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1982-04-02 第96回国会 衆議院 建設委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年四月二日(金曜日)     午前十時五分開議  出席委員    委員長 村田敬次郎君    理事 稲村 利幸君 理事 大塚 雄司君    理事 住  栄作君 理事 竹中 修一君    理事 中村  茂君 理事 薮仲 義彦君    理事 渡辺 武三君       鴨田利太郎君    川崎 二郎君       國場 幸昌君    田村 良平君       登坂重次郎君    松本 十郎君       小野 信一君    前川  旦君       山花 貞夫君    横山 利秋君       林  保夫君    瀬崎 博義君       中島 武敏君  出席国務大臣         建 設 大 臣 始関 伊平君  出席政府委員         国土庁土地局長 小笠原正男君         建設大臣官房長 丸山 良仁君         建設省計画局長 吉田 公二君         建設省道路局長 渡辺 修自君         建設省住宅局長 豊蔵  一君  委員外出席者         経済企画庁総合         計画局計画官  西藤  冲君         住宅金融公庫総         裁       大津留 温君         住宅金融公庫理         事       重元 良夫君         住宅金融公庫理         事       関口  洋君         住宅金融公庫理         事       篠田 信義君         参  考  人         (日本道路公団         総裁)     高橋国一郎君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     新野喜一郎君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  堺  徳吾君     ————————————— 委員の異動 三月二十六日  辞任         補欠選任   横山 利秋君     馬場  昇君 同日  辞任         補欠選任   馬場  昇君     横山 利秋君 同月三十日  辞任         補欠選任   山花 貞夫君     飛鳥田一雄君 四月二日  辞任         補欠選任   飛鳥田一雄君     山花 貞夫君     ————————————— 三月二十九日  離島振興法期限延長に関する請願小渕正義  君紹介)(第一六七六号)  同(中村重光紹介)(第一七二五号)  脊髄損傷者に対する建設行政改善に関する請願  (小川国彦紹介)(第一六九八号)  同(小杉隆紹介)(第一七六四号)  住宅関係予算大幅拡充等に関する請願小野  信一紹介)(第一七四〇号)  同(前川旦紹介)(第一七四一号)  同(山花貞夫紹介)(第一七四二号) 四月一日  脊髄損傷者に対する建設行政改善に関する請願  (春田重昭紹介)(第一八一七号)  地方住宅供給公社家賃制度改悪反対等に関す  る請願外一件(阿部未喜男君紹介)(第一八三  三号)  同(井岡大治紹介)(第一八三四号)  同外二件(井上一成紹介)(第一八三五号)  同(伊賀定盛紹介)(第一八三六号)  同外一件(伊藤茂紹介)(第一八三七号)  同外一件(広瀬秀吉紹介)(第一八三八号)  同外一件(村山喜一紹介)(第一八三九号)  同(山口鶴男紹介)(第一八四〇号)  同外一件(山花貞夫紹介)(第一八四一号)  同(横山利秋紹介)(第一八四二号)  同外一件(池端清一紹介)(第一八九一号)  同外一件(飛鳥田一雄紹介)(第一九二六  号)  同外一件(五十嵐広三紹介)(第一九二七  号)  同(木間章紹介)(第一九二八号)  住宅関係予算大幅拡充等に関する請願横山  利秋紹介)(第一八四三号)  同(木間章紹介)(第一九二五号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進  法の一部を改正する法律案内閣提出第三五  号)      ————◇—————
  2. 村田敬次郎

    村田委員長 これより会議を開きます。  住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として、日本道路公団総裁高橋国一郎君、同理事新野喜一郎君及び住宅都市整備公団理事堺徳吾君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 村田敬次郎

    村田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 村田敬次郎

    村田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小野信一君。
  5. 小野信一

    小野委員 昨年の十月から十二月までの昭和五十六年度第三・四半期の実質経済成長率マイナス〇・九と発表されました。年率に換算してマイナス三・五%、国民はわが国の経済の先行きに非常に大きな不安を抱いております。以前でありますと、財政的にもあるいは金融的にもてこ入れが可能でありましたけれども、現在はそれらのてこ入れが非常にむずかしい、金利引き下げるにいたしましても、直ちに輸出の増加になって、現在問題になっている貿易摩擦を引き起こしかねない、こういうことから金利引き下げもまた非常にちゅうちょされておる実態であります。その景気てこ入れに対して残された道は、公共事業の前倒しあるいは住宅建設拡大、これらが残された道だとして非常に大きな期待を国民からも、または政府内部からもされております。  そこで、三月も終わって、昭和五十六年度住宅建設戸数の確実な数字がはじき出されておるのではないか、こう考えますので、五十六年度目的戸数幾らであって、その実績はいかほどになっておるのか、最初に報告を求めます。
  6. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 お答えいたします。  昭和五十六年度におきます新設住宅着工戸数は本年の一月までの統計しか出ておりませんが、その一月までの累計で約九十七万戸となっておりまして、前年度の同期に比較いたしまして六・二%、六万戸の減少となっております。二月及び三月の統計がどのようになるかわかりませんが、おおむねこの傾向でいくといたしますと、昭和五十六年度一年間で約百十五万戸前後になるものと見込まれております。建設戸数全体につきましての正式な計画というものはございませんでしたが、昭和五十五年度建設が百二十一万四千戸であったこと等、またその後の物価の安定などを考慮いたしますと、これを上回る建設が見込まれるのではないかというふうに考えておりましたが、現在の状況といたしましては、逆にこれを下回っているといったような実情に相なっております。
  7. 小野信一

    小野委員 五十六年度建設目的戸数幾らだったんですか。
  8. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 私どもといたしましては、公的資金によりますところの住宅、そういったものを中心に予算としては積算をいたしておるところでございまして、私どもの方で預かっております予算では、公的資金住宅の一部ではございますが総計といたしまして六十五万五千戸程度考えておりまして、その他に純粋の民間資金住宅というものがあるわけでございますが、これがどの程度になるかということは、特定の計画といったようなものではございませんで、一応の見込みということであったかと思います。その見込みの段階で関係の方面ともいろいろ意見を伺っておったわけでございますが、五十六年度年度当初においては、その前の年が百二十一万四千戸程度でありましたこと等を考えまして、百三十万戸近くまで復元するのではないかというふうに見込んではおりました。しかしながら、ただいま申し上げましたように、実際にはそのような状況になりませんで、逆に五十五年度を下回っているといったようなことでございます。  なお、ちなみに私どもが昨年の三月末に閣議決定いたしました第四期住宅建設五カ年計画は、五十六年度から六十年度までの総住宅建設戸数を約七百七十万戸と見込んでおりました。これを単純に各年度に割りますと、百五十四万戸ということに相なります。そのうち新設着工統計にあらわれますのは、若干の漏れ率というのがございまして、おおむね七%前後程度漏れがあるということになっておりますので、それを差し引きますと、住宅新設着工統計であらわれる各年度の平均は百四十五万戸前後であればこの五カ年計画見込みに合うということになるわけでございますので、それから比較いたしまして、五十六年度初年度でありますが、かなり大幅なダウンを示しているということでございます。
  9. 小野信一

    小野委員 公的資金による住宅建設目標数は、予算によりますと五十六年七十三万戸でありました。いま六十五万五千戸と言っておりますけれども予算では七十三万戸であります。公営住宅公庫住宅公団住宅小計で五十八万六千戸、その他十四万四千戸、計七十三万戸ですけれども、五十六年度のこの百十五万戸の公的資金による建設内訳はどのような実態になっておりますか。特にどの部分で落ち込みがひどいのか、どの部分で順調に進んだのか、その点の報告を求めます。
  10. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 公的資金によりますところの住宅建設予定戸数と、新設着工統計にあらわれます戸数とには若干の差がございます。と申しますのは、新設着工統計はあくまでも新築の住宅を計算するわけでございますが、公的資金住宅の中には住宅改良があるとか、既存の住宅についての融資があるとか、あるいはまた財形融資等につきましては、公庫とのあわせ貸しをされる方もあるために、二重にカウントできないといったようなこともありまして、正確に比較はできませんが、もし仮に五十六年度新設着工統計を百十五万戸程度と推計いたしますならば、そのうち公的資金住宅は約五十五万戸というふうに推計できるかと思います。  その五十五万戸の内訳といたしましては、おおむね各事業とも平均的に目標達成しておりますが、中でも公庫住宅が一番実績を上げることになるのではないか。そしてまた、その他の財形住宅であるとかあるいはまた一部の公団住宅等につきましては、目標を若干下回っておるといったようなことになろうかと思います。
  11. 小野信一

    小野委員 見込み数から見ますと大体八五%から八八%の間じゃないのか、そう計算されます。そうしますと、この落ち込んだ理由は何だったのでしょうか。どう分析しておりますか。
  12. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 まず公的資金によります住宅関係でございますが、そのうち、たとえば住宅都市整備公団が行っております公団住宅等につきまして見ました場合には、用地の取得難関連公共公益施設整備についての折衝の難航、あるいはまた、地元の周辺の地域を含めました関係方々との折衝に時間がかかる等々の理由から、最近必ずしも実績が当初の予定より上がっていないという感じがいたします。それからまた、財形資金住宅が必ずしも所期の計画どおり進んでおりませなんだ原因といたしましては、財形資金によりますところのローン金利が、諸般事情を反映いたしまして、一時は民間住宅ローンと同じ程度の高金利になったこと等が非常に阻害要因となったかと思います。  また、一般民間資金住宅、これは公庫住宅を利用される方も、建築着工の上では民間資金も相当あわせて利用されるわけでございますが、そういったような個人の住宅建設等が落ち込んでおる、あるいはまた一般分譲住宅、特に戸建て分譲住宅等が落ち込んでおりますのは、特段に住宅価格所得との乖離が大きかった、中でも地価高騰、それから一時、五十四年から五十五年にかけましての建築費の急激な上昇、それに対しまして金融引き締め等によります金融状況の悪化、特に金利引き上げ、そういったことがありましたこと、それから最後には、やはり所得の全体としての伸び悩み、そういったようなことが大きな原因になって、全体の建設戸数引き下げると  いったような要因になっていたかと思います。
  13. 小野信一

    小野委員 公的資金による住宅建設戸数はわかりましたけれども、それならば民間資金による建設戸数見通しはいかがですか。第四期五カ年計画によりますと五年間で四百二十万戸、単年度八十四万戸の建設予定になっておりますけれども、五十六年度実績はいかがと計算しておりますか。
  14. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 五十六年度仮に新設着工住宅戸数百十五万戸ということで推計をいたしますならば、民間資金住宅につきましては約六十万戸程度になるのではなかろうかというふうに考えております。
  15. 小野信一

    小野委員 第四期五計によりますと、五十六年度と五十七年度で少なくとも四二%の達成率目標にしておりますけれども、五十七年度で百三十万戸建設されたといたしましても、五十六年度公的資金による建設戸数六十五万五千戸、民間資金による住宅建設戸数六十万戸といたしますと、かなり計画よりは落ち込む、こういうことになりますが、この計画達成に対してどのような処理の仕方を建設省はこれからやろうとするのか、その処理方法をお聞かせ願いたいと思います。
  16. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 御指摘のとおり、第四期住宅建設五カ年計画初年度におきまして、必ずしも予定どおり建設が進んでおりません。そういうようなことを考えまして、五十七年度におきましては、住宅金融公庫あるいは財形持ち家融資等につきまして貸付限度額引き上げを行うとか、あるいはまた、年金融資等につきましても同様な措置を講ずるとともに、貸付戸数をふやす、さらにはまた住宅金融公庫あるいは財形持ち家融資につきまして、中古金利あるいは財形持ち家利子補給等を含めた実質的な金利引き下げ、そういったようなことで、公的住宅金融につきましては各般の改善措置を講ずることといたしました。  また一方、住宅土地税制につきまして大幅な改正を行うことといたしまして、宅地供給促進に資することといたしまして、これらの諸般政策を駆使することによりまして住宅建設促進に努めてまいりたい。  そういう中で、また一面、地価につきましては、安定傾向が見られつつありますし、また建築費につきましては、五十六年度に入りましてから、一部につきましては反落傾向も見える程度の横ばいとなっております。今後の経済運営が適切にまいりまして所得も的確に伸びていくということになりますれば、私どもの当初見込んでおりました五カ年計画のベースに逐次吸いついていくのではないかというふうに考えております。
  17. 小野信一

    小野委員 まあ希望的観測はいいとして、大臣にお尋ねしますけれども、第四期五計、この建設戸数達成率は七〇%台になります。したがって、残された四年間あるいは三年間でこれを回復しようとするのは、現在の土地問題あるいは金融状態からいってほとんど不可能に近い、早急に第四期五計を改正するなりあるいはその他の方法国民に納得できるような説明をしてやらなければならないと思うのです。大臣、これに対するどのような考え方をお持ちなのか、大臣の所見をお伺いします。
  18. 始関伊平

    始関国務大臣 第四期の住宅建設七百七十万計画は多大ではないか、実現不可能ではないかというお話でございますが、これは五十一年、五十二年、五十三年ごろ、要するに従前は大体百五十万戸内外の住宅建設達成いたしておりましたので、その当時の状況から考えますと実は不思議のない数字でございますけれども、五十四年の石油ショックを境に、先ほど来住宅局長も御説明いたしましたように、住宅建設水準が低下をいたしております。これに対しまして、七百七十万戸の計画を変更するということをいますぐには考えておりません。これは一つの目標でございまして、当面の問題といたしましては、あらゆる方法を講じまして、内需拡大の要請にも応ずるために、五十七年度百三十万戸の計画達成したい、そこに重点を置いておるのでございまして、今後、状況のいかんによりましてはまた百五十万戸程度までアップするということも考えられましょうから、そういったようなことも考えまして、当面、七百七十万戸計画というものを変更するということは、いまのところは考えておりません。
  19. 小野信一

    小野委員 計画初年度あるいは二年目で計画を変更するということは、体面上も非常にむずかしいだろうと思います。したがって、目的達成のためにあらゆる政策手段を駆使することについて、私は賛意を表するものでありますけれども、実際問題として非常に不可能に近いのじゃないか、こう考えます。  そこで、住宅建設戸数昭和五十年初期の百五十万戸台に回復するためには、どのような手段あるいは政策あるいは条件がそろうとそのようになるとお考えになるのか。この前の建設委員会でも私聞いたのですけれども建設白書あるいはその他を見ましても、世帯数をストック、建設戸数プラス空き家がオーバーしておる、こういう実態の中ではそんなにふえないのじゃないのか、こういう考え方が一つあります。それから、景気浮揚策として住宅建設がいつでも使われて、前倒しされてきておったために、いま不景気になったからといって直ちにそれが回復に結びつくということはあり得ないのじゃないか、こういう考え方も一つあります。それから、地価高騰住宅建設戸数を抑制しておる、こういう考え方に立って、地価を抑制する方法が優先すべきだという考え方もありますけれども、安くしようとすることはなかなか不可能だ、現在は所得住宅購入費との乖離によって住宅建設戸数が伸展しないわけですから、少なくても何年間、買えるだけの所得が保障されるまで、水準に達するまで待つ以外に方法がないのじゃないか、こういう議論もあります。それから、金利によって住宅建設戸数増加するのじゃないか、こういう判断もされておりますけれども、どの判断を見ましても、直ちに百五十万戸台に建設戸数が回復するという見通しはほとんど不可能に近いのじゃないか、したがって、あらゆる手段を行使すると同時に、新しい政策が提起されなければならないだろう、こう私は考えます。したがって、百五十万戸台、それは不可能にしても、五十七年度目標あるいは見通しである百三十万戸に戻るためには、どのような条件が回復しなければ百三十万戸の建設戸数達成されない、こう見ておるのですか。現在、住宅金融公庫法の八点の改正で、土地税制に対する若干の改正はありましたけれども、それらで百十五万戸から百三十万戸に、あるいは第四期五計の百五十四万戸に戻るとは私はどうしても考えられない。したがって、人為的じゃない、自然的に日本経済が回復して百五十万戸に戻るためにはどのような条件が必要だとお考えになっておるのか、局長のお考え方を聞きます。
  20. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、私どもといたしましては、現在の住宅建設の停滞は、住宅価格とそれを求める国民取得能力との乖離が大きくなったことにある、これが第一番の原因であると考えております。したがいまして、いろいろな手段を駆使いたしましてこの乖離を縮めるということがまず第一に必要であろうかと思います。  その際、住宅につきましての国民ニーズといいますか、需要面は、私どもは、長期的には人口増加というものの率が低くなってくる、世帯の形成というものもかなり少なくなってくる、あるいはまた地域間の人口移動というものも安定化傾向が見られるといったようなことで、ある程度の量の減少というものは考えられますが、中期的に見ました場合には、戦後のベビーブーム世代方々がちょうどこれからいわゆる持ち家を持つ時期に入ってきております。また、今後の中高年齢化傾向の中で、やはり居住の安定を求めるといったようなニーズもかなり強うございます。また、御案内のように住宅需要実態調査等によりましても、三九%以上の方々住宅に対して何らかの不満を持っている。そういったようなことから、需要につきましては、政策を的確に展開することによって十分顕在化するものと考えております。  そのための対策といたしましては、いまお話がありましたようなローンの問題も一つございます。これにつきましては、先ほど申し上げましたような住宅金融公庫を初めとする公的住宅金融の充実に格段に努めてまいりましたし、また、四月の中旬からは民間住宅ローンにつきましても現在の厳しい情勢でありますが、ある程度金利引き下げが行われることになっております。しかしながら、それ以外に、最も重要なのは地価の安定、建築費の安定、所得上昇ということであろうかと思いますが、幸いに地価も、昨日の発表によります公示価格を見ましてもかなり安定化傾向が見られておりますので、これをさらに安定させるためにはやはり宅地供給促進ということがあろうかと思います。そのために、五十七年度住宅土地税制につきましては、近来にない大幅な改正を行っておりますし、そういったようなことによりまして供給促進されますならば地価も自然に安定するであろう。それからまた、それだけではなくて、やはり宅地対策といたしましては、関係の省庁にもお願いをいたしまして、宅地供給に役立ついろいろな手法を駆使していただく。それからまた、新規の宅地を使わなくても住宅建設されるように、たとえば現在市街化区域内にあります農地をいかに有効に利用して住宅建設していくか、あるいはまた、都市内にあります、たとえば質の低い木造賃貸アパート群を、有効な建てかえを進めることによりまして、住宅環境整備し、また土地高度利用を図り、そして居住水準引き上げるということにも役立つことになりますし、そういったような、私どもがとれますいろいろな政策手段を今後的確に推進していくことが肝要であろうかと考えております。
  21. 小野信一

    小野委員 いろいろなことが言われると思いますけれども、大変な仕事であろう、こう思います。  そこで、五十七年度の百三十万戸の目標投資額も前年対比で一〇・四%の伸びを予想しております。ところが五十七年度住宅対策費、国の方を見ますと、事業費でわずかに六%の増、それから国の予算でわずかに一%の増、予算を見ますと、建設戸数は、公的資金による戸数は七十四万二千三百戸。百三十万戸の中で七十四万二千三百戸を建てようとしておる。したがって、百三十万戸の算定の根拠と一〇・四%の前年対比投資額増というのはどのような基準で、算定によってはじき出されたのか、その点を説明願いたいと思います。
  22. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 先生御指摘がありました住宅局関係の五十七年度予算につきましては、厳しい財政事情の中ではございますが、事業費国費ともそれぞれ対前年若干の増加をしているところでございます。しかしながら、この事柄自体住宅建設がどうかということは判断できかねるところでございまして、その中身となっております、たとえば住宅金融公庫におきますところの貸付条件の各種の改善措置、そういったようなものであるとか、あるいはまた財形融資につきましての、当初二年間二%、後の三年間一%の利子補給を行う、こういったような政策が展開されることといたしておりますので、そういったようなことは、いわば後年度におきまして国費がふえていくといったような要素も持っております。したがいまして、現実におきましては、これらの諸般改善措置経済運営安定化、また所得の向上といった方向での中で十分機能いたしますならば、私ども予定いたしております一〇・四%程度住宅投資の増は期待されるであろうというふうに考えているところでございます。
  23. 小野信一

    小野委員 要するに住宅金融公庫法の八点の改正点、若干の土地税制改正点、この二つによって、ことしの百十五万戸から五十七年度の百三十万戸まで十五万戸が増加される、こうお考えになっておると考えざるを得ないのですけれども、そのように考えていいのですか。
  24. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 私どもの方で五十七年度予算あるいは税制でお願いしております事柄が実現できまして、なおかつ一方におきまして、先ほど申しましたような民間住宅金融というものが充実されるということと、さらに一方では、やはり五十七年度におきます国民の実質所得の回復というものを、これは私どものところといいますよりは、所管の経済企画庁におきまして、世界経済その他等を展望しつつ、五十七年度においては回復が見込まれる、また、建築費等を含めました物価も引き続き安定傾向にある、そういったことを総合いたしまして、経済見通しといたしましては、民間住宅投資が実質で一〇・四%程度の伸びが見込まれるというふうに考えたものでございます。
  25. 小野信一

    小野委員 新経済七カ年計画、これによりますと、五ないし六%の経済成長率、建設戸数は単年度で百五十万戸台、こういう前提に立って日本経済計画されておるわけですが、百三十万戸になり、あるいは百十五万戸に住宅建設戸数減少するということになりますと、それだけ日本経済が落ち込んでいく、こういうことになる。私は、それに対して、建設省は新経済七カ年計画達成するためにも、百五十万戸を建設するためにこれだけの予算を欲しい、これだけの政策を充実しなければならぬということが当然要求されてしかるべきだ。したがって、百三十万戸と百十五万戸の住宅建設戸数の差の場合に、この十五万戸の差というのは、日本経済にどのような影響をマイナス要因として与えるのか、もし計算しておるとすれば答弁を願いたい。
  26. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 住宅投資日本経済全体に与えます影響は、日本経済全体の枠ともかかわりがありますが、現在は、おおむね住宅投資がGNPに占める比率は約六%前後で推移していると考えられます。それで、民間住宅投資が五十七年度に一〇・四%の実質の伸びを示すといたしますと、日本経済に与えます影響は、大体〇・六%これを引き上げるというようなことであろうかと思っております。
  27. 小野信一

    小野委員 建設省計画局調査統計課の資料によりますと、大体建設投資一兆円、土木七千億円に建築三千億円、この単位で物を考えてみますと、税収で国税、地方税で、初年度で二千四百億円、三年で約五千億円の増税になる。産業界に誘発される生産高は二兆一千三百億円、雇用の誘発が約十九万七千人、国際収支で一千億円輸入を誘発する、こう言われております。私は、建設行政の、日本経済に対するまことに大きな功績だろうと思います。ところが、百五十万戸の新経済七カ年計画から百十五万戸まで落ち込んだとしますと、これだけで、四十万戸の減少になりますと、十兆円以上の減少になる、所得で。私は、この実態を放置しておくところに大きなわが国の経済の落ち込みの一つの原因があると考えます。したがって、建設省としては、特に大臣の場合には、この新経済七カ年計画達成するためにも、どうしてもこれらの計画達成のための予算なり、事業達成するための政策実現を早急に、強力に推し進める必要があると私は考えます。大臣、いかがですか。
  28. 始関伊平

    始関国務大臣 お答えを申し上げます。  住宅のうちで公共住宅と申していいようなものが大体十五万戸ぐらい、それからさっきからお話がございますように、それを含めまして公的資金によるものが七十数万戸残余は純粋の民間住宅民間資金による、また民間の手によって建設される住宅、こういうことでございますので、いまお話がございましたように、一般の公共投資とはやや性質の違った面があるのだろう、かように存じております。  それで、五十七年度で百三十万戸計画というものを達成いたします場合に、やはり住宅金融公庫融資を中心といたしましたいわゆる公的基金による住宅融資制度の拡充強化、それからそのほか御承知のとおり厚生福祉年金からも相当の金が出ますし、それから労働省の方で前からやっております財形貯蓄の住宅融資、いろいろなものがあるわけでございますが、恐らく私の見通しでは公的基金による住宅建設の方はかなり進むだろう。現に五十七年度のために準備いたしました貸付限度額引き上げその他の条件だけを前倒しにいたしまして、五十六年の第四回目の募集をいたしたのでございますが、その場合には募集戸数六万戸に対して十一万九千戸、私は一つの勢いを示しておると思います。これはいままでの例で申しますと一番成績のいい部類に属するようでございます。ですから、政府の直接の政策手段の及ぶ分野、先ほど来お話の七十数万戸についてはかなりいけるのではないかという感じがいたしております。  問題は、純粋の民間の資金による、また民間でやる住宅建設でございます。民間デベロッパーのやりますものその他、こういうものに対しては政策の効果がどう及ぶかという問題でございますが、いろいろ御批判がございますけれども、国土庁や建設省が長い間要望しておりました税制改正も、ほぼわれわれの希望が通った形で実現いたしておりますので、そういうものの恩恵がそこに及ぶだろう。それからいま住宅局長もちょっと申しましたが、銀行の住宅ローンも十五日から、ほんの少しということになるかもしれませんが、ある程度引き下げも行われるということになりますが、要するにわれわれの感じております矛盾は、内需を拡大いたしまして景気を浮揚するというのですけれども、同時にまた、いま申しましたように住宅建設の半分、純粋の民間住宅につきましては景気の浮揚がまた逆に進める要素になるというふうな、ちょっとイタチごっこのような感じを持っておりますけれども、こういう点につきましてもわれわれは十二月中に予算の問題、財政投融資の問題、それから税制の問題で極力努力をいたしたつもりでございますが、いまのような点についてまだ対策が残っておるかもしれません、これらにつきましては各方面の御意見も聞かせていただきまして、今後さらに対策を強化いたしまして、何としてでも百三十万戸計画達成のために努力してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  29. 小野信一

    小野委員 再度申し上げますけれども、一兆円の公共投資が特に住宅産業を中心にして行われますと、初年度で国税と地方税で二千四百億円、三年で五千億円の税収の増になります。それから各産業に誘発される生産高は二兆一千三百億円、こう言われております。雇用の誘発が十九万七千人、国際収支一千億円の輸入増、そのほかに付加価値の増加が約八千八百億円だ、こう過去のデータから計算されております。百五十万戸の建設予定額から百十五万戸に落ち込んだ場合、わが国の経済に与える影響が非常に大きなマイナスとして、これが逆に作用してくるわけですから大変な数です。私は、経企庁なり政府が公共事業の前倒しなり住宅建設促進に大きな期待を持っておるならば、建設省とするならば、公共事業環境整備のために、現在それらを活用して計画促進するという立場に立って強力に政府に対する働きかけをすべきだ、私はそう考えております。  そこでお尋ねしますけれども公共事業、特に住宅建設産業がわが国の経済から非常に期待されております。しかし第一次オイルショック、昭和四十八年のオイルショック後に景気浮揚策、有効需要創造のための公共事業予算増加は、五十二年度で二六・六%増、五十三年度で二七・三%の増でありました。これだけの大型の増加予算化したわけですから景気が浮揚されたと思うでしょう。しかし五十七年度予算増はわずかに国費で一%です。こういう中で公共事業景気浮揚策、有効需要の創造のための政策として有効に働くのかどうか非常に大きな疑問があるところですけれども公共事業景気浮揚策として働くためには、過去のような高率な予算増加額がなければならないような気がいたしますが、現在の予算状況では景気浮揚策としてどのような効果があると建設省では判断しておりますか、御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  30. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 現在のわが国の経済、財政状況から見まして、いま先生がおっしゃいましたように、昭和五十二、三年ころのように二十数%の伸びができればこれにこしたことはないわけでございますが、そのような予算が組めないということで、政府といたしましては予算成立後速やかに七五%以上の前倒しを行う、こういうことでございまして、この前倒しによりまして民間需要を喚起し、景気がよくなることを期待しておるわけでありますが、もし下期におきまして景気がよくならないということになりますと、やはりこの場合には何らかの適切な措置を講じなければ無理であると私は考えております。
  31. 小野信一

