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1982-02-24 第96回国会 衆議院 沖縄及び北方問題に関する特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年二月二十四日(水曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 吉田 之久君    理事 上草 義輝君 理事 小渡 三郎君    理事 川田 正則君 理事 高橋 辰夫君    理事 上原 康助君 理事 島田 琢郎君    理事 吉浦 忠治君 理事 部谷 孝之君       臼井日出男君    奥田 幹生君       高村 正彦君    國場 幸昌君       泰道 三八君    鳩山 邦夫君       五十嵐広三君    伊藤  茂君       松本 幸男君    玉城 栄一君       瀬長亀次郎君    菅  直人君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (沖縄開発庁長         官)      田邉 國男君  出席政府委員         沖縄開発政務次         官       田原 武雄君         沖縄開発庁総務         局長      美野輪俊三君         沖縄開発庁振興         局長      藤仲 貞一君         外務大臣官房審         議官      松田 慶文君         外務省経済協力         局長      柳  健一君  委員外出席者         防衛施設庁総務         部施設調査官  窪田  稔君         防衛施設庁施設         部連絡調整官  大場  昭君         防衛施設庁施設         部施設取得第一         課長      作原信一郎君         文部省体育局体         育課長     大門  隆君         農林水産省構造         改善局計画部資         源課長     吉田 茂政君         林野庁指導部計         画課長     野村  靖君         資源エネルギー         庁石油部備蓄課         長       市川  南君         資源エネルギー         庁公益事業部業         務課長     植松  敏君         運輸省航空局飛         行場部計画課長 井上 春夫君         労働大臣官房参         事官      田代  裕君         建設省河川局治         水課長     玉光 弘明君         自治省財政局調         整室長     亀田  博君         特別委員会第一         調査室長    長崎  寛君     ――――――――――――― 二月二十四日  沖縄における米軍基地の返還、縮小等に関する  陳情書  (第一〇九号)  沖縄パイナップル産業危機打開に関する陳  情書  (第一一〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  沖縄振興開発特別措置法等の一部を改正する法  律案内閣提出第二〇号)  沖縄問題に関する件      ――――◇―――――
  2. 吉田茂政

    吉田委員長 これより会議を開きます。  沖縄振興開発特別措置法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。  なお、本日は、あわせて沖縄問題に関する件についても調査を進めることにいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。國場幸昌君。
  3. 國場幸昌

    國場委員 田邊長官におきましては、御就任早々意欲的に、沖縄本島はもちろんのこと宮古、八重山、また各離島にまたがる熱烈なる熱心さをもちまして御調査なされ、県民といたしましてもひとしくそれに対しては感謝、期待を申し上げておるわけでございます。御案内のとおり、復帰して十カ年を迎えたといえどもまだまだ格差におきましてはほど遠いものがございまして、これから開発庁長官を初め開発庁の今後における沖縄に対する熱情あるところの、県民期待する名実ともに豊かなる県づくりということに対しまして、どうぞひとつよろしくお願い申し上げます。  そこで、まず最初にお礼を申し上げておきたいことは、沖縄振興に今日まで過去十カ年近く特段なる特別措置をもって、あまたの立ちおくれの基盤整備に対しましてその功績はまことに顕著なるものがあるということは、これは認めております。ところがまだまだほど遠いものがございまして、それに対する御理解を得まして、去る十一月においての五十七年度予算前に、沖縄高率補助の問題とか、それに基づくところの諸法の整備、今度の延長、こういうものに対して特段の御高配をいただきまして、これら今日から始まる沖縄の新たな第二次振計に出発する基礎となるべき法案が今度審議される、こういうようなことになっておりまして、まことに今日までの御努力に対し感謝申し上げておるわけでございます。  そこで、まず最初に、いま目前に一番困っておる問題といたしましては水問題でありますが、御承知のとおり、日常生活をするのに欠くべからざるところの水問題、これが二百日余にわたり断水、しかも最近に至っては四十八時間のうち二十時間給水というようなことで、二日に対して二十時間しか給水してないという現状なんです。そういうような現状に対しまして、何とかこれはダム建設だとかいろいろと今日まで開発庁におきましてはその手段を講じてきておることは、これは高く評価するといえども、現実はこういうような断水騒ぎ。ことに沖縄観光立県をいまモットーとし、それによる経済依存度というものが大きいこともございまして、この水が、もう沖縄に行ってもだめだよ、水がないんだよ、こういうことになってくると、沖縄経済はもう直ちに観光のとだえによって破綻を招くというようなことになります。水問題に対しましてなかなかむずかしい問題ではございますが、しかし、さりとて手をこまねいておってこれが解決できるわけじゃないし、雨は自然の恵みの雨で天からでありますが、いま復帰して間もなくこれだけのダム設備されて、それに対しましては逐次解消するとは思うのですが、目前の問題としまして、これいかに解決すべきかといういい案がありましたらひとつお聞かせしていただきたい、これをお願いするわけですが、どうぞひとつ……。
  4. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 私から先に御答弁申し上げます。  水資源開発は、先生指摘のとおり、沖縄振興開発上大変重要な課題と考えております。これがためかねてから北部ダム整備を進めておるところでございますが、五十六年度からは羽地ダム建設に着手いたしました。また、五十七年度予算公共事業新規採択がきわめて厳しい状況ではございましたが、その中で新たに比謝川総合開発事業及び漢那ダム建設に着手する、こういうことになっております。  今後どういうぐあいに水資源開発していくか、こういう御質問でございまして、大変お詳しい國場先生にいまさら申し上げるのはどうかと思いますが、私ども考えを申し述べますと、まず水資源開発手法といたしましては、何と申しましてもダムが最も一般的な方法でございます。他の手法に比較いたしまして、大量の水を安定的かつ恒常的に開発することが可能でございますし、また、完成後の維持管理という面におきましても、維持コストが比較的低廉で済むという利点がございます。こういうことから、私どもといたしましては、今後とも多目的ダム建設主体といたしまして水資源開発を進めながら、同時に海水の淡水化地下水利用、さらには汚水再利用等、多角的な水資源開発利用についても検討してまいりたい、かように存じておる次第でございます。  当面の水需給状況ないしは当面の対策という点につきまして若干敷衍して申し上げますと、沖縄本島都市用水需要は、昭和五十五年度におきまして、企業局配水分日量約三十六万トンとなっております。この需要に対しまして、復帰完成した福地ダム及び新川ダム供給能力日量約十四万トンでございまして、その他は、御案内のとおり不安定な河川、表流水等に依存している現状でございます。都市用水需要は、人口の増加、生活水準の向上及び産業進展等に伴いまして今後もなお一層増大していくものと予想いたしております。この増大する需要にどのように対処するかということでございますが、現在建設中の北部ダムのうち、安波ダム普久川ダム及び福地ダムの再開発につきましては、昭和五十七年度中に完成する予定でございます。これにより、新たに日量約十二万トンの供給が可能となるわけでございます。北部ダムのうち、残りの辺野喜ダムにつきましては、昭和五十九年度に概成ということを目途にいたしまして現在鋭意建設を進めておるところでございます。  先ほど申し上げましたように、五十六年度からはさらに羽地ダム建設に着手しておりますし、また五十七年度からは新規比謝川総合開発事業及び漢那ダム建設に着手するというように、多目的ダム建設主体とし、あわせていま申し上げましたように五十五年度から着手した西系列水源開発整備事業の促進を図り、その上多角的な水資源開発を検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  5. 國場幸昌

    國場委員 いまさっきも申し上げましたとおり、これに対しまして熱意を持ってダムあるいは給水関係配慮されておるということは了とすることではございますが、御案内のとおり、沖縄は島が狭隘であり、それに急傾斜であって、復帰前においてのダムといえば、目ぼしいダムとしましては、福地ダムが軍のなにで工事中で、復帰後においてわが日本建設省が受け継ぎましてそれを仕上げ、それが約三千六百万トンと言われておりましたが、その後そのように安波ダム普久川ダム新川ダム、こういうことで漸次増設いたし、五十六年に至っては大体目鼻がつくかというようなこともあったのでありますが、御案内のとおり、沖縄雨量本土の約一倍半とも言われて、二千三百ミリと言われておりますが、その容器とすべきダムそのもの——降るときにはもう物すごい豪雨で降って、降らないと、いまみたいに半年も七カ月も間隔があって、時たま降ったかと思ったら四、五ミリや十ミリぐらいということで、ダム貯水には全然効果がないというようなことなんです。  私はここでお願いなんですが、これは金はかかることでありますが、降るときに雨量があるわけですから、その容器とするダム貯水池、これをこれから計画的に、いまおっしゃった給水に対しての計画を満たすためにおいては、どんなにしてでも、いまのダムの容量というのをそれに対応すべく設備をしなければならぬから、これはいつもこういうことでなるのだということを考えるわけなんですが、その辺、いまさっきの御説明で、いつごろまでに——これから十年間振興開発計画延長するというようなことで、十年間をもって目的達成のための設備計画されるものであるか、いつごろまでにこれを計画されておるものであるか、その辺をお聞かせいただくと同時に、それから、いつでも問題になるのは水源地水利権に対する地元要望なんです。これが一番問題なんですが、御案内のとおり、発電所それから石油タンクそれから水のダム、こういうのは、需要に対して、いわゆる所在する市町村ですね、そこは水ならば水だけは取られて何もメリットはないじゃないか、こういうことがよく言われるのですね。発電所にしましてもCTSにしましても、しかり。だからこれは、この三つの地域住民に対してのお返し、これをどうするかということについていつでも問題になるわけなんですが、これはダム周辺整備計画事業に対してのなにもあるが、これは不十分だと思うのですね。その地域住民要望にはこたえることのできないということ。これは全国的であるが、しかし、ことに沖縄が立ちおくれておりますので、かようなるものも並行してやらなければ、今後の計画、いまさっきおっしゃったような計画も、果たしてこれが計画どおりできるかというのも大きな問題なんです。その点に対しましてはどういうようなお考えであるか、それで、いつごろまでに目的達成ダム設備、まあ容器でしょうな、ダムにしましても、離島であったらため池でしょうね、そういうものに対しての計画沖縄振興に対しての一番の目玉だと思いますが、その計画がありましたらひとつお聞かせをしていただきたい。
  6. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 二次振計期間中のいつまでに水問題を解決するか、こういう御質問でございますが、私ども、いま二次振計の策定について検討中でございまして、今後の水需給推計等を行いました上で、それに応じて供給計画を立てていく、こういうことを考えております。いずれにいたしましても、二次振計の期間中にこの水問題の解決ができるように最大限の努力をいたしたいと考えております。  また、御指摘のように、沖縄ダム建設いたします場合に、大きく申しまして二つの問題がございまして、一つは、いま御指摘がありましたような沖縄地理的条件と申しますか、そういう問題が一つ、もう一つは、最近これは非常に切迫した問題になっておりますが、地元対策でございます。私ども、今後多目的ダム建設していくに当たりまして、地元対策が非常に重要であるということは痛感しております。こういう観点から、先般も総合事務局及び沖縄県の担当者を招きまして、今後のダム建設を推進していくに当たって地元対策をいかように展開すべきかということについて協議をしたところでございまして、今後そういう点でさらに対策を具体化していきたい、かように考えております。
  7. 田邉國男

    田邉国務大臣 お答えをいたします。  沖縄の水問題は沖縄産業経済文化、あらゆる問題に重大な影響を与えるものでございまして、私も昨年参りました際、すでに隔日断水もやっておられました。今日四十八時間のうち二十時間ですか、給水をされておるという実情を見ましたときに、この水対策沖縄にとって私は最大の問題であろう、そう認識をいたしております。したがいまして、御質問のように第二次振計の中でこの問題をできるだけ努力をいたしまして、第二次振計の中で解決をしていきたい、私はこういう考え方でございます。
  8. 國場幸昌

    國場委員 長官を初め振興局長も水問題ではより以上なる関心をお持ちで、その問題解決には腐心されておるということがうかがえるわけでございますが、本島のみならず、沖縄は御案内のとおり、三十九の有人島がございます。言うまでもなく、昔はこれはため池で、旧藩時代からずっと明治、大正にかけて、戦前は離島はほとんどため池をもって水をしのいでおったわけなんです。戦後に至りまして、本土においての経済発展と同時に、おかげをもちまして沖縄振興もずいぶん発展方向になにしまして、離島といたしましても文化生活をする上において欠くべからざる水問題、これが問題化するわけでございまして、そうすると、離島は水道というのは地下水をくみ上げるかあるいはため池をつくって雨水を浄化するか、こういうことにしかならないのであります。伊江島にそれの大体見本みたいなものが十万トンの——飛行場建設に対してコーラルを取った跡、すぐ向かいで海洋博が行われまして、伊江島からは約四キロくらいしかありませんので、そこに飛行場を民間に開放しました。そこは水がないものですから、本島から水を引くかということであったが、パイプを海洋博に元栓として引いておるものからこれを離島まで引っ張ったのでは水が足りない、水量が足りない、こういうことで、海洋博済むまでがまんしろということで、この十万トンの貯水タンクを浄水化して、海洋博観光に来るお客さんに対しての水の供給をしたことがございました。そのようなことで、いま離島を回りますと、久米島とかあるいは多良間、そういうところにはビニール製貯水タンクができておりますね。ああいうものを各離島に今後も予算化しましてたくさんつくる必要があると思うのですが、そういう離島の水問題に対してはどういうお考えですか。
  9. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 離島における水問題は、生活用水としての重要性もさることながら、農業用水開発が非常に重要であることは先生の御指摘のとおりでございます。大規模なものから申し上げますれば、まず石垣島においては、御承知のように国営灌漑排水事業を行っておりまして、宮良川地区真栄里ダム完成予定でございますし、さらに五十七年度からは新たに名蔵川地区に着工いたすことになっております。その他宮古におきましては、御承知のように、地下ダムと与那覇湾の淡水化をつなぎ合わせた農用水開発ということで現在調査継続中でございます。  いまのお尋ねは離島水資源開発でございますが、離島によりましていろいろ条件を異にしております。それぞれの条件に適合した水資源開発を今後とも進めてまいりたい、かように考えております。
  10. 國場幸昌

    國場委員 とりあえず水問題を真っ先にしましたのは、御承知のとおり、水問題が沖縄県民として一番行き詰まった点でございまして、強く印象づけるために質問を先走ってやったわけでございますが、まず長官に今後二次振計を継続するにおいての——長官は意欲的で、いまさっきも申し上げましたとおり、就任早々前後二回にわたり沖縄全島をすでに回りまして、その意欲的な熱意に対しては高くこれを評価する、こういうことで感謝申し上げるわけでございますが、二次振計を今度延長しまして沖縄県民はひとしく喜び、また期待をしておるわけでございます。それが、いま御案内のとおり緊縮財政の中で政府財政も厳しくなってきたし、沖縄においては、特段の御配慮のもとで特措法によっての高率補助ということでいままで御厚情にすがって急速に格差是正も進展してきたわけでありますが、今後においてはなかなか厳しいものがある、こういうことでございますが、それに対する対応、第二次振計を遂行するにおいての長官の取り組みの姿勢を第一番目に、ひとつ御意思をよろしくお願いします。
  11. 田邉國男

    田邉国務大臣 お答えをいたします。  沖縄経済社会は依然として厳しい状況にあることは先ほど来御指摘のとおりでございまして、政府といたしましては、沖縄振興開発特別措置法有効期限を十カ年延長すると同時に、現在の国庫負担また補助率その他も特別措置継続をする、そういうことを含めまして本法案を提出いたした次第であります。  この補助率等につきましては、御承知のように、昨年の予算編成の際にも、大変な皆様の御要望におこたえすべく私ども最善努力を払いまして補助率継続を確保することができましたのも、沖縄実情を私ども十分理解をいたし、また政府もその実情を把握しての対応でございます。したがいまして、新たな沖縄振興開発計画は今回の法改正を踏まえて策定することになるわけでございますけれども沖縄の置かれておる厳しい状況に対しまして、やはり長期的な、そして総合的な視点に立って今後の沖縄振興開発方向と施策のあり方を明らかにいたしまして、これを計画的に推進をしていくこと、これが非常に重要なことであると考えております。かような基本的な立場から、沖縄の置かれておる状況、そしてまた県民の意向などを十分に配慮をいたしまして計画を進めてまいりたい、こういう考え方でございますので、御理解をいただきたいと思います。
  12. 國場幸昌

    國場委員 大臣の御熱意を感謝いたしまして、どうぞひとつ目的達成のためこの沖縄振興が再延長しないで十カ年間でひとつ目的に対して完成すべく、私は前からそのようなことは申し出ておりましたが、経済変動政府予算のいろいろな都合によって年次計画を立てて、物価がどうであろうが予算がどうであろうがというようなことはちょっと申しにくいことでありますが、物価変動によって仕事が遅延していくとかいろいろな問題があるのですが、年次計画の上において事業達成率目標に置きまして、十カ年計画なら十カ年計画でこの姿になるんだというような、そのもとでやると計画どおりのことが再延長だとかどうだこうだということも言わないで済むということですが、そのようなことは前から申し出ておりますが、これはむずかしいんだということでいままでその返事を受けておりまして、私の政務次官時代にも、この年次計画において達成率をもって十カ年計画というものを達成させるということが理想じゃないか、そのためには各省に割り当てられる予算の中からじゃなくして、沖縄予算は独自の予算をもってやっていく、こういうようなことが一番必要じゃないかということも何回も申し出ておりますが、しかし、いまだにこれは実現しておりません。ひとつ大臣、そのようなことが努力によって、また政府理解を得ましてできましたら、これが一番理想だと思います。ひとつそれを参考までに申し上げておきます。  それから、沖縄を制する者はアジアを制する、私はいつでもこういうことを言っております。歴史は語っております。ペルリがわが国を開放するときにも沖縄に三カ年間おりまして、それから「バジルホール沖縄探検記」とかいろいろな古跡を見ますと、沖縄が第一次、第二次大戦においても、あるいはまた東洋におけるかなめとも言われておる戦略上におけるところの沖縄の持つ地理的条件、これは言うまでもなく沖縄を中心にしまして半径千五百キロをコンパスを回しますと東洋における重要都市全部入ってしまうのです。だから、アメリカにいたしましてもわが国にいたしましても、国防上においては絶対欠くべからざるところの確保しなければいけない沖縄であります。  そこで、沖縄県民は十字架を背負うところの宿命の沖縄だ、こう言われておりますが、この問題は別といたしまして、戦略上におけるところの沖縄地理的条件、こういうことであれば、これより以上なる経済文化においての交流の地としてのアジアに対してのかなめ、これは政府の政策によって沖縄開発するのであれば可能なんです。わが国の三全総、あの下河辺氏が起案したところの三全総、その中に沖縄の今後における展望、存在価置、これがうたわれているのを見ましたら、全くそのとおり。国際空港にしてアジアポートをつくって、それで中南米におけるところの豊富な地下資源、そして世界の四分の一を持つところの中国人口、それが大きな消費市場として、それで中継基地とする沖縄であれば、そこら辺においての沖縄発展は洋々たるものがある、こういうようなことの構想もよく言われておりますが、私は一昨年中南米に行きました。そのときに、沖縄アジアポートをつくって、幸いにしまして中共といえども彼は西側陣営に傾いてきて、あの十億の国民に対する消費市場としての中継基地中南米における無尽蔵なる天然資源を交流させるためには沖縄以外にないと言うのですよ。神戸や横浜、こういうところは北に上がり過ぎると言うのです。さっきお話し申し上げましたとおり、沖縄から半径千五百キロも回しますと、中国であろうが東洋における重要都市が全部入ってしまうのです。それぐらいまでに地理的な好条件を持ち——しかも私が国会に参加いたしまして、これは復帰の二カ年前ですから十二カ年を迎えておりますね。そのときに沖縄開発の一番の目玉は、東海岸に中城湾港、金武湾港を構築して、わが国にたがわずして臨海工業を張りつけてその商工都市として沖縄発展を期する、これが目標だったのです。ところが、残念ながら企業は悪なり、企業は公害なり、企業は搾取なり。山も青く海も清くとかこんなことを言って、せっかくの駆け込み外資、あるいはわが国におきましては沖縄に対する長年における立ちおくれ、格差是正基地経済から脱皮するためには第二次産業のみでなくてはいけないというような経済基盤の切りかえ、これに対する第二次産業発展振興、これの芽を摘んでしまったのです。芽を摘んでしまって、いまではもうわが本土におけるところの二倍半の失業者を持って、国の責任だどうだこうだと言っておりますが、私は政権を持つ自由民主党の議員の一人として、これは国だけの責任じゃないのです。時期を失するということは、政治の場におきましても行政の場におきましても、見通しというのと時期というのは失ってしまったら取り返しがつきませんよ。百年の大計に誤りを犯したということを私は感ずるわけであります。いまさらそんなことを言ってもしようがありませんが。まあひとつそういうようなことで、沖縄に対してのアジアポート、これはブラジルかメキシコからは通産省に正式な要請があったはずです。私が行ったときにそういう話をしておりました。ところが、アジアポートに対しては、日本はこれは何か断っておるとか、それでフィリピンで計画しておるとか、そういうことも聞かれておりますが、もうひまがございません。私は一時間、本当ならば三時間くらいかけたいのですが、きょうはただ思うようなことを一人一方的にしゃべりまして、参考にできるようであればそれも応用してください。  それでは質問に入るわけですが、一次振計では社会資本の整備を中心に諸施策が実施されたが、目標達成にはまだまだほど遠いものがあるということをよく言われておりますが、その達成率はどうなっておるか、ひとつお知らせいただきたいと思います。
  13. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 お答えいたします。  目標達成率はどうなっておるか、こういうお話でございますが、先生案内のように、沖縄振興開発計画は長期的総合的な観点に立ちまして将来展望を行い、沖縄振興開発の向かうべき方向とその基本施策とを明らかにしたマスタープランでございまして、各分野ごとに数字を用いて目標値を示していないわけでございますけれども、ただ、その中にありまして、十年後の経済社会の見通しということで、人口あるいは産業構造等々についてその目標を明らかにしておるわけでございます。  それとの関連におきましてただいまの状況を申し上げますと、沖縄県の人口昭和五十五年十月には百十万七千人となりまして、計画で想定された昭和五十六年の人口、これは百三万と予想をいたしておりましたが、これを大幅に上回っておる状況にございます。  それから、就業者数につきましては、昭和五十五年四十三万一千人でございまして、計画では五十六年の就業者数を四十六万人と見通しておりましたが、それを下回っておる状況にございます。  また、その産業別構成について見ますと、計画で想定された比率を第三次産業では大幅に上回っておりまして、第二次産業ではその目標値を大幅に下回っておるというような状況にございます。  それから、県内の純生産について申し上げますと、五十五年度の名目値で一兆二千七百七十四億円と推計されております。これは県の速報値でございますが、計画におきましては四十五年価額で一兆円程度になるという見通しを持っておったわけでございます。この間の価額水準の変動等を考えますと、これも見通しを大きく下回っておる状況にあるわけでございます。  また、その産業別構成について見ますと、復帰当時と同様、物的生産部門としての第二次産業が非常に弱く、零細な卸小売業から成ります第三次産業の比重が非常に高いという産業構造は以前とほとんど変わっていない、この点も計画の見通しと大きく異なっておるところでございます。  また、一人当たりの県民所得について見ますと、五十五年度名目で百十五万六千円となっておりまして、この間の価額水準の変化等を考えますと、四十五年価額で百万円弱という計画の見通しを大きく下回っておるという状況にあるわけでございます。
  14. 國場幸昌

    國場委員 おっしゃるように、目標達成ということになるといまのようなことでありましょう。  そこで、一次振計の目標達成のために国や地方公共団体ともに努力の跡は認めるといえども沖縄の特殊事情は依然として厳しい状況にあり、今後さらに第二次振計等を作成し、新しい発展に向かう必要があると考えられるが、二次振計の果たすべき役割りとして何を期待していいのか。いまさっき申し上げました失業問題、あるいは大きなプロジェクトも済んでいくと、政府予算をもっての経済とか、観光と言えば観光がどういうような変動が来るかということは、いままでの観光という経過から見ました場合に、行き先というものに対していまどうりにぐっと伸びていってこれが安定するものだとは、これはちょっとだれしもが確固たる見通し、確信を持てないわけなんですね。そこで、浮き草経済とし、第三の経済の柱としてはいまだに基地経済、基地がもたらすところの経済に対するウエートですね。これも第三位というようないまの現状なんですね。だから、そういうような沖縄で、もともと目ぼしい二次産業就労の場もないというようなかっこうなんですが、そういうようなことに対して二次振計は、今度大体いままでのものそのものが十カ年また延長されるとした場合に、何が一体期待できるかということはなかなかの問題ではあると思いますが、その点に対して計画がありましたら、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  15. 田邉國男

    田邉国務大臣 いま御指摘の第二次振計の重点はどこに置いて進めていくか、これは大変重要な問題だと思います。私どもは、この第二次振計の課題というのは県と十分の打ち合わせをして、そして社会資本の充実整備、また産業振興、こういうことが必要であろうと考えるわけでございます。したがって、現在の沖縄県におきまして計画の素案を検討しておると承っておりますが、私どもも十分検討の調整を図りまして、この振興開発の向かうべき方向というものを十分施策の上で明らかにしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。  私も沖縄にはかつて数回参りまして、私がここの知事であればどういうことをやればいいかということを、十数年前から数回にわたって実は考えておりました。沖縄の持つ特性と申しますか、経済社会現状というものを見ましたときに、やはり引き続いて社会資本の整備充実ということが大事であるということ、もう一つは、水資源開発をしなければならない、またエネルギーの確保に努めなければならない、こういう必要があるということを痛感をいたしておる次第であります。特に沖縄経済社会の自立的な発展に向けての新しい段階の時代を迎えたと思うわけでございまして、したがって、活力のある地域社会を実現をし、そして、就業の場を確保していくためのいわば産業振興が最も重要であろうと考えております。また同時に、農村とそして都市とにおけるそれぞれの定住条件整備、また、その相互の有機的な連携を通じまして、県全域にわたるいわば均衡のある発展を図ることが重要であろうと考えております。また、生活環境の総合的な整備と、そしてまた自然環境と国土の保全を進めると同時に、社会福祉の充実、また保健医療体系の確立等総合的な推進を図っていく必要があろうと考えております。いま沖縄産業は何を誘致するか、そしてまた、地元の資本におきましてどういう産業を確立するか、これは重要な課題でございまして、私ども、この問題につきましては鋭意検討努力を進めておるところでございます。  先ほど御指摘がございました沖縄の国際的な条件、位置、これは国際交流の場として環太平洋における重要な位置を占めておると理解をいたしております。それにつきましても、国際交流の場の形成というものを積極的に進めてまいり、これを拠点として環太平洋の中心的な役割りを果たす沖縄であってもらいたいと考えるわけでございます。したがって、この沖縄経済を支える人材の養成にも積極的に取り組んでまいる考えでございます。  第二次振計におきましても、基本的には一次振計を踏襲いたすわけでございますけれども、一次振計の期間中に社会資本の整備充実ということを踏まえて、沖縄経済発展状況にかんがみて産業振興により重点を置いていく必要があるということを痛感いたしておるわけでございます。いずれにいたしましても、沖縄県の実情県民の皆さんの意向というものを十分踏まえて検討をいたしてまいりたい、かように考えるわけでございます。  なお、沖縄の農業振興の問題につきましても、現在サトウキビを中心に進められておる現状でございますが、さらに本土にない特性のある生産物をつくり上げる、また温暖という気候を高度に活用をした農業の振興を図っていくことも大事なことであろうと私は考えております。  以上です。
  16. 國場幸昌

