったというふうに私どもは信じております。
  168. 辻第一

    ○辻(第)委員 最後に、このような船舶の事故を防止するために、また事故が起こったときには、本当に十分な積極的な対応をとっていただきたいと強く要望をして、質問を終わります。
  169. 西中清

    西中委員長 次に、三浦隆君。
  170. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 東京湾港湾計画の基本構想に関連しまして、横浜港問題について初めにお尋ねしたいと思います。  運輸省港湾局の昨年十一月の同構想によりますと、「東京湾内には横浜港など六港が相接して位置し、その背後圏を重複しつつ首都圏の生活、生産活動を支えている現状にかんがみ、各港の特性を尊重しながらも東京湾全体を一つの広域的港湾として総合的に計画するため策定したものである。」というふうにございますが、このうち横浜港は、横浜国際港都法による横浜の港としてよりも、開港以来すでに一世紀を経過しまして、わが国と世界を結ぶ経済、文化の窓口として、また海運、貿易の場として、日本の代表港としてその重要な役割りを果たしてまいりました。  今日、横浜港は、年間入港船舶数約八万隻、取扱貨物量約一億三千万トンの港勢を示し、世界でも有数な港となっております。一方、横浜市はいまや二百八十万人の人口を持ちまして、東京に次いで第二の都市へと発展してきましたが、横浜港はこの大都市の経済を支える基幹施設として位置づけられており、横浜港の歴史はそのまま横浜市の歴史でもあり、横浜港の発展なくして横浜市の将来の展望もございません。  しかし昨今、情勢の変化もありまして、東京湾の各港に比べ地盤沈下が唱えられております。これにつきまして、運輸省東京湾内における横浜港の位置づけをどのようにお考えになっているんでしょうか、お尋ねしたいと思います。
  171. 松本輝壽

    ○松本(輝)政府委員 お答え申し上げます。  横浜港は、神戸港と並びましてわが国の代表的な国際貿易港湾でございます。将来にわたってもその地位は変わることがないと考えております。したがって、わが国経済の発展と国際貿易の振興に寄与し、東日本の中心的国際貿易港湾としての役割りを果たすために、今後引き続いてその機能の拡充強化を図ってまいりたいと思っております。
  172. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 第六次の港湾整備五カ年計画は五十六年度から発足しましたが、この五カ年計画策定の前提となりました港湾整備長期構想におきまして、都市と一体化した港湾整備を掲げており、運輸大臣所信表明において、五カ年計画に基づいて港湾整備を着実に推進すると述べられております。  そこで、第六次港湾整備五カ年計画において横浜港施設の整備にいかに取り組んでいくのであるか、お尋ねしたいと思います。
  173. 松本輝壽

    ○松本(輝)政府委員 お答え申し上げます。  第六次港湾整備五カ年計画におきましては、横浜港は、国際貿易機能の強化を図るために、大黒地区、本牧地区における外貿バースの整備を促進いたし、さらに大黒地区におきます廃棄物埋め立て護岸の整備、港奥部における老朽化、陳腐化した埠頭を都市機能と調和した港頭地区に再開発するための整備に着手する等、以上の事業を推進する所存でございます。
  174. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 横浜港が一横浜市のためのものでなく、東京湾内における比重、さらに日本において果たす役割りの比重が大変大きいということ、そして同時に、いまの整備計画でも運輸省でも真摯になってお取り組みいただいているということは、まずありがたいことだと思います。  そこで第三番目でありますが、横浜港の整備に当たりましては、老朽化しました埠頭を都市機能と調和した埠頭に再整備し、一般市民にも親しまれる港としまして横浜の町づくりの柱としての横浜港を目指しているわけですが、横浜港にとって大きな課題一つは、港湾へ通ずる道路網の整備にございます。  横浜市内の道路交通量は年々増加しておりまして、また、市内中心部は現在コンテナ街道と言われるような渋滞地獄を生じております。そして、横浜港を中心とする広域な物流活動に大きな障害を与えてもおります。一方、市内の道路整備率は、戦後の空襲あるいは米軍の接収というふうなものが続きまして、大阪市、名古屋市等に比べまして現在もなお著しく立ちおくれております。このような現状は、深刻な都市問題としてその解決は緊急不可欠なものと言ってよいと思います。  しかし、これらの懸案問題を解消するものとして、各界から大きな期待を持たれていますのが東京湾岸道路の建設、そしてその一環としてのベイブリッジの建設でございます。特にベイブリッジの完成によって得られる効果は、一つには港湾流通機能の強化、二つには首都圏と直結することでの横浜経済へのてこ入れ、三つには港横浜の新しいシンボルなど、数多いわけです。  ところで、これらの工事は現在大幅におくれておりますが、予定時期の完成が大変危ぶまれております。その進捗状況が現在どのようになっているのか、あるいはなぜ工事がおくれようとしているのか、お尋ねしたいと思います。
  175. 稲見俊明

