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1982-03-19 第96回国会 衆議院 建設委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年三月十九日(金曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 村田敬次郎君    理事 稲村 利幸君 理事 大塚 雄司君    理事 住  栄作君 理事 竹中 修一君    理事 木間  章君 理事 中村  茂君    理事 薮仲 義彦君 理事 渡辺 武三君       足立 篤郎君    鴨田利太郎君       川崎 二郎君    國湯 幸昌君       桜井  新君    田村 良平君       登坂重次郎君    東家 嘉幸君       小野 信一君    小林  進君       前川  旦君    山花 貞夫君       横山 利秋君    伏木 和雄君       林  保夫君    瀬崎 博義君       中島 武敏君  出席国務大臣         建 設 大 臣 始関 伊平君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 松野 幸泰君  出席政府委員         防衛施設庁次長 多田 欣二君         国土庁長官官房         長       福島 量一君         国土庁長官官房         審議官     川俣 芳郎君         国土庁土地局長 小笠原正男君         国土庁大都市圏         整備局長    宮繁  護君         建設政務次官  村岡 兼造君         建設大臣官房長 丸山 良仁君         建設省計画局長 吉田 公二君         建設省都市局長 加瀬 正蔵君         建設省河川局長 川本 正知君         建設省道路局長 渡辺 修自君         建設省住宅局長 豊蔵  一君  委員外出席者         人事院事務総局         職員局審議官  網谷 重男君         行政管理庁行政         監察局監察官  橋元 徹志君         法務省刑事局刑         事課長     飛田 清弘君         自治省行政局行         政課長     中島 忠能君         自治省行政局選         挙部政治資金課         長       横田 英司君         会計検査院事務         総局第三局審議         官       小川 一哉君         参  考  人         (日本道路公団         総裁)     高橋国一郎君         参  考  人         (住宅都市整         備公団総裁)  志村 清一君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  救仁郷 斉君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  中川 友夫君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十七日  辞任         補欠選任   横山 利秋君     山田 耻目君   甘利  正君     依田  実君 同日  辞任         補欠選任   山田 耻目君     横山 利秋君   依田  実君     甘利  正君 三月一日  辞任         補欠選任   横山 利秋君     横路 孝弘君 同日  辞任         補欠選任   横路 孝弘君     横山 利秋君 同月八日  辞任         補欠選任   横山 利秋君     山田 耻目君   甘利  正君     依田  実君 同日  辞任         補欠選任   山田 耻目君     横山 利秋君   依田  実君     甘利  正君 同月十九日  辞任         補欠選任   山花 貞夫君     小林  進君 同日  辞任         補欠選任   小林  達君     山花 貞夫君     ――――――――――――― 三月十二日  特定市街化区域農地固定資産税課税適正  化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出第三四号)  住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進  法の一部を改正する法律案内閣提出第三五  号)  土地区画整理法の一部を改正する法律案内閣  提出第五七号) 同月一日  建設業経理士検定試験反対に関する請願(勝  間田清一紹介)(第九五八号) 同月五日  尾瀬の水の広域的運用に関する請願山村新治  郎君紹介)(第一〇〇一号)  脊髄損傷者に対する建設行政改善に関する請願  (神田厚紹介)(第一〇八二号)  同(部谷孝之紹介)(第一〇八三号) 同月十日  建設業許可基準改悪反対に関する請願(寺前  巌窟紹介)(第一二一三号)  同(藤原ひろ子紹介)(第一二一四号)  地方道整備促進等に関する請願(林百郎君紹  介)(第一二一五号)  中央自動車道長野線建設促進に関する請願(  林百郎君紹介)(第一二一六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 二月二十四日  広島・岩国間バイパス道路整備に関する陳情書  (第九五号)  都市公園整備事業に対する国庫補助増額等に関  する陳情書  (第九六号)  新離島振興法制定に関する陳情書  (第九七号)  南関東地域地震予知体制拡充強化に関する陳  情書  (第九九号)  国民本位住宅政策確立等に関する陳情書  (第一〇〇号)  国道三七一号及び関連道路網整備促進に関す  る陳情書  (第一〇一号)  第六次治水事業五カ年計画の推進に関する陳情  書外四件  (第一〇二号)  道路財源確保等に関する陳情書外二十八件  (第一〇三号)  同(  第二二〇号)  治水事業促進に関する陳情書  (第一二九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  琵琶湖総合開発特別措置法の一部を改正する法  律案内閣提出第二一号)  農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措  置法の一部を改正する法律案内閣提出第三三  号)  特定市街化区域農地固定資産税め課税適正  化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出第三四号)  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 村田敬次郎

    村田委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として日本道路公団総裁高橋国一郎君、住宅都市整備公団総裁志村清一君、同理事救仁郷斉君及び同理事中川友夫君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 村田敬次郎

    村田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  4. 村田敬次郎

    村田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
  5. 横山利秋

    横山委員 経済企画庁が発表するところによりますと、実質経済成長率は、前期に比べまして〇・九%減、年率にして三・五%の減、政府部内におきましてもこれが重要な今日的問題として取り上げられておる模様であります。私ども国会議員として市中を回りましても、不況感というものがきわめて横溢をしておりまして、特に中小企業関係におきましては、建設関係中心として軒並みに不況感をかこっておるような状況であります。  そこで、政府としては公共事業前倒しを、前期は七三%であったけれども、今期は上半期で七五%にする、こういうことだそうであります。しかし、問題となりますのは、六兆六千五百五十四億円の中で七五%を前倒しにすれば、あとは一兆六千六百億にすぎない、これはあたりまえのことなんでありますが、上期は本当にそうやれるのかどうか私は多少疑問を持っておるわけですが、仮にいっぱいいっぱい努力をしたとしても、下期は一体どうなるのだろうか丁下期はますます景気失速をするおそれありということが政治的な課題になっておるわけであります。いまから言えばまだ早いのじゃないか。経済企画庁長官は六月ごろになった方がいいと言う。新聞記者廊下トツビでは、いや総裁公選にこれは絡んでくるぞという話もあるわけであります。五十六年度では一兆円の税収の減がある、五十七年度では二兆五千億に達するのではないか、こういうこともまた下期の景気失速公共事業費予算が少なくなるという問題と絡みましてきわめて重要な政治課題、これは国内における産業界、特に建設業関連をする数百万の人々の飯の問題になってくるわけでありますから、きわめて注目をされておるところであります。  そこで、大臣きょうおらぬのが本当に残念なことでありますが、どなたがお答えになるかは知りませんが、建設省としていまこの問題にどう対処々しておるのか承りたいのであります。
  6. 村岡兼造

    村岡政府委員 横山委員お答えを申し上げます。  五十七年度の公共事業執行については、三月十六日の閣議におきまして、最近の景気動向にかんがみまして、その上半期契約率目標を七五%以上とする方向で各省庁間の検討を行うこととされましたが、建設省といたしましても、前倒しに円滑に対応できるよう、執行体制等について現在検討を行っているところであります。  また、下半期における公共事業につきましては、本年四月以降、景気動向を見守った上で、情勢の推移に応じ、機動的かつ適切な執行が図られるものと考えております。  以上でございます。
  7. 横山利秋

    横山委員 そんな、適切にやれるだろうと思うだけでは答弁にもならぬと思うのです。どういうことなのか、問題の焦点は。まず第一に銭はどこから賄うのか、それから仕事は一体どうするのか、この二つの問題になるわけです。銭は、一説によりますと大蔵省建設省の間に建設公債の発行をするのだという話がありますが、一兆円建設公債を出せば、年間利息八百億ぐらいになるでしょうか。大蔵省が渋ちんな顔をするのはわかるし、私ども余りいい顔はしないのでありますが、建設公債についてどういう対処建設省としてはお考えですか。
  8. 丸山良仁

    丸山政府委員 ただいま政務次官からお答え申しましたように、去る三月十六日の閣議におきまして、上半期七五%以上を執行するという目標のもとに諸般の準備を整える、こういうことが決まったわけでございます。したがいまして、先生がおっしゃいますように、下期は二五%しか残らない。これは予算現額にいたしますと、ことしに比べまして下期分が約一兆の事業費の減になることは事実でございます。しかし、政府といたしましては、この上半期促進を図ることによりまして、下半期景気に火がついてうまいぐあいにいってもらえればこれにこしたことはないわけでございます。しかしながら、必ずしも思うようにいかないおそれもあるわけでございます。  そこで、建設省といたしましては、当然下半期のことは考えてもらわなければ困る、このように考えておるわけでございますが、現段階はまだ本予算の御審議を賜っている最中でございますから、その予算を上げていただいた後におきまして、政府といたしましてもいろいろと検討いたしたいと考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、われわれの建設省態度といたしましては、建設国債赤字国債は性格が違うものである、こういう認識を持っておるわけでございまして、その点につきましては、下半期までまだ期間もあるわけでございますから、今後十分に検討してまいりたいと考えているわけでございます。
  9. 横山利秋

    横山委員 予算審議中だからといっても、きわめて形式的な問題であって、予算年間公共事業六兆六千五百五十四億、その使い方は上半期に五兆、下半期が一兆六千六百億。あなた方の言うとおりに、目に見えて下半期の銭はない。仕事の用意もない。何とかなるでしょう、何とかしますよというんじゃ、予算審議の実をなさぬですよ。だから、十六日に閣議で決めるについて、当然のことのように下半期の財政はどうするのか、下半期仕事は一体どういうふうにつくっていくのか。あなたの言うように、七五%もやれば火がついて民間景気がよくなるだろうと、人のふんどしで相撲をとるような話というのは説得力がありませんよ。もう少し具体的に言ってください。
  10. 丸山良仁

    丸山政府委員 下半期の問題につきましては、当日の閣議におきましても建設大臣から特に発言を求めまして、下半期に穴のあかないように十分配慮をしてもらいたい、こういうことは申したわけでございますが、何分にも経済は生き物でございますから、下半期までにうまいぐあいに経済運営ができますれば、これは政府責任として最大限努力をすべき問題だと考えるわけでございますが、景気にうまく火がついて、下半期民間設備投資等が出てまいりますと建設業界も潤うわけでございますから、その点も十分見定めながら、おくれをとることのないように、下半期については絶えず情勢を判断しながら、機動的に対処していきたいというのが現在の政府態度でございます。
  11. 横山利秋

    横山委員 納得できませんな。村岡さん、官房長はお役人だから何だけれども政治家としてこれは納得できないと私が言うのはわかるでしょう。  建設公債を発行するのですか、ほかに財源考えられるのですか。銭があったところでどういうふうに仕事をつくっていくのですか。年間仕事は決まっている。それを上半期に七五%やってしまって、あと二五%しかない。銭があったって仕事はどうするのですか。もっと説得力のある話をしてもらわなければならぬ。
  12. 村岡兼造

    村岡政府委員 ただいま官房長の答えたのと、考えは私も同様でございます。
  13. 横山利秋

    横山委員 そんなわからぬ話をしているが、国土庁長官、あなたは所管外か。あなただって同じことだろう。ちょうどあなたはそこに座っているのだから、閣僚の一人としてひとつあなたがかわって答弁してくださいよ。
  14. 丸山良仁

    丸山政府委員 先生のおっしゃる意味は、私は身にしみてわかっているわけでございます。しかしながら、現段階ではこれ以上の答弁はいたしかねるわけでございますから、御了承を賜りたいと思います。
  15. 横山利秋

    横山委員 国土庁長官、あなたはこのやりとりをどう思いますか。ばかにしているじゃないか。失礼じゃないか。お互いのうちの家計だって、会社だって同じで七よう。下半期は、多分七五%仕事をすれば民間に火がついて設備投資が出るだろう、そんな人のふんどしで相撲をとるようなことを言って、そうして後どうするかはこれから相談だ、こんなばかな説明の仕方はありますか。どうですか。
  16. 松野幸泰

    松野国務大臣 まあちょっと、そういうわけにもいかない。
  17. 横山利秋

    横山委員 ちょっとと言ったって、あなたは国土庁長官だから閣僚であり、公共事業の全体計画はあなたのところでずいぶん銭を持っておって、おまえのところに少し、おまえのところに少しと分けておるじゃないか。建設大臣よりもあなたの方が仕事は上位ですよ。
  18. 松野幸泰

    松野国務大臣 大臣が参議院に出ておられるので、横山委員から私の方へ答弁しろということですが……(横山委員「いや、あなたに聞こうと思っておったんだよ」と呼ぶ)いや、後ほどまたお話を承りますが、しかし、私も閣僚の一人として、横山委員の御意見同感でございますので、御納得のいくように、私も十分勘案して努力いたします。
  19. 横山利秋

    横山委員 何を同感だかわけがわからない。おかしなことに同感してもらったら困るよ。あなたは、返事が聞きたいということに同感なのか、こんなばかな話がありますか。  では銭の出どころについては御答弁ができないけれども仕事はどうなるのか、銭があったって仕事をどうするのか、その点を聞きたい。どこに仕事があるか、どうやってつくるか。
  20. 丸山良仁

    丸山政府委員 公共事業はまだ非常におくれておりまして、金さえあれば幾らでも仕事はあるわけでございますから、上半期に七五%できましても、これは発注でございまして、もちろん下半期仕事が全くなくなるわけじゃございません。それから、先生も御承知のように、建設業界は約六割が民間仕事、四割が公共事業関係、こういうことになっておりまして、景気がよくなれば、六割の方が相当出てまいりますと、建設業界も潤うわけでございます。  いずれにいたしましても、建設省といたしましては、下半期建設業界に穴のあかないように、予算成立最大限努力をする考えでございます。
  21. 横山利秋

    横山委員 本当に、わからぬことがわかった。  それでは、これはまた保留にしまして、きょうは短い時間でたくさん質問しなければならぬものだから、次へ移ります。  昨年私が、建設大臣が斉藤さんのころに、「日本建築設計監理協会連合会が、中央地方において組織社団法人化申請をしているが、建設省事務当局が応諾しないのは不当であるから、改善方大臣から指示されたい。」こういう申し入れをしました。  理由  一、公序良俗に反しない限り、社団法人認可の   実態をもっているなら役所公益法人申請を   拒否する権限はない。  二、同一目的をもつ社団法人が二つあってはな   らない一との理由は現に建設省傘下の不動   産保証協会が二つあるから理由にならない。   亦、右設監協既存社団法人設立目的を   異にしている。  三、全国的組織となっていないから、との理由   も、すべての社団法人が申請する際、全国的   に組織されているのではない、既存社団法   人も同様であった。亦設監協は既に二十数府   県設立され、永年運営されている。  四、既存社団法人設立された際五〇・五・   一六附で建設指導課長名で出された建設省住   指発第二八五号は、役所として社団法人の組   織に介入したのみならず、これに加入しなけ   れば建築士仕事が受註できない一との宣   伝材料に使用された。このような強権的逸脱   した行政は許されるべきではない。  五、現在東京始め各県に対し設監協社団法人   化について運動がなされているが、建設省事   務当局が否定的な方針をとり自治体を牽制し   ているのは不当である。  六、設監協専業建築士のみをもって組織され   るが故に兼業設計士を加入させないのは許可   できない理由一つ一と云うが、専業だけ   で設立したい理由があるからであって拒否す   る理由とはならない。  七、既存社団法人設監協との協調を事務当   局は力説するが、それは別な問題である。そ   れで問題が解決するなら六年間法人化運動   が行われることもなく、且全国各地設監協   が着実に運営され発展することはない。という申し入れをいたしましたところ、五十七年二月十六日、建設省住宅局建築指導課課長補佐秋元徹なる者が、都道府県建築士主務課長殿あてに、「建築士事務所指導監督について」という書面を事務連絡として出したのであります。  これによりますと「次の事項について確認したところです。」「両団体は、将来大同合併方向努力する。」云々の五項目があって、「また、建設省としては、建築士事務所団体が、互いにその存在意義を認め、建築士事務所業務適正化に関する調査等を通じて建築士事務所の資質の向上を図るとともに、設計工事監理業務あり方響共通の問題について積極的に意見交換を行うことは、建築行政上も極めて有意義であり、なお、日本建築設計監理協会連合会及びその傘下団体公益法人化については、さしつかえないものと考えている旨申し添えましたので、連絡します。」という通知を出したとのことであります。  このことは私も承知をし、説明を受けたわけでありますが、しかしこの際質問をしておきたいと思います。  第一に、この秋元徹補佐事務連絡文書建設省方針として承知してよろしいか。
  22. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 お答えいたします。  ただいま先生からお話がありましたように、建築士事務所団体といたしましては、社団法人日本建築士事務所協会連合会という団体と、任意団体ではございますが日本建築設計監理協会連合会という団体があるわけでございます。  これらの団体につきまして、私どもは、建築士及び建築士事務所の今後の業務発展運営合理化等につきまして、かねてから指導してまいったところでございますが、ただいまお話がありました両団体の問題につきましては、本年の一月二十一日に両団体の幹部の方がお集まりになられまして、その際、両団体は将来大同合併方向努力する、二番目に、両団体会員の奪い合いは厳に慎む、三番目に、日本建築設計監理協会連合会会員以外の者に兼業禁止を強要しない、四番目に、他の団体を中傷するような文書の配付、言動は避ける、五番目に、両団体設計工事監理業務あり方等について前向きで話し合える場を持つ、以上の五項目につきまして御相談をいただきまして、合意を得られたというふうに私ども確認しております。  これらの合意によりまして、既存公益法人類似団体が併存し、同一地域での会員争奪事業種目及び事業区域重複等を生じて、既存公益法人の実施している公益事業の円滑な遂行に著しい支障を来すことのおそれはないというふうに考えられましたので、建設省といたしましては、日本建築設計監理協会連合会公益法人化につきましては、差し支えないものと考えているということを申し添えたものでございまして、二月十六日付の事務連絡は、これらの事実を都道府県担当課長あてに連絡したものでございます。
  23. 横山利秋

    横山委員 本来、設監協中央地方にわたり法人化するか否かは、地方自治体権限であります。国は指導でありますが、地方自治体権限であります。三者会談の必要は、政治的に必要があったとしても、法人化を進めるための配慮であって、権限は県及び市警が当然持つものであり、また、建設省は当然その法人化行政指導責任を持っておるものであるから、日事連がいいとか悪いとかと言うたから、それによって方針を変えるべき問題ではない、こう思いますが、いかがでしょう。
  24. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 公益法人設立許可につきましては、先生御指摘のとおり、許可認可等臨時措置法許可認可等臨時措置令及び建設省関係許可認可等臨時措置令施行規則によりまして、その目的とする事業が二以上の都道府県にわたりますものにありましては建設大臣許可権限とし、その目的とする事業がおのおのの都道府県内にあるものにつきましては、当該都道府県知事権限が委譲されておりまして、行政庁としてそれぞれ判断をさせていただくことになっております。  その際、公益法人設立許可等につきましては、既存公益法人類似団体が併存し、同一地域での会員争奪事業種目及び事業区域重複等を生じ、既存公益法人の実施している公益事業の円滑な遂行に著しい支障を来すおそれのないことを、許可する際の基準とさせていただいております。そういうような立場から、建設省といたしましては、建築行政を円滑に推進するという観点で、建築関係団体が協調し、建築に関する共通の問題について積極的に協力し、意見交換を行い、ともに建築界発展に資することが望ましいと考えておりまして、これまでも両団体が話し合いの場を持つように指導してきておったものでございます。
  25. 横山利秋

    横山委員 あなた、麗々しくなおをつけておるけれども建設省がまずその先鞭をつけたのですよ、同じような問題で。この両団体設立目的が違うと言っているけれども設立目的が全く一緒なのが不動産保証協会であります。不動産保証協会が全宅連中心にして設立された。ところがもう一つ政治家のある人、言えばわかるでしょう。その人が、数百人で保証協会をつくれつくれと言うたときに、あなた方は何と言ったのですか。建設大臣もおらぬけれども、あなたの所管じゃないかもしらぬけれども建設省は、同じ設立目的を持っているものを二つ許可したじゃないか。この両団体設立目的が違うのですよ。似通ったところもあるけれども、違うのだ。建設省みずからが同一目的を持った社団法人を二つつくっておいて、いまになってぬけぬけと何とか理屈をつけようというのは言語道断ですよ。あなたがお答えなさる筋合いかどうかわからぬけれども建設省は反省しなければいかぬよ。その点を強く言っておきます。  それから、いま局長が言った問題のこの秋元文書によって、五十年五月、二百八十五号の課長通知書面は、事実上行政指導効力を失ったと考えてよろしいのか。これと矛盾しますよ。五十年五月のこの文書は、私が指摘したようにまことにけしからぬ。大体建設省が、唯一の全国的公益法人としておまえのところはやれと言う。そしてこの文書によって、日華連に入ってないやつは仕事が県庁でもらえぬよという悪質な指導がされる。そういう悪質な指導をする根っこをつくったのがこの文書であります。それに対して反撃して、おれの方もつくるというのが五年間放置されておる。だから、この五十年五月十六日の二百八十五号は、事実上行政指導効力を失ったと考えてよろしいのか。
  26. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 昭和五十年の五月十六日付の、建設省住宅局建築指導課長から社団法人全国建築士事務所協会連合会の会長にあてまして出されたものを先生が御指摘になったかと思いますが、その文書の性格は同年の五月一日付で同連合会が公益法人として発足いたしますに際しまして、建設省と同連合会が、設立後の会の運営につきまして協議した内容を確認するという趣旨で出されたものと承知しております。  同文書は、同連合会に対しまして、全国を単位とする組織公益法人としては初めてでございましたので、その際、今後の運営に当たりまして自覚を促し、健全な運営を図るために、当時におきましてその状況を踏まえて作成されたものであると聞いております。したがいまして、法人認可につきましての一般的指導方針としての効力の問題ではないというふうに考えております。  公益法人許可につきましては、あくまでも民法及び私どもの方の内部において定められておりますところの認可審査基準等によりまして、適切に対処したいと考えております。
  27. 横山利秋

    横山委員 こんなとぼけたようなごまかしはいかぬ。秋元文書というか、あなたがさつき答えたように答えればいいのですよ。これは有効か無効か。五十年とことしのやっとは明らかに抵触するじゃないか。これは全国唯一だと言っているのです。今度は、法人化は差し支えないと言っておるのだ。その矛盾はどうするか、どちらが優先するかと言っているのです。はっきり答えなさいよ。いいかげんなこと言うな。
  28. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 私が承知しておりますことでは、当時は、この建築士事務所協会連合会が法人として認可されまして、そのときには法人として一つしがなかったというようなことを踏まえて表現されたものであるというふうに聞いておりますし、そのことが私ども行政庁としての許可の判断を左右するものではない。したがいまして、最初にお答え申し上げましたように、両団体が協調し、今後とも建築界発展のために協力し合っていくというようなお話し合いがなされ、そういったものを前提として担当の補佐からそういったような文書を出しました。したがいまして、今後の基準に照らしまして適切であるものならば差し支えはないということで、現在考えておるところでございます。
  29. 横山利秋

    横山委員 両団体に協調してもらいたいのは私も望むところだ。しかし、両団体が協調しなければ認可しないという理屈は成り立ちませんぞ。いいですね。不動産保証協会だって両方がけんかしたのだ。けんかしたけれども両方認めたのだ。そのときに両方認めておいて、今度けんかしたら認めないという理屈は成り立ちませんぞ。どうですか。もう一遍はっきり言いなさいよ。
  30. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、建設省の法人につきましての認可基準におきまして、類似団体につきましてはお互いに協調し合っていくといったようなことがやはり必要であろうと考えているわけでございます。  いまのお話でいろいろな経緯があったように伺っておりますが、せんだっての両団体との会合におきまして五項目についての合意がなされ、これらが適切に運営されるならば、私どもも業界の発展のために結構なことであると考えておるわけでございまして、そういったようなてとを背景といたしまして、担当の補佐から、差し支えないといったような旨のお話し合いの結果を踏まえた内容を事務連絡として出させていただいております。
  31. 横山利秋

    横山委員 あなたの言葉じりはまだ濁っておるね。  この方針は四月に予定される関係都道府県会議で徹底するほか、地方自治体から照会の際に、建設省は差し支えないとは、書類が完備すれば法人化を認める方針を決定する、そういうふうに理解してよろしいのか。
  32. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 先ほども申し上げましたように、両団体が五項目合意をされました。そういったようなことを踏まえまして、建設省としては差し支えないというふうに考えておりますが、正式の申請がありました時点で、当該団体設立目的、公益性、組織事業内容、資産状況及び既存法人との協調性等を十分検討した上で、判断いたしたいと考えておるところでございます。
  33. 横山利秋

    横山委員 もう一遍だめを押しますよ、いいですか、間違いなく答えてくださいよ。この法人化を認可するのは日事連でも設監協でもない、役所である。県であり、建設大臣である。それを両団体の協調云々に藉口して判断を違えるということは不届きである。あくまであなた方の責任の問題である。この点はどうなんですか。
  34. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 先生御指摘のとおり、公益法人としての許可につきましては、先ほどもお答え申し上げました建設大臣なりあるいは都道府県知事の権限でございます。
  35. 横山利秋

    横山委員 それがはっきりすればいいんだ。両団体が協調したら認可してやる、協調しなかったら認可してやらない、そういうことは、先ほどから何回も言っているように、不動産保証協会のときの大げんかをあなた知らぬはずはないだろう。大げんかをしてもなおかつ二つ認めたじゃないか。その点ははっきりここで申し上げておきますよ。  日事連が、この秋元文書が出た瞬間に設監協法人化反対だということを声明しました。これをどう思いますか。
  36. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 私もその経緯とか具体的な趣旨につきましては承知しておりませんが、恐らく今後両会がそれぞれ協調していくということが必要であろうというようなところから五項目合意がなされたことでもありますので、そういったような経緯の中での一つの御意見であろうかと思っております。
  37. 横山利秋

    横山委員 冗談じゃないよ。あなたが先ほど言ったように、二月十一日か、あなたの方で両団体を集めて、そして五項目を言って、さて法人化を認めますよと建設省が言った。その二日か三日たってから法人化反対だ。まさにあなた方ばかにされているじゃないの。何のために五項目まとめたの。五項目が実践されておるかどうかまだわからないうちに法人化反対だと言わせておいて、あなた方は一体どう思っているの。あなた方はばかにされているよ。よくもまあそれでのうのうとして五項目だ、やれ差し支えないと言っておれるね。一体どういうつもりなんだ。何のために集めたんだ、何のために五項目申し合わせたんだ。させておいて、すぐその口の裏から反対だと言われれば、五項目も粉砕だ、もう何にもならぬがね。そういう現実的な気持ちがあなたはちっとも出ておらぬじゃないか。それじゃ日事連がこの反対を撤回するとでも思っているの。なっとらぬよ。
  38. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 それぞれの団体におきましての御意見でございますので、私の方がとやかく申し上げる筋ではないかと思いますが、せっかくの両団体での協調が、本当に今後実を上げていくということが大事なことであろうかと思います。いろいろこれからも、そのために私ども努力してまいりたいと思います。そういったような御意見があることは承知しておりますが、それはそれといたしまして、適正行政運営に努めるように私たちは指導してまいりたいと思っております。
  39. 横山利秋

    横山委員 局長、みんなの前でえらいあなたに嫌みを言うようだけれども、もう一遍言いますよ。  両団体を集めておいて、あなた方が真ん中へ座って、五項目いいですか、いいです。それなら設監協法人化差し支えないと認めますよと言っておいて、みんなそこで了承して、帰って二、三日たったら反対だと、一体あなた方何をやっているの。それで秋元文書を出しておいて何の効力がある。あなた、全くばかにされているじゃないの。何のためにそれをのんべんだらりとやったんだ。そういうことについて毅然たる態度がなければだめですよ。役所は何をやっているんだ、給与をもらって。こんなことをやっているからばかにされる。業界癒着だとかなんとか言われるんだ。一遍決めたことは、一遍両団体に納得させたことは断固としてやらなければだめじゃないの。あなたの答弁、口が濁っているわ。あっちへ配慮したりこっちへ配慮したり。あれで決めたんだからそのとおりにやりますとなぜそれを言えぬ。あなたは、けんかしようがしまいが役所責任でやりますとなぜ言えぬ。なっとらぬぞ。どうなんだ。
  40. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 私ども方針につきましては、先ほど御説明申し上げたとおりでございます。それぞれの団体がいろいろな御意見があるといたしましても、それはそれ、両団体がそれぞれ私たちが考えておりますように協調し合いまして、その五項目というものが適切に運用される、そういうことが単なる取り決めではなくて、現実に具体の運用の中で実現することを期待しております。
  41. 横山利秋

    横山委員 白々しいよ、あなた。私は、日事連が、秋元文書が出て数日過ぎて反対だと言わなければこうも大きな声でしないですよ。あなた寝首かかれているわ。ばかにされているわ。ようそんなばかにされて、いまのような答弁をぬけぬけと言えるものだと思う。あなた怒らなければいかぬよ、何のために集まった、何のために会合やったと。それで合意をしておいて、舌の根も乾かぬうちに反対だとは何事だと、あなた怒らなければうそじゃないの。その私の気持ちわかるかね。  私は、別に、日事連に怒っているのじゃないよ。問題の処理のあなた方の態度に怒っているんだよ。なまくらな、あっちの顔見たりこっちの顔見たりして、自分のやるべき責任のある仕事をあっちに籍口したりこっちに片づけたり、情勢によってはまたふらふうしたり、五十年五月のこの文書もけしからぬが、今度の秋元文書も私はけしからぬと思っているんだ。こんな書き方ってあるかね。ごれもみんなごまかしの書き方なんだ。そういうところがけしからぬとあなたに怒っているんだよ。ばかにされて、平然として同じことを言っているあなたをけしからぬと言っているんだよ。わかっているかね。
  42. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 先日の事務連絡文書につきましては、私はそれなりに、その時点におきましての建設省の、経緯を踏まえました考え方を示したものとして適切であろうかと考えております。  問題は、今後、いま申し上げましたように、両団体が過去の経緯にとらわれないで業界の発展のために協力し合っていくことが望ましいと考えております。しかしながら、行政庁の判断は判断でございます。いろいろな御意見があることはあっても、それはそれとして、今後適正運営を図るように努めてまいりたいと思っております。
  43. 横山利秋

    横山委員 余り言うのも若干気の毒なので、これでとどめておきますが、私はお手並み拝見ですよ。私は執念深いからそのつもりでおってちょうだいよ。これからのお手並みを拝見しますよ。  大臣えらい急に済みません。先ほどから国土庁長官にも御答弁を願ったのです。あなたいないものだから国土庁の御見解を聞いたのですが、一言で言いますと、七五%の公共事業前倒しをすると、下半期は一兆六千六百億しかない、それでどうなるんだ、景気は悪くなる、こう言ったら、官房長いわく、まあ七五%やれば景気もようなるかもしれぬ、設備投資もふえるかもしれぬ。人のふんどしでやっているんだ。それがだめだったらどうするかについては、あなたに遠慮して何もよう言わぬ。建設公債出すのか、銭はあるのかと言ったら、それはよう言わぬのだ。出すのか出さぬのか、銭があっても仕事があるのかないのかと言うたら、今度はいばって、仕事は山ほどありますとこう言う。銭さえくれればいつでもやります。まあ官房長というのは勝手のいい人だな。それでは話が済まぬ。十六日の閣議で何が行われたか、建設大臣はどう思っておるんだ、もう下半期に銭がないということ、景気は悪くなるということは目に見えておる、どうするんだ、十分私ども説明のいくように話してくれと言った。だれも私の質問に答えぬ。横山さんの意見はようわかったと国土庁長官はおっしゃった。私は何がわかったかいなと。私が言っていることに政府がよう答弁せんということがようわかったらしい。それで大臣においで願った、こういうわけです。
  44. 始関伊平

    始関国務大臣 お答えをいたします。  横山委員がただいまのような問題を提起されることはごもっともだと思っております。十六日の閣議の際に、私も申し上げたのでございますが、予算が成立いたしましたら七五%をめどに、少なくとも七五%の公共事業執行上半期前倒しについて検討しようということに、閣議了解のようなものがあったわけでございますが、その際に、私といたしましては、下期にいろいろ問題が起こるだろうから、その際には機動的に、適切に対処してほしいということを申しておきました。ただ、時期が時期でございますので、この問題を余り具体的にいま議論できる段階でないということもございますし、またつけ加えて言えば、いまお話がございましたが、公共投資によりまして設備投資がどうなるとか、世界の景気がよくなってそれが日本にいい影響を及ぼすとか、いろいろな点もあろうかと思いますが、いずれ他日の問題といたしまして、御指摘のような問題にやはり取り組まざるを得ないのではないか、かように存じております。
  45. 横山利秋

    横山委員 他日事に取り組まざるを得ないといっても、大体どういうことなのかということを聞きたいためにあなたに来てもらったのです。やらなきゃならぬだろうということは、事態の認識については大体みんな知っているのですよ。コンセンサスがあるわけだな。私ども建設国債を発行するのに余りいい顔をしないですよ。いい顔しないが、しかし政府はどうするんだということについて、一兆円建設国債を出すのか、そうすると八百億ぐらいの利息が年間またつくぜ、大蔵大臣はまた渋い顔をするぜ、銭があっても仕事はどうやってやるんだ、いまから早く決めていかなきゃあかんじゃないかということを聞きたかったのですが、どうなんですか。
  46. 始関伊平

    始関国務大臣 建設大臣どうするんだということではなくて、政府どうするんだという御質問でございますが、いま申し上げましたように、政府といたしましてはその辺はまだ決定いたしておりませんので、的確には申し上げかねる。時期も時期でございますので、前倒しの方は予算案が通過すればすぐにということでございますが……(横山委員「後の方は」と呼ぶ)その辺の問題はまた適時適切にというようなことで……(横山委員総裁選挙に絡んでおるのか」と呼ぶ)まあ、いろいろな点があると思いますけれども、いまの段階ではこれ以上ちょっと政府の一員といたしましては申し上げかねる状況でございますので、御高察をお願いいたします。
  47. 横山利秋

    横山委員 時間がなくなりましたので、国土庁長官にお伺いをいたします。  あなたは、本年正月に、地元でもあるし国土庁長官でもあるものですから、中部圏一帯の構想を記者会見でお話しになりました。私も地元の問題ですから非常に注目をしたわけであります。私は、いま中部経済団体連合会なりあるいは三県ないしは四県の知事が集まったり、いろいろこの中部圏に関する議論が展開されていることをよく承知をしておりますし、また、オリンピックを名古屋でやることが大失敗をいたしました後、オリンピックをやるためのオリンピックならやめた方がいいけれども、オリンピックを通じてひとつ住みよい中部圏社会をつくろうという気持ちがとんざをいたしましただけに、いま直ちにということではないけれども、何か中部圏に関する一つの構想というものが出ないだろうかということは私ども考えておるわけであります。  お話しをいただく前提としてこれについて触れてもらいたいと思うのですが、ただ、それがいろいろなチェックすべき問題がある。それの第一は、産業本位ということではあきませんぞということですね。それからもう一つは、中部経済団体連合会が言っている、道州制への前提ではいけませんぞ。そういうやり方を、終局的なねらいをすれば敵は本能寺とみんなが思っておかしな顔をするでしょうよ。それから第三番目に、ちょっくらほいとできるものじゃないにしても、財政上一体どういうことになるだろうか、あるいはまた自然破壊という問題をどう考えるべきであるかということをチェックポイントとして考えられるわけであります。私は先般来何かキャッチフレーズがないかと思っておったのでありますが、まあ長官もいろいろお考えだと思いますが、中部というところは全く、中部山岳地帯という日本一のアルプスを持っておって、東洋のスイス的な感覚が養われるところでありますし、伊勢湾内海も非常に風光明媚なところであるから、これは東洋の地中海とでもいいますか、そういうようなキャッチフレーズ、そこから出るイメージ、そういうものがその骨格にならなければならぬのではないか、こういうようなことを考えておるわけでありますが、国土庁が、また長官が包蔵しております問題についてひとつお伺いをしたいと思います。
  48. 松野幸泰

