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1981-11-10 第95回国会 衆議院 本会議 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年十一月十日(火曜日)     —————————————  議事日程 第六号   昭和五十六年十一月十日     正午開議  第一 日本放送協会昭和五十四年度財産目録、     貸借対照表及び損益計算書     ————————————— ○本日の会議に付した案件  原子力安全委員会委員任命につき同意を求める   の件  公正取引委員会委員任命につき同意を求めるの   件  日本放送協会経営委員会委員任命につき同意を   求めるの件  労働保険審査会委員任命につき同意を求めるの   件  日程第一 日本放送協会昭和五十四年度財産目   録、貸借対照表及び損益計算書  昭和五十六年分所得税特別減税のための臨時   措置法案大蔵委員長提出)  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法   律案内閣提出)及び防衛庁職員給与法の一   部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明   及び質疑    午後零時二十四分開議
  2. 福田一

    議長福田一君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 福田一

    議長福田一君) 御報告いたすことがあります。  永年在職議員として表彰された元議員西尾末廣君は、去る十月三日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。  同君に対する弔詞は、議長において去る十一月六日贈呈いたしました。これを朗読いたします。     〔総員起立〕  元民社党中央執行委員長前衆議院議員正三位勲一等西尾末廣君は多年憲政のために尽力し特に院議をもつてその功労を表彰され再度国務大臣の重任にあたられました 君は終始政党政治の確立につとめ議会制民主政治の発展に貢献されました その功績はまことに偉大であります衆議院は君の長逝を哀悼しつつしんで弔詞をささげます      ————◇—————  原子力安全委員会委員任命につき同意を求めるの件  公正取引委員会委員任命につき同意を求めるの件  日本放送協会経営委員会委員任命につき同意を求めるの件  労働保険審査会委員任命につき同意を求めるの件
  4. 福田一

    議長福田一君) お諮りいたします。  内閣から、  原子力安全委員会委員内田秀雄君、大山彰君、田島英三君及び山本寛君を、  公正取引委員会委員渡辺豊樹君を、  日本放送協会経営委員会委員池田敬子君、高橋武彦君、永倉三郎君及び吉武信君を、  労働保険審査会委員大塚達一君を任命したいので、それぞれ本院の同意を得たいとの申し出があります。  まず、原子力安全委員会委員及び日本放送協会経営委員会委員任命について、申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  5. 福田一

    議長福田一君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えるに決しました。  次に、公正取引委員会委員及び労働保険審査会委員任命について、申し出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 福田一

    議長福田一君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも同意を与えるに決しました。      ————◇—————  日程第一 日本放送協会昭和五十四年度財産目録貸借対照表及び損益計算書
  7. 福田一

  8. 佐藤守良

    佐藤守良君 ただいま議題となりました日本放送協会昭和五十四年度財産目録貸借対照表及び損益計算書について、逓信委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本件は、放送法第四十条第三項の規定に基づき、会計検査院検査を経て、内閣から提出された日本放送協会昭和五十四年度決算書類であります。  これによりますと、昭和五十四年度末において、資産総額は一千八百八十三億九千百万円でありまして、前年度に比べて一億六千九百万円の減少となっております。これに対して、負債総額は八百三十八億一千四百万円でありまして、前年度に比べて百十一億三千五百万円の増加となっております。また、資本総額は一千四十五億七千七百万円でありまして、前年度に比べて百十三億四百万円の減少となっております。  次に、損益について申し上げますと、昭和五十四年度中の経常事業収入は二千百九十一億七百万円であり、これに対して、経常事業支出は二千二百九十六億六千四百万円となっており、この結果、経常事業収支は百五億五千七百万円の欠損となっております。これに、特別収入四億三千九百万円及び特別支出十一億八千六百万円を含めた事業収支では百十三億四百万円の欠損となっております。  なお、本件には、「検査の結果記述すべき意見はない。」との会計検査院検査結果が添付されております。  逓信委員会におきましては、本件について、十月三十日山内郵政大臣及び日本放送協会当局から説明を聴取し、審査を行い、次いで採決の結果、本件全会一致をもって異議がないと議決した次第であります。     —————————————  以上、御報告申し上げます。(拍手
  9. 福田一

