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1982-04-07 第96回国会 衆議院 外務委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年四月七日(水曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 中山 正暉君    理事 愛知 和男君 理事 稲垣 実男君    理事 奥田 敬和君 理事 川田 正則君    理事 高沢 寅男君 理事 土井たか子君    理事 玉城 栄一君 理事 渡辺  朗君       麻生 太郎君    石原慎太郎君       北川 石松君    北村 義和君       鯨岡 兵輔君    竹内 黎一君       浜田卓二郎君    松本 十郎君       宮下 創平君    山下 元利君       井上  泉君    井上 普方君       河上 民雄君    小林  進君       野間 友一君    東中 光雄君       伊藤 公介君  出席国務大臣         外 務 大 臣 櫻内 義雄君  出席政府委員         警察庁警備局長 山田 英雄君         防衛庁防衛局長 塩田  章君         外務政務次官  辻  英雄君         外務大臣官房長 伊達 宗起君         外務大臣官房審         議官      藤井 宏昭君         外務大臣官房審         議官      松田 慶文君         外務大臣官房審         議官      田中 義具君         外務大臣官房外         務参事官    都甲 岳洋君         外務省アジア局         長       木内 昭胤君         外務省北米局長 淺尾新一郎君         外務省中南米局         長       枝村 純郎君         外務省欧亜局長 加藤 吉弥君         外務省経済局長 深田  宏君         外務省経済局次         長       妹尾 正毅君         外務省条約局長 栗山 尚一君         外務省国際連合         局長      門田 省三君  委員外出席者         農林水産省経済         局国際部国際経         済課長     副島 映一君         農林水産省農蚕         園芸局果樹花き         課長      小坂 隆雄君         農林水産省畜産         局食肉鶏卵課長 鶴岡 俊彦君         通商産業省通商         政策局国際経済         部通商関税課長 横堀 恵一君         外務委員会調査         室長      伊藤 政雄君     ――――――――――――― 委員の異動 四月七日  辞任         補欠選任   佐藤 一郎君     宮下 創平君   竹内 黎一君     北川 石松君 同日  辞任         補欠選任   北川 石松君     竹内 黎一君   宮下 創平君     佐藤 一郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  日本国ドイツ民主共和国との間の通商及び航  海に関する条約締結について承認を求めるの  件(条約第三号)  千九百七十一年の国際小麦協定を構成する一の  文書である千九百七十一年の小麦貿易規約の有  効期間の第六次延長及び同協定を構成する他の  文書である千九百八十年の食糧援助規約有効  期間の第一次延長に関する千九百八十一年の議  定書締結について承認を求めるの件(条約第  四号)  国際科学技術博覧会政府代表設置に関する臨  時措置法案内閣提出第三八号)  国際情勢に関する件      ――――◇―――――
  2. 中山正暉

    中山委員長 これより会議を開きます。  日本国ドイツ民主共和国との間の通商及び航海に関する条約締結について承認を求めるの件及び千九百七十一年の国際小麦協定を構成する一の文書である千九百七十一年の小麦貿易規約有効期間の第六次延長及び同協定を構成する他の文書である千九百八十年の食糧援助規約有効期間の第一次延長に関する千九百八十一年の議定書締結について承認を求めるの件並びに国際科学技術博覧会政府代表設置に関する臨時措置法案を議題といたします。  各案件に対する質疑は、去る四月二日に終了いたしております。  これより各案件に対する討論に入るのでありますが、別に討論申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  まず、日本国ドイツ民主共和国との間の通商及び航海に関する条約締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件承認すべきものと決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  3. 中山正暉

    中山委員長 起立総員。よって、本件承認すべきものと決しました。  次に、千九百七十一年の国際小麦協定を構成する一の文書である千九百七十一年の小麦貿易規約有効期間の第六次延長及び同協定を構成する他の文書である千九百八十年の食糧援助規約有効期間の第一次延長に関する千九百八十一年の議定書締結について承認を求めるの件について採決いたします。  本件承認すべきものと決するに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  4. 中山正暉

    中山委員長 起立多数。よって、本件承認すべきものと決しました。  次に、国際科学技術博覧会政府代表設置に関する臨時措置法案について採決いたします。  本案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  5. 中山正暉

    中山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました各案件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 中山正暉

    中山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  7. 中山正暉

    中山委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。小林進君。
  8. 小林進

    小林(進)委員 与えられた時間だけ簡潔にやりたいと思いますが、どうか関係各省、特に大臣もわかりやすく直截簡明に御回答をいただきたいと思うのでございます。  私は外務委員になってきょうが初めてでございますので、(「二遍目」と呼ぶ者あり)若干関連でやりましたのは原則に入りませんので、原則としては初めて。大臣の所信を承りたいという気持ち質問をしたいのでございます。  いずれにいたしましても、私は、外交というものは哲学だと思っている。信念です。そして正義です。一貫した信念哲学、これはやはり国を越えて世界の正義に訴え、世論に訴える、そういう迫力がなければ真の外交にならないが、どうも最近のわが日本外交は右顧左べんだ。こっちを見、あっちを見、どこに一体思想があって、どこに信念があり、哲学があり正義があるのか、まことに頼りない状態でございまして、私は、そこら辺を第一番に強く要望しておきます。  第一問といたしましては韓国問題。けさ新聞を見まして、何か韓国政府の例の六十億ドル借款の問題にこたえて、三十五億ドルですか、きょうの私の見た新聞では三十五億ドル余を供与する、こういう記事が出ているわけであります。これはどうですか。間違いないかどうか、まずここら辺からひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  9. 木内昭胤

    木内政府委員 わが国の経済協力プロジェクトに即しまして積み上げ方式でやってまいるわけでございまして、そういった総枠というもので事が進むわけではございません。したがいまして、けさ新聞記事はすべて推測とお考えいただいて間違いないと思います。
  10. 小林進

    小林(進)委員 そうすると、ここにはジャーナリストの方もいらっしゃるが、これは新聞デマ記事ですな。新聞デマ記事とおっしゃるわけですね。デマ記事とおっしゃるならデマ記事というふうに受け取って御質問いたしたいと思いますが、間違いありませんか。デマ記事ですね。
  11. 木内昭胤

    木内政府委員 デマということではございませんで、推測に基づくものと申し上げた次第でございます。
  12. 小林進

    小林(進)委員 それじゃ、推測といま外務省韓国政府要望に応じようとする数字、これは合致していますか、全然離れておりますか。離れておればデマ、その推測が事実と同じならばこれは正しい記事だ。どうですか。
  13. 木内昭胤

    木内政府委員 遺憾ながら、韓国の方で考えておられる御要請と私どもとの間にはかなり懸隔がございます。
  14. 小林進

    小林(進)委員 木内君、君、それは悪い癖だ。私は、推測韓国要望を聞いているのではない。きのう、けさ新聞記事が、外務省のあなたたち――あなたたちと言っては悪いけれども、一事務官だから大したことはない。のこのこ出てくるから言うのだけれども、君たち考えていることとこっちの方の書かれた記事とマッチしているか離れているかということを聞いている。それを聞いているのですよ。
  15. 木内昭胤

    木内政府委員 目下関係省庁とまさに検討段階でございまして、結論は依然として何ら出ていない状況でございます。
  16. 小林進

    小林(進)委員 それでは、この記事はいわゆる皆さん方考えていることと全く違っておる、デマ記事だ、こう言ってもよろしゅうございますな、あなたのいまの説明は。デマ記事ですね。それでいいならもう出なくていいんだ、時間がないんだ、短い時間だから。  それじゃ、そのように外務省アジア局長答弁があった、こういう前提のもとに立って、ひとつ次に話を進めてまいりたいと思います。  これによりますと、あるいは輸銀、あるいは市中銀行、あるいは円借款等が含まれて三十五億ドルというふうに記事になっておりますが、その前の、これは四月三日の記事でございますが、それによると、韓国崔東鎮亜局長、この局長がソウルにおいて日本村岡駐韓公使を招いて、そこで韓国側回答を寄せている。この中には、円借款は優先をしてくれ、商品貸与を優先してくれ、けれども市中銀行の金は困る、利子が高過ぎる。輸銀も高過ぎる、なおかつ期間が短過ぎる。こっちの方は困りますという要望が出たということが報道せられています。この問題に対して、きょうの新聞外務省回答であると私は考えたのでありますが、いまあなたは違うとおっしゃった。あの新聞デマだとおっしゃったから、それならば一体この四月三日の韓国側要望に対していま外務省がどんなことを考えておられるのか、ちょっとお聞かせを願いたい。
  17. 木内昭胤

    木内政府委員 崔東鎮亜局長村岡公使に対する韓国側考え方の披瀝につきましては小林委員御指摘のとおりでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたとおり、私ども考え方先方考え方との間にはかなりの隔たりがあるわけでございまして、そこをどう調整するかということで目下関係省庁とも協議中でございます。
  18. 小林進

    小林(進)委員 いま関係省庁ともお話し中であると言えばその決定を私どもは待っている。それに基づいてまた改めて質問をさせていただくことにいたしますが、この際、社会党並びに私の意見もひとつつけ加えておきたいと思うのであります。  いまお隣朝鮮半島の問題はわが党のみならず日本としましては重大な問題の一つです。お隣朝鮮半島ですから、こんなところで風雲急ならざるような状態じゃわれわれは晏如として枕を高くして眠るわけにいかない。実に南北朝鮮がどうあるかということは重大問題です。重大問題だが、したがって、われわれ外交を論ずる者から見れば、どこがどうであろうとまずお隣朝鮮半島は平和であり、しかも統一をせられた国家であるということがわれわれの何よりの願望です。しかしそれに対して、どうも外務省の歴年の動きを見ていると、この隣の国を南北統一して平和のままにして、わが日本の枕を高くして寝られるというような外交政策はさっぱり出てきませんな。これは私がいまの外務省外交方針に対する一番気に食わない問題の一つです。  あわせて借款の問題も言いますけれども、これは木内君、君の答弁は要らないよ。おれはこの際櫻内チェリー大臣の御答弁をお聞きしたいのだが、一体、このお隣韓国の六十億ドルのいわゆる借款要望に対してあなたはどういう信念をお持ちになっておられるか。  率直に申し上げますが、あなたの前の園田直氏はいみじくも言った。借り手が貸し手をおどかしている、金を借りたいというのがああいう高飛車な姿で人を恫喝するなんということは言語道断だ。私は最近の外務省外交の中であれくらい快哉を叫んだ言葉はなかった。さすが園田だという感じを受けたのでございますが、あなたは、この六十億ドル借款の問題に対してどういったお考えなんですか、まずこれをお聞かせ願いたい。
  19. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 六十億ドルの問題の前に、小林委員のおっしゃいました朝鮮半島の平和と統一の問題でございますが、私どもも一日も早いその実現期待もし、そのように向いていくことについていろいろと配慮をしているわけであります。  小林委員が御承知のように、韓国側からも北朝鮮側からも統一動きというものはあるわけでありますが、残念ながらどうも食い違ってきておる、こういうことで、そこでこれが具体的打開には何か方策がないかということで、かねて来国連事務総長でもあっせんされるがよくないかというようなことを申し上げたこともございます。また最近におきましては、三十八度線で対峙しておりますが、軍事演習でもやるときにはお互いに視察団でも入れようかという空気も出ておる、こういうことでございますので、われわれとしては何とか朝鮮半島における平和統一実現のために側面からの努力をしてまいりたい、こういう気持ちを持っておる次第でございます。  そこで、ただいま六十億ドルのお話でございましたが、この六十億ドルの要望については、一昨年来の韓国における経済状況、民生の状況、そういうことからいたしまして、成長率も大きくマイナスになり、昨年は少しよくなったようには聞いておりますが、大変困難をしておる、そういう中における六十億ドルの要望でございました。そこでハイレベルの実務者会議を持って、一体どういうことを要望しておるのかということから、この問題に日本がどう対応していこうかということで二回のそういう会議を持ちました結果が御承知のような三十五億ドルの借款、それと二十五億ドルの商品借款ということで六十億ドル、そしてその三十五億ドルについてはこういう十一のプロジェクト考えておる、こういうことでありますので、日本の持っておりますところの経済協力基本に沿って、そういうプロジェクトごと積み上げでどうなるかということの先方の所見も聞き、こちらも検討し、こういうようなことから、先日、プロジェクトの中でODAとして考えられるものあるいは収益性があるからこれは輸銀考えるようにしようというようなことで中間の検討の結果を申し上げたのに対して、先ほどからの御質問のごとく、韓国側商品借款についてさらに要望してくる、またODAのような低利のものが必要である、こういうところにきておるわけでございまして、先方要望に対して当方は誠意をもって検討し、応ぜられるものあるいはどういう方法でやるべきかということを答えておるというのが現状であり、これが私どもの六十億ドル要請に対する基本的な進め方であるわけであります。
  20. 小林進

    小林(進)委員 大臣から詳しい御答弁がございましたが、要約すると一つは、三十五億ドルという枠は新聞の推定でそんなことはないとおっしゃったから、それはないことにしましょう。ならば、その中で一つは、いまお話のありましたように韓国がいわゆる商品借款円借款、この二つを優先してくれ、それから市中融資輸銀融資は好ましからざるものであるから好ましくない、この韓国要望外務省はこたえる、彼らの要望を入れるお考えがあるかどうか。いま一つの問題は、いまお話しのとおり、日本には経済借款という枠がある。それは、韓国軍事費防衛費を助長、援助するような形のものは断じておやりにならない、これは正しい。正しいが、彼らの持ってくるプロジェクトですか積み重ね方式ですか、その中に一体軍事援助と思われるものがあるかないか、あればそんなのはお断りしなければならない。問題点はこの二つではないかと私は思うのでありますが、この韓国要望政府はこたえられるか、お断りするのか、あくまでも軍事的援助あるいは協力というようなにおいのするところは断じてこれを排除するという確固たる信念をお持ちなのか。願わくは、あわせて向こうの六十億ドルに対しても、最高どれだけくらいの枠を考えていられるのか。問題を幾つも持っていますから、時間がありませんので、簡単にこの点だけお答え願いたい。
  21. 木内昭胤

    木内政府委員 先ほど大臣が御答弁されましたとおり、収益性の高いような事業であれば当然輸銀あるいは市中銀行というのが私ども考え基本でございます。したがいまして、韓国側の言われる、できるだけ条件のいい円借款でできるだけの額をカバーしてほしいという御要請に対しては、先ほど申し上げましたとおりかなり懸隔があって、なかなか御要請どおりには私ども動き得ないという実情があるわけでございます。  第二の点の軍事絡み事業があるかどうかということにつきましては、私ども小林委員同様関心があるわけでございまして、先方から提出された事業が軍事的な色彩のものであるかどうかは、当然のことながらしさいに検討されるわけでございますが、現在日本側要請されております経済社会開発五カ年計画にのっとりました事業は、すべて民生安定、経済開発ということで軍事的な色彩は皆無である、かように私ども理解いたしております。
  22. 小林進

    小林(進)委員 韓国の最初の申し入れは、何か日本の国防の肩がわりもしているのだから六十億ドル出すのはあたりまえだということだったが、これは辛うじて外務省の方でも抵抗されて、最近はそういう言葉を用いなくなった。用いなくなったが、今度は最近言っている人は、先ほどのアジア局長もそうだが両国の特殊関係日本韓国特殊関係があるのだという、こういう言葉を用いだしてきた。一体この特殊関係というのが何だか、私にはわからない。これをひとつお聞かせ願いたい。  時間もないからいま一つ申し上げますが、日本はこの大戦で負けるまでは、朝鮮半島一つにして北も南もなかった。もし日本が迷惑をかけたとすれば、南北を問わず同じような迷惑をかけている。もし日本がいわゆる属国支配をしたとすれば、南北同一にやった。それが、相手の国の政治政体が変わったというだけの話で、日本には何も北も南も変わりがないのを、どうも南だけには一生懸命腰を入れて、北にはいまでもそういう正常な外交も再開していない。せめて私は、東と西のドイツくらいな形を隣の朝鮮半島に持ってもいいのじゃないかと思うのだが、頑固におやりにならない。まことに残念だ。それで、いままだ韓国だけは特殊な関係にあるというふうな言葉を用いて、こうやって多額の借金にも応じようとしておいでになる。  この問題について、これは与党要人です。あえて要人と言いますよ。余り正確に名前を言うとあなたの方で支障があるから、言わないで要人ということにしておくが、その要人と私はこの問題で話をしたことがある。私ども野党の方では南北朝鮮だ、韓国朝鮮民主主義人民共和国と何ら差別をする理由はないのだから、両方を平等に扱う、そして裂けている傷口を幾らかでも小さくするように努めようという姿勢がいまの政府に見えるならば、与党野党もありませんよ、われわれも進んで政府協力をいたします、それでいまきているこの六十億ドルの借款の問題も、南北朝鮮統一するためにこの金が必要だというならば、私ども野党立場にいても決して物借しげなことは言いません、積極的に政府に賛意を表して、むしろこっちの方から六十億ドル出しなさい、平和的、民主的、自主的な南北統一のためにこれだけの金が必要だというなら恵んで出そうじゃないかと言ったら、いや小林先生いいことを言っていただきましたと、そのとき初めてあなたのところの要人先生と言ったよ。実にあなたの高尚な御意見を承って、私ども与党立場ではなかなかそれを言えないから、どうか野党立場でそれをひとつ執拗に言ってもらえないかと、その先生に頼まれた。これが、私は与党の中でも心ある人の信念じゃないかと思う。外交は、その信念に基づいて堂々とやるのが本当じゃないですか。どうですか、こういう借款をやって、それができないまでは、南北統一にいささかでも傷を与えたり不公平な格差をつけるような借款ならば、私どもは六十億が五億でも一億でも反対だ。この問題についてひとつ御回答いただきたい。
  23. 木内昭胤

    木内政府委員 特殊な関係あるいは格別な関係とかいろいろ言われておりますが、私どもはこれは、長い今世紀の歴史的なプロセスから生じております微妙な関係というふうに考えておるわけでございます。  それから小林委員は、南北の問題に関連いたしまして東西両ドイツということを引き合いに出されたわけでございますが、私どもも西独あるいは東独のごとく、国連に参加するというような動きが出てきますならば大変やりやすくなるのじゃないか、そういう期待は持っておるわけでございます。ただし一部の方々には、南北国連同時加盟南北の分断の固定化につながるということで御異論があるということも承知いたしております。  それから、この六十億ドルに関連しまして、これは統一を阻害するとかそういう観点ではございませんで、三千八百万に及びます韓国人経済社会の安定ということで考えておるわけでございます。
  24. 小林進