    ○稲見説明員 初めに、東京湾岸道路全体について御説明申し上げます。  東京湾岸道路は、東京湾周辺の諸都市を相互に連絡する幹線道路として計画されておりまして、千葉県の富津市から神奈川県の横須賀市の間、総延長百六十キロメートルでございます。このうちすでに百三十キロメートルが都市計画決定されておりまして、そのうち八十キロメートルが五十六年度末で供用されております。これまで特に東京−千葉間につきまして、この間の交通混雑の増大及び新東京国際空港へのアクセス対策等の観点から、緊急を要する区間としてその整備を進めてきたわけでございます。また東京−横浜間につきましては、横浜市中心部における交通渋滞解消及び港湾発生交通の処理対策としての効果が大きい横浜ベイブリッジの事業を、昭和五十四年度より着手しておるわけでございます。今後は、この横浜ベイブリッジを含む東京−横浜間に重点を置きまして、運輸省計画が進められております羽田空港の沖合い展開計画やら浮島沖などの、現在施行中の埋め立て計画等と整合を図りつつ、積極的にその整備を進めてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。  次に、横浜ベイブリッジについて御説明申し上げます。  ベイブリッジは、首都高速道路公団の横浜高速湾岸線の一部として、横浜市の臨海部に立地する港湾施設等を相互に連絡し、さらに横浜市の中心部における交通混雑の緩和を図る等の目的のために、先ほど言いましたように昭和五十四年より事業に着手しております。  工事につきましては、昭和五十五年にはベイブリッジの大黒埠頭側の基礎工事、それから昭和五十六年におきましては橋脚の基礎用のバージの製作に着手しておるわけでございまして、昭和五十七年度におきましてもこれらの工事を継続して実施する予定でございます。  このベイブリッジの完成につきましては、現在事業計画上においては昭和六十年を予定しております。いままでのところ、地質調査を詳細に進めた結果、地盤条件が当初の見込みとかなり異なっておりまして、新たな対応が必要になってきておる。それから、横浜港のようなわが国最大の港湾で航路の中心部を横断する橋をかけるわけでございますので、いわゆる関係者の間の調整というのが非常に必要になってくるわけでございます。こういうことから、当初計画に比して若干工程的にはおくれが見られております。しかし、この工程は、現在のところ、努力次第によっては回復することができるのではないかというふうには考えております。しかし、この下部工事を本格的に行っていきますと、この工事自体が非常に大規模で、しかも非常にむずかしい工事であるということから、そのときの状況によっては工事工程を見直す必要が生ずるのではないかというふうに考えられます。  そういうことでございますが、現在のところ、計画どおりに完成が図れるように一層努力をしたいというふうに考えておるわけでございます。
  176. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 工程のおくれは努力次第で解決できるだろう。こうした技術的なものはともかくとしまして、いまの言葉で、行革の真っただ中ではありますが、いわゆる資金的な面では、これまでと同じような計画に沿って行っていただける、このように理解してよろしいでしょうか。
  177. 稲見俊明