    議長福田一君) 採決いたします。  本件委員長報告異議がないと決したものであります。本件委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 福田一

    議長福田一君) 御異議なしと認めます。よって、本件委員長報告のとおり決しました。      ————◇—————
  11. 鹿野道彦

    鹿野道彦君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、大蔵委員長提出昭和五十六年分所得税特別減税のための臨時措置法案は、委員会審査を省略して、この際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
  12. 福田一

    議長福田一君) 鹿野道彦君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 福田一

    議長福田一君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。     —————————————  昭和五十六年分所得税特別減税のための臨   時措置法案大蔵委員長提出
  14. 福田一

    議長福田一君) 昭和五十六年分所得税特別減税のための臨時措置法案議題といたします。  委員長趣旨弁明を許します。大蔵委員長綿貫民輔君。     —————————————  昭和五十六年分所得税特別減税のための臨時措置法案     〔本号末尾掲載〕     —————————————     〔綿貫民輔登壇
  15. 綿貫民輔

    綿貫民輔君 ただいま議題となりました昭和五十六年分所得税特別減税のための臨時措置法案につきまして、提案の趣旨及び大要を御説明申し上げます。  この法律案は、本日大蔵委員会において全会一致をもって起草、提出したものであります。  御承知のとおり、前国会における議長裁定第二項、すなわち「予算修正問題については、今後における財政再建の目途並びに財政状況の推移を踏まえ、昭和五十五年度の剰余金予備費不用額自然増収など)によって対応できる場合は、各党関係者実施について具体的に検討する。」との裁定に基づき、前国会において、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議民社党国民連合、新自由クラブ及び社会民主連合の六党派間において協議が行われた結果、「財政法第六条の特例を設け、五十五年度剰余金は、その全額を所得税減税に充てる。」旨の合意がなされ、これに基づく財源措置として、すでに議員立法により、昭和五十五年度歳入歳出決算上の剰余金の処理の特例に関する法律が制定されているところであります。  その後、昭和五十五年度の決算上の剰余金の額が四百八十四億円に確定したことに伴い、関係党派間において協議が行われた結果、これを財源とする所得税減税具体的実施方法について合意がなされました。  本案は、この合意に基づき、昭和五十六年分の所得税について特別減税実施しようとするものであります。  本案提出に当たり、当委員会といたしましては、四百八十四億円の使途について、さらに有効な方法がないのかという意見が各方面にあることも十分踏まえた上、慎重に検討いたしたのでありますが、議長裁定に基づき関係党派間で合意がなされたという経緯を尊重いたしまして、本案提出いたした次第であります。  以下、本案大要を申し上げます。  まず第一に、特別減税は、居住者または総合課税を受ける非居住者昭和五十六年分の所得税対象とし、その者の特別減税前の所得税額から特別減税の額を控除することといたしております。  第二に、特別減税の額は、本人につき五百円、控除対象配偶者または扶養親族がある場合には、その一人につき五百円を加算しますが、特別減税前の所得税額限度とすることといたしております。  第三に、特別減税実施方法でありますが、昭和五十六年分の所得税について確定申告書提出する者については、その提出の際に、昭和五十六年中の給与等につき年末調整対象となる給与所得者については、年末調整の際に、それぞれ税額から特別減税額を控除することといたしております。  なお、本案による国税の減収額は、約四百八十四億円と見込まれますので、内閣意見を求めましたところ、「現下の財政事情等から見て賛成いたしかねるところであるが、院議として決定される以上やむを得ない」旨の意見が開陳されました。  以上がこの法律案趣旨及び大要であります。  何とぞ、御賛成くださいますようお願い申し上げます。(拍手)     —————————————
  16. 福田一

    議長福田一君) 採決いたします。  本案を可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 福田一

    議長福田一君) 御異議なしと認めます。よって、本案は可決いたしました。      ————◇—————  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出)及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明
  18. 福田一

