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1982-04-06 第96回国会 衆議院 運輸委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年四月六日(火曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 越智 伊平君    理事 加藤 六月君 理事 三枝 三郎君    理事 楢橋  進君 理事 宮崎 茂一君    理事 福岡 義登君 理事 吉原 米治君    理事 草野  威君 理事 中村 正雄君       阿部 文男君   小此木彦三郎君       小山 長規君    関谷 勝嗣君       近岡理一郎君    浜野  剛君       林  大幹君    古屋  亨君       三塚  博君    山村新治郎君       井岡 大治君    伊賀 定盛君       小林 恒人君    関  晴正君       浅井 美幸君    小渕 正義君       辻  第一君    中馬 弘毅君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 小坂徳三郎君  出席政府委員         運輸政務次官  鹿野 道彦君         運輸省自動車局         長       飯島  篤君         運輸省自動車局         整備部長    宇野 則義君  委員外出席者         内閣総理大臣官         房参事官    山田 幸正君         警察庁交通局交         通企画課長   福島 静雄君         行政管理庁行政         管理局管理官  八木 俊道君         環境庁大気保全         局自動車公害課         長       松波 正壽君         大蔵省主税局税         制第二課長   新藤 恒男君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       松田 篤之君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  道路運送車両法の一部を改正する法律案内閣  提出第七三号)      ――――◇―――――
  2. 越智伊平

    越智委員長 これより会議を開きます。  内閣提出道路運送車両法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。楢橋進君。
  3. 楢橋進

    楢橋委員 道路運送車両法の一部を改正する法律案政府運輸省から提案があったわけでありますけれども、何と申しましても、モータリゼーション時代になりまして国民関心が非常に強いわけであります。その折に、自動車の安全と公害、また国民各層に普及しておる、国民生活に欠くことのできないこの問題につきまして大変な関心を呼んでおるわけでありますけれども、わが国自動車保有台数というものが、昨年ですか、四千万台にもならんとしておる。わが国車社会と言われるようになったわけでありますが、このモータリゼーションが進んできましたのが昭和三十年代からということが言われておりまして、わが国伸び方というものが非常に急激なわけであります。そういったわが国特殊事情を考えてみまして、わが国自動車生産台数といいますか、保有台数というものが諸外国自動車伸びとどういうふうになっておるか、これがこの問題の背景にあると思いますので、その点につきましてまず運輸省の方にお伺いしたいと思います。
  4. 飯島篤

    飯島政府委員 お答えいたします。  わが国自動車保有台数伸びは、諸外国に比べまして著しい特徴を持っております。昭和三十一年末から昭和五十五年末までの二十四年間に、アメリカが約二・四倍、イギリスが約三・三倍、フランス約四・七倍、西ドイツ約八・二倍と、欧米諸国におきましては数倍の伸びの国が多いのでございますが、日本ではこの間に約六十八倍と、著しい伸びを示しております。また、特に乗用車だけについて同様に見てまいりますと、欧米諸国では自動車保有台数全体の伸びとほぼ同様の伸び率であるのに対しまして、日本は実に約百三十倍の伸びを示しまして、わが国の近年における急速なモータリゼーション伸展ぶり、あるいは特徴が顕著にあらわれていると考えられます。
  5. 楢橋進

    楢橋委員 自動車局長の方から、自家用車伸びが百三十倍ですか、百三十倍の伸びということを言われたわけでありますけれども、先ほど私が申し上げました四千万台という数、これは自動車の数ですが、この自動車運転免許者数につきまして、同様に昭和三十年ごろから非常な伸びをしてきております。したがいまして、自動車免許保有者数と、それから特に女性のドライバーも非常にふえておる。そういった免許者数と、女性の場合にはなかなか修理その他もできないわけですから、そういった点につきましてお答えをいただきたいと思います。
  6. 福島静雄

    福島説明員 お答えいたします。  昭和三十年末の運転免許保有者数は三百七十八万人で、国民の四・二%が免許を保有するにすぎませんでしたが、昭和五十七年二月末におきましては免許保有者数は四千五百十三万人となっておりまして、国民の三八%が免許を保有するに至っております。十六歳以上の運転免許適齢人口当たりで見ますと、国民二人に一人が免許を保有しているという状況でございます。  男女別運転免許保有状況につきましては、正確な統計昭和四十四年からとれるようになったわけでございますが、昭和四十四年におきましては、男性二千五十七万人に対しまして女性は四百二十一万人でございまして、全保有者数に占める女性割合は一七%にすぎませんでした。これが昭和五十七年二月末現在では、全保有者数に占める女性割合は三〇・七%になっておりまして、女性免許保有率伸びが著しい状況にございます。
  7. 楢橋進

    楢橋委員 女性のそういった免許取得者も非常に多いわけでありますけれども、男女別に見まして、そういった事故発生率といったものの数字がおわかりであれば、お示しいただきたいと思います。
  8. 福島静雄

    福島説明員 ただいま手元に詳細な数字を持ち合わせておりません。
  9. 楢橋進

    楢橋委員 これは今度の車両法改正につきまして、自動車整備点検簡素化ということが一つの大きな目的でありまして、ユーザー責任といいますか、そういった観点から考えてみた場合に、女性の場合にそういったユーザーサイド整備というものについてどういうふうな結果になるだろうかというようなことからお聞きしたわけでありまして、そういった数字が明らかになるのでありましたならば、ひとつお示しをいただきたいと思います。
  10. 福島静雄

    福島説明員 先ほどお答えいたしましたように、男女別事故統計数字、ただいま持ち合わせておりませんので、御必要がありましたら後ほど提出させていただきたいと思います。
  11. 楢橋進

    楢橋委員 このように先ほどありましたような数字で大変なモータリゼーションが進んでおるわけでありますけれども、急激にそういうモータリゼーションが進みますと、短期間に非常な高密度の車社会になってくる。したがいまして、この結果、車社会における道徳律の確立というか、車の運転に対する成熟度といいますか、こういったものがまだわが国では十分に伴っていない、こういったことがわが国の非常に大きな特徴ではないかと思うわけであります。また、自動車使用についても慎重な配慮が必要なものというふうに考えます。  そこで、総理府にお伺いしたいわけでありますけれども、わが国交通安全、とりわけ道路交通の安全について基本的な考え方がどうなっておるか。また、以上述べましたように、わが国車社会特徴との関連でどのような配慮をなされておるか、お伺いしたいと思います。
  12. 山田幸正

    山田説明員 道路交通の安全に関しましては、昭和四十五年に交通安全対策基本法が成立いたしまして、この法律に基づきまして、昭和四十六年度以来五年ごとに交通安全基本計画というものを作成いたしまして、その計画にのっとって関係各省庁において各種の施策が実施されてきたわけでございます。現在は、昨年度、昭和五十六年度を初年度といたします第三次の交通安全基本計画に基づきまして、各種対策が講じられているというところでございます。  この第三次の交通安全基本計画の基本的な考え方でございますが、先ほど先生の御指摘にございますように、自動車保有台数の急激な伸びあるいは運転免許保有者数の増というようなことで、本格的な車社会に現在わが国は入っているのではないかということで、そのような社会におきまして、人と車が共存するにふさわしい安全で快適な交通社会を実現するということのために、まず歩行者自転車利用者、あるいは幼児、老人等が安心して通行できる道路交通環境整備すること。それから二番目に、交通道徳に基づいた交通安全意識の高揚を図るというために、あらゆる年齢段階、あるいは家庭ですとか地域ですとか、学校、職場というようなあらゆる場所におきまして、人間の生涯を通じた交通安全教育を推進してまいる。それから三番目には、交通事故が不幸にして発生した場合に、その被害を最小限に抑えるための迅速かつ効果的な救急救助体制整備するというようなことを重点に、各般の交通安全対策を総合的に実施するということにいたしておるわけでございます。
  13. 楢橋進

    楢橋委員 次に、警察庁にお尋ねいたしますけれども、最近の交通事故発生状況というものがどのように推移をしておるか。警察交通事故原因究明というものは、あくまで早急に事故処理をしなければならない。したがいまして、運転による事故といいますか不注意による事故というもの、また整備不良によって起こる事故、そういった状況につきまして、これは原因究明はなかなかむずかしいとは思うのですけれども、その点についてお伺いをしたいと思います。
  14. 福島静雄

    福島説明員 まず、全般的な交通事故発生状況でございますが、交通事故による死者は、昭和四十五年の一万六千七百六十五人をピークとして、昭和四十六年以降九年連続して減少してまいりましたが、昭和五十五年に十年ぶり増加に転じました。しかし、昭和五十六年におきましては八千七百十九人という数字でございまして、前年に比べ若干減少いたしております。  それから、交通事故発生件数人身事故全体の件数でございますが、昭和四十四年の七十二万八百八十件をピークに八年間連続して減少してまいりましたが、昭和五十三年以降増加に転じておりまして、昭和五十六年は四十八万五千五百七十八件でございまして、対前年比一・九%ほど増加をいたしております。  次に、整備不良車による交通事故発生状況についてでございますが、昭和五十五年中の検査対象車両の全人身事故件数は四十万七千六十一件でございまして、そのうち車両的原因による発生件数は二千六百四十七件、〇・六五%となっております。ただ、死亡事故件数につきましては、全数六千七百八十五件のうち、車両的原因による発生件数は百四十三件でございまして、二・一一%という比率になっております。  それから、つけ加えて恐縮でございますが、先ほどの先生の御質問の中で、男女別事故発生状況はどうかという御質問に対してでございますけれども、昭和五十五年中、交通事故で死亡した人の数を男女別に見ますと、男性が六千六百三十一人、女性が二千百二十九人となっております。ただ、自動車運転中の死亡者男女別区分を見ますと、男性が千九百五十一人であるのに対しまして、女性は百六十二人という数字になっております。
  15. 楢橋進

    楢橋委員 いまお話がありました車の事故による発生件数というのは、何か二・七四%ということですか。
  16. 福島静雄

    福島説明員 検査対象車両車両的原因による交通事故発生件数は、人身事故では〇・六五%、死亡事故につきましては二・一一%、こういう数字になっております。
  17. 楢橋進

    楢橋委員 そうしますと、最近の死亡事故発生件数は若干増加の傾向にあるわけでありますけれども、特に整備不良車による交通事故発生件数については、なかなか把握がむずかしいという面があるというふうに伺ったわけでありますけれども、潜在的にはかなり多いと思う意見もありますし、諸外国ではもっと数が多いのではないかということを耳にするわけであります。運輸省からでも結構ですけれども、外国調査結果の数字というものがおわかりでしたらばお伺いいたしたいと思います。
  18. 飯島篤

    飯島政府委員 交通事故原因分析当たりまして、整備不良車両による事故がどんな実態になるかということは、運輸技術審議会でも問題になったわけでございますが、潜在的にはかなりあるのではないかという意見が多うございました。これについては追跡調査をきちっとやっていく必要があるだろうという御指摘も受けたところでございます。  いま先生指摘外国の例でございますが、西ドイツにおきまして自動車検査を行っております技術監督協会のスタッフの論文、これは一九八一年の論文でございますが、欧米諸国におきましては、警察の取り上げたもの、またはそれに匹敵するものは一・四%から五・八%程度でございますが、公的機関事故原因追跡調査を行った結果によりますと、平均値交通事故の五ないし一〇%が主として車両技術的欠陥に起因している、また交通事故の一〇%から二〇%が車両技術的欠陥が主原因、副原因、または事故拡大原因となっているというふうになっております。
  19. 楢橋進

    楢橋委員 ところで、自動車はどのくらいの耐用年数があるか私もつまびらかではありませんけれども、時間の経過とともに確実に劣化していくわけですが、その劣化というものは、どういったところが一番最初劣化していくか。そして危険の度合いというものが、どういう劣化によってどういうふうになっていくだろうか。その自動車性能といいますか、それが時間的経過によってどのように劣化していくかという点についてお伺いをしたいと思います。
  20. 宇野則義

    宇野政府委員 お答えいたします。  ただいま先生指摘のように、自動車が使われておりますと経時的に、時間がたつにつれまして傷んでくる部分と、それから走り込むことによって傷んでくる部分というものがあるわけでございまして、今回運輸技術審議会検査整備あり方につきまして検討するに際しましてこの分析が非常に大きなウエートを占めてまいったわけでございます。具体的に申し上げますと、その分析を行いますために、自家用乗用車を中心でございますけれども、その他の車種につきましても行いましたが、車検時におきますところの車の傷みぐあい、要整備個所がどういうふうに発生しておるかということを調査いたしましたが、その結果、検査の回数すなわち車齢が古くなるに従いまして重要部位の要整備個所不良個所発生する確率が高くなってきておるわけでございます。  具体的に一、二の例を申し上げますと、たとえばブレーキ装置におきまして損傷あるいは取りつけ状態傷み等を見ますと、最初の二年目におきましてはその傷みぐあいが一・〇%以下、〇・六%程度でございましたけれども、それが四年になりますと一五%に近い一四・九%というような数字を示しておるわけでございます。そういうようなことで、車齢が古くなってまいりますと経時的に傷みがひどくなってきているということが言えると思いますし、また、第一回目の新しい間には車の装置増し締め等、比較的軽微な整備不良個所を直すということが行われるわけでございますが、四年目の二回目以降の時点になりますと、重要部品交換などの整備増加をしてまいっております。また、排出ガスの測定結果によりますと、車齢三年目までは、車の整備をする前の状態チェックをいたしますと、すべての車が保安基準に適合しておるという状態でございますけれども、四年目を迎えますと、その規制値を超える車両が出てきておるわけでございます。  以上が車の傷み方、経時的な劣化状況でございまして、これらの状況を種々の調査データから運輸技術審議会の方で検討してまいったわけでございます。
  21. 楢橋進

    楢橋委員 その点が検査整備制度必要性につながってくると思うわけでありますけれども、いまの整備部長の答弁というものは、今度の改正当たりましてこの点について十分に分析をされたか、また自家用車についても結構でありますけれども、再度その点につきましてお答えをいただきたいと思います。
  22. 宇野則義

    宇野政府委員 お答えいたします。  主として、自動車劣化状況調査いたしますために、運輸技術審議会におきまして、自動車性能劣化状況すなわち自動車装置別年式別走行キロ別整備内容実態を調べておりますし、また、先ほど申し上げましたけれども、車検時におきます整備前のふぐあい状況調査、それから排出ガス浄化装置性能劣化状況、それから定期交換部品耐久性等々につきまして調査をしてまいったわけでございます。  全体的に劣化傷みぐあいを申し上げますと、車齢二年目、第一回目の検査時にチェックをいたしますと、一六・九%の車両重要部位不良個所発生させておりまして、それが二回目、四年目になりますと四〇・〇%、それから三回目、これは六年目に当たりますけれども五一・八%、それから車齢がぐっと古くなりまして十年を超える車両になりますと六二・九%の部位、しかも重要部位が不良の状態になっておりまして、整備を要する状態になっておるわけでございます。
  23. 楢橋進

    楢橋委員 次に、先ほど申し上げましたように高密度な車社会になったわけでありますけれども、いわゆる整備不良による交通渋滞というものは国民経済的にも大変負担になって、大変な損失になっておろうかと思います。そこで、このような整備不良率といいますか、路上故障発生件数におきまして実態を示す数字とそれについての見解を、警察庁運輸省からお伺いしたいと思います。
  24. 福島静雄

    福島説明員 道路上におきます故障車両は非常に多数にわたると考えられまして、その実態につきまして警察庁といたしましても正確には把握いたしておりません。ただ、高速自動車国道におけるものに限って申し上げますと、燃料切れなどを含めました広い意味での故障車両台数につきまして、日本自動車連盟調査によりますと、昭和五十六年中、約十五万六千台あったということでございまして、その内容別では、タイヤ関係が約二万二千台、燃料切れが約二万一千台、ファンベルト関係約八千台等となっております。  御指摘のように故障車両発生は、特に高速道路におきましては渋滞を招き、また事故に結びつく危険も大きいところでございまして、警察庁といたしましても、運転者に対する広報の徹底、故障時における車両の速やかな排除工作等を講じまして円滑な交通の回復に努める一方、悪質なものにつきましては厳しく取り締まっていくという方針でございます。
  25. 宇野則義

    宇野政府委員 運輸省の方で調査をいたしました数字を申し上げます。  ただいま警察庁の方から高速道路上の数字がございましたけれども、私どもの方で調査をいたしました道路公団調査によりますと、昭和五十五年度におきまして年間十四万件の故障発生があったようでございます。これを通行一万台当たりに直しますと、三・二件というふうになっております。  それから、ただいま警察庁からお話がございました自動車連盟数字がございますが、これも高速道路上の数字を含めましてロードサービス出動件数が五十五年度に百二万件という数字をつかんでおります。また、関西の阪神高速道路におきます調査結果によりますと、路上故障原因発生しました渋滞時間が一日当たり平均五十二分となっておりまして、事故原因発生いたしました渋滞と合わせますと、同じく一日当たり二時間を超える数字になっております。  このように、路上故障交通円滑化を阻害することと同時に、二次的な事故を引き起こす危険性を持つということでございまして、この路上故障を減少させるということはきわめて重要な課題ではなかろうかと考えております。     〔委員長退席宮崎委員長代理着席
  26. 楢橋進

    楢橋委員 路上故障を減少させることが安全の面からいって、また国民経済の面からいっても重要なことでありまして、ぜひ当局としても力を入れてその方向へ向かってリードをしていっていただきたい、かように思います。  また他方で、四千万人のユーザー負担軽減という要請が非常に強くなっておるわけでありますが、しかしながら以上の点を踏まえまして、この提案理由にもありますように、自動車の安全と公害防止、この問題につきまして当局として基本的にどういうふうに考えておられるか、お伺いしたいと思います。
  27. 飯島篤

    飯島政府委員 今日、自動車国民生活社会生活に欠くことのできない存在となっているのは事実でございます。しかしながら、自動車はその便利さの反面で、その使用国民の身体、生命の安全、これは運転者だけでなく同乗者及び歩行者等の他の人の生命の安全の問題もあるわけでございます。それから、いまお話のありました社会活動の基礎となる交通の流れの問題、それから沿道住民等の健康及び生活環境と密接な関係を有するというこれらの点にかんがみまして、安全の確保公害防止につきましては、できる限りの努力を傾注することが今日の車社会を維持発展させ、調和あるものにする上できわめて重要である。特に御指摘のとおり、高密度の未成熟とも言われる車社会が現実化しておるわが国におきましては、この点が強く社会的に要請されているものと考えます。したがいまして、そのためには自動車、特に自家用乗用車ユーザー負担軽減に十分配慮していく必要がありますが、自動車の安全及び公害防止はゆるがせにできないものであって、その水準を低下させないよう配慮していく必要があるものと考えております。
  28. 楢橋進

    楢橋委員 今度の道路運送車両法改正につきましては、自動車の安全と公害の問題をめぐりまして重要内容を含んでいると思うわけでありますけれども、この問題につきまして昨年の十月と本年の一月に、新しい時代に即応した検査整備あり方等について運輸技術審議会から答申が出されておるわけであります。  そこで、これが今度の法案の一つの非常なかなめになっておるというふうに思うわけでありまして、運輸技術審議会は長いこと開かれたわけでありますけれども、運輸技術審議会でどのような検討が行われましたか、その内容につきましてできるだけ詳しくお答えをいただきたいと思います。
  29. 飯島篤

    飯島政府委員 最近における技術の進歩に伴う自動車性能向上等により、自動車の機能、品質は著しく変化し、自動車使用形態も変化するなど、自動車の安全と公害をめぐり少なからぬ状況の変化が生じていることは事実でございます。また、自動車整備適正化に対する社会的な要請も高まっております。  昭和五十五年十二月の閣議決定におきまして、「自動車検査の在り方について、速やかに関係審議会等意見を聴取して、検討を行う。」ということになったわけでございます。このような状況を受けまして、運輸大臣から、いま先生お話がありました運輸技術審議会に対し、自動車検査整備あり方について諮問がなされ、同審議会諮問を受けて以来、自動車安全確保及び公害防止を前提として検討をしておったわけでございますが、昨年七月の臨時行政調査会の第一次答申にも見られますように、国民負担軽減についての社会的要請が高まっている点にも配慮する必要があるということで、そういう配慮もしながら自動車検査整備あり方について、自動車部会四回、同検査整備小委員会十四回を開催しまして、専門的、技術的に検討審議を重ねておったわけでございますが、昨年十月、整備事業適正化に関する中間答申、本年一月に新しい時代に即応した自動車検査整備制度についての答申運輸大臣に対して行ったのであります。また、本年二月の臨時行政調査会の第二次答申におきましても、運輸技術審議会と同趣旨の答申提出されるに至りました。  運輸技術審議会におきましては、点検整備制度検査制度及び整備事業運営適正化等について、次のような検討が行われました。  点検整備制度についてでございますが、自動車性能劣化状況調査排ガス浄化装置性能劣化状況調査事故整備不良の関係定期交換部品交換実態耐久性調査点検整備と燃料消費率の関係調査等の技術的データを収集解析いたしました。定期点検整備の意義、必要性等について検討した結果、自家用乗用自動車について新車初回の六カ月点検を廃止すること、及び六カ月点検を中心に定期点検項目の簡素化を図ることが答申されました。  検査制度につきましては、検査証の有効期間について車検時におきます要整備個所発生状況調査、これを基礎にした要整備個所発生状況の推定、排ガス浄化装置性能劣化状況調査年式別装置別再検率、定期交換部品耐久性調査等の技術的データを収集解析いたしました結果、自家用乗用自動車について、新車新規検査検査証の有効期間を現行の二年から三年に延長することが答申されたのでございます。  次に、整備事業運営適正化等については、整備事業者に対するユーザーの批判が生まれる社会的背景を分析し、自動車整備事業の業務運営の適正化のために整備事業者、整備団体、販売業者、メーカー及び国等が講ずべき措置等について検討し、答申がなされた次第でございます。
  30. 楢橋進

