○梶木又三君 私は、自由
民主党・自由
国民会議を代表して、
行財政改革を中心に当面する重要問題について、
総理並びに
関係閣僚に若干の
質問をいたします。
質問に先立ち、先般の大雨、台風等により甚大な被害を受け、たっとい人命までが失われましたことに対し、心からお見舞いを申し上げますとともに、御冥福をお祈りいたしたいと存じます。
さて、
鈴木内閣誕生後一年を振り返って、
外交面では、ASEAN五カ国の訪問、レーガン大統領との会談、欧州各国の歴訪、オタワ・サミットなど各国首脳と胸襟を開いた世界
外交を強力に展開されております。一方、内政面にあっては、
財政再建のための二兆円の公債減額の断行、景気の立て直し、物価の安定、
行財政改革に取り組む強い
姿勢を示され、厳しい
内外環境の中で誠実な
政策運営を図られていることを高く評価するものでございます。
さらに、今日世界が直面している最大の課題は、開発途上諸国の経済自立に対する主要先進諸国の協力強化にあると思います。その意味で、今月下旬、
総理がメキシコにおける
南北サミットに参加を予定していることは、世界の相互依存体制の中で、
わが国が新しい南北関係の前進に大いに寄与するものとして歓迎すべきことであり、
国会開会中ではありますが、ぜひ
会議に出席されますことを心から希望いたします。
さて、臨時
国会は、さきの
臨時行政調査会の
答申を受けた
行財政改革、
財政再建、このための一括
法案を初めとして、
人事院勧告の取り扱い、
仲裁裁定の処理、参議院における継続審査中の国家公務員退職手当法及び
地方公務員の定年法の両改正案、さらにはわが党の議員立法である全国区制
改革法案など、従来の
国会においてかつてない重要
法案がメジロ押しの状況であります。
総理は、
就任後、「和」をその
政治信条とされて政局担当に臨んでおられます。私も、「和の精神」すなわち信頼に基づく
話し合いの
政治が
民主政治の根幹をなすものとして大事であると全く同じ考えを持つものでありますが、これとあわせて、模索と激動の八〇年代に対処するためには、将来を見通す先見性と時期を失しないタイミング、果敢なる決断を踏まえた将来に向かっての攻めもまた必要ではないかと考えるものであります。今回の重要
案件はいずれも各党各会派ごとにその
立場、態度はさまざまであり、全会一致で目指す結論を求めることにはきわめて厳しい事態が想定されます。われわれは、昨年の同日
選挙における衆参を通じた安定多数におごるべきではありませんが、
国民の審判にあらわれた期待に背くことはできません。
まず、今後の政局担当及び
国会運営に臨む
総理の御
決意を伺っておきたいと存じます。
次に、かねてからそのあり方が問われている全国区制の改正であります。
わが党では昨年来鋭意検討し、ようやく拘束名簿式比例代表制として取りまとめ、前
国会に提出しましたが、残念ながら審議に入れず廃案のやむなきに至ったのであります。もとより
選挙制度は各党各派の共通の土俵であり、その帰趨いかんは党の死活問題であるだけに、できるだけその合意点を見出すべきが筋であり、わが党としても前
国会提出前の
段階で各党へ種々御説明申し上げ、納得いただけるよう努めたのであります。しかしながら、現行全国区制の存続や、
地方区を全廃して全国区にかわるブロック制を主張される向きもあり、これでは
選挙に金のかかる点が一向に是正されません。また、本院創設の趣旨にも反することから見て、われわれはやむなく単独提案に踏み切ったのであります。
しかしながら、
行財政改革が強く叫ばれております今日、巨額の金のかかる全国区制改正の
必要性はさらに一層増しており、
国民の強い声となっておるわけでございます。わが党は今
国会にも再度提出し、強くその成立を期しておるところでありますが、自民党総裁としての
総理の御
所見をお伺いいたします。
次に、経済問題であります。
経済企画庁では経済活動は緩やかに
