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1982-10-07 第96回国会 衆議院 安全保障特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十七年十月七日(木曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 細田 吉藏君    理事 有馬 元治君 理事 椎名 素夫君    理事 中村 弘海君 理事 三原 朝雄君    理事 前川  旦君 理事 横路 孝弘君    理事 市川 雄一君 理事 神田  厚君       石原慎太郎君    小渕 恵三君       後藤田正晴君    塩谷 一夫君       竹中 修一君    丹羽 雄哉君       三塚  博君    山崎  拓君       岩垂寿喜男君    上田  哲君       高沢 寅男君    東中 光雄君       楢崎弥之助君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 伊藤宗一郎君  委員外出席者         防衛庁参事官  新井 弘一君         防衛庁参事官  西廣 整輝君         防衛庁防衛局長 夏目 晴雄君         防衛庁装備局長 木下 博生君         防衛施設庁長官 塩田  章君         外務大臣官房審         議官      松田 慶文君         外務省条約局長 栗山 尚一君         安全保障特別委         員会調査室長  桂  俊夫君     ――――――――――――― 委員の異動 十月七日  辞任         補欠選任   中馬 弘毅君     楢崎弥之助君 同日  辞任         補欠選任   楢崎弥之助君     中馬 弘毅君     ――――――――――――― 八月二十日  一、国の安全保障に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国の安全保障に関する件  派遣委員からの報告聴取      ――――◇―――――
  2. 細田吉藏

    細田委員長 これより会議を開きます。  国の安全保障に関する件について調査を進めます。  この際、防衛庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。伊藤防衛庁長官
  3. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 細田委員長初め委員各位には、平素よりわが防衛行政に各別の御尽力を賜り、感謝にたえないところでございます。また、先般は、陸海空自衛隊の各部隊の御視察を賜り、自衛隊に対する御理解を深めていただいたわけでございまして、この機会に厚く御礼を申し上げたいと思います。  本日は、先般国防会議報告の上了承を得ました五六中業並びに今回の私の訪米につきまして御報告を申し上げたいと存じます。  まず、五六中業について申し上げます。  昭和五十八年度から昭和六十二年度までを対象とする中期業務見積もり、いわゆる五六中業につきましては、去る七月二十三日の国防会議において、私から報告をいたし、防衛庁の中期にわたる防衛力整備の進め方に関する考え方の大筋を示すものとして了承を得ました。  以下、これについて御報告を申し上げます。  五六中業基本的性格については、従前どおり、主要な事業等見積もりを行い、防衛庁が「防衛計画大綱」に基づき概算要求等参考として作成する資料であるということには変わりはございません。  わが国防衛力現状は、大綱に定める規模に達しておらず、また、装備老朽化継戦能力即応態勢、抗堪性の不足等種々問題点を抱え、まだ大綱水準とは隔たりがございます。これらの量的、質的不備を是正することにより、わが国防衛能力は、現状と比較をして大きく向上するものと期待できる状況にございます。  五六中業整備方針については、このような状況を踏まえ、昨年四月国防会議了承されました「防衛計画大綱に定める防衛力水準達成することを基本」としていることは申し上げるまでもありませんが、また、厳しい財政事情要員確保施設取得の困難さ等を考慮し、「効率的かつ節度ある整備に留意して、財政負担軽減」にもぎりぎりの努力を払っております。  このような方針のもとに作成をいたしました五六中業による完成時の勢力について見ますと、それぞれの事情により、例外的に不備があるものもありますが、全体としては、ほぼ達成の域に到達しているものと評価をしております。  このような防衛力の充実、近代化に必要と見込まれる所要経費について見ますと、五六中業においてある程度詳細な見積もりを行うこととしております正面装備に要する経費は、昭和五十七年度価格で四兆四千億円ないし四兆六千億円と見積もっております。  五六中業については以上のとおりでありますが、最後期間中の防衛関係経費GNP関係について申し上げます。  五六中業においては正面事業以外については概略の方向を見定めることにとどめており、後方関係経費人件糧食費については見積もり対象としておりませんので、五六中業期間中の防衛関係経費総額については、詳細な見積もりを行っておりません。  他方GNP経済状況によって変化するものであり、したがって、期間中の防衛関係費GNP双方とも相当の不確定要素を持った流動的なものでございます。  しかし、参考までに、防衛関係経費等について、防衛庁において、大まかに試算をしてみますと、期間中の防衛関係経費総額は、昭和五十七年度価格で十五兆六千億円ないし十六兆四千億円と相なります。また、昭和五十七年度政府経済見通しGNP額二百七十七兆二千億円及び新経済社会七カ年計画フォローアップ昭和五十六年度報告GNP成長率五・一%を前提にすれば、五六中業対象期間GNP一%相当額は、昭和五十七年度価格で約十六兆一千億円となります。この場合、対GNP比率は、期間中平均で〇・九七%ないし一・〇二%となります。  各年度の防衛力整備については、そのときどきにおける経済財政事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ、「防衛計画大綱」に定める防衛力水準を早期に達成することとしているところでございます。  防衛庁としては、このような方針のもとに策定をした五六中業を着実に実施することを基本としつつ、できる限りの効率化合理化等により、極力財政負担軽減に努めてまいる所存でございます。  五六中業の実施に伴う期間中の防衛関係経費GNP一%相当額については、以上のような事情にありますが、政府としては、昭和五十一年十一月五日付の閣議決定に沿うよう最大限努力をすることとしており、現在のところ、この閣議決定を変更する必要はないと考えております。  以上が、五六中業について御報告を申し上げたところでございます。  次に、訪米について申し上げます。  私は、今回ワインバーガー国防長官の招待により、九月二十五日から十月四日までの間米国を訪問し、同長官との定期協議を行うとともに、ロング太平洋軍司令官ダム国務長官クラーク大統領補佐官、タワー、プライス上下両院軍事委員長、パーシー、ザブロツキー上下両院外交委員長等会談をし、また米国の各種の軍事施設等視察をしてまいりました。  ワインバーガー長官との協議の概要は、次のとおりでございます。  まず、本年三月のワインバーガー長官の訪日及び先般のハワイでの事務レベル協議等を通じ、日米間の各レベルにおいて率直な意見交換が行われ、相互理解が増進をしていることは両国にとってきわめて有意義である旨双方より表明をいたしました。  次に私から、資源等の大部分を海外に依存するわが国にとって、有事における海上交通安全確保はきわめて重要であると考えており、先般の事務レベル協議において、いわゆるシーレーン防衛問題に関し、日米間で「日米防衛協力のための指針」に基づく日米共同作戦計画研究の場で研究することとして意見の一致を見たことは有意義であったこと及び今後この研究をできるだけ速やかに開始したい旨述べました。  これに対して、ワインバーガー長官から、米側としてもこの研究を重視をしており、その円滑な進展を期待していること、また、日本から一千海里以遠は米国が責任を持って当たる旨の発言がありました。  さらに、ワインバーガー長官から、シーレーン防衛について日本は五十八年度予算等でどのような努力をすることとしているのか、昨年日本が行った七・七五%増の防衛努力評価をするが、米側としてはこれを第一歩と考えており、五十八年度の防衛努力も着実に行われることを強く期待する旨の発言がありました。  これに対し私から、わが国は厳しい財政状況にありますが、五六中業及び五十八年度概算要求においてシーレーン防衛重要性をも考慮して防衛力整備を進めることとしていること、五十八年度の予算については、行政改革財政再建わが国の緊急の課題であることから、七・三四六%の達成も厳しい状況にあることを説明いたしました。  これに対してさらにワインバーガー長官から、米国も厳しい財政状況の中で努力をしており、議会も含めて米側としては、日本のなお一層の防衛努力期待をしている旨の発言がありました。  防衛技術日米間の交流については、私から、一方にわが国には武器輸出三原則及び昭和五十一年の武器輸出に関する政府方針というものがあり、他方において日米安保条約等に基づく日米安保体制というものがあって、この点について目下鋭意検討中であり、いまだ結論が出ていないが、日米双方でさらによく考えていくこととしてまいりたい旨述べました。  これに対しワインバーガー長官から、防衛技術日米間の交流相互通行になるように、今後本件の検討を早急かつ積極的に進めてほしい旨発言がございました。  三沢施設、区域へのF16の配備については、私から、本年六月ごろ在日米軍司令官を通じ米側から申し入れがあって以来、わが政府部内で慎重に検討した結果、この措置がわが国及び極東における平和と安全の維持に寄与するものであることにかんがみ、今後地元の御協力をもお願いしなければならないが、政府としては基本的に協力する旨述べました。  これに対しワインバーガー長官から、日本政府協力に感謝する旨の発言がありました。  なお、ミッドウェー空母艦載機着艦訓練の問題については、ロング太平洋軍司令官からも話がありましたが、ワインバーガー長官からも協力願いたい旨の発言がありました。これに対し私から、訓練重要性認識をしているので、この問題についてあらゆる角度から検討をし、訓練が円滑に実施できるよう努力してまいりたい旨述べました。  最後に私から、わが国はみずから適切な防衛努力を行うとともに、日米安保体制信頼性維持向上に努めることとしていること、かかる観点から、今後とも日米間において間断なき対話を続けていきたい旨発言をいたしました。  これに対しワインバーガー長官から、米国としても日米間の防衛協力重要性にかんがみ、お互いに協力していきたい旨の発言がございました。  その他の米政府及び議会関係者との会談においては、私から、わが国は憲法及び基本的防衛政策を踏まえ、かつ、厳しい財政状況等においてわが国としてできるだけの防衛努力を行っていること並びに日米安保体制信頼性維持向上を図るため、引き続き努力してまいる所存であること等を説明してまいりました。  これに対してクラーク大統領補佐官を初め米側関係者は、それぞれわが国事情理解をしつつも、米国としても厳しい財政状況下にありながら安全保障重要性認識し、西側世界安全確保のために努力しているところであるので、わが国西側陣営の一員としてなお一層の防衛努力を行うことを期待しておりました。  最後に、今回の訪米を通じての全般的な所感を申し述べます。  まず、わが国防衛力整備については、米側は緊密な日米間の対話を粘り強く行い、かつ、米国みずからの努力を示すとともに、わが国の具体的な努力を求めているとの強い印象を受けました。  わが国としては、米側期待を念頭に置きつつも、わが国としてできることとできないことを明確にし、自主的判断によってわが国としてなお一層の防衛努力を具体的に行っていく必要があると考えます。  他方シーレーン防衛についての共同研究防衛技術交流F16の三沢配備等日米間の具体的な防衛協力に関する問題について、それぞれわが国としてできる範囲で具体的に協力を進めることは、日米安保体制信頼性維持向上に寄与するものと改めて確信をした次第であります。  これらの問題も含め、今後とも日米間の防衛上の諸問題について米国との間で緊密な対話を重ねていく必要があると考えます。  以上、五六中業訪米につきまして御報告を申し上げましたが、委員長初め委員各位の一層の御指導と御鞭撻をお願い申し上げる次第でございます。(拍手)     ―――――――――――――
  4. 細田吉藏

    細田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横路孝弘君。
  5. 横路孝弘

    横路委員 いま訪米についての御報告がありましたが、私はF16の三沢配備あるいは一千海里のシーレーン防衛、この二つの問題にしぼって議論をいたしたいと思います。この二つの問題は、従来の日本のいわば領土、領海防衛という枠組みや、その後の「防衛計画大綱」の基本認識であります限定された局地戦という枠組みさえも超えて、アメリカのグローバルな対ソ戦略という大きな枠組みの中に積極的に日本が飛び込んだという意味を持っておりまして、大変大きな問題だと言わざるを得ないわけでございます。  まず最初に、F16の問題でございますが、いま御報告の中で慎重に政府部内で検討されてこの受け入れを決めたんだという御発言でございますが、政府部内で一体どんな点についてどういう御相談をされたのか、まずその点から防衛庁長官お尋ねをいたしたいと思います。
  6. 夏目晴雄

    夏目説明員 このF16の三沢基地配備についての米側からの申し入れは、今年の六月下旬に在日米軍を通じまして防衛庁及び外務省に対しての協力方申し入れがあったわけでございます。私ども、その段階から米軍がいかなる目的任務を持ってこのF16を配備するのか、日本防衛力に対する影響はどうであるのか、基地問題、地元の問題はどうであるのか、受け入れ態勢というのは可能であるかどうかというふうな各般について、あるいはまた将来予想されるであろう財政負担等につきましても検討を重ね、大蔵省、外務省関係当局とも累次にわたって御調整、御相談をした結果、わが国の、ひいては極東の平和と安全にとってきわめて有効なものであるというふうな判断をしまして、今回米側申し入れ協力することにしたというものでございます。
  7. 横路孝弘

    横路委員 その内容についてお尋ねをしていきたいのですが、まず一つ、このF16を今日の時点配備しようという背景にありますアメリカ基本的な考え方、これは当然レーガン政権になってからの基本的な戦略というものを受けて配備を決めてきたということでございますが、この点についてはどのように皆さん方の方は検討なさったのでしょうか。
  8. 夏目晴雄

    夏目説明員 アメリカ軍事戦略というものが具体的にどういうものを指すかということは必ずしも定かではございませんが、アメリカ戦略基本というのはあくまでも抑止にある、その抑止のためにはあらゆる態様の侵略に対して有効に対処し得るということがその基本であろうというふうに思います。  ところが一方、最近の国際情勢というものを見ますと、ソ連の一貫した軍事力増強というのは続けられ、第三国その他に対する軍事介入能力というものは日増しに増しているというふうなことから、アメリカとしてはそうした軍事バランス、特に極東における米ソ軍事バランスの改善を図るということ、そうしてそのために日本側あるいは極東の平和と安全に対するコミットメントの確認、さらには日米安保体制に基づくところの抑止力向上というものに着目して今回の配備が決められたというふうに聞いております。
  9. 横路孝弘

    横路委員 対ソ抑止力という考え方もあるのでしょうけれども、しかしよく考えてみれば逆に対ソ緊張を高める、とりわけ北海道周辺緊張を高めるということにもなりかねないわけでございまして、その前提としては、これは防衛庁の方にお尋ねしたいのですが、F1部隊任務というのは一体どういう任務なのですか。三沢配備された対地攻撃を主とするこの部隊任務はどういうことになりますか。
  10. 夏目晴雄

    夏目説明員 このF16という飛行機は空対空のミッションももちろん可能でありますが、空対地機能において非常にすぐれたいわば多目的戦闘機であるということでございますから、当然いわゆる地上攻撃的な任務がこのF16の主たる目的というか任務ではないかというふうに考えております。
  11. 横路孝弘

    横路委員 F16の行動半径からいいますと、ウラジオストクであるとかペトロパブロフスクであるとかあるいはバックファイア配備地域もその行動半径の中に入ると思いますけれども、いかがですか。
  12. 新井弘一

    新井説明員 お答えいたします。  F16の行動半径は九百二十五キロ以上というふうに理解しております。この数字を前提といたしますと、それがカバーする範囲横太南部千島列島の南半分、それから沿海地方でございます。したがいまして、いま先生がおっしゃいましたペトロパブロフスクは入らないというふうに理解しております。
  13. 横路孝弘

    横路委員 バックファイア配備地域はどうですか、この行動半径の中に入りますか。
  14. 新井弘一

    新井説明員 大変恐縮でございますけれども、バックファイア基地がどこにあるかということは具体的に申し上げられない、遺憾に思います。
  15. 横路孝弘

    横路委員 最近のアメリカのたとえばクラーク大統領補佐官の演説であるとか昨年来の軍事情勢報告国防報告というものを見ていますと、アメリカにとって一つ重要性というものは、たとえば戦略核アメリカ軍事能力向上の中で大変大きな優先度を持っているわけであります。そのことで考えてみますと、大陸閥弾道弾潜水艦あるいはB52などの爆撃機という戦略核の三本柱の中で、潜水艦の持っている意味というのは大変重要になってきているわけですね。その潜水艦というのも射程距離が長くなってきていますから、たとえばソビエトにとってみますと、太平洋に出かけていくというよりもオホーツク海であるとかバレンツ海あたりからアメリカを十分に射程として考え得るということで、こういう海域重要性大変ソ連にとって増しているわけであります。同時に、そのことは攻防を繰り広げるという意味ではアメリカにとっても重要性を増しているということが言えるわけでございまして、そんな意味では日本周辺海域というものが米ソ戦略核体制の中で大変大きな意味合いを持ってきているというのは事実だろうと思うのですけれども、その点はいかがでございますか。
  16. 新井弘一

    新井説明員 お答えいたします。  まず最初に申し上げておきたいことは、この点はハワイ協議でも出たわけでございますけれども、アメリカの全戦略体系の枠の中で核戦力の占める比重というのは、予算を見てもわかるように約一五%で、なるほど確かに核の近代化ということも重要でございますけれども、同時にアメリカ側が最近来非常に強張しておるのは、通常兵力の同じような近代化でございます。  この点を一言お断りした上で申し上げますが、確かにソ連SSBN等、特に非常な近代化が進んでいる。デルタ級とかヤンキー級とかありますけれども、これがアメリカの本土に届くということは事実であろうと思います。そういう意味で、ソ連極東におけるその種の兵力がもたらす意味重要性というものが一般的に高まっているということは言えるかと思います。
  17. 横路孝弘

    横路委員 同時にアメリカ新聞報道の中で明らかにされておりますディフェンスガイダンスというものを見ておりますと、空母に対する空からの核攻撃に対する脆弱性ということが非常に言われているわけですね。バックファイア極東地域配備されて、これは海軍に所属しているバックファイア機数というものもかなりふえてきている。つまり、第七艦隊に対するバックファイア攻撃というようなことについて、いわゆるディフェンスガイダンスの中で言われているような方向に沿ったものとして、今回の三沢配備というようなことも考えられているのではありませんか。
  18. 新井弘一

    新井説明員 ディフェンスガイダンスにつきましては、遺憾ながら私ども内容を承知しておりません。これはアメリカ国防省機密文書でございます。
  19. 横路孝弘

    横路委員 いや、そういうことを言っているわけじゃなくて、新聞報道についてコメントを求められた国防省の方は、つまりイエスともノーとも言えないということを言っているわけでありまして、問題は、バックファイア配備アメリカは今度のハワイ会談の中でも強調されたのでしょう、アジアにおけるソ連軍事力の強化ということの内容としては。つまりそれは何かというと、アメリカから見ると第七艦隊に対する一つの脅威としてとらえているからなんですよ。F16の三沢配備というものはそういう機能も持っているのではありませんか。違いますか。
  20. 新井弘一

    新井説明員 御承知のとおり、バックファイアにつきましては、極東にはソ連の全保有数の約三分の一ないし四分の一、われわれは約五十機以上というふうに考えております。これが実際問題として海と空にそれぞれ二分されて配備されている。しかも、このバックファイア生産テンポが、一年をとりますと約三十機ということでふえている。また、他方性能も高いということから、アメリカ側バックファイアに注目しているということは事実でございます。  ただし、ハワイ協議、また今回の伊藤長官訪米については、この種のことについて具体的な話は行いませんでした。
  21. 横路孝弘

    横路委員 私が聞いているのは、F16の部隊任務は何か、しかもいまの時点でこの配備が決められて出てきたということはどういう意味を持っているかということを、皆さんの方で一番初めに政府部内でそういうことを含めて慎重に検討されたとおっしゃるから聞いているわけですよ。  F16の行動半径や最近のレーガン政権になうてからのいわばアメリカ軍事能力向上のポイントというのはどういうところにあるのかということは、軍事情勢報告から国防報告から、いろいろな発言をずっとまとめてみると、一つはやはり核戦力向上ということでしょう。核戦力向上ということでいろいろやっている中に、日本周辺でとってみると、オホーツク海というものが米ソ核戦略上の非常に主要な軍事対決点になってきているという点が一つ言える。  もう一つは、特にこの空母に対して空からの攻撃にこれが弱い、これをどうしたらいいのかということがやはりアメリカの国内の今度の軍事能力向上の中のもう一つの柱になってきているわけです。そのことがたとえばディフェンスガイダンスなどをめぐる報道の中でずっと提起されてきているわけですね。  そのことと、アジア地域におけるバックファイア配備というようなことをアメリカが強調されるという背景の中で、このF16の配備というものをわれわれ常識的に考えれば、そういう任務というのを負っている部隊ではないか。しかももっぱら、これは主として対地攻撃部隊ですから、やはりバックファイア配備地域をたたくとか、あるいはウラジオをたたくとか、あるいは空中給油すればこれはさらに延びるわけでございますから、ペトロパブロフスクもたたくとかというような、そういう任務を負っている部隊なんだ。つまりアメリカの新しいレーガン政権のもとの戦略に沿った配備を行ったというふうに受けとめるのが自然だと思うのですけれども、私のこの指摘は違いますか。
  22. 新井弘一

    新井説明員 お答えいたします。  繰り返しますけれども、このたびのハワイ協議におきましても、また長官訪米の際におきましても、三沢に対するF16を前提としてその種の議論が行われたということはなかったということを、私はまず事実関係について先生にそのとおりお答えしたし、現在しているわけでございます。
  23. 横路孝弘

    横路委員 そうすると、対地攻撃を主とするF16の部隊F16の五十機近い機数配備になるということについて、一体何のためにアメリカはそれを配備するんだということについての議論というのは全然行われてないのですか。そんなばかなことはないでしょう。お金だって、これはどれくらい、配備に伴って日本側経費を負担するのですか。大変なものでしょう。何のためだという目的について何も議論しないで、アメリカに言われて、はいと言ってこれを受けとめたのですか、防衛庁長官
  24. 夏目晴雄

    夏目説明員 先ほど来いろいろ申し上げておりますように、今回のF16の配備というのは、アメリカ極東における米ソ軍事バランスを回復するため、そして極東の平和と安全、日本の平和と安全に対するアメリカのコミットメントを確認するという抑止効果を充実、強化するという観点からなされたものであります。そういう意味合いにおきまして、私どもとしてはこのF16の配備というのが、日本の安全にとっても極東の平和と安全にとってもきわめて肝要である、必要であるというふうな判断をしたわけでございます。  その背景にはソ連のもろもろのこの十年来の軍事力増強というものがあって、それに対応してアメリカが完全な抑止効果というものを持ちたいというふうな考え方背景になったということは当然でございますけれども、私どもはこのアメリカ考え方わが国の平和と安全にとってもきわめて重要であるという点に着目してこのF16の配備協力をしたことでございまして、全くその辺の検討をしなかったと言われることは当たらないというふうに思います。
  25. 横路孝弘

    横路委員 だからその検討抑止力というのはどういうものに対して抑止力を持つわけですか。私はその中身を聞いておるわけです、内容を。もう少し率直にお答えなさったらいかがでしょうか。
  26. 夏目晴雄

    夏目説明員 この抑止力の中身というのは、ソ連の海空戦力を初めとする、一般的に航空戦力、その中にはもちろんバックファイアも入るでしょう、極東におけるそうしたソ連のもろもろの軍事力の増強に対する抑止力という意味でございまして、先生の言われるようにオホーツク海云々というようなことを必ずしも意味しているものではないというふうに思っています。
  27. 横路孝弘

    横路委員 しかし、これはそういうたとえばバックファイア配備地域行動半径に入る、それからウラジオストクそのほかも入るということになりますと、これはやはり有事の際には核をもって攻撃をする機能を持っているのではありませんか。そういうことがアメリカの中では考えられているのと違いますか。
  28. 夏目晴雄

    夏目説明員 アメリカはこのF16という飛行機をすでに七百数十機の生産をしており、将来まだ、確定したものだけでも七百数十機の生産計画があるというふうに聞いておりますし、そのほかアメリカ以外の自由主義諸国にもこの飛行機を提供するというふうなことになっているというふうに聞いております。そこでアメリカにおけるこのF16の配備については、現在逐次、西ドイツにおきましても韓国におきましても、現在のあるいは過去のF4EにかえてF16に置きかえているということでございまして、これがすなわちそのままストレートに核攻撃部隊であるというふうに理解をしておりませんで、もちろんこのF16は核攻撃能力というか、核爆弾を積む能力は持っているというふうに公刊資料では伝えられておりますけれども、一般的にソ連軍事力増強に備えて新型の航空機の配備に逐次切りかえている、いわば装備近代化に努めている、そういうものの一環であろうというふうに思っております。
  29. 横路孝弘

    横路委員 ただ、日米間のガイドラインからいきますと、航空戦力のうち核を含むその攻撃力というものを皆さんの方ではアメリカに対して期待をしておるわけですね。  そこで、有事の際に、そういういわば核攻撃機能を持った部隊がこの日本の北の地域に配備されたということの意味というのは大変重要じゃないか。それは対ソ抑止ということよりもむしろ対ソ緊張という点から私は非常に心配をするわけでございまして、いわば今度のF16の配備は新しい戦略に基づいた配備の決定である、いわばアメリカのグローバルな対ソ戦略のための実戦的な基地としての機能というのを日本列島全体が負うことになるのではないかというように思うのですけれども、これはいかがですか。つまり日本安全保障というよりもアメリカ安全保障という側面が非常に強い実戦配備じゃないかというように思いますが、この点はいかがですか。
  30. 夏目晴雄

    夏目説明員 私どもはあくまでもわが国の平和と安全、ひいては極東の平和と安全という点に着目をして、このF16の配備協力することを了承したというものでございます。
  31. 横路孝弘

    横路委員 ニューヨーク・タイムズの五月三十日、六月七日のハロラン記者の記事の中にこういう注目すべきところがあるのです。西太平洋の米軍機能というのはどういう機能か。例のディフェンスガイダンスに関連をして、西太平洋の米軍というのは世界的な戦争の遂行上不可欠なソ連の脆弱点をつくんだ、ソ連の戦力というものを防御に追い込むための攻撃作戦を実施することになるだろうということを、このハロラン記者はニューヨーク・タイムズの中で二回にわたって指摘をしているわけであります。  こういう指摘のあった後のF16の配備であるだけに、まさにこの部隊というのはそういう任務を持っているんじゃないか。つまり、ソ連の脆弱点を――むしろこれはレ一ガン政権になってからの戦略でございまして、まあ同時多発などと言われていますが、同時多発というのは何も向こうがやってきたときにそこを戦場にするというだけではなくて、向こうの弱いところはこちらから積極的に戦場にしていくんだということもその構想の中で軍事情勢報告などでは言われているわけでございますが、その後こうした報道があって、今度のF16の配備というように考えますと、アメリカ側の意図というのは、いわばそういうポイント、ソ連軍事力というもののいわば脆弱点かどうかわかりませんが、いずれにいたしましても、こちらの方から一種の戦線をつくっていく、そんな任務もあわせて負っているというこのハロラン記者の指摘をF16の配備とオーバーラップさせて考えてみますと、どうも理解がしやすいわけでございますけれども、この辺のところはどのようにお考えですか。
  32. 新井弘一

    新井説明員 先生先ほどからたびたびハロラン記事に言及をいたしておりますけれども、私ども国防省当局に照会いたしましたら、ハロランの記事は正しくないということでございます。したがいまして、これを前提議論することはいかがかと思うのが第一点でございます。  第二点、この点については防衛局長からもすでにお答えいたしましたけれども、現在アメリカの国防政策といたしましては、世界的な規模のソ連自体の質、量ともにわたる軍事力の増強ということに対応して、アメリカとして抑止力信頼性を図るという見地から核及び通常兵力について整備をしている。しかも、先生が言及になった西太平洋におけるアメリカのプレゼンスというのは現在戦後最低である。特に、そのアメリカの場合に、ベトナム戦争以降、西太平洋地域からも兵力を非常に撤去したわけでございますね。  ちなみに、この三沢につきまして、この点もうすでに触れているかと思いますけれども、アメリカが一九七一年にファントム五十機以上を撤去したわけでございます。その当時において、この西太平洋地域にアメリカがどれだけの航空機を持っていたかというと、約二千三百機でございます。ところが、現在その数は約八百機。他方ソ連の場合はトータルの保有数九千二百機のうちの三分の一ないし四分の一、具体的に約二千百二十機と私ども防衛白書に書いておりますけれども、そういう意味で、非常にギャップがふえてきている。この事実は、私は素直に認めていいのではないか、そういうふうに考えます。
  33. 横路孝弘