    國場委員 いまさっきも申し上げましたとおり、沖縄に目ぼしい就業の場とする企業がないために、御案内のとおり失業率は若年層に多い。これが本土においては三六%というのが沖縄では六〇・九%、こういう数字が出ておりますが、失業問題に対しましては、いまさっき御報告がありましたとおり休業による、あるいはまた本土における集団就職とかUターン、こういう現象が起きまして、自然増加による人口の率等で言えばそういう数字にはならないと思うのですが、気候、風土に恵まれた沖縄ですから、故郷恋し、少々苦しくても沖縄だということで若い連中も他府県に出ていこうとしないのですね。そういうこともあるということをよく理解しております。  ところが、でき得るならば沖縄本島において何かの仕事ということになると、他府県に比べて、いまさっきも申し上げましたが第二次産業——狭隘なる土地でもって農業といっても基地が邪魔しておるというようなことで、この基地を全部取っ払ってでも——いまから三百年前ですか、沖縄において自活する人口は四十万だ、こういうことを言われた大政治家が沖縄におるのですね。いま百十万を超しておりますので、いまの文化生活をする上においては沖縄では大体二十五万か三十万ぐらいが自活できる人口の範囲だ、こういうことから考えますと——、いずれにしましてもわが国発展というのは恵まれた条件、この条件というのは海浜、日本みたいに長い海岸線を持っておる国はどこにもないのです。わが国の今日の重工業の発展は、自然に恵まれたところの海浜による臨海工業、それから海上輸送による近代化された輸送立国日本、これが国民の努力と相まって今日を来しておるのは否定できない現実ですね。沖縄もたがわず、本土より以上なる地理的条件を持っておるということで、国策として若年労働者——すぐ目の前でそれを解決しろと言ってもこれはだれにもできません。だから五年計画、十年計画、幸いにして十カ年計画がありますから、それにおいては国際的な沖縄の持つところの条件を生かしながら、沖縄振興に対しては、目的達成のために、戦略上の沖縄利用だけでなくして名実とも経済文化に対しての沖縄としての構想を描いて、それで沖縄振興開発の点に注目して実現を期してやっていきたいということを切に希望するわけであります。  それから、自由貿易地域の設置の問題ですが、これは単純なるいままでの——自由貿易設置法をそのまま延長しただけでは、これは十年かかって自由貿易というようなことでその法律のもとでやっておりまして、これはつぶれましたが、何も目ぼしいものはない。またこの法律をそのまま延長するということになってもこれは同じことを繰り返すだけであって、何ら一つの希望も持てないようなことなんですが、それに対して、延長したのであれば、せっかく法律もあるのだから、あれは輸出だけに対する自由貿易地域の設定というようなことをいままでの経過から見ても感じるわけですが、輸入面においても何か特典のある自由貿易地域として生かすような方法はありませんか。せっかく自由貿易地域の設定に対しての法律は延長したとしても、しかし、いままでにおいてこれがどうにもできないようなかっこうの、一つも生きたものもないのに、これをただ単純延長してそれでやれと言っても、これはできるものではないのですね、皆さん。だから、それに対して何か工夫をしたアイデアがあるかどうか、それを聞かせていただきたいのです。
  17. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 お尋ねの点、二点あろうかと思いますが、一つは現在の自由貿易地域制度が何ら効果をあらわしていない、それを単純延長するだけでいいのかという御質問であろうかと思います。  この点については、これまでこの制度がわが国において全く新しい制度であるというようなことから相当慎重な調査等を行ってきておりますけれども、そのほかに、全体的に沖縄産業基盤の整備がおくれておる、あるいは当該自由貿易地域の候補地がなかなか選定できないというようなこともございまして、御指摘のようにこれまで同地域の指定はなされないまま来ておるわけでございます。しかしながら、この十年間におきまして、道路、港湾、空港等の基盤整備がかなり進展してまいっております。また、これまで見られなかった工業用地の造成等も、御案内のように糸満等において着々と進められており、さらに重要湾港の開発にも着手をいたしておるという状況にあるわけでありまして、県においても自由貿易地域の指定に向かいまして、その具体化のための検討を現在行っておるところでございます。したがいまして、私どもといたしましては、これらの産業基盤の整備の進展あるいは今回の制度の延長によります優遇措置等と相まちまして、第二次振興開発計画期間中におきまして、これらのものが具体化されることを期待しておるところでございます。  それから、もう一つのお尋ねといたしまして、単に輸出というようなことだけではなくて、輸入というような面での活用も考えられないかというお尋ねでございますが、この点につきましては、この自由貿易地域につきましては輸出の振興というような面と、同時に国内におけるいわゆる関税あるいはそれに伴う国内企業との調整の問題といったものも大変複雑な問題をその中に含んでおるわけでございまして、そういった先生のお考え、これは私どもとしても参考にさせていただきたいと思いますけれども、そこにはまた非常に大きな問題が含まれておるということを御理解いただきたいと思います。
  18. 國場幸昌

    國場委員 時間がありませんので、問題だけを提起しましてやめたいと思います。  一番問題なのは、いまさっきの水問題と、これから沖縄を今後振興するにおいての一番目玉とすべきは電気問題、電力問題ですね。これに対してもいろいろと質問したいのでありますが、時間が何分ありません。それから、沖縄で盛んにちまたでもってわいわいしているところの返還された軍用地においての再使用、跡利用の問題、この問題もいろいろとただしたいわけではございますが、しかし時間の制限が来ましたので、これでやめますが、これを保留いたしまして、本日はこれにて私は質問を終わります。ありがとうございました。
  19. 吉田茂政

    吉田委員長 次に、小渡三郎君。
  20. 小渡三郎

    ○小渡委員 私は、開発庁長官にまず二点お伺いをいたしたいと思いますので、簡潔に、明確にひとつお答えをいただきたいと思います。  去年の暮れには、沖縄県の強い要請によります特に高率補助継続につきまして最大の御尽力をいただきまして、これが当分の間継続することに相なりました。長官の御熱意と御努力に対し、まずもって高くこれを評価したい、このように思っております。  そこで、質問でございますが、長官は御就任以来沖縄の問題についてはつまびらかに御勉強をなさったものと信じております。そこで、復帰して十年間、沖縄県民所得の格差の是正並びに各分野における格差の是正、そして、将来自立経済を確立することのできるような基礎条件整備目的といたしまして、沖縄関係の法令ができ上がったわけでございますが、それに伴いまして第一次振興開発計画が策定されました。ここでどうしてもこの十年間を振り返ってみる必要があると思うのであります。  長官の一次振計におけるその成果と反省につきまして、まずお伺いをいたしたいのでございます。
  21. 田邉國男

    田邉国務大臣 お答えをいたします。  第一次振計の経過とその評価をどう見ているかということでございますが、私は、昨年沖縄に参りました。また数年前に数回にわたって沖縄を拝見いたしました。その間の私のこの目で見た感じというものは、大きな進展がなされておったということを実は率直に痛感をいたした次第でございます。     〔委員長退席、川田委員長代理着席〕  一次振計に基づきまして実施されました諸施策が、実は積極的に行われた公共投資によりまして、立ちおくれた社会資本の充実というものが、整備が大きく進展をしてきたことは事実でございます。また、総体として沖縄経済というものが着実に発展を遂げてきた、こう私は見ております。  しかしながら、わが国経済の基盤変化や、そして基調の変化や、それから沖縄の地理的、自然的条件どもありまして、産業経済の面では予期したほどは進展をしておらない。そしてまた雇用の面におきましても、先ほども指摘がございましたけれども、かなり就業者の増加はございますけれども、なお労働力人口の伸びに及ばず、実は厳しい雇用情勢が続いておる、こういうことを理解をいたしております。  社会資本の整備は、さきに述べましたように大きく進展をいたしまして、道路、空港、港湾の施設などについてもさらにこれを充実をしなければならない。また、水資源につきましても御指摘がございましたように、渇水期にはその確保に不安がございますので、それを取り除くような対応をしなければならない、こう考えております。また、農林漁業につきましても産業基盤整備もまだ十分ではない。また、生活環境の施設などについても不足しているものがまだかなりある、こういうことでございます。  このように多くの分野で着実な成果は上げてはおりますけれども、なお整備を要するものが非常に多く見られる、こう判断をいたしております。また、産業振興の問題を初め、雇用問題、水、エネルギー問題など解決を要する多くの課題を抱えておりまして、沖縄県の経済社会現状は、率直に、まだ厳しい状況下にあると私は考えております。したがって、沖縄県の実情、そして沖縄県民の動向と意向というものを十分に踏まえて、引き続いて沖縄振興開発を図っていく必要があろうと思います。  沖縄県が二十七年間日本の施政権外にあった。そして、本土は高度成長の波に乗って進展をした。にもかかわらず沖縄は施政権外にあったそのハンディが今日依然として続いておる。そういう意味で、第一次振興においては最善の努力を払って進展はしてきたけれども、まだ本土との格差は非常にある。これを埋めていくのがわれわれの務めであり、沖縄開発庁が果たす役割りは重かつ大であると認識をいたしております。  以上です。
  22. 小渡三郎

    ○小渡委員 ただいまは、第一次振計に対する分析の結果、十分な措置を講じてはきたもののまだ不十分な面がたくさん残っているということで、これから後も十分配慮し、尽くしていかなければならないだろうという御決意でございますけれども、それでは、第二次振興開発計画をいまから策定するわけでございますが、県といたしましてはいまその準備中でございますけれども沖縄三法衆院通過、参院通過を見まして、少なくともことしの六月までには素案ができ上がりまして、そして国との調整が始まるわけでございます。第二次振興開発計画にいろいろ課題があろうかと思いますが、それについてはいかがなものでしょうか。長官お答えください。
  23. 田邉國男

    田邉国務大臣 お答えをいたします。  第二次振興開発計画につきましては、御指摘がございましたように、現在沖縄県におきましてその計画の素案を検討いたしておると承っております。今後沖縄県とも十分調整をいたしまして、その振興発展の向かうべき方向と施策のあり方を明らかにしてまいりたい、かように考えておりますが、沖縄の持つ特性、そしてまたその経済社会現状を見ますと、引き続いて社会資本の整備を進め、また水資源開発やエネルギーの確保にさらに努めていかなければならないと考えております。     〔川田委員長代理退席、委員長着席〕  特に沖縄経済社会の自立的な発展に向けての新しい段階に来ていると思われる今日、活力のある地域社会を実現いたしまして就業の場を確保していくためにも、産業振興が最も重要であろうと考えております。このためには各地域の特性を活用して、そして各産業振興を図りますと同時に、生産性の向上等を図り、相互の有機的な結びつきを深めまして、産業の総体的な発展を図る必要があろうかと考える次第であります。農業、そしてまた製造業、観光関連産業振興をこういうような観点から検討していくことが重要であると考えております。次に、都市及び農漁村それぞれにおける定住条件整備を進めますと同時に、相互の有機的な結合によりまして、一体となった発展を図って、県全域にわたる均衡のとれた発展を期することが重要であろうと考えます。  このような観点から、生活環境の総合的な整備、また自然環境と国土の保全を進めますと同時に、福祉社会の拡充、また保健医療体系の確立等を総合的に推進していく必要があろうかと考えております。  そのほか、沖縄のいわば特性を生かした、環太平洋の中の重要な位置を占めておる沖縄でございますから、国際交流の場の形成また沖縄経済社会を支える人材の育成、こういうことについてもさらに積極的に取り組んでまいりまして、沖縄県全域にわたりまして調和のとれた、いわば活力のある地域社会を形成していくことが必要であろうと思うわけでございます。  いずれにいたしましても、沖縄県の実情県民の意向というものを十分踏まえて検討をしてまいり、県民期待する第二次振計を推進をしてまいりたい、かように考えておる次第であります。
  24. 小渡三郎

    ○小渡委員 長官のお話を承っておりますと、何か第二次振計が終了したころにはバラ色の沖縄ができているような感じを受けて、大変うれしいわけではございますけれども長官の方で本当に第一次振計の中身の分析だとか反省を十分になさっているんだろうかなというような不安も多少残ります。  いま二つの質問に対してお答えをいただいたのでございますが、この第一次振興開発計画十カ年を振り返りまして、確かに県の統計によります開発庁一括計上分十年分でございます、だから五十七年は含まれません、五十六年までの一括計上分が一兆三千八百十八億に上ります。だけど、これをこの十年間でどういうところに配分していったかというのを見てみますと、道路関係で三四・一%、そして下水道、環境衛生に一六・六%、港湾とか漁港、空港などに一五%、そして非公共事業が一四%でございますが、大事な農業基盤整備には八%にすぎないのでございます。そして、治山治水に至ってはまさに四%でございます。この治山治水ということに対して、私は非常に重大だと思っているんですよ。  直ちに質問に入りますけれども、こういう結果を見ますと、第一次振計では確かに道路とかあるいは生活環境、衛生、下水、こういうのを含めまして港湾、漁港、わりかた配分率が高かったわけでございますね。だけど、第一次産業、きわめて重要な農業基盤整備には八%しか投下されていない。そのことがどういうことになっているかといいますと、沖縄の全耕地面積の中で基盤整備ができているのはまさに九%なんですよ。全国の平均は三九%なんです。この格差は一番大きな格差なんです。これを第二次振計で、第一次振計を踏まえてこの部門に重点的な政策を施さなければならないということを長官お答えいただけるんじゃないかと思って私は非常に期待していたわけでございますが、どうもそのことには余りお触れにならなかった。この辺に非常に問題を感じます。  治山治水について四%というのでございますが、沖縄は、戦後今日までの沖縄の全地域における米軍の占領によって、基地を建設するために海岸線から土砂が皆取り上げられまして、土砂が持ち運ばれたわけです。そして、それがいまや海になっているわけです。海没地と普通言っています。その海没地の面積が何と二十四万坪に及ぶのでございます。これはもうきわめて重大であります。二十四万坪で、たくさんございますけれども、具体的に、そのうち嘉手納町を一つの例にいたしまして指摘をしておきたいと思います。  嘉手納町の字兼久、下保原地区、ここだけで、地籍明確化作業が終わりまして結果的にはっきりしたのが六万八千八百平方メーターでございます。そのうち滅失地、滅失地というのは海没地でございますが、海没地が三万九千六百六十七平方メーターです。まさに全地積の五七・七%が海の中です。この地積は五十五年三月三十一白で地籍明確化法により地籍確定された面積でございます。そして、さらにその嘉手納町には、字野国というところがございます。その字野国のうちに港川原、舟久原及び小港原という小字がございます。そこの地積は五万四千百三十八平方メーターでございます。海没されたところは二万三千八百五十九平方メーターでございます。まさに四四・一%が海の中でございます。  軍用地、軍の施設に提供されているとするならば、それを管理するのはやはり国でございましょう。いまのところは防衛施設庁だと思います。施設庁も来ておられると思うのでございますが、しかし、開発庁長官として、これは重大な問題だと思ってお取り組みいただかないと困る。そういう海没地が私の土地ですということになった場合、それを息子に継承する場合、おまえの土地はこれだよと、海の中になっているのですからね。人の財産を預かる場合には、正確に確実に、しかも効率的に安全に管理をしなければならないのに、これは管理責任がもってのほかだ、こういうことが言えるわけでございます。いかがですか。
  25. 田邉國男

    田邉国務大臣 お答えをいたします。  第二次振計の中で私が基盤整備問題にもう少し重点を置くべきではなかったかという御指摘もございました。私も総括的なお話を申し上げました。私は率直に申しまして、第一次振計においては、沖縄県民の一番要望するものは公共事業、いわば道路、港湾、そういうものに強い要望を持たれた、それを県とも相談をいたしまして重点的に推進をしてきた経過がございます。私も先般視察をいたしまして、各地で基盤整備実情を拝見をいたしました。しかし、まだ基盤の整備は十分だと思っておりません。これはさらに第二次振計においては積極的な対応をしてまいりたい、かように考えておる次第であります。  なお、嘉手納基地周辺の海没地問題でございますが、御指摘の問題はいずれも米軍の基地内の問題でございまして当庁の所管外のことでございますので、この点につきましては関係当局から円満な解決が図られるように私ども期待をいたしておる次第でございます。
  26. 窪田稔

    ○窪田説明員 お答えいたします。  先生指摘のような海没地になっているところは、実は終戦から復帰まで二十七年間の間にあちこちございました。私どもとしましては、復帰の時点でそれらも含めまして米軍の施設として借り上げの対象にしています。したがいまして、その借り上げの対象になっている土地は、借料はもちろん払っているわけです。返還の時点になりまして、必要に応じて、まあ原状回復補償は当然のことでございますが、場合によっては護岸、防潮堤等の工事も必要かと思います。そういう場合も考えまして、必要に応じて関係地方公共団体等とも御相談して適切な処理をしていきたい、こういうふうに思っております。  すでに数カ所返還になったところもございまして、現在までのところは原状回復補償費をお支払いして、一部は地元の方が護岸をなさっておる、こういうところもあるようでございます。
  27. 小渡三郎

    ○小渡委員 いま防衛施設庁の御答弁で、解放になった時点で原状回復を図っていくのだということでございますけれども、これは許せませんよ。冗談じゃないですよ。何でいまやらないのですか。解放してからやるのだというのはおかしいです、いつ解放されるかわからないのに。ということは、地主に言わせれば、自分の土地がここにあるのだけれども、明確化作業によってはっきりした、ところが海の中だ、そうしたら、この人が今度は自分の息子に相続をするときに、海の形でこれがおまえの土地だと言ってこれを相続するという悲しさ、これは地主でなければわからないですよ。どうして解放しなければやらないのか。いまでも直ちにできるはずなんです。  それは護岸の問題があるのです。海岸護岸でございますけれども、これはいま県の方で、海岸護岸がどこがどの程度必要かなということを実態調査をやった。それは沖縄全体が全部護岸が必要だということはありませんよ。必要なところがあるわけです。それが全部で百七十六キロであります。これだけはぜひ海岸護岸が必要だ。ところが、いまあなたがおっしゃっていたように、基地に提供しているところの海岸線、これはもう全然海岸護岸はなされていないのです。ほとんどなされていません。そこに問題があるのです。百七十六キロでしょう。そのうち護岸がつくられている達成率、これは二六・七%なんです。ところが、これ全部が防衛施設庁だというわけじゃないのです。そのことはまた開発庁長官にも関係があるわけでございます。二六・七%というのは全部防衛施設庁管理の範囲内であるというわけではありません。そのうちの一部です。要するに、治山治水、国土保全という意味で護岸を必要とするのは百七十六キロだけれども、そのうち達成されておるのが二六・七%なり、こういうことでございますから、真剣にこの点はお考えにならなければならない第二次振興開発計画一つのポイントである、私はこれを指摘しておるわけであります。  そして、ことに基地につきましては海没地がございますから、その辺については返還しなければやらないんだということはおかしい。そうすると、暴風雨だとか気象条件によってますます海没されていくのですよ。それはおかしいです。そこのところの跡地利用というのもなるべく早目に、あるいは海没地じゃなくて埋め立てされて護岸もでき上がりましたならば、その周辺をどう公園化していくか、どう道路化していくか、いろんな計画が立てられるわけだ、市町村としては。解放されるまではそのままだというのは、これは許せない、もう一度御答弁ください。
  28. 窪田稔

    ○窪田説明員 お答えいたします。  私どもの立場で申し上げたので若干舌足らずの点があったかと思いますが、私どもが所管しなければならない海没地は提供施設でございます。したがいまして、米軍の管理権の中にあるわけでございます。米軍の使用との調整の問題がある。しかも、私ども本来役所の立場といたしまして、防潮堤とか護岸とか維持管理したり新設する役所ではございません。ただ、なぜそこに私どもが顔を出すかと申しますと、賃貸借契約上の義務者としまして原状回復義務がある。したがいまして、その原状回復は、復帰のときに賃借していただくときにその時点の原状ではなくて、米軍が最初に使った状態、そのときを原状と考えてその状態に戻す義務を負う、こういうことは当時の国会でも政府委員が答弁しているわけです。そういうこととの関連で義務者として顔を出す。したがいまして、原状回復義務の履行としてやっているというような関係がございまして、米軍から返還になった時点で私どもの義務を現実に履行しなければならない、こういう時点になってそれぞれ御相談しながら適切な処置をやっている、こういうことでございますが、ただ、先生いまおっしゃったとおり、米軍との使用との調整の関連の上、米軍に提供中であっても護岸等の必要性があり、それができるというような状態がございますならば、そのそれぞれつかさつかさの諸官庁と御相談の上、米軍とも調整したい、こういうふうに考えております。
  29. 小渡三郎

    ○小渡委員 復帰をいたしまして十年、十一年目になろうとしているわけですから、県民の皆さんは、いま一つの海没地の問題を提起しましたけれども、地籍明確化作業も終わったから、次はこれはもう護岸もできてちゃんと復元されて自分の土地は明確になるなと、そしてその上で軍の方に貸しているということは、米軍の方に貸しているということに対して文句を言っているわけじゃなくて、自分の土地というものを現認したいという、これは熱望がありますよ。だから、それに対してはやはりこたえてもらわなくちゃいかぬ。それは護岸をつくることが米軍のその地域を利用することによって障害になるというんだったならば、それはまたどういう意味で障害になるのかということも明らかにしなければなりませんけれども、まさかそんなことはないはずですよ。護岸はどうでもいい、護岸つくったならば基地としては基地使用にえらい迷惑になるんだというようなことは全くないと思うのですよ。ですから、管理をしている以上関係官庁ともよく相談されまして、第二次振計の十年間ではこれはきちっとしてやろうという前向きの姿勢がいま必要なんですよ。そのことを指摘しているわけです。  次に、第一次振計の反省の中で、長官県民の総支出の構成比で見た場合、一体沖縄経済というのはどうなっているんだということでございますが、これは、支出構造の変化を四十七年度と五十五年度というぐあいにして実質構成比を見てみたんですが、これによりますと、沖縄県は総支出の中で四十七年度は、いわゆる復帰時点です、復帰時点は、民間部門の最終の消費支出でございますけれども、これが六六・七%でございましたが、五十五年度では民間部門最終の消費支出というのは五五・八%なんです。そして、固定資本形成の中の住宅投資の部門を見ますと、四十七年はその構成比は十三・五%なんですが、五十五年度は八・三%でございます。企業設備の部門を見ますと、四十七年は二八・九%で五十五年は十三・〇%なんです。それぞれ構成比は、民間部門では県民総支出の中身としては構成比は復帰のときよりもどちらかと言えば低いわけですね。ところがこれが財政部門を見てみますと、四十七年は二九・六%でございましたけれども、五十五年になりますと四〇・一%と非常に高くなってくるわけです。最終の財政部門における消費支出を見ますと、四十七年二〇・六%が二〇・五%、約横並びでございます。そして投資の部門を見ますと、四十七年は九・〇%で、五十五年は一九・六%となるわけなんです。だから、国の財政投資が大きく総支出を支えているということが明らかになってくるわけでございますね。  そして、もう一つ大事な部門がございます。それは移出と移入の部門でございますけれども、この移出部門も四十七年は四八・二%で、今度は五十五年は三四・一%、構成比の上からは移出の部門が落ちてくるんです。ところが、移入の部門でございますけれども、これは四十七年は七二・三%で、五十五年は五九・四%、こういうぐあいになるわけです。これもまた下がってくるわけでございますね。これは、県民総支出を一〇〇としての構成比でございますから、この分析によって沖縄県民総支出の構成比を見ることによって、経済の状態をこの十年間分析していく大きな一つの目安になろうかと思うのです。同時に、米軍地料を含めました軍関係の受け取りというのが、これが四十七年は一九・六%ですが、これが五十五年になりますと六%に落ち込んでしまうわけです。だから基地経済依存型というのは大分後退したなということにもなろうかと思います。総じまして、本県の経済というのはますます財政依存度を高めているということがこれでわかると思うのです。そして移出入のバランス、これはちっとも直らない。やはり移出するのは少なくて移入するのが多いいわゆるざる経済である。これは復帰のときとも何ら変わらない。多少の変化は起きたけれども、概して変わらない。これが第一次振計の経済をとらえる上の反省の大きな材料でなければいかぬと思うのですよ。だから、第二次振興開発計画を策定するときにはどうすればいいんだ、どうしようかという問題が起きてくるんじゃないでしょうか、私はそのように思うのです。  それで、今度はこれを産業構造の変化を見ても、すぐわかります。もう時間がございませんから具体的には申し上げません。ただ、第一次産業と第二次産業、第三次産業産業別の成長率も言いたいのですが構成比だけから見ましても、これは復帰のときと余り変わらないのですよ。第一次産業は、構成比から見ましても四十七年七・五%が五十五年は五・七%と少し構成が変わりましたけれども、第二次産業は四十七年二〇・九%、五十五年二一・七%、ちっとも変わらないです。第三次産業は七四・九%が七五・四%、これも余り変わらないです。要するに、産業構造そのものは、この十年間、国も県も市町村もいろいろ努力はしてみたけれども余り変化は起きてこない。だから、財政投融資が徹底的に行われない限り、沖縄県民の所得というのは全く向上しない、こういうことにしかならないのじゃないでしょうか。再生産というものがちっとも起きてこないのじゃないかというような感じがするわけでございます。  そして、先ほど来御質問も提示されておりましたけれども、雇用問題がございましたが、労働省おいででございましょう。そこで開発庁長官、これも本当に意を尽くしてください。というのは、いま沖縄の失業率、五%から六%内外なんです。ところが、あと三年もすれば、五年もすれば失業率八%になるぞということを私はゆうべ知事とも話し合っているのですよ。いまのような産業構造であるならば、もう必ずなる、こういうことを私は予測しているわけです。それはなぜかといいますと、年齢の階級別人口調べの資料を見ました。これによりますと、これは県の資料ですが、昭和五十五年度国勢調査の数値でございます。十五歳から十九歳までの、生産年齢層の中の本当の若年労働力ですね、この十五歳から十九歳を構成比別に見ますと、全国が七%なんですよ。ところが沖縄は八・五%なんです。十五歳から十九歳が一・五%も高いんですよ。昭和五十五年ですから二年前でしょう。十五歳−十九歳は、どちらかというとほとんどがまだ学生だと見ればいいわけです。この連中があと五年もすれば二十になり、二十四、五になります。そのころは、今度は労働市場の中へ流れてくるわけですよ。全くもう求職者になるわけです。全国の七%、沖縄八・五%ですから、構成比が高いんですからね。全国の労働政策、いわゆるわが国の労働政策をそのまま沖縄におしなべていこうとするならば、失業率は必ず、文句なしに上がる、こういうぐあいに考えているわけです。この部門が一番大事なんです。そして、二十九歳までの構成比というのは、沖縄の場合は二四・八%占めているのです。ところが全国は二一%なんですよ。これも若年労働力の構成比というのが非常に高い。これに意を尽くしていただいて——それはいまもいろんな施策を施しておるのは私よくわかります。県が、雇用創出事業、これを何とかしてくださいということで、開発庁もそれから労働省も真剣にお取り組みになっていることはよくわかります。しかし、それがすべてだと私は思いません。それだけではこの問題は解決できない。先ほど、長官の御決意の中にございました。産業開発だとおっしゃっておりましたけれども、じゃ、産業開発をするのにはどういう種類のものを、どのような形で、いつごろまでにというのが計画であります。  さて、第二次振計でございますけれども、その第二次振計は、沖縄ではその期間中に国民体育大会が行われます。昭和六十二年です。第二次振興開発計画の半ばでございます。その間はほとんど、沖縄県は挙げて国民体育大会の成功へということで公共投資が行われます。ところが、この公共投資——公共投資の補助率は全国一律なんですよ。沖縄だけは高率補助でやるということはないのです。そうなりますと、各市町村、県が、財政の対応能力というのは各県よりも物すごく低い。半分以下のところもたくさんあります。そういうところでそれぞれ負担をしなければならない。とてもじゃないけれども、第二次振計、一体何をやろうとしているのか、こういう問題になります。第二次振計でもみんな十分の十ではありません。十分の九もあれば十分の八もあり、十分の七・五もあるわけです。それぞれ起債をしなければならない分も出てくるわけです。今度は起債ということになれば、自治省あたりで、これはまた起債はできないとか制限を加えられるというようなことがあると、第二次振計のせっかくの計画も、またその辺で歩どまりが悪くなるのではないだろうかということも心配せざるを得ないのであります。同時に、国民体育大会につきましては、これはどうしても短期的に成功させなければいかぬということになると、起債も必要だろうあるいは持ち出しも必要だろう、それは競争して、挙げて市町村が努力します。そのことによって財政の窮迫を来していく。もうすでに県の予算はことしから始まっているのですよ。こういう状況があるのです。私は非常に憂慮をいたしているのでございますがね。その辺長官、どのようにお考えですか。
  30. 田邉國男

