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1981-12-18 第95回国会 参議院 決算委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年十二月十八日(金曜日)    午前十一時一分開会     —————————————    委員異動  十二月十六日     辞任         補欠選任     目黒朝次郎君     対馬 孝且君  十二月十八日     辞任         補欠選任     対馬 孝且君     目黒朝次郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         和田 静夫君     理 事                 井上  孝君                 亀井 久興君                 三浦 八本君                 佐藤 三吾君                 峯山 昭範君     委 員                 河本嘉久蔵君                 塚田十一郎君                 内藤  健君                 仲川 幸男君                 福田 宏一君                 降矢 敬雄君                 円山 雅也君                 森山 眞弓君                 穐山  篤君                 対馬 孝且君                 丸谷 金保君                 鶴岡  洋君                 安武 洋子君                 柄谷 道一君                 森田 重郎君                 中山 千夏君    国務大臣         通商産業大臣  安倍晋太郎君         国 務 大 臣         (経済企画庁長 河本 敏夫君         官)    事務局側         常任委員会専門         員       丸山 利雄君    説明員         内閣法制局第一         部長      味村  治君         警察庁長官   三井  脩君         警察庁警備局長 山田 英雄君         防衛庁装備局長 和田  裕君         科学技術庁長官         官房審議官   高岡 敬展君         外務大臣官房審         議官      松田 慶文君         厚生省環境衛生         局食品化学課長 藤井 正美君         通商産業大臣官         房審議官    斉藤 成雄君         通商産業大臣官         房審議官    植田 守昭君         通商産業省通商         政策局経済協力         部長      宇賀 道郎君         通商産業省貿易         局長      中澤 忠義君         通商産業省立地         公害局長    神谷 和男君         通商産業省基礎         産業局長    真野  温君         資源エネルギー         庁長官     小松 国男君         資源エネルギー         庁石炭部長   福川 伸次君         労働大臣官房審         議官      小粥 義朗君         会計検査院事務         総局第四局長  高橋  良君    参考人         中小企業金融公         庫総裁     船後 正道君         中小企業信用保         険公庫総裁   谷敷  寛君     —————————————   本日の会議に付した案件昭和五十三年度一般会計歳入歳出決算昭和五  十三年度特別会計歳入歳出決算昭和五十三年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十三  年度政府関係機関決算書(第九十一回国会内閣  提出)(継続案件) ○昭和五十三年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第九十一回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十三年度国有財産無償貸付状況計算書  (第九十一回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 和田静夫

    委員長和田静夫君) ただいまから決算委員会開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  十二月十六日、目黒朝次郎君が委員辞任され、その補欠として対馬孝且君が選任されました。
  3. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 次に、昭和五十三年度決算外二件を議題といたします。  本日は通商産業省経済企画庁中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫決算について審査を行います。
  4. 和田静夫

    委員長和田静夫君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 質疑通告のない船後中小企業金融公庫総裁及び谷敷中小企業信用保険公庫総裁は退席していただいて結構です。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 丸谷金保

    丸谷金保君 泊原発の問題についてまず御質問申し上げます。  去る九日に現地において公開ヒヤリングが行われましたが、このとき私も現地に行っておりまして、大変けしからぬことだと憤慨するような事件が起きました。  実は、私は新聞記事だけを根拠に質問するということは余り好きでないんですが、この際は、現地にいて私の方はかっかとしておるので、むしろ私自身の言葉で言うと、主観的になり過ぎてもいけませんから、特に新聞報道を中心にして申し上げたいと思います。  まず最初警察庁長官。実は九日付のここに北海道新聞読売新聞朝日新聞毎日新聞を持ってきておりますが、これによりますと、泊の原発会場正面集会をしておりました反対派人たちに、「午後六時ごろ反対派激励に駆けつけた社会党国会議員団道議員団正門前に着き、安井吉典代議士あいさつを始めた途端、機動隊フェンスゲートを開いてピケ隊排除を始め、激しいもみ合いとなった。この間十五分ほどだったが、同議員団側は「警察側の悪質な挑発」と怒り、道警現地警備本部本部長・加藤好規警備部参事官に強く抗議した。」その抗議したところの状況は、いまお手元に差し上げました報道写真の中に赤い丸印がついているのが私でございます。それから、その横の方にいるのがいまここにおられます対馬参議院議員五十嵐衆議院議員小林衆議院議員どもそこに写っております。同様なことが読売新聞朝日新聞毎日新聞ども同じような記事で、少なくとも新聞記者現地の人が客観的に見た状況がこういう状況です。  御承知と思いますが、私どもはこうした問題のときに、一方では無益なトラブルの起きないためにも、要請を受けて出席をし、激励もいたしておるんです。こういうばかなことが行われていいのかどうか、これについてひとつ長官の方から釈明を願いたいと思います。
  8. 三井脩

    説明員三井脩君) ただいま新聞をもとにしてということでお話がございましたけれども、私たちは事実に即して、実態に合った現場の措置をやるというのが私たちのやり方でございますし、また、当日は公開ヒヤリング実力阻止を叫ぶ多数の集団が会場入り口ピケを張り、出入りを阻止する、こういう状態でありましたので、何回も、当日は数十回も警告の上実力規制をして、その違法状態排除したというのが真相でございまして、警察としては任務を忠実に執行したのだというように考えております。
  9. 丸谷金保

    丸谷金保君 そのとき別にそういう騒動も何もなかったんです。特に、国会議員団が七名、道議会議員団が十九名整々としてそこであいさつをしている、途端にゲートをあけて、私たちもみくちゃにされたんです。そういう状態はそうすると長官は是認するんですか。当時の状況については報告を受けていると思いますが、いかがですか。
  10. 山田英雄

    説明員山田英雄君) 事実関係について私から申し上げたいと思います。  ただいま長官から申し上げましたとおり、公開ヒヤリング実力阻止を叫ぶ反対人々が多数、十二月の六日から会場周辺に蝟集する状態がございました。それで前日はいろいろ準備行為その他で会場内に出入りする車、あるいは人々がおったわけですが、警告六十回、警告を聞かないために舞台規制排除した回数が九回、その間に規制中の警察官に暴行を加えるなどの行為もございましたので、六人を現行犯逮捕しております。  それで、お尋ねの当日でございますが、当日はヒヤリングの前日でございますけれども、朝八時半からいまお尋ねケースの午後六時ごろまでの間に、数百人の人が出入り口に蝟集いたしまして、いろいろ必要な出入りがありますために、道路上に蝟集している行為道交法違反でもございますので、警告すること百八十回、舞台排除して出入りを確保すること六十八回でございました。  問題の午後六時の時間帯の出来事でございますが、これはその当時は幅員九メートルの会場ゲート前の国道上に、八十人から百人の方がほとんど道路の過半を占拠する形でピケを張っていたわけでございます。そこへ泊本村方向からパトカー、これは前日検挙いたしました事件参考人岩内警察署に輸送して戻ってきた本部パトカーでございますが、会場内に待機を続けるために入るという状況になりまして、そこで正門ゲート警備に当たっておりました六十数名の部隊が、ピケを張っていた人々に対して、六時一分、それから六時三分、六時五分の三回にわたりまして、車道上に立ちどまっている行為道交法違反である、早く解散しなさい、それから警察車両が入るからピケを解きなさいという警告を再三にわたりいたしたわけでございます。これに応じませんために、六時五分、出入り口を開きまして三十五人の警察官最初ピケ隊を車が入れるように分けていったわけでございますが、大変抵抗が強くて排除できませんでした。そこで部隊会場内に撤収したわけですが、その際、二人の警察官デモ隊の中に取り残されておりましたので、さらに三十三人の警察官、合計六十八人の警察官でそれの救出に当たりまして、六時十分に会場内に撤収した。したがいまして、問題のケース部隊活動状況は五分間でございます。六時五分から六時十分まで。以上が部隊活動状況でございまして、あくまでも違法行為についての規制排除ということが目的であったわけでございます。その間におきまして、ただいま委員から申されましたように、六時二分、議員団の方が現場到着されて、われわれが排除しようとしているピケ隊に対するごあいさつをされておった。しかし、六時五分、部隊規制に入りましたときには、そのピケ隊員シュプレヒコールに移っておった段階だということでございます。  以上が関連事実の概況でございます。
  11. 丸谷金保

    丸谷金保君 これはそういうことだとちょっとわれわれも納得できないんです。たとえばこれは当時の朝日新聞、「集会開会直前の午後六時ごろ、社会党国会道議会議員団二十七人が会場到着正面ゲート前の約二百人のピケ隊激励に向かった。ところが、ピケ隊の前の国道議員団が整列したとたん、ゲート内から数百人の機動隊員が」と、三十人や四十人じゃないんです。それぞれ多少のニュアンスは違いますけれども。それから読売新聞、「集会直前社会党国会議員団七人と道議会議員団十九人が会場到着ピケ隊激励しようとした。その時、正門前でピケ隊機動隊との間で小ぜり合いが起き、議員団もこの混乱に巻き込まれた。このため、議員団は「不当弾圧警備の行き過ぎだ」として、安井吉典国会議員団長ら三人が、警備本部に抗議のため会場内に入り、」ということですが、そうすると、これ新聞社人たちの見ているのは全部間違いだということですね。ですから私の主観を入れないで、きょうはそういう新聞社人たちのみんなが見ている状況で御質問しているんです。
  12. 山田英雄

    説明員山田英雄君) ただいま読み上げられました新聞記事がいかなる取材に基づいておるか私ども承知しておりませんが、ただいまお答えいたしましたとおり、ゲートをあけて出た警察官は、第一回目が三十五人、二回目がそれにプラスの三十三人でございまして、ゲートのところに配置についておったのはその六十八人以外ございません。したがって、数百人の警察官が出たということは間違いでございます。  それから、時間的に申し上げますと、さっきもお答えいたしましたが、警察車両会場内に入るということで、そこのピケ隊員道路上に蝟集することをやめなさいと、警察車両が入るからどきなさいという警告をしましたのは、六時一分、三分、五分でございます。それで、当時の警察側記録によりますれば、議員方々現場到着されたのは六時二分でございます。到着以前にすでに立ち退くように警告をしておったというのが事実でございます。
  13. 丸谷金保

    丸谷金保君 そういうことになると、私も、私自身現場にいたんだからはっきり申し上げるけれど、シュプレヒコールはしていません。絶対にしてないよ。まだ終わってなくて、安井団長マイク持っていた、いいですか。それから再三警告したと言うけれど、全然聞こえないんだ、そんなものは。後で聞いたら、小ちゃな何かこんなハンドマイクかなんかで言ったと言うんだけどね、そんなものは聞こえるはずない。われわれ議員団だれも聞こえないよ、そんなもの。そこにいる者は聞こえない、あんなマイクで聞こえるはずがないんだから。中からぼそぼそぼそと言ったから警告したということになりますか。  それから、第一、それならなぜ十四日に道警本部長が、そういう事実関係があるけれど、国会議員道会議員が来ているときにそういうことをしたのは恐縮に存じますというような陳謝しているんです。一体どういうわけなんです。
  14. 山田英雄

    説明員山田英雄君) 警告の手段でございますが、これは会場周辺に置いておりました警察広報車のスピーカーで警告いたしております。かなり強力なマイクでございますので、相当の徹底が行われたと道警では判断しておるようでございます。  それから、道議会におけるただいまお尋ね本部長答弁補足説明でございますが、これは私ども報告を受けておりますが、ただいま申し上げました警察部隊規制排除活動の原因をなしました警察車両が、いずれの方向から来たか、岩内方向から来たのか、泊本村方向から来たのかという点が現場で抗議されたときの担当官答弁と、本部長との答弁が左折、右折で差があったということで、その点をはっきりすべきであるという御指摘に基づいた答弁承知しております。  そこで私ども報告を受けておりますのは、本部長答弁方向が正しいんだと、それは現場ではまだ忽忙の間であったので、現場担当官答弁したのは間違いであったということで、その点を調査に時間を要するなど御迷惑をかけた点を恐縮しておりますということで答弁しておるようでございます。その後、いずれにしましても、道警察といたしましては、前にも申し上げましたが、道民の平穏と安全を守るため、法に基づいて厳正かつ適正妥当な職務執行に配意しているところでありますということで補足説明を終えておるというふうに承知しております。
  15. 丸谷金保

    丸谷金保君 それは私も対馬委員現場でもってもみくちゃにされたんで、それはでたらめだよ。そんな大きな放送でもってみんなに聞こえるように、それなら国会議員七人とも全部に聞いてみましょうか。だれも聞こえていません。十九人の道会議員も聞こえてない。われわれはびっくりしたんだ。そのときにはそんな大きなのでやってないということもわかっている。それから、われわれがあいさつしていたというのは、高いところでメモとっていた警察官もいるんで、君メモとっているじゃないかとぼくは言ったくらいだ。  長官、これは幾らやってもいまのような答弁では納得できないんだけれど、ただ一つだけこの際はっきりしておいていただきたいのは、仮にもこういう事態の中で平穏に、国道全部ふさがってはいません。交通できるだけの線はきちっとあけてありました。私たちもそれで通っていって、奥の方に車を置いてきたんですから、そんなような状況でなかった。しかも、そういうことを全部考えながらやっているあいさつ国会議員団まで、いきなりフェンスあけてもみくちゃにするようなことをあたりまえだと言ってこれからもやるんですか。いまの答弁ではあたりまえのことやったんだということでしょう。それがあたりまえですか。私は現場にいたから、なるたけ客観的なものでやった方がいいと思うんで、新聞記事引用したんですが、いまのような答弁私は全然納得できない。  それから、今後一体どうするんです、こういうふうな問題を。いいんですか。あれでいいとなると、ちょっと私たちとしてはこのまま下がるわけにいかなくなるんです。国会議員が七人も行ってて、いきなりフェンスをあけて、平穏にやっていたんですよ。交通だってちゃんとできたんです。いまそこにも新聞ありますけれど、それじゃ現場の当時のもみ合っているときの状況がどのあたりでやっているか、そういうのを全部証拠写真出しましょうか、そういうふうに開き直られるとね。労働組合新聞社でたくさん撮っているんです、記事になっておるのだけ私はきょうはそこへおあげいたしましたけれど、それはそんな状況でないんですよ。ぼくらもふだんそんなに真っ赤にならない方だけれど、あんなに怒った顔見たことないと、後から記者連中にひやかされたけれど、そういう状態だったです。どうなんです。
  16. 三井脩

    説明員三井脩君) 私たち承知しておる事実は、先ほど申し上げたとおりでございますが、その事実関係について認識が違うということは大変残念なことだと思います。  さっきからピケ違法状態であったというのは、一般交通の問題もありますけれども、いまの問題の場合には、特にその門から中に入ろうとしたパトカー、これが入れない状態であったということで、ピケ状態実力により規制し、これをあけようとした、こういうことでありまして、警察官が二人取り残され、さらに追加導入をしなければならないというような事態であったことからも御理解いただけますように、そのピケによる阻止行為、これは当然に違法でございますけれども、その状態がかなりきつい状態であったということも御理解いただけるのではないかと思います。  もとより、この種問題について反対行動等大衆行動としておやりになることは、表現の自由、言論の自由でございますから、これが整々として行われることについては、私たちはむしろ、それはまた交通混乱等によって、そういう人たちに危害が加わらないようにこれを保護する、こういう任務もあるわけでございまして、その両面を現場警備実施部隊が行っておるということで、要するに違法事態排除し、秩序を保持するという警察任務をその原則に従って実行していく、こういう考え方でございます。
  17. 丸谷金保

    丸谷金保君 この問題、これ以上やっても、この場所で筋違いの論理になるし、私たちとしては非常に遺憾だったということだけ申し上げておきます。  それから問題は、こういう公開ヒヤリングあり方について大臣にひとつお伺いいたしたいんですが、その後の新聞も全部こういう表現です。「”独演会”いつまで 定着しない原発公開ヒアリング朝日新聞、「゛賛成劇゛ひたすら 緊張感も初めだけ…傍聴人には居眠り組も」、「ポーズの「ヒアリング制度合意作り住民投票で」読売新聞、「反対封じ密室ヒア゛」、「「村八分怖い」沈黙する地元民」というのは、これは漁業補償三十八億円、泊村に電源三法交付金三十六億円、固定資産税数十億円等々が入るんで、反対派もあるけれど、村八分になるから沈黙せざるを得ない、こういう意味なんです。「安全問題踏み込めず対話へ努力欠く」、これは実際にこういう現地からの報道なんです。どれを見ても、この公開ヒヤリングはこれでいいというふうな感触を持っている報道機関世論がないんです。小納谷全道労協議長も同じ日、まやかしを暴露して反対運動を広げていかなければならぬと、こういう発表をしておりますし、さらにまた、毎日新聞では「傍聴人らも不満表す 具体性欠く建前説明」と、「固く口閉ざす傍聴人北海道新聞、どれをとってみても、こんな公開ヒヤリングがこのままの制度でいいというふうな世論がちっともないんです。  しかし、一方で高橋通産審議官は、形式はこのまま存続する。一体大臣、こういう公開ヒヤリング、これ公開ですか、公開と言えますか。どうなんです。
  18. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 御答弁する前にちょっとごあいさつ申し上げたいんですが、このたび通商産業大臣に就任をいたしました安倍でございます。よろしくお願いいたします。  いま公開ヒヤリング制度についてのお尋ねがあったわけでございますが、第一次の公開ヒヤリングにおきましては、原子力発電所の設置にかかる諸問題について、地元住民方々の御意見を幅広く伺うこと等によりまして、原子力開発について、地元理解と御協力を得るための有効な方策となるように、これまで努めておるところでございます。御承知のように、公開ヒヤリング意見陳述時につきましては、賛否を問わないで、幅広い意見が出されるように配慮をした上で選定をいたしておりまして、また傍聴人一般公募により応募された方の中から、居住地域に配慮しつつ、抽せんにより厳正に選定をしておるところでございます。また、議事進行についても、議長の判断により許される時間内で再質問ができると、こういうふうな弾力的な運営もいたしております。現在の運営方法意見賛否を問わず、種々の意見をお持ちの方々に御参加をいただきまして、地元理解協力を得るための有効な場になりつつあると、こういうふうに考えております。したがって、ただいまのところは、公開ヒヤリングの基本的な骨組みを変えることは考えておらないわけでございますが、さらに今後開催実績を積んでいくうちに、改善をすべき点が出てくれば、これを反映をさせることにつきましても検討をしてまいりたいと考えております。
  19. 丸谷金保

    丸谷金保君 大臣通産大臣は初めてでございますね。たとえば、河本通産大臣のときに、お隣におる対馬委員質問に答えて、公開ヒヤリングをやる条件の地元のコンセンサスということについては、まず用地問題、補償問題、これらが済んだ段階を言うということについては、当時のエネ庁長官もそうですということが記録にも残っているんです。今回まだ済んでいないんですよね。  それから、前の田中通産大臣も、来年三月くらいまでには、いまの公開ヒヤリング制度というものは検討する必要があるという国会答弁をやっているんです。にもかかわらず、高橋通産審議官が、形式このまま存続するというふうなことを、審議官段階だけで言うというのは、私はちょっと不見識だと思うし、それらを受けて、やはり安倍大臣がそうしたことのまだレクチュアを受けておらないとすれば、前、前々大臣等国会における発言等を十分この機会にもう一回しっかり勉強していただきたい。いまの御答弁のようなことには経緯はなってきていないんですから。これ以上この問題については深追いしませんけれども、どうかひとつその点は十分御検討いただきたいと思うんですが、いかがでございましょうか。どうですか。
  20. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 公開ヒヤリングあり方につきまして、これまでの前大臣、前々大臣の御発言につきましてのお話がございましたが、これらの点につきましてはひとつ十分勉強をいたしまして、研究をいたしまして、また改めて御答弁もしなければならないと思いますが、私といたしましては、公開ヒヤリング制度というのは、いま申し上げましたように、これからの原子力発電の推進ということの中で、地元協力を得るためにもこれは必要な制度ではないか、改善すべき点があったらもちろん改善をしていきますが、基本的にはこれは必要である、こういうふうに考えております。
  21. 丸谷金保

    丸谷金保君 問題は、こういうことでやって、これが発電に踏み切る免罪符になっているところにも一つ大きな問題があるんです。次の日になると直ちに北電は難問はもうないというふうに新聞記者会見して言っているんです。とんでもない話で、残る用地を急いで買収すればいいと、冗談でない、まだ二部落、茶津だとか、堀株なんというふうな部落が、全然用地関係話ついていないんですよ。それから漁業補償も、まだ二つの漁協組合ついていないんです。これでも公開ヒヤリングだけとにかくああいうかっこうででも何でもやっちゃえば、もう難問はないというふうに企業側が言えるような形になってきているというところに私問題があると思うんです。難問これからですよ。エネ庁長官、もう難問ないとあんた思いますか、どうです。
  22. 小松国男

    説明員(小松国男君) 大臣からも先ほど答弁申し上げたとおりでございますけれども公開ヒヤリングというのは、まず原子力発電所の設置に関連して、地元の住民の皆さんから、あらゆる観点にわたってのいろいろの御意見を伺うということでございまして、ある意味ではむしろスタートでございます。その段階で出てまいりました御意見を踏まえながら、今後のいろいろの手続を進めるわけでございますが、同時にこの公開ヒヤリングの場で原子炉設置者からその設置の計画、内容その他についても十分御説明をいたしまして、地元の御理解と御協力を得る一つの段階だというふうに考えております。ですから、これを経た上で、当然漁業補償の問題、それから用地の問題、それから風評被害とか、いろいろこれから問題がございます。こういう問題についても、今後、十分地元の御理解をいただく努力はするわけでございますし、また公開ヒヤリングの結果の問題につきましては関係行政機関その他にも連絡をし、それぞれの御意見も伺う、こういうことで、これからその手続を進めるということで、これですべてが終わったというふうには考えておりません。
  23. 丸谷金保

    丸谷金保君 会社の言うように、難問はもうないとは思っていないというふうな御答弁理解をしておきます。  それで、この制度がいかに形骸化しているか。現地に入りましたので、足で歩いた問題等をこれからひとつ指摘したいと思うんですが、実は、たとえば傍聴券、こういうものは本来申し込みによって傍聴券を出す、陳述人もそうですね。ところが、申し込んでもいないのに、どんとこと傍聴券が今度は回っているんですよ。これは名前はこの場では控えます。「あんたのところに来たべ」と言って、ある薬屋さんのところに、申し込んでもいないのに封筒で届けられた傍聴券をほかの人が取り戻しに行っている。それからまた別なところでは、代理を出すから譲ってくれといって、ほかの人が持っていった。特にある土建会社は、本人たちに無断で全員を申し込んで、社長がよこせと言って来た。そして女の名前と男の名前と同じようなものを、これは男の名前にも読めるからよこ。せ、別なのを出してやる。全然本人確認なんかもしないで入れているんです。  それから、一番ひどいのはこういうのがあるんですよ。それらについては、札幌通産局では入場券を持ってきた者を本人と認める、こういうことですよ。特にこれは名前を出して申し上げます。岡崎先生という学校の先生のところへ封筒が届いたんです、岩内郵便局から、これは個人名なんです。中をあけてみたら、二十名の陳述人のうちの一人に入っている。通産省というのは公文書を個人の名前で出せるんですか。こういういろんなことで、たてまえと違う仕組みが仕組まれて行われた公開ヒヤリング。まず、個人名で公文書を送達するというふうなしきたりを通産省では許しているんですか、どうなんですか。
  24. 小松国男

    説明員(小松国男君) お答え申し上げます。  まず、陳述人の選定の仕方でございますけれども
  25. 丸谷金保

    丸谷金保君 選定の仕方じゃないんですよ、いま聞いているのは。そういう送達の方法があるかと聞いているんです。
  26. 小松国男

    説明員(小松国男君) 公文書の場合も、たとえば人を使って直接相手側に送付するという場合がございますし、それから、さらに期日その他の関係でどうしても急ぐという場合には、その役所の人間を使って届けさせたり、また書留その他手続を経るために、個人名で出す場合も皆無ではございません。そういうことで、今回そういう事態があったかどうかという問題は、今後調査してみたいと思いますけれども、連絡の仕方として、個人の、その送付した本人の名前で送付されるというケースもあり得るというふうに思っております。
  27. 丸谷金保

    丸谷金保君 この場合は、通産省の方が一遍この宅へ持って行ったんです。たまたま留守だったということで岩内まで戻って、そこから個人の名義で出しているんですね。こういう簡便な方法で陳述人に送達する、こういうばかなこと、これでいいんですか。
  28. 小松国男

    説明員(小松国男君) ですから、これは恐らくその本人が届けに行ったけれども、実際届けることが不可能であったということで、便宜的な手段として、本人の名前で速達で恐らく投函されたんではないかというふうに思われ良すけれども、こういうことは厳正な手続から言いますと若干問題もございますので、今後十分その辺は気をつけてまいりたいというふうに思っております。
  29. 丸谷金保

    丸谷金保君 こういういろいろ現地へ入って挙げれば切りのないような公開ヒヤリングに対する疑問点、それから住民の中における不信感、この人はたまたま反対派だつたから、こういうばかなことがあるかと言ったので新聞記事かなんかになったんです。賛成派の人で、村八分になるのがいやだと思って口つぐんでしまうようないろんな問題もたくさんある。先ほど申し上げたような何件かは実にひどい。何と言うか、公開ヒヤリングをしゃにむにつくり上げる、そして免罪符にしていく、こういうための無理が行われている。こういう点は、大臣ひとつ十分事情を調査の上、もう少し改めるところは改めてくれないと、公開ヒヤリングという制度がこういう世論に、これだけおかしいと各社がそろって言うような形の中で行われざるを得ないことになるんです。むしろこの点では、われわれが参加したから私は言うのではないんですが、予定を上回る七千九百人の阻止デモ隊が、それはもう整然として解散しています。むしろ挑発したのはデモ隊の方ではないんですよ、われわれは行っていて。こういう点も今後十分ひとつ注意していただかなきゃならない。  それからもう一つ、金額小さいんですけれども、これ旧校舎なんです、ヒヤリング会場。ここの整備に、フェンスや何かだけならいいんですが、建物の補修をほとんど国でやっているというんです。一体こんな金どこから出すんですか、どういう予算から出すのか。
  30. 小松国男

    説明員(小松国男君) 建物の修理の問題は、これは公開ヒヤリングに要する費用でございますので、公開ヒヤリング関係の支出の中から出しております。
  31. 丸谷金保

    丸谷金保君 これ旧校舎使ってね、一千万という金額はささいかもしらないけれども、なぜそんなに直さなきゃならないんです。どうしてそのまま使えないんです。また、どうしてそのまま使えるようなところを選ばないんです。  もう一回聞くが、何という予算費目から出したんですか。節まで言ってください。
  32. 小松国男

    説明員(小松国男君) お答え申し上げます。  電源特会の中にございます公開ヒヤリングの開催費という費目でございます。その開催費の中の支出項目として、当然会場費の中にそういうものが入ってくるということでございます。
  33. 丸谷金保

    丸谷金保君 もう一回お尋ねしたいんですがね、ちょっと資料として、予算費目の中の借用損料かと思いますけれども、現行の予算費目の目・節までの説明書のついたその部分について提出願いたいと思うんですが、いかがですか。
  34. 小松国男