    松野国務大臣 お答えいたします。  まず第一に、御懸念のありました産業本位という問題、それから道州制の前提ではないか、自然破壊につながるのではないかと、そういう考えは全然持っておりません。それを前提に置きまして、いまのは大変結構な御質疑でございますので率直にお答えさせていただきます。  御承知のように、中部圏は自然環境、土地、水等に恵まれ、開発の可能性を十分持った地域であり、したがって、今後の中部圏は、これらの可能性を十分生かして、潤いと活力のある圏域をつくり上げていく必要があると考えております。  中部圏には、先駆的な都市計画を有する名古屋市を初め、その周辺の都市は陶磁器、繊維、自動車など、伝統的に産業から先端的な産業まで非常に変化に富んだ産業を抱えております。そこで、長期的な観点から、これらの都市相互の連携をとりつつ、個性ある都市の育成整備を図り、これらを幹線交通体系で結ぶことにより、潤いと活力のある都市圏域を築き上げていくことが、地域発展のために必要であると考えております。  また一方、中部圏は、中部山岳、伊勢志摩等すぐれた自然景観、秀でた文化的遺産を有する地域を有しており、世界の人々をもひきつけるような自然観光レクリエーション地帯の整備についても検討を進めていく必要があると考えております。  今後、地元地方公共団体、地元関係者の意見をもとにして、中部圏の将来のあり方について長期的観点から十分調査検討を加えてまいりたいと考えております。
  49. 横山利秋

    横山委員 この問題は包蔵するところがきわめて大きいものですから、ちょっと時間がかかるわけであります。したがって、また後日に譲るにいたしましても、いまの長官のお話の中で、構想としては是といたしますが、現在の実情、現在建設省なり運輸省なり農林省なりあらゆる省がやっております長期計画、あるいはまた地方自治体が、愛知県は愛知県で第何期になりますか、長期計画の策定をきょうあたり終わっていると思いますが、そういう地元のやっておる三県、四県知事あるいは中部圏、各省の計画が現実的ないまの状況とどこで接点を求め、どういうところからその構想が動き出していくのか、それを承りたい。
  50. 松野幸泰

    松野国務大臣 御指摘のとおりでございますが、近く三県知事、名古屋の市長、その他関係の代表の方々と御懇談を申し上げ、そして御意見も十分承りながら、この計画をよく理解していただき、進めてまいりたいと考えております。
  51. 横山利秋

    横山委員 それでは、これはまた別途時間をいただいて質問することにいたします。  次に、建設大臣に伺いたいのであります。  住宅都市整備公団が発足してまだ間がないのでありますが、せっかく発足したものがすでに揺れておるわけであります。揺れておるというのは、行革の関係でありましょうね。行革が決定したわけじゃないのでしょうけれども、昨年新聞に出た構想として伝えられているものに、私や国土庁長官の地元であります中部の支社をやめてしまうとか九州支社をやめてしまうとか、東京と大阪だけに住宅をつくらせろ、名古屋なんかどっちでもいいと言っているのかどうか知らぬけれども、私はそれにびっくりしたのです。空き家数のパーセントを調べてみたら、名古屋は成績が非常にいいのですね。東京や大阪に比べて空き家のパーセントは少ないですよ。堅実にいっておる。住宅都市整備公団については、去年大いにここで議論をして、私どもあの法案に反対したのです。反対した理由は、生活に困窮する国民に住宅を提供しろという当初の法律の第一条が、その文章が消えてしまったからけしからぬと言って、これからも賃貸住宅や公営住宅をつくれと言っておるのですね。私どもが去年あれだけ議論をして、そんなこと言ったって住宅があいているとか、これでがまんしてくれと言っておいて、年末になったら今度は与党もそろって、景気対策のために住宅をつくらなければならぬ、もっとふやせなんて、建設省が要求しておるよりも与党の要求の数字の方が多かったという珍現象が御存じのようにあらわれた。  そういうことの主力である住宅都市整備公団が中部や九州をやめてしまえ、どうなっておるのかと思うのですが、この住宅都市整備公団の行革問題についてどうお考えなんですか。
  52. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 大臣お答えいたします前に、ちょっと私から現状等につきまして事務的な御説明をさせていただきたいと思います。  行政管理庁が公的住宅の建設及び管理に関する行政監察というようなことで、昨年来監察が進められておるわけでございますが、その監察につきましては、まだ現在行政管理庁内部で検討中であると同時に、私どもの方に対しましても事実関係等につきましていろいろと突き合わせをするというような段階でございまして、いまお話しのようなそういう意向があるということは全然聞いておりません。  また、私どもの立場といたしてみますと、たとえば住宅都市整備公団の中部におきます名古屋支社であるとかあるいはまた九州支社等の管轄区域内につきましては、住宅統計調査によりましても、自力では最低居住水準を確保できないというような現状も多々あるように思いますし、また、良質なストックも不足しているというような現状でございますので、私どもとしては、今後需要動向を十分に勘案しながら、これらの地域におきますところの公団住宅の的確な供給を図っていく必要があるというふうに考えております。したがいまして、中部あるいは九州等の支社にうきまして、これを廃止するということにつきましては、毛頭考えておらないことをちょっと御報告申し上げます。
  53. 横山利秋

    横山委員 今度はちょっと褒めなければいかぬな。結構でございます。  委員長もいまのことについて非常に注目しておられた。選挙区でございますから。本当に、松野さんがおり、委員長がおり、私がおるときに、いまの答弁は非常によろしかったですね。ぜひそういうふうに実行してもらいたいのです。  時間がございませんので、私の質問はこれで終わります。
  54. 村田敬次郎

    村田委員長 これにて横山利秋君の質疑は終了いたしました。  次に、小野信一君。
  55. 小野信一

    ○小野委員 最初に建設大臣にお尋ねします。  先日、建設行政基本施策に関する所信表明をお聞きいたしました。聞きながら、どこかで聞いたことのある所信表明だなと思いましたし、印刷物を見ましても、記憶のある文章だったものですから、帰って斉藤前建設大臣の所信表明を見ますと、大同小異といいますか、つけ加えられておるのは入札問題とホテル・ニュージャパンの火災問題だけで、形容詞が削られただけでありまして、内容は全く同じだといってもいいくらいでありました。  もちろん建設行政の推進の仕方は、各領域の五年計画、長期計画中心に進められるわけですから、そんなに異なるはずはないという視点もあると私は思いますけれども、一年間の時間の経過というものは、やはり国民にとってはかなり大きいものではないだろうか、こう感じました。したがって、建設大臣建設行政を進めるに当たっての本当の気持ちといいますか、どういう順序で建設行政は進められなければならないのか、現在の日本の建設行政を進めるに当たっての環境はどんな状態にあるのか、大臣の率直なる所見をお伺いいたします。
  56. 始関伊平

    始関国務大臣 昨年の前大臣の所信表明とほとんど違わないではないかというお尋ねでございます。まただだいま小野委員が御自分でもおっしゃいましたが、建設行政の使命は、社会資本の整備を通じまして、安全でかつ潤い、のある国土環境を創造をして、活力のある福祉社会を実現するということでございます。こういったような使命は、ただいまおっしゃいましたように短時日では達成できるものではございませんで、たとえば外国の例をとれば、百年も二百年も繁栄の時代を通じて公共的な投資を続けてきた結果が、今日のイギリスなりフランスなり、ああいう国家の隅々まで行き届いた社会事業の整備した、社会投資の整備した国土になっていると思うのでありまして、わが日本におきましても、まだ始まってから二十年か三十年でございますので、長年にわたって日々の行政を積み重ねることによって、着実に建設行政の推進を図ってまいりたいというのが基本的な態度でございます。  しかし、非常に機微な点で情勢も変わってまいっておりますが、もうすでに御案内のとおり、いま国の予算による公共事業の伸びは期待できませんので、財政投融資を主たる財源とする住宅建設にさしあたり特に重点を置くとか、われわれとしてはいわゆる談合問題にも善処しなきゃいかんとか、いろいろの若干のニュアンスの違いはお酌み取りをいただいたと思いますけれども、しかし根本はいま申したとおりでございまして、建設行政をめぐる環境は厳しいものがございますが、各種制度の改善など、創意工夫をこらして建設行政の積極的な推進に努めてまいる所存でございますので、よろしく御指導と御鞭撻を賜りますようにお願いをいたします。
  57. 小野信一

    ○小野委員 前斉藤建設大臣の所信表明あるいは始関建設大臣の所信表明は、あなたの部下が日本の建設行政を進めるに当たっての背後関係を分析して書いたものであることは間違いないわけです。しかし、斉藤建設大臣始関建設大臣の育った環境あるいは考え方、あるいは建設行政から受ける自分の判断、それらは当然異なってこなければならないはずだと私は考えます。その前大臣と違う、日本国土を建設する際の違いというものは、大臣が異なることによって異なってこなければならないはずだ、もし大臣がかわることによって変わらないとするならば、私は大臣は必要ない、建設省のお役人さんにすべて任せておって何ら日本の建設行政は変わらないはずなんです。したがって、私は大臣がかわることの意味を大きく評価したいわけです。その必要性を感じますので、前の斉藤建設大臣始関建設大臣は、どこにわが国の建設行政を進めるに当たっての違いがあるのか、どういう選択の基準の違いがあったのか、その点を私は聞きたいわけなんです。私は再度答弁を求めます。
  58. 始関伊平

    始関国務大臣 先ほど申し上げましたように、非常に大きな国土の建設、国土環境の整備ということを目指して建設行政が進められておるわけでございますから、大臣がかわったからといってそう根本的な点においてまで変更があるということはむしろおかしいと思うのでありまして、私といたしましては、やはり建設行政の対象には国民の日常生活にきわめて関係の深い、たとえば道路でも地方の道路でありますとか、下水道でありますとか、もう一つ、近ごろではゆとりのある国土、また都市の整備というような点からいたしまして、公園緑地の開発でありますとか、そういったような点もございますので、それと国土全体の骨格をつくる大きな道路でありますとか、産業の基盤の整備にかかわるものとかいろいろございますが、感じとしてはやはり国民生活に関係の深い部分に重きを置いてやってまいりたい。住宅などを取り上げますのも、一面におきましてはそういう意味になるわけでございまして、前の大臣の所信表明の文案を余り読んでおりませんが、基本の線は一本しんが通っておりませんとかえっておかしいということになると思いますけれども、そういったような、いまの国民のいろいろな考え方、事情に応じまして、それからまた、これは所信表明に書いてあったかどうか存じませんが、宅建業者の指導につきまして、模範約款、標準契約約款というようなものをつくりまして、家を求める、よりよい住まいを求める多くの国民大衆が安心して宅建業者とつき合えると申しますか、いろんなことを頼める、こういう条件を整備するとか、そういう方面に特に着意をいたしまして施策を進めてまいりたい、かように存じております。
  59. 小野信一

    ○小野委員 一連の経過の中で、地価の高騰が前二、三年よりも鈍化しておる、人口の社会移動の変動率が小さくなったとか、いろいろ、建設行政の担当者から見るとそれはど大きな変化でないかもしれませんけれども住宅を求める人間にとっては非常に大きな変化なわけですから、国の立場だけではなくて、国民の立場から考えた場合にどんな建設行政を進めなければならないのか。いろいろな違いは私は当然あっていいと思うのです。そういうことを聞きたかったわけですけれども、次に進みます。  きのうの新聞ですかおとといの新聞ですか、建設省は、一兆円の公共投資の増加は、二千億円の税収入の増と一千億円の輸入の増加につながる、こういう新聞発表、記者会見をいたしておりますけれども、その算定の根拠を説明願いたいと思います。
  60. 丸山良仁

    丸山政府委員 いま先生お話のあったようなことは、事務当局で検討している段階でございまして、まだ確定したものはございません。新聞に出ておったといたしますと、これは発表したものではございませんで、取材に応じて担当者があるいはしゃべったのかもしれませんけれども、まだ国会でお答えするような確定的なものは出てまいりません。
  61. 小野信一

    ○小野委員 それはどあやふやな記事ではありませんでしたけれども官房長も十分見ておるはずなんで、もし発表できないにいたしましても、発表できる段階までの相談なり計算なりはしてあると思うのですが、あやふやなものであっても、その算定の根拠、どういう条件のものを与えられますとそういう三つの条件が生まれてくるのか、その点を説明願いたい。
  62. 丸山良仁

    丸山政府委員 申しわけございませんが、まだ私も事務当局で検討していることを聞いておりませんから、よく聞きまして、先生のところに御説明に上がりたいと思います。
  63. 小野信一

    ○小野委員 それでは、所信表明の中で、建設行政中心課題をこう説明しております。  「社会資本の整備を通じてすべての国民が快適な生活を享受できる豊かな住みよい国土を建設すること」、その条件といたしまして、要するに現状分析として、二十一世紀には、昭和七十五年、人口の七〇%以上が都市に集中する。面積も、現在よりも四千六百ヘクタール都市面積が必要である、こういう前提に立って建設行政を進めなければならぬ、こう書いておりますが、現在の建設行政の速度からいきまして、あるいは各領域の五カ年計画あるいは七カ年計画からいきまして、それに間に合うようなスピードで現在の建設行政は整備されておるのですか。
  64. 丸山良仁

    丸山政府委員 われわれといたしましては、公共投資と申しますのは、申すまでもないことでございますけれども後追いであってはならぬ、なるべく先行的に投資をいたしたい、こういう心構えでやっているわけでございますが、一方におきまして財政難という重大な障害があるわけでございます。したがいまして、与えられた予算をなるべく有効、効率的に使うことによってその目的を達成したいと考えておるわけでございますが、大体二十一世紀初頭までにはわが国の社会資本の整備のおおむねのものを概成いたしたいという考え方でございまして、いま先生の御質問に何とか対応できるように、最大限努力をしてまいりたい、このように考えております。
  65. 小野信一

    ○小野委員 大臣、ことしの建設計画を進めるに当たっての予算を見まして、たとえば地方自治体の独自の下水道予算を国の中に吸い上げていく、こういう形で建設行政を進めなければ、実際はそのスピードに合わないような実態になっている。非常に公共投資のスピードが鈍っております。したがって、当然各年次計画を改めなければならない、あるいは不景気を利用して、公共投資の増額を建設省が積極的に財政当局に働きかけなければならない段階に入っておるのではないか、こういう気がいたしますけれども、それらに対する基本的な考え方を私は先ほどの大臣の所信の中で本当は聞きたかったわけです。  現在の建設行政を進めるに当たってのスピード、それに対する裏づけとなる予算、これらが全く計画とはかけ離れたものになっておるのじゃないか。二百四十兆円を投資する、それが不可能になって百九十兆円に縮小する。そんなことで各年次計画が完成するわけはない。一方では物価が騰貴しておる、特に地価が高騰しておる。それに対する基本的な建設大臣の所見を伺わなければならないのですが、いかがなものですか。
  66. 始関伊平

    始関国務大臣 ただいまのお話はまことにごもっともだと思います。国民の需要を満たしたい、それから五年計画というものがそれぞれできておりますので、それを予定どおり遂行するというような意味合いと、それからもう一つは、やはり公共投資というものが景気刺激あるいは内需拡大の大きな要素になっておるわけでございますから、ただいま御指摘のように、公共投資に関する国の予算、それから財政投融資、地方の分もございますが、そういうものを大きくしたいということは、私どもの非常な強い願望であります。ただ、いま財政再建、行政改革というようなことでゼロシーリングというようなことで、この三年来横ばいになっておるわけでございますが、これは大変残念でございまして、建設行政、公共投資はいま冬の季節になっておるのではないか、しかし間もなく春が来るだろうということを私は就任当時から申しておったのでございますが、今度は最近における成長率の伸びに対処いたしまして、先ほどもはっきりした御返事が申し上げられませんでしたが、そういう意味合いを含めて、やはり公共投資というものをだんだん大きい方に持っていくということが認められ得る条件が、だんだん整備されつつあると思うのでございまして、皆様の御理解と御鞭撻をいただきまして、今後一層努力してまいりたい、かように存じております。
  67. 小野信一

    ○小野委員 何といっても土地問題がその大きなネックであり、その障害になっておるだろうと予想されます。、そこで、住宅問題についで少しお尋ねいたしますけれども、現在非常に住宅地不足だと言われております。しかし、国土庁では土地はあると判断しておるのですか、それともないと判断しておるのですか。まずそこからお尋ねいたします。
  68. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 もともとわが国全体の面積の中で可住地面積が非常に少ない、わずか八百万ヘクタールしかないわけでございますが、そういう中で農業用地あるいは住宅用地等の競合が大変多いわけでございます。ただ、これらの調整さえうまくやりますれば、土地の絶対量としては必ずしも不十分ではないというふうに考えております。
  69. 小野信一

    ○小野委員 絶対値としては十分わが国の人口あるいは産業を吸収するだけの土地はある、こう判断しておるようです。  そうしますと、現在はその土地はどういう所有関係にあると判断しておりますか。
  70. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 わが国の土地所有につきましては、個人の所有形態という私有形態が大変多いわけであります。そこで、この十年間の歴史を比較いたしてみますと、この十年間に個人の土地所有者の数が延べ三千万人から四千万人にふえるということがございますし、それから、一方では四十年代後半にかけまして法人の土地の所有がふえるということもございます。そのほかに国、公共用の土地も、所有形態としては逐次増大をしつつあるというのが土地所有形態別に見たわが国の土地の流れというふうに考えております。
  71. 小野信一

    ○小野委員 要するに、自分が使用するために持っておる土地以外の、もうけるために持っておるもの、土地の売買をするために持っておるものはどういうもので、どれだけの面積があると計算しておりますか。
  72. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 八百万ヘクタールの可住地につきまして、全部の所有形態と利用形態とにつきます調査は、全部は完了しておりません。ただ、個人の所有土地の中で、先ほど延べ四千万人の所有者と、いう数になったということを申し上げましたが、このうち三千万人は住宅地の所有者でございます。それから一千万人が農地の所有でございます。これらの中にはいろいろな資金的余裕があるの一で、将来に備えて保有をしていくというものもあろうかと思いますが、大半が何らかの形で現在あるいは将来の利用を考えて所有しているものというふうに考えております。  それから、私どもで資本金一億円以上の法人の土地所有について調べておりますが、これは実は大半は事業用土地でございます。そのほかに販売用土地と称するものが全国で一番新しい、一昨年末の数字ぐらいで約九万ヘクタールほどあるということになっておりますが、実はそれの大半が市街化調整区域の中にあるというのが現実の姿でございます。
  73. 小野信一

    ○小野委員 個人の所有地あるいは事業用所有地、それらについて、それを住宅用地として吐き出させるということが非常にむずかしい。したがって、問題は企業が持っておる販売用の九万ヘクタールをどう活用するかが現在の建設行政の中で最も緊急な課題だと私は思います。その半分が市街化調整区域の中にあるといたしまして、売れる土地が四万五千、五万ヘクタールあるとするならば、これは住宅用地の解決のために非常に大きなものとなるはずであります。これがなぜ皆さんの力によって、国の行政指導によって吐き出すことができないのか、その理由を伺いたい。
  74. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 資本金一億円以上の企業が保有しておる土地の地域区分別の所在状況をさらに申し上げますと、実は住宅地需給が逼迫していると言われます三大圏の市街化区域の中にはわずか八千ヘクタール足らずしかないわけでございます。そのうちの約七割がすでに宅地造成その他の工事が着工されておりまして、いずれはこれは必ず出てくるもの、残りまだ開発許可その他手順の関係で着工に至らないものが三割もない、つまり二千数百ヘクタールしかないという状況でございます。大宗を占める市街化調整区域につきましては、販売できるとおっしゃいましたが、都市計画制度その他の制約から、必ずしもすぐに販売できるということではございませんし、四十年代後半に将来を期待して必ずしもすぐに販売できそうのないところも購入したということがかなり大きく影響しているのではないか。したがってそういう意味で、そういう中で調整区域の開発許可を、でき得るところにつきましては、相当許可の年数もかかるわけでありますから、そういう手順をスピードアップするということなどによりまして対応できるものもあろうかというふうに思っております。
  75. 小野信一

    ○小野委員 市街化調整区域内の農地につきまして宅地開発することは、私は原則的に反対でありますから、そういう前提に立って申し上げますけれども、幾らの土地であっても、売れる土地を企業が持っておる場合、どんな小さい面積であってもそれを住宅用地として活用することがいま政府に与えられた最大の任務じゃないのか、私はそう思います。ところが企業の方から考えてみますと、それは赤字決算の場合に赤字補てんのために売りに出す、要するに黒字経営の場合にこれを売りに出しますと譲渡税のほかに法人税その他が莫大になりますから、赤字の場合にだけ売りに出す、こういう財政補てん的な要素をなしておることが非常に多いのですね。したがって、ここの部分にメスを入れることによって吐き出させることがいま大きな行政指導の要点じゃないかというような気がいたすのですけれども、それに対して建設省の方からあるいは国土庁の方かち大蔵にかけ合って、これに対する税金を、譲渡税以外には税金が賦課されないような何らかの方法をとるべきだ、そう考えるのですが、いかがですか。
  76. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 税金の面などで申し上げますと、たとえば従来は市街化区域の中に保有している土地につきましても、あるいは調整区域のように原則的に開発ができないようなところに企業が保有している土地でありましても、同じように特別土地保有税が永久的にかかる、こういうようなことで企業負担を重くしていた面があると思いますが、私ども今回の改正案の提案に当たりまして、およそ開発のめどの立たない市街化調整区域の中にある土地につきましては、十年間で特別土地保有税の保有分を打ち切りにする、ただし、市街化区域の中で保有している土地につきましては、企業が努力さえすれば開発可能なところでございますから、これは開発をしない限り従来から保有していたものにつきまして、永久的に特別土地保有税をかけるというような形で御提案を申し上げたわけでありまして、こういうようなことでありますとか、あるいは建設省にやっていただいております住宅宅地関連公共施設整備の促進、こういったような施策、さらには五十年代に入りましてから余りございませんが、買ってから三年もたって放置されておりますような土地につきましては、国土利用計画法に基づきます遊休地として積極的な活用指導あるいは買い取りをしていく、こういうようなことで、できるだけ未利用地の利用促進に努めているところでございます。
  77. 吉田公二

    ○吉田(公)政府委員 市街化区域の中、特に三大都市圏の市街化区域の中に企業が事業用として持っております土地が、余り大した量がないと先ほど国土庁からの御答弁がありましたけれども、大した土地ではございませんとしても、これを宅地化していくために必要な努力ということで、私ども、公共団体とも協力いたしまして、宅地開発促進計画等を進め、かつまた事業執行に対する財政的な、財政資金による事業資金の供給等も行っており、関連公共施設の整備も行っておりますが、こういったことを進めるのがまず第一でございます。  またさらに、市街化調整区域の中におきましても、関連公共施設の整備、土地の利用との調整、そういうものが円滑に進み得るものにつきましては、開発許可適正な運用でございますとか、そうした面につきましてもただいま公共団体等とも協議いたしまして、開発に手をつけ得る、そういうものについてできるだけ促進していくという努力をやはか並行して進めていくところでございます。
  78. 小野信一

    ○小野委員 地価を見ますと、買う方から言わせますと高ねの花です。高ねの花であれば、社会的な評価からいけば当然土地が供給されなければならないはずなのに供給されない。これはどういう理由によるものなんですか。
  79. 吉田公二

    ○吉田(公)政府委員 宅地の価格が高いということはいろいろの原因があろうかと思いますが、基本的には大都市地域中心といたしまして、住宅地需要を中心といたしました需要が非常に強力に背景にあるということでございますが、一方宅地の供給の面が停滞をしている、こうした宅地の需給の不均衡と申しますか、売り手市場になっているというところが根底にございます。さらに経済成長の動向でございますとか、あるいは金融とか各種の経済情勢が需要面の方に作用した結果が宅地の価格になっているということであろうと思いますが、その宅地供給が停滞している主な理由というのは、大別しますと大きく二つになると思います。  一つは、素地の供給が停滞しているということでございまして、たとえば市街化区域内の農地等の宅地への転換というものが停滞しております。これは確かに土地を手放すことを控えるという傾向がございますが、またもう一つには、現行の土地税制が、四十七、八年ごろの異常な土地騰貴の時期に、これの対策といたしまして非常に厳しい内容の税制となってございます。これがある意味では投機的な土地取引の抑制には非常に大きな効果を持ったわけでございますが、今日の状況から見ますと、土地取引の円滑化に対しまして阻害要因になってきたという面もございます。そうした意味で、宅地の問題の一つの要素、素地の供給の面に対するブレーキ的な要素をなしていたと思われるわけでございまして、こういった面に対しましては、ことしの税制改正で一つの大きな眼目にしていただいたような次第でございます。  それから、宅地供給のもう一つの問題というのは、土地の造成コストと申しますか、事業費が非常にかさむような傾向になっております。土地の造成それ自体についての造成費もかかるわけでございますが、関連公共施設の整備の問題でございますとか、あるいは有効宅地率の問題、こういつたところにはある意味では地方公共団体指導方針等も絡むわけでございますが、そうしたものが総合的に作用いたしまして、宅地のコストアップの要素となっているわけでございます。  そういった意味で、素地の供給が非常に細くなっている、それからコストがかかっている、こういったものが二重に作用して宅地の供給の停滞に連なっているわけでございますので、こうした面の打開が非常に大きな問題ということで、一つには税制の改正、それからもう一つにはコストアップを防ぐ、なるべく抑制していくための関連公共施設整備の充実でございますとか、あるいは公共団体におきます円滑な宅地供給を行うための方策等についての指導、そういったものを総合的に私ども努めてまいるつもりでございます。
  80. 小野信一

    ○小野委員 総合的に行っても素地の供給がこれから伸びるという可能性はないのではないですか。
  81. 吉田公二

    ○吉田(公)政府委員 一番大きな問題は素地の流動の問題でございますので、この点につきましては、従来の土地税制の大幅見直しという効果が私は必ず作用するというふうに確信しておりまして、まず土地が動くということが先決でございますので、この面がことしの税制改正によって非常に作用するということを、まず一番大きな期待として持っております。
  82. 小野信一

    ○小野委員 農地なり原野あるいは山林を持っておる所有者の皆さんが、過去の経過から見てどういう条件になったときにこれを売りに出した、これはどういう分析をいたしておりますか。
  83. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 国土庁では、毎年抽出調査によりまして土地の保有移動調査というものをやっておりますが、そういう中で、個人で土地を売ったことのある人の売った理由をいろいろ調べてみますと、農家と非農家の間で若干様相が違っておりますが、共通して言えますことは、自己あるいは子弟の住宅建築資金を得るために土地を売ったというもの、あるいは賃貸アパートをつくるために土地を売ったというものが一番多くなっております。それから、生計費あるいは借入金を返済するために売ったというものが同様に非常に多うございます。それから、相続税あるいは固定資産税の支払い、負担に耐えかねてこれを処分をしたというもの、さらには公共用地にどうしても売ってくれということで売った。それからもう一つは、自分から積極的に売るつもりはなかったのだけれども、開発業者からどうしても売ってくれと強く求められて手放した、こういったような多彩な傾向を示しております。  いま申し上げました中で、自己の住宅建築資金をつくるために売ったというのは、農家よりも非農家の方に大変多うございます。それから、当然のことでありますが、賃貸住宅なり賃貸アパートをつくるために売ったというのは非農家よりも農家の方にずっと多い。それから、相続税を払うために売ったというのは、非農家よりも農家の方にずっと多い。それから、東京のように地価の高いところですと固定資産税の負担が多いので売った。こういうさまざまな理由があるわけでありまして、このさまざまな理由にきめ細かく対応できるような宅地供給策を講ずる必要があるというふうに考えております。
  84. 小野信一

    ○小野委員 要するに、現在の税制なり土地政策の中では、土地所有者が素地としてこれを売り出す条件がないということだと私は思います。要するに、税制を変えましても地価がそれ以上に高騰すれば持っておった方が有利なわけですね。税金を払っても有利なわけですから売らない、これが現実の姿だろうと思う。要するに、将来税金が高くなる率よりも地価が高騰するその見通しがある限り、所有者は売らないという原則は私は当然だろうと思う。したがって、将来持っておってももうけにはならないという条件をここでつくり出さない限り、素地は提供されないことは明らかであります。私は、そこにメスを入れることを望むのですけれども大臣、それに対する見解をお伺いいたします。
  85. 小笠原正男

    ○小笠原政府委員 大臣お答えの前に、一言御説明申し上げておきたいと思います。  昭和三十年代以降の高度成長期には、確かに大体地価上昇率がたとえば預金金利を上回る、こういう年が多かったというふうに思っておりますが、安定成長期に移行いたしました四十九年以降かなり様相を異にしております。五十年代に入りましてからの地価上昇率を見てみますと、他の、たとえば貸付信託等の運用と比べて必ずしも有利とは言えないような、そういう状況になってきていると思います。  そういう中で、たとえば市街化区域の中の農地を所有している人が、自分の農地を十年先を見通してどうするつもりかということを調べてみますと、もう売るものは売ってしまったから、あとはもう絶対に売らないという方が三分の一はいることは事実であります。しかし、残りの三分の二、これは一部分あるいは大部分、機会があれば売りたい、あるいは自分でより有利な賃貸アパートの経営などに転用したいという方もかなりいるわけでありまして、そういう意味でそちらの面に向けての税制なりあるいは賃貸住宅建設に対します援助措置なり、あるいは宅地並み課税なり農住組合制度の活用なり、いろいろな対策を講じてまいりますれば、宅地が流通に回るあるいは住宅地に対する転換が促進されるというふうに考えているところでございます。
  86. 小野信一

    ○小野委員 次に移りますけれども、戦前と戦後の持ち家と、それから借家の率を比較してみますと、昭和十六年にわが国で持ち家が二二・三%、借家が七五・九%でありました。年々持ち家比率の方が大きくなりまして、特にこれは戦後でありますけれども、最も高かったのが昭和三十三年の持ち家が七一・二%で借家が二二%であります。昭和十六年とは完全に逆転いたしております。これはどういう理由によって逆転いたしたというふうに判断いたしておりますか、お聞きいたします。
  87. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいまお話がありました戦前と戦後におきます持ち家と借家の比率の逆転につきましては、私ども、終戦の直後におきまして、戦争中の戦災であるとかあるいはまた強制疎開等によりまして約四百二十万戸に上る住宅不足が生じておったと推計しておりますが、そういうような状況の中で、国民の方々が緊急にまず自分の住む家を何とか確保するといったようなことがありまして、絶対量の不足の中でこのような逆転状況があったのではないか、これが基本であろうかと考えております。
  88. 小野信一

    ○小野委員 建設白書でいう、要するに世帯数よりも建物の方が多くなった五十四年度において、持ち家が七一・四%で借家が二八・六%になっております。戦前から戦後にかけて逆転いたしましたけれども、また五十年度ごろから持ち家志向が伸びてまいりました。これはいま局長が言う説明では納得できる現象ではありません。したがって国の政策なり国の指導方針によってこういう傾向がもたらされたと判断するか、あるいは他の条件によって呼び戻されたものではないのか、こう判断せぜるを得ないのですけれども、その分析はいかがですか。
  89. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいまお答え申し上げましたのは、戦前といわば戦後直後の状況等につきましてお答えいたしたものでございますので、その後の戦後の動き等につきまして補足して申し上げますと、戦後、やはり高度成長期に入りましてから大都市圏への人口の集中が続いたというようなこと、また、世帯の分離によりまして若年層の方々の新しい世帯形成の増加、こういったようなことが終戦後から高度成長期に至りまして借家がふえていったことの大きな原因であろうかと思うわけであります。したがいまして、本来持ち家と借家というのはやはり国民の需要に基づくということがまず第一点でありまして、その需要が世帯の成長の各段階に応じまして変化しているといったようなことではなかろうかと思うわけであります。したがいまして、たとえば持ち家に対します需要は、一般には人口の定住化が進むというようなときに増大する傾向がありますし、また、自己の住宅としての居住の安定性あるいはまた処分の自由性あるいはまた資産としての保有の有利性、そういったようなことも要因として考えられるかと思います。また一方、借家に対します需要というのは、いま申しましたように一般に人口の流動性と密接な関係があるというふうに考えられます。これは入居あるいは転出が容易である、あるいはまた、立地が相対的に良好であるというようなことに加えまして、一時に多額の住居費負担を必要としない、こういったようなことであろうかと思います。したがいまして、私どもといたしましてはこういったような国民の住宅選好の動向というものを考え、また、世帯成長の各段階に応じた、いわばライフサイクルに応じた対策をそれぞれに対応して考えていくべきではなかろうかというふうに考えているところでございます。
  90. 小野信一

    ○小野委員 戦後持ち家志向に走った大きな原因は、もちろん国の方針もありますけれども方針というよりも無策がそういう形にあらわれたのですけれども、もう一つの大きな原因は所得税にあるのじゃないだろうか。要するに昭和九年から十一年までの年収百五十万以下、これは昭和五十年度の換算ですけれども、家賃は大体一%でありました。ところが昭和四十五年になりますと家賃は三・一%払わなければならぬ、こんな形になっております。戦前五百万所得になりますと三・七%、現在は一七・二%ぐらいの家賃を払わなければならない、こうなっております。そうしますと、当然家賃を払うならば、その分が控除をされないとするならば持ち家を持った方がいいという結果になるだろう。したがって貸し家に住みたい、借り家に住む、持ち家の方を遠慮するということをするためには、家賃を所得控除することが最も公共住宅に入る近道になりはしないのだろうか、そういう感じを私は受けます。したがって、戦前から戦後にかけて持ち家と借り家が逆転した最大の理由は、家賃を所得控除しなかったことではないだろうか、そういう気がいたしますけれども、いかがなものですか。
  91. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 借家に対します家賃の所得控除ということにつきましては、先生からの御提案は一つの御意見であろうかと思いますし、また、いろいろな税制の議論が行われます場合にそういったような御意見も出されておったというふうに聞いております。しかしながら、家賃のような経常的な支出につきましては、基本的な生計費の一部をなすものであるというようなことから、基礎控除等の一般的な控除の中に含めて考慮されているというのが現状でございまして、昭和五十五年の政府の税制調査会の答申におきましても、その点につきまして、税制にいろいろな控除を設けるということは複雑にするようなことになるし、また、個別の事情がいろいろ千差万別であるというところから、それを税制においてしんしゃくするにはおのずから限界がある、したがって、これについては税制としての特別な控除を認めることはいかがであろうかというふうな御意見が出されておるというふうにも聞いておりますので、当分若干むずかしいのではなかろうかというふうに感じております。
  92. 小野信一

    ○小野委員 アメリカの場合に金利が二〇%前後でありますけれども、それでも住宅建設の戸数が落ちないその理由は、住宅ローンが所得控除になっておるからであります。わが国の住宅建設は、住宅事情が非常に悪い、住宅建設がわが国の経済景気浮揚策の中で最大にいま焦点が当てられるとするならば、住宅建設をこれ以上伸ばそうとするならば、そのような対策を立てることが最も有効な手段になるはずでありますけれども大蔵省考えるんじゃなくて、建設省の方で、このような条件をそろえることによって住宅建設戸数がふえるのだ、そのことによって日本経済にこれだけ寄与できるんだから早急に実施すべきだという要求を行うべきだと私は思うのです。大臣、いかがです。
  93. 始関伊平

    始関国務大臣 住宅宅地に対する税制は、かねて国土庁と建設省が長い間要望しておりましたものが今回はおおむね通ったわけでございまして、たとえば優良な宅地を譲渡する者に対しましては、三年間を限りまして四千万までは二〇%、その上は二五%ですか、分離課税というようなことで、大変画期的な制度もあるわけでございます。これらの点につきましては、国土庁と建設省が主導権をとりましてその要望が実現した、このように考えております。なお、住宅の取得につきましては、これも引き上げまして年間六万七千までですか、控除があるわけでございます。  不十分な点はございましょうけれども、われわれは宅地につきましては税制だけではいかぬけれども、税制を無視してはぐあいが悪いということで、また、住宅につきましても同様な考え方で、かなり努力してこれが相当大幅に認められた。なおまた、先ほどお話がございましたが、土地の価格が上がるという見込みが大きければ、これが宅地の流動を妨げる原因になるわけでございますけれども、一方におきまして税制がだんだん甘くなるという見込みがあればこれもまたぐあいが悪いんで、今度はほほ最終的な、これ以上甘くはしませんよという意味も含めた、そういう宅地並びに住宅の税制改正が行われる、かように承知をいたしております。
  94. 小野信一

