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1982-05-12 第96回国会 衆議院 外務委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年五月十二日(水曜日)     午後一時三十八分開議  出席委員    委員長 中山 正暉君    理事 愛知 和男君 理事 稲垣 実男君    理事 奥田 敬和君 理事 川田 正則君    理事 高沢 寅男君 理事 土井たか子君    理事 渡辺  朗君       麻生 太郎君    佐藤 一郎君       竹内 黎一君    浜田卓二郎君       山下 元利君    井上 普方君       河上 民雄君    小林  進君       草川 昭三君    林  保夫君       野間 友一君    東中 光雄君       楢崎弥之助君  出席国務大臣         外務大臣臨時代         理       宮澤 喜一君  出席政府委員         外務政務次官  辻  英雄君         外務大臣官房審         議官      宇川 秀幸君         外務大臣官房審         議官      田中 義具君         外務大臣官房外         務参事官    都甲 岳洋君         外務省中南米局         長       枝村 純郎君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       高橋  宏君  委員外出席者         科学技術庁研究         調整局宇宙国際         課長      中津川英雄君         科学技術庁原子         力局調査国際協         力課長     佐々木白眉君         科学技術庁原子         力局動力炉開発         課長      堀内 純夫君         科学技術庁原子         力局核燃料課長 坂内富士男君         科学技術庁原子         力安全局保障措         置課長     川崎 雅弘君         科学技術庁原子         力安全局放射線         安全課長    佐藤元之介君         外務大臣官房外         務参事官    遠藤 哲也君         資源エネルギー         庁長官官房原子         力産業課長   田辺 俊彦君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電課長  戸倉  修君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電安全管         理課長     末広 恵雄君         参  考  人         (電気事業連合         会副会長)   大垣 忠雄君         外務委員会調査         室長      伊藤 政雄君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十日  辞任         補欠選任   伊藤 公介君     楢崎弥之助君 同月十二日  辞任         補欠選任   大久保直彦君     草川 昭三君 四月二十八日  核軍縮に関する請願森中守義紹介)(第二  七五七号)  朝鮮半島南北統一実現に関する請願森中守  義君紹介)(第二七五八号)  世界連邦実現等に関する請願(稻村左近四郎  君紹介)(第二七五九号)  同(河上民雄紹介)(第二七六〇号)  同(嶋崎譲紹介)(第二七六一号)  同(野上徹紹介)(第二七六二号)  同(山花貞夫紹介)(第二七六三号)  同(山本政弘紹介)(第二七六四号) 五月七日  世界連邦実現等に関する請願奥田敬和君紹  介)(第二七九六号)  同(高沢寅男紹介)(第二七九七号)  同(依田実紹介)(第二七九八号)  同(小杉隆紹介)(第二八三四号)  同(中馬弘毅紹介)(第二八三五号)  同(森喜朗紹介)(第二八三六号)  同(山花貞夫紹介)(第二八三七号)  同(中村靖紹介)(第二八五八号)  同(鳩山邦夫紹介)(第二八五九号)  同(浜野剛紹介)(第二八六〇号)  同(足立篤郎紹介)(第二八九六号)  同(石井一紹介)(第二八九七号)  同(竹本孫一紹介)(第二九五一号)  核兵器の廃絶及び軍縮推進に関する請願(林  百郎君紹介)(第二八九八号) 同月十日  日韓首脳会談中止等に関する請願外一件(小  川国彦紹介)(第二九五九号)  同(河上民雄紹介)(第二九六〇号)  同外三件(小林進紹介)(第二九六一号)  同(高沢寅男紹介)(第二九六二号)  同(井上泉紹介)(第三〇一八号)  同外一件(小川国彦紹介)(第三〇一九号)  同(高沢寅男紹介)(第三〇二〇号)  同(土井たか子紹介)(第三〇二一号)  世界連邦実現等に関する請願住栄作君紹  介)(第二九六三号)  同(塩谷一夫紹介)(第二九六四号)  同(砂田重民紹介)(第二九六五号)  同(永田亮一紹介)(第二九六六号)  同(片岡清一紹介)(第三〇一六号)  同(堀昌雄紹介)(第三〇一七号)  同(伊藤公介紹介)(第三〇六二号) 同月十一日  世界連邦実現等に関する請願三木武夫君紹  介)(第三一二〇号)  同(吹田愰君紹介)(第三二〇八号)  同(細田吉藏紹介)(第三二〇九号)  同(永末英一紹介)(第三二一〇号)  日韓首脳会談中止等に関する請願井上普方  君紹介)(第三二一一号)  同(伊賀定盛紹介)(第三二一二号)  同外二件(小川国彦紹介)(第三二一三号)  同(河上民雄紹介)(第三二一四号)  同(沢田広紹介)(第三二一五号)  同(竹内猛紹介)(第三二一六号)  同(福岡義登紹介)(第三二一七号) 同月十二日  世界連邦実現等に関する請願(坂本三十次君  紹介)(第三二九一号)  同(高田富之紹介)(第三二九二号)  同(地崎宇三郎紹介)(第三二九三号)  同(松永光紹介)(第三二九四号)  同(井上一成紹介)(第三三三九号)  同(井上普方紹介)(第三三四〇号)  同(川崎二郎紹介)(第三三四一号)  同(塩谷一夫紹介)(第三三四二号)  同(中野寛成紹介)(第三三四三号)  同(福永健司紹介)(第三三四四号)  同(前川旦紹介)(第三三四五号)  同(山口敏夫紹介)(第三三四六号)  同(池端清一紹介)(第三四一四号)  同(大塚雄司紹介)(第三四一五号)  同(加藤六月紹介)(第三四一六号)  同(小林恒人紹介)(第三四一七号)  同(佐藤信二紹介)(第三四一八号)  同(平沼赳夫紹介)(第三四一九号)  同(三ツ林弥太郎紹介)(第三四二〇号)  同(岡田正勝紹介)(第三四二一号)  同(部谷孝之紹介)(第三四二二号)  同(和田一仁紹介)(第三四二三号)  同(斎藤実紹介)(第三四二四号)  非戦、平和のための軍縮に関する請願安藤巖  君紹介)(第三四一三号)  日韓首脳会談中止等に関する請願外四件(河  上民雄紹介)(第三四二五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十日  朝鮮民主主義人民共和国へ帰還した日本人妻の  安否調査等に関する陳情書  (第一四八号)  高麗民主連邦共和国創立に関する陳情書外五件  (第一四九  号)  婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関す  る条約批准に関する陳情書外五件  (第一五〇号)  朝鮮半島自主的平和統一促進に関する陳情書  外二件  (第一五一号)  世界連邦実現等に関する陳情書外八件  (第一五二号)  核兵器撤廃及び軍縮推進に関する陳情書外  七十二件  (第一五三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  原子力平和的利用における協力のための日本  国政府オーストラリア政府との間の協定の締  結について承認を求めるの件(条約第一三号)      ――――◇―――――
  2. 中山正暉

    中山委員長 これより会議を開きます。  原子力平和的利用における協力のための日本国政府オーストラリア政府との間の協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  原子力平和的利用における協力のための日本国政府オーストラリア政府との間の協定締結について承認を求めるの件の審査のため、本日、電気事業連合会副会長大垣忠雄君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中山正暉

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 中山正暉

    中山委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高沢寅男君。
  5. 高沢寅男

    高沢委員 今回の日豪原子力協定ですが、これが改定をされるきっかけになった出来事として、一九七四年の五月にインド核実験を行ったということが、この改定の直接の契機になっているわけでありますが、そこでこのインドの行った核実験ですね、インドは当時どういう国との間に原子力協定を結んでいたのか、またそういうインドの結んでいた協定がどういう欠陥があったためにああいう核実験という事態になったのか、そういうインドに関連する状況評価判断をまずお聞きをしたいと思います。
  6. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  記憶に基づいてお答えいたしますと、当時インドアメリカとそれからカナダ原子力協定を持っておったと記憶いたしますが、それぞれはアメリカないしカナダが供給した設備ないし材料についてはIAEA査察を受け入れるという申し合わせになっておったはずでございます。したがいまして、インドが行いました核爆発は、御案内のようにカナダから提供を受けました炉における使用済み燃料を抽出いたしまして、これを自国産の技術であったものからプルトニウムを抽出して爆発を行ったという状況であったわけでございます。したがいまして、この場合インドが有しておりました全施設についてIAEA査察がかかる体制になかった。かつインド自身NPT加盟国ではないという状況から、インドの称する平和的な核爆発が行われたという状況でございました。
  7. 高沢寅男

    高沢委員 いまの点もう一度念を押しますが、そうすると、インド使用済み核燃料をいわば再処理する、それを自分でやった。そして、その過程プルトニウムを引き出して核爆発をやった。この再処理インドの能力なりあるいは施設なりというふうな関係IAEA査察というものがNPT加盟ということもあって及んでいなかったということからこういう事態になった、こういうふうに理解していいわけですか。
  8. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お説のとおりでございます。
  9. 高沢寅男

    高沢委員 このインド核実験の経験から豪州としてはこの原子力協定規制を強化しなければいかぬ、こういうふうなことになって日本豪州との原子力協定改定ということになってきた、こういうふうに説明がされているわけです。  そういたしますと、豪州側から見れば今回の新協定というものはいわば日本に対する核物質やあるいは原子力発電に関連する各施設設備あるいは技術というものに対する規制を強化する、こういう立場豪州側からは改定が出てきておる。それに対して日本側の今回の新協定の受けとめ方は、核燃料サイクル全体について包括的な事前同意制が今度はなされるということになれば、日本側から見ればこれによって原子力利用のいわば自主性が拡大される、こういうふうに評価されておる、こう見るわけです。そうすると、相手側から見れば規制強化、こちら側から見れば自主性拡大、この両者は何かいかにも矛盾する、こういうふうな感じがするわけですが、その辺の評価は一体どうかということをお尋ねしたいと思います。
  10. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  いろいろの見方、言い方があり得るかと思いますが、豪州と今回新しい協定をつくりますきっかけになりましたのは、御案内のように豪州側インド核爆発といった進展をも踏まえて、自分の国としてウランを輸出する際にどういう体制にあるべきかということを考えた上で新しい政策を発表した、それを反映しているわけでございまして、この場合に豪州として政策的な要請といたしましたのは、自分が出したウランが平和的な目的に限って利用されておる、それを一体どういう形で担保するかというのが豪州の基本的な姿勢と考えることができるかと思います。ある意味では規制が強化されたという言い方もできますし、あるいはその後いろいろ、当初の協定ができまして以来の国際的な動き、INFCEを含めまして、積み上がってまいりましたいろいろの発想をここへ取り入れて規定あり方をより精密にしたということも言えるかと思います。したがいまして、日本側から見れば規制が精密化されたけれども、そこに置かれているような規制は、日本として平和利用に徹する上で身のあかしを立てるという意味で当然あっていい規定であるという受けとめ方をできるかと思います。また先生御指摘のように、そういう一定のルールの中で平和利用が促進される限りにおいては個別に規制権を行使いたしません、あらかじめ合意された計画といいますか、プログラムの中における使用移転については豪州事前に包括的に合意いたしますというところで今回の協定ができているというふうに私ども考えております。
  11. 高沢寅男

    高沢委員 そういう御説明であるわけですが、とにかくこの核燃料発電で燃やす。燃やしたその廃棄物、これを今度は再処理をする。再処理をしてプルトニウムが出てくる。そのプルトニウムをまた燃やすというふうな全体の核燃料サイクル、このサイクルの循環に全体として包括的な事前同意をかけるということは、その過程一つ一つを個別的に審査する、規制するということから見れば、これは明らかに規制が緩むというふうに私は考えます。これは日本から見れば大変メリットだ、こういうふうに言われるわけですが、その点が豪州側から見て、そういう個別の規制よりも全体的、包括的な規制の方がいいんだという考え方も出てくるそういう背景がまだよく理解できないわけですが、豪州側から見てその辺は一体どうなのかということをお尋ねしたいと思います。
  12. 宇川秀幸

    宇川政府委員 豪州考えまで必ずしも責任を持って御答弁いたしかねますが、いま私どもが見ておる限りにおきましては、豪州はいろいろの国と原子力協力協定改定あるいは新規に行っております。そのすべてについて日本と同じようなプログラムアプローチをとったわけではございません。日本のほかにはユーラトムそれからフランス、スウェーデンといったような国が対象になっております。したがいまして豪州の方から見れば、日本施設で何がどういう形で使われるか、あるいは日本が現在利用しておる第三国施設利用の仕方がどうなっておるかということは事前にわかる——最初に申し上げましたように、豪州の最大の懸念は、平和的な目的に限定されてこれが使用されておるということが確認できるそういう国柄の国とだけおつき合いをしていくということでございますので、豪州にとってみれば緩んだとかきつくなったとかいうことよりは、自分たち政策目標日本との場合においては日本政策要請と合致したというふうに評価しているかと思います。
  13. 高沢寅男

    高沢委員 そういたしますと、豪州日本との間のそうした包括的な事前同意制というのは、これは一つの新しい形ができてきた、こう理解していいと思います。  そうすると、日本としては豪州以外にアメリカとかカナダとかあるいはイギリス、フランス、多くのほかの国とも原子力協定を結んでおりますが、対アメリカ、対カナダ、こういうふうな関係においても今度の日豪と同じような包括的な事前同意制というふうなものを取り入れる協定改定というものをこちらから提起していくのかどうか、またそういうふうな問題点について相手側の方は一体どういう考え方、どういう対応を持っておるのか、そういう関係をひとつお聞きしたいと思います。
  14. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  私どもとしてはこういうような考え方アプローチをほかの主要国との関係でもできれば採用いたしたいというふうに考えておりまして、現にカナダアメリカにつきましてはすでに話し合いに入っております。相手のことでございますので、確言は避けさせていただきたいと思いますが、詰まりぐあいいかんでは実現可能性があると私どもとしては評価いたしております。これが直ちに既存協定改定になるのか、あるいは既存協定の延長線上で可能な取り決めになるのか、これは細目いかんにかかることかと思います。英国フランスにつきましては、再処理については日本に対して同意権を先方は持っておりません。それから移転につきましては、フランスの場合には、移転先において国際原子力機関IAEAセーフガード保障措置がかかっておる場合には同意を必要としない、英国の場合には移転の実態がないということで、とりあえずはアメリカカナダとの関係を整理するということに精力を集中してまいりたいと考えております。
  15. 高沢寅男

    高沢委員 せっかく官房長官がおいででありますから、以下幾つか、官房長官お答えをいただきたいというような問題をお尋ねいたしたいと思います。  昨年の六月、イスラエルがイラク原子炉爆撃するという事件が起きました。この事件のときは幸いにして、そのイラク原子炉にはまだ核物質は挿入されていなかった、こういうふうなことであったわけですが、しかしこの爆撃は大変うまく命中して、原子炉がやられるというふうな事態が起きたわけであります。  これは、わが国にもたくさんの原子炉があります。それで、現に運転して発電をしております。こういう原子力発電所にもし万一何かこのことによって爆撃を加えられる、そしてその爆弾が命中した、そのために原子炉の中の核物質がそれこそ周りに飛び散るというふうな事態が起きはしないか。イラク原子炉爆撃されたあの事件のときに、それに関連して、もし日本原子炉がそういう爆撃をやられたらどうなるんだという議論が出たことは長官も御承知かと思いますが、そういうふうなことを想定するときに、一体この危険性というものをどういうふうに認識をされるのか、また、そういうことのないようなそれに対する保障措置というものを一体どういうふうにお考えになるのか、この関係を、官房長官の御判断をお尋ねしたいと思います。
  16. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 一般的に、原子炉が外からどれだけの力、攻撃が加えられた場合に、ただいま高沢委員の言われましたような災害に至るかということを、私は十分には存じておりません。一説によりますと、相当大きな力、原子力に近い力の破壊力が加わりませんといまおっしゃったような事態にはならないということを申します学者もおります。  しかしいずれにしても、これは私はよく存じませんことですから、それを高沢委員の言われるようにそういう危険があると考えまして、わが国の場合でございますと、最小限度自衛力を持ち、またアメリカ安全保障体制をとって外国からの攻撃を受けないような備えをしておるわけでございますが、何よりも憲法におきまして、国際紛争解決手段としての戦争を放棄しておるというわが国政策はすべての国に理解をされておると私は考えますので、意図的にただいまのようなことは起こらないものというふうに思っております。
  17. 高沢寅男

    高沢委員 実は私も、ある国から日本に対して不当な攻撃がなされるというようなことはない、そういう立場に立っております。しかし、いま政府与党のいわゆる安全保障政策というものを拝見するのに、そういう危険性はないとは言えないと、この場合あえて国の名前は言いませんけれども相当程度仮想敵国として想定された相手があって、それが来る危険性がある、こういうような立場で、いまの行革の中において、それに備えてとにかく軍事費は突出して拡大しなければいかぬとか、一千海里の航路はこうしなければいかぬ、あるいは日本の三海峡はこうしなければいかぬというようなことが現に政府与党政策として進められているわけであります。  したがって、そういう政府与党立場に立って考えてみれば、そういう攻撃がないとは言い切れないということになるわけですが、そのときに、いま言いましたように、たとえば原子炉がねらわれるというふうなことがあった場合に、最近もF4ファントム爆撃照準装置をつけられましたが、ああいうふうな照準装置をつければまさに百発百中的な効果があるんだ、こう言われておる、そして、非常に厚い防護物を突き破るだけの貫徹力を持った爆弾というものがいまは幾らでもできておるわけでありますから、そういうものでもって原子炉攻撃をされる、ねらわれるというふうなことになったときは、先ほどの長官お答えではありますけれども、そういう危険性というものが全くなしとは言えないということになるんじゃないかと私は思いますが、この点重ねていかがでしょうか、御認識をお聞きしたいと思います。
  18. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 そのような問題が仮にあり得るといたしますと、それに対する対抗策としては、原子炉そのものをいかなる攻撃にも耐え得る、原子力による破壊にも耐え得るものにつくるということは一つ考え方であると思いますけれども、しかし、果たしてそういうことが可能なのであろうか、またそれが賢明であろうかということになって、私は、本当の対応策はやはりわれわれとしては、平和愛好国であって、国際紛争解決手段としての戦争は放棄しておる、そういう日本あり方というものを外国に間違いなく理解をしてもらうことだと考えております。  確かに、高沢委員の御指摘になりましたように、いろいろな備えはいたしておりますが、これは申すまでもなく自衛のための最小限のことをいたしておるわけでありまして、私どもはそれが、そういう意味での抑止力にはなっておる、そうは考えております。ただ、そのことは決して、国としていずれかの国を仮想敵として政策運営考えているということではございません。政府は、どこかの国を仮想の敵であると考え政策を行っておるといったようなことはいたしておらないつもりでございます。
  19. 高沢寅男

    高沢委員 私があえて非常にあってはならぬことまで想定してこういうことをお尋ねしているということは、もしそういう危険があるという想定に立てば、私は、原子力発電などは危なくてできないはずだ、原子炉はもう危なくてつくれないはずだということを実は言いたいわけであります。しかし、現実政府与党は、原子力発電を進める、原子炉をつくるということを進めておられる以上は、今度はそういうどこかの国から攻撃をされるというふうな事態は絶対にあらしめてはならぬ、こういう点においての政府与党政策運営責任はまことに重大である、こう思うわけであります。  そういう点において、いま長官からは、何かの仮想敵を持つというふうなことはしないんだ、こういう御説明がありましたが、しかし現実には、そういう仮想敵に類するようなものを設定して、そしてそれに向けての実際の防衛体制が着々強化されるというように進行していることをわれわれとしては大変憂慮するし、これで進んでいったらこれは大変なことになるんじゃないかと実は心配しているので、ここであえてこの原子力の問題に関連しながら問題を出したわけであります。  そういたしますと、これはいまの長官のお言葉の中にもありましたが、日本としてはいかなる敵をも持たない、文字どおりの全方位外交というものを平和憲法の上に立って推進をしていただきたいということを、この場をおかりいたしましてもう一度重ねて要望申し上げるということで、ひとつ長官の御意見をもう一度聞かせてください。
  20. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 わが国現行憲法のもとにこのような体制をとりまして三十何年経過をいたしました。幸いにして大きな戦争がなく世界の平和が保たれておりますが、もし世界の情勢がそうでなかったといたしました場合には、単に原子炉にとどまらず、われわれが今日持っておりますところの大変に広い範囲における状況について、全く破壊的な結果になるであろう、つまり、われわれが今日やっております非常にたくさんのことが、世界平和が維持されるという前提のもとに行われているのではないかと思います。そのことは原子炉にとどまらないと私は思いますので、それだけわが国の平和への努力、貢献というものが私は大切だというふうに考えております。そう考える点において、高沢委員と所見は私、異にいたしておらないと存じますが、ただ、そのためにも、われわれとして最小限の自衛力を持つことはそのような事態を抑止する力になると政府考えて、自衛力の最小限の整備、日米安保体制等々をとっておりますが、この点につきましての考え方は、高沢委員と私とあるいは考え方を異にいたしておるかもしれないと思います。しかし、究極的な目的におきまして、私は、高沢委員の言われますことは私ども考えておりますことと異ならないと思っております。
  21. 高沢寅男

    高沢委員 問題を次へまた進めてまいりたいと思います。  これは、新聞の報道によりますと、昨年、日本原子力産業会議と中国の第二機械工業省との間で、原子力平和利用について、これは民間の協定として結ばれたということを拝見いたしております。     〔委員長退席、愛知委員長代理着席〕  それからまた、本年の二月に、中国がわが国の大手商社何社かに対して、中国としては濃縮ウランとかあるいは重水とかこういうものを第三国へ売りたい、しかし、その売る、そういう業務について、日本の総合商社にそれをひとつやってくれないかということが中国側から要望がなされたというふうに、これも報道でもってお聞きしているわけですが、こういう日中間の民間の原子力平和利用協定であるとかあるいはいま申し上げたような、そういう濃縮ウランや重水を日本の商社が中国から委託を受けて第三国へこれを販売していくというふうなことがもし本当に行われるとした場合に、これは日本政府として、このことをどういうふうに評価され、また、それに対してどう対応されるか、まずお聞きをしたいと思います。
  22. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  民間レベルでの原子力平和利用分野においての協力自体はそれなりに結構なことであろうと考えております。  この民間の協定によりますと、相互に専門家ないし技術家の派遣、交換それから会議、セミナー等への参加あるいは関連分野での情報の交換というようなことでございますので、この点については結構なことであるというふうに考えます。  一部原子力関係物質の第三国への輸出につきましては、その態様いかんでは問題を生じるという観点から、政府としても、新聞報道で私は承知している限りでございますが、その点については慎重な配慮が必要であろうと考えておりますが、現在の時点では各商社としましても、拡散のリスクを増大するということがあってはならないという観点から行動をされておるものと了解いたしております。
  23. 高沢寅男

    高沢委員 その第三国への、そういう核物質や重水を販売する、それを日本の商社が委託を受けるという、このことについて、それでは政府当局として、そういう委託を中国側から受けた日本の商社、そういうところの責任者の人たちとそのことについて何か協議なり、また、そういうことは一体実態はどうなんだということをお尋ねになったり、そういうことをされたことがありますか。いかがでしょう。
  24. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 通産省といたしましては、わが国原子力資材の貿易に関しまして、核拡散防止条約それからロンドン・ガイドライン等の国際約束、合意にのっとりまして、厳重に核不拡散の観点から平和利用を担保して規制をしているところでございます。  先生御指摘の第三国貿易あるいは第三国の役務の交流に関しましては、現行の外為法上は一切の規制はございません。しかしながら、私どもといたしましては、ただいま宇川議官お答えになりましたように、常日ごろ、核不拡散の精神にのっとった原子力貿易のあり方を指導しているところでございまして、商社が実際にそういう取引にかかわることはないと承知しております。  それから、現時点で、そういう報道が出ました際に、通産省といたしまして主要な商社に関しまして事情聴取をいたしました。各商社といたしましても厳に平和利用を担保して原子力貿易に携わっているということを確認しているところでございます。
  25. 高沢寅男

    高沢委員 いま、平和利用を担保してやっておる、こう御説明があったわけですが、ただ、この場合の問題は、その濃縮ウランや重水の販売を依頼してきている中国は核防条約加盟していないわけであります。そういう状態のときに、こうした中国の核物質を扱うのに、軍事利用平和利用の区別が果たしてできるのかどうか、あなたの言われたそういう平和利用の担保ということが本当にできるのかどうかということについて、これはいかが判断されるか、お聞きしたいと思います。
  26. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 中国が核拡散防止条約に入っておられないということでございます。  私どもは、まず原子力貿易に関しましてはロンドン・ガイドラインそれから核拡散防止条約にのっとりまして、その要承認品目として、輸出貿管令にのっとりましてチェックをしております。その際に、指定されております品目に関しましては、確実な政府間の保証を文書によってとりまして、チェックをしつつ、日本からの資材の輸出に関してはチェックしているということでございます。そのような私どもの方針については、あらゆる国に対して適用するというところでございます。
  27. 高沢寅男

    高沢委員 くどいけれども、それは日本からの輸出は、いま言われたようにそういう、チェックされるし、また日本の貿易管理令でこれをちゃんと規制する、これはできると思いますが、中国の品物を日本の商社が委託されて、第三国へ持っていく、この場合は日本は通らないわけですよ。こういうときに、日本の貿易管理令で一体チェックできるのかどうか、そこをもう一度説明してください。
  28. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 御説明いたします。  第三国貿易に関しましては、わが国の現行の貿易管理令においては規制の対象となっておりません。しかしながら、私ども常日ごろ、核不拡散の観点から、商売の対象国及びその品目の内容に関しまして、各関係者、産業界、商社等に注意を喚起しているところでございまして、わが国の商社は、中国が先生御指摘のようなそういう状況にあること、そして重水なり濃縮ウランが国際的にも、重要な機微なる物質であることを十分に理解をいたしまして実際の商売に携わっておる。したがって、そういう実際の商売に携わるということはないと承知している次第でございます。
  29. 高沢寅男

    高沢委員 この問題がもし進むとすれば、日本政府としては、そういうものを取り扱う日本の商社に対する、あくまで指導を、これを誤りないようにきちんとやってもらわなければいかぬということが一つ出ると思います。  もう一つは、これは長官へのお尋ねになるわけですが、その中国の核防条約加盟していない、これは私は、中国には一つの独自の考えがあってこうなっているのじゃないかと思うのです。それを私なりに推察いたしますと、実は過去においてわが社会党の代表団が中国を訪問したとき、当時まだ生存しておられた毛沢東主席との会談の中で、核兵器の問題が会談の話題になったことがあります。そのときに毛沢東主席の言われた言葉は、世界じゅうに核兵器を持っている国は一つもない、全部核兵器がないという状態が一番よい状態である。これが最善の状態。それから、アメリカとソ連は持っていてそれ以外の国は核兵器を持っていない、こういう状態は一番悪い状態である。それで中ぐらいのいい状態は、要するに米ソ以外のほかの国もみんなどんどん核兵器を持つ、みんなどんどん大いに持つのが中ぐらいのいい状態であるということをこの毛沢東主席が言われたことがあるのです。そうすると、中国が核防条約に入らないということは、こういう一つの哲学といいますか考え方があって入らないのかなというような感じもするのです。しかし今度の核禁の国連軍縮特別総会との関連においても、確かにこの核防条約は見方によればいろいろな欠陥があります。しかし、そうであるだけにこの核防条約をより欠陥のない、より平和のためのよい条約にさせていかなければいかぬと思うときに、そのための方法は、まだ加入していない国に加入してもらうということが大変大事なことだと思います。そういたしますとわが国政府として、この中国側の責任ある人たちとの会談の中でこうした核防条約の問題を話題にされ、あるいはまた中国に対して核防条約に加入されるのがいいのではないかというふうなことをお話をされることがいままでにあったかどうか、あるいはまた今後そういうふうなお話をされるお考えがあるかどうか、この辺のところをひとつお尋ねをしたいと思います。
  30. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 この問題は核不拡散条約を御審議願いましたときにも何度かお尋ねがございまして私お答えを申し上げた記憶がございますが、あの条約は普遍的になるべく多くの国が加入をするということによって、つまり普遍性によって大きな意味を持つものであるというふうに考えております。したがいまして、わが国はいままででも国連等の場を通じまして、中国もそうでございますしフランスその他未加盟国加盟を訴えてまいったと承知をいたしております。また近く軍縮特別総会がございますが、この機会におきましても未加盟国に対して条約への加盟を働きかけていくことが必要ではないかと存じております。
  31. 高沢寅男

    高沢委員 私実はフランスについても同じことが言えると思うわけであります。つい先日、フランスのミッテラン大統領が来日されて、その際日本フランスの間で科学技術協力体制を大いに進めましょう、こういう合意がなされた、その科学技術協力体制の中にはいわゆる原子力関係のものも含めて合意をされた、こうお聞きをするわけですが、そういたしますと、われわれのそうした協力体制をとりましょうという相手フランスが核防条約にまだ入っていないということはこちらからすれば非常に大きな不安の材料である、こう言わざるを得ないと思います。そういう点において、政府としてこのミッテラン大統領が来日されたときに核防条約への加入ということを話題にされたことがあるのかどうか、また、そういうことをフランスに勧告される、忠告されるというふうなことをこれからおやりになるのかどうか、その辺のところも同じようにお聞かせいただきたいと思います。
  32. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 先般ミッテラン大統領来日の折にそのような訴えをわが国がいたしましたかどうか、私つまびらかにいたしておりません。総理大臣との会談には私立ち会っておりましたが、その節にはそういうことはなかったと記憶をいたしております。ただ、従来ともフランスに対しましても加盟されることが望ましいということはいろいろな場合に訴えてまいりましたことは事実でございます。
  33. 高沢寅男

