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1982-04-02 第96回国会 衆議院 外務委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年四月二日(金曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 中山 正暉君    理事 奥田 敬和君 理事 川田 正則君    理事 高沢 寅男君 理事 土井たか子君    理事 玉城 栄一君 理事 渡辺  朗君       北村 義和君    竹内 黎一君       浜田卓二郎君    松本 十郎君       山下 元利君    井上 普方君       河上 民雄君    小林  進君       林  保夫君    野間 友一君       東中 光雄君    伊藤 公介君  出席国務大臣         外 務 大 臣 櫻内 義雄君  出席政府委員         外務政務次官  辻  英雄君         外務大臣官房外         務参事官    都甲 岳洋君         外務省アジア局         長       木内 昭胤君         外務省中南米局         長       枝村 純郎君         外務省欧亜局長 加藤 吉弥君         外務省経済協力         局長      柳  健一君         外務省国際連合         局長      門田 省三君  委員外出席者         科学技術庁計画         局国際科学技術         博覧会企画管理         官       平野 拓也君         国土庁大都市圏         整備局筑波研究         学園都市建設推         進室長     久保 敏行君         外務大臣官房審         議官      藤田 公郎君         外務大臣官房外         務参事官    遠藤  実君         外務大臣官房外         務参事官    佐藤 嘉恭君         農林水産大臣官         房参事官    須田  洵君         外務委員会調査         室長      伊藤 政雄君     ————————————— 四月一日  婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関す  る条約早期批准に関する請願外五件(佐藤誼君  紹介)(第一七六五号)  同外十九件(嶋崎譲紹介)(第一七六六号)  同外一件(横路孝弘紹介)(第一七六七号)  同外二十三件(長谷川正三君紹介)(第一七六  八号)  核兵器の廃絶等に関する請願三谷秀治君紹  介)(第一八二二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  日本国ドイツ民主共和国との間の通商及び航  海に関する条約諦結について承認を求めるの  件(条約第三号)  千九百七十一年の国際小麦協定構成する一の  文書である千九百七十一年の小麦貿易規約の有  効期間の第六次延長及び同協定構成する他の  文書である千九百八十年の食糧援助規約有効  期間の第一次延長に関する千九百八十一年の議  定書締結について承認を求めるの件(条約第  四号)  国際科学技術博覧会政府代表設置に関する臨  時措置法案内閣提出第三八号)  千九百七十八年の船員の訓練及び資格証明並び  に当直の基準に関する国際条約締結について  承認を求めるの件(条約第九号)  千九百七十六年の海事債権についての責任の制  限に関する条約締結について承認を求めるの  件(条約第一〇号)  千九百七十二年十一月十日及び千九百七十八年  十月二十三日にジュネーヴで改正された千九百  六十一年十二月二日の植物の新品種の保護に関  する国際条約締結について承認を求めるの件  (条約第一一号)      ————◇—————
  2. 中山正暉

    中山委員長 これより会議を開きます。  日本国ドイツ民主共和国との間の通商及び航海に関する条約締結について承認を求めるの件及び千九百七十一年の国際小麦協定構成する一の文書である千九百七十一年の小麦貿易規約有効期間の第六次延長及び同協定構成する他の文書である千九百八十年の食糧援助規約有効期間の第一次延長に関する千九百八十一年の議定書締結について承認を求めるの件並びに国際科学技術博覧会政府代表設置に関する臨時措置法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高沢寅男君。
  3. 高沢寅男

    高沢委員 私は、いま委員長が述べられました案件のうちの国際小麦協定関連する議定書、このことについて質問を申し上げたいと思います。  冒頭にお尋ねしたいことは、いま読まれました一九七一年の国際小麦協定構成する一の文書であるその議定書、それから今度は他の文書である議定書締結について、こうなるわけです。この一の文書である、他の文書である、実はこういう言葉関係なんでありますが、手元にいただいております英文のものがございますか、この英文のものを拝見しますと、一の文書であるとか他の文書であるとか、そういうふうな言葉は入っていないわけなんですね。この英文日本語に翻訳されたこの案件の名称のつけ方、一の文書、他の文書というものが英文は入っていない、日本文は入っておる、これは何か特別な意味があるのか、まずお尋ねしたいと思います。
  4. 都甲岳洋

    都甲政府委員 お答え申し上げます。  この英語によりますと、英語小麦協定延長という形になっておりますけれども、これは正確にこの意味をとりますれば、やはりここに訳してありますように詳しく書くことが、延長する議定書であるという形に書くことが正しいということでこのような訳文にしてあるわけであります。ですから、むしろその英語意味よりも、この日本語に訳された意味の方が正確に現実事態を反映するということでございます。
  5. 高沢寅男

    高沢委員 いまのは英文よりも日本文の方がより正確、より懇切丁寧、こういう御趣旨のあれであったわけですが、これは要するに私の考えるのに、この案件の中には二つ議定書が含まれているわけですね。一つの方は小麦貿易議定書一つの方は食糧援助議定書、こういう二つのものをここに合わせて一本にしてあるというところから、片方は一の文書片方は他の文書、こういうふうにされたと思うのです。  そこで、こういうふうに二つのものを一つにまとめるということが果たして適切であるかどうかということを実はお尋ねしたいわけです。と申しますのは、この一つ文書である貿易規約の方には加盟していて、そして援助規約の方へは加盟していないというような国も現実にはあるわけですね。そういう国の関係はどうなっておるか、ちょっと御説明願いたと思います。
  6. 都甲岳洋

    都甲政府委員 お答え申し上げます。  この議定書前文にもございますように、確かにこの小麦貿易規約食糧援助規約二つ別個法的文書ということになっておりますし、国際小麦協定というのがこの二つ文書によって構成されているということは明確にされております。ですから、それぞれの規約独立法的文書であることは明らかでありまして、加盟国も、たとえば小麦貿易規約には三十九カ国及び欧州経済共同体が入っておりますし、食糧援助規約には十一カ国及び欧州経済共同体が入っております。  それで、食糧援助規約に入っている加盟国はすべて小麦貿易規約加盟国現実にはなっておりますけれども、従来、食糧援助規約に入るためには小麦貿易規約に入ることが必要条件でございましたけれども、一九八〇年の食糧援助規約作成の際に、その条件を除去いたしまして、むしろ小麦貿易規約には興味のない国も食糧援助規約には入る道を開いておくという形で、食糧援助をさらに伸ばしていこうという意図でこのような構成になっております。
  7. 高沢寅男

    高沢委員 そこで、これはひとつ大臣にお答えいただきたいと思うのですが、いま都甲さんから説明されたような、つまり国加盟関係でも、こちらの方へは入っておるが、こちらへは入っていないという国が現にあるわけですね。そういたしますと、われわれのように国会でこれを審議する立場からしても、こちらの規約は結構だけれども、こちらの規約反対だというふうな立場もあり得るわけですね。ところが、これは二つ合わせて一本という形で国会へ提案されておりますと、その辺の賛否の態度のとり方が矛盾する場合が出てくる。この場合には、われわれこの両規約とも別に異存はございませんから、したがって一本でも結果としては結構でございますが、しかしそういうことがあり得る、こう考えた場合には、この二つ規約を一本の小麦協定という形ではなくて、頭に小麦協定というまくら言葉は当然つくでしょうが、しかし内容的には二つのものとして出されるのが適当じゃないのか、こう思うわけです。ここにはすでに一本で出ていることではありますが、一応そのことについての大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。
  8. 都甲岳洋

    都甲政府委員 その前に、技術的なところだけ私からお答えさせていただきたいと思います。  先生指摘のように、確かにこの小麦貿易規約及び食糧援助規約二つ別個文書ではございますけれども、それぞれ国際小麦協定構成するものということで、国際小麦協定というものが一体として考えられているという事実はございます。でございますから、技術的に申しますと、この一九八一年の議定書共通前文を有しておる、その後にそれぞれ独立議定書がございまして、それぞれの議定書でこの共通前文を含むというように複雑な構成になっております。  それから、食糧援助規約の第十条をごらんいただきますと、食糧援助規約有効期間は、小麦貿易規約有効であることを条件として効力を有するということになっておるわけでございます。このように、別個文書ではございましても、この構成上及びその効力関係からいっても非常に密接な関係になっているということがございますので、この点は御理解いただきたいというふうに考えます。
  9. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 高沢委員の御質問は、今回の場合の国際小麦協定という条約の中の二つ規約、これについては御理解をお持ち願っておるように承りました。しかし、そうでない場合にはどうか、こういう御質問趣旨だと思うのでありますが、残念ながら、私はそういう二つになっておる場合の何か問題がありそうな事例というものがいま頭に浮かびませんので、その場合その場合に適切に考える必要があるのではないかと思います。
  10. 高沢寅男

    高沢委員 こういう二年延長承認をいま求められているわけですから、二年たつとまた次の延長ということが来るわけで、そういう将来の国会承認を求める場合には、いま申し上げたような、内容上こちらが賛成こちらが反対のときどうするのだというふうな問題等十分考慮に入れてひとつ扱いを御検討いただきたい、こういうふうに、これは将来の問題として申し上げておきます。  次に、具体的な内容に入りますが、加盟国関係で、中国は大変大きな小麦生産国である。また大変大きな小麦輸入国である。こういう国がまだ現在この小麦協定加盟国になっていない。この見通しはどうなのか、日本中国の間でこの種のお話し合いをされたことがあるのかどうか、それをお尋ねしたいと思います。
  11. 遠藤実

    遠藤説明員 御案内のように、一九七一年の二十六回の国連総会におきまして中国の代表権問題に関する国連決議が採択されたわけでございますが、これに照らして、七四年二月の国際小麦理事会におきまして、中華人民共和国政府が合法的に中国を代表して小麦協定に関する事項を取り扱う権限を有する唯一の権威であるという決議が採択されております。しかしながら、中華人民共和国政府としては協定への即時参加を希望しなかったということがございまして、台湾にかわって協定加盟国としての地位を占めるということにはならなかったわけでございます。  したがいまして、同国協定参加するためには改めて加入の手続をとることになるわけでございますが、七八年から七九年にわたりまして開催されました新しい協定交渉参加していなかったということがございます。これは、七八年会議招請状を七七年に発送したわけでございますけれども、これについて参加の表明をしなかったわけでございます。したがって、現在におきましても、現行協定参加するかどうかという点は不明でございます。  ただ、先ほど先生指摘になりましたように、中国はことに最近小麦輸入が非常にふえております。まだ七八年、七九年当時はそれほどでもなかったと思いますが、ことに八〇年、八一年と小麦輸入がふえておるという事情がございますし、他方、中国は八〇年の四月にはIMFに加盟する、あるいは同年の九月には国際天然ゴム協定参加するというぐあいに、国際経済の枠組みに参加し始めているという事情がございます。  したがいまして、わが国としては、中国小麦協定加盟する、それから国際小麦理事会の活動に積極的に参画するということを期待しております。たまたま現在までのところ、十分なそういった機会がございませんで、この点につき特別に同国と話し合ったことはございません、ございませんけれども、今後こういった方向中国協定参加してくるようになるよう、前向きの姿勢で対処することにしたいと考えております。
  12. 高沢寅男

    高沢委員 その事情はよくわかりました。  それでは次へ進みたいと思いますが、この貿易規約の方ですね。この貿易規約の方は、新しい規約をつくろうということになっていて、かなり国際的な協議も進められたけれども、現状ではまだ新しい規約はできていないという事情にあるわけですが、その新しい規約のできない理由が、穀物備蓄の規模について国際的な意見が一致しない、特にその点では、アメリカがこの備蓄について非常に消極的な姿勢であるというところから、新しい規約ができないのだとお聞きしておるわけですが、その辺の経過をひとつ御説明を願いたいと思います。
  13. 遠藤実

    遠藤説明員 新しい協定につきましては、国際管理のもとにおきます国別備蓄、それを中心にして運用しようということが中心になっているわけでございます。ただ、この新協定の発想が出てまいりましたのは、一九七四年に、御承知のように世界食糧会議がございましたけれども、その前が史上空前不作ということがございまして、その意味国際備蓄を強化するといった考え方が出てきたわけでございます。  ところが、その後協定交渉をやっておりますうちに、一方におきましては世界的な豊作が続くというふうな背景もございます。そういった事情がございますので、アメリカのみならず輸出国側がこういった財政支出を伴うような国際備蓄制度について消極的な態度をとるというふうな態度になってまいりまして、そういったことがひとつ背後にございまして、交渉が必ずしも順調に進んでないと言えるかと思います。
  14. 高沢寅男

    高沢委員 豊作のときは確かに需給は間に合うということはそのとおりですが、しかしこういう備蓄が必要だというのは、いざ不作が来たときの困難を乗り切るには備蓄が必要だということになるわけですから、この点はわが国としては強く、そういう国際備蓄が実現する方向で、今後も国際的な発言をしていっていただきたい。特にアメリカに対してそういう要求をしていただきたいと思います。  ここに一昨年の、ちょうどカーター大統領からレーガン大統領に交代する直前のころの新聞記事ですが、レーガン大統領はこうした小麦あるいは広く穀物国際備蓄制度を提唱する考えがあるんだ、こういうふうなことが新聞報道されたことがあるわけですが、この新聞報道といまの説明された備蓄の点について、アメリカがいま消極的である、このことの相互関連をどういうふうに把握されるか、お聞きしたいと思います。
  15. 遠藤実

    遠藤説明員 御指摘になりました新聞記事でございますけれども、これは内容といたしましては、レーガン政権穀物輸出国内に余剰の穀物備蓄する、そして需給の逼迫時には参加国に優先的に放出するということを骨子といたします国際穀物備蓄制度を提唱するといったことを報道しているものでございますけれども、この新聞報道内容につきましては、米側から、政府としては何らの提案を受けたこともございません。また、米国政府関係者も右の報道を否定したという経緯がございます。その後レーガン政権が発足いたしまして現在まで、このような国際備蓄制度というのは提案されていないわけでございます。
  16. 高沢寅男

    高沢委員 そうすると、この新聞報道は、当時のあれとして余り根拠のあるものではなかったということかと思いますが、なお、それに関連しまして、この国際小麦協定の過去の歴史を振り返ってみますと、過去においては、この協定の中に価格帯方式あるいは保証数量方式というふうなものがずっと盛り込まれていた、そういう時期の方がずっと長かったわけです。そして、一九六五年協定ですか、ここではこういう条項がなくなった。しかし、その次の六七年協定では、またこういう経済条項が入った。そして今度は、七一年協定は、また経済条項がなくなった。こういう経過を経ておりますが、価格問題なり、あるいは数量の保証方式なり、こういう経済条項は、本来の小麦協定趣旨からいってあるべきじゃないのか、こう思うのですが、この辺は、政府の考え、また、これからの小麦協定に対する対応の仕方としていかがでしょうか。
  17. 遠藤実

    遠藤説明員 御指摘のとおり、日本政府といたしましては、国際小麦協定経済条項が入ること、つまり経済条項を伴った小麦協定が望ましいというふうに考えております。  御質問になりました、昔の小麦協定経済条項が入っていたにもかかわらず、七一年協定に入っていない点についての事情でございますが、これは、六七年に当時のケネディ・ラウンドのパッケージの一つとしてこの小麦協定ができたわけでございますけれども、それには、御案内のように価格帯あるいは供給保証等経済条項が含まれておりました。ところが、それが発足いたしまして直ちに最低価格を割るというふうな事態も起こりました。そこで、七一年協定交渉段階で、結局価格帯を設定するための基準小麦の選択、それから価格水準等に関しましてむしろ輸出国側、特に米国とカナダの間での対立が生じまして、最終段階に至ってもこの点が解決されなかったということがございまして、経済条項を落としたかっこうで七一年協定小麦貿易規約ができたということでございます。
  18. 高沢寅男

    高沢委員 いまの御説明経過はわかりましたが、この新しい規約ができるときには、そういう経済条項なり、先ほど触れた国際備蓄のそういう内容が実現するように、今後のまた大いなる御努力をひとつお願いしたい、こう思います。  それで、次にいわゆる食糧安全保障、こういう関連で幾つかお尋ねをしたいと思います。食糧安全保障という言葉を世界的な、グローバルな視点でとらえてみた場合に、結局世界各国の国民がいずれも十分な食糧、十分な栄養が保障されるという状態食糧安全保障のあるべき姿ということになろうと思うわけです。そういう立場で考えた場合、特にいま発展途上国が非常に食糧不足という状態もあるわけですが、全体としてグローバルに見ての食糧生産能力、それに対しての食糧の消費、需要がどんなバランスにあるのか、そのことについての政府見方をひとつお聞きしたいと思います。
  19. 遠藤実