    横路委員 あなた方、やはりディフェンスガイダンスについても関心を持っているわけでしょう、先ほど全然聞いていないというお話だったですが。  国防省の記者ブリーフィングによりますと、この報道について、決裁書の文書の内容報道された草案と同一内容か否かということについてはコメントをなし得ない。だれに対してもコメントしないのだという態度で国防省の方は態度を明らかにしております。つまり、イエスともノーとも言わないということなんですね。  私は、いずれにせよ、このディフェンスガイダンス内容として報道されているものは、去年からのずっと一貫したいろいろな発言を、流れを追っていきますと、十分考え得る内容だというように思っております。私は、防衛庁としても、F16の配備というものについて、アメリカがどういう意図を持っているのかということを、防衛庁長官、あなたも部下に答弁を任せておかないで、このF16の部隊配備というものをアメリカが何を考えて配備したのかということですね、これはやはり私は、もう少し防衛庁の中で検討してもらいたいと思うのですよ。あるいはアメリカに問いただしてもいいですしね。アメリカに言われて、対ソ抑止力でございます、はい、結構ですなんということでは、これはむしろ日本安全保障にとっては、非常に大きな北の地域の緊張を激化するという意味では、プラス、マイナス、トータルに考えても、非常に大きなマイナスだと私は思うのです。  防衛庁長官、いかがですか。このF16をアメリカがどういう目的を持って配備をしたのかということをもう少し検討されたらどうですか、言われただけで、はい、オーケーと言うだけじゃなくて。
  34. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 先ほど防衛局長あるいは参事官からも詳細にお答えを申し上げておりますとおり、やはり今回のこういう措置にわが国協力をすることは、わが国の安全と、また極東における安全平和の維持に有効なものであるという観点といいますか結論を得まして、今回基本的に協力をすることに決めたわけでございまして、防衛局長も申し上げましたとおり、あくまでもわが国の国益に合致するものであるという確信のもとに今回の協力を決めたものでございます。
  35. 横路孝弘

    横路委員 だから、その有効である中身を明らかにしなさいと言っているわけですよ。どういう点で有効なのかということですね。  時間もないのですが、たとえばハロウェーという前の海軍作戦部長のことしの上院外交委員会の公聴会の証言というようなのを見てみますと、ソ連極東戦力の封じ込めという点では、ともかくソ連バックファイア、これからアメリカの艦艇を守るということが大変重要なんだ、その守るための対空防壁をどう築くかということで日米協力しなければならぬというような証言もしているわけですね。まさにそういう機能をこれは持っているわけでしょう。しかも、その機能というのはどういう面でかというと、要撃という面ではそれは日本F15で、それから基地をたたくという意味では米軍F16、こういう機能じゃないんですか、これは。常識的に考えて。ガイドラインの中でも要するにそういう区分をしているわけでしょう。だからF16の機能というのは、先ほど防衛局長からも答弁があったように、やはり主として対地攻撃だということになりますと、これはもうそれしか考えられないわけですよ。そういうような機能を持っているような、つまり、ある意味で言うと、アメリカの今度のレーガン戦略、レーガンの対ソ戦略の中で非常に大きな意味を持っている、前進基地、前職基地日本の国内に置くということが日本安全保障にとって本当にプラスなのかどうなのかという詰めた議論をしなければだめですね、防衛庁長官。いかがですか。
  36. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 申し入れを受けて以来数カ月間にわたって慎重に部内で検討した結果、われわれは、今回のこの措置に協力をすることがいま申し上げたようにわが国の国益にも合致するし、また、その国益を守る日米安保体制信頼性維持にもなる、要は、われわれは抑止力を目指してわが国防衛力をつくり上げておるわけでございますから、その抑止力維持向上をも大いに図ることになるということを確信したものでございます。
  37. 横路孝弘

    横路委員 ですから私、くどいようですが、抑止力という側面じゃなくて、これは裏から見ると緊張を激化するという側面もあるわけですよ。いわば、ある意味で言うと、今度のF16の配備日本アメリカが完全に運命共同体で生死をともにする、そういうことを意味していると私は思うのですよ。非常に重要な配備決定だと思います。その事前協議の関連の問題は後で高沢さんの方から議論があると思いますが、私は、これほど重要な配備の決定にしては政府部内の議論というのはきわめて不十分であるということを指摘せざるを得ないわけであります。  また、このF16の配備について地元の方にも全然話をしないで、まず最初アメリカに伝達、何かおみやげとして伊藤さんが持っていったんだ、こういうように報道されているわけでありますが、この配備に伴って費用は一体どのくらいかかるものか。  それからもう一つは、これに伴ういろいろな問題が出てくると思うのです。これだけの部隊が参りますと、たとえば訓練などどうするのか。演習場の問題も出てくるでしょう。空域の問題も出てくるでしょう。あるいは地元に対してこれから一体どういうことで皆さん方お話しなさるのですか。ファントムが引き揚げてほっとしていたところにまた今度こういう配備ということで、地元の不安も大変高まっているわけであります。この点についての御答弁をいただきたい。
  38. 塩田章

    ○塩田説明員 今回の米軍申し入れに当たりまして、米軍側からは、施設の面で日本側協力をお願いしたい、それは主として隊舎でありますとかあるいは宿舎でありますとか生活関連施設といった面で日本側の御協力をお願いしたい、こういう趣旨の申し出がございました。ただし、現時点では、隊員、家族を含めまして約三千五百人くらいであるとかあるいは八五年からおおむね四年間であるとか、そういうようなことはわかっておりますけれども、具体的にどういう施設がどういう年次にどういうふうに建設されていくというようなことについて、まだ中身が決まっておりません。私ども、いまこれを米軍側に急いで要求をしておりますけれども、そういった関係日本側経費についての協力を求めてくるであろうということは想定をされます。  それからさらに、御指摘のありました今度部隊が配置された後の訓練状況でありますとか、あるいはそれに伴いまして演習場の問題でありますとか、そういったようなことも当然今後の問題になってまいります。現時点で向こう側の計画もまだ詳細に出ておりませんので、訓練計画等についてもいまの時点でわかりませんけれども、今後そういった点は十分詰めていく必要がある。  そういうことによりまして、いま御指摘のように、私どもは地元との話し合いの中でいまのような点を詰めながら十分御説明をし、御理解をいただけるように努力をしていく必要があるというふうに考えております。
  39. 横路孝弘

    横路委員 時間の関係で、次にシーレーンの問題についてお尋ねしますが、シーレーンというのは周辺数百海里、南東、南西二本の航路帯一千海里、その方式には航路帯方式であるとか船団護衛方式であるとかがあるというのが大体従来の国会の答弁だったわけです。ところが先ほどの報告を聞いておりますと、アメリカの方は何も航路帯ということじゃなくて、日本から一千海里以遠はアメリカが責任を持って当たる旨の発言があったというのは、これは裏返しますと、周辺一千海里全体を日本が責任を持つんだというようにアメリカが受けとめているんじゃないかと思うのですけれども、ここは防衛庁長官どうなっているんですか。あなたの先ほどの報告の中にそういうくだりがございました。
  40. 夏目晴雄

    夏目説明員 今回のハワイ協議あるいは伊藤防衛庁長官訪米に当たってもシーレーン防衛が話題になったことは事実でございますが、アメリカがこのシーレーン防衛に関連して考えていることをまず申し上げますと、アメリカわが国シーレーン防衛はあくまでも日本の憲法に基づく自衛の範囲内であるという前提をまず認めた上での議論であるということが第一点。  それから第二点は、従来われわれは海上交通の保護につきましては、周辺薮百マイル、航路帯を設ける場合には千マイルというものをめどにして防衛力整備を進めているということも再三申し上げているわけでございますが、そうしたわが国の政策、方針というものも是認した上でのシーレーン防衛についての言及でございまして、この点について従来と考え方が変わったということはないと思っております。
  41. 横路孝弘

    横路委員 先ほどの長官の、ワインバーガー長官から日本から一千海里以遠はアメリカが責任を持って当たる旨の発言があったというのはどういう意味ですか。
  42. 夏目晴雄

    夏目説明員 これは、いま私が申し上げたようなことをるる細かに敷征することを省略してシーレーンというか一千マイル云々ということを申し上げているわけでございまして、特段の意味はございません。
  43. 横路孝弘

    横路委員 大体アメリカに何か航路帯を防衛するという発想があるんですか。アメリカの方で考えているのは海域全体じゃないの。海域全体の制海権というのですか支配権というのですか、何という言葉がいいのかわかりませんが、つまり南東、南西の二つの航路帯というところに限定しているんじゃなくて、アメリカの方の目、全体はもうちょっと広いんじゃないですか。特にその中心は、ある意味で言うと北太平洋に向けられて、出口のところ、海峡のところに向けられているんじゃないですか。日本が言っている南東、南西二本の航路帯というイメージとは違うんじゃないの、アメリカとの間に。  このシーレーンの議論というのはいつも内容が非常にあいまいで、どうもはっきりしないまま言葉だけが先にぽんと出ていって、鈴木総理の演説は、わけのわからぬ人がああいうことを言うからこういうことになるわけなんで、アメリカの方はその言葉をつかまえて握って放さないということで、だんだん追い詰められてきているというのが日米間のシーレーンをめぐる議論じゃないの。アメリカの方で考えているのと日本で言っているのと中身が全然違うんじゃないの。いかがですか。
  44. 夏目晴雄

    夏目説明員 シーレーン防衛ということがどういう定義、意味で使われているかということについて、必ずしもこの言葉についての確たる定義があるわけではございませんが、人によってはあるいは航路帯というふうに理解をする人もおるかと思います。しかし、本来的にはシーレーンの防衛というのはあくまでも海上交通の安全を確保するということでございまして、線であるとか帯であるとかいうふうなものを防衛するというのは必ずしも当を得てないのじゃないかというふうに考えられます。  ただ、この航路帯という言葉が出ておりますのは、あくまでもわが方の防衛力整備周辺数百マイル、航路帯を設ける場合には千マイルをめどとして防衛力整備をするという、一つのオペレーションの態様を前提にした防衛力整備の目標を申し上げる際にしばしば引用さしていただいているわけでございまして、このシーレーン防衛についての考え方について日米間で認識のギャップがあるとは思っておりません。
  45. 横路孝弘

    横路委員 しかし、たとえばアメリカの場合、シーレーンという場合に防空と対潜と二つでしょう。大体一千海里防空なんということができますか。
  46. 夏目晴雄

    夏目説明員 御指摘のとおりシーレーン防衛というのは、先ほど来申し上げたように単なる航路帯を防衛する意味だけではなくて、いわゆる三海峡の防衛、港湾の防衛周辺海空域に対する広域哨戒といういろいろな手段を講じて、その累積効果、組み合わせによって確保すべきであるということはそのとおりでございます。  そこで、その防空についてですが、私どもも海上交通の保護、シーレーンの防衛に当たって防空というものを全く考えないわけではなくて、当然のことながら防空の重要性、特に最近における経空脅威の増大ということにかんがみましてその重要性というものは常に認識しておりまして、艦艇に対する対空ミサイルの装備あるいはCIWSの装備というふうな手段によっての防空態勢というものの強化を図っておりますが、しかし、これにはおのずから限度がございます。それからまた、わが国の国内におきますところの航空自衛隊のたとえばF15のカバレージに入っておる艦艇については、本土の防空能力を持った航空自衛隊の要撃機がカバーし得ることはこれまた当然でございますけれども、これにもレーダーカバレージその他の制約があって必ずしも十分なものではない。総じて申し上げますと、洋上防空についてのわが方の能力というのは現状必ずしも十分でないということは言えようかと思っております。
  47. 横路孝弘

    横路委員 だからそういうシーレーンの概念ですと、つまり日米共同作戦研究ということで今度日米間でやるわけでしょう。これは第五条の日本有事の研究としてやるのですか。
  48. 夏目晴雄

    夏目説明員 今回ハワイ協議において提案をしまして相互に同意したシーレーンに関する共同研究というのは、あくまでも第五条、わが国に対する武力攻撃が行われた場合に対する共同作戦計画の研究の一環として行うというものでございます。
  49. 横路孝弘

    横路委員 去年まとまったということで国会に報告されたのは、ともかく日本の領土が攻撃をされたということを前提にしての有事研究というのが一応まとまったわけでしょう。そうすると、今度はどういうことなのですか。日本の国土に対する攻撃が行われたということのものはもう終わっているわけだから、それ以外の有事研究でしかもシーレーン関連で行う、しかもシーレーンというのは一般的に言われているように南東、南西航路じゃなくてもう少しずつと広いのだということになりますと、その研究内容というのは一体どういうことになりますか。  つまり私の方で指摘をしたいのは、そこでよく問題になります、本格的に議論しなければいけない個別的自衛権と集団的自衛権の問題というのがそれに絡んでくるわけでありますが、日本の領土が攻撃をされたという研究はまとまっている、それ以外を日本有事研究でやるということになりますと、これはどんなことで行われるわけですか。たとえば国際情勢が変化していくとか中東で何か問題があったというのは日本有事にどういう関連を持ってくるのかというかなり広い範囲でグローバルに考えてやらないと、この研究というのは行われないと思うのですけれども、いかがですか。
  50. 夏目晴雄

    夏目説明員 わが国に対する武力攻撃が行われる場合の態様というのはいろいろな形があろうかと思います。航空機による航空攻撃、あるいは着上陸攻撃、あるいは海上交通の破壊等に関する攻撃、あるいはそうしたもろもろの攻撃が複合して同時に行われるいろいろな事態が考えられると思います。昨年の夏に一応概成を見たガイドラインに基づく研究が終わったというのは、もちろんわが国に対する武力攻撃があった場合の研究一つでございますが、これは一つのシナリオに基づいたある種の想定をした研究が概成したということでございまして、今回シーレーンの防衛についての研究を行おうとすることも、あくまでも五条事態について、すなわちわが国に対する武力攻撃が行われた場合においてわが国海上交通の安全を確保するためシーレーンの防衛を行うためにどういう脅威が考えられ、どういう攻撃があり得るか、そしてそれに対してどう対処するかというシーレーンの防衛を主体とした作戦計画を研究しようというものでございまして、五条事態から外れたものを考えているわけではありません。
  51. 横路孝弘

    横路委員 しかし、海上交通路を守るためにはいろいろな、海峡の問題まで先ほど防衛局長は触れられたわけですよね。そうすると、シーレーンの日米共同作戦の研究という中には、そういう三海峡をどうするとかというようなことまで含めた広い範囲でお考えになるのですか。
  52. 夏目晴雄

    夏目説明員 シーレーン防衛についての態様というのは、先ほど申し上げたような各種の作戦が考えられると思います。当然今回の研究においてもそうした点も研究対象になろうと思っております。
  53. 横路孝弘

    横路委員 ちょっと時間がなくなってしまったのですが、そうするとこれはますます問題でございまして、どうもシーレーンということでわれわれ何となく一般的に東京から南の方の南東、南西、日本の航路帯というイメージなわけですけれども、そうじゃなくて、かなり広い範囲でお考えになっているということで、海峡封鎖を含めた日米の共同作戦研究というものが、日本有事の事態を前提にしてではあるけれども行われるということですね。そうしますと、これは前から議論があるのですが、たとえば中東で何か問題があったとかヨーロッパで問題があったといっても、日本有事に関連する事態だというふうにもし考えれば、そういう事態からいろいろ物事が動いていく、ガイドラインの枠組みから言いますとそんな危険性も持っているように思うわけでございます。  最後に私一問だけして、あとちょっと上田委員から一問関連をお許しいただきたいと思うのですが、長官に御答弁いただく機会が余りなかったので、最後長官から、日米間の話し合いの中でやはり来年度予算の問題が非常に大きな問題になったようですね。あなたの方から財政状況についても説明したというように先ほどの報告でありましたが、五十八年度の七・三四六、われわれから言わせるとこれは防衛だけ突出している、ほかの福祉カットの、まさに福祉が犠牲になっているということを指摘せざるを得ないわけですが、この七・三四六という数字についてのアメリカの対応、反応というのはどうだったのですか。これから日米の中で五十八年度の予算をめぐる問題というのはどうなんでしょうか、かなり厳しいものになっていきそうなんですか。防衛庁長官アメリカ側と話をした結果内容というものをちょっと御報告をいただきたいと思います。
  54. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 先ほど簡単に私が申し述べましていろいろの事情を挙げましたけれども、私も防衛予算の現在での責任者として大変苦労をしていることを申し述べ、その中でいろいろのことを、私も実はアメリカに来る直前の閣議では、人事院勧告によるベースアップまで凍結するその閣議に署名してきたのだ。あるいはまた、日本の世論の中にも急激な防衛力増強を望まない空気もあるし、またそれを代表する有力な政治勢力もあるということ等から、その中から今側の七・三四六をかちとったのであるけれども、七・三四六も行政改革財政再建との絡みで大変むずかしいということを申し述べたのでございますが、アメリカ側の印象からは、少なくとも七・三四六はぜひとも達成しなければむずかしい。少なくともそれだけは達成をしなければならない。それが日米関係なり日米の安保条約の信頼性維持にも影響があるのではないか。それだけの強い印象を受けてまいりました。
  55. 細田吉藏

    細田委員長 関連質問の申し出があります。持ち時間の範囲内でこれを許します。上田哲君。
  56. 上田哲

    ○上田(哲)委員 一回にしぼりますから、大臣を含めてひとつきちっとお答えをお願いしたいと思います。  いまの質疑の中で非常に重要になってまいりましたはっきりしたのは、日米会談の中でシーレーン、そしてそのシーレーン共同研究の中には三海峡封鎖と対潜と防空ということが入るということになりました。そして防衛局長のしっかりした御答弁の中に、日米にギャップはない、こういうことになりましたから、私は非常に大きな分水嶺を越えたことだと思うので、ひとつ具体的に伺いたいのです。  つまり私は、シーレーンというのは、こういう言葉を使うならば見せかけだと思っているわけです。シーレーン防衛というものは、実は線の防衛ではなくて必然的に面の防衛にならざるを得ない。一千海里、バシー海峡以北、これは南西、南東はグアムに至る、この部分というものがどうしても海域の分担にならざるを得ない。ギャップがないとなればそういうことになるので、これが違うというなら違うというところを言っていただきたい。それを前提にして聞くのですが、そうなると、ギャップがないという日本政府方針もここで変わったということにならざるを得ない。  そこで、具体的に一つ例示をして申し上げるのですが、実は私自身が五十年三月八日の委員会でシーレーンという言葉を追及いたしました。四月二日に当時の坂田防衛庁長官が文書をお読み上げになって海域分担をやるのだということを表明なさった。それが、途中の経過は省きますけれども、六月十一日になって、実は海域ということを含まないのであの言葉を抹消したいということになって、言わなかったというような話になって、印刷された会議録からこれが抹消されたという事実があります。したがって、それ以来の日本政府の見解は、海域分担はやらないということになっていたはずであります。  いまの御答弁になると、日米ギャップがない中で海域分担を必然的に含まなければならない、こういうことになる。日本政府は、いつ、どこでとは言いませんけれども、この間方針を変えたことになるのかどうか、そこをきちっとお答えをいただきたいと思います。
  57. 夏目晴雄

    夏目説明員 先ほどもお答えしましたとおり、アメリカシーレーン防衛を云々する場合に、わが方のシーレーン防衛というのはあくまでも憲法の自衛の範囲内、すなわち個別的自衛権の範囲内であるという前提を認めた上でのことであるということが第一点であります。  それから第二点は、先ほどもこれも申し上げましたけれども、わが方が再三申し上げておるようにわが方の周辺数百マイル、航路帯を設ける場合には千マイルというものを防衛できるような海上防衛力をつくり上げるという目標として考えているということを申し上げたわけでございまして、このこととシーレーン防衛の概念というものは別問題である、私どもは前々からそういう考え方を持って、一部にはシーレーン防衛というものを航路帯という一つの線あるいは帯の防衛というふうに御理解なさる向きがあったかもしれませんが、私どもはそう思っておらなかった、急に変えたわけではないということであります。  そのことともう一つは、アメリカとの間に認識のギャップがないということは、海域分担という考え方は私ども従来から現在も全くとっておりません。私どもはあくまでもわが国防衛のために必要な範囲海上交通の安全を確保するということでございまして、集団的自衛権にまたがるような海域分担というものは一切考えていないということでございます。
  58. 上田哲

    ○上田(哲)委員 大臣、確認してください。海域分担ではないのかどうか。
  59. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 いま防衛局長が申し上げましたとおり、従来どおり海域分担という考え方に立ったものではございませんし、またアメリカもそのような理解のもとに今回のシーレーンの問題の話し合いは進められました。
  60. 上田哲

    ○上田(哲)委員 アメリカからは海域分担という要請はないのですね。
  61. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 ありませんです。
  62. 細田吉藏

    細田委員長 高沢寅男君。
  63. 高沢寅男

    ○高沢委員 私は、質問に先立ちまして若干所見を申し上げて質問に入りたいと思いますが、常任委員会は実は私は外務委員会におります。この安保特別委員会で御質問するのはきょうが初めてであります。それで、外務委員会などの質問の場合は、非常に技術的な解釈問題、それは確かに当然外務省の各局長の御答弁もありますが、重大な日本の外交政策の判断、こういうふうなものは当然外務大臣のお答えをいただいておるというのが外務委員会の姿でありまして、したがいまして、この安保特別委員会におきましても、防衛局長やその他政府委員の方もおられますが、私としては重大な政治的な判断はやはり防衛庁長官からひとつしっかりお伺いしたいということを最初に申し上げて、質問に入りたいと思います。  そこで伊藤長官にまずお尋ねをしたいのでありますが、ワインバーガー長官との会談の中で、いま横路委員からいろいろ質問いたしましたそういう話し合いをされ、F16の三沢配備についてもこれを受け入れるという答えをされてきたわけですが、その際の会談の中で、ソビエトの世界的な戦略の展開はどういうふうにやっておるということを、あなたはワインバーガー長官とどういう話し合いをされたか。またアメリカはそれに対するどういうグローバルな戦略展開をしておるというふうなことをワインバーガー長官と話し合いをされたか。その辺の話し合いの内容というものを、ひとつまず最初お尋ねをしたいと思います。
  64. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 確かに私とワインバーガー長官との話の中で、極東の軍事情勢を含めまして一般的な国際軍事情勢につきまして話は出ましたけれども、ワインバーガー長官もそれほど軍事情勢その他の専門家でもございませんし、私もそれほど専門家でもございませんので、われわれが常識程度に話し合える内容だけでございまして、いま冒頭に御指摘がございましたF1配備前提のような形での特段の話の内容はございませんでした。
  65. 高沢寅男

    ○高沢委員 先ほどの防衛局長の説明によりますと、F16の配備受け入れたわが政府側の立場は、アメリカ戦略というものはあくまで抑止戦略である、そしてそれに対して最近の極東におけるソ連軍事能力は非常に顕著に拡大をされてきておる、その米ソ軍事能力のバランスを回復する、こういうふうな立場でF16の三沢への配備アメリカから出されたと思うし、こちらの方はまたその立場でこれに同意した、こういう防衛局長の説明がありました。これは明らかにそういう米ソのお互いの戦略展開というものをどう見るかという前提で出てきた一つの結論だと思いますが、防衛庁長官がその種の問題について向こうの国防長官とお話し合いがなかったということは私はあり得ないと思うのです。もう一度重ねて、そういうお話し合いはどういうふうにされたか、ひとつ長官からお答え願いたいと思います。
  66. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 先ほども申し上げましたとおりのことでございますが、なお私とワインバーガー長官との話し合いは一時間半でございまして、その間ワインバーガーの都合もございまして昼食なども一緒にしたということでございまして、その中で予定されたような案件について、もちろん通訳も入るわけでございますので時間的な制約もございましたし、また先ほどのようにワインバーガー長官もそれほど軍事情勢について御自身では専門家でもございませんから、一般的な常識的な軍事情勢なりまた国際情勢のお話はございましたけれども、特段これだというようなお話はございませんでした。
  67. 高沢寅男

    ○高沢委員 何かありますか。
  68. 新井弘一

    新井説明員 補足説明をさせていただきます。  実は御承知のとおり、ワインバーガー、伊藤長官に先立つこと約四週間前に事務レベルハワイ協議がございました。国際情勢につきましては、この事務レベル協議双方で具体的に意見交換をいたしました。その際米国側は、世界に四つの不安定要因がある。第一はソ連の量、質ともにわたる軍事力の増強、第二はソ連軍事力の遠隔地投入能力の伸長、第三番目は西側の海外における石油等資源の依存、四番目は世界各地の政治、経済その他人種的もろもろの要因に基づく対立要件、この四つあるけれども、アメリカが重要視するのは、言うまでもなくその一及び二の点である。その結果、アメリカはその対応を余儀なくされている。これが具体的に核及び通常兵力両面にわたる近代化政策である。しかしながら、アメリカの政策はあくまでも抑止にある。要するに抑止信頼性を回復するということ。別な言葉で言いますと、軍事バランスの改善を通じて抑止信頼性を高める、そしてその抑止の効果を通じて軍備、軍縮交渉を図る、実質的なそういう成果を図る、これが米国基本的な立場でございまして、先ほど長官がワインバーガーとの会談について若干触れられましたけれども、ワインバーガーの発言はこれを基調としたものであったということでございます。
  69. 高沢寅男

    ○高沢委員 時間が一時間半だとか、その間に昼食を挟んだとかというふうなお話もありましたが、私は、少なくとも日米安全保障の最高の責任者が会談をする、その会談をする中でその種の国際的な情勢の認識について意見の交換がなかったというお話に、実は大変驚いているものです。もしなかったとするならば、伊藤長官F16結構でございますとだけ答えに行った、全く子供の使いじゃなかったのか、こんな感じもいたしますが、なかったと言われますと、それ以上あったろうと言える立場でもないので次へ進みます。  それでは、ワインバーガーとの会談ではその種の話はなかったにしても、いま伊藤長官、あなたが日本安全保障の最高責任者としてこの種の問題にどういう認識を持っておられるかということをひとつお尋ねをしたいと思うのです。ここに昨年の七月の段階で、当時大村防衛庁長官訪米されていて、アメリカから日本に対して大変強力な軍事拡大の要求がでた。そういう当時の状態を背景にして、宮灘官房長官が当時、日本アメリカの対ソ認識にはずれがある、こういうふうな記者会見をされたわけです。そのずれがあるということの具体的な中身としては、ソ連の脅威というものに関連して、ソ連はいざというときは欧州、中東、アジア、そういう三つの地域において同時に正面作戦を展開するというふうなアメリカ側の見方、そこでアメリカはそれに対応しなければならぬというふうな見方に対して、宮澤官房長官はそこまで評価できるかどうか、ソ連の三正面作戦という評価をしていいかどうかには疑問がある。その疑問があるという前提に立って、したがってわが国アメリカからの軍事拡大の要求に対する対応にも、当然そこには何でもオーケーですというようなわけにはいかぬ、こういう見解の表明が去年七月の段階にありました。  これは宮澤長官一つの、この人も軍事の専門家じゃなくて素人だと思いますが、やはりそういう日本安全保障についても一定の見識、見解というものを持っている。こういう点について伊藤長官、あなたはどういうふうに見解を持っておられるのですか。この機会にひとつお聞かせ願いたいのです。――私は伊藤長官に求めているのですよ。長官、後、補足があるなら補足は結構ですが、やはり私の聞いたことは長官の見解を聞いているのですから、いかに新井さんでも答えられないでしょう。
  70. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 いろいろのデータ、情報等から、極東におけるソ連軍の軍事力の増強が依然として続いておる。そのことによってわが国としてはソ連の潜在的脅威という事実は素直に認めなければならない。国際情勢全般もきわめて流動的不安定なものがございまして、その中にあってわれわれは、わが国防衛力をそういう情勢をもにらみながら、また反面われわれが閣議決定等で決めております「防衛計画大綱」というものを一日も早く達成をしなければならない。そういう認識のもとに国民の皆様方にもぜひわれわれの防衛努力というものを素直に御理解いただけないかというような気持ちでおるわけでございます。
  71. 高沢寅男