    議長福田一君) この際、内閣提出防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について、趣旨説明を求めます。国務大臣大村襄治君。     〔国務大臣大村襄治登壇
  19. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。  初めに、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  まず、防衛庁設置法の一部改正について御説明いたします。  これは、自衛官の定数を、海上自衛隊六百六十一人、航空自衛隊三百十九人、統合幕僚会議十六人、計九百九十六人増加するためのものであります。これらの増員は、海上自衛隊については、艦艇、航空機就役等に伴うものであり、航空自衛隊については、航空機就役等に伴うものであり、統合幕僚会議については、防衛庁中央指揮所開設準備等に伴うものであります。  次いで、自衛隊法の一部改正について御説明いたします。  これは、自衛隊予備勢力を確保するため、陸上自衛隊予備自衛官千人を増員するためのものであります。  次に、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  この法律案は、任用期間定めのある自衛官いわゆる任期制自衛官が引き続いて任用された場合及び任用期間定めのない自衛官いわゆる停年制自衛官となった場合の退職手当支給方法等を改めるものであります。  すなわち、自衛官に対する退職手当は、現在、任期制自衛官については、任用期間が満了する都度、任期制自衛官から三等陸曹等に昇任した停年制自衛官については、任期制自衛官以外の期間を基礎にして支給しております。  しかし、停年制自衛官としての勤続年数が長期にわたることとなる者にあっては、任期制自衛官に対する退職手当支給しないで、当該期間をその者の停年制自衛官としての勤続期間に通算して支給する方がよい場合がありますので、その者が希望した場合には、当該退職手当支給しないことができるように改めるものであります。  また、任用期間が満了したときに退職手当支給を受けなかった任期制自衛官が、三等陸曹等に昇任しないで退職することとなった場合等におきましては、支給を受けなかった退職手当退職時等に合算して支給できること等に改めるものであります。  この法律案規定は、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。  以上が防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案趣旨でございます。(拍手)      ————◇—————  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出)及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  20. 福田一

    議長福田一君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。これを許します。上原康助君。     〔上原康助登壇
  21. 上原康助

