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1981-11-12 第95回国会 衆議院 農林水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年十一月十二日(木曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 田邉 國男君    理事 菊池福治郎君 理事 津島 雄二君    理事 羽田  孜君 理事 福島 譲二君    理事 新盛 辰雄君 理事 松沢 俊昭君    理事 武田 一夫君 理事 稲富 稜人君       逢沢 英雄君    上草 義輝君       小里 貞利君    亀井 善之君       川田 正則君    木村 守男君       岸田 文武君    北口  博君       北村 義和君    近藤 元次君       佐藤  隆君    田名部匡省君       高橋 辰夫君    丹羽 兵助君       保利 耕輔君    三池  信君       渡辺 省一君    小川 国彦君       串原 義直君    島田 琢郎君       田中 恒利君    竹内  猛君       日野 市朗君    安井 吉典君       吉浦 忠治君    神田  厚君       寺前  巖君    野間 友一君       阿部 昭吾君  出席国務大臣         農林水産大臣  亀岡 高夫君  出席政府委員         内閣法制局第三         部長      前田 正道君         農林水産大臣官         房長      角道 謙一君         農林水産省経済         局長      佐野 宏哉君         農林水産省構造         改善局長    森実 孝郎君         農林水産省農蚕         園芸局長    小島 和義君         農林水産省畜産         局長      石川  弘君         農林水産技術会         議事務局長   川嶋 良一君         食糧庁長官   渡邊 五郎君         林野庁長官   秋山 智英君         林野庁次長   島崎 一男君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部保安課長  内田 文夫君         環境庁自然保護         局鳥獣保護課長 山口  昭君         国土庁土地局土         地政策課長   木内 啓介君         文化庁文化財保         護部記念物課長 小埜寺直己君         自治省税務局固         定資産税課長  湯浅 利夫君         会計検査院事務         総局第五局上席         調査官     中北 邦夫君         参  考  人         (日本中央競馬         会理事長)   内村 良英君         農林水産委員会         調査室長    小沼  勇君     ――――――――――――― 委員の異動 十月二十二日  辞任         補欠選任   木村 守男君     小坂徳三郎君 同日  辞任         補欠選任   小坂徳三郎君     木村 守男君 同月二十三日  辞任         補欠選任   竹内  猛君     伊賀 定盛君 同日  辞任         補欠選任   伊賀 定盛君     竹内  猛君 同月二十七日  辞任         補欠選任   日野 市朗君     山口 鶴男君 同日  辞任         補欠選任   山口 鶴男君     日野 市朗君 十一月五日  辞任         補欠選任   木村 守男君     齋藤 邦吉君   神田  厚君     部谷 孝之君 同日  辞任         補欠選任   齋藤 邦吉君     木村 守男君   部谷 孝之君     神田  厚君 同月十一日  辞任         補欠選任   上草 義輝君     古井 喜實君   小里 貞利君     中山 正暉君   亀井 善之君     栗原 祐幸君   日野 市朗君     米田 東吾君 同日  辞任         補欠選任   栗原 祐幸君     亀井 善之君   中山 正暉君     小里 貞利君   古井 喜實君     上草 義輝君   米田 東吾君     日野 市朗君     ――――――――――――― 十月二十二日  米国チチュウカイミバエ発生に伴う生果実等  の輸入禁止措置に関する請願福島譲二君紹  介)(第二〇六号)  漁港の整備促進等に関する請願菊池福治郎君  紹介)(第二五六号) 同月二十六日  地域農業振興対策充実強化等に関する請願(  小沢一郎紹介)(第四二四号) 十一月二日  林業木材業不況対策に関する請願赤城宗徳  君紹介)(第五二一号)  農業基本政策確立に関する請願北口博君紹  介)(第六〇九号)  食管制度堅持農業基盤整備事業等推進に関す  る請願逢沢英雄紹介)(第六八〇号) 同月六日  水俣湾における漁獲禁止特別法制定に関する  請願坂田道太紹介)(第七一七号)  台風十五号による被災農家救済等に関する請  願(小沢一郎紹介)(第七七三号)  食管制度拡充等に関する請願小沢一郎君紹  介)(第七七八号)  農家養鶏育成等に関する請願外二件(小沢貞孝  君紹介)(第八〇四号) 同月九日  農業生産発展食糧自給率向上等に関する  請願寺前巖紹介)(第九二一号)  同(野間友一紹介)(第九二二号)  農業施策拡充に関する請願小川国彦君紹  介)(第九二三号)  同(田中恒利紹介)(第九二四号)  同(竹内猛紹介)(第九二五号)  同(寺前巖紹介)(第九二六号)  同(林百郎君紹介)(第九二七号)  同(日野市朗紹介)(第九二八号)  同(松沢俊昭紹介)(第九二九号)  