    楢橋委員 そうしますと、今回の法案は運輸技術審議会答申臨時行政調査会答申を踏まえて作成されたわけでありますが、提案理由におきまして大体の説明をお伺いいたしましたけれども、提案理由があるわけでありますけれども、もう一度法案の骨子につきまして、今回の法案とこれらの答申との関係につきまして具体的に御説明をいただきたいと思います。
  31. 飯島篤

    飯島政府委員 昨年十月、本年一月の運輸技術審議会答申についてはいま申し上げたとおりでございます。臨時行政調査会答申につきましても、ほぼ同趣旨の答申提出されたことは、いま申し上げたとおりでございます。  今回の法案はこれらの答申を踏まえまして、答申で提言されている事項が具体的に改正法案にどのように規定されているかというお尋ねでございますので、若干重複しますが、法案に基づいて御説明いたしたいと思います。  まず、検査関係でございますが、自家用乗用自動車の新車新規検査にかかわる自動車検査証の有効期間の延長については、六十一条二項に規定をいたしております。  点検整備関係で、自家用乗用自動車の新車初回の六カ月点検の廃止については、四十八条二項に規定をしてございます。なお、定期点検項目の簡素化については、今後省令において処置することと相なります。  また、運輸技術審議会答申で提言されているその他の事項につきましては、定期点検整備記録簿の記載内容の充実、保存期間の延長等のための措置については、第四十九条において規定をいたしております。  それから、ユーザー点検及び整備の方法を容易に理解することができるようにするための点検及び整備に関する手引きの作成、公表については、第五十七条に規定をいたしております。  それから、運輸技術審議会答申では、定期点検の励行策として街頭検査を強化すべきとされておりますが、街頭検査の際の行政指導を実効あるものにするための措置として、点検等の新制度を五十三条の二に規定をいたしております。  整備事業関係でございますが、ユーザーに対し整備内容及び料金の説明を励行すること、料金表をユーザーに見やすいように掲示すること等、自動車分解整備事業者が遵守すべき事項は運輸省令で定めることができることとする根拠規定を第九十一条の三に設けてございます。  それから、自動車整備事業者に対する指導、その他自動車整備事業の業務の適正な運営を確保するための自動車整備振興会の目的及び事業を充実することについては、第九十五条の改正をいたしております。  以上でございます。
  32. 楢橋進

    楢橋委員 今回の制度改正につきましては、国民負担の軽減ということが大きな課題となっておりまして、これは非常な国民関心を呼んでおるわけであります。これは行政を担当いたします行政管理庁が今回の制度の改正に対しまして社会的にいろいろな話題を呼んでおるわけでありますけれども、この点非常に国民関心の強い問題がありますので、行政管理庁から今回の制度改正に対する考え方をお伺いいたしたいと思います。
  33. 八木俊道

    ○八木説明員 お答え申し上げます。  今回の道路運送車両法改正につきましては、先ほど運輸省から御答弁のありましたとおり、昨年十月及び本年一月の運輸技術審議会答申並びにこの二月の臨時行政調査会の第二次答申の基本線に沿ったものであると私どもとしては考えております。政府・与党内部における所要の手続を経て国会に御審議をお願いすべく法案を御提出申し上げた、こういうことであろうということでありまして、その法案の趣旨も、新車初回の六カ月点検の廃止及び新車新規検査の有効期間の二年から三年への延長、この重要な二点におきまして、運輸技術審議会答申並びに臨調答申の線に基本的に沿ったものであるというふうに考えております。
  34. 楢橋進

    楢橋委員 行管庁の方では基本的に賛成である、沿ったものであるというような答弁があったわけでありますけれども、国民負担の軽減を図るということは非常に重要でありますけれども、一方において安全の面とかあるいは公害の面でも水準が低下するというような心配が、それとうらはらにあるのではないかというふうに思うわけでありますけれども、この点についてどういうふうにお考えか、お伺いしたいと思います。
  35. 宇野則義

    宇野政府委員 お答えいたします。  今回の検査整備制度改正につきましては、運輸技術審議会答申を踏まえて行うものでございますけれども、同審議会におきまして専門的かつ技術的な観点から検討が慎重に進められてきた結果、安全の確保公害防止を前提としつつ、国民負担の軽減にも配慮して今回の制度改正は可能であるという結論が出されたわけでございまして、この審議結果にかんがみますと、今回の制度改正によりますところの自動車の安全、公害面における水準が低下するおそれはないというふうに考えておる次第でございます。  自家用乗用車につきましての具体的な検討の結果は、次のとおりでございます。  すなわち、自動車検査証の有効期間の延長につきましては、車検時における要整備個所発生状況調査というのを先ほど申し上げましたが、その結果を見ますと、第一回目の継続検査時の重要部位の要整備個所発生率というものは比較的低うございます。数字を繰り返して申し上げますと、第一回目の継続検査時の重要部位の要整備個所発生率は一六・九%という数字になっております。第二回目は、これが四〇・〇%、第三回目は五一・八%という数字になっておるわけでございます。また、特に重要部位の中でも、かじ取り装置について申し上げますならば、第一回目が一・六%、第二回目は七・〇%というふうに高くなっております。制動装置につきましては、先ほどお答え申し上げましたように第一回目が〇・六%、第二回目が一四・九%という数字を示しております。     〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕 また、排出ガスのアイドル濃度、これは一酸化炭素と炭化水素でございますが、この濃度をチェックいたしてみますと、第一回目の継続検査時では保安基準値を超えるものがございません。そういう結果が出ておるわけでございます。これらの実績をもとにワイブル解析法という機械系の信頼度を推定する方法がございますが、このワイブル解析法によりまして新車新規検査検査証の有効期間を三年に延長した場合の要整備個所発生率を推定いたしますと、現行制度とほぼ同じ率になっておるわけでございます。また、定期点検時におきます排出ガス調査、これはアイドルの排出濃度、また10モードの排出ガス濃度でございますが、この結果によりますと、新車から車齢三年目までは規制値を超える車が見られないという結果が出ておりますが、この排出ガス調査結果から新車新規検査検査証の有効期間を三年にした場合の第一回目の継続検査時の整備前の平均排出ガス量を推定いたしますと、これも新車の規制値であります10モードの平均規制値を超えないで済むという結果になっておるわけでございます。  以上の結果から、初回の検査期間の延長が可能であるという結論が出されたわけでございます。  次に、新車初回の六カ月点検の廃止の内容でございますけれども、点検時期別の整備状況調査結果を見ますと、新車初回の六カ月点検の結果、ふぐあいのために必要とされる整備内容は軽微な内容になっておるわけでありまして、新車時においては、メーカー等によっていわゆるなじみ状態に落ちつくまでの初期的なふぐあいの有無を発見するための点検が行われているという実態とあわせまして、装置増し締め等を主体にする最初の六カ月点検についてはこれを廃止してもいいのではないかという結論が出されたわけでございます。
  36. 楢橋進

    楢橋委員 運輸省の考えはわかったわけでありますけれども、今回の検査整備制度改正につきまして警察庁のお考え、また公害の立場から環境庁の考えはどうだろうか。また、環境庁としましてこの検査制度及び定期点検整備、さらに街頭検査必要性についても見解をお伺いしたいと思います。
  37. 福島静雄

    福島説明員 警察といたしましては、整備不良車等による交通事故防止のため、従来から無車検運行あるいは整備不良車両運転の取り締まりに努めてまいったところでございます。  そこで、自動車検査証の有効期間を延長することにつきましては、運輸技術審議会答申におきまして、整備不良車両による交通事故実態等を踏まえ、車両の安全性の確保という見地についても十分検討がなされたものと承知しておりますので、交通安全対策上大きな問題が生ずるということはないと考えております。
  38. 松波正壽

    ○松波説明員 お答えいたします。  自動車検査制度改正につきましては、先ほど来運輸省から御説明がございましたとおり、すでに御案内のとおりでございますが、運輸技術審議会の最終答申を受けて、その趣旨を踏まえて具体化を図るべく本法律案提出されたものと承知しておりますが、本法律案の基本となりました先ほどの運輸技術審議会答申におきましては、昨年二月以来、安全の確保及び公害防止等を前提としつつ、かつ、国民負担軽減及び行政事務の簡素合理化に配慮いたしまして、自動車検査整備体制のあり方につきまして検討が行われた結果、自動車検査証の有効期間につきましては、自家用乗用車の新車に限っては現行の二年から三年に延長することが可能であること等を提言をしておられます。  環境庁といたしましては、このような提言が行われるに当たりましては、大気汚染などの公害防止の見地から、検査制度の変更に伴うその影響についても、使用過程車にかかわりますところの排出ガスデータ等をもとに十分検討をした結果、このような範囲の変更であれば公害防止上特に支障はないと判断されたものであると承知しております。環境庁において行っている低公害車にかかわります使用過程車に関する調査においても、ほぼ同様の傾向が得られております。  しかしながら、大気汚染及び自動車交通騒音がいまだに十分に改善されていない状況にあること並びに、先ほど来説明がございましたように、自動車保有台数増加傾向が依然として持続していることにかんがみまして、環境庁といたしましては、先生が御指摘されました検査制度、定期点検整備制度、街頭検査はいずれも自動車公害防止にとって非常に重要な役割りを果たしていると考えております。  今後とも所要の発生対策の強化のほか、自動車公害防止のために有効かつ適切な措置が講じられるよう、運輸省など関係省庁に働きかけてまいりたい、かように考えております。
  39. 楢橋進

    楢橋委員 運輸省を初め関係各省のお考えをお伺いしたわけでありまして、今回の検査整備制度の改善が、安全、公害面の低下をもたらさないという点では理解できるわけでありますが、この法律によりまして国民負担の軽減というものが言われておるわけでありますけれども、国民負担の軽減ということは、一方におきまして、自動車整備業界は中小零細事業者が非常に多いわけであります。この自動車整備業界に与える影響がどの程度あるかということが一点でありまして、整備業者というものが自動車の安全並びに公害防止に非常に大きな役割りを果たしておるわけでありますけれども、これらの今度の制度改正によりまして事業者に対する非常な影響と、そしてこれに対する適切な配慮が必要ではないかと思う点でありまして、非常にこの点重要な問題でありますので、この点につきまして運輸省としてどういうふうな考えを持って実行していく所存であるか、お伺いをしたいと思います。
  40. 飯島篤

    飯島政府委員 今回の検査整備制度改正によりまして国民負担の軽減額がどのくらいになるか。言いかえると、自動車分解整備事業者に対する影響はどのような状況か、現行制度が継続された場合に比較して、整備業界全体の整備売上高の減少額をマクロで見て一応試算をいたしました。前提といたしまして、保有車両数が現状程度増加するであろう、それから制度改正以外の諸条件にそう変化がない、また制度改正によりましてマイカーにかかわる六カ月点検整備について新車初回がなくなる、以後の点検整備料金が項目の大幅な簡素化によって一応五〇%ぐらいになるだろうということで試算をいたしました。  最も影響の出るときが制度改正の実施から二年後でございますが、総売上高に対して七・一%、二千七百億円程度、それから制度改正後五年間の累計で四・四%、八千五百億円程度が売り上げ減少になるだろう。逆に国民負担の軽減が実現されるだろう。なお、国民負担の軽減につきましては、以上のほか、運輸技術審議会答申によりまして、いま申し上げたように六カ月点検につきましては、項目の大幅な簡素化に伴って、国、メーカー等が適切な点検整備に関する手引きを作成、公表するということによりまして、技術的な知識を有するユーザーであれば自分でも実施し得る場合がある。それから、技術開発及び品質管理の徹底を図りながら、定期交換部品交換時期の延長をメーカーに求めておりますが、これが逐次実現されますれば、その分も負担軽減になるであろう。それから、点検整備が確実に実施されている自動車につきましては、ユーザー参加の観点から、ユーザーみずからでも検査をスムーズに受けられるような体制を配慮しなさいということが提言されております。これらを考えますと、かなりの国民負担の軽減が図られるものと考えております。  次に、今回の制度改正に伴って影響を受けると予想されます自動車分解整備事業者につきましては、運輸技術審議会答申でも指摘されております業界自身の自助努力とともに、国としても所要の措置について適切な配慮が必要なものと考えております。  現在、整備業界はその近代化、合理化を図るための措置として、中小企業近代化促進法に基づきます構造改善事業などの自助努力を主体とする対策を進めておりますが、これを強力に進め、かつ、国も支援をしていく。需要減少のときに中小企業者に対します既存の助成措置の活用を図ることも検討いたしております。一つは、中小企業事業転換対策臨時措置法に基づく業種指定、これは中小企業近代化審議会に諮った上で運輸大臣が指定することとなります。  それから、雇用保険法に基づく業種指定の問題でございますが、これは一定の要件に該当する具体的な影響が生じた時点で、労働大臣による業種指定を受けることについて労働省の了解を取りつけてございます。  そのほかに、需要減少時におきます運転資金及び企業集約に伴う設備資金の借り入れにかかわる債務保証、この業界は中小零細企業が多うございまして、担保力がない、乏しいというふうに言われておりますので、こういった措置について、業界の自助努力を主体に国が適切な措置をとる必要性について今後検討する必要があると考えております。
  41. 楢橋進

    楢橋委員 最後にお伺いしたいのですけれども、現在五、六〇%と言われております定期点検整備の励行が、今後の制度改正に関しまして特に重要なものになってくると思いますが、先般、臨時行政調査会から点検指示制度に対する過料につきまして、報道機関では十万円という報道が流れておるわけでありますけれども、この報道がなされまして種々議論が行われたわけであります。特に、国民負担の軽減、点検整備というものが個人の責任において行われるということの明確方につきまして、運輸省としてどういうふうに受けとめておるか、その点につきまして、大臣並びに関係局長から最後にお伺いしたいと思います。
  42. 飯島篤

    飯島政府委員 いままで御説明いたしましたように、今回の道路運送車両法の一部を改正する法律案には、臨時行政調査会答申で提言のあった事項はおおむねすべて盛り込んでいると考えております。  ところで、自動車の定期点検整備というものが、安全確保及び公害防止のため重要な役割りを果たしているというのでございますが、今回の制度改正当たりまして、運輸技術審議会答申におきましても、従来以上にその重要性が高まる、したがって一層その励行を図る必要があるという指摘を受けたところでございます。このことは、臨時行政調査会の方にも過去において御披露をしてあるところでございます。特に励行策として、運輸技術審議会で三つの事項を挙げてございますが、街頭検査の強化を図る必要がある旨の指摘も受けておるところでございます。  このため、今回の法案におきまして、ユーザーの自己責任に基づくものであるという基本をできる限り尊重いたしまして、定期点検義務違反あるいは定期点検整備記録簿の備えつけ等には直接罰則を科することは避けたのでございます。そして、点検の実施にかかわります街頭検査の際などの行政指導を実効あらしめるため、最低限必要な制度として、陸運事務所の職員による点検の指示及びこれに対する報告義務違反の規定を設けました。そして、この最後の報告義務違反に秩序罰を科し得るということにしたものでございます。したがいまして、今回の点検指示の制度は、定期点検整備があくまでもユーザーの自己責任に基づくものであるという基本的な立場に立って、その履行の確保をねらいとするということでございます。また、ユーザーに対して新しい義務を課すというわけではございません。これによって国民負担を増大させるものではないと考えておる次第でございます。
  43. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 ただいまお話しのように、、臨調からの申し出がございました。その申し出に対しまして、われわれはすでに十分対応していると思っておるのでありますが、事柄がございますので、今後この問題は国会における御審議にお任せを申し上げたいというふうに考えているところであります。
  44. 楢橋進

    楢橋委員 終わります。
  45. 越智伊平

    越智委員長 吉原米治君。
  46. 吉原米治

    ○吉原委員 今回の法律改正について、過般の委員会で大臣からの提案理由の説明がございました。最初に、この大臣の提案理由の説明について、肝心な視点が抜かっておるのじゃないかと思って、あえて私は聞かしていただきたいわけでございます。  運輸技術審議会と臨調からも同趣旨の答申提出された、したがって、「これらの答申の趣旨を踏まえ、」ということで、以下四点にわたって提案理由の説明がなされておりますが、この中で、私はどうしても腑に落ちない――いま国民負担の軽減なんという表現が出ておりますが、国民負担の軽減、ユーザー負担軽減という点は視点として一つも触れてない。少なくとも臨時行政調査会から出された答申というのは、やはり国民負担の軽減というのが基本になっておるのじゃないか。その基本を抜いた提案理由の説明には、私はどうしても納得いかぬわけです。大臣のお考え方最初に、ごく基本的なことでございますからお尋ねをしておきたいと思います。
  47. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 今回の改正法案の最も重要な点は、もちろんユーザー負担軽減ということが大きな柱でございますけれども、それを実現する過程の中で、現在われわれが最も配慮しなければならぬことは、年々増大する自動車増加、これによって引き起こされている、いわゆる安全面あるいはまた公害面が拡大するということは、そうした意味から見ても大変重要な問題だと思っておるわけでございます。したがいまして、われわれはこの公害の問題と安全の問題が、技術的に可能な限り満足されるという時点のものをこの法案の改正の骨子にいたしたわけでございまして、そのことと、一面から見てのユーザー負担軽減ということが、ある程度十分に符合しない面も見方によってはあると思うのでございますが、われわれといたしましては、その両者を十分踏まえて今回の法案の改正に踏み切らせていただいたのでございます。
  48. 吉原米治

    ○吉原委員 いまの大臣のお答えを聞いておりまして、私は、負担の軽減というのは二の次であって、まず安全だ、公害だ、こういう点に力点を置かれた今度の法改正になっておるのじゃないか、そう思いますがゆえに、以下それぞれの担当者から考え方を聞きたいわけでございます。  一番問題になっております今回の法案の骨組みというのは、従来の任意に基づくあるいはユーザーの責任においてやる定期点検に罰則規定を設けた、ここがこの法案の一番大きな、国民的な問題点だろうと私は思うのです。  マスコミは、今回の過料制度というのは、車検期間を延長したことによる整備業界への減収補てんというものでこういう制度ができたのじゃないかと報道いたしておりますが、少なくともいま大臣のおっしゃった国民負担の軽減という基本的な考え方がおありになるのなら、こういった結果的に国民負担につながる過料制度というものが出てきてはならぬと私は思うのです。  最初に、これは自動車局長にごく初歩的なことを聞くのですが、一体この車検制度というのは何を目的に、だれのためにやるのですか。
  49. 飯島篤

    飯島政府委員 自動車は本来使用者においてその安全性の確保公害防止を図るべきものであります。使用上の責任は、基本的には自動車使用者が負うべきものと考えられます。しかしながら、自動車はその使用に当たって、先ほど来申し上げておりますように、自分だけではなくて、同乗者歩行者その他、他人の身体、生命の安全、社会活動の基礎となる交通の流れ、あるいは沿道住民等の健康及び生活環境と密接な関係があるわけであります。  この点にかんがみまして、国におきまして保安上の技術基準を設定し、これに適合しない自動車を運行の用に供してはならないとしておるわけでございます。また、自動車使用者に対しまして同一の基準に適合させるため所要の点検整備義務を課し、安全性の確保及び公害防止を図っているところでございます。一方、国におきましては、自動車使用者のこのような基本的義務を前提といたしまして、自動車使用者がその義務を履行しているかどうかを一定期間ごとに検査を実施することによりまして後見的に確認をする、そして自動車の運行に係る安全性の確保及び公害防止を図るというのが検査制度でございます。  したがって、自動車検査及び点検整備制度自動車使用者自身の安全にとってもちろん必要なものでございますが、広く社会全体の安全や公害の問題にとって必要不可欠なものと考えておる次第でございます。
  50. 吉原米治

    ○吉原委員 そうすると、局長、自動車の安全性というのは一体だれが責任を持つのでございますか。国が持つのですか、ユーザー自身が持つべきものですか、どっちが持つのですか。安全性はだれが保障するのか、これを明快にお答え願いたい。
  51. 飯島篤

    飯島政府委員 お答えいたします。  自動車に限らず、一般に、自己の所有物に関する保守管理責任は所有者に帰属するのがまず原則でございます。道路運送車両法においてはこれを前提として、自動車の安全性の確保及び公害防止のための保守管理はユーザーの責任において行われるべきであるということを基本にいたしておるのでございます。しかしながら、いまも申し上げましたように、自動車使用自動車使用者自身の安全だけではなくて、広く社会全体の安全、さらには公害防止とも密接な関連を有するものでございますし、自動車点検整備には高度の専門的な知識と技能を必要とするものが多分にあることなどから、国、自動車メーカー、整備事業者のそれぞれにおいて自動車の安全性の確保公害防止を図る責務を有していると考えております。  国は、道路運送車両法に基づきまして製造及び使用等の基準として保安基準を定め、これに基づきメーカー等を指導するとともに、ユーザーによる保守管理が適切に行われているか否かについて一定期間ごとに確認を行っていることはいま申し上げたところでございます。自動車のメーカーは一般に安全な自動車をつくりユーザーに供給する責務を有しており、万一構造、装置に設計または生産上の欠陥があった場合にはその旨を一般に公表し、自動車の回収、修理の改善措置を講ずる、いわゆるリコール制度等があるわけでございまして、そういう点について、メーカーも自動車の安全性の確保に責任を持っているのでございます。また、整備事業ユーザーの依頼に応じまして自動車点検整備を行うものでありまして、これらの者が適切な整備を実施することは契約上の義務であることはもちろんでありますが、自動車の安全を確保し、交通の危険を防止する上で重要な責務を負っていると考えられます。  以上申し上げましたように、自動車の安全性はユーザーのみならず、国、自動車メーカー、整備事業者のそれぞれがその責務を果たすことによって初めて確保されるものと考えられます。
  52. 吉原米治

