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1981-11-05 第95回国会 参議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年十一月五日(木曜日)    午前十時一分開会     ―――――――――――――    委員異動  十月十四日     辞任         補欠選任      梶原  清君     後藤 正夫君      内藤  健君     鍋島 直紹君  十月十六日     辞任         補欠選任      後藤 正夫君     梶原  清君      鍋島 直紹君     内藤  健君  十月二十二日     辞任         補欠選任      梶原  清君     斎藤 十朗君  十月二十三日     辞任         補欠選任      斎藤 十朗君     梶原  清君  十月二十六日     辞任         補欠選任      江島  淳君     後藤 正夫君      小笠原貞子君     市川 正一君  十月二十七日     辞任         補欠選任      市川 正一君     小笠原貞子君  十月二十八日     辞任         補欠選任      後藤 正夫君     江島  淳君  十月二十九日     辞任         補欠選任      内藤  健君     岡田  広君  十月三十日     辞任         補欠選任      梶原  清君     桧垣徳太郎君  十月三十一日     辞任         補欠選任      桧垣徳太郎君     梶原  清君      岡田  広君     内藤  健君  十一月四日     辞任         補欠選任      黒柳  明君     中野 鉄造君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         桑名 義治君     理 事                 井上  裕君                 山崎 竜男君                目黒朝次郎君     委 員                 梶原  清君                 木村 睦男君                 高平 公友君                 内藤  健君                 安田 隆明君                 小柳  勇君                 竹田 四郎君                 広田 幸一君                 中野 鉄造君                 小笠原貞子君                 柳澤 錬造君    国務大臣        運 輸 大 臣  塩川正十郎君    政府委員        運輸大臣官房長  角田 達郎君        運輸大臣官房総        務審議官     石月 昭二君        運輸省海運局長  永井  浩君        運輸省船員局長  鈴木  登君        運輸省港湾局長  吉村 眞事君        運輸省鉄道監督        局長       杉浦 喬也君        運輸省自動車局        長        飯島  篤君        運輸省航空局長  松井 和治君    事務局側        常任委員会専門        員        村上  登君    法制局側        法 制 局 長  浅野 一郎君    説明員        警察庁交通局交        通指導課長    浅野信二郎君        法務省入国管理        局入国審査課長  宮崎  孝君        自治大臣官房地        域政策課長    藤原 良一君        日本国有鉄道総        裁        高木 文雄君        日本国有鉄道常        務理事      橋元 雅司君    参考人        日本鉄道建設公        団総裁      仁杉  巖君        日本鉄道建設公        団理事      富樫 勘七君        日本鉄道建設公        団理事      藤田 雅弘君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○運輸事情等に関する調査  (青函トンネル建設問題等に関する件)  (特定地方交通線廃止等に関する件)  (軽貨物運送事業者によるタクシー営業類似行  為問題等に関する件)  (運輸省関係昭和五十七年度予算概算要求  に関する件)  (運輸政策審議会の答申に関する件)  (国鉄経営改善計画に関する件)  (外国人船員研修生の乗船問題に関する件) ○連合審査会に関する件     ―――――――――――――
  2. 桑名義治

    委員長桑名義治君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨四日、黒柳明君が委員辞任され、その補欠として中野鉄造君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 桑名義治

    委員長桑名義治君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  運輸事情等に関する調査のため、本日の委員会日本鉄道建設公団総裁仁杉巖君、同公団理事富樫勘七君及び同藤田雅弘君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 桑名義治

    委員長桑名義治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ―――――――――――――
  5. 桑名義治

    委員長桑名義治君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 鉄建公団来ていますか。――時間の関係がありますから先にやります。  十月の八日に、私が北海道を歩いておるときに、北海道新聞で、青函トンネル臨時雇用職員七百五十名の契約を来年の九月ですか、切るという記事を見ましていろいろ調べてみました。そうしたら、きょうとあした、函館現地で何か全国から集まってシンポジウムをやったり、いろんな検討会をやると、私も何回か現場に行っていますからその辺は省略いたします。  ただ、時間の関係がありますから、一つ総裁にお伺いしたいんですが、どうしても来年の九月に解雇をしなければならない条件が客観的にも主体的にも熟しているんだろうか、こういうことについて、私いろいろ心配をしているわけですが、その辺の客観的にも主体的にも熟す条件が来年の九月をめどにあるのかどうか、まず総裁から見解を聞きたいと、こう思うんです。
  7. 仁杉巖

    参考人仁杉巖君) 青函トンネル海底部分工事につきましては、先生もう御承知のとおり、非常に経験したことのない海底下を掘削するということでございまして、まあ断層等も十数本あるというような事情が見込まれております。また止水注入工事そのものもいままで経験したことのないような技術を使わなければならないだろうという想像がございまして、また地上と違いましてそれらの実態を細かく見るという、調べるという方法にも制限がございまして、なかなかよくわからないということでございましたために、御承知のとおり先進導坑というものを先行させまして、それによりまして青函トンネルの掘削を容易にするというようなつもりで先進導坑を掘ったわけでございます。  そのために、実はこれを一般の土木工事と同じように請負工事に出すかどうかという問題がございましたけれども、やはりいままで国鉄時代にもございましたが、公団自身が坑夫を雇用するというような形で直轄工事をいたし、それによって研究あるいは調査、あるいは試験というようなことをスムーズにやっていくというつもりでございます。そのために、御承知のとおり直轄という特殊な体制でこの工事にかかったわけでございます。  それで、現時点におきまして、その先進導坑あと二キロ余りいま残っております。この状態で続いてまいりますと、大体現在の見込みでは五十七年、来年の九月には貫通し終わるのではないかという予想を立てております。いま申しましたように、一般的には請負工事の方が非常に能率がいいということははっきりしておりますけれども、いま申し上げましたような事情直轄工事をいたしましたが、一応先進導坑両方でドッキングをするという状態になりますと、もう直轄でするという大きな使命は終わるということになります。そこで、一応公団といたしましては、臨時職員方々に対しまして、来年の九月をもって直轄体制を終わるということでございます。
  8. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは、私がこの組合側から、まあ私も技術屋の端くれですから、いろいろそれなりに聞いたんですがね、いま総裁が言ったとおり、その先進導坑が約二キロ、これは合っていました。それで、おたくの方は来年の九月に貫通すると言っているんですが、組合側現地でやっている皆さん意見を聞くと、この前、社会党運輸部会現地へ行っていろいろ勉強会をやったんですが、大体一カ月百メートル前後だと、進捗状況が。百メートルというと、二キロですから二十カ月かかるんですよ。中間とっても十五カ月。そうしますとね、来年の九月に云々というのは、おたくの方の計画と、実際現場で仕事をする諸君、皆若い技術屋ですが、その皆さん意見とでは大分食い違いがあると思うんですよ。ですから、私はここで、国会でどうのこうのということは専門でありませんから申しません。ただ、その先進導坑進捗ぐあいについて現場技術屋さんと公団のおたく余り差があるというのはやっぱりよくない。ですから、もう少し詰めてもらいたい、具体的に、専門的に。  それから二つ目は、時間がないから言いますが、この地方は、ここに自民党山崎理事もおりますが、私も東北ですが、同じ東北でも青森県というのは雇用条件が特に悪い。それから北海道でも、函館は一番悪い、あの函館ドックも含めて雇用条件が非常に悪い。その悪い条件のところに両方で七百五十名も解雇者を出されたら、これは大変なまた社会問題を起こす、こういうことを考えますと、その点は慎重にやってほしい、慎重に。  そして、従来のルールによりますと、これは一年契約だそうですね、毎年。長い方では大体十七年、平均で十年という調査でした、この前社会党調査では。ですから、中途半端な九月なんて言わぬで、やっぱり年度年度できちっと区切るような形で配慮をしてほしい。それから、十七年――平均十年ですから、これは臨時雇用人といっても常用工と変わりないですよ、実態は。したがって、十分その配転といいますか再就職といいますか、そういうことについては、何か付帯工事の問題についてもいろいろ話があるらしいんですが、それらについては後ほどまた運輸大臣にお願いするとして、やはりその区切り区切りを、一年ならば一年という区切りをつけて、一年前から前もって労使間で団体交渉するとか、あるいはいろんな条件についてもう少しきめ細かい配慮をしてやるべきじゃないか。  来年の九月だというので、きょうも現場から何人かの人が集まって青森函館で集会やっているんでしょう、不安定だから五名、十名集まっちゃうんですよ。これがずっと続いたら、結局おたく計画した来年九月のところがどんどん延びていってしまうんじゃないですか。私は、あえて順法闘争やれと言わぬけれども労働者が不安であれば、やっぱり労働意欲が鈍りますよ、これは総裁が何と言われたって、新幹線運転士も含めて。ですから、労働者に安心をして持てる力を全部発揮してもらう、そのためにはある程度余裕を持って十分に団体交渉をして詰めていく、そういう配慮を、青函トンネルは世界一の技術屋さんですからね、土木の。だからそのぐらいは総裁も、余り行革に気を使わないで温かい措置をしてもらいたい、それが地域社会に対する鉄建公団の、青森地区函館地区に対する一つの務めじゃないかと、こう思うんです。  一気に言いましたから、このことについて総裁誠意を持って目黒提案検討して対処するという気持ちがあるかどうか、もう途中の経過は私話しましたから、おたくの心構えだけでもいいからこの際話してもらいたいと、こう思うんですが。
  9. 仁杉巖

    参考人仁杉巖君) 先生指摘のとおり、青函トンネル進行状態がかなり現在難航しているという事実もございます。したがいまして、組合に通告いたしましたときにも、一応来年の九月末をめどとしているけれども、来年度雇用につきましては来年の年度当初の状況によって決定をする、もう一度相談をするというようなことにしておりますので、必ずしも九月ということにこだわっているわけではございません。  次に、いま御指摘がございました誠意を持って当たれという問題でございますが、これにつきましては、実は私も非常に青森あるいは函館雇用状況が悪いということを承知いたしておりますので、昭和五十四年の三月の末でございますが、この直轄臨時雇用人雇用問題の対策委員会現地につくらせました。また本社には副総裁を長といたします青函トンネル直轄工事対策委員会というものをつくらせまして、十数回にわたりいろいろ検討を加え、さらに幹事会も同じような回数開いているということで、いろいろ検討をいたしております。いま目黒先生の御指摘のございましたように、長い人は十七年にも及んでおりますので、これらの方々の処遇につきましては誠意を持ちまして、いろいろな対策が考えられると思いますが、それらにつきまして私も誠意を持って対処いたしまして、できるだけこの方々雇用の不安を与えないような努力を重ねてまいる所存でおりますので、よろしく今後も御指導願いたいと思うわけでございます。
  10. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 まあ総裁がそう言ったから、後は私は経過を見ましょう。きょう、あすの現地の集会、私もあしたできれば現地に行きたいと思っています。それでいまの言葉を実際やってもらいたい。  運輸大臣にちょっとお伺いしますが、いま総裁がやりとりでおっしゃったとおり、青函付帯工事ね、何かこの前運輸省で決めた、木古内とかなんとかって言っていましたね。それで、この付帯工事についても、国鉄の直営でやらせるか公団でやらせるかというのはいろいろ争いはあると思うんですが、いま言った青森函館特殊事情を考えて、付帯工事についてもやっぱり鉄建公団にやらせる、そういう雇用面からの政治的な配慮などについても十分に運輸省でも配慮してもらいたいと、こう思うんですが、これは大臣にその決意のほどを聞かせてもらいたいと思います。
  11. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 付帯工事とおっしゃるのは結局アプローチの工事だと思うんですが、これは鉄建公団工事するということになっておりますが、鉄建公団直轄でやるのか請負でやるか、そこらはまだわかっておりません。でございますけれども雇用問題というのは、かねてから仁杉総裁からもしばしば相談もございますしいたしますので、私たちもそういう事情をわきまえた上で活用できるようなものはできるだけやっぱり活用しなきゃいかぬと思いますし、よく相談をして進めていきたいと思います。
  12. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大臣ね、私は、いま直轄臨時雇用人ですから、この直轄臨時職員雇用できる条件といえばやっぱり直轄でやってくれということなんですよ。それは公団が最終的に決めることでしょうけれども、私は雇用問題から言えばやっぱり直轄事業としてやってもらいたいという強い要望を持っているということをひとつ表明しておいて、大臣総裁両方とも十分に検討してほしい。いろんな障害があればわれわれまた障害を排除するために努力することはやぶさかでないという見解を表明しておきます。  それからこれが出たついでに、このごろ私、青森へ行ったり函館へ行ったりしてるんですが、地元新聞にわいわい書かれているんですね、整備五線にかかわる何ですか、自民党内部の内紛というんですか御相談というんですか、ずいぶん新聞におもしろおかしく、ここに山崎先生おって申しわけないけれども、まあおもしろおかしく、うちの方の仙台の河北新報出発点にして書いてあるんですよ。結論から言うと、整備五線のうち北陸線盛岡以北がしのぎを削っている、やや南の方が優勢、青森が危ない、塩川運輸大臣はこまのように右へ行ったり左へ行ったり揺れていると、そういうふうに新聞に書いてあるんだ、ここに。後でゆっくり見てください。どっちにしても、いま雇用問題もありますし、あと新幹線青函トンネルをどうするかということでまた総裁に聞くんですが、これだけの金をかけて青函トンネルを掘って、それで開通しようとしているんですから、新幹線盛岡まで行って途中抜かれて青函トンネルだというのはちょっとせっかくの投資がむだになるんじゃないですかとこう思いますが、やっぱり盛岡-青森間をつなぐということを交通政策面からは最優先に考えるべきじゃないかと、私はそう思うんです、せっかく投資してあるんですから。その点について大臣見解はいかがですか。整備五線のうち東北新幹線をやっぱりつなぐというのが交通体系上理想的な姿だという御見解はいかがでしょうか、大臣
  13. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 現在、御承知のように五十六年度予算におきまして国鉄並び鉄建公団にそれぞれ調査費が二十億とそれから建設費といたしまして四十億ずつ、合計百二十億の予算がついておるわけでございます。この予算をやはり運輸省としては執行しなきゃならぬ。そこで、それじゃその五線一度に全部できるかといったらとてもじゃないができない。そういたしますと優先度をつけなけりゃならぬ、着工の順位をつけなけりゃならぬ。しかし、これは御承知のようにどの地域へ行きましても、新幹線を早く引っ張ってほしい、こういう要望がございますので、いま私の方としては、要するに採算性なりあるいはそれが国の輸送体系上どのような影響があるかというそういう観点から検討しておりますが、その前にわれわれとしてやらなきゃならぬのは、アセスメントをまず公開をし得るように持っていきたいということでございまして、その結果アセスメント地元検討していただいて、そこでルートなり訳なりというものの検討をさらに加える、これがまず第一の手順でございます。その上で、今度は御承知のように地方負担というものをしてもらうことになっておりますし、国の負担も決めなきゃなりません。  要するに今度の整備五線は国鉄投資をゼロにいたしたい。いわばアクセスの確保という点から、国鉄は、経営上それはとてもできません、しかしアクセスとしてはそれだけのものはやらなけりゃいかぬ、そういう観点からいっておりますので、ですから国と地方との負担というものも決めなきゃならぬ。でございますから、私たちはどこを重点にするかということは近く決めなきゃならぬと思うんですけれども、世上言われておるような、ただ何といいましょうか政治的な勢力のみで見ておるのではなくして、先ほど言いました採算性緊急性というものを十分にとらえて決定いたしたい、こう思っております。
  14. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いま大臣の言うことはもう新幹線整備法の一部改正のとき大分聞いているからそのオウム返しは要らないですよ。ですから、今日の情勢でいろいろ新聞に言われていることについては、できれば私は新聞で見る情報ではなくて、少なくとも、委員会でやってもらえば一番いいんだけれども委員会がなかなか開かれないから、各党理事とかあるいは各党運輸の代表ぐらいにはしかじかだという中間報告なりあるいはお知恵拝借ということがあってもいいじゃないか。もう国会は開かれないと、運輸委員会で話したことが、全部行政だけが一人歩きして、こっちから聞かれないと答えようとしない、聞いてもろくな返事もしようとしない、こういうことでは困るので、運輸省が、運輸行政が一人で歩くんなら勝手に歩きなさいと、こう言いたいんですよ。やっぱりそこは、大臣、あなたの苦衷はわかるけれども、少なくとも各党ぐらいに、与党の方はあるのだろうけれども、野党の方にもやっぱり中間的なことぐらいは話してもらいたいと要望だけしておきます。  私はいま言ったことからいっても、盛岡-青森間はあなたが言ったことをそのまま受けとってもやっぱり最優先だなと、私は国鉄四十年の生活からそう思っています、党派を抜きにして。北陸線も知っていますし、長崎線も知っていますし、鹿児島線も知っています。国鉄全部知っていますから、自分の経験から言うと、同じ金をかけるのならやっぱり中途半端の盛岡-青森が最優先だなと、こう思っていますから、これは見解として表明しておきます。  それから、総裁、この青函トンネル、これいろいろ言われるんだけれども、これは国鉄経営して、七百億とか八百億といま言われていますが、これ償還できるだけの見通しあるんですか。この青函トンネル公団が完成して国鉄でやりなさいと言われたとき、これを使って採算がとれる見通しがあるのか。いや赤字赤字だ、青函トンネルも、でも国から押しつけられるならしようがないと、こう思っているのか。青函トンネル開通国鉄の財政ということを総裁はどのようにお考えですか。
  15. 高木文雄