    遠藤説明員 実を申しますと、御質問の点は、正確なお答えが大変むずかしい点でございまして、人口増加等につきましては、一種のプロジェクションと申しますか、そういったことで、ある程度の姿はわかるわけでございますけれども、生産等につきましては、余りにも多くの不確定要素があるという事情もございまして、なかなか自信を持ってこういった需給バランスがどうなるといった点をお答えするのは大変むずかしいわけでございますが、当然のことながら先生指摘の点は大変に重要な問題でございまして、各方面でいろいろな調査研究等は行われております。  そこで、たまたま一例でございますけれども、FAO、国連食糧農業機関が昨年発表いたしました「二〇〇〇年の農業」と題する報告書がございますが、これによりますと、開発途上国九十カ国を対象に、一九八〇年から二〇〇〇年までの人口増加率を年二・四%、一日当たりカロリー摂取量増加率を年〇・七%、食糧増産率について楽観的な見方として、年三・八%。これを前提といたします場合、栄養不良の人口が、一九七五年には四億三千五百万人というふうに推定されておりますけれども、二〇〇〇年にはむしろ二億四千万人に減少するというふうに見込まれるわけでございます。この年率計算、先ほど楽観的な見方として三・八%と申し上げましたが、これを現状年率二・八%を前提にいたしますと、二〇〇〇年の栄養不良人口は五億九千万人になるというふうに見込まれているわけであります。  なお、その中間にあります一九九〇年におきまして、食糧援助必要量は、楽観的な見方の場合が千二百万トン、現状の傾向が続く場合は二千六百万トンになるというふうに見られております。これは、これが最も権威のある、あるいは確定的な見通しだということでは必ずしもございませんけれども、一例として御説明申し上げました。
  20. 高沢寅男

    高沢委員 この問題は大変重要な問題だと思います。したがって、わが国のような立場の国は、特にそうした食糧の困難な状態にある発展途上国に対する援助は大いに努力をすべきだ、こう思います。  さて、この小麦協定食糧援助規約、八〇年にできたこの新しい規約の中では、わが国は三十万トン以上という、言うならば援助義務を引き受ける形になっているわけですが、これもさらに増額をすべきだという立場に立って、次のお尋ねを申し上げます。  五十七年度予算食糧増産等援助費四百九十六億円、この中の二百六億円というものが、この援助規約の三十万トンに該当する金額である、こうお聞きしておりますが、この三十万トンが二百六億円になる、その計算過程をちょっと御説明願いたいと思います。
  21. 柳健一

    柳政府委員 お答えいたします。  ただいま先生指摘の二百六億円は、正確に申しますと、本体分経費が百五十一億一千四百万円、これは小麦三十万トンに当たる部分でございます。それから、そのための運賃保険経費がございまして、これが五十五億二千三百四十八万円、こういうことになっております。  本体分経費の出し方は、小麦価格トン当たり二百二十ドルというふうに仮定いたしまして、拠出義務量三十万トンを掛けますと、六千六百万ドルになります。それを支出官レートという二百二十九円で通しまして、それによって算出した相当邦貨額になるわけでございます。それから運賃とか保険の方は、前年度本体分運賃との比例を出しまして、それに応じて算出した、こういうことになっております。
  22. 高沢寅男

    高沢委員 いまの算出の根拠はわかりましたが、現実小麦価格はいつも値が動きますね。そういう関係で、小麦市場価格が下がってくれば、これだけの予算額で三十万トン以上の援助ができる、こうなるでしょうし、逆に小麦価格がうんと上がれば、この金額では三十万トンできないというふうなケースも出てきますね。余分にできる場合は非常に結構なことですが、もしそういう価格の変動で、これでは三十万トンまでいきませんという場合にはどうされるか。やはり補正か何かでやって三十万トンの義務を達成する、こうなるのかどうか、ちょっと説明願います。
  23. 藤田公郎

    藤田説明員 ただいまの先生の御質問のうち、小麦価格が下がった場合、それはよかろう、それから上がった場合にはということでございましたが、現に一昨年、昭和五十五年の場合にはそういう事態が起こったわけでございます。その場合にはこの援助規約規定がございまして、定められた期間、すなわち穀物年度でございますが、その間にいろいろな事情でこの最低義務量を果たすことができなかった国は翌年度にそれを実施することができるということになっております。船積み自体は六カ月の猶予期間がございますが、約束自体はその穀物年度内にできるだけ行うこと、こういう規定になっております。したがいまして、わが国につきましては五十五年の不足分というのは五十六年に果たしたということでございます。
  24. 高沢寅男

    高沢委員 いまの点でもう一つお尋ねしますが、いま大変円安でしょう。そういうふうな場合、今度は小麦価格とは別に円安という要素で、この予算額では三十万トンに足りぬというふうなことになる可能性、危険性はないのかどうか。どうでしょうか。
  25. 藤田公郎

    藤田説明員 おっしゃるとおり、あり得ることでございます。
  26. 高沢寅男

    高沢委員 その場合は、さっきのように翌年のやり方で、ちゃんとそれをカバーする、こうなるわけですね。
  27. 藤田公郎

    藤田説明員 おっしゃるとおりでございます。
  28. 高沢寅男

    高沢委員 わかりました。  いまESCAPの会議が開かれていますね。このESCAP会議で、聞くところによりますとアジア・太平洋の食糧銀行設立、こういうテーマが議題になったと聞いておりますが、その内容、それからわが国のそれに対する対応、いかがでしょうか。
  29. 門田省三

    ○門田(省)政府委員 ただいまお尋ねございました点につきましては、現在バンコクで開催中の第三十八回ESCAP総会で事務局から提案された構想でございます。内容は三点ございます。第一は米及び小麦中心といたします地域的な備蓄構想でございまして、ASEANそれから太平洋地域、南アジア、この三つの地域相互間の備蓄問題、これを取り上げる。第二は食糧貿易に関します情報の収集、第三には食糧及び農業に関する投資の問題、この三つの点を内容とする構想が事務局から提示されたのでございます。  わが方といたしましては、このような構想はきわめて示唆に富むものである、したがいまして、十分検討に値するということで対処いたしておりまして、具体的にはこの備蓄制度というものがどういうふうな内容を伴う必要があるのか、そのフィジビリティーはどうであるか、こういった点を詰める必要があろう。また食糧貿易に関する情報の収集につきましては、すでにFAOがこの問題を取り上げておるという関係がございますので、このようなFAOの活動とESCAPが考えております構想の情報収集の問題、これをどういうふうに関係づけていくか、協力させていくか、こういった点を十分検討する必要があろうということで、わが代表からはESCAPに対しまして、まず専門家によってこの構想のフィジビリティーを研究しよう、その結果を踏まえた上でESCAPにございます農業委員会というふうなしかるべき機構においてこの問題を検討してはいかがか、こういうことで提案をいたしまして、これが大方の支持を得まして、まだ会期は終わっていないわけでございますが、予測するところでは、このようなわが方の提言の線に沿いまして今回のESCAPにおいてはこの問題を引き続き検討していく、こういうことになるというふうに観察いたしております。
  30. 高沢寅男

    高沢委員 いま御説明のその構想が実るような方向で今後も大いに御努力をいただきたい、こう思います。  時間の関係で、最後に食糧安全保障の狭い意味の、つまりわが国にとっての、こういうことで一つ二つお尋ねをしたいと思います。  要するにこれはいろいろな、天候不順ということもあり、国際情勢の変動ということもあり、しかし、そういう情勢があっても日本の国民の食糧確保に万遺憾なきを期す、こういう意味の安全保障の問題です。  われわれは、そのためには日本農業政策として日本食糧の自給度を高める、こういう基本的な政策、主張がありますが、これはきょうの場では一応横に置いておきまして、その安全保障のために必要な一つの問題は、結局アメリカからわが国穀物輸入、農産物輸入が非常に大きいわけであります。その相手のアメリカが、場合によるとこうした食糧の輸出を国際政治の武器に使う、こういうことをしばしば、いままでもやったし、どうもやる傾向がある。相手がこういうアメリカなわけでありますから、したがって、この点は、日本アメリカ関係でそんな心配はないと外務大臣はあるいは言われるかもしれませんが、かつて大豆の例においてそういうこともあったわけです。したがいまして、この点は大臣にお答えいただきたいのですが、アメリカに対して、日本に対してはもちろん、あるいはまたこれは全体の国際政策の問題としていかなる国に対してもそうした食糧の貿易問題を国際政治の武器に使うというふうなことはすべきでない、この点はしかと外務大臣からアメリカに対して確認を求めることをまずおやりになるべきじゃないかと思いますが、いかがでしょう。この間訪米されたときにその種のお話をされましたかどうか、そのことも含めてお尋ねをいたします。
  31. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 かつて日本に対してアメリカが大豆とかトウモロコシ、コウリャンを出さない場合がございました。これは戦略上出すとか出さないということでなく、現実に出し得ないような相当な事情があった。それは日本アメリカとの間では食糧について安定供給を得る必要がある、お話しのように大量に買い付けておりますから。ところが、一方に国際的に飢饉の状態のようなところがある。そこの方が優先だということになると、港湾での船のやりくりあるいは内陸の輸送の上でそっちを優先すると日本になかなか出せない、そういうことがあって、日本としてはそういうことを考えると、どうしてもある程度の食糧の確保の必要がある。今度の場合でもアメリカは農産物の輸出に大きな関心があるわけです。もっと買え、競争力のあるものを買えと……。しかしいまのようなこともあるから、そう一概にはいかぬよということはよく米側に申しました。  それから、いま戦略的に食糧を出す出さぬの御懸念を持たれたのでありますが、これは対ソ措置の中に、場合によれば全面禁輸ということも考えなければならないということが、即ソ連に対する食糧供給を戦略的に考えるのではないか、そういう疑問が持たれるわけですね。その辺の問題をお取り上げであると思うのでありますが、西欧諸国、日本に対していろいろな対ソ措置をアメリカが要望しておるにもかかわらず、現在ではむしろ食糧を出しておるじゃないか、アメリカはそういうことをしておって不都合だという逆の声も上がっておるわけでございます。そういう際にアメリカとして、必要な場合全面禁輸もするんだ、こういうことを言っておると思うのですね。しかし、そのような場合というものは私はほとんど考えられないのではないか。したがって食糧を御懸念されるような戦略上に利用して、そして人道上の問題がそこに起きてくる、こういう可能性はほとんどないのではないか。日本もまた食糧援助につきましては人道上の見地にのっとって、ポーランドの場合でもそれは出すということで、御懸念の点は私はまずないものと思います。
  32. 高沢寅男

    高沢委員 いま大臣から可能性の問題としての御説明もありましたが、そういう食糧というものを国際戦略の武器に使うことはすべきでない、あってはならぬ、日本政府としてはむしろそういう立場だと思います。そういう立場を鮮明にされて、そして対アメリカとか、この場合は世界じゅういかなる国に対しても、そういう戦略的な立場はとるべきでないということを今後とも貫いていっていただきたい、こう思うわけです。  それで、もうこれが最後になりますが、先ほどは国際備蓄でいろいろお尋ねしましたが、今度はそれとは別に、日本自体のいざというときに備える備蓄の体制、これはやはり必要だと思うし、お聞きするところでは、昨年来農政審議会の中でこの種の食糧安全保障の御検討が進められている、こうお聞きしておりますが、その点を農林省の方から、現状の作業の状態見通しというものをひとつ御説明いただきたいと思います。
  33. 須田洵

    ○須田説明員 御指摘のように昨年の十月から農政審議会におきまして専門委員会が開かれてございまして、食糧の安全保障の問題につきまして、備蓄の問題も含めまして、それから先ほど先生も御指摘のございました世界の食糧需給の展望をモデルで先日発表したところでございますけれども、そういったようなもろもろの点につきまして精力的に検討を進めているところでございます。できるだけ早い時期にその結論といいますか成案を得ていただきたいということで、形といたしましては、専門委員会の農政審議会に対します報告ということで取り扱われることになろうかと思いますけれども、できるだけ早い時期に結論をいただきたいということで、いま精力的に事務的にもいろいろ検討しているところでございます。
  34. 高沢寅男

    高沢委員 もう一度重ねて。その報告はいつごろになる見通しか、それから、その中には備蓄問題は結論としてはちゃんと出てくるというふうに考えていいのか、そこだけもう一度説明してください。
  35. 須田洵

    ○須田説明員 具体的なめどとしまして何月にということはいまの時点ではちょっと申せませんが、私どもの願望としましては、四月ないしは五月ぐらいの時点でまとめをしていただくというふうになれば幸いであるというふうに存じております。  それから、その中におきまして、備蓄の問題についてでございますけれども、備蓄の問題というのはその必要性という問題とあわせまして費用負担の問題とかそういう点がございますので、主にいわゆる備蓄を要すると思われる品目につきまして、国内的な関係からまいりますと米の備蓄の問題、あるいは小麦、粗粒穀物それから大豆、こういったような基幹的なものにつきましての備蓄の考え方というものを報告の中に盛り込んでいただくというふうにわれわれは期待しております。
  36. 高沢寅男

    高沢委員 以上で私の質問は終わりまして、河上委員に交代いたします。
  37. 中山正暉

    中山委員長 河上民雄君。
  38. 河上民雄

    ○河上委員 私は、いまかかっております日本国ドイツ民主共和国との間の通商及び航海に関する条約についての御質問をいたしたいと思いますが、同時に、これに関連しまして東ヨーロッパと普通言われております地域に対する日本政府態度につきまして若干御質問をいたしたいと思います。  きょうは時間が大変短いようでございますので、私の方も次々質問をいたしますが、御答弁の方もなるべく簡潔で明瞭で、そして誠意ある御答弁をいただきたいと思います。  まず、今回の通商航海条約を結ぶメリットはどこにあるというふうにお考えですか。
  39. 加藤吉弥

    ○加藤(吉)政府委員 ユーゴを含めましてアルバニアを除く東欧七カ国のうちで、東独との通商航海条約はこの種の条約として最後のものとなります。これをもってアルバニア以外の東欧諸国との通商航海条約が全部出そろったということが一つ申せると思います。  さらに、東独と日本との経済貿易交流は近年非常に盛んになっておりまして、ほぼ順調な伸展を示しております。今回の条約に基づき関税その他の最恵国待遇あるいは航海条項それから財産、身体の保護、こういう問題につきまして基本的な枠組み、安定的な基礎が得られる、こういう点に意義を認めている次第でございます。
  40. 河上民雄

    ○河上委員 いまアルバニアを除くと、こうおっしゃいましたが、アルバニアについては大使館の設置等もいま論議されているわけですけれども、今後アルバニアとの間にも通商航海条約を結んで、東欧に関しては一応全部完結するという方向に向かうおつもりであるのかどうか。また、今回そうした方針があるとしますならば、東西貿易の発展について政府が非常に熱意があるというふうに考えてよいものでしょうか。
  41. 加藤吉弥

    ○加藤(吉)政府委員 まず、アルバニアとの関係につきましては昨一九八一年にようやく外交関係の設定を見たという状況でございます。また、御案内のとおりアルバニアは東欧の中でも非常に特殊な政策をとる国でございまして、コメコンあるいはワルシャワ防衛機構には所属しておりません。一種の鎖国状態という状況で今日に至っている国でございます。一九七六年に採択されました憲法の中では外国との経済交流に非常に厳しい制限を課しておりまして、援助は一切受けつけない、あるいは合弁企業を認めないというような趣旨が書かれております。このようにかたくなな国でございますので、いますぐ将来のアルバニアとの貿易あるいは通商関係をどうするかということは即断いたしかねる状況でございますが、関係法令も国会の御承認を得たことでございますので、今後アルバニアとの間に兼館という形で外交関係を進め、徐々に相手側の気持ちをほぐし、特に対日認識というものを深めることによってまずアルバニアとの関係を順調に進める基盤をつくり、その上で通商航海条約締結が妥当であるかというようなことを検討してまいりたい、かように考えております。  東西貿易全般についての御質問でございますが、御案内のとおり一九七〇年代は緊張緩和、特にヨーロッパにおける緊張緩和とうらはらをなしまして、東西貿易が非常に伸展した時期でございます。しかし、これが八〇年代に入りましてから頭打ちの状況になっております。その理由は幾つかあると思いますが、一つは西欧経済自体の停滞ということ、したがって東側から物を買ってやれないという状況。それから第二の理由としては、東欧の経済の運営の仕方が非常にまずいということ、したがって資源の配分とかその開発が非常におくれておるということ、それから第三番目に東側の外貨事情が非常に悪くなってきておる、こういう事情から東西貿易は現在頭打ちという状況になっております。  これはまた同時に、最近かげりを生じております東西関係、緊張緩和というもののかげり、これが大きな影を投げかけているというふうに考えております。今後日本として、この東西貿易をどのように進めていくかという基本的な問題につきましては、昨年のオタワ・サミットにおきまして、特に対ソ経済関係につきましては今後安全保障の観点を含めて検討すべきであるということが合意されております。したがいまして、東西貿易を伸展させることは緊張緩和あるいは人と情報の交流、こういう面で大いに意義のあることではございますけれども、それが逆にソ連の軍事力の強化というようなものにつながるおそれもあるので、この安全保障という問題もしっかり頭に置いて慎重に対処してまいりたいと考えております。
  42. 河上民雄

