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1982-03-11 第96回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年三月十一日(木曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 吉田 之久君    理事 上草 義輝君 理事 小渡 三郎君    理事 川田 正則君 理事 高橋 辰夫君    理事 上原 康助君 理事 島田 琢郎君    理事 吉浦 忠治君 理事 部谷 孝之君       臼井日出男君    古賀  誠君       高村 正彦君    國場 幸昌君       佐藤 信二君    桜井  新君       泰道 三八君    中村正三郎君       鳩山 邦夫君    渡辺 省一君       五十嵐広三君    伊藤  茂君       松本 幸男君    玉城 栄一君       木下敬之助君    瀬長亀次郎君       菅  直人君  出席国務大臣         内閣総理大臣  鈴木 善幸君         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長         官)      田邉 國男君  出席政府委員         防衛施設庁長官 吉野  実君         防衛施設庁施設         部長      伊藤 参午君         沖縄開発政務次         官       田原 武雄君         沖縄開発庁総務         局長      美野輪俊三君         沖縄開発庁総務         局会計課長   宮島  茂君         沖縄開発庁振興         局長      藤仲 貞一君         外務省北米局長 淺尾新一郎君  委員外出席者         警察庁警備局警         備課長     岡村  健君         防衛施設庁建設         部長      大迫 公克君         外務省北米局安         全保障課長   加藤 良三君         大蔵省理財局国         有財産第二課長 太田 幸維君         文部省体育局体         育課長     大門  隆君         文化庁文化部文         化普及課長   石井 久夫君         厚生省医務局医         事課長     吉田  勇君         厚生省社会局施         設課長     田中 健次君         厚生省保険局国         民健康保険課長 萩原  昇君         社会保険庁医療         保険部健康保険         課長      多田  宏君         農林水産大臣官         房地方課長   川村 浩一君         通商産業省立地         公害局工業再配         置課長     小林  惇君         運輸大臣官房観         光部計画課長  伊藤 嘉之君         運輸省港湾局計         画課長     御巫 清泰君         運輸省自動車局         業務部旅客課長 寺嶋  潔君         運輸省航空局飛         行場部管理課長 川手  創君         運輸省航空局飛         行場部計画課長 井上 春夫君         運輸省航空局管         制保安部管制課         長       小山 昌夫君         労働大臣官房参         事官      田代  裕君         建設省計画局総         務課長     浜  典夫君         建設省道路局市         町村道室長   駒田 敬一君         自治省行政局公         務員部福利課長 柳  克樹君         自治省財政局指         導課長     木村  仁君         消防庁消防課長 山越 芳男君         特別委員会第一         調査室長    長崎  寛君     ————————————— 委員の異動 三月十一日  辞任         補欠選任  稻村左四郎君     桜井  新君   奥田 幹生君     渡辺 省一君   近藤 元次君     古賀  誠君   部谷 孝之君     木下敬之助君 同日  辞任         補欠選任   古賀  誠君     近藤 元次君   桜井  新君    稻村左四郎君   渡辺 省一君     奥田 幹生君   木下敬之助君     部谷 孝之君 同日  理事部谷孝之君同日委員辞任につき、その補欠  として部谷孝之君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  沖縄振興開発特別措置法等の一部を改正する法  律案内閣提出第二〇号)      ————◇—————
  2. 吉田之久

    吉田委員長 これより会議を開きます。  沖縄振興開発特別措置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。國場幸昌君。
  3. 國場幸昌

    國場委員 復帰後の沖縄観光振興は目覚ましいものがございますが、沖縄特性を生かした方向が芽を出したと考える。今後ますます観光を発展させるためには、沖縄の自然を守り、また沖縄独特の文化を生かしながら、観光資源開発に当たっては各種の施設整備公共の力に頼る必要があると思うわけでありますが、それに対しまして、開発庁といたしましてはいかなるお考えでありますか、お伺いします。     〔委員長退席上草委員長代理着席
  4. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 お答えいたします。  沖縄県は亜熱帯地域に位置しておりまして、かつ非常に広い海域に多くの島が散在しておるということで、これまでも観光客及び観光収入増加傾向をたどっておるわけでございます。私どもといたしましては、このような増加傾向を定着、発展させていく、沖縄を自然と調和した特色のある保養観光の場としてさらに広く内外の人々に利用していただくという考え方のもとに、空港とか港湾とかあるいは道路などの交通基盤整備を図りますとともに、海洋博記念公園などの観光施設整備を行ってきたわけでございます。今後とも沖縄の恵まれた特性を十分に生かしまして観光振興に努めていきたい、このように考えておるわけでございまして、引き続き公共施設整備を図りますとともに、また地方公共団体あるいは民間等とも協力をしながらこの観光振興を進めていきたい、このように考えておるところでございます。
  5. 國場幸昌

    國場委員 離島振興の件につきましてお尋ねいたします。  鈴木総理は、昨年の暮れ、沖縄視察のお帰りに奄美大島徳之島泉重千代の見舞いの途中、徳之島の立ちおくれを沖縄本島に比較され、奄美沖縄並み振興を図れとのことをおっしゃったようでありますが、沖縄本島におきましても、御承知のとおり、三十九の有人島の中で徳之島より以上に立ちおくれたところがございます。鈴木総理は、沖縄本島、ことに県庁所在地であるところの那覇市を対象にして徳之島をおっしゃった、こう思うわけでございますが、沖縄離島の立ちおくれ、本土と沖縄格差があれば沖縄本島離島格差、これを是正するというのもまた今後における第二次振計の大きな役割りだ、こう思うわけでありますが、離島振興に対しての今後の開発庁考え方お尋ねいたします。
  6. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 お答えいたします。  沖縄県は、ただいま先生指摘のように、本島自体が遠く離れておる、さらに多くの離島を抱えておりまして、これらの離島が非常に広い地域に散在しておるということがあるわけでございまして、こういった自然的な条件あるいは地理的な条件によりまして社会経済の発展が制約されているという状況にあるわけでございます。したがいまして、私ども、これらの離島につきましてはかねてから、住民生活安定向上を図る、また、住民生活安定向上を図るために、まず本島離島相互間の交通確保とかあるいは離島基幹産業でございます農業の振興、さらに医療保健対策とか教育施設充実等生活基盤充実に努めてきたところでございます。私どもといたしましては、今後もこういった交通確保等によりまして地理的条件等による離島不利性を克服しながら魅力ある地域をつくっていかなければならない、こういう考え方のもとに、各離島特性住民の創意を生かした産業振興あるいは生活基盤整備等に努めていきたいと考えております。  なお、沖縄につきましては、御案内のように五十五年からいわゆる過疎法が適用されまして、また、今回の改正によりましていわゆる辺地法を適用することとしておるところでございますが、沖縄離島はほとんど過疎地域にあり、また辺地を多く抱えておるわけでございます。今後はこれまでの沖振法による高率補助その他の特別措置に加えまして、これらの法律に基づきます地域振興策を活用することができるということになるわけでございまして、私どもとしては、離島に必要な公共施設の総合的、計画的な整備を促進していくことができるものと、このように期待をいたしておるところでございます。
  7. 國場幸昌

    國場委員 沖振法の第四十八条の市町村における基幹道路整備規定がこのたび削除された理由は何であるか、また、それによって特定の市町村が不利になるようなことはありはしないか、それに対してお尋ねいたします。
  8. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 お答えいたします。  ただいま最後の御質問にも触れましたように、五十五年に新たに過疎地域振興特別措置法いわゆる過疎法が制定されました際に、同法を沖縄にも適用することといたしまして、同法の過疎地域要件に該当する市町村につきましては過疎債を活用して公共施設整備を図る、あるいは基幹道路整備につきましては県がこれを代行して実施する等、地域実情に応じたきめ細かな施策を講ずることとされたわけでございます。この結果、過疎地域に該当する市町村につきましては、市町村基幹道路整備についての過疎代行制度が、沖振法の四十八条と新過疎法の十四条の両規定によりまして重複して適用されることとなったわけでございまして、今回沖振法の改正に際しましてこの四十八条を削除することとしたものでございます。  それで、不利になる部分はないのかというお尋ねでございます。沖振法四十八条の対象市町村で新過疎法対象とならない市町村を具体的に申しますと、石垣市と伊良部村の二市村出てまいります。これらの二市村につきましては新過疎法対象にはなっていない、また沖振法の過疎市町村でもなくなる、こういう関係になるわけでございます。これらの市町村につきましては、旧過疎法から新過疎法になるに際しまして、新過疎法の中で、県代行事業等につきましては四年間継続してこれを行うことができるという経過措置が講じられました。旧過疎から新過疎に移りますときの経過規定の前例と、それから石垣伊良部の二市村におきまして現在県代行事業が行われておるという実態にかんがみまして、同様の四年間の事業継続を行い得るという道を附則におきまして開いておるところでございます。私どもといたしましては、これらの市村において予定されている事業量については五十七年度以降の予算の確保に十分努力してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  9. 國場幸昌

    國場委員 辺地に係る公共的施設総合整備のための財政上の特別措置等に関する法律が適用されることは、離島辺地を抱えておる沖縄にとって、また、ことに財政力の弱い市町村が多い沖縄においては市町村地域実情に応じ自主性を生かしたきめ細かな事業を実施することが期待され、均衡のとれた地域振興を図る上で大変有意義なことだ、こう考えるわけでございます。  ところで、沖縄には辺地がどの程度あるか、また、この制度を適用することによって具体的にはどのようなメリットがありますか、それをもう一度詳しく説明してください。
  10. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 お答えいたします。  先生指摘のいわゆる辺地法は、その目的として「辺地とその他の地域との間における住民生活文化水準の著しい格差の是正を図る」ということを掲げてございます。「辺地を包括する市町村について、当分の間、当該辺地に係る公共的施設の総合的、かつ、計画的な整備を促進するために必要な財政上の特別措置等を」定めているわけでございます。沖縄における辺地地域につきましては、辺地法施行規則に基づきます辺地度点数の算定により特定される、こういう関係になっております。したがいまして、今後、所管省である自治省におきましてそのための作業等が行われる予定になっておりまして、これによって辺地の数等が固まってくるという関係になってございます。  なお、辺地法によるメリットというお尋ねでございますが、辺地法によりますと、辺地を抱える市町村においては、まず辺地にかかる公共的施設総合整備計画を定めまして、これに基づいて道路集会施設等公共的施設整備に充てる経費につきまして辺地債を発行しましてその財源に充てるわけでございます。そして、この辺地債償還に当たりまして元利償還金の八割を地方交付税によって補てんすることができるという形になっておるわけでございます。したがいまして、実質的に市町村がその二割を負担するという形で公共施設整備を促進することができるという形になっておるわけでございまして、この活用によりまして市町村実情に応じたきめ細かな公共的施設整備が促進されるのではないか、このように期待しておるところでございます。
  11. 國場幸昌

    國場委員 これで開発庁への質問最後にしたいと思いますが、広大な米軍施設区域存在沖縄産業構造都市形成道路体系に多大な影響を及ぼしております。二次振計における基地整理縮小と、今後の返還跡地利用を有効にするための開発庁考え方、これをひとつお聞かせいただけませんか。
  12. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 二次振計におきます基地の問題とその跡地有効利用についてのお尋ねでございますが、先生案内のように、沖縄には全国の米軍施設区域の約五三%があるわけでございまして、また、米軍演習に伴う事故や基地管理に伴う問題が発生しておることは私ども承知をいたしておるところでございます。現行の一次振計におきましても、米軍施設区域存在産業構造都市形成道路体系等に多くの影響を及ぼしておる。したがって、開発を進める上でできるだけ早期にその整理縮小を図る必要があるとされておるわけでございます。二次振計を策定するに当たりましても、基本的にはこのような方向で扱うべきものと私ども考えておるところでございます。  また、返還跡地利用に関しましては、現行振計では、米軍施設区域整理縮小の動向を踏まえながら総合的な土地利用の観点に立って具体的施策を検討する必要があるといたしまして、その跡地を、あるいは跡施設産業振興及び社会資本整備のために活用するという方向が示されておるわけでございますが、二次振計を策定するに当たりましても、このような方向返還跡地有効利用が図られるように、今後県等とも調整しながら検討してまいりたい、このように考えております。
  13. 國場幸昌

    國場委員 施設庁お尋ねいたします。  返還軍用地の再使用に関する問題点指摘いたしまして、どのようにお考えであるかということをお尋ねするわけであります。  陳情も受けておって御承知だと思うのですが、那覇飛行場滑走路南東側に具志という部落がございまして、そこの旧アメリカ空軍補助施設の約十九万六千平方メートルと、同じく昭和五十一年十二月三十日に、航空自衛隊那覇基地の約二十六万平方メートルが、地主返還してくれるなという要請がありましても国の都合によってとうとう返還されたのです。地主としましても、その返還を拒んだということはそこに大きな問題があるわけなんです。御承知のとおり部落のすぐそばでございますので、沖縄の狭隘なる土地では住宅地としては貴重な、本当にのどから手が出るほど欲しいことは言うまでもありません。しかし騒音公害によって、宅地造成をせんとするのであれば住宅としての許容騒音七十ホン以下というようなことで、これが九十ホン以上もある。それじゃ農耕地にしようとしたら、これがまた面積において土地改良に対しての採択基準が全然合わない。こういうことで、七年たって今日まだ放置されておる。何の補償もありません。  そこで、施設庁に聞くわけなんですが、一体これはだれの責任であるかということなんです。部落地主方々は、九三%が再使用してくれ、逆には、飛行場でなかったら飛行場をのけてくれ、こういうことでしょうね。飛行場があって、国の決めた基準にそぐわない。地主も好きこのんでそこに飛行場をつくらしたわけでもない。さりとてまた、那覇空港は運輸省に移管したとはいえ、そこにはF4ファントムが二十一機ですか、朝から晩までガーガー飛び回っている。それから哨戒機も二十機ぐらいおりますね。こういうような国策によるところの国防問題あるいはまた運輸問題に対して一部の地主がこれだけ迷惑するということは、固有財産に対しての侵害とも憲法違反とも言えましょう。だがしかし、甘んじて七カ年、ただひたすらお願いしますということでお願いしておるのに、それに対して一向に解決の見通しがきかない。七カ年たって今日もまだ泣き寝入りをしておるというような現状です。私に言わせれば、航空自衛隊であろうが米軍基地であろうが、基地周辺整備のいろいろな条件もありますが、運輸省採択基準は国防問題に対するところの自衛飛行場なんかとは違いますね。有利であればいいんだが、不利なんですね。不利であるか有利であるかは別として、それは適用することもできないということで、土地は返されて迷惑しておる。これに対して施設庁、あるいは運輸省関係するでしょうが、一体どう考えておるのか、責任ある答弁をしていただきたい、こういうことでございますからはっきりひとつ……。
  14. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 ただいま那覇飛行場周辺地域についての返還された部分についてのお尋ねでございますが、御承知のように私ども沖縄におきましての基地使用原則は、できる限り本当に米軍並び自衛隊にとって必要な最小限度のものを確保するということで基地整理統合を積極的に図ってまいったわけでございます。その点につきまして、米軍ないしは自衛隊として使用する必要が生じないものについては、原則として所有者にお返しするということでやっておりますが、これは当庁の基本的な立場でございます。  先生お話しの件につきまして、地主方々からのお申し出の話、また返還された土地実情先生指摘のとおりだと思います。私どもとしましては、返還土地につきましての所有者方々関係市町村方々が積極的な開発利用計画というのをお立てになって有効な利用をしていただくことを期待するという立場でございますが、私ども立場から言えば、返還した土地につきましてそれの有効利用計画についてまで施設庁がとやかく申し上げたり、逆にいろいろなお手伝いをするというわけにもまいらない立場でございます。  なお、再使用ということにつきまして地主の方から御要望があるわけでございますが、米軍としましても航空自衛隊としましても、直ちに使用計画というのを持っておりませんので、そういう意味で現在まで地主方々の御要望に沿いかねているという状況にございます。
  15. 國場幸昌

    國場委員 どうも合点がいかぬですね。それじゃこれはだれに責任があるのですか。使うのは使いっ放しで、地主の意向を問わず一方的な御都合次第で返しまして、返した後使用できるような状態であれば別なんですよ。そこにまだ飛行場騒音公害、あるいはまた住宅にせんとするのであれば、騒音公害基準は人体に害を及ぼすということで、ここは宅地はできない。また、使用されたところの土地土地改良して農耕地にしようということであると、それは採択基準がどうも合わないので、土地改良の政策に従うところの恩恵はやはり受けることができない。こういうことであると、これは一体どうなるのです。開発庁もその面に対してはどうでしょうか。これは管理運輸省になっておりますから運輸省関係あると思うのですが、国の御都合次第で運輸省であるか防衛庁であるかというようなことは勝手に決めて、どちらも責任を負わないということになると、こんなことでは大変なんですね。  だから、これは担当は開発庁ですが、その件に関しての考え方はいかがですか。それからもう一回施設庁、この問題に対してはやはり政府間においての合議が必要だと思いますから、これは次から次に出てきますよ、それはどうするかという問題。これは後でいろいろと、そういう民間に及ぼす——たとえ銃剣を突きつけられて強制収用されたといえども、それにおいてはみんなが反対反対じゃなくして、国策であればやむを得ないから協力しましょうということで基地を貸与してきて、あげくの果ては踏んだりけったり、これでは承服できませんよ。いずれにしましても、これは政府のなしたことであるので、窓口がどこになるということは政府内部の問題であって、地主はそんなことは言いません。いまのことからいいますと、施設庁は解放した土地には関係ありません、こんなことは通りませんよ。だから、わが行政縦割り行政というのが外交的にもずいぶん欠点を言われておるのですが、国内においてでもそういうことから解決しなかったら、国際的ないまの日本の高揚した地位を維持することはできないぞ、これは国家の大きな恥辱である、こう私は考えます。よって、開発庁、ひとつどういうことになるか。
  16. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 お答えいたします。  先生お尋ねは、返還跡地有効利用を促進するために開発庁はどうするのか、こういうお尋ねであろうと思いますが、返還跡地有効利用を促進するというためには、これはあくまでも地元の地方公共団体あるいは関係者の主体的な取り組みというものが前提でございますけれども、そういうことを前提といたしまして、開発庁としましては所要の事業の促進が図れるよう配慮してまいりたい、こういうぐあいに考えております。  土地有効利用ということになりますと……。
  17. 國場幸昌

    國場委員 ちょっと待ってください。これは意味が違うのですよ。いまさっき申し上げましたとおり、難なく返されて後に利用のできるような、可能なる条件を持つ解放地であれば、いまおっしゃるような筋なんです。しかし、これはややこしい内容においては、使用せんとするのであれば、騒音公害でもって目的宅地にはできない、そうすると、また土地改良農耕地にせんとすれば採択基準が全然合わない、こういうようなことで内容に問題を醸しておるから、これは現に飛行場がそこにあるからなんですね。だから、そういうような立場においての、特殊事情による物の考え方においての開発庁としましても、あるいは施設庁としましても、この問題に対してどうあるべきかということをいま聞いておるわけです。
  18. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 私どもいまお答え申し上げていますのは、跡地利用ということで開発庁としてまず考え得ることは、いま先生もお触れになりましたが、手法としては土地区画整理それから土地改良事業それからまた用地取得、たとえば公共団体用地を取得する場合の資金手当て、こういうことに尽きるのであろうと思います。  私、申しわけないのですが、具体的なことを承知しておりませんので、ここで具体的にお答え申すことはできませんが、一般的に申し上げますれば、そういう場合に、いま先生指摘のは採択基準等に制約がある、こういうことであろうと思いますので、その点について申し上げますれば、土地区画整理事業でも土地改良事業でも、採択基準の一番主要な要件というのは面積要件でございます。そういう場合に、その面積要件によって採択されないというようなことが間々あろうと思いますが、私ども実情に応じてそういう事業が実施できるように、ある程度弾力的な運用ができるように関係省庁との間で協議をしてまいりたい、かように考えております。
  19. 國場幸昌

    國場委員 施設庁、これはだれが考えても、収用してというのは米軍の強制収用によっていやおうなしに収用されて、それで沖縄返還のときに日米双方の取り交わし承認事項としまして、A、B、Cに分けて基地整理縮小、こういうようなことになっておるのもまた事実です。  しかし、いま指摘する地は、その中の土地でもないのです。それはもちろん整理縮小の中に入るかどうかしれませんが、この問題は、今後基地の安定を図るとするのであれば、かようなる問題からまず縦横の政府内においての合議をしまして、それで地主には迷惑をかけないようにやることなくしては私はいかないと思うのです。それは検討課題として施設庁もよくそういうようなことがある、同時に、これをいつまでも検討中でありますとかなんとか言ってもならないことであるし、九三%の人が使用するにしても使用できないような、地主の権利が全く無視されたような状況立場にあるのであれば、いま一回使ってくださいという責任を——使ってくださいということは、言いかえればその責任を果たしてくださいという裏づけなんですね。そうでしょう。だから、そこのところを、きょうこういうことの問題があったというようなことを持ち帰りまして、それで地主との話もまたほかの所管省ともよく話し合って、何分のこれが善処されることを希望すると同時に、次にいずれまた再質問をしてその結果を聞くことにいたしまして、これはそのままにしておきます。  外務省にお尋ねするわけでありますが、沖縄には安保条約の役割りを果たすべく基地が全国の五三%集中しておる、これはそもそもだれが考えても不自然であると考えるわけでございます。  まず指摘したいことは、返還協定合意事項として、A、B、Cとランクを決め、整理縮小することになっておるところの指定の施設がどれぐらい解決していったか、この数字があったらひとつ教えていただきたい。
  20. 加藤良三

    ○加藤説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、沖縄返還協定締結の際に、了解覚書A表、B表、C表というところで沖縄の施設、区域返還計画というものが明らかにされたわけでございます。復帰時には、これに基づきまして八十七施設が提供されたということになったと記憶しております。さらにその後、昭和四十八年一月の日米安全保障協議委員会の第十四回会合、それから昭和四十九年一月の第十五回会合、それから五十一年七月の第十六回の会合におきまして、施設、区域整理統合計画ということ一が決められたわけでございます。  そして、現在、私どもといたしましても、沖縄における施設、区域が、先生指摘のとおり沖縄県の面積に占める割合が非常に大きいという実情にかんがみまして、その整理統合ということについてこれまで鋭意努力してきたつもりでございますし、これからも努力を続けるつもりでございますが、現在のところ、十四、十五、十六回の安保協議委員会において定められました整理統合計画の沖縄における達成率というのは約三〇%というところにとどまっておると承知しております。
  21. 國場幸昌

    國場委員 十年たって三〇%。そうすると、これはそのとおり平均にいっても三十年かかるということになるのです。  そこで、いまさっきも申し上げましたとおり、沖縄に日米安保条約に義務づけるところの基地が五三%、これが整理統合といえども沖縄、しかもこれが本島内においてこれをたらい回しみたいなかっこうにしようとする考え方に問題があると私は思うのです。だから、これは国民ひとしく地域均衡、苦しみも楽しみもひとしく分かち合うというようなことであれば、沖縄県内にだけ、しかも沖縄本島内だけにこれを義務づけられたところの移設をしようとすることに問題があると私は思うのです。でありますれば、日本全国あまた広いですから、大体基地をどこに持っていくかということもお考えになって——これが遅々として進まないという理由は、取り決めの中に、わが国の政府の費用をもって代替設備をし、機能が寸分たりとも劣ることのないようにという条件があるのです。そうしますと、これは沖縄においてでも、いまある那覇港あるいはまた那覇飛行場、そういうものの移転先ということに対して、この移転先の方からずいぶん反対が来るわけなんですね。それから、新規施設というものもまただめだ、こういうふうなことですね。であれば、五三%というのが何でそれを沖縄だけにかためておるかというのは、しかしやはり宿命の沖縄であって、私が常に言っているとおりに、戦略上において沖縄を制する者はアジアを制するという扇のかなめだというようなことで、それは国防としては結構であるかもしれませんが、しかし、それに比べて民生の面に対するところの経済振興に対してはこれが大きく邪魔になっておるわけなんですね。だから、その方面も考えて、沖縄県民の心もちょっとは御配慮をされて、沖縄県内だけへの移設ということの義務づけではなくして、痛みも分かち合うという、日本一億国民の中の沖縄にありての義務づけの配分からして、少々は重荷であってもいいですが、しかし一%の人口のところに五三%の米軍基地を持ってきて、それでもって年じゅうトラブルばかり起こしている。それは、私は御案内のとおり政権を持つ自由民主党の議員であるが、ところが、これはいつでも受け身なんです、不利な条件。だから、私は声を大にして言いたいことは、とにかく沖縄の部内だけに基地をたらい回しするということではなくして、何かはかの地域にも今度は方向を変えて、日米協議会の中で配慮をしたらどうか、こういうことも提案しておきます。  これに対して、きょうは皆さん、あなたたちではそんな重要な計画、国策に対して、しかも重要なる日米安保協議会に触れることであるので、どうもこれは、私は与党であるから言うのですが、もし野党がこういう重要なる質問をするときであったら、皆さんには失礼ですが、もっと責任ある人を答弁に立てよということを言うでしょうね。しかし、私はあなたの人格を認めますから、それに対して、ひとつ持ち帰って、あの國場のやつがそういうような提案をしておったがというようなぐあいに一つの課題としていただきたい。私は、それでもって沖縄におけるところの政治の一端の責任を持つ者としまして、民生を、民の声ですよ、それをいまつぶさに赤裸々に言っていることですから、失礼ですがあなた方から重要なる答弁を聞こうとは思いませんので、どうぞその点は持ち帰ってください。  それから、同じく外務省でありますが、基地公害についてちょっと。  地位協定三条三項では、合衆国軍隊が使用する施設内での作業は、公共の安全に妥当な考慮を払わなければならない、こうなっております。だがしかし、現実は、復帰から今日まで、こういう取り決めはあるにもかかわらず、次から次と百七十件の事故を数えるほど、住民に不安感を与え、恐怖感を与え、住民財産、生命が侵害されておるということですね。これがまことに残念と思うわけであります。  そこで、ちなみに沖縄におけるところの事件を申しますと、百七十件の内訳を見ますと、毎年毎年これがまたふえる傾向にあるのですね。四十七年に九件、四十八年は特別多く二十六件、四十九年に十五件、五十年に十七件、五十一年に二十二件、五十二年二十一件、五十三年は二十九件、五十四年はちょっと減って十二件、五十五年十九件、こういうようなことで、これは百七十件。これで、ある場合においてはトレーラーが学生を押しつぶしたこともあるというのは、皆さん御承知のとおりでありましょう。また、実弾射撃において民家に実弾が飛び込んできて民家を破損するとか、いろいろと問題を醸しております。  基地というのは地域住民の協力なくしてはその機能を発揮することもできないし、その役割りを果たすこともできないわけなんです。そこで、せっかく使用に対する取り決め、双方で安全に対するところの取り決めがあるにもかかわらず、こういうことが絶え間なく惹起しておるということ、これはアメリカの軍隊も規律、軍規がたるんでおるのじゃないか、こういうことも考えるわけでありますので、どうぞひとつこの点は、国際条約というのは一対一の権限をもってなすことである、何も遠慮することはありません、だから強く主張して、沖縄県民の財産、生命をよく説いていただきたい。それにしても、駐留しておる目的というのは、安保条約が結ばれておる目的は、やはり国民の財産、生命を守り国を守るということである。守るべきようなものが逆に危害を加えるようなことがあったのでは、何もこれは目的は達しておりません。よって、その点に対しては、日米協議の中で厳しく、私がいま指摘したことに対しては申し入れをしていただきたい。それに対するあなたの考え方、感想をひとつ述べてください。これは合点がいくかいかぬか、道理がもっともならもっともだと言ってください。
  22. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 先生指摘のように、沖縄におきましては、米軍の部隊としての運用あるいは訓練等に伴う事故それから米軍人による個人的な事故といったようなものが発生していることは、いま御指摘のとおりだと思います。  私どもは、こういうものに対しては常々、事故発生につきましてはまことに遺憾である、特に訓練等につきまして起こった場合には、訓練の態様等において安全を図るという指摘もしておりますし、また、軍人といいますか構成員個人の責めにあるものにつきましても、基地周辺住民といいますか沖縄県民の方々の不安を惹起しないように常に米側にも申し入れておりますし、米側の当局も、この点につきましては十分注意するよう常々言っております。不幸にして事故が起こりました場合には、またそれなりの対策を私ども講ずるようにしております。
  23. 國場幸昌

    國場委員 いま指摘しましたように、次から次と、年々歳々繰り返しましてこういうトラブルが起きておる。さっきも申し上げましたとおり、基地の安定というのは、機能を発揮するための目的を達成するためには、地域住民の協力なくしてはできない、こういうことであります。  そこで、一つ提案しておきたいことは、これもまたちょっと、どうももっと責任ある人に答弁してもらうべきと思うのですが仕方がない、一人でもしゃべっておきましょう。これは、沖縄では三者協議会というのがあって、わが国の出先機関と県側とアメリカと、現地におけるところの三者協議会ということで、いろいろと事件処理のためあるいはまた基地の高度な利用計画に対して機能を発揮すべくということでやっておりますが、北海道より以上に沖縄基地というのは重要であるということを私は感じるわけなんですね。そこで、北海道には移動大使がなにされておる。園田外務大臣のときに、沖縄にもそのようなことで、現地とそれから駐留しておるところの米軍政府と三者で一いま県がやっているけれども、県は住民側にあるところの沖縄県ですからね。責任あるところの政府が、大使に準ずる者をひとつ沖縄に駐在をさせて、復帰前においては高瀬大使というのがおられまして、とてもうまくいったわけなんです。しかし沖縄は、いまさっきも申し上げますとおりに、安保条約の義務を果たすべきところのわが国の、いわゆるその条約の条件を守る五三%の基地を持っておる。そのような重要なる役割りを果たしておるわけだから、園田大臣は、その駐在させることに対しては実現を期するように前向きの姿勢を持って検討をする。外務大臣もまた園田さんかわりまして、新たに同じようなことをまた繰り返さなければいけない。こういうことが申し継ぎがあっかどうか知りませんが、その点に対して話は聞いておりますかどうか、その考え方
  24. 加藤良三

    ○加藤説明員 お答え申し上げます。  私どもも、園田前外務大臣の、御指摘の答弁というものについては承知しておる次第でございます。私どもといたしましては、先生も御指摘になられましたとおり、安保条約、地位協定の円滑かつ安定した運用ということを図っていくためには、やはり関係沖縄県民の方々の御要請というものと米軍の駐留目的の達成、そのための必要性ということとの調整を図りながら、施設、区域存在米軍の活動に伴って県民生活に及び得るもろもろの影響というものを最小限に食いとめるということは非常に重要であるという認識を持っておるわけでございます。こういうような考え方に立ちまして、私どもとしては、防衛施設庁やその他の関係機関、それから米側関係者とも不断の接触をとってまいってきているわけでございます。  現在、沖縄米軍基地関係者等を所掌している施設局に加えて、外務省職員を沖縄に常駐させることが現時点で不可欠であるということまで実は必ずしも考えていないわけでございますけれども、今後とも、いま先生から御指摘をいただいた点をも念頭に置きまして、沖縄基地をめぐるもろもろの問題に対処していく上で、外務省としての体制を改善すべき点があるのではないかといったような点については十分検討を加えてまいりたいと考えております。
  25. 國場幸昌