食糧基本政策確立に関する請願外五件(串原  義直紹介)(第九三〇号)  同(中村茂紹介)(第九三一号) 同月十日  食糧自給力強化等に関する請願稲葉誠一君紹  介)(第一〇一一号)  同(竹内猛紹介)(第一〇一三号)  同(田口一男紹介)(第一一八七号)  農業施策拡充に関する請願新盛辰雄君紹  介)(第一〇一四号)  同(安井吉典紹介)(第一一八八号)  食糧基本政策確立に関する請願外一件(清水  勇君紹介)(第一一八六号) 同月十一日  食糧自給率向上のための食管制度拡充に関する  請願阿部未喜男君紹介)(第一二六七号)  同(上田哲紹介)(第一二六八号)  同(河上民雄紹介)(第一二六九号)  同(鈴木強紹介)(第一二七〇号)  同(田口一男紹介)(第一二七一号)  同(松本幸男紹介)(第一二七二号)  同(矢山有作紹介)(第一二七三号)  同(渡部行雄紹介)(第一二七四号)  農協金融機能拡充強化に関する請願井出一  太郎君紹介)(第一三八二号)  同(小川平二紹介)(第一三八三号)  同(小沢貞孝紹介)(第一三八四号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一三八五号)  同(倉石忠雄紹介)(第一三八六号)  同(小坂善太郎紹介)(第一三八七号)  同(清水勇紹介)(第一三八八号)  同(下平正一紹介)(第一三八九号)  同(中村茂紹介)(第一三九〇号)  同(羽田孜紹介)(第一三九一号)  同(宮下創平紹介)(第一三九二号)  農業基本政策確立等に関する請願井出一太  郎君紹介)(第一三九三号)  同(小川平二紹介)(第一三九四号)  同(小沢貞孝紹介)(第一三九五号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一三九六号)  同(倉石忠雄紹介)(第一三九七号)  同(小坂善太郎紹介)(第一三九八号)  同(清水勇紹介)(第一三九九号)  同(下平正一紹介)(第一四〇〇号)  同(中村茂紹介)(第一四〇一号)  同(羽田孜紹介)(第一四〇二号)  同(宮下創平紹介)(第一四〇三号)  林業危機打開に関する請願井出一太郎君紹  介)(第一四〇四号)  同(小川平二紹介)(第一四〇五号)  同(小沢貞孝紹介)(第一四〇六号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一四〇七号)  同(串原義直紹介)(第一四〇八号)  同(倉石忠雄紹介)(第一四〇九号)  同(小坂善太郎紹介)(第一四一〇号)  同(清水勇紹介)(第一四一一号)  同(下平正一紹介)(第一四一二号)  同(中村茂紹介)(第一四一三号)  同(羽田孜紹介)(第一四一四号)  同(宮下創平紹介)(第一四一五号)  畜産経営危機打開に関する請願井出一太郎  君紹介)(第一四一六号)  同(小川平二紹介)(第一四一七号)  同(小沢貞孝紹介)(第一四一八号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一四一九号)  同(串原義直紹介)(第一四二〇号)  同(倉石忠雄紹介)(第一四二一号)  同(小坂善太郎紹介)(第一四二二号)  同(清水勇紹介)(第一四二三号)  同(下平正一紹介)(第一四二四号)  同(中村茂紹介)(第一四二五号)  同(羽田孜紹介)(第一四二六号)  同(宮下創平紹介)(第一四二七号) 同月十二日  農業施策拡充に関する請願下平正一君紹  介)(第一六五八号)  農協金融機能拡充強化に関する請願串原義  直君紹介)(第一六六六号)  農業基本政策確立等に関する請願串原義直  君紹介)(第一六六七号)  同(林百郎君紹介)(第一六六八号)  林業危機打開に関する請願(林百郎君紹介)  (第一六六九号)  畜産経営危機打開に関する請願(林百郎君紹  介)(第一六七〇号)  農家養鶏育成等に関する請願吉浦忠治君紹  介)(第一八六二号)  食糧自給力強化等に関する請願城地豊司君紹  介)(第一八六三号)  同(山口鶴男紹介)(第一八六四号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十一月十日  木材需給拡大に関する陳情書  (第一八三号)  第六次治山事業五カ年計画に関する陳情書外一  件  (第一八四号)  牛乳の消費拡大対策に関する陳情書外一件  (第一八五号)  水田利用再編対策に関する陳情書  (第一八六号)  農林水産補助金等削減阻止に関する陳情書  (第一八七号)  米飯提供業者登録制度廃止に関する陳情書  (第一八八号)  サトウキビ最低生産者価格引き上げ等に関する  陳情書外六件  (第一八九  号)  農業生産基盤及び農村環境整備促進に関する  陳情書外一件  (第一九〇号)  農業基盤整備促進に関する陳情書外二件  (第一九一  号)  甘味資源農業振興に関する陳情書外十三件  (第一九  二号)  農業振興対策等に関する陳情書  (第一九三号)  食糧管理制度拡充に関する陳情書外三十六件  (第一九四号)  農林漁業者等に対する金融条件緩和に関する陳  情書外一件  (第一九五号)  畑作基本政策確立等に関する陳情書  (第一九六  号)  農業構造政策強化推進に関する陳情書  (第一九七号)  飼料米転作奨励補助金交付等に関する陳情書  (第一九八号)  畑作物価格の安定に関する陳情書  (第一九九号)  食糧需給安定強化に関する陳情書  (第二〇〇号)  米国チチュウカイミバエ発生に伴う生果実等  の輸入禁止措置に関する陳情書外四件  (第二〇一号)  国有林野事業振興に関する陳情書外三件  (第二〇二号)  マツクイムシ防除対策拡充強化に関する陳情  書外一件  (第二〇三  号)  てん菜糖価格安定等に関する陳情書外二件  (第二〇四号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  農林水産業振興に関する件      ――――◇―――――
  2. 田邉國男