    上原康助君 私は、ただいま趣旨説明がなされました防衛法案と関連し、日本社会党を代表して、総理並びに関係大臣に若干の質問をいたします。(拍手)  総理、まずお尋ねしたい第一点は、政治倫理についてであります。  戦後最大疑獄と言われたロッキード事件は、丸紅ルート公判における榎本アリバイが崩れ去ったのに続き、小佐野被告への実刑有罪判決が去る五日に下されたことは御承知のとおりであります。  この有罪判決の持つ政治的、社会的意味はきわめて大きいと言わなければなりません。(拍手)なぜなら、ロッキード事件は戦後疑獄の総決算だとも言われ、それは、政、財、官界のもたれ合いの土壌と、それを栄養源にしてきた戦後保守政治のなりふり構わぬ金権体質、政、財界の暗部に巣くう政商と黒幕の存在などを天下にさらけ出した事件であったからであります。  このロッキード事件を契機に、政治倫理を求める国民の声が大きな世論として盛り上がったことは言うまでもありません。ところが、政府自民党は、昨年の衆参同時選挙で一時的に勝利をおさめたことに気をよくし、このような構造汚職を根底から追及していく場を一つ一つもぎ取ってきたのであります。  それは、衆参両院における航特委の存続を数の暴力で退け、鈴木内閣になってから、腐敗政治を浄化し、政治倫理を確立していこうとする努力がみじんも見当たらないことからも明らかであります。(拍手)  そればかりではなく、総理が約束された倫理委設置もたなざらしとなり、昨今の政府・与党の風潮は、いわゆる田中軍団の急膨張、灰色高官の復権、歴代法相による田中被告を擁護するかのような発言など、数の力におごり高ぶる言動が目立っていることが如実にそれを物語っております。(拍手)  総理社会一般から支持されないことをやったり、人の道に反していることをやっているのは一体だれなのか。権力に物を言わせ、政治を私物化し、私利私欲に奔走しようとする金権腐敗構造的汚職に徹底的にメスを入れ、政治倫理を確立していくことは、いまや焦眉の課題ではありませんか。これを阻んだり、裁判に影響を与えるような言辞は絶対に許さるべきではありません。小佐野判決の結果を見ても、総理はこの際、奥野法相を即刻罷免すべきであります。(拍手総理政治倫理についての御所見と決意のほどをお伺いするものであります。  次に、小佐野判決との関連で重視しなければならないことは、問題の次期対潜哨戒機PCオライオン防衛庁への売り込みをめぐっても、小佐野被告らの暗躍があったことが明らかにされたことであります。  このことは、P3Cの選定、採用に当たって何らかの政治的介入がなされたのではないかとの、当初からのわれわれの疑惑を一層深める結果となりました。多額の国民の血税を使って、八二年度以降繰り上げ購入しようとする軍用機にまで黒い資金が絡んでいた疑惑が持たれている以上、政府は、P3Cの選定経過をいま一度洗い直して、その疑惑が完全に晴れるまで購入を中止すべきだと考えますが、総理大蔵大臣防衛庁長官の御見解を求めたいと存じます。(拍手)  お尋ねしたい第二点は、国際危機に対する政府の対応についてであります。  確かに、昨今の国際情勢は、七九年暮れのソ連のアフガニスタンへの軍事的侵攻、イラン・イラク戦争、さらに最近起きたサダト・エジプト大統領暗殺事件など、国際緊張が激化の様相を呈していることを全面的に否定できない面があります。しかし、このように高まってきている国際危機の根源をすべてソ連軍事的展開になすりつけて、ソ連脅威論を捏造し、レーガン政権における、NATOと日本とを東西の両翼に位置づけた対ソ同時多発報復戦略に、わが国が一方的に加担することは、国際間の緊張をかえって高めていく結果にしかならないのであります。  総理レーガン政権がとっている、軍事力に頼る「強いアメリカ」の再生を図ろうとする核軍拡路線は、遠からず破綻を招くことになるでありましょう。その兆しは、すでに国内的にも国際的にも表面化しているのであります。  すなわち、軍備強化を優先するが余り、選挙公約であった経済再建計画は、鈴木内閣行財政改革と同様、ふたをあけてみると、あらゆる福祉関係予算に大なたをふるったことが明らかとなり、また、減税法案は、持てる者ほど恩恵を受けるといった内容になっており、七%を超す高い失業率など、労働者一般市民からの総反発を食らい、去る九月には、ワシントンにおいて実に二十数万人の反レーガン大集会が持たれていることを見ても明らかであります。レーガン政権は、その穴埋めを一層わが国に押しつけてくることは必至であります。  一方、欧州においても、戦域核中性子爆弾の配備に反対し、米ソ軍縮緊張緩和を求める反核、平和デモが各国で連日のように繰り広げられていることを注目すべきであります。しかも、その規模と広がりは戦後最大のものと言われております。西独では、ドイツを米ソ大国核兵器の射爆場にしてはならないと、核戦争危機を訴えて立ち上がっておるのであります。  総理、ヨーロッパにおける核戦争危機は、在韓、在日米軍基地を軸とするアジアとも決して無関係ではないのであります。しかも、アメリカヘイグ国務長官ロストウ軍縮局長官は、ソ連通常兵器による攻撃に対しても核兵器をもって対抗すると言明しているのであります。このことは、日米安保体制下にあるわが国が、従来以上にソ連核攻撃を受ける危険にさらされていることを意味します。いまや、核兵器抑止力ではなく、限定核戦争に、欧州、中東、アジア地域などで現実に使用される可能性がきわめて高くなっていることを銘記すべきであります。  したがって、総理、このような核戦争国際的危機が高まっている今日、世界唯一被爆国として、国際軍縮を強力に推進し、核戦争の回避と核廃絶の実を上げる国際環境の創出にこそ、経済大国日本の力を最大限に活用すべきではありませんか。総理並びに外務大臣の御見解を求めるものであります。  お尋ねしたい第三点は、アメリカ議会筋を含む対日防衛力増強要求についてであります。  