    ○吉原委員 それは構造上の欠陥や整備上の不良により安全を阻害するという場合には、それぞれのポジションの方が責任を持つことになるでしょう。しかし、一般的に言って自動車の安全性というのは、やはりユーザー自身の責任ということが大きいと私は思います。したがって、国が、運輸省がいろいろ保安基準等を設けて指導される、それはまことに結構なことだと思いますが、責任は国が持つから、運輸省が持つのだから、運輸省の指示どおりにやりなさいよ、やらなかったら過料を科しますよ、これなら話はわかるのですよ。責任は君の方で持て、言うことを聞かなければ過料を科する、ここが問題なんだ。  そこで、この過料制度、ペナルティー制度は、一体いつ、どんな方法でやるのでございますか。それからどの時点をとらまえて過料を科そうと思っていらっしゃるのか、そこら辺がつまびらかでないので、ひとつ詳細にお答え願いたい。
  53. 飯島篤

    飯島政府委員 お答えいたします。  定期点検制度は、保安基準に適合しない車を未然に防止するための予防措置と言えるものでございます。先ほど来申し上げておりますように、その点検の結果、保安基準に適合しないあるいはしなくなるおそれがある場合には、必要な整備を行うべきことが義務づけられておるわけでございます。  それで、定期点検は、まさに先生おっしゃるように本来ユーザーの自主責任に基づいて行われるべきものであるというのが大前提でございますが、いままでの状況を見ますと必ずしもそれは十分でないということで、先ほど申し上げましたように、運輸技術審議会答申においても、励行方について策をいろいろ考えなさいという御指摘があったわけでございます。  具体的にどういう場合に過料が科されるかという御質問でございます。  法律の五十三条の二に規定してございますが、「陸運局長は、」これは実際には職権を委任いたしまして陸運事務所長が権限の行使をいたしまして、さらには検査官の業務とすることといたしておりますが、そういう検査官が街頭検査等の際に、自動車について定期点検整備記録簿の有無及び記載内容その他の事項を確認した結果、定期点検が行われていないことが判明したとき、当該自動車使用者に対して運輸省令で定める技術上の基準によって点検をし、並びに必要に応じ整備をすべきことを指示することができることにいたしたわけでございます。  そして、この指示を受けた自動車使用者は、その自動車について同項の技術上の基準により点検をし、及び必要に応じて整備をした上、「点検の結果、整備の概要その他の事項を定期点検整備記録簿に記載しなければならない。」こととしております。そして、この指示を受けた自動車使用者が、「当該指示を受けた日から十五日以内に、当該指示に基づいて講じた措置について前項の定期点検整備記録簿の写しを添えて当該指示をした陸運局長に報告しなければならない。」という段取りになるわけでございます。  過料は、先ほど来申し上げておりますように、定期点検実施義務違反とか、いま御説明をいたしましたいろいろな段階に罰則がついているわけではございませんので、最後の段階の報告義務違反について過料を科し得るということにしたのでございまして、街頭検査の際の定期点検の励行の行政指導を実効あらしめるための最低ぎりぎりの制度と考えたわけでございます。
  54. 吉原米治

    ○吉原委員 いま説明のあったのは、法律に書いてあるのだから読めばわかるのですよ。ぼくが聞いているのはそうでなくて、街頭検査でやりますと言うのなら、その街頭検査でたまたま定期点検をやっていなかった車が見つかった。その定期点検の期日はもう七カ月も八カ月も過ぎておる。六カ月、十二カ月、十八カ月、二十四カ月で普通の車は車検を受けるわけでございますが、過ぎ去った時点で遡及してまで過料を科すことが一体できるのかどうなのか。そこを聞いておるのですよ。六カ月、十二カ月とやっていくわけでしょう。そうすると、街頭検査で十二カ月点検をやっていなかった。たまたま次の六カ月点検は、後で聞きますけれども非常に簡素化されてユーザー自身ができる程度のものだ、こういうことを聞いていますから、それは六カ月はやった。ところがその前の十二カ月はやっていなかった。街頭検査でひっかかったのは七カ月目、八カ月目に見つかった。君は七カ月前の十二カ月点検をやっていないじゃないか、こういう指導をなさるのでございますか。あるいはまたそういうケースのときに過料は科せられるものなのかどうなのか。そこら辺を聞いておるのですよ。
  55. 飯島篤

    飯島政府委員 さっきのような手続を経まして、定期点検整備を実施していないことが判明したとき、原則としてそれまでに実施していない定期点検のうち最も重いものを行う旨の指示を行うということになるわけでございます。  例を挙げますと、自家用乗用車において六カ月点検及び十二カ月点検をしていなかった。十四カ月目に街頭検査で定期点検整備を行っていないことが発見されたという場合は、十二カ月点検相当の点検を行って必要な整備をしてほしいということを指示することになるわけです。それから、以上の指示のほかに、次回の点検の時期を指示することとなるわけでございますが、原則として次回は定期点検整備が本来行われるべき時期に行うべき旨を指示する。たとえば先ほどのような場合には、次回は十八カ月目に六カ月点検を行うべきことを指示するということになるわけでございます。  また、定期点検整備をしていないことが十一カ月目で発見された場合、要するに次回の点検時期に近接した時点でわかったというような場合は、点検等の指示というものは制裁ではございませんで、あくまでも自主的な点検整備を行うべき旨の指導という性格を持っていることにかんがみまして、次回の定期点検整備をもあわせて実施すべき旨の指示をするということになり、自動車ユーザーに過重な負担をかけないよう配慮をしていくことになるわけでございます。
  56. 吉原米治

    ○吉原委員 やっていなかった、定期点検を怠っておったということで指示をされるわけでございますが、いまから先、十一カ月目にまだ十二カ月点検の日にちも来ていないのに、あなたは十二カ月点検をやりなさい、それは要らざることじゃないですか。そんなことができるのですか。やってなかったという過去の問題については、それは法律が通れば指摘をされるかもわからぬけれども、いまから先、一カ月、二カ月先、あなたは十二カ月へ来たら点検をしなさいよなんて要らざることだと思う。本来定期点検なんというものは、いまいみじくもおっしゃったように、ユーザーの安全のための予防措置なのでしょう。私はそういう行政指導は要らざることだと思うのですが、現実にそれをされるのでございますか。またいまの場合に、報告をしなかったら一体どっちに過料がかかるのですか。
  57. 宇野則義

    宇野政府委員 ただいま先生の御指摘は、もう一度繰り返しになりますが、六カ月点検を実施していない車が十一カ月目に街頭検査等で点検していないことがわかった場合は、局長はただいまの答弁で、もう十二カ月が来るからその十一カ月目に相当するときに、過去にやっていなかった六カ月点検をやりなさいと言うのが筋でございますけれども、そうしますと、そのすぐ一カ月後にまた十二カ月という時期が来るわけでございます。したがいまして、そこで十一カ月目に六カ月点検を実施して、十二カ月日にまた十二カ月点検を一カ月置いてやるというダブった作業は、むだな部分も出てくるであろうから、一カ月早いけれども、十二カ月点検をやればいいのではないか、こういう答弁になっておったわけでございます。で、六カ月点検と十二カ月点検内容が違います。したがいまして、十二カ月相当の時期に六カ月点検をやったからといって十二カ月点検を実施しないというのは、車の傷みぐあいからいたしまして、点検個所が違いますので、その十二カ月点検をやったことにはならないわけでございます。そういう趣旨でただいま自動車局長の方から答弁をされたわけでございます。
  58. 吉原米治

    ○吉原委員 どうもややこしい説明でございますが、六カ月点検をやらなくて十一カ月目に街頭検査でひっかかった。その場合に、六カ月点検をあなたはやっていないからやりなさいよ、これはこの法律が通れば当然そういうことになりますね。それはわかる。しかし、十二カ月点検をやれなんということは要らざることじゃないですか、こう言っておるわけです、いまの局長の答弁に対して。六カ月点検ユーザー自身がやれるような簡単なことだとおっしゃっているから、それはユーザーはやる。十二カ月点検は分解整備が必要な個所があるから、これはとてもユーザーの手に合わぬ。その結果を報告を怠ったという場合には、両方ともかかってくるのでございますか。もちろん十二カ月点検は指示をされたから、要らざることだと言いながら、期日が来たら本人はやった。それはやったからいいわけで、やらなかった六カ月点検に対して過料がかかるのですか、報告をしなかったら過料はかかるのですか。やらなかったというのは半年も前のことだ。半年前にやらなかったことに対して、遡及して過料は科せられるのですか、こう言っておるわけです。
  59. 飯島篤

    飯島政府委員 結論から言えば、遡及して過料を科すというようなことは考えられません。要するに、具体的に指示をして、その結果、どういう具体的な指示かによってそれに応じた点検をし、整備をする。そして記録簿に記載をし、報告をする。報告義務違反の段階で初めて過料の話が出てくるわけで、実務的には恐らく何回かそういう行政指導としての点検指示を繰り返すことに、その場合もなると思います。定期点検をやっていないということだけについて、さかのぼって過料が働くものではございません。たとえば、一番いい例で、車検を受けに来たというときに過去に定期点検をやっていなかった、六カ月点検とか十二カ月点検をやっていなかったという場合に同様のことが問題になるかと思いますが、そういうケースについてさかのぼって点検指示をするわけではございません。
  60. 吉原米治

    ○吉原委員 そうすると、街頭検査で定期点検をやっておるかどうかを検査して、過去のものについてはそれでは過料を科せないということですな。たまたま六カ月点検をやらなくて十一カ月目に街頭検査にひっかかった。未来に対してはそれは過料は科せられるかもわからぬが、過去についてはないということですな。
  61. 飯島篤

    飯島政府委員 おっしゃるとおりで、過去に定期点検をやっていなかったということについて過料制度が働くものではございませんので、繰り返しになりますが、あくまでも検査官が指示をして、それでその指示の具体的な内容に従って点検整備をし、最後の段階の報告、十五日以内にそれを実施して報告をする、報告義務違反の段階で初めて過料ということになるのです。
  62. 吉原米治

    ○吉原委員 それはわかるのだ。それはわかるのだが、まだ十二カ月も来ていないのに、十カ月や十一カ月で十二カ月したら点検しろよ、こんなことを言われぬでも、それは法律が通ればユーザーはわかる。親切で言ってくれるのでしょうけれども、その親切に対して報告しなかった、それで過料を科せられるのですか。過去は問わない、遡及してまでは言いません、そう言って街頭検査に立って調べた。たまたま過去の点検は、その人は車の調子がよくてその必要性を感ぜずにやらなかった。これから先やる。まだ日にちも来ていないのに、ただ一遍の忠告をして、それを十五日以内に報告しなければ過料を科すなんて、それはおかしいのではないですか。
  63. 飯島篤

    飯島政府委員 どうも説明が下手なのか申しわけないのですが、先ほどの十一カ月目のときにどういう指示をするかということでございますが、それはやっていなかった六カ月点検についてやはり指示をするということになるわけですが、十二カ月点検が直後にある時期であれば、負担軽減の観点から、ついでに十二カ月点検をやった方がいいと考えられるわけで、したがって指示の仕方もそういう指示の仕方になる、こういうことであります。(吉原委員「どっちに過料がかかる」と呼ぶ)どっちにとおっしゃられても、六カ月点検にしろ十二カ月点検にしろ、点検をしなかったことについて直接罰則がついておるわけではございませんので、具体的に指示するわけですね。その指示をして、指示どおりに点検整備をし、報告は十五日以内ということになるわけですが、それで記録簿に記載をして、それで報告もしなかったという段階で初めて過料の話が出てくるということでございまして、恐らくすぐに過料の手続をとるというのではなくて、報告がなければまたそこで点検の指示を繰り返す。極力行政指導、定期点検の励行を図るということがこの規定の趣旨でございますので、そういうことで運用してまいるということでございます。
  64. 吉原米治

    ○吉原委員 局長、それはおかしいね。過料というのはもちろん罰則なんだし、定期点検をやらなかった。発覚したのはその後ずっと何カ月もたってからだ。遡及してまではやらない。だからその場合に過料の対象になる。つまり報告をしなかった。その罰則の対象になるのは――期間の来てない、十二カ月の点検をそれ以前に街頭で注意された。注意されようとされまいと、十二カ月点検のときは当然やらなければならぬ問題でしょう。十二カ月点検の日にちがまだ来てないのだから、その忠告を受ける理由がない。それを過ぎてやらなかったら、初めて街頭検査で、おまえは十二カ月点検をやってないじゃないか、けしからぬじゃないか、早速整備して十五日以内に報告したまえ、こうなるのでしょう。まだ日にちも来てないのに、そんな忠告というのは意味ないと私は思うし、少なくともそれが過料の対象になるような事案でない。これは常識的に考えたっておかしいと思わぬですかな。
  65. 飯島篤

    飯島政府委員 具体的に省令にゆだねておりますので、まことに申しわけないのですが、現段階で完全にこういうふうに運用していくということはうまく説明できない点があるのはおわびいたしますが、先ほどの事例で、六カ月点検を十一カ月目にやっていないときは六カ月点検について実施することを指示することになるわけですが、その際に、自分でやれば別ですけれども、どうせ整備業者に頼むというような場合には、ついでに一月後に行われるだろう十二カ月点検のことを頭に置いて点検整備をすればいいのではないかということを申し上げたわけでありまして、指示自体はあくまでもやっていない定期点検について指示をするということになるわけです。
  66. 吉原米治

    ○吉原委員 私の質問は、どうせ昼に一時間休憩しますからまた午後からやりますが、いまの局長答弁は答弁されるたびにだんだんおかしくなってくるんで、それでは十二カ月が間もなく来るというのは十二カ月点検とあわせてやってもいいのですか、六カ月点検は。十二カ月点検というのは少なくとも六カ月点検より重整備ですな、分解整備してやるのですから。そうすると、軽い方の整備を怠って街頭検査で指導を受けたときには一カ月前。その直後にもう十二カ月点検が来ておるから、ひとつ十二カ月点検は忘れぬようにやりなさいよということでいいのではないですか。ちょっと時間がかかるから、昼からもう一遍その点を質問するから、局長答弁は、職員の皆さんいろいろアドバイスされておるようだけれども、よく内部できちんと見解を統一して、少なくとも法案を出しておるのはあなた方なんだから、自信を持って答えてもらわなければ困る。  しかし、その点は残して、昼からまた答えてもらいますが、その程度の街頭検査整備を徹底させるというのなら、私は現行法でも十分取り締まりができると思うのですよ。つまり道路運送車両法の五十四条の整備命令、これは保安基準に達していないということで出されるのでしょう。これはおそれのある場合も含めてですからね。安全を損なうおそれのある場合も含めてこの整備命令が出せる、そういう条項がちゃんと現行法にあるのだ。やろうと思えば、五十四条で幾らでも街頭検査なり街頭指導ができるのじゃないですか。なぜわざわざ新たに十万円の罰則規定を今回つけなければならぬ。しかも、この命令に反した場合は百八条によって六カ月以下の懲役または一万円以下の罰金になっている。十万円よりもはるかに重い罰則規定なんだ。懲役六カ月ですよ。さらには道交法の六十二条、整備不良車の走行禁止、こういう条項だってあるじゃないか。これに違反した場合は三カ月の懲役または三万円の罰金、百十九条。現行法律できちっと、車両の安全というものは街頭検査なり街頭指導にしてもやろうと思えばできるにもかかわらず、何でわざわざ十万円――本来ユーザーの自主的な判断といいますか、予防的な措置によってやるべき性格の定期点検なんです。六カ月、十二カ月などという期限を決めておるから窮屈ないまのような問題が起こるのであって、大体目安として六カ月ぐらいたったらちょっと一遍点検をしてもらいたい、点検個所はこことこことここだ、これはユーザーの皆さんでも幾らでもできることだからどうぞやってください。十二カ月点検は十二カ月を目途として、ちょっとブレーキの調子が悪くなったなと思ったら、ユーザー自身が整備工場へ行って点検してもらう、そういうものであるべきものなんです。それに義務づけをして、そしてさらに点検整備をして報告の義務まで課している。その報告の義務に違反したら過料を科せる。本来の定期点検の性格から大きく逸脱をしてくる。  これをずっと突き詰めて考えますと、国民負担の軽減だから新車に限り二年を三年に延ばしますと言っておるけれども、一つ負担軽減にならない。負担軽減にならないどころか、一年車検という制度になってしまう。だから、業界を心配されてやられた措置かどうか知らぬけれども、こんなものは私は潔く修正されても結構だし、削除されても結構だと思うのだが、こんな過料制度というのはまことにもって不可解千万な過料条項だ、こう言わざるを得ないわけでございます。  さて、六カ月点検がいま話題になっておりますが、六カ月点検は私の認識どおりユーザー自身で点検のできる範囲だと話としては聞いておるのですが、省令でつくる、こうおっしゃっておりますが、考え方を聞かしていただきたい。本当にユーザー自身で、分解しなくても、ハンマーで点検をするとか、あるいは目で見て確認をするとか、そういう程度のものなのかどうなのか、六カ月点検内容をちょっと説明してください。
  67. 飯島篤

    飯島政府委員 いま先生指摘のいろいろの点がございますが、順次お答えをいたします。  現在の車両法の五十四条あるいは道交法の六十二条があれば、定期点検整備の励行を確保できるのではないかというお話でございますが、これらの規定は、いずれも現実に危険が発生した場合にこれを除去する必要があるという前提で規定されているものでございます。これに対しまして、いまお話しをしている定期点検の励行という問題は、危険発生を予防するという制度としての定期点検を励行してもらいたいという趣旨の規定でございます。  なお、こういった強制をすると実質的に車検が一年ごとになるのではないかということでございますが、いま先生指摘になりましたように、六カ月点検については大幅な項目の簡素化を考えておりますし、各時期に応じて点検項目等が異なっておりますので、内容からいっても車検時の点検整備と六カ月あるいは十二カ月の点検整備とは相当異なるものでございます。  それから、六カ月点検項目の簡素化について具体的にどうなるかということでございますが、運輸技術審議会で方向を示していただいております。具体的には今後専門家を集めて検討するということになりますが、考え方といたしましては、信頼性の向上あるいは耐久性の向上したもの、それから日常の使用状態から判断できるもの、仕業点検、今回運行前点検というふうに名称を改めましたが、それにゆだねてもよいもの等について省略をできるのではないかということでございます。その結果、現在六カ月点検四十六項目ございますが、恐らく半分以下にはなるだろう。で、そうした簡素化後の自家用乗用車点検項目につきましては、自動車の構造、整備に関する技術的な知識を有するユーザーであれば実施できる項目になるというふうに考えております。
  68. 吉原米治

    ○吉原委員 局長、私はいささか自動車の問題については自負しておるんだ。だから、具体的にこことここと言って個所を言ったらいい。六カ月点検点検部位といいますか、少なくともユーザーが自分でできる範囲内で、しかも点検個所も従来の半分以下になるだろう、こうおっしゃるんなら、その個所を言っていただきたい。  それから、現行法でも、保安基準に到達をしてない、あるいは保安上危険が予知できるといいますか、そういうものに対して、五十四条で整備命令が出せることになっておる。しかも、罰則もついておる。いまあなた方の定期点検の過料をどうするかこうするかという論議の中で、そういう街頭検査なら現行法でも十分取り締まっていけるんじゃないか。やれると思うのですが、あなたはやれると思っていないのですか。二つ聞いておるのですよ。
  69. 宇野則義

    宇野政府委員 先ほどの自動車局長の答弁を補足させていただきます。  まずは六カ月点検の項目の見直しにつき、まして、運輸技術審議会答申で一応の物差し的な考え方が示されております。それは、まだ抽象的な言い方でございますが、まず信頼性、耐久性が向上した部位、部品等について、それから構造上機能低下が少ないもの、それから日常の使用状況から判断できるもの、それから現在の制度でございます仕業点検にゆだねてよいもの等が一応の物差しでございますが、そのほかにふぐあいの発生の偶発性のあるもの、それから、ふぐあいの結果が安全上及ぼす影響が大きいものについては引き続き点検が必要である、こういうふうに述べております。まだ具体的に最終的な項目数は選定が終わっておりませんけれども、二、三の例示で申し上げますと、ブレーキ関係で言いますとブレーキペダルの遊びぐあい、すなわち踏み込んだときの遊びと踏み込んだときの床板とのすき間、あるいはブレーキの効きぐあい、それからパーキングブレーキのレバーの引きしろの余裕、こういうような項目でございますが、先ほど言いました物差しに当てまして、こういう項目を、これまでのふぐあい個所の発生状況等を勘案しながら検討を進めておる段階でございます。  整備命令との関係でございますけれども、整備命令は、先ほども自動車局長お答え申し上げましたように、街頭等で道路運送車両保安基準に違反しているかどうかということが一つの物差しになるわけでございまして、そのおそれのあるものも含むわけでございますけれども、そういう具体的な事例を踏まえた上で整備命令というものを発することになるわけでございます。  それから、点検指示の方はそういうことではなくて、ユーザーの自主的な管理を遂行してもらうという観点から、定期点検を実施してないということに対して指示をしよう、こういう違いがあろうかと思います。
  70. 吉原米治