    田邉委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津島雄二君。
  3. 津島雄二

    津島委員 臨時国会行革論議を盛んにやっておりますさなかに、東北北海道を中心といたしまして、農業の将来に大きな影を落とすような冷害事態が深刻になってまいりました。夏の間に台風が通過をいたしまして、その事後処理をめぐってかなり真剣な討議が行われたわけでございますけれども、その後、作況指数が明らかになるにつれまして冷害の深刻さがはっきりしてきたような状況でございます。大臣にはまことにお気の毒だとさえ言いたいわけでございまして、御就任になって、昨年も何十年来のあの大冷害に見舞われ、その対策に非常な御努力をされ、ことしこそは昨年の分を挽回してほしいという多くの方の期待を込めて農業者営農に励んできたわけでございますけれども、天候その他の事情に恵まれずにまたこういうことになったわけでございます。  そこで、ことしの冷害は昨年と違いまして、大体北東北から北海道へかけて集中しておるわけでございますけれども、いろいろな原因が絡んでおると思われます。しかしながら、たとえば一番ひどい青森県の場合、作況指数が六六と言われておるような容易ならざる事態でございますが、このような二年続きの冷害前提といたしまして、果たして国民食糧確保心配がないだろうかという議論が行われていることは御承知のとおりでございます。     〔委員長退席福島委員長代理着席〕 確かに、二年の冷害前提といたしますと、従来のような容易な気持ち農業を進めていったのではいけないという危機感は私は持っておりますけれども、しかし同時に、現在の米の需給をとってみましても、年間三百万トンになんなんとする水田利用再編計画による減反を前提として、需給が保たれているということはまた認めざるを得ないと思うのでございます。冷害が二年続いたからといって、そういう水田利用再編対策必要性というものは無視できないのではなかろうか。またそこに冷害を受けた農家の苦しみがあるわけでございまして、たとえば、昨年ほとんど皆無作であった地域におきましてもいわゆる水田利用再編計画の二期対策が発表になり、これが実施になりました結果、ほとんど一〇〇%必要な面積を協力しておるのが冷害地域の農民でございます。  そこで、早速大臣にお伺いをいたしますけれども、こういう非常に厳しい、苦しい環境の中で営農を続けていかなければならない農家に、水田利用再編対策に対する協力はやはり続けてもらわなければならないが、その中でこれからの農業を切り開いてもらうためには当然それなり配慮をお願いしなければならないのではなかろうかと思うわけでございます。今回の冷害について天災融資法の早期発動等いろいろな対策をしていただいて、これは評価するにやぶさかではございませんけれども、しかし、第二期対策の半分が五十六年度は一応たな上げということになっておりましたことも頭に置いて、この二期対策の枠組みは守りながらも、冷害影響を受けた農家にこれから協力をしてもらうために、何らかの御配慮をお願いしたいという農業者の切実な気持ちに私ども接しまして、大臣の格段の御理解をお願い申し上げたいと思うわけでございまして、どのような御見解をお持ちか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
  4. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 北海道を初め東北が二年にわたって大変な災害を受けて、農家の諸君が非常に苦労をしておられるということは津島委員指摘のとおりで、私も十分承知をいたしているところでございます。第二期対策につきましては、津島委員見解のとおり、私も全くそう思う次第でございます。しかるところ、三年計画に基づいてスタートしましたこの第二期生産調整対策につきましては、やはりこの計画を緩めるわけにはいかないという基本的な認識を持ちつつ、冷害による対策も考えなければならないと思っておりますので、御指摘のとおり、第二期水田利用再編対策の来年度の件につきましては、緩和の方向で前向きで対策検討しなければならぬ、こんな気持ちでおる次第でございます。  十五号台風以後のいわゆる冷温に伴う農作物被害、これが六月の冷温と合わせてどういう気象被害を及ぼしているか、実はこれの調査をいま統計情報部でいたしておりまして、その被害高のとりまとめをいたしておる最中でございます。これが来週早々あるいはまとまるのじゃないか、こう思っておりますので、その辺の結果も参考にいたしまして決定をしていきたい、こう考えております。
  5. 津島雄二