    説明員高木文雄君) まだ建設中でございますけれども、完成した後、私ども運営をやるということになる場合には、現在の鉄建公団負担をどう予定するかという問題が一つあるんでございますけれども、仮にCD線と同じような負担になるんだということになりますと、大体私ども鉄建公団にお支払いする借り上げ料が一年間に八百億ぐらいになるんじゃないかというふうに考えられております。運営によりまして収入が上がってくるわけでございますけれども、その収入と、今度は運営のための線路を保守したりあるいは運転をしたりという経費等を考えますと、その収支差は現在の船舶を運営していく場合のランニングコスト同種を比較しますとほぼ見合うことになるんではないか。これは運賃をどうするかというような問題もあるんですけれども、現在運賃で考えますとそういうことになりはせぬか。そうなりますと、結局借料分だけがどうも経営的には負担増になるということではないかと思うのでございます。現在御存じのような全体としての経営状況でございます場合に、さらにそれだけの負担が毎年発生するということは経営上非常に困るわけでございます。  現在、青函トンネル工事費負担をどういうふうにするのかということについては決まっていないわけでございまして、AB線方式なのか、CD線方式なのか、あるいはまた別の方式なのかという負担方式がまだ決まっていない。鉄建公団と国との間では負担方式を決めないまま工事の方が進捗しているという、ちょっと異例のことになっております。  そこで、このトンネルの持つ意味というものを考えてみますと、確かに私どもとしても、船で行きますよりは鉄道で行った方が安全という面からいきましても、過去におきます台風のときの被害というようなこともありますし、また海上ですとしばしば欠航するということも起こりますので、トンネルができることは好ましいことでございますけれども、しかし、これは鉄道だけではない、このメリットは。長年の念願である本州と北海道というものがいわば陸続きになるという意味があるわけでございますので、そういう意味からいきましても、この建設費を通常の方式といいますか、CD方式で私どもが結果的に負担を負わなければならぬというのはいかがなものかという気持ち国鉄としては持っておるわけでございまして、何とか青函トンネル負担方式について、なるべく早い時期にしかるべく結論を出していただきたいという気持ちは持っておりますが、現在いわゆる行革問題とか、予算上のシーリングというようなこともございましょうから、今日ただいまの段階でそれを急いで決めてくださいというわけにもまいらぬので、念願としてはそういう気持ちを持っておりますが、いま直ちにこれを解決方をお願いするということも少し無理かなというのがいま私どもの考え方でございます。
  16. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大臣ね、私は総裁の言うとおりだと思うんですよ、私も一ヵ月に三回か四回青函連絡によって往復しますから。いま青函連絡を利用しているお客さんの階層なり、その数から見ると、これは青函トンネルが開通してもお客さんふえるかどうかというと、私はふえないと見ています、ふえないと。そうしますと、青函トンネル国鉄にやれといったら七百億から八百億の年間の赤字と、赤字累積わかっておって国鉄におまえやれというのも、これは政策としては私は下の下だと思うんですよ。  だからそこのところは、青函トンネルを開通することによって国鉄にいままで以上の負担がかかる、そういうことのないようにやっぱり政治として私は判断すべきだと。そうしないと国鉄の四十万の職員がかわいそうですよ、何でも何でも赤字のしりぬぐいを国鉄にやらせてね。ですから、やっぱり青函トンネルは国の責任で処理してもらいたい。どうしても運営するなら特殊法人をつくったらどうですか、国鉄赤字が何とか見通しつくまで、国の責任で。そして国鉄は通行料一人当たり幾ら、一トン当たり幾らと国に払えばいい、通行料を。たとえばそういうぐらいのアイデアを持ってやっぱり国の責任で処理をしてもらう、国の責任で運営する。国鉄運営しろというなら、その赤字分は政府の責任で見る、これ以上負担をかけさせないという政策的な配慮が必要だと思うんですが、いかがでしょうか、大臣
  17. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) この青函トンネルはまさに時代の流れと申しましょうか、交通機関の変遷そのものをもろに受けておる。そういう意味においては私は、国鉄はこの現在の立場から見ますと強要されておるように見えるんですけれども、このトンネル開削を最初に手がけました二十年前、その時分は、国鉄が懸命にこのトンネルを掘りたい、そして本土と北海道を一本にしたいということで、その計画の発議をしましたのもやっぱり国鉄で、でございますから、国鉄が利用するという前提のもとにこのトンネルは掘られてきた。そういう事情もやっぱり考えなければならぬと思うんです。といって、おっしゃるように、これ全部それじゃ国鉄運賃で賄えと言ったってこれはなかなか私はできないと思っております。  ですから、今度の経営改善計画を、六十年までの経営基盤確立というあの目標を立ててやりましたときにも、青函トンネルのいわば借料、これの運用に伴うところの営業損というものは経営改善計画からは抜いてあるわけでございまして、したがって、今後この処置をどうするかということは財政当局と相談をして善処しなければならぬだろう、こう思っております。  仰せの趣旨はわれわれも十分よく理解できますし、私たちもその気持ちでございますけれども、しかし、それじゃいまどんなぐあいに解決するのかと言えば、いまこういうぐあいにしたいというような成案がないという状況でございまして、鋭意努力してまいります。
  18. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そんなきれいごとでは現在の厳しい国鉄財政の問題はやれないですよ。ですから、われわれもそういう点が、大臣がそんなきれいごとじゃなくて、政府の責任で処理するということに明確にならない限りは、将来は青函トンネルの試運転を始めると言ったって、われわれ青森とか函館の勤労の乗務員はその試運転には協力しませんからね。そのくらいの決意持っていますから。いろんな年金問題から貨物の問題からローカル線の問題から、一切合財のしわ寄せを国鉄に負わして、国鉄よりも国鉄の職員ですよ、職員にその責任を負わせて、政治は逃げよう逃げようとする、そんなこれ以上政府のしりぬぐいはたくさんですよ。きちんとしないうちは青函トンネルの試運転などは一切われわれの乗務員は協力しない。あれ全部函館青森もオール勤労ですから、新幹線も含めて。そういうかたい決意でいますから、これは他人事でなく、もう少し真剣に政府の方は考えてほしいということを要望として言っておきます。  それから、同じ赤字のローカル線ね、このローカル線の問題も、これは本当に私は何回か委員会を開いてくれ、理事会を開いてくれと要請したんですが、いろんな都合でできません、残念でした。  ただ、大臣、これだけお伺いします。九月の十七日に決算委員会で、各関係知事が全部反対する、市長さんも町長さんも反対する。これだけの反対意見があればひとつ早急に、国会の召集も日程に上っているのであるから、そこまで待ってもらって、この運輸委員会を開いて関係の県知事、特に北海道、九州というのは非常に根強い。関係の知事を委員会にお呼びしていろんな意見を聞いて、運輸省もわれわれ委員会も真剣に対応策を考えてみたらどうか、そういう努力をしてから大臣承認しても遅くはないではないか、こういうふうにして大臣の政治的な判断を要請したんですが、あのときは決算委員会ですから、私はそれ以上追及しませんでした。あの決算委員会の要請を受けたあなたが、全然社会党の提案を無視して、十八日に強行突破したわけですね。その強行突破したあなたの立場はどうなんですか。社会党などはもう関係ない、全国の知事の反対などはくそ食らえだ、政府がごり押しすればいいんだということでおやりになったんですか。それとも何か別な塩川運輸大臣らしい考えがあって、何か別な考えで私の提案が無視されたんでしょうか。その辺のあなたの心境といいますか、政治信念といいますか、それを聞かせてもらいたい。それによってはわれわれもわれわれの考えがある、こう思うんですが、大臣、答弁願います。
  19. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) この委員会検討するからという申し入れを私はお聞きいたしましたが、確かに決算委員会でございました。でございますから、これはやっぱり国会の方で、委員会の中で決めていただく問題かと思っておりますが、しかしそれは私はあえて申しません。私の方からも積極的に委員会に働きかけをしなかったということも事実でございますから、これはあえて私は申し上げませんが、しかしそれはやっぱり委員会自身として決めていただく問題だという私は認識を持っております。  そこで、知事の意見、市町村の意見を聞かないでやったという仰せでございますけれども、この問題は、御承知のようにもう十年間地方自治体と話し合いを続けてきておるものでございまして、ただ九月十八日一日云々の問題じゃないわけでございます。しかも、私は大臣に就任いたしまして、政府が強い決定をいたしまして、運輸省がとにかく赤字ローカル線対策に取り組めという政府の決定がされた。それ以降私たちは法案の審議に御協力もいただいていろいろとやってまいりましたが、その間において、ただ国会の審議だけではなくして、市長会あるいは知事会、こういうところと、あるいは自治省、建設省たび重ねて協議してまいりました。私は、この法案が成立いたしました昨年の秋以降、政令を制定いたしますまでに何遍となく自治省あるいは知事会と話をしております。その間徹頭徹尾反対しておりますのは、とにかくおれが知事をやっておる間には手つけんといてくれ、あるいはこの線をしたら後はどうなるか責任持てぬとか、そういういわば対応策を対案として出すのではなくして、現状凍結のみでございまして、何らそこに私は建設的な意見はちっともなかったと断言してはばからないと思うのであります。  でございますから、これは省令をつくるときにそれでは知事の意見はこれだけは聞きましょう、それから政令の段階におきましても知事の意見は聞きましょうということで、いわば当初の特定地方交通線から見ましたら、世間で言っておりますのは、マスコミで言っておりますのは、非常な後退ではないかと、こう言われておるのです。そこまで私たちは知事会とも話をして対象路線から外す努力もしてきたんです。けれども、どうしてもエネルギー問題なりあるいは将来の利用度というものをしんしゃくいたしまして一つの基準で引かざるを得なくなった。それは目黒先生もその事情は十分御承知のはずです。  そこで、地方自治体の長、首長というものは、それじゃあ赤字ローカル線廃止賛成でございますとか、あるいはそれじゃあそれを前提にして協議いたしましょう、これは政治姿勢として私言えないと思うのです。でございますから、いつまでこれは話し合っても結局はその結論は出てこないということで、九月十八日に承認をしたと、こういういきさつでございまして、まあ知事の意見を聞かないとおっしゃれば、それは確かに議会の中でそういう御要望があったことは承知いたしておりますが、しかし知事の意見、市町村の意見というものを私は十分に聞いて、政令、省令の中で消化し得るものはしてきたという信念を持っております。
  20. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 それは全国知事会あるいは全国市町村長会議からあなたのところに何通か具体的な質問書が行っていますね、そして回答してくださいと。回答を読む限り、あなたの抽象的な答弁を文字にあらわして回答しているだけで、関係市町村長、県知事は納得できない。ただ例外は、岩手県の知事だけは、これは鈴木善幸さんのおひざ元だから、岩手の中村知事まで反対したんでは善幸さん宙に浮いちゃうからね、だから渋々何だかわけのわからない第三セクターなんというものをつくって、そして善幸さんの顔を立てている。私は見ものだと思うのですよ。私は気仙沼の状況もよく知っています。三陸鉄道状況もよく知っています。あんなことで第三セクターね、お手並み拝見だと私は見ていますよ。これは善幸さんの立場もあるから。善幸さんが総理大臣でもやめれば第三セクターは反乱軍でも起こすでしょう、これは岩手県知事として。  私は提案します。委員長委員会が決めるというなら、十一月二日現在発足したのは岩手県だけですね、あと、私の宮城県も含めてどこの県もまだ発足していない。北海道は絶対反対、やるのなら勝手にやってみろというくらいだ、北海道は。  ですから、私は提案します。あなたが委員会で決めるというなら、この委員会北海道とか福岡とかそういう関係の知事さんを参考人として招喚して、十分地方意見を聞きたい。現に十一月二日は一回しかないんですから。あとの三十三線区はいまだに発足できないんですから。そんな行政がありますか。ですから、委員会としては知事さんを呼んで、どこの知事を呼ぶとか、どの町村長を呼ぶかはまた別途理事会で相談するとして、委員会に招喚して早急に事情を聞く、そういうことについて、後ほど理事会で諮ってもらいたいということをまず提案します。
  21. 桑名義治

    委員長桑名義治君) 後ほど理事会で協議をいたしたいと思います。
  22. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは時間がないですから、いろいろ言いたいこといっぱいあるんですが、社会党が提案した四つの問題ね、会議の議長の問題、公開の問題、見切り発車の問題、残存の可能性の問題。この問題についてはこの議事録を見ますと十月二十三日衆議院の運輸委員会でやられていますから、時間がありませんからもう答弁要りません。ただ、きわめて不満であるということだけは参議院の段階でも表明しておきます。  具体的に倉吉線とかという問題で、この前鳥取県の補選がありましたね、小林さんが当選されたそうですが。その問題を含めてうちの広田委員から関連質問で、私の持ち時間内でひとつお願いします。
  23. 広田幸一

    ○広田幸一君 いま目黒委員が言ったんですが、この間私のところは参議院の補欠選挙がありまして、御承知のように狭い鳥取県には倉吉線と若桜線と二つあるんですね。この廃止問題が選挙のときのローカルの最大の争点の一つだったわけですよ。ところが、私たちはこの問題は最初から反対しているわけですけれども自民党の方もこれには全く反対だということなんですね。そして運動員がその沿線の地域に行きまして、廃止を食い止めるのは社会党ではできない、政権を持っておる自民党でなければできない、そういうことを言っておるんですね。あのときは閣僚の大半が見えました。塩川運輸大臣も見えるんじゃないかと思っておったのですが、やはり大臣は賢いですね、火中のクリは拾わない、私はそう見ておるわけですが、ほとんど大臣が見えましたのに運輸大臣だけは見えなかった。  それはそれとして、いま目黒委員が言ったのですが、私もきのう来てちょっといままでの経過がよくわからないのですけれども、十一月二日を開始希望日にしながら、三十三線がいまだもって開始できないというのは一体どういうところにあるのか。法律の十条の第一項によりますと、「会議開始希望日が到来したときは、遅滞なく、その会議を開始しなければならない。」となっておるわけですね。ですから、大臣がこの希望の日を決めたときには見通しというものがあったと思うんですね、こういう法律があるわけですから。ですから開始ができるというふうに判断をされたのか、その辺の状況の判断を、ひとつまずお知らせいただきたい。
  24. 杉浦喬也

    政府委員(杉浦喬也君) 九月の十八日に運輸大臣が承認をいたしまして、その後経営改善計画の変更が必要になってまいりました。これは御承知のように、協議会の開始希望日、これを織り込むという必要があったわけでございます。国鉄の方で検討をいたしまして、その後申請があったわけでございますが、私どもの方は、九月の十八日承認以来約一カ月半でございますか、ぐらいの間に地元方々と十分お話し合いをすることができる、それによりまして、おおむね十一月の初めにはスタートが可能であるというふうに判断をいたしまして、国鉄からの十一月二日、これは例外若干ございますが全般的には十一月二日、こういう希望開始日につきまして、経営改善計画の変更承認をいたしたわけでございます。
  25. 広田幸一

    ○広田幸一君 きのうちょっと議事録を見ますと、十月の二十三日の衆議院の運輸委員会で、開催の問題で、二人以上集まった場合には協議会が開催できる、こういうふうに鉄監局長が答弁していますね、これきのう見たのですが。これは何かそういう根拠があるのですか。二人集まったならばできるということは、仮に地元がその会議の開始に参加をしなかったならば、運輸省の方あるいは国鉄の方として二名集まったならばやるんだという、そういうふうな意味合いにとれるわけですが、二人集まったならば開催できるという根拠はどういうところにあるのか。
  26. 杉浦喬也

    政府委員(杉浦喬也君) この協議会の性格からまいりまして、協議会は転換後の代替交通機関、これが十分に確保されるための協議機関である、したがいまして、関係方々がほぼ全員お集まりいただきまして協議を重ねることが望ましいことはもう当然でございます。ただ、前回のやりとりの中で、御質問の中で、じゃ何人かというようなお話がございまして、理屈だけを申し上げれば、二人でもそれは代替交通機関の御相談は可能でございます。ただ、私どもといたしましては、決して二人で開催する意思は毛頭ございません。やはり全員が都合をつけていただきまして、そういう時期を選んで全員が集まったときにお話し合いを開催をさせていただきたい、こう考えておるわけでございます。
  27. 広田幸一

    ○広田幸一君 時間がありませんからひとつ簡潔に御答弁願いたいのですが、この施行令の六条と七条によりますと、この会議を開催する場合には、これは行政機関の陸運局長地方建設局長鉄道管理局長、それから都道府県知事、市町村長、こういうものがありますから、ですから、地元が参加しなかった場合は陸運局長地方建設局長二人が集まっただけでも会議ができるということになるわけですから、やろうと思えばできるという、こういうことになっているわけですね。  そこでどうですか、これから地元が参加しない場合でもやる意思があるかどうか、強行突破するという意思があるかどうか、その辺のことを簡単にひとつ答弁願いたい。
  28. 杉浦喬也

    政府委員(杉浦喬也君) 第一回の協議会の開催は、これは地元の方にとりまして大変ないわば一つの時期だと思います。いままでのいろいろな御意見の中でやはり開催をしたくないという御意見もございます。私どもといたしましては、やはり全員がこの開催につきまして御理解をいただきまして、全員集合していただくということを念願をいたしております。また、これからも誠心誠意お話をいたす結果、そうしたことが御理解いただきまして全員がお集まりをいただけるものというふうに確信をいたしておるところでございます。
  29. 広田幸一

    ○広田幸一君 そこで、こう確認をしますよ。それじゃ地元の人たちが、いろいろなお話し合いをして、了解をしてその会議に参加するまでは会議は開始しない、こういうふうに確認をしてよろしいですね。
  30. 杉浦喬也

    政府委員(杉浦喬也君) 誠心誠意そのように努力を私ども並びに国鉄はしたいと思います。
  31. 広田幸一

    ○広田幸一君 大臣に、私、これはいままでの委員会でも言ったように記憶しておるわけですけれども、なぜこういう四十線の地方ローカル線の沿線の住民の人たちがこんなにまで反対をするかという理由は、これは知事会とかあるいは市長会等からいろいろ意見が出ておりますから大臣も十分御承知ですけれども、私は、一貫をしておるその理念というものは、国鉄の再建は国民全体が協力してやらなければならない、それはその住民の人たちもわかっているわけですよ。ただ、不公平の問題、不公平があると言っているわけです。国鉄再建にはいろいろと経営改善計画等がありますけれども、さっきも青函トンネルのこともありましたが、実際に赤字をなくする具体的な政策が本当にあるのかどうなのか。  今度五十五年度の決算の内容を見ましても、せっかく出発した経営改善計画というものを、もう一遍初めから計画をやり直しをしなければならないというようなことも新聞で言われておるわけでしょう。ですから地元の人たちとしては、国鉄経営を再建する、すると言いながら、まだまだ軌道に乗っていないじゃないか。だのに、この地方ローカル線だけ先行してなぜ切らなければならないのか。しかもあの計算から見ますと、四十線を全部含めて百分の一程度でしょう。百分の一程度の赤字をなくするために、特に最も被害を受けるその地域の住民の皆さんが、なぜわれわれだけが先行してそういうような犠牲を負わなければならないのか。政治の公平の原則というものが立っているわけですからね、私は、こんな無理をしてやらないで、国鉄の再建計画が本当に軌道に乗って一つの実績が出るまでは、この廃止の問題は一時凍結をする、そしてその間に各線ごとに、どうしたならばこの利用率を高めるか、乗車の人員をいかにして高めるか、あるいはその地域におけるいろいろな開発等の問題について、地元もあるいは行政機関も政府も、一体となってそういう努力をしていく、それまで待ったらいいじゃないかという、私はこの意見はそう無理な意見ではないと思うんですよ。大臣、どう思われますか。
  32. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) お尋ねが私は三点あったように思うんですが、一つは、経営改善計画を変えるということがマスコミに書かれておる。マスコミはいろんな立場上、あるいはいろいろな観点持っておりますから、そういう表現をすると思いますが、私たちは、経営改善計画の改正であるとか見直しをするとかいったことはもう全然ございません。それは国鉄でもないと私は信じております。もしそういうことを国鉄が考えておるというならば、これは自分の出したペーパーに対して自分でどろをかけておるものだと思うのでございまして、そういうことはない。ただし、経営改善計画というのは、六十年までに絶対やらなけりゃならない、いわば努力の可能な最低限を見積もったものと私は認識しておりまして、それ以上、経営改善計画にうたわれておる合理化よりはさらに上回って合理化をして経営基盤を強固にしたいと、こういうことを国鉄は言っておるのでございまして、そこは間違いのないようにしていただきたいと思うのであります。でございますから、経営改善計画に上積みした合理化は、これは国鉄として当然自助の努力を、実績を積み重ねていくであろうと、こう思います。  第二番目の問題でございますが、つまり国鉄経営が改善されるまで、その見通しがつくまでこの赤字ローカル線問題をたな上げしたらどうだという意見、これはもう昨年から知事会はこれを非常に強く言ってきております。しかも知事会の言っておりますのは、現在のような国鉄の労使のあり方について根本的に考えるべきではないかという意見もついておることを申し上げたいと思うんです。そういう、現在、抽象論と申しましょうか、そのことをもって実際に個々の対応路線の話し合いに応じないということ、このこと自身も私はいかがなものか、それよりも、もっと地域交通ということを真剣にその地元の責任者が考えるといたしますならば、いろんな地域交通のとり方が逆にあるのではないか、それを私たちは討議の場所を持ちたいと、こう言っておるのでございます。ですから、いわば国鉄経営問題と赤字路線というものとは、私は議論を切り離して考えていかなければならぬという終始一貫した方針でございます。  それからもう一つの問題といたしまして、確かにこの赤字ローカル線が地域に影響を及ぼすところは大きい、私たちはそれはもう十分承知しております。でございますから、たとえば鳥取県一つとってみましても、廃止する線は廃止していただいて、そして新しく建設しようと希望しておられるところはわれわれも積極的に取り組んでいきます、だから国鉄を時代に合った国鉄にしてくださいということを私たちは言っておる。ニーズの変化というものに対応できる国鉄にしてもらいたいということを訴えておるのでございまして、この点に関しましては、私は県民の方々の中にいろんな考え方が現在あるのではないかと、こう思っておりまして、粘り強く私たちも対応していきたいと、こう思っております。  それから最後に、これは鉄監局長の答弁の中にもございましたんですが、この協議会を発足するに際しましては、できるだけ私は全員のメンバーがやっぱりそろうていただく、鉄監局長もそういうことを希望しておりますと言っておりますし、その努力をいたすと、こう言っております。でございますから、私はこの協議会が発足し、協議をしていただくような体制をとってもらいたい。これをかたくなに、もう死んでも出席せぬのだと、レールをまくらにおれたちは闘うんだと、こういう話でございましたら、これは協議会の成立そのものにどういう要件を考えるかということも検討せざるを得ないと私は思うのでございまして、そういうことにならないように努力いたしたいと、こういうことを鉄監局長が言ったことをつけ加えさせていただきます。
  33. 広田幸一