    ○小野委員 景気浮揚策として公共事業前倒しなり増額が経済企画庁の方から要求されてまいります。私は、建設省の方の存在がもう少し強くていいのじゃないかという裏返しになると思うのです。要するに建設省の各計画を年次計画どおり推進するために、ちょっとでも不景気になったら建設省の方から、こういう事業を行うことによってこれだけ景気が回復するんだからこれだけの予算をくれ、そういう要求を積極的に行うべきだ。いままでの場合は全部逆です。大臣はなお謙虚に、現在いただいた税制の中で、住宅政策の中で、土地政策の中で、前よりはこれだけ進展いたしましたから十分でありますというような発言では、建設行政を進める上に当たってまことに心細いというふうに私は感じます。住宅戸数も百十万戸に落ち込んでおります。五十七年度で百三十万戸まで伸ばさなければならないとするならば、これだけのものを改正してほしいということを建設省経済企画庁なり大蔵になぜ要求できないのか、その弱腰を私は心配するのでありますけれども、むしろ百三十万戸に住宅をふやすためには住宅ローンは所得控除すべきである、それを行えば百五十万戸にもなりますよという要求を、数字を背景にして何で要求しないのか、そのことを私は言いたいわけです。もう少し強気になってほしいと思うのですけれども大臣いかがですか。
  95. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 先ほど大臣から基本的なことをお答え申し上げたわけでございますが、私から若干補足さしていただきたいと思います。  五十七年度の住宅関係の税制なり予算につきましては、御案内のとおり特段に公的住宅金融の充実に努めたところでございまして、住宅金融公庫につきましては貸付限度額の引き上げであるとか、あるいはまた、中古住宅に対します金利の引き下げ等々行ったわけでございます。また、財形住宅融資につきましても、五年間について最初の二年間は二%の利子補給、それから三年間は一%の利子補給といったような手を打つと同時に、貸付限度額も引き上げてまいったところでございます。そういった公的金融をいわば複合的といいますか、総合的に御利用いただくことによって、公的な住宅金融については国民にとって相当のプラスになるのではなかろうかと思っております。  また、住宅、土地税制につきましても、土地税制は先ほど計画局長からお答え申し上げましたが、住宅税制につきましても、ローンについては従来五%、三万円を限度としておりました控除を七%、五万円までに引き上げさせていただきましたし、土地税制の効果等も相当強く出てくると思います。  したがいまして、私どもも他律的なというよりは、私たち自身が住宅建設についてどういうふうにしたらいいかということをいろいろ考えまして最大限努力をした結果、五十七年度の予算案のようなことになったということで、これらはかなり効果があるものと期待いたしているところでございます。
  96. 始関伊平

    始関国務大臣 先ほどのお話でございますが、百三十万戸ということを提唱いたしましたのは経済企画庁の長官でございます。しかし、百三十万戸の建設計画の実施を担当いたしますのは、土地の方は国土庁にも大変御厄介になりますが、建設省でございますから、百三十万戸というものを頭に置いて、これをやるには税制はどうすべきである、住宅金融公庫の貸付限度額の引き上げとか利子補給とか、いろいろな改善策、これはすべてわれわれの方が主導権をとってやった。ここに村田委員長がおりますが、党の方にも大変お世話になった、こういうことでございまして、百三十万戸の計画と、それに伴ういろいろな諸施策をお仕着せでやったということではなくて、われわれの方が、言葉は悪いかもしれないが闘い取ってスタートした、こういうことでございますので、当事者の印象とよそから見ている方の印象と違うかと思いますが、その点はひとつ御了承いただきたいと思います。
  97. 小野信一

    ○小野委員 住宅金融公庫の枠の増額であるとかいろいろな措置、要するに持ち家制度を推進するこういう、私は住宅金融公庫制度をもちろん否定するつもりもありませんし、進めていかなければならないと思いますけれども、土地が高騰じたり、貸し家と持ち家の比率が逆転した一つ理由は、住宅金融公庫制度の活用が大きな要素になっていることは間違いない。土地政策、地価政策なしに住宅金融公庫を無制限に拡大いたしますと地価の高騰を招く、これは間違いない事実であります。したがって、住宅金融公庫の制度改正は、土地政策と地価政策の裏づけを持ってきちっと行わなければならない、私はそのことが最大の大切な点だと思います。  それから、百三十万戸で満足しておられるようでありますけれども、第四期五計からいきますと、少なくとも百五十万戸以上建てなければこれは実現できないはずである。百五十万戸の財政的裏づけは何もありません。要するに二百四十兆円の公共事業費を七等分したにすぎない計算であります。したがって、建設省はこれらの計画を実現するために、財政的な裏づけをあらゆる機会に確保する努力をなさなければならないはずであります。にもかかわらず、そのような努力が内で行われておるとして心外からは一向に見えない、むしろ経済企画庁の方に建設省仕事をリードされるような傾向が見えて、私は非常に残念に思う。何で建設省の方が、公共事業の選択にしても、公共事業前倒しにしても、各自の計画を達成するために先に言えないのか、その積極性を私は大臣に希望しておるわけでありますけれども、最後に一言御答弁を願って終わります。
  98. 始関伊平

    始関国務大臣 ただいまは、いろいろと建設省に対する御激励と承りまして、今後その御趣旨に沿いまして、なお一層の努力をいたすつもりでございます。
  99. 小野信一

    ○小野委員 終わります。
  100. 村田敬次郎

    村田委員長 これにて小野信一君の質疑は終了いたしました。  次に、伏木和雄君。
  101. 伏木和雄

    ○伏木委員 大臣、所信表明を行ってからもう大分たって、どんな所信表明したんだかちょっと薄ちいできたような感じもいたしますが、このプリントをもとに若干お伺いをいたしたいと思います。  所信表明の中の「景気の維持拡大に配意するとともに、歳出規模を厳しく抑制することとした」という政府方針、あわせて内需拡大については、公共事業によって果たしていかなければならないという、公共事業の重要性についても触れられておるわけでございますが、この方針は、五十六年度当初においてもこのようなお考え予算執行が行われたと思うわけでございます。最近の景気の動向から見まして公共事業がどれだけ寄与してきたのか。ということは、昨年も私同じようなことを伺いまして、こういう厳しい財政下にあって公共事業を抑制する、しかし景気に対して公共事業が寄与していかなければならないとするならば、その寄与率の高い、波及効果の高いものを重点にしなければならないということを申し上げたわけでございますが、最近の景気の動向と公共事業の関係につきまして、大臣どのようにお考えになっておるでしょうか。
  102. 始関伊平

    始関国務大臣 公共投資の持っております一つの意味が内需拡大、景気の浮揚という点にございますことはもうお話のとおりでございます。それで、それとただいまのは、鈴木内閣の一番重要な使命であるとされております財政再建とか行政改革とかいうものがいささか矛盾する面もあるわけでございまして、私どもとしては財政再建、また行政改革というものを一段落させた後で、当然国民生活の向上、景気の浮揚という意味から公共投資をふやしてもらわなければならぬ、こう思っておったわけでございますが、ただいま御指摘のように、五十六年度の十-十二月期におきましてはある程度のマイナス成長ということでございまして、これは一番主たる原因は、御案内のとおり輸出の不振でございまして、内需の方はほんのちょっぴりでございますが上がっておるわけでございますけれども、そういう事態にかんがみまして私は公共事業というものを、さっき申し上げた意味から言えば時期が中途半端でございますが、見直していかなければならぬということに相なってまいっておると思います。  その具体的な方法が、一つ公共事業の発注額を上半期において七五%程度以上やっていこうという考え方になってまいった。なおまた、住宅金融公庫の資金等は年間を通じまして計画ができておりますが、これも需要がある限りどんどんこれを消化してさしあたり進めていきたい。あとの問題についてはいろいろまた問題もございますが、それはそのときで善処してもらう、こんなことが最近の景気の変動について、特に私のみならず、政府全体として考えております事柄だ、かように存じております。
  103. 伏木和雄

    ○伏木委員 いま輸出の低調が本年度の景気に重大な影響を及ぼしているということでございましたが、これはもう昨年からわかっていることであります。ですから、内需を従来以上に喚起していかなければならぬということで実は議論をしておるわけでして、内需について、公共投資というものが従来と同じような効率であっていいとするならば、結局は増額以外にない。ということになれば、また行政改革との、財政再建との関連も出てまいります。できる範囲の中でどのように努力していくか、これが問題だと思うわけでございます。五十七年度予算にこれも配慮したと言われておりますが、従来以上に景気に寄与するために、公共投資というものがGNPに対してより効果的に執行できるような努力というものが、五十七年度予算においてどのように行われているか、その御努力の跡がございましたらお伺いいたしたいと思います。
  104. 丸山良仁

    丸山政府委員 いま大臣からも御答弁申し上げましたように、来年度の予算は国費につきましてはゼロシーリング、こういうことになっているわけでございます。そこで、このゼロシーリングの中で何とかして事業量をふやしたいということでわれわれはずいぶん苦労したわけでございますが、その一つは財政設融資の資金を伸ばす、こういうことでございます。この結果、建設省全体の予算は、国費ではゼロでございますが、事業費では二%伸びております。そのほかに、地方団体にお願いをいたしまして、地方単独事業を八・五%伸ばしていただきました。これを合わせますと、建設省関係の事業は三・五%の増という形になるわけでございます。ところが一方、来年度の建設事業費デフレーターを見ますと約三・三%ということになっておりますから、何とか実質事業量は確保できたという程度でございます。したがいまして、寄与率から申しますと、先生承知のように公共投資はGNPの引き上げに対しましてはゼロという形になっているところでございます。     〔委員長退席、竹中委員長代理着席〕  そこで、問題はこれをどのように有効に使うかということでございますけれども一つは先ほど大臣からも御説明のございましたように、上期に集中的に投資をいたしまして景気の刺激をいたしたい。それからもう一つは、これは本年度の話でございますけれども、災害の前倒しということで、第四・四半期に、本来であれば三、五、二という比率の災害復旧でございますが、六、二、二という形で本年度の第四・四半期の予算をふやして景気刺激に当たらせている、こういうことでございます。  それから、具体的な問題といたしましては、生産誘発効果の大きい、たとえば住宅であるとか、下水事業そのものはいろいろの関係で予算が減っておりますが、その中でも特に刺激効果の大きい下水のパイプにつきましては七%伸ばしているとか、あるいは用地比率につきまして、なるべく用地比率の低いものに事業を行うということで、本年度の予算では二三%の用地補償比率になっておりますが、これを二一・三%に下げている、このようなきめ細かな配慮を払っているわけでございますが、何と申しましても全体のパイがそれほど伸びてないわけでございますから、景気刺激効果に及ぼす影響は、今後前倒しを行うことによって下半期をどうしていくかという大問題を抱えていると私は考えているわけでございます。
  105. 伏木和雄

    ○伏木委員 丸山さん、昨年この議論に対しまして、生産誘発効果よりもこういう財政規模の小さいときには波及効果をより重点的に考慮しなければならない、こういう御発言もございました。したがって、私も本年度予算案には相当のそうした努力が見られると、実はこう思っておったわけですが、その努力は私の目から見れば行われたとは思えないわけでございます。  それはそれといたしまして、ただいま大臣から前倒しの議論が出ておりましたが、この前倒しの問題も、建設省は慎重に行わなければならないと私は思うのです。私ども考えは、本来公共事業というものは景気の動向によってアジャストされるものではなくて、やはり長期計画に基づいて、社会資本というものはコンスタントに執行していかなければならない、こういうふうに考えております。こういう経済情勢ですからやむを得ないとして、簡単に七五%の前倒しと言いますけれども考えてみれば下半期には二五%しか仕事がないということです。経済企画庁の方では盛んに建設国債ということを流しておりますけれども、業界から見ればこれは迷惑な話でございまして、ここらが談合とか発注者との癒着とかなれ合いとかという問題が起きてくるもとになるんじゃないか。年間執行上半期に七五%やるから何とかひとつ協力してもらいたい、下半期は少し泣いてもらうかもしれぬぞ、こういうところに業界と発注者とのなれ合いというものがますます出てくるんではないか。あるいはそういうことがなかったにいたしましても、前半に七五%前倒し、後半に二五%ということになれば、あたりまえの業者であるならば、後半に仕事がなくなることがわかっておって前半に機械を入れたり労働力をふやしたり、後半二五%に比べれば前半七五%は三倍の仕事量ですから、その三倍の段取りをむやみやたらとつけてやるだろうか、後によほどの裏づけがなければ。これは子供が考えたってわかることでして、五十七年度予算審議中に補正の議論ができないという問題はわかりますけれども、これだけ七五%前倒しと言うて政府の方で騒いだ以上は、これは後期についてもある程度の責任を持たなければならぬ重大な発言だと私は思う。簡単に七五%やればいいんだという問題ではない。政府自身が後期に対する重大な決意を持たなければこういう発言はできないのではないか、こう考えるのですが、大臣、この点いかがでしょう。
  106. 始関伊平

    始関国務大臣 後期の問題が問題であるという点につきましては、去る十六日もそういう問題があるということを私から指摘をいたしました。その問題につきまして具体的に論議するにはちょっと早過ぎるということでございますが、そういう問題があるということ、つまり問題意識は内閣全体が持っておるのでございますから、世間もしかるべく読み取っていただいて結構だろうと思います。  なお、七五%の前倒しにつきまして、これは建設業者の遂行能力からいえばむしろゆとりがあるくらいで、そう無理な数字じゃない。七五%できるかどうかということは、主として発注側の、たとえば予算をどこにどう使うかということを決めなければいけませんし、それから設計、入札、いろいろな点の発注側の準備でそうなるということでございますから、ただいま御指摘の点をちょっと誤解したかもしれませんが、建設業者にそう無理をしてもらうというほどの数字ではないというふうに聞いておりますので、その点もあわせて御答弁申し上げます。
  107. 伏木和雄

    ○伏木委員 その辺が少し甘いのではないかと思うのです。ということは、公共事業は減りまして、それぞれそれに対応するように、会社を赤字にするわけにいきませんので合理化をやっているわけです。縮小するところは縮小しているわけなんです。かつて昭和五十三年のように、公共事業が三〇%も伸びるなんというようなときでしたらそういうことは言えるかもしれませんけれども、いま公共事業は低迷いたしまして、業界自身も縮小すべきは縮小するというときに、また急選七五%、後半は二五%だよ、これでは業界が、われわれはお国のためにやっているんじゃないか、お国はもっとわれわれに融通してもいいだろうという議論がそこから生まれてくるわけです。ですから、政府方針というものは、私は、業界に、常識的な方針というものを絶えず維持していかなければならない、このように思うわけです。そういう意味から、大臣は時期が時期だけに後期についてはいま口にできないというような、暗に示唆されたように私は思いますけれども、これは後期につきましては間違いなく補正されていくというように一般的には受け取ってよろしいのですか。
  108. 始関伊平

    始関国務大臣 重ねてのお尋ねでございますが、先ほど申し上げましたとおりでございます。
  109. 伏木和雄

    ○伏木委員 それからもう一点お伺いいたしたいのですが、これまた景気刺激についての住宅問題でございます。いままで住宅問題については小野さんからもいろいろ御指摘がございました。本年度住宅建設が不振、この最大の原因はどこにあるとお考えですか。
  110. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 御指摘めとおり、昭和五十六年度の住宅建設戸数につきましては、現在の住宅の新設着工統計の動向で見ますと、百十五万戸前後になるのではなかろうかと予測されておりますが、その最大の原因を端的に申し上げますと、やはり住宅の価格とその取得能力との乖離にあるということであろうかと思っております。
  111. 伏木和雄

    ○伏木委員 それでは五十七年度、これを是正するためにどのような措置がとられたわけでしょうか。
  112. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 昭和五十七年度の予算の編成に当たりましては、私ども住宅建設の促進のために、住宅金融公庫融資あるいは財形融資あるいは年金融資におきまして、貸付限度額の引き上げ、貸付戸教の増大等の措置を講じたところでございますし、また、財形融資につきましては、新たに利子補給制度を創設するということと、また、公庫融資の既存住宅金利の引き下げを行うことといたしております。さらに住宅、土地税制につきましては、住宅取得控除の拡充、一個入の譲渡所得課税の改善、居住用財産の買いかえ制度の創設等、各般の大幅な改正を行うこととしております。  これらに加えまして、政府経済見通しにおきましては、実質所得の回復も五十七年度は見込まれるであろう、あるいはまた建築費も引き続き安定した動きであろう、また、地価も安定化傾向にあるというようなことから、総合的に住宅建設を取り巻く環境は好転される、したがってむしろ取得能力というものもある程度回復するというふうに考えているところでございます。
  113. 伏木和雄

    ○伏木委員 ある銀行の調査によりますと、住宅価格は前年度比で一戸建てで約二三%上がっているというわけです。マンションでも約一〇%に近い上昇率を示しております。大体サラリーマンの平均収入が四百四十四万円と言われております。こういたしますと、平均収入の約七・七倍の価格でございます。  大体所得に対してどのくらいの比率であれば一般的に住宅の購入がしやすくなってくるか。本年度、価格の上昇と賃金の停滞ということが住宅建設を少なくしてしまったと言う以上は、来年度これを伸ばすからにはこうした条件が緩和されているかどうか。仮に住宅金融公庫、これは後ほど法律のときに議論はいたしますけれども、金融公庫貸付額を増額したといっても、現在のサラリーマンの平均収入から見まして、この程度では焼け石に水であります。その上金利が、段階制とはいえ、現在を据え置いて十年以降の利率の値上げということでありましても、これは二十五年平均でならしますと大体六%になるわけです。ということは、明らかに金利の値上げになってくるわけです。このように住宅が建てにくくなっている、条件を緩和しなければならないというときに、逆に金利の引き上げを行っていくということが私どもは理解ができないわけでありますけれども、もう少し考え方を変えていかなければことしの百三十万戸もまたできないのではないか、こう思いますが、いかがでございましょうか。
  114. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 先生御指摘のように、住宅価格とこれの取得能力との乖離ということにつきまして、どの程度であるか、またどの程度が適当であるかということにつきましては、地域であるとか住宅の規模、構造等によりましてかなりの差があろうかと思われます。私ども民間の首都圏におきますところの新規のマンションあるいはまた建て売り住宅等の平均価格、それと総理府で行っておられます貯蓄動向調査等によります京浜地区の勤労者世帯の平均年収を比較いたしますと、昭和五十五年度の調査でございますが、マンションにつきましては年収の五・二倍程度、また建て売りの戸建て住宅につきましては年収の六・四倍というふうになっていると試算されております。  これはどの程度がいいかということは、なかなかはっきりした、統計的な確たる理論的な数字があるわけではございませんが、いままでの各業界等の経験値等に照らしてみますと、マンションにつきましては年収の四倍程度、あるいはまた戸建て建て売り住宅につきましては年収の五倍程度であれば相当需要も大きくなるというふうに聞いているところでございます。  また、これらの乖離は、当然のことながら土地価格、建築費というものが安定することが必要でございますし、先ほどお示しのかなりの価格上昇というのはへ五十四年度におきますところの第二次オイルショック等を契機といたしまして引き起てされました物価の上昇が大きく影響しているかと思われますが、幸いに、最近におきましては、これらの価格につきましてもかなり鎮静化傾向が見られます。そういったような中で、所得の伸びということもある程度見込まれるということでありますならば、さらに公的金融の充実を通じまして、取得能力も補完することができるのではないかと考えているところでございます。  段階金利、住宅金融公庫におきまして、いわば十一年目以降、十年間の五・五%と違った金利を適用するということで、実は今国会に住宅金融公庫法の改正案を御提案申し上げているところでございます。これは、一般的には十年たちますと所得の上昇も見込まれまして、負担がかなり軽減されるということは経験値的にも明らかになっておりますところから、おおむね十年間はこの金利を維持し、一方では公庫の融資の内容を充実していく。さらには、ステップ償還といいまして、当初の返済負担を楽にするという制度も三年から五年に引き延ばす等々の措置を講じまして、やはり一番苦しいときにそれなりの、政府としてできるだけの対応をさせていただくというようなことでいろいろ考えまして、五十七年度の予算案を御提案申し上げているところでございますので、そういうような客観的な情勢の動きの中で、私どもの税制なり予算についての対策は、十分に効果があるのではなかろうかと私は考えているところでございます。
  115. 伏木和雄

    ○伏木委員 金融公庫の金利につきましてはまた後ほどやらしていただきますから、きょうは余り触れませんが、金利を引き上げたということにおいては間違いないわけですから、政府の方もこの点はよくわかっておいた方がいいと思います。ということは、この一月、二月、金融公庫の申し込みが若干ふえているということを聞いておりますけれども、私たち聞きますと、金利が上がるそうだという話があるからいまのうち借りようかという話もあるわけです。ですから、実際にこの法律が通りますと、さあ上がったということになって、その逆の結果が出ないとは言い切れないと思うのです。こういう点があるという乙とを指摘だけしておきたいと思います。  それと、土地問題でございます。いかにも土地の価格が安定したようなことを言われておりますけれども、現在、価格が安定したというのは、住宅建設が落ち込んでいるからじゃないでしょうか。また、住宅建設が百三十万戸、政府目標どおりいくということになれば、地価は上がるということは目に見えております。この地価対策を一体どれだけおやりになっているのですか。
  116. 吉田公二

    ○吉田(公)政府委員 先ほども小野先生のときに御答弁申し上げましたけれども、地価は、本来的には経済的に決まるわけでございますので、需給関係から決まってくるものであると思いますが、先生御指摘のとおり、土地を含めた住宅というものに対します需給ギャップというところから、土地も買い切れないという意味での需要サイドからの圧力が若干ダウンしているということが一つの現象かとも思います。また、他面、土地そのものを円滑に供給するいろいろなメカニズムそれ自体を直すことによりまして、宅地供給の円滑化を図るということがございますれば、そちらの方から宅地供給ドライブがかかってくると考えられるわけでございます。  そういう見地から、五十七年度の土地税制におきましては、長短区分から始めまして、いわゆる高率の四分の三課税を廃止いたしますとか、あるいは買いかえ特例を創設いたしまして、市街地の中の土地の高度利用を特に図っていきますとか、あるいは先ほど大臣も申し上げましたが、優良な住宅宅地に向けられるものに対しまして、緊急に時限的に非常に低い譲渡所得税をかけるとか、そういった税制も設けております。あるいはまた、宅地供給に関連いたします関連公共施設整備等につきましても可能な限りの努力をしていくというようなことで宅地供給の円滑化を進めていく、それによって供給サイドでドライブをかけていくということが考えられますので、そうした必要な宅地を供給していく上で、それが直ちに価格のアップにつながらないようなあらゆる努力をしていかなければならないと思っておる次第でございます。
  117. 伏木和雄

    ○伏木委員 税法上少しでも供給がしやすいようにということでございます。これも先ほど小野さんがお話ししておりましたので省略させていただきますが、私は、今度の税制改正ではこれはとてもじゃないがという気がいたします。  一方、宅地並み課税にいたしましても、当初期待したものよりもはるか後退をしてしまって、全くその効果があらわれないのではないかというほどに後退をさせております。したがって、税制面からの供給ということについては私は余り期待はできないと思います。ただ、土地供給については、税制面のそうしたことだけでなく、それ以外にまだ大きな問題がたくさんあるのではないか。  住宅都市整備公団にお伺いいたしますが、長期保有地はどのようになっておりますか。実際にある土地が使われてないということについて。
  118. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 五十五年度の会計検査院の決算検査報告におきまして、二十一地区、千三百二十九ヘクタールが指摘されております。  この大部分は四十八年あるいは四十九年ごろに買った土地でございまして、当時、土地がどんどん値上がりして、早く手当てしておかなければといういわゆる焦りがあったことも事実でございます。しかし、その後、一般的な世論と申しますか、環境問題あるいは関連公共施設をもっときちっと整備すべきだというようなことから、公共団体との調整がなかなかうまくいかなかったということで延び延びになっているわけでございます。  私ども、二十一地区の中で約半分の十地区につきましては、すでに公共団体との基本的な合意が得られておりまして、すでに関連公共施設の整備に取っかかっている地区もございますし、これから関連公共施設の整備に着工するというような地区もございます。残りの約十地区程度につきましては、まだこれから公共団体と鋭意調整していくわけでございますが、これにつきましても、建設省の御方針を受けまして、単なる住宅宅地開発だけでなくて、工業団地あるいは教育施設の誘致、あるいは研究施設等の誘致もいろいろ考えながら、できるだけ早く土地利用をしてまいりたいと考えております。
  119. 伏木和雄

    ○伏木委員 四十七、八年ごろ購入した土地で、約十年近くたっておりますけれども、調整区域であるならば私もやむを得ないとある程度は理解はいたしますけれども、しかし市街化区域内において十年も放置されている、十年も活用されていないどいうことになりますと、ある土地でも使えないではないか。ですから、簡単に税法改正すれば土地が出てくるんだというような単純な問題ではない。それで、大規模開発をやれば必ず指導要綱で抑え込まれる。したがって、あとはもうミニ開発になつでしまうというようなことがあれば、これまた住宅政策で問題がありますし、この辺のところ、単に税制だけいじれば供給されるんだということでなくて、十年も公団が持っている、しかも市街化区域内の土地ですら活用されていない、こういう問題があるということをお考えいただきたいと思いますが、供給面でどのようにお考えになりますか。
  120. 吉田公二

    ○吉田(公)政府委員 先ほど申し上げましたように税制面の点、これは一つ大きな要素だと私ども思っておりますが、そのほかに宅地対策というものが総合的に行われなければならないということはもちろんでございまして、私ども、市街化区域農地のうちの宅地化を図られるべきものについての宅地化の促進でございますとか、あるいは公的機関によります計画的な宅地開発とか、あるいは政策金融の拡充によります民間の優良な宅地開発の推進でございますとか、関連公共公益施設の整備の推進でございますとか、あるいは開発が行われがたい、特に調整区域等におきましては線引きの見直しとか開発許可の適切な運用、こういったものについて公共団体と調整を図るとか、あるいは再開発を推進いたしまして、土地の有効利用の促進といったものについて総合的に推進しているところでございますが、先生御指摘の、いま市街化区域の中で非常に長い期間使われてないという現象については、これは非常に特殊の、個別の理由があることと思います。恐らく関連公共施設としての何かに大きな欠陥があるむのかと思いますが、そういった具体のものにつきましても、具体に取り組んでその解決をなるべく早くつけていくという努力を払ってまいりたいと思っております。
  121. 伏木和雄

    ○伏木委員 住宅問題でもう一点お伺いいたしますが、第四期五カ年計画によりますと、最低居住水準を確保していく、このようになっておりますが、最低居住水準を満たしてない住宅はどのくらいございますか。それから同時に、公営住宅あるいは公社、公団住宅といった公的住宅で、最低居住水準以下の住宅はどのぐらいございますか。
  122. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 昭和五十三年の住宅統計調査によりますと、最低居住水準未満の住宅につきまして、住宅の規模でとらえましたものの総戸数は四百七十五万戸程度ございます。このうち住宅の所有関係別に見ますと、いわゆる持ち家につきましては百十九万七千戸でございますが、借家につきましては三百五十五万戸ございまして、その内訳といたしましては、公営住宅で七十二万一千戸、公団、公社の住宅で二十万九千戸、民営の借家につきまして二百二十九万一千戸、なお給与住宅につきましても三十三万一千戸ございます。     〔竹中委員長代理退席、委員長着席〕
  123. 伏木和雄

    ○伏木委員 民間住宅は一応別といたしまして、公的住宅、公営、公社、公団の七十二万戸と二十万戸ですか、合計で約九十万戸ございますが、この五カ年計画によって最低水準以下をなくすという長期計画でいま実行されているわけですが、この最低基準以下の公営、公団住宅はなくなるわけですか、この期間に。
  124. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 私ども、昭和六十年度を目標といたしまして、第四期住宅建設五カ年計画を策定したわけでございますが、その際の大きな目標一つに、この最低居住水準未満の解消ということを掲げているわけでございます。昭和四十八年の住宅統計調査のときに比べまして、居住水準の向上は非常に著しいというようなことでございましたので、私どももこの傾向を踏まえ、かつこれからのいろいろな住宅施策を総合的に展開することによりまして、最低居住水準未満の解消ができるような政策を実施するということで進めてきているわけでございます。  そのためには、当然のことでございますが、自力ではこの最低居住水準を確保できない方々に対しましては、公的住宅の建設を促進すると同時に、またその公的住宅につきましても、住宅の建てかえであるとか住宅の改善であるとか、あるいは住みかえを行う、さらにはまた、今後の持ち家需要の動向等を考えまして、公的住宅から御自分の持ち家に移っていく、これらの施策が総合的に円滑に行われるならば、達成できるというふうに考えているわけでございます。  ただ、そうは申しましても、ごく最近の住宅建設動向等を見ますと、目標達成はなかなかむずかしい点もあることも事実でございますので、今後私どもなお一層の努力が必要であるというふうに考えております。
  125. 伏木和雄

    ○伏木委員 五十七年度は四期五計のまだ二年目ですが、もう二年目にして音を上げてしまったわけですか。この九十万戸の改善はできないということですか。
  126. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 決してできないということで音を上げたわけでございません。初年度の動向が必ずしも芳しい状況でなかったというようなことを踏まえまして、これからの私たちの努力を一生懸命するということを決意しているところでございます。
  127. 伏木和雄

    ○伏木委員 この問題もまた改めてより具体的に御質問をいたしたいと思っております。  それで、私どもかねがね主張してまいりましたセミパブリック住宅でございますが、この制度が実はいよいよ動き出したわけであります。この市街地住宅供給促進事業ですか、この制度が発足いたしましてどのような結果が出つつあるか、御説明いただきたいと思います。
  128. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 市街地住宅供給促進事業は、昭和五十六年度に初めて制度として実施が認められたものでございます。このねらいとするところは、御案内のとおり職住近接と、また一方において公営住宅の建設の促進、立地の改善、土地の高度利用といったようなことを意図して制度化されたものでございますが、大都市の既成市街地におきまして、土地所有者の方々のいわゆる商業業務施設と公営住宅とを一体的に建設する、その建設する場合におきまして、共同施設整備費の一部につきまして補助をするというような制度でございます。  五十六年度は初年度でございますので、全国各都市におきましてそれぞれPRに努め、関係の地域におきまして地主さんの方々と御相談をしているところでございますが、いま具体的にまとまりまして建設に着手するということになりましたのは、名古屋におきまして一地区でございます。
  129. 伏木和雄

    ○伏木委員 地方住宅供給公社がこういう制度をぜひやらしてもらいたい、あるいは私は、この制度は整備公団もこの手法を導入して、同じように住宅建設を促進すべきではないか、こう考えますが、この点はいかがでしょう。
  130. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 御指摘のとおり、私どもも、公営住宅のみならず、公団住宅、公社住宅につきましても将来適用したいと思っております。ただ、何分にも五十六年度に初めて制度化されたといったようなことでもありますので、現段階ではまだそこまで拡大されておりませんが、今後私ども、これらの事業の進捗を図りながら、そしていまのような範囲にまで拡大をしたいというふうに考えております。
  131. 伏木和雄

    ○伏木委員 次に、国土庁長官にちょっとお伺いいたしますが、本日の未明にもまた、小さいですけれども地震がございました。東京で、国土庁が中心になって、いろいろ都市機能の整備、移転等を含めて調査が行われているようでございますが、これは非常に国民的にも高い意識を持っておりますし、また、政治、行政経済にも重大な関係がございます。わが国の社会のシステム全般に影響の出てくるような問題でございますが、聞くところによると、五十八年を目指して二十一世紀プランというものをお考えということで、大分調査が進んだというように聞いておりますが、この問題につきましては、遷都あるいは分都、展都、そして改都と、いろいろな方法で検討されておるようでありますけれども、いまどのような方向で、どの点にしぼられたと言ったらまだ早いかもしれませんが、重点を置かれて調査が進められておるでしょうか。
  132. 松野幸泰

    松野国務大臣 お答えいたします。  御承知のように、東京は世界的に見ても類例を見ない巨大な都市を形成し、その抱えている問題はきわめて多くの分野にわたっております。したがって、昭和五十四年度よりいろいろな角度から検討を進めているところであります。  これまでの調査結果をもとにして、昭和五十七年度前半には構想素案を取りまとめ、これをもとに、広く国民各層の意向を把握するとともに、関係各省庁、地方公共団体と調整を図った上で、五十九年度を一目途に、首都改造計画を策定したいと考えております。  これまで、一括遷都型を含め、四つの移転再配置の型式について、それぞれどの程度の移転規模となるか一費用はどのようになるかについて調査をし、今後さらにその影響と効果について検討を進めることにしております。  ただ、国土庁としては、どの型式が適当であるかという結論を出すのではなく、今後の国民的な規模での議論の素材を提供することを主眼としておりますので、これらの型式についてでき得る限りの材料を示していきたいと思っております。
  133. 伏木和雄

    ○伏木委員 そうすると、四つの方法それぞれで検討されているようでありますけれども、そういたしますと、遷都、分都あるいは展都、改都、こういう場合、それぞれの四つの、遵都にした場合は費用がどのくらいかかり、予算がどのくらいかかるか、入口移動はどの程度というように、四つ別々にそれぞれ人口とか予算とかを調査をされているわけですか。
  134. 宮繁護

    宮繁政府委員 お答えいたします。  先ほど大臣からお答えしましたように、四つの分類をいたしまして、それぞれにいまお示しのような点について中間的な報告を出したわけでございます。今後はその四つにつきまして、それぞれどういう効果があり、またどのような影響を与えるか、こういう点につきましての調査を現在進めているところでございます。
  135. 伏木和雄

    ○伏木委員 たとえば遷都した場合、人口はどのぐらい移動して、どのぐらいの予算でできるかということをお伺いいたします。
  136. 宮繁護

    宮繁政府委員 一括いたしまして新しい都市に首都機能を移転いたします場合の人口、これは、全く新しい都市をつくる場合と、既存の都市、たとえば十万程度とか二十万という都市がございまして、そこに移す場合では若干変わってまいりますけれども、一番大ぜいの方々が動く場合を想定いたしますと約六十万人ということになります。  それから費用につきましては、やはり先ほど申し上げましたように、全く新都市をつくるか既存の都市と併設するかというようなことで違ってまいりますけれども、一括遷都型の場合の費用は約七兆円弱ぐらいの費用が必要かと考えられます。
  137. 伏木和雄

    ○伏木委員 七兆ぐらいで東京の主要官庁が移転できる、根拠についてはちょっとよくわかりませんが、これも時間がございませんのでまたさらに詰めさせていただきますけれども、人口移動も六十万なんというのは余り遷都の意味がないのではないか。それだけ大がかりな、中央省庁が大移転をしてわずか六十万人ぐらいしか移動ができないということになりますと、われわれの認識とはちょっと違いがございますが、これはこの程度にいたしておきます。、もう一点。これは建設省の方になりますが、最近ホテル・ニュージャパンの火災がございまして、その以後マル適マークだなんということで、いろいろ評判が高くなりました。最近東京消防庁は違反建築物を発表するというようなことがございました。デパートの火事になるとわあっとデパート、ホテルの火事になるとわあっとホテルということに、何かもう、一過性といいますか、これであってはならない、一つの事態ですべてを判断していかなければならぬと、こういう意味から、五十四年に建築物防災対策要綱ができたわけでございます。この後違反建築物として改善命令を出した建築物、建築基準法違反の建物ですね、対象となるのは特定建造物ということになるわけでありますけれども、この特定建造物、たとえば劇場、百貨店、病院、こうした人がたくさん集まる施設、これで建築基準法違反で改善命令を出したのは何件ございますか。
  138. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 建築基準法の第九条によります命令をいたしました建築物の件数は、実は先生御指摘のように細かくその用途等につきまして分類をいたしておりませんが、総数で見ますと、昭和五十三年度におきましては千三百六十七件、五十四年度におきましては千三百五十一件、五十五年度におふましては千八十七件という報告を受けております。
  139. 伏木和雄