    小野委員 公共事業景気浮揚策として使われる理由は、設備投資が輸出に次いでGNPに対する寄与率が非常に高いということが第一点、それからその増減が人為的に非常に、予算を伴うものですから、国の予算を背景とするわけですから非常に容易であるということ、それから先ほど申しましたように乗数効果が非常に高い、この三つであると思うのです。  経企庁長官は上半期八〇%を目標にして公共投資を前倒ししたい、こう言っておりますが、そうなりますと当然下半期が非常に大きな、三兆円以上の事業量が減額したことになりますので、建設業界に対して与える影響はまことに大きいと思う。前半フル稼働いたしますと後半、下半期にはそれらが休業状態になり、建設業界にとっては大変なことになるわけです。同時にこれらの景気浮揚策に使われるために年次計画が非常に混乱してくる、こういう三つのマイナス要因があると私は思うのですけれども、それらのマイナス要因をどんな形で補っていかなければならないのか。その点もこれから十分配慮しておく必要があると思うのですけれども、それらに対する考え方をお聞きいたします。
  32. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 いま御指摘のありましたように、経済成長を支える大きな柱といたしましては、消費支出が一番大きいわけでございますが、その次には民間設備投資、それから公共事業というような形になっております。民間設備投資につきましては、公共事業の大体倍ぐらいの金額があるわけでございますから、先ほど申しましたように、上半期に公共事業を前倒しすることによって下半期の景気に展開いたしますれば、そこから出てきます民間設備投資の増加に伴いまして建設業界も潤う、こういう形になるわけでございまして、われわれといたしましては、そのことを強く期待いたしているわけでございます。  それから、五カ年計画その他の計画との関係でございますが、これは前倒しでやろうが通常のペースでやろうが、年間にやる事業量は同じでございます。ただし問題は、こういう経済情勢、財政状況でございますから、五カ年計画の通常の伸び率から大幅におくれているという問題があるわけでございまして、この点につきましては、今後われわれの努力で、先ほどから先生が御指摘になっておられますように、公共事業費の拡大に最大限の努力をして、五カ年計画達成をなるべく図ってまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  33. 小野信一

    小野委員 八〇%の前倒しを行うことによって、後半の息切れが当然心配されるわけです。これはどの委員会でも議論になっておるところですけれども大臣としては、後半、建設国債を発行させてまでも建設業なり公共事業計画的な遂行を達成させる、こういう意気込みは持っていますか。
  34. 始関伊平

    始関国務大臣 去る三月十六日の閣議におきまして、予算の審議中ではあるけれども、いまお話のございました七五%以上の公共事業の前倒し執行について、予算が成立いたしました後でひとつ正式に決定しよう。その準備をいまわれわれも進めておるわけでございますが、七五%以上の前倒し執行ということが近いうちに正式に決まると思います。  そういたしました場合に、いま小野委員から御指摘のありましたような問題が起こるわけでございまして、その点につきましては、十六日の閣議の席で、私といたしましても公共事業の執行の責任者であるという立場から、建設業界にも非常に大きな影響のある問題といたしまして、息切れがするというようなことは困るわけでございますので、そのときの景気の情勢、きわめて望み薄でございましょうが、前倒しによって景気が非常によくなるとか、国際経済が本年下期にはよくなるというようないろいろな見通しがあるわけでございますが、そういったことの結果としてあらわれます国内の景気も見まして、そして必要があれば、恐らく必要があるということになると思いますけれども、いま御指摘になりましたような政策手段を機動的に、かつ適切にやってもらいたいということを要請いたしておいたのでございまして、いま予算の成立間際で時期が非常に悪いようでございますが、恐らくそういう方向に進展するであろう、また、建設省といたしましても当然そういう事柄を推進してまいりたい、かように存じておる次第でございます。
  35. 小野信一

    小野委員 具体的には住宅金融公庫融資を増額して建設戸数をふやす、こういう考え方になりますか。
  36. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 公共事業の前倒しにつきましては、国の予算の執行にかかわることでございますが、住宅金融公庫は、御案内のとおり財政投融資、特に資金運用部資金の借り入れを行っております。五十七年度につきましては、対前年度三万戸の増ということで総計五十四万戸をお願いしているところでございますが、これはちょっと一般公共事業の前倒し執行とは別になっておりまして、もし仮に景気の回復あるいは住宅をめぐる環境というものが改善されまして、非常に利用者がふえるということになりまして、現在ちょうだいいたしております公庫の財投資金では足りないということになります場合には、住宅金融公庫予算総則におきましていわゆる弾力化条項というものがございますので、政府におきまして、ある一定の範囲内で財政投融資を追加するということが別途考え得ると思いますが、それはまたそのときの状況によりましてどういうふうになるか、実情に即しつつ考えさせていただきたいと思っております。
  37. 小野信一

    小野委員 八〇%を前倒ししますと、下半期で約三兆円の公共事業減少したと同じ結果になる、こう言われております。要するに、十万戸の住宅建設を行うと一兆円の直接投資がふえ、波及効果を計算しますと二兆一千億になるのじゃないか、その他、付加価値約八千八百億円、こう考えてみますと、三兆円に相当する後半の公共事業というのは住宅建設十万戸に相当するのじゃないか。私は、早急にいまから下半期に十万戸建設する、こういう要求を経企庁なり大蔵にはっきりと要求しておくべきだと思うのですが、大臣、いかがでしょうか。
  38. 始関伊平

    始関国務大臣 去る十六日の閣議において問題になりましたのは、一般公共事業の前倒しと、それから、住宅金融公庫融資につきましては前倒しという言葉は使っておりませんけれども、年間を通じて四兆近くの財政投融資が準備されていると思いますが、需要があればどんどんこれを使ってよろしい、いわゆる一種の前倒し的にやっていこうということで閣議の了解があるわけでございまして、これにつきましては、予算と違いまして財投のことでございますから、多分にゆとりのあるやり方ができるだろうと思うのでございます。まだ大蔵省に追加財投を幾らよこせということを申しておりませんが、大体そういう了解がございまして、準備しております金の四分の一以上を第一・四半期に使うのは困るというようなことではなしに、もっと自由な立場で、つまりお客さんが来次第幾らでもやる、大体の感じを申しますとそういうことでやってまいるという方針でおります。
  39. 小野信一

    小野委員 次に大臣の所見をお伺いいたします。  昨年の秋に行革特例法の審議中に、十七条の公庫金利の政令加算問題が大きな議論の対象になりました。総理も大蔵大臣建設大臣も、現在の住宅事情からすればこれは好ましくない、できることならやらない方法考えたい、こういうのが当時の一致した認識だったと思うのです。ところが、予算審議になりますと、この共通認識がほごになりまして、御存じのような状態になりました。経済企画庁なり大蔵省がそういう発言、あるいはそごを来したとしても、私はそれなりに理由があると思うのですけれども建設省建設大臣とすれば、この二段階金利制の導入に対しては最後まで抵抗するのが任務だろう。私はいまだって好ましいと思ってはいないと思うのですけれども、当時の経過から、現在不況になって住宅建設戸数がこれだけ落ち込んでいく場合にどのような感想をお持ちなのか、大臣の現在の所見をお伺いします。
  40. 始関伊平

    始関国務大臣 五十七年度住宅対策を決定いたす段階におきまして最も重要な問題であり、また問題の多い問題であって、私どもが大局的な立場から決断を迫られたのがただいま御指摘の点であると思っております。しかし最初に御指摘になりました五・五%を引き上げるという問題とはちょっとニュアンスが違うと思うのでございまして、五・五%はそのまま継続をいたしております。ただ、五・五%で十年間やりまして、十一年目からそれを七・五%以内で政令で定める額にするということで、時期別な二段階金利制度を採用したわけでございます。  これにつきましては、実は五・五%の金利で貸しますと、政府が一般会計の中から出します利子補給金が相当な額になることに相なっておりまして、まあ七、八年から十年ぐらいの範囲におきましては六千億ぐらいになるだろうというようなことで、実は昨年、今年あたりは一般会計から補給すべき利子補給金をまた財投から借りるというような形で、余り芳しくない方法でやっておったわけでございます。また、ゼロシーリングという現在の段階では、一般会計から建設省が受け取る額が決まっておるものですから、住宅金融公庫に対する利子補給金の額が余り多くなりますと、道路とか河川、治水、利水という方面にも影響せざるを得ない、こういう関係がございまして、私どもは余り望ましいことだとは思っておりませんでしたけれども、大蔵省がと申しますか、住宅金融公庫の貸し付けの条件の改善強化についてどういう案を出してくるか、貸付戸数の問題もございますし、貸付限度額の問題もございますし、それから一般金利の問題もございますが、そういうものと見合いまして、のんだ方がよかろうあるいはのむのもやむを得ないだろう、こういう考え方に立ちましてこれをのんだわけでございまして、心配いたしておりますが、いま金融公庫総裁に聞きますと、さっき申し上げましたが、五十六年度の第四回の募集に当たりましてかなり大きな、にぎやかな応募があったわけでございます。この点はそんなに邪魔になっておらぬようだということも伺いまして、安心しておるわけでございます。  確かに大きな問題点でございましたが、いま申し上げましたような経緯で決断をし賛成いたした、こういうふうにお答えを申し上げたいと思います。
  41. 小野信一

    小野委員 住宅建設に責任を持つ建設省の責任者としては、もう少し強硬に主張していただきたかったと思います。  次に、局長にお尋ねしますけれども、個人向け新規住宅貸し付け、公的機関の割合を見ますと、昭和四十一年には住宅金融公庫なり日本住宅公団等の公的機関の建設割合は四九・六%でありました。四十七年度はだんだん落ち込みまして一二・七%まで落ちております。要するに、量的供給とすれば非常に落ち込んだわけです。ところが昭和五十五年に公的機関による建設が三五%まで回復いたしました。住宅金融公庫を中心とした公的金融機関の役割りに非常に大きな変動があります。私は、公的機関というものは、あるいは住宅建設公共事業景気浮揚策というものは、侵してはならない部分と変動があってもいい部分と分けられるべきだと思うのです。どんなに景気がよかろうと悪かろうと、建設省として絶対やらなければならない領域はこれを守っていかなければならない。景気浮揚策として与えられる部分というのはその上の部分でなければならないと思う。ところが、四十一年の四九・六%から四十七年の一二・七%まで建設戸数の割合が落ち込んでいるということは、公的機関に対する建設省判断が、領域を守るという意味で私は非常に弱腰じゃないのか、そういう気がするのですけれども住宅建設に対する住宅金融公庫の役割りを建設省はどのように判断しておるのか、所見をお伺いいたします。
  42. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいまのお話は、公的住宅金融と、それに関連いたします公共住宅といったようなものの経年的な変化からする将来の考え方ということであろうかと思いますが、やはり大都市地域へ人口が非常に大量に移動しておりました高度成長期においては、そのための住宅需要が非常に大きくなりまして、公共住宅のサイドでも相当の力を尽くしたわけでございます。一方、高度成長期であるということから、民間の自力建設による住宅建設も非常に大量に行われたといったようなことが一つあろうかと思います。  それからまた、昭和三十年代までは住宅建設あるいはこれに関します融資については、公共サイドが中心でありましたが、四十年代に入りまして、いま申しました経済の変動の中で民間金融力というものも充実してまいりましたし、あるいはまた、民間住宅建設関係の産業も非常に伸びてきたといったようなことがあって、公的部門の比率がある程度下がっていたかと思います。しかしながら、また最近のように人口の移動が安定化するあるいは低成長の経済になってくるというふうになりますと、公共住宅のいろいろな分野での役割りというものもまた大きくなってきつつあると考えられます。  それからもう一つは、最近のように住宅の価格が非常に高くなってきて、これをなかなか取得しにくいということになりますれば、当然のことでございますが、やはり公的金融による低利長期の融資というものの必要性も高まってくるわけでありまして、これらの改善が着実に進められますならば、国民ニーズに十分こたえ得るということになろうかと思います。しかしながら、いま先生からもお話がありましたように、そこはやはり公的住宅金融だけですべてを律するというわけではなくて、たとえば住宅金融公庫民間住宅金融というものが相互にバランスがとれ、なおかつそれが国民ニーズにも合うような政策の展開が必要であろうかと考えているわけでございます。私どももそういうような立場から、ある程度住宅取得費の中に占める公庫融資割合というものも常に意識しながら、物価の変動等には適切に対処してまいってきておるところでございますし、貸付条件の基本となるものにつきましては、当然住宅金融公庫の社会的経済的な国民に対する重要な役割りというものも認識して、それはそれとして確保していく、そういうような態度で臨んでまいりたいと思っております。
  43. 小野信一

    小野委員 建設白書を見ますと、これから老齢化社会に向かう、貯蓄率が減少する、福祉に対する予算増加する、こういうことから、公共投資に向けられる予算がこれから厳しくなるのではないか、こういう一つの判断を示しております。したがって、住宅金融公庫法改正点をずっと年度別に見てみますと、今回もそうですけれども所得制限が導入される、あるいは段階金利制が、あるいは規模別金利制度が導入されるというように、非常に政策的な面が強くなっている。要するに、一定の条件の中にありさえすればだれもが借りられるという住宅金融公庫法ではなくて、非常に狭まった住宅金融公庫法改正される、そのような方向に進んでおるのではないか、私はこう考えます。  住宅建設に使われる予算が、金がいままでと同じように増加していくならば私は問題ないと思いますけれども、公共投資に使われる予算が今後ますます厳しくなっていくとすれば、そのような政策を中心にした住宅金融公庫資金の活用というのも、また大きなこれからの検討課題になると思うのですけれども住宅金融公庫の活用について建設省は今後どのような方向をとるべきだとお考えになっておるのですか。
  44. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 住宅金融公庫は、国民大衆の方がやはり良質な住宅を取得するために、一般金融機関から貸し付けることが困難な、そういう方々に対しまして、国の施策として長期低利の融資をするというふうなことで位置づけられているのではなかろうかと思いますが、そういう立場から今後必要となります住宅需要に対しまして、公庫の業務といたしましても、当然のことながら金利差につきまして国の利子補給をしつつ、これを運用しているわけでございますので、その融資がやはり本当に必要とされる方々に的確にいくかどうか、そしてまた、これらの融資が効率的に本当に必要な時期に必要な融資が行われるかどうか、そういったような立場からこれを見ていく、それに必要な範囲で充実強化していく、そういったような立場で臨みたいと考えております。
  45. 小野信一

    小野委員 建設省のわが国の住宅事情に対する認識をお聞かせ願いたいと思います。  建設白書を見ますと、大体こういうパターンで書いております。わが国の住宅問題は量的には解決され、質の面でも客観的な指標によれば改善は著しいが、主観的な意識の面ではよりよい住環境への希望が先行しており、そのための困窮感が依然として去らない、こういう書き方をいたしております。ところが、反面、住宅問題調査ですか、それによりますと、三八・九%、約四〇%の人が住宅の改善なりあるいは新規購入を求めておる。要するに、建設白書判断国民住宅への感情とが全く一致しない、こういうことになっております。  そこで、現在、昭和五十三年の調査によりますと、二百七十万戸の空き家がある、余分住宅があると言われておりますけれども、その規模あるいは、主に規模になると思うのですけれども地域別もわかりましたら、それらがどのような実態にあるのか、調査してありますならば知らしてほしいと思います。
  46. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 昭和五十三年度住宅統計調査によりますと、全国で約二百七十万戸近くの空き家があるということになっておりますが、その後昭和五十五年に首都圏、近畿圏を中心にいたしましてこの空き家の実態調査を行いましたところ、約三分の一の住宅は老朽化している、あるいは非常に狭くて使いものにならない、こういったようなものが三分の一ございます。それから、単身の方だけならば私たちが考えております最低居住水準は何とか達成できますが、世帯持ちの方が住むには設備、規模、構造ともに適当でないといったようなものが約三分の一ございます。  したがいまして、一応良好なストックとして使えますものが、総じて見ますと約三分の一あるわけでございます。また、その一応良好な、良質なストックとして考えられるもののうち、一部はいわば転勤のためにやむなく空き家にしているとか、あるいは家庭の事情のためにいわゆるセカンドハウス的に利用しているために一時あいている、そういったようないろんな事情のあるものもございまして、そういうものを差し引きますと、いわゆる市場に供給できる状態で良質な空き家として存在するものは、全体の二割程度といったようなことが一応客観的に言えようかと思います。  それからまた、いま申し上げました二百七十万戸の空き家につきましては、その大半がやはり大都市圏にあるというふうに聞いておりますが、ちょっといま手元に資料がございませんので、後ほどわかり次第また御報告申し上げます。
  47. 小野信一

    小野委員 要するに、質的な解決が伴わなかったために、量的には解決しても住宅問題は全然解決しておらない、わずかに五十数万戸が使用に耐える空き家である、こういう実態であります。まだまだわが国の場合に住宅事情は解決しておらない、こう判断していいと私は思います。  そこで、お尋ねしますけれども、東京の生活保護世帯実態を調べてみますと、東京に生活保護を受けている世帯は六万四千戸、人員で十三万八千人おります。住宅扶助を受けておる人がその中で四八%、三万七百二十世帯、扶助額は平均して二千五百八十七円になります。ところが、東京の平均家賃は、専用設備を持ったところで二万一千五百円、設備が共同のところで一万百七十九円になっております。東京都の住宅というものは非常に深刻な問題をはらんでおる、こういうことがこの例からわかると思います。  ところが、これらの人々が住宅を新規に購入する、新しいところに移転するということは、その所得構成からいってほとんど不可能だ、こう言われておる。そうなった場合に、建設省は何をやらなければならないのか、私は、当然東京都と相談の上に、その結論は目に見えておるわけですけれども、いかがです。それらに対する対策を早急にお立てになる、優先的にお立てになる、これは景気浮揚策を活用して早急になさなければならない建設省の任務であると私は思うのですけれども、いかがです。
  48. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 まず最初に、先ほど大変失礼いたしましたが、空き家の地域的な分布でございますが、大都市地域におきましては約百六十万戸ございますので、先ほど申しました二百七十万戸近くのうち百六十万余りが大都市地域で、約六〇%程度であろうかというふうに思います。  それから、ただいまの、低所得者の方々に対しての住宅対策といったようなことかと思いますが、私どもも総じて見まして、大都市地域におきますところの居住水準が、五十三年の住宅統計調査でも非常に低い状態になっておることは承知しております。仮に住宅の規模だけで比べました場合に、最低居住水準未満の世帯が全国で四百七十万世帯余り、約一四・八%でありますが、たとえばこれを東京都で見ますと、二二・六%になっておりますし、また、そのうちいわゆる借家に居住しておられる世帯の方を同様に東京都で見た場合には、これが三〇%を超えておるといったような状況にあります。したがいまして、大都市地域につきましては、公営住宅、公団住宅を初めとする公共賃貸住宅の適切な供給に力を入れる必要があると考えております。  また一面、大都市地域の中で、いわゆる高度成長期時代に建てられました木造賃貸アパートの中にはかなり老朽化しているものもありますし、また、質的にも整備水準が非常に劣っているというようなものもございますので、こういったようなものも早急に建てかえて、居住環境なり居住水準引き上げる必要があろうかと考えております。  ただ、その際、現在の民間の賃貸住宅の経営者の方のお力だけではなかなか容易ではないということから、新しく木造賃貸住宅地区総合整備事業といったようなものを五十七年度には創設をしたいと考えておりますが、そういったようなことは、とりもなおさず公共サイドで相当のお手伝いをさせていただくということであろうかと思いますので、いわばお手伝いをして、間接に供給する、そういったものも積極的に組み合わせまして、これらの居住水準の向上、ひいては住宅問題の解決に努めたいというふうに思っております。
  49. 小野信一

    小野委員 私は、わが国の住宅政策の中で問題だと思うのは、高度経済成長期に住宅問題を解決できなかったことだろうと思う。できなかったにいたしましても、できるだけの条件をつくっておかなければならなかった。このことが取り残されたことが、現在最大の政治の失敗だったというような気がしてなりません。二百七十万戸の空き家があるといたしましても、実質的には五十万戸から六十万戸の使用可能なものしかない。特に問題になるのは、住宅取得が年々非常にむずかしくなっていることだろうと思うのです。  住宅取得難易度指数、ある銀行の調査を見ますと、勤労者所得指数で住宅取得費指数を割ってみますと、一九五五年、昭和三十年を一〇〇としますと、七二年には二六四・九、七四年、昭和四十九年には三〇〇と、年々逆に住宅を取得する事情がむずかしくなっている、こういうことがはっきりしております。また、年収と住宅取得価格との関係を見ますと、建設省が調べた資料を見ますと、一九七一年、昭和四十六年には三・七倍でありました。七四年、昭和四十九年には四・一六倍、八一年、五十六年度には七・五倍になっているんじゃないか、こう言われております。量的にも質的にも、住宅の取得についても年々逆にむずかしくなっておる。私は、建設省なり住宅局が何をしているのか、こういうことを言いたいのですけれども、不景気公共事業の前倒し、住宅建設国民的にも政策的にも非常に要望されておるのですから、大臣、これに対する決意をしっかりと固めて大蔵とかけ合ってほしいのですけれども大臣の所見、決意をお伺いします。
  50. 始関伊平

    始関国務大臣 ただいま小野委員から、激励の意味を含めましていろいろと御指摘をいただきました。大都市圏におきましては、いわゆる持ち家の取得がだんだん困難になっておるということでございますから、それに対しましては、やはり環境のいい賃貸住宅をつくるということも必要でございましょう。いずれにいたしましても、第四次の住宅建設計画でも、単に戸数だけではなくて、質のいい住宅建設を目指しておるわけでございますから、そういったような点に向かって、ただいまどうも建設省の努力が足りないという御指摘でございましたが、御指摘の点も十分留意いたしまして、今後一層努力してまいりたいと思いますので、今後とも御鞭撻をいただきますようにお願いを申し上げます。
  51. 小野信一

    小野委員 国の一般会計から公庫への利子補給に関する問題ですけれども、五十六年度で二千百七十四億円一般会計で補てんいたしておりますけれども、そのほかに六百六十一億円の借り入れをいたしております。五十七年度は二千八百十三億円を予算計上いたしておりますけれども、五百十七億円をこれまた借り入れを予定いたしております。これに対する支払いはいかがいたすつもりなのか。今回の法改正附則八項、九項、十項、十一項、十二項、これを読んでみてもちょっとわかりにくいのですけれども、どういう形でこれを支払いをするつもりなのか、説明願いたいと思います。
  52. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいま御指摘のありました昭和五十七年度におきます住宅金融公庫の補給金は、約三千三百億円程度と見込まれますが、厳しい財政状況でございますので、そのうち五百十七億円を後年度に繰り延べることといたしたわけでございます。したがいまして、五十七年度の補給金といたしましては、二千八百十億円余りを予算として計上さしていただいているところでございます。  ところで、この補給金の措置でございますが、五十六年度は約六百六十一億円を繰り延べさせていただきまして、五十六年度から五カ年間で措置をするということで、五十六年度にはその五分の一、また五十七年度には残りの五分の一相当分というふうに、この二千八百十億円の中に入れているわけでございますが、現在のような財政事情でございますので、このような繰り延べをある程度ルール化しておいて、そしてまたきちっと補てんをする方式も確立をしておくことが、公庫の将来の財政内容についても安定化をするということであると同時に、また、国のこの繰り延べに関しますいわば責務というものも明確にする必要があるということで、この法案の中におきまして新しい条項を設けさしていただいているところでございます。この考え方は、五十七年度から五十九年度までに発生いたしますところの公庫利子補給金のうち、金利が六・五%を超えます部分については後年度に繰り延べることができる、そしてまたその繰り延べができるのは六十年度から六十六年度までの間において、国が交付金を交付して措置をするというふうになっているわけでございます。そういったようなことをルール化いたすための規定としてお願いをしているものでございます。
  53. 小野信一

    小野委員 九項を見ますと、「前項の政令を定める場合においては、国の財政状況を勘案しつつ、将来にわたる公庫事業の安定が損なわれることのないよう配慮しなければならない。」要するに、五年間で確実に五分の一ずつ返すということじゃなくて、財政事情を勘案してと書いてあるのですけれども、これは局長が言うような確実なものじゃないのじゃないですか。非常に困った条項ですけれども、いかがです。
  54. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 この九項はいわば八項を受けているわけでございますが、附則の第八項において、「昭和五十六年度末までに政府から借り入れた借入金の利息(当該借入金の利率が年六・五パーセントを超える場合における当該超える部分の利率に係る利息に限る。)」こういうことで、簡単に申しますと、昭和五十六年度までに公庫が借り入れた運用部の資金のうち、六・五%を超えている部分の利息を後年度に繰り延べることができる。ただし、その範囲は政令で定める金額ということになっているわけでございます。  そこで、それを受けまして、九項では、そういう政令を定める場合に、国の財政の問題と公庫事業の安定性と両面を十分考えるということになっておるわけでございまして、いま申しましたように八項である程度の範囲が決められておる、その範囲の中でどういうような金額を決めるかということになるわけでございますが、ちなみに昭和五十七年度においては、公庫が五十六年度までに借り入れました借入金のうち六・五%を超えているという年度はかなりの年度にまたがっておりますが、それを全部足しますと相当の金額になりますので、かえって、これはまた繰り延べ金額が多いと将来の公庫のために補給金がふえる可能性がありますので、昭和五十五年度において借り入れた金額で、しかもその六・五%を超えた部分に限って計算をさせていただきまして五百十七億円というふうにしたわけでございますので、政令におきましても、そういう縛りをかけて運用するというふうに考えておるわけでございます。
  55. 小野信一

    小野委員 よくわからないのですけれども、要するに余り迷惑をかけないように、一般会計からきちっと補てんしろ、こういうことを大臣、強硬に主張しておいてください。特に六百六十一億円と五百十七億円の約一千二百億円ですか、これの金利住宅家賃の方に付加されるのではないか、こういう心配をしておる人もいるわけです。これらは絶対に家賃の計算に入れないという話だったのですけれども、やはり何らかの形で回り回ってそういう形になっていくのですけれども、いかがですか。
  56. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 いまの公庫の補給金及びそれに関します繰り延べの問題は、簡単に言いますと、公庫と国との間の関係でございます。いわば国が本来ならばその年度年度に必要な利子差額分を補てんをする、それを補給金として支出すべきものでありますが、国の財政状況等もありまして後年度に若干繰り延べさせていただくということになったものですから、その繰り延べにかかります分をまた財投から借りてくる、いわば孫利子が発生する、これはすべて国におきましてその分も合わせて後年度において措置をさせていただくということになっておりますので、公庫国民にお貸しします金利につきまして、少なくともこのことによって御迷惑をかけることはないようにいたしておるところでございます。
  57. 小野信一

    小野委員 わが国の経済の先行きが非常に不安になっておるときだけに、公共事業に対する前倒しあるいは公共事業の有効需要創造に対する期待が非常に大きいわけですから、大臣、いままでの各年次計画の、進捗状況が一〇〇%いっておるのはありません、住宅にいたしましても、下水道、河川、私はこういう時期こそ公共事業建設省予算獲得のための最大のチャンスだと考えますので、一層の御奮闘をお願いして質問を終わります。
  58. 村田敬次郎

    村田委員長 これにて小野信一君の質疑は終わりました。  午後零時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時三十五分休憩      ————◇—————     午後零時三十分開議
  59. 村田敬次郎

    村田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。横山利秋君。
  60. 横山利秋

    横山委員 公庫、公団の責任者に来ていただきましたので、その関係の問題だけ最初にいたしたいと思います。  それはいまの年度末に関する政府関係職員に関する手当の問題であります。  すでに国家公務員も決まりました。公労協関係も、いろいろ経緯がございましたけれども決定をいたしております。ひとりこの政府関係職員についての問題が、まだ労使間で決着が完全についておりません。その原因はたった一つであります。要するに、それは昨年決定をいたしました新ベースで行われるべきであるか、旧ベースで行うかという、ポイントがそこに集中しているかに聞いております。  そこで、どなたに聞いていいかわかりませんが、道路公団総裁がおいででございますから、まず道路公団からお伺いをいたしますが、従来は、これは常識であって、賃金が変わった、とすればその新しい賃金によって手当が支給されておった、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  61. 高橋国一郎

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  その前に、昭和五十六年度の特別手当の算定基礎であります基本給については改定しないということで、つまり旧ベースのままで組合に提案しておりますが、これは現下の厳しい経済社会情勢あるいは財政事情国民世論の動向等を背景といたしまして、昨年の十一月二十七日に、国家公務員に準じて抑制するという閣議決定がなされたこと、並びに公団の給与改定につきましては、公団の公的性格にかんがみ、従来から国家公務員に準拠して行ってきたという経緯があることによるものでございまして、今五十六年度につきましては新ベースを適用せず、旧ベースで行うということに決めたわけでございます。
  62. 横山利秋

    横山委員 五十六年以前は、新か旧かという論議はなくて、当然のことのように新ベースで行われてきたということですね。
  63. 新野喜一郎

    ○新野参考人 お答えいたします。  従来は、いま先生のおっしゃいますように、給与改定の時期に、人事院勧告の国家公務員に対する完全実施というあれが四十四年ごろからありまして、そういうことを受けまして、われわれといたしましては、この十年ぐらいの間は給与改定の問題として差額支給の問題がそこにありまして、改めてそのときには、給与改定の時期には夏手の手当を支給するときに、その基準となりますところの月例給与の問題を組合と話し合いまして、そして月例給与の決め方をしているわけでございまして、今回につきましては、御存じのように国家公務員の給与改定が旧ベースということでもってなされたわけでございまして、改めましてベースアップのときに、ベースアップの改定の問題として、それのはね返りといたしまして、夏手の算定の基礎となるところの月例給与をそのときに組合と話し合いながら決めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  64. 横山利秋