    高沢委員 私がこういうふうに核防条約の問題で未加入の国の加入促進ということを申し上げるのは、しかしまた裏返して、今度は核を持たない国で核防条約に入っている国には、おまえたちは核兵器を持ってはいかぬぞ、一言で言えばこういうことです。だけれども、持っている国はずっと持っていくということではこれほど不平等なことはないわけでありますから、したがいまして核防条約というものを本当に平和の体制のものにしていくためには、今度は持っている国に対しては核兵器をやめなさい、核兵器を廃棄せよということを主張していくことが当然、これは両々相まって初めて全面的な平和政策になる、こう思いますが、こちらの側面はこの後いずれ今度は軍縮関係条約の審議がありますから、その際に当然論議することになるかと思います。いずれにせよ、いま私の申し上げた中国なりフランスは核を持っている国でまだ核防条約に入っていない。今度はこのほかに核を持っていない国でまだ核防条約に入らない、たとえばインドやパキスタン等々の国があるわけですが、これら両面に対して、わが国政府としては平和外交の重要な部面として核防条約への加入、参加をそれらの国に要請していく、これを促進していくということをひとつ大いに進めていただきたいということをここでは御要望として申し上げて、次へ進みたいと思います。     〔愛知委員長代理退席、委員長着席〕  もう一度、今度は条約の文そのものの方へ若干戻りますけれども、この協定の第四条の一項、ここで核物質に対する「防護の措置をとる。」ということが規定されているわけでありますが、この協定の中の「防護の措置」という規定づけ、それからそれとは別に多国間条約としての核物質防護条約というものが一九八〇年、まだ一昨年、つい最近でありますが、署名のために開放されておる、こういう状態であります。この核物質防護条約というものと日豪原子力協定の中の核物質防護の規定、この両者の相互の関係がどういう関係にあるのかということをまず説明をしていただきたいと思います。
  34. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  防護の具体的なやり方、水準については実際上の差異はございません。豪州日本の場合には国内施設及び施設間の移動等が主たる対象でございます。いわゆるPP条約、防護条約と言われますのは国際間の輸送を対象とするというところから若干の差異は出ておりますが、非常に細かい話になりますので、実際上には全く差がないというふうに御理解いただいてよろしいかと思います。
  35. 高沢寅男

    高沢委員 では、この核物質防護条約、これはいずれわが国も当然加入されるということになるかと思いますが、その辺はいつごろというふうなめどまで持ってお考えなのかどうか。いつごろこれに加入されるということになりましょうか。
  36. 宇川秀幸

    宇川政府委員 めどにまでつきましては確言いたしかねますが、私どもとしてはぜひ入るべき条約であると考えておりまして、その準備を鋭意進めたいと考えております。
  37. 高沢寅男

    高沢委員 それでは、これはまた長官に、早くそういう加入の手続を進められるようにお願いをいたしたいと思います。  それで予定の二十分になりますので、私また後ほど三十分時間をいただいて質問の継ぎ足しをいたしますが、今回の質問はこれで一応終了して、小林委員に交代をいたしたいと思います。
  38. 中山正暉

    中山委員長 次に、小林進君。
  39. 小林進

    小林(進)委員 私の持ち時間は一時間でございますが、これが櫻内外務大臣ですと、あの人はなかなか正直で人柄もいいので一時間有効に使えるのだけれども、どうも宮澤さんがここに来られると、御承知のとおり宮澤さんは白を黒とも言い、黒を白とも言うテクニシャンでなかなか上手に逃げられるので、われわれとしては非常に悪いのが来たという感じですが、きょうはそのテクニックはやめて、そのものストレートでお答えをいただきたいと思うのでありますが、時間が時間ですから、ひとつ順序、序列はこだわらないで、そのものだけ順次質問を続けていきたいと思います。  第一問といたしましては、これは最近でありまするけれどもアメリカスリーマイル島の原発の汚染の問題に関連いたしまして、その汚染を除去するに七億五千万ドルの金がかかる。これに対しまして、スリーマイルアイランドの電力会社は、金がない。アメリカ政府も、補助金を出してこの汚染を除去するだけの余裕もない。そこで、アメリカのエネルギー庁とそれからスリーマイル島の事故を起こした原発会社とが、日本政府とそれから日本の電力会社に対して、一年間一千万ドルで三年ないし五年、三年と言えば三千万ドル、五年と言えば五千万ドルの援助を求めてきておる。その交換条件は何かと言えば、スリーマイル島の汚染の状況あるいは燃料棒の破損などの材料を日本側に提供して、日本原子力発電所の安全の資料としてこれを提供する、こういう申し出があったというのでございますが、まず第一問として、この事実が一体あったのかないか、政府並びに電力事業団、両方にひとつお答えをいただきたいと思うのであります。
  40. 戸倉修

    ○戸倉説明員 お答えを申し上げます。  ただいま先生御質問のございましたスリーマイルアイランドの原発の協力関係につきまして、政府間でそのような正式な話があったということはございません。
  41. 大垣忠雄

    大垣参考人 電気事業連合会の大垣でございます。  お答え申し上げます。  民間側に対しましては、昨年の末に米国側の関係者から非公式な打診があったというふうに聞いておるわけでございますが、つい最近、アメリカのEEI、エジソン電気協会の会長の方から電気事業連合会に対しまして、このことに関するレターが参っております。いま先生お話ございましたような具体的な中身はございませんが、話し合いたいというレターでございまして、ついせんだってのことでございますので、私どもはこれを受けまして、中身もはっきりいたしませんが、現在どうするか検討しておるという状態でございます。
  42. 小林進

    小林(進)委員 そういたしますと、昨年の暮れに非公式な打診があって、レター、手紙が来たということだ。それについて皆さん方連合会でお話しになっているというその話は、どうですか、政府の方にも通じておりますか。私の方では、向こうでは日本政府と皆さん方民間事業団の方と両方に打診をしているという情報をとっておるが、いま政府のお話とすると、そんなことはないと言う。大体政府なんというのは、君なんて本当は、説明員というのは出てきちゃいけない。ちゃんと責任ある政府の答弁者が答弁するようにしてもらいたいが、その関係はどうですか。政府の方に行っていますかどうか。
  43. 大垣忠雄

    大垣参考人 お答え申し上げます。  ただいまのお話でございますが、私どもの方にレターが来たばかりでございまして、このことについて何か政府の方にレターが行っているかどうかというようなことにつきましては、私ども存じておりません。
  44. 小林進

    小林(進)委員 それからもう一つ、EEIとかなんとか、ちゃんと日本語で言いなさい。
  45. 大垣忠雄

    大垣参考人 EEIと通称言っておりますが、エジソン電気協会、エジソン・エレクトリック・インスティチュート、ワシントンに本部がございますが、アメリカの電力会社の経営政策等に携わる電力会社で結成しておる組織というふうに理解をいたしておりますが、その組織でございます。
  46. 小林進

    小林(進)委員 これはあなた方の方へも連絡があったという、やっぱりちょっと日本と組織が違うかもしれませんが、電力会社と協会というか、そういう機関からあったということで、これは政府機関じゃありませんね。私の方ではそういう電力会社の機関とあわせて、アメリカのエネルギー庁と両方の名前で、日本政府とあなた方の民間会社と両方にサウンドがあったというふうに聞いているのですが、どうですか、政府の方にはまだ何もありませんか。
  47. 宇川秀幸

    宇川政府委員 正式の書簡その他でもって相談を受けたことはございません。(「非公式に」と呼ぶ者あり)非公式といいますか、こんな話があるということは耳にいたしました。米側の関係者から直接ではございません。
  48. 小林進

    小林(進)委員 しかし、あなた、だれから耳にしたの。あなた方、だれから耳にしたの。
  49. 宇川秀幸

    宇川政府委員 業界の方からそんな話があるということを非常に一般的な形で耳にいたしました。たとえばいま御答弁ございましたような、電事連に対して書簡が来ておるとか、その書簡の内容その他について、私の方には特定の報告があったわけではございません。
  50. 小林進

    小林(進)委員 なかなか官僚答弁で、みんな宮澤さんの答弁に似てきたような答弁をしておるが、そういうことはよくないよ。何とか責任を逃れよう逃れようとするけれども、そういうさもしい答弁じゃいけない。きちっとやれよ。時間がないから残念だが。  そこで聞くが、もしそういう非公式なり公式なり一つのそういう打診があった。それを一体日本政府並びに会社としては、これを受け入れる気があるかどうか。先ほど相談中とおっしゃったけれども一つの大綱としてこれを受け入れるお考えはあるかどうか。受け入れるとするならば、どういう理由づけでこれを受け入れられるか。向こうは御承知のとおり、私の方の情報では、とにかく一年間一千万ドル、三年間ないし五年間。三年と言えば三千万ドル、五年と言えば五千万ドルひとつ日本で援助をしてくれ。貸してくれと言うのじゃない。寄付してくれと言うのだ。そのかわり資料を上げます。ここまで具体的に詰められてきているものに対して、皆さん方はこれをどういう態度でもっていかれるか、これを聞きたいわけです。これは政府にも聞きたい。会社にも聞きたい。
  51. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、詰まった話としては私は聞いておりませんので、はなはだ仮定の問題としてお答えさせていただきます。  これはひとえに今後の安全対策を考える、そのための勉強の手段としていかに評価できるかいかんにかかわるかと存じます。外務省限りで決められることではもちろんございません。関係省庁、特に詳しい技術的な知識をお持ちの関係省庁並びに民間の考え方も十分お聞きした上で、相談しながら決めるということかと思います。
  52. 大垣忠雄

    大垣参考人 お答え申し上げます。  ただいま申し上げましたように、私どもこのレターはひとつ双方で話し合いたいという申し出のレターが届いたばかりでございまして、したがってこれにどのように対応するのか、これから関係者の間で協議をしようということでございまして、方向等については全く決めておりません。
  53. 小林進

    小林(進)委員 どうも私はこの問題について、アメリカ側はそのための交換条件として、いわゆる汚染の状況、燃料棒の破損などの材料、その他日本原子力発電所の安全のために必要な資料を提供する、これにまず私はこだわらざるを得ない。非常にこだわっている。これが一点です。  いま一つは、スリーマイル島の事故が起きたときに、科学技術庁の安全局かどこかが五十二点の条項を、視点を決めて、この五十二点に対して日本発電所の再点検、再調査をしなさい、こういう微に入り細なる指示が与えられておって、これを全部調査をすれば、まずまず日本原子力発電所はスリーマイル島のようなことを二度と繰り返すことのない、まことに完全な安全体制ができ上がる、こういうことをしばしば国会の中で繰り返されていた。一体、事故が起きて以来のこの五十二点、安全局の指摘したその問題の調査の結果はどうなっているのか。これが完全にでき上がっていれば、改めてスリーマイル島あたりから新しい原発の破損の資料なんかはちょうだいする必要はないだろうと私は考えるが、その後の経過はどうなっているのですか。
  54. 末広恵雄

    ○末広説明員 お答えいたします。  スリーマイルの事故の後、原子力安全委員会の方で指摘がございました五十二項目は、原子力発電所の設計、いろいろな安全審査、それから建設段階あるいは運転管理、さらに安全研究等につきまして、今後の安全対策に反映すべき事項という項目が五十二項目挙がっているわけでございますが、これらにつきまして、各発電所ですぐ適用すべきものについては順次その段階で適用してきております。  なお、この五十二項目の中には安全研究等の項目も入っておりますので、そういったものにつきましては、予算措置等を講ずることによって順次いま研究を進めているところでございます。
  55. 小林進

    小林(進)委員 研究を進めているということになれば、これはアイ・エヌ・ジーだ。まだ完成していない。何も完成していない。そうすると、やはりこれはスリーマイル島に五千万ドルの金を出しても向こうから資料をもらって、相当研究、改善をする余地があるという理屈になります。  そこで、これほどの事故が起きた、日本にはこんなもの起きない、起きないと盛んに外に向かってPRをしていたのだが、いま話を聞いてみればまだ研究中だ。じゃ一体、実際に工事を進めている電気事業団はスリーマイル島あたりに調査に行かれましたか。皆さん方はいままで一体どの程度これを参考にして、これを他山の石として受けとめられたか。これは事業団に聞いておきましょう。
  56. 大垣忠雄

    大垣参考人 お答えいたします。  私ども原子力の専門家がその後現地にも参りましたし、また現地の関係者からもいろいろ事情を聴取いたしましたし、また政府関係御当局からの御指導も受けまして、全国の各発電所につきましてはこれをしさいにチェックをいたしまして、そのようなことが起きないという自信を持ってその後運転に当たっておるわけでございまして、先生の御指摘のような心配はいままでのところ起きておりませんので、われわれは自信を持ってやっておるという次第でございます。
  57. 小林進

    小林(進)委員 スリーマイル島の事故をあなた方専門家の方で調査に行かれたとか言ったね。電気事業団で行ったのか各企業自体で行ったのか知りませんが、調査に行かれたのですね。いま行かれたと言われましたね。専門家が行かれて、調査をされた。でありますから、その報告書類というのは各企業ごとにでき上がっておりましょうな。調査の結果、わざわざスリーマイル島の現地を視察においでになったのですから、報告書はありましょう、いかがですか。事業団の中にあるのか、各企業、九電力会社ごとにあるのかどうかは別として、報告書はあると思いますが、いかがでしょうか。
  58. 大垣忠雄

    大垣参考人 原子力関係者が種々の調査をいたしまして、あの場合の御承知のようなタイプの分とわが国のタイプの分は違うわけでございますけれども、あのタイプでどこが原因でああいう事故が起きたかということを関係者が解明をいたしまして、わが国の場合にこれを当てはめたときにそういった心配はないのかどうかといったようなことに関する解明をいたしたものが原子力関係者には報告をされております。ただ電気事業連合会の方に、手元にそれはいまございませんけれども、各社ではそれを無論承知をした上でそれぞれの発電所についての対応を図っておるという次第でございます。
  59. 小林進

    小林(進)委員 いま委員長、お聞きのとおりでございまして、調査の結果は書類にして、報告書類は各企業ごとにでき上がっているのです。これは何も秘密を要する資料じゃございませんから、私ども大いに将来学ぶ必要があります。これは委員長においてその資料を各企業から取り寄せて、われわれの方に資料を届けるようにお手配をお願いいたしたい。
  60. 中山正暉

    中山委員長 努力いたします。
  61. 小林進

    小林(進)委員 事業団の方にもどうぞそれをお含みおきいただきたい。これをお願いしておきます。  それから次は、私は先ほどから言っておりますけれども、原発には一つの国際機関があるのだ。その国際機関があらゆる資料を収集したり、あるいはその事故発生の原因を追求したりすべきことは、私は当然だと思うのですが、私の調査によれば、日本が金を出せば日本にその特定の資料を差し上げるというこの物の言い方とやり方は私は大変な問題点じゃないかと思うのでありまして、こういう原子力発電等については、スリーマイル島の事故の発生の原因あるいは被害の状況その他は安全を確かめる国際機関に全部集められて、その機関を通じて各国の原子力関係あるいは電力というところへ正しく情報が流れていくという国際的なシステムが私はなければならぬと思う。それはいまないのですか。スリーマイル島関係の資料は電力会社からもらわなければあとは世界のどこの機関にもそういうのがないということになると、私は大変な問題だと思うのでございますが、いかがでございましょう、この点は。
  62. 宇川秀幸

    宇川政府委員 スリーマイル島に具体的に限った情報の有無については私は承知をしておりませんが、一般的に申し上げますと、ウィーンにございます国際原子力機関IAEAにおいては、安全性の問題その他についていろいろ追求いたしておりますし、スリーマイル島自体についてもいろいろ専門家が集まって審議をいたしております。それからIAEAの一般則といたしまして、安全性に関する情報あるいはどういう形で運営をされるべきであるのか、その他についてはできるだけ積極的に広報をするというたてまえになっております。最近IAEAでも事務局長の交代がございまして、特に新事務局長はその面を重要視して活動を拡大いたしたいということで、最近、新年度の予算におきましてもそのような方向の手当てが行われております。
  63. 小林進

    小林(進)委員 そこがポイントなんですよ。こういう人類を滅亡せしめるような原子力の安全性の問題については、いまの国際原子力機関でもいい、どこでもいいが、直ちにそこに、世界のどこで起こった事故でもそういう国際機関にその資料が全部集まっていく。そしてわれわれはその機関を通じてすべての資料が手に入るという、そういう国際的なきちっとした組織ができていなければならぬ。これが完成をしているならば何も、スリーマイル島に金をよこしなさい、そのかわりおまえのところだけが特定に、日本だけその事故の資料を上げます、核燃料棒がぶっ壊れたその破壊の理由を教えましょうという、こういう言葉は出てこないと私は思う。本当に安全を国際的にも、いまは日豪条約の問題でこの安全確保の問題がやかましく条約の中に細かく規定されているが、これなんか、重要なら重要なほどそういうきちっとした国際機関をまずつくって、そこから一切の資料を獲得するという方向に進んでいくのが本当じゃないかと私は思う。同じ五千万ドルを出すのならば、そういう機関をつくる、そっちの方へまず日本が指導力を握り、必要な金も出す、これが正しいあり方じゃありませんか。ただ、アメリカさんのおっしゃったことだから何でもいい、出せとおっしゃったから出さなければならないというお考えでいらっしゃるのかどうか。  私の言っている質問、御理解いただけましたか。その上でひとつ御答弁を願いたいのでございますが、いかがでしょう。宮澤さん、いかがですかな。官房長官、いかがでございましょうかね。
  64. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  御趣旨はよくわかりました。かつ、その安全性の広報あるいは知識の集積につきましては、私どもとしても、先ほど申しましたウィーンにある国際原子力機関IAEAのみならず、OECDにございますNEA、原子力機関等でも従来から主張してまいったことでございます。  ただ、一般論として申し上げれば、技術的な精密な調査というものは資金がかかることでございまして、その意味で、そういう直接の分解解析作業に入るということは、たとえ日本におきます原子力施設と直接関連がない場合であっても、なぜ事故が起こったのかということを解明して、そういう知識水準を高めておくこと自体には意味があると存じますので、先ほどお答えいたしましたように、そのような要素をすべて勘案した上でいろいろ対応ぶりを考えるというのが正しい方向かと存じます。
  65. 小林進

    小林(進)委員 こればかりやっておりますと時間がもうありませんから、私は残念ながらここで打ち切りますけれども、金を出すなと言うのじゃないのですよ。出すのはいいが、いま少し、事故を起こしたその会社とだけの特定な取引で特定な資料を得ますなどという、そういうこそくな取引じゃなくて、原子力の安全性というものは、どこでもちゃんと資料を集めて、そしてどこでもその資料を渡し得るような、そういう国際機関をいまこの際設立しておくことが、将来の問題処理上一番大切なんじゃないか、一番重要なんではないか。それを私は申し上げている。いいですか。そういう問題ですから、その点をひとつよくあなた方考えておいていただきたい。  私はこの質問をこれで打ち切ったわけじゃない。時間がないから留保しておくんだが、そこで私はいまの問題に続いて次の問題に移ります。  電力会社の方来ておられるから言うけれども、新潟県の出雲崎というところにまた第三の原子力発電所をおつくりになるという話がいま巷間に漏れているのです。御承知のとおり、あの柏崎に、あなたはどこだか知らぬけれども、ともかく百何万キロワットの原子力発電所をおつくりになる。僕はさっき勉強して驚きましたな。百万キロワットの原子力発電所を一年動かしていると、百七十キロのプルトニウムができ上がるんだってね。これは驚いたね。それが二百万キロワットで四基もつくられたんじゃ、柏崎だけで動かしても、千三百六十キロというプルトニウムがあの柏崎の狭い土地ででき上がるということになる。それからわずか四十キロか五十キロしか離れないところに巻の原発というのがある。いまはもう電調審も通過して着工の寸前まで来ている。そういう近距離の二つのそのまた真ん中ごろ、そこの出雲崎というところにまた原子力発電所をおつくりになるという声がある。地元の人たちはふるえ上がっておりますよ。  何で一体そんなところにつくるんだ、何でつくるんだと言ったら、あそこに大光相互という不良相互銀行があって、それが出雲崎というところに約九十何ヘクタールかの土地を買って、ゴルフ場か何かをつくろうと思ったけれども、時代の趨勢でゴルフじゃ商売にならない。その土地があいている。それをどう活用するかと考えたら、原子力発電所が一番いいと言う。金も出るし、政府も賛成するし、電力会社も飛びつくし、それで不良資産のそれを解決のために第三の原子力発電所を二つの地区の真ん中ごろにつくろうという、実に住民をないがしろにした、小ばかにした、本当に腹も立って腹も立ち切れないような、そういう話が流布されておる。つくるとすれば、やはりあなた方電力事業団の中の仲間のどこかの会社が着手をせられることになると思うのであります。その進行状況についてひとつお聞かせを願いたい。
  66. 大垣忠雄

    大垣参考人 お答え申し上げます。  電気事業連合会でございますので、個々の電力会社の個別の地点の問題についてはつまびらかじゃございませんが、現在柏崎・刈羽地点及び巻地点についてのそれぞれの推進を東京電力、東北電力ともに図っておりまして、出雲崎地点についてのそのような話については、私どもは全く関知をいたしておりません。
  67. 小林進

    小林(進)委員 これは本当に地元の問題としては重大問題ですから、私もはっきりした話を承って、政治的発言じゃなくて、イエスかノーかでやってもらいたいのです。  その土地はそんなわけで、大光相互銀行ですか何か、背任や横領に重役が係って裁判問題をいま起こしておりますね。その土地はまだ押さえられておる。押さえられているが、やがてこれが凍結解除をされた場合にはどこかの電力会社が手に入れるという勘定になりましょう。だから、いまはどこの電力会社も土地は買っていないわけですよ。いないわけだが、大体資本家なんというのは先の先から読んでいく。悪知恵が一番発達するのはそこら辺なんだ。だから、いまあたりもうこの凍結された土地の上に原子力発電所をつくるという設計が描かれているのじゃないか。その考えで見ると、国道がひん曲がってそばへ来たり、バイパスの道路がその地区に入ったり、やはりあらゆる外部工作が行われるというふうな観なきにしもあらずなんですよ。  どうですか、これは。電力会社、本当に皆さん方関知しませんか。電力事業団としてはしませんか。政府の方はどうですか。そういうふうなところにいま第三の発電所をつくるという構想が、幾らかでもにおいがあるならあると教えてください。両方から……。
  68. 戸倉修

    ○戸倉説明員 私ども、毎年電気事業者から、これから先将来十年間の施設計画というのをとっておりますが、各電力会社から提出されました計画によりますと、ただいま先生御指摘のような地点におきまして電力会社が計画しているというような事実は全くございません。
  69. 大垣忠雄

    大垣参考人 先ほど申し上げましたように、私ども、出雲崎地点のことにつきましては全く聞いておりません。
  70. 小林進

    小林(進)委員 それでは、これは重大問題ですからいま一つ念を押しておきますが、少なくとも十年の計画の中にはないということですね。これから先十年間、一九八二年から九二年に至る限りの計画の中には、この出雲崎地点に原子力発電所をつくるという計画はない、その点こういうふうに受け取ってよろしいですね。その後はわからぬ、十年後にはわからぬ、こういうことですね。どうですか。
  71. 戸倉修

    ○戸倉説明員 ただいま御説明を申し上げましたように、私どもが電力会社の発電所の計画を知り得るのは、毎年の施設計画で知り得ることと、それから施設計画に掲上する前に地元等に申し入れ、あるいは地元からの誘致がある場合がございます。そういったことを含めて電力会社がそういうような計画はいま持ってないというふうに承知いたしております。
  72. 小林進

    小林(進)委員 それじゃいまの御答弁で、まあまあ少なくとも十年間は地元の諸君はまくらを高くして寝られる、こういうふうにひとつ受け取りまして、次の質問に入りたいと思うのでございますが、私は原子力発電所の安全性の問題についてぜひひとつお尋ねをしておきたいと思います。  私は、いままで放射能その他原子力については特別の基準を設けて至厳な安全対策が行われているものというふうに解釈をしていたのですが、たまたまこれに関係しているお役人から聞いたらこういう回答が来たのでびっくりしてしまった。原子力発電所の安全性について「安全であるといわれているのは社会的に容認される安全性のことである。たとえば自動車、飛行機、コンビナートのボイラー、建築物、工場、その他の人間の工作物は絶対安全ということはないが、社会的に容認されている。原子力発電所の安全性もこのような通常の工作物よりもはるかに上のレベルまで安全性が確保されており、社会的に十分容認されるものであると考える。」という答弁が返ってきているのです。そうすると、これは自動車に乗っても飛行機に乗っても事故はある、その標準においてそれよりはまだはるかに安全性が確保されているのだから、もうこの原子力発電の安全に関しては、十分だとは言わぬが、これで社会的に容認されてよろしいということだ。これは一体どういうことなのですか。これでよろしいのですか。原子力発電所の安全性の問題は自動車並みあるいはボイラー並みの安全性が確保されていればそれでいいんだという答えでいいのですか。どうぞひとつお答えください。
  73. 末広恵雄

    ○末広説明員 原子力発電所の安全の確保でございますが、基本的な考え方といたしまして私どもよく多重防護の考え方ということを申しております。(「多重防護とは何だ」と呼ぶ者あり)何段階もの安全対策を講じて安全の確保を図るということをとっているわけでございます。具体的に申し上げますと、まず原子力発電所におきまして異常の発生を防止するための安全対策ということで、たとえば安全上非常に余裕のある設計をやるとか、あるいは誤操作、誤動作を防止する設計を行うといったこと、あるいは機械をつくります段階あるいは運転管理の各段階におきまして最大限の努力を払いまして、異常の発生を防止しているわけでございます。これが第一の安全対策でございます。  それから第二の安全対策といたしまして、仮に異常が発生いたしましても、それが事故に拡大することのないようにいろいろの安全装置を二重、三重につけているわけでございます。  それからさらに第三段階としまして、万一事故が発生いたしましても、それが災害に発展することを防止するための安全対策を種々講じております。  したがいまして、原子力発電所の安全対策といたしましては、一般の工作物とは違った概念で何重もの安全対策を講じているということでございます。
  74. 小林進

    小林(進)委員 問題はそこなんですよ。この回答を見ると、自動車、飛行機と放射能を同一の安全性の基準で論じている。僕が聞きたいのはそこなんだ。いまあなたの話を聞いていると、放射能だけは基準のとり方が別個のようにも解されるが、いま一方の説によれば、ボイラーも放射能も同じような一つの安全性の基準ででき上がっている。その基準から見て現在の原子力発電所の事故は人畜に無害だ。まだ日本じゅうに死んだ者がいない、ところが自動車で死んだりボイラーで死んだりあるいは飛行機で死んだ者がいるのだから、これは放射能の方が飛行機よりもあるいはボイラーよりもうんと安全だという説明が返ってきているから、僕の方でびっくりしているわけなんだ。どうなんだ、この点は。僕は繰り返して言うが、やはり一般のものにも事故防止のあらゆる安全性の設備、機構というものがなくてはいかぬ。しかし、その中でも放射能は、その被害の広さにおいて、一たん事故が起きた場合にはどこまでいくかわからぬ、それくらい恐ろしいものでもあるし、縦割りにいけば、放射能を呼吸して体内に蓄積した場合には、子々孫々に至るまで、五百年たって母の胎内から両手両足のないお化けみたいな子が生まれてこないという安全の保障が何もできていない。千年たったら両目か両耳がない、お化けだか人間だかわからぬような、放射能の汚染を受けてそんな子供が生まれてこないという保障がない。これほど未解決の不安定なものに対して、自動車並みや飛行機並みの同じ基準で安全性を云々されたのではたまらないと私は思っているが、この点はどうですか。横の広がりにおいて、縦の深さにおいて、一体これが絶対に安全であるというその証明ができ上がっていますか、どうです。その基準はどういうふうに設けているのか。
  75. 末広恵雄

    ○末広説明員 お答えいたします。  先生御指摘のように、原子力発電所におきましては放射性物質を内蔵しているということが他の工作物と比較いたしまして非常に特有の点でございます。したがいまして、先ほど御説明申し上げましたように多重防護の考え方に立ちまして、何段階もの安全対策を施しているわけでございます。
  76. 小林進

    小林(進)委員 そういたしますと、「安全であるといわれているのは社会的に容認される安全性のことである。たとえば自動車、飛行機、コンビナートのボイラー、建築物、工場、その他の人間の工作物は絶対安全ということではないが、社会的に容認されている。」原子力発電所の安全においても社会的に容認される程度でよろしいのだというこの文章は間違いですね、これはどうです。
  77. 末広恵雄

    ○末広説明員 原子力発電所におきましては放射性物質を内在しているという点につきまして、いま先生お話ございました自動車等と全く異なるものでございまして、そういった点については多重防護の観点から何重もの安全対策を講じているわけでございます。
  78. 小林進

    小林(進)委員 ちょっとわからない。一番最後の言葉じりをもう一度はっきり言ってください。
  79. 末広恵雄

    ○末広説明員 放射性物質を内在しているという点が自動車あるいは飛行機といった一般的な工作物と全く異なる点でございますので、特にそういう観点に着目して多重防護の観点から何重もの安全対策を講じております。
  80. 小林進

    小林(進)委員 そうすると、社会的に容認されるというような言葉で安全、不安全のバロメーターにしないということですな。どうですか、この点は。あるいは、常識的に容認されるなんて言葉でもってこの原子力の安全問題を扱われたのではわれわれはたまったものじゃない、どうです。
  81. 末広恵雄

    ○末広説明員 先ほどお答え申し上げましたのは、一言で言いまして、客観的に見まして安全なように十分諸種の対策を講じているということだと思います。
  82. 小林進