    ○広田幸一君 時間がありませんから最後に、私の意見になるかもしれませんが、大臣にしっかり私は申し上げておきたいと思うんですが、三つの点です。  一つは、この国鉄再建でだれが一番その痛みを受けるかということですね。金がかかるわけですから、それは回り回っていけば国民がその負担を負わなきゃならぬということになるわけですけれども、直接的な被害を受けるのは地域住民ですよ。バスに転換をすれば運賃が何倍にも上がるし、地域は人が住まなくなる。いろんな悪い条件があるわけですね。それをまともに直接にその痛みを受けるのは地域住民ですよ。政治というものはそういうものじゃないでしょう。ですから、私がさっきから言っておりますように、全体が痛みを受けるまでは政府はがまんしてもらいたい、この問題を、廃止を一時凍結してもらいたい、私はこれは筋が通っておると思うんですよ。  それから、この協議会が開催されないという一番根本の問題は、これはわれわれが法律ができる段階で反対してきたことですけれども、これほど強権的な法律はないんですよね。話し合いがつかない場合には廃止すると、きちっとしておるわけですよ。だから、その協議会に入れば、最終的に意見がまとまらない場合には切られてしまう、こういう心配があるから入らないわけですよ。だから、入らそうと思えば、見切り発車をしないと、そのことをはっきりと約束しなかったならば、私はできないと思うんです。  それからもう一つ最後には、私はさっき申し上げたんですが、鳥取県の例を申し上げてもそうです。選挙のときには絶対反対だと、政権を持っておる自民党ならこれは食いとめることができると言っておるんですから、そういうことの中で、私は仮に政府の方がこの協議会を開催をして混乱が起きたときの責任というものは、この法律をもともと多数によって決めた自民党とこれを強硬にやろうとする政府の側に責任がある、そのことだけを私ははっきりと申し上げて、時間がありませんから、私の考え方として大臣に申し上げておきます。
  34. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ、いまの三点については、よく考えてください。  時間が来ましたから、私は二点だけ申し上げます。  一つは、労災補償の問題について、ここに一枚の診断書があります。この診断書は中島和夫さん、右の頭をやられているというんです。この方は、昭和五十二年の十月にこうむったのが直接の原因だという宮古の豊島外科の診断書があります。これは私のところに参りましたので、いろいろ調べてみると、国鉄総裁、これは昭和五十二年、東北新幹線の大角トンネル工事請負は間組、下請が矢野建設。この矢野建設に働いているこれは出かせぎ労働者なんです、季節労働者。この方は、五十二年の十月十八日午前三時三十分、約三メーター五十もトベラから落石があったので、逃げようとした際に転落しちゃったと、そういう方なんです。ところが、これは私たちがしょっちゅう提案している、こういう事故があった際には労災をきちっと適用して始末しなさいよということを、東北線のトンネルの死亡事故の際にも、四年ぐらい前ですか、私も大分この委員会で追及して、わかりましたと、国鉄はそうしますと言っておるんですが、そういう手続は実行されておりませんでした。もう時間ありませんから言いません。ですから、この問題については、この矢野建設は現在解散しておるそうですから、間組と国鉄がよく話し合って、この方の労災処理について善処してもらいたい。善処しなければまた国会で追及します。善処してもらいたい。この証拠もここに全部ありますから。当時の間組の責任者、矢野建設の責任者、全部私持っています、証拠物件。しかし時間がありませんから言いません。善処してもらいたい。これが一つ。  それから自動車局長。  自動車局長には、岩手県の大船渡、菅野タクシーがありますが、このタクシーは本当にどんぶり会社であって、五十六年の七月十三日、大船渡労働基準監督署から基準法違反で摘発されました。八月三十一日までにその始末をしなさいと言っておったんですが、依然としてこれはやっておりません。そして、従業員四十人のこの労働基準監督署の摘発による未払い金額が、八月分が三百万、九月分が二百八十五万、十月分が二百八十万、合計八百六十五万、従業員四十名、これは未払い賃金です。もってのほかで、労働基準監督署から摘発されて、金を払わないなんということはもってのほかであって、これは直ちに払うように行政指導してもらいたい、陸軍局に。  それから、労働省もきょうは呼びましたが、時間がありませんから、労働省も責任を持って、勧告した以上はその始末をしてもらいたい。出しっぱなしじゃ困る。そういうことを両方にお願いしておきます。  それからもう一つ大臣にお願いしますが、これは、労働基準監督署にうちの会社がおかしいということを提案した組合に対して、組合委員長解雇するというのです。何をふざけているかと言うんですよ。自分が労働基準法違反をやって、それがばれちまったから委員長解雇する、そんなでたらめな陸運行政はないはずですよ。したがって、これは大臣の責任において、こういう陸運行政は是正してもらいたい。どうしても未払い賃金を払わない、自分のぼろを言われた委員長を首にするんなら、免許の取り上げを含めて運輸行政を考えてもらいたい。これも、二つだけ要請しておきます。時間がありませんから、これをひとつ要望します。  それから国鉄総裁にお願いします。  あなたは、貨物の問題について、第二臨調は行っていろんなことを言っているらしいんでありますが、どういうことなのか、ひとつ後ほどでいいからやってもらいたい。  それから、国鉄赤字論の問題でいろいろ大臣も勝手な発言をしているようでありますが、もう一回、運賃緩和制の法律の際に、当時の石田運輸大臣、田村運輸大臣国鉄赤字論で政府の責任を明らかにした国会議事録を、もう一回あなたは読んでもらいたい、総裁も。そうして、赤字論と労使関係の問題について、ある組合が茶々入れると、すぐそれに迎合した答弁をしているけれども、この前の総理の答弁も同じ。もう少しその国鉄の労使関係赤字論という問題を、この国鉄運賃緩和制の当時の議事録をもう一回読んでから出直してもらいたい。  それから年金問題。一体、鉄監局長、年金問題はどうなっているんですか、これは。去年の臨時国会以来、一回も説明もしてないし、答弁もしない。この年金問題をこんなにぶん投げておくのもあなたたちの責任ですよ。都合の悪いところはみんなもう投げておくわけですよ。  こういう三つの問題について、運輸省国鉄側に注文つけておきます。別途私のところに説明に来てもらいたい。きょうはげただけ預けます。  以上です。答弁要りません。答弁したってしようがない。
  35. 梶原清

    梶原清君 私は、まず、各地で大変深刻な問題になっておりますタクシー営業類似行為につきまして、自動車局長に御質問をしたいと思います。  その一つは、沖縄におけるいわゆる軽タクの問題でございます。  御存じのように、昭和四十六年の許可、認可等の整理に関する法律、これによりまして道路運送法の一部が改正され、軽自動車を使用して貨物を運送する事業が免許制を外されたわけでございます。行政簡素化をねらったはずのこの法改正が、実は軽タク問題という大変な落とし子を産んでしまっておるわけでございます。  沖縄では、本来荷物を運送すべき軽貨物車が、乗車定員四人の車でタクシーと全く同じような旅客運送を行っておるのが実態でございます。その取り締まりに当たりましても、たとえば女の方が持っておられるハンドバンク、小さな買物袋、これを荷物として運送しているのであって、旅客運送は絶対に行っていないと。その女性はといいますと、荷物の監視人である、このようなことを強弁いたしまして旅客運送をやっておる、継続しておるというのが実態でございます。しかしながら、そのような理屈がまかり通りますならば、何一つ身につけないで街を歩く人はだれもいないわけでございます。したがいまして、この世の中に旅客運送ということは絶対にあり得ない、貨物運送ばかりである、こういうことになるわけでございます。このような、常識ではとうてい考えられないことが平然と主張されまして、今日の時点におきましても、軽タクがタクシー営業を公然と行い、違法な行為を続けておるというのが実態でございます。  この結果、重大かつ深刻な影響を受けているのが、ほかならぬタクシー業界でございます。政府から正規に免許を受け、適正な連行義務を課せられておりますところのタクシー事業でございます。沖縄には約四千九百台のタクシーがございます。そこで働いておる運転者も一万名を超えておるわけでございます。こうしたタクシー業界の労使が日夜必死になって市民の足を守るための努力を続けておるわけでございますが、これに重大かつ深刻な影響を与えておるこの軽タクは、一日も看過することができないのではないかと、このように私は強く考えるわけでございます。  もう一つ問題になりますのは安全面でございます。  タクシー事業につきましては、御存じのように、厳格な運行規制のもとで働いております。しかし、この軽タクはその点は非常に問題でございます。この旅客運送事業につきましては運転者も、旅客自動車運送事業用自動車の運転者の要件に関する政令と、この政令に定める要件に合致した者でなければ運転に従事していない。にもかかわらず、この軽タクは、お客を平然と扱いながら、旅客運送を扱いながら、実は第一種免許以下の免許で運転しておる。この一つをとってみましても、安全確保の面でゆゆしい問題である、私はこのように考えるわけでございまして、一日も放置することができないと、このように思うわけでございます。  この軽タクの問題につきましては、運輸当局が従来大変な努力をなさいまして取り締まりをやってきておられるわけでございますが、まず第一番に、現在沖縄における軽タクはどのような実態にあるか、これにつきまして自動車局長から御報告をいただきたいと存じます。
  36. 飯島篤

    政府委員(飯島篤君) 沖縄県におきます軽貨物運送事業者実態についてでございますが、先生よく御案内のとおり、四十七年の復帰の際に、道路運送法規の適用につきまして一部誤解もあったというようなこともあり、また沖縄の特殊な事情もあるということから、四十八年の暮れには五千七百三十台ほどの隆貨物の出現するというような状況でございましたが、現時点におきましては、五十六年九月末でございますが、車両数で約七百三十台、事業者数では車両数を若干下回る数字であると推定されます。  なお、団体につきましては事業協同組合が二つございまして、沖縄軽貨物運送事業協同組合が百五十三台、沖縄軽車両運送事業協同組合が百五十六台、任意団体で、全琉軽貨物運送同業組合五十五台、その他未組織が二百九十台。そのほかに赤帽沖縄県軽自動車運送組合二十七台、一般軽貨物自動車運送事業所で軽を持っておりますのが四十七台という状況でございます。
  37. 梶原清

    梶原清君 この問題につきましては、まず、何といいましてもタクシー業界における輸送力の増強整備、それからPR活動、こういうものが大切でございますけれども、こうした面につきましては、タクシー業界は必死になって努力をされておるわけでございます。要は、何といいましても、政府当局の断固たる取り締まりということが絶対に必要かと思います。これにつきましては、いままでどのようなやり方で対処してこられ、また今後どのようにされるか、この点につきまして教えていただきたいと思います。
  38. 飯島篤

    政府委員(飯島篤君) 沖縄におきます軽貨物運送事業者によりますタクシー類似行為につきましては、道運法に違反する行為であって、沖縄県の一部地域について少なからず発生しているということは見逃すことのできない問題と受けとめております。  従来から沖縄総合事務局等を中心といたしまして指導、取り締まりに努力をしているところでございますが、まず第一に、それらの行為が道運法違反であるということを周知徹底する。それから関係機関、主として警察でございますが、街頭監査、取り締まりを実施する、軽貨物の届け出の抑制をする、タクシー業界におきましても千台ほどの増車をいたしましたが、問題地点に計画的に配車をするというような措置を実施してまいったわけでございますが、特に昨年の七月の末には沖縄総合事務局長通達を発しまして、軽貨物によるタクシー類似行為の取り締まりの重点、積載貨物として人が同伴することが認められる範囲というようなものを明示いたしました。また、沖縄県警に対しまして取り締まりの協力方の要請も行ったところでございます。また、ことしの一月には沖縄県の陸運事務所長名で、バン型車両の代替に当たりましてこの通達を遵守する旨の誓約書を出すよう通達をいたしておるところでございまして、本件措置に対しまして、一部の事業協同組合がすでにこれを受け入れているというような状況でございます。
  39. 梶原清

    梶原清君 大変な御努力をいただいておることはよくわかるわけでございますが、何といいましても効果的な取り締まりを積極的に進めていくということが大切だと思います。いろいろの記録等も読ませていただきましたが、必要ならば適切な法改正を早急にやってでも効果的な取り締まりの実を上げていかなければいけない。現在法律を無視して違法な行為が、しかも安全を無視した運行が繰り返されておるわけでございますから、ぜひとも早急に手を打っていただきたい、このように思うわけでございます。また、これにつきましては警察当局の絶大なる御支援と御協力がなければならないと思います。この点につきまして、自動車局長と警察庁から御答弁をいただきたいと思います。
  40. 飯島篤

    政府委員(飯島篤君) この問題につきましては、警察等の協力を得まして効果的な取り締まりを継続的に実施する、また、違法行為に対しては厳正に対処していくということにいたしたいと思います。  ただ、先生指摘のとおり現行法では百一条あるいは百二条の適用が困難でございまして、道路運送法第四条の違反を根拠にして行っておるわけでございますが、この四条違反というのは立証に非常にむずかしい点がございます。ただ、石垣島で四条違反で検挙されまして有罪判決が確定していることでもありますので、今後さらに取り締まりについて努力をいたしたいと考えております。  なお、法律改正のお話がございましたが、行政簡素化の方向が一般的になっているということ、あるいは問題がいまのところは少なくとも局地的であるということ、今後現地の動向を見きわめる必要があるというようなことがございます。慎重に検討すべき点があると考えておりますが、なお研究をしてまいりたいと考えております。
  41. 浅野信二郎

    説明員浅野信二郎君) お答えいたします。  警察といたしましては、陸運当局と連携いたしまして関係業界等に対し白タク行為の防止について警告、指導を行いますとともに、街頭での指導、取り締まりも行っているところでございます。また、これら軽貨物車が多く集まる地域について、昨年の十二月、車両の乗り入れ規制等の交通規制の実施というような措置もとっております。  今後でございますが、私どもといたしましても、運輸省当局とさらに連携を密にして違法行為の防止について一層配慮してまいりたいというふうに考えます。
  42. 梶原清

    梶原清君 先ほど、軽タク問題が局地的な問題であるという御答弁がございましたけれども、やはり、この問題というのは全国共通の問題として発展する可能性もある。行政簡素化も大切でございますけれども、人命の尊重、秩序の確立ということはそれにも増して大切なことではなかろうかと思うわけでございます。したがいまして、適切な最善の策を考えていただく、法改正が必要ならば法改正も考えていただく、このようにぜひお願いをいたしたい、このように存じます。  次に、従来から全国各地の、主として中小都市でございますけれども、そこに運転代行問題というのが発生をいたしております。飲酒運転は道交法上禁止されておりますので、お酒を飲みますと自動車を運転することができない。したがいまして、かわって運転をする業務、運転代行業務というのが全国各地に発生をいたしております。なるほど、依頼者の依頼を受けて、依頼者の車に依頼者を乗せてその車を運転するならば、これは道路運送法上何ら抵触することがないと思います。しかしながら、そのような運行実態といいましょうか、経営実態をやっておる者は恐らく皆無だと思います。チラシを飲食店街に回しましてお客を募集する、そして、現実の姿におきましても、飲食店街から車が駐車されておるところまでは必ず代行者が運転するわけでございます。その分をとってみましてもタクシー営業類似行為であるということははっきりするわけでございます。また、飲食店の従業員、そういう人も一緒に乗せて運転をしておるというのが実態でございます。これが一〇〇%と言っていいと思います。そのような行為を認めますならば、正規にタクシー事業をやっておる人、またその第一艦で働いております運転者というものを守るということは絶対にできないわけでございます。  そこで問題になりますのは、いろいろの問題があろうと思います。労働基準法の関係の問題も出てまいりましょう。で、車にメーター器をつけておるのがございます。このメーター器を正常につけることができるのかできないのか、こういう問題もございますけれども、いずれにしましても、この代行運転というのは全国の中小都市で相当はびこっております。トラブっております。したがいまして、この問題について断固たる規制措置を講じていただきたい、取り締まりをしていただきたい、このように強くお願いをしたいわけでございますが、まず、その実態につきましてどのように承知をしておられるか、お答えをいただきたいと存じます。
  43. 飯島篤

    政府委員(飯島篤君) 運転代行業者の実態につきまして、警察あるいは私ども、それからタクシー業界等の協力を得まして把握しておる限りで申し上げますと、五十五年九月末におきまして、事業者数は六百四十二、車両数は二千六百五十四両というふうになっております。なお、全国的な分布状況を見ますと、東北地方、特に山形、青森等が多うございます。それから富山、長野、それから北関東で群馬、栃木というような地方都市において比較的多数の事業者が存在しているということでございます。  それから、このほかにタクシー事業者が運転代行業務を行っているケースがございますが、五十五年九月末で二百三十二業者ございます。
  44. 梶原清

    梶原清君 いまもお話がございましたように、タクシー事業者が運転代行をやるということ、これも一つの手だと思います。しかし、なかなか採算に合わないというような話も聞いておるわけでございますが、いずれにしましても受け皿はつくらなければいけない。そしてまた、先ほども申しましたこととの関連がございますが、飲食店街の業界に対しましてPRをする、そういう違法なものを使わないでもらいたいというPRをする必要もあると思います。こうした努力も現地で行われておるようでございますが、なかなか効果が上がらない。  しかし、この運転代行業務の実態を見てみますと、よくあるケースでございますが、代行業者が高利貸しからお金を借ります。そしてその裏には、暴力団と言っては悪うございますけれども、治安問題に関連するような、そういう方々も介入をしておる実態でございます。運転代行業務をやめたくとも高利貸しからのお金が返せない、ずるずる続けてやっておるという実態も耳にしておるわけでございまして、こうした悪の芽は一日も早く断たなければならない、私はこのように思うわけでございますので、蛮勇をふるってこの運転代行業務の撲滅に最善の努力をしていただきたい、このように存ずるわけでございます。自動車局長と警察当局にお願いを申し上げる次第でございます。
  45. 飯島篤

    政府委員(飯島篤君) 運転代行業者が本来の代行運転の範囲を逸脱いたしまして、道路運送法四条あるいは百一条一項に違反するという行為が確かに御指摘のとおり近年少なからず見受けられます。はなはだしきは無線タクシーと同様の業務を行っているというようなケースもございます。輸送秩序の維持のため見逃すことのできない問題であるというふうに考えておりまして、また、アルバイト運転手等を雇うというようなことから過労で交通事故を起こしやすいという問題も起きていると承知いたしております。  この五十一年の十月に取り締まり基準を明確にいたしまして、各陸運局に指示し、警察等関係機関と協力いたしまして取り締まりと違反防止について努めておるわけでございますが、五十五年度におきまして、運転代行業者に対する処分でございますが、十件、二十四両の車両停止処分を含めまして十七件の処分を行っております。  ただ、この取り締まりにつきましては、違反事実の確認、立証等にいろいろむずかしい点がございます。関係機関と協力をいたしまして今後も精いっぱい努力してまいりたいというふうに考えております。  また、一つの防止策といたしまして、業界自身が努力をしていただきまして、料理、飲食店、バー、キャバレー、旅館等にPRをする、あるいは計画的な配車を必要な場所にはする、それから乗り場の整備をするというようなことのほかに、さらに先ほど申し上げたように、運転代行業をみずから営むというような点につきましても御努力を願いたい、またその方向で指導をしてまいりたいと考えております。
  46. 浅野信二郎

    説明員浅野信二郎君) 警察といたしましても、運転代行業による白タク行為、これまで検挙事例もございますし、全く代行を伴わないで白タクをやっているというような事例も見受けられるわけでございます。いま自動車局長さんの方から御答弁ありましたように、いろいろこういう違法行為をなくすための施策を講じられているということでございます。われわれの方といたしましても、十分協力いたしまして、必要な指導、取り締まり等の措置をとってまいりたいというふうに考えております。
  47. 梶原清

    梶原清君 次に、航空局長にお尋ねをいたしたいわけでございますが、小さな事項で大変恐縮でございますが、最近各空港に出向きまして痛感をすることがあるわけでございます。発券業務を行っておりますのは、通常空港のカウンターで取り扱っておりますので、これはしようがない。しかし、チェックインをしますね、搭乗券に切りかえます場所が、空港によって、エアラインによってまちまちでございます。ある空港で、ある航空会社ではカウンターで取り扱っておる、いわゆるチェックインをする、搭乗券に切りかえる。ある空港、ある航空会社ではボディーチェックを受けた後に搭乗券に切りかえる。こういうことで非常に区々まちまちでございます。航空が非常に大衆化されてまいっております今日、これでは非常にお客さんが迷うのではないだろうか、惑うのではないだろうかという感を深くしたわけでございます。いろいろの事情があろうかと思いますけれども、できるだけ統一をしていただいた方が、お客さん本位に便利に考えていただいた方がよいのではないだろうか、こう思うわけでございますが、航空局長からその間の事情なり、これからの考え方なりにつきましてお答えをいただきたいと存じます。
  48. 松井和治

    政府委員(松井和治君) ただいまの航空機のチェックインの方式についてのお尋ねでございますが、先生指摘のように、通常はメインロビーのカウンターでチェックインを行う。チェックインと申しますのは手荷物を預け、航空券を渡して搭乗券をもらうという一連の手続でございます。そうして、しかる後セキュリティーチェックを受けて搭乗を行う、これが通常の方式でございますが、航空会社ではこれを集中方式というような名前で呼んでおるようでございます。  御指摘のように、最近一部の空港におきまして、この集中方式に対しまして分散方式と称せられるやり方が数空港登場してまいっております。これは具体的には、メインロビーのカウンターでは手荷物を預けるだけにとどめる。そして御指摘のように、セキュリティーチェックを受けた後に行き先別のカウンターで航空券を渡して搭乗券を受け取る、こういうような仕組みが出てきたわけでございます。  その分散方式がなぜ出てきたかということでございますが、一つは、まず、これは空港によって違いますが、メインロビーの混雑を緩和するというねらいが一つと、もう一つは、最近ジャンボジェット機の登場によりまして、一機五百五十人というような大量の旅客をお乗せするというような時代になってまいりました。セキュリティーチェックに大変時間がかかるということから、なるべくお客様に出発直前ではなくて、ある程度前からその手続をやっていただいた方が航空機の定時性が確保できる、こういうようなねらいから出てきた方式承知いたしております。  いま申しましたように、この問題は、大量のお客を円滑に手続を済ませて航空機の定時性を確保するという航空会社側の要望、また、これはお客の利便にも合致する面があるわけでございますが、そういう要望と、それから出発の直前までできる限りの自由度を持っておきたいという個々の旅客の要望との接点をどこに求めるかという問題ではないかと思います。  私ども、御指摘の点が、確かに一たんセキュリティーチェックを受けて、しかる後チェックインをするという形をとりますと、何かの用事があって外に出たときには再度セキュリティーチェックを受ける必要があるという不便があることも事実だと思いますので、関係者、つまり空港ビルなり航空会社の意見も聞きまして、改善できるものは改善をしていきたいと考えておりますが、何分先ほど申しましたように、これは空港ビルの建物の構造にも関係がございますので、直に改善できるかどうか、この辺は検討してみないとわかりません。いずれにしましても、御趣旨の点は十分関係者との間で検討を進めてまいりたいと思っております。
  49. 梶原清

