○野口
委員 私は、いまから、直接
環境影響評価法に
関係はいたしませんが、この問題も最終
段階においては大きく問題となる視点でございますので、その
意味で、
環境庁の方も十分お聞き取りをいただきたいと思っておるところであります。
京都市は、北部周辺
地域整備拠点
整備基本計画というものに基づきまして、京都市左京区大原大見町に大見総合公園を計画いたしました。計画いたしましたのが一昨年でありますので、すでに御
承知だとは思いますが、この
事業は総工費、当初の予算といたしまして二百四十億という莫大な計画をいたしておるものであります。この建設計画に
関係いたしまして、一部市民団体がこの問題を取り上げて、単なる都市公園の建設問題というにとどまらず、その建設に
関係して
環境に及ぼす
影響大、こういう見地から警鐘を打ち鳴らしましたのが一昨年の末でございます。この地はいわゆる京都の過疎地でありますけれ
ども、皆さん
御存じの大原三千院の北へ入りましたところでございまして、京都市は過疎地再生という
言葉を使っておるわけでありますが、果たしてそう単純に、過疎地の再生ということだけで、そこに総合公園を設けるというには余りにも問題が多いのでございます。
以下、若干の現状を申し上げますが、いまも申し上げましたように、この公園を計画されております
地域は、京都の有名な北山しぐれというのがございます、非常に降雨多量、寒冷、降雪地でございまして、
各種の施設やグラウンドなどを仮につくられるといたしましても、その使用期間はきわめて限定をされる、また、市内からも相当遠いところにあるわけでありまして、総合公園としておつくりになって、完成の暁どうなるかということになれば、これはいまから予見をすることは定かではありませんけれ
ども、今日の時点で思いますると、非常に実効の少ないものと言わざるを得ないのであります。
しかし、それはさておきまして、この計画に基づきますところの土地造成でありますけれ
ども、莫大なる土地といいまするか、この土地は標高約六百メートルから七百メートルの
地域にありまして、そこに大体
面積といたしまして、この高原地帯百二十八ヘクタールを平均二十メートル程度埋め立てる、こういうものであります。私も現地を見てまいりましたが、そこを総合公園とするにしましても、二十メートルも埋め立てなければならない
理由は存在しないと思うのでありますけれ
ども、仮に百歩譲って、その必要があると考えましても、物すごい埋め立ての量でございます。京都市の計画によりますならば、私はもっと必要だ、百二十八ヘクタールを二十メートルといいますると二千万立方以上になると思うのですけれ
ども、京都市の言っておりまするのは、とにかく十年間に約千五百万立方メートルのいわゆる残土を投棄することによってこの地を埋め立てていきたい、こう言っているのであります。
この残土と申しますのは、いまいろいろな
問題点を頭から抜きまして、率直にきれいな土を持ってこられる、仮にそういうように
判断いたしましても、これを運送いたしまするのはもちろんダンプカーであろうと思いますけれ
ども、市内より国道三百六十七号線を通ります。三百六十七といいますのは、京都市から大原三千院を通りまして、途中滋賀県大津市に入りまして、今津を経て若狭に抜ける道でございますが、この三百六十七号を通りまして、そして、その途中から道路を建設いたしましてこの土地に入る、こういう予定にいたしておるようでございます。
この途中で入る道路の問題がございますが、これはまた後ほどお尋ねをする問題でございます。しかし、この残土をもって、千五百万立方メートルの土を運ぶということでございますけれ
ども、仮に良質の土だということにいたしましても、いま申しましたように、大原三千院を通る。あそこの道というのはそんなに広い道ではございませんが、もちろん春と秋は行楽で人が物すごく出るところでございます。
先ほ
ども申しましたように、冬季は全く凍結、積雪期間が長うございますし、春や秋はそういった観光客でにぎわうところでありまして、ダンプカーがそんなにぶうぶう通ってはどうしようもないというところでありますけれ
ども、仮にそれが通るということにいたしまして、この十年間に一千五百万立方メートルの土を運ぶということになりますと、期間が短い上に、しかも、そういう狭いところを、観光地を縫って走るということになりますと、もう土ぼこりとか、そんなものは言うまでもありませんが、どうしようもない状態になるということは、京都市
自体だってわかるはずでございますけれ
ども、机上のプランといたしまししてはそうなっているわけであります。
投棄をいたしまするその場所というのは、滋賀県に安曇川という川がございますが、あれは一級河川でございまして、滋賀県の川の中でも一、二を争う大きな川であります。この川の上流に当たります。この安曇川というのは、滋賀県特産のアユの産卵で有名な河川であります。したがいまして、このアユ漁の時期あるいは産卵の時期等を考えまして、仮にその土砂が
流れていろんな問題が起こるというようなことを勘案しまして、京都市はそういう時期にはそういう土を捨てないようにする、こういう、これも全く机上の空論でありまするが、仮におっしゃるとおりに説明をいたしますると、そう言われているのであります。そういたしますと、もう土を捨てる時期というのは全くないのでありますけれ
ども、おっしゃるのには、春、秋の観光季節を抜いて、そして冬季の凍結時期というのを抜いて、そうしてアユの産卵時期や漁業の時期を抜くと、いつ運ぶのかな、こう思いますと、これは真夏の八月から九月にかけての二カ月くらいの間にしか土は運べない、こう思います。しかし、後ほど申しますが、その時期に捨てたからといって、その土のいわゆる泥汁が河川に
流れて、アユ漁に大きな
影響を及ぼさないというものではございませんから。これは後ほどの
議論になりますけれ
ども、全く下流の
影響ということを考えないでお立てになった計画としか言えないわけでございます。
こういう問題を、京都市のおっしゃるように、都市公園の建設という素直な
気持ちで眺めてみましても、非常に長い期間にわたって埋め立てをしなければならない。しかも、良質の土を捨てるという、そのこともまた、私
ども一〇〇%そうであろうと仮に思いましても、まあそういうわけでございます。したがって、これは公園造成というよりも、土を捨てるのが
目的でございまして、土を捨ててしまう場所について、まず場所をつくって、そのでき上がったところを公園にするんだという、いわば美名を利用いたしまして、土砂投棄をするんだということになるんだろうと思うのであります。したがって、私
どもは素直に、先ほどまでこの京都市の案を受け取るように話をしてまいりましたが、逆に言いますと、全くそれは公園とは名ばかりで、土砂投棄のための計画としか思えないのでございます。
そこで、
関係省庁にこの
問題点について若干の御
質問を申し上げたいと存じます。
まず、厚生省にお尋ねいたしますが、京都市における公共
事業において、いわゆる残土の処理計画に基づくところの投棄場設定の計画なるものが、厚生省に対して申し出るといいますか、そういうようなうわさが厚生省の耳に入っておりますか、どうですか。