    ○河上委員 東西貿易の展開につきましては、いま局長指摘されたように東側にもいろいろ事情がある、しかし西側の方も東西貿易を東側に対する政治的手段として利用してきたということは否めないと思うのでありまして、たとえばNATOの輸出禁止令、それに基づくココムリストあるいはカーター政権時代にも行われましたが、穀物の輸出停止というようなことがいろいろあったと思うのですが、今回のドイツ民主共和国との通商航海条約を結ぶ、そして東欧との関係を改善するというそういう方向と、いま御指摘もありましたが、オタワ・サミット宣言に盛られた、いわゆる東西関係においてわれわれの経済政策が政治、安全保障上の目的と適合することを確保するということを強調した上で協議及びその必要に応じて調整を行うというようなことを約束されたことはどうも合わないんじゃないか、こんなふうに思うのでありますが、オタワ・サミットとの関係と今回のこうした東欧諸国との通商航海条約締結を進めていくというこの考え方との矛盾というものについて政府はどう考えられますか。
  43. 加藤吉弥

    ○加藤(吉)政府委員 先ほども申し上げましたとおり、まず東西関係を伸展することは人、情報及び貿易の交流のために積極的な意義があるという点は認めます。ただし、それを進めるに当たってはやはり安全保障上の考慮、特に対ソ軍事力の強化につながるような措置は避けるようにしながら進める。この二つ先生指摘のように一見相矛盾する命題かもしれません。しかしながら、この東西関係というのは非常に複雑でございますし、必ずしも単純に割り切って一つ方向で統一的に進めることができる問題とは考えません。やはりきめの細かいいろいろな考慮を含めながら徐々に進めていくべき問題ではないかと思っております。したがって、この二つの命題の間に非常に大きな矛盾があるとは私どもは考えておりません。
  44. 河上民雄

    ○河上委員 そうは言われますが、御承知のとおりサミット宣言では戦時の情勢でなくても、つまり平時においても、国連憲章で規定しておるいわゆる経済制裁措置というものを考えているわけですが、そうしたことと、われわれがいま審議しております通商航海条約規定しております最恵国待遇を含むこうした条約、あるいは自由貿易というものを前提としたガットなどの国際協定というものとの間には明白な矛盾があるんじゃないか、オタワ・サミット宣言に同調した政府態度にむしろ責任があるんじゃないかというふうに私は考えるのですが、最恵国待遇を決めておりますこの通商航海条約といま言ったようなオタワ・サミット宣言における申し合わせとどっちが優先するとお考えですか。
  45. 都甲岳洋

    都甲政府委員 東独との通商航海条約におきましては、重大な安全上の利益の保護という場合にはこれを優先することができるという規定がございますので、一般的には最恵国待遇等を定めておりましてもこのようなものに当たるという事例におきましては例外を認められる仕組みになっております。したがいまして、たとえばココムの規制等はこのような安全上の利益の保護という見地からこれを行っているものでございますので、そのような観点が入り得る問題であろうと考えております。
  46. 河上民雄

    ○河上委員 いま言ったような解釈はドイツ民主共和国側も了解していることですか、それとも日本政府が一方的に考えていることですか。
  47. 加藤吉弥

    ○加藤(吉)政府委員 問題の性質上、これは相手側と了解を遂げるというようなものではないと考えております。ただいま条約局の方から御説明申し上げたとおり、政治的な次元の問題と法律的な次元の問題とはおのずから相異なるものである。特に近年における東西関係の不安定その他の最大原因はソ連の軍事力の増大にあるということを考えますれば、やはりその政治次元における考慮というものは今後ますます重要な意味を帯びてくるのではないか、かように考える次第でございます。
  48. 河上民雄

    ○河上委員 それでは、アメリカ政府が対ソ制裁措置を日本に呼びかけた場合、それもまたココムの制限と同じような意味を持っているというふうに日本政府は受け取っているのですか。
  49. 加藤吉弥

    ○加藤(吉)政府委員 すでに日本政府のポーランド問題に関連する対ソ措置、対ポ措置の発表の中にも書かれてございますとおり、国際協調、特に西側諸国との協調、協議というものを非常に重視しているわけでございます。  先生の御質問は、恐らくそのポーランドに関連して、日本のとっている措置に焦点を合わせてのことかと思いますが、今回の対ソ措置において従来と違っている一つの要素は、お互いに協調を守るということと同時に、お互いにアンダーマインしない、与国のとった措置を損なうようなことはしない、こういう規定があるわけでございます。したがいまして、協力の内容もすべてが同じ措置をとるということじゃない、しかしせっかく一つの国がとった措置を、同じ与国の、同じ同盟関係あるいは友好関係のあるほかの国がこれを損なうようなことはしない、そういう観点から国際協調ができているわけでございます。
  50. 河上民雄

    ○河上委員 それでは、具体的なことをお尋ねいたしますけれども、外務大臣は訪米の際にヘイグ国務長官とお会いになったと思いますが、その会談でヘイグ国務長官から、対ソ制裁措置に関連して、わが国の小松製作所がソ連と契約したヤンブルグ天然ガスパイプライン向けの敷設機械の船積み中止の要請を受けたということでありますけれども、これは本当ですか。そして、それに対して大臣はどのようにお答えになったのですか。
  51. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 小松のパイプラインの敷設機の問題につきましては、話は出ました。しかし、私の方から直ちにその場で、既契約の分についてはその出荷をとめることは非常に困難である、そういうお答えをして、わが方がそれを出さないような措置をとるということについてはむずかしいことを答えました。  ただ、せっかくのお話でありましたから、これからの出荷分について、時期的に多少勘案することができれば、それは考えてみたいという程度のことはつけましたけれども、答えとしては既契約分は困難であるということを答えてあります。
  52. 河上民雄

    ○河上委員 そういたしますと、大臣は、米側の要求は既契約分としてそして今後の契約と両方にまたがっていたというふうに受け取られたわけでございますね。
  53. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 今後の分については何ら触れておりませんでした。すでに契約しておる分について配慮ができないか、こういうことで、それは非常に困難だ、そういうお答えをしたわけです。
  54. 河上民雄

    ○河上委員 そうしますと、先ほど欧亜局長が言われた、ソ連との関係における安全保障上の考慮からアメリカが要求してくる、呼びかけてくるものについては、それに応ぜざるを得ない、こう言われながら、他方既契約分についてははっきりお断りした、こういうことでございますね。  ところが、今度はアメリカ側は新規の契約については何も触れていないのに、アメリカの意思をそんたくして、今度は新規の分についてはこれは断らせる、中止させるという方針を持っておられるのかどうか。どうもアメリカとの交渉ということにつきまして、特に最近何か相手の意思をそんたくして、どうもアメリカがここら辺まで要求しているのではないかということで、日本側がそれに何か対応策を発表するということが続き過ぎているように思うのです。そのことがかえって日米関係をぎくしゃくさせているように思うのです。いま大臣は、ヘイグ国務長官は新規については何も触れていないとおっしゃったのにもかかわらず、新規のもので既契約分を断ったことの代償にしようというような感じを受けるのでありますけれども、これは本当にそういうことなんですか。
  55. 加藤吉弥

    ○加藤(吉)政府委員 事実関係を御説明いたします。  パイプ敷設機、当該の機械をつくる能力を有する国は、現在のところアメリカ日本だけでございます。アメリカはキャタピラー社という会社がございまして、これと日本の小松が当該の機械をソ連に輸出しているわけでございます。ところが、アメリカは、昨年末の対ソ措置の効果といたしまして、キャタピラー社の約二百台に及ぶパイプ敷設機の対ソ輸出を禁止するという措置に出たわけでございます。その際及びその後の経緯を通じまして、アメリカ側はキャタピラー社の輸出をとめたという措置を損なわないような配慮を日本としては加えてほしい、そういう要請はしばしば来ております。  これに対する日本側の対応ぶりは、先ほど大臣から御説明したとおりでございますが、すでに契約済みのものについては、これは認めざるを得ない、しかし新規の契約につきましては今後自粛していきたい、これは外務大臣のみならず安倍通産大臣アメリカ側に言っておられることでございますし、私どもの承知する限りでも、通産省はそういう趣旨で当該業界に自粛を呼びかけている、かように承知しております。
  56. 河上民雄

    ○河上委員 いま呼びかけてきておる、いわゆる西側諸国が足並みをそろえるために、他国がやめたものを日本がやるということになると他国の利害を損なうから、日本も同じようにやめるべきだ、簡単に言えばこういうふうに御説明があったように思うのですが、アフガンのときの対ソ制裁措置というものは、はっきり言うと、いわゆる西側諸国でも足並みが乱れたわけですね。その先頭に立っているアメリカが、穀物輸出を禁止していたのを、その禁止措置を率先して解除しているわけでして、それぞれ自分の国の国益を踏まえながら措置を決定しているわけでして、日本のようにいわゆる西側諸国すべてに顔を立ててやるというようなことでは、これは日本の国益を守ることは不可能なのじゃないか、私はそういうふうに思わざるを得ないのでありまして、この小松の問題につきましては、日本がせっかく何かやったのに、アメリカ日本との約束を破るようなことをやった場合に、果たしてはっきりと抗議をするおつもりがあるのかどうか。
  57. 加藤吉弥

    ○加藤(吉)政府委員 先ほどの私の説明に不十分な点があったかもしれませんが、既契約分の輸出はとめることができないという日本側の態度に対しまして、アメリカ政府、特に報道官の説明では、小松の既契約分の対ソ輸出はアメリカの措置を損なうものではない、アンダーマインするものではないという見解を正式に発表しております。したがって私どもは、既契約分の輸出についてはアメリカのとっている措置を損なうものではないという確たる認識を持っているわけでございます。  第二に、対ソ措置につきまして国益を踏まえてやるべきであるという先生の御指摘、まことにごもっともでございます。私どもが現在進めております各種の措置、これもやはり日本の国益というものを十分踏まえた上での措置である、かように考えております。日本の国益は何かという非常にむずかしい問題になると思いますけれども、アメリカとの協力、協調関係、それから西側との協力、協調関係を維持することはやはり日本にとって最大の国益ではないか、かように考える次第でございます。
  58. 河上民雄

    ○河上委員 いまいわゆる東ドイツ、ドイツ民主共和国との通商航海条約の審議をしているわけでございまして、日米の経済関係条約を審議しているわけじゃないのです。私どもはやはりこういう条約を審議する以上、それが全体的な日本の国際関係、外交姿勢の中でどういうふうに結ばれるかということを確認しないと、われわれがこれにサインするというわけにいかない、このように私は思うのでありまして、その立場から御質問しているわけです。やはり各方面の利害とのバランスというものは無視はできないでしょうけれども、しかし、東西貿易の伸展というものを、そしてそれが世界平和に寄与するという立場でやってもらわないと、いつもアメリカだけを見て、アメリカの意思をそんたくしながら行動するというパターンがどうも最近非常に顕著になっているようなんですけれども、それだけはこの際やめてもらいたい、私はそういうように申し上げたいのであります。  もう時間も余りありませんので、この問題はこの程度にいたしますけれども、私はせっかくいま東ヨーロッパとの関係について、それをテーマに議論いたしておりますので、ユーゴスラビアと西側との貿易あるいはソ連との貿易の状況についてお尋ねをいたしたいと思うのであります。  それはなぜかといいますと、私がいま手にいたしました統計によりますと、ユーゴスラビアの東側、西側との貿易のバランスを見てまいりますと、ここ二、三年ソ連との間の貿易が非常に急激に伸びておって、先ほど欧亜局長のお話がありましたように、西側の経済の停滞を反映して西側の方との貿易というのは非常に落ちてきておる、こういうことが指摘できるわけです。  七九年にソ連の輸出は全体の二一・六%でしたのが、八〇年には二七・七%、八一年には三三・三%と、こういうふうに伸びてきているのに対しまして、たとえば西ドイツなどは、九・二%だったものが八・七%、そして去年、八一年には七・九%と、こういうふうに落ちてきております。アメリカ、イタリー、すべて西側はそうなっておる。そういう中でひとりソ連との貿易量、特にソ連がユーゴスラビアから買う貿易量というのが急激に伸びておって、そのことがユーゴスラビアの経済を支えていくという状況にだんだんなってきているわけです。  御承知のとおり、ユーゴスラビアは非同盟主義の一つのいわば総本山として、今日国際情勢の中に位置しているわけですけれども、そういう点から、ユーゴが西側に傾く、あるいは東側に傾くということは基本的にはないとは思いますけれども、私は、こういうここ両三年の貿易の傾向というのは非常に重要な意味を何か示唆しているのじゃないか、こんなふうに思うのですが、日本の外務省としてはこういう問題についてどうお考えでいらっしゃいますか。
  59. 加藤吉弥

    ○加藤(吉)政府委員 ユーゴスラビアは、一九八〇年にチトー大統領が亡くなった後、集団指導体制を導入して、チトー大統領の路線を踏襲するということに努めております。すなわち、国内面では自主管理方式に基づく経済運営、対外面では非同盟主義の堅持、こういう路線を守っておりまして、ほぼチトーの遺志を継いで成功していると考えております。  昨年の春にはコソボ事件、つまりアルバニア系住民の暴動というようなこともございましたけれども、これも鎮圧され、大事に至らず、ほぼ鎮静化され、現在に至っているという感じがいたします。  ただいま先生指摘のとおり、過去数年の統計を見てみますと、西側、特にアメリカ、西独等との貿易が減少しているのに対して、ソ連との貿易が非常に伸びております。これはやはり、チトー亡き後のユーゴスラビアに対するソ連の関心のあらわれではないか、かように考えているわけでございます。  同時に、ユーゴスラビア自身非常に経済的な困難を抱えておりまして、特に金融面で日本の協力を仰いできているというような事情もございます。私どもといたしましては、ユーゴスラビアの地理的あるいは地政学的な地位の重要性、かつ非同盟の一員としての重要性、こういうことに着目いたしまして、ユーゴの経済の立て直しのためにはできるだけ協力していきたいと考えている次第でございます。
  60. 河上民雄

    ○河上委員 政府は具体的に何か措置を考えておられますか。先ほど来、貿易は民間がやることだという考え方と、いや、政府が政治的な考慮である程度の指導をするという、ストップかけたり進めたりという考え方とがまじり合って出てきているような気がするのですけれども、ユーゴの場合は民間に任せっきりでいこう、買う物がなければしようがない、こういうようなお考えですか。それとも、ユーゴとの貿易について、日本としてもある程度貢献するために何か具体的に考えておられますか。
  61. 加藤吉弥

    ○加藤(吉)政府委員 当面ユーゴとの間で問題になっておりますのは、ユーゴの外貨不足、そのための西側からする金融支援ということでございます。この面につきましては、もっぱら日本の市中銀行、西側諸国の市中銀行が関与しているということでございますので、いま御指摘のとおり、政府としては直接これに介入することはできないし、またそれを避けるという態度でございます。しかし、先ほど来申し上げておりますとおり、ユーゴ問題の重要性にかんがみ、政府としても側面から日本の当該金融界あるいは実業界に対しまして、できるだけ好意的にユーゴ問題を処理してほしいという要請は繰り返し行っております。
  62. 河上民雄

    ○河上委員 ユーゴの問題は、日本の経済全体から見たら非常に小さな問題かもしれませんけれども、先ほど局長もちょっと言われましたように、世界政治の中から見たら、これは大変重要な意味を持っているわけでして、私どもとしてはユーゴの姿を見ておれば世界の情勢がわかるというぐらいの気持ちでやはり注目をすべきじゃないか、こんなふうに思います。  もう時間が参りまして、ちょうど五十分になりましたので、これで私の質問を終わります。ありがとうございました。
  63. 中山正暉

    中山委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  64. 中山正暉

    中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。野間友一君。
  65. 野間友一

    ○野間委員 前回のときにお伺いした続きということなんですが、まずお伺いしたいのは、いわゆる科学博の問題から入りたいと思います。これについて前回のときに、昨年の三月十九日の科学技術委員会におきます附帯決議、これらが具体的にどのように中身が考えられ、進捗しておるかということを聞いたわけですけれども、これについて外務省はまともな答えがなかったわけです。  きょうは科学技術庁来られておると思いますが、この点について特にお伺いしたいのは、中小企業の積極的参加、これについて具体的にどういう配慮を考えておるかということと、それからこれは外務省とも関連するわけですが、途上国の積極的参加、これが得られるように、条約の二十二条との関係で、具体的にどういう特典と申しますか、来やすくする、そういう段取りを考えているのか、その点についてお伺いをしたいと思います。
  66. 平野拓也

    ○平野説明員 お答え申し上げます。  昨年の本院の科学技術委員会におきまして、附帯決議をつけていただいたわけでございます。これは先生案内のとおり、大きく分けまして五つの項目があるわけでございます。それから参議院の方でも同趣旨の附帯決議をいただいておりまして、それは表現の相違は若干ございますけれども、ほぼ同趣旨ということで、これをまとめまして実施状況ということを御説明申し上げます。  まずその第一点は、博覧会が国民の理解と協力のもとに成功をおさめるよう、広く各界の意見を聞いて企画を進めるというふうな決議をいただいておりますが、これにつきましては、博覧会の実施運営の主体であります博覧会協会がその博覧会の憲法とも言うべき基本構想その他をつくる場合、あるいは会場計画等につきましても、広く各界、各方面の専門家あるいは一般の有識者の御意見を承ってこれを進めておるということでございます。
  67. 野間友一