    田邉国務大臣 お答えをいたします。  この第二次振計の計画、これと国体との絡みでございますけれども、もちろん、沖縄県の各市町村におきまして、それぞれのスポーツの受け入れ体制というものをやるためには、その地域の施設の整備、道路整備もやらなくちゃなりません。これは当然自治省も、その道路整備また施設の整備につきましては特段の配慮をすると私は思っております。ちょうど、国体は六十二年だと記憶いたしております。六十一年が私の出身の山梨でございまして、いま山梨の国体の整備を見ておりますと、自治省もやはり相当の配慮をしておるわけでございます。特に沖縄ともなれば、私は格別の配慮もするということであろうと思います。また同時に、第二次振計における公共投資、この点につきましてもかなりの配慮をやはり絡ませて考える必要もあろうかと思います。いま沖縄県の公共事業の道路整備等を見ますと、全国平均よりもはるかに整備をされた道路が非常に多いということは数字の上には出ております。  御指摘の農業振興等につきましては、やはりややおくれております。この点につきましては、沖縄県とも十分の打ち合わせをいたしまして、農業振興をどういう形で振興するか、その作目等においては格段の配慮をしてまいりたい、かように考える次第であります。  なお、若年労働人口の問題でございますが、沖縄産業振興とバランスのとれた労働人口ということが当然必要でありますけれども、私ども願わくは——本土にもりっぱな企業がたくさんあります。私どもは、願わくは沖縄の若者も本土企業に率先就職をしていただく、そしてその問題につきましては、沖縄県とも十分の相談の中でバランスのとれた産業振興と雇用問題が並行的に推進をされるような配慮をいたしたい。なおかつ、本土に就職をされた若者の皆さんがともするとUターンをする傾向がございます。私どもは、ぜひひとつりっぱな企業に就職をされましたら、ここがわれわれの就職した最良の場所だ、こういうお気持ちでその産業に従事をしていただく、そしてバランスのとれた沖縄の若年労働力というものの配慮をしていかなければならない。この点につきましては、第二次振計の中で十分の対応をしてまいる考えであります。  以上です。
  31. 小渡三郎

    ○小渡委員 第一次振興開発計画の達成状況を、ちょっとショッキングなことでございますけれども、どうしても言わざるを得ませんので申し上げておきたいと思います。  基準年次と目標年次がございまして、十年間で生産所得の伸びについては実質一一%の年間成長率を目標としてこれは設定されたものなんです。ですから、基準年次においては生産所得というのは三千百億を押さえました。そして、目標年次には九千九百億という予定であったわけです。これはあくまで四十五年実勢数値でございますから、現在の額ではございません。そうなりますと、この達成状況を今度は分析してみますと、生産所得にしましても四八・三%しか達成されてないのです。それから、第一次産業につきましては五三・七%、ちょうど半分でございます。第二次産業は三五・三%、三分の一でございます。この十年間でこれしか達成されてないのです。そして、第三次産業については五五・九%なんです。国民所得にいたしましても、百十何万とは言いますけれども、これは名目でございまして、そのときの実勢数値でいくならばこれは四五・一%であるわけなんです。こういう点に思いをいたしながら第二次振興開発計画は策定をしていただかなければならない、このように考えます。  ことに農業部門でございますけれども、これも一つの例を挙げまして、防衛施設庁の関係、それと農林省の関係になろうかと思うのでございますが、問題提起をしておきたいと思うのです。  これはやはり嘉手納町でございます。嘉手納町の総面積は十四・六九平方キロでございますが、そのうち飛行場とか弾薬庫を含めた提供施設、地域が十二・六三平方キロでございます。八五%が軍の提供施設なんですよ。だから、二・〇六平方キロの中に一万四千人がひしめいて生活をしているわけです。そういう地域なんです。そこで、今度は純農耕地をちょっと調べましたら六十七・四ヘクタールでございます。そのうちの八八%の五十九ヘクタールが弾薬庫地域周辺における黙認耕作地でございます。そこへ百十世帯の農家の皆さん、小作でございますが、農家の皆さんがキビづくりをしております。戦後ずっと三十年余り黙認耕作としてキビ作を認められておりましたけれども、五十四年の二月になりまして、黙認耕作まかりならぬ、そして他の作物に転換せよということになったわけでございます。ただし、キビの場合すぐことしからやめろではなくて、新植えはできないぞ、株出しでいきなさい、五年まで認めよう、それ以後は認めない。こうなりますと小作人百十世帯が生活に困ります。この地域は解放を要求されてもう長いです。解放ができないとするならば、黙認耕作を従来やっていたのですから、それを従来どおりやらないと、ここに働いている小作農民は塗炭の苦しみに遭う。火を見るより明らかです。大変な状態にあるのですよ。それで、嘉手納町はこれを戦後処理の未処理の問題の一つというぐあいに取り上げているわけです。  で、何でキビの植えつけをやめろと言われているのかというと、火事になるおそれがあるというのだけれども、戦後三十年火事になったことは一度もないわけです。万一ということがあるじゃないかというのならば、弾薬庫周辺から二百メートルは全然植えつけをやってないのですよ。そのように慎重に農家も対応しているにもかかわらず、キビ作はまかりならぬという。野菜植えだとか花卉園芸はやってもよろしい。そのかわりここはPH五ないし七の酸性土壌である、土地改良事業をやってもらおうじゃないか。そうしたら、提供施設だからそれはできない、だから農家はがまんせよというのは、それはおかしいじゃないですか。そうであるならば解放さしてもらう以外にはないわけじゃありませんか。こういう問題もあるのですよ。これが第一次振計から第二次振計へ引き継いだ一つの事例でございます。どう対応されますか。ひとつ長官からお答えをいただくと同時に、施設庁それから農林省、お答えください。
  32. 窪田稔

    ○窪田説明員 先生ただいま申されたことは、大体そのとおりの事実なんです。ただ、すでに二百メートル離してキビづくりをやっているというのは実はまだ聞いていません。ただ町当局から、農民の方と米軍の間の調整案として、弾薬庫から百メートルくらい離して耕作をやるようにしたらどうだ、こういう話が出たようでございます。というふうに聞いております。  それから、先生十分御存じだと思いますが、当該土地は米軍に提供していまして、したがいまして私どもとしましては適正な借料を払っているわけです。ただ、従来からそこで耕作をやっていまして、それを生活の糧になさっていることも事実でございますので、こういう問題ができたとき、当時のうちの現地局の局長が、じゃ火事の心配のないものはどうだ、たとえば野菜はどうだというような案も出してみたようでございますが、なお今後とも農民の方とかいろいろ御相談しながら米軍との間に入りまして調整を図ってまいりたい、こう思っています。
  33. 小渡三郎

    ○小渡委員 だんだん時間がなくて、五分前ですなんというのが来ていますからどうもやりにくくなりましたが、いずれにせよこういう問題がたくさんあるわけで、もう一度委員会があろうかと思いますのでそのときにまた引き続き質問はいたしますけれども、どうも沖縄と言えば軍事基地、軍事基地と言えば沖縄、そして沖縄で起きている問題は外務省、防衛施設庁、開発庁、これは常に問題提起のされるところでございます。  そこで、簡単に申し上げますが、ことしに入りましてから米軍演習による、直接被害の起きている事故ではございませんが、いつ大事故になるやもしれないような事件が一カ月で三回も起きている。こういう事実がございます。一体提供施設以外の地域に演習のための砲弾の破片が飛び込んできてみたり、照明弾が落ちてみたり、あるいはまた、アクロバットに見間違えられるような空中飛行のへんちくな訓練をやってみたりして、サーカスでさえ危ないから網を張ってやるのですよ。ところが、そんなものは何もやらないで、民家の上でそんなアクロバットまがいの訓練をして、これは見ている者に言わせれば興味はありませんよ。みんな恐怖におののきますよ。かつてトラクター、トレーラーが落ちてきて子供が犠牲になったという事例もあるのですよ。これはみんな神経をとがらせます。そういう事件が頻繁に起きているのですけれども、外務省も防衛施設庁も開発庁も、本当に真剣になって沖縄の米軍の演習と沖縄県民との間で、一体そういうものについて強い姿勢で実際に抗議をし、また是正方をやっているのかどうか、大変疑問を持っているわけであります。お答えをいただきましょう。簡単にやってください。
  34. 松田慶文

    ○松田政府委員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、最近に至りまして沖縄における米軍の活動に伴う事故ないしは妥当ならざる行動が多発しておりまして、この点、政府としてもまことに遺憾に存じております。御指摘の事例は不注意によるあるいは過失による事故のものもあれば、あるいは運用、行動に妥当ならざるもの、幾つかの態様がございますが、いずれにしても住民各位に大変な御迷惑をかけていることは紛れもない事実でございまして、関係の国会議員の諸先生もあるいは沖縄県当局も問題の重大さを政府に御指摘いただいております。  第一義的には現地におきまして施設局あるいは県当局と在駐米軍とのお話がございますが、今般の場合はかなり深刻な問題もございまして、外務省へのお申し入れもございましたので、二月初旬、私ども外務省は、日米合同委員会事務局の立場で在日米軍司令部に対して厳重にこの点申し入れまして、なかんずく先生指摘のヘリコプターによる人員のつり下げ訓練の妥当ならざることにつきましては強く物を申しました。米側は、これは現地の独断による行動であったようでございますが、非常に遺憾の意を表明してまいりまして、施設、区域外におけるこの種訓練は決してもうさせないということを高いレベルで確約してきておるわけでございます。  本件につきましては、当初現地からの情報が若干混乱いたしまして、米側もこれは施設間の移動ではないかというようなことも言っておりましたが、順次調査、確認の結果、これはどうしても地位協定五条の上からは認められない妥当ならざる措置であることは米側も確認し、陳謝しております。今後ともこの種事例につきましては、その都度実態に応じ、強く米側に申し入れる覚悟でございます。
  35. 小渡三郎

    ○小渡委員 二、三分ください。済みません。  引き続き一〇四号線ですが、これは演習が行われるときには封鎖するわけです。そのために開発道路という迂回道路ができました。ところが問題は、あれは県道なんですよ。そこで、恩納側の方は改良舗装工事が完成しておりますが、金武側の方は改良、補修、拡幅が全然できないわけです。市町村としても……
  36. 吉田茂政

    吉田委員長 総務長官、帰ってもいいですか、参議院があるのですが……。
  37. 小渡三郎

    ○小渡委員 総務長官ですか。ちょっとお待ちください、あと一言。  では、長官の方に先にしましょう。長官お願いします。  第二次振興開発計画のスタートでございます。その策定は長官のもとで県と話し合って決まるわけです。その責任非常に重大ですよ。私はそう思います。ですから長官の全力をかけていただいて、沖縄の第二次振興開発が成功するように長官の英知を傾けていただきたい。そして、政治力を傾けていただいて、財政の確保等につきましても遺漏のないように御尽力を本当にお願いしたいのであります。いかがでございますか。
  38. 田邉國男

    田邉国務大臣 政治の要諦は、やはり弱い者に政治の日を当てる、そしてまた地域の非常に格差のあるところに政治の光を当てる、これが政治の要諦であろう。私も政治家として、また開発庁長官といたしまして、この沖縄の問題は自分の問題だと私は考えながら、この第二次振計につきましては十分な配慮と決意を持って臨む次第でございます。
  39. 小渡三郎

    ○小渡委員 では、引き続いて一〇四号ですが、一〇四号の金武側の部分、あれは提供施設であるがゆえに拡幅ができない、改良ができないということであれば——あれは生活道路でございますから、年間三百六十五日封鎖しているわけじゃないので、開放されている日にちの方が多いわけですよ。しかも、あの地点は交通がふくそうしまして事故が頻発している。県も市町村も防衛施設庁に強い申し入れをしておりますけれども、何ら解決のめどがついてない。ぜひひとつ地域住民の要請にこたえるように、拡幅、改修工事ができるように願いたいものですが、いかがです。
  40. 窪田稔

    ○窪田説明員 先生のお話しのところは喜瀬武原から金武町に行く部分だと思うのです。これは実は御存じのとおり私ども町道としまして迂回道路を補助金でつくらしていただいた、こういう問題もございますが、いまおっしゃったとおり常に三百六十五日閉鎖しているわけでもございませんし、地元住民が非常に活用している道路であるということも承知しています。ただ県道でございますので、県の道路計画等もおありかと思いますので、そこら辺の調整を図りながら前向きで考えていきたい、こう思います。
  41. 小渡三郎

    ○小渡委員 終わります。
  42. 吉田茂政

    吉田委員長 午後一時まで休憩いたします。     午後零時八分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  43. 吉田茂政

    吉田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。上原康助君。
  44. 上原康助

    ○上原委員 午前中の質疑応答とも若干関連するところもあると思うのですが、沖縄復帰をしてから、この五月十五日でいよいよ満十年を迎えようといたしております。私は冒頭、これまで歴代の開発庁長官を初め現田邉長官を中心とする開発庁の皆さん、そして政府関係者に、沖縄振興開発なり戦後処理の問題、その他の懸案事項についてこの十年近くいろいろと御尽力、御努力をいただいた点に敬意を表したいと思います。  特に、振り返ってみて、四十八年暮れから四十九年にかけてのいわゆる第一次のオイルショック、あるいはそれ以前のドルショックなどもあって、沖縄復帰というのは大変激動の中で迎え、かつ復帰後の諸政策を進めなければいかなかった。外的要因もあってなかなか、けさほど来のやりとりにもありましたように、第一次振興開発計画の各般にわたって問題含みであることは否定できない面があろうかと思います。しかし、そういうことも一応これは政府もそれなりの努力はしてこられたでしょうが、同時に、県当局あるいは各市町村、自治体、県民努力によってようやく今日の段階まで迎えたと思うのです。そのことは、立場の違いはありましてもいろいろ評価できる面、あるいはまた厳しい反省点として継承しなければいがない点、それを教訓にして、これからの沖縄をどうしていくかということが本題でなければならないと私は思うのです。  そういう意味で、これから相当多岐にわたってお尋ねをしたいわけですが、まず、長官の所信表明を聞いて感じたことは、こういう公式の場での所信表明ですから、それはそれなりに割り引きをして聞かなければいかないということを私も知らないわけじゃないのですが、大きな欠陥、欠落している点があると思うのですね。沖縄振興開発ということ、沖縄ということを考える場合に、やはり開発庁であろうが、きちっとした認識あるいは沖縄に対する姿勢というか、諸問題の視点というものが欠落しているがゆえに、いろんな問題が解決できなかったと私は思うのです。  そこで、所信表明の中で、道路、空港、港湾などの交通通信施設、上下水道、住宅等の生活環境整備ができた、また、社会福祉施設及び学校教育施設などの整備も順調に進んできた、確かに外面を見るとそう言えなくもないと思います。だが、ここでそういう言うところの社会資本整備というものが順調に進んできた、これも十分じゃないですね。だが、沖縄の基地問題というものを考えた場合に、国会決議がなされたとおり、基地の整理縮小計画というものが全くなされていない。同時に、返還された跡地利用の問題についても、これまた財政の問題なりいろいろな点が災いをして思うようにはかどらない。したがって、私は、開発庁長官であろうが、沖縄の基地に対する認識を抜きにしては沖縄振興開発計画なり県民生活、こういうことはむずかしいという御認識は持っていらっしゃると思うのですね。にもかかわらず、所信表明の中で一言半句も触れられていないというのはきわめて遺憾なんです。こういうことについては一体どういう御認識を持って、どうされようとするのか。この点、避けて通れない問題じゃないでしょうか。私は歴代の総務長官開発庁長官の所信表明というものをずっと調べてみました。残念ながら基地問題には触れておりませんね。所信表明とのかかわりで、まず長官沖縄に対する御認識を伺ってからいろいろとお尋ねをさしていただきたいと思います。
  45. 田邉國男

    田邉国務大臣 お答えをいたします。  私ども沖縄問題につきましては、やはり二十七年間も日本施政権外に置かれた、そのことについて本土の者は十分沖縄県に対する配慮というものをしなければならない。そのためには第一次振計も立て、そしてその対応をいたしたわけでございます。また、第二次振計につきましてもいま御審議をいただいておるわけでございますが、私どもさらに本土との格差を是正をしていく、そして沖縄県民の心を心として対応をしていかなければならない、こう考えております。  また、基地問題につきましては、特に沖縄は米軍の基地が現存をいたしておることは御承知のとおりでございます。私は自分の出身しておる県が山梨でございまして、山梨も北富士演習場という基地を持っておりまして、十二年間この基地対策で実は最善の努力を払ってきた経過がございます。沖縄県民にとりましても基地問題はやはり最大な関心事の一つである。また、沖縄開発庁におきましてもこの問題をやはり度外視して考えるわけにはいかない。やはり一日も早く沖縄の基地が返ることを私どもは願っておるものでございます。  ただ、現状におきまして直ちに返るか、これはやはり日米安保条約のもとに基地を提供をしておる、そしてまた日本の防衛の一環として重要な問題としてこの問題が現存をしておる以上は、私どもといたしましてはこれを無視するわけにはまいりません。したがって、順次この縮小を図っていくということ、これは当然のことでもあるし、私ども、それに最善の努力を払わなければならないと考えております。  私は、山梨におきましては、全面返還、平和利用という一つ理想を掲げて十二年間やってまいりました。しかし、なかなかその理想どおりに実現はいたしません。それはやはり日本の国防の現状考えましたときに、一気にその問題が解決するわけにはいかなかった経過がございます。私は沖縄県民の心を十分理解をしておる一人でございまして、この基地問題が沖縄の振計には重大な関係があることは事実でございます。しかしながら、私どもは、そういうものを片方に置きながら、それとは並行して沖縄の第二次振計を強力に推進し、県民の福祉の向上を図っていく、そういう基本点に立って物を進めていくべきである、こう考えております。  以上です。
  46. 上原康助

    ○上原委員 長官の誠意をもってこたえたいというお気持ち、あるいは人柄については私も敬服をしますが、しかし、けさほど来のお話を聞いていると抽象論が多いですね。山梨県知事で御苦労なさった、非常な功績を残したということを私も仄聞していますので、後ほどそれについても若干お尋ねしたいのですが、いま長官がおっしゃった、ちょっと抽象的なお答えだけであるにしても、じゃ、そういうふうに沖縄の基地が非常なインパクトを振興開発計画なり県民生活に与えているということであるならば、十年を振り返ってみての沖縄の諸行政あるいは諸政策、経済開発県民生活を含めた総合的な問題について基地の存在が災いをしているということであるとするならば、きょうは安保論争とかそういう本質の問題はなるべく外に置いておきたいわけですが、そうであるならば、開発庁長官の所信表明に基地問題が全く触れられていないということは問題じゃないでしょうかね。いまお答えになった御認識があるならば、基地の存在がいかに振興開発計画なり県民生活に大きな影響を与えたか、仮に安保や地位協定、いろいろなものを皆さん認めるとしても、先ほど、けさの話もありましたけれども、その外圧なり被害というものを最小限度に食いとめて、県民の生活権、振興開発、行政を進めるという立場でないといかないんじゃないでしょうか。私は、その点は長官だって否定はなさらぬと思うのですね。  端的にお伺いしますが、基地の存在が沖縄振興開発なり沖縄県民の生活に悪影響とまでは言わないにしても、重大な影響を及ぼしているということは長官も否定しませんね。そこはどうですか。
  47. 田邉國男

    田邉国務大臣 沖縄の基地の問題につきましては、現実に基地が存在をしておる、その上に立って第一次振計を進めたわけでございますから、第一次振計につきましては、沖縄の国土開発そしてまた県民生活の向上、民生安定、各般にわたってきめの細かい政策が推進をされたわけでございまして、私は、基地問題とこの問題とを絡まして論議をすることは考えておりません。
  48. 上原康助

    ○上原委員 それはおかしいですよ。余りこれにかかわりたくなかったが、そういう御答弁なら、これはよけい納得できませんよ、長官。  じゃ、沖縄振興開発計画の中で「産業振興開発」というところで、こういうふうに述べていますよ。「産業振興開発をはかるにあたっては、環境の保全を基本としつつ、沖縄県の有する地理的・自然的特性を活用する。また、基地依存経済から脱却して自立経済の確立をはかるため、米軍施設・区域の整理縮小をはかり、その跡地および跡施設を産業振興および社会資本整備のために活用する。」とちゃんとあるじゃないですか。だから、基地問題と絡まさないで——あなたは、絡ましてこの問題を論じようとは思わぬと、そんな認識だから困ると言うんだよ。それだけじゃない。「土地利用の現況」のところでもある。「県内最大の沖縄本島の面積は、全県域の五三パーセントを、同島の人口は、全県域九十四・五万人の八五%をそれぞれ占めている。本島内における米軍施設・区域の面積は、本島全域の約二十三パーセントを占め、その存在は、産業構造、都市形成、道路体系等に多大の影響を及ぼしている。」だから、こういう災いがあるから、振興開発計画においては、それも取り除いて、全面撤去とは言わないまでも、基地の整理縮小なり、返還跡地の問題をどうしていくかということは、第一次振興開発計画沖縄問題の最大の課題なんですよ。それを避けて通ってきたところに大きな問題があるという認識がないと、これは長官、議論は進みませんよ。山梨の北富士演習場と違うんだ、沖縄の基地のあり方というのは。いまのは、私は納得できない。それはあなたの御認識の基本の問題だから、もう一遍改めて御答弁願いたいと思います。
  49. 田邉國男

    田邉国務大臣 沖縄の第一次振計に対しましては、沖縄県のいままでの置かれた経過、そういうものを踏まえて、本土との格差是正をするための特別な措置として第一次振計というものが制定をされた、こういうことでございまして、もちろん、沖縄のこの振興開発計画の中で、米軍の基地が存在しておる、しかも、これが沖縄本島のいわば中南部に存在しておる、これは事実であります。したがって、こういうことが全然影響していないということではありません。ただ、こういう基地があるだけに、それに対して別途の配慮をしなければならない、それが第一次振計の大きなねらいである、こう考えておるわけでございます。  もちろん、基地の縮小をしていくことは、私の本来の念願でもございますけれども、安保条約のある以上はこれが一気にできない、そういうことから考えますと、この第一次振計、さらには第二次振計をやっていく上において、この問題に十分な配慮をしていくことは当然でありますけれども、その点の兼ね合いというものは十分私ども理解し、そしてまた、沖縄県民の皆様にも御理解をいただいて、第二次振計を県との深い連携と協力の中で力強く進めていきたい、こういう考えであります。
  50. 上原康助

    ○上原委員 なかなか問題の御認識といいますか……(「見解の相違だ」と呼ぶ者あり)見解の相違というだけで片づけられない面がありますね。あなたはなかなか顔はハト派のように見えるけれども、政治姿勢はえらい硬直化をしたお考えを持っておられるかもしらないね。  ただ、私は重ねて指摘をしておきたいのですが、確かにそういうお考えもあるかもしれませんが、これは安保条約を認める認めないの立場で言っているわけじゃないのですよ。しかし基地の問題、基地のことを抜きにしては、——沖縄開発庁長官という沖縄振興開発の最高責任者にある方がいまのような認識では、率直に申し上げて、いままでの歴代長官では残念ながら何か一番よくないような感じを受けますね。そういうことでは二次振計もまた推して知るべしじゃないか、そういう懸念を私も持ちますし、県民も持ちますよということを指摘をしておきたいし、いまの長官の御答弁では私は理解がしがたいということもつけ加えておきたいと思うのです。  そこで、基地の存在はやむを得ない、それにかわる特別な配慮をしてきたんだというような御認識あるいは言い方ですが、では、この法律は今度十年間単純延長するということなんですが、この沖縄振興開発特別措置法の中に盛られているいろいろの事項は、一体この十年間でどの程度実行できたのですか。僕は抽象論でお答えいただきたくないわけです。法律にありながら全然適用されていないもの、それはなぜ適用できなかったのか、適用する必要がなかったのか、あるいは適用しようと思っても実態と法文が合わないで適用できなかったのか、そういうことを各章ごとに本当に解明をしていって、その上に立って法律を手直しすべきところは手直しをし、振興開発計画を立てるということでないと、これまでの十年間の延長線にしかならないのじゃないですか。そういう問題認識、解明というものはどのように開発庁はやっておられるのか。もし何だったら、後で具体的にこの面はどうでしたかということを聞きますから、まず皆さんの総体的な分析といいますか、評価というものはどのようになさっているのか、お答えいただきたいと思います。
  51. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 お答えいたします。  私ども沖縄開発庁で所管いたしております沖振法の条文の中で、いま先生指摘のように実際に適用されなかった条項といいますものを挙げますと、沖振法の第四章、これは二十三条から二十八条までの規定でございますが、いわゆる自由貿易地域についての規定でございます。  これが実際に適用されなかった理由でございますが、私どもといたしましては、この制度がわが国に例を見ない制度であるということから、この地域設置のための調査検討等にかなりの期間を要してきたということ、それからその候補地の確保という問題、そのほか産業基盤の整備も必ずしも十分でなかったというようなことなどもございまして、同地域は現在未指定となっておる。したがいまして、先ほど挙げました第四章の規定は適用されておらないという関係になっておるわけでございます。  この自由貿易地域制度は、先生も御案内のように、関税法に規定します保税地域の機能を有しながら、かつ立地企業について税制上の優遇措置が講じられるという地域でございまして、県内企業の育成とか振興、あるいは県外企業の誘致、こういった企業の誘致、立地等の有力な手段となり得るものと考えておりまして、私どもといたしましては、今後の沖縄振興の非常に重要な課題の一つでございます産業振興、これによりまして県の自立的発展の基礎ともし、また雇用の場も雇用の機会をも提供するというような最も重要な課題と考えております。そういった意味におきまして、私どもとしてはこれを残していきたい、このように考えておるわけでございます。  今後の問題といたしましては、同地域はまだ未指定ではございますけれども、現在工業用地の造成といった問題も着実に進展をいたしてまいっております。また道路、港湾あるいは空港等の産業基盤の整備もかなりに進展をしてまいっておるところでございまして、加えまして、沖縄県におきましても、同地域の設置場所及び立地業種についていまその具体化の検討を急いでおるということを聞いております。そういった県あるいは地元の積極的な取り組みなどとも相まちまして、この第二次振興開発計画期間中におきましてこの自由貿易地域制度が具体化を見るのではないか、このように期待をいたしておるところでございます。
  52. 上原康助

    ○上原委員 そんな断片的なことをおっしゃってもいけないですよ、あなた。この特措法のほとんどが実行されておらないんじゃないですか。第三章の「産業振興のための特別措置」は、では具体的にどういう産業振興ができたのですか。自由貿易地域もしかりですね。第六章の職業安定、何をやったのですか。条文はほとんど有名無実化しているんじゃないですか。そういう御認識では全くあれですね。いまの自由貿易地域だけじゃないわけでしょう。復帰後盛んに産業誘致とかいろいろ言いましたが、これは国だけの責任じゃないかもしれないですよ。まあ午前中変なお話もありましたが、何も公害に反対しているからとかそういうことじゃないんだよ。沖縄産業誘致ができない背景、実態というのは何なのかということを解明せぬとあかんのだ。なぜ産業開発ができない、企業誘致ができない、根本的原因は一体何なのかということをお互いに議論をし、その原因を追求をして、二次振計というものに対しては県民の英知をしぼり、国のいろいろな助言も得ながらやるというぐらいの前向きの姿勢がないといかないんじゃないですか。そのことを私はいま確かめているのです。  そこで、いま自由貿易地域の問題だけをお触れになりましたが、産業振興のための特別措置にしましても、確かに工業団地の指定とかその程度のことはやっている。だが、具体的に産業構造がどのように改善されたのですか。けさのお話にもありましたように、実際、四十五年を基準としてあるいは四十七年を基準として立てた産業構造改善目標というものは達成されていないでしょう。その産業構造が改善されない根本的原因は一体どこにあるのですか。沖縄県が悪いのか、県民が悪いのか、政府が悪いのか。なぜそういうことが十年一日のごとく進まないのか。年がら年じゅう、失業率は三倍だ、若年の失業者が多いという議論は何回ここでやってきたか。その解明をやるのがお互いのいま課題じゃないですか。そのことのお答えを下さい。なぜ産業構造が改善されないか。いま私が指摘をした第三章、あるいはあなたが言った第四章「自由貿易地域」六章なんかも何回国会で議論をしてまいりましたか。そういうことが実際に有名無実化しているのにこれを単純延長して、まだ二次振計も一生懸命やりますと言って、それではいかないでしょう。なぜできなかったのですか、産業構造改善。いま言う自由貿易地域だけでなくして、産業開発も雇用失業対策も、政府の立場で見て、なぜできなかったのかをここで明らかにしてください。これは長官からやってください。
  53. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 まず、産業構造がなぜ変えられなかったか、こういうお尋ねでございますが、御指摘のように、大体第一次産業、第二次産業、第三次産業の各構成比は、現在に至るまでほとんど復帰時と変わっておらないわけでございます。計画の見通しにおきましては、復帰時に約二〇%の第二次産業が約三〇%になるもの、それに伴いまして第三次産業及び第一次産業のウエートが下がるもの、こういう見通しをしたところでございます。このために、いわゆる建設業及び製造業を中心とする第二次産業振興を行うとともに、その成長を大きく見込んでおったわけでございますが、これが復帰後、二度にわたります石油ショック、この石油ショックを契機といたします内外経済情勢の低成長への転換、それからまた、沖縄が地理的に遠く離れておりまして多数の離島から構成されておる、あるいはそのほか、沖縄が二十七年間わが国の施政権の外にありまして、そこから生じました各種の沖縄の特殊事情、そういった事情もございまして、産業振興が、特に二次産業振興がふるわず、現在のような姿になっておるものと私ども考えておるわけでございます。  それから、もう一つのお尋ねでございます自由貿易地域以外に動かなかった規定があるんではないか、こういう御指摘でございますが、たとえば、産業振興に関します中小企業振興施策あるいは工業開発地区制度、これらにつきましては、確かに先生指摘のように実態的に余り動かないという部分もございます。しかしながら、先ほど申しました中小企業振興策につきましては、いわゆる中小企業近代化促進法、それから復帰特別措置に基づきますいわゆるみなし業種等のほかに、沖縄に特有の業種といたしまして砂糖製造業を指定いたしまして、その近代化計画を定め、いまその近代化、合理化に努力をしておるところでございます。また、工業開発地区制度につきましては、四市町村を一応工業開発地区として指定を済ませておるところでございます。ただ、実態的にはそれらの地域の工業の立地が進んでおらないというような問題がございます。これにつきましては、先ほど自由貿易地域のところで申し述べましたと同様の理由によりまして、すなわち、これまで産業基盤の整備が進んでおらない状態であった、あるいは工業開発地区の指定はなされましたけれども現実に工場用地の造成等はなされておらなかったというような状況から、これらの立地が進まなかったものというふうに私ども考えておるところでございます。この辺につきましても、私ども今後とも産業基盤の整備あるいは先ほど自由貿易地域において触れましたように、工業用地の造成等々も進んでおることでございますので、今後に大いに期待しておる、こういう段階でございます。  なお、職業安定の問題につきましては、先ほど、私ども開発庁としての所管の条項にのみ限って申し上げましたので、説明を省略いたしました次第でございます。
  54. 上原康助