    説明員(小松国男君) それでは、予算書の内容、それから具体的な費目その他についての資料は、後刻提出させていただきたいと思います。
  35. 丸谷金保

    丸谷金保君 大臣、大変いろいろまだ問題もありますけれども、そういう点で疑点もありますんでね、一応そういう資料を拝見さしていただいて、さらにこの問題については次の機会にひとつ質問を続行したいと思います。どうも予算の出し方その他について、私決算委員として非常に問題があると思います。あわててこれから流用して変な項目つくらないでくださいよ、いいですか。  それじゃ次に、洗剤の問題。  この間、環境庁長官は、私の質問に対して、洗剤と石けんと環境上はどうだと、そうしましたらね、石けんがいいですとずばり言っているんですよ。当然大臣がそういう発言するくらいですから、環境庁は五十五年の三月に、各省庁に官房長名で、できるだけ有燐洗剤を各省庁使わないでくれと、こういう要請書を出しております。もちろん通産省にも出ているわけですが、これに対する通産省の対応の仕方。環境庁長官はそういうふうに言い切っているんですが、大臣、もし大臣自身でこれはおわかりになれば、同じ質問を私申し上げますが、環境保全、水質保全、そういう点において、洗剤と石けんとどちらがいいと思いますか。おわかりにならなきゃわからないで結構です。  まず、大臣から先に。
  36. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 環境庁長官が石けんがいいですというふうに答えたことは、私も議事録で拝見をいたしております。この合成洗剤、いろいろと安全性も言われておるわけでございますが、厚生省や科学技術庁において調査研究も行われておるわけでありまして、通常の使用においては問題がないと、こういうふうにされておるわけでありまして、また環境面への影響についても、石けんとの比較検討が総合的観点から行われることが必要であると考えておりますが、私は、通常の使用においては、石けん、合成洗剤差し支えないのではないかと、こういうふうに考えております。
  37. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、使用には要するに問題はないと、しかし、環境保全という点はこれは環境庁の方だから、環境庁の方が問題であると言うのは、また別なジャンルの問題だと、こういうお考えでございますね。
  38. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) ちょっと後で事務当局からもお答えさせますが、環境面への問題につきましては、環境庁からもお答えがあったわけでございますが、石けんとの比較検討ということで、総合的なやはり観点から判断が行われるべきであろうと、こういうふうに思っておりますが、通常の使用では差し支えないんではないかと、私はそういうふうに考えておるわけです。
  39. 丸谷金保

    丸谷金保君 その点はわかりましたが、ただ環境庁から各省庁の官房長あてに、できるだけそれぞれのところでは有燐洗剤は使わぬでくれという通達が出ている。それに対してですよ、そのことをひとつ。
  40. 真野温

    説明員(真野温君) 先生御指摘のとおり、昨年の三月に環境庁から各省庁の関係機関に対しまして、関係機関が有燐の合成洗剤を使わないような指導をしてほしいという文書が参りました。ただこの文書が、その前にいろいろな経緯があったのでございましょうが、各省庁としては、まだその中身が判然といたしませんので、その後関係省庁で会議を開きまして、これはどういうふうに進めるのだと、具体的にはどういうことだというような会議をいたしまして、その結果、事務的にまず関係省庁の関係機関に対してどういう調査をするかということで、調査依頼ということをとりあえず第一ステップでやろうじゃないかという話になりました。それに基づきまして、私どもの方も関係機関に対して調査をいたしまして、それについて環境庁の方にすでに返事を出してございますが、第二段階についてはまだ特段の話がございません。こういう状況でございます。
  41. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで、実は返事を出したということなんですがね、環境庁の方では、そういう返事をもらってないと言うのです、きのう現在で。これはまた調べますが、少なくとも環境庁の官房長から、なるたけ使わないでくれということになれば、それぞれの省庁の予算でやる分は、各省庁だんだん使わなくなっているということのようです。ただ、実はこの毒性とかいろんな関係については、通産省でなくてむしろ厚生省なんですよね。その厚生省の対応がぼくは一番どうも不思議でしょうがないので、ちょっときょうも来てもらったんですが、実は有燐洗剤なんですがね、これはけさ各省庁にあるやつを秘書に買いにやったんです。さすがに環境庁の売店では、有燐洗剤ないかと言ったら、ここは環境庁ですよと、そういうものはございません。後がちょっと悪いんです、通産省に行ったらあるんじゃないですかと、こういうことなんです。ところが、通産省の売店へ行ったら通産省の売店にもないんです。無燐洗剤はありましたけれども。無燐洗剤にも問題があるけれども、これは後にします。有燐洗剤ないんですよ。ああやっぱし官房長の依頼というのは意外と効いているんだなと。帰りがけにひょっと厚生省へ寄ったんだそうです。そうしたら厚生省には有燐洗剤ちゃんと置いてあるんですよ。これは実に私は厚生省けしからぬと思うので、いじめるわけでなくて、やはり環境汚染には石けんの方がいいんだと大臣が言い切るくらいの世論になってきているときに、この間の質問でもやっぱり毒性とかそういうことについては厚生省に聞いてくれと、各省みんな言うんですよ。おたくが置いているということは、おたくは何でもないというふうに判断しているんですか。この間も質問して答弁してもらいましたけど、どうなんです。
  42. 藤井正美

    説明員(藤井正美君) 厚生省といたしましては、洗剤の衛生問題というものに着目いたしております。売店にあった点につきましては、御返事遠慮さしていただきたいと思います。
  43. 丸谷金保

    丸谷金保君 それはそういうことで、各省庁間の、片っ方へはなるたけ遠慮してくれ、片っ方には堂々と売店で売っていると、これは閣内不統一ですね、これは通産大臣、十分ひとつそういう点配慮願いたいと思うんです。  次に、品質表示の問題で、実はいま通産省では扇谷さんを会長とした委員会ができて、品質表示の問題を改めると。ところが、たとえばいま複合石けんという形で洗剤と石けんが一緒になったやつを売っているんです。ところが、有吉さんの小説が出て、複合汚染という言葉が出てから、どうも複合という言葉はくあい悪いということで、この種のものをいろいろ細工をして、改質石けんというふうな妙な名前を考え出したんです。私はこれは改悪石けんだと思うんだけれどもね。そういういまあれが、これは通産大臣の諮問によって現に取り進められております。これはもう非常に問題なんで、大臣まだ御存じないかと思いますが、これは下手に強行すると、私たちはやはりもっと民族の将来考えても、こういうことは通産省十分慎重にやっていただかなきゃならぬ、まあ慎重にやっているからなかなか決まらないでいるんだと思いますけれども、こういう問題があることを大臣ひとつこの機会に御認識をしていただいて、慎重に扱うことをお約束願いたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  44. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) いまお話しのように、非常に重要な問題であろうと思いますので、今後真剣にひとつ慎重に取り扱ってまいりたいと思います。
  45. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで時間もありませんので、有燐洗剤の問題だけ一つお聞きしたいと思います。  琵琶湖を中心にして滋賀県が条例をつくりました。これは、一方では憲法によるところの職業選択の自由といいますか、こういうものに対する侵害だという業界筋の声もあります。しかし、これはあくまで公共の福祉を守るという立場で、地方自治体が当然の権利だという憲法論議もあるわけです。法制局、一体これどっちを主にすべきですか。というのは、条例で決めていることが憲法違反であれば、この条例は無効なんですよ。だから、果たして職業選択の自由と、一方においては憲法二十五条の健康権を守るとか、私がこの前ビールでやったような、要するに幸福追求の権利というふうなものとぶつかるわけですが、法制局の見解としては、この条例は憲法に照らしてみて抵触すると思いますか、しないと思いますか。意見は分かれているようですが。
  46. 味村治

    説明員(味村治君) 憲法第二十二条に、職業選択の自由を保障すると、こう規定がしてあるわけでございますが、これが営業の自由を保障するものであるということはまあ学界の通説でございます。したがいまして、営業の自由をこの憲法二十二条によって保障されているということでございます。一方では、しかし、公共の福祉のために基本的人権を制限するということは、必要があり、かつ合理的な範囲内であればできるんだというのが、これもまた従来から認められているところでございます。したがいまして、一般論を申し上げれば、条例によりまして公共の福祉のために営業の自由を制約するということは、その公共の福祉のために必要かつ合理的な限度であれば可能であるということになるわけでございます。  御質問の、その琵琶湖に関する条例が、これがその必要かつ合理的な範囲であるかどうかということにつきましては、私ども関与もいたしておりませんし、その点資料をまるっきり持ち合わせておりませんので、お答えはいたしかねます。
  47. 丸谷金保

    丸谷金保君 法制局としては、このような具体的な問題については、やはり最終判断は裁判所にゆだねる以外に見解は出せないと、こういうふうに理解していいですか。
  48. 味村治

    説明員(味村治君) まあ、内閣の提出いたします法律案とか政令でございますれば、内閣法制局において十分審査をいたしまして、合憲だという確信を得ましてから国会に御提案申し上げるということになっているわけでございますが、条例の方は、地方自治体が独自におつくりになるわけでございますので、私どもの関与する筋合いではございません。したがいまして、先ほどおっしゃいましたように、結局は裁判所において判断されることになると考えます。
  49. 丸谷金保

    丸谷金保君 たとえば地方自治体の条例が憲法に基づいて適法かどうか、条例も必ず法令に基づいてつくりますからね。最終的にもしもそういう、これは地方自治体からこういう条例はいいか悪いかと聞かれた場合には、おたくでなかったらどこが行政指導するんですか、自治省ですか。自治省でちょっと判断できない場合には、おたくでないんですか、どうなんですか。それはおまえら勝手にやれと、裁判所で裁判するまで知らぬと言うんですか。
  50. 味村治

    説明員(味村治君) これは細かい組織法のことを申し上げて恐縮でございますけれど、内閣法制局は、内閣提出の法律案、政令、これを審査するということが仕事になっております。さらにもう一つは、各省庁の法律に関する質問にお答えするということが、私どもの仕事になっておりまして、まあその二つでございますね。したがいまして、直接に地方公共団体から私どもの方にお尋ねがあるということは、組織法といたしましては予想していないところでございます。
  51. 丸谷金保

    丸谷金保君 ですから、私は自治省からと言ったんです。自治省には問い合わせうんとあると思います。そうすると当然、自治法に基づく条例制定権ですから、自治法の何条によってこういう条例を成立させると。自治省が判断できない場合にはおたくの方にいくわけでしょう。というのは、いま国がなかなかやらないものですから、各都道府県でそれぞれ環境アセスを中心にした条例制定の機運が非常に多いんです。そうすると、これは必ず大きな問題になって、白黒決めなきゃならない事態が来ると思うんですが、そのとき自治省からはおたくの方に伺いを立てれば、おたくの方の見解としては憲法に抵触するかしないかという判断を一応は示すんですね。そういうふうに理解していいですか。
  52. 味村治

    説明員(味村治君) これは各省庁から法律関係の御質問があれば、私どもとしてはお答えするということは職務になっておりますから、仮に自治省から何らかの形で御照会があれば、それに答えるということは当然しなければならないと思います。
  53. 丸谷金保

    丸谷金保君 ちょっと大変微妙な御答弁なんですがね。法律関係について、法律に基づく条例、この条例はこの法律に基づいて適法がというやつも判断するということになりますね。前の答弁ではそこがちょっとずれているんで、もう一回。
  54. 味村治

    説明員(味村治君) 私が申し上げましたのは、条例というのも広い意味では法律でございます。法律には広い意味と狭い意味がございまして、狭い意味の法律は国会で御審議になった法律でございますが、広い意味では政令とか、いろいろ法規一般を指すということであろうかと思います。そういう広い意味でのことを申し上げたわけでございます。
  55. 丸谷金保

    丸谷金保君 もう時間がなくなりましたんであれなんですが、この洗剤の問題について、大臣ね、いま有燐でない洗剤であれば、無燐洗剤であればいいというふうなキャンペーンが盛んに行われておるんですよ。これは前回私の質問に対して、公害対策特別委員会で、公取は非常に誇大広告だということをはっきり認めておるんです。通産省も行政指導の中で、洗剤メーカーに対して十分そこいら辺監視していただきたいことと、石けんがなかなか買えないんですよ、石けんがいいと言っても。実は昨日も山形県へ行ってきたんですが、最上川にアユも上らなくなったとこぼしているんです。原因は洗剤だろうなと単純に言うんですが、石けん使おうと思うと石けんそこらに売ってないと。こういうバランスについても、洗剤工業会等の業界に対する指導もひとつそれぞれの所管を通じてお願いしたいと思いますが、いかがでしょう。
  56. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) いまお話のような、石けんが足らないといったような点につきましては、よく業界とも話をいたしまして、国民生活に不自由のないように配慮をするように要請したいと思います。
  57. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二分休憩      —————・—————    午後一時二分開会
  58. 和田静夫

    委員長和田静夫君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十三年度決算外二件を議題とし、通商産業省経済企画庁中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  59. 対馬孝且

    対馬孝且君 私は、北炭夕張新鉱の会社更正法問題につきましてきょうは質問いたしたいと思います。  まず、第一の問題でありますが、十二月十五日に突如北炭夕張新鉱会社が会社更正法の申請を提出するに至りました。全く、私に言わせてみれば、私も三十数年間この石炭政策に携わってまいりましたが、抗内に遺体をいまだに残存をし、しかも、会社再建の努力のさなかに、会社更正法申請を出すに至ったというこの会社のやり方については、まさに怒り心頭に私は発しております。しかも、その前日まで私は大臣とこの再建策についての資金繰りについて話し合っていた矢先であります。こういう意味で、この問題につきまして、いまや現地の従業員、家族、夕張四万二千人の市民は、まさに不安と動揺、怒りに燃えているというのが今日の実態であります。この点について、まず大臣の所見をひとつお伺いをしたいと思います。
  60. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 会社更正法の申請が十五日の午前九時に行われたわけでありますが、通産省に対しては十四日の深夜通報がございました。私も、対馬委員も御案内のように就任早々この北炭問題については非常に重要な関心を持ちまして、何とか再建の道はないかと、再建をしたいもんだと、こういうことを終始発言をしてまいっておったわけでございます。特に、遺体が残っております、この遺体の早期収容と、事故原因の究明を進めながら同社の再建を図ると、こういうふうな基本的な方針のもとに、北炭に対しまして再建計画の作成を求めるとともに、当面の資金対策につきましても、でき得る限りの努力を続けておったわけでございます。  しかるに、こういうふうな状況下において、事態が急転をしたということに対しましては、私といたしましてもまことに残念に思っておるわけでございます。
  61. 対馬孝且

    対馬孝且君 いま大臣から、まことに残念である、まさに再建の基本方針を立てて資金繰りその他に対応しておったと、こういう答弁でありますが、私はここでひとつはっきり確認したいことが一つあります。  これは、十五日の午前十時半から、萩原前会長が北炭の三山の労働組合委員長を招きまして、このときにこういうことを言っているわけですね。今回の更正法申請に至ったのは、三井銀行、三井物産、通産省と協議の上申請するに至ったものである。しかも、これはつけ加えて、この決断をするに至ったのは十二月八日である。十二月八日という日にちをさかのぼってみますと、ちょうど林当時の社長が自殺未遂を行った日が七日の夜であります。その次の日にもはや会社更正法の申請を決断をしている。この事実を、三山の組合の代表を招いてこのことを言っているわけです。もし通産省がこのことを知っておったとするならば、私はこれはゆゆしき問題であるということをはっきりしなければなりません。  この真相について、俗に言う萩原というのは、私も五十二年以来幾多の委員会を通じまして言っておりますが、まさに政商屋と私は名づけて、北炭の経営実態を今日に至らしめたものは、まさに萩原の政商屋の手による政策であったということを、幾たびか私は本人を呼んで、五十二年十月三十一日、萩原当時の会長を呼んで私は質問したことがありますが、そういう意味で、私もそういう基本的な態度に立っているわけでありますが、この点についてまず事実があったのかなかったのか、これは重大問題でありますから明確にしてもらいたい。
  62. 福川伸次

    説明員(福川伸次君) 先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、私のところに十四日の夜午後十一時十分、あるいは十五分ぐらい過ぎておったと思いますが、林社長が入院をいたしておられますので、北炭におきましては唯一の代表権を持っておられます対馬専務取締役から電話で御連絡がございまして、現地とも確認の上、最終的に会社更正手続の開始の申し立てを行うことを決定をいたしました、それを明十五日午前九時札幌地方裁判所に行いますという御連絡をちょうだいをいたしました。このような経営のあり方を決める問題と申しますのは、これは企業の経営権に属する問題でございまして、私どもとしては、企業が判断をして決められたことを事実として受けとめざるを得ないということで、その通告を承ったわけでございます。  私どもといたしましては、災害を起こしました企業がその経営責任を果たすという立場からいいましても、少なくとも遺体の救出、弔慰金の支払い、これは現経営体制、現経営陣のもとにおいて行うことが適切ではなかろうかという考えのもとで、ぜひそれを実施してもらいたいと考えておりましたし、もし仮にそこまでは不可能であっても、何とか年を越せないものであろうか、あるいは一日でも延ばして、一人でも多くの遺体を救出することができないものであろうかということで、私どももその当面の資金繰りには苦慮し、腐心をし、また努力もいたしておったわけでございます。北炭夕張新鉱が資金繰りが非常に窮迫しておるということは、私どもも十分承知はいたしておりましたし、あるいは会社が、何とかこの遺体の救出、弔慰金の処理、山の再建のめどをつけるということの方法といたしまして、会社更正法という手段をその再建の一つの方法として検討しておったということは理解はいたしておりましたが、私どもとしては、できれば何とか一人でも多くの遺体をこの現経営体制のもとでやってもらいたいということで、資金面におきましても、十二月の十日には、実質的に政府に御要請のありました支援は、大方それを満たすという形で努力もいたしましたし、また、関係金融機関に対しましても、私自身も出向きまして、何とかつないでもらえないだろうかというお話し合いをいたしていたわけでございます。そういうことで、大臣も申しましたように、このような事態になって、私ども大変残念であるわけであります。  萩原氏が労働組合にどのようなことを申されたか、協議の上ということがどういうことを意味されたのか、私どももつまびらかにはいたしませんが、もとよりどういう時期に、具体的にどういう選択をするかということは、経営上の判断の問題でございまして、私どもとしては、たとえば、会社の方から会社更生法の点について、いろいろな動きが仮にあったといたしましても、私どもとしては、会社更生法をやれとかやるなとか、あるいはいいとか悪いとか、そういうことを言う立場にもございませんし、そのようなことを言った事実はございません。
  63. 対馬孝且

    対馬孝且君 そのようなことを言った事実がないという最後のあれですが、これは十二月の九日の北海道新聞に、八日に記者団が苦労されまして前萩原会長に会見した記事が載っております。この内容を見ますと、当時この新聞の時点では決意をしておったわけでしょう、萩原さん自身、本人の言うことを聞くと。そこで言っている趣旨から踏まえて、それから当時の三山の代表にも言っているのでありますが、結論的には、政府は北炭の西部開発の再開についてもいまだにこれを協力する体制にはない。二つ目については、資金対策についても新たな資金対策をバックアップする体制にはない。このことを実は組合の代表にも言っているわけです。そうだとするならば、いま石炭部長は、会社更生法については、全くそういう協議したという事実はないと、私はそのとおり素直に受けとめていいんだが、そういうことを言っているということは、明らかに政府として新たな資金手当てもしなければ、いわゆる先ほど申し上げました生産再開、保安再開につながるような問題についても政府は絶対に協力的な姿勢はなかった、やむにやまれずしてこの会社更生法申請に至った、こういう言い方は、これはきわめて政府にとっても、この態度は鮮明にやっぱりしなければならない問題ではないかと、こう思うんですよ。私は、その点ひとつここではっきりこの問題について、政府の態度を鮮明にしてもらいたいと、こう思うんですよ。
  64. 福川伸次

    説明員(福川伸次君) 西部地域の再開につきましては、もとより先生も御高承のとおりに、保安の確保が大前提であるということは申すまでもございません。現在西部区域の採炭作業場に至ります坑道は、かなりの損傷を受けておりますため、保安確保上その再開はまだかなり困難な状況にあるということでございます。この点につきましては担当部局の方からお答えさせていただきます。  また現に西部の再開に必要な保安の確保を、どのような形で会社としてとっておるかというような具体的な案は、まだ会社側からは提示されていなかったのが現状であると承知をいたしております。また、資金面についての御質問がございましたが、資金面につきましては、もとより遺体の救出、あるいは弔慰金の支払いといったようなことは、企業として果たすべき責任の一環でございますので、私どもとしては、まず企業の関連グループからの自己調達、あるいは資産の処分といったような自己努力をまず軸といたしまして、その上で政府あるいは関係金融機関からの支援をそれに乗せて、さらに再建のめどをつけていくということが基本であったというふうに考えておるわけでございます。そのためにこそ、私どもとしては特に十二月分の資金につきましては、政府の方に御要請のありました分につきましては、これはもうほとんどそれには応ずるという態度を鮮明にいたしまして、民間金融機関の支援を求めることに一つの呼び水ともいたしたい、また私どもとしても民間の資金の支援をあっせんをし、お願いにも私どもも回るということで努力をいたしておったわけでございます。それが申請後専務取締役が通産大臣のところに参りましたときには、しかしながら十二月の資金はどうしてもめどが立たない、弔慰金の支払い、遺体の救出、さらに再建のめどを立てるには、会社更生法という手段を選ばざるを得なかったと、こういうことを言っておるわけでございまして、私どもとしては何とか十二月分の資金のめどをつけたいということで、いろいろ努力をしておったという点は御理解を賜りたいと思います。
  65. 対馬孝且

    対馬孝且君 そうしますと、これは萩原前会長が言っていることは、通産省としては資金繰りその他を含めて再建の基本方針を立てておったと。これは私も一緒に申し入れもしたし、何回も大臣にもお会いもしたし、それから石炭部長にもお会いしておりますから、それは客観的にはそういう事実があるのだが、しかし、本当に通産省やる気があったのかと、こういう言い方をしているわけだ。現にこれ、三山の組合長を呼んでしゃべっているんですよ。言葉ではやるやると言ったが、本気でやる気はなかったろうと、こういう言い方まで北炭の山の組合長に言っているんですな。こういうところを見ると、全くやっぱりそういうふうにとられるような政府の姿勢、弱腰の姿勢があったのではないかと、この点がいま重大な問題になっていることが一点。  二点目は、時間がありませんからポイントをしぼって申し上げますが、これはいま何といったって、遺族の補償、賃金保障を最優先にしなければなりません。私は大臣にも申し上げましたが、十四日の日には、緊急避難行為として政府は非常措置をとってもらいたいと、これは大臣に明確に申し上げました。大臣も鋭意そういうことは努力したいという、あのときのお答えがありましたから。ところが、きょう朝現在ぼくは九時半に電話で聞いたのは、ようやく賃金については、それも五〇%ですよ、五〇%は十九日に支払う。しかし最低、もういまの常識では考えられないような微々たる、ボーナスは十一万円、これはいまだにまだ支払いのめどがついていない。遺族補償については四百万支払って、あとの五百万円、これは年内に支払いたい。炭労との間の一応の協定というのは、千七百万の五百万ですから二千二百万ということでありますが、いまだ会社の回答は二千万円であります。もちろんこれは妥結はいたしておりません。このめどは三月中でなければとても達することはできない。これでは現地の住民はもとより不満だと思うんですね。私は非常識だと思うのは、年の瀬を控えて、子供にミカン一個、もち一切れ与えなければならない、そういうのはこれは人道上の問題だと言っているのはそこを言っているわけですよ。それなのに、いまなおボーナス問題の支給は明らかではない。しかも、ボーナスと言ったって十一万円ですからね。しかも、先ほど言った遺族補償については三月でなければめどが立たない。こういうことでは、私はこれ暴動起きるなと言ったって暴動起きると思います、はっきり申し上げて。私が起こせと言っているわけじゃないが、私はこれ起こらなくて不思議なぐらいだと思っているんですよ。少なくともこの事態になれば、これは法的にもう手続を踏んでしまったわけですから、どうせいこうせいと言ったってどうにもならないわけでありますが、この段階でやっぱり、もはや会社更生法の管財人にかわる保全管理人が山根弁護士と決まってしまっている、こういう状況ですから、したがって、私は少なくとも政府として、裁判にゆだねたからいいというものではなしに、最低、人道上の問題である遺族補償と、いわゆる生活保障については、これは大臣にお答え願いたいのだが、当然やっぱり政府としてもこれまでは責任を負うべきものではないか、やっぱり温い手を差し伸べるべきものではないか。このことを大臣ひとつここで、いま皆さん聞いておりますから、このことがいま現地で大変な不安と動揺に駆られているわけでありますから、ひとつ確信あるお答えを願いたい、こう思うんです。
  66. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私もこの事態は大変深刻であるというふうに認識をいたしておりますし、何とかいまお話がありましたような遺体の収容、それから遺族補償、さらに給与、ボーナス、こういった面につきましては、これはまずやはり責任を持つのは何といいましても会社でございますから、会社がたとえ更生法の申請に入ったとしても、会社が責任を持ってこれらに対して対処すべきではないか。そのために政府といたしましても、会社並びに関係グループ、金融機関等に対しては強く働きかけておるわけでございますが、まだ責任のある回答は得ておりません。おりませんけれど、しかし、常識的に見てもこれだけの事故を起こしたわけでありますし、そして、会社がそれに対して全責任を持って、そうした補償、遺体収容等、あるいは給与あるいはまたボーナス、これはすでに約束済みのことでありますから、やることはもう当然至極のことであると、こういうふうに考えておりまして、これからも全力をひとつ挙げて、会社側が、あるいはまたその背景にある金融機関が、この責任を果たすように強く呼びかけてまいって、早く解決をさせなければならないと、それから再建の道を探っていくと、こういうことだろうと考えております。
  67. 対馬孝且