    横山委員 簡潔に答えていただければいいんですよ。私の質問に答えていただければいい。  この政府関係職員は労働三権を保障されておることは言うまでもありません。  今度は住宅都市整備公団にお伺いをいたしましょう。  これは、旧ベースか新ベースかというものは公団の自主的判断によって決めたのか、閣議の決定、政府の、大蔵省の内示によってそれに従ったのか、どっちなんですか。
  65. 堺徳吾

    ○堺参考人 先ほど来、高橋総裁、新野理事から話がありましたように……(横山委員「質問に答えていただければいいんです」と呼ぶ)この問題は、私どもとしましては、特別手当につきましてはその都度交渉し、そのときのベースでもって合意に達して支払ってきておるわけでございまして、旧ベースか新ベースかという話は、給与改定のときに、その給与改定の仕方の問題として出てきた問題でございまして、それは先ほど来の話がございましたように、長年公務員準拠ということでやってきておりまして、それが適当だということで公団が判断をして決めたものでございます。
  66. 横山利秋

    横山委員 そうしますと、閣議決定があっても、大蔵省の内示があっても、公団の判断で賃金は決める、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  67. 堺徳吾

    ○堺参考人 公団が判断いたしましたのは、その閣議決定で、公務員の場合にはそういうふうになっておるということ、それに準拠してやるのが適当だ、そういう判断で決めたという趣旨でございます。
  68. 横山利秋

    横山委員 いずれにしても、いまのお話によりますと、閣議の決定、大蔵省の内示があるけれども、それを参考にして公団が自主的責任を持って決めた、こういうふうに判断してよろしいんですね。御答弁要りませんね。それでいいんですね。いいか悪いか、そこで言ってもらえばいいんだ。(堺参考人「そういうことでございます」と呼ぶ)それでいいんですね。  その次にお伺いをいたしますのは、予算上、銭がないからそうしたのか、それとも、いまおっしゃるように諸般事情から判断したのか、どちらでございますか。これは高橋総裁にお伺いいたします。
  69. 高橋国一郎

    ○高橋参考人 予算のあるなしではございません。先ほど申し上げましたような経緯から決定いたしました。
  70. 横山利秋

    横山委員 わかりました。労働三権を持っておる組合及び組合員でございますから、公団の責任者としては、労働協約を締結しても、閣議の決定とか大蔵省の内示があればそれに従うべきであるかどうか、これはもう詰めた話なのでありますが、労働三権を持っておる労働組合と団体交渉をして、これが正しいと思えば労働協約が締結される、それは法律的に有効である、そういうことは閣議決定や大蔵省内示があっても差し支えがない、自分の判断でやるということになるのか。労働協約があっても、閣議決定や大蔵省内示があれば、その限りにおいては無効となるという判断を法律的にしておられるのか、法律判断を伺いたい。
  71. 新野喜一郎

    ○新野参考人 いま先生の御質問でございますけれども、労働協約の問題につきましては、われわれは、特に特別手当につきましては、その都度組合の要求を受けまして、そして団体交渉でもって議論をしながら決めていっているものでございまして、その結果、それが労働協約として結ばれて、それに基づいてやっているというふうに御理解いただきたいと思います。
  72. 横山利秋

    横山委員 法律判断を聞いているのですから、素直にお答えなさらなければいかぬですよ。労働協約締結権を労使双方持っておる。その労働協約に締結された内容は、政府がいろいろなことを言っても法律的に有効であるか、政府から命令された分については無効となるかという法律判断を聞いておるわけです。その辺がはっきりしないで労働政策ができますか。
  73. 堺徳吾

    ○堺参考人 閣議決定というのはあくまでも特殊法人に対しての一つの要請といいますか、そういったふうに理解しておりますので、それに反するから直ちに無効だというふうな考え方は持っておりません。
  74. 横山利秋

    横山委員 結構です。政治的にはいろいろあなたの方が労働協約を締結されるときに判断をされるであろう。しかし、先ほどからおっしゃるように、労使の問題は自主的に自分たちの責任であると考え、そしてこの労働協約なり労働条件が正しい、なれば当然その法律的効果は生じ、労働法によってそれは有効である。閣議決定があろうが何があろうが、それは第三者に有効である。労使の間に当然権利義務が生ずる。こういうことはあたりまえのことなんでありまして、そんなことをちゅうちょされておってはいけません。  去年の六月、十二月、ことしの三月、新ベースでやるか旧ベースでやるかによって一人当たりどのくらい違いますか、三回の収入の違いです。
  75. 新野喜一郎

    ○新野参考人 私どもの道路公団では一人五、六万の差があると思います。
  76. 堺徳吾

    ○堺参考人 道路公団と大体似たところでございまして、六万五千円ぐらいかと思います。
  77. 横山利秋

    横山委員 新でやるか旧でやるかによって年間五、六万円の違いがある。平均ですからね。ですから、新しく入った人と相当の長年月勤務した労働者を考えてみますと、高いところではかなりの収入減、低いところでも三、四万ということになりましょうか。それはかなりの違いであります。そうして、いま公団側がおっしゃいますように、銭のあるないではない。それは余っている金がそんなにあるわけではないけれども、銭がないからそうするわけではない。客観情勢のいろいろな判断、政治情勢の判断から旧ベースにするのだとおっしゃる。しかし、常識的に考えて、われわれだれでも体験することですが、来月からそれじゃ給与は五万円から七万円になった、その次のボーナスのときにはその七万円が対象になる、こんなことはあたりまえのことであります。いわゆる旧ベースは死んだわけですから、旧ベースはなくなったわけですから、死んだはずのお富さんが息を吹き返してきて私にパーセントを掛けてくれ、そんなことは理屈に合わぬことだと私は思うのであります。  国家公務員、それから三公社五現業の職員と政府関係機関職員と三つのパターンがありますね。公労協の職員は新ベースでやったか旧ベースでやったか、言ってください。
  78. 堺徳吾

    ○堺参考人 聞いておるところによりますれば、夏期と年末につきましては新ベースで、年度末についてはいろいろ問題があったようで、若干新ベースでカットされたというふうに聞いております。
  79. 横山利秋

    横山委員 三公社五現業は新ベースだったのですよ、年度末手当。大体三公社五現業と政府関係機関職員とはやや似たようなものである、国家公務員と政府関係機関職員の間に三公社五現業の職員がある、こういうような法律体裁だと私は考えるのでありますが、それを飛び越えて人事院の勧告に準拠するとか、国家公務員に準拠するといいましても、実質は労働条件は国家公務員、三公社五現業、政府関係機関職員と、こういうふうに常識的に理解されておる。その公労協職員関係が新ベースでやって政府関係機関職員が旧ベースだ、死んだはずのお富さんで期末手当を出しておるということはどう考えても理屈が通らぬと思うのでありますが、高橋総裁どうですか。そういう点についての均衡、死んだはずのお富さんの適用、これはどう考えてこんなことをなさるわけですか。
  80. 高橋国一郎

    ○高橋参考人 今回、公企体と公団とが異なる取り扱いになっておりますのは事実でございまして、これは私のそんたくでございますが、従来からの経緯とかあるいは給与決定方式とか、閣議決定の取り扱いが異なること等によるものではないかというふうに考えております。
  81. 横山利秋

    横山委員 これはこれからも問題になることだと思うのです。国家公務員に準拠することが適当であるか、三公社五現業に準拠することが適当であるか、これは後で建設大臣にもお伺いしようと思うのですけれども、大いに判断をするべき問題ではないか、あなた方の持って立つ労働政策上でも考えるべき問題ではないか、私はこう思われてならないのであります。  いまいろいろお伺いいたしましたが、詰まるところ私の言わんとするところは、何で新ベースにしてやらぬということなんです。高橋さん、どうなんですか。死んだはずのお富さんをいつまでやるつもりですか。ことしの夏もそうですか。ことしの暮れもそうですか。来年の三月も旧ベースですか。未来永劫旧ベースでやるつもりですか。その点どうお考えになるか。
  82. 高橋国一郎

    ○高橋参考人 先ほども申し上げましたように、現下の厳しい財政事情等によります五十六年度の閣議決定等がございました。そういう情勢を踏まえての五十六年度の取り扱いというふうに私は感じております。
  83. 横山利秋

    横山委員 そこのところあなたごまかすけれども、五十六年度の厳しい情勢だとおっしゃるが、五十七年度が楽になるという政治情勢ではないですよ。五十七年度予算、いま審議をしておりますが、そう簡単なもので——五十七年度は公団関係公庫関係のことを考え直すなんてだれも言っておらぬですよ。あなたは責任者として、この死んだはずのお富さんをいつまで持っているつもりかという点について、自分の考え方を率直に述べなさいよ。
  84. 高橋国一郎

    ○高橋参考人 いまほど申しましたように、五十六年度は大変厳しい情勢下にあったということでございますので、五十七年度以降ももし厳しければ同様の措置をとらざるを得ないと考えております。
  85. 横山利秋

    横山委員 そうしますと、私は死んだはずのお富さんと言ったが、旧ベースというのはなくなったのですよ、なくなってもうないのですよ、ないものをいつまで持っておるつもりか。そんなことは計算上もおかしい。給与の担当者が手当の計算をするときに、倉庫にしまってしまった旧ベースの給与表を持ってきてそれをやらなければならぬ。そんなあほなことは常識的じゃないと私は思うのですよ。今回だってまだ遅いわけではない。新ベースでやるべきだと私は思うのですよ。総額的に問題があるかもしらぬけれども、やりようは幾らでもある。新ベースでやってこそおまえたちの給料はこれだけ、これに基づく手当はこれだけという計算ができるわけです。そんな、あなたの言うように、国家財政が苦しければみんな死んだはずのお富さんの旧ベースでいつまでもやるなんてあほなことを言っておってはいかぬですよ。もう一遍重ねて、自分の傘下の公団職員の士気にも影響することですから、はっきり自分の所信を語ってください。
  86. 高橋国一郎

    ○高橋参考人 再三申し上げたとおりでございまして、国家財政が非常に厳しいような情勢でございますと、公団は公務員に準拠することになりますので、同様の措置をとらざるを得ないことになるかもしれませんということを申し上げたいと思います。
  87. 横山利秋

    横山委員 かもということはさっきの話とは一歩前進をしたことになるのですが、ここで大臣、あなたは公団公庫を監督しておる立場なんです。後で質問をいたしますが、いまとにかく公共事業は上半期に七五%前倒し。この間委員会公共事業七五%前倒しについて私は質問し、かつ後、下半期は二五%で一体どうなるの、こういうことを言うた。公共事業がいまの景気回復の一つのポイントであることはだれでも知っておる。だから、前倒しだからがんばれと言うて、あらゆる建設省関係公共事業関係の機関及び従業員に対して、仕事が忙しくなるかもしれぬけれども大いにやってくれという号令をかける時期ですね。まあかけていらっしゃると思うのですよ。そういうときに、去年の夏も冬もこの春も将来も、いま遠慮しいしいかもとは言ったけれども、そんな情けないことを言っておっては建設省関係の職員に対して、士気に影響すると思うのですよ。がんばれ、七五%前倒しで円滑に作業するようにどんどんやれということを言う以上は、建設大臣としてもその間の政治的な判断も持って、いま私が言っているようなことについて少しあなたもがんばってもらわなければね。どう思いますか。
  88. 始関伊平

    始関国務大臣 横山委員のおっしゃることは、その趣旨を私も十分に理解いたします。ただ、財政再建の期間ということで、常識的に言えばおかしいようなことになっておるかと思いますが、ある期間そういうことでがまんしていってもらいたいということを国家公務員についても、また、政府関係機関の皆さんに対してもお願いをしておると思うのでございまして、その趣旨が閣議で決定されておるということでございますから、ここで私個人としての見解を述べることは差し控えさせていただきます。
  89. 横山利秋

    横山委員 始関さん個人の意見を述べてくれと言っておりはせぬですよ。建設大臣として、いま公団公庫の新ベースか旧ベースか、三公社五現業は新ベースでやっているのですよ。いいですか、新ベースでやっているのです。それにもかかわらず公団公庫は旧ベースでやれ、それはちょっとおかしくないかというのです。しかも、これから未来永劫旧ベースかもしれぬ、かもと言っているのですけれども、そんな情けないことを言うたら、現場で働いている労働者が、ああそうですか、がまんしましょうとそう簡単に言わないですよ。働くことは働け、建設大臣としてやるだけのことはやってやるという立場をここで鮮明にしてくださいよ。
  90. 始関伊平

    始関国務大臣 私が建設大臣として私見を述べるべきでないと申しましたのは、閣議で決定しておるからという意味でございます。なおまた、先ほど来各公団の理事総裁などが申しましたように、自主的に判断して、その結果が閣議の要請に合致しておるということでございます。御趣旨はよくわかりますけれども、それに対して私はとかくの指図をする立場にはない、かように存じております。
  91. 横山利秋

    横山委員 腹の中では私の言わんとすることはよくわかるけれども、ということらしいのだが、それではいかぬですよ。そんなことで、建設省関係一般職員がきょうの話を聞いたら、始関さんは老練な政治家で、あの人が建設大臣になったら、苦しいところでもなかなか情味のあることを言う人だなとみんなが思っておったのに、それでは情味も何もないじゃないですか。私に説明するのでなくて、いま建設省関係のすべての労働者があなたの話を聞いておるわけなんですよ。何か情味のあることを言わなければいかぬじゃないですか。何ともならぬですか。何ともいいようがないの。それでは士気は高揚されませんよ。あなたは政治家としてのベテランである、そしてことし公共事業をやるということについて全力投入をする人なんだ。あなた、少しは温かみのあることを言いなさいよ。
  92. 始関伊平

    始関国務大臣 重ねての横山さんからのお話でございますが、この段階におきましては、先ほど申し上げました以上のことはちょっと申しかねるということをもう一遍繰り返してお答え申し上げます。
  93. 横山利秋

    横山委員 私の言わんとするところはよくおわかりだと思いますからこれ以上言いませんけれども、いまでもまだ紛争があるわけです。そこのところをあなたも大臣として少し調整をして、これだけのことはやったらどうだというようなことを指示してもらわなければいかぬ。  それでは、道路公団の高橋さん、結構でございますからどうぞ。  次の問題として、私の手元へ一つの陳情が参りました。東京都の青柳昌樹という人であります。時間の関係上通読いたします。    事件の概要  1、私は建築基準法に基づく建物を施工業者である徳祥に依頼し、又設計監理を野生司設計事務所に依頼したものでありますが、現状では、基準法とは全く異った、杭の手抜き、構造上の手抜き等、重大部分の欠陥のある建物と判断されたので、今回のように多くの方々の助力をもって、契約書に基づき、紛争審査会に仲裁を依頼したものであります。(昭和五十七年三月四日)  2、然し建物の安全確保不能と危険切迫の為、建築基準法による行政の調査と指導を都及び区の指導課に再三お願いして回ったところ、責任回避に専らであり、受付窓口不明の為、日本社会党都議会幹事長菅原宗一先生のお力で、やつと都及び区の現場での現状視察を終了しました。(昭和五十七年三月三十日)(なお当日、施工業者徳祥側の希望により、当該建物の所有者である私の立会いを除外して行われたものであります。)    要望事項  1、私は、当該建物を今迄は一生懸命維持及び管理して参りましたが、現在、杭の手抜き、構造上の手抜き等が判明し、当該建物の維持及び危険切迫による住民の生活安全確保不能の為、行政庁による早急な本格的調査及び対処並びに救済をお願い申し上げます。2、行政の管理及び指導によって、基準法に基づいた安全な建物の施工業者による建て直し、又は不法行為に基づく損害賠償の支払いをお願い申し上げます。(但し設計監理者であった野生司設計事務所は六年前に倒産し、現在、所在不明です。)  この建物は十一年前に建ったわけであります。そして施工業者は徳祥という会社でございます。徳祥の工事経歴書を手に入れましたが、これによりますと、住宅公団、区役所、都、学校、外務省、建設省、関東地方建設局、郵政局、都教育庁、交通局等々、官庁関係をきわめて多くやっております。  きのう建設省の各課の関係者においでを願いまして、現場写真その他実情等、関係者が集まって審議をいたしました。そういたしますと、この「事件の概要」の中にございますように、問題は、徳祥が建てて、建築確認、完成検査も行われた。行われたけれども、それは外形的な検査であるから、それでよろしいということになる。ところが、最近において多少地震があった、われわれ東京におっても感知しないくらいの地震だったのですけれども、その地震によってあそこにひび割れ、ここにひび割れがくる、水漏れもあるのでどうしたことかと思って調べてみた。そして水漏れの行方がわからないのでその原因を探求するために少し掘ってみたところ、驚くことには二本なければならないくいが一本しかないということがわかった。びっくりして探したところ、三カ所にわたってくいの手抜きが行われていることが判明をした。そこでびっくり仰天をした。これでは付近は何ともないのに自分の家だけがひび割れがくる、水漏れがくる、危険なものだからいままで何回も何回も自分の金で修理をした。ついに近所の人から言われて危険だから塀を一つ壊した。それも数十万円かかっておる等々の問題が判明をいたしました。  そこで本人としては、都及び区役所へ行って協力を得る、建設省の担当者のところへ行って協力を得るようにしたけれども、一向らちが明かない、こういう結果です。きのう関係者及びこの青柳という人にも来てもらって懇談をしたわけであります。きょう私はこの問題について、時間がございませんから細目について質疑をしようとは思いません。局長報告を受けられたと思います。きのうもそう言ったわけでありますが、要するに建設省も都も区もこの種の問題について余りにも不親切である。私がこの問題で建設省の三つの課へ電話した。紛争処理の部屋へかけたところ、紛争処理の問題についてはその内容その他について言えません、こういうわけであります。四カ所ぐらい電話した。それじゃ先生申しわけないけれども建築指導課へ、いや建設業課へ、いやあそこの課へ、あそこの課へと四カ所やらされた。とうとう私が腹を立てて、政府委員だれでもいいから引っ張ってこい、こう言いましたら三つの課がやって来て事情を聞いた、こういうわけであります。  私がきょうはっきりしてほしいのは、日本全国この種の問題はいろいろあるのですから、全部やっておったらきりがないという意見はきのうもありました。もう率直に建設省から言いました。私は言ったのです。現に住んでいる人が危険を感じておる、塀を数十万円かけて壊さなければいかぬ、くいが現実に二本のものが一本しかない、建築基準法違反であることが明白である、そういう緊急切迫した問題であるから、将来いろいろなことにもなるだろうから、特別に親切にあなた方がやらなければいかぬ。だから本件に限ってとは言わぬけれども、少なくとも本件が緊急切迫した問題であるからどこに問題があるか、法律上どういうふうにすべきかという点について親切におまえさん方が調べて教えてやって指導をしてやって、関係者も呼んで注意をする、なぜそれをせぬのかと言ったわけでありますが、帰って局長と相談すると言っておりましたから、局長の御返事をいただきたい。
  94. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいま御指摘がありました青柳さんという方のビルにつきましては、昨日部下から報告を聞きまして、現在いろいろ調査をしておりますが、現段階におきましては所有者の方と工事の請負業者の方との間で争いとなっておりまして、この三月四日付で建設業法に基づきます中央建設工事紛争審査会に対しまして仲裁の申請書が提出されておると聞いております。私どもとしまして、このビルが建築基準法上の技術的な基準に照らしまして問題があるという御指摘でございますので、早速東京都を通じましてよく事情を聞きます。その上で必要な措置を指導してまいりたいと考えております。
  95. 横山利秋

    横山委員 何でもそういうふうに、住民の訴えを聞いたら電光石火のごとく、やれることとやれないことはわかるはずだから、措置してやらなければいかぬですよ。それをこの青柳さんの話を聞くと、都へ行った、区へ行った、建設省へ行った、みんな責任をかぶせ合う。そして紛争調査室へとうとう出した。出したら今度はいつやってくれるかわけがわからぬ。その紛争調査にしても、いま緊急切迫していることがあるんだから、わしの方はこれを壊さなければならない、くいが二本のやつが一本しかないものだからそれを確認してくれと言うたら、確認して写真を写して、そして帰って、その写真をくれと言ったら、写真は黒ぼけになってだめでした、こう言うわけです、うそか本当かわからぬけれども逃げ回っているのです。そんなものは壊れてしまったらそのときの確認ができやしませんよ。そういう点では紛争調査室の活動もさることながら、現場の状況について行政をする関係者としては、局長は一体真実が何であるか、すぐさま調査をしてやるという親切がなくて一体どうしますか、よろしゅうございますね、すぐやってくれますね。
  96. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 建築基準法上の技術的な問題にかかわりますものは、私どもの基準法上の指導の範囲内で考える面があると思いますので、東京都を通じまして多分担当の区の方で現場を知っていらっしゃると思いますので、よく調査しまして必要な措置をとるように指導してまいりたいと思っております。
  97. 横山利秋

    横山委員 とにかく建設省の偉い人の意向というのは都や区には強いので、あなたの方で、どうだ調べてくれぬかじゃなくて、早く調べろとちょっと声を大きくするとぴっとくるものだから、その辺抜かりのないようにやってちょうだい。  この話は施主と建築業者の問題でございますけれども、先般も本委員会で議論をしたわけでありますが、施主と入居者との問題は、今回でも入居者が、こんな危険なところにはおれぬと言って一軒か二軒出ていってしまったそうでありますが、マンション管理の問題について一遍建設省意見を聞きたいと思います。  いままで建設省は施主と建設業者の問題についてはいろいろやっておるけれども、マンション業者と入居者のトラブルについてはどうも紛争調査室でも取り扱わぬようですが、どこでこれをやっているのですか、あなたの方の住宅局は。そういうセクションはありますか。
  98. 吉田公二

    ○吉田(公)政府委員 先ほど住宅局からお答え申し上げましたように、施主と建設業との関係につきましては、基準法の行政的な問題を除きまして、私どもの所管、建設業法に基づきます仲裁等の紛争の処理対策を講じておりますが、また不動産業者と需要者の紛争もございます。こういったものにつきましてはそれぞれ宅建業法の問題にも属しますので、それぞれの担当部局におきまして、必要に基づきまして業者を指導しているわけでございますが、何と申しましても私法上の紛争でございますので、行政が介入するというものの範囲がいろいろとあるわけでございますが、ただいまいろいろと苦情、紛争として持ち込まれる相談が建設省、都道府県を通じまして年間三万件くらいに上るため、苦情、紛争の迅速な処理体制、事前相談体制、こういうものを整備することを目的といたしまして、不動産取引紛争処理機構検討委員会というものを設けまして、この紛争処理について建設業と同時とはまいりませんが、取り組むための姿勢を検討しているところでございます。
  99. 横山利秋

    横山委員 その検討は私の言っていることがよくわかっているのですね。要するに不動産業者、マンション業者、管理会社と入居者との紛争ですよ。いいですね。その紛争というのは実際の話なかなかむずかしいのです。入居者が管理会社に文句を言うと、管理会社はマンション業者から管理を委託されているだけだ、あるいはまた建てたやつから買っておれは運営しておるのだから、そんな昔のことはおれは知らぬ、こういう問題がある。入居者はどこへ持っていったらいいかわからぬ。しかも、最近欠陥マンションの多いこと多いこと。都や区やあるいは市が見に行って、りっぱに建っておりますと言って、ビール飲んで御苦労さまでしたと言って帰ってくる。そんなことで手抜きがわかるはずがないですよ。しかも大きな会社になりますと、設計、施工、監督、自分でやったものを自分で監督しておる。だから手抜きも行われるということになる。私は持論として、設計、監督と施工は分離しろという立場を持っているわけです。  いずれにしても入居者と管理会社、さしあたり当面するのは管理会社でありますが、管理会社との紛争はどうあるべきか。また入居者の個々の意見が出た、それをどういうふうに調整するかについては二つの側面があると思うのですね。  まず第一に予防対策です。そういうときに入居者として初めて入ってきた、共用部分がある、共用部分に銭出せ、銭出せと言ったっておれは知らないと言うやつがある。そういう予防的措置というものがまず必要だと思うのですね。  この間、建設省の某氏が建設雑誌に書いているのを見てなるほど大変おもしろいなと私が思ったのは、一つは標準的自治管理規則を一遍モデルとして出したらどうか、あるいは自主管理組合を入居者に結成させるように指導したらどうかとか、分譲会社の責任を、分譲会社自身に一定期間は再検討をする義務を負わせたらどうかとか、修繕積立金制度を考えたらどうかとか、管理会社の責任だって大規模マンションと中小のやつとがあるからいろいろあるけれども、管理仕様書や管理委託契約書なんかも標準をつくってはっきりさせたらどうか、そういう提起がありました。これは予防的措置ですね。紛争が起こるかもしれないということだから、大体入居者としてのありよう、自治組織のありよう、そして入るときの将来に向かっての予防的効果、こういうものが私はなるほどなと思うのですよ。  今度は紛争が起こったときにどうするか。紛争が起こったときに、これから討議をされるというわけでありますが、その紛争が起こったとき、当面の責任者なりあるいはさかのぼって問題の所在を明らかにするためのルールというものがどうあるべきかということが第二番目に必要だと思います。これらについて計画局長が答弁されたのですけれども、いまのところ建設省は、この問題についてみんなおれのところは知らぬ、おれのところは知らぬ、こう言っているわけですね。こんな無責任なことがあるか。これからやるのだって半年か一年かかるだろう。その間にどうするか、どこか責任ある個所をしっかり決めて、そして御相談ならこちらへ行ってください、こう言わなければいかぬではないか。
  100. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいまお話がありましたように、いわゆるマンションにつきましては、現在おおむね百万戸程度のストックになっておろうかと思いますが、これらは建てられましてからの期間がまだそう年数がたっておりません。したがいまして、居住のためのいろいろな側面からするルールが十分に確立されていない、そのことがまた紛争の原因にもなるし、また、紛争が起きましてからの処理が非常にむずかしくなっているというふうに考えられます。私どもも、関係計画局、私どもともに相談いたしましていろいろ検討してきておりますが、住宅宅地審議会におきましても去る一月二十八日にそのような問題につきまして将来のあり方を、中高層共同住宅の標準管理規約あるいはまた中高層共同住宅の標準管理委託契約書、そういったようなものをお示しいただきまして御答申がありました。こういったようなことを骨格といたしまして、私ども関係方面に十分指導いたしまして、紛争の未然の防止と、またもし仮にあった場合においても、それの解決のルールといったようなことを適正に行われるように指導したいと思っております。
  101. 横山利秋

    横山委員 住宅都市整備公団はそういう点では経験者ですが、どんなふうにやっておりますか。
  102. 堺徳吾

    ○堺参考人 お答えいたします。  分譲住宅につきましては、入居前に管理組合を自主的に結成させるようにしまして、そういう指導をやっております。それから、一般論的な研究はいろいろマンション管理としてはやっておるわけでございますけれども、あといろいろ苦情が出た場合、紛争審査会にいろいろお願いしたケースもございますけれども、それは和解などで円滑に後の処理が行われております。
  103. 横山利秋

    横山委員 そう円滑でもないですよ、あなた。そんなことをああそうですかと言うわけにはいかぬな。公団入居者なり分譲の問題で、入居者から入ってからいろいろ不平不満が出て、その処理の具体的なシステム、機構はどうなっているかということなんですよ。入居者の自治組織その他との話し合いは円滑にいっているのですか。
  104. 堺徳吾

    ○堺参考人 誠意を持って対処しておるつもりでございます。
  105. 横山利秋

    横山委員 いま区分所有法というものがありますね。これは登記の関係であるのですけれども、私も法務をやっておりますが、とてもじゃないけれども、マンションの中でこの部屋はおれのものだ、その区分だけおれのものだ、共有部分は、共有の廊下だ、階段だ、エレベーターだということで、非常に複雑なことなので、登記も複雑なので一遍変えようという検討を法務省でやっておるわけなのであります。しかし一方、いま私が質問している視野から見ましても、高層住宅共同管理法、共同住宅管理法とでも言いますか、何かそういう基本法的なもの、基礎的な法律というものがいま必要な時期ではないかと思いますが、どうお考えですか。
  106. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 御指摘のようにいわゆる共同住宅につきましては、現在建物の区分所有等に関する法律、いわゆる区分所有権法が基本となっておるわけでございますが、共同住宅の住まいがいろいろと進んでまいりますと、これだけではなかなか十分に律し切れないいろいろな問題が生じております。  現在法務省におかれましてもこの区分所有法につきましていろいろと御検討いただいております。その中で、専有にかかる問題あるいは敷地に関係する問題あるいは管理に関係する問題等、御検討いただいておりますが、なかなか早急にまだ結論が出るということでもないようでございます。私どももいま申し上げましたいろいろな管理規約であるとかあるいは管理組合の問題とかあるいはまた管理委託の問題とか、いろいろ検討を進めておりまして、いま申し上げましたように住宅宅地審議会からの答申もいただいておりますので、こういったものを基本にしながらいろいろと指導する中で、また一方法務省の方でもされております区分所有権法の検討の中で、どの分野が区分所有権法で処理すべきものか、また、どの分野はその外側、いわゆる私どもの方で処理すべきものか、そういったものを分類整理しまして、そしてまた問題の積み重ねをやりまして、解決すべき方向を見出してまいりたい。必要によりまして私どもの方で措置すべきものがあれば、いま先生お話がありましたような管理に関するしかるべき法律制度といったものも考えてまいりたいと思っております。
  107. 横山利秋