    ○吉原委員 定期点検は、やはり安全性というものを考慮しながら、点検の徹底をユーザーに親切に指導するのでしょう。つまり結果は、車の保安基準に到達するように整備をしておきなさいよということでございましょう。おそれのある場合だから、整備命令だって同じことでしょう。おそれのある場合だから、もちろんずばり違反しておる場合もその中には含まるわけですが、安全を損なうおそれのある場合にも整備命令を出せることになっておる。だから、何もこの罰則規定の新条項を盛らなくたって、車の安全性についての行政指導は現行法で十分やっていけます、私はそう思うが、自動車局長はそう思わないのかという質問をしておるのですよ。思うとか思わぬとか、どっちか答えてください。
  71. 飯島篤

    飯島政府委員 同じお答えになりますが、整備命令の方は、保安基準に適合しないまたは適合しなくなるおそれがあるという状態でございまして、おそれがある状態というのは、明らかに予見ができるという状態でございます。それから、街頭検査でそういった状態であるかどうかということを確認するには、技術的にというか、いろいろ制約がございますから、外観チェックが主体にならざるを得ない。一方、定期点検の方は、各時期に応じて点検整備が所要の項目について行われるわけでございますが、たとえば十二カ月点検であれば取り外して点検をし、所要の整備をするという部分がございます。したがいまして、定期点検で見なければならない項目、しなければならない点検というものは、それなりにまた別に重要な意味を持っておるわけでありまして、街頭検査の際に、すべて保安基準に適合しないあるいは適合しなくなるおそれがあるということだけで、予防的な定期点検整備の行政指導ができるというふうには考えていないのでございます。
  72. 吉原米治

    ○吉原委員 局長、どうもあなたの答弁は納得いかぬのですよ。保安基準にはっきり適合してないものを整備をしなさい、たとえばライトが片一方切れておる、昼間だから気がつかなかった、たまたま街頭検査でライトをつけてみなさいと言われてつけたら、片一方、片目になっておった、こういうはっきりしたことはいいのですよ、それは。整備命令で直しなさいと言う。ところがこれ、保安基準に達しないおそれのある場合ですからね。おそれのある場合ということはどういうことですか。だれがそれを見て、あなた、これは保安基準に到達しないおそれがあるからここは直しなさいと言うのですか。陸運事務所の職員がそれを言うのですか。ですから、もしそういうことだとするなら、定期点検をやっていなかった、あなたは定期点検をやっていないからやりなさいよと言うのと同じ趣旨じゃございませんか。だから、現行法で幾らでも街頭検査はできるし、整備の徹底、車の安全というものに対する行政指導は現行法で十分やっていけるのじゃないですか。こう言うのに、それはできませんといまお答えですか。できませんと言うのなら、それはまた現行法の理解の仕方が、私が間違っておるのか局長が間違っておるのか、どっちかだ。私が間違っておるとするなら、指摘をしてください。
  73. 宇野則義

    宇野政府委員 お答えいたします。  ただいま先生の御指摘整備不良によるところの整備命令につきましては、保安基準に違反している状態というのはこれははっきりすると思います。例示としてヘッドライトの球切れがあったというようなケースになろうかと思いますが、そのおそれのあるものというケースが非常にむずかしいわけでございます。具体的には陸運事務所の自動車検査官が指示することになるわけでございますけれども、たとえば車のチェックをした場合にブレーキホース等が、現在まだ破れてはいないけれども亀裂等が入って、もういつ破れるかわからないような状態にあるというような例が挙げられると思います。  したがいまして、整備命令は、現に車をチェックした場合にその時点で保安基準に違反している、あるいは保安基準に違反するおそれがあるという確認の上で命令を出すものでございます。  それから、先ほど来定期点検の指示の話が出ておりますけれども、定期点検につきましてはもうすでに御承知のように、危険の発生あるいは公害発生を未然に防止するという目的から定期点検という制度があるわけでございまして、その未然に防止するという定期点検を実施していなかったということから点検の指示というものが出てくることになるわけでございます。  繰り返して申し上げますと、整備命令は、現実に危険な状態にある車両に対して整備を命ずるという、危険の除去を直接の目的にするわけでございます。しかしながら、定期点検あるいは点検の指示というものは、その危険発生を未然に防止しようという観点から設けられた制度であると同時に、その定期点検を遵守していただくというために、街頭等で自動車検査官がチェックをした結果、定期点検を実施してないということがはっきりわかれば、その未然防止の観点から定期点検を実施するようにという指示をすることになるわけでございます。
  74. 吉原米治

    ○吉原委員 いま、定期点検と、五十四条でいう整備命令、これはいろいろ、さも趣旨は違うのでございますと、こういうお立場で、るる御説明がございましたが、それは、おっしゃることはわかっておるのです。わかっておるのだが、具体的に街頭検査に立って、ブレーキホースにちょっとこれ傷があるから直しておきなさいよ、危ないからなと言うのと、あなた、これ下回り見たら、ブレーキホースもかえてない、定期点検をやってないのだからこういうことになるんだ、定期点検をやりなさいと言うのと、少なくとも中身は一緒でしょう、これは。そこを僕は言っておるのです、中身は一緒だから、現行法でも十分この車の安全についての指導は、あるいは街頭検査はできるんじゃないですかと、このことを言っておるのです。おそれのある場合ですよ。おそれのある場合と、点検で未然防止をするというのと、街頭に立って分解して見るわけじゃないのだから、指導する場合には、少なくとも陸事の職員が来て、目で見て、これ見てみい、これは危険だから直しなさいよと言うのと、定期点検をやってないからこういうことで走っておるんだ、危ないから、あなた半年点検もしてないし、十二カ月点検もやってないし、中間の点検をやっておかないからこういうことになるんだから、点検をやりなさいよと言うのと、どこが違うのだ。内容も一緒なんでしょう、これ。少なくとも安全を未然に確保するというか、そういう意味では私は同趣旨のことであろうと、そう思うから、現行法で幾らでも指導はできるんじゃないですかとこう言っておるのです。現行法ではとてもできませんというのが私には理解いかぬものだから、しつこく質問しておるのです。何かありますか。
  75. 飯島篤

    飯島政府委員 何回も同じ御答弁になって申しわけないのですが、整備命令の方は、街頭検査でまずチェックをするわけですが、チェックするのには、何しろ街頭でございますから、外観とか簡単な機器でしかチェックできません。かつまた、具体的に保安基準に適合しなくなるおそれ、あるいは適合しない個所を具体的に指摘して命令を出すということになるわけです。一方、定期点検の方は、御案内のように六カ月、十二カ月、二十四カ月という時期に応じましてそれぞれ点検すべき項目が決められておるわけでございまして、特に十二カ月点検、二十四カ月点検については分解整備に該当する項目もあるわけでございますから、当該部位を取り外して、必要があれば所要の整備をする。また、チェックをした結果、これを一定の機器等を用いてチェックをしなければわからない部位もあるわけでありまして、中身が、定期点検の励行というものは、安全性を確保し、事故を予防するという観点からその励行が必要であることはるる申し上げてあるところでございまして、現在の整備命令制度があれば一般的に定期点検の励行の行政指導ができるというふうには考えられないのでございます。
  76. 吉原米治

    ○吉原委員 休憩をします。
  77. 越智伊平

    越智委員長 午後一時三十分より再開することとし、休憩いたします。     午後零時三十四分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十四分開議
  78. 越智伊平

    越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。吉原米治君。
  79. 吉原米治

    ○吉原委員 午前中、質問を留保した点について、運輸省側はまとめられたようでございますから、最初にそれから聞いていきましょう。
  80. 飯島篤

    飯島政府委員 お答えいたします。  点検の指示制度に関しましては、点検の指示と次回の時期の指示、この二つあるわけでございます。それで、まず指示の原則は、あくまでも怠った点検についての指示をするという原則でございます。怠っている点検のうち最も重いものを指示するということで、たとえば六カ月点検とその前の十二カ月点検とを怠っておれば、十二カ月点検の方を指示するということになります。それから、次回の点検の指示につきましては、本来の定期点検の周期に復するように配慮しながら指示をするということになります。  先ほどの、十一カ月目に六カ月点検を実施していないときは一体どうなのかということでございますが、法律的には、怠った六カ月点検を指示するということになるわけであります。     〔委員長退席、三枝委員長代理着席〕  ただ、ユーザーの任意で場合分けをいたしまして、その時期に十二カ月点検をやれば六カ月点検をやったものとみなしまして、次回の時期と点検内容配慮するということに相なります。
  81. 吉原米治

    ○吉原委員 午前中こんがらかったようなかっこうになりましたが、そのことはごくあたりまえの話だと僕は思うのですね。  ただ、いま、遡及してまではやらない、こういう話だったものだから、そうすると、過去に半年六カ月点検を怠っておった、十一カ月目にそれが街頭検査で発覚した、その場合に、あなたは六カ月点検をやっていないな、やりなさいよ、こう言われるわけでしょう。そのこと自体には過料は科せないけれども、報告の義務を怠ったら過料を科しますよ、こうなんでしょう。  そこで、いまの答弁の中であなたはまた余分なことをおっしゃったけれども、次回の点検の期日なんというものはそこでは何ら必要ないことなんでしょう。だから、午前中の答弁は、そこでまた次の機会の点検をやりなさいよ、こう言うとあなたおっしゃったから、それじゃ一体過料の対象になる案件というのはどっちになるのですかということになる。先のことを忠告しておいて、それを報告しなかったら過料の対象にするのか、おかしいじゃないか。しかも、遡及してやらぬとおっしゃっておるのに、遡及してそれを過料の対象にするというのもまたおかしな話。だから、過料の対象になるのはとちらてあって――第一、次回のことまで言うのは余分なことですからな。これは、そういう指示はしないならしない、あくまでも過去について指示するのでございますよと。ところが、過去の事案に対して過料を科すということが、現行の日本の国内法からいって一体なじむものなんでしょうかな。どうなんでしょうか。
  82. 飯島篤

    飯島政府委員 過去の定期点検を怠ったこと自体に罰則を科しているわけではなくて、過去に六カ月点検なら六カ月点検を怠っていたということが判明した時点で点検の指示をした、その指示に基づいて所要の点検整備をし、記録簿に記載をし、そして最後に報告をしなければならないという、その報告義務違反に過料という話でありますから、法制局の審議を十分経たものでございますので、法制的に妥当なものと考えております。
  83. 吉原米治

    ○吉原委員 法制局と相談をされたから合法的なものだ、こうおっしゃれば、それ以上のことは言えないわけでありますが、私は、これは少なくともおかしいと思うのですね。  ところで、そういう街頭検査では過料のかけ方といいますか、指示の仕方というのが非常に自然性を欠いた形に現場であらわれてくると私は思うのです。したがって、この法律ができ上がりますと、法律はもちろんひとり歩きするわけでございますから、街頭検査といってもなかなか、出先の陸運事務所の職員の数がそうたくさんいらっしゃるわけじゃない、毎日毎日というわけにもいかぬだろうし、年に一回やられれば上できだろうと思うのです。しかも、それも限られた場所で限られた回数ということになるわけでございます。私は、別にこの定期点検をやらなくていいというつもりで言っておるわけじゃないのですが、任意に基づくものであっていいと思っておりますから、もしそういう方が非常にたくさんおった場合に、法の平等といいますか、非常に偏った法の適用というものが行われるのじゃないかという気持ちがいたします。したがって、あくまでもこの過料制度は、私は本法案の改正案に盛り込むべきものではないということを重ねて申し上げて、次の質問に入りたいと思います。  新車に限って車検期間二年を三年に延ばした技術的な根拠をちょっとお答え願いたい。
  84. 宇野則義

    宇野政府委員 お答えいたします。  今回の運輸技術審議会答申の中で、自家用乗用車の新車の新規検査に際しての有効期間を二年から三年とすることが可能であるというふうに答申が出されておるわけでございますが、その理由といたしましては、自動車の部品、装置等の劣化状況調査をいたしたわけでございますが、その調査をした結果、車齢二年の新しい車につきましては保安上重要な部位に大きなふぐあい、不良個所が見受けられない、ですけれども車齢四年以降、これは二回目の車検になるわけでございますが、車齢四年以降のものについては保安上重要な部位のふぐあいが増加しているという結果が示されておるわけでございます。それから公害問題でございますが、排出ガスのアイドル濃度というものを測定した結果におきまして、車齢四年を超える自動車につきまして規制値を超えるものが見受けられる結果が示されておるわけでございます。したがいまして、そういうことで、古い車につきましてはかなりふぐあい個所がふえてきておるわけでございます。それで古い車は、先ほどちょっと申し上げましたけれども、二年目、四年目、六年目と年数がたつにつれまして重要部位のふぐあい個所の発生率が非常にふえてきておりますので、それをいまの二年から三年に延ばすのは危険であろうという結果になっております。  具体的にさらに追加して申し上げますと、一つは、現在の二年ピッチの車検時におきますところのふぐあい状況調査結果から、機械糸の故障率の発生傾向を求める方法といたしましてのワイブル解析法という方法を使いまして分析をした結果、第二回目の車検を二年から三年にするといたしますと、要整備個所発生率が非常に高まってまいります。さらに、その次も三年にするということになりますとさらに高まってまいりまして、現在の二年ピッチの検査の期間に対応いたします要整備個所発生率が大体二〇%から二五%ほど悪化をいたしてくるということが推定されたわけでございます。  それからもう一つ、排ガスの調査の結果から検査期間を延ばしたらどうなるかという推定をいたしますと、最初の三年につきましては、新車規制の平均規制値をオーバーすることなく排ガスの状態が維持できるということが推定されますし、さらに、その次の第二回目の検査期間を三年にしたらどうなるだろうかという推定をいたしますと、これは第二回目の有効期間を三年にいたしますと、車齢でいいますと六年までになるわけでございますけれども、その車齢六年時点では、先ほど言いました平均規制の値をオーバーするという結果が推定されるわけでございます。そういうことから、安全の問題それから公害対策といった両面を踏まえまして、新車に限り三年とするということで答申をいただいたわけでございます。
  85. 吉原米治

    ○吉原委員 そこで、この運技審答申の中身を見てみますと、定期交換部品耐久性向上が示唆してあるわけでございますが、その中で、この運技審の方では、具体的に強制劣化試験ですか、こういう試験もやっておられるようでございます。その結果、すべての部品とは言いがたいけれども、大体一年延長もしくはそれに相当する走行キロに匹敵する延長は不可能でないという指摘もあるわけでございます。したがって、新車に限って三年に延長可能だ。  ところが、新車で三年たったら車検を受けるわけでございますが、その車検時に取りかえる定期交換部品が、一年延長あるいはそれに相当する走行キロに匹敵するだけ期間を延長しても十分足りる、そういう見解が運技審から出ているということになりますと、何も新車に限ったことではないではないか。三年目に受けます車検は分解重整備をするわけでございますから、少なくとも重要部品は全部取りかえられるはずなんです。その取りかえる部品が一年延長は可能であるということであるなら、何も新車に限って三年ということにはならぬのじゃないか。私は、わが党もこの法案の趣旨どおり、新車に限って二年を三年にするということはやむを得ないかなと思っておるのですが、理屈の上からいって、新車に限ってなぜ三年に延長が可能で、それから以降は、私は五十年も百年も可能だとは言わないけれども、少なくとも二回、三回くらいまでは三年に延長でも技術的に言って可能ではないか。政府の方は、業界に与える影響も大きいことだから、とりあえず新車に限って二年を三年にしておこう、こういうことかもわかりませんけれども、それは私どもも理解しておるのですよ、いきなり全部三年にしろというのはいささか時期尚早だとは思っておりますが、とりあえず新車に限って二年を三年にするということならそれはそれなりに結構ですが、定期交換部品の質がよくなっておる、あるいは適当な試験をやった結果が一年延長しても可能だという見解がある限り、私は、新車に限らなくても継続車両でも三年にしていいんじゃないか、こう理解せざるを得ませんけれども、運輸省はどうお考えでございますか。
  86. 飯島篤

    飯島政府委員 非常に技術的な問題にわたりますればまた部長からお答えさせますが、自動車というのは数万点の部品から構成されていると言われております。その中で、通常の点検ではその後の保安を確保し得る期間を予測しにくいというものについて、標準的な交換時期をメーカーが示しているというのがいわゆる定期交換部品でございます。交換部品の項目はせいぜい十四、五項目、オイル、水で五項目というような状況でありまして、したがって、定期交換部品耐久性の向上だけで車検の期間あるいは定期点検の実施時期というものを判断するわけにはいかないわけでございます。現に、現在の交換部品でも、一年とか二年とか四年とか走行キロ、中には走行キロに応じてかえるというようなことをメーカーが勧めておるのでありまして、特に四年物については一年程度は延ばせても六年までは無理であろうという議論も出たわけでありまして、それら等を総合的に勘案しますと、新車初回三年程度が妥当であるという結論になったわけでございます。
  87. 吉原米治

    ○吉原委員 いやいや、私が言っておるのは、新車の場合はもちろん問題はないのでしょうけれども、いわゆる定期交換部品の中で、俗に言われておりますが純正部品とでもいいますか、そのメーカーの責任の持てる部品の場合には、私は、この新車三年終わって車検を受ける場合には、少なくとも純正部品を使ってやる限り運技審の答申の一年延長可能だ、こういう見解からいくと、新車に何もこだわる必要はないじゃないか、こう理解せざるを得ません。それも、先ほど言いましたように、十年も二十年もという考え方はもちろんございません。私も車を使ってよく承知をしているつもりですから、そんなやぼなことを言おうとは思いませんが、少なくとも部品の耐久性というものが高まっておるということになれば、新車後継続車両になっても私は三年に延長は理屈の上では可能だ、そう思いますが、いかがでございますか、こうお尋ねしておるわけでありまして、再度ひとつ、いやそれはもう二回目の検査からはそうはまいりませんという、私に納得のいく御答弁があればしていただきたいし、いまのような同じ答弁なら要りませんよ。
  88. 宇野則義

    宇野政府委員 お答えいたします。  定期交換部品調査をした結果、一部の部品について一年程度の延長は不可能ではないんではないかという推定がなされておるわけでございますが、自動車の全体から見ますと、車の傷みぐあいというのは、定期交換部品も含みますけれども、その他数多くのそれぞれの装置につきました部品の傷みが出てくるわけでございます。したがいまして、車の全体の傷みぐあいをいろんな調査をしてまいりましたら、先ほど申し上げましたように、最初の二年あるいはそれを三年まで延ばしたと推定された状態では、非常にふぐあいの発生状況が少ないというふうに推定をされるわけでございますが、四年目、六年目、八年目という時点での車の傷みぐあいの実績、結果から、それを検査期間三年という形で延長したと仮定いたしまして、重要部位の要整備個所発生率を推定いたしますと、先ほども申し上げましたように、かなり高い数字が出てくるわけでございます。そういうところから、新しい間の、新車の初回三年については可能であるけれども、それ以降の車については現行どおり二年のピッチで検査をするのが適当であるという結論を出したわけでございます。  車の傷みぐあいにつきましては、いろんなところで調査をしておりますが、最近の情報では、ドイツにおきまして、新しい車、古い車をいろんな調査をいたしました。その結果、新車の初回については、ドイツにおきましても一年程度延長が可能ではないかというふうな結果が出てきたようでございます。その際、次回以降の検査期間についてはやはり現状の二年という形が適当であろうという、ちょうど日本と同じような形の結論が出されるように承っておるところでございます。
  89. 吉原米治

    ○吉原委員 あなたの方は推定によって、それは可能であろう、可能でない、という判断をされておるようでございますが、いずれまたこれは、これから実績が出てくるわけでございますから、少なくとも重要な車検期間を二年を三年に延長するということですから、やはりきちっとしたデータの上に立って、いまのような推定論じゃなくて、確固たる根拠に立った車検の延長、少なくともその間に、あってはならぬことでございますが、政治的な配慮などはいささかもあってはならぬと思う。そういう点を特につけ加えておきたいと思います。  続いて、新しい法律百五条で、職権の委任の条項があるわけですね。この条項に、五十三条の二、つまり定期点検整備の指示、これに違反した場合には、報告の義務を怠った場合は云々とありますが、それをわざわざ加えてある。これは陸運局長でなくて、都道府県単位にあります陸事の職員に代行させようというお考えのようでございます。  そこで、私は、午前中の論議をまた蒸し返すようになりますけれども、少なくとも陸事の職員の数が少ない、そこへもって街頭に立つ機会の多い地方の警察官に、権限までは移譲しなくたって、警察官からの通報というものにだんだん波及していくのではないか。つまり陸事の職員に限りがありますから、一々街頭検査に立つわけにいかぬ。したがって警察官に、ほかの交通指導とあわせてこの点検をやらせる。その場合に定期点検記録簿の有無を調べさせる、あるいはまた定期点検をしていない車のナンバープレートを控えてそれを陸事に報告をさせる、通報させる、こういうことにだって、法律ができ上がってひとり歩きしていく段階では拡大されていくのじゃないか、私はこんな懸念を持つのですが、私の取り越し苦労でございますか、そんなことは全然考えておらないということですか、どうですか。
  90. 飯島篤

    飯島政府委員 街頭検査等において、定期点検整備記録簿の有無及びその記載内容その他の事項を確認し得るのは、陸運局長、そしていま先生指摘のとおり、権限委任によりまして実質的には検査官等の陸運事務所の職員のみが行えるわけであります。警察官が定期点検の有無を確認することはできないということで、御心配のような事態は生じないということでございます。
  91. 吉原米治