    ○伏木委員 それは用途によって分類したものがありますか。
  140. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 残念ながら、現在そういった分類した細かいものはございません。
  141. 伏木和雄

    ○伏木委員 私が聞いておる範囲でございますけれども、こういう改善命令を出した対象建築物は物販で六百九、劇場で二百十四、地下街が十六、病院、診療所で百八十七、旅館、ホテル二百六十五、こういうことになっておりますけれども、これは間違いありませんか。
  142. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 申しわけありませんが、私、不勉強でそこまで承知しておりません。総数のみしか資料を手元に持っておりませんので、恐縮でございます。
  143. 伏木和雄

    ○伏木委員 こういう違反建築物があるのです。ホテルの火災で違反建築を公表するということを消防庁はやったわけですが、このほかにも、こういう人がたくさん集まるところで建築基準法違反として改善命令が出ているところがあるわけでなければならない、これはもう切なる要望でございます。  おかげさまでベイブリッジの方は進んでおりますが、あれが六十年完成ということにはなっております。あれが完成いたしますと、勢い首都高も混雑いたしますし、一刻も早く東京湾湾岸道路の促進を行わなければならない。しかも、横浜、川崎あるいは三浦半島に通ずるこの湾岸線がおくれていると私は思いますが、道路五カ年計画、五十八年最終年度でございますが、新たな道路計画では、この湾岸道路の建設が一日も早く行われなければならないと私ども考えております。この湾岸道路の促進につきまして、大臣のお考えを承って終わりたいと思います。
  144. 始関伊平

    始関国務大臣 湾岸道路につきましては、千葉県サイドと神奈川県サイドがあるようでございます。神奈川県の方が幾らかおくれているのではないかというような話毛ちらっと聞いておりますので、今後神奈川県サイドに重点を置いてやっていくということについては異存ございません。  なお、同時に、今日まで横断道の問題につきましては、これは何度もやったのでございますが、神奈川県側がはっきりしないのです。神奈川県出身の伏木委員からそういうお言葉をいただきまして大変ありがたいと思っております。湾岸道を整備いたしますとともに、横断道の方はやはり十年とか十二、三年とかかかるわけでございますから、なるべく早く着工できるように今後とも御協力をいただきたいということを申し上げておきます。
  145. 伏木和雄

    ○伏木委員 今度の計画では横断橋神奈川県側を最重点にという理解でよろしゅうございますね。
  146. 始関伊平

    始関国務大臣 湾岸道でございますね。――湾岸道の問題につきまして、私がここ右具体的にどうこう申すことは適当でないと思いますが、両方見渡して、おくれている点があればそちらの方に、千葉県の方は全然やらぬということも困りますけれども、賢明な事務当局がおりますから、千葉は適当に善処を期待したい、かように思っております。
  147. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 お答えいたします。  湾岸道路も、湾岸地域の重交通を処理するという意味で大変重要でございまして、先生御指摘のように神奈川地区がおくれておりますけれども、これは御承知のように羽田空港の沖合い展開計画等との絡みもございまして、手がつけられなかったという面もあるわけでございます。これからはその辺もやや具体化してまいっておりますので、私どもももちろん重点を置いて早くつなぐ方向努力をいたしたいと考えております。
  148. 村田敬次郎

    村田委員長 これにて伏木和雄君の質疑は終了いたしました。  午後一時三十分より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十九分休憩      ――――◇―――――     午後一時四十三分開議
  149. 村田敬次郎

    村田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。林保夫君。
  150. 林保夫

    ○林(保)委員 再開された通常国会では待ちに待った一般質問でございまして、大臣ひとつやはり基本理念からお伺いしなければならぬと思います。  過般大臣の御方針は承りましたけれども、いま改めて国会中盤でございます。いろいろな問題が出てきております。これからどういうところを重点に大臣がお取り組みになろうとされますか、始関行政の骨頂をひとつ承りたいと思います。
  151. 始関伊平

    始関国務大臣 建設行政の骨子と申しますか、どの辺に重点を置いてどうやっていくかというお尋ねでございますが、建設行政目標は、改めて申し上げるまでもございませんけれども、安全で潤いのある国土環境の創造を通じて活力のある福祉社会を実現することだ、これが大きな目標でございます。そして、その中で、いま特に住宅宅地の供給促進とか土地再開発を初めとする都市整備、二十一世紀には日本人の入口の七〇%が都市に住むようになるということでございまして、都市の整備ということも大変大きな建設行政目標である、かように考えております。  それからもう一つ、安全で潤いのあると申したのでございますが、安全の方はこれは昔からのことでございますが、治水事業などの国民生活の安全の確保のための事業、それから道路網の整備等国土の発展基盤の整備、こういうところを重点に所管行政を進めてまいりたい、かように考えております。  どういうところがむずかしいかということでございますが、この場合住宅宅地の供給の促進に関しては土地に関する諸問題が、また、都市整備に関しては各種権利者間の調整、周辺住民との合意等がむずかしい問題であると考えております。これら諸問題の解決に全力を挙げて取り組んでまいりたい。また、これらの諸事業遂行には相当の資金を要するが、現下の厳しい財政事情から見て、所要資金の確保のため相当の工夫と努力を払う必要がございます。  さらに、その執行に当たっては、効率性の確保に配意しつつ、いやしくも国民の誤解を招かぬよう、十分留意してまいる所存でございます。
  152. 林保夫

    ○林(保)委員 大臣多少お触れになりましたけれども、なお今日建設行政のあり方を見ますと、御承知のようにいろいろな問題が出てまいりまして、本質的な体質を問われるような問題が、談合を含めていろいろ出ております。これにどう大臣対処されるかというのが一つあると思います。  それからもう一つ大事なのは、今日大変、世界的ではありますけれども(なお不況というような状況で、私も経済問題をずっと見てきておりました感じから言いますと、何か政治の中であってはならぬような問題といいますのは、国民の生活に私は疲れが出始めでいるような感じがいたします。ここらあたりで、公共事業前倒しの問題とかいろいろ出ておりますし、また、先ほどいろいろ出ておりましたような経済政策の中で、海外投資をしてもらっては困る、国内に金を残しておきたいというような問題から、実はグリーンカードの問題なども出ておるような状況でございまして、第一点はそういう姿勢の問題に対して大臣がどう対処なさるのか、もう一つは、国民の暮らしを、経済を救う立場から、大変大きな予算を持っておられる大臣がどのように対応されるのか、この二点を御専門の立場で、また大所高所からちょっと承りたいと思います。
  153. 始関伊平

    始関国務大臣 公共投資につきましては、一つ目的としてはやはり内需の拡大、景気の浮揚、景気を刺激して経済の成長を高めて、これによって国民生活を一層豊かにする、こういう目的がございますことは御指摘のとおりだと存じます。大体今日まで国の富が大きくなりましたので公共投資も大きくなり、逆に公共投資が大きくなりますと、それによって一層成長を高める、こういう循環をしておったと思うのでございますが、この両三年来は建設省行政も財政再建等との関係で前年並みということでまいっておりますことは大変残念なことだと思っております。本来申しますと、日本の国の抱えておりますもう一つ目標でございます行政改革、それから財政再建というような問題がほぼ一段落したところで、いま申し上げましたように、景気の再浮揚、さらに成長の再出発ということになるとよろしいはずなのでございますが、それがそうはまいりませんで、昨年の、第三・四半期等におきましてマイナス成長になってしまったというようなことからいたしましてへああいう異なるような性格を持った二つの政策を同時に施行しなければならないということになって、多少混乱の様相を呈しているのが現在の情勢ではなかろうかと思っております。しかし、ただいまの厳しい経済情勢にかんがみまして、政府といたしましては去る十六日に閣議を開きまして、公共投資の五十七年度の上期、年度全体の額の七五%前倒しでやるというようなことを決めましたのも、こういったような政策の転換の一つであるというふうに受けとめております。  また、住宅金融公庫の融資でございますが、これもまた年間を通じての融資計画が決まっておるわけでございますが、消費者のニーズがある限りどんどん前倒しでやっていこうというふうなことを一応決定して、そのことを予算の通過後正式に決めようという段取りになっておるわけでございまして、いずれにいたしましても、建設行政というものが国土の建設の骨格を形づくりますとともに、いまお話しのように国民生活にもいろいろな意で非常に関係がございますので、これらの点を考えまして全力を尽くして、財政は窮屈でございますが、本来の使命の達成に努めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。     〔委員長退席、竹中委員長代理着席〕
  154. 林保夫

    ○林(保)委員 それで、私はもう一つそめほかに、いま建設行政め二つ見ましても、国土の問題のそのほかにいたしましても、いろいろと見直しをしなければならぬのじゃないか、景気対策にいたしましてもやはり従来の手法だけではちょっといかぬのじゃないだろうか、このような危惧を持っております。そういった点で発想を豊かにひとつ大臣のこれからの建設行政を期待したいのでございますが、先ほど大臣がお触れになりました十六日のいわゆる景気対策の中で、七五%の公共事業前倒しなどをお決めになったようでございますが、具体的に建設省はそれができると見ておられますか、何か問題がありますか、それともまたそのほかの点、景気対策としてどういうものをやろうと意図しておられますか、お答えいただきたい。
  155. 始関伊平

    始関国務大臣 七五%の前倒しができるかどうかということが第一点のお尋ねだと存じますが、その点につきましては、わが国の建設業者の持っております工事施工能力につきましては余り問題はないように承知をいたしております。問題はむしろ発注側の体制の整備と申しますか、たとえば予算がばっと決まっておりますから、ここは幾らだ、ここは幾らだということを決めなければいけませんですね。発注を出すにつきましては、やはり設計をやらなければいかぬとか、また入札等もやらなければいかぬとか、そういうようなことで、発注体制ということから申しまして、建設省では今度も管下の地建とか工事事務所とか、それからいろいろな公団、事業団等に照会いたしておるわけでございますが、七三%くらい、逐次がんばって七五%くらいというのがいいところだ、こんなふうに考えておるわけでございまして、いろいろな調査の結果もあるわけでございます。  なお、これは午前中官房長も申しましたが、やはり工事を能率的にやるという意味合いからいたしまして、余り用地代に金のかからないような、既存の土地を利用できるような方面に力を置くとか、いろいろ細かい点の配慮もいたしておりますが、また詳細は事務当局の方から御説明させたい、かように存じます。
  156. 林保夫

    ○林(保)委員 先にひとつ事務当局の方から承りたいのでございますが、これはもうすでに質問があったかと思いますが、なお念のために聞かせていただきたいのです。公共事業前倒し上半期の契約実績は今年度は幾らであったか、あるいは過去最高はどれくらいであったのか。大臣もちょっといま言われた七三というのもあり得るわけですか。
  157. 始関伊平

    始関国務大臣 従前の実績の最高が、目標が七三くらいで実績の一番大きいのが七五くらいだ。今度も、非公式にと申しますか、いろいろ建設省傘下の発注をいたします諸機関、公団等も含めまして調査をいたしましたところが、七三くらいの答えが返ってきた、かように聞いておるわけでござ、います。
  158. 丸山良仁

    丸山政府委員 いま大臣お答え申し上げましたのは、来年度の事業を施行するにつきまして、あらかじめ公共団体にどのくちいできるであろうかということを聞いた結果、大体七二とか七三とかいう数字が出ているわけでございますが、いま先生の御質問の過去最高でございますが、国全体で申し上げますと、過去最高は、五十三年度の目標七三%に対しまして七六%でございます。それから建設省の場合には、過去最高は五十二年度の目標七一・六%に対しまして実績が七四・一%でございます。それから、なお本年度は上半期は国全体が七〇・五%でございますが、建設省の場合は七〇・七%という形になっております。  なお、いま申しました国全体よりも最高の場合に建設省が低いという形になっておりますし、目標も低くなっているわけでございますが、これは、建設省事業はその中心都道府県の補助事業でございまして、補助事業はその年度に契約するものが多いわけでございます。それから、たとえば国鉄等ですと継続事業がこの七五%とかなんとかいう中には入るわけでございますから、そういう関係で建設省の方が最高を見ると低くなっている、こういうことでございます。
  159. 林保夫

    ○林(保)委員 それで、いま大臣が実際の調べによってこのくらいだ、そうして七五というのを決めておられますね。事務的にごらんになりまして、過去の実績からいきますと予想に対してかなり、三ポイントとか四ポイントくらい上がっていますね一そうすると、最大限やりますと、官房長、これは七六ぐらいいくものでございますか、いかがでございますか。
  160. 丸山良仁

    丸山政府委員 過去の例では目標より上がっておりますが、現在われわれが調査したところによりますと、問題が二、三あるわけでございまして、一つはけさほどから問題になっております下半期をどうするかという問題が最大の問題だろうと思います。率直に申しまして、公共団体といたしましては下半期の保証がなければなかなか上半期の発注がむずかしい、こういう問題があるわけでございますが、これは当然政府止して将来景気の動向等を考えながら決めるべき問題だと考えております。  それから事務的な問題といたしましては、一つ大臣も申しましたのですが、発注業務の問題でございまして、公共事業費が順調に伸びております場合にはこれはそれほど問題がないわけでございますがへ公共事業費の伸びが少ない場合におきましては、中小企業対策に特に力を入れなければならぬわけでございます。そういたしますと、分割発注その他がございまして、実際問題といたしまして事業費は伸びなくとも発注件数は二、三年前に比べまして一〇%くらいふえているわけでございます。この発注業務一つの問題になるのではないかと思います。  それからもう一つは、いままで用地費をなるべく使わないような事業に重点を置いておりました関係上、すぐ使える用地が減ってまいっております。その関係で用地の手当てをしながら発注をしていかなければならぬという問題もあるわけでございまして、現在のところ七五%程度が事務的に考えまして最高ではないかと考えておるわけでございます。
  161. 林保夫

    ○林(保)委員 御決意わかりましたが、いま丸山官房長がおっしゃっておられた中で、下期の手当てをせぬことには食ってしまったらどうにもならぬということがございますね。現にまた、政府部内で一兆円くらいの建設国債という話も実は出ております。下期をどう見通され、そしてまたこの建設国債発行についてはどういう御決意でおられるか、担当大臣としてひとつ明確にお答えいただきたいと思います。
  162. 始関伊平

    始関国務大臣 去る十六日に公共事業前倒し発注を一応決めたわけでございますが、決めるときの文句が、この国会で予算が成立し次第七五%以上ということで検討を進めようということを申し合わせたわけでございます。その際に、私も、出てまいりましたので、そういうことになりますと下期が問題である、この問題につきましてはやはりいろいろなその後の経済情勢、それから国際経済の日本経済への影響もあろうかと思いますが、そういったようなことを考えて機動的に、かつ適正に善処をしてもらいたいということを申しておいたわけでございます。  この問題につきましては、いまの前倒しすら検討という言葉で表現しているくらいでございまして、いろいろな時期の関係等もございまして、国債がどうだとかなんとかいうふうな立ち入った論議には入っておりませんが、御指摘のような問題のございますことはみんな了承しておる、そういう問題意識を共通に持っておるわけでございますから、この点はやはり適当に善処されるもの、かように考えておる次第でございます。
  163. 林保夫

    ○林(保)委員 それで、相当な決意がないと成長率五・五%達成の、私はやはり公共事業は核になると思うのであります。そこで、それらをきっちりやらないことには、これはまた後がこわいのですね。歳入欠陥が出てまいりましょうし、赤字国債からの脱却というのも、これは永遠にして望むべくもないと思う次第でもございます。そういった中でやはり行革をやりながら、なおかつ行革は何のためにやるのだ、こういう問題が私はあると思うのです。これはまさに飲んで食って踊っているわけではございませんけれども、そういう消費的な経費を切って国土を保全し、そこをよくしていくという、これがやはり根本になければならぬと思うのです。私も行革でたびたび総理にも聞きましたし、いろいろ聞くのですけれども、そういう図が出てこないのですね。これがやはり行革不況を一層悪くしている原因だと私は思うのです。本来ならば、行革をやれば民間にお金が残って民間が栄える、このことがねらいなんですけれども、国がお金を締めたらもう一斉に青菜に塩になってしまう、こういう行革であったはずはないと思うのですね。そういった視点から特に、松野長官もおいでになりますけれども、そういった点での国土建設行政というのはこれからまさに中心的な課題として取り組んでいただきたい。このことを提起もし、またお願い申し上げたいと思う次第でございますが、大臣はどのようにお考えになられますか。その点をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  164. 始関伊平

    始関国務大臣 ただいま御指摘になりました点が最も根本的な点でございまして、また意見も分かれておるところだろうと思います。財界の一部等には、余り右顧左べんせずに、行政改革あるいは財政再建というものに徹しろという意見もあるわけでございますが、一方におきましていま御指摘のように、財政再建をやろうと思っても、経済の成長が延びて税収も上がってこないというのではどうにもしようがないから、一方において両方を両立させるような意味でやっていけという御意見の、二つあるわけでございます。私どもとしては、たとえば先生がお述べになりましたような考え方に近い考え方をいたしておるということを申し上げておきたいと思います。
  165. 林保夫

    ○林(保)委員 そこで、そういった問題でどういうところが問題なのかというのは、私も建設委員会を、二年近くでございますが担当させてもらって、いまいろいろとまだ勉強しておるところでございますけれども、何といっても私ども見ていてやはり余りにも地方の格差が大き過ぎるという問題があると思います。一番よくわかるのは、私の地元の岡山の問題でございまして、これはもう予算委員会の分科会でいろいろお話を聞かせてはいただきました。これをやはりどう直していくかという問題があるのでございますが、たとえば渡辺局長、ひとつお答えいただきたいのでございますが、国道あるいは県市道、町道、これらについて過日も建設省から資料をいただきました。あれで私なりの順番をつけてみましたが、舗装率、改良率その他で何番目にたとえば岡山県があるかといいますと、決して地元の恥を言うわけではございませんけれども、実は四十七番目というのも一つございまして、私も困っておるわけです。これはもう統計でございますので、決して大臣とか局長が悪いという問題ではございませんので、御報告いただきたいと思います。
  166. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 お答えいたします。岡山県の道路の整備状況が、全国的に見てどの辺の位置にあるのかというおただしであろうと思いますが、先生からお話のございましたように、悪い方で言いますといわゆる市町村道の改良率では確かに全国四十七位という非常に低い位置にあるわけでございます。しかしながら、前にも先生にも御答弁申し上げましたように、岡山県の場合は人口当たりあるいは面積当たり等で比較をいたしまして、実は道路の延長が非常に長いという点がございます。したがいまして、この市町村道の場合につきましても長いものを全部改良して舗装するというのを待っているわけにいかない点がございまして、私ども全国的にも昭和三十年代の後半から四十年代の前半にかけまして、現道舗装という政策をやった時代がございますが、岡山県もそういったことでそれに乗って舗装は進められたわけでございます。そういう意味合いにおきまして、この簡易舗装を合む舗装率では、岡山の市町村道は全国で二十八位ということにもなっております。問題は、ただその簡易舗装は現在あります道路、狹い道あるいは曲がりくねった道あるいは勾配の急な道をそのままに舗装しただけでございますから、むしろこれにフォローして規格改良をし、本舗装するという仕事を続けていかなければいけないわけでございます。私ども、せっかく努力をさしていただきたいというふうに考えております。
  167. 林保夫

    ○林(保)委員 ぜひひとつお願いしたいのでございますけれども、県民の立場から見ますと、私、これは余りぴんとこないのですけれども、一人当たりの県民所得が全国九位、それから道路のデータをいろいろ調べてみますと大体三十位以下でございまして、いろいろなケースをとりましてもやはりおかしくなってしまっている、こういう問題がございまして、かたがた瀬戸大橋といいますか、先祖代々の待望の本四架橋の坂出-児島ルートが六十年に完成するということからみんなが目を開いたというわけではございませんが、なお過日もお話し申し上げたように、何とかこれはしなければいかぬなあ、これはいつか申し上げましたように、交通反則金が一年間に十四億円、その次の年が十二億円というような状況で、よその県に比べて三億も四億も多い。広島県より二億ほど多うございます。それから隣の山陰に比べますと倍にいっておりますね。そうすると、また笑い話みたいになりますけれども、どうも県民の遵法精神が足りぬのじゃないだろうかという問題もございますし、取り締まりが激しいのではないだろうか。しかし、なお道路が悪いんだというようなことにやはり落ちつきまして、何とかやらなければならぬ、こういう空気は出ていると思います。  そこで、いろいろとありますけれども、もう一つだけ局長にお答えいただきたいのですが、何が原因なのか、これから地元がどういうふうに対応したらいいのか、改めてひとつ御見解を五、六点にわたりましてお聞きしておきたいと思うのです。
  168. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 原因につきましては、先生から大変県民性というようなお話もございましたけれども、私、とりたてて何が原因でそれがおくれたかというものはないのではないかと思うのでございます。昔からこの吉備平野は非常に広うございまして、そういう点では戦前から、たとえば岡山一倉敷間等はりっぱな道路がございましたが、そういったもので、やはり面積当たりあるいは人口当たり等で、全国平均に比べれば道路延長がきわめて長いという点が整備のおくれを来しているものと思うわけでございます。  しかしながら、最初に御指摘がございましたように瀬戸大橋がかかりますこともございますし、また阪神圏とそれから広島、九州圏との中間に位置しているという位置的な状況もございまして、道路がおくれておってはやはり困ると思うわけでございます。そういった点で、幹線道路の整備、二号線の整備あるいは山陽道の整備も必要でございましょうし、そのほかこういった新時代にふさわしい道路網の整備につきましては、私どももいろいろ県御当局と御相談しながら努力をさしていただきたいと考えます。
  169. 林保夫

    ○林(保)委員 ありがとうございました。これは岡山の例をとったのでございますが、大臣、こういう問題がやはり、都道府県が四十七あれば一番から四十七番まである。これは道路ばかりでなくて、河川もございましょうし、それから公園の問題もございましょうし、下水道の問題もございましょうし、いろいろあります。しかもこれらの問題が一住民、一つの市全体の、人口何万でもよろしゅうございましょう、やろうとしてできない仕組みになっていますね、大臣。それだけに、そこにおる人で悪いという感じを持った人は歯ぎしりする思いで手が出ませんね。そういう意味で、建設省の果たされる役割りは非常に大きいと私は思います。私も、農林省の松くい虫の全国統計とか道路の統計とか、いろいろいま統計をとってやっておりますけれども、私の認識では、見れば見るほど余りにも差が大き過ぎますね。松くい虫だったら、山林を持っている人が気をつければ、あるいは早く伐採すれば蔓延を防ぐとかという手があったかと思いますけれども、いまの建設省の持っているものは決して  提起は地元でやらなければなりませんけれども、これは実際問題としてできませんね。そういう大事な役割りを建設を御担当になって大臣は持っておられますけれども、私としてはぜひそういうものをひとつ頭にお描きいただきまして、全国同じ一億一千万国民でございますので、民主政治というたてまえをとるならば平等であっていいはずでございますので、御配慮いただくようなお答えをちょうだいしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  170. 始関伊平

    始関国務大臣 建設省が、言葉は悪いかもしれませんが、取ってまいりました道路なり河川なり下水道なり、そういう予算を全国の各地方に配分しなければなりません。都道府県別という考え方もございましょうし、今度は市町村別、いろいろなふうに言い方はできると思いますが、とにかく配分するという仕事がございまして、この点は建設省の道路局なり河川局なり、非常に長い経験があって、いろいろなデータを集めまして、非常に苦労して公正にかつ適切にやるように努力しているということを私ども承知しておるわけでございます。そういう際にいまお話しになりましたような点も多少と申しますか、本当を言いますと、過疎地には過疎を解決するために大きな道路の開発が急がれているし、それから今度は人口が稠密になった都市開発した地域では、都市化したから道路も要る、下水道も要るということになりまして、全国的に開きをどうつけてどうやるかが非常にむずかしい問題だと思いますが、いまのお話の点も、事務当局も承りましたが、私の信頼しております事務当局がこういう面では善処してくれるものと期待しておるということを申し上げてお答えにしたいと思います。
  171. 林保夫

    ○林(保)委員 大臣もひとつ号令をかけていただきたいところでございますが、御期待申し上げたいと思います。  そういった問題が一つありますのと、もう一つ、これは時代の経過によってこうなった、こういうことではございますけれども、なお今日の時点で見ますと、大臣、明らかに差別待遇している法律がございます。いわく農住法案ですね。それから、いわく都市公園法ですね。いわく住宅公団のあれの適用対象範囲をごらんになるとおわかりだと思います。都市公園法なんかいい例かもしれません。都市でございます。田舎は関係ないというのかもしれませんけれども、過日法案審議のときに私提起いたしましたように、全国に市町村が三千幾らございます。全く対象外というのが人口五千以下の市町村ですね。大臣、わずか四百ですよ。なぜ四百を外さなければならぬかという問題、これは延長延長で来て、枠を拡大してきた結果でそうなったものだと理解いたしますけれども、そういう問題がございます。それから、住宅公団の対象になりますのも、県庁所在地あるいは三十万以上でございましょう。三十万以下は一体どうなるのだ。これも初めのうちは中心部からだんだん広がってきてこういうふうになって、いまから見るとこういう状態になっていますね。  これは建設省ばかりではございませんが、そのほかにもいろいろと各省でそういう問題がございます。特に私は、建設省の場合はそれがいまの道路や河川やそのほかの問題と同じように大きいと思うのです。せっかくやろうとしてもできない。しかも、それが限られた、さっき申し上げましたように都市公園法なんかはわずか一割ちょっとぐらいしか残されてない。それで斉藤建設大臣の御答弁では、二つの町村が一緒になってカントリーパークあるいはスポーツパークをつくればいいじゃないか。どっちが金を出しますかね。公園なんかはそこにあればいいわけでして、それは、自分の方へつけるのを一緒にやろうといってそうなることは私はちょっとないと思うのです。現に、私はそのことからまた身近な例を引いて申しわけありませんけれども、岡山で二十六町村がそうなっていますね。聞いてきました。隣と一緒ではとてもできませんね。しかし、なお道は広げてある、そしてまた四百がアウトになっている、こういう状況がございます。大臣には、一挙にはいきませんけれども建設行政の根幹に触れる問題でございますので、私は批判しようとは思いません。しかし、結果的にこうなっておる。これはやはり将来に向けて是正していただかなかったらどうにもならぬのじゃないだろうか、こう思いますが、大臣はいかがお考えでございましょう。
  172. 始関伊平

    始関国務大臣 具体的な問題に触れますのでなかなか一概に申しかねますが、御指摘の点はごもっともな点が多いと思いますので、極力そういう点を頭に入れまして今後事務当局を指導してまいりたい、かように存じております。
  173. 林保夫

    ○林(保)委員 私は、これは実は事務当局の問題じゃないと思うのです。やはり政治の場でこういうようなのは決めなければ、事務当局が幾らやろうとしましても何かスプロールしていって、ここまでは来るけれどもそこから先は行けないということになりかねないと思いますので、大臣のお心はわかりますが、ぜひそういう見直しを建設行政の中で大きく御期待申し上げたいと私は思います。過去にこだわっていけばそうなると思いますけれども、やはり大臣も先ほどおっしゃられましたように、新しい時代に来ておるわけでございますから、それに合うようにしていかなければ、今度審議いたしますいろいろな法案について一体どこでどれぐらいの、農住組合一つにしましても農住の賃貸住宅にいたしましても、一体どこまで実績があるんだということを聞きますと、まさにそれが図にかいたような形で、県なり農協あるいはその他のところで熱心なところがあればまた別でございますけれども、そうでないとすると、そういう問題が出てきてわれわれはリンクの外だという形で置かれていろものもいるという、これは私は直していただきたいと思います。強くこの点は御要望申し上げておきたいと思うのでございますが、御理解いただけると思います。、引き続きまして、また戻りますが、近ごろ建設業の倒産がかなり出ております。どの程度の実績で、どの範囲でございましょうか、事務当局、ひとつお答えいただきたいと思います。
  174. 吉田公二

    ○吉田(公)政府委員 お答え申し上げます。  建設業の倒産につきまして資料で申しますと、これは帝国データバンクというところで、負債総額一千万以上の倒産を統計で示しているのでございますが、これは暦年でございますが、昭和五十六年の建設業の倒産件数は五千四十九件、全産業が一万七千六百十件でございますので、割合が全産業の二八・七%でございます。これは、前年は建設業の倒産が五千九十七件、全産業が一万七千八百八十四件でございまして、比率は二八・五%でございます。でございますから、五十五年に比較いたしますと九九%ということで若干減っておりますが、なお、五十六年を前半と後半とに分けてみますと、前年同期で見ますと、一月から六月までの半年間では、対前年比で一〇六%でございますが、七月から十二月の下期におきましては九三%とやや減少ぎみでございまして、年間九九%となっているわけでございます。  それから、業種別に見ますと、中では特に建築事業が悪くなってございます。  なお、一月の倒産件数を対前年同月比で見ますと、件数で四%の減少ということになってございます。
  175. 林保夫

    ○林(保)委員 やはり厳しい情勢だと思いますが、建設業界には五十万の業者がおり、五百五十万人もの大きな産業だと思います。建設業法によって認可した以上、大臣、やはり仕事をとる、そしてまた五百五十万を食わせるという責任もあろうかと思います。そういった点で、昨今大変厳しいと思いますが、こういう業界の安定対策、雇用確保対策について、大臣はどのように御認識になり、どういう御方針でやっておられますか、承りたいと思います。
  176. 始関伊平

    始関国務大臣 建設業界の現状は、ただいまお話のございましたとおり、業者の数だけで五十数万、それから労働者を入れますとその十倍ということになりますか、非常に大きな業界でございますが、一面におきまして、全国の倒産件数の中で常に三分の一くらいを建設業が占めておる。しかも一方、それだけ倒産するから業者の数が減るのかと申しますと、どうもそうではない。業者の数ばどっちかというとふえぎみだというようなことで、大変わかりにくい。一言で言うなら基礎の薄弱なのが建設業、特に中小あるいは零細建設業の実態ではないだろうか、このように存じております。ピンからキリまで、非常にりっぱな、基礎の強固な業者もおるわけでございますが。  それで、建設省は、非常に大きな発注事業公共事業を抱えておるものですから、やっておらぬわけではございませんが、建設業の体質の改善とか、近代化、合理化、そういったような点についての力の入れ方がやや不十分であるという御批判があるかもしれないと思うのでございますけれども、今後、中小企業の近代化につきましては、近代化促進法というような法律、これは元来は通産省の所管でございますが、建設省建設業についてそういういろいろな中小企業関係の立法を活用する余地も多いわけでございますので、一言で言えば、中小建設業の近代化、合理化、また、建設業全体を通じての体質改善というようなことを建設行政の大きな眼目としてこれからひとつやってまいりたい。  なおまた、中小企業に対する公益事業の発注につきましても、一般の中小企業に対する公共の発注の例にかんがみまして、できるだけ確保してまいる、こういつたような方針で進んでまいりたいと存じております。
  177. 林保夫

    ○林(保)委員 そういう点で、建設業界でいま一番頭を痛められている問題に談合問題があろうと思います。御通達も出されておりますし、いろいろな手を打っておられますが、これから審議会の答申を得た上で、いろいろと最終的な手を打たれると聞いてはおりますが、なお前向きにいろいろやりませんと、実際の仕事の上ですでに困っているところが実は出てきていることを私は現地で見てきております。大体どういうタイミングで審議会の答申を受け入れ、まず公開制にするとかいうようにも聞いておりますが、これからどう決着をつけようとされますのか、事務当局の方からお答えいただきたいと思います。    〔竹中委員長代理退席、委員長着席〕
  178. 吉田公二

    ○吉田(公)政府委員 建設工事の入札制度の改善につきまして、中央建設業審議会に五十六年十二月に総会を開いていただきまして、入札制度の合理化対策について検討を開始することとしていただいたわけでございまして、その検討を行うために専門委員会を設けていただいております。  それで、これを受けて設置されました専門委員会におきましては、入札方式でございますとか入札手続の検討、入札結果の公表、業者選定業務検討、こういった点について幅広く調査審議を行っていただいているところでございますが、専門委員会につきましては、なるべく速やかに結論を得られますように積極的な審議をお願いしているところでございます。  当面、現行制度のもとにおいて改善できるものについて検討されるということでございますが、御指摘のように、現在専門委員会におきましては、入札結果の公表等につきまして考え方がまとめられたようでございまして、近くこれが審議会の方に上がっていくというふうに伺っております。そうした個別のケースごとに考え方をおまとめいただいて御結論をいただきますれば、建設省といたしましても、その結論に沿いまして早急にその改善策を講じていきたいと思っております。  それから、全体的な面につきましてもできるだけ速やかに御検討を進めていただきたい。ただ、その際に、幅広く根本的に洗い直していただくという意味におきまして、何と申しますか、十分な御審議をいただいて、なるべく速やかに御結論をいただきたい、こういうふうに欲張ったお願いをしておるところでございます。
  179. 林保夫

    ○林(保)委員 大臣に承りたいのでございますが、昨年十一月の業者に対する警告、これは斉藤大臣の時代でございました。それからまた、一月二十九日の関係機関への通達でございますが、あれについてどういう反応を大臣はお感じになっておりますでしょうか。いいとか悪いとか、あるいは困るとか、まことに結構だとかという、実際に行政を担当しておられるといろいろあると私は思いますし、その御判断がこれからの問題として非常に大事だと思いますのであえてお聞きしたいと思います。最初に事務当局に。
  180. 丸山良仁

    丸山政府委員 業界に対します大臣からの警告、あるいは一月二十九日の事務次官通達をもってする警告、これに対しましては、業界は相当深刻に受けとめて、これからは態度を改めなければならないというように申しております。  それからもう一点、この一月二十九日の通達でございますが、この中で主なる問題は、通達が二つございまして、いま先生の言われましたのは業界に対する通達なんですが、もう一つは発注機関としての通達で、内容を申しますと、いままで指名を十名でやっていたのを二十名にするという問題でございます。これにつきましては、業界からは、たとえば、いままでは十社ですと限られた地域の業者だけが、地元業者が仕事をとれていたわけでございますが、二十社の優良業者を指名するということになりますと、幅広く指名しなければいかぬということで、他地域からの新規業者が参入してくるから困るというような問題があるようでございます。
  181. 林保夫

    ○林(保)委員 私は、いろいろ波紋を呼んでおると思います。それで、まだなおこつんという感じで皆さん得心しておられないのじゃないかと思うのです。  その一つは、吉田局長、もう一度十一月についてお答えいただきたいのでございますが、十一月の警告のときに、関係法令というその関係法令はいかんと言いましたら、ここに議事録を持ってまいりましたけれども、労働災害の方と公害防止の二つだと言われました。それが果たしてこの問題かということを申し上げたと思いますが、大体幾つぐらいありまして、どういうものでございますか、建設省の言う「関係法令を遵守し、」という意味の関係法令とは。この機会にお答えいただきたいと思います。
  182. 吉田公二

    ○吉田(公)政府委員 前回のときは大変不十分な御答弁を申し上げまして恐縮でございます。  関係法令、非常に幅広いわけでございます。建設業関連して言えば、たとえば道交法というようなものもあり得るわけでございます。廃棄物の処理なんかの法律でも関連あるわけでございますが、主要なものといたしまして、ここ数年の間に建設業法に照らしまして、建設大臣あるいは各県知事が監督処分等をいたしました関係法令といたしまして主要なものを挙げますと、建設業法は、これはもちろんでございますが、刑法、独占禁止法、労働基準法、労働安全衛生法、建築基準法、こういったところが主なものでございますが、そのほか細かいところでは都市計画法でございますとか、宅地造成等規制法、火薬類取締法などがございます。一番多いものは労働安全衛生法、建築基準法、刑法、独禁法、建設業法、そういったようなところが多いケースになります。
  183. 林保夫