    横山委員 私は法務と建設の両方やっているのだけれども、法務の世界というものは理屈が多くて、腰は丈夫かもしらぬが足は丈夫じゃないのですよ。機敏に情勢に適応するという体質ではないのです。しかし、建設省はそうはいかぬ。日ごと夜ごと生身の問題に対応しておるわけですから、区分所有法の改正を待ってというわけにはいかぬので、いまあなたのおっしゃるように、現実にいまマンショントラブルやいろんなものが山積しておるときだから、法律案ができる前でもその指導要綱だとか指針というものを出して、その指針の反響を見ながら立法化していくというふうな、現実的な対応を私はお勧めいたしたいと思います。  大臣、私の言うことがわかりますね。いつも最後はあなたに答弁してもらわぬと締まりがつかないものですから、この件はどう思いますか。
  108. 始関伊平

    始関国務大臣 ただいまのお話を私も大体理解いたしました。現実の問題としてかなり重要な問題になっているのに、それに対応する行政その他のシステムその他が大変不十分であるということでございまして、それはそのとおりであると思いますので、事務当局をして関係方面とも連絡をとらせながら至急に具体策を検討してまいりたい、かように存じます。
  109. 横山利秋

    横山委員 それに関連して、不動産登記法というものがありますね。不動産登記法というのはその土地なりその建物の実態を反映するということが法務省の頑固な物の考え方。これは頑固です。そうすると、先般私が法務委員会でずいぶん怒ったわけでありますけれども、要するにある日あるとき農地に砂をまいてコンクリートをちょっと並べて、見てくれ、こんなものもう農地じゃないだろう、ああ農地ではありません、これは宅地同様になっております。これを宅地に登記してもらったのです。しかも、それをいつやったかというと四十四年にさかのぼってやってもらったのです。そうするとこれはえらいぼろもうけですわ。これが当時農地の場合は坪当り六万円ぐらいですね、宅地になると二十万円ぐらいです。それを千坪やってごらんなさいよ。二十万円掛ける千でしょう。べらぼうなもうけをしたわけです。こんなことどうしてあり得るかと言ったら、不動産登記法というものは、その現場が農地であるか山林であるか宅地であるか、現状を調べて、現状どおりに登記するのが不動産登記法でありますからと、こう言うわけです。こんなことを言われたって社会的に納得できるか。法務局は何をしておったのか。おまえさんのところは農地法による地目変更の申請をしておるか、その許可が出たか、こういうことをやるべきではないかと言ったら、やっておりますが、農業委員会は月に一遍か二月に一遍で、次郎作どんや田吾作どんがまあまあお任せする、こう言うとは言いませんけれども、そういうところが少なくないと言う。建設でも同じですよ。不法建築やるでしょう、それで登記してくれと言えば登記せざるを得ぬ、こう言うのです。建築基準法のことになっておるのか、あるいはまた確認申請はちゃんとできておるのか、完了検査はやっておるのかということは関係ないと言っておった。そんなばかなことはないだろう。いやしくも建築基準法があり、建設大臣が閣議の中でどっしゃり座っておるのに、法務大臣とろいことやるなと言うて怒らにゃならぬときですね。それはどう思いますか。
  110. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいまのお話は、多分昨年の四月だったかと思いますが、本委員会におきまして先生から御質問があったことを私も記憶しております。建築基準法が完全に守られて、りっぱな建築物が建築されればいいわけでございますが、間々基準法に必ずしも適合しないといったようなものがあり得る。あるいはまた、敷地の問題につきまして、基準法上は敷地として認められましても、それがまた後ほど問題になる分割をされる等々の問題の指摘があったことを記憶しておりますが、そういうような意味で、あの際にも法務省の担当官から、他の行政との関係とは別に、不動産登記法のたてまえの御説明がありまして、先生からさらに両省間で検討したらどうかということで、時の斉藤建設大臣が両省間でさらに検討させてみたいというふうにお答えをいたしたと思います。その後連絡をとらせておりますが、この問題につきましてはなかなか長い経験あるいは一つのルールというものがあるようでございまして、いまだその決着を見ておりませんことは残念でございますが、進展をしておりません。
  111. 横山利秋

    横山委員 残念どころじゃない、けしからぬことだと思うのです。  私はそのときは、農地、宅地の問題だから農林省に手配をさせて、あのときの決着は、必ず登記官は農業委員会にこういう申請がありましたがいいですか、農業委員会は必ずそれに対して、いや、これは農地です、宅地じゃありませんということを言え、もし宅地でいいというならいいと言ってもいいけれども、はっきり期間を切って検討しろ、もしもそうでない場合は県知事の許可を得ろ、その許可が来るまで、農地法による手続が終わるまでは法務局はやってはならぬ、わかりました、しかし最終的な権限は不動産登記法でありますから法務局長の権限であることは御了承ください、それはわかった、こういう決着になっておるわけですよ。農林省も決着済んでおるのに、何で建設省はだらだらやっているんですか。
  112. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 農林省の場合も、いまお話がありましたように、昨年のときにも例に出されたように記憶しております。あの場合には、恐らく農地法上の許可というしっかりした法手続と地目の問題が非常にリンクしていることもあったのではなかろうかというふうに考えるわけでございますが、基準法上の立場から言いますと、敷地の問題等につきましては、特に基準法上確認されたものが、その建築が終了した後にまた動いていくというところまでフォローできない、そういったような問題もあるように思われますので、連続性といいますか、関連性といったような問題もなおあるように思いますので、事は法務省の方の所管の問題でもあり、なかなか長い経験を持ったお立場での御議論もあるようでございますので、時間がかかっておるように思います。
  113. 横山利秋

    横山委員 大臣、これは覚えておいてくださいよ。いまの答弁は、建設省は不法建築があっても、不法建築を登記されてもいまのところどうもしようがないですと、そんな言い方ですよ。わかりますね。そんなばかなことないですよ。農地の場合と建築の場合とは多少法律上違うことはわかった。わかったけれども、そんなことを議事録で悪いやつが読んで、ああそうか、横山さんいいことを教えてくれた、また局長はいいことを教えてくれた、それならこれはやってやろうかということになりますよ。これはそのままではいかぬですよ。
  114. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 私の説明が十分でなくて、真意を十分にお伝えすることができなかったのは大変遺憾でございますが、私が申し上げたかったのは、不動産登記法の関係はどうも法務省の方で御判断なさるべき事柄であるということを申し上げたわけでございます。  ただ一方、建築基準法につきまして、年間に百十万件ほどある建築確認の取り扱いの問題といたしまして、いろいろと建築主事及びそれに関連する職員の増強とか、また、各段階を通じての違法な建築物の根絶、そういったことは特定行政庁に対しまして常日ごろ指導しておりますが、最近におけるいろいろな建築上の諸問題を考えてみますと、これはなお一層徹底いたしまして、確認から検査までのプロセスを通じまして、それぞれが的確にいくように進めてまいりたいと思っております。特にその中におきますところの建築士の役割りも非常に大きいものがありますので、これらの活用あるいは建築物に関します的確な監理といったものを通じまして、これはこれとして私たちの与えられた責任でございますから、決してゆるがせにせずに、全力をふるって建築行政の適正化に努めてまいりたいと思っておりますので、その点はひとつ御了承いただきたいと思います。
  115. 横山利秋

    横山委員 大臣、法務大臣に言ってやりなさいよ。おまえらの方は勝手に違法建築を、何でもいいから建築ができたから見に来てくれと言ってそれを不動産登記をさせてはならぬぞ、窓口の登記官に対して建築確認書、完工済み書、そういうもののコピーをちゃんともらってから登記をするように気をつけろ、こう言ってやりなさいよ。
  116. 始関伊平

    始関国務大臣 横山委員が、私ども普通の人間が知らないようなことで、しかも権利の得喪などに関するきわめて重要な問題につきましていろいろな深い含蓄、経験をお持ちであることはかねて承知をしておりましたが、ただいまお話しの点も非常に重要な点だと思いますので、さらに事務当局から実情をよく聞きまして、関係方面への申し入れその他、適切な措置をとるということを御答弁申し上げます。
  117. 横山利秋

    横山委員 次の問題は、住宅金融公庫関係していくわけですが、本委員会で私ども声をそろえて賃貸住宅が少なくなっていって持ち家に転換をしていく、そのことは政府のとるべき策ではない、こういうことをしきりに言ってきたわけであります。  この間、名古屋の住宅金融公庫の支所へ行きまして業務状況をいろいろ聞きました。聞いたところによると、住宅金融公庫の仕事は金を貸して家を建てるということなんでありますが、思いのほかどんどん建て売り住宅、個人住宅建設関係、それから住宅改良なんかがきわめて激増しております。団地Bというのが前年同期と比べまして一一六%、土地担保賃貸しが一一八%、住宅改良に至っては一〇六%ですか、これはどういうことかということを考えるのです。要するに、全国的な地域事情に違いがあるな、大都市における住宅というものはまだまだ一層の問題を包蔵しているなということを私は痛感をしたわけであります。  大都市においては、東京でもそうですが、まず第一に私どもの身の回りの人におまえさん通勤時間どのくらいだと言ったら、一時半、二時間というのが少なくないですね。それからどういう家に住んでおるのかと言ったらアパートに住んでおる。持ち家なんてそんなにおりゃしませんよ。そのアパートはどういうふうだと言ったら、木造賃貸しというのがまだわりあいにある。それから、大都市には低所得者層、身障者、母子家庭、高齢者、こういう者が蝟集しておるわけですけれども、そういう人たちに対する配慮というものが住宅政策の中でないではないか。それから、大都市では家を建ててもそろばんに合わないので、結局郡部へ行ってしまう。それでスプロール化、空洞ができ上がっておるのが大都市。それでもって、先ほどからるる申しますように住宅紛争がいっぱいある。大都市における住宅というものは、今回の政府の政策の説明を聞いておりましても、かなりの力点は置かれておるようではあるけれども、まだ深刻さが足らないのではないか、こういう感じがしてならないのであります。この大都市における住宅について、これから一体どういう方法でどういう施策を行おうとしているのか、まず伺いたいと思います。
  118. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいま御指摘がありましたように、昭和五十三年におきます住宅統計調査によりましても、最低居住水準未満の世帯の方が、規模でとらえてみまして全国で一四・八%ということになっておりますが、大都市地域におきましてはそれが一八・一%ということで、一般地域に比して高い。また、その最低居住水準未満の方々が借家に非常に多くいらっしゃるというようなことも出ております。  私どもも、大都市につきましては特段にそういった居住水準の改善をするために、公共賃貸住宅を中心といたしまして政策を展開をしたい、また一面におきまして、大都市地域におきましては他の地域に比べまして高度成長時期における若い世代の方の大量の流入ということもありましたせいですか、借家と持ち家との比率を見ました場合には借家の比率がかなり高い。また、その大都市に若くして来られた方々が、だんだんに世帯の構成がふえてきて持ち家を持つような時期になっておる。そういうこともあわせて考えて、両面がバランスのとれたようにしていく必要があると思いますが、しかし、中でもやはり低所得者の方々に対します賃貸住宅供給は、非常に地価高騰したりいたしましてむずかしい点はありますけれども、力を入れてまいりたい。その中で、たとえば住宅都市整備公団におきます賃貸住宅は、五十七年度から従来の家賃回収コストを一%引き下げるといったような措置をとりましたし、また、とかく話題になっております低質な木造賃貸住宅についての建てかえのための諸制度も発足させることといたしておりますので、これらを中心にしながら、さらにその政策の充実に努めてまいりたいというふうに思っております。
  119. 横山利秋

    横山委員 住宅金融公庫にお伺いをしたいのですけれども、名古屋でいただいた表を見まして、これは実績の比較なんだから、申し込みと実績の比較が出ておらぬのですが、たとえば住宅改良にしても、個人住宅建設にしても、潜在需要もかなりあると思うのですが、住宅金融公庫へ申し込んで、それが認可される、貸し付けを許可されるという比率は一体どんなことになっておりますか。その比率が、物によって非常に高いものと非常に低いもの、申し込んだら大体これはいいというものや、あるいは住宅改良なんか倍じゃないんですか。非常に需要が多いですね。問題によって比率がずいぶん違うんだから、その対応について、少し現実的ではない予算の配分なり、また都市と農村との配分の仕方なり、そういう点でまだ現実的でない面があるのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  120. 大津留温

    ○大津留説明員 お答え申し上げます。  公庫事業計画におきまして、個人住宅あるいは賃貸住宅あるいはいまお話しの住宅改良、こういうものにつきまして一応の計面は立てますけれども需要者の御希望がたとえば個人住宅の方に非常に多くて賃貸に少ない、あるいは逆に住宅改良の方に非常に多く出てきたというような場合は、全体の状況を見ながらできるだけそういう御希望には一〇〇%沿うように実施いたしております。以前におきましては、この計画需要に満たないものですから、抽せん制度で御希望者の何十%ということでございましたが、その後だんだん事業計画をふやしてまいりまして、次の段階としては受け付け順ということで、早く申し込みをされた方は一〇〇%いくが、一定のところまで来たら打ち切るというようなこともしたことがございます。今日は幸いにして事業計画がふえてまいりまして、個々の種目においては増減がありますけれども、全体としてやりくりをいたしまして、どの種目におきましても、今日においては御希望者で資格がある方は一〇〇%応じておるという状況でございます。
  121. 横山利秋

    横山委員 名古屋ばかりでなくて、大都市もそうだと思うのですが、特に名古屋としては戸建ての建て売り住宅とそれから住宅改良、これが非常に多いというのですよ。何で名古屋だけそんなにぎょうさん申し込んでくるんだ、名古屋人てそういうところかな、戸建てがいい、あるいは住宅をちょっと建て増したい、直したい、特徴かな。それで予算との関係どうなんだと言ったら、あなたのおっしゃるように一〇〇%といきませんよ、こう言っておったよ。名古屋だけ損しておるのか、どういうわけなんだ。
  122. 大津留温

    ○大津留説明員 御指摘のように、名古屋地区の特色といたしまして、建て売り住宅が非常に多いですね。これは全国のほかの地区と比べまして際立ってそういう特色がございます。(横山委員「それはどういうわけだね」と呼ぶ)やはりまあ庭付きの家を御希望になるし、名古屋地区は大都市圏のうちではまだまだ土地事情が余裕があるということかと思います。  そこで、そういうふうに名古屋支所はそういう種目について特に多いということがございましても、だから融資が割りが悪いということは一切ございませんので……。
  123. 横山利秋

    横山委員 悪いと言っておるよ。半分くらいしかないと言っておったよ。ちょっとそれはおかしいよ。数字の問題だから、何も私は名古屋を特に何とかしてくれと言っておるわけじゃないんだ。あなたが一〇〇%いっておるというならそれはおかしい。支所長があなたによく話しておらぬのか、あなたが知らぬのか、それはちょっとおかしいよ。そんな一〇〇%いっておるなんて、申し込みの半分くらいだと言っておったよ。一遍調べてください。
  124. 大津留温

    ○大津留説明員 申し込みがございまして、設計も見さしていただきますし、それから、申し込みの方のいろいろな資格要件がございますので、そういう要件を満たして、設計も合格したということになりますと、五十六年度におきましては御希望の方々皆さんに御融資を申し上げております。
  125. 横山利秋

    横山委員 本件は、あんまりわが田へ水引くような話をしておってもいかぬだろうが、あなたの言うことが本当なら、名古屋支所長に、おまえさん総裁はそう言っておったぜと言いまして、後になってそれはちょっと困るなんて言わぬようにして。  中古なんですが、既存住宅購入資金貸し付けの貸付条件の改善と法定化。中古住宅に対する金利が、新規が五・五%だけれども中古は八・五%ですね。これは中古に対する認識がまだまだ十分じゃないような気がするのですが、どうですか。中古がどんどんこのごろは売れるようになって転売がきくようになった。そして、中古って何が中古だかわからぬわね。つくって、ちょっと半年ぐらい住んで、すぐかわればそれは中古かね。  中古の定義と、中古の金利が新規に比べてちょっと高過ぎるような気がするが、どうか。
  126. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 いわゆる中古マンションにつきましての現在までの取り扱いは、政令によりまして財投金利でお貸しするというふうになっております。しかしながら、いまお話がありましたように、最近は住みかえというものが非常に進んでまいりまして、当初の世帯構成であるとかあるいは取得能力等から、まずはマンション等の中古を買われまして、それをまたある一定年限たちましたところでさらに大きなマンションあるいはまた戸建ての住宅へと移っていく傾向が見られます。そういうことで、中古の住宅の流通を促進するということは、ひいては住宅の取得を非常に円滑ならしめると同時に、住宅の新築にも大きな影響があるというようなことから、非常に御要望が強うございましたので、かねてから中古住宅金利引き下げを検討していたところでございますが、五十七年度はこの財投金利でありましたものを六・五%というふうに引き下げることといたしまして、また、貸付限度額につきましても、最高七百万円でありましたものを七百五十万円というふうに行いました。また、譲渡価額の限度額につきましても、その引き上げを図るというように、幾つかの改善措置をとっているところでございます。  なお、この金利引き下げにつきましては、現在御審議いただいております住宅金融公庫法改正の中で法定化をいたしまして、六・五%以内で政令で定める金利ということにいたしたいと考えているところでございます。
  127. 横山利秋

    横山委員 何をもって中古と言うの。中古とは何だね。
  128. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 中古住宅といいますのは、住宅に一度でも人が住まれまして、それがどなたかにまた譲り渡される場合に、それを中古住宅というふうに考えているところでございます。
  129. 横山利秋

    横山委員 一日住んでも中古。  時間がなくなりましたが、この宅地債券発行の実績を見ると、何だいこれは、ちょっとも売れておらぬ。初め五十年度程度では八〇%、五十一年度調達率八〇%、いま二〇%。ちょっとも売れておりはせぬものを、えらいかねや太鼓で宅地債券を発行する。それを買ってくれたものは優先的に住宅または宅地が譲渡されるよう配慮すると言っておるけれども、こんなにあんまり成績のよくないものをかねや太鼓でやって一体どういう発展性があると見ているのですか。
  130. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 先ほど中古住宅についての定義の御質問でございましたが、私一般論を申し上げまして、大変失礼いたしました。住宅金融公庫融資に係る中古住宅と申しますのは、三年以上住んでいらっしゃる場合に、これを他に転売するあるいはそれを購入される場合に中古住宅として私ども位置づけて融資させていただいておりますことを、念のためお答え申し上げます。  なお、住宅宅地債券につきましては、やはり今後の住宅を求められる国民方々計画的な貯蓄をされて、その貯蓄をもとにある程度の自己資金を用意して住宅を求めるという、計画的な取得というものが一番よろしいのではないかというふうに考えまして、新しい制度をお願いしているわけでございますが、これによりましてある一定額を積み立てられました方につきましては、四百五十万円の割り増しの融資をする。同時にまた、分譲住宅につきまして優先的な譲り受けができるような措置をとるということで、また一面、住宅金融公庫におきましても、資金の調達面において若干なりともプラスになるといったようなことを考えまして、実はお願いしているところでございます。
  131. 横山利秋

    横山委員 理屈はわかっているのですけれども、こういうように実績が余りないものを、今後どういうふうに発展を担保できるのかということを聞きたかったのでございますよ。どうですか、これは大丈夫、これから伸びると言いたいのかね。
  132. 吉田公二

    ○吉田(公)政府委員 宅地債券でございますので、私の方からお答えいたします。  現行の制度におきましては、積立額が譲渡予定価額の三分の一以上とされております。でございますから、積立額の基礎となる譲渡予定価額の設定というものに不安を持つ事業主体が制度の利用を敬遠しているということとか、あるいは一定期間の積み立てを前提とするような、宅地債券制度になじまないような小規模な宅地開発の比率がふえているとかというようなことが伸び悩んでいる理由考えられるわけでございますが、今回改正いたしまして、宅地債券制度を住宅宅地債券制度に改めるわけでございますが、この際に積立額を従来の譲渡予定額の三分の一以上というようなものを、一応これは省令で決める予定でございますが、三百万というふうな固定額といたしまして受けやすくしたということ。  それから、公庫融資造成宅地を取得して公庫融資を受ける場合には、積立額の一・五倍の割り増し貸し付けを行うこととした等、制度の改善を図りまして、発行がしやすくなるというふうな形に改めるつもりでございますので、これによりまして発行が増加し得るというふうに考えているところでございます。
  133. 横山利秋

    横山委員 大臣に最後にお伺いしたいのですが、行政改革と建設省の問題です。  今般行政管理庁から法律として出てまいりますもののうちで、建設省関係は余りないですね。建設省関係は旧法令整理法案によればわずか十件、大蔵省の百四十四件を筆頭にしてたくさんありますが、あなたの方はわずか十件。  それから、旧法令整理法案、九十五国会において審査未了になっているものの中でいきますと、建築士法ですか、建築士選考制度の廃止、それから政令関係でいくと建築検査、民間建築士による工事監理の強化、特殊車両の通行許可等、まことに建設省としては行政改革に対して横を向いているような気がするわけですね。その中の一つの建築士試験を受けないで建築士の免許を受けることができる建築士選考制度を廃止するとありますが、これはどういう内容だかよくわかりませんが、いずれにしても、この間も公団の地方の問題を聞きましたけれども、行政改革について建設省として何か意見を出されたのですか。それともおれの方は関係ないと言って逃げておるわけですか。建設大臣として今後の建築行政の上における行政改革の基本方針、具体策を一遍お伺いしたい。
  134. 始関伊平

    始関国務大臣 初めにお述べになりましたのは、いわゆる許認可事項の整理に関する問題と思いますが、この点につきましては余り大したものはございませんで、法律の改正を要する事項はないと承知をいたしております。目くじらを立てて議論するような問題は出ておらないのではないかと存じます。  なお、きょうの閣議と、それから自民党の行政改革の方の委員会の連中の合同会議がございまして、これから七月にかけて検討すべき事項の項目の発表がございました。建設省関係では、いわゆる中央省庁の改編とかあるいは地方の行政機構をどうするとかいう問題は議題になっておりません。ございますのは、一般的な事項として国土、それから住宅宅地、こういう項目があるだけでございます。住宅宅地等について、臨調の方でそういう項目について一つの結論をまとめて政府と党に提案しようということでございますので、どういうことかわかりませんが、なお何か申し入れる意向、考えはないかというお尋ねであったと思いますが、省庁の官僚の諸君が余りいろいろなことを言ってもらっては困るという意見もございましたが、大臣のところでまとめまして、臨調に接触を持っておられることは差し支えない、こういうことでございますから、もし臨調の方に申し入れることがあれば、それは取りまとめまして事務の諸君と相談しまして申し入れたいと思いますが、いまの私の印象では、それも急いでどうこうしなければいかぬという問題は、建設省については余りないというふうに一応認識をいたしております。
  135. 横山利秋

    横山委員 受け身のような態度でございますが、私が許認可の問題で言いましたのは、国民のために、建設省関係の許認可事項をもっと思い切って簡素化してやる必要があるという意味で許認可の問題を持ち出しておるのです。あなたは許認可の問題はそう取り立てて言うことはないと言う。それはあたりまえですよ。こんな三つか四つのことなんか、何だこんなものは。建設省は許認可問題に非常に不熱心だなという印象さえ受けるくらいで言っているのです。だから、むしろ許認可問題については思い切って建設省独自でも、行政上の法律によらざるものであっても、よらざるものが多いと思いますよ。法律によらざるものであっても、むしろもっと許認可の簡素化について熱意を持つべきではないか、こういうことが私の言いたい一つです。  それからもう一つは、国土の問題に言及されましたが、よその庁のことを建設大臣がどうというわけではありますまいけれども、野党は国土庁を廃止しろと言っているのですよ。建設省と合併したらどうだと言っているのです。それをどう思いますか。
  136. 始関伊平

    始関国務大臣 国土庁も政策官庁でございまして、一方建設省は現業官庁的な色彩がきわめて濃厚で、余り具体的な問題をたくさん持っておりますから、政策的な面では頭の回りかねる点も多いのではないかと思いますので、私としてはいまの体制はこのままでよろしいのじゃないかという感じがいたしております。  もう一つお返事をし損いましたが、許認可事項の整理の問題でございますね。これにつきましては新聞に出ましたから御承知かと思いますが、建設業のゼネコン、いろいろ二十二、三ございます各業種、職種について現在全部許可制度でやっておりますから、これは実情に合わぬ点も多いと思いますので、その許可制度の見直しという点、これは建設省独自の判断でいま中建審に審議をお願いしたという段階でございます。  ただ、申し上げておきたいのでございますが、あの建設業の許可制度にしても何にしても、民間が嫌がっているのじゃなくて、むしろできるだけ窮屈に、たとえば大工でも左官でも自分たちは許可をもらっている、ほかのやつは入れないように、ここで許可制度を廃止するなんといったらむしろ反対するのは同業の連中なんです。そういう一面もあるということも私は非常に気になっておるところでございます。
  137. 横山利秋

    横山委員 質問を終わります。
  138. 村田敬次郎

    村田委員長 これにて横山利秋君の質疑は終了いたしました。  次に、薮仲義彦君。
  139. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は毎回の委員会で重ねてというか、しつこいほどお伺いしたいのは、わが国の住宅政策の基本にかかわる一番の問題は地価に対して政府がどう取り組むか。地価の安定なくして、これから私が質問しようと思います住宅金融公庫法改正、これも本当に国民のために役に立つように使われるかどうか、そういう点が非常に懸念されます。きょうも冒頭に、きょうは国土庁長官が災害の委員会だそうでございますので所管の局長がおいでだと思いますが、国土庁は一日に地価公示価格をまた発表いたしましたが、この地価の問題から私はお伺いをしたいわけでございます。きょうは基本的な問題をお伺いしますので、明快にお答えいただきたい。  私はいつも国土利用計画法の十二条を問題にいたします。ここに出ておりますのは、「全部又は一部の区域で土地の投機的取引が相当範囲にわたり集中して行われ、又は行われるおそれがあり、及び地価が急激に上昇し、又は上昇するおそれがあると認められるもの」、こうなっておりますが、この十二条のいわゆる集中的な投機的な取引、この定義は国土庁は一体どう認識しているのか、まずこの投機的な取引の認識といいますか、定義、これはどういうことでしょう。
  140. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 お答え申し上げます。  御案内のとおり国土利用計画法第十二条によります規制区域指定の要件として、投機的取引の集中と地価の急激な上昇と二つがあるわけでございます。土地の投機的取引と申しますのは、国土利用計画法よりも先に都市計画法の八十五条にも使われている用語でございますが、立法以来、これを利用する目的がなく、将来他に転売をする、その間における地価上昇による価格差益を享受するということを目的として土地取引を行うことであるというふうに解されております。昭和四十七、八年ごろ行われましたようないわゆる土地転がしがこれに該当するというふうに解釈をいたしております。  それから、そういう投機的取引の集中でございますが、こういうようないわゆる土地転がしが相当範囲にわたって集中して行われるということでございまして、一般論として申し上げれば、ある程度の広がりを持つ地域におきまして、その地域の中であちらでもこちらでもそういう取引が継続して行われるというようなことを言うものというふうに解釈をいたしております。その場合地域の広がりでございますが、どの程度の範囲で見込むか。これについては制度の趣旨から見て、その地域地域状況によって、経済的な、社会的な事情によって異なってくるかと思いますが、実務の観点からすれば原則としては市町村単位くらいであるのがいいのではないかというふうに考えております。  それから地価の急激な上昇でございますが、その地域の従来からの地価の趨勢なり全国の地価の趨勢、そういうものを考慮しながら、ケース・バイ・ケースで投機的な土地取引の関連において具体的に判断すべきものではなかろうかと従来から解釈をいたしておるところでございます。
  141. 薮仲義彦