    ○吉原委員 いやいや、それは私も承知の上で言っておるのですよ。警察官に定期点検記録簿の内容なんかを確認させるということではなくて、定期点検記録簿も持っていないし、どうもウインドーに張ってあるステッカーを見ると、定期点検はこの人はずいぶん怠っておる。中身よりも陸運事務所にそのことを通報する。通報されたら、そのナンバーを控えて既製の印刷物に日にちなどを入れて、すっとはがきなどで該当者に連絡をする、こういうことにはならないのかという質問をしておるのです。そういうことは一切ないならないで結構ですから、お答え願いたい。
  92. 飯島篤

    飯島政府委員 そういうことは一切ございません。
  93. 吉原米治

    ○吉原委員 それからもう一つ検査官が、陸事の職員が整備工場へ直にほかの検査で入るというケースもあるだろうと思う。整備工場へ入って、定期点検記録簿を、今度保管の義務も二年になりましたか、ちょっと定期点検記録簿を持ってこい。ほかの検査で入って、そこで何の太郎兵衛が定期点検をやっておるかやっておらぬかという点を検査をする、その検査の結果本人に指示をするというふうなことも連想されるのですが、それも私の取り越し苦労でございますか、どうですか。
  94. 宇野則義

    宇野政府委員 ただいま先生整備工場の方に立入検査等をやった場合に、整備工場が保管しておる点検記録簿をチェックしてユーザーに指示をすることになるのではないか、こういう御質問だと思いますが、今回の法律にも関連いたしますけれども、整備工場で保管をしております点検記録簿は、ユーザーが持っております定期点検記録簿ではございませんで、分解整備記録簿を整備工場に保存の義務づけをいたしております。これが保存期間を一年から二年に延ばし、さらに記載内容等も改めようということで考えておるわけでございます。  本来、整備工場にこの分解整備記録簿を保存させておりますのは、その整備工場が実施いたしました車の整備内容等について、いわば責任のあり場所をはっきりするということが主なねらいでございまして、その次同じユーザーが来れば、ちょうど病院のカルテのような役割りをするということになろうかと思いますが、趣旨といたしましては、整備工場で行った整備にその工場が責任を持つという体制をはっきりさせるために残しておくことを義務づけておるわけでございます。したがいまして、ユーザーは特定の整備工場に限って整備に行く場合もございますけれども、ユーザーがどういう整備工場に車を持っていくかは、ユーザーの気持ち次第でございます。したがいまして、整備工場が保存しております分解整備記録簿は、必ずしもずっと車の一生にわたって保存されていることにはならないだろうと思います。したがいまして、結論でございますが、先生の御心配のようなことはそこでは確認できないのではないかというふうに考えております。
  95. 吉原米治

    ○吉原委員 私の単なる思い過ごしやら心配し過ぎであるなら、それはそれで私も安心しました。  そこで、大蔵省にお尋ねしたいのですが、車検二年が三年になりますと、重量税それから自賠責保険料、こういうものが値上げをされるのではないかとユーザーの皆さんは心配をしておるのです。まず、重量税の性格、どういう性格の重量税なのか、その点をちょっと説明してください。
  96. 新藤恒男

    ○新藤説明員 お答えいたします。  自動車重量税の性格でございますけれども、自動車重量税は御承知のように、昭和四十六年度の改正におきまして、自動車の走行が多くの社会的な費用をもたらすということ、それから道路その他の社会資本の充実の要請が強いということを考慮いたしまして、広く自動車使用者に負担をお願いするということで創設されたわけであります。  税の性格といたしましては、自動車車検を受け、または届け出を行うことによって走行が可能になるという法的な地位とかあるいは法的な利益とか、そういうものに着目いたしまして課税される一種の権利創設税ということで位置づけられておるわけでございまして、従来からこういう性格の税であるということで御説明申し上げておるわけでございます。
  97. 吉原米治

    ○吉原委員 道路を走る権利創設税ですか。通行手形のような性格のものだと私は理解をするのですが、そうなってまいりますと、従来から二年の車検期間中に一年で廃車をして車をかえるという場合には、また新たに重量税を取られる、そういうケースが繰り返されてきたのですが、今度の場合には三年になりますから、どうなんですか。従前どおりの重量税で、少なくとも道路を走る権利税ですから、それが二年になろうと三年になろうと、同じことじゃございませんか。値上げはされますか、されませんか。
  98. 新藤恒男

    ○新藤説明員 自動車の重量税につきましては、車検の際にお納めいただくということにしておるわけでございますけれども、現在のところ、一年のものにつきましてと二年のものにつきまして税率を異にしているわけでございます。走行する法的地位と先ほど申し上げましたけれども、そういう性格のものでございますから、そういう地位の存続期間が異なるということで、二年のものにつきましては一年のものの倍という税率が設定されているわけでございます。今後この法案が通りまして、二年のものが三年になるということになりますれば、その考え方から申しまして、二年のものは三年になりますれば二分の三倍になるというふうにする必要があるというふうに考えております。
  99. 吉原米治

    ○吉原委員 二年のものの三倍ですか。
  100. 新藤恒男

    ○新藤説明員 二年のものが三年になりますから、二年のものの一・五倍ということでございます。
  101. 吉原米治

    ○吉原委員 それなら計算が合うが、その方針はいつ税法の改正をされる気なんですか。今国会は出されませんか。次の国会では一・五倍の倍率で重量税を上げますということですか、それは。
  102. 新藤恒男

    ○新藤説明員 この車検に関します期間の延長の実施時期が五十八年の四月以降というふうに伺っておりますので、私どもといたしましては、税法関係改正は来年度改正の中で考えてまいりたいというふうに考えております。
  103. 吉原米治

    ○吉原委員 そうすると、自賠責はどうなりますか、自賠責の保険料は。
  104. 松田篤之

    ○松田説明員 自賠責保険につきましては、御承知のとおり車検とリンクをいたしまして、被害者救済ということを完全にするために全部の車両につけさせるという意味で、車検の時期に保険料を支払っていただくという制度をとっているわけでございます。この制度の根幹に変化がなければ、二年を三年にいたしますれば三年間にわたる保険料を徴収することになります。  その場合に保険料でございますが、保険料の金額といたしましては二年のものを単純に一・五倍するのではなくて、若干安くなると思います。これは、その間におきます金利計算をいたしまして、三年目のものが現在に戻せば幾らであるかということを金額をはじいて計算をするということが一つ。それからもう一つは、保険を募集する際に要します経費が一回で済む、三年ものでも二回分でも同じ部分で済む部分がございますので、いわば二年ものを三年ものにした場合に一・五倍よりも多少安い値段として設定されると思います。     〔三枝委員長代理退席、楢橋委員長代理着席〕
  105. 吉原米治

    ○吉原委員 最初お答え願った主税局の新藤さんですか、いまあなたの論法でいきますと、二年が三年になるのだから一・五倍いただいて結構だ。こうなりますと、逆に言うと三年になった、一年半で廃車をして買いかえるというふうなときには、一年半だから二分の一は還元をするということにならぬと理屈が合わぬのと違いますか。
  106. 新藤恒男

    ○新藤説明員 先ほど申し上げましたように、自動車重量税の性格ということでございますけれども、車検を受けます際にお納めいただいているわけでございますけれども、税理論上の説明といたしましては一種の権利創設税ということで、車検を受けますことによって走行が可能になるという、そういう地位、そういうものに着目して課税するという性格がございます。  したがいまして、一たん車検というものを受けますれば、その後の走行期間とかあるいは廃車になったというような事情とは離れまして、権利の創設という段階で課税しているものですから廃車の場合にもお返しいたさない、こういう性格で従来から申し上げておるわけでございます。
  107. 吉原米治

    ○吉原委員 値上げをするときには二年が三年になるのだから一・五倍、返すときにはそれは権利創設税だから、車検時に取ることになっておるのだからお返しするわけにいきません、これではどうも理屈が合わぬのですな。その考え方は、再考慮の余地はないのですか。あなたは、大蔵省の主税局の第二課長さん、これは大蔵大臣とその辺は相談なさっていらっしゃっての答弁ですか、あなたの個人判断ですかな。ちょっと答えてください。
  108. 新藤恒男

    ○新藤説明員 自動車重量税の性格につきましては、先ほど申し上げたとおりでございますけれども、この考え方は創設のときからとられている考え方でございます。そういう性格のものでございますから、基本的な性格にかかわる問題でございまして、この性格を変えるということにつきましては、基本的ないまの重量税法の性格なり仕組みというものを変えることになるということで、いまの自動車重量税の基本的な性格というものを、私どもとしては変えるわけにはまいらないというふうに考えております。
  109. 吉原米治

    ○吉原委員 ちょっとそこへ座っていてくださいよ。  どうも重量税の性格は変えるわけにはいかぬ。そうすると、従前でも二年の車検のときに、二年分――まあ、二年分と称するなら二年分を納めるわけですね。一年で廃車して買いかえる増合はもう一回また納めなければならぬ。     〔楢橋委員長代理退席、委員長着席〕 今日まで二重に払ってきておるのですよ。今度三年にするというのなら、いや、それは一年延びただけだから従前どおりの額で結構ですというのなら話はわかる。それは二年が三年になるのだから一・五倍もらいます。もらう方は、取る方のときにはそういう論法を使われる。今度は還元するのかと言ったら、いや、還元するときには、重量税の性格からいってそれは還元できません、こう言われたのでは、それはまことにあなた方の御都合のいい考え方ではございませんか。  これはまた根本に戻るけれども、少なくとも国民負担の軽減を図るために今度二年を三年に延ばそうという。これは中曽根長官が言い出したことなんだけれども、そういう意味からいけば、大臣も、国民負担軽減を図るために提案しております、こうおっしゃっておる。この精神は、この税金の重量税一つとらまえてみたって生きてきていない。大蔵省、もう一回、あなたが性格を変えると言うわけにいかぬだろうけれども、今度、次の国会に出されるというのなら、性格からいっても私の言うのは無理のない論法でしょう。そんな御都合的な徴税の方法というのは、昔の悪代官のやり口と一緒だね。もう一遍答えてください。
  110. 新藤恒男

    ○新藤説明員 どうも繰り返しになって恐縮でございますけれども、自動車重量税の性格ということから申しまして、これは期間に対応するという形で、自動車の保有とか使用とかいう形で税をお納めいただいているということでなくて、車検を受けることによって法的地位を獲得するというところに着目して課税されるという性格のものでございます。ただ、税率につきましては、その存続する期間、つまり法的な利益とか地位というものが存続する期間を勘案いたしまして、一年のものと二年のものとのバランスを図る必要があるだろうということで、現在におきましては一年のものの二倍の税率になっているわけでございます。こういうことで、それが三年になりますればやはり二年のものとのバランスを考える必要があるということで、税率は二分の三倍にする必要があるということになるわけでございまして、いまの性格、それから法的な地位と申し上げておりますけれども、やや税理論的で恐縮でございますけれども、そういうものの存続期間についてのバランスを図る、課税の権衡を図るということで、先ほど申し上げましたような考え方をとっているわけでございます。
  111. 吉原米治

    ○吉原委員 次の国会へ税法の改正を出されるようでございますから、まだ時間的な余裕があるのです。少なくとも一年ものと二年ものとの差をつけておる。しかし、私が言っておるのは、その差は一年と二年だから差をつけた、こうおっしゃるのは理解がいく。ところが同じ二年ものであっても二度も重量税を払うようなケースがあるから矛盾しておるじゃありませんか。有効期間中に車種を変えるという場合には二度払わなければならぬでしょう。そういう矛盾があるから、今回三年にすると言いながら、それは新車の一回限りですからね、いまのところ。一・五倍にするとおっしゃるなら、逆に言う、その有効期間中に車を買いかえるというふうな場合には、それはもう二度払ってもらうことになるわけですから半分はお返しします、こうでなければ理屈が合わぬ。ですから、次の法案を出されるまでに内部でいまのような論議を検討していただけますか。
  112. 新藤恒男

    ○新藤説明員 自動車重量税の創設の際にいろいろ議論がございまして、現在自動車につきましてはいろいろな形での課税があるわけでございますけれども、その中で、自動車重量税につきましての性格としてはこういうことが最も正しいということで仕組まれた性格でございます。そういう観点から申しますと、基本的な性格ということでございますから、私どもといたしましてはいまの重量税を前提とする限りは、こういう性格というものを変えることは、先ほども申しましたけれども、いまの重量税の基本的な性格あるいは基本的な仕組み、そういうものを変えることになるということで、大変むずかしい問題であるというふうに考えております。(吉原委員「検討してもらえるのかどうか」と呼ぶ)  検討はいたしますけれども、基本的な問題でございますので、対応がむずかしいというふうに考えます。
  113. 吉原米治

    ○吉原委員 性格を変えるわけにいかぬということでございますから、これは主管の委員会の方でまたやってもらうことにしまして、大臣、午前中から聞いていただいておりますように、税金は高く取られる。三年に延長になって、そして半年点検、一年点検という定期点検をやらずに、しかも報告の義務を怠ったら過料を科しますというから勢い強制点検、私は一年車検などとこう言っておるわけだ。ですから、ユーザーの立場の負担軽減配慮を一体どこでされておるのでございますか。二年が三年になってユーザーの方が経費分負担減になったということは、どこを探してもいささかも出てこない。(「負担増だ」と呼ぶ者あり)これは臨調答申からいきましても、あるいは運技審でも、ユーザー負担軽減配慮しながらという表現を使ってある。出てきた法律負担軽減どころではない。いま不規則発言があったように、負担増なんだ。こういう法律は私は適当でないと思います。わが党も車検対策特別委員会の中でいろいろ論議をして、少なくとも新車二年を三年にするということだけは一致しておるのです。過料を十万円取るという過料の条項をせめて削除していだたきたいと私は思うのですが、大臣のお考え方をひとつ聞かしていただきたい。
  114. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたが、この法案につきましては特に過料の問題がございます。ただいままで自動車局長からいろいろと御答弁申し上げておりますが、この過料の性格というものは、要するに報告義務を励行するといいますか、自主的にユーザー検査をやってもらうということをねらうのが主眼でございまして、過料を取るということ自体はそれほど重要な意義を持たないというふうに解釈をしておるわけでございます。したがいまして、この過料問題につきましては、ユーザーがそれぞれの時期における点検を正確にやってもらえばそれでよろしいのでございますから、われわれといたしましては、過料をかけるということよりも、いま申し上げたような趣旨が通ればいいというふうに考えて御提案申し上げているところでございます。  第二点でございますが、車検を新車に限って二年を三年にするということ自体の問題は、二年目に受けるより三年目に受けた方が手数が省けていいじゃないかという程度のことではなかろうかと思うのでございます。しかし、これに付随して、先ほども御質問がございましたが、重量税の問題あるいは自賠責の問題等が果たしてどこまでよく煮詰まっての御提案かということを、最初に私が聞いたときに大変疑問に思ったのでありますが、それぞれ担当の部局でいろいろと話し合って決まったことであるというようなことでございます。したがいまして、ユーザーの負担の軽減ということはどこにあるのかというお話でございますが、どれほど負担が軽減するであろうかという予測をいろいろいたしまして、この法案の準備のときには十分その審議をいたしたわけでございます。御必要ならば、われわれの計算しました数値を申し上げて、この程度の軽減になるであろうということは申し上げることができると思うのでございます。
  115. 吉原米治

    ○吉原委員 私の選挙区の整備工場に飛び込んで、業者の意見も直接いろいろ聞いてきておるのでございますが、二年が三年になるんだから少なくとも一・五倍、いまの大蔵省の重量税の論法と同じなんです、整備工場も需要減になるから、二年目よりも三年目になったら一・五倍の整備手数料をもらわなければできません、こう言っておるのです。そうなってまいりますと、いま大臣いみじくもおっしゃったんだが、ユーザーとしては、新車のときに限り二年が三年になって単に手数が一年延びただけのことなんです。そろばん勘定からいけば一つもプラスにならない。プラスになるどころか、むしろよけい納めなければならぬ。  しかも過料を取るのが目的じゃない、自主的に定期点検をやってもらえばそれで済む話だから、こうおっしゃいますが、今度は自主的に判断しようとすまいと、ある意味では強制されるわけです。この過料を何とか払うまいとすればどうしても定期点検を受けなければならぬ、精神的なプレッシャーが非常にかかってくるから勢い義務づけられてくる、強制的なものになってくる。だから、二年車検が三年車検になるんじゃなくて、逆に一年車検につながる法律だ。ほかの条文はいいんですけれども、少なくとも過料を科すというこの条項だけは何としても削除してもらわなければ、国民負担軽減になるあるいはユーザー負担軽減を目指した法律だとは言えないわけです。  そういう意味で、また後ほど同僚議員も質問すると思いますが、本法案については、少なくともペナルティー条項はぜひ削除してもらうように強く要請をして、私の質問をとりあえず終わります。どうもありがとうございました。
  116. 越智伊平

    越智委員長 草野威君。
  117. 草野威

    ○草野委員 ただいままで道路運送車両法改正問題につきましてさまざまな議論があったわけでございますけれども、ただいままでの議論を伺っておりまして感ずることは、今回の車両法改正は一体だれのための車検制度なのか、何のための車検制度なのか、こういう感を深くしたわけでございます。  考えてみますと、道路運送車両法の現行法はたしか昭和二十六年に制定されたものと聞いておりますけれども、昭和二十六年といいますと、終戦直後で国産の乗用車といっても、それはもう大変お粗末なものだったわけでございます。その当時のドライバーというのはほとんどが外車にあこがれていた時代ではなかろうかと思います。あれから三十年たちまして、車社会は大きな変化を遂げてまいりました。昨年の生産台数を見ましても千百十八万台ということで、アメリカを抜いてついに世界第一位になる。ドライバーの数も四千五百万人ということで、男性十人のうち七名は免許を所持している、女性も同じく十名中三名は免許を持っておる。このように車社会は大きく変わってまいりましたし、さらにまた車の性能も三十年前では想像できないほど大変な飛躍をしているわけでございます。こういうような環境の中で相も変わらないのはこの車検制度だけである、このように思えてならないわけでございます。  十年一日という言葉がありますけれども、三十年一日という言葉はいまだかって聞いたことはございません。今回、三十年ぶりにこの車検制度の改正が行われようとしているわけでございますけれども、今回の改正は一体だれのための車検制度なのか、何のための車検なのか、やはり原点に返ってもう一回真剣に考えてみなければならない重要な問題でなかろうかと私は思います。そこで、冒頭に大臣にこの問題について御所見を承りたいと思います。
  118. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 ただいま委員の御指摘のとおりのことだと思うのであります。確かに三十年前の情勢に比べて、現在の日本のと申しますか、自動車性能は飛躍的に向上していることも事実でございます。また、その使用者の数も圧倒的にふえていることも事実でございます。こうした時期において車検というものが一応見直される、そういうような必要性は私は当然のことだというふうに考えております。  しかし、一方におきまして、これだけ車の台数がふえ、また国民の四千万の人々が車を所有するというような事態の中にありますと、車が走ることによって起こる公害とか、あるいはまた安全の面につきましても、私はいろいろな影響を社会に与えていると思うのでございまして、われわれとしましては、もちろんユーザーの方々の便宜ということも一つの大きな視点として考えなければなりませんが、同時にまた、これほど社会の中に深く大きく拡大しております現在の自動車交通そのものに対しての公害の問題、特に私は公害の問題が重要だと思うのであります。それとともに安全の問題、この二つをないがしろにしてはいけないというところに力点を置いたつもりでございます。  しかし、また同時に、世界じゅうの他の国々のいわゆる車検制度につきましても、運輸省において十分調査をいたしたところでございますが、こうした先ほど来申し上げておりまする車の安全性並びに特に公害問題につきましての技術的な検討というものを過去一年半にわたって行ったと聞いておるわけでございます。そうしたような問題から類推され、しかも帰結されるものを今回の法案として皆様方に御審議を賜りたい、こう御提案を申し上げている次第でございまして、これを全般的に申すならば、日本社会一つの秩序維持のために、車というものの持つ特性、そしてまた車の持つ、ある場合における社会的な悪影響、同時にそれを所有するユーザー、こうした三つの面についてのそれぞれの気配りをいたしておるつもりでございます。
  119. 草野威

    ○草野委員 いまいろいろと大臣から御答弁いただきましたけれども、このたびの臨調の答申に一〇〇%こたえているかどうか、こういう観点から見ると必ずしもそうではないのじゃないか、こういう気がしてならないわけでございます。それはやはり昨年の臨調の答申の中で、定期検査のことにつきましてはユーザーの自覚と責任において行うべきである、このように姿勢を明確に臨調は示しているわけですね。しかも、その後行われました運技審の答申の中においても、罰則条項というものが入っていない。したがって、今回この改正案に新しく罰則条項を設けるということは、臨調が指摘しているように国民負担の軽減、こういうような内容からいけばその趣旨に反しているのではないか。これはどう見てもこのように見ざるを得ないわけですね。  したがって、もう一度お伺いしたいと思うのですけれども、臨調の土光会長も、自分が答申した事実と違う、このようにはっきり断言もされていらっしゃるわけでございますけれども、この問題について、答申とは違う、また、その行革の趣旨に逆行する、こういうようなことも言われている中で、大臣はこの言葉をどのようにお受けとめになっているか。また、昨日も鈴木総理の発言でございますけれども、行財政改革には政府・自民党が一体となって実現に全力を挙げるという決意を表明されていらしゃいますけれども、やはり総理の決意にももとってくるんじゃないか、こういうような感じもするわけでございますけれども、いかがでしょうか。
  120. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 端的に申し上げますと、私、運輸省といたしましての今度の法改正の趣旨は、臨調の主張に少しも違背しているものとは思っておりません。ただ、最後にお述べになりました点について、鈴木総理も臨調の答申というものを大変気にしていることは事実でございます。また、私からもこの問題については総理に一、二度……。問題は、確かにユーザーのためにこうしたうるさい車検制度というものを簡素化するというのは主張としてよくわかるのだけれども、一方において、先ほど来申し上げております公害対策とか、あるいはまた安全性の確保ということにつきましては、この基準が法律的にきわめて厳格である。特に日本公害対策は世界で類のないほど厳格なものだと私は思っております。このような一方、公害とか安全に対しての大きなルールがすでに決まっておりますので、これとユーザーの便宜ということをはかった場合には、どうしてもそこにおのずから一つのお互いに譲り合わなければならぬ点がある。特にこれはきわめてはっきり申し上げれば、運輸省といたしましては、技術的な問題において譲れない点があるわけでございます。  したがいまして、その点について間違いのないような指導を行わなければならぬというところに今回の法案の基礎を置いておるということを御理解いただきたいと思っております。
  121. 草野威