    國場委員 それではまた施設庁にちょっと。これは余り喜ばしい話じゃありませんが、沖縄にいまさっきも申し上げましたとおり基地がございまして、それに対する施設庁の施設事業に対しての請負についての問題ですが、これは私は余り言いたくもございませんが、余りにも地元の要望が強い要望であるし、あえて報告をいたして皆様方の良識に訴えて、この問題に対しては取り組んでいただきたい、これをお願いするわけなんです。  御承知のとおり、沖縄は、公害だどうだこうだといいましても、軍用地に対しましては、この前ずいぶん理解を得まして、事業税としてはみな六ない、よってこれは地方税から外すというようなことをはっきりと答弁をいただきましたのでこれはいいのですが、わが沖縄県は、二十七カ年の戦後における断絶からはなはだしく立ち上がり、経済の確固たる基盤もないのは御承知のとおりでありまして、ひたすらに公共事業そのものが沖縄経済を支える大黒柱になっておるということは、皆さん、言うまでもなく現実でございます。そこで、日本全国からしましても、恐らく失業者も日本一といえども、土建業者の数もまたこれは人口に比例しますと他府県の三倍、四倍。あの小さいところの沖縄に四千余りの業者がひしめいておるというようなこの実情に対しまして、私が施設庁にもお願いすると同時に、総合事務局にもこれはお願いしておきたいというのは切なる声であって、これはもう言うまい言うまいと思っておっても、利の方は個人的に申し上げますと土建業でありますから、私からこういうことを言うのは気が引けるわけなんです。ところが、あえて私は公私混同はしたい。要請についてはつぶさに御報告を申し上げまして、その解決策に対してはどうぞひとつ善処いただきますようにということで立っておるわけですから、その立場を御理解いただきたいと思います。  そこで、沖縄経済を支えておる、失業対策に大きな役割りを果たしておるこの公共事業に対して、もっと沖縄地元の業者を起用していただきたい、これが切なる希望であり、また県産品をできる限りにおいて起用していただきたい、これをお願いするわけであります。  ちなみに、数字からいいますと、沖縄県における五十五年度、昨年の実績でございますが、まず施設庁からいいますと二百三十八件あるようであります。これは建設協会の方から資料を出しまして、物すごい勢いで、帰ってももう、また帰るとき飛行場まで追っかけてきてやるものですから、私は言わざるを得ないような立場ですからひとつ……。それで、施設庁の昨年の実績というのが、二百三十八件のうち県内の契約が百四十件。これは件数からしますと五九%で過半数。沖縄県民の仕事の件数からしてみればそれはよく御配慮されたとも思うのですが、あにはからんや、そうじゃないのですよ。金額から見るとわずかの三〇%にしかなってないわけなんです。これは細切れにして分割請負でやったかどうか知りませんが、地元が三〇%。しかも、ひしめいておるような業者がこれだけおって、これでは他府県の人が来て、それで看板を立てて、自分らは仕事がなくてつめをくわえて見ておるというこの姿を想像した場合に、どうぞひとつ地元の立場というのを御配慮していただきたい。それで、いま申し上げたとおり、契約件数からすると二百三十八件のうち九十八件ですか、それが四一%といえども、金額からすると七〇%に対して三〇%、百十四億に対してたった五十億なんです。こういうことでありますから、それを指摘しておきまして、今後ひとつ沖縄においての立場を御理解いただきまして御配慮をしていただきたい、これは私もお願いします。どうぞひとつ、その件に対して施設庁、御配慮いかがでありますか。
  26. 大迫公克

    ○大迫説明員 お答えいたします。  私ども沖縄で発注いたしております建設工事は、従来から沖縄県の県内業者の御協力も得て実施いたしておりまして、県内業者の受注率も徐々に増加をしてまいってきておると考えております。ただいま先生のお話に出ました昭和五十五年度の建設工事に関しましてちょっとつけ加えさしていただきますと、件数につきましては先生指摘のとおり二百三十八件、金額では百六十四億円の工事を出しておりますが、このうち、県内業者の受注件数はお話のありましたとおり百四十件、約五九%になります。受注金額は約五十億円で三〇%ということになります。五十五年度におきましては、施設庁は特殊な工事を実施いたしておりまして、消音装置、汚水処理場等の特殊な工事をこれは県外業者で実施いたしております。特殊工事ということでこれを除きますと、県内業者の受注率は件数で六二%、金額で四二%ということになりまして、前年度に比べまして受注率についてはやや増加しているのじゃないかというふうに考えております。  先生のただいまのお話は、県内業者について優先して考えろというふうにお聞きいたしましたが、この件につきましては当庁といたしましても努力をいたしているところでございまして、今後とも工事の規模、内容等を勘案いたしまして細分化への努力を図るとともに、工事によっては共同請負方式等も検討いたしまして、県内業者の受注の増加について配慮をしてまいりたいと考えております。
  27. 國場幸昌

    國場委員 ちょっと指摘しておきますが、施設庁も、県内業者が、契約件数からすると百六十八件のうち七十一件で、パーセンテージからすると七〇・三%、県外業者が二九・三%。ところが金額からしますと、これもまたやはり県外業者の方が金額は高くなっております。九十二億二千二百八十三万に対して百八億五千八百八十万。五四・一%に対しまして四五・九%ということでありますので、まことに御配慮されておるということは感謝しつつも、しかし、現実に数字からするとこういうような数字であるということをひとつ御配慮をされまして、たっての県民の声でありますので、ひとつその希望に対して御協力をしていただきたい。これを希望しておきます。  それから、これは各県に言えることだというようなことで、いつか宮崎県の江藤隆美氏が私に——私も建設関係でいまでも党で建設委員なんですが、そこでひとつ申し添えておきたいことがございます。  国の公共事業というのは、御承知のとおり四〇%の準備前渡し金というのがございますね。その前渡し金というのがどういうぐあいに扱われておるか。工事の方はいずれにしても下請に回されておるということは御承知のとおりでありまして、直営でやるということは幾らかの問題であって、これは物の数じゃないのです。また、一々これだけの工事請負を直営でやるというようなことになると、とてもこれはこなし切れるものではないのです。そこに望みがあるといえども、日本のしきたりを一朝に覆すわけにはいきません。私は、アメリカの請負制度で二十七カ年間、国際入札の厳しい中で競争してきまして、わが国の請負制度にはずいぶん問題があるということは指摘したいのです。しかし、私はそれは言いません。そこで申し上げたいことは、この四〇%という金でありますが、下請が工事を施工するわけでありますけれども、この下請に対する前渡し金というのを現金でもってもらっておる本請の方は、現金は渡しておりません。ほとんど手形なんです。あまつさえ、工事が済んで竣工検査をすると何日以内に工事決算をせにゃいかないという法律に従うところの義務を国家は果たして、金は全額支払うわけなんですね。にもかかわらず、下請に対しては手形でして、はなはだしきは半年以上の手形もあるという。下請はこれに対して利子を負担してもう大変なことで、沖縄でもそうですが、本土でもそうでしょう。いま一番倒産の多いのは土建業者なんですね、そうでしょう。だからその辺は、私は全国的な問題は全国問題として他の方面で論じますが、沖縄に対しましてはその点に対しても御配慮をいただきまして御指導していただきたい、これをお願いするわけであります。それに対して、言いにくいことでありましょうが、考え方をひとり……。
  28. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 まず、県内企業への発注について御要望がございましたので、その点についてお答えを申し上げます。  沖縄総合事務局におきましても、公共事業の発注に当たりましては、従来から県内業者の受注機会の確保を図るよう努力してきたところでございます。ただ先生承知のとおり、受注工事施工上必要な高度の技術、あるいは高度な特殊な機械等を有する企業がない場合、また、工事の規模に対応する指名基準に適格する企業がない場合等、非常に困難な場合もあるわけでございます。総合事務局としましてはこういうようなことも勘案しまして、分割発注であるとかあるいは共同請負制度、こういうようなものを活用いたしまして、地元企業の受注の確保を図るということに努力をしてきた状況でございます。ただ、いま先生からの御要望を私どももよく承知いたしておりますので、今後とも県内企業の受注機会が確保されますよう関係省庁へ要請してまいりたいと思います。     〔上草委員長代理退席、委員長着席〕  それから第二に、公共工事の前払い金に関しまして、いま下請の問題が出たわけでございます。大変申しわけないのでございますが、私は実情をつぶさに承知しておりませんし、また私どもだけでお答え申し上げるところではございませんが、そういう実情について私ども十分関心を持ちまして、関係官庁にも連絡してまいりたい、かように考えております。
  29. 國場幸昌

    國場委員 それでは、まだ時間がありますのでちょっとお尋ねをしておきたいのです。  施設庁関係があるのですが、瑞慶覧から以南の方は、パイプラインが今度五十八年までに排管になるわけなんですね。それは昆布のタンク工事が終わると同時にそういうふうに切りかえるという計画になっております。そうすると、このパイプラインの敷設をしたのは軍用地としてなっておりますが、これは舗装されて、いまもう基幹道路として大役を果たしておるわけですね。それで、これは五十八年に地主返還ということになるのか。しかし現実は、これはパイプラインであるけれども基幹道路として大きな役割りを果たしております。軍の理解を得て、軍用地といえどもアスファルトをして、所によっては側溝までもして、りっぱなる役割りをいま果たしておるわけなのですが、これは地主に対しての地料を軍用地として払っておるからいま維持できておるのであって、これが五十八年に返還されると、勢い地主は地料が絶えてくるわけですね。そのときに、これは市町村道としていま利用しておるということになって、この前ちょっとお伺いしましたら、いやこれは心配要りませんよ、基幹道路としてならば特別措置による一級、二級とみなして一〇〇%国が負担の上にやるから、それだけ重要な幹線であれば一級、二級としての格を持つ、それを認めるということであれば何も心配ないじゃないか、こういうことでありました。その問題に対しましては、そういうことであるということが決まっておるというものですから、きょうは質問はしないつもりでありましたが、時間がありますので、念を押して、そのとおりですかというようなことで、ひとつそれに対してのお答えをお願いします。
  30. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 本件に関しましては、國場先生それから小渡先生からそういう実情を伺っておるところでございまして、道路法上の道路として認定されない部分もまだずいぶんあるようでございますから、いま御指摘のように幹線市町村道として認定されるということでございますれば、これまた改築ということも必要でございましょうし、適切な対応ができるのではなかろうかと思います。いずれにいたしましても、関係市町村と県との協議が先決であろう、かように考えております。
  31. 國場幸昌

    國場委員 いま振興局長市町村長との協議で——また市町村長その者が市道として必要なることに対しての認定をすれば、それだけの基幹道路としての使用価値のあるものであれば一級、二級としての特別措置をもって講ずるところの全額、国はこれに対しての負担をしましよう、こういうことで解釈してよろしゅうございますか。
  32. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 お答えします。  先生指摘のように、陸軍貯油施設という形でパイプラインになっておりますが、・現状は生活道路にも使われているということで、いま沖縄開発庁の方で地方公共団体の方と地主の方が寄り寄り御相談されて道路として管理していく、市町村道としてやっていくといった場合には、私どもとしましては、長い問パイプラインとして使っていて現在所有者方々に所有権があるわけでございますが、実情そういった形になったことを考慮いたしまして、道路に必要な土地市町村が買収するといったような経費について補助していきたいと考えております。
  33. 國場幸昌

    國場委員 補助ですね。
  34. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 用地買収費について補助していきたいと考えております。道路として維持し得るようにしたいということでございます。
  35. 國場幸昌

    國場委員 つぶれ地の一級、二級というのは全額であったと記憶するのですが、それに準ずることであれば全額ですよ。補助ではない。
  36. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 先生指摘のように全額補助ということでございます。(「十分の八だ」と呼ぶ者あり)
  37. 國場幸昌

    國場委員 十分の八か。それじゃ十分の八に準ずるわけかな。わかりました。それじゃそれは返還のときには市町村に迷惑のかからないように御配慮をいただきたいと思うのですが、どうですか。
  38. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 ただいま防衛施設庁の方からも御答弁がございましたので、防衛施設庁の方と十分協議をいたしまして善処したいと思います。
  39. 國場幸昌

    國場委員 これまた要請がありますので、それははっきりと御返事ができないでしょうが、ちょっと御報告かたがたこのようなことがあるということで、これも地元の戦後処理の問題としてお聞き取りをしていただきたいと思うのです。  沖縄は戦争中においてあらゆる文化財は相当焼失してしまいました。破壊されました。そこで、首里城の復元、それから世持神社というのが沖縄にございまして、世を持つ神社というのですね。神社仏閣そのものに対して補助も何も国がすることはできないということはよく理解しております。ところが沖縄においては、特殊事情による問題ですが、この世持神社というのはだれを祭っておるかといったら、戦争中、戦後、食糧危機のときにわが国の命を救った芋代官と称する野国総官と儀間真常を祭っておるのですよ。これは、皆さん御承知のとおりサツマイモ——政務次官は薩摩の出身で、サツマイモとここで俗に言っておりますが、あれは沖縄から薩摩に入って、薩摩から日本全国に広げられたのが芋の由来なんですね。あれは沖縄ではカライモと言うんですね。そのカライモというのは、わが国の食糧危機のときに、いかなる場合においてでもこれをもって命が救われるというようなかっこうで大役を果たし、戦後私も復員しまして熊本の山鹿というところに疎開しまして、竹林を引っこ抜いて芋づるを植えましたら四カ月でこんな大きな芋ができまして、これがほとんど戦後における主食としてわが日本人の命を救ったことは御承知でありましょう。沖縄の歴史からしますと、この芋があって沖縄においては餓死を免れて、それからは豊かになった、こういうことの歴史がありますが、その芋代官と称する人を祭る神社が戦争のために破壊されまして、鳥居だけはいまでも建っておりますが、これは見る影もない。私は、国としましても、もちろん沖縄県としましても、これに対しては協力をしてその復元を図る必要があると思うのです。これは子孫に対する、命の恩人とするところの野国総官——野国総官という人は昔の三角貿易のときの事務局長であったそうですね。その事務局長が芋づるを持ってきたんですよね。それを儀間真常というのが広く広げまして、それで沖縄はもちろん、わが国においても薩摩に来て、薩摩からは、密使が入りまして、徳川幕府の密使が小石川農園に持ってきて、小石川農園で広く栽培をしまして全国に広げた、こういう歴史なんですね。儀間真常というのはまたサトウキビなんですよね。いま問題で、いつでも御厄介かけているサトウキビ。わが国の唯一の甘味資源、このサトウキビも持ち込んだ、わが国の甘味資源をなにした歴史を持つところの人、この二人を祭っているのです。いずれにしましても、読んで字のごとく世を持つところの二人の大官ですね。これを記念すべく祭っておるところの神社、これは敗戦によってアメリカが神社というのはというようなことで言っておりますが、私は、国から正式な補助ができないにしましても、何とかこれを復元するように、国民の世論としてひとつ広くPRしましてこの実現を期したい。これはたっての、沖縄県民の総意の一つの課題であります。  それと首里城、また首里城の問題にしましても一つ報告しておきますが、首里城はたがわずして、わ、が国においてもヨーロッパにおきましても——マッカーサーは日本攻略戦において、文化財とすべきところの京都とかあるいはまた鎌倉とかあるいは奈良とか、こういうところに対しては爆撃するなという指令を出しておりますね。沖縄戦のときにも、たがわずして首里城を爆撃してはいけないという指令を出しているのです。ところが、それじゃあ何であんなにまで影、形もないように全壊したかということは、これには大きな問題があり、私は日本の国の責任を追及する、お願いするわけなんです。わが国の沖縄戦における総司令部が首里城に立てこもったわけですね。首里城の地下は縦横無尽な作戦本部になっておるのです。でありますから、文化財は残さなければいけないというせっかくのアメリカの指令も、沖縄戦を遂行するためにはやむを得ないということでポカンポカンにやってしまった。そういう歴史を持つ首里城でありますので、それに対しましてはどんなにしてでも復元しなければならない。これは県民の声であります。たびたびその話は——復元期成会というところに私も招かれまして、源という文化財保護委員長がおりますが、何とかということは、私はいまから十二年前、国会に出て劈頭にこれから質問したのです。その記録はいまでもあるはずです。そのときに文化財として何か文化庁の——これは所轄じゃないかもしれませんが、しかし開発庁としては、首里城復元に対して、琉球大学とかその跡地利用とも関連があるわけです。これは絶対に復元しなければならないというのが沖縄県民の声であるということ、また、絶対に責任においてやってくれということでありますので、どういう方法でも構いませんから、歴代の沖縄開発庁長官、すなわち総理府総務長官の五代くらいの方々がみんないまその復元の委員会を組織して、ぜひやってやろうということでありますので、それに政務次官も入りましてその実現を期してやっていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
  40. 田原武雄

    ○田原政府委員 たまたま鹿児島でも芋の普及をやったということでございます。鹿児島には前田利右衛門というのが山川におりまして、まだ社もございまして神様に祭られております。また、日本の国では青木昆陽が広めました。沖縄に芋の神様がおりますことを初めてお聞きしました。いざというときには芋は非常に災害に強いので、享保の災害にも芋が人命を救ったという歴史が残っておるわけでございます。大事なことですから、芋の神様の修復の問題、それから首里城の問題、ここでどうするということは言えませんが、地元で協議会がございますならば知恵をかりまして、前向きで取り組んでいきますことを約束いたします。
  41. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 若干補足して説明をさせていただきたいと思います。  戦災文化財の沖縄におきます復元事業につきましては、先生案内のように、首里城の歓会門とその接続石垣につきましてはすでに完成させておるわけでございまして、現在それに続きまして久慶門の復元工事を進めているところでございます。したがって、私どもといたしましては当面、久慶門の復元整備に全力を挙げていきたい、このように考えておるところでございます。  御指摘の首里城の正殿の復元につきましては、県の方からも強い要望を私ども受けておるところでございます。今後専門家の意見等も聞きながら慎重に検討してまいりたい、このように考えておるところでございます。  なお、世持神社と申しましたでしょうか、あの件につきましては私どもまだ具体的に要請を受けておりませんで、今後地元の方からの要請の内容等につきまして十分承ってみたい、このように考えております。
  42. 國場幸昌

    國場委員 最後にお伺いしたいのでありますが、いま地籍確定に対する明確化、これは解放されたのは開発庁、それから軍用地内にあるのは施設庁ということで分担されておりますが、その達成率はどうなっておりますか。大体三カ年以内には全部確定を完了するということでしたが、いまの進捗状況……。
  43. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 お答えいたします。  地籍不明地域の明確化の進行状況についてのお尋ねですが、私ども、御指摘のように復帰前に返還された位置境界不明確地域につきまして、いま明確化作業を実施しておるところでございます。全体の面積が約二十五平方キロメートル、これに対して五十五年度までに約十九平方キロメートルの明確化作業を終わらせております。五十六年度の事業といたしまして残余の明確化作業を現在行っておるところでございまして、これを今年度内に、いわゆる一年次目の明確化調査を終了させたいということでいまやっておるところでございます。なお、五十六年度に実施しております区域については、二年次目の調査、いわゆる地籍調査に準ずる調査が来年度に持ち越されることになりますけれども、それによって、予定された計画面積の調査を終わるという予定で考えております。
  44. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 位置境界明確化作業の防衛施設庁の担当分の進捗状況でございます。  当初の位置境界不明確地域として当庁が担当しましたのが百十七平方キロメートルでございます。このうち、本年の二月までに地籍調査一切を終わりまして認証済みになりましたものが百十二平方キロメートル、面積割合にして九六%となっております。
  45. 國場幸昌