    小林(進)委員 何も私は局長なんかに政治答弁を求めているのじゃないのだ。君、のこのこ出てくるなよ。君は事務的な問題だけを答えればいいのであって、大臣以上の政治答弁をしているじゃないか。これだから日本外交が道を誤るのだ。冗談じゃないよ、君。そういう思い上がった態度はやめたまえ。もう君の答弁なんか要らないから、帰ってもいいよ。  そこで、ぼくはこの韓国問題は切りがないから結論として言うけれども、この六十億ドルの借款反対です。いま、むしろ南北朝鮮の分裂を固定化するのに力を与えるだけでありまして、われわれの要望する平和な統一せられた朝鮮を出現する道には何にも効果なしと見て、私ども反対です。あなたたちが本質的に考えを変えられるまでは断固として反対であることを申し上げておきます。  こんなことで時間をとっていると、用意した質問が二十問もあるのにまだ一問もいっていないので、次に行きます。  同じ朝鮮問題に関連して、金大中事件の問題、これもそうです。われわれの方に毎日のようにこういう陳情、請願書が来るのです。国民は忘れておりませんよ。いまも全国的に、金大中救出金大中有罪判決政治決着違反である、欺瞞である、そして、罪もない人がこういう無謀な罪を着せられて、永久に、いわゆる無期懲役なる形で監獄で呻吟をせられている、お気の毒だという声が国民の声です。  その声を代表して私は、この金大中事件を四十八年から質問しているのです、決算委員会外務委員会予算委員会で。だから、いみじくもどこかの新聞は書いた。これは五十四年六月ですけれども国会の各委員会において――これは私の記録をとどめるんだから、記録にとどめる必要でちょっと言っておきますけれども国内の問題では、いわゆる北富士射撃場の払い下げの問題で、委員会で二十五回質問した人がいる。これは国内の問題ではレコードホルダーだそうだ。わが国会が明治二十三年にでき上がってからのレコードだ。外交問題では小林進だ。金大中事件で十五回、これは五十四年までで、いまのは入ってないんだが、同じ質問をしているのです。これは、外交問題では日本国会レコードホルダー。それくらい執拗に繰り返し私はこの金大中事件をやっているわけです。  わが日本主権を侵害された、独立国家の名誉と主権を侵害されたという、これは並み大抵の問題ではないんだ。主権侵害ではこれに準ずべき問題で、フランスでもよその国でも、国交断絶をしたり、戦争手段に訴えたりしている例が歴史の上では幾つもあるんだが、それほど重大だという認識が残念ながらわが日本国会にない。だから私は繰り返して言っている。いま一つ基本的人権の問題です。罪なき人が、日本の法律のもとに九段下のホテル・グランドパレスに安らかに滞在している者が、無謀な外国の権力が土足で入ってきて、日本主権日本の法律を無視してその人を拉致していくなんというようなことは、どんな野蛮国でもあり得ない問題だ。そして人権を侵害せられて、いまなお罪なき罪に呻吟をしているという状態だ。  これは、私は歴代総理大臣の売人にこの問題を質問している。外務大臣、法務大臣にも全部私は質問している。一番最後に答弁をしたのが、五十四年の園田直外務大臣。そのときには、彼はわかったようなわからぬようなことを言っていたけれども結論としては、捜査当局は依然としてこの問題の真相を追及中なんだから、その捜査当局の結論を待って新しくこの問題を処置したいと思う。正確に言えば、この問題については、当時の政府が日韓関係その他の大局的見地から、政治的決着を決断したわけである、現内閣もこの方針を維持、尊重しているが、捜査は続行し、新しい韓国の公権力行使の事実を裏づける証拠が挙がれば見直しすることになっております、今度の米国文書公開に基づき有力な資料が出てきたわけであって、引き続いて真相究明に努力をいたします。これが五十四年五月三十日の園田外務大臣の私の質問に対する答えなんだ。  その後引き続いてやりますと言っているうちに、十月に衆議院が解散になっちゃった。これで外務大臣はやめちゃった。いよいよ選挙が済んだからまたやろうと思ったら、また半年もたたないうちに、五十五年の六月に同時選挙で解散をやられた。解散に次ぐ解散で、ついに園田外務大臣のこの公約を追及するいとまがなくして私は今日に至っておる。だから、外務委員会でやろうと思ったけれども、わが党の理事も、おまえはまだだ、おまえはまだしゃべるのは早いと言って抑えられていてしゃべる機会が与えられない、残念ながらついに今日に至ったのでありますが、これは外務大臣がかわろうとも、いわゆる内閣の継続性ですから、一体これをどう処置せられているか。もう官僚の答弁は要りませんよ。私は、へっぽこなお役人の答弁を聞くためにこの貴重な時間を費やしているわけじゃない。外務大臣、それから次には捜査当局、警察庁、どうぞひとつお答えをいただきたい。
  25. 木内昭胤

    木内政府委員 小林委員御指摘の園田大臣の御答弁のとおり、刑事事件としては引き続き捜査の対象となっておるわけでございます。また、公権力の行使ということがわかりますならばその場合には見直しをするということも、小林委員御指摘のとおりでございます。
  26. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま木内局長答弁を申し上げたとおりでございまして、現在の内閣も引き続きそのような姿勢をとっておるわけでございます。
  27. 小林進

    小林(進)委員 委員長、頭脳明晰な委員長委員長席におられて答弁を聞いておられるのですが、あれは一体答弁になっているのでしょうか。あれは私が言ったことをそのままオウム返しに言っただけなんです。そんな失敬なやりとりなんというのはあるものじゃない。私は、いまの答弁は断じて了承するわけにはまいりません。しかし、あわせて捜査当局にお伺いしますけれども、捜査当局はこの問題をその後どう処置せられているか。  これもいまの三井警察庁長官がまだ警察庁の警備局長の時代、私の質問に答えて、これは五十二年ですが、特別捜査本部の機構は若干縮小いたしましたけれども、鋭意この真相追及のために、夜に昼を継いでとまでは言わぬけれども、真剣に捜査活動、真実追求のために努めておりますというお話があったが、現在どうなっておりますか。具体的に答えてくださいよ、いまの外務省のあんなおちゃらかすような返事じゃだめです。
  28. 山田英雄

    ○山田政府委員 金大中事件は、きわめて悪質重大な逮捕監禁、略取誘拐事件と認識しております。発生以後、金大中氏逮捕監禁被疑事件特別捜査本部を警視庁に設置いたしまして、現在でも約二十名の体制で捜査を続行しております。  どういう捜査をやっておるかという点でございますが、すでに犯行グループの一人の金東雲は割り出しております。連行に使用した疑いのある車両も割り出しておるわけでございますが、引き続き連行グループの追及のため、ただいまは、新たな情報の掘り起こし、関係者の洗い直しの捜査、また既存の捜査資料の再検討、こういうことを中心にして、大変時間がたちまして捜査資料も乏しくなってきてはおりますが、じみちな捜査を続けております。しかしながら、現在までのところ、捜査の進展に役立つような有力な情報もございませんし、とりたてて御報告申し上げるような進展がない、これが実情でございます。
  29. 小林進

    小林(進)委員 現在二十名の捜査員をもって鋭意捜査をしておいでになるという御答弁ですが、若干私の主観が入るかもしれませんけれども、歴代の警察庁の捜査の状況を眺めて――いまの三井さんの前の警察庁長官の山本さんが警備局長、またその前は高橋さんでしたか、警察庁長官の歴代を眺めてみますと、さすがに日本の警察は、いまの外務省なんかの人を小ばかにした答弁とは違ってやや真剣に事実の追及をやっていただいているというふうに私は若干好意的に考えております。これ以上意地の悪い質問をすることはやめにいたします。ともかくどんなに時間がかかろうとも、こういう捜査本部は廃止したとかやめたとかということがないように、どんなにじみであろうとどんなに時間がかかろうと、これは日本の独立に関する、主権に関する問題ですから、ひとつどうしても結論が出るまで御奮闘を賜りますよう切にお願いいたしまして、この問題は終わることにいたします。警察庁、お帰りになっても結構でございます。  次に私は、アメリカと日本との関係について常日ごろ考えていることについて二、三御質問いたしたいと思うのであります。  第一間といたしましては、アメリカでいま反核の世論というものがヨーロッパ諸国と相呼応して非常に盛んに起きておる。このアメリカにおける反核運動あるいはケネディ氏等々の米ソ両国の核の凍結などという問題には私は非常に大きな期待を持っておる。そういう点でお尋ねいたしたいのでございますが、最近の情報の伝えるところでは、アメリカの大衆のムードというものははっきりと核軍縮の方向に向かっている。各種の世論調査でも、アメリカ国民は二対一の関係で核兵器の凍結、軍縮に賛成しているという情報をとっているんだが、これは事務当局でよろしい、アメリカのこの反核運動、核凍結に対する世論の動向の詳しいデータがあったらまずそれをお聞かせ願いたい。
  30. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 ただいまお示しのデータも一つかと思いますが、反核運動を支持する者が何%、あるいはそれに反対する者が何%という正確な資料というのは、いまのところまだわれわれは持ち合わせておりません。ただ、現実の問題としてアメリカの国民の間でそういう声が起きており、また議会の中でもケネディ、ハットフィールドという者が核の凍結というような動きをして、それに対して、それは現状の固定であってアメリカが不利になるという反対の決議案というのが出ているというのが事実でございます。
  31. 小林進

    小林(進)委員 では、この問題に関連していま一つお伺いいたしますけれども、レーガン大統領は世論調査でも非常にいま人気が落ちているが、このレーガン大統領は核戦争の危険を増大させていると思う人が、危険性を減らしているという世論よりも上回っている、こういう統計がアメリカの世論調査の中にはあらわれているのです。この資料をお持ちになっているかどうか、あわせてお聞かせ願いたい。
  32. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 不勉強で申しわけございませんが、いま委員御指摘の附帯的なデータというものを私たちは持っておりません。先ほども申し上げましたように、アメリカの中でも軍事費の増大について反対の声が起きている、それ自身は事実でございます。
  33. 小林進

    小林(進)委員 いやしくも北米局長だの北米局なんか設けて国民の税金で高給をはんでいて、こういう国際的な動向を決する、あるいは日本外交の将来を卜するような重大問題について、私のようなしがない一私人でもこういうデータを持っておるにもかかわらず、それを持っていないというのは不勉強きわまる、一体何のために外務省の予算がある、何のために高給をはんでいる、これは実に重大問題だ。こういうようなことばかりやっているから日本外交は右顧左べんして、もってわれわれを感銘深からしめるような意見がちっとも出てこない。嘆かわしいね。よくそれで北米局長なんて地位にとどまっていられるね。本当に恥ずかしい次第だが、これはやむを得ないけれども、われわれもこういうことではとても座して見るに忍びずだ。こういうことは大いに反省してもらわなければならぬ。別の機会に場所をかえて、こういうような問題は私ども真剣に考えなければならぬと思います。  そこで、それに関連して、レーガン大統領は三月三十一日のテレビのゴールデンアワーで、これも初めて記者会見というものをおやりになったんだが、解説ですけれども、これはすなわち米国内及び国際社会を覆う反核ムードに何かこたえなければ彼自身の人気を保つわけにはいかない、こういうことからあわててこういう適当な時間に記者会見をおやりになった、こういうことであります。その記者会見の内容は、米ソ戦略核兵器の凍結ではなしに本格的な削減に向かって開始をやりたいと思う、こういう意味の新聞談話を発表せられているのでありますが、その前の三月十六日にはソ連のブレジネフ党書記長がモスコーで演説をやって核の問題に対する彼の意見を発表せられた。このブレジネフ演説にレーガンは答えて、何かアメリカに不利な世論の鎮静に努めたというようにもとられるのでありますが、外務大臣、このブレジネフ演説とレーガン談話、二つを並べて、一体日本の外務大臣はどちらをとるべきであるとお考えになっているのか、御所見を承りたいと思います。
  34. 門田省三

    ○門田(省)政府委員 事務的な部分について私の方から御説明させていただきたいと思います。  ただいま小林委員から仰せがございましたように、三月十六日にブレジネフ・ソ連書記長は、いわゆる凍結秦を明らかにしたのでございます。この案はすでに八一年の二月の時点におきましてもブレジネフ書記長は明らかにしている事柄でございまして、内容的には、一つには対象地域をソ連欧州部に限ってこの凍結案を示しているということ、その代償といたしまして、米国、NATO側がパーシングII及び巡航ミサイルの欧州配備を中止するということを要求している、こういう内容のものでございます。  一つには欧州部に限っているということが問題でございまして、御承知のようにSS20は五千キロに及ぶ長距離の飛行能力を持っておるわけでございますので、欧州以外の地点に配備がえをする場合には依然として十分欧州に対する脅威を持ち得るという点があるわけでございます。それから、現在欧州部にはNATO側の地上発射のミサイルは全然存在していない、ゼロという状況でございます。このような事柄を踏まえた上で凍結ということが果たして適当かどうか、これは率直に申しまして問題がある、かように思われるわけでございます。したがいまして、私どもとしましてはアメリカ側が申しておるゼロオプションというもの、つまりSS20をグローバルなベースで撤去するということが望ましい、かように考えておるのでございます。
  35. 小林進

    小林(進)委員 SS20が欧州の地域になくたって何とかウラル山脈を越えて飛んでいっていわゆる対立をする力も持っている、そういう理屈をいまあなたが言われた。しかし、NATOの方にはまだそういう戦域核ですか地域核、戦術核は持っていない。ならば、アメリカの言うようなゼロオプションの方がやはり正しい、そういうことをくちゃくちゃと言われたけれども、私どもはそういうような技術的なことよりも、どうも外務省あるいは外務省の小役人の考えることは何でもソ連側の言うことは危ない、アメリカの言うことは何でも正しい、そういう前提の上に物をしゃべっているとしかとれない。また国民大衆に聞いてみるとみんなそういうふうに考えている、みんなとっているのですよ。まずその結論を出しておいて、アメリカさんの言うことは白が黒でもこっちの方がいいんだと言って、後はいまの小手先細工で、いやいや、ゼロオプションの方がいいんだ、NATOにはまだ既成の、軍備配置ができてないからというふうな理屈は後について回る。この姿勢が日本国民の一番納得のできないところなんだ。アメリカが行おうとあるいはソ連が言おうと、国のいかんを問わず、人類滅亡の核をひとつなくそう、減らそう、削減をしよう、凍結としようというならば、拡大をしよう、大きくしようということよりもどんなに一体人類に益することがあるか、そういう観点に立って物事を公平に判断していくのがいわゆる非核三原則あるいは平和憲法を持っているわが日本の公正な立場じゃないかと私は思う。その公正さがないじゃないですか。いまこうやって見なさいよ、あなた。社会党もおれば共産党もおり、新自由クラブもいる。社会党がおっしゃったからごもっともでございます、共産党が言ったからあれはだめでございます、そういうような論調は許すわけにはいかないけれども外務省の言い方は、外務省の物の考え方は全部それなんです。それはやめなければならない。重大なポイントです。これはもう時間がないからこれだけで論議していくわけにはいかぬから、きょうは総括質問だ、所信表明の段階だから問題点だけを明らかに指摘しておいて、これはこれから詰めるのですよ、こういう外務省の姿勢を。  これに関連して、最近ジュネーブにおける国連欧州本部で三月三十一日から開かれた国連政府組織(NGO)軍縮特別委員会主催の「第二回国連軍縮特別総会と国際世論会議」は、六月に開かれる同特別委員会に対し、第二回目の軍縮総会において「核兵器に対する人類の自滅に反対して、高まる世界の声に注意を傾け、狂気の軍備拡張競争をやめさせるため適切な処置をとるよう」にというアピールを各国政府関係省の方へ一致してこれを通達をするということでこの会議がおさまっているんだが、私はこの会議を非常に重要視している。むしろ政府自体が出席する官制の会議よりは、いわゆる世界の反核平和団体がこの会議で一致して民間団体の主張とエネルギーを結集して、そして世界の世論と政府を動かしていこうという、これは非常に重要だと私は思うのです。この中には八十七の国際団体、四十二カ国から四百二十人の代表が参加をいたしました。日本からも原水協や原水禁あるいはその他の約八団体から二十五人が参加をしているわけなんだが、この会議結論日本政府一体どう受けとめられていますか。あるいはこの会議の中にオブザーバーでも送ったのか、どの程度の関心を示されたのか、これをまた承っておきたい。
  36. 門田省三

    ○門田(省)政府委員 このNGOの会合は、委員がおっしゃられましたように、いわゆる非政府団体の会合でございます。したがいまして、政府からはオブザーバーを出すということになっておりませんので、派遣はいたしておりません。  NGOの会合の結果等につきましては、わが在ジュネーブ軍縮代表部においても、外部から、その会議の内容の動き等につきましては適当な機会を見つけてこれをフォローさせていただくという努力はいたしております。今回の会合の模様につきましてはまだ報告を受けておりませんが、このNGOの会議の模様、決議あるいは一つ考え方がまとまるという場合には、私どももその内容を十分検討させていただきたい、かように考えております。
  37. 小林進

    小林(進)委員 こういうところが、いかにも官僚的にちっとも血の通った外交をやらない何よりの証拠なんです。こういうような非政府の組織団体、これがやはり正しい世界の世論をキャッチして、世論を動かすのです。六月の第二回の軍縮総会にも大きなファクターになってあらわれてくる。本当に日本政府が第二回の軍縮総会に総理大臣みずから乗り込んでいって、そして唯一の被爆国として世界の平和に訴えてやるなら、まずこういうところに準備運動をしなくちゃいけない。私が外務大臣だったらすぐやりますよ。たとえば広島や長崎の映画の一本ぐらいだって、ここに集まってきた四十二の各国代表にもやったらいいと思う。広島のアピールをしたり長崎をアピールしたり、そして六月のその大会に臨んでいく総理のもはや準備運動、ウォーミングアップぐらいちゃんとやる、これが本業に被爆国としての日本が当然やるべき行為だ。私はオブザーバーという言葉でちょっと表現しましたけれども、こんなところへ映画の一本ずつぐらい、録音機の一台ずつぐらい配ったところで、外務省の予算が一体どれだけ損するのだ。それが行政ですよ。それが外交ですよ。何もやりません、オブザーバーを出すようなわけがありませんなんて言う。そんなことだから、いわゆる生きた日本の平和運動が身を結ばないのだ。反対です、そんなことは。おやりなさい、これから。またこういうことがあるときに何をやったか聞きますから、そのときにもまたやっていませんなんて言ったら、私は承知しませんよ。重大なる警告を発しておく。  それに関連をいたしまして、四月二日の日本の報道によれば、日本国内においても反核・軍縮の決議、意見書あるいは宣言、要望などを採択された府県が三十三あるという。モーションの遅い日本ではあるけれども、やはり平和愛好心というものは、地にあり山にあり川にあり海にありだ。この世界の反核運動に呼応して、日本ではあっと言う間に三十三の都道府県、採択率七〇%、市町村議会でも、全国六百五十一の市のうちの過半数がいわゆる反核の決議あるいは要望書を出しておる。あるいは三百八十八の町と四十八の村がそれぞれ核廃絶の決議をしている。まあまあ喜ばしい現象だ、こう思っていたら、これに対して三月二十六日、自民党は反核決議に飛び上がって驚いて、都道府県県連に対して非核宣言は無意味だと言うのだ。これは外務大臣、あなたにお聞きしているのですよ。反核運動は無意味だという党の意見善を通達をして、地方議会を牽制したというのだな。日本政府を構成している自民党がこういう非常識なことをやっておるとは気違いざたじゃないかと私は思ったのでありますが、自民党の所属党員でいらっしゃる、幹部でいらっしゃる外務大臣、かつてはあなたも幹事長、いわゆる党運営の中枢部にいられた。この行為に対してあなたはどういう御所見をお持ちになっておるのか、この際承っておきたいのであります。
  38. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 私から申し上げるまでもなく、わが国は非核三原則を堅持しており、また国会におきましても決議が行われておる。そういうことで、日本は国際的にはっきりした姿勢をとっておるわけでございます。ところが、国内においていろいろの動きがあることについて、自由民主党の方で、何かそういう動きは好ましくないという見解を示した。いまはっきり記憶はしておりませんが、すでに日本国内でこぞってそういう明白な姿勢をとっておるということは、国会の決議ですから、また非核三原則をはっきり明白にしておるのですから、それを一部はやる、一部は、やらないとは言わないけれども、やってない状況のもとに、客観的に見るとこれはどういうものかというおそれもありますわね。ですから、自由民主党としては、すでにこういうことになっておるから、そういうことはどういうことかなという文書であった、こう思うのであります。
  39. 小林進

