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1982-04-14 第96回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年四月十四日(水曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 吉田 之久君    理事 上草 義輝君 理事 小渡 三郎君    理事 川田 正則君 理事 高橋 辰夫君    理事 上原 康助君 理事 島田 琢郎君    理事 吉浦 忠治君 理事 部谷 孝之君       臼井日出男君    國場 幸昌君       近藤 元次君    佐藤 信二君       泰道 三八君    鳩山 邦夫君       伊藤  茂君    松本 幸男君       玉城 栄一君    瀬長亀次郎君       菅  直人君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長         官)      田邉 國男君  出席政府委員         人事院事務総局         職員局長    金井 八郎君         防衛施設庁長官 吉野  実君         防衛施設庁次長 多田 欣二君         防衛施設庁総務         部長      森山  武君         防衛施設庁施設         部長      伊藤 参午君         沖縄開発庁総務         局長      美野輪俊三君         沖縄開発庁振興         局長      藤仲 貞一君         自治大臣官房審         議官      矢野浩一郎君  委員外出席者         警察庁刑事局審         議官      大堀太千男君         環境庁自然保護         局鳥獣保護課長 山口  昭君         厚生省医務局総         務課長     山内 豊徳君         厚生省社会局更         生課長     板山 賢治君         厚生省援護局援         護課長     沢江 禎夫君         農林水産大臣官         房地方課長   川村 浩一君         農林水産省農蚕         園芸局植物防疫         課長      管原 敏夫君         食糧庁業務部需         給課長     武田  昭君         通商産業大臣官         房地方課長   和田 文雄君         通商産業省立地         公害局立地指導         課長      竹野 正二君         資源エネルギー         庁公益事業部業         務課長     植松  敏君         運輸省航空局管         制保安部管制課         長       小山 昌夫君         建設省計画局総         務課長     浜  典夫君         自治省行政局振         興課長     浜田 一成君         自治省税務局市         町村税課長   杉原 正純君         沖縄振興開発金         融公庫総務部長 永岡 禄朗君         特別委員会第一         調査室長    長崎  寛君     ————————————— 本日の会議に付した案件  沖縄問題に関する件      ————◇—————
  2. 吉田之久

    吉田委員長 これより会議を開きます。  沖縄問題に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。國場幸昌君。
  3. 國場幸昌

    國場委員 開発庁にお伺いしたいのですが、復帰記念式典についてまず最初にお伺いいたします。  思い起こせば十二年前に、佐藤ニクソン会談トップ会談といたしまして、困難であるという沖縄復帰昭和四十七年五月十五日を期して復帰させる、こういうことに決まりまして、あれから十二カ年、復帰いたしまして十年を迎えておる今日、政府はもちろん議会筋におきましても沖縄の立ちおくれに十分なる御理解をいただきまして、着々と振興も達成いたしまして今日を迎えておるわけであります。それに対する県民はもちろんのことわが国の国民もひとしくその記念すべき十カ年を迎えまして、沖縄県におきましては十年の復帰記念式典を祝うためにいろいろと行事なり催す計画をなしておるわけでありますが、総理府開発庁といたしましてもそれに対応すべく、記念式典が何かの形で催される、こういううわさを聞いておりますが、それに対応する考え方、どういう計画があるかどうか、これをまず最初にお聞かせをしていただきたいと思います。
  4. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 お答えいたします。  ただいま先生指摘のように、沖縄県におきましても、復帰十周年を記念いたしまして式典並びに復帰記念行事等計画をしておるように聞いておりますが、政府におきましても、沖縄復帰歴史的意義を思い起こすとともに、将来の沖縄の一層の発展を期しまして、政府主催による記念式典を挙行することといたしまして、去る四月九日の閣議におきまして、沖縄復帰十周年記念式典実施閣議了解されたところでございます。  この式典実施に当たりましては、内閣総理大臣式典委員長となりまして、五月十五日土曜日午前十一時から総理大臣官邸におきまして各界代表等約百七十名の参加を得ましてこれを行うことといたしたものでございます。  また、行事内容につきましては現在検討中でございますが、簡素、厳粛ということを旨といたしまして、内閣総理大臣の式辞及び衆参両院議長祝辞最高裁判所長官祝辞沖縄県民代表あいさつ、またアメリカ合衆国関係者あいさつ等をいただくことを現在考え、検討をいたしておるところでございます。
  5. 國場幸昌

    國場委員 復帰のときの式典を思い出しますと、沖縄現地において、またこの地東京政府の方におきまして、両方で同時にやったわけですが、今度もそういうような形式でやるのかどうか。また、本土からも派遣されて、あのときには山中長官が多分沖縄に行かれたのじゃなかったかと思うのです。あのときは大体そういうようなことで二本立てでやりましたが、ことしも大体そういう傾向にあるわけですか。ここからだれか行かれますか。
  6. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 四十七年復帰の際の記念式典におきましては、東京現地沖縄におきまして、いずれも国の主催ということで式典が行われたわけでございます。今回地元におきます式典につきましては沖縄県知事主催でこれを実施する、東京におきます式典内閣主催でこれを実施する、こういうことで現在進めておるところでございます。なお出席者につきましては、今後県とも十分調整をしていかなければならぬものと私ども考えておりますが、ただいま御指摘復帰の際には、当時の総務長官でございました山中貞則先生現地総理名代として御出席になっております。今回の五月十五日の現地におきます式典につきましては、県の方からは内々内閣総理大臣の御出席を得たいという御希望もあるやに聞いておりますけれども東京での式典式典委員長ということでもございますし、また国会中でもございますので、出席がなかなかむずかしいかと考えております。ただいまのところまだ予定の段階でございますが、国会審議あるいはその他の公務において支障のない限り開発庁長官総理名代として出席できないか、その線で現在検討をいたしておるところでございます。
  7. 國場幸昌

    國場委員 それじゃ、次に移ります。  御案内のとおり、沖縄復帰以前におけるドル通貨三百六十円が三百五円になりまして、その差額五十五円に対するところの差損補てん、この補償として預金の申告に従い各自個々支払いをなしたわけであります。これは銀行なり郵便局なり金融機関というようなところでやったわけなんですが、これの未払い新聞報道によりますと一億八千八百二十三万円。これの受取人は何十万というような数であったでありましょうが、全部では三千八十八件ですね。この件数はわかるといえども、これは自動車賃とか、遠いところはそれにも匹敵しないということもあるでありましょうから、とにかく一億八千八百二十三万円の未払いがある。十一月にこれが打ち切られることになるというような新聞報道でありますが、個々における支払いに対しては、多かれ少なかれ知らない人もおって、いままで十年近くも受取人がおらないというようなことで来ておりますので、十一月になってまだ受取人があったら、もちろん主人公は本人でありますから支払いしまして、その未払いの分については当然沖縄福祉面において基金としてこれは使わしていただきますように、まだ時期は尚早かもしれませんが、しかし、いま国におきましては一銭でも二銭でも財政の厳しい中にありましてはというようなことでこれをもし大蔵省が取り上げるというようなことになっては困るので、当然個人個人に支払うべきものが何かの都合で、都合というのは本人がわからぬとか、申告をしたといえども受取人がおらないというのははっきりしておりますから、おらないわけではない、来ないわけですから、それを十一月で打ち切るにしましても、これが時効ということではなくして、沖縄の方の社会面における基金として使わせていただきますように、開発庁、これはひとつ頭に置きまして、そのようなことにぜひしていただきたいということを、折衝かたがた管理方に対しましてもよろしくお願いしたいと思いますが、それに対する考え方をひとつ聞かせてください。
  8. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 先生ただいま御指摘のとおり、通貨切りかえに伴いまして、通貨等切替対策特別給付金として金融機関受給者代理人として支給しましたものが二億円弱現在も各金融機関にとどまっておるということは事実でございます。これは受給者自分代理人であります金融機関に受領しに来ないといったことなどによって未払いとなっておるものでございますので、私どもといたしましては、今後とも引き続きまして支払いを促進していくよう各金融機関指導していきたい。これは何回かにわたってそのような指導を行ってきておるわけでございますが、当面そのような指導を各金融機関に対して行ってまいりたい、このように考えておるわけでございます。  なお、十一月という御指摘は恐らく請求権消滅時効の期限ということであろうかと思います。その後の扱い等につきましては、なお法律上あるいは予算上種々検討すべき問題等も残されておりますので、私どもとしては、そのような方向で現在検討を進めておるところでございます。それらの検討の結果を待ちましてまた具体的に対応いたしたい、このように考えております。
  9. 國場幸昌

    國場委員 その問題はひとつぜひ、何と申しましても沖縄県民に与えられるところの個人的な受け取りというのにおいてのいままでの未払いというのになるわけでありますので、とにかく十一月、九カ年たって受取人がまだ来ないということは、あと七、八カ月してこれが出てくるという望みは薄いでしょうから、ひとつそれは沖縄のために開発庁代理管理の役を仰せつかりまして、よろしくお願いしたい。  それから、最近の報道によりますと、臨調第二部会として北海道開発庁沖縄開発庁統廃合して一つにする、こういうようなことでありますが、御案内のとおり、筆頭理事である高橋先生もおっしゃるように、沖縄におきましては、ことに第二次振計の実現を期して特別措置延長についての法案もこの前衆議院を通ったばかりでありますので、それを体しまして、きょうは長官は御出席ではありませんが、局長さんお二人お見えでありますから、長官にも私の方から篤とこの問題に対してはということで、開発庁があったればこそ今日の沖縄振興そのものは、とやかく言われつつも、これだけの目覚ましい発展をなした。これに対する業績というのは私は高く評価するわけであり、今後においても直接間接に開発庁が主体性を持って今日までどおりにひとつ沖縄振興開発を図ってもらいたい。二次振計も計画どおり実現を期して、名実とも格差是正、住みよい沖縄づくりのためにやっていただきたい、こういうようなことを希望するわけであります。高度な行政計画でありますので、局長さん、ひとつその件は総理府総務長官でありわが開発庁長官を通じまして総理大臣までもなにしまして、沖縄開発に対して最高の権力を持たれるのは総理ですから、総理までも達しまして、これを統廃合するのは時期尚早である、強くその点は主張しておるということをお伝えになっていただきたい。よろしくお願いします。それに対する開発庁考え方をひとつ聞かせていただけませんか。
  10. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 私ども沖縄開発庁を含みます省庁の統廃合問題等につきましては種々新聞等報道されておるところでございますが、私ども承知しております限り、臨時行政調査会におきましてそのような、具体的には国土行政をテーマとしてその機構はどうあるべきかというような議論が行われているということは承知しておりますが、まだ審議中でございまして、その内容は固っていない、このように聞いておるところでございます。  いずれにいたしましても、先ほど先生の御指摘もございましたように、沖縄特殊事情及び経済社会の厳しい状況にかんがみまして沖縄振興開発特別措置法の十年延長国会でも議決されまして、政府におきましても第二次振興開発計画策定しまして、それに基づく沖縄振興開発を行うこととしておるところでございます。これを推進すべき責任官庁必要性につきましては、私ども臨時行政調査会に対しましても、ヒヤリングの際あるいは資料の提出要求に際しまして種々その必要性を申し述べてまいってきておるところでございまして、この点につきましては、臨時行政調査会におきましても十分御理解をいただけるものというふうに私ども期待しておるところでございます。いずれにいたしましても、政府が責任ある立場沖縄振興開発を推進すべきことについては今後とも変わりはないものというふうに私ども考えているところでございます。
  11. 國場幸昌

    國場委員 ひとつよろしくお願いします。  御高承のとおり、例年歴代総理の本会議における施政演説の中に、今日までは、沖縄振興に対しては特段配慮をすべしというようなことが入っていたのです。私も政務次官をしました経験からしまして、本会議におけるところの施政演説のあの文言、これはたった二行といえども大きな効果をもたらしたわけなんです。政務次官の一週間におけるところのいろんな懇談、打合会の中で、あるいはまた閣議の中で、言わず語らずしてこの施政演説基本になりますので、それが沖縄問題に対しましていろんな振興事業遂行のため大きな役割りを果たしたことは事実でありまして、局長さん方もよく御承知のとおりであります。そういうことが今度の施政演説には入っていないわけなんです。だから、ちょっとひねくりではありませんが、沖縄問題それでいいのか、冷えてきたというような、沖縄離れをしたというような感がいたすわけであります。そうではないにいたしましても、まだまだ沖縄は、御承知のとおり振興開発計画にしても七〇%そこそこで達成しないという現実です。県民所得にいたしましても六五・三%、こういう数字とかいうことでありますから、ひとつ担当される開発庁としまして、この点に対しましては、皆さんは自分の方の統廃合に対してとやかく言うのはという立場もよく理解するが、私はまた追って個人的にも総理府長官とかあるいは官房長官とか行政管理庁長官とか、こういう方たちにも説明をするつもりでありますから、勇気と誇りを持って、ひとつ動揺しないように、沖縄開発庁としては以前より以上に活躍されんことを期待申し上げまして、この問題はこれで打ち切ります。  それから、これは自治省開発庁にも絡む問題でしょうが、市町村振興計画についてでございます。地方自治法の第二条五項に、市町村はその地域における総合的かつ計画的な行政運営を図るため基本構想を定めなければならない、こううたわれておりますが、問題は、基本構想策定は義務づけられているといえども実施計画に対しての義務づけはないということであります。二次振計も策定して、これからという時期に至りまして、沖縄のいままでの策定に対して、事前においてなすべきことに対してのことがなされておるかどうか。形式化しておるという報道がございますが、その点はどうなっておりますか。
  12. 浜田一成

    浜田説明員 お答えいたします。  市町村基本構想につきましては、地方自治法の規定に基づきまして当該市町村行政運営を総合的かつ計画的に行うためのものといたしまして策定されるわけでございますが、沖縄県下の市町村におきますところの昭和五十六年五月一日現在の基本構想策定状況を見ますと、五十三市町村中四十六市町村策定しておりまして、その策定率は八六・八%という状況になっております。また、この基本構想に基づきまして市町村実施すべき施策の大綱を定めますところの基本計画の方の策定状況を見ますと、五十三市町村中二十七市町村策定をいたしておりまして、策定率は五〇・九%となっているわけでございます。  なお、全国との比較をいたしてみますと、全国基本構想策定状況を見ますと八六%でございますので、すでに沖縄県内市町村の方が率としては上回っておるという状況にございます。ただ、基本計画につきましては全国策定率が六九・七%ということでございますので、いまのところ沖縄県内市町村の方がまだ実は及ばない状況にございますが、現在までの策定の推移を見てみますと、沖縄の場合は、復帰が四十七年ということでスタートがおくれておるという状況がございますので、まだ追いついてはおりませんけれども策定率は追いつく方向で伸びてきておる状況でございます。
  13. 國場幸昌

    國場委員 何分復帰しまして十年を迎えるという今日でありますが、二十七カ年の断絶における地方自治にいたしましても、ふなれな点もこれから指導しなければいけない点も多々あると思います。二次振計も、せっかく御理解の上に立って今度新たなまた折り返し出発をするわけでありますので、よろしく御指導方お願いいたします。  それから、食糧庁来ておられますか——沖縄は、御承知のとおり復帰前はカリフォルニア米ということで約八万トンから九万トンの輸入でもって賄っておりましたが、復帰と同時に国内産米特別措置をもって約五七%から出発したでありましょう。いまは約八〇%ぐらいになっておると思うのですが、そういうような恩恵にあずかって今日までやや安定したところの需給がなされておりましたが、最近に至って自主流通米というのがずいぶん入り込んできまして、これがどうもいままでの指定業者以外が扱って、品質にしろあるいはまた価格にしろ、どうも基準がないというようなかっこうでいろいろと声がありまして、しかも指定業者としては、混乱を招くものであるので——大体四百万トンぐらい入っておるようですね。だからそういうようなことがあってはいけないので、秩序あるところの食管に従って今度ひとつルールを正していただきたい、こういうようなことですが、これに対する情報なりまた考え方ですね。行政に対する指導なりこれをどう考えておるか、ひとつ食糧庁の意見を聞きたい。よろしくお願いします。
  14. 武田昭

    武田説明員 ただいま先生指摘のように、沖縄県におきまして、本土から不法に搬出されて沖縄県に搬入される不正規流通米、とれが最近非常に増加をしてまいりました。値段もかなり高いということでございます。これは、申し上げましたように不正規流通米でございます。そこで、私どもといたしまして、いろいろと沖縄県とも御相談をしながら、やはりこのような状態を放置するということではいけない、やはり消費者の信頼にこたえまして公正なお米の流通の確保を図る、そういう上で支障を来すわけでございますので、このような不正規流通米をなくして、また、一部消費者には良質米に対するニーズと申しますか嗜好があるわけでございますから、それにこたえるという意味で、ただいま御指摘のありましたように、政府管理のもとにおける自主流通米、正規のお米を沖縄県にも試験的に導入するということにしたわけでございます。その場合に、御指摘もございましたように、そのお米がきちんと流れる、従来からの指導価格米との間にも混乱を起こさないようにするということが大切でございますので、その点につきましてはきちんと取り扱い要領を定めまして、その中で、ほかのお米とまぜて精米をつくってはいけないとか、あるいは袋詰め、表示をきちんとするとかということをきちんと守らせることによりまして、混乱のない適切な流通が行われるようにしたいと思っております。
  15. 國場幸昌

    國場委員 よろしくお願いします。  防衛施設庁にちょっとお尋ねをいたしたいと思います。  沖縄騒音公害に対する防音工事助成策についてと、それから、それに要する施設をした後においての電力料金の問題なんですが、この点は私はたびたびお願いというようなことで、決算委員会においての調査もこれありというようなことで、つぶさに調査したわけなんですが、何分、騒音公害に対する防音施設、それはとても結構であるということで喜ぶ一方、やった後において、沖縄は御承知のとおり三カ月しか冷房を休ませる暇はないものですから、部屋を密閉してやりますとこれが一層暑くなって、さりとてそのまま自然通風というわけにはいかないし、この電力料金に対しての負担を国で何とかやっていただきたいということの切なるお願いなんですがね。これは、四部屋くらいあると、何かいまは電力料金本土の約二倍くらいになっておりますので、三万円から四万円、多いのは六万円ぐらいは要るというのですね。毎月ですからたまったものじゃないのですよ、これは。アメリカさんは、もちろん民間に対してはその当時はやっておりませんでしたが、公共設備に対してのいわゆる防音設備、冷房なり、それに対しては負担しておりましたのです。本土復帰後においても、公共施設に対しては国が負担しておるけれども民間に対しましてはそれがない。本土並みだからそれでいいじゃないかというのだが、気候的、風土的にこれは本土とは違うわけなんですね。だからその点に対しては特段の御配慮をというようなことでなにしておりますが、いまだ実現もできないでいる。当然これは大蔵の方でずいぶん壁があると思うのですが、いままでの折衝の中でどういうふうなことになっているのか、それをちょっとお聞かせいただけませんか。
  16. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 お答えします。  沖縄県における騒音被害に対する私どもの方の軽減措置ということで、先生承知のように学校教育施設であるとかあるいは個人住宅等防音というのを行っております。年々の予算かなりのものを使用してはおりますが、何分対象戸数等も膨大でございますので、現在まだ沖縄県におきましては、見込まれる対象数に対して半分とはいっていないという状況にございます。  御指摘住宅防音の後のクーラー等を使用される場合の電力料負担個人にとってかなりのものであるということは私どもも認識しておりますが、とりあえずいまのところまだ防音等が未実施のものに住宅防音そのもの実施するということに施策の重点を置いておりますので、住宅防音自体の後での電気料金の補助というものは将来の問題と考えております。ただ、私どもとしましても、現在すでに住宅防音を行ったうちで、生活保護世帯といった方々に対しては維持費国庫負担ということも考えるべきではないかということで、ここ数年来予算折衝時には取り上げてはおりますが、現今の財政事情、特に新規施策についての厳しい見直し等が行われている現状では、現在まだ私どものそういった考え方予算的には認められておりません。今後とも私どもはそういう考え方で努力してまいりたいと思っております。
  17. 國場幸昌

    國場委員 同じようなことで進歩は全然ありませんが、とてもこちらも突き上げが余りひどいものですから立場が困るのです。引き続きひとつ努力していただきたい。お願いします。  それから、軍用地の使用中のものに対して、地主そのもの立場上ぜひ売って、その土地代で別の何かの企業に転業というようなこと、転業といってもこれは不動産貸付業には適用しないというこういうことも前にもこれありで、転業という言葉はちょっとこれはまずいかしれませんが、何かそれを基金にしてほかに事業をしたい、こういうようなことで各地区から地主の方が買い上げをお願いというようなことで、現に道路につぶれておるようなつぶれ地に対しては大体買い上げは実現しつつあるわけなんですが、軍用地内にある軍用地の地主の買ってくれという買い上げに対しての声に対して、防衛施設庁として、これは買い上げようというようなことの大体予算の獲得とかその政策の考え方ですね、これはどうあるものであるか。  たとえば那覇市鏡地の箕隈原、私もその場所は実ははっきりはわかりませんが、また、この前も私は施設庁の方に報告なりこれに対してのなにを申しましたが、小禄の具志という部落がありまして、その部落の下手、那覇飛行場の南側滑走路のかいわいです。これが解放されて、居住地、住宅地にしようとすれば、騒音の許容基準といいましょうか、七十五ホンとか七十ホンか、これが九十も百もあるというかっこうで、騒音公害でこれにも適しない。さりとて、それでは農耕地にしようというようなことで土地改良せんとすれば、これはまた採択基準には達しない。こういうようなことで、それでは飛行場があるがために個人固有財産が——軍用地軍用地料をもらっておるときはよかったが、これが返されたら、そういうようなことで使用にたえないというようなことで、飛行場のかいわいなるがゆえにそういうことであるので、地主に対する固有の財産権も侵されて、このまま七年間もこの土地が使用することができないで放置されておる。  こういうこともこれありですが、こういう問題に絡んで、買い上げのなにがあるのかないのかどうか。いまのところこれはどうなっております。こちらへの陳情のみならずして那覇施設局に対しての直接の申し出もまた相当あると思うのです。この問題に対しましてひとつお聞かせしていただきたいと思うのです。
  18. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 お答え申し上げます。  沖縄県の軍用地につきましては、非常に多くの部分が民公有地、個人の財産でお持ちになっていただいて、賃貸借契約でもって私ども使用させていただいておるわけです。先生お尋ねの、一般的に国としてそういったものに買収要望があったならばどうなのかというお尋ねに対しましては、私どもとしましても、そういった賃貸借契約でお借りしておりますので、土地所有者の方が経済的事情から国に買収を要望してこられるといった場合も当然ございますし、そういった買収要望に対しましては、予算の許す限りにおきまして、所有者の方々の経済的事情等を調査して緊急性の高いものから買い取らせていただいているということを実施しております。そういったお申し出の内容につきましては、医療費、生活費への充当とかあるいは事業経営等に関するものとか、それから住宅資金、結婚資金といったような、個人の生活なり生業に関してもろもろの理由がございますが、私どもとしましても、そういった所有者の方々の事情をしんしゃくして買わせていただいております。ただ、年間予算等にはやはり限りがございますので、あるいはお申し出になってから若干の時間がかかるという実情にございます。  それから、御指摘の具志区の実情でございますが、これはすでに五十一年に返還になっておりまして、私どもとしましては、そういった意味での買収対象にはならないというように考えております。なお、具志区の件につきましては、先般三月にも先生からお尋ねいただきまして私ども立場をお答えしておりますが、私どもとしましては、返還跡地利用につきましてはその有効利用というものを期待する立場にございますので、現在のところそれ以上のことは、買い上げ等は行い得ないというように考えております。
  19. 國場幸昌

    國場委員 それであれば、まず前者の方の箕隅原とか鏡地とか出砂原とか住吉町とか、こういうところで約九千坪くらい、一万坪ですね、これを何かぜひ買い上げていただきたい、資金がとても必要なんだから交渉してくれと言うんですが、私は御案内のとおり政治家ですからそんなものに対してなんであるが、これは一般に共通する問題が多々あるのです。これは九千坪か一万坪かと言っておりました。那覇市の鏡地、箕隈原、同じく鏡地の箕隈原、それから出砂原、住吉町とか、これが六筆になっておりますね。六筆で約一万坪だと言うのです。  それから、いま具志の方のことをおっしゃったんですが、こういうものは買い上げ対象になるとも、またやろうとも思っておりません、これはちょっと言い方はまずいですよ。あなた、これは基地があるがためにあるいは飛行場があるがために——皆さん、施設庁の管轄ではありませんよと言うんですが、あれは民航というよりも、たとえ嘉手納の方へ米軍の航空関係は引っ越したといえども、いまのところ自衛隊の使っておるのが、私は飛行機に乗るときいつでも数えておるのですが、自衛隊の方のP3Cというんですか、夜間哨戒何とか、あれが約二十機近くおるのです。それから戦闘機もファントムF4ですか、これが約二十一機かおりますね。国際空港を三全総にもあれだけはっきりうたっておるにもかかわらず、理屈を言えば、まだスペースはあります、ありますとは言うんですが、しかしああいうようなことで混用しておって、これでもって国際空港にしろとかなんとか言っても、それはできるものではないですよ。そればかりじゃなくして、いま言うように、このために朝から晩までゴーゴー音がして九十ホンも百ホンもというような騒音の中で使用にもたえないということであるにもかかわらず、それは考えてもおりませんとか言うのは、これは皆さん、余りにも固有の財産権に対しての軽率な考え方だと思うのですよ。きょうは長官もおられますので、ひとつその件に対しましてはもっと真剣に考えて、地域の代表というのは御承知のとおり利益代表でもあるし代弁者でもあるし、また、わが国におけるところの行政方向づけを決めなければいけないというような立場にある者に対して、現地の選出議員に対してこれだけ強く当たってくるのに、皆さんの方の行政を執行する者が、これは関心はありませんというような発言では困るのです。だから、もっと誠意あるところでもって、いまその問題に対してはずいぶん苦悩しております、だからひとついい知恵をみんなでかして——固有の財産権の問題に対しましては十分に配慮をしなければいけないという行政の責任もあります。行政を事務的に執行しなければいけない分野においてそれぐらいの思いやりはあってしかるべきだと思うのですよ。先生おっしゃるような具志のものに対しては買い上げ対象とかそんなものも何も考えてない。それでは一体何を考えておるのかと言うんです。私は何回もその問題は言っておるのですよ。どういうぐあいにしようとするのか、それを言ってください。
  20. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 お答えします。  長年にわたって米軍基地として使用されていた、そういうことで沖縄復帰後、私どもとしましては、沖縄県の基地の実情にかんがみて積極的に米軍等につきましても整理統合等進めておりますし、自衛隊施設としても必要最小限の土地の確保ということでやっております。  具志の件については、先生指摘のように運輸省の公共用飛行場でございますが、確かに陸海空自衛隊もそれぞれの飛行機を配置しまして運用をやっております。もう十分御存じだと思いますが、私どもとしましては、その返還した後の土地の利用というものはそれぞれの担当するところ、あるいは県、市町村あるいは個人の方々のお立場でございまして、私どもの基地管理という立場からはどうしても外れる。先生おっしゃるように、確かにそういった土地の方々が現在米軍もしくは自衛隊の再使用というような御要望を私どもの方に持ってきておりますが、私どもの方も十分検討させていただいているわけです。そういった過程において、私どもの陸海空自衛隊の運用の状況であるとかあるいは施設庁の立場であるとかいうことも十分お話し申し上げているつもりではあるわけです。  ただ、一般論で申しますれば、もちろん私ども基地の返還あるいはその基地の跡地利用というものについて、従来までお借りしたいきさつあるいは現在使用しているというような状況に応じて、それぞれに所有者の方々のお立場というのも考えて今後ともやっていきたいと思っております。
  21. 國場幸昌

    國場委員 これは何も角立ってというわけにはいかない問題で、何とかしてお互い解決しなければいけない問題は、返還後においては管轄が違いますというのはこれは国が決めたことであって、地主はそうは言いませんよ。使うだけ使って、後は野となれ山となれでは無責任じゃないかというのは当然なんです。返還する前において使用しておるときには、なるほどそれに代償するところの——復帰後においては適正なる軍用地料の恩恵にあずかっておりますので、それはよいとします。七年前といいますと、復帰前における軍用地料というのは皆さん御承知でしょう。いまは約十二倍くらい上がってきておるのですよ。その前にはたばこ代にも匹敵しないような、踏んだりけったりで、条件を突きつけられて強制収用されたのが軍用地なんですよ。そこで、復帰した後においてこれだけ十倍余りも上がってきたのは、二十七カ年におけるところの損失に対して補てんをしてやろうという趣旨から、皆さんがよく御配慮されまして、われわれ政策的にも相まって十二倍というような、所によっては十五倍もありますよ、また十倍もありますよ。しかし九倍以上は全部上がっておるということは確かなんですね。これは二十七カ年の穴を埋めるつもりにおいてということも絡んだところのいまの地代なんですよ。その恩恵も、七年前といいますと二カ年しか恩恵を受けておりません。しかし毎年毎年スライドで上げていっておりますからであって、全然恩恵も受けていない。踏んだりけったり。通算しますと三十年間、この土地は、とにかく固有の財産でありながら、憲法にも違反するという立場において犠牲を払ってきたのですよ。それで返還した後においても踏んだりけったり。構いませんというようなことじゃいかないわけです。  それから、お説の運輸省の管轄ですよというのは、これは国が決めたのであって、共用しておるというのは間違いないでしょう。地主はその飛行場の周辺整備に対してどちらか分のいいものをとるのですよ。同じ土地であって、あなたの土地はこれだけ、これは運輸省がやっているから、これは施設庁がやっているからと価値を変えることはできませんよ。だから私が言いたいのは、これは運輸省の管轄であるから私の管轄じゃありません、こういうことは通用しないということは、現にあれだけ国防の任に当たってやっておるのだから、それはあなた、認めなければだめですよ。運輸省であろうが施設庁であろうが防衛庁であろうが、そんなもの地主はどちらでも構いませんよ。わが国の行政は縦割りであるからということで、よく外国からしますと一体窓口はどこにあるのだということも言っておりますが、縦割り行政というわが国の行政には問題があるのです。だがしかし、せめて同じような日本人同士であれば、その人たちの固有の財産を守ってやるというのは国としての義務ですよ、責任ですよ。だから、いまのような部長さんの答弁では私はいかないと思うのです。言いたくなくてもついには言わざるを得ないような立場にあなたがさせておるのです。きょうは長官も御出席ですから、何とかこういう問題に対してはひとつ善処するように考えてください。どうでしょう。
  22. 吉野実

    ○吉野(実)政府委員 先生がおっしゃったように、基地を使用させていただいている間はいろいろお世話になったことは事実でございますが、返還になりますとその土地はもはや基地ではありませんので、われわれの方が買い上げるということはなかなかむずかしい。しかし、返還された土地がいろいろ問題を抱えて再開発で悩んでおられるということは、われわれとしてもよく耳を傾けなければならない、こういうふうに思うわけでございます。  縦割り行政がよくないかいいかということは別にいたしまして、現在飛行場の管理をしているところの省庁が責任を持っていろいろと対策をやっていただくということ、この原則は変えるわけにはいかないと思います。ただ、われわれといたしましては、自衛隊の航空機がこういう頻度でこういう演練をやっておるという実情は、監督官庁といいますか管理官庁であります運輸省の方によく申し上げまして、この跡地利用が、沖縄開発庁計画とも関連をいたしますけれども、一層推進されるように、われわれとしても微力ながら努力をしなければならないと思っております。
  23. 國場幸昌

    國場委員 時間がもう五分に迫りましたので、取り急ぎ簡潔に御答弁をお願いしたいのですが、農林省、沖縄における農業病害虫の防除、駆除でウリミバエ、コミバエの問題ですが、御承知のとおり、久米島におきましては、政府の熱意ある特段施策をもって撲滅されて、ここは非汚染地域ということで指定もされまして、とても喜ばしい限りである。  同時に、ミカンコミバエに対しましては、沖縄本島では昨年の七月以降ミカンコミバエは見つかっておらぬ、こういうことで、恐らくこれはもう撲滅されておるのじゃないか。そこで農民としましては、サトウキビの問題でも国の御厄介にあずかっておるし、何とか工夫をこらして適地適作ということで、御承知のとおり沖縄の時期外れミカン、青切りミカンというのですか、これが最近に至りましてずいぶん盛んになりました。これは温州ミカンより三カ月ぐらい前にできるわけですから、来る八月ごろからもうすでに出荷が始まるわけです。そこで、ミカンコミバエというのが邪魔になって、ことにアメリカの病害虫の問題が絡んで、これが波及しましてますます厳しくなるという影響を受けておりまして、とても心配しております。いま農林省としましては、昨年の七月からこのミカンコミバエは見つかっておらない、こういうようなことでありますが、その結果に対しての考え方、八月を迎えての青ミカンの本土移出問題に対しての考え方、これをひとつ聞かせていただけませんか。
  24. 管原敏夫

    ○管原説明員 ただいま先生から御指摘いただきましたように、ミカンコミバエにつきましては昨年の七月以来全然発見されないというような非常にいい結果を迎えておるわけでございます。したがいまして、沖縄県におきましては今月の六日付で国に対しまして、もう虫はいない、したがってその確認をしてくれというような申請が出されております。私ども実は一昨日から県とも相談しまして、今後どうするかという取り扱いを協議していたわけでございますけれども、本日から駆除確認の調査実施するということにしておるわけでございます。予定としましては、この調査は夏ごろには終了する予定でございます。したがいまして、ただいまお話がございました青切りミカンの出荷時期というのを十分考慮いたしまして、可能な限りなるべく早くその結論を出したいというふうに考えておる次第でございます。
  25. 國場幸昌

    國場委員 終わります。時間であります。ありがとうございました。
  26. 吉田之久

    吉田委員長 小渡三郎君。
  27. 小渡三郎

    ○小渡委員 質問に先立ちまして、委員長の許可を得て、資料の一部でございますけれども、地図を作製してございますので、各委員並びに政府関係者の皆さんにお配りをいただきたいと思いますが、よろしくお願いします。
  28. 吉田之久