    ○高沢委員 これは伊藤長官も当然御承知と思いますが、アメリカレーガン政権の世界戦略はいわゆる同時多発戦略、こう呼ばれるわけです。この同時多発というのは、仮にソ連との戦闘状態がヨーロッパで発生した。こうした場合でもヨーロッパで戦うのみならず、そのときは同時に中東でも戦う、あるいはアジアでも戦う、こういうふうな戦いをグローバルでするというのがレーガン政権の世界戦略である、このことはもう明らかになっております。  このことは長官も御承知かと思いますが、さて、そういう同時多発戦略というふうな立場に立った場合、ヨーロッパで起こる危険性、可能性、中東で起きる危険性、可能性、アジア極東で起きる危険性、可能性、その辺の評価長官としてはどういうふうに持っておられるでしょうか。長官の御見解をひとつお尋ねしたいと思います。
  72. 新井弘一

    新井説明員 確かに先生おっしゃいましたとおり、ことしのアメリカの国防白書を見ても、一つ戦略転換がございます。おっしゃるとおり同時多発戦略、これはソ連が多正面に出る能力をつけてきたという認識に立っていること、これも先生が先ほどお述べになったとおりでございます。  ただ、先生がお述べにならなかった点、これはあくまでもアメリカのそういう戦略抑止戦略であるというきわめて重要なポイントでございます。別な言葉で言えば、ソ連がいろいろな地域に出てくるということであるならば、出る能力を持っているということであるならば、それに対抗する能力をこちらが持つことによって、出てこないようにする。このことが基本でありまして、この抑止戦略を取り去って議論すると、これは不毛の議論になるというふうに私は考えます。  そこでさらに具体的に先生の御質問でございますけれども、紛争があるいは軍事衝突がヨーロッパで起こるのか、中東で起こるのか、あるいはアジアで起こるのか、これは全くわかりません。そのときの情勢によるわけでございます。問題は、しかしこれを起こさせないということにあるということを重ねて申し上げたいと思います。
  73. 高沢寅男

    ○高沢委員 いま新井さんから抑止力の御説明がありましたが、私も抑止力とはそういうものだと思います。そしてその抑止力で相手が出ないように、こういう状態、つまり戦争状態が起きない状態というものを確保しつつその抑止力を、相手から見れば相手もこちらに対する抑止力といって軍備を持っておるわけですから、その両者が持っておる軍備というものを減らしていく。ここにいまの軍縮というものによる世界平和を確保するという非常に重大な課題があるわけですが、それはそれとして、われわれの非常に重大な任務としてひとつ軍縮という問題を押さえておく。  さてしかし、抑止力というものは相手を出させないためのものだというけれども、もし何かあればこちらから本当に出ていく、またこういう力であることは、これは私は否定できないと思います。その本当にこちらから出ていく力である、こういうふうな立場に立って見たときに、そのF16の三沢配備というものの持つ意味は非常に重大じゃないかということで、先ほど来横路委員の質問もあったし、私も全く同じ、そういうこれは重大だぞという立場から実はいま質問をしているわけなんですが、さてそういう抑止力というものは抑える機能のものであるが、しかし、いざというときは出ていく。出ていく先はどこだ、こう聞いたならば、樺太であるとか千島であるとか、あるいは沿海州であるとかというふうなさっきの防衛局長の御説明ですが、こういうことになったときに、F16の三沢からの出動、しかもその場合の攻撃の相手は明らかにソ連であります。この出動の性格づけをわれわれは一体どう見るべきか。それと、今度は事前協議とかいろいろなその関連というものが出てきますが、まずこういう場合の出動の性格をどう見るべきか。  これは長官に私お尋ねしたいのですが、日米安保条約の第六条、それから第五条、こうあるわけですが、日本に対して攻撃があったときこれに対して日米共同で対処するというのが第五条でありますが、第六条はそうではなくて、極東の区域における戦争状態が発生して在日米軍が出動する、これが第六条です。  先ほど言いました同時多発戦略ということの関連で、ここでひとつ私はシナリオの仮定を立てましょう。ヨーロッパで起きた。そのヨーロッパで起きたことに対して連動して、アジアから、三沢基地からF16がソ連攻撃に出動する、こういうふうな事態になったときに、この出動は安保第五条、第六条の関係で言えば一体どっちになりますかな。これはひとつ長官に御答弁願いたいのです。長官長官が説明して、後、必要があれば条約局長から説明を聞きます。  委員長、どうして長官はただ座っているのですか。
  74. 栗山尚一

    ○栗山説明員 条約と申しますか、先生御承知の事前協議の交換公文と安保条約第六条の解釈の問題と存じますので、一応私から御答弁させていただきたいと思います。  従来から政府が一貫して申し上げておりますように、安保条約の第六条の関連での米軍による施設、区域の使用、特に戦闘作戦行動を含めましての施設、区域の使用につきましては、先生よく御承知の極東範囲に関する政府の統一見解というものがございまして、この中において、極東範囲との関連におきまして、「この区域」、すなわち極東の「区域に対して武力攻撃が行なわれ、あるいは、この区域の安全が周辺地域に起こった事態のため脅威されるような場合、米国がこれに対処するため執ることのある行動の範囲は、」云々ということになっておりまして、あくまでも安保条約に基づきまして提供されております施設、区域の使用というのは、わが国を含みます極東の平和と安全の維持のために使用されるものである。それ以外の事態のためには施設、区域の使用は認められない、これが安保条約の六条の基本的な考え方でございます。
  75. 高沢寅男

    ○高沢委員 だから条約局長のお答えじゃだめだ。私は長官のお答えを欲しいと言ったのです。私はさっきこういうシナリオでこうなったらどうかとシナリオを前提に申し上げたのです。米ソの戦争状態がヨーロッパで発生した。それに連動して三沢からF16がソ連攻撃に出動する、こうなったときに、これは日本の安全の問題と違いますね。アメリカの世界戦略の問題ですよ。これは一体安保の第五条になるのか第六条になるのか。私は第六条にも該当しないと思うのですが、これは一体どうなんでしょう。  そこで、その判断は、条約局長はそういう条約の立場からしか答弁ができないわけで、長官、こういう場合は一体これはいかなる事態と見るべきなのか。当然そのときのわが国政府の対応が続いて出てくるわけですが、これはどういう事態だと、長官、あなたは考えられますか。長官のお答えをお願いします。
  76. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 大変仮定の問題でございまして、私としては答えにくいのでございますけれども、また当然これらはすぐれて条約上の問題でございますので、外務省からお答えいただくのが適当だと考えます。
  77. 高沢寅男

    ○高沢委員 これは少し無責任ですよ、こういう答え方は。
  78. 松田慶文

    ○松田説明員 安保条約の運用の点でございますので、外務省北米局からお答えさせていただきますが、安保国会以来、ただいま委員御質問のようなシナリオないしは仮定を設定しての御論議は多々ございましたが、そのようなとき、単に一定の地域を特定しての仮説は、たとえばそのときを取り巻く客観情勢、国際情勢わが国のいろいろな諸問題等を万般考慮しないとそのときの決定はできないということで、仮定の問題にはお答えを御遠慮させていただくということで一貫してお答え申し上げております。  ただいま防衛庁長官も冒頭、仮定の問題と御答弁されましたが、御設定のような一点だけを摘出してのシナリオにはお答えしにくいことを御了解願いたいと存じます。
  79. 高沢寅男

    ○高沢委員 仮定の問題は吉田茂さんが盛んに使った手ですが、もうその手はだめですよ。大体あなた方はハワイ会談やるにもいろいろなシナリオを想定して、この場合はこうだ、この場合はこうだ、こう言って日米防衛協力の話をしているじゃないですか。それはすべて仮定の問題なんだ。そういう問題はいま現に起きているんじゃない、将来あるかもしらぬ、相手はこう来るかもしらぬということを想定してそれに、ではそのときはアメリカはこうする、日本自衛隊はこうする、全部これは仮定の問題じゃないですか。そういう仮定の問題というのは、しかし現実にいまの国際情勢ではあり得ることとして当然われわれは検討しなければいかぬ。それがいざ起きたときに、いや仮定の問題だからそんなことは予定していなかったということではそれは話にならぬから、いろいろあり得ることを想定して、そのときはどうかということを検討もしなければいかぬし、また私は質問もしているわけです。  いま、そういう国際情勢は動くものだから仮定の問題で答えないと言ってきておると言いましたが、そんなことはありませんよ。六〇年安保の国会のときに、当時の岸総理大臣はこう言っていますよ。「一般的な用語としてつかわれる「極東」は、別に地理学上正確に画定されたものではない。しかし日米両国が、条約にいうとおり、共通の関心をもっているのは、極東における国際の平和及び安全の維持ということである。この意味で実際問題として両国共通の関心の的となる極東の区域は、この条約に関する限り、在日米軍日本施設及び区域を使用して武力攻撃に対する防衛に寄与しうる区域である。かかる区域は」いいですか。「かかる区域は大体において、フィリッピン以北並びに日本及びその周辺の地域であって、韓国及び中華民国の支配下にある地域もこれに含まれている。」当時は台湾は国民政府のもとにあった。こうはっきり答えて、そしてその「統一解釈は今後絶対に変えないか。」こういうふうに当時わが党の松本七郎委員が念を押したのに対して、岸総理大臣は、この統一解釈は「変えるわけにはいきません。」変えませんというふうな答弁も現になされているわけです。  そしてそのときにいろいろ念押しで、それじゃその極東の区域に一体ソ連のシベリア地区は入るのか、北朝鮮は入るのか、どこは入るのか、こうみんな聞いて、そういうものは入りません、こう答弁がされた経過は、私よりあなた方の方がよく知っているわけだ。  そうすると、いまF16が三沢に配置されて、このF16はいざというときはウラジオへ行きますよ、いざというときは樺太へ行きますよというこのことは、一体この第六条の極東の区域の関係でどうなるのだということを私はお尋ねしているわけで、条約局長の答弁の前に長官、あなたに聞きたいわけですが、あなたは腕組んで動きもしない。これはおれの問題じゃないやというような顔をされたんじゃ、これはとても日本安全保障政策、これでいいのか、こう思いますが、一言くらい立ったらどうですか、あなた。立って何か言いなさいよ。
  80. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 私は、日本攻撃をされて安保条約の五条事態が、万が一ですけれども発生したときから私の責任が始まるわけでございまして、それ以外の条約の運用上につきましては、外務省がいろいろとお答えをするのが適当だと思います。
  81. 高沢寅男

    ○高沢委員 いまの長官のお答えでは、五条は私の仕事だ、六条は外務省の仕事だ、こうおっしゃっているわけですが、私はそういう交通整理は初めて聞きました。きょうはここに外務大臣がおられないのは残念ですが、外務大臣がおられたら、私はそういう解釈で一体いいのかお尋ねしたいと思います。  こういうことも、いずれ追ってまた外務委員会がありますからやりたいと思いますが、それじゃいまのことについて条約局長、説明がありましたらひとつやってください。
  82. 栗山尚一

    ○栗山説明員 御答弁申し上げます。  先ほど私が御答弁申し上げましたことを若干敷衍させていただくことになりますが、岡沢先生御指摘の極東範囲につきましての政府の見解は先生御引用の岸総理の答弁のとおりでございまして、この点につきましては、現在も政府の見解というものはいささかも変わっておりません。したがいまして、先生、沿海州とかそういう地域を御引用になりましたけれども、そのような地域は安保条約におきまして日米両国が国際の平和及び安全のために共通の関心を持っている区域というものには入らないわけでございます。あくまでも安保条約というものはわが国を含みます極東の平和と安全の維持のために存在するものでございまして、施設、区域の使用もそういう目的のためにのみ認められる、こういうことでございます。  ただ、全く仮定の問題でございますが、F16の出撃の対象ということとの関連で申し上げますれば、先ほど私が申し上げましたように、極東の区域内に対して武力攻撃が行われる、あるいはその周辺地域の事情によって極東の平和、安全というものが脅威にさらされた場合に、米軍日本施設、区域を使って行動する区域というものはその極東範囲の中には限られない、その外に米軍の行動が延びていくという場合もあり得る、これは従来から政府が申し上げているとおりでございまして、そういう意味におきまして、いま申し上げましたような事態が発生した場合にわが国からわが国施設、区域を使用して出撃する米軍の行動範囲がその外に出ていくということは、これは十分あり得るということは従来から政府が御答弁申し上げておるところでございます。  それから、もう一点補足させていただきますと、事前協議との関連で申し上げますれば政府が従来から一貫して申し上げておりますことは、事前協議の場合にはイエスもありノーもある。どういう場合にイエスと言うかということにつきましては、わが国の国益、すなわち日本の安全と非常に密接、直接に関係ある場合にはイエスと言うことがある、それ以外の場合にはノーだ、これは政府が従来から一貫して申し上げているとおりでございまして、したがいまして、F16に限りませず、日本施設、区域から米軍が出撃する場合に、戦闘作戦行動のために施設、区域を使います場合の事前協議がありました場合に日本政府がどういう態度をとるかということにつきましては、いま私が申し上げたような基準で政府が対応するであろう、こういうことでございます。
  83. 高沢寅男

    ○高沢委員 そうしますと、いまの栗山条約局長のお答えでは、極東の区域の中には沿海州や樺太やシベリア、そういうものは入りませんということですね。――そうすると、この極東の区域で紛争状態が発生して在日米軍が出動していくという安保六条、この安保六条は沿海州や樺太には適用されない、こういうふうに見ていいですね。  あなたがいま補足説明された中ではこういう言い方をした。もしソ連日本攻撃してきたというときは、その場合の沿海州も何ももう極東の区域の中か外かとは関連なく、そのときはそれに対する在日米軍攻撃がなされるという言い方をされている。  だけれども、そうでなくて、仮に日本に対するソ連や何かの攻撃が来て戦争状態になるということではなくて、ヨーロッパで戦争状態が起きた、その関係アメリカは今度はアジアでもやるぞ、こうなって、日本に戦争攻撃があったわけではないけれども三沢F16は沿海州へ出ていきます、これは私は非常にあり得ると思う。アメリカはそのつもりで置いておる。このときは、これは安保六条、日米安保条約とは全然別のものである、こうなるわけで、そのことはまずそう念を押していいですね。その場合には別のものであるということですね。
  84. 栗山尚一

    ○栗山説明員 先ほど私が申し上げたとおりでございまして、ヨーロッパである種の事態が起こったかどうかということだけでは直ちに安保条約の問題につながるということではなかろうと思います。あくまでも安保条約というものは日本を含みます極東の平和と安全との関係で存在するものでございまして、したがいまして、先ほど申し上げましたように、沿海州云々というのがその適用がないという高沢先生の御指摘でございましたが、そういう意味では確かに適用がないわけでございます。  ただ、そういう極東の平和と安全を守るために米軍が行動する範囲というものがいまおっしゃったような地域に延びていくということは、安保条約のもとでは一応当然想定されておる事態であろうというふうに私は考えます。
  85. 高沢寅男

    ○高沢委員 あなた、ごまかしてはいかぬですよ。安保条約のどこにそんなことが書いてありますか。かつて極東の区域は明確になっていた。そのときにベトナム戦争が起きた。ベトナムは極東の区域ではなかった。なかったけれども、当時、その周辺という一つの新しいごまかしの概念をつくってベトナム戦争に在日米軍の介入を許したわけです。同じ手をやるんですか。沿海州は極東周辺である、だから極東の安全を脅かす事態が起きたときは在日米軍が出ていくのを認める、これをやるんですか。  やるんですかと私が条約局長に聞いたって無理だ。条約局長が、それはやりますとかやりませんとか答えられる問題ではない。これはやはり長官ですよ、委員長。どう見ても、そういうときは極東の区域の周辺だから沿海州攻撃アメリカがやるのは結構だというふうになるのかどうか、この判断長官、あなたから聞きたいですね。どうぞ答えてください。
  86. 細田吉藏

    細田委員長 条約局長、もう一遍はっきり答えてください。
  87. 高沢寅男

    ○高沢委員 委員長、幾ら何でもこれは長官ですよ。
  88. 栗山尚一

    ○栗山説明員 先ほど私の申し上げたことの繰り返しになりますが、極東範囲に関します統一見解というものに明確に述べておりますように、極東、「この区域に対して武力攻撃が行われ、あるいは、この区域の安全が周辺地域に起こった事態のため脅威されるような場合、米国がこれに対処するため執ることのある行動の範囲は、その攻撃又は脅威の性質いかんにかかるのであって、必ずしも前記の区域に局限されるわけではない。」「前記の区域」というのはすなわち極東ということでございますが、極東の区域に局限されるわけではない。これは安保国会のときから政府の統一見解として常に申し上げているところでございます。
  89. 高沢寅男

    ○高沢委員 長官、どうですか。――あなた、何か答えたらどうですか。
  90. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 条約の運用解釈上の問題でございますから、ただいま外務省からお答えしたとおりでございます。
  91. 高沢寅男

    ○高沢委員 いま条約局長のそういう説明があったが、同時にこのこともひとつ読んではっきり確認してもらいたいと私は思います。  これは、当時、安保特別委員の自民党の愛知委員が質問されているんですね。「具体的には中共が支配しているシナ大陸、ソ連の領土、北朝鮮、北ベトナム、北千島は極東の中に入らないという解釈になるがどうか。」岸首相「入らないと思う。」こう言っておりますね。しかし、このことと、いまあなたの言った情勢によっては幾らでも広がるんだ、あの説明で言えば、それこそペルシャ湾まで行っても結構です、日本からペルシャ湾まで出動しても結構というふうなことになる。そういうことは、かつてわが党の多賀谷書記長が質問して、伊達条約局長はそういう答えをして、そして後に取り消したという経過があります。したがって、こういう極東の区域の範囲の無制限な拡大の解釈は安保条約の運用上断じて許されない、こういう立場で私はさっきから聞いているわけです。  長官どうですか。あなた、もう一度答えてください。そういうことが日本安全保障に一体どういう影響を持つか、非常に重大ですよ。ひとつあなたの答えをお尋ねしたいと思います。
  92. 栗山尚一

    ○栗山説明員 先生御引用の愛知先生の御質問に対する政府の答弁はそのとおりでございます。先ほどから私が申し上げておることの繰り返しになりますが、極東範囲というのは、あくまでも安保条約に基づきまして日本アメリカがその地域の平和と安全を維持するために共通の関心を持つという区域でございまして、そういう意味におきましては、当然のことながらいま先生がおっしゃいましたような地域というものは入らないわけでございます。入らないわけでございますけれども、他方におきまして、その極東の安全というものを守るために米軍日本施設、区域を使って行動する範囲というものは別にその極東の中だけには限定されるものではない。防衛の必要上必要な場合には、その極東範囲の外に米軍が行動することは十分あり得るということを私は申し上げたわけでございまして、この点は常に安保国会のときから政府が一貫して御説明しているところでございまして、私の申し上げたことは、先ほど高沢先生が御引用になりました沿海州その他中国大陸というものは極東の中に入らないんだという政府の答弁と何ら違うことを申し上げているわけではないのでございます。
  93. 高沢寅男

    ○高沢委員 それじゃ私はもう質問の時間が参りましたので終わります。  事前協議関係等ずっとお尋ねしたかったんですが、とてもそこまで入れないで時間が来てしまいましたが、最後に一言申し上げますと、この六〇年安保の国会で何で極東の区域がそんなに厳密に議論されたのか。それは、安保条約に基づいて日本にいる米軍が出動していくその行く先のその範囲の決め方をきちんとしておかなければ日本の安全上非常に危険であるということから、あれほど厳密に極東の区域を議論して、そしてそれはこうだということを統一解釈で岸総理から答弁が出てきたという経過があります。しかし、いまの条約局長の話では、それはそれだけれども、しかし情勢によってはそれに限定されない、アメリカ軍が日本から出ていく先はどこでもあり得るんだというようなこんな話は、そもそも安保条約の議論が行われた国会審議なり政府の答弁の本来の趣旨から言って許されるものじゃないです。  したがって、こういうふうなことを防衛庁長官から、そういう日本の安全のための見識ある見解をきちんとお聞きしたがったけれども、ただ座っているだけということで、大変残念でありました。国会のこうした審議の関係で言えば、今後は少なくとも当事者能力のある大臣をひとつ決めてもらいたい。これはだれにお願いしていいかわかりませんが、この委員会発言として議事録にとどめてもらいたい。当事者能力のある大臣をひとつ決めてもらいたいということを最後にお願いして、終わりたいと思います。
  94. 細田吉藏

    細田委員長 午後一時より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十四分休憩      ――――◇―――――     午後一時一分開議
  95. 細田吉藏

    細田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。丹羽雄哉君。
  96. 丹羽雄哉

    ○丹羽(雄)委員 アメリカワインバーガー国防長官との日米定期首脳会議で、アメリカ側は、シーレーン防衛に関逃して、日本から一千海里以遠の防衛アメリカ側の責任と明言し、一千海里までは日本が受け持つことを前提とする、いわゆる海域分担の構想を提示したわけでございますが、これに対し、日本側つまり伊藤防衛庁長官はどのような具体的対応を明らかにしたのか。シーレーンをどう守るか、具体的な約束をしたのか、まずお聞きしたいと思います。
  97. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 まず、先ほど来御論議が出ておりますように、集団防衛権の行使につながるような海域分担という話し合いは一切ありませんでしたので、そのことをお断り申し上げてまいりたいと思います。  シーレーン問題につきましては、これも先ほど来申し述べておりますとおり、わが防衛政策、防衛計画の中で従来とも進めております周辺数百海黒、航路帯を設けるとするならば一千海里までの海域について海上交通路の安全を図るような防衛力をぜひわが国につけたいという考え方で進めておりますけれども、ワインバーガーからは、それではそういうような日本努力をどういう形で示しておりますかというようなお話でございましたので、もちろんわが国防衛力整備にはたくさんの目標がございますけれども、その中でシーレーンの防衛については、五十八年度の予算あるいはまた五十八年度が初年度でございます五六中業という計画の中でもその点を重視をして、そういう考え方で五八予算概算要求もしておりますし、五六中業全体もシーレーン防衛ということをきわめて重要に考えてつくり上げております、そういう対応でいまわれわれはシーレーンに当たっておりますということを私から申し述べたのでございます。そのときにワインバーガー長官の方から、一千海里以遠はアメリカが責任を持つというような御発言があったのでございます。
  98. 丹羽雄哉

    ○丹羽(雄)委員 そうすると、いまの答弁をお聞きしますと、話し合いは平行線で終わった、こういうふうに理解してよろしいのでしょうか。
  99. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 先生お言葉を返すようで恐縮でございますけれども、平行線ということでは必ずしも当たらないのではないかと思います。わが国は従来からの方針によってシーレーン防衛というものをやってまいります、そしてその計画を五六中業の中に、一〇〇%とは言いませんけれどもそれに近い形で織り込んでおります、その初年度の五八予算もしっかりそのことを念頭に入れながら概算要求をしておりますということを申し上げ、アメリカ側からぜひそういうことでやってほしい、そして一千海里以遠はアメリカが責任を持つということであったわけでございますから、非常に表裏一体といいますか、そういう感じでございまして、先生御指摘のような平行線というようなことは必ずしも当たらないのではないかというふうに考えております。
  100. 丹羽雄哉

    ○丹羽(雄)委員 首脳会議の一カ月ぐらい前にハワイ事務レベル協議が開かれているわけですけれども、そのときアメリカ側は、一千海里以内は第一義的に日本で受け持つ、それからアメリカは攻勢的役割りと一千海里の以遠を受け持つ、こういう態度を提示しておったわけです。ところが今度の伊藤長官とワインバーガーとの話し合いでは、一千海里以内は日本の守備範囲として役割り分担をしていただく。何かこれまで以上に役割り分担を明確に迫ってきている。この一カ月の間の変化、この事務レベルと首脳会談との変化をどういうふうに受けとめていますか。
  101. 夏目晴雄

    夏目説明員 ハワイ協議におきますアメリカ側からシーレーンの防衛に関連しての発言は、いま委員御指摘のとおり、千海里以内については第一義的に日本がやってほしい、それ以遠の分野についてはアメリカがやるし、また攻勢的な分野についてもアメリカが責任を持つ、こういうふうな話がございました。今回そういった具体的なところまでの言及はありませんでしたが、考え方に相違があるわけでなく、全く当時と同じである。しかもこの考え方は先般のハワイ協議で新しく出てきたことではなく、さきにガイドラインというものを設定した際もおおむねそういった趣旨でつくられている。従来からわれわれは、周辺数百マイル、千海里以内のものは自分でできるように防衛力整備していこう。その及ばないところはアメリカ側に依存する。それからまた攻勢的な分野についても、当然のことながらわが方の機能のない分についてはアメリカにお願いする。これは従来から一貫した考え方でございます。
  102. 丹羽雄哉

    ○丹羽(雄)委員 そうすると、いまの局長のお話を聞いていますと、ハワイ会議と首脳会議と差はないということでございますけれども、シーレーン防衛について、日本の安全にとってそれは必要なのだろうか。またこれは軍事評論家の間でも、あんなに広い海洋を果たして守れるだろうかという素朴な疑問が出ていることは御承知のことと思います。  いま局長の方は、日米間にシーレーン防衛について明確な認識の差がない、こういうふうにおっしゃったわけでございますけれども、わが国の方は、わが国経済を守るために物資を輸送する、このためにシーレーン防衛というものを考えている。ところがアメリカ側の方は、いわゆる西側陣営戦略補給路の確保ということを念頭に置いているのじゃないか。私は根本的にシーレーン防衛をめぐって日米間の認識の差があるのじゃないか、こういうふうに考えるわけでございますけれども、この辺について、長官いかがですか。
  103. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 いま防衛局長からお話しのとおり、認識の差はないということで私どももおりますが、それよりも、われわれはアメリカのいろいろの考え方があることも承知をしますし、また先生のようなこともあるいはあるかもしれませんけれども、われわれとしては、いろいろなアメリカ側期待考え方があるにしても、われわれとしてはあくまでも自主的に、われわれの自主的なスタンスでシーレーン防衛というものを考えておるわけでございまして、先生御承知のとおり、四面海に囲まれたわが国は年間六億トンも輸入をしなければ国民の生活水準維持できないという国柄でございますので、一朝有事の場合においてそれらの物資ができるだけ普通の姿で日本の国土に入ってこれるような、そういう意味での海上交通路の防衛を図るということは当然の防衛一つ目的でございまして、また、あのような広い海で幾ばくのことができるかというような御議論もあるわけでございますけれども、防衛全体というものが必ずしも一〇〇%というものはあり得ないわけでございまして、一〇〇%を指しながら、その時点その時点で国力なり国情なり財政に応じた防衛努力を積み重ねていくことがそういう事態を起こさないための抑止力になるということでございまして、われわれはまず第一義的には完全な抑止力を目指してやっておるわけでございまして、古い映画の話でございますけれども、昔、寄らば切るぞという言葉があったわけでございますけれども、われわれは自分からはしかけない、寄ってきたならばそれに反撃をする、また反撃をする力を蓄えておくということでございますので、できるできないということでなしに、そういう状態が起きないようなりっぱな抑止力を備えておく、その一環としてシーレーン防衛というものも考えているということでございます。
  104. 丹羽雄哉