    対馬孝且君 いま大臣から、銀行はもちろん、関連グループ等を通じまして、最低限ボーナスと賃金と遺族の補償だけは、これは人道上の問題ですから、大臣ね、これだけはひとつ全力を挙げてやるということですから、更生法段階であって、これまた幌内、真谷地は後から申し上げますが、そういう会社があるんですから、それを通してだってこれは援助のしようがあるんですから、その点をひとつ含めてぜひやってもらいたい、よろしゅうございますね。  それから、次の問題として更生法は、これは北炭夕張新鉱一社だけいまこれ申請をしたわけです。これから保全管理人が決まりましたので、更生開始、あるいは更生開始までは二カ月かかるだろうと、こう言われております。また更生開始が仮に決まったとしても、更生計画案が決定されるのは二カ年間、いま私も弁護士と打ち合わしているんでありますが、大筋大体こういうラインだろうということです。そうしますと、問題になることは、これは幌内、真谷地、登川、空知という炭鉱が、北炭の同系列炭鉱になっているわけですよ。連帯保証をしているわけですよ。ここが大事なところです。連帯保証して、下請関係ももちろんありますから、この前この一社のみが申請をして、もちろん一般論的には他の連帯保証の場合は同時に申請をしなきゃならないという点もあります。あるが、私の言いたいことは、先ほど大臣が再建をすると、やっぱり基本方針を明確に宣明されました。これ確認していいですね。再建をするという基本前提に立つとするならば、まず政府が、幸いにしてこの夕張新鉱の場合の大口債権は、私が調べた限りでは、把握しておりますのは七百二十一億、負債総額。そのうちの金融債が五百三十六億と聞いております。そのうち政府が三百五十一億、だから大口債務者というのは三井銀行と政府であると、こう言っても過言でありません。まずこれがやっぱりこの再建のために債務をたな上げにしていくと、そういう方向へ持っていかなければ、私はこれは再建再建と言葉で言っても再建にならぬと思います。この点について、一つはそういう政府の姿勢を堅持してもらいたいということと、二つ目は、いま言った幌内あるいは他の山に対してはこれは波及させないと、この二点についてまずひとつ確認をしたいと、こう思いますが、大臣にひとつ。
  68. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 後で石炭部長から補足説明をさせますが、会社も会社更生法の適用を申請したというのは、いま会社も山をつぶすということじゃなくて、何とか更生をしたいと、こういうことで申請をしたのであろうと、こういうふうに私は考えておりますが、更生法の申請が受理された今日の段階においては、いわば裁判所の管理のもとに置かれるわけであります。裁判所の管理の中での再建の道がこれから探られていくわけでございますが、そうしたこの情勢の中で、私としては何とかひとつ再建の方途というものを見出さなければならないと、いまでもそういうふうに考えて努力をしたいと思っております。そしていまお話しのように、会社更生法を適用したとき私が一番恐れたのは、これがもう全面的に幌内、真谷地にまで波及する。これは共同保証ですから、波及することになれば、これはもう更生どころの騒ぎじゃないと、こういうことを心配したものですから、何とか、連帯保証ですから切り離さなければならない。それには政府はもちろんでありますが、金融機関等のそれに対する理解のある対処を求めたい、こういうことで、これは通産省の方で早速相談をいたしまして、大体切り離す方向にいま進んでおるわけであります。もちろん政府の債務、そういうふうなものは、これはもう切り離してきちっとやっていくわけでございます。いまのところは、波及は何とか食いとめられる、こういうふうな状況にありますので、第一の山は越しておると思っておりますが、しかし、依然として先ほどから申し上げましたように、遺族に対する補償とか、給与、ボーナス等が、まだいまはっきりしたここで決着もついていないということは、私も心配をいたしておりますが、この点につきましても、政府としてはできるだけ努力をいたしまして、金融機関等の理解ある責任を持った対処というものをこれからひとつ望んで求めたい、こういうふうに思うわけであります。
  69. 対馬孝且

    対馬孝且君 いま大臣から、いずれにしましても再建をしなければならないと、そのための政府債務、大口金融債務についても、一応そういったな上げの方向でひとつ検討してもらいたいということですから、それがなければこれは再建、再建と言葉で言ったってできないことですから、これだけはいまお答え願いましたので了といたします。  そこで問題は、いま言った他の山には波及させない、これもそういう答弁ですから、それをしっかり守ってやってもらいたいと思います。  そこで、次に問題になることは何かと言うと、二カ年間の会社計画決定までの間のつまり体制がどうなのかということを非常にぼくは心配しておるわけだ。それは何かと言うと、一つは保安技術管理、管理体制がとれるかどうかという問題。それと一つはそれまでの間のつなぎ資金をどういうふうに維持していけるかという問題、これがなければ言葉で再建と言ったってこれはできないことですから、この点のひとつ諸対策についてどうお考えになっておるか。あわせて私がけさほど確認しましたのは、現地から入ってきていますが、けさ現在では、当時五十八遺体でありましたが、その後順調に、注水が十月二十三日、注水後二カ月を経過したわけでありますけれども、いずれにしましても大体二カ月近くになるわけでありますが、大体現在の段階では四十九と、こう確認しておるんですが、この点立地公害局長、間違いなければ間違いないで結構ですし、いまの二点についてひとつお伺いをしたいと思います。
  70. 神谷和男

    説明員(神谷和男君) 遺体収容状況は御指摘のとおりでございます。  それから、保安関係に関しましては、更生手続に入ろうと入るまいと、保安法上の保安統括者を頂点といたします保安法上の体系というものは、全く変わりございません。したがいまして、これを通じて万遺漏なきよう措置していくよう指導をいたしておりますし、現地の監督局にもそのように指示しております。
  71. 福川伸次

    説明員(福川伸次君) 今後の時間との経過のもとにおいて、そのつなぎがどういうことになるかということでございます。今後会社更生法のもとでも通常の業務は行われていくわけでございますが、今後の裁判所等の管理のもとにおきまして、今後どのような形で西部を再開して、そしてあるいは北三道を再開して今後の新たな展開にまつかという点につきまして、私どもも重大な関心を持って、できれば何とか、大臣も申しておりますように、再建の方向でその点の考え方を関係債権者ともども考えていきたい、また裁判所等の御判断を仰いでいきたいというふうに思っております。
  72. 対馬孝且

    対馬孝且君 問題はいま私が言ったことが、非常に重要なこれからの、仮に更生決定開始がなったとしても、保安上の管理体制、いま神谷立地公害局長が答えていますが、いまなお遺体が四十九残っておるということと、早期に救出をし、それまでの間の段階的な保安の体制というものは、ひとついま一度やっぱり厳重にチェックをしてもらいたい。  それから、いま石炭部長からありました点はもちろんそうでありますが、ひとつ政府としても、そういう再建が軌道に乗るやっぱり対応というものをとっていかなければ、もちろんこれから管財人等がすべてのあれを律するわけでありますが、その点大臣からありましたから、いまなおこれからこの点は強くひとつ要望申し上げておきたいと、こう思います。  そこで、時間も参りましたから、最後に一問だけ、第七次石炭政策について、これ改めて私はエネルギー委員会、商工委員会等でやることにいたしますが、この災害によって、北炭のあれからいきますと、大体百十万トンから百二、三十万トンの減になります。この前私もエネルギー委員会でも申し上げたし、商工委員会でも申し上げているのでありますが、基本的にやっぱり二千万トン体制というこの七次政策の柱というものは、私は一貫して貫くべきものであると、この基本的な態度を変えるべきものではないと、こういうふうに私は考えておりますが、最後にこのことを大臣と石炭部長からお伺いをして私の質問を、時間が参りましたから終わりたいと思います。
  73. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 総合エネルギー政策の大きな柱の一つとして、石炭代替エネルギーの開発導入が緊急の課題であるというのは御案内のとおりでありますが、中でも、石炭は比較的早期に利用拡大が可能なエネルギーとして、急速に見直されつつ。あるわけであります。  このような状況を踏まえて、今後の国内炭の位置づけと、所要の施策について、去る八月四日に、石炭鉱業審議会において、「今後の石炭政策の在り方について」と題する答申、いわゆる第七次答申がまとめられたわけでありますが、この第七次答申におきましては、「石炭鉱業を巡る内外の諸条件からみて、」、石炭鉱業における自助努力を前提とすれば、「国内炭の海外炭との競争条件が現在程度より不利になることなく、現存炭鉱において現在程度の生産を維持することは可能であると考えられる。更に、今後の石炭企業の体質改善や石炭需給環境の好転に伴い、増産の可能性も期待される。」と、こうした基本的な考え方自体は、今回こうした不幸な夕張社の更生手続開始というふうな事態が起こりましたけれども、変化はないと、基本方針は貫いてまいりたいと、こういうふうに考えております。
  74. 穐山篤

    ○穐山篤君 時間の都合がありますので、最初労働省に。  私、当委員会で雇用促進事業団の住宅問題を指摘をしました。つい最近、検査院からもほぼ同趣旨の指摘がされたわけです。多くのことを申し上げることはないと思いますが、非常にわれわれもこれからの改善の問題について関心も持っておりますし、それから、現に居住をしております自治会の皆さんも相当意見があるわけです。そこで、最初指摘を受けたわけですから、改善の方向についてどういうふうに考えているか、それからもう一つは、今後の設置についての政策といいますか、この二つについて、まずあらかじめお伺いします。
  75. 小粥義朗

    説明員(小粥義朗君) 雇用促進住宅の運用につきましては、先生いま御指摘のとおり、いろんな指摘もいただいているところでございます。  制度本来の趣旨が、移転就職者等のための一時的な居住の用に供すると、こういうことでございますんで、そうした住宅の本旨に沿った運用が行われるべきことは当然でございますが、また、現に入居されておられます方々、それぞれの住宅事情を抱えて入居しておられますので、私ども現在建設省ともいろいろ打ち合わせを始めているところでございますが、改善の方向としては、たとえば居住性の問題、二Kというような非常に狭いものを、もっと居住性の高いものにするといった問題。それから、貸与期間が現行で決められておりますけれども、必ずしも実態にそぐわない面もございます。そうした貸与期間の問題。さらには、設置個所の選定に必ずしも十分じゃない面があるんじゃないかと、そうした移転就職者の多い地域に重点的に設置をしていくといったような問題。そうしたようなことについていま検討を進めているところでございます。  なお、特に、従来用地の取得がなかなかむずかしいということで、移転就職者の多い都市部にはなかなか数が多く建たなかったんでございますが、先生に前に御指摘いただきましたような点も踏まえまして、できるだけそうした移転就職者の用に供し得るように、そうした都市部あるいは地方の場合でも企業誘致その他の見通しを的確に把握いたしまして、そこに住宅を必要とする移転就職者が多数いるという状況を的確に把握した上でその設置を進めるといったような方向で、今後の運用に努力をしてまいりたいと思っております。
  76. 穐山篤

    ○穐山篤君 そこで確認をしておきたいと思うんですが、いままでの調査をしてみますと、日本じゅうまんべんなく、各県に住宅が建てられているわけです。ある意味じゃ了承もできますけれども、最近の移転就職者の状況、あるいは不況業種から転職してくる人たちの実際に雇用する場所というのは都市部が多いわけです。したがって、必要なところに住宅を建てるということがなければ、指摘をされておりますように、移転就職者が一人も入ってない、あるいは空き家が相当残っているということになるわけですから、これからは実際に必要な場所に必要なだけ設置をする、そのことを厳しくしてもらわないことには、また国費のむだ遣いという問題が指摘をされるわけです。その点まず第一に確認をしておきます。  それから二つ目に、古い住宅がありますね、六畳三畳ふろなしというようなものもあります。最近では三DKというものがあるわけですが、やっぱり子供さんも大きくなりますと、小さい部屋というわけにいきませんから、従来の二戸を一戸にする、大きくするということは、いままでの方針でありますけれども、これを数をふやすということと、できるだけスピードアップするということがなければ、この問題の解決は幾ら時間をかけてもでき上がらない、できないということになりますんで、これは計画的に進めてもらいたいと思う。  特に、古い住宅につきましては、わりあいに都市周辺に多いわけですね。したがって、新規のものを都市周辺につくって、そしてまあ出てもらった後で改築をする、あるいは増築をするということを進めなければならぬと思うんです。その場合に、皆さん方は予算の話が出るだろうと思うんです。私も予算のことは十分に知っておりますけれども、雇用対策やあるいは景気対策上から考えてみて、これは早急に、大量に行うべきものだというふうに私は申し上げておきますが、それについての見解をもう一遍伺います。  それから、いま現地で私の質問を契機にして、かなり動揺が起きておりますし、現にトラブルも起きていることを聞いているわけです。といいますのは、長期に入っている者は出てくれ、あるいはもう年金を支給されるような者については出てもらいたいと、あるいは移転就職者でない者については出てもらいたいと、公式には言いませんけれども、非公式に追い出しにかかっている例が幾つかあるわけです。私はこの前の委員会でも指摘をしましたように、追い出しをしては困りますよ、今後の政策の中で、これからの問題は解決するといたしましても、現実、現状の問題としては追い出すべきではないし、また追い出す話になれば居住権の話が当然出てきますよということは指摘をしておったわけですが、この問題について、それぞれの自治会で非常に不安や動揺がありますので、この点明確に指示をしてもらいたい。それから、それぞれの管理人が自由裁量、恣意的なものに基づくんでしょうけれども、追い出すとは言わないけれども、結果として追い出すような行動が行われているのはまことに遺憾だと思うんです。その三つの問題についてしっかりひとつ答えをいただきたい。
  77. 小粥義朗

    説明員(小粥義朗君) 第一点の設置場所の選定につきましては、移転就職者の動向等を踏まえまして、適正な場所を選定するように努めてまいります。  二番目の居住性の問題でございまして、二戸を二戸に、あるいは一間増築といったことにつきましては、先生御指摘のように、工事中の代替の住宅というふうな問題がありまして、従来必ずしもスピードは上がっておりませんでしたが、こうした点は今後さらに数をふやし、スピードをアップするように努めてまいりたいと思っております。  それから、第三点の現に居住されている方のいわゆる追い出しの問題でございますが、それぞれの入居者の方の住宅事情、あるいは生活事情があるわけでございますから、そうしたものを踏まえまして、個々にちゃんと適切な対応を考えるべきだと思っておりまして、やみくもに追い出すというふうなことはいたさないということで、関係のところにも明確に指示をいたしたいと思っております。
  78. 穐山篤

    ○穐山篤君 関係の諸団体も労働省と十分に話を進めているものと思いますんで、本問題で二度も三度も議論することがないように、ひとつしっかり押さえておいてもらいたいということを注文をしておきます。  それでは、経企庁長官にお伺いをしますが、この間の行革でもずいぶん景気問題は議論をいたしました。今月の初めに、経済企画庁からも実質成長率の問題が指摘をされているわけですが、非常に設備投資にいたしましても、それから個人消費にいたしましても、期待をしたほど伸びていない。その意味では、ことしは年度末までにあと三月しかないんですけれども、四・七%の経済成長率達成というその希望は断念をされたのかどうか、断念をされたとするならば、どの程度に経済成長率を置いているのか、まずとりあえず今年度の問題としてお伺いをしたいと思います。
  79. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 今年度の経済成長、去る十月二日には四・七%程度と考えておりましたが、その後内需が相当落ち込んでおりますので、当時発表いたしました成長目標を若干下回るのではないかと考えております。最終の作業は目下調整中でございまして、来週の初めまでに決定をしたい、このように考えております。
  80. 穐山篤

    ○穐山篤君 さて、それに関連をして、あしたですか、経済閣僚会議がありますな。
  81. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 月曜日です。
  82. 穐山篤

    ○穐山篤君 その月曜日で結構ですが、当然経企庁の経済見通しというものを一つ立てて、それから大蔵省が予算の編成というものを行うことになると思うんですが、巷間伝わっておりますのは、成長率を来年度五・二%ぐらいにしたいというお話がちらちら出ているわけですが、大筋として経済見通しをどの程度にごらんになっているのか。まあ決まってからでなければ言えないということかもしれませんけれども長官が長年研究をされているその実績から考えてみて、どの程度にお考えになっているのか、その次にお伺いします。
  83. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 経企庁といたしましては、来年の経済成長を五・二%ぐらいに置きたい、そのために必要な対策を進めたい、こう考えております。しかし、関係各省も多うございまして、目下関係各省との間で最終の調整をいたしておるところでございます。いま申し上げましたように、来週の初めまでにこれを政府の案としてどのようにするか、最終判断をしたいと考えております。
  84. 穐山篤

    ○穐山篤君 その問題と関係をするわけですけれども、十六日に経済閣僚会議で当面の対外経済対策というものを発表になりました。一応その骨子は見せていただいておりますが、これも細かい計算がされておりませんからよくわかりませんが、緊急対策を含めて十億ドル前後ではないかというふうなことも報道されているわけですね。現実に長官は、ことしの春は七、八十億ドルぐらいの赤字になるだろう、こういうふうに私どもに説明をしましたが、結果としましては百二十億ドル前後、場合によりますと、なおそれを超えるという状況の中で、ECなり、アメリカからかなり厳しい圧力を受けているわけです。この対外経済対策というのは、すぐ手のつけられるものもありますし、法律改正をしなければならぬものもあると思うのですが、どの程度の経済的な効果があるのか、その点をお伺いします。
  85. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) ことし初め、五十六年度の経済見通しを策定をいたしました段階では、経常収支は六十億ドルの赤字、このように想定をしておりましたが、その後非常に大幅な黒字に転換をいたしまして、現時点ではおよそ百億ドルの経常収支の黒字になるのではなかろうかと、このように判断をいたしております。そこで、対外摩擦も相当深刻になってまいりましたので、去る十六日に一連の貿易対策を決定したわけでありますが、この内容は、まず第一番に関税の引き下げとか、あるいは非関税障壁の廃止とか、あるいは是正とか、そういうことを中心といたしまして、市場の開放体制をつくり上げるということ、それから集中豪雨的な輸出に対しましては、若干の行政指導を行うことによってそれを避けるということ、あるいは輸入拡大のための幾つかの対策を考えるということ、数項目の対策を決定をいたしましたが、さてこのことによって、どの見当の効果が直ちに出てくるかということにつきましては、なかなか言いにくいのでございますが、先ほど申し上げました百億ドル前後の黒字になるであろうというその数字は、十六日に決定をいたしました一連のこれらの対策の効果も考慮いたしまして、計算いたしまして、そしておよそ百億ドルになるであろうと。実は、いまほっておけば百二、三十億ドルにもなるのではなかろうかと、このように考えております。
  86. 穐山篤

    ○穐山篤君 内需の拡大のことも明らかにしてもらわなければ、本問題についての評価も十分ではないと思いますが、そうしますと、百二十億ドルぐらい出ると見られている経常収支を、こういういろんな方法によって、まあ二十億ドルぐらいの経済的な効果が出るんだと、こういうふうに一応理解をして差し支えないでしょうか。
  87. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 百二十億ドルという数字もきわめて正確には言いがたい数字でございまして、私どもは百二、三十億ドル前後にほっておけばなるのではないか、それじゃますます摩擦が激化をいたしますので、やはり急速ある程度の対策が必要だと、こういう判断でございます。
  88. 穐山篤

    ○穐山篤君 そこで、関係をします通産大臣にお伺いをするわけですが、たとえば自動車の輸出規制の問題がありますよね。まあ業界に言わせますと、ことしの春から十分業界としては自主的に努力をしてきたつもりだと。ところが、ここへ来て政府の態度というのは、業界の努力の上を通り越して、ある特定のことをやるんじゃないかという、そういう不安も出ているわけですね。そういうことについて、通産省としてはこれからどうしていくのかという問題があろうと思うんですね。翻ってみますと、大平総理がアメリカに行った際にやっつけられちゃたまらぬということで、政府もそうであろうし、業界自身も相当そのところは耐えながら努力をしてきたわけですね。そういう業界の努力が無になるようなことがあっては、これも問題だろうというふうに第一に思います。  それから、細かい話で恐縮ですが、この自動車の問題になりますと、また政治論として部品の購入の問題が出ているわけですね。最初の、約束をしたかどうかはわかりませんが、おおむね八一年中に三億ドル程度のものは部品の購入をしようと、こういうような状況にあったんですけれども、いまはその半分ぐらいしかこの部品の購入が行われていないというところでアメリカからも厳しい追及が行われているわけですね。こういう問題についてどういうふうに考えるか。  それから、ロッキード事件のときにも間々指摘をしたことなんですが、緊急輸入を、黒字減らしで飛行機を買うとか、あるいは石油を買うとか、いろんなことを行う場合に必ず問題を生じているのが過去の例であります。ですから、この点はこれは通産大臣としても十分に心してやっていただきませんと、また変な話が緊急輸入に関連をして出てくるのは、日本の立場から言ってみても問題があるというふうに思いますので、この貿易対策について、通産省として、所管のところでありますので、基本的な考え方をひとつ大臣から伺っておきたいと思うんです。
  89. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 十六日の経済対策閣僚会議で、経済摩擦を回避していくためのわが政府としての基本方針を決定したわけでございまして、いま河本長官お話がございましたように、市場の開放を進めるための関税の前倒し措置であるとか、あるいはまた非関税障壁の撤廃のための輸入手続等の改善であるとか、さらにまた、いま御指摘がございましたような緊急輸入として外貨貸し制度の創設であるとか、あるいはレアメタルの備蓄の促進であるとか、こういうものを決定をいたしまして、これを今後とも推進をしていくわけでございますが、そういう中にあって、いま御指摘がございました自動車の問題はどうかということでございますが、自動車につきましては、すでにアメリカ政府と日本政府との間で約束が取り交わされておることは御案内のとおりでございます、百六十八万台。そして、アメリカからは、自動車のアメリカ国内における消費が減退をしておると、こういうことを理由に、この取り決めの数字からさらに自粛をしろというふうな一部の声も聞こえておるわけでございますが、しかし、この約束は、百六十八万台というのは下限であるということでございます。したがって、これをさらにいまお話しのように変える、後退すると、こういうことは、これはもう全く約束の上からも考えられないことであると、私はそういうふうに承知をいたしております。  部品の話につきましては、貿易局長が来ておりますので、その点については説明をさせたいと思います。
  90. 中澤忠義

    説明員(中澤忠義君) 自動車部品のアメリカにおける、あるいはアメリカからの購入につきましては、日本の自動車業界が米国に参りました際に、三億ドルという数字を一応輸入あるいは調達の目標として述べたことがございます。しかしながら、政府間はもちろんのことでございますが、業界間におきましても、いわゆるコミットと申しますか、約束という数字ではなくて、努力の目標という数字で述べたわけでございまして、確かに本年度におきます目標の数字が二億ドル強というような実績でございまして、その目標数字に達してないということはあるわけでございますけれども、せんだって、十二月八日に行われました通商円滑化委員会の際にも、アメリカ側に対しましてこの間の事情の性格及び日本として払っている努力を説明いたしまして、今後とも引き続き自動車部品の調達については努力していくということで、相手方の理解を求めておるという状況でございます。
  91. 穐山篤

    ○穐山篤君 貿易問題でもう一つ具体的なことをお伺いしますが、この前、アメリカの電話電信会社が光通信ケーブルの入札をやったわけですが、その一番札のときに、日本の富士通が国防上の理由から排除されたといいますか、退いた件があるわけですね。今後こういうものについて、国防上の理由などをどんどんどんどん持ってこられますと、お互いに市場を確保すると言っちゃ語弊がありますが、開放市場の中で十分通商を行う、資本の投下を行うということがなかなかできなくなってしまう、不公平ではないかという意見が非常に日本の国内では出ているわけですね。そういうことについて、これからないように努力するということであろうと思いますけれども、通産省の基本的なこの考え方として、この種問題についてどういう態度を表明をされるのか、ひとつ明らかにしてもらいたいと思うんです。
  92. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 富士通の問題につきましては、詳細にはまだ聞いておりませんけれど、しかし、新聞等で拝見をする限りは、いまお話のようなことで、一番札を取りながら、退かなきゃならなかったということでございます。われわれは、アメリカやECの強い要請もあって、市場開放を行わなきゃならぬということで、先ほどもお話し申し上げましたような努力を重ねておるわけでございます。日本がそういうふうな努力を重ねておるにもかかわらず、そういうふうに市場開放を主張しておるアメリカがみずから非関税障壁をつくるというふうなことは、筋が通らないことでありますから、こうした具体的な問題等は十分われわれも調査をいたしまして、日本にとって納得ができない、こういうことならば、アメリカに対してもその点は強く主張していかなければならない、私はそういうふうに考えております。
  93. 穐山篤

    ○穐山篤君 経済対策上の問題でお二人の大臣にお伺いしますが、来週、経済見通しを含めて予算の原案ができるそうでありますが、なかなか予算編成が相当難航しているやに思うわけです。そこで、赤字国債を五十九年までの間にゼロにする、こういう総理の公約もあるわけですが、経企庁長官あるいは通産大臣として、毎年毎年一兆八千三百億円を三年間減らしていくという、そういうことについて、どのようにお考えになっているのか、その点をひとつ伺っておきたいと思うんです。
  94. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 財政再建の目標を具体的に言いますと、ただいま御指摘がございました、本年度発行しております五兆五千億の赤字公債を、五十九年度にはゼロにする、これが具体的な目標でありますが、これをどのようにして達成するかということについて、若干の議論がございましたが、ただいまは内閣の方針として、毎年一兆八千三百億ずつ減していく、均等に減していく、こういうことで合意ができております。ただし、経済情勢の悪いときに、そのような大量の赤字国債を一挙に減額をするということになりますと、景気対策上も相当大きな影響が出てまいります。現在国内の景気が大変悪い。その足をさらに大きく引っ張る、こういうことにもなりますので、そこで、一般会計以外の分野で、積極的な工夫をいたしまして、景気の落ち込みを防ぐ。同時に、政府の今回決めます経済成長目標が達成できるようないろんな手段を講ずる、そういう方針を並行して進めていく、こういうことにいたしております。
  95. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 五十九年度までに赤字国債をゼロにする、こういうことで財政再建の基本方針を政府として打ち出しておるわけでございます。そういう前提に立って、五十七年度は一兆八千三百億という国債の減額を行うわけでございまして、われわれとしてはこの方針に従って進めなければならないものと、こういうふうに考えているわけです。
  96. 穐山篤

    ○穐山篤君 個人的に言えば、両大臣とも積極経済論をお持ちですから、均等に一兆八千三百億を減らしていくということは個人的には不満でしょうね。  次に、イラン・ジャパン石油化学の問題についてお伺いをしますが、御案内のとおり、さきに山口社長外関係方々現地に行かれて、公式、非公式の話し合いをされてきたわけですが、きょう現在、このイランの石油開発についてどういう状況になっているのか、あるいはどういうふうに通産省としては把握をしているのか、きょうただいまの現状についてひとつ明らかにしてもらいたい。
  97. 宇賀道郎

    説明員(宇賀道郎君) IJPC問題に関しましての今日現在の交渉状況につきまして御報告申し上げます。  ただいまお話のございましたように、十二月にテヘランを訪問しておりましたICDC、これは日本側の投資会社でございますが、これの山口社長が十二月十三日にイラン側の石油大臣、それからNPC、これは石油化学公社でございますが、そこの総裁と会見いたしまして、非公式にいろいろ本プロジェクトをどうするかということについて接触を持ったわけでございます。  従来からの日本側の基本的態度は、爆撃による被害の増大とか、あるいは中断による金利の増大ということによりまして、総建設費が果てしなく増大していると、このままでは日本としては私企業の限界である、とてもこれ以上経費の負担はできない、どうしてもイラン側が完成させたいというのであれば、今後の増加経費はイラン側で持ってほしいというのが日本側の基本的態度であったわけでございます。  十三日の接触の時点におきまして、イラン側は非公式ではございますが、この日本側の主張に対して、ある程度の理解を示したというふうに伝えられております。その過程におきまして、イラン側といたしましては、本プロジェクトはぜひとも完成させたい、日本の協力において完成させたい、ついては、そのために資金負担の方法についても相談をしたいので、全体の工事費がどれくらいかかるか、全体のスキームがどうなるかということについての日本側の見解を示してほしい、それをもって第三回の交渉——これまで二回交渉が東京とテヘランと交互に行われておりますが、第三回の交渉を早急にテヘランで持ちたいということを提案したというふうに聞いておりまして、一昨日帰国いたしました山口社長からそういう報告を受けております。したがって、現段階では、そういったイラン側の提案を持ち帰りまして、三井側でそういう提案を分析し、第三回の正式交渉に応じるかどうかということを、日本側の関係企業内部で検討しているという段階でございまして、通産省としてもその検討の結果を待って、今後対処してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  98. 穐山篤

    ○穐山篤君 一言で言いますと、イラン側としては完成を日本の協力を得てやりたい、こういうことがイラン側の意見でしょうが、伝えられるところによりますと、新しい提案を受けてきたと。その新しい提案を関係のグループで十分に相談をしながら、なおこれはある意味では国益にもかかわることですから、通産省の指導なり、見解というものを受けながら、第三次の交渉に入ると思うんですが、この新しい提案というものはおおむねどういうところにウエートがかかっているんですか。
  99. 宇賀道郎