    梶原清君 御指摘のような事情があろうかと思うわけでございますが、いずれにしましても、このように航空が大衆化された今日、各空港ごとに、エアラインごとにまちまちでは本当に惑うわけでございます。いまもお話がございましたように、ボデーチェックを受けて中へ入ってから、外へ出ようと思いましても出られない空港があるわけでございます。これはやはりお客さん本位の態勢になっていない、こういうふうに思うわけでございますので、ぜひとも早急に御検討いただいて、なかなかむずかしい事情もあろうかと思いますけれども、いずれにしても早く御検討をいただきたい。小さなことでございますけれども、個々のお客にとりましては大切なことだと思いますのでよろしく御検討をお願いを申し上げます。
  50. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 時間がありませんから答弁の方もひとつ簡単にやっていただきたいと思います。  五十七年度概算要求という書類を実はいただいているわけでございますけれども、この中で特にお願いしたいことは、私の方がよく知ってない面がありますから、あるいは間違いがあるかと思うんですけれども、どうも去年に比べましてかなり財政投融資をふやしているような感じを概算要求を見て実はしているわけでありますけれども、それからまた国庫債務負担行為、こういうものもかなりふえているような感じがするんですが、できましたらその辺、大きなところで結構でございますから、個別におっしゃっていただきまして、総計とのぐらいふえているのか、この辺をお話をいただきたいと思います。
  51. 角田達郎

    政府委員(角田達郎君) 五十七年度の財政投融資の要求でございますが、昨年の財政投融資の、昨年といいますか、五十六年度予算額は先生承知のように一兆七千六百七十七億、これは政府関係機関、日本国有鉄道鉄建公団等の総計でございますが、一兆七千六百七十七億でございまして、五十七年度の要求額がトータルで二兆五百一億、こういう数字になっております。これは五十六年度予算額に対しまして一六%の伸びを示しております。  この中の主なものを拾い上げてみますと、国有鉄道でございますが、国有鉄道は融資、政保債合わせて一兆六千四百十九億ということでございまして、前年に対して一九・九%の伸びを示しております。  てれに対しまして、鉄建公団、これは上越新幹線工事がほぼ完了いたしましたので、財投の要求自体も減少しております。前年度が三千二十九億に対しまして、五十七年度の要求は二千四百四十四億というふうに減少しております。  そのほか、本州四国連絡橋公団、これは神戸-鳴戸ルート、大鳴戸橋の工事でございますが、それから児島―坂出ルート、この二つの鉄道部分の工事の進捗にあわせまして融資の必要が出てまいっておりますので、五十六年度が百七十四億に対して五十七年度要求が二百九十一億。  それから、帝都高速度交通営団でございますが、これも工事進捗状況にあわせて必要な額ということで、五十六年度が二百三十億に対しまして五十七年度要求額が三百四十五億、こういうような内訳になっております。  主なところを拾いますとそういうところでございますが、それで先生いまおっしゃいましたように、五十七年度の財投要求が通常の年に比べまして大きいではないか、こういうようなお話でございますが、これは通常の年の財投の要求に比べまして私どもは大きくはなっていないというふうに考えております。  と申しますのは、御承知のように財投原資が相当五十七年度は厳しいという事情を踏まえまして、当初から財政当局の方から財投について相当しぼった要求をしてもらいたいという要請が出てまいっておりまして、私どもも最小限必要な額にしぼって要求をしておるわけでございます。数字で申し上げますと、運輸省で言いますれば、五十五年度のときに五十六年度の要求をしたわけでございますが、それが二二・九%の要求額、このときは国全体の、政府全体の財投の要求額が二三・六%増の要求ということで、ほぼ国全体の財投の要求とそれから運輸省関係の財投の要求とこのときも合っておりますが、問題の来年度の財投の要求でございますが、政府全体では五十六年度予算額に対しまして一五・六%の増の要求になっております。  運輸省関係、先ほど申しました二兆五百一億の財投の要求は、これは五十六年度に対しまして一六・〇%の伸びということで、〇・四%ばかりふえておりますが、政府全体も相当緊縮した要求額になっておりますし、私どももそれ相応の必要最小限度のものにしぼった要求と、こういうような形にしておるつもりでございます。
  52. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 国庫債務負担行為は。
  53. 角田達郎

    政府委員(角田達郎君) 国庫債務負担行為でございますが、これは来年度予算要求では国庫債務負担行為のトータルの額は六百八十九億ということでございまして、五十六年度の国庫債務負担行為に対しまして約四割から五割程度の要求額になっておりますが、これも例年の要求の額に比べましてむしろ若干減りぎみの要求になっておる、こういう感じでございます。
  54. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 例年の数字を並べてみると確かにそうだと思うんです。しかし、ことしは特にいままでと違って公共事業ゼロという形が一つ出ております。そういう点で、確かに一般会計で言えばほとんど横並びという形でありますけれども、したがってそのしわ寄せが恐らく財政投融資あるいは国庫債務負担行為、こういうところに出てきているんだろう、こういうふうに思うわけでありますが、多いからいいとか少ないからいいとかいうことを私はここで価値判断を決めようとしている意味ではございません。  そこで、最近はさらに財投の原資がまた集まらなくなってきた。去年は郵便貯金が非常によく集まってきたけれども、ことしはさらに郵便貯金が去年に比べるとかなり減少しているということで、原資が非常に少なくなってきているわけでありますが、この概算要求を締め切る当時よりさらに悪くなってきたというのが私ども承知をしている原資の状況であります。したがいまして、恐らく、最近大蔵省も言っていますように、財政投融資もこの伸びはゼロにするかもしれない、こういうかなり厳しい発言があちこちで聞こえてくるわけです。国鉄なんか恐らくかなり大変だろうと内心私は思っておりますけれども、そういうことで、どうなんですか。官房長、大体これは、その後も大蔵省から若干の話はあるんだろうと思いますけれども、このままいくんですか。  もしこれ減らされるということになりますと、かなりいろいろな長期計画もございますし、そういうものもかなり削っていかなくちゃならぬ部面が出てくると思います。港湾整備計画なんてとりあえずその対象になってくる可能性が私はなきにしもあらず、こういうふうに思うんですが、その辺はどうなんですか。これは大臣でも官房長でも結構でありますけれども、見通しをちょっと聞かしていただかないと、どういうふうに考えたらいいかという問題が出てくるんじゃなかろうかというふうに思うんですけれども
  55. 角田達郎

    政府委員(角田達郎君) 確かに、最近財投の原資であります郵便貯金の伸びが非常に悪いというようなお話はよく聞くわけでございますが、先ほど申しましたような財投の要求、これは私ども運輸行政の遂行にとりまして必要最小限度のものということでお願いをしておるわけでございます。その後の財政当局との折衝でどのような見通しかというお話でございますが、財政当局と、このままいけるのかあるいは政府全体としてもっと圧縮しなきゃならないのかどうか、その辺についての確たる見通しはまだ出ておらないような状況でございます。
  56. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 確かに概算要求でありますから、最終的な予算になるにはあちこちまだ削られるということはこれ当然でありますけれども、どうも例年に比べて財投の方も厳しいんじゃないだろうかという感じがするんで、それだけに運輸省の事業というようなものもおくれをとる可能性もあるし、まあほかの仕事と違いまして運輸省建設関係の事業というのは、かなり長期的なものが多いし、そういう意味では、いまのうちに順調に仕事が進んでいくことの方が、五年間たちあるいはその末にわりあいうまい成果が出てくるんじゃないだろうか。その計画が途中でまた変更をしなくちゃならないというようなことになるということになりますと、かなり経済的にもあるいは国民の期待という面でもいろいろな相違が出てくるだろうと思うんです。  そこで、大臣どうですか、これからの査定に当たってのその辺の大臣の決意等を聞いておく必要が私はあるんではないだろうか、そういうことでひとつ前進をしてもらいたいという気持ちが内心強いわけでありますけれども、いかがでしょうか。
  57. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私のところは御承知のように長期計画たくさん持っておりまして、それの単年度分の投資はぜひ確保いたしたい、これはもう絶対的に確保いたしたいと思っております。  確かに、仰せのように私も、実はこのことで閣僚が集まりまして、ただ懇談でございましたが、話し合いをいたしましたときにも、来年の財投ちょっと危ないぞと、あんまり郵便貯金をぎゅうぎゅう締めつけたらかえってこれは困るんじゃないかという話も出たことは事実でございます。ですから、私たちは楽観いたしておりませんが、それにつきましても、現在、要するに公共事業的な投資というものは、これは先ほど言いましたように確保したいが、事業融資ですが、たとえば造船とかそういうものに私はしわ寄せが何か来そうな感じが実はしておるのでございます。これを何とか防ぐためにも、協調融資の枠を、シェアをですね、何かそこらで勘案をして、資金量だけでも何とか確保したいと思っております。現在におきましても、実は開発銀行の融資枠がちょっと足らぬということで造船業界が非常に困っておる実情がございまして、その話をしております途中におきましても、現在大蔵との間で融資のシェアというものが、比率でございますか、そういう問題も検討されておるのではないかなと思うたりいたしております。  いずれにいたしましても、結論的に申しまして、公共事業的なものは今度の予算もこれはちょっとふやしてあるんです。たしか二百五十六億でしたかふやしまして、一般個別検討事項の方で二百五十幾ら減らして、それでまあバランスとっておるぐらいでございますんで、公共的事業には投資はぜひ確保いたしたいと思っております。
  58. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 もう時間がありませんから先へ進みますけれども、七月の六日に運輸政策審議会から答申が出ているわけでありますが、ちょうどそのころ、七月十日ですか、第二臨調の中間答申というのが出てきているわけでありますけれども、この運政審の答申というのと第二臨調の中間答申とはどんな関係にあるんですか。どんな位置づけでわれわれ考えたらいいのか。まあ大分、運政審の答申を見ますと、前向きないろんな方向というものが出ているように思うわけであります。その辺をどう考えたらいいでしょうか。
  59. 石月昭二

    政府委員石月昭二君) 運輸政策審議会の答申を出しますときの問題意識というのは、御承知のように、エネルギーを初めといたしまして、環境の問題、財政の問題というような制約条件の強まる中で、八〇年代の交通政策というものをいかに行うべきか、それによっていかに国民に豊かなモビリティーを与えるべきかという問題意識でございました。したがいまして、その結論の中には、たとえば交通機関の特性というものをいままでよりもより一層活用して効率的な交通体系をつくる。まあ新しくつくるということもさることながら、現在あるものをできるだけ有効に活用するというような考え方であるとか、またさらにはたとえば事業規制というような問題につきましても、やはり経済社会の変動というようなものをわきまえながら、それに適応したような形で事業規制というものを見直していく、それによって行政の効率化を図るというようなことが提言されております。そのような点では臨調の考え方と非常によく似ているところもたくさんございます。  しかし、また反面その答申の中には、交通機関というものはやはり懐妊期間が非常に長うございますし、したがいまして目先の経済的な苦境、財政的な制約ということだけにとらわれることなく、長期的な視野から整備を進めていかなければならぬというようなことも提言されておりますので、そういう意味では第二臨調とは直接関係なく、運政審独自の立場から出された答申であるというぐあいに私ども受けとめております。
  60. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 そうしますと、まあ運政審と第二臨調との関係というのが、いまのお話ですと、関係なく出されているんだということになりますと、少なくともこの運政審答申の方が長期的に物を見ているような感じがするわけでありますけれども、しかし、臨調でも来年出てくる答申というのは具体的にどういう答申なのか。かなり深く踏み込んだ答申が出てくる可能性もあるような気もするわけでありますが、そうしますと、この運政審の答申を運輸省は具体的にそれとどう調和――ある意味では何年間か調和していかなくちゃならぬという問題が出るわけですね、恐らく行政改革の方が大きくばあっと出てくるわけでありますから、少なくともそれとこれとの関係がどんなふうにすり合わせをしていくのか、これに書いてあることを運輸省がどの程度尊重して仕事をしていくのか、この辺が余りよくわからないわけですね。どうすり合わしていくんだろうか。当然私ども運輸行政を見ていく上にこの運政審答申というのはかなり参考にさせてもらって判断をしていくことになるだろうと、こういうふうに思うんですけれども、その辺がちょっとわかりにくいんですが、これ、いまのところは中間答申、臨調の中間答申でありますけれども、臨調の答申と運政審の答申、どんなふうにわれわれが考えていったらいいのか、どうすり合わせていっていいのか、その辺が余りよくわからないのですが。
  61. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) この件はもう本当にいい御質問していただいたと思っておりまして、私たちも実はこれ気になっておりました。  そこで、いま御承知のように、臨調のそれぞれ部会がございまして、そこはいま懸命にヒヤリングをしておられる段階でございます。それで、私も委員のある方に、責任者の方でございますが、その方に、いろいろなヒヤリングをされるであろう、それは結構でございます、勉強していただくのは。しかし、われわれが八〇年代取り組む基本というものを持っておりまして、それは運政審の答申、いわば抽象的な表現であるかもわからぬけれども、やっぱりわれわれ運輸省としてはこの方針にのっとった政策をやっていかなきゃならぬ。でございますから、それを骨にしていただいて、その中から合理化をしろ、あるいは行政的な改革をしろということを考えていただきたいということは、私からちょっと委員専門部会長にお願いをしたことがございまして、それは当然のことで、われわれも十分運政審の答申を勉強して、運政審の枠内から飛び出してとんでもないようなこと、と言ったらえらい失礼ですけれども、そういうことにはならないようにしていただけると、臨調の方は考えてもらえると、私はそう思っております。
  62. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 これは、きょうだけで解決する問題ではないと思いますし、一つ一つの個々の問題についてやっぱりその辺が私は出てくるんじゃないだろうかというふうに思うわけであります。  そこで、私、この運政審の答申の中で一つ大変気に入っているといいますか、それは港湾のあり方、これについての考え方というのは、私がなり、これからどういうふうに発展させていくべきなのか、非常に興味を持つし、そのためにはやはり今日の行政機構のあり方にも関係してくるんではなかろうか、こういうふうに思うわけであります。  少なくともいまの港湾というのは、港湾の区域というのが本当に港湾の一側だけしか港湾区域という形で指定されていないわけですね。ちょっとこの港湾から外れてしまうと、それはたとえば道路一つとってみても、それは建設省の所管になってしまう。したがって、港湾の発展と港湾の後背地における、あるいはいろいろな幹線道路との関連というのは、これはどこの港湾でもそうだろうと思いますけれども、うまくいっていないということが実態であろうと思います。その一番ひどいのは横浜であろうと私は思っておりますけれども、まさに町の中心部というのはトレーラーのトラックでいっぱいだ。そして、それも本当にのろのろ運転で、一般の交通も阻害されているし、交通自体も非常に悪い。  しかし、実際問題はなかなか、地域において縦割り行政の弊害というものが現実にはあって、港湾の非常に近代化した要請に対して、道路の方はちっとも近代化していない。そういうところでありますから、結局物流がそこで非常に阻害をされてしまっている。これは今日の状況の中で私は非常なロスの一つというふうに考えなくちゃならぬと思っております。  そういう意味で、私は、港湾の範囲というのをもっと広げたらどうだろう。直接港湾と――たとえば東名なり、これからあちこちへの縦貫高速道路ができると思いますけれども、そういうポイントに港湾の荷さばき所というのか、方向別な荷の取り扱いとか、大港湾というような港はなくても、そういう荷さばき的な内陸港湾というようなものをもっと私は考えるべきではないか。それとこの近代港湾と直結するような道路、これはむしろ建設省がつくるんじゃなくて、もうその辺は運輸省あたりがその道路をつくって管理をするという、そのくらいのところまでいかないと、港湾の近代化に対するその後背地の物流システムというものがおくれていくんじゃないだろうか。せっかく港湾は近代化されても、荷物の方はとても送れないというような事態が私はあるんではないか。  そういう意味では、今度の運政審答申の中にもそれに似たような、近いようなことが書いてありまして、私はその意味では大変その辺は評価をしているわけでありますけれども、この辺の考え方はどうなんでしょうか。もっとそういう意味では私は前向きに、港湾局あたりが出ていく。積極的に建設省の道路局あるいは都市局ですか、そういうところに対してもっと強いこの港湾についての権限を持っていかなければ、これは倉庫の問題にしたって私は同じだと思うんです。港湾地域の問題にしても同じだと思うんですが、ずいぶん港湾は近代化されて、速く荷おろしが、あるいは荷を積むということができるようになったけれども、それから後がちっとも進んでいかない。そこが大きなネックだろう、その辺をこれからどうしていくのか。私は、これは運政審の答申はその辺は非常に参考になると思いますし、その辺の考え方を固めていただきたいと、こんなふうに思うんですが、どうですか。
  63. 吉村眞事

    政府委員(吉村眞事君) ただいま先生お話しのとおり、現在の港湾で大変その背後どの連絡が問題になっておるところが多いのはおっしゃるとおりでございます。御指摘のように港湾法の中で臨港地区というのは陸域に指定をされておりますが、この考え方は、必要最小限といいますか、港湾における業務活動のために必要な最小限のところを臨港地域に指定をする。そしてその背後は都市計画として整備あるいは規制等を行っていくというのが現在の考え方でございまして、その地域の指定という意味からはその考え方が私は適当だと思うわけでございますが、背後とを結びつける道路等の問題になりますと、この点が必ずしもその狭い区域内の道路だけで問題が解決をいたしません。さらに、その臨港地域を越えた奥までのつながりが適当でないと、港湾の機能がうまく動かないという事情にあるのは御指摘のとおりだと思っております。  実は、道路にも街路あるいは国道、地方道というようなことがございまして、それぞれの種類によっていろいろとその進捗の度合いとか、そういったことが違っておりますが、港湾の埠頭と背後の各地を結ぶ道路のうち、大きな国道等の流れに結びつけるところが、普通は都市計画の街路で結びつける場合が多うございます。しかし、都市計画街路というのは、これも先生承知のとおり、わりあいその進捗度が遅いわけでございまして、そういったことから問題が生じておる。  最近では、私どもの方では建設省ともいろいろ御相談をいたしまして、差し支えのないところは港湾の臨港道路ということで、臨港地域の地区の外まで道路を整備するところが多くなっております。相当奥地といいますか、内陸、陸側の国道等に結びつけるところまで臨港道路で道路の整備をするといったような例が各地の港湾で行われておるわけでございますが、それでもなお御指摘のような問題が今後流通港湾という観点から物流のウエートを、その海陸を結んでさらに進めていこうと思いますと問題が起こる点もあろうかと思いますので、これは港湾の計画を各港湾管理者が地方で立てますときに、その地方の道路管理者等と十分に、現在も連絡はしておりますけれども、今後その連絡をさらに密にしていただく。そして、その連絡を密にしてつくられた計画の実施に当たっては、また私ども建設省と十分に御連絡申し上げまして、その予算措置等を遺漏なく行っていくというふうにいたしまして、問題の起こらないように今後計画の実施を図っていきたい、こういうふうに考えております。
  64. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 これまだもう少し議論したいんですが、もう私に割り当てられた時間がございませんけれども、これは大臣、いま港湾局長は、ほかの建設省との関係があるから建設省の悪口は余り言えないから言わないだろうと思うんです、率直に言って。実際これ困るんですよ。港湾の貨物がいっぱいになる。地方のいわゆる地域の道路との摩擦関係というのはひどいものなんですよ。そういう意味で、私はこの辺で、せっかく大きな港湾をつくっているなら、その港湾に相当するところの後背地との道路というものは港湾局が持つべきだという、専用道路というのを港湾局が持つべきだという議論なんですよ、私は。だから、この辺は港湾局長だけではそれは無理なんですよ。その辺については今後、ひとつ大臣、塩川大臣だって大港湾を控えている地域が選挙区でございますから、そういう意味ではひとつお考えをその辺変えていただきたい、こう思うんですが、どうでしょうか、大臣
  65. 塩川正十郎

    ○国務大屋(塩川正十郎君) 私も、直接の選挙区じゃございませんが、隣に実はそれと同じようなところがございまして、そこは現在拡張しておるところなんですが、拡張してみても国道へ出るまでの道路が五メートルぐらいの道路しかない。そこへ大きいトラックが走る、こういうことが実はネックになっておるのが現実にございまして、先ほど港湾局長が言っておりますように、その対策として、臨港区域を思い切って拡大して、その臨港区域における整備というものを港湾管理者がやる、あるいは港湾の拡張をするときには、これは港湾管理者はほとんど自治体でございますから、そのときにはその後背地のいわゆる街路計画を持ってこないと、その計画ができないと拡張しないとか、何かそういう行政のすり合わせをうまくやりながら解決していかざるを得ないんではないか。最近は臨港区域を越えてもアクセスとして、いわば幹線にアクセスするものとしては港湾局でもやろうということでいま何か言っておりますしいたしますので、このネックをできるだけ早期に解消するように努力してまいりたいと思います。
  66. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 次はもう一つ運政審ですが、もう私の時間がなくなったから後から御答弁いただいて結構なんですが、どうも今度の運政審の答申の中で、自家用車の利用ということが、五十万都市以下では補完関係あるいはもっと小さいところになれはタクシーもバスもだめだから個人の乗用車をうまく使えと、どういうふうにうまく使えというのかよくわからぬですけれども、しかし、これはかなりいままでわれわれは白タクは排除しようじゃないかと、国民はみんなそれを一生懸命やってきたんです。確かに白タクではいろいろな問題もあるわけです。料金の問題だとか、あるいは場合によればおもしろくないようなことがあって、白タク撲滅、あるいはトラックなんかでも白トラ撲滅という形でわれわれ一生懸命やったんですが、今度のこの答申を見ますと、どうもその辺はまた昔に戻る、むしろ白タクや白トラを公然と認めていくというような感じがするんですが、この点は私は大変ないままでの方針の変更ではないか、こういうふうに思うんですが、これについてひとつ御答弁をいただきたいし、そういうことになりますと、私は大変な問題であろうというふうに思いますし、先ほどの梶原先生のお話もその辺と全然無関係ではないというような感じがいたします。  それからもう一つ、時間がありませんから一緒にやりますけれども高木総裁、何かあなたの考え方で、東京湾狂横断の鉄道ができるんだ、こういうのが新聞に非常に報道されておりますけれども、構想としては大変おもしろいと思うんですが、これは一方では、川崎と木更津の間に横断堤をつくろうという話がいま何か首都圏サミットというようなところで話がされているようでありまして、恐らくこの二十七日、首都圏サミットがあって、その話がまた出るんじゃなかろうかと思うんですけれども、それとの関連というものはどんなふうになっているのか、この点と二つ、さっきの運政審の白タクの問題と、それからいまの国鉄のこの問題と二つ、ひとつ御答弁いただいて私は終わりたいと思うんです。
  67. 石月昭二