    ○稲見説明員 工程のおくれというのは主として技術的な問題でございますので、この辺の解決ということが基本になってくるわけでございまして、そういうものを解決しながら資金を充当していくということで、進めていくことになろうかと思います。  いずれにしましても非常にむずかしい工事であるということを認識していただきまして、われわれとしては何とか予定どおり完成させたいという努力を積み重ねていきたいと思っております。
  178. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 その御答弁のように、ぜひ予定どおりの完成をお願いしたいというふうに思います。国鉄貨物線の利用というのは、経費の高さとか、効率性の悪さとか、荷扱いの不親切といったようないろいろな観点があって、横浜の方でも貨物からむしろだんだんとトラックの方へと、いろいろと変わってきつつあります。しかも陸上のトラック利用から内航船利用というものへ将来変わってくるかと思うのですが、いずれにしましても、六十年度までに何とかしてベイブリッジを完成していただきたいということをこの際お願いして、この質問を打ち切ることにいたします。  そこで、次に、暴走族問題に関連しましてお尋ねをしたいと思います。  初めに、公安委員長所信の中で、「道路交通は一段と複雑多様化し、交通事故、交通渋滞、交通公害等道路交通を取り巻く諸問題が山積しております。」と言っておられるわけですが、この一つとして、暴走族の交通社会に及ぼす影響は依然として現在も高い状況にあります。  そこで、暴走族に対します国の総合的な施策について、公安委員長の御所見を承りたいと思います。
  179. 世耕政隆

    ○世耕国務大臣 暴走族は、公道を集団で暴走して邪魔をしたり秩序を乱したりしているだけではなくて、最近いろいろ凶器などを準備して対立抗争などを行って悪質化してきておる、こういうところから、交通の安全ばかりでなく、少年非行防止の観点からしても重要な問題であるとわれわれは受けとめているものでございます。  次に、それでは警察としてはどういうふうな方向に取り締まりを行っていくか。これはなかなかむずかしいところでございますが、週末なんかに警戒取り締まりを強化しておりますほかに、グループの解体補導に現在極力努めているところでございます。  さらに、それでは一体国としてはどういうふうな対処の仕方をしているかということが問題になるわけでございますが、総理府を中心にいたしまして、警察だけでなく、関係省庁間で暴走族の緊急対策について申し合わせを行って総合対策を進めているところでございます。それは暴走族の問題を全体的に、もちろん社会的な問題、それからあらゆるいろいろな風俗その他環境的な問題、全体的な問題としてとらえているからでございます。
  180. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 暴走族の実態調査を拝見しますと、たとえば昭和五十五年十一月の調査で七百五十四グループ、人員にして三万八千九百五十二名、うち女性が一千四百二十六名です。これに対して、一年たった五十六年十一月の調査によりますと、グループ数が七百七十、人員は四万六百二十九人、うち女性が一千五百三十七人というふうに、かえってふえているというふうなことからして、暴走族のグループ数あるいは人員の問題について、どうしてグループ数がだんだんふえてくるのか、お答えいただければと思います。
  181. 久本禮一

    久本政府委員 おっしゃるとおり、グループ数は先生お示しの数字のように数の上ではふえております。ただ、これは継続的に、ただいま大臣も申しましたように、暴走族の取り締まりにつきましては警察は総力を挙げて取り組んでおります。したがまして、大きなグループはかなり壊滅させられたという点はございますけれども、それが反面、警察の取り締まりを恐れて細かになってしまったというのが一つ実態としてございます。  また、現実に取り締まりを受けまして暴走族から脱落をしたという者の数もかなり多うございますが、結果的には、これを上回る予備軍からの流入があるというような形で、引き続いての取り締まりあるいは解体作業にもかかわりませず、絶対数として必ずしも思うように減らない。場合によっては、いま御指摘のようにふえるという結果になってしまったというのが実態だというふうに承知をいたしております。
  182. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 このグループの数が、大きいグループが小さくなっているのだ、そしてそれが総体的に人員が減ってくるのですとそれで結構なのですが、グループもふえている、人員もふえているとなると、やはりちょっと問題があると思います。今後ともよろしくお願いしたいと思います。  そこで第二番目には、最近の暴走族は悪質な走行集団から凶悪、粗暴な犯罪集団へと移り変わってくるような気がするのですが、その実態取り締まり状況はどうなっておりますか、お尋ねしたいと思います。
  183. 久本禮一