    ○草野委員 では、当局の方に伺いたいと思いますけれども、車検改正案が今度出されましてこれが実現いたしますと、ユーザー初め各業界にいろいろな影響が出てくることは当然だろうと思います。その影響について何点かお尋ねをしたいと思います。  まず初めに、ユーザーに対する影響でございます。先ほどから議論されておりますように、ユーザーに対する負担を軽減する、こういうような内容が幾つか出ておりますけれども、具体的にその負担が軽減される内容について御説明をいただきたいと思います。
  122. 飯島篤

    飯島政府委員 今回の制度改正が、まずユーザーに対してどういう影響が出るかということでございますが、先ほどからるる申し述べているところでございますが、自家用乗用車の新車初回の検査の有効期間の延長、それから自家用乗用車の新車初回の六カ月点検の廃止、定期点検項目、特に六カ月点検については大幅に簡素化するということによりまして負担軽減がかなり図られる。これはうらはらで、整備業界の売り上げ減ということになってくるわけでございます。  マクロで見る場合と個々のユーザーの方について見る場合とあるわけでございますが、いま平均的に二車検目前に車をかえられるという方が多うございますので、仮に四年十カ月程度使用したときにどうなるかということでございます。  整備料金を例にとりますと、制度改正が行われない場合に比べまして八万二千円程度の軽減ということが一応試算されます。ただ、新車に初回の検査の有効期間が延長されますので、重量税は先ほどから話が出ておるようなことのようでございます。自賠責保険料金も、試算によれば、新車購入時に現行よりも約一・四倍ぐらいになるだろうという面はございます。  それから全体の負担軽減――その前に、ちょっと申し落としましたが、六カ月点検の事項の大幅簡素化ということ、そして技術的な知識があればユーザーでも実施できるということになりますので、ユーザー自身がいろいろ技術的に勉強されておやりになり得る道が開かれる、あるいは定期交換部品の延長を逐次メーカー側で努力をしてもらう、あるいはきちっと整備した車をみずから車検場へ持っていって検査を受けるということによる代行手数料の省略というようなメリットもあるかと思われます。  それから、ユーザー全体の負担軽減で一応予想される額でございます。これがまた、先ほど申し上げましたように整備売上高の減少額ということになるわけでありますが、一番大きな影響を受ける六十年度で約二千七百億円、七・一%減、制度改正実施後五年間の累計で約八千五百億円、四・四%減になる。これの前提といたしましては、現在のそれぞれの時期における整備料金の平均をとって、六カ月点検については半額程度になるというふうに前提を置いたものでございます。  整備業界については、いま申し上げたのが同時に整備業界の売上高の減少額ということになるかと思われます。  それから、メーカーにつきましては、技術面、販売面、いずれにおきましても、基本的にそう影響はないであろう。ただ、一時期に買い控え等の問題はあるかと思いますが、長期的には結局ユーザーはお買いになるわけでありますから、時期がずれるというだけのことではないか。部品の販売については、総部品売上高の一%程度整備売り上げの減少に伴う影響というふうに考えられます。  それから、特定給油所で従来から六カ月点検をやっておりますが、現在、項目は検討中でございますが、実情から申しますと、スタンドでやっております点検というのはいろいろ制約がありまして、実質的にかなり簡素化された形で実施されておるということから、簡素化後のスタンドの料金というのは整備事業ほどの影響は受けないのではないかと一応考えられます。
  123. 草野威

    ○草野委員 ユーザーに対する影響を伺ったところでございますけれども、整備業界それからメーカー、全部御答弁いただいたわけでございますが、このユーザーに対する問題について少し内容をお尋ねしたいと思うのです。  まず初めに、ただいまのお話の中で、ユーザーは約八万二千円軽減になる、こういう御説明でございました。確かに御説明のとおり八万二千円の問題、それから車検が三年に延びるとか、さまざまなメリットもあると思いますけれども、逆にまた負担増という面では、先ほど来お話がありました重量税だとか自賠責を車検時において一括していままでの一・四、五倍は払わなければならないという問題、それと、これも先ほどから問題になっている過料の問題でございますけれども、こういう両方てんびんにかけて考えますと、果たして今度の改正国民にとって負担が軽減されているのかどうかという問題については、必ずしもすぐ、負担軽減になっている、こういうふうにも言えない面もあるのじゃないかと思いますけれども、この点はいかがでしょうか。
  124. 飯島篤

    飯島政府委員 同じことを申し上げるわけでありますが、私どもは、先ほど申し上げた試算では、現在の整備料金の平均的なものを前提にいたしまして、新車の初回の六カ月点検がなくなる、あるいは六カ月の点検項目が大幅に簡素化されるということで、料金も半分ぐらいになるのではないかというような前提を置いていろいろ申し上げたわけであります。そのほかにも先ほど幾つかの点を申し述べたわけでありますが、負担増という点では、一時期の負担増ということではありますが、重量税と自賠責保険の問題があるわけであります。  ただ過料につきましては、もうるる申し上げておりますように、過料を取ることが目的の規定ではございませんで、点検の指示も、制裁というような性格のものではなくて、あくまでも定期点検の実施をしていただくというための行政指導を実効あらしめるための措置、実際の運用に当たりましても、何回か点検指示を繰り返すということになるでしょうし、点検を指示する場合についても今後いろいろ検討をする必要があるかと思います。  ただ、この規定はすべての車に適用があるものでありますし、巷間言われます暴走族とか白ダンプとかいうようなものについても適用があるものでありまして、社会的なといいますか、反社会性等についても留意しながら今後運用するということになると思いますので、過料がすぐユーザーの負担増になるというふうには私どもは考えていないのでございます。
  125. 草野威

    ○草野委員 過料の問題についてはまた後ほど伺いたいと思いますけれども、いまお話のありました中の車検制度が二年から三年に延びたという問題でございます。正直言って、いままでよりは確かに前進したと思いますけれども、これは一歩前進、このように評価することは私はできないと思います。言うならば、半歩前進程度にとどめておかなければならない程度の評価じゃないかと思います。  そこで一つ伺っておきたいことは、各国の自動車の寿命でございます。日本を含めて各国の自動車の平均寿命はいまどのくらいになっていますか。
  126. 宇野則義

    宇野政府委員 お答えいたします。  乗用車の平均寿命、これは残存率という言葉で数字をはじき出しておりますが、新車からずっと車を使いまして、残っている車が半分になるときの時点をつかまえて平均寿命と言っております。ちょっと古い数字になりますが、その平均寿命を五十四年度について申し上げますと、日本が八・六年、アメリカが十・三年、それから西ドイツが十・五年、こういうふうになっております。
  127. 草野威

    ○草野委員 日本が低いのはどういうわけでしょうか。
  128. 宇野則義

    宇野政府委員 直接的な理由は定かではございません。この平均寿命の推移を眺めてみますと、昭和五十年の時点で、日本の車の平均寿命は七・三年でございました。それが五十四年に八・六年ということで、一・三年だけ延びてきております。その間、西ドイツ、アメリカというのはほとんど横ばいで、若干、西ドイツが五十年の九・五年から五十四年の十・五年ということで、一年ほど延びておるという状態でございます。
  129. 草野威

    ○草野委員 的確な御答弁をいただけなかったわけでございますけれども、日本の車は、外国車両と比べて、性能の面また耐久力の面、いろいろな面で非常にすぐれていることは周知の事実でございます。しかし、実際に車の寿命を比較してみると、いま出た三つの国の間においてすら日本が一番低い。やはりそれはそれなりの何らかの理由があるのじゃないでしょうか。たとえば、現在の日本車検制度また定期点検制度は諸外国に比べて非常に厳しい、こういうことも理由の一つになっているのではないかと推察されます。  そこで、今回の改正で、十年を超えた車両については、今度は十一年を超えると一年ごとの車検、こういうような制度にされるわけでございますけれども、この十年とか十一年を超えた車両について、一年の車検期間ということではなくて、これも従来どおりの二年、こういうふうにすべきではないか。これは、省資源という面においても、また整備業界からも歓迎される事柄じゃないかと思います。十年過ぎた車の車検期間はやはり二年とすべきである、私はそのように思いますけれども、この点についての御見解を承りたいと思います。
  130. 飯島篤

    飯島政府委員 現在の制度でございますが、十年超えから一年に短縮ということでございまして、十年目にはまだ二年の有効期間があるということになるわけです。それを、新しい制度の改正の適用を受ける自家用乗用車については、今回十一年超えに改める。したがって、十一年のときは、二年有効期間を与えられますから、十三年目から一年になるということで、現在の、十年超えから短縮されるというような点についても、私どもいろいろ調査をいたしましたが、先ほどからるる申し上げておりますように、年数がたちますと、重要部位の痛みぐあいが非常に多くなっております。それから、車検時の不合格率も、十年を超える車については非常に高いということで、この程度改正にとどめるのが妥当であるという結論になったわけでございます。
  131. 草野威

    ○草野委員 これは、いまの御説明では少しおかしいと思うのですよ。十年を超えた車でも十一年を超えた車でもいいですけれども、やはりそのくらい長く車を使うという人は、非常に丁寧に使っている人だと思うのですね。これは、交通安全という面から見ても、省資源という面から見ても、私はすばらしいことだと思うのです。ですから、十年とか十一年を超えた車についても、一年なんということでなくて、やはり二年ごとの車検期間を与えて、そしてきちっと整備して使用していけば、少なくとも安全という問題に関する限りは、事故を起こすようなことはまずあるまい、私はこのように思うのですね。したがって、一年ということではなくて、今度の改正を機会にぜひともこれを二年にせよ、私はこのように要望したいと思います。  それから、次の問題として、六カ月点検の廃止の問題でございますけれども、これも一つお尋ねします。  主要先進諸国の車検制度の期間と定期点検整備制度、この二つについて、現在実施している内容を、簡単で結構ですから、説明してください。
  132. 宇野則義

    宇野政府委員 まず、欧米の検査制度実態についてお答えを申し上げます。  欧米、特にヨーロッパの先進国におきましては、まずほとんどの国が自動車検査を実施いたしております。そのうち、初回の検査の有効期間、これは二年、三年、四年、五年といった数字がございますが、大半は二年、三年のところに入っております。具体的に言いますと、スウェーデン、西ドイツ、イギリス、オーストリアといったようなところは二年もしくは三年のところに入っております。  特に、ヨーロッパの検査制度特徴といいますのは、二回目以降の検査の有効期間が短くなっておりまして、先ほど申し上げました国の例で具体的に申し上げますならば、スウェーデンは初回二年、二回目から一年ということになっております。西ドイツは現在の日本と同じでございまして、初回二年、二回目以降二年、それからイギリスは初回が三年でございますが、二回目以降は一年というふうになっております。オーストリーは初回が三年、二回目が二年で、三回目以降は一年、こういう形になっております。  それからアメリカにつきましては、御承知のように、連邦政府検査の実施をいたしておりませんで、各州ごとに検査を実施するという各州の権限になっております関係上、実施をしている州と実施をしていない州がございます。実施をしております州におきましても若干期間が違いますけれども、代表的なものといたしましては、オール一年という形で検査を実施いたしております。  なお、ただいま例に挙げませんでしたけれども、スペインが最近検査を実施するようになるようでございますが、これは初回が三年で、二回目以降が二年という予定のようでございます。  また一方、欧米以外のところでは実は両方がございます。アイルランド、サウジアラビアというようなところがこれから検査制度を導入しようといたしておりますし、ついせんだっても、私どもの海外技術援助の関係でフィリピンに検査制度の指導に参ったところでございます。なお、シンガポールはことしの一月から検査を実施するということになっております。  それから、次の御質問の定期点検の制度でございますけれども、定期点検の制度につきましては、私どもも方々調査をいたしましたけれども、世界的に、国の制度として実施しているところはないようでございます。
  133. 草野威

    ○草野委員 次に、点検項目の削減という問題について伺いたいと思います。  法改正されますと、今度、定期点検時において項目がかなり削減される、このような方針になっておりますけれども、これは具体的に方向が決まっておりますれば、何項目から何項目に削減されるのか、この内容についてお示しをいただきたいと思います。
  134. 宇野則義

    宇野政府委員 運輸技術審議会から定期点検の項目の簡素化を図る余地があるという答申をいただいております。この指摘を受けまして、私ども現在作業をしておる最中でございますが、まず最初に、六カ月点検につましては大幅の簡素化が可能であろうという結論になっております。その際、特に物差しとして考える指針が与えられております。それは、信頼性、耐久性の向上した部位については省略してもいいのではないか。それから、構造上機能の低下が少ないものについては簡素化できるであろう。それから、日常の使用状況から判断できるものについても定期点検に織り込まなくてもいいのではないか。それから仕業点検、これは今度法案では運行前点検ということになっておりますが、この仕業点検にゆだねてもよいものがあるのではないか。こういうことを踏まえまして、大幅に簡素化することが可能であろう。ただし、ふぐあいの発生の偶発性のある部位、予見ができにくい部位、それからふぐあいの結果が安全上及ぼす影響の大きいものについては、十分注意した上で検討し、引き続き点検をする必要があるのではないか、こういう物差しを与えられておるわけでございます。  その物差しに従って検討した結果、およそのところでございますが、六カ月点検は大幅に、大体半分以下になるのではなかろうかというふうに考えておりますし、十二カ月点検と二十四カ月点検については、まだかなりのふぐあい個所が出ております。そういう関係から、若干の簡素化が可能であろうという結論になっております。  六カ月点検の項目につきましては、ただいま言いましたように、およそ半分以下になるであろうという推定をしておりますが、どうしても残さざるを得ないような項目の例を二、三申し上げますならば、ブレーキの関係で、ブレーキの効きぐあい、ブレーキペダルの遊びあるいは床板とのすき間、それからパーキングブレーキレバーの引きしろの余裕といったようなものはやはり六カ月点検のときに改めてチェックをし直す必要があるだろう、こういうような例示を挙げて答申をいただいておるわけでございます。
  135. 草野威

    ○草野委員 六カ月点検などで自分で点検を行うことができる、こういうような内容になるわけでございますけれども、その場合の手引きとして手引書なるものが発行される予定だ、こういうふうになっておりますけれども、この手引書の内容といいますか、また自動車整備に対してどの程度の知識を持っている人を対象にした手引書なんでしょうか。
  136. 宇野則義

    宇野政府委員 今度の法案の中で、定期点検の実施を励行していただくためのユーザーの啓蒙の手段といたしまして、運輸大臣が手引書を作成して公表するという規定を織り込んでおるわけでございますが、いま申し上げましたように、運輸技術審議会答申におきまして、点検整備についてのユーザーの啓蒙を図り、ユーザー参加を推進するためにへその知識をわかりやすく説明した手引書のようなものを作成し広く公表する必要がある、こう言っておるわけでございます。したがいまして、これらを踏まえまして、法律の手引書の作成、公表ということを受けまして、まだ最終的には固まっておりませんけれども、一応こういうことを織り込むべきであろうということで検討しておりますのが、運行前点検、これは現状では仕業点検と言っておりますが、この運行前点検、それから定期点検の実施方法等をこの手引きに織り込むべきであろう、また点検の結果必要となる整備をどういうふうにしたらいいかという実施の方法、それから点検及び整備に関して必要な事項につきまして、ユーザーに対してわかりやすく説明した手引きを公表することといたしたいというふうに考えております。
  137. 草野威

    ○草野委員 次に、重量税それから自賠責の問題についてお尋ねしたいと思います。  先ほどからいろいろと議論されておりますけれども、一つは重量税の問題でございますが、途中で廃車した場合払い戻しはしない、還付しないというようなことでございます。この問題については来年度の税制改正において実施をするということでございますが、ともかく大ぜいのユーザーの要望も非常に強いわけでございますので、やはり廃車時にはこの重量税の還付ということについて十分検討されるようにひとつ要望しておきたいと思います。  そしてもう一点は、車検時に三年分をまとめて今度納めるということでございますけれども、これは分割して納付するという制度は検討できますか。
  138. 新藤恒男

    ○新藤説明員 最初の、途中で廃車した場合の問題ですけれども、先ほど御説明申し上げましたように、この重量税の性格というものが、車検を経ることによりまして走行可能になるという法的な地位とかあるいは利益というものに着目して課税するというものでございます。したがいまして、一たんそういう形での車検を経ることにより利益ができまする場合には、それ以後の問題につきまして、廃車されましてもお返しできない、こういう性格になっておるわけでございます。廃車の場合ですけれども、今度二年から三年になるということは新車についてでございますので、三年になることによって、特にこの廃車の場合の還付の要請というものが強くなるというふうには考えていないわけでございますけれども、いずれにいたしましても、この廃車の場合の還付ということは税の性格からいいましてなじまないというふうに考えております。  なお、途中で売却をした場合とか、その場合ですれば価格の中に織り込まれていくだろうと思いますし、売却の場合には廃車の必要はないということだと思います。それから事故等の場合に廃車を余儀なくされたような場合には、あるいは損害賠償というようなかうこうでの救済の道もあるというふうに考えたわけでございます。  それから、分割納付の問題でございますけれども、いまの徴税につきましては、車検を受けることによって、先ほど申しましたように、法的な利益ないしは地位を得るという性格のものとして位置づけられておりますので、その課税の趣旨、あるいは納税者にとりましてもその際にお払いいただくのが一番簡便である、それから徴税の機構の問題から申しましても一番簡便であるということで、最も合理的な方法として取り入れられたわけでございます。そういう形でございますので、これを分割納付にするということにつきましては、さまざまな問題が出てくる、徴税のための職員を大幅にふやさなければならないとか、あるいはいろいろと徴税漏れの問題も出てまいるということで公平の問題からも議論が出てくるということで、いまの分割納付ということは考えにくいというふうに考えております。
  139. 草野威

    ○草野委員 今回の法改正が、国民の負担の軽減というところにやはり大きな主眼が置かれているわけでございますので、大蔵省のこの重量税の問題だけが負担増という形にならざるを得ないわけですね。したがって、先ほどからいろいろと議論が出ておりますけれども、大蔵省の考えを伺っておりまして、これはやはり大蔵省の世界にだけ通る理屈であって、世間一般に通る理屈じゃないと思うのですね。したがって、この廃車時の還付の問題または分割納入の問題については、これから時間をかけてぜひともひとつ検討をしてください。これは要望いたします。  それから自賠責の問題でございますけれども、自賠責特会の最近の剰余金は幾らになっていますか。
  140. 飯島篤

    飯島政府委員 自賠責再保険特別会計の昭和五十五年度の決算を申し上げます。  自賠責保険は国が六割を再保険しておりますので、全体の自賠責保険の収支というのは民間の四割分を合わせたもので見ないと姿が浮かばないわけでございます。私どもの再保険特別会計の昭和五十五年度の決算では、歳入歳出決定計算書においては、保険勘定で約一兆一千三百億円の剰余金を生じておりますが、これは保険経理という特殊な分野における経理を歳入歳出決定計算書にあらわすという作業をいたしておるわけでありまして、一見、大変な利益が生じているように見えるわけでありますが、この剰余金の中には、すでに生じた事故に係る次年度以降の保険金支払いに充てます支払備金、二年もの以上の保険料収入のうち次年度以降の分として繰り越す必要がある未経過保険料等を含んでおるわけでございまして、いわゆる普通の保険収支の姿に直しますと、単年度では六百数十億の運用益を当てにしてようやくとんとんに近くなっているというのが収支の実態でございます。
  141. 草野威

    ○草野委員 利益が多いから少ないからという問題じゃないのですけれども、ともかく五十五年度の歳入から歳出を引いた額が一兆一千億と、五十五年度の利益を見ても四百数十億、こういうような利益が出ているわけですね。  そこで、自賠責も今回の法改正によりまして従来より約一・四倍になる、こういうような先ほどのお話でございました。重量税が一・五倍に比べると、自賠責の方は利息その他の関係で一・四倍ということで、これは若干良心的と言えば言えるわけでございますけれども、毎年これだけの剰余金も出ている中で、今回の法改正において一挙に一・四倍ということではなくて、やはりこれは一種の商売ですから、割引制度ということもここで検討してもいいのではないか、また分割制度ということも検討してもいいのではないか、このように思いますけれども、いかがでしょうか。
  142. 飯島篤