    政府委員石月昭二君) 自家用自動車の活用をこれからやるべきであるということが運政審から答申されておりますが、私どもの考え方は、御承知のようにある程度のまとまった輸送需要のあるところは鉄道であるとかバスであるとかということになりますけれども、乗車密度が非常に低いというような過疎地の交通、こういうようなものは大量の交通機関を使うということは企業的にも成り立ちません。しかし、ナショナルミニマムとしまして現実に自家用車を運転できないような人の最小限の足というものはどうしても確保していかなきゃならない。ところが、過疎地では御承知のように道路もよくできておりますし、そういう制約条件も何もございませんので、こういうところには先生おっしゃいますような形で白タクというようなことにならないように何らかの公的な機関が仲介をしていただきまして、それでその最小限の足を確保するための施策をこれから導入してまいりたいと考えておるところでございます。  現実にはそういう形で自家用車を使うことになりますと、事故の場合の補償の問題とか白タク類似行為の問題とか、いろいろ検討しなきゃならぬ問題がございますので、来年何らかの形で場所を選定いたしまして、そういうところで具体的にどういうぐあいにやったらそういう問題が避けられるか、なおかつ、また住民の足の確保ができるかということを検討した上で導入したいと考えておる次第でございます。
  68. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 東京湾の横断につきましては、あるいは橋をかけたらどうだとか、あるいは堤防をつくったらどうだという非常に大きな構想が時折各方面から出てきているわけでございます。  私どもといたしましては、仮にそういう大きなプロジェクトが進んでいく過程において、やはり交通という役割り、また国鉄が持つ役割りからいって、うちは全く関係ないんだということではいけないのではないか、現実にどうするかということは別といたしまして、せっかく橋をかけ、あるいは堤防をつくるという場合に、御一緒さしていただくということがあってもいいんじゃないかということで、準備といいますか、勉強はしておきなさいよということを言っております。  ただ、現実には現在併用橋の典型的なものとして、日本で初めて四国との間で橋ができるわけでございますけれども、どうもいろいろ現在でも併用橋になりましてもなかなか鉄道としてうまく採算がとれるかどうか非常に問題があるわけでございまして、ただ四国と中国との間の橋の場合と東京湾の場合では、交通量が全然違いますから、あるいはまた十分採算がとれるというようなことになるのかもわかりませんので、そういう意味での勉強はしておきなさいよということは申してあるわけでございますが、現実に堤防の計画も雄大なものでございますし、橋の計画もきわめて大きなものでございますから、まだ全然人ごととして忘れてしまってはいけないよという程度に勉強しているわけでございまして、必ずしももっと現実的な問題として、最近千葉ないし東京湾の埋め立てが進行し、そこに工場ができたり住宅ができたりしておって、その輸送さえ十分できてない事情でございまして、当面の問題としては現に進行しつつある埋め立て、そして工場立地化あるいは住宅化というのに対応してどうすべきかという問題の方はかなり現実的な問題として研究しております。  いまの横断の橋なり道路なりの問題は、何といいますか、夢と言うと少しいけませんかもしれませんけれども、かなりそれに近いものとして、ただ勉強だけはしておくという感じで取り組ましております。
  69. 竹田四郎

    ○竹田四郎君 もう。一問。  どうも石月審議官の自家用車の問題、それじゃ私、全然納得できないですね。もう本当にいままでわれわれも一緒になって白トラや白タク反対の闘いをやってきたのに、それじゃ全然やらないし、それにあなたの話ですと、区域を決めればいいようなことを言うんですがね、たとえば神奈川県あたりだって、津久井のが横浜へそれでどんどん出てこられたら一体どうするのかね。これは横浜のタクシー業者も非常に恐慌を来しているんですよ。あと答弁はいまのところ要りませんけれどもね、その辺はもう少し考えてくれないと、いまの答弁じゃ全然答弁になってないんですよ。いままでの経過がありますよ。そういう経過があるから、ですからもう少しひとつ考えていただきたい、こういうふうに思います。  それから委員長にお願いしたいんですがね、今度のこの予算の概要の中で、海上保安庁の大型何とか巡視船の話が出ていますね。しかし性能とか装備がどういう装備になっているかというのは全然この中に出てないわけですよ。かなりこれは私はちょっといろいろ検討すべき問題がないこともないというふうに思いますから、これの性能とか装備とか、そういうものの詳しい資料をぜひ私どもにひとつ御提示をいただいて、十分討議ができるようにひとつ御手配をいただきたい。これは委員長にお願いでございますが。
  70. 桑名義治

    委員長桑名義治君) はいわかりました。  午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時十三分休憩      ―――――・―――――    午後一時三分開会
  71. 桑名義治

    委員長桑名義治君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、運輸事情等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  72. 中野鉄造

    中野鉄造君 私は、国鉄経営改善の中身について二、三御質問いたしますが、五十五年度赤字が一兆八十四億に達しまして、一兆円の大台を超えたことがもう明らかになりましたが、その原因は、いわゆる旅客数の伸び悩みあるいは貨物輸送量の大幅な落ち込みによって、毎年の運賃値上げにもかかわらず計画どおりになかなか収入が確保できなかったということが大きく取り上げられると思います。その中で、私は特にこの貨物輸送量の落ち込みが対前年度比一三%の減少となっておりまして、ことし五月に正式決定を見た経営改善計画の目標を崩すことになりかねない。昭和六十年度を目標として経営改善計画は進められておりますが、その達成さえもかなりこれは困難になってくるんじゃないか、こう思いますが、午前中、大臣はこの方針を見直すとか、そういうことはあり得ないということを言明されました。しかし、先般、この貨物部門の縮小を中心とした経営改善計画の手直しとでも申しましょうか、そういうことも先般総裁も示唆されておりますけれども、その具体的内容をひとつ明らかにしていただきたいと思います。  去る九月末に行われたあの臨調の第四部会でのヒヤリングにおいても、この件につきましては多くの専門委員方々から、今回のこの改善計画に対しいろいろな不信感あるいは疑念というものが披瀝されておりますけれども、当日のあの議題となりました人員削減の問題も含めてひとつ具体的にお聞かせいただきたいと思います。
  73. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 経営改善計画におきましても、貨物の経営をどういうふうにするかということは非常に重要なウエートを占めております。  いろいろございますけれども、最終的に昭和六十年時点で貨物輸送のための、固有経費という言葉を使っておりますが、固有経費が貨物の収入と見合うようにするということが経営改善計画におきまして目標としておる点でございます。  固有経費と申しますのは、貨物の輸送のためにもろもろの経費がかかりますけれども、車両や、一例を挙げますと路盤の保守というようなものに要します経費は、貨物用と旅客用と併用でございますので、こうしたものまで経費として見て、そして収支の均衡を図るというのは非常にむずかしいということから、そうした貨物、旅客供用部分につきましては別といたしまして、貨物輸送に直接必要な運転のための人手であるとか、ヤードのための人手であるとか、あるいはまた、運転の経費であるとかいうものを固有経費という概念でくくっておりますが、その固有経費が収入と見合うようにするということを六十年度の目標といたしております。  ところで、その場合の前提としては、六十年度におきますところの貨物の輸送量というものは五十五年度予算とほぼ見合ったもの、増もなく減もなしということを前提として事業量を考え、また収入を考えてのことでございます。  ところが、いま御指摘のように、五十五年度は前年よりも一三%輸送量が減るという事態、これは思わざる事態でございました。こういう大きな落ち幅は思わざる事態でございましたが、こういう事態が起きた。さらに、引き続いて五十六年度に入りましてからも、上半期の状態では輸送量が一〇%ぐらいまた去年よりも減っておるということで、貨物につきましては四十五年以来お客さんが減る、輸送量が減るということで絶えず問題になっておるわけでございますが、それにも増した大幅の減少がここ二年ほどの間に起こっております。  そこで、当面これではぐあい悪いということで、何か改めていろいろ考えなきゃならぬということでございますが、なぜこのように急激に減少したのかということについては、いろいろありますけれども、どうも必ずしもこれが平常な状態ではないのではないか、一種の摩擦的な異例、特例的状態ではないか、あるいは甘いかもしれませんけれども、いまのところはそう考えております。  そこで、現時点では六十年までに実施を考えておりました縮減、たとえば輸送力をどの程度にするか、つまり一日何本走らすかといった問題、あるいは貨物を取り扱う駅数、またはヤードの数、所要の貨車の数等について、六十年までにはこのぐらい減らしますということが計画上出ておるわけでございますが、それを現時点ではとりあえず六十年と言わずにもう少し繰り上げて実施をいたしたいということで、五十七年度と五十九年度と二回にわたりまして、六十年度時点までにと考えておりましたのをなるべく繰り上げて実施をいたしたいというふうに考えております。  なお、その状況によって恒久的な見通しをどこへ立てるかということでございますが、現時点においては六十年度計画を変更するというところまではいっておりません。とりあえず、一遍縮んでまた伸びることあるべしということで、緊急的に五十七年、五十九年の縮減計画を立ててこれに取り組もうと思っております。  なお、今後の問題といたしましては、海上輸送あるいは陸上輸送との競争関係におきましてなかなかむずかしい状態にございますので、輸送のやり方を少し変えようかと、主体を専用列車あるいは特別な貨物に特化した列車というようなものにより重点を置きまして、車扱い列車と申しますか、いろいろな貨物を積み合わせて、そして一つ一つの駅に貨車を置いていくという輸送方は大変コストがかかりますので、こうした輸送方を少し変えようかということをいま考えてはおりますけれども、これはまだ内部で作業中でございまして、国民の皆様の前にお示しするというところまでは来ていないというわけでございます。  先ほどお触れになりました臨調での私の説明は、いま申し上げたようなことを申し上げたわけでございまして、現時点において経営改善計画を変更するとかあるいはそれをいゆわる見直しをするとかいうことは考えておりませんけれども委員の方の御質問として、それではなかなか固有経費を前提としての収支均衡が達成不可能ではないかというお尋ねがございましたので、それに対しましては、将来の問題としてではありますけれども、今日時点においてすでに、もしこのような貨物の減少傾向が摩擦的、一時的なものではなくて、やや恒久的なものとしてあらわれることもあり得べしという前提のもとにそういう作業の取り組みをいたしておりますというふうにお答えをいたしたわけでございまして、一部の新聞では見直しを私がするというようにお答え申し上げたように伝えられておりますけれども、そういうふうにはお答えしておるわけではないので、いまのところでは経営改善計画のとおりやりたいと思いますけれども、何分、お客様が予定外にどんどん減りますればやはりある種のさらに踏み込んだ取り組みが必要であろうかという勉強をしておりますという意味でお答えをいたしたわけでございます。  今後とも何とか営業努力等によって戻したいと思いますけれども、多分に日本の輸送事情の変更というようなものが静々と進行しているようでございますので、これらを一層よく見きわめた上でそれに対応した取り組みをしなければならないこともあり得べしというふうに考えております。
  74. 中野鉄造

    中野鉄造君 いま御答弁にもありましたように、こうした貨物輸送の減少というのはいま始まったことではなくて昭和四十五年からそれが始まってきた、こういうことでして、そうしますと、もう今日までかなりの年月がたっておりますし、いまごろ言ってもこれはせんないことではありましょうけれども、いまもちょっと触れられましたように、近年の道路状況だとかあるいは運輸形態というものを度外視した、それこそそうした近代的に対応することなく戦前の国鉄そのままの、それこそ十年一日のごとくそのままの形でやってこられたというところにこれは大きな原因があるのじゃないかと、こう思うわけですけれども、いま冒頭申し上げましたように、いまごろ言ってもこれはどうしようもないことではございましょうけれども、いま総裁がお答えになったようなそうしたいろいろな諸計画というようなものをなぜもっと早く思いつかれなかったかと私どもはそういう感じがするわけなんですが、いかがでしょうか。
  75. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 確かにそういう点について、私どもの取り組みが時期を失しておったということは否定できないわけでございまして、その点は不明をおわびせざるを得ないわけでございますが、ただ一言言わせていただきますと、少量の物品といいましても、これはわが国の産業経済あるいは社会にかなりいろいろお役に立ってきたわけでございます。たとえば、肥料の輸送というようなものは各駅に一車ずつ貨物列車をつけていくというようなことになりますので、大変これコストがかかるわけでございますけれども、やはり肥料は工場から村の、あるいは町にある駅に送られていくということが前提でいろいろな農業経営なり、そういう資材手当てが組み立てられておる。農薬等についてもそうでございますし、えさ等もそういう事情でございます。したがって、なかなかこれを一挙に変えるということは、国鉄経営という面だけから言いますればやってやれないことはないわけでございましょうけれども、やはり私どもの公共的使命といいますか、そういう面から考えますと、多くの産業、多くの経営余りにも影響が参りますので、そういう切りかえがなかなか一挙にできない。  また、お米の輸送等につきましても、全体としては大変大きな量でございますが、積み地の数が大変多いわけでございますので、各積み地で少しずつ積んで貨車をいろいろなヤードでつないだり離したりして運んでくるというのはこれまた非常にコストがかかるわけでございます。しかし、長年駅頭倉庫がありましたり、農家経済にとりましても重要な意味を持つわけでございますので、これまたそうにわかにいじることもできないということで今日まで思い切った措置がとれなかったわけでございます。  しかし、このように大きな赤字の原因ということになってまいりますとそうも言えないということで、かなり思い切った輸送方の変更を考えるべき時期に来たのではないかということで、一方においてそうは言わずに輸送をどんどんふやしてお客さんにお願いをして積んでもらうという努力を続けながら、片一方においてはそのような仕組みの変更についての勉強をするということで現時点はおるわけでございます。  いずれにしましても、しかし、これは国鉄経営という意味から言いますと、いろいろなやり方があるわけでございますけれども、どうもそれは一方においては余りにも影響がございますので、そうしたことをよく両にらみにしながらどうするかということを見つけていかなければいけないというふうに考えております。
  76. 中野鉄造

    中野鉄造君 先ほどから言われておりますように、ただ貨物部門の縮小だけではこれはなかなか解決できない問題ではないかと思います。やはり最大の輸送品目であったセメントでさえも近年徐徐に減少しているというようなことから見れば、新しい顧客の開拓だとかあるいはまた増大にもこれは意を注いでいかなくちゃいけない問題であろうとは思いますけれども、それと同時に、五十五年度の決算でもう一つこれは見落とせないことは、やはり従来の国鉄の特性を発揮できる分野だとされてきました大都市の通勤通学輸送の部門でも、国電の定期客が前年度に比べてこれまた減少しておる、二%ですか減少しておると、こういうこと。これも毎年の国鉄運賃値上げということで競合関係にある私鉄にお客が奪われていっているという、これは結果でありましょうけれども、こうした大都市輸送における国鉄離れ現象、これをどういうようにごらんになっていますか。
  77. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 実は監査報告書でも、この大都市におきます定期利用客の五十五年度における減少ということがクローズアップされて御指摘になっているわけでございますが、私どもいまいろいろ分析をしておりますが、どうも実情、真相がよくつかめないということでございます。  と申しますのは、昨年の四月二十日の値上げは、皆様からの御指摘もありまして運賃改定幅を小さくして四%強であったわけでございます、旅客については。で、運賃改定幅が小さかったのに、昨年は定期客が減った、いま御指摘のように減ったわけでございます。ところがことしは、実はやむにやまれずそれよりも高い運賃改定幅で、名目で、全平均で九・七%という、昨年に比べれば倍ぐらいになる改定を行って、実はひやひやしておったわけでございますが、意外にもことしは逆に定期客が若干伸びの傾向にあるわけでございまして、どうもよく言われますように、運賃とどういう関係にあるのかがどうもはっきりしない。  いま調べておりますところでは、昨年たまたま私鉄と地下鉄の乗り入れ個所が相当ございました。特に東京で相当ございまして、その辺の事情の影響というようなものを調べてまいりましたところ、意外に地下鉄の新線開業、私鉄の乗り入れに伴う――に関連する駅の定期の売り上げが非常に急激に減ったという現象がございました。しかし、確かに運賃が上がれば上がらない場合よりはお客が減るのは、どうも残念ながらそうなるわけでございまして、今後とも運賃改定のあり方についてはなお研究をしていかなきゃならぬと思いますが、またいまのように、今日まで余り経験いたしませんでした定期客の減少ということが五十五年度に起こりまして、それがいまはまたもとに戻ったという現象がどこから来ているのかというようなことをいま研究をいたしております。  確かに、運賃水準が高くなってまいりましたので、特に大都会におきましては都市私鉄との格差が拡大をしてまいりました。これらにつきましてはいろいろ工夫をしてまいらねばならぬ。たとえば、関西では特定運賃制度というようなことをやっております。東京地区においては、まだそれをやっておりません。そうしたいろいろな工夫をいろいろ組み合わせまして、いわゆる国鉄離れを防ぐ努力を重ねてまいらなきゃならぬというふうに考えております。
  78. 中野鉄造

    中野鉄造君 運輸省及び国鉄は、その来年度予算要求でもまた七%の値上げを見込んで予算を組んでおられますけれども、まあ値上げをすればするほど国民の国鉄離れが進むといういまのお話にもあるような、そういう悪循環に陥っているわけです。まあ、物価賃金の上昇によって、いろいろなそうしたことから上げざるを得なかったということは、これは国民として一応わかったといたしましても、やはり国民一般から見たときに、国鉄の持つ本来の使命だとか、あるいは存在意義からいたしましても、おのずと私鉄とは違った角度から見ているわけでございます。  しかも、大体、たとえがおかしいと思いますけれども、物を売る場合に、売れなかったならば大安売りをして値下げをするというのが、これは常道でありますけれども国鉄の場合はそうじゃなくて、客が減って赤字になった、だから運賃あるいは料金を上げると、こういうようなこと。これではまた客離れする、また上げる、しかし、だからといってそんなまさか数カ月ごとに上げるというわけにもいかないもので、客離れがするととたんにあわてたようなかっこうでいろいろ最近お座敷列車を走らせてみたり、あるいはいろいろな割引のサービスや、最近ではフルムーンパスといったようなもの、そうしたアイデアをこらした企画をもって客集めに奔走されておるようですが、その努力は多としながらも、一般国民から見た場合に何かしらマッチポンプ的な矛盾を感じざるを得ないわけなんですけれども、そうした悪循環を断ち切る、そして国鉄離れに歯どめをかけるための思い切った施策の一環として、来年度はもう運賃値上げを見送るというようなお考えがおありかどうか、大臣総裁にお尋ねいたします。
  79. 高木文雄

    説明員高木文雄君) まさに御指摘のとおりでございまして、当然のこととして何とか運賃を上げないでおいてお客さんに乗っていただくということに全力を尽くすべきものでございますし、現に私どもも五十七年度概算要求に当たりまして、もうすでに四年連続の改定をいたしておりますので、一年ぐらいはお休みにできないかということをいろんな角度から研究をしてみましたけれども、御存じのように現時点での赤字余りにも大き過ぎる、特に償却前赤字でございますので、普通の御商売の場合に、場合によって安売りをするとかお盆やお歳暮のときに大安売りをするとかいろんなことをやられるわけで、これがまた商売の常道と言われているわけでございますけれども、まあ償却前の赤字という状態というのは普通の企業では考えられないわけでございまして、償却前に赤字がありますと、その赤字つなぎのために借り入れをして、それがまたいま大変金利が高くなっておりますので、それの金利がまた八分なり八分二厘なりという状態になるということを考えますと、やはりどうしても少しでも赤字を減らすにはどうしたらいいかということで考えざるを得ない。  確かに国鉄離れの現象は起こっておりますけれども、しかし、結局まあ七%なり六%なり上げました場合にどの程度お客さんが減りますかといいますと、一%なり二%なりというふうになりますものですから、いまの状態ではやはり申しわけございませんけれども、値上げをさしていただいた方が収支としてはいいわけでございます。で、非常に、まあ下げた場合に収入が上がるということが大きく期待できますればまたよろしいわけでございますが、いまいろいろ割引で切符を売っておりますけれども、必ずしもそれはそう顕著に収入に貢献しているわけではない、まあ一割割り引いた場合に二割も三割もお客さんがふえればよろしいわけでございますけれども、とうていそういう状態にはなっておりません。  そういうことから考えまして、まあいろいろ考えたんですけれども、この夏の時点で上げざるを得まい、五十七年度も改定をお願いせざるを得まいということでお願いをいたしたわけでございまして、運輸省からも何とかならないかと、そういうことでなしにやれないかということを繰り返し御指摘がございましたけれども、どうもやりようがないということで、残念ながら来年もまた運賃改定をお願いせざるを得ないかなという心境になっておるわけでございます。決して安易にその道を選んでいるつもりはないわけでございまして、相当いろいろ工夫したりいろいろやってみるんですけれども、なかなかうまくいかぬ、特にその赤字の幅、償却前の赤字がすでに何千億という金額でございますから。そうすると、八分なり一割なりの金利としても大変なことになりますので、多少とも後年度の問題考えますとやむを得ないんではないかというふうに考えておるわけでございまして、しかしくれぐれもいろいろ工夫をしながら取り組んでまいりたいと思っております。
  80. 中野鉄造