    國場委員 終わります。ありがとうございました。
  46. 吉田之久

    吉田委員長 伊藤茂君。
  47. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 復帰十年となりました。私も、十年前の復帰までの数年にわたりまして返還運動に参加をさせていただいて、十年前のことをいろいろと思い起こします。そうして、いままでの委員の皆さんの質問を聞いておりましても、十年たった今日、沖縄県民の皆さんがいまなお非常に多くの困難に直面しているということを聞くわけで、国政レベルの責任も国の責任も非常に大きいことを痛感をいたします。そういう気持ちで幾つか質問をさせていただきたいと思いますが、一つは、第二次振計の問題であります。  いままでの各委員の質疑の中にも出ておりましたが、それを伺っておりましても、過去十年間の総括、そうしてこれから十年間の展望——非常に厳しい中に県民の皆さんはいらっしゃるわけでありますから、非常に厳しいけれども県民の皆さんに責任を込めて新しい展望なり新しい希望を語れるようにしなければならない、これは担当官庁も含めて私ども全体の置かれている立場であろうと思うわけであります。ところが、県の方でごく中間的なものが昨年出されたのを読ませていただきましたが、国の方からも県の方からもそういう展望についてまだきちんと出されていない、そういう中で議論が行われている。いままでの議論を聞いても何か解せないわけでありまして、私も若干県の方々と知り合いですから思うわけですが、大変まじめで、沖縄県の発展のために一生懸命努力をされている県の職員の方々、その他もいろいろな方々がいらっしゃるわけであります。にもかかわらずできていないというわけでありまして、最大の原因はどうお考えでしょうか。
  48. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 お答えいたします。  なぜいまもって計画ができておらないかという趣旨のお尋ねでございますが、この計画の策定につきましては、私どもといたしましては現在の振興特別措置法の仕組みを踏襲することといたしまして、まず県におきましてその原案を作成する、その県の原案を国において受けまして、国の審議会にかけ、各省とも調整をし、これを内閣総理大臣において決定をする、こういう手順が現在の振興開発特別措置法の中に規定されてございますが、この仕組みを踏襲するということで現在考えておるわけでございます。  ただ、そうは申しましても、法案が通りましてからこの作業に入るということでございますと非常におくれてまいりますので、事実上の問題といたしまして、私どもにおきましても、また県におきましても、まず沖縄の経済社会の現状の分析等を行いまして、私どもの作業といたしましては、五十五年の夏までにその現状の分析等を行いまして、その中から今後の課題というものを明らかにいたしたわけでございます。県におきましても同時期にそのような作業を行っておるところでございます。  それから、その後私どもといたしましては、沖縄振興開発審議会の中に専門委員会を設けましてさらに詳細な検討を審議会として行ってまいりまして、その結果に基づきまして、昨年五月に、現行の特措法を延長いたしまして、沖縄につきましてはさらに第二次振興開発計画を策定すべきであるという意見具申をいただいたところでございます。また、その中におきまして、今後の振興開発上留意すべき事項という約十項目に上る留意点が審議会の方から指摘されてまいったわけでございます。それから、県におきましても同様の作業を進めておりまして、昨年の一月に県としての基本的な考え方をまとめまして、第二次振興開発計画の大綱、これは県の考え方でございますけれども、それを県の大綱として取りまとめたところでございます。  その後事務的な検討を進めてまいっておりまして、私ども承知しておるところでは、県におきましても昨年の暮れには素案の作成を終えたというふうに聞いておりますが、なおその中に、五十五年度国勢調査の結果あるいは来年度の予算編成等と絡みまして今後の沖縄に対する特別措置がどうなるかというような問題が大きくクローズアップされておりましたが、それらの結果と、それからもう一つは、沖縄県のいわゆる経済等に関する速報の結果の判明を待ちまして、本年に入ってからその速報値が公表されておりますが、それらの数値を用いまして現在再作業を行っておるというふうに聞いております。私どもとしても、現在手元にある限りの資料を使いまして種々具体的な検討作業を行っておるという状況にあるわけでございます。そういったことで、県としては大体三月中には県の知事部局の原案をまとめ、その後県の審議会に諮りまして、六月までには県原案を決定いたしたい、このようなスケジュールで作業を進めておる、このように承知をいたしております。
  49. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 沖縄県にも非常にまじめな、熱心な方々がたくさんいらっしゃるのに何でおくれたのだろう——常識からすれば、うちの神奈川な効かもそうですけれども、いろんな人の知恵をお借りしたり、また役所でも努力をして新神奈川計画とか、それから経済企画庁の毎年の新経済社会七カ年計画のフォローアップなどに伴い試算を入れかえたりしながら将来展望を出して、ローリングでありますけれども、やっております。非常にまじめないい方々がいらっしゃるのに何でこんなにおくれたのだろうという疑問を感じたものですから、実は若干の人にちょっと電話をして聞いてみたわけであります。こういう話が実はありました。この数日前の県会でも論議があったようでありますけれども、県としてはどうも国の意向とうまく組み合せた形でつくりたい、県が余り先行するみたいな形になるとお互いに困るのではないかみたいな気持ちだと思いますが、私、議事録を読んだわけではありませんから正確であるかどうかは別にいたしまして、なぜおくれているのかということについての知事の答弁などを聞いてみましたら、国との調整が不十分なのでなかなかつくり得ない、あるいはまた国と県が不一致では困るというふうな答弁をされているようであります。字面で言えばそんなことかなと思うかもしれませんけれども、しかし十年前以来、格差の是正それから自立的、自主的発展ということが強調されてきたわけでありまして、何かそういう言葉で言うと、自主的発展に国がどう協力をするのかということではなくて、何か中央の政府か官庁の方から中央統制的なあるいはまた県民本位というよりも与党の皆さん方のおっしゃっている中央直結路線というふうな気がしてならなかったわけでありますが、そういう意味で言いますと、県民の皆さんの要望を入れたものを早くつくりなさい、国の方は可能な範囲で極力それに対応するように協力をしますというふうに行政指導するのが当然なので、県の方から国の意向か何か聞かなければなかなかつくれないみたいな方向の発言が県会とかそういう公式の場であるというのはいかがかなというふうに思うわけでありますが、国の方の責任という立場を含めて、一体どういう経過なのか、あるいはそういう押しつけか何かをしてきたのか、どうなんですか。
  50. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、現行の振興開発特別措置法におきましても、県あるいは地元の意向を十分尊重して計画を決定していく、そういう基本的な考え方のもとに県に原案の提出権を認める。それから、国の審議会におきましても、現在の特別措置法が制定されました際の国会の方の御意向としまして、できるだけ地元の意見をくみ上げられるような機構とするようにというような御指摘もございまして、国の審議会におきます委員の構成につきましても、地元の知事、議長を初めといたしまして各界の代表を多数参加させておるということでございます。  なお、先ほど国の方から強烈な行政指導をやっているのではないかという御趣旨の御質問がございましたけれども、私どもといたしましては、できるだけ地元の意向を尊重して国の計画を決定していくという法律考え方、精神を十分踏まえてやっていきたいというふうに思っておるところでございまして、もちろん非常に事務的な問題、技術的な問題等について御相談を受けることもありますし、協議をすることもございますけれども、私どもといたしましては、法律の精神を十分に尊重して作業を進めていきたい、このように考えておるところでございます。
  51. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 おくれてまいったことは、いま目の前の現実でありますから、経過についてはそれでいいのかなということをずいぶん痛感いたしますが、ただ、私は県会の話などもちょっと聞いたことを御紹介しましたが、やはりもう長い長い期間にわたって沖縄県民の皆様が非常に厳しい中に置かれてきたわけですから、こういう中でどうするのかという場合に、中央コントロールかあるいは中央主導型ではなくて、やはり県民の要望、県民の各界の立場から——この間、各界の参考人の話を伺いましても、本当に私も勉強になりましたけれども、そういう方々の、地元の皆さん方がこれからの沖縄をどう希望のあるものにしていくのかという案をつくっていただく、それに一〇〇%国が対応できるかどうか、今日の財政事情や行政改革のシーズンでありますから問題があるでありましょう、精いっぱいそれに対応するというのが基本的なルールだろうと思いますから、何か特に、知事答弁のことを申し上げましたが、国のことを気にしてというふうな話になることはふさわしくないのではないか、今後とも御留意をお願いしたいと思います。  特別措置法と延長問題と、それから第二次振計の中身に入ります前に、ひとつ内国消費税、関税の関係特別措置の問題でありますが、これの方は五年間延長ということになっております。私も、税法から言えば、本則の仕組みからいって五年というのがめどというのが多いわけでありますから、そういう法的な仕組みの問題もわかるわけでありますけれども、特別の措置でありますから、特別措置法と合わせまして十年ということがあってできないわけはなかったんじゃないかなというふうに思うわけでありまして、この五年ということについて、いろんな措置をいままで十年間とってきたが、これから十年間の経過で考えると、まああと五年くらいでということなのか、それから五年で済ますというつもりはなくて、もっとやらなければならない現状だろうと思うけれども法律の仕組み上やむを得ず五年にした、したがって、五年の時点でそういう気持ちで対応していきたいということなのか。それから、事実上の税率の変更、これはいろいろと行われてきているし、その時点でも大蔵省関税局という立場からの意見もあるだろうと思いますが、その辺どういうふうに対応されるつもりですか。この五年ということに関連をしてお伺いをいたします。
  52. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 まず、沖縄振興開発特別措置法につきまして、これを十年延長することといたしましたのは、これは沖縄の経済社会の現状が非常に厳しいという状況を踏まえまして、やはり長期の総合的な計画を立てまして振興開発を推進していく必要がある、こういう考え方に基づきまして、また第一次の振興開発計画がこれも十年計画として策定されたという経緯を踏まえまして、これを十年延長することといたしたわけでございます。  しからば、復帰特別措置法につきまして、その各特別措置内容を五年延長することにしたのはどういうことであるかというお尋ねであろうかと思います。この復帰特別措置につきましては、この法律自体が、先生案内のように、沖縄が本土に復帰するに際しまして各面におきまして異なった制度がとられておりましたものをできるだけ円滑に本土の制度に移行しよう、こういう趣旨のもとにつくられた法律でございます。したがいまして、そういった法律の趣旨と、それから沖縄の厳しい現状、これらを勘案いたしまして、私どもとしては、なお今回御提案を申し上げております九項目についてはこれを延長する必要があるというふうに判断をいたしたわけでございますが、この復帰特別措置につきましては、復帰当時おおむね五年間とされておりまして、それが五十二年に五年間延長された。今回それをまた再度延長をするというような従前の経緯もございます。復帰特別措置法の趣旨とするところと、それから従前の経緯、そういったものにかんがみまして、これを今回五年間延長することといたしたものでございます。
  53. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 私が質問しましたのは、前と同じように五年である、それはわかります、そういう仕組みがあるということはね。大体見通しとしてまあまあ五年で、この辺でこういう措置も終わりであろうということなのか、その時点でもう一遍考えるのか、法律上の仕組みが五年だから、やむを得ず継続しなくちゃならぬと思うけれども、税率その他の問題は別にして、一応五年という気持ちなのか、そのどれかということを伺ったのです。
  54. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 復帰特別措置を五年延長することといたしましたのは、まあそれぞれの個別の条項についてまた個別の事情もございますが、総じて申し上げますと、沖縄の経済社会の現状がきわめて厳しい、そういうことの中にあって、産業面におきましてもあるいは県民の生活面におきましても、急激な変化を避けていこうという考え方に基づいておるものでございます。  私どもといたしまして五年たったときにどうするかというお尋ねでございますけれども、ただいま提案しておる立場といたしまして、この五年内には沖縄の経済社会が相当変わっていくものと、他方では、振興開発特別措置法を延長いたしまして振興開発を強力に推進していくという考え方を持っております。そういったことの中で、経済社会の状況が好転いたしまして、これらの復帰特別措置も必要がなくなるという状況を私どもとしては期待をいたしておるわけでございます。したがいまして、御質問に対するお答えといたしましては、これを五年後において再度延長する考え方は持っておらないというお答えになろうかと思います。
  55. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 局長の期待はわかりますよ、期待の気持ちは。また、そういうふうにしたいと思われているでしょう。しかし、私はこの十年間を振り返ってみても、これから十年間を考えてみても、率直に言って数々の困難とイバラの道を歩まなければならない県民の状態ではないだろうかという気がしてなりません。それは十年間の総括、いま現実どうなっているのかということを見ても、格差の問題を見ても広がっている傾向、さらにはまた自主的発展、経済発展のことについても、第一次振計からすればさまざまの積み残しが、大きな問題が残されているというわけであります。  そういう面からいたしますと、正直言って、五年後の時点で、そのときの状況でさらに考えなければならぬというのが正直な気持ちであるべきじゃないでしょうか。まあまあ、もう五年で合計十何年したんだからということをいまの時点で言うというのはちょっと行き過ぎじゃないでしょうか。
  56. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 繰り返してのお答えになろうかと思うのでございますが、復帰特別措置法の期待しておりますところは、できるだけ早期に、かつ円滑に本土の制度に移行をするということであろうかと思います。そういったことの中で、沖縄の経済社会の状況等にかんがみまして、五十二年に延期をし、今回再度これを延期することといたしておるわけでございます。私どもといたしましては、この五年内にそういった特別の措置を講ずる必要がなくなるという状況を期待しておるわけでございまして、この五年の延長措置につきましては、六十二年におきましてこれが廃止されるということを期待をいたしておるわけでございます。
  57. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 局長、その期待よりも大事なのは現実ですから、現実にベースを置いて今後とも御判断をしていただくようにお願いしたいと思います。また、現実に対応をどうするのかということについては、当委員会を含め国政レベルでの大きな責任のことではあると思いますから、何らかの形で、この審議の結果、そういうことが表明されるように希望しておきたいと思います。  それで、中身の問題ですが、法律の延長、それからそれに伴って三月、六月という話がございましたけれども、第二次振計、それに対して国の方がどう対応するのか、そのフレームのことについて一、二お伺いしたいのですが、いままで十年間に国の負担あるいは投資として一兆二千五十億と伺っております。また一般行政費と合わせますと一兆三千三百億円余りになるということのようであります。これは先のことですから長期の試算というのは非常にむずかしいと思いますが、ただ計画でありますから、少なくともたとえば三年間ぐらいは見通しながら仕事をしなければならぬ、五年後ぐらいに向かっては一つのめどをつけなければならぬ。それから先になると一つの期待になるでありましょう。しかし、そういう意味での先の見通しは、毎年ローリングシステムで検討しながら展望を立てて仕事をしていくというのは当然のことでありまして、私のところの神奈川なんかでも、都留さんを初めりっぱな人々の御協力をいただいて、政府のデータである新経済社会七カ年計画の毎年のフォローアップその他のことをベースにしながら試算をしたり、毎年改定をしたりしながら展望を立てていくというふうに実はやっているし、ほとんどの県でそういうことはやられているというふうなことだろうと思います。今後十年間、第二次振計、その中身をどうつくるのか、数々のやらなければならない課題、テーマ、それについての目標、その現実的なプロセスあるいは年次別の活動とか計画とかいうふうなものになっていくだろうと私は思います。ただそのベースか中身の中心になるのは、一つの試算に基づいた総枠の見通しということが念頭にないと、これは魂の入らない何とかみたいなことに実はなってくるだろうというふうに思うわけであります。そういう意味で、たとえばこの数年、これから五年、それから第二次振計が、六月の県案が完成をすれば、同時に国の対応も試算をつくられるということだろうと思いますが、いままでの十年間のさまざまな指数と比較して対応しながら、完全な今後十年間の投資プランとか財政収支計画はというところまではいかないと思いますが、大枠それらについての計画は私はないわけではないと思いますが、その辺はどうお考えですか。
  58. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 特措法に基づきます振興開発計画は、先生案内のとおりいわゆる総合計画、マスタープランとして性格づけられているわけでございます。そういうことで、いわゆる各年次別の事業の計画あるいは事業ごとの計画等々につきましては他の施設整備計画等々に含まれて考え、また年次ごとの予算につきましては、毎年度の予算におきましてこれを策定していくというシステムになっておるわけでございます。したがいまして、そういった意味での公式の試算、公式の計算といいますか、積算というものはやっておらないというのが実情でございます。  ただいわゆるフレームワークの中でそういった要素を当然に考慮に入れて考えるべきであろうということは御指摘のとおりであろうと思います。試算といたしましては、種々の値を入れまして、また他の経済社会七カ年計画その他の計画等も種々勘案しながら、種々の数字を用いて試算をやっておるというふうに聞いておりますが、いわゆる試算という段階でございまして、まだそれによって総額がどうなるというような形のものではないというふうに承知をいたしております。
  59. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 沖縄の今後に責任を持たれるお役所の皆さんとしては、当然そういうことについて内外に公表するかどうかという問題もあるでありましょうし、そういうものの計画のベースになるものの試算の仕方にもいろいろな仮定を置かなければならぬということもあるでありましょう。しかし、一年ごとに来年度予算はどうするかしらといってやりながらやるんじゃ、どうしようもないだろうと思います。それから、政府の経済計画にしても当初二百四十兆を百五十兆に変えたとか、新経済社会七カ年計画がございますけれども、こういうのがあるのはあたりまえでありまして、そういうものをやりながら沖縄の長期の展望を考える。一次振計のさまざまの問題点もこうやって克服をする、このためにはこれだけの投資が必要である、できるかできないかということは次の問題になりますが、そういうことをやるのでしょうか、やらないのですか。
  60. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘のようなフレームワーク、これは事実上の問題としては県においても作業をやっておりますし、私どもも私どもなりに可能な範囲での試算等を行っておるところでございます。ただ、それがいわゆる振興開発計画の表に出てくるという形のものではございませんで、むしろその中では基本的な事項、現行の計画では人口とかあるいは産業構造とか県民所得とかいう重要な基本的な項目につきまして一つの目標値を描いておりますけれども、ただいま先生が御指摘になりましたような数字につきましては、これらの計画をつくるためのいわゆる土台となるものとして各種の試算を行っておる、あるいは今後も行おうとしておるということでございます。
  61. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 政務次官もお聞きになっておるようですが、私は何でこんなに遠慮深いのか、何でこんなに消極的なのかという気がしてなりません。道路にしろ住宅にしろ何にしろ、政府には十何本ぐらいの五カ年計画がございますね。それぞれこんなに金を使ってはかなわぬと言われながら意欲的に計画をつくっておるというのが現実でしょう。そういう中で、どういうふうに国全体の財政再建その他のプランをつくったらいいのか、大蔵省が年じゅう頭を悩ましているということになるわけですね。それぞれ担当のセクションとしてはあたりまえだろうと思うのです。しかも、冒頭に申し上げましたように、また地元議員の皆さんの御質問もございましたけれども沖縄県民の置かれてきた歴史的な経過、しかもなおかつ困難な現実、これからもうららかな道ではなくてたくさんのイバラの道がある、いい意味で同情と共鳴を禁じ得ないわけでございますけれども、そういう意味からいったら、さまざまの五カ年計画以上に意欲的なものをつくって、またそれに対する投資額その他も頑強に要求してそれで努力していく、それからみんなで努力しようと言ってそういう県民の声も巻き起こしていく、それから、沖縄の経済界その他も含めてみんなで努力してもらうということが必要なのはあたりまえというふうに実は思うわけでありまして、何かえらくしり込みし過ぎている。なぜだろうか、どうしても私はわからぬ。それからそういう意味からいいましたら、過去十年間の一兆二千億余りの国の負担があります。国からの投資があります。恐らくこれから先考えればもっと大きくなることは物価その他から考えてもあたりまえのことであります。十年先まで総枠を出せないにしろ、これから五年問ぐらいにわたって過去よりも相当上回る計画があり、政府部内で調整が行われるというのが筋だと思います。その辺の概括は一体どう考えておるのですか。
  62. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 先ほどお答え申し上げましたとおり、沖縄振興開発計画はいわゆる事業計画としてではなくて総合的なマスタープランとして策定されるという性格のものでございます。個別の事業実施計画でございますと、個別の事業を積み上げましてそれで計画期間内の事業総量といったものが計算されますけれども、この沖縄振興開発計画におきましては、そういった作業を計画の中に盛り込むことはいたしておらないわけでございます。先ほども申し上げましたように、その年度のそれぞれの予算額、事業量は各年度におきましてこれを確保していく、そのための基本的な方向、進むべき方向と、それからそのための基本的な施策を計画の中で明らかにしていくという性格のものでございまして、先生指摘のように、一定年間の事業総量をあらかじめ計算する、あるいは確定するというような性格のものとは若干異なっておるということでございます。
  63. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 沖縄県民の皆様に、厳しいけれども努力をすればこういう展望がある、こういうことを柱にしてみんなで努力をしてやっていこうということを示すのが、現実今日時点での、国も含めた、県もそうですが、責任ではないだろうか。そういう意味でいきますと、言葉は悪いかもしれませんが、何か幽霊を追っかけているような気がしてならないわけでありまして、まあ現実は現実でありますから、私はぜひそういう方向への努力をお願いしたいと思います。  また、そういう努力がなくて、抽象的な柱と方向づけのお経みたいなことだけがあるということでは、文章を言いますと、沖縄の発展のために平和で豊かな沖縄をどうつくるのかという言葉も書いてありますけれども、その方向にならないのではないかというふうに実は思うわけでありまして、そういう方向への努力を懸命にやらなければならないと思うわけでありますが、大臣はいらっしゃいませんが、副大臣、政務次官はいかがでございますか。
  64. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 お答えいたします。  もちろん沖縄振興開発、これは復帰に至りますまでの沖縄の非常に過酷な歴史、そういったものを踏まえまして、現在の振興開発特別措置法等が規定されておるわけでございます。十年たちましたが、私ども鋭意振興開発計画を実施してまいりましたけれども、なお非常に厳しいという状況がございます。そういった復帰のときの趣旨、精神を盛り込みました振興開発特別措置法を、おおむねその仕組みのままでこれを十年間延長しようという考え方も、復帰のときの考え方を現在変える必要はないというところがベースとしてあるわけでございまして、私どもといたしましては、そういったことを十分踏まえまして、沖縄振興開発に積極的に取り組んでまいりたい、こういう考え方でおるわけでございます。計画につきましても、そういった基本的な考え方、精神を踏まえまして、これの策定に取り組んでまいりたい、このように考えております。
  65. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 自治省もお見えになっておりますから、自治省開発庁とまたがりますが、具体的なことを三つ、一緒になって恐縮ですが、お伺いします。  五十七年度の県予算、概括を実は聞いてみたわけでありますけれども、ことしは県債の発行比率が二五%ほど非常に急激に高まったという話を聞いております。これはまだ一けたですから、国と比較をしたらまだいいという考えはあるかもしれませんけれども、国のような県はどこにもないわけでありまして、もしこういうことが慢性化するとすれば、ただでさえも財政力、経済力の弱い沖縄で、起債能力あるいは将来の負担の積み残しというふうな問題も起きるのではないだろうかと実は懸念をするわけでありますが、その問題と交付税収入算定基準問題も含めましていろいろ関係をしてくると思います。特に経済基盤、財政基盤が弱い沖縄でありますから、こういうことが慢性化をしましたら、国がいま苦しんでいるのと同じようになったら大変だという心配をするわけであります。その点が一つ。  それから、いままでの一次振計の経過をいろいろ聞いてみますと、特別措置法によって高率の補助がなされてきた。ところが、各省持ち寄って計画をして配分された事業高率補助がつくというふうなことになるので、使った金額の総額とそれから事業の総量ですね、事業量と金額との間には非常にギャップが出る。事業量の方から見ると、他の府県に比べて、むしろ水準は高いというよりも低いのではないだろうかというようなことが言われているわけであります。そうなりますと、お金はよけいかかるけれども、また特別の格差是正の措置をとらなければならぬけれども事業総量は各県を下回るということではどうにもならぬ、抜本的に考えなければならないのじゃないだろうかと思うわけでありますが、その点をこれから先どうお考えになりますか。  それから、これは文部省に関係するのかもしれませんけれども開発庁の方に伺いたいのですが、さまざまの社会資本を強化をする、公共設備を強化をする、そして格差をなくしていくと言われているわけでありまして、それぞれ強調されているわけでありますが、小中学校、公民館とか文化施設、たとえば小中学校を見ましても、用地の方はまあ原則、御承知のとおりに地元負担であります。私どもも政令都市、指定都市の関係などでさまざまな要望をしたり毎年やっておりますけれども、人口急増地域の際の学校の増築の五分の一補助、用地取得についての五分の一補助とか。何かいままで聞きますと、学校の用地取得については全国全然そんな特別の対応はないから、地元負担だから沖縄も同じだというふうな話もあったそうでありますが、私ども首都圏の中で、そういう点について特別の手当てはいろいろ要望し、また増額も要求しているというふうなわけでありまして、今日の沖縄県のあるいは各自治体の財政能力、それから土地の値段が急激に上がっていく、これもどなたかの話題にございましたが、それらを考えると、いまある人口急増地帯、大都市圏についての対応と同じようなことが沖縄でもあり得ることであるし、また考えなければならないことではないだろうかというわけであります。ほかに質問したいこともあるので、済みませんが簡単に、短時間でお答えください。
  66. 木村仁

    ○木村説明員 御指摘のように、沖縄財政の力というのは大変弱いわけでございます。五十五年度の決算で申しますと、財政力指数が〇・二二一、全国が〇・四四八でございますから、およそ半分の基礎的な力しかないということでございます。建設的な事業は、全体としては、各都道府県よりも高い比率で行っているわけでございますが、財政の構造の弾力性を示します経常収支比率で見ますと八四・二%、全国よりも五%ぐらい高くなっております。そういう計数は、たとえば人件費が一〇%ほど高いというようなこともありまして、大変厳しい状況でございます。従来は地方債につきましては全国よりもその発行額は大変低うございまして、したがってその償還費、つまり公債費も低いわけでございます。これが将来もしどんどんふえていくということになりますと、経常収支比率はさらに高くなってまいりまして、財政の運営はますます厳しくなっていくのではないか、こういうふうに考えられるわけでございます。したがいまして、長期的にはやはり基礎的な財政力を養います地域の経済力の涵養ということが必要でございますし、また、県独自にも経常経費の縮減等の自己努力も必要であろうと考えられますが、将来にわたって、立ちおくれております行政水準を高めていくために積極的な建設事業を中心とする行政を展開いたしますためには、国庫補助率のかさ上げ等を中心としてさらに積極的な財政措置が講ぜられていく必要があるというふうに考えているわけでございます。     〔委員長退席、川田委員長代理着席〕
  67. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 お答えいたします。  高率補助によって国費額の配分は多いがこれを事業量ベースに直せばそうではないのではないか、こういう御指摘でございます。確かに沖縄の場合は補助負担率の特例によりまして人口比、面積比いずれをとりましても非常に高いシェアの配分を受けておるわけでございます。ちなみに申し上げますれば、五十七年度の公共事業の予算額に占めます沖縄のシェアは二・八%でございます。それを事業量に直ちに直して見るという資料がございませんが、自治省の方でまとめられた過去の資料がございまして、全国の県別の行政投資の実績を四十七年から五十四年度までの累計で示されたものがございます。私どもこれを参照してみたわけでございますが、類似県に比べまして、やはり面積ということにおいては圧倒的に多うございます。人口比ということにおきますと大体二割から三割程度沖縄の方が多い、こういうような実績にとどまっております。先生指摘のような傾向が、やはり事業量ベースで見ますると出てまいるわけでございます。  それからもう一つ、学校の用地についてお尋ねがございました。確かに先生指摘のとおり、人口急増市町村の場合以外にないのでございますが、沖縄の場合は四十九年度から、沖縄だけの特例といたしまして、復帰前のそういう人口急増の事態というものを参酌した特例がございます。
  68. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 事業量関係のことも認識を伺いましたが、それの認識も含めて効果のある二次振計をどうつくっていくのか、ぜひ前向きの努力をお願いしておきたいと思いますし、また、小中学校の学校用地などについてもさらに格段の努力をお願いしたいと思います。  次に、外務省と施設庁関係すると思いますが、お伺いしたいのですが、基地被害の問題であります。この間沖縄の先月の末の新聞を読んでおりましたら、嘉手納基地の周辺で、基地騒音で地域住民が賠償要求の問題、それから夜間の飛行禁止などを求めて提訴をした、訴訟を起こしたというニュースがございました。私はそれに関連して実は思うわけでありますが、たとえば神奈川県の厚木飛行場などの問題については、外務省御承知のとおりに、厚木飛行場周辺の航空機の騒音軽減措置に対する日米間の協定がございます。たとえば二十二時から六時までの問はすべての飛行活動を原則として禁止をするとか、あるいはアフターバーナーの使用の禁止とか、日曜日の飛行訓練は最小限にとどめるとか、さらには、低空飛行を行ってはならないとか、ジェットエンジンの試運転時間の制限の問題、これも十八時から八時ということが書いてございます。必ずしも守られているわけではありませんし、ときどき目に余る協定違反の行動があるわけでありまして、その点はその点でありますけれども、こういうものがあって、しかもお互いに飛行回数、使用状況などを調査をいたしまして統計を提供し合うというふうな協定があるわけでありまして、これは昭和三十八年に日米合同委員会の中につくられた騒音対策特別分科委員会、日本政府代表、アメリカ合衆国政府代表という中で決められているわけであります。私は、こういう嘉手納周辺の皆さんの切実な要求としての提訴を起こされたということの中で大変疑問に思うわけでありますが、嘉手納飛行場周辺の場合は、こういう厚木の場合のような日米協定というものはあるのでしょうか。ないならばどうつくるつもりなんでしょうか。
  69. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 お答えします。  米軍基地における航空機騒音の規制といいますか、なるべく周辺住民の方に迷惑をかけないように、米軍の運用目的に合致する範囲内において規制するということでわれわれかねてから米軍等と交渉をやっております。先生指摘のように、厚木基地、横田基地におきましては、三十年代後半に騒音分科委員会等の合意という形でもってそういった規制内容を決めた時代もございますが、その後私どもとしましては、各般の飛行場につきまして米側の自主規制というのを求め、米側から自主規制ということでわが方に申し送ってもらっているわけです。それ以後につきましては、厚木、横田両基地の合意事項、もちろんそれぞれの飛行場の運用の特性によりまして違うわけでございますが、厚木、横田飛行場とほぼ同様の条件の規制というものを行ってもらっております。  嘉手納基地についてのお尋ねでございましたので嘉手納基地について申し上げますと、航空機騒音対策分科委員会の米側議長からの日本側に対する書簡としまして、日曜の訓練飛行はしない、抑えるということでございます。それから、通常の場合は午後十時から午前六時の間は飛行しない、これは厚木と全く同じ条件でございます。それから、場周経路につきましては人口密集地帯を避けるように設定している、エンジンテストは緊急やむを得ない場合を除き午後十時から午前六時の間は行わない、こういった内容で規制しておりますので、私どもとしましては、こういった米側の自主規制というものを米側自身も守っていくように、また、私どもも事あるごとに周辺の騒音被害に対して米側としての注意を喚起しておりますし、今後もその方針でまいりたいと思っております。
  70. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 米側からの書簡があるというお話でありますが、それは資料として御提出をお願いしたいと思いますが、いかがですか。厚木その他については広く私どもも見ておりますから、当然のことだろうと思いますが、それが一つ。  それから、いろいろ話し合った結果でしょうけれども、米側から自主規制の書簡ということでなっておるようですが、厚木の飛行場のように、日本政府代表、アメリカ合衆国政府代表、きちんと意思統一をして、協定書として、私も手元に持っておりますが、みんな持っておりますように、出されている。なぜそうならないのでしょうか。  それから、アメリカ側の方は、ミリタリーのことですからなるべく自由にやりたいだろうと思います。厚木のようにきちんとしたものを県民要望に基づいていまの段階でできない。だとすれば、これから当然つくるべきだろうと思います。いままでまたおくれてこういうものをつくってこなかったのは、厚木よりも嘉手納の方が飛行機の飛ぶ回数がぐっと少ないとか、被害もはるかに少ないとか、そういう御判断があったのでしょうか。
  71. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 米側からの書簡を資料としてというお話でございますが、何分米側からの文書でございますので、私どもとしては、その内容につきましては常に地元の方にも御説明申し上げておりますし、こうしたところでも御答弁しておりますので、そういったものは提出については差し控えさせていただきたいと思っております。  それから、騒音分科委員会での合意という形をとらずにこういった自主規制という形をとったということでございますが、日米間のこういった航空機騒音の調整におきまして、米側として飛行場運用のたてまえから自主的にこういった制限をする、その内容につきましてわが方としましても一応満足し得る状況にあるという判断で、できるならば自主規制という形で個々の飛行場をやっていきたいと思っております。
  72. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 いまの答弁を聞きましたが、冗談じゃないですよ。日本は主権国家でしょう。日本の国民の地位と国の安全を守る。外交、防衛上の政策の差はいろいろあっても、日本は主権国家でアメリカの属国ではないはずですよ。しかも、口頭では説明できるが、文書は出せません——何ですか、それは。私は、防衛施設庁も含めて、主権国家としての誇りを持って、もっと米側には言うべき点はきちんと言うという行動をとってもらわなければ、これは国民の信頼はとても得られないということだと思います。  それから、厚木の飛行場も飛行回数が多くなっておりますが、厚木よりも嘉手納の方がはるかに巨大であり、飛行回数も多く、事故も多くて、騒音被害も多い。そんなことは明々白々な事実ですよ。ですから厚木でこの程度ある、数々の違反行為もある。私も飛行コースの下にいて年じゅう痛感しております。それ以上の強力な基地を、県民の平和と安全を守るためにどうするのか。  この間沖縄の新聞を読んでおりましたら、とにかく米軍が演習をして、小学校の校庭の上にもヘリコプターに兵隊さんがぶら下がって飛んでいるとか、いろいろな問題が起きている。学校の先生方もこういう状態についていい教育ができるかできないか、真剣ないろいろな現地調査もしているという切実な状態です。それにもかかわらず厚木にはあって嘉手納にはない、こんな状況は私はまことにおかしいと思います。ぜひこれはきちんとした対応をとってもらいたいと思うわけでありますが、時間がありませんがもう一つ質問がありますから、一言だけ言ってください。このままでいいと思っているのですか、さらにやるつもりですか。
  73. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 日米合同委員会ないしはその各般の分科会等を行いまして日米間の交渉というのは絶えず進められておりますので、いま先生おっしゃいました形、私どもももちろん日米対等の姿勢で常に臨むつもりでおります。
  74. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 大事な問題ですから、責任ある人とまた機会を見て論争をいたしましょう。  それから、もう一つ最後に、時間がございませんので、沖縄と私の地元の横浜と関連をしたことを実はお伺いしたいわけであります。  この間いろいろ勉強しておりましたら、沖縄の第三海兵隊、この問題についてアメリカ側の発表したものが載っておりました。それを見ますと、今月の初めのことでありますけれども米軍が明らかにしたところでは、ことし十月から始まる八三会計年度から八九会計年度までの七年間に海兵隊の装備、火力を飛躍的に強化をする、そうしてさまざまの装備につきましても、りゅう弾砲をどうするとか、あるいはまたそのほかの大砲をどうするとかいろいろ書いてございますけれども、最新型のに切りかえる、そして数倍に戦力が強化するであろう、そして、その対応のトップとして沖縄常駐部隊が選ばれている、なぜ沖縄常駐部隊がその中心に置かれたのか、それは沖縄常駐部隊の海兵隊が海外で唯一のアメリカ海軍緊急出撃部隊であるからだと説明をされている。またその報道によりますと、いつも問題となっている県道百四号の閉鎖の問題などを含めまして、今後砲撃訓練の激化は必至であろう、さまざまの訓練がますます激しくなるであろうということが報道されております。私も、こういう装備の強化改善、大幅な改善があればそういうことがふえてくるのではないだろうか、軍事上の常識からすればそう思わざるを得ないわけであります。  そういたしますと、沖縄でいま起こっているさまざまの問題、山が裸になって水資源が破壊されるとか、私も新聞でそのカラーの写真を見ましたけれども、本当にひどいものですね。国破れて山河ありということがあるけれども、演習でもふるさとがなくなってしまう。そういう状態です。沖縄でもそうでしょうし、施設庁にいろいろな場所で再三私も要望いたしておりますように、国際ポートであるわが横浜にその海兵隊が突如として何遍か上陸をしてくるという状態にあるわけであります。長年の間使ってなかったところに突如上陸をしてくる。そして富士に行って演習をする。沖縄と富士の演習場と横浜と実はつながった形になっているというわけでありまして、しかも神戸のポートピアの博覧会じゃありませんけれども、私どもも大規模な国際ポートとして、日本ナンバーワンの国際ポートとして恥ずかしくないようなきれいなものをつくりたいということで、これは今日から二十一世紀にまたがる大事業としての計画を地元の各界の希望の方向としてやっている。その鼻っ先にそれがあって、米軍がときどきやってくる。迷彩服を着て大砲を引っ張ってやってくる。このアメリカの沖縄駐留米海兵隊がこの十月から火力戦力を飛躍的に強化をする、しかもこれから数年にわたってというわけでありまして、私はこれを見まして実は非常に心配なわけであります。沖縄県民にとっても心配です。平和なわれわれの町のところに、十年間も使ってないのに突如やってきて、町の中を大砲を引っ張って迷彩服を着てやってくる、その回数がますますふえる、そんなことになるのではないだろうかというふうに思うわけでありまして、私はこんなことはあってはならぬと思いますし、こんなことはアメリカの本国で演習すればいいんです。砲撃訓練の激化、それからわが横浜を通って富士まで行く、こういう演習がますます激しくなる、こんなことはあってはならぬと私は思いますし、それらについての対応措置、そしてまた、どうも施設庁はノースピアの返還問題も一遍も毅然としてアメリカの方に言っていないようであります。しかも新しいこんな問題が起きておるわけですから、この際、私はちゃんとした措置を、行動をとるべきではないかと思いますが、時間が切れましたので、最後質問としてそれをお伺いしたい。
  75. 加藤良三

    ○加藤説明員 お答え申し上げます。  私どもも八三年度の米国防報告、それから米国の軍事体制報告といったものを読んでみました。確かに今後海兵隊を含めて米軍の戦闘即応能力、それから部隊の機動力、継戦能力等を強化する計画というものがそこで明らかにされておるわけでございます。具体的には、八三年度においてたとえば海兵隊の人間を二千五百人ぐらいふやしますとか、あるいは火力の増強を図るとかいったような計画が盛られておりますことは私ども承知しております。ただ、このような計画が沖縄等における海兵隊の戦力を具体的にどういう形で強化する結果になるのか、その辺のところはまだ定かではないというふうに承知しております。  いずれにいたしましても、安保条約上の目的達成に必要と認められる施設、区域につきましては、私どもとしては引き続きわが方の条約上の義務を果たしていくということを申し上げざるを得ない。その必要があると考えておるわけでございます。この関連で、米軍が安保条約の目的達成のために各種の訓練を行うということの必要性は理解し得るところであると私ども考えるわけでございますけれども、このような訓練を今後実施していくに当たりましては、県民の皆様、関係住民の皆様、民生への影響を最小限にとどめるということが必要でございますので、私どもといたしましては、米側との不断の接触ということを通じて努力を図っていきたいと考えております。
  76. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 施設庁、そのノースドックの返還を要求してくださいよ。
  77. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 私どもとしましては、日米安保条約に基づく必要な基地というのを提供しております。  それから横浜ノースドックにつきましても、現在米軍として有効に使用しておりますので、返還というものの見込みは現在のところないのではなかろうかと考えております。
  78. 伊藤茂

    伊藤(茂)委員 時間ですから、終わらしていただきます。
  79. 川田正則

    ○川田委員長代理 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。     午後零時三十分休憩      ————◇—————     午後一時三十三分開議
  80. 吉田之久

    吉田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。上原康助君。
  81. 上原康助

    ○上原委員 この間、二月二十四日でしたか、開発庁あるいは関係省庁にいろいろお尋ねをしたのですが、審議も大詰めを迎えてきておりますが、改めて十分お尋ねできなかった点、また若干聞き落としたことなどを、まず振興法の面から触れてまいりたいと思います。  この振興法が十年延長になろうとしているわけですが、もちろんこれは第二次振計と不可分の関係にございますし、せんだっても指摘をいたしましたように、できれば第二次振計の素案なり方向内容というものが大綱だけでも明らかにされておれば、より問題点を浮き彫りにして法案審議というものができたであろうと考えるのですが、残念ながらそういう状況下にはありません。しかし、いずれにいたしましても、この振興法が延長された場合に、これまでの復帰十年のように名存実亡的法律にさせてはいかないと私たちは思うのですね。今後の沖縄振興開発あるいは県民生活をどうするかという重要な法案であり、これに基づいて第二次振計というものが策定をされることになるわけですから、そういう意味で改めてお尋ねをしたいのですが、この振興法で盛られておる各条章の実際的運用、適用というものを、これまでの十年の反省を含めてどのように生かそうとするのか。抽象論ではなく、もう少し具体的に明らかにしていただかねばならないと思うのです。  たとえば、よく言われてまいりました第六章の職業の安定のための特例、あるいは第四章の自由貿易地域、第三章の産業振興のための特例、ここいらは振興法と沖縄振計の重要な目玉というか柱であったにもかかわらず、さっき申し上げましたように、ほとんど名存実亡の形になってきている。だから、われわれが懸念するのは、法律は延びたけれどもまた同じようなことを向こう十年なり繰り返してはいかない、そういうことに対する開発庁なり関係者の確たる御見解がないといかないと思います。  そういう意味で、本来ならばこれだけ重要な法案を審議しているわけですから、担当大臣なり関係大臣がいなくてやるというのも、われわれとしてもいささか合点がいかない点なんですが、御案内のような事情でありますので、政府委員の見解を聞いておきたいわけですが、そこらのことについては、この振興法が延長されて、二次振計の段階ではどのように位置づけ、どう活用していくのか、それをもう少し明確にしていただかないと、ただ従来のパターンなり延長線上で物事を判断してはならないと思いますので、改めてひとつ、抽象論ではなくして、どういうふうに実効あらしめるのか、いま私が挙げたことばかりではございませんが、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  82. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 お答えいたします。  現行の振興開発計画におきましては、本土との格差是正ということと自立的発展のための基礎条件整備ということを二つの柱に置いて振興開発計画を推進してきたわけでございます。これは計画の上では並行した二本の柱という形で掲げられておりますけれども沖縄の経済社会の実態等からいたしまして、これまでの十年間は、どちらかといいますと格差の是正という方にウエートがかかっておったか、このように考えております。ただ、沖縄の経済社会の現状を考えますと、今後産業振興を強力に推進していかなければならぬという大きな課題を持っておるわけでございまして、そういった意味におきましては、産業振興のための基盤の整備、自立的発展のための基盤の整備に力を注いでいかなければならぬものというふうに考えておるわけでございます。  先ほど特に例示されまして御質問のございました産業振興策あるいは自由貿易地域制度、これらにつきましては、他の地域立法等に比較いたしましても手厚い優遇措置を講じておりますし、自由貿易地域制度につきましては、ほかの地域立法に例を見ない措置でございますけれども先生指摘のように、これらが必ずしも十分に活用されたとは言い得ない状況にあるわけでございます。  先ほど申し上げましたとおり、今後の沖縄の自立的発展を図るためには産業振興、特に産業間連鎖の核となる製造業の振興がきわめて重大なものだと考えておりまして、私どもといたしましては、そのための水、電気を初めといたします道路港湾等の産業基盤の整備を強力に推進していかなければならぬ、また、これらの産業振興に当たりましては、やはりその主体となりますのは各民間の企業等となるわけでございますので、いわゆる政策的金融機関として設けられております沖縄振興開発金融公庫からの低利の融資等と相まちまして、御指摘のありました工業開発地区制度あるいは中小企業の業種別の振興制度あるいは自由貿易地域制度等々に含まれます優遇措置をも活用いたしまして今後の沖縄産業振興を図っていきたい、このように考えておるところであります。
  83. 上原康助