    ○野間委員 ちょっと途中ですけれども、二項と三項に関してお願いしたいと思います。
  68. 平野拓也

    ○平野説明員 はい。それから博覧会はできるだけ多くの諸外国をということでございますが、その中で特に発展途上国対策ということが触れられております。これにつきましては、昨年の九月に閣議決定をいただきまして、すでに百六十一カ国、五十四国際機関に対しまして正式の招請状を発しておるわけでございます。もちろんこの中には開発途上国も多数含まれておるわけでございますが、これをどういうふうに優遇するといいますか、たくさん来ていただけるかということにつきましては、外務省にもいろいろ御相談を申し上げておるわけでございますが、博覧会協会あるいは私どもの方といたしましても、これはこのテーマからいたしまして、最新の科学技術あるいは先進国だけが参加するということは非常にふさわしくないということで、博覧会協会でつくりました基本構想におきましても、そういう趣旨のことを盛り込み、できるだけ多くの国々に来ていただきたいという方向で、いまいろいろ招請活動をしておるわけでございます。  具体的に発展途上国にどういう措置を講ずるかということにつきましては、これは博覧会条約及びそれに沿ってつくりました規則等の制約等もいろいろあるわけでございますけれども、博覧会協会ができますことというのは、これはいまいろいろ工夫しておりますが、たとえば発展途上国等が博覧会場でいろいろな物品を販売するといった場合に、そういうものに対するいろいろな優遇措置とか、あるいは展示のための知恵をかすとかいったような、きめ細かいサービスというようなことをこれからやっていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。  それから中小企業、特に伝統産業等が積極的に参加し得るということでございますが、これまたこのテーマが人間から出発しまして、その周りのものというようなことで私どもは進めていくということでございますから、当然、伝統的なものあるいはそれにいろいろかかわり合いを持っていらっしゃる中小企業というようなものが参加していただけるというふうにわれわれは考えておるわけですが、具体的には、これは出展参加とかあるいはいろいろなその他の参加ということもあるわけでございます。博覧会の基本構想におきましては、このために、たとえば時間型参加というようなことができないだろうかというようなことをすでに検討の対象として進めておりますし、それからパビリオンを出すという場合につきましても、業種別とかあるいは分野別とかあるいは地域別とかグループ化とか、いろいろな方法があるわけでございます。これにつきましては、つい先般、民間企業等に対しまして説明会を行いまして、それにたくさん中小企業の方々がおいでになって、大変関心が高かったわけでございますので、今後関係方面と具体的に御相談しながらできるだけたくさんの中小企業の方々に参加していただけるように全力を尽くしたい、こういうことでございます。
  69. 野間友一

    ○野間委員 まだ具体的にそんなに詰まってはいないように思うわけですけれども、せっかくわれわれがつけたものでありますから、ぜひこれについて具体的に、途上国やあるいは中小企業が積極的にたくさん参加できるように外務省とも協議の上で進めていただきたい、こう思います。  それではこれについてはこの程度にいたしまして、次に、食糧援助規約について前回の続きの質問をいたしたいと思います。  前回お聞きしたのは一条の目的ですね。世界食糧会議の目標の実質的な達成の確保という点で、この世界食糧会議の中身について、たとえば人道的な見地に立つこと、政治的な目的を押しつけないこと、あるいは緊急かつ栄養的な必要に対応するということ等について、宣言や決議、これを私の方で引用しながら、日本政府のこれに対する対応についてもお伺いしたわけですけれども、これは前回認めたわけですね。  そこで、こういうようなことを前提としてこれから進めていきたい問題は、東南アジア、特にASEANあるいはインドシナ、この中で特にベトナムを中心としたインドシナ半島に対する援助についてお伺いいたしたいと思います。  前回のときに、この規約に基づく援助の状況についてお伺いしたところが、これは答えられなかったという経緯がありますが、そこでまずお伺いしたいのは、このベトナムを中心としたインドシナ、ここに対する食糧援助が必要かどうか、どういうふうに政府は見ておるのか、まずこの点についてお伺いしたいと思います。
  70. 木内昭胤

    ○木内政府委員 ベトナム、カンボジアにおきます食糧事情は、決して容易な状況でないということは過去にもございましたが、最近はベトナムも豊作でございまして、また一昨年のような台風による水害等がなかったわけでございまして、一応充足されておるというふうに承知いたしております。  カンボジアにつきましては、国際機関を通じます食糧援助が行われておりまして、またその一翼をわが国が担っておるわけでございますが、数年前に比べますと、カンボジアの状況は決して悪くないようだ、全土くまなく観察された報告による判断じゃございませんけれども、場合によってはベトナムよりもいいぐらいだという観測もあるやに承知いたしております。
  71. 野間友一

    ○野間委員 よくなりつつあるといういまの認識のようですけれども、私がいまお聞きしたのは規約に基づく援助、これの必要性があるかないか、どういう判断をしておるのか。現にたくさん外国はしておるわけですけれども、その点についての認識の程度です。
  72. 藤田公郎

    藤田説明員 お答え申し上げます。  過去におきまして、インドシナ三国に対する食糧援助としましては、五十三年にラオスに対しまして一億一千万円の食糧援助を行っております。それから、いまアジア局長からベトナムの食糧事情についてはお答えを申し上げましたが、カンボジアの情勢にかんがみまして、カンボジアの中におります被災民に対する食糧援助の必要性というのは国際機関も種々指摘をしている状況でございまして、簡単に過去三年の数字を申し上げますと、昭和五十四年度にはカンボジア国内の罹災民のために、日本米で十八億三千万円、これはトン数にしますと二万トンちょっとになります。それから、五十五年度日本米三十一億円、三万トン余りになります。それから、昨会計年度、五十六年度日本米二十一億円、一万七千トン程度の援助を行っております。
  73. 野間友一

    ○野間委員 インドシナ三国の中で特にベトナムの問題について先ほどから聞いているわけですけれども、穀物年度八〇年−八一年、これを見てみますと、スウェーデン、ノルウェー、それからスイス、これはWFP経由がスウェーデン、ノルウェー、それからIRC経由がスイス、こういうことで、いま現にこの規約に基づく援助が続けられている、これは事実だと思いますけれども、この点の確認をまずしたいと思いますが。
  74. 藤田公郎

    藤田説明員 ただいまの御指摘のとおりでございます。
  75. 野間友一

    ○野間委員 前年の七九年−八〇年、ここでもスウェーデンがWFP経由、それからEECも同じところ経由、それからカナダ、こういうことですね。それから、ずっと振り返って見ましても、かなりの国がベトナムに対して食糧援助規約に基づく援助をし、また現にいま申し上げたように、一番新しい八〇年−八一年についても実はやっておるわけですね。ところが、日本はたしかここ近年やっていないというように思いますけれども、いつまでベトナムに対してやったのか、いつからやっていないのか、その理由は何なのかということをお聞きしたいと思います。
  76. 藤田公郎

    藤田説明員 ベトナムに対します食糧援助は七五年以降は行っておりません。
  77. 野間友一

    ○野間委員 先ほどアジア局長、ベトナムにおいては食糧事情が好転しておるという表現もありましたけれども、しかし、現にいま申し上げたように幾つかの国が援助をしておるわけだし、決して援助が必要でないような状態じゃないことは事実なんですね。私は、この間も、また、きょうも冒頭に申し上げたように、政府食糧援助についてはこの条約にうたう「世界食糧会議の目標の実質的な達成」、こういうものを踏まえた援助ではなくて、戦略的あるいは政治的な観点からの援助、これがいま挙げましたベトナムに対する援助にも端的に出ておる、こう言わざるを得ないと思うのですね。  特に木内局長に私がお聞きしたいのは、ベトナムを初めインドシナ三国、特にベトナムですが、あなたは非常に敵視あるいはあざけりと申しますか、大変なことを物の本に幾つか書いておられるわけですね。私は、日本政府局長がいかがかと思うようなことがたくさん書かれておりますので、その点についてお伺いしたいわけですけれども、たとえば「経済と外交」ですね。これは昨年の一月二十二日に日本工業倶楽部でやられた講演、これが木内さん、「経済と外交」の八一年の二月号に活字になって出ておりますね。ここでも「インドシナは今や飲まず食わずに近く商売の相手としてはとるに足らない。資源の供給源としてもゼロに近い。」こういうふうに言っておられる。さらに「ベトナムは経済的にも物凄く疲弊していまして、ハノイでは、盲腸の手術をするにも麻酔薬すら手に入らないという非常に苦しい状況です。」こういうことを言っておられるわけです。これはいま申し上げたように、昨年のASEANへ鈴木総理と一緒に行かれたその後の講演会のときの講演の中身なんです。ですからここでは、経済的にも物すごく疲弊しており、「飲まず食わずに近く」云々、こういう大変な認識をあなたはインドシナに対してしておるわけです。こういうような表現。しかも「商売の相手としてはとるに足らない。資源の供給源としてもゼロに近い。」私はこういうことは局長言葉としては物すごく行き過ぎだ、こう言わざるを得ないと思うのですね。先ほどの答弁の中では若干ベトナムの食糧情勢について緩和するような発言がありましたけれども、ああいうふうなベトナムに対する認識、発想、べっ視と敵意、あるいは大国主義、こういう認識が日本のインドシナに対する認識として果たして適切かどうか、非常に疑問に思うわけです。この点について、私は局長の弁明を求めたい。
  78. 木内昭胤

    ○木内政府委員 表現が不穏当であったということは、私もこれを否定するものではございません。ただ、ベトナムの経済事情が非常に窮迫しておることは事実でございまして、昨年の夏以来諸外国に対する元利金の返済にも非常に難渋しておるという状況があるわけでございます。そういう意味ですべて商取引は現金決済で、しかも枠が非常に狭められておるという事情があるわけでございまして、その限りにおいては貿易を伸長するにもなかなか困難があるという事情は今日に至っても変わっていないと思います。私どもベトナムを敵視するつもりは毛頭ございませんし、先般チョーライ病院に対する医薬品の援助も行ったわけでございますし、また、昨年の五月、私、ハノイに出張させていただきまして、グエン・コ・タック外相ともインドシナの問題について率直な意見交換を行った経緯があることを申し添えさせていただきます。
  79. 野間友一

    ○野間委員 いま表現が適切でないというふうに局長は言われたわけですけれども、大臣、いまお聞きになってどういうふうにお考えになりますか。
  80. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 インドシナ全体の国際情勢がきわめて不安定であり、また、流動的である、そういう状況の中で民衆の生活も逼迫をしておる。したがって、これらの諸国に援助をする必要性のあることはよく痛感するのでありますが、残念ながらいま申し上げたような複雑な情勢の中で国際的な枠組みがございまして、それらのことも日本として十分配慮しなければならないようなそういうこともございますので、ベトナムに対する援助については本当の緊急の、ただいま木内局長の申しました医薬品の関係のものを先般援助をしたほかはひとまず凍結状態にある、こういう実情にあることを、この国際情勢全般の中でやむなくとっておる措置ということでございます。
  81. 野間友一

    ○野間委員 二国間の協定なり取り決めで援助するかどうか、先ほど外務大臣は複雑な状況にあるというふうな表現をされましたけれども、それはそれとして、私が聞いておるのは、人道的な見地に立って世界食糧会議に従ってやらなければならぬ、援助規約に即して政治を絡ませてはならない、人道的な立場に立ちなさい、緊急かつ栄養的なそういう観点から取り組みなさい、これがまさに会議の中身、目的なんですね。したがって、この規約に基づいて、まさに人道的な立場から、ベトナムやあるいはインドシナ全体が困っておるとするならば、これに対する援助をするのは当然だと思うのですね。二国間の関係であれこれおっしゃるのはそれはそれとしても、もっと考え直してこの援助をするべきじゃないかと思いますけれども、強く要求したいと思いますが、いかがですか。
  82. 木内昭胤

    ○木内政府委員 ラオスに対しましては引き続き無償援助を供与いたしております。カンボジアにつきましては国際機関を通じまして食糧援助を行っておりますことは野間委員御承知のとおりでございます。ベトナムにつきましては、大臣が御答弁になりましたとおり、昨今の、七八年の十二月以降の事態にかんがみまして、この問題は国連でも何回にもわたり討議された事柄でございますが、そのような情勢にかんがみまして引き続き慎重に対応せざるを得ないんじゃないかというふうに考えております。
  83. 野間友一

    ○野間委員 しかし、いまでもスウェーデン、ノルウェーあるいはスイスがやっておるわけですよ。ですから、私が聞いておるのは、二国間としてはともかくとしてもということを前提にして聞いておるわけです。やはり人道的な立場に立って、この規約に基づいて食糧援助をするのがなぜ悪いのでしょうか。外務大臣、いかがですか。もう一遍御答弁をいただきたいと思います。
  84. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは国際的な枠組みの中でどう考えていくか。現在、ベトナムがソ連から多額の援助を受けておるというのが実情だと思うのです。それから国際的には何が批判されておるかということになると、ベトナムがカンボジアに兵を入れておる、こういうことから国連は兵を引き揚げるように、撤兵するように、こう言っておりますね。そうすると、いま人道的の援助ということであるが、それほど困っておるのにカンボジアに兵を入れてまで一体どうしているのかというような、そういう物の見方も出てくるわけですね。しかし、また野間委員のおっしゃるように、理解を持ってスウェーデンやノルウェーが援助もしておる。これは表現が非常に悪いのですけれども、日本日本としてそういう状況を考えながらおる、そうすると他の面から考えて、いや、それは気の毒だから応援しようという国も出るが、しかし、日本が必ずしなければならないということでもないと思うのですね。いまの国際情勢全般を考えながら援助をする国もある。日本としてはいまそういうことよりもベトナムが兵を引いて、そしてインドシナの安定に向かう方がよろしい、その間にあってどう考えるか。ただ、人道的というと確かにそのとおりなんですけれども、そういう複雑な絡み合いを念頭に置きながら考えて、一応意思表示をしておる援助についてもやむなくこれを凍結するという状況にある、こういうことだと思うのです。
  85. 野間友一

    ○野間委員 カンボジアに対するベトナムの駐留については、いま外務大臣が言われたのと私は全く見解を異にしておりまして、私たちは、アフガニスタンに対するソ連の軍事介入、これとは全く違ったもので、適正な援助の要請によってベトナムが駐留しておるという立場をとっておりますけれども、それはそれとして私が聞いておるのは、この小麦協定の中での食糧援助規約、これそのものがたてり、前提がまさに人道的な立場に立ってやるということが、何回も会議が開かれ、その中での宣言やあるいは決議の中で実っておるということなんですね。ですから、これに即してやるということが当然のたてまえであるにもかかわらず、先ほどからお聞きしておりましたら、日本政府はこの援助規約そのものをゆがめて政治的あるいは戦略的な配慮からいろいろ差別なりそういう色合いで段取りするということは、私はこの規約からしてもやはり許されないというふうに思うわけですね。ですから、その背後には、いまもいみじくも外務大臣が言われましたけれども、やはりインドシナ、特にベトナムに対する敵視あるいは憎悪ですね、そういうものがあるのじゃないか、こう言わざるを得ないと思うのです。  木内さんは別のところでも書いておられますけれども、これは「アジア問題の総括と展望」日本外交協会の八二年、ナンバー二十四ですね。この中でも「ベトナムとの関連で絶えず議論になるのは、これ以上ベトナムを痛めつけることにより一層ベトナムをソ連に追いやることになるのかどうかという分岐点です。」こういう露骨な本音がまさにずばりこれに出ておると思うのですけれども、これは本当に失礼ですよ、こういうことを書くこと自体。こういうことを発想すること自体が失礼なんですね。だから、先ほどから引用しておりますように、どうも木内局長は、ベトナムを中心としたインドシナに対する乱暴な大国主義的な憎悪とべっ視それから日本のおごり高ぶり、これが随所に出ているわけですね。ですから、こういうものがあるから、いまいろいろ言われますけれども、この規約に即した援助ではなくて政治的に選別と差別をしていくという態度になって出ておる、私はこう言わざるを得ないと思うのです。この点について強く政府に再検討を要求して次に質問を進めたいと思いますが、この援助関連して次にお聞きしたいのは、紛争周辺国援助の問題であります。  最初にお伺いしたいのは、紛争周辺国援助といわゆる一般的にいう途上国援助、これとはどういうふうに違うのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
  86. 柳健一