    津島委員 大臣の大変御理解ある御見解の表明がありまして大変うれしく思っておりますが、被害状況の取りまとめが必要であるということはよく理解をいたしますが、えてしてお役所の仕事は時間がかかるということでございます。また、いろいろな事態のこれからの変化がうわさされておる点もございまして、私は、とにかく去年の冷害にも真剣に取り組まれた大臣の手で、この問題について御理解ある御処置をぜひお願いをしたいと思っておるわけでございますので、ひとつこの点についても一言お答えをいただければと思う次第でございます。
  6. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御趣旨よく理解できますので、その線に沿って努力したいと考えます。
  7. 津島雄二

    津島委員 それでは、この問題につきましては今後の農林省の対応を見守ることといたしたいと思います。  さて、きょうはあと二つの問題に限りまして、限られた時間、御質問をいたしたいと思います。  その第一は、前回の通常国会で私ども食管法改正をいたしたわけでございますが、これは、それこそ四十年ぶりの大改正でございまして、これがどのような形でこれから実施に移されるかは多くの方が関心を持っておるところでございます。政令、省令の形で中身をはっきりさせるというふうに理解をいたしておりますが、この検討の過程でいろいろな議論が行われていると伺っております中で、現在の卸、小売流通を担当しておられる方々の力を前提として、これらの方によって今後も米の流通をしていただくという基本方針を堅持していただいていると聞いておりまして、大変結構なことだと思っております。しかし、また同時に米の消費拡大を図り、また消費者ニーズにこたえていくためには、やはり消費者が不便を感じない程度販売拠点を持たなければならないであろうということで議論が行われておると聞いております。この販売拠点、たとえばブランチと呼ばれるのではないかと思いますが、既存小売屋さん方が新しいブランチを設けていく場合には、当然相当設備投資が必要でございますので、流通に携わっておられる小売業者経営が支障なしにやっていけるような形でこれからのブランチの設置を考えていただかなければならないというふうに思います。  私は、たとえば十万から二十万ぐらいの中都市実態を見ますときに、残念ながら、米屋さんで、ほかの業種の方のように隆々と店をきれいにしたとか資産を蓄えたとかいう話は聞いていないわけであります、まことに残念なことでありますけれども。このことを前提といたしますと、消費者ニーズにこたえながら、同時に小売業者方々経営が安定してやっていけるという、場合によっては二律背反になりかねない二つの要請にこたえていただかなければならない。  そこで、御質問を申し上げますけれども、これは、いままでたとえばほかの業種の許可なり免許基準として、人口、何軒当たりの一拠点というような基準をつくられるのが通例だと思っておりますし、当然そういう議論はやっておられると思うのでありますが、たとえば世帯千軒に一拠点というような前提拠点を出せということになりますと、現在よりも相当販売拠点を出さなければならない個所が出てくる。これを強行されるようなことになりますと、小売業の方にとっては非常に大きな無理な負担になるという心配を持っておりますので、その点が一体いまどういうことになっておるかということ。  それからもう一つは、大規模消費者に対しては卸から直接売らせる方針だと聞いておりますけれども、この大規模消費者のとり方によりましては、たとえば地方都市のちょっとした病院であっても、これは地方都市でいえば大規模消費者でありますが、年間に五十トンなら五十トン消費するものが大規模消費者であると規定されますと、いま通常小売屋さん方が一生懸命販売をしている先が全部卸に巻き上げられる結果になりかねない。こういうことも、よく生販三層と言っておりますが、販売の卸、小売の正常な秩序が保たれるように慎重な御配慮が必要であろうと思います。  いまの二点について、現状どうなっておるか、お答えをいただきたいと思います。
  8. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 お答えいたします。  現在、改正食管法の施行につきまして関係者意見を聞いておりまして、具体的な政省令検討の作業を進めている段階でございまして、まだ結論を得ておらない段階でございます。各方面意見を十分聞いて成案を得たいと考えております。  第一点の、いわゆるブランチと申しますか、各販売店の分店販売所というような問題につきましては、御指摘のように、やはり最近の消費者需要多様化等に対応いたしましていろいろ問題があることは事実でございます。こうした多様化に伴いまして、大都市等既存のこれまでの販売主体米穀専業店、そうした小売経営安定という問題を配慮いたしながら、一方では店頭持ち帰りというような新しい需要形態、こういう形態にも対応できるような、御指摘のような販売拠点多様化の道を開いていかなければならないのではないか。  ただ、この点につきまして、私ども、一つはやはりこれは全国すべてにわたって行われるべきものということよりも、一定地域でそうした問題を考えていくべきではないか、また、そうした地域におきましては、既存小売業者等が市町村内で小袋詰めの精米を販売するような販売店の出店ができるようなことは検討しなければならない。その際の基準として、いろいろ実態を見ながら、私どもこれまでの配達専門店なりとの調和を図った案を考えたいというふうに考えて、まだ具体的な結論は得ておりません。  もう一つ、第二点は、大口外食産業のことかと存じます。この点につきまして、御承知のように、最近外食産業が非常に目覚ましい発展を遂げておりまして、国民生活の中でも大きな影響力を持っておると思いますが、私ども、米の全体の需給関係から見ましても、全流通量の二割程度、約百万トンを超す数量までこうした外食産業等消費されているのではないかと推定されます。それなりに非常に重要な課題であろうと思いますし、食糧管理の立場からいたしますと、的確にその内容を把握しなければならない。同時にまた、これらが消費拡大というような見地からも影響力を持っておるという意味で、大口外食産業需要に応じた供給の道というものを私ども考えるべきではないかという考え方に立っておりますが、この点は、目下関係方面意見を聞きながら具体的なあり方を詰めております。ただいま先生の御指摘のような点につきましても、十分配慮して成案を得たい、このように考えております。
  9. 津島雄二