    薮仲委員 地価高騰の方は私は質問しなかったのですよ。二番目に聞こうと思った。私の質問の趣旨を正確に聞いて答えていただきたい。  それでは二番目の問題をもう一度お伺いしますけれども地価高騰というのを、国土庁はいまのようなあいまいなのではなくて、どういう状態を指して地価高騰していると判断するのか、もう少し国民の一人一人にわかるようにお答えください。
  142. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 一概には申し上げられませんが、先ほど申し上げましたような投機的な土地取引が横行することによって、それまでの取引の傾向がずっと変わってまいりまして、急激に上昇するということであろうというふうに判断をいたしております。
  143. 薮仲義彦

    薮仲委員 じゃ具体的に聞きましょう。国土庁が地価公示して、土地の種目はいろいろございますけれども一番上昇したのは宅地でございます。全国平均八・三%。不名誉なことにわが静岡県はトップでございますけれども、それはそれとして宅地上昇八・三%でございます。これは御承知のように消費者物価昨年度四・七、この発表まで四年間にわたって地価公示価格地価上昇は消費者物価を上回っておる。これがどれほど国民住宅建設阻害要因になっているか。住宅建設だけではありません。あらゆる産業のこれからの発展の阻害要因地価の異常な高騰です。しかも消費者物価を上回っておる。四年連続このように上昇しているのをあなたは、土地局長は異常と思うのか正常と思うのか、どちらですか。簡単にお答えください。
  144. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 私どもが公表しております公示価格によります地価変動率の中には、率直に申し上げまして公共事業等によります土地の価値の増大と申しますか、そういうものと、そうでないものと二つの要素がございまして、この上昇率だけで単純に、たとえば消費者物価の変動率と比較をするというようなことはなかなか困難であるというふうに思っております。一つの目安にはなるわけでありまして、一昨年あたりございました二けた上昇というのは、やはり正常ではないというふうに判断せざるを得ないと思っております。
  145. 薮仲義彦

    薮仲委員 じゃこの八・三は正常ですか、異常ですか。
  146. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 昭和五十年代に入りましてから、地価は当初、前半は安定しておりましたが、一昨年、その前、かなりの上昇があったわけでありまして、この地価の動きというのは比較的私どもはある程度の期間をもって見ていただきたいというふうな感じを持っております。この間の、昭和五十年代に入りましてからの平均変動率を御参考に申し上げますと、全国全地目では五・二%あるいは住宅地でも平地六・三%ということでありまして、私どもは今回の変動率、上昇率、これはまだまださらに一段の努力をして鈍化させるべきものであるというふうに考えております。
  147. 薮仲義彦

    薮仲委員 では、国土庁が適切な措置を講じて、たとえば東京圏は伸びは最低になっているのです。東京圏は国土庁が何か具体的な施策を講じて地価が鈍化したのか、それとも、私はそうではないと思う。高過ぎて買えないから、土地が流動しないから鈍化しているだけのことである。あなたはどちらですか。
  148. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 お答え申し上げます。  地価というのはもともといろいろな経済活動の結果としてあらわれる面が多いわけでありまして、その面で経済の動きと密接な関連があるわけであります。その中で、私どもいろいろな面で努力をいたしておるわけでありますが、必ずしもその努力だけでこういうふうになったわけではございません。たとえば、東京圏が大変地価上昇率が鈍化した中で申し上げますと、府中ですとか調布ですとか、二、三年前にマンション用地の買い進みが非常に多かったところ、これなどは一昨年の地価公示では二〇%台の上昇であります。昨年が一四、五%の上昇であります。こういうところは今回は五、六%の上昇にすぎないというようなこともあるわけでありまして、その辺の経済の動きと私ども政策努力とをさらに重ねていけば、もう少し東京圏全体の地価上昇率を下げることも可能ではなかろうかというふうに思っております。
  149. 薮仲義彦

    薮仲委員 住宅局長にちょっとお伺いしたいのですけれども住宅局長はこのように四年連続の地価高騰を、いわゆる住宅建設を推進しなければならない建設省の担当の局長としてどうお考えか。しかも、先ほど来この委員会でずっと論議されているのは、四期五計が初年度でもう挫折しておりますよ。それは局長が何遍も御答弁になるように、地価を初め建築費高騰、いわゆる所得住宅の価格の乖離によって手が届かなくなっている、建てにくくなっているということは何回もおっしゃった。私は、このように四年間も連続地価高騰し、しかもいまの国土庁の話ですと具体的に地価が鎮静化するというような、国民が安堵するような施策は、私はいま聞き取れなかった。これは私の耳が悪いのか、私がゆがんで聞いているのかわかりませんけれども、いまの御答弁では国民の一人として、なるほど本年度の国土庁の施策によって地価は鎮静化するなというような感じは私はなかった。その上に立って、四期五計がこのような地価上昇を続けていって、特に三大都市圏、首都圏においてこの住宅建設というものが順調に四期五計どおり進められるのかどうか。四期五計に対する影響等も含めて住宅局長のお考えをお伺いしたい。
  150. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 御指摘のとおり、私ども住宅対策を進めてまいります場合に、地価の要素というものは非常に大きなウエートを持っておることは事実でございます。最近ようやく上昇率が鈍化しつつあるとはいえ、過去数年間かなり高い率で地価上昇いたしましたことは、私どもの四期五カ年計画を推進していく上には大きな問題があると思います。  ただ、この地価上昇は、やはり宅地供給の円滑化とか土地税制であるとか、諸施策を総合的に講ずるべきところであるかと思いますので、関係部局とも十分御相談をして、今後さらに供給促進地価の安定を図って、そのことがまた四期五カ年計画の円滑な推進に資するように努めてまいりたいというふうに思っております。
  151. 薮仲義彦

    薮仲委員 では国土庁、重ねてお伺いしますけれども、私はこういう質問をします。いま、いわゆる国土利用計画法の発動要件が二つ整わなければ発動しないということを国土庁は絶えず言う。だから発動しにくい。では、仮にどちらか一つの要件が満たされればこれは発動をできるという条件にしたならば、私は何もこの自由主義経済の中で、強権発動をして地価を鎮静しろなんということを言うのではない。伝家の宝刀というものは、抜かなくても相手がそれによって事をおさめるというのが伝家の宝刀。確かに国土利用計画法はあの異常な土地が騰貴したときに議員立法でできた法案です。それはりっぱに投機的な取引を鎮静化し、地価の鎮静化に役に立った。いまこのようにじわじわ上がってくるのに対して、私は何も権力でそれを鎮静化することがいいこととは思っていない。しかし、抜かなくてもどちらかの要件を満たせば発動できるぞということが整えば、私は少なくとも地価は鎮静化の方向へ向かうと考える。どちらか一つの要件を満たせば発動できるといって、それを発動しろというのでなくて、そういうようなことをしたことによって鎮静化の方向に向かうと考えますが、局長、どうですか。
  152. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 議員立法でできました国土利用計画法の運用に当たっておるのが私どもの立場でございますが、これを改正すべきかどうかということについて意見をというふうに求められますれば、私どもはむしろ現在の宅地問題で最大の急務は、やはり住みかえ需要を中心とする根強い住宅宅地需要に対しまして、供給が低迷をしておることではなかろうかというふうに考えているわけであります。そういう中で仮に現在の規制区域を発動いたしますと、これは短期臨時的に、しかも地域を限って行う。しかも価格を凍結するだけではなくて、利用目的、つまりたとえば自分の家を建てるために土地を買う、そういう取引でなければ原則として許可しない、こういう緊急避難的な措置でありまして、そうなりますと、そのような事態がありますれば当然供給意欲を阻害する要因もかなり出てくるのではなかろうか。最長五年待てばまた売れるようになるからそれまで売るまいというようなことで、むしろ刻下の急務であります供給増大意欲を損なう危険性もあるのではないか。したがって、ここしばらく供給増大のための各種の対策を講ずることが、当面の問題の解決に一番役に立つのではないかというふうに考えております。ただし、私どもが二要件に該当すればいつでも発動できるような準備を万々整えておりますので、その面から現在全国的に見まして投機的取引が影をひそめているということは、抜かざる宝刀というふうにおっしゃられましたけれども、そのための準備としていろいろやっておりますことの効果があらわれているものというふうに判断しておりまして、あとは実需に対しまして供給努力を最大限に傾注することであろうというふうに思っている次第であります。
  153. 薮仲義彦

    薮仲委員 私の聞いていることにだけ答えていただけば結構です。  どちらか一つの要件を満たせば発動するということでなくて、発動できるということにするということは、地価の鎮静に役に立つか立たないか。立つか立たないかだけお答えください。あなたはどう考えるか。
  154. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 最近の需給事情から見まして、それだけで効果が発揮されるというふうには必ずしも考えられないというふうに思います。
  155. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、届け出の面積要件が二千平米ということになっておりますけれども、この要件をある程度下げるということは、土地の鎮静化に役に立つと思うか、立たないと思うか、どうでしょう。
  156. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 これも土地所有者の土地を手放す心理との関係が非常に大きいと思っております。届け出面積を三百平米なり五百平米なりに切り下げることが供給意欲の阻害にならないという確信が得られますれば、かなりの効果を上げることができるかと思っておりますが、果たしてその辺、そういうことになるならば煩わしいから売るのはやめようということになって、供給量が減少したのでは何にもならない。その辺が私どもの悩みでございまして、いろいろの面から引き続き検討さしていただきたいというふうに思っております。
  157. 薮仲義彦

    薮仲委員 さきの農住法のときに、あなたはそのように供給をすることはいわゆる誘導政策によってできるとおっしゃった。農住法の中でも非常に困難な問題がある。面積要件並びに譲渡所得税の緩和という問題、逆に八千万超、二〇%の分離課税にするという税制の問題は、いまグリーンカードの問題が出てますけれども、たとえばグリーンカードも巷間うわさされるように分離課税は五〇%、あるいは定期性預金が三五%、特別マル優の国債にしても分離課税三五%、しかも三百万ですよ。いま土地の神話、いわゆる土地を持っていることが最も安定した資産運用であるという国民考え方から言って、だれがどう考えたってグリーンカードでわずか三百万なら三百万ずつ、こういって、しかも分離課税をもしも残すとしても、あの問題は分離課税を取っ払っちゃうということですから総合課税になるのです。五〇%の分離課税、三五%の分離課税と二〇%の分離課税、どっちが得だろう。たとえば三年間でも持っていた方が、資産運用としてはどれが一番得だろう、だれが考えたって土地を持って温めた方が得ですよ。こう思いませんか。
  158. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 昭和五十年代に入りましてからの、先ほど申し上げましたような平均の地価変動率でありますれば、長期的に見ればたとえば土地が他の貸付信託あるいはゼロクーポン債その他いろいろなものに比べまして、必ずしも有利な資産と言えないようになってきているというふうに考えております。ただし短期的に見ますと、たとえば三年とか四年、五年、そのあたりですと、たまたま二、三年前のようにかなりの上昇をすることがございます。そういう意味で今度の土地譲渡税の改正に当たりましても、長短区分は十年でなければならない、五年でありますと五年間のうちにはあるいは相当もうかることもある、しかし十年ならして見れば決して有利なものではないという観点から主張をしたわけでありまして、そういう目で見ますれば土地神話はそろそろ崩壊しつつあるし、崩壊に向かってさらに努力を傾けたいというふうに思っております。
  159. 薮仲義彦

    薮仲委員 ではもう一回土地局長にお伺いします。  今度公示価格で発表なさった首都圏、東京駅から一時間圏で平米単価は大体どのくらい、二時間だとどのくらい、三番目、三十万円台の土地は東京から何キロ圏か、お答えください。——時間があれですから後で答えてもらいましょう。調べてからでいいです。きょうはたくさん聞きたいことがありまして、そこで時間を使われるともったいないのです。  公庫総裁お見えでございますので、公庫総裁に何点かお伺いをしたいと思うのですが、これは具体的な問題ですから、総裁がお答えにくい場合は担当の方で結構でございます。  最初に三期五計というものを結果からして私考えるわけでございますけれども、三期五計の中で国民住宅ニーズに一番こたえたのは、全体的には目標達成できなかった、しかし目標達成したのは公庫資金融資による建設が一三五%、いわゆる三期五計全体は下回ったのです。でもその中で公庫融資にかかわる部分だけはぬきんでて、はるかに目標達成して一三五%という結果になっているわけでございまして、やはり国民住宅建設に対するニーズの中で、公庫融資の果たしている役割りというものは非常に大きいと思うのですが、いわゆる融資をなさっているお立場の総裁、この公庫融資が三期五計はもちろんのこと、国民住宅建設に対してどういう役割りを果たしているか、率直なお考えをちょっとお伺いしたいのです。
  160. 大津留温

    ○大津留説明員 お答え申し上げます。  国民住宅に対する御要望は非常に根強いものがございまして、特に、できるならば持ち家を持ちたいという御希望は非常に強いものがございます。私ども融資はそういう御希望に沿いまして資金面でお手伝いを申し上げるということでございますが、三期五計の期間中を通じまして、現在に比べますと国民方々住宅を取得される能力、こういうものはまだまだ強かったと思いますね。それから、住宅の価格の方も、今日に比べますとまだ取得しやすかった、そういうことが幸いいたしまして公庫の利用が多かったものと思います。
  161. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは公庫総裁、これはもしも総裁がお答えにくければ事務方で結構でございますけれども、首都圏の平均的なサラリーマンの購入可能、いわゆる貸す側から見ていて、この程度だと一番買えそうだなという土地つきの分譲一戸建て、マンション、これは公庫ですと恐らく所得分位でお出しになっていると思うのですが、どの程度の方が一番公庫融資を受けていらっしゃるか、おわかりになればお答えいただきたいのです。
  162. 大津留温

    ○大津留説明員 また別に資料を差し上げますけれども、私どもの理解しておるところによりますと、一番多いのは所得階層で申しますと第二分位、第三分位でございます。
  163. 薮仲義彦

    薮仲委員 私の方にも資料がございますので、これは逆に申し上げておきます。  これは公庫からいただいた資料ですから正確だと思いますけれども、おっしゃったことは当たっております。本当は一番多いのは第四分位で、第四分位と申しますと年収が三百八十一万から五百十四万、これが三四・四。これは公庫でお貸しになる費目で言いますと団地のAというものですね。第三分位が三百四万から三百八十一万、二九・五%、この分野に集中して申し込みが多いわけでございます。  資料をお持ちじゃないようですので、逆に私の方で申し上げましょう。戸建ての平均的な年収はおわかりになりますか。——じゃ結構です。これも私の方にある資料が間違っていたら後で訂正してください。公庫からいただいた資料は、五十四年当時で年収が三百九十八万、約四百万。先ほどの分位で言っても第三分位が三百四万から三百八十一万。だから三百八十一万を超えているわけでございますが、平均すると約四百万台の年収の方が公庫融資を一番受ける必要があるといいますか、そこが一番集中的に融資の申し込みをしていらっしゃるわけです。ということは、年収三百万、四百万の方が一生懸命お家を建てようとしていらっしゃるわけでございますが、貸す側からごらんになって、年収の大体何倍くらいの家までが購入可能な、いわゆるそこから上だったらとても公庫は貸しませんよというものがあると思うのですけれども、何倍くらいまでが大体購入できる一戸建てのお家の価格とお考えですか。所得の何倍で結構です。
  164. 大津留温

    ○大津留説明員 四倍程度が一応の限界かと思います。これは人によっていろいろな事情がございますから、もちろんそれ以上でも買える人もありますし、それ以下でも買えない人がありますけれども、大体その辺が限度だと思っています。
  165. 薮仲義彦

    薮仲委員 四倍といいますと、年収の平均が四百万でございますから、千六百万から二千万の分譲の一戸建てがサラリーマンとして平均的に一番購入しやすい単価である、こういうことになるわけですね。これは住宅局長に毎度毎度お伺いして、私もう聞くのが嫌なんですけれども局長も年収に対して大体そのくらいのお答えになるのですか。たとえば首都圏で局長がいつもお答えになるのは三千四百何十万というもの、間違いございませんか。
  166. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 民間の不動産経済研究所というところで調査をいたしております首都圏におきます建て売り住宅の戸建て住宅につきましては、五十六年の平均は三千四百五十三万円となっております。     〔委員長退席、大塚委員長代理着席〕 また、いわゆる首都圏のマンションの価格は、五十六年の平均といたしましては二千六百十六万円というふうになっております。
  167. 薮仲義彦

    薮仲委員 私の手元に、公庫の方に計算していただいた資料が一つあるわけでございますけれども、これで局長がいつもおっしゃる金額でいきますと、三千四百五十三万というのが大体首都圏のいまの値段でございます。これを自己資金と公庫融資民間ローンと、平均的な形でお金を調達して建てたとします。三千四百五十三万三千円というのが平均なようでございますけれども、自己資金を公庫に具体的な例で出してくれと言ったら、私は非常に持っていらっしゃるなと思うのですが、九百三十二万円という金額を出してきました。公庫融資額が八百九十万、民間ローンが千六百三十一万三千円、これでたとえば二十五年均等にしますと、月に平均どうなるか。十九万四千五百七十三円になる。時間の関係で簡単に申し上げますと、これを先ほどの年収四百万前後に置きかえますと、ざっと年収の半分以上はローンの返済に取られてしまう。一番建てたい人がもう首都圏では建てられなくなっているのではないか。その原因は、地価高騰等を含めた住宅の値段が余りにもサラリーマンの所得乖離している。これを本格的にこの段階で直さないと、幾ら住宅公庫法を改正して七十万の上乗せをしても、これは上乗せした計算ですよ、それでもとてもじゃないけれども建てられませんよ。しかも、これを段階金利導入するとどうなるかというと、十一年目から二十万超すわけです。段階金利導入することが一体どうなのか。十一年目からは返還金がふえてきます。  こうなってくると、四期五計もちろんのこと、本年度景気浮揚に、今度建設省がやろうとしている公庫金利改正は逆行するのじゃないか、しかも国民ニーズに最も逆行するのじゃないかと私は心配するのです。苦労なく家を建てたいという国民ニーズ、しかもこれだけ低迷している景気を何とかしようと住宅を建てようというときに、今度やろうとする建設省の法案は水をぶっかけて後退させて、ますます景気を落ち込ませるような形になっている。しかも一番建てたい年収四百万円台の方は手が届かなくなっている、無理しなければならない。私は、国土庁がしっかり土地の値段をきっちり抑えないからどんどん住宅建設というのはデッドロックといいますか、困難な壁にぶち当たってしまうと思うのです。  この辺で私は、今度おやりになろうとする段階金利が果たして国民のためなのか、景気の浮揚になるのかどうか、大臣にお伺いする前に担当局長からまずお伺いしたい。
  168. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 このたびお願いしております段階金利制は、所得の伸び等によりまして、十一年目以降になりますれば利用者の方々の負担が相当程度楽になるというようなことを考えましてお願いをしているものでございますし、また、一方におきまして公庫状況を見ましても、現在の財政状況の中で利子補給金というものが今後非常に大きな額になってくる。そうなりますと、そのときそのときにおきまして適切な内容の改善、拡充といったようなこともままならなくなるということを考えまして、五十七年度におきましては貸付限度額の大幅な引き上げであるとか、中古住宅金利引き下げであるとか、ステップ期間の延長、所得制限の緩和等々の措置をとったわけでございますが、そういったことの方がやはり必要な時期に効率的、的確に国としても援助できる、そういう総合的な判断をいたしましてお願いをいたしております。このことは、私どもといたしましては住宅対策あるいは景気対策の面から見ましても、決してそれほど影響はないものであるというふうに考えております。
  169. 薮仲義彦

    薮仲委員 ところが、私何通りか計算しているのですけれども、具体的に例を申し上げましょうか。購入価格が一千八百十三万五千円、これは公庫に平均的なものを出してもらったのですが、先ほど総裁が二千万程度と言いますからそれに近いところで申し上げましょう。この程度の方ですと、自己資金が大体六百六十三万九千円というのが現実の公庫の申し込みだそうです。これは五十五年当時でございますから公庫融資額も四百八十二万ということでございますが、民間ローンは六百六十七万四千円、これで一千八百十三万五千円の購入をしまして段階金利を導入するとどうなってくるか。十一年目から九万円なんですね。九万四百二十八円。これはわかりやすくするために均等払いになっていますけれども、一千八百万のところで九万円払わなければならない。三千四百万ですと二十万一千百六十九円払わなければならない。局長のおっしゃるように、十一年目から軽減されますということには相ならないと私は思う。  と同時に、この御答弁をいただく前に局長にちょっとお伺いしたいのは、局長はいわゆる十一年目以降の建物の修繕費というものをどういうふうにお考えになっています。
  170. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 修繕費の経年的な推移につきましては、御案内のとおり年数がたちますれば相当の費用が必要になってくるわけでございます。その修繕の内容につきましても、単純なものから建物の相当重要な部位に及ぼすもの等々さまざまでございますが、一般的に言いますればおおむね十年程度部分的な修理が必要であり、また、おおむね二十五年を過ぎますれば全面的な大修理が必要であるというふうに考えております。
  171. 薮仲義彦

    薮仲委員 私、前の農住のときも申し上げたので、具体的に数値を申し上げますと、当初十年間というのは余り修繕費かかってないのですよ。二千円、四千円、五千円というような一万円以下の単位。ところが、公営住宅年度別の修繕費が一体どうなってくるかという表、試算したのがあるわけでございますけれども、十一年目から急激にふえてくるのです。十一年目三万一千円、十四年目で九万五千円、十八年目で十一万円、二十二年目で十三万円、その辺あたりから年々の修繕費は、六万だ、十万だ、十六万だとかかってくるのです。何を申し上げたいかというと、いまマンションや何かが七十年とかということをやっておりますけれども、これは建設省ももう一回見直さなければいかぬと思いますよ。いずれマンションの問題は、私次の機会にやりますけれども、木造住宅や普通の一般住宅公庫融資や何かでお建てになって、一番家が傷むのは十一年目からですよ。このように公庫償還のお金を払って、さらにこういう修繕費が十万近くかかってくる。こうなったときに、十一年から負担がございませんという局長の先ほどの御答弁は、もう少し住宅事情をいろいろな角度から多角的に検討なさって、本当に十一年目から家を建てた方が楽になるのかどうか。  しかも、いま大体三十代でお家をお建てになる。そうすると、十年目というと四十代ですね。局長も御自分のライフサイクルを考えてください。三十代のころは子供が小さかった。四十代になると子供はみんな大学へ行き始めるのですよ。子供の成長期では教育に一番お金のかかるときです。そういうことを考えると、四十代の家庭というものは非常にいろいろな面で支出が多くなる。そこへわざわざどかっと段階金利を持ち込んでくることは、本当に建設省のおやりになったことは、国民生活を楽にしてあげよう、そういうお気持ちでやったのかどうか、私は非常に疑問なんです。むしろこれは国民を苦しめさせるのじゃないか、こう考える。極論過ぎるのかもしれませんけれども局長、これはどうですか。それでもおやりになりますか。
  172. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 先ほど申し上げましたように、私ども公庫融資につきましては、国民方々が本当に必要なときに必要な援助をして差し上げられるというようなことが必要であると思っております。そういうような意味におきまして、五十七年度につきましては、個人の住宅建設につきましては五百五十万を六百二十万円に、七十万の引き上げを限度額として行いましたし、また団地住宅につきましては百二十万円の限度額の引き上げを行っておるわけでございますが、こういったようなことをすることによりまして当初の負担は、仮にこれを限界的な融資の立場で見ますと、民間住宅ローンをお借りになっていたものが公庫に振りかわるということになりますれば、当初の十年間につきましては、たとえば個人住宅建設の六百二十万円をお借りになった場合は毎月千七百円程度の負担減となりますし、また十一年目以降につきましても、民間ローン併用と比較いたしますれば二千八百円程度増加ということで、これは十年もたちますれば一般的には所得も伸びておる。この伸びは人さまざまでございましょうが、私どもの方の段階金利考えますと、強いて言えば年間一%程度上昇がちょうど十年目で出てくるというふうにも考えられますので、負担の問題につきましては、かえって十年間のいろいろな対策の充実強化ということの方がより大きい、そのように考えまして総合的な選択をいたしたものでございます。
  173. 薮仲義彦

    薮仲委員 いわゆる段階金利を導入して、十一年目から公庫の資金量といいますか、少しは軽減するだろうということは具体的に出てくると思うのですけれども、たとえばそれが五十七年度公庫の貸し出し枠を広げるとか、そういうことはあるのですか。
  174. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 段階金利を導入いたしますれば、十年間は全然利子補給金に影響はございませんが、十一年目以降少しずつ補給金の減殺効果が出てまいります。十一年目は、現在のいろいろな推計がございますが、一応のいろいろな仮定を置きまして推計いたしました場合、年間約五十億円程度ということになりますが、それがさらに二十年後というふうになりますと、二千数百億円程度利子補給金の減少ということになってくるわけでございまして、そういう意味において何もしない場合における公庫利子補給金の激増、それが見越されることによります、また公庫のいろいろな内容の充実が阻害されるというようなことはいかがか。かえってそういったような長期の安定ということを考える中で、必要なときに、そのときそのときにおきましてできるだけの改善を行うということで、五十七年度につきましても従来にない大幅な改善を行ったということでございます。
  175. 薮仲義彦

    薮仲委員 十一年先にようやくどうのこうのというお話でしょう。いま必要なんですよ。いま生きている方、いま生活している人が家を建てたいのですよ。いま困っているのです。十一年先どうなるかはお互いにまだわからない。でも家を建てなければならないし、家を一番必要としているのに、おやりになることは、最もいま建てたい人に家を建てる希望を失わせるようなことをわざわざ建設省がおやりになる。なぜこんなことをおやりになるのですかと私は申し上げたい。  きょうは、このほかにこの改正の中にたくさん問題があるものですから、私ほかの問題を聞きたいのでまたじっくりやりますけれども、それはそれとして、最後にこの問題を締めくくって大臣にお伺いしたいのです。  私はなぜこういうことを申し上げるかというと、さっきもちょっと例を挙げました。首都圏で三千四百万になってまいりますと、いわゆる四百万、五百万の年収の人、五百万でも二百五十万以上払わなければならないのです。もう計算してございますけれども、年収の半分はローンの返済なんです。ということは、それを二十五年間続けるわけです。これは大臣考えていただきたいのです。  自分の人生を振り返ったときに、一生働いてきた。一生懸命やった。でも自分のやってきたこと、その総収入は一体何だろう。子供の教育とか、長年一緒に生活してきた家族の幸せとか、どこかへレジャーに行ったとか、いろいろな文化的な面や何かで楽しい生活を豊かに送って十分だったと満足し切った一生というものはだれしも願っていると私は思うのです。しかし、いまの住宅建設の困難さというものは、だれしも自分の家に入りたいという希望が根強くある。家を一軒持つ、その一軒の家のために一生の所得の半分を取られるということは、あなたの一生は何だったの。家を一軒建てるために夫も妻も子供も一生懸命働いてきた。ひどいのは二代にわたってローンを払う。お父さんが土地を買って子供が家を建てるなんという話も出てくる。汗水たらした努力の結晶がほとんど一軒の家のためにということになるということは、政府の方針、なかんずく建設省の施策として国民の本当に豊かな生活、満足し切った家庭というものを守るためにどうなるのかなと、私は何回考えても疑問に思わざるを得ない。やはり快適な住宅に住んで、いろいろと有意義に、充実した人生を送れるように政府は取り行わなければならない。  ところが、いまローンの返済で、ローン地獄という言葉もあるようなことは、政府の方針、なかんずく建設省住宅建設に対し、私は特に伝家の宝刀を抜けと言うんじゃないのです。やはり地価の鎮静化の方向に、国の誘導政策だけではなくして、この辺である程度何らか具体的に措置を講じていかないと、経済発展の阻害要因にもなってきますし、いろいろな意味で地価というものが諸悪の根源になってくると思うのです。  こういうことから、私は、建設大臣国民の一人一人の将来の生活のためにもっと安心して快適な、良質な家に住めるようにしていただきたいと思うのですけれども大臣の所見を伺って、この問題一応締めくくります。
  176. 始関伊平