    説明員(宇賀道郎君) 新提案ということになりますかどうかあれでございますが、従来からのイラン側の態度は、もう基本協定で経費の負担もおおむね決まっていると、したがって、イラン側が増加工事費を全部持つというようなことはとても考えられないと。このプロジェクトは十分フィージビリティーがあるのだから、従来どおりの負担方法で完成させようという強い態度を、七月のテヘラン交渉、十一月の東京交渉でも言っておったわけでございます。それに対しまして日本側が、フィージビリティーと申しますか、採算性を十分説明し、このままでは困難であるということを主張し、どうしてもイランが完成させたいと言うなら、日本側としてはもう追加工事費は負担できないので、イラン側で負担してほしいということを主張してきたわけでございますが、今回のテヘランにおける接触におきまして、イラン側が、そういう日本側の態度に対しまして、非公式ではありますが、理解を示してまいりまして、もし仮に経費をイラン側で持つとしたら、全体はどうなるのか、底のない井戸に対して金をつぎ込むわけにもいかないけれども、全体の工事費はどうなるのか、その積算を示してほしい、そのスケジュールを示してほしいというようなことを言っておりますので、イラン側がその辺多少歩み寄りを見せてきたのではないかというふうに考えられるわけでございますが、それが直ちに増加工事費をすべてイランが持つということになるかどうかは予断を許さないわけでございまして、そういった提案を踏まえて、わが方としてどういうふうに対応するか、現在三井の内部で検討している段階でございますが、イラン側の話の中にも抽象的な点がございますので、場合によってはテレックス、文書等でさらに向こうの内容をコンファームした上で、第三回の交渉に応ずるかどうかを決定するということになるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
  100. 穐山篤

    ○穐山篤君 そこで通産大臣、けさの朝日新聞に、うわさは流れておりましたが、こういうふうに正確に書かれましたのは、けさの新聞が初めてだろうというふうに思うんですが、それについての御感想はいかがでしょう。
  101. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私もきょう新聞で見ました。早速事務当局にも問い合わせましたところ、事務当局としては一切関知しておらない、承知しておらないと、こういうことでございました。なおまた、前大臣にも問いましたところ、これはノーコメントと、こういうことでございまして、したがって、現在どういうことなのかさっぱり見当もつかないということであります。
  102. 穐山篤

    ○穐山篤君 さっぱり見当がつかないじゃこれは困るんですが、報ずるところによりますと、田中親書というものが間違いなく出た。それから、外務省が出先のイラン大使を通じて調べたところ、そういうものがあった。これは、ことしの春、社長はかわりましたが、前の山下さんですか、社長がイランに行くときに手渡しをした、こういうふうに言われておりますね。  それから、この親書の中身が、一つは広域的に援助協力をいたしましょうと。これは先ほど私が質問をしました石油問題にもかかわるわけですけれども、それを含めて広域的に日本は協力しましょう。それからイラン・イラクの紛争についても仲介の用意あり、言ってみますと、日本の外交政策に、あるいは内閣全体にかかわる問題が中身としてあるわけですね。こういうことについてノーコメントだけで済ますというわけにはいかないと思うんです。まさか田中通産大臣が一人で考えて、自分でタイプたたいて渡したわけじゃないと思うんですね。だれか関係の者が当然通産省内部におると思うんです。事務当局といえば、どなたが事務当局の最高責任者がわかりませんけれども、全く関与していないとか、あるいはノーコメントということになりますと、これは大きな政治問題、国内問題だというふうに思いますんで、もう一度ひとつ通産大臣、真相を明らかにしてもらいたいと思うんです。
  103. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) けさ新聞で見たばかりのことでありまして、ただ通産省がこれにどのように関与しておったか、私も心配でございましたから、事務当局に確認をいたしましたところ、事務当局としては、これは一切関知してないということでございました。ノーコメントと言ったのは、これは前大臣がノーコメントだと、こういうことを言っておるわけでございます。いずれにしても、事実関係がいまの段階においては何もわかってないわけでございますから、事実関係が明らかにならない以上は、私としても何ら答えることはできないわけでございまして、御理解をいただきたいと思います。
  104. 穐山篤

    ○穐山篤君 こういうことがあるかないかは調べなければわからないというのも一つのお答えでしょうけれども、天下の公器にこれだけ発表になりますと、しらばくれるというわけにはいかないと思いますよね。事は通産から出た話でありますので、通産大臣としても責任をもってお調べになりますか。総理なり、あるいは外務大臣なり、さらには官房長官のところにも、これは真相の究明という問題は当然及ぶわけですが、当の通産大臣としてはどういうふうにおやりになるつもりですか。
  105. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) いまの段階におきましては、先ほどから申し上げましたように、全く事実関係は明らかでないわけでございますが、こうして新聞等に出ましたので、関係方面の意見というものも聞いてみたいと、こういうふうに思っておるわけでございますが、しかし、重ねて申し上げるようでございますけれども、通産省のことだと言われますが、通産省の事務当局は一切関係してないといいますか、関知してないということでございます。また、私もこの問題について何か引き継ぎといったようなものは一切受けてはおらないわけでございます。
  106. 穐山篤

    ○穐山篤君 引き継ぎは受けておらぬだろうと思いますが、しかし通産大臣、イラン側がかなり粘り強く、石油開発について日本が協力をしてくれる、こういう期待を大きくしているだけに、いままで三井グループとの交渉が難航していたわけですね。イラン側の腹の内を読むとすれば、これが個人的な親書であったかなかったかは別にしましても、少なくとも通産大臣の親書ということになれば、国の意思がある程度反映をされている、したがって、日本はこの石油開発についても、政府がしり押しをして協力してくれるという、そういう期待感の中からずっと交渉も延びてきたというふうに見なければならぬと思うんですよ。その点は大臣どういうふうにお考えですか。
  107. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これはもちろんナショナルプロジェクトということになっておるわけでありますから、政府としても重大な関心は持っておるわけでございますが、しかし主体はあくまでも三井物産でございますから、三井物産を中心として、この問題の解決は図られなければならないと、こういうふうに基本的に考えております。その間にもちろん相談を受けた場合においては、これに対してもちろん政府としてもその相談には応じていかなければならないと、こういうふうに思うわけです。
  108. 穐山篤

    ○穐山篤君 きょうは外務省は呼んではおりませんけれども、外務省にしてみれば、二元外交という意味で、政治問題になるのは当然ですね。それから、内容の問題から言ってみて、通産大臣がイラン・イラク戦争の調停というような、この話は所管外の大臣がやるべき事柄ではないわけですね。前段の、たとえば広域的に援助する。資金の援助もあるだろうし、労力、技術の援助もあるだろうし、いろんな援助もあると思いますが、その前段の方の援助というのは、ごく抽象論であるならば問題はないと思うんですが、現に石油開発についてのむずかしい状況の中で、こういう親書が出されているという意味は、非常に大きいと見なければならぬわけです。いま大臣は調べてみると言いましたけれども、そういう単純な御返事ではとてもおさめるわけにいかないと思うんです。早急に調査をして、しかるべきところでその内容を明らかにするということについて御返事いただけますか。
  109. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは前大臣にも確かめたところが、いまのところノーコメントだということを、たびたび繰り返すようでございますが、そういうことでございます。せっかくの御質問でもございますし、われわれもこの問題は新聞に出た限りにおいては、非常に私としても関心を持たざるを得ないわけでございますので、調査をひとつしてみたいと、こういうふうに考えるわけです。
  110. 穐山篤

    ○穐山篤君 イラン側が、仮に、この田中親書というものを前に掲げて、石油開発の問題について政府に問い詰めがあったとするならば、どういうふうな態度をおとりになりますか。
  111. 宇賀道郎

    説明員(宇賀道郎君) その親書なるものの存在ないしは内容を全く知らないわけでございますから、それを掲げて云々ということにつきましても、なかなかお答えの申し上げようがないわけでございますが、現時点においては、イラン側は大変熱心にプロジェクトの完成を熱望しており、そのために、先ほど申し上げたような日本側の主張に理解を示したような提案もしてきているわけでございますので、それに基づいて現在交渉は行われておる、その結果を受けて、通産省としても必要な指導をやってまいりたいというのが、現在の時点のわれわれの考え方でございます。
  112. 穐山篤

    ○穐山篤君 事務当局の考え方はわかりましたけれども、これは政治問題ですよね。その意味では大臣からきちっとした、もしイラン側が、こういう田中六助親書というのが前にあった、われわれはこれを期待をして、日本が応分の協力をしてくれるものと思って今日まで協議を続けてきた、どうしてくれるというふうに、政治的に問い詰められることもあり得るわけですね。安倍大臣としてはどうなさるおつもりですか。
  113. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは何回も申し上げますように、事実関係が全くわかりませんのでお答えようもないわけでございますが、いま部長が申し上げましたように、現在の日本とイランの関係、そうして、IJPCの完成に対するイランの熱意というものは、今回の山口社長の訪問によっても明らかになっておるわけでございますから、現在の段階においては、私は、この日イの関係というものは非常に良好に進んでおる。そして、IJPCの話し合いも円満に進んでおる、こういうふうに判断をいたしておるわけです。
  114. 穐山篤

    ○穐山篤君 大臣が、中身がわからない、あるいはノーコメントという厚い壁にぶつかっているということですから、きょうのところはもうこれ以上は追及をしませんが、真相の解明はこれは徹底的にやってもらう、そのことはさっき確認をしたとおりであります。  なお、この真相が明らかになった時点で、これは委員会でどういうふうに処理するかは別でありますが、十分に責任を明らかにしてもらわなければ困るというふうに思います。今後安倍大臣、二元外交をやるおつもりはないでしょうけれども、ときにはこういうこともなきにしもあらずという実績が出たわけですから、十分にひとつこれは注意をしてもらわなければならぬというふうに思います。  さて、もう時間ありませんので、検査院に若干お伺いします。  石油備蓄であるとか、あるいは電力、電源立地などについての交付金が法律補助及び予算補助で出ているわけですが、最近までの決算検査がおおむねどういう状況になっているのか、資金が効果的に使われているかどうか、あるいはむだがないかどうかという点について、お調べになったところを明らかにしてもらいたいと思います。
  115. 高橋良

    説明員高橋良君) ただいま先生お話しのとおり、これらの交付金につきましては、立法あるいは行政政策ということで、予算上設けられておりますので、この政策に立ち入るというようなことは、本院の検査になじみませんけれども、これらの交付金につきましては、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律の適用、まあ適化法の適用がありますので、この点から主として額の算定、あるいは配分、こういったものが正しいかどうか、さらには設計が適切であるかどうか、むだな設計をしていないかどうか。それから積算が適正であるかどうか、過大な誤った予定価格、あるいは不適切な予定価格のもとに執行されていないかどうか、あるいはできたものが適切なものができ上がっているかどうか、こういった点を中心に見ております。  そして、石油貯蔵施設立地対策等交付金につきましては、これは五十三年度に創設されたものでございますので、五十六年の検査におきましては相当力を入れまして、九県、百四市町村につきまして、百二十八人日をもって検査を実施しております。二、三軽微な点はございましたが、検査報告に掲記するほどのものはございませんでした。  それから電源立地促進対策交付金、これは前からある交付金でございまして、十三県、三十五市町村につきまして、五十二人日をもって検査を実施いたしました。同様軽微な問題はございましたが、検査報告に掲記するほどのものはございませんでした。  以上でございます。
  116. 穐山篤

    ○穐山篤君 通産大臣、石油備蓄関係につきましては、いまもお話がありますように、ごく最近出た法律で予算補助であります。片方の原子力発電、あるいは電源立地につきましては、法律補助になっています。しかし、交付の条件は、ほとんど両方ともそれほど変わりがないんですね、私も鹿児島県の喜入の石油備蓄基地につきまして調べてみましたが、周辺地域の整備にかなりお金を使っています。そのことは私はいいと思うんですが、これがたとえば消防車を買うというふうなことは、当然これは必要なことですからいいと思うんですが、勢い県道、市町村道の整備から始まりまして、児童公園、あるいはテニスコートなど、通常の行政にかかわりますものも全部交付金で賄うというふうな事例が、電源立地の方でも、それから石油備蓄の方でも出ているわけです。法律補助の方はこれは法律補助ですから、これに適合したものをやるわけですが、いずれも現地からの申請がありますと、ほとんどそれが許可をされて、全部交付金が出ているというのは現状だと思うんです。そうなりますと、原子力発電だとか、あるいは石油備蓄基地になっていないところとの均衡ある発展という立場から言いますと、非常に問題点が多いわけです。おんぶにだっことは言いませんけれども、幾らでも金を要求すればどんどん何でも設備、施設ができると、こういう調子になっているのはいかがかと思いますんで、この点はひとつ十分に研究をしてもらいたいというふうに思います。  それからもう一つは、電源立地の方でありますが、予算の執行を見ますと、大体その年度の予算の三分の一が使われて、三分の一が繰り越しで、三分の一が不用になっているわけです。これは最近の電源立地、あるいは原発の設置の状況が思うようにいかないということもあると思うんですね。したがって、これは毎年毎年予算を単純にふやすというやり方を改めて、もう少しきめの細かい査定をして、実情に合ったものにしていかなければならぬというふうに考えますが、その二つの点はいかがでしょう。
  117. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 交付金の支給につきましては、政府の進めておるところの電源立地を進めるために、特別な配慮をすると、こういったてまえで施行をしておるわけでございますが、そのあり方につきましては、いまいろいろと御指摘がございました。十分気をつけて、実情に合った配分というものを行っていかなければならないと、こういうふうに考えております。  なおまた、この交付金がずいぶん残って、いわゆる不用額が出ておると、こういう最近の状況でございますが、これは電源立地がおくれておると、こういうことが主たる原因でございます。しかし、最近では電源立地の方もだんだん進んでまいりましたので、この交付金の不用というようなことはこれからは減少をしていくと、こういうふうに判断をいたしておるわけでございます。  いずれにいたしましても、こうした電源立地を進める上において大事なことは、国民の理解、そして地域の協力というものがなければ、これができないわけでございまして、そういうことを十分踏まえながら、これからの対策にひとつ万全を期してまいりたいと、こういうふうに考えております。
  118. 穐山篤

    ○穐山篤君 まだ質問もあったんですが、時間が来ましたので注文だけ申し上げておきますと、御案内のように中小企業設備資金の活用の問題につきまして、毎年毎年検査院からも指摘をされております。私も決算は長いわけですが、たとえば私学振興の問題につきましても、あるいは労働保険の問題につきましても、毎年同じようなことが指摘をされるわけです。この中小企業の設備資金は中小企業の活力を引き出すために必要なお金ですから、大いに使ってもらわなきゃならぬと思いますが、しかし、これが不当に、あるいは不正に使われている事実を見ますと余り感じがいいものではないと思うんですね。極端なことを申し上げますと、一部を運転資金に回しておったり、あるいは利息でかせいでおったり、二重に借りておったりというふうなことは、まじめに借りようという人の立場からいいますと、大変問題が起きると思うんです。そこで、これはどこに問題点があるかということは十分おわかりのことと思いますんで、少なくとも来年度以降こういう問題が余り指摘をされないように、きちっとひとつ指導をしてもらいたい。このことを注文を申し上げまして、私の質問は終わりたいと思います。
  119. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 きょうは私は、新しい大臣でございますので、幾つか質問させていただきたいと思います。  貿易摩擦の問題、それから夕張新鉱の問題、それからIJPCの問題、そして武器輸出三原則に関する問題とやらせていただきたいと思っております。同僚議員の方からもいろいろ質問ございましたので、多少順番を変えまして質問をしたいと思っております。  初めに、武器輸出三原則の問題について質問をさせていただきたいと思います。  安倍通産大臣は、自民党の中でも政審会長さんでございましたし、そういう方面のベテランでございますから、お尋ねするまでもございませんが、この武器輸出三原則でございますね、この問題について大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、新しい通産大臣としての立場でお答えいただきたいと思います。
  120. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 武器の輸出につきましては、それによって国際紛争を助長することを避けなければならないと、こういう政策判断のもとに、政府として従来からいわゆる武器輸出三原則を設定をいたしたわけでありますし、さらにこれに加えて昭和五十一年二月二十七日、衆議院予算委員会におきまして、武器輸出に関する政府の方針を表明をいたし、これらの原則及び方針に基づいて、きわめて厳格にこれまで対処をしてきておるところでございます。政府といたしましては、引き続いて関係法令の厳正かつ慎重な運用に努めてまいりたいと考えております。
  121. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いま大臣がおっしゃいました昭和五十一年の二月の政府の方針でありますが、この問題につきましては、後ほどやるといたしましても、当時政府の方針といたしまして、具体的に武器の定義を初め、相当詳しく政府の統一見解が出されているわけであります。  それとは別に、もう一点、さきの国会で、ことしの三月でございますけれども、衆参におきまして、ある商社が輸出したんじゃないかといういろんな問題に絡みまして、両院で決議を行いました。武器輸出問題等に関する決議というのがあるわけでありますが、これは内容は御存じだと思いますが、一遍読み上げてみますと、   わが国は、日本国憲法の理念である平和国家としての立場をふまえ、武器輸出三原則並びに昭和五十一年政府統一方針に基づいて、武器輸出について慎重に対処してきたところである。  しかるに、近時右方針に反した事例を生じたことは遺憾である。  よって政府は、武器輸出について、厳正かつ慎重な態度をもって対処すると共に制度上の改善を含め実効ある措置を講ずべきである。  右決議する。  これが決議文の内容であります。この決議に対しまして当時の通産大臣が、やはりこの決議を、ただいま採択されました決議の趣旨を体し、今後努力をしてまいる所存でございますというような決意を述べていらっしゃるわけでありますが、この決議に対しては、重ねて、大体内容的には同じでありますが、大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、これも重ねてではございますがお伺いしておきたいと思います。
  122. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 当時決議を提案するに当たりまして、私も当事者の一人でございまして、衆議院及び参議院における武器輸出に関するこの決議につきましては、政府としてはあくまでもその趣旨を体して、引き続いて関係法令の厳正かつ慎重な運用に努めてまいらなければならないことは当然であると考えております。
  123. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そこで、きょうはまず外務省にお伺いをいたします。  この問題はさきの国会で何回か議論になりましたし、これからまた問題になるであろうと考えられるわけでありますが、この武器輸出に関して、外務省いろんなことをおっしゃっているわけでありますが、初めに、いまのこの武器輸出三原則、これは昭和五十一年の政府の統一見解と、さきの決議と両方あるわけでありますが、まず決議や統一見解等については、外務省はこれはどういうふうにお考えになっているのか、これを一遍先に聞いておきましょう。
  124. 松田慶文

    説明員(松田慶文君) お答え申し上げます。  ただいま提起されております武器輸出三原則は、政府全体としての方針であり、統一ある見解でございまして、外務省という一省が当然これに従うべきことは申し上げるまでもないところと存じます。
  125. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 同じ質問で恐縮ですが、防衛庁も一遍これ関係がありますのでお伺いしておきます。
  126. 和田裕

    説明員和田裕君) 武器輸出三原則及び統一見解につきましては、わが国が武器を輸出することによりまして、国際的な紛争を助長しないと、そういう精神に基づいてできたものと承知しておりまして、政府全体としての方針でございますから、防衛庁としても当然これに従う立場にあると了承しております。
  127. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ということであれば、何ら問題はないわけでありますが、さきの国会の特に終盤でいろんな問題が出てまいりました。特に外務省、防衛庁で問題が出てまいりまして、この問題については現在でもまだ問題になっているわけでありますが、まず外務省。十一月の初めから中旬にかけまして、新聞で相当議論が出てまいりました。これは当時淺尾局長並びに栗山条約局長、両局長から提起された問題でありますが、要するに対米軍事技術協力という問題ですね。これは当時の議論を重ねてやる必要はないわけでありますけれども、これは大体どういうことだったのか、外務省としての考え方を一遍お聞かせいただけますか。
  128. 松田慶文

    説明員(松田慶文君) お答え申し上げます。  武器輸出三原則は、先ほど通産大臣が明瞭に申されたとおり、わが国の行為が国際紛争を助長するようなことがあってはならないという根本的な考えに立脚しているものでございます。それはわが国の一つの平和主義というものに立脚した国是の一つであることは申し上げるまでもございませんが、同時にこれとは異なる次元の別の柱もございます。それは安全保障という問題、わが国の安全を確保し、また極東の平和と安全に寄与するという安保条約の枠組みが別途ございます。いま御指摘のような問題が生じておりますのは、武器輸出三原則の実態を変更するとか云々という分野の話ではございませんで、私が二番目に申し上げた安全保障の枠組みの関係で、米国から戦後長きにわたって武器または武器関連技術の供与を受けてきたわけでありますけれども、昨今その一方的な流れのほかに、日本からも同様の供与を得たいという米側の一般的な意向の表明がございまして、それを安保条約の枠組みの中で、かつ先生御指摘の武器輸出三原則との関連で、どのように対処すべきかということを検討してきていると、これが問題の実情でございます。
  129. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 実は新聞報道がこれ真実であるかどうかはわかりませんが、この報道された内容によりますと、この武器輸出三原則について、外務、防衛両省を中心に現在検討をしていると、そして今回一応の見解をまとめたと、しかし、これには通産省が抵抗をしていると、したがって、政府の統一見解にはなっていないと、こういうことであります。  そこで、この新聞に書いてある内容、一項目から全部で七項目まで書いてあります。これをちょっと一遍ずっと読み上げてみますと、第一に、武器輸出三原則はすべての国に対する政策で、米国にも一般的には適用される。二番目に、しかし、米国とは日米安保条約があり、第三条で武力攻撃に抵抗する能力での相互協力、相互援助が定められている。三番目に、米国が武器、軍事技術の供与を求めてきたとき、すべてノーでは日米安保体制は成り立たず、イエスもノーもある窓口を開かねばならない。四番目に、三原則といっても、わが国の基本政策であり、法的拘束力はなく、輸出貿易管理令の運用基準だ。五番目に、三原則という政策と条約では次元が異なる。六、よって米国に対してだけは武器、軍事技術の供与は三原則の枠外となり、可能である。七番目に、米国以外は安保条約がないので、三原則がなし崩しにはならない。こういうふうに全部を読みますとそうなっておりますが、このとおりなんですか。先ほど審議官おっしゃったこととこれは全く同じようなことをおっしゃっているわけであります。いわゆるこの武器輸出三原則という一つの政策の枠組みと、条約というこの次元が異なる。審議官先ほど別の柱と、こうおっしゃいましたが、これはおっしゃっていることは同じことをおっしゃっているような感じがするんですが、このとおりなんでしょうか。
  130. 松田慶文

    説明員(松田慶文君) ただいまお読みなさいましたその新聞報道は、あくまでもその新聞がいろいろと取材されて、御自分なりにまとめられたものと理解いたします。  私どもはそのような形で私どもの見解をまとめているという状況にはございません。したがって、いまの御議論数項目について、それが外務省の立場、あるいは政府の現状における検討状況そのものかというお尋ねでありますとすれば、私どもはそのようにはまだ明確に申し上げる段階に至っていないとお答えせざるを得ない次第でございます。
  131. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、こういうふうになっていないとするならば、どういうふうになっておるわけですか。これが全く誤報であるというわけじゃないんでしょう。
  132. 松田慶文

    説明員(松田慶文君) そのすべてが間違っているということは申し上げません。  ただ、私ども非常に重大な、この問題については長い間の経緯、それから武器輸出三原則というものがよって立つところの重大な基礎というもの等々、あらゆる角度から検討いたしておりますので、検討に時間がかかっていることは御案内のとおりでございます。また関係省庁も御指摘のとおり防衛庁、通産省、私どもと、少なくとも三省庁が直接がんでおりますので、その間の調整及びそれぞれの省庁の内部における各分野での検討等々、この秋以来時間を重ねておりますが、なお中間過程にございますので、政府がまとまった形で責任ある御答弁をさしていただく段階までは、中間的な検討の状況について言及することは控えさしていただきたい、かようにお願い申し上げたいと思います。
  133. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 外務省はアメリカから何を要請されているんですか。具体的に何を言われているわけですか。
  134. 和田裕

    説明員和田裕君) これは発端が、大村長官がことしの六月に訪米されましたときに、国防省のワインバーガー長官とか、同じく国防省のデラウアー次官と会われましたときに出てきた問題でございますので、私の方からちょっと述べさしていただきます。  アメリカの言い分は、日米間の装備技術協力ということを、これまでは非常に一方的な通行で、アメリカから日本に対してのみ装備技術の提供をしてきた、それをもっと両面交通といいますか、ツーウエイ・ストリートと言っておりますが、そういうかっこうにしたい、現状では非常に不公平であると、こういう言い方でございます。そういうような、いまの一方的な装備技術の交流を、双方交通にするということは、米国の防衛技術の対日供給ということを、これまでどおり続けるという見地からも非常に重要である、こういう御発言でございます。それに対しまして大村長官は、片や日本におきましては武器輸出三原則及び統一見解があるということを指摘されますと同時に、しかし、一方におきまして、今後装備技術の相互交流という原則は、これは認めるということを言われているわけでございます。いずれにいたしましても、米国の希望は持ち帰って政府部内で検討してみたい、こういうふうに述べておられるわけでございます。その後、私が実はことし九月にアメリカへ行きまして、デラウアー次官にお会いいたしました。また、この十二月十四、十五日に装備技術定期協議というものの第三回がございまして、アメリカの方からロレンゾという装備技術、それから国際協力担当の次官補がおいでになりまして、そういった話を総合いたしますと、いまやアメリカとしては、日本との間で密接な装備技術の協力関係をしたい、なかんずく、日米との間で共同研究とか、共同開発ということをしていきたい、こういったことは、日本とアメリカが共通の価値を有している、共通の脅威に対処する、そういう立場からぜひとも必要ではないか、こういう言い方でございまして、そういったような見地から、日本とアメリカが装備技術間の協力を自由に進められるように、そういったことができるような環境、条件を整備してもらいたい。  それで、私どもは常に、日本におきましては武器輸出三原則があるんだということを申し上げているわけでございますが、それとの関連で言いますと、武器輸出三原則及び統一見解というものが、同盟国であるアメリカとの関係では、いま申し上げましたような装備技術の協力関係の邪魔にならない方向で、これについて対処してほしいと、しかもその対処をなるべく早くしてほしい、こういうことを向こうは言っている、こういう次第でございます。
  135. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 装備局長とはまた改めてゆっくり議論をしたいと思っております。  私、外務省にしつこくこだわっておりますのは、さきの国会で、あなたの方の条約局長さんと、それから北米局長さんが、この問題について相当発言をし、そうしてこのお二人のお名前、氏名で新聞等にも報道されまして、新聞の社説等にも相当出ているわけです。そういうような意味で私は外務省にこだわっているわけです。  実際問題として、これは新聞等で報道されております対米装備技術協力、これについては外務省はどういうふうにお考えなんですか。これは新聞では、要するに、武器輸出三原則は国内の政策であると、したがって法的な拘束力もない、新聞にそう書いてあるんです。それで、安保条約やMSA協定など国際条約が優先するんだと、そういうようなお考えの上に立って両局長は御答弁をしていらっしゃるようです、これは明確にしているというふうに報道されておりますが、それで、ここら辺のところは、これはもう新聞が全く間違いなのか、あるいはこのように御答弁していらっしゃるのか。これはここで確認しないと議論が先へ進みませんので、そこら辺のところはどうなんですか。
  136. 松田慶文