    小林(進)委員 いまの答弁は、全く答弁になっておりません。これはもうだめです。  第一番目には、いいことは何ぼやってもいいのだ。国民の一人一人に浸透するまで、いいことは繰り返しやってもよろしい。だから、南無阿弥陀仏と唱えれば極楽浄土へ行けるとなれば、一生何億遍も繰り返すし、アーメンを言えば天国へ行けるとなれば、何億遍も繰り返しておる。これはいいことは何億遍繰り返してもいいが、そんな理屈で禁止をしたということは理屈にならぬ。ほのかに聞けば、反米運動につながるおそれがあるからということでこれを急遽やめさせたと言っておる。こういうことは、すなわち日本国民の正当な要望も、アメリカの御機嫌を損するからやっちゃいけないという、アメリカに隷属的な発想から生まれたということで、実に残念にたえない。これは改めてもらいたい。  それからいま一つ日本は非核三原則があるからそういうことは繰り返して言う必要はないと、いましがたあなたが言われた。きょうは時間がありませんから、私は後日、日を改めて言いますけれども、非核三原則のもとで、日本には核を積んだ戦艦も航行いたしておりまするし、核が存在していることも既成の事実だ。きょうこれをやったのじゃ切りがないから言いませんけれども、非核三原則があるから必要がないといういまの言葉だけは、私は返上いたしますよ。返上して、改めて日本に核のあることは、縦からも横からも前後からもやって、私はあなたに必ずまいったと言わせてみせますから、これはひとつ後日の議題にしておきます。  いずれにしても、こういうことはやめてもらわなければいけない。(「人類滅亡の危機だ」と呼ぶ者あり)実際、自民党の席からも、こういう天の声がかかってくる。まさに人類滅亡ですから。こういう通達は自治体の自主性をも破壊する。いずれにしても間違いですから、前幹事長として撤回すべきだと私は思いますが、撤回、おやりになりますか、外務大臣というよりは前幹事長。
  40. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 いまおっしゃるとおり、私は前幹事長でございまして、党の運営上につきましては責任の衝にないわけで、私がここでお答えしても、それこそ無意味だ、こう思うのであります。
  41. 小林進

    小林(進)委員 決して無意味ではありません。閣僚の有力な一人でもありまするし、また、自民党の有力なる幹部でもあらせられまするから、無意味などということはありませんけれども、あなたは若干気の弱いジェントルマンでありまするから、この問題はひとつこの程度でネックにして、次に行きたいと思います。  時間がないから駆け足で言いますけれども、アメリカの議会において反核マラソン討議が行われたというんだな。三十日の午後です。核戦争に関する特別討議が行われて、アメリカにしちゃ珍しい六時間四十分も討議をして、いやしくも三十九人の議員が発言をした。この発言をしたときには、アメリカの下院の玄関口の高いところで、いわゆる団塊――大衆がみんな階段に集まってきて、そこでまたグループをつくってキャンドル集会が開かれたという。アメリカにしちゃ珍しい、院の内外を通じての反核運動が盛り上がってきているというのであります。  その討議の冒頭に、発起人のリーチ(アイオワ州・共和党)――アメリカというのは日本とは違いますが、共和党、民主党は、一つの政策になると皆そこで一緒になってやる。これは私はいい傾向だと思います。それからマクヒュー、これはニューヨーク州の民主党。両議員が、核凍結決議案支持の立場から発言の火ぶたを切った。ソ連が米国よりも優位な核戦力を持っているということを言っているが、レーガンの言うことは間違いだ。もうアメリカが武力の優位を持つという時代は去った。優位の喪失を嘆く人もいるが、時計は戻らないというんだ。そんな過去の夢を追ったってだめだ。レーガン大統領は核軍縮交渉に入らなければならぬ。早速やるべきだということを述べたというんだね。  これを受けてオニール下院議長。これは私も会ってきまして、非常に意気投合してまいりました。アメリカは、御承知のとおり総理・総裁なんてものはいないんで、いわゆる下院議長が事実上はその政党の一応党首的役割りを持っていられるから、実力者でありますよ。このオニール下院議長(マサチューセッツ州・民主党)が立って、私はいま一九六九年のベトナム討議を思い出している、あの長時間にわたる白熱した討議を境に、アメリカ国民のベトナム戦争に対する態度が変わっていった、核軍拡競争は破局への道だと警鐘を鳴らしたというんだな。アイゼンハワー元大統領の言葉をいまこそ思い起こし、米ソの核を凍結しようではないかという発言をされた。  これに反論をして、マイケル下院共和党院内総務――院内総務といえば大変な実力者ですね。この人が、米国が核を保有しているのは自由世界防衛と核戦争防止のためだ、現状ではソ連が核の優位にあり、米国の核抑止力は不十分だ、B1戦略爆撃機、MX次期戦略ミサイル体系の開発を続けなければならない、核軍備を増強しながらソ連と完全に対等の立場で査察可能な凍結に持ち込む必要があると述べた、こういうのです。この全く相対立する二つ意見がアメリカの下院の中で論ぜられた。  そこで、私は外務大臣にお聞きするのだが、あなたはオニール下院議長の核軍拡競争は破局への道であるという説に賛成せられるか、あるいはマイケル下院共和党総務の核の軍備を増強しながらソ連と完全対等の立場でこの交渉に入らなければならないという説に賛成せられるか。これは、日本の外務大臣としてこれから対アメリカ外交交渉をつける二つの岐路、分かれ道です。あなたの御意見を承っておきたい。
  42. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいまの二つの対照的な所見、これは従来もしばしば問題になっておるところでございます。昨年のオタワ・サミットの討議の状況を見ましても、ソ連の現状というものについては西側諸国は非常に憂慮しておる。日米間においてもそういう合意があったと思うのであります。  そこで、できるだけ低いレベルの均衡に早く持っていくように、核の軍拡競争でどんどん増大していくというようなことは好ましくない、避けるべきであるということは当然だと思うのです。ですから、できるだけ低いレベルでの均衡が好ましいということでございまして、私も一日も速やかにそういうふうにいってもらいたい。したがって、いまアメリカの方で、核戦力についてはおくれておる、だから追いつかなければならぬという意見はあるが、現実には中距離核戦力削減交渉は十一月三十日から行われました。それからSTARTの交渉についても近くやろう、米ソの間でもそういうふうに対話はたゆみなく行われておるので、そういう面をぜひとも助長して、でき得るならばできるだけ低いレベルの、できるならさらに核の廃絶に向かうべきだ、こう私は思います。
  43. 小林進

    小林(進)委員 外務大臣、これは外務省の官僚も聞いてもらいたいのだが、ここに大変大きな間違いがあると私は思うのです。均衡を保ちながら核の軍縮をするなどというのは、本当にごまかしなのです。このごまかしを世界じゅうだれも知らない者はない。お隣の中国なんかに行くと笑っているのです。それをまだ日本の官僚は――外務大臣なんか、官僚がこういう返事をさせているのだろうけれども、現実にいままでそんな核軍縮のための均衡が保てたなんという人類の歴史がありますか。まして、レーガンはいわく、いまはまだソ連に対して劣勢だというのだ。核数は劣勢だから、これがソ連に追いついて優位に立ったところの均衡を保ちながら、そこで初めて核の凍結その他の交渉をやると言っているのだが、これに対して、同じアメリカでも、ケネディは何を言っていますか。あるいはこのハットフィールドという上院議員も言っている。あれはごまかしだ、いまでもなおかつアメリカの方はソ連に決して負けてはいません、アメリカの方がむしろ有力だと言っているのです。アメリカの議会の内部でこういう議論が分かれているが、仮にレーガンの言うことが正しくてソ連に追いつくだけの核拡大戦力に成功したとしたら、ソ連は黙って見ていますか。黙って見ているとお考えになりますか。アメリカが伸ばせば、またアメリカに追いつけ、追い越せだ。必ずソ連も対抗上、核兵器の拡大を図りますよ。そうしたら、またアメリカがやる。これはまるで拡大競争に油を注ぐ以外の何物でもない。それをいまあなたたち承知で言っているのか、承知しないで言っているのかもしれないけれども、これは国民をごまかすにもはなはだしい詭弁です。  理論は別として、いまアメリカとソ連がやりましたあのSALTの交渉は一体何ですか。第一次交渉、第二次交渉、あれほど夢中になった戦略核兵器に対するあのSALT交渉が軍縮につながりましたか、核の縮小につながりましたか。何だ、質的にソ連の方よりはアメリカの方が進んでいるから、ソ連は質を高めてアメリカに近づくと言ったら、今度はアメリカは、量的にソ連よりもアメリカは劣っているから量をまたふやす。量をふやす、質をふやす。量をふやす、質をふやす。SALT交渉を続けている間に、恐るべき人類滅亡の核拡大が今日まで大きく伸びてきたではありませんか。これが現実なんだ。SALTという名のもとに行われたこの核の拡大の競争をレーガン政権はさらに急ピッチでやろうというのだ。やられるソ連が黙って縮小の方向へ行くなんて思ったらとんでもない間違いであって、これを改めなければならない。これを改めるということが当面する核問題の一番ポイントです。あなたはどうです。おやりになりませんか。  私は、あの総理大臣の鈴木さんという人は一面はりっぱだと思うのですよ。二つだけりっぱだ。一つは、核は何といっても絶対的な悪だ、核は悪に等しい、あれは最後においては廃棄すべきであるというあの主張は正しい。それからいま一つは、憲法の改正はやらない、現在の憲法で正しい。りっぱですよ。私どもは、野党だからといって、与党の党百が言ったことは何でも反対なんというけちなことは言いません。自民党の総理大臣でも、言うことと行うことが正しければ、いつでもこれを支持し協力するにやぶさかではない。  だけれども、鈴木総理は後が悪い。核を縮小し、核は悪だから廃絶することを終局の目的にすると言うが、そこに至る手段としてやはり均衡論だ。核の均衡を保ちながら――いまあなたの言われたのと同じだ、だんだん縮小していく。これはだめです。これは言ってみるだけだ。アメリカに迎合した言い方なんだ。みんな心の性根はアメリカさんに迎合し、おへつらいを言って、従属した意見だ。悪と知ったら、アメリカだろうとソ連だろうと、直ちにこれは縮小せい、凍結せいという、神に誓って正しい主張が日本外務省から出てこなくちゃいけないじゃないですか。だから、あなたも言われた縮小論はよろしい、均衡論はだめです。そんなインチキを言ってはいけません。いま一度答弁してください。
  44. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは日本だけがそう言っておるのじゃないので、オタワ・サミットの例を引きましたのはオタワ・サミットにおけるそういう合意なんで、これは私はそれなりにいいと思うのですよ。  それから日本は、これは何しろ実効性が上がらなければいけない、こういうことで、今度の第二回軍縮特別総会に臨むに当たっても、核の競争を廃止する、やめてもらう上に何がいいか。実効性のあることですよ。それはやはり核実験の禁止じゃないか。これは日本は繰り返し言っているのですね。核実験の全面禁止、それから核拡散防止体制の強化、それからもう一つ今後恐るべきものが化学兵器である。この化学兵器の禁止の早期達成、そういうようなことがありますが、一方において小林委員のおっしゃるようなそういうおそれが全然ないとは私も言いません。われわれは低いレベルの均衡、縮小ということを主張しているが、なかなかそうはいかない。小林委員がおっしゃることもよく傾聴いたしましたが、しかしわれわれは、一方の主張は主張、しかし同町に実効性の上がることとしてはどうか、それは核実験の禁止、あるいは現在核の削減というものを米ソの間でも交渉しているのですから、これの達成、そして核拡散防止体制の強化、こういうようなものがどんどん行われるということによって核の廃絶へ向かう、あるいは軍縮の達成を期する、こういうことです。
  45. 小林進

    小林(進)委員 外務大臣は人柄ですからね、あなたは余りうそを言わないということを私は信じておりますので、あなたの人柄に免じてきょうはこれ以上は追及しません。日を改めてひとつ申し上げることにいたしましょう。  いずれにいたしましても、私は率直に申し上げて、いま世界が人数の滅亡の前に、それはヨーロッパを問わずアメリカを問わず日本を問わず、いかにして核の危険から逃れるかという声が燎原の火のごとく世界で巻き起こっている。これほど世界の四十億、五十億の人間を恐怖に陥れている元凶はだれなんだ。だれでも明瞭でしょう。二つの超大国なんであります。この二つの国がこれをやめればそれでいい。あとは世界に百二十あるか百五十あるか知らないけれども、それらの国々が全部おびえているのは、たった二つの悪者どもがいわゆる人類滅亡の核拡大競争をしているというところに原因があるんだ、これは明らかでありましょう。外務大臣、これは間違っておりますか。
  46. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 二つの超大国が冷静に考えなければならない問題だ、これは同感です。
  47. 小林進

    小林(進)委員 外務大臣から明快な御答弁をいただきまして私の憂いも実にさっと落ちました。そこまで明確なお答えが出てくるとすれば、いまさらわれわれは西の陣営へ入るの東の陣営へ入るの、あるいはアメリカの核は正義であってソ連の核は悪だなどという、そういう一辺に偏した考え方はやめて、日本もいわゆる敗戦から立ち直って三十七年、まさに経済大国、第二位だ、実力を備えている。わが日本のこの実力の前にアメリカもおびえ、ヨーロッパもこまねいているというこの現状だ。みずからの力を自覚したら、この二つの超大国にいわゆる公平な立場をとって、両方にこういうばかげた競争をやめたらどうかという、一つのジャッジといいますか調停役といいますか、そういう役割りを演ずるのが今日のわが日本の重大立場ではないか。これはある程度勇気を要するかもしれません。また、このために金がかかるのなら国民は喜んで金を出しますよ。これが私は日本の総理大臣日本外務省としての崇高な任務ではないかと思う。しかも条件は幾つもそろっている。何度も繰り返して言うように世界における唯一の被爆国なんだから、この被爆国という立場、しかも世界でたった一つ戦争をしないという平和憲法を持っている、これも一つわれわれの交渉のいい武器になりましょう。これを全部活用しながら、どうですか、この二つの超大国に、こういうばかげた競争をするのはおやめなさいと乗り込んだらどうです。  鈴木さんもベルサイユ・サミットにおいでになるというが、あるいは国連の軍縮会議にも行かれるというが、ソ連とアメリカの二人をひとつ広島へ招待して、広島のあの原爆のドームの中で本当に平和の話をする、こういう使いをされたらどうですか、外務省。これは夢じゃありませんよ。  いま一つ言うならば、ベルサイユ・サミット会議に行かれたら、そのときに一つ用件を持っていって、サミットのお客ばかりじゃない、それに中国もソ連も入れて世界の大国の首脳を、これは十人でも十五人でもいい、広島か長崎へ招待して――それは国民は金は出しますよ。税金なんて、行政改革だなんて言ってませんよ、幾らでも出す。そういう首脳を呼んで、いま世界に盛り上がっている平和運動、反核運動を背に受けて堂々たる軍縮平和会議をおやりになるようなお考えはないかどうか。これは夢ですかな。私は櫻内さんという方はこれをおやりになる方だと思っている。この人は心もさわやかです、どうですか大臣。私はいま二つの提案をいたしました。本当に初めて経済大国の実力をつけた日本の今日なればこそです。私は十年、二十年前じゃとてもこんな大それたことは言いませんけれども、いまならやれる。どうですか、外務大臣
  48. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 大変有益な御高見を、承りました。  そこで、私も米ソが腹蔵のない話し合いをする必要があるのではないか。そして、ただいまの小林委員の御指摘のような、そういうことが話し合えるようにしたい、こういうふうに念願しておりますが、これについてはやはりただ理想論ではいけないので、実効が上がらなきゃいけない。こういうことからいたしますと、きょう小林委員がるる言われるようにアメリカの考え方、あるいはソ連の考え方については突っ込んではおっしゃらなかったが、欧州地域だけ凍結しようとかどうとかいうのでしょう。これは日本立場から言えば、極東を含め三百からもSS20を置かれて、欧州の方たけはと――ウラルの方からぼんと欧州の方へすっ飛ぶ距離は持っているというようなことを聞くとやはりこれも冷静に考えなきゃいけないな、全体でやってくれるならいいけれども、そういうようなことも考えると、ソ連もまたアメリカもそれぞれ大変な駆け引きの中にある、やはりこういう大事な話が実効性が上がるようにするためにはそれなりのよく言われる、余りいい言葉じゃないですけれども、いわゆる根回しでも十分して、そして実効のあるように進めなきゃならぬ、こう思うのです。
  49. 小林進

    小林(進)委員 根回しという問題も賛成ですよ。私はそれも含めて発言しているのです。  もう時間がありません。いまやめろと言ってきましたから、私はこれから貿易摩擦の問題、アメリカの経済の破綻の問題それから――いま日本外交は、あるいは防衛もみなソ連を仮想敵国でやっておられるが、私が一番聞きたかったのは、ソ連が侵略をしたときに一体だれを、何を守るのか、だれが守るのか、それを聞きたかったのです。  それから、いろいろ問題を整理しましたけれども、半分もこないうちに終わっちゃったから、また次にうちの理事にお願いして、頭を下げて、懇願相努めてやらせてもらうようにやります。  きょうはこれで終わりますが、ただ一つ私は言っておきたい。  貿易摩擦の問題も、一体日本は何を悪いことをしましたか。私は毎晩考えているんだけれども、アメリカに対しては――なるほど日本は鎖国だった、ペリーが浦賀へ来て日本を恫喝して開港させて以来日本は今日までアメリカには恫喝されっ放しですよ。本当に恫喝をせられ圧迫をせられ圧力を加えられて、その日本がたまりかねてたった一つアメリカに抵抗した。それが第二次世界大戦だ。それで負けた。それから自来戦後三十七年、また圧力に次ぐ圧力だ。日本日本の経済を守り生活を守るために自由貿易の原則に従ってやった、日本立場で物を考えてやっているものが、まるで悪人のごとく言われておる。そこへ日本外務省から通産省、農林省までこそく千万だ、頭を下げて悪人のように言いわけばかりされている。腹が立って腹が立ってしようがない。かつて世界の経済を支配したアメリカが今日あの貿易の破綻に近いような赤字を出しているのは何が悪いか。力以上のこういう軍備の拡大をするからだ、戦争準備に狂奔しているからだ。それをやめればいいんですよ。それから、第二次の石油ショックに対する手当てが足りなかった。いろいろの理由はあろうけれども、一年間に、いま人類が戦争しておる、そのために五千億ドルも使っているという、これをやめなさいと言っているのは何も私が言っているんじゃない。国連の中にあるでしょう。私は資料を全部ここに持ってきましたよ。国連の中にあるじゃないですか。軍縮と開発に関する国連専門家研究会というのが二年かかって、いま何よりも国連が取り組まなければならぬのはこれだと言って、日本からも行っているじゃないですか。この専門委員の中にかつて国連大使をやったあの柿坪君が入っている。いかに人類の平和を保ち開発を進めるためにやるかという――アメリカはこれをやめればいいんですよ。自分が気違いじみて世界の戦争を挑発して歩いている、そのばかげた行為をやめて、そしてやればいいじゃないですか。  私は、ここにアメリカの経済の破滅をアメリカ人みずからが論じている貴重な論文を全部持ってきたんだ。いま一時間もあれば私はこれをみんな読み上げて皆さん方に警告を発したいと思っている。それを言いなさいよ。日本の経済にけちをつけるつもりならば、みずからの国も反省したらどうだ。ゴールドシュミット前運輸長官等が、いまアメリカの経済はまさに破綻している、早く軍備をやめてこの手入れをしなくちゃいけない、巨額の連邦予算というものの、国防費の支出をしている、これをやめなくちゃいけないと心あるアメリカ人が全部言っているじゃないですか。  私はもう時間がちょうど十二時になりましたからやめますけれども、このアメリカの平和を愛す――アメリカのいわゆる軍事に反省を加えていまひとつこの金をアメリカの産業、これだって言っておりますよ。アメリカにはエンジニアがいるけれども、これが全部軍備の方にとられてしまって、産業とか経済を助長するエンジニアがいなくなっちゃったんだと言っているのだ。人がいなくなったと言ってアメリカの学者も専門家も嘆いている。このアメリカの世論に日本外交がアピールいたしまして、先ほどから私が繰り返し言ったように、ケネディ等を中心とするアメリカの平和論、軍縮論かつ凍結論がいまアメリカの世論を制しようとしているのだから、このアメリカの良識に日本外交がマッチして、そしてアメリカの経済も産業も立て直せばよろしい。そういうふうに力を入れるのが本当の外交です。それをレーガン氏などという、若干気が狂ったとは言わないけれども、戦争を挑発するようなところへばかり細目で見て、そこへ従属をしていくような外交はやめてもらわなければいかぬ。  これで、時間が来ましたから終わりにいたします。
  50. 中山正暉