この一連米側圧力が、日本側も一枚かんだ日米合作防衛力増強要求であるとすれば、なおさら許せるものではありません。深刻化しつつある日米間の経済摩擦の解消は、日本側課題としては、輸出主導型から内需主導型への転換を図ることであり、米国側課題としては、国内産業国際的競争力の回復とインフレの克服、効果的エネルギー政策高度技術産業の育成、生産性の向上など、米国みずからが努力をし、解決すべき面も多く抱えておるのであります。しかるに、米国は、みずからなすべきこれらの経済産業政策転換を怠って、いたずらにわが国の対米欧への貿易黒字のみを機会あるごとに問題視して、その見返りにわが国軍事力増強を強要していることは、本末転倒もはなはだしく、死の商人の論理と言わなければなりません。(拍手)  これに関連して、いま一点、日本側が注意しなければならないことは、日米間の経済問題はもとより、特に防衛安全保障に関して、多くの米国政治家が、日本に対して強い姿勢で要求することが日本を動かす効果的な方法だと考えている節があるということであります。したがって、米国の対日要求には常にオーバーな点があり、日本を揺さぶるための手段として執拗に迫ってきていることを見抜かなければならないのであります。  総理日本独立主権国家であるならば、どうして米側から、防衛費をもっとふやせとか、F15がよいとか、P3Cを買いなさいとか、大型軍艦をもっとつくれなどと、一々指図を受ける必要があるのですか。政府は、これまで口を開けば、わが国防衛力整備憲法の枠内で、自主的に、必要最小限度のものであるなどと公言してきたのでありますが、その経過と内実を見れば、米側要求に応じてきたものであることは明白であります。  特に、沖繩返還以降日本防衛分担費増加の一途をたどり、七八年十一月の日米防衛協力の取り決め、昨年五月の大平・カーター会談で顕著で着実な増強を約束し、今年五月の鈴木レーガン会談日米軍事同盟の再確認、続いてハワイ事務レベル協議大村ワインバーガー会談と、一連日米交渉米側要求を全面的に受け入れて、今後防衛力を飛躍的に増大していくことを約束したことは厳然たる事実となっておるのであります。それゆえに、政府は、社会福祉教育費を切り捨ててまで防衛費特別扱いにし、八三年度以降の後年度負担分を含めると、防衛費を今後雪だるま式に肥大化させていく結果を招いているではありませんか。(拍手)  総理、ある有力紙が最近行った世論調査を見てもおわかりのように、政府が来年度予算概算要求で、他省庁をゼロシーリングに抑えておきながら防衛費特別扱いしていることに、その削減を求める強い要求がある反面、福祉教育費のカットに強い拒否反応を示していることを知るべきであります。  日米安保があるから今日の日本の平和と繁栄がもたらされたのではなく、わが党を中心とする護憲勢力のたゆまざる反戦、反軍拡の闘いが重きをなしたことを見落としてはならないと思うのであります。(拍手内政干渉もはなはだしい米側防衛力増強要求をきっぱりと断り、八二年度の防衛予算特別扱いはやめるべきであります。よしんば、給与改定分を含めても七・五%を上回ることはないとお約束できるのかどうか。  そして、日本軍事大国にしないというのであれば、行革で防衛を聖域とせず、平和憲法を厳粛に守り、「防衛計画大綱」の見直しではなく抑制を図り、非核三原則の堅持、武器輸出禁止日米極東有事研究軍事技術協力を取りやめ、自衛隊海外派兵禁止有事法制化スパイ防止法等立法化を行わず、防衛費限度は、将来にわたってGNP比の一%以下に抑えていくことを、鈴木内閣として改めて国民の前に明確にすべきであります。(拍手総理決意のほどと、関係大臣の御見解を求めるものであります。  最後に、沖繩が復帰してから来年五月で満十年になります。しかし、沖繩には依然として在日米軍基地の五三%、専用基地では七五%も集中しており、核の存在疑惑は晴れず、自民党政府公約であった核抜き、本土並み返還は名ばかりで、いまだに実現しない現状であります。加えて、本土との格差是正を初め、慢性化した高失業率など、沖繩振興開発全般にわたって、同計画が目標とした本土水準の八〇%にさえはるかに及ばない実情にあります。  沖繩基地整理縮小については、七一年十一月の国会決議があり、七二年十二月政府によって決定された沖繩振興開発計画では、膨大な米軍基地沖繩産業構造都市形成道路体系等に多大な影響を及ぼしていると認定し、今後開発を進める上で、できるだけ早期にこの整理縮小を図る必要があるということになっておるのであります。  また、第十四回、十五、十六回の日米安保協議委員会においても、施設、区域返還の合意を見たのでありますが、その合意も大半は実現されていない現状であります。  政府は、これらの公約を不履行にしておきながら、公用地等暫定使用法が来年五月十四日に期限切れになることに伴って、今度は米軍用地収用特措法を適用して、三たび土地強奪の準備を進めているようでありますが、断じて容認できるものではありません。そればかりではなく、在沖米海兵隊と陸上自衛隊との合同演習まで計画されていると言われておりますが、事実とすれば、これまた絶対に容認できるものではないのであります。  総理、約束どおり沖繩基地整理縮小が進まない理由は何か。土地の返還を求めている地主等に対して、新たに憲法違反の米軍用地収用特措法を適用して、強制使用を認定した根拠、対象基地、地主等の数、面積等を明らかにしていただきたい。また、自衛隊用地に米軍用地収用特措法を適用しない理由は何か、あわせて明確にされたいのであります。  さらに、政府は、沖繩振興開発特別措置法の延長、第二次振計の策定についてどのように考えておられるか。今後の沖繩施策の基本について、御所見をお聞かせいただきたいと存じます。  以上、行政改革に全く逆行し、軍事費増強の要因となる防衛法案に強く反対する立場を明確にし、誠意ある御答弁を求めて、私の質問を終わります。(拍手)     〔内閣総理大臣鈴木善幸君登壇
  22. 鈴木善幸