    津島委員 現在検討中でございますから、これから結論を得るまで十分慎重な御配慮をお願い申し上げておきます。特にブランチの設定に当たりましては、一定地域を限って方針を出されるような場合には、地域によりましても、たとえば人口が何万というような画一的なあれでは地域の特性が出てこないわけでございまして、人口急増地域もございますし、あるいは横ばいのところもございますし、たとえば人口十万というような画一的なあれでおやりになるようなことのないように、ひとつくれぐれも御要望申し上げておきます。また、外食産業につきましても、十分実態に合った結論を出していただくように御要望しておきます。  最後に、きょうお伺いをいたしたいのは、当委員会におきましても従来何度か議論が出ましたモチ米の取り扱いでございます。  いよいよ年末がやってまいりまして、これからモチの季節であるということで国民が非常に関心を持っている問題であろうかと思います。昨年度につきましては、外国から緊急輸入をせざるを得なかったということでかなりの議論があったわけでございますが、私は、このモチ米の問題を考えますときに、もちろん外国から輸入するような事態がないことがこれは望ましいのであります。しかし同時に、現在の生産量を前提といたしまして、国民の年末年始を中心とするモチ米に対する特殊な需要ということを考えましたときに、これが不足を来して、そして異常な原料の値上がり、簡単に言えばモチも食えなくなっちゃったというような結果になったのでは、私は、農政全体に対する国民理解が得られなくなると思うのでございます。そういう意味で、物価対策ということもございまして、やはりモチ米の円滑な確保ということは十分考えていただきたいと思います。  これは、残念ながら国内生産が不足する場合には、法外な値段のモチを国民に食べさせるわけにはいかぬわけでありますから、賢明な御処置が必要でございますが、この点についての見通しと、それから、しかしながら従来当委員会に出てまいりましたモチ米相当数輸入をしたのはけしからぬという議論も一理あるわけでございまして、そのために、従来から長期的観点に立って、モチ米を輸入しなくても済むような生産体制をこれから考えるという農林省御当局の御答弁があったわけでございますが、その点について、ことしもまた、天候が悪かったとしても問題が起こったとすれば、生産面における抜本対策、そしてまた流通の円滑化という点で努力が不足ではなかったかという感じは免れないわけでございます。この点についての現状とこれからの御方針をひとつお聞かせいただきたい。
  10. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 お答えいたします。  モチ米の五十七米穀年度におきますこれまでの見通しといたしましては、予約の申し込み数量が二十二万四千トンとなっておりまして、政府の手持ちも二万六千トンばかりございまして全体で二十五万トン程度の供給量ということでございます。これに対しまして、実需者団体等の購入申し込み量も二十五万トン程度で、おおよそ需給は均衡し得るかというのがこれまでの見通しでございます。  ただ残念なことに、先ほど来御指摘のような本年の作柄が非常に平年作を下回るというような状況で、こうした見通しについて、一つは作がおくれているというようなこともございますが、まだ出荷が必ずしもはかばかしくない。全体の供給量についても、集荷に全力を挙げても供給量についてなお懸念すべき点がございます。私どもとしては、団体、集荷業者等を通じまして全力を挙げて集荷にハッパをかけておりますけれども、なおそうしたこととあわせまして御指摘の外モチの輸入につきましても、必要な場合には時期を失しないように手当てをいたしたい、このように考えております。  なお、御指摘のように、これまでモチ米の経過は、需給関係につきましては暴騰、暴落が繰り返されるというような基本的な問題がございまして、私どもこれまでの対策といたしまして、契約栽培の導入あるいはモチ米生産団地の育成等それなりの効果はおさめてきたかとは思いますけれども、生産、流通にわたりまして今後の長期的な対策を私どもとしては早急に立ててまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  11. 津島雄二