    柳政府委員 お答え申し上げます。  先生案内のとおり、わが国援助はすべて発展途上国の経済社会開発と民生の安定、福祉の向上に貢献することを目的として行っているわけでございます。当該開発途上国がたとえば国際紛争に巻き込まれて不安定になるということは世界の平和と安定に悪い影響を及ぼす、言いかえますと、世界の平和と安定に貢献するということを私どもの援助の主要な目的にしているわけでございます。  特に紛争国に近いところにある国、紛争周辺国と私どもが考えておりますのは、ただいまのところ、タイとパキスタンとトルコの三カ国でございますが、こういうところが紛争に巻き込まれずに、政治的、経済的に安定するようにという意味援助を行うわけでございますから、私どもの援助の根本理念においては全く同じことでございます。
  87. 野間友一

    ○野間委員 端的にお答えいただきたいと思いますが、そういたしますと、紛争周辺国援助発展途上国援助ということは同じことなのか違うことなのか、これはいかがですか。
  88. 柳健一

    柳政府委員 全く同じことでございます。
  89. 野間友一

    ○野間委員 そうすると、外務省はいま、政府としてお使いになる場合に、紛争周辺国援助と言う場合と発展途上国援助と言う場合と全く同じだということですね。いまのはそういうことですか。
  90. 柳健一

    柳政府委員 正確に申し上げますと、発展途上国の中に紛争周辺国も含まれておる、こういうことでございます。
  91. 野間友一

    ○野間委員 去年の五月の日米共同声明、この中の、いまあなたが言われた「世界の平和と安定の維持のために重要な地域に対する援助を強化してゆく」、このことと紛争周辺国援助、これは同じなんですか、いま若干それに触れられたと思いますが。
  92. 柳健一

    柳政府委員 紛争周辺国と申しますのは世界の平和と安定にとって重要な地域の中に含まれております。
  93. 野間友一

    ○野間委員 紛争周辺国に援助すると言う場合に、紛争周辺国とは紛争地域の周辺すべての国を指すのでしょうか、それともいわゆる西側、ここだけを指すのか、この点はどうなんですか。
  94. 柳健一

    柳政府委員 私どもは、紛争周辺国がどれであるかというのは、その具体的なケースごとに、ケース・バイ・ケースで判断しておりますが、ただいままでのところではタイ、トルコ、パキスタン、この三カ国をいわゆる紛争周辺国と観念いたしております。
  95. 野間友一

    ○野間委員 だから、そういうふうに三カ国だけを紛争周辺国と観念しておるということは、同じ周辺の国であっても東側は含まないということになるわけですか。その理由は何でしょう。
  96. 柳健一

    柳政府委員 発展途上国の中で紛争周辺国というものを決めておるわけでございます。
  97. 野間友一

    ○野間委員 それはわかるのですけれども、そうすると、西側とか東側とかあるいは南北というのがありますけれども、どうも私よくわからぬからお聞きしておるわけですが、日本政府としては西側だけを限って考えておるかどうか。発展途上国と言われますけれども、そういうことですか。
  98. 柳健一

    柳政府委員 お答えいたします。  西側とか東側ということでなしに、発展途上国という観念でとらえております。
  99. 野間友一

    ○野間委員 そうしますと、紛争がある場合に、その周辺にある発展途上国はすべて紛争周辺国、こういうふうになるわけですか。
  100. 柳健一

    柳政府委員 すべて直ちに当然になるわけではございませんで、紛争が実際に発生したりしているときの状況を見まして、具体的に、個々に判断するようにいたしております。
  101. 野間友一

    ○野間委員 だから、その判断の基準がどこにあるのかわからぬから聞いておるわけですけれども、いまのお話では、現在政府としてはタイ、パキスタン、トルコ、この三カ国ですね、これだけだということですか。
  102. 柳健一

    柳政府委員 ただいまのところはその三カ国だけでございます。その理由は、たとえば紛争によって経済的に大きな衝撃を受けているとか経済的に不安定、危険があるということでございます。
  103. 野間友一

    ○野間委員 そうすると、三カ国だけに限定するということですから、中米諸国にはその対象国はいまのところないということになるわけですね。将来生まれる可能性があるかないかということについてはいまのところはどうでしよう。
  104. 柳健一

    柳政府委員 中米・カリブ諸国につきましてはただいまのところございません。将来そういう可能性があるかどうかについては私はいまのところ予測はできないと思います。
  105. 野間友一

    ○野間委員 じゃ、紛争周辺国援助について三つ挙げられましたので、トルコについてお聞きしたいと思います。トルコが対象とされたその理由は何でしょう。
  106. 柳健一

    柳政府委員 お答えいたします。  アフガニスタンの問題が関係していると理解しております。
  107. 野間友一

    ○野間委員 いや、ちょっといまわかりかねたのですけれども、アフガニスタンの問題が関連しておると理解しておる、こういうことですか。どういうことですか。
  108. 柳健一

    柳政府委員 アフガニスタンの事件が関係しております。
  109. 野間友一

    ○野間委員 アフガニスタンの事件が関係しておるという話ですけれども、アフガニスタンの事件が関係しておるのは必ずしもトルコだけに限るわけじゃないでしょう。たとえば、あなたの方でおっしゃるタイとかパキスタン、これについてはいろいろと理由が言われるわけですけれども、トルコについて、どうもさっぱりあなた方の立場に立っても私わからないので聞いておるわけです。それでは、何であの周辺でトルコだけが紛争周辺国になるのか。中東では一つでしょう。
  110. 柳健一

    柳政府委員 トルコは中東においても、特に世界の平和と安定に重要な地域であるという考え方に立っているわけでございます。
  111. 野間友一

    ○野間委員 木内さん、あなたばかり問題になるのですけれども、八一年二月の「経済と外交」の中で、トルコの援助について述べておられます。その中では「NATOの南翼、非常に脆弱な南翼をになう地域ですので、応分の援助をすることを決めた」、こういうふうに言われています。そうしますと、これはまさにNATO絡み、こういうことになるわけですね。木内さん、あなたはこう言われていますけれども、いま言ったところから援助の対象に決めた、これは間違いありませんね、あなた言われておるわけですから。
  112. 木内昭胤

    ○木内政府委員 トルコは私どもの所管外でございますが、トルコがNATOのメンバーであるという事実は承知いたしております。  それから、先ほど経協局長が紛争周辺地域ということで、アフガニスタンの例を挙げましたが、私としましては、やはりイラン・イラク紛争あるいはレバノン等をめぐります中東の非常に微妙な情勢というものが背景にあるんじゃないか、かように個人的に判断して述べたことでございます。
  113. 野間友一

    ○野間委員 いやあなたはアジア局長ですよ。いま申し上げましたように、こう言っていますね。トルコに対する援助は「NATOの南翼、非常に脆弱な南翼をになう地域ですので、応分の援助をすることを決めたわけです。」これは個人的な見解とも何も断っていないのですよ。あなたは外務省の局長として物を言っておる。それから決めたということまであなたは言っておるわけです。しかもこの中ではNATOが出てきた、私はびっくりしたのですけれども。ですから紛争周辺国というのはトルコの場合にはNATOの南翼というような点から決めたということであると思うのですね。これは安保絡みと申しますか、そういう戦略絡み、こう言わざるを得ないのですけれども、この点について再度答弁を求めたいと思います。
  114. 柳健一

    柳政府委員 わが国がトルコに対しましてこの三年間援助をいたしておりますのは、OECDにおけるトルコの援助会議でトルコが非常な経済的な危機にあるというコンセンサスに基づきまして、OECD諸国と協力してやっているわけでございます。
  115. 野間友一

    ○野間委員 いま木内局長言葉を引用しましたけれども、この点についてはあなたは同じ考え方なんですか。そういう点で決めたという、個人的な見解と彼は言いましたけれども、柳さんどうですか。決めた理由は、先ほど私が言ったような木内さんが言われたことですね、そういう理由から決めたわけですか。
  116. 柳健一

    柳政府委員 繰り返しになりまして恐縮ですが、ただいま申し上げましたように日本政府がこの三年間トルコに緊急援助を出すということを決めましたのは、あくまでもOECDの場におきまして、さっき申し上げたような理由でトルコが非常に経済的に危機にあるというコンセンサスに基づいて協力するという立場でやったわけでございます。
  117. 野間友一

    ○野間委員 またそれを引用しますが、「NATOの南翼、非常に脆弱な南翼をになう地域ですので、応分の援助をすることを決めた」、こういうふうに木内局長は言われていますけれども、このとおりてすか。柳さんに聞いておるわけですよ。
  118. 木内昭胤

    ○木内政府委員 繰り返しますが、決して逃げるわけじゃございませんが、トルコはアジア局の管轄地域ではございません。私が個人的に考えたことを申し述べたことがそこにつづってある次第でございます。
  119. 野間友一

    ○野間委員 柳さん、もう繰り返しませんけれども、こういう表現についてはあなたはこのとおりかどうか、その点について答弁いただきたいと思います。
  120. 柳健一

    柳政府委員 私の個人的な意見は控えさせていただきますけれども、日本政府といたしましては、トルコが先ほど申しました理由で、かつ世界の平和と安定に重要な地域であるという判断でもって援助を出しているわけでございます。
  121. 野間友一

    ○野間委員 えらい逃げるわけですけれども、結局木内さん、やはりここでも本音を出されておると思うのですが、要するにNATOの南翼だから、脆弱だから援助して、力をつけてNATOに協力する、こういうことに私はならざるを得ないと思いますし、そういう点から、特にアフガンとの関連でいま柳さん言われましたけれども、あの周辺で特にトルコだけを挙げて紛争周辺国、しかもいま申し上げたように、いまのところ言われるのは三つのうちの一つでしょう、それを挙げたということ自体。結局そこの援助をすることによってNATOに協力するということになるわけですが、だから、そういう目的で紛争周辺国として特にトルコを挙げたというふうに私は思うのですけれども、いかがですか。
  122. 柳健一

    柳政府委員 また繰り返しで恐縮でございますが、OECDというのはNATOだけではなくて中立国もみんな入っているわけでございます。私どもはNATOに協力するのではなくてあくまでもOECDの諸国と共同して世界の平和と安定に重要な地域というところに、しかも紛争の影響を受けて経済的に苦しい立場に立っている国を民生の安定のために援助する、こういう考え方でいたしております。
  123. 野間友一

    ○野間委員 そうしますと、木内さんが言われる「経済と外交」の中での決めた理由と柳さんが言われたこととは違うと思うのですね。これについて外務大臣、いかがですか。どっちがどうなんですか。——いや木内さんじゃない、外務大臣に聞いておるわけですよ。大臣、いかがですか。
  124. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 経済協力局長が御説明を申し上げておることが日本政府の方針であって、いまお取り上げになっていることについてはこの席でも木内局長が個人的見解であると、その個人的見解に外務大臣がとやかく言うことは控えたいと思います。
  125. 野間友一

    ○野間委員 個人的見解とおっしゃいますが、これはまた大変なことですよ。これはアジア局長としての立場で「鈴木総理ASEAN訪問の意義と成果」、こういうタイトルで工業倶楽部で世界経済研究協会と経済外交研究会の共催でやっておるわけですね。しかも、御承知のとおり「経済と外交」、これは外務省もこの中にたくさん入って、言ってみれば外務省の一つの外郭団体のようなものなんですね。これが主催してやってきちっと活字になって出ておる。しかも局長としての立場でやっておるわけですね。しかも個人的見解と全く断っていない。勝手気ままにばらばらなことを言って、いろいろ指摘されたら個人的な見解で逃げるというようなことは絶対許されない。私は役所は一体だと思うのですね。そんなことは許されるのですか、外務大臣。後で言われますと、これは個人的な見解でございましてというようなことでやられたらたまらぬと私は思うのですね。ここではちゃんと木内さんの本音、これはまさに外務省の本音ではなかろうかというふうに私は思うのですけれども、部下をいろいろとかばうのは外務大臣ですからそれはそれなりに私はわかるわけですけれども、この表現を見ますとひどいですね。これは内輪の講演と申しますか、そういうようなことで安心してしゃべったのかもわかりませんけれども、飲まず食わずとか盲腸するのに麻酔薬すらないとか、あるいはそのほか中国問題についてもずいぶんいろいろなことを言っておるわけですけれども、やはり責任持ってきちっとやるべきだ。逆に言いますと、私はこれが本音じゃなかろうかと思うわけです。  質問を続けますけれども、そこでお聞きしたいのは、いま申し上げたように私はあれが木内さんの本音だと思いますけれども、ヘイグ国務長官もトルコへの援助の意義をはっきり述べておるわけですが、これは去年の十一月十二日のアメリカの下院の外交委員会で証言しておりますね。それによりますと、「トルコは世界でも最も重要な兵站線上に位置している。強力なトルコは、NATO南端のいかりとなるのみならず、東地中海における米国のプレゼンスを支援する意味でも重要である。従って同国に対する西側の援助は不可欠である。」もうはっきりヘイグ国務長官がそう言っておるわけですね。こう考えますと、柳さん言われますけれども、結局いまの木内さんの発言とかあるいはアメリカの国務長官のこれからしても、やはりNATOの南端の単なるいかりということだけではなしにアメリカの軍事プレゼンスを支持する、この上で日本援助は不可欠だということになってくると私は思うのですね。そういう点から考えますと、これはトルコについて言いますと安保絡みの援助、こう言わざるを得ないと思うのですね。この点についてどうなのか。  それからもう一つ引用しますと、これは去年の五月十三日に出されたNATOの閣僚防衛計画委員会の最終コミュニケでも、「南部地域と地中海の死活的な戦略的重要性は、ギリシャ、ポルトガル、トルコへの支援、援助継続の必要性にみられるとおり認識されている。ちなみにこれら三国は経済情勢がよくないので、NATO戦略の実施に必要なすべての防衛能力を彼ら自身の資源から提供できないでいる。」つまりここでも、NATOの一員として必要な防衛能力を持っていない、そこで各国からの経済協力が必要だとはっきり言われておる。ヘイグさんもこう言っておるわけですね。  ですから、日本政府が三つの紛争周辺国を決めた、その一つがトルコだ。トルコの位置は一体どうなのかと私は先ほどから聞いておりますけれども、トルコについて言えば、結局、木内アジア局長がいみじくも言われておりますように、やはり安保絡み、戦略あるいは政治絡み、こういうことしか言いようがないと思うのですが、この点について外務大臣はいかがお考えでしょうか。
  126. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 経済協力局長がお答えしておるとおり、トルコの現状が、OECDがこれを援助してやろうという立場をとっておる、また日本から見ても、社会経済的に見て非常に困難である、そういう意味合いから経済援助をしよう、こういうことなんで、野間委員はあちこちのお話などを引用していろいろおっしゃいますけれども、日本としては、先ほど来局長が繰り返し申し上げておることでやっておる。現実にトルコは、経済的にも社会的にも非常に困難に直面しておるのではないか、そういう意味合いからも援助をしてしかるべきだ、こう私は思いますね。
  127. 野間友一

    ○野間委員 ヘイグの話とかいまのNATOの閣僚会議の話をしたのですけれども、木内さんのおっしゃることと同じなんですね。柳さんの言われたことと違うわけですね、OECD云々ということは。  だから、たてまえとしては民生の安定とかあるいは福祉の向上、これが対外経済協力の指針だということをしょっちゅう国会の中でも言われておりますけれども、しかし、先ほどから言っておりますように、インドシナに対する日本の対応あるいはいま申し上げましたトルコに対する対応、いずれにしても、たてまえとしての民生の安定とか福祉の向上、それとは違って、まさに戦略的あるいは政治的な意図からいろいろと物事を判断しておる。恐らく中米あるいはカリブの開発構想、これについても同じような問題がこれから出てくると思いますけれども、それはそのときに私はまた指摘し、質問をするとしても、やはりそういう立場を十分反省して、原点に立ち返って、人道的な立場に立った経済外交、これらをぜひ進めてほしいということを強く意見として申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
  128. 中山正暉

    中山委員長 午後四時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時五十四分休憩      ————◇—————     午後四時三十一分開議
  129. 中山正暉

    中山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。土井たか子君。
  130. 土井たか子

    ○土井委員 私は、これから国際科学技術博覧会政府代表設置に関する臨時措置法案について審議を進めたいと思うのですが、それに先立ちましてひとつぜひお尋ねをしておきたいことがございます。  今国会中に提出が予定ないしはもうすでに約束されております三つの条約のこれからの予定について確かめたいのですが、一つは特定通常兵器禁止制限条約一つは環境改変技術的敵的使用禁止条約、あと一つは生物・毒素兵器禁止条約、この三つの条約について現状どうなっているか、そして先の見通しはどういうことになりますか。いかがでございますか。
  131. 都甲岳洋

    都甲政府委員 先生からいま御指摘いただきました三つの条約のうち、特定通常兵器使用禁止制限条約につきましてはもうすでに御提出済みでございます。それから第二番目の環境改変技俯瞰対的使用禁止条約についても同様に御提出済みでございます。最後の生物・毒素兵器禁止条約につきましては、いまだ国内法の調整の最終段階が終わっておりませんので御提出できてない段階でございます。目下関係者間におきまして国内法の調整を鋭意進めているという段階にございますので、さよう御承知いただければと思います。
  132. 土井たか子