    中山委員長 午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三分休憩      ――――◇―――――     午後二時三十分開議
  51. 中山正暉

    中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。土井たか子君。
  52. 土井たか子

    ○土井委員 午前中は小林進委員の方から大変高度な、しかも視野の大変広い質問がございました。私は特に、その質問の中で取り上げられました日韓経済協力問題について、いわば関連質問をいまからさせていただきたいと思います。  さて、小林委員が本日の新聞記事になっておりました対韓協力三十五億ドル供与という中身について、これがデマ記事であるかどうかという論議をされたわけでありますが、私は外務省の姿勢というのは、これをデマと言おうが言うまいが、従来から大変ふんまんやる方ない思いで見ているのです。外務大臣、よくお聞きくださいよ。十九日の当委員会において、商品借款の問題について面こうが二十五億ドルを要請していることに対して、一体日本としてはどういう態度で受け答えをするおつもりなのですかという質問をいたしましたら、大臣御自身はやるともやらぬともこれはまだわからないという答弁をされた。そうしたらその後引き続いて木内局長が、韓国側に伝えるかどうかは未定でございますけれども、いずれにしてもということで、その日の新聞に載っかっていた中身を伝える意思があるという意味をここで答弁されているのです。その日の夕刻になると、ニュースではもう伝えたというニュースになっているのです。伝えるかどうかわからぬという答弁をやっておきながら、もう後は秒読みですよ。その日のうちに韓国にやるという、これは予定どおりと申し上げたいと思うのですが、そういうことが事前にあって、新聞社にはそのことが外務省から出ている。そうして答弁ではそのようなあいまいな答弁しか出ない。私は、新聞自身に対してデマ記事だどうだという資格は外務省にさっぱりないと思っていますよ。外務大臣御自身も、私はけげんな思いで見ております。外務大臣御自身はつんぼ桟敷に置かれているのか、それともわかっていてあのような答弁をわざわざおやりになるのか、二つ一つです。当外務委員会をどのように外務大臣はお考えなのか。いいかげんにしてもらいたいと私は思っています。既定の方針をちゃんと持って、新聞に言われるような中身ぐらいは当然この外務委員会でまず言うべきではないですか。そういう点からいったら、外務委員会に対して外務大臣の姿勢のほどが少し間違っていやせぬかと私は思います。そのことをまず申し上げまして、きょうのこの新聞記事についても確かめを進めたいと私は思うのです。  三月十九日、いま私が問題として出したあの当日、日本から韓国側に経済援助問題に対して回答を出しました。ところが韓国側は、この一日になってこれに対しては全面拒否の考えをもって返してきた。六十億ドルの総枠を提示しようという要求も出し、商品借款も要求してきたわけですけれども、これに対して日本側としては一体どういう受けとめ方をいまされているのですか。まさか商品借款というのも、既存の政府方針ですから、言われて向こうがそれに対して考えてくれと持ってきたことに対して考えるはずはないと私は思いますし、六十億ドルという総枠について、総枠は示さないというのが園田外務大臣当初からの基本姿勢でございますから、総枠はまさかお示しにならないと思いますが、この点どうですか。これは外務大臣からお答えいただきましょう。先日の十九日の二の舞はお断りですよ。外務大臣、いかがでございますか。
  53. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 大変おしかりでございますが、けさ小林委員にも正確にお答えをしておりますが、新聞はどのように報道いたしましても、繰り返し韓国側が六十億ドルという要望をしたことは事実ですけれども、しかしそれでは日本経済協力の方針やあるいは積み上げ方式というものから、そういうことはなかなか相談にならぬということで実務者協議を二回持つ。その間に先方プロジェクトを出してきた。そしてそのプロジェクト検討した結果、いま大変おしかりで、私わからないんだけれども、そのプロジェクトの中でODAにはこの辺は考えられる、この辺は収益性があるから輸銀ではどうか、そういう中間的な韓国に対する回答と申しましょうか、同時に、商品借款については考えることができない、こういったのがいままでの段階です。  それで、そのいままでの段階に対して、これは土井委員が正確に言っておられますが、これに対して不満の意を表して、商品借款についてはこれをもう一つ考えてくれぬかとか、あるいは輸銀とか市中銀行では困ると言ってきたのがいまの段階で、韓国回答に基づいてこれについて検討をしておる。それから、近くはっきりすると思いますが、いま韓国におる日本の前田大使に帰ってきてもらって先方の空気を正確に知りたい、こういうのがもう全部あけすけに申し上げる経過でございます。
  54. 土井たか子

    ○土井委員 経過については、いま大臣が言われたのは概要でございますが、それに対して日本側として、私はいま交渉過程のことを言っているんじゃないんです。基本的にゆがめられてはならないという原則があるんですね。  一つは、総枠を提示しない、これは再三再四当委員会においても答弁の上でわれわれはお伺いをして、今日に至っておる基本原則でございます。     〔委員長退席、川田委員長代理着席〕 それからあと一つは、商品借款は用立てることができない、これは韓国側にもその意を十九日お伝えになったということでございますから、すでにこの線ははっきり出ているのです。これは二つとも基本路線をゆがめずに、一つは総枠を示さないという点、よろしゅうございますね。商品借款の用立ては日本側としてはできない、これもよろしゅうございますね。これはそのとおりでしょう。
  55. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 総枠問題も何回かお話が出まして、私はざっくばらんにお答えをしたことがあるんです。それは、こういうプロジェクトについてやる、こうなって、その結果が幾ら、それが総額、それはあるでしょう。これは常識ですね、合計したら幾らというのは。それから、商品借款については日本としては困ると言っておるが、今度韓国の方から、どういう理由であったかいまはっきり記憶しておりませんので、これは局長の方からでも申し述べさせますが、押し返してきた。そこで現在それを断ったかというと、それはまだ断っておりませんが、先方の言うその理由が妥当なものなのかどうか。考慮の余地があるものなのかどうか。日本としては商品借款は困るということでずっと来ておりますが、理由や事情を付してきたんですから、それはいま事務当局で検討したり、あるいはこの問題を主として検討する上に一番大事なのが財政当局の見解でもございますから、その辺はまだ私の方に、いやこうは言ってきたけれどもこれはやはり絶対だめです、それはないんですけれども、従来の方針は商品借款は困るということで来たことは事実であります。
  56. 土井たか子

    ○土井委員 櫻内外務大臣、どうも承っておりますと、従来の経緯なり、いまの動きについての説明は時間をかけてなさるのですよ。そこは非常に懇切丁寧なんです。だけれども大臣御自身がどういう決意と、それに対しての基本原則の読みを持っていらっしゃるかは何にも出てこないのですね。そんなのじゃ何のための大臣か、こうなってしまうのです。むしろ事務官僚の方が、それについてはこうでございますと答えてしまう。私は、大臣がまずあって事務官僚だと思っているのですよ。大臣、そうでしょう。事務官僚の下請が大臣だなんて断じて思っておりませんから、やはり大臣としてはいままでのところをおっしゃっていただかないと困りますよ。何億ドルになるか知りませんが、総枠については積み上げの上で――合計したらこうなるというのは総枠とは申しません。まず総枠を提示しろと向こうが言ってきている意味は、初めから五カ年計画でこれだけ要るからこれだけよこしなさいということで、六十億ドル、六十億ドルと言って引っ込まないわけですね。それに対して、こちらとしては総枠は幾らというふうな答え方は断じてすべきでないというのが終始一貫した基本原則。そんな総枠の示し方はなさいませんねと聞いているのですから、先ほどのあんな説明なんて、実は不要なんです。  それから、いまの商品借款の問題も、大臣の御所信がまだよくわからない。玉虫色ですわ。大臣のお気持ちからすれば、これはやるかもしれないということなんですか。再度そのことについて御答弁をお聞かせいただいて、次に行きます。
  57. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 当初来申し上げておるのですが、要請があった、そうすると、そういうものに応ぜられるかどうかを、一昨年来の韓国の経済の状況その他から考えなければならないということになって、それでプロジェクトがどうだ、こうきたわけですね。要は、先方が頼むと言っておって、それが日本として考えられるかどうか。基本姿勢は考えられるということを言って、それを具体化してきたわけです。それで、現にこれは交渉中、話し合いの中でありますから、こちらが言ったことに対して先方があれこれと言ってきたものをいま検討中で、そしてそれが全く考慮の余地がないものかどうか、あるいは財政当局がどう判断しておるか、そういうものが上がってきて、私が判断すべきものだ、こう思っているのです。もう初めから何も取り合わないのだ、こういうことじゃない。それはこういう事情で取り合ってます。だから、いまここで、また言ってきたけれども、それはもう初めから、てんから考えられないのだ、それは私としてはちょっと言い過ぎだと思うので、いま事務当局、特に財政当局の意向を徴しておりますと、正直に言って悪いのですかな。
  58. 土井たか子

    ○土井委員 大臣、それはちょっと違うのです。基本原則を曲げてまでいろいろ事務レベルで積み上げてきたことを大臣がおのみになるはずはないと私は思っているので、基本原則に対する大臣の御認識を私は承っているのですよ。だから、そういうことは悪いですかなというふうな答え方をなさいますが、私の言っているこの質問に対するお答えになっていない。そういうことで再度その御質問をさせていただいたということなんです。よろしゅうございますか、大臣、そういうことなんですよ。だから、いまのお答えからすると、基本原則についても、事務レベルの積み上げによっては、場合によったら基本原則をちょっと横にやって、それをゆがめて、穴をあけて、ひっくり返してやらぬといかぬ場合まで出てくるような玉虫色めいた御答弁なんですよ。大臣、そんなことでいいのですか。商品借款はできないというのは基本原則なんですよ。何億ドルか知りませんよ。だけれども、総枠提示できない、これも基本原則なんです。
  59. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 土井委員のおっしゃっていることは、私も大体そういう見当で来ておるのです。  それから、総枠なんかは、もうはっきり私の説明もおわかりいただいたと思うので、これは意見一致だと思うのです。  ただ、商品借款の方については、日本としてはいけないと言っているのに対して、向こうが一応いろいろ事情をつけてきておる。それが検討に値するのかどうかということをやっておるので、私がここで、いや、そういうことを言ってきておるけれども、全然――その言ってきておることも、詳細聞いておらないのですけれどもね。それを何も聞かずに、いや、それはもう絶対だめですと言うのはいかがかなということを言っておるので、この辺は私としても、向こうも言う以上は、いろいろ見解なり事情を付しておるものだ、こう思うのです。日本の方針としては、商品借款はどうかということで来ておりますが、いまそういう段階が一つ入ってくる、こういうことなんです。
  60. 土井たか子

    ○土井委員 まあいろいろ含蓄に富んだと言えば、いい表現なんですが、何だか、ああでもないこうでもないという、状況の変化によって事情変更の原則を適用するというのが、どうも大臣のお考えらしいですが、この韓国側から出されてきている輸銀の金利の引き下げの要求に対しては、どうおこたえになりますか。     〔川田委員長代理退席、委員長着席〕
  61. 木内昭胤

    木内政府委員 輸銀の金利につきましては、先方はできるだけ条件のいいことを希望しておられるわけですが、どこまで先方要請にこたえられるか、技術的に検討しておる段階でございます。
  62. 土井たか子

    ○土井委員 技術的に検討している段階だと、にべもなくおっしゃいますが、これはOECDの方の輸出信用ガイドラインという問題から、日本としてはいろいろと対応していかなければならないという大きな課題を背負うことになるのでしょう。従来の方針を外れて特別の例を認めることを、OECDに対して要求するかっこうになるのですね。特別のこういう例を日本が持ってくることに対しては、OECDとしたら、それに対する対応として、かなり批判も出てくると私は思いますよ。わざわざそんな特例を設けることまでしてこたえる必要があると大臣考えですか。――もうアジア局長、よろしいよ。大臣、いかがです。
  63. 木内昭胤

    木内政府委員 OECDのガイドラインがあることは私ども承知しておるわけでございますが、それに抵触することなく、どういう調整が可能か、その点も含めまして検討いたしておるわけでございます。
  64. 土井たか子

    ○土井委員 抵触することなくというのは、じゃ、どういうふうに抵触しないように方法を講じられますか。
  65. 木内昭胤

    木内政府委員 その点をまさに検討中であるわけでございます。
  66. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると大臣、これは望み薄だというふうに考えてよろしゅうございますね。どうもいまの御答弁からすると、さっぱりわけがわからぬです。抵触しない方法というのは模索中なんですか。これはガイドラインからするとどういうことになっているかという決めがはっきりあるでしょう。模索するなんということは、どういうことを模索されているか、さっぱりわかりませんね。大臣、これはまことにむずかしい問題ですね。その辺、どうです。
  67. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 輸銀融資の中に、土井委員もお調べで御承知だと思いますが、何号ローンというようなことがあって、先方は、収益性のあるものだから輸銀だ、そういうものは輸銀だと言っておるのですけれども、それじゃいよいよ詰めて、向こうが、これこれの輸銀をお願いするというのか、それとも輸銀は全くいやだというのか。今度の先方のお答えでは、いやだとかどうとかいうことでなく、もっとソフトなローンにしてくれ、こういうことでそれらの点をただいま木内局長がお答えしたように検討しておる、こういうことでございます。
  68. 土井たか子

    ○土井委員 アメリカのワインバーガー国防長官が米韓安保協議会に出席のために三月二十九日に韓国に行かれているのですが、その席で防衛、経済面の相互協力を求める演説というのを行っております。またアレン元大統領補佐官が韓国を訪問した後日本に来られて外務大臣にお会いになりましたね。その席で日韓経済協力問題について触れて、これはわが国が政治的な決断をする問題であるというふうなことを言われたということが報道されておるのですが、外務大臣、これは本当ですか。そして、それに対して外務大臣はどうお答えになったのですか。
  69. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 アレンさんが私のところへ来られたときに、会談の一番最後に、およろしければ韓国の事情などについて申し上げましょうか、こういうことを先方が言われました。それまで何もほかの問題がなかったのです。それで、そうおっしゃるので、向こうにおいでになったので何かお聞きすることがあればお聞きしたい、こう言ったところ、経済協力問題でどうなるかということを韓国の方では大変心配しておるようでございます、こういうようなお話でございました。
  70. 土井たか子

    ○土井委員 それに対して外務大臣はどういうふうにおっしゃったのですか。
  71. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは、正直に言って、大体いま申し上げたように会談の最後で、もう終わりかかって、こっちも腰が浮いておったのですよ。申しましょうかと言う、申すと言うのを必要ないと言うのもあれだから、いや何でしょうか、承りましょうと言ったら、そういうことだったのです。
  72. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると大臣は、浮き足立たれただけの話であって、口からは何も物は言われなかったというかっこうなんですか。
  73. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 用心して、一切何もそれには受け答えしませんでした。
  74. 土井たか子

    ○土井委員 ところが、さっき、韓国側日本が提示した回答に対してこの一日に全面拒否を持ってきまして、そのときにまたまた総額六十億ドル提示という要求をしてきたのは常識としてはとても考えられないのです。しかし、こういう韓国側の反応というのはワインバーガー訪韓によってアメリカ側の働きかけがあったのじゃないか、アレンさんが韓国に行かれて、いろいろとそこでの話し合いの結果があったのじゃないか、そして韓国側がその結果示してきたというふうなことになっているのじゃないか、こういうふうに考えられるのですが、大臣、この韓国側が一日に日本側回答に対して全面的にこれは受けられないという拒否を、お金を借る側が拒否してくるというのもおかしな話なのです、常識としてはとても考えられないような話が続いているわけですが、そのときに韓国側が示している意向とか態度についてひとつ御説明を賜りたいと思います。
  75. 木内昭胤

    木内政府委員 韓国側日本側回答に対しまして、できるだけ条件のいい円借款基本にしてほしい、それから商品援助というものもできるだけ再考してほしいということを申してきたことは土井委員御指摘のとおりでございますが、ワインバーガーの訪韓とこの問題とはまるっきりかかわり合いがないわけでございまして、私どもの取材いたしました限りにおきまして申し上げられることは、この問題についてアメリカ側は先方と話し合いをいたしておらないことは明らかではないかと考えられるわけでございます。
  76. 土井たか子

    ○土井委員 明らかではないかというのは何かの確証があって言っているのですか。そんなことはわかりはしませんよ。それを明らかではないかという答弁を平気な顔をして言われるというその心臓には敬意を表しますが、ただ、国会の席でそういう答弁をなさるのは余りにも無責任ではないかと私は思う。そういうことは少し慎重にやっていただかないといけません。  さて、いまの韓国側が持ってきたことに対して先ほど来お尋ねを進めているのですが、そうすると外務大臣韓国側、その持ってきた中身を受けて意向を検討する余地があるといま外務大臣としては受けとめていらっしゃるのか、それとも当初韓国側日本が出した方針以外は受けとめるわけにはいかないというふうな方針でこれは臨まれるのか、重ねてお尋ねします。
  77. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 日本側が一次、二次の実務者会談後に先方へ、一応の検討の模様、これは新聞では中間問答、こういうことになっておるわけです。私も、こんな見当に考えておるということでありますから、これはやはりそのとおり中間回答だと思うので、これから最終回答になる、その段階でのいまお尋ねのような経緯でございまして、先方としても自分の方の希望をこの中間回答の機会にもう一つ言っておこう、こういうものではないかと思うのです。
  78. 土井たか子

    ○土井委員 えらい気やすく中間回答というものにもう一つ言っておこうというものではないかとおっしゃることにしては、向こうが出してきている中身は非常識としか言いようがないのです。  さて、外務大臣は五月に連休を利用して韓国にいらっしゃるというふうな御意向がおありになるように私たちは漏れ承っているのですが、それはこの経済援助問題の進捗状況を見てお決めになるのか、あるいはこれが決まらなくとも、その問題とは切り離して行かれるというおつもりなのか。いずれにしろ、五月訪韓に合わせて交渉を急いで、風穴をあけたり、原則をひっくり返したり、また横からつついて、できもしないことをつつき倒して変更させていくようなことがあっては断じてならないと私は思っているのですよ。外務大臣、これについてどういうお心づもりですか。いかがですか。
  79. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 連休で体の余裕がありそうだということで連休には行くのじゃないかといろいろ取りざたされます。しかし相手のあることで、いまお話しのように相手は中間回答に満足してない。もう一つ考えてもらいたいということをいろいろ言っておる段階ですから、仮に私が行きたいと言って、さあ向こうがどう答えるのですかね。私も先方と何の話し合いもないのに行くということもないのですし、これは外交ルートで何か用事がなければ行くわけじゃないのですから、だからその辺は、ずいぶん私のゴールデンウイークの話が出るのですけれども、現在韓国の方へ何日に行きたいがどうかとか、だれだれにこの際会いたいとか、そういうことは全くございません。
  80. 土井たか子