    久本政府委員 取り締まり実態でございますが、昭和五十六年中の取り締まり状況を御参考に申し上げますと、道路交通法違反、これは共同危険行為あるいは無免許あるいは信号無視、整備不良といったようなものについての取り締まりでございますが、三万七千九百八十七人の取り締まりをいたしております。これは道交法関係でございますが、それとは別に、暴行、傷害、凶器準備集合、あるいは公務執行妨害といったような、いわば刑法犯に触れるような悪質なものの検挙が、ほかに四千六百七十三ございます。こういったような形で刑法犯の検挙が多くなっているということは、全体の暴走族の凶悪化というものを示す数字であろうと思うのでございます。なお、暴力行為処罰法違反も二千三百四十九ということでございまして、単なる道交法違反ではない、刑法犯その他、特に本来こういったものではないような違反まで生じているといったようなことの中から、最近の傾向についてのお見取りをいただきたい、そういうことでございます。  今後、この点につきましては、引き続きまして十分取り締まりをしてまいるという考えでございます。
  184. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 暴走族の人たちの乗る車についてなのですが、車のナンバー隠しを行っている事犯というのが大変多いようであります。こうした車のナンバー隠し、たとえば番号標に粘着テープを張りつけるとか、そうしたようなことを考えてみますと、これらのナンバー隠蔽事犯の検挙数は六百七十一台、六百九十二人、この事犯に係る行政処分は全体で百五十四件と、検挙数に比べて大変少ないように思うのですが、その理由はどういうところにあるのでしょうか。また、このような悪質化している暴走族に対処するため、今後の取り締まり態勢、そしてそれに対する決意というものを改めてお尋ねしたい。
  185. 久本禮一

    久本政府委員 暴走族のナンバー隠しの点につきましては、先生お示しのとおりでございまして、確かに取り締まりの件数と行政処分の件数との間に差がございます。  ただ、これについてちょっと御説明申し上げますと、この相違と申しますのは、検挙につきましては、これは単独で走っている者でも、ナンバー隠しをやっている者は検挙いたしております。と申しますのは、ナンバーを隠して走るということは、これはいわば警察の追跡を逃れるということで、暴走族の予備軍的な行為と同じでございます。したがって、これは厳密に取り締まっていくという考えでございます。  ところが一方、行政処分につきましては、行政処分ができますのは、こういったナンバー隠しの中で集団を形成して走るような危険性の特に高いというものでないと、ストレートに行政処分にかかってこないという実態がございますので、ただいま申し上げましたように、ナンバー隠しの検挙をかなりすそ広く行っているという実態で申し上げますと、それは必ずしも行政処分の対象に入ってこないということで、この辺の両方の数値は相違するわけでございます。したがいまして、昨年は検挙者中の該当者百五十四人につきまして行政処分を行ったという結果になったわけでございまして、これが数字のずれの生じている理由でございます。  こういったナンバー隠しも重要な一つの検挙対象でございますが、暴走族全体に対します現在の私どもの対応は、最近多少鎮静化と申しますか、目立った悪質な事案がここ一、二カ月起こっていないという点はございますけれども、やはりいつ息を吹き返すかわからないといった潜在性を持っておるのが現在の暴走族の実態であろうというふうに思っております。したがいまして、引き続きまして、週末等を重点にいたしまして、特別の警戒取り締まり態勢を依然として強力にしいております。そういたしまして、共同危険行為を中心といたしますところの不法事案の取り締まりに厳しく当たっておるということでございますが、このほか、ただいまもお話がございましたような行政処分につきましては、特に暴走族に対しては迅速、厳正に実施をしてまいりたいと思います。  それから、暴走族は検挙だけで終わるものではございませんので、先ほど大臣が申しましたように、グループの解体補導、あるいは家庭、学校、職場との連携をもちまして事後措置を十分に論じまして、暴走族がまた再び復帰することのないようなことを目指しまして、諸対策を積極的に推進してまいるということでございまして、この点につきましては、関係機関あるいは団体等とも十分に御相談いたしまして総合対策を推進してまいるということで、暴走族を許さないという社会的環境、それから、させないといった環境というものについて鋭意努力をしてまいるという考えでございます。
  186. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 ナンバー隠しというのは、例の過激派学生なども、覆面を脱いでいるときにはおとなしくて、覆面をしてわからなくなると人が変わったように乱暴をしやすくなってくるということと同じように、これまでの暴走族もこうしたナンバーを隠し、さらに顔を隠すわけです。ナンバーを隠して、自分自身がだれであるかわからないようにさせるということは、また危険な、何となくいやな予感がしないではございません。いまのところはまださほどの数とは思えませんけれども、この対策を早い目にしっかりやっていただかないと、こういう傾向が広がらないようにひとつお願いをしたい、こう思います。  それからその次は、暴走族少年の非行によるシンナーの乱用というのが毎年ふえ続けているということですが、特別法違反の検挙数は三千百九十三件、三千三百四人です。そのうち毒劇物違反件数が七百五十五件、九百三十一人とかなり高い数字を示しているのですが、この実態をどう見られるのでしょうか。また、シンナー等を乱用すると心身に障害を受けるほか、その薬理作用によって犯罪を犯すことも多いと言われるのですが、シンナーや覚せい剤等麻薬乱用少年に対する補導状況及びその後の処置はどうなっているか、お尋ねしたいと思います。
  187. 石瀬博