    ○土井委員 御努力は承知をいたしておりますが、一体先の見通しは大丈夫なんですか、どうなんですか。国内的措置というのはかなり難航していて先の見通しは暗いという情報も私は聞いているわけですが、一体どこでどういうふうになっているかということをここでひとつ聞かせてくださいませんか。
  133. 都甲岳洋

    都甲政府委員 生物・毒素兵器禁止条約につきましては、この生物兵器の概念をどのようにとらえて、これを国内法上どのように手当てをしていくかという問題が中心になっていることは御承知のとおりでございまして、これをいま関係省庁間におきまして国内法の法案づくりをしておるところでございますが、最終的に未調整のところがございますので、その点につきまして目下検討中なものでございますから、具体的な内容については御説明を差し控えさせていただきたいと思うのでございます。いま最後の努力をしているところであるということで、間に合うように鋭意前向きに努力をしているということを御理解いただきたいと思います。
  134. 土井たか子

    ○土井委員 内容説明は差し控えさせていただきたい、鋭意努力をしているというふうに承知おきをいただきたい、これの繰り返しをずっと聞かされて会期は終了したという可能性も実はあるのです。  それで、いま鋭意努力をされているということも私たちよくわかっておりますから、一つは何がネックになっているかということも知った上でわれわれも努力しなければならない、こう思いますので、そこのところを、まあ交渉段階の中身についてこの場所で詳しい事情は聞く必要もなかろうと私は思いますが、ですから、改めて国内的な措置としてわれわれとしてはどの省に対して努力をしながら要求を持っていくということが必要なのですか。それを聞かせておいてください。
  135. 都甲岳洋

    都甲政府委員 本件につきまして関係してくる省庁はかなり数がございまして、目下法案の準備をいたしまして、その法案をどこが主管してどこが共管して、どういう内容のものにするかという点についての協議が行われているわけでございますけれども、何せ政府部内の協議の最終段階がまだあるわけでございますので、このぐらいで御了解いただければと思うのでございますが、いけませんでしょうか。
  136. 土井たか子

    ○土井委員 いけませんでしょうかと言われても、よろしゅうございますとは言いかねるいまの中身ですね。それでこの三条約の行方というのは、実は現実的な意味においても非常に重要な意味を持っているということはもう言うまでもない話でありまして、委員長、これは法制局の方を一度ぜひお招きいただきまして、当委員会でも、この中身についてどこがどう問題になるかということもお聞かせおきいただく必要があろうかと思いますが、そのようにお取り計らい願えますか。
  137. 中山正暉

    中山委員長 検討させていただきます。
  138. 土井たか子

    ○土井委員 検討させていただく、委員長までそうなるとまたどうもはっきりしないので、これは当委員会ではっきり確かめた方がいいと思うのです。
  139. 中山正暉

    中山委員長 理事会において検討させていただくという意味でございますので、御了解いただきたいと思います。
  140. 土井たか子

    ○土井委員 さて、この本題の中身に入る前にちょっと確かめておきたい問題が二、三ございます。  一つは、最近わが国の科学技術水準というのは欧米先進国の仲間入りをしたというふうに一般的には言われているのですね。工業製品に結びついたいろいろな生産技術であるとか応用技術の面では、いまではもう世界のトップクラスであるということがよく言われております。ところが、先端的な科学技術の分野では欧米先進国、特にアメリカから見るとどうも立ちおくれている現状にあるのではないか、そういうふうに思われるのですが、ここで率直に、日本の科学技術水準というのは世界の位置から見てどれくらいのところにあるとお考えになっていらっしゃるかというところから承りたいと思います。いかがですか。
  141. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 余り知識はないのですけれども、どうも私がお答えするがよろしいかと思って答弁台に参りましたが、最近における政治的な関係からいたしますと、たとえばアメリカが技術交流を求めてくる、そしてその中には武器技術もあるのではないかということになって、先般来大変問題になっておる武器三原則の政府の方針、しかし安保条約関係はどうかというようなことで、こういうことを日米間でいろいろ協議をするようなところから見ますと、従来は日本アメリカから技術の提供を受けておったが、どうやら日本の技術もある程度よくなって、米側から見ると、ひとつ提供をしてくれないか、あるいは一緒に研究しようじゃないかというところまで来ておるようでありますから、いま先端技術と言われましたが、日本の技術は国際的に見てある程度のところに来ているのではないか、まあ、この程度の常識でございます。
  142. 土井たか子

    ○土井委員 いまの御答弁を承っておりますと、外務大臣は非常にシビアな問題を通じてそういうことに対しての認識をお持ちになっていらっしゃるように承るのですが、さて、そういうふうな事情があればあるほど、いまから申し上げるようなことについてどういうふうに大臣はお考えになるかをぜひぜひ聞かせていただきたい気持ちになります。  それは、御案内だと思いますが、昨年の十一月の十六日から十七日にかけて、パリでOECDの経済政策委員会の積極的な調整政策(PAP)小委員会で事務局が討議資料を提示していますね。これは御承知だと思うのですが、その中身を見ますと、高度技術産業に対する政府助成というのは効果が少なく、むしろ悪影響を及ぼす可能性が大きい。特に注目しなければならない点は国際的な影響のくだりでございまして、ここでは各国政府の力の入れ方の違いを取り上げまして、特定産業に対してある国が助成を実施して、別の国が助成を見送った場合、政府助成を実施した国の産業が比較的優位となるというのは当然だ、国際競争力も強まって、輸出がそれで増大する、結果的には本来自由で平等であるべき貿易市場がゆがんだ形になるというふうなことが披瀝されているのです。日本が名指しにはなっておりませんけれども、どうも大規模の集積回路の問題やそれから次世代基盤の技術開発制度などをめぐって、やはり日本を意識しての問題がここに披瀝されているに違いないと政府部内でも読まれている筋が報道されているのを私は記憶にとどめているわけでありますが、これはやはりただいまの貿易摩擦の問題とも決して無関係ではないと思われます。こういうOECD見解並びに現在の貿易摩擦とも関連がある問題でもありますから、大臣自身がこういうOECDの取り上げ方に対してどういうふうな御見解をお持ちになっていらっしゃるかというところを承らせていただきたいと思います。
  143. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 OECDの政策委員会で技術関係でいろいろ御論議をされておる、これはこれなりにどういう角度の結論というかあるいは方向といたしましても、これは日本としてよく参考にし、傾聴しなければならないことだと思うのです。  ただ、政治的にと申しましょうか、政策的にと申しましょうか、元来日本がヨーロッパ諸国に対して申しておること、これはあるいは御批判があるかもしれませんが、貿易の上からすると日本は非常に不均衡である、そこで、そういう不均衡で摩擦をするよりも、ひとつ技術協力をいたしましょう、あるいは経済協力をいたしましょう、あるいは第三国の市場に対して協力をしましょう、こういう呼びかけをいたしておるわけでございます。そして、政治的な意味合いからすると、そういう呼びかけに応じて共同開発でもしていく方がいいという、そういう感覚でおりますので、ある国が特定技術に助成をしておる、それじゃその技術に対してはこちらも手伝おうと思ったけれども手伝わないんだ、こういうことでなく、やはりいままでのやってきたことからしますと、共同でいこう、共同で開発しよう、あるいは協力をしよう、そういう方向にいままではある次第でございます。
  144. 土井たか子

    ○土井委員 いままではある次第でございますって、そのこと自身がいまの貿易摩擦というふうなものに対して、外国に対して刺激を与えた結果、日本というものが非常に批判の対象になってきたということではないとお考えになっているのかどうか、その辺はどうなんですか。
  145. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 少なくとも先にこの摩擦がある、インバランスがある、だからこれを何とかしようという上に日本としては協力をしようという呼びかけをしておるので、この摩擦をなくそうという趣旨で申し上げておるというふうに御了解をいただきたい。
  146. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、これはOECDの考え方としたら、端的に、繰り返しになりますけれども、もう一度言わせていただくと、官民一体の大型プロジェクト研究開発、特に高度技術の育成ということに対して官民一体のあり方で政府が助成することが貿易構造をゆがめるという見解を披瀝されているというかっこうに相なるわけですね。このOECD見解に対しては、したがって外務大臣とされては反論をお持ちになっていらっしゃるはずだと思うのです、いまの御見解を承っていれば。どういうふうにぱちっと反論なさいますか。
  147. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 これは、先ほどもお答え申し上げましたように、OECDの政策委員会中心でそういう協議が行われた、これは相当権威がある、また傾聴すべきことだ、だから、それはそれで私は謙虚に見ておるわけです。ただ、それから後、一体OECDの言うとおりなのかということになってくると、いままでは日本は、不均衡解消の上にはどうするか、総理が昨年六カ国を歴訪したときにも、技術協力をしましょう、経済協力をしましょう、三国の市場に提携しましょう、こういうことを言ってきたので、そういう日本方向にある。しかし、お話しのことが、日本がもし日本の国内で技術開発のためにどんどん援助をしておる、そういうことが第三国の方から見るとそれもまた貿易摩擦の原因だ、そういうふうな仮にとり方をすると、そしてまたそういう論議がOECDにあるとするなら、それはよく傾聴して、検討して、実際上どうかということは、これはいまそれがいい、悪いというよりも、よく検討させてもらいたい、こういうことなんです。
  148. 土井たか子

    ○土井委員 慎重に事に構えるのはまことに大切なことではありますけれども、検討ばかりしていたのではこれはらちの明かないこともございます。  ちょっとお尋ねを進めますよ。いま地球上空で約一千個の人工衛星と約三千発のロケットが地球の軌道を回っているというふうに言われている。日本の衛星、ロケットの数はアメリカ、ソビエトに次いで世界第三位だと言われているのですが、日本の衛星、ロケットの数は現在一体どれくらい打ち上げられているのですか。また、すでに予定されているのは一体どういうふうになっているのですか。いかがですか。
  149. 都甲岳洋

    都甲政府委員 専門的知識があるわけではございませんので、私の承知している限りでお答えさせていただきたいと思いますが、二十一ぐらいがわが国が打ち上げた衛星として軌道上に乗っているということを承知しております。
  150. 土井たか子

    ○土井委員 二十一ぐらい。これは当たらずといえども遠からずなんですね。少しその辺は御検討いただきたいと思います。  さて、それについて少しはっきりさせたい問題があるのです。五十三年二月二十八日に本会議決議があったことは御承知のはずであります。原子力衛星規制に関する決議なんですが、これはカナダの北部にソビエトの原子力衛星が落下した事件が契機になりまして、原子力衛星が落下をする、その結果、人類が放射能汚染の被害を受ける、この被害に対してはあらゆる手段によって防止していくことが必要であるという前提で取り決めた中身であります。その中に「宇宙関係条約批准の準備を促進すべきである。」ということがあるのですが、これは外務省、いかがですか。宇宙三条約加入の目安というのはあるのですか、ないのですか。努力されているのですか、どうなんですか。
  151. 都甲岳洋

    都甲政府委員 本件宇宙三条約につきましては、国会におきましても御決議をいただいているということは、私どもも十分心にとめております。できれば今国会にでも御提出するようにということでがんばってみたのでございますけれども、ことしは間に合いませんでした。目下関係省庁間で、これまた国内法の準備が要るものでございますから、その調整を図っておるところでございまして、私どもとしては、できるだけ早くその調整を済ませてこれを御提出申し上げ、御承認いただきたいというふうに考えております。
  152. 土井たか子

    ○土井委員 条約審議を早くしろ、早くしろと言って、外務省から当委員会に対しての催促は大変なものなんですね。ところが外務省自身は、国会で決めた決議に従って努力なさることは、われわれが催促してもそう進展の跡は見えないことが多いのです。これは来国会には必ず提出できますね。してもらわぬと困りますよ。どうですか。
  153. 都甲岳洋

    都甲政府委員 関係省庁も絡んでおることでございますので、私から必ずということは申し上げられませんけれども、私どもとしてはそのようなつもりで懸命に努力をするということを申し上げたいと思います。
  154. 土井たか子

    ○土井委員 大臣、よろしゅうございますね。担当の部局の方がそういうふうな御趣旨をいま答弁でおっしゃったわけですが、要は最高責任者は外務大臣でございますから、これはやはり責任を持って事に臨んでいただくというふうな意味でひとつ御所信を承って、先に進みましょう。
  155. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 先ほどの生物・毒素禁止条約あるいはこの宇宙関係条約、外務省の立場で言うと、これはもうぜひ早く批准する、そういう心構えでおるわけでございます。こういう新しい分野というものは、私自身も十分な知識を持たないのでありますが、なかなか勉強するのに手間取るようで、土井委員の言われるとおり、一方において非常に緊急度が高い、一方において大変むずかしい、また新たに国内法をつくるというようなことで大変問題があるわけでございますが、しかし外務省として、私の責任の立場としては、これはもう促進するためにせいぜいがんばる、こういうことでございます。
  156. 土井たか子

    ○土井委員 さて、国際科学技術博覧会、きょうのメーンテーマになっております政府代表の設置に関する臨時措置法案なんですが、この国際科学技術博覧会の会場というのはどこに設けられるのですか。これはいままでにもう何遍も言われていますから、繰り返して聞いているにすぎないとお思いになるかもしれないのですが、ひとつお答えいただきます。
  157. 平野拓也

    ○平野説明員 お答え申し上げます。  筑波研究学園都市でございますが、その中の谷田部町というところでございます。
  158. 土井たか子

    ○土井委員 これは主会場でしよう。会場はそこだけですか。
  159. 平野拓也

    ○平野説明員 主会場は谷田部でございます。ただ、博覧会協会がつくりました基本構想におきましては、学園都市全体につきましても、これをこの機会に国民の皆様に御紹介すべきであろうというふうなことでございまして、都心地区会場といったような言い方、あるいは途中の輸送等につきましてもそれを会場として考えたらどうか、あるいは情報通信を使いました情報通信会場といったようないろいろな構想が出ておるわけでございますので、広い意味でそういう言葉もございますけれども、私ども、入場料をいただきまして博覧会をごらんいただくというのは、先ほど申し上げましたような主会場というふうに考えておるわけでございます。
  160. 土井たか子

    ○土井委員 科学技術庁の方からことしの一月に、「国際科学技術博覧会について」という、こういうパンフをお出しになっていらっしゃいますが、この中を見ますと、「会場に関する基本構想」の中で、主会場とは別に研究学園地区会場というのが明記されているのですが、この研究学園地区会場というのも、具体的にはもうはっきり決められている会場じゃないのですか。いかがですか。
  161. 平野拓也

    ○平野説明員 これは構想におきましては、会場ということでございますから、そこを一種の会場的な扱いをするわけでございますけれども、私ども、厳密に申し上げますと、百ヘクタールということで博覧会をやる。それはその主会場で、先ほど申し上げましたような谷田部町の約百ヘクタールのところで博覧会を行う。ただ、この場所あるいは博覧会を発想いたしましたときから、研究学園都市の概成を記念して、これを国民の皆様あるいは国際的に御紹介したいというふうなことでございますので、かつまた、学園都市にあります大学あるいは研究機関等もやはりこれに協力したいというふうな御意向も非常に強いわけでございますので、この際、主会場とあわせてこれを御紹介するような措置といいますか、そういう工夫をいたしたいという意味で、その基本構想におきましては学園地区会場というふうな言葉を使っているというわけでございます。
  162. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、この研究学園地区会場を所管するのは、きょうここで問題になっている政府代表ではないのですか。政府代表がいろいろこれから運営に当たる所管外の問題としてこの会場はあるのですか、それとも所管内の問題としてこの会場はあるのですか、どうなんですか。
  163. 平野拓也

    ○平野説明員 いま御審議いただいております法律によります政府代表というのは、博覧会につきまして日本国政府を代表して出展諸国に対する責任を負っていただくというふうなことであるというふうに承知しているわけでございます。  学園地区会場といいますのは、諸外国からの出展をここにお願いするというふうなことではございませんで、私ども、これはまだ確定いたしておりませんけれども、政府出展の一環といたしまして、あの地区の研究機関あるいは大学等をごらんになりたいという方々に効率的に概要等を御紹介する。それはまた逆に申しますと、研究機関あるいは大学の側から言いますと、研究なり教育というものを阻害しない範囲内でできるだけこれを紹介したいという意向もございますので、そういうことを踏まえまして、そういうものをガイドするといいますか、そういうような施設を置いたらいかがかというふうな構想があるわけでございます。ただし、これはまだ最終的に確定しているというわけではございませんで、現在政府出展を私ども政府部内で検討しておりますが、その一つの構想としてそういうものがあるというふうに御理解いただきたいと思うわけでございます。
  164. 土井たか子

