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1982-03-23 第96回国会 衆議院 環境委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年三月二十三日(火曜日)     午前十時二十一分開議  出席委員    委員長 八田 貞義君    理事 中村正三郎君 理事 藤波 孝生君    理事 牧野 隆守君 理事 山崎平八郎君    理事 野口 幸一君 理事 水田  稔君    理事 岡本 富夫君 理事 中井  洽君       橋本龍太郎君    畑 英次郎君       木間  章君    新盛 辰雄君       土井たか子君    山本 政弘君       大野  潔君    木下敬之助君       藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 原 文兵衛君  出席政府委員         公害等調整委員         会事務局長   和田 善一君         環境政務次官  石川 要三君         環境庁長官官房         長       山崎  圭君         環境庁長官官房         審議官     大山  信君         環境庁長官官房         会計課長    森   孝君         環境庁企画調整         局長      清水  汪君         環境庁企画調整         局環境保健部長 七野  護君         環境庁自然保護         局長      正田 泰央君         環境庁大気保全         局長      吉崎 正義君         環境庁水質保全         局長      小野 重和君  委員外出席者         厚生省環境衛生         局水道環境部環         境整備課長   杉戸 大作君         厚生省環境衛生         局水道環境部環         境整備課産業廃         棄物対策室長  藤原 正弘君         水産庁研究部漁         場保全課長   川崎 君男君         資源エネルギー         庁石油部備蓄課         長       市川  南君         資源エネルギー         庁公益事業部火         力課長     廣瀬 定康君         運輸省船舶局造         船課長     今村  宏君         運輸省港湾局管         理課長     佐々木建成君         建設省都市局下         水道部公共下水         道課長     中本  至君         建設省河川局砂         防部砂防課長  近森 藤夫君         参  考  人         (石油公団理         事)      松村 克之君         環境委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 二月二十六日  辞任         補欠選任   土井たか子君     武藤 山治君 同日  辞任         補欠選任   武藤 山治君     土井たか子君 三月一日  辞任         補欠選任   土井たか子君     武藤 山治君   藤田 スミ君     金子 満広君 同日  辞任         補欠選任   武藤 山治君     土井たか子君   金子 満広君     藤田 スミ君 同月八日  辞任         補欠選任   土井たか子君     武藤 山治君 同日  辞任         補欠選任   武藤 山治君     土井たか子君 同月十八日  辞任         補欠選任   山本 政弘君     田口 一男君 同日  辞任         補欠選任   田口 一男君     山本 政弘君 同月十九日  辞任         補欠選任   天野 公義君     木村 守男君   池田  淳君     佐藤  隆君   戸沢 政方君     菅波  茂君   土井たか子君     嶋崎  譲君   木下敬之助君     神田  厚君 同日  辞任         補欠選任   木村 守男君     天野 公義君   佐藤  隆君     池田  淳君   菅波  茂君     戸沢 政方君   嶋崎  譲君     土井たか子君   神田  厚君     木下敬之助君 同月二十三日  辞任         補欠選任   勝間田清一君     新盛 辰雄君   馬場  昇君     木間  章君 同日  辞任         補欠選任   木間  章君     馬場  昇君   新盛 辰雄君     勝間田清一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  環境保全基本施策に関する件及び公害紛争の  処理に関する件      ————◇—————
  2. 八田貞義

    八田委員長 これより会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  環境保全基本施策に関する件調査のため、本日、参考人として石油公団理事松村克之君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 八田貞義

    八田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 八田貞義

    八田委員長 環境保全基本施策に関する件及び公害紛争処理に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。水田稔君。
  5. 水田稔

    水田委員 環境庁は、昨年、設立されてちょうど十周年を迎えたわけであります。この十年間を振り返ってみますと、昭和三十年代、四十年代にかけての高度経済成長の中で激化した公害被害、それは直接命や健康、あるいは具体的には農作物、水産物等に対する被害が目に見えて起こってきたわけですが、そういう危機的な様相に対する緊急的な防止対策に追われてきたのがこの十年間ではなかったかと思うのです。そして、現在はいわゆる低成長の中で、いまこそ本格的な長期的な展望を持ったそういう時期を迎えたのではないだろうか、いわば十年を迎えて環境行政一つの大きな節目を迎えたというぐあいに私は思うわけであります。その間にいろいろな試行錯誤もあったと思いますが、それなりの科学的な検知なりあるいは具体的な公害防止対策という多くの蓄積を持ってきただろうと思うのです。そういう点で、これからの環境保全対策というのは、いままでと違った視点に立った対応が必要だろうと思うのであります。このことは、中央公害対策審議会の「八〇年代の環境政策検討課題」の中でも指摘されておるとおりであります。  そういう点について、新しく長官になられたわけでありますが、環境庁として、こういう新しい時代節目を迎えた時点における環境行政展開についてどういうぐあいに取り組まれるお考えか、まず冒頭、お伺いしたいと思うのです。
  6. 原文兵衛

    原国務大臣 お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、わが国の環境政策は、当初、公害防除面を中心に急速に整備されてきたと思います。その結果、かつての危機的な状況は一応克服することができたと考えております。しかしながら、環境基準の達成されていない汚染因子もまだ依然として多くございますし、さらに、経済社会条件変化に伴いまして環境問題は大変多様かつ複雑になってきていると思っているわけでございます。これらの諸問題に的確に対応していくためには、環境政策の長期的な展望を明らかにして、その上に立ってエネルギー問題への対応都市生活型公害防止、さらに快適な環境づくり推進、さらに大きくは地球的規模環境問題の解決というような問題に向かって当面するいろいろな問題があるわけでございまして、こういう問題に対処していくことが肝要だろうと思います。  当庁といたしましては、このような考えのもとに、各省庁地方公共団体というようなところと調整を図りながら、今後予見的かつ総合的な環境政策展開に一層努力をしてまいりたい、そういうふうに考えておるところでございます。
  7. 水田稔

    水田委員 現在の公害対策基本法あるいは自然環境保全法という法律に基づく法体系でいままで対応してきたわけですね。これは、後で関連新盛議員から質問があります志布志問題等について見ても、私調べてみますと、もちろん現在の法の運用についての環境庁姿勢の問題もありますが、法体系そのものでもう少し長期的な、予見的な、計画的な対応をするとするならば、たとえばいま自然環境保全法がある、自然公園法がある。しかし、全体的な、指定地域でない地域自然保護法というものはないわけですね。それから、内容的にもそういう問題について今日の状態の中では当然再検討すべき時期に来ておるのではないだろうか。ということも含めて、長官がいま言われたそういう展望に立ってやられるとすれば、法体系についも考えるべきではないか、こういうぐあいに思うのですが、その点はいかがですか。
  8. 原文兵衛

    原国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、最近の経済社会条件変化に伴いまして、環境問題は大変複雑かつ多様なものになっております。公害防止自然環境保全はもちろんでございますけれども、快適な環境の創造といったような諸問題に適切に対処していかなければなりません。そのためには、予見的かつ総合的な環境保全対策を進めることが必要であることは申すまでもないところでございます。  このようなことから、環境庁といたしましては、公害対策基本法自然環境保全法を初めとする諸法律の適切な運用及び関連施策推進に努めているところでございます。また、環境汚染未然防止のための統一的な環境影響評価手続を確立するために、現在国会で審議をお願い申し上げている環境影響評価法案というものがあるわけでございます。その早期成立も強く念願しているところでございます。  当庁といたしましては、今後とも予見的かつ総合的な環境保全対策推進努力していく考えでありますが、現在の法体系以上に何か考えなくちゃならぬかという点につきましては、現在はいまの法体系をフルに活用して、いま申し上げましたような目的を達成するために全力投球をしてまいりたいと思っているわけでございますが、将来については、またいろいろと検討しなければならない面も研究しなければならない面もあろうかと思っているわけでございます。
  9. 水田稔

    水田委員 現在の法体系運用ということなんですが、まさに経済が低成長になる中で公害ばかり言っておったのでは産業はもたぬではないかという考え方が非常に出てくる。公害対策はもはや峠を越した、そういう間違った考え方が非常に強くなっておるのではないか。これは、地方で見ますと、たとえばかつての危機的な様相の中では、環境部というのを全部の都道府県がほとんど持っていたと思うのですね。この数年、まだ数は少ないけれども、まさにいま長官が言われたように長期的な、グローバルなそういう立場で見ようという時期に、はや幾つかの都道府県では環境部をほかの部とくっつけるということもやっておるわけですね。長官が言われたのと逆な方向、まさにわれわれが心配しておるそういう方向都道府県も行っておるではないかということもあるわけですね。  それから、私ども心配をするのは、いまの法律のもとで、環境庁一つ総合調整機能を持っておる。勧告する権限もあれば、意見を言うこともできる。そういう場面というのをフルに使えば、いまの法律のもとでも相当な成果が上げられるわけでありますが、そういう点では、どうもこの数年間、環境庁総合調整機能というものが法律にちゃんと明記されておりながら、実際にはそれほど有効に機能していないのではないか、そういうぐあいに思うわけであります。  たとえば、後でこれは具体的に触れますけれども、湖沼及びその周辺の総合的な環境保全対策や総合的な地盤沈下対策に関する法律、こういう法案の取りまとめがなかなか進まないという面では、むしろ環境ということよりも開発利用面という、そういう場面関係省庁なり関係者の力に押されて、環境庁が十分な機能を発揮できないのではないだろうかという問題があるわけです。特に、今後エネルギー問題あるいは空き缶対策交通公害対策などの重要課題考えたときに、今日与えられておる機能を十分発揮することによってでも相当の効果が上げ得ると私は思うのであります。そういう点では、環境庁総合調整機能あるいは勧告する権限というものをもう少し十分に発揮することが大事ではないだろうか。このことはまた後で志布志の問題で触れますけれども、まさに環境庁長官姿勢が那辺にあるかということによって、使うか使わないかで全然変わってくるわけですから、そういう点では、新しい長官になられた原長官決意を持って新しい法律考える、これは当分先としても、現実に与えられた権能を十分に発揮するということがない限り、日本環境行政というものは後退の一途をたどるのではないかという心配を私はするわけであります。  いま申し上げました今日の法体系のもとにおける環境庁機能というものをどういう決意で今後生かされていこうとされるのか、決意のほどを伺いたいと思うわけであります。
  10. 原文兵衛

    原国務大臣 先ほども申し上げましたように、公害対策を非常に一生懸命やった結果、一時の危機的な状況は克服することができたかに思いますけれども、これまた先ほど申し上げましたように環境基準の達成されていない汚染因子も依然として多いほか、経済社会条件変化に伴いまして環境問題は非常に多様かつ複雑になっております。低成長時代に入ったからといいまして、私は、開発のために環境が犠牲にされるというようなことがあっては絶対相ならないということを深く決意している次第でございます。  いま、地方庁でもって何か環境部等について若干他の部と一緒になったようなところがあるというお話でございました。私、実はその点詳しくいま承知いたしておりませんが、私は、環境庁はやはり原点に返り、そしてそれを貫いて、そうして日本公害防止し、自然環境保全していくという、この姿勢をしっかりと根をおろして進めていかなければならないというふうに思っている次第でございます。  なお、いま、いわゆる環境保全のための現行法令を十分活用するについて環境庁がどうも少し手ぬるいところがあるのじゃないかというような意味の御質問だったかと思いますが、私どもは、いま申し上げましたように、環境庁としては、現行法令をフルに活用してできるだけの努力をしているつもりでございます。いわゆる環境庁長官勧告権というものにつきましては、御承知のように、いままで航空機騒音対策新幹線鉄道騒音対策及び新幹線鉄道振動対策につきまして、それぞれ運輸大臣勧告を行ってきております。しかし、この勧告権は特に必要があると認めるときに発動する、いわば伝家の宝刀とも申すべきものでございまして、その行使については、これを実効あらしめるために、特に慎重を期しつつ、真に必要な場合にその発動を検討していかなければならないと思っておるわけでございまして、私どもといたしましては、この勧告権そのものを実効あらしめるために逆に慎重でなければならないと思っておるわけでございまして、決して現行法律を活用しない、あるいは不十分にしておくというような気持じゃなくて、むしろ逆に、現行法律を十分に生かして環境庁目的を達成していきたいというふうに考えておるところでございます。
  11. 水田稔

    水田委員 いま、基本的な立場について長官からいろいろお伺いしたわけですが、もうその姿勢が最たるものとして示されたのが志布志湾埋め立てについての環境庁長官意見だろうと思うのです。これは、もう端的にそのことを示しておるわけですね。二月の二十五日に鹿児島県知事と会われて、志布志湾石油備蓄計画について事実上のオーケーを出したということのようでありますけれども、これは前の鯨岡長官のときには、いわゆる国定公園区域変更にかかわるようなことは断じて認めるわけにいかぬ、こういう姿勢を貫いてこられたわけですね。その御判断がいまずっと答えられたことの基本で間違っておるのじゃないかと思うのは、国民がだれが考えても、あるいはその地域の住民がみんなだれが考えてみても、あれだけの広大な海浜国定公園の目の前に、二百メーターならだめで五百メーターなら問題がないという感覚というのは、まさに、どう言いますか、一私人が言われるのならいろいろな感覚見解を持つ人がたくさんおって結構だと思うのですが、少なくとも日本環境行政の最高の責任者である長官がそんな感覚を持つというのは、いままでずっと所信で言われたことが全くうそになるのではないか。まさに新しい原環境庁長官基本的姿勢が、いわゆるエネルギー問題や地域開発、そういうものと、環境を守るという自分の責任ある立場とを十分わきまえずに、いわば開発側にすり寄っていった、そういう基本的な姿勢を持っておるという端的なあらわれが、私は志布志の前の長官とは違った態度の表明になるのだろうと思うのであります。  ですから、どう考えても私どもは理解しがたいわけです。場所がそれほどはるかかなた何十キロの沖合いに出たわけじゃない、たった三百メーター違うだけでございます。面積がちょっと小さくなる、あるいは一般地域に入る距離が三分の二が三分の一に減ったということだけくらいで、それほど簡単にあの志布志の自然の環境が破壊されないという感覚になるということはどうしても理解できないわけです。だから、いかなる理由でそういうことが環境行政上正しいのだ、あるいはいま言った変更によって、法的には、あるいは環境を守るという立場で、どういう具体的な理由で同意もやむなし、こういう御判断になったか、御見解を聞きたいと思います。
  12. 原文兵衛

    原国務大臣 このたびの志布志石油国家備蓄基地位置につきまして、私ども検討に値すると申し上げましたのは、自然公園法上の立場からは、今回の案であればこれまで心配していたような国定公園解除にはつながらない、また景観を台なしにはしないというような観点から十分に検討した結果、これならば検討に値すると申し上げたわけでございます。  前長官も、いまお話が出ました志布志海浜埋め立て、あるいは二百メートルほど沖に出していわゆる出島方式でつくるというのであれば、これは非常に景観を台なしにするというので、代案を持ってこいということを言われたわけでございまして、志布志あるいはその湾内においてはすべてだめだと言ったわけじゃないので、代案を持ってこいと言われたわけでございます。私どももその方針を踏襲いたしまして、国定公園解除につながらないこと、また景観を台なしにしないことを条件といたしまして、相当長期にわたりまして環境庁鹿児島県の事務当局でいろいろと検討を重ねてきたわけでございます。  御承知のように、自然公園法上ではここは普通地域でございますが、国定公園そのものの管理は県知事権限でございまして、普通地域につきましては届け出をすれば済むというような地域でございます。しかしながら、この日南国定公園鹿児島県側の国定公園を守り、景観を守る上において、われわれとしてはむしろ自然保護、この白砂青松を守るという立場から、環境庁でできるだけの権限をフルに行使してやってきたつもりでございます。そういうことから、いままでの二百メートル沖の出島方式に比べまして五百メートル沖に出し、さらに南に六百メートル片寄せたということ、さらに面積も減らしたということで、従来ですと普通地域に三分の二かかっておったのが三分の一になった。それから南に六百メートル寄せましたし、面積も減らしました。また、周囲に百メートル幅の築堤を築き、その上に植栽を施すことによってタンクが海岸から見えなくなる、そういうようなことでぎりぎりの線、ここまでならばまあまあがまんできるが、これ以上はできないということも鹿児島県知事にはっきり申し渡して、この位置ならばアセスメントをやるについても検討に値すると申し上げたわけでございます。  石油国家備蓄基地そのもの建設につきましては、御承知のように私ども権限があるわけではございませんで、われわれはその位置についてアセスメントをすることについての、この位置ならば、またこの形、これだけのことをやるならば検討に値すると申し上げたわけでございます。さらに、今後埋め立て免許手続、これは恐らく港湾を所管する運輸省になると思いますが、そういうところからの協議を受けまして、その時点アセスメント資料十分検討の上、水質保全対策等についてさらにチェックをしてまいりたいと思います。私どもといたしましては、むしろこの志布志白砂青松を守る上において、われわれとしてできるだけのことをそういう観点からやってきたというふうに考えていることを御理解いただきたいと思う次第でございます。
  13. 水田稔

    水田委員 この問題につきましては、具体的な例で、ほかに環境庁姿勢基本的な点がこれまでと大きな転換をしたかについて詰めてまいりたいと思いますが、地元の新盛委員関連であと詰めたいと思いますので、関連質問を許していただきたいと思います。
  14. 八田貞義

    八田委員長 関連質疑申し出がありますので、これを許します。新盛辰雄君。
  15. 新盛辰雄

    新盛委員 検討に値すると言われた環境庁長官のいまの御回答ですが、代案位置形状アセスメントをすることについて検討に値すると言ったものであって、建設についてオーケーを出したものではない、今後鹿児島県が行うアセスを十分チェックして、形状植栽の方法等不十分であれば変更を求める、これは三月の九日の記者会見で言われたことでありますし、いまもそういう御答弁がございました。結局、大臣の真意は、このアセスの結果認めないこともあり得るということを言外に含めているのですか、まずそれをお聞かせください。
  16. 原文兵衛

    原国務大臣 お答えいたします。  石油国家備蓄基地建設そのものは、先ほども申し上げたように環境庁権限の対象にはなっておらないことは御承知のとおりでございまして、それはまた別の問題として、私どもは、その備蓄基地が置かれる位置自然公園法国定公園を守る上においてどうかということについて意見を述べ、そして代案を求めてきたわけでございます。それをずっと検討してきたわけで、今後、埋め立てについては所管官庁から協議があるわけでございます。アセスメントを十分して、そのアセスメントをわれわれも十分検討いたしまして、したがって、それによって水質の問題その他を検討の結果、また変更を求めるということもあり得るわけでございます。アセスメントの結果、よければいいですけれども、不十分であれば、問題があるとすれば、それはまたそこでわれわれの検討の結果によって対応していかなければならないと思っているわけでございます。
  17. 新盛辰雄

    新盛委員 今度の新大隅開発計画に伴う国家石油備蓄基地志布志湾に設置することについてゴーサインを与えた、いま大臣のおっしゃっているのではそうじゃなくて、石油備蓄基地は別途の問題であるけれどもアセスを十分にして、場合によっては変更ないしは中止をすることもできる、私はこう理解をしましたが、鹿児島県知事とお会いになった際に、新大隅計画の全体像は認めるわけにいかない、口頭であったのか覚書をお結びになっているのかよくわかりませんが、これは一体どういうことなんでしょうか。新大隅総合開発計画は認めないという、このことの根拠が何によって出たのか、それもお教えいただきたいと思います。
  18. 原文兵衛

    原国務大臣 ただいま申し上げましたように、検討に値すると申したあの位置形状について、備蓄基地としてのアセスメントをするということについては検討に値する、ただし、安楽川以南の浜辺あるいはそれの前面の海については、これがここの国定公園を守るためのぎりぎりの線で、これ以上のものは私どもは認められないということを鹿児島県知事にもはっきり言ったわけでございます。  いわゆる新大隅開発計画というものについては、われわれの方には、こういう案であるということは正式には何も言ってきておりません。しかし、伝え聞くところによりますと、安楽川以南についても何号地何号地というような埋め立ての計画があるとかいうふうにも聞いておりますので、そういうものであるならば、今度の備蓄基地アセスメントについてこれなら検討に値すると言ったのはぎりぎりの線であって、これ以上のものはとうてい認められない、海面についても同じということを言ったわけでございます。したがって、いわゆる新大隅開発計画というものが安楽川以南の浜辺にさらに突き出して埋め立てるとか、あるいは海上に何かつくるというものであれば、私どもとしては認められない、これは環境庁の将来に向かっての方針でございます。
  19. 新盛辰雄

    新盛委員 基本姿勢としてこの計画の全体像はよくわからないがとおっしゃいましたが、一号、二号の埋め立て計画も実はあったわけです。完全に安楽川以南の関係については認めるわけにはいかない、こうおっしゃいました。  いまここに写真化されておりますが、これは前の計画なんです。(写真を示す)ここは白砂青松の松林ですね。そして、二百メートル前に計画をしたらこんなふうになったという、いわゆる模倣図です。これを今度は五百メートル出して縦に置いたわけです。縦に置いたとすれば白砂青松を侵さない、あるいは景観に著しい影響を与えないとおっしゃいましても、どんなに見ても、連動的な環境行政の中において、ここは確かに国定公園解除地域ではないけれども、実際にはそこに影響を与えるじゃないか。これが現地の皆さんのおっしゃっていることなんです。それから、植林をするという。この周辺の植林だって、これは下から見ましてもはっきりと、タンクは二十二メートルですから、喜入の備蓄基地を私どもはいつも見ていますからよくわかっています。  こういう状況の中でお認めになったということは、非常に問題がありはしないか。ただ三分の一、三〇%ですね。今度は景観の七〇%が三〇%になったんだからまあいいじゃないか。だから検討に値すると言った。しかしほかの計画については歯どめをした、こういうふうにいまおっしゃっているのですが、現地の知事はそんな話は聞いておらぬ、そう言っているのですよ。いまやっております県議会で何回も答弁しております。私はそんな話を環境庁長官から聞いておるんじゃない、口頭でも聞いておりません、こう言っているのです。だから、ここのところはどうも摩訶不思議で、奇怪千万な話であります。国政の一番頂点にあるわけですから、大臣が明確にお答えいただかないと、現地は混乱するばかりであります。だから、新大隅計画全体像は安楽川以南の方ではできませんよ、しかし石油備蓄基地だけは別途の問題だったというふうにおっしゃっているのですから、これもアセスをしてみなければわからぬ、これは中止する、変更することもあり得る、こういうふうにおっしゃっているのですね。この辺のつながりをひとつ明確にしていただきたいと思うのです。
  20. 原文兵衛

    原国務大臣 最初の二百メートル沖出し出島方式を今度五百メートル沖出しにして、一部は六百メートル沖出しのところがありますが、形状も変え、また面積も少なくしたと申しましても、確かに景観に影響がなくなったということは言えないわけでございまして、影響はもちろんあるわけでございますが、私どもとしては、先ほど来申し上げているように、国定公園解除につながらないこと、景観に著しい、台なしにするような影響がないことということで、影響は何をつくったって少しはあるわけでございますから、そういう点につきましては、われわれとしてはぎりぎりの線を守りながらやってきたと思っておるわけでございます。  同時に、鹿児島県知事が県議会等でどういうふうに発言をしていらっしゃいますか。私ども、地元の新聞等も読んでおるわけでございますけれども、私は、安楽川以南について、今度の検討に値すると申し上げた以外のもの、それ以上のものは認められないのだからということをはっきり言っておりまして、先ほどもお答えしましたように、それはいわゆる新大隅開発計画というものが安楽川以南についてさらに埋め立てをするとか、あるいは海上に何かをつくるというようなものであれば認められない。これは環境庁の方針として今後も貫いていくということを、重ねてはっきりと申し上げたいと思います。
  21. 新盛辰雄

    新盛委員 いまの回答から見ましても、新大隅計画の中でこういうふうに異物が海の中にぽっくりできる。環境には著しい影響を与えないから、三〇%だから検討に値すると言った、こうおっしゃっておるわけです。しかし、新大隅全体の安楽川以南、いわゆる波見港のところまでは著しく影響するわけです。だから、こうした影響する状況をあなたのおっしゃる論理でずっと通してくれば、石油備蓄基地そのものも認めるというわけにはいかない、こうなるのです。だけれども、余りそう影響はしておりませんのでとおっしゃるのですが、ここは私ども、これから現地のアセスその他等によって結果的には認められない、物情騒然となって、石油公団はそんなにごたごた現地がもめるようじゃちょっと困りますという話を昨年来しておられるわけですから、もう一回大臣に聞きますが、アセスの結果潮流あるいは水深、台風あるいは航路の問題等、いろいろと状況が、水深も五・八メートルですから浅いところですし、いろいろな問題が起こると思います。アセスの結果によっては認めるということにならないかもしれない、いわば中止もあり得る、このことははっきり言えますか。
  22. 原文兵衛

    原国務大臣 いまの検討に値すると言ったのは位置の問題でございますから、その位置については私ども検討に値すると言って、位置は認めておるわけでございますが、しかし、アセスの結果、潮流の問題とか、また、いま新盛委員おっしゃったように、植栽してもタンクが見えるかもしれぬじゃないかとか、いろいろな問題が出てくると思うのです。そうすれば、この前この問題は自環審の部会にも十分報告したのですが、そのときも御意見がございましたし、たび重なる記者会見等でも御意見があったのですが、植栽しても見えるのじゃないかということがございます。いまちょっとど忘れしましたが、瀬戸内海のある干拓地を例に引かれて。今度、幅百メートルである程度の高さで筑堤してやる。それでも見えるかどうか。植栽の方法等もあるわけでございます。そういう点も十分アセスの結果を検討して、これじゃだめだとか、これはもう少しこういうふうにすべきだというようなことを、いろいろとわれわれとしても変更するように注文をつけることは十分あり得るというふうに申し上げたいと思います。
  23. 新盛辰雄