    ○林(保)委員 やはり、建設行政である以上は、大臣は通産行政のベテランだとかねてからあれしておりますけれども、やはり行政をする以上は、そういう関係法令が何と何であるか、やはりこれは五十万業者がみんな知っておってやるような形にならない限り、この問題は私は解決しないだろうと、このように思います。  そういった意味で、局長申しわけございませんが、もう一度ひとつ資料要求として、これとこれとがあると、勉強したいと思いますので、これはひとつぜひお届けをお願い申し上げます。委員長よろしゅうございますか。  時間がございませんので、この辺で打ち切りまして、そういう問題であるということを、ひとつ大臣いかがでございましょうか、それはやらなかったらいつまでたってもいろいろな問題が出てくるだろう、また、それがわかっておればいいのにわからないものですから、それ慣習だ、必要悪だということで出てくるとすれば、これはやはり建設省の監督あるいは行政指導の不行き届き、怠慢と私は言わざるを得ないと思うのですが、そういうそしりが出てもしようがないと思うのですが、大臣どうお考えでございましょうか。
  184. 始関伊平

    始関国務大臣 ただいま御指摘になりました点は全く同感でございます。資料を差し上げまして、また広く世間に、法令違反とはこういうことだということを周知するように努力したいと思います。
  185. 林保夫

    ○林(保)委員 松野長官、遅くなりましてすみません。国土行政につきまして早く聞けばよろしかったんですが、ちょっと手順が狂いまして……。  先ほど私申し上げましたように、全国的にいろいろな差がある。それから住民なり国民のニードはやはりいろいろな意味で高い。こういうことから、国土行政もさらに一段と力を入れていただかなければならぬ。行革だからどうにもならぬということであっては私はならぬと思うのでありますが、御就任後かなりになっておりますので、大臣の御所見をひとつ改めて承りたいと思います。
  186. 松野幸泰

    松野国務大臣 先ほど来いろいろ御意見を拝聴いたしておりましたが、大変結構な御意見だと考えておりますので、十分努力いたします。
  187. 林保夫

    ○林(保)委員 やはりリーダーシップをとってもらわなければいけませんので、私みたいな意見でなくて、もっとユニークなやつをひとつ出していただきたいと思います。  それと関連いたしまして、ここに首都改造計画の資料を持ってまいりましたのですが、これは読んでみますと大変いいこと書いてありますね、大臣。これは五十六年三月で大臣御就任前のあれでございますが、これをやはり踏襲していかれるお考えでございましょうか。その点をまず承りたいと思います。
  188. 松野幸泰

    松野国務大臣 首都改造計画につきましては、将来三千万人を超えると見込まれる巨大な東京都市圏にあっては、生活と就業の場や自然環境が調和のとれた住みよい環境の整備を総合的に図るとともに、わが国の経済社会の発展を支える大都市としてその機能を充実するため、二十一世紀を展望して広範な視野から東京都市圏のあり方について検討を進めているのが首都改造計画調査であり、昭和五十四年度からこれに着手しております。  昭和五十七年度には、これまでの調査結果をもとに首都改造の構想素案を作成し、これについて広く国民各層の意向を把握するとともに、関係諸機関との調整を図った上、基本構想として取りまとめ、昭和五十九年度には首都改造計画として具体化していきたいと考えております。
  189. 林保夫

    ○林(保)委員 遅過ぎるくらいで、早うやっていただきたいという感じもいたしますが、なおその中で、新聞報道、テレビで見ましても、私もこれを読んでみて、遷都問題が大変やはり関心の的になりましたね、国民的な立場からいいますと。この中にも、四つの形として、一括遷都、分遷都、展遷都及び展分都という、よくわかりませんけれども、こういう分類が出ております。大臣は、五十九年度から実施ということで、これをそのまま結びつけてのお考えじゃないかと思いますけれども、この四つのケース、あるいはマクロでいいまして遷都の問題について大体どのように現状を認識され、あるいはこれをやろうとされるのか、どうお考えになっておられるか、はっきりと承っておきたいと思います。
  190. 松野幸泰

    松野国務大臣 お答えいたします。  首都機能を移転しあるいは再配置をするといういわゆる遷都問題については、国土の均衡ある発展と巨大な都市である東京の抜本的な改造を推進するために、きわめて重要な課題であると認識しております。  もとより、首都機能を移転しあるいは再配置することについては、国民の意識に深くかかわる課題であるとともに、政治、行政経済等わが国の社会システム全般にも大きな影響をもたらすものであると考えており、その検討に当たっては、二十一世紀に向けて創造的、建設的な議論が国民的規模でなされることを期待しているところであります。
  191. 林保夫

    ○林(保)委員 大臣、実行なさいますか。遷都問題について、計画を立てるだけでもやっぱりおやりになりますでしょうか。
  192. 松野幸泰

    松野国務大臣 これはしかし大きな問題でありますので、私は私なりの考えがありますけれども、いろいろ検討してみますと、いまの首都を移転するにも最低七兆円ぐらいの金が要る、しかし六十万ぐらいの人口しか減らない。私は、実は二十年ぐらい前には、県知事をやっておりました当時、首都移転の賛成論でぶち上げたことがありますが、あの当時の東京周辺の人口密度といまでは大きな開きが出てきておりますので、いまでは三千万になろうとしていますが、あの時分は千七、八百万だと思いますが、そういうようなことから見ますと、あの二十数年前とは情勢がずいぶん変わってきておりますので、その点についてはいろいろな角度から検討していかなければならぬと、そこで国民各層各界の皆さんの御意見を聞いてという考えになってきておるわけでございます。
  193. 林保夫

    ○林(保)委員 そういうベテランの大臣でございますだけに、方向があるのかないのか、これは黒白がついておりません。また、政治の場で論議するほどの高まりをまだ見せておりませんけれども、この問題は国民の関心は非常に高いと思います。もう本当に、円の新円を発行するかどうかという問題と似たような、幻であり、また非常に現実的な問題のテーマでございますので、御検討だけでもいろいろされた上で、やはりだめならだめとかいうような結論を早くお出しになった方がいいと思いますし、なお夢でやった方がいいのならやはりやるという方向一つあろうかと思います。その点ひとつ私なりの意見を申し上げておきたいと思います。  時間が参りましたが、最後に一つ。  時間がないので個別には触れませんけれども、第二臨調の行政改革に対する第一次答申、この内容で五、六件ございました。これは事務局ごらんになって、完全にやりましたということでございますか、どういう点が残っているか、簡単で結構です。ちょっとお答えいただきたいと思います。
  194. 丸山良仁

    丸山政府委員 第一次答申につきましては、主なる点は、まず公共事業の伸びをゼロにしろ、これは実行しております。それから定員削減計画を実施しろ、これも実行しております。それから、住宅金融公庫の利子補給の問題につきましては、先国会で法案を通していただいたところでございます。それから、道路の財源問題につきましては、現在検討中でございます。それから、本州四国連絡橋を一ルート四橋に限定するというのは実行いたしております。それから、日本住宅公団の未利用地、保守管理住宅等につきましては、現在鋭意その解消に努めているところでございます。それから、今後の高速自動車国道の整備については、利用交通量、採算性等の点を厳しく検討しろ、こういうことでございますが、これは道路審議会等で十分検討していただいているところでございまして、建設省といたしましては、第一次答申は着実に実行している、このように考えております。
  195. 林保夫

    ○林(保)委員 この間、二月十日に出ました第二次答申でございますね。これは許認可の事項がございまして、建築検査というところとか二、三ございますが、これについては何と何がこれに含まれまして、これはできるのかできないのか、この辺の御検討をお願いしたい。
  196. 丸山良仁

    丸山政府委員 第二臨調の第二次答申につきましては、建設省関係では法律の改正を伴うものはございません。中身は三つございまして、一定の建築物に係る建築士による工事監理の強化充実等、それから二番目が、特殊車両の通行許可に係る許可期間の延長、申請手続の簡素化、三番目が、道路占用許可申請書の様式の全国統一、この三項目でございますが、これらにつきましては、答申で指摘された指示に従いまして速やかに対処する考えでございます。
  197. 林保夫

    ○林(保)委員 ありがとうございました。終わります。
  198. 村田敬次郎

    村田委員長 これにて林保夫君の質疑は終了いたしました。  次に、前川旦君。
  199. 前川旦

    ○前川委員 私は、国土庁に対する質問が一つだけございますので、先に国土庁にさしていただきたいと思います。  最近、防衛関係の議論の中に、有事立法の議論が大変行われておりますが、その有事立法の中で国民の避難誘導というようなことが一つの柱になっております。私はこれに賛成するわけじゃないんですよ。賛成で質問するんじゃないのですけれども、念のためにちょっと事実を伺っておきますが、そういう住民の避難誘導なんかは、これは国土庁が主務官庁としておやりになるお考えなんですか、どうなんですか。たとえば、国土庁設置法では、災害に対処するというのは国土庁の仕事のうちに入っていますが、災害の中には戦争災害もこれは理屈から言うと含まれているんじゃないか、何も自然災害だけじゃあるまい、こう思いますし、それから、大規模な地震の災害に対する対策をずいぶん、これは担当官庁として取り組んでおられるようでありますが、そういう経験もあるわけですが、この有事立法の中の住民の避難誘導というのを国土庁がやるというお考えがあるのかどうか、あるいはそういう研究が始まっているのかどうか、防衛庁からそういう要請があったかどうか、事実関係だけを一点伺っておきます。
  200. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 お答えいたします。  一つは、国土庁でやっております災害対策の範囲に、いわゆる有事の際の災害が含まれるかどうかという御質問でありますが、私どもは、国土庁設置法なり災害対策基本法で規定をいたしております災害について分担をしておるわけでございまして、この場合の災害は、暴風、豪雨、豪雪等のいわゆる自然災害、さらには大規模な火事、爆発等の人為災害に限定をされておりまして、これらはいずれも平時における災害であります。したがいまして、私どもといたしましては、いま御指摘のございましたような意味での災害は私どもの任務の外にあるというふうに考えております。  なお、避難地、避難路の話がございましたけれども、大規模地震対策特別措置法に基づきまして、避難地、避難路の整備等は東海地域等において現在徐々に整備をいたしておるという状況でございますが、これも戦争災害を頭に置いてやっているものではないわけでございます。  なお、防衛庁から、有事法制の研究に関連をいたしまして何らかの相談を受けておるかというお話でございますが、目下のところ相談を受けたことはございません。
  201. 前川旦

    ○前川委員 大変はっきりした返事をいただきましたから、国土庁は結構です。  それでは、本題の、建設省にお尋ねいたしますが、まず、第二臨調の第一次答申の中に「国家公務員の定員の合理化」というのがございますね。これを受けて定員の削減をするわけですが、五十七年度から五年間で五%削減することに決まりましたね。これは昭和五十六年八月二十五日の閣議決定です。第六次定員削減計画、これを受けて建設省は一体どう、どれだけの人員を減らすことになっていますか。これは事務当局から。
  202. 丸山良仁

    丸山政府委員 第一次答申におきまして答申されました内容は、いま先生おっしゃられましたように、八月二十六日に閣議決定されたわけでございますが、建設省の数字は昭和五十七年度以降五カ年間に千九百八十五人ということになっております。
  203. 前川旦

    ○前川委員 建設省の削減は非常に大きい。この千九百八十五入というものは六・九%の削減に当たります。ほかの省庁は五%。建設省だけどうしてこんなに担いだんですか。この千九百八十五人という数字の根拠、どこから出たんですか。
  204. 丸山良仁

    丸山政府委員 国全体では五%ということになっておりますが、千九百八十五人に決まりましたのは、建設省行政管理庁で折衝した結果決まったわけでございます。  そこで、建設省が高い理由は、この定員削減につきましては、教官であるとかあるいはお医者さんであるとか看護婦であるとか、このような方々につきましては特別の配慮が払われているようでございまして、建設省の場合にはそのような職種がないわけでございます。したがいまして、農林省、建設省、北海道開発庁というようなところが五%をはるかに上回っている、こういう状況になっているわけでございまして、われわれといたしましては、このような大人数の人を削減することは大変困難であるということで十分折衝したわけでございますが、国の政策でありますから、やむを得ず承諾したわけでございます。
  205. 前川旦

    ○前川委員 五年間ですから、一年間に平均しますとこれは三百九十七人減らさなければいけませんね。しかしこれは、行管庁と折衝して決めたということは、オーケーと言ったわけですね。そうですね。そうすると、年間三百九十七人平均減らしていくことは可能だというふうにあなた方は判断をされたわけですね。可能だと判断された根拠は一体どうなんでしょうか。大変大きな数字なんですがね。  それと、これは定員削減が最初に始まったのは昭和四十三年、そのときの建設省の定員は三万四千四十九人ですね。これが、五十六年末の定員は二万八千三百八十八人、約八三・三七%に落ちていますね。これをさらに昭和六十一年度までに千九百八十五人減らすとなると、二万六千四百三人、七七・五%にまで減ることになりますね。どうしてこんな四分の一近い削減が可能であったのか、これから千九百人もの削減がなぜ可能なのか、それの根拠を御説明いただきたい。
  206. 丸山良仁

    丸山政府委員 まず第一点の、一年平均三百九十七人という数字でございますが、この点につきましては、年間平均でやるということには必ずしも決まっておりません。これは閣議決定によりまして、各年度均等でできない場合には、行政管理庁長官と協議をいたしまして実施方法を別に定める、こういうことになっております。したがいまして、われわれといたしましては離職の状況あるいは新規採用の必要性あるいは業務の円滑な執行を確保するというような点を配慮いたしまして、行政管理庁と今後協議をしてまいりたいと考えております。  それから第二点の、昭和四十三年以来七千六百名というような大量の定員減になっておるわけでございますが、この点につきましては、われわれといたしましては大変苦労をいたしましてその削減をしたわけでございます。どうしてこういうことができたかということでございますが、その一つは、従来直営でやっておりました工事を請負に切りかえるとか、あるいは設計等につきましても民間に委託をするとか、あるいは事務の合理化、簡素化、電算化等の措置を講じましてこのような対策ができたわけでございますが、その結果、現在では四十三年に比べまして一人当たりの実質事業量の消化量は二・三五倍という形になっております。したがいまして、今後これ以上の定員削減ということになりますと、建設省としてはとても受けられないということは行政管理庁にはっきり申し上げであります。
  207. 前川旦

    ○前川委員 直営であったものをやめることによって人員削減をしてきた。いまほとんど直営は残ってないでしょう。そうすると、いまの段階まではなるほど減らしてくることはできた、これからさらに五年間で千九百何入というのは、これは本当にやれるのですか。行管庁とオーケーしてきたというけれども、それじゃ一体、皆さん方の組織を見ても、これはどこへ割り振りするおつもりなんですか、これはどこで削減なさるおつもりなんですか。
  208. 丸山良仁

    丸山政府委員 具体的にどこということは、毎年度の事業量の推移あるいは職員の現在の配置状況等を勘案いたしましてそれぞれの機関と相談をしてやることでございますが、建設省の定員の九割は地方建設局にあるわけでございます。したがいまして、その大部分は地方建設局において削減せざるを得ない、こういう状況にあるわけでございますが、御承知のように六十年に定年制がしかれます。この定年制のしかれる場合には、建設省で定年制にひっかかる人間が約二千名ございます。したがいまして、先ほども申しましたように、千九百八十五名という数字は、年度平均ではなくて定年制がしかれることも勘案いたしまして弾力的に運用してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  209. 前川旦

    ○前川委員 そうしますと、内部部局千五百八十五人、これはもう削れない、附属機関千七百十八人、これも無理。そうなるとこの千九百八十五人のほとんどは地方支分部局二万五千八十五人、ここへどんとしわ寄せする、こういうことですか、いまのお話では。
  210. 丸山良仁

    丸山政府委員 すべてを地方支分部局ということは現在考えておりません。したがいまして、附属機関等につきましても相当の協力をしてもらわなければならないと存じますが、大部分は、定員全体の九割は地方建設局が占めているわけでございますから、やはり地方建設局にウエートが多くかかる。なお地方建設局におきましては、現在六十歳を超えている職員の方が相当いるわけでございますから、この人たちには定年制に伴いましてやはり御協力をいただかなければならないことになると考えております。
  211. 前川旦

    ○前川委員 そうなりますと、結局減らされていくのは、一番出先にしわ寄せがいくのではないだろうか。たとえば地方建設局の下には事務所ですか、それから出張所、こういうふうになっておりますけれども、結局現業の現場の出張所の辺で一番人が減らされていくのではないだろうか、そういうふうな方向へ行くと考えていいのでしょうか。
  212. 丸山良仁

    丸山政府委員 出張所であるとか事務所であるとか、こういうことで特にウエートを置いて人間を減らすという考えは持っておりません。やはり事務量と現在の人員の配置、こういうような点を考慮した上でやっていきたいと思いますが、現在事務所だけでも二百二十あるわけでございますし、出張所に至りますと六百数十あるわけでございますが、それぞれの事務所あるいは出張所からも御協力はいただかなければならないと考えております。
  213. 前川旦

    ○前川委員 出張所の職員はいろいろだくさん仕事がありますね。一番出先ですから、道路を管理する最前線にいるわけですね。たとえば道路の占用許可の申請が出ると、その処理をしなければならない、あるいは道路法二十四条関係の許可等の処理もしなければならない、それから道路のパトロールもやらなければいけませんね。台風などが来ると交通をとめたりなんかするのは全部出先の人の仕事ですね。ところが、ここが定員削減され、退職しても不補充になっていく。ベテランが減っていっているわけですね。そうして足りない分やはり仕事の量はありますから、人は要るのです。ですから、外注しているというかつこうにしていますね。ところが、外注を受注した方は公務員としての責任がありませんね。そういう点で私は道路の管理という仕事に大きな欠陥が出てくるのではないだろうか、末端から見てそのことを非常に心配をするのです。その点いかがでしょう。
  214. 丸山良仁

    丸山政府委員 確かに先生のおっしゃるような問題はあると存じますが、われわれといたしましては、いま先生がお挙げになりましたようなところはなるべく削減しないようにいたしたい。それで、具体的に電算化するとかあるいは事務の合理化が図れるとか、そういうようなところで削減を多くしてまいりたい、このように考えているわけでございます。
  215. 前川旦

    ○前川委員 定員を減うしたがゆえに行政サービスが低下するということがあっては、何のための行政改革かということに相なります。したがいまして、行政サービスを低下させないというその構えでこの定員削減をやるのであれば、その構えばあくまで貫いていただきたいと思いますが、いかがですか。
  216. 丸山良仁

    丸山政府委員 それは先生のおっしゃるとおりでございまして、よくその御意図を体して今後運用を行ってまいりたいと考えております。
  217. 前川旦

    ○前川委員 生首を切らないということはもちろんですね。それはいかがですか。
  218. 丸山良仁

    丸山政府委員 生首は、私の責任において絶対切らないということを組合と約束をいたしております。
  219. 前川旦

    ○前川委員 それでは五年ありますから、末端から行政サービスが落ちないように、こちらも五年間じっくり見させていただきます。  さて、今度は昭和五十五年に、大平総理時代に、行革で各省が出先の機関を一つずつ減らすという方針が出されましたね。そのときブロックごとの出先機関ですか、八つ以上ある官庁は全部対象になって、建設省もいま八つの地方局がありますね、対象になったはずです。そのときは北陸地建と四国地建が減らす対象になったと聞いておりますが、それはそのとおりだったでしょうか。
  220. 丸山良仁

    丸山政府委員 そういうお話があったということは聞いておりますが、具体的にどこを減らすというようなことは、具体的な折衝の過程には上がってきておりません。
  221. 前川旦

    ○前川委員 出先のブロックを減らすということ、統廃合ですね、これはいまの行革でもかなりもめていますね。これは八月の、夏の基本答申ですか、その中に入れるのか、それとも先送りするのか、いろいろがたがたしているようですが、二月二十五日の朝日新聞にこういう記事が出ています。「国の出先機関統廃合 臨調に答申促す鈴木首相」総理がみずから「臨時行政調査会に対し、ブロック単位や都道府県単位に置かれている国の出先機関の統廃合を今夏の基本答申に盛り込むよう求めたことが、二十四日明らかになった。」これは新聞に出ているところです。それから同じように、これは三月十三日の参議院の予算委員会で総理は、臨調が中央地方を通じた省庁の統廃合を具体的に答申すれば十分取り上げ、政府として真剣に取り組むと答弁しておられます。鈴木総理は出先の統廃合にずいぶん熱心なようであります。したがって、もう一遍、今度の臨調で、これは逃れられない、出先の統廃合は必ず来るでしょう。その場合またしても四国の地建と北陸の地建が対象になると思いますが、その点見通しはどうでしょうか。
  222. 丸山良仁

    丸山政府委員 いままでにわれわれが臨調に御説明している段階では、建設省地方支分部局につきましては統廃合の問題は出ておりません。しかしながら、今後どういう形で出てくるかは臨調がお考えになることでございますから、私の推測できるところではございませんが、建設省の出先機関は実際の事業をやっている出先機関でございまして、いわゆる許認可事務等をやっておる出先機関とは違うわけでございます。特に四国、北陸は、先生の前でそんなことを申し上げては恐縮でございますが、おくれているところでございまして、建設省といたしましては最も重要な地建だと考えておりますから、臨調でそういう議論が出ました場合には、私は全精力を挙げてその内容を御説明をし、臨調の御理解を賜りたいと考えております。
  223. 前川旦

    ○前川委員 ただいまの官房長の実にしっかりした答弁については、大臣の方から所見を述べて補強していただきたいと思います。
  224. 始関伊平

    始関国務大臣 私も丸山官房長の申しましたとおり考えております。
  225. 前川旦

    ○前川委員 参考のために申し上げますけれども、四国はこれから四国横断道が、基本計画路線から整備計画路線にこの間格上げになりましたから、それに伴って道路の整備は非常に大事になります。それともう一つ本四架橋がありますので、大量の車の洪水に相なります。したがって事業量はふえる一方であると思います。北陸はよく知らないけれども。  そこで、ほかの出先の統廃合の様子をじっと見ていますと、去年は厚生省と行政管理庁と通産省とが四国の出先を削ったのです。そして広島へ一部統合しまして中四国何々局というふうに八つを七つにする。私はそのときに、去年内閣委員会で議論をいたしましたら、これから先八ブロックを七ブロックにする、つまり四国を中国に引き揚げていくということは当面考えておりませんというお答え政府からいただいた。ところが今度高松に新空港ができますので、その環境アセスメントの内容を見たらあっと思ったのは、高松-広島間に初めてジェット機四便というのが実は入ることになっているのです。あらこれは一つの前提だなというふうに私は考えました。  ちょっと参考までに申し上げますと、四国は四つの県があります。東京の入に四国の四つの県全部言ってくれと言ったら、十人のうち三人しか言えませんが、四国の地図をちょっと頭の中に入れていただきたい。そうすると、広島へ統合されますとどういうことになるか。四国の東半分、香川、徳島、南の高知三県は広島の経済圏じゃないのです。これは大阪の経済圏です。したがって広島へ行くとなると交通が全くないのです。たとえば高松-大阪間、香川-大阪間は飛行機の便で十便あります。徳島一大阪間は十一便あります。高知-大阪間は二十三往復です。それから船は高松から京阪神は八往復、徳島から京阪神は一日二十本あります。高知-大阪間は一本です。あと国鉄で調べてみると、国鉄は一遍北上して宇野まで渡りまして岡山へ出て、岡山から上りへ行けば新大阪、下りへ行けば広島、本数を調べてみると大阪の方へ行く上りが七十本、広島へ行く下りが五十二本、下りは七四%しかないのです。しかももう一つ、香川県から広島へ行く便、何もありません。徳島から広島へ行く便、何もありません。高知から広島へ行く便、何もありません。ですから、これをもし広島に統合して中四国何々というふうにしてしまうのであれば、時間と金額の大変なロスになるのです。これは行政改革とはまさに逆行することに相なります。そのことをどうか頭に入れていただいて、どんなことがあっても、しかも地方の時代という言葉もありました。田園都市構想という意見もありました。いまはどこへ行ったかちょっと聞きませんけれども、一時非常に言われましたね。それはそうとして、地方と都市との地域格差をなくするということは政治の大きな命題、使命でありますから、どうかそこを踏んまえて、絶対にこういう必要な局は、どのように臨調で言われても断じて守り抜いていただきたい。このことは先ほどしっかりした答弁をいただきましたからそれでよろしいのですが、なお重ねて要請を強くしておきます。  それから、その次に交通安全の問題を御質問したいと思いますが、私は交通安全というのは警察ばかりやっているのかと思っておりましたら、実は建設省が非常に力を入れているということを最近知りまして、敬意を表するところであります。  さて、建設省としては交通安全対策の重点をどういうところに置いていらっしゃるのか。これは道路局でしょうか、お答えください。
  226. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 お答えいたします。  建設省が担当しております交通安全対策は、道路のいわゆる施設整備といった面での安全対策でございます。そこで、従来から交通安全の三ヵ年計画あるいは五カ年計画をつくりまして逐次やってまいっておりますが、その重点といたしましては、わが国の事故の態様が非常に特徴的でございまして、歩行者と自転車の事故がいわゆる先進諸国に比べて非常に多いという特徴があるわけでございますので、この辺の事故を減らすということをまず第一の重点に置いているわけでございます。  いろいろ考えてみますと、わが国の道路整備の歴史がまだ浅いわけでございまして、たとえば歩行者と自動車、あるいは自転車と自動車の分離といったものがまだ必ずしも十分にできていないわけでございます。その意味合いにおきまして、歩道の整備であるとかあるいは歩行者と自転車を一緒に通して、少なくとも車両から分離するような歩行者自転車道、こういったものの整備に重点を置いて仕事をやっている次第でございます。
  227. 前川旦

    ○前川委員 昭和四十五年をピークに交通事故の発生率がずっと下がってきた。それは皆さん方のそういう歩車道分離というような、歩く人を守ろうというその政策が順次効果を上げてきた、そういうふうに自信を持って断言できますか。
  228. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 歩道を整備いたしますと、歩行者の安全性が飛躍的に増大するということは、私、自信を持ってお答えできると思います。いろいろ事故のケーススタディーをやりまして統計的な処理をいたしたこともございますが、やはり歩道がありますと、道路を縦方向に歩いている人はもちろん、たとえば子供の飛び出しとか、そういった点につきましても大変大きな効果があるという計算が出ております。
  229. 前川旦

    ○前川委員 そうやって毎年かなりの予算を使って歩道をつくるという仕事をやってこられて、最近また交通事故がふえていっているのはどういうふうに考えておられますか。一度落ち込んでかなりいい成績にいって、またふえてきている傾向が出ていますね。それはどうですか。
  230. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 先生御指摘のとおり、五十五年度に、それまでずっと減っておりましたものが増加に転じまして、五十六年は若干減少が見られたわけでございますが、死者の数がことしに入りましてまた昨年同期と比べ、すでに百人以上も増加している、大変憂慮すべき事態でございます。しかしながら、自動車の走行台キロ、これが大体の交通量をあらわすわけでございまして、その一億台キロ当たりの事故件数といったものが一つの指標でございますが、これは依然として低下傾向でございます。したがって、これを定着させまして、また事故件数は少なくなっても、生じております死者数の増加を何とかして防がなければいかぬ。私どもとしては交通取り締まりの面もさることながら、やはり道路整備の面でできるだけのことをしたいということで、ただいま申し上げましたような歩道の整備あるいは自転車の分離、こういったことはなお今後、五十六年度から発足いたしました第三次交通安全整備五カ年計画によりまして精力的に進めてまいりたいと考えております。
  231. 前川旦

    ○前川委員 予算を効率的に使ってそして効果を上げるためには、交通事故がなぜ起こるかということを科学的に分析して、それに対応した予算の配分をしていかなければいけませんね。  そこで、私不思議なことがあるのでお聞きしたいのですが、皆さんのところでちゃんとそういうことはわかっていらっしゃるだろうと思うのですよ、予算執行される側ですから。たとえば人口十万人当たりの死者を調べてみると、地域によって極端なばらつきがあります。これは十万人当たりの死者、昭和五十六年の実績で警察から資料をもらいました。そうしますと、平均が七・四五人であります。ところが、東京は非常に低くて、二・九三人であります。一番多いのは滋賀県でありまして十二・九六、実に四・二倍も死者数に格差がある。同じ日本でいて、道路もつながっていて四・二倍も、これだけ格差があるのはなぜか。  時間がありませんからついでに全部申し上げますと、大阪は、これも平均より低い四・五二人の死者数、ところが、道路のつながっている隣の兵庫県へいくと八・〇七、倍近い。同じく京都へいくと八・七一人、これはほとんど倍ですね。近くでどうしてこんなに差がつくのです。東京の周辺を見ると、東京は先ほど言いました二・九三、非常に低い。ところが、神奈川県へ出ると五・九二人にはね上がる。埼玉県へいくど七・〇五人になる。千葉県へいくと八・七六人。大臣のいらっしゃる千葉県、大変高いですよ。茨城にいくと十二・三一人。栃木にいくと十二・二二人。ここでも四倍の違いがある。同じつながっているところでどうしてこんな差があるのか。警察官の数なんかも調べてみると、こんな大差があるような数じゃありませんね。これをどういうふうに分析していらっしゃる。それによって予算の配分等考えなければいかぬわけでしょう。それから、四国はまた過疎地帯であるにもかかわらず、四県とも全国平均よりかはるかに高いのです。これも不思議で仕方がない。この辺、この地域格差をどう考えていらっしゃいますか、同時にこれをどうやってなくすることができると考えていらっしゃいますか。
  232. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 事故の発生のメカニズムでございますけれども、結局交通の状況によってもかなり違う、それから先ほど来申し上げております道路整備の状況、いろいろな要因があろうかと思うわけでございます。たとえば交通量が少なくても、車が非常に飛ばしてくるようなところでは重大事故が発生する可能性があるわけでございまして、むしろ渋滞して、込んでしまうと重大な事故は余り起きない、車の接触事故あたりが起こる、こういう交通の状況による差もあろうかと思うわけでございます。それからやはり地域の社会的な条件と申しますか、こういったものにも差がございましょうし、その辺は、地域的な差がどうして出てくるのかという点は確かに問題でございます。  現在総理府の交通安全対策室におきまして調査研究が進められておりますので、私どももこれらの研究に参加をいたしまして、地域格差が生ずる要因であるとか、これをどうしたら直せるか、こういったことについてさらに研究は続けてまいりたいと考えております。  予算の配分につきましては、交通事故件数であるとか人口であるとか交通量とか、こういったものをもちろん基礎的に考えておりますし、それから具体的な、歩道を整備したいんだが、まだできていない道路の延長がどのくらいあるかどいった物理上の関係、こういったものを考えて配分をいたしておるところでございます。
  233. 前川旦

    ○前川委員 私の住んでおります四国の高松は、人口十万人以上の都市で見ますと、十万人当たりの死者が十二・一八人、これが全国で悪い方から九番。隣の県の松山にいきますと半分以下になりまして、十万人当たり五・〇四人、悪い方から百七番です。私は、帰れば毎日自分でハンドルを握りますけれども、香川ナンバーの車がマナーが悪くて愛媛ナンバーの車がマナーがいいということはちっともないですよ。全く同じなんですよ、風土も同じですし。それがこんなふうに違いが出てくる、これが不思議で仕方がない。この理由、このメカニズムがはっきりわかれば有効に予算を投じて対応策が科学的にできますね、効果的な対策ができますね。そういう意味で、実を言うと私は警察庁にも聞いてみたのですよ。そうすると、警察庁もよくわからないと言うのです。よくわからないままに予算の配分計画を立てているのだろうか。これもそれなりに科学的にやっているとおっしゃるけれども、本当の原因がよくわからないで予算の配分が科学的にできるとは私は思いませんね。交通事故というのは、特に歩行者、自転車の犠牲者というのは子供と年寄りです。建設省もどうかこういう点にもう少し力を入れていただきたい、このことを強く要望をしておきます。  さて、歩道を設置する必要個所は大体二十三万キロ、そのうち緊急を要するものはこれから十万キロと聞いておりますが、この数字間違いないでしょうか。
  234. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 そのとおりでございます。
  235. 前川旦

    ○前川委員 緊急を要するものが十万キロ、そしていままでに六万キロ強歩車道の分離、つまり歩道の設置ができた、あと残りを新五カ年計画でやるということになりましょうが、これは自信がおありですか。この残りの四万キロ。歩道のつけやすいところは大体もうつけてしまっているのじゃないだろうか。これからは、たとえば人家をのけたり、下げたり、道路の拡幅なんかしないとつけにくいといったような、非常に金のかかるところが残っているのではないだろうか、このように思いますが、これからの五カ年計画でやってしまうことができますか、どうですか。
  236. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 歩道の整備につきましては、交通安全事業のほかに、道路そのものの一般道路事業の中でもやっているわけでございます。そういうことで、つけやすいところは交通安全事業の方で従来ずっとやってまいりましたが、御指摘のようなつけにくい個所がまだ残っておるわけでございます。こういったところは一般道路事業で用地も買い、道路幅も広げという仕事の一環として進めてまいる所存でございます。現在、歩道つきの道路は六万一千五百キロでございまして、この交通安全五カ年計画期間内に少なくとも九万キロ台に乗せで、ほぼ十万キロと言える状態にいたしたい、そのつもりでやってまいります。
  237. 前川旦

    ○前川委員 建設省のやっていきたいという気持ちはよくわかります。しかし、特定交通安全施設等整備事業五カ年計画を見ますと、これは昭和五十六年から開始ですから、五十七年度予算は第二年度になりますね。その五十七年度予算と五十六年度予算を見ますと、伸び率はたしか一・〇三であります。ほぼ横ばいですね。こんなことで五カ年計画、総額で九千百億円の消化ができると思えない。どうですか。たとえば五カ年計画、ほかにもあります。後で聞こうと思いますが、初年度は進捗率が大体一五%から一六%です。どの五カ年計画でも。それから毎年進捗率で二〇%以上つけ加えていかないと五カ年で一〇〇%になりませんね。ところが、この第三次特定交通安全施設等整備事業五カ年計画では、五十七年度の予算は伸び率一・〇三、進捗率はわずかに一七・一%しか上積みされません。このままいくと、とてもじゃないが五カ年で一〇〇%はやれませんね、ゼロシーリングが続く限り。この点どうですか、どのように考えておられますか。
  238. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 一般道路事業の中にこの交通安全の五カ年の事業も組み込みまして、毎年の仕事はこの道路整備五カ年計画の中に組み込んでやっていくということになりますので、どうしても予算の制約を受けるわけでございます。五十七年度の予算におきましては、一般道路事業が全体で事業費が一・〇〇、対前年伸びなしという状況でございますが、その中で交通安全につきましては一・〇三ということで、若干ではございますが、色をつけたということでございます。いまの六十年までの交通安全第三次五カ年計画を完成させるためには、五十八年度以降一三%増しぐらいでいかないと達成をしないわけでございます。それは交通安全だけじゃなくて、あらゆる仕事について言えることでございまして、私どもとしては、臨調の大変厳しい中ではございますけれども、こういった安全性の問題を含めて、いわゆる道路事業は最も基礎的な基盤整備でございますので、今後ともいろいろ努力しながら、何とか実情を御理解をいただき、予算をふやしていく方向努力をしなければならないと考えておるわけでございます。
  239. 前川旦