    ○土井委員 この「博覧会について」というのは、非常に紛らわしい書き方ですね。これを見ると、まず主会場があって、研究学園地区会場があって、ともにこれが博覧会会場であるように読めますよ。文章の中身も、「主会場と直結するものとして、」云々と書いてあるのです。だからいまの、構想の中にまだ練れていないけれどもあるというものじゃなくて、もうはっきり決めてここにお書きになっているとだれでも読む。  そして、もうちょっと言わせていただきますけれども、いまも御答弁の中で言われたとおり、「日常の研究業務の遂行の妨げにならないよう、」こう言われているのですから、少くともここで、会場設営をされるに当たっては、その開催に向けてのいろいろな段取り、それから、もちろん開催日、事後処理等々について、大学側からの研究者の人たちもこの中に入ってそれに対して運営をなさっていくということでないと、実はこの問題に対して十全を期すことはできないだろうと思っていますが、そういう体制になっているのでしょうね。いかがですか。
  165. 平野拓也

    ○平野説明員 ただいま先生お持ちの私どものパンフレットにございますその基本構想と申しますのは、博覧会協会が外部の学識経験者その他の御意向を聞きながらまとめた一つの構想でございます。ですから、そこに書かれていることは、そういういろいろな有識者の御意見を集約したものでございますが、これが全部実現するかどうかというのは、これからいろいろ計画を練り上げていく段階において決まっていく問題でございます。そういう性格のものでございます。  それから、いまの地元の研究者の方々の御意見を承るということは、これは当然でございまして、科学技術庁といたしましても、あるいは博覧会協会といたしましても、いろいろなパイプで地元の研究者等の御意見を収集していくということを従来もやっておりますし、今後とも続けていきたい、かように考えておるわけでございます。
  166. 土井たか子

    ○土井委員 それは非公式な形においてはいろいろな努力があるでしょう。だけれども、少なくともこういう構想を練って、もう文書化されるというふうなことになってくると、正式にそういう研究者の立場というものをこの運用の上で生かしていくというシステムがなければならないと私は思って聞いているのです。全くその点は不在ですか、考えられていませんか、どうですか。
  167. 平野拓也

    ○平野説明員 現地の研究機関の方々の御意見を承るシステムというのは、実は現地に私ども研究交流センターというのがございまして、あそこに所在しますいろいろな研究機関あるいは大学の関係者が集まりまして、博覧会について意見をおっしゃっていただける、そういう場がございますので、そこで従前からいろいろな意見の交換なり、こちらからのインフォメーションを流すといったようなことを実行しておるわけでございます。
  168. 土井たか子

    ○土井委員 実行しているわけでありますといったって、それは非公式なことでしょう。具体的に今度は科学技術博覧会、こういう博覧会をここで設けようという事業があるのじゃないですか。このことについてどうするかというシステムを私は聞いているのです。
  169. 平野拓也

    ○平野説明員 これは非公式というよりも、むしろやはり科学技術庁が主催して行っている会合でございますので、私どもとしては、これは公式のものであるというふうに考えておるわけでございます。
  170. 土井たか子

    ○土井委員 しかし、公式であるならあるで、その人材が、どういうふうなシステムできちっと協議対象となっているかというのは、これはどこをどう見ても資料として出てきませんね。書いてないですよ。それはいただいた資料の中にないのです。
  171. 平野拓也

    ○平野説明員 たまたまその資料にはあるいは欠けておるかもしれませんが、筑波研究学園都市の研究交流連絡会というふうなものがございまして、その中に普及広報専門委員会というものがございます。このメンバーは、各研究所あるいは筑波大学も含めましたそれぞれの普及広報活動を担当なされておる方々のお集まりでございます。
  172. 土井たか子

    ○土井委員 お集まりでございますは結構ですが、それをこの科学博について組織化して、どういう運営をやっていくかということのお互いの討議の機構としてきちっと組み入れられているのですか、それは。
  173. 平野拓也

    ○平野説明員 ただいま申し上げました専門委員会でございますが、それの目的がございまして、そこには「学園都市における普及広報活動の効果的な実施を図ること」それから「国際科学技術博覧会への対応方策、検討の円滑化を図るため」云々というようなことがございまして、これに従いまして博覧会につきましてもそこでお互いの意見の交換を行っているということでございます。
  174. 土井たか子

    ○土井委員 ただ、意見の交換は結構でございますけれども、この研究学園地区会場についてどうするかというようなことについては、先ほどの御答弁を承ってもまだ検討中なんですね。そのように理解しておいていいですね。
  175. 平野拓也

    ○平野説明員 検討中でございます。なお、その専門委員会あるいは筑波での職員組合等からも、ぜひ博覧会に際しての研究機関等の紹介の場をつくるようにというふうな御要望は、私どもにも参っておるわけでございます。
  176. 土井たか子

    ○土井委員 要望があるのは結構ですが、ここにこう書いてあるのにもかかわらず、先ほどの御答弁を承っていると、これは構想の一つであって消えるかもわからないというふうなことも向きとしては聞こえてまいりますので、受けとめられますから、その辺は非常に不確定要素があるなと思いながら私はいま承っているのです。少なくともここにかっちりこうお書きになる以上は、いろいろなこれに対する裏づけというものがはっきりなければならない。資料のどこをどう見たってそれがないものですから、私は思いつきで書かれたのか、またどの程度はっきりした裏づけをもってお書きになったのか、これはひとつ聞いてみようという気になってきょうは質問しているのです。
  177. 平野拓也

    ○平野説明員 これは裏づけといいますか、その基本構想がつくられましたのが約一年前でございます。その後いろいろ検討いたしておりまして、あの地区に将来公園をつくる、あるいは文化センター的な用途に使うというふうな用地も若干あるというふうに承知しておりますので、そういうところを使ったらどうかというふうな御意見もいろいろ聞いておりますので、今後それを具体的に、実務的に、どういうふうにこれを実現していくかということについて現在検討をしておるということでございます。
  178. 土井たか子

    ○土井委員 ああ言えばこう言う、こう言えばああ言うという典型的な答弁の仕方でありますね。しかし、こういうことはそんないいかげんな答弁ではなくて、はっきり言ってくださいね。まだそれは確定していないとか、先の見通しとしてはこういうことを考えているが現状はこういうことだとか、わかりやすい答弁をひとつしっかりしていただきたいと思いますよ。よろしい。まだ不確定要素があるということがいまの答弁でも私自身は受けとめられるわけです。  さて、これは今回は大阪万博であるとか沖縄海洋博の例にならい、こういうことなのですが、ただしかし閣議了解事項を見ますと、例にならうわけにいかないところが出てくるのですね。何かというと、これはもうすでにはっきり五十四年十一月二十七日の閣議了解事項の中では、「最優先課題として財政再建に取り組んでいることにかんがみ、開催のための諸経費については、関係各省の既定経費の枠内でねん出せざるを得ない。」こうなっているのです。したがって、輸送についても宿舎についても上下水道の整備についても、基本的にこの会場設営に当たって考えておかなければならない問題全部が、やはりいろいろ難儀があるだろうと思うのですよ。これは大丈夫ですか。時間がありませんから私は一々尋ねませんけれども、どうなんです。輸送について鉄道、車、両方で考えていらっしゃると思いますけれども、これはどれぐらいの人員を考えていて、大丈夫輸送に対してはそれはやっていけるというふうな確信があるかどうか、その辺はどうです。
  179. 平野拓也

    ○平野説明員 この博覧会を発想をいたしましたときは、財政再建の元年といいますか、そういう時期でございまして、御指摘のような閣議了解になっておるわけでございます。私どもはそれを前提条件といたしまして、いろいろ準備を行っております。  御指摘の輸送問題につきましては、これは観客は半年間で二千万人ということを想定しておりまして、道路輸送、それから鉄道輸送でこれを賄うということでございます。これにつきましては、特に道路、鉄道につきましては、昨年の秋に関係閣僚会議におきまして、関連公共事業の一環といたしまして、博覧会までに完成するもの、これは従来の計画の枠内でございますけれども、博覧会に供用するために工事をそれまでに終わらせるというふうな御決定をいただきまして、非常に苦しい点はございますけれども、何とか予定の人員はあそこに運ぶというふうな計画で、現在、関係省庁とともに、いろいろ合理的な輸送方法その他について検討を重ねておるという段階でございます。
  180. 土井たか子

    ○土井委員 これも検討、検討の連続なんですね。大丈夫やっていけるという自信のほどをもう一つどうも確信を持って聞かせていただけないというところは残念至極であります。  この跡地利用の問題に途端に飛びますが、跡地の利用はだれがどういうかっこうで決めるのですか。
  181. 平野拓也

    ○平野説明員 博覧会の谷田部町のいわゆる主会場と言っております百ヘクタールにつきましては、将来、茨城県が工業団地にこれをするということで買収された土地を博覧会にお借りするということでございます。したがいまして、これは茨城県が工業団地造成をされまして、しかるべき民間企業に譲渡されるというふうに承っているわけでございます。
  182. 土井たか子

    ○土井委員 これはいまおっしゃったように、跡地は工業団地というふうなことが予定をされているようですが、五十四年十一月二十七日の閣議了解を見ますと、この「跡地の利用処分については、すべて茨城県の責任と負担」だ、「国による跡地の買上げ整備その他いかなる国庫による負担や助成も行わないこと。」非常にはっきり書いてあるのです。ところが、片や衆議院の科学技術委員会で、五十六年の三月十九日に附帯決議がございまして、「地元の地方財政事情等に十分配慮」しながら「跡地の円滑な利用について、特段の協力支援措置を講ずること。」こうなっているのです。どうなさいますか。
  183. 平野拓也

    ○平野説明員 さきの閣議での了解事項、これは過去の二つの国際博覧会跡地につきましては、それぞれ記念公園というような形で国が買い上げて公園としておるという実績があるわけでございますが、今般の博覧会につきましては、財政事情その他からそういう措置はとれないということをあらかじめ決定されたものでございます。  それから、国会委員会での附帯決議、これは国会の方でお決めになった決議でございますが、私どもは、それは将来茨城県がこれを民間に譲渡するということでございますが、その際におきまして、やはりその財政的な話ということよりも、むしろ企業ができるだけ早くそういうところに立地するというようなことについて御援助できることがあれば御援助しなければならない、附帯決議の実行につきましてはそういうふうにわれわれは考えておるわけでございます。
  184. 土井たか子

    ○土井委員 いまのは、何かよくわかりませんね。そうすると援助されるのですか、つづめて言えば。
  185. 平野拓也

    ○平野説明員 科学技術庁が産業界にそういうことをする権限と申しますか、そういうものはもちろんないわけでございますけれども、まあいろいろなことで、いろいろな機会にそういうことを援助ができることがあればできるだけのことはする、そういう趣旨でございます。
  186. 土井たか子

    ○土井委員 国土庁、御出席ですね。  ちょっとお尋ねしたいのですが、この跡地の問題は、万事茨城県の方の責任と負担において行われるという前提でありますけれども、いま御答弁にもございましたように、跡地は工業団地というのが予定されているようでありますが、これは御案内のとおり、筑波学園都市構想の一環として考えなければならない問題なんですね。筑波学園都市というのは国の方が直轄で、国の方が指導してつくられ、運営されていっている土地じゃないかと私は思いますが、この点、国土庁としてはどういう受けとめ方をなさっていらっしゃいますか。
  187. 久保敏行

    ○久保説明員 お答え申し上げます。  お尋ねの工業団地の件でございますが、国土庁といたしましては、筑波研究学園都市の整備促進あるいは人口の定着を図るというようなことで、先生おっしゃいました、国が研究機関等を建設するということのほかに、その周辺の地域の産業の振興でありますとかいうようなことも、地元の地方公共団体と一緒にやっておるというたてまえになっております。つづめて申しますれば、筑波研究学園都市の建設につきましては、国と地方と両方で、ふさわしい学園都市をつくろうじゃないか、こういうたてまえになっておるわけでございます。  それで、科学技術博覧会の用地になります土地につきましては、首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律というのがございまして、これに基づく工業団地造成事業といたしまして、茨城県が、筑波研究学園都市の中心地区の周辺区域になりますけれども、そこのところに用地を取得してやっていこう、こういうものでございます。博覧会はこの用地を一時使用して行われるというものでございまして、その後の跡地は筑波研究学園都市にふさわしいような製造工場等の立地する工業団地になる、こういう予定で計画を進めておるものでございます。
  188. 土井たか子

    ○土井委員 いま御答弁にありました、生産性を持つ工業団地というものが学園都市にふさわしいかふさわしくないかは、一体だれが判別するのですか。
  189. 久保敏行

    ○久保説明員 筑波研究学園都市の建設につきましては、筑波研究学園都市建設法というのがございまして、この中で、国それから地方公共団体であります県が計画をつくりまして、それにのっとって建設を進めていく、こういうたてまえになっておりまして、そのうち周辺開発地域につきましては工業団地等の導入も図るのだという計画になっておるわけでございます。その一環でございます。
  190. 土井たか子

    ○土井委員 将来ここに進出する特定企業というものがもう予定されておりますかどうですか。いかがですか。
  191. 久保敏行

    ○久保説明員 先ほど申し上げました首都圏の近郊整備地帯云々という長い法律でございますが、これに基づきます工業団地造成事業は、その土地を売る場合につきまして規定がございまして、公募して求める、こういうかっこうになっておりますので、特定のものかあらかじめ決まっておるということではございません。
  192. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、そこでその工場進出というものを考えた企業がいろいろとこの科学技術博というものを宣伝の場に利用しないという保証はどこにもないと思うのですね。これは企業が進出のためのいわゆる宣伝の道具にされてはならない博覧会だろうと私は思うわけですが、その辺はチェックできますか。その辺に対してのいろいろな調整というか、そういうことはさせてはいけないというふうなチェックと申しますか、そういう問題はどこが果たす役割りになってきますか。
  193. 久保敏行

    ○久保説明員 そのチェックは、法律に基づきまして国土庁が処分計画をつくる、その処分計画に基づいた処分先に土地を売る、こういうことになるわけでございます。
  194. 土井たか子

    ○土井委員 それは国土庁の所管からしたら、その土地だけを考えてそうおっしゃっているのであろうと思いますけれども、企業活動ということからすれば、そこに進出せんがために今回の科学技術博覧会というものを重視して、そこで宣伝を大いにやろうというふうなことも考えられなくはないわけですよ。この点についてのチェックというのは、一体どこが所管になるのですか。これはどうです、外務省。
  195. 佐藤嘉恭

    佐藤説明員 お答え申し上げます。  ただいま関係省庁の方々から御答弁があったわけでございますが、私どもとしては、今度の科学技術博覧会というものは、科学技術の新しいイメージというものをつくり出していく国際的な場だというふうに理解しておるわけでございます。したがいまして、科学技術博覧会の会場の様子であるとかといったことは、やはりそれにふさわしいものでないといけないということは、ただいま先生の御指摘のとおりだと思っております。特に企業色が出るようなことになっては決してならないと思うわけでございます。  政府代表の一つの任務といたしまして、やはりそういう科学万博にふさわしい規律の維持といいますか、会場の雰囲気づくりということを責任を持って果たしてもらう立場にあるわけでございますので、外務省といたしましては、この点は、いろいろな機会に関係各省にも十分お願いをしていきたいと思っております。
  196. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、いまの御答弁からすれば、外務省がその責に当たられるのですね。そのように受けとめてよろしいですか。
  197. 佐藤嘉恭

    佐藤説明員 お答えいたします。  ただいまの科学技術博覧会の会場の中におきます事柄についての責任、これは政府代表が負っておる任務の一つだというふうに私どもは理解しておりますので、もちろん関係各省庁の御協力も得てまいらないといけないわけでございますが、最終的な責任者は政府代表というふうに理解しております。
  198. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、政府代表としては、そういう意味において適正に行われるようにチェックをなさるというふうなことですね。  もう一つ。それならば、こういう問題はどのようにお考えになっていらっしゃるかを外務省に承りたいと思うのです。協会の方が出しておられる一般規則によりますと、第十条なんですが、「出展物の要件」として、「日本の法規に基づき公序良俗に反すると認められる物品は出展することができない。」こう規定をされているのです。たとえば武器とか弾薬のたぐい、あるいは武器技術のたぐい、これによるとそういうものは出品できないと私は理解をいたしますが、いかがです。当然でしょうね。
  199. 佐藤嘉恭

    佐藤説明員 先生いま御指摘のように、第十条に「出展物の要件」ということが定められておりますので、御指摘のような物品についての展示というものは、この一般規則の定めるところに従いまして、当然のことながら認められないというふうに理解をいたします。
  200. 土井たか子

    ○土井委員 それも、いま問題になっております政府代表が、ひいては外務省がそれに対していろいろと判別をなさる、そして、いい悪いということも識別をされる、そしてそれに対してチェックをなさるということであろうかと思いますが、これは大丈夫でしょうね。
  201. 佐藤嘉恭

    佐藤説明員 御指摘の第十条の一項に当たるわけでございますが、この規則に添付されております分類表に記載されている項目に該当する物品でなければこの博覧会に展示することはできないという定めがございます。  お手元の資料の末部に分類表が示されておりますけれども、それに該当しないものは政府代表の責任において認めることはできないというふうに理解をいたすわけでございます。
  202. 土井たか子