    新盛委員 環境庁は、一体今度の計画等について、新大隅全体像としてはどうも引っ込めさせなければいけない、環境行政に大きな影響がある、だからこの際石油備蓄基地位置あるいは形状その他等について、言うなら注文をつけた。これは、建設にかかわる問題は別としましても、位置なりあるいは方向等に形をつけたのは、環境庁がそういうふうに指導的に県側に対していろいろと相談をされたのか。県の方が代案を持ってきたとおっしゃるのですが、代案を持ってこられて、二月の九日ごろから約二週間でぱたぱたと決まってしまった。それまではそういうふうになってなかったわけですね。この辺のところはどうもわれわれ不可解なんです。だから、仮にも同種のものが今後出てきたとするならば、いわゆる海岸線から二百メートルとか海岸線であろうとも認められぬと環境庁長官はおっしゃるのですが、同種のこういうようなものが出てきたら一体環境庁はお認めになるのですか。指定区域外であればこの連動的な景観も無視して開発計画を認める、そういうことになるとこれは環境庁の存在価値を疑われるし、自然保護に関してはもう後退していると言わざるを得ないわけです。ここのところをはっきりとひとつお答えをいただきたいと思います。
  24. 正田泰央

    ○正田政府委員 先般の方針を決めます措置までの間における期間が短いというお話でございましたが、先ほど大臣が御紹介申し上げましたように、前大臣が昨年の秋ごろ鹿児島県知事に対しまして、FS案については認められない、そして代案を持っていらっしゃいということで、たとえば陸地であるとか、いろいろなことをヒントとしてお与えになっておられました。その間及びことしに入りましてから、県の方からは、たとえば法制度についての照会、あるいは調査についての見解、さらに私どもにいろいろな立地についての見解を求めることが非常に精力的に、かつ終始両方の間において見解の交換が行われました。  その結果、先般の措置の段階に至ったわけでございますが、特にその間におきまして、先ほど大臣が申し上げましたように、一番大事な点、白砂青松を含むところの安楽川以南の問題を中心といたしました国定公園解除解除と申しますのは、区域の変更基本といたしまして、いわゆる解除、ひいては当該国定公園をその部分において廃止する、こういう効果を持つものでございますが、そういうものは一切まかりならぬ、さらに特別地域について重大な影響を及ぼす、つまり安楽川以南についてはもう限度だと言ったかつての方針に反するようなことは一切まかりならぬということでございます。したがって、本計画についての鹿児島県知事考え方は、そのような考え方を持ってくることは非常に恥ずかしいことなので、堂々と解除につながらないような案を持ってくるようなことを終始私どもでは強く要請しておりました。  その間において、幾つかの技術的な要素が当然出てまいります。たとえば五百メートルといったものは、二百メートルと違った特定地の物の考え方でございます。さらに、北方をカットするということは、将来安楽川に向かって新しく造成することを未然に防止するという伏線を張った一つの方針でございます。その他、公園の区域外に大部分を出しなさいという基本的な考え方もございます。さらに、全体を濃密な植栽によって景観を維持するようにということもございます。そのようなことによりまして、解除に至らない、こういうような一つ見解に達したわけでございます。  それから、同種の計画についてでございますが、今後、いま先生が御指摘になりましたように、新しい問題についての一つの提案と申しますか、構想と申しますか、そういったものが出てまいる、あるいは出ることがこちらの方に表明されたような場合が考えられますが、その場合、さらに突き進みまして、同じく埋め立てでございまするから、公有水面埋立法に基づいて一つ手続というものも予想されます。そのとき環境庁長官意見を聞くことになっておりますが、そういう場合におきましても、今回と同じように、事前にこの種のものは一切認めないということを申し上げるつもりでおります。それは、安楽川以南についてかつて白砂青松をつぶすことはまかりならぬと環境庁が表明したその実績と同じような実績を積み重ねていきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  25. 新盛辰雄

    新盛委員 今回の問題は、一体環境庁が本当に合意の上に立ったのだろうか。環境行政の面で、内部ではちょっと唐突過ぎるんじゃないかとか、自然保護の命脈を断ち切るのじゃないのかとか、大臣の政治的な判断かというようなことも、われわれは漏れ聞いているのです。だから、環境庁がこういう問題で余りにも唐突にゴーサインを下されたということについては、やはり今後に問題を残すのじゃないか。  大臣自身、白砂青松のこの位置をごらんになったのかどうかわかりませんが、私どもはいつも飛行機の上からも見ております。ここはいつも通るところです。毎週ここを通っているのですから、あそこにできるとこれは大変だなと思いますよ。これですからね。縦になるだけです。五百メートルの間隔になって、三百メートル少し伸びるだけでしょう。そして、この波見港の拡張工事その他の問題もいろいろ出てくるわけです。だから、これはまた機会を見てやりたいと思います。  時間がありませんので、エネルギー庁にちょっとお聞きしておきますが、国家備蓄計画ですね。最近OPECでも石油減産の話が出ておりますし、将来像として五十三年に三千万キロリットルの目標をお立てになって、国家備蓄として昨年末は百十八日分、こういう形になっておるのですが、いま省エネルギーで日本は非常に各社の御協力をいただいて、相当石油を消費しないで進む方向に出ておりますし、ソフトエネルギーもこれからどんどん開発されるであろう。そういう中で、この石油備蓄基地が一体国家備蓄的な形成を持つのかどうか。いわゆるこれからの動向、しかも備蓄計画は日本各地にございます中でも、鹿児島県では馬毛島あたりも出ております、串木野の岩盤備蓄も出ております、いろいろ出ておるのですが、このような状況の中で、志布志白砂青松の、日本でも自然の残されたもう最小限度のところじゃないか。そこへつくるというのを、現地も反対者が七七、八%署名運動をやっておる、また逆に同じ人が賛成の方で幾らかあるというように聞いておりますが、いずれにしても混乱をすることは間違いないので、このような紛争の激化するところに、前にもエネルギー庁の長官も言っておられたのですが、紛争のあるところでは今後の石油備蓄基地建設ということはいろいろと考えなければならない、こういう話もあるのですけれども、これなどはどうお考えになっておるのか。また、六十三年のオイルインに間に合わせるようにというのですが、いまの現実の問題として、これからアセスをし、建設をする。運輸省にも後でお聞きしますが、状況としては、ますます経済的にも悪化する、そういう状況で見通しがあるのかどうか、この辺をしかとひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  26. 市川南

    ○市川説明員 お答え申し上げます。  まず、わが国の備蓄の目標のことでございますが、先生御承知のとおり、一次エネルギー供給の大宗を輸入原油に依存をいたしておりますわが国といたしましては、原油供給不足の事態が生じた場合の影響は欧米諸国を上回るものがあると考えられておるわけでございます。また、石油消費大国といたしましては、国際的な責務を果たすためにも、最低限欧米先進諸国平均程度の備蓄水準を達成することが不可欠であると考えているわけでございます。このために、石油備蓄法に基づきます九十日備蓄と、これに上乗せをいたしまして石油公団が実施をいたします三千万キロリットルを目標として行うこととなっている国家備蓄の二本立てで実施をいたしてきておるわけでございます。  御質問の、最近のエネルギー情勢との関係で石油備蓄目標をどう考えるかという点でございますが、御指摘のとおり、先進消費国の最近の景気の低迷の問題、省エネルギー化の進展等の問題がございまして、国際的な石油需給は当面緩和状況にあるわけでございます。わが国におきましても、最近の経済の伸び悩みの問題、それから原油価格の大幅上昇が契機となった需給状況変化などが見られているわけでございますが、このような変化対応して今後エネルギー需給がどうなっていくかという問題につきましては、現在、長期エネルギー需給の暫定見通しの改定期になっておるものでございますから、これにつきましては、現在の段階では具体的内容は固まっておらないわけでございます。しかしながら、今後とも一次エネルギーの中に占める石油の位置づけというものは基本的に何ら変わるものではないだろう。それから一方、わが国の石油輸入の大宗を依存する中東地域の情勢というのは予断を全く許さないものがあるわけでございますから、石油輸入の安定確保はなお危機を内包していると言わざるを得ないわけでございます。  なお、この三千万キロリットルの目標につきまして、最近の需給の数字等に照らして申し上げますと、五十六年の石油内需量、これは石油価格高騰とか、先ほど申しましたような事情で相当に落ち込んでいるわけでございますが、昭和五十六年の特殊な時点を前提といたしましても内需量の四十九日分相当となっておるわけでございまして、これに民間の九十日を足しますと約百三十九日分でございます。  一方、五十三年以降の西欧諸国の備蓄水準は、イラン政変とかイラン・イラク戦争の経験もございまして、備蓄積み増しのペースをますます高めておるわけでございまして、五十七年一月現在IEA加盟国平均で百六十九日の備蓄水準にまで達しているわけでございます。わが国の脆弱な石油供給構造を考えますと、せめて西欧諸国並みの備蓄水準を達成することが必要であるということがございますので、民間九十日備蓄を今後とも維持するとともに、少なくとも三千万キロリットルの国家備蓄の実施が不可欠である、この事情については変化がないのではないかというふうに考えている次第でございます。  次に、志布志湾の石油基地建設計画について通産省としてどのように考えているかという御指摘でございますが、これにつきましては、志布志プロジェクトを国家石油備蓄基地の候補地点として鹿児島県から御提起をいただきまして、昨年の二月に立地可能性調査を石油公団が実施いたしまして、昨年の九月、技術的経済的に立地可能であるという結論を得たわけでございます。このプロジェクトにつきましては、いま御議論をいただいておりますように、自然公園法との調整問題等がございまして、FSの結果を受けまして、昨年秋以来鹿児島県が環境庁との間で協議を進めてこられたわけでございます。先ごろ鹿児島県より環境庁に対しまして御提示のありましたいわゆる代案につきましては、今後、国家備蓄事業の実施主体でございます石油公団におきまして内容の詳細な検討を進めることといたしておるわけでございます。  いずれにしましても、鹿児島県の行います環境アセスメントを含めまして、鹿児島県と環境庁との最終的な御調整の結果、それから鹿児島県の行います地元調整の結果などを待ちまして、具体的立地の可能性を検討することとなろうかと思います。
  27. 新盛辰雄

    新盛委員 公団の方、来ていらっしゃいますか。反対が現地で強ければこうした建設は進めることはできないだろうということをこれまで私ども質問にお答えになっておられたのですが、いまも変わりありませんか。
  28. 松村克之

    松村参考人 お答えいたします。  私ども石油備蓄基地建設いたします場合に、一つの段階としてFSを実施する、それによって経済的あるいはその他の可能性を調査するという段階がございます。その後、それらのFSによって経済性があるというふうに判断されました後でも、今度はその地元の関連する漁業権の問題あるいは土地の購入の問題その他につきまして、いわゆる地元における調整が進捗しているかどうかという判断をいたします。その判断に基づきまして立地決定というものをいたすわけでございます。したがいまして、立地決定は現在まだ行われていないわけでございますが、立地決定を行いますに当たりましては、いま申し上げましたような状況を十分勘案して決定する、こういうことでございます。
  29. 新盛辰雄

    新盛委員 現地ではそういう一つの作業はしておられるのでしょうが、反対をしているグループがある。いろいろとこれから騒然という形になってくるのはよくない、やはり理解と納得がなければいけないわけなのですが、公団として、これまで反対が強ければ建設をすることについては考えなければならないということを言っておられるのですから、これにいまも変わりませんかと聞いているのです。
  30. 松村克之

    松村参考人 いまも申し上げましたように、石油備蓄基地をつくる場合には、地元の全体としての御協力ということが非常に必要なわけでございます。したがいまして、私どもとしてはその点については十分気を払いまして、また、主として地元の市町村あるいは県庁といったようなところの御意見も参考としてこれを決めるわけでございます。
  31. 新盛辰雄

    新盛委員 志布志湾をお選びになったことについては現地からの要請だ、馬毛島についてはまだ御回答がありませんので、どういうふうになっているのかわかりませんけれども、こうした一連の動きから見まして、いま石油備蓄基地建設のいわゆる財源の問題、建設費、これは一体どういうふうに推移しているか。恐らく私どもの試算では割り高になって、しかもいまのような財政再建の途上にある際に、それこそ財源確保の面でも相当これから困難が予想されると思うのです。  建設費についてまずお聞きしますが、キロリットル当たり現状幾らの単価で見ておられるのか。そして、前回鹿児島県側が進められましたこの計画の際の用地造成費は四百億、設備費関係の諸経費が千三百億、そして附属船舶係留施設などをつくるのが約百億、計千八百億であったわけです。ところが、今回二百四十ヘクタールが二百十ヘクタールになる、また貯蔵容積も五百四十万キロリットルが五百万キロリットルに減る、こういう状況で縮小されたという中では千七百五十億になるであろう、単純計算でそういうふうにお出しになっているようですが、一体どこに変化が生じてきているのか。いまのわれわれの試算ではキロリットル当たり三万三千三百三十三円、これはもう去年のことであります。しかし、現在もう本当に物価その他建設費のコスト高を考えていきますと、キロリットル当たり三万七千百四十三円くらいは必要になってくる。そうすると、莫大な資金計画になるわけであります。このことについて公にどの程度のことをお考えになっているのか、経済性が果たして立てられるのか、財源的に見通しがあるのか、それをひとつ公団側でお示しをいただきたいと思うのです。
  32. 松村克之

    松村参考人 この志布志の計画につきまして、昨年私どもで実施いたしましたFSの結果によりますと、いま先生お話がございましたように、全体として千八百億円、キロリットル当たり単価にいたしまして三万三千円といったような数字を出しているわけでございます。最近鹿児島県の方でおつくりになった代案について伺いましたところでは、千七百五十億円という数字を伺っているわけでございますが、これで計算いたしますと、大体キロリットル当たり三万五千円という数字になるわけでございます。私どもといたしましては、その程度でございますればこれは大体経済性を持つと考えていいのではないかというふうに思うわけでございますが、ただ、これは県の試算でございまして、私どもといたしましては、その県の試算をうのみにするというわけにもまいりませんので、今後、これについて詳細な調査を行う予定でございます。
  33. 新盛辰雄

    新盛委員 この建設費を計算しますと、あなた方は今度五百メートル離すのです。水深が変わってきます。そして、FSの結果半地下方式はだめだ。そして、今度これを地上に出すわけですね。護岸工事を初めとして、今度の場合二十二メートルの高さのタンクを置くわけですが、その埋め立て経費ですらもう莫大なものです。水深があの地域では五・八メートルから九・四メートルあるのです。これは、海洋図でちゃんと出てくるのです。そして、地盤がボラ、コラ層の非常に特異な土質なんです。こういう個所で半地下方式ができなかったはずなんです。それを今度埋め立てられるわけですから、護岸工事をおやりになるのですが、一体この埋め立て経費というのはいま現在坪当たりどれくらいだと計算されていますか。一般的なあれでもいいです。しかも、公有水面の埋め立てですから、これはほかの事情とはまた違うと思いますが、どうですか。
  34. 松村克之

    松村参考人 詳細な数字は手元にございませんが、私どもが計画いたしましたときには、いわゆる埋め立て、護岸に要する費用は大体四百億円というふうに考えていたわけでございます。したがいまして、これらを五百四十万キロリットルで割りますと、およそ八千円ぐらいになりますか、といったふうに考えております。
  35. 新盛辰雄

    新盛委員 それは当たり。単純計算でやればそういう答えが出てきますよ。ただ、前回の計画では用地造成費が約四百億だったのでしょう。二百メートル先を埋めるときの経費なんですよ。それが五百メートル先、水深も変わってきたのです。それを考慮もしないで、県の方から来た資料ではただ埋め立て造成費五百億と計算しているのですよ。こんなのも、でたらめなんじゃないですか。
  36. 松村克之

    松村参考人 御説明いたします。  ちょっと私いま目の子で計算いたしまして失礼いたしましたが、先ほど私が申し上げました数字は間違いでございまして、平米当たりで申しますと、FS案では一万七千円パー平米ということでございます。それから、県が出しました試算によりますと、これは、御指摘のように深度が深くなったということもございまして、二万四千円パー平米ということになっております。
  37. 新盛辰雄

    新盛委員 この議論はまた別途やりたいと思いますが、運輸省、来ていらっしゃいますか。  公有水面の埋め立て認可をおやりになるわけですが、五十三年に策定されました志布志湾改定計画の埋め立ての際に、これは九十八ヘクタールを埋め立てる申請をしたのです。環境庁の方はこの際は非常に踏ん張っていただきまして、計画を大幅に縮小された、修正された経緯がございます。  公有水面埋立法による今回の埋め立てばいろいろな立地条件を加味されるわけですが、あるいはいま埋め立てられようとしている港の方の側、いわゆる五百メートルの陸橋をつくっていくのでしょうが、波見港の護岸の拡張工事あるいは港湾計画、こういうものと関連をしてくるわけですが、免許、出願、許可、これらについては、当然海流、港湾、係留施設等の状況等も十分に把握をしなければならないし、当面の問題は地質ボーリングの問題だと思うのです。あるいは水質、大気、潮流の変化、こういうこともFSと同じような形の中でやられるわけですが、この許可は県側が出せばストレートにお認めになる傾向があるのですけれども、こういうような関係については、今後の海洋の航路あるいはタンカー事故等々十分に考えなければならない問題ですが、どこに基準を置かれるのか。そして、これまで一般的な状況として許可をされた関係で例がありましたら、ひとつお知らせいただきたいと思うのです。
  38. 佐々木建成

    ○佐々木説明員 お答え申し上げます。  今回の志布志湾石油備蓄基地につきまして、私どもまだ計画の内容を十分承知しておるわけではございませんが、一般的に申しまして、埋め立ての場所が港湾区域内でこういう大規模なものであれば、免許に当たりまして運輸大臣の認可申請が出てくるであろうと思われます。  それで、どのような基準でもって審査をするのかというような趣旨のお尋ねかと思いますが、一般的に申しまして、公有水面の埋め立ての免許について認可の申請がございました場合には、公有水面埋立法の四条に免許基準というのがございます。その中には、いろいろ国土利用上の基準もございますし、それから環境保全についての基準もございます。それから、特に環境保全につきましては、埋め立ての工事中それから用地造成ができ上がりました後の土地の利用の段階での大気とか水質とか騒音、振動といったもろもろの公害防止項目について審査をいたします。それから、先ほどからいろいろ御議論になっております自然景観の問題、それから潮流、海流といったような問題、それから動植物の問題とか、もろもろの自然環境項目についても審査をするわけでございますけれども、出願をいたします前に添付図書といたしましてアセスメント書というものを出させることになっておりまして、これを参酌しながら慎重かつ十分に審査をしてきておるというのが現状でございます。  それから、一定規模のものにつきましては公有水面埋立法四十七条の規定に基づきまして環境庁長官の御意見をお聞きするということになっておりますので、そういった面でも二重のチェックをするということで、十分慎重を期しておるわけでございます。  今回のものが出てまいりますと、同様に慎重かつ十分に審査をするということになろうかと思われます。
  39. 新盛辰雄

    新盛委員 関連質問を終わります。
  40. 八田貞義

  41. 水田稔

    水田委員 いま志布志の論議でありますが、環境庁は非常に開発側に押され、狭い視野の法解釈、そういうやり方で検討に値するということを言われたのじゃないか、私は非常に残念に思うわけです。環境庁の緑の国勢調査で自然海浜をずっと調べてみますと、もう半分を切ったわけですね。四九%しか残っていない。この十六キロにわたる自然海浜は非常に貴重なものであるとみんな言うわけですね。そして、自然海浜というのは、砂の上に立って、砂がきれいですな、こう言って見るものではないですね。少なくともそこから十六キロもあるわけですから、全体の自然美というのが公園としての価値があるのだろうと思うのです。  私の地元は瀬戸内海の国立公園の地帯で、鷲羽山のあるところですが、子供のときから何回も行きました。いままさに真正面は番の州の臨海工業地帯ですよ。かつての南画のようなかすんだ四国の山々、島が見える、そういう多島美の状態というのは鷲羽山からはもはや見ることができない。しかし、だからといって外せば乱開発が進むから、国立公園の特別指定地域であれば指定しておるわけですね。まさに志布志というのはそういうものだと思うのです。かつて志布志港の改修をやるときに、ここにダグリ崎というのがあるのですが、そこから見てここは一番反対側ですから、景観を害しないというようなことでそれを認めた例があるわけですね。(写真を示す)今回説明を聞きますと、どこから見るんだと言ったら、ここから見るんだということで、この一番大事なところを抜かしておるわけですね。この海岸線を見る場合、ダグリ崎から見る景観というのはまさに最高のものなんですね。それで、二百メートルを五百メートル沖へ出すから関係ない、ここから見るような答えです。そして、百メートルで高い木を植えますから、見たところ、海岸、浜辺たら見れば島があるように見えます。こういう言い方なんです。まさにこれは私はごまかしだと思うのです。ダグリ崎というのはここらあたりになりますから、ここから見るわけですね。百メートルで少々の木を植えたって——ですから、これは位置が少し変わります。変りますけれども、まさに目の下に石油タンクが林立するという形。いいですか、これで国定公園と言えるのかどうか、区域の変更をしなくていいのかどうか。そういう判断は、先ほど長官が答弁されましたこれからの環境行政基本にかかわる問題が、まさにこれでは一挙にお構いなしというのが環境庁姿勢じゃないのですか、どうなんですか。この自然の海浜国定公園というのを見る見方を、長官、間違っておられるのじゃないですか。環境庁開発側に押されて、法律の解釈をむしろ開発側に都合のいい解釈でそういうぐあいにやられたために、検討に値するという答えをされたのではないですか。前の長官は、そういう点では、代案を持ってこいというのは、地質からいって、土質からいって、海の状態からいってなかなかできぬだろう、そういうことで、法律の最大限の拡大解釈をしながら、その中の行政指導でここを開発させないということが基本姿勢だ。今度の原長官はそれを認めるという前提に立って解釈をやるから、こういうことになったのじゃないですか。その点はどんなにしても国民は納得しないだろうと思うのですが、いかがなんですか。
  42. 原文兵衛

    原国務大臣 いま御質問がございましたけれども、私ども開発を認めるという前提に立ってやったというようなことは毛頭ないわけでございまして、前長官代案を持ってこいというわけでございます。それは、あくまでも自然公園法上のわれわれとしてのやるべきことということに基づいて代案を持ってこいと言ったわけでございまして、先ほどもお答え申し上げましたように、私ども国定公園解除につながらないこと、また景観も著しく害さない、台なしにするようなことがあってはいけない、この二点から環境庁鹿児島県側で、事務当局でいろいろと検討してきた結果でございます。  また、いまの国定公園景観という点につきましても、いろいろな地点からの眺望というような問題がございまして、それも景観の専門家というようなものにいろいろと検討さしたわけでございまして、どういう地点から見てどうであるというようなことにつきましては、自然保護局長の方からお答えさせたいと思います。
  43. 正田泰央

    ○正田政府委員 大変貴重な御視点からの御批判でございましたが、権現山につきましては、私ども公園計画を二十何年前に策定したときから一つのポイントでございまして、今回でもそういうことはよく認識しておりますが、権現山の性格につきましてはほかの視点とはちょっと違っておりまして、これは公園計画を策定したときの考えと申しますのは、この海岸の白砂青松から見ました場合のむしろ背景としてこの権現山というものが評価されたわけであります。  権現山というのは、御案内かと思いますが、三百メートルちょっとくらいでありまして、わりと植生のきれいなところでございまして、いわば弓形の海岸を囲む北の方のダグリ崎、これは百メートルくらいでありますが、ダグリ崎と似たような、それよりちょっと高い囲みとして背景を描いたとして考えた。これは県の希望で入れたのでありますが、その際に、三百メートルも高いので人が登るであろう、そして高いところだから休むであろう、白砂青松から見まして山の頂上に建物をつくることはどうかという問題があるわけでありまして、これもむしろ展望として一つかな、むしろ松原から見て、砂浜から見てどうかなということで入れた次第でございます。ところが、その後二十年間経過を見ますと、ほかの展望点とは違いまして、この展望点はほとんど利用されておりません。したがって、公園計画と申しますのは、こういうところに展望所をつくれとかこういうところに道路をつくれとかいう意味合いを持っておりますが、県を含めて、地元の関係者を含めまして、ここでは全くこの展望点を利用するという意向とか傾向とかはございません。人も参りません。そのようなことでございます。  先ほど先生の御批判ございましたが、私ども基本的に展望点を考慮いたします場合は、二点大事な要素がございまして、現状において相当な利用者があるということが、何といいましても、どこの国立公園でも国定公園でも県立の自然公園でも大事なポイントでございます。それから、現状において利用のための施設の整備がある程度なされているということがもちろん大事でございます。そういう二点で、したがって典型的なところとしてはダグリ崎とかそれからくにの松原を考えたわけでございます。ただ、私ども実際にこれを従来調べております段階では、展望所、展望点と申しますのは無数にあるわけでございまして、そういうところから鋭意調べた。したがって、公園計画では展望所になっておりませんところのくにの松原なんかも挙げておりますし、その他のところからも十分見ております。もちろん、おっしゃったように基地が全然目に入らないというようなことではございませんが、私どもの方では、ここから見て志布志の海岸部十六キロを廃止してしまう、そういう本質的な問題ではない、こういうふうに考えたわけでございまして、その点、私どもの技術的な見方について御理解いただければありがたいと思っております。
  44. 水田稔