    吉田委員長 はい、すぐ配ってください。
  29. 小渡三郎

    ○小渡委員 まず、きょうは防衛施設庁長官も御出席をいただきました。施設長官には、仄聞いたすところによりますと、このたびの人事の異動で防衛庁事務次官に御昇任のよし、心からお喜びをまずもって申し上げたいのでございます。そういうことから、私が質問をいたしますことは防衛施設庁長官といたしまして最後のお仕事になろうかと思うのでございます。ぜひ質問にお答えをいただきながら、早速お取り上げをいただいて、県民の期待にこたえていただきますように心から念願をするものでございます。  さて、質問の第一点でございますが、まず担当の部長さんにお伺いをいたします。  お配りをいたしました地図でございますが、それは沖縄本島の中部、北谷町の西側海岸でございます。俗に言うメイ・モスカラー地区、こういうぐあいに言っている解放された軍用地でございます。そこで、これらの解放軍用地でございますが、返還面積は七万六千二百五十二坪、うち海没地が二万一千坪に及んでおるところでございます。これが返還をなされましたのは五十六年十二月三十一日、去年の暮れでございます。したがいまして、返還までの経過について四十九年来どういうことがあったのか、その辺を簡単にお聞かせいただきたいと思います。
  30. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 メイ・モスカラー地区につきましては、沖縄県における基地の整理統合といいますか縮小計画の一端として、私どもとしましては、かねてから米軍に、整理統合の可能なものにつきましては積極的に話し合いを進めてまいったわけでございます。それで、メイ・モスカラー地区の合意そのものといいますのは、日米合同委員会において、五十年代の初めあたりから実際問題として話が進められまして、ただ現実に、いろいろな米軍の都合であるとかあるいは当方のいろいろな折衝経緯といったようなものもありまして、先生承知のように五十六年の十二月三十一日、昨年暮れでもって所有者の方々に返還されるようになったわけでございます。
  31. 小渡三郎

    ○小渡委員 実はこの返還につきましては、いまも御説明がございましたように、米軍施設、区域の整理統合の一環といたしまして、四十九年一月三十日に日米安保協議会において合意を得たものだと私は理解をいたしております。それで、五十二年の六月三十日になりまして、地主に対して那覇防衛施設局が意向の打診を行っております。意向の打診を受けた地主会といたしましては総会を開きました。それが五十二年七月十日でございます。そのときに地主の総会において決議なされた事項が四つございます。五十二年七月二十八日には施設局の方に回答をしております。その回答後四カ年たちまして、五十六年十二月三十一日に返還がなされたのでございますが、伊藤施設部長として、五十二年七月二十八日に地主の総会で決議をなされました四項目については御存じでございましょうか、お答えいただきたいと思います。
  32. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 当時、地主の方からの御要望といいますのは、先生指摘のように四項目あったわけでございますが、一つは、地籍確定後に返還してほしいという御意見、それから、先ほど御指摘になりました海没地がございますので、海没地の埋め立て及び護岸の国による実施、それから三番目としましては、すでに排水路ができておりますので、その排水路用地について適切に手当てしてほしい。それから四番目が、この地域が国道五十八号線に隣接しておりますが、この国道五十八号線との段差の違いについて国として手を打ってほしいという御要望でございました。
  33. 小渡三郎

    ○小渡委員 施設部長もよく内容を御承知しているものと私は理解します。いまの御答弁で私も少々安心をいたしているわけでございますが、このメイ・モスカラー地域というのは、去った太平洋戦争で米軍の上陸の最初の地点でございます。したがいまして、熾烈な戦闘が行われたところでございますから、護岸一帯が壊滅に帰しているというのも、現地を見られない方でもおよそ想像にかたくないわけでございます。そして、ことにメイ・モスカラーという名前がついているのでございますが、このメイ・モスカラーという語源でございますけれども、これはメイという陸軍一等兵とそれからモスカラーという軍人と二人の名前を取ってメイ・モスカラー地域、こういうぐあいに名づけたと言われております。二人とも射撃手でございまして、大変勲功を立てたものと思われるわけでございます。  それで、この地域は射撃場に長い間使用されていた地域でもあるわけでございます。しかし、米軍は上陸後、基地を設営するために海岸線の砂、砂利をほとんど持ち去りまして、そして後背地の方の水田、畑を埋め尽くしてそこへ基地を建設したわけでございます。当時、地主の皆さんはその状況を涙なしには見ることができなかっただろうということも推定できるわけでございます。したがって、防衛施設庁の方から五十二年六月三十日に返還をするぞということで意向を打診いたしましても、その時点におきましては地籍が明確化されていないという大きな理由があったわけでございます。そしてまた、護岸が壊滅状態でございますから、それでは復元をしようにも復元ができるはずもございません。したがって、護岸の早期復元、そして海没地の原状への回復、これは当然の要求であると思量されるものでございます。なおさらに、復帰後、国道の整備が着々と行われました。ことに海洋博の時点におきまして国道の整備というのはすさまじい勢いで伸長したものでございます。その時期に、その地図にもございます国道五十八号線の整備、舗装に際しましては、かなりのかさ上げがなされたわけでございます。したがってメイ・モスカラー地域と一メートル九十に及ぶ段差が生じたわけでございます。したがってその段差を何とか修復してほしい、これは地主の当然の要求であるわけでございます。さらには、水路の用地についても、返還を保留するということはしないで全部買い上げてほしいというのも当然の要求だと考えられるわけでございます。  こういう要請を受けた施設局としましては、復元補償につきましてどのように対応なさろうとしておられるのですか、お答えください。
  34. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 まず、地主の方々の御要望に四項目ございますが、私どもとしましては、地籍確定後の返還ということにつきましては、御要望を受けた後、われわれの業務としての地籍明確化の作業を進めてまいりまして、五十六年四月一日にそういった作業をすべて終えましたものですから、これについては御要望におこたえしたものと思っております。  それから海没地につきましては、御承知のように、海没地に対する原状回復補償というのが、私ども賃貸借契約に際して原状に回復するというお約束をしておりますので、一般的には、通常の場合原状回復に要する費用の弁済ということで済ましておりますが、当該地区につきましては海没面積も大きいですし、現実に利用可能なものにしていきたいという御要望にもこたえまして、現在原状回復補償の交渉の中で地主の方々の御要望、それから県の方とも調整をとらせていただきまして、原状回復費用の中に護岸費用といったものも含めて補償するという考え方で進めております。なお、この原状回復の工事そのものは北谷町御自身の計画等もおありのようですので、そういったものとも調整をとらせてやらせていただきたいと思っております。  それから排水路用地につきましては、すでに有効使用されておる排水路でございますので、でき得ればこれを排水路として使用し得る、当然その際には排水路を管理されるところで買収といったようなことが行われますので、私どもとしましては、それに対する補償といいますか、そういったもので今後の調整を進めさせていただきたいと思っております。  なお、国道の段差問題につきましては私どもの行う原状回復の問題と若干異なっておりますが、地主の方々の御要望もございますので、私どもとしましては関係機関とも調整をとらせていただきますし、そういった用地返還といったようなものに関連しまして、私どもの方としましてお手伝いできることがあったらお手伝いしたいといったようなことも考えております。ただ、この問題は直接に、いわゆる施設の問題と違っておりますので、今後私どもも関係のところと調整を進めさせていただきたいと思っております。
  35. 小渡三郎

    ○小渡委員 お配りいたしておりますその地図の右側の方でございますけれども、そこはパイプライン敷地でございますけれども、その辺の返還でございますが、これがパイプライン敷地そのものが返還保留になりまして、言うなれば細切れ返還という形式をとっております。私は現地を見させていただいたのでございますけれども、その返還されている土地というのが袋路になりまして利用がきわめて効率的でない、言うなれば高度の利用ができないという地域でございます。国道に沿った部門が返還されないで、奥へ引っ込んでおるところが返還されて、その周囲をまたパイプラインで施設されているものですから、袋になってしまっている。その袋になっている部分が解放されている。こういうことでは解放ということの意味にはならないと思うのですよ。やはり解放された以上は、高度にその土地を利用することができるということになって初めて解放という実感がわいてくるのじゃないでしょうか。その辺の検討を願いたいのでございますが、いかがでございますか。
  36. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 ただいま御指摘になりましたパイプラインにつきましては、現在私どもの移設工事という形でパイプライン撤去のための必要な措置をとらせていただいておりますので、実際問題として五十八年度末くらいまでかかると思いますが、それくらいまでに返還し得る状況に持っていきたいと考えております。  なお、御指摘の袋路になりました部分につきましての通行問題その他については、現地において調整をとらせていただきたいと考えております。
  37. 小渡三郎

    ○小渡委員 伊藤施設部長の御答弁の中で、お手伝いをさせていただくという言葉がございましたが、これは私どもとしては大変耳ざわりのする言葉でございます。言うなれば、米軍に提供している施設というのはすべて管理者は防衛施設庁であるわけです。その防衛施設庁が、今度解放されますと勢い管理者でなくなるわけです。ところが、解放された時点で原状に回復させるということはもう絶対至上命令であると私は理解しております。そういうときに、原状回復はだれかがやるのであって、施設庁としてはあくまでお手伝いをさせていただくのだというような、何かそういう印象を私、いま率直に受けたんです。本当にそうですか。
  38. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 私の答弁ぶりがあるいは不十分であったと思います。もちろん私どもとしましては、原状回復に当たりまして、特にメイ・モスカラー地区の海没地区につきましては、海没地区が復元できるに足る十分な補償というものを考えております。そういう意味で、私ども自身が原状回復そのものの工事をするたてまえになっておりませんので、お手伝いするという言葉を使ったものと思います。
  39. 小渡三郎

    ○小渡委員 原状を回復するときの施行責任者というか施行主体はだれですか。
  40. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 原状回復するに当たりましては、当然所有者の方々が中心になるわけでございますが、所有者の方々も数多くございますし、それから、現実に一連の海岸線として護岸等行うことになりますので、私どもとしては、海岸線そのものが県有地であるということで県とも調整をとらせていただいて、その辺のところを決めていきたいと思っております。
  41. 小渡三郎

    ○小渡委員 確かに賃貸契約によりますと、その十五条で、復元補償については金銭をもって支払うということで、それを原則としておるのでございますけれども、それは一般的に陸上部門で変形をしているものを回復する場合の作業としては、ある意味では私は可能だと考えられます。しかしながら、海没地ということになって護岸もないということになりますと、これを復元補償費だけでもって支払いするから、この補償費でもって地主の皆さんが施行主体となって復元をやりなさいということは、これは事実上可能なことですか。というのは、護岸というのは地主とは何の関係もないのです。だから、この辺はもうちょっとケース・バイ・ケースで真剣に考えないといけないんじゃないでしょうかね。これから、沖縄の基地が整理縮小されるにつれまして、これに類似するようなのが今後も起きてくるものと予想されます。そういう場合に、今回のメイ・モスカラーの復元補償につきましては、これは沖縄県内における復元補償の大きな試金石である、私はこのように位置づけているわけです。護岸は一体だれがやるのですか、お答えください。
  42. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 本件につきましては、私ども立場から言えば、原状回復ということで原状回復がそういった護岸等の工事を必要とする場合のそういった所要経費も含めまして、当然補償額というものを算定いたします。本件につきましては、先ほどもちょっと触れましたが、メイ・モスカラー地区における北谷町等の将来計画等もありまして、そういった問題も調整をとらしていただいて、県等と現在調整しておりますので、その段階で、いま先生指摘の件についても、私どもとしても十分県のお立場あるいは地主の方々の御要望というものにこたえてまいりたいと思っております。
  43. 小渡三郎

    ○小渡委員 御答弁の中で、町の計画だとか県とのお話し合いとか、そういうことをおっしゃっておるのですが、私はそういうことはお聞きしていないのです。問題は、護岸を構築するというのはだれの責任ですかとお尋ねをしているわけで、その北谷町の計画というのはおよそ相当長期にわたる計画だと私は踏んでおります。北谷町とも十分話し合いをしているのですよ。そういうことをお聞きしているのではないし、県有地があるから県の方とも話し合いをしている、私はそこまで質問をしているのではなくて、いま質問しているのは、護岸というのはどこに責任があるのですかとお尋ねをしているわけだ。占領当時の原状に回復するというのは、占領当時は護岸があったのですよ。占領当時いかにも護岸がなかったかのような印象を与える御発言は、これはとっても困るんですね。護岸はだれがつくるのですか。県がつくるのですか、それとも地主がつくるのですか。そこをお答えください。
  44. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 繰り返すようでございますが、私どもとしましては、原状回復補償という立場でこの問題の解決を図りたいと思っております。その原状回復の中においては、当然のように、地主の方から御要望がありました海没地等の回復といったようなものも含んで行いたいと思っております。その段階では、当然土地を復元しまして盛り土等を行いますが、そういったような費用も含めて補償金というような形で私どもの方が支出するようになりますので、この件につきまして、現実の問題として今後どのように土地を回復していくかということにつきまして、現在検討、調整さしていただいておるわけです。
  45. 小渡三郎

    ○小渡委員 県と何を調整しているのですか。ちょっとお聞かせください。
  46. 吉田之久

    吉田委員長 明確にお答えください。
  47. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 県と調整しております内容は、海没地等の回復も含めまして、現実問題として補償金に基づく工事をどのような規模で、どのように実施していくかという内容についての調整でございます。
  48. 小渡三郎

    ○小渡委員 要するに、部長、あなたの御答弁で私が理解していいのはこういうことですか。  海没地は全部復元いたしましょう、それで海没地を復元するにしても、護岸がないとこれは復元できませんね。波風にまたさらわれるし、暴風が来るとまた持っていかれるしということになるので、復元は護岸を含め、それから護岸の内側の県有財産である保安林だとか防潮林だとかいうのがございますから、そういうものも含めて、国と防衛施設庁と県と市町村、全部話し合いをいたしまして、そうして全部占領当時の姿、原状の形にやりますというのは、今度はだれがやるのですか。そこまでひとつ確認をしておきたいと思います。
  49. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 先生指摘のように、確かに土を盛っただけで復元というわけにはまいりませんので、当然のように海岸線に対して土が流出しないようにといったような措置、護岸とか土どめといったような措置が講じられるものと思います。それで、これにつきまして、私どもとしましては県当局ともお話し合いを進めております。それから地主の方々の御要望も受けて現在、補償といったような形で進めさせていただいておりますので、先ほど先生から御指摘のありました費用等をそういったものに含めまして補償の対象にしたいと思っております。
  50. 小渡三郎

    ○小渡委員 まだわからないのですが、だれがやるのですか。今度は工事の主体者はだれになるのですか。そこまでひとつお答えください。
  51. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 補償のたてまえから言えば、工事そのものは補償金を受け取られた方のおやりになることになりますが、現実問題として、そういった方々のお立場なり、組織としての能力といったようなものも考えまして、私ども、その点は県と現在交渉をさしていただいているわけです。その交渉結果によって、先生指摘のことに対して、私どもは県、地主の方々の御要望に十分沿っていきたいと思っております。
  52. 小渡三郎

    ○小渡委員 じゃ、この問題はこれでちょうど三十分になろうとしていますので、あと一つ問題がございますから、最後に、メイ・モスカラーにつきまして長官に御答弁をいただきたいと思います。  ちょっと数字的な問題になりますけれども、いま部長と議論をいたしたのでございますが、その中で回復補償額でございますけれども、地主会にいま提示されている価額は幾らでございますか。
  53. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 個々の方の補償ということになりますので余り細かくは申し上げられませんが、現在、原状回復補償費としましては、一切の費用を含めまして四億程度のものを考えております。
  54. 小渡三郎

    ○小渡委員 長官、いま回復補償額四億、私がとらえておる数字は四億一千八十二万円でございますけれども、これの積算は、県が工事を施行するにいたしましても国が施行するにいたしましても、いずれの場合でも、四億一千万という数字が妥当な数字であるかどうかということは、いま早急に私は納得できる数字ではないわけでございますが、これはいまから県、市町村、関係機関との話し合いの中で相当振幅があるというぐあいに理解してよろしいですか。
  55. 吉野実

    ○吉野(実)政府委員 先ほど来からお話をさしてもらっておるわけなんですけれども、われわれの方といたしましては、妥当な原状回復ができるようにお金は補償いたします、こういう立場でおるわけです。ただ、先ほどの話にちょっと触れますけれども、われわれの方といたしましては金だけ払っていればいいのかというと、そういうわけにもいかない特殊な環境というか事情にありますので、たてまえ上あるいは契約上は金だけ払って後でおやりなさいというふうに言えないこともないのですけれども、それではまずいということで、施行主体が県になるか、場合によって民有地についてはほかの方々になるかは知らぬけれども、われわれとしてはそのために裏方といいますか最大限の努力をする、われわれの方は決して金さえ払えばいいという立場ではないということを一つ申し上げます。  お金の話ですけれども、これで十分かどうかということですが、先ほど来土どめの工事あるいは必要に応じて護岸の工事、これは排水路の問題とちょっと外れますけれども、そういう問題が一つある。さらに、直接補償とは関係がないといたしましても、五十八号線との関係もあるだろうということでございますので、妥当な回復措置ができるように、適正と思われるような回復措置ができるように、現在これから県及び関係の地主さん方とお話し合いをするわけですから、その際に私の方としましても、これは適正であるということであれば、四億一千万でしっぽを切ってしまう、こういうことは考えておりません。
  56. 小渡三郎

    ○小渡委員 それでは続いて長官、返還地の土どめ工事だとか埋め立て工事、いま議論をしている工事でございますけれども、これは防衛施設庁としましては、県及び関係機関と十分協議をいたしまして五十八年度末までには完成できるようになさいますか、お答えいただきたいと思います。
  57. 吉野実

    ○吉野(実)政府委員 技術的な積み上げでございますので、いまここで五十八年度に必ずできますということを申し上げる立場にはございませんけれども、従来からの交渉のいきさつ、置かれておるわれわれ施設庁の立場から考えまして、われわれとしては五十八年度未までにできるように万全の努力をいたしたいと思っております。
  58. 小渡三郎

    ○小渡委員 次に、排水路用地でございますけれども、地主等の要望としましては、早く買収してくれという要請でございますから、その要請にもこたえていただきまして、原状回復の工事が進められる同じ時期には排水路用地の買収もするというような作業をしていただけますか。
  59. 吉野実

    ○吉野(実)政府委員 仕事に手戻りがあってはいけませんので、先生がいまおっしゃったような線でわれわれは努力しなければならぬ、そういうように思っております。
  60. 小渡三郎

    ○小渡委員 排水路ができましても、それが言うなれば地域を分断いたしますから、そこには管理道路をどうしてもつくらなければならなくなると思います。その管理道路でございますけれども、排水路を整備する段階で十分——管理道路という言葉が適切かどうかわかりませんが、要するに架橋でございますね。それも地主の意向を十分考慮しながら管理道路の建設ということもあわせてしていただきたいわけでございますが、そういう点にも考慮が払われることでございましょうね。いかがでございますか。
  61. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 言われました管理用道路といったようなものにつきましても御要望がございますので、先生指摘のように、排水路を整備する段階であわせて行いたいと思っております。
  62. 小渡三郎

    ○小渡委員 次に、土どめ工事を実際に始めまして海没地の埋め立てが進むにつれまして、万一汚染とかいろいろな問題が起きてくる可能性が非常に強いわけでございます。そういうときに、施行主体者が仮に地主側であったとした場合、その責任の所在でございますが、その責任の所在については地主側としては一切これを受けるわけにいかないのでございます。そんなときには国としては十分対応する用意がございますか、お答えください。
  63. 吉野実

    ○吉野(実)政府委員 海洋汚染というような話あるいは水質汚染というような話が起こらないように回復工事、土どめ工事をしなければいかぬと思いますけれども、仮に国でない、県と仮定いたしますと、やっていただく場合には、事前に調整をして計画をよく検討いたしてそういうことのないようにいたすつもりでありますけれども、どうしてもそういうことが避けられないような場合には、それ相応に国としても考えなければならない、こういうふうに考えております。
  64. 小渡三郎

    ○小渡委員 あと二点でございますが、PLOのさっきの用地問題でございますが、これは、要するに原状回復ができるまでの時点、私は五十八年と申し上げたいところでございますけれども、それは事業の進捗によって多少の延伸はございましよう。要するに原状回復ができる時点までにPLOの用地については撤去をしてほしいという要請が強うございますので、それに対応していただけるでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
  65. 吉野実

    ○吉野(実)政府委員 先ほど五十八年度末を努力目標としなければならぬと申し上げましたが、それはPOLの問題も関係があるわけで、われわれといたしましては移転先を早く完了することによって仕事の手詰まりが起こらないように当然考えなければいけない、こういうふうに思っております。
  66. 小渡三郎

    ○小渡委員 最後の質問ですが、五十八号線との段差の問題があと残されるわけでございます。それで、これは防衛施設庁が直接の所管ではございませんけれども、跡地が十分利用できますようにこれはどうしても対応していかなければならないわけです。そのときには関係官庁に対しましても、地主の立場に立っていただきまして強い要請をしていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  67. 吉野実

    ○吉野(実)政府委員 段差の解消の問題は土地の利用計画とも関係がありまして、なだらかに段差を解消するのかあるいは道路によって通路をつくるのかいろいろあると思うのですが、そういう話は今後地元とのいろいろ協議検討が行われると思います。われわれといたしましては、直接所管の仕事ではございませんけれども、側面において御協力をさせていただきたい、こういうふうに思います。
  68. 小渡三郎

    ○小渡委員 大変明快な御答弁をいただきましてありがとうございました。解放軍用地の海没地という実に広大な、三分の一に及んでいる地域でございますので、ぜひ地主の意向を十分体していただいて、県民の意向でもございますので、みごとな原状回復ができますように御尽力をいただきたいと思います。  開発庁でございますが、振興局長、跡地利用でございます。沖縄振興特別措置法の今国会における十年延長の際に、跡地の利用については、土地区画整理事業あるいは土地改良事業等その地域の住民の意向を体して積極的に土地利用を図るという附帯決議がなされているわけでございます。法律の精神もさようであろうかと思うのでございます。  そこで、まだ地主側が県とも十分調整されている問題ではございませんが、地主の総会においては、土地利用については土地区画整理事業を行うということで満場一致意見の一致を見て、いまから作業に入ろうかとしているところでございますが、そのときは建設省等につきましても格段の御努力をいただきまして、早期に土地利用ができますように御尽力がいただけますか。その点だけお答えください。
  69. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 メイ・モスカラー地区の跡地利用につきましては、土地区画整理事業を実施することが適切な方法であることは御指摘のとおりであると私は思います。先ほど先生からおっしゃいましたように、沖振法の附帯決議の趣旨もありますので、地元における主体的な取り組みを前提といたしまして、私たちも万全の努力をしたいとは思いますが、ただ、御案内のとおり、土地区画整理事業につきましては、事業の実施主体が組合施行と県または市町村の公共団体施行と二つございまして、いま先生からもお話がございましたとおり、本件につきましてはまだ実施主体が明らかでございません。それからまた、これを区画整理事業として実施するに当たりましては、ただいまいろいろ御議論のありましたことも含めまして、その前提として解決を要する問題もあるように思われますので、沖縄開発庁といたしましては、まず沖縄県及び北谷町から事情をよく聞きました上で関係省庁とも協議をいたしまして適切に対処をいたしたい、かように考えております。
  70. 小渡三郎

    ○小渡委員 先ほど私、発言の中でPOLをPLOと申し上げておりますので、あれは訂正いたします。  それじゃ、防衛施設庁の方にお尋ねをいたします。  防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律というのがございますが、目的は何ですか。簡単にお答えください。時間に制約がございますのでお願いします。
  71. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 目的は、自衛隊基地それから米軍基地等の設置、運用いたしますことによって障害等生じますが、その防止等を図ると同時に、防衛施設周辺地域の生活環境の整備もあわせて図っていくということでございます。
  72. 小渡三郎

    ○小渡委員 それで、この法律に基づいてどんな事業をおやりでございますか。これも簡単にお答えください。
  73. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 法律は、御承知のように生活環境等の整備と損失の補償といったように分かれております。それで、先生のお尋ねは生活環境の整備というのが主体と思いますので、そちらの方についてお答え申し上げますと、まず、各般の自衛隊等の措置によりまして起こりました障害を防止するための工事の助成、こういったようなものの中には防音工事等も含んでおります。それから特に住宅の防音工事の助成、それから飛行場周辺における移転の補償、それから緑地帯の整備、それから防衛施設周辺におきます地域の住民の方々の阻害されているというものに対する民生安定施設の助成並びに特定の防衛施設の周辺の市町村に対しまして特定防衛施設周辺整備調整交付金といったようなものの交付といったものを主たる事業にしております。
  74. 小渡三郎

    ○小渡委員 私、運輸省を実は呼ぶつもりでございましたが忘れておりますので、運輸省の方には、これは防衛施設庁関係として、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律は、いま御説明あったように、米軍並びに自衛隊の基地があるためにいろいろ障害になっていることがあるならば、その防止だとかあるいは生活環境の整備とか、そんな必要な措置を講じながら関係住民の生活の安定と福祉向上を図っていくんだという目的だ、内容はいま御説明があったとおりでございます。同じように、民間航空につきましても、運輸省所管でございますが、公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律というのがございまして、この法律も、その目的は、航空機の騒音によって公共用飛行場の周辺で障害が起きたならば、その障害の防止、航空機の離着陸の頻繁な実施によって生ずる損失の補償、こういうものを講ずることによって生活の安定と福祉の向上を図っていく。そのために、障害防止策として、学校騒音防止工事の助成とかあるいは共同利用施設の助成とか、住宅防音工事の助成、移転の補償、緑地帯の整備などが工事として法制化されているわけです。これは民間航空の場合も、それから米軍の場合も、自衛隊の場合も、まさに障害防止のために積極的につくられた法律であることは間違いないわけでございます。  そこで、さらにあと一つまたお尋ねをして本論に入りますけれども、国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律というのがございますね。これは自治省でございますか。それで、目的は何ですか、この中身は何なんですか、どういう交付金ですか、お答えください。
  75. 杉原正純

    ○杉原説明員 ただいま御指摘になりましたのは通称基地交付金と称しているものかと思いますが、基地交付金につきましては、本来的には固定資産税の代替という性格を持っているわけでございますが、それを基本としつつ、かつ、施設が所在しておりますことによります当該市町村財政需要に対処するための財政補給金としての性格をあわせ有する、こういう性格の交付金であろうかというふうに理解いたしております。
  76. 小渡三郎

    ○小渡委員 要するにこういうことですね。この法律による市町村に対する助成交付金というのは、もともとそれが米軍用地だとかあるいは自衛隊に提供されている地域でなかったならば、そこはそれぞれ民間として開発をされるか、あるいは何かの形に使用されていることは間違いございません。したがって、そういうところには固定資産税が課せられるわけでございますね。ところが、米軍用地であり自衛隊基地であるがために固定資産税を市町村が直接賦課することのできない、直接税をいわゆる賦課することができないので、それにかわるものとして、自衛隊が使用している飛行場とかあるいは演習場、あるいは政令で定めている弾薬庫あるいは燃料庫の用に供する固定資産で政令で定めるものが所在する市町村に対して、その固定資産の評価を行って、その価格に対応しているものを皆集めまして、それを今度は関係市町村に交付をしている、このように解してよろしいですね、いかがですか。
  77. 杉原正純

    ○杉原説明員 いま先生指摘のとおりでおおむねよろしいかと思います。  ただ評価につきましては、国有資産台帳の価格をもとにいたしておりまして、直接関係市町村が通常の固定資産のように評価をいたすというものではございません。
  78. 小渡三郎

    ○小渡委員 そこで、自治省、航空機燃料譲与税法、これの譲与税は法律ではどのように定められておりますか。その使途ではございませんよ、使途は後でお尋ねいたしますが、その航空機燃料譲与税とは何ですか、まずこれをちょっとお答えください。
  79. 杉原正純

    ○杉原説明員 航空機燃料譲与税につきまして、その目的そのものがずばり法律の特定の条文に書いてあるわけではございませんが、御案内のように、かねてから空港が所在します関係地方団体におきまして、航空機騒音対策でありますとか、その他もろもろの空港に絡みます費用が増大するということにかんがみまして、財政需要が非常に多くなっているということで、昭和四十七年に国税としての航空機燃料税ができまして、空港整備財源、特定財源が国に置かれました際に合わせまして、税収の十三分の二の額を譲与税として関係地方団体に配って、そのような所要の財源に充てるということで設けられたものでございます。
  80. 小渡三郎

    ○小渡委員 そして、この譲与税法では第七条で、航空機燃料譲与税の使途が明確にうたわれておりますね。どのように規定しておりますか、お答えください。
  81. 杉原正純

    ○杉原説明員 御指摘の航空機燃料譲与税法第七条でございますが、前の方を省略いたしますと「譲与を受けた航空機燃料譲与税の総額を航空機の騒音により生ずる障害の防止、空港及びその周辺の整備その他の政令で定める空港対策に関する費用に充てなければならない。」かように定められております。
  82. 小渡三郎

    ○小渡委員 そこで、自治省、先ほど来私は、防衛施設庁関係の法令の目的とその事業について、あるいは運輸省につきましては、運輸省が来ておりませんので、私がそのまま説明をいたしました。  そこで、いまお尋ねをいたしました航空機燃料譲与税法による譲与税が毎年県または関連市町村に交付されているわけでございますが、これはあくまで民間航空ということになっているわけですね。公共用民航、そういうぐあいになっているわけです。それは政省令で市町村の地域までもみんな規定をされております。ところが、これは沖縄ばかりでなくて全国そうであると思いますが、騒音というのは民間航空ばかりではなくて、米軍の使用する飛行機、自衛隊が使う飛行機の騒音もあるわけでございまして、その空港周辺の市町村は、どちらかというと、騒音の被害というのは、民間航空よりももっとすさまじいものを年がら年じゅう受けている地域もあるわけなんです。そういうところには——このような譲与税法で使途が明確になって、しかも、いま御説明のあった騒音対策に使用すべしというぐあいに七条で決められている、こういう譲与税があるのにかかわらず、これは民間だけに適用されている。言うなれば自衛隊とか米軍の使用する飛行機の騒音には該当していない。これはどういうわけですか、お答えください。
  83. 杉原正純

    ○杉原説明員 航空機燃料譲与税につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、航空機燃料税たる国税がその十三分の二を配分するわけでございますが、航空機燃料税そのものが国内線を飛ぶ民間航空機から取って、それを配分するということになっておりますので、いま御指摘のように、自衛隊あるいは米軍の基地だけに使用されている空港につきましては譲与税は配分されない、こういうことになっておるわけでございます。
  84. 小渡三郎

    ○小渡委員 いや、問題は、それでいいかというわけですよ。住民の側に立ちますと、騒音に対する対応として、民間航空については譲与税までも燃料税として徴収しまして、その十三分の二を関連市町村に毎年交付している。これはわかりますよ。それはいいです。ところが、米軍とか自衛隊が使用している飛行場の周辺は騒音がないわけではありませんよ、もっとひどい騒音に悩まされている。そういうところにはこの譲与税に該当するような別な法律が必要じゃないかということを尋ねているのです。どうですか。
  85. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 先生の御指摘は、民間の飛行場の周辺の騒音対策については譲与税があり、他方、米軍あるいは防衛施設所在の場合にはそれに相応するものがないではないか、そういう意味でアンバランスではないか、こういう御趣旨であると承りますが、やはり米軍防衛施設関係の市町村に対するそういった財政需要に対する措置といたしましては、先ほど来、市町村税課長もお答え申し上げましたが、基地交付金あるいは調整交付金、あるいは防衛当局の所管しておられますところの周辺整備補助金、こういったもので対応していくという現在の財政のシステムで行われておるわけでございまして、そちらの方の充実と、適切な算定を通じて財源措置がなされることが適当であろうかと考えるわけでございます。
  86. 小渡三郎

    ○小渡委員 それは全然違いますよ。それはおかしいですよ。  というのは、助成交付金の話をいまおっしゃっておられましたが、助成交付金で、その分で手厚く交付すればよろしいのじゃないだろうか、あるいはそういうぐあいにしているんではないか、包括したものになっているのじゃないか、こういうぐあいに私は解するのですが、ところが、国有提供施設等所在市町村助成交付金というのは何であるかというと、これは普通税なんですよ。固定資産税に該当する分なんですよ。だから、固定資産税に該当する分ならば、市町村はその固定資産税を徴収することによって何に使ってもいいわけです。人件費に使ってもいいんですよ、普通税ですから。譲与税は普通税ではございませんよ、目的税なんです。それから、特定防衛施設周辺整備調整交付金というのは、これも目的が明確になっているのですよ。調整交付金、これは特定の防衛施設周辺でなければだめなんです。沖縄なんかは全然該当しませんよ。これは防衛庁が管理する空港でないとだめなんです。そういうことになっているんですよ。そんないいかげんな答弁で逃れようなんて、とんでもない話ですよ。市町村助成交付金というのは、基地に接収されているので、いなければその辺開発されて、市町村税が幾らでも取れるということが想定できるわけですよ。それに対応するものとして、固定資産税の価額を市町村財政状況に勘案しながら交付をしているわけでしょう。ですから、これは全然騒音対策費ではないですよ。騒音対策と関係ないですよ。防衛施設周辺整備調整交付金も防音対策とは直接関係がない。  私が聞かんとしているのは、防衛庁としましても、住民生活の安定と福祉向上のためには防衛施設周辺の生活環境の整備に関する法律がある。それから運輸省には、民間航空に対して公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律がある。事業主体、中身は大体似ている。補助率は違うけれども、大体似ている。それから助成交付金というのは、いま言うように普通税に該当するものである。ところが、譲与税というのは目的税で、これは民間航空だけを対象にしているんだという法律なんですよ。だから、片手落ちじゃありませんかと聞いているわけですよ。これは何も沖縄だけじゃない、全国同じなんです。全国適用する。民間航空の場合は、燃料税をプールして、国税として集めて、その中の十三分の二を譲与税として各関係市町村に交付をしている。それは何か。何に使うのかといったら、第七条で騒音の防止対策にということがうたわれているわけですよ。では、騒音というのは、嘉手納の飛行場を例にとるならば、あの周辺というのは那覇周辺とは話になりませんよ。民間にはこういう制度があるのに、なぜ防衛庁にはないのか、片手落ちじゃないのか、アンバランスじゃないのか、十分これは検討して、新しい対応を考えないといかぬのじゃないか、こういう指摘なんですよ。いかがですか。
  87. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 民間空港等が所在する場合に、国の管理する部分につきましては、固定資産税のかわりの交付金が交付されるわけでございます。また、民間航空会社が所有しておりますところの施設につきましては、これは固定資産税がもちろん当該市町村の収入になるわけでございます。これは御指摘のように、一般財源としての収入でございます。したがって、現在の地方財政のシステムの上では、これは固定資産税、それから交付金につきましても固定資産税と同様に、御承知のように地方交付税の仕組みを通じて調整をされる。つまり地方交付税の算定に際しまして、固定資産税なりそれにかわるべき交付金のあるところはそれを差し引くというシステムをとっておるわけでございます。したがって、それは一般財源を付与するシステムとしての中に組み込まれておるわけでございますが、基地交付金につきましては、実はそのような仕組みはとっていない。つまり交付したままでこれを交付税の差し引き対象にするというようなことはしていない。確かに基地交付金は固定資産税の代替的な性格を持っておりますけれども、そういった違いももちろん地方財政の仕組みの上ではあるわけでございます。しかも、その基地交付金につきましては、関係の施設の所在するところの財政需要というものを考えて、そういったものに使われるであろう。ただ、これは補助金のように完全なひもつきではもちろんございません。御承知のとおりでございます。そういう仕組みをとっておるわけでございます。  私ども自治省としては、少なくともそういった基地交付金等の充実に努めてまいりたいと思っておりますし、さらにつけ加えて申しますならば、特にそういった防衛施設あるいは米軍等の施設のある市町村についてはそれなりにさらに財政需要も必要だろうということで、これも御承知のことかと思いますが、特別交付税の算定を通じまして、各種の施設整備に対する補助裏の地方負担に対する財政措置、あるいは米軍等が所在することによって必要となるような財政需要といったようなものを特別交付税の中において算入をしてまいっておるわけでございます。われわれとしては、そういった関係市町村財政の事情がそういったことのためにいろいろ苦しいということも十分考慮して、従来からその充実について対処してまいっておりますし、また今後とも努めてまいりたい、こういう心構えでございます。
  88. 小渡三郎