    内閣総理大臣鈴木善幸君) お答えいたします。  最初に、政治倫理について一連の御意見がありましたが、私はかねてから申し上げておりますように、政治倫理の確立は緊要な課題であり、清潔かつ公正な政治を行うことは社会秩序の基礎となるものであります。国民の信頼を得る原点であるとも考えております。  ただ、航特委問題につきましては、これは国会がお決めになる問題でありますが、いわゆる航空機輸入に関連して指摘されていた疑惑に関しては、すでに司法当局において解明が終わったと承知しておりますし、また、倫理委員会設置についても、これも国会の問題でありますが、しばしば申し上げますように各党間で合意が得られることを期待いたしておるところであります。  なお、先日の奥野法務大臣の発言内容については、私も報告を受けましたが、これは具体的な事案に対して介入するとか批判しようとするものではなく、検察のあり方について、かねてから考えている持論を一般論として述べたものと理解しておりますので、御了解を賜りたいと存じます。  次に、軍縮核廃絶のため最大限の努力をすべきであるとの御意見がありましたが、核軍備競争がもたらす危険については、政府としても強い懸念を有しており、このような競争の背後にある国家間の不信を除去し、軍縮を促進し得るような国際環境を創出しなければならないことは御指摘のとおりであります。  平和憲法のもとに、軍事大国とはならず、その持てる力を世界の平和と繁栄のために用いることを決意しているわが国としては、このような平和外交の一環として、核軍縮の推進のため今後とも積極的に努力していく所存であります。  次に、防衛費の取り扱いについてでありますが、わが国防衛努力に関する米国からの期待については、日米安保条約に従い、わが国防衛する立場にある米国が、わが国防衛努力に関心を寄せるのは自然のことでありますから、米国政府との間で十分な意思疎通を図りつつ、わが国自身の問題として真剣に対処してまいる所存であります。  政府といたしましては、わが国防衛についてはあくまでもわが国の自主的判断に基づき、必要な防衛力の整備を図っていく考えであります。  また、わが国防衛は、繰り返し申し述べてありますように、平和憲法のもと、専守防衛に徹し、近隣諸国に脅威を与えるような軍事大国とならず、非核三原則を堅持することをその基本方針としているところであります。お尋ねのいわゆる海外派兵は、一般に憲法上許されないものと考えますし、非核三原則、武器輸出三原則は今後とも堅持いたします。  なお、日米安保体制は、わが国防衛にとって欠くことのできないものであり、その円滑かつ効果的な運用態勢を整備するため、「日米防衛協力のための指針」に基づく研究は推進することとしておりますし、また、有事法制の研究についても、防衛庁が所要の検討を進めているところであります。  また、防衛力の整備に当たっては、当面、防衛費がGNPの一%を超えないことをめどとしてこれを行うこととしており、現在この方針を変更する考えはありません。  なお、武器輸出三原則は今後とも堅持する考えでありますが、日米防衛技術交流の問題につきましては、日米安保条約等との関連もありますので、関係省庁において鋭意検討を行っているところであります。  最後に、今後の沖繩の振興開発についてお尋ねがありましたが、私も先般、沖繩県が本土復帰十周年を迎える機会に現地を訪問し、沖繩の現状をつぶさに拝見いたしましたので、御指摘のように沖繩経済社会が厳しい実情にあることは十分理解いたしております。今後の沖繩の振興開発につきましては、先般の沖繩振興開発審議会の意見具申を十分尊重するとともに、今回の臨調の答申を踏まえ、現地の事情を十分勘案して対処してまいる所存でございます。  なお、復帰特別措置につきましても、それぞれの実情を勘案して対処してまいる方針であります。  残余の点につきましては、所管大臣から答弁をいたさせます。(拍手)     〔国務大臣園田直君登壇
  23. 園田直