    水田委員 局長、僕は、そんな答弁するのじゃ、自然環境長官の言われた高邁なこれからの環境行政とは反対の方向へ行くと思うのです。なぜなら、人が利用しておるから自然環境を守るのじゃないのですよ。だから、逆なんですよ。公園に指定しておるところでも、たとえば非常に高山で自然林等は人が入らないけれども公園に指定して守るということもやっておる。環境庁、そういう役もあるわけでしょう。ここは本当に、全体で言えば日本で半分を切った自然海浜という貴重なところじゃないか。そういうものをどうやって守るかというのが環境庁の仕事じゃないか。人が行きようが少ないからといって、少々のことは構わぬということには私はならぬと思う。  もう一つ法律解釈の点で、これは自然環境保全審議会に諮らなくてもいい、こういうことで環境庁長官はいわゆる検討に値すると答弁をされたわけですが、どうも自然公園法の第十一条の二項なりあるいは十三条の二項を読んでみると、これだけ長い間論議になり、しかも前の長官があれだけ慎重に考えてきたことが百八十度転換するわけですからね。変わってくる態度を決めるのに、自然環境保全審議会の意見を聞くというのは手続上も当然なされるべきだし、しかもそれをやらないから、委員の都留さんは憤然として退席するという事態が起こった。まさに環境行政環境庁長官姿勢にあるというのは、基本的に法律の解釈を拡大解釈してでも守っていくのか、あるいはよそから責められたらそれを何とかつじつまを合わせればいいという姿勢をとるのかということと同時に、長官だけの気持ちではなくて、少なくともこれだけ問題になったところについては、慎重に多くの人たちの意見を聞く。特に環境行政については、自然環境についてはそういう審議会もあるわけですから、一方で変更につながらないというのは勝手な判断ですよ。ここを公園にしてくれというのは、幾らでも審議会を開いてどんどんかけている。しかし、それが変更されるときにかけなくていいという勝手な判断をして、勝手に同意に近い意思表示をするというのはけしからぬという、審議会の委員にもそういう御意見があるわけですね。あるということは、今回の環境庁長官の知事に対する検討に値するという答弁というのは、まさにそういう点では環境行政の出発点、一番基本になるところを忘れられた態度ではないかと思うのですね。ですから、いまからでも遅くない、もう一遍考え直すお考えはないですか。あるいは、審議会に対して大変失礼なことをしておる。審議会が意見を言うことができるのですね。しかし、少なくとも事務局から言えば、開かれることがなければ開けというのはなかなか言わないだろうと思うのですね。そういう点では、私は環境庁のとった態度は軽率であったのではないかと思うのです。その点はいかがですか。
  45. 原文兵衛

    原国務大臣 水田委員御指摘のように、自然海浜が大変減ってきているということについては、私どもも実は心を痛めているわけでございまして、これはぜひひとつ残していきたいと思っておるわけでございます。この志布志についても、私どもはこの志布志白砂青松を残したいという気持ちを十分持っておりまして、しかも、自然公園法上のいろいろな国定公園に関するルール、規定もあるわけでございます。そういう観点で、われわれとしては精いっぱいのことをやったつもりでございます。  なお、自環審にかけるという問題につきましては一応ルールがございまして、この場合にはかける対象にならないということでございますが、私は、やはり大変大事な問題であるからということで自環審にきっちりと報告を申し上げなければならないと思いまして、今月の四日に御報告をしたところでございます。  なお、自環審にかけるについてのいろいろなルール等については、自然保護局長の方からお答えいたしたいと思います。
  46. 水田稔

    水田委員 説明はよろしいです、時間の関係もありますから。  別の問題を申し上げますと、環境庁というのは、いわゆる自然環境については、公園だけではなくて全体を守る義務があるわけですね。それは、少なくともいま与えられた権限の中で最大限やってもらいたいと国民みんな思っているわけです。そのことにこたえるのに、解釈が、開発側に対して、こういう解釈をすればまあ仕方がないじゃないか、仕方がないじゃないかということで全部やられてしまうわけですね。私は、むしろ拡大解釈でもしながら、最大限に生かしながら守るという姿勢をとることが欠けておるということを申し上げました。  長官鹿児島に行かれたと思うのですが、さっき局長は人が来ないからと言われたが、そんなばかな話はないので、この位置なんですよ。ここへ、今度は少し位置が変わりますけれども、上から見たらタンクがまる見えですね。変更しなくてもいいという勝手な判断をしておるわけですね。そんなばかな話はない。こんなものは国定公園普通地域に入らぬのですよ。タンクがいいのなら、水島全部国立公園の地域に指定してもらったですよ。そういう考え方ではいけません。そういうことを、単なる事務的なことじゃなくて、本当に長官が、この自然がどうで、これを守ろうというのなら、この位置へ行って、権現山へ上がってみる、あるいはダグリ崎で見る、あるいはここで見てここにある程度の図面を入れてみたらいいですよ。写真を入れてみて、そこで本当にそれが自然公園の普通地域に入るのが区域の変更をしなくてもいいのかどうかというくらいのことは、大事なことですから、海浜は四九%に減ってきたのですから、大事な浜を守るのにどうするか、そこまでやった上で長官が法的ないろいろな手続上の問題等判断して判断されたのならいいです。  それからもう一つは、自然環境保全審議会に報告されたと言うけれども委員の方があれだけ憤激をされるというのは、少なくとも長官検討に値するという意思表示をする前にそういう機会を持てば、もっと違った形になっておったでしょう。そういう慎重さに欠けておることを私は問題だと申し上げておるのです。軽率に決めたということは言われぬでしょうが、少なくともいまの段階からもう一遍この現地を、長官、見るなりして、その上で法律解釈の問題についても、これは長官、行ってみたら、やはり区域変更しなければいかぬなというお考えになるかもしれない。それならもう一遍法的な手続をすべきなんですね。  変な話ですが、鯨岡長官は、鯨には骨がある、そういうことをやられてきた。ある程度国民は手をたたきながら支援してきた。環境庁というのは、国民の支援がなかったら仕事はできぬわけでしょう。あの激しい公害の中で、この十年間相当厳しいことがやられた。なぜかというと、いろいろな省庁の抵抗があったけれども、背後に国民の強い支援があったからあれだけのことがやれたわけですね。それを無視するようなことをやれば、環境庁、本当に無用じゃないかということを言われかねない、私はそのことを心配するわけです。長官にも本当に性根を据えてやってもらって、長官よかったな、こういうことにしてもらいたいから申し上げるのです。だから、鯨岡長官は骨があった。鯨ですから。原長官は腹がないということでは困るのですよ。それで、こんなことをやられたのでは国民ははらはらしておるわけですから、そうならないために腹をくくってやっていただくように、最後に長官決意を聞かせていただきたい。
  47. 原文兵衛

    原国務大臣 自然保護あるいは環境庁のことを思っていろいろと御意見をいただきまして、感謝をいたしておるところでございます。  ただ、私は、先ほど来繰り返しておりますように、自然保護環境庁環境行政を進める上におきましてはもう最大限われわれとしてもがんばっていきたいという気持には毛頭変わりはございませんし、これからもそういう方針でもって貫いてまいりたいと思いますので、御理解のほどをお願いいたしたいと思います。
  48. 水田稔

    水田委員 時間の関係でもうこれ以上無理ですが、先ほど新盛議員からも質問がありましたように、現地でトラブルが起きればこれは環境庁の責任ですよ。そのことだけを申し上げておきたいと思います。腹をくくって取り組んでいただきたいというふうにお願いしておきたいと思います。  最後に、湖沼水質保全法について、これは環境庁、この国会にも出したい、九十四国会でも出したいということでしたが、いかがですか。三月も末が来たのですが、出せるのですか、出す準備を万端整えたと理解してよろしいですか。
  49. 原文兵衛

    原国務大臣 御承知のように、水質の問題でもって川、海に比べて湖沼だけがどうしてもよくなっていかない、むしろほっておけば悪くなるということでございますので、私どもといたしましては、湖沼水質保全特別法案をぜひこの国会に出したいと思って、いま精力的に関係官庁と協議を進めているところでございます。
  50. 水田稔

    水田委員 進めておるのですが、出せる見通しは。三月ももはや末が来たわけですが……。
  51. 原文兵衛

    原国務大臣 私は、法案というものは中身がなければならない、実効が上がらなければならない、実効が上がらないような形だけのものを出したって、これはメンツの問題になってしまって意味がないと思うのです。私は、とにかくいま汚れ、しかもさらに汚れが進もうとしておる湖沼を守るためにどうしたら実効が上がるのかという観点でもって、いま精力的に進めているわけでございます。したがって、ここで断定的なことを申し上げることはできませんので、私どもいま一生懸命そういう点でやっていることも御理解いただきたいと思います。
  52. 水田稔

    水田委員 それで、この法案環境庁の原案というのもあると思うのですね。これは中公審の答申にきちっと沿ったもので——これはきちっとしたものを出しておるわけですが、その点はいかがなんですか。それに沿ったもので原案を考えて各省折衝をやられておる、こういうぐあいに理解してよろしいですか。
  53. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 中公審の答申の基本でございますけれども、これは、湖沼の汚濁の実態を見ますと、対策としては産業系、生活系、それから農業畜水産業系、大別して三つの汚濁負荷源があるわけでございますが、これを総合的、計画的に削減していく、そして湖沼の水質保全する、こういう基本的な考え方でございまして、具体的に項目はいろいろございますけれども、私ども中公審の答申の基本、これを踏まえまして、いま関係省庁と折衝している、こういう状況でございます。
  54. 水田稔

    水田委員 何トンから規制するかということが一番問題だろうと思います。さきの国会でもなかなか出せなかったというのは、通産省との間にトン数の相当な隔たりがあった、こう聞いておるわけですが、その状況というのはいまもやはりそういうことで続いているわけですか。
  55. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 具体的な問題についての御質問でございますので、具体的にお答えしたいと思います。  中公審答申の一つのポイントでございますけれども、これは従来、湖のみならず一般公共用水域はそうでございますが、水質汚濁防止法に基づいて水質保全対策を進めてきたわけでございますが、湖沼について見ますと、従来のこの水質汚濁防止法では不十分だ、こういう認識があるわけでございます。  特に問題になりますのは、生活系排水、それから農業畜産あるいは水産関係でございます。そこで、生活系につきましては、規制ということよりもむしろ下水の整備その他、特に下水整備が中心でございます。そこで、特にこの湖沼法案では保全計画というものを湖沼ごとにつくりまして、そこで具体的な下水道整備の目標を定めまして、それを推進していくということにしております。また、畜産水産関係につきましては、これは従来規制の対象になっていないのでございますけれども、これを新たに規制の対象にするということ。以上、ほかにもいろいろございますが、そういうことによって、従来の水質汚濁防止法では対象とならなかったそういう問題について水質保全対策を特に強化していこうというのがあるわけでございます。  一方ではそういうことをやりながらも、従来水質汚濁防止法で規制対象になっている、これは産業系中心でございますが、特定施設、こう言っておりますが、これについて新設ないし増設をする場合にそれによって汚濁負荷がふえるわけでございますが、それが湖沼に著しい影響を及ぼすような場合にはこれを抑制したい、こういう項目があるわけでございます。これの中公審の答申では、そういう目的を達成するための手法として許可制を導入したらどうかという問題があるわけでございます。この許可制導入をめぐりまして、いま先生御指摘になりましたような、トン数何トン以上を許可制の対象にするかどうかというようなことが去年の通常国会段階で問題になったわけでございますが、それが解決しなかったということがございます。  そこで、いま私どもは、新増設についての汚濁負荷抑制、これはどうしてもやりたい、これが必須である、こう思っておるわけでございますが、そのこと自体をめぐりましてもいろいろ議論があるわけでございます。それからまた、その手法をめぐっても、許可制という具体的な問題がございますが、ほかにもいろいろな手法はあり得るわけでございますが、その辺をめぐってまた議論があるということでございます。私ども具体的な折衝中でございますのでちょっと申し上げられませんけれども、私どもは、基本、つまり新増設についての負荷抑制、これはどうしても維持したい。その上に立って、具体的にどういう手法をとるかということにつきまして、いまいろいろ関係省庁と折衝している、こういうことがいまのありのままの状態でございます。
  56. 水田稔

    水田委員 私はずばり聞いたのです。新増設の特定施設というのは、これは通産関係でしょう。これは通産省ですかと、こういうことを聞いた。それからもう一つは、トン数規制というのは、私ども心配するのは、どうも法案をまとめるということなら通産省に押し切られる、そういう雰囲気が出てきておるのではないか、法案をつくるために。どうも数字がはっきりしませんけれども、通産省あたりは五百トンくらいと言っておるのではないですか。これはわかりません、想像ですから。しかし、瀬戸内海でさえ、あれだけの広さのところでも五十トン以上を規制しておるわけです。それから琵琶湖が三十トン、これは条例ですけれども。霞ケ浦が二十トン。そうなりますと、湖沼法で言えば、霞ケ浦とか琵琶湖を除けばもっと小さいところですからね。もっと厳しい規制がないと、閉鎖性水域での水質は守ることはできないと思うのです。ですから、どうもいま私どもの耳にそれとなく入ってくる情報では、とてもじゃないが、変な妥協をされたのでは、環境庁が押し切られたのでは、法律をつくっても実際には汚染が進んでいく。そういう危険性もある。さっき長官も内容が問題だと言われたが、私どもも内容だと思うのですね。そういう点では、本当の意味で湖沼の水質が守れる、環境が守れる、そういうものでぜひ早くまとめてもらいたいと思うのですが、通産省ということも言われませんし、ある程度のけた違いならけた違い、私は数字を申し上げたのですから、そこらで変な妥協、たとえば百トンで妥協されても、とてもじゃないがそんな法律は守れぬということになるわけですから、そこらの感度ぐらいは、具体的に言うと折衝にぐあいが悪いというのだったら感度でもいいから、問題はそこにあるのじゃないか。この法律がなかなかまとまりにくいというのは、そこに問題があるんじゃないか。ですから、私はここだけでなくて商工委員もやっておりますから、向こうでやってもいいと思いますので、できれば数字で、こういうところがまとまりにくいということなら一番ありがたいのですが、御答弁いただきたい。
  57. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 通産省ということを具体的に御指摘になりましたので申し上げますが、去年の通常国会段階では、確かに許可制をめぐりまして、許可制の対象とする最低規模トン数につきまして議論がございました。非常にかけ離れていまして調整できなかったわけでございますが、その後のいろいろな経緯はございますけれども、去年の臨時国会段階でございますけれども、むしろ許可制導入自体につきまして非常に強い異論が実はございました。許可制というのは全面禁止の解除という非常に強い手法で、強過ぎるのじゃないかという議論があったわけでございます。したがいまして、むしろ問題はそういうところに来ておるということがまず言えると思います。  それからトン数の問題でございますが、瀬戸内海にございますのは許可制の対象とするトン数を最低五十トン以上ということになっておりますが、琵琶湖や霞ケ浦の場合はいまの窒素、燐、これを規制する基準ということで若干問題は違うわけでございますが、いずれにしましても、そういう許可制をめぐりましてはそういう議論がいままでも起きておるわけでございます。  そこで、私が先ほど申し上げましたのは何が基本かということでございますが、これはやはり新増設についての負荷抑制をどうするかというのが問題でございまして、これがまさに有効に働くような制度でなければ意味がないということでございますので、その目的を達成するための手法としてどういうのがあるか、許可制の問題もありましょうし、あるいはそれ以外にもあり得るかもしらぬ。それについての具体的な手法をどうするかということについて、いま通産省ももちろんでございますが、関係省と折衝して詰めておる、こういう状況でございます。
  58. 水田稔

    水田委員 時間が参りましたので、最後に、長官に、事務当局だけの折衝では、まさにいま産業側の巻き返しが非常に強いわけですからね。長官の政治力でこれをやらなければ日本のこれからの自然環境は守れぬという決意で、私はつまらぬ妥協はやめてほしいのです。出したけれども実際実効がない、つくっただけというのは国民にとってはありがた迷惑で、むしろ免罪符になる危険性がありますから、そういう点で、湖沼法についてももちろん早い時期ということも必要でありますけれども、私どもが聞くような、どうも環境庁が押されてまたまた免罪符を与えるような法案をつくっていったのではわれわれも審議するのに困りますから、長官が先頭に立って、やはりこれをやらなければ湖沼の環境保全というのはできないという決意で取り組んでいただきたいと思うのです。  この湖沼法に対する決意を最後に聞いて、質問を終わりたいと思います。
  59. 原文兵衛

    原国務大臣 先ほども申し上げましたように、私ども、このままほうっておきますと湖沼はどんどんと汚れていく、これはゆゆしいことであるという観点から、湖沼の汚れを食いとめ、さらにまたこれをよくしていくために、実効の上がるいわゆる湖沼法案というものを何とか早く成立させてもらいたいという気持ちでもって、私自身もそういう気持ちで一生懸命努力をしたいと思っておるところでございます。
  60. 水田稔

    水田委員 終わります。
  61. 八田貞義

    八田委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  62. 八田貞義

    八田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山本政弘君。
  63. 山本政弘

    山本(政)委員 きょうは、長官の方から所信表明がありましたけれども環境問題というのは地球的な規模で考える必要がある、こう言われております。アメリカの「西暦二〇〇〇年の地球」などにおいても、海洋汚染の拡大などが言われております。  きょうは、私は東京都の屎尿処理問題についてお伺いしたいと思います。  そこで、冒頭にちょっと申し上げたいのですけれども、八一年度の「東京の下水道」というのが東京都下水道局から出ているのです。これを見ますと「都民生活を地下でささえる下水道は、雨水を排除し、生活や事業活動などによって排出される汚水を衛生的に処理する、近代都市に欠くことのできない重要な施設です。また、自然の浄化作用に期待できない大都市東京の川や海の水質保全も、下水道の新たな役割です。」一ページには「川や海がよみがえります」という題の中で「家庭や工場などから流される汚水を、下水処理場に集め、きれいな水にして、川へかえします。こうすることによって、汚れた川も美しい流れによみがえります。」当然、海もよみがえるということですね。  そこで、いろいろな経過については何人かの議員の方が質問になっておりますから、その経過については申し上げる必要はないと私は思うのです。そして、長官の方もいままでのいきさつについては御存じだろうと思いますので、私がお伺いしたいことは、「東京の下水道」ということでこういうものに書いている。しかし、現実に東京都が行っていることはこれに逆行するような形になっておるのではないだろうか、こう思うのですけれども、まず冒頭に、長官見解をお伺いしたいと思うわけです。
  64. 原文兵衛

    原国務大臣 お答え申し上げます。  海洋汚染の防止ということは、これはもう国際的にも各国協力して真剣に取り組んでいかなければならないものと思います。当然のことだろうと思います。  そこで、下水道の普及というのは、おっしゃるとおり非常に重要だと私は思っているわけでございます。日本経済大国とかなんとか言われるようになりましたけれども、下水道等の社会資本においては非常におくれている。東京都でも、区部で平均七四%、三多摩では四七%というような公共下水道の普及状況というのは非常に寒心にたえないわけで、一日も早く下水道を一〇〇%普及させて、いま山本委員御指摘のような点について十分本当の目的を達成するようにわれわれも念願し、そして下水道を所管する東京都に対しても、下水道の早急な普及について一層の努力をしてもらうように、環境庁としてもいろいろと要望しているところでございます。
  65. 山本政弘

    山本(政)委員 この下水、あるいは廃棄物と言った方がいいかもわかりませんが、一般廃棄物といいますか、そういう問題について廃棄物の処理及び清掃に関する法律というのがある。そして、それに基づいて廃棄物処理施設整備緊急措置法というものができた。そして、それに基づいて五カ年計画ができている。片一方には下水道法というのがあります。そして、それに基づいて下水道整備緊急措置法というものがあって、これが五カ年計画をつくっておる。問題は、そのことについて計画をするどきに、建設大臣あるいは厚生大臣、それぞれの所管の長から環境庁長官に御相談がある、こういう法文ができておるのですけれども、この東京都に関してそれはいつごろありましたか、ちょっとお伺いしたい。
  66. 原文兵衛

    原国務大臣 私、いつごろあったかという点、まだ十分承知しておりませんので、政府委員の方からお答えさせたいと思います。
  67. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 下水道整備五カ年計画、それから屎尿処理施設整備五カ年計画、いずれも去年の秋にございました。
  68. 山本政弘

    山本(政)委員 今回の東京都の行いというのは、要するに整備をするというのじゃなくて、まさしく逆行する問題であるということは御承知だと思うのです。私の記憶に間違いがあったら御訂正願いたいと思いますけれども、一万二千キロリットル・パー・デーで、これを全面外洋投棄にしていくんだという話があるわけでありますけれども、これは重大な計画の変更だと僕は思うのです。つまり、全国の中で占めるかなりな量が全面投棄されるということでしょう。ですから、下水道あるいは処理場の整備をするというのじゃなくて、逆にこれを閉鎖をするというわけですから、いまの計画に対しては大変な逆行する問題だろうと僕は思うのです。  それならば、そのことについてもまた御相談がそれぞれの関係諸官庁にあってしかるべきだ、こう思うのです。ところが、それが出てきたのはことしなんですね。そうすると、改めてそういう計画の非常に大きな変更については皆さんたちに御相談があってしかるべきだと思うのだけれども、一体そういうことがおありになったのかどうか、そのことをひとつお聞きしたいわけです。
  69. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 私ども、屎尿処理施設につきましては、五カ年計画につきまして担当の厚生省から協議を受けているわけでございますが、具体的に東京都の問題について厚生省から協議を受けるということはございません。
  70. 山本政弘

    山本(政)委員 それじゃ、厚生省は東京都からいつ御相談があったのですか。——厚生省、どうして局長はいらっしゃらないのですか。
  71. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 お答えいたします。  東京都が今回の措置を計画したことにつきましては、昨年の八月ごろその情報はキャッチいたしておりますが、昨年の十二月になりまして正式に内容について報告を受けております。
  72. 山本政弘

    山本(政)委員 私は、大変おかしいと思うのは、「下水道事業概要 昭和五十六年度版 東京都下水道局」を見ますと、大変おもしろいのです。というのは、「下水道は今日、健康で快適な生活を営むために必須の生活環境施設として、また、公共用水域の水質保全を図るうえで欠くことのできない水質保全施設として位置づけられている。」これは九ページに書いてあります。そして、砂町の拡充工事について触れられておる。「既施設の充実を図るため、整備拡充事業として幹線管渠約五千メートル、」云々と書いてあって、その後に「後楽ポンプ所等十か所の工事及び芝浦、砂町等五処理場の拡充工事を実施する。」というのが五十六年の夏ですよ。五十六年度版なんです。去年ですね。  そして、その後にもう一つ出ていることは、三十一ページに「現状」と書いて、「整備拡充事業は、昭和三十七年度から芝浦・三河島処理区の一部で実施してきた。その後芝浦処理区を始め、三河島、砂町、小台、落合処理区の管渠、ポンプ所、処理場の整備事業を推進している。」と書いてある。そして、その後に「芝浦・砂町処理場においても、今後の水量増に対処すべく処理施設の工事を実施しており、三河島処理場についても事業を実施していく計画である。」こうなっておるのだけれども、昨年までは拡充しなければいかぬと言っている。そして、現にそれを「実施していく」と書いているのです。そういう必要性を認めながら、なぜ昭和五十七年度はこれをやめてしまうのか、閉鎖してしまうのか。これは、要するに都の政策が一貫をしていないのだけれども、この点について一体厚生省はどういう指導をしようとなすっているのか、そのことをひとつ聞かせていただきたいと思います。
  73. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 砂町の処理施設については、これは下水道の整備五カ年計画の一環としてではなくて、都の清掃局が下水道局に委託しまして、そして下水道局がその処理を行っているという、ちょっと下水道の本来の計画とは別個の体系になっております。
  74. 山本政弘

    山本(政)委員 もう一遍言いますよ。「砂町処理場においても、今後の水量増に対処すべく処理施設の工事を実施して」おるというのですね。それを厚生省の方は、要するに全国の環境を守る立場から、監督官庁の立場として知らぬとおっしゃるのですか。東京都下水道の関係だから私は存じ上げませんとおっしゃりたいのですか。それならば私はお聞きしたいことがあるのです。
  75. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 お答えいたします。  そうではございませんで、下水道は建設省の所管でございまして、厚生省は廃棄物処理法で屎尿処理を所管しておりますので、砂町の処理施設につきましては清掃局の方から委託して行っておる、下水道局が委託を受けて行っておる、そういうようなことを申し上げたのでございます。
  76. 山本政弘

    山本(政)委員 いや、だから、そういうことをやっていることに対して厚生省は一体どういうお考えを持っているか。それがいいとお思いになっているのか、あるいはそれはおかしなことだとお思いになっているかという判断なんですよ。それをちょっと聞かせてください。
  77. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 厚生省といたしましては、くみ取り屎尿につきましては陸上の処理施設で処理をすることを原則といたしておりますので、そういう委託で行っておることにつきましては大変結構な方向だということで指導もいたしております。
  78. 山本政弘

    山本(政)委員 なぜ私がこんなことをお伺いするかといいますと、五十七年二月二十日の予算委員会の会議録にこう出ている。厚生大臣がこう言っているのです。「ただ、今回東京都が計画しております海洋投棄については、陸上処理の方が好ましいとは考えておりますけれども、下水道の普及に伴う屎尿収集量の減少、それから屎尿浄化槽の老朽化、それから財政再建等の事情を総合的に判断して決定されたものと聞いております。また、廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の規定に基づいて行われたものでありますので、やむを得ないと考えておる次第であります。」こうお答えになっておるのです。だから、全然知らぬことはないのです。そうでしょう。
  79. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 おっしゃるとおりでございます。よく存じております。
  80. 山本政弘

    山本(政)委員 それでは、都の方針に対して厚生省がやむを得ないというふうにお考えになった根拠をひとつ聞かせていただけませんか。
  81. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 やむを得ないということでございますが、本来、廃棄物処理事業というのは市町村の固有の事務として行われておりまして、今回の措置につきましては、ただいま先生から御説明ございました下水道の整備に伴う屎尿の処理量の減少とか施設の老朽、さらに財政再建等の措置、そういった点を勘案して、そして総合的に東京都が判断した、そういうことに対しまして、これはやむを得ないというような見解を申したのでございます。しかしながら、先ほど申しましたように、厚生省といたしましては、屎尿は陸上の処理施設で処理をする、海洋投棄量はできるだけ減少する、そういうことを従来から基本方針に盛っておりまして、そういうことから申しますと、やむを得ない事情とは申せ、これは遺憾なことである、私どもはそのように思っております。
  82. 山本政弘