    飯島政府委員 さっきと同じことを申し上げて恐縮ですが、いわゆる損益計算書あるいはバランスシートという形にした場合の保険勘定の姿で保険の収支というのは判断しなければならないわけでございますが、それによりますれば、とてもいま申し上げたような利益は出ておらないわけでございまして、五十五年度の決算で、保険勘定で四百二十八億、五十六年度の決算見込みで七十九億程度ということを申し上げた上で、いまの御質問お答えいたしたいと思います。  まず、分納の問題でございますが、確かに車検制度と自賠責保険制度とはリンクをいたしておるわけでございますが、そもそも自賠責保険と申しますのは、ユーザー交通事故を引き起こした場合の損害賠償資力を確保するという、ユーザー自身のためでもございますが、究極は自動車事故被害者の救済を図るという非常に社会保障的な保険制度でございます。したがいまして、無保険車を防止するということは非常に重要なことでございます。ところが、原動機つき自転車は車検にリンクをしておりませんが、五十五年度末で付保率が八〇%、多数の無保険車が発生しており、この対策に苦慮をしているところでございます。いろいろ手を打っているわけでございますが、そういうことになりかねないということで、保険制度の趣旨からいいまして非常に問題があるということで、分納は残念ながら、制度の趣旨に照らして妥当ではないというふうに考えております。  それから割引云々のお話でございますが、先ほど大蔵省の方から答弁があったと思いますが、三年ものの保険を設定する必要があるわけであります。この保険料は、大蔵大臣が自賠責審議会にかけまして認可をするということになるわけでありまして、私どもの方は、その際協議を受けるという仕組みになっておりますので、正式に私の方でお答えする立場にはないわけでございますが、一応試算をしたところによりますと、一・四倍ぐらいであろう。その前提として、二年ものに比べ三年ものは、一年分の金利を見る、それから事務費で変動費、固定費に分けまして削れるものは削るという作業をして料率を推定すると、一・四倍ぐらいになるだろうということでございます。
  143. 草野威

    ○草野委員 時間もあとわずかになりましたので、最後に過料制度の問題について伺いたいと思います。  初めに、この過料制度で問題になった定期点検制度につきまして、先ほどのお話では、定期点検整備という制度は諸外国には全然例がない、日本独特の制度である、こういうようなお話でございますけれども、なぜわが国の場合は定期点検整備をやらなければならないのか、まず、その必要性といいますか、定期点検整備の制度の趣旨を簡単にひとつ説明してください。
  144. 飯島篤

    飯島政府委員 車の安全性ないしは公害対策上、定期点検整備というものは非常に重要であるということは先ほどからるる話が出ているわけでございます。かつ、ユーザー自身が自己の責任において保守管理を適確に行うということが大前提でございます。ただ、外国との関係で申しますと、長い期間をかけて緩やかに車が増加して生活に溶け込んでいったという欧米諸国と異なりまして、三十年代、特に四十年代からわが国においては短期間に急激に車社会ができたということから、その辺の道徳律というものが果たして諸外国のように成熟しているかどうかという問題があるのではないか。したがいまして、定期点検の法定義務化はたしか三十七年であったと思いますが、事故も急増して安全対策の強化が叫ばれた時点に法定化されたということでございます。それ以後、御案内のように公害問題が社会問題になりまして、現在に至っているわけであります。定期点検整備の重要性は、運輸技術審議会でも指摘しているように、決して従来よりも低くなるということはない、むしろ十二カ月点検などは非常に重要であるという指摘も受けたところでございます。なお、よく保険との関係が議論になりますが、ある国におきましては車両保険とメーカーの推奨する定期点検とがリンクしている国もございます。
  145. 草野威

    ○草野委員 いまおっしゃった趣旨は理解できるのですね。理解できるのですけれども、なぜその過料制度をわざわざ今回導入したか、この辺のところの説明がないわけでございますけれども、ここら辺のところをひとつはっきりおっしゃってください。
  146. 飯島篤

    飯島政府委員 いま申し上げましたように、定期点検の励行の重要性というのはお認めいただいたかと思いますが、実は運輸技術審議会の今回の答申の中で、励行策として三つ指摘指摘といいますか例示を挙げております。  一つは、定期点検記録簿の充実でございます。これについては、法律の中に取り入れてございます。第二が、定期点検標章の制度化でございます。これについては、国で法律で制度化するということになりますれば、直ちに貼付をしていない場合の罰則とか本体の定期点検義務違反にも罰則をつけるべきであるという法制技術的な議論につながってまいりますので、これは現在の定期点検励行のための促進運動にゆだねる方が妥当であろう。次に、街頭検査の強化という御指摘があったわけでありますが、現行法では定期点検の励行について有効な手段がないのでございます。  したがいまして、今回定期点検の重要性を指摘されたことにかんがみまして、私どもは実効のある行政指導ができる方策はないかということでいろいろ検討いたした結果、街頭検査等で陸運事務所の職員が記録簿を拝見して、定期点検を実施していないことが判明したときに点検の指示をする制度を導入したのであります。あくまでも本体の定期点検義務違反あるいは記録簿記載義務違反等には罰則をつけずに、励行を指導するという観点から、点検の指示をしてそれで記録簿に記載、それから点検をした結果、した整備について十五日以内に報告をしてもらう、報告義務違反があった場合に過料という手続になるわけでありますが、この規定の性格上、あくまでも制裁的なものではありませんで、行政指導の実効を期するということでございますので、実際問題としては、過料の手続をとるケースは少ないものと考えております。
  147. 草野威

    ○草野委員 いろいろお話がございましたけれども、要は現在五〇%、六〇%と言われている定期点検の実施率を引き上げようというのがねらいですね。それははっきりしているわけです。しかし、このことに関して国民の間からもいろいろ言われておりますし、またマスコミ等もいろいろな論評をしております。  これは一つの例でございますけれども、新聞の報道において、こういうことが書かれておるということをここで申し上げたいと思います。これについての御意見をひとつ聞かしてください。「業界は新車車検延長の見返りとして、定期点検整備の強化による売上げ増を狙って、定期点検の“罰則規定”を自民党運輸族や天下りで結びつきの強い運輸省に強く働きかけてきた。これを昨年末、旗揚げした自動車整備議員連盟がバックアップ。運輸省は「法定点検の実施率を高める方策」を口実に、点検報告制度と、これを怠った場合の罰則規定を導入した。」マスコミはこういうような論評をしているわけですね。これに対して率直な御意見をひとつ聞かしてください。
  148. 飯島篤

    飯島政府委員 私どもは、先ほどからるる御説明してあるとおりの考え方で制度化を考えたものでございまして、確かに実施率が高まれば整備業界にいい影響があるという分析の仕方もあるいはあるかもしれませんが、本来法定されている義務の履行を確保するということを考えたものであって、私どもは決して整備事業の売上高の増を直接考えたわけではございません。また、党あるいは議員連盟云々というようなお話がございましたが、具体的にその圧力があったという事実はございません。
  149. 草野威

    ○草野委員 自動車局長がこういうことについては否定をされたわけでございますけれども、先ほども昼休みに雑誌を読んでおりましたら、こういう記事が出ております。これもひとつ御紹介したいと思いますけれども、これはある代議士の話として報道されております。   聞くところによれば、業界は一業者五千円の負担で、すでに三億五千万円を集めたそうです。その金を運動資金としたか、あるいは政治献金としたかはまだよくわかっていないが、議員連盟に流れたことだけは確かです。   金の力で車検期間延長をくい止めてもらう、それがダメなら、それに見合う見返りをくれ、というのが狙いです。   その結果が、過料という形ででてきたわけですよ。 こういう記事が報道されております。私自身もこれを確認したわけではありませんので、何とも言うことはできませんけれども、しかし、もしこういうことが事実とすれば、こういう時期にこういう政治献金が動いたということであれば、このように金で法律を買った、政治を買ったと言われても、これは申し開きができないことだと思うのです。  また、私どもが仄聞したところによりますと、約半年ほど前からこういう動きがあるということも聞いておりますけれども、社団法人の日本自動車整備振興会連合会、この政治団体である日本自動車整備政治連盟、ここから自動車整備議員連盟に対して政治献金が現在行われている。この内容については、各県の振興会に対して割り当てをしている。これは整備登録台数によって割り当てをしているそうでございますけれども、目標は全部で一億九千万円、これを五十六年度から五十八年度まで三年間にわたって金を集めて、そしてその自動車整備議員連盟に政治献金をする、こういう話を仄聞したこともございますけれども、こういうことが事実だとすれば、いま新聞に報道されているように、今回の法改正自動車整備業界に対する法改正、こういうことになって、四千万、四千五百万と言われるユーザーにとっては余り好ましいことではないと思うのです。もしこういうことが事実だとすれば、これはやはり一つの問題になると思いますけれども、この点についてはひとつ大臣から、こういう問題についてあなたのお考えを最後に聞かしてください。
  150. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 ただいま委員がお読み上げになりましたことについては、私は全く存じません。知らないことでございます。また、そんなことがあるとも思っておりません。  ただ、われわれが今度の問題をいろいろ考えたときに、確かにユーザーの便宜ということも非常に大事なことであるし、またユーザー車検が一年延びるということについて一つの大きな期待を持ったことも事実だろうと思います。  しかし、また逆に、この自動車整備業というものは、今日までの法律のもとでありましたいろいろな車検制度の中で、約四十五万人の人が働いておるということも事実なんでございまして、こうした方々が今度の車検の延長ということについて、先ほども自動車局長から申し上げましたが、約二千七百億円というような相当の整備費の削減があるのではないかということについて非常に心配しておられることも事実だと思うのであります。やはり私は、一つの行政を運営する立場から申しますと、一方においてユーザーの便宜ということも十分配慮しなければなりません。また、先ほど申し上げたような公害だとかあるいは安全という問題について配慮しなければならない。また同時に、今日までの行政制度の中においての、それで生活をしている人々の立場というものも、一挙にここで非常な不安に陥れるということも避けなければならない。やはり私らは、そんなような立場をそれぞれ見比べながら行政を考えているわけでございまして、この考え方について私は別に委員が御否定になるものではないと信じております。  同時にまた、だからといって今度の過料というシステムをつくったということは、これは純粋に申しまして私も何度も事務当局と話し合ったわけでありますが、やはり定期点検というものを自主的にユーザーにやってもらう、その一つの促進剤としての役割りであるというふうに私も思っております。  ただ、この十万円という過料の金額が多いか少ないかということになりますと、これは大体過料の上限を表示するということで、これにつきましては一応法務省が過料の上限というものについて横並びということを言っておって、それが十万円という数字になったと聞いておるのであります。しかし、実態におきましては、この十万円を必ず過料として取るんだということにもなっておらないわけでございまして、一応のめどとしての上限が十万円だ、ただこれは過ち料だ、しかもこれは報告の義務を怠った者に対して徴収することもあるというわけのものでございまして、このこと自体がいま委員が御指摘になりましたような、いわゆる政治と業界との関係とかいうようなものを起点にしての配慮であり、あるいは政策であるというふうに私は思っておりませんので、御了解を賜りたいと思っております。
  151. 草野威

    ○草野委員 いま雑誌、新聞等を例に引きまして申し上げましたけれども、大臣はこれをきっぱり否定されたわけでございますし、私もこういうことはあってはならないことであるし、またないものと信じております。しかし、先ほど来議論になっております例の過料十万円の問題については、これはやはり改正案をぜひとも修正して削除していただきたい、このように思います。  また、最後に、整備業界についてのお話もいまございましたけれども、やはり減収になることは事実でございますので、整備業界に対する十分なる対策、救済問題には取り組んでいただきたい、このことを最後にお願いいたしまして、質問を終わります。
  152. 越智伊平

    越智委員長 小渕正義君。
  153. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 このたびの道路運送車両法の一部改正当たりまして、大臣には午前中からの御質疑の中で大変御苦労でございますが、やはり焦点は今回の法改正の趣旨が一本何なのか、この点が明らかになり、お互いが理解しないことにはすれ違った議論になるわけでありますので、非常にくどいようですけれども、この点についてはもう少しはっきり、いままでの御質問の中でもいろいろ出されておりましたが、少しただしておきたい、かように思うので、御了承いただきたいと思います。  今回の法改正提案の説明の中にも、「検査整備制度あり方等について運輸技術審議会から答申」また「本年二月臨時行政調査会からも同趣旨の答申提出され」「本法律案は、これらの答申の趣旨を踏まえ、」ということで提案はなされておるわけであります。  しかしながら、先ほども議論になっておりましたように、去る二十九日には、この答申をいたしました第二臨調から、答申の趣旨に反するということで異例の声明まで出されておるわけであります。     〔委員長退席宮崎委員長代理着席〕  先ほどの質問の中で大臣は、そのようなことには考えないというような意味の御答弁がありましたが、この法改正の今回の趣旨が、そういう点で本当に、それぞれの審議会答申された内容の中におきまして、国民負担の軽減と行政事務の簡素化という二つのものを柱にして今回の答申がなされたというふうにわれわれ受けとめているわけでありますが、そういった点で真に大臣は、この二つの審議会答申の趣旨に沿って今回の改正案を提出した、そういう確信を持たれておるのかどうか、その点をまず第一にお尋ねをいたします。
  154. 小坂徳三郎

    ○小坂国務大臣 先ほど来るる御答弁申し上げているように、私らはそれぞれの立場からのアドバイスに対しましては十分これを踏まえ、また今回の法案の中にもそれを十分に織り込んだというふうに考えておるわけでございます。
  155. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 しからば、先ほど来の質疑の中でも、国民負担の軽減の問題についても、業界の作業量減少の問題等の数字を取り上げられて、そういうものが一つ国民負担の軽減になるというようなことで御答弁がなされておりました。あと一つの柱であります行政事務の簡素化という点について、本当に今回の改正案はそういった趣旨が生かされる内容というふうに言われ、断言できるのかどうか、その点いかがでしょうか。
  156. 飯島篤

    飯島政府委員 今回の検査整備制度の見直しにつきましては、私どもが承知している範囲では、国民負担の軽減の見地から検討をしてほしいという点が、より力点が臨調側ではあったというふうに受けとめておりますが、さはさりながら当然検査期間の変更になりますれば私どもの陸運事務所の仕事量にも影響が出てくるわけであります。ただ、車が依然増加する傾向にあるということ、それから検査の要員は施設の一定の機器にそれぞれ張りついておること、それから今回の改正は来年度の新車から適用するということになっておりますので、業務量が非常に波打ちます。したがって、ピーク時の業務量に対応した施設、要員を持っていなければならないという等の点から、短期的にはすぐ業務量の影響が出てこないわけであります。ただ、長期的には増員や施設の整備の抑制効果がだんだんにあらわれてくるということでございます。六十二年ごろから、従来のままであれば要するであろう施設整備が何コースか節約される、また増員が抑制されるというような結果になるのではないかと推定いたしております。
  157. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 もう少し具体的に、どういう点が行政事務の簡素化ということになるのか、その点をただ一つ明らかに、もっと具体的なものの中でひとつお示しいただきたいと思います。  なぜこれを申し上げるかといいますと、今回の車両法の一部改正の法案ほど最近の法律改正の中で大きくマスコミから取り上げられる、しかもあらゆるマスコミの論調その他からも問題があると指摘された法案は珍しいと思います。  なぜにそういった状況があるのかということは、先ほどからも話がありましたが、成人の中において二人に一人が免許証を持ち、車が四千万台もあるという車社会の中で、ユーザーのそういった大きな期待があったにかかわらず、結果的には罰則規定の導入によってより強化された、そういう意味で今回の法律改正がそれぞれのマスコミその他あらゆるところから、時代に逆行するものである、特に臨調の答申案に逆行する内容じゃないかという形で、非常に厳しい批判がされておるわけでありますので、そういう点について、具体的にそういう行政事務の簡素化につながっているのだ、こういうところがこうであるということで、むしろ実態を知らないマスコミのそういった論調に対しては、行政当局として堂々とそういったものは明らかにすべきだと思います。そういう角度からも、その点は抽象的でなしにもっと具体的なものの中でぜひひとつ示していただきたい、かように思います。
  158. 飯島篤

    飯島政府委員 検査証の有効期間の延長に伴って、検査施設や職員にどんな影響があるかという試算を一応いたしたのでございますが、短期的にはいろいろな理由で、先ほど申し上げたように直接の影響はあらわれてこないのでございますが、一応六十五年の時点で現行制度で考えますと、これは一方で民間車検が私どもが一生懸命進めております程度に進むであろうという前提ももちろん含んでおりますが、二十六コースぐらい検査コースを増設しなければならないのではないか、また検査職員の増員も九十一名ぐらいを要するのではないかというふうに見込まれるのでありますが、六十五年時点で検査施設五コース、検査職員十七名ぐらいの抑制効果が見込まれるのではないか。もっと長期的に見ますと、それがさらに具体的にあらわれてくるだろうというふうに考えられます。
  159. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 それは車検期間の一年延長に伴った角度からのそういった一つの見方だろうと思いますが、これが罰則規定の導入によりましてそういった十万円以下の過料を付すような形になった、そういった意味における行政事務というものはどのような形で推移するのか。そういう意味における行政が簡素化されたというように、われわれが見た場合にはどうしてもそういうふうに判断されないわけであります。そこについてはどのような見方をなさっておられるわけですか。
  160. 飯島篤

    飯島政府委員 現在検査関係に従事している職員数は千五十八名でございます。そのうち検査官という正規の資格を持っておりますのは半分ということで、通常はいま申し上げた検査コースにおいて検査事務をやっておるわけでございますが、月の上旬、中旬、下旬等で繁閑の波がございます。それで、実際に春、夏、秋の交通安全運動とか年末年始の総点検に街頭へ出ていろいろな交通安全のための指導をいたしておるわけでありますが、その際に有効な行政指導をしたいというだけのことでございまして、特に過料を取るための要員とかいうようなものは考えておらないのであります。     〔宮崎委員長代理退席、委員長着席〕 先ほどから申し上げておりますように、その関係の事務というのはほとんど計算するほどのものではないというふうに考えております。
  161. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 いま検査官の話が出ましたが、いまの話を一応進めていくとしますと、要するに検査官の方が街頭に出られて指導なされるわけですね。定期点検の記録を怠っておったり、まだ六カ月または十二カ月点検が行われていなかったときには指示をして、そうして結果的には十五日以内にそれの届け出、報告の義務づけがされているわけですね。そうでしょう。そういうのに対して今度は報告の義務づけがされておるにかかわらず、それを怠ったときに一つの過料という形になって本人にまた通知が行くわけでしょう。だから、要するに国民の皆様、ユーザーから見れば、そういう意味での行政とのかかわり合いが多くなるということが行政事務の簡素化になるのかということですよ。いかがですか、そういう点は。そうでしょう。より法律を厳密に適用していこうとすると、そういうものをぴしっとやっていかなければいかぬ。そういうためにユーザーというか国民の皆様方とそういった関係者との間における繁雑な問題が出てくる。結果的には、これが過料を付される場合にどのような手続になるかわかりませんけれども、僕は裁判所の方へ行くのだと思いますけれども、いずれにしても、そういった意味では行政がより繁雑化したのじゃないかというふうにとられてもやむを得ないと思うのです。その点いかがですか。
  162. 飯島篤

    飯島政府委員 何回も同じことを答弁することになりますが、あくまでも現在やっております街頭検査に際して有効な行政指導をしたいというだけのことでありまして、それが確かに点検の指示をすることに伴う仕事が若干はふえるかもしれませんが、先生の御指摘のような、いよいよ最後の報告義務違反の過料の手続をとるということはまれなケースということで、ほとんど計算の対象にならない程度のものというふうに私ども考えております。たくさんの法律に過料が設けられておりますが、実際の運用を見ますと、大体どこの省庁の過料制度もそういうのが実態でございます。
  163. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 街頭での指導を行って、定期点検を怠った人たちに対して一つの指導指示を行う、その結果を十五日以内に報告の義務があるのでしょう。報告は文書によって、手紙か何かでいいのですか。本人が書類を持参するのですか。そこはいかがになるのですか。それから、報告をしなかったときに限って過料の対象になってくるわけですけれども、まず、そういう報告の形はどのような形式をとられるのですか。
  164. 飯島篤

    飯島政府委員 指示に従って点検及び整備をしたということを証するものとして、記録簿の写しを添えて文書で報告をいただくということになるわけでございます。
  165. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 そうしますと、報告を書類でいただく、報告の記載の内容がまたどの程度のものなのか、かなり繁雑かどうかいろいろありましょうけれども、一応それはさておくといたしまして、逐次そういう報告はどんどん十五日以内に、係のところというか所管のところに届かなければいかぬわけでしょう。そういうことがどの程度かという見方もありましょうけれども、そういう業務だけでも、かなりいままでより大きく繁雑な業務として出てくるのじゃないですか。そういうことは考えられない、いまの実態からいって大丈夫だというふうにお考えなのですか。
  166. 飯島篤

    飯島政府委員 点検の指示という制度をどういうふうに運用するかという問題についての危惧を持ってのお尋ねかと思われますが、あくまでもこれはまずは行政指導の実効を期するためのものでありますし、またこういうふうに定期点検というものが大事なんだという認識を持っていただく効果の方により期待を持っておるわけであります。したがって、やたらに街頭へ出てどんどん点検の指示を発するんだというような運用は、私どもの陸運事務所の職員の実態からいって考えられないと思います。もちろんその点検の指示、報告の要請というものも対象は全部の車でありますから、暴走族とかあるいはダンプカーというようなものも対象になるわけでありますから、場合によってはそういう仕事がふえるということはあるかもしれませんが、大幅にこれで増員を要求するというようなことは全く考えておりません。
  167. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 要するに、いまの陣容でこれ以上増強その他考えないで運用としてはやっていきたいということのようです。これは午前中の質疑の中でも出ておりましたが、一年間に検査官の方が街頭指導なさっている件数が大体九万件から十万件以内というようにお聞きしておりますが、車の台数からいきましてまさに何分の一の対象にしかならないわけであります。そういうこと等を考えて、実は今度のそういう報告義務の導入、それによる課徴金の罰則規定の強化ということでの問題になっているのは、実効性の上がらないような内容じゃないかというのが一つの大きなポイントになっているわけであります。そういう意味で、いま申されたように実効性は上がらなくてもいい、ともかくただそういう形をつくればいいんだということで、それは単なるドライバーといいますか、ユーザーに対する点検整備の教育をより重点に置いてこういうものを置くのであって、そういう意味では何も実効性は上がらなくてもいいというようなお考えにお立ちなのですか。いま申されたように増員はしない、現行どおりで何とかやっていく。しかも実績は過去において全国で一年間にたった九万台くらい。現在の車の保有台数からいったら何分の一になりますか。そういうことでしょうから、そういう中でこれをやるということは、結果的には有名無実のものをあえてつくっているのじゃないかということに批判がつながってくると思うのです。だから、そういうような批判をさせないためにはより体制を強化するほかにないということからいろいろ出ているわけでありまして、そういう点では、先ほどおっしゃられたように、これはあくまでもユーザーに対する教育、啓蒙的なところの指導が最重点であるから、あえてそういう意味での実効性は上がらなくてもいいんだということでこの関係は理解していいですか、いかがですか。
  168. 飯島篤