    中野鉄造君 大臣お願いします。
  81. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は終始一貫値上げすべきではないと言っております。これは結局、七%相当分といいましょうか千六百億円値上げをせざるを得ないというのは、いわゆるバランス上、予算上から来ておるんです。これは大蔵から値上げをしなさいと言われておる。そのために資金がないからこれだけ値上げします、こういう安易な姿勢で私は本当に根本的な国鉄の再建はできないと思っておりまして、私は値上げすべきじゃないという理論であります。  それじゃその足らぬ金はどうするか。いろんな努力をすれば埋まってくる。一つは、持っておる財産、売れるものは売ったらよろしい。財産は売らない、そして値上げでカバーする、私はこの考え方はとらない。売れるものは売る。そして制度に乗っておらないいわば無料パスというようなのがございますが、あれを有料に切りかえていく、そういう努力をすれば私は乗り切っていけるものだと思う。それでもなお足らぬというものは他の部門においてそれは考えるべきであって、今日大都会周辺の地域におきまして国鉄沿線の住宅地の地価が下がってきております。むしろ私鉄もしくはバスの地域のところの方が優良であると言われておる。それほどの格差がついてきたということもやはり国鉄自身として真剣に受けとめるべきだと私は思っておるのでございまして、値上げをするならば他の方法、つまり基本料金というようなものではなくして他の運賃のもので考えるべきである、基本運賃というものは上げるべきではないと思っております。
  82. 中野鉄造

    中野鉄造君 いまの大臣のその決意をひとつ今後とも堅持していただいて、国鉄当局とも大いに意見を闘わしていただきたいと思います。  いまもお話がありましたように、財政当局は、六十年度を目標とした現在の経営改善計画では、国鉄経営の収支均衡は不可能だとして、職員の十五万人削減やあるいは貨物の全廃、工事費の大幅な削減等と経営改善計画の見直しを要求しておりますが、これに対して国鉄当局、運輸省はどのように対処されるお考えですか。
  83. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 私どもは、御存じの経営改善計画を私どもの案として取りまとめたものを中心として政府でいろいろ御審査いただいて御承認いただいたわけでございますので、それはまだことしの五月のことでございますから、私どもはぜひともこの案を着実に早期に実施するということを中心に取り組んでまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  いろいろなことが言われておりますけれども、率直に申し上げまして、現状においてわれわれの力でいまのよりもさらに少ない人数で同じだけの仕事をせいということは急には無理な話だと思っておりますし、それから設備投資等につきましても、これは極力圧縮はいたしますけれども、しかし現在でも乗車効率が二四〇とか二五〇とかいう線区がありまして、そういう線区については単線を複線にするとか複線を複々線にするとかいうことをやらざるを得ないわけでございます。  これが私企業でございますれば、もっぱら経営面に焦点を当てての運営をいたすことになろうかと思いますが、公共的役割りといいますか、基幹的な輸送の使命というものはやっぱり果たさなければいけませんので、それはどこまでが公共的使命を果たすべきものでありどの程度は経営的な見地で縮んでいくべきであるかという線の引き方は、いろいろ御意見はございましょうけれども、そう極端なことはやるべきではないのではないか。これが公共的な使命はもうなしということになれば、そういう経営形態なりそういう運営形態なりが考えられると思いますが、私どもはやはり現状において相当大量のお客様を運ばしていただいている線区が多いわけでございますので、御批判としては承りますけれどもなかなかそれは実行不可能ではないか。  ただ、そうは言いましても、何としてでも赤字を減らさなきゃいけません。したがって、しばしば大臣もおっしゃっていますように、経営改善計画の実現はもちろんでございますが、でき得ればより能率的なものを求めて六十年までがんばってまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  84. 杉浦喬也

    政府委員(杉浦喬也君) 経営改善計画は六十年度国鉄のあるべき姿を示したものでございます。現時点におきまして五十五年度の決算等を見ましてかなり予想よりも違っているではないかというような御批判もございますが、この六十年度の目標を変えるかどうかという点の結論はまだ出しにくい状況でございます。  こうした目標に対しましてできるだけこれを速やかに達成をするという努力、増収面あるいは合理化の面におきまして、国鉄が最大限努力するということがぜひとも必要であろうと思います。そうした実行面におきまして大いに国鉄ががんばっていただくというふうに考えておるわけでございまして、設備投資の面におきましても、改善計画上は名目横ばいということで実質的には減ということになっております。これも金利にはね返るという欠陥がありますので、設備投資すべきものであるにもかかわらずこうした抑制を行わざるを得ない。中に安全面、合理化面の投資がありますからかなり金額が多くなることになりますが、これを横ばいに抑えるということで抑制的な方向を打ち出しておるところでございます。  いずれにいたしましても、改善計画があるからといって安易な姿勢であってはならない、それに向かってもうできるだけ早く到達するということが国鉄の現下の態度であるというふうに思っている次第でございます。
  85. 中野鉄造

    中野鉄造君 この問題につきましては幾ら時間があってもなかなか言い尽くせないものでありまけれども、時間の都合もありますので先に参ります。  年金の問題についてちょっとお尋ねいたしますが、三十五万人体制を六十年度までに実現するということになりますと、今後毎年一万五千人程度の要員削減が必要となってまいります。したがって退職者が急増する。それに伴って国鉄の共済年金がパンク――いまだってもうこれは大変な事態でありますのに、今後果たしてどういうことになるだろうかということを危惧するわけですけれども、現在政府部内で検討されております国鉄共済年金の検討の内容と、その結論が果たしていつごろ出されるのか、これが一つ。第二点といたしまして、国鉄共済問題を解決するためには、これはもうこの際各種共済年金の統合しか方法がないのじゃないか、このように私考えるわけですけれども、この点、運輸大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  86. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これはまさに政府としては重大な責任だと思っております。国鉄の共済がこういう事態、財政状況になりましたのは、これは国鉄自身の罪でも何でもない、やっぱり制度がそのような事態になってきたと私は認識しております。したがってこのまま放置いたしますと、昭和五十九年には成熟度がたしか一〇七%になってくるわけでございまして、これでは現に退職していく人が不安を持ってあろう、そのことが国鉄の再建に影響してはいかぬと私は思いまして、事あるごとにこの問題では大蔵財政当局と相談をしておるわけでございます。  ところが、この解決方法が、いろんなアプローチはございましょうが、とりあえず一番早急に可能な線といいましたら、国家公務員の共済あるいは公共企業体の共済というふうに分けて、公共企業体の共済は一つにしてもらいたいということを言っておるわけでございますが、他の公共企業体の方はそれはなかなか承知しないという状態で今日まで硬着状態。そこで、大蔵省の中に共済年金制度基本問題研究会というのがございまして、ここで研究するといっておるんですが、私はこれがどうなっておるんだといって大蔵大臣にもせっつくわけですが、これがなかなかまたうまく思うようには進行しない状況なんです。それでも毎年やっぱり成熟度は高まっていきますので、その間のやりくりというものは、とりあえず早急に借り入れを行って補うなら補うが、この借入金は政府なり、あるいは今度共済が新しく発足する、発足するというか、改正された場合のそこの責任に帰属するとかいうようなことをやっぱり早急に決めにゃいかぬ時期に来ておると思っております。とりあえずの措置だけでもいたさなければならぬという状況になっておるということでございまして、これは政府は全力を挙げて解決しなきゃならぬ問題だと思う次第です。
  87. 中野鉄造

    中野鉄造君 そうすると、いま私がお尋ねいたしましたいつごろにそういう結論が出るかという時期的なものは今日としてはわからないわけなんですね。いま大臣もおっしゃったように、本当にこれはゆるがせにできない大きな問題でございますし、ひとつ今後ともせっかく前向きに進めていただきたいと、こう思います。  次に、臨時行政調査会におきましては第二次答申に向けて現在部会を設けて審議が行われているわけですけれども、その第四部会では、国鉄経営形態の問題もいろいろ論議されておりまして、その国鉄の分轄論というのをこの間からちらほらと耳にいたします。その分轄論だとか民営論、こういうものが出ておるし、一方また、政府部内でもこの間河本企画庁長官が民営への移行の必要性を強調したような発言をなさっておりますけれども、この国鉄の分轄論及びその民営論に対する大臣の御所見を伺いたいと思います。
  88. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) この問題につきましては、私は国会でたしか本年度予算委員会のときに出てまいりましたし、行政改革特別委員会、衆議院の方で出てまいりまして、もちろん参議院の方でも御質問ございました。私は終始一貫をしておりますのは、現在の国鉄状態でこれを民間移行すると言ってみても画餅にしかすぎないんではないか、実際の問題としてこれが民間移行の状態にはなっておらないと思っております。でございますから、これはやはり現在の国鉄公社の経営形態で経営せざるを得ないと思うのであります。  それからもう一つは、政府の公共企業体というものが、これが実際に臨調で討議していただく中で、私は臨調の方にも言っておるんですけれども、公共企業体の公共性に重点を置くのか経済性に重点を置くのか、ここはひとつ臨調でも方向をはっきりしてもらいたい。その問題を明確にしないで、経営形態問題であるとかあるいは改善計画をやられたところで、木に竹を接いだような議論になってしまいます。ですから、その根本をはっきりしてもらいたい。これは時代の変遷あるいは国鉄経営状態の移り変わりによりまして、ある場合には公共性に重点を置き、ある場合は経済性に重点を置いてきた。現在はまさに経済合理性のみを追求される国鉄になってきた。で、一方においては公共性ということをわりと影を薄くされてきておる。こういうことのその時その時の方針の変わりということをやられておったんでは、将来に向かっての基本的な方針は立ちません。ですから、どうしてもどちらに重点を置いたものにあるべきかということを出してもらいたい。  私は、この公共性を国鉄から脱却するわけにいかないと思います。やっぱり全国一本のレールでつながっておるというところに公共性があるのであって、したがって分轄論と言いましても、この分轄を経営し、それをどう統合していくか。電気と違うところは、人間と物とが動くものを運んでおる。電気は単純に供給だけでございますが、こちらの方は行きと帰りを運ぶ形態のものであるから、それだけに分轄論というものは実際に言うべくしてむずかしいのではないか。だから経理的に区分しろとおっしゃるならばこれはできましょう、分轄は。しかし、経営体を分轄するということは実際はむずかしいんではないかという御意見も実は申し上げております。  でございますから、それでは経済性というものをなおざりにしていいかといったら、私は決してそうではないと思うのであります。そのためには現在の経営形態の中に、公社の中に経済性を思い切って導入することという、そういう制度に改正していくべきだ、こう私は思うんです。その一つとして労使のあり方、これを根本的に私は考えるべきときではないか、たとえば公共企業体等労働関係法、これはこれでいいのかということであろうと思います。  それから、資金供給にいたしましても、当事者能力をつけない。また、現在当事者能力をつけられたらかえってどうにもならぬかもわかりません。けれども、これ一つにいたしましても、全部資金は統制下において活動しなければならぬというここらはどのようにして資金の面で当事者能力をつけていくか。あるいは実際の建設事業一つに見ましても、これが完全に国鉄の当事者能力の判断、国鉄自身の判断でやっておるか、経済性のみで判断しておるかというと決してそうではない問題がたくさんございます。要するに、この際に一言で言いまして、国鉄経営担当者に経営の能力をつけてやるという、自主能力をつけるという、これが私は一番民営化に近づくとりあえずの方法ではないか。これにはいろいろな方法がございましょうが、それはそれなりに御意見を承りたいと、こういう主張をしてまいったのでございまして、その考えはいまでも変わっておりません。
  89. 中野鉄造

    中野鉄造君 そうしますと、大臣は、将来は民営にもっていくということがどちらかというと望ましいとお考えですか。
  90. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は、公社の形態で将来もいいと思います。ですから、公社の中にその民営的な制度と手法を導入すべきであると、これを言っておるわけでございます。
  91. 中野鉄造

    中野鉄造君 次に青函トンネルにつきまして、これは午前中も御質問がありましたけれども、私もちょっとお尋ねいたしますが、この青函トンネル、これは昭和六十年ごろには開業の運びと、こういうふうになっております。しかし、その開業後が、これも質問の中にもありましたように、毎年八百億からの赤字が予想される。こうなりますと、その経営をどうするかは、これは非常にむずかしい問題になってきますけれども、やはりこれは、北海道開発という国家目的に従って工事が進められてきた青函トンネルを、有効に活用するためには、北海道庁だとかあるいはその地元の参加を得て、第三セクターを設置してその経営に当たり、運行業務だけ国鉄に委託する、こういったような方法も考えられるのではないかと思いますが、国鉄の全面的な分割経営だとかあるいは何だとかを論ずる前に、まず、青函トンネルのことについては、いま私が触れましたようなこういうことについてはどのようにお考えでしょうか。
  92. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 午前中も申し上げましたように、青函トンネルによりまして私どもが受けます影響は資本費でございます。運営費については、現在の船でやっております場合と比べて、多少ともよくなることはあっても悪くなることはないというふうに思います。しかし、何分ああいう長大トンネル建設費が非常にかかっておりますので、その資本費はわれわれの方としてはなかなか負いかねるということでございます。  それを前提にどういう方法で提示するように結論づけていただくか、これは運輸省にお願いをいたしておるわけでございますけれども、必ずしもいまおっしゃった一種の特別法人といいますか、別会計といいますか、それも一つの重要なる御提案であると思いますし、私どもも、もしそういうことが可能であれば大変ありがたいと思うわけでございますが、これはお国の方のいろいろな御方針によろうかと思いますので、私どもとしては、とりあえず私どもにかかってまいります負担がもろにかぶってくるのではやっていかれないということで、これを何とかしていただきたいと申し上げておるわけでございまして、そのためどうしたらいいかということについては、私どもの方で明確なる案をつくるということは現行法のたてまえから言いましてもちょっとぐあいが悪いので、一種の個人的な感じというようなものは持っておりますけれども国鉄としてはこういう形態がよろしいというふうには申し上げかねるわけでございます。
  93. 中野鉄造

    中野鉄造君 もう時間がありませんので次にまいりますが、この間の新聞で見ますと、国鉄部内ではこうした経営圧迫の要因となる工事費を、一割カットという方針を打ち出されまして、工事費節減委員会なるものを設けて、いま具体的な検討を開始されておるということを見受けましたけれども工事費カットということになりますと、やはりこれは国鉄に出入りしている中小零細企業に及ぼす影響というものはかなり出てくるんじゃないかと思いますが、そういうことについてはどういう対処をなさっていくつもりでしょうか。
  94. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 率直に申しまして、やはりなるべく安全なものをつくろう、それから騒音、振動といったような環境保全からの御批判にこたえていこう、さらには後の維持費がなるべく少なくて済むようにメンテナンスフリーなものをつくっていこうということが、担当する技術者の頭の中にあることは事実でございますし、またそれは一概には悪いとは言えないわけでございます。そうなってきますと、とかく建設コストを軽く見る結果になりまして、同じ一キロメートルつくりますにも単価が上がっていく。物価が上がるのはいたし方ないとしましても、それ以上に質が上がっていくということになろうかと思います。  しかし、鉄道というのは常に経営を離れて建設してはいけないわけでございまして、もう一遍改めてその点を反省して、経済的なものをつくるということにより注意力を払って取り組むべしということを指示しておるわけでございます。いろいろ工法を工夫をするとか、あるいは材料をいろいろ工夫をするとか、いろんな方法で工事費を節減すべしと。一応の目標として一割というようなことを言っておるわけでございます。それがいま業界の方、業者の方にそうすると影響がくるんではないかというお話でございますけれども、これは設計そのものを直して、設計基準そのものをより一層経済的なものに即応するようなものに、もう一度そういう目で見直して工事費を落とそうということでございますので、決して何かいままでよりもより厳しくといいますか、安くして発注して、しわを業者の方に寄せるということを考えているわけではないわけでございます。  いろいろ御批判もありますけれども、私どもは設計に比べまして現在の工事単価が決して他のものの工事費に比べて高いとは思ってないわけでございまして、かなりいろいろなルールがございまして、それによって積算をいたしておるわけでございますから、いまの設計で考えれば決して高くなっているとは思わないわけでございますので、むしろ設計の基準そのものを変えていくことによって安くしようということでございますから、御心配のように業者の方、業界の方、請負の方に大きな影響があるというふうには考えておりません。
  95. 中野鉄造

    中野鉄造君 最後に、参議院の当運輸委員会におきましては、過般国鉄経営再建促進特別措置法の採択に際しまして附帯決議を行っているわけですが、その第一項に「地方交通線対策を進めるに当たっては、地域住民の意向及び知事の意見を尊重すること。」と、こうあります。先ほどいみじくも大臣は公共性を経済性よりも優先して重んじていくという御答弁がありましたけれども、それに関連いたしまして、いま申しましたこの第一項にある「地域住民の意向及び知事の意見を尊重する」ということ、具体的にどういうように尊重をされてきたのか、それが第一点。  それから第二点になりますけれども、これは全然方向が違いますが、昨日の行特委でちょっとお話に出ました官庁簿記と複式簿記の違いから起こるいろいろな問題点にかんがみ、今後は特に三公社五現業にあっては複式簿記の採用を推薦したいという大蔵大臣の答弁があっておりましたけれども国鉄においては、この問題については今後どのようになさるおつもりか。この二点をお伺いいたします。
  96. 杉浦喬也

    政府委員(杉浦喬也君) 法律の制定時におきます附帯決議の御趣旨は、十分これは体しておるつもりでございます。これまでも地元方々の御理解なしには地方交通線対策が進められないという基本的な認識のもとに、対象は全国知事会あるいは各県の知事さんからの御意見、あるいは全国市町会、全国町村会、こうした方々あるいは団体から、繰り返し繰り返し各般の御意見が寄せられてまいりました。また運輸省国鉄、あるいは現場の陸運局、管理局、機会があるごとにそれぞれ地元地方公共団体と接触をいたしまして、いろいろな意味での御理解をいただく努力をしてまいったわけでございます。一つ一つの例を申し上げることは差し控えますが、とにかく、全組織を挙げまして、あらゆる機会をとらえまして、各県あるいは各地方公共団体に本対策の重要性と今後の協力方につきまして御理解、御協力をいただくよう努力をしてまいったつもりでございます。
  97. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 昨日の委員会に臨んでおりませんでしたので、どのような一問一答があったのかしかと存じておりませんけれども、私どもの方は、実は三十年来と言いますか、公社発足以来一応複式簿記になっております。損益計算書なり貸借対照表なり財産目録をつくって、そして毎年決算で御報告をいたしておるわけでございまして、細かい点につきましては若干違いがあるかもしれません。法人税を納めないということがございますので、そういう意味で民間の会計原則とは若干違う点があるかもしれませんが、大筋は複式簿記にすでになっておるわけでございまして、なお、きのうの応答をまた調べまして、間違っておりましたら訂正させていただきますが、現段階できちっと複式簿記になっておるわけでございますので、ちょっとお尋ねに対してお答えいたしかねるわけでございます。
  98. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 ただいま、注目のロッキード裁判で小佐野に有罪、実刑一年という判決が出されました。内容としては、ハワイ会談以降、田中角榮から依頼を受けた小佐野が全日空の渡辺副社長にトライスターを売り込むということをはかったという内容で、偽証罪としては実刑一年というと相当厳しい判決だと思われるかもしれません。この判決を見ましても、航空行政というものがお金によってゆがめられていたということがここで明らかになった、そう思うわけでございます。  そういう意味で、運輸行政の責任者としての大臣に、どういうふうにこの判決をお受け取りになるか、最初にお伺いしたいと思います。
  99. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) お尋ねは判決そのものをどう思うかということでございますか。――これにつきましては、私はいま初めてその判決を聞いたところでございますので、感想は差し控えさせていただきたいと思います。
  100. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 判決そのものじゃなくて、つまり、運輸行政というものがお金によって左右されたということになっているわけですね、この判決の中身というのは。だから、それはもう判決にどうこうという評論はお差し控えになって結構でございますけれども、この判決でも明らかになっているように、お金でもって運輸行政がゆがめられたというこの事実ですね、いままで何度も言われている。この事実に対して、大臣はどういうふうに受けとめられておられるかということを私伺っているわけです。
  101. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私は判決の主文並びにその判決の内容も承知しておりませんので、そのように、おっしゃるように書いてあるのかどうかこれはわかりませんが、しかし、運輸行政がお金でゆがめられたということはない、私はこれは言えると思っております。ただ、会社が購入をするに際しての問題は、これは会社の問題でございまして、運輸行政と、あるいは運輸省の直接指導によってやったものではないということは明確だと思います。
  102. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 運輸省が直接指導して売り込んだなんて、これは大変なことになるわけでございまして、結局、小佐野が働きかけて、そしてトライスターを売り込んだというこの事実は、主文などお読みにならないと、とおっしゃるけれども、そういう内容だからこそ実刑一年というそういう判決になっているわけでございますね。だから、私が言ったのは全く信用できない、だからノーコメントだとおっしゃるのか。いままで言われているように、つまりトライスター売り込みに手をかしていた。そしてお金によってそういうことが行われるということは、運輸行政が金によって左右されていたと言えるんじゃないですか。逃げなくてもいいですよ、これでどうこうというんじゃないですから。率直な御意見を承りたいのです。
  103. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 先生の質問はうまく二つ絡んでおりますので、それを分解しなければ私は頭が悪いからちょっと答えにくいのですが。
  104. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 率直におっしゃればいいんですよ、どう考えられるか。
  105. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 判決そのものについては私はいま何とも申し上げられません。  それから、運輸行政が金に支配されたということはございません。  その二つだけ申し上げたいと思います。
  106. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 頭が悪いどころじゃなくて、大した頭いいじゃないですか、そうやってうまくごまかしてしまうところはこれで時間をとっているわけではございませんけれども、実刑一年という判決、しかも航空行政に絡んでの問題でございますのでこれは改めて取り上げたいと思いますけれども、逃げの一手でうまく逃げられたと思いますけれども、そうはいきません、後でまたやりますから。  それで次に、時間もございませんので具体的な問題に入っていきたいと思います。  ローカル線問題なんでございますけれども、十一月二日の協議会の予定日に参加したのは三線だけということで、北海道では知事の意見書でもそうですし、対象沿線自治体全部が廃止を前提とした協議会には参加しないという非常に強い方針を持っております。また、全国市長会でもさきに協議会のボイコットを決めている。もう重々御承知のことだと思いますけれども、先ほどからもおっしゃいましたけれども、いまもう一度、運輸省国鉄、これら一連の動きをどのように受けとめて、どのように対処されるかということを簡潔にお答えいただきたいと思います。
  107. 杉浦喬也