    津島委員 これからの一層の御努力をお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  12. 福島譲二

    福島委員長代理 串原義直君。
  13. 串原義直

    串原委員 まず、食管法、水田転作問題について伺います。  昨年に続いてことしもいまのところ天候を見ると大変不作の様子だ、こういう立場で、過般米価決定の直前、本委員会で私は指摘をいたしました。ところが政府は、ことしは大丈夫だという意味の楽観視される答弁をなさったわけです。ところが結果はまことに重大な事態だと私は見ているところであります。  私の地元でもまずまず大丈夫だろうと思っていたところが、現実に脱穀してみると非常に量が少ない。これは私のところだけではなくて、豊作と言われている西側の地域でもそうではないか、こう考えているのです。その結果、米の需給に問題が生じているのではないか、こういうことを耳にするのですけれども、実態はどうなっているのでしょうか。つまり十一月一日に五十七米穀年度に繰り越された年産別の在庫量はどうなっているか、そのうち通常主食用に供し得る量はどのくらいなのか、このことも含めまして御答弁を賜りたい。     〔福島委員長代理退席、委員長着席〕
  14. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 米の需給状況についてお答えいたします。  五十六年十月末の前年産古米の持ち越し量は現在九十万トン前後と推定されておるところでございます。それからもう一つ、五十六年産の生産量につきましては、十月十五日現在の統計情報部の公表によりまして、作況指数九六、水、陸稲の生産量千三十万トンと見込まれております。したがいまして、先ほどの九十万トンと千三十万トン合わせました総供給量として、五十七米穀年度におきましては千百二十万トンの供給ができるわけでございます。  これに対しまして五十七米穀年度、この十一月から来年の十月末まででございますが、の需要量は千六十万トンというふうに推定されますので、五十七米穀年度の米の需給には十分ゆとりがありますし、私ども、御心配をかけることはないと考えます。その結果、五十八米穀年度に約六十万トンの古米を持ち越せるようになろうか、このような需給関係と私ども考えております。  なお、ただいまもう一つ指摘のございました古米全体の量でございますが、先ほど申しましたこの十月末現在で五十五年産米で約九十万トン、このほか五十三年産以前の米が三百五十万トン、合わせて全体で四百四十万トンの在庫を現在有している、現在の在庫量は大体そのような状況になっております。
  15. 串原義直

    串原委員 五十三年より前の米は主食用にはほとんど使えない、こういう理解ですから、主食用には九十万トン前後繰り越すことができるだろう、こういう理解と思いますが、専門家によりますと、現実にことしは収量が千三十万トンとれないのではないか、もっと結果は少ないのではないか、こういう憂慮すべき見方もあるわけです。一千万トンを割るのではないか、こういうことでございますが、作況指数が低くなってきて一千万トンを割るという場合でも、需給はどうなるのか、心配ないのか、もう一度私確認しておきたいと思う。
  16. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 私ども一千万トンを割る事態ということは予想しておりません。これまでの十月十五日現在の数字をもとにしまして、先ほど申しましたが、生産量千三十万トン、持ち越しの九十万トン、合わせて千百二十万トンをもってすれば足りる。なおよく需給状況は私ども見きわめてまいりますけれども、それほど大幅なことまでは予想しておりません。
  17. 串原義直

    串原委員 それはこれからの推移を見ることにいたしましょう。  そこで、三等米を混入する特例標準価格米制度のことですけれども、五十六米穀年度一年限りのこれは特例措置として実施するものである、例外的なものなのだ、こういうことを五月十三日、当委員会で私が質問した際に政府はお答えになった。ところが、一部の報道によりますと、ことしも特例標準米、この制度を継続すべく検討を始めたというのでございます。さきの答弁から今日までたった六カ月ですね。それだけたっているだけなのですけれども、この報道が事実ということになると、政府の方針、考え方というのはその時々の都合によってずいぶん変わるじゃないか、こういうことで生産者からも消費者からも厳しい批判が出るというふうに思う。どうなんですか。
  18. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 特例標準価格米につきまして、御指摘のように五十五年産米の作柄が著しい不作でございまして、三等米が大量に流通するという特別な需給事情から、特例措置といたしましてこの特例標準価格米を設定いたしましたのは事実でございます。先ほど申しました五十六年産米の作柄自体、数量的には昨年よりは総体的には恵まれた状況にございます。したがって、量的に十分対応できる状況でございます。ただ、残念ながらことしの低温、風水害等の被害によりまして、私どもの現在推定いたしますところによりますと、かなりの三等米の流通量に達するのではないか、このように予想されます。こうした状況の中の米の構成を考えますと、この三等米の流通も図っていかなくちゃならないということが現在大きな課題になっております。したがって、五十七米穀年度におきましても特例標準価格米の設定は検討すべき問題だろう、その必要は出てくるものと私ども考えております。
  19. 串原義直