    ○上原委員 そういうふうに、その条件が整わなかったからだ、そう言えばそうでしょうね。しかし、私は振興開発計画の立て方にも基本的な欠陥があると思うのですよ。  それじゃ、この振興開発計画の性格、位置づけは、国はどういうふうにごらんになっておるのですか。それが一つと、いまその産業構造が改善できなかったのは、あなたがおっしゃるようなそういうあれじゃなくして、沖縄の、さっき冒頭私が言ったような基地問題とか、いわゆる沖縄全体の体質改善をどうしていくのかという基本をもう一度見直さないとだめだということなんです。皆さん二次産業のことをよく言うのですが、三〇%になりっこないですよ、いまの状態では。二次振計、これを延ばしたって、これは本当にできますか。しかも、第二次産業の二二%というものでは、ほとんど建設業でしょう。製造業の構成は、全国は二八・九%、約三〇%近くですよ。製造業をふやさない限り、産業構造の改善はできないんだ。沖縄は九%にすぎない。なぜ製造業を向上せしめることができないのかという、ここに根本的なメスを入れないと、産業構造の改善はできませんよ。雇用の問題だって。皆さんのこれまでのことで、そういう分析がないのじゃないですか。  もう一つ、自治省もおいでだと思うんだが、これは僕はいつかも引用したのだけれども、昨年の三月に、沖縄行財政調査報告というのが出されていますよ。これはなかなかりっぱなことが書いてある。ここで、さっきいろいろな雑音もありましたが、これは県も問題なんだ。革新県政時代は振興開発計画を立て切れぬとか企業誘致ができないとか、何とかかんとか盛んに言っていたけれども、保守県政になって四カ年、何をやった。じゃ、逆に、企業一つでも誘致できましたか。これだけ重要な法律を審議しようというのに、いままで県の素案さえできていないじゃないですか。屋良県政時代、平良県政時代は基本計画というものを立てておったでしょう。このことを明確にしておきたいと思うんだ。一番大事なことは、大体ほかの都道府県というのは県の総合計画、基本構想というのがあるのですよ。それに基づいて市町村は市町村なりの総合計画なり経済計画というものを立てて、そういうものと国の予算とをドッキングをさせて、年次計画を立てて事業計画を立てる。これは山梨県知事三期もやられた長官が専門でしょう。しかし、沖縄の場合、それがないんだよ。国は、県が素案をつくるんだ、開発庁は、審議会に諮ってやるんだ、これは県が主体なんだというふうに、問題がむずかしくなったら県の責任にしたがる。県は県で、つくらないで、振興開発計画があるから予算だけ取ればいいということだから、年次計画は立てられていない。総合計画もない。だからこういうふうなちぐはぐが今日まで出てきているという、こういう基本的な問題の整理もやりながら、法律も整備をし、二次振計も立てるなら立ててやっていかないと、いつまでたってもいまのようなやりとりを残念ながらせざるを得ない場面というのが出てくる可能性があると私は思うのですね。そういった基本的な問題の認識、欠陥というものを、十年の今日においてはこれは思想、信条を超えて本当にやるべきだと思うのです。こういう問題、いま私が言ったようなことに対して、長官、どうですか。これは本当に、産業構造の改善とか二次振計を立てれば、自由貿易地域もまたできるとか雇用創出もできる——これはできませんよ、いまのようなやり方では。そこに国としての立場で、こういう問題はこうしたい、県は、こういうものについてはこうやって対処していただきたいということをこの際問題点を整理してやるべきだと私は思うのですね。御所見があれば伺っておきたいと思います。
  55. 田邉國男

    田邉国務大臣 お答えいたします。  第一次振計におきましては、私どもさまざまな計画を立て、そしてまた、沖縄県の考え方、こういうものも総合的に配慮しながら一つ一つ問題の解決を図ってきたつもりでございます。したがって、いま御指摘の、第二次産業振興についても何ら見るべきものはないというようなお話がございましたが、こういう第二次産業は何によって発展するか。やはり基盤整備、すなわち公共事業で道路をつくり港湾をつくり、そういうものが基礎的に固まり、そして整備をされた上に立って初めて工場誘致というものが可能になってくる、こう私は考えるわけであります。したがって、これからどういう形で産業の誘致をやるか、この問題等につきましては、十分県との打ち合わせもし、私ども第二次振計の中で十分の対応をしてまいるつもりでございます。  いま御指摘がございました、具体的な内容に取り組むべきだ、またそういうものを立てていくべきだ、これは私もそう思っております。その点につきましては、今後沖縄本土との格差を是正する上においては数々の問題がございます。それに率直にメスを入れ、そしてその対応はどうすればいいかということに真剣に私どもは取り組み、沖縄県民期待にこたえるような配慮をしてまいる決意であります。  以上です。
  56. 上原康助

    ○上原委員 なかなか議論がかみ合わないで残念なんですが、そうしますと、確かに基盤を整備してその上に工業開発産業開発をしていく、これも一つの理屈でしょうね。しかし、実際にそう運ぶかということを私は聞いているのですが、では角度を変えてひとつお尋ねしたいのです。  第一次振計は、御承知のように人口だけは目標を上回ったわけだ。第二次振計を立てる場合に、フレームは皆さんどういうふうに見ておられるのですか。第二次振計を、法律を延ばすというのだから振計は立てるというわけだね。五十七年から十年後の人口は幾らなのか、経済成長は幾ら見ているのか、そのときの産業構造はどのように改善していこうとするのか、それをやるためのエネルギーはどう確保していくのか、お答えください。
  57. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 お答えいたします。  第二次振興開発計画におきましてどのようなフレームを立てるかという点につきましては、現在何を取り上げるか、またその水準をどのように見込むかというお尋ねでございますが、その問題は現在県において検討が進められておるところでございます。ただ、一次計画におきましては、先生ただいま御指摘のように、総人口、生産所得、産業構造、就業者数、就業構造、それから一人当たりの県民所得を取り上げておりまして、第二次振興開発計画におきましても、おおむねこのような基本的事項によって構成されることが必要であろう、このように私ども考えておるところでございます。  なお、どの程度に見込むかという問題につきましては、計画全体との関連におきまして、現在われわれ種々検討を行っておる最中でございます。
  58. 上原康助

    ○上原委員 フレームは全然まだということですか。どうも肝心なところになるとぼかすので困るのですが、そうはいかないでしょう。格差はある。五十五年度では、県民所得にしましても七〇%いかないわけでしょう。五十四年で確か六八・幾らですね。格差があるというのは現存しているわけでしょう。政府が立てている経済社会七カ年計画はどのくらいの経済見通しでやっているのですか。来年の経済見通しは、政府はどれだけ立てているのですか。格差を是正するには、少なくとも日本全体の経済成長率より高い経済成長率を維持して、それを推進していくだけの計画を立てないと格差が是正できないのは素人でもわかるんじゃないですか、あなた。本当から言うと、そういう具体的なものを出して、それを肉づけしていくというのが二次振計でしょう。私は余り経済はわかりませんがね。簡単に言ってもそのくらいの常識論は出てくる。だのに、これから検討してと言う。それじゃ法律を審議する必要はない。その案ができてから一緒にやりましょう。  長官、これはきわめて不親切な答弁ですね。そこいらはどうですか。もう少しはっきりしたフレーム、現段階でこう思う、十年後はこうなるであろうというものを明らかにしてくださいよ。
  59. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 ただいま経済社会七カ年計画との関連等におきまして御質問がございました。私どもも、もちろん今後の十年間におきまして本土との格差は縮小させていかなければならぬもの、このように基本的に考えておるわけでございます。したがいまして、ただいま先生がお挙げになりました経済社会七カ年計画の数字よりもより高い成長率を持たなければ格差が縮小しないことは当然でございます。ただ、どのような形で、どのような方向産業振興等を図っていった場合に、どの程度の成長が見込めるかということになってまいりますと、それは計画の基本的な施策あるいは計画方向といったものと密接に関連してまいります。また、各部門別の施策等とも密接に関連してまいるわけでございまして、そういった中で種々の推計を行いながら、逆にまた、翻りましてそれぞれの具体的な施策等についてのレビューを行うというような作業を種々行っておるところでございまして、県におきましても、そういった種々の問題について、現在県内部におきましていろいろ作業をやっておるやに聞いております。そういった県の作業の結果、私どもの作業等につきましても、県との調整を図りまして最終的に計画を策定する、またフレームを策定していく、こういう形になってまいりますので、もちろん、国全体の経済成長よりも、沖縄につきましてはそれ以上の成長を見込まなければいけませんし、また見込めるような施策を講じていかなければいかぬものというふうに考えておりますが、その数字がどのくらいかというお尋ねになりますと、私どもただいま検討をいたしておるところでございまして、お答えを御容赦いただきたい、このように申し上げておきます。
  60. 上原康助

    ○上原委員 これは長官に確認をしておきたいのですが、いま総務局長がおっしゃいましたように、常識論で言っても格差がある。それを埋めていくには、何といったって高い成長率を維持しないとできないですね。しかし、いまの行財政環境あるいは国際経済の環境とか日本経済全体を見てみた場合には、非常にむずかしい。さっきは政治哲学としてとてもいいことをおっしゃっておった、弱いものに光を当てるのが政治の要諦だと。ごりっぱだ。しかし、だんだん厳しくなると、政治も財政も弱いものにだけしわ寄せするんだよ。それではいけないわけでしょう。そういう意味で、少なくとも二次振計を立てるに当たっては、フレームの問題もいろいろあるでしょうが、経済の伸びについては、日本全体の経済成長率よりも沖縄の場合は高く維持していくという計画であり、その計画を実行していくための財政措置を維持しないと、これはまた絵にかいたモチになってしまうね。そういう面は、これは政治の話ですから、長官からしかとお答えをしておいていただきたいと思います。
  61. 田邉國男

    田邉国務大臣 今回の二次振計につきましては、日本の各地域にない一つの特別な措置であると私は思っております。特に特別な補助率等につきましても、他の地域におきましては一律に補助率の引き下げをいたしました。しかし、沖縄県につきましてこの第二次振計につきましては、従来並みの高率な補助としてこれを推進することに決めたわけでございます。そのゆえんも、沖縄県という他の地域と違った二十七年間の施政権外にあったということを配慮して特別な措置が講ぜられたわけです。したがって、いま御指摘の成長率等につきましても、当然本土以上のものを配慮しながら計画を推進し、そして、沖縄の地域格差と自立経済の確立というものを図っていく対応をしなければならない。  その具体的な計画は何だといま御指摘がありましたけれども、いま私どもは、この計画の中でしっかりした見通しを立てて県とも相談をし、県民の皆さんが、なるほど今回の二次振計ではこういう形で諸産業の進展が図れる、そしてまた雇用の促進も図れる、こういうような実態に即した配慮を具体的に進めてまいりたい、こういう考え方であります。
  62. 上原康助

    ○上原委員 いまの御答弁はすとっと落ちないのですが、十分ノートしておきたいと思うのですね、本当にそうなるか。たしか一次振計でも名目一一%でしたね。実際は七%いかないわけでしょう。そういったむずかしい状況はあるけれども、皆さんが本土との格差の早急な是正、自立経済への基礎条件整備ということを依然として振計の目標として立てるならば、その目標を達成するには本土全体の伸びよりも大きな伸びじゃないと——長官、これは量、質ですよ。いままでのは簡単に言うとこうなのです。量の配分というのは同じなのです。沖縄もほかの都道府県も同じなのですよ。同じ配分に対して、沖縄振興開発特措法で認められている助成措置のかさ上げだけは沖縄は多く見よう、だから県の持ち出しとか市町村の対応費というのが少なくて済んだというだけのことです。しかし、格差を是正するには量、質相まってやらなければこれはだめですよ、長官。それはまた消化能力の問題とかいろいろ言うでしょうが、そういうむずかしい面があるということで計画を立てる、行政を進めることでないといかないと思いますよ。  そこで、ほかの質問もありますので、いま長官は、沖縄に対しては特別な配慮をしてきたのだ——確かに五十七年度予算においては一割カットとかいろいろなことがありながら、沖縄はそれは対象外にしたというのは、長官初め、冒頭にも申し上げましたように努力は評価しますよ。しますが、これだけの特別措置をやれば、あとの十年でまた沖縄格差が全部なくなる、私はなくならぬと言うのです、そういう手法だけでは。これも必要ではないと言いませんよ。そこを十分御認識をしておいていただきたいし、経済成長率の問題等、それを推進をし実行をしていくための年次計画、具体的計画を立てた予算の裏づけというものがあって初めて格差も是正をするし、さっきおっしゃっておったように、沖縄のバランスのとれた、特性を生かした開発というものが可能だと思うのです。  そういうことをやるには、じゃあ具体的にどういうものを二次振計には盛っていくのか、立てていくのかということはおおよそのことは言えると思うのです。これまでも中山長官も盛んにいろいろなことをおっしゃってきた。こういうことは何回か皆さん議論してきているんですよ。たとえば五十六年三月二十七日のこの沖縄・北方委員会での中山長官と私とのやりとりの中でも、二次振計に向けてのいろいろな基本構想をおっしゃっている。なかなかいいことを言っている。これも時間の関係で省きますが、中山長官は、私のエネルギー問題の指摘とかいろいろなことに対してこう明言をしておられますよ。「私が委員会で申し上げていることは、すでに事務的に検討を命じ、実現の可能性のあるものに限って発言しておることでございますから、どうぞ御信頼をいただいて間違いない」こういうふうに明言をしているんです。二次振計において仮に人口百二十万になるとすると、後でちょっと触れますが、飲料水の確保はどうするのか、農業用水どうしますか、工業用水どうしますか、こういう問題は、淡水化の問題を含めてすでに具体的に指示をして事務当局に検討さしている。太陽エネルギーの使用の問題についても具体的にどうなっているのか。こういうことについて県との調整調整と言わずに、第二次振計を立てるということであるならば、水資源を含めてエネルギーの確保の問題、あるいは産業はどういうものを戦略産業に位置づけていくのか、これは国だけのことじゃないかもしらぬけれども、少なくとも大まかな柱はすでにやっていないとこれは納得できない。こういう面をもう少し明らかにしておいていただきたいと思います。
  63. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 お答えいたします。  先生ただいま御指摘の、もとの国会におきましての前大臣との質疑の中心の議題になりましたのは、主として沖縄における産業振興、その中でどのような方向産業振興を行っていくかという問題についての中山前大臣の御答弁であったと思います。もちろん、これらの前大臣の意向を受けまして、私ども種々いま内部的に検討をいたしておるところでございます。ただ問題は、県におきましても現在その素案の検討をいたしておるところでございまして、そういった意味で今後県との調整を行っていかなければならぬというような問題であろうかと思います。  その際問題になりましたのは、いかにして沖縄の地域特性を産業振興の中に生かしていくかという問題であったように記憶をいたします。その中では、特に第一次産業における野菜、花卉の栽培、あるいは沖縄の亜熱帯性気候あるいは美しい自然環境等いわゆる観光資源、さらには伝統芸能あるいは伝統的な各種の文化財等を生かしました観光振興という方向について、前大臣はそれを一つの大きな今後の産業振興方向としてお答えしたように記憶いたしております。私どもも、もとより今後の振興開発計画におきまして、沖縄のそういった地域的な特性、これはまた県内におきましても、それぞれの地域におきましてそれぞれの地域特性を持つわけでございまして、そういった総体的に沖縄の置かれております各種の地域的地理的な特性を生かしていく、それからまた県内におきましても、その中での各地域のそういった特性を最大限に生かしていくということは、今後の振興開発考える上に最も重要な要素ではないか、このように考えて、いろいろ検討をいたしておるところでございます。  なお、今後どのような施策を考えていくのかというお尋ねでございますが、そういった種々の特性を踏まえた産業振興等を図っていくほかに、県民生活の安定、向上といった角度からいたしますと、さらに各種の施策を講じていかなければならぬわけでございまして、たとえば社会福祉あるいは医療の問題あるいは教育の問題等々、まだまだ沖縄で今後とも促進していかなければならない事業が非常に各面に多岐にわたって、各種の問題がある。そういう問題の認識の上に立って振興開発を行っていくということを考えておるわけでございます。
  64. 上原康助

    ○上原委員 どうも抽象的なお答えが多くて、いつまで検討するのか——本当はもう遅いのですよ、これは。十カ年計画の一年間ブランクじゃないですか。  それで、長官、これもちょっと確認をというかお答えをいただきたいのですが、要するに、この振計、特措法の延長で、五条の国の特例措置「国の負担又は補助の割合の特例等」の件ですね、これが最大の目玉ということで、何かこれさえ確保できれば二次振計は達成できるかのように言う向きもあります。私は、さっき申し上げましたようにそうは思わない。この必要性は認めます。これだけじゃ不十分なんだ。格差が是正されたところは高率補助があったからできたんだ。格差があるところは十分な手当てができないからできないのですよ。これも物の道理でしょう。教育施設は格差があるということでうんとやったからできたのですよ。社会福祉関係は格差がありながら十分な措置ができなかったから、ますます格差がある。残念ながらその見直しはやってないですね。本当はそれも必要なんです。  そこで、少なくとも長官と渡辺蔵相との間で合意した内容は、沖縄高率補助については当面現行どおり維持していく、二次振計中の適当な時期に、沖縄の施設整備の進捗、県、市町村の財政状況を見守りつつ見直していくということが合意されたということが報道されたのですが、これは具体的にはどういう意味ですか。二次振計中は少なくともここで述べていることは維持していくということなのか、中途見直しもあり得るということなのか。また、長官はこれに対してどういう御努力を今後やっていかれようとするのか、改めて公式の場で御見解を明らかにしていただきたいと思うのです。
  65. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 まず私からお答え申し上げます。  沖縄の補助負担率の特例につきましては、先刻来お話がございますように、沖縄の今後の振興開発に大変影響のある重大な問題でございます。そういう観点から、私どもは、昭和五十七年度予算の編成に当たりましては現時点でこれを引き下げることは無理であるということで、現行補助負担率の維持を主張したわけでございますが、財政当局の方は、さはさりながら沖縄の事情はわかるけれども公共事業等の中にはかなり整備の進んでおるものがある、整備水準を本土と比べた場合にも遜色のないものもあるので、そういうものについては引き下げを図るべきではないか、こういうことから、大蔵原案の内示におきまして数項目の引き下げを要求してまいったわけであります。しかしながら、ただいま申し上げましたように、現時点で特例補助率を引き下げることは、私ども沖縄の置かれている現状、さらには市町村の財政事情等を考えあわせますととうていまだ無理である、こういうことで対立をしたわけでございますが、最終的に大蔵大臣沖縄開発庁長官の大臣折衝におきまして、ただいま先生からお話がありましたとおり、今後の施設整備状況、市町村の財政事情等を見きわめながら二次振計の期間中に検討する、こういう合意に達したわけであります。  しかしながら、具体的にいつどういうものを見直すかということについての約束があるわけではございません。あくまでも今後の施設の整備状況あるいは市町村の財政事情等そういうものを勘案いたしまして、途中において見直しをすることはあり得るわけでございます。しかしながら、これに関するスケジュールは現在全くないということを申し上げておきます。
  66. 田邉國男

    田邉国務大臣 いまお話がございましたように、私どもこの二次振計の中で補助負担率の現行制度がいつ切られるのか、こういうことでございますが、現在私どもがいつこれをどうするかということについては考えておりません。ただ問題は、将来この補助負担率のあり方について、施設の整備の進捗状況、こういうものを見ながら、なおかつ市町村の財政事情等もにらみあわせながらこの二次振計の中で改めて検討する、こういうことでありまして、私ども予算折衝のさなかも、この問題につきましては、いつどういう時点でということの返事はいたしておりません。したがって、私どもはできる限り沖縄現状というものが早く本土以上になるような配慮をしつつその対応を進めてまいりたい。したがいまして、見直しの対象は何であるとかあるいはまた負担率の見直しはいつか、こういうことについては現在私どもは、この問題がいつの時点でやるかということについては、先ほど申しましたような諸般の情勢を勘案した時点において考える、こういうことでございますので御理解をいただきたい。
  67. 上原康助

    ○上原委員 私は、何も本土並みというかあるいは本土水準、そういう比較論はどうかと思うのです。本土以上だって悪いということでないし、いいのですが、少なくとも客観的に見て、見直してもいいだろうというものが出てくると思うのですね。それまでとやかく言おうとは思いません。また、沖縄に対しては異常な高率な補助をやって沖縄を甘やかしておるというような議論もあるけれども、われわれから言うとそれは心外であって、実際から言ってそんなものじゃない。きょうは時間がないから余り言えませんが、各都道府県だって沖縄の約倍以上にいっておるのですよ、いろいろな交付税にしても国の援助というのは。これは長官よくわかるように。沖縄だけがべらぼうにいって、ほかの都道府県がいってないということはないのだ。いろいろな数字を見ればすぐわかる。だが長官、見直しをなさる場合には、見直すべきものは見直していいでしょう。県なり市町村なりわれわれの意向も聞いて、それはいいでしょう、逐次年度ごとにも。何もそこにいつまでも依拠しようとは思いませんよ。これはいいのですが、落とすものがあれば追加も必要なんです、私たちに言わせれば。その見直しも同時にやらないと、さっきから言っている沖縄産業構造とか地域の特性を生かしたというものにはならないということなんです。  その見直さなければいかないものは何があるかというと、たとえば観光産業沖縄振興目玉にする、これは皆さんよく言っていますよね。それはいろいろ意見はあるでしょうが、私も観光というものは相当ウエートを置かなければいかぬということはわかるのです。観光を大事にしていく。三次が栄えれば栄えるほど製造業は落ちていく、二次産業や一次産業も停滞か後退をしていく、これは経済の理屈です。だが、それでも沖縄の立地条件を生かすというならば、観光というものに相当のウエートを置かなければいかぬことは私たちも否定をしません。  その場合に、それでは今後の観光をどうしていくかということでは、やはり航空運賃の問題があります。いま幾らかかると思いますか。山梨までは電車で行けるかもしらぬが、私なんか大変だよ。この間上がって、十日以上は七万四千円かかるのですよ。これはあなたがこっちから山梨に行くのと違うんだよ、長官県民にしたってみんなそうなんですよ。八六%、九十%近くは飛行機を利用しているんです。だから航空運賃の問題についても振興法の改正の中に何とか入れられないかと私はいろいろ検討してみたが、法制局はこれはだめだ、むずかしいということで落とされました。これはしかし政治の話として航空運賃の問題をどうするかということに対しては考えなければいけませんよ。国鉄にはいま約七千数百億の国家補助が出ているわけでしょう。そうすると、沖縄県民は国鉄については何の恩典もないですよ。あれだけの高額の補助を出せるというなら、なぜ沖縄に対してはほかの考えが出てきませんか。それが政治でしょう。それをやってみてくださいよ。それをどう二次振計にはめ込むかということです。  もう一つは、見直しの中で補助というか、そういった国の助成措置として考えなければいけないことは、観光産業との関連づけで、いわゆる海浜リゾートをどうするかという問題がよく言われますが、海洋博のとき本部に人工海浜をつくった。だから都市地域に観光との関連においてやろうとするならば、やはり海浜リゾートというものを将来人工的に造成していく必要があると思う。それに対しては民間ベースとか、単なる沖縄地元のそういった企業だけに任すといったって、これはなかなか容易じゃないですよ。そのときに沖縄開発金融公庫を利用して低利の融資をするとか、あるいは国の助成措置をこの中にはめ込んでいくとか、こういうものをやらないと産業開発はできないのですよ。  そういう見直しもあわせて私はいま一、二例を挙げましたが、これもこの中で議論されておりますけれども、たとえば東北とかあるいは北海道とか非常に寒いところからの、これから高齢化社会になるのだから沖縄に老人憩いの村をつくるとか、そういうコミュニティーリゾートをつくっていく場合に、もっと三分の二なりあるいは十分の七・五とか十分の八とか十分の十とかいう補助を特別にやって、国の一つの政策として位置づけて沖縄産業開発なり雇用を促進をしていくというきめ細かさがないからだめなんです。したがって、こういうことについても、落とすものを見直してやっていくならば、当然追加をしていって、もっと温かい措置をやっていく。これもあわせてやらないと本当の政策、制度にならないと私は思う。こういう点もまだ煮詰まってはいないかもしれませんが、私は山中長官とかなりこういう面も議論をしてまいりました。ぜひ御検討して、恐らくそれは責任継承ですからね、彼はやると言っているのだから、おやりになりますね。お答えいただきたいと思います。
  68. 田邉國男

    田邉国務大臣 お答えをいたします。  沖縄については、やはり観光は大きな重要な一つ産業であろうと思います。いま航空運賃のお話も出ました。私の考えておることは、沖縄は大変に自然がある、また美しい清らかな海がある、そういうことを考えますと、いまはハワイ観光というものに大変なウエートがかかっている中で、私どもはその目を沖縄の緑に、いわば沖縄の自然というものを再認識をさせる、そういう意味では、沖縄観光というものはさらに大変に魅力的なものになるであろうと私は判断をいたしております。したがって、それに伴う各種の施設の整備の問題につきましては、二次振計及びまた県の計画とも相まって、私どもできるだけの対応をしてまいりたい、こう考えております。
  69. 上原康助

    ○上原委員 えらいあっさり答えますがね。航空運賃は考えなければいけないということを言いそうだったのだけれども、いつの間にか引っ込めてしまいましたね。航空運賃問題もそのままではいきませんよ。  長官、なぜ私がいまの点を指摘をしたかといいますと、沖縄の民間設備投資というのは非常に弱いですよね。民間の固定資本形成というのは五十四年度でわずかに一一・三%程度なんです。だから観光産業を育成するといっても努力をしなければいけませんよ。いろいろなリゾートをつくるとかそういうものに対しては、もっと国の政策という面で助成措置というものも追加をしていかないといかぬということ。航空運賃ももっと真剣に考えなければいけませんよ。離島県だけが大きなしわ寄せを受けるということは、あなたがおっしゃる政治の不公平さじゃないですか。それを改めるように特段の御努力をいただきたいと思います。  そこで、いま高率補助の問題から来ましたので、沖縄の県の財政状況がどうかということです。これはいろいろ問題がありますので、県の財政状況について若干触れておきたいと思うのです。  山梨県はたしか人口は八十万一千人ぐらいですか、長官沖縄は百十万です。ちょっと簡単に調べてみたのですが、山梨県は歳入が一千九百五十六億円、地方税が二百八十九億円、あなたの方も大変な貧乏県だよな。自主財源が一四・七%。沖縄は歳入が二千四百五十七億円、地方税が二百七十四億円、自主財源が一一・一%。同病相哀れむで、もう少しいい答えをしてもいいんじゃないですか、あなた。山があっても山梨なんだから。そういう面からしても、私はこの財政問題については長官も人一倍の御認識を持っていらっしゃると思うんです。  そういう財政状況の中で、類似県を比較をいたしましても、五十四年度ベースでいきますと自主財源が、いまは地方税の立場で言いましたが、全体で沖縄は一八・三%、二〇%くらいです。三割自治じゃないですよ、二割もいかない。類似県が平均二四・四%くらい、六・一%低い。国庫依存率というのは本当に大変なんですね。また財政力指数からいっても、これはもう推して知るべし。たとえば沖縄は財政力指数でいっても〇・二一六ですか、全国最低です。類似県が〇・二六、全国平均は〇・四二です。だから財政的体力というのは非常に衰弱をしている。だから、こういう実態から見ても高率補助も必要なんですよ。  あと、移出入の話はけさありましたので触れませんけれども、こういうふうに財政状態が非常に逼迫をしておって、国の財政への依存度というのが高い。その中で、問題は国体をやろうということなんだな。山梨県は六十一年というのだが、いつごろから準備なさっておるのですか。まずそれから聞いてみましょう。
  70. 田邉國男

