○沖本
委員 これは提示義務があるわけでしょう。だから、現在ある
法律を
法律どおりに解釈すると、どんなに厳しく調べてもいいわけですよ。どういう形ででも
法律どおり解釈して調べれば調べられるわけです。おまけに罰則は過料じゃないわけですからね。過料じゃなくて罰金
——懲役にならない場合は罰金刑でしょう。ですから、警察の捜査権の中にちゃんと入るわけですね。そういうことですから、不審と思えばいつでも提示を求められるし、職務尋問と同じ形で、ああこの人はおかしいなと思えば、あるいはこれは外国人であるということであれば、登録証の提示を求める。なかったら、こうでしょう。あるいは住所を変更したとかあるいは申請のやり直しとか、いろんな形で、日にちが一日でもずれたらきちっと一年、三万円の罰金、こういうふうになるわけですからね。
法律上そうなっているんでしょう。ですから、それを厳格に担当者の方が励行するのは、これは忠実だということになるんじゃないですか。
だから、法務省の方から厳格にやれ、徹底的に調べろ、こういうことになれば全部そうなっていきますよ、どんどん。そうすると、それは残留
——旅券も持たなければ外国人登録証も持っていない、不法で入国、あるいは入国はちゃんと観光ビザで入ってきたかもわからないけれ
ども、それなり居残ってしまって隠れてしまっている人、あるいは密入国で入ってきた人たちを取り締まるために、あるいはいろいろ
日本の犯罪の中に悪影響を及ぼしているから、あるいは良俗に反するいろいろな問題が起こってきているから、徹底的に調べてそういうものをはっきりして、そして結局きちっとした人しか残さない。抵触する人は皆
日本の国では不良外人だから、帰っていただきます、こういう形になるわけですね、結局は。だから、それを徹底的にやれということになると、今度は善良な人はみんなひっかかっていくことになるわけでしょう。
そうすると、さっきも言うたとおりに、いわゆる
日本が支配しておったときには、労働賃金は
日本人の半分以下、それから住居とか生活は、タコ部屋のようなところへ入れられて、ドンゴロスのようなものしか着せてもらえなかった、水道も下水もなかった、豚や鶏と同じような暮らしをさせられた。これはわれわれが好んでしたのではなしに強いられたのだ、そういうふうにみんな受け取っていらっしゃるのですよ。なぜかというと、そのときに朝鮮人という軽べつの眼でみんな見たものがそのまま並行してこっちへ来ている、こういうとり方をしていらっしゃるのです。ぼくは
説明しているのじゃないのですよ。そういうふうに皆とっていらっしゃるのです。そう思っていらっしゃるわけですから、そこへいろいろなことが起こってきたら、直ちに反日感情というものが起こってくるのじゃないですか。それじゃ国際上の大きな問題、あるいはそのこと自体が人権規約に反してはいませんかということになるわけですよ。
法務省の方で定めた
法律そのものは抵触がないかもわかりません。これでいいのだということかもわかりません。しかし、現実はそういうことが起こっているということになるのです。朝鮮半島から
日本へ来て、自分の意思で住んだのじゃないと言うのですよ。自分のお父さんやお母さんが無理やり引っ張ってこられて、あるときは
日本人の名前をつけられた、戦争が終わったらもとの名前に戻らされてしまって、責任がない、こうおっしゃっている。私たちは差別する考えはありません、だから朝鮮民主主義人民共和国も大韓民国も
日本と同じ対等の立場で考えております、待遇も同じような面でやっております、
一つも区別した考えはありません。しかし、この内容からいくと区別されたことになるわけでしょう。そうなりませんか。そういうことになるから、ますます反日感情をあおってしまうようなことになりはしませんかということになるのです。
だから、そういう点を、今度
改正される場合に、
大臣は国籍法の問題は法制審議会の方に諮問なさるわけでしょう、新聞にはそう出ておりましたけれ
ども。あるいはある新聞の社説の中には、
日本の国自体のこういうものを考える姿勢が、入国させてやるという考えにあるのじゃないのか、そう受け取られるということも載っておるわけですよ。その辺を十分考えていかなければならないわけです。
だから、免許証の提示を求めたときに、外国人の登録証の提示を求める場合も、扱いによると思うのです。相手の人権を十分考えて、普通の人に丁寧に物を言うように、まことに恐縮ですが、恐れ入りますけれ
ども登録証を見せていただけませんかというふうなやり方になれば、そういう感情を抱かないと思うのです。ところが、密入国した人たちはどうしても生活の低いところにもぐり込んでいる。そういうところで働いていることがほとんどですね。あるいはいわゆる残留していらっしゃる方々も、表へ出られませんから、どうしても生活そのものは裏の方へ裏の方へ入っていくわけです。それをもぐっていって調べるわけですから、そういう点でいろいろな摩擦もあると思いますけれ
ども、それは十分やっていかなければならないけれ
ども、その点はもっともっとよく考えて、人権を尊重した調べ方なり捜査の内容なりというものが加味されてきたら、もっともっとこの問題は違ってくると思うのですね。
ですから、指紋を押すという点も、そういう感情が心の中にありながら、
日本人の子供でなしに朝鮮人、韓国人の子供は、子供のときから犯罪者扱いされる、こう言われても言い逃れはできませんでしょう。そういうことではない、実は不法入国者、密入国者を十分調べて、皆さん方がちゃんとしたようにしてもらわなければならないためにこういう
法律をつくっているのだ、こう言ったところで、そうは受け取ってもらえぬということになるわけですからね。その辺はどうなのですか。