    ○前川委員 これは大臣にちょっとお伺いをしておきますが、建設省はこのほかに五カ年計画がたくさんあります。たとえば昭和五十六年度を初年度として策定されたもの、昭和五十六年が第一年度で六十年までの五カ年計画を見ますと、たとえば第五次下水道整備五カ年計画、第三次都市公園等整備五カ年計画、第三次海岸事業五カ年計画と、いまの交通安全、そのほかに住宅がありますが、住宅は別として、いま言ったような五カ年計画は、ことしの予算の伸びから見ますと、とてもじゃないけれども、五カ年で当初の計画はやれないのですね。やるとしたら、これから五十八年度、五十九年度、よっぽど高い伸び率で設定していかなければいけませんね。ちょっとそれも無理だろうと思うのです。その点、大直どう考えていらっしゃいますか。  たとえば、各県ではそれぞれの県で県民福祉計画というのを持っていますねりその中で、福祉関係は曲がりなりにも五カ年計画が各県芝も進捗するのですよ。ところが、公共事業だけがおくれていくわけです。いびつなかっこうになって、各県でもこれは非常に頭が痛いのです。ですから、公共事業をもっとまともに伸ばしてくれという要望が強いわけですね。しかも、この五カ年計画は、いまのままだったら軒並みにできないですね。この点、大臣どうされますか。どのようにお考えですか。
  240. 始関伊平

    始関国務大臣 五年計画につきましてそれぞれ具体的な計画を持っておるわけでございますが、最近両三年間は、ゼロシーリング、前年並みということでございますから、こういうふうに上がっている計画が五年目の終わるときに達成できないという事態は十分に考えられるところだと思います。この問題につきましては、今後の財政事情等のいかんにもよるわけでございますが、私どもとしては、後年度にできるだけこれをふやして補いをつけていきたい。それから、けさほど来議論になっております本年度の前倒しなんかの場合に、また年度の後で何かの方法を講ずるとすれば、そういうものもこれを補う手段にいたしたい。おくれることをいろいろな方法で極力追いつかしていきたい、かように考えております。
  241. 前川旦

    ○前川委員 いまのお答えをもっと具体化してみると、これは三月十七日の読売新聞ですが、「建設国債増発を“了解”閣議公共事業前倒しも決定 景気テコ入れ」という記事が出ていますね。ちょっとしまいの方を読んでみますと、「始関建設相が「公共事業住宅の繰り上げ促進には全面的に協力したい。ただし下半期公共事業を追加する必要が生じた時には適切な措置をとってもらいたい」と発言、これに対し蔵相らも異議をはさまなかったことから、下半期景気に息切れが出てきた時には建設国債を増発することに閣議として暗黙の了承を与えた形になった。」「建設国債増発を“了解”」という記事が出ておりましたが、いまの大臣の御答弁を具体化すると、前倒し契約する、下半期には補正予算を組んで何か対応する、そうしないと五カ年計画もできない、そのつもりである、こうなると、いまの財政から言うと、これは必然的に建設国債を今年も増発せざるを得なくなってくると思いますね。もちろん、これは歳入の方は大蔵省だとおっしゃってしまえばそれまでですけれども閣議大臣意見をお述べになれるわけですから、私はそのことのよしあしは中しませんけれども、事実止してそういう方向考えていらっしゃるのかどうか、いまの御答弁を瞬くとそれ以外に方法がないと思いますけれども、いかがでしょうか。
  242. 始関伊平

    始関国務大臣 去る十六日の閣議におきまして、私がいま読み上げていただきましたような趣旨の発言をいたしたことは事実でございます。ただ、これは政府といたしましては、ある意味で言えば非常に大きい方針の転向でございますし、閣議におきましてもそういったような問題がある。つまり、問題意識についてはみんな共通だったと思いますけれども、時期の関係等で、それが余り具体化して明確に言うべき時期ではないということになっておりますので、コメントをつけ加えずに、いまお読み上げになりました新聞の文章は、私に関する限り事実である、こう申し上げておきます。
  243. 前川旦

    ○前川委員 残念ですけれども、時間が来ましたので小林委員にお譲りをいたします。
  244. 村田敬次郎

    村田委員長 関連して小林進君。
  245. 小林進

    小林(進)委員 建設省にお伺いいたしますが、わが新潟県のここ数年の一年間の公共土木事業は、大体、千五百億円から二千億円と推定をせられるのであります。この一年間の工事量の大きな発注者は知事でありますけれども、その知事がその事業を受注する県下の土建業者を自分の後援会、正確に言えば北日本政経振興会という、五十一年に設立されてこれが政治団体としての届け出もされている、その政治団体に百五十社前後を会員に加入せしめて、そしてそこから多額の会費、寄附金を取っているというこの問題でございます。  ここは人の名誉にも関することでありますから、余りあいまいなことは言えない。五十四年度分の自治省に届け出たそれだけでも、県下の土建業者大体百四十社か百五十社、その中には新潟県の土建業界の会長をやっている福田正氏の福田組が七十二万円、それから同じく福田正会長が勤めている福田道路という別名の土木会社でも七十二万円、合わせて百四十四万円、その他加賀田組が七十二万円、本間組が七十二万円、第一建設が七十二万円と、これを読み上げてまいりますと時間がありませんが、そういうふうにちゃんとこれは羅列していられるのであります。こういう受注者と発注者の関係にある者がこういう会に入って、そうして会費を納めたり寄附金を納めていることが正当な好ましい行為であると建設省は一体お考えになっているのかどうか。  なお、調査によりますと、この金額にもバラエティーがあります。小さいのは一年間十二万円というような業者もきら星のごとく並んでいるが、県から受ける業務の内容を見ると、やはり多くの会費なり寄附金を出したものが正比例と言ってもよろしいくらいの事業量、多分に量も質店あるような仕事を受注している、こういう結果があらわれている。こういう業者の姿勢に対して、建設省はいままでどういうふうな指導をされたのか。好ましいことであるとお考えになっていたら好ましいことだというふうにひとつ御答弁願いたいと思うのであります。
  246. 吉田公二

    ○吉田(公)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘になりました中身のことは、私どもちょっと実態を存じませんが、建設業者でございまして毛、政治資金規正法でございますとか公職選挙法等の関係法令に従いまして、政治献金その他の政治活動を行うということは認められるべきものと思っております。こうした関係法令に違反するということは、これはもってのほかでございますが、それに従って行っている限りにおいては認められるべきものであろうと思っております。
  247. 小林進

    小林(進)委員 監督官庁、指導官庁としてどういう指導をしでいみのかということを聞いているのであって、法規を適用する適用しないというようなことまで私ば聞いているのではないのです。そんなのは答弁になっていません。  時間がないのだから、次に自治省にお尋ねします。  これは、自治体の首長として、自分が発注者の立場にある者がそういうようなものを会員にして寄附金やお金を取っていることは、一体自治省として好ましいことであるとお考えになっているのか、好ましからざることとお考えになっているのか。いままではどういう指導をされてきたのか、指導があったら指導、なければないとひとつ御答弁を願いたいと思うのであります。
  248. 横田英司

    ○横田説明員 ただいまのお尋ねの件でございますけれども、政治資金規正法の二十二条の三におきましては、補助金のような直接明白な利益を受ける者につきましてはその政治献金を禁止しております。公共事業の受注者でありますいま御指摘のような会社の場合でございますけれども地方公共団体と請負契約関係にあるわけでございます。いわば私法上の契約関係にあるわけでございますので、このような会社につきましては、選挙に関する寄附のみを制限すれば十分であるということで、先般来問題になっておりますように、公選法で規制しておりますことは御承知のとおりでございます。
  249. 小林進

    小林(進)委員 私は公選法のことを聞いているのじゃないんだ。自治省として、行政指導官庁として、首長がこういうような発注者の立場でありながら受注者を会員にしたり、寄附金を取っていることが好ましいことであるか、好ましくないか、指導したかしないかと言っている。それは関係ない。好ましいというなら好ましいと答えればいい。公選法のことを聞いているのではない。  次は法務省。いま申し上げたこういう関係について、一体法務省は、これは普通ありきたりの乙とだから指導も必要がない、あるいは法律を改正するなり、いま少し規制する必要があるというふうに考えられているのかどうか、いやいや現状このままで結構でございますというのかどうか、率直に答えていただきたい。
  250. 飛田清弘

    ○飛田説明員 お話がどうも高度の道徳的あるいは違法性の処罰限度ということに絡む問題でございますから、ちょっと軽々には申し上げられないと思っております。
  251. 小林進

    小林(進)委員 何を言っているんだ。僕は、行政の姿勢としてこれがこのままで結構なのか、結構でないならば何か手当てをする必要があるかどうかということを聞いているのですよ。君が何を答えたかさっぱりわからない。僕は道徳のことなんか言っているのではない。モラルの問題をしゃべっているのではないんだ。  いまの私の質問に対しては、建設大臣、いわゆる業者を取り締まったり指導したりする主管官庁の長として、あなたは一体どうお考えなのか、どうぞひとつ。
  252. 吉田公二

    ○吉田(公)政府委員 私ども、先ほど申し上げましたとおりでございまして、業者に対しましては、関係法令の遵守ということについては常に指導しているところでございます。
  253. 小林進

    小林(進)委員 それは何にも私の問うていることの答弁にならない。君たちは談合の大もとだから、いつも良心的な答弁一つもはね返ってこない。だめだが、これは時間がない。  次に一つ申し上げます。これは次の問題だ。  同じくこれは五十三年の十二月。五十四年の四月に県会議員の選挙が行われているから、選挙が始まるまで大体三カ月半ないし四カ月前ということで、県会議員諸君は選挙に非常に忙殺されているさなか、そのときに、知事は三十七名の現役の県会議員に五十万円ずつの金をやっているのだ。県知事みずからは自民党の知事であることを誇りにし、かっこれを堂々と公言をしておられる政党代表であります。この知事が、その自民党の現役の県会議員三十七名に五十万円ずつの金をやられた。それで、これは年の暮れだからもち代かと思ったのだが、しかしその中で、現役の県会議員ではあるけれども次の四月の選挙には立候補しない、もう県会議員をやらないという自民党の現役が四名いたが、その四名には五十万円はおろか、びた一文もやっていない。次は必ず現役で立候補して、なおかつ県会議員の地位を継続して保ち得ると思われる者だけにこの五十万円の金をやっている。どう考えてもこれは正常な金の使い方ではない。いわゆる汚職に近づく。当選をしたら、私の、知事のところでよく手足となってひとつ動いてくれ、協力をしてくれ、そういうことを含めた賄賂性の強い五十万円ではなかろうかというのが一般人の物の見方だけれども、これに対して自治省、一体どう解釈をせられるか。好ましいことであるとお考えになるならば好ましいことだということでひとつお答え願いたいのであります。これは住民すべからく興味を持ちまして、贈収賄のにおい濃厚なり、こう言っているのだけれども、一体監督官庁としての自治省はどうお考えになるのか。
  254. 横田英司

    ○横田説明員 お尋ねの件は、私、いま初めて拝聴いたしましたけれども、いまお聞きした限りでは、どういうふうな問題があるのか、私にるよくわからない状況でございます。
  255. 小林進

    小林(進)委員 わからないという答弁があらか。君は何のために国家の飯を食っているのだ。委員長、一体こういう失礼な答弁がありますか。これは建設委員長自体に対する軽べつでもありますよ。わからなければこの問題は留保しておくから、改めて文書をもって答弁せしめるように、ひとつ委員長から十分命令をしていただきたいと思います。私の持ち時間がないことを幸いにして、長たらしい返事をしている。  次に建設省、これはこの前レーダー雨量計の発注をめぐり、仕様書類について、二月二十四日い丸山官房長は早急に調査をするという答弁をしている。もう調査はでき上がっているだろうから、その資料をひとつ私の方にちょうだいをしたい。  それから防衛施設庁。防衛施設庁ぐるみの談合について、大迫公克防衛施設庁調査官の行動、三井建設の落札工事の黒い霧について、伊藤防衛庁長官と吉野防衛施設庁長官は、いずれも事実関係の調査を約束している。これはもうできたろうと思うから、できた資料は私に届けてもらいたい。  なお、金丸元防衛庁長官の、沖縄金武湾燃料タンクの新設についての介在を思わせる三井建設の営業報告書について、これも調査をして、調査の結果を報告することになっている。これもでき上がっているだろうから、その資料を私のところに届けていただきたい。いいですか。  それから、四国地方建設局発注の仲間トンネル工事で裏ジョイン十を結ぶことを指示したことについての、受注をめぐって政治家が介入している疑いについて、ごれも二月二十二日、丸山官房長は、事実関係を調査すると約束している。その結果はもうでき上がっているだろうから、これも直ちに報告していただきたい。  あわせて、農林水産省の問題についても、一年前からのいわゆる事業の割り振りとか、天下り押しつけの件についても調査ができ上がっているだろうから、以上の問題について資料をすぐ私のところにくれるかくれないのか、返事をしてもらいたい。
  256. 川本正知

    ○川本政府委員 先生いま御質問の中で、雨量レーダーの件について、ここでちょっと御報告させていただきたいと思います。  一月二十四日の建設委員会で、雨量レーダーの件で中島議員の方からいろいろと御指摘があったわけでございます。その御指摘め内容は、当時といいますか、秘密であるべき雨量レーダーの発注仕様書が、官側から特定業者の方に事前に漏れておったのではないかという趣旨であったと思います。  それにつきまして調査した結果を申し上げますと、中部地建と四国地建の両地建でございますが、これは、予定価格の作成作業の一環といたしまして、レーダー雨量計の機器の単価見積もりを製造業者、これはメーカーが国内には三社しかございませんが、その三社に見積もり依頼をしたときの見積もり用の参考仕様書でございまして、そを正式に提示したものでございまして、秘密のものでも何でもなかったということでございます。  それから、そのときの日本無線株式会社の社内の伝票等をいろいろお示しいただきましたけれども、これにつきましても調査いたしましたが、おかしいところはなかったということでございます。
  257. 丸山良仁

    丸山政府委員 四国地建の仲間トンネルにつきましては、先般瀬崎議員から御指摘のあった問題でございまして、これは建設省直轄工事だけで二十八件に上る膨大なものでございます。したがいまして、現在調査中でございますから、まだ御報告のできる段階には至っておりません。(小林(進)委員「できたら報告するか」と呼ぶ)できましたら御報告いたします。
  258. 多田欣二

    ○多田政府委員 先生御指摘の事件につきましては、去る十六日に、参議院の予算委員会におきまして共産党の上田先生から資料の御提示がございました。早速十七日に防衛施設庁の中に調査のための委員会を設けまして、現在調査に着手したばかりでございます。できるだけ速やかに調査を完了させたいと思っております。
  259. 小林進

    小林(進)委員 いま着手したばかりなんというのはスローでいかぬよ。やる気がない証拠だ。スピーディーにやらなければいけない。国民の前で君たちがテストを受けている最中なのだ。  私は、去年の暮れからこの談合問題いちずに、精魂傾けて資料も集めて研究もした。資料はこれだけあるのだよ。残念ながら質問するチャンスを与えられないからこうやって持って歩いているのだけれども、私のこの資料の中には建設省あるいは農水省あるいは防衛庁あるいは公団、あらゆる官庁、公団のさまざまな、手にとって見るがごとき悪の資料が山積しているのです。僕は本当にこれを明らかにしたいと思うが、この談合問題を追い詰めていけば、悪いのは業者じゃないです。役所が悪いのだ。建設省が悪いのだ。道路公価が悪い。施設庁も悪い一防衛庁も悪い。農林水産省も悪い。役人が悪いのですよ。それは明らかなんだ。もしうそだと言うなちばひとつ特別の委員会を設けて徹底的にこれを追及しようじゃないですか。  しかも、その中においても、今日まで聞いているけれども、どの役所もみずからの不明を謝すとか、みずから反省するような発言はまだ一つもない。みんな知らないような顔をして、ときには事前に資料を流すとか、ときにはおみやげつきで天下ったり、ときには選挙に活用したり、ときには政治家との癒着の仲立ちをしたり、まさに間接正犯ですよ、共同正犯ですよ、役所のおえら方なんというのは。それを、ここまで来ると知らぬ存ぜぬ知らぬ存ぜぬで逃げている。そうしてか弱き業者をいじめている。業者なんというものは利益を追求するのだから、もうけるためには談合もするし、それは本能的にやるようにできているのです。そのできている業者を正しく監督し、行政の公正を保っていくのが国民の税金で食っている役人ども仕事なんだ。それを自分たちが中心になってやっておきながら、ここまで来るとやってないなんと言う。そして陰では三井建設なんかをいじめて、おまえたちの資料の隠匿の仕方が悪いからこんなのがばれてわれわれまで迷惑しているなどと言って、とんでもない方向に罪を押しつけようとしている。この点を徹底的に直さなければ、百年河清を待つことはできません。いいですか、大臣。あなたの手によって建設省なりの一番悪いやつの首をすぽっと切って、すべて一罰百戒の姿勢で正しなさい。これが大臣仕事だ。これをやる元気があるかどうか、私はこれをあなたに言っておく。大事なことですよ。あなたの答弁は後で聞きますからね。  それからいま一つ、私は実にいい資料を得たのだけれども行政管理庁においてはいわゆる積極論と消極論士があって、積極論として、いま疑惑はもっぱら建設省や防衛施設庁など発注元に向けられている。しかしわれわれにも責任がある一談合を知っていながら長い間ほっておいたのだから。このままでは何のための行政監察だと国民にそっぽを向かれる、こういう積極的な発言をしている。これは行政管理庁の役人がこういうことを言っているのだ。良心的な行政管理庁の役人だ。これに対して、慎重論と称する諸君は、庁を挙げての現在の課題行政改革の推進だ。メスを入れるとなると、各省や自民党などに対して厳しいものになるだろう。行革への支障考えられるから余りやらぬでおこうじゃないか、こういう発言をしているのもいるというのだ。いいですか。これに対して、監察官の役目は、各省の行政予算執行目標どおりの効果を上げているかどうかを点検し、上げてないとわかれば改善を勧告することが重大な任務である。去年は国鉄を、その前の年は農水省の農業構造改善事業を監察の対象に取り上げ、厳しい報告を出した。談合を取り上げれば、役所の工事予定価格と業者の落札価格の関係などを集中的に調査することになるという。特殊法人関係の請負契約から始めよう、特殊法人からやっていこうじゃないかという考えもある。この次なんだよ。「昭和四十九年、石油ショックのあおりで、店頭からトイレットペーパーや洗剤が姿を消す騒ぎが起きた。メーカーが生産を落としたのか、流通過程で製品をかくすのか。緊急対策を討議した閣議の席で通産相、経済企画庁長官が、実態調査には少なくとも一カ月かかると発言した。ところが、当時、行政管理庁長官だった保利茂氏が、」りっぱですよ、保利先生は、ここにおられますけれども。「保利茂氏が、こう反論した。「非常の際に政治の真価がきまる。ボクのところで一週間でやる」 保利氏は、監察官を中心にして一千人の職員ほとんど全員、店頭の価格調査にはりつけた。そしてほどなく、原因が流通過程の売り惜しみにあることをつきとめた。談合に監察のメスを入れるかどうか決断をするのは、中曾根行管庁長官だ。」が、どうも保利さんと違って、保利さんは首相の座につきたいなんという考えは、自分はその柄ではないと考えていられた。だから、経済官僚たちに遠慮がなく指揮命令をされたものと思う。行政管理庁、どうだね、こういう先輩の遺訓を見て。君たちはいまどういう措置をしている。いまこの談合問題は、いわゆる百年の汚職の川を清めるということで国民は全部沸いているんだよ。いま一年間の公共土木費の総額は二十兆円。少なくともその一割は政官業者癒着のためにむだに使われているとこう言っておる。これをされいにたたき出せば、あと中曾根君がやっているつまらないあんな行政整理なんかやめさせたって、ちゃんと日本の経済は皆とうとうと動く。それぐらいこの談合事件というものはすべてにまさっていま緊急を要する重大問題だ。二兆円を出すか出さぬかの問題だよ。なぜ行政管理庁は取り組まないのか。やっているのかやらぬのか、中曾根君をここへ呼んで答弁させろ、どうだね。
  260. 橋元徹志

    ○橋元説明員 担当監察官をしております橋元でございます。  談合問題につきまして非常に巷間問題が指摘されておりますが、行政機関が直接とり得る措置のうち、重要なものは契約事務の適正化の問題であろうと考えております。すでに契約事務の適正化につきましては、当庁としましては、昭和五十五年度に行政事務運営の公正確保に係る体制及び手続に関する調査というものを実施しておりまして、昨年の八月十七日にその結果を各省庁あて通知しております。来年度もこの調査結果について、その後の実行状況を推進しますとともに、先生先ほどお話がありましたけれども、今度はこれは国の機関だけを対象としましたので、全特殊法人を対象にしまして、再度この問題、契約事務の適正化について調査をする予定にしておりまして、当庁としても真剣に取り組んでおりますので、よろしくお願いします。  以上でございます。
  261. 小林進

    小林(進)委員 これで時間が参りましたから終わりますけれども大臣「お聞きのとおりであります。行政管理庁からは、絶えずその調査の結果をスピーディーに厳正にやってもらって、その成果をひとつ御報告いただきたいと思います。  それから、いまも言うように、各地方自治体とも、いわゆる発注者が受注者に対して、そういう後援会なる形でもって金を吸い上げたり寄附金を吸い上げていることに対して、これを改正しようとか悪であるという返事が一言も返ってこない、ここに私は官僚の姿を見た。官僚の癒着を見たのですよ。彼らは時の権力者にみんな己ういうことでもって、陰では仲介の労をとったり、見ても見ぬふりをしたりしてやっているというおのずからの姿をこの中で明らかにしてもらった。こんなことじゃとても政治なんかよくなりません。行政もよくなりません。  最後に、始関さん、あなたの所見をひとつ承りたいと思う。幸いなるかなあなたとは古い友人ではあるけれども、まだあなたには土建業者から頭をはねて、汚職腐敗のにおいがするという話を聞かないのは、私はあなたに対して非常に喜ばしいことだと思っておる。だから私は、あなたのすきっとした決断をひとつ承って、私の質問を終わりたいと思います。
  262. 始関伊平

    始関国務大臣 小林委員からいろいろお話をいただきましたが、この談合という問題につきまして、私ども行政官庁として対処するわけであります。そのほかに司法機関あるいは警察、準司法機関、いろいろのものがこの談合問題に対処すべき筋合いだと思いますが、ただいまのお話だと、どうも談合というのは業者が一種の共謀によってやるものだけれども、むしろ発注官庁側が悪い、職権乱用、収賄至らざるなきところがあるという御指摘でございますが、そういう事実は今日まで、たびたび皆さんから資料を出していただきましたが、出てまいっておりません。もしそういうものが出てくれば、これは行政官庁としてはやはり公務員法の規定を峻厳に適用いたしまして厳正な措置をするわけでございます。また、もし検察その他よその司法機関的なものがそれをやるのならやるで、われわれ襟を正してこれを受け入れなければならぬと思っておりますけれども、事実は出てまいっておらないというのが真相であります。
  263. 小林進

    小林(進)委員 いまいみじくも大臣は、行政官庁が結びついている証拠はないとおっしゃいました。私は之れだけの資料を持って、盗まれては困るから夜も昼も監視しながら寝起きしておりますが、この中にありますから、きょうはもう時間が来ましたのでやめましたけれども、これはあなたとは執拗にひとつやりますから、どうぞその点だけは、宣戦布告をいたしまして、私の質問を終わります。
  264. 村田敬次郎

    村田委員長 次に、中村茂君。
  265. 中村茂

    ○中村(茂)委員 私は、まず最初に、住宅基本法の制定について質問をいたしたいというふうに思います。  この住宅基本法につきましては、住宅宅地審議会で中間報告を含めてすでに三回、早急に制定しなさいという答申が出ております。私だけでもこの委員会で五回も、一日も早く制定するようにという質問を行っております。この国会でも検討法案ということで出ているわけでありますが、先般の本会議で同僚の小野信一議員からどうなっているんだ、こういう質問をしたところ、まだ検討中ですという回答でございました。  私は非常に危惧しているのです。何で危惧しているかというと、昨年でありますけれども、やはり国会に検討法案ということで提出されました。その際、前の斉藤建設大臣のときでありましたけれども、五十六年の四月十日、私が質問いたしましたら二つのことを言っているのです。一つは、まだ与野党間の意見の調整がほとんど進んでいない、それから、まだ内容的に若干問題がある、こういうふうに言っているわけです。内容的に問題がある、どこのところにあるんだ、こういうようにこれは後で質問したのですけれども、そうしたら、自民党の住宅の方の部会と調整がつかないんだというふうに言っているわけなんです。その、調整がつかないということはどういうことだろうというふうに思っていたら、新聞に出ておりました。新聞を見たところが、「自民党が「具体的な宅地供給対策が打ち出されていない段階で、抽象的な住宅政策を掲げても意味がない」、こういうごとになってくると、国会の中で検討法案検討法案と、これはもう五年間続いているのですよ、大臣。五年間検討検討となっている。いまはどういうふうに大臣はお考えですか。
  266. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいまの御質問につきまして、大臣からお答えいたします前に、私の方から経緯等につきまして御説明申し上げたいと思います。  ただいま先生から御指摘がありましたように、昨年前建設大臣の斉藤大臣からお答えを申し上げたわけでございますが、与党であります自民党におきまして、住宅対策特別委員会の中に住宅基本法のプロジェクトチームを設けておられまして、そこで検討をしていただいております。その中で一つ大きな問題となっておりますのが土地対策でありまして、やはり土地対策と住宅対策が両輪のように、うまく政策体系が確立されないといけないんじゃないかという御議論が強くございましたことも一つの問題であったかと思います。それからまた、社会党の方でもあるいはまた公明党の方でも、従来からいろいろな御提案をなすっていらっしゃいます。そういったような各党におきます御提案も踏まえ、また、私たちが今後具体的に政策を展開していきます上で(いろいろな問題の基本の事柄につきまして、なお詰める必要がある、そういうようなことから、総合的に見ましてその最後の詰めができないような状況であるということで、提案を見送らせていただいたわけでございます。現在でもなお検討を続けておりますが、御案内のように、第二次臨時行政調査会におきましても、住宅、土地政策を重要政策の項目の中の一つといたしまして現在御検討も進めておられますし、私どももいままでの経緯の中で十分煮詰めるべき問題がまだまだ煮詰まっておらないというようなところで、検討を続けているというような状況であることを御報告申し上げます。
  267. 中村茂

    ○中村(茂)委員 そういうのを言い逃れというのですよ。私は、全くの言い逃れだと思うのです。というのは、やはりこの新聞にも出ているし、あなたもいまも言いましたけれども、「昨年の七月」というのは、去年のことですから五十五年のことを言うわけですけれども、「昨年の七月に住宅宅地審議会がまとめた答申で「住宅政策の基本的方向」が打ち出されており、基本法がなくても当面の住宅政策推進には支障がない」と判断されているものであろう、こういうふうに言っているわけです。細かい住宅政策なり宅地政策というものがきちっとしていない、だからというけれども、これは私に言わせれば逆なんです。それでは、玉十五年の七月三十日に住宅宅地審議会から出された答申はどういうことになっているかといえば、「新しい住宅事情に対応する住宅政策の基本的体系についての答申」が出ているわけなんです。この体系をきちっとさせるために「住宅基本法の早期制定に努めるべきである。」こうなっております。だから、政策がいろいろなものができて、その上に基本法ができるのじゃなくて、体系をきちっとさせるために住宅基本法をつくって、それに基づいてこの住宅政策、宅地政策が生まれてこなければいけない。いままで日本にこの基本法がないから、住宅政策にしても宅地政策にしてもばらばらになって、いまになって収拾のつかないような状態になっているんですよ。だから私は、全く逆な手法で逆なことを考えて、なお、いま聞けば第二臨調で何か検討している。何も住宅基本法は、もう答申出ているのだからそんなことをやってもらわなくともいいのです。政府やいまの鈴木内閣よりも第二臨調の方が偉いのですか。何でもいまの行政改革というのはそういう手法になってきている。ですから、もうここまでくれば言い逃れは許すことはできません。一日も早く制定していただきたいと思います。  そのために、委員長にお願いしたいのですけれども、各党の調整ということもこの答申の中に含まれていますね。私ども社会党は、住宅保障法案をつくってすでに先般の国会でも提案いたしました。この国会でも提案いたしたいというふうに思います。そこで、理事会で検討していただきたいと思うわけですが、これは一つの例ですよ、もっと検討すればいい案が浮くかもしれませんが、たとえて言えば住宅基本法検討委員会とか、そういうものをつくって、やはりこの委員会としてもひとつ検討をして各党間の調整を図るような努力をしていただきたいというふうに思うのです。提案いたします。
  268. 村田敬次郎

    村田委員長 中村茂君に申し上げます。  ただいま御提案の件につきましては、理事等において別途御相談を申し上げたいと存じます。
  269. 中村茂

    ○中村(茂)委員 よろしくお願いいたします。  次に、五十七年度の公共事業執行についてであります。  きょうも、五十七年度の公共事業前倒しの問題だとか、後半期にいって穴があいたら建設国債を本当に出すのかどうかというような質問を、ずっとやりとりがありました。そこで私は、この公共事業というものについて、どういうふうに基本的に考え、そういった理念というものをどういうところに置いていくのが一番正しいだろうかという、原点の問題について一、二考えてみたいというふうに思うのです。  私は、原理とか、そういうものは別にしても、いま日本で行われている公共事業というものをずっと考えてみると、新経済七カ年計画がありますね、そこで百九十兆、少し減らされましたけれども、百九十兆というものが決まっています。それに基づいてそれぞれ五カ年計画というものができています。そして年々予算がつくわけですけれども、どうもその計画が達成できるような予算づけになっていません。ですから私は、そういう基本があって、予算をつける場合にでもその計画が達成できるように予算がついていかなければいけないと思うのです。それだけつけるだけの歳入がなかったり経済の変動があったら、この基本計画を変えるべきだと思うのですよ。ところが基本計画は相変わらず残しておく。そして経済の変動があったからといって、その計画が実施できないような予算づけがされてくる、こういう面が一ついまありますね。そうかと思うと、五十七年度の予算のことを考えてみると、予算編成のときには、そういう計画があるとすると年々少しずつ伸ばしていかなければいけません。ところがゼロシーリングだ。三年間ゼロで続いた。予算審議が終わらないうちに、そのゼロでつくった少ない公共事業前倒しして前で使おうと、余り景気対策景気対策と言って、公共事業の本質を忘れて、そういうところにだけ目を奪われて執行されている面が特に最近強くなっているんじゃないか。ですから、公共事業というものは、考えてみれば、そこへ支出するのは税金であり、財投であり、建設国債であるわけですね。言えば国民のとうとい税金であり、貯金、それをお借りしてやる、または国債を発行して国民の多くの皆さんの金をお借りしてつくっていく。ですから、公共事業でやったものは、国民生活が豊かに、しかも便利にできるような施設というものが社会資本として形成されていく、こういうふうにならなければいけないと思うのですね。実際そういう面からすると、私はけしからぬというふうに思うわけです。  ここのところに公共事業の四十八年から五十六年度までの伸び率があるわけですけれども、これは災害復旧を含めてのものですが、四十八年のときには三二・二%、四十九年にはゼロ、五十年には二・四%。四十九年、五十年というのはどういう時代かといえば、物価狂乱、そして総需要抑制というので抑えられた。これは景気やいろいろなものに左右されて、計画が外れてこういう組み方をしたわけです。今度は景気をつけなければいかぬということで五十一年には二一・二%、五十二年には二一・四%、五十三年には二七・三%、五十四年には二〇%、そして今度五十五年になったら一・七%、五十六年にはゼロ、そして五十七年は、またゼロだか〇・二だか知りませんけれども、まあゼロですね。だから、公共事業の本質というものを忘れて、ただ景気対策だけでつけたりやったりするこのあり方、こういうものについて、本当に公共事業というものをいま政府はどういうふうに位置づけてどういうふうに考えているか、ひとつ大臣にお聞かせを願いたいと私は思うのです。
  270. 始関伊平

    始関国務大臣 中村委員からただいまお話がございましたように、道路、河川、下水道などの各五カ年計画というものは、三全総の数字と平仄が合っているはずでありますし、また、そのような点から言えば、景気がどうのこうのという問題を離れまして、その目標を達成するように、毎年毎年同じような調子でその公共資本の蓄積に努めるべきである、こういうお話でございまして、なおまた、三全総の数字と五カ年計画の数字あるいは五カ年計画の実行上の数字が合わなければ三全総の数字そのものを改めるべきではないかという御意見でございます。  一つ考え方としてはそのとおりだと思います。ゼロシーリングで三年間続くというようなことは、いかなる意味におきましても余り思わしくないことでございまして、公共事業の本質から申しましても思わしくないというふうに私も存じております。しかし、中村先生がおっしゃいましたように、これは景気対策として毎年の公共投資をかげんしていくということではなしに、逆に、客観的な景気の動きの影響を受けましてこれは動いていくものである。先ほどお話しの四十九年、五十年度ころの非常に低い伸び率は石油ショックの影響ですね、インフレの防止ということから予算を緊縮したものと存じておるわけでございます。  おっしゃることは非常によくわかりますけれども、しかし、日本の経済も世界の経済の中の一環でございまして、その影響を深刻に受けざるを得ない立場から申しますならば、全くの受け身でございまして主導性がございませんし、私どもも非常に残念でございますが、いまのような状況になつ、ていることもやむを得ない一つの姿ではなかろうかというふうに考えております。しかしながら、やはり長期の見通しがあるわけでございますから、われわれはいろいろな機会をつかまえましてそれを実行に移して、そして安全で潤いのある国土環境の整備、それから活力のある福祉社会、住みよい日本の建設に努めていくべきである、このように基本的には考えている次第でございます。
  271. 中村茂

    ○中村(茂)委員 いま大臣お話を聞いていると、私の言ったことも一つ考え方だ、それで、どうしても景気の変動があるからいま景気対策の重点が来ているのだと言って、そっちの方が今度は本質のようにあなたは答弁しているんだ。だけれども、これは先ほど言った三全総それから新経済社会七カ年計画もそうですが、やはりそういう状況を勘案してつくらなければいけない性格のものだと思うのです。いま国際的な経済になっているわけですから、いろいろな経済の状況、そしてそうなってきたそのもとの方も見直して、それに合わせていくようにしなくてはいけないのでしょう。それが私は本質だと思うのですよ。ところが、先ほどから言っているように全く経済の安全弁に使ってしまった。しかも、もう何回か言うようですけれども、五十七年度の予算編成中だ。まだ参議院で審議されている。それで、本当に景気が変動してきて、公共投資をやって波及効果を起こして景気をよくしていくというなら、まだ編成中だから、政府みずから予算の組み替えを出せばいいじゃないですか。それをもう前倒しする、しかも七五%だ。七五%の前倒しをすれば、どんなにいろいろ理屈を言ったって後の埋め合わせなんかしなければならないことははっきりしているのです。だから、私はその態度が本当に気に食わないと言うのだ。――いいです。もう次へ質問します。  そういう中で毎年、前倒しするときもしないときもそうですけれども公共事業執行に当たって、いろいろ指導されているのを出していますね。いままでも出ています。ここのところに、五十六年度の皆さんのところの所管事業執行について、細かい文章がみんなあります。ことしは新しい事態が出てきているので、ひとつ皆さんの態度をきちっとさせて、新しい年度の公共事業執行に当たって対処していただきたいというふうに思うのです。  その問題は、談合に絡む問題です。先ほど、私どもの先輩の小林先生からるるお話がありました。いままでこの国会で談合に絡むさまざまな問題が指摘されて、皆さんの方もこれは何とか対処しなければいけないという状況にいま来ていると思います。五十七年度の公共事業執行するというのですよね。ですから、談合をめぐる問題について、まず建設省態度をその執行までにきちっとさせていただきたいというふうに思うのが一点。そして、それに基づいて、この指導の中にその姿勢をぴしっと入れてもらいたい。その姿勢のもとに五十七年度の公共事業執行するのですよ、こういうふうに厳格にやりなさい、この考え方についていかがでしょうか。
  272. 丸山良仁