    小林(進)委員 何だかちょっとわからぬところもあるのだけれども時間がないから、これも一つ重大問題ですから私はネックにしておきます。まだ時間がございますか。それでは、繰り返すようでありますが、社会的容認などという言葉、社会的常識によって安全、不安全の基準にするなんというばかなことは二度と再び口にしないように厳重に警告を発しておきます。いいですな。  こういうことでみんなあなた方は人をごまかしている。そのごまかしのいい例は、私が十年前にもこの原子力発電所の安全の問題を質問したときに、いまの事業団のセカンドクラスの親方が、いまも言った、スリーマイル島以下調べてみましたけれども絶対に安全でございます、ああいうおこがましいことを言っていた。そんなことを言っちゃいけませんよ。私は時間がないからあなたの言葉じりをつかまえないでそのまま認めておきましたけれども、あなた方は十年前にもそれを言った。いや原子力は絶対安全でございます。十年前に絶対安全ならば、そのままの形でいけばいいのだ。あなた、毎年毎年改善をしたり改良をしたり、だから最近聞くと、十年前はなんでございますけれども鋭意努力をいたしまして、日進月歩いたしまして、今日は断じてもう不安全ではございません、絶対安全でございます。今日絶対ならもう明日は要らないんだ。ところが見てごらんなさい。また明日、再来年になったら、おいどうなったか、いや去年まではなんでございましたけれども、また今日はあらゆる研究努力をいたしまして、日進月歩をいたしまして、もう安全でございます。こういうことは実にわれわれ質問者や国民に対する重大なる侮辱なんですよ。こういうような思い上がったことで場面を逃れていこうなんという姿勢から直してもらわなくてはいけない。どうです、宮澤さん。あなたもしばしばこういう手をお用いになるようでございますけれども、こういうことは厳に戒めてもらわなければならぬ。これも警告を発しておきます。こんなことはやめなければいかぬ。この安全の問題は永遠につながる道なんでありますから、精根を傾けて私どもはその絶対値を求めて努力いたしますというのが良心に基づく回答だよ。回答まで教えているんだ。  そこで僕が次に質問したいことは、いわゆる核燃料サイクルということなんだ。サイクルというのはどこからどこまでがサイクルなんですか、これをお尋ねしておきたい。
  83. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 御説明させていただきます。  原子力発電は、ウラン鉱山からウラン鉱石をとるわけでございますが、まずそこから始まります。その後、いわゆるイエローケーキといいまして精鉱いたしまして、さらにそれを、現在の濃縮のシステムではガス状にしなければいけませんのでガス化いたします。そして濃縮いたします。これはイエローケーキベースでは〇・七%ぐらいのウラン235の割合でございますけれども、それを約三%ぐらいに高めます。それをさらにまた固型化しまして燃料にする。そして燃料棒にいたしまして発電炉の中に挿入いたします。発電が終わりますと、そこに使用済み燃料というものが出てまいります。使用済み燃料は、これは先生が先ほど御指摘、申されましたようにその成分としましてプルトニウム、それから減損されたウラン、さらには核分裂生成物というものが入っております。それを一応分解をいたします工程、これが再処理でございます。この工程も核燃料サイクルに入っております。再処理をされましたプルトニウムをさらに使う、あるいは減損ウランをさらに原子炉の中で使うということによってサイクルがまたもとに戻ることになります。  それから、サイクルからはみ出すものがいわゆる高レベル廃棄物ということで使用済み燃料の中に入っている核分裂生成物でございます。さらに原子力発電所からは、これはサイクルの中ではございませんけれども、いわゆる低レベル廃棄物というものが出まして、これが現在発電所に厳重に安全に貯蔵されている低レベル廃棄物でございます。いま申し上げました総体がいわゆる核燃料サイクルの概念だろうと思います。
  84. 小林進

    小林(進)委員 ウランの鉱石から始まりまして、あなたはそのプルトニウムを、燃料を抽出して再処理をして、それでまた輪転をしていくというお話でございましたが、その後に、どうですか、高速増殖炉というものもこのサイクルの終末として入るんじゃないですか。入りませんか。
  85. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 御説明いたします。  再処理から生産されましたプルトニウム、これは高速増殖炉によって使うということも、先生御指摘になられましたようにサイクルをまた新たにつくるということで、新たなサイクルをつくる重要な要素になります。さらにプルトニウムがまた別の炉でも使われますが、高速増殖炉が究極的な一つあり方だと思います。
  86. 小林進

    小林(進)委員 そこで、私どもは、原子力に関する限りは安全ということを中心眼目にして、これが解決をすれば高速増殖炉までいって核燃料が国産されたと同じような形になることは決して否定しません。むしろ好ましいことだというふうに考えているが、そこまでに至る一つサイクルがいま完全に解決をされておりますか。人によってはこれをトータルサイクルとかなんとかという言葉で呼んでおるのがありますけれども、この一環のものが全部科学的に解明をせられて、それが僕らの心配しているように、間違いなく安全であるという、そういう確証ができるならば非常に私は結構だと思う。  一体、日本の現段階においてこのサイクルがどこまで研究し尽くされて、どこまでまだ未解明なのか。私どもは安全、不安全を判断するときに単に原子力発電所の炉だけを言っているのではない。これを総括したものを全部含めて、これが絶対に安全であるかどうかということを問題にしているわけであります。一体日本の研究過程はあるいは実施過程はどこまでいっているのか。時間がありませんから言いますけれども、たとえて言えば放射性の廃棄物だ。廃棄物処理の問題は一体どうなっている。再処理の問題は一体どうなっている。その再処理をもしやるならば、再処理の中からもまた廃棄物は生ずるんだ、それを一体どう処置する。  あるいは「ふげん」を東海村かどこかでいまつくっていると言っているけれども、その研究過程が安全を含めて一体どうなっているのか。あるいは敦賀で「もんじゅ」などという、何か福井県知事はそれをつくることを認めたというが、これは一体どうなっている。これは君、みんな未完成じゃないか。  今度は、きのうあたりの新聞を見ると、何か中川君がアメリカ政府要請に基づいてアメリカへイギリスと三国で高速増殖炉の原型だか計画炉だか何かをつくるために話し合いに行くと言っているけれども、これもどうなっているか。全く何もでき上がっていないところにどんどん部分的に物を進めているという、実につまみ食いと言うべきか、その中に国民の生命と安全をさらしものにして、そしてそういうせつな的な仕事をおやりになっている。これがいけないんだよ。やるなら、いわゆる自然から出た、山から出たウランからそれが完全に処理をせられていくまでの工程がきちっとでき上がってから採用すべきだ。人間の生命が大切であるとお考えならば、人類が大切であるとお考えならば、そこまでいかなければだめだ。何もやってないじゃないですか。説明してみなさいよ。
  87. 佐々木白眉

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  まず科学技術庁から研究開発につきまして御説明させていただきますが、日本原子力は後発でございまして、原子力のメリットを実用化していくということで相当な時間、人力をかけてやってきたわけでございまして、当初は御指摘のとおり発電所も外国から輸入して、核燃料も、資源はもちろんございませんから外国に頼りながら次第に自主的な能力をつけていく努力をしているわけでございまして、現在のところは軽水炉という形のもので、その国産化率も高めまして、加工等につきましてもできるだけ国でやっていく、しかもその間には安全を最大の目標にいたしましてやっているわけでございまして、続きまして先ほどの高速増殖炉の問題につきましても、これはまだ開発には相当時間がかかるわけでございますが、安全性には十分注意をして次の代の核燃料サイクルを確立していく、最小限の核燃料サイクルについては安全性を重点に置きながらできるだけ自主的な力で力をつけていくということで、一気に全体の核燃料サイクルが確立されていくというわけではございません。そこでタイムスケジュールを立てて努力をして少しずつ固めていっているわけでございます。  それから、先ほど御指摘の、昨日の朝日新聞にございました高速増殖炉の実証炉の開発に関する協力について、いかにももう話ができ上がって話を持っていくということでございましたが、それは事実ではございません。
  88. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 通産省サイドから先生の御質問に一言だけ申し添えさせていただきます。  先生おっしゃられますように核燃料サイクルのトータルサイクル、これが技術的に確立して、そして安全なものであることが重要である、私どもも全くそういうように思っております。現在一番重要な核燃料サイクルの要素は濃縮が一つはございます。濃縮事業に関しましては、技術的に動燃事業団がもう相当規模のプラントを運転しておりまして、厳重にかつ安全に運転しておりまして、さらにそれを事業化へ持っていくということでいま鋭意関係産業界と検討しておるという状況でございます。  それからもう一つ核燃料サイクルの重要なポイントは再処理事業でございます。これは世界的にもフランス、イギリス等で商業規模の工場が動いているわけでございますが、わが国も御承知のように東海村で二百十トンの能力をもって運転されております。さらに二年前に日本原燃サービスという会社ができまして、それは、技術は国際的にもINFCEという国際会議がございまして、再処理技術はすでに基本的には確立しているという報告が出ておりますが、それらをベースにいたしまして、日本のいままでの技術開発の成果を踏まえまして準備をしているところでございます。  それから、もう一言だけ先生御指摘になりました廃棄物について申し添えさせていただきますと、原発から出ます低レベル廃棄物に関しましては、現在はドラム缶で、廃液やそれから固型物を焼却してセメント詰めして厳重に管理しておりますが、将来はそれを……(「何本あるんだ」と呼ぶ者あり)現状でちょうど二十八万本ぐらいになるかと思います。将来はふえてまいりますが、私どもそれをサイトの外、海と陸に整然とかつ安全に処分すべくいま準備をしているところでございます。
  89. 小林進

    小林(進)委員 君の安全性の問題をトータルサイクルの中で考えるというその言葉だけは若干おれは買っておくよ、あとはだめだが……。  時間がないからなんですけれども廃棄物の問題、いまも言うように廃棄物に三つある。いま君が言ったのは高レベルの廃棄物。低レベルの廃棄物を一体どうやるか、これが二番目。三番目は再処理の問題で、いまフランスやイギリスに再処理を委託しているわけ、そうでしょう。委託しているが、向こうの方では、委託を受けて再処理をする段階に出てくる廃棄物は、これはもうわれわれの国で処理できないから日本に持って帰ってくれ、こういう要望が出ているだろう。だからこれだよ。高レベルの廃棄物をどうするか、低レベルの廃棄物をどうするか、フランスやイギリスが再処理して出た残滓を日本に持って帰ってきたものを一体どうするのか。聞くところによると、高レベルの問題では君は海へ捨てると言ったけれども、何か北海道の幌延町の町長が、おれのところへ持ってきてくれ、おれのところは過疎でどうにもならないから百万ぐらいのドラム缶を入れるビルディングを地下につくるから持ってきてくれと言っているのだよ。ともかくこれは大変なことだというので住民は飛び上がって、町長は気が狂ったのじゃないかというような騒ぎも起こしているという問題もある。この三つを一体どう処置するかという問題ですよ。  また、私の言わんとすることは、こういうふうに詰めていけば安全性なんというものはぼろぼろとこぼれてきているにもかかわらず、何で急いで豪州あたりから、協定も結び直して、こういう枠をはめられたり手足を縛られたりしてこの協定を結ぶ必要があるのか、そこへ行くわけだ。その前に協定がないかと言えば、IAEAがあるんだから、その協定、その条約の中でちゃんとやるべきだ。縛られているんだから、その上にまた個々にオーストラリアあたりとこんなめんどうな条約を結ばなくたってちゃんと世の中はでき上がるようにできているじゃないかということを私は言いたいわけだ。言いたいわけだけれども時間がないから、先ほども高沢先生は三十分の時間を留保されたから、私もぜひまた次の質問で一時間くらいちょうだいしなければいけません。  いまのところはその問題です。一体三つの廃棄物をきちっとどう処理するか、言っておいてください。
  90. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 御説明させていただきます。  一つだけ訂正させていただきますと、私先ほど申し上げました廃棄物原子力発電所にドラム缶で貯蔵されていますのが低レベル廃棄物でございます。そして現在それを海そして地上、これは幌延町が誘致しているということは御指摘になりましたそのとおりでございますが、それは低レベル廃棄物でございます。  それから、先生御指摘になりました英仏の再処理工場から出る廃棄物、これがまさに高レベル廃棄物でございます。これにつきましては英仏におきましてガラス固化いたしましてそれを厳重にキャニスターに入れまして日本へ持ってくるということになろうかと思います。これにつきましての体制を現在研究開発、実施体制を含めまして検討しているところでございます。  それから、わが国におきましてこれから再処理工場から廃液が出てまいります。これがやはり高レベル廃棄物となるわけでございますが、これも同じように将来は固化をいたしまして、これは高レベルでございますから、人間の管理の外に置くということで永久に処分するという方法をいま関係機関が鋭意研究開発しているという状況でございます。  北海道の話は低レベル廃棄物でございます。
  91. 小林進

    小林(進)委員 時間が来ましたので残念ながらこれでやめますが、いま委員長もお聞きのとおりですよ。核の廃棄物とか再処理の残滓とか、みんなこれは処理する口は何にもできてない、研究中。これは人がみんな言っているようにちょうど便所のないうちと同じだ。こういうようなことで原子力行政を進められるということはまことに残念、遺憾至極であります。  けれども、電力会社の親方、あなた方は業者として何も——民間の業者なんというものは公共事業と言いながら商人だ、あなた方はもうけるためには人の命もとろうというのが、これは商業道徳ではないけれども商人はそのとおりなんだ。もうからない仕事はやらない、もうかればやる。けれども、いまも言うように、いかに民間団体とは言うけれども人の命に関することでありますから慎重に構えて、住民の顔を逆なでするようなことのないように、同じ行政を進めるにしても住民の顔を——日本なんかいいんです、また。こういう官房長官がいられたり頑固な政府があるから、住民の意思を無視して——フランスとかヨーロッパへ行ってごらんなさい。やはりその地域における住民の世論の賛成だとか、あるいは投票によって多数決によって、つくってもよろしいという世論の動向によって初めて原子力発電所が建設されるというのが先進国の例ですよ。日本だけです、こんなに天下りでインチキな公開討論なんかやっている、あれはみんなインチキだ、あなた方のやっているのは。ああいう討論をやりながら住民を土足でけって、そしてこういうような行政を進めている。許すべからざる罪です。  きょうのところはこの程度にしてやめます。御苦労さまでした。
  92. 中山正暉

    中山委員長 この際、参考人に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。  次に、林保夫君。
  93. 林保夫

    ○林(保)委員 議題となっております原子力平和的利用における協力のための日本国政府オーストラリア政府との間の協定に関しまして、若干の質問をいたします。  宮澤官房長官、せっかく外務大臣代理としておいででございましてぜひひとつ伺っておきたいのでございますが、いろいろと問題があり、なおかつやはりやらなければならぬ、こういう問題でもあろうかと思います原子力平和利用について、わが国政府はどういう基本的な態度でおやりになるのか。問題点ははっきりしております。従来は、何かエネルギー危機が出てきた、やむを得ず原子力に手をつける、こういうような姿勢もあったかと思いますが、その辺についてどのようにお考えになられ、そしてまた本協定締結され、批准されることの意義について日本側はどのように受けとめておられますか、お伺いしたいと思います。
  94. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 わが国は五年余り前にいわゆる非拡散条約加盟をしたわけでございますが、この加盟をすることの一つの重大なメリットは、原子力平和利用を確保するということであったわけでございます。ただ核兵器をつくらないということではなくて、平和利用の道を確保するということがこの条約一つの大事なメリットであったと考えております。いわゆる化石系のエネルギー源というものがいずれにしても有限でございますから、その価格の問題はまたこのようになってまいりましたけれども、よけいにそういう意味原子力平和利用というものを確保してまいらなければならない。そのために、もちろん安全性の確保ということは欠くべからざることでございますけれども、その上で国民の理解を得て原子力平和利用を進めていくことはきわめて大切なことであると考えております。
  95. 林保夫

    ○林(保)委員 きわめて大事なことだと言われるその言葉の裏を返すようでございますけれども、これからのエネルギー政策の中でやはりメーンの位置といいますか、あるいは並列といいますか、どの辺の程度の御判断をしておられますか、その辺をしっかり承っておきたいと思います。国民のコンセンサスを得ながら利用考えていくということでございますが、しかしなおほかのもので充足されればこれはやめるのかどうかですね。あるいはまた大きな柱として考えておられるのか
  96. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 その点は長期エネルギー計画でも政府が明らかにいたしておりますように、少なくとも四千数百万キロワットぐらいまでは何とかして現在の長期計画の中で持っていきたいと考えておるわけでございます。そのことが示しておりますように、わが国のトータルエネルギーの中における原子力の比重というものは逐年上がっていく、またそうでなければならないというふうに考えております。
  97. 林保夫

    ○林(保)委員 続きまして事務的にお聞きしたいのでございますが、本協定締結の背景とそしてこれによる効果といいますか、どのように評価しておられますか。
  98. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  締結の直接の背景になりましたのは、先ほども話題になりましたように、豪州一つにはインド核爆発を契機といたしまして自分の輸出に関連する政策考え直した、平和目的に徹する相手とそういう形で協力をしたいということに端緒があるわけでございます。またその間、国際的にも国際核燃料サイクル評価、INFCEというような作業がございまして、その成果をもこの協定へ盛り込んでまいったということでございます。  協定の大きな意義として挙げさせていただきますれば、私ども日本にとっては長期的かつ安定した基盤でプログラムアプローチを採用することによって自分の開発を企画することができる、同時に豪州との関係では、日豪双方の平和目的に徹する、核不拡散を担保するといった政策目標が合致した基盤の上で、新しい協力関係をさらに進展させることが可能になる、その意味日豪関係も進化する、かつ、その両国がそういう形で協力することによって国際的にも平和利用を促進していく、徹底していく、不拡散を追求していくということが可能になるというふうに考えております。
  99. 林保夫

    ○林(保)委員 協定締結の原因として、あれはたしか七七年五月だと思いますが、フレーザー総理の豪州の核拡散防止政策というものが出ておりますが、これが本協定の中でどのように生かされたか、この点の御説明を願います。
  100. 宇川秀幸

    宇川政府委員 その当時のフレーザー首相が明らかにいたしました政策というのは、基本的には輸出先の国は、平和目的に徹しているという意味NPT加盟国だけにする、この意味では日本は最初から条件が合っておるわけでございます。それから豪州としては、平和目的に徹するという意味で、核兵器の製造、開発のみならず核爆発装置にも自国から輸出されたウラン使用されない、この点も日本政策と合致するという意味協定に盛られております。同時に豪州としては、自分から輸出したウランがそういう平和目的使用されていることを担保するために、第三国にこれが移転される場合には相談をしてほしい、それから二〇%以上の高濃縮ウランに転換される場合には、これも相談をしてほしい、それから再処理についても豪州事前同意を要することにしたいというような希望を持っておりまして、これらの諸点につきましては日本としても支障がないという判断で、協定の上で盛られております。同時に豪州は、輸出されるものがたとえばテロリスト等に盗まれるという妙な形で転用されるのは困るということで、核物質等の防護を担保してくれる国であってほしいということで、防護の条項も今回新規に盛り込んだ形になっております。
  101. 林保夫

    ○林(保)委員 それで、もう一つあらかじめ聞いておきたいのでございますが、前協定と今協定の相違はどういう点にございますか、それの評価について御判断をお聞かせ願います。
  102. 都甲岳洋

    ○都甲政府委員 お答え申し上げます。  先ほどから話題になっておりますように、この新しい豪州原子力政策というものは、インド核爆発を契機として出てきた豪州の核不拡散政策の強化ということに原因がございますので、それを背景とした改正がいろいろと盛り込まれているわけでございます。  基本的には、現協定におきましては、原子力の平和目的利用ということについて双方が協力することになっておりましたけれども、この協定におきましては、平和的非爆発目的利用という新しい概念が導入されまして、単に平和目的利用のみでなく、平和目的を名目としての核爆発そのものもこの協定規制の対象として、そのようなことが行われないようにしようということが第一に盛り込まれているわけでございます。それから発しまして、たとえばこの協定で規律する核物質等について詳細な規定を設けているということも一つの新しい点でございます。  それから、先ほどから御説明があったわけでございますが、再処理、濃縮について事前同意を明確にこの協定規定したということ、それから、新しくロンドン・ガイドライン等から出てまいりました防護の概念がこれに盛り込まれたということ、その他、規制の細かい手続を詳細にわたって附属書その他において規定しているということで、一言で申し上げますれば、先ほど申し上げましたような核不拡散体制の強化という目的に沿った改定が全面的に盛り込まれているというところが、この新しい協定の大きな特徴であろうかと存じます。  それから、言いおくれましたけれども、INFCE、国際核燃料サイクル評価の結論を採用いたしまして、いわゆるプログラムアプローチという概念を導入いたしまして、長期的、安定的な予見可能な方法で核燃料サイクルの確立が可能になる仕組みをこの協定で初めて盛り込んだということ、さらに、国際的なプルトニウムの管理につきましての新しい制度ができました際にはそれも十分に考慮に入れるということも盛り込まれているというように、全面的に新しい考えが盛り込まれている点が特徴的でございます。
  103. 林保夫

    ○林(保)委員 いまの御説明ですと、不拡散について大変厳しい規定が盛り込まれたということに解釈いたしますが、これらについて、実際に担当される科学技術庁と資源エネルギー庁の専門の皆さんがどのように評価されているか、御説明願います。
  104. 高橋宏

    ○高橋(宏)政府委員 この協定につきましての通産省の評価いかんという御質問かと存じますが、私ども豪州政府がかねて、今後ウラン輸出に際しましては、フレーザー首相が五十二年五月に発表しました核拡散防止政策に関連しまして、同政策に沿って締結または改正された原子力協定のもとでのみ行われ得るという方針を明らかにしていることを知っておるところでございます。  ところで、レンジャー鉱山という鉱山がわが国の企業の資本参加のもとに豪州において行われておるところでございまして、その鉱山からの第一回の対日ウラン輸出が実は本年春に予定されておったところでございますが、この輸出がただいま申し上げました政策に該当する、こういうような状況になっておるのでございます。現時点におきまして、この関係におきましてわが国の企業が具体的な損害をこうむっているということは直ちにはないと私どもは承知いたしておりますが、本件の承認が大幅におくれますと、ウランの対日引き渡しが不可能になる、こういうような実情がございます。わが国ウランの長期安定供給確保に支障を及ぼすおそれが生ずるものと考えておりまして、逆に申しますと、私どもが非常に重要なウラン供給国と頼りにいたしております豪州からの天然ウランの供給を円滑に行うためには、本件の承認がぜひとも必要かつ有益であるというぐあいに思っておるのが第一でございます。  さらに、日豪原子力協力は昔からやっておりますが、実は先ほど申し上げましたレンジャー鉱山の共同開発というのは、両国の原子力協力のいわばシンボル的なプロジェクトというぐあいに私ども評価いたしておりまして、豪州政府もそう思っておるかと存じます。このプロジェクトの円滑な遂行ということは、ただいま申し上げましたように、わが国原子力活動のみならず、日豪関係について非常に有益であるというぐあいに考えております。  なお、一言つけ加えますと、同じくこのレンジャー鉱山のプロジェクトに、豪州政府と一緒にやっております西独がございます。西独はすでに、豪州とユーラトムの協定の発効によりまして準備を整えておるというところでございまして、私どもは、一刻も早くそういう国々と並びましてこの関係を深めていくということが望ましい、そういうぐあいにこの評価をいたしておるところでございます。
  105. 林保夫

    ○林(保)委員 通産省の方にはもう一度聞きますが、官房長官何か御退席だそうで、ちょっと最後に聞こうと思っていたことをひとつ聞かしていただきたいのです。  それは一つは、昨年の七月十六日にレーガンさんが核不拡散及び原子力平和利用協力について声明を出しておられます。これに対するわが国のアクセプトの仕方。  それからもう一つは、昨年五月の日米共同声明の中で原子力の同じような問題。また平和利用の大事さをちらっと書いたものが出ております。これは白書を見ているのですから間違いございません。ちゃんと出ております。共同声明の中にも出ております。  それらともう一つは、昨日でございましたか、朝日新聞で大きく「高速増殖炉日米共同開発めざす 実証炉設計で協力」これは宮澤長官でなくて中川長官がどうやら漏らされたような話になっておりますが、大変大事な問題でございまして、アメリカフランスに水をあけられたから、こういう説明もこの中にございます。それは別にいたしまして、なおイギリスと日本アメリカとでいわゆるトロイカ方式で高速増殖炉をやろう、こういうようなことが出ており、冒頭御質問いたしましたように、まさに原子力平和利用という視点からいきますとこれは大転換な政策だと思われるのです。長官は各種の面で御専門でございます。どういうような立場でこういう問題を取り上げられ、また処理していかれるのか、そういう方向を、私どもから見ますと大きな転換だと思うのでございますが、どのように判断され、やろうとしておられるのか、お答えいただきたい。
  106. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 まず前段の昨年七月の問題でございますが、この問題は率直に申しまして、カーター政権の時代にアメリカ側の政策について、少し私どもいろいろ従来の線上から新しい、あるいは別個の立場で物を考えておられるのではないかということで、やや憂慮をいたしたような状況がございました。その後になりまして、新政権にかわり、そしてそうではなくアプローチとしてはやはりプログラム的なアプローチだそうでございますけれども、われわれが従来から考えてまいりましたような線上で、アメリカとしても日本考え方に沿ってそれを肯定的に対応していくということが明らかになりまして、いっときございましたそういう心配がいま解消されて新しい方向で展開しようとしているというふうに考えております。そうでございますから、この点はいわば前政権時代にいっときございましたような問題、心配は解消しつつあるのではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。  それから中川科学技術長官の云々の点は、ごく最近報道がございましたが、たしかこれはまだ具体的には何もそのようなことはないというふうに私承知しておりますが、——具体的に別段そういうようなことは申し上げるべきようなことはないそうでございます。
  107. 林保夫

    ○林(保)委員 それじゃ新聞は誤報でしょうかね、米国側はイギリスと日本に申し入れたという既定の事実として報道されておりますが。  ちょっと待ってください。委員長、抗議申し上げたいと思いますが、私は大臣が私の質問時間中おられるものとばかり思いまして、大事な質問を、時間を八十分を五十分にさせていただいてやらせていただくことになったのでございますが、何かいまここへ来ますと事前の予告もなしに急に大臣がおられなくなるという、これじゃ私も委員会の運営、一言申し上げておかなければならぬと思います。
  108. 中山正暉

    中山委員長 恐縮でございます。  渡辺朗理事から御一任を受けましたもので、その間に理事会で決定いたしましたものでございますので、先生の御質問時間は後の方になっておりましたのですが、夕刻の御都合で先に繰り上げるということで、官房長官の御出席の時間は、昨日からいろいろ理事懇でも話し合いをしておりましたのですが……。
  109. 林保夫

    ○林(保)委員 この時間があくということだったわけですか。
  110. 中山正暉

    中山委員長 そうなんでございます。
  111. 林保夫

    ○林(保)委員 ああ、そうなんですか。
  112. 中山正暉

    中山委員長 質問の順位を理事会で社会党の方から提供していただいて、井上普方先生の前にお入りをいただいたということでございますので、その時間がちょうど官房長官御退席の時間になりましたことを大変申しわけないと思いますが、また追って、あすの都合もございますので、また理事会等で協議させていただいたらいかがか……。
  113. 林保夫

    ○林(保)委員 大事なお仕事でございましょうから、それはそれで私も了承いたしますが……。
  114. 中山正暉

    中山委員長 恐縮でございます。記者会見の時間が入っております。
  115. 林保夫

    ○林(保)委員 事前にそのことを聞かせていただいておけば、私のやり方もあったのでございますが……。
  116. 中山正暉

    中山委員長 どうも申しわけございませんでした。私どもの手落ちでございます。委員長の手落ちでございます。
  117. 林保夫

    ○林(保)委員 十分前に出られるということでございますので、官房長官結構でございます。ありがとうございました。
  118. 中山正暉

    中山委員長 恐縮でございます。
  119. 林保夫

    ○林(保)委員 ひとつその件を御説明いただきたいと思うのです。アメリカからそういう申し入れが来ているという報道がございますね。
  120. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  アメリカは、新しい年度の予算におきまして、高速増殖炉の今後の研究については国際的な協力のもとでやるという条件がついた予算がついております。それをアメリカは具体的には技術水準が近接している国ということで英国日本を念頭に置いてあるという情報を得ておりますし、それから非公式にそういう協力ということは可能なんだろうかという形の打診が参っております。
  121. 林保夫

    ○林(保)委員 これについて、技術庁はどのように評価しておられるのでございましょうか。先にこちらの質問を片づけてしまって移りたいと思います。
  122. 佐々木白眉

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  最初の日豪原子力協力協定改定について科学技術庁としてどう評価しているかということでございますが、今回の改正によりまして豪州産の核燃料物質につきましては、国際原子力機関保障措置の適用等の一定の条件はございますが、再処理それから第三国の移転について個々に同意を求めなくて包括的にしかも長期的に事前同意がとれるという仕組みが設定されたということにつきましては、わが国はほかの国とも協定締結しているわけでございますが、これは初めてのことでございまして、評価しているわけでございます。それはわが国原子力開発を長期的な見通しで計画的に推進できるということでございます。それで先ほどから御説明もございましたように、新たな規制は加わっておりますが、これは世界の核不拡散の方針にわが国協力しているのだ、しかも、これと並行しましてわが国原子力平和利用が計画的に遂行できるものである、そのようなふうに考えている次第でございます。  それから先生、先ほどの高速増殖炉の日米共同開発に関する昨日の新聞の中で、実証炉と書いてございますが、これは日本が進めております段階のものよりももっとずっと先の、高速増殖炉の実証炉開発という先のものでございまして、アメリカ、イギリスがこの協力について話し合いをしておるということは事実でございます。ただ、日本に対してまだ正式に申し出はございません。以上でございます。
  123. 林保夫

    ○林(保)委員 その評価は、科学技術庁はどういうふうにしておられますか。いいことであるのでしょうか。事情としては、日本技術を高く評価して向こうが来ようとしておるのか、それとも、何かほかの目的がある、このように考えたらいいのか。その辺のところをはっきりひとつ御説明願いたい。
  124. 佐々木白眉

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  現在のレベルからいいますと、この実証炉の開発は、建設にもし着手するといたしましても、今後十年先のものでございます。それで、もう一つ手前のものが原型炉でございますが、これがつい最近地元の知事さんの了解が得られたという程度でございまして、これを建設していくにも五、六年以上かかるというようなことでございまして、その意味ではイギリスはそういうものはすでに運転されております。かなりの格差がございます。それからアメリカは現在、計画そのものはスローダウンしておりますが、これまでの研究開発の蓄積は相当なものがございまして、協力すること自体は非常に結構なことだと思うのですが、お金がどれくらいかかるか、どういうメリットがあるか、それから日本の自主的な高速増殖炉開発にどれだけの利点と負担がかかるかということをよく詰めないと、何とも申し上げられない段階ではないかと考えております。
  125. 林保夫