    ○石瀬説明員 ただいま具体的な数字をお示しになりまして、最近暴走族の中にシンナー等薬物を乱用する少年が非常に多くなっているということでございまして、先ほど交通局長から御答弁もございましたように、一般の不法事犯によって市民に大変な迷惑や被害をかけているだけでなくして、みずからの身体をむしばんでいるということにつきましてはわれわれも非常に残念なことと考えております。  御案内のとおり暴走族の八割近くは少年でございまして、私どもは一方で少年非行対策というものを非常に強く進めておるわけでございますが、暴走族の問題につきましても暴走族対策は即少年対策であり、かつまた薬物乱用対策であるということで、性根を据えてこの問題に取り組んでいるという状況でございます。  具体的な補導の状況につきましては、走行の現場等でシンナーを乱用している少年を発見いたしました場合には、署に連れてまいりまして、保護者をも呼び一緒に厳重な補導をする、あるいはまた注意助言をするというようなことで、再びシンナーに手を染めないようにいたしておるわけでございますし、また、悪質なものにつきましては身柄つきで家庭裁判所へ送致するということで、何とかシンナー等の悪癖から逃れるようにいたしておるところでございます。  今後とも同様な取り組みをしてまいりたいと考えております。
  188. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 本当にシンナーあるいは覚せい剤等麻薬乱用というのが青少年をむしばみましたときに、それは本人だけじゃなくて家庭も不幸せですし、社会にも多大な影響を及ぼすということでございますので、ひとつしっかりとやっていただきたい。  ただ、そうした結果面的な、秩序違反した乱暴な面だけを取り出しますと本当に許しがたいという思いもあるのですが、しかし、その一種の薬理作用に基づくものであるというふうになりますと、正常な人ならば怒ればわかるかもしれませんが、薬の作用で少々おかしくなっている場合にはしかるだけではどうにもならなかろう。そこで、補導しましたときに、そうした医療面からの関係もひとつ警察の方でも御考慮いただきたい。  その一つは、たまたま十六、十七、十八、十九という若い人たちが多いし、中学、高校という学校にかかわる少年たちも多いわけで、現在学校では学校医という存在がありまして、そして健康診断を行っておりますし、学校医による学校医執務記録というふうなものも出されているわけでして、そうした中に特記欄というのがあるわけですが、ここにシンナーなりあるいは覚せい剤の乱用によっておかしい、治療を要するとでも書いてあると、その子供に対する扱いもかなり変わってくるのだろうと私は思うのです。現在、そうした学校との連絡はおとりになっていると思うのですが、学校医による学校医執務記録簿というのがあるのだが、まずそういうこと自体警察は御存じだったでしょうか。
  189. 石瀬博