    ○丹羽(雄)委員 いま長官のお話を聞きましてはっきりしたわけです。アメリカ側との間にスタンスの差はある、しかしわが国わが国独自のシーレーン防衛というものをこれからも貫いていきたい、こういうふうに考えてよろしゅうございますね。  それでは次に、シーレーン防衛、具体的にどういうものを指すかということは、先日の参議院の安保特でもいろいろ話があったわけでございますけれども、たとえば航路帯のような海域の場合、幅はどのぐらい実際に守る必要があるのか、南西航路とか南東航路の確保といいましても具体的にどのぐらいの幅を目安にしているのか、ある程度幅の目安がないと守れないのじゃないか、こういう素朴な疑問があるわけでございますけれども、これについて局長、いかがですか。
  105. 夏目晴雄

    夏目説明員 シーレーン防衛というのは、先ほどお答えしましたとおり海上交通の安全を守るということでございまして、その実際の防衛の態様にはいろいろなやり方が含まれると思います。航路帯というものを設定してその航路帯だけを守るというふうなこともありましょうし、あるいはまた船団を組んでその船団を護衛していくコンボイ方式によるようなこともあろうと思います。しかし、全体的にシーレーンの防衛ということを考えるに当たっては、そういった航路帯の防衛ないしは船団護衛だけではなくて、周辺海域をクリアにする、対潜哨戒を行うことによって潜水艦が出にくく、活動しにくくするということ、あるいは海峡なり港湾をきちっと守る、いろいろな作戦というものの積み重ねによってシーレーンの防衛というものが成り立つのだろうと思います。  そこで、いま先生お尋ねの、たとえば航路帯を防衛するというようなこと、確かに事態によっては航路帯を設定し、安全な航路を指定してなるべくそこに船を通すということによる防衛方式というものもあり得るかもしれません。そのときの幅なりというものをどういうふうに見積もるかということでございますが、これはもうそのときの脅威の態様、わが方の防衛行動の態様によって決まるわけでございまして、一概にいま幅が何マイルであるとか何十マイルであるということを特定するのはなかなかむずかしいことであろうというふうに思っております。
  106. 丹羽雄哉

    ○丹羽(雄)委員 五六中業達成によって日本側シーレーン防衛能力は相当向上する、こういう見解を示しております。一方アメリカ側は、ワインバーガーは、これはなお不足である、こういう認識を持っているわけですけれども、それでは、相当向上するというわが国の見解は、シーレーン防衛が十分確保できるということか、向上はするもののなお不足するのか、どちらの見解をとっていらっしゃいますか。
  107. 夏目晴雄

    夏目説明員 シーレーン防衛というのは、われわれ実際の防衛力整備するに出たって、防空能力であるとか着上陸阻止能力あるいは継戦能力、抗堪性というものと相並んで、海上交通の安全を確保するというのはわが国にとってきわめてバイタルな問題であるという認識のもとに、五六中業でも重点的に力を注いで整備をしているということでございまして、具体的に申し上げますれば、護衛艦をDDGを含むところの十四隻を建造する、潜水艦を六隻建造する、あるいは固定翼対潜機、回転翼の対潜機というものを数十機それぞれ整備をするということになるわけでございます。  そして、中身についてもう少し申し上げれば、この自衛艦隊に属する護衛艦というのは、いずれもミサイルを装備した近代化が完了するというふうなことを考えた場合に、私どもとしては、これは現在の防衛力に比べて海上交通の安全を確保する能力というものは相当向上するだろう。  しかし、ではそれで一〇〇%守れるのかということでございますが、先ほど大臣からも御答弁がありましたとおり、この海上交通の安全を確保するというのはきわめて困難な仕事でございまして、これをどの程度、あるいは八〇%できるかとか六〇%できるかということを申し上げるのは、これもまさに脅威の態様、侵攻の態様その他いろいろな要素が絡み合っていきますので、一概に何%ということは申し上げかねますが、いま申し上げたような整備内容から申し上げて、相当程度上回る、向上するであろうということが申し上げられるだろうというふうに思っております。
  108. 丹羽雄哉

    ○丹羽(雄)委員 私の質問に答えてくださらなかったようですけれども、次にシーレーン防衛と集団的自衛権の問題について若干お聞きしたいと思います。  たとえば、中東で米ソの軍事的衝突が発生して、そしてわが国にも実際に攻撃されるおそれがある段階、こういう段階で太平洋からインド洋に至る西側シーレーンを日米共同で防衛する一環として三海峡を封鎖するということをアメリカ側が実際に求めてきた場合、これは日本側としてはイエスをとるのか、ノーをとるのか、お聞きしたいと思います。
  109. 夏目晴雄

    夏目説明員 私ども実際に通峡阻止というふうなことを考える場合は、あくまでもわが国に対する武力攻撃があった場合にその相手国である艦艇の通峡を阻止するというのが私どもの考え方でごいまして、いま先生の御指摘のような中東で云々というときに、アメリカの一方的な要請によって海峡を封鎖するというようなことは、全く考えておりません。
  110. 丹羽雄哉

    ○丹羽(雄)委員 それではもう一点ちょっとお聞きしたいと思います。  たとえばわが国に有事発生した場合、日本に向けて巡航しているアメリカの船が一千海里以内で攻撃された場合、日本が護衛することは集団的自衛権に当たるのか、それとも個別的自衛権とみなされるのか、どちらですか。
  111. 夏目晴雄

    夏目説明員 日本攻撃を受けてから、いわゆる日本有事の際に、いま御指摘のようなアメリカの船が攻撃を受けた場合にどうするか。従来、集団的自衛権の議論の関連では、そういった場合に、もっぱらそれを守ることを目的として行動することはいかがかというふうなことを答弁しているのが実際でございます。私どもは、しかし実際に有事になった場合には、そこに敵の潜水艦なり航空機というものが出現すれば、それがわが国に対する武力攻撃を加えている国の艦船なり航空機であれば、それを攻撃するのは理の当然でございますが、いま御指摘のような一場面をとらえて、仮定の話としてそういうことを議論するのは必ずしも適当でございませんけれども、アメリカの船を守ることをもっぱらその目的として行動することはいかがかというのが従来の答弁でございます。
  112. 丹羽雄哉

    ○丹羽(雄)委員 ハワイでの事務レベル協議では、今後シーレーン防衛はガイドラインに基づいて共同研究していくということで合意したわけですけれども、具体的にいつごろから共同研究を開始するのか、また、日本側としてはまずどの問題から研究に取りかかるのか、今後の方針、スケジュールについてお聞きしたいと思います。
  113. 夏目晴雄

    夏目説明員 シーレーン防衛に関連する共同作戦計画の研究をしようということを先般のハワイ協議で合意を見たわけでございます。帰国以来在日米軍と内々でどういったフォーラム、場において、どういうスタッフでやるかということをいま寄り寄り下相談をしている段階でございまして、私どもとしてはできるだけ早く着手したいというふうに考えておりますし、アメリカも同様の認識を持っておりますので、そう遠くない将来に始めたいというふうに考えておりますが、いまこの時点で何月何日からというふうな具体的なことを申し上げる段階にないということでございます。
  114. 丹羽雄哉

    ○丹羽(雄)委員 一部に報道されている年内に開始ということはどうなんですか。
  115. 夏目晴雄

    夏目説明員 一般的には年内には少なくも開始したいというふうに考えております。
  116. 丹羽雄哉

    ○丹羽(雄)委員 次に、F16の三沢配備の問題についてお聞きしたいと思います。  F16戦闘爆撃機三沢基地に大量に配備されるわけですけれども、これは対ソ抑止力向上するという面で評価される反面、さきの櫻内・グロムイコ会談でも見られますように、日ソ関係が一段と厳しくなったのではないかという面も否定できない事実でございますが、このF16の一三沢配備背景と意義づけについて、外務省防衛庁から見解をお聞きしたいと思います。
  117. 夏目晴雄

    夏目説明員 これも先ほど来再三お答えを申し上げておりますが、近年におけるソ連軍の軍事力の増強というのは目覚ましいものがある。これはヨーロッパのみならず、最近は極東においても著しいそういう傾向が見られるということにかんがみまして、アメリカとしてはそうした極東における米ソ軍事バランスというものを改善したいということが一番大きなねらいであろうと思います。また、そうしたプレゼンスによるコミットメントの確約というものを示すことが第二のねらいであろうと思いますし、また、そうすることによって日米安保体制抑止力向上ということがねらいであるということでございまして、私どもとしては、そうしたアメリカ抑止力向上させることが、わが国、ひいては極東の平和と安全にきわめて有効であるというふうな認識を持ってこれを受け入れるというふうにいたしたわけでございます。
  118. 松田慶文

    ○松田説明員 お答え申し上げます。  F16の配備受け入れに係ります国際情勢認識につきましては、防衛庁外務省は全く同一でございまして、政府部内、その点に関しましては完全に同一の見解、立場に立っております。
  119. 丹羽雄哉

    ○丹羽(雄)委員 今側のF16の三沢基地配備は、規模の面から見ますると、これは事前協議対象外となっているわけですけれども、このF16というのは対地攻撃にすぐれているだけに、沿海州、サハリンなどのソ連基地攻撃も可能なわけです。それでニクソン・ドクトリンで十一年前に米軍機が全部撤退したわけですけれども、十一年ぶりに復活、配置したわけですが、これは単に規模の面だけで比較していいのかどうか、事前協議対象とならないことが妥当かどうか、この点について外務省にお聞きしたいと思います。
  120. 松田慶文

    ○松田説明員 お答えいたします。  御案内のとおり、昭和三十五年、安保条約策定の際の日米間の了解、すなわち第六条に係る交換公文では、このような配置の変更における事前協議対象としては、陸軍にあっては一個師団、空軍にあってはこれに相当するものと取り決めました。したがいまして、航空部隊の場合、一個飛行師団あるいは航空師団というものの規模は、世界的に一つレベルがございまして、それを念頭に置いて仕事をしてきているわけでございますけれども、御指摘のとおり、三十五年以来、個々の航空機の能力はそれなりに向上しておりまして、当時の一個師団の総火力といいましょうか、そういったものとの現状との比較では、恐らく御指摘のとおり大きく伸びているかとも思います。  しかし、これは米側だけ、西側だけが伸びているのではございませんので、世界全体の、相手方のレベルも伸びているわけでございます。たとえば一例をソ連にとれば、現在、極東配備されている戦術航空機はいわゆる第三世代でありまして、同程度に大きな火力、相当な能力を持つものになっておりますから、結局このようなものは相対的な比較、バランスの問題かと思います。  したがって、結局は、配置における変更は、その規模が幾らであるかという従来からの基準を用いる以外にはなかろうかと思いますし、これは実は、安保以来、四十年代、五十年代政府部内でもるる検討してまいりましたが、現状においてはこのような数字、数量を維持するということが妥当と考えております。
  121. 丹羽雄哉

    ○丹羽(雄)委員 いまの審議官のお話を聞くと、確かに規模的なものだけでは比較できない、戦力がアップしているからということをおっしゃっている反面、相対的なものだということでございますけれども、この辺は非常にむずかしい問題ですが、いまお話しになりましたように、確かに三十五年一月の藤山・マッカーサー口頭了解では、米軍の配置の重大な変更という規模に当たらない、これは確かなことでございますけれども、ただ、師団規模に当たらないけれども、幾つか分散して配備することによって、それを合わせれば結果的には師団以上になるという問題が出てくる可能性がないのかどうか、また、そういう場合どういうふうに対処することが必要なのか、お聞きしたいと思います。
  122. 松田慶文

    ○松田説明員 理論的な可能性の問題としては、御指摘のとおり、分割して一つの数量のものを持ち込むということも態様としてはあり得ようかと思いますが、事前協議対象となるべき一個師団規模の導入というのは、それが一つのものとしてある限りは、仮に何回かに分けて入ってきても、やはり事前協議対象になろうかと思います。しかし、ある期間内にたまたま合計すれば一個師団になるというがごとき程度では、御指摘の事例には該当しないのではないかと考えております。
  123. 丹羽雄哉

    ○丹羽(雄)委員 そうすると、これからこういう問題が続々起こってきた場合には当然事前協議対象になる、こういうふうな見解でよろしゅうございますね。もう一回確認だけしておきます。
  124. 松田慶文

    ○松田説明員 お答え申し上げますと、そうではございません。  今回の決定は、二飛行隊、四、五十機程度ということで、一つの決定として今回配備が八五年以降なされるというふうになったわけでございます。もし今回一個飛行師団程度のものを日本配備すると決めて、そしてその第一段階としてとりあえずたとえば二個飛行中隊を出す、そういうような全体決定の一つのユニットであれば御指摘のような事態もあり得ようかと思いますが、先ほどお答え申し上げましたとおり、一つの配置の変更がその規模以下である場合には、それとして事前協議対象とならない。また将来別途の決定が別途の状況のもとで何かあるとしたとすれば、それはそのときで新しい事態を別途に考えたい、こういうことが事前協議制度の運用の態様でございます。
  125. 丹羽雄哉

    ○丹羽(雄)委員 そうすると、分散して入ってきて、期間の問題もいろいろあるでしょうけれども、結果的には師団以上の規模になるということがあっても、事前協議対象にはならないということですね。
  126. 松田慶文

    ○松田説明員 基本的には御指摘のとおりでございます。  すなわち、一つの師団規模以上のもの、事前協議対象となるべきことを、さみだれ的と申しますか分割的といいますか、意図的、悪意を持って分割するようなごとき事態はまずは想定されませんが、仮に理論的にそのようなことを想定するならば、それは全体として事前協議対象となります。
  127. 丹羽雄哉

    ○丹羽(雄)委員 このF16に関連して、いまのF1支援戦闘機の後継機種の問題ですけれども、F16を三沢に大量配備することによって、防衛庁長官新聞社のインタビュー等で、日米共同作戦をスムーズに行っていきたいというような考えを述べておるわけでございます。そうすると次期支援戦闘機はF16であるという可能性がきわめて強いのではないか、こういうふうに私どもは想像するわけでございますけれども、これについてお考えをお聞きしたいと思います。
  128. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 F1の後続機の問題につきましてはまだ検討の段階にも入っていないわけでございますので、いまF16がその有力なものであるということの断定は当たらないと思います。
  129. 丹羽雄哉

    ○丹羽(雄)委員 次に、日米軍事技術交流の問題についてお聞きしたいと思います。  この問題については、昨年の大村・ワインバーガー会議以降懸案となってもう一年半近くになっているわけでございますが、今回の会談では決着がつかないというような報道がなされておるわけでございます。どのようなやりとりがなされたのか。一年半近くも放置されているということは異例のことでございますが、いつごろまでにこの問題に決着をつけるのか、長官の考えをお聞きしたいと思います。
  130. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 防衛技術交流の問題につきましては、先ほど報告の中でも申し述べましたとおり、これまた先生御案内のとおり、一方でわが国武器輸出の三原則、また政府統一見解があり、片方では日米安保体制信頼性維持を図らねばならないという、この二点を何とか整合性を求めるような結論を生み出すことができますように、私の出発寸前まで関係省庁で本当にもう大変なぎりぎりの努力をしたわけでございますけれども、私の訪米時までには間に合いませんでした。そのことを私から率直にワインバーガー長官に申し上げまして、引き続きこの問題は日米間の継続協議、懸案ということにさせていただきたいということを申し述べ、アメリカ側から、その点については了解をするけれども、アメリカの態度は、ワインバーガー長官からもまたその他の関係者からも、あくまでも両面交通にしてほしいという強い要請がありまして、それを私ども今後国内に持ち帰りまして関係者と早速協議を始めたいというふうに思っております。  改めて申し上げるまでもなしに、大変むずかしい二つの問題の整合性を図るわけでございますから、いつまでにめどをつけられるかということをいまこの時点で明確に申し上げられませんことを御理解いただきたいと思います。私がアメリカで受けた印象では、大変アメリカは強い要請の態度でございましたので、そう長期間このままでおられるものではないのではないかというような懸念は持っておりますけれども、何といたしましても大変むずかしい問題の調整でございますから、いつまでにめどをつけなければならぬ、またつけるかということについては、いま明確に申し述べることができませんことを御理解賜りたいと思います。
  131. 丹羽雄哉

    ○丹羽(雄)委員 それでは外務省にお聞きしたいと思います。  いま長官も大変苦労していらっしゃる武器輸出三原則の問題と、また同盟国としてのアメリカの問題、こういう問題があるわけです。私は、武器輸出三原則を日米安全保障条約に基づく同盟国としてもっとアメリカ側に対して柔軟的に考える必要があるのではないか、こういうふうに考えておりますけれども、外務省はどういう考えをお持ちですか。
  132. 松田慶文

    ○松田説明員 ただいま政府部内におきましては、関係する幾つかの省庁間で鋭意検討中でございます。したがいまして、まだ中途段階でございますので、政府として一体的な結論ができ上がりますまでは個々の省庁の見解はなかなか申し上げにくいのでありますが、先ほど先生御指摘のとおり、安保体制を踏まえて柔軟に対処するのも一つの考えではないかという点は、私どもとして十分ありがたく承るところでございます。
  133. 丹羽雄哉

    ○丹羽(雄)委員 何か入り口で論議が平行線をたどっている感じがするわけですけれども、ちょっとお聞きしたいのです。たとえば平常時に契約したものについて紛争が起きた場合どうするか、どう対処するかという問題が一つの論議の対象になっているわけでございますけれども、これについて外務省、どう考えますか。
  134. 松田慶文

    ○松田説明員 ただいま私どもで検討いたしております幾つかの問題点一つでございまして、まさに結論がなかなか出ない、いろいろな考え方、いろいろな立場のある問題でございますので、この場でこういう方向であるということをお示しし得る段階ではございません。御了解をいただきたいと存じます。
  135. 丹羽雄哉

    ○丹羽(雄)委員 伊藤長官がお帰りになって、新聞社のインタビューに対して、汎用品の取り扱いについて、汎用品輸出の手続を簡素化したらどうか、柔軟に解釈していくというようなことを述べていらっしゃる。これはどういうことを意味するのか。軍川品か汎用品かで現実にチェックする、一つ審査するのに非常に時間がかかっている、こういうボーダーラインといいますか、こういうものをスムーズにパスさせていくということに解釈してよろしいのですか。
  136. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 大体そうでございます。
  137. 丹羽雄哉

    ○丹羽(雄)委員 それからこれに関連して長官にもう一点お聞きしたいと思いますけれども、たとえば民間に使える可能性があっても当面は軍事専用にしか使用が認められないようなものについては、どういう考えで対処なさいますか。
  138. 木下博生

    ○木下説明員 武器及び武器技術の範囲につきましては通産省の方で一応の基準に基づいて運用をいたしておりまして、いま先生お話しになりましたような将来民間にも使えるかもしれないというような技術の場合に、それを汎用品と見るかどうかという点については、その技術の中身を見ないとなかなかはっきり言えないということを通産省としては考えるんじゃないかと思っております。
  139. 丹羽雄哉

    ○丹羽(雄)委員 時間も大分来ましたので、続いていわゆるGNP一%の問題について長官のお考えをお聞きしたいと思います。  午前中の長官発言の中で、GNP成長率五・一%を前提とすれば期間中の防衛費の対GNP比率は平均で〇・九七から一・〇二になる、こう述べている反面、GNP一%の枠内にとどめるとの方針を変更する必要はない、こういうふうに述べているわけですけれども、何か非常に私は吟味して読んでもよくわからないのですけれども、一体どちらを信用したらいいのかわからないのですけれども、一%堅持を最大限努力すると言っても、その前にこれは一・〇二%にもなるということを言っているのですから説得力に乏しいんじゃないか。  この問題は選択の道は二つ一つだ。つまり五六中業達成をあくまでも優先させるのか、それとも五六中業を仮に断念してでも一%を堅持するのか、この辺をはっきりと国民の前に明らかにすることが政府の責任のある態度である、私はこういうふうに考えております。長官の考えをお聞きしたいのです。
  140. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 この問題も先ほどの防衛技術の問題と同じようなことでございまして、片方では五六中業の順調な達成も図らなければなりません。また反面、GNP比一%以内をめどとするという閣議決定も現存をしておるわけでございまして、その二者をどうやって整合性を保ちながら国民の御期待なりに沿えるような防衛力整備していくかということにわれわれの苦心、努力があるわけでございまして、その苦心のゆえんをぜひ御理解を賜るという以外にはこの時点で申し上げることはないのでございます。
  141. 丹羽雄哉

    ○丹羽(雄)委員 苦心のほどはわかるのですけれども、しかし、これは全然説得力がないわけです。私はそもそも国の防衛費というものを対GNP比率だけで論議することは必ずしも適切なことだとは思わないのです。  ただ問題は、防衛予算が一%の枠を超えた場合防衛力増強に歯どめがなくなるのではないかという国民の不安があることも否定できない事実です。単に財政面だけでなく防衛について国民の合意を形成する上で大きな役割りをいままで果たしてきたのではないか。この問題で国民の理解を得られるかどうか、非常に素朴なことかもしれないけれども、これが一番大切なことではないか、こういうふうに考えるわけですけれども、防衛庁長官の所感をもう一度お聞きしたいと思います。
  142. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 前段の方は、丹羽先生の御意見は私どもとしても傾聴に値する御意見のように承りますけれども、われわれはやはりGNP比一%以内という閣議決定は現存しているという事実はあくまでも守っていかなければならないと思います。反面、歯どめの問題でございますけれども、日本防衛はシビリアンコントロールのもとにありますし、また予算面等では国会の厳正な、慎重な御審議の結果つくられるものでございますので、その点からも私は防衛力整備につきましては十分な歯どめがあるものと考えております。
  143. 丹羽雄哉

    ○丹羽(雄)委員 いまの話の繰り返しになるのですけれども、仮に一%の枠を少しでも踏み出した場合防衛費はどのくらいまでふくらんでいくのか、こういう疑問があるわけです。一・五%になるのか一・三%になるのか、こういう声に対してどういうふうに答えるかということは大切なことである。これを明確にしないで経済成長率の関係です、分母の関係ですということでなし崩し的に一%の枠を撤廃することは、かえって国民の不信を買うのじゃないか。  そこで長官、もう一度お聞きしますけれども、一%の枠を撤廃するのか、それとも、経済成長率によって一%を超えることを余儀なくされている場合これにかわる新しい歯どめのようなものを設ける必要があるのじゃないか、私はこういうふうに考えるわけでございますけれども。まあその時点になってみないとわからないということでございますけれども、年末には新経済社会五カ年計画ですか、これが出されるわけでございます。そうすると五・一%が四%くらいになるわけでございますから、本当に早晩にもこれははっきりするわけでございますから、この辺をいまから十分に、きちんと検討しておく必要があるのじゃないかと思いますけれども、この場合新しい歯どめのようなものを考える用意があるかどうか、お聞きしたいと思います。
  144. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 将来のことは私どもも予測できませんけれども、先ほど御答弁申し上げましたとおり、私どもはいま現在のところ一%の閣議決定を変える必要はないものと考えております。
  145. 丹羽雄哉

    ○丹羽(雄)委員 将来といっても遠い将来でしたらこれはわかるのですけれども、近い将来ですからね、ちょっと私はその大臣の答弁には納得しないわけでございますけれども、話を変えまして、いま財政再建ということで、アメリカ側から大変強い要請を受けて伊藤長官本当に御苦労だったと思いますけれども、御存じのように人事院の勧告の凍結、こういう事態にまで至ってきているわけでございます。そういう中で、必要な兵力はどんどん配備しなければならない、私はこういう立場でございますけれども、防衛庁行政改革の中で防衛費は聖域であるということにあぐらをかいているのじゃないか。つまり低コスト防衛にどう当たっているのか。たとえばF15、P3Cの調達価格の推移ですね、これはどうなっているのか。三カ年ですか、これはもし明らかになりましたら、数字を示していただけますか。
  146. 木下博生

    ○木下説明員 手元にちょっと資料を持ってきておりませんのではっきりした数字を申し上げられないかと思いますが、過去三カ年くらいのP3CとF15の値上がり率は八、九%だったのではないかと思っております。
  147. 丹羽雄哉

    ○丹羽(雄)委員 八、九%ということですけれども、いずれにいたしましても契約時に比べまして非常に暴騰している。私は、これはどうも競争の原理がないからこういうふうになるのではないか。先ほどから私は申し上げているように、五六中業達成のために必要な兵器を買うのは結構だけれども、購入先の言いなりになっていては、これは国民の税金でございます。もっと国産の研究開発費をふやすとか、この間もサッチャーが来ていろいろ売り込んでおったわけでございますけれども、ヨーロッパの方に目を向けるとか、価格の引き下げに努力をして低コスト防衛に徹底することが必要なことである、これがわが国防衛に対する国民の信頼を得る一番の最大の要諦である、こういうふうに私は考えますけれども、時間が参りましたので、この問題につきまして最後防衛庁長官の見解をお聞きしたいと思います。
  148. 木下博生

    ○木下説明員 防衛装備品の調達につきましては、先生いまおっしゃいましたように、従来からできる限り競争原理の導入を図っていくということでコストを安くして調達する方針でやってきておりますし、今後もやりたいということを考えているわけでございます。  ただ、先ほど御指摘になりました航空機の場合には、つくっております航空機の材料等をアメリカから輸入しているというようなこともありまして、そのアメリカが非常に高いインフレ率でそういう材料コストが上がっているというようなことがありましたために、過去において値上がりがやむを得なかったというような面がございますが、ただ基本といたしましては、いま先生おっしゃいましたように、できるだけ安いコストで購入をやっていくという方策を続けてまいりたいと考えております。
  149. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 防衛もやはり行政改革なり財政再建の趣旨に十分沿いながら、またそのことがわが国のいまの政治の最大課題であるということを心得ながら、合理化、節減化、効率化に十分留意しながら、国民の信頼にこたえるような防衛力整備を図ってまいりたいと考えております。
  150. 丹羽雄哉

    ○丹羽(雄)委員 終わります。
  151. 細田吉藏

    細田委員長 市川雄一君。
  152. 市川雄一

    ○市川委員 最初防衛庁長官に、基本的なことを確認する意味でお伺いしたいのですが、いまの「防衛計画大綱」ですね、これは基盤的防衛力構想をもとにつくられたものだと思いますが、この基盤的防衛力構想、基盤的防衛力整備することは大綱水準達成することと同じ意味ですか、どうですか。
  153. 夏目晴雄

    夏目説明員 「防衛計画大綱」というのは、いま先生御指摘のように基盤的防衛力という構想を前提にしてでき上がっております。私どもは、この「防衛計画大綱」を達成することを基本として五六中業をつくり、現在その初年度たる五十八年度の概算要求を要求しているという段階でございます。
  154. 市川雄一