    始関国務大臣 薮仲委員のただいまのお話は、私どもも十分理解のできるところでございます。もちろん喜んで時期的な段階金利に賛成いたしたわけではございませんで、簡単にそのやむを得なかった事情を申し述べたいと思います。  昨年の夏ごろ、第二臨時行政調査会におきまして、住宅金融公庫の五・五%という基本利子について若干の議論のありましたことは御承知のとおりでございます。しかしながら、これは住宅政策の基本、また、住宅金融公庫が役に立つ根本の条件でございますので、この点は現状維持でやらしてもらった次第でございます。  ところが、あの資金はいわゆる財投でございますから、もとの金利は七分五厘か場合によりますと七分三厘もしくは八分ぐらいと、いろいろ時期によって違いますけれども、逆ざやでございますから、それについて利子の補給金というものを一般会計から出しておるわけでございます。その額は相当に多くなっておりまして、近い将来には六千億くらいになるだろう。なおまた、これは一般会計から補てんをするわけでございますが、それができませんので、利子補てん分をまた財投から借り入れまして糊塗しておるというようなこともあるわけでございます。  そこで、住宅建設に関するいまのような会計状況が続きますと、全体的に非常に不健全な状況になりますし、また、ゼロシーリングという時代はそう長く続くものとも思いませんけれども、五十七年度予算の編成の時期なんかについて申しますと、この影響が実は道路の財源だとか河川の財源だとかいう方にも響きまして、全体としての公共事業の円滑な執行を妨げるということになりますので、私どもとしては、大蔵省が住宅建設についてどの程度条件をのむのか、限度額の引き上げとか戸数増加とかいろいろございますが、政治的に言えばそういうものと見合いまして、これをのんでもやむを得なかろうという一つの政治決断をいたしたわけでございまして、その背景には、いま住宅局長が述べましたように、だんだん物価も上がってまいりますし、給料も上がってくるということで、十一年後のことはそれほど大きな負担にはならぬだろうという判断のあったことも事実でございます。  以上が大体の御説明になります。
  177. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣に重ねてもう二点お伺いしたいのですけれども、いまおっしゃったように、十一年先のことだったら、いま段階金利を導入するということは時期的には一番まずいのではないか。財政再建で、政府にはほかにお金がないわけで、やはり住宅建設を柱にするという最も大事な施策に水をぶっかけるわけですから、どうしても必要ならばもう少し景気を回復して、日本経済が健康な状態になって、財政も健康な状態になってから改めて考えても時期としてはよろしかったのではないか、いまなぜこれをやらなければならないのか、もう少し先の段階でできないのか、この一点。  もう一つは、いま申し上げたように、三百万、四百万の所得階層の方が一番公庫融資に集中しているわけです。お金をたくさん持っている方、土地を持っている方は余りそこに来ない。きょうは余り資料をお持ちにならないから言いませんでしたけれども、一戸建ての分譲もそうですけれども土地を持っていて家を建てるのも、所得階層でいきますと私の言った所得階層、やはり土地を持っている人もその辺の方が一番公庫融資を受けているのです。今度八百万を一千万まで上の方を上げました。私は逆に、最も借りたい三百万、四百万台の方に借りやすくするために、少なくともその辺の方に対しての激変緩和というか、あるいは段階金利はそこは逆に適用しないとか、もう少し中身をよく検討なさって、いまの国民経済国民生活を守るためにどうすればいいかということをきめ細かく、この法案の中身の中で検討していただきたかったと思うのですが、この二点、いかがでしょうか。
  178. 始関伊平

    始関国務大臣 ただいまのお話も、私ども理解ができるわけでございます。さっきも申し上げましたが、好んでああいう条件をのんだわけではございませんで、ただ私どもの認識では、住宅金融公庫貸付条件その他かなり改善したと思うのでございますが、おしかりを受けるかもしれませんが、政治的に言えばそれとの一種の見合いになっておりまして、よくする方はことしやってくれ、その見返りの方は四、五年先だというわけにもまいりませんで、こういう点が一括して新しい政策になった、このように御理解をいただきたいのであります。  なおまた後段の問題でございますが、確かにやらぬで済めばその方がいいし、また消費者の皆さんもお喜びだと思いますが、これが一体住宅金融公庫の貸し付けに現実にどういう影響を及ぼすのかという点は、私どもも非常に心配いたしておる点でございますが、さっきから繰り返して申し上げておりますけれども、一番最近の五十六年の第四回目の募集等に際しましては非常な好調でございまして、金利の二段階制が邪魔になっているという証拠と申しますか、それはないので、いまのところ私どももほっとしておる、こういう感じでございます。心配はいたしております。  それからもう一つは、そういうふうにいたしたのではございますが、その金融公庫の金を借りた人の個人的な状態ですね、非常に困っているとかなんとかいうようなことによりましては、それを延期するとか、延ばすと申しますか、そういう緩和措置も法律の中に書いてございますが、講じておりますので、この辺でひとつ御理解をいただきたい、かように存じております。
  179. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣はそうおっしゃいましたけれども国民がこの法案を理解するのには大分時間がかかりますよ。われわれ国会議員ですからこうやって法案を目の当たりにして、いろいろな角度からいろいろな資料をもとにして、これは大変なことだなと理解しております。多くの国民の方がこの段階制金利が導入されたということに気がつくのは数カ月後だと思うのです。そのときに、果たして始関建設大臣に対して拍手喝采をもって迎えることはないと思うのです。国民の多くの方は、建設省のやったことに対して非常に遺憾の意を表するのじゃないかと私は思うのです。この段階制金利導入ということについては、いまの大臣の御答弁の中で、政治的な見返りなどという大蔵省の考えがあれば、大蔵省はもってのほかだと私は思う。国民のための大蔵省じゃないと思う。国民にとっていま何をすべきか、本気になって政府が考えてくれるところに政治に対する信頼があると思う。こういうことは非常に国民のためにはならないということを私はここで表明をさせていただきますが、ほかにいろいろ問題があります。  きょうはこの九項目目、いわゆる家賃限度額に係る規定の整備、それから最初にお入れになった借地の問題等についてお伺いしたいのですが、私の持ち時間が参ったようでございます。  最後にこのいまの九項目目、家賃限度額に係る規定の整備住宅金融公庫法第三十五条関係でございますけれども、これに関しては、いわゆる公社に入居なさっている方の家賃を上げようということでございます。現行の制度が修繕費あるいは維持管理費等だけは導入できるけれども、いわゆる建てかえのための費用は加算できない。そういうことで、今度法律を改正して、公営の家賃よりも公社の住宅をそれより上乗せしよう、高いところに持っていこうというこの法律の改正、これも私、非常に問題が多いと思うのです。現行の制度の中でもおやりになればある程度上げられる、公営の家賃に近い線までは上げられるのに、いま上げられない。さらに今度都営よりも上回るところまで値上げをしていこうということでございます。これについての問題点は次回に持ち越したいと思いますけれども、なぜこういうことを急激におやりになるのか。まず、段階的に現行の法制の中で家賃を改正し、ある時点でなおかつこれを考えていくということができないのか、その点をお伺いしたいと思うのです。
  180. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 住宅金融公庫融資しております賃貸住宅の家賃につきましては、御案内のとおり、公庫法及びそれに基づく規則によって定められておるわけでございますが、住宅宅地審議会にかねてからお願いしておりました家賃制度の問題につきましては、昨年の八月に、建設大臣に対しまして、家賃制度の改善についてという答申をちょうだいしております。その答申では、まず第一には、公共賃貸住宅の家賃のあり方については、その家賃が、それぞれの施策対象層にとっておおむね適正な支出の限度内にあること、第二には、新旧住宅相互間あるいは公共賃貸住宅相互間で不均衡を生じないようにする必要がある、こういったようなことを考えの基本といたしまして、公社なら公社の賃貸住宅の既存の家賃につきましては、物価その他経済事情の変動等を考慮した制度とする必要があるというふうになっているわけでございます。  現行の公庫法の第三十五条第二項におきましては、家賃の限度額算定に際しまして、住宅建設に必要な費用を参酌することになっておりますが、これに基づく算定方式では、住宅建設後に著しい物価変動がありましても、これに対応して建物の減価償却費を計算することができないということになっておるわけでございまして、民間住宅との関係もありますが、一般の公社なら公社の賃貸住宅の新旧相互間に著しい不均衡が生じましたり、また、設備、環境等の改善あるいは大規模な修繕等の費用が不足するといったような問題も生じております。また、現行の制度の範囲内におきましても、公社によりましてはもう限度いっぱいに近い程度まで設定をしておられるところもあります。そういったようなことも考慮いたしまして、今回、他の公共賃貸住宅とのバランスも考慮いたしまして、建築費について、著しい物価の変動がありました場合に、これを参酌して必要な家賃の限度額を定めることができるようにしたいというものでございます。各事業主体にありましては、その限度額の範囲内にありまして、適切な、実態に即応した家賃の設定が行われるのはもちろんのことでございます。
  181. 薮仲義彦

    薮仲委員 時間が来ましたので最後の質問になりますけれども、いま、局長の御答弁の中で、所得階層に見合った住宅に入れることが大事だという答申の内容を申されました。御承知のように、建設省がおやりになるのはいわゆる公営住宅で、それに対する入居基準というものは、御承知のように、標準世帯で言えば、第一種といいますと年収三百七万五千円、正確に言うと三百七万五千一円以下ですね。第二種が二百四十万一千九百九十九円以下、これが公営の住宅に入れる年収です。公団賃貸の場合は、所得分位で六〇%、五十五年でいけば四百五十六万のところになると思うのです。いま問題になっている公社賃貸、これは基準がないわけです。  そこで、私は二点問題を申し上げたい。  いま局長はそうおっしゃいましたけれども、私は、具体的に資料があったらいただきたい。それは、公営住宅の数が少なかったために、本来公営住宅に入るべき所得階層の方が公営住宅に入れずして公社賃貸に入っているケースがあるのです。私は何人も知っているのです。ということは、いまおっしゃったことに反するわけです。公営住宅をたくさん建てて、その所得階層の方がちゃんと入居できるようにしてあげるならば、これは一つよかったと思うのです。しかし、公営住宅が少ないためにその所得の、この第一種、第二種の方が公社賃貸に入っていらっしゃるということは、高い家賃のところに入るわけです。現行は都営住宅より下回っていますから結構です。ここにグラフがありますからわかっていますけれども。さらにそれを都営住宅より上げようということは、その所得階層の方にとって非常に負担が激増すると思うのです。  それで私のいただきたいのは、いわゆる公営に入るべき方が公社に入っているその具体的な数字を掌握なさっているのか。と同時に、もしもこういうことになったときに、本来公営に入るべき方が公社に入居なさっているケースについては何らかの緩和措置といいますか、そういうものをお考えなのかどうかを伺って、私の質問を終わります。
  182. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 各公社につきまして全部を掌握しているわけではございませんが、東京都の公社の昭和五十五年度におきます新設の賃貸住宅入居者にかかる調査がございまして、世帯人員あるいは世帯収入等から、公営住宅の一種住宅に入居可能であろうという方々を推計いたしますと、その時点では約二〇%の方がいらっしゃったというふうに聞いております。一方におきまして、公営住宅建設はさらに大都市において積極的に進める必要があると思いますし、また、公営住宅そのものにつきましても、建てかえを促進したりしてそのレベルアップも行っていく必要があるわけでございますが、いまお願いしておりますのは、かなり年数がたちましたものにつきましての住宅の家賃の額と、最近におきます住宅の家賃の額が、同じ公共賃貸住宅でありましても著しい格差を生じているというのは、耐用年数のいわば減耗分を差し引きましても、これはやはりなお相当のアンバランスがある。また一面、社会経済の発展あるいは生活水準の向上等に応じまして、環境その他いろいろな設備の改善整備ということも行っていく必要が生じてきておりますし、また、年数がたちましたものは、一般的な維持修繕程度の修繕ではなくて、相当大規模な修繕を行う必要も生じております。そういったようなもろもろの情勢に対応いたしますために、一定の範囲内で限度額を変えることができるようにいたしたい。しかしながら、いまお話がありましたように、具体的な家賃の設定につきましては、関係の公社等の事業主体におきましてやはり激変緩和措置をとるとか、所得その他特別な事情がある方々につきましては適正な配慮を加えていくような指導は当然私どもしていく必要がある、こういうふうに考えております。
  183. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  184. 大塚雄司

    ○大塚委員長代理 これにて薮仲義彦君の質疑は終了いたしました。  次に、渡辺武三君。
  185. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 住宅問題につきましては多くの関連問題がございますが、それはすべて次回に譲ることといたしまして、今回は法案そのものについて若干の御質問をしていきたいと思います。  まず、率直にお伺いをいたしますが、本法案の改正によりまして、国民に与えますメリットとデメリットをひとつ明確にしていただきたいと思います。
  186. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 御提案申し上げております法案につきまして申し上げますれば、住宅の対象規模等の引き上げあるいは既存住宅金利引き下げ、それから住宅宅地債券の制度の創設、住宅積立郵便貯金貸し付けにつきまして、対象範囲の拡大と貸付金利の分離、一定の耐火性能を備えた枠組壁工法等の構造の住宅を簡易耐火構造として扱う、また、宅地造成事業につきまして借地方式のものも適用対象にする、また、土地担保賃貸住宅貸し付けにつきまして、建物、敷地要件の緩和、こういった事柄につきましては、公庫を利用なさる方々につきまして大きなメリットであろうかと思っております。  なお、同法律案の中におきまして、規模の上限の引き上げを申し上げましたが、その一部につきましては、従来百二十平方メートルまでのものが五・五%となっておりましたものを、百十平方メートルから百三十五平方メートルまでのものを取り上げまして、いわゆる中間金利を導入するとともに、貸付限度額一般より多くするという取り扱いをしておりますが、この点につきまして部分的に若干現状より悪くなる面がある方もおります。しかしながら、また一面相当のプラスになる金利貸付限度額という要素もありますので、ここら辺は、私は総合的に見てそれなりのバランスがとれたものではなかろうかと思っております。  なお、先ほど薮仲委員からお話がありましたいわゆる段階金利につきましては、そのこと限りでは、お話しのように十一年目以降につきまして、当初の十年間と違った金利を設定するというような意味におきまして、その部分につきましてはマイナス要因であると考えております。  ただ、この法案でお願いしております以外にも、基本方針でありますとか政令等によりましてなお幾つかの改正を行うことといたしておりますので、これらを総合的に見ていただきますれば、五十七年度住宅金融公庫融資につきましては、私は格段の改善措置がなされているというふうに理解しているところでございます。
  187. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 局長の理解は逆転をしているのじゃないかと思うのです。たとえば資金枠の拡大とか貸付限度額引き上げるということは、実際には別に法律を改正しなくても、いままででも毎年やってきたことですよ。たくさんの、何かあれもあるこれもある、これもメリットあれもメリットと並べられて、ほんの少し金利が上がります、これがデメリットでございますと、こういう説明だったのですけれども、よくしさいに検討していきますと、決してそうではないではないだろうか。たとえば、面積要件を変更する場合のものでも、単に面積要件を変更してそれがメリットになっているかと思うと、そうではない部分があるわけでしょう。変更されたがためにむしろいままでより高い金利を支払わなければならぬという階層も実際には出てきておるわけだ。だから、全体を見ていくと、あなたがおっしゃるようにそう格別な改善であって、デメリットはほんの少々、こういうことではないと思うのですが、あなたの認識は変わりませんか。
  188. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 私、最初に法案に盛られております項目につきまして概略を申し上げたわけでございまして、その中で、いま御指摘がありましたように規模別の点につきましても触れさせていただきましたし、また、段階金利の問題についても触れたつもりでございます。ただ、この規模別制度は、御案内のように、百十平方メートル以下、百十平方メートルから百二十平方メートルまで、百二十平方メートルから百三十五平方メートルまでと幾つかの区分がございまして、それぞれの区分によりまして、一部は金利が上がるものがございますというふうに先ほど申し上げました。ただその際、貸付限度額引き上げるといったような措置もあわせておりますので、そこら辺は総合的に御理解をいただきたいというふうに申し上げましたし、また、百二十平方メートルを超える部分のものにつきましては、金利引き下げになると同時に、貸付限度額が割り増しがつくといったような要素もあることも御理解をいただきたいと思うわけでございます。  それから、公庫のいろいろな事業の内容につきましては、実態的にはそのときそのときの実情に応じまして、最も希望の強い、そしてまた私どもも必要だと思う項目につきまして、改善を予算措置しておりますが、その具体的な内容が、制度といたしますと法律の改正によってお願いするもの、また政令の改正によって措置するもの、あるいはまた基本方針等によりまして、運用上処理するもの等々に分かれておりますので、私が申し上げたかったのは、それらを総合いたしまして五十七年度住宅金融公庫事業内容というものにつきましてひとつごらんをいただければ、相当の改善があったというふうに御理解いただけるのではないかということを実は申し上げたつもりでございます。
  189. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 私も改善を否定をするわけではありませんが、局長がおっしゃるほど改善が盛りだくさんに盛られておって、デメリットがほんのわずかだということにはどうしても理解できないのですね、本法を改正しなくても、通常の状態で改善をされていく事項が同じようにたくさん盛られているわけですから。だから、法律を改正することによって国民に与えるメリット・デメリットということになると、若干局長の言われることと変わってくるのではないだろうか。  一つ、お聞きをいたしますが、住宅金融公庫がいま貸付限度額を設けておりますね。その限度額を今度引き上げられたものもあるわけですけれども、それは実際に住宅を建てる場合の何割ぐらいだと試算されておりますか。
  190. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 そのときそのときにおきます建築費状況によりまして若干の相違がございますが、最近におきましてはおおむね四〇%程度というふうになっているように理解しております。
  191. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 これも法律を読んでいくとわからなくなってくるのですけれども、本来八割ないし八割五分を貸し付ける、こういうふうに書いてあるのですよ。それがなぜそうなっていってしまうのだろうかと見ると、また別に価格が設定をされているわけだ。その設定価格に対して八割か八割五分、実勢価格に対してはもう五割を切ってしまう。つまり半分も貸してくれないんだ、自分のうちを建てるのに。ということは、この住宅金融公庫が貸してくれる金だけではうちは建たないんですよ。だから、他に金を貸してくれるところを求めなければならぬ、民間金融を使わなければならぬ。そうすると、それは勢い公庫金利よりも非常に高い利息を払った資金を導入しているわけですね。それでようやく、公庫は半分も貸してくれませんけれども、その金利差で若干息をついておるのに、今回その安いと思われておった住宅金融公庫の利息までも引き上げてしまおう、これは最初から引き上げるわけじゃないですが、十年たったらそれを引き上げていこうというふうになっているわけですから、これは実は大変な問題だと思うのですね。  先ほども議論がございましたように、確かにいま日本の社会は年功序列型賃金になっておりまして、局長がおっしゃるように、十年もたてばそれは多少の所得上昇はあるでしょう。しかしそれは、一般物価がすべて停止をしておって所得だけ上昇したならば、局長の言われるように余裕が出てくるかもわかりませんが、むしろ賃金というものは社会情勢に後追い的な形で引き上がっていく。物価が八%上がったから、何とかことしは八%ぐらい賃上げをしてもらわなければ、そういう形の中で、しかもそれは満足に賃上げがされてない。御承知のようにこの二、三年来は実質所得ですら低下をしておる、そういう状況の中にある。ところが、御説明によりますと、十年たてば所得が上がって余裕が出てくるんだからそう問題ではないんだ、そういう御説明を先ほど来繰り返しておられますが、果たしてそういう社会の仕組みを十分御理解をなさった上でそう言っておられるのかどうか。
  192. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 おっしゃるとおりでございますが、私どもは、やはり過去の、いわば長い期間におきます実績等を見まして、それをある程度参考にさせていただくということによったわけでございますが、それにいたしましても、過去の一般的な勤労者の所得の伸びというのは、年によって差はありますものの、長期的に見ますと相当の上昇になっておりますし、この段階金利制も、当然財投金利の変動によって十一年目以降の金利が若干動く要素はございますが、しかしながら、現在の七・三%という財投金利でもって考えました場合には、おおむね年一%程度上昇というふうに見ました分ぐらいが、十一年目以降の毎月の返済金額になるということを考えますと、常識的に見まして、一般的にはもう負担が相当軽減されている中で、一時期若干負担の軽減が弱まるというふうに理解していただけるものじゃなかろうか。それと、確かに先生おっしゃいましたように、法律によって改善するものと、それ以外毎年やっているものとある。また、それ以外のものはいわゆる行政措置で自由にできるし、またできたのではないかということかと思いますが、制度としては法律、政令あるいは貸付方針というふうにいろいろ分かれておりますが、実態的には公庫予算全体の事業計画としてとらえるべきであろう。そういう場合に、これから十年先、二十年先を展望した場合に、本当に皆さんに必要なときに必要な援助をして差し上げられる公庫事業計画の内容とするためには、余りにも現在のままの制度ですと利子補給金の増高が著しく、下手をいたしますと毎年度適切な改善措置が実質できないというような面もあるわけでございます。したがいまして、長期的には公庫の財務状況というものを安定させながら、しかし、そういう前提があるからこそ、また毎年毎年に必要な改善もできるだけのことをしていくというようなこと、あわせまして、先ほど私、五十七年度も相当いろいろな、根拠法令は差はありますが、総合的にそのような改善を大幅にさせていただいているということを申し上げたつもりでございます。
  193. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 二段階金利制の問題はまた後で触れるといたしまして、それでは順次法律の内容についてお尋ねをしていきます。  まず、借地方式による宅地造成事業に対する貸し付けは、公的開発あるいは民間開発と両方あると思いますけれども、これは同様に対象にしていかれるのか、またその場合、借地権設定額が時価の何割でも対象とされるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  194. 吉田公二

    ○吉田(公)政府委員 お答え申し上げます。  借地方式によります宅地造成資金の貸し付けにつきましては、地方公共団体あるいは地方住宅供給公社というものが行います公的宅造及び民間宅地造成、両方とも同様に融資するわけでございます。ただ、借地権と申しますか、本来土地の取得費につきましては民間の開発には融資しないのが原則になってございますので、借地権価額というものにつきましては、これは公的宅造だけに貸すわけでございます。これにつきまして支払われる権利金の額というのは地域によりましてもかなり差があるようでございまして、一般的に何割ということは言いがたいところでございます。おおむね大体五割から七、八割ぐらいかというふうな感じでございますが、権利金の割合は地代の問題とも関連がございますので、大都市近郊等におきます農家の中には、権利金は低く抑えて地代を相対的に高くしたいというようなものもあるようでございますので、今後個別のケースで判断していこうというふうに思っております。
  195. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 五十七年度におきまして貸し付けようといたしております借地方式による宅地開発事業及び一般土地区画整理事業の面積は、それぞれどの程度を見込んでおられますか。
  196. 吉田公二

    ○吉田(公)政府委員 借地方式そのものにつきましては、これはいろいろな、たとえば大都市地域の地主さんが、比較的土地を手放さないで将来の生活設計にしたいというような希望を持っているという面があるとか、あるいは土地を利用する方が、一時に初期に要る金額というものがなるべく減っていく方が望ましい、そういうようなメリットのある面においては非常に長所を持っているわけでございますが、半面には権利関係が非常に複雑になるとか、たとえばデベロッパーが、第三者の土地を借りまして造成して、建物を建てて第三者に権利を譲渡するというような形になった後の権利関係、あるいは地主が底地を手放して一時のお金が欲しいというときの処理、いろいろのむずかしい問題がございます。メリットがある半面こういったむずかしい点もございます。それから、こういう仕組みというものが一般に浸透していきます間にかなり時間もかかるかと思います。ただ、すでに現在でも有力なデベロッパーの中には、自分の持っている土地を一時借地の形で貸して、建物を取得した方が将来買い取りたくなったときには買い取ってもらうというような方式を併用しているもの、これはちょっと変形的な借地方式だと思いますが、そういうものも出てきております。それから区画整理につきましても、現在特定土地区画整理というものは対象にしてございますが、一般の区画整理、特に組合、あるいはこれから公社の区画整理というものが、これは別途土地区画整理法の改正案におきまして、地方住宅供給公社に対して区画整理の施行権限を付与するという問題もございますので、そうしたものが新たに入ってくるわけでございますので、対象となるものはかなりあり得ると思うわけでございますが、いま先生御指摘のようにそれぞれが何ヘクタールかというふうなところまでは、私どもまだ積み上げた中身は持っておりません。
  197. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 ちょっと私の質問をしっかり聞いておられなかったのじゃないかと思うのですが、要するに貸し付けようとしておる土地ですから、これは公庫資金の配分その他で、大体どの程度の面積をやろうかという、配分すらできないということですか、そうすると。貸し付ける面積はわからぬと。
  198. 吉田公二

    ○吉田(公)政府委員 公庫融資の場合に、一般公共事業の個所づけのように年度当初にすべてぴたっと張りつけてというわけでは必ずしもございません。本件のように新しいケースにつきましては、まだこの法律自体が御審議をいただいている最中でございますし、また、そうしたものについての十分な浸透もしておりませんので、今後この法律を成立させていただきまして、大いにPRしてまいろうと思っておりますけれども、具体の個所をヒアリングしてどうこうという段階まで、現在のところ正直言って至っておりません。
  199. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 本来、資金枠からいきますと、これからPRしてどうこうということよりも、資金量には限度があるわけでしょう、その中でこういうこれからやっていこうとされる、いわば一応の配分資金枠というのはあるわけだ。細かいことはわからなくてもね。そういう中で大体どの程度を見込んでおるかということぐらいは当然やられた上でやられておると僕は思うのですが、それは全然何もなしでやっているのですか。
  200. 吉田公二