    山本(政)委員 私はどうも理解がつかない。やむを得ないということの判断が一体できるのだろうかどうだろうかということなのです。つまり、厚生大臣理由として三つのことを申されたのです。下水道の普及に伴う屎尿収集量の減少、これが一つ。もう一つは屎尿浄化槽の老朽化、それから財政再建等の事情を総合的に判断して決定した、こう言っているのです。  まず第一番の、下水道の普及に伴う屎尿収集量の減少、屎尿の収集量が減少したから海洋投棄をやるということは筋が通らないのです。屎尿収集量というものが減少した、なおかつ下水道というものを普及しながら漸次的に砂町の処理場の機能というものを少なくしていく、スローダウンしていくということなら話が通じますね。しかし、それを一挙に閉鎖してしまって、そしてそれを海洋投棄するというのは、僕は常識からいって筋が通らぬと思うのですが、そうじゃないでしょうか。
  83. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 御指摘ごもっともでございます。私どもがやむを得ないといたしましたのは、先ほど申しましたその三つの理由によりまして、都が固有の事務として責任を持って自分のところで計画を立て、そして実行するという立場でございますので、都が廃棄物処理の方針に反するということも十分承知の上でそういう総合的な判断を下したものであるからやむを得ない、いたし方がないと言いかえても結構でございますが、そのように考えたわけでございます。
  84. 山本政弘

    山本(政)委員 どうも私は納得できないのですが、たとえば老朽化したという話がありますね。老朽化をしたということについては、私がいまここで水道局の事業概要、五十六年度で申し上げたように整備拡充しつつある、現に実施をしておる、こういうことをおっしゃっている。そして、なおかつそれを拡大しなければならぬ。こういうことをおっしゃっているのだが、それじゃ整備をしてなかったかと言えば、これはしているのですよ。たとえばドラムスクリーンというのですか、に二千四百万円かけている。くみ上げポンプは一千百五十五万円かけている。消化槽というのですか浄化槽というのですか、は毎年二槽ずつ補修工事をやっている。五十五年には二つの槽をやって三千三百五十万円をかけている。脱水機は五十二年に一億一千二百万円かけている。ガスタンクも五十三年に一億二千九百万円をかけている。脱硫設備というのは五十三年と五十五年に四千八百万円をかけている。ボイラーも一億円かけている。防臭に対しても五十四年度二億一千二百万円をかけている。こういうことがあるわけですね。ですから、整備をしているということは間違いない。だから、単にそれを老朽化というふうに一括してくくっていいのかどうかということを考えると、私はどうも老朽化ということが、簡単に厚生省がイエスを言うように、あるいはやむを得ないと言ってもいいですが、それほどしかく簡単なものかどうかということなんです。これだけお金をかけているじゃありませんか。全く本当の補修工事だけにお金をかけているんじゃなくて、これだけの大変なお金をかけているということを考えれば、要するに機能というものを十分に働かせようとして一応そういう予算措置を講じているということが現実の問題としてあるわけでしょう。しかも「下水道事業概要」にはちゃんと、これが違っていたらおくめんもなくと言いたいのですけれども、ちゃんと下水道局は手当てをしております、実施をしております、こう言っておる。そして、拡充というものをしなければならぬということを言っているわけだ。特に僕がお考え願いたいことは、要するに砂町処理場のあるところはいわゆる江東デルタ地帯でしょう。一朝豪雨があれば大変な水が集中するわけです。だから、砂町処理場についてはなおかつ施設の整備をし、拡充をしなければならぬということが三十一ページに書いてあるのですよ。そうしたら、なぜこれを閉鎖するのだろう。どうも私は合点がいかないのです。
  85. 中本至

    ○中本説明員 お答えいたします。  ただいま先生の御資料の中で申されたのは、下水道の処理場の施設も混同してお話しされておるんじゃないかと思います。確かに東京都の砂町処理場とか三河島とか、まだまだ普及率が低いものでございますから、下水道整備にこれ努めております。ただ、もう一度申し上げておきますが、先ほど厚生省の方から申されましたけれども、砂町の処理場というのがございまして、その中の片隅に屎尿処理施設というのがございます。これだけは厚生省の所管になっておりまして、砂町の処理場そのものは、整備拡充は、当然下水道整備はあわせてやっておるわけでございます。その砂町処理場、大きな中の片隅だけの小さな屎尿処理場でございます。下水道の方はあくまでも整備促進しているわけでございます。
  86. 山本政弘

    山本(政)委員 だけれども、私が言いたいことは、そういう要するに特殊な地帯がある。砂町の処理場というのは下水道の普及を急がなければならぬ。しかし、いまだに所定の目的を達してないということも事実。そしてその上に、砂町処理場に対しては、機能というものが低下しておるという理由でこれを一挙に閉鎖してしまうということはいいんですかと言うのですよ。何も混同してはおりません、建設省に対しては改めてお伺いしたいことがあるから。それを答えてくださいと言うのですよ。
  87. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 砂町の処理施設の閉鎖につきましては、厚生省としては好ましいことではないというふうに思っております。東京都にも、そのような厚生省の考えは再三にわたって伝えておるところでございます。
  88. 山本政弘

    山本(政)委員 私が聞きたいことは、下水道の普及に伴う屎尿収集量の減少ということは、あなたの方の言い分は通りませんよということを申し上げておる。第二番目に、屎尿の浄化槽の老朽化ということを挙げられておるけれども、それもあなた方の言い分というのは通りませんよ、僕はこう言っておるのですよ。これだけお金をかけておるじゃありませんか。第三番目は、財政再建ということのために全部砂町の処理場を閉鎖していいんだろうかということなんです。そのことによって五億円というものが浮くという話を聞きました。だけれども、財政再建というのは、そういうことをやって財政再建をするべきものじゃないだろうと思うのです。これも新聞で見ましたが、二月の十五日だったですか、都知事は財政再建が一年早くできて黒字になった、こう言っておるのですよ。僕は、一年繰り上げなくても、来年でもいいから、この砂町の処理場に関してはちゃんと閉鎖をしないで、そして機能さすべきである、その上に立って財政再建をするというなら話は通るけれども、そういうやり方というのはおかしいじゃありませんか、こう言っておるのです。  たとえば、廃棄物の処理をするに当たって各省と調整しなければならぬ、こう言っていますね。そういう条文がありますね。これは下水道法にもたしかあるだろうし、それから廃棄物処理法にもあるだろうと思うのですけれども調整ということはどういうことかといえば、財源の問題で重複をするような場合があるかもわからぬ。これは、私の解釈かもわかりません。しかし、財源についての重複を避けるためには、調整する必要があるだろう、私はそういうふうに理解しておるのですよ。私の考えは間違いでしょうか。
  89. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 間違っておりません。そのとおりでございます。
  90. 山本政弘

    山本(政)委員 それじゃ、もう一つお伺いいたします。  調整をするということは、要するに財源の重複を避けるということであると同時に、財政というものの黒字を実現するために一年繰り上げて最も必要である公害防止設備というものを捨て去る、あるいは閉鎖をする、そういうことではないと思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
  91. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 先生御指摘のように、廃棄物処理法とかあるいは五カ年計画でございますとか、それでは調整のことをいろいろ挙げておるのであります。確かに諸施策との調整を図り、経済財政事情等を勘案し、弾力的に行うことというようなことを挙げておるのでございますが、この調整の中で一番私ども考えておりますのは下水道との調整ということでございまして、基本的に屎尿は下水道によって処理をするのが一番望ましいというような私ども立場でございます。ですから、下水道の進捗とかあるいは下水道の処理区域におきます水洗化の促進、そういうこととの調整、それと水洗化のないところのくみ取り屎尿でございますから、その調整ということを一番中心に考えておるところでございます。
  92. 山本政弘

    山本(政)委員 そうすると、こういうふうに理解していいんですか。つまり、下水道の普及とか水洗の普及とかいうことによって調整するということは屎尿の採集量が減ったから砂町は閉鎖をするということにつながる、こうおっしゃりたいのですか。そうじゃなくて、私は下水道の普及とか水洗の施設というものができたから、そういうものの進展ぐあいを見て砂町の処理場というものは漸次的に閉鎖の方向へ向かっていくというなら話はわかると思うのですが、どっちなんでしょう、あなたの言う調整というのは。
  93. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 調整の中身につきましては、先生のおっしゃるような財政的な問題ももちろん含まれておりますが、砂町の場合に、くみ取り屎尿量が漸減する、それに合わせて閉鎖をするというお考えももっともでございますが、ただ、砂町の場合は、先ほどの三つの理由でございます老朽化とか経年的なそういう措置とか行財政改革のそういう理由というのは都が総合的に判断したものでございますので、厚生省がそれについて判断したわけではございません。それで、東京都の挙げました理由というのは、私どもとしても、これは固有の事務としての判断について一応の理解ができるという、そういう厚生省の判断でございます。  それで、その漸減ということでございますが、これは、厚生省が見ますと、砂町の処理施設というのは二十数年もしくは古いものですと三十年以上経過しているものでございまして、一般的に屎尿の処理施設の耐用年数というのは十五年ないし二十年程度でございますが、そういうことから見ますと、かなり老朽した施設。ただ、砂町については、これは先ほど先生がおっしゃいましたように相当手がかかっております。最近補修もいたしておりますし、これは、厚生省ですぐこの状態が老朽化とかなんとかいう判断はちょっとできかねることでございますが、あくまでも東京都が理由として挙げておるところが、老朽化が一つのところでございます。
  94. 山本政弘

    山本(政)委員 そうすると、老朽化については東京都の見解である。それじゃ、もう一つお伺いしますが、下水道の普及に伴う屎尿収集処理が減少したから海へ捨てるということはどうなんでしょうか。あなた方としては首肯できるのですか、できないのですか。
  95. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 これは好ましいことではございません。厚生省といたしましては、屎尿は基本的には陸上の処理施設で処理をする、海洋投入量はできるだけ減少する、そういうことを方針といたしております。それは、陸上の処理施設の方が、環境へ与える総汚濁負荷量、これがより削減できますし、また、環境への影響を監視する、そういう体制がよりとれるからでございます。
  96. 山本政弘

    山本(政)委員 環境庁長官はかつて東京都にも非常に関係の深い方でありますが、いまのお話を聞いてどうお考えになります。
  97. 原文兵衛

    原国務大臣 屎尿の海洋投入については、法律上はいろいろな規制条件を設けて認められておりますけれども、やはりこれは陸上処理が原則でございます。そこで、今度の砂町処理場を閉鎖して海洋投入にするという問題につきましては、事前に私どもそういうことを聞いておりませんで、実はおやっと思ったほどでございます。山本委員十分御承知のように、環境庁が廃棄物の最終処分基準の策定を所管しておりますけれども、廃棄物処理法の具体的な運用につきましては、その指導は厚生省が所管しているところでございます。実は、去る三月十五日の参議院の予算委員会でもって、この問題につきまして厚生大臣から東京都に海洋投入の計画を見直すよう指示するという御答弁がございまして、私どもは、厚生省の東京都に対して指示をするという、この結果について十分見守っているところでございます。
  98. 山本政弘

    山本(政)委員 長官、見守るのではなくて、要するに、海洋投棄をやるということについてあなたは一体どういうふうにお考えになっているのか、そして、かつて非常に東京都に関係の深かった長官として、何か東京都に対して環境庁長官としてアクションをおとりになる気はないでしょうかということを僕はお聞きしているのですよ。どうですか。
  99. 原文兵衛

    原国務大臣 いまもお答え申し上げましたが、私どもももちろん陸上処理が原則で、そうしてほしいというふうに思っているわけでございます。そこで、いま申し上げたように、運用は厚生省が所管しておりまして、厚生大臣が東京都の海洋投入の計画を見直すよう指示するということをはっきり国会で表明しておられるわけでございますので、私どもといたしましても、厚生省は、見直すように指示するという表明をしたのは、やっぱり陸上処理というふうに指導したいと言っていると理解するわけでございますので、当然その方向で、われわれも、当面の責任者としての、運用の所管者としての厚生省の指示を、これが貫かれれば一番いいと思っているところでございます。
  100. 山本政弘

    山本(政)委員 建設大臣にしても、厚生大臣にしても、下水道とか廃棄物の処理について、計画について、調整について、関係の各省と相談をすることになっている。その関係の各省の相談の中には、国土庁もあるが、しかし同時に、環境庁もそれに関係しているわけですね。そのときに、それは厚生大臣の所管であるとか建設大臣の所管であるから見守っておるということでいいのでしょうかと僕は聞きたいわけです。それは、何か一言あっていいのじゃありませんか。やっぱり環境問題として十分に考慮しなければならぬということを、環境庁としては東京都に意見を申し上げてもいいのではないでしょうかと僕は言っておるわけですよ。どうでしょう。再度お願いしたいのですが。
  101. 原文兵衛

    原国務大臣 山本委員御指摘のように、厚生省が環境庁にも建設省にも協議をするとか、そういう問題でございますね。ですから、私どもの方は、厚生大臣が言っておることは、厚生省がこれを見直すように指示する、これはぜひその方向でやってもらいたい、厚生大臣には私はそれの方が結構だと言っているのですが、直接的には厚生省と都の間で厚生省はそういうことをいろいろと協議するということでございますので、私も厚生省のこの態度を支持して、ひとつぜひやってほしい、こういう態度をとっているわけでございます。
  102. 山本政弘

    山本(政)委員 こんなことを申し上げると長官はお怒りになるかもわかりませんが、僕は、それじゃやっぱり環境庁長官としての責務というものについて全うしないという感じがするのです。個人的でもいいですよ、公人としてでなくたって。ここに集まっておる方の大半以上と僕は言っていいと思うのだけれども、そういう都のやり方というものは理由に反すると言って差し支えないだろうと思うのですね。そうすれば、長官としては何かひとつアクションをおとりになったっていいのじゃありませんか。僕は、長官の人柄を信用しているからそう申し上げているのですがね。いかがでしょう。
  103. 原文兵衛

    原国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、この問題が新聞に報ぜられたときに私はおやつと思ったということをさっきお答えいたしましたが、それが私の率直な実感でございます。したがいまして、いまお答え申し上げましたように、東京都に対して公的に言うには、これは筋道なりあるいはまたそれぞれの秩序があるわけでございますので、そういうようなことにつきまして、いま厚生省が見直すように指示しているところに、筋道として、秩序として、私の方から直接に東京都に言うのはどうかと思いますが、いま山本委員は、私は東京都に勤めたことがあるわけではないですけれども、東京が選挙区で非常に関係も深いんだからという御意味だろうと思います。そういう点につきましては、私としても十分に考慮をしてまいりたいというふうに思っております。
  104. 山本政弘

    山本(政)委員 参議院でやったのは三月十五日ですね。そのときに、厚生大臣は、都が予定する砂町廃止の措置は遺憾ながら国の方針に沿わない、都に対して昨年来国の方針を伝えてきた、都に対して国の方針に従うよう、計画を見直すように改めて指示をする、こう言っているんだけれども、その後厚生省としては、都に対してそういうことに対して指示をなさったのですか、どうでしょうか。
  105. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 厚生省としまして、昨年来、すでに東京都に対して厚生省の考え方を伝えてきたところでございますが、この三月十七日に改めて厚生省の考えを都の清掃局長と下水道局長に対しまして伝えまして、そして計画を再検討するように指示をしたわけでございます。
  106. 山本政弘

    山本(政)委員 僕は素人ですから、これから建設省の方にお伺いしたいのですが、下水道については、これは補助金が出ていますね。この処理場などについては補助金はどうなっているのですか。これはどこの管轄でしょうか。
  107. 中本至

    ○中本説明員 お答えします。  たまたま東京の中で砂町の処理場だけが消化槽を屎尿の投入として持っておるわけでございまして、他の処理場はあくまで下水処理施設だけでございます。それは全部建設省所管のものでございます。先ほど申し上げましたこの砂町の屎尿処理施設だけが、たまたま厚生省に貸しているといいますか、敷地ですね、そういうことで厚生省の予算でございまして、そのほかの水処理とか、そういうものは全部建設省が補助いたしております。
  108. 山本政弘

    山本(政)委員 それでは、厚生省は、その補助金について、砂町の処理場に対して幾ら出しているのですか。
  109. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 ちょっと手元に数字を持ってきておりませんが、砂町の施設が最初に一部稼働いたしましたのは昭和三十五年でございますから、その数年前、その建設期間中に補助をいたしております。
  110. 山本政弘

    山本(政)委員 その後は補助をしていないわけですか。
  111. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 施設完成後は、補助はいたしておりません。
  112. 山本政弘

    山本(政)委員 そうすると、たとえば全面投棄をするということと処理場において処理をするということで、金額的には五億円ぐらいのものですね。そのことについては、厚生省としては、仮に補正予算とかなんとかということであなた方の方で手当てをするお気持ちはありませんか。
  113. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 整備費の補助といたしましては、新設あるいは全面改築の場合、これが基本になっておりますので、補助はむずかしいかと存じます。
  114. 山本政弘

    山本(政)委員 私は、率直に言って東京都がそういうことをやるということは非常にけしからぬと思うのです。しかも、それが財政再建という口実の名のもとにやられることはけしからぬと思う。そして、都民に対しては一年間早く黒字になりましたと言ってそういうゼスチュアを見せるということは、東京都知事としては不見識だと思うのですよ。財政再建というものがちゃんと年度的に組み立てられておるならば、その年度的に組み立てられた方針に従ってやるべきだ、私はむしろそう思うくらいです。一年間早まって、そして公害をたれ流しするということの方が、政治としては、都政を預かる者としてはきわめて間違いだ、こう思うのです。  しかし、そういうことがあった場合に監督官庁としてはとるべき施策というものがありはしないだろうかということも、同時にあわせて考えなければならぬだろうと僕は思うのです。予算の措置というものが新設とかなんとかということでそれ以外出せないということは、これは運用の問題ですよ。省を預かる長としての運用の問題として考えなければならぬと僕は思うのですが、それを考えていただけませんか。どうです。
  115. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 砂町の場合は維持管理的な補修のような行為になるかと思いますが、現在の補助制度では、奨励的な施設整備については生活環境保全あるいは公衆衛生の向上といった目的での施設整備の補助でございまして、これは先ほど申しましたような新設とか全面改築といったようなことが基本になっておりますので、なかなかむずかしいと思います。
  116. 山本政弘

    山本(政)委員 そういうお答えをいただいた上で、それではお伺いいたしましょう。  指示をし、指導すると言うんだけれども、それでは、あなた方はこの計画というものをやめさせるということに対してわれわれに約束してくれますか。要するに、間違いだ、好ましいことではないと環境庁長官もおっしゃっている。厚生省のあなたは当事者であるかもしれないけれども、あなたもそうおっしゃっている。そうしたら、東京都に対して指示をする、指導する、こうおっしゃっているんだけれども、やめさせてもらえるように私に約束していただけますか。お金も出せません。東京都には問題があるとあらかじめ私申し上げておきますよ。しかし、監督官庁としては財政上に対して補助もできません、そして、指示したことも東京都はイエスとは言わなかったということになったら、監督官庁の権限はどこにあるのです、権威は。それでは、きちんとやめさせていただけますね。私は、そのことに対して環境庁長官も厚生大臣と同じような歩調をとるべきだと思うから申し上げているのですよ。それはやめさせていただけますね。そういう指導をやっていただけますね。  繰り返し申し上げますよ。要するに、改めて海洋投棄をする分について、それだけはせめてもやめた方がいいじゃないか、そのためには砂町の処理場を閉鎖すべきじゃないじゃないかといま私は言っているわけです。いままで海洋投棄されていることだって好ましいことではない、しかもその上に上積みをするということはおかしいじゃないか、こう申し上げているんです。何もできないというのだったら、国の要するに指導というものはどこにあるのかということです。あなた方は政府の人たちですから、長官でも政務次官でも、そして厚生省のあなたでも、だれか聞かせてください。いかぬというのだったら、いかぬためにはどうさせるのだ。責任を持ちますぐらいのことをおっしゃっていいはずですよ。それを聞かせてください。
  117. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 お答えいたします。  先生の御質問は、国が固有の事務へどこまで介入するかということでございますが、この一般廃棄物の処理は団体委任事務として扱っておるものでございまして、市町村の作成しますそういう処理計画の内容に関しましては、国が指揮監督を直接行うことはできないのでございます。しかし、助言とかあるいは勧告を行うことはできるのでございまして、そういう立場から、先ほど申しましたように、東京都に対しましては厚生省の方針に反するので再度検討していただきたいという申し入れをいたしておるのでございます。
  118. 山本政弘

    山本(政)委員 私はそういうことではどうも納得できないというのは、東京都の方とあなた方とが折衝し始めたということが非常におくれているということなんですよ。これは、東京都にも責任があるでしょう。しかし、あなた方にもいままでのやり方については大変ずさんな点があるのじゃないかという感じが僕はするわけです。そして、大変言葉として申しわけないけれども環境庁長官も人ごとのようなお考えを持っているような気がしてならぬから申し上げるのです。答弁の中にもそのいいかげんさが出ているのですよ。私は、本当に小さなことだとおっしゃるかもわからぬけれども、速記録を読ませてもらいました。そうしたら、山村さんの答弁の中に海洋投棄のことが答えられている。「黒潮が東の方へ流れておるということで、漁場への影響もまず生じないという有利な条件にあると考えられるわけでございます。しかし、全国的に見ますれば、たとえば釧路沖、土佐沖では順次海洋投棄停止の方向に向かっておりまして、すでに施設整備を完了した」市町村がどんどんふえております、こう言っているのですよ。そんなばかなことはないのです、僕に言わせたら。釧路沖は海洋投棄停止の方向に動いているのだったら——これはあなた方の厚生省の資料ですよ。「日本の廃棄物処理」、これで、五十四年度にすでに屎尿の海洋投棄は北海道はゼロになっておるのです。二年後の五十六年、ことしはもう五十七年、それでこういう答弁が出ているのですよ。順次釧路沖についても海洋投棄は減らしております、こういう答弁なんです。そんなばかなことはないでしょう。あなた方の資料ですよ。厚生省がくだすった資料です。  だから、これ一つとってみても非常にずさんだということなんです。そして、折衝についても、都の言い分についてうのみをしている。もっと詰めた話をして、そしてきちんとした対策が講じられるべきだと私は思うのだけれども、そんなことは一向になされていないのですね。そういう点、どうなんですか。ただ要するに介入することはできないと言うけれども、強硬な指導というものはできるはずでしょう。強硬な指導あるいは指示、そんなことがあなた方としては考えられませんか。ただ、申し伝えたけれども全部それが聞かれなかったということになったら、神奈川県もやりますよ。埼玉だってやっているじゃありませんか。千葉だってやっているじゃありませんか。金がかかるのだから、財政再建だから、千葉も埼玉も神奈川も全部東京へならっちゃうということになったらどうしますか。それこそ海洋汚染というものははなはだしくなるだろうと思う。黒潮の自然の流れにやっておけば自然に回帰をするからいいのだということで済ませますか。現にそういう言葉が出ているのですよ、長官。東京がそれをやるのだったらばおれのところだっていいだろうという声が出ているのは間違いない。しかも、それは全国の量に比べてみたらみんなパーセンテージの高いところです。人口の稠密なところなんです。東京、神奈川、千葉、埼玉。量としてかなりな量になるでしょう。そんなことが、平然として指示はいたしますけれども介入はできませんという言葉で済ませられるものだろうか。長官のお考えをお伺いできませんか。そして、厚生省の考えを聞かせてください。
  119. 原文兵衛

    原国務大臣 先ほど来申し上げましたように、運用につきましては厚生省が所管しているわけでございまして、去る三月十五日の厚生大臣の答弁におきましても、見直すように指示する、こういうことをはっきり言っておられるわけでございます。もちろん海洋投棄についてのいろいろな制限基準がございますから、したがって、制限基準を超すようなことになれば環境庁としても直接に言うべきことでございますけれども、この砂町の処理場の問題につきましては、いろいろな基準はありましても陸上処理が原則であり、それが好ましいということには間違いないわけでございます。したがいまして、私は厚生大臣が見直すように指示するというのは結構で、ぜひそういうふうに進めていくことが正しいと思うということを厚生大臣には言っているわけでございますので、今後もこの問題を十分そういうような意味で見守っていきたいと思います。  ただ、先ほど山本委員が言われた、筋道、秩序ということから言うと私が直接言うべきことじゃないけれども、東京にも非常に関係が深いから、ひとつ環境庁長官としての筋道を離れても言うべきじゃないかという点については、十分考慮をいたします、こういうことでございます。
  120. 山本政弘

    山本(政)委員 厚生省の方に改めて申し上げます。  これはあなた方のところの資料なんです。神奈川県は三二%ですよ。くみ取り屎尿の三二%が海洋投入されているわけです。東京は四〇%。これは私が換算したパーセンテージですから、あるいは間違いがあるかもわかりません。千葉が一五%。埼玉も、数字としてはわずかではありますけれども、あります。こういうものが東京に右へならえしたら一体どうなるかということをひとつ考えて、あなたの答弁をいただきたい。
  121. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 最初に、先ほど先生釧路沖というお話がございましたが、これにつきましては和歌山沖の間違いでございまして、土佐沖、和歌山沖と申し上げたのでございます。議事録の最初の方に出ておりますが、速記の方の誤りかと存じます。  それから、御指摘のような全国ほかの市等への波及についてでございますが、確かにそのような懸念もございまして、私どもはそれを恐れておるところでございますが、海洋投入の実施に当たりましては、実際には自動航行記録計等の設備を備えた外洋船の確保とか、あるいは非常に設置がむずかしい積み出し基地の整備、そういったことも必要でございますし、さらに漁業関係者との調整といったようないろいろむずかしい問題がございますので、直ちにこれが全国的に波及するというようなことは考えられないのでございます。しかしながら、厚生省といたしまして、現在まだ全国的に一一%ほどの海洋投棄が残っておりまして、これはできるだけ速やかに解消したい、そういう立場で指導いたしておるところでございます。今後、安易に海洋に投棄することのないよう、十分に指導してまいりたいと思っておりますし、また一方、くみ取り屎尿につきましても、できるだけ量を削減する、そのために下水道の整備等を促進していくとか、あるいは海洋投棄につきましてもさらに監視体制を強化するなど、これは関係方面にも強く要請してまいりたいと思います。
  122. 山本政弘