    ○小渡委員 私が特に指摘しているのは、もうおわかりだと思うのですけれども、要するに航空機燃料譲与税法で言う譲与税は目的税で、しかも騒音防止というぐあいに明確にうたわれているわけです。空港の周辺の整備も含まれております。ところが、基地助成交付金とか、いまあなたのお話があった特別交付税とかそういうものは、事騒音に関する限り、いわゆる騒音対策というものはこの助成金の中には法律的には含まれていませんし、ひもつきにはなってないわけですから、それはその市町村市町村長が自分の裁量によって使用することのできる財源なんです。一方はとにかく漠然としているし、しかも焦点がしぼられていない、そういう形のものなんです。ところが譲与税の方は、もうきちっとこれ以外には使われないわけです。そうなると住民側、国民側の立場に立ちますと、どうもおかしいじゃないか、民航の場合だったら騒音対策としてひもつきの譲与税がある、ところが米軍基地の場合、自衛隊基地の場合は、そういうものはない。これは非常に簡単明瞭ですよ、法律を並べて見たらないのだから。だから、いまあなたがおっしゃるように、特別交付税でもそれは考慮しますよ、基準財政需要額だからこれは算出してくれば出るでしょう、財政状況によっても勘案されますよ、これからもそれに対しては十分対応してまいりますと言うのだけれども、そのことは騒音防止という問題にはしぼられてはいないわけです。全体的な助成なんです。  なぜ私がこれを特に言うかというと、これは全国的な問題なんです。防音装置を行った、冷房を入れた、そうしたら電気料金が上がる、電気料金については受益者負担であるとなるでしょう。そうするとこれは大変な問題なんです。だから各市町村はもちろん、防衛施設庁関係の特に騒音対策費というような助成金があるならば、譲与税に該当するようなものがあるならば、それでもって住宅防音をやっている地域の電気の使用料に対する補助ができるわけです。そうすると、先ほども國場先生の質問の中にございましたが、そういう対応が市町村ではできるわけです。一方、特別交付税で自治省の方に要求する。防音装置、冷房を入れて電気料金がこれだけ上がって何戸だ、これに補助したいからと言ったら、特別交付税で算定しますか。しませんよ、あなたのところでは。そういうのはやるはずがない。だからそういうことではなくて、この譲与税法に決められた使途が明確になった燃料の譲与税に該当するものを、自衛隊あるいは米軍が使用している基地の騒音というのは実に大きいわけですが、それに対応するようなことを立法するかあるいはその他の措置を何とか考えなければいけないのではないか、私は本当に国民の純粋な立場から言うと、そういう感じがします。あなたは交付税交付税と言っているけれども、交付税で民家防音電気料金を支払うのだということで積算して要求してごらん、全額のむはずないですよ。そんなのは自治省がけりますよ。認めないはずです。認めるならば、つくらぬでよろしいです。あなたの御答弁のように十分配慮しますというのだから、認めていただくなら僕は別にけんけんがくがくの必要全くなし、こういうことになります。いかがですか。
  89. 矢野浩一郎

    ○矢野政府委員 市町村に対する特定財源の措置としての仕組みとそれから一般財源による措置の仕組みとの関係でございます。私ども自治省といたしましては、市町村財政需要に対する財源措置をやる場合には、できるだけ市町村が自主的に使えるという意味でいわば使途を特定しない、あるいは航空機燃料譲与税の場合でも使途は一応限られておりますけれども、これは大変包括的な限定であることは御承知のとおりであります。そういう形での財政措置をやるわけでございまして、御指摘のように非常に目的を限った財政措置を行うという考え方は一般的には自治省立場としてはとっていないし、また私どもの方の仕組みも、御承知のように普通交付税なり特別交付税なり算定はいたしますが、その中身については市町村が自主的に使えるということにしておるわけでございます。  御指摘のような個人電気料金に対する補助というものを特別交付税の算定に持ってきた場合に、これは性格的には特別交付税に算定することは困難かと存じますけれども、一方、特別交付税の使途を制限するわけではない、こういうことでございます。  したがいまして、そういった特定財源を特に米軍あるいは防衛施設関係のものについて自治省として何らかの制度的な対応を考えるべきでないかとおっしゃられましたが、この事業の性格がもっぱら国家的な観点から行われたものでございますので、私どもの方としてはちょっと対応しにくい、こういうぐあいにお答えをせざるを得ないわけでございます。
  90. 小渡三郎

    ○小渡委員 私、時間をせっかく理事会でも十分ぐらいの延長はお許しをいただきましたので、いま遠慮会釈なく質問を続けておりますが、もう私、終わりますから。  それで、いまの自治省に関する質問については、これは私は留保します。いま特別交付税の話が出ましたし、特定財源の話も出ましたので非常に興味あることでございますから次回に私は留保いたしますが、最後に防衛施設庁としまして、いま私が自治省との間で質疑を交わしておりました点について問題点があることは御承知おきいただいたと思います。これに対してひとつ御見解、御所見だけでも伺いたいと思いますが、いかがなものでしょうか、長官お願いします。
  91. 吉野実

    ○吉野(実)政府委員 先生承知のように、われわれの防音対策特に住宅防音につきまして、なかなか思うように目標どおりに進捗をしていないということを、われわれはそういう意味ではいらいらしておるわけでございます。最大の努力をして予算を獲得をして、航空機騒音の障害になっておられる方の需要におこたえをしたい、こういうふうに思っておるわけでございます。しかし、なかなかこういう時期でございまして財源の確保はそう容易なものではない、一方、どこかから特定財源等がいただけるというならまことにありがたいことだと思っておりますが、政府部内で調整を要することでございましょうから、私がここで理論的にこの問題に触れるのは差し控えさせていただきたい、そう思います。
  92. 小渡三郎

    ○小渡委員 質問を終わります。どうもありがとうございました。
  93. 吉田之久

    吉田委員長 この際、午後一時まで休憩いたします。     午前零時十一分休憩      ————◇—————     午後一時一分開議
  94. 吉田之久

    吉田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。上原康助君。
  95. 上原康助

    ○上原委員 開発庁長官は後ほどおいでいただくことになっておりますので、最初に、防衛施設庁関係についてお尋ねをしてみたいと思うのです。  問題がいろいろ錯綜しておりまして、何から聞いたらよいのか私もよく整理がつかないわけですが、最近の防衛施設庁沖縄におけるアメリカに対しての便宜供与を図るための諸行為というか、あるいは行政というのは、われわれの目から見ると目に余るものがある。果たして沖縄県民立場というものをどう理解をしているのか、多くの疑問を持たざるを得ない面がたくさんあるわけですね。復帰して一時期はそうでなかった。施設長官あるいは施設局長にしても本庁の部長の皆さんにしても、誠意を示す面は示しておったし、いろいろな面でそれなりの公務員として良識ある態度をとっている節も、私も十年余り前からおつき合いというかいろいろ国会でやりとりをしたりあるいは抗議や要求をしてみても、あったのですが、私の感じでは、復帰後五年以降、特に国会が与野党伯仲でなくなって自民党絶対支配体制のもとになると、がらりと変わった。施設長官ども雲の上の人になって、要求しても国会になかなか出てこない。日程が詰まっているとかなんとかで言を左右にして、今国会でも初めて出てきているという状況ですね。私は、役人には役人の立場があると思うけれども、そういう高慢な態度をとったり地域の意思を無視するような政治のあり方や行政の仕組みに対しては非常に納得しかねる。その点をまず冒頭に強く指摘をしておきたいと思うのです。  それと、けさほど来の同僚議員の質問を聞いても私は非常に奇異に感ずるのです。現在沖縄の防衛施設局をめぐる県民が知りたいあるいは解明をしなければいかない多くの課題があるのに、残念ながらそういうものには何一つ触れたがらない、そこにも何か疑問を持たざるを得ないということも指摘をしておきたいと思うのです。  そこで、最初に、問題の収用委員会における土地の、われわれから言うと強奪ですが、裁決の仕方についてお尋ねをしてみたいと思うのです。これなども、防衛庁や政府権力は高みの見物をしながら県民だけを対決をさせて、米軍がブルドーザーや銃剣をもって取り上げた土地を、三たび地主の納得のいかないままに継続使用していくという、権力の最たる悪用の仕方ですね、長官。  そこで、お尋ねしてみたいことは、土地収用法の第一条によりますと、公共の利益の増進と私有財産との調整を図るということが目的で書かれていることは御承知のとおりだと思うのです。     〔委員長退席、上草委員長代理着席〕 私有財産に重要な制限を加えるという準司法的行政処分を行うのがこの収用委員会、収用委員の任務だと私は理解をするのですね。素人ですが、一般的に言って法律上も解釈上も。そうであるとするならば、委員会の委員は起業者側、ここで言うと起業者側は恐らく防衛施設庁、防衛庁でしょうね。起業者側の立場を擁護するような判断をする委員であってはならないことは当然だと思うのですね。公正中立な見解を持ち、だれにも拘束されず判断を下さなければならないはずなんですよ、利害が対立するわけですから。しかし、にもかかわらず沖縄では収用委員会の公平中立性が疑われるようなことがこの一連の審理を通して行われてきた。たとえば秘密裏に基地に立ち入りをする。対象土地の鑑定も勝手にやる。地主は疎外していますね。会議の開催日時、場所も当事者である地主あるいは報道機関などにも知らせずに密室で審理を行っている。もちろん裁決をする段階においては秘密会議というのを持てるということも法律で一応うたわれているようですからそのことを言っているわけではない、その過程を申し上げている。こういうように権力をかさにやりたいほうだいのことを、政府と保守県政の圧力によって裁決がなされたというのがこの一連の土地強奪審理の経過なんですね。こういう経過を見て、本当に良識ある公務員あるいは収用委員のあり方というものに対して建設省はどういうふうにお考えなのか、改めて建設省の見解をまず聞いておきたいと思うのです。
  96. 浜典夫

    ○浜説明員 お答えいたします。  先生もよく御承知のように、土地収用法の運用のためには公益と私益との調整、非常に重大なことであり、まさにおっしゃるとおりの専門的知識に加えて、公平さ、公正さが要求されるわけでございます。したがいまして、まず一般的には、選任される人間の資格あるいは任命の手続あるいはその後の身分保障、そういう面で法令は必要な措置を講じておりますし、審理の公開なり、あるいは場合によれば秘密会もできますけれども、そういう手続なり、相当かっちりした構成になっておるわけであります。さらに、府県に置かれた必置機関でございますけれども、そういう意味で任命に当たっては議会の同意を必要としますけれども、その後は知事部局なりあるいは立法部局とも離れた独立の行政委員会として行動していただく、こういうのが基本的なシステムの構成でございます。その点で、先生いろいろと沖縄の今回の収用裁決についての御質問でございましたけれども、私どもとしては、そういう基本的なことがあるということは、反面、土地収用法の主管省である中央の建設省においても、独立に権限を行使されている収用委員会の、たとえば構成に誤りがあるだとか明白に審理進行につき法違反があるということであれば格別でございますけれども、独立の権限として情勢を見ながら御審理を尽くされておるという中身につきましては、それが正しいか正しくないかはもちろんでございますが、うまい下手を含めまして何らコメントすべきではない、また、することはいいことじゃないと考えておるわけであります。  念のため繰り返しますと、先生も御指摘の今回の一連の手続は、いま私が言いました意味で、主管の建設省といたしまして、特段の違法だとか、非常に異例といいますか、そういうように進行しているのではないと理解しておりますので、それ以降のことを申し上げると、先ほど言いました意味で立ち入ったことになりますので差し控えさしていただきますけれども、そういう選任手続なり審理の状況そのものは法の予定されているとおりに進行している、あとは収用委員会の御責任であろうか、こう思います。
  97. 上原康助

    ○上原委員 もちろん政府は一体のものですから、建設省とて言いたくても言えない面もあるでしょう、それは。あなたが言うとまた災いを、それにはプレッシャーがかかる。それがまた役人の宿命かもしらぬ。私はそれをわかりながら言っているのですよ。良識ある公務員たる立場で、果たして公正、厳正中立の立場でなされたのかどうか、審理期間は順当だったのかどうか、そういうものを聞いているのです、一般論として。その点どうなんですか。それが一つ。  もう一つ、余りにもスピード的に一定の目的を持って審理を進めたことには間違いがないんだ、やみくもに。そういう常識的発言をやってくれと言っているのだ。皆さんだってそれはいろいろ言いたいことも言えぬ面があるでしょうが、公式の場で。  それと委員の除斥のことがうたわれているでしょう。具体的な事件処理における中立、公正を保障するために委員の除斥制度を収用法は定めているんですよ。特定の事件に関して公正な判断に影響を及ぼすおそれのある利害関係を持つ委員を当該事件に関与させないことにしているのだ。たしか収用法六十一条でしょう。これは全く逆の適用をしたんですね、沖縄県は。公正、中立の立場で審理をしようとする委員はみんな逆に除斥をしていった、保守県政になってから。防衛施設庁が土地の明け渡しを認定申請した。それを容認するために単なる形式的な審理をする委員会になっているんです。そのことを僕は問題じゃないですかと聞いているのです。幾ら議会が相対立して意見が異なろうが、審理というものはそうあってはいかぬと思うのですね、法律でうたわれている以上は。こういった面、どうなんですか。少なくともこういう面については皆さんも見識を持って見解を明らかにしておかないと、一回や二回で済む問題じゃないのですよ、これは。建設省まで、防衛庁やあるいは政府・自民党の一部の連中とぐるにこの裁決を下したと言われてもいいのですか。どうなんでしょう。もう一遍お答えいただきたいと思うのです。
  98. 浜典夫

    ○浜説明員 お答えいたします。  先ほども申し上げましたように、収用委員会で起こった事柄のすべてにつき私ども云々する立場にはございませんけれども、そういう意味で、たとえば収用委員会の委員につきましては、法で専門分野なりあるいはその構成なり、あるいは公平な方でなければならないというようなことがございまして、私どもも全体的に、どういう方がどういう手続で任命されているかということだけは興味を持って見ているわけでございます。  個別の固有名詞の話は差し控えさしていただきたいと思いますが、現在の沖縄県収用委員会の方々及びその任命は、法なりあるいは他の都道府県すべてで行われているような法律、行政、経済の分野をバランスよく配置し、しかるべき経歴の方、あるいは欠格事由等もございますものですから、欠格事由などのない方々が任命されている、こういうふうに理解しておりまするし、審理がきわめて一方的というような御批判もございましたが、これも中身に立ち至って申し上げませんが、きわめて外形的な意味で御質問でございますが、念のためチェックして申しますと、たとえば去年、このところまでの直近の全都道府県の収用委員会における権利取得裁決申請から裁決に至るまでの平均日数分布などから見ましても、現在たしか二百日から三百数十日ぐらいの間でございまして、この沖縄の場合には、数次にわたる申請についての一括の裁決だったと理解しておりますが、それにつきましても特段に長いあるいは短いということはございませんので、先ほど申し上げましたように通常の審理がなされていると理解していると申し上げたわけでございます。
  99. 上原康助

    ○上原委員 お答えになっていないですね。委員の除斥制度があるんじゃないですか。そのことはどうなんですかと聞いているんです。  もう一遍言いますか。特定の事件に関して公正な判断に影響を及ぼすおそれのある利害関係を持つ委員を当該事件に関与させないこととしているのですよ。関与させているわけでしょう。それで審理の公正、厳正な判断が生まれますか。少なくともこれは行政委員会なんですよね。これは準司法的権限を持つんですよ。教育委員会制度とか地方の選挙委員制度ですか、選挙委員には中央選管がありますけれども、そういったものと同等以上の権限、しかも土地の所有権に重大な影響を及ぼす委員会なんだ、これは。それが特定の目的を持って特定の結論を出すための審理をしたというところに問題はありませんかということを聞いているんですよ。
  100. 浜典夫

    ○浜説明員 除斥に関しての御質問でございますが、ちょっとこれも御存じ向きのことを繰り返して恐縮でございますが、収用委員会の構成あるいは任命の適正さを確保するには二段階ございます。したがって、任命に当たりまして、欠格条項に当たらないか、あるいはバランスがとれているか、あるいは公正な判断ができる人間ということを議会の同意まで得るわけでございますから、そういう意味ではございません。これが基本的なものでございまして、これはどんな事案を扱おうといろんなことが起こると思いますけれども基本的にそういう方でなければならない。そういう手続や要件を充足しているとまず申し上げたわけでありますが、先生が次におっしゃいました除斥は、とはいいましてもいろいろな事案が出てくるわけでございます。それぞれの委員も社会的活動をなさっている方でございますから、御親戚の方の所有地についての事案も出てくることもございましょう。そういう具体の事案については、法ではいわゆる除斥条項をつくりまして、土地所有者あるいは起業者等の特別の姻戚関係なりあるいは親等の近い者を除斥しているわけでございます。そういう意味で、現在の収用委員会の七名の委員あるいは予備委員を含めまして、今回の事案について除斥事由に当たる者はない、こういうふうに聞いております。
  101. 上原康助

    ○上原委員 いまの答弁は納得しかねますがね。それはお立場としてそう言わざるを得ないという、何といいますか心情はわかるにしても、私はそうは理解しないですね、その除斥条項というのは。そんなものじゃないはずなんですよ。  それで、こういう議論をしても始まりませんが、もう一つ聞いておきたいことは、要するに収用委員会というのは形式化されているわけですよね。起業者がその土地の明け渡しを認定申請した段階でもう使用するということになるわけです。簡単に言うと、後の損失補償をどうするかということが重点に置かれていますね。実際問題としてそうでしょう。  そこで、これはまたいずれこの問題だけでお尋ねしなければならないことになると思うので聞いておきたいですが、軍用地収用特措法で言う「適正且つ合理的」な要件については、収用委員会は審理しなくてもいいのですか。土地を収用するにはやはり適正かつ合理的に使用できるのかどうかが前提でしょう、軍用地収用法も。それに対する見解だけ聞いておきたい。全然こういうことについては収用委員会では審理の対象にならないのですか。そうするとこれは問題なんだ。これは基本的な問題を含んでいる。それはどうなんでしょう。
  102. 浜典夫

    ○浜説明員 御案内のとおり、今回の収用手続は収用委員会を稼働させた収用法の手続によっておりますが、基本的にはいわゆる特措法と言われるものから来ておるわけで、それの諸手続が土地収用法を準用してくださっている、こういうことでございます。したがいまして、いま御質問の中には特別措置法の解釈に類する部分がございますので、実は私どもお答えするのは不適当なものでございますから、具体的にこの特別措置法に言う土地の「適正且つ合理的」な利用、三条にございますけれども、それの運用についてというのは、きわめて形式的な立場に固執するようでございますけれども、建設省から申し上げない方がいいと思います。  さらに一般論はどうかということになりますと、土地収用法の世界におきましては、そういうことは事業認定の段階で判断も行われますし、それを受けての特定の土地そのものの使用関係あるいは利用転換関係につきまして、収用委員会の判断に係るというのが、土地収用法本法はそういう構成になっている。特別措置法につきましては、ちょっと要件等を異にしておりますので、私どもから御説明しない方がいいんじゃないかと思っております。
  103. 上原康助

    ○上原委員 だから私は、あなたは建設省という立場でお答えしないだろうと思ったのです。それは見解があってもあなたは言えないでしょう。外務省か施設庁が言うよ。だから、いかに収用委員会に収用認定手続をとったといっても、それは形式なんだよ。安保条約六条に基づく地位協定がそのまま通るわけなんだよ。県の収用委員会における裁決でも「適正且つ合理的」要件については、全くどこの人かなと思うような言い方ですね。こういうふうな表現をしている。「土地所有者らは、事実第二の三記載のとおり「適正且つ合理的」要件の不存在を主張するが、土地の使用認定の要件たる「適正且つ合理的」の要件は駐留軍用地特措法第五条の規定に基づき内閣総理大臣が判断すべき事項である。」だから、内閣総理大臣が、どこどこの土地を使いたいから軍用地特措法で認定申請したら、もうそれっきりなんですよ。そんなばかな収用のやり方がありますか。こういうやり方は、基本の問題が改正されないままに、権力を握っておれば何でもできるということなんだよ。だから私も、いささか沖縄県の収用委員としての能力を疑うね。全くだらしがないし、恥ずかしい次第ですよ、法律家としてこんな判断しかできないということになると。一体だれの土地ですか。防衛施設庁長官、いままでのやりとりに対して、あるいは私が言ったことに対して、何か所見はありますか。
  104. 吉野実

    ○吉野(実)政府委員 われわれといたしましては、収用委員会がわれわれの裁決申請に対して、慎重審議の結果出された結論でございますので、万々法律上問題はないと考えております。
  105. 上原康助

    ○上原委員 あなた、そんな高飛車な答弁をしておって、本当に万々問題ないですか。地主は何を言っている、異議申し立てをするわけでしょう。ちゃんと訴訟の権利がありますよ、収用委員会の裁決に対しても。問題がなければ、そういう異議申し立てが出ますか。もう一遍答えてください。冗談じゃない。
  106. 吉野実

    ○吉野(実)政府委員 われわれといたしましては、地主の側に、その裁決に対する不服がある場合もそれは当然あると思いますが、それはそういう場で審議をしていただくといいますか、裁判所なら裁判所でやっていただく、こういうことにならざるを得ない、そう考えます。
  107. 上原康助

    ○上原委員 私が聞いているのは、適正且つ合理的な要件について、建設省の立場では言いかねる、私は、これは適正且つ合理的な判断が下されてない、やり方も。これだけ問題があっても、あなたは適正且つ合理的な判断が下されたと思うのですか。裁判で争えと言ったって、裁判をやったって皆さんが勝つということを思うから、そんな高飛車なことが言えるのでしょう。契約を拒否している地主の皆さんだって、自分の土地ですよ、あなた。少数たりといえども、憲法で保障されている財産権ですよ。それを権力で強奪しようとするのに、万々問題がないとか、文句があればあとは裁判で訴えなさい、裁判で勝負しましょう。そんな態度をとることが問題だと言うんだ。冗談じゃない。幾ら権力を握っておるにしたって、そういう態度をとることが本当に行政マンとして、政治の場で許されるのかどうか、あなたに聞いているのです。考えがあれば、もう一遍聞いておきましょう。
  108. 吉野実

    ○吉野(実)政府委員 われわれといたしましては、特措法にのっとりまして裁決の申請をいたしました。われわれの方といたしましては、もちろん総理大臣の使用の認定も受けておるところでございます。  いま申し上げました裁判の話は、行政といいますか手続的にはそういうことになるということを言っておるわけでございまして、私がそれ以上のことを申し上げるようなわけにはまいりません。
  109. 上原康助

    ○上原委員 きょうはもっとほかにありますので、この問題で余りあれなんですが、あなた方、では契約を拒否というより、土地を返してくれという人々に対する姿勢が少しでもありますか。必要だからといってこういうことまでして——これはいろいろ問題がある、ここまでしてはという良心のかけらがあれば——あなただってそういう気持ちがどこかにあるかもしらぬよ。それだけ権力の権化になっておれば仕方がないけれども沖縄の土地を強奪できればあなたは事務次官になるという約束らしいから、さっきお話があったように。あなたはそれで事済むかもしらぬが、県民は事済まぬのがたくさんいるんですよ。自民党を支持している連中は別として、何も沖縄県民防衛施設庁や自民党政府に生殺与奪の権利まで与えていない。最近の施設庁のやり方というのは、USCARの役人連中以下のことをやっている。これから一つ一つ出しますけれども、アメリカが権力を盾に沖縄県民を虫けらのように扱った、そういうことをいま施設庁が肩がわりになってやっているんだ、あなた方。これも一つの例なんだよ。返してくれと言って要求したのに対して、あの手この手で強奪するための収用委員会にも県にも圧力をかけてやって、そういう態度しかあなたはとれないのですか。それが施設庁の本性なんだよ。皆さんの本性なんだよ。  そこで、次に聞いておきたいのですが、今回の裁決の結果を見ますと、使用期間が五年、三年、二年とまちまちですね。まちまちというか、これを五年、三年、二年にしたいきさつ、期限が切れた段階ではどうするのか、お答えをいただきたいと思います。
  110. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 お答えいたします。  私どもの裁決申請に当たりまして、使用期限を五年、三年、二年と分けましたが、私どもの本年五月十五日以降も引き続き使用するその必要性ということにつきまして、特に現在、将来の返還の見込みといいますか、そういう形でリロケーション等を行っているものについては、そのリロケーション等を行って返還が可能になる時期というのを考えて、二年ないし三年とやっております。その他の一般施設については五年という使用期限を設けて裁決申請を行いました。  なお、五年後についてのお尋ねでございますが、私ども現在の米軍基地の使用を今後引き続き五年間継続さしていただくということが今度の裁決申請の内容でございまして、五年先どうなるかということについては、現在のところ特にこれといったものを決めておるわけではございません。
  111. 上原康助

    ○上原委員 あなた方、どうしてそんなへんちくりんな答弁するの。五年先のことはわからないというのはあたりまえじゃないですか。あしたのことだってわかるか。まじめに答えてくださいよ、あなた。  ですから、収用期限が切れた場合には返さざるを得ないわけでしょう、はっきり言うと。あなた方には使用権原はないわけでしょう。そこを聞いているのですよ。
  112. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 今度の裁決申請に当たりましては、五十七年五月十五日以降引き続き五年間の使用の必要性ということについて、私ども裁決申請をお願いしたわけでございます。なお、五年後につきまして、引き続き駐留軍用地として使用する必要性がありました場合、私ども、原則としましては、駐留軍用地の使用に当たっては、個人の方々との賃貸借契約によって使用権原をいただくことを……(上原委員「委員長」と呼ぶ)よろしいですか。
  113. 上原康助

    ○上原委員 いい、もうあなたの答弁は要らない。  そうすると、ないということ、そういうことでしょう。そこでまた問題が起きるわけだね。二年のやつ、三年のやつ、リストもありますね。  次に、建設省にもう一つだけ聞いておきたいのですが、本来ですと収用対象地域というものはたとえば鑑定士が鑑定しますね、損失補償とかその他あるいは位置境界を画定をするとか。そういう意味では、この該当地主というものは起業者あるいは鑑定士、関係者と同時に立ち入りをして説明、事情を聞いたり、いろいろやらなければいけない。通常、幾ら利害が対立しようが、そういう手順は踏まなければいかぬと私は思うのです。それはどうなのかということ。それと収用法にもあるのですが、鑑定に対しても地主や関係者はいろいろ意見を言うことができますね。今回の場合はそれも全くなされていない。こういうことについては不公正な審理の仕方だとわれわれは言っているわけです。全く隠密裏に、やみ討ち的にやっている。これは普通じゃありませんね。その点については、あなた方は土地収用法の問題についての一つの所管官庁だから、明確に答えておいていただきたいと思うのです。
  114. 浜典夫

    ○浜説明員 お答えいたします。  具体の鑑定を求めたこととか、その成果をどう利用するか、この場合においてどうだということにつきましては、冒頭御説明いたしましたように差し控えますので、一般的に土地収用法上どうなっているかということで申し上げますと、これは職権で、審理のために、あるいはみずからデータ等を判断するために、あるいは関係者の主張についての当否を判ずるために、収用委員会がみずから鑑定を求めることもございますし、関係人の申し立てによってやることもございます。条文が少し入り組んでおりますが、非常に簡単に大体のスケッチをいたしますと、職権調査、それは職権でやるわけでございますから内部的にやっていいわけでございます。それから、当事者主義をとっておりますから、何かの主張のために鑑定を求められ、それが行われて、その鑑定結果につき、また議論が闘わされる。これは当然公開を原則とする審理の場にゆだねられなければなりません。その両道がございます。どちらもそれぞれ意味があることである。ですから、いま先生がおっしゃったのは、恐らくこの点を沖縄県の収用委員会としては職権調査による鑑定と理解して閲覧等をしなかったかと思います。  それから、ついでで恐縮でございますが、先ほど私がお答え申し上げました中に、適正かつ合理的でしたか、その要件について私、御説明したのではございませんで、法律の主管の立場から、そちらは別途のお立場から御説明あるべきことがしかるべしと申し上げた趣旨でございますので、念のため。
  115. 上原康助

    ○上原委員 いまのことを聞いても、相当強引にやったということだけは言えると思うのですね。  もう一点、裁決に至った理由が明記されているかどうか。当然これは求められることですね。あるいは裁決年月日の記載があるのかどうか。署名の押印のところで、これは会長及び裁決の会議に加わった委員の署名押印が求められておるわけですね。これは法律要件ですから当然ですね。これがないとこの裁決書はどうなるのですか。
  116. 浜典夫

    ○浜説明員 お答えいたします。  具体的には余り起きない事案でございますので、どうなるかというのは法令等の規定云々ということはちょっとございませんですが、直観的に申し上げましても、法の六十六条で裁決手続につきましては署名押印、そして適確に関係者へ送達と明記してございますので、そういう手続、裁決に加わった収用委員会の委員の印章なりが正本にないということになりますと、それは不完全なものだというふうに理解すべきだと思います。
  117. 上原康助

    ○上原委員 それで私は、今度のやり方も不完全なものだと思っているんです。これは出席委員、だれだれが出席したかも明らかにしていない。印鑑を押しているのは会長だけ、そうじゃないですか。そこはいま皆さん調べてみてください。僕は決裁書の本文を持っている。しかも、どこでやったかも明らかにしない、秘密で開くことができるというこれを盾にして。そういう状態なんです。印鑑を押してない。会長だけ印鑑を押してある。この中に出席しなかった委員が何名かいらっしゃる。僕がこんなことを言ったら、またこれはやられそうだといって、いまごろ印鑑探して押さしたかもしらぬしね。事実関係としてそういう手落ちがあったということであります。  それともう一つ、この裁決書を地主、いわゆる該当者が拒否して受領しなかった場合の効力はどうなるのか、全然これに目を通さなかった場合どうなるのかということです。
  118. 浜典夫

    ○浜説明員 お答えいたします。  国民の権利義務にも関係するきわめて重要な手続でございますので、法は適確にその裁決内容が到達することを義務づけておるわけでありますが、具体的には民事訴訟法の手続等を準用いたしまして、持参または郵送の方法でもって確実に関係人に送達する。送達ができない場合、あるいはたとえば居所が不明とかいう場合は、公示送達といいまして一定期間公示するという手続もございます。それから、さらに細かく言いますと、御本人がおられるけれども、いろんな事情で受け取ることはいやだよというようなことがございます場合には、差し置きといいまして、ここに置きますよと確認いたしましてお届けし、そして、それに対してそういう経過を記録にとどめるというようなものも土地収用法及びその附属手続の中にはそういう手続を予定しておる。いずれにしても適確に相手に渡ることという手続が用意されていると御理解いただけばいいと思います。
  119. 上原康助

    ○上原委員 防衛施設庁もしたたかなことですから何をやるかわからないが、恐らく関係地主は、どう裁決されたか、どういうふうな手順が踏まれてどういう内容になっているか見えないまま収用される可能性がありますね、それは。それがあなた、長官がおっしゃるように法的に万々遺漏のないようなことなのかどうか、その点は念を押しておきたい。この件で少しは建設省の言うことも聞いてくださいよ、あなた方。ぼくは建設省の肩を持って言っているわけじゃないが、もっと言いたくても言えない問題があると思うのだ、実際。  それで、施設長官、あなたは県収用委員会の会長と面識ありますか。
  120. 吉野実

    ○吉野(実)政府委員 面識があった方がよかったのかもしれませんけれども、残念ながらありません。
  121. 上原康助

    ○上原委員 一度もお会いしたことないのですか。
  122. 吉野実

    ○吉野(実)政府委員 そのとおりでございます。
  123. 上原康助

    ○上原委員 お会いしたことがないという否定ですから、きょうの段階、これでとどめておきましょう。しかし、一説には重大な会議が持たれていたということもある。その点だけ、きょうはほかにありますから、とどめておきます。私たちは疑問を持っている。だから、あなた、施設長官早くやめるのではないかとぼくは思うよ、勘ぐれば。
  124. 吉野実

    ○吉野(実)政府委員 神に誓って申し上げますが、私は面識はありませんし、一回も収用委員長とお会いしたことはありません。
  125. 上原康助

    ○上原委員 次の質問に移りたいと思います。  次は、これも防衛施設庁等の関係の問題ですが、きょうの私が一番聞きたいこと——もちろんいまの問題も重要ですよ。なぜ私がこれだけきつい質問を申し上げるかというと、防衛施設庁というのは一体どういう役所なんですか。あれはいつごろでしたか、五、六年前に社会党の調査団が行って、那覇防衛施設局に行こうとしたら車が入れないようにやったこともあった。あのころから施設庁の姿勢が変わっておったけれども。あれも国会で私、問題にした。防衛施設庁の一連の不祥事件と言っていいんでしょうね。この問題について少しお尋ねをしてみたいのですが、せんだって三月二十九日に多田次長が会館の私の事務所に来て、一連の不祥事件について説明をしてもらいたいということで、口頭じゃなくしてメモにして持ってきてくれということで言ったら、四点ばかりにわたって持ってきていただいたわけですが、それを順を追って、私が調査したものも含めて若干お尋ねします。  まず、参議院の予算委員会でも問題になった具志川貯油タンク工事のいわゆる癒着問題ですね。これはその翌日、本庁内に調査委員会を設置して調査に着手しており、その結果を待って厳正に対処したい、調査委員会のメンバーは、委員長施設庁の次長で六、七名ぐらいですかの構成でやっているようですが、一体その調査の結果や、現在はどうなっているのか、お答えをいただきたいと思います。
  126. 多田欣二