    ○土井委員 さて、この項目の中で、それにひっかかる部分がないとは言えないから、私はこれをだめ押ししているのですよ。この中で、たとえば「通信技術」とか、「技術交流」と一般的に書いてある中身からすると、兵器技術の交流というのも技術交流の一環なんだ。だから、そういうことからすると、はっきりそういう点での確かめをしておいていただかないと、これは単にここに書いてある項目に反するもの、反しないもの、分類表によるところの識別においてもなおかつその問題がございますから、したがって私は質問をしているわけです。これは大丈夫ですね。
  203. 佐藤嘉恭

    佐藤説明員 分類表の頭に「人間・居住・環境と科学技術」という表題になってございますが、これが今度の科学技術博覧会の主要なテーマでございます。そういう認識のもとでこれらの分類表ができておるわけでございまして、また、当然のことながら科学技術博覧会というものはわれわれ人類の幸せといいますか、将来に向けての生活の新しい分野を切り開いていくという趣旨もございますので、先生指摘の問題については、政府代表が責任を持って処理をするというふうに理解いたします。
  204. 土井たか子

    ○土井委員 時間が大変気になりまして、質問がまだまだ山ほどあるのですけれども、あと二、三点で私はとどめざるを得ないことを非常に残念に思うのですが、今回の政府代表のステータスを見ますと、事務次官と政務次官とのちょうど中間みたいに考えられている、この中身を見ると。したがって、そういうことからすると、なぜこのようなステータスというものを取り決められたかという根拠が私にはさっぱりわからぬのです。何に根拠を置いてこういう取り決めをされたかということをひとつ聞かしていただきたいと思います。いかがですか。
  205. 佐藤嘉恭

    佐藤説明員 政府代表のステータスのお尋ねでございますが、私どもといたしましては、科学技術博覧会という行事の重要性、対外的に招請国である日本を代表するということ、これが非常に大きな仕事になります、と同時に、国内関係におきますところのいろいろな事務についても対応していかなければならないという立場、そういう重要な職務であることにもかんがみまして、人事院当局等とも御相談をした上、御指摘のようなステータスを定めたということでございます。
  206. 土井たか子

    ○土井委員 大変な責任があるというのは言うまでもない話なんですが、だから俸給月額が九十一万円だと言われる根拠がよくわからぬのです。責任といえば、この政府代表よりももっと責任のあるのは大臣だろうと思いますし、もっと責任があるのは内閣総理大臣だろうと思いますよ。  では、外務大臣お尋ねをしたいと思いますが、万博の場合は、ヨーロッパあたりに行きますと、日本に行って万博に参加したために認識を新たにしたという方々がかなりあることは、私も現地で聞いて知っているのです。沖縄博もある意味ではそうだったでしょう。ただ、今回とは事情がちょっと違うのです。先ほど申し上げたとおり、当時は高度成長下でございまして、いろいろな流通経路にしましても、交通機関にしましても、つまり輸送経路にしましてもずいぶん当時は突貫工事ながらその経費をそれに対して計上しながらやったんです。今回はどうもこれは、いらっしゃる方々について、数字は幾らでも挙げるんだけれども、それに対して、輸送であるとか、上下水道の整備とか、宿舎とか等々の問題を考えただけれども、十二分に対応ができるかといったら、常識から判断して、むずかしいだろうという線も出ます。ここに来られて、何だ、あんなことだったかとか、行ってみて、人ばかり見て帰ってきたとか、結局、途中まで行ったけれども、渋滞で、行き着かぬうちに引き返さざるを得なかったとか、いろいろな事情が出てきた場合、これは責任は重いですよ。そういう政治責任を、いま討議しているこの政府代表の方にとっていただけるのですね。外務大臣どうですか。
  207. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 お手元の資料にございますかどうか、今回のこの法案からする政府代表、これは外国に対してこの科学万博の責任を持つ代表、そしてこの科学博を進める上におきましては、関係閣僚会議を持ちまして、その中の主たる大臣としては中川科学技術庁長官がこの博覧会担当大臣として指名されておるわけでございます。ですから、この科学技術博覧会としては中川大臣が責任を負われますが、わが外務省としてはこの政府代表を送っておりますので、その政府代表に対する責任は私がとりますとともに、また閣僚会議の一人としてこの博覧会に対する責任の一端を負う、こういうことでございます。
  208. 土井たか子

    ○土井委員 責任の一端を負うとおっしゃるのはどうもわからぬですね。責任の一端くらいを負う程度でこんな高いステータスを認めるというのはいよいよ解せぬようになりましたよ。責任の一端ぐらいではしようがないですね。このステータスとしては大変に高いところを見ているのではないですか。これだけのものを見る以上はやはり責任をとってもらわなければならぬのです。いまの外務大臣の御答弁ではわからなくなりました。そうすると責任は外務大臣が万事おとりになるわけですね、そうなんですか。
  209. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 いま私が御説明申し上げましたように、国際科学技術博覧会担当大臣は中川科学技術庁長官が指名されておるので、中川科学技術庁長官がその責任を負う。しかし今回法律を出して、外国に対する政府代表は外務省の方から出ておりますから、その点からいたしますとそれに対する責任と、なお関係閣僚会議を持っておりまして、その構成員の一人でございますのでその責任があるということを申し上げたわけです。
  210. 土井たか子

    ○土井委員 どうもよくわからないのです。そうなってくると、時間の方が大変気になりながら、これはわからないまま終わるというのは非常に不本意ですからちょっと聞かざるを得なくなってきたのですが、中川科学技術庁長官と外務大臣との関係はどうなるのですか。外務大臣とこの政府代表との関係はどうなるのですか。もう一つ言うと、協会と外務大臣との関係はどうなるのですか。協会と内閣総理大臣、通産大臣との関係はどうなるのですか。前後左右どういう図式でどれだけの責任をどの部署で持っていただけるのかということをはっきりさせてください。そうではないとさっぱりわかりませんね。
  211. 佐藤嘉恭

    佐藤説明員 まず博覧会協会の位置づけでございますが、これは先生案内のように、民法に基づいて設立されている公益法人でございます。これにつきましては内閣総理大臣及び通商産業大臣の監督のもとに置かれておるわけでございます。(土井委員「それはここに書いてありますよ。それから……」と呼ぶ)  それから外務大臣と科学技術庁長官との関係でございましょうか、お尋ねがあったと思いますが、科学技術庁長官というのはこの科学技術博覧会担当大臣として、国内諸官庁におかれましてのいろいろな先ほどから御答弁申し上げております輸送対策であるとかあるいは宿舎対策であるとか、そういうすべての事項につきまして責任ある担当の国務大臣であられるというふうに承知しているわけでございます。外務大臣につきましては当然のことながら対外的に責任を持つ立場におありになるわけでございますが、その外務大臣が今般御審議をいただいているこの法案を提出になっておるわけでございます。つまり政府代表というものを、この条約に基づきまして対外的に責任を持つという立場政府代表のこの法案の御審議をいただいておるわけでございますので、当然のことながら外務大臣におかれましても政府代表というものを監督する立場にあるというふうに理解いたすわけでございます。
  212. 土井たか子

    ○土井委員 いまくどくど言われましたが、それではこの国際科学技術博覧会というものを全部総括して責任を持つのはだれなのですか。
  213. 佐藤嘉恭

    佐藤説明員 この条約の第十条第二項におきまして、開催者が政府でない場合、つまり今回のように博覧会協会というものがこの開催の準備、それから科学技術博覧会の運営について対応をしている場合を指すわけでございますが、そのような場合に当該政府はその法人による義務の履行を保証するという条項が第十条の二項に定めてございます。したがいまして、今回の科学技術博覧会につきまして全体として政府が責任を持っていることになると考えております。
  214. 土井たか子

    ○土井委員 政府のだれなんですか。政府のだれが全体の締めくくりをやるのですか。
  215. 佐藤嘉恭

    佐藤説明員 この科学技術博覧会は国際博覧会条約に基づく特別博ということで御承認をいただいているわけでございます。したがいまして、この科学技術博覧会につきまして責任を持つ立場にある者は、この条約の定めによりまして政府全体として責任を負うという形になると思います。
  216. 土井たか子

    ○土井委員 政府全体というのが書いてあるのですか。明文の規定政府全体と書いてあるのですか。それは条約上の問題としては政府となるだろうと思いますが、日本として今回の科学技術博に臨むに当たってだれが総括責任者になるのですか。政府の中でだれが総括責任者になるのですか。
  217. 佐藤嘉恭

    佐藤説明員 先ほど条約の第十条に言及いたしましたけれども、この一般規則の第二章第四条をごらんいただくとはっきりいたすと思うのでございますが、博覧会の運営につきまして日本国政府がこの運営に必要な措置を講ずるということが定めてございます。御案内のように一般規則につきましても、この博覧会事務局の承認を得て成り立っているものでございます。したがいまして、この博覧会全体につきまして責任を負うというのは、この国際博覧会条約との関係におきましては、政府全体として責任を負うということで御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  218. 土井たか子

    ○土井委員 佐藤さん、そんなわけのわからぬことを言っていたらだめですよ。はっきり書いてあるじゃないですか。どこかに書いてありますよ。これがはっきり答えられないようじゃこれは認めるわけにいかないね。政府政府と言ってそんなわけのわからぬことを言っている限りこれはだめ。はっきり書いてある。これはしょうがないですよ。日本の国としてだれなんだ、政府政府のだれですかと言ったら政府です。これじゃしようがないと思いますね。よく目を見開いてもう一回調べ直してください。それは保留にします。  最後に一つ。ある国が博覧会に参加表明をして参加契約を交わした後、政変が起こるという場合があるのですね。その場合、この参加契約というのは博覧会条約上どういう取り扱いがかされるかというのをちょっと聞きたいと思うのです。最後にこれだけ聞いておきます。  なぜか。先日グアテマラやバングラデシューで政変があったのですね。日本としたら招待状を出しているのですよ。政変が起こって後にこの両国に対して政府承認するかどうかというのは、外交上の問題としてはまだ懸案になっているはずなんです。どういう取り扱いをするのですか。
  219. 都甲岳洋

    都甲政府委員 条約規定におきましては、単に外交上の経路を通じて招請を行い、それから参加の申し込みを行うということになっているだけでございます。ですから、外交上の経路を通じてそのような参加の申し込みを行われた後で、政変が起こった場合にどうなるかというお尋ねだと思いますけれども、これはそのときの状況によって判断をされる問題だろうと思いますので、たとえば博覧会に参加する意思表明をした後で政変が起こって、まだその政権自体を承認していないという状態でありましたら、これは事実の問題になると思うのでございますけれども、その政府の博覧会への参加というものはむずかしくなるのではないかというふうに考えております。
  220. 土井たか子

    ○土井委員 これできょうは時間ですからひとまず私は終えますけれども、先ほどの佐藤さんからの答弁というのはまことにあいまいもことしたままでおくことにいまします。よろしいか。これは政府じゃ通用しないのです。調べてみてください。  それで大臣に一言申し上げたいのは、先日来この案件につきまして審議を進めてまいりましたが、外務省としてのここでの答弁を聞いておりまして、本当に熱意を持ってこれに当たっておられるかどうか疑わしい気が私はしてきているのですよ。科学技術庁にしても国土庁にしても、それぞれの目安を立てていろいろ計画を練っておられるに違いないのだけれども、要はこれは国際博ですから、外国に対して日本としてはどう受け答えをしていくか、受け入れをどういうふうにしていくか。それからまたその後の対応をどういうふうにしていくか。国際間における日本一つのこれをもって評価される場所になっていくわけなんですね。そういうことからすれば、外務省の責任が私は国内外を通じてこの科学博については一番重いのじゃないかと思っているのです。佐藤さんには保留にした、政府の中で全部を総括するのはだれかと言ったら、外務大臣じゃありませんが、しかし、外務省の責任というのは非常に大きい。外務大臣の責任というのは非常に大きいのです。そういうことからすると、ここでの答弁の中身というのを聞けば聞くほど、どうも心もとない気がしてならない。外務大臣としてのお考え、御所信のほどを承って、私はきょうは時間ですから、一応ここで保留を残したままで終わりにします。
  221. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 土井委員が御懸念を持っておられるということは、質疑応答の中で私もそのように感じましたが、この国際博覧会条約に基づく今回の科学博でございまして、その条約に基づく日本政府を代表するものは、今回お願いしておる法案の中の政府代表で、外国に対してはその政府代表に責任があると思います。しかし、この博覧会につきましては、主務大臣は内閣総理大臣及び通産大臣ということではっきりしてございます。そしてこの博覧会を運営するためには財団法人を設立いたしまして、それがその責任に当たるわけでございますが、しかし、この博覧会の運営をする上におきましては、関係閣僚会議が設けられまして、その関係閣僚会議がこの科学博の準備、運営に対して各省庁間の連絡調整に当たるわけでありますが、その閣僚会議の代表をする責任者はだれか、こういうことになりますと、それは科学技術庁長官が指名されておる、こういうわけでありますが、しかし、土井委員の御質問の中で政府側の答弁が明快を欠いておるということは私も認めますから、この後にまた御質問をちょうだいしたいと思います。
  222. 土井たか子

    ○土井委員 いまの外務大臣の答弁で、ある程度大臣自身は整理をされているというのはわかります。これは総理大臣並びに通産大臣なんですよ、協会について協会の認可をした人は。したがって、協会についても監督権がある。そして片や閣僚会議について総理大臣が任命をして担当大臣はだれかといったら科学技術庁長官なんですね。総理大臣ですよ、問題は。その中で外務大臣が任命された今回の政府代表というのがある。その間のこれは全部の構成ということをきちっと把握しておいてもらわぬと困るのだ。よろしいか。保留ということを私は言いましたが、それくらいは勉強して出てきてください。はっきり答弁できるようにこれからしてくださいよ。  以上終わります。
  223. 中山正暉

    中山委員長 これにて各案件に対する質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  224. 中山正暉

    中山委員長 次に、千九百七十八年の船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約締結について承認を求めるの件、千九百七十六年の海事債権についての責任の制限に関する条約締結について承認を求めるの件及び千九百七十二年十一月十日及び千九百七十八年十月二十三日にジュネーヴで改正された千九百六十一年十二月二日の植物の新品種の保護に関する国際条約締結について承認を求めるの件の三件を議題といたします。  政府より順次提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣櫻内義雄君。     —————————————  千九百七十八年の船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約締結について承認を求めるの件  千九百七十六年の海事債権についての責任の制限に関する条約締結について承認を求めるの件  千九百七十二年十一月十日及び千九百七十八年十月二十三日にジュネーヴで改正された千九百六十一年十二月二日の植物の新品種の保護に関する国際条約締結について承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  225. 櫻内義雄

    櫻内国務大臣 ただいま議題となりました千九百七十八年の船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  近年、海上における人命及び財産の安全の確保並びに海洋環境の保護の促進を図るため、船員の技能に関する国際基準を設定する必要性が認識されるに至り、政府間海事協議機関における検討を経て、昭和五十三年七月七日にこの条約が作成されました。本年二月十九日現在、この条約は、効力を生じておりません。  この条約は、船員の訓練及び資格証明並びに当直に関する国際基準を設定すること等について定めたものであります。  わが国がこの条約締結することは、海上における人命及び財産の安全の確保並びに海洋環境の保護の見地から有意義であると認められます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  次に、千九百七十六年の海事債権についての責任の制限に関する条約締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  船舶所有者等の責任の制限に関する条約としては、昭和三十二年に海上航行船舶の所有者の責任の制限に関する国際条約が作成され、わが国昭和五十一年にこれを批准しております。しかしながら、その後同条約の再検討の必要性が認識されるに至り、政府間海事協議機関における検討を経て昭和五十一年にロンドンにおいてこの条約が作成されました。本年二月十九日現在、この条約は、まだ効力を生じておりません。  この条約は、責任限度額の引き上げ等により被害者の救済を図るとともに、一層合理的な責任制限の制度等について規定しております。  わが国がこの条約締結することは、船舶事故により生ずる被害につき妥当な救済を確保するとともに、海運業の安定的な発展を図る見地から有意義であると考えられます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  最後に、千九百七十二年十一月十日及び千九百七十八年十月二十三日にジュネーヴで改正された千九百六十一年十二月二日の植物の新品種の保護に関する国際条約締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。  この条約は、千九百六十一年の植物の新品種の保護に関する国際条約内容を基礎として、昭和五十三年十月二十三日にジュネーブで作成されたものであります。  この条約は、植物の新品種の育成者の権利を保護することにより新品種の育成の振興を図り、もって農業の発展に資することを目的として、育成者の権利が保護されるための条件、保護される権利の内容等について規定しております。  わが国がこの条約締結することは、育種の分野における国際交流を促進することにより、わが国のみならず世界の農業の発展に資するとの見地から有意義であると考えられます。  よって、ここに、この条約締結について御承認を求める次第であります。  以上三件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
  226. 中山正暉

    中山委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。  各件に対する質疑は後日に譲ることといたします。  次回は、来たる七日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十三分散会      ————◇—————