    串原委員 三等米の流通を考えなければならぬという話は理解できますよ。だが、前委員会議論をいたしましたように、特例標準米制度、これはやはりそんなに長く続けてはいかぬと私は考えている。さきにあなた方が答弁されたように、これは一年限りの特例なんです。特別なことなんです。こういう扱いで行くべきだと思う。とりわけ、今回の不作というものは、幸せな事態ではなかったけれども、地域によっては非常にばらつきが多い。そういうことであるだけに安易に考えたらいかぬ、私はそう思う。三等米の流通問題は別個に検討さるべき問題であろう、こう思うのです。いかがですか。
  20. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 私ども、こうした特例として行っているものは一般的な制度のつもりではないのでございまして、特例としてあくまで考えてはおりますけれども、昨年、ことしの米の出来高といいますかその様子から見ますと、三等米が大量に発生すればそれなりの処理はやはり考えてまいらなければならない、生産者、消費者、皆さん方の御理解を得て、こうした作柄に応じた消費の対応というものを考えていかなければならない、このように考えておるわけでございます。やはりそれぞれの出来秋の状況に応じた消費の対応というものを考えて、全体に米の需給の均衡を図っていくべきだろう、このように考えております。
  21. 串原義直

    串原委員 その問題についで、私、時間の都合もありますからこれ以上触れませんけれども、安易に考えるべきでないということだけこの際は強調しておきたいと思います。  次に、大臣伺いたいのでございますが、私は、いささか米の需給は逼迫の度を加えている、こういう心配を実はしている者の一人なんです。加えて、二年続いての不作によって農家経済はまことに窮状の度を加えている。その立場から全国の町村会あるいは全国農協中央会など農林団体から、五十七年度の転作面積は今年度と同じでいってもらいたい、こういう強い要請があるわけでございます。ここで触れるまでもありませんけれども、第二期の一応目標とする水田転作面積は六十七万七千ヘクタール、ことしは災害等の都合によって六十三万一千ヘクタール、こういうことで来たのだけれども、少なくとも来年はことしと同じようなかっこうでやってもらえないかという、いま申し上げました自治体、農業団体からの強い要請がある。私は、これにはこたえるべきであろう、こう思うのです。大臣の所見を伺います。
  22. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 台風並びに風水害による農作物の被害、特に米の被害の認識については、串原委員指摘のとおり、私もそのように認識いたしておりまするし、また、町村会あるいは市長会、さらには知事さん方から、来年度の第二期水田利用再編対策の対象面積を今年どおりにしてほしいという要請も強く来ておることも承知をいたしておるわけでございます。  先ほども津島委員に申し上げましたとおり、また串原委員も御心配されておりますとおり、刈ってみてびっくりという方が多いわけでありまして、その辺の事情もきちんと把握したい、こういうことで、現在統計情報部を通じまして最終的な被害高というものの調査もいたしております。そういう事情もきちっと把握いたしました後で、前向きに取り組んで検討をしておるところでございます。
  23. 串原義直

    串原委員 つまり前向きということは要請どおりやるという方向で考える、こういうことで大臣、いいのですか。
  24. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 言葉が足りませんでしたが、いま申されたとおりの方向で検討さしております。
  25. 串原義直

    串原委員 大臣、その結論はいつまでにお出しになりますか。
  26. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 最終的な被害高を確認した上、こう考えておりますので、それが来週はっきりいたしてくると思いますので、遅くとももう月末までには決定をいたしたい、こう思っております。
  27. 串原義直