    政府委員(杉浦喬也君) 御指摘のように、十一月二日の大体全般的な開始予定日につきましては、岩手県の三線のみがこれが開始されたということは事実でございます。なお後引き続くものを期待しておるわけでございますが、一、二の線がこれについてくるのではないかというふうに予想されますが、全体的な動き、特に北海道、九州等の市町村の方々の御意見が非常に強うございます。そうした経緯からいたしまして、なかなか協議会の発足は私ども当初考えておるよりはスムーズにはいっていないということは事実だというふうに率直に認めざるを得ません。  しかし、先ほども何回も繰り返してお話し申し上げておりますとおり、本問題は、沿線地元の方方の御協力、御理解を私ども誠心誠意お話を申し上げまして、この協議会の場に近く全員御参加いただけるものだというふうに確信をいたしまして、今後とも皆様方に接触してまいりたいと、こう思っております。
  108. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 地域方々にとりましては非常に重要な問題でございますし、また、いろいろな意味で突然の話だという感じを持っていらっしゃるのはごもっともだと思います。そこで、知事会あるいは市長会、町村会といったようなところにおきましても幾つかの御指摘がありまして、その中の一つとして、一体地方交通線でなしに全体としての経営再建は具体的にできるのか、また、どういうふうにやるんだということを明らかにすべきであるというようなことも言われております。  そこで私どもは、現地の職員をそれぞれの市町村に差し出しまして、そういうお申し出でございますから話を聞いていただきたいというふうにお願いしているわけでございますが、まあいろいろの御都合もあって、いずれ話を聞くがちょっと待ってくれと、こういうことになっているわけでございます。地域のそれぞれの御事情からいって、そうにわかにすぐにでもというわけにいかないのもごもっともでございますけれども、しかし、私どもは私どもなりに誠心誠意実情を御説明してまいる。で、ちょっと待ってくれというお話でございますから、いま待っているといったようなこともございますが、いずれはまたお話も聞いていただけるだろう、そうすれば次第に気持ちもほどいていただいて協議会に臨んでいただけるものと確信をいたしておるわけでございます。  非常にむずかしい問題、非常に長い問題でございますから、一つ一ついろいろわだかまりがあったり過去のいろいろの思い出があったりということもございまして、それにはわれわれとしてもお断りを申し上げなきゃならぬこともいろいろあります。したがいまして、決して相対するという感じじゃなしに、一つのテーブルでいろいろのお話をしていただくように何遍でもお願いに出て、そういうことに進めてまいりたいと思っております。  一応十一月二日という日はもうすでに過ぎましたけれども、それが実際動いてないじゃないかと言われますが、それは物事をなるべく円満に進めていきたいという気持ちから、少しはおくれましてもそこへ一緒に御相談の場に乗っていただけるということを期待しておる次第でございまして、どうか先生方からもよろしく御指導を賜りたいと存じます。
  109. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 まあ皆さん集まっていただけると確信を持っていらっしゃるとおっしゃったし、また期待をしているとおっしゃったけれども、私はいまの御答弁聞きましても、なぜ協議会に参加しないのか、つまり国鉄運輸行政に対する非常に不信があるという、この不信をどう解決していくかという問題が私はいま一番大事だと思うんですね。それに対しては、まだまだその不信感に対する誠意の示し方の自覚や反省が私は足りないと残念ながら申し上げなければならないと思うわけです。  国鉄がいままで地方で行ってきたということは、駅の無人化でありますし、貨物駅の廃止であり、列車の便数の削減であり、ダイヤ改正による接続の不便の増大と、地元地方住民に言わせれば、まるで国鉄を利用しにくいようにするような政策が次々出されてきた。そして、協力もしてきたのにいまや路線を廃止する、残った路線も割り増し運賃だというのだから、まさに踏んだりけったり、地方が不信を持つのは私は当然だと思うんですね。で、この不信をなくすためにどうするかというのが、私はこれからの大きな問題だと思うんです。  具体的にお伺いいたしますけれども国鉄は、五十三年の貨物駅等の合理化の際に、関係自治体と、貨物駅廃止に協力してくれというような要請がございまして、貨物駅は廃止しても、集約しても、路線は廃止しないという意味の約束を文書などで交わしたというのがもうすでに新聞にも出されておりますし、私どもも行きましたときにそのことは事実訴えられたことでございます。そこで、そういう覚書、約束というものが、全国で、自治体の数で言えば何自治体と、そして国鉄の管理局としてはどこどこの管理局との間で行われているか。時間が私は二時半までなんでございますので、いま具体的に聞きました。幾つの自治体と、そしてどこどこの管理局、三十秒でできるんですから、簡単にお答えいただきたいと思います。
  110. 橋元雅司

    説明員(橋元雅司君) 簡単に申し上げます。  既集約の際に、いろいろ折衝の過程において、先生おっしゃるような点について御要望を承っております。草々の間に地方局から報告を徴しましたところ、二十六の市町村にわたっておりまして、地方局においてはおおむねその内容については解決をしていると聞いております。  管理局につきましては、釧路局、旭川局、札幌局、青函船舶局、それから盛岡、水戸、長野、天王寺、米子、岡山、以上の局でございます。
  111. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 大変簡単にお答えいただきました。ついでに簡単にその中身の問題を、項目くらいだけでも結構ですから、簡単に。
  112. 橋元雅司

    説明員(橋元雅司君) それじゃ簡単に申し上げます。  駅の存置方という御要望がございましたが、これは当然でございます。それから駅舎の改修、それから貨物の拠点駅、集約を受けとめる受けざらの方でございますが、これの統合駅の整備あるいは増加集配料、貨物跡地の利用方、それから駅周辺設備の改良、そしてダイヤの改善、その他というような諸項目に分かれております。
  113. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 それでは、いまのよりもまだ後にお調べになると出てくる可能性もありますね。もしそのほかにあと出てきましたら、逐次いただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。  そこで、いまのお答えをいただきますと、決してこれは北海道などというものではなくて、二十六の自治体で、管理局で言えば十の管理局、全国的にみんなお約束が書面で渡されているという御報告をいただいたわけでございますが、総裁にお伺いをしたいと思いますが、この覚書があるというのは当然御承知のことと思いますけれども、どのようにこの覚書の問題についてお受けとめになっていらっしゃいますか、総裁、簡単にお願いしますね、内容は抜かさないで。
  114. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 貨物駅を扱いをやめさせていただきたいとお願いに出た場合に、まあやむを得ぬ、しかしこういうことは約束してほしいなということが自治体側から出るのはむしろ当然のことだと思いますし、またそれに対して何らかという意味でおこたえを申し上げるのは、文書によるか口頭によるかはともかくといたしまして当然のことだと思います。  それで、その中で今回の法律に基づきます措置に触れる点があるかどうかということが非常に問題なわけでございますけれども気持ちとしては、やはり何とか地元局長でございますから、地元に御不便をなるべくかけたくないという気持ちで、あるいは文書であるいは口頭でいろいろなことを申しておるということについては、私はその時点における彼らの行動としては、決して非難するには当たらないんじゃないかと思います。  ただ、事態はどんどん変わってまいりますから、次々とまた新しい対策をとらざるを得ないということで、結果としてお約束を守れないという事態も起ころうかと思います。しかし、それはやはり、よく地方に参りますと、局長にだまされたとおっしゃるんですけれども、決してだますとかなんとかいうことではないのであって、その時点その時点では誠意をもってやったんですけれども、その後ポリシーが変わることによって結果的にお約束が守れないという事態になりましたについては、私の知らないところで行われたとしておりましても、これは公人としての行為でございますから、私どもはそれに対して責任を持ち、それに対して守るべき点といいますか、実行してない点があれば実行し、また反せざるを得ないことになったことについては、事態の変化にかんがみておわびを申し上げ、そしてお願いを申し上げる以外にはないのではないかというふうに思っております。
  115. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 法制局にちょっとお伺いしたいんですけれども、社会一般に行われている商行為というようなところで覚書というようなものが出される、しかしその覚書の約束に違反したというような場合にはどういう問題が生じるかということについて伺わせていただきたいと思います。
  116. 浅野一郎

    ○法制局長浅野一郎君) 私どもの立場上きわめて一般論としてお答えさせていただきますけれども、一般論といたしまして、覚書と、こう称されます文書の性格、中身というものはいろいろなものがございます。いろいろなものがございますけれども、もし仮に覚書の中で約束をいたしたものなら、そのとおり行わるべきものであろうと、こう思いますし、場合によっては約束違反というような問題も生ずるのではなかろうか、こういうふうに思っております。
  117. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 まあそれが実行されていないと約束違反と、責任問題というようなことになるわけですけれども、こういう覚書というようなものをなぜ取り交わしたかということをいろいろ調べてまいりました。地元にいたしますれば、これ以上営業近代化という名前で、もう協力はしたらしっ放しで、次々とついには路線まで廃止されるという危険がある、そういうことになったらたまらないという気持ちから、口頭でなくて覚書というようなものが現につくられているわけなんです。それで、私も何回も調査に行きましたけれども、この夏も暑いさなか伺いましたときに、滝上町長、津別町長ほかすべての市町長が、ローカル線廃止しないという覚書をもらったのにと、こう言うわけですね。国鉄は約束をほごにしたと、怒りを込めて語っていたわけです。  先ほど高木総裁もおっしゃってました。けれども、札幌での八月三日の国鉄シンポジウムというのに出席されて、滝上町長が、ローカル線を廃止しないという覚書をもらった町村が各方面にあるはずだが、私の町でも、覚書だけでなく、約六千万円の投資をしてもらった。停留場や滝ノ上の保線区の建物など、昨年の十一月までにつくってもらった。これらを建て直すのには、五十三年の予算を取らずにはできなかったはずで、総裁や幹部も全員わかって行われていたことだと思うと、こういうふうにして総裁に詰めていっている。総裁はここで先ほどおっしゃったように、いろいろと御相談をしてきたが、その過程でローカル線を廃止したくないという国鉄気持ちを表明したことは、事実として当然知っているというふうにおっしゃっているわけですね。本当に、こういういきさつから考えますと、やっぱり総裁としての責任というのは、私は非常に大きいと言わざるを得ないわけなんです。その責任については重々お感じになっていらっしゃるということで承ってよろしゅうございますね。
  118. 高木文雄

    説明員高木文雄君) ただいまの個別の問題につきましては、いまお尋ねがありましたように、八月に参上しましたときにそういうお話を承りました。それで調べましたところ、確かに相当額の投資がなされております。投資があった以上、町長あるいは関係方々としては、それを使わないものに投資をするはずがないから、そこに国鉄の行為が、残そうという意欲が示されるというふうに受け取ったと、それはごもっともでございます。それをいまやめようということは、これはだましたということだとおっしゃいますけれども、私どもとしては、その当時そこで局長が自分に与えられた権限内の範囲において予算を執行したと、そして何とか残したいという気持ちをあらわしたということは、その時点ではそれで結構ではないか。しかし、結果的にはそれに従えなかった。従えなかったということでだましたという結果になるということについては、これは、だますつもりはないにしても、そういうふうにお受け取りになるのもごもっともであろうかと思います。  しかし、いまや法律までできて、こういう事態になっておるわけでございますから、そのわずかな間ではございますけれども、事態の変化があったわけで、それはそれなりに、私どもの部下がいたしましたことについて私は知らないとは申しません。しかし、それはそれとして、この後の事態といたしましては、今回全国的な規模で、個別的でなしに全国的な規模で、一定の基準で整理をさしていただくということでございますので、新しい事態に対応した処置について御理解をいただきたいと、ひたすらおわびを申し上げてきたということでございます。
  119. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 いろいろ聞きましたら、言葉の上では、いや、もうこの線廃止するようなことはしないよという言葉をいただいたんだけれども、それをそのまま書きたかったんだけれども、それを書くというのは国鉄の管理局長としてもちょっと抵抗があるというようなことで、男同士の約束はそこまで行ったんだけれども、じゃ、その裏づけとして、明確に路線を残すという言葉だけでは信用できないので、永久的に、いまおっしゃったように、残るものを形で残せと言ってこの覚書ができたんだと、こういうふうにおっしゃっているし、私もそのとおりだと思うし、総裁もいまそういう意味のことをおっしゃいましたね。津別町長初め各市町長みんなそう言っているのですよ。  そこで、覚書の一方の当事者である旭川鉄道管理局長に対して、直接その真偽をお確かめになりましたか。
  120. 高木文雄

    説明員高木文雄君) いや、本人を呼んで尋問するというふうなことはいたしておりません。しかし、事実行為としてそういうお金を使って建物を建てておりますから、それは、彼は彼なりにそれを何とか残したいという気持ちもあり、その誠意を文書ではとても書けないけれども、そういう行為であらわしたものだと、彼は彼なりに、その時点においては決して悪意で行動したのではないというふうに考えております。
  121. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 私は、当然お聞きになって、尋問なんていうものじゃないけれども、事実はどうだったんだとお聞きになっていらっしゃると思いましたが、お聞きになっていらっしゃらないということになりますと、ちょっとこれは、言った、こうだというようなすれ違いになります。やっぱり私は、先ほど言ったように、この不信感が残っている限り、本当にもう、またやられるからという気持ちがあるのは当然だと思うのです。  だから、私はここのところで大変重要な問題でございますので、谷田滝上町長と小南津別町長をここに、国会参考人として呼んでいただきたい。先ほど知事を参考人に呼んでいただきたいというような御提案もございましたけれども、それもあわせまして、委員長、お諮りいただきたいと思います。よろしゅうございますか。
  122. 桑名義治

    委員長桑名義治君) 後ほど検討さしていただきます。
  123. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 先ほどから国鉄総裁は、一地方局長が熱心さの余り権限以上のことをやったという意味のことで非常におかばいになっていらっしゃるし、一方では、善意で権限以上のことをやったというふうな立場でおっしゃっているわけですけれども、市町村長にすれば、これは鉄道管理局長との約束だということになれば、これは国鉄と約束したというふうに考えるのは私は普通だと思うんですね。国鉄の内部では、それは総裁だか何だかかんだか、偉い人いっぱい並んでいるかもしれないけれども、受ける方では、国鉄局長だということになれば、相手は国鉄と約束したというふうになると思うのは当然だと思うんですね。いかがお考えになりますか。  そうして、しかもこれは旭川地方管理局だけではなくって、先ほどおっしゃったように、全国二十六市町村と十の地方管理局にわたっているということから考えますと、やはりそこに国鉄として何とか貨物駅のことも整理したいということで統一した指導があるということの裏づけになっていると、それぞれが善意でぱっぱっぱっと全国的に同じ時期に出したというふうには考えられないのですが、その点はどのようにお考えになりますか。私は裏づけがあるように思います。
  124. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 貨物駅の廃止の問題と旅客駅の廃止の問題は、観念の問題としては別の問題でございますけれども、町の方、村の方の受け取り方としては、どうしても貨物駅の扱いをやめるというのであれば、次には旅客駅の廃止という問題になる危険があるということで、そのことについて大丈夫なんでしょうねというお尋ねがあるのは当然でございます。そこでその場合に、それぞれの担当者としては、お約束をする立場ではないにしても、できるだけそういうことであり得べしという気持ちをあらわすことは十分あったことだろうと思います。先ほどの二十六の事例を調べてみましても、旅客駅をやめませんとは書いてないわけではございますけれども、行間の読み取りようによっては、何とかそういうふうに努力をしたいという表現だというふうに受け取っておりますよと言われても仕方がない雰囲気の中でそういう書面が交わされたということであろうかと思います。  しかし、事態はなかなか、先ほど来貨物駅、貨物の赤字の問題というのも非常に大きな問題になっておりますけれども、同時に、旅客の問題も前前から問題になっておるわけでございまして、その御処理として先般の法律でお決めいただいたわけでございますので、事態の変化ということもまたあるわけでございますから、大変御迷惑をおかけしたということは認めますけれども、さりとて片方には覚書があった、こちらには覚書がないとかいうようなことで処理するわけにもまいらぬわけでございまして、その辺は、全体の事態の変更ということ、変化ということに対応して処理をさしていただくことについては、たとえそういうことが過去においてあったといたしましてもお許しいただかなければならないというふうに考えております。
  125. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 お許しいただくために、やっぱり後始末というのをきちっとやっていただかなければ先へ進みませんよ、この不信感、物すごい不信感なんだから。  先ほどから言いましたように、全国的にこういう約束が取り扱われている。確かに文書読みますと、この線を廃止しませんというような言葉では書いてないんです。しかし、廃止しないと言われたけれども信用できないから、永久的な鉄筋の駅舎をつくるとか何とかということで、そのあかしをしてもらいたいということから、いろいろと予算をつけて国鉄さんはなすったわけですね。だから、ああやっぱり約束どおりに駅もつくってくれたし、こういうふうに整備してきたというふうに、まことに、悪く言えば安心させるために手を打ってきたというふうにも、不信を持っている者から見ればとれるわけですよね。まあ営業線を廃止するとか休止するというような、こういう問題に関しては、一地方管理局長が約束したとかしないとかというような問題ではないと思うんです。まさしく国鉄理事会の専決を経た総裁の責任に関する私は重大な内容を持つものだ、やっぱり総裁、責任持つと言いながら、いや善意でやったんだろうと、だけど情勢が違ったから御理解いただかなきゃならないというふうに、そこのところを責任を持つと口ではおっしゃりながら、やっぱり本当の意味で責任を私は持っていらっしゃらないというふうに考えられるんですよ。  また、私たち調査いたしまして、ちょっとびっくりしたんですけれども、五十五年九月にも保線区宿舎の増築を行っているというところがあるわけなんですね。五十五年九月ということになりますと、これはもうまさに衆議院では廃止対象路線の選定基準が明らかにされている時期でございますね。こういうふうなことから考えますと、一地方局長の判断ということでできる問題ではない。それをいま善意であったとか、いや知らなかったとか、だけども法律がこうなっちゃったんだからしようがないよというふうなことでは、私はこの不信感は取り除けないと思うんですよね。  それについて、総裁にももう一度その辺についての責任の問題を十分に考えていらっしゃるかどうか簡単にお答えいただきたいし、いまのやりとりをお聞きになって、運輸大臣としてもどのようにお考えになるか、簡潔に御答弁いただきたいと思います。
  126. 高木文雄

    説明員高木文雄君) 個別のケースにつきましては、結果的にだまされたというような言葉が使われるような事態があったことは否定をいたしません。全国でどういうふうなことがどういうふうに進んでいるか、残念ながらとてもそこまでトレースできませんけれども、しかし、結果としてそういうことがあったということは、そういうことはありませんとは申し上げられないので、そういうこともあり得たかもしれないと思います。それは私どもの監督不行き届きということになろうかと思います。ただ、一応これだけの広い範囲での仕事でございますので、相当程度の権限はそれぞれの組織に任しておかざるを得ないわけでございまして、結果としてその目が届きませんでしたことをおわび申し上げたいと思います。
  127. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) この貨物合理化問題が五十二年、五十三年ごろでございましたか、その当時はここまで国鉄が悪くなるというような想像はされておらなかったし、何とか貨物の合理化等で乗り切っていけるという信念をやっぱり現場の者は持っておったと思うんです。でございますから、これは現場におった者がいろいろと努力をし、自分でもそうやっていきたいという希望を覚書というような形で出したと私はそう善意に解釈しております。でございますから、地元の方もいろいろといきさつはございましょうけれども、この覚書はそういう善意から、つまり一生懸命やりたいという努力から、善意からきたものだという解釈をしてやっていただいて、この時代の、この四、五年の変遷というものが余りにも急激でございましたので、いゆわる不可抗力の条件が起こったと思って私たちは善処をさしていただきたいと、こう思っております。
  128. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 時間もございませんから、それ以上のこと申し上げませんけれども、私に謝られても困るんであって、やっぱり地元に、そういう覚書はいたしました、しかしこうこうこういう事情でございますのでという、それくらいのことはやっていただきたい。私が聞いたら、この覚書について何にもあいさつないというんですよね。これはもうまさに私は不信を買う一方であるということで、やっぱりここのところで道義的な責任、先ほど法制局長が言われましたけれども、やっぱり一般的に考えても、道義的な責任というのは当然起こることだと思います。総裁はそのおつもりで、大臣もそのおつもりで対処していただきたいということを重ねて申し上げて、自治省にお伺いしたいんです。  報道によりますと、岩内線、大畑線は原子力絡みで通産、科学技術庁からの強い行政指導で、協議開始が他の線より半年ほどおくれた。理由についてはいろいろあろうと思いますが、内容はちょっと不明朗だ、納得できないと。ともかく五十七年四月まで待てるということは結構だと思うんですよ、これ、待ってくれるということは。じゃ、他の線についても、原子力絡みだけが聖域だというのではなくて、本当に主人公である住民のいろいろな事情やなんかというのは、私はこれ、やっぱり十分勘案していただけると思うわけなんです。それぞれ各線の事情があるのだから、各路線の協議会開始をちょっと延期して、十分誠意も示して、そしてスムーズに協議会が開始できるようにすべきだと考えるわけですけれども、自治省としてはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  129. 藤原良一