    山本(政)委員 違うんだよ。あなたのおっしゃることは違っているんですよ。問題の本質を抜かしているんですよ。東京都に対してどうしますかと私は聞いているんですよ。いろいろ整備問題とかなんとかということをおっしゃっているけれども、しかし、東京がやろうとすれば、沿岸の漁民がクレームをつけようが、東京都民がそれは困ると言っても、現実に強行しているじゃありませんか。そうしたら、神奈川の沿岸の漁民が、神奈川の県民が反対しているときにだってやりかねないということがあるでしょう。条件整備の前にやってしまうということはあるんですよ。そして、そんなに条件を整備する必要がありますか。たとえば週二回やっているものを週三回やるとか四回やるとか、回数をふやすことだってやることができるじゃありませんか。そういうことを言っちゃいけませんよ。現にやっている。やっている回数をふやすことによって海洋投棄の量がふえるということだってあり得るでしょう。私は、あなたの御答弁というのはごまかしだと思いますよ。  同時に、私がお伺いしたいことは、どんな措置をいまからおやりになりますか。東京都議会も間もなく閉会になるだろうけれども、それまでにあなた方がおとりにならなければならぬ措置があるはずだ、こう思うのですが、それは自治体への介入になりますからこれ以上は何もできませんと言うのだったら、中央官庁というのは何の権威もなくなるんですよ。それでいいのですか。
  123. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 東京都につきましては、先生御指摘のとおり、運搬回数につきまして二回を三回に、これは簡単にできる、そういう条件にございます。しかし、全国的に見ればなかなか容易ではないということを申し上げたのでございますが、東京都に対しましてこの十七日に申し入れを行いまして、そのとき返事といたしましては、前から申しておりますような三つの理由を挙げまして、それで、これについては厚生省のそういう方針は十分に承知した上でどうしてもできないという返事が返っております。それにつきまして、私どもは即座に、それは大変遺憾なことであるから再度十分に検討するようにという申し入れをいたしまして、翌日の十八日にまた同様の返事が返っております。しかし、私ども、三回目でございますが、重ねて再度検討してほしいというような要請をいたしておりますが、固有の事務としての廃棄物処理事業への介入というのはやはり限界があろうかと思います。厚生省だらしない、こうおしかりを受けるかもしれませんが、やはり市町村が責任を持ってその計画を立て、実施していく、そういうことが基本の事業でございますので、私どもは、方針に沿わないということを重ねて申し伝える、そのようなことしかとれないのでございます。
  124. 山本政弘

    山本(政)委員 もう時間が来ていますからこれでやめますけれども、どうですかね、あなたお帰りになって、森下厚生大臣に、都知事とお会いなさいと私は申し上げておるのですが、それを取り伝えてください。そうして、それを実現することができませんかね。そういう言い方は失礼かもわからないけれども、あなた方が東京都庁と話をする、それはもうぎりぎりの限界に来ていると僕は思うのだけれども、厚生大臣が都知事に会う、その取り計らいについて、あなたの方からきちんと森下大臣に話をしてください。そのことを約束していただけませんか。
  125. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 大臣が都知事に会うというようなことにつきましては、これは私、ちょっとお約束はできないのでございますが、私から都の方へ伝えたことも、全く立場としては同じことかと存じます。
  126. 山本政弘

    山本(政)委員 あなたの方から大臣にお伝えいただけませんかと私は言っているんですよ。大臣は前向きな御答弁を三月十五日に参議院でされているのです。だから、それが一つのデッドロックに乗り上げたというようなことだったら、大臣みずから知事にお会いになる必要がある、僕はこう思うのだけれども、それを取り次いでいただけませんか、こう言っているわけです。同時に、環境庁長官にも、先ほどの話ではありませんが、そういう意思あるいは意見を交換をするということでも結構です、そういうことはできませんか。屎尿をまき散らしているんですよ。そして、さらにそれ以上のものをまき散らそうとしているんですよ。
  127. 杉戸大作

    ○杉戸説明員 先生の御趣旨につきましては、じゃ大臣に申し伝えます。
  128. 山本政弘

    山本(政)委員 長官、いかがでしょう。
  129. 原文兵衛

    原国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、筋道、秩序から言うとこれは厚生大臣のことでございますが、私も大変関係の深い東京都のことでございますから、十分考慮したいと思います。
  130. 山本政弘

    山本(政)委員 終わります。
  131. 八田貞義

    八田委員長 岡本富夫君。
  132. 岡本富夫

    ○岡本委員 最初に御質問申し上げますのは、五月に国連人間環境会議十周年の会議があるようでありますけれども、その出席に当たって、原長官はお行きになるわけですが、どういう予定あるいはどういう目的で行かれるのか、これについてひとつお聞きしたいと思います。
  133. 原文兵衛

    原国務大臣 お答え申し上げます。  御承知のように、十年前、ストックホルム国連人間環境会議が行われまして、それによって設立されました国連環境計画、UNEPの環境理事会の特別会合が本年の五月十日から十八日までナイロビにおいて開催されます。百カ国を超す国々から環境問題に関する閣僚級が集まることと予定されておるわけでございます。  この会合の主な目的は、ストックホルム会議で決定されましたいわゆる環境問題に関する行動計画を実施してまいったわけでございますが、その十年間の実施の成果をレビューし、次の十年間における世界の環境の主要な方向について審議を行うことというふうになっておるわけでございます。私も、国会のお許しをいただければ、何としてでもこの会議出席いたしまして、地球環境保全の問題に対して積極的に取り組むわが国の姿勢を明らかにしてまいりたいと考えております。この機会に、わが国がこれまでの環境保全について努力をしてきた中で得た貴重な経験と知見を踏まえまして、地球環境保全の緊要性を訴えますとともに、本問題解決のための世界的な協力の緊密化の方向について主張したいと思っています。  なお、日本は、この問題につきましては、国際協力という点におきまして、物心両面で積極的に貢献すべきものであるというふうに私は考えておるものでございます。
  134. 岡本富夫

    ○岡本委員 長官、そういったいろいろな問題を演説なさると思うのですが、若干あなたの演説と離れるかもわかりませんけれども環境破壊の一番最たるものは何か。そんなことを言ったってわかりませんから、最たるものは私はやはり核兵器だと思うのですよ。戦争がやはり一番環境破壊になりますが、その中で一番問題は核兵器の使用だと思うのです。いまいろいろな人の話を聞いていると、日本の国も経済摩擦で、あるいはまたいろいろな問題で各国とも経済に行き詰まっておる。ちょうど第二次世界大戦前のようだと危惧する人もおるわけであります。ヨーロッパにおきましてもそうですし、各国においてもそういったいろいろな問題が起こっておりまして、特にアメリカの上下両院におきましても、反核決議案というのですか、こういうものを提出されておる。ケネディ上院議員ら百四十名に近い超党派議員によって、米ソ両国の核軍備の凍結、削減を緊急課題として。こういう報道もあるわけなんです。長官は、この核兵器に対する、核軍備に対する凍結についてどういう考えを持っていらっしゃるか、ちょっとお聞きしたい。
  135. 原文兵衛

    原国務大臣 御説のとおり、環境破壊の最たるものはやはり戦争だ、私もそう思います。もちろん核というものはその中でも一番ひどいものだと思います。今度のナイロビ会議でございますが、地球の環境を保護する、これは資源保護という点にもつながるわけでございまして、この問題については、地球環境保全、資源の保護というものはそれぞれの国に利益をもたらすものだと思います。そういうような意味で、こういう場で、私も先ほど日本は物心両面において積極的に貢献すべきだと申し上げましたのは、こういう場を通じて国際協力の実を上げていくならば、世界の緊張緩和にもつながりますし、当然のことに、どうしても確保しなければならない平和の問題についても大変いい影響を与えるのじゃないかと思うわけでございまして、もちろん核の問題も含めまして、そういう面におきましてもこの会議を十分に実のあるものにしていきたいという気持ちで、大いにここでもってひとつこれから政府に対して、私も環境庁長官ですが、予算の問題や何かもあるわけですから、物心両面でできるだけの貢献をするように、関係の方面に、いままでもすでにいろいろと要望しておりますが、さらに要望を詰めていきたいと思っておるわけでございます。
  136. 岡本富夫

    ○岡本委員 先般、共産党を除く五野党の党首並びにその代表者が国連事務総長のところへ反核軍縮の署名を持っていったわけですが、現在そういう非常な高まりがあり、きのうも広島では十六万名も集まった。いままでにない大きな平和運動が起こっておるわけです。したがって、今度の国連人間環境会議におきましても、やはり世界で唯一の被爆国として、長崎、広島のあの惨状をあなたが積極的に訴えて、この問題の高まりをしっかりやって、核兵器による戦争——戦争が起こってはいけませんが、そういう問題の抑止もやってもらいたい、こういうふうに思うのですが、その点、御決意を伺いたいと思います。
  137. 原文兵衛

    原国務大臣 私は、広島、長崎のあの被爆については体験をしておりませんけれども、実は昭和二十年三月十日の東京大空襲については十分な体験を持って、原爆も十分知っているわけであります。そういうようなことで、私はもう二度と戦争を起こしてはいけないのだという点については人後に落ちない気持ちを持っておりますし、もちろん核兵器を使うなんというのはとんでもないことでございます。そういうような意味でも、いま申し上げましたように、この自然環境、地球環境を守るというナイロビの国際会議は大変大事な場であると思います。私も、平和を守るために、核軍縮、またさらにいわゆる軍縮全体についても大いにここでもって主張し、そしてそういうようなことによって浮かされた財源あるいは費用というようなもの、そういうものもまた地球環境の保護というものに大いに使うべきではないかということも十分に訴えたいと思っております。
  138. 岡本富夫

    ○岡本委員 次に、長官は所信表明で環境保全をして後世の人たちにりっぱな自然環境を残していこうというような決意を述べておるわけです。そこで、けさもお話がありましたけれども公害対策基本法ができましてちょうど十五年になるのです。私たちが四十二年に当委員会でやったわけですが、その後四十五年だったか見直しがありまして、ずっとそのままになっておるわけですが、最近考えますことは、当時の公害対策基本法公害対策というのは後追いになるわけですが、それを先取りして環境保全していく。当委員会も昔は公害対策特別委員会、途中で公害対策並びに環境保全特別委員会、それではぐあいが悪いということで環境委員会、常任委員会となったわけです。こんなに重視してきたわけでありますが、法律はそのままになっておる。したがって、私も再三提案をしましたが、環境保全基本法に変えなければならないのではないかという考えを持って、たびたびいままでも長官がかわるたびに御意見を承ってきたわけですけれども、そういった決意がいままでなかなかなかった。新しい長官になられて、そういう取り組みが必要ではないかと私は思うのですが、これに対する御意見を承りたい。
  139. 原文兵衛

    原国務大臣 お答えいたします。  最近、御説のように経済社会条件変化に伴いまして環境問題も大変複雑かつ多様なものになってまいりまして、公害防止自然環境保全はもちろんでございますが、快適な環境の創造といったような問題にも適切に対処してまいらなければなりません。そのためには、もちろん予見的かつ総合的に環境保全対策を進める必要があるわけでございます。環境庁としましては、公害対策基本法自然環境保全法を初めとするいろいろな法律を適切に運用し、関連の諸施策を十分に進めていかなければならないと思っておるわけでございます。  また、環境汚染未然防止ということがきわめて大事でございますので、未然防止のための統一的な環境影響評価の手続を確立するために、現在国会で御審議をお願いしている環境影響評価法案早期成立も強く希望しておるところでございます。なお、今後とも予見的かつ総合的に環境保全対策推進努力していく考えでございますが、現在直ちに岡本委員のおっしゃるような法律を制定しなければならないかという点につきましては、これは十分に研究をしてみなければなりません。私どもも、今後、この問題については十分に研究をしてまいりたいと思っております。
  140. 岡本富夫

    ○岡本委員 なぜ私がそう言うかと申しますと、たとえば、当時も問題になったのですけれども公害対策基本法の第二条の「定義」の「この法律において「公害」とは、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、」の相当範囲とはどうだということになると、突き詰めるとわからなくなってくる。これは当時も非常に問題になったのですけれども、最初であるから、公害対策基本法もなかったわけですから、それで、八田委員長もよく御存じだと思うのですが、結局、大気の汚染や水質の汚濁あるいは土壌の汚染、こういう七つの典型公害を規制するについて、こういったところに隘路があるのです、これから勉強すると言うけれども、これは環境庁で、前の小沢さんのときもそうだったし、何遍も勉強さしてもらいたい、検討さしてもらいたいと言うたまま、何年もたっておるわけですね。したがって、いまのような答弁では私も納得ができないわけです。しかも、低成長時代に入っているわけですから、また前のような高度成長にはならぬかもわかりませんけれども、最近は非常に不景気で油の使用量も減っておるということでありますが、景気がまた若干出てきた場合に、たくさんの公害患者が出る、自然が破壊される、あるいは環境が著しく悪くなるという面を考えますと、いまあなたがおっしゃったように予防していく、これは環境庁に課せられた大きな責任ではないかと思うのです。したがって、この点については、きょう私がこれから言いましてもそのとおりしますとなかなか言わないと思うので、時間がかかりますから、私はもう一度強力に要請をいたしておきます。  そこで、なぜこういった環境保全基本法にしなければならぬかということを、もう一つ申し上げておきたいと思うのです。  通産省、来ておりますね。エネルギー庁において、いままで石油あるいは天然ガス等でおこしておったところの発電所を、今度燃料転換をして石炭によってつくる発電所の計画がずいぶんあるし、また、現在も着手しておる。これをどのくらいやるのか、ちょっとお聞きしたい。
  141. 廣瀬定康

    ○廣瀬説明員 現在私どもが計画しております電源開発計画は全体として一億三千万キロワットほどございますが、六十五年度時点でこれが二億三千万キロワットと計画しております。  このうち、先生お申し越しの石炭火力でございますが、石炭火力につきましては、現在五百七十六万キロワット、全体の四%に相当しております。これを六十五年度断面で大体一割まで伸ばして、脱石油化を図ってまいりたいと思っております。
  142. 岡本富夫

    ○岡本委員 そんなことを言うてもわからぬ。現在、石炭火力で開発中、工事中、着工準備中、あるいは電調審を通って計画中、こういうものを見ましても、相当たくさんな火力発電にかわるわけです。石油から石炭火力にかわるわけであります。  そこで、石炭による窒素酸化物と石油による窒素酸化物の人体への影響は違うものか、同じなのか。これをひとつお聞きしたいのです。
  143. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 窒素酸化物でございますから、恐らく同じであろうと思われます。
  144. 岡本富夫

    ○岡本委員 窒素酸化物も、それからばいじんも、石炭から出ても石油から出ても人間に対する影響というのは同じだと思うのですよ。ところが、この環境庁の排出基準を見ますと、硫黄酸化物は同じらしいですが、窒素酸化物、それからばいじんは、石油の場合と石炭の場合とどんなに違うのか、一遍御説明願いたい。
  145. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 いまちょっと硫黄酸化物は同じであろうとおっしゃいましたけれども、硫黄酸化物につきましては実は同じでございます。  それから石炭と石油、使うものは二、三、種類があるのでございますけれども、セメント焼成炉等については石油と石炭と同じなんでございますが、大物のボイラーにつきましては実は違っております。これは、当時は石油の利用が一般的でございまして、石炭の利用は余りなかったこと、将来はますます減るのじゃなかろうかということでそうなっておるのでございますけれども、実はかなり差がございまして、ボイラーで、窒素酸化物につきましては二倍から三倍、ばいじんにつきましては四倍から八倍、石炭の方が緩い基準になっております。
  146. 岡本富夫

    ○岡本委員 細かい数字はあれですが、原長官、そういうように現在の公害対策基本法では公害を防除するという対策だけですから、どうしても環境保全しようという立場からの環境基準や排出基準になっていないのですよ。当時は僕らも審議したのでわかるのですけれども、石炭火力というのはどんどんなくなった。あるいは、石炭火力というものは必要でなくなるだろう。しかし、国内の石炭を利用しなければならぬというわけで石炭火力は残した。ところが、脱石油時代に入りまして、今度は石炭をどんどん輸入し、また国内の分よりも輸入する方が多くなってきた。こういうために、今度は石炭火力というものをどんどん計画しておるわけですよ。そうしますと、緩い基準でどんどんつくっていったらまたたくさんの公害患者ができるわけです。公害患者をつくっておいて後、企業から金を取って補償法で患者の皆さんを治療したり、あるいはいろいろと補償をしている。基準を緩くしておいてそうやったのじゃ、これはいつまでたっても解決しません。同時にまた、病気になる方々のことを考えますと、ここでどうしても先に見直しをして環境保全をしておかなければならぬ、こういう時代に入ったのではないか。そういうものは、どうしても環境保全基本法というようなものでつくっていかなければならないのではないか。ただ法の運用だけでできるのかどうか、この点をお聞きしておきたいと思うのです。
  147. 原文兵衛

    原国務大臣 ただいま大気保全局長からお答え申し上げましたように、かつて石炭燃料が非常に少なくなって石油燃料にかわって、石炭燃料がだんだんなくなってくるのじゃないか、そういうような状況で、いまの石油ボイラーと石炭ボイラーの排出基準は、窒素酸化物について差があるわけですね。石炭ボイラーの方が非常に緩くなっている。これが最近燃料転換等もあるわけでございまして、このままいってはいけないということは岡本委員御指摘のとおりでございまして、私どもの方も、石炭燃料の需要が伸びるということを前提といたしまして、排出基準の強化というような所要の措置を講じてまいりたいと思っております。もし詳しいあれでしたら、局長にお答えさせます。
  148. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 いま大臣も申し上げましたように、エネルギー需給の変更に伴いまして規制基準を見直すべきである、先生の御指摘に私ども基本的に同感でございます。私どもといたしましては、先手必勝の考え昭和五十五年度から本格的な調査研究に入っているところでございます。  窒素酸化物とばいじんが当面の課題でございますが、ばいじんにつきましては、できるだけ早く規制基準の強化をいたしますために、目下事務的作業を急いでおるところでございまして、そう遠くない将来には成案を得て強化できるのではなかろうかと考えております。  なお、窒素酸化物でございますが、そういう状況にございますので、私どもの局に石炭利用等と大気環境保全対策調査検討会というものを五十五年から設置をいたしまして、調査とあわせて検討を進めておるところでございますが、五十七年度から、五十五、五十六と集まりました資料をもとに本格的な解析に入る段取りになっております。その結果を待ちまして適切な措置を講じたいと考えておるところでございます。
  149. 岡本富夫

    ○岡本委員 当時は排煙脱硫装置が、これは硫黄酸化物の方ですが、脱硝技術、脱硝装置もまだ開発されてなかった。現在、パンフレットを見ましても、これは「石炭火力のあらまし」と書いてある。あるいは工業技術院あたりのいろいろな話を聞きましても、排煙脱硝装置も完全にできておるわけですね。ただ、金がかかるわけです。そこで、石炭火力の方が電源のコストが安くつくのですよね。この間石炭の委員会でやったのですけれども、課長が出てきてよう答えなかった。遺憾なことだと思ったが、もう時間がなかったからやめたのですが、電力会社がこういった発電所をつくるについて、こういった脱硝装置、排煙脱硫あるいは集じん装置、これもエネルギー庁長官の話では非常にりっぱなものができてきたということです。ですから、この基準をしっかり決めていただいて、それに到達できるような技術開発ができておるわけですから、たくさんの患者をつくっていくようなことのないように、ぜひ早急に排出基準の見直しをお願いしておきたい。いま検討しておるということですが、検討が三年も四年もかかったのでは話にならぬわけです。これはどんどんできていくわけですから、早急にやっていただくように要請をいたしておきます。  次に、志布志湾の問題もありましたけれども、ああいった自然破壊、あるいは当委員会でも自然公園をあちこち視察いたしましたけれども、膨大な自然公園の管理をしておる人の人数が非常に少ないのです。したがって、大切な自然を残すための自然保護研究機関というものを設置するやに聞いておるわけでありますけれども、厳しい行革の中でこれについてどういうふうにやるのか、ひとつお聞きしておきたいと思います。
  150. 正田泰央

    ○正田政府委員 自然保護の研究所につきましては、環境庁ができましたときに環境関係の研究所をつくらなければいけないということでございましたが、焦眉の急と申しますか、いろいろな公害関係の実体法を整備することと並行して、環境の中で特に公害の問題に重点を置いた研究所をまずつくらなければいけないということでございました。そこで、斯界の泰斗が中心になりまして公害研究所の構想を練り、またその整備が現に行われてきつつあり、また相当程度内容が充実してまいったわけでございます。  その際、自然保護の研究所は当然設けなければいけないという話が確かにございました。しかしながら、公害研究所をまず整備するということで先の話になったわけでございますが、先進諸国においては、いろいろな形において、あるいはいろいろな名前において自然保護の研究所というものがございます。そこで、私どもの方ではこの問題に対してどう対応するべきかということを従前から真剣になって考えてきているわけでございますが、まず研究の必要性ということについては、やはり自然保護の問題は何よりも国民的合意を必要とするということが大前提でございます。そのために自然保護施策推進を図っていかなければいけないということでございますが、これが現状でいいか、積極的に広い範囲にわたって、しかも一行政庁だけでなく、客観的に、言うなれば科学的に推進すべきであるということが考え方の基礎になっております。  そこで、御案内と思いますが、現在、自然保護の研究の関係は大学のある分野で研究しており、さらには民間に委託して研究しておるわけでございますが、それぞれが非常にばらばらでございますし、統一性がないということでございます。さらに申し上げれば、大学の研究は、当然のことながら専門別の基礎的研究が主体でございますし、また民間等の研究機関も、資源利用としての自然の問題ということが研究の大きなテーマになっておりますので、いわゆる自然保護の学際的、総合的な研究というのは現在行われていないと申していいかもしれません。     〔委員長退席、山崎(平)委員長代理着席〕  そこで、私ども特に国際的な研究のプロジェクトについても対応しなくちゃいけない、あるいは国内的な研究についても総合調整しなくちゃいけない。あわせて、人文社会科学の面からもやらなくちゃいけない。さらに、ほかの研究と違って地域性が非常に強うございますので、私どもが持っているローカルな、あるいは地域のフィールドをもとにしてまで研究の体系をつくってきたということでございまして、そこで、昨年学識経験者にお集まりいただきまして、こういったことを踏まえた研究と申しますか、検討をいただきました。その結果、以上申し上げたような見解を踏まえて、やはり国立の研究機関が必要だという結論に達したわけでございます。そこで、現在の研究制度はどうあるべきかということを、予算措置をいたしまして研究もいたしました。また、諸外国の調査もいたしておるわけでございますが、いまいみじくも先生が御指摘になられましたように、行革の時代で、新しい研究機関を創設するということは至難のわざと申しますか、非常に無理がある、こういうふうに考えております。  そこで、冒頭に戻りますが、私どもの国立公害研究所は典型公害を基礎にした研究を行っておりますが、やはり生態学的な、あるいは人と自然とのかかわり合いにおける研究ということもあながち無縁でございませんで、そういったものと接触した研究も現実に行っておりますので、私どもとりあえず国立の公害研究所に、核として、特に生態学を中心とした研究分野をまず設置したらどうだろうかということで、現在庁内でそういう方向検討しておりまするし、また、将来の形として環境の総合的な研究というものがここでできれば非常に望ましいのではないかというふうに現在考えておりますので、御承知いただきたいと思います。
  151. 岡本富夫

    ○岡本委員 ローマが廃墟になった、あるいはまたいろいろなところで廃墟になったというのは、結局緑をなくしてしまった、そして、要するに生態系を考えずに開発したということなんですね。そのことを反省して、ヨーロッパにおいても、たとえばドイツなんかは植生図というのをつくっているのです。そして、全国の植生図がありまして、ここを開発するときにはどうなるか、要するにエコロジー、生態系のどこか壊せば、小さいちょっとしたものを壊せば大きなものも倒れていくということによって、開発するときにはその生態系、植生図のそれに沿っていろいろと開発をやっている。そのためには、ずっと回らなければならぬ、お金がかかる、それでも仕方がないというような、非常に厳しい、また国土を保全しようという考えがヨーロッパにあるわけです。     〔山崎(平)委員長代理退席、委員長着席〕  ところが、日本はそれがないわけですね。あちこち開発してから、後で大変なことだ……。だから、この自然保護研究をされるときには植生図をやはりきちっとつくっていくべきだ。いま文化庁において、若干、文化的なそういったものを残すための植生図はありますよ。全国的にはそういったものはないわけです。したがって、私は、自然保護研究については、どうしても将来、一遍にはできませんけれども、植生図をつくって、そして規制をしていく、それの方が説得力もあると思うのですよ。同時にまた、そうしないと本当の自然保護ができない、こういうように考えるわけです。長官の御意見をひとつ承りましょう。
  152. 原文兵衛

    原国務大臣 全く岡本委員御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましても、いわゆる緑の国勢調査というものはやっておりますけれども、植生図というようなものにつきましても、非常に重要なものだと考えております。生態系の研究をより完全にして、そして自然を保護していかなければならない。そのために、自然保護に関する研究機関というようなものは、私、非常に大事だと思っているのです。  ただ、いま局長からもお答えいたしましたように、いま直ちに独立の研究所をつくるということはなかなかむずかしゅうございますので、国立公害研究所の中で自然保護に関する研究をひとつ進めていくということでいまいろいろと検討しているところでございますが、われわれも全く岡本委員御指摘のような心配をしながら、この問題について積極的に取り組んでいきたいというふうに思っているところでございます。
  153. 岡本富夫

    ○岡本委員 きょうは大臣の所信表明に対するところのあれですから、余り細かくは詰めませんので……。  環境庁に最後に聞きたいことは、けさも湖沼水質保全についての法案はどうなんだという話がありましたが、毎回提出予定法案といって顔だけ出すのですね。そのままつぶれる。ずばり言ってどこが反対しているのですか、はっきり聞きましょう。先ほどのような答弁じゃもうぐあいが悪いからね、どこが反対しているのか、はっきりしてもらった方がいいですね。
  154. 原文兵衛