    説明員(松田慶文君) その点は、先ほどお答え申し上げたとおりでございまして、新聞報道における語句、表現について、私どもは責任を負い得るものではございません。私どもが責任を負うのは、国会において大臣、政府委員が御答弁申し上げたことに限らせていただくわけでございますが、御指摘の、北米局長、条約局長等々が、前国会において御説明いたしましたことは、実ははっきりしておりまして、若干敷衍さしていただきますと、武器輸出三原則及び政府統一方針は、米国についても基本的に適用があるという方針で対処していることには間違いないが、米国との関係については、ほかの国とは異なって、日米安保条約等との関連があるので、その調整について目下関係省庁と鋭意検討を行っておりますと、そういうことを申し上げております。その検討の内容については、御指摘の安保条約第三条及び相互防衛援助協定第一条等々で、双務的——双方が援助し合うという義務が課せられております。したがって、その日本側の義務履行を完全に閉ざすような政策は条約上問題があると、そういうことを申し上げている次第でございます。
  137. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ということは、要するに先ほどのまとめた統一見解というのも新聞報道のとおりなんですな、結局は。前段、第一項として、米国にも一般的には適用されるんだと。しかし、局長いまおっしゃったように、アメリカとは日米安保条約があると。それだけじゃなくて、相互防衛援助協定もある、地位協定もあると。そういうような意味では、安全保障という面から見れば、やっぱりそこら辺のところの整合性をきちっといま調整中であると、こういうことですな。
  138. 松田慶文

    説明員(松田慶文君) おおむね先生ただいま御要約のとおりかと思います。ただ、先ほど御引用の新聞記事の中には、条約と政令とは次元が違うとか、法的根拠云々というようなお言葉があったかと記憶しますが、そういったことは当方は従来言っておりません。
  139. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 わかりました。  それでは、防衛庁にも一緒に今度はお伺いしますが、まず外務省にお伺いしたいんですが、この日米安保条約の第三条といいますのは、これは新聞の社説等でもずいぶんこの点を指摘しているわけでありますが、この日米安保条約は、旧安保と違いまして、新安保になりましてからは、明確に憲法の枠ということをわざわざ入れてあるわけですね。そういうふうな意味では、これは旧安保ではないでしょう。それが新しい安保になって、「憲法上の規定に従うことを条件として、」ということが明確に出ているわけでありますが、この点については、これは外務省並びに防衛庁はここら辺の調整はどういうふうにお考えになっていらっしゃるかということですね。
  140. 松田慶文

    説明員(松田慶文君) この安保条約第三条は、御指摘のとおり、この条項は旧安保にはないわけでありますが、ここで言うところの憲法上の制約と申しますのは、まさに文章のとおり読ませていただきますと、「締約国は、」すなわち日米両国は、「個別的に及び相互に協力して、継続的かつ効果的な自助及び相互援助により、武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を、憲法上の規定に従うことを条件として、維持し発展させる。」とございます。したがって、私どもがこの条約三条によって立つ義務は、日本国憲法の条文の枠組みの中であるということは、先生御指摘のとおり明確であろうかと考えます。
  141. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 防衛庁。
  142. 和田裕

    説明員和田裕君) まず安保条約と武器輸出三原則の問題でございますが、これはもともと大村長官がお帰りになりました後で、アメリカでのいろいろな話を閣議の席で七月十日に御報告されたわけでございまして、その際に、さきに私が申し上げましたような、アメリカから、日本との間で装備技術の相互交流したいという話があったと。そういう形で大村前長官としては、武器輸出三原則との関連もあるが、アメリカの要請もあるので、これについて関係省庁間で検討することとさせていただきたいということを御報告しまして、そこで、そういったことは閣議の席で了承されたと、こういう経緯がございます。そういったことでございまして、それに基づきまして、それ以来関係省庁間でいま鋭意検討しておると、こういう状況でございます。そういったことで、関係省庁間としてはまだ統一的な見解に達しておらないという状況でございますので、その間におきまして、私ども意見を述べることは差し控えたいと思っておるわけでございます。  なお、いま申し上げましたように、本件が安保条約等と武器輸出三原則の関係ということでございますので、その分につきましては、条約を所管されております外務省にとりあえず中心になって検討していただくということでお願いしておりまして、外務省の中でそういう検討は進んでおるというふうに承知しております。
  143. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それではちょっと方角を変えて外務省にお伺いしますが、要するにこの問題については、外務省はいま調整しようとか、話を詰めようとか、あるいは何らかの結論を出すようにしようとか、あるいは何らかの政府としての統一見解をつくろうというふうな方向で話を詰めていることは、これは間違いないわけですね。
  144. 和田裕

    説明員和田裕君) 本件は、大村長官が七月十日に閣議に報告したということもありまして、とりあえず三省庁との間で、防衛庁が取りまとめの責任に当たるということになっておりますので、一応防衛庁の方でいまのところは取りまとめのいわばお手伝いといいますか、それをさしていただいておる。ただ条約との関係が非常に重いわけでございますので、その関係については外務省の方にお願いしていると、こういう状況でございます。
  145. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 三省庁というのは防衛庁、外務省、通産省ですか。
  146. 和田裕

    説明員和田裕君) そのとおりでございます。
  147. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 条約関係については外務省とおっしゃっていますので、また外務省になるわけですが、これは武器輸出三原則をそのまま全部守る。守ってアメリカにすべて輸出しないという従来の考え方であれば、これはそんなこと調整する必要も何にもないわけですね。
  148. 和田裕

    説明員和田裕君) どう言ったらよろしいんでございましょうか。やはりこれは、たしかこの間の行革国会の本会議の席上で、浅井先生の御質問に対しまして、鈴木総理大臣の方から、一般的には武器輸出三原則は堅持いたします。しかし、アメリカとの関係については、安保条約等の関係もあるので、どうするかについて検討しているところだと、そういうふうにお答えしている。政府の立場はそういうことだというふうに考えております。
  149. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ということは、先ほどから申し上げておりますように、安保条約等の中にはやっぱり相互防衛援助協定とか、地位協定等が含まれるんでしょうけれども、そういうような関係から、アメリカには、いわゆるこの武器輸出三原則がじゃまにならない程度に何とか輸出できるようにしたいと、こういうふうな意向なんですか。
  150. 松田慶文

    説明員(松田慶文君) 確かに御指摘のとおり、あるいは先ほどから同僚政府委員答弁にありますとおり、米側から従来の一方的な技術等の日本に対する供与だけではなくて、日本側からも技術の供与を受けたい、双務的、公平にやってほしいという要望があることは事実でございますが、私どもが先ほどからるる申し上げておりますゆえんのものは、わが国の平和主義に立脚した、国際紛争を助長させてはならないという思想に立脚した政策と、わが国の安全を確保するという安保条約上の次元の話とをどう調和させるかという別途の議論であると御理解願いたいと思うんであります。
  151. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、結局はいま局長、参事官がおっしゃったものを突き詰めていきますと、いわゆる非核三原則、あるいは憲法、あるいは日米安保と、どちらが優先するかというような議論になるわけですね、詰めていけば。
  152. 松田慶文

    説明員(松田慶文君) お言葉ですが、そうではないと存じます。  安保条約にも明記されておりますとおり、わが国が憲法上の諸規定に従ってのみ行動し得ることは、余りにも当然でございます。したがって、安保条約ゆえにいかなることもできるという性質のものではございませんで、当然に先生御指摘の枠組みの中での仕事になるわけでございます。
  153. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それなら、そこのところは矛盾しませんか。先ほどから申し上げておりますように、国会の決議といい、あるいは昭和五十一年の政府の統一見解といい、相当厳格なものになっているわけですよね。そうしますと、そういうようなものといま安保条約と矛盾しないと。何で矛盾しないのかという疑問は解けないですよ、やっぱり。
  154. 松田慶文

    説明員(松田慶文君) 先生の御指摘の安保条約三条に言うところの「憲法上の規定」とは、憲法の各条項に明記されている諸規定のことを言うものでございます。そして、そこには九条に見られるような、わが国の防衛に関する明示の制約はございますけれども、武器ないしは技術の外国に対する供与ということに関連した規定はございません。  したがいまして、この三条にある文章のうちの先生の御指摘の「憲法上の規定」という文言と矛盾するのではないかという点は、私どもはそうではないと考えております。
  155. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ということは、結局そういうふうなところから少しずつ少しずつこの武器輸出三原則というのが空洞化されていく。あれこれあれこれ言いながら、結局は、いままで政府ががんとして守ってまいりましたこの武器輸出に関する三原則、あるいは武器輸出に関する政府の統一見解、これをがんとして守り通して現在のあれがあるわけですね。先般の鉄鋼会社の対韓輸出の問題につきましても、たったあれだけの、いわゆる戦車のプレートとか、そういうようなものの輸出に絡んでこの決議になったわけでありますけれども、そういう点からいきますと、今度は一歩進んでこういうふうな問題が出てきたわけであります。  これは、この問題は押し問答になっても時間ありませんので、もう一つ違う方向から。  日米装備技術定期協議というのが先般行われたわけでありますが、そこで、日米間で話し合われた中身、これは端的にで結構でございますが、どういう話し合いがあったのかということ。それから、米国側から日本側に対して、武器輸出三原則についてどういう不満が出てきたのかということ。そういう点、ちょっと一遍具体的にお伺いします。
  156. 和田裕

    説明員和田裕君) 枠組みにつきましては先ほど申し上げましたので略させていただきますが、今回の協議におきましては、議題となりました点が幾つかございます。第一が、FMSの納入促進とか、ライセンス生産の拡大に関します私ども日本側から米国防総省に対しますところの個別の要望点でございます。第二点が、今後の日米間の装備技術協力の進め方及び今後の装備技術協力の具体的分野を探るためのケーススタディーということで、とりあえず防空——エアディフェンスでございますが、防空関係の装備技術の協力関係について、ケーススタディーとして取り上げた、こういうことでございます。それが当初の議題でございました。  それから、その間でどういう話し合いが行われたかということでございますが、アメリカからは、アメリカは日本に対してこれまで装備技術を非常に気前よくといいますか、寛大にといいますか、そういうかっこうで出しておるので、日本からもできるものについてはぜひ双方交通というかっこうになる形で協力してほしいと、こういうお話がございました。それで、それとの関連で、アメリカにおきましては、いま百数十億に達しようという貿易の赤字がある。それで、米国防総省としては、防衛問題と貿易問題ということについて、これを切り離して扱うというアメリカ政府の方針を貫くように努力しておるけれども、日本が防衛努力、防衛関係で、どういうふうな努力をしてくれるかによっては、議会等が必ずしもアメリカ政府の思うような方向に議論がならない可能性もあるということを非常に強く言われたわけでございます。それから、またアメリカから日本に対する技術の供与につきましても、アメリカの国内で労働組合、それから防衛産業、特に防衛産業を支えております下請というんでございますか、下請のメーカー等から、日本に対して技術を出すことをやめて、アメリカが全部まるごとつくった方がいいではないかという大変強い声がある。そういった声を抑える上からも、日本からぜひともアメリカに対して技術の供与をもっと円滑にするようにしてくださいと、こういうお話がございました。特に、本年五月の鈴木・レーガン会談及びそれに基づきます共同声明、そういったものの精神を踏まえ、かつ日米間の非常にユニークな防衛の関係ということを頭に置いた場合には、日本がアメリカに対しまして装備技術の面でももっと積極的な態度をとることは当然ではないかというお話があったわけであります。  私どもは、第一回、第二回もそうでございますが、第三回におきましても、日本には憲法の平和主義に基づきます武器輸出三原則と及び統一見解があるんだということをるる説明しておるわけでございますけれども、それにつきましても、いま言ったような観点から、アメリカとの関係については、装備技術の双方交流がそういったことで妨げられない方向で、何らかの方途を探り出してほしいということについて、強い意見の表明がございました。  それから、防空の問題でございますけれども、防空の問題につきましては、今後具体的にこの分野で一体どういうような協力関係ができるか。その具体的分野——具体的分野というのは、防空関係の装備技術といいましても非常に広うございますが、決まっているわけじゃございませんが、たとえば地対空のミサイルといったような比較的狭いあるミッションというんでございますか、一つの機能でございますが、それに関連いたします装備技術について一体どういうような協力というものが可能であるか、また、そういったような協力を進める際にどういった点が問題になるのか、また、どういう点を配意していくべきなのか、そういったことを探るために、防空のそのミッションに関します双方の専門家を接触させまして、勉強させて、その結果を第四回の装備技術定期協議までに報告させようというようなことについて合意を見たわけでございます。  あと、今後日米装備技術定期協議を進めるについて、どういった点を配意していくべきかという点につきまして、予備的に話し合いを行ったということでございます。  大体以上のような点が主な点かと思っております。
  157. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは非常に重大な問題を含んでいますね。これは大臣もいまお聞き及びだと思いますけれども、いわゆる日米間の装備技術協力、これは非常に大事な問題でもありますし、われわれ考えなきゃいけない問題でありますけれども、アメリカは当然日本が武器輸出三原則を国会の決議等で決めて、政府の方針としているということはよく御存じなんですね。ところが、きょういま局長から話し合いの中身のお話しありましたが、これは一つ一つひっかかれば相当問題があるということです。  たとえば、要するに端的に言えば、アメリカにはいわゆる安保条約やいろんな条約があるから、武器輸出三原則についてはできたら適用除外をしてほしいと、こう言ってきているんだろうと思うんですね。これは向こうの要望ですからいいと思います。  しかし、その次の問題としては、さっき装備局長がおっしゃったが、たとえば、いまの貿易摩擦の問題と絡んで、いま日本がいわゆるライセンス生産で受けている武器についても、そのまま出すようなことはしないで、まるごとアメリカでつくって出すようにしたらどうかというふうな話もあったというふうな発言がありましたが、これは言うたら一つの恫喝ですよ。たとえばF15にいたしましても、P3Cにいたしましても、ライセンス生産なんですね、それは貿易、確かに日本としてはこれは不均衡になっているわけですから、おっしゃる意味はよくわかりますけれども、武器の技術協力等の問題を含めて、きちっとこういうふうにしないと、もう向こうで全部まるごとつくって出すようにするよというふうなことを言われているということは、ある面で言えば一つの恫喝ですね。そういうふうにとるかどうかは別問題としても、そういうふうに言われたのはこれは事実ですね。ですから、そういうふうな点からいきますと、非常にこれはもうアメリカとの関係は、ただ単にいわゆる武器の技術供与というふうな問題だけではなくて、非常に重大な問題になってきつつある、私こういうふうに思うわけですが、ここら辺のところは大臣、先ほどから議論聞いておられまして、大体おわかりになると思いますが、いかがでしょうかね。この辺の問題、ある程度政府としてもきちっとしなきゃいけない時期に来ていると、こう思うんですが、いかがでしょう。
  158. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 武器輸出三原則というのは、これ一般的なわが国の原則でありますし、これはアメリカに対してももちろん例外ではない。こういうことですが、しかし安保条約というものがある。これはもう日本とアメリカだけの間でありますが、この安保条約によるところの米国との関連をどうするか、こういう問題が出ておるわけで、特にいまお話がございましたように、アメリカからいろいろと要望も出されておるわけでございます。  そこで、その関連をどうするかということについては、これは安保条約の解釈という問題もあると思います。したがって、いま外務省を中心に検討を行っておるということですから、これはやはり外務省の検討の結果を待って判断をせざるを得ない、こういうふうに私としては思うわけでございます。その結果が出れば、いまお話のように政府全体として、この問題は対処しなければならない、そういう時期が来るかもしれない、私はそういうふうに思います。
  159. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 先ほどから和田装備局長大分がんばって答弁しておられるわけでありますが、これは非常に重要な問題でありますし、きょうの朝の新聞によりましても、この問題について、先ほど局長おっしゃったかどうかちょっと私聞き漏らしたんですが、従来はいわゆる汎用技術だけのいわゆる対米輸出という問題だったけれども、けさの新聞によりますと、純軍事技術についても要請があったというふうな記事が出ておりますが、ここら辺のところはどうですか。
  160. 和田裕

    説明員和田裕君) 実は、それにつきまして私ども質問いたしました。といいますのは、前から軍用と、それから民間用の両用技術については、これは通産省の個別審査にはかかりますけれども、基本的にはこれについて前向きに対処できるんだと、こういうことを申し上げておりましたので、アメリカが日本で欲しいのは恐らくそういう技術ではないのかという、そういう観点から質問したわけでございますが、アメリカの言い方は、そういったような汎用性のあるもの、要するに軍民両用の技術、デュアルパーパスと言っておりますが、そういうデュアルパーパスだけではなくて、純粋に民間の技術、シングル・パーパス・ミリタリーと言っておりましたが、そういう純粋の軍事技術についても、防衛技術についても関心があるんだと、デュアルパーパスについては、そういうことが出るということは非常に多とするが、それはできるんだから問題にしない。まさにできないところの、純粋にミリタリーパーパスのものにつきまして、あるいはディフェンスパーパスのものについて、アメリカとしては問題にせざるを得ない、こういう言い方でございます。それがいわば横の範囲でございます。  それから、縦の範囲につきましては、初歩的な共同の研究から武器の共同開発。それから将来の問題ではあるので、まだはっきりしたことはわかってないけれども、将来についてはやはり共同生産ということも入ってくるかもしれない、こういう言い方をしておりました。
  161. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 結局、アメリカのやっぱり本当のねらいはそこにあるんじゃないでしょうかね。一般的な汎用ということでわれわれが対応しておりますと、向こうはそういうふうな受け取り方じゃなくて、やはり純軍事的な兵器ですね、そういうようなものが本当の本音じゃないかなと私は思うわけです。ここら辺のところは非常に重要な問題でありますので、後ほど局長から御答弁いただくとしまして、先ほど第四回の技術定期協議までに、ある程度の結論をというような意味の話がございましたが、これはいま調整をしていらっしゃるようでございますが、政府のといいますよりも、三省の統一見解は、大体いつごろできる予定なんでございますか。
  162. 和田裕

    説明員和田裕君) これはまさにいま三省庁の間で検討中でございますので、いつまでということをいままだ申し上げられる時期が来てないというふうに承知いたします。  しかし、もともとさっき申し上げましたように、防衛庁長官が七月十日の閣議でお願いしたことでもございますので、そう遠い将来になるのもいかがかなという気もあるというような状況でございます。
  163. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そう遠い将来になるということもいかがかと思うということはどういうことですか。ということは、もう七月から半年近くたつわけでありますから、そう遠い将来でない近いうちということになりますと、もうやがてできるということなんですか。
  164. 松田慶文

    説明員(松田慶文君) 何月何日ごろまでに完了するということを責任を持って申し上げる状況にはございませんが、私どもといたしましては、一日も早く結論を出したいと思っております。  ただ、現在もうすでに十二月十八日でございまして、ことしあと十日ばかり、かつ予算編成という時期もございますし、年末年始も控えておりまして、どの程度早くなるかは、先ほど装備局長の言われたとおり、そう遠くないと申し上げることしかございませんが、一つ申し上げておくべきだと考えます点は、明年一月八日に第十八回安全保障協議委員会を東京において開催する段取りとなっております。私どもとしましては、外務大臣、防衛庁長官出席され、米側も駐日大使、太平洋軍司令官も出席するその会合で、この問題が討議され得るであろうということを前提に、鋭意検討を進めている次第でございます。
  165. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それで大分明確になってまいりました。  そこで、これからしばらく通産省の方にお伺いをいたしますが、この問題については、通産省はどういうふうにお考えなんでしょうかね。それで、どの局長さんがこの問題については御相談にあずかっていらっしゃるわけでございますか。
  166. 中澤忠義

    説明員(中澤忠義君) 対米の武器、あるいは武器技術の輸出問題につきましては、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、米国につきましても、基本的には武器輸出三原則及び政府統一方針に基づいて対処するという考えでございます。対米関係につきまして、日米安保条約との関係、その条約上の解釈につきまして、外務省の見解あるいは御判断を受けて、当省としては考え方を進めていく、まとめていくということでございます。前国会の末期におきまして、外務省の事務当局との間で意見交換を行いまして、一つの考え方としての御説明は当省としても受けております。  ただ、先ほどから外務省におきましても御答弁のように、最終的な結論を外務省としてまとめられたものでもございませんので、通産省といたしましても、いろいろな角度から勉強、検討はしておりますが、まだ通産省としての見解を取りまとめておるという段階にはなっておりません。  担当につきましては、三原則の解釈、あるいは運用についての考え方は、貿易局が担当しておりまして、個別の武器、あるいは武器技術に関する問題が生じますると、個別案件につきましては、機械情報産業局が所管しておるという状況でございます。
  167. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは、いずれにしましても通産省は非常に日本の産業界を抱えた通産省でありますから、どっちにいたしましても重大な問題であろうと思います。  そこで、そのほかのこともちょっとやりたかったんですが、時間なくなってまいりましたので、端的にこれ大臣に一言お伺いしておかなければいけないわけでありまするが、先ほど局長の方からも答弁ございましたように、来年の一月の八日に日米安保協議委員会というのが開催されることになっているわけですね、それまでにはある程度の何らかの結論を出さなきゃならないというわけでありますが、これ大臣、この問題について何らかの結論を出した方がいいと私も思うわけですが、大臣のお考えを一遍聞いておきたいと思います。
  168. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私もこの問題は一日も早く結論を出すべきではないか、こういうふうに考えております。特に、いま安保条約との関連において、外務省で検討が進められておるわけですから、外務省としても、早くこの検討を終わって、その結果に基づいて通産省としても判断をしたい、また、政府全体としてもこれに取り組んでいかなきゃならない、そういうふうに考えておるわけであります。
  169. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もう最後でありますが、この問題は非常に大事な問題であります。日本がいわゆる平和国家として立っていくためにも、また貿易立国として立っていくためにも、非常に大事な問題であろうと思います。こういうふうな大事な武器輸出三原則が形骸化されてしまって、諸外国の非難を受けたりするようなことがないように、ぜひこの武器輸出三原則については厳守をしていただけるように取り計らっていただきたいということだけ要望しておきたいと思います。  次に、これはもう時間的な関係もありますので、一言ずつ通産大臣にお伺いしておきたいと思います。  先ほども同僚議員の方から質問がありましたので、多少ダブる点もあるかもわかりませんが、通産大臣が今回、第二次鈴木内閣で大臣に就任されたときに、いろんなことが言われましたけれども、特に、対外経済問題、いわゆる欧米との貿易摩擦の解消という問題が最大の政治課題ということで、総理大臣からお話あったと思いますが、この点についての大臣の所信を初めにお伺いしておきたいと思います。
  170. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私が大臣になるときも、鈴木総理から、現在、わが国が当面する最大の課題が、行財政改革とこの貿易摩擦の問題であると。こういうことで、貿易摩擦の解消のために、担当の大臣として全力を尽くしてほしいという要請がございました。私も、今日の日本の当面しておる事態を見ますと、なかなか容易ではない。特に、日増しにこのままの状態を放置すれば、貿易摩擦が厳しくなっていく、こういうふうに考えざるを得ないわけでございまして、これは私のみでなくて、政府全体としてそういう判断を持ちまして、その結果、御案内のように、十六日に、経済対策閣僚会議を開いて、そして、対外摩擦の解消のための基本方針を打ち出したわけでございます。その間にあって、通産省としても、この対策の立案に当たりましては、力を尽くしてまいりました。  基本方針としては、御承知のように、自由貿易体制といいますか、自由市場、市場の自由化を進めていくための関税、特に東京ラウンドの二年前倒しであるとか、あるいはまた諸外国から非常に指摘、批判を受けておるところのいわゆる輸入手続の改善、すなわち非関税障壁の解消であるとか、さらにまた、緊急輸入対策としての、これは特に通産省が強く主張いたしまして、この方針の中で盛り込んだわけでありますが、外貨貸し制度の創設、あるいはまたレアメタルの備蓄の推進といった緊急輸入の促進、さらにまた、国際協力、諸外国に対する積極的な日本の資本の投資等を図って、諸外国との協調を求めていくという産業協力、さらに、開発途上国に対する経済協力の推進、そういった項目につきまして決定をいたしましたので、われわれとしてもこの決定を一日も早く実行をして、そして、諸外国に対してわが国の貿易摩擦解消に対する誠意を示して、理解を求める必要がある、こういうふうに考えて目下取り組んでおるわけでございます。
  171. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この経済対策閣僚会議で決定されました対外経済対策、これ私の手元にも資料が届いておりまして、読ませていただいているわけですけれども、どの程度効果があるかということは、これは非常に問題だと私は思うんですけれども、それにしても、これは現在の経常収支の黒字、これはもう大変なものですが、手元に届いた資料によりますと、先ほども同僚議員の方から話がありましたのでもう詳しく申し上げませんが、ことしの上期の四月l九月期が、経常収支で四十八億四千万ドルですか、これは五十三年の下期のあのときが二十一億二千七百万ドルということでありますから、あのときの二倍以上ですね。しかも、ことしになってから改定した経済見通し七十億ドルが、現在ではもう百億ドル台になっているというんですね。これは大変なことだろうと私は思います。  また、新聞報道によりますと、OECDの予測が出ておりますが、八二年には百六十億ドル、八三年上期には二百億ドルに達すると、こう試算をしているわけですね。これは実際問題として、黒字解消の妙案というのがあるのかどうか、ただないでは済まされないと思いますし、相当具体的な案をどんどん出していかないとどうしようもないんじゃないかと思うんですが、この点についての大臣の御見解と、それからもう一つは、先般公定歩合が引き下げられたわけでありますが、これは実際今回の公定歩合の引き下げが、いわゆる内需の拡大にどの程度役立っているかということですね。この辺のところの見解、本来なら経企庁長官にお伺いしたいところですが、きょうおりませんので、大臣の所見をお伺いしておきたいと思います。
  172. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 貿易黒字の拡大というのは、日本だけの責任では私はないと思っております。要するに、円が安くなったですから貿易が伸びた、輸出が伸びた、その背景としては、アメリカの経済、特にアメリカの金利が非常に高過ぎた。そういうところにその背景があるわけでございますから、最近におきましては円高が多少進んでまいりました。もっともポーランド情勢で一時また安い方向へ転じたわけでありますが、円高がいま状況としては進んでおります。そういう情勢の中で、輸出の方も多少伸び悩みになっておりますし、輸入も少し伸びておる、こういうことでございますから、為替レートに大きな原因がある。それはまだその遠因としてはアメリカの経済にもある、こういうふうに思うわけで、円高がずっと進めば、私はこの貿易黒字というものは減っていくんじゃないか、こういうふうに基本的には考えておるわけでございますし、同時にまた、日本としてもやるべきことはやらなきゃなりません。いま経済対策閣僚会議で決まったことは、誠実にこれは実行をしなきゃなりませんが、アメリカにしても、ECにしても、やはり日本に対する輸出努力というものは、もっと積極的に取り組んでもらう必要が私はあるんじゃないか。そういうことで、日本としての主張といいますか、できることはやりながら、やはりアメリカや、EC諸国に対しても、日本が求めるものは求めていく。そうして、お互いに相互理解を進めながら、この貿易黒字という問題、この経済摩擦という問題の理解を進めながら、解消の方向で努力をしていかなければならない、こういうふうに私は基本的に考えておるわけでございます。  同時にまた、公定歩合が〇・七五%下がったわけでございます。これは私どもは非常に歓迎をいたしております。といいますのは、何としてもいまの日本の経済が外需に依存し過ぎて、内需がさっぱりふるわない、こういう情勢でありますから、内需を振興していくには、これはやはり金利を下げなければならない、こういうことで〇・七五%下がったわけでございまして、早く〇・七五%の公定歩合が下がったことが、全体の金利水準に波及していく、こういうことでなければならない。そういうことで、いま精いっぱいの努力をいたしております。  その結果として、私はやはり金利が下がれば、企業の設備投資等も進んでくる、特に非常に不振であります中小企業の設備投資等も、これから上向きになってくるんではないか。これは景気に対していい影響が出てくるんじゃないだろうか、こういうふうに考えておるわけであります。
  173. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 どうも最近の公定歩合の引き下げによりましても、先ほど大臣がおっしゃった円高が余り思うように進んでいないように実際は思います。この問題はまた何かの機会に十分議論さしていただきたいと思います。  これも先ほど議論ございましたが、例のIJPCの問題であります。これは大臣でなくて結構でありますが、きょうの新聞報道の問題も、これは大きな問題であります。これは先ほど同僚議員の方から調査をしていただくことになりましたので、そうしていただくことにいたしまして、それとは別にことしの十二月十二日付の日経新聞報道によりますと、これは日経新聞の一面トップだと私は思いますがね、これによりますと、政府は、十一日の日に、IJPC事業が、昨年九月から来年二月までを休止期間に認定し、契約金額の一割に相当する約百二十億円の保険金を暫定支払いをするというふうな旨の報道がなされているわけでありますが、こういうふうな事実はあるんでございますか。    〔委員長退席、理事佐藤三吾君着席〕
  174. 中澤忠義