回復していると説明していますが、実態は依然として
企業の倒産は多く、失業率も高水準にあって、どうも力強さが感ぜられません。これは、期待していた個人消費や住宅建設などの内需がいずれも伸び悩みの状況にあり、住宅
産業を初めとして石油
産業、アルミなどの素材
産業などは深刻な状況となっております。また、これまで景気振興の明るい材料でありました設備投資もはかばかしくなく、特に
中小企業については前
年度より下回っておるほか、
地域間の景気ばらつきも目立っております。現在、景気は輸出によってどうにかカバーしているのでありますが、これとてふえ過ぎればまた諸外国との貿易摩擦の問題が生じ、
政治問題となるおそれがあります。いまやるべき景気対策は、外需に頼らない内需の振興を図るべきであって、これには
産業間、
企業規模間、
地域間の格差を解消した均衡のとれた経済運営が必要ではないでしょうか。
いま
わが国経済は、厳しい
財政事情の中で大量の公債発行問題を抱え、さらに米国の高金利による影響もあり、従来のような
財政面、金融面による需要拡大のための大がかりな景気対策は求め得べくもありませんので、それぞれの実態に応じた個別的なきめ細かい対策が必要と思います。
〔
議長退席、副
議長着席〕
政府は景気動向をどのように
認識し、これに対処するのか、その方針を伺いたいと思います。
次に、
今期国会の
重要課題であります
行財政改革について伺います。
国民の
福祉を
増大させ、正しい
民主政治を定着させるための最も重要なことは、
行政の運営が適正であり効率的でなければなりません。
国民の税金によりその給与が賄われている公務員や公共
企業体の職員が、
国民への奉仕者としてその責務を果たすためには最小限の定員で最大限の能率を発揮し、
国民の利益に十分こたえるべきであります。果たして現状はこの要請にこたえているかと問われれば、残念ながら否定的にならざるを得ません。
これまで社会の発展、経済の高度成長につれて新たな
行政需要が続々発生し、また社会の複雑化に伴って
行政はますます専門化し、分化せざるを得なくなりました。このため
行政機構は年々膨大化の一途をたどっております。その結果、国家公務員と
政府関係機関職員、
地方公務員の総数は実に五百万人を超え、その人件費は約二十五兆円という巨額に達しております。
このような社会経済
情勢の変化は、当然に社会規範としての法律や政令を細分化し、その件数はますます増加の傾向にあって、いまや法律の数は実効性を喪失した四百七十四件を含み千九百八十六件、政令は千六百六十四件、省令は二千三百三十三件、それに旧
憲法下の勅令百三十四件、閣令十八件、締めて六千百三十五件の多きに達して、
行政の複雑化はますます制度をわかりにくくし、
国民の
負担を重くしております。すなわち、いま求められる
行政改革は、この肥大化した
行財政のぜい肉を思い切って削ることにより、簡素で能率的な活力ある
行政の制度、機構に改めることであります。これがひいては新しい
国づくりの基礎となることと信ずるのであります。
総理は、大平時代の五十五年
行革をさらに前進させ、これを内閣の最
重要課題として取り上げ、みずからこれに
政治生命をかけると言明されました。中曾根長官も同調されました。
さて、去る三月、土光さんを会長として発足した第二次
臨時行政調査会は、七月十日、当面緊急に
措置すべき
問題点を取りまとめた第一次
答申を発表いたしました。これは
増税なき
財政再建のため、とりわけ来
年度予算編成を
行政改革の
観点から方向づけるガイドラインを示すものであって、いわば緊急課題を調査会発足以来精力的な審議でまとめられた努力の結晶でありまして、本格的な制度改正を含む
行政の減量化の問題は来年以降
答申をお
願いしておるところであります。
これに対し、一部に本質的な制度論での
答申でなく、初めから来
年度予算という
政策論から入り、