    ○林(保)委員 先ほど通産省の方でございますか、レンジャー・ウラン鉱山のためには早くやらなければいかぬし、いいことだ、こういうことが主としてのお話のように聞けましたが、私、聞いておりますのは、確かにそれは大事なことだろうと思います。しかしなお、産業政策上、エネルギー政策上と言ってもいいし、原子力政策上と言ってもいいのですが、本協定がどのような意義を持つか、いいことなのか悪いことなのか。先ほど来の御説明で、余りにも規制が厳しいというようなことでもございましたし、なお、協定の中でプログラムアプローチという新しい言葉が出てまいりまして、かなり日本の自由意思が一つの枠内で動かせられるという状態もあるやに聞きます。その辺をしっかりひとつ通産省の立場から御答弁いただきたいと思う。
  126. 高橋宏

    ○高橋(宏)政府委員 お答え申し上げます。  わが国は石油代替エネルギーの中核といたしまして、原子力発電を積極的に推進することが不可欠であると考えておりまして、そのためにはその燃料となりますウラン資源の長期安定供給確保が必要不可欠でございます。  まず先ほどの若干繰り返しになりますが、順を追って御説明いたしますと、この協定が発効いたしますと、わが国が現在ウラン鉱石の約一割を依存しております日豪関係、さらに現在レンジャー鉱山の共同開発を進めている、そういうポジションから言いまして、ウラン鉱石の安定供給の基盤が確保されるということ、これは御指摘のように、さらに広く評価いたしますと、石油代替エネルギーの確保という目的自身達成する上に、その意義が非常に大きいというぐあいにまず考えております。  それから次に、御指摘のように、この新協定では、使用済み燃料の再処理及びそれらの第三国移転に際しましては、プログラムアプローチ、すなわち長期的かつ包括的な態様で行い得るということが確保してございまして、わが国核燃料サイクルのいわゆる自主性を確保するという上で評価をいたしておるところでございます。あらかじめ定められた、約束しましたプログラムに沿っていく、そういう制約以外には個々に制約がないという点は、核燃料サイクルの自律的な判断といいますか、そういうものが広がったという解釈が成り立とうかと思っておりまして、そういう点を高く評価しておりまして、本件につきましては直接のそういうものを扱います電力事業界におきましても、その内容につきましては、高く評価しておるところと聞いております。  さらに、そういうことでございますが、新協定は、言いますと、こういうことを通じまして資源外交と申しますか、日豪原子力を含みますより広い意味の友好関係の一助にもなるのだろうという気がいたすのでございます。
  127. 林保夫

    ○林(保)委員 即物的な問題の評価でございまして、私、聞いておりましたのは、協定の内容がどのようにほかとの関係あるいは将来の関係においてなるかというこういう質問であったわけでございますが、専門の外務省にその辺をしっかりひとつ御答弁いただきたい。
  128. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  まず、規制が強化されたという評価をすべきかどうかという問題が最初にあるかと思います。規定が細かくなった、精密になったという意味では御指摘のとおりでございますが、またこれを個別同意ということで、たとえば物を第三国へ移転するあるいは再処理をこれからやるという場合に、一々豪州と相談してやる場合には、細かくなった分だけ煩瑣になって、かつ、その豪州政策いかんに影響されるという意味では問題になり得るかと思います。  しかし、一方、この協定の大きな特色といたしまして、日本が現在予定しております原子力平和利用計画の全貌を明らかにした上で、豪州側としてはこれが平和目的に徹していることは承知したから、その予定されている利用の方法、使用の方法あるいはその施設間の移転については、現在の日本の予定についてはどうぞそのままおやりくださいということを明確にしておりますので、この意味では規制が非常に緩和されたという視点も可能かと思います。その意味では非常にメリットが高いと思っております。かつ、いろんな規制一つのモデル協定として考えた場合には、原子力平和利用を明らかにしていくという意味では、わが国としても当然評価してよろしいものが多々ある。のみならず、日本平和利用に徹するという姿勢を内外に宣明することが可能な形態にもなっておる。そちらの面からも評価できると私ども考えております。
  129. 林保夫

    ○林(保)委員 プログラムアプローチについて、定義とそれから内容について御説明いただきます。
  130. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  普通プログラムアプローチと言っておりますのは、特定の国の計画をとって、その計画全体について同意権がある場合には、その同意権を行使するというふうに国際的に了解されております。  具体的には、今回の協定の枠組みの中では、むずかしい言葉を使ってございますが、「画定され記録された日本国の核燃料サイクル計画」ということで、実施取り決めの形で計画の全貌を明らかにしておりまして、その全体につきまして、たとえば軽水炉はどういうかっこうで利用されます、何基ございます、再処理については日本施設はどこで使います、あるいはフランス英国に委託して使いますということが全部書き出してございます。その使用の方法については企画どおり行っていただいて結構です。さらに関連の施設間の移転でございますが、たとえばフランスに再処理を委託してそれをもう一回日本へ持ってくる、あるいは日本の特定の原子炉から出た使用済み燃料を他のところへ持っていくという国内の輸送も含めまして問題がないから、それで結構であるという形で構成されております。
  131. 林保夫

    ○林(保)委員 そういう新しいいろいろな手法もあり、また規制も強化され、平和利用に限定されるということもまた内外にはっきりさせるような協定であるということを評価するといたしまして、交渉がちょっと長過ぎたように思いますが、この理由はどういうことからであったのでございましょうか。
  132. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  交渉が最初に申し合いがございまして、私どもとしても交渉に応じますという意思表示をしてから実際上交渉が完結いたしますまでに約三年半強御指摘のとおりかかりました。これはしかし、必ずしもサボっておったわけではなくて、この間に国際的にこの協定の内容自身にもかなり重要な影響がございます国際核サイクル評価、INFCEといったものもございまして、事実上一年強中断されている形になっております。したがいまして、交渉が再開された時点から逆算いたしますと、一年半くらいで完結いたしております。  同時に、プログラムアプローチというのは、日本にとっても新しい実験であったと同時に、豪州にとっても新しい実験でございましたし、かつ、御案内のように豪州自身は原子力発電その他も計画を持っておりません。その辺を双方で十分に詰めて将来の一つのモデルもつくるといった視点から、非常に細かいやりとりがございまして、その結果、若干時間がかかったような印象が出るかと思いますが、私どもは私どもなりに誠心誠意やってまいったつもりでございますし、決して遅過ぎたというふうには考えておりません。
  133. 林保夫

    ○林(保)委員 次いで、豪州日本ばかりでなしに、よその国との原子力協定も諦結されておりますが、その諦結されておる状況とどことどこの国がどういうふうになっているかということ。それから、それらの協定と一番新しい日豪協定とどういう違いがあるのか。先ほどおっしゃったように一年半の空白、その間にいろいろな情勢の変化もあったのでございましょうし、そこらあたりが新協定にどのように取り入れられているか、お聞きしたいと思います。
  134. 宇川秀幸

    宇川政府委員 ほかの国の協定と現在日本が結んでおりますのと比べますと、豪州の場合非常に大きな特徴は、規定が非常に細かくなっておるということは言えるかと思います。たとえば再処理についてはアメリカカナダ規定がございます。それから二〇%の濃縮についてはカナダに先例がございます。防護につきましてはカナダに先例がございます。といったことで、ほかのところの規定よりは大分細かくなっておるというのが一つの大きな特徴として挙げられるかと思います。最大の特徴は、そういう規制権の行使のあり方、いわゆるプログラムアプローチ事前包括同意協定になっている、これは全く新しい先例でございまして、かつ先例といたしたいと思っております。
  135. 林保夫

    ○林(保)委員 それともう一つ豪州日本以外の国との状況、それをひとつお願いいたします。
  136. 宇川秀幸

    宇川政府委員 失礼しました。豪州は、日本を入れまして約十カ国と新しい協定をつくっております。国の名前を挙げさしていただきますと、韓国、英国、フィンランド、フィリピン、アメリカ、スウェーデン、カナダフランス、ユーラトム、ECでございますね、スイスでございます。この中でフィリピンとスイスが未発効の形でございまして、あとは全部できております。  それから、プログラムアプローチという考え方が取り入れられておりますのは、豪州とユーラトム、ECでございますね、それから豪州とスウェーデン、それから豪州フランス、この三つの協定でございます。
  137. 林保夫

    ○林(保)委員 そういうことでございますと、プログラムアプローチを取り入れている国は、お互いの信頼がなければできないというのが一言言えるかと思います。その辺で、日本評価もよその国との比較において初めて出てくるのだろうと思います。それじゃ、なぜいま言われた国以外のところはそういうものが取り入れられなかったかというふうに御想像なさいますか。率直に御説明いただきたいと思います。
  138. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  一つは、どの程度発展して、かつ複雑な核燃料サイクルがあるかということが大きな分岐点かと思います。たとえば非常に限られた数の原子力施設等を利用している、あるいは発電をしているという場合には、必ずしもプログラムアプローチということを採用する必要がないということの反映かと思います。それから、一部の国につきましては核燃料サイクルの運営ぶりということよりは供給国同士としての規定というのが優先している、そういう国情が反映されているというふうに理解しております。
  139. 林保夫

    ○林(保)委員 協定に関してもう一点。なぜ三十年間としたかという有効期限の問題でございます。
  140. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  具体的な根拠があるかといって問い詰められますと若干お答えいたしにくいのですが、最近の協定は軒並みに三十年近いものが多うございます。豪州の場合を一つの先例として考えますと、三十年あるいは無期限ということでございますし、日本自身が結んでおるものでも、たとえばアメリカとは三十五年有効ということでございます。それから、一つ原子力平和利用といいますか、核燃料サイクルというのが常に十年以上の企画を持って初めて施設が稼働するということで、三十年ぐらいの時間的な経過をも念頭に置いた協定とすることが安定的な基盤を築く上でよろしかろうという常識的な判断をした次第でございます。
  141. 林保夫

    ○林(保)委員 続いて、わが国ウランの調達の状況核燃料サイクルについて承りたいのでございますが、これは資源エネルギー庁が適当かと思いますが、ウランの調達先、国別にどのぐらいになっておるか、しっかりと御説明願いたい。
  142. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 御説明申し上げます。  わが国原子力開発にとってウラン鉱石の確保というのは最重要な課題になるわけでございますが、現在のところ全電力会社ベースで見ますと十九万三千ショートトンほどをウラン精鉱ベースで確保しております。確保と申しますのは、長期契約によって確保しているというところでございます。そのうち、天然ウランに換算して現在約三万ショートトンぐらいがすでにわが国の電力会社に現実に輸入されておるところでございます。
  143. 林保夫

    ○林(保)委員 その中で豪州産のウランの輸入の割合と、それから、先ほど来出ておりますレンジャー鉱山が大変大きな役割りをこれから果たすようでございますが、日本側がどういうふうに出資して、どういう国へどのぐらいレンジャー鉱山から輸出する予定なのか、生産開始はいつごろになるのか、その辺しっかりデータを挙げて御説明願いたいと思います。
  144. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 御説明いたします。  先ほど申し上げました十九万三千ショートトンのうち二万二千ショートトンがオーストラリアからの確保量でございます。これは全体の確保量の約一一・四%になります。オーストラリアの鉱山開発途上のもの、それからさらに探鉱中のもの、種々ございまして、今後恐らくこのオーストラリアのわが国ウラン調達における位置づけというのは増大してくるものと考えております。また、この二万二千ショートトンのうち約一万五千ショートトンを先ほど審議官から申し上げましたレンジャー鉱山から確保することとしております。このレンジャー鉱山はオーストラリアの北部準州に位置しておりますけれどもわが国は関西電力、九州電力、四国電力等がその鉱山の開発に経営参加によって参画しております。資本出資の割合が一〇%でございます。レンジャー鉱山は昨年の秋、十月より生産を開始しておりまして、すでに開発が行われているわけでございます。
  145. 林保夫

    ○林(保)委員 それで本協定の発効が一つの条件になっておるようでございますが、いつごろから日本は入ることを期待しておるのでございましょうか。
  146. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 レンジャー鉱山におきまして昨年の秋より生産が開始されまして、当初の計画でわが国の三電力は今年の三月に引き取りを開始する、つまり豪州の港から濃縮工場に向けて輸出が行われるという予定でございました。しかしながら、五十二年のフレーザー声明に基づきまして、本協定の発効後豪州が輸出許可を行うということになっておりますので、現在は本協定の発効を待ってその輸出が行われるということを期待しているところでございます。
  147. 林保夫

    ○林(保)委員 そういたしますと、何といいますか、協定の批准とレンジャー鉱山からの鉱石の入手とが大変大きな取引になっておるようでございますね。先ほど来いろいろ条約のいいところ、さらには問題点などの御指摘がございましたけれども豪州側としてはよほど強く日本側に首相声明の内容を押しつけてきているという感じを禁じ得ませんが、重ねて聞きますけれども、通産省の立場としてあるいは科学技術庁の立場として、どちらからでも結構ですが、これから問題になる点はございませんでしょうか。問題点があればはっきりこの機会にひとつ出しておいていただけたら、このように思うのでございます。
  148. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 通産省の立場といたしましては、先ほど来御指摘いただきました本協定プログラムアプローチ、それからわが国政府としての核不拡散への強い決意をこの協定によっても表明しているわけでございまして、それらが日本原子力平和利用に対する一種のクレジビリティーを得るという意味で非常に評価しているわけです。  それで、個々に協定を見ますと、もちろん制約的だと感じられる面があるかと思いますけれども、私どもは、わが国原子力の開発、平和利用の現状との関係におきまして、問題はないものと考えております。  私ども、これは産業界としてもそうでございますが、期待しておりますのは、この協定がこの委員会におきまして十分御審議されまして、発効されて、今後わが国原子力開発にとってウランの重要な手当て先となる豪州との関係が円滑になることを期待しているわけでございます。その意味で高く評価しているところでございます。
  149. 川崎雅弘

    川崎説明員 お答え申し上げます。  先生の御指摘のございました規制面の点からどのように評価をしているかという点でございますが、今回の日豪協定において盛られております内容は、核不拡散対策という見地から、きめの細かい取り決めをいろいろ行っているわけでございますが、これらの問題につきましては、すでにわが国は五十二年以降核拡散防止条約に入り、IAEA保障措置わが国のすべての核物質について適用しております等々、すでに既存の核不拡散対策という面において世界に範となる実績を上げつつある状況にございますので、かかる意味からも問題は何らないというふうにわが方は評価をしており、むしろ、より積極的に新しいプログラムアプローチを取り入れたという点においてプラスの評価をしている次第でございます。
  150. 林保夫

    ○林(保)委員 過般来、三省の御説明を要約いたしますと、これを基礎にして何か日米、日加の原子力協定の見直しをやりたいといいますか、やるという決意でございますか、あるようでございますが、この辺はまず外務省はどのようにお考えになっておられますか。
  151. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  先ほどもお答えいたしましたが、現にカナダアメリカについては新しい体制をつくるべく話し合いを始めております。この際、相手があることではございますが、豪州で開きましたこのプログラムアプローチという考え方、手順というものをぜひとも採用したい、実現したいというふうに私ども考えております。
  152. 林保夫

    ○林(保)委員 これらの点について、それじゃ科学技術庁だけで結構ですが、日米、日加の問題をどのようにお考えになっておりますか。
  153. 佐々木白眉

    ○佐々木説明員 先ほども申し上げましたように、世界の核不拡散政策協力する、しかもその一方で日本原子力開発利用を計画的に遂行することができるという取り決めでございますので、この形のものを日米、日加の場合にも、さらにその他の場合にも、もしできれば進めていきたい、そのように考えております。
  154. 林保夫

    ○林(保)委員 そういった中で、この国際原子力機関IAEAの役割りというのは非常に大きくならざるを得ないと思いますけれども、なお、最近の国際情勢から見まして、果たして十分にこの保障措置ができているのだろうかということもございますが、外務省、この機関の役割りと今日までの実績についてどのように評価しておられますか、お伺いしたいと思います。
  155. 中山正暉

    中山委員長 林議員に御通告申し上げますが、官房長官お帰りになりましたので……。
  156. 宇川秀幸

    宇川政府委員 IAEA、御存じのように各国とも取り決めによりまして原子力施設保障措置セーフガード査察を行っております。その意味で、核不拡散体制の非常に大きな支えになっておるということで、私どもとしては伝統的にIAEAを重視してまいりましたし、今後ともこれを強化していくという方向で対処したいつもりでございます。  先生も若干御指摘になりましたように、しかし、IAEA体制が完璧なものであるかと言えば、必ずしもそういうことは言えないわけでございまして、特に核不拡散条約NPT加盟した国については全施設査察できる体制に入るわけでございます。その他の国につきましては一部の施設に限られておるというような側面もございまして、この面は今後とも私どもとしては国際的にも査察体制の強化補充ということは主張してまいりたいと思っております。同時に、査察といいましても、人間である査察官が関係することでございますので、その面での査察技術をさらに進展させ、より効率的にやっていくという努力も引き続き継続していくことは必要でございまして、私ども自身の施設一つの実験場として提供しながら、その面でも補完してまいりたいというふうに考えております。
  157. 林保夫

    ○林(保)委員 官房長官が帰られましたから、最後に一つ。  そういうふうにNPTに入っているところはちゃんと査察の対象になって、わりときっちりいける体制ができておりますね。不拡散条約を私どもが批准いたしますときにもいろいろな議論があったことは、官房長官御承知のとおりでございます。しかし、なお今日大変緊迫し、動乱が起きつつあるような状況下において、一抹というよりも、大変大きな不安が今度の国連の軍縮特別総会に向けてあちこちでわき上がっておりますね。そういうものをどうとらえて、国際政治の中で核大国の問題、あるいはこれに加盟していない問題を日本政府としてはどのようにお考えになり、対処され、将来どういう提議をされて、本当に核廃絶といいますか、あるいは一方において平和利用をやっていくかという御所信をひとつ承りたいと思います。
  158. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 NPT加盟をする、加盟をしないということについて、国によりましていろいろな政策を持っておるわけでございますけれども、やはり私どもとしてはできるだけ多くの国がこの条約に入ることによって条約が普遍性を持つというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、未加盟国にはできるだけ加盟をしてもらいたいというふうにわが国としてはもとより考えておるわけでございます。  なお、これからの具体的な軍縮のステップとしてどういうことを考えるかということでございましたけれども軍縮特別総会もやがてございますので、その際にわが国としては、まず核軍縮、この問題を、核実験の全面禁止等の実現を目指しながら、核不拡散体制の強化をしてまいらなければならないと思いますし、さらには非核兵器軍縮の問題もございますけれども、とにかくまず核軍縮ということ、そして、それは非核、核不拡散体制NPT体制の強化ということを中心に各国に呼びかけてまいるべきだと思っております。
  159. 林保夫

    ○林(保)委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
  160. 中山正暉

    中山委員長 次に、井上普方君。
  161. 井上普方

    井上(普)委員 この協定をなぜ新しく結ばなければならないのかということにつきまして、先ほどからるる御説明がありますが、しかし、どうもむずかしい言葉を使いまして私らにわからない。一つずつそれでお伺いいたしてまいりたい。  なぜこういう包括的な契約にしたのだというのですが、前と比べまして、包括的契約にしたらどれだけメリットがあるのか、ここらあたりをお伺いしたい。そして、との協定を結ぶことによってどんなメリットがわが国にあるのか、お伺いしたいのです。包括的とか、抽象的な言葉はよろしゅうございます。
  162. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  規制権といいますか、相手側事前同意権がある場合を一つ想定してみたいと思います。再処理を行う場合には事前に、包括同意がない場合には個別にこれで再処理をやりますが、よろしいですかということでお伺いを立てないといけないことになります。その場合に、相手が断る可能性は全部なくなっているわけではございません。手続的に煩瑣でございます。
  163. 井上普方

    井上(普)委員 手続的に煩瑣でございますとおっしゃるが、手続的に煩瑣ってどの程度あるのです。どれぐらいめんどうくささがあるのです。いままでも九州電力あるいは四国電力に豪州ウランが入っておったはずです。これをやれば——どれだけめんどうくささがあるのです。そこのところをお伺いしたいのです。
  164. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  再処理につきましては、旧豪州協定では規制の対象になっておりませんでした。だから、現実の問題として、ほかに再処理規制がございます、たとえばアメリカの事例をとりますと、再処理を今度やります、どういう計画で、何月何日から何トンを再処理いたしまして、その用途は何でございます、こんな厚い英文の資料を提出するという、かなり複雑な手続を必要といたします。
  165. 井上普方

    井上(普)委員 それくらいのことが何でそれくらいめんどうくさいのだ。めんどうくさいだけで条約を新しくするわけにいきませんよ。おたくの言うのはめんどうくさいだけじゃないですか。
  166. 宇川秀幸

    宇川政府委員 めんどうくささだけで条約をつくったわけではございません。日本が企画していることを、豪州としては結構である、したがって日本としては予見ができる、長期的に見通した形で自分の計画がつくれる、こういう使い方をするのであればいいんだなということをはっきりさせておきたかったということでございます。
  167. 井上普方

    井上(普)委員 前の協約を結んだときには、それほど豪州日本に対して信頼がなかったのかをまず第一番に。  それから、一連の計画が前の協約ではできなかったのか、私は疑問に思う。前の協約であっても、事務的に十分なお話をすれば豪州政府の許可は得られるものだ、議事録を見れば、こういう説明を前の協定のときにしておる。ところが、今度になったら、今度はそれができるのだからというのはどうもおかしい。そうすると、前の答弁は違ってきておる、こういうことになるが、その点はどうだ。
  168. 宇川秀幸

    宇川政府委員 再処理という事例を使いましたが、前の協定では再処理については規制権はございませんでした。やはり一つは、インド核爆発といったようなことからいろいろ国際的な動きもございまして、各国が平和的利用を担保する体制はどうあるべきかということで勉強した成果がここに盛られているということでございまして、何も従前は豪州日本を信頼してなかったということではございません。おっしゃるように、個別のケースで説明をすれば豪州としても問題はないはずでございますが、この際全部を整理しておきたいということでございます。  なお、そういう話し合いに入りました段階では、私どもは必ずしも既存協定を直す必要があると思ってかかったわけではございません。やっておるうちに、今度の話を取りまとめるためには協定の全面改定をやらざるを得ない、かつそれが正しい方法であるというふうに判断いたしまして、新しい協定についての御審議を現在お願いしているということでございます。
  169. 井上普方

    井上(普)委員 一例を挙げれば、再処理についてはいままで豪州規制権日本にはかからなかった。いいですか、かからなかったものを、今度この条約によってかける。それこそ日本の方とすれば、日本の国益からするとウランを自由に使う——もちろん軍事的利用ということはわれわれは全然考えてないし、将来日本はそうさせてはならない。けれども、一々豪州政府同意を得なければ、今度は再処理もできない。それはもちろん包括的に再処理できることにはなっていますよ。しかし、一々そういうことになるということは、ちょっとどうも規制権が重なり過ぎるのじゃなかろうか、このように思うのですが、いかがでございますか。
  170. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  再処理につきましては、御案内のようにアメリカカナダについては規制権を認めております。かつ、その再処理が何の目的で行われるかといえば、日本の場合には減損ウランを取り出してもう一回利用する。それからプルトニウム使用するという目的でございます。国際的にプルトニウム使用というのは、間違った使い方をされれば核爆発につながりかねないという背景で行われた話でございまして、私どもとしては再処理についても何もやましいことをやっているわけじゃない。その辺は明らかにしておきたいということで、ほかと平仄も合わせながら、同時に日本は用途を確定していますよ、これでいいんですねということで豪州と話をしたというのが、新しい協定の特色でございます。
  171. 井上普方

    井上(普)委員 それから、新しく規制を加えられる。もちろんこちらの方としては、軍事目的あるいは核爆発に使うという気持ちはないにしても、よそから規制せられるということについては、やはりこれは窮屈ですよ。いかにも新しい協定がありがたそうに言うけれども、窮屈になるということなんだ。あるいは事務的には繁雑さは少なくなったと言うけれども、事務的にどれだけ繁雑さが少なくなったのか、具体的に一体どれくらいになっておるのか、わけがわからない。英文でこれくらいの厚さのものをつくらなければならないなんて、あたりまえの話です。それくらい、その都度その都度つくったって、何も事務的に大したことはない。何でやらなければいかぬか、私らには理由がわからない。  もう一つ、この規制の対象の中の物質にしましても、どうもわからない。たとえて言いますならば、新しくここに重水の生産ということが書いてある。重水の生産までなぜ規制の対象になるのか。重水の生産に関連する設備あるいは技術、これまで規制の対象になぜなるのか、この点をお伺いしたいのです。
  172. 川崎雅弘

    川崎説明員 先生の御指摘のポイントは、第二条の、規制の対象になります物質等についての問題だろうと思いますが、昭和五十二年に公表されております原子力先進輸出可能国十五カ国が集まっておりますロンドン・ガイドラインというものが、それぞれ原子力関係の資材、技術等の輸出について共通の指針をつくってございます。これは国際原子力関係に提示をいたしまして、一種の紳士約束として守っていくということになっておりますが、その中で重水というのは、天然ウランに連鎖反応を起こさせるために必要な減速材ということから非常に重要な資材であるという認識になっております。  それからさらに技術につきましても、いろいろ技術はございますけれども、ただいま申し上げました重水の製造にかかわる技術であるとか、濃縮をするための技術であるとか、再処理に関する技術といったようなものが、特に核拡散防止上の観点から重要な技術として、輸出するに当たって取り扱われるべきであるというような趣旨がそのガイドラインに盛り込まれております。それを反映して、現在の日豪協定あるいは日加協定ができ上がっているのだと理解いたしております。
  173. 井上普方

    井上(普)委員 ウランとこの重水の生産とは何ら関係ない。オーストラリアから入ってくるウランと重水の生産設備及びその知識、何ら関係ないでしょう。あるのですか。それは、ロンドン・ガイドラインというのがあるのは知っている。しかし、ロンドン・ガイドラインというのが片っ方にある、片っ方には日豪原子力協定、これとの因果関係、何もない。なぜ重水のことがここに書かれるのか、私らは理解に苦しむ。
  174. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  一つは、重水の関連のところは定義の条項、九条のところでございます。御指摘のように、現在豪州から入ってくるという可能性は直ちにはないかと思いますが、これは三十年先を見通した協定でございますので、国際的にも「機微な技術」というものについては、ある程度固まった概念ができておる、それをこの協定の上でも反映さしておくのが正しいだろうという形で規定したものでございます。ここにございますように、「機微な技術」の中に入る重水に関連するものについては双方で協議して指定した場合に初めて協定の対象になる、したがって、当面かかる指定を行う予定は双方にも現在の時点ではございません。
  175. 井上普方

    井上(普)委員 機微なる技術についてこれが含まれる。しかし、この第二条では二から五までの規定に従うことを条件としてこの協定規制せられるのだ。ウランと何ら関係のない重水の生産にまでなぜ網がかぶせられるのか、私らわからない。この点についてはロンドンのガイドラインというものがある、それは核拡散防止条約としてのガイドラインである。ところが、豪州ウラン日本利用せられる、どういうふうに使われるか向こうも関心を持つことは結構、しかし、何ら関係のない物質にまでここにわざわざ規制を加えられるというのは納得がいきかねるのですが、ここらあたり、もう少し明確にしていただきたい。
  176. 川崎雅弘

    川崎説明員 先ほど申し上げましたとおり、重水というのはきわめて性質のよい減速材でございまして、炉の中でこの重水を使いますと、天然ウランで燃料とすることができます。その結果、きわめて良質のプルトニウムが炉心の中に生成されてまいるわけでございます。そういう意味で、重水というのは、核拡散防止という見地から見ますと、きわめてプルトニウムを得やすい、原子炉の核分裂を助ける助材という意味でこういうロンドン・ガイドラインの中に取り入れられているわけで、この協定にそれが含まれておりますのは、先ほど宇川議官の方から御答弁があったとおり、将来の協定有効期間中に双方においてそういうような重水の製造にかかわる技術をあるいは日豪間で輸出入する可能性があるかもしれないということから入ることになっております。
  177. 井上普方

    井上(普)委員 そこのところがわからない。これは三十年間の将来にわたって決めておるのだからこういうことがあり得るかもしらぬ。そのときなぜやらないか。それほど重水が大事なのであれば、それほど減速材として有効なのであれば、なぜCANDU型をここに輸入しないのか。これは政策上の問題だから言いませんけれども、どうなっているのか。何ら因果関係のないものまで縛られるということはどうですか。これは宮澤さん、どうでございますか。この条約をお知りにならぬだろうと思うが、条約の中身を見ましても、関係のないものをここに入れてきてそこで縛ってしまおう、重水の生産設備あるいはあらゆる情報について全部向こうに言わなければいかぬ。どうも私ら納得できかねる。規制がきつ過ぎると思うのですが、どうでございますか。これは素人考えでお聞きになっておってどうでございますか。
  178. 宮澤喜一

    宮澤国務大臣 私、正直申し上げまして大づかみにしか理解できないわけでございますけれどもわが国の場合はいわばNPTでは優等生でございます。また、国際的にもそういう意味核兵器を使わないということできわめて信頼が高い国でございますから、先ほどから承っておりますと、何か新たな制約を受けてというふうにおっしゃっておられまして、それは形式的にはそういうことが言えると思うのでございますけれども、どっちみちわれわれはそっちの方へ出ていくつもりがない、またこれは世界もそれを信じておるわけで、したがって、現実には別段新しい制約を受けるわけではなく、むしろ全体をプログラムとしてとらえることができますれば、一々これはどうなるだろう、あれはどうなるだろうと先のことを考えませんでも、全部ずっと見通せる。それはわが国がそういう優等生であるという立場であるがゆえにそうなんだと私は思いますが、そういうふうに考えてまいりますと、こうやって新しい条約にすることは大変に意味があるのではないか。私、大づかみにはそんなふうに理解しております。
  179. 井上普方