    ○土井委員 時間が経過しましたが、いま全く大臣としてはそういうお考えがないということを最後にはっきりおっしゃっていますから、それはそのまま受けとめますが、この対韓協力援助の問題に対しまして、私は時間を経過しましたけれども、一言申し添えさせていただかねばならないことがございます。  ここに半ぺらの紙ぺら一枚ございます。「韓国経済協力要請 五十七年三月三十一日 外務省」と書いてあって十二項目が記されているだけの半ぺらであります。  実は私は外務省に対して対韓経済援助に関する資料要求を当委員会質問を通じでいたしました。委員長承知のとおりであります。私に届けられた資料はこの半ぺら一枚なんです。木内アジア局長がよく御承知のとおりなんですが。私はこんなものを資料要求した覚えはどこにもない。韓国要請している六十億ドルの援助が安保絡みのものではないと国民が納得できるような客観的な証拠として、韓国側が実務者レベルの協議の場に提出したものを委員会に提出するように要求したのが私の要求資料の中身なんです。そうすると、韓国側から出された資料というのはこれだけなんですね。これに基づいて韓国の六十億ドル要請に応じようということなんですね。国民が目を通して納得できるようなもの、私たちが納得できるような説明資料とはこれはとうてい言えないですよ。新聞の方がもっと丁寧に中身についてはどんどんもっと進んだ記事を書いてくれていますわ。まさに外務省は当委員会をばかにしたような態度じゃないですか。これをこのままで外務大臣、経済援助の問題に対して、あとは政治決着だといって韓国にお出かけになることはまことに国民を愚弄することになりますよ。  当委員会においては前外務大臣当時から、政治的な配慮というものは一切経済援助に対しては差し控えたい、政治的配慮はすべきでない、このことをきっぱり言われ続けて、これは原則中の原則だと言われたのです。このことは櫻内外務大臣になって変わったとは私は思っていないのです。恐らくそういうことに対しては外務大垣も真摯に受けとめ、考えていられるに違いないと私は確信をしている。そういうことからすると、当外務委員会に対しましても安保絡みでないということが納得できるような資料提示をなさらない限りは韓国にいらっしゃる何の用事もなかろうと私は思うのですよ、大事な用事はそれだろうと思いますから。したがいまして、訪韓をなさる前に、必ずそういうことに対しての提示を再度私は要求しますが、これはよろしいですね。
  81. 木内昭胤

    木内政府委員 韓国に限らず、ほかの国との経済協力の交渉に際しましても、その過程におきまして詳細を部外に明らかにしないというのが慣例でございます。ただし、韓国につきましてもあるいはほかの国につきましても交渉が妥結いたましした段階では交換公文を締結いたしまして、これを閣議に諮りまして進められるわけでございまして、これは部外に公表されるわけでございます。その段階におきまして安保絡みでないということは明らかになるわけでございまして、私どもその段階での御検討で決して遅きに失するということはないと承知いたしております。
  82. 土井たか子

    ○土井委員 いま私が言っているのは、外務大臣が訪韓なさるときの事経済援助に関しての話し合いがもしある場合は、それが政治的配慮に基づく経済援助ではないということでなきゃならないですね。したがって、それまでの事務レベルの積み上げがあって、決まってから大臣が行かれるという意味があるであろうと私たちは思っています。そういうことからすると、いま木内局長の言われることは、また時間的前後からするといいかげんなことを言われていると私は思う。外務大臣、そういうことがはっきりしない限りはいらっしゃいませんよね、訪韓の意味はないと思います。
  83. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 土井委員お話でちょっと無理なところがありますね。それは、私は何か話がまとまって、そして最後にイニシアルするとか判こを押しに行くという場合もそれはあるかもしれませんが、これは最後までトップレベルで話して決めたらどうかということも残る場合もあると私は思うのですね。どうしても交渉だからそういうことはあると思いますよ。ですから、私が行くについては先般来いろいろお話ししてある十一のプロジェクトの仕分けが、日本側から言えばODA輸銀市中銀行かというそれを、これはあなたの言うのは無理じゃないかと、外務大臣が来たときにそれは一遍よく話したい、それがあちこちするような場合もちょっと考えるとございますから。  しかし、一番御懸念されておる安保絡みということですね、私が就任後は、これもるる経過でお話ししたようにそういうことがない。韓国の社会安定の上に、経済発展の上に、日本経済協力の方針の中で考え得られるものというのを種々折衝して、いま項目だけだと御指摘ですけれども、まさにその項目についてさらにその内容がどうかということをやっておるわけで、その項目からしてそれは全くいわゆる安保絡みのものでないことは明白だと思いますが、その辺は、私がいよいよ行くときには念には念を入れて、かりそめにも何かそういう懸念を持たれるような、そういうことは毛頭考えておりません。
  84. 土井たか子

    ○土井委員 時間が来ましたから終わりますが、大臣のお気持ちのほどはいま聞かしていただいて、そういうようなことは考えてない、こうおっしゃる。それは大臣の心の内の問題でありまして、国民は知ろうとしても大臣の心を見るわけにまいりません。やはり客観的にわかるものがないとこれは納得できないのですよ。そうなってまいりますと、いまの段階では訪韓をする予定はないということを大臣としては先ほどはっきりおっしゃっておるからそれはそのとおりだろうと思いますが、五月のいずれかの機会に、少なくともサミット以前に大急ぎで無理をしてやって、原則をひっくり返してでもやって大臣が訪韓をして政治的に決着をつけていかれるという段取りがちらほら影が見え隠れする。したがって、きょうはそのことに対して大臣としてははっきりしておいていただかないとならない。大臣が訪韓なさることに対してまず無理はなさらないこと、それから、いろいろな事務レベルの積み上げということがあるでしょうから、そのことについては一定の目安がつかないと政治決断の意味もございません。したがって、そのことの中身が安保絡みでないと言えるのだったらどうしてここに提示できないのですか、それをはっきり提示していただきたい。この二つをはっきり申し上げたいと思いますが、これはよろしゅうございますね。大臣からよろしいということをおっしゃっていただいたら私は終わりにします。
  85. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほど木内局長が答えておりますように、従来行われておるこういう経済協力ですね、交換公文を交わすということで最終的に決着しておりますが、韓国だけを従来のやり方と変えて何か特殊なことをする、そういう考えはございません。
  86. 土井たか子

    ○土井委員 特殊な考えはないとおっしゃること、ひとつそれじゃ提示していただきましょう。なぜかというと、ほかの海外援助で六十億ドルの総枠を示した国はいままでにないのです。異常としか言いようがない。したがって、いままで政治問題化し、国会でもうそれこそ何十たびか論議をされて今日に来ている。ほかの海外援助とはわけが違うのですよ。したがって、そういう意味を含めて申し上げているので、特別の扱いを韓国に対してはしないということを言われているのでわかるわけでありますから、その中身を提示することもひとつやっていただくことは何の億するところがあろうかと私は思います。再度このことに対して申し上げさせていただいて、時間ですから私は終わります。よろしゅうございますね。
  87. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 従来やっておることをたがえるようなことはしないということでございます。
  88. 中山正暉

    中山委員長 次に、玉城栄一君。
  89. 玉城栄一

    ○玉城委員 私は、前回の委員会に引き続きまして、核軍縮の問題について二、三改めてまたお伺いしておきたいわけでありますが、その前に、十四日にフランスのミッテラン大統領が国賓として来日をされるわけであります。また来月末には、中国の趙紫陽首相も来日が予定されております。両国の首脳の来日の意義と、またお会いなさるときに外務大臣として主要議題はどういうものを考えていらっしゃるのか、御説明をいただきたいと思うのです。
  90. 加藤吉弥

    ○加藤(吉)政府委員 ミッテラン大統領の訪日関係についてお答え申し上げます。  鈴木総理と大統領の会談は、両国の最高レベルの会談でもございますし、それについて特別に議題をあらかじめ決めて枠をはめるというようなことは考えておりません。むしろお互いに考えておられることを自由濶達に意見交換していただきたい、かように考えている次第でございます。  ただ、現在の日仏両国を取り巻く諸問題、特に東西関係とか南北問題さらに日程的にはその後にベルサイユのサミットを控えておる、国連の軍縮特別総会を控えているということで、こういう関連の話し合いが双方の首脳から出されるのではないかと考えております。
  91. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間もありませんので、例の核拡散防止条約、いわゆる核防条約ですね。これはわが国は加盟、批准しているわけですが、当然わが国としてもこの核防条約体制の強化ということについては主張していらっしゃると思うわけですが、いわゆる核保有国がその義務を果たしていないという不満が強いわけですね。この問題と同時に、フランスにしましても中国にしましても、核防条約に加盟をしていないわけですね。ですから、両国首脳の来日を機会にしまして、その核防条約の加盟という呼びかけをされるということはわが国は被爆国として非常に大事なことではないかと思いますが、大臣いかがでしょうか。
  92. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 核防条約についての呼びかけは従来もしておるわけでございますが、今回のミッテラン大統領あるいは趙紫陽首相の訪日に際してそういう首脳会談で話題にするかどうかということについては、私は、両国の首脳が腹蔵のないお話をするのでありますから、そういう点からいたしますと、いまここでそういうことを話題にすべきではないとか言うべきではないとかそういうお答えをするのはどうかな、やはり首脳会談は首脳会談としていろいろ制約なくやられるのがいいのではないか、こう思うのであります。
  93. 玉城栄一

    ○玉城委員 この問題について政府がだんだん後退していまして余り積極的でないということが言われているわけです。  そこでもう一点は、これは午前中の質疑にもあったわけでございますが、米国の上下両院でいわゆるケネディ議員等の核軍備凍結の決議、これについてはお答えも先ほど午前中伺ったわけでありますが、この核の凍結というこういう考え方について外務省としてはどのように考えていらっしゃるのか、その点をお聞かせいただきたいと思います。
  94. 門田省三

    ○門田(省)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま玉城委員がおっしゃられましたように、米国議会におきましてケネディ議員を初めとする有志の議員による核凍結を主たる内容とする決議が出されたのでございますが、これは米国の議員の有志百数十名の方々による御意向の表明ということで、米国の政府当局としましては政府なりの考え方、つまりまずは平和と安全、これが第一の要件である、それから核に関する東西の現状という観点からすれば、特に欧州地域におきますところの核の力関係という点に着目する場合には、軍縮を有効に進める観点からまず西側において十分な足場固め、これを進める必要があるということで従来の考え方、つまりまず足場固めをして、そして実効性のある軍縮を進めていく、こういうことを申し述べておりますが、このような政府考え方は十分考慮に値するものであろう、かように考えております。
  95. 玉城栄一

    ○玉城委員 そういうことを伺っているんじゃないのですね。それでは、こういう現状凍結という考え方ですね、私は核廃絶に向かって一つの出発論としてはそれなりの意義があると思うのですが、その点いかがですか。
  96. 門田省三

    ○門田(省)政府委員 それなりの意義と言われたわけでございますけれども、やはり現実に一方的に凍結をした場合、それが相互の関係においてどのような影響があるか、この点を十分考える必要があろう、かように考えるのであります。
  97. 玉城栄一

    ○玉城委員 では伺いますが、そうしますと、現状の核凍結についてはいわゆるわが国外務省としては反対である、こういうことですか。時間が四十分しかありませんので、端的に言ってください。
  98. 門田省三

    ○門田(省)政府委員 この点はアメリカが考えられるべき問題だと存じます。
  99. 玉城栄一

    ○玉城委員 いや、そういう考え方についてあなたは反対ですかということですよ。
  100. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 現実に凍結を提案されておるものを見ますと、欧州地域に限定されたりしておる場合がございますね。そういうものを見ると、一体アジアはどうなるかということになります。  それから、しばしば申し上げておるように、核を含めて軍事力のバランスということが重要である、だからそれは低いレベルのバランスにできるだけしてもらいたい。それで、そのために核の削減交渉などが米ソの間で行われている、これは大変好もしい、こう思っておるときに、現実に、実際はいろいろ論議がありますが、三と一くらいの核の差があって、これがバランス上どうかといういろいろ問題が提起されておる。そういうことを頭に置くと、現状で全部凍結ということが果たしていいかどうか、そういう点が検討されますから、一概に凍結大変結構だというようには言いにくい点がございます。
  101. 玉城栄一

    ○玉城委員 この問題に関連して一点。わが国は包括的核実験禁止について提案してきました。何か最近アメリカの方は前向きに対応したいという姿勢を示しておるというふうに伺っていますが、それはそのとおりか、その辺を御説明いただきたいと思います。
  102. 門田省三

    ○門田(省)政府委員 ただいまおっしゃられましたように、アメリカは最近に至りましてジュネーブの軍縮委員会のもとに作業部会をつくりまして、そこで検証及び遵守に関する問題について討議を行うことに同意を示し、興国もこれに同調いたしております。したがいまして、軍縮委員会におきましては、全面核実験禁止の問題について具体的な課題を取り上げ、問題を深く掘り下げていくことができるということで、その意味では進展が見られている、かように観測いたしております。
  103. 玉城栄一

    ○玉城委員 次の質問に移ります。極東有事の研究についてなんですが、本委員会にもたびたび議論がされているわけですが、どの辺までの研究がなされて、大体いつごろをめどにしてこの研究に落手していらっしゃるのか、その辺をお伺いしたいのです。
  104. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 本委員会で先日もお答えいたしましたように、一月二十一日に初めて本件について会合を開いたわけでございまして、その後正規の会合というのは開かれていないということでございます。したがって、進捗状況についてここでまだ申し上げるほど何ら進展していないというのが正直なところでございます。  それから、いつごろを目標にして終わるか、こういう御質問でございますが、これについても今後の研究・協議のぐあいを見ないと、いつ終わるかということを申し上げるにはまだ時期尚早ということでございますし、必ずしもいつまでに終わらなければならないということを日米双方で最初から合意しているわけではございません。
  105. 玉城栄一

    ○玉城委員 その研究結果については、当然やはり国会の方にも報告をしていただけると思うのですが、いかがですか。
  106. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 この点につきましては、五条の研究の際に、防衛庁当局が、一応のある程度の段階が進んだところで総理に御報告し、その大筋について国会質疑に答える形でお話をしているということがございます。したがって、六条協議についても、いまここでどういう形でということを申し上げるわけにいきませんけれども、まず第一に安保委員会、これにこの六条の協議が終わった段階で報告するということに、たてまえ上なっております。したがって、その段階では安保協議委員会にも報告し、さらには閣議にも出るということでございますので、その段階で国会質疑に応じて御答弁するということになるかと思いますが、いまの段階で、どういうかっこうで、いつ、どの時点で、どこまでということを申し上げるのは非常に時期尚早だと思います。
  107. 玉城栄一

    ○玉城委員 いまのこの極東有事の研究についてですが、これは当然五十三年十一月の「日米防衛協力のための指針」、ガイドラインですね。これに基づくものだと思うわけですが、このガイドラインは、前提条件として、事前協議制、日本の憲法上の制約、非核三原則の問題、これは研究・協議の対象としないということが明記されております。政府もこれまで、現行法制あるいは従来の条約解釈の範囲内でできることしかやらないということをおっしゃっておるわけです。  ところが、米側のドネリー在日米軍司令官は、朝鮮戦争時と同じような輸送機関と国内の民間空港、港湾施設の使用、自衛隊基地の使用等、補給、整備等の便宜供与を期待すると言っているわけですね。そこで私、この極東有事研究につきまして、日米間において考え方の大きな差があるように思われるのですが、いかがですか。
  108. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 まず、いま御質問になりました前段のいろいろな制約がございます。便宜供与のあり方については、安保条約、その関連取り決め、あるいはその他日米間の関係取り決め及び日本関係法令の範囲内によって規律される。それから、さっきお挙げになりましたように、事前協議そのものの制度あるいは憲法の制約に関する問題、これについては触れないということでございます。かつ、研究・協議の結果、それを日米両国政府に対して立法、予算あるいは行政上の措置を義務づけるものではない、こういうことでございます。  したがって、ドネリー司令官が、大分前でございますけれども一つの例として朝鮮事件のときの例を…いておりますけれども、今回の協議の中でアメリカ側が日本に対して何を求めてくるかということは、依然としてまだ不明でございます。したがって、そこでいまから推測することはできないわけでございますが、当然私たちとしては、このガイドラインに基づいて措置をとっていくということでございまして、その点については、一月二十一日に開かれた第一回の会合においても念のために日本側から発言し、アメリカ側もそれに合意しているわけでございます。
  109. 玉城栄一

    ○玉城委員 いまおっしゃられましたように、したがいまして、その極東有事の研究の結果によって新たな立法措置であるとか、これは法改正も含めてですが、そういうことは一切ないというふうに理解しておいていいわけですね。
  110. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 それは、この研究・協議の場においてそういうことを日本側が言ったり、あるいはそれに基づいて自動的に日本政府が約束させられるということではございませんが、どうしても必要であるということであれば、別途より伺いレベルにおいて法令の改正なりその他の改正が必要であるということが出てくれば、その時点において判断する、こういうことでございます。
  111. 玉城栄一

    ○玉城委員 そうしますと、その極東有事の研究の結果、国内における新たな立法措置という問題についても、あるいはその場ではなくても、高度のレベルで、法改正であるとかという問題を含めて、そういうことも絶対にないということではなくて、そういうこともあり得ることというふうに理解していいわけですか。
  112. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 これから本格的な研究・協議をするわけでございますので、その結果を待たなければならないということは再三申し上げておるわけでございますが、その結果、どうしても現行の法令ではできないという判断がありまして、かつそのことが日本の国益上必要であるということになれば、それはその時点で別途判断を待つ、高いレベルでの判断を待つ、こういうことになると思います。
  113. 玉城栄一

    ○玉城委員 その高い判断に基づいて、そういう新たな立法措置というものが絶対ないということではなくて、あり得る、外務大臣いまお聞きになっていらっしゃると思うのですが、そのように受けとめていいわけでしょうか、この問題は。これは非常に重大な問題だと思うのです。
  114. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ガイドライン作成の上でいろいろ枠がはまっておる説明は先ほどしたわけでございます。ですから研究・協議の結論が、両国政府の立法、予算ないし行政上の措置を義務づけるものではない。研究した結果、何かどうしても必要である、日本政府もこういうことに納得し、その必要性を感ずる場合はまたおのずから別だと思うのです。何か研究の結果が出た、それに基づいて何もかもやらなければならぬ義務があるぞ、そういうことではないということだと私は思います。
  115. 玉城栄一

    ○玉城委員 先ほど大臣もおっしゃっておられましたガイドライン、いわゆる前提条件等にも反してくると思うのです、そういうお考えといいますのは。そうしますとこれは、たとえば自衛隊法の改正の問題であるとか、そういうことも決して否定はされないということになるわけでしょうか。
  116. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 まず、研究・協議がそういう法令の改正を前提としてやっているわけではないわけです。それは明らかに日本関係法令によって規定されるということでございます。しかし、その研究・協議の結果出てきたことで、日本政府それ自身が研究によって立法上あるいは予算上、行政上の義務は負わないわけでございますが、その時点でこれはどうしても改正しなければならないという事態になった場合に、そこは別途の決定なり考えというものが出てくるのではないか、それはガイドラインには反しない、こういうことでございます。
  117. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは非常に心配されますのは、先ほども申し上げましたとおり、米側は朝鮮戦争時と同じようないわゆる輸送機関、国内の民間空港、港湾施設の使用、自衛隊基地の使用等、補給、整備等も含めてそういう期待があるわけですね。したがって、そういうものを含めて日米間で研究・協議の結果、やはり極東有事において法改正も必要だということになりますと、これは憲法に触れるおそれも出てくる。いろいろな重大な問題が出てくると思うのです。ですから大臣、いまの極東有事の際に備えて国内法のそういう新たな立法措置等も決して否定はされていないということについては、これは非常に心配される点でありますが、その点大臣、もう一回、そういうことはないというようなお考えを示していただけませんでしょうか。
  118. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 政府の立法、予算ないし行政上の措置を義務づけていない。それからもう一つ大事なことがありますね。いまちょっと御質問の中で、憲法にも触れると、こういうことのお言葉がございましたが、これはもう憲法の制約はある、どういうことがあってもこれを侵すことはできない。あるいは日本の国是とも言うべき大方針である非核三原則に触れる。そういうものを侵すことができないのは言うまでもないので、便宜供与のあり方の中で、どう考えてみてもこの範囲のことはやる方が適切であるというような、研究作業の結果、だれが見ても至当なものまでも、いまここでこの立法、予算、行政上の措置は義務がないから一切もうありません、それは言い過ぎだと思うのです。
  119. 玉城栄一