    ○上原委員 依然として私がお尋ねしている、聞きたいことに十分に答えておられないわけですが、せんだって三月二日の参考人の意見陳述を見ましても、要するにこれまでのような振興計画ではいかない、またいま私が三つ引用いたしましたが、それが生かされなかったということは異口同音にして六名の方々指摘をした点なんですね。産業構造の改善をどうするのか、経済体質をどうするのか、水さえも十分飲めない、水資源開発、エネルギー、電力含めて、雇用失業対策、人口フレームが向こう十年ではおおよそ百五十万前後になるであろうことは間違いない。そうしますと、さらに十万人以上の雇用創出というものを想定しなければいかないということは素人でもわかるとこの間指摘したわけでしょう。だからそういうことに対して、もちろんこれは不確実性の面がありますからそう的確なことは言えないかもしれませんが、大どころはこういう政策を立て、振興計画を立ててこの法律はこういうふうに生かしていくということでないといかぬと思うのですね。それがないんだ。  それでは改めてお尋ねしたいわけですが、人口が伸びるということはせんだっての総務局長の話にもありました。特に雇用失業問題では、皆さんいままでは広域職業訓練、僕はあえてきょうは労働省を呼びませんでしたが、労働省呼んだって失業対策しか考えていないのですよ。しかし本当に沖縄の雇用問題を解決しようというのであれば、やはり産業構造の改善というものをやらないといかないのです、いまおっしゃったように生産部門を。そういう面で重ねてお尋ねしておきたいのですが、第六章なり四章なり三章というものをこれまでの十年のように、言葉は悪いかもしらぬが、名存実亡のような存在にはしない、十分第二次振計の中でこの条章が生かされるような形で振計を立てて実効あらしめる、それは間違いないですね。改めて聞いておきたいと思うのです。
  84. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 これらの各制度が必ずしも十分に活用されなかったという理由につきましては、前回の御質問の際に御答弁申し上げましたので繰り返すことを避けたいと思いますが、当時の状況に比べまして産業基盤の整備等々もかなりに進展をいたしております。また、それぞれの中小企業あるいは県内の各製造業等の実態におきましても、十年前の状況とはかなりに体質改善もされ合理化も進められてきておる、あるいは合理化への意欲を持ってきておるというように私ども判断をいたしております。したがいまして、これらの諸制度を活用する条件というものが徐々に整いつつあるというふうに私ども考えておるわけでございます。  先ほども御答弁申し上げましたように、さらにそういった基盤の整備も強力に図っていきたいというふうに私ども考えておりますし、また公庫を通じての融資その他誘導策を講じまして、二次振計の期間におきまして、これらの制度が名存実亡ではなくて文字どおり実効をあらわすように努めてまいりたい、このように考えております。
  85. 上原康助

    ○上原委員 お言葉を返すわけじゃないのですがね、別に全くそういった基礎条件整備がなされなかったということで申し上げているわけじゃない。少なくとも、自由貿易地域の問題にしても雇用、職業安定の面にしても、あるいは産業振興にしても、期待どおりどころかこの条章が生かされなかったことは間違いないので、それをまた同じようなことをやっちゃいかぬということを指摘をしているわけで、その基本は十分踏まえて二次振計の策定に当たっていただきたいと思うのです。  そこで、時間も限られておりますので次に進みますが、そういう一つの基本問題がまだ解明されていないということを指摘をしながら、この間お尋ねできなかった点で、二次振計との関係もありますから具体的にお尋ねをしますが、中城湾開発の件なんです。これはこれまでもたびたびお尋ねをしてまいりましたが、改めて御見解を聞いておきたいと思うのです。  沖縄県としては、この中城湾開発は中城湾港を港湾機能と生産機能と一体的かつ先導的に整備をして、既存企業をこの中城湾一体に移転をしたいあるいは再配置をしていく、また、一方では新規企業の導入を図って、いま触れました自由貿易地域の設置、地理的有利性を生かした貿易中継基地の形成を志向しているように受け取っております。私たちも、この構想そのものについては中部地区住民を初め県民の願望でもありますし、基本的には異存ないわけです。しかし、この問題については幾つかの疑問があることも指摘をしなければならないと思うのです。  まず第一に、環境保全、漁業権の補償が一体どうなっているかということ。地域住民の十分なコンセンサスは得られているのかどうか。第二点は、完成後の背後地の活用について、既存企業の移転、再配置は可能だとしても、果たして県外の新規企業の進出というものの見通しはあるのかということですね。糸満には漁港整備という面であれだけの埋め立て、造成をいたしました。これはそれなりの問題はあるにしても、こういうふうにやっても果たしてどうなっていくかという点。第三には、貿易中継基地を目指すとしているが、実際問題として内外船舶の入港の見通しがあるのかどうか、単なる願望だけで終わりはしないかという点。第四は、現在及び将来の貨物量を想定しました場合に、いま沖縄県内での荷役の取り扱いは、たしか五十四、五年前後で外貿が二百九十五万トン、内貿が二百三十万トン程度で、合計五百三十二万トン前後ですね。そうした場合の那覇新港、いうところの安謝港との貨物取り扱いの競合は起きないかどうか。これも問題がないとは言えませんね。そして第五点は、那覇軍港の代替港として、または自衛隊米軍の新たな軍港として利用されるおそれはないのかどうか。こういうことについては、やはり私たちとしても解明をしていただかなければいけませんし、また運輸省なり開発庁の確たる御見解を聞いた上で、いまの疑問に答えていただいて、この問題も二次振計なりこれからの計画の中で生かしていただきたい。時間の都合もありますから含めてお尋ねをいたしましたが、ひとつ御見解を聞いておきたいと思います。この件については、ひとつ運輸省の御見解もお聞かせをいただきたいと思います。
  86. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 中城湾港は先生指摘のとおり流通加工港湾として計画いたしております。すなわち那覇周辺の過密を緩和し、沖縄本島中部圏経済の振興を図るために工業地を造成いたしまして、それに原材料を搬入して加工する工場等の立地を図る、こういう構想でございます。したがいまして、いま那覇港、特に安謝新港との利用の調整がどうなっておるか、こういう御質問がございました。まことにごもっともでございますが、定期船を主体とする商港であります那覇港とはおのずから性格を異にいたしておりますので、そこはそれぞれ適切な利用の調整が行われるものと私どもは期待をいたしております。  それから港湾整備を行うに当たって、環境保全といいますか環境問題についてどういうぐあいに考えておるか、こういうお尋ねでございますが、当然のことながら漁業補償はこれから解決していかなければならぬと考えておりますし、工事を進めるに当たりましては環境保全にも十分留意していくことは当然であると思っております。  それから、完成後の企業立地はどうか、こういうお尋ねでございます。これは流通加工港湾として計画いたしておりますので、まさに先生指摘のとおり、将来この港が利用されるかどうかということにつきましては、工業用地における企業立地の見通しいかんがきわめて重要でございます。私どもは、企業の立地につきましては沖縄県内の企業者の意向を調査いたしまして、県内企業につきましては立地の可能性が十分あるものと考えておりますが、県外から新規に立地の可能性ありや、こういう御質問につきましては、現在のところ具体的な計画は承知いたしておりません。港湾整備を進めるに当たりましては、いま先生御心配のような問題がございますので、私どもも後背地におきます企業の具体的な立地の動向というものをよく見きわめながら慎重にやっていかなければならぬと思っておりますが、その際にも、第二次振興開発計画の中でも二次産業振興がうたわれておるわけでございますから、県外からの企業の立地という点についても考えてまいりたい、このように思っております。  それから最後に、軍港として転用する可能性ありや、こういう御質問でございますが、私どもは軍港の代替としてこれを考えるというようなことは毛頭念頭にございません。
  87. 御巫清泰

    ○御巫説明員 中城湾の港湾計画につきましては、沖縄県におきますいろいろな各種の御調査、それから港湾審議会における議を経、かつ昨年初めにおきましては中央港湾審議会においてこの港湾計画が審議をされたわけでございますけれども、流通加工型の港湾、流通拠点港湾としての機能、さらには既存立地企業の移転の場所あるいは新規企業の立地というようなことを想定いたしまして、その港湾施設整備を行うという基本的な方針を立て、それに従って港湾計画が立てられておるところでございます。  この可能性、貨物量の増大あるいは大型内外船の出入港の可能性等については、その審議の過程におきまして、十分そういう可能性があるという判断をいたしまして、目標年次におきます目的を達成するよう、この新しい地区におきます整備は五十六年から手をつけ始めている、こういう状況にございます。そのほか、いま局長がお答えになりましたとおりでございますけれども、その内部においては軍港等に使われるというような要素は全然入ってございません。
  88. 上原康助

    ○上原委員 そこで、五十六年からたしか調査費、実調費ですか、五十七年、これからの開発というか、この工事計画はどうなっておるのか。私が聞いている範囲では、たとえば那覇港とかあるいは平良、石垣港は、港湾整備の中で相当の予算を投資してきているわけですが、それから見るとこれは金目としてはさほど大きいものではないですね。どのくらいの予算を立てて、これからいつまでに完成をしていくのか。そこいらも少し明確にしておいていただきたいと思います。
  89. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 お答え申し上げます。  先ほど港湾局の計画課長が答えられましたように、これは五十六年度から整備に着手しているわけでございますが、五十六年度から六十年度に及びます第六次港湾整備五カ年計画の中におきましては、直轄事業費におきまして九十億円、補助事業費におきまして二十四億円、起債事業費において八十三億円、合計百九十七億円をこの港湾整備に投入することにいたしておりまして、それによりまして、施設という面で申し上げますと、水深十メートルの岸壁を一バース、それから五メートル半の岸壁を三バース、合計四バースを整備いたしますとともに、航路水深十メートルのしゅんせつ、泊地が五メーター五十から十メーターにわたるしゅんせつ、その他臨港道路、緑地等の整備をあわせて行うことにいたしております。
  90. 上原康助

    ○上原委員 そこで、若干まだ疑問点もありますが、要するに「中城湾港港湾計画(新港地区)の概要」昭和五十六年、去年沖縄県が作成したこの方針がありますね。これに基づいておやりになるということになっているわけですね、簡単に申し上げますと。それが一つ。  もう一つ、さっきの件、那覇港との関連もまだ私は疑問を持っているのですが、この計画によりますと、港湾の能力として目標年次における取扱貨物量を次のように見ているわけですね。外貿が百九万トン、内貿が百六十六万トン、合計二百七十五万トン。でき上がった段階では大体このぐらいの能力はあるが、実際そういう取扱量が出てくるのかどうか、ここいらは単なる数字をはじいただけなのか、運用面でどうなのかという点をもう少し明らかにしていただきたい。  私がなぜこの点を言うかといいますと、海洋博のときに、瀬底島の向かいに新渡久地港をつくりましたね。私はあのときから疑問を呈した。ぼくはそういう面は全く素人なんですが、あそこに港をつくっただけに渡久地はむしろ死んじゃった。あの橋があるがゆえに向こうはだめになったのです、正直申し上げて。海洋博を見る人の便利はあったけれども、地元のためにはちっともならなかった。こういうのは、えてしてそういうことがあるのですよ。だから私は念には念を押しておきたい、一つの例を言いましたが。せっかくお金をかけて、宝の持ちぐされになってもいけないのです。そういう面で、この点は政府としても見通しを立ててやっていらっしゃるのか。私は、県のそれぞれの企画をしてやっておられる方は非常に真剣に、この那覇近郊のいわゆる県内企業の再配置という面で御苦労なさっている点もわかるわけですが、せっかくこういう構想を立てても、また結果としてうまくいかなかったということになりますと問題を残さないとも限りませんから、もう少し、いま私が指摘をした点を含めてお答えをいただきたいと思います。
  91. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 お答えいたします。  沖縄県の計画との関係につきましては、緊密な連絡のもとに私ども港湾計画を進めていく所存でございます。  それから、港湾取扱貨物量が目標年次にそうなるのか、こういう御質問でございますが、これは先ほど先生から御指摘がありましたとおり、まさに後背地の企業立地の動向のいかんによるわけでございます。これが計画どおりまいりますれば、目標年次においてはそのような見込みの港湾取扱貨物量が生じてくるものと私ども考えておりますが、要は、先生いまおっしゃいましたように宝の持ちぐされというようなことにならないように進めていくことが肝要でございまして、御趣旨を体して慎重に進めてまいりたい、このように考えております。
  92. 上原康助

    ○上原委員 その点、運輸省もいいですね。どうですか。
  93. 御巫清泰

    ○御巫説明員 ただいま先生指摘になりましたように、いろいろな条件が想定されたとおりに動くということになりますれば十分その取扱貨物量が出てくる、また企業の立地も行われるということでございまして、やはり地元におきます関係諸機関、いろいろ努力を払ってその目標を達するようにしなければいけないのではないかと思っております。
  94. 上原康助

    ○上原委員 ぜひそういった面を十分御考慮に入れて御努力をいただきたいと思います。  次に、通産省おいでと思いますが、せっかくこの間も来ていただいたのですが、これもお尋ねできないで大変失礼しました。  私は、沖縄振興開発あるいは沖縄産業開発とかいろいろなことを考えます場合に、よく政府も言うことなんですが、現行制度の中でももっと活用をしていけば非常に有効性があるものも相当あるのじゃないかという感じがするわけです。したがって、これは県なりあるいは関係者、またわれわれも含めて努力をしなければいかない点だと思うのですが、たとえば第一次振計でどうして一つも二次産業を企業誘致ができなかったのか。これは鶏が先か卵が先かというような議論じゃなくして、もっと実のある議論をしなければいけないという立場お尋ねするわけですが、振興法でも、さっき申し上げたように、実際に必要だから「産業振興のための特別措置」というものを第三章で設けたはずなんです。だが、これが全然活用されなかった。なぜだったかを解明しなければいかないと思うのです。  同時にまた、工業再配置、これはちょっと性格は違いますけれども、工業再配置促進法というものも実際にあるのです。工業過密地帯から工業過疎地帯へ工場の再配置等を促進するための法律、これはちょうど沖縄が復帰した年にできた。しかしまた、これが今日までほとんど生かされてこなかった。ただ糸満市の公有水面埋立臨海工業団地について、工業団地造成利子補給分が五十年度から五十五年度までに約八千一百万ぐらい適用されただけ。そこで、いまはこの法律ができたときの経済環境なりとは違うけれども、こういうことについても、もう少し開発庁なり通産省なりが沖縄県とも相談をして、産業開発というもの、企業誘致というものを促進をしなければいかないと私は思うのですが、これがうまくいかなかったのは一体どこに原因があって、また今後はどういうふうにお考えなのか。二次振計の中でこういうことも多角的に取り入れながら着実な企業の立地、産業開発、もちろん公害問題がありますけれども、そういうことをやらなければいかぬと私は思うのですが、この件についてのそれぞれの御見解を聞かせておいていただきたいと思います。
  95. 小林惇

    ○小林説明員 先生指摘の工業再配置促進法がいかなる効果を沖縄地区に与えたか、また今後どういう見込みであるかという御質問でございますけれども、工業再配置促進法は四十七年にできまして、日本全土の過密過疎を同時的に解消するということをねらいにした法律でございまして、その法律に基づきまして、工業再配置促進費補助金という制度、それから、先生いま言及されました工場団地に対する利子補給金という制度を設けております。沖縄県に対しましては、前者の補助金のケースでございますと、五十六年度に一件、補助金を交付する予定にしております。それから、五十七年度におきましても、現段階の予備調査におきまして補助要望が上がってきております。しかし、この工業再配置促進費補助金といいますのは、工場が進出をしましたのに伴いまして後追い的に企業なり市町村のために補助金を交付するものでございますので、必ずしも工業の誘致ということに時期を同じくいたしまして補助金を交付する制度になっておりません。したがいまして、あくまでも企業誘致の場合の誘因の一つとして使われておるという実態でございます。  それから、いまおっしゃいました糸満の工場団地の利子補給金につきましては、おっしゃいますように五十年度から現在に至るまでおよそ八千万円の利子補給をやってございますけれども、これも団地の分譲価額というものを少しでも安くするということを通じまして企業誘致を図ろうということでございます。これは、今後とも利子補給というものはやってまいらねばならないというふうに考えております。
  96. 上原康助

    ○上原委員 開発庁もこの件の活用をどう考えているか、ちょっと聞きたいのですが、もちろん後追い的なものであるということ、これは、再配置しなければ助成措置できないわけですからね。しかし、これも運用の問題だと思うのですね。だから、場合によっては県なり市町村が積極的にその法律を活用していこうと思えばできないこともないと私は思うのだが、違っているかもしらぬ。  いまおっしゃいましたように、これまで糸満の臨海工業団地に適用というか利子補給をやったわけですが、五十六年に一件申請がある、五十七年も大体そういう調査の上、対象になっている、それはどういう業種なのか、差し支えなければお聞かせいただきたいと思いますし、開発庁、どうもみんな縄張り争いで、開発庁はこれだけしかしない、通産省はこれだけしかしない、運用はこれだけしかしないということではいけないのだよ。沖縄振興開発なりいろいろな問題ではやはり相互連関でやらなければいかない面があるわけで、こういうことももっと積極的に、場合によっては県にも打診するぐらいの意欲と姿勢がないといかないと思うのですね。そういう点はどうお考えなのか。二次振計でもまた同じように、ああ、あれは通産に任せておけや、こっちはこっちだというような消極的お立場なのか、少し御見解を明らかにしておいていただきたいと思います。
  97. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 先ほど来、いわゆる工業開発地区制度あるいは産業振興等の各制度が必ずしも十分に生かされなかった原因は何かというお尋ねがございました。私どもといたしましては、基本的には水、電気に対する不安とかあるいは産業基盤整備に対するおくれといいますか不十分であるというような面、さらに工場用地の具体的な造成が、これまで工業開発地区の指定はございましたけれども用地の造成等がなされておらなかったというような状況、それから、ただいまの御質問に関連するかと思いますけれども、県、地元を含む誘致への取り組みというものが必ずしも十分でなかったというような面があろうかと考えております。私どもも先ほど御答弁申し上げましたように、今後の沖縄振興開発のために産業振興、特に製造業の振興は最も重要な課題であるというふうに考えておりまして、そういった基本的な認識のもとに、今後県との調整がございますけれども振興開発計画を策定していくという考え方でおるわけでございまして、そういったことの中で当然関係省としての通商産業省等とも協議をしながら、これらの各特別措置あるいは先生ただいま御指摘の沖振法以外の各種の制度等々につきましても、これを有機的に組み合わせまして実効を持たせるように努力をしていきたい、このように考えております。
  98. 小林惇

    ○小林説明員 先生お尋ねの五十六年度並びに五十七年度に予備調査で上がってきております補助金の対象の工場の件でございますけれども、いずれの場合にも窯業、土石関係の企業でございます。
  99. 上原康助

    ○上原委員 それは予算額ではどのくらいの申請ですか。もし差し支えなければ……。
  100. 小林惇

    ○小林説明員 五十六年度の案件につきましては、具体的には具志川市に対して補助金を交付する予定にしてございますけれども、一千万円強という状況でございます。五十七年度につきましては、現段階でまだ予備調査で上がってきておる段階でございますので数字は申し上げられないわけでございますけれども、一千万円より低いものが御要望として上がってきておるという状況でございます。
  101. 上原康助

    ○上原委員 ぼくみたいな貧乏な者には一千万は大きな金なんですけれども、しかし、これで工業再配置なり工業立地というものがかなり活気づくとは思えませんね、いまのようでは。それは通産省のせいではないでしょうが。だから私が指摘をしておきたいことは、いろいろあるでしょうが、やはり現行制度なり現行法というものもいろいろの助成措置があるわけだから、それをもっと有効に、実際に仕事しているのは政府なり県なりなんだ。ぼくが仕事していたら、こんなのもっと利用しますよ、本当言って。そういう面をやっていただきたいということを指摘をしておきたいと思いますし、できるだけこの産業開発ということにもっと本腰を入れていただきたいということを要望しておきたいと思います。  次へ進みます。これも二次振計と関連するのですが、確かに、沖縄の十年を振り返ってみますと、道路なり港湾なり、いうところの社会資本整備が進んできたことは否定はいたしません。しかし、それはそれなりの有効的なことをやったから格差が縮まりあるいは同じ水準までやがて到達するということになっていると思うのですね。しかし、なっていない問題がたくさんあるわけですよ。この間も指摘いたしました。観光産業も重要と言うけれども観光施設の面についての助成措置というものは全くなされていない。もう一つ、これからの二次振計を策定するに当たって大事なことは、やはり皆さんもソフト面ということを非常に強調してこられましたね。だから今度はうそつけないわけですから、一次振計で何ができて何ができなかったのか、これはある程度検証すればわかるわけですからね。二次振計を策定するに当たっても、また同じようなことを文章化したって、計画立てたって、これはもううそだ、できないよと、これはわかりますよ。そういう面では二次振興開発計画というのは相当つくることもむずかしい面が出てくると思う。しかし、できるのもあるんですよ。  そのできるものをちょっと提案をしておきたいわけですが、たとえば文化施設の問題、これはいま高率補助対象になっていませんよね。沖縄県が文化施設基本計画というものを最近おつくりになっていることも御承知だと思うのですね。また、教育庁が総合文化センターについての答申をなさっていることも御承知かと思うのです。そこで、高率補助の見直しとか何だとか言うとすぐいろいろな雑音があるわけですが、なかなか大変だということはわかってはいますけれども、しかし、依然として格差があり整備がおくれている。あるいはそういう施設がないというものについてはやはりこれからつくらなければいかぬわけですよ。つくらないとますます格差は拡大をしていくか縮まらない、本土の各都道府県だって年々進歩していくわけですから。そういう意味沖縄文化施設というものの現状が一体どうなっているのか、文化庁あるいは文部省来ておられると思いますから、御説明をいただきたいと思います。
  102. 石井久夫

    ○石井説明員 文化普及課長でございます。  全体についてお答えするのはなかなかむずかしいと思いますが、いま先生のお話がありました中で文化会館の問題につきまして、私どもはできるだけ各地方に、人口十万人以上のところを対象にいたしまして原則的に文化会館を整備していくということで進めているわけでございますが、沖縄県につきましては、私どもの方で補助金の対象として講じました文化会館は現在ないわけでございます。県立はもとより、市立の一応市民会館とか言われているものは幾つかあるようでございますが、そういう点につきましては、現在まで整備されていない実情でございます。
  103. 上原康助

    ○上原委員 ないんだよ。ないのになぜ開発庁も文部省もこれをやるということを入れないの。きょう私はぱっぱと問題だけ指摘をしていきたいのでありますが、文化会館設置状況というのは、教育委員会のも知事直轄のもその他も、沖縄は一つもないんだよ。市町村がわずかに三つだけあるんだ。一番うまくいっているのは、県立ではたしか愛知とか埼玉とか神奈川、ここに偉い方がいらっしゃる北海道もいいです。本当にないんですよ、これは。こういう実態。しかも沖縄の伝統工芸、あるいは三線小でも、三味線にしたってあれは何もハブの皮だけ利用しているのじゃないのですよ。沖縄県民の心なんだ、あの三味線というのは。ぼくは弾けませんけれどもね。そういった芸能文化とかそういうものをもっと私は二次振計では取り入れなければいかないと思うのだな。だが、残念ながらそれに対する助成措置というのはされていない。これなどはわれわれも不勉強だった点も反省しなければいかない点かもしれませんが、復帰の段階でもっとこういう面を取り入れるべきだったと思います。しかし、実際に行政をやっている方がそういった面をどんどん問題提起をしてやるということでないと格差は埋まらないのじゃないですか。  そこで、どうしてもこういうことについてはもっと積極的な施策が必要ですね。県民総合文化センターとか美術館の設置とか民俗芸能劇場など、要するに総合文化センター基本計画というものが最近になってようやくできておりますが、あれだけ戦災を受け、もう沖縄というとまず基地の町だ。基地撤去もやらなければいかぬのだが、あるいは失業、雇用。最近は水がない。そっちこっちで水の話をするから、きのうから雨が降っているらしいからよかった。そういう悪いイメージを皆さんだって、——僕の顔がそうじゃなくて、沖縄の現状がそうなんですよ。だから大きい声で文句も言うのだ。したがって、こういうことについては、開発庁なり文部省なり政府全体として二次振計にこの文化施設の建設促進というものを私はやはり取り入れていただきたい。予算措置についてはこれはいろいろあるでしょうから、知恵をしぼってもやるべきだと思うのですが、開発庁なり文部省、これはぜひやっていただきたい。いまあなたがないと言ったが、まさにそうなんだよ、資料が示すとおり。きょうは細かいところまでは言いませんが、どうでしょうか。
  104. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 先日も上原先生の御質問にお答えいたしましたように、現在の沖縄の特例補助率の体系の中ではおっしゃるような面がございまして、そういう点から進まないのではないか、こういう御指摘をちょうだいしたわけでございます。私どもは、全体としましては地方団体の負担を大幅に軽減しているから、そこで浮いたものを回していただきたいというのがわれわれの考えでございますけれども、いま御指摘のように文化施設等のおくれがある、こういうことは私も県庁の方から聞いておりますので、今後補助制度のあるものないもの、あるいは補助率が低いものあるいは定額のもの、いろいろございますけれども、県当局とも十分に協議をいたしまして幅広い対応を考えていかなければならない、このように考えております。
  105. 石井久夫

    ○石井説明員 現在文化会館につきましては、一律八千五百万の定額補助でございます。大体平均的に申し上げますと、工事費二十億ぐらいかかっておりますが、約二十分の一補助ということで、あとは起債によって措置していただくというのが現状でございます。沖縄につきましても、私ども文化会館につきましては補助率等特別な措置を講ずるということにはなっておりませんので、県あるいは市から申請がありましたら、現在の時点では補助金の枠といたしましては八千五百万円ということに相なろうかと思うわけでございます。
  106. 上原康助

    ○上原委員 こういう状態ではこれは進みませんよ。だから政務次官、これはよく開発庁なり文部省なり関係省庁で御検討いただいて、二次振計でソフトウエアを大事にしていかれるというなら、それは言葉だけじゃいかぬですよ。これはよく御検討いただけますね。
  107. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 先生指摘文化振興につきましては、私どももソフト面における振興開発の重要な一分野であるというふうに認識をいたしております。沖縄の歴史と風土にはぐくまれました地域性豊かな文化振興を図っていくという必要があると考えておりまして、今後県あるいは関係省庁とも十分調整を図って、二次振計の中における位置づけを検討してまいりたい、このように考えます。
  108. 上原康助

    ○上原委員 これはもう強い県民的要求でありますので取り入れていただきたいということと、復帰十年を記念して、何か変な記念式をやるよりは、むしろ二十億ぐらいの県民センターをつくるぐらいのことをやってみたらどうですかね。いまそういうのが必要なんですよ。そういうことも含めて、われわれも提起をいたしますけれども、県の関係者に対しても、いま総務局長お答えいただきましたが、二次振計の重要な柱として位置づけていただきたいことを改めて要望しておきたいと思います。  次に、きのう島田先生から農業問題については相当詳しく御指摘なりお尋ねがありましたので省きますが、改めてここで私も指摘をしておきたい点は、要するに沖縄の将来ということを考えた場合に、第一次産業の果たす役割りというものはどなたも否定できないと思うのです。非常に重要な地位、役割りを果たしてきた。今後もサトウキビあるいはパインという重要作物の育成というのも必要ではありますけれども、もっと沖縄の亜熱帯気候を生かした花卉園芸、よく言われる野菜栽培等々を進めてまいらなければいかぬと思うのです。そこで、二次振計の策定に当たっても、農業基盤整備の問題等は重要な柱としてぜひ位置づけて、これからの措置を講じていただきたいと思うのです。  その一つの前提といいますか目安として、沖縄県が昭和五十二年度に六十年度までの九カ年計画の農業基本計画というものを策定をしておられるのです。私、分科会でもその中身をちょっと引用いたしましたが、ぜひあの農業基本計画に盛られている基盤整備、圃場整備あるいは土地改良、農用地確保、病害虫駆除、そういう面をやっていただきたい。同時に、沖縄の亜熱帯気候を生かした第一次産業を大事にしていくということであるならば、かねがねわれわれが主張しておりますように国立の農業試験場くらい立地をさせて、そういう面で日本の最南端の農業振興という位置づけをやらないと、これは本物でないですね。したがって、二次振計に当たっても、農業振興を大切にするという観点から、この点について農林省と開発庁の御見解を改めて聞いておきたいと思うのです。
  109. 川村浩一

    ○川村説明員 お答え申し上げます。  沖縄の今後の経済社会の発展にとりまして、御指摘もありましたとおり、農林水産業等第一次産業の発展を図るということがきわめて重要であるというように考えております。沖縄の今後の農林水産業の発展の一つの基本方向といたしましては、これも御指摘ありましたけれども、やはり沖縄がわが国唯一の亜熱帯性気候地帯であるというその特色を十分に生かしまして、冬野菜、春野菜あるいは花卉等本土向けの新しい作目の振興開発ということにも十分意を用いまして、農業振興の基本方向としては、農用地の保全あるいは農業用地開発整備を進めながら基盤整備に重点を置いて、基礎的な農業振興の発展条件というものを整備してまいる所存でございます。  具体的な農業振興の今後の方向につきましては、御指摘もありましたとおり、今後策定されます第二次沖縄振興開発計画におきまして、農林水産省といたしましては、沖縄開発庁とも十分協議いたしながら、県の農業振興の基本方向についての考え方を十分尊重いたしまして対処してまいる所存でございます。
  110. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 お答えいたします。  ただいま農林省から御答弁があったとおりでございまして、農業振興に関する沖縄県の考え方を十分取り入れて第二次振興開発計画を策定したい、このように考えております。
  111. 上原康助