    ○多田政府委員 調査につきましては、先日私が御説明をいたしましたように、三月十七日に調査委員会をつくりまして現在鋭意調査をしているところでございます。関係者も全国に散らばっておりますし、資料等も全国に散らばっておるという状況でございまして、現在鋭意調査をしている、まだ結論を見出すには至っていない、こういう時期でございます。
  127. 上原康助

    ○上原委員 かれこれ一月近くなりますよね。きょうは十四日ですから、十七日に設置した、一月たっても鋭意調査中ということは、相当問題が複雑で、大き過ぎるということなんでしょう、逆に言うと。いつごろまでに結論を出すんですか。
  128. 多田欣二

    ○多田政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたように、三月の十六日に上田委員から予算委員会で指摘をされました三井の疑惑につきましては、具志川のタンクの問題が大変大きゅうございますけれども、そのほかに幾つかの事案が載っておるわけであります。北海道の事案、横浜の事案その他ございまして、事案も大変多うございます。当時の関係者も現在すでに全国に散らばっておる、資料等も全国に散らばっておる、こういう状況でございまして、現在鋭意調査をしているということでございます。  それでは、いつごろ調査が終わるかということでございますが、現在まだ調査の中間段階でございまして、今後われわれできるだけ早く調査を完了したいと思っておりますけれども、現在の時点で、あとどれくらいで調査が完了するというような見通しを述べるような状況ではございません。
  129. 上原康助

    ○上原委員 この件については、取り上げた党の立場もありますから、私はきょうその程度に聞いておきまして、次の問題に行きましょう。  二点目の元那覇防衛施設局職員のゴルフ会員権購入問題なんですが、事の起こりは五十四年当初です。保刈大元那覇局建設部長。これがなぜ最近になって明らかになったのか、なぜ最近まで隠しておったのか。しかも、五十四年当初に起きて、五十五年の十二月十六日付をもって訓戒をしているのですね、一年余りたって。どうしてそういうことになったのか、またその上司は一体どうなったのか、その点、もう少し説明をしていただきたいと思うのです。
  130. 多田欣二

    ○多田政府委員 この事件、最近現地新聞等でいろいろ報道されております。大分昔、昔といいますか五十四年の事件でございまして、現在どうして表面に出てきたかということについては私どもよく承知をしておりませんが、私ども、別にこの問題をことさら隠したというつもりはございません。  事案の内容は、那覇局の元建設部長でございました保刈という者が、五十四年の初めごろに、当庁の登録会社でございますある建設会社の社員のあっせんを受けましてゴルフ場の会員権を購入をいたしました。本人は相当の金額を払っていたわけでありますけれども、実際にはどうも実際の販売価格との差がございまして、その差額を建設業者が負担をしていたということが、その後浦添市の汚職事件に絡んでその建設会社が捜査をされるというようなことからわかってきたということであります。この建設部長は、一応警察からも呼ばれましていろいろ取り調べを受けましたが、本人は、当然市価で買っていると申しますか、業者に差額を持たせたという認識は全くなかったということもございまして、刑事事件としては成立をしなかったように私ども承知をいたしております。ただし、ゴルフ場の会員権を買うことについて注意を十分にすべきところ、いささか抜けがあったんではないかということもございましたので、私どもとしては、防衛庁訓令に基づきまして訓戒の処分を昭和五十五年の十二月にとったということであります。また、この者の上司でございます当時の局長につきましても、あわせて注意処分を行っております。
  131. 上原康助

    ○上原委員 警察庁、おいでですね。いま答弁ありましたが、五十四年の当初のこの事件、そして、そういった訓戒処分を受けておるのは五十五年ですね。そのときも警察の捜査というか事情聴取をされたということなんですが、どういうような事情聴取をして、なぜこれが問題にならなかったのか、その点、もしおわかりでしたら説明をいただきたいと思います。
  132. 大堀太千男

    ○大堀説明員 お答え申し上げます。  お尋ねの事件につきましては、沖縄県警察におきまして昭和五十五年に検挙をいたしました浦添市の建設部長にかかわる汚職事件を捜査中に、保刈氏に関する汚職容疑の端緒を入手をいたしました。同年十一月末ごろ、保刈氏を初め関係者に対する事情聴取を行うなど所要の捜査を行いましたが、贈収賄事件ということで証拠によって明らかにするまでには至らなかったので捜査を打ち切った旨、沖縄県警察から報告を受けておる事案でございます。
  133. 上原康助

    ○上原委員 当時、事情聴取——この結果については若干疑問があるのですが、事情聴取を受けたのは、保刈さん以外、施設庁関係はいませんか。
  134. 大堀太千男

    ○大堀説明員 お答えいたします。  保刈氏以外、防衛施設局関係者を調べたかどうかという点につきましては、沖縄県警察にまだ報告を徴しておりませんので、いまお答えをできる立場にはございません。
  135. 上原康助

    ○上原委員 そこで、人事院いらしていると思うのですが、まず、この問題に限ってちょっと聞いておきたいのです。  国家公務員がこういったゴルフ会員権を不正に購入するとか——もちろん一部は自分の金を出して購入した、しかしそこに不正があったということは、これは間違いないのですよ。警察の事情聴取も受けていますし、収賄罪にならなかったということで、それ以上のことにはならなかったということなんです。そういう場合に、一体その処分というのはどの程度上司というのはやるべきなのか、一般論としてまずこの件についてだけお答えいただきたいと思う。
  136. 金井八郎

    ○金井政府委員 一般的に申し上げますと、公務員が何らかの不正な行為をした疑いを持たれたという場合に、監督者といたしましては、その事実関係というものをできるだけ把握するようにまず努め、その間いろいろの事情というものを総合いたしまして、部内秩序維持のためから、必要な範囲において懲戒処分をすることができることになっております。懲戒の量定につきましては、個々の事案ごとにそれぞれの事情というものを総合的に判断いたしませんと、一概に量定がどのくらいということはちょっと申し上げかねます。
  137. 上原康助

    ○上原委員 施設庁、この問題を訓戒処分にとどめた根拠は何ですか。それと、どの程度の額のゴルフ権だったのか。
  138. 多田欣二

    ○多田政府委員 まず、ゴルフ場会員権の額面金額は百三十五万円と承知をしております。本人支払いましたのは八十万円であります。差額は五十五万円であります。なお、その後、その会社の弁護士を通じまして、そのゴルフ場の会員権は会社の方に返却をしております。  それから、懲戒処分にせずに訓戒処分にした理由でありますけれども、われわれも本人から事情をよく聴取をしたわけであります。しかし、本人はいわゆる差額を会社に持たせるというような観念は全くなかったわけでありまして、当時沖縄県には、いわゆるゴルフ場会員権の市場と申しますか流通といいますか、そういうものが本土ほどはっきりしておりません。そして、あっせん者である大城組の社員から、額面はともかくとして、時価相場は八十万円でございます、だから八十万円で買えるのですと言われて、言われた金額をそのまま出したということでございまして、本人は会社に金を持たせるというようなさもしい考えは全くなかったというふうに認定が出ていました。ただ、市場の流通価格の確認その他につきましてさらに十分な注意を払うのが相当ではないか、公務員としてやはりもう少し注意を払うべきであったという点についてはいささか落ち度がある、こういうことで、正式の、いわゆる逮捕状の懲戒処分には相当しないが、訓令における訓戒処分に付することが相当である、こういうふうに判断をいたしまして訓戒処分にしたということでございます。
  139. 上原康助

    ○上原委員 そんなあなた、ごまかしじゃないですか、全くなかったなんて。一連の不正事件が出なければ、もみつぶしにもみつぶしておったのでしょう。那覇の施設局は、そういうことをいままでずっと、ぐるになって実際やってきたんですよ。そんな子供だましの答弁で通りますか。  それで、この件とも十分関連すると思うのですが、いま県民に大きな疑惑を与えているいわゆる施設局の元職員グループと言われている皆さんというか連中だな、皆さんの土地購入に絡む文書偽造についてお尋ねしてみたいわけですが、こういう事実関係はあったのですか、なかったのですか。まず経過を説明してください。     〔上草委員長代理退席、委員長着席〕
  140. 多田欣二

    ○多田政府委員 元那覇防衛施設局の職員でございました山本千之という男が、昭和五十四年の十月の末ごろでございますが、同局の事業部長の公印を盗用いたしまして、昭和五十四年十一月一日付という文書——この文書は、沖縄県の北谷村にございます土地約十万平方メートルを国が買収する予定であるというような内容を記載した文書でございますが、こういう文書を神戸市に在住するある方に交付した、こういう事実がございます。局といたしましては、この神戸市在住の某氏からそういうことが本当であるかどうかということの照会を受けまして本人を問い詰めましたところ、確かに事業部長の公印を盗用してそういう文書をつくったことを認めましたので、これは自衛隊法上の正規の処分でございます停職三十日に処したわけであります。なお、本人は、停職処分中に退職をいたしております。
  141. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、公印を盗用したことは事実なのですね。
  142. 多田欣二

    ○多田政府委員 本人もその点については自認をいたしております。
  143. 上原康助

    ○上原委員 神戸市在住の某氏というのは一体だれですか。
  144. 多田欣二

    ○多田政府委員 個人のお名前は、できましたら御勘弁をいただきたいと思います。
  145. 上原康助

    ○上原委員 どういう仕事をしている方ですか。
  146. 多田欣二

    ○多田政府委員 ある程度お金を持っている方だということは伺っておりますけれども、職業その他についてはつまびらかに存じておりません。
  147. 上原康助

    ○上原委員 そうでしょうね、お金を持っていないと十万平米の土地は買えないでしょうね。お名前はわかるわけですね。名前と住所、わかるかどうか。
  148. 多田欣二

    ○多田政府委員 承知をいたしておりまして、それらの点については沖縄県警本部の方にも御連絡を申し上げてございます。
  149. 上原康助

    ○上原委員 そうしますと、この文書の内容ですが、施設庁は持っているわけですね。中身はどういうふうなことが書いてあるのか。
  150. 多田欣二

    ○多田政府委員 本信は回収しておりませんけれども、写しは持っております。
  151. 上原康助

    ○上原委員 写しはどういう内容になっているのですか、もう少し明らかにしてくださいよ。
  152. 多田欣二

    ○多田政府委員 先ほど申し上げました北谷村所在の約十万平方メートルの土地、地番等が書いてございますが、この地番の土地を防衛施設庁は買う予定でありますという旨の記載でございます。
  153. 上原康助

    ○上原委員 防衛施設庁はどうしてそれを買う予定にしておったのですか。
  154. 多田欣二

    ○多田政府委員 その土地は防衛施設庁としては全く買う予定にしておりませんでした。したがって、虚偽の内容を山本が記載したということであります。
  155. 上原康助

    ○上原委員 全くおかしいじゃないですか、ミステリーじみたことをあなたはおっしゃる。何かそこに買う目的なり施設庁との関係があったからそういうことになるのじゃないですか。  施設庁、いま本信は持っていないけれども写しは持っていると言いましたね。ちょっとその前に資料として写しを出せますか。
  156. 多田欣二

    ○多田政府委員 現在、捜査上の資料として警察に提供してございますので、警察とも御相談しなければ、私どもの独断で提出ということは申し上げかねます。
  157. 上原康助

    ○上原委員 警察庁にお尋ねしたいのですが、この種の公文書偽造あるいは念書とか、要するに施設庁の土地購入問題あるいは工事に絡むいろいろな面がいまうわさされているわけです。一説には、五、六通からあるいは場合によっては十通ぐらい出回っているのじゃないかとさえ言われている。報道によりますと、警察庁もそれなりの内偵捜査をやっているということが言われておるし、私たちもそういうふうに聞かされている。どのくらい捜査をし、どういうような疑惑があるのか、現段階で言える範囲でお答えをいただきたいと思います。
  158. 大堀太千男

    ○大堀説明員 お答えをいたします。  御質問の件につきましては、沖縄県警察におきまして具体的な事実の把握に努めて、現時点では詐欺容疑として関係者などについて所要の捜査を鋭意行っているという報告を受けておりますが、具体的な捜査の内容を現段階で申し上げることにつきましては差し控えさせていただきたいと思います。
  159. 上原康助

    ○上原委員 詐欺容疑として捜査を進めている。そうしますと、そういう疑惑、事実関係があるということは認められるわけですね。そういう内偵捜査をしているのに全然言えないというのはどういうわけですか。捜査段階だからなのか。言ったら悪いのですか。言えるだけは言っていただきたいということが私の質問なのです。
  160. 大堀太千男

    ○大堀説明員 私ども警察の立場は、容疑の事案について具体的な事実を証拠によって明らかにし、それが刑法上の各罪条に規定をされております構成要件に該当するかどうか、これを明らかにすることを責務としておりますから、いま警察ではこの段階まで捜査が進んでおる、その中身はこうだというようなことにつきましては捜査上お答えをいたしかねますので、御了解をいただきたいと思います。
  161. 上原康助

    ○上原委員 施設庁にもう一遍確かめましょう。さっき公印を盗用したのは認めましたね。そうすると、文書偽造であるということも間違いないですね。
  162. 多田欣二

    ○多田政府委員 白紙に公印を押しまして、後から自分勝手に先ほど申し上げたような文章を書き入れたということが事実のようであります。
  163. 上原康助

    ○上原委員 白紙なのかけい紙なのかよくわかりませんがね。そうすると、警察庁、公印を盗用したという事実があるわけでしょう。文書を偽造した、これはりっぱな証拠になるのじゃないですか。山本というやった人もわかる。なぜこれが逮捕とかそういうことにならないのか、捜査捜査で。警察の態度もちょっとおかしいですね。疑問を持たざるを得ないのですが、それはどうしてですか。これだけ明白になっているじゃないですか。  それから、さっき防衛施設庁は、その写しは持っている、捜査の対象というか資料として警察に相談せぬといかぬ、そうなっているのでと言われた。警察はどのくらいそういうのを持っているのですか。念書も出回っているということがあるわけでしょう。一通なのか二通なのか、あるいはもっとなのか、複数のそういった怪文書というか念書的なものを入手していると思うのですが、どうなんですか。
  164. 大堀太千男

    ○大堀説明員 お答えいたします。  元防衛施設局の職員が偽造した公文書を使用して土地売買などを口実に金員の交付を受けておるという容疑につきまして、現在沖縄県警では詐欺容疑事件として関係者について捜査をしております。文書についても入手をしておるということで報告を聴取しておりますけれども、いかなる文書の中身か、現時点で私自身承知をしておりませんが、文書は複数であるということは聞いております。  それからなお、文書偽造罪が成立するか否かにつきましては、その文書の中身について捜査をしなければ即答をいたしかねますけれども、一般的に申し上げますと、行使の目的を持って、公務員の印章を使用して、公務員のつくるべき文書を偽造した場合には公文書偽造罪が成立するものと理解をし、あわせてその容疑でも捜査をしていることは事実であります。
  165. 上原康助

    ○上原委員 私は、これだけの証拠情況があるのにまだ一歩を踏み込めないというのに、もどかしさを感ぜざるを得ませんね。  そこで、再び人事院にお伺いをしたいのですが、これは公印盗用、公文書偽造ですよね、公文書的に扱っているわけですから。そういうようなことを公務員という身分でやったとするならば、これは重大な公務員としての行為の違反というか、公務員たるべき行動、行為じゃないですね。そういうものを仮に——仮にじゃない、この人は実際やっているわけです。やった事実もある。三十日の懲戒処分を受けた。これは一般的にどういう処分を受けるのか、お聞かせいただきたいと思うのです。
  166. 金井八郎

    ○金井政府委員 一般職の公務員の場合について一般論として申し上げます。公文書あるいは私文書偽造を行使しまして不正を働くというような性質の行為につきましては、国家公務員法八十二条に懲戒の規定がございまして、一号から三号までございますが、その一号の国家公務員法または同法に基づく命令に違反した場合というのにまず該当することがあり得ます。それは、同法の九十九条に信用失墜行為の禁止の規定がございまして、官職の信用を傷つけ、または官職全体の不名誉になるような行為をしてはならないことになっております。その規定に違反するので第一号に該当する。それから、八十二条の三号には、国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行を行った場合に懲戒できることになっておりますが、これにつきましても、そのような行為はやはり全体の奉仕者にふさわしくない非行というのに当たる場合が多いと思います。そういう場合でやはり三号に該当して懲戒処分をすることができる、こういうことに相なっております。
  167. 上原康助

    ○上原委員 ですから、おっしゃるような八十二条、この懲戒処分としては免職、停職、減給または戒告とありますね。これだけの国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行行為があった場合はこういう対象になるわけで、これだけのことをやって三十日の停職処分でいいわけですか。  しかも、もう一つ、その停職処分を受けている間に本人が辞職を申し出て、それを通常の退職と認めるのですか。認められるのですか。——いや、これはまず人事院に聞いている。一般論、一般的なことを聞いている。
  168. 金井八郎

    ○金井政府委員 懲戒処分の場合の量定の問題は、個々の事案の具体的な内容というものを十分に把握し、その上で懲戒権者が判断すべきものということにされております。したがいまして、個々の事案ごとに状態を見ませんと、一概にそれが軽いとか重いとかということは言いにくいものでございます。なお、停職処分は、国家公務員法の場合、懲戒免職に次ぐ重い処分でございます。  それから、第二点目の、懲戒処分中に退職できるかという問題でございますけれども、一般に公務員は離職の自由というものが保障されておりますので、懲戒処分の場合に懲戒処分が完結しなければ離職させないというわけにはまいらないので、一般論といたしまして、懲戒処分中に辞職を願い出た場合には、任命権者はそれを承認することができるように運用しております。
  169. 多田欣二

    ○多田政府委員 私どもからちょっと量刑の点について御説明をさせていただきます。  当時山本千之は大変改俊の情が顕著でございまして、退職をして責任をとりたいということを申し出ておったという事情が一つございます。それから、この職員は、琉球政府から復帰の時点で防衛施設庁に引き継いだ職員でございまして、復帰時点の大変繁忙な時期に相当忙しく業務等に精励をした男であるということ、それから家庭状況等も、妻子ございまして余り良好ではございませんでした。また、この発覚の時点で具体的に被害も現実に生じていないというような、各般の事情を考えまして、先ほど申し上げましたように停職三十日、こういう処分にして、停職処分中本人から願い出て退職をさせた、こういう措置をしたわけでございます。
  170. 上原康助

    ○上原委員 個々人の公務員の立場というのも私も全く否定するわけではないのです、個人という立場では。しかし、あなたがおっしゃるように改俊の情があったのかどうか疑問ですね、これは。同時にまた、そういうことでその程度でよかったのかどうか。むしろ皆さんがいま後悔なさっているのじゃないですか。  そこで、さっきの本題に入りますが、複数のそういった文書を警察も入手しておられる、内容は明らかにできないということですが、この山本千之氏があてた文書のあて先、相当のお金持ちだ。不思議ですね。この人の後ろには相当の人がいるということも聞かされているのだが、それが知りたいのだがなかなか出てこない。どのくらいの金額ですか。十万平米幾らで買うと言っているの。
  171. 多田欣二

    ○多田政府委員 二十六億弱ぐらいの数字を言っているようであります。
  172. 上原康助

    ○上原委員 そこで、私も個人のお名前を出すことは、やはり人権尊重しなければいけませんので若干あれですが、イニシャルからすると、このあて名といいますか、あてた方は、Oですか。名前はわかると言ったでしょう。Oですか、Dですか。
  173. 多田欣二

    ○多田政府委員 Dだと思いますが、Oかもしれません。
  174. 上原康助

    ○上原委員 じゃ、この買わんとしている、買う対象としたいという地域は三つに区分されていますか。区分されているとすると、それぞれの面積一平米当たりの単価はどのくらいを言っているのか、明らかにしてください。
  175. 多田欣二

    ○多田政府委員 三区分になっております。A、B、Cというふうに三つに地番を分けておりましてA、B、Cごとに一平米当たりの単価は大体これくらいという値段が書いてありまして、総計は先ほど申し上げたように二十六億弱、こういうことであります。
  176. 上原康助

    ○上原委員 確かにA地区、B地区、C地区に分かれているような気がしますね。価格も一平米A地区幾ら、B地区幾ら、合計幾ら。支払い期限はどうなっているのですか。
  177. 多田欣二

    ○多田政府委員 向こう十八カ月というような記載があるように記憶しております。
  178. 上原康助

    ○上原委員 二十六億、これだけの大変な金ですよ。五十四年十一月一日付でしょうね、文書は。そうですか。
  179. 多田欣二

    ○多田政府委員 そのとおりであります。
  180. 上原康助

    ○上原委員 五十四年十一月一日で、向こう十八カ月に二十六億近いお金を払って北谷町宮城の土地約十万平米を購入する、一体こういうことが平気で行われているということはどうなんですか。これだけのことをやっているわけですよ。皆さん、いま明らかになっている。しかも、警察もそれを持っておられる。皆さん、この山本千之があてた相手方というのは一体防衛庁と何の関係があるのですか。全く関係がないとは言えないはずですよ、DかOか知らぬけれども。関係があるからこそこういう文書を出すわけでしょう。
  181. 多田欣二

    ○多田政府委員 この方と当庁とは全く関係はございません。なぜ山本が神戸在住のこの方にこういう文書を出したか、これは全くわれわれも不思議であります。
  182. 上原康助

    ○上原委員 警察庁にお尋ねしますが、そうしますと、少なくとも印鑑を盗用した、公文書偽造だ、これははっきりしていると僕は思うのですね。大体こういうことを書いている。私が言っていることと向こうが答弁していることと同じ、当たっている。そうすると、皆さんは当然、このあて先のOさんかDさんか知らぬけれども、たしかDでしょうね、その人も捜査の対象にしなければいかぬですね、事情聴取の。それはやっているのですか。
  183. 大堀太千男

    ○大堀説明員 当然、捜査の対象といいますか、事情聴取をすべき人の中に入ると思いますが、現時点で沖縄県警察が事情聴取をしたかどうか、私、現在お答えをする立場にございません。
  184. 上原康助

    ○上原委員 支払い期限が十八カ月、それに那覇防衛施設局事業部長の公印を押したわけでしょう。そして山本千之という私印を押してあったわけでしょう、その文書には。鏡文は何と書いてありますか。
  185. 多田欣二

    ○多田政府委員 前書きのようなものが何行かございますけれども、特に鏡と申しますか、表題等についてはございません。
  186. 上原康助

    ○上原委員 ですから、前書きか何か知らぬけれども、そこにあるなら読んでくださいよ。何と書いてありますか。
  187. 多田欣二

    ○多田政府委員 何か、平素御協力をいただきましてありがとうというようなことが書いてございまして、依頼がございました不動産買い上げの件については次のとおりでございますといったような前書きがございます。
  188. 上原康助

    ○上原委員 日ごろ何に御協力いただいているんですか。
  189. 多田欣二

    ○多田政府委員 先ほど来申し上げておりますように、もともとこの土地を防衛施設庁が買うなんという計画は一切ないわけでありまして、どういう経緯で山本がDさんに対してこういう文書を出したのか、山本一流の何か筋書きがあるようでありますけれども、われわれはよくわかりません。
  190. 上原康助

    ○上原委員 こういうことを書いてあるのじゃないですか。「日ごろは基地周辺整備事業に御協力を賜りありがとうございます。」そうでしょう。それ違いますか。
  191. 多田欣二

    ○多田政府委員 おっしゃるとおりでありますが、先ほども申し上げましたように、この神戸在住の方と当庁は従来全く関係のない方であります。
  192. 上原康助

    ○上原委員 それでいいんだよ。あと要らない。だから「日ごろは基地周辺整備事業に御協力を賜りありがとうございます。」でしょう。「かねて問い合わせの北谷町砂辺の件については下記のとおりとなっています。」そうなっていませんか。
  193. 多田欣二

    ○多田政府委員 若干表現は違いますが、内容はそのようなものであります。
  194. 上原康助

    ○上原委員 僕が偽造したんじゃないですよ、内容が違っていると言ったって。  長官、こういうことをやられているわけですよ、あなたの部下の那覇の防衛施設局で。これは警察もぜひ解明していただかないといけませんね。皆さんはいままでいろんなことを、資料を出せと言ってもなかなか出さない。出しても読みにくい資料を持ってきてみたり、意地悪だけやっている。こっちもしゃくにさわるものだから、今度は少し本当に眠たくなるほどいろいろ調査してみた。これは偽造してないんだよ。僕は写してきたんだ、偽造でなくて。盗用でもないですよ。国会議員の調査権なんですよ。ようやく私がここまで言わぬと、きょうもそれ言わなかったでしょうね、皆さん。だから、これは基地周辺整備事業に基づく土地ブローカーなりあるいは政治的力を持った人々を利用した悪徳業者のしわざなんだ。そう思いませんか、どうなんですか。長官、こういうことがこれだけの証拠を挙げられて、皆さん、ないとは言えぬでしょう。いかに綱紀がゆるんでいるか。冒頭私が声を荒立てて言いましたように——施設局の全部とは言いませんよ、本当に良心の苛責に耐えかねて仕事をしておられる方もいる。私はよくわかる。それは沖縄の人でも本土から行った方々でも。しかし全体としては、政治家を利用したり政治権力を利用すれば首にはなるまい、もうけは入る。昇格昇給はする。これはそういうような人のやりだしたしわざなんだ。これはぜひ解明をしてもらわぬと困る、警察を含めて。どういうふうになさいますか。これだけじゃないのですよ。これは氷山の一角。
  195. 吉野実

    ○吉野(実)政府委員 昭和五十四年当時のことでありますけれども、そういう人がもと防衛施設局にいた、那覇施設局にいたということはまことに遺憾であります。われわれといたしましては実は被害者でありまして、ですから先ほど来詐欺事件としてという話がありましたが、被害者でございます。次長からも話がありましたように、施設局にない計画をあるもののごとく書いて判を押したということでございますので、われわれの方といたしましてはむしろ被害者でございまして、もちろんそういう人がいたということはわれわれのまずいところでありまして非常に反省をいたしておりますが、こういう事件は一刻も早く解明をされて、今後は二度と世の中の人から変な目で見られないように、われわれは積極的にと言ってもいいぐらいでございますが捜査に協力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  196. 上原康助

    ○上原委員 あなたは余りにも高級官僚なのかあるいはそういうエリートコースだけ歩いておられるから、僕らのようなぼんくら庶民とは全然物の考え方や人生観が違うのかもしらぬけれども、それは開き直りじゃないですか。被害者は県民だよ。加害者は防衛施設庁だよ。あなたが最たる加害者なんだよ。あなたの監督不行き届きによってこういうことが起きている。五十四年といえども責任がある、いま起きたのだから。防衛施設庁が被害者なんて冗談じゃないですよ。加害者だよ。被害者は県民なんだよ。それだけでないですよ。これは北谷町の土地をめぐる問題。このほかにも硫黄鳥島の問題、これはまたいつかやりますよ。皆さん、これも大変なんだ。あるいは自衛隊基地内に食肉店を設けさせるといってある食肉店に話を持ちかけて、リベートを取ったとか取らなかったとか、防衛施設局の工事を請け負わすからといって、みんなおれに頼めば何とかなるよと言って、皆さん、警察もよく聞いておってください。被害届がないからそういった事件まで至らないということをおっしゃいますけれども、被害者の皆さんは、これを表ざたにされると次の工事がどれない。建設工事できない、土木工事できない、泣き寝入りをしているのですよ。そういうところに民主的な裁きを与えるのが警察の仕事じゃないですか。行政の本当の良識じゃないですか。それでもなお権力を盾にしようとするのですか。二十六億も十八カ月ぐらいで出せると言っていた。しかも「日ごろは基地周辺整備事業に御協力を賜わりありがとうございます。」多田さん、私が相当持っているなと思ってとうとう白状してしまった。このDさんというのは防衛施設周辺整備事業に御協力をしている人なんでしょう、あなたは全く関係がないと言うけれども。  そこで、その事実があるということですね。これについてはここまで私の調査によってもはっきりしている。警察庁はどういうことを今後おやりになるのか。やはり県民の疑惑を解明していただかなければいかぬと思うのですが、これからの考えがあれば聞かせていただきたいと思います。
  197. 大堀太千男

    ○大堀説明員 お答えいたします。  鋭意捜査を遂げ、事実関係を明らかにし、刑罰法規の適正な運用に努めてまいりたい、かように考えております。
  198. 上原康助

    ○上原委員 何も権力を盾に警察にやれということじゃないのですよ。しかし、どうも防衛施設庁のそういった一連のことに対しては、変な言い方ですが、隠密にしたいとかもみつぶしをしたいという形跡がなかったのかどうか疑問を持たざるを得ないですね。そういうことのないように公平、民主的にやっていただきたいのです。また、これだけの事実が明らかになった以上は、その疑惑を解明することが防衛施設庁の名誉回復にもなると思うのですが、あわせてお答えをいただきたいと思うのです。
  199. 大堀太千男

    ○大堀説明員 お答えいたします。  防衛施設庁だから何か遠慮をするというようなことは全くございません。先ほども申し上げましたように、現在沖縄県警察におきましては鋭意捜査をしておる段階でございますので、それによりまして事実を明らかにし、刑罰法規に触れる事案がありました場合にはそれの立件送致をするべく鋭意努力をしておるところでございます。
  200. 吉野実

    ○吉野(実)政府委員 先ほどちょっと触れましたけれども、それは県民の方々が被害者であるのはもちろんでございますが、われわれの方としても大変迷惑をしておるわけです。ですから那覇施設局長をして公表させました。内容は、こういうことで施設庁の仕事をとれるなんと思ったら間違っておりますよ、一切そういうことに乗らないようにということをいたしたような次第でございます。  なお、先ほど来申しておりますように、本件の疑惑の解明のためにはわれわれは進んで捜査に協力をしていかなければいけないと考えております。
  201. 上原康助

    ○上原委員 ぜひひとつそういうことを明らかにしていただきたいと思います。  それともう一つ、那覇施設局の施設対策二課に佐伯為之という職員がいましたね。どうですか。
  202. 多田欣二

    ○多田政府委員 突然のお尋ねで記憶が定かでございませんが、たしかいたと思います。
  203. 上原康助

    ○上原委員 現在はどこにいますか。
  204. 多田欣二

    ○多田政府委員 現在は横浜防衛施設局に勤務をいたしております。
  205. 上原康助

    ○上原委員 たしかこの人は沖縄在職中に交通事故を起こしていると思うのですが、違いますか。
  206. 多田欣二

    ○多田政府委員 その点は承知いたしておりません。
  207. 上原康助

    ○上原委員 では、調べて後で報告しますね。いいですか。
  208. 多田欣二

    ○多田政府委員 調査をいたしまして、後ほど先生まで御報告いたします。
  209. 上原康助

    ○上原委員 きょうは二つの例を挙げましたが、防衛施設局の職員にそういう何かの不正行為があったとか社会的に公務員たるべき行動、行為でなかったということについては大体もみ消されていますね。私はそこに非常に疑問を持つのです。そのほかにもたくさんありますね。調べれば調べるほどある。  そこで、余り一度にやると皆さんの方も大変でしょうから、こっちの方もじわりじわり明らかにしていきたいのですが、政府の機関ならば、県民立場というか、基地やこういう皆さんのやっている行政に疑問を持ち不満を持っている人々もたくさんいるという前提で物事をやっていただかないとそれはうまくいきませんよ。権力を握って、権力を利用すればどんなことでも通るという世の中は私は嫌いなんだ、好かないんだ。沖縄県民もそれを望んでいない、一部の人は別としても。最近のやり方は目に余りますよ。  長官、なぜこういうことが起きるかというと、これは基地周辺整備法からきている。この土地購入というのは、皆さんはいま砂辺の土地の購入はどういう経緯でやっているのですか。一例を聞きたいのですが、たとえば第一種区域あるいは第二種区域、第三種、区域指定はどういうふうにやって、二種、三種はたしかこの買い上げの対象になっていますね、五条、六条。いまさっき言うA、B、Cというのはこの周辺整備法で言うとどの地域に入るの。
  210. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 周辺整備事業の中での用地買収の件でございますが、御承知のように、周辺整備法の五条と六条に用地買収可能なのが出ております。それで、三種区域につきましては、緑地帯の整備ということで土地買収を主として行う地域でございまして、二種区域につきましては、移転措置に伴って用地買収を行う。御指摘のA、B、C地区につきまして私ちょっと承知しておりませんが、いずれにしましても、そういったような内容のものに仮託しているのではないかとは思います。
  211. 上原康助

    ○上原委員 そういった内容のものに何です。よくわからなかったのですけれども、それをもう一遍答弁してください。関係しているということですか。
  212. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 二種、三種という私どもの用地買収の目的等に応じた区分がございますので、その区分と、先生が御指摘になりましたA、B、Cの区分とが現在どのように符合しておるか私、承知しておりませんので、そういったような内容に仮に託しているのかというように考えているわけでございます。
  213. 上原康助

    ○上原委員 それはやはり関係があるからそういうことをするのですよ。  そこで、基地周辺整備法、さっきも議論ありましたが、これは内閣委員会で大分問題になってつくったのです。私なんかも議論に加わった方です。しかし、基地周辺整備法の目的というのは特定の人に金もうけをさせるためじゃないんだよ。たとえば北谷の砂辺地域というのは、皆さん防衛施設庁が移転をさせる場合にどういうルートを通して——少なくとも移転をさせる場合には、趣旨を説明し、公正な行政ルートを踏まなければいかぬわけでしょう。いまは特定の人を通してやっているわけじゃないですか。どういう経緯でやっているのですか。
  214. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 私どもが移転補償等を行う場合、二種区域、三種区域につきましてはあらかじめ指定し、一般に公示しておりますので、その区域の中に土地をお持ちの方、家屋もお持ちの方のお申し出を通して直接やっております。第三者の手を通じてというようなことはやっておりません。
  215. 上原康助