財政対策にウエートが置かれたものであるから反対であるとする向きがあります。しかし、われわれとしては、すぐやるべき必要のあるものをまず求めることは、あたりまえであると思うのでありますが、改めて
総理及び
行政管理庁長官より
答申に対する
決意及びこの間の経緯について説明をお
願いしたいと思います。
これとあわせて、これから本番と言われる今後の
行財政改革について、どういう問題をいつごろ
答申を求めるのか、今後のスケジュールについてもお示しいただきたいと思います。
行政改革を行うに最も効果があり、
国民にわかりやすいものは仕事減らし、人減らしであります。この意味で、今回の
臨調答申の国家公務員の五カ年間五%の人員
削減はまさに時宜を得た提言であると思います。内閣ではこれを受けて、去る九月十一日、五十七
年度から五年間で、五現業を含めた国家公務員の定員を五%、病院、大学も聖域なしの四万四千八百八十六人
削減する第六次定員
削減計画を発表いたしました。
総定員法制定後の四十三
年度から五十六
年度までの国家公務員の総数の推移を見ますと、この間約九千人の純減となっており、
地方公務員の大幅増と比べるとそれなりの努力を多とするのでありますが、五十六
年度の純減はわずか百一名であります。第六次
削減計画の中で今後も増員要求は強く出てくると思いますが、それは真に国策の
重要性に応じた必要最小限のものに限定して厳しく査定し、実質
削減の効果が出るようにすべきと思うのでありますが、
政府の方針を伺います。
一方、各省庁では正規職員のほかに膨大な数の非常勤職員、いわゆる臨時職員を抱えており、これについては
答申は触れておりません。今回の定員
削減計画の改定の強化が
行政合理化の最大の柱であるからには、表に出ないこの非常勤職員に関する人事管理に徹底した断行なかりせば、せっかくの第六次
計画そのものが空念仏に終わるのではありませんか。この際、この非常勤職員の実態と今後の対策について明確な答弁を求めたいと思います。
国と
地方は車の両輪であり、
地方自治体はその
行政施策が直接
住民サービス、
住民の
福祉に結びつくだけに、
地方行政の合理化、効率化もまた急務であります。今回の
臨調答申においては、
地方自治の原則との関連から明確な指摘はありませんが、特に取り上げられた
地方公務員の定数及び給与、退職金については、自主的な
抑制措置を強く要請いたすものであります。
これまで
地方公務員の定数につきましては毎年増加傾向を示し、四十二
年度以降八十万人も増加し、三百十六万人の人件費は十四兆八千億円の巨額に上っております。
臨調では
地方公務員の定数管理のための標準モデルの活用、職員給与の実態の
住民への公表、あるいは国の給与水準、退職金水準を上回る
地方公共団体に対する
財政措置等を講ずると
答申されておりますが、これの舌の根も乾かぬうちに高い給与をさらに引き上げる動きがあります。
臨調答申を完全に無視している状況が見受けられますが、
政府として今回の
臨調答申をどのように
地方公共団体に徹底させ、これを完全に
実行させるのか、その具体策をお伺いいたしたいのであります。
あわせて、
財政措置を講ずる場合の基準、方法をどのように考えているのか。
地方交付税で制裁
措置をとるべきであると考えますが、いかがなものかお答えいただきたいと思います。
さて、今
年度末には公債発行残高八十二兆円、その利払いに要する費用等は六兆六千億円以上であり、これは
国民生活に密着する
公共事業関係費とほぼ同額となっております。こうした
財政状況になった原因は、主に石油ショック後の各種
公共サービスの拡充にあり、当時の経済社会
情勢を背景にして考えれば真にやむを得ないものがあったと思いますが、かかる状況を放置しておくととは、今後新しい
政策要請にこたえられないだけでなく、インフレを招く原因になるなど将来きわめて問題があると言わざるを得ません。
この不健全な国債依存の
財政体質から早く脱却するため、いま目指しているのが