    ○上原委員 試験場のことについてはお触れにならぬが、これもやはりなかなかやろうとしないのですね。原原種農場をつくったというだけじゃいかぬのです。二次振計ではそこいらも含めて御検討をいただくことを注文をつけておきたいと思います。  次に進みたいと思います。これも復帰十年の総括的なところもありますので、本当ならもっと多くの時間をかけた質疑が必要なのですが、やはり国会は限られたところもありますので、旧日本軍接収用地の問題なんです。これは解決できそうで、できないようでもある。とうとう復帰処理の最重要課題の一つとして依然として残ってしまいましたね。大蔵省おいでだと思うのですが、これはいろいろ性格の違った面もありますけれども、日本軍が取り上げた用地にいたしましても、たとえばいま問題になっております読谷飛行場の問題あるいは八重山石垣飛行場、平得、名蔵でしたか、そういった一帯、宮古。解決方法もみんなまちまちなんですね。しかし、実際問題として日本軍が強制収用したことだけは事実なんだ。地料も払わなかったり、あるいは一部払ったようなところ、大蔵省は払ってあると言うけれども、これも明確じゃないですね。そこで、これも沖振法の第九条で「国有財産の譲与等」という面があるわけですね。恐らく、復帰をすればいろいろなケースが出るであろうから、こういうことも特例を追って法律というのができたと私は思う。  そこで、現状はどういう状況になっておるのか。たとえば宮古島の旧日本軍接収用地につきましては、五十五年の十一月一日で大蔵省から農林省へ所管がえとなって、同日付をもって現耕作者に農地法の第三十六条の規定に基づいて売り渡し処分がなされた、これは一つの解決方法だったかと思うのですね。そうであるならば、当然石垣市、八重山のものについても同様な取り扱いが——もちろんそれで満足するとは言いませんよ、それでいいということでもないでしょうが、一つの方法としてはそういう面があるということだけは前例としてあるわけですから、そこいらはどうなのか。何回か問題にしてまいりました読谷補助飛行場のいわゆる旧地主への返還というものはどういうふうにやっていくのか。これなどもやはり土地の効率利用という面から考えても、この種の問題も二次振計と無関係ではないですよ。改めて現状と今後の解決策について、御見解を聞かしておいていただきたいと思います。
  112. 太田幸維

    ○太田説明員 お答え申し上げます。  旧軍の買収地につきましては、五十三年の春に私どもが国会に提出いたしました「沖縄における旧軍買収地について」という提出資料がございますけれども、ここに書いてありますように、私法上の契約で国有地になったというふうに承知しております。  それで、具体的にいろいろ事例があるのだということを先生お話しになられたわけでございますけれども、こういった国有地の一般的な処理の方針といたしましては、先生承知のように沖縄振興開発特別措置法第九条というのがございまして、関係地方公共団体等が「振興開発計画に基づく事業公共の用に供する施設に関するものを実施するため必要があるときは、政令で定めるところにより、国有財産関係地方公共団体等に対して、無償又は時価より低い価額で譲渡し、又は貸し付けることができる。」というふうに規定されておりまして、それで具体的には、現在の政令におきます対象施設の範囲、これは小学校それから中学校、盲学校、聾学校及び養護学校の施設ということになっておりまして、現に地方公共団体に対しまして小学校用地として無償譲渡した、こういうふうな例もあるわけでございます。今後とも、地方公共団体の方から具体的にこういう用途にしたいんだというふうなお話があれば、第九条の趣旨に即しまして考えまして、できるものは、これは第九条に規定しておりますやり方で譲渡なり貸し付けなりということになることになると思います。
  113. 上原康助

    ○上原委員 ちょっと、わかったようなわからぬようなところがあったのですが、いずれにしても、そういう申し入れがあれば、九条を生かして地方公共団体への譲渡は可能だということですね。  そこで、これも七九年ですから五十四年ですね、三原さんが長官をなさっておられたころ、国有地が前提であるが、沖縄振興開発特借法で何とか利用できないものか前向きに検討したいと参議院で答弁なさっているのですね。これはそういう解決方法でいいとは私は言いませんが、しかし一つの方法として、読谷飛行場跡地の問題あるいは石垣市、八重山ですね。宮古は一つの例としてさっき例を挙げましたようにそういう措置をやったわけですね。それは可能性はあるということですか、そういうことでやろうと思えば。どうですか。そこをもう少し明確にしておいてください。
  114. 太田幸維

    ○太田説明員 地方公共団体の方から具体的なお話、つまり公共の用に供するということで具体的にお話があれば、その内容に即して前向きに検討さしていただくということになろうかと思います。
  115. 上原康助

    ○上原委員 開発庁としても、この件は、軍用地返還跡地利用の問題もこの振興法に盛り込まなかった点、われわれも疑問で不満なんですが、要するに土地の効率利用という面から考えると、やはりこれは大蔵省に任すだけじゃなくして、振興法そのものの担当者は開発庁だから、いま言うようなことを、しかも担当開発庁長官が過去にそういう点は答弁しているわけだから、もう少し戦後処理の一環としてこの種の問題も解決できるところはやることでないといかぬと思うのですね。この点について、大臣が答えたことにまた局長から聞くのもどうかとは思うのですが、しかし、実際は皆さんがやっている仕事しか大臣だってやらないわけよ。問題は、その付近に座っている方々がこうするか、ああするかなんだ、仕事というのは。どうですか、そこいら。
  116. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 先生ただいま御指摘になりました五十四年の三原元長官の答弁は、当時なお紛糾いたしておりました読谷の国有地問題につきまして、開発庁として一つの解決の方策を示唆した答弁であったと思います。私ども、現在も、当時の大臣の答弁そのとおりに、条件が整えばしたい、このように考えておるところでございまして、先ほど大蔵省の方からも答弁ございましたように、地方公共団体から具体的に利用計画を御相談いただければ、私どもも前向きにこれに相談してまいりたい、このように考えております。
  117. 上原康助

    ○上原委員 こういう問題も、指摘されるとやろう、そうでなければそっとしておくということじゃいかぬと思いますので、もちろん読谷の飛行場問題は旧地主返還せよというのが基本ですから、ここは忘れていただいては困るのですが、ただ原則論だけでいいのかということになると、いろいろまた御意見もあるでしょうから、そういう基本を踏まえながらも、土地有効利用ということと、かつてはへんぴというか町外れだったかもしれませんが、その飛行場の周辺は全部民家になって、危険な演習をやっているという状況にあるわけですからね、そういうことに対しての解決策というのはもっと現実的でないといかぬと思うんですね。その点も注文をつけておきたいと思いますし、大蔵省もひとつ積極的に対処をしていただきたいと思います。  次に進みたいと思いますが、時間がなくなると困りますので、若干公用地法の問題についてお尋ねをしておきたいと思うのです。  これは短時間ではとても議論できない問題があるし、また、きょうも施設庁長官くらいせめて出てくれと言っても、参議院の予算の都合で出られないということで、いささかどうかとは思うのですが、要するに公用地等暫定使用法が五月十五日に期限切れになるということで、米軍用地特措法に基づいて、いま契約に反対をしている地主土地を強制収用しようとしているわけですね。防衛施設庁はいつも非常にずるいですよ。県にこれを収用せしめようとした根拠は一体何なのか、それが一つ。  それともう一つは、これまでもしばしば言ってまいりましたが、施設庁は、公用地法の再延長はやらない、新規立法もやらない、これは何回か明言をしてきたわけですが、県の収用委員会の審理状況から見て、五月十五日まで皆さんとしてはどういう手順を踏んで結論が出されると見ているのか、こういうことについて、改めて防衛施設庁立場をこの際明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  118. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 お答え申し上げます。  駐留軍用地を日米安保条約の目的達成のために取得して米側に提供するということで、私ども沖縄米軍用地につきましても、そういった手続をとっているわけでございます。もちろん先生御存じのように、基本的には民公有地につきましては、所有者の方の御同意を得まして、これを取得して提供するというたてまえになっておりますし、私どももそういう努力をいたしまして、現在、民公有地につきましては、二万何千件かの対象に対しまして、九九・四%の地主の方の御同意も得まして、大部分土地はそういった形で、賃貸借契約でもって使用させていただいているわけです。それで、公用地暫定使用法に基づいてなお賃貸借契約に御同意いただけない方につきましては、やはり国としまして正当な法的手続をもちましてこれを取得すべきだということで、御承知のように一昨年来、公用地暫定使用法の対象土地につきまして、今年五月十五日以降も引き続き米軍用地として供する必要のあるものにつきましては、駐留軍用地特措法の手続をとっているわけでございます。  それから、公用地暫定使用法の再延長あるいは新規立法ということについてお尋ねでございますが、現在あります実定法の特措法に基づきまして、私どもとしましては総理大臣認定も得まして、那覇防衛施設局長の名をもって沖縄県収用委員会に裁決方、申請をしているところでございます。なお、収用委員会で現在御審理中でございますが、私どもとしましては、法の定める手続に基づきまして、正当な権原が得られますよう念願しておるところでございます。
  119. 上原康助

    ○上原委員 あなた、念願していると言うけれども、それじゃ念願がかなわなかった場合はどうするの。  そうしますと、もう一遍確認というか明らかにしておいていただきたいのですが、これは何もきょうだけで済む問題ではないので、米軍用地収用特措法を、契約をお断りしている地主土地を収用するために適用する根拠はどういうことですか、もう一遍。それが一つ。  もう一点大事なことは、県の土地収用委員会と那覇防衛施設局とはどういう関係があるの。
  120. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 駐留軍用地特別措置法を使用して、現在公用地暫定使用法に基づいて使用している方の公用使用の手続を踏んでおります法的根拠というお尋ねでございますが、それは駐留軍用地特別措置法に基づくものと考えております。  それから、駐留軍用地特別措置法に定められましたものとしまして、私どもとしては、那覇防衛施設局長が総理大臣の使用認定を得た上で、法の定めるところに従いまして、沖縄県収用委員会の裁決を求めるべく申請しているところでございます。
  121. 上原康助

    ○上原委員 那覇防衛施設局と収用委員会とどういう関係があるの。
  122. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 駐留軍用地特別措置法の手続に従いまして、那覇防衛施設局長が申請者になりまして所要の手続を整え、沖縄県を管轄しておられます沖縄県収用委員会に裁決を申請いたしておるところでございます。
  123. 上原康助

    ○上原委員 そのことを聞いているんじゃないんだよ、あなた。いまの答弁はちょっとおかしいと思いますよ。米軍用地収用特措法は適用できなかったから、公用地等暫定措置法を適用してきたわけでしょう。そうじゃないの。その点はっきりしておいてくださいよ。
  124. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 先生お尋ねは、沖縄復帰時点、それからまた昭和五十二年の時点におきまして公用地暫定使用法が制定され、かつ延長された時点におきまして、駐留軍用地特別措置法の適用ということが沖縄米軍用地の現状に即しまして、当時位置境界等が明確でなかったものですからそれができなかったという、当時の公用地暫定使用法の成立経緯についておっしゃっていることだと思います。御承知のように、位置境界明確化法につきまして、五年以内の計画を立てて速やかに明確化しろという形で、私ども駐留軍用地につきまして所定の作業を進めておりますので、今日段階におきまして、駐留軍用地特別措置法が適用し得るものということで、一昨年来、所定の手続をとっているものでございます。
  125. 上原康助

    ○上原委員 いまのならわかるんだよ。さっきは、あなたはそういう答弁をしていませんよ。そういう条件整備ができたと皆さんは見ているわけね。われわれはそれに疑義を持っているということを指摘をしておきたいと思うのです。  それじゃもう一遍、公用地法の再延長なり新規立法ということはあり得ませんね。
  126. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 私ども、現在駐留軍用地特別措置法に基づきまして法的手続を進めておりまして、現在沖縄県収用委員会において審理をお進めになっておられますので、これでもって法的権原を獲得するということを念願しております。
  127. 上原康助

    ○上原委員 いまの答弁は答弁として聞いておきますが、それと、私が那覇防衛施設局と収用委員会とどういう関係があるのかと聞いたのは、何も局長が県収用委員会に認定方を依頼したというようなことを聞いているんじゃないのだよ、あなた。その程度は私だって知っている。疑問に思うのは、県の収用委員会がこの公開審理を行う場合に、那覇防衛施設局の職員がバス二台も借りて会場に八十人前後も傍聴とかで押しかけていくというのは一体どういうわけ。どういう職務権限で施設庁はそういうことをやっているの。それを聞いているんだよ、あなた。それは事実なのかどうか一それを指示したのはだれなのか、それをはっきりしていただきたい。二月二十七日午前十時過ぎから、那覇市のゆうな荘で第六回の県収用委員会の公開審理が開かれたときに、事実上那覇防衛施設局の職員がやっているのですよ。これがあなたが言うように正当な手続ですか。皆さんのやっているのはまさに権力の、職権の乱用じゃないの。しかも何たること、人の財産を召し取ろうというのに。それはだれがやったのか、どういう権限で行ったのか。これは後ほどの議論に関連するからはっきりさせておいてくださいよ。
  128. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 お答えします。  二月二十七日でございますか、二月二十七日といいますと第六回の公開審理が行われたときだと思いますが、私ども、御承知のように那覇防衛施設局長の名をもって裁決申請をお願いしておりますし、それから、公開審理の席上ですから、那覇施設局としまして、手続をとった理由その他公開の席上で申し述べるというような機会もございます。それから、私どもこの手続につきましては、一昨年秋以来申請に至るまで非常に多数の職員がかなりの筆数にわたる土地等も精査の上それぞれこの業務にかかずらっているわけでございます。それで、私どもとしましては、かねてからもちろん職務の一端として公開審理の席上に出てそういった審理の状況を見守るということで、業務の一端として行っております。なお、私どもの局から報告がありますのは八十三名でございますが、うち七十八名までは施設部の職員、それから、あと総務課の法規担当の職員と会計課の支出担当の職員が二、三名ずつというようになっております。
  129. 上原康助

    ○上原委員 あなた、ますます悪い答弁をするね、全く。何があなた、公開審理だから八十名も押しかけていってそんなことを一これはきょうはこの程度に聞きおくことにとどめるが、いかに異常な事態でこれがなされようとしているか、いまのあなたの答弁を見てもわかる。公開審理だから必要なことを言うなら、局長や次長や部長が行けばいいじゃないですか。何で八十三名も押しかけて暴力団まがいのことをやるの。冗談じゃないですよ、あなた。それが正当な手続ですか。  それともう一つ、米軍用地自衛隊用地返還件数、そういったのはわかるのですが、確認をしておいていただきたいことは、自衛隊用地については皆さん返すと言っているわけですね。返されるのはどのくらいなのか、どこなのかということと、返した場合に、基地内に存在する場合はそこへの自由な通行権の確保あるいは農耕ができるのか、そういう措置はとるのか、復元補償はできるのか。皆さんは人間の心持っていないよ。防衛施設庁の何名かの職員たるや意地悪も意地悪、まるで村八分的に基地の中にあるのをちょこっと返して、おまえ返せ返せと言ったから返すといって全くの通せんぼだね。それで本当に良心的に土地を返したと言えるの。その地主が本当に使えるの。そういう条件整備をやりますか。これはあなたに聞いてもちょっとどうかとは思いますが、一応聞いておきましょう。
  130. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 自衛隊用地の件でございますので、もし間違っていたら失礼しますが、返す予定になっておりますのは航空自衛隊那覇基地と陸上自衛隊那覇駐屯地と承知しております。それで面積にしまして一万八千平米ほどになろうかと思います。これらの土地につきましては私どもとしては、先生指摘のように一塊の団地でもございますのでできるだけ契約に移行させていただきたいと思ったわけでございますが、所有者方々の御意志が固くて、本年五月十四日で公用地暫定使用法が期限切れになるということで私どもとしましてはやむなくお返しする。当然、一般の方々の所有地の上でございますので、私どもとしましてはその上にある現在使用しております建物等の移設等も行います。  それから、所有者の方には補助等行ってお返しするわけでございますが、土地利用につきましては、自衛隊用地の中に点在するということもございますので、われわれとしましては当然所有者の方が出入できるような措置を講じて、また利用につきましても所有者の方の利用に供し得るようにしたいと考えております。なお、細部につきましては現地の方でいろいろ調整をした上でそういったことを行うようになろうかと思っております。
  131. 上原康助

    ○上原委員 現実問題としていまあなたが答弁するようなことが可能かどうか、これはきわめて疑問があります。周囲は基地である、通行はどうするのか、じゃ道はどうするのか。ただ歩いていけばいいというものじゃない。車も入るの。ブルドーザーも入るの。  そういう異常な状態でいま土地を取ろうとしているわけですが、これは本来なら施設庁長官あるいは防衛庁長官に来ていただいて政治的判断を含めて聞かなければいけない問題なんです。五月十四日という一つの目標を立てて、まさに何が何でも土地を強奪するということでいまがむしゃらにやっているわけですね。県の収用委員の方のそういう見識とか姿勢を疑うのですが、そういうのはやめるべきであるということを強く指摘をしておきたいと思います。  そこで、外務省せっかく来ていただいたのですが、時間もあと五分くらいしか残っていませんので……。これはせんだってもお尋ねしましたが、沖縄振興開発とかあるいは土地の効率的利用、さっきも申し上げましたように、やるに当たってはあれだけ膨大な軍用地整理縮小していくという前提がないとこれはだめですね、さっき基地の分散論も出ているのですが。そういう意味で、せめて日米間で返還合意のなされているものについて返還達成はできないのかどうか。十四回、十五回、十六回の安保協でなされたもの。これは、この間も引用しましたが、七二年の振興開発計画の中のこと、三全総でもその点が指摘をされている。  そういうことと、もう一つは、最近県議会でも話題になっているわけですが、これは十五回安保協ですか、いわゆる那覇軍港の天願移設を県知事は示唆している。沖縄の反響を呼んだ。移せばいいということじゃないですよ。持っていかれる方が迷惑だと言って、ノーと言っているわけでしょう。狭っこい沖縄で施設条件をいろいろやろうとしたってこれはできないのだ。だからぼくらはそんな怪物は取っ払えと言っている。それはともかくとして、そういう話を外務省なり施設庁はどのくらい今日までなされてきたのか、御見解を聞いておきたいと思います。
  132. 加藤良三

    ○加藤説明員 まず私の方からお答え申し上げます。  沖縄における施設、区域の密度が非常に高いということは私ども十分承知しているところでございまして、その整理統合につきまして、先生指摘のとおり、第十四回、十五回及び十六回の安全保障協議委員会の席上で整理統合計画ということが了承されたという経緯がございます。今日までのところ、沖縄につきましてその返還計画の実施の率は三〇%ということにとどまっておるわけでございます。私どもといたしましては、引き続きその施設、区域整理統合ということに取り組んでまいりたいと思いますが、その一環といたしまして、本年一月八日、三年ぶりに開催されました第十八回の日米安全保障協議委員会の席上におきましても、本件整理統合計画の残余部分を一層推進するのだという意向を日米双方において表明したという経緯がございます。私どもといたしましては、今後とも、十四回、十五回、十六回の安全保障協議委員会で了承されました整理統合計画の残余部分をできるだけ早く実施するということを基本といたしましてこの問題に対処してまいりたいと考えております。
  133. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 那覇港湾施設は第十五回安保協において移設措置が合意されたものでございますが、那覇港湾施設の代替として天願というお話でございました。現在は那覇港湾施設の機能あるいは性格に見合った移設先というものを私どもの手で検討しておりますが、成案を得るに至っておりません。そういうことで、私ども、今後とも、那覇港湾施設の返還というのが地元の強い要望でもございますので、県、関係市町村の意向を勘案して慎重に検討してまいりたいと考えております。
  134. 上原康助

    ○上原委員 私がお尋ねしているのは、県議会で知事は、那覇軍港の移設先を天願軍港と言っているが、それについて施設庁なり政府とも話をしてきた、こう言っていますが、それは事実ですか、どのくらい話し合いを持たれたのか、それを聞いているのです。それを外務省も答えてください。外務省は関係ないの。
  135. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 安保協の決定に基づきます個々の具体的な施設の移設であるとか返還は私どもの方で担当しておりますので、私どもの方でお答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、那覇港湾施設につきまして私どもとしての検討は安保協以来ずっと加えております。確かに、港湾施設という大きなものですから、問題点は非常に多うございます。また、移設先という先の方の御意向というものもいろいろありまして問題はあろうかと思いますが、こういった返還につきましては、私どもは常々県とは密接な連絡を図っていろいろ意見調整はやっております。ただ、御指摘那覇港湾施設の移設先につきましては、私どもとしてはまだ具体的に特定の場所でもって調整する段階には至っておりませんので、そういったようなことについて具体的な調整は行っておりません。
  136. 加藤良三

    ○加藤説明員 私どもも、一般的な形として沖縄県知事側の御要望というようなものは承っておるところでございますが、具体的な取り進め方につきましては今後とも、県もさることながら防衛施設庁関係方面と密接に連絡をとりながら対処してまいりたいと考えております。
  137. 上原康助

    ○上原委員 ちょっと、いまの安保課長のお答え、確認しておきたいのですが、あなたの答弁からすると、移設先について県側から天願港ということで相談を受けたわけですね。
  138. 加藤良三

    ○加藤説明員 お答え申し上げます。  移設先についての具体的な提示という形では承っておりません。
  139. 上原康助

    ○上原委員 これではっきりしたわけですが、もう時間ですから終えます。  最後に、幕切れで異常な形でさっき申し上げたような土地の継続使用をやろうとしている施設庁の態度に改めて厳しく抗議と注文をつけておきたいわけですが、これはまた、この振興法が終えた段階でよりいろいろな問題を明確にしながら議論をしてまいりたいと思います。  総務局長振興局長要望しておきたいことは、ここで私たちが問題を指摘し、いろいろやりとりをして、相当いい答えなりいろいろ出てきたものについてはぜひ実行をしてもらいたい。本当にむなしさを感ずるのですね。ぜひそういうことのないように、これは開発庁だけではなくしてほかの省庁を含めて、二次振計なり今後の沖縄開発の問題、沖縄のすべての問題について誠意をもって当たっていただきたい。同時に、基地返還問題、跡地利用のことについてはこれまでのようにはいきませんよ、防衛施設庁任せでは。やはり沖縄開発庁が、振興開発計画という重要な位置づけとしてもっと跡利用の問題なり軍用地返還というものも促進をする、そういう態度をとっていただきたい。これについて総務局長から一言答弁をいただいて終えたいと思います。
  140. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 私どもといたしましても、本委員会等におきまして種々御議論、御提言をいただきました事柄につきましては、誠心誠意これを検討いたしまして、またこの間各省とも十分協議をしながら第二次振興開発計画が実効あるように努力をいたしていきたい、このように考えております。(上原委員土地の跡利用。何で大事な点を抜かすか」と呼ぶ)米軍基地等の返還の問題につきましては、現在の振興開発計画におきましても、沖縄振興開発上これをできるだけ早期に整理縮小するという方向を出しております。私どもとしましては、基本的には第二次振興開発計画におきましても同様の方向でこの問題に対処していくべきものというふうに考えておりますが、今後の計画の策定に当たりましてなお関係各省とも十分協議をいたしたい、このように考えております。
  141. 上原康助

    ○上原委員 終わります。
  142. 吉田之久

    吉田委員長 玉城栄一君。
  143. 玉城栄一

    ○玉城委員 最初に沖縄開発庁の方にお伺いいたしますが、第二次振計の目標年次は昭和六十六年度になりますね。この十年間の沖縄県の人口増を開発庁としてはどのようにとらえていらっしゃるのか、この点お伺いします。
  144. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 今後の十年間における沖縄県の人口の推移の見通しにつきましてのお尋ねと思いますが、沖縄県の出生率は近年漸次低下をいたしてきておりますけれども、なお全国に比べて相当高いところにございます。そういったこともございまして、いわゆる人口の自然増という関係におきましてはかなり急速に伸びていくもの、ただ社会増減をどう見ていくかということは今後の沖縄に対する施策にも関連いたしまして大変むずかしい問題がございます。復帰直前におきましては急激な社会減があり、復帰直後は逆に社会増に転じました。最近数年間はやや緩やかな社会減、こういう状況になっておるわけでございまして、その辺のところ、それから今後の施策等を考えていきまして、やはり若干の社会減が続くものと考えております。ただ、自然増が非常に大きゅうございますので、トータルいたしますと引き続き人口は増加していく、このように基本的には考えております。
  145. 玉城栄一

    ○玉城委員 いろいろな要因は当然考えられるわけであります。といいますのは、第一次沖縄振計のときの人口のとらえ方に、結果からしまして狂いがあったわけですね。ですから、第二次振計で沖縄開発庁としては、現在百十万六千、約百十万余ですね、それが六十六年度にはどれぐらいになるというふうに見通し、とらえていらっしゃるのか。もうこの時期ですからね。
  146. 美野輪俊三

    美野輪政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、人口の自然増減につきましてはわりあい的確に推計ができるのでございますけれども、社会増減の問題になりますと、過去十年間におきましても大きな上下動をいたしておったというようなこともございます。最近若干落ちついてきておりますけれども、なおいろいろなむずかしい要素を持っておる。したがいまして、いま私どもといたしましては幾通りかの推計等を行っておりますけれども、いまこの人数というような確定した数字を現在まだ持ち合わせておらない、こういう状況でございます。
  147. 玉城栄一

    ○玉城委員 この問題、先日の本委員会における参考人の御意見の中にもありましたですね。ですからそれをお伺いしているわけです。第一次振計、復帰時九十六万、目標百四万、結果として百十万余ということで約五万。ですから参考人の御意見を拝聴いたしましても、やはりこの人口増というもののとらえ方を間違えると、基礎のこういう重要な部面の狂いが生ずるということは、土台がそういうことになりますと当然常識的にその計画そのものにいろいろな狂いが生じてくると思うわけですね。もちろんこの振興開発計画についての原案作成、これは県がやる、しかし決定するのは政府、皆さんがやるわけですから、参考人の御意見にもありましたけれども、そういう人口増のとらえ方が沖縄の失業率の高さにも大きな影響を及ぼしているという御指摘もあったわけでございますから、その点開発庁とされても当然県の方といまいろいろと合い議をされていらっしゃると思いますので、今度こそは間違いないように。正確なというのは望みませんよ。ですけれどもやはり第一次振計における五万とかそういうものは私はちょっとどうかという感じがしますので、その点問題提起としてお聞きをしていただきたいと思います。  次は、数字的なことでこの際、社会保険庁の方になりますか、厚生省も含めてお伺いしておきたいのですが、沖縄県の復帰後の政府管掌健康保険、政管健保の実態について、その加入数、被保険者数、あるいは一人当たりの保険料、給付費、その総額、全国平均と対比してちょっと御報告並びに御説明をいただきたいわけです。
  148. 多田宏

    ○多田説明員 お答え申し上げます。  私ども政府管掌健康保険というのは全国一本でやっておりますので、各県別の保険料収入あるいは給付額を直接に対比することは必ずしも適当ではないというふうには思っておりますけれども先生質問でございますのであえて比べてみますと、たとえば五十五年度でございますと、一人当たりの保険料徴収決定済み額、これが沖縄県の場合には十五万一千四百七十九円、全国平均が十五万九千九百六十一円でございます。これに対しまして、一人当たり保険給付費の決定済み額を見ますと、沖縄県では十三万四千八百八十四円、全国では十九万二千百九十八円ということでございまして、その相互の対比をいたしますと、一人当たり差し引きの過不足額というのは、沖縄県の場合には一万六千五百九十五円のプラス、全国の場合には三万二千二百三十七円のマイナスという結果が出ております。沖縄復帰後の四十七年度以降のこの過不足額の過といいますか累積剰余額といいますか、そういうものを足し合わせてみますと二百十八億円になる、こんな状況にいまなっているわけでございます。
  149. 玉城栄一

    ○玉城委員 いま五十五年度のことをおっしゃいましたけれども、これはもちろん全国プールになっていますので、先ほどお断りのあったとおりでございますが、四十七年度以降の沖縄県の場合、四十七、四十八、四十九、これは黒字であったのか赤字であったのか、その推移をちょっと御説明いただきたいのです。
  150. 多田宏

    ○多田説明員 四十七年度以降五十五年度までずっと引き続きプラスというかっこうで推移しております。
  151. 玉城栄一

    ○玉城委員 そうしますと、この十年間こういう黒字でずっと来ている都道府県というのはございますか。
  152. 多田宏

    ○多田説明員 細かく点検しておりませんけれども、東京それから静岡なんというところは大体そういう傾向でございます。十年かどうか、ちょっと確認は、きょうは手元に持っておりませんのでできませんけれども、そういう状況でございます。
  153. 玉城栄一

    ○玉城委員 政管健保の黒字県、沖縄は復帰後十年ずっとプラス、そのトータルが先ほど二百十八億、約二百二十億ということですが、黒字の都道府県は東京あるいは静岡ということをおっしゃいましたが、ほかの県は赤字だということになるわけですが、この東京の場合は、昼はいわゆる会社に勤めていまして、お帰りになって自分の県、市町村で医療は受けるというようないろいろなことが考えられて、黒字の理由は沖縄県の場合とちょっと違うのじゃないかと思うのです。  そこで、いま保険庁の方にちょっとお伺いしたいのですが、沖縄県がなぜこの十年間健康保険についてはずっと黒字が続いているのか、考えられる理由というのはどういうことなのか。
  154. 多田宏

    ○多田説明員 県別の詳しい事情についてそれほど分析をしたわけではございませんので、的確なお答えになるかどうかわかりませんけれども、若干受診率が全国平均に比べて低いというようなことも一因ではないだろうかというふうに考えております。ただ、先生さっきおっしゃいましたような東京の場合の、たとえば田舎というか、埼玉、千葉等の部分を逆に修正しますと、今度は埼玉の方がひょっとするとプラスになるというような感じもありまして、必ずしも二県だけに限らないかもしれないというようないろいろな事情がございます。それから受診率にいたしましても、たとえば滋賀県の方はもっと低いなんというような状況もございまして、なかなか一概には分析はできないというような感じがいたしております。
  155. 玉城栄一

    ○玉城委員 いまの点も含めて、後で厚生省の方にお伺いしたいのです。  もう一つ、いまのは政管健保ですが、国民健康保険についてお伺いしたいのですが、沖縄県の被保険者数ですね、それから一人当たり保険料、診療費と、概略御説明いただきたいわけです、一番近い年度で結構ですから。
  156. 萩原昇

    ○萩原説明員 五十四年度の数字でございますが、保険料でございます。私どもは世帯当たりで算定をいたしておりますので、一世帯当たりの保険料で沖縄県が年間四万五千五百六十三円でございます。ちなみに同じ年度におきます全国平均が七万四千三百八十円です。医療費の方は一人当りでございまして、沖縄県が四万五千四百十五円、全国が八万八千五百四十一円でございます。五十四年度におきます沖縄県の被保険者数は五十九万六千人余り、世帯の数で十七万でございます。
  157. 玉城栄一

    ○玉城委員 ついでに全国の老人加入率もおっしゃってください。
  158. 萩原昇

    ○萩原説明員 五十四年度におきます沖縄県の国民健康保険の老人加入率は五・四一%、同じ年度におきます全国の国保の老人加入率は八・五五でございます。
  159. 玉城栄一

    ○玉城委員 いまお話のありました国保について、全国平均の約半分くらいですね。これは非常に結構なことなんですよ。いずれにしても診療費が全国平均の約半分弱ですね。それから老人加入率というのも沖縄は低いわけですね。  それで、いまお答えいただいた問題、なぜ沖縄の場合診療費が全国平均の半分弱なのか、老人加入率が全国平均の八・五%に比べて沖縄は五・四一なのか、その辺の理由をちょっと御説明いただけたらと思うのですが……。
  160. 萩原昇