    説明員(中澤忠義君) ただいま委員御指摘のように、十二月十二日付の日経新聞には、そのような報道がなされております。IJPC案件につきましては、現在、イラン側との間で今後のこの事業の取り扱いにつきまして、話し合いが行われておるという段階にございまして、輸出保険につきまして、保険金の請求がなされておるというようなことはございません。また、こういう状況でございますから、政府、通産省といたしまして、このように報道されておりますように、百二十億円の保険金支払いを行うというような方針を決めたという事実はないわけでございます。
  175. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この新聞は、全くこれ誤報でございますか。
  176. 中澤忠義

    説明員(中澤忠義君) 全く根拠はないわけでございまして、IJPCの保険金の支払いが現実化するという段階にはなっておるわけではございません。しかし、当然のことながら、事務当局といたしましては、想定されるいろいろなケースに備えまして、多角的な勉強をしておるということは事実でございます。この報道というのは、いろいろな勉強の一端をとらえたということがあるかもしれませんけれども、いずれにいたしましても、保険金の請求がなされておらない現段階におきまして、通産省といたしまして、新聞報道のように、百二十億円の保険金支払いの方針を決めたというような事実は全くないわけでございます。
  177. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この種の報道ですね、これから非常に複雑な国際情勢と絡みまして、非常にこれは重大になってくるわけでありますが、こういうふうな保険金が支払われる条件ですね、これはどういうふうな場合に支払われるのか、ここの新聞報道によると三つ書いてありまして、「事業継続が戦争、革命などで不可能となり、イラン側がこれに同意する」と、二番目に、「イラン側の投資会社が国際的に銀行取引停止になる」と、三番目に「客観的な状況のもとで六カ月以工事業が休止している」場合と、こういうふうなことを書いてありますが、これに当たるんではないかということなんでしょうね。こういうふうな問題については、政府としてはどういうふうに対処をしていらっしゃるのか、その点もちょっと一遍お伺いしておきたいと思います。
  178. 中澤忠義

    説明員(中澤忠義君) 保険金の支払いに関しましては、当然のことでございますけれども、保険金の支払いの請求がなされまして、請求に盛られております要求の内容につきまして、保険契約の約款、あるいは法令との関係で照合いたしまして、その具体的な要請に即して結論を出すというのが、保険にかかわります検討の姿勢でございます。  ただいま先生御指摘の、事業の継続不能の状況等の問題につきましても、IJPCの案件につきましては、現在、事業の当事者間で事業の継続の方途につきまして協議が行われている段階でございまして、事業のフィージビリティーに関しましての問題も含んでおるわけでございますので、現状といたしまして事業の継続の問題が不能かどうかというような判断を行い得る段階ではないというふうに考えております。
  179. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは、先ほど同僚議員の方からも質問ありましたが、夕張新鉱の問題についてお伺いしておきたいと思います。  これは大変な事故でございまして、もう御存じのとおりでありますから詳しくは言いませんが、いずれにしましても事件以来二カ月近くたっております。  そこで、簡単に何点かお伺いしておきたいと思います。  まず遺体収容の状況と、これからの見通し、これはどういうふうになるのかということが一つです。  それからもう一つ、遺族に対する補償の交渉、これはどういうふうになるのかということ。  それから、事故原因の調査についてはどういうふうに進んでいらっしゃるかということ。  それから、先般会社更生法の申請を提出したわけでありますが、これは会社更生法を読んでみますと、第一条に「この法律は、窮境にあるが再建の見込のある株式会社について、債権者、株主その他の利害関係人の利害を調整しつつ、その事業の維持更生を図ることを目的とする。」と、こういうふうにあるわけでありますが、政府関係機関からの借入金が三百六十億円という多額に上っておりますし、当然通産省としましては、この夕張新鉱の会社更生法の申請については相談を受けていらっしゃると思いますし、また、そういう点について指導をする立場にあるわけでありますが、この点についてどういうふうにお考えかということ。  そして最後に、同炭鉱の従業員、遺族の皆さんは、暮れも押し詰まってまいりまして、寒風の中で、大変厳しい年の瀬を迎えているわけでありますが、この点について政府はどういうふうな救済策を講ずるおつもりがあるのか。  以上の点をお伺いしておきたいと思います。
  180. 神谷和男

    説明員(神谷和男君) 御質問五点のうちの第一点と第三点についてまず私の方から御説明をさせていただきます。  消火のために注水をいたしまして、水没いたしました坑道の総延長が、約千九百メートルございますが、現在まで、と申しますのは、昨日までの段階で、このうち四百九十メートルについて、揚水並びに取り明けが実施されております。現在深度七百六十メートルにございます水平坑道につながる部分の取り明け作業を行っておるわけでございまして、この個所周辺にかなりの遺体が存在すると推定されておったわけでございますので、本日も一体遺体が発見、収容されておりますが、十二月七日から十七日にかけて、新たに八遺体、本日一遺体で、本日まで九遺体が発見、収容をされておるわけでございます。したがいまして、遺体収容、現在までのところ総計四十四人、未収容四十九人という状況になっております。さらに、全体的にこの取り明け作業がいつまでに完了するかという点でございますが、会社の当初計画では、二月ごろということでございましたが、私ども作業の進捗を見ております限りにおいては、若干の遅延が予想されるのではないかというふうに考えております。  それから、第三点の事故原因の調査状況でございますが、道警と合同しての捜査活動並びに政府の技術調査団による別途の調査、この二者が並行的に行われておりますが、いずれの面につきましても、最終的結論を出しますのは、先ほどの取り明けが終わりまして、現地の検証、そのデータに基づく分析が終わってからということで先になりますが、現時点では現場以外のところで収集し得るいろいろな物件並びに事情聴取、さらには調査等がかなり進んでおりまして、政府の技術調査団も全体会議一回、ガス突出の会議、現在まで一回、明日また現地で一回開かれると、こういう状況でございまして、現場以外での知見をできるだけまとめてみたいと考えておりますが、しかし、最終結論はかなり先になるものと考えられます。
  181. 福川伸次

    説明員(福川伸次君) 御質問の第二点の遺族の補償の点でございますが、会社更生法を申請いたしました以後、会社側も遺族の補償につきましては、誠意をもって当たるということを申しておるわけでございます。今後会社の再建は、裁判所の管理のもとにおきまして、会社の更生の可能性が探られていくわけでございますが、今後この遺族の補償の点につきましても、その管理のもとで私どもも適切な対応、対処がなされるものと期待をいたしておりますが、また、先ほど大臣が当委員会でも御答弁申し上げましたように、必要に応じて関係方面に働きかけ等、重大な注意、関心を持って見守ってまいりたい、必要に応じて働きかけ等をしてまいりたいと考えております。  第四点の御質問の、会社更生法の申請に当たって政府はどのように関与しておったかということでございますが、会社も事故発生以来、大変資金繰りに苦しくなっておったわけでございまして、いろいろな可能性を会社として検討をいたしておったと思うわけであります。会社更生法もその多角的な検討の一つとして検討をされておったことは、私ども理解をいたしておるところでございますが、この会社更生法の申請をするのか、あるいは別の法律的な申請をするのか、これは会社の経営権に属する問題でございますので、私どもとしては、それは会社側の自己の判断によるべきものであるという立場をとっておったわけでございまして、いろいろな会社の対応の検討状況は、何とかいまの形態で再建ができないかということの中で、いろいろと承知をいたしてはおりましたけれども、最終的な会社の判断というのは、これは企業独自でなすべきものであるという態度でおったわけでございますが、最終的には前日、十四日の夜、更生手続開始の申し立てを最終的に企業としては決断をせざるを得ないという通告を承って、私どももそれは事実として承り、それを前提として今後の対応を考えるということにいたさざるを得ないという立場にあるわけでございます。  第五点の御質問の、年の瀬を控えて従業員は大変お困りである、それについてどのようなことを考えておるかということでございますが、現在までのところ、会社側は十二月の賃金につきましては約束どおり支払うということを明確にいたしておりまして、多分本日も労使の間で話し合いが行われておるわけでございますが、十二月分の給料は予定どおり支払う、資金のめどは十二月分の給料についてはついておるということを会社側が言っているわけでございます。この申請を出しました後、対馬専務取締役が通産大臣のところに来られましたが、通産大臣からも事態混乱を来すことのないように十分、万全の措置をとるようにということを申しておりますし、対馬専務取締役もそれを肝に銘じて十分努力いたしますということを申しております。事態は大変厳しいことは私どもも十分承知をいたしておりますので、今後の推移を見て、また、裁判の管理のもとという制約はございますけれども、法令の許す範囲の中にありまして、事態混乱を来すことのないように十分注目をし、また、関係方面とともども話し合いをしながら、必要に応じてそれなりの努力を続けてまいりたい、かように考えております。
  182. 佐藤三吾

    ○理事(佐藤三吾君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、対馬孝且君委員辞任され、その補欠として目黒朝次郎君が選任されました。
  183. 柄谷道一

    柄谷道一君 北炭夕張の問題につきましては、すでに同僚委員二人からの質問がございましたので、私は石炭鉱害対策及び第七次石炭政策について本日は御質問したいと思います。  戦後における石炭鉱害対策は、御承知のように昭和二十二年に農地の鉱害復旧を進めるための償還金制度が設けられて以来、今日まで三十数年にわたって実施されているわけでございますが、その古い経過は別として、最近十年間の経過を見てみますと、昭和四十七年に鉱害二法の延長に際しまして、当時想定された鉱害量千七百億円を以後十年間で完全に処理することを前提として延長が行われました。そして、鉱害復旧長期計画を策定し、改善措置がとられたわけでございますが、しかし、昨十七日に通産大臣の諮問機関である石炭鉱業審議会が行った答申を見ますと、それを完全に当初の予定どおり処理することができず、逆に鉱害量の総量は六千六百七十億円と約四倍程度に増加いたしておると明らかにされております。  そこで、まず鉱害二法の再々延長を必要とする事態に至ったその事情について明らかに願いたいと思います。
  184. 福川伸次

    説明員(福川伸次君) 柄谷委員御指摘のとおりに、昭和四十七年に鉱害復旧長期計画を策定をいたしまして、当時予想されました千七百億円という鉱害を十年間の間で計画的に処理しようということで作業を進めてまいったわけでございます。しかしながら、その後当時予想されなかった新規鉱害の発生、あるいは物価上昇等によります工事費の上昇によりまして、期間内にこの累積鉱害の処理を図ることが困難と見通される事態になりましたために、昭和五十四年度から二年間かけまして、私どもでも全国鉱害量調査を実施をいたしたわけでございます。その結果、ただいま委員が御指摘のとおり、昭和五十四年度の初めの時点で、五十四年度価格におきまして六千六百七十億円という鉱害量が残存しておる。物価上昇等を勘案いたしますと、ちょうど十年前にやりましたものとほぼ実質で同程度の残存鉱害量が、累積鉱害量がまだ残っておると、こういう事実が判明をいたしたわけでございます。これを先ほどの御指摘のとおりに、石炭鉱業の審議会に鉱害部会を設けまして御検討をいろいろいただきましたが、その結果このような事態になりました背景には、昭和四十七年以降、新たな採掘に伴いまして、なおかつ相当量の鉱害が発生したというような事情がございます。四十七年当時にはまだ内陸部でかなりの石炭鉱山が稼働をいたしておりまして、その採掘に伴いまして、新しい鉱害がその後発生したということが第一点でございます。  第二点といたしましては、特に筑豊地域のように、全面的に閉山を行いましたために、従来は鉱山が稼働いたしておりますと、水をくみ上げるといったようなことで、その水に起因しました鉱害の発生を防ぎ得たわけでございますが、その地域が全面的に閉山になりましたために赤水の湧水が吹き出す。あるいは地下水の水位の変動によりまして、浅所の陥没が起こるといったような新しい形態の鉱害が発生するようになりましたのが第二点でございます。  第三点といたしまして、二回にわたります石油危機に端を発しました物価上昇によりまして、復旧費が大幅に上昇したというようなことで、当初予定したとおりの工事が進まなかったといったようなことで、いま申し上げたような相当の累積鉱害量がまだ残存している、こういう事態に相なったわけでございます。  六月以来、これをいかにすべきかということを、東京大学の加藤教授を部会長といたしまして、その対策の御検討をいただいたわけでありますが、ただいま委員御指摘のとおりに、十七日に鉱害部会、昨日に審議会の手続を終わりまして、今後鉱害二法を十年間延長することが適当である、こういう御答申をいただいた次第でございます。
  185. 柄谷道一

    柄谷道一君 いま三点にわたる釈明はございましたけれども、しかし、鉱害二法の期限切れを昭和五十七年の七月に控えて、なお相当の残存鉱害量が存在することは動かし得ない事実でございます。  そこで審議会は、いま答弁ございましたように、鉱害二法を引き続き今後も十年間存続させ、累積鉱害の最終的な解消を目指して、その処理を計画的に進める必要がある旨の答申を行ったわけでございますけれども大臣にお伺いいたしますが、明年度以降十年間で有資力、無資力の残存鉱害量のすべてを処理するという至上課題を完遂するために、大臣としてはどのような決意を持って対処されるのか、お伺いしたいと思います。
  186. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 先ほど石炭部長から説明をいたしましたように、石炭鉱業審議会から、鉱害二法を十年間延長して、累積鉱害の最終的な解消を目指し、その処理を計画的、効率的に進めるべしとの答申を受けたわけであります。政府としましては、これが今回最後の延長である、こういう認識のもとに、賠償当事者はもちろんでありますが、関係者の協力を得ながら、累積鉱害の早期解消に積極的に取り組んでまいりたいと、こういう決意でございます。
  187. 柄谷道一

    柄谷道一君 大臣の御決意は了といたしますが、しかし、私自身としても、政府はこの答申を踏まえて、今後十年間文字どおり鉱害解消に全力を挙げるべきでありますし、またそうしなければならぬと思います。  しかし、私はこの際そのような決意を実現していくためには、いろいろと問題がまだ残っているのではないかと、こう思うんでございます。  ただいま政府は三つの理由を挙げられたわけでございますが、私は、そこに欠落いたしております第一の問題は、鉱害復旧体制の確立、整備ということではないかと、こう思います。これは私の承知しておるところによりますと、鉱害量が肥大化する、それには二つの原因があるのではないか。その第一に挙げなければならないのが体制の問題でございます。言うまでもなく、鉱害復旧事業の多くは教育関連工事、上下水道整備工事、河川改修工事、公共道路工事など、地域開発計画ないしは公共事業と緊密な連携のもとに施行しなければならないものが多いわけでございます。にもかかわらず、地方自治体の予算、財源状態によりまして、施行期間のずれや遅延が起こってくる、そのことが事業費用の肥大化を招いているのではないか。  第二には、有資力、無資力間、あるいは有資力相互間の工事進捗状況及び工事内容の格差によって、再復旧事業が必要になってきているのではないか。いわば、この体制の不備に伴う一つの問題点でございます。  第二に挙げなければならないのは、鉱害の限度確定に関する問題でございます。たとえば、鉱害地域には水害がないというたとえがございますように、風水害等の自然現象を主たる原因とする被害につきましても、鉱害に起因するものとして被害金額を補償しております。また原因不明の浅所陥没、赤水湧水につきましても、過去または現在の鉱業権者であるという理由で有資力がその負担で応急的な処理を行っている現状もございます。さらに生活水準の向上、生活様式の近代化等によりまして、年々復旧内容が大きくなる、その部分が鉱害負措部分に添加されている。この二つの要因が私はあると思うんです。  後者の方は後ほどお伺いすることとして、私は前者のこの体制の問題について、政府は復旧工事の施行者である賠償義務者、地方公共団体、石炭鉱業事業団の三者を調整をして、全体の復旧計画を作成して、一元的かつ効率的に復旧工事を実施するということが不可欠ではないか。またそれが国民経済的に見ても最も望ましいと私は考えるわけでございます。新しい再々延長に当たって、この体制、一元化の問題について、どのような方針で対応されるのかお伺いします。
  188. 福川伸次

    説明員(福川伸次君) 今回の石炭鉱業審議会の答申におきましては、現行の基本的な制度の枠組みは維持しながら、ただいま柄谷委員が御指摘されましたような幾つかの問題点を踏まえまして、その運用面において適正を期すことによりまして、累積鉱害の処理を、今回の十年の期間内に計画的、かつ効率的に処理を進めるという観点で、幾つかの御提言をいただいておるわけでございます。御指摘のとおりに、この鉱害復旧事業、いろいろと地域社会に密着した問題でございますので、このような事業を進めます場合には、これを広域的な観点を取り入れながら、他の公共事業を初めといたしまして、他の土地利用との調整を図りながら、効率的にその運用を図ると、こういう御指摘をいただいておるわけでございまして、これは今後鉱害復旧基本計画等の策定の場合に、十分留意し、取り入れていかなければならないことと考えております。  さらに、御指摘のございました賠償義務者が錯綜している、とりわけ重鉱害地といったような地区におきましては、これはいま御指摘のように有資力、無資力、あるいは複数の有資力といった方々が鉱害賠償義務者として入っているわけでございますが、これらにつきまして、いま御指摘のような幾つかの問題点がございますので、今回の御答申におきましては、必要に応じて関係者で協議の場を設けて、それぞれの地区を一体的にとらえて、鉱害の賠償義務者がそれぞれ被害者の方と当たって、適切な処理を図るといった御提言もいただいておるわけでございます。  さらに、復旧すべき地区の選定といったことにつきましても、これもいま委員御指摘のような問題点がございまして、これをより的確な判断を下しますために、学識経験者など、第三者の公正な意見を聞く体制といったようなものを、この鉱害の認定等の過程におきまして取り入れていく、そういった体制の整備を図っていかなければならないであろうといったような御提言をいただいておりまして、この答申の趣旨を尊重して、運用面で十分留意をして対処してまいりたいと考えております。
  189. 柄谷道一

    柄谷道一君 端的に確認いたしたいと思いますが、特に重鉱害地域におきましては、実質的にその一元化処理が図られるように配慮すると、こう受けとめてよろしゅうございますか。
  190. 福川伸次

    説明員(福川伸次君) いま委員の御指摘の一元化という意味を、どういうふうな御趣旨で私理解していいか、今後もう少し私ども研究、勉強さしていただきたいと思いますが、特に重鉱害地等におきましては、関係者の間で十分協議をいたしまして、それを一体的に処理をしていく、効率的に処理をしていく体制というものはつくって、これを効率的にやっていきたいというふうに考えております。
  191. 柄谷道一

    柄谷道一君 先ほど大臣は、この再々延長の期間内に、残存鉱害を完全に処理したいという決意を述べられたわけでございますが、私は、それを文字どおり達成するには、いま申しました体制整備の問題とあわせ、第二に考えなければならないことは、有資力賠償義務者に対する復旧促進のための環境づくりというものにも配意しなければならないと、こう思うわけでございます。  通産省が出しております概算要求をながめてみますと、明年度概算要求の中に、金利の低減、償還方法の改善、融資率の引き上げ等を盛り込んでいるやに理解いたします。これから予算折衝に入るわけでございますが、ただいまの大臣決意を実現するためには、これはきわめて緊密な関連を持つ概算要求であると思います。この実現に対して大臣は当然全力を挙げて努力されるものと確信をいたしますが、そう受けとめてよろしゅうございますか。
  192. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 今回の概算要求は、御案内のように、ゼロシーリングのもとで行われておるわけでございますが、私たちは何とかこの概算要求は、今後の折衝において予算編成の中で確保していかなきゃならない、そういう中で、いまの鉱害復旧関係の予算もあるわけでございますから、これは何としても確保したいと、こういうふうに考えております。  なお、いま補助率等の問題がございましたが、今後さらに補助率の引き上げを行うことにつきましては、鉱害の原因者たる鉱業権者は、その責任範囲内で負担をすべきこと。あるいは現在の国の財政状況がきわめて厳しい状況にあること等からなかなか厳しく困難であると、私はそういうふうに判断をしておりますが、いずれにいたしましても、鉱害関係予算についてはこれを確保すべく全力を尽くしたいと考えております。
  193. 柄谷道一

    柄谷道一君 また、筑豊地区等では、最近赤水湧水現象が発生いたしております。  先ほど私が指摘いたしましたように、現実にはこれに対して一部の有資力が自己の資本で、無資力が原因と思われるものまで処理していると私は聞き及ぶわけでございます。この赤水現象についての責任範囲を明確にするということが私は必要であると考えますし、また、赤水処理の補助対象を拡大する等の措置も今後必要になってくるのではないか、こう思われるわけでございますが、この点に対する御所見をお伺いをいたします。
  194. 福川伸次

    説明員(福川伸次君) 先ほど御答弁申し上げましたように、この新しい形態として問題となってまいりました赤水湧水の処理でございますが、もとより原則は賠償義務者が行うべきものではございますけれども、国といたしましても、国土の保全、民生の安定といった観点から、復旧法に基づきまして赤水処理施設の設置費用について補助を行ったケースもございます。  もとより、有資力が自賠償義務の一環として設置されたケースもございます。その維持管理費につきましては、基本的には施設を設置いたしました賠償義務者が負担すべきものであるということが原則でございますが、いま御指摘のように、有資力賠償義務者の処理をしている赤水の中に、特にかつてかなりの複数の炭鉱が稼働をいたしておりまして、それが閉山になったということに起因いたしまして、他の賠償義務者に係る水も含まれているのではないかといったようなケースも考えられるわけでございます。  もとより、その責任の範囲というものをどのように確定するかは、これはいろいろ技術的な検討をいたさねばならないというふうに思いますし、またその場合に、どのような助成をしたらいいかということについては、これまた私どもとしても検討しなければならないポイントだと思っております。  いずれにいたしましても、そういった責任の態様、あるいは水の実態等を含めまして、何らかの助成措置が必要かどうか、また必要であるとすれば、どのような形でやった方がいいのかという点につきましては、私どももいま検討いたしておりますので、もう少し時間の御猶予をいただきたいと思います。
  195. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は当然賠償義務者がその責任を負わねばならぬ、これはもう当然のことですね。しかし、この赤水湧水ということになりますと、いま御答弁ございましたように、かつてその地域に幾つかの炭鉱が存在しておった。果たしてその赤水湧水の原因が現存している鉱区権を持つ有資力の責任のみか否かという点につきましては、非常にこれはむずかしい問題でございます。いま検討中ということでございますので、これ以上の質問は他日に譲りたいと思いますけれども、ぜひその責任の明確化ということについて、当局としても技術的にこれを深く究明して、納得のいく基準、またそれに対応する助成の体制、この確立について御努力を願いたい、これは要請いたしておきます。  そこでもう一つの問題でございますが、私は今後鉱害紛争というのはますます多発すると思うわけでございます。その紛争処理制度の強化についてこの際お伺いをしておきたいのでございますけれども、私の聞き及ぶところによりますと、現在の裁定委員会の体制、機構を見てみますと、鉱害を認定するところと、その鉱害に対して予算をつけるところ、これは一つなんですね。そこに圧力がかかっていく、こういう問題もございますし、さらに利害関係人が裁定委員会の構成員になっております。そこで果たして現在の構成で裁定という機能が十分かつ公正に果たされるのか否かという疑問が生じているとも聞き及んでいるわけでございます。私は一つの方法として、この際委員の中立化、そしてより強力な権限の付与、そのことによって裁定委員会が本来の機能を発揮して、公正かつ迅速にその紛争解決に当たるという体制、機構の整備と、運営の改善が必要ではないかと。またそれが今後の鉱害処理に大きく作用するのではなかろうかと、こう思うんでございますが、この問題について検討、改善を行われる意思ありや否や、端的に御意見をお聞かせ願いたい。
  196. 福川伸次

    説明員(福川伸次君) 裁定委員会につきましては、鉱業法の第百六十五条に基づきまして設置されました、地方鉱業協議会の委員のうちから、委員長の指名した三人以上の委員で組織されることになっておるわけでございます。この地方鉱業協議会の委員は、関係行政機関の職員及び鉱業に関し、学識経験のある者のうちから通産局長が任命するということになっておりまして、その中から委員長の指名する三人以上の委員が裁定委員になって案件の処理に当たる、こういう構成になっておるわけでございます。その委員は、いま利害関係人が入っておるという御指摘もございましたが、主として大学の教授クラスを中心にして構成されておりまして、その運営におきましては、従来からその中立性の保持に私どもも十分意を用いてきたつもりでございます。また、裁定委員会の権限強化という御指摘がございましたが、現行法令におきましても、当事者もしくは利害関係人からの報告、資料の提出を求め、また実地調査を行うといったようなことができるようになっておりまして、私どもとしては円滑な裁定がなされる基盤はあるものと考えております。しかしながら、改善すべき点も私どもとしても感じておる点がございまして、たとえば裁定事務の手続を、より円滑に進めるような手続の改善といったこともあろうと思います。さらに今後この答申の中でも「その紛争の処理を担う和解の仲介等の役割りは一層増大すると思われる。これらの制度運営に当たってその中立、公正な機能が十分発揮されるよう具体策を検討すべきである。」ということが今回の答申にうたわれておるわけでございます。従来からも私どもも十分意を用いたつもりでございますが、今後なお一層この答申の趣旨に沿いまして、中立、公正な機能が十分発揮できるように、その運用に当たり努力してまいりたいと思っております。
  197. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は決して現在の裁定機構が、その機能を果たしていないということを言っているわけではないわけです。御努力はよく知っております。しかし、あえてその答申の中に、いま述べられたことがうたわれたということは、現行の機構ではまだまだ不十分ですよと。したがって、その人選なり、運営、機構というものについて、さらにこれを強化する、改善する方向をたどりなさいということをこれは示唆していると思うんですね。この答申を尊重されるとすれば、ただ現状に甘んずるのではなくて、やはりこの際根本的なメスを入れて、その答申の趣旨に沿う改革というものがあってしかるべきだと私は思うわけです。そう理解していいでしょう。
  198. 福川伸次