    ○上原委員 善意に解釈すれば、本庁が事実関係をわかっていない。那覇の防衛施設局が勝手にやっていると言っていいの、それは勝手にやっていますが。あなた、私は現に北谷の砂辺に行ってちゃんと調べてきた。区長さんも知りませんよ。町当局も知りませんよ。どういう人がやっているかわかりますか。みんな特定の人ですよ。しかも、その特定の人というのは本当に特定の人なんです。皆さん、集団移転方式というのを決めましたよね、砂辺の三種地域を。そのとき、四十九年か五十年に区民への説明会をさせるのにどうしたかというと、防衛施設庁説明があるから区民総会をやるからといって集めた。集まったら、防衛施設庁の職員は来なかった。北谷村の職員が、私は施設庁の委任を受けて参りましたと言ったら、総スカンを食って総会が流れた、説明ができなかった経緯もあるのですよ。あなたは北谷町役場の職員だ、何であなたが防衛施設庁の職員を代表して説明できるかと区民に総スカンを食った。皆集団移転に反対だから。そういうことがあるという事実ですね。現在やっているのも、本当に土地ブローカーを通じてみたり、私は、一体それが国の行政として許されるかというのです。たとえば集団移転するでしょう、家屋とか土地を皆さん買い上げるでしょう。最初は建物も土地つきでないといかぬという条件がありましたね。しかし、いつの間にか建物でもいいということにいま変わってきている、ここも知りたいけれども。現在どうしているか無いうと、一世帯一家屋じゃない。中にはトタン家を対象地域に五軒くらい、あっちにもこっちにもつくって施設庁に買い上げさせた例もある。一体それができるのですか、行政改革とかといってこんなに福祉や教育は切り捨て、いろんなことを国民には犠牲を強いておきながら。しかも、それが特定の人々とみんなつながっている。長官、私が言っておることがうそだと思ったら皆さん行って調べてみてください。だから、どういう基準でやって、どういうルートを踏んで、そういういわゆる三種地域と言われておるところを買い上げをし移転をするのか。あるいは一人の名義人で、一世帯でなくて二、三軒もそういうことができるのかどうか、お答えください。全くもうひどいのだ。
  216. 多田欣二

    ○多田政府委員 先ほど伊藤部長よりもお答えいたしましたように、移転措置につきましては御本人から申し出があった場合に買い上げるということでございます。説明その他について関係の市町村の御助力をいただくというようなことはたまたまあり得るケースでありますけれども、不動産屋を使って説得をするというようなことは絶対にございません。そういうことは絶対にございません。  それから、トタンの家を急につくってそれを高く買い上げさせるというようなお話がございましたけれども、法の規定は、いわゆる第三種区域あるいは第二種区域ということで告示をいたしました時点で所在しております建物等について補償するわけでありまして、告示の後に急造したようなものを補償するというようなことはあり得ないことであります。
  217. 上原康助

    ○上原委員 それはあなた、公式の場であり得るとは言えぬでしょう。そういうふうにやられているケースがあるということなんですよ、私が調査してみると。不動産屋を介してないとか——それは職員だけでやっていませんよ。全く特定の人ですね。そして、そういう人々は決まっている。一般の人には公開しないのね。こういう面では全くもって不公正なことが行われておる。だから、基地に反対すると売れませんよとか、早く売らないとあなた方は補償もらえませんよとか、そういう人々が言いふらして、どういう状態になっておるか。こういう状態になっておる。虫食い状態。色をつけてあるところが買い上げられたところ。  いいですか。祖先代々住みついたところを、爆音が激しいからといって強制的に皆さんが法律で指定をしておいて、なお買いたたいて、なお特定の人を使って、あなた方のところは早く売らないと、反対すると土地は売れませんよ、買い上げませんよ、安くなりますよ。年じゅうそういう仕事だけを防衛施設庁の一部の職員と一部の人がやっておるのですよ。だから、反戦地主も三千名おったのが、いまのようにじゃんじゃんあめ・むち政策で切り崩していった。これが実態なんですよ。そういう面からさっきのようなあの怪文書というものが出てきた。うそだと思いますか、首を振り振りしていますが。みんなこういう状態なんです。僕は北谷の役場へ行って調べてきた。これはまだ五十四年までのものです。五十五年、五十六年目は北谷町でさえも調べないとわからない。知らさないのですよ、向こうは革新町長だから。保守町長のときは相談しておった。そんな不公正な行政がありますか。防衛施設庁は自民党だけの役所か。自民党首長だけしか相手にしないの。自民党の区長しか相手にしないの。冗談じゃないよ、皆さんやっておることが。
  218. 多田欣二

    ○多田政府委員 先ほど来申し上げておりますように、不動産屋をダミーに使ってということは絶対にやっていないはずでございます。  それから、保守、革新で差別をするということでありますけれども、そういうことは絶対にございません。法律をお読みいただけばわかりますように、告示というものは官報に告示をいたしまして、中外に知らせるものであります。一定の地域だけ知らせないなんということはできないしろものでありまして、われわれはその辺につきましては公平にやっているつもりであります。
  219. 上原康助

    ○上原委員 その公平が行き届かないところが利用されているのです。それは何も私は勝手気ままに言っているわけじゃないのです。実際に相当時間をかけて調べてきたのです。もしあなたがおっしゃるとおりであるなら、あなた方も那覇施設局へ行って調べてごらんよ。  そこで、もう時間もあれですから、そういう実態であるということ。それで、これは長官からお答えいただきたいのだが、私は、やはり行政に差別があってはいかぬと思う。保守だからとか革新だからとか、協力する人には特定のことをやって、協力しないやつはみんなばっさばっさ権力を振り回す、そんなばかなことが民主主義社会でできますか。しかし、実態はそうなんだ、あなた方がやっていることは。あなた方はそういうお気持ちじゃないにしても、一部の人々はそういうことを実際にやっている。だから困るんだよ。冒頭にやった土地収用委員の問題だってそうでしょう。そこで、差別しないということをここでもう一遍長官から確約をしていただきたい。  もう一つ、現在まで北谷あるいは嘉手納、三種、二種に適用になって、どういうところが買い上げられ、面積は幾らなのか。さっき金額は持ってきたけれども、これはどうもまだもう少し調べてみなければいかぬ。そういう面を資料として提出をしていただきたい。何世帯売って、どういう理由で買っているか。それと、その買った後の土地は一体どうするのか、跡利用の問題。これは一応国有財産になっている。しかし、周辺整備法では利用できるようになっている。無償提供もできる。これなども非常に問題がある。一つの字をこういうふうに買い上げて虫食い状態にしておって、そこに金網を張って、防衛施設局の財産であります、立入禁止と言って草ぼうぼう生やして、犬のふんをたらして、環境上もよろしくない。そういう面を含めてこの問題についてはもう少し再検討をする必要がある。いかがでしょう。
  220. 吉野実

    ○吉野(実)政府委員 行政に政治的な党派の偏向をしてよろしいかという、もちろんそういうことは絶対にあってはなりません。われわれは、法秩序の中で法に従って厳正に公平に対処しなければならない、こういうふうに思っておるわけであります。  なお、資料提出の件がありましたが、三種地域及び二種地域について、予算上あるいは実績といたしまして、購入した地積につきましては、後刻調査の上、先生のお手元に届くようにいたしたいと思います。
  221. 上原康助

    ○上原委員 それと、いまの土地購入の問題と関連して、金融公庫いらっしゃいましたね、北谷町にエビ養殖場がありますね。その地域はどこに入っているの。まず施設庁から、その地域は何種に入っているの。
  222. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 二種区域になっております。
  223. 上原康助

    ○上原委員 これもおかしいんだ。これまたいつかやりましょう。  このエビ養殖場は、公庫からどのくらいの融資を受けて、現在の返済状況はどうなっているのですか。
  224. 永岡禄朗

    ○永岡説明員 お答えいたします。  御質問のエビ養殖場に対しましては、エビ養殖の施設の建設工事の代金といたしまして、五十二年に二億九千万円の貸し付けを実行しておりますが、経営は必ずしも順調に推移しておらない模様でございまして、本公庫からの借入金は延滞になっている実情でございます。
  225. 上原康助

    ○上原委員 これは公庫だけから融資を受けているのじゃないですね。ほかの市中銀行からもありますね。その点もちょっと……。
  226. 永岡禄朗

    ○永岡説明員 先生承知のとおりでございます。
  227. 上原康助

    ○上原委員 そこで、二種区域でしょう、沖縄で生産業が、これなんか本当に育てていかなければいかない企業なんですよ。なぜ育たないかというのは土地と関連がある、いまの防衛施設庁のいま私が取り上げた問題と。ここはきょうはこの程度にとどめておきますが、二種区域。だから、物を生産するよりも、防衛庁やそういうものと結託して、ちょっと多額で売れれば何とかなるというようなことになりかねない状況にあるということ。本当に調べれば調べるほど沖縄の基地はやはり諸悪の根源ですね、いまのようなやり方では。そういった面については、そういう方向に仕向けようとする人々の見識も疑いますけれども、そういうことがあってはいかぬと思う。きょうはその点は事実関係が明らかになりましたので、その程度にとめておきますが、その問題は、さっきの山本の文書と密接に絡んでいますよ。そのくらい言えば、勘のいい皆さんだからある程度わかるでしょう、実際。  そこで、時間ですから、そのほかにも防衛施設局の工事を請け負っている建設業の企業のあり方、これもやりたいと思って、大分資料等、予算検討してあったのですが、時間がありませんから、せっかく開発庁長官おいでですから、最後に長官にお尋ねしたいのです。  きょう冒頭からいらしていただけば、きょうの論議が長官の方にもあるいは御理解いただける面があったかと思うのですが、この間、防衛庁長官は、土地収用委員が裁決をして、沖縄軍用地を継続使用できたということを内閣で得々と、また男本懐のような気持ちでやったようだな。それに対して開発庁長官は、沖縄軍用地の整理縮小にもっと積極的に努力をすべきだということを御発言したということの報道がなされました。せんだって沖振法の審議の場合に、余り消極的な態度だったから、私がそれではいかないでしょうと申し上げたから、あるいはそう言っていただいたのかもわかりませんが、その真意と、こういういろいろな基地の問題があるわけですから、第二次振計をまともに遂行していくというのなら、われわれが言う全面撤去は一朝一夕にできないならば、せめて十四、十五、十六の安保協で取り決められた問題を、返還をしていただくとか、跡地利用の問題についてはもっと積極的になさるとか、あるいは軍用地の買い上げとか、いろいろな工事をめぐって利権をあさろうとすることに対しては行政的にもチェックをしていくとか、そういう姿勢を開発庁ともどもに政治の場で示していただかないといかぬと思うのですよね。これは沖縄の方も、国民みんなから見ると、何だ、沖縄というのはこんなところかと言われかねない気持ちを私は持っている。それはみんながみんなそうじゃないですよ。しかし、現状はそういう問題があるんで、この基地の整理縮小問題、私が言ったことに対して、長官としてどういう御見解を持っておられるのか、改めて御所見を聞いておきたいと思うのです。
  228. 田邉國男

    ○田邉国務大臣 先ほどから防衛施設庁長官との質疑の内容を承っておりました。私も山梨におりまして、基地を扱った経験がございます。したがいまして、この跡利用の問題等の対応につきましては、やはり迅速かつ公平に対応しなければならない、こう考えております。特に、沖縄においてはさきに米軍との土地返還の協定等もございました。それは順次返還をしていく、その活用についてはやはり迅速に対応をいたすべきであると考えております。ただ、今回の土地収用の件につきましては、所定の方式を踏んでやったものだと私は理解をいたしております。  なお、この沖縄の基地問題につきましては、先般防衛庁の長官から経過報告がございました。私は沖縄開発庁長官として、基地問題に対しては、閣議におきまして、ぜひ全閣僚とも、基地の返還については順次それを実行をし、そして沖縄県民の民生の安定と産業振興に寄与するような配慮お願いしたい、こういうことを申し上げておるわけでございまして、私の気持ちといたしましては、沖縄県民の心を心としてこれからの二次振計、そしてまた、基地返還の問題につきましては誠心誠意努力をしてまいる考えであります。
  229. 上原康助

    ○上原委員 もう時間ですからこれで終えますが、きょうは二次振計の審議の中で、ちょっと私の質問の間口が広くて離島振興問題を十分できませんでした。それも準備してあったのですが、時間ですから。  振興局長あるいは総務局長、二次振計の審議がそろそろ県段階でも素案審議の俎上にのっているようですから、離島の振興ということを十分念頭に入れてやっていただきたいということ、それに対して、ぜひひとつこれは長官の方から、二次振計に離島問題を十分位置づけるということでいいかと思うのですが、やっていただきたいということ、それと施設庁には、長官、いろいろときょう苦言も言いましたけれども、それはある意味では施設庁に対して、襟を正して住民の負託にこたえよということでもありますから、単に聞き流してはいけませんよ。その点。  もう一つ。嘉手納町で嘉手納マリーナ一帯の黙認耕作地を締め出している。これなんかも、いままで金網も張らないで三十七年間来たのに、最近アメリカ人だけがマリーナにボートを浮かべて保養地にするからということで勝手にやっている、町とも連絡せずに。そういう占領意識まる出しの土地のやり方は、黙認耕作地であろうがやめさせてもらいたい。  この二点についてお答えをいただいて、ちょうど時間ですから終わりたいと思います。まず、離島振興の問題から。
  230. 田邉國男

    ○田邉国務大臣 長官が二人いて、どちらの質問かと実は思っておりました。  沖縄の離島の振興につきましては、第一次振計でも私ども鋭意努力をしてまいったところでございます。しかし、まだ十分だと思っておりません。第二次振計におきましては、やはり交通あるいは通信網等の整備、離島の抱えておる大きな問題につきまして私も真剣に取り組み、地域の住民の皆さんの御要望を十分体して対応してまいるつもりであります。
  231. 吉野実

    ○吉野(実)政府委員 われわれといたしましても、先生に言われるまでもなく、一生懸命公正に、基地があるために沖縄の開発がおくれたりあるいはいろいろ忌まわしいことが起こったりすることのないように、大いにさらに反省をいたしまして、積極的な努力をいたしたいと思っております。  それからもう一つ、嘉手納の黙認耕作地の話でありますけれども、フェンスは張ったということは聞いておりますけれども、黙認耕作地というのは耕作に支障はないようにいまなっておるという話でございますので、それだけお答えをいたします。
  232. 上原康助

    ○上原委員 それは違うのだよ。タンクのあるタンクファームもフェンスは張ったのです。いま言うマリーナというのは最近起こっている。最近の出来事なんです。ですからそれは、施設部長調査の上で現地とよく相談をし合って、関係地域住民に支障のないようにひとつ配慮していただけますね。
  233. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 先生おっしゃったように努力します。
  234. 上原康助

    ○上原委員 終わります。
  235. 吉田之久

  236. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私、きょうは、開発庁の行っている公共事業、これについて質問いたしたいと思いますが、その前に、これに関連する資料を各委員と関係政府委員に配りたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  237. 吉田之久

    吉田委員長 瀬長君に申し上げます。  御提出の資料につき、政府関係提出と読める表示があるやに思われますので、その点明確にしていただきたいと存じます。
  238. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま委員長がおっしゃったように「(沖縄)官名真トンネル建設工事」その右側に括弧して「沖縄開発庁 沖縄総合事務局」と書いてありますが、これは、発注者がそこであって、この総合事務局から出された資料であるということではありませんので、御了承をお願いしたいと思います。
  239. 吉田之久

    吉田委員長 了解いたしました。
  240. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私、最初長官にお聞きしたいのですが、三月三十一日の参議院沖特委で共産党の立木議員の質問に、田邊沖縄開発庁長官は、防衛施設庁の癒着問題について、遺憾である、私どもとしても公正、厳正にやっているという趣旨の答弁をしておられます。当然であると思いますが、沖縄振興開発計画にかかわる公共事業についてももちろんのこと公正かつ厳正に実施しなければならないと思いますが、長官、いかがですか。     〔委員長退席、高橋委員長代理着席〕
  241. 田邉國男

    ○田邉国務大臣 沖縄振興計画の中でいろいろの公共工事が行われております。この問題につきましては、私ども、やはり適正にそして公平に、そして地域の沖縄県民の批判を受けないような措置を講じてまいることは当然であろうと思います。また、こういう問題につきましても今後私どもは十分意を用いて対応をしていかなければならない、こう考えております。
  242. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 公共事業というのは、言うまでもなく、国民の税金が国に上がる、国に上がってきた税金が公共事業費という形で国民に戻される、これは当然であります。この資料の中で私は説明したいと思いますが、これは例の三井建設から出された資料であります。これは五十二年八月三十一日から始まっていて——説明しなければわかりにくいところがありますから。八月三十一日、得意先、対象工事、報告——これは営業経緯ですね。その報告の中で、八月三十一日「ゼネコンとの接触について今後きびしい態度を取る」括弧して「庄子土木部長談」。このゼネコンというのは、調査しましたら、ゼネラルコンストラクションあるいはコンストラクターという意味だそうであります。  十一月四日、いまの報告「十一月中に実施設計発註予定、サンコー獲得見込」  それから五月十八日、これははっきり「宜名真トンネル」と書かれております。「佐藤所長より南工区当社希望として木谷次長に申し入れ済、木谷次長より三井が熱心である旨他業者に言っている旨」説明しますと、佐藤所長はさつき会の会員で、三井建設沖縄営業所長と思われます。木谷次長とは、沖縄総合事務局の次長のことであります。  次に十月二十五日、同じくこれは「南工区 官名真トンネル 今永次長に新任挨拶及び左記工事お願い、従来の営業経緯を説明、与那覇北部国道事務所長にお願い、地元とJV」いわゆるジョイントベンチャー「になる、従来概ねうまく落着く所に収まっている、戸田が」戸田建設ですね、「北工区で熱心のよう、佐藤も重役が来ている、三井は当初より熱心である、(佐藤は羽地ダムがセットされている)」羽地ダムはまだ入札されておりません。この点はきょうの質問からは除外します。今永次長とは沖縄総合事務局次長で、木谷次長の後任です。  それから一月二十四日、「地元業者とJVになる、七月発註、前木谷次長より現今永次長に申し送りがあった模様、数社にしぼられて来ている(三井、戸田、佐藤、大成)当社はトップ」である。すなわち三井はトップであるという意味でございます。  三月二十七日、いよいよ談合が成立比ております。三月二十七日「宜名真下(南)後任→中国地建」いわゆる中国地方建設局の「新居企画部長さつき会幹部と今永次長との昼食会の席上で業界は三井(南)戸田(北)で固まっていると説明した際、次長は当局もその線で考へていると発言した由、佐藤工業が活発に動いているので留意するようにとの事、申し送りを依頼」。説明いたしますと、さつき会幹部と今永次長出席の昼食会、つまり談合で、事実上三井、戸田に決まる。今永次長は三井の清水課長に、さつき会との昼食会の状況を話している。さらに清水課長は今永次長に対し、佐藤工業が活発に動いているので留意するようにとのことを後任の新居次長に申し送りあるよう依頼するのである。新居次長とは沖縄総合事務局次長で、今永次長の後任である。  さらに、これの最後を見てください。「七月十二日 沖縄開発庁 官名真トンネル 七月第三週に出件の模様、当社工区は約十二億」これが落札価額でわずかに一千万円の差しかなくて、ほとんどぴたりと一致する。これは三井建設は十一億九千万円である。入札が五十四年八月六日。ところが、いま申し上げましたように、落札の前三月二十七日にはすでに三井、戸田に固まっておるという事実があり、しかも、この談合には次長が昼食会に出て、それでともに談合しながら、落札のもう一カ月も前にこれが決まっている。この事実は実に重大であります。  後で、さつき会なるものの説明もしてもらいますが、こういった事実が出たわけで、この事実は、長官最初に言われた公共事業が厳正で公平に行われているということはどうも言えないのじゃないかと思うのですが、この内容を見られて、また私はこれを説明したわけなんですが、どういう感想をお持ちですか。
  243. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 お答えいたします。  実は私、いま配付していただいた資料を初めて拝見したわけでございますし、またそういう事実があったということを、私も着任以来一切聞いたことがございませんので、ここで御答弁を申し上げる限りではないということを御了解願いたいと思います。
  244. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 木谷次長のときの総合事務局長は、現在事務次官の亀谷さんですね。それから小玉さんですか、この二人の総合事務局長のもとで木谷次長がいるわけです。それから、今永、新居次長は、柳川さんが事務局長である時代に次長を務めている。いわゆる三代の事務局次長がともにこういったような談合の中で昼飯をともにしながらやっているこの事実、これについて、次長ですからね、事務局長はわからない、わからないで済ませるわけですかな。いかがですか。
  245. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 お答えいたします。  私も現場におけるその具体的な契約事務というのをやったことがございませんので、その辺はここで御答弁申し上げられませんが、多分契約の実際について総合事務局長が個別に深くタッチしておるということはないだろうと私は思います。
  246. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それは後に譲りまして、これは開発庁の総合事務局から出されたものでありますが、官名真トンネルというのは約一千四十五メーター、一キロ余りであります。北工区、南工区に分かれておりますが、これがどうなっているかといいますと、三井建設がいま申し上げました十一億九千万円、戸田建設が八億二千万円、合計二十億一千万円の工事で、いまだに完成しておりません。完成期日はもう過ぎております。こういったような工事でございます。この件を本当にお調べになると責任のありかがだんだんしぼられてくるのではないか。この前はいわゆる施設庁だった。開発庁、おまえもかということになりそうな気配なんです。  そこでお聞きしたいのは、さつき会というのはどういう会なんですか。
  247. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 さつき会の名簿というのをいま先生からちょうだいしたばかりでございまして、私は、恐らくは業者の親睦団体のようなものではなかろうかという推測以上のことを申し上げることはできません。
  248. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 あなた方、沖縄では建設業者の動向を本当に毎月示す新聞まで出ておるんですよ。それでお正月にはちゃんと広告が出て、さつき会のメンバーなんか書いてあるんですよ。それを全然わからないんですか。会長がだれであるのか、事務所はどういうことになっているか、構成はどんなものか、これがわからぬでは、この内容もあなた方、おかしいかっこうになりますよ。実に重大なんですよ。さつき会は聞いたことはありますか。
  249. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 私は聞いたことございません。
  250. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 開発庁でさつき会の名前を聞いたことはない。それでは聞いたことのある政府委員はいますか。——いませんか。
  251. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 開発庁政府委員といたしましては、私と振興局長と二人でございますので、さつき会という名前は私、耳にしたことはございます。私も、いま藤仲局長が申し上げましたように、建設業者の親睦団体ではないかという軽いことで、要するに耳にしたことはないかというお尋ねでございますので、耳にしたことはございますということをお答え申し上げます。
  252. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 さつき会は、いまお手元に届けた資料でわかりますが、三十三社です。これは単なる親睦団体ではないんだな。  説明しますと、中央の最大手の業界組織に日本建設業団体連合会いわゆる日建連といいますね、これがあるんですよ。加盟法人四十六社だが、私が示しましたあれにありますね、さつき会の岡崎工業、池田建設、守谷組、浅野工事、梅林建設、三菱建設、松尾建設の七社を除いてすべて加盟しているんです。しかし、日建連に加盟していない七社を含むさつき会に加盟する三十三社、いまお手元に届けた三十三社は、すべて日本土木工業協会、例の有名な土工協の会員なんですよ。  さつき会というのは何かという問題なんです。復帰は五・一五ですね。復帰と同時にこれをさつき会と名づけたのです。さつき会が発足した当初は八社であったが、現在メンバーはいま申し上げたとおり三十三社である。さつき会という名は沖縄復帰の五月をとってさつき会とした。月一回定期的に会合を持つ。ほとんど昼食会という名前で談合するというふうな性格のものであって、決して皆さんが言う親睦団体じゃないんですよ。すなわち、このさつき会なるものが開発庁の公共事業を取り仕切る、これなんです。沖縄の業者は一人も入っておらぬ。沖縄の業者でたとえばランクづけをすれば、失礼ですが國場組とかあるいは大城組といろいろありますが、沖縄の業者は御免、そして全部そういう土工協関係の本土の本当の最大手企業がこれをつくっておるという問題。これが取り仕切っておるわけなんです。皆さん、実に重大じゃないですか。  私はこれを調査する中で実はぞっとしたのです。私は二回にわたって、沖縄県民の所得がまだまだ全国平均の六六%であり、東京都の半分以下だ、しかも県民所得の伸び率は毎年毎年低下しているということを指摘した。そうして公共事業、これは開発庁はもちろん防衛施設庁から流されてくるものも還流していって、金額にして六〇%以上が他府県の業者に握られておる。なぜ沖縄の企業はこういったように低いのかと聞いたら、いや、これは技術が足りないのだとかあるいは資本が不足しておるんだとかあるいは機械設備その備が不十分であるとかいうふうな理由を挙げていたが、そうなると沖縄の業者に責任があるといったようなことなんです。  私は、この構造的な談合の組織、すなわちさつき会といったような形のものがあってそれが取り仕切るというような構造的な団体があれば、沖縄振興開発振興開発と言ってもまさに百年河清を待つというていのものであるということを指摘したいのですね。この点をぜひ皆さんに強調したいのだが、この資料が内部資料なんですよ。これは真実であってうそは言わないのですよ。これに対して長官、すぐこういう感じでありますと言わないにしても、これだけの資料が出た以上、十分調査されて責任をとれるような措置をしてもらわなければならないと思いますが、今度はいかがでしょうか。
  253. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 先ほども申し上げましたように、私ども、本当に今日ただいま拝聴したばかりでございます。三井建設の内部資料というようなものを先生からいただいたわけでございますが、私どもとしましても、それは一方的な資料でございますから、古いことではありますが、内部でできる限り調査をしてみた上で判断をいたしたい、かように思います。
  254. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この際、最高責任者の長官に。  本当に公共事業というのは、最初長官がおっしゃったように厳正で公平でなければいかぬ、そのとおりなんです。ところが、厳正であり公平であるかどうかは、この資料に基づくと、少なくとも厳正、公平がないようだなという疑問だけは出るのですね。ですから、これは県民だけじゃなしに国民に対して——これは税金ですから、税金が上がってきて公共事業の名でおりていく、ですからこれは十分疑問の余地ないように調査されて、真実であるとすればその責任の所在をはっきり明らかにする必要があると思いますが、この際、長官の御意見を伺いたいと思います。時間がないですから長官に。
  255. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 一言申し上げておきます。  誤解がないように一言申し上げておきますが、いま責任というお言葉がありました。沖縄総合事務局に勤務する職員は、これは長官が人事権をお持ちでございます。ただ、公共事業等の予算の執行につきましては、先生も御案内かと思いますが、沖縄開発庁設置法の規定によりましてそれぞれの公共事業に関する主務大臣が沖縄総合事務局長を指揮監督する、こういうことになっておることをまず申し上げておきます。
  256. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 長官、いかがですか。
  257. 田邉國男

    ○田邉国務大臣 ただいま瀬長議員からお話がございました問題につきましては、私も初めてそのさつき会なるものもあったということを実は知った次第でございます。ただ公共事業は、私も十二年間地方の長をやってまいりまして、大変に公平にそして誤りない運営をやってきたつもりでございます。こういう問題につきまして、私も、瀬長議員からの資料でございますから十分拝見をさせていただいて、そして検討させていただきたい、こう思っております。
  258. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私がこれを出しましたのは、十分調べましてどうも間違いないらしい——いま言ったように施設庁すらできたのですね、あれが。施設庁ができて、さらにいま長官も上原議員の質問に対して、調査委員会をつくって調査するということになっておりますね。私は長官、そういったようなものをおつくりになって本当に綿密に、正確に、リアルに疑問の余地ないように調査するということを提起したいと思うのですが、施設庁すら調査委員会をつくったわけでしょう。だからこれは同じ性格のものなんですよ。出どころも同じなんです。三井建設、ひとつ調査委員会をおつくりになられて調査することをここでお約束してほしいと思います。
  259. 田邉國男

    ○田邉国務大臣 この問題につきましては、瀬長議員から御要望ございました。同時に、私どももそういう事実があったか調査をさせていただきたい、こう思います。
  260. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そこで、木谷次長の問題ですが、この木谷次長は、いまどこに、どういうふうに、どういう仕事をやっていますか、わかりますか。それから今永、新居、この三名の次長なんです。
  261. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 突然のお尋ねでお答えができないわけでございますが、いま聞いたところによりますと、すでに建設省を退官しておるということでございます。
  262. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 調べましたら、木谷正、退職年月日は昭和五十四年十月一日、これは現在渡辺組の顧問になっております。新居英一、これは退職年月日が五十五年十一月十六日、最終官職は大臣官房付、現在は有楽土地株式会社のこれまた顧問。今永幸人、これは退職年月日、五十五年十二月一日、最終官職は関東地方建設局河川部長、これは丸徳興業のやはり顧問。みんなそういったような建設業界の顧問になっておるわけなんです。ですから、私、この人々の経歴、この中で個人的な家庭事情もあります。それ全部削ってあります。私が削ったのです、これは個人的、プライベートに関係するといかぬと思いまして。こういったような状態なんですね。しかも、いま申し上げましたように、事務局長の亀谷さんが四十九年四月八日から五十一年四月一日まで務めておる、いま事務次官なんですね。それから今永、新居次長の場合には柳川事務局長、普通一般的でいいんですが、事務局長がいわゆる沖縄最高の官職でしょう。その次長が三代にわたって昼飯食べながら談合している。はい、こっちは三井、はい、こっちは戸田、もう落札する一カ月前に決まってしまっている。これを普通の常識で、次長がやっていることを——昼食会に出ているんですよ、事務局長が知らないということは普通考えられますか。どなたか答弁できる人いますか。
  263. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 私は、現地の勤務がないので的確な御答弁ができませんが、先ほど申し上げましたように、総合事務局は次長が二人おります。一人は事務官でございます。一人は技官でございます。恐らく公共事業等に関してはほとんどすべての仕事を実質的には公共事業担当の次長以下で処理しており、総合事務局長はもちろん契約その他につきましては決裁の印をつくことはこれは当然でございますけれども、現実に業者の親睦団体の席に出たかどうかということを事務局長承知しておるかどうかということは、総合事務局長をやられた方に聞いてみませんとここでお答えができないわけでございます。
  264. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いまの事務局長はどなたがやっておるんですか、これはおわかりでしょう。
  265. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 現在の事務局長は関と申します。
  266. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 そうすると、たとえばさつき会は解散しませんね。これは構造的な趨勢が、談合が主なる目的でつくられたわけなんだから。現在の次長がこういったような談合でも昼飯食べながらやるということになっても、現在の事務局長は判こ押すだけだからわからぬでもいいんだということになりますか。
  267. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 先ほどお答え申し上げましたのは、総合事務局長はわからぬでもいいのだということを申し上げたわけではございません。入札等から始まります契約の実務につきましては、恐らくほとんどは次長が実質的に取り仕切っておるのではなかろうか、こういう実務的な観点から申し上げたわけでございます。
  268. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私、それを聞きますのは、このさつき会の性格が変わらない以上、皆さんのこの公共事業の入落札関係を含めて取り仕切るのは日本の最大手なんでしょう。こういうのが取り仕切っておるわけです。そうなると次長が建設省関係から来るかもしれぬ。そういった次長が取り仕切って、さつき会の幹部と談合するというふうな構造的なものを変えなければ、一体どうなるかという点を私、実は心配するんですよ。沖縄の第二次振計を実際に行う場合でも、これが非常に大きい障害になる。長官、こういった構造的なものではなくて——本土企業に、いわゆる県外の大手企業系列下に、実際あなた方の資料でもわかるように、金額にして六〇%以上は大手に回っているんですよ。そういうことを基本的に変えまして、そして沖縄の中小の業者にこういった公共事業が回るような努力をしなければ、沖縄開発の関係で第二次振計を名目上言われても、資金は還流していく、Uターンするのです。調べましたら、たとえば十億なら十億の公共事業を発注する場合に、戸田建設の場合、こっちにいるのだから国庫で金を払うかというとそうでないのだな。沖縄で払うんですよ。日本銀行支店がありますからね。そして向こうに行くわけなんです。ところがこれは向こうに還流、uターンしていく。だから沖縄県に落ちないという、ここなんです。  これは長官に別にどうのこうの言うわけじゃないが、理論的に、もう十年になるでしょう。十年になります。米軍基地がある。いま上原委員が言ったように、長官もいつか言いましたが、この基地の存在そのものが本当に沖縄の経済振興の阻害要因になっているからこそ、皆さんも安保は堅持する、基地を容認すると言っても、これは整理縮小といったような形で言わなくてはいかぬわけでしょう。そしてもう一つの障害は、いま指摘したように沖縄県外の資本なんですよ。しかも、この資本も大手の資本なんです。これが入り込んでくる。こういった構造を変えなければ、沖縄の中小企業の育成あるいはその発展、これはもう本当に百年河清を待つという状態で、あと十年延長しましたね、その十年後にも、いまの構造であると同じかっこうになるのだという結論に達するのではないか。ですから、実に巨大な基地の存在、それから日本の大企業、はっきり言えば独占企業の搾取、収奪、それから政府がこれを後押しするようなことになって、三位一体となって沖縄の本当の経済振興開発の進度を非常に遅くするし、阻害するという要因になっている。これは皆さんの出した資料の分析の結果なんですよ。  十年たってなお東京都民の半分以下の県民所得しかないというこのなぞのかぎはどこにあるか。いま挙げた三つですよ。この場合でも、いま申し上げましたように、長官は本当に真剣にまじめに沖縄振興開発——第二次振計、これは八月ごろ出されるとも聞いておりますが、その場合、いま言ったようなものを洗い直して、本当にあの当時十カ年間にはせめて本土並み——、核抜き、基地撤去はできないにしても、せめて貧乏からの解放がいわゆる本土並みなんですよ。こういったものはやり遂げるというのが政府の方針であった。ですから、そういったような点を事実に基づいて反省されまして、いま申し上げましたような方向県民が第一次産業も二次産業も、それから企業を誘致するのであれば、CTSみたいな公害産業ではなくて、本当に雇用失業問題も解決できるような企業を誘致するという問題などを含めて真剣に取り組まないと、いま私が出した資料でも明らかなように、厳正公平な政治の実現というのはちょっと不可能じゃないかという感じがしますが、この点について、総括的に長官の御意見を承りたいと思います。いかがですか。
  269. 田邉國男