    田邉国務大臣 山梨の国体は、たしか五十一年か二年だと記憶いたしております。
  71. 上原康助

    ○上原委員 そうすると十年前からですね。五十一年で六十一年。これはもうきわめて簡単明らか。沖縄はたしか五十四年に決めたのですね。  そこで、けさもお話がありましたが、私は国体そのものに反対をする立場でお尋ねをしようとは思いませんが、まずは国体のメーン会場は沖縄市、那覇市ですね。小渡先生の出身地の隣。えらく土地が暴騰してもうかっている人もたくさんいるという話もある。全県下三十一市町村で六十九の競技施設の配置が決定されているのですね。このうち四十施設は新しく建設するのですよ、長官。これらの競技場の整備は遅くとも六十一年度までには完成しなければ……。六十一年度というと六十年の末ですね。県、市町村ではすでに建設準備態勢に入っているのですが、先ほど言いましたように、ただでさえ地方財政の厳しい状況にあって、財源の確保というのは非常に大きな問題になってきている。いまのところ五十五年ベースですかね、たしか総事業費は六百六億四千万円程度と見込まれている。このうち市町村の負担は何と三百五十八億円、全体の六〇%が市町村の負担になると言われているのです。もちろんこれから何がしかの県からの補助金というものはあるいはあるかもしれませんが、それにしても五〇%以上は市町村が負担をしなければいかない状態になると私は思うのです。だが、こういう国体の問題も残念ながら沖振法の高率補助の中には乗っけてない、けさの話にもありましたが。それは無理ですよ。  私はここで改めて申し上げておきたいのですが、一次振計の場合にはいわゆる十年計画で、五十年代前半は草木もなびく海洋博でお祭りお祭り。後、大変な反動が出たのです。この間も申し上げたのですが、二次振計の場合も六十二年の国体ということで、国体へ国体へとまたなびいて、市町村は追い込まれるとやらざるを得ないでしょう、国の行事だから。こうなると、二次振計もまた同じ結果にしかならぬということを言いたいのですよ。私たちはこれを非常に憂慮しているのです。ですから、本来国体の施設整備の問題と振興計画は別にすべきと言っても、同じ自治体がやるわけですから必ずしも分離というのはむずかしいけれども、性格は違う。これをまずどうするかということ。  さらに、いまも申し上げましたように、こういうふうに逼迫した財政状況の中では全国画一的な——国体の施設についてこの振興法で言う助成はできないということではいかぬと私は思うのですね。長官のお考えと、文部省も来ておられると思うので、これについてのお考えをひとつお聞かせいただきたいと思います。もうすでに返上するという自治体が出ていますよ。とてもじゃないが、そんな四、五億も十億以上も出して設備できぬ、おれの方も会場は取りやめだ。主会場の土地購入もできないで、県は四苦八苦しているわけでしょう。一体どうするの、お聞かせいただきたいと思います。
  72. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 私からまずお答えを申し上げます。  国体の施設の補助率をどうするか、こういう御質問でございますが、沖縄につきましては、もう先生よく御承知のように、公共事業等各種の事業につきまして高率の補助を設けておるわけでございまして、そのため、全体として見まして市町村の負担は軽減されておるわけでございます。したがいまして、国体競技施設の整備に当たって特に市町村負担を軽減するためにさらに補助をかさ上げする、こういう考えはございません。ただ、いま御指摘のように、新聞の報道によりますと市町村の負担が相当の額になっておるということは私ども承知しております。  そこで、長官がいらっしゃって大変恐縮なのですが、私もその前年に行われます山梨県の国体で、市町村がどういう施設費の負担をする予定かということをちょっと調べてみたわけでございます。これはどの程度正確かわかりませんが、用地費、附帯施設費を除いて約九十億円、こういうことを伺っております。そこで、これは県庁とも連絡をとった上でございますが、沖縄の競技施設のいまの計画というものは、恐らく県との段階で完全に詰めたものではございません。仄聞するところによりますと、少々過大な規模のものもあるやに承知いたしておりますので、まず個々の競技施設の規模をどうするかということを市町村の財政状況とにらみ合わせて検討をすることが対策一つであろうかと思います。  それから、第二点といたしましては、沖縄県の方におかれましても先生指摘のような状況でございますので、公園それから民生安定事業の施設を除きまして、市町村に対して国の補助に上積みをして助成するということを検討しているやに伺っております。それからまた、沖縄県には市町村振興基金貸付金という制度がございます。これは特に国体のために設けられたものではございませんが、この振興基金からの貸し付けも予定しておるということでございます。  ただ、誤解を招くといけませんのでちょっと申し上げておきますが、山梨県の場合九十億円と申しましたのは、先ほど申し上げましたように、用地費、附帯施設費を除外しておる数字でございます。いま沖縄の新聞に報道されておりますところの沖縄の市町村の負担というものは、恐らく用地費、附帯施設費を含んでいるものであろうと思いますので、単純にこれをストレートに比較するわけにはまいりませんが、いまの計画では過大な規模のものもあるのではなかろうか、こういう気がするので御参考までに申し上げたわけでございます。  以上でございます。
  73. 大門隆

    ○大門説明員 お答えいたします。  国民体育大会の競技会場となる施設の整備補助につきましては、通常の社会体育施設の補助制度の中で実施しておるわけでございます。補助率につきましてはスポーツ振興法で規定されておりまして、三分の一補助ということになっておるわけでございます。  ただいま沖縄開発庁からも御答弁がありましたような理由で、文部省としましては、特に国民体育大会の競技施設の整備に当たって補助率の特例を設けるというようなことは現在考えてはおりません。
  74. 上原康助

    ○上原委員 考えてはおりませんではいかないのだ。山梨の場合九十億円。さっき申し上げた六百六億というのは、確かに土地購入費いろいろ入っているかもしれませんね。それはそれとしても、しかし土地購入だって県がやらなければいけないのだ。県の財政負担になるのだ。特に私が疑問を持つのは、長官、これは都市公園法による運動公園建設事業でしょう。全国ベースでいっても、沖縄の運動公園あるいはその他の公園を含めて、これはまだ五〇%そこいらですね。これは県や市町村の財産になるからといって受益者負担みたいな感覚でやってはいかぬと思うのだよ。それこそ振興じゃないですか。なぜ振興法の中にある——実際公園がおくれているのは問題なんだ。こういうことについてはもう少し政治力を発揮してはいかがですか、長官。どうでしょう。これは本当に返納者がどんどん出てきますよ。これならまた海洋博の二の舞をやってしまう。  そうおっしゃいますけれども、私が調査しただけでも、たとえば那覇市が八十九億円の負担になる。宜野湾市は八十六億円、豊見城村五十六億円、糸満十五億円、浦添十三億円、西原十二億円。玉城村では大型総合体育館の建設に早目に手をつけようとしたが、五億円以上の持ち出しになるからおれはもうだめだ、そんなのは受けぬ、とてもじゃないが、そういった五億円の費用を出すよりは別に学校一つ何とか考えた方がいいのだ——。それは、自治体の理事者としてそういう気持ちになるのは免れないと僕は思うのですね、長官。そういうことについてはもっと真剣に考えてみたらどうですかね。これは県とも調整して御検討いただけますね。
  75. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 私からお答え申し上げます。  先ほど沖縄の補助負担率の特例について上原先生から、中身を見直す場合には下げるのは多少あってもいいけれどもそのかわり上げるのもなければならないではないか、こういう御指摘がございました。沖縄振興開発に関する補助体系の問題としてはまさに御指摘のような問題がございます。ただ、五十七年度予算におきましてこの補助率の問題を財政当局並びに各省と折衝をいたしましたときにも、実はそういうことも私ひらめいたわけでございます。先生指摘のとおり、都市公園の整備率というのは全国に比べて低いわけでございます。また、その他いろいろ御承知のようなものもございますので、そういうこともひらめいたわけでございますが、残念ながら、やはり公共事業の大どころの国庫負担率を維持するためにはなかなかその辺まで手が回らなかったというのが本音でございまして、先ほど御教示がありましたように、今後仮に、私ども簡単にその見直しの時期がすぐ近く来るとは思っておりませんが、そういう時期が来ました場合には、そういう問題もあわせまして十分また沖縄県の方とも御相談の上、また先生方の御意見も伺いまして検討をさせていただきたい、このように考えております。
  76. 上原康助

    ○上原委員 これは局長答弁ではだめだよ。長官の方からひとつ。
  77. 田邉國男

    田邉国務大臣 私は国体の問題については私なりの考え方がございます。国体というのは一つの大きな体育の日本的な行事である。ただ、最近の国体が余りにも華美に流れ過ぎているというきらいがある。そして、大きなメーンスタンドをつくる、いろいろの施設を整備する。その大事な体育のメーン会場が一年に何回使われるか。私は長野県松本市につくられたあの国体のメーン会場を見まして、実は大変考えさせられた経過がございます。そういうことを考えますと、やはりその県その県の財政規模に応じたいろいろの施設のつくり方、また受け入れ方というものがあるのではないだろうか。これが私の国体の施設整備に対する一つ考え方です。ただ、これを即沖縄県に当てはめようと言っておるのではありません。沖縄観光の地でもございます。そういうことも考えますと、後で大いに活用できるようなこともあわせて考えることが必要であろうと思います。したがいまして、いま二次振計とこの国体の施設整備あるいは環境整備と絡み合わすことが可能かどうかという問題でございますが、いま振興局長からいろいろお話がございましたけれども、私自身としては、でき得るものはいろいろの配慮ができたらしてあげたい、こういう考え方でございます。
  78. 上原康助

    ○上原委員 まあおっしゃる姿勢というか理念はよくわかりますよ。私も余り華美にならぬように、本当に質素な国体であるべきだと思う。本来のスポーツ振興につながるような内容であってしかるべきだと思います。その点は一致します。ひとつ山梨県で国体が終わりにならないように御努力をいただきたいと思います。  次に、この二次振計で一番問題は産業構造の改善、さっきちょっと触れましたが、いま一つはエネルギーの確保、電力問題、それと水ですね。電力問題では沖縄電力のことについてはしばしば私も取り上げましたし、ほかの方々からもいろいろお取り上げになっていますので簡単に触れますが、要するに五十四年十二月の閣議決定の民営移行というのはむずかしいということはもう否定できないわけですね。さらに石油専焼から石炭火力への移行というのが六十一年、二年をめどにいま進められている。問題は沖縄電力のあり方をどうするかということなんですが、これはエネルギー庁来ておられると思うのでぜひ明らかにしていただきたいのですが、県内あるいは県外資本によるセクター方式という経営形態も一応検討されたみたいですね。しかし、最近は新聞記事などを見ますと、どうも大手電力会社への吸収合併の方針に変えたという政府考えもあるやに聞いておるのです。一体今後の沖縄電力の形態をどういうふうにしていこうとするのか。二次振計においては少なくとも全国ベース以下の電力料金で電力の安定的な供給確保ができるのかどうか。これはきわめて重大な課題の一つですね。この点に対して、長官なりエネルギー庁の方の明確な答弁をいただきたい。  もう一つは、先ほどからいろいろありましたが、この電力問題より重要なことは水の問題です。水さえも十分満足に飲めない社会なんてどこにありますか、あなた。十年たっても、ダムもたくさんつくったと言うけれども、いま四十八時間で二十時間の供給ですよ。しかもだんだん水力が弱くなってちょろちょろとしか出ない。だから観光にも影響する、県民生活のいろいろな面に影響してきていますよ。これは政府だけの責任とは言わないけれども、国も県も、振興開発計画の重大な問題において努力が足りなかったのじゃないか。そういう感じがしてなりませんね。昨年七月からですからこの二十四日でもう二百二十四日も続いている。隔日断水になってからでも延べ百八十六日ですよ。六カ月以上だよ。これではちょっと困るのだ。これは病院関係だって困りますよ、長官沖縄の整肢療養園では身障者の皆さんにしても大変困っているという。あるいは都市地域では本当に大変な状況なんです。ですから、ダム貯水状況にしましても、あるいはダム建設が、福地、安波、辺野喜、普久川それから新川、いろいろやりましたよね、五つのダム。やったってこういう状況なんです。そうすると沖縄人口は、いろいろあるでしょうが、仮に最終年度百二十万としても、いま百十万といっても米人、外人が幾らいるの。アメリカの兵隊とか家族は三万四千から四万いるでしょう。だから、水とか下水道とか道路使用とかそういう面は百十万というと百十五万を想定しなければいけない。これも重要なポイントなんだよ。沖縄人だけじゃないんだよ。彼らは芝生も植えて、水をどんどん勝手ほうだいに使った、こういう特殊な事情にあるということ。そこで、さっきの電力問題と、今後は地下ダムというものを、宮古で皆福ダムというものをいまつくって成功している。これは農業用水の確保、飲料と多目的利用できるという調査結果が出ている。沖縄南部に農業用水とかそういうものをつくるということと、嘉手納飛行場一帯、中部にも相当の地下水が、六百万トンから八百万トンあるいは一千万トンくらいの確保ができるということ、あるいは天願一帯ですね。私は、そういう地下ダム建設ということと同時に、海水の淡水化というものを早急に手がけなければいかないと思うのですね。このエネルギーの問題については、二次振計においては早急に手がけなければいかないし、県民に不安を与えてはならない。これは人間生活に必要不可欠の条件である。そういう立場からすると、この点については何よりも優先をして、産業振興の問題等を含めて、工業用水、農業用水含めて考えた場合には、水資源開発というものは焦眉の急だと思うのですが、こういうふうにやりたい、そのためには予算というものをきちっと立てていかなければいかない問題だと思うので、まず、長官の方からはっきりとしたこれに対する御見解を聞いておきたいと思います。
  79. 田邉國男

    田邉国務大臣 沖縄県にとって水問題は大きな問題だということを私は認識をいたしております。したがいまして、地下水の問題、ダム建設の問題、また海水を淡水に変える、そういう諸問題につきましては、二次振計におきましても十分この計画の組み込み、そしてまた、どういう対応をしていけば最も早く、しかも合理的にこれが対応できるか、真剣に取り組んでまいる考えであります。
  80. 植松敏

    ○植松説明員 電力の問題でございますけれども先生案内のとおり、五十四年末の閣議決定におきましては、五十六年度末を目途に政府が諸般の措置を講じまして民営移行をするということになっておったわけでございますが、その際は沖縄地元資本を中心にして民営移行を図ろうということで、それを目標に一種の条件整備を図ってまいったわけでございます。その段階では、先生指摘のたとえば第三セクター方式でございますとか、いろいろな方式についても議論が重ねられてまいったわけでございますが、いわゆる第二次石油危機の影響もございまして、従来考えておりましたような形での民営移行というのがむずかしくなった。そこで、昨年末の閣議におきましては、やはり地元資本中心という形の従来の民営移行方式を変更いたしまして、他の一般電気事業者すなわち九電力の協力も得ながら、沖縄の実態に配意しながら早急に民営移行を図ろう、その場合、そのための準備として、政府も諸般の措置を講じよう、こういうことが閣議了解されたわけでございます。これから地元の意向あるいは九電力の意向等いろいろ協議を重ねながら民営移行の方式及びそのために必要な措置を検討していくところでございまして、一部に報道されておりますような特定の方式を前提にしてこれから検討をしていくとか、あるいはもう特定の方式が決まっておるというような事実はございません。これから関係方面と十分協議し、検討を進めてまいりたいと考えております。
  81. 上原康助

    ○上原委員 この件についてはほかの方々からもいろいろ御提言があると思いますから深くは触れませんが、要するに水と電気というのはもう絶対不可欠ですよね、長官。山梨あたりでは水の心配なんかないかもしらぬ、電気も。しかしこれは本当に困るのです。飲料水さえ十分確保できないという状況、電力もまたいつ上がるかわからぬ。  そこでエネルギー庁、そうであればそれでいいかもしれませんが、沖縄電力なり働いている方々の意向なり、県サイドのそういう審議会がありますね。そういうところとも十分意見を調整をしてこの点については進めていただきたい。注文をつけておきたいと思います。  次に、よく社会資本整備がなされたということを盛んに強調しているのですが、私はここでもまたひとつ苦言を言っておきたいのです。  確かに道路もきれいになった。いろいろな面、外面はよくなっている面、私もそれは否定しません。一番よくなったのは道路、道でしょうね。国道、県道でしょう。だが、大きな一つの穴があるのじゃないですか。那覇空港、何ですか、あれは。最近飛行機も落っこちて、本当に金も出して落っこちたのじゃ大変なことになっちゃう。那覇空港ターミナルさえ、十年たっても、ここは国内線、ここは離島先島線、ここは国際線というふうにぽつりぽつりとあるローカル空港ありますかね、開発庁長官。前にも私指摘しましたが、これがなぜできなかったかというのも、やはり那覇空港を民間専用にすると言いながらあれだけの軍事基地があるからですよ。自衛隊基地にされたから。基地なんだよ、根っこは。しかしそのことは別としても、この間も私は沖特で、施設庁に来ていただいてこの問題取り上げましたが、国体もやるというのにああいう状態では、とてもじゃないが、これは支障を来す。そこで、この那覇空港ターミナルの暫定措置を六十二年まではどうしてもやるのだというのがこの間の答弁でしたが、これも、二次振計と関係あるないは別にしても、早急に整備をしなければいかない大きな課題ではなかろうかと思うのですが、この件についても改めて開発庁と運輸省の方から答弁を承っておきたいと思うのです。
  82. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 那覇空港のターミナル地域につきましては、本土線、国際線、それから先島線、このターミナルがそれぞれ離れておりまして、大変乗客に不便を与えていることは先生指摘のとおりでございます。そういうことで今後運輸省とも十分に協議を行い、また地元の意向も十分確かめまして積極的に推進してまいりたいと思いますが、現在、御承知かと思いますが、すでに空港事業予算の中に調査費を計上いたしまして調査中でございます。五十七年度予算におきましても調査費を計上していることを御報告申し上げておきます。
  83. 井上春夫

    ○井上説明員 お答え申し上げます。  那覇空港は年間の乗降客が四百五十万、わが国の有数の空港でございます。しかし、先生指摘のとおり、ターミナル地区大変不備な状況にございまして、できるだけ早く沖縄の玄関としてふさわしいターミナル整備をしなければいけないというふうに運輸省もかねがね考えておるところでございます。いま沖縄開発庁の方から御答弁ございましたように、早急に地元ともよく御相談をいたしまして成案を得て、その実現方努力をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。なお、本格ターミナルについては、大変大きなプロジェクトでございまして、相当長期間を要するということもございますので、当面の対策といたしましてはやはり暫定的に現在のターミナルを拡張整備する必要があるのではないかというふうに考えておりまして、これについても早急に実現方努力したいと考えておるわけでございます。
  84. 上原康助

    ○上原委員 施設庁との話はついたのですか。暫定ターミナルはいつまでに完成できる見通しですか。
  85. 井上春夫

    ○井上説明員 お答え申し上げます。  施設庁とは従来からいろいろ話し合いを続けておりまして、さらに今後も引き続き細部についていろいろ調整をしていかないといけないという状況にあるわけでございます。  ターミナルの暫定地区整備につきましては、六十二年を待たずにできるだけ早い時点で完成をしたい、順次広げていかなければいけないということでございます。予算の問題はございます。それともう一つは、ターミナル地区は民間のビルが設備投資によって整備をするという面も多々ございますので、民間サイドともいろいろ調整をして、できるだけ早く実現をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  86. 上原康助

    ○上原委員 これもいまの御答弁ではちょっと納得しかねる面があるのですが、長官、十年たってもまた暫定ターミナルですよ。観光を促進をしてといろいろ言いながら、ああいった基本的な問題が整備されていないということは、県も関係者もその対応が問題ですね。まずそういうことについては事務当局に任さずに、運輸大臣とも協議の上あるいは防衛庁長官とも政治段階でお話をしていただいて、早急に解決をするということでないといかぬと思うのですが、この点、大臣の決意のほどを聞いておきたいのです。
  87. 田邉國男

    田邉国務大臣 那覇空港につきましては確かに利用者の皆さんに御不便をかけておることは事実でございます。この点につきましては早急に運輸省等とも十分打ち合わせをして、でき得るだけ早期に整備の実を上げてまいりたいと考えております。
  88. 上原康助

    ○上原委員 余り中身のある御答弁じゃないですね。もう少しこういう問題についても真剣でないといかないと思いますね。  雇用問題について若干お尋ねしておきたいのですが、冒頭に指摘をしましたように、振興開発計画の中でわれわれが今日まで一番指摘をしてきたものに、雇用創出ができなかった、失業対策が不十分であったということ。これは労働省に言うと、労働省は援護措置をするのが主体で、あとは通産省なり開発庁の仕事だとおっしゃる。労働省のこの沖縄関係予算を見てもわずかに十八億程度ですね。全くもって雇用創出という面では不十分、これではいかないと思うのですね。  総評と沖縄県労協とで「沖縄における雇用失業問題の特質と改善施策について」という相当綿密な研究報告が出されている。これなども政府に出されていると思うのですね。二次振計の中で雇用問題を一体どう解決していこうとするのか、この点については改めて開発庁と労働省の見解を聞いて——もういままでのように、広域職業紹介をやりました、努力をしましたというだけではいかないと思うのですね。本当にこの法律を延長するということであるならば、少なくともここで条文化されているものについては、労働大臣が県と相談をして実行していくということをここで確約しないといかぬ、その点ひとつ関係者の方からお答えいただきたいと思うのです。
  89. 田代裕

    ○田代説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘のように、現在の沖縄における一つの大きな問題として雇用、失業の問題がございます。先ほど来いろいろ論議の中にもお話が出てまいったわけでございますけれども、この問題に関しては労働省としても、復帰後あるいは海洋博後著しく失業者が累増するという状況の中で、沖縄県の労働者のための職業安定の計画というものを樹立して——この内容については先生十分御承知のことでございますので一々申し上げませんけれども、現在まで強力にその施策の推進を図ってきたところでございます。そういった点で、一番ひどいときは失業率が約八%弱、七・九%というようなときもございましたけれども、現在は少しずつ低下してまいりまして、最近は五%前後、一番近い資料としては昨年の十二月末でもって四・六%という失業率の状態でございます。ただ、これも全国平均の二・一%から比べると、やはり相当厳しい実情にあると考えております。  そういった点で雇用問題の解決考えてみると、申し上げるまでもなく、基本的には需要供給のバランスの問題でございます。したがって、従来の政策の中では、沖縄県内における雇用吸収力が大変乏しいという前提から、県外に対する就職促進ということをまず第一に手がけてまいる。これには、相当な方々が現実に県外就職を果たしているわけでございますが、けさほど来の論議にもございますように県内就職志向が強いという状況等もございまして、県外を希望する方が必ずしも多くない。求人そのものについては本土の優良求人を充てるだけのものを職業安定機関としては十分用意できるわけでございますけれども、現実はなかなか応募されない。またUターンをされる。それも一年から三年というわりあい短い期間でUターンをされるということもあって、現在、沖縄の失業問題としては若年の方が大宗を占めるという状況になっております。  そういう点で、私どもも、もちろん需要供給とのバランスの問題でございますから、県内に職がない限りにおいては県外への促進を今後とも図っていかなければなりません。しかし、過疎化していくということは沖縄にとって決して好ましい事態ではないと判断しておりますので、けさほど来お話がありますように、沖縄産業振興されて雇用吸収力を増大していただく、それに対して若い人たちの雇用の場を求めていくことがどうしても基本になろうかと思います。  ただ、私どもといたしましても、そういった前の段階として、乏しいながらでも県内の雇用需要というものがございます。それが必ずしも十分に雇用の場とつながっていない向きもございますので、そういった点については五十七年度から、若年者を中心としてそういう結合が促進できるような、若年者を対象とする職場適応訓練の実施という新しい施策等も展開し、また従来若い人たちが失業状態になり得る一つの要因として、学校を卒業してからの就職の意思決定時期が大変遅いという沖縄県の状況がございます。そういった点の解決あるいは本土へ就職してからの安易なUターンの防止等、現在でも私どもの方としては政策の展開に努めているところでございます。  最後に、特別の事業の実施ということについて、県ないしは県労協その他いろいろな方々から御意見をいただいております。労働省としては、こういった特別な事業については、失対事業等のような単に就労の場だけをつくる、したがってその事業に吸収された方が、職業の安定につながるのではなくて、いたずらに失業の状態の継続になるということであっては本来の趣旨を全うさせることはできませんものですから、就職につながるような形のものということについては、関係者の方々と現在も打ち合わせを続けている、こういう状況でございます。
  90. 上原康助

    ○上原委員 もう時間ですから終えますが、あと農業問題については島田先生の方からいろいろお尋ねがあると思いますし、外務省にも例の国際センターでお尋ねしたいと思いましたが、時間が来ましたから。それに建設省にも河川整備計画問題についてもお尋ねしたいと思ったのですが、来ていただいたことに感謝をして、ちょっと御了解を得ておきたいと思います。  そこで、委員長にですが、きょうは振興開発計画問題を中心に触れまして、かえってごっちゃになるといかぬと思いまして、基地問題は省きました。われわれは理事会でも申し上げましたが、党としては九時間ないし十時間の審議時間が必要だということでありますので、基地問題その他外務省とのかかわりの問題が残っているということもひとつお含みの上で、きょうは以上で終えたいと思います。
  91. 吉田茂政

    吉田委員長 玉城栄一君。
  92. 玉城栄一

    ○玉城委員 長官にまず最初にお伺いしたいわけでございますが、昨年十一月だったと思うのですが沖縄開発庁長官に御就任されまして、鋭意沖縄問題に取っ組んでおられまして、心から敬意を表する次第でございます。  たしか沖縄開発庁長官は田邊長官で十二代目というふうに伺っておるわけでございますが、ことしから沖縄の第二次振興開発が出発をする、そのスタートの長官でもございまして、午前中から大臣御自身の決意も承っております。また山梨県知事を三期もお務めになっておられたと伺っておりまして、御自身沖縄で私が知事だったらという目で沖縄問題を考えたこともあるというお話もございましたし、沖縄問題について自分自身の問題として取っ組んでまいりたいと大変力強い決意も承ったわけでございます。この十年間十二人の長官がおかわりになって、平均的に一年足らずということになるわけですね。それで、それぞれの長官、ニュアンスに多少の違いもあったわけでございますが、結果からしまして、この第一次沖縄振興開発、やはり午前中から質疑があったわけですが、その総括といいますか、どういうわけでこういう目標が達成できなかったか、そこら辺から出発をし、そして第二次の出発に当たる長官として大事なレールをきちっとしていただかなくてはならないと思うわけでございます。  確かに沖縄は二十七年にわたる米軍施政権下から脱却をして、昭和四十七年の五月十五日に本土復帰をいたしました。各面で本土に比べて大幅に立ちおくれている。それを本土並みに引き上げたい、いわゆる格差是正をしたい、また自立できる基礎的な条件整備していきたい等々、ほかにもございますが、しかし、この十年果たしてそれがどうだったかということ、これはこれまでのいろいろな御議論があったわけでございます。  そこで、私時間もそんなにございませんので、簡単に言って、この十年間、この第一次振計について、一言で言えばどういうことか。採点すれば、たとえば百点満点で何点くらいなのか。ある人に聞きましたら五十点ぐらいがせいぜいじゃないかという方もおりました。なるほど、しかし非常に象徴的な数字としまして、県民所得が一番新しい数字で全国平均の六八・六%である、こういうことかなという感じもします。しかし、私は野党ですからこれはちょっと甘いと思います。いまの県民所得がまだ全国平均の七〇%以下である、失業率は常に二ないし三倍、あるいは水の問題につきましてもいわゆる慢性的な水不足である、あるいは電力料金にしても全国一高い、言われておる米軍基地にしても五三%沖縄に集中的にまだある、あるいはCTS、これもちょっと後で伺いたいのですが、有数の基地がちゃんと存在しておる等々からしますと、五十点ぐらいがせいぜいじゃないかという感じが私はしますが、長官、いかがなものでしょうか。     〔委員長退席、上草委員長代理着席〕
  93. 田邉國男