    ○市川委員 したがって、基盤的防衛力というのは大綱水準ということとイコールの関係ですね。
  155. 夏目晴雄

    夏目説明員 ストレートにイコールという言い方がいいのかどうか。基盤的防衛力というのは一つの「防衛計画大綱」の考え方を申し上げているわけでございまして、大綱水準という中には、それとはまたうらはらに別表における水準、すなわち数量的な表示というものも一体となっておるもの、私どもはそうしたものを一体として「防衛計画大綱」の水準というふうに理解しております。
  156. 市川雄一

    ○市川委員 ですから、基盤的防衛力構想というものがあって、その構想のもとに「防衛計画大綱」ができて、その大綱に別表が数量的に示されている。ですから、これは全部イコールでしょう。そう考えていいわけでしょう。
  157. 夏目晴雄

    夏目説明員 イコールというか、それが一体となって「防衛計画大綱」になっておるというものであります。
  158. 市川雄一

    ○市川委員 基盤的防衛力構想というものは、現在でも生きているのですか、それとも死んでいるのですか。これは長官どうですか。わかりませんか。
  159. 夏目晴雄

    夏目説明員 いまその大綱水準達成しようということでございますので、当然のことながら基盤的防衛構想というものは生きておる。
  160. 市川雄一

    ○市川委員 「防衛計画大綱」は、特定の第三国の脅威を前提としたものですか、ものでないのですか。これは長官どうですか。
  161. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 特定の脅威を対象としたものではございません。
  162. 市川雄一

    ○市川委員 大綱はどういう脅威を想定してつくったものですか。
  163. 夏目晴雄

    夏目説明員 大綱は、いま先生十分御承知の上の御質問と思いますが、基盤的防衛構想というのを前提にしている。基盤的防衛構想というのはどういうことかというと、防衛上の各種の機能というものをまんべんなく備えて、その機能に欠落がないこと、そしてあるいは正面と後方との間に均衡のとれた防衛力である、そして平時においても警戒能力というかウサギの耳を長くするというふうなことに観点を置きまして、有事になれば限定的小規模の侵略にも有効に対処し得るというものを前提にしておる、まあそういうものでございます。
  164. 市川雄一

    ○市川委員 後で違いますと言われないように確認をしていただきます。  それから長官、ことしの一月十三日に鈴木総理が長官に九項目の指示というものをなさいましたね。私たち新聞で拝見したのですが、そのときに総理は、五六中業あるいは防衛予算国際情勢の変化に対応したという観点でやったものじゃない、脅威対応論はとらない、こう長官に指示をされたのですが、長官、総理と同じ考えですか。
  165. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 同じ考えでございます。
  166. 市川雄一

    ○市川委員 大綱は、いま局長からお話がございましたが、米ソ戦というものを前提に置いていますか。
  167. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 そういう米ソ間の大戦争はないという前提のもとに立っております。
  168. 市川雄一

    ○市川委員 大変初歩的なことを伺って申しわけないのですが、五六中業における大綱というか、五六中業における防衛力整備の目標というか、これは五六中業というよりも大綱ですね、大綱で目指しているもの、これは自力で日本防衛するためのものなのか、それとも米軍を補完するためにやっているのか、これはどちらですか。
  169. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 正確に言葉は申し上げられるかどうかわかりませんけれども、限定的な小規模な侵略に対して独力で排除できるだけの防衛力を備える。それで、もしそれが排除できないような場合においては日米安保条約の発動によって米側の支援を願うということが、いまの日本防衛の姿だろうと思います。
  170. 市川雄一

    ○市川委員 防衛白書等での説明でも「原則として、独力で排除する」、こう書いてありますね。ですから、米軍の補完ではない、こういうふうに理解してよろしいわけですか。
  171. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 わが国の自主的な防衛努力でございます。
  172. 市川雄一

    ○市川委員 日本防衛力整備ソ連の世界戦略を頭に入れて考えられたものですか、どうですか。
  173. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 そういうものではございません。
  174. 市川雄一

    ○市川委員 基盤的防衛力構想あるいは「防衛計画大綱」、この大綱が目指しているものは日本が単独で攻撃されたという事態を想定してつくられたものですか。
  175. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、わが国に対する小規模限定的な侵略攻撃に対して独力で排除できる力を持つということが基本でございます。
  176. 市川雄一

    ○市川委員 それを独力で防衛するということを考えている。わかりました。  次に、鈴木総理が昨年の五月訪米の折にプレスクラブで演説をした。日本列島周辺海域数百海里、航路帯を設ける場合は一千海里、これがアメリカでは大分公約的に受け取られておりますが、これは長官の立場ではどういう御認識ですか。日本アメリカに公約した、約束した、こういうものですか。たとえば大河原さんなんか、一国の総理がアメリカへ行ってレーガン大統領と会って、そういう国際的に非常に権威のある場所で総理が演説をした、それだけの重みはある、こういうこともおっしゃっておられるわけですが、長官の御認識はいかがですか。
  177. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 従来からの日本防衛政策、防衛計画の要点を申し述べたものでございまして、総理大臣としての重みのある発言であったとは思いますけれども、公約とか約束というような性格のものではないと考えます。
  178. 市川雄一

    ○市川委員 シーレーンの防衛は「防衛計画大綱」に基づいたものですか、どうですか。
  179. 夏目晴雄

    夏目説明員 シーレーンの防衛海上交通を、安全を守るということは、「防衛計画大綱」はもちろんでございますが、それ以前から防衛庁として防衛力整備の重点として考えていた事項でございます。
  180. 市川雄一

    ○市川委員 「防衛計画大綱」のどこの個所にシーレーンの防衛ということがうたわれていますか。
  181. 夏目晴雄

    夏目説明員 具体的にそういった表現はございませんが、三次防、四次防からそういう考え方防衛力整備を進めてきたものでございまして、当然のことながら「防衛計画大綱」においてもそうした考え方を念頭に入れてつくられたものというふうに理解しております。
  182. 市川雄一

    ○市川委員 「防衛計画大綱」を生み出した基盤的防衛力構想にもシーレーンの防衛というのはどこかにうたわれていますか、述べられていますか、どうですか。
  183. 夏目晴雄

    夏目説明員 「防衛計画大綱」には個々にそうしたシーレーン防衛とかいうふうなことについての具体的な表現というものはございませんけれども、わが国は四面海をもって囲まれた国で、狭小な国に過密な人口を抱え、資源、食糧、エネルギーの大半を海外に依存しているわが国にとっての生存、繁栄にとってバイタルな問題であり、それを守ることはわが国として当然考えるべき問題として考えていたということでございます。
  184. 市川雄一

    ○市川委員 基盤的防衛力構想にも書かれてない、「防衛計画大綱」にも全然シーレーンなんてことはうたわれてない。お聞きしますと、以前から言っていて当然のことだからと、こう言う。しかし、そんな以前から言っていて当然なことで重要なことだったら、基盤的防衛力構想をつくったときにシーレーンというものをもっと説明しなければいけないと思う。大綱にもうたってない。何でうたってないものをやっているのですか。大綱に基づかないことをやっているのじゃないですか。どうですか。
  185. 夏目晴雄

    夏目説明員 「防衛計画大綱」には、たとえば海上自衛隊として「海上における侵略等の事態に対応し得るよう」云々ということ、あるいは「沿岸海域の警戒及び防備」、あるいは主要海峡の防備、それから海上護衛、その他そのシーレーン防衛に関連した措置が別な表現でうたわれております。
  186. 市川雄一

    ○市川委員 正確に読んでくださいよ。そういうふうには書いてないですね。何か対潜機部隊を有するということでここには書いてあるだけです。大きい項目で書いてあるのは、周辺海空域の警戒監視です。洋上防空とか、そんなことはここには書いていませんよ。そうでしょう。これほど重要なことだったら何で書いてないのですか、疑問でしようがない。答えていただきたい。何で大綱に入ってないのですか。
  187. 夏目晴雄

    夏目説明員 いま申し上げたとおり、そういったものの重要性認識して、個々の機能について警戒監視ができること、海上、海峡防備ができるような部隊を持つということが書いてあるわけでございまして、海上交通の保護、シーレーンの防衛というものを全く考えてないということではないというふうに思っています。
  188. 市川雄一

    ○市川委員 だから言ってみれば、全く考えてないということではない程度のことだったわけでしょう。本来なら基盤的防衛力構想というものは自衛隊全体の防衛力をどうつくるかという構想ですから、これに当然シーレーンの脅威というものを想定しなければならない。ところが、さっき脅威の前提を聞きましたら、小規模限定的侵略でしょう。あくまでも領海、領空、領土に対する着上陸阻止の発想じゃありませんか。シーレーンというものは基盤的防衛力構想では触れていませんよ。僕はその辺がおかしいと思うのです。ですから、「防衛計画大綱水準達成、こうおっしゃっていますが、実際は大綱にないこと、大綱を事実上形骸化して大綱の枠外のことをやっていらっしゃるのじゃないかと思うのです。  たとえば、ことしの八月九日、ドネリー在日米軍司令官が東京横田基地で記者会見しまして、五六中業についての見解を述べていらっしゃるわけですが、この中で、「鈴木首相が千カイリシーレーン防衛の責任受諾を表明したが、これは大綱で予期されたものではない。また五六中業では大綱にはなかった武器購入を決めている」というようなことを述べているわけです。ドネリーさんは、大綱で予期しているものではないという認識なんですね。  それから、今度はロング司令官は、ちょっと古くて恐縮ですが、ことしの四月二十八日ですか、「五六中業達成を目指している防衛計画大綱水準が五一年当時の国際情勢に対応するように定められたものだが、以来、極東でも世界でも、日本防衛に影響を与えるような変化が起こった。ソ連軍の全面的な軍事力の増強と世界各地への進出は日本にも米国にもより大きな脅威となっている。このため、五年後には大綱水準達成するだけでなく、その時点でのソ連の脅威に十分対処できることが必要となる。」これは大綱当時と日本防衛に影響を与える大きな変化が起きたということを言っているわけですね。したがって、いわゆるこの大綱では日本のシーレーンの防衛はだめだということを言っている。情勢が変化した、こういう認識。それから、大綱では予期してなかったということを間接的に言っているわけですね。  それから、自衛隊の統幕議長の矢田さん、これもことしの三月三十一日の定例記者会見で、「米国日本に要請している日本周辺一千カイリのシーレーン防衛について、極東ソ連軍の海空軍力の増強によって、わが国防衛力は相対的に低下している、シーレーン防衛能力も「防衛計画大綱」策定当時の想定より低下した、従って、大綱達成されても十分な成果が上げられない」、こう言っているわけです。これは、まあ大綱では一応考えていたけれども、情勢が変化したのでだめになっちゃった、こういう認識。  こういうことについて大綱では予期されてなかったという見解が一つ。あるいは、大綱では多少予期していたけれども、その後、大綱の予想した情勢以上の情勢変化があった、したがって大綱達成しても大綱では対抗できない、こういう見解。いまの防衛庁の御認識はどちらですか。
  189. 夏目晴雄

    夏目説明員 アメリカの一部に大綱では不十分だというふうな考え方が見られるということも私ども承知しておりますが、この「防衛計画大綱」においても、海上交通重要性というものを認識し、そのための艦艇部隊、対潜哨戒機部隊整備を進めるように考えているということについては、いささかも先生の言われるような、考えてないということはなかったと思っております。私どもとしては、現在この大綱水準をできるだけ早く達成する、国際情勢ソ連軍事力の増強というものが厳しい中で、そのためにも一日も早くこの大綱達成したいということで、現在、五六中業を作成し、その着実な整備期待しているという段階でございます。
  190. 市川雄一

    ○市川委員 大綱では予期してなかった、また大綱で予期してなかった情勢変化があったということをそれでは認めますか。そういう情勢変化があったのだということは認めますか。
  191. 夏目晴雄

    夏目説明員 ソ連軍事力増強が著しく、そういう意味国際情勢が厳しくなったということは、私どもは従来から認識し、また、そのことをお答えしております。
  192. 市川雄一

    ○市川委員 そうするとまた矛盾するのですね。特定の第三国を脅威として想定しないと片方で言いながら、今度は片方で大綱をつくった当時よりはソ連軍事力が増強した、だから情勢が厳しくなった、だからスピードをアップしなければいけないんだ、これは脅威対応じゃありませんか。これは言っていることが矛盾していますよ。違いますか。
  193. 夏目晴雄

    夏目説明員 いわゆる脅威にストレートに対応する、対抗するというふうな防衛力整備というものは考えておりませんが、わが国周辺の国々の軍事力の趨勢、動向というものは当然のことながら念頭に入れてつくっておるわけでございまして、そういう意味合いから、わが国をめぐる国際情勢というものが変わったことは認識しておる、ただし、そのためにすぐわが方の「防衛計画大綱」を変えてどうこうすべきだということを申し上げているわけではございませんので、脅威対抗論になったという批判は当たらないのではないかというふうに思っております。
  194. 市川雄一

    ○市川委員 それは非常に詭弁だと私は思うのですね。確かに大綱水準達成を口指しておるのだから、ソ連軍事力が増強されて国際情勢が厳しくなった。だけれどもそれに直ちに対応してない。大綱水準を目指しておるのだから脅威に対応してないというのはぼくは詭弁だと思う。じゃ五三中業の前倒しは何のためにやったのですか。要するに大綱水準達成のスピードを速めたじゃないですか。計画よりもスピードを速めた要素というのは、ソ連の脅威が新しく出てきたからスピードを速めたんじゃありませんか。脅威対応じゃありませんか。
  195. 夏目晴雄

    夏目説明員 大綱そのものが脅威対抗論でないということを先ほど来申し上げたわけでございますが、その大綱水準をできるだけ早く達成したいということでございまして、あくまでも私どもがいま考えておる防衛力整備大綱の枠内であるというふうなことでございますが、その辺御認識をいただけば御解解いただけると思います。
  196. 市川雄一

    ○市川委員 全然納得できませんね、そんな答弁では。要するにアメリカソ連の脅威を言い出してから五三中業の前倒しがあって五六中業ができて、いまハワイ協議シーレーン防衛がまた大きく話題になってきた。これは明らかに脅威対応ですよ。これを脅威対応と言わなければ全くもうへんちくりんな理屈ですよ。わかりづらくて困る。  さらにお伺いしますが、外務省にちょっと確認したいのですが、昨年の五月の日米共同声明第八項で日米間の適切な役割り分担というものをうたいましたが、この役割り分担と千カイリシーレーン防衛というのは関連しておるのですか、してないのですか、どうなんですか。外務省、どういう御見解ですか。
  197. 松田慶文

    ○松田説明員 直接的な関係はないかと存じます。共同声明第八項で言っております役割り分損とは、それぞれたとえば日本の場合であれば経済協力も含む広範な外交努力をも踏まえての防衛努力といったことを考えておりまして、個々の具体的な行為そのものを念頭に置いた表現ではございません。
  198. 市川雄一

    ○市川委員 朝から議論がずっと続けられておりますが、アメリカ日本認識の兼、ギャップが相当あると私は思うのですね。ないと言うから矛盾するので、あると答えればわかりやすいのです。ないわけはないのです。あるのです。申し上げましょうか。  たとえば米下院の公聴会、ことしの三月に行われております。ここで今回のハワイ事務レベル協議にも出席されたと思うが、ウェスト国防次官補、こういう方がアメリカの下院でどういう発言をしておるのか。恐らく御承知だと思うのですが、「米国日本が通常兵器で攻撃された場合米軍などに頼らず、自力で防衛できるようにしたいのか。」米国はどう考えておるのだ。この質問に国防次官補は「米国日本期待しているのは、自衛隊防衛力を増強し、米軍を補完してくれることであって、米軍の代わりになってくれということではない。」だから「日本だけが孤立した形で攻撃されるということはあり得ない。」こう言うておるわけですね。それから「いつ、いかなる場合でも、日本が単独で本土防衛をするという事態は米国は想定していない。そんなことは起こらないだろう。」とはっきり言っておるのです。米国日本の想定が全然違うじゃないですか。さらに「ソ連が世界の他の地域で何をやっているか、ということを考えながら、全体をバランスをとった形で検討しなければならない。」アメリカが世界戦略の中で日本防衛を考えておるわけですね。はっきりしておるのです。まさか下院の公聴会で次官補が虚偽の証言をなさるわけはないと思うのですよ。こういうことをおっしゃっておる。ですから先ほどから伺ったことと全然違うことをアメリカが言っておる。これを御認識いただきたいと思います。     〔委員長退席、有馬委員長代理着席〕  さらに伺いますが、日本が言っておるシーレーンの防衛というのは海上通商路を防衛するという意味ですね。
  199. 夏目晴雄

    夏目説明員 いま海上通商路というお言葉がありましたが、私どもはシーレーンの防衛というのは海上交通の安全を守ることというふうに理解いたしております。
  200. 市川雄一

    ○市川委員 防衛庁長官、便宜もさっきから答弁されていますけれども、シーレーンの防衛というのは、日本は年間六億トンの物資が入ってくる、したがってその輸入物資を輸入するための海上交通路を保護するんだ、こうさっきおっしゃっていましたね。間違いありませんか。
  201. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 そういうことを申し上げましたけれども、そればかりが海上交通路の安全ということではないと思います。
  202. 市川雄一

    ○市川委員 じゃ、それ以外は何がありますか。
  203. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 日本の本土なり、それに攻撃なり侵略を与えてこられてわれわれの周辺海域が大変な問題になる、そういう事態を避けるためにもわれわれは海上交通というものを守らなければならないと思います。
  204. 市川雄一

    ○市川委員 ちょっとよくわからないのですけれども、周辺を守るために海上交通というと、南西航路、南東航路ではなくて、もうずっと日本列島周辺の千海里を守るわけですか。そういう意味になりますよ。どうですか。
  205. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 シーレーンの防衛には、周辺数百海里とそれから航路帯を設ける場合には一千海里、この二様の考え方があるわけでございます。
  206. 市川雄一

    ○市川委員 質問の答えになっていませんですね。  アメリカはなぜ日本船籍の商船を守ることにそんなに熱心なんですかね、海上交通路の保護に。これは不思議でしようがないのですよ、防衛庁の説明を聞いていると。日本は年間六億トンの輸入物資が入っている、一朝有事のときにこの物資を守らなければ、輸入路を守らなければ日本は生存できなくなってしまう、だから海上交通路の防衛が大事なんです、こういうわけだ。アメリカもそれをやれやれと非常に熱心に勧めていらっしゃる。なぜアメリカ日本の輸入物資の、海上交通路の防衛に御熱心なのか、よくわからないのですが、長官、教えていただけませんか。
  207. 夏目晴雄

    夏目説明員 アメリカが近来の厳しい国際情勢の中で、みずからも国内条件の厳しい中で、防衛努力をしている。しかし現在、一国だけで世界の安全を確保することがなかなかむずかしい。自由陣営の国々がそれぞれの持ち分に応じて防衛努力をしてほしいということを望んでいるわけでございます。そういうものの一環として、わが国に対しても、わが国の自衛のため、国益のためにそれ相応の努力をしてもらうことが世界の平和と安定につながるゆえんであるという認識に立っておるわけでございまして、アメリカ日本の商船を守るのに十分でなくて、日本が自分の持ち分に応じた防衛努力をすることが、日本の、極東の、そして世界の平和につながるものという認識であろうというふうに理解しております。
  208. 市川雄一

    ○市川委員 いわゆる輸入物資の輸入のための海上交通路を守るということは、それは日本にとって重要だということはわかるのですけれども、これは非常に広大ですよ、長官。     〔有馬委員長代理退席、委員長着席〕 横浜港から、たとえば日本の主な輸入物資、石油、鉄鉱石、この二つだけ挙げたって平均輸送距離が一万二千キロもあるのですよ。どうやって守るのですか。一万三千キロ。積み出し港を攻撃されたらもう終わりですよ。それから積みおろし港、横浜とか神戸やられたら終わりですよ。幾ら運んできたって港がだめなら終わりですから、非常にそういうものがあるでしょう。それから、むしろフィリピンのあたりで群島国家論なんというものが海洋法会議で通っちゃって、ロンボク海峡とかマラッカ海峡はだめだと言われたら終わりですよ、ぐるっとオーストラリアの方を回っていくのですから。  ですから米側が考えているシーレーン防衛というのは、防衛庁の言っている海上交通路、何か聞いていますと日本籍の商船を守ることに重点を置いた答弁をなさっているわけですが、そういうものじゃないんじゃないですか。長官ワインバーガー長官と、日本は六億トンの輸入物資がある、それが一朝有事のときにはその輸入物資の輸入のための海上交通路を守らないと日本防衛が成り立たない、したがってその防衛をやるために日本はシーレーンの防衛をしっかりやる、そういうことで日米意見は一致したわけですか。いまアメリカ日本に要求しているシーレーン防衛というのは、日本の輸入物資の海上交通路の確保という意味日米間が一致しているのですか。どうですか。
  209. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 ワインバーガー長官との間には、そういう輸入物資とか、そういう話はありませんでした。むしろワインバーガー長官からは、先ほど防衛局長も言いましたように、このシーレーンを守るということは日本の国益にも合うし、また西側全体の平和と安全にも大いに貢献するものであるという意味の話し合いはありましたし、先ほど来お話しのとおり、大変無理じゃないかというお話もございますけれども、われわれはそういう事態が起こらないような、そういう抑止力をつくっているわけでございまして、起こったときでなしに、起こらないための防衛力といいますか抑止力を持って、これだけ持っているから侵略の意図なり企図を持ってもなかなかそう簡単にはそのとおりにはいきませんぞというような抑止力を持っているわけでございまして、一たん有事の場合と平和時の場合とはまた別の問題でございます。
  210. 市川雄一

    ○市川委員 じゃ防衛局長に伺いたいのですが、シーレーン防衛というのは輸入物資の海上交通路を守ることが重点の考え方ではないということですか、防衛庁考え方は。
  211. 夏目晴雄

    夏目説明員 わが国が生存し繁栄していくためには海上交通の確保というのが不可決である、そういう意味合いにおいてシーレーンの防衛重要性を考えているわけでございまして、輸入物資だけというふうな考え方をされるといささかちょっと抵抗を感ずるわけですが、わが国内の、たとえば海上交通の保護も当然その中に入りましょうし、いろいろな要素が入ると思います。必ずしも輸入物資だけに限定する議論というのは、そのとおりでございますとちょっとなかなか言いにくい。それ以上のいろいろなことが入っていると思います。
  212. 市川雄一

    ○市川委員 それは、周辺海域はわかりますよ。だけれども、千海里ということになればそういうことでしょう。千海里ということになれば、石油とか鉄鉱石とか、そういう輸入路を確保するということに重点があるのでしょう。どうですか、それは。
  213. 夏目晴雄

    夏目説明員 重点がそこにあるのではないかということであれば、そういうことでございます。
  214. 市川雄一

    ○市川委員 時間がもっとたっぷりあればやりたいのですが、そこでお伺いしたいのですけれども、しかしアメリカ考え方はそういう考え方じゃありませんね。皆さん御承知だと思う。とぼけていらっしゃると思うのですよ。認識の差はないなんて、冗談じゃない。  ワインバーガー氏が日本に来られたときにプレスクラブで演説された。これは外務省の発行したものに載っているものですから、私が勝手に訳したものじゃありませんので。ワインバーガーさんはここではっきり言っているわけですね、いろんなところでも言っておりますが。「日本が北西太平洋における海と空の防衛を提供し得る能力を持つことは、同地域での米国戦略および通常戦力を補足することになる。」こう言っておるわけです。戦略的戦力を補足することになる。「戦略および通常戦力」ということは、戦略的戦力、通常戦力、両方を補足することになる。海での戦略的戦力とは何ですか。原子力潜水艦しかないじゃないですか。これを補足することになる、こう言っておるわけですよ。「かくして、日本は、自衛の制約内で、自国の安全保障はもとより、グローバルな安全保障に寄与できるのである。」こうおっしゃつておるのですね。やはりこれはアメリカの世界戦略の中で、対ソ、ソ連というものをにらんだ世界戦略の中で考えている。日本に入ってくる輸入物資、石油とか石炭とかということではない、戦略的戦力の補足になるというのだから。いいですか。  それから、伊藤長官とワインバーガー氏が会談されましたね。その後記者会見されたのですか、伊藤長官。記者会見で会談内容を発表されたのですか。記者会見なさってませんか、ワインバーガー氏と会談した後。
  215. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 ワインバーガー長官との会談後、何回か記者会見をいたしました。
  216. 市川雄一

    ○市川委員 その記者会見の中でも、ワインバーガー氏ははっきり言っているのですよ。自由社会全体の防衛にとってもシーレーン防衛は死活的問題であり重要である。できるだけ早く期待している。千海里以遠の防衛アメリカの責任でやる。日本は対潜防空能力、周辺海域防衛向上してほしい。それが日本の自己防衛の意欲を示すこととなり、ソ連の能力向上に対しても重要である。全部アメリカの世界戦略対ソ戦略の一環にシーレーン防衛というものを位置づけている。日本が千海里で能力を増すことはアメリカ戦略的戦力の補足になる、こう言っているのですよ、ワインバーガー長官は。日本のプレスクラブで演説しているのです。  これはどういう意味ですか。ちょっと教えていただけますか。長官でなくても結構ですから。この戦略的戦力の補足になるという意味をどういうふうに防衛庁は受け取っていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
  217. 夏目晴雄

    夏目説明員 これも先ほど来お答え申し上げておりますが、アメリカが厳しい国際環境の中でみずからも防衛努力をしておる。そうしていわゆる核戦力あるいは南西アジア防衛あるいはグローバルな海軍戦力等についてはアメリカが責任を持ってやるということで努力をしておるわけでございます。一方、それと同時に同盟諸国たるそれぞれの友好国がそれぞれの持ち分に応じて防衛努力をなすということがひいては西側全体の安全にとって大事であるというふうな趣旨で述べたものと思います。わが国に対する防衛努力期待というものもそういった一環であろうということは推察はできると思います。
  218. 市川雄一

    ○市川委員 もうちょっと何というのですか、言ってほしいのですよ。西側全体の防衛にとって寄与するということを言っているんじゃないのですよ。向こうはもっとはっきり言っているのですよ、戦略的戦力の補足と。皆さんは私たち以上に専門家なんでしょう。だから、戦略的戦力の補足という意味をどうとらえているのか。ワインバーガー長官会談して、ある意味では交渉しなければならないわけでしょう。こういう文章なんかは防衛庁は分析しないのですか。どうなんです。戦略的戦力の補足ということを聞きたい。  もういいです。こちらから申し上げます。ウィリアム・カウフマンという方、長い間アメリカの国防総省の顧問を務めている、米国の世界戦略に精通する、いまマサチューセッツ工科大学の教授をやっていらっしゃる方が、ことしの四月十九日、記者に話した。それによりますと「日本の海・空自衛隊は、欧州、中東などでの世界的有事の際には、ソ連の太平洋艦隊の艦船とバックファイアーなど爆撃機を封じ込めるため米軍協力するよう期待されている、」こういうことを言っているわけです。さらに詳しく言っていますけれども、要するに、端的に言ってアメリカ米ソ戦というものを想定してヨーロッパなり中東で有事があった場合はソ連極東艦隊を沿海州に封じ込める、その封じ込める役割りを日本期待している。ですから三海峡封鎖というものはシーレーンと一体のものとして要求してきているんだろうと僕は思うのです。  さらに、ハロウェイ・アメリカの前海軍作戦部長、これがことしの六月十六日、アメリカの上院の外交委員会安全保障問題について証言したのです。この証言の中身もいま申し上げたものと全く同じなんですね。「西欧――北大西洋条約機構方面での戦争発生は、同時に太平洋方面での米ソ戦争となることは必至であり、米国の(全世界的)戦略概念の成否は、米国および日本が、ただちに宗谷、津軽、対馬の三海峡を封鎖できるかどうかにかかっている」こういうことを、これはきちんと上院の外交委員会で証言なさっている。  明らかじゃありませんか、アメリカシーレーン防衛における日本に対する期待考え方というのは。あくまでも世界戦略。そんな日本の輸入物資が確保できるかどうかなんということはアメリカは考えてませんよ。ソ連極東艦隊をいかにして日本海に封じ込めちゃうかということ、あるいはバックファイアが出てくるなら日本列島上空でいかに落とすかということを考えているわけでしょう。アメリカ米ソ戦を前提に考えている。したがって、ワインバーガー氏も戦略的戦力の補足になる、こういう発言が当然出てくるわけです。違いますか。こういうバックがあるから、ワインバーガー氏の日本シーレーン防衛能力の向上アメリカアジアにおける戦略的戦力の補足になると。私はこういう解釈をしているのですが、もし反論があったらしていただきたいと思う。
  219. 夏目晴雄