    国務大臣(園田直君) 核軍縮については、総理からお答えになったとおりであります。  御指摘のとおりでありますから、先般の国連総会においても、私は世界各国に訴え、明年予定されておる軍縮特別総会には、総理みずから出席をして世界各国に訴えるという決意をしておられるところであります。  次に、経済摩擦の問題がありましたが、御承知のとおり、日本は資源がなくて、他国から資源をもらい、その資源を他国に持っていって、貿易国として立っておるわけでありますから、他国の平和と繁栄の中に日本の平和と繁栄があるわけでありまして、日本だけが力み返っておっては、孤立をして、日本の繁栄はございません。したがいまして、アメリカやヨーロッパとの経済摩擦、いわゆる貿易黒字の増大というのは、われわれがほうっておくべきことではなくて、真剣に研究をし、お互いが繁栄するよう、努力していくべき問題であると考えております。  防衛力増強については、総理が言われたとおりでありまして、アメリカ国会でも、日本国会と同様いろいろ意見があることを、一々圧力とは考えておりません。こういう御意見等も踏まえ、自主的な判断をして、みずから許された立場において防衛力を強化すべきであると考えております。(拍手)     〔国務大臣渡辺美智雄君登壇
  24. 渡辺美智雄

    国務大臣(渡辺美智雄君) お答えいたします。  P3C導入に関して、外部からの不当な働きかけによって決まったものではないか。だから、その疑惑解明をするまでP3Cの購入はやめろという御意見でございますが、私といたしましては、これは防衛庁があくまで専門的な観点から費用対効果等を考慮して、純粋に防衛上の見地に立って決められたものである、かように理解をいたしております。したがって、P3Cの購入については中止する考えはございません。  なお、五十七年度予算におけるP3Cの調達については、現在進めている予算編成作業の中で、導入を決めた五十二年十二月の閣議了解の趣旨に従って、慎重にその取り扱いを検討してまいりたいと思います。  それから、五十七年度の防衛関係費につきましては、これは特別扱いすることなく、一刻も早く財政再建を図るという全体の枠組みの中で、経済財政事情等を勘案しながら、他の諸施策との調和も図りながら、必要最小の経費に限って計上していく考えでございます。  それから、防衛力の整備に当たっては、当面、各年度の防衛関係費の総額がGNPの一%に相当する額を超えないことをめどとして行います。現在のところ、この方針を変えるつもりはございません。(拍手)     〔国務大臣大村襄治登壇
  25. 大村襄治