    田邉国務大臣 お答えをいたします。  第一次振計によりまして沖縄開発振興がどれだけ行われておるか。この点については、私ども各般にわたりましていろいろと調査をいたしました結果、やはりかなりの成果を上げておる、こう判断をいたす次第でございます。それはいま御指摘がございましたように、二十七年間日本を離れた、日本の施政権外にあったという大きなハンディ、その中で沖縄は高度成長からも外れた。そしてあらゆる農業振興についても取り残された。いろいろのハンディをしょってきたわけです。それを一気に取り戻すということはなかなか困難でございます。しかしながら、第一次振計におきまして、あとう限りの努力を払い、また県とも十分な協力体制のもとに進めてまいりましたわけでございますから、道路、港湾などを見ましてもかなりの進展を見た。そして公共施設については私はまだ十分だとは申しておりませんけれども、かなりの成果を上げてきておる、こう考えるわけでございます。しかし、これからまだ着実に整備をしなければならない問題がたくさんございます。その点につきましては、先ほども指摘がございましたように、産業振興の問題あるいはまた雇用の問題、水の問題エネルギー問題、多くの課題を抱えております。したがいまして、沖縄の現在の実情というものを私どもは十分把握をし、また沖縄県民の意向も十分に踏まえて、そして第二次の振計に対しては、沖縄県民の皆さんが望んでいる問題を一つ一つとらえて真剣にこれに取り組み、そして実際の効果をあらわしていく、そういう対応をいたしたい、かように考える次第でございます。
  94. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですから、先ほども申し上げましたとおり第一次振計、その目標、満額達成、いろいろな意味でむずかしい点もあったということは私もよく承知しております。ところが、私が不思議に思いますのは、日本は経済大国ですから、しかも技術の面においては世界の先端を行く先進国です。あるいは日本の官僚機構と言ったら世界に冠たる優秀な組織である、こう言われているわけです。もちろん資本とか技術とか組織だけで物事がすべて解決できるとは思いませんけれども、しかしやはりこれは解決する大きな要素になると思うわけです。  確かに、これが目標どおりにいかなかった。計画自体に問題があったのか、あるいは情勢の変化あるいは執行能力、いろいろな問題点はあったかもしれませんけれども、しかし結論的に、私はこういう結果から総括して考えますときに、本当にやる気があったのか、本気であったのかどうか、それさえ疑わざるを得ない。客観的結果からしますと、そうあえて指摘されてもこれはやむを得ないのじゃないか、私はそういう感じがいたします。したがいまして、何とかこの十年間できなかったものを向こう十年間さらに延長をして、補助率も原則的に高額でやっていこうということですけれども、基本的にこれだけの優秀なものが条件としてはそろっていながら、目標が達成できなかったということからすると、先ほど長官にも申し上げましたとおり、第二次沖縄振興開発の出発でございますので、長官自身の決意、そして本気になって取っ組んでいただくという態勢、やはり最初のなにが一番大事じゃないかと思うわけでございまして、そのことをまず強く要望しておきたいのですが、重ねて長官のお考えをお伺いいたします。
  95. 田邉國男

    田邉国務大臣 いま御指摘がございました、いよいよ第二次振計に取り組むことに対する私の姿勢でございますが、先ほどからいろいろの観点からの御質問もございました。私も振り返り見まして、まずやらなければならない問題にやはり水の問題が一つあると思います。それからもう一つは農業の振興、この農業振興には、いま進めております土地改良、農地保全、農業の各般にわたったいわば基盤づくりがまだ十分でない。農家が新しく土地改良をされた農地に対して何を植えるか、何を生産するか、この問題を私どもは真剣にその施策の実態をきわめてまいりたい。それからもう一つは、第二次産業をいかに誘致できるか、付加価値の高いものを誘致できるか、そうしてまた沖縄県自体がいわば自立した産業を確立できるか。この問題については私どものこの第二次振計におきましてどう対応するか、こういう問題があるわけでございます。また若年労働力を吸収するのにどう対応するか、この点も大きな課題であります。     〔上草委員長代理退席、委員長着席〕  それからもう一つは、保税地域と申しますか、特別な税を免除する地域を一体どう活用をするか。私は、自分の県が実は精密工業の地域でございます。しかも内陸県でございます。したがって、できるだけ水を使わない、そして付加価値の高いものを誘導をしたいということで、実は山梨には精密機械の産業が大量に入ってまいりました。私は、沖縄はやはりサンゴやいろいろの細工をやる技術というものは古来より伝わっておると思うのです。そういう意味では手先などが大変器用な方が多い。そういうことを考えましたときに、沖縄の将来の産業というものはそういうものにもひとつ目を向けていくべきではないであろうか。これが一つ、私自身は考えられると思います。もう一つは、山梨は精密工業で、実は小さい企業ではございますけれどもダイヤモンド研磨の技術が非常に進んでおりまして、オランダ、ベルギー、ドイツ各国からの保税工場が実は七十ないし八十ぐらいあるはずでございます。そしていろいろのカッティングをし、一説には日本人の一年間に消費するダイヤモンドは三日間でつくるというほどの精密産業が発達をしております。  そういうことを考えましたときに、沖縄という立地条件の中で、昔から非常に手先の産業が進んでおる沖縄においては何らかの一つ産業が誘導できるのではないだろうか。それによって沖縄のいわば自立経済、そしてまた誘致企業、こういうものが相まって沖縄の第二次産業発展をし、そして沖縄県の県民が、青年が、喜んで郷土に定着をするようなそういう配慮はできないものであろうか。こういうようなことを、私は就任以来わずかではございますけれども、いろいろな角度から検討をし、自分自身がやはり沖縄の県の立場に立って真剣に実は取り組んでおる次第でございます。その点、私自身、沖縄開発庁長官としての責任を感じながら真剣にこの与えられた職務を遂行する考えであります。
  96. 玉城栄一

    ○玉城委員 歴代沖縄開発庁長官を私ずっと見まして、地方自治、まあ知事をしておられた長官というのは恐らく大臣が初めてではないかと思う次第でございますので、どうかぜひともこの二次振計の所期の目的が必ず達成できるようにがんばっていただきたい、このように思います。  そこで、これも出ております水の問題ですが、これは大変深刻で、長官もごらんになって現地の実情は御存じかと思うわけです。もはや隔日給水や二十時間に給水制限をしまして、たとえば老人福祉施設などではおふろの回数を制限するとか、おしめのチェンジの回数を制限するとか、あるいは主婦の方々にとってはノイローゼぎみであるという、いろいろな面で大変深刻な状況がもう出始めているわけです。ですから、これは何とかならぬかというわけですが、市町村段階、県段階、そしてせっかく沖縄担当の国の開発庁という機構があるし、国も何とかやってくれ、そういう県民の非常に深刻な要望なんですが、やはりダム開発しなくちゃならぬ、どうのこうのということで、これもまた時間がかかるということなんです。  それで、午前中振興局長さんのいろいろなダム開発計画等の話がありましたが、私はこれについてこの際ぜひきちっとしておいていただかなくてはならぬ問題を、時間もございませんのでちょっとお聞きしておきたいのです。  防衛施設庁に、沖縄本島水源地の問題ですが、北部、中部にダムは集中していますが、この米軍基地とのかかわり合い、いわゆる地位協定上どういう状態にあるか、それをちょっとはっきりさせておいていただきたいのですが。
  97. 大場昭

    ○大場説明員 沖縄の施設、区域内にございますダムの実態を概括的に申し上げますと、北部訓練場の中には福地ダム新川ダム安波ダム普久川ダム、この四つのダム完成または工事中でございまして、現在地位協定二条四項(a)に基づいて共同使用されております。現在工事中の安波ダム普久川ダム完成後にこれらの四つのダムは地位協定二条四項(b)に基づく共同使用に切りかえられることとなっております。また嘉手納弾薬庫内には瑞慶山ダムが地位協定二条四項(a)に基づいて共同使用されております。その他キャンプ・ハンセンには小規模のダムが散在しておりまして、その中で当袋ダムが地位協定二条四項(a)により共同使用されており、その他のダムは地位協定二条一項(a)、つまり米軍の占用区域内にございまして、地位協定三条に基づきまして米軍の管理権の範囲内で使用が認められている、こういう実態になっております。
  98. 玉城栄一

    ○玉城委員 いまのお話は、結局一番大きな水がめであります北部福地ダムにしましても新川ダムにしても、安波ダム普久川ダム、これは米軍の訓練地域の中にあって、地位協定上はいわゆる二4(a)ということですね。これは地位協定上二4(a)というのは管理権は米側にありますね。臨時的に日本側は使用を許されているという状態ですね、地位協定上は。(大場説明員「はい」と呼ぶ)それから、同じく中部の瑞慶山ダム、これも地位協定二4(a)というのは完全に管理権は米側にあるが、臨時的に日本側に使用が許されている。したがって、米側が都合が悪ければ、向こうに管理権があるわけですからね、それはいや応なしに向こうに当然使用はさせられるという状態ですね、そのように理解していいですか。
  99. 大場昭

    ○大場説明員 はい、そういうことでございます。
  100. 玉城栄一

    ○玉城委員 そのとおりですね。したがって、それを二4(b)に変えたいというのですか。二4(b)に変えるという状態になれば地位協定上どういうふうになりますか。
  101. 大場昭

    ○大場説明員 地位協定二条四項(b)の共同使用になりますと、日本側に主体性がございまして、米側が必要に応じて一時的に使う、そういう関係になります。
  102. 玉城栄一

    ○玉城委員 長官いらっしゃいましたので、水不足の問題と非常にこれもかかわりが深い問題ですが、これはこういう話がございまして、去った第二次大戦のときに、ハワイにおいて米軍がやはり水源地があるところを演習用地として使いたい、しかし当時ハワイの住民あるいは環境団体から絶対にならぬ、この水源地だけは軍は使ってくれるなという猛烈な反対がありまして、あの第二次大戦ですら米軍はハワイにおいてそういうところは演習地としては使わなかったという話があるわけですね。いま施設庁のお話では、沖縄本島にある北部、中部のダムを含めまして、これはまさに水がめですね。そこは全部米軍の管理権のもとにあって臨時的にしか日本側は使えない、いわゆる借りているという状態なんですね。これは好ましいとお思いでしょうか、好ましくないとお考えでしょうか、いかがでしょうか。
  103. 田邉國男

    田邉国務大臣 好ましい姿だとは思っておりません。
  104. 玉城栄一

    ○玉城委員 ですからそこを、やはり私申し上げたいことは、もちろんそういう訓練地域はそのまま返還してもらいたいのが望ましいが、しかしいきなりというとそれも無理があるでしょうから、せめてダムに関係する、あるいはダムというのはそこに上流下流いろいろな河川があるわけですから、そういうもののすべて含めた部分については返還されるということが望ましい、このように考えて、これは非常に常識的な考え方だと思うのですが、いかがですか。長官御自身はどのようにお考えになりましょうか。
  105. 田邉國男

    田邉国務大臣 私は、やはり人間生活の中で一番大事なものは水だと思っております。そういう意味では、でき得るならばそういうことができたら大変にいいんではないか、私はこう思っております。
  106. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは本当にぜひそういう形に——長官、これからも沖縄に行かれる機会も多々あろうかと思いますし、ぜひそういうところは重大な関心を持っていただいて、関係省庁とも合い議をしていただきたい。幸いなことに次善の策として、北部の四つのダムについては二4(a)から二4(b)に切りかえたいという施設庁の考えがございますから、さらにそれをもっと進めて、本当に水ぐらいは安心して使えるような、飲めるような状況というものをぜひつくり上げていただきたい、このように思うわけです。  そこで、一つ問題点は、この中部にあります瑞慶山ダムなんですが、これについて、振興局長で結構ですが、これは開発計画ございますね、ちょっとその部分だけ御説明いただきたいのですが……。
  107. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 県の企業局の瑞慶山ダムにつきましては、御案内のとおり、これは北部ダムに比べますと貯水容量が小さいダムでございます。そこで、今般昭和五十七年度予算におきまして、新たに比謝川総合開発事業というものを採択していただいておりまして、これによりまして瑞慶山ダムの改築と申しますか、現在のダムの下流にもう一つダムをつくりまして、いまのダムはその新しいダムの中に水没するというような形においてその容量を増強いたしたい、こういうことを考えております。
  108. 玉城栄一

    ○玉城委員 いまの瑞慶山ダムを改修をして、比謝川総合ダムとしてかさ上げをして容量をもっと拡大しよう——ここもさっきの地位協定上二4(a)ですね。したがって、米軍提供区域ですね、いわゆる米軍基地ですね。これを改修、拡大するわけですね。これは開発庁がやるんですか、開発庁と県が共同でやるんですか。地位協定上それはちゃんとそのようにできますか。どちらでもいいんですが、その辺の手続というのはどうなっていますか。あるいはその予算はどうするんですか。予算建設省ですか、開発庁ですか、あるいは防衛施設庁が出すんですか。その辺はっきりしておかないといかぬと思うのですが。
  109. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 事業主体につきましては、国と県とこれから協議をいたしまして主体を決めるわけでございますが、一緒にやるという形もございましょうし、ダムの場合は技術的な問題もございますから、これは直轄でやるという可能性も多いかと思います。いま御指摘の提供区域でございますので、米軍との関係につきましては、これは改めて協議をいたしまして事業ができるようにする、こういうことに相なります。
  110. 玉城栄一

    ○玉城委員 施設庁の人、一言……。
  111. 大場昭

    ○大場説明員 施設庁といたしましては、現在の共同使用の区域が拡大するということであれば、また施設委員会か合同委員会の合意を取り直して所要の手続を進める考えでございます。
  112. 玉城栄一

    ○玉城委員 長官沖縄の水の問題、いろいろな考え方、主力は局長もおっしゃったようにダム開発がどうしても主力になるんだということですが、このダム開発にいろいろな基地との絡みがありまして、思うようにできないいろいろな問題があるわけですね。ですから、せめてそういう大事な水がめ等についてはきちっとしていただきたい。長官もさっきそういうお話もございましたので、ぜひそれは要望しておきます。  それと、ダムだけでなくして、水の再利用だとか生活様式、たとえばこれは一つのアイデアですが、昔沖縄の住宅では、雨をずっといろんな雑用水に使ったわけですね。そういうものも住宅建設のときに融資対象にするとか、いろんな方法、アイデアもたくさん出ていますので、総合的にそういうものも活用していただいて、ぜひこの水問題を何とか早目に解決できるような体制にしていただきたい、このことを要望しておきます。  次に、もう一つは、これは運輸省の方に伺いたいのですが、その前に、長官もこの間、八重山の方に行かれましたのでよく御存じのことかと思うのですが、いまの石垣空港ですね、もう限界に来ている。あれは滑走路そのものがちょっと短い、特殊なジェットが降りるようにしたのですが、これからの需要現状考えますときに、あの空港じゃもう限界があるんだ、したがって、新しい石垣空港を建設しなくちゃならぬという判断のもとにこれまで来ていると私は理解しているのですが、そのように理解してよろしゅうございますか。
  113. 田邉國男

    田邉国務大臣 お答えいたします。  新石垣空港の問題でございますが、私は参りまして、将来の大事な観光地域といたしましても、また地域住民の生活に密着した問題といたしましても、この八重山地方の振興のためには、新石垣空港、やはり本格的なジェットの空港としてこれを整備をいたすべきだ、またそうしてあげたい、こういうことを考えております。したがいまして、運輸省とも十分調整を図ってその対応を進めてまいりたい、こう考えております。
  114. 玉城栄一

    ○玉城委員 これは五十五年から大体予算化されてまして、その関係予算というのは五十五、五十六、恐らく新年度ももうちゃんと組まれているやに伺っているわけです。ですから、この問題も本当に現地、県当局としっかり、開発庁も御指導されながら、運輸省とも協議されながら、ずるずるこんなことでは現地にとっても発展——これは離島振興という非常に大きな問題があるわけですから、この点も本当にきちっとやっていただきたいと思います。  次に、エネルギー庁の方がいらっしゃっていますので……。実は私、この問題は非常に関心がありまして、ずっと前々から取り上げてきたのですが、どちらかというと、国家備蓄については沖縄はいままで考えていないという考え方が二、三年前まではあったのです。去年から、国家備蓄についても、四十万キロリットルについてはもう一年契約ということですでに国家備蓄、つなぎということでやっていらっしゃいますね。現状と、それからこれからもそういう体制になるのか、その辺の考え方をちょっとお聞かせいただきたいわけです。
  115. 市川南

    ○市川説明員 お答え申し上げます。  まず、国家石油備蓄基地建設計画の進捗状況を御説明させていただきますが、三千万キロリットルを目標といたします石油公団による国家備蓄の計画につきまして鋭意推進を行っているところでございますが、この三千万キロリットルをおさめます恒久施設の建設につきまして、石油公団が現在鋭意、立地及び建設を進めております。この候補地点といたしましては、これまで三次にわたる立地可能性調査を実施をいたしまして、その中で立地可能となったものにつきまして地元調整等進んで、全国的な配置の適正化を考えながら、順次立地決定を行ってきたわけでございますが、現在、六地点の立地が決定をいたしております。むつ小川原地区、苫小牧東部地区、白島地区、福井臨工地区、上五島地区、それと秋田地区、この六地点でございます。むつ小川原と苫小牧東部地区につきまして、現在すでに工事に着手をいたしておりまして、それ以外の地区について、現在、造成のための準備を行っているところでございます。  次に、先生指摘の、つなぎの措置と申しますが、国家備蓄基地が完成するまでの間、民間タンクを活用するということについてお答えをさせていただきます。  国家備蓄基地の建設は順調に進んでいるわけでございますが、これが五十八年度以降順次完成をするわけでございます。その完成までの暫定的措置、つなぎの措置といたしまして、五十三年度以来タンカーによる備蓄を実施してきたところでございます。このタンカー備蓄につきましては、現在九百九十万キロリットルの規模に達しておりますが、泊地の確保など諸般の事情がございまして、現在の水準がおおむね上限と考えておるところでございます。一方、最近石油需要が若干緩和をしてきておりまして、民間の石油貯蔵タンクに余裕が生じてきております。したがいまして、五十六年度から一部民間タンクの借り上げによって、国家備蓄完成までの暫定的措置を、つなぎを行おうということでございまして、現在百十五万キロリットルの備蓄を行っております。先生指摘の約四十万キロリットルの原油につきまして、沖縄石油基地の一部を、その利用権を有している会社の方の御申請それから石油公団による審査の結果、お借りをしている次第でございます。  今後どうするかということでございますが、五十八年度以降順次完成をするということで、基本的には国家備蓄基地にいずれ移されるわけでございますが、その間、民間タンクの余剰スペースがある場合には、この民間タンクもお借りをしながらやっていきたいというふうに考えておるわけでございますが、この場合には、先ほど申しました利用権を有しております石油企業の方から応募と申しますか、入札等に対します応募をいただきまして、その応募のあったものの中から、石油公団の備蓄を行うに適当であるかどうか、これは安全面等いろいろな点から審査をさせていただきまして、先方の条件それから石油公団の必要とする条件、これが両方マッチされたものについてお借りをしてくる。したがいまして、どこの石油貯蔵施設をお借りをするかということは今後の問題でございます。
  116. 玉城栄一

    ○玉城委員 そこなんですがね。皆さん方、去年——まあ国家備蓄についてタンカー備蓄は限界に来ている。したがって、目標の三千万キロリットル、いろいろ毎年積み増しがあるわけですね、それについては、国家備蓄のできるいわゆるタンクの完成するまではいろいろな民間のものを借用したいというお話ですわね。だけど、皆さん方、去年十一月、民間のタンク借用した百十四万キロリットルのうち、四十万キロリットル、約三分の一強、これは沖縄にあるわけです。ですから、民間備蓄はざっとやって、国家備蓄はどちらかというと沖縄考えていないというのが実質的には国家備蓄が始まっているわけですね。つなぎということですけれどもね。そうしますと、これから三千万キロリットルですから、これがふえてくるのじゃないかという心配があるわけですね。私は、これは前から指摘していることは、やりやすいところに——石油の非常に大事なことは百も承知ですよ。国の安全保障という意味から、部分的に、国家備蓄も民間備蓄もやりやすいところばかり集中的に置くということはむしろマイナスになりますよということをもう何回も指摘しているわけですね。この四十万キロリットルについては、今後ふえる可能性もないとは言えないわけですね。その辺はどうですか。
  117. 市川南

    ○市川説明員 お答え申し上げます。  現在四十万キロリットルをお借りをしているわけでございますが、今後どこの設備ということはこれからの入札の工事の結果にまたなければならないわけでございますが、民間貯蔵施設の余剰というのは、現在の石油環境のもとでは全国的に発生をいたしているわけでございます。したがいまして、これから来年度どれだけの原油を新たに積み増しをするかという量の問題、それからそのほかの貯蔵の手段をどうするかという問題、これを総合的に勘案をして決めるわけでございまして、その中で沖縄の関係の企業の方から御要望がさらにあったという場合には、それぞれの条件のマッチする限りにおいて、会社ごとに集中するということが、入札等の結果で集中と申しますか全体的な調整を図りながらやっていくということでございますので、繰り返しでございますけれども、いまの段階で沖縄県の石油貯蔵施設にさらに積まれるかどうかということの判断はつきかねるということでございます。
  118. 玉城栄一

    ○玉城委員 時間がございませんので、とにかくこういう石油の備蓄という重大な問題は御都合主義的にやっては困ると思うのですね。これはまたいつかいろいろお話し合いしたいと思うのですが、時間が参りましたので、沖縄電力の問題だとか、特に六十二年国体の市町村負担の問題だとかいろいろございますが、御質疑がかわされましたけれども、また次回に譲って、きょうはこれで終わりたいと思います。
  119. 吉田茂政

    吉田委員長 次に、部谷孝之君。
  120. 部谷孝之

    部谷委員 予算委員会の都合で長官途中で中座されるということでございますが、先ほど玉城委員から申されましたように、世界に冠たる官僚機構だそうでございまして、優秀なスタッフがたくさんいらっしゃいますので、大臣にお尋ねできない点につきましてはひとつスタッフの方から懇切丁寧な御答弁をいただきたい、このように思います。なお、おられる間、ひとつなるべく大臣も御答弁をいただきたい、こう思います。  先ほどからいろいろ質疑応答がなされました。やはり皆さん大体同じようなところへ視点を向けられまして、私がお尋ねしたいと思っておりましたこともおおむねその全貌が明らかになってきた面が多々あるわけでございますが、大臣予算編成の際の記者会見で、先ほどもお話がありましたけれども沖縄の特例補助率は、当面は全面的に継続し、第二次振計期間中のしかるべき時期に見直すこととする、見直しの時期は事業の進展状況や県、市町村の財政状況などを見ながら検討したい、こういうふうに述べられたと報道されました。このことにつきまして、また同僚議員の方々から重ねてそうした御意向を伺われたわけでございますが、いつどういうふうにという合意がなされ、あるいはまた、決まった方針があるわけではないけれども時宜に応じ進捗状況を見ながら再検討したい、こういうふうな御答弁があったわけでございますが、もう一度念を押してお尋ねしたいと思います。
  121. 田邉國男

    田邉国務大臣 沖縄の沖振法の延長でございますけれども、この補助負担率の現行維持の問題につきましては、当時の予算折衝の中では、大蔵省は絶対にだめだという意向が非常に強うございました。したがいまして、私どもは、沖縄現状そしてまた過去の歴史の経過というものを踏まえて、この沖縄の沖振計だけはひとつ特別な配慮をしていただきたい、こういうことでございました。ところが、いろいろのやりとりがあり、また中断をした経過もございまして、私どもとしては、どういう方法で再度高率補助の方法を継続するか、いろいろの苦心を重ねた経過がございます。そこで私どもは、いろいろの事業の進捗状況の中で、大体完成できるような事業については、その時点においてやはり地元沖縄とも、まだその市町村とも十分話し合いの中でこれをどう対応するかということを話し合いながら対応したい、こういう一つの腹構えを持って実は大蔵省と折衝をした経過があるわけです。したがって、いつの時点にこれをするかということは私どもは言明をいたしておりません。それはでき得れば私どもはこの高率の補助というものをできるだけ伸ばしていきたい、そして沖縄県民の皆様のこれが福祉増進、地域振興に役立つであろう、こういう判断のもとに、この問題については明確な時期というものを私どもはあくまでも避けて、そして先ほどから申しましたように、その施設の進捗状況と県、市町村の財政事情と見合いながら第二次振興計画期間の中で検討をする、こういうような答えを出したわけでございますから、私ども沖縄に対する愛情、沖縄に対する対策というものの心情を十分御理解賜りたいと思います。
  122. 部谷孝之

    部谷委員 そうした十年間延長という方針は決まりましても、いわば予算は単年度主義でございますので、そういう中で補助率の見直しというものがなされる可能性は当然秘めておるということは理解できるわけであります。  それで、復帰後の沖縄に対します政府の施策は、沖縄振興開発特別措置法復帰特別措置法、沖縄振興開発金融公庫法、沖縄開発庁設置法等々に基づきまして実施されてまいりましたが、これらの法律案を審議いたしました第六十七回国会、いわゆる沖縄国会と言われたあの国会でありますが、沖縄復帰に関係いたします諸法案の審議が行われた際のその法案の提案理由を実は改めて読み直してみたのであります。「沖縄は、さきの大戦において最大の激戦地となり、全島ほとんど焦土と化し、沖縄県民十余万のとうとい犠牲者を出したばかりか、戦後引き続き二十六年余の長期間にわたりわが国の施政権の外に置かれ、」「多年にわたる忍耐と苦難の中で生き抜いてこられた沖縄県民の方々の心情に深く思いをいたし、県民への償いの心をもって事に当たるべきであると考えます。」「このような観点から、」「明るく豊かで平和な沖縄県の建設こそが沖縄復帰の基本的な目標でなければならない」こういうふうに述べられておるわけでございます。  いま長官が、引き続き沖縄に対する愛情を持って施策を進めていかなければならない、こういうふうに述べられたわけでありますが、かくして十年間沖縄に対する特別の施策が行われてまいりましたけれども、その結果をよく見ますると、まず振興開発計画の基本理念の一つであります格差是正について見ますと、その格差の是正がほぼ達成せられておりますものは、けさからもいろいろ述べられましたように、道路、空港、港湾等の交通通信施設、あるいは上下水道、学校、教育施設等であります。また、おくれが目立っておりますものは都市公園、医療施設、医師、歯科医師、看護婦の数、あるいは学校のプール、児童福祉施設等々であります。ここで注目しなければならないことは、比較的達成度の高いものは大体十分の十補助、十割補助あるいはそれに近いものが達成度が高くなっております。そして、達成されておりませんものは、例外はありますけれども、大体補助率の低いものが達成度が低い、こういう傾向を示しておるわけであります。沖縄県あるいは沖縄の市町村の財政は、財政指数が全国〇・四二に比べて、県分をとりましても〇・二一六、半分という状態になっておるわけでございまして、したがって経常収支の比率も高いわけであります。したがって、地元負担率の高いものの整備がおくれてくるということは当然と言えば当然だと思うわけであります。  そこで、整備がおくれております事業補助率、これをこの際そういう意味で洗い直す必要があるのではないか。そうでなければ、沖振法を延長いたしましても十年後も依然として状況は変わらない、そういう結果に終わるのではないかというふうに思うわけでありますが、ひとつ御見解をお伺いしたいと思います。
  123. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 まず、私からお答えを申し上げます。  沖縄の特例補助率につきましては、制定時の経緯を御存じかと思いますが、当時におきまする他の地域立法における特例、あるいは旧奄美振興法あるいは北海道開発のための旧特例、さらには後進地域のための特例法、そういういろいろな立法例を参照いたしまして、過去最高という一つの観点から設定された非常に高い特例負担率になっておるわけでございます。そういう特例負担率をもちまして第一次振計の期間中に道路、港湾、空港、ダムそういう事業を推進してきました結果、相当の改善が見られるに至ったことは先生の御指摘のとおりでございますが、その反面、またどちらかと申しますと補助率の低いような事業について整備の進捗がおくれておる、これもまた明らかな事実でございます。  そこで、先生の御指摘は、そういうおくれているものについての補助率を引き上げてはどうか、こういうお話なのでございますが、実は先ほども御答弁申し上げましたとおり、今回の五十七年度の予算編成に当たりましても、私どもそういうこともひそかに問題として考えたわけでございます。ただ御案内のとおり、ダムにいたしましても、港湾にいたしましても、空港にいたしましても、なお二次振計の期間中に相当の投資量を必要とするものでございまして、こういう基幹的な公共事業の現行補助率を維持するということが二次振計の期間中に、特にこのスタートに当たっては絶対に必要なことである、こういう判断から、当面現行の補助率を維持するという結果になりましたことは、ただいま大臣から御答弁申し上げたところでございます。おくれておるとは申しましても、補助率の低いものにつきましても、復帰後の経過をたどってみますと徐々に改善を見ておるところでございまして、先ほども申し上げましたように、県、市町村の全体として見ますれば、地元負担は大幅に軽減されておるわけでございますので、いまここにそういう部分の補助率だけを取り上げて引き上げを図るということは非常に困難である、かように考えておる次第でございます。
  124. 部谷孝之