    ○萩原説明員 沖縄の場合の一人当たり医療費が全国平均に比べて低うございますが、これはやはり受診の機会の問題であろうかと思います。  それから老人の加入率の問題は、国保についての加入率が、加入者数で五十九万でございまして、被用者保険との比率で他県とそう大きな差異はございませんので、結局人口構成の問題で老人の比率というものが沖縄県においては低いことに由来するものであろうというふうに考えております。
  161. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは厚生省の方に今度はお伺いしたいわけですが、保険庁の方としては、出てきた数字の中からいろいろ原因を想像していらっしゃると思うのですが、国保にしましても政管健保にしましても——政管健保の場合はずっと黒字なんですね、二百二十億弱。そういうことからしまして、先ほどもちょっとお話のあった受診率が低いということはどのように理解すればよろしいのか、これは厚生省の方からお答えをいただきたいと思うのですが……。
  162. 吉田勇

    吉田説明員 お答え申し上げます。  受診率が低いというのは、これは詳しく分析してはおりませんが、やはり人口十万当たりの医師の数等が全国平均に比べてかなり低いということが影響しているというふうに思われます。
  163. 玉城栄一

    ○玉城委員 医者の数が少ないということだけですか。医療機関、そういうことは関係ないというふうに……。
  164. 吉田勇

    吉田説明員 お答え申し上げます。  そのほかに、やはり離島が多くて無医地区その他があるということが影響しているのじゃないかと思います。
  165. 玉城栄一

    ○玉城委員 今度の第一次振計の中におきましても、目標達成にはるかに及んでいないという分野の中の一つに医療関係のところがあるわけですね。ですから、私申し上げたいことは、この第二次振計の中で、先ほどからいろいろな御議論がありますとおり、ソフト充実ということでありますが、そういう医療福祉関係充実というものは非常に大事な問題ではないかと私ども思うのです。しかも、さっきも御報告がありましたとおり政管健保の場合等は黒字で、簡単に言いますと沖縄県から本土の方に二百二十億も来ているわけですね。それはやはり先ほどもお話がありましたとおり、県内における医療供給体制が弱い、低いという面は大きく作用していると私は思うわけです。ですから、この数字から見ましても、私はやはり沖縄県における医療の充実は第二次振計における非常に重要な課題だと思ってお聞きしたわけであります。  そこで、実は沖縄県はお医者さんが少ないということもありまして、特別措置法で医介輔の方々、特に離島、僻地というところでお願いしているわけでありますが、この方々が老齢化と申しますか、大分お年を召していらっしゃって、おやめになっていかれる方がどんどん出始めているわけです。そういうことを踏まえて、厚生省とされては今後どのような対策を考えていらっしゃるのか、その点をお伺いいたします。
  166. 吉田勇

    吉田説明員 お答え申し上げます。  沖縄県の場合は、医師につきましては、全国平均が百三十二人でございますけれども、八十二人というふうに全国の六一%になって、低いわけでございます。これは沖縄復帰の当時から比べますと幾分は改善されております。このようなことで、医師の充足対策といたしまして、昭和四十七年度以降私ども本土から医師を派遣をしておりまして、昭和五十五年度には百七十四人の医師を派遣したところでございます。それからまた、これは文部省の方でございますが、国費の医学生制度というものがありますし、それから自治医科大学への医学生の送り出し等が行われております。これらのことで沖縄の医師の充足状況も若干改善されてきたというふうに私ども考えております。さらに、昨年四月から琉球大学の医学部が学生百人の定員の受け入れを始めまして、厚生省としましても、これによりまして今後の充足の基盤というものが確立されたのではないかというふうに思っております。私ども、これらの現在まで続けておりました制度を今後とも積極的に充実いたしまして、沖縄における医師の確保が十分なされるようにというふうに努めてまいりたいと思っております。
  167. 玉城栄一

    ○玉城委員 特にこの面、この面だけではありませんけれども、力を入れていただきたいと思います。  それから、次に自治省の方に市町村共済年金関係について一点お伺いしたいのですが、沖縄県の共済年金制度の経過について、復帰前も含めて概略御説明いただきたいわけです。
  168. 柳克樹

    ○柳説明員 沖縄の共済組合制度の概要でございますが、現在は地方公務員共済組合法の中ですべて適用を受けております。昭和四十一年の七月に、当時沖縄におきまして公務員退職年金法という本土の現在の共済組合法とよく似た仕組みの法律ができております。それから、その後を引き継ぐかっこうで、四十四年と四十五年に公立学校職員共済組合法と公務員等共済組合法というものを琉球政府でおつくりになりまして、それの適用を受けておったということでございます。  なおそれの経過措置でございますけれども、復帰の日前に給付事由が生じました沖縄の共済法による年金等につきましては、従前の例、すなわち先ほど申しました法律規定によりまして沖縄の共済組合法の権利義務を承継した組合、これは地方職員共済組合もございますし、それから市町村職員共済組合等もございますが、それがそれぞれ支給する。それから、沖縄の組合員から、その後地方公務員共済組合の組合員になった場合には、その復帰前の組合員期間はすべて現在の地方公務員共済組合法の組合員期間とみなす、こういうふうな経過措置を講じまして前後をつなぐというふうにいたしております。
  169. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこで、いまのような経過があるわけですが、沖縄県の共済年金受給者の数、現時点それから復帰前、その辺の数字をお知らせいただきたいのです。
  170. 柳克樹

    ○柳説明員 地方公務員関係の退職年金の受給者を調べたのでございますが、現在、地方職員共済組合、市町村共済組合、公立学校共済組合、警察共済組合、それぞれに関係いたします沖縄の退職年金の受給者の状況は三千四百三十九人になっております。  実は、ただいま先生指摘の復帰前と復帰後に分けるということがちょっとすぐにできませんでしたものですから、地方職員共済組合と市町村共済の二つについてだけ状況を調べました。そういたしますと、復帰後が七三%、復帰前が二七%という割合でございますので、ただいまの三千四百三十九人をその割合で考えますと、復帰後が二千五百人ほど、復帰前に発生したものが九百三十人ほどというふうに考えております。
  171. 玉城栄一

    ○玉城委員 問題は復帰前に退職された方々の年金についてなんですが、沖縄県の復帰前、経済圏で言えば当時ドル圏ですから、経済水準が本土と沖縄と違っていた。そういう時点でおやめになられた方々から、何とか救済策を講じてもらえないかというようなお話がこれまで多々あるわけですね。ですから、そういう格差が現実にあるのかどうか、あるならば何らかの救済策というものを考えていらっしゃるのか、その辺はいかがですか。
  172. 柳克樹

    ○柳説明員 御承知のとおり、年金は退職時の給料と在職期間で計算をいたしますので、復帰前と復帰後で給与水準に何か差があったのかどうかということもちょっと調べてみましたけれども、残念ながら、これにつきましては現在のようなラスパイレス方式で比較した数字がございませんで、給与の水準がどれくらいであったかということはわかりませんでした。それで、先ほど申しました地方職員共済組合と市町村共済組合の復帰前と復帰後の年金につきまして比較してみますと、確かにおっしゃるように若干の格差はございますけれども、それほど際立って低いというふうなところは認められなかったわけでございます。年金の水準というのは、もう御承知のとおりだと存じますが、こういう給与水準のほかに、年金の計算の基礎にいたします組合員期間の長短でありますとか、その組合員期間がどういうものであったか、たとえば掛金を掛けたか掛けなかったかというようなこともございまして、非常にむずかしいわけでございます。  ただ、一般的に申しますと、これは沖縄だけではございませんで一般論でございますが、長年在職をした人につきましてほぼ同じような条件の人を比較いたしますと、比較的最近にやめた人の方が以前にやめた方よりも年金の額が高いという傾向はございます。実はこれは給与の運用上の問題がございまして、その給与の運用によりまして実質的に退職時の給与水準が上がってきておる、その結果という問題でございます。一方、年金というものは、共済組合の年金につきましては退職当時の一年間でございますけれども、その所得の一定割合を保障するという考え方でできておりまして、それの実質価値を維持するために年金のスライドをしておるわけでございます。そういう状況でございますので、以前やめた方の給与が非常に悪かったからといって年金の水準を直ちに引き上げるというふうに持ってくるのは大変むずかしいわけでございます。  ただ、昭和四十八年でございますけれども、恩給におきまして、以前にやめられた方について給与水準を引き上げたという例がございます。そういうものとの関係でこれからどうするかということでございますけれども、実はこういう旧制度の年金につきましては、共済組合法は大体恩給に準じてとり行っておりまして、これまたこれから新しくそういうことを実施するということにつきましては、先ほどの年金の性格論からしてなかなかむずかしい問題だというふうに考えております。
  173. 玉城栄一

    ○玉城委員 おっしゃる意味はよくわかりますし、むずかしい点もあると思うのですが、いまおっしゃいましたように、四十八年に一部是正されたということもお話しありましたので、私さっき申し上げました点も含めてもう一回検討していただいて、直せるものなら直していただきたい、これは要望として申し上げておきたいと思います。厚生省関係それから自治省方々、もう結構でございます。どうもありがとうございました。  次は運輸省の方にお伺いしますが、那覇空港の問題なんです。那覇空港は本委員会に限らず、これまでずっと他の委員会におきましてもいろいろ指摘もされてきているわけですが、私もやはり指摘をしておきたいわけです。自衛隊との共用になっておりますので、たびたび自衛隊関係の事故が起きておる。そういうことで那覇空港の安全性について問題はないと言えるのかどうか、運輸省はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  174. 川手創

    ○川手説明員 ただいま御指摘ありましたように、那覇空港の現在の使用形態は、私ども民間空港の立場から考えた場合に、決して好ましいものとは思っておりません。しかし、現状では諸般の事情やむを得ないものと思っておりますので、この枠内で私どもできる限り民間航空の運航の保全を確保し、また安全運航の万全を確保する立場から諸般の方策をできるだけ講じていきたいと思っておりまして、いま直ちの御質問に対しては決して万全で安全だと言い切る自信はございませんけれども、できるだけそういう問題が起きないように努力いたしたいと考えている次第でございます。  御指摘のように、五十五年六月十日にF104がスクランブルの帰投時にランウエー南端のジェットバリアを突き抜けてしまいまして、オーバーシュートして乗員一名が死んだという事件なり、五十五年八月七日に嘉手納発進のイーグルが訓練のときに、ガソリン切れになりまして緊急避難のため着陸した際に、やはりランウエー南端において擱坐いたしまして問題を生じたということがあります。最近におけるメジャーアクシデントはこの二件でございます。そのほか五十六年四月十二日に、ムーニーという単発機、これは個人所有の飛行機でございますが、胴体着陸して、この場合はごく軽微な、大した事故ではございませんでした、しかし起こっていいということではございませんが。  以上、軍民共用に係る事故としてはその二つで、以後大した大きい事故は起きておりませんが、これについても私どもこういうことが再び起きてはならぬということで、自衛隊米軍ともよく話し合いながら事故防止に万全を期するように努力している次第でございます。特に五十五年八月七日の、すでに先生お聞き及びかもしれませんけれども米軍のイーグルの事故に関しましては、事故直後に私どもから米軍の司令部に対しまして文書で厳重な抗議を申し込み、また相手側からも、事故の発生防止に努力するという確答を得て、それ以後も機会あるごとに話し合いの機会を持って強くこの精神を申し入れておる次第であります。しかし、そうはいいましても、共用空港でありますから、常時警戒態勢を怠りますとそういう問題が生じますので、これからも努力いたしたいと思います。  具体的な方策でありますが、御案内と思いますが、那覇空港は共用空港であるところから、まず民間使用に供する区域自衛隊等軍用に供する区域とはっきり場所を区分して、いわゆる民間の乗客、航空機等が自衛隊の活動と錯綜しないように地域的に区分をしてまいっております。それが第一点。それからもう一つ、離発着する航空機の運航に関しましては、飛行場管制を運輸省において一元的に行っておりまして、飛行場近傍の区域における軍民の飛行機のセパレーション、それから地上滑走時におけるところのそういう問題につきまして、衝突等の事故が起きないようにこれまた管制機関と相互に話し合って毎日努力しておるつもりでございます。  さらに、それぞれいろいろと御指摘ある細かい問題でございますけれども、はなはだ遺憾なことでありますが、那覇空港の南側のタクシーウエーのわきに、俗にアーミング、ディアーミングといって自衛隊のアムニションを航空機に装着し、また外す、そういう地域がございます。これは装着するときもその航空機の機首方位を、たとえ弾がまかり間違って出ても人に当たる方に行かないように設定してきちんとやっておるわけでありますが、しかし、現在これで事故が起きているわけではありませんけれども、こういうものが余りタクシーウエー近傍にあるということは好ましいことではないと思っておりますので、これは近く暫定ターミナル改修の計画が推進した折に、現在の位置よりも南側へ持っていきまして防衛庁の区域内でおさめていただくようにこれから強く防衛庁に要求し、交渉していくつもりであります。  それからもう一つ、やはりジェットバリアというもの、がございまして、これはMA11AとBAK19という二つのバリアがございますが、MA—1Aの方は民間航空機の離発着に支障はございませんが、BAK19という方は民間航空機がその上を通る可能性があります。これはひも状のものでありましてその上を通っても別にどうということはありませんけれども、少し出っ張っておりますので小型機等が通りますと多少揺れて問題を生ずることがありますが、この問題につきましても、今度沖合い三百メートル延長の際に現在の位置よりも南側に移し、民間航空機は両バリアの中で離発着のできるようにして、バリアから来るところの問題を生じないようにこれからも防衛庁と折衝し、そうしてもらおうというふうに思っているわけでございます。  その他、いろいろ細かい問題は数々ございまして、直ちに万全を期すというわけにもいきませんけれども、そういう細かい問題一つ一つが事故の防止につながるものと心得まして、関係方面と協議をしながらこれからも努力をしてまいりたい、かように考えております。
  175. 玉城栄一

    ○玉城委員 いろいろとられてきた対策について細々と御説明があったわけですが、これは一昨年、五十五年三月の予算委員会分科会でも、当時地崎運輸大臣が、非常に危険も多いと感じているということもおっしゃっておられて、その後皆さん方、いまおっしゃられたいろいろなことを安全性の確保という立場からやってこられたと私は思うわけであります。何といいましても那覇空港というのは沖縄県の表玄関ですから、県に限らずわが国の南の表玄関になるわけですから、この空港が自衛隊との共用という問題で非常に危険を伴っていることは事実なんですからね。ですから、これはどうしても分離をしていただかなくては、安全性の問題というのは基本的に解決しないと思うわけですね。その点、そういう方向でぜひ運輸省もがんばっていただきたいと思うのです。  それではついでに、いまの那覇空港のターミナル、これは国内線、国際線、ローカル線と三つばらばらになっているわけですね。これは利用者側にとってみれば非常に不便きわまりないわけですね。皆さん方も御経験があろうかと思うわけでありますが、この点についてどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お伺いいたします。
  176. 井上春夫

    ○井上説明員 お答え申し上げます。  那覇空港は、現在乗降客は四百五十万ほどございまして、日本有数の空港でございます。しかし、いま先生指摘のとおり、沖縄県の玄関としてはターミナルが大変貧弱でございまして、非常に利用者の方々に御不便をかけておるという実情にございます。したがいまして、私どもといたしましては、本格的なターミナルの計画を早く成案を得まして、その実現方に努力をしたいと考えておるわけでございます。ただ、本格ターミナルについては、かなり予算もかかりますし時間もかかるということで、当面の対策といたしましては、現在のターミナルを可能な範囲内でできるだけ整備拡張いたしまして当面の混雑の解消に対処したい、かように考えておるわけでございます。
  177. 玉城栄一

    ○玉城委員 いまのお話は、その三つを統合するということですか。そのように理解してよろしいわけですね。
  178. 井上春夫

    ○井上説明員 大変地形的に制約要因が多いわけでございますし、それからターミナルビルについては、これは民間会社、県も出資する第三セクターが経営、運営をやっております。そちらの方とも十分調整の要がございます。完全に一体というような形になし得るかどうかということについては、今後の問題でございますが、基本的には利用者の方々の御不便を少しでも解消するというような形で具体案を得たいというふうに考えておるわけでございます。
  179. 玉城栄一

    ○玉城委員 統合するかどうかということについては、何かまだはっきりしていないということですね。
  180. 井上春夫

    ○井上説明員 いまから具体的にさらに検討してまいりたいと思います。
  181. 玉城栄一

    ○玉城委員 三つを統合する形でやった方が非常にいいと思いますので、ぜひそういう方向でひとつ具体的に検討していただきたいと思います。  それともう一つ、この那覇空港に関係しまして、管制の方いらっしゃっていますか。この那覇空港というのは、管制上どういうことになっておりますか。
  182. 小山昌夫

    ○小山説明員 那覇空港の安全問題につきまして、特に軍民関係が共用しております。およそその三分の二が民間機でございますが、それぞれの航空機の特性等を考慮して、管制の安全に万全を期しております。それから、那覇空港におきましては、飛行場管制と着陸誘導管制とこの二つを民間の手で一元的に行っております。さらに、よく管制の件で問題にされておりますのは、那覇空港から出発機が北側へ出る場合と北側から航空機が那覇空港へ進入する場合、非常に低空で飛んでまいりまして、これが非常に安全上問題があるのではないかというような御指摘を受けるわけでございますが、これは那覇空港と嘉手納空港との位置それから方位等の関係上、その出発の延長線上または進入地点等が交差する関係上から、安全上、特に管制技術上、高度差を設けまして管制しているのでございまして、これは安全のためにやむを得ない措置でございます。  以上でございます。
  183. 玉城栄一

    ○玉城委員 いまおっしゃいましたところなんですけれども、パイロット自身も大変負担がかかる。私たちもしょっちゅう利用していますから、おっしゃるその北側離発着のとき、しばらくずっと海面すれすれで飛んでいくわけですね。本来ならば、われわれ常識的に考えるとさっと——南の方はそういくわけですね。これは管制上そういうことをせざるを得ない、やむを得ない措置であるということですね。これは嘉手納飛行場との関係があるということですね。欠陥空港という、この欠陥空港とは何ぞやということにも問題があると思うのですけれども、何をしてそう言うかわかりませんが、そのように指摘されてもやむを得ないのではないか。たとえばパイロットにとってみれば、非常にアクロバット的な飛行をやらなくてはならないということがあるというようなことについては、皆さんはどのようにお考えになっていらっしゃるわけですか。
  184. 小山昌夫

    ○小山説明員 お答え申し上げます。  ただいま嘉手納と那覇空港の関係を申し上げましたけれども、嘉手納の進入機等がない場合には、現在出発機につきましても出発後そのまま上昇させております。これは全体の出発機の数字から申し上げますと約六〇%がそのまま上昇している。ただ、残りの四〇%につきましては、嘉手納空港の進入機等の関係から、現在取り決めによりまして、低空である地点まで参りまして、そこから上昇するということにいたしておる関係でございます。これはまた米軍民間というような関係だけではなく、空港の位置また滑走路の方位等からくるのでございまして、現在の嘉手納、那覇空港の関係がある以上、どうしてもどちらかをそのように制約せざるを得ない。その場合に、出発機または進入機の経路の交差する地点の関係上から、どうしても管制上は那覇の出発機または進入機を低空に抑えざるを得ないという、純粋に管制上の問題から、また安全的な見地からそのようにやっておるわけでございます。
  185. 玉城栄一

    ○玉城委員 この空港につきまして運輸省の方にこれ以上お聞きしてもなんでしょうが、政務次官、美野輪さん、運輸省の川手さん、お答えいただけますか。  那覇空港については、よく御存じのとおり自衛隊と共用という関係で安全性にいろいろ問題がある、これが一つですね。いまの嘉手納の飛行場との関係でそういう管制をとらなくちゃならぬという問題等から考えますときに、沖縄県側から那覇空港の海上展開ですね、これをひとつつくってくれという非常に強い要望があるわけです。その点につきましては、これまで何回も運輸省方々にお伺いしましても、現在の空港でも余裕があるんだという需要供給の関係で、いまの空港の滑走路を延ばせばいいんじゃないかというお話をよく伺うわけです。そういう需要があるからという問題でなくて、いわゆる安全性の立場からもそういうことができた方が望ましいと考えられますか、どうですか。
  186. 井上春夫

    ○井上説明員 お答え申し上げます。  安全性の面から言いますと、民間航空機専用の飛行場があるというのにこしたことはないと思います。  ただ、先生もいま御指摘ございましたように、いわゆる大那覇構想は、約四百ヘクタールばかりの土地を新たに造成をいたしまして滑走路を新たに一本設けようという大構想でございまして、事業費からしますと、沖縄県の試算では二千億程度かかるという文字どおり大規模プロジェクトでございます。  一方、空港の現状の方は、ターミナル部分は確かに狭隘で、早急な対策が必要でございますけれども滑走路の能力から申しますとまだかなり余裕があるということでございまして、私どもとしては、いま県の方でいろいろ御検討になっておるようでございますけれども、長期的な構想というように受けとめまして、今後さらに航空需要の動向等の推移も踏まえまして、時間をかけて検討してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  187. 玉城栄一

    ○玉城委員 沖縄開発庁の美野輪さん、振興局長さん、いまの那覇空港の問題は御存じのとおりだと思うのです。運輸省考え方はそういうことなんですが、いずれにしてもつくった方が望ましいわけです。いまお金がどれくらいかかるからどうのこうのというお話がありますけれども、やはり沖縄振興開発という立場から考えますときに、第二次、この十年の期間の中で何とかこの問題に手をつけていかなくちゃならないと私は思うのですが、いかがですか。
  188. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 お答えいたします。  大那覇空港の構想については、ただいま運輸省の方からお答えいただいたとおりでございまして、現在の空港のキャパシティーから言えばまだ余裕がかなりある。安全性の面につきましては、滑走路の三百メートル延長のほかに、誘導路、エプロンの新設であるとかあるいは航空保安施設の改良等を行うことにいたしておりますので、当面は現在の空港で間に合うものと私は思います。したがいまして、大那覇空港というのはやはりかなり長期の構想として検討してまいるべきものだと私は思いますが、先生指摘のターミナル地区につきましては、確かに三カ所に分かれて不便であります上に、相当混雑しておりますので、できるだけ早い機会にこの整備ができますように検討していかなければならないと思っております。
  189. 玉城栄一

    ○玉城委員 これも運輸省の方にお伺いしておきたいわけですが、六十二年に沖縄国体が行われますね。現在、交通渋滞、沖縄も大変なものがあるわけですが、その六十二年国体に向けて、運輸省とされて総合的な交通システムというものについてはどのような考え方を持っていらっしゃるのか、お伺いします。
  190. 寺嶋潔

    ○寺嶋説明員 六十二年の沖縄国体におきます旅客輸送につきましては、現在沖縄県を中心に競技施設それから宿泊施設等の配置、整備計画を検討しておられるところでありまして、競技施設はおおむね決まってきたようでございますが、それとともに、それらの施設への輸送問題につきましても、現在県の方で調査に取りかかっておられる段階であるというふうに承知しております。  運輸省といたしましては、これらの諸施設の整備計画の具体的な策定、それから輸送問題にかかわります県の調査の結果などを踏まえまして、今後沖縄総合事務局を通じまして沖縄県等関係機関とよく連絡をとりながら、旅客輸送につきまして適切な対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  191. 玉城栄一

    ○玉城委員 これからいろいろ打ち合わせをして対策を練っていきたいというお話なんですけれども運輸省とされても、従来この問題については余り関心がなかったわけですね。そういう意味で、私この間から申し上げておりますのは、皆さん方としても非常に重要な関心を持っていただいて、六十二年、まだ期間があるからということではなくて、しっかりそういう対策にいまのうちから手をつけていただきたい、こういう意味です。どうですか。
  192. 寺嶋潔

    ○寺嶋説明員 沖縄国体の輸送問題につきましては、すでに五十五年三月にも御質問がございまして、私どもとしてもその重要性は十分認識しておるところでございます。実際問題といたしましては、どれくらいの選手、役員あるいは観客が来るか、それから宿泊施設がどういう関係になるか、それから輸送、会場がどうなるか、その間の距離がどうなるかというようなことを積み上げまして所要の車両数等をはじき出すわけでございますが、その辺につきましては詳細資料が現在のところございません。先ほど申し上げましたように、県がただいま調査をされておる段階でございますので、その辺が固まってくれば私どもとしてもいつでも県の方と御相談に当たりたいというふうに思っております。先ほど申し上げましたように、この問題についての重要性は十分認識しておりますので、今後積極的に検討を進めていきたいと思っております。
  193. 玉城栄一

    ○玉城委員 海洋博もうまくやったから大丈夫だというようなことではなくて、いまおっしゃったように非常な関心を持っていただいて、いまのうちからしっかりした計画をつくっていただいて、きちっと対応していただきたい、このように御要望を申し上げておきます。  それから、これも運輸省関係になるわけですね。観光関係観光のことについてもやはり運輸省がやっていらっしゃるわけですね。それで、いま観光は大きな柱になっておりまして、第二次振計の中でもさらにその重要性が増してくるのは当然であるわけですね。そういう立場からお伺いしておきたいことは、たとえばいまの那覇空港にしましてもそうなんですし、あるいは宮古の空港にしましてもそうなんですね、玄関口ですから。そういう空港、たとえば宮古の空港にしましても、米軍機がときどき飛んでくるというようなことなども含めて、これは一つの問題ですが、運輸省とされては、こういう観光立場から考えても、こういうことは沖縄県の観光発展という立場から非常に大きな阻害要因になっていると私は思うのですね。どのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  194. 伊藤参午

    伊藤説明員 お答え申し上げます。  観光は、現在の国民生活におきまして非常に大きな、精神生活の面におきまして重要な役割りを有しておりますし、また、観光活動の場となります地域の経済発展に寄与するものでございますので、私どもといたしましては観光振興に努めていく必要があるという基本的な認識のもとにござ  います。  特に沖縄につきましては、ただいま先生指摘のとおりに、沖縄には年間約二百万人近くの県外からの観光客が訪れておりまして、その収入も二千億円近くにも達するというもので、観光の占めるウエートというものは非常に大きいというふうに考えております。また沖縄は、美しい海やサンゴ礁など、他県に類を見ない自然景観あるいは独自の伝統文化といったようなすぐれた観光資源を有しておるところでございますし、今後とも観光沖縄開発振興の一つの柱としてきわめて重要な地位を占めるものというふうに考えております。  それで、沖縄観光振興につきましては、私どもといたしましては、沖縄開発庁沖縄県などの関係機関と緊密な連絡をとりつつ、今後とも沖縄開発振興計画にのっとりました沖縄観光振興に努めてまいりたいというふうに考えております。  具体的な空港の問題につきましては、私、所管するところでございませんので……。
  195. 玉城栄一

    ○玉城委員 以上でございます。
  196. 吉田之久

  197. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私、最初に、二月の二十七日及び三月八日に行われた沖縄土地収用委員会、これが公開審理を行いましたが、この問題について幾つかの問題点を取り上げたいと思います。  最初に建設省にお願いしたいのですが「土地収用法による収用委員会の委員の選任について」これは昭和二十六年の九月八日、第十回国会において成立を見た新土地収用法並びに同施行法、この施行について関連して出されたものでありますが、この「収用委員会の委員の人選について」これはその当時の建設省管理局長通牒、各都道府県知事あてに出されております。この点について要約してその内容、これを述べていただきたいと思います。
  198. 浜典夫

    ○浜説明員 御質問の通達でございますが、これは現在の土地収用法が施行されました昭和二十六年、三十年前でございますが、その施行に当たりまして、各都道府県に置かれることとなります土地収用委員会の構成等につきまして、初めてのことでございますし、一種の指導通達を流したものでございます。  内容をかいつまんで申し上げますと、現在の土地収用法の該当条文には、それぞれ「法律、経済又は行政に関してすぐれた経験と知識を有し、公共の福祉に関し公正な判断をすることができる者」七名を選べとなっておりますものにつき、その趣旨は何かということを述べております。一つは、準司法的な立場を持ちます独立して権限を行使する存在でございますので、その点から述べておるわけでありますが、たとえば特定の派閥であるとか、もっぱら起業者のためだとか、被収用者側の利益を不当に擁護するとか、あるいはそれらの者の影響下にあるといった者を選任してはならない、こういうことが一つでございます。第二点は、法律、経済、行政についてという意味合いが、それぞれ公益と私益との接点を判断するものでありますから、私法、民法あるいは公法等に長じている者、あるいは経済に関して、やはり不動産の鑑定、損失補償あるいは土地有効利用の判断等をするものでありますので、それらに対して識見があるということ、あるいは行政といいますものは、やはりこれは大きな行政作用の一つでございますから、それについての学識、経験がある者でなくてはならないというふうに要請したものでございまして、この通達は現在ももちろん生きておりますし、そのような考え方にのっとって所定の手続、すなわち知事がそれぞれの地方公共団体の議会の同意を得て任命されております。
  199. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 それで、これは質問というよりは要請でございますが、二十七日及び今月の八日に行われた収用委員会の公開審理の実態は、これはいまおっしゃったような中立、公正の立場でやったのではないということが具体的に明らかになっておりますが、たとえばきょう届いた現地の新聞、沖縄タイムスと琉球新報でありますが「県収用委は審理をつくせ」これはタイムスの社説なんです。それから琉球新報の社説は「公開審理の継続を図れ 強制使用めぐる県収用委の動き」ということで、ともに社説で書かれておるわけなんです。後で建設省並びに施設庁にもお配りしますが、この問題について、いま課長さんがおっしゃったようにこれは都道府県知事あてなんですので、任命された現在の収用委員会にあててこうするああするということはできないと思いますが、少なくともこの選任について、たとえば、はっきり言えば起業者側に味方になってはいかぬ、それから被収用者側に偏ってもいかぬ、あくまで中立、公正でやる。これは労働委員会とか農業委員会と趣が違うのですね。そういった意味で、実態を調査なさって、この選任についての通牒、どうも趣旨がそういった形では選任されていないということになれば、これを調査されて、県知事に対しても適切な指導をしてほしいと思いますが、この点いかがでしょうか。
  200. 浜典夫

