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神谷信之助君 問題はそこのところですよ。あなた方の方が
給与の問題にしろ、
定員の問題にしろ、この
定年制の問題にしろ、
指導、助言ということでいろいろと注文をつけるという問題ですわね。
それで、何でそれはそうなってくるのか。一般的な世論であるかのように言っているけれ
ども、実際は、たとえばきょう午後の冒頭に言いましたように、
定年制導入に至る経緯を見てみると、まず財界がそのことを要求してくるというところから始まってきているわけです。いまやられている
臨調答申に基づく行革の問題もそうですね。財界の親分連中が集まってそうしてやっているわけでしょう。その基礎になった提言というやつは、もうちゃんと出ているわけだ。産業経済懇談会でしたか、そこの方針がそのまま、言うならば
臨調の
答申になり、そしてそれを受けていま衆議院でやっておるわけでしょう。そういう形でやりながらやっている。
だから、安上がりの政府、そしてできるだけ
地方自治体の方も安上がりにして、その余った財源は、われわれから言わしたらまさに戦争のために使っていこうと、こうなるわけです。これはまたこっちへ来たらやりますがね。事実そうなんだ。四十人学級でも六十億ぐらいの財源しか必要としないわけだ。だからP3C半分あったらできるわけ、凍結せぬでも。だから、そういうことを中心にして、そこを基礎にして、私は
先ほど言うように、この
定年制の問題にしても
給与の問題にしてもずうっと出てきているわけですわな。だから、私は、そういう意図というものが太い線で流れていて、それがこういう現象としてあらわれてきているんですけどね。しかし、それはやっぱり矛盾が起こっているんですよ、私は。
先ほどから、国家
公務員と
地方公務員を同じようにせないかぬと盛んにおっしゃるんだけれ
ども、国家
公務員法と
地方公務員法とでは
提案理由の説明のところにあるように違うんですよね、
考え方は。理念は
導入するけれ
ども、やり方は自主性に任せるんだというのを最大限に尊重しながら、したがって
給与の
条件にしても服務の
条件にしても全部そういう意味では
自治体の
判断といいますか、自主制というものを保障するようになっている。これが
地方公務員法ですよ。
だから、そういう全体の
地方公務員法の体系から言うたら、「
基準として条例で定めるものとする。」ということは、これは
自治体の長と議会とで自主的に決めることが可能である、それをしてはいけないということにはならない。ここはだから、そういう意味では私は自治省が苦心をなさったところだと思いますよ。これ真っすぐ
定年を六十歳とするというように決めておけば、そう書いてあれば、ますますもって
地方公務員法全体の中の異分子であるということがはっきりしてしまうし、法の体系自身を乱すことに私はなると思う。だから、
自治体の自主性を、やっぱりこういうものを
導入する場合でも保障せないかぬ。そういうことを考慮せざるを得ないというのはわかる。だからこそ「
基準として条例で定めるものとする。」という苦心の作ができた。しかし、これを、いかに
法令解釈権が主管省である自治省にあるとしても、文章自身からは、こうしなきゃならぬ、そういう以外の何しちゃいかぬというのはない。それで、合理的な
理由というやつは長が
判断をする、こうなっている。あるいはまた議会が
判断すると。言うなれば、主人公である地域
住民が
判断をするわけです。そういうことでしょう、
地方自治の本来の姿から言えば。
ですから、
先ほどはしなくも課長が、そういう意味では、五十五の
勧奨退職をとっているところで、五十八にし、六十へ向けて激変緩和の措置をやるということも想定されますと。それは、そうやった方が活力を持ち
新陳代謝ができる、こういう意味からだと、こう言う。目的はそこだから、活力ある
新陳代謝が可能だということであれば、それぞれの
自治体の
条件に応じて六十三もあれば六十五もあってあたりまえだと。それをだれが
判断するのかと言ったら長だとおっしゃる。それに対して今度は局長は、いや第一義的にはそっちだけれ
ども、第二義
判断は私のところだと、私の言うことを聞いてもらわなければ困ると、こうおっしゃれば、まさに自治権の侵害じゃないかと、こういうことになるでしょう。そういうように私は思うんですよ。
ですから、この点、もう予定時間が来ましたから何ですが、これは非常に私はそういう意味で、
先ほどから何遍も言いますように、公然と国の
基準をそのまま持ってくる、そして
自治体の自主性を奪い取ってしまうようなこういう
公務員法の改悪というのはきわめて重大だと。いままで
法律でそういう形でストレートにこの
公務員法の中にほうり込んでくるということはなかった。曲がりなりにも、いままでの三十一年法や四十三年法は、「条例で」「定めることができる」と、いった相当の、つくろうとつくるまいと自由だといったそういう
状態から、まさに重要な変化である。それは何でそういう変化が起こるのかと言えば、それは
高齢化社会の到来その他といろいろおっしゃっていますけれ
ども、それは全体として
自治体の、何といいますか、
住民の要求がどんどんと深まっていますから、そういう中で
行政の対応を要求される、それに対応するのについて勝手気ままなことは許せないという、いわゆるそういう立場からの自治権の侵害というのがあらゆる面で出てきているというように私は思うんです。
そういうことをきょうは最後に申し上げて、大体予定の時間ですから以上で終わります。