    説明員(福川伸次君) この答申の趣旨に沿いまして、私どももこの中立、公正な機能が発揮されるように、いろいろな策を考え、また運用に当たりたいと考えております。
  199. 柄谷道一

    柄谷道一君 次に、第七次石炭政策についてお伺いいたします。  私は、この第七次政策は、第六次政策というものが余り大きな効果がなかったという、その反省の上に立って今後の石炭需給環境の見通しのもとに実行できる政策を目途として策定されたと、こう理解いたします。  そこで、政府としては、この七次政策を受けて、今後必要な関係諸法律の整備、さらには延長、また五十七年度予算の肉づけが当然これに沿ってされるべきもの、こう思うわけでございます。  そこで、この際、私はこの七次政策というものを、立法対策、予算対策を含めて、今後実施していくに当たっての、大臣の基本的なひとつの御姿勢についてお伺いしたいと思うわけです。
  200. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 第七次政策につきましては、ぜひともこれは実行しなければならない、北炭等の問題もありますけれども、基本は貫いていかなければならない、こういう考え方の上に立って、今後予算措置であるとか、あるいはまた場合によっては関係法令の整備等も、これは行っていかなければならない、こういうふうに考えております。
  201. 柄谷道一

    柄谷道一君 そこで、具体的にお伺いいたしますが、これは日本石炭協会の「石炭時報」を見てみますと、「石炭関係予算・財投の推移」という一覧表があるんですね。この中の経理改善対策費、生産の合理化近代化対策費、需要確保及び流通合理化対策費、保安確保対策費、いわばこれ前向きの金ですね、この生産、保安対策に使っている金、これを石炭関係予算、財投の総額と対比して比率を私はじいてみますと、第三次石炭対策が実施されました昭和四十二、四十三年、これはおおむね六九%が前向きに使われておったわけです。これが第四次石炭対策の時代、四十四年から四十七年ですが、この時代も六〇%ないし六八%ぐらいが前向きの施策に使われておった。ところが、第五次になりますと、これが五五%程度まで落ちてきた。第六次石炭対策を見ますと、いま審査されております五十三年度は、それからぐっと落ちまして四六・八%、五十四年は四四%、五十五年は四〇%、五十六年は三九%。これは財源配分の問題でございますけれども、この推移をながめてみますと、貴重な予算及び財投の約六割が現在いわゆる後向きの処理に使用されまして、前向き投資というものが逐次そのウエートを減少しつつあることをこれは物語っていると思うわけでございます。  私は、いま申しました鉱害対策、これもおろそかにできません。しかし、それは効率化なり、一元化なり、責任所在の明確化なり、こういったものを通じてその合理化を図っていくと同時に、総予算との関連において、やはり前向き対策がわずか四〇%しかないというこの実態を継続して、果たして七次政策の完成が可能なのかどうか、このことに対しましては一つの大きな疑問を抱かざるを得ないわけでございます。この点に対してどう理解しておられますか。
  202. 福川伸次

    説明員(福川伸次君) 御承知のとおり、石炭対策は原重油関税を財源といたしまして、前向き、あるいは先生の表現によれば鉱害、産炭地振興などの後ろ向きと申しましょうか、こういった石炭鉱業の担いました後遺症を解消することを含めまして実施をいたしておるわけでございます。それぞれその時、その時代その時代におきました財政の資金需要によりまして、いま御指摘のような財源配分になっていたわけでございますけれども、今後第七次政策を迎えまして、来年度予算の要求ということにつきましては、私どもは今後第七次政策の答申の趣旨を尊重して、この予算の配分には十分意を用いてまいりたいというふうに思うわけでございます。  従来から石炭の合理化安定対策、産炭地の振興対策、あるいは鉱害、炭鉱離職者といったような経費があるわけでございますが、今後第七次政策を実施をいたしてまいります過程では、たとえば非常に急傾斜等の炭鉱に対しましての安定補給金の傾斜配分を強めるとか、あるいは今後新しい炭量を確保するための調査でありますとかといった新しい施策も盛り込み、また最近御承知のように、脱石油ということになってまいりまして、かなり財源は厳しいわけでございますが、それぞれ予算の効率的な配分と、それからその運用ということを図ることによりまして、できる限りの予算の工夫をいたしながら、この第七次政策の予算を組んでまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  後ろ向き対策と先生おっしゃいましたが、産炭地の疲弊が解消していくということを、私どもも一日も早くこれを実現をいたしまして、それを通じましてこの石炭の予算の配分ということもさらに改善をしていくということになろうかと期待をいたしておりますが、今後、いまおっしゃいました、いわゆる石炭の第七次政策の基調を維持いたします運用の予算の配分ということにつきましては、少なくともその事業規模の確保、あるいはその施策の実現に遺漏なきを期するよう、この予算の配分でも十分努力してまいりたいと考えております。
  203. 柄谷道一

    柄谷道一君 これは意見でございますが、私は鉱害対策をないがしろにしろと言っているわけでは決してございませんけれども、しかし合理化、効率化によって、やはり前向きの、対生産対策の経費というもののウエートが、やはり現在と逆転する、少なくとも六割は前向き対策に有効に資金が投ぜられるという方向を目指しての総合的石炭政策の展開というものがなければ、りっぱな答申をいただきましても、なかなかこれが実現されない、そして八次、九次と引き続き石炭政策を必要とする、こういうことに追い込まれていくのではないか、こう思いますので、十分今後の御配慮を、御検討を願っておきたいと思います。  次に、私も調べてみますと、ごく最近までは国内炭に比べまして海外の石油エネルギーは確かに割り安でございました。しかし、今日の段階におきまして、石油価格はすでに国内一般炭に比べまして、カロリー当たり単価では二倍近くになっております。また、海外一般炭はまだ現状においては国内炭より割り安ではありますけれども、五十四年以来、オーストラリア産の例に見られるように、すでに在来価格の二倍強に急騰しているような現状もあらわれてきております。こうした状態をながめてみますと、ますます国内炭というものの持つ意義というものが、今後重要視されてしかるべきではないか、こう思うわけでございます。  そこで、国内炭優先活用の原則を確立するためには、たとえば国内炭の一定率引き取りというような配慮も必要でございますし、海外炭の開発、輸入等につきましても、従来の輸入炭割り当て制度、IQ制度の活用から一歩進めて、やはり総合エネルギー政策の中に位置づけられる国内炭というものの地位というものを配慮しつつ、秩序ある輸入体制の確立、これに対しての通産省の積極的指導というものがあってしかるべきではないか、このように考えるわけでございます。この点に対する方針はいかがでございますか。
  204. 福川伸次

    説明員(福川伸次君) いま御指摘のとおりに、国内炭は現在千八百万トン程度の生産水準でございますけれども、国内炭の持つ意義、ただいま柄谷委員が御指摘のように、国内はそれなりに安定的な供給源である、国内における貴重な資源であるという立場から、それの位置づけを図るべきであるということは、この第七次政策でも明確にうたわれているところでございます。もちろん、今後石油から代替エネルギーへの移行という過程におきまして、海外炭のウエートも高まってまいりまして、また、それの低廉かつ十分な供給の確保ということも、エネルギー政策として十分意を用いていかなければならないポイントではございますが、先ほどのお話のような国内炭の位置づけの考え方に基づきましても、需給対策ということについては、私どもも十分努力をしてまいらねばならないというふうに考えておるわけでございます。  いま御指摘のように、この国内炭の需要確保対策ということにつきましては、この七次政策でも、国内炭優先使用の原則に立って、適切な需給見通しのもとに、石炭需要者に一定の基準によって国内炭を引き取りを求めるということを基本として、さらにまた必要に応じて、その民間当事者間で自主的に形成される国内炭の取引関係を反映させることも含めまして、十分適切な引き取り体制ということをとるようにということを指摘をいただいておるわけでございまして、私どももこのような答申のもとに、国内エネルギーの供給の安全保障という意味も含めまして、国内炭の引き取りということにつきましては、その御指摘のようなラインで努力をしてまいりたいと考えておるわけであります。  さらに、海外炭の輸入について、秩序ある輸入をするように心がけるようにという御指摘をいただいております。私どももこの点に関しましては、従来は原料炭が中心でございました石炭輸入体制も、今後一般炭がふえ、恐らく今年度は一千万トンを超える一般炭が海外から入ってくるという状況でございますので関係業界をそれぞれ網羅いたしました形で、その秩序ある輸入という点は維持を図りたいというふうに思っておるわけであります。もとよりそれぞれニーズに合ったものを、できるだけ安い価格でユーザーに直接引き取らせる、国内の需給を乱さない限りで引き取らせるということが基本でございますが、時により、また輸入で過当競争を惹起いたしまして、輸入炭が値が上がるという事態も昨年等見られないわけではございませんでしたので、私どももその点は十分意を用いておるわけでありますが、最近過去一年間海外炭の輸入問題懇談会というものを設けまして、学識経験者のほかに、関係需要業界あるいは商社、金融機関を網羅いたしまして、それぞれの国際的な需給環境を検討をし合いながら、秩序ある輸入ということについて努力をしてまいっておりますが、今後ともそのような方向で、十分国内炭との調整を図りながら、秩序ある海外炭の輸入ということに努力をしてまいる所存でございます。
  205. 柄谷道一

    柄谷道一君 御答弁の趣旨に沿った御努力を期待し、かつ見守っていきたいと思います。  そこで、次に国内炭価格の問題でございます。  この第七次答申の中にも、「石炭企業の収支が健全化することは、国内炭の再生産を維持するための基礎である。このような観点からは、国内炭価格は合理的な生産費を反映したものであることが望ましい。」と、まあこう冒頭書かれているわけですね。ところが、本年六月の九日から、石炭協会と電気事業連合会、電源開発株式会社、鉄鋼連盟、瓦斯協会、コークス協会、セメント協会、これとの価格の話し合いが行われておりますけれども、まあ再生産に必要な価格として出されましたトン当たり千三百六十円の値上げ申請に対しまして、実態は千百三十五円で決定を見ておるわけでございます。七次政策を執行するに当たって、私はどうしてもやはり再生産に要する経費というものを基本とした、適正な炭価の決定というものがなければ、労使懸命に生産性に努力し、七次政策に沿おうとしてがんばりましても、生産すればするほど赤字になるということでは、政策の根幹が崩れていくわけでございます。この炭価決定のルールについて、通産省は今後どのようなお考えで対応していこうとしておられるのかお伺いします。
  206. 福川伸次

    説明員(福川伸次君) 来年度から始まります第七次石炭政策の期間中におきます炭価ルールにつきましては、答申の中でうたわれました趣旨に沿って、今後とも努力をしてまいる所存でございますが、この答申におきましては、いま委員が御指摘のように、「国内炭価格は合理的な生産費を反映したものであることが望ましい。」ということが一つの基調でございますが、またその後続けまして、その「国内炭を巡る市場環境を無視してその価格を定めることは、エネルギー供給の安定性と経済性の調和を図る見地から好ましくない。」ということを言っておりますが、いわゆるこの「安定性と経済性」をどのような形で調和させていくかということが基本の課題になると思っております。  この制度自身に関しましては、いろいろな議論がございました。需要業界、供給業界からのいろいろな議論がございましたが、結論として申せば、現行の基準炭価制度、これは石炭企業の経営それから需給、他の競合エネルギーとの関係等を見て決めるというルールは引き続き維持すべきであるということでございますが、さらにその内容をどのようにしていくかということが一番問題であろうと思っております。  生産条件に関しましては、ここでは「合理的な自己努力を考慮した石炭鉱業の平均的な生産費を基礎とすることが適当である。」ということでございまして、いわゆる合理的な自己努力を考慮した石炭鉱業の平均的な生産費を基礎として考えるということが一つの考え方であるわけでございます。  さらにもう一つ競合エネルギーとの価格ということにつきましては、当面国内炭の供給が減少した場合には、海外炭が手当てされるという実情から、海外炭の価格とを比較をするようにと、こういうことでございます。この場合に、この海外炭の価格で、どこで比較するかというのが非常に議論になるところでございまして、いま委員が御指摘のように、海外からの輸入炭というのも、かなり価格が上昇してまいっておりまして、場所によりましては、むしろ国内炭の方が安いというところも出てきておるわけでございます。特に山元などでは、輸入炭を海岸から汽車などで運び込みますよりはむしろ安いというケースも出てきて、どこで比べるかという点がいろいろ議論になるわけではございますけれども、全般として考えてみますると、もし国内炭の供給がなくなるということになり、輸入炭がそれに置きかわるということであれば、平均的な輸入価格よりも「海外炭の限界的な購入価格」を考えてやれと、こういうことを言っておるわけでございます。  現在これをどのように具体化していくかを石炭協会等でも検討をいたしておるところでございますが、私どもといたしましては、いまの国内の生産費、いわゆる合理的な自己努力を考慮した平均的な生産費と、それから輸入価格——輸入価格でも平均的なものではなくて、限界的な輸入価格、これを対比して石炭鉱業の安定性と経済性の調和を図ることができるような形での炭価ということ、これを追求をしてまいりたいということでございまして、私どもとしても石炭鉱業の安定的な生産が維持できるという方向で、この問題を考えてまいりたいというふうに思っております。
  207. 柄谷道一

    柄谷道一君 次に、ボタ捨て問題について一つだけお伺いいたします。  たとえば三井三池炭鉱における排出ボタは年間百八十万トン、これは霞ケ関ビルの約二・四倍の量に達すると私は理解しておるわけです。ところがこのボタ捨てについては、昭和四十八年に、すべて公有水面埋め立てにより処理してきたものにつきまして、いろいろ規制がつけられたわけでございます。そこで、たとえば三池の場合は、公有水面の埋め立て免許の取得ができないということで、緊急避難措置として海洋投棄を計画をして、高知沖五百キロのB海面に投棄をする、こういう措置をとらざるを得ない、こうなっておるわけですね。ところが、これは五十六年計画ではトン当たり三百三十四円、これは公有水面を埋め立てる場合に比べまして、非常に高いコストを払わねばならぬと、こういうことに現実なってくるわけでございます。  そこで、私はこの際、たとえば埋め立て免許を与えるときに、埋め立て完了時までには土地利用計画を確定するということで、当面、工業団地という目的で、これを埋め立てるという弾力性を持たせたり、また現在、公有水面埋立法は、期間の制限はございませんけれども、運用上通常五年、例外的なもので十年となっておりますけれども、ボタ捨てのボタの処理はこの期間では成らない。したがって、この期間についても再検討を加えるなど、この際その面の施策というものについても検討を加えるべきではないかと、こう思いますが、いかがでございますか。
  208. 福川伸次

    説明員(福川伸次君) 御指摘のように、一部の炭鉱でボタの処理に当たりまして、陸域に置きました集積の処分、土地造成利用、海面埋め立て等に加えまして、その廃棄物処理業者に委託いたしまして、海面投棄を行っているというケースがございます。ボタの処理につきまして、もとよりいま御指摘の公有水面埋め立て、あるいは土地利用計画の確立といったような問題がございまして、これにつきましては、関係地方公共団体とも十分な話し合いも期待をいたしておるわけでございます。また、それぞれの海洋投棄をいたしますための費用も、いま御指摘のようなコストになっておるわけでございますが、これは、それぞれ企業の収益の範囲の中で炭価ルール、あるいは全体の収益を対象にいたしましたような助成制度という全体の中では、吸収されるべきものではあろうとは思っておりますが、このボタの処理につきましても、一つでは有効利用を図るという面、特に建材等に有効利用を図る技術開発を進める、あるいはいま御指摘のような公有水面の埋め立てといったようなことを、さらに制度のいろいろな改善を図るとか、いろいろな問題点が指摘されるわけでございます。今後私どもも、それぞれの埋め立ての処分の状況、あるいはほかの処理方法があるかないかといった点も踏まえまして、実情に合わせまして、これも私どももいろいろな角度から慎重に検討してまいりたいと思っております。
  209. 柄谷道一

    柄谷道一君 時間が参りましたので、この質問で終わりたいと思いますが、私は過日全炭鉱の諸君と隔意ない意見交換をする機会を持ちました。その際彼らが、内外にわたるエネルギー構造の大きな変革期に対応して、石炭鉱業の持つ条件と、国内炭の意義というものを深く認識をしまして、石炭企業労使の自助努力達成に全力を挙げているその姿に感銘を受けました。と同時に、それに加えて、第七次石炭新政策に基づき、政府が積極的施策を展開することを強く要請しております建設的政策提言に共鳴を覚えた次第でございます。また、石炭鉱害の問題につきましても、企業が賠償義務者であることを十分認識をし、それを前提としつつも、鉱害復旧事業の一元的処理や、整合性の欠如、鉱害の限度額確定のあいまいさ、補助融資制度等、国の施策がまだ十分でない、さらに鉱害紛争処理制度の欠陥等の理由がありまして、残存鉱害の完全処理がおくれておる。かえって想定鉱害量は肥大化しつつある。そういう現状を深く憂えまして、今後その悪循環を繰り返さないためにも、万全の措置を講じてもらいたい。そして、石炭産業に働く者が、前途の希望を持って働ける産業政策の確立を強く求めておる、そういう要望に打たれまして本日の質問として取り上げた次第でございます。  最後に、大臣に重ねてその所信をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  210. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 第七次答申に基づく措置は、これは基本的に積極的に進めていかなければならない。わが国の国内炭の生産ということは、まあいわば安全保障という立場からもきわめて重要な課題でありますし、総合エネルギー対策という面からもぜひともこれは進めてまいりたいと、こういうふうに考えるわけでございます。  なお、いま鉱害の問題でございますが、この鉱害処理につきましては、賠償責任の存否及び所在の判定に困難を伴うものでございますが、政府としても技術的、専門的観点を踏まえて、的確な判断を下すため、従来から裁定制度とか、あるいは科学調査等の活用を図ってきたところでもございますが、今回の答申におきましても、必要な場合には学識経験者の意見を聞く体制を整備するなどの提言もいただいておるわけでございまして、引き続いて適正な法運営に努めることといたしております。ただ、鉱害の円滑な処理のためには、基本的には先ほどお話がありましたように、賠償当事者の合意が円滑に進むことが大前提でもございますし、同時にまた地元地方公共団体においても、意見調整等につき積極的な役割りが期待をされるわけでございます。こうした関係者の協力も踏まえて、政府としても累積鉱害の最終的な処理に向かってこれから取り組んでいきたいと考えております。
  211. 安武洋子

    ○安武洋子君 北炭夕張の問題でお伺いをいたします。  北炭夕張が会社更生法の適用を申請いたしましたけれども、これは真の再建を願っている皆の期待を裏切るものであると思います。この問題につきましては、けさほど来、会社更生法を申請するのは、これは会社の経営権に属する問題である、だから政府としては、会社、そして、その背後の金融機関に責任が果たせるように働きかけたいと、こういう旨の御答弁をなさっていらっしゃいます。しかし、いまやこの北炭夕張の問題というのは、私は一企業の枠を越えた、まさに政治的な問題であろうかと思います。それは、政府もいままで再建をしたいと言明もされておられます。そして、二千万トンを目標とした政策もお持ちでございます。さらに、先ほど来国内炭についてもその意義を強調もなさっておられます。そして、国のエネルギー政策として十分考えていくというふうな大臣の御答弁もございました。  また、夕張地域全体が苦境に陥っております。これは時間がございませんから申し上げる余裕がございませんけれども、この苦境を救って、どう振興させるかというふうな地域振興の問題でもございます。また、残された四十九遺体のこの救出、あるいは遺族補償、労働者の生活の問題、こういうふうな政治問題としてもなおざりにできない問題が山積しているわけです。ですから、いまここでこれほど大きくなっている国民的な課題、政治的な課題を一地方裁判所の判断のみにゆだねるというふうなことではなくて、いま政府がみずからの責任を、私はこういうことをすれば放棄をしたと言わざるを得ないと思うわけですから、ここで北炭夕張の負債額七百二十一億円のうち、三百五十億円、最も多額の債権者でもある政府がどういう姿勢をとるか、これが決定的に重要なことだと思うわけです。このことが私はこの問題を解決する大きな本当に糸口になろうかと思います。裁判所の判断だけにまつのではなくて、政府が主体的にここで乗り出して、民主的な再建の方法、これを具体的に早急に打ち出すべきだと思いますが、大臣の御所見をお伺いいたします。
  212. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 北炭夕張の問題につきましては、私も就任以来、この北炭が再建の方策を示してくると、こういうことでございました。したがって、北炭を何とか再建をさせなければならないと、こういう気持ちを持ちながら再建策の提示を待っておったわけでございますが、突如としてああした更生法の適用の申請が行われたわけでございます。私どもとしては再建をさせたいということで、これまでも財政的援助も続けてきたわけでございますが、会社の自主的な判断のもとに会社更生法の申請を行ったわけでございますから、今後の課題としては会社更生法に従いまして、いわゆる裁判所の管理の中で再建の方途を見出していくと、こういうことにならざるを得ないと思うわけでございますが、しかし、私たちはやはり残された問題として、遺体の救出の問題があります。あるいはまた遺族の補償の問題も残されております。それから社員に対する給与、あるいはボーナスの問題もあるわけでございますが、こうした問題については、これはやはり会社側があくまでも責任を持って処理をしていくと、こういうことでなければならない、会社側に対しましてもわれわれはこれを強く要請をいたしております。  先般も対馬専務が私のもとにやってまいりまして、そのときに会社としても更生法の申請はしたけれども、しかし、会社としてはいまの遺体の救出、あるいはまた遺族の補償、あるいは社員の給与、ボーナス、さらにまた会社更生法の適用を受けることによって、他の鉱山にこの状況が波及をしないように、切り離すように会社としても努力をする責任があるということで、強く要請をいたしまして、対馬専務も肝に銘じてこれはやりますと、こういうことでございました。私たちとしても、政府は政府なりにこれまでも財政援助を続けておりますし、今後の状況につきましても、裁判所における状況等を十分判断をしながら、政府なりのやはり法令の範囲内において努力はしていきたいと、こういうふうに思うわけであります。
  213. 安武洋子

    ○安武洋子君 政府なりの努力という私は中身をもっと具体的におっしゃっていただきたい。というのは、私はもうそれは会社更生法を申請したという現実の上に立って御質問を申し上げておりますけれども、しかし、先ほどから強調なさっている産炭地の振興政策、政府は重視しているとか、あるいは国内炭の持つ意義も十分わきまえているんだというふうなことで、予算の配分でも努力をしようとかというふうな御答弁をどんどんなさっていらっしゃる。その中で、やはり私は政府としてこの夕張に対してどういうふうになさろうとするのかということを、もっと政府が、責任を放棄するんではなくって、みずからも一番の債権者でありますから、ここでどういう姿勢をとるかということが重要なやはり問題ですから、もっと具体的に政府としてどのようになさるのかということをお示し願いとうございます。
  214. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 政府としてもこれまでも財政的援助等の努力はいたしておるわけでございますが、いまさらにまた申し上げましたように、これからの処理をしていくやはり第一義的な責任というのは何としても会社にあるわけですから、会社に対しましてこの遺体の処理であるとか、遺体の救出であるとか、あるいは遺族に対する補償、あるいは給与、さらにボーナス、こういうものは、やはり会社側が責任を持ってまず払うべきであると、こういうことを強くいま要請をしておるところでございます。
  215. 安武洋子

    ○安武洋子君 大変不満足で、そういう要請だけをなさるんではなくって、私は政府が先ほどから御答弁なさっていらっしゃるように、本当に産炭地の振興政策だとか、あるいは国内炭の持つ意義だとかというふうなこと、それから補償の問題とか、遺族の問題、あるいは遺体の問題と言われるなら、もっと具体的な政策をお立てになるべきだと、やはりそういう点では私は政府みずからの責任を果たすことにはならないということを強調いたしとうございます。  しかし、大変時間が限られておりますので、残念ながら次の問題に移りますけれども、いわゆる天上がりの問題をお聞きいたします。  最近、大変世評で建設業者の談合問題など、官界と企業との癒着、これがまた再浮上してまいっております。いま通産省、それから経企庁にも私企業から非常勤、こういう身分で二年から五年間というふうな期間で、大体期間はこれぐらいだと思いますが、官庁業務に従事して、再びもとの企業に戻っていく、いわゆる天上がりの職員がいると思います。企業の方は出向とか、休職とか、いろんな形をとって、通産省なり、経企庁なりに社員を派遣しております。このような企業というのは、三和銀行、三菱銀行、住友銀行、三井銀行、こういうほとんど大手の金融機関です。そして、その天上がりの職員の私企業からの数というのは、これは私企業からの数だけです。これは各省庁合わせますと、九十名になると思います。そのうち八〇年度で見てみますと、経企庁には二十二名、通産省には三十一名、二つの省庁で全体の約六〇%を占めております。数が間違っておれば、後で指摘をしていただいたら結構ですが、これほどたくさんの数がこの経済省庁に集中をしている。銀行というのはこれは民間経済の中枢です。そこの職員が経済官庁に集中的に集まってきているということは、これは財界と官界の癒着の一つの私は形態だと思います。  この天上がりの職員につきましては、昭和四十九年に閣議決定がなされたはずです。これでは「今後は、派遣企業と関係のない職務に従事させている者で、業務遂行上必要不可欠と認められる者に限り、」云々と、それまでは無原則であったというものに、天上がり職員についての枠をはめた、この取り扱いについて限定していくという方針が打ち出されております。  そこでお伺いをいたしますけれども、通産省の場合、昭和四十八年の天上がり職員の数は三十一人、そしてその翌年に閣議決定が、いま私が申し上げたのがなされております。そして現在の人員も人数的には、人は変わっおりましょうが、人数的には三十一人と、全く同じ数だと思います。これはそのとおりかどうか、イエスかノーだけで結構ですので、お答えをいただきとうございます。
  216. 斉藤成雄