    ○吉田(公)政府委員 金融公庫融資対象面積の総枠につきましては、取得関係で八百ヘクタール、造成関係で千六百ヘクタールということでございまして、これの内訳につきまして具体にどこの個所ということを正確に積み上げているわけではないわけでございます。もちろん継続事業とか、希望がすでに来ているものもございますが、現在の段階で借地方式のものがどれだけかという御指摘に対しましては、現在そこまで明確な数字は持っておりません。
  201. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 簡易耐火住宅の範囲に今度新たに加えられる、「一定の耐火性能を有する構造の住宅」という言葉を使っておりますが、具体的に言いますとどういうものでしょうか。
  202. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 従来の簡易耐火構造の住宅と申しますのは、定義は、主要構造部の部位別といいますか、部分ごとにその材料を規定しております建築基準法の規定を準用してきているわけでございますが、今回の改正でお願いしておりますのは、従来のそのような簡易耐火構造の住宅に加えまして、内部火災に対する耐火性能、外部火災に対する防火性能等の性能基準を定めまして、これに適合するようなものにつきましては簡易耐火住宅の扱いとするということを考えておるわけでございます。  具体的には、外壁につきましては厚さ二センチメートル以上のモルタル塗りとする等の防火構造とする。また、内装につきましては石こうボード仕上げとする等の、内部火災に強い性能を持つ基準を考えておりまして、これらの基準に合致するものを対象としたいと考えております。たとえばいわゆる枠組壁工法、ツーバイフォー工法と言っておりますが、そういったものでいま申し上げましたような外壁、内装等の処理がなされているもの、あるいはまたプレハブ住宅につきましても、また一般住宅につきましても、このような性能基準に合致したものであれば対象となる、またその対象となりました場合には、償還期間とか融資額等につきまして従来の一般の木造住宅より有利になるというふうな取り扱いを予定しております。
  203. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 土地担保の賃貸住宅の階数要件を緩和するということでございますが、具体的には何階以上にされようとしておるのか。また、この改正によりまして新たに貸付対象に加えられたものは、五十七年度で貸し付けを予定している一万六千五百戸の賃貸住宅のうちどの程度になるのでしょう。
  204. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 この土地担保賃貸住宅につきましては、私ども五十七年度におきまして、三大都市圏の低質な木造賃貸住宅が集中しておりますような地区につきまして、新しい事業制度を導入することといたしております。それによりまして木造賃貸住宅の建てかえを促進する、また、その促進するために地方公共団体が除却費、あるいは共同で行う場合には設計費、共同施設整備費等助成をすることとしておりまして、それに国が一定の割り合いで補助するということを考えておりますが、こういった事業を推進する場合に、現在の階数要件を三階以上となっておりますものを、たとえば第一種住居専用地域におきましては二階建てのものでも対象とする、あるいはまた、敷地、建物の規模要件が現在一般では一千平方メートル以上となっておりますが、これを五百平方メートル以上というふうに緩和する、また建物の構造につきましても、簡易耐火構造のものを対象にするということで、いま申し上げました木造賃貸住宅地区総合整備事業地域におきまして、この地域内に計画に適合して建設されるものを適用対象といたしたいというふうに考えております。  その戸数につきましては、この木造賃貸住宅地区総合整備事業というのが五十七年度からスタートするわけでございまして、関係の公共団体や地区を定めて整備計画をつくる等の作業がありますので、現時点でどの程度になるかということはしかとわかりませんが、いま先生からお話がありました一万数千戸の予定しております中で、初年度はそれほどの量は出ないと思いますが、この制度が定着すれば相当の量になるというふうに考えておりますし、その場合、そのトータルの戸数もその実需に見合ってふやしていく必要があろうかと考えております。
  205. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 個人住宅に対する貸付金利住宅の面積によって三段階に分けようとしておられますけれども、その目的は一体何なのか、または、これは建設する場合も購入する場合もともに対象になるのかどうか。
  206. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 現在住宅金融公庫融資が、基本的な形といたしましては百二十平方メートルを一つの線にいたしまして、それ以下のものにつきましては五・五%、それ以上のものにつきましては財投金利、現在は七・三%でございますが、そういったいわば二つの段階に分かれていると言えようかと思います。最近におきますところの住宅着工動向等を見ますと、持ち家につきましてはその規模が的確に向上しておる、そういうような意味から、規模の大きい住宅に対する需要に適切に対応したい。それでまた、当然のことでございますが、規模が大きいものにつきましては相対的に建築費も多く必要になるということでありますので、その中で、なおかつまた総合的な公庫の財政構造というものを考えまして、今回、百十平方メートルから百三十五平方メートルまでのものにつきまして、いままでの五・五%と財投金利との間に、六・五%以内で政令で定める金利というようなことにいたしまして、新しく規模の大きいものを求める希望に対応して、良質ストックの形成を図りたいというふうに考えたものでございます。そしてまた、それにつきましては、個人建設の場合と購入の場合とは両方とも同一に扱うというふうに考えているところでございます。
  207. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 この改正によりまして、面積が百十平米から百二十平米までの住宅に対する貸付金利が五・五%から六・五%に上昇するわけです。住宅金融公庫の五十六年度の貸付調査によりますと、個人建設のうち百一平米から百二十平米までが全体の約三六%に当たっております。百十平米から百二十平米のものは一五%ないし二〇%程度と推定をされております。このランクの住宅はいわば個人建設の中心をなしておるものでございまして、その個人建設の中心をなしておる層の金利引き上げるということは、非常に大きな影響を与えることになると思いますが、本来百二十平米までが相当数だとするならば、百二十平米以下の住宅に対する金利は現行どおり五・五%とするという措置はとれないものかどうか、お答えを願います。
  208. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 御指摘のとおり、百十平方メートルから百二十平方メートルまでの住宅につきましては、計算の仕方がいろいろありますが、この中間金利のものにつきましては、一般の五・五%でお貸ししておりますものよりは、私どもの今後の方針といたしましては十平方メートル分だけ貸付額をふやしていくというふうに考えているところでございまして、五十七年度につきましては、一般が六百二十万円のところを六百八十万円お貸しするというふうに考えているわけですが、そういう際、現行のその部分対比します貸付額を民間ローン等によって借りた場合と比較いたしますと、確かに毎月の償還額が通常の場合に比べまして九百九十円程度ふえるようになっておりますが、百二十平方メートルから百三十五平方メートルまでのものにつきましては、通常償還の場合におきまして五千円以上の負担減となるというふうに考えられるわけでございます。そしてまた、いままで百二十平方メートルという壁が非常に厚かったというようなことで、今後の動向を見ますと、これらの規模を大きくする希望というものを考えますと、その有利な方へかなり働いていく要素もあるかと思いまして、御指摘のとおり百二十平方メートル以上というふうにいたしますれば、百十と百二十の間はマイナスというものが全然ないということになりますが、そこら辺のところ、中間金利を導入いたします場合の総合比較考量、バランスをとるということでこのような制度を実はお願いしておるものでございます。
  209. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 金利のその辺のバランスをとらなきゃならぬということで引き上げるというのはちょっと理解できないのですが、つまりこの階層が一番住宅の困窮度合いが強いし、また平均的な人であろう、平均的な所得階層であろうと思われるならば、逆にあえてそういう施策をとるべきではないだろうか。最も必要とする人たちの最も多い層に対しては従来どおりの金利を据え置いて、より大きな家を建てる人、これは資力もあるのでしょうから多少の金利上昇はやむを得ないとしても、最も必要とする層までもそれに含めてしまうというのはどうかと思うのですが、いかがでしょうか。
  210. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 これは今後の動向によりましてもいろいろ規模というものは動いていくことであろうかと思いますので、御提案申し上げております法案でも、そこの規模の定め方につきましては政令で定めるようになっておりますが、現在の住宅金融公庫の貸し付けの平均規模で見ますと、この数年間大体百五平米から百八平米までの間を前後しておるというようなところでございますので、かなり規模の上昇は行われてきましたが、一応この程度が一つの平均であるとすれば、百十平方メートルというところはその平均より若干上回ったところに一つの線があるかなというふうに考えているところでございます。ただ、これも時代の変化、希望の多さあるいは将来いろいろな状況の変化に対応して動き得るようにはしたいと思いますが、現時点におきますこの制度の内容といたしましては、百十平方メートルから百三十五平方メートルということでバランスのとれたものとなるのではなかろうかというふうに考えているところでございます。
  211. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 先ほどもちょっと触れましたけれども、いわゆる段階金利、段階金利制を導入する目的は一体何でしょう。
  212. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 公庫融資が財投金利で借り入れてまいりまして、五・五%を中心とする貸付金利でお貸ししておるということから、一般会計からの利子補給金というものが年々増大しておることは御案内のとおりでございますが、そういったことの中で、この数年来需要に対応いたしまして戸数の充実も図ってまいりましたところ、また一面財投金利が高水準で推移したというようなこと等もありまして、この補給金が将来、十年先には約六千億円、二十年先には七千億円を超える、これも一つの試算でございまして、六十年度以降何らの規模、単価等の改定をしないで考えた場合でもそのようなことになるということで、これがまたやはり公庫融資あるいは財政面におきます非常な大きな問題となっておることが一つでございます。  また、一方、国民方々公庫資金により持ち家を取得する場合、十一年目以降になりますれば、ある程度所得の伸び等によりまして相当負担が緩和されていることも、またいままでの実情から見ますと事実でございます。  そういう中で、これらの状況を総合的に勘案いたしまして、十一年目以降においてはある程度金利引き上げさしていただくことによりまして、その融資の効率化が図られる。また、それと対応いたしまして、各年度に対応いたします公庫融資内容の格段の改善ということもあわせて行い得るということを総合的に勘案しまして、この制度の導入をお願いしているところでございます。
  213. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 住宅金融公庫は発足の当初から財投金利で借り入れて、そして五・五%以下の金利で貸し出すという、いわゆる逆ざやで事業が行われてきたわけですね。したがって、補給金が年々増加するなんということはもう最初からわかり切ったことなんです。それをこの時期においてそういう問題を取り上げてきたのは、何か理由があるのでしょうか。
  214. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 御案内のとおり、住宅金融公庫が発足いたしましたときから貸付金利は五・五%でございまして、その当時の標準的な財投金利は六・五%でございましたので、一%の利子差相当分があるわけでございまして、発足当初はこれを出資金によって薄めまして、複合的な金利が五・五%になるようにして実行していたところでございますが、たしか四十年度以降であったかと思いますが、利子補給金の方に制度が運用上変わってまいりまして、現在に至っているわけでございますが、発足当初は戸数も非常に少なかったということがございます。その後、国民持ち家取得に対するニーズが高まる、またいろいろなインフレ等の影響によりまして、貸付限度額というものも実勢に即応して引き上げていかなければいかなくなる等の情勢の中で、充実を図れば図るほど、当然のことですが、将来の補給金の必要量というのはふえてくることもまた事実でございます。そこへ五十年度以降いろいろな経済情勢の変動もありましたが、しばらくの間は非常な高金利によりまして、財投資金の金利も八・五%となるような時期もあったわけでございます。  そういったような公庫の内容を充実し、また枠を拡大していく、また高金利の時期があった等がありまして、これは相当の補給金の増高というものが予見されるわけでございます。もちろん昔からわかっていたことであるとはいえ、その量が余りにも大きくなりますれば、財政の圧迫の要因にもなりますし、また、公庫自体としてもそのことが今後必要なときに必要な改善措置をとって、適時適切に対応できにくくなるといったような問題もあることもまた事実でございますので、そういった点を考えまして、このような総合的な運用制度を考えたらいかがであろうかということでお願いをしておるわけでございます。
  215. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 五十七年度の公的住宅の総戸数が六十六万八千六百八十ですか、そのうちで公庫住宅が五十四万戸、全体の八〇・八%を占めております。その住宅金融公庫住宅金利を十一年目から財投金利にするということは、つまり十一年目からは一般会計からの補給施策はゼロになる、こういうことだと思いますが、そうなりますと、国が行っております住宅政策に対する補助政策というものは大部分がゼロになってしまうということにならないかどうか。
  216. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 十一年目以降におきまして当初十年間と異なる金利ということになりますれば、その点につきましては問題がないわけではございませんが、先ほど来申し上げておりますように、十年程度たちますれば相当の負担が減少するということは、いままでの経験に即してみますと実際そのようになっておりますし、また、そういうことを考えますと、このことが直ちに公庫の意義というものをなくしてしまうということではないのではないか、その十年間というのは、一般的にいいますとやはり皆さんが非常に苦労しておられるときですので、そのときに即応した限度額の引き上げであるとか、今回も実施したいと思っておりますステップ償還の年限の延長であるとか、できる範囲での財政援助を的確に行うということが加わりますれば、十分公庫融資の意義というものも薄れていないのじゃなかろうかというふうに考えるものでございますので、いまお話がありました公的資金住宅の中で非常に重要な位置を占めている公庫につきまして、決してそのことでその存在意義がなくなるということではなかろう。あわせて相当の改善が行われますし、今後も必要なときに必要な援助が的確に実行されれば、十分にそれはそれとして意義のあることではなかろうかと思っております。
  217. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 公的住宅の総戸数の八〇%を公庫住宅が占めているわけですから、その補給金利をゼロにすれば、その大部分がゼロになってしまうということなんですよ。たしかあとの二〇%程度ですか、そのものに対してはいろいろな施策をやっているのだ、こうおっしゃりたいだろうと思いますけれども、総体的に見た場合には非常に大きな国の住宅政策としての後退と言うべきではないだろうか。  そこで、五十七年度住宅予算が七千六百九十一億円だと思いますが、これは一般会計全体の一・五%ですね。ほかに類似のあれはないかと思って調べていきますと、国鉄に対する助成金とほぼ匹敵をしているわけですよ。この七千六百九十一億円というのは大体大差ない金額である。そうしますと、補給金の増大を問題にしておるけれども、そもそもが住宅予算そのものが大体過小ではないか、こう思いますが、いかがですか。
  218. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 私どもといたしましては、この住宅関係予算がたとえば昭和四十五年度におきましては九百五十億円余であったのでございますが、その後諸対策の充実によりまして現在に至っていることを考えますと、また一面、国鉄と比較するのはいかがかと思いますが、建設省関係予算総額に占めます比率というものも、四十五年度の九・四%でありましたものが、五十七年度は一六・六%に比率が上がっておるということ等々を勘案いたしますと、私ども事情の許す限りなお充実強化いたしたい分野はたくさんございますが、現在の置かれた状況の中ではこの程度でやむを得ないのではないか。しかしながら、もちろんこれで満足しているわけではございませんので、今後ともその中身を本当に的確な行政対応をして、充実していくということを考えていきたいと思っております。
  219. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 若干角度を変えましょう。  実は昨年の行革国会に、行革特別委員会というのがございまして、たしか昨年の十月二十八日だったかと思いますが、中道四党から行革特例法に対しまして共同要求を行いました。その共同要求に対する総理の回答は、政府は誠意を持って誠実に実行していくのだ、こういう回答をいただいておるわけでございますけれども、実はその共同要求の中には住宅金融公庫の五・五%の金利は据え置くのだ、こういうことがあったわけです。それからわずか半年もたたないうちに、総理のそういう言明にもかかわらず、この五・五%を取り崩そうという政策が出てきたわけですが、これは一体どういうことなんでしょうか。
  220. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 昨年のいわゆる行革関連特例法を臨時国会で御審議いただきました際に、公庫金利の弾力化条項につきまして、いわゆる中道四党でございましたか、統一要望がございまして、総理がお話しになった内容を私はつぶさに承知しませんが、当時国会におきまして関係大臣からその折衝の経過を踏まえましてお答え申し上げましたのは、特例の適用期間中においても、公庫融資の社会的、経済的必要性と財政負担との調和に十分配慮しつつ、慎重に対処することとしたいというふうにお答え申し上げたかと思うわけでございます。  この臨時国会におきます特例法案につきましては、いわば財政再建期間中におきまして、いかなることがあるかもしれないから、そういう意味で、貸付金利の見直しが機動的かつ円滑に実施できるような体制の整備を図るというような趣旨でお願いしていたものであろうかと思いますが、いまのようないろいろな経緯を踏まえまして、五十七年度予算におきましては、公庫の個人住宅等の、いわば公庫の主要な分野を占めております貸付種目につきましては、この行革関連特例法による政令の金利引き上げを行わないということにしているわけでございます。  なお、この国会に提案申し上げております住宅金融公庫法改正におきましては、先ほど来申し上げておりますように、相当期間を経過いたしました場合における返済負担の軽減の状況、そういうものを踏まえながら、また、財政援助の的確化、効率化というものも考え、さらに公庫融資というものを円滑に行い、その内容も充実できる、そういったような諸般の情勢を総合的に踏まえてお願いをしているものでございまして、この臨時国会でお願いしました行革の関連の法案とは直接にはそごを来さないもの、また、事情がそれとは異なるものであるというふうに考えているところでございます。
  221. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 局長は先ほど来、十年経過をすればその間の所得上昇があって、多少負担が増加になってもそう負担には感じられないだろう、こうおっしゃっておりますけれども、それならば今後十年間に、この安定成長時代に入って一体どのくらい所得上昇すると思われていますか。
  222. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 これは私どももどうも的確に、一般的な勤労者の平均所得が十年間にどれだけ伸びるかということを、いま直ちに予測することはなかなか困難でございますが、先ほど来申し上げておりますように、過去の経緯を見ますと、十年たちますればおおむね数十%程度上昇になっておることも事実でございます。公庫の段階金利が現在七・三%の財投金利を前提として考えました場合に、十一年目におきます金利引き上げによる償還金の増加部分というのは大体一二%程度になろうかと思いますが、年平均にいたしますと一%程度増加であるということを考えますと、十分にその負担軽減の中に収斂できるものというふうに考えたところでございます。
  223. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 角度を変えて質問するとどうもあやふやになってしまうのですね。いわば十年間たてば所得上昇をして十分負担にたえられるんだ、そう負担に感ぜられないはずだ、こう盛んに説得をしておられたわけですが、それでは一体十年間にどのくらい所得が上がるんだ、こう言うと、余りはっきりわからぬ、過去の実績によれば、こういう御答弁でございまして、過去の実績というのはあてにならないのですよ。高度成長時代の状態を考えればあるいはそうかもしれないけれども、いまはそんな時代じゃない。むしろこの二、三年来は実質所得マイナスだ、こういうふうに発表されているのですね。そういう中で、果たして十年間たったといっても一体本当に局長が言われるように何ら負担を感ぜないような額になるだろうか。立案される当時では、十年間もたてば所得上昇して十分負担にたえられるんだ、この程度のものは何ら苦痛を感ぜられないような状態なんだ、こういうお考えのもとに立案されてきたんだと思いますけれども、実際はそうではないじゃないか、いろいろ分析をしていくとどうもそうではないぞ。この二、三年来実質所得マイナスなんだ。この状態が続いていくとすれば、実質所得マイナスの中でさらに家賃だけ上がっていくという状態ですよ。だからそう簡単に局長が言われることをおうそうかといって理解はできぬ。だから、その辺は一体どうなんだろうか。従来の実績によれば五〇%程度十年で上がったこともそれはあるでしょう。しかしいまの現状の中から考えるととてもそんなふうには考えられないわけですね。だから何とか施策を考えてこの補給金の額を少しでも少なくしようとするならば、まだまだ別なことが考えられるのじゃないか。  たとえば、今度は所得の上限額を変えられておりますね。八百万円から一千万円に上限額を変えられておりますけれども、むしろ逆に八百万円を六百万円に下げて、そうしてそれに該当する人たちの金利引き上げていこう、こういうことも考えられるわけでしょう。先ほども議論になっておりましたように、大体所得階層で一番中心になっているのは四百万円前後だ、こうしておりますと、八百万から一千万に上限を上げてみたいところで一般の人は余り関係ありはしないですよ。だからむしろ逆に八百万を六百万くらいに下げて、そういうお金のある人は多少負担をしてもらおう、こういうことならばまだ負担の公平化が図られていくと思うのですけれども、一諸に一千万円まで上限を上げてしまってやろうとされることに、じゃあ実際に住宅を欲する、生活が苦しいながらも自分の家を建てていこうとしておられる方々所得は一体どの程度だろうかと見ていけば、せいぜい四百万程度、その辺に隔たりがあるのですね。その辺はいかがでしょうか。
  224. 西藤冲

    ○西藤説明員 先ほど先生お尋ねの、十年後に所得がどうなるかという点につきましては、政府といたしましては十年後の数字というのはいま持っていないわけでございますけれども経済計画のフォローアップの最新の報告で、昭和六十年度までの国民所得につきましては、年平均九%程度上昇というふうに見ておりまして、経済がオイルショックの後遺症を抜け出しまして安定成長軌道に定着する段階では、その程度所得増加が期待できるのではないかというふうに見ておるような次第でございます。  なお、さらに六十年以降の点につきましては、現在、経済審議会の長期展望委員会というところで検討しておりますけれども、それほど下がっていくというような見方にはなっておりません。しかし、いずれにいたしましても十年間というのは大変不確定でございますので、確定的なことは申し上げられませんが、おおむね六十年までは九%程度というような見方をしておる次第でございます。
  225. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 所得の捕捉というのはむずかしいことはわかり切っておりますが、一方金利が確実に十年たてば上がっていくのですよ。二%前後上がっていくわけですね。だからその辺が負担にならないかどうか、もう少し慎重に考えてみる必要があるのではないかと思います。  時間が参りましたので先を急ぎますが、本法案の中に住宅供給公社が建てております公社住宅、これの家賃改定の規定を公庫法によって整備しようとしておられますけれども、一体どういうことなんだろうかよくわかりませんけれども、本来公社住宅の家賃改定の整備をしていこうとするならば、公社住宅法そのものでやるべきではないか。なぜこの金融公庫法の中でそれをやらなければならぬのか、この辺はいかがですか。
  226. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 現在の住宅供給公社の住宅の家賃の限度額につきましては、これは公庫融資を受けているということでありますために、公庫法の第三十五条第二項に基づく規制を受けておるわけでございます。もちろん地方住宅供給公社法におきましてもそれにつきまして必要な規定がありますが、その中におきまして、「他の法令により特に定められた基準がある場合においてその基準に従うほか、建設省令で定める基準に従って行なわなければならない。」というふうに規定されております。ここで他の法令と言いますのは、いま申し上げました公庫法も当然その中に入るものというふうに考えておるわけでございまして、その意味におきましては、公社につきましては公庫法と公社法の二つの法律の規定の適用があるというふうに考えているわけでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたが、公社住宅につきましても建築後相当の年数がたちまして、建築物価に大きな変動がありました場合には、それに伴いますところの新旧の住宅の家賃の不均衡ということも大きくなってまいっておりますし、また一面、環境の整備であるとか設備の改善であるとか大規模な修繕であるとか、そういったような費用にも十分対応できないというようなこと等勘案いたしまして、必要な範囲内におきまして家賃の限度額が変えられるような規定をお願いしているところでございます。
  227. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 公社住宅というものは公社法と住宅金融公庫法の二面を適用しておる、だからどちらでやってもいいんだ、こういうお答えだと思いますけれども、本来住宅金融公庫法案というものの本命はこの段階金利制でしょう、実際は。そういう中で、何かつけたりのようにがたがたとやられていくということはどうも納得いかぬのですな。公社法の中で家賃値上げに対する整備をもっとしっかりやっていくならばここでまた十分論議もできますけれども、ほかの大きな問題がたくさんある中でつけたり的にそれをすっと出してきてしまう、こういうことが果たしていいだろうか。実際、表題から見ればこの中に供給公社の家賃の値上げの整備条項が入っているなんということは考えられないのですよ、実際はよほどよく調べていかないと。よくよく調べてみると、どうも入っている。僕は住宅供給公社の方々から陳情をいただいて、そんなものがあったのかいなと、おれは二段階金利制は余り芳しくないと思っているがと、こういったぐあいでして、われわれでもその程度ですから、ましてや一般国民は一体いつ変えられたかわけがわからぬ、こういう状態になるのですから、本当は公社法の中でもっとしっかりした規定を設けられていくということが必要ではないだろうか、こう考えるわけです。  時間が参りましたので終わりますが、最後に、それでは今回のこの公庫法の改正は、五十七年度住宅建設にどのような影響を与えるとお考えでしょうか。これ一問だけ聞いて終わります。
  228. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 公庫法の改正そのもので五十七年度住宅建設の動向がどうなるかというふうには、それほど大きくは変わらないと思っておりますが、その中でも既存住宅金利引き下げなどは、間接的でありますが住宅建設にも影響が出てくるかと思っております。先ほど来申し上げておりますように、公庫実態的な内容のトータルの体制というもので判断いたしますと、相当のプラス効果があるものと考えております。
  229. 渡辺武三

    渡辺(武)委員 終わります。
  230. 大塚雄司

    ○大塚委員長代理 これにて渡辺武三君の質疑は終了いたしました。  次に、中島武敏君。
  231. 中島武敏

    ○中島(武)委員 住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案について、質問をいたします。  中でも特に公庫融資に係る賃貸住宅の家賃限度額算定問題、住宅金融公庫法の三十五条関係、これを中心にやりたいと思うのです。時間があれば段階金利制導入問題、この問題にも及ぼうかと思っております。  それで、金融公庫法の三十五条関係ですけれども、三十五条二項の趣旨、これは、たとえば地方供給公社、もちろんこれは地方供給公社だけではなくて、金融公庫から融資を受けて賃貸している住宅すべてにかかるわけでありますけれども、たとえば地方供給公社が国の保護のもとに不当な利得を得てはならない、そういう趣旨がこの三十五条二項の趣旨だと思うのですけれども、どうですか。別の言葉で言いますと、これは、家賃の決め方はいわゆる原価主義でなければならない、そういう趣旨だと思うのですけれどもいかがですか。
  232. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 公庫法の第三十五条に規定いたしております家賃の規定につきましては、公庫が国から利子補給を受けて長期低利の融資をして、政策的な住宅建設を進めていくという立場から、賃貸住宅につきましては一定のルールを決めまして、そのルールに基づいた金額以上を家賃としてとってはならないというようなことを規定しているものでございます。これは原価主義ということだけではなくて、やはり適正な範囲での家賃を決めるべきであるということから、その限度額が定められているものと思います。
  233. 中島武敏

    ○中島(武)委員 三十五条の二項に書かれておりますのは、「住宅建設に必要な費用(住宅建設に附随して土地又は借地権の取得を必要とする場合においては、それらに要する費用を含む。)、利息、公課、管理費、修繕費、火災保険料その他必要な費用を参酌して主務大臣が定める額をこえて、当該貸付金に係る住宅の家賃の額を契約し、又は受領することができない。」こう書いてあります。つまりこの考え方というのは、土地あるいは借地権の取得を含めて住宅建設に必要な費用、建築費ですね、それから利息、それから公課、管理費、修繕費、火災保険料その他必要な費用、その他必要な費用というのは空き家損失補てんの引当金などだろうと思うのですけれども、そういうものを参酌して主務大臣が決めるということは、これは適正に家賃を決めるというふうに局長は言われましたけれども、これはいわゆる原価主義ではないのですか。ということなんですけれども、適正にというふうに言われましたけれども、「その他必要な費用」というのは、何か特別なことが含まれているわけではないのでしょう。
  234. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 御指摘公庫法の三十五条二項によります賃貸住宅の家賃の計算方式は、この法律及び省令によって定められておりますが、住宅建設費につきましては、ただいま先生からお話がありましたように当初の建設費を基本といたしまして、それに対する必要な減価償却の費用を計算するというふうになっていることは事実でございます。ただ、私が適正なと申し上げましたのは、たとえば地代相当額の問題が一般民間土地担保賃貸の場合にはございますし、また、公庫から資金を借り入れておりません場合におきます自己資金に係りますものは、これも公社と民間とにおきましては若干の差がございますが、民間の場合で申し上げますと、自己資金に対する償却の利率というものは九%になっている等々、若干差がございますので、そういうことを総合いたしまして、私はやはり国の機関が有しております賃貸住宅につきましては、総合的な立場から適正な家賃の範囲内であるべきだ。それはまた、他の公的な機関の賃貸住宅との総合的なバランスも考えていくような規定としてある、こういうふうなつもりで申し上げたわけでございます。
  235. 中島武敏

    ○中島(武)委員 これはもちろんいま言われましたように公社だけでなくて、民間の賃貸住宅を含みますからそういうふうに言っていらっしゃると思うのです。では、ここからお金を借りる公社の方ではどうなっているかということになれば、地方供給公社法の施行規則十六条で決められているわけですね。賃貸住宅建設費、建設費の利息あるいは相当額ですが、それから修繕費、管理事務費、地代あるいは相当額、損害保険料、空き家等引当金、公租公課ですね。私が読んでおりますのは十六条そのものなんですけれども、だからここにある考え方というのは、では確認したいのですけれども、これはいわゆる原価主義の考えではないかと思うのですけれども、どうですか。
  236. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 地方住宅供給公社法の施行規則の第十六条によります賃貸住宅の家賃の現在の規定につきましての考え方は、基本としてはいま先生から御指摘があったような考え方であろうかと思っております。
  237. 中島武敏

    ○中島(武)委員 今度新たに三十五条の三項を設けられたわけですね。この三十五条の三項で家賃限度額の変更ができるとしている。どんな場合に限度額の変更をすることができるか。このことを規定して、「建築物価その他経済事情の著しい変動があった場合として主務省令で定める基準に該当する場合」というふうに書いてあるわけです。  さてここで、「建築物価その他経済事情の著しい変動があつた場合」、これは一体どういう場合ですか。
  238. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 住宅建築費が主として考えられますが、それが建築されました当初に比較いたしまして相当大幅な上昇があった場合、あるいはまた、経済といいますのは建築に関連いたしますいろいろなその他の物価、そういったこともある程度考慮いたしまして、相当大幅な上昇があった場合を想定いたしまして書いておる規定でございます。そういう場合というのは、ごくわずかであるということでは適用されないと思いますので、たとえば上昇率にいたしまして五〇%程度以上の物価等の上昇があったような場合などを想定して考えるところでございます。
  239. 中島武敏

    ○中島(武)委員 このことについては、いま局長が説明されたような場合には限度額を変更することができるということを、公社法の施行規則なりに明記されますか。
  240. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 この三十五条三項で新しく規定を設けておりますのは、著しい建築費の変動等で、主務省令で定める場合ということを考えておるわけですが、それはまた三十五条の第二項を受けている事柄でございまして、簡単に申し上げますと、住宅建設に必要な費用の償却をする場合に、その建築費をとらまえて、こういう場合にこういうようなものを建築費として償却することができるというふうに考えて、この三十五条の規定を具体的には省令等に規定をいたしたいというふうに考えております。  なお、この住宅供給公社について申し上げますれば、住宅供給公社が住宅金融公庫から資金を借りて賃貸住宅建設しているというのが通例でございますから、その場合におきましては、この住宅金融公庫法の規定の適用をまず受けると同時に、地方住宅供給公社法の規定の適用も受けるということになろうかと思いますので、まずは住宅金融公庫法の規定に従ったルールで定めていく。その際に、地方住宅供給公社法の施行規則も、この住宅金融公庫法改正がもし成立いたしまして、関係の省令が整備されました場合には、十六条関係につきましても、家賃変更についての規定をある程度整備する必要があろうかと考えております。
  241. 中島武敏

    ○中島(武)委員 二つお答えになったのですが、聞かないこともお答えになったように思いますけれども、公社法の方で十六条の規定の整備をすると言われましたが、どんな内容を考えておられますか。
  242. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 これは具体的には家賃変更を必要とする事情、そういったようなものを書きつつ、その変更のあり方を規定するということを予定いたしております。
  243. 中島武敏