    夏目説明員 アメリカ議会におきまして種々の発言があることは私も承知しておりますが、私どもアメリカと折衝した範囲アメリカ側から聞いておることは、日本のシーレーンの防衛というのはあくまで日本防衛にとってバイタルな問題であるということに尽きるわけでございまして、それ以上のことを私どもは要求されたこともございませんし、説明を受けたこともないわけです。  私どもはかねがね、先ほど来るる説明申し上げているように三次防、四次防の当時から海上交通の安全を確保することが日本防衛にとってきわめて重要な問題であるという認識で自主的に防衛力整備を進めている、そのことがアメリカにとっても全く同感を得たということでございまして、それ以上のものではございません。私も責任を持って国会で答弁をしているわけでございます。
  220. 市川雄一

    ○市川委員 ですから、まさかアメリカの世界戦略上重要だからという理由で日本でシーレーンの防衛力整備なんてできませんよ。だからアメリカもやはり、憲法の制約もあるし、表に出る話としては日本の自衛にとって必要だという大義名分を掲げながら言うだろうし、皆さんも恐らくおっしゃるだろうと思う。だけれどもアメリカではもう議会の証言でどんどん出ちゃっておるわけでしょう。アメリカ考え方というのははっきりしているわけですよ。それを智さん否定するからいけない。アメリカはそういう考え方です、しかし日本は違うのだ、違うということをアメリカ側にきちんと言ってあるんだ、これからもこれは変えないんだ、こういう説明なら納得するのです、私も。  そういうことですか。できることとできないことを明確にし、なんて長官はおっしゃってますが、そういうことですか。
  221. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 そういうことでございます。アメリカアメリカの国益を考え、また先ほど来防衛局長がいろいろ説明しておりますようにアメリカのグローバルな戦略その他も考えての発言であろうと思いますけれども、われわれはあくまでも日本の国益、日本の自主的な防衛努力ということを積み重ねておるわけでございまして、そういうことをはっきり申し上げておりますし、また米ソ戦略のお話が先ほど来ありますけれども、これはやはり米ソ戦の抑止日本防衛努力が役立つ、貢献できるというめどのもとにわれわれはいま防衛努力を積み重ねておるわけでございまして、実際の米ソ戦というものを想定したものではないのでございます。
  222. 市川雄一

    ○市川委員 ちょっといまの発言もあれなんですが時間がありませんから、要するに私が申し上げたいことは、シーレーン防衛について共同研究を開始するというけれども、シーレーンにおける――本当はこれも外務省皆さんに聞きたかったのだ、どういう脅威を想定して共同研究するのかということを。日本アメリカで脅威の想定がばらばらでは共同研究しようがない。違いますか。アメリカは明らかにグローバルなウォー、世界戦争を考えている。その中でアジアにおいて日本の役割りをどう与えようかということを考えている。日本は小規模限定的侵略に対処するための防衛力を、こう言う。これは全然違うじゃないですか。だから、あるいはシーレーンを取り上げたって、輸入物資ということに重点がございます。アメリカは、ソ連との核の攻め合いでソ連極東艦隊日本海に封じ込めてしまおうということになった。それを日本にやらせよう、三海峡封鎖、そういうことを考えている。また全然違う。意図も違えば脅威の設定も違う。これで共同研究なんて成り立つのですか。その場合に、はっきりいまここで答弁なさったようなことを守れるのですか。アメリカの要求をずっと突き詰めていくと、これは集団自衛権ですよ。海域分担、集団自衛権を要求しているようにしか思えない。  そこで、防衛庁長官は帰国後インタビューで「日本が自ら悩み考え抜いた防衛構想を新たに打ち出す時期に来た。」こういうことをおっしゃっていますが、先ほどは「防衛計画大綱水準をいまもっぱらおやりになるようにおっしゃっていながら、一方ではもう「防衛計画大綱」の構想ではだめだということをおっしゃっておるわけですが、これはどういう意味ですか。
  223. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 いままでアメリカ日本との関係において、どうも一部ではございますけれども、わが国米国の圧力によって防衛力強化を図ろうとしているのではないか、あるいは米国日本に対して圧力を加えることによって自分の望む日本の政策変更が得られる、そういうふうに考えているというような議論もございますので、こういうことをこのままにしておいたのでは必ずしも日米間で良好な関係にはならないし、また、その中の一番大事な防衛の問題でも日米間の相互理解が必ずしもうまい方向にいかない、そういうことの認識を持ちながら、このような一部の誤った見方なり考え方を正して、これはわが国防衛については従来からそういう方針で進めておりますけれども、さらにあくまでもわが国の自主的な判断に基づいて、みずからの防衛のために必要な範囲で行っていくというような考え方、そういうものをより明確に打ち出すべきだというような問題意識を述べたものでございます。
  224. 市川雄一

    ○市川委員 余りよく趣旨がわからないのですが、ではそのシーレーン防衛についての共同研究、これの前提の原則というか、たとえば集団自衛権は前提としない、個別自衛権を前提とするのだとか、こういうものはお持ちですか、アメリカ共同研究するに当たっての。日本側でこれは提案されたわけでしょう、ハワイ協議で。提案される以上は、共同研究する場合の日本側アメリカに譲れない原則というものを検討の段階でお持ちになっていただろうと思うのです。どういう原則を持ってアメリカ共同研究に当たるのか、その原則をひとつ教えていただきたい。
  225. 夏目晴雄

    夏目説明員 今回のシーレーンの防衛に関する共同研究というのは、さきに決められた「日米防衛協力のための指針」、ガイドラインに基づく共同作戦計画の研究の一環として行うというものでございまして、この共同作戦計画というのは、このガイドラインにありますように「自衛隊及び米軍は、日本防衛のための整合のとれた作戦を円滑かつ効果的に共同して実施するため、共同作戦計画についての研究を行う。」ということで、すでにこの研究は数年前から開始をされているわけでございます。今回の研究もこの枠内で行うということでございます。  しかも、このガイドラインが作成されたときの一つアメリカとの約束として、この研究はあくまでも前提条件がある。一つは、事前協議に関する諸問題はこの協議対象としない、あるいは日本の憲法上の制約に関する諸問題についても協議対象にしない。非核三原則も同様である。それからまた「協議の結論は、日米安全保障協議委員会報告し、その取扱いは、日米両国政府のそれぞれの判断に委ねられるものとする。この結論は、両国政府の立法、予算ないし行政上の措置を義務づけるものではない。」というふうな前提条件がございます。  したがいまして、今回の共同研究というものもこのガイドラインの枠内ということでございますから、当然のことながら、憲法その他のわが国基本政策の枠内でやるというものでございます。
  226. 市川雄一

    ○市川委員 長官、ことしの七月二十六日の日本経済新聞に、長官の対談というか、一問一答が載っているわけです。この中で、シーレーンの防衛と言っても何かよくわからない、はっきりしないという御質問に対して、長官のお答えは、「物資を運んでくる日本の商船を日本の護衛艦が付き添って守ってくれるのか、あるいはその付近にある“脅威”を護衛艦や哨戒機が事前に取っ払って道を開いておくのか、どういう事態でシーレーンを守らねばならないような状態になるのかはまだ予想もつかないが、五六中業が実施されたならばシーレーンについての海上保護も相当の力が発揮できる、」こう言っておるのですね。これは非常に矛盾しておると思うのです。  それから、先ほどからの防衛庁の御答弁も矛盾しておると思うのです。シーレーンの防衛というのは一体どういう脅威から何をどういうふうに守るのかということを全然はっきり言わない。周辺海域を守るときもあります、千海里の航路帯を設ける場合もあります、その幅もそのときによって変わります。あるいは、シーコントロールとおっしゃったこともある。一定の海域に支配権を確立してしまう、そういうこともおっしゃったことがある。要するにまとまっていないわけでしょう。シーレーンの千海里あるいは北西太平洋の面の防衛か、航路帯か――航路帯のようなことを言っておったと思うと面のようなことを言うし、今度は航路帯とか面とか一概に言えません。何を聞いても、いろいろあって積み重ねて全部総合して能力が出るものでございましてはっきりしません。そんなはっきりしないことで、何で能力の見積もりができるのですか。  大綱水準達成したら十分力が発揮できるとか、大綱水準をやっても不十分だなんて長官はおっしゃっている、参議院の四月一日の内閣委員会では。本当はわからない。いろいろあってわからない。わからないのに、何で大綱水準達成すると相当力がついたり不十分だったりするのか。  要するに、防衛庁は国民に対してシーレーンの防衛というものについてもっとはっきり物を言うべきときに来ておると思う。欺瞞する態度です、いままでの態度は。私は、いまの防衛庁のシーレーンの政策にはとうてい賛成できない。これは、言ってみれば軍拡の道ですよ。だけれども、もっとしっかりした考えを国会でも言う、あるいは国民の前にも言う。こんなことを言っていたのじゃ何を言っているのだかわかりませんよ。事前に取っ払っておくのか護衛艦がついていくのか、どういう事態になるのかわかりませんが、いずれにしても、五六中業達成すれば相当力がつきます、こう片方では言い、片方では五六中業達成しても不十分だ。では、何を基準に相当力がつくとか不十分だとか言っておるのか、その辺だって不明確。それで、今度は具体的に皆さんが聞けば、帯でない、面でない、いろいろあります。では洋上防空ができるのかと言えば、それは、護衛艦にはいま対空ミサイルがない、それをいまつけておるさなかです。それは一つの船々の防空はできるかもしれないけれども、アメリカの言うような北西太平洋という日本の面積の十倍近くあるものを、どうやってその防空をやるのか。そんなものをやるなんてことになったら、相当予算が必要ですよ。そういうことだってはっきりしていない。要するにはっきりしていない。アメリカが強く要求してきたからやっているんだという感じを免れない。  この点をもっと明確にしていただきたいことを御要望申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  227. 細田吉藏

    細田委員長 神田厚君。
  228. 神田厚

    ○神田委員 防衛庁長官お尋ねをいたします。  ハワイ日米協議、そして米国におきましての日米首脳会談、一連の会談日本防衛力整備の問題につきまして米国当局とそれぞれ話し合いをしてまいったわけでありますが、特に日米首脳会談を終わりまして、防衛庁長官としてどのような感想をお持ちになりましたのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  229. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 日本防衛力整備につきまして、そのことを進めることは日本の国益にも相なるし、また西側全体の平和と安全にも大いに貢献するという観点から、なお一層日本防衛努力期待するというアメリカ側の強い期待があったということでございまして、そのことは日米安保条約を締結をしておるわが日本としても、そのアメリカ側期待を念頭に置いて今後防衛力整備を進めていかなければならないということを強く感じてまいりました。
  230. 神田厚

    ○神田委員 特に今回はF16の三沢基地配備という大変大きな問題が出てまいりました。  この問題を御質問する前に、ことしの八月に在日米司令官のドネリー司令官が日本に対しまして、すでに防衛計画の策定の当時から考えますと客観情勢も非常に変わってきている、したがって情勢の変化に応じて「防衛計画大綱」の手直しを表明をして、日本に対しましてこれを求める姿勢を示したことがあるわけであります。つまり、この五六中業で「防衛計画大綱」がほぼ達成されるという状況を踏まえまして、この大綱の見直しが必要だということを言っております。  その中で司令官がその情勢の変化として取り上げております中には、一つ日本に対するソ連の脅威が高まっている、あるいは日米が共同して防衛する役割りが明確化した、兵器などの近代化が進んでいる、さらに鈴木総理が昨年五月の訪米時に日本は千海里のシーレーン、航路帯防衛を果たすべきだと発言した、こういう点を挙げて、これらのことはすでに五十一年当時には存在しなかった情勢であり予想もされなかったことである、こういうことも踏まえまして「防衛計画大綱」の見直しを求めたことがありました。この点につきましては、当時防衛庁としてはどういうふうな対応を示したでありましょうか。
  231. 夏目晴雄

    夏目説明員 八月の九日、ドネリー司令官が記者会見において防衛計画云々についての発言があったということは私ども承知しておりますが、ドネリー司令官の言わんとしている趣旨は、そもそも防衛計画というものは、一般的に言って客観情勢の変化があった場合に見直す必要があるのではないかというそういう必要性の一般的なことを述べたものであって、特に現在、いま直ちに「防衛計画大綱」を見直すべきだというふうな趣旨で話したものではないというふうに理解をしております。  一方、いずれにいたしましても、われわれ現在、先般の五六中業におきまして、「防衛計画大綱水準をできるだけ早く達成するという趣旨から五六中業というものを決めたわけでございますが、私ども今日その五六中業をできるだけ着実に達成したいということが眼目でございまして、現在「防衛計画大綱」を修正するというようなことは考えていないということを申し上げたいと思います。
  232. 神田厚

    ○神田委員 このドネリー司令官の言っていることの中で一番大事な指摘は、日本に対するソ連の脅威が高まっているというこういう一つ認識であります。このことは、「防衛計画大綱」ができました五十一年当時の問題につきましては、「防衛計画大綱」は没脅威論、つまり日本に対する特定の脅威がないということを前提にしてつくられているわけでありますが、現在わが国周辺の情勢を見ますと、こういう没脅威論でつくられた「防衛計画大綱」が果たしてそれでいいのかという問題が一つ問題認識として出てきていると思うのであります。ソ連の脅威が高まっているという感じがここに一つ出ている。  あわせて、F16の配備問題について考えますと、米国日本に対しましてF16を三沢基地配備をしたいというのが六月ごろから内々打診をされてきたということであります。政府部内においてこれを各方面から各分野から検討した結果受け入れを決めたということでありますが、アメリカ政府はどういうことでF16を三沢配備をしたいという申し入れをしてきたのか、その辺のところを明らかにしていただきたいと思います。
  233. 夏目晴雄

    夏目説明員 これもたびたび御答弁申し上げたわけでございますが、最近におけるソ連軍事力増強に伴い、米ソ軍事バランスの改善を図るということが第一点、それから極東に対するアメリカのプレゼンスによるコミットメントの確認ということが第二点、それから日米安保体制による抑止効果の向上ということが第三点。以上を通じましてアメリカがこのF16を極東に、日本配備したいというふうな考え方に立ったものと思っております。  私どもとしても、そうした措置が極東の平和と安全のために抑止効果としてきわめて有効であるというふうに判断をしたわけでございます。
  234. 神田厚

    ○神田委員 それでは防衛庁長官にお聞きいたしますが、今回のF16の三沢配備アメリカ戦略の枠内で考えられた問題である、日本の平和と安全保障の問題とはそれがどういうふうにかかわるのかについては、どういうふうにお考えでありますか。
  235. 夏目晴雄

    夏目説明員 F16の日本三沢配備によるアメリカ抑止効果というものが日本の平和と安全、ひいては極東の平和と安全にとって有効であるというふうに判断をしたわけでございます。
  236. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、それはたとえば脅威論から見れば、抑止力が不足をしているということは、それだけ脅威が増大をしているということであると思うのでありますが、その辺の認識はどうなんですか。日本としましては、極東ソ連軍の日本に対する脅威という問題についてはどういうふうにお考えでありますか。
  237. 夏目晴雄

    夏目説明員 わが国周辺極東におけるソ連軍の軍事力の増強あるいはその行動の活発化ということは、北方領土への兵力配備と相まってわが国にとっても潜在的脅威の増大であるというふうに認識しております。
  238. 神田厚

    ○神田委員 潜在的脅威論は何度も委員会でやっているわけでありますけれども、潜在的か顕在的かなんということはある日突然に変わる問題でありまして、潜在的脅威が増大しているということ自体はきわめて重大な情勢の変化だというふうに考えなければならない、こういうふうに思うわけであります。したがいまして、米軍三沢F16を配備したいということは、ソ連米国との軍事バランスの回復ということももちろんそれはそうかもしれませんけれども、同時に日本にとりましてもこれがどういうふうな関係を持ってくるのか。つまり、極東ソ連軍の脅威というものについて、そういう話し合いの中でそういう問題が具体的に出てきているのかどうか。F16を日本配備をするという内容は、ただ単に米ソ軍事バランスを回復するためだ、こういう大きな項目ではなくて、どういう点についてどういう情勢の変化があって、したがってそのためにはどうしてもF16を三沢配備をしなければならないんだという説明があったわけでありますけれども、その点はどういうふうになっておりますか。
  239. 夏目晴雄

    夏目説明員 いま私は抽象的、総括的に申し上げたわけでございますが、その具体的な背景として、かつては米軍の戦術航空力といいますか、そういったものも日本相当配備されておった、それが十数年前から撤退をしておる。一方それに対するソ連軍事力というのは引き続き増強されている。まさにそういう意味で、アメリカのそういった戦術航空力の欠けたという点がバランス上非常に問題であるというふうな認識があったものと思われます。
  240. 神田厚

    ○神田委員 ですから、その認識があってもう少し具体的な話し合いがされているはずだと思うのであります。つまり、なぜF16の戦闘機部隊三沢配備をしなければならないのか。もともと三沢には戦闘機部隊があったわけでありますが、それがほかに移駐をしている。そういう情勢の中であったわけでありますが、今度新たにまたこのF16を四十数機ですか、三沢配備をしなければならない情勢の変化については、これは説明があったわけですね。  つまり、どういうふうな情勢だから、世界情勢から見てたとえば中東問題あるいはヨーロッパの問題、そういうことも含めて今後何年かの間にこういう世界的な軍事情勢の変化があって、したがって日本においてもやはりこれだけの防衛努力を西側の一員として努力をすると同時に、アメリカとしても三沢にこの戦闘機部隊を進駐をさせなければならない状態だということについて説明がなかったならばそれはおかしいんじゃないかと思うのですね。  ですから、その辺のところについてはどういうふうな具体的な説明があって、それに日本政府はどういう立場からこたえようとしたのかということをはっきりと説明をしてくれなければ国民としては納得できないというふうなことだと思うのでありますが、その点はいかがでありますか。長官、どうですか。
  241. 夏目晴雄

    夏目説明員 これも先ほど来お答え申し上げていますが、世界的にソ連軍事力が増強しておる、アメリカとしてはそういった同時多正面の対処というものを迫られているというふうなことも背景にあったと思います。特に、具体的には極東における軍事力のバランスというのが崩れてきておる、それをできるだけ回復したいというのがアメリカの本旨でございまして、またそうすることが日本極東の平和と安全のための抑止力になるだろうということについての説明があったわけでございます。  私どもとしてもそれを了としたわけでございまして、この中にはアメリカが一般的にいま現在世界における、西ドイツにおける、あるいは韓国におけるF4Eの部隊を逐次F16にかえてきたということも、これまたアメリカソ連軍事力増強にこたえてみずからの軍事力近代化、充実というものを図っている一環である。今回の三沢配備もそうしたアメリカ考え方の一環であろうというふうに理解しております。
  242. 神田厚

    ○神田委員 アメリカのそういう独自な戦略の一環としての三沢配備だということでありますが、しかしそれを受けとめる一本側としましては、それではアメリカの言うことだけで、すべてそういうアメリカ戦略に乗った形での防衛の勢力の受け入れを続けるということになります一際限がないことになりますですね。この前のアメリカの方のいろんな文書によりますと、日本というのがアメリカ戦略の上の極東のかなめ石だという規定をされている。こういうことでありますと、いわゆるアメリカ戦略のために日本のすべての防衛力というか防衛態勢が集中されていくということになると、この問題がそういうことになってしまいますと、これはきわめて国民から不満が出る問題であると思うのであります。  ですから私はこの問題を考えましたときに、もう少し具体的に日本とのかかわり合いでどういうふうなことであるのかということについての説明がなかったらば、つまり、アメリカの世界戦略の同時多発的なソ連とのあれについてアメリカがそういうふうな軍備配備をしたのだということだけでは非常に問題があると思うのであります。  防衛庁としては、ソ連の脅威について余り認めてしまうと、これは「防衛計画大綱」の改定問題その他のところまで発展する問題であるからあるいはそういうことについて率直に認めることができないというふうなことかもしれませんけれども、私はこれから五六中業の話をして、「防衛計画大綱」の問題についてもお話をしてまいりますけれども、やはり日本が独自に極東ソ連の脅威についてはどういうふうに考えているのかという日本判断も同時に示しながらこの問題についての考え方をやっていかなければ非常に問題が残ると思うのであります。  これはF16の三沢配備だけの問題ではなくて、これから先のいろいろな問題についてやはり出てくることでありますから、ひとつその辺のところについてはもう少し日本の独自性といいますか、日本防衛庁防衛計画にのっとったきちんとした日本側の主張というものを繰り返すべきだと思っておりますし、防衛庁長官としてはどういう認識のもとでこれを受け入れて、今後どういうふうに運用しようとしているのか、その点の基本的な考え方をお聞かせいただきたいと思います。
  243. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 先生の御質問を通しての御趣旨は私も全く同感でございまして、われわれはあくまでも自主的な防衛努力を積み重ねていくと同時に、日米安保条約の締結国として日米安保体制信頼性維持向上にも努めていかなければなりません。その整合性を求めながら国民に信頼される防衛力というものを可及的速やかにつくり上げていかなければならないものと考えております。
  244. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、アメリカでは抑止力が問題だと言っておりますね。これによって抑止効果が相当発揮されると言っております。もしも三沢にこのF16の配備がなかった場合にはそれではどういうふうな問題が起こる可能性があるか、この問題についてはどうでありますか。
  245. 夏目晴雄

    夏目説明員 これは三沢配備があったからなかったからということを端的に比較するのはむずかしいと思いますが、いずれにせよ日米安保体制というものを基軸にし、日本安全保障を考えるに当たって、アメリカのそういったコミットメントを確約するためのプレゼンスということは日本の安全にとってきわめて重要であり、有効であるというふうに判断をしております。アメリカのまたそうしたわが方の足らざる分野についての機能というものを期待することはわれわれも従来から考えていたところでございますし、そういう意味合いから見て、今回のアメリカF16の配備日本防衛にとってもきわめて有効なものであるというふうに判断をしております。
  246. 神田厚

    ○神田委員 この問題で余りやってもしようがありませんが、アメリカ三沢配備を求めてきたのにはそれはそれの理由があるわけでありますが、その中で特にどういうことをアメリカは言ってきたのか。世界戦略のことも言ってきたということでありますが、もう少しわかりやすい具体的な言葉でどんなことを理由として三沢配備を求めてきたのか、この点をひとつお聞かせいただけませんか。
  247. 夏目晴雄

    夏目説明員 御承知のとおりこの飛行機は、空対空のミッションのみならず空対地のミッションも持った多目的戦闘機でございます。こうした戦闘機というのはわが方の能力にまだ欠けているというか、不十分な分野でございます。そういう意味合からも抑止効果としてきわめて意味があるだろうというふうに考えておるわけでございまして、それ以上具体的なというのはどういうことか、いまちょっと思いつかないものですから御理解いただきたいと思います。
  248. 神田厚

    ○神田委員 日本が持っていない空対地のいわゆる戦闘能力が一つ抑止力だということになりますと、おのずからアメリカの意図しております、あるいは目的としておりますことが推察できるわけでありまして、これはまたきわめて重大な意義も持っているわけであります。  われわれとしましては、特に日本安全保障というものがアメリカと一緒になってこれを形づくっていることについては国民の多くが認識をしているところであります。しかしながら、専守防衛という一つの大きな枠がはめられているというふうなことも、これまた平和憲法のもとで大変重要な要素でもありますので、その辺のところでこの問題について防衛庁がこれから先どういうような運用をするのか、そのことが非常に問題になってくると思うのですね。目的はとにかく日本の持っていないそういうふうな目的も付与したことだという大変重大な御答弁でありますけれども、そうであるならば、この運用の面においてわれわれはきわめて慎重な取り扱いをしなければならない、こういうふうなことも思うのでありますが、長官としてどういうふうにお考えですか。
  249. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 御指摘まことにそのとおりでございますので、私としてもしかるべき機関等で運用面について慎重な検討をしてもらいたいものと考えております。
  250. 神田厚

    ○神田委員 これは、現実に配備受け入れたということになりますと、準備も進んであと二、三年のうちに配備されるわけでありましょうけれども、その運用の面についての話し合いというのはしかるべき機関ということでありますが、当然防衛庁等も主任務としてそれらの機関に参与していくわけでありますが、どういうふうなところでどういうふうな運用問題について御討議をなさいますか。
  251. 夏目晴雄

    夏目説明員 先生の言われる運用というのはどういう意味か必ずしも私、十分理解をしてないかもしれませんが、われわれ日米の両国が共同対処をするというたてまえになっておりまして、そういう観点から先ほど来お話をしておりますようなガイドラインに基づく共同作戦計画の研究というようなものもやっておるわけでございます。そういう中でこの新しく配備をされるF16の問題についても検討されることは大いにあり得ることだと思います。
  252. 神田厚

    ○神田委員 このF16の問題ですが、いろいろな報道によりますと、特に伊藤長官等は記者との懇談等におきましても、F16の三沢配備に伴いまして、現在自衛隊が持っておりますF15との共同作戦等の問題についても触れられておりますね。これらは、共同作戦なり共同訓練なりの問題についてはどういうふうにお考えでありますか。
  253. 西廣整輝

    西廣説明員 F16との共同訓練につきましては、現在のところ具体的な計画はございません。計画はございませんが、一般論から申し上げまして、日米双方ともそれぞれが戦術開発をし、練成をやっておるわけですが、そういった意味で、日米が共同訓練するのはわが方の技量向上に非常に役に立つということでございまして、特にいわゆるDACT、違った機種との訓練は非常に技量向上に役立つということで、今後そういう機会があればやりたいという意向は持っております。
  254. 神田厚

    ○神田委員 共同対処の問題等も含めて研究着手ということであろうかと思うのでありますが、日本国内におけるF16とF15との共同訓練という問題、それはさておきまして、アメリカに出張してF16とF15との共同訓練をやるというような話も、ちょっと前にそういうふうな計画がつくられるというふうな話も漏れ聞いたこともありますが、その辺のところはどうでありますか。
  255. 西廣整輝

    西廣説明員 現在のところ具体的な話はございません。
  256. 神田厚

    ○神田委員 このF16の問題については共同対処等の問題を含めて、研究着手をいつごろからやられるつもりでありますか。
  257. 夏目晴雄

    夏目説明員 先ほど申し上げたのは一般論としてそういうことがあり得るということを申し上げたわけでございまして、いまF16が入ったから直ちに共同研究をするというふうな具体的な計画を持っているわけではございません。当然日本アメリカとは有事の際に共同対処をするわけでございますが、ミッションの違いもあって必ずしも米軍自衛隊が一緒になって行動するということでもございませんし、そういうことの必要性というのは一般的にあるいはあるかもしれないということを申し上げたわけで、いま共同研究をどういうふうにするかというような具体的な案を持っているわけではございません。
  258. 神田厚