行政改革の一環としての
財政再建であります。われわれは、五十九
年度までに
赤字国債の発行をゼロにするため、五十六
年度は
法人税、物品税の
増税をお
願いして、
政策の
優先順位のもとに二兆円の公債減額を断行して、
歳出の伸び率を二十二年ぶりに一けたに抑えました。五十七
年度は
総理の大英断により、ゼロシーリングのもとに
臨調答申を尊重して
増税なき
予算編成を行うことにいたしております。
さて、これを受けた来
年度の
概算要求は四十九兆四千六百六十一億円、その伸び率は五・七%と、かつてない低いものとなっており、
増税なき
財政再建へ大きく踏み出す努力を多とするものであります。しかしながら、今
年度の
税収が伸び悩む状況の中で、大蔵当局が中期
財政展望で想定する来
年度四兆七千億円の自然増収が確保できるのかという問題、また、現時点では今
年度の
人事院勧告の取り扱いは未定でありますが、これの平
年度化の問題、さらには年末の
予算編成時までその調整を持ち越した
国民健康保険医療費の地元
負担の問題など、その推移いかんによっては歳入減の中での
歳出膨張という厳しい事態が懸念されます。
これらを考えるならば、現在の
概算要求からさらに数千億円
歳出切り込みなかりせば、中期
財政展望で示す一兆八千億円の国債減額は不可能でありましょう。これらについて
政府はどのように受けとめ、来
年度の
予算編成を行うのか、
総理並びに
大蔵大臣の御
所見を伺いたいのであります。
以上、厳しい
財政事情のもとで来
年度以降
予算編成を行うことになるのでありますが、他面、「例外のない法則はない」という
言葉があるとおり、その
行財政改革にも一律に処理してならない領域があると思います。それは、防衛、 エネルギー問題を含めた科学技術の振興、食糧、これら三つを基軸とする国の
基本的存立にかかわる総合
安全保障政策であります。これらにつき順次お伺いいたします。
まず防衛問題であります。
わが国の防衛問題を考えるに当たって、まずわれわれが肝に銘ずべきことは、
わが国が戦後三十六年間、世界における大小さまざまの局地戦争に一切巻き込まれることなく繁栄を享受し、経済的には世界経済の一割のGNPを占めるまでに発展を遂げたことは、
日米安全保障体制のもとで、
わが国の
安全保障を確保してきたことに負うものであるということであります。
いま西側は、ソ連の驚異的ともいえる著しい軍事力増強に直面しております。
わが国も、いまこそ西側の一員として、その置かれている国際軍事
情勢を的確に分析し、長年の安保ただ乗りの汚名を率先解消すべく、自国の平和と安全は自国で
責任をとるとの
決意を身をもって示すべきであります。アメリカがその相対的な国力、軍事力の低下の中でソ連の世界戦略に強い
姿勢を打ち出しているとき、西側の一員としての
わが国も応分の
責任と役割り分担を果たすべきは当然のことであり、これなかりせば、やがて
日米安全保障体制そのものが空洞化しないとも限りません。
国の安全確保の問題は民族の生存にかかわるものであり、
行財政改革の問題にも増して、より重大な
政府に課された責務であると思います。極東ソ連軍の増強を初めとする
現下の厳しい
国際情勢や、
わが国の防衛努力が諸外国に比しきわめて低い水準にあることを考慮すれば、
財政再建下とはいえ、
わが国も西側の一員として応分の
負担に積極的に応じていくべきものと考えますが、
総理は
わが国の防衛努力について今後どのように進めていくお考えなのか、また、来
年度予算についていかに対処するお考えなのか、伺っておきたいと思います。
エネルギー問題は世界の死命を制する重要な課題であり、とりわけ
わが国にとっては深刻な問題であります。この問題を解決するためには、省エネルギーと代替エネルギーの開発に全力を挙げる以外ありません。そして、このことは科学技術の振興以外の何ものでもないと思います。まさに、科学技術は経済社会発展の原動力であり、その成果は子孫に受け継がれていく