    井上(普)委員 私も大づかみに考えて、これはおかしいなと思うのですよ。重水のこれからの用途というものも、非常に違った面で用途が出てくると私らは思う。その前で、たちまちとしては何ら関係のないものをここで押さえておく。納得がいきかねます。この点につきましてはもう少し明確なる御答弁をいただかぬ限りは——豪州との協定で向こうから入ってくるものは何ら関係ないのです。私には納得できかねる。これは委員長においてももう少しここらあたり明確にしていただかなければ、私ら審議するわけにまいらないということを申し上げておきます。  第二点の問題としましては、原子力平和利用につきましていつも問題になっておりますが、原子力基本法にも書いてございます民主、自主、公開の三原則があることは御存じのとおり。その後三原則は得られた知識の成果はこれを公表しなければならないということがはっきりと出ておるし、原子力基本法第十八条か第十九条でございましたか、そこらには、したがって、得られるところの特許権それ自体につきましても政府におきまして制約を加えることができることになっている。そこで第一条のb項で言っておる「合意によって定める条件で公開の情報を提供し及び交換することを容易にする。」というところで、企業秘密との関係は一体どうなっておるのか。したがって、豪州に対しまして得た知識と機微な技術を供給しなければならないことになっておりますが、企業秘密とそこらあたりの関係は一体どう考えられておるのか、その点ひとつお伺いしたいのです。
  180. 都甲岳洋

    ○都甲政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘の第一条一項の(b)に、「公開の情報を提供し及び交換すること」ということになっておりますが、この「公開の情報」につきましては第九条に定義がございまして、「秘密指定を受けていない情報をいう。」ということになっているわけでございます。それでさらに第九条のd項におきまして、「情報」というのは「公衆が入手することのできる資料を除く。」という形になっております。若干複雑でございますけれども、この間の御説明を申し上げたいと思います。  公開の情報というのはこういうことでございますので、まず秘密指定を受けていない情報ということでございまして、ただ、この秘密指定を受けていない情報というのは、これは字面をそのままとりますとやや難解でございますけれども、了解といたしまして、これは安全保障上の秘密指定を受けていないいわば国家安全保障上の機密というようなものをこの協定によって交換するということは前提としていないということが書かれているわけでございます。それからさらに、公開の情報と申しましても、一般にパンフレットで簡単に手に入るようなものを政府あるいは両国間で交換するということはまた意味ないことでございますから、そのようなものは除いているわけでございますので、当然、そのような定義からいたしますと、民間の企業の秘密等はこの公開の情報の中に入り得る性質のものでございまして、ですから企業秘密等につきましては対象になり得るということでございます。
  181. 井上普方

    井上(普)委員 ところが、いま第九条の秘密指定を受けていない情報というのは国家安全保障上の機密というのですか、国家安全保障上の機密というのは原子力に関してわが国にあるのですか。——いやいや、これはないはずだ。ないのをわざわざ言っているのですね。あなた方は国家安全保障上の機密があるごとくに言っておるが、これは重大な問題なんですよ。官房長官、そうでしょう、わが国の国家安全保障上の原子力に関する機密というものはあり得ますか。ないものをわざわざ書くのは一体どういうわけだ。
  182. 都甲岳洋

    ○都甲政府委員 わが国におきましては原子力基本法その他で原子力平和利用ということは確立した原則でございますので、当然わが国についてはこのような国家安全保障上の見地からの秘密指定というようなものがあるわけではないわけでございますが、ただ、このような規定というものは各原子力協定原子力平和利用目的とする協力協定の中には全部盛られておりまして、日英、日仏、日米等にも入っている条項でございます。それでたとえば日仏協定でございますと、「「公開の情報」とは、「秘・防衛」又は「極秘・防衛」の秘密区分に属しない情報をいう。」という定義がございまして、これは平和利用目的とするこのような協定の中にいわば一つのパターンとして入っている協定の事項でございますので、当然原子力平和利用目的とするこのような協力協定におきましては、そのような軍事的な機密に属する情報の公開を前提としないということをいわば原則的に盛り込んでいる、そういうふうに御理解いただけたらと思うのでございます。
  183. 井上普方

    井上(普)委員 そうすると、条約上のパターンだから、日本には何も適用ないのだけれども、これはかっこうをつけるために書いてあるんだということですね。ほかの協定にあるから、かっこうが悪いからつけている、こういうことですな。
  184. 都甲岳洋

    ○都甲政府委員 お答え申し上げます。  このような協定の条文というのは原子力平和利用目的とします協力協定の中には一般的に入っているわけでございまして、旧日豪協定にも同様の観点からの条項が入っておるわけでございます。そのようなことでいわばわが国の情勢というよりも一般的にこのような平和利用目的とする協力協定の中に入っているということで相手国からの要請もございますし、それから一般的な一つ協定のパターンというのもございますので、そういうパターンにのっとってできているこういう協定には当然に入ってしかるべき事項であるということで、従来とも入っておりますし、今回もそれを特にわが国平和利用目的のみに限るという立場から除かなければならない必然性もなかったということで入っているわけだと思うわけでございます。
  185. 井上普方

    井上(普)委員 そうするとこれはアクセサリーだ、こういうことですな。前の日豪協定にはあったのだから、これは除くと言うたら何か勘ぐられる、しかしこれは意味はないけれどもアクセサリーでつけておかなかったらかっこう悪い、こういうことですな。そうしか理解できぬ。  それで続いて、先ほどのお話で、それじゃこの機微な技術あるいは情報について商業機密の分は今後豪州側に渡さなくていい、こういう協定だ、こう理解してよろしゅうございますか。
  186. 都甲岳洋

    ○都甲政府委員 お答え申し上げます。  この協定は、先ほど御説明いたしましたように、当然にそのような公開の情報のもとに企業秘密にわたるような情報の交換もあり得るということを前提といたしまして、ちょっとごらんいただけますでしょうか、第六条の四項におきまして「両締約国政府は、この協定の範囲内において受領した商業上、商業上その他の秘密の秘密性を保護するための適切な措置をとる。」ということが規定されておりまして、先生がただいま御指摘になりましたような秘密は交換されることがあるということを前提としているわけでございます。
  187. 井上普方

    井上(普)委員 これは前条約にはなかった新しい項目ですな。これはなぜ入れる必要があるのか、そして適切な処置とは一体何なのか、この点お伺いしたいのです。
  188. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  この協定の期間の間には産業上または商業上の秘密といったものが双方で交換されるということが多々予想される。それはそういう条件でお互いに提供し合っておるので、その秘密性については当然のことながら外へ不用意に漏れないような処置をとりましょうということで、ある意味ではあたりまえな規定を置いたことでございます。適当な処置という場合に、仮にたとえば受け取ったのが日本国政府でございましたらこれは守秘義務がかかる、それから業界に相手政府が渡したあるいは業界が相手政府に渡したというような場合にはそういう了解のもとで行われる、したがって双方で合意したもの以外には必ずしもその条項を明らかにしないということで尊重し合うという趣旨でございます。
  189. 井上普方

    井上(普)委員 利用できない商業上あるいは技術上の秘密を政府が手に入れたところで何ともならないはずだ。それを保護するのであれば、適切な処置とは一体どういうことかということが書かれなければならないでしょう。それを全然ここに詳細に書かれていない。どういうことかと言うたら、政府責任を持つんだ。それだけでは納得できませんよ。元来この原子力に関する技術あるいは知識、知見、こういうものは日本立場からいたしますとすべて公開するのが原則だと私は思っている。しかしながら、各企業については企業秘密でございます、こう言ってわれわれ国民にも知らさぬケースが非常に多い。特に科学技術庁におきましてはその点は厳しくわれわれにも、この点は企業秘密でございますから申し上げることはできない、こういうことを再三にわたって言っている。しかしそれについても、これは全部企業がわれわれに知らされない企業秘密も外国には知らさなければならないことになる。ここらあたりは一体どうなるのだということだ。
  190. 都甲岳洋

    ○都甲政府委員 一般的な見地からの御説明をさしていただきます。  原子力基本法におきまして公開の原則が決められているわけでございますが、これらはもちろん成果についての公開ということでございまして、商業上の秘密等の保護等、その合理的な制約のもとにあるということだというふうに私も了解しております。  それからさらに、この協定の「その他の秘密」についてでございますが、たとえば保障措置につきましてIAEAが結論を出しているような場合の文書というものは、それをそのまま公開するわけにはいかないというようなものもございましょうし、それから特にこの協定規定されておりますような防護措置でございますね、テロリスト対策としての防護措置の詳細等につきまして、これを公開する場合にはこれがテロリストの手に入って非常に不都合な状態が生ずるというようなことで、このようなものは秘密の指定を受けるということは十分に合理的にあり得るものだろうと思うわけでございます。このような情報が入った場合には、これは当然に政府としてその秘密性を守るために適当な措置をとらなければならないということでこの協定に盛られているわけでございまして、政府としてはこれにつきましてどのような措置がとられるかということだと思うのでございますが、国家公務員法での守秘義務であるとか、企業との契約の中にそれを盛り込むということであるとか、あるいは動燃等特殊法人につきましてはその設立法におきましてその一般的な監督権限の中でこれを実行するというようなことで、国内的な適切な措置をとっているという状況になっているわけでございます。     〔委員長退席、愛知委員長代理着席〕
  191. 井上普方

    井上(普)委員 私が聞いているのはそんなことじゃない。商業上の秘密あるいは技術上の秘密、企業上の秘密、それまで向こうの豪州政府日本の開発したものは知らさなければいかぬのでしょう。そういうことを国内においても、われわれに対しても企業上の秘密が、すべて企業上の秘密と言いながら外国に知らさなければいかぬということはちょっとおかしいと思うから言っているんだよ、ちょっと言うか、おかしいんだ。
  192. 都甲岳洋

    ○都甲政府委員 先生のただいまの御指摘でございますが、この協定はこのような商業秘密を相手に渡さなければならないという義務を課している条項はどこにもないわけでございます。第一条を再度ごらんいただきたいと思いますが、ここには1のb項におきましても「合意によって定める条件で」ということになっておりますので、このような情報の交換につきましては当然に双方が納得ずくで合意される条件に従ってそのような情報の交換が行われるわけでございますので、特定の企業秘密を渡さなければならないという義務はないわけでございます。ただ、そのようなことで、このような情報交換の中には企業秘密その他の秘密があり得るということを前提といたしまして、そのような機密等が交換された場合にはこの六条の四項に従ってそれが十分に守られるように適切な措置をとるということを各国の義務にしているわけでございます。
  193. 井上普方

    井上(普)委員 しかし、これは「合意によつて定める条件で公開の情報を提供し及び交換することを容易にする。」こうあるのです。だから、企業秘密と称するものを渡すということが前提になってこれはつくられておるものじゃないのですか。
  194. 佐々木白眉

    ○佐々木説明員 商業上の企業機密と原子力基本法に言っております公開の原則との関係について説明させていただきたいと思いますが、わが国原子力の開発利用関係するすべてのものがよって立つべき基本理念を定めたものがこの原則でございまして、政府としてももちろんこれに従うのは当然でございますが、この原則は成果についての公開でございます。したがいまして、その商業上の秘密保護等合理的な制約のもとにあるものについては、これは基本法に言っておる公開の原則とは何ら抵触しない、このように一般的には考えているわけでございます。  それで、これも企業機密と原子力基本法の公開の原則のもとでその関係についてどうかということでございますが、わが国原子力開発利用推進に当たりましては、この公開の原則に従ってできるだけ成果の公開に努めてきたということでございます。しかし、この原子力の研究開発利用に当たりまして、その成果の公開につきましては、商業上のノーハウ等企業機密については財産権の保護、そういう観点から、また新しい技術でございますが、ウラン濃縮とか再処理等機微な技術につきましては国際的に核拡散の防止の観点からこれに適切な配慮をすることが必要であるということでございます。このような観点からいきまして、原子力研究開発利用に関する情報がすべて公開されるというわけではございません。ただ、安全審査の資料等を含めましてできる限り情報の公開に努めてきたということで、また今後ともそう努めていくわけでございますが、先ほど申し上げました財産権の保護、核拡散防止、そういった観点からは、それなりに公開されないものがあるということでございます。
  195. 井上普方

    井上(普)委員 私は、核拡散防止という意味からの企業秘密というものはわかる。しかし原則的に、財産権の保護という面でのそれは、私らには納得できない。しかしいままですべて原子力委員会はそれでやってきた。たとえて言いますならば、安全性の確保につきましても十分なる情報を国民に提供しておるかと言えば、安全性確保についての情報の提供は、あなた方はできるだけやったと言いますが、私らには十分にやられておるとは思えない。ここらあたりに問題があるにもかかわらず、一条において他国に与えられなければならない情報の中にこれが入っておるというのは、私らには納得でき得ません。これが第一点。  しかし時間が限られておりますので、私にわからない点だけ列挙しながら、またまたその次の機会を得たいと思うのであります。  第二条のC項「同位体分離によって調製された核物質又はこの協定により規律される核物質から照射によって生成した核物質。」というのは何を示すのか、ひとつ具体的にお伺いしておく。それからどの程度か、その量もひとつお伺いしたい。それからこのC項の最後の方に「その調製又は生成に当たって使用された核物質の総量と当核調製又は生成に当たって使用されたこの協定により規律される核物質の量との比率に応じたものに限るものとする。」というのはどういう意味か、この三点についてまずお伺いしたいと思います。
  196. 川崎雅弘

    川崎説明員 ただいまの井上先生の御質問に対してお答え申し上げます。具体的に説明しろと申されますので、事例を挙げて申し上げます。  このC項に申します冒頭の第一群のところの「核物質から化学的若しくは物理的な処理」、たとえばイエローケーキからそれをUF6にするというのが、この「化学的若しくは物理的な処理」に該当すると思います。「若しくは同位体分離によって調製された核物質」というのは、具体的には低濃縮ウランあるいは濃縮するという行為がこの「同位体分離」でございます。具体的には、ウラン238とウラン235を分離する、それでどちらかに濃度を偏らせるというわけでございます。  それから後段の御質問でございますが、これは今後オーストラリア産のウランにつきましてはカナダ産のウランと同様に、五条以下あるいは三条以下に定めます種々の規制がきめ細かくかけられてまいるわけでございますので、どのウラン豪州産のウランであったかということをわが国あるいはオーストラリアにおいて見分けておく必要がございます。その見分け方といたしまして、仮に百トンのイエローケーキを日本で購入いたしまして、そのうち五十トンがカナダ産で五十トンがオーストラリア産のものであったというふうにいたしますと、UF6をつくります際にやはり工程上必要不可欠のロスが出てまいりまして、製品としてはUF6がウラン換算で九十八トンしかできなかったという場合に、入れた比率が一対一であったから、これは四十九トンをオーストラリア産のものと認め、四十九トンをカナダ産のものと認めるというふうに比例配分、インプットと言いましょうか原料を投入した量の比例配分を意味しておるわけでございます。
  197. 井上普方

    井上(普)委員 そうなってくると、カナダ豪州との協定が違うということになってくると、これまた問題が起こってくる。片一方の方については十分なことができるし、これで規制せられる。カナダといま協約が結ばれておるけれども、大分内容が違うのじゃございませんか。
  198. 川崎雅弘

    川崎説明員 ただいまの比例配分の原則と申しております点につきましては、すでに発効いたしております日加協定においても同様の趣旨が盛り込まれておりまして、その間でのそごはございません。
  199. 井上普方

    井上(普)委員 そこで次に、アメリカカナダ、イギリス、フランスと同じように原子力協定を結んでおるはずです。先般の質問で明らかになったのだが、アメリカがいま日本に対して協定の改正の要求があるようでありますが、ほかの国にはないのでございますか。そして、その協定の改正の要求があるのに対して、日本政府としてはどういうような態度で臨もうとするのか、この点お伺いします。
  200. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  相手からの改正の要求があったかないかという御質問だったと了解いたしますが、米国は新しく国内法ができました際に、改定の話について相談をしたいという申し出がございました。その他の国については現在ございません。
  201. 井上普方

    井上(普)委員 そうすると、わが国から改定する要求はないのでございますか。
  202. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  私どもの方から改正をいま直ちに要求するという態勢ではございませんで、この新しい豪州協定で採用されたプログラムアプローチというものをほかの国との関係でも採用したいという形の申し入れをやっております。詳細を詰めました際に、それが現行協定改定につながる性質のものかどうかは、その結果を見た上で判断せざるを得ないと考えております。
  203. 井上普方

    井上(普)委員 そのあちゃら語のプログラムアプローチなるものが、先ほどもちょっと伺ったのだけれどもどうも私らに十分わからない。さっき、日本語で言うと包括的な処理、こう言うのでしょう。そうでしょう。(宇川政府委員「そうでございます」と呼ぶ)日本の国会なんだからなるべく日本語で言いなさいよ。その包括的な処理をやることによってどれだけありがたいのか私らはわからない。また、豪州から日本に入ってきておるウランというのは非常に量が少ないものだと私は承知しておる。いままでであればこれは九州電力と四国電力のウランのはずだ。それにメリットがあるのだとしたら、ほかのことはともかくとして直接のメリットというのは、これぐらい厚い英文の文書をつくるのがつくらなくていいことだけだ、こういうようなお話。ほかにも何かあなた言っておりましたよ、包括であるとか包括でないとかいうようなこと。めんどうくさいだけの話だ。  そこで、いままでの量が非常に少なかった。今度、関西電力にまでこれが及ぶのだが、そのほかに豪州からあるいはフランスからも入っておるし、カナダからも入ってきておる。この量の方がはるかに大きいはずだ。それほどありがたいのであれば、なぜアメリカあるいはカナダあるいはフランス等々に対して豪州同様な改定をこちらから要求しないのですか。
  204. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  これらの諸国とは包括的に事前同意処理するという体制に入りたいということで申し入れを行っております。現行の協定を動かす必要があるかないかは話し合いの結果いかんであるというふうに先ほど申し上げました。  それからさらに、御指摘のとおりアメリカカナダの方が量が多うございます。フランスにつきましては、いま直ちに包括処理体制を組まなくても特段の不便を感じておりませんので、アメリカカナダを優先するということでございます。  それから、先ほどどれほど煩瑣かという事例でいろいろ資料の提出の要求があるということを申し上げましたが、包括同意体制に入るということの最大の理由は、めんどうくさくなくなるからということではございませんで、日本としてこういう条件さえ整っておればいろいろ行動ができる、計画が立てられる、そこがポイントでございます。
  205. 井上普方

    井上(普)委員 それじゃ、逆に言えばいままでは計画が立たなかった、こういうことが言えるのですか。
  206. 宇川秀幸

    宇川政府委員 計画が全く立てられなかったというのは誤りかと思います。一つの例を挙げさせていただきますが、七七年に日米間で一つの争点になりました東海の再処理工場を日本が操業開始をいたします時点になって、アメリカとしては再処理というのは原則として控えてほしいという希望の表明があって大分もめたのは御記憶に新しいかと思います。私どもとしてはそういう事態を先取りして、こういう場合にはちゃんとやれるんだということを確立してまいりたい、そういうかっこうでこの包括同意体制ないし処理というものを各国との間でも組んでいきたいというふうに考えておるわけでございます。
  207. 井上普方

    井上(普)委員 アメリカという国はじきどないになるかわからぬ国だ、大統領がかわったら方針がふらふら変わる国だ、あるいは大統領だけじゃなくて、とにかく思いつきをやる国でどうもわれわれは信用できぬのは、それはあなたのおっしゃる点かもしらぬ。しかし、豪州はそうじゃない。恐らく豪州との間には、そんな途中からこういうようなことをしてくれといって方針が変わって、豪州産のウランをいままで少量ではあったけれども日本に輸入して、それで豪州政府が何か言ってきて困ったという例は日本にはないのでしょう。一番困ったのはアメリカでしょう。えらいまたむずかしいことを言ってきたなというなら、まず第一にやるのはアメリカじゃないですか。それができていないのはどういうわけですか。
  208. 宇川秀幸

    宇川政府委員 ある点ではそのとおりでございます。アメリカにつきましてはすでにいろいろ話を始めておりまして、去年の十月末の時点では東海の再処理設備につきましては、設備の——全面的に動かしていいかっこうで使うということについて日米間で了解ができております。なお、いろいろほかに細かい点につきましても話をすべき点がございますので、鋭意アメリカとは細目の詰めに入っておるということでございます。
  209. 井上普方

    井上(普)委員 いまあなたは言いかけて途中でやめましたね。言いかけて途中でやめるというのは、生理現象でも同じでどうも余りおもしろくないことなんだ。はっきり言うべきことはここで言いなさい。どういうところでこういう不都合があるんだ、豪州政府はそんなことはないんだけれども、もしあったら困るから言っているんだということをおっしゃいなさいよ、ここで。
  210. 宇川秀幸

    宇川政府委員 豪州との関係では特に支障があったわけではございません。旧日豪、新日豪の間に行われました国際核燃料サイクル評価その他の作業も取り入れて新しい体制を立てたということでございます。先ほどちょっと詰まりましたのは、前に御要望がございました横文字を避けようということで、英語で考えておりまして、すぐ出ませんで失礼いたしました。
  211. 井上普方

    井上(普)委員 事アメリカについてはともかく余り言いたがらぬのは、これは外務省の役人どもの通弊だ。この点は、いずれもう一度機会を得ましてもっと聞いていきたいと思います。  それから、アメリカとの協定がなぜできないのか、私らには不思議なんでございますけれども、一番必要なのはアメリカとの協定改定ではなかろうかという気がしてなりません。  第二にお伺いしたいのだが、核物質防護条約というのが三十一カ国とECとで一九八〇年に結ばれたらしいんだが、核物質防護規定というのは、決め方は一体どうなっているのか。日本カナダ協定ではその範囲を広げておるようでございますが、その理由についてお伺いしたいのです。     〔愛知委員長代理退席、委員長着席〕
  212. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  核物質防護条約というものはまだ発効はいたしておりません。御指摘の年次に条約として姿を整えて、各国が発効の準備にかかっているという状況でございます。  豪州との関係で防護の規定をこの条約上新たに置きましたのは、お互いに防護の体制をとるんだということを確認する意味でございます。したがいまして豪州としては、ウランの輸出者として、輸出した結果のウランあるいはその他、そこから出てまいりますいろいろの物資が不用意に盗難等に遭うことによって、自分が意図した平和目的以外に転用されることは防ぎたいというのは当然の要望でございますし、日本側といたしましても、当然そういう事態にならないようにしておきたい、そういうことで細目を決めたわけでございます。
  213. 井上普方

    井上(普)委員 この防護規定カナダと同じですか。
  214. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えします。  同じでございます。
  215. 井上普方

    井上(普)委員 同じであるという理解のもとに、続いて次に進みますが、そうすると、この防護規定というのを新しく入れられた、これは、日本原子力の防護措置について余りにも豪州側が信用しておらぬからこういうようなのが入ってきたのかなという気が私はしておったのでございますが、それはそのとおり、この点で了解はいたしました。  そこで、第三条の査察の問題であります。この第三条の第二項というのは一体どういう意味を持っておるのか、ひとつお伺いしたいのです。具体的にどういうような意味があってこれが行われるのか、この点についてお伺いしたい。
  216. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  平和目的を確保するために、豪州日本も不拡散条約の当事国といたしまして、国際原子力機関IAEAとの関係査察を受け入れるという体制をとっております。したがいまして、そういう査察を今後とも引き続き受け入れるということで、平和目的に使われているということを担保する、逆に、妙な形で転用されていないということを明らかにするというために置かれた規定でございます。
  217. 井上普方

    井上(普)委員 そうすると、査察は具体的にはどういうようなことをやられるのか、この点をお伺いしたいのです。
  218. 川崎雅弘

    川崎説明員 お答え申し上げます。  第三条に規定しておりますのは、査察を含むいわゆる保障措置と言われております核拡散防止のための技術的な体系を総称しておるわけでございますが、これは日本の場合においては、すでに昭和五十二年に発効いたしておりますNPT第三条及び第四条に基づきます日本国際原子力機関との間に結ばれております保障措置協定に従って実施が行われておるわけでございます。
  219. 井上普方

    井上(普)委員 そうすると、新たにそのIAEA査察で十分だと豪州政府は認めておる、こういうことですな。
  220. 宇川秀幸

    宇川政府委員 そのとおりでございます。今後ともその体制にあるということをお互いに確認し合ったという意味でございます。
  221. 井上普方

    井上(普)委員 時間が参りましたので、私が提起した問題について、私も了解ができない点が二、三あることは先ほどの質問でも明らかにしておりますが、これを了解させるような御努力をしていただくことを前提といたしまして、私は一応この質問は終えたいと思います。
  222. 中山正暉

  223. 高沢寅男

    高沢委員 井上委員の後をまた三十分ほど時間をいただきまして、追加の質問をいたしたいと思います。  これは素人論議で大変恐縮ですが、先ほど、カナダウラン豪州ウランが一緒になっている場合、一対一、そういう比率でこれを認識する、区別をする、こういう御説明がありましたが、いつも物事はうまく一対一になっているとは限らぬと思うのですね。そこで、ある原子力発電所の中で使われている核物質、それが何対何かは別として、豪州ウランも入っておる、カナダウランも入っておる、こういう状態で、それでいよいよその使用済み燃料を再処理するという段階に来たときに、そのうちの豪州ウランは、これはもう核燃料サイクル全体の事前の合意ができているから、これを第三国へ持っていって再処理するということはすっといける、片方の方はまだそういう包括的な合意ができていないから、そこで一度個別的な合意をした上で初めてそういう処理ができるというふうな、同じ原子炉の中で使ってきたもののある部分はそこでもってすっといけるし、ある部分は幾つかの足踏みをしてから初めていけるというようないろいろな現実の違いが出てくるんじゃないのか、こう思うのですが、そういうふうな点において実際の運営に支障というものがないのかどうかということについて、素人考えですが、実際はどうなんだろうということを説明していただきたいと思います。
  224. 川崎雅弘

    川崎説明員 ただいまの御質問にお答え申し上げます。  少し背景を御説明いたしますと、わが国にただいままでに入っております原子力発電所に使います燃料は、アメリカで濃縮いたしておりますものが大部分でございますので、アメリカの国籍がまずついております。それに原産国であります国籍がはっきりついておりますのは、カナダ産だけでございます。今後日豪協定が発効いたしますと、さらに豪産の豪ということで国籍がつくわけでございますが、御指摘のような点については、核燃料発電炉での使い方というのは、かなり長期的な燃焼度の計算等に基づいて使われておりまして、しかも、海外へ移転するとか再処理をするというのも、炉から取り出して直ちに行うわけではございません。さらに現在、日本カナダとの協定が発効いたしました以後は、そういう原産国別に燃料体を国籍づけしておくというシステムを取り入れておりますので、燃料体ごとに、これはカナダ産、アメリカ産、これはその他の国籍のものという区別がまずできておりまして、さらに冷却期間として二年なり一年半なりを発電炉サイトに置いておりますので、そういう時間的ファクターを踏まえて、必要があればカナダ政府に対して事前同意を求める、あるいは必要があれば米国政府にも同様の同意を求めるというような手続をやっておりまして、幸いにいたしまして、今日まで、そのために特段の支障が出たという事例はございません。
  225. 高沢寅男

    高沢委員 いまの御説明だと、原産はカナダ、それがアメリカを通して来ておるという場合には、二つの国籍をしょっているわけですね。その場合には、そういう取り扱いは二つの政府の了解があって初めてできる、こうなるわけですね。それを念のために……。
  226. 川崎雅弘

    川崎説明員 お答え申し上げます。  ただいま現在のところでは、日本カナダとの協定が発効いたしておりますので、原産国国籍という意味ではカナダ産だけでございます。したがいまして、米加の二重国籍の燃料があるわけでございますが、幸いにいたしまして、アメリカカナダ政府の間に同様の原子力協定がございますので、現実には、日本政府アメリカ政府同意をとれば、その要請を受けて米加間で話し合いが行われて一本で同意が得られるという仕組みが現在ワークいたしておる状態でございます。
  227. 高沢寅男

    高沢委員 条約の文章の中へ入ってお尋ねしたいことがあります。  第五条の一の(c)それから(d)がありますね。この(c)の項を見ると、「この協定により規律される核物質は、両締約国政府が文書により認める条件に従ってのみ、同位元素ウラン二三五の濃縮度が二十パーセントを超えるように濃縮される。」こういうふうに書いてあります。これも、われわれの素人理解では、原子力発電に使う、平和利用という場合には大体三%程度の濃縮でやっておる、こういうことですが、ここにある二〇%を超えるような濃縮というのは、一体どういう場合にこれが出てくるのか。まず、そのことをお尋ねしたいと思います。
  228. 川崎雅弘

    川崎説明員 お答え申し上げます。  まず、濃縮度によって二〇%というラインで線引きをしました背景は、るる議論があったわけでございますが、公には昭和五十二年の原子力先進輸出国で定めましたロンドン・ガイドラインと言われるものの中でこういう線引きが行われております。  それから第二点の、御案内のとおり、三%程度の低濃縮ウラン原子力発電用に使っておりますが、研究炉用には四五%の濃縮度であるとか九三%の高濃縮も使っている状況でございます。  さらに、二〇%以上について特にここで規定を設けました背景としましては、国際原子力機関等で専門家によっていろいろ討議をいたしました中で、いわゆる核爆発物質に直ちにつながるおそれのある物質というようなことで、九五%以上の濃縮ウランであるとかプルトニウムというようなもの、あるいは二〇%以上の濃縮ウランあるいは照射済みのといいますか、使用済みの燃料の中に入っているプルトニウムというようなものの、それぞれの物質の性状と形状によりまして、それが核爆発物になりやすい、いわゆる金属、メタルの状態にするまでの間にいろいろ時間がかかります。そういう点を考慮しますと、ちょうど二〇%以上の濃縮をしておりますウランの場合には、大体これは三週間程度でその金属のウランに変わり得るというような一応のガイドラインが出されておりますが、そういう点を考慮して、ここで二〇%の基準を採用したわけでございます。  なお、同様な規定が日加協定にもございます。
  229. 高沢寅男

    高沢委員 その二〇%というガイドラインの意味はわかりましたが、それを超えてもっと濃く濃縮するというふうな場合が、たとえば日本カナダの両政府がそれを合意するという場合には、先ほど言われた、そういう実験のために非常に濃縮の高いものが必要だというような合意があったときに、そういう濃い濃縮をやる、こう理解していいわけですか。
  230. 川崎雅弘