    国務大臣大村襄治君) P3Cの問題につきましては、総理並びに大蔵大臣からお答えがございましたが、防衛庁として若干つけ加えさせていただきます。  先般の東京地裁の判決は、P3Cについて小佐野被告がコーチャン氏等と話をした事実等に関し、議院証言法違反に問われたものでありますが、P3C導入に関して犯罪容疑がないことについては、これまで国会におきまして法務当局から明らかにされているとおりであり、防衛庁としましては、外部から不当な働きかけがなされたことはなく、あくまでも技術専門的観点から費用対効果等を考慮の上、純粋に防衛上の見地に立ってP3Cを選定したものであります。  また、防衛庁としましては、昭和五十一年八月にロッキード社から、P3Cの契約獲得に関し、不当な影響を及ぼし、または、有利な取り扱いを受けるため贈賄その他の金品の提供等の行為を行ったことはなく、また、将来も行わない旨の誓約を受けているところであります。  このようなことから、防衛庁としましては、P3C選定に関し何ら外部からの不当な影響があったとは考えておらず、したがって、現用の対潜哨戒機の更新、近代化を図るため、五十七年度以降においても引き続き所要のP3Cの調達を行ってまいる所存であります。  次に、米国からの防衛努力期待と五十七年度防衛予算関係につきましては、ただいま総理から御答弁がありましたとおりでございます。  また、基本的防衛政策及び日米防衛技術交流、有事法制の研究等につきましても、ただいま総理から御答弁がございましたので、私からは申し上げないことにいたします。  次に、五十七年度概算要求のシーリングにつきまして、給与改定との関係についてお尋ねがございましたので、お答え申し上げます。  五十七年度概算要求の人件費には、通常の昇給原資、増員の平年化等の経費は含まれておりますが、五十六年度の人事院勧告によるベースアップ分は、概算要求に盛り込まれておりません。五十七年度の概算要求には人事院勧告のベースアップ分は含まれておりませんが、人事院勧告の取り扱いについては、現在、政府全体として慎重な検討が加えられているところであり、その取り扱いが未決定である現段階でのコメントは差し控えたいと考えます。  いずれにいたしましても、五十七年度の概算要求は、財政再建が現在の緊急課題であること、最近の厳しい国際情勢にかんがみ防衛力の整備充実を図っていく必要があること等を総合的に勘案し、質の高い防衛力を整備するために最小限必要な経費を盛り込んだものであり、防衛庁としては、要求が認められるよう最大限の努力を尽くしてまいりたいと考えております。  最後に、駐留軍用地特措法の適用根拠と適用状況についてお尋ねがございましたので、お答えを申し上げます。  米軍施設、区域の用に供する土地の使用権原の取得につきましては、土地所有者との合意により使用することが原則でございますが、合意が得られない土地については、地位協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法により、使用権原を取得することとなっております。現在、沖繩の米軍施設、区域用地の大部分のものにつきましては、土地所有者との合意により使用しておりますが、合意の得られない一部の土地につきましては、公用地暫定使用法により使用しておるところであります。同法による使用期間昭和五十七年五月十四日をもって満了するため、同年五月十五日以降も引き続き米軍の用に供する必要がある土地で合意の得られないものについては、やむを得ず地位協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法の手続をとったものであります。なお、現在、沖繩県収用委員会に裁決申請をしておりますものは十三施設、百三十二件、七十万六千平米でございます。  また、地位協定の実施に伴う土地等の使用等に関する特別措置法は駐留米軍のみを対象とするものであり、自衛隊施設について土地等の使用等を行うときは土地収用法によることとなっておりますが、防衛庁としては、沖繩自衛隊施設における公用地暫定使用法適用地の取り扱いについて慎重に検討しました結果、それらの土地を所有者に返還した場合でも、その土地に所在する建物等を隣接する地域へ移設すること等によって基地の運用が可能であり、特に大きな支障がないと判断したので、土地収用法は適用しないこととしたものでございます。  最後に、米海兵隊と陸上自衛隊との合同演習計画の事実関係等についてお尋ねがございましたが、陸上自衛隊は、本年度中に日米共同指揮所演習の実施計画し、現在、米側と具体的訓練内容について検討をしているところでございます。相手方部隊につきましても、米海兵隊と決まったわけではございません。この演習は、日米の部隊相互の指揮要領の調整のために必要でございますので、ぜひ実施してまいりたいと考えております。(拍手
  26. 福田一

    議長福田一君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  27. 福田一

    議長福田一君) 本日は、これにて散会いたします。     午後一時十四分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  鈴木 善幸君         外 務 大 臣 園田  直君         大 蔵 大 臣 渡辺美智雄君         郵 政 大 臣 山内 一郎君         労 働 大 臣 藤尾 正行君         国 務 大 臣 大村 襄治君         国 務 大 臣 中川 一郎君         国 務 大 臣 中山 太郎君      ————◇—————