    ○石瀬説明員 お尋ねのありましたようなそういう執務記録簿があるということは承知いたしておりますけれども、その内容についてまで私どもが一々提示を求めて補導するということはとっておりません。学校警察連絡協議会とか学校との個別連絡の場を通じて、そういうような実態というものは十分に把握できると考えておりますので、今後とも、学校との連携を密にしながら生徒の立ち直りを図ってまいりたいと考えております。  御指摘のありました件につきましては、十分趣旨を踏まえて努力したいと考えております。
  190. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 実はこの交特委でも、例の日航機の問題のときに皆さんから質問が出たのですが、片桐という機長は本来機長としては乗ってはならない人であった。それで、日航内にもちゃんとお医者さんの医療体制によって健康診断をしていたはずですし、また、その健康診断の結果が正確に報告されていれば乗り得なかったのに、診断のときにあいまいであったのか、あるいはまた正確な診断であってもそれを記録にとどめなかったのか、とにかく上層部には達していなかったことが今度の大きな問題になっていたと思うのですね。同じことで、学校医が果たして正確に子供たちのシンナー乱用さを把握しているかどうか、あるいは把握していたとしても特記欄に記入していたかどうか。もししていなければ、校長さんにもわからないことだし、だれにもわからなくなってしまうかもしれない。そのことによって、その子供に立ち直る機会を失わせてしまって、ますます深入りさせてしまうのではないか、このように考えます。  さて、一般的には、学校における学校医執務記録というふうなものも、個人的なことですからだれにも見せていいものとは私にも思えないのですが、しかし、学校だけが全く私していい性格のものとも思えませんで、子供を持つ親が子供に関して心配になって、こうしたたとえば暴走族事件だとかその他のことでシンナー乱用のことがわかった。となれば、学校としては、いつごろからそういうふうになっておったか、急になったのか、あるいは学校医の執務記録なんかを見ながら、いつごろから子供がおかしくなったのかとか、親にとってもこれは十分関心のあることだと思いますし、一般の人が見せろと言っても学校は仮に拒否でき得るとしても、むしろ子供を持つ親は監護教育の義務を負わされているというか、権利義務を持った親が行ったときには見せてもいいのじゃないか。あるいは、ちょっとわかりませんが警察の方も、警察ストレートじゃなくて親御さんを介することによって、事態の正確さを期していただきたいと思います。流れ全体として情報公開化というふうな流れにありまして、これをもしとめるものがあるとすれば、余りプライバシーを侵害してはいけない、本人を傷つけてはいけないということにあろうかと思うのであって、ここでは全くいわゆる医療的な観点から子供の立ち直りを期したい、そういうことなんで、その点もひとつ今後、学校との連絡をとるという中で御検討いただきたいと思います。  次は厚生省の方にお尋ねしたいと思うのですが、実は新聞の記事なんですが、暴走族の少年だけをとってみると、覚せい剤取締法違反事件の検挙件数は昨年比二・二倍にふえ、検挙された少年は九人から四十人になり四・四倍と急激にふえてきた。人数が少ないせいもあるのですが、この伸び率が大変高く書かれております。ここでは暴走族というよりも一般論としまして、青少年によるシンナー、覚せい剤等麻薬乱用による影響は、暴走族、校内暴力、あるいは性非行、そのほか多方面にわたっているわけです。これら青少年によるシンナー、覚せい剤等麻薬乱用に対する医療上の体制はどうなっているか、お尋ねしたいと思います。
  191. 野崎貞彦