    丸山政府委員 いまお話しのように、予算を通過させていただきました暁には、執行通達、次官通達でございますがこれを出す予定にいたしております。ただし、いまお話のございましたいわゆる談合問題につきましては、すでに一月二十九日に次官通達をもちまして、業界並びにそれぞれの機関に対しまして、そのようなことは一切やらないようにという強い指導をしているところでございます。また現在、中央建設業審議会におかれまして、いろいろとこれらの問題を審議しておられますから、その中間答申なり何なりが出た段階におきましては、これを広く通達する考えでございますが、一般の執行通達にこれらの詳しいことを入れることは、通達の性格上なかなかむずかしい点もあると思いますが、せっかくの御提案でございますから、通達を出すまでに十分検討させていただきたいと思います。
  273. 中村茂

    ○中村(茂)委員 これは出し方いろいろありますよね。それを別に出したっていいんですよ。しかし、これだけ問題になっている談合問題をめぐることについて、新しい年度で公共事業をやっていくというときに、皆さんの方の姿勢をきちっとさせないことはないのですよ。いままで出してある皆さんの方の文章、ここのところに全部あります。しかし、これからなお審議して姿勢をはっきりさせなければならない問題が恐らく幾つか出てくるでしょう。  そこで、ある程度はっきりさせていただきたい問題について触れておきたいというふうに思いますが、私ども社会党としては、すでに公共事業執行についての適正化という綱領を発表して取り組んでいるわけですけれども、その中でも明らかにしておりますように、まず指名業者については二十名にしなさいというのについてはすでに通達で出しておりますし、そういう姿勢になっているというふうに思います。しかし、その後業界などからいろいろ文句が来て、二十名以内という皆さんの方の姿勢が崩れてきているような気がしてたまりません。それから、地方の方でもいろいろ言っているようです。しかし、やはり数を多くして談合がそういうところでしにくいような体制をつくっていくというのが必要ですから、一たん決めたそういうものについては、きちっとそれに近い数で指名されていくという体制をなお強固にしていただきたいというふうに思います。  それから次に、入札のあり方についての情報公開ですけれども、これは審議会の中で審議されている、しかもその方向が確認されつつあるということを新聞などで承知していますけれども、そうだとすれば、やはりこの公共事業が新年度発注される前にそういうことを明らかにして、そして執行の際に通達なり中へ入れるなり、きちっとさしていただきたい、こういうふうに思います。  それから、予定価格の問題ですけれども、この予定価格について私どもが主張しているのは、三省協定になっている労務賃について、別枠なり、中へ入れておいてもいいが公表しなさい、安全費について公表するなり別枠にしなさい、こういうふうに主張しているわけでありますが、この点についてへ特に後ほど零細建設業に従事している労働者の賃金の問題と絡めて申し上げれば筋も立ってくるわけですけれども、下請、そういう重層の中で、特に下請で働いている労働者の皆さん、出稼ぎの労働者の皆さんも非常に多い。ところが、どう検討してみても三省協定の中で決まっている試算賃金というか、そういうものより相当下回って、これで本当に汗水流して働いている労働者の賃金か。考えてみれば、建設業界というのは非常にまだ近代化がおくれていて、こんな古い企業はないと思うのですけれども、下請重層になっている。何でそんなに孫まであって下の方が企業が成り立つかといえば、賃金なりまたは安全費というものを削り取ってしまう、それで下の方へそれを押しつけていく。ですからそれだけの賃金を払うことができない、安全対策をつくることができない、したがって安い賃金で雇用される、そして安全が損なわれて災害が起きやすい。こういう労働者にとって一番必要な賃金と労働条件が一番劣悪な中で、しかも汗水流して働かなきゃならぬ。そういうことを考えていくと、やはりそのもとになる賃金なり安全費というものは、何らかの方法で公にして、国民監視の中でそういうものを執行していくというふうにした方がいいんじゃないか、こういうふうに私は信念を持っていますので、この前の予算委員会でも、何回でも官房長に要求するぞということを宣告しておいたわけですけれども、そういう点もひとつ明らかにして対処していただきたいというふうに思います。  そのほか幾つかありますけれども、私は、いま申し上げた点ぐらいは、まず皆さんが決断すれば、新しい年度の公共事業執行の前に決断できるのじゃないか、こういうふうに考え、強く要求をいたします。  もう一点は、これはある程度時間がかかると思いますけれども、入札制度のあり方の問題です。条件つきでもいいから一般入札を広げていきなさいという私どもの主張でありますが、これはここ一カ月ぐらいではちょっと無理だと思いますが、ひとつ努力していただきたい、こういうふうに思います。
  274. 丸山良仁

    丸山政府委員 まず、指名業者の数を二十名にする件でございますが、これはすでに一月二十九日に通達済みでございます。ただし、これにつきましては、先ほど林先生にもお答え申しましたのですが、なかなか問題があります。一番の大きな問題は、小規模工事につきまして、地元業者以外のものを指名しなければ二十社にならない、こういう問題がありまして、地元を混乱させている事態があります。したがいまして、そういうような点には十分配慮をしながら、なるべく二十社になるように新年度からやっていきたいと思います。  次に、入札制度の公開の問題でございますが、この点につきましては、中央建設業審議会におかれまして、まず第一の検討事項として現在検討していただいているところでございまして、なるべく本年度末までに中閲答申をいただきたいとお願いしているわけでございますから、その中間答申が出次第、新年度からなるべく実施してまいりたいと考えているわけでございます。  それから、安全費、賃金の問題でございますが、これはすでに中村先生予算委員会で御答弁したとおりでございまして、そう簡単にいく問題ではないと私は考えておりますが、せっかくの御提案でございますから、鋭意検討してまいりたいと思います。  特に安全費につきましては、すでに相当程度別枠計上のような形になっております。ただし賃金につきましては、これは総価契約でございまして、賃金を組みましても、割り高になっても人間を使うより店、遊んでいる機械を使えばいいという場合に、人間を使えという発注はできないわけでございますから、そういうような問題点もあるということを御理解賜りたいと思います。  最後に、条件つき一般公開入札の問題でございますが、これは中央建設業審議会における最大の検討事項になっております。この点につきましては、しばしば私が申し上げておりますから、本日は時間の関係上申し上げませんが、なかなかむずかしい問題がございます。したがいまして、早急にこの結論を出しました場合にはかえって、こんな表現を使っては恐縮でございますが、角を矯めて牛を殺すというような結果になってしまいますと重大問題でございますから、そういうようなことのないように、中央建設業審議会におきまして十分に検討していただきたい、このようにお願いしているところでございます。
  275. 中村茂

    ○中村(茂)委員 いずれにしても談合、それから契約に絡む皆さんの方の姿勢、こういうものがきちっと変わっていけばいいわけですね。そういう意味で、先ほど小林先生が言われたのは、あの人は語気が強いしあれですけれども、ああいう言い方になるんですけれど、私は、やはり官庁の姿勢が相当左右すると思うですよ、こんなことは。いろいろ皆さんの方で言いますけれどもね。これはわかりますよ、大体。ですから、そういう点については、やはり皆さんの方の姿勢をきちっとさせる、そういうことでこの談合に絡む問題と、新年度の公共事業執行については当たっていただきたいというふうに思うのです。  いつも要求している問題ですけれども、中小零細建設業者に対する受注確保について、それから元請と下請との関係改善、そこのところに勤めている建設労働者の賃金と労働条件の確保、もう時間がありませんから、これは細かく一つ一つ全部用意はしてきておりますけれども、細かい点について私は文書で後で出します。  姿勢の問題としてちょっと申し上げておきたいというふうに思うのですけれども、特に私はこの中小零細というふうに、零細をここに入れたんです。皆さんの方を見ても中小ということで、大体小も余り入れないですね。中堅建設業という言葉をいままで使っていて、小も余り入れない。しかし、このごろ東京都の発注についていろいろ調べてみました。そうしたら、中堅企業への発注ということで五〇%ぐらいは行っているのです。これは行っているなというふうに思ってみたところが、やはりいわゆる三百名までの分野に基づく中小の分け方ですから、三百名といえばもう中でも大きい方ですよね。やはり小、零細のところがほとんど少ない。ですから、いろいろありますけれども、小、零細の方にある程度力点を置くような、自治省を含めての指導、こういうものを姿勢としてひとつきちっとさせていただきたいというふうに思うのです。細部については時間がありませんから文書で出します。そこで、その考え方をひとつ答えてください。
  276. 丸山良仁

    丸山政府委員 建設省からの指導通達で、中小の小もないといういまお話がございましたが、中小とはっきり書いてございます。ただし中堅という言葉も使っておりますが、これはいろいろと中小に対する助成措置なり配慮はしているけれども、それからもう一つ、大手は力で取るけれども、中堅、大体資本金一億から十億ぐらいの企業が非常に苦しんでいる、こういう実態があるものですから、中堅にも配慮するようにというような通達も出していることは事実でございますが、本質は中小の保護の通達を出しているわけでございます。  したがいまして、いま先生お話のございましたように、確かに中小の定義が一億以下、三百人以下ということになっておりますが、建設業の実態を見ますと、一億以下の企業は〇・六%、約三千五百社程度ございますが、そのうち三百人以下ということになりますと五百社程度しかないわけでございます。したがいまして、やはり三百人というところに相当問題があるのではないかというように考えられますが、この点につきましてはすでに中小企業庁におかれまして中小企業政策審議会でこの問題を検討しておられるそうでございますから、その結論を待って対処してまいりたいと考えますけれども、いずれにいたしましても、いわゆる零細企業につきましても今後の発注については十分に配慮してまいりたい。  実情を申し上げますと、予算はこの三年間伸び率はゼロでございますが、発注件数は一〇%ふえております。それはやはり分割発注等を行っている結果でございまして、われわれといたしましてはできるだけ中小企業に配慮をしているつもりでございますが、今後ともその点については十分配慮してまいりたいと考えます。
  277. 中村茂

    ○中村(茂)委員 それから、自治省が来ていると思いますけれども、せっかくですから、地方自治法の施行令で規定しているいわゆる随契の金額、これは非常に低い金額ですから、少なくとも五十万程度、それを引き上げて、これこそもう零細というよりも個人でやっている大工さん程度になるわけですけれども、受注を広めていただきたい、こういうことで申し込んでおきましたから、考え方をひとつお聞きしたいというふうに思います。
  278. 中島忠能

    中島説明員 お答えいたします。  問題意識を持ちまして現在関係地方団体の契約担当者からヒヤリングをしておるところでございますので、しばらくお待ちいただきたいと思いますが、できるだけ早く結論を出したいというふうに考えております。
  279. 中村茂

    ○中村(茂)委員 行政管理庁が来ていると思いますけれども住宅都市整備公団の縮小問題についてお聞きいたします。  皆さんのところで、公的住宅の建設及び管理に関する行政監察結果報告というものをつくって、近いうちに出すという話があるわけですけれども、その内容はどういうふうになっているのですか。
  280. 橋元徹志

    ○橋元説明員 先生御指摘のとおり、行政管理庁では、昭和五十六年の四月から六月にかけまして、公的住宅の建設及び管理に関する行政監察を実施しております。この監察は、最近の住宅事情が、全国的には住宅数が世帯数を上回りまして、量的には充足しているものの、大都市圏を中心住宅に困っているという世帯が多いので、どのような状況を踏まえまして、公営住宅と公団住宅等の公的住宅を対象としまして、住宅の需給状況、住宅の供給体制、公的住宅の建設、それから公的住宅の管理の各項目につきまして調査を実施しております。  調査結果につきましては現在取りまとめ中でございまして、その内容につきましてはまだ成案ができておりません。できる限り早急に勧告するべく、現在鋭意努力しております。
  281. 中村茂

    ○中村(茂)委員 これは新聞報道ですけれども、いまの報告ではまだ成案になっていない、こういうふうに言われますが、公団が建設する賃貸住宅は東京圏に、また分譲住宅は東京圏、大阪圏に限定する、これは大問題なんですね。賃貸住宅は東京圏に限定するということになると、中部、近畿、それから支社がある九州、このところでは賃貸は要りません、こういうふうになるわけですね。それからその次に、分譲住宅は東京、大阪に限定する、そうなってくると、分譲の方は名古屋と九州、この支社が関係してくる。私は公団の支社が関係してくるどうということではなしに、住宅事情を考えてみた場合に、賃貸住宅にしても、大都市圏については賃貸住宅を低廉で環境のいいものを提供していかなければ住宅問題は解決できないと思いますよ。ただ運営の面なり管理の面だけ考えて、なかなかこれは大変だ、したがって東京圏だけにしてしまう。こんな発想で住宅問題を考えたらこれは大変なことになります。すでにいま審議されていますけれども、宅地並み農地の問題についてもそれぞれの委員会審議されています。ここのところはどういうところに網がかぶさっているかと言えば、やはり東京、大阪、中部なんですよ。そして宅地または住宅を進めていこう、そういう網がかぶさっているのです。ですから、そういうところまで、ただ公団の経営の面、運営の面だけ頭が行って、住宅政策というものを全然よそにしてこんな発想が出てくるということは、とんでもないごとになる。これは皆さんの方でまとまっていないなら結構だ。しかし、こんなことでまとめないようにしてください。これは大変です。  それからもう一つ申し上げておきたいというふうに思いますのは、いま、内容のいい悪いは別問題として、行政改革というのは第二臨調というところでやっていますよね。これが組織にまでかかわる問題を行政官庁の方でいまやっているということになれば、いわば二ところで行政改革の問題を論議しているかっこうになるわけです。片方で行政改革の問題をやっているとすれば、いままでと違うてあなたの方は管理運営の面だと思うんだよ。最近見ると、第二臨調は管理運営の面まで、とんでもないところまで口を突っ込んでいる、先ほどの住宅基本法の問題まで口を出すんだから。ですから、そういういまのあり方からしても私はどうしても腑に落ちない面があるのですが、いずれにしても、基本は住宅政策をどのように進めるか。いま申し上げたような考え方では住宅政策というものはとんでもないことになってしまう。住宅政策を考える場合に、住宅のあり方というものを抜きにして、ただ公団の管理運営の面だけで住宅政策が損なわれることのないように強く警告しておきたいというふうに思います。これについて建設省の方でひとつ考え方をはっきりさせてください。
  282. 豊蔵一

    豊蔵政府委員 ただいま行政管理庁の方からもお話がありましたように、公的住宅の建設及び管理に関する行政監察が昨年来行政管理庁において行われておるわけでございますが、先生御指摘のように、一部の新聞報道に出ておりましたようなことについては私ども聞いておりませんし、現在の進捗状況といたしましては行政管理庁内部でお取りまとめ中であり、また、私どもの方としては事実関係等につきまして照合等の事務を行っておるということでございます。  また、中部地域あるいは九州地域について見ました場合、昭和五十三年の住宅統計調査の結果によりましても、最低居住水準未満の世帯の方々が相当数存在することは事実でありますし、また、現在あります住宅のストックにつきましても、必ずしも良質なストックばかりではないというようなことでございますので、今後とも住宅都市整備公団におきまして需要動向を十分勘案し、これらの地域における公団住宅の的確な供給を図るというようなことでいく必要があると考えておりまして、私どもといたしましては、中部あるいは九州につきましての支社を廃止するということがもしあるとすれば、それについては廃止すべきではないというふうに考えております。
  283. 中村茂

    ○中村(茂)委員 もう一回、行管。
  284. 橋元徹志

    ○橋元説明員 お答えいたします。  行政管理庁としましては、現在事実確認を行っておりまして、最終的な詰めの段階でございますので、結果については所見を差し控えさせていただきたいと思います。
  285. 中村茂

    ○中村(茂)委員 皆さん、行政管理庁にいま所感を求めるということはしませんけれども住宅政策というものをよく考えて、ただ組織なり合理性なりということの観点ばかりではなしに対処していただきたい、こういうことを強く注文しているわけですから、そのことを理解してもらえばいいのです。  それから次に、最後ですけれども、道路公団にお伺いいたしますが、関越自動車道上越線というのがいまそれぞれ計画されているわけでありますけれども、特に藤岡市と佐久市につきましてはすでに整備計画が出され、それから公団への施行命令もすでに出されているわけでありますけれども、路線発表、路線がどうなるかということについてまだ明確ではありません。聞くところによると近く発表になるということでありますけれども、藤岡と佐久市、この間の路線がどういうふうになっていつごろ発表する予定か、まず公団から明らかにしていただきたいと思います。
  286. 高橋国一郎

    ○高橋参考人 ただいま御指摘の関越自動車道上越線の藤岡-佐久の間の六十九キロメートルにつきましては、昭和五十四年の三月に建設大臣から施行命令を受けておりますが、このうちの藤岡と松井田の間の四十二キロメートルにつきましてはもうすでに昭和五十六年五月、昨年の五月に路線発表を行っているところでございまして、現在当区間は地元に事業説明を行っておりますし、また一部では中心ぐいの打設作業を行っている状況でございます。  ただいま御質問の松井田と佐久の間でございますが、この間につきましては地形が非常に急竣な山岳地帯を通っております関係上、路線選定とかあるいはその構造等につきまして技術的な検討を重ねておりまして、少し時間をとったわけでございますが、このほどようやぐ調査がおおむね完了いたしましたので、今年度内、つまり今月中に路線発表するつもりで、現在関係の各県及び各市町等と調整を行っているところでございます。ただいまの予定では、今月の二十九日に路線発表するつもりで準備を進めております。
  287. 中村茂

    ○中村(茂)委員 結構ですが、その中で一点だけお聞きしておきたいというふうに思うわけですが、いままで山岳地帯で、しかも全国的な、国際的な避暑地として有名な軽井沢が、インターはどうなっていくんだという心配が地元で相当深いわけですけれども、そこへうまく道路がつながるようなインターが計画になっているのかどうか、その一点だけひとつお聞きしておきたいと思うのです。
  288. 高橋国一郎

    ○高橋参考人 ただいまの御指摘のとおり、藤岡」佐久間の路線は軽井沢を外れまして、軽井沢の南と申しますか、かなり離れた地域を通りますが、当然軽井沢にはサービスする必要がございますので、松井田の先の方に碓氷というインターチェンジを設けまして、軽井沢に乗り入れられるようにしたいというふうに考えている次第でございます。
  289. 中村茂

    ○中村(茂)委員 そうなってまいりますと、この上越線というのは佐久市から更埴市までの間はまだ整備計画にも格上げになっていないのです。そして中央道長野線が更埴市まで来るわけですけれども、それが須坂まで行く、その長野線の途中の更埴のところで一緒になって須坂まで行って、そこで長野線は切れるわけなんです。ところが、その長野線の切れた向こうのところから今度はこの上越線のところの整備計画がわずかですけれども決まるといえば、一つの線だけで見ると佐久市と更埴市の間の格上げが切れているわけですよ。したがって、ここでお聞きしたいというふうに思いますのは、いろいろ調査しなければならないと思いますが、佐久市と更埴市の整備計画の格上げはいまどのように考えているか、これは建設省の方へお聞きしたいと思います。
  290. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 お答えいたします。  基本計画段階でございますので、佐久-更埴間は、ただいま建設省におきまして整備計画に格上げをするための調査を実施している段階でございます。御承知のように、このルートにつきまして従来地元からもいろいろ御意見をいただきました。なかなか決定しにくかったという点はあるわけでございますが、いまや地元の方もその辺は意見が大体一致されたというふうに伺っておりますので、鋭意ルートを早く決めるようにいたしたい、調査を進めたいと思います。ルートが決まりますと、御承知のとおり建設省の当面の措置方針によりまして、整備計画をつくります前に環境アセスメントを実施することにいたしております。それができますといつでも整備計画の公報ということになるわけでございますが、まだつい先日、一月二十日に第二十六回の国土開発幹線自動車道建設審議会を開催したところでございますので、次回の審議会の日取り等につきましては、まだ何とも申し上げかねるという段階でございます。
  291. 中村茂

    ○中村(茂)委員 国幹審というのは、五十年ぐらいまでは毎年開いてきましたが、その後二年に一回ぐらい開かれるようになって、ここのところ三年に一回だと思いますが、いずれにしても二、三年に一回開かれるようになったわけですが、そういうことを考えてみると、次の国幹審というのは先般開かれたのから二年と数えてみると、大体それぐらいでこの路線が確定してきて、環境アセスメントを行って整備計画への格上げというようなところへ作業手順というもの、日程等が組み合わさってくるような状況なんでしょうが、どういう事情ですか。お伺いします。
  292. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 先ほど申し上げましたように、整備計画に格上げするために、まずルートを決めませんとその環境アセスメントもできないわけでございますので、ルートの方の検討、それから環境アセスメント、こういう手順を踏んでまいるわけでございます。何しろ一番の問題はルートの問題でございますので、これがある程度まとまりますとその後の予定も固まってまいるわけでございますが、まだいまのところではちょっと未定ということでございます。
  293. 中村茂

    ○中村(茂)委員 途中はあいてしまったわけですから、できるだけ早く、誠意を持って対処していただくことを強く要請して、私の質問を終わります。
  294. 村田敬次郎

    村田委員長 これにて中村茂君の質疑は終了いたしました。  次に、瀬崎博義君。
  295. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 委員長にお願いをして、資料配付をお願いしたいと思います。それと、見ていただきたい写真もあるのですが、これは組数が少ないので、政府側と委員長でごらんいただければと思っております。  まず大臣に伺いますが、私は談合問題を追及した二月二十二日の予算委員会の一般質問でも、公共事業のむだをなくすなら一兆円減税の有力な財源一つになり得るのではないか、こういう立場を表明したわけであります。真の行政改革を推進するというのであるならば、そしてまた財政再建に本当に政治生命をかけるというのであるならば、そしてまた国民が切望している一兆円減税を真剣に考えるというのであるならば、政府の第一義的な課題としてやはり公共事業にかかわるむだをなくする、こういう姿勢でなければならぬと思うのですね。その公共事業の大きな部分が建設省所管であるという点で、大臣としてもむだのない公共事業執行ということは常に心がけていらっしゃると思うのでありますが、改めて建設行政の第一の課題として位置づけておられるかどうか、お聞きをしたいと思います。
  296. 始関伊平

    始関国務大臣 公共事業執行に関しましては、ただいま特に財政事情の厳しい折からでございますから、有効な、むだのない、かつ適切な執行努力をいたしておるところでございまして、今後と亀一層努力をしてまいりたいと思います。  ただ、建設省の関係につきましても、個々に申しますと若干のむだと申しますか、たとえば住宅都市整備公団がまだ利用のできない土地を大分持っているとか、あるいは住宅はできているけれども入居のできないものとか、そういったような局部的なむだがいろいろあるわけでございますが、これらにつきましては一つ一つそれぞれの問題について善処方を取り進めておるところでございます。なお、談合につきましていろいろ御指摘もあったようでございますが、私どもは公共工事の発注につきましても、やはり厳正な、適切な発注をいたしているのでございまして、そう大きなむだがあるというふうには考えておりません。
  297. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いま一、二の具体的な例を挙げられたわけでありますが、この公共事業のむだを点検する場合に、第一に、国民にとって緊急性、必要性の高い事業に優先的に予算配分が行われているかどうか。第二に、国及び政府関係機関の取得した資産がむだに放置されることなく、有効に活用されているかどうか。この一例はいま大臣がお挙げになりました。第三に、公共工事の発注や資産の買収はむだのないように公正に行われているかどうか。第四は、公共事業に不正腐敗や利権が絡んでいないかどうか。こういう項目が大きな柱になってくるのではないか。このように総合的に点検をしてかかる必要があるのではないかと思うのですが、いかがですか。
  298. 丸山良仁

    丸山政府委員 御説のとおりだと思います。
  299. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そこで私は、最初に住宅都市整備公団における投資のむだについて、ただいま若干大臣が先回り答弁されましたが、具体的に質問したいと思うのです。  まず会計検査院に伺います。住宅都市整備公団の遊休地といいますか、未利用地ですが、昭和五十五年度決算検査報告書では、五十年度において長期保有土地として指摘し、さらに五十五年度においても長期保有土地として指摘したものが十一地区ゆいまお配りしております表の「公表された長期未利用地-その1」に当たるわけであります。それから五十年度においては長期保有土地と指摘しなかったものの、五十五年度において長期保有土地と指摘したもの、これが十地区。この表では「公表されている長期未利用地-その2」に当たるわけであります。合わせまして二十一地区、千三百二十八ヘクタール、千三百九十五億円、こういうものが遊休地あるいは長期保有土地になっている、こういうふうに公表されているわけですね。  これらの報告をするに当たって、会計検査院は昨年の六月四日、公団の九州支社に対して、十月二十八日、中部支社、東京支社と首都圏本部に対して、十一月五日関西支社に照会を出していますね。
  300. 小川一哉

    ○小川会計検査院説明員 お答えいたします。  そのとおりでございます。
  301. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 引き続いて検査院に伺います。  その照会の中に、公表したこの二十一地区以外になお横浜市の磯子ビューハイツ、愛知県の日進町長塚、それから札幌市の里塚、北海道石狩町花畔第二、北九州市泉台、こういう未利用地の疑いのあるものが入っていたんじゃないですか。
  302. 小川一哉

    ○小川会計検査院説明員 お答えいたします。  先生ただいま御指摘のとおりに、決算検査報告で指摘をしました以外の団地も、未利用地の疑いで調査をいたしまして質問をいたしております。
  303. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 実は私は北九州市の泉台、これだけは残念ながら直接足を運ぶことができませんでした。したがって地元の議員から事情を聞きましたが、それ以外はすべて現地に足を運んでこの目で確かめ、また、事情はこの耳で聞いてまいりました。  その一つ、横浜市の磯子ビューハイツの場合であります。写真の一枚目の左側をごらんいただきたいわけであります。この上と真ん中が全体写真図であります。問題は、これは七・八ヘクタールなんですが、この土地を開発しようと思いますと工事用のダンプ等の出入りが必要なんですが、この進入路は旧磯子街道を通らざるを得ないのです。ところがこの旧磯子街道の道路下は、東京ガスの根岸工場のすぐそばなんですが、七百五十ミリ管二十五気圧と、六百五十ミリ管二十気圧の二本が埋まっている。そのためにこの写真の一番下はごらんのように進入禁止になっているわけであります。つまり大型車は直進以外右の方、つまり旧磯子街道、進入路のある方へは曲がってはならぬ、こういうふうになっているわけですね。そういう高圧ガス管が通っているわけでありますから、これはもちろん危険であって、どんな事情があるにせよそういうダンプを通すことは不可能な話だと思いますが、もちろん既存の団地自治会もダンプ通行に対しては絶対反対の態度をとっているわけですね。そのために事実上工事は不可能になっているわけですね。しかもこの辺には文化財の埋蔵もあるということで、しかし主たる理由は、この道路問題が解決されない限りは、半永久的に未利用地になるということがほぼ確実、このように見られているわけですね。ですから、いやでもおうでも大規模な建設工事を伴う開発という考えではとうてい利用できない、こういうことではないかと思うのです。会計検査院は一応疑いながら、なぜ一体これを未利用地から隠したのですか。
  304. 小川一哉

    ○小川会計検査院説明員 お答えいたします。  先生御指摘の磯子ビューハイツでございますが、これは五十二年度の取得でございまして、まだ五年ぐらいしか経過してない。それから当局におかれまして、先ほど先生御指摘の道路の関係でございますが、それの問題の解決に鋭意力を注いでおられるというようなことで、事情をしんしゃくいたしまして、指摘していないものでございます。
  305. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 公団に伺いますが、これは西武不動産から購入した土地ではないですか。
  306. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 たしか私の記憶ではそう考えております。
  307. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これはこういう事情なんですね。五十二年の三月二十八日に西武不動産は七万七千九百九十六平米を三十二億三千四百六十六万円で公団に売却をしているわけなんです。ゴルフ場か何かを考えておったらしいのですが、いま言ったように、大規模な開発の工事ができないわけなんですよ。さらにこの土地には風致地区の網もかかっているわけなんですね。すぐそばに、そういうゴルフ場も当て込んで西武は横浜プリンスホテルを持っているんですが、これも客足が少なく売却したい意向を持っている。開発見通しが立たないためにどこかにこれを売りさばきたいと思っている。それを公団が押しつけられたのか、みずから買い取ったのか、そこの事情はよくわかりませんが、こういういわくつきの土地を西武から買っているわけですね。こういう点では、私は買収そのものが国費のむだ遣いという類型に入るんではないかと思うのですね。大臣、どう思われます。
  308. 始関伊平

    始関国務大臣 当時の事情をまだ全く存じませんので、具体的に論評するわけにまいりませんが、住宅公団は建設省傘下の公団の中でも一番古い公団でございまして、もとは住宅不足は質の問題ではなしに量の問題である、土地があり、住宅をつくりさえすれば利用者が殺到した、こういう時代の惰性がございまして、これはいまから考えれば大変申しわけないことですが、いまのような不用な財産を抱え込む、こういうことに相なっておると理解をいたしております。
  309. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 これはそういう理屈は通らないんですよ。すでにこういう未利用地問題がやかましくなって、昭和五十一年に会計検査院が未利用地調査をやった、その後に購入しておる。しかも西武不動産がもてあましておったもののしりをふいたわけでしょう。これはもう弁解の余地がない問題です。それを今回会計検査院がお目こぼしをしている。これは本当に三重にけしからぬと思うのですよ。いま私が説明しておりますのは資料一の二、「かくし長期未刊用地-その1」に当たっております。会計検査院は一応疑いありと照会したんだけれども、お目こぼしをした部分であります。  次に、愛知県日進町の長塚の場合であります。この日進町には株山と長塚と二地区公団の用地があるんですが、問題なのは長塚地域の二十九・六ヘクタールであります。写真中央欄の一番上が全、体図ですが、この前の平地のところは公団の土地じゃないんです。この後側、木の生えた山が公団用地なんです。下の写真にちゃんと立て札が立っておりますように、保安林なんですね。調整区域である上に保安林なんです。もともと住宅建設などできない土地なんですね。なぜ買ったのか、本当に私どもは動機を疑うわけです。いま公団は残地の処分を推進中のようで、会計検査院はその報告を恐らく真に受けてこれを隠したのだと思うのです。確かに日進町は二十九・六ヘクタールのうち、十五・四ヘクタールについてだけならば町総合運動公園として買い取ってもよい、こういう意向を示しております。公団は残る十四・二ヘクタール右買ってくれ、こういうふうに申し出をしているようであります。  ところが、まず町が一応総合運動公園にする方向を決めている十五・四ヘクタールの方なんですが、町は用地買収費の一部を昭和五十四年度予算から計上し始めているんですが、いろいろ複雑な事情があって、毎年毎年年度末減額補正をして、一度も執行されないまま今日に至っている。そして、ついせんだって、二月二十五日に開かれた総合運動公園建設委員会の結論を議事録で読み上げてみたいと思うのです。「公団本社は、住宅建設を断念する方針を決定しました。」「これらのことから、町の運動公園について公団の住宅建設との抱き合せによる住宅宅地関連公共施設整備促進事業としての基準に合致しなくなり、一般の都市公園事業とすること。又、公団の住宅建設が断念された現在、今までに皆様に御報告しでありました公園用地の買収について、十ヘクタールを除く残りの約五ヘクタールについては無償譲渡ということでしたが、町は有償で買収せざるをえなくなった旨の説明がありました。これについて委員会において協議した結果、事業については一般の都市公園事業とすることを了承し、約五ヘクタールの無償譲渡の件については、公団の計画変更があろうと町当局は当初からの公団との協議内容を生かし、町に有利となるよう交渉を進めることを町当局に申し入れました。」、こうなっている。公団の腹は、問題のある土地を高く買い過ぎたものだから、町の運動公園用地に買い取ってもらうために、十五ヘクタールのうちの三分の一は無償譲渡にする、その負担は残る約十四ヘクタールに予定されておった住宅の原価にぶっかぶせよう、こういうことではなかったかと思われるのですよ。しかし、住宅建設を断念せざるを得なくなったので、無償譲渡も公団の側は不可能になってきた。しかし、町は公団との約束があるんだから、三分の一、五ヘクタールは無償でなくては困る、こういう結論を委員会は出してきている。そういう点でも、運動公園部分についてもそうすんなりはいくまい、そういう地元のお話であります。  さらに、その残りの十四・二ヘクタールについてなんですが、同じく公園建設委員会はこういう結論を出しております。公団が所有している運動公園東部の残地約十四ヘクタールについて」、「公団は住宅建設を断念し、町を含めた他への売却処分を考えており、町へも打診してきております。この件について、委員会において協議した結果、すでに都市計画決定された総合運動公園計画について、計画変更の余地はなく、公園用地として買い増す必要のないことを決定しました。又、公団の他への売却処分についても町全体の土地利用を考慮し、慎重に対処する旨を町当局に申し入れました。     〔委員長退席、大塚委員長代理着席〕 づまり、町には残地買い取りの意思も余裕もないということがここに明確にされているのです。しかも周囲にはため池とか消火栓があって、土砂流出保安林でしょう。そういうことから、町はこの利用について厳しい制約を行うべきだ、こうも言っているわけです。だから、これは半永久的に遊休地になる可能性が出てきているのです。  一体会計検査院はこういう事情をきちっと調べたのかどうか、ただ一片の報告でこれも未利用地から隠してしまったのかどうか、この点を私は聞きたいと思うのです。
  310. 小川一哉

    ○小川会計検査院説明員 お答えいたします。、先生御指摘の愛知県の日進地区でございますけれども、これは先ほどもおっしゃられましたように、町当局に総合運動場の公園用地として売却の交渉をしている、それから私ども調査した時点ではその計画が進んでいる、こういうふうなことで指摘からは外しているわけでございますが、なお、他地区につきましても推移を絶えず見ておりますので、またこの次の機会に検討するものでございます。
  311. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 さらに言いますと、総裁、これはもともと四十五年、買収した当時は総面積四十・七ヘクタールだったのでしょう。さんざんもてあましたあげくの果て、十年たった五十四年にまず名城大学にグラウンド用地として十一・一ヘクタール買ってもらっているのです。もちろんこれも現在なお山林のままですよ。結局公団の行為は不動産屋というか、ブローカーみたいなことになったわけですね。一戸の住宅も建てないまま切り売りせざるを得ぬし、それも売れるか売れぬかわからぬし、一軒も家が建てられないような土地を買収して、果たして国民に対して責任のある申し開きができるのでしょうか。     〔大塚委員長代理退席、委員長着席〕
  312. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 先生の御指摘の、たとえば日進でございます。これについては正確な資料を手元に持っておりませんが、約四十ヘクタールあったと思います。先生のおっしゃいましたように、十ヘクタールにつきましてはすでに名城大学の総合グラウンドとして五十四年に処分しております。  この土地を買いましたのは、当然保安林の指定があることは承知して買っております。当時の状況を申し上げますと、そこは保安林になっておりますが、ずっと解除されてきております。そういった関係で、私ども当然これは解除されるということで買収したようでございます。ところがその後、環境保全問題とかなんとかということで保安林の解除が非常に厳しくなりまして、そういったことでなかなか開発ができなかったということでございます。  先生のお言葉ではございますが、町の運動公園の残りの土地につきましても、私ども調整区域の保安林の解除につきまして県当局と協議いたしましたが、しばらく時間がかかるということで、建設省のいろいろな指導もございまして、残りの土地についてもすでにいろいろな大学から運動場に使いたいというお申し出がございまして、そういう方向で町当局とも御相談しているところでございます。
  313. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 そういう希望的観測を立てているうちに十数年たっちゃった、こういう経過なんですよ。会計検査院はそういう態度をチェックすべき機関なんだから、いいかげんな、なれ合いみたいなことはやめてもらいたい、こういうことを私は言いたいのです。  次は、札幌市里塚の場合であります。十三・二ヘクタール、写真は左端であります。これはたまたま私三月十六日に行って写しているので雪が残っているのであります。この高い台地の上が公団用地ではないのですよ。中のぐぼんだ低いところが公団の用地なんです。そこが問題なんです。公団は当初は高層住宅の建設を予定して、一応大区画に分けての粗造成は終わっているようであります。雪の下でよくわかりませんでした。しかし最近、これを低層分譲に切りかえて、区画道路の再造成をしたいと市に申し入れているようでありますが、市としてはまだ検討段階ではないと言っております。というのも、この地区へは下水道の本管が来てないわけで、一応の計画はあるようですが、最低でも完成まで五、六年はかかるだろうという見込みであります。  この住宅地は便利はいいのですよ、札幌-千歳間を結ぶ国道の端なんですが、何とぞの国道から三、四十メートル下になるのですね。道路わきから眼下に見おろす形になります。それのみか、この写真でもおわかりのように残る三方も高台に囲まれて、がけ下にある、いわばすり鉢の底にある土地なんです。したがって、こういうところに家を建てても周囲の展望はもちろんきかないし、周囲から見おろされる形になるし、大雨でも降るとここへ皆水がたまって遊水地になってくるわけでしょう。もとそういうところではなかったかと思うのです。端的に言えば住宅不適地であって、しかも周囲の高台のいいところは全部東急不動産、三菱地所、丸紅、こういう大手不動産会社が開発しているのです。ここも公団は使い物にならない土地をつかまされたような感じなんです。分譲住宅に切りかえたからといって、一体売れる見通しがあるのかどうか。公的住宅の用地としてこういうところは本来は不適ではないかという考え方をするのが公的機関の正しい判断ではないか、こういうように私は思うのですね。この点も会計検査院は見逃しているわけですが、いかがですか。
  314. 小川一哉

