○
寺田熊雄君 私も
法律家として、こういう人権じゅうりんの
訴えをおびただしい数受けております。かつ、
自分が代理人になって事件を扱ったこともあるのですけれ
ども、こういう事案は
警察の言い分と、それから被害を受けた民衆との言い分とが百八十度違うことが
一般なんであります。ちょうどそれは、不当労働行為において経営者と労働者との間の主張がまるっきり食い違う。離婚事件で夫と妻との主張が食い違うというのと、全く軌を一にしておるわけでありますね。
私
どもの経験では、
警察側も絶対そういうことはありませんということを言い切っても、裁判所で
警察の非が認められたということが、やっぱり何件かあるわけですね。そういう場合、結局上に立っていらっしゃる方は部下の言い分をそのまま御信用になる。部下の方は、もう
自分たちの非を隠すために虚偽の事実を上の方に上げるということも、それがどちらかというと裁判所で
警察の非が認められた場合の血一型的な例のように思います。だから、もうちょっと
局長もそういう言い分をうのみにしないで、事実をよく調べていただきたいと思うのです。
私の経験から言いますと、人権じゅうりんで、交番で
警察官に胸をげんこつで突かれ腹部をけられて大変な傷害を受けた大衆の事件、これは損害賠償として、国家賠償として
訴える事件では、
警察官が三人証人に立って宣誓して、そういう暴行は全くございません、それは酔っぱらっていたから道で転んだんでしょうというような陳弁をした。
ところが、裁判所は間違いなく
警察官の暴行によるということを認定しましたら、その後で監察官がもう一偏調べたところが、三人の
警察官はみんなぞろぞろぞろっと自白して、それで結局、
警察本部の警務部長も私のところへ謝りに来ましたし、それから次席検事から、そうなると偽証罪になりますからね、それから
警察官暴行陵虐罪にもなる。これをやはりやらなければいかぬけれ
ども、もうすでに免官になって、わかったから免官にしちゃったんですね。免官になったんで勘弁してやってくださいという依頼があったので、私はそこまで追及せずに、一人が免官し、一人が一カ月の停職でしたかね、一人は戒告、そういうようなことでおさめたことがあるのですけれ
ども、
警察官が私はやりましたというようなことを言う例はないのですよ、こういう事例で。しかし、判断すべき国家の
機関が判断すると、やっぱり
警察官にそういう事実があったという判決が何件かあるわけで、そこをやはり
局長も考慮していかなければいかぬ。
いま
局長の御答弁によりますと、しばしば赤信号を無視して進行したとか、デモ隊が広がったとかというようなことで規制をしたんだとおっしゃるけれ
ども、もうすでに弁慶橋付近から、横を規制したというよりは、そのデモ隊の
訴えによると、あなたのおっしゃるように二つに分かれた。その二つに分かれておるそれぞれの隊の前面に宣伝車がおるのですが、その宣伝車と隊との間に警官が入り込む。それから第一隊と二隊との間に入り込んで、それで隊と隊とを分けさしてしまう。そういう
方針をとっておるように見受けたと。そして、しまいには第一隊と第二隊との間の距離が五百メートル以上も開いてしまったと、そういう
訴えがあるわけです。
それは、
局長の言われるように、信号のある場所でも混雑した場所でもないので、もう何らの原因がないのに指揮官が命じて入り込む、それから指揮官がよしと言うとぱっと規制をなくしてしまう、これはやはりあなたのおっしゃるように、あなた方が過激派とおっしゃる、私はもう過激派であろうが過激派でなかろうが、そういうことを問うておるのではありません。私
どもはいかなる人間にも
基本的人権があるから、
基本的人権が侵害された場合には私
どもは守らなきゃいかぬという立場で取り上げておるわけです。何か
警察の方では、過激派だからやっつけてやろうというような、初めからそういう先入主を持って規制をなさったんではなかろうか、そういうふうな印象を受けるのですが、あなた方の方は、やっぱり第一線の
警察官は、過激派だ、こんちくしょうというような考えが、初めから敵意があって、そして自然にそれがにじみ出るというんじゃないでしょうかね。その点いかがです。
というのは、この国会の議面の前がありますね、陳情がよくある、請願デモがある、請願デモを私
どもは目の前に置きまして一度見た経験は、盾がありますね、盾を
警察官が、やはりデモ隊の足にガジャンとやって、それでデモ隊が怒ると、すっとほかの隊員の後ろに隠れたのを私、この目で見たんです。実見したんです。ああ、やっぱりああいう諸君はいたずら気分なのだろうか、それともデモ隊に対する反感があるんだろうか、ああいうことをしちゃいかぬなというふうに思ったんだけれ
ども、第一線の若い諸君にはやはりそういうものがあるんじゃなかろうか。これはよほど
局長のような全体を統括なさる立場にある方は、それはやはり考慮していただかなきゃいけません。いかがです。