    原国務大臣 午前中にもお答えいたしましたが、川、海は、一般的に言うと少しずつであるがだんだんとよくなってきておりますけれども、湖、沼につきましては、よくならないばかりかますます悪くなる危険性がありますので、私ども何とかして湖沼法を成立さしたい、提案したいと思っておるわけでございます。  そこで、関係する省庁は非常に多うございますが、いま現在もっぱら通産省との間でこの問題について精力的に協議をしているところでございます。
  155. 岡本富夫

    ○岡本委員 わかりました。じゃ、ひとつ今度予算委員会で通産省とやらなければいかぬわけだな。  そこで、最後に、大阪国際空港騒音の問題についてちょっとお聞きしたいのです。  過日、御承知のように大阪・豊中あるいは兵庫県の川西、この人たちが訴訟を行いまして、最高裁の判決が出たわけです。何といいますか、裁判の問題というのはなかなか大変な問題でして、地元もそのたびに大ぜいこっちへ乗り込んできたり、あるいはまた大変な努力をされておったりと思うのです。それだけじゃと私も思いまして、公害等調整委員会、これが当委員会で審議をしてできたときに、調停の方に皆さん出たらどうだということで、伊丹の第一次の方から第九次くらいまでやっております。あるいはまた、宝塚の皆さんや川西も一部入っております。こういった調停をいま申請をいたしておるわけですが、この調停の経過について公害等調整委員会から御説明を願いたい。
  156. 和田善一

    ○和田(善)政府委員 ただいまの先生のお話にもございましたように、昭和四十八年から五十年の末ごろにかけまして、大阪国際空港周辺の住民の方々から逐次調定申請が当委員会に出されまして、その数約二万名になったわけでございます。鋭意手続が進められまして、この方々の申請の大きな三つの柱と申しますのが、大阪国際空港の使用をやめること、それからそれまでの間種々の騒音対策を行うこと、それから損害賠償を支払う、その三つでございました。  まず、騒音対策につきましては、昭和五十年にいろいろな項目につきまして国と申請者の合意ができ上がりまして、調停がそこで成立いたしております。それから、大阪空港の使用をやめるということにつきましては、昭和五十五年に、これも関西新空港の開港のときまでに国が責任を持って結論を出す、それまで種々調査研究を進めるということで、国と申請者の間の合意ができ上がりまして、これも決着しております。損害賠償につきましては、昭和五十三年に最高裁判所の判決を待って手続を進めようという一応の合意ができ上がっておりまして、先生御指摘のように、昨年暮れ最高裁判所の判決が出ましたので、調停条項に基づきましてこれから鋭意手続が進められていく、こういうことでございます。
  157. 岡本富夫

    ○岡本委員 一つだけ聞きたいのですが、調停ができまして、あなたの方で裁定を下して、両方合意してできた。それがそのとおり行われなかった場合はどうなるのですか。そのとおり運輸省の方でできなかった、そういう場合はどうなるのか、ひとつお聞きしておきたい。
  158. 和田善一

    ○和田(善)政府委員 一応調停が成立いたしまして、あとは両当事者間の努力ということでございますが、一般論として申し上げるわけでございますが、調停条項で決まりましたはっきりした義務が履行されないというときは、その履行を勧告するという条項もございますが、大阪空港の当該事件につきましては、まだそういう問題は起こっておりません。鋭意運輸省が調停条項に基づきまして種々の施策を講じているというふうに聞いております。
  159. 岡本富夫

    ○岡本委員 あなたの方に、この実行していない分について、調停委員の方からはっきりした意思が出てないんじゃないか。——では、時間がありませんからこれは保留いたします。  そこで、最高裁の裁判がおりたわけですから、今度はしばらくは損害賠償だけになりますが、それについてはいつごろどうなるかというめどだけをひとつお聞きしておきたいと思うのです。というのは、あなたの方で招集しなければ、招集と言うとおかしいけれども、しなければ進まないわけですからね。ひとつそれだけお聞きしたいと思うのです。
  160. 和田善一

    ○和田(善)政府委員 手続は調停条項に基づきまして進められるということで、四月の初旬に第一回の期日が設けられまして、これはもう当事者に通知済みでございます。それで進められていく。あと、具体的な次元でございますので、これは調停委員会が準司法機関といたしまして、厳正中立な立場で調停を進めていくということでございますので、その後の成り行きにつきましては、調停の一般論として鋭意手続が進められていくということをいま申し上げられるだけでございます。一般論といたしまして、そういうふうに両当事者の主張を十分に述べてもらいまして、期日を重ねまして調停手続が進んでいく、こういうことでございます。
  161. 岡本富夫

    ○岡本委員 では、きょうはこのぐらいにしておきます。次の一般質問でいまの分をまた進めていきたいと思います。  どうもありがとうございました。
  162. 八田貞義

  163. 木下敬之助

    ○木下委員 長官の所信表明につきまして、二、三質問させていただきたいと思います。  長官の所信表明の中で、五ページから六ページにかけてですが、「これまでのわが国環境行政の歩みを振り返れば、その進展をもたらした原動力は、身近な環境を守り、住みよい地域環境をつくり出していこうとする国民の認識と国民、行政一体となった環境保全への努力にあったと考えます。」こう述べておられますが、その国民の認識と努力、これは具体的にどういった行動を長官は評価されておられての御発言でございましょうか。  私、いろいろ考えてみたのですけれども、国民が環境に関するいろいろな規制とか制限とかを受け入れていることなのか。また、埋め立て反対、成田空港反対とかの住民運動を評価されてのことか。また、審議会等の協力のことを言っているのか。長官はこういった具体的な国民と行政とのかかわりをどうとらえておられるか、お聞きいたしたいと思います。
  164. 原文兵衛

    原国務大臣 お答え申し上げます。  わが国の環境行政の歩みを振り返りますと、特にその創成期におきましては、地域における環境問題に対処するために、まず地方公共団体が具体的な施策を講じ、さらに全国的な問題として認識されるに至りまして、国の環境行政が整備、実施されてきたと言えると思います。その背景には、身近な環境保全を求める広範な国民の声があったと思います。  かような意味で、今日の環境行政の進展をもたらした原動力は、身近な環境を守り、よくしていこうという国民の認識と、国民、行政が一体となって環境保全をしていこうという努力にあったというふうに考えまして、いまのような所信を申し上げたわけでございます。
  165. 木下敬之助

    ○木下委員 国民と一体となった行政をするためには、腹を割って話し合う姿勢が一番肝心だと考えております。長官の国民の声を十分に聞くという姿勢を期待いたしております。  次に、六ページに「私たちと将来の世代のために個性ある住みよい地域環境をつくっていく必要があると考えます。」それから九ページに「地域の特性に応じた環境管理を推進してまいります。」このように、個性あるとか地域の特性とかいう言葉が出てまいりますが、具体的にはどういうことを言っておられるのでしょうか。東京、大阪のような自然のないのが特徴であるような地域に対しては、どんな取り組みをなさるおつもりなんでしょうか。
  166. 原文兵衛

    原国務大臣 環境行政の課題といたしましては、ただ単に現在の公害を防除するということにとどまらず、環境汚染を未然に防止する、さらにはよりよい環境を創造していくということが要請されておると思うのであります。このような要請に対処するためには、都市、農村、山村あるいは海岸地域等の地域の持つ自然的、社会的な特性や、個性を踏まえた地域環境の望ましいあり方を明らかにする。そして、その実現のために必要と思われるところの諸施策を総合的に、計画的に実施する、いわゆる地域環境管理を推進する必要があると思うわけでございます。このために、地域環境管理のあり方につきまして、環境庁及び多くの地方公共団体において検討が進められておるところでございます。大都市を抱えた大阪あるいは東京というところにおいても、私は鋭意この検討が進められていると思うわけでございます。  私自身は東京で生まれ、育ち、また東京を選挙区としておるわけでございますが、東京といいましても、個性がないと一般的に言われますけれども、やはりそれなりの個性は持っているのではないかと私は思うわけでございます。いわゆるマイタウン東京というようなことが言われて、その個性を生かしながらよりよい環境をつくろうということについては、みんなの意見も聞きながら努力をしようというので、東京都としても一生懸命やっているところでございます。  今後の環境行政に占める地域環境管理の重要性にかんがみまして、環境庁といたしましては、地域地域の特性に応じて適切に環境管理を推進し得るよう、地域環境管理計画というものの策定方策について、いま鋭意検討を深めておるところでございます。
  167. 木下敬之助

    ○木下委員 その地域の特性も大事だとは思いますけれども地域の特徴に安易に流されずに、理想を持って取り組んでもらいたいと思います。そういった意味では、亡くなられました大平総理の言われた田園都市構想といったものは、りっぱな理想を持って、地域の特徴に流されない、また、地域地域の特性といういい意味があったと思います。東京には東京の特性がある。ではその特性は何か。安易に、必ずしも環境上理想でない特性に合わせたことをしても仕方がないので、やはり大きな理想を持って環境問題には取り組んでいただきたいと思います。  次に、十二ページに湖沼の水質保全のための法制度が検討中のように書かれておりますが、どういったことを考えておられるのか。また、「成案を得次第」とありますが、いつごろできるのか、その見通しについてお伺いいたします。
  168. 原文兵衛

    原国務大臣 木下委員もう御承知のように、いわゆる水質の問題でも、一般的に言って川あるいは海は、これも都市河川だとかあるいは閉鎖的な海とかということで差はございますけれども、一般的にはだんだんとよくなっていることは事実でございます。ところが、湖沼についてはよくならないばかりか、湖沼によっては汚染度が進んでいるという、非常に憂うべき状態でございます。  私どもといたしましては、何とかこの湖沼の水質の汚濁を食いとめ、さらにこれをよくしていこうということで、湖沼水質保全に関する特別措置法というようなものを出したいと思って、実は昨年も関係省庁といろいろ協議してきたわけでございますが、まだ協議が調わず、提出されておりません。私も今国会にぜひ提案したいと思いまして、いま精力的に協議を進めさしておるわけでございます。ただ、やはり中身が伴わなくちゃいけません。実効が上がらなくちゃいけません。そういう点で難航している面もあるわけでございますけれども、何とか今国会に提出したいと思って、いま努力をしておるところでございます。
  169. 木下敬之助

    ○木下委員 期待いたしております。  次に、午前中にも話題となりました志布志開発問題について、少しお伺いいたしたいと思います。  私はいままで、国立公園や国定公園内には景観を損ねるものはもっと厳然と建てられないものとされてきたと思っているわけですけれども、このたびの志布志湾石油備蓄基地建設に同意したということは、国定公園のあり方とか守り方に対する考え方が変わったのじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
  170. 原文兵衛

    原国務大臣 最初にお答えしておきたいことは、自然公園を守るないし自然景観を守る、自然保護あるいはいわゆる自然公園法上のわれわれの態度、方針というものは、全く変わっておらないわけでございます。木下委員も御案内のように、自然公園の中でも国定公園につきましては、これは指定は自環審の議を経て国でやりますけれども、その管理は都道府県知事に任されておるわけでございます。そして、その国定公園の中の普通地域については、都道府県知事に対する届け出だけで済むということになっているわけでございます。  しかしながら、志布志白砂青松というようなものを中心とする景観につきまして、私どもはこれはどうしても守っていかなければならないという点、それといまの公園法上の問題もあるわけでございますが、そういう観点から、前長官のときから、この国定公園解除につながるようなもの、あるいは著しい影響を与えて景観が台なしになってしまうようなことはだめなんだということで、出されてきたFS案等につきまして代案を持ってこいということで出したわけでございます。  自来、環境庁また鹿児島県の事務当局で何度もこの問題について協議をしてまいったわけでございますが、最後に出されてきた代案につきましては、従来のものに比べまして、もちろん公園の解除にはつながりませんし、景観の問題でもこれはぎりぎりこの辺までは容認ができるのじゃないかというようなことで、ああいう答申といいますか、検討に値するという考え方を表明したわけでございます。  ただ、これはもちろん御案内でございますが、石油国家備蓄基地をよろしいと言ったわけではございません。それは私どもには権限がございません。ただ、この位置ならば、備蓄基地建設するについてのアセスメントその他のいろいろな問題があるわけですが、そういう問題について検討に値するから、それをやって結構だというような意味合いでもって検討に値するという表明をしたわけでございます。
  171. 木下敬之助

    ○木下委員 長官、国立公園と違って国定公園の場合は環境庁が許可するとかしないとかいう立場ではなくて、許可するしないは県の方だけれども、重大な問題だから積極的に介入していった、積極的に指導していった、こういうふうな解釈でよろしいわけですか。
  172. 原文兵衛

    原国務大臣 そのとおりでございます。
  173. 木下敬之助

    ○木下委員 それはそれとしまして、介入してそういうふうに同意を与えたということですから、その根拠ですけれども、午前中の答弁でもいまの答弁でもそうですが、景観を台なしにするかしないか、つまり問題は、台なしであるか台なしじゃないかというのが判断の焦点のように思うのです。ぎりぎりの線という言い方も午前中されておりました。ぎりぎりの線という言い方は、まるで建設を前提に建設側の譲れるぎりぎりの線、こういうふうに聞こえるのですよ。その台なしかそうじゃないのかという基準はどういうところにあるのか、お聞かせください。
  174. 原文兵衛

    原国務大臣 景観上の問題につきましては、いろいろな地点からの景観等につきまして細かい点は自然保護局長からお答えさせたいと思いますが、私どもといたしましては、正式には示されておりませんし協議も受けておりませんけれども、あの湾内にいわゆる新大隅開発という計画がある。それは、安楽川という川があるのですが、その以南の白砂青松の白砂のところにも埋め立てをして、何号地、何号地というものを開発のためにやろうというようなことが一応描かれているということもわれわれも聞いておりましたので、そういうようなものも含めまして、位置について、全体として景観上これはぎりぎり許される範囲である。というのは、最初の案の二百メートル浜から離れた沖へ出して二百メートルの出島方式を、さらに五百メートル沖に出し、そして南の方に六百メートル寄せるというようなことで、これでぎりぎり、景観に影響がないとは言えませんけれども、まあまあ自然公園の景観を守る、自然公園法上の観点からここまでは一応検討していいじゃないか。しかし、これ以上のものは、それこそ景観に対して大変大きな影響を与えるから認められませんということを鹿児島県知事にくぎを刺して、こういう検討に値するというふうに表明したわけでございます。
  175. 木下敬之助

    ○木下委員 基準というのは結局は主観ということで、それ以外何もないのだろうとは思います。けれども、前の計画は三分の二が国定公園の中に入る、今回は三〇%になる、計画が譲歩したということを評価しているようにとれる発言もございました。国定公園内に入っているその割合が問題なんじゃなくて、国定公園内に絶対量としてどんなものが入ろうとしておるのか、それが判断の対象であろうと思うのですけれども、どういう基準で判断したのでしょうか。最初の計画は百六十ヘクタールですね。その後七十ヘクタール。百六十ヘクタールのときはだめだけれども、七十ヘクタールならばいい、量で言えば。そういう感覚にとれるのですが、こういった数字の上では、何を根拠にあれはいいけれどもこれは悪いということをお答えしたのだろうか、こういうふうに思うのです。
  176. 正田泰央

    ○正田政府委員 基本的な考え方はただいま大臣が申し上げたとおりでございまして、基本の線については何も敷衍することはございませんが、先生がいま御指摘になったとおりでして、パーセントというよりはむしろ面積そのものでございますね、これは大きなファクターだろうと思います。普通地域といえども公園区域でございます。知事がその気でやりさえすれば何でもできるという地域でございますが、浜辺に沿って万里の長城を築かれては困りますので、やはり大きさというものが大事な点であることは間違いございません。  それから、安楽川以南志布志湾全体を守るという感覚で、なるべく南の方に重心を移すとか、あるいは公園の区域の外、つまり何でもないところに重点を置くとか、そういう大きな柱というものがやはりございまして、さらに浜からどのくらいの距離が、経験的に従来の知見から見てどの程度のものが必要か。それから、全体の景観から見て本質的には何が問題かというようなことを総合的に勘案したものでございます。
  177. 木下敬之助

    ○木下委員 いまこうしてお聞きいたしましても、景観が台なしになるとかならないとかいったものは、あくまで景観を論じているわけですから、主観であろうかと思います。当然、主観の入ってくる問題だろうと思います。こういった問題は、長官個人や行政の側だけが判断せずに、しかるべき機関に諮問するのが筋じゃないかと思うのです。過日、三月四日に行われた自然環境保全審議会では、環境庁志布志湾石油備蓄基地計画に係る問題について審議会に諮問せず、報告にとどめておられるようです。同計画を諮問しなかったこと等に反対して都留重人委員が途中で退席するようなこともあったようですが、諮問しなかったということは、長官は所信表明の中で「十分に国民の声に耳を傾けていかなければならないことは言うまでもありません。」と述べておられるようですし、この辺から考えましても矛盾を感じるのですが、諮問すべきだったのではないでしょうか。長官のお考えと今後の姿勢について、国民の声を聞くという点の決意についてお聞かせを願いたいと思います。
  178. 原文兵衛

    原国務大臣 国民の皆様の声を聞くという点につきましては、先ほどもお答え申し上げましたとおり、私どもはやはり大変大事なことだと思って、今後もそのとおり処していきたいと思います。  ただ、自環審に諮問しませんでしたのは、自環審に諮問する事項という一つのルールがございまして、この問題はその諮問すべき対象には当てはまっておらない。しかしながら、大変大事な問題でございますので、ほっておかないで自環審に十分に御報告を申し上げたいと思って、三月四日に私から詳細に御報告をきっちりと申し上げた次第でございます。
  179. 木下敬之助

    ○木下委員 大臣、恐れ入りますが、いま聞いた中のもう一点の、こういった主観のまじる判断については、長官個人とか行政の側だけで判断するんじゃなくて、しかるべき機関に諮問するのが筋じゃなかろうかと思う私の意見についてどうお考えですか。
  180. 原文兵衛

    原国務大臣 木下委員の御意見は十分に尊重しなければならないと思います。ただ、ケースケースがあろうと思うわけでございます。そういうようなことで、環境庁も長い間の経験でもって、自環審に諮問すべきか、しなくて済む対象であるかというようなことも一つのルールができておるわけでございまして、私は御報告は申し上げましたが、そのときにもいろいろな御意見もございました。まだこれからアセスメントがありまして、そこの場でもってきっちりとわれわれとしてもチェックをしていかなければならない、そういう点におきまして、いろいろ御意見も十分参考になりましたし、自環審だけではなくてほかからもいろいろな御意見がございますので、そういうものは十分頭に置いて参考にしながらこれからもやっていきたいと思っておるわけでございます。
  181. 木下敬之助

    ○木下委員 信頼によって成り立っている審議会だと思いますので、委員と信頼関係を損ねると円滑な審議ができると思われませんので、どうかその点も今後十分考えてやっていただきたいと思います。  長官は、今回の石油備蓄基地計画に同意したことは新大隅開発計画を認めたものではない、今後の志布志湾埋め立て開発計画は認められない旨の発言をされておりますが、鹿児島県は昭和五十五年十二月に新大隅開発計画を決定しており、それによると、志布志湾に一号用地百八十ヘクタール、二号用地二百五十ヘクタール、三号用地七百三十ヘクタールを埋め立てることとなっています。鹿児島県が新大隅開発計画を当初方針に沿って進める考えがあるとすると、新大隅開発計画全体について当初から国が関与した詳細なアセスメントを実施する道を考えたらどうでしょうかと思うのです。たとえば、かつてむつ小川原開発に関しては、青森県からの要請もあり、大規模開発プロジェクトとして、行政指導により、昭和五十一年九月に環境庁から提示された指針に従い、むつ小川原総合開発第二次基本計画に係る環境影響評価が行われています。この新大隅開発計画にむつ小川原のような方式をとる考えはありませんでしょうか。
  182. 原文兵衛

    原国務大臣 先ほども申し上げましたが、いま木下委員がおっしゃられたような新大隅開発計画というものは、実は環境庁に対しては正式には何の御相談もございません。しかし、いまおっしゃったようなことが一応計画されているということは私ども聞き及んでおるわけでございます。したがいまして、今度の石油国家備蓄基地位置についてアセスメントを進めてもいいというような意味合いで、検討に値すると言いました。  と同時に、先ほども申し上げましたが、安楽川以南白砂青松またその前面の海面におきましてはこれ以上のものは認められないんだということをはっきり申し上げましたのは、もしいまおっしゃったような安楽川以南一号地、二号地、三号地というような埋め立てをするというのが新大隅開発計画であるならば、それはもう認められないという、この環境庁の方針は今後も堅持をしていくということでございます。
  183. 木下敬之助

    ○木下委員 では、この問題の最後にもう一つ確認をさせていただきます。  長官がそうやって景観としてぎりぎりだという判断をなされたのは、そういったほかの計画を想定した上で総合してこれがぎりぎりだと思ったのではなくて、そのもの自身がぎりぎりであとはもうできないというふうに考えたということでございますね。
  184. 原文兵衛

    原国務大臣 実は浜辺と松林、これは守られるという、それを守りながら景観についてぎりぎりのところをという観点から検討に値すると言ったわけでございまして、したがいまして、それ以上のものについてアセスするとかなんとかというのではなくて、それ以上のものがいわゆる新大隅開発計画であるならば、それそのものを認められないということでありまして、その方針は堅持していきたい、こういうふうに思っております。
  185. 木下敬之助

    ○木下委員 それでは、次の問題に移ります。  過日の新聞報道で、富士山の大沢崩れに砂防ダムを建設する計画という報道がありました。サンケイ新聞でしたか、これを見まして、不自然な感じを受けたのです。このことは、景観が壊れるというだけでなくて、あんなところにあんな大きなものをつくって大丈夫かな、危険じゃないかなという感じも持ったのでありますが、建設省、お見えと思いますので、この富士山の大沢崩れの現状と被害状況についてお答えいただきたいと思います。
  186. 近森藤夫

    ○近森説明員 御説明いたします。  建設省におきまして砂防工事を実施しております大沢は、富士山の西の斜面に位置しておるわけでございまして、潤井川という川になりまして田子ノ浦港に入る、こういう川でございます。大沢崩れといいますのは、広い意味では、源頭部、これは富士山の頂上でございますが、ここから扇状地というものが途中にございますが、この扇状地にかけての約十一キロほどの全体を指して言うこともあるわけでありますが、直接的には、土砂が直接生産されています部分を指しておりまして、この規模は、崩壊の延長が二・一キロメートル、崩壊の平均の幅でございますが五百メートル、最大の崩壊の深さ百五十メートル、崩壊の面積が全体で九十七ヘクタールございます。崩壊いたしております量は、年平均でございますが、二十万立方メートルというようなことで、わが国でも非常に数少ない、火山の侵食を受けておる侵食渓でございます。  被害といたしましては、最近の被害でございますが、昭和四十七年に梅雨前線による低気圧によりまして三百四十四ミリの雨があったわけでございますが、これが融雪をも含めまして土石流となって流出しております。この土石流は、上井出という部落がございますが、ここを襲いまして、老人ホーム等が浸水しておりますし、富士宮地区では、床上二十一戸、床下二百十戸、たんぼの流失が二十一ヘクタール、浸水が七ヘクタール、埋没五ヘクタール、冠水三ヘクタール、道路の損壊が十七カ所、橋梁の流失が五橋、堤防の決壊二カ所、また山崩れを起こしておりまして十カ所程度、こういうふうな災害が、最近の災害では大きな災害として出ておるわけであります。  現在、私どもで、この大沢崩れ対策は、この四十七年の災害発生後に設けられました富士山大沢崩れ対策協議会というものが学識経験者で組織されたわけでございますが、この結論の中で、大沢崩れの一番下流になります扇状地におきます対策が非常に有効である、事業の促進をそこで図りなさい。あるいは二番目といたしましては、計画の流砂量、これはどの程度の洪水といいますか、土石流の規模を検討しなさい、これに応じまして、遊砂池を広くしなさい、木を植えまして樹林帯というものをつくりなさい、堆積土砂の活用を図りなさい。三番目といたしまして、源頭部、これが先ほど申し上げました最上流から一番土砂を生産しておるところでございますが、この源頭部の完全な防止というものは困難である、しかしながら崩壊土砂を減少するための調査検討を行いなさいというようなことがこの結論になっておるわけでございます。  こういった結論に基づきまして、現在まで、扇状地の対策とか、この扇状地に続きます下流の流路工と申しておりますが、河川の改良に近い流路工事でございますが、これは非常に促進されてきておるわけでありますが、これとともに、堆積土砂の利用、活用の問題あるいは源頭部対策についての検討も進めておるわけであります。  以上でございます。
  187. 木下敬之助

    ○木下委員 いまお聞きいたしましたけれども、そういった大沢崩れそのものはいわば自然の現象だと思うのです。それに対して対策を立ててこの自然現象をとめようとしているような感じも受けるのです。一体どういうことを目的として、また、そうやらざるを得ぬ何かがあってやっているのか。つまり、景観が変わるのを食いとめようとしているのか。または、いまのままでは危険なのか。先ほど被害状況を言いましたけれども、その被害、四十七年は大変な雨の量だったようですけれども、そんな大量の雨、もっとまた多い量の雨があってもそういう土砂が下に流れないようにしようとするとしたら、それはどういう目的でするのか。その土砂が流れないようにしておって、いままで土砂の行っていたところまで利用しようとするのか。ちょっとわかりにくい点があるのです。普通なら、そういう自然現象で災害の起こっているところは、そこへ近寄らないとか、そういった形でやっていくのが普通であろうと思うのですけれども、どんな目的、どんな考え方でこの計画を考えておるのか、お聞かせ願いたい。
  188. 近森藤夫