    部谷委員 補助率の見直しということは、大蔵省との折衝の段階で現況を維持するのが精一ぱいである、日がたつにつれて進捗度の進んだものはカットしていく、そういう御答弁であったわけですけれども、私は、先ほど申しましたように、補助率の見直しというものはただカットしていくだけが見直しじゃなくて、進捗と見合いながらおくれた部分をむしろかさ上げしていく、大臣が述べられた精神を生かすにはそこしかないと思うのですが、いかがでしょうか。重ねて御答弁願います。
  125. 田邉國男

    田邉国務大臣 私もでき得れば補助率のアップをしたいという気持ちはありました。そこでいろいろと私も折衝をいたしましたけれども、大蔵省自体はむしろ全部を下げていくということでございまして、私どもがこういう実情であるのでこういうようにひとつしてもらえないだろうか、御指摘がございましたように、これからいわばいろいろの施設整備が始まる、学校にしても国体にしてもプールにしてもいろいろある、こういうものの補助率も上げてもらいたい、こういうことでございましたけれども、これはもう頑として受けつけないというのが実は当時の予算折衝のさなかでございまして、一時中断して、再折衝の中でようやく現状維持ということを取りつけたという経過がございます。気持ちとしては、私はやはり沖縄県の現状を踏まえまして、できるだけの配慮をいろいろの形でお手伝いをしたい、こういう気持ちで一ぱいでございます。
  126. 部谷孝之

    部谷委員 次に、衆議院調査室の資料によりますと、沖縄人口は、復帰時の九十六万九千人から五十五年十月一日現在、約十四万人増加いたしまして百十万七千人になっております。現在の計画のフレームでは、五十六年度には百三万人でありますから、それを大幅に上回っておりまして、そのことが失業率の増加の一因になっておると考えられます。開発庁といたしましては、今後十年間にどのくらいの人口がふえると予想しておられますか。
  127. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 お答えいたします。  沖縄県の将来人口につきましては、五十五年国調の結果をもとにしていま種々推計を行っておるところでございまして、単に自然増という形で見れば、沖縄の出生率は非常に高うございますので、かなりの増加を見るという形になるわけでございます。現在、他の諸要素との関連におきまして社会増減がどうなるかというような点について種々推計を行っておるところでございます。いずれにいたしましても、これまでの趨勢からいたしますと、なお今後とも増加を続けるものというふうに考えておりますが、いま最終的に固まった数字、結果を得てない状況でございます。
  128. 部谷孝之

    部谷委員 県の方では十年間に約十万人増加するというふうな推計の数字を示しておるようであります。人口構造などの内容を分析しなければ単純には申せませんけれども復帰したときから現在までに人口が約十四万人増加し、労働人口は七万八千、約八万人増加いたしております。これを労働力として吸収できなかった、そういうところが先ほど申しましたように失業率を引き上げてきた、こういうことになろうかと思います。  先ほど申しましたように、今後十年間に約十万人の人口が増加する、こういうふうに推定をいたしますならば、過去十年間の四十五万人の労働人口に対して失業率五%ですから大体二万三千人、それに今後十年間に労働人口が五万六千人ぐらいふえる、これは単純計算をするとそういうふうになりまして、労働人口というものは大体九万人ぐらいふえるであろう、こういうふうに推定される。労働人口がまだだぶつくというかっこうになるわけであります。したがって、これに見合う雇用の場を確保していかなければならないわけでありますが、国の財政事情から見まして今後国の財政支出に余り期待ができないということになりますと、どうしても一次振計で期待外れに終わった第二次産業振興を重点的に推進する以外にはない、こういうことになるわけでありますが、開発庁の御見解と御方針を伺いたいと思います。
  129. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 先生ただいま御指摘のように、これまでの推移を見ますと、昭和五十五年十月には人口が百十万七千人ということで、計画で想定された人口を大幅に上回っておるわけでございまして、それにつれまして労働力人口も五十五年には四十五万三千人ということでございます。これを趨勢で見てまいりますと、沖縄人口の年齢構成が非常に若いということもございまして、人口の伸び以上に生産年齢人口が伸びる、また労働力人口がつれて伸びるというような傾向を持ってございます。今後の数字につきまして私ども推計中でございますけれども、この傾向は同様に今後も変わらない、このように見ております。したがいまして、今後も人口の増加を上回る形において生産年齢人口が率としてはふえていく、また労働力人口も増加をする、こういうふうに私ども考えておるわけでございます。したがいまして、これらのふえてまいります労働力をどう吸収していくかということは、今後の沖縄振興開発考える場合にきわめて重要な問題になってくるわけでございます。  それで、ただいま先生が御指摘のように、このためには基本的には産業振興を図っていかなければいかぬ。この場合、私どもとしては、とにかく沖縄県内のあらゆる産業の分野にわたってその振興を図っていかなければいかぬのではなかろうか、このように考えておるわけでございます。御指摘の第二次産業、特に製造業につきましては、他の産業あるいは他の企業との連関が強い性格のものでございますし、産業振興の核となっていくものというふうに私ども考えておるわけでございます。したがいまして、御指摘のように、今後の振興開発計画の中におきましては、この産業振興特に製造業の振興というものを最も重要な課題として考えていかなければいかぬのではなかろうか、このように考えておるところでございます。
  130. 部谷孝之

    部谷委員 産業振興のための特別措置といたしまして、これも今朝来いろいろ議論がありましたが、工業開発地区の指定等の措置が設けられ、また企業立地を促進するために自由貿易地域の制度が設けられております。しかし、この十年間、これらの制度はほとんど生かされてこなかった。自由貿易地域制度については、わが国で新しい制度であり、沖縄産業基盤も弱く、地域の設定ができなかった。那覇空港、中城湾の振興等基盤の整備も進んでおるので県においても検討を進めておる、先ほどそういった御答弁があったわけでございますが、こうしたせっかくの制度が生かされなかった原因は、端的に申しますならば、立地する企業にとって魅力がなかったからだ、こういうふうに私は言えると思うわけであります。企業誘致を進める県は、他県にない大きなメリット、そういうふうに位置づけておるわけでありますが、しかしその中にある税制や金融に関する優遇措置、これが十分魅力があるものであったのかどうか、魅力に乏しいのではないか、そういうふうに言われておるわけであります。したがって、これらの制度そのものに再検討を加える、そして相当思い切った優遇措置を講じた新しい制度を設けなければ産業振興は空念仏に終わると思うのですけれども、この点につきまして開発庁の見解を伺いたいと思います。
  131. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 お答えいたします。  ただいま工業開発地区、自由貿易地域制度について生かされておらないのはメリットが非常に少ないからではないかという御指摘でございます。これは端的に言いまして、工業開発地区におきます税制等の措置だけということでございますと、見方にもよろうかと思いますけれども、少ないのではないかという御批判もいただくのではなかろうか、このように考えます。私ども沖縄開発庁といたしましては、工業開発地区制度を設けまして、その工業立地を誘引するにつきましては、全体的に沖縄産業基盤を整備し、また、これらの工業開発地区に係る租税その他の特別措置のほかに、たとえば沖縄振興開発金融公庫等から低利の長期の資金を融資する等、総合的な施策をとっておるわけでございます。私どもといたしましては、これらの工業開発地区における特別措置継続されることによりまして、これらが他の沖縄産業振興諸施策と総合されることによりまして、今後工業立地が進むもの、このように期待をしている次第でございます。
  132. 部谷孝之

    部谷委員 次に、水資源の問題、これも各委員からそれぞれ触れられた問題でありますが、現在、復帰後最大の水危機を迎えておるわけでありますが、さらにこうした状態、つまり雨が降らないで水事情が厳しくなった場合に、これから水の確保のために緊急対策としてどのような方法を考えておられるか。また、沖縄振興開発には水資源と電力、エネルギー、これらの解決が不可欠であります。第二次産業が伸びないのも水資源が大きな影響を与えておるわけでありまして、観光の観点からいたしましても、水がなくてはイメージダウンになるわけであります。政府は、第二次振計の中で、地下ダム、湧水、井戸による地下水あるいはため池、汚水再利用、海水の淡水化、そういうふうなことが進められていかなければならないと思うのですけれども、どのような御計画でしょうか、伺います。
  133. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 沖縄本島におきます水の需給状況は、先生指摘のとおり大変厳しい状況になっておりまして、このまままとまった降雨がなければ、なお現在の隔日二十時間給水制限を継続せざるを得ない、こういう状況でございます。  そこで第一点は、このような状況に対してどういう緊急対策をとるか、こういう御質問でございますが、沖縄県では緊急水源対策といたしまして、これまで福地川、安波川等からの緊急取水を行っておりまして、現在、一日約三万トンの水の緊急取水を行っております。このほか、県におきましては、人工降雨の実施であるとか、市町村に対する遊休水源の活用要請であるとか、県民に対する節水要請などを行ってきたところでございます。なお、今後の緊急水源対策といたしましては、県では、現在取水しております嘉手納基地及び周辺地域の嘉手納井戸群の周辺に新たな井戸の掘削を検討しているというぐあいに聞いております。  第二は、二次振計の期間中、水資源開発はどのように行っていくか、こういう御質問でございますが、まず水資源開発手法といたしましては、ダム建設が最も一般的でございまして、他の手法に比べまして大量の水を安定的、恒常的に開発することが可能であり、また、完成後の維持コストも比較的低廉で済む、こういう利点がございますので、今後、当面は多目的ダム建設主体として水資源開発を進めてまいりたい、かように思っております。  しかしながら、御指摘がございますように、海水の淡水化であるとか地下水利用ないしは汚水の再利用というように、水資源開発利用につきましても、やはり多角化していかなければならない、かようにわれわれも考えております。したがいまして、多目的ダム建設を推進する一方、現在、地下ダム建設の可能性につきましても、これから本格的に沖縄本島南部において農業基盤整備事業費の中で調査を開始する予定でございますし、また海水の淡水化につきましては、これは従前からの継続調査でございますが、逆浸透法による淡水化プラントの実用化について検討いたしておるところでございます。
  134. 部谷孝之

    部谷委員 沖縄本島におきます水資源開発につきましては、水源涵養のための森林の保全と育成、これがきわめて大事だと思います。本島の年平均降雨量は二千三百ミリという豊富さでありますが、地形的にも大変不利な条件にあるために、水が十分有効に利用されておりません。河川を守り、地下水をたたえる上から、森林の持つ水源涵養等の多面的な機能を十分発揮できるように、森林の植樹を進める必要があると思うわけでありますが、北部地区はもとより、全県的に中南部を含めた年次的、大規模な造林計画が立てられなければならないと思うのでありますが、そういう計画はどのようになっておりますか。林野庁の方おられたら、ひとつ……。
  135. 野村靖

    ○野村説明員 沖縄の森林につきましては、天然林が九割近くを占めておりますし、また、その資源内容につきましても、戦災による焼失、戦後の過伐などの制約等によりまして、その蓄積も全国に比べて低い現状にございます。このような状況の中で、木材の生産あるいは特用林産物の生産に加えまして、先生からお話がございました森林の持つ公益的機能、とりわけ国土の保全、水源の涵養機能、こういった機能の高度発揮が強く要請されております。  このため、沖縄の森林資源の整備に当たりましては、森林の持っております水源涵養機能と公益的機能の発揮を重視いたしまして、亜熱帯の自然条件を生かした人工林造成それから天然林改良、必要な保育と森林の整備を進めまして、資源の積極的な充実に努めることにいたしております。  特に、この沖縄北部国有林につきましては、沖縄における重要な水源林でありますので、今後とも水源涵養機能の一層の充実強化に努めるということで、除伐等の必要な森林施業を実施していくという考えでおりまして、沖縄の森林の整備に今後とも十分努めてまいりたい、かように考えております。
  136. 部谷孝之

    部谷委員 先ほど開発庁の方からも御答弁があったのですが、農水の問題について、農林省にお尋ねしたいと思います。  中南部は北部と異なりまして、農業用水の確保ができる山、河川、そういうものが少なくて、干ばつの被害を受けやすいわけであります。そこで地下水開発利用が重要になるわけでありますが、その調査研究は進んでおるのかどうか。地下ダム開発につきまして、宮古では皆福ダムですか、これを建設いたしまして成功しておるということでありますが、本島における地下ダム建設について、どの程度可能性があるのかお尋ねいたします。
  137. 吉田茂政

    吉田説明員 地下ダムの可能性につきまして御説明申し上げます。  ただいま先生から御指摘がございましたように、私どもでは宮古島の皆福におきまして地下ダムを世界でも初めて成功させたわけでございますが、その成果を踏まえまして、五十三年度から沖縄県下全域にわたりまして地質構造的に見まして有望なと思われます約三十カ所の地下ダム開発可能地の調査を行っているところでございます。一応その調査は本年度をもちまして完了する予定でございますが、これまでの調査結果によりますと、本島中南部におきましては約十三カ所の開発可能地がございます。それらの開発可能地につきましては、逐次事業化を図るための調査を実施してまいりたいというふうに考えておりまして、現に五十六年度からは、糸満市におきまして県営の灌漑排水事業調査を開始しております。また五十七年度からは、糸満市と具志頭村にまたがります本島南部地区国営灌漑排水事業ということで地区調査に入る予定にしております。沖縄農業の振興のためには水資源の確保ということは非常に大事でございますので、今後とも地下ダム方式によります農業用水の確保に積極的に努めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  138. 部谷孝之

    部谷委員 最後に、電力問題についてお尋ねをいたします。  去年、十二月二十八日の閣議了解におきまして、沖縄電力は「他の一般電気事業者の協力の下に、早期に民営移行することとし、そのため、政府は、諸般の措置を講ずる。」こういう方針が決められました。そして、安倍通産大臣は本年二月二十二日の予算委員会におきまして「沖縄電力をどういう形態にするか、今年中に結論を出す」そういう方針を明らかにいたしましたが、今年じゅうに結論が出せるものかどうか。民営移行に当たりましては、累積赤字百六十八億円の解消を初めといたしまして抜本的な対策が不可欠であります。政府は民営移行のための条件整備をどのように進めようとするのか。  それともう一点、この二月二十二日の通産大臣の答弁の中に「「現行の九電力体制は我が国の産業活動などに大きなメリットをもたらしたが、今後、このままの形でいけるかどうかは検討課題だ。電力は国民生活、経済政策を支える大きな柱であり、あらゆる角度から検討する必要がある」と述べ、九電力会社の再編成も含め電力供給体制を抜本的に見直す考えを示唆した。」これは新聞記事でありますが、こうした電力政策の流動する中で、果たして今年じゅうに結論が出せるのかどうか、そのこともあわせてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  139. 植松敏

    ○植松説明員 先に、二十二日の日に大臣が九電力体制のあり方について検討するというような趣旨の答弁をいたしたということで新聞等報道されましたけれども大臣が若干舌足らずと申しますか、若干誤解を受けたのではないかということで、次の日の記者会見でもその点を申しておりますが、別に現在の九電力体制の見直しをするというつもりで申しているわけではございませんということでございます。一九八〇年代、エネルギー問題は非常に重要な段階に来ておりまして、そういう点から現在もエネルギしの需給見通し等についての長期の見通しもいま検討しておりますが、非常に重要な段階に差しかかっておるところで、エネルギーの供給体制と申しますか、エネルギー政策についてあらゆる角度から検討してまいりたい、こういう趣旨で述べたものであるという旨を改めて申し述べております。まずその点を明らかにさせていただきます。  次に、沖縄電力の民営移行のための条件整備の問題でございますけれども、御指摘のとおり、事情の変更もございまして、九電力の協力を得て早期に民営移行をする、できるだけ早くということで、従来のような地元資本中心の民営移行方式は無理でございますけれども地元の意向それから九電力の協力の仕方等々についてこれから関係者間で十分意見調整をしながら、どういう形で民営移行するのが先ほどから指摘されておりますような沖縄における電力問題の根本的な解決にも一番寄与するのか、そういった点についてそれぞれの立場から十分検討していただき、また意見の調整もして、その具体的な方向につきましては年内には結論を得るよう期待をしておる、こういう趣旨でございまして、とにかく非常に重要な問題でもございますし、地元では民営移行に向けましていろいろな議論がこれまでもなされております。引き続き私ども沖縄電気事業協議会、これは地元の学識経験者あるいは需要家、その他関係者がお集まりいただきまして、ずっと従来からも議論をしております。そういった検討も今後さらに進めていただき、一方で九電力の協力の方式につきましてもこれから鋭意検討していただく。その過程でどういう形の民営移行が一番現実的、適切であるかということの判断をいたし、その上で政府としても必要な措置を講じてまいるということでございまして、とりあえず具体的な方向につきましての結論は年内に、かつその上で具体的にどういう形にしていくか、それについてはまだその上にさらに条件整備が必要というような形でこれからこの問題に対処していきたい、こういうふうに考えております。
  140. 部谷孝之

    部谷委員 終わります。
  141. 吉田茂政

    吉田委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後四時二十七分休憩      ————◇—————     午後五時三十三分開議
  142. 吉田茂政

    吉田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  休憩前の質疑を続行いたします。瀬長亀次郎君。
  143. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 私は沖縄経済発展を阻んでおる三つの要因があると思うのです。一つは巨大な基地です。一つは県外の資本、はっきり言えば大企業とその系列下にある資本が経済発展を阻んでいる。この二つの壁を打ち破るんではなくて、これを維持、そしてむしろその壁を厚くするために努力しておる政府の施策、この三つが沖縄経済を十カ年たった今日なお低めておるというようなことになっておる。  そういった観点に立って、最初に基地問題を長官にお伺いしたいと思いますが、基地の整理縮小、平和利用の問題、これは自民党でも政府も従来言ってこられたことでありますが、私は、安保条約廃棄、基地撤去、そして初めて平和で明るい豊かな沖縄がつくれる。政府の理念は、基地の縮小整理、平和利用、それで豊かで明るい活力あるといったようなものが理念である。したがって、私はかみ合うように問題を提起し、長官の御意見を伺いたいと思います。  もちろん、基地の整理縮小、この第二次振計が発表されるのが六、七月になるか八月になるかわかりませんが、第二次振計の中にこの基地の整理縮小、平和利用の問題をどう入れるのか。これは文言では普通想像できます。たとえば硬直的な、土地利用の大きな要因となっている米軍施設、区域をできるだけ早期に整理縮小し、産業振興、生活環境の整備に資するよう跡地の有効利用を図るための施策を推進するなどといった文言が入るかもしれぬですよ。問題はそういった文言にあるのではなくて、現実に年次別にこういったように整理縮小するのだというプログラム、これがなければ、いかに基地の整理縮小——十カ年間言い続けてきました。だがプログラムがないからあと十カ年待ってもまた同じような言い方になる。したがって、長官にお聞きしたいのは、いわゆる整理縮小のプログラムなんです。これをぜひ発表してもらって、第二次振計にはこういうふうな方向で具体的に入れる。と同時に、関連します現在でも千六百ヘクタールのすでに解放はされておるが未利用地があります。これを含めて政府がそれにふさわしい財政支出をやらなければ平和利用ができない。だから、そういったような返還のプログラムというか計画、具体的な計画、これと、返還された跡地利用に対する政府の財政支出、この問題をはっきり、これは政府委員からではなくて長官の口から答弁してほしいと思います。私、四十分しかないですから。
  144. 田邉國男

    田邉国務大臣 お答えをいたします。  沖縄は全国の米軍の施設、区域の約五三%がありまして、また、米軍の演習に伴う事故や基地の管理に伴う問題が発生をしていることは先ほども指摘がございましたとおりでございまして、私もこの問題については十分承知をいたしております。一次振計でも、米軍の施設そしてまた区域の存在は、産業構造、都市形成、道路体系等に多大の影響を及ぼしておりまして、開発を進める上でできるだけ早期にその整理縮小を図る必要があるということは私も十分承知をいたしております。したがって、二次振計を策定するに当たりましても、基本的にはこのような方向で扱うべきものであると考えておりますが、計画の策定の過程におきましては慎重に検討をしてまいりたい、かように考えるわけでございます。先ほど上原議員の御質問もございました際に言葉の足りない点があったと思いますので、その点はいまのお答えで御理解をいただきたいと思います。  なお、返還の跡地の利用に関しましては、一次振計では、米軍の施設、区域の整理縮小の動向を踏まえながら総合的な跡地利用の観点に立って具体的施策を検討する必要があるとしまして、その跡地及び跡施設を産業振興及び社会資本整備のために活用するとされておりますが、二次振計を策定するに当たりましては、この方向で返還跡地の有効利用が図られるように検討をしてまいりたい、かように考えておりますので、御理解をしていただきたいと思います。
  145. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 こう理解していいんですね。整理縮小、文言だけじゃなしにプログラムを入れる、年次別にこういった基地はこういうふうに整理する、縮小していく。こうなりますと、たとえば民有地を持っている県民もさらに公有地を持っている市町村でも、よし、これは平和利用をこうしてやろうと計画が立ちます。いままでそれがないんです。私はそれを要求しているんで、時間の関係で、いま長官が言われたことは、第二次振計の中に具体的にそういったような返還のプログラムを新しく入れるんだということを約束できますか。一言でいいです。
  146. 田邉國男

    田邉国務大臣 お答えをいたします。  これは、私自身といたしましては、できるだけ早く基地の返還をしたい、そしてまた、第二次振計にも組み込みたいと考えておりますけれども、これは安保条約との兼ね合いもございまして、ここで具体的な年次計画というものをつくるということは大変なむずかしい問題であるということだけはお話を申し上げておきたいと思います。
  147. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 むずかしい問題ですから、それを突破しないと沖縄経済発展は阻害される。いま長官も認めておられるように、整理縮小するというこの問題、これはいかに困難であろうとも、ぜひその方向で第二次振計にこれを具体化するために努力してほしいことを要望いたします。  次に、貧困からの解放の問題なんです。なぜ沖縄は十カ年たっても、これは県から出した資料でも全国の比較が出ておりますが、県民一人当たりの所得がどうなっているかというと、東京に比べて、東京を一〇〇として沖縄は四四・四%なんです。最低なんです。驚くべきことは、今度は毎年伸び率は上がっているのかというとちっとも上がってないんです。伸び率はむしろ下がっている。とりわけ四十九年以降は、格差も伸び率も全部降下しております。これはゆゆしき問題なんです。なぜ十カ年になる今日、いわゆる貧困が相変わらず全国一か。さらに、伸び率は少し上がると思ったがなぜ上がらぬで降下しているのか。この問題は第二次振計をつくる場合によほど謙虚にして真剣に整理した上で、ははあ、これがあったから第二次振計にはこう入れるべきだなということになると目玉ができます。その意味で、こういったようないまの県民一人当たり所得から見ても、さらに格差から見ても、それに伸び率から見ても、なぜ依然として全国最下位になっているかという問題についてどう思われるかということは、時間がかかりますから抜きにしましょう。  それで私は、第二番目に挙げました大企業、その系列化、こういった問題について触れます。これは最初に確認してほしいと思いますが、資料を二種類だけ上げておきます。  第一に申し上げたいのは、沖縄建設業協会から出している資料であります。これは主要官庁の県内外業者の発注状況なんですが、沖縄総合事務局、那覇防衛施設局、合計、これは五十四年四月から五十五年三月まで、さらに五十五年四月から五十六年三月までの受注関係、これをはっきりさせたものです。これは時間がかかりますので総合的に申し上げますと、一番下の欄の計の中で、県内、県外、総計というのがあります。県内の場合には件数は五百九で、パーセンテージをとりますと六五・九になっておる。ところが金額は逆転しております。金額はわずかに三六・八%。ところで県外はどうかというと、件数では二百六十三で三四・一%にすぎないのが、金額ではまさに六三・二%になり、四百十億円以上に達しております。全部で六百四十九億四千万余り。これは何を物語るかという問題です。この点はなぜこうなったかということはいまは聞きません。  それからもう一つの裏の方をちょっと見てください。これは琉銀調査部で調べた「金融経済」からとったものであります。昭和四十九年と五十二年、これが地元、県外、ジョイントベンチャーに分けられております。総合事務局は四十九年に地元は二八・七、県外は六六・五。防衛施設庁、地元が十三・一、県外六〇・六。それから五十二年、総合事務局地元三一・八、県外五三・七。防衛施設庁に至っては地元がわずかに九・三で県外が九〇・七%、ジョイントベンチャーはありません。ゼロです。  この二つの資料をこれは不正確であるとか間違っているといったような意見がございますか。なぜそうなったかという理由は、後で私の質問に対する説明をしてもらって、御答弁は、これは確認できるかどうかだけでいいのです。間違っていれば間違っている、あるいはこれは確認できるというふうに、それだけでいいですから返事してください。
  148. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 お答えいたします。  沖縄総合事務局の実施しております直轄公共事業の数字につきましては、このとおりでございます。
  149. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま確認されたわけですが、琉銀調査というのは一億円以上の大型公共事業の問題なんです。私はなぜそれを確認してもらうのを始めたかというと、実は日本銀行の沖縄支店の調査でも、一兆二千億円余りの投資が沖縄に流れたということが言われております。ところが、そういった公共事業の問題になりますと、県の建設業協会、これは会長は國場さんなんです。幸昌さんじゃないですよ。いずれにしても資金は県外に六割以上逃げておる。流れていません。したがって、沖縄における中小零細企業は圧迫されているというよりは、はっきり言えば日が当たりませんね。日が当たるのは県外の企業だ。なぜ沖縄企業に日を当てることが——長官の言われる活力をどこから持ってくるか。活力は県外から持ってきたのでは沖縄経済発展しない。もちろん全体が基地経済とは私は申し上げません。いまや日本の経済の一環としての沖縄経済であります。基地問題はほかの県にないわけだから、基地関係はもちろん関連しますが、沖縄基地経済ではありません。まさに日本経済の地方沖縄経済なんです。これを阻んでいるのがいま申し上げました企業体なんです。これはゆゆしい問題ですよ。これは日銀沖縄支店でも還流している、Uターンだという言葉も使っている。一応流されてきた。ところが、県民のふところには流れないで県外に流れている。これは具体的にこれを示しているのですよ。防衛施設庁のごときは県外がほとんど九〇%以上なんですね。これは、皆さんのところのいわゆる受注資格の問題あるいは何名、だれだれがいるか、ランクの問題、後で資料を要求いたしますが、長官、こういった金の流れを変えるようにしなければ、十年延長しても、こういった状態を放置しておくと、いかにどんどん政府が資金を流そうが、県民のふところに落ちないような仕組みになっておる。この仕組みを変えることが沖縄経済発展振興の基本だと私は見ておるのですよ。そこで、今度は長官から御意見を。
  150. 田邉國男