    ○野崎説明員 自発的に覚せい剤の使用をやめることができないような覚せい剤の慢性中毒者につきましては、精神衛生法に基づきまして、精神病院で医療保護を図っておるところでございます。  なお、覚せい剤中毒者に対します医療保護に関しましては、その体制のあり方でありますとか新しい診断基準等につきまして、現在公衆衛生審議会で御審議いただいているところでございます。
  192. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 シンナーあるいは覚せい剤等麻薬乱用というものが青少年を大変大きくむしばんでいる。そのことによってたとえば暴走族の問題になり、校内暴力につながり、女子の場合には性非行につながる、さらにそういう薬品欲しさに窃盗なんかにもつながりかねないというふうになると、これは青少年医療という観点から、もっと厚生省は本腰を入れてかかっていただく必要があるのじゃないか。この点についての厚生省の発表を見ましても、これまでの資料を見ても、余り触れているところがない。むしろ大変手抜きだと言ってもいいと思うのですが、ひとつ真剣に取り組む姿勢をとっていただきたいと思うのです。特に学校なんかで見ますと、いろいろそういう薬物を乱用したりすると、勉強についていけなくなるという点では教育的な問題が一つあるし、もう一つは、学校で乱暴すると学校の秩序を乱すといった、いわゆる教育面と秩序取り締まり面とあるのですが、もう一つの点というのは、学校医療の点だろうと思うのです。  先ほども指摘したわけでして、これまで学校医というものが、結核だとか、トラホームだとか、寄生虫だとか、そうしたことし本当に入学の最初から卒業に至るまで一貫してやっていただいたおかげで、まさに早期発見、早期治療というのでしょうか、学校医療の成果というものも上がって、結核も本当に減ったし、寄生虫の問題も、トラホームの問題もほとんど現在なくなってきているわけであります。ただ、当初の学校保健法、施行令、施行規則といったものに書かれている時点と現在違ってきましたのは、現在はシンナーあるいは覚せい剤乱用の問題が大きな脚光を浴びるようになってきたということだと思います。ところが、こうしたことを当初は法は予測しておらなかったものですから、余りそれについては触れていないわけであります。ということは、学校医としてこれこれしかじかのことを検査しなさい、あるいはどのようにしなさいといった基準の中にも、特に何ら触れているところがないわけです。私が友人の医者に聞きましたところが、一人の医者としてたくさんの子供たちを同時に診ることは、与えられた項目を診るだけでも実は容易なことではない、ですから、さらに進んで書かれていない事項、シンナーあるいは覚せい剤乱用に関するところまで診ているゆとりを持たない、あるいはまた、仮に診たとして特記欄に書いたときに、行き過ぎ、越権じゃないか、むしろしかられはしないかという不安がある、こういうことを言われるわけであります。  私がむしろお願いしたいのは、ある学校、ある特定の地域では多発する傾向を持っておりまして、一般の平穏な地域、一般の学校ではこういうシンナー等の乱用というものは余り見受けられない。ところが、特定の地域、特定の学校では繰り返し行われていて、乱暴する学校の主導権を握っている子は、いわゆるぐれん隊絡みでそういうふうになっているわけですね。ですから、法令を改正するなり、現行の法令でも適正な運用、御指導をいただきまして、そういう問題の学校、地域だけでもいいから、シンナー乱用というふうなものをやった場合には、何とかそれを特記欄に書いていただきたいのです。  これも医師会に聞きましたところが、そういうふうなシンナーあるいは覚せい剤等の麻薬乱用は、それ専門に立ち会っている医者は一見してわかると言うのですね。よほど早ければともかくとしまして、大体何となくわかるものです、こう言うわけです。ところが、現在、何となくわかっても、現在の学校保健法令一般ではどうにもならないのですというふうに言われるので、その点をひとつ厚生省として、今後の学校医療体制への指導というものを行っていただきたい、こう思うのですが、どんなものでしょうか。
  193. 野崎貞彦