    ○近森説明員 私どもでは、富士山のほかに、桜島でございますとかあるいは上高地といったような国立公園の特別地域におきまして砂防工事をやっておるわけでございます。こういった地域に対しましては、自然環境に対する配慮が必要であることはもちろんでございまして、建設省といたしましては、できるだけ自然環境景観に配慮をしながら事業を実施しておるというようなことでございまして、ただいま御質問ございました内容につきましては、山容の維持といいますか、これが私どもの行政としては主体になるわけはないわけでございまして、防災といいますか、これが主体になるわけであります。  こういった地域におきましては、国土保全といったような問題あるいは下流地域の防災の問題、また地域の住民の命を守るといったような観点からいたしますと、こういった景観かあるいは国土保全かといったような問題につきましては、二者択一が財政の中であるいは予算の中で生まれてくることはあるわけでございます。  富士山の大沢崩れにつきましては、土石流のために多量の土砂が流下しておるわけでありまして、これは先ほど申し上げましたように遊砂池というものをつくりまして、ここで調整をしておるわけであります。こういった対応はかなり成功しておると思っておるわけでありまして、下流の被害もこれによりましてかなり軽減されておるというふうに考えておるわけであります。  しかしながら、一度土石流が出ますと、これは容量に限りがある遊砂池でございますので、次の土石流に備えるためには、ここで土石流によりまして堆積しました土砂を掘削いたしましてこの区域の外に持ち出す必要があるわけであります。この大沢の源頭部の対策ができない限り、この作業というのはしょっちゅう繰り返しになるわけでございまして、これは莫大な事業費が将来とも必要であるというようなことになってこようかと思います。  こういったことで御質問のお答えになろうかと思いますが、私どもとしては、防災の実効を上げながら山容が維持できればさらにいいのではないだろうかというふうに思っておるわけでありまして、このためには、土砂の発生源であります源頭部対策をいたす必要があるというふうに考えておるわけでありますが、お話がございましたように、大沢崩れ自体が自然現象である、あるいはそういったことで放置するのが当然であるというような説もあるわけでございまして、この点につきましては、今後いろいろと御討議をいただきまして、大きな意味で国民的な合意を得た上で私どもも対処してまいりたい、そういうふうに思っておるわけであります。
  189. 木下敬之助

    ○木下委員 いまの話の中で、学識経験者で源頭部に何とかしよう、これをしなければどうにもならないという、学識経験者がそういうふうに結論を出すのは、それは一つの学識から成る答えだと思いますけれども、食いとめることができるという前提ならばこれしかないという進み方ですね。それと源頭部で食いとめることができるというのは別の次元の話です。そこを混同せずにやっていただきたいのですよ。わかりにくければ、もう一度言いますよ。  土砂を対策をとっていろいろしている。これをやるためには源頭部に対策をしなければならぬ、これはいいのです。それは一つ考え方です。だけれども、源頭部の対策ができるかできないかというのは別のことですから、できるものという前提で必ずしなければならぬというふうにするのと、できるかできないかわからないけれども下をするためにこれをしなければならぬというのは別のことですから、そこのところは、どういった機関にかけてどのくらいの長い期間どんな方が話し合われたかわかりませんけれども、よほど慎重なことをしていただかないと、短絡的に上で何かをされたらとんでもないことが起こるのではないかという危惧を私は持っております。それで、この計画の進捗状況をお聞かせください。
  190. 近森藤夫

    ○近森説明員 大沢崩れの土砂というのは火山灰と溶岩が互層になっておりまして、互い互いに入っております。この火山灰の部分がとれますと上の溶岩の部分までとれるというふうなものが繰り返されておりまして、だんだん大きくなっておるというふうに考えておるわけでございます。源頭部に滝が幾つかございまして、この滝がどんどん追い込まれていっているというようなことになっております。また、この滝と同時に側面からも同じような現象がございまして、山の上の方向あるいは横の方向と両方が進んでおるというような実態でございます。この滝の後退を防ぐことによりましてかなりの対策が可能になるというふうに思っておるわけでありますが、ただいま先生からもお話がございましたように、この源頭部というのは標高にしますと二千メートルから三千七百メートルを超すような非常に条件の厳しいところでございまして、こういったところで、このような気象条件あるいは地形、地質的な条件の中で直接工事をやった実績というのはないわけでございまして、調査工事をこれまで進めてきたというふうなことでございます。  これまでに行っております各種の基礎調査といたしましては、水を使わないでボーリングをできないだろうか、あるいはアンカーを打ち込めないだろうか、あるいは吹きつけ工だとかいうようなもの、これは対策工事でございますが、また、これと並行いたしまして、資材輸送の計画がどうあるべきだろうかというようなことをやってまいっておるわけであります。また、関係省庁にもお願いいたしまして、いろいろな許可があるわけでありますが、こういったものも順次進められておるわけであります。  ただいま先生から、非常に大きなもの、ダムというようなものが富士山の上にできるというようなお話がございましたが、これは遠くから見てもわからないような非常に規模の小さいものでございまして、五十七年度から計画しております調査工事の主体でございますが、これは床固め工と呼んでおりまして、高さは三メートルぐらい、長さは十六メートルでございまして、コンクリートの体積にいたしますと二百三十立方メートルほどの小さなものでございます。また、滝の後退を防ぐためにこれがやられるわけでございますが、側面からいきます土砂崩れ対策というようなことで、擁壁工、ウォールを三十二メートルほど施工調査をいたしたいというようなことを考えております。  以上でございます。
  191. 木下敬之助

    ○木下委員 それでは、この問題について環境庁にお聞きいたします。  国立公園内における防災上必要な行為について、環境庁はどういった考え方をなさるのでしょうか。
  192. 正田泰央

    ○正田政府委員 国立公園内の防災の問題につきましては、自然公園法さらには自然環境保全法に基づきまして、その精神にのっとりまして、公益との調整を旨といたしております。なかんずく防災、さらに人命、そういったものに関するものについては、法の運用といたしましては最優先として考え運用いたしております。
  193. 木下敬之助

    ○木下委員 今回の建設省の計画している大沢崩れ対策のための試験工事にかかる環境庁対応と、また、将来予想される本工事についての対処方針をお聞かせください。
  194. 正田泰央

    ○正田政府委員 基本精神はただいま申し上げたとおりでございますが、試験工事、私ども考え方ではいわゆる調査でございますが、これは、自然公園法四十条第一項の規定によりまして環境庁長官への協議が必要となっておりますが、五十六年八月三十一日付で環境庁長官に対しまして建設省の中部地建局長から協議がございました。それに対応しまして、同年十二月二十一日付でこの調査につきまして同意いたしました。  先ほど建設省から御説明がございましたように、重要な問題は発生源となっておりますところの源頭部の対策だろうと思っておりますが、いかんぜん二千メートルを超える未経験の工事及びそのために必要な防災対策でございますので、建設省の方でも相当慎重にいろいろな計画を練っておりますが、私どもの方につきましては、調査後の将来計画につきましてはまだ具体的に承知いたしておりません。したがいまして、協議があればすぐ防災上どうかということを考えて、あわせて自然公園法景観面も考慮して対応してまいりたい、こう思っております。
  195. 木下敬之助

    ○木下委員 この計画は源頭部にそういったものをつくるということで、先ほど建設省のお話を聞きましたら三メートルの十六メートルでそんなに大きくない。新聞の報道ほど大きいとは思っておりませんけれども、三メートル、十六メートルで、富士山はあんなに大きいですから、見たところそんなに大きくないかもしれませんけれども、それが防災上の役割りを果たす。果たしてそれからどういう形になるのか。噴火でも何でも、詰まっていてなかなか噴火しないときの爆発が大きくなるので、ああいった源頭部で何かせきをして食いとめて、その次崩れるときには一遍に大きな災害になるのじゃないか。そういった災害が起こったときには、天災じゃなくて人災なんだ。私は勝手な感覚で申しているわけです。これは、当然しかるべく学術的にまたなにしていただかなければなりませんけれども、人知の限界というのはやはりあると思います。そういった意味で、私は、発想に何か少し無理を感じます。たとえば、大水が出るからといって、水の上流で水が出ないようにするということをだれかが考えついたとします。それは、そのときは小さなダムを上につくるでしょう。漏れそうになればもっと大きなダムをつくらなければならなくなる。小さな山の頂上でしたら、五年か十年はそんなことでももつのかもしれませんけれども、いつか破局が来る。そういった意味で、一体大沢崩れというものをどうとらえるか。安易にとらえないで、本当に真剣なとらえ方をしないと、この時期はそれでいいかもしれませんけれども、いよいよ、じゃ三メートルの十六メートルはもういっぱいになった、どうしようかということになったときに、どうしますか。その土砂をどうやっておろすか。おろすわけにもいかない、それ以上の食いとめはできないというような状態が起こって——実験なさるとは思いますけれども、それからいましゃべっているほど私も深刻に危惧しているわけじゃありませんけれども、安易にならないようにと申し上げたいと思います。何か一言どうぞ。
  196. 近森藤夫

    ○近森説明員 説明が不足いたしておりますので、申し上げたいと思います。  ダムといいましても、土砂をためるようなダムではございませんで、滝にくっつけまして、コンクリートを張りつけまして、滝がどんどん上流の方に進行していくのを防ぐというようなことでございますので、一般にダムとおっしゃいますが、土砂をため込むようなものではございません。滝が進行しますのを抑えるだけの役目でございます。
  197. 木下敬之助

    ○木下委員 御苦労様でした。私も、技術的な細かいことを言っているのじゃないのです。考え方を安易にしないようにと言っているだけでございますから。どうぞ、御苦労様でした、もう結構でございます。  それでは次に、公害防止計画についてお尋ねいたしたいと思います。  公害防止計画の第二次及び第三次の十一地域昭和五十六年度で計画期間を終わることになり、今後の取り扱いが注目されているところであります。本日は、そのうち特に大分地域を例に、若干の御質問を申し上げたいと思います。  まず、この計画では、大気汚染、水質汚濁、騒音、振動、悪臭について目標値が定められ、それぞれの達成期限が示されていますが、現在までの達成状況はどうでしょうか。
  198. 清水汪

    ○清水政府委員 お尋ねの大分地域公害防止計画の実績でございますが、正確なことにつきましては、実はいままさに調査結果を取りまとめているところでございます。したがいまして、本日のところは、手元にございます資料に従いまして、主なものにつきまして要点を御報告申し上げたいと思います。  まず、大気汚染のうちで硫黄酸化物それから窒素酸化物につきましては改善目標を達成しておりますが、オキシダントにつきましては遺憾ながらまだ目標を達成していない状況にございます。  次に、水質汚濁につきましては、改善が見られるところもございますけれども、一部の河川それから別府湾の一部の測定点について見ますと、まだ目標を達成していない状況にございます。  以上のようなことから申しまして、おおむねの状況といたしましては改善の傾向にあるということは言えますけれども、一部の項目についてさらに今後改善の努力をしていく必要がある、こういう状況にあろうかと思います。
  199. 木下敬之助

    ○木下委員 次に、目標を達成するための公害防止に関する施策についてお尋ねいたします。  公共下水道については、普及率五十一年度一六・〇%を五十六年度三五・七%にする計画であるが、実績はどうですか。屎尿処理施設については、処理能力五十一年度七万八千人分を五十六年度十四万七千人分にする計画であるが、実績はどうか。河川のしゅんせつについては、住吉川、原川、丹生川において三万一千二百立米の土量を行う計画であるが、実績はどうか。ごみ焼却施設は、五十一年度四百九十二トン・パー・デーを五十六年度五百十トン・パー・デーに、一般廃棄物最終処分場は五十一年度百七十四万立米を五十六年度百八十二万六千立米とする計画であるが、実績はどうか。都市公園については、五十六年度末に一人当たり六・七平米の公園面積を確保する計画であるが、実績はどうか。学校における騒音防止事業は二校において、環境緑化事業は四校において実施する計画であるが、実績はどうか。  以上、お伺いいたします。
  200. 清水汪

    ○清水政府委員 ただいまお尋ねの、まず第一点の公共下水道でございますが、これは、普及率に換算いたしますと約二一%という実績になっております。  それから屎尿処理施設につきましては、実績といたしまして五百三十五キロリットル・パー・デーというのを完了しております。  それから河川のしゅんせつでございますが、土量三万一千二百立米ということでございますけれども、これは住吉川につきましては完了いたしておりますが、あとの二つの河川においてはまだ達成しておりません。  それからごみの焼却でございますが、これは、五十六年度末で五百十トン・パー・デーの焼却能力というのが完了する見込みになっております。しかしながら、廃棄物につきましてはまだ進捗状況につきまして計数をちょっと把握しておりません。  それから、都市公園並びに学校の騒音防止の問題につきましても、ちょっとまだ状況をよく把握できておりません。ただ、この中で、公園自体ではございませんけれども、緩衝緑地帯の事業につきましては約九一%の進捗実績を示している、このような状況になっております。
  201. 木下敬之助

    ○木下委員 それはなかなかいいと言っていいか、どう言っていいかわからない。余り望ましいほどの進捗にも見えませんけれども、今後もよろしくお願いいたします。  このような実績を踏まえて、大分地域を含む第二次及び第三次地域の五十七年度以降の取り扱いはどうなるのか。計画策定の指示及び内閣総理大臣の行う計画の承認はいつごろになるのか。なお、今後財政事情等を理由に計画を打ち切るなどの措置をとられる地域があり得るのか。もしあり得るとすれば環境保全上きわめて重大な問題であると思いますが、長官はどのように考えられますか。これらの点はいつごろに明確にされるのか、お答えいただきたいと思います。
  202. 原文兵衛

    原国務大臣 詳細の点につきまして局長からお答えさせたいと思いますが、お許しいただきたいと思います。
  203. 清水汪

    ○清水政府委員 お尋ねの第二次、第三次地域、十一地域につきましては、今年度末をもちまして計画の終了期限になっております。しかしながら、その実績状況の一例は、ただいま大分の例で御報告申し上げたようなことでございます。現在、私どもとしましては、これらの十一地域につきましては、それぞれの自治体に対しましてその現状並びに予定事業の実績につきまして調査、把握をしていただくようにお願いをしてございまして、やがてこれがまとまるだろうと思います。その段階におきましては、その結果を十分に検討いたしまして、かつ、いま御指摘のように将来にわたってさらに公害防止に万全を期していくという法の趣旨にのっとりまして、この計画に対する政府としての対処方針等を決めることになろうかと思いますけれども、これはいまこの段階の感触でございますが、やはり公害防止の重要性ということから考えまして、さらに防止計画を中心にした総合的な公害防止対策の充実ということは引き続き努力を続けていかなければならない状況にある、私はこのように思います。  個々のケースにつきましては、いま申しましたような基本的な考え方に立ちまして、個々の実績を検討した上で対処してまいりたい、このように考えております。
  204. 木下敬之助

    ○木下委員 まだまだのものが多いと思いますので、引き続きよろしくお願いします。また、早急にやらなければならない問題もあろうかと思いますので、十分な御検討をお願いいたします。  時間もありませんので、あともう一問。  長官、私は、昨年三月二十日の当委員会において、地球的規模環境問題について当時の鯨岡長官に御質問いたしました。原長官も所信の中で触れておられますので、再び地球的規模環境問題についてお伺いいたしたいと思います。  もう時間がありませんから、長官るる述べられておりまして、その中で、具体的に言えばわが国の知識と経験を生かしてどのような問題に取り組むのか、そしてどのような寄与をしようとしておるのかを具体的にお聞かせいただきたい。
  205. 原文兵衛

    原国務大臣 わが国におきましては、公害問題、環境問題、これにつきましていろいろと経験も踏んでおるわけでございます。また、技術の面でもずいぶん開発されたものもございます。そういうような面を踏まえまして、地球環境保全のためにこれからわが国が積極的に物心両面において貢献していきたいということを考えているわけでございます。なお、この特別会合においてわれわれとしてどのような点についてさらに主張すべきであるか、あるいはまたわれわれがどのような点についてさらに貢献できるかというような点につきまして、大来佐武郎さんを座長とする地球的規模環境問題に関する懇談会においていまいろいろと検討もしていただいておるところでございます。
  206. 木下敬之助

    ○木下委員 その懇談会の検討状況というのは、いま何かわかっていることはございませんか。
  207. 原文兵衛

    原国務大臣 現在、鋭意作業を進めていただいておりまして、近く懇談会から御報告をいただくことになっております。
  208. 木下敬之助

    ○木下委員 それでは、地球的規模環境問題の一環として、私は鳥獣保護に大変な興味を持っておるのです。特に、わが国にはトキとかイリオモテヤマネコ等、世界的に見ても貴重な鳥獣が生息しており、また、最近のヤンバルクイナの発見には私は大変な興奮を覚えたのですけれども、こういった絶滅寸前の鳥獣について、特にヤンバルクイナ、トキ、イリオモテヤマネコの現状と保護対策についてお聞きいたしたいと思います。
  209. 正田泰央

    ○正田政府委員 三つについて申し上げます。  ヤンバルクイナでございますが、昨年の六月、七月に山階鳥類研究所で発見、その後発表がありまして、異論がなければ新種になるというプロセスを歩んでおります。それから、西表の管理事務所において生息環境条件調査を行って、現在、環境庁長官検討会を設けまして、どのような調査をするかということを検討いたしております。その前に、二月十五日付で自然環境保全審議会が特殊鳥類に指定することが適当であるという答申を行っておりますが、これからの問題は生息数の調査、生息状況調査でございます。御案内のように、飛べない鳥ということで非常に技術的にむずかしいということが焦点でございますが、もう一回検討会で、学識経験者の間で方法論を詰めまして調査をさせたいと思っております。  トキにつきましては終始御案内と思いますので、詳しくは申し上げませんが、近々雌雄についてペアリングを行う。このペアリングは、明春以降の一つの、どういうことが可能かどうかをテストすると申しますか、そういうような段階でございます。非常にむずかしい繁殖の問題でございますが、私ども関係者、鋭意期待いたしておるところでございます。また、トキにつきましては中国との関係で技術交流を行っておりますので、またことしも技術交換の会議を催したい、こう思っております。  イリオモテヤマネコでございますが、御案内のように三十頭ないし四十頭、あるいはそれ以上と言われておりますが、ただいたずらにニワトリのえさを供給をして生態を調べているだけではいけませんので、トキの二の舞ということのないように、人工増殖ということを含めた調査に踏み切っていきたい、こう思っております。
  210. 木下敬之助

    ○木下委員 まだ質問したいことがありますけれども、時間が来ましたので、最後に、絶滅のおそれのある野生鳥獣の保護は、地球的な視野からも非常に重要な意義を持っております。その意義についての認識というものは、いかに重要に認識しても認識し過ぎることはないぐらい重要なことだと考えています。こういう問題に対する意義のとらえ方、感じ方はその国の文化と大きな関係があると考えます。いろいろな意味でいま海外との摩擦があり、日本人のことがわかりにくかったり、また鯨とかイルカの保護の方と話が合わなかったり、いろいろな面がありますが、このヤンバルクイナについて海外がどんな反応を示しているのか、私、大変な興味を持っているのです。このヤンバルクイナの発見に対してどういう感激を持って海外で眺めておるかといったことを少し調査していただいて、こういった問題に対する日本の文化が世界の国とそんな大きな食い違いがないかとか、いろいろなことがこれを機会に考えられると思いますので、今後の十分な調査と学術的な研究を期待いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  211. 八田貞義

  212. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 きょうは、本来、大臣の所信表明に対して質疑を行うことになっておりますが、早急を要する問題、対策をお願いしたい問題が出てまいりましたので、まずそこからお伺いをしたいと思います。  大阪湾の堺港のPCB汚染の問題なんですが、このPCB汚染というのは、大阪府堺市の日立造船の周辺海域約四万平米の底質から最高で一〇〇PPm、これは暫定除去基準の十倍に当たるわけですが、その一〇〇PPmにも達するPCBが検出されたということなんです。  PCBというのは、改めて言うまでもありませんけれども、カネミ事件に見られるように毒性が非常に強く、その上、環境中に排出されても分解しないで生物体内に濃縮されるという、非常にやっかいなしろものなわけです。このPCBによる環境汚染は、もう十年以前になりますけれども昭和四十六年に大きな社会問題になりまして、政府もPCB汚染対策推進会議というのをつくって対策を講じられた。にもかかわらず、十年も経て再びこういうような問題が起こってきたということに対して、環境庁はこの問題はよく御承知だと思いますけれども、どのような見解をお持ちか、お伺いをしたいと思います。
  213. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 御案内のように、カネミ油症事件を契機として、PCBについてその製造、使用を四十七年から禁止いたしておるわけでございます。それ以後確かに十年たっているわけでございますが、ヘドロというか、この底質の問題につきましては、私ども、いままでは、たとえば故紙再生に伴う公共用水域への流出が底質にたまるというような問題があることはわかっておりまして、そういう点に対する対策を講じてきたわけでございますが、造船所の地先水面の問題というのは、そういう問題があるということは、従来、私ども必ずしも把握しておらなかったわけでございます。これは、九州の佐世保等において調査したところ、そういう例があることがわかりまして、これは問題だということで、実は昭和五十六年度に私ども全国の主要な造船所、二十カ所でございますが、これの地先水面の底質の調査をいたしたわけでございます。その中で、この調査はまだ全部わかっておりませんが、いままでわかってきたところで堺市の問題がわかった、こういうことでございます。
  214. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 このPCBの汚染の原因は、日立造船のドックが修繕船の船体の塗りかえのときにかき落としていった古い塗料、その塗料の中にPCBが含まれていたからだ。これは、地元の自治体がそういうふうに断定をしているわけです。このことは、日立造船に二つドックがありますけれども、そのドックの中で主として修繕用に使われるドックの排水口付近が特に高濃度のPCBの汚染を見出すことができたということからも明らかであると思いますが、そういうことでよろしゅうございますか。
  215. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 そのとおりでございます。船に塗料を塗るわけでございますが、塗料の中にPCBが含まれているわけでございまして、はぎ落とし作業、ドックに入ってはぎ落としというか、塗りかえをやるわけでございますが、塗りかえの前のはぎ落としされたものが地先の水面に、水に流れ込んだ、これが原因だろうというふうに考えております。
  216. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 この塗料は、先ほどの御答弁にもありましたように、四十六年末でPCBを含んでいる塗料は使わなくなった、そういうことでしたね。そうすると、昭和四十六年、当時社会問題になったその当時から、船底塗料にPCBが含まれているというのは十分明らかであったはずだと思うのですね。したがって、PCBを含む塗料の生産の方が中止をされたとしても、塗料を塗りかえる際にドック付近が、PCBをすでに含んでいる塗料をかき落としていくわけですから、それによってその周辺が汚染されるということも、これまた十分予想できたはずだと私は考えるわけです。当時、ノーカーボン紙などは回収されていったわけですが、きょうは造船所を所管していらっしゃる運輸省にお願いをしておりますが、運輸省は政府のPCB汚染対策推進会議のメンバーにも加わっていらっしゃったわけですけれども、一体この問題についてどのような対策をとってこられたのか、そして、はがした塗料の回収をどういうふうに指示されてこられたのか、お伺いをしたいと思います。
  217. 今村宏

    ○今村説明員 お答えいたします。  PCBの製造、使用等が禁止されましたのに即応しまして、事業者団体である日本造船工業会の関係部会におきましてPCBの汚染防止のための指針を取りまとめまして、業界各位に周知徹底を図ってきているということを私ども確認しております。
  218. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 周知徹底されたのはいつですか。もう一度おっしゃってください。
  219. 今村宏

    ○今村説明員 昭和五十年の事業者団体における取りまとめでございます。
  220. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 昭和五十年でしょう。禁止されたのが四十六年の末でしょう。そして、その塗料が塗りかえのときにかき落とされる、当然それがまた出てくるということも予想されていたはずなのに、どうして五十年なんですか。そこのところが全くわからないわけです。私は怠慢だと本当に言いたいわけです。だから、日立造船も、船底塗料にPCBが含まれているとわかったのは昭和四十九年で、この年に塗装業界から造船業界に通知があった、そう言っておるわけです。したがって、四十九年以降は回収している。政府が五十年だとすると、それから一年たってから政府がやっと周知徹底を図ったということですから、より遅いわけですが、こういうふうにあれだけ大きな問題になっていたにもかかわらず、メンバーにまで入って対策推進会議でいろいろ協議をされていたにもかかわらず、こういうふうな問題が放置されていたということが今日の問題のつながりになっているわけなんです。その点では、私は会社の責任はもちろん追及されてしかるべきだと思いますが、運輸省の責任もきわめて大きいというふうに言わざるを得ませんが、どうでしょうか。
  221. 今村宏

    ○今村説明員 ただいま申し上げましたのは、補足させていただきますと、当時問題になったときからすでに個々の造船所においてはそれなりの対応をやってきたわけでございます。ただいま申し上げましたのは、日本造船工業会において取りまとめて業界に対する指針としたということでございまして、これは環境庁水質保全局長の従来からの通達がございまして、重ねてわれわれとしてやってはどうかということでございまして、その点を確認しておるというわけでございます。
  222. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 いろいろおっしゃっていますが、結局、回収を的確に指示徹底していなかったということじゃないですか。日立造船は四十九年以降は回収しているとは言っているわけなんですが、現在でもこの塗料のかき落としで周りに真っ黒な粉じんが飛ぶわけです。百メートル四方ぐらいまで飛んで、その厚さは五、六センチぐらいになっていまして、職場の人たちは黒い雪が降っているという表現をしているわけです。しかも、それがドックの中ではなしに、ドックが忙しいときにはその横の全く岸壁のところで、本当にフリーにそういうふうなかき落とし作業をやって周りに粉じんを飛ばしているわけなんですが、そういう事実は御存じでしょうか。
  223. 今村宏

    ○今村説明員 事業者団体からの指針に基づきまして、各社それぞれ対応していると私は思っております。たとえば係船中の外板のさび落としの禁止とか渠底の定期的清掃とか、そういうものについて各造船所において的確に行われるものと思っております。
  224. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 思っていると言われても、事実はそういうことなんですから、この点については調査に一度行っていただきたい。そして、どういう現状かということをきっちり報告してもらいたいと思うのです。この点は、労働衛生上にも非常に大きな問題があるということで、堺市の方も立ち入り調査をやるということを言っているわけですが、運輸省としても、この際余り無責任なことを言い重ねないで、実際に日立造船へ行ってその実態を調査してください。よろしいでしょうか。
  225. 今村宏