    説明員(藤原良一君) 鉄道地域社会と非常に深いかかわりがありますので、それぞれ地域、いろいろな事情があると思います。現在、国鉄地方公共団体等関係者の間で協議会開催のための努力を非常にしておられる段階と聞いておりますけれども、いずれにしましても、公共団体の理解と協力を得ながら円滑に対策を進めていただきたいものだというふうに私ども願っております。
  130. 小笠原貞子

    小笠原貞子君 委員長、もう一問……。
  131. 桑名義治

    委員長桑名義治君) 時間、ほぼ五分超過をいたしましたので、全体のお約束もございますので、よろしくお願いをいたします。
  132. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 きょう私が取り上げてまいりますのは、昨年の六月、韓国の世韓海運と今治市にある今発海運との間で企業協力協定が取り交わされ、ことしの六月から研修生と称して今発海運の第五反宮丸と第八反宮丸に乗船をしていたという事件なんです。これは、全日本海運組合の方でもそういう事実を知って、事実調査に乗り出しました。運輸省の方にも要請が行っておりますが、その事実調査の結果というのは、  両船の日本人乗組員は、船舶職員法、船員法で規定されている最低の十人しか配乗されておらず、有給休暇を輪番で取得するため、実際には法定以下の九人で運航している状態も起っております。   また、これら韓国人は表向きには研修員ということで乗船させておりますが、実情はペンキ塗り、居室の清掃など船体の保存手入れを中心にした船務に従事させ、給料も月額六万円支払っていることが明らかになりました。   法の盲点を悪用し、安い賃金で外国人船員を内航海運に導入しようという、全く悪らつな行為といわざるをえません。このような状態を放置するとすれば、折角健全化に向かいつつある内航海運に新たな混乱をまねくことは必至であり、日夜船舶の安全運航と海洋汚染防止に健闘している関係者の努力をも裏切るものであります。 と言って、これは海員組合の土井組合長から鈴木船員局長あてに九月の十一日に出されている中の事実経過の問題のところなんです。  きょう最初に私がお聞きをしておきたいのは、研修員ということで入国させた法務省が、入国させる際にどのような審査をして、どのような判断によって入国を認めることになったかということなんです。出入国管理令や外国人労働力を受け入れないという閣議了解事項、これは四十二年三月十四日、四十八年の一月三十日、五十一年の六月六日というように、閣議了解事項があるわけなんです。ただ、産業上いわゆる陸上の外国人研修生の入国については、法務省は労働省に協議を求め、労働省は審査基準に基づいて審査を行って、入国を認めることの適否ということについて回答することになっているわけなんですが、海上のこの外国人研修生の審査基準が設けられていなかったので、今回の場合は法務省の方が判断をしたわけですけれども、研修生として入国させるについての判断、運輸省の方とも協議を行ったのかどうなのかという、そこのところの法務省の御見解をお聞きしたいんです。
  133. 宮崎孝

    説明員(宮崎孝君) お答えいたします。  本件につきましては、運輸省とは協議は行っておりません。
  134. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 行っていないならなおのこと、私は、冒頭に聞いた法務省として入国させる際にどのような審査をして、どういう判断によって入国を認めたんですかという、その点についてのお答えをいただかなきゃならぬ。
  135. 宮崎孝

    説明員(宮崎孝君) 研修といいますのは、もちろん日本で技術水準が高い場合、いわゆる発展途上国を中心とする国から、日本の技術を学びとるということで、原則として十八歳以上の研修能力のある人を日本に入国させる、こういうことでございます。  本件につきましては、受け入れ先である今発海運に研修能力があるかどうかということ、そこを中心に審査いたしまして、二隻の内航タンカー、これはいわば最新の技術によってつくられて、最新の技術で運航されているというような事実。それから、研修計画といたしまして週四十八時間、それで実務はそのうち十八時間というような研修計画も提出されましたので、これは十分実効のある研修が行われると判断いたしまして、受け入れを認めたわけでございます。
  136. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 外国人労働者を受け入れないということについて閣議了解が行われているので、その関係はどういう御判断をいたしたんですか。
  137. 宮崎孝

    説明員(宮崎孝君) ただいまの点につきましては、私どもとしましても一件一件労働省ないしは運輸省と協議するということは行っておりませんが、こう言っちゃ僣越でございますけれども、主管官庁以上に昭和四十二年の閣議了解にあらわれておりますような外国労働力を原則として受け入れないという原則を十分心いたしまして審査を行っているわけでございます。
  138. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 外国人労働力を受け入れないという閣議了解事項を承知の上で、運輸省にも労働省にも相談をしないで十分審査をしてお決めになったという、つじつまの合わない、それはどういう解釈をしたらよろしいんですか。筋が通ってないわけです。私たちとするならば閣議了解事項では受け入れちゃいけないという判断があるから、受け入れるわけにはいかないという考え方を持ったけれども運輸省に聞いたら運輸省がよろしいと言ったから、それじゃ受け入れを認めてやろうと言うなら話は別ですけれども運輸省にも労働省にも聞かなかった、私たちとしては正しい判断をしてこういたしましたと言っても、だったら閣議了解事項を無視をしたことになるけれども、そういうことですか、法務省は。
  139. 宮崎孝

    説明員(宮崎孝君) 閣議了解事項を心して審査するということは、全件について関係の主管官庁と協議するということには解釈してないわけでございまして、したがいまして先ほど言いましたように、労働省さらには運輸省といったところのそれぞれの政策を、これはまあ一々協議しなくても初めからわかっていることでございますので、それを勘案しまして従来十分な配慮を行ってきたと、そのように信じているわけでございます。
  140. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 今度は運輸省の方へ。  船員局長にお答えをいただきたいと思うんだけれども一つは、いまの法務省の答弁も含めて運輸省見解を言ってください。私の理解では、さっきから聞いていても何を言っているかわからないんだが、その辺もつけ加えて言っていただきたい。  それから全日本海員組合から、先ほど言ったように調査をして、これは研修員ではなくて一般労働力だという指摘をしたんですが、それに対しては法務省の方も運輸省の方も、いいえ研修員として正しく研修が行われておりますという回答をされたと聞いたんですが、それはどういう判断でそういう結論をお出しになったのか、その辺はいかがですか。
  141. 鈴木登

    政府委員(鈴木登君) 本件につきましては、ちょっと経緯を御説明いたしますと、五十六年、ことしの七月の初めに全日本海員組合の方から私どもの方へ一つの情報として、今発海運の第八反宮丸に船員法七十条違反事件がある、それともう一つは、韓国人船員が三名乗っておるということの通報がございました。したがいまして、私どもの方は直ちに関東海運局に対しまして立入検査の指示をしたわけでございます。その指示に基づきまして、七月の八日に関東海運局の船員労務官が三名、川崎港において立入検査をいたしましたところ、七十条違反を中心に――ここで申し上げたいのは、船員労務官というのは実は出入国管理令の監督権限はございませんで、船員法、それから船員法関連法令の監督権限しかございませんので、一応組合の方から通報のありました七十条を中心に立入検査をしたわけでありますけれども、法定職員五名、それから部員六名、合計十一名乗っておりまして、この七十条違反事件の発生というのは見つからなかった次第でございます。  ただ、やはり御指摘のとおりに韓国人が三名乗っておりまして、海員名簿には研修生というふうに記載されております。それで、いまの組合の方からも、これは研修生と言っているけれども、現実には労働をしておるんじゃないかという御指摘がございましたので、その点を調べましたけれども、なかなか労働者であるか研修員であるかという判断は、これ非常にむずかしゅうございまして、それで、これは研修員じゃない、労働者だというふうな断定を下すほどの確証をつかむことができませんでした。したがいまして、私どもはこの旨を一応法務省の方には通報したような次第でございます。  それから、いま御指摘のように、九月十一日に全日海の方からいまお読みいただいたような申し入れがございまして、それに対しても法務省の方に御通報申し上げたわけでありますけれども、重ねて十八日に、もう一回立入検査をしようということで、塩釜港で今度は東北海運局の労務官に第八反宮丸に対して立入検査をさせたわけでございます。ところが、その際もやはりなかなかその確証、労働をしておる、労働をしておるがために船員手帳を持たさにゃいかぬという確証をつかむことができませんでした。したがいまして、ただ、疑わしいことはこれ事実でございますので、こういう事態をできるだけ早く解消せにゃいかぬということで、法務省、それから労働省とも協議いたしまして、去る十月三十日に「外国人の船員技術技能研修生の入国に、係る審査基準」というものをつくりまして、これを業界と、それから地方海運局の方に流しまして、今後そういう事故がないように措置したのでございます。  もともとこういう点につきましては、実は海運問題につきましては、外国人を雇い入れるというようなケースがいままで皆無と言っていいくらいなかったものですから、こういう通達といいますか、審査基準は決めていませんで、法務省と私どもの方の間にも、こういう事態が発生した場合にはどういうふうにするかという、そういう覚書的なものも何ら決めてなかったわけでございます。そこがこういう事態を発生した一つの一番大きな原因であろうと私思っております。したがいまして、今後はそういう事態は発生しないと確信しております。  御質問の本件について、研修員でない、あるいは研修員であるというふうな、どういう理由で判定したのかということにつきましては、ちょっと私どもの方、その申請書の方も持っておりませんでしたし、どういう形で研修契約がなされているのかもちょっとわかりませんでしたので、労務官のわかる範囲内で、これは労務官はもともとそういう調査権限はないのですけれども、わかる範囲内で調べましたが、研修員であることを否定するほどの確証はつかめなかった。まあ一つの役所が研修員という形で入国を許可しているのを、それを否定するほどの証拠は見つからなかったということでございます。
  142. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 局長、私の手元にも、十月三十日付でお出しになった「外国人の船員技術・技能研修生の入国に係る審査基準」というのはあるんです。これはどうなんですか、陸上労働者の場合の、労働省がお出しになっている審査基準に比べていささか甘いのと違いますか。  それからもう一つ。研修生かどうかよくわからぬと、それは確かにむずかしい点があると思うんですよ。しかし、運輸省の側にすれば、そういうふうな、どうもあいまいではっきりしないような点があるならば、とりあえずはそういう者は乗せてはならぬということをむしろ言って、まあ法務省の方ではお聞きしなかったというのだからなんだけれども、法務省に向かって言うべきじゃないんですか。それで、法務省の方では、先ほどは今発海運というのが研修能力があるかどうか、そういうことを判断されたと言うんですけれども、大手の企業ならばかなりそういうことについてのいろいろ研修生を入れてやる能力もあるだろうけれども、今発海運なんて私が聞いたってわからぬようなその船会社が、研修生を受け入れて研修をしてあげるような能力はあるとは思えないですものね。だから、その辺の点がどうも今回の場合の運輸省局長の方の御判断も甘かった。それから、法務省の方に向かってもその辺をもうちょっときちんと言うべきだったし、それからこの審査基準は少し緩やかじゃないですか。
  143. 鈴木登

    政府委員(鈴木登君) まず、審査基準の方からお答えいたします。  実は、労働省の方に四十七年十一月二十四日に決めました審査基準というのがありまして、四十七年以来この審査基準に基づいて、陸上の労働者につきましては法務省、労働省の間で十二分にチェックされておるようでございます。  今回、海運問題につきましては、恐らく今回の事件が外人の船員を雇い入れ――まあ外人船員ということを断定はできなかったわけですけれども、そういう類似のケースが初めてでありましたので、われわれもその労働省の通達をそのまま一応われわれの方に準用させていただこうということで、その四十七年十一月二十四日付の労働省の通達をもらってまいりまして、これを海に間に合わせるような修正をいたしました。  御指摘のとおり、いろいろと修正はしたわけですが、恐らくいまの先生指摘の点は、労働省の方の通達は研修員十名につき研修担当指導員一名以上の割合で配置させにゃいかぬということを書いてあるのに、私どもの方は適当数の研修担当指導員が配置されておればいいというふうに書いてあるというのは、そこを緩めているんじゃないかという御指摘だろうと存じますけれども、実は船につきましては、もともと船に乗組員が非常に少ないわけでありますから、十名以上のような、陸上のような大勢の研修員というのが乗り組むというケースがほとんどないんじゃなかろうか、来てもせいぜい二、三名だろうという前提のもとに、船の場合は二、三名につき一人というのもまたこれ多過ぎますし、それからもう一つは、船につきましてはいろいろと乗組員の定員、それから船内の居住区の問題というのがございまして、できるだけ併任制度をとっております。  たとえば、安全担当者、衛生担当者、衛生管理者、救命艇手、油濁防止管理者、これすべて機関長とか一等航海士とかの併任制度をとっております。したがいまして、専任のそういう研修担当指導員を置かなくても、たとえば一等航海士とか船長とか機関長を併任できるんじゃないかというようなことも考えまして、一応適当数の研修担当指導員というふうな表現に改めた次第でございます。  重ねて申しますと、十名以上の研修員があるような場合は、船の場合はもうあり得ないという判断のもとに、それから船自体が非常に船内の居住設備なんか、ベッドの数とか振られておりますので、そういう点を考慮してこういうふうな表現をしたわけでありまして、決して陸上の通達よりも私どもの通達の方が緩和したという意識はございません。  それから、もう一つの研修員の判断でございますけれども、この申し入れ書の中にも書かれておりますように、一つは、六万円の給料をもらっておるということから、われわれひとつのこれは労働者じゃないかということで大分疑ったわけでありますけれども、労働省の通達の方にも適切な額の研修手当が必ず支給されなきゃいけないんだというようなことを書いています。その六万円が給与か研修手当かということにつきましては、これは向こうの方はあくまでも研修手当であるということを申されておりますし、それからもう一つの、たとえば教える側に韓国語をしゃべれる者がいないじゃないかという点につきましても、われわれ疑わしき目でながめたわけでありますけれども、まあ船の運航技術とかそういうものは必ずしも韓国語がわからなくても見よう見まねで教わるというケースもあり得るものですから、そういう事実を突き破ってまでこれは研修員でないというふうな判断がなかなかできなかった。ただ、船員中央労働委員会でも私、お答えいたしましたけれども、これはあくまでも疑わしい、余り好ましくない事態であるという判断をいたしましたがために、あの直後、法務省の方にも口頭で、こういう事例があるので善処方をお願いするということは申し入れた次第でございます。
  144. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 じゃ、この審査基準は別に陸上に比べて緩やかにしようとした覚えはありませんと、いま言うとおり、大量にやることは恐らくないからしたことだというふうな理解をして、ですから、現実に不合理な点があれば、そういう点についてはお直しをいただけるというふうに判断してよろしいですね。
  145. 鈴木登

    政府委員(鈴木登君) はい。
  146. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 次に局長、私も別に韓国人船員が悪いんだといって責めるつもりで言っているわけじゃないんですよ。ただ、日本の今発海運ですか、日本の船主が、そういうふうな月六万円なんて安い給料で使えるという、そういうことでやっている。そのことを安易に認めておったならば、これはもう大変なことになってしまう。しかも内航海運なんですから。ですから、その辺でもってもうちょっときちんとしていただきたかったし、それから、これも恐らくいっているでしょう、釜山にある韓国の大典物産株式会社の  炎暑の候、貴社益々隆盛の段、慶賀申し上げます。  さて、当社は韓国釜山に所在する海外船員送出代理店として、まずは御挨拶かたがた弊社の営業に対して次のように御案内申し上げ、御支援と御鞭撻をお願い申し上げます。    記  弊社は世界一流の優秀な船員を多数確保し、待機させて居ります。船員の誠実性、教育水準、能力等、海外船員送出会社として何ら遜色が無いと存じます。比較的低い賃金で優秀な韓国船員を雇傭される船主方におきましては、弊社の韓国本社にお問い合せなされ、当社所定の代理店契約書見本 云々というように、これはさっきのなにとは違うけれども、結局今発海運がそんなものを認めてやるから、今度は向こうのこういうまた会社が、これ明らかに労働者の売り込みなわけだ。研修でも何でもないわけですよ。  だから、こんなようなことで、そして日本の内航海運もみんな、そんな企業としては余裕がありはせぬのですから、それは安い賃金で使えるなら結構だといってやったら、それこそ、言うならば日本海運の秩序が乱れてしまう。そうでなくても、いま日本の外航海運もどんどんとああいうふうなことで外国用船ばかりふえちゃって日本船が減ってきているわけですよ。そういう点で、まだ外国航路の方はなんだけれども、国内の方は日本人だけでやってきているんだけれども、その国内の内航海運までこんなことになったらこれはとんでもないことになっちゃうんで、もう時間もなんですから、今後どういうふうにするか、その点をきちんと局長から言っていただいて、最後は大臣に、ずうっとお聞きになったんですから、まことによからぬことがというようにお感じになったと思うんで、いまのうちにそういう悪い芽は摘んでしまわなきゃいけないし、そういう点で大臣としても今後どういう行政指導の上で御処置なさるか、大臣の御見解もお聞きしたいと思います。
  147. 鈴木登

    政府委員(鈴木登君) 先生指摘のとおりに、最近の内航海運というのは若年船員が非常に不足しておりまして、実はちょっとゆゆしき問題になっております。ところが、別途中高年齢層というのはこれまた非常にだぶついておりまして、その辺非常にむずかしい雇用問題になっております。ところが、私どもは必ずしも外国人を雇い入れなければ内航海運立ち行かないというふうには考えておりません。もっとやはり中高年齢層の活用を図るべきですし、それから若年層につきましても、もっと若者が海へ来てくれるようなムードづくり、それから業界の改善というものを図っていかにゃいかぬと思っております。まずその辺を改善してもなおかつどうしてもにっちもさっちもいかないというようなときに、最後の手段としてそれはとられるべきであって、現在の段階はまだ外国人船員を雇い入れる必要がないと思っております。  したがいまして、いま申し上げましたように、中高年齢層の雇い入れの促進と、それから若年層の海上志向を促進する方策と、これは来年度予算にもそれを幾らか計上、要求しておるわけでありますけれども、その辺の政策を強化していきたいというふうに考えております。
  148. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これは私は放置しておけばやっぱりゆゆしい問題になると思っております。特に、最近用船料を皆オペレーターがたたきますしいたしますので、ますます貸し渡し業というものは苦しくなってきておる。そうするとどうしてもこういう安い労働力を使うことになる。でございますから、ちょうどこういうような問題が一罰百戒、これ出てまいりましたことが一つのいい検討調査をするチャンスでございます。  しかし、先ほど来からずっと聞いておりまして、なかなか実態をつかめないというのが私は本当ではないか。特に韓国人と日本人というのはよく似てますし、どう見たってどっちがどっちかわからぬのがたくさんおいででございますし、そこらが一つむずかしい。それからもう一つ、作業の内容がやっぱりつかみにくい、研修か労働か。そういう点いろいろございましょうが、しかし、われわれは情報が入り次第、そういうふうなものには的確に対処していきたい。決してこれをおろそかにするというものではないということだけはひとつ御承知いただければ結構だと思います。
  149. 柳澤錬造

    ○柳澤錬造君 大臣、結構です。それで、顔色で見分けるといったってそれはおっしゃるとおり無理なことなんで、だからそれは何らかの方法で、日本の船会社に向かって、おまえたちこういうことをやったらけしからぬぞという、これをひとつやっておいてください。そうしておけば今度は、いや知りませんでしたじゃ済まないんだから、その後においてこういうことを起こしたときにはそれなりの厳重な処分ができることなんですし、だから、そういう点で日本の船会社に、おまえたちちゃんとルールは守れと、やっていかぬことはやってはいけないのだぞという、それをぜひやっておいてください。それで終わります。
  150. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それは厳格に、厳重にやったと思っておりますし、今後ともそれはやっぱり継続して監視をしてまいります。
  151. 桑名義治

    委員長桑名義治君) 本日の調査はこの程度にとどめます。     ―――――――――――――
  152. 桑名義治

    委員長桑名義治君) 次に、連合審査に関する件についてお諮りいたします。  行政改革を推進するため当面講ずべき措置の一環としての国の補助金等の縮減その他の臨時の特例措置に関する法律案について、行財政改革に関する特別委員会に対し連合審査会の開会を申し入れることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 桑名義治

    委員長桑名義治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の日時につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 桑名義治

    委員長桑名義治君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時六分散会      ―――――・―――――