国民共通の財産であります。国土が狭く資源に乏しい
わが国が、今後とも経済社会の発展を維持し、豊かな
国民生活を築いていくためには、
国民の英知と努力を結集し、自主技術の開発を初めとする科学技術の振興に全力を傾注していかなければならないと思います。
従来、
わが国の研究開発は民間
企業にその多くを依存してきましたが、今日、原子力、宇宙、遺伝子組みかえ等に代表されるように、研究開発のリスクが大型化するとともに、革新的技術を創出するための基礎研究の
重要性が
増大しており、国の果たすべき役割りはいよいよ大きくなってきております。したがって、
財政事情厳しき折ではありますが、科学技術振興の
重要性にかんがみ、
政府は研究開発を強力に推進すべきであると考えますが、
総理及び科学技術庁長官の御
所見を伺いたいと思います。
次は食糧問題ですが、その前に冒頭申し上げました災害についてお伺いいたします。
八月上旬の北海道の大雨及び十五号台風等により、水稲を初めとし、種々の農作物あるいは農地、農業用施設等に大きな被害が生じ、農家に深刻な打撃を与えております。
特に北海道、東北、関東が被害甚大で、二十五日発表の農林水産省の水稲作柄概況を見ても、
総理の御出身地の岩手県は八三%、これを筆頭に北海道、青森、宮城の道県はいずれも九〇%以下という著しい不作であります。昨年の大冷害と二年続きの不作であります。この深刻な事態にかんがみ、被災農家の窮状を打開し、来季の営農に安んじて取り組むことのできるよう、激甚災害法の指定及び天災融資法の発動を含めて早急に対策を講ずべきだと思いますが、
総理の御
所見を伺います。
世界の食糧の需給動向を見ますと、需要は毎年着実に伸びているのに対し、生産は異常気象等により豊凶変動の振幅が大きくなっておりまして、かつての過剰基調から不安定基調にさま変わりしております。そして、長期的には特に
開発途上国で食糧不足が深刻になると予測されております。したがいまして、
わが国は世界の食糧需給が不足基調に陥る事態になっても、これに対処できる備えを持たなければなりません。一たん不足基調が顕在化すれば、
わが国が札びらを切って食糧を先取りすることは困難になり、独立自主
外交はむずかしくなりましょう。
やはり、
わが国の食糧の
安全保障を確保するには、何といっても農村を活力あるものとし、そして健全な農業を育成して、不足基調に陥っても、しのげるだけの食糧自給力の強化を図っておかなければならないと思います。このために、最も基礎的なものが生産基盤の
整備であり、かつ農村の環境
整備であると思いますが、これらのことにつき、
総理及び農林水産
大臣の御
所見を伺います。
次に
人事院勧告について伺います。
私は、公務員の
労働基本権制約の
代償措置として
人事院勧告の持つ意義を十分
理解しておりますし、また、
昭和四十五年以来これが
完全実施され、安定した労使関係の維持に寄与していることも十分
認識しているものであります。しかしながら、
現下の厳しい諸
情勢にかんがみれば、
臨調答申にもあるように、給与の改定に当たっては、
労働基本権問題や労使関係への配慮とともに、社会経済
情勢、
財政事情、
国民世論の動向等の諸事情が広く考慮されてしかるべきと思います。
財政再建に当たって、あらゆる
歳出について
見直しが行われているとき、人件費とて聖域ではなく、定員の
削減とともに給与等の合理化が検討されなければ
国民の
理解を得ることは困難ではないかと思います。アメリカでレーガン大統領が、一九入二
年度の連邦公務員の賃上げ率について、一五・一%の勧告率を三分の一、四・八%に
削減して議会の承認を求めていること、イギリス及び西独においても同様の
措置がとられていることが伝えられておりますが、
大蔵大臣としてどう受けとめておられるか、御
所見をお伺いしたいと存じます。
本
年度の勧告を実施するには、追加所要額として一般会計分で約二千八百億円の多額に上ります。本