    ○神田委員 それでは、一連の会談を通じまして日米防衛問題について役割り分担の問題は提起をされたのかどうか。つまり、日本は三海峡及び航路帯防衛をする、あるいはアメリカにおいては極東ソ連軍の主要基地に対する問題等を受け持つというような、そういう役割り分担の問題は出ましたでしょうか。
  259. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 役割り分担的な話はありませんでした。
  260. 神田厚

    ○神田委員 それでは航路帯防衛について、海域分担と言われておりますけれども、つまりアメリカは一千海里以遠を持つから日本は一千海里以内を受け持つというようなことが明確に向こうから要求をされたでしょうか。
  261. 夏目晴雄

    夏目説明員 このシーレーン防衛に関連して、去る八月のハワイ協議におきまして、アメリカは千海里以遠と攻勢的な分野を受け持つから、千マイル以内のシーレーン防衛日本がプライマリーに、第一義的にやってほしいというふうな期待がございました。今回の伊藤長官訪米に関してそういった一つの役割り分担のような形での表現はありませんで、一般的に千マイル以遠はアメリカが責任を持つというふうな表現があったにとどまっております。
  262. 神田厚

    ○神田委員 それでは、一千マイル以遠はアメリカが持つから、そっちからこっちは日本が持てという話だったのか。それを聞いて日本としてはどういうふうな答えをしてきたのか。
  263. 夏目晴雄

    夏目説明員 実際に言及された表現はいま私が申し上げたとおりでございますが、ハワイ協議における米側の意向も、今回のワインバーガー長官のときの意向も、その点は考え方に相違はない。私どももガイドラインの設定時から、周辺の問題はわれわれが主体的にやるんだというふうなことを申しておりまして、この点は従来と変わりないというふうに理解しております。
  264. 神田厚

    ○神田委員 それは、防衛庁長官あるいは日本防衛庁として、つまり以前からわれわれとしては、鈴木総理のお話もあることだから、受け持つということに変わりはないから、それについては責任を持って、つまり一千マイル内の方は日本としてそれを受け持ちます、約束という言葉までは強くはいかないでしょうけれども、そういうニュアンスで答弁をして帰ってきた、話し合いをして帰ってきたということでありますか。
  265. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 ワインバーガーと私との話の中では、シーレーンの問題についてはハワイ会談で合意が成ったように今後共同研究をできるだけ早く進める、そのための準備を進めておりますということを申し上げて、ワインバーガーも私の発言に賛意を表しながら、その後の段階で、いま防衛局長が御披露申し上げましたように、一千海里以遠はわが方が責任を持つということを発言された、これだけにとどまりまして、シーレーン問題についてのそれ以外のやりとりはございませんでした。
  266. 神田厚

    ○神田委員 そうしますと、シーレーン問題については一千海里内はとにかく日本が受け持たなければならないのだというニュアンスで帰ってきたという感じかと思うのでありますが、それではこのシーレーンの共同研究はいつから始める予定なのか。そういう基本的な問題までまだはっきりしていないわけなのですね。どこをどういうふうに守っていくかという問題までアメリカとの間でまだ煮詰まっていない。  そういうことであるならば、日本としてはどういう目的で、どういう立場で共同研究に臨んで、そこで日本の立場を主張し、われわれのできることをアメリカに納得させ、さらにわれわれとしてもしなければならないことをしなければならないという問題があるわけでありますが、この共同研究はいつごろから始め、また日米ガイドラインの一環としてやっていくのかどうかという問題はいかがでありますか。
  267. 夏目晴雄

    夏目説明員 おっしゃるとおり、この研究はあくまでもガイドラインに基づく第五条の事態、すなわちわが国に対する武力攻撃が行われた事態における日米の共同対処、共同作戦計画の研究の一環として行うものでございます。  この研究をいつから始めるかということでございますが、いま、どういったスタッフでどういう方法でやろうかということを在日米軍と内輪話を進めている段階でございまして、いつからということを具体的に申し上げる状況ではございませんが、われわれとしてはできるだけ早く、先ほども御答弁申し上げたとおり、できれば年内にも開始したいという希望は持っております。
  268. 神田厚

    ○神田委員 シーレーンの防衛問題も一連の会談の中で主要な問題として取り上げられたと聞いております。アメリカ日本に求めてくるものについて、これから共同研究をしていくということでありますが、これに日本がこたえていこうということにしますと、単なる対潜哨戒だけではなくて、戦闘機による洋上防空あるいは水上打撃力の確保、こういうものが不可欠になってくるという問題も同時に含んでくると思うのであります。この辺についてはどういうふうな考え方防衛庁としては持っておられますか。
  269. 夏目晴雄

    夏目説明員 今回のシーレーン防衛に関する共同研究というのは、先ほど来お答えしましたようにガイドラインに基づく共同作戦計画の研究の一環ということで申し上げたわけでございますが、この研究は、当然のことながら現有能力によって一種のORみたいなものをやってみまして、どういうふうな問題があるか、どういう点に弱点があるかというようなことを研究するわけでございます。  したがいまして、先生のおっしゃるような空からの脅威はどうか、あるいはその他関連の作戦はどういうふうにするかということについての相談は当然いろいろしていかなければいけない、具体的にどういうことが議題になり、どういうことが問題になるかということはいま一概に申し上げられませんけれども、相当な、単なる対潜哨戒だけでなくそれ以外の事柄についても検討対象になると思っております。
  270. 神田厚

    ○神田委員 続いて、武器技術供与の問題について二、三お尋ねをいたします。  この武器技術の供与、輸出問題はいろいろな事情で進んでいないということで長官の方としても話し合いに臨んだようでありますが、アメリカとしてはとにかく早く決着してくれというふうな問題であろうと思うのであります。これは大体どういうところが問題になっておりまして、特に日本の中においてどういう点が、武器輸出三原則やその他の問題わかっておりますけれども、そのほか、本当にこれがうまく動かないというネックは一体何なのか、それから実際に具体的なめどが立つのはいつごろになるのか、この点お教えいただきたいと思います。
  271. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 今回の会談でこの問題について私とワインバーガーとの間には、私から先ほど来申し上げておりますとおり、わが方の武器輸出三原則と日米安保体制との整合性を求める何らかの結論を出したいということで鋭意検討したけれども、この時点までには結論は出なかったので今後引き続き協議を続けるということでお互いの理解が成り立ったというだけでございまして、それに対してアメリカ側から両面交通にしてほしいというお話が多くの方々からあり、それを持ち帰ってそのありていを総理にも御報告申し上げる。  たまたまその後新聞等で、櫻内外相もシュルツ国務長官とお目にかかったときに同様の趣旨のことがシュルツ長官から櫻内外相にもあったということを承知しておりまして、外務大臣その他もお帰りになりましてからいろいろと御相談をして新しい協議を始めたいということでございまして、いまのところどういうめどでこの協議なり検討が始まるかということを明確に申し上げられる段階ではないということを御了承賜りたいし、この会談の中では話し合いになりませんでしたけれども、現時点での問題点ということで御説明できる部分があるということであるならば政府委員の方から補足説明をさせていただきたいと思います。
  272. 木下博生

    ○木下説明員 本問題は、御承知のように昨年六月、前大村長官訪米されましたとき以来の懸案になっておりまして、外務省、通産省、防衛庁三省庁の間で鋭意検討を続けてきておったわけでございますが、いま長官から御税明がありましたように、従来から政府としてとっております武器輸出三原則あるいは武器輸出に関する五十一年の政府統一方針、それから日米安保条約に基づく日米安保の特別な関係という問題の整合性をつけるという点、いろいろな意味で非常にむずかしい問題がたくさんございまして、その点を現在まだ検討中でございます。  したがいまして、具体的な中身については差し控えさせていただきたいと思いますが、できるだけ早く結論を出すべく現在も検討中ということでございます。
  273. 神田厚

    ○神田委員 その中々について話をしてくれるということであったわけでありますが、中身について差し控えさせていただきたいということでありますれば答弁の必要はなかったのです。いろいろ武器輸出、技術供与の問題についてはアメリカとの関係についてやはりそれなりの双方の問題として取り組んでいかなければならないと思っておりますが、ひとつその辺のところは慎重に検討しながら、なお具体的に詰めを急いでいただいた方がよろしいのではないか、こういうふうに思っておるわけであります。  続いて一問、ちょっと報道で知らされたことがありましたが、日米の首脳会談あるいはハワイ協議その他の中で自衛隊の国連軍への派遣問題、こういう問題については何か話があったのかどうか、アメリカの方からそういうふうな問題について話があったかどうか、あるいは日本の方から独自に、こういう世界情勢の中で自衛隊の国連軍派遣等の問題について内部検討をしているのかどうか、その辺はいかがでありますか。
  274. 夏目晴雄

    夏目説明員 ハワイ協議におきましても今回の長官訪米におきましても、自衛隊の国連軍派遣についての話は一切ございませんでした。
  275. 神田厚

    ○神田委員 自衛隊の内部での検討はどうでありますか。
  276. 夏目晴雄

    夏目説明員 かねてこの種の質問が国会であったことはございますが、私どもとして具体的に検討を進めているということはございません。
  277. 神田厚

    ○神田委員 最後になりましたが、中業の問題について二、三御質問を申し上げます。  防衛庁長官、この五六中業についてアメリカはどういうふうな評価をしておりましたか。
  278. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 五六中業そのものについての文言なり発言はありませんでしたけれども、全体の話の中で日本防衛努力についてなお一図の努力期待したい、しかもそれが相当強い発言なり強い言葉で要請というか期待表明があったことは申し上げられると思います。
  279. 神田厚

    ○神田委員 アメリカは一連の日本防衛力整備について、その成果、努力を認めながら、なお増額を要求しているというのが一貫した姿勢であると思うわけでありますが、われわれとしましては、しかしながらこの五六中業の問題、非常にいろいろな問題をまだたくさん持っておると思っております。基本的な考え方から申し上げますと、この五六中業前提にあります統合長期防衛見積もり、それから統合中期防衛見積もり、これらがその五六中業の計画の上にあるわけでありますが、一体これはいっこういうものが決まったのか、そしてこの統合長期防衛見積もりなり統合中期防衛見積もりなりというのはどのような内容を持っているものなのか、その点のところちょっと御説明をいただきたいのであります。
  280. 夏目晴雄

    夏目説明員 まず中期業務見積もりというものの作成は、先生御承知のとおり二年後から始まる五年間を対象とした主要な正面事業についての見積もりというものを行うわけであります。  それと対象期間を一にしたものとして統合中期防衛見積もりというのがございまして、これは国際情勢あるいは国内情勢というものを掘り下げましてわが国に対する脅威の分析を行う。さらにわが国防衛構想あるいは防衛の態勢等について検討し、「防衛計画大綱」に示されている情勢に重大な変化を生じた場合には云々というふうな表現がありますけれども、そういうための諸問題あるいは統合運用の見地から、この期間内における防衛力整備基本構想、重点等についての事項を示したものが統合中期防衛見積もりでございます。  それから、統合長期防衛見積もりというのは、八年以後おおむね十年間を対象としてわが国安全保障に及ぼす影響を明らかにするというふうな観点から、内外の諸情勢について可能な限り見積もり防衛戦略を考察するとともに、防衛力の質的な方向等を明らかにするのがこの統合長期防衛見積もりでございます。  いずれも防衛庁における防衛諸計画の体系の中の一つの計画としてこういったものをつくるように決められているわけでございます。
  281. 神田厚

    ○神田委員 きょうは時間がありませんのでこの問題について突っ込んだ議論ができませんけれども、たとえば統合中期防衛見積もりというのは、わが国に対する脅威の分析を行うというようなこともありまして、さらに、それらを基本にしていわゆる五六中業でも何でもつくられていくということであれば、五六中業国防会議にかけられたということは一歩前進であると私どもも思っているわけです。したがって、それではこの統合長期防衛見積もりやあるいは統合中期防衛見積もりというものが公表されてない。どういう理由から公表されていないのかわかりませんが、公表されてないということがまず一つ問題点としてある。  さらに、これらの問題は国防会議や閣議にかける必要がないのかどうか。この中業やなんかの持つ一番の大もとのところの問題がこういう形で公表もされないし国防会議やあるいは閣議の中でも問題になってない、問題にされないというようなことで果たしていいのかどうかという問題が一つあります。  さらに、たとえばこういうものの中では防衛構想というか有事シナリオというものがそこに入ってきているのかどうか、この辺のところも明らかでないわけでありますが、その点はどういうふうにお考えでありますか。
  282. 夏目晴雄

    夏目説明員 今回の五六中業見積もりというものを国防会議報告了承を得るようになったのは、この中期業務見積もりというものに対する内外の関心が非常に深くなってきたこと、それからまた、国会でもしばしば御指摘をいただいたように、シビリアンコントロールの立場からもそういうものを国防会議にかけるべきが至当ではないかというふうな御指摘がございまして、私ども、去る七月に五六中業国防会議報告し、了承を得たわけでございます。  いま先生から、統合長期防衛見積もりあるいは中期防衛見積もりというものを国防会議にかけるべきではないかという御指摘がございましたが、この点については、私どもとしては脅威の分析、そうしたものの、中期業務見積もりなりの前提になるいわゆる情勢の分析等を行ったものでございますが、具体的に予算その他の取得を伴うものとは若干性質を異にするものでございますし、そういう点について、私どもはいま直ちにこれを国防会議にかけるべきかどうかについての結論というものを持っておりませんけれども、いま先生のせっかくの御指摘でもございますので、部内においてひとつ考えてみたいというふうに思います。
  283. 神田厚

    ○神田委員 最後になりましたが、この五六中業達成をすれば、防衛計画水準大綱水準を大体達成することができるということでありまして、たとえば新聞報道などによりますと、防衛庁などでは、この五六中業達成すると、小規模侵攻想定に対しまして、防衛庁が極秘に試算をした段階では、かなりの抗戦能力が向上するというようなことが言われておりますけれども、この点はこういうふうな内部の検討はなされているのかどうか。そして、五六中業達成された段階ではどの程度の抗戦能力等の向上があるのか、その点をひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  284. 夏目晴雄

    夏目説明員 中期業務見積もり一つの要素としまして、能力見積もりというものを私どもいわゆる研究をしております。これは、中期業務見積もりという中身が設定される以前と、でき上がった後の防衛能力についての比較検討をしたものでございますが、これはまあいわば一種のストライクプランにも該当するようなことでもございますし、事柄の性質上、公にするのはいかがかということでございますので、内容の御説明は御勘弁をいただきたいというふうに思っております。
  285. 神田厚

    ○神田委員 終わります。
  286. 細田吉藏

    細田委員長 東中光雄君。     〔委員長退席、有馬委員長代理着席〕
  287. 東中光雄

    ○東中委員 F16の三沢配備についてでありますが、先ほどの御答弁で、F16を配備するのには、アメリカとしては、ソ連の事事力増強が著しく、軍事バランスが非常に問題になっておる、軍事バランスを確保するという、そういう観点からのこの配備だと思うというふうに御答弁がありました。この軍事バランスというのは、核バランスなのか、通常バランスなのか、あるいは両方を含めてのバランスということなのか。そういう点についてはどのように防衛庁としては理解をし、この配備協力を決めたのか、この点をまずお伺いしたいと思います。
  288. 新井弘一

    新井説明員 一般的に軍事バランスと申しました場合には、核、非核両用を意味すると理解いたします。
  289. 東中光雄

    ○東中委員 一般的にじゃないのですよ。具体的な問題について、そういうことを具体的に考えて配備をしてきたのではないかというふうに思っているというのが先ほどの答弁だったわけですから、この具体的な三沢配備に関して、両方の軍事バランス関係でこの配備アメリカとしては要求をしてきたということ、そういう答弁ですね、そういうように聞いていいですか。
  290. 新井弘一

    新井説明員 米側日本側に対する説明につきましては、極東における軍事バランスの改善、これを三つ述べたうちの第一番目に掲げている、これが事実でございます。そういう説明でございます。
  291. 東中光雄

    ○東中委員 だから、日本防衛庁としては核バランスも含めてという、そういうものとしてアメリカのこの配備要請の意図を理解をし、了承をしている、こういうことだと。何か一般的な話じゃなくて、具体的な問題について言っているんですよ。
  292. 新井弘一

    新井説明員 F16につきましては、核という考え方はないというふうに理解しております。
  293. 東中光雄

    ○東中委員 理解をしておるというのは、向こうが言わなかったということなのかもしれませんが、昨年の防衛白書によりますと、「米国の国防努力」という節の中で「戦域核戦力」という項があります。そこでは「戦域核戦力については、ソ連が移動式IRBMSS―20やTU―22Mバックファイア爆撃機配備により欧州地域などいくつかの正面におけるバランスを有利にしつつある現状に対処しなければならない」「米国は」「ソ連の防空能力の向上や西側の航空戦力の老朽化などにも対応すべく、SLCMやALCMのほかに、」「欧州配備が計画されているパーシングIIやGLCMを開発しており、F―16ファイティング・ファルコンなどもこの目的に使用することを計画している。」と。     〔有馬委員長代理退席、委員長着席〕 アメリカは、防衛努力として戦域核戦力としてF16ファィティング・ファルコンなどを使用することを計画しているというふうに書いてあるのです、戦域核戦力としてですね。  そのF16が、いままで韓国とそして西ドイツに、米軍としては海外ではその二カ所に配備しておったものを、今度は日本三沢配備をするということになってきておるわけですから、いま参事官の答弁では、これは全く触れておりませんじゃないです。防衛庁がそういうふうに言うておった、公式に言うておったことを、一年たっていまそういうふうに実施されてきたときに、関係ありませんじゃ、通らないですね。その点はどうなんですか。
  294. 新井弘一

    新井説明員 私は最初のお答えで申し上げましたのは、F16は核、非核両用であるという意味で述べたわけでございます。他方、その三沢に対する配備につきましては、アメリカとしてはわが国が非核三原則を堅持しているということを十分承知しており、それを前提としての配備ですから、核ということは考えられないというふうに理解しております。そういう意味でございます。明確にしておきたいと思います。
  295. 東中光雄

    ○東中委員 アメリカが承知しておるということと、アメリカ防衛努力F16を戦域核戦力として使用することを計画しておるというふうに防衛庁が公式に言っておったこと、その計画がいま現実に進められてきているという段階で、その点についてはただしていないのですか。全く向こうが承知しておるはずだというだけで、ただしてもいない。で、その配備協力を約束した、こういうことになるのですか。  防衛庁長官、これは国益にとって有効であるから協力を回答したのだ、こうおっしゃったのですが、事は、戦域核戦力というふうに使用する計画をしておるとアメリカ防衛努力として防衛庁が公式に言っておったものが現実に来るわけですね。それに対して、慎重に協議をしたと言うのだったら、そういう点についてはどういう協議をされ、アメリカにただすべきものはただしたか、そういう点はどうなのですか。何にもしないままですか。これは防衛庁長官、慎重に検討されたのでしょうか。
  296. 夏目晴雄

    夏目説明員 核の持ち込みについては事前協議対象事項であり、その事前協議があった場合にわれわれはノーと言う、いわゆるわが国の非核三原則についてはアメリカは重々承知しておりまして、今回のF16の配備についても核の持ち込みということはあり得ないというふうに考えている、私どもそういう大前提アメリカと話をしているということでございます。
  297. 東中光雄

    ○東中委員 F16の配備申し入れてきたというのは、一般的に戦域核戦力として使うのだということを言っておる、そういうものを持ってくるというときに、それについてたださないのですか。何にもたださぬままに、もうそうじゃないだろう、これは通常兵器なのだろうというふうに勝手に決めてやっているのですか。そこはどうですか。
  298. 夏目晴雄

    夏目説明員 わが国が国是として非核三原則をとっておることはアメリカは重々承知でございまして、それに背馳するような行動というのはあり得ない、私どもはそういう前提での話をしているということでございます。
  299. 東中光雄

    ○東中委員 そうしたら、何を申し入れてきたのですか。
  300. 夏目晴雄

    夏目説明員 申し入れるというより、そういうことはあり得ないと私ども判断しております。
  301. 東中光雄

    ○東中委員 今回、六月下旬にアメリカから申し入れてきたというのは、何を申し入れてきたのですかと聞いているのです。
  302. 夏目晴雄

    夏目説明員 一九八五年ころからF16を四十ないし五十機わが国三沢基地配備をしたいということでございます。
  303. 東中光雄

    ○東中委員 それは、申し入れをして日本側が承諾をしなければ配備できない性質のものなのですか。日本側がイエス、ノーを言える性質のものなのですか。
  304. 夏目晴雄

    夏目説明員 本来この種の配備米軍判断で行われるものと思いますが、わが国に対する施設面その他についての協力方申し入れがあったということでございます。
  305. 東中光雄

    ○東中委員 だから、協力申し入れてきただけだ、こういうわけですね。しかし向こう側は、F16というのは顕著な戦域核爆撃機であるということは日本も十分承知しておるというふうにアメリカ側は当然思っていると思うのですね。  もともとF16はそういうものだというアメリカの公式な発言というのは幾らもあります。たとえば七八年の三月八日、上院軍事委員会でアブラハムソン空軍大将がF16ミッションについて説明をしています。そこでは、優秀な航空優勢あるいは状況の権能として地上攻撃任務を通しての機動性を与える、そういう多目的任務を持っておる、その中で戦場阻止、飛行場攻撃、核及びその附帯任務、これで古くなったF4の後継機としてF16をつくるのだということを言っております。古いF4の後継として大変顕著な核及びその付随的任務を持っていることを指摘したい、こういうふうに言っていますね。  そのほかの場面でも、たとえばF16の作戦遂行能力について、下院の歳出委員会、八〇年の六月四日ですが、クリーク米空軍戦術航空師団司令官は、F16は、核爆撃任務においては、爆撃精度はF111を上回るものであるとはっきりと証言をしています。  こういう点から見ますと、アメリカ側は、日本F16の配備ということについては戦域核戦力であるということを十分承知しているんだというたてまえで申し入れてきているんではないのですか、現に日本防衛白書にそう書いてあるんですから。そういうものとしてアメリカ側申し入れているんではないというふうなことをどうして一方的に決めるのでしょうか。  長官は、慎重に検討したと言っているんですね。F16は戦域核戦力である、それに使うんだという計画をアメリカは持っているということを日本防衛庁としては防衛白書ではっきりと知っているわけですから、それを今度配備したい、こう言ってきたら、それはどういうことなんだ、慎重に検討されるべき性質のものですね。防衛庁長官、慎重にやったと言うんだから、長官の責任で一体どういうふうに思っていらしたのですか。
  306. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 先ほど来政府委員から御説明を申し上げておったとおりで、それで御理解いただけるものと思いますが、なお長官としてお答え申し上げますけれども、慎重に検討した内容には、当然三沢配備されるであろうF16には核の装備はないということで今回の基本的な受け入れ協力するということに決めたのでございます。
  307. 東中光雄

    ○東中委員 それは相手方にただしたのですか。ただしてないのですか。勝手にそう思っているというだけなのか。だって、日本はそういうふうに言っているのですから、それを承知の上で了承したというふうに向こうは言うでしょう。そうではないんだということをただしたのですか、ただしていないのですかということを聞いているわけです。どうでしょう。
  308. 夏目晴雄

    夏目説明員 F16が核装備も可能であることは承知しておりますが、わが国配備されるF16が核を持ったまま、核がわが国に持ち込まれることはあり得ない、非核三原則を堅持している、日米関係はそういった信頼関係の上に成り立っているということでございますから、その点は間違いないことでございます。
  309. 東中光雄

    ○東中委員 ただしていないということですね。あり得ないというふうに思っているだけだ。しかし、核兵器の持ち込みで、いまは持ち込まない、しかし装備可能である、そして今度は持ち込みについてその時点協議をするということだってあるわけですからね。そうすると、防衛庁が昨年に言っておった米国防衛努力というものでも、日本だけは同じF16について言って、米国はそういう防衛努力はしないんだというふうに勝手に思うてやっておるということになってしまうわけですが、これはひとつはっきりとただすべきじゃないか。まだ持ち込んでいるわけじゃないので、その点は防衛庁長官どうですか。当然のことながらそういうことになるのじゃないですか。
  310. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 当然のことでございまして、核の持ち込みなり装備は認めないのであります。
  311. 東中光雄

    ○東中委員 あなたが協力を約してきた内容について言っているのですよ。基本的に協力するというふうに述べて、向こうは非常に感謝をした――非常にとはついてないですが、ワインバーガー長官は感謝をしたというふうに先ほどの報告にありました。これは感謝されるようなことをされたわけですね。だから、これははっきりと、触れないで通ってしまうということでは断じて許されないということを申し上げておきたいと思います。  それから、地上攻撃がその任務だと考えるということは、先ほど防衛局長も認められておるわけです。しかも非常に航続距離が広い。沿海州から南樺太、そこまで爆撃に行けるということでありますが、そういう配備を、これは三沢でなければいかぬわけですね、三沢にやったというのは、これは明白にソ連に対する攻撃、あるいは爆撃といいますか、そういうことも入っていると思うのです。その場合に、日本の主力戦闘機であるF15との共同作戦ということは当然考えられることになると思うのですが、そういうものを想定しているのですか。その点はどうでしょうか。
  312. 夏目晴雄

    夏目説明員 日米安保体制でございますし、有事の際に日本アメリカが共同対処することは当然でございます。しかしながら、F15とF16が常に一緒になって行動するということは必ずしもないわけでございまして、広い意味での日米の共同作戦ということはあり得るかもしれません。
  313. 東中光雄

    ○東中委員 アメリカでは、あるいはNATO軍でも、F15とF16を組み合わせて使う、いわゆるハイ・ロー・ミックス構想というのが言われております。昨年六月のあのイスラエル空軍によるイラク原子炉攻撃の場合も、F16が爆撃をし、F15がこれを防護したということですね。それについて、昨年の六月十七日、クリーク戦術航空師団司令官が下院の歳出委員会で、こういうふうにやるのはまことに理にかなったことだというふうに評価をしておりますし、また、八一年三月三日ですが、スミス作戦計画部長は、F16は航空打撃任務F15を補完するために開発された、そしてまた戦場上空での航空優勢が成功しているときの空対地攻撃任務に当たるために開発されたものである、したがって、これは両方一緒になって使用するのが当然なんだという趣旨のことを述べています。  いろんな証言がありますけれども、日本自衛隊F15が米軍F16を護衛して、そして爆撃に行くということは、当然共同して対処する中にあり得ることじゃないのですか。そういうものとして見るのが米軍側の本来の考え方でもあるわけですから、その点はそういうことはないというふうに考えておられるのか、そういうことはあり得るということなのか、どちらなんでしょう。
  314. 夏目晴雄

    夏目説明員 航空自衛隊F15はあくまでも要撃ミッションを主任務とする航空機でございまして、いま先生お尋ねのような運用の形態というものを仮定の話でございましたが、私どもはあくまでもF15は要撃任務に使うという前提で採用し、整備を進めているというものでございます。
  315. 東中光雄

    ○東中委員 空対空の能力で言えば、F15は非常に優秀な能力を持っています。そして空対地の非常にすぐれた能力を持っているF16を配備するということになれば、当然F15による制空といいますか、あるいは、要撃といっても制空でもあるわけですね、要撃任務を持って制空するといいますか、そういう関係にどうしてもならざるを得ないんじゃないですか。そういうことはやらないんだということですか、あるいはやっちゃいけないということなんですか、そこらはどうでしょう。
  316. 夏目晴雄