    川崎説明員 先生の御指摘のとおりでございます。
  231. 高沢寅男

    高沢委員 その際、ここに、「両締約国政府が文書により認める条件に従ってのみ、」こうあるわけですが、これは要するに、口約束というふうなあいまいなものじゃなくて、文書によってきちんと信頼性のある条件をお互いに確認する、こういう意味でしょうか。
  232. 宇川秀幸

    宇川政府委員 そのとおりでございます。
  233. 高沢寅男

    高沢委員 先へ進みまして、これは日米の関係になるわけですが、これも私は報道によって見た情報であるわけですが、何か太平洋ベースン構想というものがある。それは、太平洋地域諸国の原子力発電所使用済み核燃料、これを国際管理のもとで太平洋上のある島に一定の期間貯蔵施設に置いておく、集中貯蔵する、こういうことが日本アメリカの間で、そういうベースン構想というふうなものが話し合われているということを報道で私も見たわけでありますが、事実関係はどうか、それから、将来一体どういうふうに進んでいくのか、それをひとつお聞きしたいと思います。
  234. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 先生御指摘の、太平洋ベースンの使用済み燃料暫定貯蔵構想でございますが、これは太平洋地域諸国の原子力発電所から発生する使用済み燃料を架空の太平洋上の島に一定期間貯蔵しようという構想を、フィージビリティースタディーと申しますか、勉強を日米相互間でしているわけでございます。これは昨年一月一日から日米の共同作業により、技術的、経済的及び制度的、法律的な問題点を種々、また環境保全の問題、安全の問題を含めまして、専門家ベースで検討を行っているところでございます。  わが国としましては、政府ベースでは通産省及び科学技術庁の予算をもちましてこれに参加しておりますが、直接使用済み燃料の発生者である電力業界も応分の資金負担をして、日米双方で半々の費用負担で勉強しております。  ことしも二月の初旬にありました日米の合同委員会で、本年の十二月末をもちましてこの計画を終える、調査を終えるということにしております。鋭意作業中でございます。
  235. 高沢寅男

    高沢委員 そのいまの御説明の、調査が終わったときには、そうすると、いよいよそれを実施のために着手していくということになるのかどうか。それで、実施のために着手していくとなれば、この架空の島というものは、一体どの島をそういう島に指定するのか。それから、その島なるものは、問題のその低放射能の廃棄物の太平洋の海洋投棄に対して太平洋関係の諸国は大変な反対運動をいまやっておりますが、そういう関連というものはここに当然出てくるのじゃないか、こう思われるわけですが、そういうことは一体これからどういうふうに進行するのか。いかがでしょう。
  236. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 二月の日米の委員会におきまして今後の方針を議論いたしました際に、本年の十二月で調査を終えるということでございます。それ以降の本件調査の進展に関しては一切話し合いは行われておりません。したがって、一応これで打ち切ることになります。  わが国としては、この使用済み燃料の貯蔵の技術的な問題、それに伴う社会的それから安全上の問題、環境の問題等々、日米の専門家がきわめて専門的な立場から調査をし、議論をし、報告をまとめておるわけですが、それ自体わが国の今後のバックエンド政策使用済み燃料処理なり廃棄物の貯蔵なりの今後のあり方にかなり貢献する調査になっているものと考えております。それをもちまして打ち切るということで終わることになると思います。
  237. 高沢寅男

    高沢委員 その十二月に調査の結果を出して、それで終わる、こう言われるわけですが、やはり調査した以上は、それを実施するというところで一つ意味が出てくると思いますが、ただ、こういうふうにある島へ、太平洋沿岸のそういう原子力発電をやる国々の使用済み燃料を全部そこへ集中して、一定期間国際管理で貯蔵するということはどういう意味があるのか、そこから関係国にどういうプラスが出てくるのか、それがまだ私よく理解できないのですが、どうでしょう。
  238. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 御説明いたします。  そもそもこの使用済み燃料暫定貯蔵構想が出てまいりましたのは米国のカーター政権時代でございまして、当時、プルトニウム利用をできるだけ抑える、したがって再処理をしないでできるだけ使用済み燃料のまま貯蔵していこうという核不拡散の観点からの構想でございました。わが国は再処理政策という方針を打ち立てておりまして、それに向かっていま準備体制を整えておるわけでございますが、しかしながら米国の核不拡散政策、あるいは将来あり得るであろうその他諸国のそういう核不拡散への対応への協力という意味で日米の太平洋ベースン構想の調査をしているということでございます。したがいまして、太平洋の島といいますのもあくまでも架空の島でございまして、たとえばサンゴ礁から成る島とか、大陸性の地質を持った島とか、そういうものを仮定いたしまして、図上でいろいろ勉強している。これは、将来そういうことがあり得れば、日米双方にとって、あるいはその他の諸国にとっても役に立つであろうという程度の段階でございます。
  239. 高沢寅男

    高沢委員 いまの、カーター政権時代に出てきた問題である、こういう御説明で、そのカーター政権時代は、核不拡散のためにとにかくアメリカ以外のほかの国の使用済み燃料の再処理はいわばさせないというふうな姿勢が非常に強かったわけです。そういうところから出てきた構想だとすると、ある一カ所の島に集中するということは、その集中した管理の全体の権限は、いわばアメリカが握る。アメリカがOKと言わなければ再処理もできぬというような、そういう性格のものになるのかどうか。しかし、カーター政権からその後レーガン政権で、またこれは方針も変わってきておりますから、その辺の実際の色合いは一体どうなるのか、ひとつ説明してください。
  240. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 先生御指摘のように、政権がかわりまして、先ほど来御説明ありましたが、現在米国とも、再処理政策をよりわが国核燃料サイクル自立化にとって有益になるように、役に立つように、そういう形の取り決めをつくろうということで話し合いを始めております。私ども理解では、米国としても、再処理政策に向かってこれから準備をしていくんだという決定をしている、政策をとっているという了解でございます。したがいまして、カーター時代のいわゆる使用済み燃料のまま貯蔵を当分しておくという政策は少しずつ後退しているという理解でございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、私どもとしては、そういう使用済み燃料あるいはその他廃棄物を含むバックエンドの貯蔵のあり方として大変に勉強になる調査だと思っております。  それから、具体的な島、それから体制、そういうものについては、具体的な検討は一切まだなされておりません。あくまでも仮定の、フィージビリティースタディーだということで御理解いただければと思います。
  241. 高沢寅男

    高沢委員 この前に日加の原子力協定の審議の際に問題になったいわゆるカナダのCANDU炉、これの導入問題が、これはわが国では通産省の立場と科学技術庁の立場でかなり違いがあるということで当時も問題になりましたが、その後、いまこのCANDU炉の導入問題はどうなっていますか、それを説明してください。
  242. 戸倉修

    ○戸倉説明員 御説明申し上げます。  先生御承知のように、CANDU炉問題につきましては五十四年八月の原子力委員会の決定があることは御承知のとおりでございますが、CANDU炉は、ただいまわが国で使われております軽水炉とは異なりまして、重水を利用するわけでございます。このために天然ウランをそのまま燃せる、濃縮が要らない、そういった意味のいろいろの特色がある原子炉でございます。したがいまして、当面は、導入問題とは一応別個の問題といたしまして、内外の諸情勢の変化に対応できるように、電源開発株式会社がカナダ側の協力を得て技術調査研究を行っているところでございます。
  243. 高沢寅男

    高沢委員 そうすると、実用的な段階に至るにはまだまだずっと先の問題で、当面は、そういう研究調査の段階、こう理解していいわけですね。
  244. 戸倉修

    ○戸倉説明員 カナダにおきましてはすでに相当多数の基数の実用炉として動いておりまして、世界的に言いますと、やはりもう商業炉としての確立された炉であると私ども認識をいたしております。ただ、仮に日本へ導入する場合、耐震上の問題とか、いろいろな問題がございますので、そういった調査研究を行っている段階でございまして、従来からやっておるわけでございますが、五十七年度からはその総仕上げとしての総合調査研究、総合技術調査という段階へいま進んでいるところでございます。
  245. 高沢寅男

    高沢委員 これは私はやはりニュースで知ったことですが、今度何か関西電力が、ウランプルトニウムを混合して燃やす、こういうやり方を試験的に行う、これがうまくいくとプルサーマルという、そういう商業利用が可能になってくる、そういうものに着手されるというふうなことでありますが、これがもしできてくると、動燃事業団の自主開発されておる「ふげん」、こういうふうな新型転換炉というものが何か無意味になってしまう、要らなくなってしまう、こういうふうな話も聞くわけです。この「ふげん」というもののために莫大な資本投下もされているわけでありますが、プルサーマルができるようになったら「ふげん」は要らなくなるということなのか、これはこれで、両方やるんだというふうなことなのか、その辺の実際のやり方はどうなんでしょうか。
  246. 堀内純夫

    ○堀内説明員 お答え申し上げます。  わが国におきましては、現在やっております軽水炉から行く行くは高速増殖炉へというふうに移っていくという基本路線を持っております。しかしながら高速炉が本格的に実用化されるまでの間にはかなりの時間がかかるものと考えられておりまして、その間、軽水炉から得られますプルトニウムをいかに利用していくかということはかなり重要な問題になってくるであろうと考えられております。中期的なプルトニウム利用方法といたしましては、先生いま御指摘のありましたように、軽水炉でのいわゆるプルサーマル利用というものと、それから新型転換炉、これは動燃で開発しているATRと言われる、現在敦賀半島で「ふげん」という原型炉が動いておりますが、それによる利用考えられます。軽水炉によるプルトニウム利用につきましては、現在動いておる軽水炉が使えるということで、燃料さえつくってやれば装荷できるという、現在の段階ですとそういう見通しがかなり強いという段階でございますが、とにかく現在あるものが使える。しかし、装荷できるプルトニウムの割合といたしましては炉心の三〇%から四〇%であろうと見られております。そういうことになりますと、天然ウランの所要量それから濃縮の分離作業量といいますか、これは若干削減効果がATRに比べて小さいということになります。また装荷されるプルトニウムとほぼ同程度のプルトニウムは四年から五年ぐらい後にはまたそれが生産されて出てくる。要するにプルトニウム自身は消費し尽くされてしまうものではないという特徴を一つは持っております。それに対しまして新型転換炉の方は、主としてプルトニウムを燃料として使うためにつくられたものでございまして、天然ウランの所要量、それから濃縮分離作業量の削減に対する効果は非常に大きなものでございます。数倍あると言っていいかと思います。そしてこういうことのためにまた利用し尽くしてしまう、燃焼してしまうということで、プルトニウム管理上の負担の軽減にはかなり有効性が大きいということになります。また、未濃縮のウラン燃料の利用も可能である。これはプルトニウムウランの量の和が一定であれば燃料として使える。もちろん若干の制限はございますけれども、そういうようなところでありまして、核燃料需給上の変動に対して弾力的に対処できる。このようにそれぞれ長短がございまして、この両方をうまく取りまぜて使っていくことは十分可能であろうというふうにわれわれは見ております。  ただ、やや我田引水になるかもしれませんけれども、ATRの方は現在原型炉の「ふげん」がかなり効率よく動いておるのに対しまして、軽水炉の方につきましては、外国での実績は若干ございますが、わが国において国内の炉で使ったという実績が現在までにないということで、数体のものをこれから燃やしてそれの実績を上げていこうというようなところがあるということ。それからもう一つは、軽水炉が日本独特のものではなくて、ほかの国でもお使いになっているという面から、もしこれにプルトニウム燃料を入れるとするとなると、現在国際的なプルトニウム不拡散に対する運動がございますが、それとの関係でむずかしい点が出てくるのではないだろうかというふうに思います。ATRはわが国独自のものでございますので、わが国の特殊事情というものを強調することによりましてプルトニウムを使わしてほしいんだということを国際的に了解を求めていくのには有利な点があろうかというふうに思っております。
  247. 高沢寅男

    高沢委員 いま軽水炉と新型転換炉のそれぞれにメリットがあるというお話でしたが、それに先ほどの、たとえばカナダのものを使えば今度は重水炉とかあるいはイギリスから入れればコールダーホール炉とか、この場合にはいろいろなやり方の原理があって、それぞれ一長一短があるだろうと思います。そういうものを強いて一つのものにしぼるというような考え方は、原子力発電をやるという立場に立てば、あえてどれか一つにしぼるということはやるべきではないのではないだろうか、それぞれの利点を幅広く活用していくという立場に立つべきではないかと思いますが、この辺の考え方は根本的にどうなのですか。
  248. 堀内純夫

    ○堀内説明員 いま先生御指摘のとおり、やはりいろいろの特徴というものをうまくかみ合わせて使っていけるように準備をしておくべきだろうというふうに考えております。
  249. 高沢寅男

    高沢委員 もう時間ですので最後一問で終わりますが、これはひとつ政務次官にお願いしたいと思います。  先ほど来のわが党同僚議員の論議の中でも、こういう原子力政策をとる場合の公聴会のやり方についての批判がいろいろ出ておるわけです。これはマスコミの上でもずいぶん論議されておりますが、わが国の場合には、ある日ある場所で公聴会をやりましたというふうな形で、ここには当然賛成派の人もあるけれども反対派の人もあるのだが、ところが往々にして反対派の人は警察機動隊でそばに寄せつけないというような形でもって、しかし一日目がたてば、これでもうやりましたということでもってゴーのサインが出るというような公聴会のあり方はこれでいいのかということ、これは私は大変問題だと思います。これは最近マスコミの報道で読みましたが、イギリスなどはそういう原子力政策をするに当たっては各意見の持ち主の意見を何カ月かにわたって聞く、そういう意見を取りまとめていく一種の裁判官のような立場、そういう公正な人も任命して、賛成論、反対論それぞれを聞いた上で、十分に意見が熟した上で一つの方針を決めていくというようなやり方と聞いております。それから国によっては、その上に立って国民投票で決めるというようなやり方をとる国も現にあるわけです。それと比べてみると、わが国のある日一日やりましたという形だけでもって直ちにスタートしていくというやり方は、そういう点においては余りにも民主的でない、こう思いますが、そういうふうな公聴会のあり方意見聴取のやり方ということについてこの際根本的に攻めてしかるべきじゃないか、こう思いますが、政務次官の御見解をお尋ねしたいと思います。
  250. 辻英雄

    ○辻政府委員 原子力発電所等を含みます発電所の公聴会につきましては、通産省がイニシアチブをとって世話をしておりますので、私から直接にこうしますというお答えをいたしますことはいかがかと思いますが、先生おっしゃいますように、各種のいろいろな公聴会というものが、これは何も発電所ばかりではございません、そういうものが形式化して行われるということは一般的に言っておもしろくない、本当に住民の意思が述べられるように、あるいは関係者の意見が述べられるような方式で運営されるような努力をすべきであるという御意見につきましては私も一般的にそのように存ずるわけでございますけれども、個々の原子力発電所の公聴会についてはこうだということを具体的に申し上げますことは、私の立場からは御遠慮させていただきたい。
  251. 高沢寅男

    高沢委員 本当はここに通産大臣がおられれば大いに詰めたいところですが、通産省も政府委員の方にこの問題でひとつ私の期待するような答えを出せと言ってもやや無理かと思いますが、しかしこれは将来に残る問題として指摘をいたしまして、今後もそういうあり方は私たちとしては改善するために努力していくということを申し上げて、私の質問を終わります。
  252. 中山正暉

  253. 草川昭三

    草川委員 公明党・国民会議草川昭三でございます。  きょうは私どもいろいろと皆様方に御迷惑をかけまして、時間の変更をさせていただいて申しわけないと思います。  一番最初に、このたび三月にキャンベラで日本オーストラリア政府の間で原子力改定協定が署名されたわけでございますが、いろいろと日豪間の新しい関係というものが迎えられたと思うわけでございますけれども、特に今回の場合は長期的、包括的な事前同意方式というのが取り入れられたわけでございます。これはオーストラリア政府の方から改定の意思が示されたやに聞くわけでございますけれども、この協定成立に至る経過についてお伺いをしたいと思います。
  254. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  豪州は五十二年の五月に新しい政策をフレーザー首相が発表いたしまして、簡単に申し上げますと、要するに平和利用に徹したかっこうで使用してくれる国と豪州としてはウラン輸出の関係に立ちたい、その意味で旧日豪協定も見直しをしたいし、その前後に起こっておりました国際的な動き、それからいろんな新しい発想も取り入れた形での協定をつくりたいという形で豪州から申し入れがあって、交渉が始まった次第でございます。長期包括事前同意方式というのがどちらから出たというよりは、交渉の途中で行われておりました国際核燃料サイクル評価という会合がございまして、その際に、協定同意権を持っている国については、事前同意権がある国については、この事前同意権が予見可能な形で使われるのが正しい行き方であるという一応会合としての評価ないし結論が出ております。これはそもそも日本が主張しておった一環でございまして、豪州としてもこの発想を取り入れた形で新しい協定の交渉に応じたという姿になっております。
  255. 草川昭三

    草川委員 わが国がいまのような形で今回の協定を迎えるわけでございますけれども、オーストラリアの方としては、日本のほかに米国とか英国とかといういろんな国との間に同じような協定があると思うのでございますけれども、どこの国にウランを輸出をし協定をしているのか、あるいは今回のこの協定と他の諸国との類似あるいは類似ということよりも違う点があるならば言っていただきたいと思います。
  256. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  ウランの輸出先については別途お答えいただくといたしまして、全部で日本を含めまして八カ国と豪州協定を結んでおります。このプログラムアプローチというのは、豪州がいままで結びました協定の中では、ユーラトムそれからスウェーデン、日本フランスという形でございます。これはそれぞれの豪州の取引先相手国の核燃料サイクルの規模、発展の度合いに応じて判定してつくったものと判断されます。
  257. 草川昭三

    草川委員 ついでに、オーストラリアのウランの埋蔵量というのですか、これは将来展望なかなかつかみがたいと思うのですけれども、どの程度の埋蔵量を持っておるのか、正確な言い方ではなくて、たとえば世界で第何位の埋蔵量を誇るのかというようなことがわかれば、お伺いしたいと思います。
  258. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 豪州ウランの埋蔵量につきまして大変将来へのポテンシャルを持っていると考えております。現在世界で第三位の埋蔵量ということでございます。
  259. 草川昭三

    草川委員 世界第三位の埋蔵量でありますから、非常に私どもとしても重大な相手国になるわけですが、問題は日本の将来の原子力利用計画に関係するのですが、日本としては、豪州原子力発電に使うウラン鉱石の何割を対象にするのでしょうか。
  260. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 御説明いたします。  現在わが国の電力会社は十九万三千ショートトン、これは精鉱ベース、イエローケーキベースの数字で、これだけの量を一応長期契約によって確保しております。これはほぼ現在の原子力開発の規模、今後の規模で見ますと、一九九〇年代前半ぐらいまで確保していると見ておりますが、その中で豪州からの確保量は二万二千ショートトンでございまして、全体の一一・四%を占めております。今後、豪州に新しい鉱山が探鉱されあるいは開発されつつありまして、わが国原子力開発の進展に伴って一層大きなシェア、位置づけを持ってくるものと考えられます。
  261. 草川昭三

    草川委員 一一・四%とおっしゃるわけでありますから、日本としてもますます豪州に対する対応というのは重要になってくるわけでございますが、先ほども宇川議官の方から新協定について豪州とユーラトム協定原子力協定のお話も出ましたけれども、新しい協定豪州・ユーラトム原子力協定に対して差はあるのかないのか、あるいは日豪協定の方が何かユーラトム原子力協定に比べると不利な点があるのではないかということが一部に言われておるわけでございますが、その点はどうでしょうか。
  262. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  まず最初に、不利な点はございません。  第二に、ユーラトムと日本の場合に何か差異があるかという御質問でございますが、実質的にはほとんど差はない、ほぼ同じであるとお考えいただいて結構でございます。差があるところは、たとえば対象物資でございまして、ユーラトムの場合には核物質だけが対象になっております。これはユーラトムの権限の問題がございまして、日豪協定規定しております設備とか技術は、ユーラトムの場合に扱えなかったということを反映しております。表現上いろいろ違いはございますけれども、ほぼ同じ協定であるとお考えいただいて結構だと思います。
  263. 草川昭三

    草川委員 いま差はないというお話でございますけれども、包括事前承認制が採用されておりますけれども、あらかじめ定められた条件というのはどの程度の範囲までなっておるのか、あるいはいまの範囲の内容についてユーラトムとの関係、いまおっしゃるのは条件が違うということではございますが、関連はどらか、お伺いをしたいと思います。
  264. 宇川秀幸

    宇川政府委員 確定された条件につきましては、ユーラトム等域外の関係においては日本と全く同じでございます。ユーラトムは御存じのように一つの単位でございますので、その中ではフリーになっておる、あたかも一つの国の核燃料サイクルとして取り扱われております。
  265. 草川昭三

    草川委員 そのことになってまいりますと非常にむずかしい問題でございますから、再処理の問題からいろいろな点が出てくると思うのですが、この新しい協定日本の核不拡散政策との関連になるわけでございますけれども、この関連と、今後の核不拡散政策とのあり方はどのようになっていくのか、これも少し意見を聞きたい、こう思います。
  266. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  日本原子力利用開発については、これを平和目的だけに限るという政策を早い時期から内外に宣明いたしております。この協定でも各所にその思想を盛り、協定上もそれを固めておる。今後は豪州とも協力の基盤をつくりながら、国際的にも平和利用に徹するような状況になるように関係諸国にも呼びかけながら、日本一つのモデルとなって、そういう形で核不拡散という終局的な目標を追求してまいりたいというふうに考えております。
  267. 草川昭三

    草川委員 まさしくいまの答弁が今回非常に長期間にわたって時間をかけて議論になった点ではないかと思うのですけれども、いわゆる協定の内容は、使用済みの核燃料の再処理に伴うプルトニウムなどの生産によって、いわゆる核兵器が容易にできるために、これをいかに防止をするかということについて、特にオーストラリアの野党側の方なり、豪州の方のいろんな団体があるわけでございますけれども、かなりの意見があったやに私ども聞いておるわけであります。もちろん平和利用に限ってオーストラリアとしてはこれを輸出をする、ウランというものを供給するという期待が向こうにあるわけでございますが、その期待を日本として裏切るということはないと思うのですけれども、問題は、核爆発というものに利用されないということをわれわれとしても明確にしなければいかぬわけでございますが、長い間協定交渉の中で、豪州側の議会の中での野党側の代表的な心配する意見だとか、あるいは国内でどのような意見があったのか、お伺いをしたいと思います。
  268. 宇川秀幸

    宇川政府委員 申しわけないのですが、私は現職につきましてから非常に時期が長いわけではございませんので、精密には承知しておりませんので、承知している範囲でお答えさせていただきます。  一般的に豪州では、ウランを輸出すること自体がいいのか悪いのか、ウランを輸出するということよりは地面にいま埋めたままにしておいてもいいのではないかという発想と、いやこれはやはり貴重な資源であり、豪州としても活用できるはずなんで、平和利用に徹するということが担保できる国とはそういう関係に立って協力するべきであるという意味で、意見が分かれていたと承知しております。  また、豪州としましては、私どもいろいろ交渉をやってまいりまして、肌で感じた点を若干申し上げますと、そういう意味での平和利用の担保というものに非常に力こぶも入れておりましたし、日本の場合についてもそれを確認したい、ただしわが国の場合には、日本平和利用に徹しているということについて先方が疑念を持っておったわけではございませんで、日本ともこういう協定がある、今後ほかの国との協定ないし協力関係に入る際に、一つのモデル条約として使える条約をつくりたいということを強く希望しておった次第でございます。
  269. 草川昭三

    草川委員 これがモデルになるということは非常に私どもも大切なことだと思いますけれども事前同意の担保の仕方というのですか、事前同意権の行使の仕方を、この際今回の場合は非常に合理化をしたわけでありますから、一々細かい話し合いがなくて進むわけでありますから、その点は非常に信頼関係というものが基礎になるわけでありますから、いまおっしゃったことは十分わかるわけでありますが、問題は、豪州以外の国々がこのような新しい同意をするというあり方に、事前同意あり方について、他の国の国際批判というものはどのようにあるのか、他の国も非常に結構なことだと喜んでおるのか、あるいは疑念が少しあるのか、その点はどうでしょうか。
  270. 宇川秀幸

    宇川政府委員 他の国についてまではすべてお答えするのはやや問題かとは思いますが、豪州は最初から政策として表明してまいりましたのは、平和利用に徹するということが確認できる国とだけこういう協力関係に入るという非常に強い柱を政策の上で立てておりまして、同時にNPT加盟している国に限るという条件をつけておりました。それから同時に、日本の場合に、この事前包括同意条件を豪州と申し合わせておるわけですが、これは何も単なる信頼関係に基づいて動くというだけではございませんで、協定上条件を非常に明確にしてお互いに納得してやっておるという側面がございます。たとえば三条において平和利用に徹するんだということを一つ申し合わせる、さらに核爆発等には結びつけない、その他軍事的な目的に転用しないということをはっきりさせると同時に、たとえば再処理、それから全般的に言えることですが、IAEA国際原子力機関査察のもとに転用が検知できるような体制のもとで初めて動かす、その他日本使用ぶりにつきましても、実施取り決め及びそれをめぐる一連の精密な取り決めによりまして、どういう条件のもとで行うということを明確に取り決めて、そういう形で担保いたしております。
  271. 草川昭三

    草川委員 ではちょっとこの話を横に置きまして、日本は現在アメリカあるいはカナダとの間にも原子力協定を結んでおるわけでございますが、この日米あるいは日加の原子力協定の改正ということ、改正というよりも緩和の方向になると思うのですけれども、そのようなことを外務省としては考えられておるのかどうか、それもあわせてお伺いをしたいと思います。
  272. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  私どもとしては、現在アメリカカナダとの協定では個別同意が原則になっておりますので、この事態は改善いたしたいと考えております。現にアメリカ及びカナダとは、その意味での話し合いに入っております。これは細目いかんになりますので、果たして現行協定改定を必要とするのか、別途の取り決めで確認できることなのか確言いたしかねますけれども、今回豪州とつくりました包括事前同意体制というのも十分念頭に置いて米国、カナダと話し合いを進めたいと思っております。
  273. 草川昭三

    草川委員 いま緩和の方向で話し合いが詰まっておると言われておりますが、これもこの豪州との関係がモデルになってやられると思うのですが、それは年内ぐらいが一つのめどになるのでしょうか、それともかなり長期になるのですか。
  274. 宇川秀幸

    宇川政府委員 相手があることでございまして、確言いたしかねますが、私どもとしてはできるだけ早くそういう体制に移行したいと思っております。できることであれば、もっと早くそういう体制に入りたいと思います。現にやってみますと、いろいろ細かい詰めを要する問題が出て、もう少し時間がかかるという事態も予想されないではございません。早ければ早いほどよろしいというふうに考えております。
  275. 草川昭三

    草川委員 私ども新聞で、カーター政権とレーガン政権との特に再処理についての考え方の違いというのを拝見をするわけでありますけれども相手側の政権の違いによって、基本的な原子力協定のようなものあるいは特に再処理についての注文というのですか考え方が変わるというのは、日本の長期政策にとっても非常に不安定な要因になるわけでございますが、アメリカのレーガン政権の再処理というのは、当分の間はいまの考え方というのは定着すると見ていいわけでしょうか。
  276. 宇川秀幸

    宇川政府委員 私ども判断としては、必要な場合には再処理を行うことが正しいというのが、現在のレーガン政権の考え方の中心だと考えております。一方、核不拡散という目標自身もはっきりと担保しておく必要があるという発想に支えられていると思います。その意味で、方向としてはこの考え方が定着しつつあるというふうに判断いたします。
  277. 草川昭三

    草川委員 そこで、今度は少し視点を変えまして、問題は、これは将来の話になると思うのですけれども、これは近いうちにそのようなことも起きると思うのですが、日本を中心にたとえば低開発国なりに原子力協定を結ぶようなことがあり得るのかどうか、これは特に通産省にお伺いをしたいわけでございますけれども、小型原子炉等について海外に輸出をするということもある程度検討というのですか、将来方向として考えたいというようなことも触れておるわけでございます。これは国際的にどのような位置づけになっていくのか、お伺いをしたいと思います。
  278. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 御説明いたします。  まず、中小型原子炉開発の現状と考え方について簡単に御説明さしていただきます。私どもは、大型軽水炉の開発というのが現在の原子力政策の基本路線でございますが、それを補完するものとして地域の実情に応じてきめ細かく対応していけるような中小型、経済性を持って、かつ多目的利用、熱利用も含んだ安全な原子炉をつくるということでいま調査に入っているところでございます。この調査の目的自体は、本来わが国の国土の中で地域のニーズに対応してつくっていくということでございますが、そのプロセスで中小型の軽水炉技術が経済性を持ってさらに開発されていけば、結果として将来発展途上国等各国のニーズに対応して輸出されるということはあり得るかと思っております。  それから、原子炉の輸出に際してでございますが、先生御案内でございますが、わが国原子力基本法と核防条約、さらにロンドン・ガイドラインにのっとりまして、現在原子力の資材の輸出に関しては外為法の貿管令において厳密に核不拡散の要件を担保してチェックしているところでございます。将来ともこのような核不拡散、平和利用の担保を徹底した上で輸出政策を着実にかつ慎重に進めていきたいと私どもは思っております。
  279. 草川昭三