    ○玉城委員 どんどんそういう形で国民の権利というものが制約される、いわゆる極東有事という体制に備えて。これは非常に危険なことじゃないかと思うわけです。  そこでもう一点、これも確認しておきたいわけですが、例のシーレーンの防衛の問題についてなのですが、これは総理もはっきりと国会で、対米公約ではないということを言明しておられるわけです。そうしますと、このシーレーンの防衛という問題については、いま政府考えていらっしゃるのと私たち考え方を異にするのですが、いわゆる閣議で決められた一%以内、それを超えてシーレーン防衛というものをアメリカの言うとおりやらなくても、決してこれはアメリカと約束しておるわけではありませんから、別に米側がとやかく言う筋合いのものではないというふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  120. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これはしばしば言われておるように、総理のプレス・クラブの発言は、わが国がわが国周辺数百海里、航路帯を設ける場合にはおおむね一千海里程度の海域において海上交通の保護を行う、こういうことで、その保護を行う上におきまして、玉城委員は相当な防衛費が要るのじゃないか、それが一%の枠を超えるのじゃないかという御懸念からの御質問ではないか、あるいはアメリカ側の強い要望があって、そういうような従来日本政府のとっておる方針が何かゆがめられるのじゃないか、こういう御懸念じゃないかと思うのですが、日本はあくまでも自主的に判断をする、定められた防衛大綱に基づいてやる、このことはしばしば申し上げておるのでございまして、それもほっておいてやるというようなことは全くない。日本の独自の自主的な判断、また基本方針にのっとる、その中でのおおむね一千海里の航路帯の保護に当たる、こういうことだと思います。
  121. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから大臣、ちゃんとGNP一%以内と防衛大綱に決められているわけですね。そういうことを超えてまでやらなくたって、別にアメリカに約束したことじゃないから、このシーレーン防衛について米側からとやかく言われるような筋合いのものではない、このように受けとめておいてよろしゅうございますね。
  122. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは私がお答えするということよりも、鈴木総理あるいは防衛庁長官が閣議で協議をした結果、GNP一%以内でやるということが政府の方針になっておりますから、その方針のとおりだと私は思います。
  123. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで、これもちょっとお伺いしておきたいのですが、フォークランド諸島の紛争問題について一点、わが国としては平和的解決を強く訴えるということを外務省の方はおっしゃっていらっしゃるわけですが、平和的解決を強く訴えるという具体的内容、これはどういうことを考えていらっしゃるのか。たとえば、ただ平和的ということだけでなくて、こういうような領土の帰属問題等については国際司法裁判所提訴勧告をするとか、何か具体的なものがあるのかないのか、その辺いかがでしょうか。
  124. 門田省三

    ○門田(省)政府委員 国連におきましては、保障理事会で三日に決議を採択いたしております。その中に、両国に対して外交的手段を通ずる問題の平和的解決ということをうたっております。ただいまこのような外交的な方法等について関係国の間でいろいろ考えられているものと考えております。
  125. 玉城栄一

    ○玉城委員 いや、私がお伺いしておりますのは、いまのイギリスとアルゼンチンのフォークランド諸島紛争問題について平和的解決を強く訴えるとおっしゃるから、具体的にはどういうことを考えていらっしゃるのですかということです。
  126. 門田省三

    ○門田(省)政府委員 具体的にどのような措置、たとえばただいま委員がおっしゃられましたような場合、つまり国際司法裁判所に問題を上げてはどうかというような点につきましては、まだ具体的になっているというふうには承知いたしておりません。そのような問題に限ることなく広く可能な方法、要するに両国が平和なうちに問題を解決し得るような事柄についていろいろの方策が考えられているのではないか、かように思うのでございます。
  127. 玉城栄一

    ○玉城委員 わが国の領土問題、北と南の方にいろいろ抱えているわけですから、ほかの問題ということではなくて、もっと真剣に考えていただきたいと思います。  そこで、大田、これは沖縄の問題についてですが、前回の委員会でもお伺いしたのですが、沖縄が本土に返還されましてちょうど十年になるわけです。戦争によって失われたといいますか切り離された領土がそういう平和的外交交渉によって回復といいますか返還が実現したということについて、中身は別にしましても、沖縄が返還されてちょうど十年目ですから、大臣の感想と申しますか御所見を伺っておきたいと思うのです。
  128. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 佐藤総理が沖縄問題の解決なくしては戦後は終わらないということを言われて御努力をされて、そして戦争で失われた領土が平和的に話し合いの中で返還された。これはただいま玉城委員もそのことを評価されておったわけでありますが、そういう経緯で沖縄が返ってまいって十年目というわけでありますから、ひとしお意義深いものと思います。  しかしながら、沖縄における基地の状況というものが、五三%くらいと私記憶しておるのですが、いまだ相当広範囲に基地がある。また、その基地があるために沖縄県民の皆さん方が日常生活に各種の不便あるいは影響を持っておられるという実情があるということについては、私ども政治の衝にある者として、これについての十分な理解を持たなければならない。また、戦争後大変荒廃して、立ち上がるのに非常に困難を来したわけでございますが、国会において沖縄に対する特別措置法ができ、それがまた延長されて、われわれがある程度の気持ちを持って臨んでおるわけでありますけれども、まだまだ県民の皆さんからすると足らざるところが多々あるのではないか。そういうことに思いをいたしますと、この十年を一つの節目として、今後の沖縄について県民の民生安定、産業の発展向上のためにわれわれがさらに努力を続けていく。幸いこの特別措置法のさらに十年の延長ということもございましたので、それらを基盤にして努力を続けたいと思う次第でございます。
  129. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで大臣、御努力をぜひお願いしたいわけですが、私が申し上げました戦争によって失った領土というものを平和裏に外交交渉によって返還を実現さした、そういう経過からしましても、大臣もいま五三%とおっしゃいましたけれども、平和裏の状況にいまあるとは言えない、むしろ、解釈でなんでしょうけれども、まさに戦争と平和が同居しているというような感じすらするわけです。それと、この前もちょっと御質問申し上げましたけれども例のACMIとか、それからさっきもちょっと申し上げましたシーレーンの米側のああいう構想からしますと、さらにその五三%よりもまた新たな軍事基地の強化というものについて、地元では敏感に不安があるわけです。ですから、復帰後十年の沖縄の現状と今後の望ましい姿というものを大臣御自身さっき努力したいということをおっしゃられたわけですし、前回の委員会でも行きたいというお話がありましたが、その点について大臣いかがでしょうか。
  130. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 沖縄振興の担当大臣ではございませんが、しかし、返還後十年経過しており、外交関係のことも多々あることでございますから、おっしゃるように早い時期に沖縄の実情をよく見聞きいたし、今後の施策の上に私なりに勉強さしていただきたいと思います。
  131. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間が参りましたので、最後に、この問題に関連しまして、前回も、基地が五三%、多過ぎるということは、大臣御自身もそういう認識をおっしゃっておられたわけであります。それで、私たちも地元でいろいろずっと調べてみますと、不要不急といいますか、使われていない基地も相当あるわけですね。ですから私たちは、地元は地元なりに、やはりこういうところは使われてないのだし、そういう参考になるような形で、いわゆる基地の整理縮小、あるいは返還されるべき地域とか、そういうものをいろいろ検討してリストをつくりまして大臣に差し上げたいと思います。そうしましたときに、大臣、そのことについて御検討いただけますか。
  132. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 本年一月八日に行われました安保協議委員会の席上におきましても、伊藤防衛庁長官から、基地の整理について発言をされておるのでございます。不要の土地が基地のままであるというような事例がございますれば、それらをよく検討いたしまして協議委員会に諮るということは、これは当然だと思います。
  133. 玉城栄一

    ○玉城委員 以上です。
  134. 中山正暉

    中山委員長 次に、渡辺朗君。
  135. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 まず初めに、外務当局の方にお尋ねをしておきたいと思います。  先ほどもミッテラン大統領訪日の日程のお話が出ました。続いて四月、五月、六月、訪日される各国の首脳はどのような方々がいらっしゃいますか。かつまた、それはいつごろの時期に訪日されるのでしょうか。この二、三カ月の間の日程だけを聞かしてください。
  136. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 お答え申し上げます。  ただいま渡辺委員がおっしゃいましたミッテラン仏大統領は、今月の十四日から十八日まで国賓として訪日される予定となっております。その他国公賓といたしましては、四月の下旬にブッシュ米国副大統領、それから五月末に趙紫陽中国総理が訪日される予定となっております。
  137. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 ブッシュ副大統領の四月下旬の訪日予定、これはどのような目的といいますか、テーマを持って来日されるのでしょうか。同じように趙紫陽中国首相の五月末に訪日されるのはいかなる目的を持っての訪日でございましょうか。
  138. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 まず、ブッシュ副大統領の来日について私の方から御答弁いたします。  ブッシュ副大統領については先ほど官房長から御説明いたしましたように、四月下旬に日本に参りますが、同時にブッシュ副大統領はその際に、あわせてアジア、オセアニアの諸国を歴訪する予定でございます。まだ滞日中の日程詳細は決定を見ておりません。  まず目的は、日米の間では不断にたゆまない対話というものが必要であると私たち考えておりまして、ブッシュ副大統領の来日もまさにその対話の一環ということでございまして、ブッシュ副大統領の訪日については、先般大臣がアメリカに行かれた際にブッシュ副大統領の訪日を要請し、そこで原則的にブッシュ副大統領が受諾した、こういう経緯でございます。
  139. 木内昭胤

    木内政府委員 五月末来日の趙紫陽総理は、たまたまことしが中国との国交正常化十周年、いい意味での一つの節目に当たるわけでございまして、九月の鈴木総理の訪中とあわせまして、首脳の相互訪問という意味合いでとらえております。したがいまして、これまで十年間発展してまいりました日中関係を今後どのように増進するかということが、すなわちバイラテラルな問題が一つの大きな要素でございまして、そのほかには国際情勢についての御意見を交換していただき、とりわけニューリーダーとして登場されました趙紫陽総理初の来日でございますので、日本の実情を親しくごらんいただきたいというのが私ども考え方でございます。
  140. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 いずれもサミットの前であることがわかりました。それだけに関連して私の質問をさせていただきたいと思っております。  なお、初めにお聞きしておきたいのですが、鈴木総理及び外務大臣はこの四、五、六、あるいは国会直後とでもいいましょうか、その時期におきましての外国訪問の日程はいかがなものでございましょうか、お知らせいただきたいと思います。
  141. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 鈴木総理はベルサイユ・サミットにお出かけの後、第二回特別軍縮総会に臨まれ、その後ブラジルを初めとして南米の一、二の国を訪問される。私はそのサミットにお供をいたしまして軍縮総会まで参り、その後戻って拡大ASEAN外相会議に臨む。  現在、懸案になっておりますのはサミット前に行われる五月中旬のOECDの理事会、これにつきましては国会の審議の状況がございますので、普通でありますと私と河本企画庁長官とで出席をするわけでありますが、私が国会のお許しがいただけるかどうか、そういう問題がございますが、ごく近いところではそういう日程が一応予定されております。
  142. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 鈴木総理の国連総会出席後、ブラジルを初め一、二の南米諸国とおっしゃいましたが、どちらとどちらでございますか。
  143. 枝村純郎

    ○枝村政府委員 大臣から申し上げましたブラジル以外の国と申しますのは。ペルーでございまして、昨日在京大使館から正式にぜひおいでいただきたいという意向を受けたところでございます。
  144. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 いまのブラジル及びペルーはどのような目的で総理は行かれるのでございましょう。
  145. 枝村純郎

    ○枝村政府委員 ブラジルにつきましては、日本との関係が大変密接である、経済協力の面、貿易の面あるいは日系人が海外において最大数居住しておる国である、その他もう申し上げるまでもない大変密接な関係にあるわけでございまして、一九七六年、先方のガイゼル大統領が訪日いたしまして、訪日いたしました後、首脳レベルでのいわばお返しができてないわけでございます。かねて強い要望があったということで参るわけでございます。  また、ペルーにつきましては、これはまたブラジルに次ぎまして南米で最大の日系人の方々約七万人が居住しておられる。かつ太平洋岸に面しておりますし、近時非常に日本からの経済協力、技術協力も進んでおりまして、対日期待が進んでおるわけでございます。こちらも実は首脳レベルでの交流が久しく行われておりませんで、一九五九年の岸総理のペルー御訪問、その後六一年にプラド大統領が向こうから参りまして以来でございますので、かねてぜひという要望が寄せられておりましたので、この機会にということで決まったわけでございます。
  146. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 これは故意か偶然かわかりませんが、ブラジル、ペルーのすぐ近所でございますアルゼンチンが抜けているようでございますが、いまのアルゼンチンとイギリスの間での紛争の問題、これについては総理が行かれる時期には解決されているという前提で立てられた案でございますか。どのようにお考えでございます。
  147. 枝村純郎

    ○枝村政府委員 もとより私どもといたしましては、両国とも日本の親しい友好国でございますので紛争がなるべく早く解決していることを期待するわけでございますけれども、いずれにせよ、このアルゼンチンと英国との紛争につきましては、ブラジル、ペルーとも紛争の当事国でもございませんし、かつ両方とも確かにアルゼンチンの領有権の主張は支持はいたしておりますけれども、早急に平和的な手段でこの問題が解決されることを希望するという公の立場も表明していることでございますので、総理がおいでになることに格別の支障が生ずることはないのではなかろうかと私は考えておるものでございます。
  148. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 いま言及されましたが、ブラジル、ペルーともアルゼンチンの領有権は認めている、支持しているということでございました。ところで、これについては日本側はどのような見解を安保理事会の表決の際述べられ、あるいは今日まで表明しておられるのでございましょうか。
  149. 門田省三

    ○門田(省)政府委員 わが国は、フォークランド諸島、あるいは別にマルビナス諸島と呼ばれるのでございますが、この諸島の領有権の問題は英国及びアルゼンチン双方当事国間で話し合われるべきもの、解決されるべきものであるということで、そのような態度を従来とも一貫してとってまいっております。  なお、安全保障理事会の三日の決議案におきましては、領有権の問題につきましては特に明示的に触れていない、そういう決議になっております。
  150. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 先ほども御指摘がありましたのですが、わが国には北方領土もあれば南の方の問題もあり、外務大臣の御郷里の近所にも問題がございます。いまさら寝た子を起こそうというような気持ちで言っているのではございませんけれども、やはりこの問題については日本政府としてきちっと態度を表明しなければならぬだろうと思います。たとえばスペインの方からジブラルタル返還要求も関連して出てきていると言います。こういう状況の中でいまイギリスからアルゼンチンに対しての金融制裁に同調してほしいという要請があったやに聞いておりますけれども要請はございましたか。そして、それに対する態度はどのようなものでございますか。
  151. 加藤吉弥

    ○加藤(吉)政府委員 イギリスは友好諸国特に欧州共同体の諸国、旧英連邦の諸国及び日本、こういう国に対して協力方の要請をしております。その内容は、アルゼンチンに対する制裁措置を含むものでございますが、現在事態が非常に流動的でありますし、わが方の対応の結論もまだ出ていない状況なので、イギリス側の要請の細目に立ち入ることはこの際控えさせていただきたいと思います。
  152. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 先ほどは平和的解決を望むというのが基本的態度だと言われました。この際また、イギリスの方からの要請に対しては対応の姿勢ができておらないとおっしゃいました。一体どちらをとったらよろしいのでしょうか。
  153. 加藤吉弥

    ○加藤(吉)政府委員 先ほど国連局長の方からも御説明いたしましたとおり、領土問題、領有権の問題は当事国二国で進めるべきことであろうかと思います。ただ、現在の武力紛争につきましてはアメリカ政府が調停の役割りを買って出てきているということでもございますので、この際そういう調停の動き、成り行きをよく見きわめることが肝要ではないかと考えているわけでございます。
  154. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 お聞きすると何かよそ様に任せていて待ちの姿勢で、だれかが解決策を打ち出してくればということを待っておられるような姿勢に見えます。たとえばブッシュ副大統領も来られるという、ミッテランさんも来られるという、趙紫陽さんも来られるという。中国はたしか安保理事会の採決のときには決議に対しては棄権であったと思います。そういったところに対して積極的に日本の姿勢を打ち出して解決を図るように働きかけるということが打ち出されないと、平和解決だとかなんとかいうのは単なる何もしないという言葉の代名詞にしかすぎない。外務大臣、前に、私の記憶ではチリとそれからアルゼンチンとイギリスの間の領有権問題が起こったときには、たしかバチカンなどに世界各国の人々が仲介を求めるような動きをしたこともあったやに聞いております。日本としてはどのような姿勢で臨むべきなのか、大臣としての御所見を承りたいと思います。
  155. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 すでに安保理事会でわが国の立場を明らかにしておるわけであります。すなわち、アルゼンチンによる武力行使は、紛争の平和的解決及び武力不行使という国連憲章の基本原則に反し、また国際紛争解決の手段として武力による威嚇及び武力行使を永久に放棄しているわが国の基本外交方針とも相入れないものである、わが国の友好国である両国間の領土問題は外交交渉によって平和的に解決されることを希望する、これが基本立場です。  そこで、国連という場を考えてみますと、ここに安保理事会があって、たとえばカンボジアに対するベトナムの侵攻あるいはイスラエルにおけるゴラン高原の併合、こういうときにはその場合その場合で安保理事会が動きまして対策を講じておる。ベトナムに対しては撤兵せよ、イスラエルのそういう措置についてはそのようなことは不当である、国連憲章あるいは決議にのっとってそれは認められない、こういうことを言ってきておるわけであります。今回の場合も、すでに安保理議長の声明を日本が支持いたしますとともに、安保理決議案の表決に際しては賛成票を投じて日本の姿勢を明らかにして、その決議の中においては、領土問題についてあくまでも両国が話し合ってやってもらいたい、こういうことを言っておるのでございますから、この決議にのっとっていかなる反応をアルゼンチンが示すのか、また英国はどういう措置をとっていくのか。現在イギリスの艦隊が派遣されておるようでございますが、これには若干の時日を要します。恐らく三週間ぐらいを要するのではないか。現地に到着するのにその程度の時間がかかる。その間に、この安保理を中心として両国の問題解決のための奔走が行われる、平和的解決のために安保理でいろいろ協議されるということは明白だと思うのであります。そういう事態を見つつ、もしそのほかに現実に何か問題が起きれば、それに対して臨機応変に臨むべきだ、こう思います。
  156. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 これ以上この問題では深追いはしないでおきたいと思いますが、問題は、日本が何をするかということを私はお尋ねをしているわけであります。たとえば具体的に目の前にあるイギリスの制裁措置に同調するのかどうなのかということを、やはり日を延ばしているだけではこれは解決にならぬのではあるまいか、その点を御指摘だけしておきたいと思います。  時間の関係で次の問題に進みたいと思いますが、先般私は外務大臣に、ブレジネフ・ソ連共産党書記長のタシケント発言についての御見解を求めました。もう一度その問題についてはお尋ねをしたいと前回お願いをしておきましたので、させていただきたいと思います。  前回は、外務大臣、信頼醸成措置の前提が行われていない、だから問題にしないというふうに言下に払われました。私はそれで果たしていいのかなと一週間いろいろ考えてまいりました。もう一度お尋ねいたしますが、タシケント発言の真意というものはどのように見たらよろしいのでございましょうか。大臣、どのようにお考えでございますか。あるいは大臣にお聞きする前に、私は外務当局の方に先にお聞きをしたいと思います。
  157. 加藤吉弥