年度の
財政事情を見ますと、
財源面では従来補正
財源の大宗を賄っておりました税の自然増収や公債の追加発行に期待することは困難でありましょう。他方、追加
財政需要については、災害等かなり多額に上るものと予想されます。このように見ますと、いまだ
年度半ばで確定的なことは申せないまでも、本
年度の給与改定についての
財源的なめどは容易に立てられないというのが実情ではないでしょうか。
私は、以上述べたような
観点から、この問題については
基本的には
抑制するという方針に立ちつつ、きわめて厳しい
現下の
財政事情を検討の上、十分時間をかけて慎重に結論を出す必要があると考えます。
総理並びに
大蔵大臣の御
所見を伺います。
最後に、私は五十八
年度以降の
財政再建の進め方について考えてみたいと思います。
私は
行財政改革の
重要性を毛頭否定するものではありません。むしろ人一倍その
必要性を痛感しているものであります。過去の惰性のもとに継続している緊急性の乏しい
行政経費については、今後とも鋭いメスを入れ、時宜に適した効率的な
行財政構造とする努力を不断に行うことは当然であります。
しかし、一方では、激動する現代社会において、個人の自己
責任では解決の道がなく、その結果国家として果たすことが期待される業務がふえていることも事実であります。また、先刻も申し上げたとおり、国の総合
安全保障政策として積極的に努めなければならぬ分野もありましょう。さらに、
わが国が今日の経済大国となった結果、国際的な
責任分担を果たすための経費増もあります。
私が申し上げているのは、いわゆる各論反対ではありません。個々の経費についてぎりぎりの
見直しを行い、なおかつ、こうした要因によって国家
財政がふくらまざるを得ない場合、どのようにするのかということであります。
歳出を切れ、こう言うことは容易なことであります。しかし、その多くは国家の存立並びに
国民生活に直結しているものばかりで、このような
意見は部外者の無
責任さのあらわれと言えましょう。五十七
年度予算はいわばぎりぎりの
歳出削減を行うこととしているわけでございますが、五十八
年度以降については、「国家とは何か」「
財政とは何か」、冷静に
国民一人一人が考え、
総理も
所信表明で述べておられる
税負担の公平の確保とともに、歳入の確保の方途についても検討し、真に
財政再建のあり方を考える必要がありましょう。この点について、
総理並びに
大蔵大臣の率直なひとつ御
所見を承りたいと思います。
終わりに、わが党は世界の
政治史上かつてない長期政権を担当して、今日の国力の充実と平和維持を果たしてきました。長過ぎれば飽きがくる、これはこの世の常でありますのに、これまで
国民各位の強い御支持をいただいておるのであります。
この理由は何か、その秘密は何か。これは、申すまでもなく政権を担当している
責任政党として、
財政的裏づけのない非現実的な人気取りに終始することなく、「できること、できないこと」、これをはっきりさせ、誠実をもって
国民の
理解と協力を求めたためであり、また、独断的なイデオロギーにこり固まらず、将来を見通して時代の変化に柔軟に適応したからであります。
これからいよいよスタートする本格的な
行財政改革は、まさにこれまであった制度、仕組みにメスが入るのでありますから、各界各層の多くの方には大きな影響、
痛みがありましょう。しかしながら、将来の
日本を立て直すにはこれ以外にございません。
国民の皆さん、どうか苦しみをともに分かち合ってこの危機を乗り切ろうではありませんか。われわれも公正な信念を持った
政治の展開により、この苦難を早く切り開き、平和と幸せに恵まれた健全な
国づくりに一層精進することをここにお誓いいたしまして、私の
代表質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣鈴木善幸君
登壇、
拍手〕