    ○野崎説明員 学校保健法につきましては文部省が所管しておるわけでございますが、精神衛生全般につきましては、精神衛生法ということで厚生省が所管しておりますので、先生いま御指摘の点も踏まえまして、文部省ともよく連絡をしたいと思っております。
  194. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 いま厚生省にお願いしましたのは、そのシンナーあるいは覚せい剤等の麻薬乱用によってひどくなった場合は、やはり病人と同じなんだろうと思うのです。  現在、学校における出席停止ができるというのはおよそ法令的に二つあります。一つは、懲罰によってというか、懲戒によって何とか手が打てるかどうか。ところが、これは高校以上ならともかくとして、義務教育の小学校、中学校においては、懲戒という手段によって停学あるいは退学という処分はとることができないわけです。法令的にできない。もう一つは、学校保健法令によりまして、結核にかかった場合には学校への出席を停止させて治療させることができるようになっているわけであります。これは本人が病むというだけではなくて、昔の結核という観念は、人にうつす、迷惑をかけるという点があったからだろうと思うのですね。  とするならば、こうしたシンナーやあるいは覚せい剤等の麻薬乱用者も、本人がただぐあいが悪いだけではなくて、学校その他、家庭なり地域社会に及ぼす影響が大きいですから、これも結核並みというか、新規に取り上げる方向性を持っていただいたらどんなものだろうか、こう考えるのです。  もう一つには、法令によってある種の病気の場合には治療費の負担ができるようになっております。ところが、いまのシンナーや覚せい剤等麻薬乱用者はそういうふうな対象になっておらないわけであります。実際にそうなると、対象になっていないので、そういう患者というのは、休まして入院させるとかなりのお金がかかってくることを考えますと、貧しい家庭では、わかっていてもどうにもならない、みすみすひどくなるのを待つばかりであるというふうになります。  そこでもう一つ、学校では、法令的にははっきり明文はありませんが、教育的配慮で休ませられるのではないかという感覚もなきにしもあらずですが、しかし、現在のわが国は法治主義の体制をとっておりますからこれについて何の枠組みもない。ただ、教育的配慮という名前をつけたならば出席停止ができるということで、それでは教育とは何ぞやという、こういう漠然としたことだけでやられたのでは、その裁量権を握っている人は大変なことになってしまうわけです。ですから法令的には少年法にひっかかって現在教護院なり鑑別所に入っている場合には何日間とか、伝染病にかかっているときには何日間とか、そういうふうにはっきり決めているわけですし、懲戒では停学なり退学はだめだと書いてあるわけですから、それを、文部省の一つの考え方として、教育という名前をつければ休ますことができるだろうと言われても、そういうのは恣意的裁量に及ぶおそれがあって余りよしとは言えないので、むしろはっきりと医療という観点に立っていただいて、現行法令の改正あるいは適正な運用を行っていただけるように、厚生省の今後の取り組みとして前向きにひとつ御検討いただきたいわけで、そうした前向きな検討を行ってみたいというふうな御答弁がいただけるかどうか、お尋ねをしたいと思います。
  195. 野崎貞彦

    ○野崎説明員 いまの医療の公費負担でございますが、精神衛生法の一般論では、措置入院に該当する場合には公費負担の強制入院ということが行われております。  いま先生指摘の学校保健教育にかかわる分野につきましては、それぞれの単独の法律があるわけでございますから、私どもとしても、現在審議会の方で御審議いただいておりますので、その結果を待ちまして検討させていただきたいと思っております。
  196. 三浦隆

    ○三浦(隆)委員 こうした校内暴力、暴走族あるいは女子における性非行問題というのは、本当にゆゆしきことでありまして、ひとつ警察、文部省、厚生省それぞれが十分な連絡をおとりいただきたいと思うのです。特に現行法令も新しい観点で見直すべきところがもしあるならば見直していただきたいというふうに思います。直ちに法令が改正できないものならば、学校医療に対する行政指導という形で結構ですから、学校医の執務記録なんかに、そういうシンナーあるいは覚せい剤等麻薬乱用の徴候が著しい場合には、その特記欄に必ず明記するようにぜひそうお願いしたいと思います。そうでないと、警察がその子供を補導する、学校の教員がその子に対して何らか注意するときに、何の根拠もなくやったように見受けられると、何か権力がいかにも子供に介入しているようにもとられかねない。しかもそういう者が、たばこを吸い過ぎている、あるいは酒を飲み過ぎてそれが常習になっているとすると、一回注意しただけではとても終わるものでもなかろう。特にシンナー、覚せい剤等がかかわっているとすればなおさらそう思うのですね。ですから、その子供のために、本当に医療的な見地でかかわり合いを持った場合、その学校の担当の先生なり警察の人が自信を持ってその子供の補導というか立ち直りが期せられるようにするためには、学校との連携をとって、学校医の執務記録等における特記欄その他にこういう状況があることを明確に書くように、ぜひともそういう指導をお願いしたいということをもちまして、私の質問を終わらせていただきます。
  197. 西中清

    西中委員長 次回は、公報でお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時二十九分散会