    ○田邉国務大臣 ただいまトンネル工事の問題から、沖縄の中小企業にこの仕事を受注させる、それが沖縄に金が落ち、そして沖縄県民を潤す一つの要因になるのだ、しかるに中央の企業がこれを受けていく、したがって中央から来た金がまた中央へ戻るのだ、それは沖縄振興には何らつながらない。私はそのお話の一面は確かに真理をうがっておると思います。  ただ事業におきましては、たとえば大きなダムあるいは大きなトンネル等につきましては、私の経験からまいりますと、その県の中小企業体が一体これを完成できるかどうか、この事業をだれにやらせるかというところに問題はかかると思います。したがいまして、たとえば多くの県民が活用する、観光客が活用したときに何ら不安のないトンネルをつくるということになりますと、正確な設計の読み、施工ができるというそれだけの資本と技術と内容を伴った企業がやらなければ、私は結果においては地域住民の不安を招くということになるかと思います。だから私は大きな企業に渡せということではありません。中小企業を育てていくたてまえについては、やはり一つはジョイントベンチャーを組むあるいはまた下請をさせる、そういうことによって順次技術を高めていき、一つの事業を完成させる、それが沖縄の中小企業が順次力を増してくるゆえんだと私は思っています。そういう意味で、今度は二次振計におきましてはいろいろと大きな仕事も出てまいります。そういう点につきましては十分私ども配慮をいたしまして、沖縄県民の皆さんにこの事業が結果的に大きく潤うような配慮をいたすべきである、こういう一つの基本的な考え方に立って対応してまいるつもりであります。
  270. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 長官、いろいろ調査するとは言われましたが、私が申し上げましたいまの木谷とかそれから今永、新居、この三代の次長は、ずっと事務引き継ぎみたいのをやっているのですよ、さつき会。この前、防衛施設庁関係で上田参議院議員が参議院でやりましたが、あれも、そんな三代にわたってずっと談合を重ねたのはないんだな。まさに恐るべきことなんですよ。これははっきりしているんだから、長官、こういったことをどう思われますか。考え方があるんでしょうから、ちょっと感想を言ってください。驚くべきことなんだ。ほかの省庁にあるかどうか疑わしいな。私はないと思うんだね。ずっと引き継ぎするんですよ、後任に言ってくださいよなんて言って、はい言います、後任であります、これなんです。長官、この点ちょっと御感想を……。
  271. 田邉國男

    ○田邉国務大臣 瀬長議員からいろいろのお話を承りまして、私もまだ実情把握が十分できておりません。この点についてはよく調査をさしていただきたい、こう考える次第であります。
  272. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 長官調査されると、これが事実となってあらわれますよ。それは私、何も自分でつくったやつじゃないんだ、捏造文書と違うのですよ。調査して明らかになると、長官もびっくりされるんじゃないか。まさに三代にわたって順繰り順繰り、事務引き継ぎをやるわけでしょう。だから、そういった時点になると一体どうされるおつもりなんですか。
  273. 田邉國男

    ○田邉国務大臣 まだ仮定のお話でございまして、私自身がまだ確かめておりませんので、十分調査をさした上で私の判断をさしていただきたい、こう思っております。
  274. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それで、施設長官もおられますね。いまさっきの上原議員の質問とも関連しますが、上田議員からの質問追及で、調査委員会をつくられる。それで、つくっておられるのですね。これはいつまでに結論が出て調査結果を発表できるか、この点だけ答えてください。
  275. 多田欣二

    ○多田政府委員 三月十六日の参議院の予算委員会で、上田先生から資料をいただきまして、翌日早速調査委員会を発足いたさせまして、現在鋭意調査中でございます。  先ほど上原先生にも御答弁申し上げましたけれども、時点が古いこともございますし、関係者が各地域に分散をしております。事案の数も多うございます。資料等も地方にいろいろございます。そういう関係で、現在鋭意調査をしている段階でございます。われわれとしては、できるだけ早い時期に調査を完了させたい、このように考えておりますけれども、現時点で、いつごろ調査がまとまるだろうという見通しを申し上げる状況にはなっておりません。
  276. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これにつきましてはずいぶん国民の疑惑が高まりつつあるんだな。これは調査完了といいますと、本国会は来月五月に閉会しますから、それを待たずに中間報告でもやる意思はありますか、ありませんか。
  277. 多田欣二

    ○多田政府委員 私ども、先ほど申し上げましたように、できるだけ早い時期に調査の結果をまとめたいということで、現在鋭意努力をしているところであります。ただ、中間発表ということでありますけれども、この種のものにつきましては、中間発表という形をとることは非常にむずかしいのではないかと私は思います。やはり、すべての調査点を洗いざらい洗いまして結論を出すということでありまして、中間発表は多分無理であろう、このように思います。
  278. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 中間発表ができなければ、閉会後発表——どういう発表の方法をとるのですか、ちょっと言ってください。
  279. 多田欣二

    ○多田政府委員 関係の先生方には結果について御説明に回るということもございますし、記者クラグ等におきましても、この問題については大変関心を持っておりますので、新聞等にも結果は発表をいたしたい、このように思っております。
  280. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この点、最低努力されて——、もう、施設庁もこういったような癒着、腐敗しているのかというふうに考える時点でしょう。あなた方として、今国会の開会中にはぜひ調査結果を発表するということを約束できますか、できませんか。
  281. 多田欣二

    ○多田政府委員 先ほど来申し上げておりますように、私ども、現在鋭意調査を続けている段階でございますが、現時点において、たとえば一月後とか半月後というようなことをお約束できるような時点ではございません。ただ、先ほど来申し上げておりますように、私どもといたしましても、できるだけ疑惑というような点については速やかに明らかにしたいということでございますので、できるだけ急いでやりたい、このように申し上げるだけでございます。
  282. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それでは、何名の調査委員がいて、どういう調査を毎日やっているのか、これを明らかにしてください。
  283. 多田欣二

    ○多田政府委員 調査内容を現段階で詳細申し上げるわけにはまいりませんけれども、委員は、私を長といたしまして七名であります。この七名が各部門を分担をいたしまして、関係者に聞き取りをしたり関係資料を洗って裏づけをとったりというようなことを手分けをしてやりながら、すでに四回、いわゆる総体会議というようなものをやりまして、今後どのように進めるかというのを相談しながら調査を進めているということでございます。
  284. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 吉野長官にちょっと聞きたいのですが、調査の場合、施設、区域をアメリカに提供するという場合の調査活動はみごとなものですよ。そうじゃないですか。いま上原委員が言いましたね、嘉手納、ああいった黙認耕作。どこに黙認耕作があるかな、毎日でも行ってやって、すぐ調査発表して実際の行動に移す。これはたとえば、いまは那覇市の小禄になっておりますが、小禄の地主に、いま自衛隊の施設ですから、返すことになっているんだな。そこを、いわゆる契約していない地主でしょう、返さぬといかぬですよ。そこに毎日毎日でも行って、契約してくれ、坪当たり幾らと言って、買い取りまで契約する。もう血眼になっているんだな。その熱意があれば、七名のチームをつくって今国会に間に合わせるように調査結果を発表することができないということになるとどうなんですか、一体。これが国民の負託を負うておる施設庁なんですか。長官、いかがですか。
  285. 吉野実

    ○吉野(実)政府委員 調査は、全国にまたがっていろいろ資料を収集しなければならぬとか、いままでの準備とか、こういうチェックリストをつくるとか、いろいろ準備を緻密にやってまいりまして、いま進めておりますが、われわれの調査は強制捜査ではありません。  それからまた、その調査というのはいろいろ呼び戻しがありまして、いまここでそういう内容を具体的に申し上げるわけにもいきませんですけれども、いろいろ呼び戻しといいますか、一回やってまた戻ってくる、そういう話があるわけであります。ですから、われわれとしてはもちろん早く終わりたいという気持ちは最も同感でございますけれども、そういう状態でございますので、いますぐ、何カ月後あるいは何日後、こういうふうに私の方から申し上げる状況ではないということで、気持ちとしては、いま瀬長委員がおっしゃったように早く終わりたい、そういうことでございます。
  286. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 ただ一言、今国会の開会中に間に合わせるように調査完了をしたいということを約束できますか。
  287. 吉野実

    ○吉野(実)政府委員 できる場合も、できない場合もありますので、ここで約束というわけにはまいりませんけれども、われわれとしては一生懸命、早く調査結果が出るように努めてまいりたいと思います。
  288. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 さて、今度は田邊長官に……。  いま調査されると約束されましたね。そのとおりでよろしゅうございます。この調査ですが、またまたいまの施設庁みたように、できるだけ早くということになると、なるたけ早く——よく法律の打ち方でも時限立法がある。これは当分の間ということになると、これは相当長引きますよね。ですから開発庁でも調査されると約束された、私は了とします。その結果について、また後の委員会でいろいろ質問いたしますが、せめてこの開会中にはこの委員会に発表できるような体制をとられて、本当に開会中に発表できるように調査をするということを長官の口からお約束できませんかな。
  289. 田邉國男

    ○田邉国務大臣 この問題につきましては、できるだけ早く調査をいたしたい。そしてまた、でき得ればこの国会の中で間に合わしたい、そういう気持ちでございます。できるだけ急いでやってまいる考えであります。
  290. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それで、時間が参りましたので、今度は、ここまでさましたら、ぜひ委員会に資料を出してもらいたいと思うんですよ。開発庁はこの前——那覇の施設局は先手を打ったみたいなかっこうでいろいろ出しましたが、こういったような公共事業の発注、受注関係でいろいろ問題が出ているだけに、次の事項の調査を委員会に出してほしい。  一つは、過去十年間の沖縄開発庁実施した公共事業について、金額で県内、県外別の実績をぜひ出してほしい。また、海洋博関連の公共事業についても同じく明らかにすること。(ロ) 開発庁の指名登録業者、AランクからEランクまで各ランクごとの業者名を明らかにし、かつ、その中で県内業者がどれかを示すこと。この二つの点について、瀬長委員個人にではなくて、この沖特委員会にぜひ以上の内容の資料を提出してほしいと思いますが、いかがですか。
  291. 高橋辰夫

    高橋委員長代理 ただいまの瀬長君の資料要求につきましては、理事会に諮って決定いたしたいと思いますので、御了承願います。
  292. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 この問題を理事会に諮ることももちろん反対をしませんが、問題は、いま言ったようなことを出し得るか、出し得ないか、あらかじめ聞いておきたいと思うんですよ。どうぞ。
  293. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 御要求がありました中で、過去十年間の公共事業についてという点につきましては、総合事務局の方でそれだけの事務能力があるかどうか、これはちょっとここでお答え申し上げるわけにいきません。直観的には、なかなか大変なことになろうかと思います。  それから、沖縄海洋博関係の公共事業についても御要求があったわけでございますが、この関係は、御承知のように四十七年度から五十年度にわたりまして、国、公団、県、市町村、非常に多数の事業主体によって行われております上に、何分、これも非常に古い時期のことでございますので、これも御提出できるかどうかということは、ちょっと私も自信がないわけでございます。  それから前回、たしか二月二十四日の本委員会において瀬長先生から、ランク別の企業について受注額を出せ、こういう御要求がありましたが、あの際いろいろ御議論をいただきましたように、ランク別の企業名等を一般的に公表するのはいかがであろうかと、私どもといたしましては差し控えさせていただきたい、かように考えております。
  294. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 時間が参りましたので終わりますが、この調査事項について理事会で十分討議して要求することにして、最後に長官に要望したいのですが、資料がこれまで出た以上、早目に調査されて、本当にいまも冒頭で言われたように、この公共事業が公平で、だれが見てもこれはガラス張りの政治だと思われるような結論を出して、それで本当に県民の負託にこたえる開発庁でなくちゃいかぬわけなんだから、ひとつ真剣に調査してやってくださるよう要望して、私の質問を終わります。
  295. 高橋辰夫

    高橋委員長代理 玉城栄一君。
  296. 玉城栄一

    ○玉城委員 これまでの御質疑と多少ダブる点もあろうかと思いますが、御答弁はひとつ御丁寧にお答えをいただきたいと思います。  施設長官最初に、私もこの問題について長官御自身からお答えを、お答えだけではないのですが、伺っておきたいのは、例の那覇防衛施設局の幹部の訓戒処分の件についてですが、これは非常に問題です。その経緯を簡単にちょっと御報告していただきたいのです。
  297. 多田欣二

    ○多田政府委員 先生おっしゃいますのは、ゴルフ会員権の問題だろうと思いますが、これは元那覇防衛施設局の職員が、昭和五十四年の初めごろでありますが、当庁の登録業者で、沖縄県の建設業者の社員のあっせんでゴルフ場の会員権を購入した。その際、本人も相当の金額を支払ったわけでありますが、一部の金額をその関係業者が負担していたということが後になってわかったという問題であります。この問題につきましては、本人は警察にも呼ばれましていろいろ事情聴取を受けまして、結果的には汚職事件その他として立件はされなかったというように承知をいたしておりますが、本人から聞き取りましたところでは、本人は、支払った金額は正当な市価である、業者に負担させているようなことは全く知らなかった、正当な市価であるという理解のもとに買ったということでありまして、懲戒処分には相当はいたしませんけれども、やはりそういう売買をするについて注意を欠いたという点については手落ちがあるということで、本人に対して、訓令上の処分でございます訓戒処分を昭和五十五年十二月に行った、こういうものでございます。
  298. 玉城栄一

    ○玉城委員 施設長官、高級公務員がこういうことで処分を受けているということ、私たちは那覇防衛施設局に関してそのほかいろいろな話を聞いております。いずれにしても、こういうことは非常にまずい、厳に自粛をすべきだと思うのです。いかがですか。
  299. 吉野実

    ○吉野(実)政府委員 まことに先生のおっしゃるとおりでございまして、実は私、去年の七月に、施設長官になりましてから初めて沖縄を訪問いたしたわけでございますが、その際に、施設局の職員全員に、特に局長には言ったわけですけれども、綱紀の粛正、服務の厳正ということをしないと、こういうふうに仕事の間口の広いところでは大変なことになるということを実は言ったわけです。いま起こっている問題はいまの施設局長の時代じゃないのですけれども、いずれにいたしましても、こういうときにそういう話が出てきているというのはまことに遺憾でございまして、今後われわれとしては、仰せのとおり深く反省をいたしまして、二度とこういうようなことが起こらぬようにしなければならぬ、かように考えているわけでございます。     〔高橋委員長代理退席、委員長着席〕
  300. 玉城栄一

    ○玉城委員 あれだけ膨大な基地を抱え、あれだけ膨大な事業量を抱え、それを担当する現地の皆さん方がこういう状態だったら、業者と高級役人あるいはそれを含めて癒着というものがあっては絶対ならないわけです。これは基地を容認している問題とは別次元の、公務員としてのモラルの問題として非常に許し得ないと思うのです。厳に自粛をしていただきたいと思います。  次に、通産省の方にちょっと伺っておきたいのは、たしか四月五日の通産局長会議で、沖縄の景気動向についての報告をしておられるのです。いろいろな報告をされまして、その中に「政府に対する要望事項としては、景気浮揚対策を求める声が強く、具体的には新規投資に対する政府金融機関からの融資額の拡大及び金利の引き下げ、公共工事の前倒し発注と下半期の公共工事の追加、公共工事の県内企業への発注と県産資材の優先使用を要望する向きが強い。」ということもちゃんと報告をしておられるわけですが、通産省並びに沖縄開発庁は、この対策についてどのように考えていらっしゃるのか、お伺いします。
  301. 和田文雄

    ○和田説明員 お答えいたします。  通産省では、最近出てきております経済諸指標が余り芳しくないようなものがずいぶんそろってきたということを背景にいたしまして、何らかの景気対策が必要ではないかという認識のもとに、まず手始めに地方通産局の管内の経済の状態を把握し、さらに企業経営者等関係者がどのように将来を見通し、あるいは政府に対してどんな要望を持っておるのか、現地の方たちの生の声を把握しようということで、通産局を駆使して調査をいたしました結果を四月五日に大臣に報告いたしまして、われわれといたしましては、全国各地域の景況の実情等をかなり正確に把握できたと思っております。  その中で、沖縄総合事務局の代表ということで通産部長が列席されましたが、通産部長の報告では、いま玉城先生がおっしゃったように、景況について相当厳しい報告をいたしておりまして、対策につきましても、新規の投資については政府金融機関からの融資額を拡大してほしい、あるいは金利を引き下げてほしい、また公共工事につきましては、ことしに入ってからどうも公共工事は一巡してしまって余り勢いがなくなってしまったということで、五十七年度につきましては上期の集中発注、さらには下期に追加をしてほしい、それから公共工事を発注する場合には、従来ですと沖縄地元業者はどうしても比率が低かった、これを少しでも高めるようにしてほしいという要望、あるいは公共工事用の資材としては県内でできるものを使用するように、県産品の割合をふやしていただくようにという要望が関係者から非常に強く出ておるという報告がございました。
  302. 玉城栄一

    ○玉城委員 報告は一応われわれも読んでおるわけですが、報告してそれで終わりというのでは済まないわけでしょう。どういう対策をやるかという話を聞きたいわけです。報告の繰り返しなんか必要ないですよ。
  303. 和田文雄

    ○和田説明員 わかりました。  実は対策につきましては、すでに政府全体といたしましても、四月九日に、五十七年度上期については七五%以上の契約率を確保できるようにするようにという閣議決定をいたしておりますが、そのほかに、地方公共団体等に対しても同様な措置をするように、あるいは地方の単独事業等についてもできるだけ促進するようにという要請をすることになっております。さらに、通産省といたしましては……
  304. 玉城栄一

    ○玉城委員 よろしいです。結局まだ対策は具体的にしてないということなのでしょう。四月からの全国的な七五%云々の話を聞いているのじゃなくして、沖縄の景気動向について皆さん方が詳しく実態を報告され、こういう要望も強いということをわざわざ報告されているのですから、ただその要望を聞きっ放しじゃ困るというのです。だから、たとえば沖縄開発庁あるいは建設省、いろいろ関係省庁と、どういうふうにやろうという具体的な動きがあってもいいのじゃないかということなのです。
  305. 吉田之久

    吉田委員長 答弁者は簡潔に、具体的に。
  306. 和田文雄

    ○和田説明員 わかりました。  通産局長会議によりまして確かに全国の地域の状況はわかりましたが、具体的な対策について一体何がどういう効果を持つかということで、実はきょうからヒヤリング調査を通産省全体で進めておりまして、この進行ぐあいと見合わせながら各省庁に働きかけて、住宅建設の促進あるいは金融対策の弾力的運用を働きかけていくということになっております。
  307. 玉城栄一

    ○玉城委員 そういう報告を皆さんがわざわざされましたから、しっかりその対策をやっていただきたいと思うのです。  開発庁の方は御存じなんでしょう、総合事務局の通産部長のこういう報告を。だから、あなたが大変だと言うだけじゃ済まぬわけですから、沖縄担当の役所、それはいかがです。
  308. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 私ども、通産局長会議におきまして現地の総合事務局の通産部長から報告されました内容につきましては承知をいたしております。私どもといたしましても、沖縄の経済等の状況、若干の明るい数字がございますけれども、全体的には低迷をしておるということで心配をいたしておるところでございます。  当面の対策としてどう考えるかという御指摘が主な質問であろうと思います。私どもといたしましては、振興開発の大宗をなします公共事業関係費につきまして、来年度二・六%の伸びを確保することができたわけでございます。また振興開発金融公庫の事業計画におきましても、現地の資金需要に十分対応できるような量を予定したわけでございます。そのほか、先ほども通産省からの答弁にございましたように、政府としまして最近の経済動向を考えまして、五十七年度上半期における公共事業等の執行につきましては、物価の安定を確保しつつ景気の維持拡大を図るための諸施策閣議決定したところでございます。沖縄開発庁としても、この閣議決定に従いまして公共事業の執行について遺憾なきを期したい。また……
  309. 玉城栄一

    ○玉城委員 いいですよ、わかりました。  これはやはり大臣ですね。せっかく総合事務局のそういう責任の方が県内動向について詳しく報告された具体的なものがあるわけですから、関係省庁にそういう具体的な提案等もあるわけですから、ひとつこれは大臣の責任で、沖縄振興に重大な問題ですからやっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  310. 田邉國男

    ○田邉国務大臣 第二次振計におきましては、一次振計のおくれている問題、各種基盤整備の問題、それからまた住宅の問題、あるいは企業誘致の問題、それから雇用の拡大の問題、具体的にこの問題に取り組んで、従来の一次振計でやり終えなかった問題、それから新たに沖特で各委員の皆さんから御指摘をいただいた諸問題、こういう問題に真剣に取り組みまして、二次振計は誤りのない対応でやってまいる決意でございます。
  311. 玉城栄一

    ○玉城委員 長官、私、新聞の報道で伺ったのですが、この間の閣議において、沖縄の基地の整理縮小について閣僚も協力してもらいたいということをわざわざ発言しておられて、大変評価をするわけでありますから、どうぞいまの問題につきましてもぜひそういう立場から強力に推進をしていただきたいと思うのです。  次、農林省の方に伺いたいと思うのです。  五十六年度の農業白書、これは閣議了承で出ているわけです。その中に、沖縄県の農業について一つは格差是正の問題、それから沖縄の構造上の問題について触れているわけですが、それは概略わかりやすく、本土に比べて沖縄の格差があるんで是正したいということですね。それから、構造上のいろいろな問題があるということのようです。  そこでもう一つ、これは沖縄の農協関係者が、いま日米間の貿易摩擦の問題で農産物の輸入自由化がされる、沖縄の基幹作物、サトウキビ、パイン等、いろいろ沖縄にとっては死活的な問題である、県民運動を盛り上げよう、こういう動きもあるのですが、この二点、あわせてお伺いしたいのです。そういう心配がなければないでいいです。
  312. 川村浩一

    ○川村説明員 お答え申し上げます。  沖縄の農業につきましては、御承知のとおり、第一次振計に基づきまして補助率等の特別対策を講じながら農業振興面については特に配慮してまいったところでございます。  農業生産につきまして本土との比較をいたしますと、かなり大幅な伸びを示してきておりまして、四十七年度から五十四年度までの間の農業純生産の伸びで見ますと、本土が一・九倍の伸びに対しまして、沖縄の場合には二・七倍という形でかなり改善されてきております。また農家所得、農業所得について見ますと、四十八年当時本土と比較いたしまして、農家所得では五三・四%、農業所得につきましては五二%であったものが、五十五年にはそれぞれ約八割ということで上昇してきておりまして、本土との格差はかなり縮小されてきたということは言い得るかと思います。しかし、御指摘のように、現時点においても今後なお是正さるべき格差があることは事実でございまして、沖縄経済社会発展のためにはやはり農業振興というのが一つの重要な柱であると考えておりますので、今後二次振計に基づきまして積極的な農業振興施策をやってまいりたいと思っております。  その際、御承知のように、特に沖縄はわが国唯一の亜熱帯性気候地帯であるという特殊性を持っておりますので、これを生かしながら、一番基礎条件としては農用地あるいは農業用水の確保整備をするということを中心に農業基盤整備に一層意を用いながら、その上で生産性の高い農業構造を展開していくということを図ってまいりたいと思っております。  また、豊かな太陽エネルギーを利用いたしまして本土に対する冬、春の野菜、花卉等の生産出荷を考え、さらにその輸送の合理化を図っていくということも大事であろうかと思います。  それから、畜産の面では、今後伸びが期待されます肉用牛と養豚を重点に置いて畜産振興を図り、さらにサトウキビその他沖縄の畑作農業との有機的な連携も図っていくということが大事であろうと考えております。  第四点といたしましては、沖縄の基幹作目でありますサトウキビ、パイナップルの生産性の向上を図っていく。これらの四点に重点を置きながら沖縄農業の積極的な振興に今後とも最大限の努力をしてまいるつもりでございます。  御質問の第二点につきましては、これは御指摘のとおり、貿易摩擦の問題に関連いたしまして非常に大きな問題を国内農政の面においても投げかけているわけでございまして、一方農林水産省といたしましては、今後食糧の総合的な自給力を維持しながら国民生活に不安のないようにしていくということが一番大事なことであり、その際に、同時に各地域別の重要な地域特産物という問題もございます。そういう意味で、一方、国際化に対応した貿易の安定的拡大という要請への対応は必要であろうと思いますけれども、しかし、国内農業に不安のないような形で適切にその間の調整をするということに意を用いてまいるつもりでございます。
  313. 玉城栄一

    ○玉城委員 これも県民生活に重大な、また振興開発上も大きな問題ですが、沖縄電力が料金の値上げをしたいみたいなことを専務が記者会見で言っているのですが、一昨年、御存じのとおり二倍もの料金値上げをされて、そのときに開発庁も、向こう一年間は料金値上げをやらない、その後も特段の事情がない限り云々ということをわれわれのところに配っているわけです。もしその前に、そういうことで料金の値上げ申請が来た場合、通産省とされてはどういうお考えで対応されるつもりですか。
  314. 植松敏

    ○植松説明員 まず、新聞報道されております件でございますが、私、詳細は存じませんけれども、恐らく五十六年度の決算につきましては、最近の原油価格の動向等から若干の黒字が出るところまでこぎつけた、五十七年度につきましては、現在原油の国際価格は落ちついておりますが、最近為替レートが非常に円安に推移しておりますので、そのために不安があるということでさらに引き締めてかからなければならない、こういう趣旨で役員が記者会見で述べたのではないかと私は伺っております。私ども沖縄電力にかかわらず他の電力会社につきましても、できるだけ経営努力をいたしまして、一日でも長く現行料金を据え置くよう強く指導しているところでございます。したがいまして、沖縄電力につきましても、今後特段の事情の変更がない限り、現行料金を一日でも長く据え置くようにということで指導してまいるつもりでございます。  さらに、仮定の問題でございますが、もし出てきた場合どうされるかということでございますが、これはもう先生案内のとおり、料金の改定については通産大臣が認可するわけでございますけれども、その場合には、原価主義に基づきまして厳正に審査をして適切に対処するということでやっておりますので、これは仮定の議論でございますが、そういうことになろうかと思いますが、現段階では先行き不透明な問題もございますが、企業としてはできるだけの経営努力をして、現行料金を据え置くようにということで強く指導をしてまいりたいと思っております。
  315. 玉城栄一

    ○玉城委員 これにちゃんと「当該期間終了後も、特段の事情の変更のない限り、料金値上げを行わないよう沖縄電力を指導する」こういうふうに書かれておるわけです。この沖電が値上げ申請をするということになればこれはすでにエネ庁の方と打ち合わせ済みの中で出てくるわけですから、こういうことも前回の値上げのときに皆さんおっしゃっているわけですから、特段の事情の変更ということがちゃんとあるわけですから、そうでない限り料金値上げというものは認めるべきではない、このように思います。  次に、厚生省の方に離島の医療のことについてお伺いしたいのですが、現地沖縄の新聞に、たとえばこんなふうに「八重山病院の巡回診療班が西表西部地区に出かけて集団検診を行ったところ、多くの疾病者が見つかった。胃ガン三人をはじめ、胃カイヨウ、十二指腸カイヨウ、胃炎など計百十五人。検査をうけた人たちの三五%に相当するからかなりの高率だ」これは僻地のそういう実態についてなんです。——農林省の方々、大変ありがとうございました。それから通産省もどうもありがとうございました。  厚生省は、いまの僻地医療の充実強化体制についてどのように考えていらっしゃるか、お伺いいたします。
  316. 山内豊徳

    ○山内説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘報道につきましては、正確なレポートをまだ入手しておりませんけれども、恐らくかなりの高率で御指摘のような病気があったと思います。その同じ記事にも指摘されておりますように、やはり常日ごろそういった健診といいますか、場合によっては診療の必要な状態にありながら受けられない状態にあるという実態を示しておるのじゃないかと思っております。  こういう医療施設の整備の問題につきましては、先生すでに御案内のように、一応私どもでは僻地医療対策という形で、基本的には中核病院を中心に診療所、診療所が整備できないところであれば保健指導所を整備するということでネットワークづくりをやっておりますが、問題は、そういったところに実際に診療に従事できるお医者さんの確保について十分でないということのあらわれが一つ出てきておるのではないかと思っております。医師確保につきましては、これは詳しくは申し上げませんが、一時中断されておりました国費制度その他の復活もございますし、また沖縄開発庁御計上の巡回システムなども働かしていただいております。五十七年度ベースで申し上げますれば、いま申しましたような診療所の運営、中核医療機関の運営、医師巡回派遣などで、国費ベースで二億五千万くらいの予算は私ども一応計上してこれに当たろうとしておるところでございます。
  317. 玉城栄一

    ○玉城委員 沖縄県は立ちおくれてますので、毎回私はいろいろな委員会で医療の充実強化については訴えておるわけであります。どうか厚生省の方とされましても、二次振計が始まろうとしておるわけでありますので、ひとつ全力を挙げてやっていただきたいということを御要望しておきます。  もう一つ厚生省に、これも現地からの要望なんですけれども、八重山の方なんですが、身体障害者授産施設をつくってもらいたいということで、その理由として、離島県の中のさらに離島の八重山群島の産業構造は身体障害者を一般雇用する力をそれほど持っていない、また、同じく離島なるがゆえに大都市における雇用就労の機会にも恵まれておりません、こういう事情にあるので、八重山の障害者の間から福祉雇用の場所を求める声が非常に強い、政府においても、社会福祉法人による身体障害者授産施設の石垣市内設置について特段配慮を願う。  もう一点、肢体不自由関係施設の早期設立についての要望でございます。これも、八重山地区の八つの離島には、肢体不自由児八十五名、肢体不自由者七百四十二名いるにもかかわらず、これら不遇の人々に対し何の施設もなく、社会の谷間に放置されている現状である、したがって、今後の離島振興、特に過疎化といういろいろな問題もあるので、こういう施設についてもぜひあの地域に設立してもらいたいという要望があるのですが、厚生省はいかがでしょうか。並びに、その後沖縄開発庁の方からもお答えたいだきたいのですが……。
  318. 板山賢治

    ○板山説明員 沖縄の社会福祉施設は最近七、八年間で三倍ほどにふえておりますけれども、御指摘のように、八重山地区には身体障害児者のための施設がございません。約千人の人々がおられるのでありますけれども、その要望を受けましたので、県の方にも早速照会をし、連絡をいたしておりますが、県も、どのような種類の施設をどのような仕事で整備したらいいのかという点、もう少し現地の実態を見きわめながら計画を立てたいと言っておりますので、その協議があり次第、私ども前向きに対処したい、このように思っております。
  319. 玉城栄一

    ○玉城委員 開発庁、推進をしていただきたいということですから、よろしいです。  もう一点、厚生省の方に伺いたいのですが、これも私、予算委員会の分科会でお伺いしたのですけれども、例の台湾から帰る疎開者の方々の乗った栄丸が沈没しまして多数の犠牲者を出したわけですが、これは私、予算委員会で質問したとき、森下厚生大臣は、早急に調査するということをちゃんとおっしゃっておられましたので、どういう調査をされて、どんなふうな状態まで来ているのか、お伺いします。
  320. 沢江禎夫

    ○沢江説明員 お答えいたします。  先般の予算委員会で、先生から宮古島で強制疎開があったのかどうかというようなことでございました。私どもいろいろ調べたわけでございますが、防衛庁の戦史室の資料そのほか関係の資料によりますと、昭和十九年の七月七日ということでございますけれども閣議におきまして、奄美大島、徳之島、沖縄島、宮古島、石垣島の五島につきましては、老幼婦女子を本土及び台湾に疎開させることが決定されたということでございます。しかしこの疎開につきましては、強制ではなくしていわゆる勧奨の形式で行われた、そういうことでございます。
  321. 玉城栄一

    ○玉城委員 勧奨であったからどういうことなんですか。それちょっと不親切ですよ、あなた。もっとあるのです、いまおっしゃったところに。そういうことで、閣議決定で鹿児島県の云々といまおっしゃいましたが、それを受けまして、沖縄県庁の場合は「県民の不安、動揺にかかわらず命令は実仁しなければならない。電命を受けた県庁当局は 警察部の所管に特別援護室を新設し、命令を実仁することにした。室長は内政部調査課長」云々名前があります。そして室員には警部二人、警部補三名、巡査部長及び巡査各数名、また学童疎開担当者としては県教学課視学というふうにありますが、当時の閣議決定というのは、強制力があるとかないとかという——大変なものですよ。それを受けて警察の方々が担当でやっているわけです。そういうことを知っていらっしゃいますか、どうですか。調査されたというのですから、当然知っていらっしゃるわけでしょう。
  322. 沢江禎夫

    ○沢江説明員 十九年の七月ということで戦局が非常に緊迫していたという状況でございまして、そういう状況の中で、こういった宮古島の住民等について疎開させたということでございます。もちろん閣議で決定されたということでございますけれども、ただ、強制ではなくして、あくまでも勧奨ということでございます。  私どもで所管しております援護法がございますけれども、御承知のように、軍人軍属、それとこれらの者に準ずる方々について、戦争公務によりましてけがをしたり死亡された場合について、所要の措置を講じているわけでございます。先生からお話のございました栄丸につきましては、宮古島から疎開された方々でございますけれども、台湾に疎開いたしまして、引き揚げる途中での遭難でございます。しかも、終戦後の昭和二十年十一月の事故ということでございます。非常にお気の毒なことであったわけでございますけれども、戦争公務に起因する被害ではないわけでございます。戦闘に参加した戦闘参加者というふうに認められる実態を有しないということでございますので、非常にお気の毒ではございますけれども、援護法の処遇対象にするということはきわめて困難だということでございます。
  323. 玉城栄一

    ○玉城委員 勧奨ということで、援護法の対象外だからうちの管轄ではないということをこの前からちらちらおっしゃっていらっしゃるのですが、そして調査をしたということですが、では、この方々が疎開するときに、その費用はどういう状態であったか御存じですか。
  324. 沢江禎夫

    ○沢江説明員 先ほど申し上げました決定によりまして、疎開に必要な費用につきましては国費から出されているようでございます。
  325. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、その辺をもう少ししっかりと調査をしていただいて、援護法の対象であるかないか、もうちょっと説得力のある説明をしていただきたい。  それで、これ以上はなんですが、厚生省あるいは総理府、こういう問題の取り扱い、所管があいまいなんですね。これは強制じゃなくて勧奨的に、勧めでやったんだということで援護法の対象ではないということでありましたが、そういう問題も含めて、どこかの省庁が担当してちゃんと解決の方向にやっていかないと、いつまでたってもどうしようもないわけですが、長官、その労をとっていただきたい。いかがでしょうか。
  326. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 ただいま厚生省からの御答弁にございましたように、現在せっかく厚生省において調査をいたしておるというふうに承知をいたしております。今後私どもといたしましても、厚生省と十分協議をいたしてまいりたい、このように考えます。
  327. 玉城栄一