    説明員(斉藤成雄君) 昭和四十九年に調査員の身分を明確化いたして以来、三十一名を限度として運用しております。
  217. 安武洋子

    ○安武洋子君 閣議決定がなされましても、あなたたちはきっとそれが必要不可欠だというふうな理由をおつけになるんでしょうけれども、全く減らしてもいないということも問題です。しかし、それとともに、一般公務員には国公法百三条で、私企業への関与制限、これはたとえば営利企業の職についてはいけないとか、営利企業を営んではならないとか、あるいは離職後の天下りの禁止とか、あるいは株式所有の禁止とかと、こういうことがあります。これに違反をすれば行政罰だけではありませんね、刑事罰まで科すというふうな厳しい制限です。これは行政を公平に保つんだという公務員の根本規則、根本原則、これに基づいて私企業から公務員を隔離するというふうなことです。しかし、非常勤の場合はこの制限が除外をされております。大体この非常勤というのは読んで字のとおり、常時勤務するんではなくって、審議会の委員など、こういうふうな人たちが常時勤務するんではないので、非常勤なので、その人たちにまで私企業から隔離をするというふうなことはこれはふさわしくないと、こういうことで私企業への関与の制限を適用しないというふうになっていると思います。ところが、各省庁の中枢である本省に常勤の一般の職員と机を並べている。そして一緒に毎日常勤者として、私企業からの天上がりの職員が公務に従事をしている。こういうことは一般公務員は、個々には私企業からの隔離という厳しい刑事罰まである。こういう義務を課しながら、政府みずからが、非常勤、こういう名前を、制度を利用して、悪用して、私企業との関与を積極的に行っていると。みずから公務員制度の根幹にかかわる法の精神を曲げるというふうな行為を行っている。私は、これが私企業との癒着でなくて何であろうかというふうに思います。  この民間の天上がり職員の採用というのは、各省庁の任命権者の自由任用になっております。各省庁はその気にさえなれば、これは廃止、縮小すぐにもできるものです。通産、経企庁とも私は廃止、縮小の方向をとるべきだ。国民の、いまのこの厳しい私企業との癒着の問題、監視の目があります。この中で国民の期待にこたえるべきだと思いますけれども長官お疲れのようですが、私は両大臣にお伺いをいたします。
  218. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 通産省は、いま御指摘のように、民間企業から調査員として職員を受け入れておりますが、その出身企業は、金融機関、保険、証券の企業でありまして、当省が直接所管する企業からは一切受け入れてはおらない。また、調査員として担当させる職務については、たとえば内外の企業経営に関する調査、国際貿易、日本経済に関する調査等、調査分析業務に限っておりまして、そういう意味で、私たちはこの制度といいますか、あり方というものは決して行政の中立性というものを損なうというふうなものではないと、こういうふうに考えております。
  219. 安武洋子

    ○安武洋子君 私はいまの御答弁、これは不十分だと思います。全く承服しがたいわけです。官庁というところは、これは情報の宝庫ですよ。銀行などの金融機関、私企業から見れば、のどから手が出るような、こういう情報がいっぱいあります。ですから、こういう情報が集積されている。特に通産省というのは、これは民間企業の情報の宝庫ですからね、銀行にとって、そういう情報というのは大変企業利益になる。しかも、天上がりの職員は、産業政策局調査課に十一名、それから、金融そのものの中小企業庁の計画部金融課、ここにもおります。ですからね、これは大臣おっしゃいましたけれども、閣議決定の派遣企業と関係ない職務に従事させると、こういう趣旨から言いましても重大問題です。  いま私企業との癒着、私何度も申しますけれどもね、汚職事件を引き起こして国民の批判が高まっているときです。こういうふうなことは直ちにやはり廃止をすべきです。そういう方向を打ち出すべきです。その点について御所見を重ねてお伺いいたします。
  220. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 私は、いま実態を入ったばかりでよく承知しておりませんが、しかし、いま答弁をいたしましたように、これは通産省の担当する企業じゃなくて、証券とか、銀行から入れているわけですし、調査業務等をやっているわけですし、私はそう、いま指摘されるような癒着とか、そういう問題が起こるということは全然あり得ないと、むしろ私は非常にいいことじゃないかと思っております。
  221. 斉藤成雄

    説明員(斉藤成雄君) いま大臣から御説明申し上げましたように、民間から受け入れております調査員の職務というのは、主として金融機関、あるいは保険・証券会社の人たちに、調査業務ということをやってもらっておるわけでございます。この調査業務につきましては、たとえば為替をお考えいただければ明らかなように、きわめて実務的な問題がございます。あるいは財務分析その他で、民間企業の人が非常に強い分野がございます。そういう分野を通産省の調査業務の中に生かしていくということは、アップ・ツー・デートな情報を生かすという意味で、私どもは非常に意味があることというふうに考えているわけでございます。  ただ、先生御指摘のように、それが行政の中立性を脅かすということになっては、これは困るわけでございますから、そういう意味でいろいろ職務専念義務であるとか、あるいは秘密保持義務であるとか、そういうことについては手当てをいたしております。  それから、業務の内容につきましても、直接民間の監督にかかわるような仕事からは外しておる。そういう意味で、メリットを生かし、デメリットが生じないように運用しているということを御理解いただきたいと思います。
  222. 安武洋子

    ○安武洋子君 一般公務員には刑事罰までつける厳しい私企業との隔離ということで、行政の公平を保っているわけですよ。ですから、金融機関から金融を本当にやっている中小企業庁の金融課に派遣をするというふうなことで、たとえどんな業務に従事させようと、調査業務に従事すれば、本当に企業が欲しがっているような情報だって漏れるかもわからない。私は漏れたとは言いませんけどね、そういう可能性は十分ある。だから、一般公務員にそういうことを課しているわけでしょう。同じように机を並べて、同じ仕事をして、非常勤じゃありませんよ、常勤ですよ。ただ、非常勤だからと、私企業にまた帰っていく人たちに対して、あなたたちはそういう扱いをして、みずから私企業との癒着を強めているわけです。これで国民が疑惑を持たないとしたら私はおかしいと思います。やはり国民がいま、官庁とそれから財界、こういうところとの癒着、ここから汚職事件が引き起こされると、こういう疑いを持っているわけですから、安倍通産大臣、そんなことはいいことだなんて、とんでもないことです。私は、こういうことは廃止しようと思えばすぐ廃止、縮小の方向が打ち出せる、閣議決定なさっていらっしゃるんですよ。閣議決定の方向からいっても私はおかしいと思います。全然数も減さなければ、それが閣議決定では、今後こういうことはもうできるだけ縮小していこうという方向で言っておきながら、いいことだと。まあ就任早々だとおっしゃいますけれども、それでは私は物事は通らない。天上がり職員こそ、私は財官癒着の一形態だと、こういうことを重ねて申し上げます。もう一度御答弁いただきます。
  223. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 癒着癒着とおっしゃいますけど、そういうあれは全くないと私は思います。とにかく、いま審議官がお答えいたしましたように、仕事も限定をされておるわけですし、調査業務というのを中心にやるわけですし、やはり民間から人材が入ってきて、そういう官庁の中で勉強して、官庁行政の実態も知っていくと、そうして調査事務を行うということは、決して先ほどから申し上げるように、癒着でも何でもない。私は、そう悪いことじゃないと、むしろいいことじゃないかと思っております。
  224. 安武洋子

    ○安武洋子君 情報の宝庫に私企業から入ってくるというだけでもおかしいじゃありませんか。私、大臣がまだこういういきさつを御存じないということに免じて、後また追及します、場所を変えて。でも私は、大変時間が限られているので、いまの御答弁は絶対に納得できない、これは正す方向で研究をし直してください。  そういうことで、次、景気問題をひとつお伺いいたします。  これは、いま内需中心の経済の運営が言われておりますけれども、内需を中心に停滞した景気を引き上げると、こういうことのためにはGNPの過半を占める個人消費、これを増大させるというのが一つの焦点です。いま個人消費を喚起するのは、これは何といっても所得減税を実施することだというふうに思います。  まず、所得減税を含めて、内需中心の施策が必要だと思うが、この点どうかということを、これは河本長官にお伺いをいたします。  そうして、さらに続けまして、交際費課税の強化が自民党の税調でも問題になっておりますけれども、大企業に対する交際費課税は、これは当然私は強化すべきだと思います。でも、小規模事業所への課税対象外となる範囲を縮小するというふうなことになりますと、中小企業の経営に非常に圧迫を与えます。だから、中小企業については配慮をすべきだと、それを大蔵省に働きかけるべきだと、これは通産大臣にお伺いいたします。  時間の関係上、端的に両大臣お答えをいただきます。
  225. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) いま内需が相当落ち込んでおりますが、その一つの理由は消費が伸びないということであります。なぜ消費が伸びないかといいますと、それはやはり可処分所得が減っておるということだと思います。そこで、昭和五十二年以降所得税の減税をいたしておりませんので、現在は昭和五十二年に比べまして、所得税の総額は相当ふえております。また、今後もふえ続ける形勢にございますので、そこで、所得減税をできるだけ早く実施するということは大変望ましいことでありますが、しかし現状の財政を見ますと、とても五十七年からやれるような態勢にはございません。そこで、五十八年度以降の大きな課題として、政府としては減税が可能になるような財政的なゆとりをつくり出す、そういう政策を進めることが必要ではないか、このように考えております。  それでは、どのようにして財政的なゆとりをつくり出すかということでありますが、一つは税の増収を生み出すような景気の状態をよくしていくということ、それからもう一つは三K問題などを中心に、徹底的な行政の合理化を進めるということ。また、最近は直接税と間接税が非常に不均衡になっております。でありますから、適当な時期にやはりこの不均衡を是正する、こういうことも必要ではないかと思いますが、いずれにいたしましても、いろんな研究努力をいたしまして、減税ができるような、そういう前提条件をつくり上げるということが必要であろう、このように考えております。  第二点は、住宅が伸び悩んでおりますが、これもやはり根本をただしてみますと、所得と価格の乖離、つまり昨年来所得が伸び悩んでおるのに、住宅価格が非常に上がっておる、ここに一番の原因があるわけでございまして、やはり所得を今後どう増大させるかと、どう増加させるかということが大きな課題でありますが、しかし、急に所得は伸びない、といって急に価格は下がらないということでありますから、この乖離が続いておる間、どのような住宅政策を展開することが必要であるかということにつきまして、目下党と内閣において相談をしておる最中でございます。
  226. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) いま税制につきましては、政府・与党で目下検討を急いでおるわけでありますが、交際費の問題につきまして、特に中小企業にとって、交際費は非常に重要な役割りを果たしておる面がございますので、中小企業に過度の負担が生じないように十分配慮してまいる考えでございまして、大体の見通しはいまつきつつある、こういう状況であります。
  227. 安武洋子

    ○安武洋子君 最後に一言。大型店の問題だけ一言お伺いいたしておきます。  大型店問題の懇談会の論議が大詰めを迎えておりますけれども、通産省の規制方針もまとまりつつあるということですが、しかし大型店問題の対処方針に基づいて、自粛措置が講ぜられておりますが、これは年内で切れるというふうに聞いております。この新しい方針と、それから切れたというところですき間ができると、いま凍結されている大型店がどっと進出するというふうなことになっては大変でございますので、この懇談会の答申の時期、そしてそれを受けての通産省の今後の見通し、そこらをお伺いいたしたい。
  228. 植田守昭

    説明員(植田守昭君) 御指摘のとおり、現在懇談会で取りまとめを急いでいるところでございますが、懇談会の意見もよく聞きまして、まとめ上げた上は、それが次のステップにできるだけ適切に移行できるように、いろいろな措置で適切に対処していきたいというふうに考えております。
  229. 中山千夏

    ○中山千夏君 原子力、それから原子力発電に関する広報について伺います。  ほとんどわれわれが一般マスコミを通して目にする広報というのは、電気事業連合会のものなんですけれども、政府広報もよく目にします。通産省は広報としてどのような活動をどのくらいの予算で行っているか、お聞かせ願いたいと思います。
  230. 小松国男

    説明員(小松国男君) 原子力発電を推進いたしますためには、広く一般国民の理解が必要でございます。そういう意味で広報活動というのは非常に大事なわけでございます。通産省におきましては、まず一般国民を対象に、原子力発電がいかに安全なものであるか、また、どうしてこれが必要であるかというようなものについてはパンフレットを作成するとか、また、それに関連した広報の映画でございますね、こういうものをつくるというようなことで広報活動をやっております。それ以外に、やはり地元地元関係者に十分発電所の安全性、それから必要性、こういうものについて御理解をいただく必要があります。これは地方公共団体が中心にいろいろ行いますが、この地方公共団体の行う広報活動、こういうものに対しまして、広報安全等対策交付金という交付金を交付いたしまして、財政面で助成いたしますと同時に、必要な情報も提供するというようなことをいたしております。また最近は相当前広に、地元関係者に原子力発電の問題について御理解いただく必要がありますので、そういう関係での、かなり初期段階での広報活動についても力を入れておるという状況でございます。  いま御質問の予算でございますけれども、電源立地関係の広報予算といたしましては、五十五年度で約十七億六千五百万円、それから五十六年度では二十一億五千八百万円、これを計上いたしております。
  231. 中山千夏

    ○中山千夏君 一般の方になりますと、通産省の広報よりも科学技術庁の広報の方が多いようなんですけれども、科学技術庁の方では広報をどのようにしていらっしゃるか。
  232. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) 科学技術庁で行っております原子力広報につきまして、かいつまんで御説明申し上げます。  十月の二十六日というのが原子力の日ということになっておりまして、この日を中心にしまして、かなり活発に活動を行っておりますが、それ以外に、まず日常的に行っております広報活動といたしましては、第一に原子力セミナーというのがございます。行政セミナーと言っておりますけれども、原子力の利用が普及してまいりまして、地方行政機関の職員につきましても、原子力の一般的な知識が必要であるというような事情にございまして、大体一週間程度のセミナーといいますか、講習会などを開催しておる。それから、高等学校の先生その他を対象にいたしました若干の実験を含めました講習会というようなものも開催いたしております。それから原子力の必要性でありますとか、あるいは安全性についての基本的な点についてのパンフレットの作成でありますとか、映画の作成といった活動も行っております。さらに加えまして、テレビ、雑誌等に情報の提供を行うというような活動も行なっているわけでございます。原子力の日の前後におきましては、地方公共団体、あるいは電気事業者、あるいはそのほかの公益法人によります施設の見学でありますとか、展示会、講演会というようなものが相当広範囲に行われております。  先ほど通産省から御説明がございましたけれども原子力発電所につきましては、通産省の方から地方公共団体が行います広報活動について支援をされております。科学技術庁といたしましては、東海村の再処理施設でありますとか、所管の原子力施設に関連いたしまして、地方公共団体が行います広報活動の支援をいたしておるわけでございます。  そのほか、原子力発電所の安全についての一般の不安を解消するために、いろんな安全性の実証試験といったものを実施しておりますが、その成果をわかりやすくパンフレットに作成をして、説明会を開催するといった活動を行っております。  予算でございますが、五十五年度について申し上げますと、電源特会の分を含めまして、二億五千八百万円でございます。五十六年度の予算といたしましては、二億八千三百万円が計上されております。  それから、総理府の予算と申しますか、総理府が各省庁共通の広報媒体提供ということで、予算措置をしておりますが、その関連で、五十五年度大体一億四百万円程度が原子力広報の関係で支出をされておるという状況でございます。
  233. 中山千夏

    ○中山千夏君 通産大臣にちょっとお伺いしたいんですけれども、政府広報というものが国庫で賄われている以上、そこで流される情報というのは国民の利益に資するものであるべきだというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。
  234. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) やはり政府広報、総理府を初め通産省、科学技術庁もやっておるわけでございますが、やはり政府の考え方といいますか、施策を国民の皆さんに十分理解をしていただくと、このために政府広報の役割りがあると、私はそういうふうに考えておりますし、やはり政府のやる行政、あるいは施策というものと国民が非常に近い関係になるということは大事じゃないか、そういう意味の媒体としての広報の役割りというのは非常に大きいと私は思っております。
  235. 中山千夏

    ○中山千夏君 国民の側から見て、非常に役に立つといいますか、利益になるという広報であらねばならないというふうに私は思うんですけれども、その点はいかがですか、いまお話しになったことに加味して。
  236. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) やはり国民が国民生活を営む上において、政府広報というものが非常に大きい役割りを果たすと、そういう意味の政府広報の姿ということもまた一面大事であると考えております。
  237. 中山千夏

    ○中山千夏君 原子力を担っている方々から、放射能という言葉からくるムードだけで、よく原子力を理解していないで反対する人がいると非常に困るということを聞くんですね。私もなるほどそのとおりだなと思います。やっぱり国民も素人なりに理解をした上で、その上で判断を下さなきゃいけないだろうと。逆に、よくわからないけれども、ただムードだけで何となく賛成してしまうというのも、いまのでんからしますと、主権を持っている国民として非常にだらしない態度なんだろうと思います。だからこそ、国民の理解を助けるものとして政府の広報活動というものが行われる意味が、国民の側から見ますと非常にあるわけなんですね。ところが、科学技術庁の一般マスコミ、活字媒体による広報と、それから通産省が出していらっしゃるパンフレットなどをちょっと見せていただきますと、国民の理解を助けるための情報という部分が、非常に弱いという気がするんですね。大体、その広報が語っているのは、一つには原子力開発の必要性、それからもう一つ、もう原子力は原発として存在しているという既成事実を訴える、それからもう一つ、安全性、この安全性という部分が一番国民としては関心が深いわけです。反対派も安全性というところから反対していることが多いわけでして、当然政府もこの安全性ということについては、広報の中で力を置いてます。だけど、その力の置き方といいますか、それが開発への合意とか、受け入れとか、さっき大臣がおっしゃった政府の方に近寄ってほしいという気持ちがはやる余りに、理解を逆に妨げている部分があると思うんですが、科学技術庁の方々は、そういう反省というものは、広報をごらんになって思われませんですか。
  238. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) まず科学技術庁が行っております原子力広報のうちで、原子力でありますとか、あるいは放射線でありますとか、それに関連します安全問題などについて、一般の方の基礎的な理解を助ける意味での活動を若干御紹介申し上げたいと思いますが、一つにはエネルギーのミニ開発というようなことで、エネルギー事情でありますとか、原子力開発利用の必要性などを簡単なパンフレットで配布しております。それから、放射線の問題につきましては、「放射線と人間環境」というようなことで、これもパンフレットを作成しております。それから、新聞、雑誌等を通じましてのPRといたしまして、「常識として知っておきたい原子力」というようなこと、あるいは「放射線のものさし」というようなことで、たとえば原子力発電所の運転に関連して、一般公衆が受ける放射線の量と、そういう人為的なものと無関係に、天然に存在します放射線の量との対比でどうなっておるかといった基礎的な知識の提供、そういったことにもかなりの力を入れておるわけでございます。  御指摘の利用促進を図る意気込みの余り、そっちの方に力が入り過ぎるんではないかという御指摘は、私どもとしても反省しながら広報活動を進めてまいりたいと思いますけれども、そういう一般の方の基礎的な知識を向上さしていただくという意味での活動もしておるということを御理解いただきたいと思います。
  239. 中山千夏

    ○中山千夏君 努力していただけるということは非常にありがたいんですけれども、いまお話伺っていても、余りにも原子力について御存じであるために、どういうところがわからないのかというようなことがわかっていらっしゃらないのかなという気もするので、ちょっと詳しく説明したいと思うんです。  一口に言って、必要性とか、それから既成事実についての話に比べまして、安全性の話というのは非常にわかりにくいんですね。確かに説明がむずかしいということはわかるんです。ところが、やっぱりわかりにくさの一因というのは、いま私が言いましたように、理解を促すより先に、合意を求めてしまうというところにあるんじゃないかと思うんです。とにかく安全だということを押しつけてしまおうという姿勢が広報をつくるときに出てきている。いわば、形としては国民を子供扱いするといいますか、そういう形で出てきていて、かえって読む大人の素人にとってはわかりにくいというところがあるんですね。ちょっと、例を見ていただきたいんですけれども、これは女性週刊誌に出たものなんですが、文章の中に漫画が入っていまして、これなんて、もう形からして非常に大人に説明する場合の形態だとは思えないんですね。さすがに、ほかの媒体ではこういうものはありませんから、女というのは、よほど子供みたいなものだというふうに思っていらっしゃるんじゃないかと、ちょっと私は傷ついたりなんかもしたんですけれども。この中の文章にしましても、ざっとこういう書き方をしちゃうから、あんまり親切に書けないわけですよね。安全性に関して、「原子力発電で使うウランは、そのほとんどが核分裂しないウランなのです。」なんてぼんと書いてありますと、これは確かにうそじゃないです。だけど、素人としてはそこだけぼんと出てきても、かえって混乱するんですね。核分裂でエネルギーを出すんじゃなかったのかしらと、こういうふうに思うわけですからね、かえって混乱してしまう。  それから、さっきおっしゃった「常識として知っておきたい原子力。」というのは確かに出ています。こういうことを国民に知らしていただくのはすごくありがたいんですね。新聞なんかの報道を読んだときでもぴんと来ますから、いろいろな言葉について。ところが、これ楽しみにして読みますと、やっぱりよくわからないんですね。それで、どこが最もわかりにくいかと言いますと、一番核心であるキュリーとレムという言葉の説明が素人に対しては不親切だと思います。しかも、この食べ物の中の放射性物質というところについては、説明文だとレムと書いてありまして、図ではキュリーの単位しか用いられていないんですね。そうすると、キュリーとレムの関係というのはどうなっているんだろうということが、素人には、そういうことを知らない者にとっては非常にわからないわけなんです。これはどの広報にも言えることなんですけれども、何ミリレム程度は浴びても大丈夫ということがいっぱい書かれてあります。だけど、たとえば、何ミリレムぐらい浴びちゃうと、こういうふうに危ないんだよということについては一つも書いてないんですね、レムに関して。そうすると、われわれ国民は放射能の恐ろしさというのを原爆で持っていまして、放射能アレルギーなんて呼ばれることもありますけれども、そういう土壌の中の国民としては、むしろ不安だったり、このくらい浴びると危ないんだということがまるで抜けていて、これくらい浴びても大丈夫、大丈夫ということはかり書いてあると、かえって疑問とか、不安とかを抱いてしまうわけなんです。  それからもう一つは、通産省の方のパンフレットで、これはすぐ一般の人たちが簡単に新聞のようには手に入らないものだと思うんですけれども、これも非常に安全性を強調していろいろ書いてあるんですけども、書き方とか、方法が素人に対して理解を深めるという方向では非常に不十分だと思うんですね。たとえば、一次冷却水漏れの事故が、どういう仕組みになって、どのような結果を生むのかということについては全然説明がしてなくて、そして安全性の強調のために、ECCSの説明はこんなに細かい図解でしてあるんですね。だけども、第一次冷却水が漏れてしまったらどうなるかということについては説明がないために、このECCSというものが何で安全確保につながるのかということは全然わからないんですよ。そうすると、漠然と、こういうむずかしい機械がついているんだから安全なんだろうと思うか、逆に漠然としているために不安を持ってしまうということになるんですね。  それから、同じ本で、四十三ページのところに、「一般には、放射能とは放射線や放射性物質をさして使われていますが、実はこれは必ずしも正しい言い方ではありません。」と言い切って、以下放射能という表現を使わないで説明がるる書かれているわけです。  ところが、これがしばらく行って、四十九ページになりますと、再び「放射能公害はない」というふうにタイトルで放射能という言葉がぼんと出てくるんですね、放射能という言葉の説明もなしに。  さらに五十六ページに行きますと、「ひと口に放射能という言葉で片づけられているものが、実は放射線や放射性物質であることは、すでに説明しました。」と言って、そしてその後に、「自然に存在している放射能にはどんなものがあるのでしょうか。」というふうに続けられる。こういう書き方をされると、素人は物すごく混乱するわけなんですよね。どうしてこういう書き方になってしまうのかと思って私何度もここのところを繰り返し検討してみましたら、これは故意にか、故意ではないかはわかりませんけども、「放射能とは放射線や放射性物質をさして使われていますが、実はこれは必ずしも正しいいい方ではありません。」と言って、放射能という言葉を退けた部分では、発電所から出る放射線について説明しているんですね。そして、放射能という言葉をいやに積極的に使う部分では、自然放射線のことを説明しているわけなんです。  これは確かに放射能アレルギーを何とかぬぐいたいという窮余の一策なんだろうと思いますけれども、こういう言葉のあいまいな、つまり開発促進に何とか協力してもらうために、それを急ぐが余りのこういう子供だましのような手法がちょこっとまじっていることが、われわれ素人の理解を妨げて、その理解を基礎とした合意を妨げていると思うんです。全般にこれ見ますと、開発への合意とか、受け入れを促すのに急な余りに、ときには子供だましのような手法を用いるんですね。国民のための広報になってないんじゃないかと私は思うわけなんです。国民というのは子供じゃありませんし、公開ヒヤリングのたびに反対派と非常にもめるということも知っていれば、「むつ」のことも知っていれば、それから専門学者の中にも非常に危険だというような考えを持っている人もいるということを知っているわけですよね。そういう知っている国民に対して、とにかく安全ですから心配ない心配ないという式の広報を出したんでは、反対派の説得はもちろんのこと、国民の不安、疑問もぬぐい切れないんじゃないかと思うんですよね。国民はそうよく理解してなくても、何となく開発の邪魔しなければいいんだというお考えなら別ですけれども、本当に国民の理解を得て、その上で合意を得て開発をしていきたいんだというお考えであれば、こうした手法はもっときめ細かに、素人にわかるように、理解できるように、そうむずかしいことじゃないと思うんですね、いま例に挙げたことだけとっても。その辺を考え直すべきだと思うんですけれども、通産省と科学技術庁いかがでしょうか。
  240. 小松国男

    説明員(小松国男君) いま先生から非常に貴重な御意見をいただいたわけでございますけれども、確かに広報活動には、そういう面が必ずしも十分でなかったという感じもいたしております。それで、私どもとしても、できるだけ専門家とか、そういう人を派遣して、むしろ一般の人にわかりやすく、しかも専門的にそれを説明できる、こういう人を現地に派遣するとか、またシンポジウムのようなものを開きまして、そこでいろいろの御質問にお答えする、パンフレットだけではなくて、具体的に人を派遣し、また一般素人にやるやり方だけではなくて、専門的な疑問を持った人に対しては専門的にお答えする、そういう制度もいろいろ新しく検討もいたしておりまして、いま先生から御指摘のような点もできるだけ広報の面に反映させていきたい、かように考えております。
  241. 高岡敬展

    説明員(高岡敬展君) 御指摘のように、原子力の特に安全性でありますとか、放射線の問題につきまして、わかりやすく一般公衆の方に説明を申し上げるということは、正確を期しますと非常にむずかしい話でございまして、御指摘のような点について反省しながら、広報の活動をやっておるわけでございますが、特に私どもの方では、原子力を中心にしました科学技術の広報についての広報専門家でありますとか、あるいは民間の有識者にお集まりいただきまして、いろいろ御意見を承りながら企画をしております。そういった一種の懇談会でございますが、ただいまの御指摘もそういった場でまたいろいろ検討してみたいと思っております。  それから、科学技術庁といたしましては、原子力モニター制度というのがございます。全国に大体五百名の方にモニターになっていただきまして、広報活動その也、科技庁の原子力につきます施策について意見を聞いておるわけでございますが、そういったモニターの方からもただいま御指摘のあったような意見もたくさん出ております。先ほど申し上げましたような研究を重ねまして、まあ一挙にはいかぬと思いますけれども、次第に改善をしていきたいと思っております。
  242. 中山千夏

    ○中山千夏君 研究をお願いします。  ポイントは、やはり私が検討したところでは、余りにも合意を取りつけることを急ぎ過ぎているがためのわかりにくさというものが非常に目につきますので、その点を御留意いただければと思います。  それと、これはむしろ広報室に言うべきかもしれないんですけれども、こういうマスコミに広告を流す場合に、広告代理店との関係が当然できできますね。広告代理店との間に、不当だと指摘されるようなことがあっては、非常に国民の税金でする広報なんですから、申しわけないことだと思うんです。まさかとは思いますけれども、広告業界の激しいさまですとか、それから昨今の検査院の報告なんかを聞いておりますと、ちょっと心配もありますので、そのようなことがくれぐれもないように御注意いただきたいとお願いして質問を終わります。
  243. 佐藤三吾

    ○理事(佐藤三吾君) 他に発言もないようですから、通商産業省経済企画庁中小企業金融公庫及び中小企業信用保険公庫決算については、一応この程度とし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十一分散会      —————・—————