    ○加藤(吉)政府委員 タシケント演説におきましては、特にその外交部分の点で、わが国及び中国に対して呼びかけを行っていることは御承知のとおりでございます。ただしこの呼びかけ、特にその信頼醸成措置という点に関連して考えますれば、北方領土問題が未解決に残っている、しかもそこにソ連側の軍備構築が認められる、さらにアジア地域ではアフガニスタンに対するソ連の侵攻がある、こういう情勢で信頼醸成措置というようなものに取り組む条件はそろっていない。こういう時期にソ連側が提案をしてきたのは、やはり一種の平和攻勢、現在の日米関係あるいは中米関係、そういうものをねらっての平和攻勢である、かように認識しているわけでございます。この認識は前側の御質問に対して外務当局からお答えしたものと何ら変わっておりません。
  158. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 このタシケント演説を読んでみますと、ほとんどの部分をアジア情勢、なかんずく中国、インド、日本というところに向けていることが明確であります。そして、それに対して中国は、これも判断をお聞きしたいのですけれども、従来と比べて慎重な立場でこれを受けとめているというふうに新聞は報道しております。外務省はどう見ておられるのでしょうか。たとえば中国の新聞では初めてだったといいますけれども、ブレジネフ演説の中身を報道したといいますし、かつまた留意して今後具体的なソ連の行動を見るというふうにも言っていると言われます。その点についての外務当局の御見解をお伺いしたいと思います。
  159. 木内昭胤

    木内政府委員 渡辺委員御指摘のとおり、先般のブレジネフのタシケント演説に対します中国の対応は、これに留意するということで、拒絶反応と申しますよりは慎重な対応ということが言えるかと思います。事柄の実態はともかくとしまして、やはり昨今の米中関係の進展というものを念頭に置いた感じがいたすわけでございます。
  160. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 いま御指摘のあった米中関係については後で入らしていただきたいと思いますが、再度お聞きしますけれども、英国のタイムズによりますと、ことしの一月ソ中友好協会の会長が北京を訪問し、中国上層部の意向を打診した結果がこのブレジネフ演説になったということを指摘していると言っております。また同時に、英国のそのタイムズ紙は、この演説は単なる呼びかけではなく、アジアあるいは世界をにらんだ戦略的な発言だというふうにも見ていいのではないかと指摘しているように私は聞きました。  ところで、そういった意見あるいは見方がある一方、いま言われるように何か日米貿易摩擦やなんかでぎすぎすしている、あるいは米中の間で同じようにぎすぎすしている、そういったときの虚をねらってやってきたんだ、そのような発言だというふうに見る見方もある。一体日本としてはどちらをとるべきなんでございましょうか。もう一度ちょっと突っ込んでお話をいただきたいと思います。
  161. 木内昭胤

    木内政府委員 ソ連の中国に対する対応につきましては、私どもとしましてはやはりソ連が昨今の米中関係をにらみまして、そういった背景を念頭に置きつつ平和攻勢、外交攻勢をしかけているんじゃないか、かように考えております。
  162. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 そうしますと、どういうことでございましょうか、平和攻勢として見る。つまり日本側としては、もう一遍お尋ねしますけれども、いままでの日本外交であるとか防衛政策というようなものは、中ソ対立というものを前提としてあるいはそれを条件として組み立てられてきているのではないでしょうか。それが変化するということはあり得ないとお考えでございますか。変化しつつあるかもわからない、そういうふうな可能性をも認識した上でのいまの御発言でございますか。
  163. 木内昭胤

    木内政府委員 私どもが常時保っております中国との意見の交換、とりわけ先般東京で行いました日中実務レベルの意見交換を通じて見る限りにおきましては、中国は、確かに慎重な対応ということが表面的にはございますけれども、実体的には、内容的にはとうていそこまで至っていないものと了解いたしております。  御承知のように、たとえばアフガニスタンの問題に対する中国の態度、あるいはインドシナ半島におきますベトナムと中国との関係、カンボジアを舞台にいたします、いわゆる俗な表現で申せば、中ソ代理戦争といったような現象がやはり厳しく存在しておるわけでございまして、その限りにおいては、表面的にはともかく、実体的には中ソ対立というものは今後とも続くのではないか、かように考えておる次第でございます。
  164. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 これは、さらにまた別途の時間をいただいて掘り下げてみたいと思う問題でございますが、先ほどから触れておられる米中関係、これについて一、二お尋ねをしていきたいと思います。  この間の日中間の事務レベル会議、そこにおいて米中関係についての中国側の見解というのは、米国に伝達されたと思います。その場合に、アメリカ側の反応はどのようなものでございましたでしょうか。
  165. 木内昭胤

    木内政府委員 日中の意見交換の内容につきましては、とりわけ米中関係にかかわる部分につきましてはアメリカ側に伝えてございます。     〔委員長退席、愛知委員長代理着席〕 アメリカ側としましては、これを貴重な情報ということで評価いたしておるわけですが、だからといってこの米中の問題が即円満に解決することにつながるということでもない点が、今後問題ではないかと思われるわけでございます。
  166. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 米国側は、貴重な情報としてこれを受けとめているということでございました。さらにまた、いまそれだからといって米中の間でうまくいくとはどうも予想が立たない。さきに、これは三月の末でございましたが、ヘイグ米国務長官がNBCのテレビインタビューの中で、最近米中関係が冷却している、その理由というものとして幾つか挙げております。台湾への米国製の兵器の売却問題もあるでございましょうが、加えて米国の対ソ姿勢が無力ではないのかということを中国側が見ているという点を挙げ、さらにまた、中国の近代化に対して米国が十分協力できておちないというような点についての不満が中国側にあるということを指摘しているというふうに聞いておりますが、そうでございましょうか。まず、この事実についての確認を先にしておきたいと思います。
  167. 木内昭胤

    木内政府委員 中国側のアメリカに対するただいま御指摘の評価というものもあろうかと思います。しかしながら、昨今の台湾に対する武器輸出の問題に関しまして中国側が最も問題にいたしております点は、アメリカが中国を一つと解していないという原則の問題に基本的な問題点があるのではないかと思われるわけでございます。
  168. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 私はいまの御見解に加えてもう一つ、鄧小平副主席が指摘しておりますけれども、これは新聞で見ました。西側が技術協力に対していろいろな条件をつけそして制約を加えてきているということが、非常に強い不満として鄧小平副主席の口から表明されていた、こういうことが伝えられておりますけれども、それではこれは別に米中関係の問題ではないというふうにお考えでございましょうか、やはりこれも一つの問題であるというふうにお考えでしょうか。
  169. 木内昭胤

    木内政府委員 米中関係にかかわる問題というよりも、より広範な西側に対する気持ちをあるいは鄧小平副主席が述べられたのではないかと思われるわけでございます。  日本との関係におきましては、中国との間に科学技術協力協定も結ばれまして、この分野での日中間の協力増進に努めておるわけでございます。他方ココムの制約というものもございますが、その点を別にいたしますならば、あとは民間の業界が中国側とこの分野での協力をどこまで推し進めるか、これは一にかかって民間の御判断にかかる問題でございますが、全般的に申し上げまして、日本の業界も中国との協力につきましては基本的には積極的な考え方を持っておられるものと判断いたしております。     〔愛知委員長代理退席、委員長着席〕
  170. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 いまココムの話が出ました。昨年七月のオタワ・サミットにおいては、ココム規制を強化する、それは米ソ関係の緊張を背景にしまして原則的に合意したはずでございます。その一方では、中国に対してはむしろ輸出規制というものは緩和する方向だったと思いますが、この構造といいますか、一方ソ連に対しては厳しく中国に対しては緩和という、これは従来どおり今日もずっと続いているというふうにアジア局長はお考えでございますか。
  171. 木内昭胤

    木内政府委員 アメリカにつきまして申し上げますと、昨年の六月にヘイグ国務長官が訪中いたしましたときの結論としまして、中国をいわゆるソ連等の国々のカテゴリーから外しまして、同盟国ではございませんが友好国のカテゴリーに入れる。そのことは、中国をユーゴスラビアあるいはインド、エジプト等の国々のカテゴリーに入れたわけでございまして、基本的にはただいま渡辺委員が御指摘のラインで進んでおるものと思われるわけでございます。
  172. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 それでは、中国政府がわが国に対しまして、これは日本の民間団体、日本原子力産業会議に対してでありますけれども、発電用の原子炉システムの設計図について検証あるいは助言を求めてきているという報道がございましたが、これに対しては、そのような事態があるとするならば日本政府はどう対応されますか。
  173. 木内昭胤

    木内政府委員 ココムの点がございますが、その点を別にするならば、私ども積極的に対応すべきではないかと考えております。
  174. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 そうしますと、サミットの前に趙紫陽総理がこちらに来られる。そういう場合に、そのような問題も当然話し合われるというふうに考えてよろしゅうございますね。
  175. 木内昭胤

    木内政府委員 ただいま御指摘の問題点意見交換の中に入れることは、結構ではないかと思います。
  176. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 実は大臣、そこでお尋ねをしたいのでございます。  一方において、いまアジア局長からのお答えがありましたように、中国とはずっと物事が進んでいっております。一方、ブレジネフのタシケント発言に見られるように、ある意味では平和攻勢という言葉も使われましたけれども、そういう内容も含んでいるでありましょうが、日本に対しての何らかの呼びかけである、私はそういうふうに受け取らざるを得ないのではなかろうかと思いますが、それに対しては依然として門戸を閉ざしておられるという姿勢で今後ともいかれるのでございますか。話し合いの何か糸口というようなものをおつかみになるようなチャンスの一つになりはしないかと思うのでありますが、どのようにお考えでございましょう。
  177. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ソ連に対しては昨年の国連総会の折に、当時の園田外務大臣が実務者レベルの協議をしよう、外相会議を持ちたい、こういうことを言って、そして本年一月にその実務者会議実現をしておるわけでございます。ところが、御承知のようなアフガニスタン問題、ポーランド問題、一連の問題から対ソ措置を一方において講じつつあるわけでございます。私は日ソ間にいろいろ困難な問題がございましても、そういう背景のもとにまた話し合う必要はある。したがって、園田外相当時の提案を一月に実現をさせておるわけであります。  また、昨年のオタワ・サミットの折に、先進国の首脳の間におきましても今後の東西の軍事力は低いレベルの均衡を求める、しかしソ連との対話はすべきである、そしてそれを受けて米ソ間におきましても中距離核戦力削減交渉などが持たれておるわけであります。  そういう点からいたしまして、今後とも厳しい情勢下にはございましても、ソ連との対話の機会を閉ざす、そういうようなことはなく、むしろ問題があればあるなりに積極的に話し合っていきた  い、こういうことでまいっておるのでありますが、ただ日本としての基本的な姿勢は、領土問題を解決して真に両国の間が安定した姿で外交を結んでいこう、こういうことを念願しておるわけでありますが、それにつきましてはかたくなに門戸を閉ざしておる状況にございます。そういう折に善隣友好と申しましょうか、あるいは両国の間の改善措置を講じようといっても一概にそれに乗っていくわけにはいかないわけでございまして、特に今度のブレジネフ書記長のタシケント演説があったからといって、特別な配慮をすることなく、今後におきましても高級実務者レベルの協議、またわが方は外相会議をやろう、こういうことも言って、ソ連側は上層部にこれを上げて相談すると言いながらそれについては返事は参っておりませんが、日本としては、今度は外相の日本に来られる番ではないかというようなことも言っておりまして、そういうような一連の現実の動きをごらんくださいますならば、演説があったからどうこうではなく、日ソ間におきまして困難な諸情勢はありましても、対話の努力はいたしたい、こう思っておる次第でございます。
  178. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 私は演説そのものだけを問題にしているのではなく、最近の中ソの動きあるいは国際情勢全体の中でのソ連の最近の動き、こういった点をいろいろ検討していただきたいと思っております。ですが、時間の問題がございますので先に進ましていただいて、一、二だけ軍縮に関連してお聞きをいたします。  新聞によりますと、フランスの陸海空三軍の参謀総長ラカーズという方でございましょうか、中性子爆弾の製造能力をフランスが完全に持つに至った、ミッテラン大統領の政治決断があれば一九八〇年代に実戦配備も可能であるというような記者会見が行われたということを聞きました。従来からフランスはそのような独自の核戦力保持という問題を進めてまいりましたが、ミッテラン大統領が訪日されれば、軍縮国連総会を前にしてこのような問題についても当然お話し合いをされると思いますが、大臣、いかがでございますか。
  179. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 御指摘のような報道のあったことは承知しておりますけれども、事実関係の詳細についてはまだ取得をしておらないわけでございまして、ただ報道に伴って何か申し上げるということはいかがかと思うのであります。  ただ、日本が被爆国といたしまして、核の水平的な拡散にしましても、また垂直的拡散にいたしましても、いずれの場合でも防止すべきである、こういう立場を従来とっておるわけでありまして、その点からいたしますと、中性子兵器を含めあらゆる核兵器についての軍縮の促進をする必要がある、こういうふうに思います。
  180. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 最後にもう一つ。最近、レーガン大統領が呼びかけをいたしまして、六月の国連軍縮総会に出席し演説する、同時にブレジネフ書記長にも演説をしてほしい、その後首脳会談を行いたいと提案をしたやに聞いております。  こういうふうな提案が行われるということは、一方においてすでに米ソ間で何らかの打診工作があったからそのように提案が行われたという見方と、もう一つ、ブレジネフ書記長の重病説あるいは書記長辞任説も伝えられております。外務大臣、私ども一体どちらをとったらよろしいのでしょうか、御見解をいただきたいと思います。
  181. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 特別軍縮総会が国際的な注目を浴びておる折からでございますから、日本がまず率先、鈴木総理の出席を決めております。そういう際に、ブレジネフがどうこうでなく、レーガン大統領も進んで御出席をいただくならば、大変意義が深いと思っておるわけであります。  ただ、米ソ間の首脳の会談というものにつきましては、従来、その会談が行われるにいたしましても何らの準備なく会話をするということはどうかということで大体昨年じゅうは過ぎておったと思うのであります。そういう点から考えまして、いま御質問のようにレーガン大統領が本当にブレジネフ書記長との首脳会談をやろう、こういう腹を決めたということでありますと、何かそこに下準備の話が進んでおるんじゃないかというようなとれ方もいたします。しかし現在、タシケント演説後のブレジネフ書記長の消息が定かでないそういう段階におきまして、一体どういう考えでこういうことが言われたのか、その真相というものを十分まだ把握しておらない段階でございますので、国際的にいろいろ動きのあるものだな、こう言っていま慎重に観察をしておる、こういうことでございます。
  182. 渡辺朗

    ○渡辺(朗)委員 終わるに当たりまして、一言だけ御要望をいたしておきます。   観察している、あるいはまた情報が十分わからないだけでは、国民の方はもっと困るわけであります。私は、一国の外務大臣とされまして、大臣にお願いをしたいと思います。やはり明確にこの方向という指示をしていただくこと、あるいは情勢は分析していただくこと、そして日本の国の指針を示していただきたい、これを要望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  183. 中山正暉

    中山委員長 次に、東中光雄君。
  184. 東中光雄

    ○東中委員 最初に、いまも御質問がありましたが、フォークランド諸島、マルビナス諸島のアルゼンチンとイギリスの間の紛争問題でありますが、本格的な戦争に入りかねないような非常に緊迫した状態になっております。しかも、アメリカの国防総省が空母を紛争地域に派遣する用意があるようなことを言って、介入する可能性が示唆されておるというふうな状態でもあります。特に、現在中南米地域はアメリカが干渉を強めて緊張が高まっておりますだけに、このアルゼンチン・イギリスの紛争が本格的な戦争状態になっては、これは世界の平和、安全にも影響を及ぼしてくる、非常に重要な時期だと思うわけであります。  それで、私たちは、アルゼンチンが武力占領に出たこと、これは許されないことだと思います。しかし同時に、民族主権を踏みにじっているイギリスの植民地支配に一日も早く終止符が打たれなければならぬという立場に立っておるわけであります。  先ほど来の論議で、戦闘行動といいますか敵対行動を中止すること、これは強く要求しなければならぬと思うのですが、同時に、一九七六年十二月一日の国連総会の決議、フォークランドのアルゼンチンの領有権を認めるとともに、その解決のための交渉の促進を決議しているのがございますね。百二対一、反対は英国だけ、棄権三十二の中に日本は入っているようですけれども、この決議に従って平和的に話し合いで解決するということを日本のこの問題に対する態度としてはっきり表明すべきじゃないか、こういうふうに私は思っておるわけでありますが、外務大臣、いかがでございましょうか。
  185. 門田省三

    ○門田(省)政府委員 お答え申し上げます。  まず初めに、ただいま委員から御引用がございました国連総会決議でございますが、これは領有権に関する決議ではございませんで、「フォークランド(マルヴィナス)諸島問題に関する第三十一回国連総会決議」というのがその名称でございます。  内容的に見まして、この案はアルゼンチンの立場を反映したものでございまして、特に主文の第二項におきましては、「アルゼンティン政府が総会関連決議に従って非植民地化の促進及びフォークランド諸島住民の福祉の増進のために引続き行っている努力に対し謝意を表明する。」という表現になっておりまして、意味するところは、あたかもこのフォークランド諸島がアルゼンチンの領有に属するものであるかのごとき前提に立っての表現になっているということであったと解しております。  したがいまして、お尋ねのございました点、つまりわが方はどのような投票態度をとったかという点になるわけでございますが、先ほどからも御説明申し上げておりますように、わが国は、これら諸島の領有権に関しては、関係当事国の間で平和的な話し合いによって解決していただきたいということでございます。したがいまして、この決議のように、あたかも一方の立場に立ったかのごとき決議につきましては棄権をいたしたということでございます。
  186. 東中光雄

    ○東中委員 一九七六年と七九年の非同盟諸国首脳会議がやはり、アルゼンチンの領有権を認めるとともに、その解決のための話し合いを進めるということを決議しているようであります。私たちはそういう立場で、この問題は、武力紛争、敵対行動を中止するということと同時に、日本としては棄権したとしても、百二カ国が賛成した領有権問題についての国連の決議があるわけですから、そういう線に沿って解決をせいという態度をとるべきではないか、いま経済制裁にイギリスが協力要請してきている、それに対して日本政府はまだ態度を決めていないというような先ほどのお話でありましたが、そういう態度ではなくて、積極的にアルゼンチン問題の国連総会決議に沿ったような話し合いを進めなさいという態度をとるべきだというように思うのですが、外務大臣、御所見を承りたいと思います。
  187. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほど、安保理における西堀国連大使の発言を中心として、日本の態度、姿勢というものをはっきり申し上げたわけでございます。そして具体的には、従来、安保理事会が中心になってイスラエルの問題あるいはカンボジアの問題に対応してきておるので、このアルゼンチンの問題についても、安保理を中心として平和的に外交交渉によって解決される努力に、日本もそれに沿った協力をしよう、こういうことでございます。西堀大使の発言は、後で資料として差し上げましょう。
  188. 東中光雄

    ○東中委員 私たち考え方を申し上げましたので、その点も考慮に入れて考えていただきたいと思います。  前回に引き続いていわゆる極東有事研究問題についてお伺いしたいのですが、一月二十一日に第一回の会合が持たれた。これは審議官レベルの問題だというふうに聞いておったのです。当初は日本は内閣の審議官レベルでなるべく制服や在日米軍を入れないで、どの程度の協力ができるか精査したいという方針であったように言われておったわけですが、いざ開かれると、統幕会議の片尾事務局長、それから瀧川第四幕僚室長も参加をしておる。これは方針が変わったのか。昨年来言われてきたのとは実際にやられるときには違ってきておる。どういうことでこういうことになったのか、まずお伺いしたい。
  189. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 東中委員がいま御引用されました、最初は制服を入れないということを言ってきたという話でございますが、私が承知しているところではそういうことを言っておりませんで、むしろこの六条研究というものは防衛庁だけでやるのはいかがかという話が国会の中で議論がございました。その際に当時の外務大臣がお答えしましたように、この問題は防衛庁だけの問題ではない、むしろ外務省が入ってやるべきであるということでございまして、当初から制服を排除しているという考えは持っていなかったわけであります。
  190. 東中光雄