    ○玉城委員 次は、これも質疑があったかと思うのですが、ちょっと伺っておきたいのは、詳しくは申し上げませんけれども、例の県の土地収用委員会の今回の問題について、長官のお考えあるいは感じでもよろしいのですが、伺っておきたい。これから御二次振計で大型プロジェクトはたくさんありますね。沖縄の場合、モノレールとかいろいろ土地を使わなければならない、この収用委員会というものが非常に大きな働きをしなければならぬという面が多々あるわけですね。そういう中で、今回の決定のいきさつはちょっと異常な面があると思うのです。そういうことで非常に不信感が出ております。これは非常にまずいと思うのです。国家間の条約を優先するということによって肝心の国民の信頼感を失っていくような状態であった場合、これから二次振計でいろいろなことをやらなくちゃならないということで非常にまずいと思うのですが、長官、いかがですか、どういう御感想をお持ちなんですか。
  328. 田邉國男

    ○田邉国務大臣 土地収用委員会のとられました今回の措置でございますが、これは独立機関でございますので所定の手続をとってやったということでございまして、この措置は、私ども、そういう措置をとったということを実は聞いておるわけでございます。  ただ、沖縄は大変に広い基地を持っておるところでございますし、私どもといたしましても、今後この基地をできるだけ早く解除していく、この点は私も閣議におきまして各閣僚に十分お願いをいたしたわけでございます。今後におきましても、沖縄の開発には、この基地の返還の手続が順調に進み、そして、その地域を沖縄県民の有効利用に迅速にやっていくという基本方針は私は堅持してまいりたい。そして、その措置につきましても十分の配慮をもって臨むべきであると考えております。
  329. 玉城栄一

    ○玉城委員 ちょっとお答えがそれている。——厚生省の方、どうもありがとうございました。ひとつよろしくお願いします。  施設庁の方に伺いたいのですが、この間、伊藤防衛庁長官が山口の方で四月十一日、米軍の岩国基地沖合い移設について語ったことをわれわれは報道でよく知っているわけですが、これはなぜその沖合いに移設しなくちゃならぬのか。もちろん地元のそういう要望があるということなんですが、そこに至った背景は、どういうことで岩国基地を沖合いに持っていこうということになったのか。これは簡単でいいですから、ポイントだけ言っていただければいいのです。
  330. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 岩国基地につきまして、現在地元から沖合い移設の要望というものが出ておるわけでございます。この件につきましては、岩国飛行場は御承知のように海岸沿いにはなっておりますが、滑走路延長上に各種の工場群がある、あるいは基地周辺の騒音等も市街地区に及ぶということで、地元の方から、住民の安全確保、航空機の障害の緩和といったような意味で沖合い移設の御要望が出ておるわけでございます。
  331. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、そういう地元の要望等あり、またそれがそのとおりであるということから、これは沖合いの方に持っていかなくちゃならぬという判断があって長官もおっしゃったのだと思うのですが、いまの時点ではそういう危険性があるということなんですね。ですから、沖の方に持っていかなくちゃならぬという考え方からこういうことをおっしゃっているわけでしょう、安全上どうのこうのということをおっしゃったわけですから。  そこで、私がお伺いしたいのは、いまの那覇の空港にしましてもこの考え方は同じだと思うのです。軍民共用ですから、いろいろ危険のないようにいろいろなことをしておられることはよく知ってはおりますけれども、いずれにしてもその危険性が基本的に解決されているとは私には思えないですね。どっちをどうするか別にしましても、この那覇空港について、そういういまの岩国の問題と比較して考えますときに、いかがですか。
  332. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 岩国飛行場につきましては、現在米軍に航空基地として提供しておりますので、現在の状況で米軍の運用が直ちに危険であるとは私どもは考えてはおりません。運用上十分の配慮をもって、現在も有効な航空基地として使用していると思います。  それから、那覇基地についてのお尋ねでございますが、個々の飛行場のそれぞれの条件も違うと思いますし、また、那覇につきましては運輸省管轄の空港でもございますので、私どもの方として、特に岩国との関連で御意見を申し上げるという立場にないと思います。
  333. 玉城栄一

    ○玉城委員 その危険性という問題については、自衛隊が使おうが米軍が使おうが本質的に——いろいろな地域によって状況が変わることはわかるわけですが、施設庁の方にその点は指摘しておきます。  次に、これもこの間NHKのテレビで放映された沖縄軍用地が投機の対象になっているということなのです。私はこのテレビをちょっと見なかったのですが、実際沖縄におきましてそういう話をたくさん聞いております。そういう売買されている状況、それから概数で結構ですから御報告いただけますか。
  334. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 私どもの場合は、基地につきましては賃貸借契約でもって使用権をいただいておりますので、その際御指摘のようなNHKテレビの報道で、そういった賃貸借契約における移動といったようなもので、昭和五十五年度に調査いたしました結果でございますが、五十五年度一年間で約三百件、四十八万平方メートルほど、いわゆる売買が行われたのではないかと考えております。
  335. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは施設長官、五十五年度だけで三百件、四十八万、基地が所有者、地主ですか、売買されている。こういうことについてどういうお感じになっていらっしゃいますか。
  336. 吉野実

    ○吉野(実)政府委員 われわれといたしましては、現在米軍に提供している基地がありまして、生活に困るとか結婚の資金とかいろいろあって、しかもわれわれとしてすぐに返すという性質のものでないような場合で私の方に申し入れがある場合には、予算の範囲内で極力施設庁自身で買い上げるという方針をとっております。ただ、何分にも予算の関係がありますから、全部の基地を全部買えといってもそんなことはできません。いま民間の間の基地というか、所有者の移転が行われているということですが、これにつきましては私どもの方でとめるわけにもまいりませんし、しかし、それが投機の対象などになっておるということでは非常に困ることだ、そういうふうに思っております。
  337. 玉城栄一

    ○玉城委員 長官施設庁自身も買えるものは買いたい。財政の事情、いろいろ相手の都合もあるでしょう。買えるものは買っていこう、どういう方針でそういうことをされていらっしゃるのですか。
  338. 吉野実

    ○吉野(実)政府委員 先ほど申しましたように、私の方から積極的に買いたいと言ってはいないのです。ただ、所有者の方々で、この間のテレビにも出ましたけれども、事業の関係でもって土地を手離したい、それで営業資金を持ちたいあるいは結婚資金とか何かでもって金が欲しいのでぜひ買ってくれないかというような場合に、二年後にすぐ返すという性質のものであったら、私の方ではお買い上げするわけにはまいらないと多分思うのですけれども、もう少し中長期的に基地の提供として必要だなというようなものにつきましては、いま申しましたような個人の実情等を勘案いたしまして、私の方でできるだけの手は差し伸べてお買い上げしたい、こういうことでございます。
  339. 玉城栄一

    ○玉城委員 実際は投機の対象になりまして、あるいは土地転がし等もあるわけです。そして、施設庁とされても、相手がそういう希望があれば買いますよ、買ってます。そういうことですね。それは相手が希望すればどこでも買うということなのですか。それはちゃんとした方針なり何かあるわけでしょう。といいますのは、いま軍用地がそのように売買の対象あるいは投機の対象になっているということは皆様方にも一つの責任があるわけですね。施設庁が買うのですよということは、一つの大きな原因になっているわけですね。これはこの前の本委員会で参考人の方々の指摘があったわけですが、第二次振計の中で地価対策というのは非常に重要なんだ、これは各参考人からいろいろな指摘がされました。皆さんがある面ではあおっているようなことにもなるわけですね。いかがです、その辺。
  340. 吉野実

    ○吉野(実)政府委員 先ほど来申しておりますように、私の方では積極的にお買いしますよということは申しておらないわけであります。どうしても売りたいという場合に、いろいろ家庭の事情、事業の事情等がある方々が、不動産関係の業者のところに行ってたたかれたりなんかするということよりも、私の方からできるだけの配慮をしてお買い上げできた方がいい、そういうことでやっておるわけで、私の方が買っているからというほど積極的に申し出ているわけではないので、そのために民間の間でもって土地の売買が行われるというふうには私の方は考えておりません。
  341. 玉城栄一

    ○玉城委員 そういう都合も希望者によってはありましょうけれども、皆さん方としては、国有地にしていた方が基地の安定的な使用という面からはプラスになりますね。マイナスには決してなりませんね。そういう面もありますね。いかがですか。
  342. 吉野実

    ○吉野(実)政府委員 われわれの方といたしましては、米軍に提供している基地を全部国有地にして、安定的に基地の提供をしようという考えは持っておらないわけでありまして、予算でもそういうことはとても不可能なことでございますので、まあ皆さん方の要望にも応じられるし、国の財政事情にもマッチした現行方式で御了解をいただく。申し上げますまでもなく、いま基地の話が出ましたけれども、全体の沖縄における米軍に提供している基地の中で、先ほど特措法の話が出ましたけれども、契約に応じてくれなかった方の面積というのは非常に少ないのでございまして、全体の必要面積の〇・四%ぐらいのところが実は特措法の対象になった、こういうことでございますので、御参考までに。
  343. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは大臣の方にお伺いしたいのですが、この前の本委員会でも参考人の指摘もありましたとおり、一説には、沖縄の場合には基地が非常に大きい、それに伴う軍用地料がぐっと上がってきた、それに伴って民間の土地も上昇してきた、それを県民の努力だけで地価対策をやれといってもどだい無理がある、地価対策については抜本的あるいは制度的な手当てが必要ではないかという御意見もあったわけですね。ですから、いま軍用地主の中に、いろいろ経済的に困ったから何とかだれかに売りたい、施設庁、買うなら買ってくれ。そういう相手方のいろいろな経済的な問題によって買い取るという場合は別途制度的な手当てが必要だと思うのです。といいますのは、所によっては返還されるところもあるわけですからね。これは第二次振計ということからすると、土地利用というのは非常に大事なことになっているのを、皆さん方がどんどん買う、あるいは投機の対象になって、皆さん方だからこれは大丈夫だ、信用度が高いわけですから上昇していく、それにつれてほかの土地も上がっていくということになりますと、これは大変な問題になるわけですね。大臣、いかがですか。いまお聞きになった実態についてどのようにお考えですか。
  344. 田邉國男

    ○田邉国務大臣 いま施設長官との質疑を伺っておりまして、沖縄の基地の地主の皆さんが、生活の必要上また商売の必要上金が要る、それを買ってくれということでございますから、施設庁としてはこれを買い上げる、こういうことであろうと思います。  ただ、いま御指摘ございましたように、それによって地域の土地が騰貴する。これはいま一番住宅問題とかいろいろの地域振興の上にも、土地が上がるということは大変に大きな支障を来す問題があろうかと私は思います。     〔委員長退席、高橋委員長代理着席〕 この点につきまして私が施設庁の措置を云々ということは差し控えさせていただきたいのですが、一般的におきまして、なるべく土地の騰貴にならないような配慮ができないものであろうか、そういう点につきましては、私どもは二次振計の中でできるだけ、どういう対応をすればよろしいか、この点も十分配慮をしてまいりたい、こう考えております。
  345. 玉城栄一

    ○玉城委員 最後に、施設長官に御要望しておきますが、皆さん方、基地を安定的に使用する、相手の都合がある、いろいろなことで理由はつけられますけれども、いずれにしても沖縄が返還されて十年間格差是正がされなかった、いろいろな問題があるわけです。したがって、あと十年も延長してさらに目標を達成しようということなんですね。それにおいてはこの地価対策というのは非常に重要だという指摘があるわけですから、また同時に、軍用地がそういう投機の対象になっているということは絶対好ましくない、困るということをおっしゃっておられるわけですから、皆さん方の都合だけでやるのではなくて、いま大臣がおっしゃられたように、開発庁もきちっとそういう面を検討していただいて、そういう軍用地を含めて沖縄の土地が上昇するようなことを絶対させないようにしていただかないと困ると思うのですが、いかがですか。
  346. 吉野実

    ○吉野(実)政府委員 くどいようでございますけれども、これは施設庁としての見解と言うとちょっと言い過ぎかと思いますが、いま現在提供されている基地の中に売買が起こる、あるいは場合によっては、些少ではありますけれども施設庁で買い上げるということをしておりますが、これで基地以外の土地の値段が即にはね上がるとは私は考えていないわけです。それは基地以外の土地の経済的運用、そっちの問題と絡んで土地の値段が上がったり下がったりするのではなかろうか、これはちょっと余分なことですが、私はそう思います。いずれにいたしましても、全然関係がないかというと、それは多少、あっちばかりいい値段になってなんていうことになるといかぬですから、基地の土地の投機が行われないようにわれわれとしても注意をしなければいかぬと思っておりますが、基本的にはそういう考え方です。
  347. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは実際、施設庁の方に売った方が高いというケースもあるんですよ。ですから、そんなふうにおっしゃらないで、真剣に私がさっき申し上げたような趣旨でやっていただきたいと思うのです。  最後になりますが、これは運輸省の方になりますね。例のACMIの件なんですが、現在米軍側と運輸省と、その場所いろいろなものを含めて調整中である、外務省もそういう言い方をしていますし施設庁もそういう言い方をしていますので、運輸省の方が当事者のようでありますから運輸省の方から、現在はどういう段階に来ているのか、どういう調整をしているのか、場所をどこかに移すとかそういうことが調整だろうと思うのですが、その辺をちょっと御説明していただきたいのです。
  348. 小山昌夫

    ○小山説明員 お答え申し上げます。  ACMIの空域につきましては、当初米側より要請のあった空域について、航空交通管制上非常に重要な空域でございますので、これを認めることは管制上非常に問題があるということで、現段階におきましてはこれに対しまして受け入れることができないということで米側に再考を促している状態でございます。基本的には、私どもは、航空交通の安全を十分に勘案して今後のこの問題に対処する方針でございます。目下交渉中でございますので、余り詳細につきましては答弁を控えさせていただきたいと存じます。
  349. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは六月にハワイで事務レベルの会談が予定されていますが、それまでにやろうという考えがあるのではないかと思うのですね。  それで、時間がございませんので、そうであればそうである、なければないで結構ですから、イエスかノーでいいですから、私、ざっと言いますので、管型、運輸省の立場から——これは米軍が要請している空域についてです。硫黄鳥島付近の空域は那覇、嘉手納を中心とする沖縄空域にとって大変重要な空域であり、ACMIが設置されれば管制上重大な支障を来すことになる。いまさっきおっしゃいましたので、そのとおり受けとってよろしいですね。  それから二番目、東京、大阪、九州それに朝鮮半島方面の航空機がすべて沖永良部に集中する。沖永良部には七本の航空路が交錯しており、したがってその空域が提供されることは管制上非常に重大な支障を来す。これもそのとおりですね。
  350. 小山昌夫

    ○小山説明員 そのとおりでございます。
  351. 玉城栄一

    ○玉城委員 沖永良部周辺は雷雲が発生しやすく、航空機の雷雲回避のためのレーダー誘導が多く、現在でもW一七三などの米軍訓練空域が支障となっているという指摘がありますが、そういう指摘はされますか。
  352. 小山昌夫

    ○小山説明員 通常、雷雲回避のためには、航空機は管制機関に通報いたしまして、当該管制機関は米軍側と調整をとりまして、そして回避するというような方式をとっております。なお、レーダー等によって十分監視をして、そうして情報等を当該航空機に与えるというような方法をとっておりますので、私どもは、安全上は十分確保しているというぐあいに考えております。
  353. 玉城栄一

    ○玉城委員 きょうはたくさん確認しておきたかったのです。運輸省の管制の立場から、あの米軍の要請している空域が民間航空機の運航上非常に問題があるという点を一々確認したかったのですが、時間がございません。ただ、沖縄の周辺空域には米軍の訓練空域がたくさんありますね。幾つぐらいありますか。そして臨時のものもありますね。あるいは空中給油区域というのがありますね。その辺をちょっと御説明いただきたいと思います。
  354. 小山昌夫

    ○小山説明員 訓練空域は十六ほどあると存じておりますが、訓練給油空域と申しますのは、米軍との協定等によって、米側から要請があった場合に給油のためにある一定の空域を時間帯に分けて、また高度等を勘案してその空域を保護するわけでございます。他の航空機を当該空域の中に入れないということでございます。しかしながら、これはそのたびごとに連絡いたしますと連絡に非常に手間もかかりますし、不十分と申しますか、その間にそごも起こりやすいということから、あらかじめある一定の空域を決めておりまして、管制官も事前にその空域を承知しているということでつくっておりまして、通常は自由に飛べる空域でございます。
  355. 玉城栄一

    ○玉城委員 それは空中給油空域の場合でしょうが、普通のものは排他的、いわゆるその空域には入れないようになっているわけでしょう。今回米軍の要請しているACMI、この空域も排他的に、いわゆるそこに入れないようになっていますね。朝六時から晩の八時までですか、民間航空機の通る時間ですね。しかも米軍は、嘉手納飛行場から最も近いところと言いますから、米軍の要請どおりであれば、現状、これは遠いところに移動することはできないですね。したがって、それを皆さん調整して場所を多少ずらすとか、こんなことをやっていらっしゃるわけでしょう。あれは、戦闘機の十キロ内外のものをずらすとかいったって、これは——ですから私は皆さんに要望しておきたいことは、運輸省は、民間航空機の安全という立場から、管制上問題があるという点についてはやはりきちっと主張していただいてがんばっていただきたい、このように要望して終わります。
  356. 小山昌夫

    ○小山説明員 その点につきましては、十分心得て今後とも対処していきたいというぐあいに考えております。
  357. 高橋辰夫

    高橋委員長代理 島田琢郎君。
  358. 島田琢郎

    ○島田委員 沖振法が通りまして、これからまた十年間沖縄振興開発が進められていくわけですが、法案の審議に当たってやや時間的不足がございまして、当時もう少し聞いておきたかったという点が残っておりましたので、きょう改めて振興計画にかかわります二、三の点について質疑をいたしたい、こう思っております。  特に心配なのは、沖縄も結構人口がふえていく傾向にあります。それにつれて労働力がやはり一定の水準でふえていくわけでありますが、その労働力をどう吸収するのか、つまり失業対策とあわせて新たな労働力人口にどう対応していくのかというのが沖縄の今後にとって大変重大な問題だということは、前回の法案審議に当たってもかなり各委員から集中して質問がなされておったわけでありますが、私はその質問を聞いておりましても、なお幾つかの疑問点が残っております。  そこで、ここをもう一遍洗い直そうと思ってお尋ねの第一に挙げているのでありますが、今後十年間に沖縄の労働力人口というのはどのくらい増加していくのか、この辺の見通しをどう持っていらっしゃるのでしょうか。
  359. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 お答えいたします。  今後十年間の人口、労働力人口の動向をどう考えるかという御質問でございますが、これは現在検討されております第二次振興計画の県の算定でございますが、総人口は昭和五十五年の百十一万人から昭和六十六年には百二十万を超える、また、労働力人口も引き続き増加しまして、昭和五十五年の四十五万人から昭和六十六年には約五十三万人になる、このように推計がされております。この県の推計等についてはなお今後県案の決定を待って調整をするという手続が残されますけれども沖縄県の人口の年齢構成が若いということもございまして、今後人口の伸び以上に労働力人口が増加するものと、このように考えております。
  360. 島田琢郎

    ○島田委員 総体の人口が十万人近くふえ、同時に労働力人口が十万人ふえる、こういうことになりますね。  労働力の中身で言えば、沖縄もまた御多分に漏れず高齢化が進んでいくというような問題はもちろんあります。しかし、新たな労働力人口をどう吸収していくのかという点は大変重大な問題でありますから、それを産業別、第一次産業から第三次産業の見通しを立てまして、どれぐらいの就業数になっていくのか、その辺のところは計画としておありなんでしょう。その見通しをお示しいただきたい。
  361. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 県におきます計画案も、現在県内で審議会に付議しまして検討中の段階でございますけれども、その案によりますと、具体的な数字として掲げてございませんで、就業者の産業別の構成としましてパーセンテージで掲げられてございます。六十六年には第一次産業が一四%から一二%へ構成比としては減少する、それから第二次産業は二二%から二三%へふくらむ、第三次産業は六四%から六五%へ変化する、このような形で二次産業と三次産業のウエートが増加をする、こういう推計をいたしております。
  362. 島田琢郎

    ○島田委員 私は前回の質問で、産業構造というものをしっかり考え直していかないといけないのじゃないかということを指摘いたしました中で、特に第一次産業のところをしっかり見直して、少なくともそこの就業人口が減っていくというようなことは沖縄の将来にとって決してよいとは言えないのではないか、こういう指摘をいたしました。しかし、残念ながらいまお話にありますとおり、第一次産業のところは現在一四%だけれども、それが逆に二%減るという予想を立てておられる。これは私が質問いたしました趣旨からいいますと、私自身にとってはまことに不本意であります。もう少し第一次産業というものを伸ばしていくということを第二次振計でしっかりひとつ考え直してほしいということを言ったのであります。しかし、現状を考えますと、いろいろな問題があってなかなかそうなり切れないというところからこれがダウンしていくという方向計画を立てざるを得なかったのかもしれませんが、しかし、きょうはここのところに焦点を当ててのお話は私はやめておきたいと思います。また後の機会に譲らせていただきます。  さて、第二次産業と第三次産業の方にウエートがかかっていくだろう、上昇していくだろうという見通しをいま述べておられるわけであります。しかし、必ずしもそういくかどうかという点に実は不安があります。それは、この前の各委員の質疑を通しましてもいまひとつその点のところが明らかにならなかったのではないか、明らかになっていないのではないかという気がいたします。  そもそもこういう厳しい財政事情のもとでございますから、財政支出に頼った雇用効果というものを期待するというのはなかなかむずかしいというのは、一般的には常識として言えることだろう、こういうふうに思います。しかしながら、この労働力人口の増加分を吸収していくということは、沖縄にとっては労働集約型の企業というものを考えざるを得ないということは確かなことだろうと思うのです。ただ、お断り申し上げておきますが、だからといって無差別に何でも企業やってこいよ、こういうことでは新たな問題を引き起こしかねませんから、かなり選別をする必要はあるということは前提として踏まえておかなくてはいけないと思うのです。しかしながら、他府県に比べますと沖縄の企業誘致の状況というものは、相当の制約があるにせよ、余り進んでいない。第一次振計では目覚ましいほどの成果を上げていないという点は着目しておかなくてはいけないと思うのです。ですから、第一次産業、第二次産業、第三次産業と並べて、それが沖縄振興開発にとって大変重要な役割りを担うということについては否定すべきではないと私は思ってます。ですから、産業立地の方向にあとう限りの努力をしなければならぬということは私も決して否定するものではない。     〔高橋委員長代理退席、委員長着席〕  ところが、いろいろこの間参考人の皆さんの御意見を聞いていますと、せっかくある制度も生かし切れないでいるという悩みがあるということが披瀝され、訴えられておりました。私は、その点は今後の振興計画の中で見直していく必要があるのではないか、こう思うのです。沖振法によって制度上の優遇措置としてあります工業開発地区あるいは自由貿易地域のこういう問題をやはり積極的に活用していくということが大変大事だ、こう思うのですが、参考人の方の御意見の中には、大変そのこと自体に魅力に乏しい内容になっているから、やはりもっと魅力あるものに変えてもらいたいという御意見がございました。それはどういう点なのかなとこう思いましたら、先ほども玉城委員のお話にございましたように、最近の沖縄の地価というのは想像以上の上昇を続けていて、まずこんな高い地価に立地できるような条件を持った企業というのは数少ない。地価対策がまず要る。それから、こういう優遇措置を十分に活用したいと思っても、なかなかどうも制約条件が大きくてほとんど手がつかないというありさまです。この辺のところは開発庁としてどういう理解を持っていらっしゃるのか、この際お聞きをしておきたい、こう思うのです。
  363. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 先生指摘のように、第一次振計期間中におきましては、ほとんど目ぼしい企業の立地が見られなかったということは事実でございます。その制約条件いろいろ考えられます。  いま先生指摘の地価の問題等につきましてまずお答えいたしますと、確かに沖縄の地価はかなり上昇を示しております。したがいまして、既存のといいますか、内陸部におきます工業適地というものはかなりの高地価に、高水準に到達してしまっておるというような状況が実際にございます。そういったことで、これも一つの阻害要因という形であったことは事実であろうと思います。ただ現在、今後の希望の持てるものといたしましては、糸満地域におきます工業用地等の造成がかなりに進展をしてまいっております。また、中城湾港背後地につきましても、中城湾港の整備とあわせてその工業用地の造成を行っていくというような計画が進展をいたしているところでございます。幸いに沖縄につきましてはサンゴ礁等に恵まれまして、いわゆる埋め立て適地がかなり多うございます。比較的に、何といいますか工業用地としてふさわしいような価額での提供をできるように努力をしていかなければならぬものというふうに考えておるところでございます。  それから、その他の制約条件としては種々ございまして、これは前の委員会でも申し上げたところでございますけれども、それらにつきましても、私どもとして、この三次振計の中でそれらの阻害要因をじみちにこつこつとつぶしていく、あるいは克服していくという努力を今後重ねていかなければならぬものというふうに考えております。
  364. 島田琢郎

    ○島田委員 いまお話になりました中城湾港開発の問題は後にちょっと触れたいと思います。  まず、地価の問題なんですけれども、県自体で工業立地促進条例を制定する、そのことによって工場の新規立地、移転促進を図るという考え方を持っていらっしゃるようでありますが、県内の工業適地の地価というのは全国平均の約二倍だと言われているのです。特に九州と比べますと約三倍だということが、この間も言われておりました。どうしてそんなに高いのだろうか、これではやはり工業誘致というのは問題があります。そう私も感じているのです。早い話が、長官の山梨のところの地価と沖縄の地価と比べて、逆に山梨の方が安いという話もありますね。そうすれば、あんな遠いところに工場を持ってこいと言ったって、それは無理な話であります。それは山梨の方がいいに決まっている、ここからすぐに行けるわけでありますから。ここが最大のネックだということが問題として明らかなら、やはり地価対策に真剣に取り組まないとこれはいけないんじゃないか。その点何か策がおありになるんでしょうか。私は前回も、地価対策については思い切った抜本的な地価対策をやるべきだ、こう主張したわけでありますけれども、明快に地価対策はこうしたいというお話はついに美野輪さんからもお聞きすることができなかった。きょうは長官がお見えだから、この間の分を取り戻す意味で、長官から地価対策に対する決意のほどをひとつ承りたいと思うのですが、ただ決意だけ述べられても困るんで、具体的にひとつこれはやはり何かやらなければいけないと思うのですよね。ぜひおやりいただきたい、こう思っているんで、その点について、ひとつ私が納得するような地価対策を打ち出してもらいたいと思いますので、お考えをお聞かせください。
  365. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 先生ただいま御指摘のように、沖縄の工業用地の価額、ただいま手元に数字を持ちませんので正確にお答えできませんけれども、御指摘のように、全国の工業用地の地価に比べまして非常に高水準にあるということは事実でございます。その原因といたしましては、やはり県内におきましてかなり過密過疎が進行しておる。したがいまして、社会資本あるいは種々の産業の集積がございます中南部におきましては、地価が非常に高い。また、工業用地、工業適地として選び得るもの、選択し得るものはやはり中南部になるというような関係があろうかと思います。  先ほど私、ちょっと申し上げましたように、そういうことの中で幸い工業用地の造成が進んでまいっておりますが、比較的に本島周辺に浅海地域がございまして、これらにつきましてのいわゆる造成経費は比較的に安く上がっていくというような関係がございます。またもう一つは、沖縄全島で地価が高いわけではございませんで、たとえば中城湾港周辺でございますと、那覇周辺に比べますとまだはるかに安いというような問題もございます。そういった地域にいわゆる社会資本を整備して工業立地のための条件を整備していくというようなことが、今後の十年間において考えられていかなければならぬことではなかろうかというふうに私ども考えております。
  366. 田邉國男

    ○田邉国務大臣 いま局長からお話がございましたように、沖縄の地価は本土の地域から比較しますとやはり高いということ、これに対しまして一番問題になりますのは、やはり五三%の基地を持っておるということが大きく遠因をしておる、私はそう判断をいたしております。したがいまして、この基地の返還計画、特に日米の間で協定を結ばれました返還の土地計画につきましては、急速にこの対応をいたしまして、そしてこれをやはり有効活用をしていくことがまず第一に必要ではないか、こう考える次第であります。  それからもう一つは、やはり自由貿易地域と申しますか、特別の地域をつくりまして、その地域に対する新しい産業の誘導と、そしてそれに対する特別な助成、あるいはまた一つの大きな工場施設についても特別な措置を講じていく、そういうような配慮をしながら不利な条件を克服をし、そして産業の伸展を図っていくということがやはり大事な問題ではないか、こう考えております。
  367. 島田琢郎

    ○島田委員 長官のお話では私の期待にぴしゃっとお答えになっていないんで、地価対策というものに対して重ねて私は不満に思うのでありますが、最近県が二次振計案をおつくりになったと聞いている。私も斜め読みでありますけれども見せていただいたが、どこにも地価対策がないのですね。しかし、長官の御認識も、地価はそれは言うとおりほっておかれない、これはやっぱり大事だ。また総務局長も、地価の問題についてはこれは大変重要な課題であるというふうに御認識されている。政府当局がそれだけの御認識を持ちながら、しかも委員各位がこもごも地価の問題に対してお触れになっての質問をなされているのに、その辺のところがどうして欠落するのでしょうか。沖縄の地価が本土の平均の二倍になり、九州の三倍になっているというこの事実、このことを避けて振興計画が立てられていくということになったって、それは明らかに目的は達成できないということは言えますね。地価がなぜ上がったかということについては、かなり綿密に先ほど玉城委員がお触れになったから、私も全く同感の気持ちで聞いておりました。防衛施設庁の態度もけしからぬと思って私は聞いておりました。しかし、そういう特異性を持っている沖縄であるだけに、独自の地価対策をおやりにならないと絶対だめだと私は思うのです。だから、そういう点では私はもっと抜本的なお考えをお示し願いたかったのでありますが、ぜひこれは御検討願いたい。何も私だけが地価の問題でここでぎゃあぎゃあ言っているのではありませんよ。みんな地価にお触れになっている。そこがちゃんとしないで、沖縄の第二次振興計画は達成できないのではないですか。そのためには中城湾港開発や糸満工業団地が用意されているというお話でありますけれども、それじゃこの二つの工業団地が今後一体どうなっていくのかのお考えをぜひ示してほしいのです。
  368. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 糸満の背後地の利用につきましては、現在糸満市におきましてこの埋め立てを実施しているわけでございますが、漁港の直後の背後地につきましては、これを水産加工団地として利用する。それからまた、第二期工事として行われておる部分につきましては、いわゆる中小企業団地を整備をしていくということで考えられているということでございます。なお、そのほかに住宅用地、公園用地等々の立地を計画いたしてございます。  それから、中城湾港の今後の開発につきましてはなおこれから推進すべき問題でございますが、主として県内の企業の再立地というようなことを中心にして考えられておるというふうに承知をいたしております。
  369. 島田琢郎

    ○島田委員 いまお話にあった糸満工業団地は主として水産加工——糸満港のところでありますから、だから水産加工団地というのが中心になっていくのでしょう。私も、糸満漁港あるいは糸満工業団地というのを造成中に一度見たことがございます。大変りっぱな団地になるだろうと私は当時考えて見せてもらいました。しかし、実際には、一体ここに計画どおり企業が誘致され、大臣がおっしゃるように沖縄らしい産業として発展をしていくのだろうかという点については、私はこれからの青写真をもう少し詳しくお聞きいたしませんとよくわからない。  それから、中城湾港の問題でありますけれども、これは流通加工港湾としての機能にしたいという計画のように承っております。     〔委員長退席、上草委員長代理着席〕 いまの御説明も大体そうではなかったかと思うのです。ここは造成された後ですから、地価としてはどれくらいの見積もりになっているのですか。
  370. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 中域湾港についての御質問というぐあいに(島田委員「糸満も両方」と呼ぶ)糸満はちょっといま調べますが、中城湾港は、御案内のとおり現在まだ漁業補償の交渉中でございまして、いろいろ未確定の要素が多うございますので、現段階でお答え申し上げることはできないわけでございます。糸満につきましてはただいま調べましてお答え申し上げます。
  371. 島田琢郎

    ○島田委員 先ほどちょっと私が触れましたのですが、県が工業立地促進条例というのを制定された。これは構想としてはどうなんでしょうか。工場の新規立地、移転促進を図るということが柱になっておるというふうに聞いております。ここもまた地価の問題が恐らく問題になるのではないかと思っておりますが、こういう条例をおつくりになって、地価対策として何かこの条例の中で特別なことをおやりになるというような内容でもあるのでしょうか。
  372. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 突然のお尋ねで、手元にちょっと条例そのものを持っておりませんので正確にお答えいたしかねますけれども、県におきまして、私ども承知しておる限りでは、新規立地企業等の用地についても、県の事業といたしましてこれを助成していくという考え方が盛り込まれておると承知しております。
  373. 島田琢郎

    ○島田委員 そもそも工場再配置誘導法、あるいは沖縄特別誘導地域をこの法律のもとで制度的に取り扱っていくという考え方が一つございますが、この誘導法そのものに、地価に対する特別助成補助金を加えるといったような構想というのは盛り込めないのですか。これは通産省だな。通産省に聞いた方がいいな、一般論として。
  374. 竹野正二

    ○竹野説明員 お答えいたします。  先ほど沖縄県の工業立地関係の条例のお話が出たわけでございますけれども、これは五十七年の四月一日から発効しまして、それの中には工業用地の取得費助成ということで入っております。大体用地取得費の十分の一の相当額に新規雇用者一人当たり四十万円を加算した額を用地取得費として助成する、こういうことになっておりまして、大体一社二億円を頭打ちにして、こういう額で企業に対して助成する、こういう内容になっておりますので、用地関係の取得費として相対的にはそれだけ地価が安くなる、こういうことだと思います。
  375. 島田琢郎

    ○島田委員 通産省も人が悪いな。そこにおってあなたの方が詳しいのに、私はそっちばかり向いておるからよう答えが出てこないので、美野輪さんの方ばかりいじめておったのでは話にならぬのですが、この際だから通産省にもう少し聞いておきますが、いまの条例の中身で二億円というのは全体の事業費であって、地価そのものについてはトータルの事業費の中の地価対策費として幾らあるのかということを知りたいのですけれども、それはわかりますか。
  376. 竹野正二

    ○竹野説明員 ただいまのは用地取得費助成について一社当たり二億円ということでございまして、そのほかに企業立地の調査をするだけで一社当たり三百万円であるとか、あるいは環境整備、工場周辺にいろいろ緑地をつくったり道路をつくったりする場合にまた一社当たり七千五百万円とか、そういうふうないろいろ個別の頭打ちを設けながらやっておる支出でございますので、先ほど申しました二億円というのは用地関係の取得費、こういうふうに考えていただいて結構でございます。
  377. 島田琢郎