    ○浜説明員 先ほども御説明いたしましたように、収用委員会は独立して権限を行使する存在でございますが、ゆだねました事務の性格は国の機関委任事務でございます。したがいまして、一般的な指揮監督権といいますか、あるいは指導の立場にございますから、先ほどのような通達も発出できるわけでございますが、その前提としての土地収用法の構成が、やはり都道府県知事が法の要件を充足する者を選び、かつ議会の同意を得るといったような形の手続を要してございますから、選任の個々の者について明らかに誤りがある、たとえば七人という定員を八人任命したとかいうたぐいのものであれば格別でございますが、それは手続上も妥当なことじゃないかと思いまするし、さらに反面の手続を見てみますると、罷免手続等があるのでございますが、本人以外のその他委員の全会一致であれば罷免を決議して、それを受けて知事が特定の収用委員を罷免できるという、逆に言いますと独立性と身分保障をしておるわけでございます。したがいまして、審理のうちにおきましていろいろな御意見あるいは多少のトラブルがございましても、その個々の、先生もおっしゃいました個々の事案に対して所見を述べるだけではなくて、その人選の適否等を、直ちにそれだけでもって事実を調査するとかあるいはそれについて云々するということは、全体の仕組みからいって差し控えるべきことであると思います。一義的には、やはり県議会等々の同意を得て選任されておるという手続が確保されている以上は、個別に調査等あるいは人選の適否等について云々することは差し控えるべきことと考えております。
  201. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私が申し上げますのは、これは都道府県知事あてに通知を出されたわけだな。これに特に委員の選任についての基準みたいなものが書かれているのですよ。これは「委員としては不適当であると解すべきである。」ということで、イ、ロ、ハと三つありますね。第一番に「専ら特定の派閥の利益主張に偏する判断をする虞れがあると認められる者」次は「専ら起業者側本位の立場のみを擁護する判断をする虞れがあると認められる者」次は「専ら被収用者側の過大な要求或は不当な主張を擁護する判断」という例を三つ取り上げたのは、あくまでも収用委員会は中立で公正であるべきだ。しかも、準司法的な任務も与えられておる。  ところでこの委員会は、私の意見というよりは、なぜ両方の新聞の社説が同じ日に——きのうですよ、主張を取り上げたか。ということは、この収用委員会の行った公開審理が中立、公正でなく、起業者側に守られながら、その起業者の立場に立ってのみ公開審理をやったという事実が明らかであるだけに、いま私は両新聞の社説を取り上げたわけなんですよ。  そこで、個別的な、あるいは知事が県議会の承認を受けて任命しますね。もちろん知事の権限でもあります。私が申し上げているのは、少なくともこの通牒が出された、この選任基準に具体的事実がどうも違反するのじゃないかという問題、これについては少なくとも具体的に調査——いまおわかりにならぬから、具体的に調査するというくらいの、通牒の手前もありまするから、やられるだけの熱意は建設省は示された方がよくないかな。その通牒を出しっ放しでは何もならぬでしょう。そういった点を私聞いているのですよ。どうですか。
  202. 浜典夫

    ○浜説明員 収用法を所管しております立場からいいますと、すべての収用法の諸規定あるいはそれに基づいて設置された諸機構が円滑、的確に動くことが期待されるわけで、その責任の一半は私どもにあると思ってはおります。したがいまして、こういうような通達も発したわけでございますが、先ほどのお話の繰り返しになりますけれども、やはりそれなりの、任命権者である知事とても罷免権がないとか、同意を得てスタートしたものにつきましては、特別の身体的故障とかいうことがなければ罷免もできないという仕掛けになっているものにつきまして云々する、それをすることを前提としたような事実調査というのも、ただ趣味的にやることではございますまいから、そういうことになりますと穏当を欠くのではないかと思うのでございます。ただ、この通達が某県の某収用委員会の特定の行動を指すものでなくて、一般的に三年置きに、あるいは事故あるときにこの補充委員を任命してまいりますから、かような考え方で適格な者が選ばれることという一般的な指導は当然するべきだと思いますけれども、そういう意味で、個別の事柄に立ち入ることは、その意味していることを考えますると、せっかくの御提案でございますが、差し控えるべきことかと思っております。
  203. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 大分遠慮しておられるようですが、この通達、通牒にきわめて合致していないのですよ。もちろん、県議会も開会中ですから問題になるでしょう。ただ、あなた方の方で、こういったような収用委員会、これは資格がないから改めてほしいということを言ってもらいたいということじゃないのですよ。少なくとも事実があらわれておるわけだ。これに対して調査するぐらいの熱意を示された方が、この通牒の手前もあるし、出しっ放しじゃなしに、一般的なもので出せば何をやろうが構わぬということではなくて、そういった熱意を示してほしいのですが、この熱意もないのですか。
  204. 浜典夫

    ○浜説明員 先生のおっしゃいます言葉を使いますと、その立場立場におきます熱意といいますか、的確な措置はしなければならないと思います。たとえば、どんなことが現に行われているかということを、私どもの熱意の形を具体的に申し上げますと、これは独立した権限を行使するものですから完全に独立しておりますけれども、各収用委員会の先生方が、世の中の事情だとかその他の収用事例の勉強とか、そういうものをお互いに連絡するという資質向上といいますか、そういう意味での全国収用委員会の連合会というような協議会をつくっておりまして、そこらで研究会とか総会などを開きながら、全体のものがうまく動くような運用事案などについても勉強していただく。あるいはその収用委員会の補助部局がございます。通常、土木部等なんでございますが、それらの担当者を集めまして、法の意味する選任手続を含めましてどういうふうなものがあるんだということの勉強あるいは指導をいたしておりますから、そういう形で全体としてうまく動くようなことにつきましては熱意を傾けておるつもりでございますけれども、先ほど言いました意味におきまして、現場のある収用委員会の人選の当否につき個別に判ずることを意味する調査というふうなことは不穏当かと思っておるのでございます。
  205. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 重ねてお聞きしますが、収用委員会はこの中にあるように、たとえば「公共の利益の増進と私有財産との調整を図る」わけです。「私有財産に重要な制限を加わえるところの準司法的行政処分を行うことを使命としている」独立した機関ですから、まさにこれは任命されましたら自分で一人歩きするのですよ。それがそうだからこそ建設省は、とりわけ新土地収用法が出た、その施行法が出たこの段階で、これを誤っちゃいかぬので、収用委員会の委員の選任についてはこういった基準に基づいてやれよと、資格で三つ、イ、ロ、ハと書いて、こういった者は資格の適当な者じゃない、資格条件に合わない。これを出された以上、少なくともこういった事例が出たら、いまの連合会ですか、こういったものででも検討されるとか、いろいろな形でこの通牒に見合う処置をとられることが道筋じゃないかと私は思うのですが、いかがですか。
  206. 浜典夫

    ○浜説明員 先ほど申し上げましたとおりに、具体的な調査等は別といたしまして、いま先生御提案になりましたようなこういう通達があり、そのように個別の処置が行われているのであろうなという意味の切磋琢磨といいますか、そういうことは先ほど申し上げたような事柄を行っておりますので、たとえば全収連の理事会を近々年度の初めにおきまして予定しておりまして、その中で五十八年度のいろいろな活動につきまして、各ブロックの収用委員会の代表などといろいろと検討いたします。そういう際に、たとえば先生からこういうような御指摘があり、これらの通達が適確に運用されているかについて非常な興味と御指摘があったということを話題に供するというようなことは一応穏当かと思っておりますが、そのような措置がさせていただければと思っております。     〔委員長退席上草委員長代理着席
  207. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最後に、この通牒は二十六年ですから現在でもこれが生きておる。そして任命については、そういった趣旨に基づいて任命しなくちゃいかぬということは明らかなんですね。どうなんですか。
  208. 浜典夫

    ○浜説明員 さようでございます。
  209. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いまの課長さんはよろしゅうございます。  それから、警察庁は来ておられますか。——実は二月二十七日のいまの土地収用委員会の公開審理のときに、機動隊が九十名ぐらい動員されております。しかも事前に動員されておるが、そのときだれが機動隊の出動を要請したか、答えてください。
  210. 岡村健

    ○岡村説明員 前日の二十六日でございますが、沖縄土地収用委員会の会長、それから地方職員共済組合沖縄県支部長、それから開催場所となりましたゆうな荘の支配人、それぞれから、所轄の那覇警察署長あてに警備要請書が提出されております。
  211. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 警察の主要な任務は国民の命、財産を守る、安全を守ることですが、二十六日に出されたということは、どういう理由があるので機動隊を何名出動させるというふうに書かれているか、これを明らかにしてください。
  212. 岡村健

    ○岡村説明員 沖縄土地収用委員会はこれまで六回開催されておりますが、第五回目に当たります一月二十三日に開催されました収用委員会におきまして審理が紛糾したということもございまして、ただいま申し上げましたそれぞれの機関から警備要請がなされたというふうに聞いております。
  213. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 審理が紛糾したということは、いわゆる住民の生命、財産とか、実に危険が予想されるということなんですか。それとも何か別なあれがあるんですかね。それをはっきりさせてください。
  214. 岡村健

    ○岡村説明員 審理が紛糾いたしたという事実がございました。また、事態が紛糾した場合には、おのずからそれが発展して違法事案におもむくというようなケースも間々あることでございまして、そういったような事態に備えたものと思うのでございます。
  215. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 審議が紛糾したら何か機動隊が出動しなければならぬという理由があるのですか。しかも、あのとき出動して宜保という共闘会議の議長がこづかれているのですよ。暴力もふるわれているのですよ。あのときは、いまもちょっと話しましたが、地主は、これ以上戦争のために私たちの財産を渡してはならない、財産を守るためなのですよ。これが紛糾したからといって別に機動隊が出動してこれを鎮圧するとかというふうなことはないと思うのだが、警察庁、これはどうなのですか。
  216. 岡村健

    ○岡村説明員 ただいま申し上げましたのは、二十六日出ましたのは警備要請でございまして、一般的な警備要請でございます。  この警備要請を受けまして、沖縄県警察では那覇署に警備本部を設けまして所要の警察官を動員いたしまして、警察本部構内に待機しておったわけでございます。午後一時ごろになりまして、土地収用委員会の事務局長から、会長が退出できないので警察部隊の出動を要請したいという今度は出動要請がございました。警察部隊は現場付近に出動したわけでございますが、時間は午後一時十八分でございます。その時点ではすでに会長などは建物の外へ退出しておりましたので、警察部隊は建物の中には入っておらないというのが今回の警備の状況でございます。
  217. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 警察庁としてはこれは過剰警備だというふうに考えていないのか。たとえばそこに集まったいわゆる反戦地主というのですが、財産と命を守る地主の会なのですね。さらにそれをいろいろ民主勢力の方で応援しようと集まった人はわずかな人なのですよ。百名足らずなのです。これに対して同じ数の機動隊が動員される、だからこそいろいろ問題が起きて県民の間には批判が出ているわけなのです。やはりこれは正しかった、あるいはこづいてもいい、暴力をふるってもいいというふうな考え方に立っているのですか。
  218. 岡村健

    ○岡村説明員 現場に到着いたしました機動隊でございますが、会長はもうすでに建物の外へ出られているということでございますので、部隊は会場の中に入っておりません。ただ、その後公開審理に出席いたしました委員の一人の方が、会場を出て駐車場に向かおうとした際、追随してまいりました十人くらいの人からその委員の襟を後ろからつかんで引き戻されようとしましたので、部隊が出まして双方を分離したという程度の警備実施は行っております。
  219. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは琉球新報とタイムスの夕刊、これに機動隊がどういうことをやったか写真が出ているのですよ。ちゃんと盾を持って、その中で住民がこづかれる、暴力をふるわれる。住民の側から機動隊へ暴力をふるったことは全然ないのだな。だから、このようなことは、だれが見ても警察の警備、そういったものから逸脱している、これを見てわかるんですよ。これは現にどのような形でやったのかということは、写真ですからね。ですから時間がないのでもう言いませんが、このような過剰警備、これが今後絶対に行われないことを警察庁に要請して次に移ります。  次は施設庁にお聞きしますが、何かボデーガードといって、これは那覇施設局長の話によると、収用委員会の小堀会長先生、ほかの先生の身を守るためにやったんだということが書いてありますが、施設庁と言えば大体起業側ですね。そういった起業側が特定なボデーガードを出してまでやらざるを得ない何か事情があるのですか、ちょっと説明してください。
  220. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 お答えします。  二月二十七日の公開審理に際しまして、現地の新聞がいろいろな報道をされているようでございます。先生それに基づいて御質問していると思いますが、多分その御指摘の件は、当日那覇防衛施設局の職員が八十名といいますか、そういった数で来たということについての御指摘だと思います。私ども、この公開審理は六回目になったわけでございますが、毎回関係の職員、業務担当者を必要に応じ出席させてきております。二月二十七日もその意味で担当の職員を出席さしたわけでございます。
  221. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 土地収用をする場合に施設庁は起業側でしょう。あれは独立した準司法機関的な収用委員会ですよ。その収用委員会に一方の起業者側がボデーガードを出してやるといったようなことは前例があるのですか、初めてなんですか。
  222. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 先ほども申し上げましたが、私どもは公開審理のその審理状況に応じまして関係の職員を出席させておりますので、二月二十七日にも同様の趣旨でもって職員を出席さしたわけでございます。
  223. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 前例がありますか、ないのですか。
  224. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 お答えします。  私どもの方、他の収用委員会のことはよくわかりませんが、今回の公開審理におきましては、第一回の審理から第六回の審理まで、それぞれ所要の職員を出席させております。ですから毎回施設局の職員は出席しております。
  225. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これはお認めになったのですが、今後もそういったボデーガード的な者を出すつもりですか、どうなんです、動員して。
  226. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 私ども業務内容に関連のある職員を出席させておりますので、先生先ほどからボデーガードとおっしゃっておりますが、そういったような意味合いで出席させたわけではございません。
  227. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 事実は、そう言っているんですよ、施設局長さんは。動員の数は何名ですか。
  228. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 二月二十七日についての報告が来ておりますので申し上げますが、御承知のように那覇施設局は四百九十人ございます。それで、当日出席いたしましたのは八十三名というふうに報告を受けております。四百九十名が総務部、施設部、事業部それから建設部というように分かれておりますが、今回の公開審理といいますか、担当しておりますのは主として施設部でございます。施設部は八課ございまして、二百三十二名の定員になっております。業務として担当しておりますのは、施設企画課が企画全般、施設取得というのが一課から四課ございますが、これが主として賃貸借契約であるとか土地の評価といったものを担当してございます。その施設部から七十八名ほど出ております。そのほか総務部に法規担当の総務課、支出担当の会計課とございますが、この総務課から二名、会計課から三名といったように報告を受けております。
  229. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは八十二名あるいは三名、これと機動隊が九十名あるいは九十名を超す、この合計で大体百七、八十名出ておるのですよ。ところが地主は幾らかといったら、わずか三十名くらい、そのほかに関係人を合わせても五十名くらい。そういった財産を守ろうというこの収用委員会で、機動隊と土地を取りたいと思っておる起業者が合わせて二百名近く動員されるという事態、これは異常なのです。それを私は指摘して、もう一つ施設庁、答えてください。  この中で、那覇防衛施設局の裁決申請には強制使用の必要性、妥当性を明記していないので施設局の答弁を求めたいということで当然出されているのです。この中で、施設局の申請には納得のいくような理由を示されておらない。ただ、いまアメリカに貸しているから引き続き貸したいということであっては、あなたがよく知っている法律の適正かつ合理的な理由にはならないのですが、この件はどうなのですか。強制使用の必要性の問題とかが明確にされていないのです。これを明確にできますか。
  230. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 先生承知のように、駐留軍用地特別措置法に基づいた各般の手続をとりまして、私ども沖縄県収用委員会に裁決申請をお願いしているわけでございます。お願いしている以上、その申請理由につきましては文書をもっても収用委員会に提出申し上げましたし、公開審理の冒頭、第一回審理のときに、その意見につきましては公開の席上で私ども陳述してございます。
  231. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これが公開されていないということが明らかになっておりますが、これは収用委員会の今後の問題として——実は、いまの反戦地主とその代理人が一月二十三日、鑑定評価依頼の問題点、地籍不明地に対する強制使用の法的問題点とその違法性の問題、署名拒否調書、異議署名調書の手続瑕疵、現地調査、鑑定人尋問など十項目について公開審理の開催を申し入れているわけですが、この項目はだれが聞いても当然のことで、収用委員会の公開審理の中で明らかにされるべきだと私も思うのですが、これは代理人からも地主側からも出ているのです。このいま申し上げました内容施設庁としてはあたりまえだと考えませんか。不当と思われるのですか。
  232. 伊藤参午

    伊藤(参)政府委員 当庁としまして、駐留軍用地特別措置法の申請をお願いするについては、私どもの方の立場についてあるいはその申請理由等につきましても、十分御説明申し上げているところでございます。  それから、先生いま御指摘の件は沖縄県収用委員会の方への御要望だと思いますので、その収用委員会がおとりになったことについて私どもとして意見を述べる立場にはございません。
  233. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いまの収用委員会に対して、施設庁は取りたいわけなんだから、圧力を加えたりしないように、あくまで沖縄県民の財産、生命を守る立場を堅持してもらわないと、財産の問題だから後に問題が残るのです。これは、安保条約を認めるとか認めぬとかという問題は抜きにして、収用委員会自体がいま動いておる中で、そういった国家権力が、機動隊あるいは起業者側を代表して施設庁が動員して圧力を加えるということは、沖縄の歴史に非常に汚点を残すことをここで指摘して、施設庁にも反省を求めたいと思います。  時間がありませんので次に進みますが、次は消防関係です。  沖縄の消防関係は実に寒心にたえない状態なんですよ。いわゆる全国のワーストテンに入っている。そこで、最初にお聞きしたいのは、出火率とありますが、この出火率は沖縄は一体どういうふうになっているのか、おわかりでしたら説明してください。
  234. 山越芳男

    ○山越説明員 お答え申し上げます。  沖縄県におきます火災の発生状況でございますが、昭和五十五年中で七百五十六件というふうに報告されております。これの出火率が六・八%でございます。なお、全国の平均は五・一%でございます。
  235. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 昭和五十六年の沖縄県の出火率、これはもちろん人口一万人当たりの出火件数の率ですが、沖縄は全国一悪いのだな。これは七・八%なんです。東京六・四%、大阪六・四%、宮崎五・五%、全国平均は五・二%で、沖縄の出火率はいまの軍事費みたいにまさに突出しているのです。  この中で非常に考えさせられるのは「沖縄県の消防力の基準と現勢」これは五十五年四月一日現在なんですが、たとえば職員の場合、基準が二千十五人、沖縄の現勢は千二十一人で充足率が四〇%。水利が、基準が一万二千五百五十六基、沖縄の場合はわずかに五千七百四十五基、四六%。ポンプ、これは口数ですが、基準が七百九十七口、沖縄の場合は三百十九口になっておりまして四〇%。これでいかに沖縄の消防力の基準が最悪かということがわかるのですね。いわゆる水利、水が非常に不足している。消防関係の施設の整備状況はこういうふうになっている。  予算関係を見ますと、これは昭和四十七年から始まって、合計で二十二億六百万円。ところが、だんだんだんだん下がって、五十六年は三億六百万円であったのが、五十七年は二億二千三百万円にずっと落ち込んでいる。現在、出火率の問題でも全国一悪い。それから、消防力の基準にしてもまさに五〇%、四〇%。いざとなるともうポンプを突っ込んでも水も出ない。特に職員が那覇市あたりは非常に少ないものだから、市民の協力を得なければ二カ所ぐらい火事が同時に起こるとどうにもならぬところまで来ておるわけなんですよ。そういった意味で、消防庁、もっとこれは考え直して、財政的にも補助の関係でもだんだん、だんだん低下するということで、これはあなた方の資料なんで、以後そういった整備費の関係、もちろん職員の問題、消防車の問題もありますが、そういった点を全国並みぐらいに引き上げていく努力をしてほしいと思いますが、いかがですか。
  236. 山越芳男

    ○山越説明員 ただいま先生から消防力の基準に関しましていろいろ数字を挙げられまして御指摘がございました。職員の充足率のことを申し上げてみますと、ただいま先生が御指摘になった数字は、本来それぞれの消防本部が持つべき車の数を前提にいたしまして、それで人間が何人要るということを計算いたします。それに対して現在人間が何人いるかということが充足率でございまして、現に持っている車を前提にいたしますと、那覇市の場合は七七%ということになります。したがって、これは大体全国平均と同じような数字でございます。     〔上草委員長代理退席、委員長着席〕 それから、ポンプ自動車につきまして大変水準が低いという御指摘がございました。確かに消防団と常備消防とを通じて計算をいたしますと御指摘のような数字になるわけでございますが、沖縄県の場合に、いろいろ県から伺いますと、消防の常備化が進みますと消防団が減るという状況もあるようでございまして、したがって、その常備消防だけのポンプの充足率を申し上げますと大体八割ということになっておるわけでございます。  ただ、先生いろいろ御指摘ございましたように、現時点で沖縄の消防力についてまだ充足すべき点が多々あるということは私ども十分考えておりますので、今後私どもは、補助金の配分とかそういうものを通じましてできるだけ沖縄県の各消防本部の御要望に沿うように努力をいたしたいと思います。同時に、交付税の措置を通じまして消防費の計算をいたしているわけでございますので、そういうことも十分勘案いたしまして、消防体制が充実するように指導を続けてまいりたいというふうに思います。  以上でございます。
  237. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次に、補助率の問題などについて、最初に道路の問題ですが、国、県道の改良率とか国、県道舗装率あるいは市町村道改良率、市町村道舗装率、こういった点は大体一〇〇%以上になっていますが、これを面積当たりに直しますと大変なんだな。たとえば千人当たり改良済み延長ということだけをとってみてもわずかに六八・三。それから、自動車一台当たり舗装延長の場合は七五・五。それから、とりわけ都市計画区域面積当たりを見てみますと五二・二%。これは国道、県道は舗装されている、いかにも沖縄の道はいいと言うんだが、市民の使う市町村道、こういったような点でははるかに劣っておる。沖縄交通渋滞が、国道、県道が整備されても依然として続いているのはそういう点にあるわけなんです。これは琉球銀行の「金融経済」にも明確に書かれておるのですね。そういった点で、いわゆる県民が直接使用する道路については、県にしても市町村にしても、もう持ち出すゆとりがなくなっている。こういった点については、補助率を当分なら当分引き上げる問題とか、国の財政補助によってこれをせめて他府県並みぐらいには持っていかなくちゃいけないんじゃないかと思うのですが、建設省、いかがですか。
  238. 駒田敬一

    ○駒田説明員 お答えいたします。  沖縄県におきます市町村道の整備状況につきましては、昭和五十五年四月現在で申し上げますと、改良率が約三九%、簡易舗装を含む舗装率が約五七%でございます。整備状況を全国と比較いたしますと、改良率は全国で約二七%、それから簡易舗装を含む舗装率は約三九%でございまして、この点につきましては沖縄が上回っております。  ただ、先生はいま市町村道の延長が短いということをおっしゃっておられるようでございますが、市町村道につきましては確かに先生がおっしゃったとおりでございますが、市町村道は市町村が独自の判断で路線を認定いたしておるところでございます。市町村道のうち特に重要な幹線市町村道について申しますと、全国の平均を上回っておるところでございます。
  239. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 建設省は余り誠意がないようですが、沖縄交通渋滞はどこに原因があるかということをもう少し熱意を持って調べる必要があるんじゃないかと僕は思うのだが、いまの答弁によると非常につじつまを合わすように努力しておられますが、沖縄交通渋滞というのは、那覇市あたりは東京よりひどいのです。みんなおわかりでしょうが、何が原因であるか、これについてひとつ調査してほしいと思います。  次に、厚生省にお伺いしたいのです。沖縄の福祉、医療施設の問題ですが、たとえば保育所、母子寮、児童館、養護老人ホーム、老人福祉センター、こういったいま挙げました福祉施設はほとんど全国平均の六〇%か五〇%だ。この面についてはせめて全国平均ぐらいにはいくように努力してほしいと思いますが、これは十年間の結果そういうことになっているんだな。だから、福祉面、教育の問題は沖縄の場合には非常に貧弱である、こういった点を直視して、厚生省の方はもっと真剣にこの福祉施設の充実を図ってほしいと思いますが、いかがでしょうか。
  240. 田中健次

    ○田中説明員 沖縄県におきます社会福祉施設につきましては、確かに復帰時点で相当本土と格差がありまして、立ちおくれがありまして、私ども厚生省としましてもいろいろと重点的に整備を図ってきたつもりでございます。特に寝たきり老人のための特別養護老人ホームあるいは身体障害者のためのいろいろな授産施設等につきまして拡充につとめまして、かなりの成果を得られたというふうに考えておりますけれども、いま先生の御指摘にありましたように、その他いろいろな施設で確かに本土の全国平均に比べましてまだ格差がございます。これは事実でございまして、こういう点につきまして私どもも今後とも地元の沖縄県と十分に協議をいたしまして、先生おっしゃいました地域実情等に沿いまして、必要な施設につきましては特に優先的に今後とも配意をして、整備の促進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  241. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 次はプールの問題ですが、小学校、中学校、高校、これまた大変な数字になっているんですね。プールについては小中高わずかに二三・九%しか達成されていないんで、低率なんです。もちろん校舎についてはいろいろ率は上がっておりますが、とりわけ、校舎でも不良鉄筋校舎もあって非常に寒心にたえない実情でありますが、この小中高校のプール、これは文部省としてもきわめて重視しなければならないんじゃないか。ほかの指標は大体一〇〇%とかそれ以上だが、特にプールの問題は大変な実情なんですね。これは各小学校、中学校、高校へ行ってもわかりますが、これに対する文部省の、大体もっと引き上げる、達成率をもっともっと大きくするという考えがあると思いますが、そのお考えを述べてください。
  242. 大門隆

    ○大門説明員 お答えいたします。  いま先生から御指摘のありましたプールの整備率、確かに全国の整備率に比べますと低いことは事実でございます。小学校につきましては約四分の一、それから中学校が約一三%、高等学校が三六%、沖縄を除きました全国平均を見ますと、小学校が七割弱、中学校が約六〇%、高等学校が半分ちょっと、五三%というような数字でございますので、確かに御指摘の点は事実であろうと思います。ただ、学校プールの整備に当たりましては、通例三分の一の補助を行っておるわけでございますが、沖縄県における学校プールにつきましては十分の七・五と、四分の三の高率の補助を適用いたしまして、年々その整備を図ってきておるところでございます。今後沖縄県の方の要望も十分承りまして、沖縄開発庁とも協議の上、その整備に努めてまいりたい、そのように考えております。
  243. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最後に労働省。労働省については例の三十八条がありますね。あれはできてからもう十年、これをまだ延長しようというわけなんだから、なぜそういった——労働大臣は県知事に諮ってこうしなくちゃいかぬときわめて明確に書かれておるんだな。そして労働省としては、そういった県知事の意見を聞いて、あるいは諮って、雇用失業問題についてこういったような事業を起こすんだといったようなことを当然なされなくちゃいかぬと思いますが、端的に申し上げまして、県知事に何か聞いたことあるんですか。これだけ簡潔に答えてください。
  244. 田代裕

    ○田代説明員 お答え申し上げます。  いま先生おっしゃられたのは、沖縄振興開発特別措置法三十八条の問題だと思います。三十八条は、御案内のように「沖縄県知事の意見をきいて、職業指導、職業紹介及び職業訓練の実施、就業の機会の増大を図るための事業の実施その他必要な事項に関する計画を作成し、その計画に基づき必要な措置を講ずるものとする。」こういうことになっております。先生案内のように、昭和五十一年には沖縄県知事の意見を聞いて職業の安定の計画を定めて、現在もそれを実施しているところでございます。
  245. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 今度、西銘県知事が誕生したわけですが、西銘県知事についても何か意見を聞いたことありますか。
  246. 田代裕

    ○田代説明員 沖縄の雇用失業問題は大変厳しいということは日ごろ指摘されているとおりでございますので、雇用問題の解決のためには、西銘知事を初めとして副知事以下スタッフとも日ごろから連携をとり、意見を聞いているところでございます。
  247. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 日ごろから意見を聞いて連携をとっておられると思いますが、私、事実を聞いているんですよ。何年にこの六章の三十八条に基づいて知事に真剣に、沖縄の失業雇用問題についてこうしたいと思いますが、こうこうだということを——年月日を言ってください、常にじゃなしに。
  248. 田代裕

    ○田代説明員 西銘知事が知事になられてからも何回か大臣その他いろいろ意見を聞いているわけでございまして、ここで何年何月何日というのは、手元に置いてございませんのでお答えしかねます。
  249. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 お答えしかねるはずなんですよ。私、西銘知事の口から現に聞いたんだから。たとえば藤尾労働大臣時代に会おうとしたら会ってくれないとか、私、知事の口から聞いたんですよ。そういうふうなことが事実あるわけなんだ。だから、きょうあんたに連絡したのは、そういうことを聞くから、沖縄の雇用失業問題についてこうこうしたいというふうなことではなくて、せっかくできている六章の三十八条、これを具体的にどう発動し、指導したかということを聞きたいのでということを前もって知らしてあるわけだ。そうなると、知事にいつ、何々大臣時代こういうことをやったということを当然答えられなければいかない。答えられなければ無責任ですよ。
  250. 田代裕

    ○田代説明員 三十八条に基づいての知事の意見ということでは、いままで申し上げましたとおりに、西銘知事になられてからもいまお話が出ました藤尾大臣も会ってお話を聞いております。そういう点では従来から知事からの意見を聞いております。
  251. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 ごまかしちゃいかぬですよ。あなた、いまさっきは具体的に年月日もわからぬと言ったじゃないか。そういうことではなくて、事実で、いっどういう件で西銘知事に会ってこうしたということを言えない。——言えないと言ったでしょう。いまごまかそうと思って、ここ西銘知事になってからもそういったことをやったことがあるという、そういった抽象的なことを聞いているんじゃない。だからこの委員会でも、特に六章だな、三十八条の問題が問題になっているのはそういう点が問題になっているんですよ。具体的にわからぬでしょう。藤尾大臣なら藤尾大臣時代に、いつ知事と三十八条の問題について関連して話し合ったということを言えるのであれば答弁してください。言えなければ答弁はいいです、時間が切れておりますから。言えますか。
  252. 田代裕

    ○田代説明員 私のところで手元にいま何月何日に面会したという記録を持ち合わせておりませんので、その点で御了解いただきたいと思います。
  253. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 終わります。
  254. 吉田之久

    吉田委員長 この際、休憩いたします。     午後五時十一分休憩      ————◇—————     午後六時五十六分開議
  255. 吉田之久

    吉田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  沖縄振興開発特別措置法等の一部を改正する法律案について、内閣総理大臣に対する質疑を行います。  この際、委員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力くださるようお願いいたします。  それでは、上原康助君。
  256. 上原康助

    ○上原委員 どうも総理、大変お疲れのところ本委員会においでくださいまして、心から感謝を申し上げたいと思います。いま委員長仰せのとおり短い時間ですから、端的にお伺いをいたします。  総理、昨年の九月中旬、十五、十六日に沖縄を御訪問になりました。それで、大方の事情については御理解いただいておられると思うのですが、復帰十年たった沖縄の現状をどう御認識なされ、今後の沖縄施策についてどのようにお考えになっておられるかということ。振興法が十年延長になりまして、これに基づいて第二次振興開発計画が策定されることになると思いますが、これからの十年を見通して、どういうことに重点を置かれて政府の諸政策を進めていかれようとするのか、総理の確たる御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  257. 鈴木善幸

    鈴木内閣総理大臣 沖縄が本土に復帰をいたしまして、沖縄県として再出発をいたしましてから十年になるわけでございます。私は、この十年の沖縄の歩み、沖縄県民の皆さんの生活の実態にも触れてみたい、こう考えまして沖縄を訪問し、上空からほとんど全土を視察をいたしたわけであります。また、知事さんあるいは県議会の議員さん方、各界の代表の各位、いろいろ御意見も伺い、また、限られた時間でございましたが、県民の皆さんにも接触をいたしまして、来て、実際に沖縄を見て、大変よかったという感じで帰ってまいったわけでございます。  この十年の間に、政府は、沖縄県の復興、建設のために、第一次の開発振興計画を立てて、県民の皆さんと一緒になってこのおくれを取り戻すために努力をしてまいったわけでございます。ただ、御承知のように、第一次の開発振興計画を策定いたしましたのは、第二次の石油ショックの前でございまして、この開発計画に相当大きな期待を寄せてつくられたわけでありますが、この石油ショックの影響を受けて、計画の進行、進捗というものが相当影響を受けたことも事実でございます。  そのようなことで、私は本土との格差の是正というものが十分に行われていないという実感を受けたわけでございまして、どうしてもこれはさらに第二次の振興開発計画、これを実施をいたしまして、そして内地との格差解消、このために政府としてもできるだけの努力をしなければいけない、このように感じた次第でございます。
  258. 上原康助