    ○今村説明員 本件環境問題につきましては主務官庁がございまして、そちらの指示で主務官庁もしくは関係都道府県の方々がおやりになる。そういうことに対して、私どもは側面的に協力したり見守ってまいりたいと思っております。
  226. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 主務官庁というのは環境庁ですか。それでは、環境庁お答えください。
  227. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 私ども今回の調査で堺市の問題がわかったわけでございますが、やはり基本的には、はぎ落としのときに落ちたそれをきちっと回収するということがどうしても必要であるというふうに考えておりまして、そういうことが行われるかどうか、行われるように私どもといたしましても十分に注意したいと思っております。
  228. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私がいまお願いしているのは、現場ではその後は回収してやっているとは言うけれども、まだドックでないところでもかき落としをやっているわけですから、周りに飛散して、黒い雪と呼ばれるようなものが飛んだりしているわけなんです。だから、一度現地に立ち入り調査をやってもらえませんかと言ったわけです。そうしたら主管庁と相談をしてと言われましたので、その主管庁にお伺いをしているわけですが、本来は運輸省に責任があるのでしょう。環境問題というよりかは、これは管理の問題じゃないのですか。
  229. 今村宏

    ○今村説明員 環境問題に関しましては環境庁が所掌しておりますので、環境保全につきましては環境庁が主務官庁だと思っております。
  230. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 そんなことを言っているから、さっきの周知徹底みたいにえらいおくれていくわけです。これは、監督する省は運輸省。だから、私はそちらの方に言っているわけなんです。ここで、私の目の前でボールの投げ合いはせんといてくださいな。やはり運輸省に私は本来の責任があると思うから言っているわけです。けれども環境庁もやはり環境問題ですから、おっしゃるようにそういうふうな問題に対して知らぬ権兵衛を決め込むわけにはいきませんので、それではこの二つの省でよく御相談なさって、ひとつこの日立のそういう現場を調査をしてくださいませんか。
  231. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 環境問題は環境庁が所管しているわけでございますけれども、事業官庁といえども環境問題についての配慮を、事業をいろいろ監督する上でしなければならないものと私ども考えておりますが、いずれにしましても、運輸省とよく相談してまいりたいと思います。
  232. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 まだ調査をしてもらいたい問題がありますので、先に進んでいきます。  引き続き運輸省にお伺いしたいわけですが、日立造船は、さっきも言ったように昭和四十九年以降は回収したと言っているのです。砂を吹っかけて塗料をかき落とすのです。だから、その砂にまじった塗料、そういうものを全部回収したと言っているのですが、その回収したものはどういうふうに処理されているか、お伺いをしたいと思います。
  233. 今村宏

    ○今村説明員 回収したものは、一般業者その他清掃業者に引き渡していると聞いております。
  234. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 きょうは厚生省に来ていただいておりますが、こういうふうにしてはがした塗料は、当然のこと、産業廃棄物として扱われると思うのですが、産業廃棄物であるとすれば、このかき落とした塗料はPCBという厄介なものが含まれておりますので、環境汚染が起きないように当然厳重な処理が必要になってくると思いますが、どうでしょうか。
  235. 藤原正弘

    ○藤原説明員 造船所におきまして船体塗りかえ作業に伴って排出されました塗膜片は、御指摘のように産業廃棄物でございます。その中にPCBが含まれておりますような場合には、廃棄物処理法に基づきまして、通常の産業廃棄物よりも厳しく規制することになっております。
  236. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 運輸省にそのことをお伺いしているわけです。  先ほどの御答弁にあったように、産業廃棄物として処理しているけれども、とりわけこれは厳重な処理を要するのだというふうに指示をしているということですが、そのとおりやられていると言えるかどうか、お答え願いたい。
  237. 今村宏

    ○今村説明員 私の方は一般的な事業所管をしておりまして、各造船所が各種の法令を遵守するということについては指導いたしますけれども、造船所は廃棄物処理あるいはその他いろいろの面の機能を持っておりまして、それらについての個々の法律についてはそれなりの所管官庁の指導を十分受け、守るようにという指導をしているわけでございまして、個々の廃棄物処理についてはつまびらかでございません。
  238. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 だからお願いをするわけです。個々の廃棄物処理についてはつまびらかでないということですから、ひとつこの問題について私は調査をしていただきたい。果たして本当にそういうふうに厳重に守って処理しているかどうかという点では、今回こういう問題が起こると住民としては不信感を持たざるを得ないわけです。私は処理していないと言っているのではありませんよ。処理しているかもしれない。しかし、もしかしたら処理していないかもしれないんじゃないかと思わざるを得ないので、この際、個々の問題ということではなしに、こういった問題が起こったのを機会に一度チェックをしていただきたい、このことを要望したいと思いますが、どうですか。
  239. 今村宏

    ○今村説明員 ただいまの件につきましては、環境庁、厚生省とも協議の上、検討させていただきたいと思います。
  240. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 運輸省は責任を持ってそのチェック、調査をお願いをしたいと思います。環境庁の方もよろしくお願いをいたします。  船底塗料に含む有害物質というのは、今日、PCBだけではないということが言われているわけです。最近、船の底にフジツボなどが付着するのを防ぐために、そのための毒物として有機すず化合物が船底塗料にまぜられていることが大きな問題になっています。  環境庁にお伺いしますが、この有機すず化合物も実は蓄積性があり、かつ、強い毒性を持っていると言われ、そして、人体に対しても脳障害などの毒性のあることが学会などでも報告されております。さらに、これが背曲がりの変形魚の原因になっているのではないかというような研究もなされていると聞きますが、環境庁、どうでしょうか。
  241. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 現段階で、有機すず化合物についての具体的な知見といいますか、私ども持っておりません。
  242. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 産業衛生の分野では、すでに有機すず化合物というのは強力な毒性と蓄積性を持っているということで大きな問題になっているわけです。この間、私、松くい虫の問題でいろいろ農薬について調査をしていましたら、農薬取締法の規制の中に加えられている一つとしてこの有機すず化合物の仲間が入っているわけです。この農薬を使うときには、絶対に海域に飛散したり河川に飛散したりしないようにというようないろいろ厳重な注意まで書かれておりまして、ああなるほどこの仲間かなというふうに解釈をしたわけです。これはぜひ一度調査をしていただきたいと思います。
  243. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 御指摘の点につきましては、よく調査検討いたすつもりでございます。
  244. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 最後に重ねて申し上げますが、この塗りかえのためにかき落とした塗料というのは、こういうふうに多くの問題をはらんでいると私は思うのですね。ところが、これは法の谷間みたいになっていて、ドックで回収すれば産業廃棄物になるし、そのまま押し流せば水質汚濁防止法にはまらない、そういうものなのだというようなことも聞きました。こういうところからこういう問題が起こってきたのだと思うのです。したがって、各造船所に対しても、回収に万全を期するように、もう一度その指示の徹底を図っていただきたい。これは日立だけじゃありません。全国の造船所に対してもう一度指示の徹底を図っていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  245. 今村宏

    ○今村説明員 環境保全は大変重要な問題でございまして、造船業界としてもその保全の一層の徹底化に努めるように、環境庁とも連絡をとりながら注意してまいりたいと思っております。
  246. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 厚生省、どうもありがとうございました。  次に、魚の問題についてお伺いをしたいわけです。  この付近は、ふだんは非常に多くの釣り人が楽しみに来るところなんです。ところが、えらいもので、この問題が起こりましてから本当に姿が見えなくなりました。みんなもう心配でたまらないわけです。第一、いままで十年間もひょっとしたら食べたかもしれぬと思うと、やはり心配になってくるわけですね。現在のところ自治体は大丈夫だと言っていますが、しかし、調査したと言っている魚はカレイとスズキそれぞれ二検体ずつにすぎないわけです。  農水省、きょう来ていただいていると思いますが、このPCB汚染についてはその魚種ごとに十検体ずっとって調査をして、そしてその二割が基準を超えた場合にはその魚種の漁獲の自主規制をしかるべき漁協に要請することになっているというふうに聞いております。そういう点から見ますと、今回はカレイとスズキだけ、しかもそれぞれ二検体だけで調査をして、もう大丈夫だと言われてもなかなか釣り糸をたれに行く気分になれないわけです。そこで、農水省の方にお願いをしたいわけですが、これは十分この自治体と協議をして、調査をこの際行っていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  247. 川崎君男

    ○川崎説明員 お答えいたします。  魚介類の調査につきましては、現在、先生おっしゃったように、地元堺市と大阪府の間で調査を実施する方向検討が行われているという連絡を受けておるわけでございます。水産庁といたしましても、この調査が適切に行われるよう指導していきたい、こう考えておるところでございます。
  248. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 きょうはその地元の新聞、三月二十一日のを持ってきたのですが、堺市議会では、府が主体でやるはずだと市が答弁しているのです。府の方は、いやそれは堺市がやるべきだ、こういうことで玉突きをやっているわけです。私は、これをここで聞いても仕方ありませんから聞きませんけれども、この際、こういう問題に対して、魚の安全を調査するということで、国が積極的な姿勢で、しかも早急に進めていただきたいということを重ねて要望しておきたいと思います。
  249. 川崎君男

    ○川崎説明員 この問題が起こりました直後、われわれもすぐ大阪府と連絡をとりまして、その魚介類のことにつきましていろいろ相談をしておるわけでございます。おっしゃったように、われわれも新聞の情報は存じておりますが、その直後に一応両者が協議しておるわけでございます。もし水産庁でどうしてもやる事態が生じてきますればそういう検討もいたしますが、当面やる方向検討しておるということでございますので、われわれも適切な指導をして調査が行われるようにしてまいりたい、こう思っております。
  250. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 最後に、汚染されているヘドロの除去、これについてお聞きをしたいわけです。  四万平米にわたる一〇〇PPmというようなPCBを含んだ汚泥を、これからどう除去していくかということが問題になってくるわけです。堺市は、環境庁の出していらっしゃる暫定指針に基づいて、日立造船に対しては、日立の責任において海域のヘドロを除去するようにというふうに指示をしております。この場合、この汚染源は日立造船ということできわめてはっきりしているわけですから、当然、日立の全責任において除去せよという堺市の方針は私は妥当なものだと思いますが、環境庁はどういうふうに考えていらっしゃるのか、これが一点です。  さらに、今後除去したヘドロを一体どういうふうに処分するかが問題です。この問題は、先日も新聞で報道されておりましたが、いろいろなところで除去の問題が問題になっています。このヘドロ除去は、どういうふうに処理するかということが先にあって、なかなか除去に着手できないところもあるというふうに聞いているわけです。しかし、この付近は、先ほども言いましたように、海を奪われた市民にとって、やっと何とか憩いの場として釣り糸を楽しめる場所になっているわけですから、早く除去してもらわなければなりません。政府としても、日立造船に対して、安全に、そして一刻も早く処理するよう強力な指導をする必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  251. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 私ども大阪府から聞いたところによりますと、堺市が日立造船に対してそういう指示をしまして、日立造船はみずからそのヘドロの除去をするということを言っているというふうに承っておりますので、そういう線に従って具体的な計画を早急につくって処理に早く着手してほしい、こう思っているわけでございます。  それから、ヘドロをどうするかということでございます。従来から、PCBを含むヘドロについての除去作業、これは造船所関係は今回初めてでございますが、いままでやっておるわけでございます。これは、従来大体埋め立てということでやっておりますが、今回のこの日立造船関係について具体的にどうするのか、そこまで具体的な計画はこれからだと思います。いずれにしましても、そのヘドロによってさらにまた二次汚染といいますか、そういう問題が起こらないように、万全の配慮をしてまいりたいと存じております。
  252. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 最後にもう一度、運輸省に、この問題についてどう対処されるか、お伺いをしておきたいと思います。
  253. 今村宏

    ○今村説明員 日立造船が堺市の指示に従いまして速やかに措置するということを明言しておりますので、運輸省としましても、そのようにされるようにこれを関心を持って見守ってまいりたいと思っております。
  254. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 いままでの責任からしても、運輸省は見守るというような悠長な話ではなしに、みずからはっきり乗り出して、過去こういう経緯になった一つの責任を感じて対処していただきたいということを重ねて申し上げておきます。  長官、聞いていただいたように、全く政府の姿勢も問題があった。先ほどの御答弁を聞いていただいてもわかりますように、やはりもっと環境問題に対して、何ぼ環境庁そのものではなくても、現にそういうことで責任がある一つの部署として対策推進会議にまで入ってやっているのですから、そういうところがしかるべき姿勢で徹底していかなかったところから、今日こういうふうに、PCBの問題はもう昔の話だというふうに思っていたら、全く驚くべきことに一〇〇PPmというようなものが出てきたということで、環境問題というのはこういうものなんだ、少し油断をすると、あのときはもうずいぶん社会問題になったわけですから、少しもくそもない、ずいぶんみんなが神経質になっていたはずなんですが、それがこういう問題が起こってきているという点で、どういうふうに御感想を持たれたか。そして、長官としてもこういう問題に対して迅速に対処するよう十分御指導いただきたいと思います。
  255. 原文兵衛

    原国務大臣 大変重要な問題でございます。率直に言って、私、きょう初めて伺ったような点もあるわけでございますが、重要な問題でございますので、適切に、しかも敏速に対応するよう、私どもも指導してまいりたいと思います。
  256. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 次に、長官基本姿勢についてお伺いをしたいと思います。  長官公害防止事業団の理事長も務められた、自民党の環境部会長、それから参議院では公害特別委員もずっと務めてこられた、環境行政に明るい方が長官になられたということで、私はまことに結構なことだとは思っておりますけれども、また大変逆の心配も持っているわけです。  たとえば、自動車の排ガス規制が問題になったときの会議録を見てみましたら、長官は、五十一年規制を決めたこと自体が無理で再検討の必要があるというような主張をしていらっしゃいました。また、昭和五十一年には、自民党の環境部会長としてカドミウム汚染問題に関する報告をまとめられて、イタイイタイ病についても当時非常に後退した報告書だというふうに報道されておりました。排ガス規制については、実施が二年おくれたものの、長官が無理だと主張されていた五十一年規制が実施されましたので、ここで答弁は求めません。しかし、カドミウムの報告の方は今後の問題でもありますので、お伺いをしておきたいと思うのです。  この報告書は、大筋で言いますと、イタイイタイ病カドミウム原因説は学者の認めるものではない。二つ目は、一PPm以上の汚染米を食用として禁止した根拠には問題があり、少なくとも〇・四PPmから一PPmの準汚染米は食用にできる。三つ目は、現在の土壌汚染対策事業は事業費に膨大な額を要するなど問題があるので、法や制度の改正を含め検討し直す必要がある。こういうふうな内容のものであったと承知しているわけですが、これは今後の環境行政の問題としてもきわめて重要な問題だと思いますので、長官御自身のお考えは現在もこの報告書のとおりなのかどうか、お伺いをしたいと思います。
  257. 原文兵衛

    原国務大臣 カドミウム汚染問題に関する報告のことについていま御質問があったわけでございますが、昭和五十一年、六年ほど前のことで、率直に言いまして私も記憶がはっきりしていない点もありましたので、当時の資料、それから私の日記等を引っ張り出しまして、いろいろと記憶を呼び起こしたわけでございます。いま御指摘の自民党政務調査環境部会の報告は、昭和五十一年一月二十九日にカドミウム汚染問題に関する報告としてまとめられております。その日は私が環境部会長であったことは間違いございません。ところが、私が環境部会長になりましたのは一月二十七日でございまして、その二日後にこの報告がまとめられておるわけでございます。もちろん二日後といえども環境部会長は私でございますから、私の名においてまとめられているわけでございます。ただ、これはその前年、昭和五十年の三月から、カドミウムがイタイイタイ病の原因であるということにつきましては医学上も学説がいろいろと分かれておりまして、そういうような関係で、自民党の環境部会としては小委員会を設けて、これについていろいろと検討、研究をしてまいったということで、それがまとめられたのがこの報告でございます。そして、学説がいろいろ分かれているからそういう問題について十分調査研究をするようにという問題を提起しているのがこの報告だと私は理解をいたしております。  私は、こういう問題につきましては、現在幾ら科学が発達しても不明の部分もあるかもしれませんが、できるだけ科学的知見に基づいて対処していくのは当然であると思っておるわけでございまして、イタイイタイ病の原因はカドミウムではないのだというふうに考えているわけでは毛頭ないわけでございます。ここの報告も、学説がいろいろ分かれているからもっとよく研究を進めるようにということでございまして、環境庁といたしましても、現在も学問上の議論がいろいろあるわけでございますので、その議論を解決すべく調査研究を進めているところでございます。
  258. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 問題提起だということで、しかも部会長になられたのは報告書が出る二日前であったということですので、ずっとお尋ねをしていくのは少しくどいかもしれませんけれども、いまこれが再び非常に関心の持たれる問題として出てきておりますので、現在の長官のお考えも含めてお答えをいただきたいと思うわけなんです。  この自民党の見解として出しているのを見ましても、学者の大勢がイタイイタイ病カドミウム原因説は認められないというふうになっていると、学者の言葉をかりて、報告書では医学的証明が十分でない、カドミの原因は認められぬという結論を出していらっしゃるやに私は読み取りました。その後環境庁は、文献学的調査なんですが、カドミウムが何らかの役割りを果たしてきたことを否定する根拠は乏しいというふうな報告を出しました。これはきわめて対照的だと思うのです。研究という点では、なるほど自民党の報告書と環境庁の言うそれと言葉の上では違いはないけれども、片一方は学者が原因を認めていないと、否定を決めつける立場で言っていらっしゃる。環境庁の方は、原因を認めないわけにはいかないというふうに決めた上で、なお研究する必要があるというふうにしていらっしゃるわけです。長官としては、当然のことだと思いますが、いまこの問題に対してどういう見解を持っていらっしゃるか。環境庁が公表された内容のように、カドミ説は否定しない、しかしながら、なお研究の余地があるのでそれを尽くしていくというお立場をとっていただけるかどうか。
  259. 原文兵衛

    原国務大臣 先ほども申し上げましたように、現在、環境庁は、学説も分かれておりますが、それを解決するために研究を続けていくということは当然でございます。そしてまた、それができるまでは患者に対してのそれぞれの救済方策を続けていくということは当然でございます。ただ、何かいま自民党のレポートの中でイタイイタイ病カドミ原因説は学者の認めるものではないというふうに言っているのはどうなんだということでございますが、いま申し上げたような事情でこのレポートが出ているわけでございますが、実は私もその点については認められないという表現はおかしいじゃないかということで、この点については私自身もこの表現はおかしいということを発言しているわけでございまして、これは、当時「エコノミスト」でしたかのインタビューがありまして、私も忘れておりましたけれども、そのインタビューを見ますと、ちゃんと私も認められぬというのはおかしいじゃないかということを言っておりますので、その気持ちはいまも同じでございます。
  260. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 次に、汚染米対策なんですが、これも報告書を見ますと、食品衛生法による一PPmという規制には問題があり、再検討の必要がある、そして、〇・四PPmから一PPmの準汚染米については、これを食用に供しないという学問的根拠は全くないから食糧とすべきだ、こういうふうに言っておられるわけです。昭和四十五年にこの一PPmという基準が決められて以来、むしろその基準は緩過ぎるのではないかという議論が非常に多く出ておりました。WHOの提案では、米のカドミ濃度は一PPmどころか〇・一四PPmが許容濃度となる、こういうようなことも言っているわけです。したがって、準汚染米を食用に回せ、一PPmについても再検討せよなどということはとうてい認められるものではありませんし、現に準汚染米は五十三年に一万三千トン、五十四年に一万一千トン、五十五年に八千トンとまだ膨大な量になって残っております。これを食用とするというようなことになっては大変な問題だと思います。先ほどの御答弁では、長官はそういうふうにはよもや考えていらっしゃらないと思いますが、確かめておきたいと思います。
  261. 原文兵衛

    原国務大臣 先ほども申し上げましたように、このレポートが出ました日付は昭和五十一年一月二十九日、私は二日前に就任したとしても、やはりそのときは環境部会長であったことは間違いないので、そういう意味で決して私は逃げるようなことを申し上げるわけじゃございませんけれども、いまの何PPmという問題について深い記憶もないし、余りはっきりしておりませんので、いまの環境庁考え方局長の方から答弁させたいと思います。
  262. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 汚染米の問題でございますけれども、これは、厚生省が食品衛生法上、一PPm以上、これについては汚染米ということで禁止しております。したがいまして、その点は変わらない、今後も当然変わらないわけでございます。  準汚染米問題は、これは私どもがお答えするのがいいのかどうかわかりませんけれども、実は私、前に食糧庁におりましたのでお答えいたしますけれども、食品衛生法上は有害ではないというふうになっておりますが、消費者感情等を考慮してこれを配給しないというのが従来の扱いだったというふうに私は聞いておりますが、今後どうするかということになりますと、私ちょっと申し上げかねますけれども、恐らく扱いは変わらないのではなかろうかと思いますが……。
  263. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 ぜひいままでの扱いを厳守していただきたいと思います。  最後にもう一点ですが、土壌汚染の復元事業の問題なんですが、この点でも、費用がかかり過ぎるとか、そもそもカドミ原因説や一PPmの米の安全基準にも問題があるので法や制度の改善を検討するというようなことを言っておられるわけです。これもきわめて重大な問題でありますけれども、現在、土壌汚染防止法によって指定されている地域は四十八地域、四千八百二十ヘクタールで、このうち対策事業が終了しているのは、地域数では二十一地域ですが、面積ではたった二〇%の九百六十ヘクタールにすぎないわけなんですね。富山や安中などでは企業の妨害などによって対策事業がおくれてきているわけですが、自民党の報告書どおりにいけばいよいよ未対策地域がそのまま放置されるのではないかという心配が出てくるわけです。そういう点で、長官は、この未対策地域については放置をしないで、一層イニシアチブを発揮して早急に対策を進めていくというお立場をとっていただけるかどうか、お伺いをしたいわけです。
  264. 小野重和

    ○小野(重)政府委員 土壌汚染対策につきまして、数字につきましては先生御指摘のとおりでございまして、確かに実施状況がそういう数字になっているということでございますけれども、いろいろ事情がございまして、予算の問題等々ございますが、いずれにしましても、土壌汚染対策は、カドミウムについて厚生省が食品衛生法上有害、こうしている、それが変わらない以上、これを従来どおり進めることは当然であるというふうに考えております。
  265. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 実際には、今月三十日に判決が出ます群馬県の安中だとかいうようなところでも、対策計画は認可されながら三年間も手つかずの状態ですね。こういう問題があるときに、そういう報告書を出された部会長が長官になられたということで大変みんなが心配しておるから、私はあえてここで長官にお伺いをしているわけなんです。長官はいまもそう思っているだろうなんてちっとも言っていませんよ。事情を聞けば、ああなるほどそういうことなのかということもわかりますが、にもかかわらずそういう報告書を長官のお名前でかつて出されたことがあることに対して、地元は、ひょっとしたらこのままほったらかしにされるのじゃないか、一たん認可されたところでも三年間放置されてきたのだからという心配があるので、長官にくどくお伺いをしているわけなんです。ぜひイニシアチブを発揮して、この地域に対しては早急に対策を進めるようにがんばっていただきたいと思います。  続けてお伺いをしたいわけですが、ここ数年、本当に公害対策の巻き返し、その先駆けとしてあのカドミ原因説の否定論が蒸し返されたのではないかと考えます。財界も躍起になって政府の見解を覆そうとしておりましたし、国会でも自民党がたびたび政府見解の修正を迫ったことがございます。そして、自民党の報告書はいわばその集大成として出されてきたものだというようなことが言われておりました。だからこそ、長官はあの自民党の報告書のような立場をとらないように、ぜひこれからの行動でもって示していただきたいということをお願いしたいわけです。そのために、私は、あえて長官の在任中に富山と安中の土壌復元については何とか決着のめどをつけていきたいという意欲もひとつここで見せていただきたいと思います。  同時に、今月の三十日、先ほども言いましたように安中公害の訴訟の判決が出ることになっております。この判決の内容次第では、企業側が控訴という手段に訴えて紛争を長引かせていくというようなことも予想されるわけです。そこで、原因企業である東邦亜鉛に対して、控訴などというような手段に訴えないで早期にこの問題の解決に当たるように、長官として強力に働きかけていただきたい。これは、前鯨岡長官も、こういう問題に対しても自分としては控訴しないように企業にも働きかけていきたいということを約束されておられたわけですが、これを引き継いで、東邦亜鉛に対して控訴などはしないよう、控訴などというような手段で問題を長引かせることのないように、十分働きかけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  266. 原文兵衛

    原国務大臣 土壌汚染の問題につきましてもいろいろお話がございましたが、自民党のレポートは自民党としての一つの提言でございますが、政府は政府として考えがあるわけでございまして、その点は、ただいま水質保全局長からお答え申し上げたとおりでございます。  なお、裁判の問題につきましては、これは裁判上のいろいろな権利が原告、被告ともにあるわけでございまして、それに対して公の立場でもって私どもが介入することはできません。前長官も、私人として考えるというふうに言ったと私は聞いております。前長官から直接聞いたのではないので、はっきりわかりませんけれども、私どもとしては、公の立場でどうしろということは言えないことは御承知のとおりでございます。いずれにいたしましても、私どもも裁判の結果については十分な関心を持っているわけでございまして、その結果を十分検討したいと思っております。
  267. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 自民党の報告書はあくまでも自民党のもので、自民党員ではあるけれども長官環境庁長官として、その立場でこれから環境公害対策にも積極的に取り組んでいっていただくことをお約束いただいたというふうに理解をしておきたいと思います。  ただ、最近はいろいろなところでこの公害対策に対する巻き返しが非常に厳しくなってきたなというふうに考えざるを得ませんし、そういうことの中で今日改めてこの環境問題が問われなければならない、環境庁の責任はかえっていま重大になってきている、そういう時期に長官としてお務めでございますから、ぜひともこれからもより意欲的に取り組んでいっていただくように要望して、私の質問は終わります。  ありがとうございました。
  268. 八田貞義

    八田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十五分散会