    ○東中委員 この研究グループができたようでありますが、松田審議官がそのグループの責任者ということでやっておられるのですか、あるいは防衛庁の方が責任者なのですか、まずそこのところをお伺いしたい。
  191. 松田慶文

    ○松田政府委員 お答え申し上げます。  外務省の私と防衛庁防衛局の防衛審議官とが共同議長といいましょうかコチェアマンということで、二人で相対しておりますが、いろいろな取り仕切り、先任、後任の順で申し上げますと、不肖私が先任として日本側の代表となっております。
  192. 東中光雄

    ○東中委員 それでこの会議でやることは、アメリカ側から要求が出てこなければ何をやるのかよくわからないのだという答弁を何回かやられておったのですが、今日の段階においてもやはりそうですか。
  193. 松田慶文

    ○松田政府委員 すでに御報告申し上げましたとおり、一月二十一日に初会合を開いた次第でありますが、私ども国会開会中でもございまして体がなかなかあかないということもあり、実はそう著しく進展はいたしていないわけでございます。仕事の仕方といたしましては、御指摘のとおり安保条約六条に基づく事態のわが方の便宜供与を議論するに当たってはどのような便宜供与を米側が期待し、あるいは求めているかということを聴取するところから始めたいと思っておりますので、仕事の仕方はいま東中先生御指摘のとおり米側の話を聞く、そこから始めつつある次第でございます。
  194. 東中光雄

    ○東中委員 話を聞くところから始めておる。もう聞かれておるのですか。まだ何も聞いてないのですか。一体何のことかさっぱりわからぬですね。研究ということになっておって、あらかじめ研究をするということになっているのですね。それでその研究をするテーマは向こうさん次第で、向こうさんからどれだけ出てきているのかさっぱりわからない。これではわざわざ第十八回安保協議委員会で外務大臣も出られて合意をしたというについては、余りにも何のことかよくわからない。そこのところ、ちょっと明らかにしてほしいのです。
  195. 松田慶文

    ○松田政府委員 この研究は、相当息の長い仕事になろうかと思います。数カ月でけりがつくという種類のものではございませんで、恐らくは、私どもいつまでに終わりたいという具体的な目標を掲げているわけではございませんが、おいおいに集まって米側からの問題提起を受け、それがわが方にとってどのように理解するかという認識あるいは協議を経て、おいおい煮詰めていく過程では、相当時間がかかることを予想しております。したがいまして、一月の末に始まり四月上旬の今日まで国会の両院予算委員会を挟んでさほど時間がない状況のもとでは、一体どこまで研究が進んでいるのか、そういうお尋ねではございますが、まだようやく緒についたばかりである、これから息の長い仕事が将来に向かって開かれていく、このように御理解いただきたいと思うわけでございます。
  196. 東中光雄

    ○東中委員 ドネリー在日米軍司令官が昨年の十一月十日のあの記者会見で、在日米軍基地施設を軍事輸送に使用したい、一九五二年の朝鮮戦争時の先例もあり、日本に送り込まれる米軍が十分便宜供与を受けられるのを期待しておる。要するに、朝鮮戦争型での主日米軍の、あるいは極東有事戦闘行動に参加する米軍に対する日本の便宜供与という大きな枠を出してきているようなんです。外務省はそういうつもりでおられるのですか。
  197. 松田慶文

    ○松田政府委員 結論を先にお答え申し上げますと、そのようなことはございません。  在日米軍司令官が記者会見で御指摘のような趣旨の発言をしたことは報道で承知しております。その細かい文書までは私ども承知しませんが、いずれにいたしましても、第一に私どもは安保条約六条の事態というのを朝鮮半島に局限しているというふうには理解しておりません。もっと広く、わが国の周辺における事態でわが国の安全にかかわりのあるものと理解しております。  それから第二に、朝鮮戦争時代の云々というのは、米軍の司令官としての一つの比喩として使ったのかもしれませんが、十分御承知のとおり、昭和二十五年-二十七年の期間は占領中でありまして、旧安保すらもないはるか昔の別の法的状況のもとの話でございまして、そのときのことをそのまま云々というようなことは、比喩としても本来適当でないかと思っております。
  198. 東中光雄

    ○東中委員 適当でないかと外務省としては思っているけれども、その適当でないことを向こう側が言うておる。しかも、向こう側の言うことによってこっちが研究していくのだ、こういうことを言われているから、非常に不安な、朝鮮戦争時の便宜供与ということになれば、戦傷病者に対する病院の提供から国鉄の軍事輸送なんというのは最優先でずいぶんやられました。燃料、弾薬、軍事車両の調達から米軍の移動の自由を保障していくとかいろいろな問題に及んでいくわけですが、そういうことを米側が適当でないということを現にドネリー中将は就任して間もなしに言っておるわけです。  そこで、三月の十六日にアメリカの下院用事委員会でドネリー在日米軍司令官が証言をしておりますが、極東出撃米軍に対する日本政府の支援の範囲と実施方法に関する共同研究もまた始まった、こういうふうに言っております。これは支援の範囲と実施方法というふうに言っているわけですが、アメリカから求めてきたことに対してどうするかというのは、あくまでもアメリカさんの極東における出撃の補充あるいは補強をしていくような感じを持つのですが、支援の範囲と実施方法ということになれば、日本としては現行法上こういうことしかできない、これ以上のことはしないというふうなことはむしろこっちではっきり決めていくべき問題なのではないかというふうに思うのですが、その点は外務省としてあるいは日本側として、これは自衛隊でなくて両国政府の共同研究でありますからそういう態度を決めるべきではないのですか、いかがでしょうか。
  199. 松田慶文

    ○松田政府委員 つとに申し上げてまいりましたとおり、この研究の大前提は、第一に、わが国が極東の事態でわが国の安全に重要な影響を与える場合という事態における日米間の協力ができる範囲等々を検討するものであります。したがいまして、そのような事態でやれることは、第一に、わが国の憲法の制約の範囲内でかつ日米間の安保条約その他の取り決めの枠組みの中で、そして日本の法令の枠組みの中でわれわれが何をなすべきかあるいはなすことができるか、それを前もって検討し研究しようという趣旨でございますので、御懸念のようにアメリカの、いま先生が御指摘のようなことをわれわれがずるずるとやるということは全く考えられておりません。いま私が米側からの問題提起を受けて検討を始めると言っておりますのは、何分にも極東における米側の活動に対する便宜供応でありますから、便宜供与を行う方がこういうのはどうだろうかと言い出すよりは、その便宜供与を求める側が、こういう場合にはこういう便宜をお願いしたいと言って、それをたたき台に協議するというのがごく自然の仕事の仕方かと考えております。
  200. 東中光雄

    ○東中委員 便宜供与はいたしません、する範囲はございませんという態度をとったって一向に構わぬわけですよ。私はそう思っておるわけです。アメリカの極東における戦闘行動に協力するというようなことはすべきじゃないんだという、ガイドラインではそれを研究すると書いてあるだけだから、研究した結果、日本側としてはそんなことはしないんだということであってもいい性質のものなんだと思うのです。  それでこれに関連しまして、先ほど外務大臣は大変重要なことをおっしゃったように私お聞きしたのですが、このガイドラインというのは「両国政府の立法、予算ないし行政上の措置を義務づけるものではない。」というふうになっておるんだ、だから義務づけるものでないけれども、だれが見たって変えた方がいいというような場合、研究した結果によっては国内法を変えていくというようなこともあり得るんだ、これは義務づけられていないだけであって、必要を認めて自主的にやるのは構わぬのだという趣旨の答弁を外務大臣が直接されました。私これは非常に重要な問題だと思いますのでお伺いしたいのですが、外務大臣の引用された「義務づけるものではない。」というのは、日米安全保障協議委員会が了承した防衛協力委員会の報告に響いてあることなんですね。ガイドラインをつくる前の「前提条件」の中に書いてあるわけです。いま問題になっているガイドライン三項のいわゆる極東有事における研究の対象になっておるものは、はっきりとその中に「日本が上記の法的枠組みの範囲内において米軍に対し行う便宜供与のあり方について、」研究をするとなっています。それは条約だけではなしに日米間の関係取り決め及び日本関係法令によって規律される、これは日本関係法令の範囲内において、その枠内においてできることを研究する、こうなっておるのでありまして、ガイドラインそのものでない、ガイドライン作成に当たったときの前提条件から、いま外務大臣答弁されたように思うのですが、もしそうだとすれば、この三項からどんどん広がっていって、アメリカ側が要請する、要請しておったことについてどうしても従わなければ、従った方がいいというふうに思ったら、一般的にそう思うのだったら変えていくこともあるのだ、これでは大変なことになりますので、外務大臣、ひとつはっきりさせていただきたい。
  201. 松田慶文

    ○松田政府委員 恐縮ですが、私から最初にこの意味するところを御説明させていただいて、後ほど大臣のお言葉を述べたいと思います。  この指針三項におきまして、この便宜供与が日米間の取り決め及び日本関係法令によって規律されるとございます点は御指摘のとおりですが、そこは現行の関係法令とは規定しておりませんで、わが国が国会の御審議あるいは政令であれば内閣の議を経て決める、そのときどきの関係法令によって規律されるという意味でありまして、このような研究がいつ終わりますか、あるいはそもそもこのような有事ということが将来予見されない状況におきまして、たとえばこの昭和五十七年四月の時点における関係法令ということを意味するものでは毛頭ございません。したがって、先ほど大臣が言われましたとおり、ときどきの法令というものは、日本政府が、あるいは日本国会が自主的に御判断あるいは判断して決めていくものでありますから、そういった枠組みでその便宜供与は規律されるということを、法令に当然従うということを書いておるわけでございまして、大臣の先ほどおっしゃったこととこの三項とは全く矛盾しない、一体のものだと理解しております。
  202. 東中光雄

    ○東中委員 松田審議官そのときおられなかったと思うのですけれども大臣が言われたのは、前文の方の話をされたことはもう明白なのであります。それはガイドラインをつくるときの前提条件であって、つくられたガイドラインの中にもそういう法的枠組みの中でと、あるいはその範囲内でと一々書いてないところがほかにもずいぶんありますよ。一項、二項についてはそんなことは書いてない。三項については日本有事ではなくて極東有事、いわばアメリカの極東における戦闘行動に対する協力という問題であるだけに、わざわざ「枠組みの範囲内において」と書いてあるのだと私は読むべきだと思うのです。そういう点で言えば大臣が先ほど言われたのは、義務づけられておるものではないから義務としてやるのではないけれども、自主的にやるのは勝手なんだ、研究結果によっては自主的に拡大していくこともあり得るという趣旨で大臣が言われているのだったら非常に重大だと思いますので、これは大臣の言われたことについて聞いているわけですから。
  203. 松田慶文

    ○松田政府委員 恐縮ですが、もう一点御説明させていただきます。  お手元に「日米防衛協力のための指針」がございますればお目を向けていただきたいのですが、一、二、三項の頭の前文のところに「この指針が記述する米国に対する日本の便宜供与及び支援の実施は、日本関係法令に従うことが了解される。」とございまして、すべてに日本の法令に従うという原則がかかっております。  以上、申し上げます。
  204. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 研究の一番の前提、これは東中委員よく御承知のことと思いますが、「前提条件」として「事前協議に関する諸問題、日本の憲法上の制約に関する諸問題及び非核三原則は、研究・協議の対象としない。」これはよろしゅうございますな。それから「研究・協議の結論は、日米安全保障協議委員会に報告し、その取扱いは、日米両国政府のそれぞれの判断に委ねられるものとする。」こういうことになっております。
  205. 東中光雄

    ○東中委員 これはガイドラインじゃないです。
  206. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これが前提条件です。それからガイドラインの方に移るわけですね。それは何遍も申し上げておるとおりのことで、日本がその結論によって予算上、立法上その他義務づけられるものではない、そのとおりを言っておるのですよ。
  207. 東中光雄

    ○東中委員 外務大臣が言われたのは、「日米安全保障協議委員会が了承した防衛協力委員会の報告」、この報告で最後に「「日米防衛協力のための指針」は、以上のような防衛協力委員会の活動の結果である。」その結果まとまったものがいわゆる「日米防衛協力のための指針」、ガイドラインとして一つ文書になっておるわけであります。ですから、その文書の中に、松田審議官がいま言われたように、「米国に対する日本の便宜供供与及び支援の実施は、日本関係法令に従うことが了解される。」これが一番最初に書いてあって、そしてしかもなお三項には、わざわざ日本の「法的枠組みの範囲内において」ということを書いてある。一項、二項の段階では、研究の内容によっては、支援とか便宜供与でない研究だってあるのです。そういうものについてはそういうことを一々触れてない。少なくとも便宜供与については――支援ということになったらそういうことをわざわざ書いてある。そういうガイドライン、これ自体が安保の枠を超すのじゃないか。六条事態における日本協力なんということは、安保条約からは六条では施設の提供だけじゃないですか。それから出ていくことができるだけのことで、それ以上のことは事前協議で合意をした場合に出撃できるということだけでしょう。ところが、便宜供与というものに拡大してきた。その拡大してきたガイドラインの三項を、今度はまた現行法の枠組みの中でというのを、現行法じゃなくて、そのとき法律を変えればそれでいいんだというふうなことを松田さんが言われているとすれば、これはいよいよもって拡大していくということになるので、これは断じて逸脱だということをここではっきりと指摘をしておきたいと思うわけであります。これはひとつ外務大臣、よく検討してください。そうでないと、どうもこれはつじつまが合わぬですよ。
  208. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 東中委員のおっしゃっていることもわかります。ただ、三項の一番最後に「このような研究には、米軍による自衛隊の基地の共同使用その他の便宜供与のあり方に関する研究が含まれる。」こういうこともうたわれておりますので、私は、義務づけられるというようなことはないが、しかし研究の結果、いろいろ検討するものがあるんじゃないか、こういうことを申し上げたのでありますが、御指摘でございますから、よく研究をいたします。
  209. 東中光雄

    ○東中委員 特に私がそれを申し上げますのは、この協議においてもやはり制服が出てきて、実際の後方支援担当の幕僚が出てきてやる、相手方も制服だ。そういう中で純粋に軍事的な協議・研究が進められて、松田さんはその責任者としておられても、そういう人たちがわざわざ入ってくるという中で拡大されていくとすれば、中心が制服になってしまう、日米制服になるという危険性を持っておるということを私は指摘しているわけであります。  時間がありませんので、まことに申しわけないですが、巡航ミサイル搭載艦ニュージャージーの極東配備の問題について、ワインバーガー国防長官が、先日来日をした後、韓国へ行って、二十九日ですか、記者会見で、米軍事力強化計画には極東地域へのニュージャージーの配属が含まれるということを述べたということが、三月三十一日の米太平洋軍の準機関紙、スターズ・アンド・ストライプスに載っておる。また四月二日付のスターズ・アンド・ストライプスには、ワインバーガー自体の発言としてではありませんけれども、現在進行中の修理と兵器システムの近代化は海軍の最も近代的なミサイルの追加を含んでおり、千五百名の乗員を持つニュージャージーは来年早期に再配備されるという記事が載っております。こういう点について外務省はどのようにつかんでおられますか。
  210. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 本件についてお答えする前に一つだけ時間をおかりしてお答えしたいのは、先ほど東中委員が、制服が六条協議の中に入ってきている、したがって、ずるずる制服に引っ張られるんじゃないかという御指摘がございました。まさにそういう危惧があるわけで、外務省がこの六条協議に出て、松田審議官が実際上の座長になってやっているということをひとつお答えさしていただきたいと思います。  次に、いま御指摘のございましたニュージャージーの再就役の問題でございます。  いま御引用になりました三月三十一日付のアメリカのパシフィック・スターズ・アンド・ストライプスでワインバーガーが韓国において、米太平洋軍能力の強化計画には恐らく改修後の戦艦ニュージャージーの極東への配備も含まれることになろう、そういうふうに述べたという点についてはわれわれとしても承知しております。他方、アメリカ側が議会の証言の中で、たとえば一九八一年六月二十四日のアメリカ下院の軍事委員会の中で、現在アメリカが持っております戦艦四隻、すべて現在は使っておりませんが、それを再就役するために復活させる工事をしております。そしてその工事は二つの段階に分かれているわけでございます。一つは重油から軽油に切りかえる、その後はその後の装備の問題ということで、再就役は恐らくニュージャージーについては一九八三年の中ごろであろうというふうに言っておるわけでございます。その点については、アメリカの軍事委員会の公聴会等を通じてわれわれとしては承知しておるわけでございます。
  211. 東中光雄

    ○東中委員 ニュージャージーが巡航ミサイル、特に長距離巡航ミサイルといいますかトマホークを配備する、これはホルコム海軍作戦部計画部長が八一年の三月四日の下院軍事委員会公聴会で、八つのボックスランチャーで、三十二門の長距離スタンドオフ・ミサイルを搭載するという答弁をしておりますが、これが同時に、母港を日本に求めるという方向が打ち出されているようであります。これは確定しているというわけじゃありませんが、ホルコム氏がさきの軍事委員会の公聴会で、インド洋でこれが活躍するについて海外に基地が要るということを、基地といいますか母港が要るということでいろいろ検討してみたが、太平洋におけるきわめて有望な可能性は、ランクづけをすると日本が一番最初になる。フィリピンが次だ、オーストラリア、グアム、こういう順番になるというようなことを証言しておるわけであります。われわれはこのニュージャージーの戦闘グループと一緒に移住する六千人の人々のことを言っているので、家族のための住宅や幾つかの支援施設を要するということだ、そういう可能な場所を探しているんだ、こういうことがすでに出てきておるわけであります。  私はミッドウェーの母港化のときのことを調べてみたのですが、七一年の十二月に当時のアメリカ局長吉野さんが、そういう意向がアメリカ側にあるようだということを言っておって、翌年の九月十二日に当時の大平外務大臣が米側からそういう要請をしてきましたということを言って、その年の十一月十五日になって正式に要請が入ってくる、そしてとうとうミッドウェーの母港化が実現してしまった、こういう経過がありますので、ニュージャージーについてすでにそういう動きが出てきているのじゃないかということを非常に懸念するわけであります。特にトマホークを積んでやってくる。これは核、非核両用ということになると大変でありますので、そういう点について外務省は母港化は許さないという方向をぜひとられるべきだと思うのですが、どうでしょうか。
  212. 淺尾新一郎

    ○淺尾政府委員 まずニュージャージーをどこに配備するかということ、先ほどワインバーガーが新聞記者に語ったということはございますが、配備の地域についてすらまだ正式に決定はしていないというふうに私たち承知しております。したがって、ましてやこれを日本のどこかの港に母港化させるというような話については、一切アメリカ側からわれわれに対しての通報はないわけでございます。  第三点としては、東中委員が正確に御引用になりましたように、トマホークは核、非核両用でございまして、恐らく、核弾頭を積んだトマホークが潜水艦あるいは戦艦、水上艦艇に積まれるのは一九八四年以降になる――一九八四年以降になるというのは、アメリカ側がすでに述べているところでございます。したがって、この段階で、アメリカ側が日本に対して母港化を求めてきていないものに対して、それは困るとかあるいは認めるということをこの場で答弁申し上げるのは適当でないというふうに私は考えております。
  213. 東中光雄

    ○東中委員 時間ですから、終わります。
  214. 中山正暉

    中山委員長 次回は、来る九日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十五分散会