    ○小川会計検査院説明員 お答えいたします。  先生御指摘の里塚の団地でございますが、これは取得が五十一年度でございまして、実地検査時点でまだ五年たっていなかった、長期というにはどうか。それから、住宅は建設できる。ただ、ちょっと高層住宅としては不適である。それから、道の住宅供給公社の方で取得の要望がある、こういうふうな事情を参酌いたしました。ただ、本件団地につきましても、私ども今度とも十分推移を見ていきたい、こういうふうに考えております。
  315. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 次は、写真では二枚目の左端になるのですが、北海道石狩町花畔第二の場合です。この周辺は、北海道住宅供給公社が主体となって、約二百三十二ヘタクール開発または開発予定になっているのです。ところが、八〇%はまだ住宅は未建設で、その中に公団の花畔第二、三・六ヘクタールがあるわけです。公団は、ここも当初は五階建ての賃貸と分譲を建てる予定だったようですが、これも低層分譲等に切りかえようとしているようですね。私が直接見た限りでは、これは住宅地には十分なり得ると思います。だから、ほかとはちょっと区別して見てもいいと思うのですが、現在は建っていない。その建っていない理由は、第一地区にすでに五階建てのものが十八棟建設済みなんですね。写真でいきますと、一番上の写真が問題の未利用地、真ん中の写真の林の向こうの方に小さく見えるのがすでに建ててある五階建て、一番下に写してある写真は、その五階建てが六棟は完全に空き家というその空き家を写してあるわけであります。五百戸のうち約半分が現在空き家なんです。だから、第二地区に建ててみてもこれは人が入りっこない。というわけで建設をおくらせている、こういう事情なんです。  ただ、いま言いましたように、この周辺は広大な宅地開発が行われて、ほとんどが空き地である。そこへもってきて、札幌からは車で約三十分ほどで行けるのですから便利はいいのですが、石狩湾に面しておるために冬季季節風が非常に強く、積雪が多いという欠陥があるのです。それでも地元の人たちはこう言っているのですよ。集中暖房地域ですから、早く建ててもらった方がコストも下がる。問題は、そうしようと思えば、賃貸の場合、現在第一地区が三万円ちょっと、それから暖房費等の共益費が二万円かかるらしい。ここが思い切って下がらないと結局は人が入らない、こういうことになるのですね。こういう問題があることを指摘しておきたいと思います。  それから北九州市の泉台一・二ヘクタール、これはここに書いてあるように高台にあるわけです。周辺の住民が見おろされるからということで、絶対反対の態度を崩していないために造成にも入れない。こういう状況にあるわけであります。公団は早く造成に着手したいというようでありますが、地元の事情を聞けばちょっとめどがつかないだろう、こういうふうに言われております。  実は、このように私どもの調べた範囲で五件、五十五・四ヘクタールが、明らかに公表された二十一地区以上に遊休地的性格が強いにもかかわらず、会計検査院はこれを公表しなかった。だから、われわれは隠し未利用地、こういうふうに名づけたわけであります。  事はそれだけではないのですよ。実は会計検査院の照会の対象にもなっていなかった、しかも実際には遊休地の疑いがあるもの、それも相当広い土地がありました。自治医大北であります。これは隠し未利用地のその二に当たっているわけです。これは二枚目の写真の中央であります。上二枚がその全体図です。実は四五・七ヘクタールですが、このうち十三・六ヘクタールについてだけは鬼怒川上流流域下水道処理場をつくる予定になっているのです。ところが、これも絶対反対の立て看板があるように、地元では現在いろいろとトラブルがある。その残りについては全くいまめどが立たないようですね。学園都市構想がすぐ近くの百ヘクタールの土地で進んでいるようでありますが、それとの競合とか上三川町、南河内町の住宅事情から見て、こんな大きな住宅団地を建設しなければならない事情は全くないというので、これが全面的に住宅地ということになりますと、本当に何十年先というふうなことになるんではないかという印象を受けているわけであります。とういう点についても、これは当然今後調査の対象にしなければならないんじゃないかと思うのです。  時間の関係がありますから、こちらから説明してしまいますが、これに類するものとして、横浜市の平戸一・七ヘクタール、これが右端の写真になるわけであります。これは先ほどの札幌の里塚によく似ておりまして、片面だけは旧東海道に面しているのですが、残り三方が高台に囲まれた、いわゆるすり鉢の底みたいな土地で、現在も湿地帯状態になっているようであります。排水問題が全然解決のめどがないのと、既存団地内のバスの折り返し地点をどこに移動するのか、こういうことに問題があって、全然市との協議が調っていない。市の方にも問い合わせましたが、これは住宅開発としては相当無理があるんではないか、こういうふうな返事になっております。これも住宅地としては明らかに不適地という判断がされるんではないかと思うのです。  こういう点について会計検査院は、五年に一回こういう未利用地調査をやっているようですが、今回の調査には相当の欠陥が目立つわけです。やはり正しい対策を立てようと思えば包み隠さず、未利用地は未利用地としてその原因、現状、こういうものを明らかにする必要があると思うので、これは臨時にでも早急な調査検討されるべきではないかと思うのです。いかがでしょうか。
  316. 小川一哉

    ○小川会計検査院説明員 お答えいたします。  用地の関係は、従来の関連で五年ぐらいたたないと推移がわからないというふうなことで、五年たって検査をしております。  先ほど先生御指摘の、質問も出していない二件でございますが、こういうふうな点につきましても、せっかくの御指摘でございますので、今後とも十分注意して見ていきたい、かように考えます。
  317. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 一応検査院は照会対象に挙げたが、実際には未利用地と公表しなかった。それから、会計検査院も初めから見落としていた。この二つの隠し遊休地を合わせますと、私たちの調査した範囲でありますが、七地区で百二・八ヘクタールあるのです。個々の取得価格全部を調べ切れませんでしたが、たとえば公表されている二十一地区千三百二十八ヘクタールで千三百九十五億円、この割うで計算しますと約百十億円の国費が休眠している勘定になるのですね。  そこで、まずは正しい調査結果を出すことと、それに基づいて、こういうことになった原因と責任を明確にすること。それから第二は、対策を公団任せにしないで、政府責任において、または政府全体の知恵をしぼって検討すること。これは大臣に答えてもらいたい。それから総裁の方に求めたいのは、個々の団地について対策を具体的に立てなければいかぬと思うのです。たとえば先ほど例を挙げました北海道花畔第二の場合は、家賃等の引き下げを検討するならば人は入る見通しがあるわけですから、そういうことで建設を促進する。それから磯子ビューハイツのような場合には、これは西武不動産が利用できないと知りつつ売っているわけなんですから、これは当然もう一遍西武に引き取らせるような交渉も考える、こういうふうにして国民の期待にこたえる方向に進んでもらいたいと思うのです。大臣総裁答弁を求めたいと思います。
  318. 始関伊平

    始関国務大臣 住宅都市整備公団の持っておりますただいまの御指摘のかなり面積の広い土地、空き地の問題につきましては、その実態を明らかにいたしまして、なおまた諸般の状況の許す限りにおいて、できる限りこれを一日も早く有効に利用する道を開くことが必要だ、緊急だと思っております。  つきましては、いまもお話がございましたが、公団を指導してと申しますか、私どもも一緒になりまして、今後これを有効に利用する道を開きまして、国民の皆さんにおわびをしたい、かように存じております。
  319. 志村清一

    志村参考人 いろいろ問題のあります多くの宅地につきましては、私どもといたしましても十分それぞれの個々の個所について検討を重ねて、最も有効な利用が図れるように努力いたしたいと考えておりまして、内部の問題でございますが、個々の個所ごとに毎月各支所から、どういう方向で進めたかというふうなことについての報告も求め、個々に検討を重ね、よりよき有効な利用を図るように努めております。  なお、建設省からも、検討委員会から種々御指示を賜りまして、場合によっては住宅地以外に転用するのも考えられないかとかいうふうな、いろいろな御指示もございますので、その御指示にも沿って努力をしてまいりたい、かように思っております。  なお、私どもといたしましては、取得した当時の事情と現在の事情で大分様子が変わっておりますが、われわれの保有する土地につきましては、公団事業用地として基本的には積極的にこれを開発して活用してまいりたい、かように存じ、先ほど来申し上げておりますように、今後ともその努力を重ねたいと思っておりますが、保有土地の一部につきましては、場合によりましては公共団体とか大学とかというところの御要請にもこたえまして、ほかの目的への転用も図ってまいりたい、かように存じております。  これらの土地につきましては、先生から御指摘がございましたが、私どもといたしましては、事業用地として確保する必要から取得したものでございますので、その後の事情が変わったからといいまして、直ちにもとの売り主に買い戻させるというふうなことはいかがか、かように考えております。
  320. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 もう一種類お願いいたします。  次は談合について、例の三井文書の問題で質問いたします。  私が予算委員会で明らかにいたしました営業報告書を書いておった井田至春氏、この人は東北地建河川部長だったのですが、四十七年四月一日に退職して三井建設へ天下ったわけですね。そのときの人事院の審査の承認条件は、「つく地位が技術的事項担当の非役員であること。」であったわけであります。これは二年間守らなければならないのに、一年後の四十八年四月、土木営業第四部長の地位についた。二年以内の地位変更であるから、当然変更申請をしなければならないのではないかと私指摘したのですが、そのときの人事院の答弁はきわめてあいまいであった。  改めて伺いますが、一年後つく地位が変更するに当たって、変更申請はこの人の場合しなければならなかったのじゃないのですか。
  321. 網谷重男

    ○網谷説明員 本件の事実関係は、先生御指摘のとおりでございました。  先般の予算委員会では、先生からお尋ねもあるということでございまして、建設省に問い合わせいたしましたところ、離職後二年以内にはその地位並びに職務内容の変更はないという返事でございましたのであのように答弁いたしました。ところが、その席での先生のさらにの御指摘でございまして、再度確認いたしましたところ、本人は昭和四十八年四月一日に土木営業第四部長になっているということが判明した次第でございます。それでございますので、これは二年以内でございますから、私どもの方に承認が要る事案でございます。
  322. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 続いて伺います。  そうしますと、土木営業第四部長の地位につく、こういう変更申請が当然出ることになるのですが、その場合、人事院としてはこれは承認できるのですか。
  323. 網谷重男

    ○網谷説明員 営業担当でございますので、本件につきましては人事院の方は承認することができません。
  324. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 もう一点です。  そうしますと、この井田氏が営業第四部長の地位に一年後ついたということは、国家公務員法違反ということになりますね。その確認と、どう処置するかということを伺っておきたいと思うのです。
  325. 網谷重男

    ○網谷説明員 人事院規則一四一四がございまして、これは国家公務員法百三条の趣旨に則しまして、離職後二年以内にそのつきました営利企業の地位並びに職務内容が変わったときには、再度承認を必要とするということになっておりますので、本件はその規則に違反するものと考えております。  そしてこの措置でございますが、四十七年以降の出来事でございます。また法律で定めております年限も経過しております。しかしながら事柄の重要性にかんがみまして、これは正式に建設省の方から事情調書が提出され次第、厳正に措置をいたしたい、このように考えております。
  326. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 率直に言って、先般私どもが示した内部文書というのは、本人が書いたことが確認されているのだし、しかも常務取締役とか専務取締役の決裁印もついているわけです。しかも、これが万が一当局の目に触れたら大変な証拠物件になるからこそ、公正取引委員会現職かOBかの教えまで受けて、改ざんあるいは処分、こういう指示までしておったわけです。だから、あれで十分建設省は処置ができるはずだとわれわれは考えていますが、なかなか調査が進まぬという話はさっきもしていますから、そのことはあえて言いません。  そこで私は、追加して新たな資料をきょう出します。  それは、この前のときの井田報告書に登場してきた主な建設省幹部というのは、平田現香川工事事務所長を除いては、他は退職しているのです。しかし、実は建設省の場合にも現在本省の幹部になっている高級官僚が絡んでいる、こういうことを示す報告内容があったのであります。  まず、お配りいたしました資料2の4をごらんいただきたいのであります。「大峠トンネル」、「一月二十五日、局長、道路部長面談。当社とCとの話し合いの経緯を説明し、迷わくを御かけした事を謝しておいた。」こうあります。  この時期、つまり五十五年一月二十五日当時の東北地建の局長はどなただったのですか。
  327. 丸山良仁

    丸山政府委員 調べてみないとちょっとわかりませんけれども……。
  328. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 冗談を言いなさい。そこに御本人いらっしゃるじゃないですか。五十四年十月十一日から五十六年六月十日まで、川本正知氏が東北地建の局長だったのでしょう。御本人が答えなさい。
  329. 川本正知

    ○川本政府委員 お答えいたします。  私、五十四年の十月十一日から五十六年の六月十日までハ正確には九日までですが、東北地建の局長に在任しております。
  330. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 この井田報告書に出てくる五十五年一月二十五日当時の東北地建の局長は川本さんであったわけです。この文書でCとしてありますのは、いろいろ委員会のこともありますからイニシャルにしてありますが、原文では天野代議士となっているのであります。つまり、「一月二十五日、局長、道路部長面談。当社と天野代議士との話し合いの経緯を説明し、迷わくを御かけした事を謝しておいた。」こうなっているのです。  そこで、御本人の川本局長に伺いたいのでありますが、三井建設と天野代議士との話し合いの経緯について、どんな説明を聞かれたのか。また、あなたにどんな迷惑がかかったのですか。
  331. 川本正知

    ○川本政府委員 お答えいたします。  私、そのときの、この記録によります面談を受けてこういう話があったということは全く覚えておりません。
  332. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 覚えてなければ思い出してほしいのでありますが、この内容は、天野代議士との話し合いの経緯を説明し、迷惑をおかけしたことを謝しておいたという、きわめて具体的かつ特異な記述から見て、これはだれが見たって局長と三井との間で突っ込んだ話し合いがあったことは否定できないことではないだろうかと思うのです。もし否定できるのなら、何かはっきりした反証が要ると思いますね。
  333. 川本正知

    ○川本政府委員 お答えいたします。  私、その当時東北地建の局長であったことは事実でございますが、私個人の名誉に関する問題でもございますのではっきり申し上げておきたいと思います。  井田氏は、東北地建の事務所長あるいは部長をした人でございますので、東北地建のOBでございます。でありますから、私どもの仙台の方にも当時何度か見えました。私もお会いした覚えはございます。しかし、ここに書いてあるような日に会ったかどうかは覚えておりません。また、ここに書いてあるような内容についてお話があったということは全く承知しておりません。  この大峠トンネルは、昭和五十五年の夏ごろに発注したかと思います。これは二社のジョイントベンチャーを公募して発注したわけでございまして、そういう公募制度でやったということでございまして、業者側が全く自主的なジョイントベンチャーを組んで申請をしてくる、そういうシステムで発注をするというやり方でやったことは覚えておりますが、ここにありますような内容、しかもいま先生がCについて固有名詞をおっしゃいましたけれども、そういったことについては全く覚えもございませんし、その点について明確に申し上げておきます。
  334. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 いまジョイントベンチャーの話が出ましたが、ジョイントそのものについて建設省がいろいろ指示しておったことはこの間の幾つかの資料で明らかにしたのです。  実は、この大峠トンネル工事の落札者が三井ではなくて、間組と大日本土木のジョイントベンチャーであるところ、これとこの記述とはきわめて関係が深いのではないか。あなたが言わないから私が思っていることを言わざるを得ないのです。  まず迷惑をかけたことをおわびする形になっていますが、これは局長と三井との間では、三井の絡んだジョイントというふうなことで、恐らく何らかの合意、同意があったのではないか。それと異なる結果になったということで迷惑をおかけしたことをおわびする。その異なる結果になった理由が天野代議士との話し合いの経緯の中にあるというので説明があった、こういうことではないかと思うのですが、いかがですか。
  335. 川本正知

    ○川本政府委員 先ほどお話し申し上げましたように、このジョイントベンチャーは、二社を公募して、そして業者の方から全く自主的に二社の組み合わせをつくって申請をしてくる、それに基づくものでございます。あくまでも業者の自主的な申請に基づくものでございまして、いま先生がちょっとおっしゃいましたけれども役所側から業者のジョイントベンチャーの組み合わせを指定して指示するといいますか、そういったようなことは全くございませんし、また、ここに書いてございますように、三井建設から迷惑を受けたということは私全くございませんし、そんな気持ちでおったことはあり得ないということを申し上げておきます。
  336. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私は、事が事だけに、必要に応じて三井の関係者の証人喚問を要求したいと思います。  まずは、第一義的に、これだけの具体的な報告書が出ている以上、これはやはり所管大臣が事実関係をまずきちっとただす必要があると思うのです。この点、参議院の本会議建設大臣はおられなくなりましたが、どちらがお答えになりますか。(丸山政府委員委員長」と呼ぶ)いや、これは大臣政務次官が答える問題、政治的な問題、同僚がやるものじゃない。
  337. 村岡兼造

    村岡政府委員 ただいま言われました御本人が否定されましたので、このメモについて調査させていただきたいと思います。
  338. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 実は、もう一件あるのですね。  それは、この資料2の3の一番上をごらんください。五十四年五月十九日付で「国土とのJV比率五対五に伴い、当局(局長、部長)に対し一応のしゃくめいをし、申請受理に対し御礼を申し述べた。当局として、当社の比率の不利に対し良く理解している様子で、別に一本何か工事を考える(河川部長)との好意にあづかっている。」  時間がありませんので、こちらの方から申し上げますが、この当時の北陸地建河川部長は岸田隆氏なんですよ。この岸田隆という方は、現在本省の河川計画課長ではありませんか。
  339. 川本正知

    ○川本政府委員 お答えいたしますが、そのとおりでございます。
  340. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 この地建の河川部長が、特別な好意で三井に別に一本工事を考えてやる、こんなことがあっていいのかどうか。それとも建設省では、JV比率が不利な業者に対して別に一本工事を考えるような、思いやり発注といいますか、何かこういう仕組みになっているのですか。
  341. 川本正知

    ○川本政府委員 いまここで初めて拝見した資料でございますので……。  実は(先ほどの私に関する記述につきましても、ほんのあいさつ程度に見えたかとは思いますけれども、それをこういう表現で書かれたような三井建設の社内文書であるということでございますから、従来から先生がお出しになりました文書によります指摘事項というものも、私これを見て、もうフィクションもいいところだ、そういうふうに思います。そういうふうな感じを受けましたから、いま御指摘の問題につきましても、事実関係を調査してみたいと思います。
  342. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 その上この岸田氏は、五十一年五月一日から五十三年十一月一日までは、こういう不正不当な工事発注をチェックする会計検査院の技術参事官ではなかったのですか。
  343. 川本正知

    ○川本政府委員 先生いまお話しの、その任期ははっきりはいたしませんけれども、北陸地建の河川部長の前は会計検査院の技術参事官だったと思います。
  344. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 会計検査院で、いわばこういう不正とか不当事項をチェックする立場にあった人がへ今度はチェックされる方の建設省に出て、そこでこういう思いやり工事等の約束をする、こういう報告が出ているのですね、こういう疑惑が生まれている。こういう点について会計検査院はどう考えますか。
  345. 小川一哉

    ○小川会計検査院説明員 お答えいたします。  先生御指摘の岸田技術参事官でございますが、建設省から本院に出向されまして、二年間技術参事官として、私どもの検査の結果、技術的に問題がある点について非常に有益なアドバイスを多々いただいております。  それ以降のことにつきましては、私といたしましてはちょっと答弁いたしかねますが……。
  346. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 政府部内において、会計検査院の摘発を受けるに当たって、たとえば電電公社が組織ぐるみで、あらかじめ全機関に徹底して証拠隠しをやっている。こういうことは参議院の決算委員会でわが党の山中議員が明らかにしたことがある。この間参議院の小笠原議員は、公正取引委員会からいろいろ立入検査の裏をかくノーハウを教えてもらっておる、これも事実であったのでしょう。こういうことから考えて、チェックする立場におる人が、今度チェックされる立場に横滑りする、こうなると、チェックする立場にいたときのいわゆる経験や知識を逆用する危険というのは十分出てくる。あるいはまたたとえば会計検査院から近く建設省へ転任することが予定されている場合、自分のやがて行くであろう建設省に対して厳正な態度で検査、チェックができるだろうか、当然こういう疑問が出てくる。こういうふうなことから考えて、現在の会計検査院、つまり建設省で技術を習得した人を会計検査院へ行かすのはいい。その逆ですね、会計検査院におった人が今度検査される建設省に横滑りするという人事については、僕は一考を要すると思うのですね。いかがですか。――いや、これも政府考えること、あなたが入れ知恵するものではない。どちらか答えなさいよ。それが自分の判断で答えられないようじゃ、本当に困ったものだよ。
  347. 村岡兼造

    村岡政府委員 ただいまの質問は、技術の人が会計検査院へ行く、これは技術の必要で当然だと考えております。
  348. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 答えになっていないのですよ。会計検査院にいた人が、逆に検査される建設省へ出てくるのをどう思うか、そういうことでは当然なれ合いも出てくる、こういうことを言っているわけなんです。  時間の関係がありますから、あと私はま止めて、一応今後建設省調査する上で参考になる部分を全部明らかにしておきたいと思います。それは、入札以前に発注先が決定され、かつそれが知らされている例というものはずいぶん挙げておきましたが、それに加える例であります。  資料2の2の上、阿武隈大橋下部工。事務所長面接、所長発言によると千代大橋下部工に廻る公算大、最近阿武隈大橋に飛島の割込があった模様 阿武隈大橋二工区発注一五億」一工区についてでしょう。「千代大橋は工事費はそれより上廻る模様、局長、事務所長の線で既に或る程度の内定がある模様」この所長発言のとおりへ阿武隈大橋下部第二工事は「五十四年三月九日、二億二千八百七十万円で飛島建設に発注されているのですよ。三井建設は、前回明らかにしましたように、またここでの所長発言のように、千代大橋下部工事に回っているわけですね。まことに報告書どおりなんです。  次に、5、山形県村山広域水道浄水場。ここで「11秘書」、このDというのは当時の松沢代議士ですね。「秘書すじの調査によると浄水場設計(東洋設計)は五月に完了、五十五年度工事発注が考えられる、その場合全体を一工区で発注の場合は三井の可能性はない(多分鹿島の模様)二工区分割発注ならば三井の可能性もあり得る。目下分割発注の運動を始めている。」この結果というのは、文字どおり、ここに書いてあるように二工区に分かれたけれども、二工区とも鹿島と升川建設のジョイントがとっているのです。これは表にしてありますから、ごらんください。  それから、1の一番下をごらんください。五十三年六月二十四日、岐阜県の阿多岐ダム。これは「地元業者、大日本土木とジョイントを組めるか否やが問題点、Aの」、Aと書いてありますのは、渡辺代議士です。原文は。「取りなしを待つ以外にきめ手はなかろう。」で、渡辺代議士が特別なとりなしをしたのではないのかもしれません。というのは、結果はむしろここに書いてあるとおりなんです。大日本土木と大成建設のジョイントにこれが落ちているのですね。だから、先ほどジョイントなんて建設省は教えないと言うけれども、どこが本命でだれが組むかというのがこんな早くからわかるのですね。  今度私が新たに明らかにしている事実の重要性というのは、三井が、三井を本命とする工事をあらかじめ連絡を受けているのがいままでの例なんですが、今度の場合はそうじゃないのですよ。三井とは関係のない業者に出る分までちゃんと三井に情報が伝えられる。ここに重大性があるわけですね。すなわち、どの工事がどの企業に発注されるかは、もう建設省幹部と大手建設企業幹部間では公然の秘密になっていることを、これは赤裸々に物語っているわけなんです。現在の建設省と大手企業の癒着というのは、これほど全面的で、これほど深いものになっている、このことを明瞭に物語っている。当然三井がもらう工事は早くから、入札以前から教えてもらっている。三井以外のところへ行く工事についても、それがどこへ行くかはちゃんと三井に教えられているのですから、当然他の本命業者には前もって通知が行っているのは明らかですね。だからこういう点では、これを改めるということになるならばよほどの決意が要る、このことを指摘をしておきたいのであります。  そして、随所に新たな政治家工作が生々しく出てきているわけですね。その中で、きわめて特異な例を一つ説明しておきたいと思うのです。3を見ていただきたいのです。五十四年五月十九日、山形県神室ダムですね。「INAの役員をしている山形県議Bと」原文では児玉勉氏です。「電話連絡、近い内面接の約束をとってある。一応神室の件で、世話になりたい趣旨申し述べて了解を得ている」と記載されているのです。私が調べたところでは、この神室ダムはつい先日基本設計が終わり、これから実施設計に入るところで、本体工事は未発注なんです。INAというのは、株式会社INA新土木研究所で、本社東京の設計コンサルタントで、ここに名前の出た児玉県議というのは、そこの監査役をしておるわけです。このダムの本体基本設計は、五十六年八月六日から五十七年三月十日にかけてこのINAが行って、県へすでに納品済みであります。支払いの方も行われておりまして、七千五百六十八万五千円の支払いが終わっております。  ここでわれわれが驚かされるのは、三井の井田氏は、このINAが設計に着手する二年も前から、ここの役員である児玉県議との接触をとろうとして、しかも「世話になりたい趣旨申し述べて了解を得ている」、こうなっているところなんですね。これは何といったってこれだけの情報がとれているという事実を明瞭に物語っているのです。否定のしょうがないと思うのですよ。  さらに重大なことは、建設業界の受注工作がここに示されているように、設計コンサルタントも巻き込んでいるということなんですね。建設省としてもこういう点を特に重視しなければだめだと思うのですよ。現在設計とか積算を外注に出しているわけでありますけれども、その外注先がちゃんといろいろな工作の対象に挙げられてきている、このことを明瞭に物語っているので、こういう積算、設計の外注の制度の見直し、また、外注する場合不正が発生しないようにどのようにチェックするかという検討が必要だろうと思います。  時間が来ておりますから、最後に、こういうふうなことが起こってくる原因として、かねがね私は、一方では入札制度の改善が必要である、一方ではより重要なこととして、政治献金、少なくとも国の公共工事を受けている企業の政治献金は全面的に禁止すべきだと言ってきました。そのことめ必要性を物語る資料が一番最後についているのであります。これは「五十六年政治団体加入承認の件」という文書であります。社長室長から土木営業管理部長にあてたものであります。「題記の件につき、政治資金規正法に基づく当社枠千五百万円に対し、本年は二千万円を超える加入申請があり、検討の結果、貴部支店に関しましては、別紙の通り決裁されましたので通知致します。」そして、別紙にちゃんと土木管理部内の査定された割り当てが書いてあるわけなんですね。これはいろいろおもんぱかって本委員会には資料としては出しませんでしたが、読み上げます。  そこには、選挙区、議席名、議員名、政治団体名、年会費、備考、こうありまして、全国区、参、坂野重信、坂野建政会、三十六万円、全国区、参、増岡康治、新国土研究会、三十六万円。福井地方区、参、山内一郎、海外建設技術開発研究会、二十四万円。三重三区、衆、田村元、三鈴会、三十六万円。愛知五区、衆、村田敬次郎、青波会、二十四万円。農業土木関係政治団体、耕隆会、十二万円。鹿児島三区、衆、二階堂進、日本国土計画調査会、二十四万円。全国区、参、岡部三郎、岡部農政研究所、二十四万円。北海道五区、衆、中川一郎、近代政治懇話会、二十四万円。全国区、参、井上孝、新政策研究会、三十六万円。全国区、参、梶原清、航空懇話会、十二万円。山口地方区、参、江島淳、江山会、十二万円。締めて三百万円。こういう表がついているわけであります。もちろんこれは合法的な政治献金であります。しかし、いま読み上げましたのでおわかりのように、このうち七人の方は建設省のOBまたは建設委員長歴任者なんですね。それから、その他の方もそれぞれの省庁の、いわゆる建設関係のOBなんですよ。団体一つ。合法とはいいながら、今日の政治資金規正法によって定められているこの貴重な枠をいかに有効に生かきついて、三井が苦心している模様だけはよくおわかりだと思うのですよ。偶然こういう建設畑の人にばかり集中しているとは考えられないでしょう。しばしば、こういう問題を指摘すると合法的なものだ、やましいものではないと言われるけれども、出している三井のいままでしてきたことと結びつけて考えていただくならば、これは大いに意図、目的を持ってこういう割り振りをしたと考えざるを得ないんじゃないかと思うのです。だからこそこういう癒着の要因になるものはきちっとやっぱり法律的に禁止をする、こういうことを、これは政府として、これだけの大きな問題が出た以上、改めて検討すべきだと思います。この答弁を求めて、終わりたいと思います。
  349. 村岡兼造

    村岡政府委員 ただいま瀬崎委員いろいろお話ありましたが、初めて見ましたのでどこを読まれているのかちょっとわかりませんが、いずれにいたしましても、いままで出されました政治資金規正法の問題につきましては合法的であろうかと思います。したがって、もしいろいろな建設業法その他違反がございますれば、厳重に対処をしてまいりたい、こう思っております。
  350. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 終わります。
  351. 村田敬次郎

    村田委員長 これにて瀬崎博義君の質疑は終了いたしました。      ――――◇―――――
  352. 村田敬次郎

    村田委員長 次に、内閣提出琵琶湖総合開発特別措置法の一部を改正する法律案農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案及び特定市街化区域農地固定資産税課税適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  順次趣旨の説明を聴取いたします。松野国土庁長官。     ―――――――――――――  琵琶湖総合開発特別措置法の一部を改正する法律案    〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  353. 松野幸泰

    松野国務大臣 ただいま議題となりました琵琶湖総合開発特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  琵琶湖総合開発特別措置法は、琵琶湖の自然環境の保全と、汚濁した水質の回復を図りつつ、その水資源の利用と関係住民の福祉とをあわせ増進するため、琵琶湖総合開発計画を策定し、その実施を推進する等、特別の措置を講ずることにより、近畿圏の健全な発展に寄与することを目的とし、本年三月三十一日までの時限立法として、昭和四十七年六月に制定されたものであります。  政府としては、町法に基づき琵琶湖総合開発計画を策定し、鋭意琵琶湖総合開発事業の推進に努めてまいったところでありますが、諸般の事情により、法律の有効期限内に完了できない見込みであります。  そこで、琵琶湖総合開発計画を変更して、引き続き琵琶湖総合開発事業の推進を図るため、同法の有効期限を延長する必要があります。  以上が、この法律案提出する理由であります。  次に法律案の内容について御説明いたします。  まず第一に、法律の有効期限を昭和六十七年三月三十一日まで延長することとしております。  第二に、毎年度の年度計画案は年度開始前までに作成することとなっておりますが、五十七年度の年度計画案についてば、琵琶湖総合開発計画の変更が五十七年度に入ってからになりますので、その作成を計画変更後とすることといたしております。  以上が琵琶湖総合開発特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  なお、琵琶湖総合開発特別措置法の延長に当たり、第一に、琵琶湖の水質保全のため、新たな事業を琵琶湖総合開発計画に追加するとともに、第二に、行政改革の一環として、同法に基づく国庫補助率の特例措置のうち、治山事業の一部、都市公園事業、自然公園事業に係るものの補助かさ上げ額の六分の一を昭和五十七年度から五十九年度までの三カ年間縮減することとし、琵琶湖総合開発特別措置法施行令の改正により措置することを予定しております。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。
  354. 村田敬次郎

  355. 村岡兼造

    村岡政府委員 ただいま議題となりました農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  この臨時措置法は、昭和四十六年に農地の所有者等による居住環境が良好で家賃が適正な賃貸住宅の供給を促進するとともに、市街化区域の水田を主とした農地の宅地化に資することを目的として制定されたものであります。  この臨時措置法の適用期限は、当初、昭和五十年度までとされておりましたが、昭和五十一年及び昭和五十四年の改正により、現在は昭和五十六年度まで延長されております。  これまで、この臨時措置法により、農協資金等を積極的に活用した農地所有者等による賃貸住宅の供給が行われてまいりましたが、三大都市圏など都市地域においては、良質な賃貸住宅の供給の促進を図ることがなお大きな課題であり、この臨時措置法は、今後とも住宅政策上重要な役割を有しておりますので、その適用期限の延長を図る必要があると考えております。  以上が、この法律案を提案した理由でありますが、次にその要旨を申し上げます。  この法律案におきましては、農地の所有者がその農地を転用して行う賃貸住宅の建設等に要する資金の融通について、政府が利子補給金を支給する旨の契約を結ぶことができる期限を三カ年延長し、昭和六十年三月三十一日までとするとともに、昭和六十年三月三十一日において現に賃貸住宅を建設するために宅地造成に関する工事が行われている土地に建設される賃貸住宅に係る融資につきましては、その期限を昭和六十二年三月三十一日まで延長することといたしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。  次に、議題となりました特定市街化区域農地固定資産税課税適正化に伴う宅地化促進臨時措置法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  この臨時措置法は、昭和四十八年に、三大都市圏の特定の市の市街化区域に所在する農地に対して固定資産税課税適正化を図るに際し、これとあわせて、その宅地化を促進するために必要な措置を講ずることを目的として制定されたものであり、特定市街化区域農地の宅地化促進のための事業の施行、資金に関する助成、租税の軽減等をその内容としております。これらの措置の適用期限は、同法のほか、農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法、租税特別措置法及び地方税法により、当初それぞれ昭和五十年度までとされておりましたが、各法の一部改正により、現在は昭和五十六年度まで延長されております。  特定市街化区域農地に対する固定資産税課税適正化につきましては、今国会に提案されている地方税法の一部を改正する法律案により、長期にわたり営農を継続する意思のある者に対する配慮を講じつつ、課税適正化の対象となる農地の範囲を拡大する等の措置を講ずることとしているところでありますが、特定市街化区域農地の宅地化の動向及び今後の三大都市圏における宅地需要を考えますと、これとあわせて引き続きこの臨時措置法に基づく措置を適用する必要があると考えられるのであります。  以上が、この法律案を提案した理由でありますが、次にその要旨を御説明申し上げます。  前述のとおり、特定市街化区域農地固定資産税課税適正化に伴う宅地化促進臨時措置法に基づく措置につきましては、同法のほか、他の法律によりそれぞれその適用期限が定められておりますが、この法律案におきましては、同法の附則において適用期限が定められている土地区画整理事業の施行の要請及び住宅金融公庫の貸付金利の特例の措置につきまして、その期限を三カ年延侵し、昭和六十年三月三十一日までといたしております。  なお、前述の他の法律により適用期限が定められている措置につきましては、別途今国会に提案されているそれぞれの法律の改正案において、その適用期限を三カ年延長することといたしております。  以上が、この法律案の提案理由及び要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決くださるようお願い申し上げます。
  356. 村田敬次郎

    村田委員長 以上で各案の趣旨の説明聴取は終わりました。  各案に対する質疑は、後日に譲ります。  次回は、来る二十三日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時十三分散会