    ○中島(武)委員 これは施行規則、省令ですから、私ら国会でかかわりなしに決めていけるのですね。それで、これがどんな内容になるのかということについては余り抽象的なことをおっしゃってくださっても、実はさっきも話がちょっと出ましたけれども供給公社に住んでおられる人たちにとっては、何やら急にこんなものが住宅金融公庫法の中に出てきたらしいというので非常にびっくりもしているわけですよ。  そうすると、私がさっき言ったように、局長も答弁しておられるように、住宅金融公庫法の規則の方ももちろんいろいろ整備をする、あるいは供給公社法の方も整備をする、こうなるわけですが、「建築物価その他経済事情の著しい変動があった場合として主務省令で定める基準に該当する場合には」変えることができるんだ。さて、この中身は一体何なのだということ、供給公社法の方はどう出てくるのかなということは居住者にとっては非常に大きな関心であります。これはもっぱら言われているというか、推測の域を出ないのですけれども、もっと具体的に決めてくるのじゃないだろうかということですね。考えているんだったら答弁してください。
  244. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ちょっと私の説明が不十分であったので、十分御理解をいただけなかったかと思いますが、住宅供給公社につきまして言えば、まずは住宅金融公庫法の家賃に関する規定が適用になるということでございますので、その住宅金融公庫法の規定によりまして、著しい物価の変動があった場合、その場合におきますところの建築費につきましての推定再建築費を求めまして、それのある一定範囲につきましてこれを償却することができる額として定めていくということに考えておりまして、そこである程度家賃の限度額というものが定まるわけでございますので、その範囲内において住宅供給公社は必要な家賃の改定ということが考えられるわけでございます。その際、住宅供給公社法の施行規則についても、先ほど申しましたように規定が必ずしも整備されておりませんが、たとえばそれらにつきましては、家賃等の変更ができる場合としての物価の変動であるとか、あるいは改良を施した場合等々、そういった必要性がある場合を列記し、必要のある場合に変更できる旨の規定がありますれば、実態的には公庫法に定めるところのルールに従った限度額できっちり決まってくる、その範囲内で公社がまた考えて、具体的な家賃の設定を行っていただくということになろうかと思います。
  245. 中島武敏

    ○中島(武)委員 ちょっと重ねてその点、公社法の方を先に。二つ問題があるものですから局長の答弁もどうしてもそういうことになります、私が後先に聞いているということがあるかもしれませんが。  ちょっと端的に言いますと、公社法の方でどういう場合に家賃の限度額の変更をできるようにするか。いまの答弁を聞いていると、大体公団でその限度額の変更ができるようにしている、それを準用されるというお気持ちかなという気がするのです。物価変動とか改良を施した場合とかいうことを言っておられるのですが、公団の場合には住宅相互間の家賃の均衡上必要あるときとか、あるいは傾斜家賃の場合とかということが定められていますね。これを準用されますか。端的に聞きます。
  246. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 詳細な細かい規定につきましてはまだ詰めがありますが、基本の考え方で申し上げますと、たとえば住宅都市整備公団法の施行規則にあります第五条の家賃及び敷金の変更といったような規定、こういったようなものに準じまして措置をしたいと考えております。
  247. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私は、いま局長の答弁というのは非常に重大な内容だと思うのです。それじゃ、その主務省令で定める基準、さっき局長からちょっと答弁がありましたが、私らもらっているものによりますと、「公庫法第三十五条第三項主務省令で定める基準 建設後の建築物価の変動等により建設費が著しく上昇した場合の当該住宅の経過年数を定めるものとする。」、こうあるのです。さっきの御答弁はこういう趣旨だったですか。
  248. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 先ほど申し上げましたのは、住宅金融公庫法第三十五条の二項と三項との関係で、両方に関係があるということで申し上げたつもりでございます。三十五条に新しくお願いしております三項は、主務省令で定める場合、これを私どもは相当程度の著しい物価の変動等があって、たとえば建築費上昇率が五〇%以上になるような場合に一つの線を引いてみたらどうかと思っておりますが、それを必要とするその建設された住宅の経過年数、たとえば何年以上経過したものといったようなことでこの場合は規定ができるのではないかと思っております。その住宅についての限度額は二項の方で、主務大臣が定める額を超えてはならないというふうになりますので、その際、しからば推定再建築費はどのようにして計算するかということで、そのやり方といたしましては、私ども公営住宅法に基づいて実施しております家賃の限度額の償却に関します算定方式を準用してはいかがかというふうに考えておるところでございます。
  249. 中島武敏

    ○中島(武)委員 いま説明があったこの主務省令、こういう内容がきちんとはっきりする、それから住宅供給公社法の規則も改正するんだったら案もきちんと提出をする、そういうふうにして委員会で審議しないとわけわからない。私は聞いたからどうやらおぼろげながら大体そのような方向かということがはっきりしてきたのですけれども、この問題を審議するに当たって具体的にどうなるのかということは委員会に提出されてやられるのが私は本当だと思うのです。そういう点で、これは住宅金融公庫法ですけれども、その法だけじゃなくて、たとえばいま私が取り上げている供給公社法関係の政令なり省令なりをも出してもらわないと、私ら白紙委任するわけにいかぬのですよ。いまも局長が、公営住宅の限度額方式を取り入れたいということを言われましたけれども、そんなことはこの法律にはどこにもないのです。結局それは規則で決めるわけでしょう、あるいは少なくとも政省令で決めるわけですよ。委員長、そういうのを全部出さないとわからないのです。そういうのをきちんと出して、それでだれでも国民がわかるような審議を私は望みたいと思うのです。そういう点では関係する政省令の改正、すでにもらっているものがあります、局長が持っているのはそれでしょう。しかし三十五条の三項にかかわる問題というのはこれだけにとどまらない、そういうのを全部出してもらいたいと思う。委員長にちょっと要求したいと思います。
  250. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 先生のところにお届け申し上げております政省令につきましては、その改正の事項の骨子であろうかと思います。具体的に今回の改正にかかわる部分につきましての私ども考え方を整理いたしましたが、考えてみますと、そこからまた端を発しましてほかへ関連する条項が出てまいることも事実でございますので、その点につきまして、ただいまお話がありました公庫法の三十五条の二項にかかわります具体的な……(中島(武)委員「二項ですか」と呼ぶ)いまお手元にお届け申し上げておりますのは、新しく規定を入れることとしております三十五条第三項の主務省令の考え方かと思いますが、それから端を発しまして三十五条の二項に基づきますところの規則もある程度の修正が必要になるというふうに考えられますので、その分につきましても早急に案を整理いたしましてお届けしたいと思いますし、また、それと関連いたします地方住宅供給公社法の施行規則の改正部分につきましても、整理の上早急に提出をしたいと思います。
  251. 中島武敏

    ○中島(武)委員 供給公社の家賃値上げ問題というのは、従来公庫法施行規則十一条の五項で、維持及び管理費に限って、不足する個別団地で値上げができるだけ、そういうふうなのです。ところが、いま局長の答弁を全部通して言えば、どういう場合に値上げすることができるかということを整備する、そしてそのやり方はどういうやり方でやるのか、算定方式はどうするのかということについても答弁があったのですね。つまり、従来と比べると非常に大きな改正が行われる。物価変動があったからとかあるいはまた新旧住宅の家賃格差が大きくなったからとかいうことを理由として、公社の家賃値上げができるようになったわけでして、従来の歯どめが今度外される、そういう内容なんだということは非常に答弁ではっきりしていると思うのですね。  私、もう一つこの条文について伺いたい。同じく三十五条の三項の、「主務省令で定める基準に該当する場合には、当該変動後において当該住宅建設に通常要すると認められる費用(当該住宅建設に付随して土地又は借地権の取得を必要とした場合においては、それらに要した費用を含む。)とする。」こうある。この文章はまことに難解な文章で、これはだれが読んでも、要するに土地、借地権は含むんだというふうに思うのですけれども、ところがこれは含まないのだという説明をされる。これは含まないのですか。
  252. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 この新しい第三項は、従来からあります第三十五条の二項と関連しておるわけでございまして、前項の「住宅建設に必要な費用」というものを引っ張っておるわけでございます。それが著しい物価の変動があったような場合に、その変更後において「当該住宅建設に通常要すると認められる費用」を第二項に規定しております「費用とする」という、いわば読みかえ規定というふうに御理解いただいた方が早いかと思います。第二項に書いてありますのは「住宅建設に必要な費用」、それで括弧いたしましてその土地のことを書いてございますが、その文章は何らいじっておりません。したがいまして、土地につきましては家賃限度額の変更の際の変更の要素とはこの規定ではしておりません。建築費の著しい上昇があった場合の通常必要とされるその建築費が、三十五条二項に言うところの建築費になる、こういうふうに御理解いただきたいわけでございます。
  253. 中島武敏

    ○中島(武)委員 しかし、この文章をそういうふうに読める人というのはいるのですかね。私は、こういう文章はちゃんとわかるように書き直した方がいいと思うのですよ。だれだって常識的に読めば、括弧内に「含む」と書いてあるのですから、これは土地代も含むのだなというふうに読むと思うのです。これは書き直した方がいいと思う。書き直しを出してくれという意味じゃないのですよ。こんなものはない方がいいと思っているのです。文章としてはそうじゃないか。  では、意味はそういう意味だということでもう一度聞きますが、「土地又は借地権の取得を必要とする場合において」と書いてありますけれども土地または借地権、これは、除く理由はどういう理由ですか。
  254. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 この点が、公社の賃貸住宅の場合と土地担保賃貸住宅といいます民間の賃貸住宅の場合と、あるいはまた住宅都市整備公団の賃貸住宅の場合と若干違っておるわけでございます。いわゆる民間土地担保賃貸住宅につきましては、これは従来土地を持っていらっしゃる方がその土地の上に住宅建設して賃貸するということでございますので、これは地代相当額ということで、土地費用そのものの元本から回収することにはなっておりませんが、住宅供給公社の場合には、一般的には住宅土地両方につきまして住宅金融公庫から借り入れをして、これを賃貸住宅として提供しておるというところから、公庫の立場からいたしますれば、その貸した金額というものは、一定の公庫貸付条件に従った金利でもって回収をしなければいけない。そういう立場から、土地につきましても、住宅供給公社の場合は、土地の元本そのものの住宅金融公庫に返済する部分も家賃の限度額の計算上入っておるということでございます。  そういう意味におきまして、これはちょっとほかの地代相当額の計算とは違うということを考えまして、土地につきましては特段に改正をしない、建築費だけが著しく上昇した場合に、その建築費部分についてのみ推定再建築費を勘案した、主務大臣が定める額の範囲内での限度額とするというふうに考えて、この規定を整備したところでございます。
  255. 中島武敏

    ○中島(武)委員 これは供給公社だけじゃないでしょう。局長供給公社を強調されましたが、住宅金融公庫から融資を受けて賃貸している住宅を、当然のことですけれども含むのでしょう。
  256. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 この規定は、住宅建設に付随して土地の取得を必要とする場合において、その費用を含むとなっておりまして、いま申し上げました土地担保賃貸住宅の場合は、もともと土地を持っていらっしゃる方がその上に住宅を建てて賃貸するということでございますので、この括弧書きの規定はそもそも適用にならないということでありますので、心配ないかと思います。
  257. 中島武敏

    ○中島(武)委員 これは非常にわかりにくい文章なんです。だから、もっとわかるような文章に書き改めてもらいたい。  意味は、局長がるる説明しましたからはっきりしました。しかし、こういうふうに見てくると、これは非常に重大な内容を持っているということがはっきりしてくるのです。お金を借りている公社の方は、当初建築費分を上回って金融公庫に納入するわけではないわけでしょう。これはそうはならない。しかし、家賃としては、さっきから話が出ておりますように、再建築費を主務大臣が参酌して決めるですか。もっと言えば、償却分は除くのだそうですけれども、入居している人たちにとっては推定再建築費を払わなくてはならないということになるわけです、若干の考慮があるわけですけれども。これは非常に不十分だと私思うのです。不条理だと思うのです。といいますのは、先ほど、一番冒頭にもお尋ねしましたけれども供給公社の家賃がどうあるべきかということについて決められている。それはわかりやすく言えば、いわゆる原価主義。ところが、今度は勘案はするのですけれども建築費をもとにしますから、そこには一つの利潤を認めることになるんじゃないかと思うのですけれども、どうですか。
  258. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 これは、住宅供給公社と民間の賃貸住宅の経営者の方とはおのずから差があると思います。民間の賃貸住宅の経営者の方は、やはりその土地を利用されまして適正な利潤というものを考えると思います。しかしながら、せっかく公庫が国の大事な資金を預かりまして、政策として融資する限りは、それが適正なものでなければならないという立場から、限度額の規定が設けられておると思います。また、地方住宅供給公社は、御案内のような公社法に基づきまして地方公共団体が設立団体として設置しておるものでございますから、公共団体の住宅政策の一翼を担ってこの事業を遂行するわけでございます。そういう意味におきまして、供給公社自体としてもうけるとかもうけないとかいうことではないと思います。  ただ、公社の管理しております住宅全体として適正な管理運営をしていくということは必要であろうかと思います。個々の住宅につきましては、物の常識といたしまして、相当の物価の変動があってある程度の家賃の不均衡というものが出ましたときには、やはりリーズナブルな範囲内でこれを是正していくということも、これまた必要じゃなかろうかと考えておるわけです。
  259. 中島武敏

    ○中島(武)委員 私はこの点はまた後でもっとお尋ねもし、論じてもみたいと思うのですが、その前に、三十五条の三項が今度新しく設けられてこれが適用される場合に、公社家賃はどれぐらい高くなるのかということについてお尋ねしたいのです。  昭和二十五年、三十年、三十五年、四十年、四十五年と建設された公社住宅、東京都の例をとって、倍率だけでいいですから、何倍になるかということをお答えください。
  260. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 単純に、公営住宅の方式でもって計算をした場合というふうに前提を置かしていただきたいと思いますが、そういうふうに前提を置きますと、昭和二十五年に建設住宅につきましては、限度額が現在決められておりますものの一・八二倍、三十年のものにつきましては一・七七倍、三十五年のものにつきましては一・六三倍、四十年のものにつきましては一・五五倍といったようなことになろうかと思います。ただ、これは公営住宅の限度額方式を用いまして計算をいたしました場合の比較でございまして、これが従来から、たとえばある一定の年限ごとに若干の家賃改定というものが実施されておりました場合には、その幅というものがこんなに大きくなることにはならないわけでございます。いまお話ししましたように、当初からの建設費で限度額が、その部分が定められておるのが基本でございまして、もちろん維持修繕費等は若干の変更がありますから、この限度額も動いてはおりますが、それだけでもって比較いたしますればこのようなことになりますが、当然でございますが、これにつきましては必要な経過年数に応じました激変緩和措置というものを考える必要があるというふうに考えております。
  261. 中島武敏

    ○中島(武)委員 いま局長は、限度額と限度額の比較をした。公営限度額方式を単純に採用した場合と実際額で比較をするとどうなるか、二十五年、三十年、三十五年、四十年、四十五年が、二・三七倍、二・二八倍、二・〇五倍、一・九六倍、一・六六倍と、こうなるはずであります。  そこで、別の問題についてお尋ねしたい。これは法律改正をやって、そして公社が値上げをする。一体値上げをして何に使うのか、値上げした分を何に使うのか、このことについてお尋ねしたい。
  262. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 家賃がもしその関係地方住宅供給公社におきましてそれぞれ改定があり、その増収分があったといたしますと、まず、現在は最も不足しておりますところの古い住宅団地について計画的な修繕、それからまた集会所であるとか公園等の団地の環境整備、そういったようなものに充てる必要があろうかと考えております。なお、それ以外にも、最近必要となっております防災上の設備等につきましての改善等も行う必要があろうかと考えております。  なお、地方公社の判断でございますが、新旧の団地間におきますところの賃貸住宅の新規の家賃抑制にも充てることがあり得ると考えております。
  263. 中島武敏

    ○中島(武)委員 いまの答弁で使い道のお話を聞いた中に、これはいろいろ問題なんですけれども、新旧の家賃格差、わかりやすいから私はこの例を言うのですけれども、新旧の家賃格差の是正にも充てるという答弁がある。私は、これは非常に重大な法律改正だというふうに思うのです。また、使い道について聞けばいま言ったようなお話になってくる。この新旧の家賃格差を是正するというためには、そこに回すお金が家賃として取られなければならないのです。私は、これは一つの利潤じゃないかというふうに思うのですけれども、これは何と呼ぶか人によって違うと思うのですけれども、どっちにしろ余剰金、剰余金、そういうものを家賃によって生み出すという考え方なんですね。私はいま言ったように、これは一つの利潤、そういうものを認める考え方だというふうに思うのです。私は、なぜ現在入居している人が新しく建てられる団地の高家賃を抑えることにお金を支出しなければならないのか、家賃として払わなければならないのかというのは、まことに道理がわからないのです。特に利潤やもうけというもの、それは着服するという意味ではありませんよ、ありませんけれども、これが否定されている公社という性格、そこで剰余金を取る、利潤を取って別のところに回すということが認められるのだろうか。これは公社の性格そのものを破壊するものじゃないのだろうか、公共賃貸住宅というものの性格をこれは否定することではないのだろうか、私はそう思うのです。局長はこの点どう思われますか。
  264. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 私は、公社が公社全体として、本当に必要な方々のために住宅供給し、そしてまた、全体として健全な運営を行うということが必要であろうかと考えております。もちろん家賃というものは、昨年八月に住宅宅地審議会から答申がありましたが、その考え方で申し上げますと、公共賃貸住宅の管理主体は、その住宅の家賃が施策対象層にとって適切な負担の範囲内にあること、また一方、新旧の住宅相互間においてバランスのとれたものであること、そういったことを基本としながら、今後の住宅の管理を考えていくべきであるというふうに答申が出ておりますが、私は、施策を推進する場合には、やはり必要な方には、適切な範囲内での負担であるということは当然でございますが、またその中におきまして総合的な受益のバランスというものも考えなければいけないのじゃないか。それを全体として、また公社は、総合的にはこれは何も利潤を生む必要がありませんから、その費用は当然のことながら利用者の方々に還元をしていくというようなことで、よりいい住宅団地の運営がなされることが私は公社の本来の姿であろうかと考えております。
  265. 中島武敏

    ○中島(武)委員 いみじくもいま局長が言われたように、住宅宅地審議会の答申、これに基づいているということ。そしてその住宅宅地審議会の答申の中に、非常にはっきり明記もされておりますが、新しい住宅と古い住宅との家賃格差、これを是正する、そのために考え出されたのが今度の法律で言えば三十五条の三項、この考え方なんじゃないか。  再建築費考え方、家屋をもう一度再評価して、それで家賃として取る、そういう考え方をこれはつくり出したのですね。確かにいま日本の場合には物すごく土地がうんと値上がりしているとか、あるいはまた建築資材が値上がりしている。そのことのために新旧の団地の格差が大きくなってきている。これはしかし入居している人の責任じゃないのです。ところが、入居している人の責任に転嫁するわけですね。何でこんなに土地が、資材が上がってくるのか。それは端的に言って、一言で言えば政府の責任じゃないかというふうに私は思うのです。その責任を入居している人に転嫁するわけです。入居している人は、別に新しい住宅をつくる、それの家賃を抑えるための義務を負わなければならないのでしょうか。私はそうじゃないと思う。なるほど利潤と呼ぶか何と呼ぶか、それを着服するわけじゃない。新しい住宅をつくるために使う、こういうわけです。しかし、そのことは再生産をやっていこうというわけですよ。これはいわば、言ってみれば市場の原理にも近いのじゃないかと私なんかは思いますね。だから先ほどから言っているように、これは供給公社という性格をも破壊するものじゃないか、あるいは公共賃貸住宅という性格を破壊するのじゃないかというふうにさっきから私は言っているのです。  もしこのことが、実際に比較できれば一番いいのですけれども、理論的に言えば、公社の分譲住宅と賃貸住宅がある、どっちが安いか、多くのお金をかけなくていいかということは、分譲住宅の方がかけなくてよろしい、賃貸住宅の方が多くなる、こういうことは間違いのないことだと思う。理論的にはそうなるのです。それは、自分たちの一戸の住宅を買う、それだけで済むものを、これは賃貸の人が住んでいる、住んでいるだけじゃないのです、別の住宅を建てるお金を出さなければいけないのです。新旧家賃格差という名前のもとで、別の住宅をつくることにお金を出すのですから、その部分高くなるということは間違いないのですよ。理論的に分譲よりも賃貸の方が高い。実際問題として、比べるのは非常に複雑ですからなかなかむずかしいですけれども、理論的にはそういう問題になって出てくるのですね。このことは局長も認められると思う。そのことが許されていいのか。
  266. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 持ち家と賃貸住宅関係でございますが、その点につきましては、たとえば新しく分譲住宅を買っていかれる場合、確かに公庫に対する返済の関係ではその額から変わらないわけでございますが、初期に相当の投資を必要とする。そのために大きな借金をしながらやはり建てていくということがあるかと思います。そして、長期に返済をしなければいけないという問題もあろうかと思います。賃貸住宅持ち家というものは、そういうようなことではなくて、そのときそのときの状況に即応いたしまして、定住性傾向が強まり、安定する場合に持ち家を志向する。また、自由に動ける、そして一時金もほとんど要らなくて済むというような簡便性が賃貸住宅の特色でもあるわけでございます。  問題は、しからば賃貸住宅が相互関係において総合的にどうなるかということでございますが、公共賃貸住宅の一番基本でありますのはやはり公営住宅だと私は考えておりますが、公営住宅におきましても、必要な範囲内で家賃の変更ができる旨の規定がありまして、それに基づきまして限度額も現実に順次改定をさせていただいております。ところが、公営住宅と公社住宅と比較いたしました場合、長期間たちましたものにつきましては、家賃の額も限度額にしても、公営住宅よりも実際に低額になっているというケースもございます。そういった意味で、負担というものは十分考慮しながらやらなければいけないわけですから、そういったことを十分考慮する上において、施策住宅相互間のバランスということも考えていく必要があるのではなかろうかと考えまして、今回、著しい物価の上昇等があった場合における限度額の変更の規定をお願いしたいと思っておるわけでございます。  ただ具体的には、関係事業主体であります住宅供給公社が、具体的な家賃につきましては、一定の範囲の中でそれぞれ定められることでございますので、その点は、限度額と具体の家賃とまた違うことは御理解いただきたいと思います。
  267. 中島武敏

    ○中島(武)委員 公営と公社と逆転している場合がある。それは、公営は何回も値上げしているのですから、逆転が起きてくるのはあたりまえなのです。それで、値上げしない公社の方がいけないのかと言えば、そんなことは言えない。それが何か道理に合わないことであるかのごとく局長は物を言っておられる。そこがおかしいと私は言っている。だから、どうしたって入っている者の負担で新しい住宅の家賃を下げる。もっと端的に言えば、別の新しい住宅をつくる、その考え方が導入されるのではないかというのが私の指摘していることなのです。  それでもう一つ、使い道の問題について聞きますが、さっき修繕費に使うということを言いましたけれども、東京都の供給公社はやるべきことはさっぱりやっていませんよ。計画修繕なんかもさっぱりやっていない。こんなものは赤字でも何でもないのでしょう。私は、後でもちょっと問題にしたいと思っているのだけれども、修繕費や何かも不足だなんと言って、陳情書まで出しているけれども、赤字になっていますか。
  268. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 住宅供給公社の経理につきましてはいろいろなあれがありますが、東京都の住宅供給公社につきましては、一般的には管理経費につきまして最近は赤字になっておると聞いております。  ただ、いま御指摘の修繕費のお話でございますが、これは入居者の方々から修繕費としてお預かりしたものを積み立てておきまして、必要なときに必要な計画修繕を行うということでございますので、その積立金の範囲内で当然積み立てられていなければいけませんから、それを見ますと、その分は黒字ということかと思いますが、これがまた現実に赤字にでもなっておるということでありますならば、計画的な修繕が全然できないということにもなろうかと思うわけでございますので、その点につきましては、一定の範囲内で積み立てつつ、そしてまた、必要な範囲内できっちりと計画的な修繕を行っていただきたいと考えております。
  269. 中島武敏

    ○中島(武)委員 管理費のことは私は聞かなかったのですけれども、管理費の方は赤字だと局長も言っておられる。そういうのは、赤字だと言われてもわかりませんよ。しかしそうかもしれないのです。だけれども、管理費が赤字だったら、まずやるべきことはたくさんあるのです。たとえば、東京都の供給公社の場合だって、理事ですか、これは全員東京都からの天下りでしょう。それで退職金はどうですか。一般職員とは全然違うやり方で膨大な退職金が取れるようになっているでしょう。こういうところに一番最初にメスを入れなければだめなんですよ。こういうところにメスを入れて、そして管理費の赤字をなくすようにする、こうくるべきだ。それから修繕費の問題にしたってそうです。それは現在黒字のようです。必要だから積み立ててある、こう言うのです。しかし、そんなことは一番最初からわかっていることなんですよ。そしてまた現行法令のもとで、管理費がどうしても少ないというのだったら値上げできる、そういうものがちゃんとできているのですね。それを活用すればできないわけじゃないのです。  それで私、もう一つ二つだけ端的に伺います。  住宅宅地審議会の答申にはいろいろ書いてあるのですけれども供給公社、これは定期的値上げをやるか、それから空き家割り増し、これもやるのか、これをまずお尋ねします。
  270. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 これは関係住宅供給公社におきまして判断されることだと思っております。  ただ、先ほども申し上げましたように、昨年の住宅宅地審議会の答申に家賃のあり方につきましての考え方が示されておりまして、この答申の内容につきましては、私ども関係の地方公共団体にもお伝えをしておりますので、そういったようなものを踏まえて各供給公社が具体的に考えられることかと思っております。
  271. 中島武敏

    ○中島(武)委員 居住者と東京都の供給公社、大阪の供給公社との間で、東京の場合には、家賃問題解決に関する確認書が取り交わされております。大阪では、家賃問題に関する協定書が取り交わされております。そしてその中で、大阪では常設機関を設置し、東京では定期的話し合いを行うことを確認している。公社自治協のとっている態度としては、値上げには値上げの根拠を明らかにした資料を出せば話に応じるという態度をとって、そしてこの点では、値上げ問題のルールが確立していると言ってもよいわけです。ところが、東京都の知事、それから東京都の住宅供給公社の理事長、それから全国住宅供給公社等連合会の会長が、建設大臣や一部の建設委員あてに要望書を提出して、この住宅金融公庫法改正案——この文面を読みますと、いまここで問題になっている三十五条関係であることは非常に明白なんですけれども、特段の配慮を求めるということを言っておるわけであります。  これは局長にまず伺いたいのですけれども、政府としては、入居者とそれから東京都なり大阪なりの供給公社との間にこういう約束が取り交わされている、これに対して介入はもちろんするべきではないと思いますけれども、念のためにひとつ聞いておきます。
  272. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 私どもは、公庫法におきましてこれ以上取ってはならないという家賃の限度額のルールづくりをさせていただいております。そのルールの範囲内で各事業主体が入居者の方々お話し合いをして定めていかれることであろうかと思います。昨年の住宅宅地審議会の答申でも、適切な手続に基づく必要なルールづくりを行って、そしてこの家賃問題というものが適正かつ円滑に対処できるようにというようなことが出ておりますが、各公社におかれましてもそのような趣旨を生かしつつ、具体的なお話し合いをされるものと思っております。
  273. 中島武敏

    ○中島(武)委員 時間がどうやら来たようなので、二つだけ、一つだけと言ってもいいかもしれませんが、こういうふうに審議してまいりますと、今度のはたった一項入っているのですけれども、非常に大きな質的な改正なんですね。いわば大改正なんですね。それで私は、この公社自治会の全国の代表であるとか、公社連合会の代表であるとか、宅地審議会の代表の方だとか、東京都の知事だとかいうのを参考人に呼んで、この委員会は十分審議するべきじゃないかということを委員長にお願いをしたい。  それから、建設大臣に最後に御答弁いただきたいのですけれども、先ほどから、値上げするかしないか、この問題はそれぞれの事業体に任せるべきだという答弁がやられております。私は、そうあるべきだと思うのです。建設大臣の見解を最後に伺って、私の質問を終わります。
  274. 始関伊平

    始関国務大臣 住宅金融公庫融資を受けております公社等の家賃につきまして、法律である種の規定を設けるということは、先ほどから議論がございますように、多額の利子補給金まで受けて特に低利な金融を受けた建物の家賃のことでございますから、これに対して金融をした側、国家が背景にあるわけでございますが、これが関心を持つことは私は当然であろうと思います。  それで、元来安い金を使って建てた住宅ですから、その趣旨が生かされるようにということが着眼の第一点であると思います。と同時に、せっかく建てたものの管理が良好に行われて、まあ管理費の問題もございましょうし、修繕費の問題もございましょうし、それからこれは政策の問題でございますが、一つの公社があちらこちらに公社住宅を持っているという場合に、やはりある程度のバランスをとりまして、全体として公社の経営がうまくいく、それから研究不十分でございますが、償却をいたします場合には、やはり再生産を可能ならしめるようなことを考えるということも一つの着眼であろうと思うのでございますが、さっきから局長が答弁いたしておりますように、これは変更いたします場合のルール、最高のところを決めるということでありますから、ただいま御質問のありました個々の場合につきましては、当事者同士と申しますか、当局の干渉外のところで決定せらるべきである、かように考えております。
  275. 大塚雄司

    ○大塚委員長代理 中島委員の御要望につきましては、理事会で協議をさせていただきたいと思います。  これにて中島武敏君の質疑は終了いたしました。  次回は、来る七日水曜日、午前九時三十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時十五分散会