    飯島政府委員 そのおとりでございます。
  169. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 それでは、この点はぜひ今後明らかにしておいていただきたいと思います。  私どもが一番危惧するのは、法律をつくった当初の趣旨からいけばそういう形でスタートいたしましても、結果的には法律というものはひとり歩きをしていく、そうして運用の中でいつの間にかより強化された形の中で指導監督をされていくというところに一番国民としては懸念を持っているわけであります。したがって、いま言われたように、これはあくまでもユーザーに対する点検整備に対する教育、啓蒙を最重点としての趣旨であり、制度であるということでありますれば、おのずからそこに運用についての一つの大きな見解が出てきますから、その点はしかと議事録をしてとどめておいていただきたいし、結果的にこれが一番懸念されるのは、たとえば街頭での交通指導を行う、これは当然自動車検査官だけではだめでしょう、警察官と立ち会いの中でやられるわけでしょう。そうするとユーザーは、警察官のチェックを受けるというような印象はどうしてもやむを得ないのですよ、これをやられるということは結果的に。そういう形の中でいつの間にかそういうものが肩がわりしていって、取り締まり交通警官が何かそれをどんどんやるような形に移っていきはしないか、そういう懸念もありましょうし、国民の皆さん方が自分たちのそういう生活の中で、自分は法を守るという立場でやっておられる人たちは、個々に余り小さいことに介入されることを嫌うということは理の当然だと思います。問題は、法がひとり歩きしていく中でどんどんそういう傾向が強くなっていかないかという懸念も非常にあるということを特に私は重視いたしまして、実はくどいようですけれどもこの点に対する質問を申し上げたわけでありますので、成立した場合におけるその点の運用はぜひはっきりしておいていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  次に、先ほどの御質問の中でもちょっと触れておりましたが、整備体制の中でユーザーが一緒に参加できるような体制をつくるということが今回の趣旨の一つでもあったわけでありますが、現在六カ月点検項目は四十六、十二カ月点検項目八十七、二十四カ月点検項目が百十九、これらの点検項目を今回の改正の中でかなりの程度まで減らすということでの御説明があっておりましたが、先ほどの御質問の中でも若干明らかになっておるようでありますが、この点に対する、減らす程度というものが数字的にもう少し明らかにならないかどうか、その点をお尋ねいたします。
  170. 宇野則義

    宇野政府委員 運輸省といたしましては、さきの運輸技術審議会答申を踏まえて、点検基準、これは省令でございますけれども、自動車点検基準の改正作業を進める中で点検項目の簡素化について具体的な検討を行ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。  点検項目の簡素化当たりましては、安全の確保公害防止、これはもちろん目的でございますが、ユーザーの負担の軽減の観点をも考慮しつつ、自動車の信頼性、耐久性が向上したもの、あるいは構造上機能低下が少ないもの、日常の使用状況から判断できるもの等を物差しといたしまして点検基準の見直しを進めてまいりたいというふうに考えております。ただいま先生の御質問の中で、数字を挙げてというお話でございましたが、現在の時点におきましてはまだ項目が確定いたしておりません。ただし、運輸技術審議会検討の中でも、大幅に簡素化が可能である、大体の目安といたしまして、現在六カ月点検が四十六項目ございますが、およそのところ半分以下に簡素化できるのではないかというふうに考えられております。それから十二カ月点検、これは現在八十七項目ございますし、二十四カ月点検は百十九項目が省令で決められておるわけでございますが、この十二カ月点検及び二十四カ月点検簡素化につきましては、やはりこれまでの車の使われ方あるいは車の傷みぐあい、結果として車の不良個所状況等を勘案いたしますと、若干の簡素化が可能であろうというふうに推定をいたしておりますが、技術的には、これから省令であるところの点検基準を決める段階におきまして、技術的な検討をした上で最終確定をいたしたいというふうに考えております。
  171. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 単純な質問で申し上げますが、事務的な点、仕業点検を運行前点検というふうに改めた理由は何か。それから、点検記録簿を車に備えつけさせる目的は何か。備えつけていないことが明らかになったときにはどんな措置をとられるのか。それから三つ目に、記録簿はどの程度の期間を保存させるつもりなのか。その三つの点について、ひとつお尋ねいたします。
  172. 宇野則義

    宇野政府委員 現在の法律では「仕業点検」という言葉を使った点検がございますが、これを「運行前点検」というふうに改めるという案になっております。  考え方は、一日一回運行の開始前に自動車を運行する者が実施しなければならない点検を現在、仕業点検と呼んでおるわけでございますが、仕業という言葉そのものがいわば専門的な、プロフェッショナルな業務を開始するというふうなニュアンスにとれがちでございまして、今回の運輸技術審議会答申にもございますように、自家用乗用自動車が大半を占める今日、一般ユーザーに親しみにくいものになっているのではないかということから、この答申の中でユーザーの親しみやすいものに変更し、その確実な実施を図るべきであるという指摘がございます。なお、この呼称は、先ほど言いましたように運行する者が運行の開始前に行うという意味をよりよくあらわし、かつ、一般ユーザーにもわかりやすいと考えられることから、言葉といたしまして運行前点検という言葉を使った次第でございます。  それから第二点の、定期点検記録簿を車に備えさせる目的、また備えつけていないことが明らかになった場合にどんな措置をとるかという御質問でございますが、運輸技術審議会答申にもあるわけでございますけれども、ユーザーによる車の自主的な保守管理の利便に資するためということが一つございます。と申しますのは、車がどういう状態でどういう時期に保守をされているのかという記録を残すということが一つの目的でございますし、また先般来いろいろ御意見が出ております整備工場での過剰整備、具体的に言いますと、取りかえる必要がなかったのに部品を取りかえられたとか、あるいはなぜその部品が取りかえられたかわからないというような不満が出ておるわけでございますけれども、そういう部品等の取りかえ実績をこの記録簿に記入しておくことによりまして、次の整備、定期点検等の際にその記録を見ることによって過剰整備防止できるのではないかというようなことから記載内容の充実を考えるとともに、保存期間の延長を考えておるわけでございます。  なお、保存期間の延長等につきましては、規則でその期間を定めることにいたしております。  それから、この定期点検記録簿の自動車への備えつけを義務づけることにしておるわけでございますけれども、遠出をしたような際に急にふぐあいが起きたというようなときに、その近くの整備工場等に飛び込むことになるわけでございますけれども、そういうときにその車の整備履歴、管理履歴というものがわかれば、整備工場にとっても非常に利便でございますし、またユーザーにも適切な整備が行われるということになってこようかということがあるわけでございます。そういうことで自動車の定期点検記録簿の自動車への備えつけということを義務づけておりますけれども、あくまでユーザーの自主性を尊重しつつ、ユーザーの利便の増進を図るための措置ということでございますので、備えつけがなされていない場合に特段の不利益措置というものは考えておりません。  さらに、その次の段階で、定期点検の実施の有無の確認等が街頭検査等で行われるケースがございますけれども、そういう際に定期点検整備を十分やっているかどうか、その実施の確認をするためにも役立ってくるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  173. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 そうしますと、定期点検チェックについては、街頭補導にたまたま当たった人たちだけがそういうときにチェックされるけれども、それ以外のときにはあとは車検の段階で定められたそのとき以外にない、こういうふうに考えていいわけですね。
  174. 飯島篤

    飯島政府委員 街頭検査の際が大半だと思います。  それから、いま車検のときにはどうかということですが、車検のときには整備をしておいでになりますから、これは点検を指示するというケースにはならないと思います。ただ、それ以外に考えられますのは、重大事故などが起きて、陸運事務所の検査官が現場へ赴く場合がございます。そういう場合に記録簿を拝見して、全然その定期点検をやってないような場合は指導をするということになるかと思います。
  175. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 次に、これはちょっと重複するかもしれませんので恐れ入りますが、やはり非常に皆さん方の関心のある問題ですので、お尋ねいたします。     〔委員長退席楢橋委員長代理着席〕  いまの法改正の中では二十四カ月点検でありますが、現在そうでございますが、二十三カ月間一回も定期点検をしていない車、それがわかったとき、どこまでさかのぼってその指示をするのかという問題がありました。したがいまして、そういう問題と関連いたしまして、たまたま車検のときに二十四カ月一度も点検していないということが判明した。そういう場合に、それではもう車検のときに行うので過去のことは帳消しということで一切何もないということになるのかどうかということが一つであります。  それから、先ほど申し上げましたように、二十四カ月点検の中で二十三カ月日に、過去において一回も定期点検をしなかったというときの指示の内容と、いま私が申し上げたような二つ目との関連はどうなるのか、その点をお尋ねいたします。
  176. 飯島篤

    飯島政府委員 この点につきましては、先ほどお答えしたとおり、点検の指示は、怠っている点検を指示するという原則がまずありまして、怠っている点検のうち最も重いものを指示するということになります。それから、次回の点検の指示は本来の定期点検の周期に復するように指示をするという形になるわけでございます。  それでは、二十三カ月日にどういう指示になるのかということでございますが、それはいま申し上げた原理、原則で法律的にはいくということになるわけであります。ただ、ユーザーの方が任意で、もう二十四カ月が近いから車検前の整備をやろうということになりますれば、これは今後省令で考えていくことでありますが、選択の余地を残して、次のそのユーザーがおやりになる選択された点検に応じて、次にどういう点検をするという指示になるということでございます。
  177. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 次に、先ほども触れておりましたが、罰則規定の導入といいますか、これが今回の法改正の中で一番社会的な関心を持った問題でありまして、そういう点からいきまして、これは技術審の答申にもない、しかも臨調の中にも触れられていない、それを運輸省側として法改正の中に盛り込まれたということに非常に大きな関心を持っているわけであります。この点については非常にいろいろな見方がありますが、なぜ、こういうものを盛り込むというか、新しい罰則規定を導入する際に運輸省だけの独自の判断でやったのか、何らかの審議機関があるわけですから、そういうところに当然諮問して、意見を聞くという形の中でやるべきではないのか、それが行政当局としての正しいあり方ではないのかという疑問があるわけです。  この点につきましては、マスコミの中でも、運輸省が唐突的にこういう問題を出してきた、そういうあり方にいろいろと疑問が投げかけられているわけでありますが、そういう罰則規定をいよいよ導入しようということの内容ですから、運輸省としては運用は全然甘くして問題になるようなことはないと大みえでしたけれども、法というものは一回でき上がるとそれを厳密に実施していくことになり、ひとり歩きをしていくことになるわけでありますから、罰則規定を導入するようなことをやる場合には、そういう意味での第三者的なそういう諮問機関の議を経るということをなぜしなかったのか、その点についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  178. 飯島篤

    飯島政府委員 先ほどから申し上げているところでございますが、運輸技術審議会では、今回の制度改正によって定期点検の重要性は従来以上に高まるということでございまして、検査証の有効期間のところでも、現行のマイカーについて新車新規検査について「二年から三年に延長することが可能である。なお、ユーザー自動車の保守管理についての責任意識の昂揚、定期点検整備の実施率の向上等を図る必要がある。」というふうに指摘があり、また点検整備制度のところで定期点検の励行策として、これも先ほど申し上げましたが、定期点検整備記録簿の整備の励行、定期点検標章の制定、街頭検査の強化等の検討が必要であるというふうに指摘をいただいたわけであります。このことは、運輸技術審議会答申が出た後で臨時行政調査会にもこの中身はすべて具体的に説明をしたのでございます。  それで、運輸技術審議会の方では法制技術的な面は、この答申を受けてどうこなすかは行政ベースで考えなさい、通常そういうふうになるわけです。そういうことで私どもとして、先ほど来申し上げておりますように、定期点検標章を法律で決めるということは、貼付義務違反に罰則をつけたり定期点検義務そのものに罰則をつけないと法律の制度に乗ってこないという議論になってまいりまして、これはそこまでいくのは行き過ぎではないか、運輸技術審議会でせっかく御提案がありましたけれども、これはいまの実施率等を勘案するといかがなものかということで見送りまして、次に街頭検査の強化とだけ指摘されておりますが、最低限の、行政指導に実効を持たせるためのぎりぎりの制度として点検の指示制度というものを、先ほど先生指摘のような趣旨で考えたのでございます。  また、法案のある程度固まった段階というか、固まる過程におきましても関係省庁とも当然協議をいたしておりますし、私どもとしては、あたかも定期点検そのものに罰則がついたかのごとくに、規定の趣旨の御理解をいただけない記事等が見られることを非常に残念に思っているところでございます。
  179. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 それから、前の方の御答弁の中で、国民負担の軽減という立場からの試算として、整備業界における作業量の減少という点のお話がありました。そういう数字はそれなりに一応理解いたしますが、逆にこの定期点検制度を義務づけていく、より励行さしていこうという指導の中で、先ほどからも一年点検の制度への移行じゃないか、運用次第ではそういうことさえ言われるわけでありますが、要するに従来は実績としては五〇%か五五%程度で自主的な点検として行われておったのが、今回この法改正によって指導がより強化される中で、六カ月点検、十二カ月点検というのがかなり大きく、どんどんふえていくということも考えられると思います。  それから、先ほどのお話もありましたが、車検を三年に延長することによって、ただ現行の二年が三年に延長したというだけの料金ではなしに、延長が一年上積みされるんだから、当然料金も二年プラスアルファという形になるのではないかという見方もされておりました。そういう点検整備をより強化していくことによって、仕事というか整備業界におけるそういった作業がふえる面は、先ほどの試算の中では十分見込まれての試算なのかどうか、その点をお尋ねいたします。
  180. 飯島篤

    飯島政府委員 ユーザーの意識の高揚によってその定期点検の実施率が高まることが望ましいわけでございますが、将来の推定をする場合に果たして即効があるかどうかという点、私どもとしてはそれを見込むほどの勇気はありませんで、先ほど来申し上げておる国民負担の軽減あるいは整備業界に対する影響というのは、実施率が現状程度にとどまるという前提で試算をしたものでございます。
  181. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 それでは、先ほどの国民負担の軽減の数字の中には、そういうものは含まれてないということですね。それはわかりました。ただ、いまのお話で、そういう効果が上がるようなことが期待できないような形で法律をつくっていくということは果たしてどうなのかなという疑問も逆に抱くのでありますが、この点はまた後日の機会に議論することにいたしまして、あと一つお尋ねいたします。  運輸技術審議会指摘されている中で、あと一つこんなことがあります。  今回の答申に基づいた制度改正によりまして、整備事業に携わる人たちに対していろいろな影響を与えるので、業界自身による自助努力も当然であるが、国によっても適切なる配慮等を払う必要があるということがこの審議会答申の中にはっきりうたわれているわけでありますが、この国の何らかの適切な配慮というものはどのようなことをお考えになっておられるのか、ありましたら、そういったいろいろなお考えを示していただきたいと思います。     〔楢橋委員長代理退席、委員長着席〕
  182. 飯島篤

    飯島政府委員 御案内のとおりに、自動車整備事業の大半が中小零細な事業でございます。業界自身、また私どもも、いままでの指導で、現在中小企業近代化促進法に基づきます総合型構造改善事業というものを五十四年から六十年にかけて推進をいたしております。  事業の概要として、企業集約化事業、知識集約化事業というような中身になっておりますが、まずこれを強力に業界自身の自助努力を含めて、私どもも応援をしながら推進をする。そして、これを前提といたしまして、最大影響が出てきます六十年が問題になるかと思いますが、需要が減少したときにおきまして中小企業に対する現行助成制度の適用というものを考えていく。一つは、中小企業事業転換対策臨時措置法という法律がございますが、この適用について中小企業庁と話を詰めております。手続としては、中小企業近代化審議会意見を聞いた上で運輸大臣が業種指定をするという運びになるわけでございます。  なお、ここでお断りしておきますが、マクロの数字で何%何%と申し上げましたが、実際には業態別、取り扱い車種別等、また地域別に影響というものは考えなければならない。たとえばマイカーだけを扱っている業者であれば、もっと大きな影響を受けるわけであります。そういう実態をもっと詳細に調べまして対応をしていく必要があるかと思いますが、中小企業事業転換対策臨時措置法に基づく措置を進める、それから実際に事業活動が縮小したときに、労働者の雇用の安定を図るための措置として雇用保険法というものがございますが、そういう事実が出てまいりますれば、労働省の方も前向きに適用を考えてくれるという話になっております。  ただ、これだけでいいかどうかという問題があるかと思います。需要が減少したときに乗り切っていけば、ある程度需要がこの次の年は回復するという形で波を打ってまいりますので、運転資金が問題になろう。その場合に、中小零細でありますし担保力が非常に弱いという点がございますので、そこを何か考える必要があるのではないか。また、先ほど申し上げました企業集約を進めていく場合に、設備資金の借り入れが必要になりますが、これについても同様な問題がございます。こういったものについて、通常不況時にしばしばとられる仕組みとして、一種の基金を設けてやるという事例が幾つも見られますが、これはやはり自助努力というものがまずなければなりません。したがって、その自助努力を主体にして、国が適切な措置をとる必要があるのではないかということで、これは来年度以降検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  183. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 次に、この実施年度をいつに置くかということがまたきわめて大きな問題になります。したがって、現在のところでは、当局としては実施年度、実施月等をどのようにお考えなのか。また、切りかえるということについていろいろ問題が出てまいりますが、そういう意味での何か経過的な措置というものはお考えになっておらないのかどうか、そのあたりの考えについてお尋ねをいたします。
  184. 飯島篤

    飯島政府委員 車検延長の実施時期につきましては、改正法の施行日は公布の日から起算して一年を超えない範囲で政令で定める日と指定いたしております。一応五十八年四月以降のできるだけ早い時期というものを考えておるわけでございます。  ただ、運輸技術審議会答申にもございますように、関係者の範囲が非常に広いということで十分な準備が必要であろう。したがって、例示いたしますと、メーカーにおける点検整備方式の見直し、国の検査登録関係業務、いまコンピューターシステムで処理しておりますが、そのプログラムの変更等の作業が要る、あるいは自動車重量税及び自賠責保険等について法律ないしは審議会諮問結果を待つというようなこと等々の作業が要りますので、いまの段階ではっきり、いつということは申し上げられないのでございます。  それから適用対象でございますが、これは法の施行日以降に新車新規検査を受けたものから適用するということにいたしております。これは、自動車検査証の有効期間というものは、検査の時点で自動車保安基準の適合性を確認するという制度でございます。一たん設定されました有効期間というものを何らの手続なしに延長するということは法制度として適当でないということ、過去に車検期間の変更をしたことがございますが、同様の理由で遡及適用というようなことはいたしておらないのでございます。
  185. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 先ほどのお話では、対象については登録の日からということのようでありますが、ユーザーから見るとまたいろいろ問題も発生してくるわけであります。  この点は一歩譲ることにいたしまして、あと一つ。先ほどから自動車重量税の問題、自賠責保険の問題、こういうものがこれに絡みまして、一時的なユーザーの負担増という形になって、この点に対する質疑がやりとりされておりましたが、今回の法改正当たりまして、ユーザーへのサービスといいますか、行政サービスという立場からこの問題については全然当局としては考えなかったのか、所管が違うからということで考えなかったのかどうか、そのあたりの行政当局のお考えをお聞きしたいと思います。
  186. 飯島篤

    飯島政府委員 重量税については、運輸技術審議会で非常に遠慮した形で記述してございますが、これは大蔵省当局も重大な関心を持っておられます。ただ、何分これは大蔵省の問題でございますので、一時的に支払う額が増加する可能性があるという指摘だけにとどめたということでございます。  それから、自賠責保険につきましては、これまた保険料そのものは大蔵大臣の所管でございまして、自賠責審議会にかけて決める、その際に私どもに協議をするというかっこうになっておりますので、運輸大臣諮問機関が余り立ち入っては書けないというものではございますが、御案内のように六割、自賠責保険については国が再保険をいたしております。その関係の仕事を私どもでやっておりますので、この自賠責保険の性格からいって、先ほど申し上げましたように、現に原付については付保率が八〇%であるというようなことも勘案すると、この制度の高度に社会保障的なものであることにかんがみて、現行制度を変えることには無理があろうという結論を記載ているわけでございます。
  187. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 時間が参りましたので終わりますが、要するに重量税については、やはりユーザー側から見ますならば、単年度方式に改めるべきだという非常に強い期待がございます。  それから、今回の法改正の中で、罰則規定の導入についての問題も、実はこれは非常に大きな関心が持たれている問題でありますので、本日はもう時間がございませんので、またこれらの問題点については後日改めていろいろ質疑を交わすことといたしまして、これで終わらせていただきます。
  188. 越智伊平

    越智委員長 次回は、明七日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十一分散会