    ○島田委員 それは県としては大変な予算を組まれるわけですね。通産省、黙っている手はないんじゃないですか、開発庁も。県にそれだけの支出をさせて大丈夫なのか、ぼくはちょっと心配が新たに出てきましたけれども、美野輪さん、それはどうですか。県の前向きな姿勢を私は買いたいのですけれども、よけいな心配かもしれませんが、条例で、大きいのは二億円、頭打ちではあるけれども、二億円地価対策費として支出をする、これは何か裏づけしてやらないと大変ではないかという気がしますが、その心配はないですか。両方からお答えいただけますか。
  378. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 先生指摘のように、将来企業立地が非常に活発に進むという形になれば、かなり予算額が必要になってくるということは当然考えられると思います。ただ、当面県の方において予定しております予算といたしましては、まだ今後の問題という置き方であろうかと思いますけれども、県の財政支障を来すような額ではないというふうに私ども聞いております。  なお、これらにつきまして開発庁として黙って見ていられるのか、こういう御指摘であろうかと思います。私どもといたしましては、国の事業として可能なものにつきましては、先生承知のように高率の補助を行いまして、また、企業に対する振興策といたしましては、公庫からの低利融資等を行っておるところでございまして、県の方の努力と相まちまして、これらが効果をあらわしてくるものというふうに期待するわけでございます。
  379. 竹野正二

    ○竹野説明員 お答えいたします。  私ども沖縄だけではございませんけれども、一般的に工場を地方に再配置するということで、先生も御案内のように工業再配置促進法というものがございます。これによりまして、企業が参りますと、その企業の敷地の面積によりまして、補助金が出るというふうなことがございますし、それから団地を造成する場合にも、その団地の地価をできるだけ安くしようということで、利子補給制度というふうなものもやっております。糸満工業団地の場合でございますと、いままでに大体一億四千万円の利子補給の補助を出しているわけでございまして、こういうふうにできるだけそういう面の予算もふやしたいと思っているわけでございますけれども、最近の補助金の削減ということもございまして、なかなか補助金をふやすことができないわけでございます。  ただ、各県の動きを見ますと、沖縄に限らずいろいろなところで県の方々が、その地域の振興、企業に来ていただければ少々の補助はしてもなお余りあるというふうな観点に立たれまして、いろいろとおやりになっているという現状でございます。
  380. 島田琢郎

    ○島田委員 ところで、誘致する企業の問題なんですけれども、先ほどちょっと私が触れましたが、何でも来てくれればいいというわけにはいかない。やはり沖縄の将来に有効かつ地域に寄与し得るという値のある企業でないと困るわけです。そしてまた最大の問題は、冒頭で申し上げたふえていく労働力を吸収し得る、そういうキャパシティーをしっかり備えている企業でないと困る、こういうことでありますから、したがって選別もせざるを得ないということもあると思います。そういう状況のもとで、臨空港型産業の導入ということをお考えになっているようでありますが、これも余り進展しない。その理由としては、触れましたように、企業の立地環境の問題とかあるいは条件の整備とか、業種の選択なんというようないろいろな阻害要因があるわけでありますけれども、最近、内地府県でもかなり注目いたしておりますのが半導体電子部品の組み立て工業、IC産業でありますが、これがかなり各県とも誘致に真剣になっているという傾向があるわけであります。この産業などは沖縄で考えてもいい産業の一つでないだろうか。いろいろな制約条件というものをいま申し上げましたけれども、それらの問題に当たっても、これをかなり解消し得る条件を持っている産業ではないかという認識を私は持っているのですけれども、通産省、これはどうですか。
  381. 竹野正二

    ○竹野説明員 お答えいたします。  先生案内のように、IC産業を中心とします先端産業につきましては、一般の基礎資材というふうな非常に輸送費のかかる企業よりか、ある程度地方に出ていくという可能性は多いということで、われわれも考えておるわけでございます。しかし、最近の工場立地の環境を見ますと、工場用地が非常に買い手市場でございまして、御案内のように、全国どこにでも非常に土地が余っているという状況もございますし、また、特に先端産業となりますと、各地区、各地方でわれのところに来てほしいというふうなことで、誘致合戦が非常に盛んでございます。  そういうふうなことを考えますと、労働力が非常にあるというふうなところは、沖縄あたりは非常に魅力あるところでございますけれども、その他、沖縄がいかに他の地域に比べて有利な条件があるかというふうなことが一番問題になってくるわけでございまして、今回県の条例をつくられたのも、その一つの対策であるとわれわれは考えておりますけれども、そういうふうなことを積み重ねながら、なおかつ、こういう産業というのはやはり下請を相当必要とするということがございますので、そういうふうな下請産業、要するにその地域の産業立地に対する足腰の強さというものをだんだん——これもなかなか一遍にはまいりませんけれども、そういうふうなものを徐々に進めていかなければいかぬというふうなことでございます。  現在、沖縄の方では、沖縄の地方産業ビジョンというものを策定中でございますけれども、そこらあたりで十分、地元の企業、県当局あるいは通産部というふうなところが一生懸命——産構審の答申になるわけでございますけれども沖縄ビジョンでそういうところは検討しておりますので、今後そういうふうな対策をどういうふうにすればいいかということで、もうすぐしたら答えが出てくるのじゃないか、こういうふうに考えております。
  382. 島田琢郎

    ○島田委員 各県とも引っ張りだこだから有利なところを企業の側で選んでという、それは競争の原理で大いにあり得ることでしょう。しかし、私が言いたいのは、通産省にもそれだけのお考えがあるのなら、むしろ開発庁もこれを受けて立ちまして、そして沖縄が、いま企業の側から見た足腰とかいう附属する問題に問題があるんだとすれば、そこのところを行政の側でてこ入れをしてやる。強くなれば心配はないわけです。ですから、沖縄に積極的に進出できるような条件を、県と一体になってやらなければいけないでしょうけれども開発庁もひとつ、ただ横におりて旗だけ振っているのじゃなくて、やはり積極的にそれが実現できるような施設を持って参加する、こういう気持ちになっていけば私はこれは実現すると思うのですが、その辺のところはどうですか。
  383. 田邉國男

    ○田邉国務大臣 ただいま通産省からもお話が、こざいましたように、沖縄の特性を生かし、また新しい技術を導入した産業の誘致、これはやはり私ども沖縄の第二次振計の中で関連各省とも連携をとって積極的にこの問題と取り組み、どういう産業を誘致することが最も沖縄の地域に適しておるか、そしてまたそれが産業として今後大きく進展でき得るか、そういう点も十分連携をとりながら早急に対応をしてまいる考えであります。
  384. 島田琢郎

    ○島田委員 いろいろ、たとえばIC産業立地の可能性ということを考えます場合には、企業にとって進出のポイントは何かと言えば、融資や補助金などに対する条件が含まれているということも言われているわけであります。ためにならない企業に金を出してまで来てくれというような話になれば逆の話でありまして、工場の再配置だって、地方に公害をまき散らすような再配置に対しては私どもは絶対反対であります。しかし、何回も言っているように、ふえていく労働力吸収というそういうもののためには、十分これも考えていかなければならない産業の一つだ、こういうふうに言われてもおりますし、地元の人たちの期待もかなりあると聞いておりますから、そうした面に積極的に対応してあげる、そういうこともぜひひとつやってもらいたい、こういう考えでおりますので、いま長官のお話を聞きましたから、ぜひひとつ積極的な御検討で、地元に喜んでもらえるようなそういう産業誘致の方向政府当局も本腰を入れて取り組んでいただきたい、私はそう希望を申し上げておきます。  ところで、先日の参考人の中には、いろいろやはり心配なのは労働対策ですから、その労働を有効に活用していくということのためにはかなり思い切った雇用創出のための大型プロジェクトを展開する必要がある、こういう御意見がございました。私は、その大型プロジェクトも、持ち方いかんによっては有効が無効になり得るということもあり得ますから、その辺のところはかなり精密に物を考えながら進めていきませんといけないと思うのでありますが、これは一つには、やはり自由貿易地域制度のメリットというものをこの際見直しまして、それを大きくしていく必要があるだろう、企業立地を促進するために十分起爆剤となり得るという条件をつくっていく必要があるだろう、そういう意味では、実はよく私自身はのみ込んでおらない点もありますけれども、大那覇国際空港の早期建設というふうなことを言っておるわけでありますが、この構想に対しては政府としてはどういうふうに取り組みをなさろうとお考えになっているのか、こうした大型プロジェクトの一つとしてこれが有効たり得るという御判断のもとにお進めになろうとしているのかどうか、その辺の確たるところをひとつこの際伺っておきたい、こう思います。
  385. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 沖縄県におきまして、経済界等にいわゆる大那覇空港の構想がありますことは先生指摘のとおりでございます。現在の那覇空港は御案内のとおり二千七百メートルの滑走路を持っておるわけでございますが、国際線の就航状況であるとか機材の大型化、こういう状況に対応するため、現在、滑走路を三百メートル延長するとともに、誘導路、エプロン等の新設改良、あるいはまた航空保安施設の改良等の事業を進めておるところでございます。引き続いては、さしあたって狭隘化しておりまする、あるいはまた三カ所に分かれておりまして非常に旅客に不便を与えておりますターミナル施設の整備というものを手がけなければならない、こういうことは考えておりますが、現在の空港の沖合いに新たに大空港を建設するということにつきましては、現在の空港のキャパシティーが、まだ大体いまの使用状況が二分の一程度でございますし、また、今日のような財政状況でもございますので、将来の長期的な構想の一つとして今後の旅客輸送の状況等をよく見ながら今後検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  386. 島田琢郎

    ○島田委員 そうすると、二千七百メーターの滑走路を三百メーター延ばすと十分大型な飛行機の離着陸は可能だ、そうすると国際港としての資格は十分備わる、こう考えていいわけですね。
  387. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 空港の施設といたしましては十分であろうと思います。御承知かと思いますが、現に那覇空港におきましては、本土主要都市と非常に濃密な航空路網で結ばれておるわけでございますが、そのほかにも国際線の定期便が乗り入れておりまして、そういう関係からCIQ施設も設置されておるわけでございます。  先ほど申し上げましたような現在の那覇空港の整備も、そういう空港の国際機能の充実という点に沿うものであると私どもは思っておりますが、さらにその上の充実強化ということにつきましては、将来少し長期的な観点から検討すべき課題であろうか、かように考えておる次第でございます。
  388. 島田琢郎

    ○島田委員 成田空港にしても大阪空港にしても国際空港でありますけれども、しかしやや狭隘な感じがあって、国際線として乗り入れをしたいという各国の需要に完全にこたえ切っていないという実情はありますね。ですから、キャパシティーの二分の一しかないと言わないで、国際空港として名実ともに備わっているとすれば、積極的に国際空港としてやはりこれは位置づけて、そしてどんどん国際航路として利用いただくような前向きの姿勢というのがこの際必要でないでしょうか。私はその条件はあると見るのですよ。近隣のアジア諸国や中近東あるいはアメリカと結ぶ国際交流の中継点としてはうってつけだ、私はこう思うし、また、路線や便数や空港機能の拡充整備については、二次振計でもお取り上げになっているのでしょう。そういたしますと、むしろそれを早めていくという意味で積極的にやっぱり国際空港として位置づけをするということをお考えになるべきだ。きょうは運輸省が来ておりませんから運輸省の考えは聞けませんけれども開発庁としてそういう前向きの姿勢で取り組むべきだという私の提案に対してはどうですか。
  389. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 沖縄振興開発の起爆剤としてそういう構想をもっと早く実現してはどうか、こういう御提案でございまして、私はそれなりにごもっともなことだと存じますが、何分にも国際空港としますためには、国際航空需要の動向、それから国際便を飛ばしております航空会社の乗り入れ希望等、こういうものに応じて整備をしていくということが常識であろうと思います。そういう意味においては、私はいろいろ総合的に考えまして、まだ機が熟してないのではないか、こういうように思うわけでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、現滑走路の延長、誘導路、エプロンあるいは航空保安施設等の改良等を行い、またターミナル施設の整備を行えば、それなりに国際線が就航する空港としての機能の充実強化が図られる、実質的にはそういうことであろうかと私は思っております。
  390. 島田琢郎

    ○島田委員 むしろ振興局長、おっしゃる点のカバーをするために積極的な対応策を打ち出して、沖縄に那覇国際空港、こういう看板が上がれば、わりあい心配なしに外国航路に道が開けるのじゃないですか。及び腰になっていればなかなかやってきません。私は、これは特に沖縄振興あるいは開発という面で非常に大きな役割りを果たしていくものだ、そういう意味でのプロジェクトとして十分検討に値すると思っているので、それはひとつ及び腰でなくて前向きにおやりいただきたい、こう思うのですが、長官、どうですか。
  391. 田邉國男

    ○田邉国務大臣 いま沖縄那覇国際空港を早期にやれというお話でございます。私自身の気持ちも、できるだけ早くやりたい、こういう気持ちでございます。特に沖縄開発庁長官といたしましては、沖縄県民の心を心として対応するわけでございますから、その点については、私もかつて航空を担当した経験もございます、その点十分配慮をして、急速にこういう問題が実現をできる方向で私はやってまいりたい、こう考えております。
  392. 島田琢郎

    ○島田委員 そういう前向きの姿勢でお取り組みをいただきたいのでありますが、状況を見ておりますと、中継ぎ方式の貿易が始まってわずか五年の間に三・五倍に実績は伸びている。これは前向きに取り組む有効な資料である。検討に値するということを私が申し上げたのは、こういう数字が一つあるということであります。特にそういう点では、私は今後もかなり見通しとして明るいものがあるのではないかというふうに、素人考えかもしれませんけれども見通せるように思います。ですから、藤仲さん、これはあなたの用心深いお考えはわかるけれども、実績がこれだけ出ているのだから、国際空港という看板が上がれば、五年たったらまたこの三倍ぐらいになるのではないかと私は思うのですが、見通しとしては甘過ぎますかな。
  393. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 国際空港の問題につきましては、本来、運輸省航空局が御答弁をすべきところであろうと思います。国際空港の看板を上げる上げないということは、沖縄開発庁としていまここで私から申し上げる筋ではございませんが、確かに先生おっしゃいますように国際線の乗客もふえつつはございますが、これは近年台湾から特にふえておりますが、なお全乗降人員の旅客の四、五%程度でもございますし、いま長官からも御答弁がありましたので、私どももこれからの構想として現在の空港施設の整備を図りながら検討してまいりたい、このように考えております。
  394. 島田琢郎

    ○島田委員 大臣が御答弁になっているわけでありますから、ぜひ事務方のところは積極的な姿勢でお取り組みをいただきたい、こう思っております。余りくどいことをこれ以上申し上げることは避けたいと思います。  ところで、最後になりましたが、県がお立てになった二次振計の原案を見てまいりますと、計画案そのもの、つまり二次振計そのものはかなり精神的な分野が多くて、宣言法でもなければ実施法でもない中間みたいな感じのものになっていますから、そこのところをもう少し具体的に、計画が達成できるようないわゆる二次振計として出されるべきではないかということを私は前に申し上げたわけであります。確かにこの計画では方向性を持っておるということについて一定の評価はできると思うのであります。しかし、さてそれではこれが十年間という限られた年数の間に確実にその目的が達成できるかどうかとなりますれば、この計画だけでいけるという自信が私自身はない。ですから、ぜひ小まめに計画の中身が具体化されていくということが必要だと思うのです。それで、労働人口の吸収のための地場産業の育成、そして第二次産業、第三次産業の振興という面も、これは双璧として忘れてならない大事な点だということだけきょうは申し上げたのであります。     〔上草委員長代理退席、委員長着席〕  しかし、全体的に見ますと、どうも見通しについても必ずしも正確ではないというような感じが一つしますし、また、その進んでいく過程において的確にこの計画が対応できるかどうかという点についても私は若干疑義なしとしない。こういう点は、まだ第二次振計が滑り出したばかりでありますから、今後の政府当局の御努力にまたなければならぬと私は思うのですが、きょうの話と前回私がやりました話とをつなぎ合わしていただいて、そういうものが実行に移されることを私は強く期待したいのです。  ところが、私どもここで一生懸命沖縄振興開発かくあるべしということでいろいろな意見を述べてまいりましたけれども、どうも県のこれをそのまま沖縄開発庁がうのみにしてやっていくとは考えてはおりませんけれども、そういう点で言いますれば、私どもの考えているような方向とは違った方向に行きそうな感じがしてならない。そうなりますと、十年間の惰性が今後また十年間続いていくというようなことであって、結果はどうも見えているような気がしてならぬのです。ですから、思い切った発想の転換ということをまず前提で私は申し上げているのです。そのためには、乏しい財源ではあるけれども沖縄に集中するような気持ちでやっていかないと、とてもじゃないが、この十年間で、私どもがあるいは県民が期待するそういう具体的なものが出てこないのではないか、こういう心配をしているのであります。それは大臣から決意としては何回も承っているのですけれども、そういう作業の進め方は具体的にはどういうふうにやっていかれようとしているのか、その辺のところのフレームで結構ですけれども、お聞かせをいただいておきたいと思うのですが、いかがですか。
  395. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 振興開発計画は、先生ただいま御指摘のように、いわゆるマスタープランとして沖縄振興開発の進むべき方向基本的な施策を明らかにしようという考え方で成り立っておるものでございます。そういうことの中で、具体的な事業あるいは計画等につきましては、毎年度の予算の中において、あるいは全国的な各施設別の整備計画の中においてこれを具体化していく、こういう関係になっておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、この振興開発計画策定された際には、その方向にのっとりまして、毎年度の予算あるいは他の各種の事業計画の中への織り込みという形で最大限の努力をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。国の財政事情も非常に厳しい折からでございますけれども、そのような中にありまして、沖縄の現状を十分に踏まえまして、しかも可能な限りの努力をその中で追求していくということで私ども基本的に考えております。
  396. 島田琢郎

    ○島田委員 大臣、政府側のお考えというのはある程度わかりましたが、ぜひひとつ御在任中のお仕事として、くしくも第二次振計の出発の年にあなたは大臣であられるわけですから、これは責任が非常に重いと私は思うのです。ですから、あとう限りという以上にまず思い切ったことをおやりになるということも、全部に思い切ったことをやれといったってそれは無理でしょうけれども、ここは最大の目玉だよというところについては大臣の政治生命をかけるようなつもりで、沖縄の十年間の出発点の年にそこをやっていただけば、それにつれてうまくいくのではないか、私はこう考えております。大変期待しておりますので、そういう点についてひとつしっかりお取り組みをいただくことを心から期待をして、私の質問を終わりたいと思うのですが、何か御意見があれば一言だけ承っておきたいと思います。
  397. 田邉國男

    ○田邉国務大臣 御指摘がございました第二次振計は、沖縄県からは一つのマスタープランが出てまいります。私ども開発庁としてこれはやらなければならない、こういう問題につきましては大いに論議をいたしまして、そして沖縄県民が真に望む、そして将来の発展にかなうような対策、施策を私どもはぜひやってまいりたい、こういう決意でございます。
  398. 島田琢郎

    ○島田委員 終わります。
  399. 吉田之久

    吉田委員長 菅直人君。
  400. 菅直人

    ○菅委員 きょうは沖縄問題に関する審議が朝からずっと続いているわけですけれども、多くの問題についてはもう他の同順委員からいろいろと質問があったわけで、私は少し変わった観点からと申しましょうか、沖縄の持っている独特な自然環境というものをどのように守っていくのかということについて、幾つかの点でお尋ねをいたしたいと思います。  これは昨年の秋でしたか、日本では何か百年ぶりということなんですけれども、新種の鳥が見つかったということは大臣も新聞などで御存じだと思います。これはヤンバルクイナという名前の鳥であるそうで、日本でもうほとんどの鳥が発見され尽くして、どちらかと言えばせっかく発見された鳥もかなりの数は絶滅をしているという中にあって、新たにこういうものが見つかってきたということは何となく喜ばしいことだという感じがするのですけれども、これもいまの沖縄という地域が、自然環境というものがかなりそのままの形で残されているということの一つのあかしではないかという感じがするわけです。  そこで、ひとつお尋ねをしたいのですが、きょうは環境庁の方にもおいでいただいておりますけれども、このヤンバルクイナ、また昔からおりますノグチゲラといった鳥について、これはほとんど北部の地域にいるというように言われているわけですけれども、こういった特に新しく見つかったヤンバルクイナについてどのような保護策を実施をしようとされているか、まず、その点をお尋ねしたいと思います。
  401. 山口昭

    ○山口説明員 申し上げます。  ノグチゲラとヤンバルクイナはどちらも沖縄の本島の北部に住んでおりまして、限定して住んでおるわけでございます。非常に貴重な鳥でございますので、生態あるいは生息環境あるいは生息状況、これらにつきまして調査を順次進めるわけでございます。また、鳥獣保護区を設定いたしまして保護を図っていきたいというふうに考えております。  ノグチゲラにつきましては、現在その主な生息地でございます与那覇岳、山がございますが、これらを含めまして五カ所の県設の鳥獣保護区を設けて保護をしておるわけでございます。またヤンバルクイナにつきましては、ことしの三月六日でございますが、ノグチゲラと同様に、特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律というのがございますが、これは主として取引とか輸出入、こういったものを規制しておるわけでございますが、こういったものに指定しまして、保護の強化を図ろうというふうに考えております。
  402. 菅直人

    ○菅委員 いま環境庁の方で、特にヤンバルクイナについてはこれから生態、生息状況等の調査とか保護区の設定を考えているというような答弁だったわけですけれども、聞くところによりますと、昨年の六月ごろに、防衛施設庁を含めた米軍なり県との三者の間でこの問題について三者連絡協議会が開かれたというふうにも聞いているのですけれども、そういった事実があったのか、またあったとすれば、そういったところでどういった議論がなされてきているのか、防衛施設庁の方にお尋ねをしたいと思います。
  403. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 ただいまお尋ねの三者連絡協議会でございますが、これは沖縄に所在する施設及び区域の問題を沖縄県、米軍、それから私どもの地方支分部局でございます那覇防衛施設局というものが、それぞれが拘束されない自由な立場で緊急かつ継続した話し合いをするということで設けられている組織でございます。  いま先生指摘の五十六年六月という時点では、三者協議会の中での幹事会が開かれまして、沖縄県の方から、北部訓練場における鳥獣保護の問題について議題が出された。これにつきまして米軍、局、それぞれで随時今後話し合うということでそういった会合を持ったわけでございます。
  404. 菅直人

    ○菅委員 そうしますと、少し内容的に立ち入っていきたいのですが、北部の米軍の訓練場がヤンバルクイナなりノグチゲラの生息地域とかなりオーバーラップしているということなんですけれども、現在の北部の米軍の訓練場の面積、そして、その中で現在設定されている保護地区とのダブりといいましょうか、基地内の保護地区の大体どのくらいダブっているのか、その面積なり、また現在北部の訓練場で行われている訓練の内容を、概略でいいですから、どういうものかを教えていただきたいと思います。
  405. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 お答えいたします。  北部訓練場は、沖縄県国頭郡の国頭村と東村というところに所在しておりまして、現在提供面積が八千四百万平方メートルになって、米海兵隊が管理しております。それで米軍の訓練につきましては、具体的にはヘリコプター訓練等一般演習というのが行われております。なお、実弾射撃訓練等は実施しておりません。  それから、同訓練場における鳥獣保護区の問題でございますが、私ども承知しておりますのは、二つ鳥獣保護区がその訓練場にかかわるのではないか。それで伊部岳鳥獣保護区特別地区というのはかなりの部分が演習場の中に含まれる。なおもう一つ、佐手川鳥獣保護区というのがございますが、これの一部が訓練場にかかっているのではなかろうかというように承知しておりますが、そのそれぞれの保護区の面積については私の方で把握しておりません。
  406. 菅直人

    ○菅委員 これは環境庁の方がいいのかと思いますけれども、そうすると基地内に現在の保護地区もかぶさっていますし、保護地区そのものがこれから新しく設定をするという問題もヤンバルクイナについてはあるというふうな先ほどの環境庁のお答えですけれども、基地内の生態の調査等、さらには保護地区の設定等について、まず順番に行きますと、調査については先ほどやりたいということをおっしゃっていましたけれども、もうすでに実施をされているのか、実施をするに当たって基地が、基地という形なもので何らかの障害になっているというふうな言い方も地元の新聞などではあるわけですけれども、そのあたりはどのようになっていますか。
  407. 山口昭

    ○山口説明員 申し上げます。  このノグチゲラにつきましては、とりあえず訓練場外から調査を始めております。必要があれば当然これは関係機関と協議しまして、訓練場内でも調査をしたいと考えております。また保護対策については、この訓練場内の国設鳥獣保護区に変えるということにつきまして、沖縄県を通じまして米軍当局、関係機関等との話し合いを進めることにしております。  また、ヤンバルクイナにつきましては今後調査実施していくわけでございますが、必要があれば当然関係機関と話し合いをしまして調査実施し、あるいはこの状況を見まして必要な保護対策を講じたいというふうに考えております。
  408. 菅直人

    ○菅委員 いま訓練場外から調査を始めていると言われましたけれども、そちらで把握されているので大ざっぱでいいのですけれども、訓練場とノグチゲラの生息地とのダブりというのは何割ぐらいがダブっているというふうに、いまの調査でわかっている範囲ではどんな感じになっていますか。
  409. 山口昭

    ○山口説明員 ノグチゲラにつきましては、現在百ないし二百羽と言われておりますが、何割かということはどうもはっきりわかりません。恐らく現在生息しておるのは百羽から二百羽であろうと言われておりますが、ちょっとパーセントはわからないわけです。
  410. 菅直人

    ○菅委員 ちょっと話を戻したいと思いますけれども、先ほど施設庁の方に聞きましたら、六月の段階では、三者連絡協議会の幹事会が開かれて県からこの問題が持ち出されたけれども、今後随時検討したいということだったということなんですが、それ以後この問題がさらにこの三者協議会で話されたことがあるのか。話されたことがあるとすれば、いま環境庁からも出ました調査等について、たとえば期間を決めて訓練場内の調査実施することを承諾するとか、そういったことがどうなっているのか、もう一度施設庁の方にお尋ねします。
  411. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 三者協議会という場では、特にその後新たな会合をこの問題について持ったということはございませんが、私どもの方はかねてから特別保護鳥につきまして米軍等に注意も喚起しておりますし、先ほど演習内容等も申し上げましたが、米軍も演習実施に当たっては十分意を用いてやっていると思います。それから今後の調査につきましても、環境庁等で必要な御調査をなさる場合には、私どもとしても側面的な援助はさせていただきたいと思っております。
  412. 菅直人

    ○菅委員 施設庁にもう一度お聞きしたいのですけれども、基地とダブってたとえば国設の鳥獣保護地区なり特別保護地区を設定するということが、一つはそういう可能性を含めて施設庁としてはどう考えておられるのか。さらにそのようになった場合に、そういうダブった、基地として提供された地域であり、同時に鳥獣保護地区という形でダブったところについては、どういうふうな保護のための施策といいましょうかができるのか、それぞれの点について施設庁と環境庁にお伺いします。
  413. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 私ども立場から申せば、北部訓練場は日米安保条約に基づく米軍の駐留の運用目的というものを達成するための必要な演習場、訓練場として提供しておりますので、そういった米軍の演習、訓練というものが支障なく実行されるということが一つの提供の目的だと思っております。反面、こういったノグチゲラといったような保護すべき鳥の保護につきまして、演習場地区に保護地域があるということになれば、これについても十分意を用いて、そういった施設提供目的と鳥類保護目的というものの調整を図って、実態的にノグチゲラの保護ができるように努めてまいりたいと考えております。
  414. 山口昭

    ○山口説明員 現在ノグチゲラにつきましては、訓練場内の鳥獣保護区につきまして日米間の合意がありまして、これに基づきまして指定された特別保護鳥というのがございますが、及びその住んでいるところ、これに損害を加えないように注意をして予防措置をとるということになっております。ノグチゲラにつきまして、米側も十分な注意を払っておるものと私ども考えておるわけでございます。また、保護鳥問題が生じますれば、これは当然関係機関と協議をしまして必要な保護対策を講じたいというふうに考えております。
  415. 菅直人

    ○菅委員 ノグチゲラとヤンバルクイナの問題、ダブっているのですが、現在県の鳥獣保護地区を拡大をして、かつ国の保護地区にしようという動きがあるやに聞いているのですけれども、この実現の可能性というのはわりと近い将来に見込まれているのですか、環境庁。
  416. 山口昭

    ○山口説明員 実現の可能性につきましては、ちょっとわからないわけでございますが、私ども精いっぱい努力をして説得をしたいというふうに考えております。
  417. 菅直人

    ○菅委員 先ほど環境庁の方の答弁の中にも、現在与那覇岳の近くに生息している可能性が強いということですけれども、この与那覇岳を特別保護地区にするということが県の審議会などで提案されているというふうに聞いているのですけれども、この問題は一体どのあたりまで物事が進展しているのか。先ほど言われた三者協議会でなくて、ほかの場面で論議をされているのかもしれませんけれども、いまの環境庁のお返事だと、何かこれから説得をしたいみたいな空気でよくわからないのです。県の方ではそういう審議会の答申なども出ているようですけれども、それについてどういうふうな段階にあるのか、もし防衛施設庁がおわかりならお答えいただきたいと思います。
  418. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 最近県の自然環境保全審議会が県に対して、与那覇岳地区の保護区域を拡大するというような内容の答申をなすったということにつきまして、われわれ承知しておりますのは実は新聞記事だけでございまして、現在この点につきまして、それが基地内のどういった部分になるのか、あるいは基地に含まれるのかどうかということについても承知しておりませんし、特段のお申し出はいただいておりません。
  419. 菅直人

    ○菅委員 そうしますと、申し出があった場合には、防衛施設庁としては前向きで検討するという気持ちはあると理解していいわけですか。
  420. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、日米安保条約に基づく米軍提供基地の目的達成、それから鳥獣保護は意義あるものとして、その間の調和を図ってまいりたいと考えております。
  421. 菅直人

    ○菅委員 大臣、お聞きになったように、たかが鳥とおっしゃるかおっしゃらないかは別として、最近は地球上に生息している動物にしても植物にしても、この百年間くらいで物すごい種類が絶滅をしていて、今後の百年間にはさらに多くの種類が絶滅するだろうということが言われているわけですね。そういう中にあって、この沖縄というある意味では非常に自然に恵まれた地域で、象徴的な形でこういう鳥が新しく見つかった。いまの施設庁のお答えでは、あくまで日米安保条約の基地提供の趣旨に反しない限りとまでははっきり言われなかったですけれども、そちらの方にどうもウエートがかかって、そういったせっかくの沖縄の自然という問題については、ウエートのかからない片一方では考えてもいいというふうに聞こえるわけです。もちろん両者を調和させていくということが一番重要だとは思うのですけれども、そういう中でも、特にこういった問題は今後の沖縄北部の開発の問題とか、また水資源の保護の問題とか、そういったものとも絡んでぜひ十分に配慮されたいというふうに思うわけです。基地の問題また開発との関係を含めてのこういった自然保護等の問題について、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  422. 田邉國男

    ○田邉国務大臣 いま御指摘のございました自然保護と開発の問題、私は山梨で十二年間自然保護の政策というものを推進してきた一人でございまして、いま御指摘の点については十分理解をいたしておるつもりでございます。  いま沖縄で、特に北部の森林地帯にはいま御指摘がございましたようなヤンバルクイナというような大変貴重な鳥獣がいるということ、これをいかに保護するか、これも大変重要なことだと私は思っています。  ただ、いま沖縄県民が、特に本島の県民が何を望んでいるかというと、やはり水資源の確保ということが大きな課題でございまして、これがまたすべての沖縄の産業を制する問題でもございます。したがいまして、実は北部に五つのダムを建設し、またいま建設中のものもあります。これが一部自然破壊という形でとらえられます。私どもとしては、できるだけ自然を破壊しないような中でこのダム建設をし、そして沖縄の悲願である水の十分な提供をしていかなければならぬ、これが一つあります。ただ、沖縄の北部のダム地点はいわば水を確保する水源涵養林という形でございますが、その一部が先般演習の特別の地域として使用されるということでございました。これは大変残念なことでございまして、日米安保条約のもとで基地として提供してある以上は自由に使える、こういうお話ではございますけれども、やはり沖縄の基地におる米軍も水を使う。この水のもとをつくっておるダムでございますから、その地域の水源涵養林を損傷しないように最大の努力を払ってもらいたい、こういう申し入れば強くいたしております。  同時にまた、その地域における鳥獣の保護、これもでき得るだけ保護をしていく、そして自然が破壊されない形の中で沖縄の自然を温存したい、こういう気持ちは私は非常に強いわけでございます。御指摘の点につきましては、私ども沖縄開発庁といたしましても、できるだけの努力とその対応を図ってまいる考えであります。
  423. 菅直人

    ○菅委員 いま大臣の方から、山梨の県知事をなされた時代のことも含めてかなりこの問題についての積極的な御所見をお伺いしたのです。  最後に、特にきょうは環境庁に来ていただいているわけですけれども、最近の環境庁の姿勢は何となくおっかなびっくりといいますか、いろいろなところで見ていて、少しおっかなびっくりな感じがするわけですね。沖縄の場合は、開発という問題と同時に基地という問題が大きな前提条件といいますか、または場合によっては自然保護にとっての阻害要件にもなりかねない要素があるわけです。少なくとも環境庁自体は、これは当然のことなのですけれども、保護を推進するという立場で少しがんばっていただかないと、初めから何かおっかなびっくりで、訓練場の外からやっているけれども中の方はそのうちにということなのですが、私のところにいただいた大体のノグチゲラの生息地域といまの訓練場の地域を見ると、この図のとおりだとすれば八割から九割は訓練地域の中にダブっているわけですね。ですから、訓練地域じゃないところで生息地域であろうと思われるところというのは、ほんの端っこの方がちょこちょこと残っているだけでして、どちらにしろ調査をされるのだったら訓練地域を含めて全域をされるのが筋だろうし、また、先ほどのヤンバルクイナの発見された地点も非常にこの訓練地域に近接をした地域にあるわけですから、そういう意味で、調査をされる以上は、そこも含めて当然調査をしなければいけないと思うわけです。  それで、最後ですけれども、環境庁に、そういった意味でもう少し——沖縄については大臣の理解もあるわけですから、そういった意味での積極的な姿勢をぜひお願いをいたしまして、きょうは私の質問はこれで終わらしていただきます。
  424. 山口昭

    ○山口説明員 関係機関とも十分に相談をしまして、積極的に保護に当たりたいというふうに考えます。
  425. 吉田之久

    吉田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十一分散会