    草川委員 いずれにしても原子炉が小型化をして、地域のニーズに応じて日本の国内でも使われるということは将来あり得ることだと思います。しかも、日本の能力からいうならば、それを輸出するということも決して遠い将来ではなくて近いうちにあり得ることだと思うのですけれども、それに伴いましてウラン資源というものは一体どうなるのか。日本の動燃がやっておりますように、新しい核サイクル一つの展望を持って使うところはいいわけでございますけれども、開発途上国は必ずしも核燃料サイクルということを検討して軽水炉を使うというわけじゃないわけでありますから、廃棄物処理とか、これはもう大変な問題が出てくるわけですよ。  そこで、これは通産省の考え方になるのか、外務省の考え方になるのかわかりませんけれども、小型原子炉を輸出するということの及ぼす影響というものをどの程度考えておるのか。とりあえず日本国内においてはいまの通産省の答弁は私は十分理解ができるわけでございますけれども、国際的な影響力ということを考えていく場合に非常に慎重な対応を立てなければいけないという考え方を私は持っておる者の一人であります。きょうはその種の議論をする場所でございませんからそれは別といたしまして、もう一回前に戻りますけれどもウラン資源というのが世界の中で一体——いまオーストラリアの場合は第三位だというような御答弁があったわけですけれども、長期エネルギーの見通し等から考えていきますと、日本の場合でも昭和六十五年の原子力発電設備というのは四千六百万キロワットということが言われておるわけでございますが、このウラン資源の確保の見通しというものは十分あるのかということになるわけでございます。その点は十分あると考えられて対応を立てておるのかどうか。これは通産省ですか。
  280. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 御説明いたします。  現在、OECD・NEAの統計によりますと、確認埋蔵量それから推定の追加埋蔵量をさらに含めまして六百五十一万七千トンという埋蔵量の統計がございます。オーストラリアが第三位でございますが、これはかなりの量ではございます。ただし、あくまでも先生御指摘のように今後の世界の原子力開発のテンポいかんによってくると思います。しかし、寿命は無限ではございません。いずれかの段階においてそういう需給が逼迫する段階が来るかと思っております。  それからわが国におきましては、先日発表いたしました四千六百万キロワット体制と申しますか、大体一九九〇年代初頭ぐらいまでにそれだけの開発規模にふやしていくということの前提で考えますと、一九九〇年代前半まではすでに確保されているというふうに考えてよいかと思っております。
  281. 草川昭三

    草川委員 そこでウランの濃縮技術について、科技庁もお見えになっておると思うのですけれども、いま動燃の方もオーストラリア及びほかの国にウランの濃縮技術の輸出を考えておるというのですが、いま豪州の方からわれわれが買うという長期の包括協定ができたわけですけれども、逆に濃縮技術等について——いま日本アメリカだとかそこへわざわざ持っていって濃縮をしていただいて日本で加工をする、そしてそれを発電所に売る。加工については日本の民間企業が加工するわけでございますけれども、濃縮技術等を逆にオーストラリアの方に渡すというような話はいまあるのですか。それともそのことについてある程度話は進んでおるわけでございますか、お伺いしたいと思います。
  282. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 現在のところ、オーストラリアに濃縮技術を輸出するということは私ども聞いておりません。ただし、豪州におきまして、ウラン鉱石の輸出だけではなくて濃縮をしたウランで輸出しよう、そういう方針が定まっておりまして日本協力を求めてきているということは事実でございます。そのために日豪ウラン濃縮調査委員会ということで話し合いをしているということでございます。どういうふうに豪州の濃縮事業に協力していくか、これは全くまだ白紙でございまして、これからの問題かと思っております。
  283. 草川昭三

    草川委員 濃縮技術について日本は人形峠等においてもかなり成績が上がっておるようでございますし、日本の持つ能力と引きかえに向こうの方からウランの安定的な供給を図るとかということを考えなければ、将来のエネルギーというのは、基本的に相手側に燃料というのを押さえられておるわけでありますから、日本だけがいかに原子力発電設備を将来の需給計画に合わせてつくろうと思っても、それは全くナンセンスになるわけであります。いまたとえば相手側からそのような濃縮技術についての希望があるとするならば、またそれはそれなりに対応をしなければいけないと思うのでありますけれども、またこれもぜひ具体的な進展があれば別の機会にお伺いをしていきたいというように思います。  そこで若干今度は、本来は再処理等の話をお伺いしなければいけませんけれども時間がございませんので、ちょっと話が横にそれますけれども、過日科学技術委員会でも私は質問したわけでございますけれども、国際協力の問題でございます。原子力発電技術協力等について日本に対して、いま濃縮技術については豪州側からのお話もあったようでありますが、中国との原子力発電についての技術協力というものが具体的に何かあるように私どもお伺いをいたしておるわけであります。これは外務省の方からもう一度、もう一度というのは、過日科学技術委員会でお伺いをしたわけでございますけれども、いま一度お伺いをしたいと思います。
  284. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  その後特に進展があるとは承知いたしておりません。一般的な話があったということを耳にしております。
  285. 草川昭三

    草川委員 では、同じく国際協力の問題について、宇宙開発にも関係をいたしますので、これは外務省にお伺いをいたします。  例のスペースシャトルを通じて日本の通信衛星、放送衛星を打ち上げたらどうだろうということがございましたので、実は私はこれも科学技術委員会でそのような動きがあるのかということをお伺いをしたわけでございます。そうしたら、ただいまのところは日本にシャトルを通じて放送衛星なり通信衛星を打ち上げるということについての話し合いはないという答弁であったやに聞いておりますが、その後、新聞等を拝見いたしておりますと、日米貿易摩擦の関係上、シャトルを通じて特に日本の通信衛星について打ち上げ希望があったやに私ども聞くわけでございますが、その間の経過はどうなっておるのか、お伺いをします。
  286. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  新聞報道では確かにこのスペースシャトルを利用して通信衛星等を打ち上げるような話題が出ておりますけれども、私どもは正式に承知いたしておりません。現在のところそういう具体的な話し合いは進行しておらない。それから貿易摩擦との関連でこれを直ちに利用するということについては、私自身承知いたしておりません。仮にそういうことになれば一つの効果はあるかと存じますけれども、現在のところ具体的にそういう案件が進行しているということは、私自身承知いたしておりません。
  287. 草川昭三

    草川委員 これも宇宙開発大綱の中における日本の基本的な計画と日本独自で打ち上げたいという希望、それから単純なコスト計算からいくならば日本で打ち上げるよりはシャトルを通じてさらに三万六千キロでございますか、そこに再打ち上げをした方が安いことは当然でございます。これは非常に重要な問題だと思うのですが、これもひとついまの話をお伺いするというだけでとどめておきたいというように思います。  最後になりますが、実は原子炉の問題について、これは特に情報を通産省と外務省がどの程度とっておるかということについてお伺いをしたいわけでございます。  アメリカのNRC、原子力規制委員会でございますけれども、そこの委託を受けまして、オークリッジの国立研究所というのがあるわけでございますが、ここで加圧下におけるところの熱衝撃評価と題する報告書が出ておるわけでございます。これは加圧水型の原子炉の炉体の爆発爆発というよりも破裂のおそれというのですか、いわゆる圧力容器に破壊はあるのかという問題についての非常に重要な報告書が出ておるわけでございますが、この点についてまずどのような報告がなされておるのか、これは通産省にお伺いをしたいと思います。
  288. 末広恵雄

    ○末広説明員 米国において議論になっておりますのは比較的古い加圧水型炉で、材料の中の銅の含有量が比較的高い原子炉圧力容器につきまして、中性子の照射が進みますと、その脆化の影響によりまして、万一急激な冷却と加圧現象が重なった場合に圧力容器が傷む、その可能性があるということが言われておりまして、それに関しましてNRCの委託により、先ほど先生から御指摘がありましたように、オークリッジの国立研究所で調査研究を実施してきております。その中間報告が昨年の十月十六日に出されまして、これは、B&Wのつくりましたオコーニー一号を対象といたしまして、この圧力容器の中性子照射脆化による影響ということで健全性の評価を行ったものでございます。この中間報告については私ども入手しております。
  289. 草川昭三

    草川委員 これはもう少し詳しく説明をしていただきたいのですけれども、実は問題がある原子炉というものが、アメリカの場合でございますけれども、全部で十三。H・B・ロビンソン、これは、サウスカロライナですね。カロライナ電力会社の持つものでございますし、それを初めといたしまして問題のあるものが十三あるのだ、こういう非常に詳しい内容が出ておるわけであります。  それで、いま日本との関係でもこれは重要な参考なのですけれども、構材に——構材というよりも炉体に銅が一部入っておるから中性子が当たって脆弱化した場合に熱衝撃の危険性がある、こういうことになると思うのです。たまたま銅は日本の構材にはないわけでありますけれども、溶接の部分に銅があることは、特殊溶接でありますから当然のことながら銅以外にも相当な分子が入っておるわけでありますから、構材自身には日本は銅が入っていないからそういう対象外だということになるかもわかりませんけれども、溶接部分ということになりますと、熱衝撃があった場合にはNRCの報告というものには非常に重大な関心を持たなければいけないと思うのでございます。いまの答弁だと、入手しておるということを言っておられますが、それはある程度公開をされるつもりはございますかどうか、お伺いしたいと思います。
  290. 末広恵雄

    ○末広説明員 先ほど申し上げましたオークリッジ国立研究所の中間報告書でございますが、これはすでに公開されておりまして、わが国においても図書館等にあるのじゃないかと思います。
  291. 草川昭三

    草川委員 その図書館にあるものは私もここに持っておるのです。私が言っておるのは、これは一九八一年九月二十七日のニューヨーク・タイムズの内容でございまして、十三の原子炉の耐圧容器が放射能のために急速にもろくなっているというのでNRCの調査が書かれてあるわけですが、これを見ますと、中性子照射による脆弱化、これはあたりまえのことですね、中性子が当たるわけですから脆弱化するわけです。そのために炉体が厚くしてあるわけですから、それは私どもも別に驚くこともなくあたりまえのことだと思うわけですけれども、問題は、中性子によるところの脆弱化という問題が予想外に速く進んでおるのではないか、これが一つ。  それから二番目には、炉心というのですか、炉体の急冷化ということのアクシデントというのですか、そういう状況下における問題点があるわけでございまして、その緊急冷却水の注入というのは、スリーマイルの事件以後十分予想はされるわけでございますので、それなりの対応というのを、いわゆる緊急冷却水の注入ということは準備をされておるわけでございますから、もし緊急注入をした場合の熱衝撃と言うのですか、冷却によるところの破裂のおそれがあるのではないだろうかという、一般的な報告としては私どもも十分関心を持たなければいけないことだと思うのです。     〔委員長退席、愛知委員長代理着席〕  さらに、さびの問題についても付加されておりまして、さびの場合は十六の原子炉で蒸気発生器がさびで冒されていることがわかった。蒸気発生器が腐食すると原子炉内の放射能が漏れるので、これを取りかえる必要があるというような問題提起もあるわけでございますので、別に大げさに騒ぐとかなんとかという意味ではなくて、非常に慎重な意味でもこの問題を取り上げなければいけないと思います。  専門誌の間にも、軽水炉圧力容器の照射脆化によるところの熱衝撃ということあるいは圧力容器に破壊はあり得るかということについて、基本的にもう少しわが国としても関心を持つべきではないだろうかというようなことが専門家の間にも慎重に議論をされておるわけでございますので、私どももあり得ないということではなくて、あり得るという立場、しかも現在のエネルギーの中で電気エネルギーの場合はすでに一六%も原子炉の中から給電をされておるわけでございますから、全国でいま全部で十基でございますか、稼働をしておるわけでございますから、そういう事実の上に立ってわが国としても関心を持つのは当然だ、また当然でなければならないと思うのですが、本調査について、今後たとえば通産省としてもアメリカの方へ行き、NRCと向こうで共同研究とまでは申し上げませんけれども、この報告書についてフォローをするというようなことがあってしかるべきだと思うのですが、その点はどのようにお考えになっておられますか。
  292. 末広恵雄

    ○末広説明員 わが国でいま十一基の加圧水型炉が稼働しておりますが、現在私どもが調査した限りにおきましては、米国で問題になっております原子炉に比べまして圧力容器の銅の含有量も低い状態でございまして、中性子照射脆化の影響もさほど厳しくございません。これまで定期検査等の機会をとらえまして、圧力容器の中にあります監視試験片の機械試験を実施いたしまして調査してきているわけでございますが、今後とも、わが国の加圧水型炉につきましては、定期検査あるいは定期検査時の監視試験片の調査によりその健全性を確認していかなければならないと考えております。  また、先生からいま御指摘がございました米国におきます状況でございますが、アメリカにおきましては、NRCといたしましても当面本件が何か急な対応策をとらなければいかぬというたぐいの問題ではないと位置づけておるわけでございますが、NRCではこの六月までに、これまでいろいろ調査、評価をしてきました結果を内容とします報告書を取りまとめると聞いております。また、本年六月でございますが、この時点にこれまでの検討結果を踏まえまして何らかの対応策が必要であるかどうかということも検討すると聞いておりますし、その後さらに、来年の夏まで約一年間かけまして総合的な評価を実施するというふうに聞いております。  通産省といたしましても、こういった米国の状況につきましては十分フォローしていきたいと考えております。米国とわが国の間には原子炉の安全規制に関する情報交換の取り決めがございまして、それに基づきまして逐次ミーティングを行うことができるようになっておりますので、そういうミーティングの機会をとらえまして十分米国側とも議論していきたいと考えております。
  293. 草川昭三

    草川委員 それはぜひやっていただきたいのですが、いまの報告の中で私ども非常に気になるのは、原子炉の中に試験片を入れて適宜テストピースを取り出して調べておるので、わが国としても大丈夫だということなんですが、それはわかっておるのですよ。問題は、今回の事故というのは、そういう正常な状況の中でテストピースを入れて中性子の脆弱化ということをはかっていただいても、それは余りいま意味がないことですし、わかっておるのです、わかっておるといいますか、技術者としては当然のことだけの話なので、問題は、一つの炉体を加工した場合に当然応力というものが残るわけでありますから、加工した場合の内部応力を焼鈍をするということをしていないために、内部応力がそのまま残る、それで、中性子が当たって脆弱化する、その上に何らかの原因で急激に冷却をするとか、たとえばスリーマイルじゃございませんけれども、操作盤にたまたま何かが落ちて電球が破裂をして、そのために計器操作が狂ったということから一つの事故が発生をするというような場合があったからこそ、この種の問題が出てきたわけであります。  だから、いまおっしゃったように、炉体の中にテストピースが入れてあるから、テストピースという言葉が正確かどうかは別でございますけれども、それだけで、いま私が申し上げておる問題の解決にはならぬわけであります。それがこのオークリッジの報告の中で耐圧容器の問題として出てきておるわけでございますから、私も単なる中性子照射によるところの炉体の脆弱化という問題については心配をしてないわけでありますけれども、特殊な状況下における問題が少なくともアメリカのNRCの間で議論が出ておるわけでありますから、そのものについて何らか、これは通産省そのものよりも本来は日本のメーカーの問題かもわかりませんが、メーカーもこの種の対応があってしかるべきだと思いますし、メーカー自身がどのような対応をしておるのか、あるいは通産省としてもメーカーに対して、当然のことながら関心を持って対応を立てるべき指導をすべきでないかと思うのですが、その点はどのように考えられますか。
  294. 末広恵雄

    ○末広説明員 先生御指摘のとおり、本件につきましては単なる中性子脆化ということだけではございませんで、急激な冷却あるいは加圧事象が重畳した場合に発生する可能性があるわけでございますが、こういった事象につきましてはアメリカでも非常に膨大な解析等を実施しておりますし、そういった解析結果等も私ども十分勉強いたしまして、産業界の方もそういった方向で調査研究を行うよう指導していきたいと考えております。
  295. 草川昭三

    草川委員 ぜひそういう方向で、日本の場合も相当な原子炉についての加工技術も発達しておるわけでありますし、先ほど来問題が出ておりますように、小型の原子炉の輸出ということも話題になってきておるわけでありますから、ぜひその立場からの指導というものを厳格にしていただきたい、こういうように思うわけでございます。  最後になりますが、再処理のことについて、今回のオーストラリア産のウラン日本の軽水炉で燃やされ、そして使用済み燃料として再処理になっていくことになりますが、この再処理あり方について、この日豪原子力協定の新しい協定では、再処理についてはどのような交渉手続になるのか、事前の包括の中でどういう位置づけになるのか、再処理についてお伺いしたいと思います。
  296. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  再処理につきましては両政府間で合意された条件に従ってのみできるということで、ここは附属書のBに詳しく規定されておるわけでございます。  ポイントをかいつまんで申し上げますと、まずIAEA国際原子力機関保障措置のもとでエネルギーの利用などの目的利用されるのみならず、実施計画に添付してございます日本核燃料サイクルの計画内で行われるということが一つございます。それから、かつ、その結果分離されたプルトニウム使用と貯蔵については、そこの核燃料サイクル計画の中で行われるということでございます。  したがいまして、現状から逆に申し上げますと、東海の再処理燃料工場については予定どおりやれる。それから、現在日本が海外に委託いたしております、フランス英国における再処理についても予定どおり実施できるという状態でございます。  第二再処理工場につきましは、その企画、規模等概略はわかっておりますが、精密にはわかっておらないので、これは改めて豪州に通報するという手続をとることになると予定しておりますが、第二再処理工場が現在予定しているようなもので実現する場合においては、当然日本核燃料サイクルの中に入るということについては豪側とも確認いたしております。
  297. 草川昭三

    草川委員 いまの第二再処理工場というのは日本原燃サービスのことですね。それはもういいですね。——じゃ、日本原燃サービスの問題での位置づけの話ということでお伺いをしておきます。  それから、時間が来ましたので最後にこれで終わりますが、私おくれて参りましたのも、実はきょう午前中、科技委の方で動燃事業団の東海の再処理工場の方の見学に行っておったわけでございますが、御存じのとおり東海の再処理工場は故障がちでございまして、いまおっしゃいました第二再処理工場の方も実は土地の問題だとかその他の問題等で非常にむずかしい環境から、実質的には見通しが立ってないわけであります。この再処理の問題については、高レベル廃棄物もそうでございますが、低レベル廃棄物についてもRI、ラジオアイソトープ等については実はもうトイレのないマンションでございまして、各地域の病院では野積みになっているという状況で、再処理全体は非常に緊急に急がなければならない問題があるわけです。しかし、これが簡単に実はいかないということも十分承知をしておるわけでございますが、英国だとかフランスに対するその再処理の委託は計画どおりに進んでおるのか、あるいは、計画どおり進んだとしても、将来の再処理の需要を賄うにはこの第二再処理の建設等も急がなければならないわけでございますが、国際的にこの再処理について、特にこれは高レベルに限るわけでございますが、高レベル廃棄物処理処分について国際的な共同の研究開発ができるのかどうか、その点だけお伺いをして、時間が来たので私の質問を終わりたい、こういうように思います。
  298. 坂内富士男

    ○坂内説明員 幾つかのポイントがあったと思いますが、まず初めに東海再処理工場のことについてお答えいたしたいと思います。  御承知のように、東海再処理工場の運転に伴うトラブルが生じておりますが、こういったものにつきましては、そのたびその経験を生かしまして、今後のわが国における再処理技術の一層の向上を図るということに努めてまいる所存でございます。それで、そういった国産技術を生かした形での原燃サービスによる第二再処理工場といったもの、もちろんこれは内外の技術を踏まえた形での、その技術を総合した形での第二再処理工場ということになるかと思いますが、そういった形で国内再処理が行われるということになろうかと思います。  それから、その再処理事業のことについてでございますが、御承知のようにこの東海再処理工場で技術の一層の向上を図りつつ、再処理の需要を一部満たしておる段階でございまして、それによって不足する分、つまり東海再処理工場だけでは需要を満たせない分につきましては、御承知のとおり英国及びフランスに対する海外再処理を委託しているところでございます。そしてまた、その海外再処理が、いままだ使用済み燃料を送っているということで、現にまだ再処理は行われていない段階でございますが、わが国の再処理の需要に十分対応できるような形で海外再処理が今後実施されていくというふうに思われます。  それからもう一つ、高レベルのお話でございますが、高レベルの廃棄物につきましては、先生御承知のとおり、再処理工場から主として発生するわけでございますが、これは廃棄物一般そうでございますが、原子力発電を円滑に進めるという意味で非常に重要な問題でございます。わが国におきましては、動力炉・核燃料開発事業団が高レベルの廃棄物につきまして処理あるいは処分に対する技術開発に鋭意努めているところでございます。  また、国際協力等、お尋ねでございました。これにつきましては、国際的にOECDなどでの国際協力、ストリッパ計画というのがございます。そういった高レベルの処分に関するいろいろな国際的な計画がございますが、こういったものにも鋭意参加しまして国際協力を今後進めていき、廃棄物対策にそごを来さないようにしたいと思っております。
  299. 草川昭三

    草川委員 以上で終わります。
  300. 愛知和男

    ○愛知委員長代理 野間友一君。
  301. 野間友一

    ○野間委員 日豪原子力協定についてお伺いしますが、今度の改正協定では新しい規制が追加されておるわけですが、どういうものがあるのか、どういう理由でこういうことになったのか、まずその点からお聞かせいただきたいと思います。
  302. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  新協定で新たに追加された規制というのは、大きなものを取り上げますと、再処理についての事前同意、それから二〇%を超える濃縮でございます。それと同時に、核防護の規定が新たにつけ加えられております。  どういうことでこういうことになったかという御照会でございますが、これは一つには最近の国際的な動き、それから国際的ないろいろの詰め、発想等をも総合いたしまして、核不拡散を担保しておくためにはどういう体制にあるのが正しいかということから、一つのモデル条約的な意味合いで書き出したという点でございます。  必要性はどうかということでございますが、たとえば防護にいたしましても、日本から見れば、当然そういう防護処置は講じておってしかるべきである。途中で盗難等が行われる形で非軍事目的に転用されるというのは正しくない。再処理につきましても、再処理の結果出てまいります物質であるプルトニウムの用途については、これは慎重な扱いがあってしかるべきことである。その点申し合わせて当然である。それから同時に、非常に高度に濃縮されましたウランの用途につきましても、いろいろ平和目的以外に使い得るということから、その規制についても決めておくことが正しい、こういうふうに考えて、新しい規制を導入すると同時に、それぞれの実際の運用条件を定めたということでございます。
  303. 野間友一

    ○野間委員 原子力基本法で言ういわゆる自主、民主、公開ということと、この原子力平和利用についての問題ですけれども、いま申し上げたように、平和利用については、自主、民主、公開、この原則に基づいて行われる必要があると思いますが、その点についてはいかがですか。
  304. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおりだと考えます。
  305. 野間友一

    ○野間委員 ちょっと具体的に事務的な問題について次にお伺いしたいと思いますが、天然ウランの輸入についてでありますが、どこからどのくらい輸入しておるのか、この点について、数量も含めてお聞かせいただきたいと思います。
  306. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 御説明いたします。  現在、昨年末までの通関統計で見ますと、約三万ショートトンの輸入をしているところであります。わが国ウランの購入先は、カナダ、それからアフリカ、オーストラリア、フランス等々になっております。電力会社は現在十九万三千ショートトン、精鉱ベースでございますが、契約をしておりまして、これはわが国原子力開発の規模で申し上げますと、ほぼ一九九〇年代前半の所要量まで契約では確保しているということになるかと思います。  その内訳は、カナダが一番多うございまして、三割を超えております。それから……(野間委員「数量もお願いします」と呼ぶ)カナダが六万一千ショートトンでございます。それから英国、これはRTZという会社でございますが、四万三千ショートトンでございます。それからアフリカが四万七千ショートトン、オーストラリアが二万二千ショートトンということで、あとその他、フランスアメリカ等でございます。
  307. 野間友一

    ○野間委員 そうしますと、オーストラリアとの関係での実績、いま話がありましたが、これは輸入実績の中でランクから言いましたらどうなるのか。構成比率ですね。それから将来計画についての見通しもあわせて……。
  308. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 お答え申し上げます。  現在の実績ベースで見ますと、四百五十ショートトンということで、先ほど申しました全体三万ショートトンの中の一・五%ぐらいで、まだ実績としてはそれほど多うございません。ただし、先ほどお答え申し上げましたが、現在の契約ベースですでに電力会社がウランの輸入を予定している量で見ますと、二万二千ショートトン、大体一九九〇年前半になります。それは全体の一一・四%ぐらいになりまして、オーストラリアからのウラン調達のシェアといいますか、位置づけは増大してくるものと考えております。
  309. 野間友一

    ○野間委員 それから次にお聞きしたいのは、オーストラリアにおいては、天然ウランを独自で濃縮して売却するというような計画もあるやに聞いておるわけですが、具体的にどういうことになっておるのか。その点について……。
  310. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 御説明いたします。  先生御指摘のとおりでございまして、オーストラリアは、政府それから産業界含めまして、ウランの加工度を高めまして輸出するという政策をとろうとしております。それはすなわち濃縮したウランを輸出するということでございますけれども、現在のところオーストラリアは、UEGAという民間の四つの大きな会社から成りますオーストラリアの濃縮共同体のようなものをつくっておりまして、そのUEGAが昨年来世界の濃縮技術のいろいろな勉強をいたしております。それの最終的なレポートをつくったところでございますが、そのレポートに基づきまして、政府が今後どう濃縮事業を興していくかということを近く決定していくということになるかと思います。どこからどういうふうに、そして各国とどういう国際的な連携を持ってつくっていくか等々につきましては、詳細はまだ検討中というところでございます。
  311. 野間友一

    ○野間委員 次に、濃縮の問題についてお伺いしますが、わが国ウランの濃縮について、各国別の濃縮実績とそれから今後の国別の濃縮計画、これを明らかにしていただきたいと思います。
  312. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 お答えいまします。  御指摘ウラン濃縮役務につきましては、わが国の電力会社はまず米国のエネルギー省との間で長期契約を締結しております。これは総発電規模約五千百万キロワットの発電所が必要とする濃縮役務、これを三十年間にわたって、炉の寿命の期間でございますが、契約をしております。ほぼ二〇〇〇年初期まで五千百万キロワットベースの濃縮役務需要はアメリカのエネルギー省の工場によって賄われるということでございます。  さらに昭和五十五年から初めて濃縮役務の多角化ということで、十年間にわたりまして約九百万キロワットベースの原子力発電所対応する濃縮役務を、フランスと契約を結んでおります。フランスのユーロディフという会社でございますが、これは昭和五十五年から十年間でございまして、そういたしますと、昭和六十五年くらいまでは六千万キロワットベース、その後は五千万キロワットベース、アメリカのエネルギー省の契約でございますが、その役務契約が一応確保されておるということでございます。その後は、当然原子力開発規模の進展に見合いまして、濃縮役務の需要がふえていくわけでございますが、私どもといたしましては、これまで動燃事業団が開発してきました遠心分離法による濃縮技術、これをさらに事業化の方向に持っていくということで、国産化によって賄うという方向で現在準備体制を整えるべく検討しているところでございます。
  313. 野間友一

    ○野間委員 聞き漏らしたかもわかりませんけれども、いままでの濃縮の実績についてはどうなんでしょうか。いま、昭和五十五年度から、これはフランスでしょうか、九百万キロワットの十年分ということなんでしょうけれども、そうしますと、これを除けばそのすべてがアメリカということに実績からしてなるわけですか。
  314. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 現在までのところ、先ほど申しました米国エネルギー省からの濃縮役務の輸入がほとんどでございます。フランスは五十五年に契約を結びまして、五十五年から十年間の役務契約がございますけれども、現在のところ濃縮された形ではまだごく一部しか日本に入ってきておりません。フランスの濃縮工場において貯蔵されておるというところでございます。
  315. 野間友一

    ○野間委員 そうしますと、これは正確な計算かどうかは別にしましても、先ほどの今後の確保状況考えてみますと、アメリカはいまから三十年後については五千百万キロワット、三十年分ですね。フランスの場合には、十年分といたしますと九百万キロワット。いままでの実績もほとんどがアメリカということと同時に、今後の計画からいたしましても約十六分の十五ですか、九十数%がアメリカに依存するということになるわけですね。この点についての確認と、それから豪州産のウランも、濃縮する場合にはいまの計画に従って、つまりほとんどがアメリカで濃縮されて購入するということになると思うのですね。その点どうでしょうか。
  316. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 御説明いたします。  将来の濃縮役務の供給先でございますけれども、先生の御計算どおり、たとえば二〇〇〇年段階で見ますと、米国との役務契約が五千百万キロワットベースが残っているわけでございます。一番遅くて大体二〇〇〇年の初期まで残っているという段階になると思います。フランスとの契約は十年間でございますから、昭和六十四年にはそれが切れますので、このフランスの役務の延長をどうするか、これはまだ確定しておりません。一応私どもは、現在ないものと考えております。そうしますと、二〇〇〇年の原子力開発の規模は、今度のエネルギー調査会の需給見通しの中の二〇〇〇年見通しによりますと、大体九千万キロワットでございます。ですから、九千万キロワットのうち五千万キロワットが米国から供給されるということになります。そのうち、先ほど申し上げました濃縮の国産化計画ということで、私どもはいま原子力委員会、さらには通産省のエネルギー調査会の報告に基づきまして事業化の体制を進めていますが、二〇〇〇年段階で九千万キロワットの約三分の一、三千万キロワットぐらいのベースの濃縮需要を国産で賄うということが一つの目標となっております。そうしますと、五千万、三千万で、あと多少未手当て分が残ります。これらについては国産の増設あるいは海外の新しい手当て等々を考えていくということになろうかと思います。  それから豪州ウランにつきましては、現在のところ豪州の鉱山と契約を結んでおりますのは、関西電力、九州電力、四国電力、それにわずかに中部電力でございますが、これらはフランスの濃縮工場に行く部分もございます。それからかなりの部分アメリカということで、先生御指摘のように、アメリカないしはフランスを経由して日本に帰ってくる、当分の間はそういうことになるかと思います。
  317. 野間友一

    ○野間委員 そうしますと、現状もそうだし、将来においてもかなりの部分がアメリカの濃縮技術に頼って、日本に持ってくるということになるわけですね。そうしますと、天然ウランの供給先の多様化と申しますか、先ほどの話にもありましたけれども、いろいろやりましても、結局は濃縮そのものをアメリカに頼るということになりますと、そこに日本原子力開発なりエネルギー政策自主性との関係一つの非常に大きな問題がやはりあるのじゃないかというふうに思うわけです。  そこでお聞きしたいのは、アメリカ以外のウランでも、アメリカで濃縮を頼む、サービスを受けるという場合に、アメリカ規制を受ける仕組みになっておると思いますが、その点についてはいかがですか。
  318. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 お答えいたします。  オーストラリア産であれカナダ産であれ、アメリカで濃縮されました場合には日米原子力協定の対象となりまして、所要の規制を受けることになります。
  319. 野間友一