    夏目説明員 再三お答え申し上げますとおり、F15は要撃任務、防空のために整備をし保有している戦闘機でございます。
  317. 東中光雄

    ○東中委員 これは八一年の三月三日、米上院の軍事委員会、スミス作戦計画部長が、F16とF15の混成部隊は宿命的混合であるというようなことも言っています。あるいは八一年三月二日の上院軍事委員会、パーク統合参謀本部研究開発装備部長、これの証言では、空軍は混成のF15、F16作戦を評価し、続けるであろう、イランでもそういうふうにやった、これは性能上当然そうあるべきだ、こう言っているのです。そして、ガイドラインによれば、先ほど言われたように、共同対処するということが出ているわけですね。空軍の場合、「航空自衛隊及び米空軍は、日本防衛のための航空作戦を共同して実施する。」共同作戦ということを言っている。そうしたら、当然そうなるための配備ではないのですか。しかし、そういうことはやらないんだ。米軍側はそう言っているんです。そして米軍は16の配備を要求してきた。そうしたら日本は、いや、これは別なんだ、そういうことで済むのでしょうか。そこらは本当のところどう考えているのですか。
  318. 夏目晴雄

    夏目説明員 三沢配備されるF16が日本防衛あるいは極東の平和と安全に役立つことは論をまたないわけでございます。また、そのF16とわが方の航空自衛隊F15が共同作戦をするというのは、これまた当然でございます。ただ、いま先生がおっしゃったように、そういう目的のために配備をするのか、こういう御指摘でございますから、私どもは、F15というのはあくまでわが国の防空要撃ミッションのために整備をしているものでございますというふうに申し上げておるわけです。
  319. 東中光雄

    ○東中委員 F16が三沢配備されたら、いまスクランブルは自衛隊F1がやっていますね、これをF16はやることになるのでしょうか、やることにならないのでしょうか、そういう点はどうなんですか。
  320. 夏目晴雄

    夏目説明員 まだそこまでの具体的な相談はしてございませんが、これは私の推察でございますが、F16が日本三沢からスクランブル、いわゆるアラート態勢に入るということはないのではないかというふうに思っています。
  321. 東中光雄

    ○東中委員 極東の平和と安全のためにスクランブルをやる、あるいは日本の安全のためにスクランブルをやるのでしょう。しかし、F16はそうはならないんじゃないかと思う、と。そして対地攻撃が主任務になるだろう、対地攻撃をするときには米軍日本自衛隊と、これが共同対処をすると言いながら、そのときはまた別々なんだ、と。これじゃ何のための空軍かわからぬですね。抽象的な極東の平和と安全のために、そんなお題目みたいなことを言っても何にもならぬわけですね。そういう点は何も考えないで、何も検討しないで、ただ慎重に検討したという言葉だけで通っているわけですか。そういうものじゃないだろうと思うのですが、そこらはどうでしょう。
  322. 夏目晴雄

    夏目説明員 私、何回も申し上げているのですが、共同作戦、共同対処ということはあり得るということを申し上げているわけです。  ただ、先生が言われるようにF15がF16を護衛していくようなことで共同作戦をやるのか、こういう御指摘でございますから、わが方のF15は要撃ミッションを目的とした部隊であるということを申し上げているわけでございます。
  323. 東中光雄

    ○東中委員 いや、僕はそんなことを言っているんじゃないんですよ、それを専門にやるというふうなことを言っているわけじゃないのです。要撃戦闘機としてやっていくんだということは、これはF15についてはそういう任務だということはわかっています。しかし、在日米軍が、このF16が攻撃に行くという場合に、それは航空優勢がなければ攻撃に行けないわけでしょう。そういう場合に自衛隊はそういうことは知らぬと言うているんじゃないでしょう。F15というのはそういう活動、そういう点にすぐれておるということで、イランの場合もそうだったし、そしてアメリカでいろいろな証言を見たって、これは混成して、ハイ・ロー・ミックスでやるのだというてやっておるのに、日本はそうではありませんというのはおかしいじゃないですかということを聞いているんですよ。次元の違う答弁をあなたはされているわけですからね。そういうこともあり得る、それだけではないということじゃないのですか。
  324. 夏目晴雄

    夏目説明員 先生、仮定のことを話されたので、私は先ほど、わが国F15の配備目的、ミッションを申し上げたわけでございます。いま言ったようなことが必要なときにはあり得るのではないかという御指摘であれば、わが国防衛のために必要だというふうな判断をされるならば、そういうことは理論的にはあり得ると思います。
  325. 東中光雄

    ○東中委員 わが国防衛のために必要だという判断をすればあり得る、と。ところが、F16というのは、本来そういうふうにF15と混成して使用するのが宿命であるとまでアメリカの上院で答弁しているぐらいに、そういう武器なんだ、そういう戦闘爆撃機なんだ、それの配備なんだということを私たちは考慮に入れないで、抽象的に極東の平和と安全のために、そんなことばかり言っておったのでは、これは慎重に検討したなんと言ったって通りゃせぬですよ。そういうことがあり得る、そういうことはやってもいい、必要があればやってもいい、それは在日米軍F16が極東における安全と平和のために出撃をするという場合に、それについていくということは必要によってはあり得るということになったら、そういう使い方をしてもそれはいいということになるわけですね。
  326. 夏目晴雄

    夏目説明員 わが国の有事の際、わが国防衛のために必要であるという判断をされれば、共同作戦をすることはあり得ると思います。ただ、どういう形の共同作戦があり得るかについては仮定の問題ですから、一々、どういうときはできるとか、どういうときはやるとかいうふうなことを申し上げるのは適当でないのではないかというふうに思います。
  327. 東中光雄

    ○東中委員 極東有事で米軍が、このF16がソ連の沿海州に向かって爆撃に行くというふうなことはあり得るわけですね、極東の平和と安全のために。法制上あり得るわけでしょう。そういう場合に自衛隊は、F15は知らぬ顔して、F16が裸で行くというふうなことになる、そうせざるを得ないのだ、こういうことですか。
  328. 夏目晴雄

    夏目説明員 どうも先生の御質問、先ほど日本有事の際のことを前提としているかと思いますと、いま極東有事というような言葉が入ってくるものですから……(東中委員「いや、話を変えてないのです」と呼ぶ)私、先ほど来、極東有事のことを前提にした話というのは一切しているつもりはございませんので、いまは極東有事ということをおっしゃいましたが、極東有事の際に日本F15が云々というようなことはあり得ないというふうに思っております。
  329. 東中光雄

    ○東中委員 しかし、極東有事の場合に、これは事前協議をしてのことでしょうけれども、在日米軍が出動することだってあり得るわけですね。極東有事ですよ。それで沿海州へ向かって爆撃に行くことだって、これはあり得るわけですね。日本有事のときは、日本F15がそれを護衛するということは、必要ならばあり得る。しかし極東有事のときは、アメリカさん、F16は裸で行きなさい、うちはそういうことはやりませんというふうな態勢になる、こうおっしゃるわけですか。
  330. 夏目晴雄

    夏目説明員 極東有事のときに、自衛隊の航空機が行動することはあり得ないと思っています。
  331. 東中光雄

    ○東中委員 F16の配備目的、それから任務というふうな点から言って、それを了承して、それで日本防衛庁協力を約束された、そしてF16はF15と一緒に行動をするんだ、日本F15が主力戦闘機であって、F16はない、極東有事のときは知らぬ顔しているのだ、こういう非常に矛盾に満ちたままで、とにかく協力をするということに結局なってしまうということだと思うわけです。  時間がありませんので、一点だけ聞いておきますが、このF16は何型とかいうのは向こうから言ってきているのですか。
  332. 夏目晴雄

    夏目説明員 このF16の米軍の量産型というのは、多分F16A型と聞いております。
  333. 東中光雄

    ○東中委員 そうすると、NATOなんかに配備されているものと同型ですね。どうですか。
  334. 夏目晴雄

    夏目説明員 現在アメリカが保有し、調達している量産型はA型であるというふうに聞いております。
  335. 東中光雄

    ○東中委員 それからもう一つ。このF16に搭載できる核爆弾の能力ですね。搭載してこないという話ですけれども、能力はどの程度持っておるのかという点について、B43二発あるいはB61またはB57、それぞれ搭載可能だというふうに承知しているのですが、その点はどうでしょうか。
  336. 新井弘一

    新井説明員 私どもが承知しているのは、たとえばジェーン年鑑によりますとB43二個、それから先生がいまリファーされたのは恐らく航空ジャーナルに出ているその数字ではないかというふうに推測しますが、いろいろ公開資料によってこの点異なっております。
  337. 東中光雄

    ○東中委員 ジェーン年鑑の話も出ましたから、ジェーン年鑑でははっきりとこれは核搭載戦闘機というふうに書いています。その権威を認められたからついでに申し上げておきますが、そのことだけ指摘をしておきたいと思います。それでスペシャルウェポンという表現を使っていますね。  あと時間がありませんので、シーレーンで防衛局長に一点だけ聞いておきたいのですが、この間九月十六日の参議院の決算委員会で、わが党の安武議員の質問に対して、海上自衛隊が保有する対潜哨戒機は一千海里までの哨戒能力を持っておるということを言われて、それで必要があれば平時でも一千海里までの哨戒を行うが、いまは考えていない、こういう趣旨の答弁をされたわけですが、必要があれば平時でも一千海里まで哨戒をするという必要というのはどういうことを言われているのか、その基準なり何なりがあって言われているのだと思うのですけれども、どういうことなんでしょう。
  338. 夏目晴雄

    夏目説明員 たしか当時の御質問は、平時においては哨戒は絶対にしないような印象の御質問であったので、平時だからといって全くしないということはない、いまはやる必要もないし、やってもおりません、しかし、必要があればやるというふうに申し上げたことは事実でございますが、たとえば情勢が緊迫した場合に、必要があればやるということもあり得るのではないか、あるいはまた自衛隊法の八十二条の「海上における警備行動」といったような事態も、言うなればわれわれの概念で言う有事ではない、そういった事態における哨戒行動というものもあり得るのではないかということで申し上げたわけでございます。
  339. 東中光雄

    ○東中委員 それはいま東シナ海とかオホーツク海までやっていますね。三百海里の外まで行っているようですけれども、必要があれば一千海里というのは、そういうふうに拡大をしているのと同じような、一千海里まで平時も必要があるということになればやっていくことがあり得るというふうにも聞こえるので、そこのところ私非常に重大だと思いますが、一般的なやったらいかぬというようなことを言うてるからそう言っただけだという、そんなことではないと思うので、重ねてただしたいのです。
  340. 夏目晴雄

    夏目説明員 私ども、周辺数百マイル、航路帯を設ける場合には千マイルの海上交通の保護ということを申し上げているわけでございまして、そういった防衛力整備の目標として考えている区域を哨戒するという意味で申し上げたわけでございまして、(東中委員「平時、平時」と呼ぶ)平時においても、その範囲内で必要があればやる。それは、有事ということを前提にして、そういう範囲のものを平時において必要がある場合にはやり得ることがあるのではないかということを申し上げたわけでございます。
  341. 東中光雄

    ○東中委員 時間ですから終わります。
  342. 細田吉藏

  343. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 施設長官にお伺いをいたします。  午前中、社会党の横路委員が、F16は三つの能力、すなわち対地、対艦、空対空、迎撃ですね、そのうちで特に対地爆撃が主要目的である、これは動かせない事実であるとすれば、当然射爆訓練、投下訓練を行わなければならない、その要求は当然あると思うのです。三沢基地に一番近い射爆場である天ケ森を私も視察したけれども、天ケ森がF16の対地投下訓練に使われる可能性についてどう見ておられますか。
  344. 塩田章

    ○塩田説明員 まだそこの辺のところまでの話が進んでおるわけではございませんけれども、天ヶ森の射爆場を使用して訓練をしたいという問題は起こり得ると考えております。
  345. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いま三沢を中心にして考えた場合、沖繩じゃないですよ、三沢を中心にして考えた場合、一番近いのは天ケ森、その次が新島、その次が沖繩の伊江島くらいでしょう。したがって、いま御答弁で天ケ森が使われる可能性は十分考えられる、私もそう思います。  同じく午前中に横路委員F16の核装備の可能性について質問をしたときに、装備局長は、一般的に広く可能だと言われております、そういう答弁でしたね。一般的に言われておるだけですか。防衛庁F16は核搭載可能だという米側の資料は持たないんですか。  重ねて、装備局長は先ほど東中委員の質問に対して、何かジェーンとか航空ジャーナルに載っておりますなんて、防衛庁米側自身の資料を持たないの。
  346. 新井弘一

    新井説明員 F16が非核及び核両用機であるということは、たとえば八三年の態勢報告にも明記してございます。
  347. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 態勢報告だけですか。
  348. 新井弘一

    新井説明員 その他の資料につきましては、私どもはジェーン年鑑等々の資料によって承知しております。
  349. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 F16は、かつてF104Jの後継機を選定する際に、結果としては15に決まったけれども、16は有力な候補機であったはずである。したがって、選定するときの基礎資料としてそういうものがなくちゃいけないじゃないですか。あるでしょうが。そういうものがなくて、15と16を比べて15に決めたんですか。
  350. 夏目晴雄

    夏目説明員 F16がF15を採用したときの候補機種の一つであったことは事実でございますが、当時F16はまだ詳細なデータというものが完備しておらなかったということもありまして、私ども必ずしも精緻な資料というものを持ち合わせございません。
  351. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 今回、F16の三沢駐留を長官は承諾されたが、いまはそういう資料があるはずであるが、そういう米側の資料を取り寄せて検討された結果、三沢駐留を決められたか、お答えをいただきたい。
  352. 新井弘一

    新井説明員 資料につきましては、米空軍F16飛行マニュアル、T・O・1F―16A-―1(八〇年版)、これを持っておりまして、それで……
  353. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 なぜそれを早く言わないのです。私がここまで言わなくちゃ言わないんでしょう。持っておるんでしょう、それは。出しなさいよ、資料として。出せますか。
  354. 新井弘一

    新井説明員 米側資料でございますので、検討をいたしまして、出せるか出せないか、後ほど御返事いたしたいと思います。
  355. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それはマル秘資料ですか。
  356. 新井弘一

    新井説明員 米側から提供を受けた資料でございますので、マル秘扱いでございます。
  357. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そのマル秘資料を私が持っておるとしたらおかしいのですけれども、だからおかしいとおっしゃっているから、これをいまから出しますから、これがお手元にあるやつと同じかどうか、御返答ください。ちょっと部数が足りませんけれども、必要な人だけ。委員長、いいですか。
  358. 細田吉藏

    細田委員長 はい。
  359. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 どうでしょうか。いまおっしゃったその米軍F16の飛行マニュアル、つまり操縦教範の中身の一部に間違いありませんか。
  360. 新井弘一

    新井説明員 ただいまいただいた資料につきましては、防衛庁装備局において現在確かめてもらっております。
  361. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それまでじっと待っておるわけにはいきませんから、もし間違っておったら、後で間違っておると言ってください。  これによって私、説明しますよ。  いまあなたがおっしゃったとおり、左上にT・0・1F―16A―1とある。Tはテクニカル、Oはオーダー、1Fは戦闘機、16AはF16のこと、1は操縦教範、もしこれが2であれば整備教範と、こうなる。これは操縦教範である。  それで、ここに表がある。上に飛行機の図がある。一番端、両側のマークは、これは御承知のとおりサイドワインダー、真ん中の両方に大きな丸がある。これはドロップタンク、三百七十ガロンを意味しておる。真ん中、つまりF16の真ん中に一発つけるんだ。そこの一番下にBDU―12と左側にあって、BDU―12の項がある。その真ん中のところに黒丸が四つついておる。これは装備するということです。次のページ、同じくBDU―38、これも真ん中に黒丸が四つついておる、装備するという。  この種の資料としては、BDUというのは御案内のとおり模擬弾、核模擬弾で、これで表示しておるというわけです。これは何を意味するか。BDU―12、これは先ほどもちょっと出ました核爆弾のB57の投下訓練用の核模擬弾である。BDU―38は、同じく核爆弾B61の投下訓練用の核模擬弾である。明確ですね。  それで、なぜF16が主要戦闘機、対地支援戦闘機として採用されたか、御承知でしょう。アメリカ議会で承認された機数、取得の機数計画は千三百八十八機だ。ペンタゴンの方の希望の計画は二千三百三十三機、これほどF16を重要視している。なぜか。  御案内のとおり、あなた方の資料によるとこのF16はF4EJあるいはF15J、F104J、F1、これらの飛行機よりも小型なんです。しかも投下爆弾――空対空、AAMじゃないですよ。投下爆弾の積載可能なポンドは、F4EJが五百ポンドだと八個、F15Jが五百ポンドだと十二個、F104Jが五百ポンドだと三個、国産のF1が五百ポンドだと八個。これに対して、このF16の爆弾は五百ポンドたった二個です。千ポンドだと一個です。役に立ちますか、普通爆弾だったら。よほどのことじゃない限り普通爆弾は積まないのですよ。それはさっき言ったとおり、イスラエルがイラクの原子炉をあれしたときはこれが使われた。あの程度ならそれでいいです。しかしこれは、核爆弾を使わなくてはF16の意味はないのです、対ソ戦争の場合は。しかもこんな小さな飛行機、小型にしたのは何の意味か。これはいわゆる対象国のレーダーからとらえられないために小型にしたのです。その利点はあるけれども、爆弾の積載量は少ない。したがって、これは一発にかけるのです。だから、ここのマニュアルにあるとおり、これは核爆弾を積むのですよ。それが主要目的なんです、長官。これはマニュアルにあるとおりです。  そこで、三沢基地がなぜF16の基地として選ばれたか。まずさっき言ったとおり、ソ連のレーダーから捕捉されにくい、小型である。しかも、いま日本周辺F16があるのは韓国の群山ですね。韓国の群山とウラジオの距離は何キロメートルですか。それから、ウラジオストクと三沢の距離は何キロメートルですか。
  362. 新井弘一

    新井説明員 お答えいたします。  まず三沢からウラジオストクですけれども八百五十キロ、それから群山からウラジオストク、九百三十キロというふうに理解しております。
  363. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 F16の戦闘行動半径は、もう聞くと時間が長くなるから、九百キロメートルないし九百二十五キロメートルのはずである。そうすると、群山からウラジオストクまで行ってたとえば核爆弾を落として、戦闘行動ですから群山にはぎりぎりで帰れませんよ。そうすると、たとえば群山からウラジオストクまで飛んで、そして核爆弾を落として、三沢だと帰れるのだ。意味がわかりますか。そういう利点があって三沢を選ばれた。もしF16を対ソ威嚇のために米軍日本基地に置くとしたら当然三沢以外にありませんよ。沖繩では遠過ぎます。横田からも遠過ぎます。まさに三沢はかっこうの地です。それが一つの理由ですね。したがって、三沢というのはもう確実に一〇〇%対ソ用の核攻撃前進基地になる。なりますよ。そうしないと意味がない。  それから、これから先は私の想定です。たとえば三沢から群山に飛んで、群山から核爆弾を積んでウラジオストクならウラジオストクに行く。そして三沢に帰っていく。そうすると非核三原則に触れない。もう一つ三沢から一たん群山に行けば直接出撃にもならない、事前協議から完全に外れるのですよ。これは私の想定です。恐らくそうなると思う。  それからもう一つ長官、あなたは今度アメリカに行かれて、アメリカ側からF1の後継機はF16を完成機として買ってほしいと話をされましたね。もちろんあなたはまだそんなことは決まっていないという返事だったでしょう。あなたはそれをだれかにしゃべっていますね。どうです。
  364. 伊藤宗一郎

    伊藤国務大臣 今回の会談で、会談のみならず、滞米中にアメリカ側からF16を買ってくれという話は一切ありませんでした。
  365. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これは証言者の名前が出てきますからひどく追及しますまい。まあそれはいいです。ただし、さっきも問題になったけれども、これからF16と日本自衛隊F15の共同作戦が進めば、もうF16に慣れることになるから、そうするとF1の後継機はもうF16に落ちつくことは火を見るよりも明らかです。それを指摘しておきます。  次に、F15とF16の行動半径はどっちが長いですか。
  366. 夏目晴雄

    夏目説明員 行動半径F15の方が長いと思います。
  367. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 なぜですか。――ちょっと待ってください。F15が積み得る燃料はたしか七千八百リットルぐらい、F16の方は四千百リットルぐらいです。そこだけを見てあなたはF15が長いと思っているのじゃないですか。ところが、F15はF100のエンジンを二個積んでいるのです。F16の方は一個なんです。だからF16の方が長いのですよ。どうですか。
  368. 夏目晴雄

    夏目説明員 F15の行動半径の方が長いと申し上げましたのは、フェリーによる航続距離がF15の方が長いという資料から推定したわけでございます。
  369. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そんなごまかしを言ったらいけませんよ、はっきりしているのだから、同じエンジンなのだから。F16の燃料の二倍以上F15が積んでおれば長いということになるのです。こんなことは小学生の算術計算で出てくる話だ。  それで、結局F16が対地投下訓練をするとすれば、BDU、核爆弾の投下訓練になる。これはそうならざるを得ないのです。かつて沖繩返還のときに、共産党の委員の方から、沖繩のF4ファントムのBDU、模擬核爆弾投下訓練を沖繩の伊江島でやったということが、写真、資料等を出されて大変な問題になりました。私は、岩国のファントムが同じようにやられておるという事実を指摘した今度F16が投下訓練をやるとしたら、BDUの投下訓練をやるのです。その投下訓練場が天ケ森が一番有力であるという結論になるじゃありませんか、さっきの答弁を合わせれば。ならざるを得ないですよ。間違いないですね。
  370. 夏目晴雄

    夏目説明員 F16の対地訓練の場所としては天ケ森がいいということは、先ほど施設長官からお答えしたとおりでございます。
  371. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 だから、F16が射爆訓練するその弾はBDU、核模擬爆弾なんです。そうすると天ケ森でやられる。そういうことに結論としてなるじゃありませんか、三段論法でなるじゃありませんか。いまさらなりませんと言ったって遅いです。――お答えがなければ先に進みます。当然そうなるから答えられない。  それで、三沢F16花持ってくる理由はまだあるのですよ。細かいことを言えば、商売の問題もある。対ソ威嚇の問題もある。それから日本防衛力増強の促進剤になるという三つのことをいろいろ新聞等で書かれていますが、まだあるのです。  一つは、英国の航空専門誌のフライト・インターナショナル、ことしの六月十二日の専門誌によりますと、一九八五年か八六年に韓国空軍もこのF16を三十六機ほど購入する予定になっておる。そこで、これも一つの想像になるけれども、そうすると、群山のF16はいつでも本国に帰れる、三沢に16があれば。この三沢に持っていったのはそういう利点が一つあるのです。  いま一つ、群山は準戦闘作戦地域でしょう。搭乗員の家族は移住できないでしょう。だから単身行っているでしょう。三沢はそういうことがないから、搭乗員の家族も移住できる。しかも、先ほどのほかの委員の答弁にあったとおり、めんどうは全部日本側が見る。宿舎から何やかや。こんなうまい話はないわけです。細かいことを言えば、三沢に16を持ってくるというのはそういう利点もあるんですよ。それを私は指摘しておきたいと思います。  それから最後に、F1の後継機の選定は、二十四機とりあえず予定しているのでしょうけれども、選定作業はいつから始まりますか。
  372. 夏目晴雄

    夏目説明員 現在、五六中業におきまして、F1の後継機すなわちFSXというものを二十四機考えておることは御指摘のとおりでございますが、いつから機種選定を始めるかについての具体的なスケジュールはまだ決まっておりません。
  373. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 五六中業中に選定作業には入るのでしょう、二十四機予定しているのですから。
  374. 夏目晴雄

    夏目説明員 五六中業期間中には選定をしなければと思っておりますが、いつからということの具体的な日程は決まっておりません。
  375. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは先ほど私が提示しましたマニュアルは、防衛庁お手元の、持っておられる米側のマニュアルと間違いないかどうか、確認しておきます。
  376. 新井弘一

    新井説明員 先ほどから装備局と連絡をとっておりますが、いまの時点でまだ確認できません。
  377. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私が出しました一番下の左側に「五―二二」と書いてありましょう。それは第五節の三十ページ、第五節の二十二ページ、そういう意味ですよ。  では委員長、それは確認のあれがとれましたら、ひとつ御報告をお願いいたします。  これで、時間が参りましたから終わります。
  378. 細田吉藏

    細田委員長 これにて質疑は終了いたしました。      ――――◇―――――
  379. 細田吉藏

    細田委員長 次に、去る九月二十日から二十二日までの三日間にわたり、国の安全保障に関し、自衛隊等の現状について実情調査のため、埼玉県及び北海道に委員を派遣いたしましたので、派遣委員報告を聴取いたしたいと存じますが、その調査の概要につきまして、便宜この席から私が派遣委員調査結果を御報告申し上げます。  われわれ派遣団は、細田吉藏、有馬元治、横路孝弘、神田厚、竹中修一、渡部一郎、永末英一、中馬弘毅の八委員で構成し、九月二十日から二十二日までの三日間の日程で、国の安全保障に関し、自衛隊等の現状についての実情調査及び宗谷海峡の視察目的として、航空自衛隊中部航空方面隊司令部、航空自衛隊稚内分屯基地、宗谷海峡、陸上自衛隊第二師団、航空自衛隊第二航空団、島松演習場及び陸上自衛隊第七師団をそれぞれ視察してまいりました。  まず、日程及び調査の経過の概要について申し上げます。  日程第一日目の九月二十日は、埼玉県入間基地に所在する航空自衛隊中部航空方面隊司令部において、濃屋中部航空方面隊司令官より同方面隊の組織、編成、任務及び入間基地の概要等の説明を聴取した後、同基地から自衛隊機により航空自衛隊稚内分屯基地へ向かいました。  航空自衛隊稚内分屯基地におきましては、星野第一八警戒群司令兼稚内分屯基地司令より、同基地の編成、任務施設等の説明を聴取いたしました。  また、派遣委員から海峡におけるソ連艦艇の通過状況、領海問題等の質問に対し、同基地に所在する陸上自衛隊山下第三〇一沿岸監視隊長兼稚内分屯基地司令及び海上自衛隊木田稚内分遣隊長からその実情についてそれぞれ説明を受けた後、レーダー施設基地内及び宗谷海峡を視察いたしました。  日程第二日目の九月二十一日は、天候の関係で当初予定いたしておりました陸上自衛隊のヘリコプターでの移動が中止となりましたので、急遽、稚内駅より列車で陸上自衛隊旭川駐屯地へ向かい、当初予定の陸上自衛隊名寄駐屯地は日程変更の関係調査できませんでした。  陸上自衛隊旭川駐屯地では、馬郡第二師団長より師団の編成、部隊の配置・災害派遣等の現況について説明を聴取いたしました。  次に航空自衛隊千歳基地では、米川第二航空団司令兼千歳基地司令より、部隊任務装備施設等の現況の説明を聴取した後、委員長の指令による模疑緊急発進の状況及び航空機用シェルター等の施設を夜間にわたり視察いたしました。  日程第三日目の九月二十二日は、島松演習場において荒天の中、六一式戦車及び七四式戦車による実弾射撃訓練状況視察いたしました。  最後に、陸上自衛隊第七師団では斉藤第七師団長より、師団の編成、装備、配置等の現況について説明を聴取した後、各種車両及び器材等の展示説明を受け、また、七四式戦車の試乗を行った次第であります。  以上をもちまして報告の概要を終わります。  この際、お諮りいたします。  内容の詳細につきましては、報告書を提出いたしましたので、これを会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  380. 細田吉藏

    細田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     ―――――――――――――     〔報告書は本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  381. 細田吉藏

    細田委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十八分散会      ――――◇―――――