    ○上原委員 いま御答弁ございましたように、第一次振計の目標としたところは、御承知のように、本土との格差の是正、そして沖縄の自立経済への基礎条件整備ということだったわけですが、御指摘のように、それがかなえられておらない、したがって振興法の延長と二次振計の策定が必要だ、これはお認めになったわけで、私がお聞きをしたい点は、その必要性については共通しているわけですが、何を具体的にお進めになろうとするのかをもう少し明らかにしていただきたいということと、確かにいろいろ問題ございます、われわれとしては第二次振計を策定をするに当たっては、総理御専門の農水産業、いわゆる農業や水産業、言うところの第一次産業あるいは第二次産業振興、また一方の沖縄経済開発の目玉である観光産業等の推進、なかんずく雇用失業対策というものを重点にしていかなければいかないと思うわけです。  そういう意味では、これからも解決をしていただかねばいかない諸問題が山積をいたしております。戦中戦後の沖縄の県民の戦争による犠牲、被災、そういうこと等誓えて——復帰後室国の五三%の基地が、総理ごらんになって横たわっております。こういう問題に対して、これまでの十年、私たちとしては、必ずしも政府の諸施策が十分県民の意を体し得なかったと評価をせざるを得ません。そういう意味で、いま私が指摘をした問題について、二次振計の中でどういうふうに解決をしていかれようとするのか、もう少しつまびらかにしていただきたいと存じます。
  259. 鈴木善幸

    鈴木内閣総理大臣 本土との格差解消、また県民の生活の向上安定を図ろうというわけでございますから、相当各般の施策を総合的に進めなければならないわけでございますが、農林畜産業のあるいは漁業の振興を図るという面につきましての海洋性の亜熱帯の特殊な環境というものが一つございます、これに適応したところの農林畜産漁業の振興というものを考えなければなりません。内地の行政なり政策、施策をそのまま移しても成功しないのではないか、こんな感じがまずいたすわけでございます。  それから、第二次産業振興して雇用を拡大をするという観点からいたしますと、水の問題と電力の問題を解決しなければならない、このように思うわけでございます。水の問題につきましては、ダム等の建設も進んでおります。また、電力の問題につきましては、あのように島々にまで配電をするということでもありますし、非常にコスト高、割り高になっておる。そういうようなことから、企業誘致の面におきましても、採算性等に相当やはり問題があるというような悪条件がございます。こういう点をいかに克服をするかという問題があろうか、こう思います。  観光の分野におきましては、私は、非常に将来に期待ができる、明るい展望を持つことができるのではないか、こう思います。  いずれにいたしましても、人口が当初の想定どおり人口はふえております。つまりUターン現象が起こって人口はふえておりますが、その生活基盤であり、また雇用の面でありますところの産業等の面がいま申し上げたようなことでございますので、失業者が内地よりも非常に多い、二倍近い、こういうような、実態、これは私どもは本当に重要にこれをとらえなければならない、こう思っております。  そういうような点に配慮しながら私はこの第二次の振興開発計画というものを進める必要があるのではないか、このように感じます。
  260. 上原康助

    ○上原委員 そこで、まあいろいろお尋ねしたいのですが、時間のようですので、最後に、いま総理おっしゃったことなども当然必要であります。しかし、翻って考えてみますと、沖縄には、苦難な歴史にも耐えてまいりました多くの伝統的な地域文化というものがございます。しかし、この一次振計では、文化施設の建設とか促進というのはほとんどなされていない現況にあるわけですね。ですから、もう復帰十年という節目に当たって、せっかくこういう大事なときに総理大臣をなさったわけだから、記念事業として、ちゃちなお祝いをするよりも、やっぱり沖縄県民の求めている文化施設とか伝統芸能とか、そういうものを大胆に私はやるべきだ、それが沖縄県民の期待にこたえる総理としての一つの施策だとも思うのですが、その点について、ぜひひとつこれは鈴木総理の時代に沖縄県民の願いをかなえてあげたんだというものぐらいは、せっかくここに出ていらしたわけですから——あなたに沖縄基地をなくしていただきたいと要求しても、これは見解の相違と言われるに間違いない。文化施設については、私は、総理もやっぱりお考えになっていらっしゃると思うのですが、いかがでしょう。
  261. 鈴木善幸

    鈴木内閣総理大臣 まだ沖縄県を通じて、知事さんを通じて、具体的なそういう計画が出てきていることは私、承知いたしておりません。その計画の内容を私ども拝見をいたしまして、政府としてどういう点をお手伝いができるのか、そういう点も研究さしてもらいたい、こう思っております。
  262. 上原康助

    ○上原委員 時間ですが、そうしますと、県からそういう具体的な要求が出た場合、たとえば総合文化センターとか伝統芸能センター、そういうのが具体的に上がった場合は政府としておやりになりますね。
  263. 鈴木善幸

    鈴木内閣総理大臣 どういう御協力、お手伝いができるか、よく研究さしてもらいます。
  264. 上原康助

    ○上原委員 そこで、最後にお願いですが、総務長官もおいでいただきましたので、これからの十年の沖縄ということについては、この振興法の中に盛られた特例措置の問題、あるいは私どもが本法案審議の過程でいろいろと議論をし、参考人などもお呼びをして、その参考人の方々が提言をしたこと等については、ぜひ政府として万全の措置をとっていただきますように強く求めて、私の質問を終わりたいと思います。
  265. 吉田之久

    吉田委員長 玉城栄一君。
  266. 玉城栄一

    ○玉城委員 きわめて時間が限られておりますので、私も端的に伺わさせていただきたいわけでございます。  前の佐藤総理が沖縄においでになられましたときに、沖縄の本土復帰なくして日本の戦後は終わらないという有名なお話をなされたわけでございます。鈴木総理御自身、現職の総理大臣として昨年、沖縄が本土復帰をいたしまして初めて沖縄の地をお踏みになられたわけでございます。いまもお話がございましたとおり、沖縄が本土復帰いたしまして満十年。しかし、これからまた向こう十年間第二次の沖縄振興開発をやらなくてはならない。そういうことで、総理も大変お忙しい日程の中で御出席になっておられるわけでございます。  そこで、私、ぜひこの機会に総理のお気持ちをお伺いしておきたいことは、昨年沖縄においでになられた際に——沖縄は第二次大戦のときにいわゆるわが国唯一の地上戦闘が住民を巻き込んだ形で行われたわけでございます。総理御自身多くの戦跡をお回りになり、御参拝をなされたわけでございますが、そのとき総理のお気持ちとして、二度とこういう悲惨な戦争というのは起こしてはならないし、またあってはならない、そういうお気持ちがあったのではないかと私思うわけでございますが、いかがでございますか。
  267. 鈴木善幸

    鈴木内閣総理大臣 実は復帰前、沖縄の本土復帰のために一生懸命御努力をいただいておりました佐藤総理に、私も当時厚生大臣でございましたが、同行をいたしました。飛行場におきまして、沖縄の復帰を実現しなければ戦後は終わらないという佐藤さんが御演説をされたそばに私おりまして、非常な感激を覚えたわけでございます。そういうこともございまして、私は、復帰後の沖縄県の歩みというものにつきましては、大きな関心を実は持っておるわけでございます。そして、戦争中からあのような悲惨な戦禍をこうむり、多くの犠牲者を出し、戦後においても大変な御苦労をされて今日までの沖縄県の再建、復興のために努力をされた県民の皆さんに、深い同情とまたその御努力に敬意を表しておるわけでございます。戦争の惨禍は二度と繰り返すべきでない、このような感じを強くいたしております。
  268. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは私から申し上げるまでもなく、再び戦争があったら、今回は間違いなく核戦争になると私思うわけでございまして、総理御自身広島とか長崎にもおいでになられて、核いわゆる原爆の悲惨さというのは痛いほどお感じになっていらっしゃると思うわけでございます。  それで、この国会におきましても非核三原則決議というものも数度にわたって行われ、また総理御自身、この国会の場においても、いわゆるわが国は核は持たず、つくらず、持ち込ませずということを何回もおっしゃっておられるわけでございます。また、前の外務大臣であられた園田さんも、第一回目の国連軍縮総会におきましても、わが国の非核三原則ということをおっしゃっておられるわけでございます。そういう意味からしまして、私たち沖縄立場、悲惨な戦争あるいは体験、あるいは核戦争があっては大変だという意識は沖縄に限らずあるわけでございますが、わが国としては非核宣言をした国である、このように考えてもいいのではないか、私はこのように思うわけでございますが、総理、いかがでございますか。
  269. 鈴木善幸

    鈴木内閣総理大臣 非核三原則は、わが国の国是ともいうべき大きな政策でございます。私どもは、今後ともこの非核三原則というものは堅持していかなければならない、こう考えております。  ただ、私ども平和を希求するに当たりまして、だから無防備であってよろしいとか、非武装であってよろしいとかいうわけにはまいらない。やはり厳しい現実というものを踏まえながら、自分の国は自分で守るという気慨、これが必要でもございますし、また、日米安保体制がわが国の安全保障の一つの大きな支柱でもあるわけでございますから、これの円滑な運営が実効が上がるように努力をする必要がある、こう考えております。
  270. 玉城栄一

    ○玉城委員 いまの点、重ねてお伺いさせていただきたいのですが、先ほど申し上げましたとおり、非核三原則というものをもう内外に言っておられる立場からしますと、わが国としては非核宣言をした国である、このように理解できるのではないかと私は思うのですが、いかがでございますか。
  271. 鈴木善幸

    鈴木内閣総理大臣 まさに非核三原則を私ども堅持しておるわけでございますから、そのように理解いたしております。
  272. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間がございませんので……。わが国としては非核宣言国家として、総理もまた第二回軍縮総会においでになられるわけでございます。どうかそういう非核という問題について強くお訴えいただきたい、このようにお願いを申し上げる次第でございます。  もう一点。もう少し時間がございますが、実はこの問題も私は何回も本委員会、外務委員会等でも取り上げましたけれども、総理御自身よく御存じのとおり、沖縄は五三%の米軍基地があって、常時トラブルが発生しておるわけです。そのたびに、たとえば県議会とかあるいは市町村代表とか関係者の代表が、沖縄から高い航空運賃を払って東京まで来、そして外務省といろいろかけ合うわけですが、なかなかそれがらちが明かない。それで、外務省の方々は生の実態を余りよく存じておらない。そういうことで、これではまずいのではないか、いろいろな外交問題に発展する問題等も多々あるわけでございます。幸い鈴木総理が総理になられたときに、北海道の方にいわゆる大使級の方を派遣されていろいろな問題処理に当たらせていらっしゃるというお話がありまして、そのことは前の園田外務大臣それからその前の伊東外務大臣にも申し上げましたら、大変結構なことだ、ぜひ実現するような方向にやって、やはり問題解決に当たった方がいいのではないかという趣旨のお話があったわけでございますが、あれだけいろいろな問題を抱えている中で、正式な外交官資格を持ったそういう方を派遣して置いておくということは非常に必要なことだと思うわけでございますが、総理のお考えはいかがでございますか。
  273. 鈴木善幸

    鈴木内閣総理大臣 実はほかにも外務省にいろいろ要望が出ておるようでございます。それらの要望を全体を勘案いたしまして措置してまいりたい、こう考えております。
  274. 玉城栄一

    ○玉城委員 ぜひ前向きに真剣な御検討をいただきたいということを要望いたしまして終わります。
  275. 吉田之久

  276. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 総理が佐藤総理時代に沖縄に来られたことは、よく覚えています。それでその思い出から話しますが、佐藤総理が言われたことの中に、安保の問題、基地問題はとにかくとして、某地の整理縮小、この問題は自民党のこれまでの政策からいってもそうでありますが、まず基地整理縮小の問題と関連して、一つは、いま進行中の、米軍基地を再び提供しようということで十地収用委員会が行われている。この場合、現地のタイムス、琉球新報がきのうの日付で社説を出してありますが、この社説の中にも、土地収用委員会は公正、中立を守り、審議を続行すべきであるという点を両方とも同じ日に同じような趣旨のことを書いてあります。したがいまして、沖縄県民が再び土地を強奪されたといったような感じを起こさないように、土地収用委員会が正しく中正そして公平な立場で審議できるように指導してもらいたい、これが一つです。  二番目に、復帰時に那覇軍港と那覇空軍基地返還するということは政策の目玉でした。したがって、この那覇軍港の基地返還の問題を努力してもらいたいという問題。  もう一つは、総理はおわかりにならぬかもしれないが、いま沖縄県議会で西銘県知事が、那覇軍港を返還させる場合に天願桟橋、これは中部にあります具志川市というところにありますが、そこに軍港を設置する、移転させるんだといったことを発表したものだから、さあたちまち問題になりまして、具志川市では、市長がここは観光地としていま平和利用のためにやるんだといったことを考えているにかかわらずまたここに軍港をつくるかということで、現在県議会で非常に問題になっております。この点について、将来にわたって具志川に軍港をつくるといったことはやってもらいたくない、これは基地の強化につながるので。そういった点について、三つの点について総理のお考えを聞きたいと思います。
  277. 吉野実

    ○吉野(実)政府委員 順序は前後いたしますけれども、先に軍港施設の問題と天願桟橋の問題、その二つをお答えいたします。那覇港湾施設につきましては、安全保障協議委員会の十五回の会合におきまして、移設措置とその実施に係る合意の成立後返還されることが了解されているところ、先生御存じのとおりですが、現在、県、関係市町村の意向を勘案しながら本施設、区域の機能、性格に見合った移設の適地の選定について検討中でありますけれども、いまだ具体的な成案を得るに至っていません。しかしながら、本施設、区域返還は地元の強い要望でありますので、今後とも県、関係市町村の意向を勘案しながら引き続き検討をしてまいりたいと存ずるところであります。  これに関連をいたしまして、天願桟橋のお話でございますけれども、天願桟橋に移すのじゃないかという話ですが、そういう具体的な話は私どもまだ承っておりませんのでこれについて検討も行っておりませんので、これについてコメントをする立場に現在ございません。  それからもう一つ、収用委員会の運営の話でございますけれども、県で収用委員会の委員が選任されて、その先生方がいま那覇防衛施設局長からの依頼に基づきまして裁決の審理をやっておられる、そういうことでございますけれども、われわれといたしましては、委員の選任並びに委員会の運営は公正に行われていると信じておるところでございます。  いずれにいたしましても、運営の具体的内容につきましてはわれわれとしてどうこうというような立場にございませんので、御了承いただきたいと思います。
  278. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 総理大臣の御意見を聞こうと思ったのは、収用委員会、これがいまの施設庁ですかの話では、公正に行われていると思うということですが、私が申し上げましたのは、沖縄タイムスと琉球新報、沖縄にある二つの新聞、大きい新聞なんですよ、これが時も時、きのう同じときに、収用委員会は公正を欠いている、公開審議を続けろという主張を書いているのですよ。どういうふうに県民に映っているかは、やはりこういったものがあるのでぜひこれを参考にされて、本当に中立、公正な立場で収用委員会が今後運営されるよう指導してほしいという問題、これが一つ。これは当然の話なんですよ。  もう一つ、いま申し上げました那覇軍港の返還の問題、天願桟橋の問題、この問題は、これは御存じないかもしらぬが、もしそういったことがあるとすれば、将来にわたって軍港にするようなことのないよう私は要請しているわけなんです。
  279. 鈴木善幸

    鈴木内閣総理大臣 収用委員会の使命また役割り、性格からいたしまして、私は中正、公平でなければならない、そういう機関であるべきだ、こう思っております。したがいまして、これに対して外部から圧力をかけたり介入したりするようなことは絶対にあってはいけない、このように考えております。
  280. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 もう時間がしまいましたが、天願桟橋の問題については答弁がございません。
  281. 吉田之久

    吉田委員長 瀬長先生、質疑時間が終了いたしておりますので、きょうはこれでお許しをいただきたいと思います。  菅直人君。
  282. 菅直人

    ○菅委員 この特別措置法の延長の一部改正についての審議を進めてきたわけですけれども、総理も沖縄に視察に行かれていろいろな状況をよく御存じのように、先ほどいろいろと話をされておりましたけれども、短い時間ですので、しぼって二つほど御質問したいと思います。  沖縄振興ということを考えるときに、この十年間まだまだいろいろな問題が残っているわけですけれども、その大きな負担になっているのが本島の二〇%の面積を占めるという基地存在にあることは、これはもうだれもが疑うことのないところだと思います。そういう中で、十年前に返還のときにも基地の縮小ということがかなり議論をされておりますし、伺うところによると、沖縄県の自民党の皆さんも基地の縮小についてはぜひ進めてほしいという期待を持っておられるようですし、そういったことがこの十年間、残念ながら遅々として進んでいない。このことについて、これからの十年間を見通した形で、総理としては、この基地の縮小と返還促進ということについてどういうふうにお考えになっているのかということを、第一点、お聞きしたいと思います。  それと関連して、もうすでにアメリカとの間で日米安保協議の中で返還を合意をしている土地が相当あるわけですけれども、これがまた合意した土地の中でも七〇%近くが実際上は未返還になっている。せめて合意したところだけでもできるだけ早く返還をして再利用を図るべきではないかと思いますけれども、この点もあわせてお聞きをいたしたいと思うわけです。  それから、短い時間ですから三番目のこともあわせてお聞きしたいのですが、いま瀬長委員の方からもありましたけれども土地収用委員会が未契約の米軍用地についての審理をしているわけですけれども、私は、この扱い方を間違うと、またいまの成田空港に見られるような非常にややこしいといいましょうか非常に大きな傷を残していくのではないかということを心配をいたしているわけです。そういう点で土地収用委員会が公正であるということはもちろんそうなければならないわけですけれども、実際には期限切れの法案を、このいまの法案ではありませんが、暫定使用法の法案を抱えて、期限切れまでに何とかしょうという政府なりの意向が、この土地収用委員会の公正な審議をゆがめているというふうに私たちには思えるわけですけれども、そういうことがないということをぜひお約束をいただきたい。  この基地縮小の問題と、合意がある中での土地返還の問題と、土地収用委員会のこの三点について、総理の御見解をお伺いしたいと思います。
  283. 鈴木善幸

    鈴木内閣総理大臣 基地問題にしぼっての御質問でございますが、沖縄基地沖縄本島に大部分集中をしておる、二〇%を若干上回る地域が軍用に使われておるということは、これは私もよく承知をいたしておるところでございます。この基地は、県民の皆さんには御苦労をかけておるわけでございますけれども、しかし日本の平和と安全あるいは極東の安全の確保の上におきまして非常に大きな役割りを果たしておるということ、これも事実でございまして、私は沖縄の県民の皆さんの御労苦がそういう形で日本の平和に貢献をしておるということを日本国民は忘れてはいけない、沖縄の県民の皆さんに対する感謝の気持ちを常に忘れてはいけない、このように考えておるところでございます。したがいまして、沖縄振興開発等につきましても、われわれは温かい気持ちでこれに協力をするという姿勢が必要である、このように考えておるところでございます。  なお、返還についての話し合いがついた土地につきましては、これが現実に公共団体等に渡されてそして有効にこれが使われるように、また県民の要望に沿うように利用されるように早くするように、政府関係機関としても努力をしてまいりたい、このように考えております。  なお、収用委員会の運営につきましては、先ほどお答えを申し上げたとおりでございまして、これを政府が圧力をかけて権力的にどうこうというような考え方は持っておりません。収用委員会の委員方々の正しい御判断と運営に期待をいたしておるところでございます。
  284. 吉田之久

    吉田委員長 これにて質疑は終局いたしました。     —————————————
  285. 吉田之久

    吉田委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。上原康助君。
  286. 上原康助

    ○上原委員 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました沖縄振興開発特別措置法等の一部を改正する法律案に対して賛成の意を表するものであります。しかし、賛成といいましても積極的に賛成というわけにはいかないのであります。ここに幾つかの条件を付して賛成討論を行いたいと思います。  御承知のように、昭和四十六年十二月十三日の本委員会において、わが党は復帰五法案について反対をいたしました。その反対の根拠の最たるものは、政府・自民党が進めている復帰諸法案では、沖縄県民が強く要求をしております基地も核もない平和で豊かな沖縄が実現できないばかりでなく、基地存在沖縄振興開発を阻害するものであると確信したからであります。果たせるかな、復帰十年を振り返って、基地存在沖縄県民の日常生活に数々の被害と不安を与え、振興開発を阻害していることは明白であります。  このような状況のもとで、沖縄振興開発計画が目標とした産業振興住民の生活、職業の安定、福祉の向上など、本土との格差の是正と自立的発展の基礎条件整備目標が達成されたでありましょうか。もとより一部の社会資本整備が進展したことは否定するものではありませんが、昭和五十五年度の一人当たり県民所得は本土の六八・六%にすぎないし、産業構造は復帰時とほとんど変わっておらないのであります。雇用失業の面では、復帰時より数の上では就業者は増加したとはいっても、労働力人口の伸びに及ばず、第二次産業が依然として不振のため雇用は拡大せず、県外企業の誘致は十年間でゼロというありさまで、失業率は常に五%台で推移し、日本一という不名誉を買う状況であります。加えて、水不足、生活保護世帯の増加、企業の倒産など、沖縄県民にとって復帰は一体何であったのか。深い失望と疑念を抱かせておるのであります。  このように第一次振興開発計画は惨たんたる結果に終ろうといたしております。振り返って、この計画の推進過程において、目標を阻む内外の諸要因が多々あったことは認めるといたしましても、計画が当初展望し、期待した沖縄像がほとんど実現できなかったということは、やはり政府の見通しの誤りと、計画そのものが、わが国経済の高度成長期のもとで第二次産業主導という、沖縄の実態を十分把握したものでなかったところに根本的な欠陥があったものと見なければなりません。この点、政府責任はきわめて重大だと言わなければならないと思います。  したがって、第二次振興開発計画は、過去の経験にかんがみ、その反省と責任の上に立って、再び誤算を繰り返すことのない着実な計画でなければならないと思います。  特に沖振法を今後十年延長する中で、第五条関係の現行補助率は、原則として振興開発計画の期間中は継続してもらいたいというのが沖縄県民の強い要求であります。  また、これまで整備がおくれている社会文化施設、社会体育施設、観光リゾート施設等の整備、さらに小中学校用地の取得等に対しては、特別の高率補助の適用を考慮していかなければならない実情にあります。  昭和六十二年に行われる沖縄国体の関連施設についても、脆弱な沖縄市町村財政に過重な負担をかけないように十分配慮するとともに、土地改良、区画整理事業などの採択基準についても、基準の下限をなくして市町村が当該事業をやりやすいように大幅に緩和すると同時に、重厚な財政措置を講じてやる必要があると思うのであります。  自由貿易地域制度については、これまで法律に明記されながらこれといった措置は何ら実施されないまま今日に至っておりますが、沖振法を延長する以上、今度は、制度メリットを広げ、弾力的な運用を図るため、税制上、金融面などの優遇措置を講ずるとともに、土地の造成、施設の整備に当たっては、地価対策など魅力ある措置を講じ、また、立地企業の誘致は、地元企業と競合しないよう業種を選定して、八〇年代の経済に有望な先端的技術産業の導入を図るようにしなければなりません。  また、産業振興による雇用需要の拡大を図ることは当然でございますが、慢性的な雇用失業問題の解決を図るため、雇用開発基金制度の創設など、より新しい制度の導入や諸施策を積極的に講ずるべきであります。加えて、公共事業の執行に当たっては、事業の他産業への波及効果を配慮して、県内企業に優先的に発注するなど、県内企業の育成と雇用の増大に努めることが、この際きわめて肝要なことであると考えます。  その他にも指摘すべき点が幾つかありますけれども、本法案審議の過程で明らかにされた諸問題については、今後の法律運用に当たって十分に活用していくべきであります。さらに、三月二日に参考人六名の方々が本委員会で意見開陳した諸件につきましても、今後の沖縄施策に当たって、開発庁当局はもとより、政府関係当局が今後の諸施策に十分に反映させるべきであります。  以上指摘をして、私の討論を終えたいと思います。(拍手)
  287. 吉田之久

  288. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました沖縄振興開発特別措置法等の一部を改正する法律案に賛成するものでありますが、あわせて若干の意見を述べたいと思います。第一は、沖縄の復帰に伴う特別措置法の改正についてであります。本法律は、沖縄の復帰に伴い本土の諸制度へのより円滑な移行を図ることを主たる目的とした経過措置であります。今回の改正で適用期限を延長する内国消費税及び関税の軽減等の措置は、消費者保護、県内産業の育成という面でなお必要と考えます。  第二に、いわゆる開発金融公庫法の改正についてでありますが、政府は持ち家政策を推進しており、地価高騰のため住宅宅地の取得が困難な中で、金融公庫の住宅金融業務に係る宅地造成事業貸し付けの対象事業を拡大し、かつ土地区画整理事業者を貸付対象者に加えること、さらに住宅宅地債券制度を創設して住宅宅地の供給を図るということにあえて反対するものではありません。しかし、土地政策を伴わない中でのこの措置は、民間の大手業者による土地の占有、地価の高騰を招くおそれも懸念されるので、その運用に当たっては十分な考慮を払うべきであると考えます。  第三は、いわゆる振興開発特別措置法の十年間の延長についてであります。復帰十年を迎えた今日、なお県民生活に関連の深い医療、福祉、教育、公園、生活道路、消防などの社会生活基盤整備は大きく立ちおくれています。沖縄県の財政力指数が全国の半分という実情のもとでこの分野の整備を早急に進めるためには、この法律に定める国の高率補助制度は必要であります。また、これまで十分な活用がなされなかった労働、雇用促進に対する援護措置、中小企業、農林漁業振興のための優遇措置などは、今後の活用いかんによっては県民生活に寄与し得るものと考えます。  しかしながら、当初政府は、本法律目的について、沖縄の地理的、自然的特性に即した沖縄振興開発、県民の生活の安定と福祉の向上に資すると述べています。そして、この法律に基づく沖縄振興開発計画を策定し、事業を進めるなど、特別の措置を講ずることによって産業振興し、基地経済から自立経済への転換を図り、社会資本充実させ、本土との格差を是正し、平和で豊かな沖縄づくりを目指したはずであります。  ところが、その沖縄は依然として米軍基地の五三%が集中し、レーガン政権の危険な限定核戦争の核攻撃出撃拠点としてますます強化されていますが、これは重大であります。県民生活はと言えば、県民所得は全国平均の六六・三%、失業率は全国の三倍という高水準を記録しています。しかも若年層の失業者が半数を占めるという深刻な事態にあります。  また、先般の本委員会で私が指摘したように、国の公共事業の半分以上を本土大手企業に発注するという事実を明らかにしたところでありますが、これらのことを考え合わせると、歴代の政府沖縄対策は、軍事基地の維持強化、そして本土大資本企業の利益を優先する反面、地元産業の育成、経済の自立を事実上顧みなかったのではないかと指摘せざるを得ないのであります。沖縄経済と県民の生活が深刻な状態に置かれているのはその所産にほかならないと言わざるを得ません。  この法律を延長し、第二次振興開発計画を策定し、実施するに当たっては、この十年間の教訓を踏まえ、沖縄県民の希望、意思を反映し、基地撤去と基地の平和利用生活基盤産業基盤の均衡のとれた整備を進めるとともに、真に県民の生活と経済を基本にした県民本位の振興開発のための諸措置を総合的に盛り込むことを要求します。  あわせて、この法律にある国の補助率の充実強化、さらには各種制度の積極的な活用を図ることを求めて、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  289. 吉田之久

    吉田委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  290. 吉田之久

    吉田委員長 これより沖縄振興開発特別措置法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  291. 吉田之久

    吉田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  292. 吉田之久

    吉田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、小渡三郎君外五名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党及び新自由クラブ・民主連合の共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、提出者から趣旨の説明を求めます。小渡三郎君。
  293. 小渡三郎

    ○小渡委員 提案者を代表して、附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     沖縄振興開発特別措置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、次の諸点に留意し、今後の沖縄振興開発の推進に遺憾なきを期すべきである。  一 沖縄の経済社会の厳しい事態の改善に引き続き努めるとともに、沖縄の有する特性を積極的に活用するよう沖縄振興開発を推進することとし、所要の予算の確保に努めること。  二 引き続き社会資本整備を進めるとともに、将来の補助負担率の在り方については均衡のとれた施設整備が図られるよう配慮すること。  三 増大する水需要に対処し、水の安定供給を確保するため、多目的ダム等の建設を促進しつつ、多角的な水資源の開発を促進するとともに、水の有効利用に努めること。  四 厳しい雇用情勢に対処するため、産業振興を強力に推進するとともに、就業機会の増大、職業訓練の充実沖縄振興開発特別措置法第六章を有効に活用して、雇用対策を積極的に進めること。    また、雇用対策とも関連して、公共事業等の執行に当たっては、県内企業の受注機会の確保について一層配慮すること。  五 産業振興開発を進めるため、引き続き産業基盤の整備を推進するとともに、工業開発地区制度、中小企業の業種別の振興のための制度及び自由貿易地域制度の実現を図るよう努めること。  六 経済の振興及び社会の開発に対する沖縄振興開発金融公庫の役割の増大に配慮し、出融資が更に効果的に行われるよう努めること。  七 沖縄電力株式会社の民営移行に当たっては、沖縄の実態に配意しつつ、安定的かつ適正な供給が確保されるよう万全を期すること。  八 米軍施設区域については、日米両国において返還合意のあったものについてその早期返還に努めるとともに、返還跡地有効利用を図ること。    また、沖縄実情に即して土地区画整理事業及び土地改良事業の積極的な促進を図ること。   右決議する。 以上であります。  附帯決議案の趣旨は、案文によって十分御理解いただけると存じますので、この際、説明は省略させていただきます。  なお、附帯決議案文の作成に当たって、基地整理縮小を促進すること及び文化施設の整備についても検討することについて、強い意見が表明されましたことをつけ加えて御報告いたします。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
  294. 吉田之久

    吉田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  295. 吉田之久

    吉田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、沖縄開発庁長官より発言を求められておりますので、これを許します。田邉沖縄開発庁長官。
  296. 田邉國男

    ○田邉国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、十分にその趣旨を尊重いたしまして努力をいたします。  なお、沖縄振興開発特別措置法等の一部を改正する法律案について御可決をいただきまして、まことにありがとうございました。(拍手)     —————————————
  297. 吉田之久

    吉田委員長 なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  298. 吉田之久

    吉田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  299. 吉田之久

    吉田委員長 お諮りいたします。  委員の異動に伴い理事に欠員が生じております。委員長において指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  300. 吉田之久

    吉田委員長 それでは、部谷孝之君を理事に指名いたします。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時五十五分散会