    ○野間委員 もう一つ関連してですが、そういういままでの経過なり今後の計画からいたしましても、日本原子力発電について考えてみましても、仮にアメリカから濃縮ウランの供給を断たれるということになりますと、依存度が非常に高いという点から非常に危ない、成り立ち得ない状況に置かれるということも、これは論の上で考えられると思うのですが、この点どうでしょうか。
  320. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 現在は、もう輸入されている実績ベースでは全部アメリカに依存しております。将来、二〇〇〇年段階を考えましても、半分以上は米国からの濃縮役務に依存するというのが実態であろうかと思います。その意味におきまして、米国が濃縮役務の供給をストップするというようなことがありますれば、わが国原子力開発には大きな支障を来すということでございます。もちろん論理的にはそういうことが考えられるかと思っております。その意味で、先ほど申し上げましたように、できる限りわが国技術を使いまして、濃縮役務も自立化していくということで私ども政策を進めているところでございます。
  321. 野間友一

    ○野間委員 いまの最後のお答えにもありましたが、再処理についてお聞きしますと、アメリカでは、カーター前政権と、今度のレーガン政権のもとでも、核拡散の危険性について非常に厳しい態度をとり続けておる。緩和されるとかどうとか、いろいろ言われていましたけれども。そこでお聞きしたいのは、現時点において、日本の再処理についてアメリカがどこまで認めるようになったのか、またどういう制約があるのか。いかがでしょうか。
  322. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  日本国内における独自の再処理、したがって東海再処理工場を利用した再処理でございますが、これは現時点では、年間最大設計容量まで日本がやれるということになっております。再処理の海外委託、フランス英国でございますが、この委託自身については日本からの移転であるということで、米側の同意を必要といたしております。この点については個別に同意を求めていくという形で現在は対応いたしております。
  323. 野間友一

    ○野間委員 再処理について、去年の十月三十日ですか、日米の共同決定、これの新聞報道等で私承知しておるのですけれども、ここに幾つか、アメリカがかなり譲歩はしたけれどもというようなことのようです。しかし、さらにと申しますか、それなりの制約がいまだに残っておる。特に期限についても、無期限というようなことではなくて、一九八四年末というようなことにもなっておるやに思いますし、また、回収したプルトニウムについても、商業用の軽水炉ですか、これについては使用について制約があるやにも聞いておりますし、かなり制約があるというふうに理解しておるのですが、その点いかがでしょうか。
  324. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  今般、日豪の新しい協力協定によってできます体制と対比すれば、御指摘のとおりかなり制約が残っております。  一つ申し上げておきますと、東海再処理施設の期限の点でございますが、これは一九八四年十二月三十一日までに新しい体制をとるように、それまでに交渉するということで、三年間しか動かせないという了解ではございませんし、それまでには十二分にアメリカ側と話をつけられるものと私ども判断いたしております。  それから先ほど答弁漏れがございました、追加させていただきますが、日本の第二再処理工場の建設計画につきましては、従来主要な動きは行わないという申し合わせでございましたが、去年の十月末日の申し合わせでこの制約は外れております。
  325. 野間友一

    ○野間委員 お尋ねした点の確認ですが、軽水炉への利用については明記されていないということのようですが、高速増殖炉あるいは新型転換炉の研究開発には利用できるとなっておりますけれども、そうですが。
  326. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 その点につきまして通産省から補足いたしますと、軽水炉へのプルトニウム利用に関しましては、昨年十月末の取り決めの中に日本はRアンドD活動を続けていくという章、パラグラフがございます。それによりましてわが国は独自の軽水炉におけるプルトニウム利用、いわゆるプルサーマルを当面はRアンドDまでやっていけるということになっております。それから、先生御指摘のパラグラフは別のパラグラフだと思いますが、当然にFBRその他高度な炉に関して東海村のプルトニウムはそこに使われるという規定がございます。それは、東海村のプルは当面そういう計画を持っているということでそれが書いてございますが、軽水炉へのプルトニウム利用に関しましては別途そういうことでRアンドD活動を続ける、商業化に関してはあの時点では白紙状態になっております。
  327. 野間友一

    ○野間委員 いろいろお聞きしたわけですが、そうしますと日本原子力開発について先ほども指摘したように、アメリカとの関係で事を見ますと大変な従属された形での開発だと思うのです。しかも、これが単に濃縮だけではなくて、施設あるいは設備、これにまで及ぶ、こう考えてみますと、日本原子力政策はそういう枠の中で、つまりアメリカに依存あるいは従属した中で行われることにならざるを得ないと思うのです。そうだとしますと、これは先ほど話がありました日米原子力協定の問題もありますし、この日米原子力協定あるいはわが国政府原子力開発の政策そのものがどうもエネルギーの自立を無視したもので、大変大きな問題だと言わざるを得ないと思うわけです。この点について政府はどういう見解を持っておられるのか、お尋ねしたいと思います。
  328. 宇川秀幸

    宇川政府委員 お答えいたします。  御指摘のように、いろいろ規制権アメリカ日本に対して持っております。現在までのところその枠内というか、毎回規制権は行使されるかっこうではございますが、日本独自の原子力平和利用計画というのをいままで進めてまいっておる、今後ともこういう計画は進めていくことでございますので、現在よりはよりいい体制に立ちたいと考えておりまして、現に去年の五月、日米双方の首脳間ではかかる問題については恒久的な解決を図るということを申し合わせておりますし、先ほど言及がございました十月末日のアメリカとの申し合わせでもこの方向に動くことになっております。私どもも現在鋭意、豪州のかかる新しい取り決めの体制をも参考にしながら、より独自に平和的な利用を促進してまいれる体制に立ちたいということで話し合いを続けております。
  329. 野間友一

    ○野間委員 後でまた触れますが、考えてみますと、この豪州との原子力協定の中にもいわゆる不拡散条約評価され、しかも前文に取り入れられておるということがあるわけですが、結局核兵器についても核保有国が独占する、これは核防条約がそれを認めておるわけですね。     〔愛知委員長代理退席、委員長着席〕 同時に、平和利用についても、核保有国がこれを独占してチェックしている。いずれにしても、これはアメリカ、あるいはソ連もそうだと思いますが、核保有大国、これらのエゴがまさにここに如実にあらわれておるわけで、先ほど宇川さんも私の主張を認められたと思いますけれども、事実の点から考えまして相当考え直さなければならない、これは当然のことだと思うわけであります。先ほど宇川さんも、日本としてもこれからも努力をしていくと言われたわけであります。  そこで、私、関連してもう一つ申し上げたいのは自主自立、これをわが国が充足していくためにも必要なことがある。それは御案内のとおり、濃縮とか再処理について言いますと、核兵器の製造に直結した技術であるわけです。そこで、世界各国もこれの平和的利用についていろいろと厳しい目で見ておるわけです。だから、独自に日本が自主的に自立して将来原子力開発を進める場合に、この技術核兵器の生産に絶対に転用しないという決意とその裏づけを世界に向かってどう表明していくのかということが非常に大事だし、これから日本責任もきわめて重いと言わざるを得ないと思うのです。  そこで、国是としてのいわゆる非核三原則というのがあるわけですが、これはまさに宣言と申しますか、国是とは言い条法的拘束力がないわけで、私はここで主張として非核三原則を立法化する、法的な拘束力を持たせていく、これが非核保障の最大の措置ではなかろうか、そして世界にこれを示す、これが必要だと思うのですけれども、この点については政務次官に御発言いただきたいと思います。
  330. 辻英雄

    ○辻政府委員 いろいろ御討議がありました中で、原子力政策自主性のことにつきまして若干申し上げさせていただきたい。  いまお話がありましたように、日本がみずから平和憲法を持ち、かつ核の軍事的利用は絶対にしないという立場を堅持しておりますばかりでなくて、核不拡散条約を批准し、その後そういうことについての世界の認識も改まってきたと私は理解をしております。そしてまた、今度の日豪協定につきましても、ある意味豪州原子力政策考え方もあって、緻密に具体的にしていこうという考え方に基づきまして、現協定にない核物質等の防護、再処理規制あるいは規律の対象となる核物質等の範囲を明確にする等の措置をとっておりますけれども、これは本来、別にあっていけないことでなくて、そういう核の不当な拡散を防止するために私どももあっていいことだという理解をしておる。同時に、そういうことに対する信頼を踏まえまして、先ほど来お話のありますような必要な再処理あるいは再処理のための第三国移転等について一定の予見可能な実際の条件のもとで日本が行うことができるようになるという点は先生おっしゃった原子力政策自主性に貢献するものだ、大まかに言いまして私はかように考えている。同時に、いま先生お話しのありました核不拡散条約につきましては、確かに先生おっしゃいましたように核兵器の保有国と非保有国との間にアンバランスがあるということは事実だと思います。だからといって、非保有国が保有する方向でいくことは根本的に間違いだ。したがいまして、核不拡散条約に少しでも多くの国が入ってくること、同時に、保有国につきましては核の軍縮、将来においては核兵器の廃絶の方向を目指して世界が動くように私どもが努力をしていくべきだということを基本的に考えておるわけでございます。  先生お話ありましたように、現時点において核の廃絶ということについての世界の世論も非常に強くなっております。日本においてもそういう強い世論がありまして、いずれ開催される世界軍縮会議等においてもそういうことを強く主張すべきであるし、していくことになる、かように考えております。  ただ、従来から守ってまいっております、日本政府が堅持しております非核三原則というものは、あくまでこれははっきりした方針であるし、堅持していくことも当然であるから、国連の軍縮会議等において政府からも核兵器における軍縮、将来における廃絶ということを強く主張するためにも、そういうことがはっきりしておるからできるのだ、かように考えておるわけでございますが、それを直ちに日本の国内で法律化するかどうかということになりますと、いろいろなものを検討しなければならないので、私がここでそういうことに賛成するということを申し上げる立場にはないということは御了承願います。
  331. 野間友一

    ○野間委員 大変勉強された跡がありありとうかがわれまして、恐縮したのですけれども、最後の落ちばいただけません。やはりあなたは政務次官でございますから、そういう任でないのではなくて、世界に向かって積極的にそういうものを立法化していく決意をぜひ私は聞かしていただきたいという見地からの質問でございました。  それからもう一つ、いまのお答えの中に核防条約の問題についての評価がありましたけれども、確かに非核保有国に核を持たせるということ、これはあってはならないことですが、同時に核保有国から核をなくしていく、この点について核防条約が片手落ちといいますかアンバランスといま次官お話がありました。この点については私は核保有国の核の保有を肯定した、核軍縮とは縁もゆかりもないものだという立場から申し上げておるわけであります。  時間がありませんので質問を続けますが、次は安全性の問題についてであります。  スリーマイル島の事故以来、アメリカにおきましても原子力発電の実用化にいろいろ問題が発生している。そして絶対安全という論が崩壊してしまったと言っても過言ではなかろうと思うのです。そしてしかも原発かシステム全体としても技術的に未確立であるということが明らかにされたと思うのです。七九年以降アメリカでの原発の新しい発注、これはゼロのままだというふうに私は理解しておるわけですが、そのとおりかどうかということと、同時に、日本で安全性を考える場合に、特にアメリカに比べて条件が悪い。とにかく地震が多いとかあるいは土地が狭く一度事故が起こった場合にははかり知れないような大きな被害を及ぼすということなどがこれだと思うのですね。そうこう考えてみますと、アメリカ以上に日本は安全性についての自主的な立場に立った総合的な調査とかあるいは研究が必要だ、こう思うわけですが、いままでとってきた原子力開発の政策からしても、アメリカをまねして事を済ますということが非常に目立っておる。敦賀もそうだし、東海の方でもそうでありますが、あちこちでいろいろな事故が続発しておるわけです。そこで安全性の上での根本的な問題、これも先ほどから申し上げているような自主あるいは自立の点から考え直す必要があるのじゃないか、問題があるのじゃないかというように思いますが、この点についてもあわせてお答えいただきたいと思います。
  332. 戸倉修

    ○戸倉説明員 お答え申し上げます。  アメリカでの発注につきましては確かな資料をただいま持っておりませんが、先生御指摘のとおり七九年以降発注はなかったというような記憶を私持っております。なお、日本におきましては、先生御承知のようにもともと軽水炉はアメリカで開発された技術でございまして、GEあるいはウエスチングハウス社からの技術導入によっているわけでございますが、その後日本におきましても日本型軽水炉の定着化を進めてまいりまして、特に通産省が中心になりまして第一次改良標準化、第二次改良標準化というようなことを進めてまいりました。これは日本の風土に合いました安全規制、特に耐震性等の問題あるいは被曝の低減化あるいは稼働率の向上といったような目標を掲げまして、官民が一体となって日本型軽水炉の定着化に取り組んでまいったわけでございます。ただいま昭和五十六年度から第三次の改良標準化に取りかかっておりまして、従来のアメリカの導入技術をもちろん踏まえまして、日本の実情に十分合ったような軽水炉の定着化を図っているところでございます。
  333. 野間友一

    ○野間委員 安全性の問題についてGESMOというアメリカのものなど見てみましても、膨大な調査研究が行われておるわけですね。日本の場合には、こういうものに対応するような実質的なものはほとんどないというようなこともありまして、いませっかく答えがありましたけれども、安全性の点で抜本的に検討をしなければならない、私はこのことを強く申し上げたいと思うのです。  そこで、時間の関係で具体的な問題についてひとつ通産省にお尋ねをしてみたいと思います。  一つは、いま申し上げたアメリカでの新規発注がゼロだ、これは通産省認めましたけれども、この際、原子力発電所の安全総点検、防災計画あるいは防災体制、避難計画あるいは避難体制、こういうものを確立する必要があると思いますが、そういう計画があるのかないのか、この点をまずお尋ねをして、ちょっと和歌山の原発問題について具体的にお尋ねしたいと思います。
  334. 戸倉修

    ○戸倉説明員 原子力発電所の安全性につきましては、私ども日ごろから一層の向上を図るということで努力をいたしているわけでございますが、先生いま御質問のございましたように、ただいまのところ総点検をするという計画はございません。ただし、従来スリーマイルアイランドの事故あるいは敦賀の事故等を踏まえまして各発電所のチェックを十分やってまいっておりまして、しかも安全審査あるいは安全委員会におけるダブルチェック等も十分やっておりまして、今後とも原子力発電所の安全には十分気をつけてまいりたいというふうに考えております。
  335. 野間友一

    ○野間委員 それじゃ十分でないわけですが、具体的にひとつ問題を提起してさらに質問したいと思います。  電事審の原子力発電の需給計画、これを見てみますと、大変な計画の伸びがあるわけで、六十五年度目標四千六百万キロワット、これは原発が二二%に当たるわけですね。七十五年度末になりますと九千万キロワット、これは三〇%と大変な割合になるわけです。先ほどから安全性の問題について言っておりますが、さらに具体的な立地の問題で、住民は不安あるいは心配でたまらないというのが実態であります。この十年間をとってみましても、一気に原発が三倍になった、これはいまの計画から明らかであります。  ですから、こういう計画に従ってそれぞれの電力会社、和歌山で言いますと関西電力でありますが、これがでは計画に従って具体的にどこに原発を幾らつくることになっておるのか。特に和歌山ではそれがどうなっておるのか、この点について通産省としての把握をお聞かせいただきたいと思うのと、実は和歌山県下ではこれまで名前の挙がっておるものだけでもたくさんあるわけです。  たとえば、日高町では小浦の原発、阿尾。いまから言いますのは全部原発ですが、日置川町では口吸、古座町では古座、那智勝浦町では浦神、由良町では三尾川、白浜町では富田川、それから日置川町でもう一つ日置川、この八つの名前が挙がっておる。これらは六町八カ所になるわけですが、原発立地として地質調査がすでに行われておったり、あるいは町当局への働きかけがあってこれが明らかになっておるもの、それから特に、申し上げた中で最後の三つ、三尾川、富田川、日置川、これは由良、白浜、日置川にあるわけですが、この三カ所については、私ども共産党の不破書記局長が関西電力の内部資料をもとに明らかにしたわけです。これについては、関西電力は下請から漏れたということを実は白浜の町長に釈明をしたわけですが、下請ではなくて、これは関電の上層部から入手したものであります。その点についてこの場から明らかにしておきたいと思います。  こういう点について通産省はすべて知っておるのかどうか、あるいは関西電力との話し合いの中で、後でもいいですから、これは確認したということに現時点でなっておるのかどうか。実は、これらは地域住民やあるいは地方自治体の関係者が大変な衝撃を受けた、特に後の三カ所についての問題がそうでありますけれども、これらを踏まえてひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  336. 戸倉修

    ○戸倉説明員 まず先生御質問の長期エネルギー需給見通しの話をお答えさせていただきますと、先般私ども長期エネルギー需給見通しを改定をいたしまして、昭和六十五年度までに四千六百万キロワットの原子力開発をする、こういう目標を立てているわけでございますが、これは個々の地点の積み上げた計画ではございません。したがって、各電力が持っております計画と必ずしも直接リンクはしていないわけでございますが、私どもといたしましては、日本が置かれております資源状況あるいは石油代替エネルギーの開発を推進するという立場からいたしまして、昭和六十五年度までにこの程度の原子力開発を推進する必要があるという目標としての性格を持っておるわけでございます。  そこで、関西電力がどういう計画を持っているかというような御質問でございますけれども、私どもといたしましては正確には、今後十年間に運転開始をするものを含めまして毎年施設計画というのを提出をしてもらっているわけでございますが、その五十七年度の施設計画によりますと、すでに運転開始をしているものを除いては、現在電調審を通っておりますのが、これは福井県でございますが高浜の三、四号がございます。それ以外に具体的な立地点が確定しているものはございません。ただ、関西電力といたしましては、六十五年度までになお四基程度の開発をしたいという計画を持っているわけでございますが、いま申し上げましたように具体的な地点はございません。  それからさらに、和歌山県下での計画ということでございますが、私どもが知っておりますのは、ただいま申し上げましたように、関西電力の関係で和歌山県下のものといたしまして電源開発調整審議会においてすでに決定されたものはございません。ただ、先生も御指摘のございましたように、地元町村等に対しまして事前調査の申し入れ等を開西電力が行っている地点がございまして、これは日高地点、具体的には昭和五十年十二月に地元町に申し入れを行っております。それから日置川地点、これは五十一年の四月に同じく地元町に申し入れを行っております。その後、いろいろな事情がございまして必ずしも事前調査等が十分に進んでいるわけではございませんが、それ以外の地点について具体的な計画というような形でのものがあるというふうには私どもは承知をいたしておりません。  それからなお、最後に先生から御指摘がございました関西電力が内々調査をいろいろやっているのを知っているかというような御質問でございますが、実は先般、赤旗の記事で私ども拝見をさせていただいておって、その限りでは承知しておりますが、関西電力から具体的な報告は聞いておりません。
  337. 野間友一

    ○野間委員 事前に聞きますと、あの記事を見て会社の方に問い合わせをしたということを聞いたわけですが、そのとおりでしょう。その中に三尾川、富田川、日置川とこれはあるわけですが、この点についての確認を再度お答えいただきたいと思います。
  338. 戸倉修

    ○戸倉説明員 私どもは関西電力からそういうような調査を内々的にやったという事実は承知はいたしておりますが、具体的な内容、報告書自体もいただいておりませんし、地点名について具体的にどこの地点というようなことを確認はいたしておりません。
  339. 野間友一

    ○野間委員 そう言うだろうと思っておったのですけれども、実際には知っておると思うのですね。これは大変な問題なんですよ。六町に八カ所ですよ。これは和歌山は、御存じのとおり観光資源に大変恵まれたところだし、それから漁業の宝庫でもございます。特に、いま予定地として八カ所ばかり名前を挙げたところは、いずれもそういう観光地としての中心であります。漁業、観光、温泉場ですね、これを県としても自治体としてもどう発展させていくのかということで自治体の住民やあるいは自治体がいろいろ計画を立てたり検討しておるという中で、実際原発銀座と言われるまでにこの和歌山の南部のところにずっと八カ所にわたってこういう計画が立てられるということになりますと、これは大変な問題でありまして、これは単に企業がみずからの自由な活動としてあれこれ適地を探しておるというような問題では決してないと思うのですね。しかもこれはすべてが原発の用地であります。これは恐らく知らないというようなことは、私はそういうことで済まされやしない。後でも触れますけれども、とうとい命を失った方もあるわけですね。  そこで聞きたいのは、いまもちょっとあなたは認めたけれども、関西電力がプロジェクトチームをつくってこれの調査に当たっておるということは認めると思いますが、この調査に当たっておることの確認ですね。と同時に、再度、このいう原発銀座と言われるまでに、しかも住民が全く知らないままにこれだけの計画がなされておるということになりますとこれは大問題になりますから、この点について一遍調査をしてひとつ明らかにしていただきたいと思いますが、いかがです。
  340. 戸倉修

    ○戸倉説明員 先ほどもお答え申し上げましたように、関西電力自身が内々そういう調査といいますか研究をやっているということは私ども聞いてはおりますが、それが先生御指摘のように計画というような固まったものではないというふうに私どもは了解をしているわけでございます。なぜかと申しますと、計画として電力会社が固めるためには地元町に申し入れて事前調査を正式にやるとかという行為が当然伴うものでございまして、むしろその事前事前の段階の勉強というような趣旨ではないかというふうに思いますが、先生の御指摘もございますので一度よく調べてみたいと思っております。
  341. 野間友一

    ○野間委員 ここに関電がつくりました報告書の写しを一部持っておるのですけれども、「原子力発電所新設予定地の地形地質調査報告書」、こういうタイトルのついたもので、図面から、地形地質調査、これをやったときのいろいろな評価が書かれておるわけであります。しかもこの中身を見ますと、先ほど申し上げた三尾川等三カ所がこの報告書の中に書かれてあるわけですが、三尾川、富田川、日置川地点でそれぞれ断層あるいはリニアメントが立地点及びその周辺にあるなど、詳細が書き込まれております。  そこで、私、これを見まして思いましたのは、問題となるのは、この調査の中で立地条件の可否についてA、B、Cの三段階の評価がされておるわけでありますが、この中でA、B、CのCと判断されたたとえば白浜町の富田川など、これが予定地に挙げられておるわけであります。これは単に内部の、適地としていいのかどうか、その一番初期の段階ではなくて、このタイトルにもありますけれども、原発新設予定地の地形地質調査報告書ということで、すでに予定地になっておるわけですね。その地形地質調査の結果、いま申し上げたような白浜町の富田川などはその評価がCになっているわけです。これを見てみますと、立地そのものか科学的な安全性よりもむしろ人文調査、御案内のとおりの政治的な判断、これを優先させるということがこの報告書の中から明らかに出ておると思います。  総合評価がCとなりましたこの富田川の場合、断層について言いますと、「大島に面する海岸に長さ約三百メートルの断層が確認された。」あるいは「袋谷付近に小断層露頭がみられるが、その延長は不明である。」この評価がBまたはC。それから、「山腹斜面は“流れ盤”である。」「不安定と思われる。」これでC。基礎岩盤は、「西谷付近は砂岩泥岩互層で、砂岩は堅硬であるが、泥岩は鱗片状に割れやすいため、不均質である。」ランクB。結局総合して評価はCというのがこの報告書の中に書き込まれております。  こういうところでもし関電が原発をつくるという場合に、一体通産省は認めるのかどうか。Cというランクと評されるところにこういうものをつくるということは大変な非常識と申しますか、安全性を全く無視したものというふうに言わざるを得ないと思うのですけれども、それについて通産省のお答えをいただきたいと思います。
  342. 戸倉修

    ○戸倉説明員 お答え申し上げます。  原子力発電所を立地する場合、一般論として申し上げますと、一つは先生も御指摘のございましたように日本は地震国でございますので、やはり耐震性のある強固な地盤があるということが条件になります。それからもう一点は豊富な水、これは冷却水が得られるという条件が必要でございます。また、敷地としてある程度の広さの土地が必要である。この三つが基本的な条件でございますが、そもそもそういった条件にかなわないところに立地するということは不可能でございますが、具体的に立地をするに当たりましては、先ほども私申し上げましたように、地元の了解をとって、具体的な、ボーリングをするとか海象の調査をするとか気象の調査をするとか、そういう事前調査が必要でございます。その事前調査に基づきまして環境調査報告書というのを電力会社がつくりまして、これを通産省に提出をいたします。これは県等にも提出をされますが、これについて関係各省等とも調整をとりつつ、環境上問題はないかという審査を当然いたします。  それから安全面につきましては、具体的な立地計画が明らかになりませんと私どもも審査のしようがございませんけれども、ある地点に立地をして、こういうこれこれのものをつくりたいという計画が出てまいりますれば、当然安全審査をいたしまして、その安全審査にかなう場合には許可をする、こういうような手続になりますので、具体的な手続につきましてはそういう具体的な計画が出てまいりませんと私ども何とも申し上げられないというのが実態でございます。
  343. 野間友一

    ○野間委員 安全性の面から相当具体的に責任のある立地の指針とか基準を事前につくって、これを企業に守らせる。企業活動の自由というようなことでやりたいほうだいにさせるということではだめだと考えるわけです。  私の友人で橋爪利次というのがおるのです。これがいろいろと調べた結果、こういうケースがあったのです。  日置川町の口吸というところですか、七十一歳の小出作次郎さんという人が五十一年にみずからとうとい命をなくされたのです。この事件が大変な問題になりまして、これは県議会でも大きく取り上げられ、新聞報道、テレビ等でもやったのです。結局どういうことかといいますと、その日置川町の口吸地区で、これは原発の予定地でありますが、国定公園にするということでそれぞれの住民から買収にかかる、県の自然保護課の課長もここに参加する、そして県の開発公社が買い上げる、こういう一連の経過があったわけです。この小出さんという人も公園ならということで県あるいは自治体を信用してこれの買収に応じたわけです。ところが、実際にはこれが公園になるどころか関西電力に転売されて、そして原発の予定地として今日に至る。この事実が明らかになった段階で小出さんは、私がこういうふうにだまされて土地を売らなければ原発が来なかったであろうということで大変悩まれて亡くなった、こういうことになるわけです。これは一つの例でありますけれども、私が申し上げたいのは、企業活動の自由ということで事前にずっと、和歌山ではいま申し上げた八カ所、原発銀座と言われるまでにいろいろな地点がひそかに計画される、そして密行したままでこれが具体化されて、通産省に具体的な手続をするときにはすでに終わりだ、そういう段階になるわけです。しかも申し上げたように、この報告書の中にもありますが、人文調査に非常に力点を置きまして、科学的な評価を二の次にして、Cというような評価のところでも次の原発の予定地としてこれを組み入れていく、こういうことに相なっておるわけです。これではどうにもなりません。そしてだまされて売って、それが後でわかってとうとい命も失わなければならぬ、こういう事態まで生まれてきておるわけです。  そこでお伺いしたいのは、こういうような事実、いま申し上げた小出さんのケース、これについて通産省は知っておられるのかどうかということと、同時に、報告書やあるいは先ほどから申し上げておりますような点から考えても、もっと早い時期、段階から立地の指針あるいは基準をつくる、そして企業にこれを守らせる指導をするべきであると私は思います。この点についていかがでしょう。
  344. 戸倉修

    ○戸倉説明員 ただいま先生からお話がございましたように、原子力発電所の立地に関連いたしましてそのような不幸な出来事があったということは、私はただいま初めてお伺いしたわけでございます。  もとより原子力発電所推進するに当たりましては、地元の方々の信頼を得るということが基本でございます。私どももそのような形で企業を指導してまいっておりますけれども、今後とも地方自治体との関係も十分連絡をとりつつ、しかも電力会社も地元の方々の御理解と御協力を得られるように一層努力をしてまいりたいというふうに考えております。  先ほどから先生いろいろ御指摘がございますが、現在の時代は電力会社が頭の中で考えたからできるというようなことではございませんで、先ほども申し上げましたように、ある程度ここでやりたいということでありますと、具体的に地元の町なりあるいは漁協等に申し入れをして事前調査をさせていただかなければならぬわけでございます。その段階では当然通産省にも、あるいは県、市町村等にも電力会社からそういう話がございます。その場合に、私どもとして、企業のそういった活動についても十分地元の方々の御理解を得られるように今後とも指導してまいりたいというふうに考えております。
  345. 野間友一

    ○野間委員 時間が参りましたので、これで終わりますが、一番最後に申し上げた点についてもう一度お聞きしたいわけですがね。この亡くなったということ、いま申し上げたように、だまされて公園の用地として売って、それが関電に転売されて、そしてこのことを非常に悩んで亡くなったという事実、これが事実であるとするならば、だまして原発をつくるというのは、これはとんでもない話だと思うのです。先ほど、いま初めて知ったということを言われました。確かにきょう事前に私がこの資料を渡しまして、ひとつ調査してくれというふうに申し上げた、きょうのことで即答できなかったかもわかりませんが、これは企業のモラルとしても私は許されないと思いますので、この事実の有無と、もしこれが事実であるとするならば、これはやはり企業を厳しく指導しなければならない、私はこれが通産省の立場だと思います。この点についての要求についてお答えいただくのと、それからくどいようですけれども、やはりもっと早い先から一定の基準をつくって、しかもこれを住民の中に明らかにしながら、こういうすぐれた観光やあるいは漁業の町を原発銀座にすることがないようにしなければならぬ、これは国の責務じゃないかというふうに思います。最後にこの点についてお答えいただいて終わりたいと思います。
  346. 戸倉修

    ○戸倉説明員 ただいまの件につきましては、私どもきょう伺ったばかりと申し上げましたので、一度よく関係者にも事情を聞いてみたいと思っております。  なお、繰り返しになりますが、私どもやはり地元の方々の理解協力なくしては原子力発電所はできないというふうに考えておりますので、細かいことを申し上げますと、立地指針とかいうものがございますけれども、立地に当たりましては十分そういった地域の実情等を踏まえて企業が行動するように今後とも指導してまいりたいというふうに考えております。
  347. 野間友一

    ○野間委員 どうも遅くまでありがとうございました。終わります。
  348. 中山正暉

    中山委員長 次回は、明十三日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時五十三分散会