    田邉国務大臣 御指摘のお話でございますが、できるだけ沖縄県の地元事業所に仕事を配分するということは理想的な姿であろうと思います。私も実は地方自治体の長の経験の中で、やはり道路というのは、すべてそうですが、りっぱな道路、事故を起こさないきちっとした道路をつくるということは、設計も図も読める、そしてまた設計者もいなければいけない、いろいろの条件が備わった業者でなければ完全な道路はできないという経験を私は持ってきております。したがいまして、いろいろの事業のその内容におきまして、できるものはできるだけ地元の業者にやらせるべきである。できないものも必ずある。その場合にはやはり県外という問題も起きてくる。私は細かい内容をよく存じませんけれども、しかし沖縄県の産業、そしてまた所得の拡大を図るには、御指摘のような姿が好ましい姿である、こう判断をいたします。
  151. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 これは相当突っ込んで討論しなければ実際直らない。病気は相当奥深いのですよ。沖縄企業体は資本力が大きくないと言われております。そういうのであれば、なぜ沖縄企業体がそういったような体質になるように努力せぬかと反問が出てくるのです。ですから、長官、これは現実なのですから、現実を変えていかないと沖縄県民のふところに流れないのです。だからいつまでたっても県民一人当たりの所得は東京の半分以下しかないといったような惨状で、貧困からの解放は言葉だけになります。この問題は沖縄経済をどう発展させるかという問題の根幹をなすものなのです。その点に留意されて真剣にこれを検討されれば、なるほど、こういった事業はやはり県内企業にやるべきだなという問題とか仕組みがいろいろ出てくると思うのです。この仕組みがはっきりすると第二次振計は生かされると私は確信します。その点を特に強調して次に移ります。  次は、補助率の問題です。なるほど、十分の十とかあるいは十分の九とか補助率の高いところは全国的平均で一〇〇%以上。たとえば国道、県道の改良あるいは舗装率とかいうのはそうでありますが、補助率が低い、そして市町村、自治体が持ち出さなければいかぬような問題が実に多いのです。実例をとりますが、道路の普及率、国、県道、これは普及率も高くなっているのですよ。ところで市町村民が使う道路、この延長なんです。延長面積はどうかというと、驚くことにまさに六六・二%しか達してない。沖縄の交通渋滞の原因はそこにあるのです。直接にわれわれ市民が歩く延長率は六六%です。ここに問題があります。  もう一つは、屎尿処理、都市公園、小中高校の学校プール。このプールなんかは全国平均の二三・九%。河川整備率、街路普及率、老人福祉センターのごときは五〇%。医療施設、十万人当たりのベッド数はまさに七二・八%にすぎない。医師数は十万人当たり五五・八%といったようなことで、これらの分野についても補助率が低い。それで手当てが行われていない。社会福祉施設、これもひどいのですね。たとえば保育所六二・二、母子寮のごときは二五・三だ。養護老人ホーム三〇・九、軽費老人ホーム六二・五、老人福祉センター四四・二などなど、福祉施設は軒並みに六〇%以下なんです。それで、もう一つ驚くべきことを申し上げます。これは火災の問題ですが、消防施設整備についてですが、昭和五十四年度における消防力は、ポンプ充足率がわずかに四四・九%、水利、水の充足率は四三・九%、これは類似県の宮崎県をとりましょう。宮崎県はポンプ充足率は五八%で、それよりも十三%の格差がある。  私、こう申し上げましたのは、大臣にこの点、補助率——第二次振計ではこういったような福祉の問題、たとえば学校関係であればプールの問題とかいうふうな教育、福祉面、沖縄ではそれが非常に要求されております。占領時代からの後遺症が一番深刻なのはここなんです。そこに補助率を引き上げてもらう、補助率を引き上げても、予算が臨調みたいになりますと困るんですよ。補助率を引き上げると同時に、政府の支出を、あわせていま挙げたような施設に持っていってほしいのです。消防関係なんかひどいですよ。これも全国最下位ということになっております。第二次振計でこの点をぜひ長官努力で挿入してほしいということを要望したいのですが、いかがですか。
  152. 藤仲貞一

    藤仲政府委員 お答えいたします。  先ほど来お答えいたしておりますとおり、補助負担率の高いものと低いものを比べました場合に、いま先生指摘のような傾向があることは事実でございます。そこで、これを補助体系の中でどうするかということが問題でございまして、先ほども御答弁申し上げたところでございますが、五十七年度予算編成に当たりましても、実は整備の進んでいるものについては補助率を下げてはどうか、こういう非常に厳しい要求が財政当局から来たわけでございます。ただ、先ほども申し上げましたように、道路でも港湾でも空港でも治水事業でも、やはりなお二次振計においても沖縄振興開発の根幹となる重要な事業でございますし、また事業費が非常に大きいものでございますから、やはりこれらの事業についての現行の高率補助率を維持するためには、現行の補助率の維持が手いっぱいであった。もし先生がおっしゃいますのが、沖縄振興開発にかかる補助体系の中での調整ということであるならば、これはまた将来の問題として考え得ることかもしれませんが、御案内のとおりの財政事情でございまして、非常に環境が厳しい折から、低いものをまた高くその分を引き上げろ、こういう御要望ではございますが、なかなか意に任せないというのが実情でございます。
  153. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 いま財政問題を言いましたが、長官、一兆二千億円以上投資されたと大体出ておりますね。ところで、十年前、復帰前、日本は幾らぐらい沖縄から上がったか。二十億ドルですよ。あれは一ドル三百六十円だったですか、事実七千六百億円の金が沖縄から本土に流れていって本土は潤ったんですよ。それから申し上げますと、一兆二千億円というといかにも巨大みたいに考えるが、そうじゃないんですね。ですから、いま政府委員が厳しい厳しいと言うけれども、厳しければ厳しいほど、沖縄はあれだけ痛めつけられたからこそ特別に振計ができたのでしょう。これは長官にぜひその方向で政治的に配慮してもらって、いま読み上げたことだけでも、福祉面が全国平均よりいかに低率かということがわかるわけでしょう。長官、ぜひ努力するということを——検討するじゃいかぬわけです、検討には前向きもあるし、後ろ向きもありますからね。政治家の使う検討ではなくて、本当にその方向努力するなら努力すると一言でいいから言ってくださいますか、どうですか。もう政府委員はいいですよ。長官、いかがですか。——いや、政府委員はいいです、もう時間がないですからね。
  154. 田邉國男

    田邉国務大臣 お答えします。  見直しの機会があれば検討をいたしたいと思います。
  155. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最後に、制度化をされたが、活力が出ていないものがあるんですよ、三つ。これは第一番目に、ちょうどたとえば時計のゼンマイ、これがさびついて動かない柱時計が三つもぶら下がっている。全然動かない。具体的に言うと第三章ですよ。「産業振興のための特別措置」、しかしこれは皮肉にこの前新聞に書かれましたね。こう書いてある。「工業再配置の補助金制度十年でたった一件の申請」、皮肉です。これはいま申し上げました第三章「産業振興のための特別措置」、この問題なんだ。次は、第四章「自由貿易地域の指定」、全く活用されておらぬ、ゼロ。いろいろ説明はやられるだろうが、これはゼロですよ。次は、第六章「職業の安定のための特別措置」、これは労働大臣にちゃんと義務づけられているが、一遍も動かない。私は、二遍ぐらい労働大臣に言ったことがあるのです。「労働大臣は、」云々と三十八条に書いてあるでしょう。県知事の意見を聞いて、こういった雇用、失業問題の事業をやるということが書いてある。やりますか、当分やる意思はありませんなんて言い出したよ。だから動かない。そこで、この三つの動かないものをどう動かすか。法律はある、仕組みがない。そこで、法律はつくったら自動的に動くものがあるのです。税法ですよ。これはだれも言わぬでも動くのです。ところが、国民の権利をうたった法律は、動かさないと動かないのです。労働基準法にしろ労働組合法にしろ、権利をうたったものは。したがって、私が大臣に聞きたいのは、この指摘した三つ、動かぬですよ。動いていない。これが動くような仕掛け、仕組みをどうやられるか。仕組みだけをやってください、三章は残るんですからね。変えるのは年数でしょう。十年またまた十年。もう時間がないですから、長官、ひとつやってください。もうあと二、三分しかないから。仕組みですよ、仕組み。
  156. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 お答え申し上げます。  いま三点御指摘でございましたが、私ども開発庁で直接所掌いたしております工業開発地区の問題それから自由貿易地域の問題につきましては、先生指摘のように、工業開発地区につきましては、地区の指定、四市町村についてございますが、そこへの工業立地はなかなかはかばかしくまいっていないのが実態でございます。また、自由貿易地域につきましては、地域の指定がないという状況にございます。  これらの原因といたしましては、やはり沖縄における産業基盤が未整備であったというようなことのほかに、わが国の二次にわたる石油ショックに伴う経済基調の変化、それに伴いまして企業の投資意欲の減退といったような問題、さらに沖縄の特殊の事情といたしまして、遠く離れ、かつ小さな離島から構成されておるというような地理的な条件、あるいは戦後二十七年間にわたりまして本土の施政権の外に置かれておったというような沖縄の特殊事情からまいりますいろいろな事情、そういったものが絡み合いまして、これらの制度の運用が必ずしも円滑にいってなかったという実態であろうかと思います。ただ、私ども、これらの制度の活用につきましては、産業基盤の整備も進展してまいっておりますし、また基本的な問題でございます水、エネルギー等の問題につきましても、今後振興開発計画のこの期間の中で最大限の努力をしていくということの中で条件整備も整ってくる。また、地元における取り組みも非常に活発になってまいっております。これらと、今回法案で提案しております現行制度の延長等とあわせまして、これらの制度の運用がスムーズにいくものというふうに期待をいたしておるわけでございます。
  157. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 もう時間がないようですから、最後に、いまの問題で長官要望したいのです。  第二次振計のときにこれが動く仕掛けを入れてくださいよ。入れないと動きませんよ。これは午前中上原委員からも話があったでしょう、動かぬものがあると。これはまさに動かない。いまの政府委員の説明では動かぬです。動かぬように説明するのです。そんな仕掛けがあるものか。仕掛けがないから三つは動かない。だから、この点は大臣の意見を聞く時間がないので、ぜひ第二次振計に目玉として仕掛けを入れてください。いいですか。大臣、ちょっと入れますとか入れぬとか一言、目玉ですよ。これは上原委員の質問に対して答弁もやられたので、そのくらいのあれはあるでしょう。
  158. 田邉國男

    田邉国務大臣 ちょっと御質問の趣旨がわかりませんけれども、何か二次振計にはもっと目玉を入れろというような意味に私はとりました。だるまではありませんが、できるだけ目玉を入れたいと考えております。
  159. 瀬長亀次郎

    ○瀬長委員 最後に、私は資料を要求したいと思います。  三番目の公共投資の流れについてと関連しますが、これは防衛庁にも言ったら、防衛庁はやると言っておりました。開発庁の方で企業の受注に関連して、過去五カ年間の受注の件数、受注の企業名、金額。もう一つは、受注する場合に資格があると思うのです。その資格を得た指定業者名、格づけ、たとえばAランク、Bランクあるはずなんです。一億五千万円以上はAランクとか、この場合は三億円がBランクとかあるはずです。そのランクの問題を含めてぜひ本委員会に資料を提出してほしい。その点を申し上げまして、私の質問を終わります。
  160. 吉田茂政

    吉田委員長 資料要求につきましては理事会で協議いたします。  次に、菅直人君。
  161. 菅直人

    ○菅委員 沖縄振興開発特別措置法の改定についての審議でありますけれども、私も昨年の夏、社会労働委員会の視察で三日ほど沖縄に伺う機会がありました。そのときに、総合事務所や県庁、またいま問題になっている水の問題での西原浄水場、麻薬取り締まりの関係の問題、各種福祉施設、またオリオンビルなどいろいろ見てきたのですけれども給水制限がちょうど始まったときでしたし、いろいろな面でかなり厳しいなという感じがする一方で、南国のわりとゆったりした感じがしまして、これからの沖縄考えるときに、いいところは残しながら、しかし開発すべきこと、改革しなければいけないことは大いにやらなければいけないのじゃないかというふうに感じた次第です。  復帰後十年間たったわけですけれども、一次振興開発計画を含めて、大臣に、この十年間の自己評価といいましょうか、うまくいったのか、いろいろな問題点が残っておるということもあるわけですが、その自己評価をどういうふうに思われるか、お伺いしたいと思います。
  162. 田邉國男

    田邉国務大臣 第一次振計の十年間を振り返りますと、この計画に基づきまして実施されました諸施策、特に積極的に行われましたのは公共投資でございます。したがって、非常に立ちおくれておりました社会資本の整備というものは大きく前進したと思っております。総体といたしまして沖縄経済社会は着実に発展を遂げてきた、こう判断をいたしております。  しかしながら、わが国経済社会の基調変化や沖縄の地理的また自然的条件どもありまして、産業経済の面では予期したような進展は見られなかったと私は思います。雇用の面につきましても、かなり就業者はふえましたけれども、なお労働力人口の伸びに及ばない。そういう厳しい雇用情勢が現実に続いているということは認識をせざるを得ないと思います。また、社会資本の整備は、さきに申し上げましたように大きく伸びましたが、道路、空港、港湾施設等につきましても、さらに伸展といいますか整備をする必要があると考えております。水資源につきましても、先ほどの御質問にもございましたけれども、なお格段の水確保の諸対策を進めなければならないと考えております。そのほか、農林漁業を初めとして産業基盤の整備もまだ十分ではないと私は思います。また、生活環境施設などについても不足しておる面がまだある。  このように多くの分野で着実な成果を上げましたものの、なお整備を要するものが多く見られる。したがって、沖縄経済社会の現状は依然として厳しいものがあると私は判断をいたしております。したがって、沖縄県の実情沖縄県民の意向というものを十分に踏まえまして、引き続きまして沖縄の第二次振計につきましては十分の対応をしなければならない、また、県の計画も十分聞きまして、そしてその上でこの振興開発を図ってまいりたい、かように考えておる次第であります。
  163. 菅直人

    ○菅委員 私の持ち時間も余りないので、少し話を進めたいと思いますが、午前中来、いま大臣が言われたようなこうした水の問題等々については相当議論がされておりますので、重複を避けて質問をさせていただきたいと思います。  ここに、昨年私が沖縄県に行ったときに、県が出している要望書があるわけですけれども、いま大臣が言われたような雇用の問題ですとか工業立地の問題とかいろいろ出ていますけれども、いま大臣が言われなかった問題で一つ出ているわけです。つまり、日米両政府の間で返還の合意のあった米軍提供施設、区域の早期返還を促進するとともに、跡地の利用促進のための特別措置を講ずることというふうな、要望案の中にそれが入っているわけですけれども、現在、日本国内で米軍に提供している土地の五三%が沖縄に集中をしているということですけれども、この返還の進展状況というものがどのような状況にあるのか、お聞きしたいと思います。
  164. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 お答えいたします。  五十七年一月現在の状況でございますが、返還計画が五千六百八十四万平米、六十三件ということになっておりまして、そのうちこれまでに返還されたものが一千七百六万四千平米、三十六件でございまして、返還計画のうちの三〇%でございます。返還予定面積が三千九百七十七万七千平米、二十七件で、七〇%が残っておる、こういう状況にございます。
  165. 菅直人

    ○菅委員 合意されていながら返還ができないというのはどういう理由なんですか。
  166. 美野輪俊三

    ○美野輪政府委員 これは本来施設庁の方から御回答いたすべき筋合いのものかと思いますが、私ども承知しております中では、この返還合意の中に条件つきというものがございます。たとえば代替の施設を提供する、それによりまして旧施設を返還するというような条件つきのもの等がございまして、それらの整備あるいはその立地そのものがなかなか難航しておるというような原因もあるように聞いております。
  167. 菅直人

    ○菅委員 施設庁の方にも来ていただいていると思いますけれども、いま申し上げたのは合意があるものについてですが、現在合意が得られないで米軍の施設の用に供しているもの、つまり貸与契約が結べないままそういう形で使っている土地というのがあると思いますけれども、それはどの程度あるのでしょうか。
  168. 作原信一郎

    ○作原説明員 お答えいたします。  現在合意を得ないで利用している、駐留軍関係におきましては百五十六件、約八十万平米でございます。自衛隊関係につきましては十六件、約一万八千平米でございます。
  169. 菅直人

    ○菅委員 その場合、沖縄における公用地等の暫定使用に関する法律に基づいてそのすべてを、いま言われたのはそれに基づいての強制使用ということでしょうか。
  170. 作原信一郎

    ○作原説明員 公用地暫定使用法に基づいて使用いたしております。
  171. 菅直人

    ○菅委員 この法律の期限はいつまでですか。
  172. 作原信一郎

    ○作原説明員 この法律に基づく使用権は、本年の五月十四日まででございます。
  173. 菅直人

    ○菅委員 たしかこの法律に期限が切れた場合の規定があると思いますけれども、その場合は原状に回復して返還をするというようになっていると思いますが、そう理解していいのですか。
  174. 作原信一郎

    ○作原説明員 駐留軍用地につきまして五月十四日以降も引き続き使用する必要のあるものにつきましては、現在駐留軍用地特措法に基づく手続を進め、それまでに使用権を取得したいと考えておるわけでございます。それから、その必要のない若干のものにつきましては返還することになろうかと思います。
  175. 菅直人

    ○菅委員 ちょっと一つ飛んだのですけれども、いまお聞きしたのは、この沖縄における公用地等の暫定使用に関する法律の中で、この期限が切れた場合にどういうふうな規定になっているかということをお聞きしたのです。
  176. 作原信一郎

    ○作原説明員 期限が来た場合には返還することになっております。
  177. 菅直人

    ○菅委員 つまり、ことしの五月十四日に期限が来れば、基本的にはこの法律に基づくと返還をする。先ほど少し先走ってお答えがありましたけれども、その一部についてはそのまま返還するけれども利用しなければいけないところについては現在その駐留軍用地特別措置法に基づいていろいろな措置をされているということなんですけれども、これは全然別の法律なり別の手続ですから防衛施設庁が決めるわけにはいかないと思うのですけれども、五月十四日までに他の措置ができない場合というのは返還をされるのですか、どうなんですか。
  178. 作原信一郎

    ○作原説明員 現在駐留軍用地特措法によって手続を進めているものにつきましては、米軍の施設、区域として必要不可欠なものでございますので、五月十四日までに裁決がなされて使用権原を確保でき、施設、区域として引き続き安定が図られるものと念願しているところでございます。
  179. 菅直人

    ○菅委員 念願されるのはいいのですけれども、念願をしても、これ皆さんが決めるわけにいかないわけですから……。これはたしか土地収用委員会の裁決を申請をされているというふうに理解していますけれども、その土地収用委員会の裁決の中で、たとえばその前に、いま言われた総理大臣の認定、いわゆる駐留軍用地特別措置法での総理大臣の認定それ自体を取り消すことを要求して、那覇市、いわゆる自治体ですよね、那覇市自体が取り消し訴訟も出ている。そして那覇市の関係しているその部分については、収用委員会の審議もそれほど回数が進んでいるというふうには聞いていないわけですけれども、収用委員会での進展状況がどのような状況にあるのかお聞かせいただけますか。
  180. 作原信一郎

    ○作原説明員 お答えいたします。  那覇市の分につきましては、公開の審理は二回行われております。
  181. 菅直人

    ○菅委員 ほかの件はどうですか。
  182. 作原信一郎

    ○作原説明員 ほかの件につきましては、公開審理が五回行われておりまして、六回目が二月二十七日に行われる予定になっております。
  183. 菅直人

    ○菅委員 大体何カ月かかってこのくらい進んでいるのですか、その他の五回目、六回というのは。その間隔は大体一回ごとに何カ月くらいで行われているのですか。
  184. 作原信一郎

    ○作原説明員 第一回目の審理が八月四日でございまして、それから現在まで五回公開審理がなされております。
  185. 菅直人

    ○菅委員 ということは八、九、十、十一、十二、一、六カ月間程度で五回ですから、大体月一回程度というふうに了解するわけですけれども、六回目で終わるのかどうかもわかりませんが、もし終わるとしても、那覇市の場合はまだ二回だ。そうするとあと四回くらいは、同じようにやられるとしてもやらなければいけない。そうすると、同じペースで進んだとしても、あと四カ月やそこらはかかる。いま二月三十四日ですから五月十四日まで三、四、五と三カ月足らずですね。これでやれるという見通しが立てられるのでしょうか。
  186. 作原信一郎

    ○作原説明員 審理は収用委員会の裁量に属するものでございますので、私どもこれに対して論評がましいことを言う立場にございませんので、発言を差し控えたいと思います。
  187. 菅直人

    ○菅委員 まさに土地収用委員会に属するものだから差し控えられたわけですけれども、当然だと思うわけです。権限は防衛施設庁にないわけですから。それが十分にいまの状況を客観的に見ても、この五月十四日までに裁決が出ない可能性も十分ある。十分というか、ほぼ確実だというふうに私は思えるのですけれども、その場合に、日米安保条約との関係でいまの土地を提供しているわけですが、その関係ですね。つまり、条約では土地提供を約束している、しかしこの暫定使用に関する法律によれば期限が切れれば返還をしなければいけない、こういう矛盾が起きるのじゃないかと思うのですけれども、そういう点についてはどうですか。
  188. 作原信一郎

    ○作原説明員 現在、収用委員会において鋭意審理が進められておりますので、五月十四日までに裁決が得られるものと私ども考えておりますので、得られない場合のことについては現在考えておりません。
  189. 菅直人

    ○菅委員 幾ら何でも得られない場合は考えてないと言われるのは、ちょっと普通の常識で考えて、日本の優秀なる官僚組織の中の人が言われることとはとうてい思えないわけですね。それも五年後、六年後という話ならともかく、あとわずか三カ月足らずでこの法律は消えようとしている。たしかこれの法律のもともとのときには、五年間の暫定使用がいまから五年前に五年延びたと思いますけれども、この法律の期限を延ばす考えはあるわけですか。
  190. 作原信一郎

    ○作原説明員 暫定使用法の使用権をさらに延ばすのか、こういう御質問かと思いますが、そういったことは現在念頭にないわけでございます。
  191. 菅直人

    ○菅委員 そうすると一体どういうことになるのか。これをどう考えればいいんでしょうかね。収用委員会では決してそうすんなり進んでいない。明らかに五月十四日までに裁決が全部出るということは客観的に見てとっても思えない状況にある。この暫定使用法の延長考えていない。しかしアメリカ軍の中にある提供している用地を返還をする気もない。もう一度伺いますけれども、どうされるのですか、もしその収用委員会で結論が出ない場合。まさに収用委員会の裁決が出ない可能性というのは十分あるわけですから、出ないときはどうされるのですか。
  192. 作原信一郎

    ○作原説明員 繰り返すようでございますが、現在鋭意審理されておりますので、裁決が得られるものと私ども考えております。
  193. 菅直人

    ○菅委員 ここに、これはたしか琉球新聞だと思いますけれども、ことしの初めに、この問題について新規立法を政府考えているのじゃないか、これは見込み記事かもしれませんけれども、そういう記事が出ているわけです。しかしいまの審議の返答を伺っていると、これはなまじ見込み記事であるというふうに言い切れるのかどうか非常に疑わしくなるわけですね。もう現実に五月十四日で切れる。土地収用の手続は月一回のペースでいっているけれども、まだまだ当分かかりそうだ。しかし返す気はない。そしていまの法律を延長する気はない。そうすると、新規立法を考えているというふうに推測されるのですけれども、こういうことを考えておられるのですか。
  194. 作原信一郎

    ○作原説明員 新聞記事に見られますようなそういった新規立法については考えておりません。
  195. 菅直人

    ○菅委員 これはどなたに権限があるかわかりませんけれども政府の方針として新規立法はしないということを約束をいただけるわけですか。
  196. 作原信一郎

    ○作原説明員 新規立法については考えておらないということでございます。
  197. 菅直人

    ○菅委員 これは私だけが理解できないのか、聞いておられる皆さんは理解できないのかできるのかわからないですけれども新規立法は考えていない、延長はしない、しかし収用手続は進まない、五月十四日は来る。つまりこういった非常に大きな問題を、政府が正面から取り上げてどうしようという議論を起こすのじゃなくて、もしかしたら、いま考えていないと言われたけれども、約束はされなかったようですけれども、こっそり準備をして、あるときにどたばたとやってしまうというようなことをもしされるようなことがあれば、これはやはり大変大きな問題だと思うわけです。ですから当然いま議題になっている特別措置法にしても、そろそろ期限が切れるから、それじゃいまのうちからやっておかなければ間に合わないじゃないかということで、この沖特の委員会でも、その審議の時間の関係、そういうことも含めて普通は議論するわけですね。しかし、この期限切れがもう目の前に同じく迫っている暫定使用法については、政府は全く対応していない。対応は収用手続という形ではしているかもしれませんけれども、展望がない。  もう一度お伺いしますけれども延長新規立法もしないということを言われているようですけれども、しないということを約束することはできますか。
  198. 作原信一郎

    ○作原説明員 ただいまの先生のお話で、現在、駐留軍用地特措法によって見通しが立たないというふうな前提でお話しのように伺っておりましたが、私ども、駐留軍用地特措法に基づく使用権についての裁決が得られるものという前提で考えておりますので、したがいまして、その他の手段といったものを現在考えていないということでございます。
  199. 菅直人

    ○菅委員 これはどこまでいっても水かけ論なのかもしれませんけれども、これは聞いている皆さんの方が御理解いただけるんじゃないかと思いますが、裁判によく似た手続で行われる収用法というのは、私が聞いた範囲また調べた範囲では、いわゆる沖縄県自体の直接の権限でもなくて、議会が承認をして県知事が任命をする。弁護士さんとか土地関係のいろんな専門家の人が入る。なるべく公正な立場でということだというふうに理解をしているわけですけれども、そのときに同じ自治体である那覇市などが訴えまで出して、申請が出ている土地についてのその前段階の使用認定の取り消しを求めている。普通に考えてみても、そう簡単にこのことが進みそうには思えないわけです。しかもまだこの那覇市の土地については二回しか審議も行われていない。そこまできていていまのような答弁を繰り返されて、あるときには、土地収用委員会のことだからそれに関する進行状態等に対する見通しの発言は差し控えると片方で言われながら、間違いなくそれまでに終わるというふうに一種の確信をしているから何も手当てはしないんだということをいま言っておられるわけですよ。  もう一度だけ伺いますけれども、本当に土地収用法での裁決が出ないときに、何も考えていないわけですか、出なかったら出なかったでもう仕方がないと。では、もし出なかったら返還されるのかどうか、もう一回それをお聞かせいただきたいと思います。
  200. 作原信一郎

    ○作原説明員 繰り返しますけれども、出ないことを前提にしての考えは持っておりません。
  201. 菅直人

    ○菅委員 時間も余りなくなりましたので、この問題はほかの機会を含めて、また他の委員の方からもこれから議論になると思いますけれども、この沖縄の問題の中できょう朝以来いろいろな議論がされているわけですけれども、この米軍提供施設の問題は県の要望書を見てもその何項目かの一項目に入っていて、非常に重要な問題になっているわけです。  先般来他の委員の方からもありましたけれども沖縄の将来の展望を考えるときに、全面積の二〇%を占めているいまの米軍用地がそのままの形で長く存続をすることを前提に考えるのか、それとも那覇市のように特に人口密集地帯の部分について積極的に返還を日本政府として求めていくのか、そのことがこれからの計画の中で大きな方向性の差として出てくると思うわけです。  改めて大臣に最後にお伺いしたいのですが、そういうことを含めて、これからの沖縄のあるべき姿、先ほど幾つかまだ残っている問題を、雇用問題、産業構造、空港、水資源、農林水産のいろんな基盤整備、そういうことも挙げられましたけれども、そういった基地の用地の問題も含めて、どういうふうにバランスをとり、またもし共存するならばどういう割合での共存を考え、またその返還をどの程度の意欲でもって求められていくつもりなのか、それを含めて、これからの沖縄のあり方についての所見を伺いたいと思います。
  202. 田邉國男

    田邉国務大臣 沖縄の今後の第二次振計の進め方でございますが、先ほども申しましたように、沖縄の基地問題、これは沖縄県民もできるだけ早期に返還を願っているという県民感情、こういうものは私も十分理解をいたしております。  また、第二次振計の政策を進める中で、沖縄県とも十分施策の進行を打ち合わせながら、どういう問題をいち早く具体的に取り上げていくか、そういうことを十分に連携をとりながら進めてまいりたい。また、同時に、でき得べくんば基地の縮小というものをどういう形でできるか、この二次振計の中で私どもは詰めてまいりたい。  ただ、一つ言えることは、日米安保条約という条約がある以上は、これを無視していろいろの計画を立て得られないこともあります。しかし、地元の皆様の県民感情というものは、基地をできるだけ縮小をして、そしてより豊かな県づくりをしたい、そういう願いもございますので、それと相まって第二次振計を進めてまいる、こういう考え方であります。
  203. 作原信一郎

    ○作原説明員 ちょっと先ほどの発言に不正確な点がございましたので、訂正させていただきたいと思います。  先生からの質問で、暫定法に基づく使用権の期限が切れた場合は法律上どうなっているかという御質問に対しまして、先ほど所有者に返還するというふうに御答弁申し上げましたが、法律では「所有者に返還しなければならない。」というふうになっております。訂正させていただきます。
  204. 菅直人

    ○菅委員 時間が切れたのですが、何か最後になってちょっとややこしいことを言われたので一つだけ聞いておきますが「返還しなければならない。」ということは、返還しなければならないと理解していいわけですね。つまり先ほど言われたのとどういう差があるのですか。法律に従えば返還をすることになるということですね。法律の解釈でいいんですよ。
  205. 作原信一郎

    ○作原説明員 法律には「返還しなければならない。」というふうに規定してあるということをいま訂正させていただいたわけでございます。
  206. 吉田茂政

    吉田委員長 次回は、来る三月二日火曜日午前十時二十分理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十九分散会