    串原委員 重ねて大臣伺いますが、いま行政改革論議が盛んです。そこで、水田再編対策奨励補助金などが削減をされるとかというような意見もあるということを耳にするわけでございますが、私は、もしそんな意見があるとするならとんでもない認識不足の意見だというふうに思っているのです。過般から、大臣が農民や農業団体に約束いたしましたとおり、水田再編の二期対策のうちは、当初約束したとおり行革ということとは関連ない、そういうことで削減するなんてことはない、こういうことを大臣の立場で農民、農業団体に約束しておかなければいかぬ、こう思うのです。いかがですか。
  28. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 この件につきましては、第二期水田利用再編対策三カ年計画実施するということで、昨年当委員会でも申しましたとおり、とにかく三年間はもうこのとおりやります、六十七万七千ヘクタールを三年間引き続いてやりますということを申し上げておるわけでございますから、途中で変更するということは、私としてはもう絶対にいたしたくない、またいたすべきでもない、こういう考え方で来ておるわけでございまして、いまもその考え方には変わりはございません。臨調の方からもいろいろ調査等がございましたけれども、その際にもその点をはっきりと申し上げて、臨調の方でもその点の第二期水田利用再編対策の三カ年計画については、その内容は当初のとおり三年間履行していくということの了承を得ている、こういうふうに考えておりますので、その内容をいま変更していくという考え方は持っておりません。
  29. 串原義直

    串原委員 それでは次に進みますけれども、食管法に関連する政令、省令は、いつ公表、実施をするということで進めていらっしゃいますか。
  30. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 先ほどもお答えいたしましたが、現在関係者意見を調整いたしまして農林省内部におきまして政省令に関します作業を急いでおります。今後各省との調整あるいは法制局の審査等ができますれば、十二月の早い時期に公布いたしたい、このように考えております。  実施につきましては、私ども、一月早々実施に移したい、このように考えております。
  31. 串原義直

    串原委員 それでは、それと関連して幾つかお聞きをいたしますけれども、食管法改正論議のときに、つまりさきの通常国会の際、備蓄方式の見直しを政府は約束をいたしました。非常な議論があったところです。そしてまた、それに加えて備蓄についての本委員会農林水産委員会における委員会決議も行われました。御承知のとおりであります。その検討の経過というのはどうなっておりますか、お答えを願いたい。
  32. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 備蓄の関係につきまして当委員会におきましても種々御議論がございました。私どもその仕組みなり規模につきましての今後のあり方の検討をいたしておりますが、備蓄に関しますコストの問題、それから新米供給との関連について消費実態との突き合わせ等の問題等、いろいろな問題がございまして、なお現在鋭意検討中でございます。来年実施をいたしますと、早々にまた基本計画をつくるようになるかと思います。基本計画段階におきましては、備蓄についての考え方は私どもとしてはできるだけまとめたい、このように考えておりますが、これの具体化の方向につきましては、今後、御承知のように農政審議会におきましても、安全保障の問題等絡みまして論議もいたしております。こうした状況を見て具体化の方向を詰めてまいりたい、こう考えております。
  33. 串原義直

    串原委員 私は、この備蓄の問題はまことに重要な施策の中の柱だと思っているのです。それで、検討中だと言われるけれども、これは長く検討していくべきものではない、これは備蓄の方法等も含めまして急ぐべきだと思う。長官、大体いつごろまでにこれをお出しになるのですか。
  34. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 率直に申しまして、現在政省令の作業を庁を挙げていたしておりまして、今後、基本計画におきます備蓄の考え方を早急に詰めるということにいたして、さらにこの具体化につきましては、各種のコストの問題、財政的な問題、各種の問題に取り組まなければならないと思います。また、新しい考え方、従来の回転備蓄のほか、たな上げ備蓄というような方法につきましては、各種の御提案もあるやに聞いておりますので、こうした問題について私どもとしては突き詰めた検討をいたしたいと思いますが、これは若干時間を要するようになるかと思います。
  35. 串原義直

    串原委員 若干期間がかかるということも私理解できないわけではないが、その基本計画ができるころまでには詰める、こういうことですか。
  36. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 私ども、いまの予定といたしましては、基本計画の際にはできるだけその考え方についてまとめたい、このように考えております。
  37. 串原義直

    串原委員 政省令と関連しまして伺いますが、集荷業者の指定については従来と変わらないのかどうか、いまの考え方……。
  38. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 先般の食管法の改正に当たりまして、今度の改正食管法におきまして集荷業者の地位と責任とを明確化できることになりまして、その活発な活動によりまして適正かつ円滑に集荷をするように措置されておるところでございます。私ども政省令改正に当たりましても、この集荷業者の指定につきまして、基本的には以上のような考えに立ちますが、検討を進めており、ただいま関係者意見も十分拝聴いたしております。米の集荷の実情とか、新しい制度への円滑な移行ということを配慮いたしますと、将来としては、やはり集荷業者として体質の強化等を図るべき問題はございますが、当面は従来の姿を大幅に変えるようなことにはならないだろう、このように考えております。
  39. 串原義直

    串原委員 卸、小売流通ルートについての考え方を伺いたいのですけれども、品ぞろえを豊富にさせるということも含めまして、消費者ニーズにこたえるために小売の複数卸からの仕入れということも検討をいたしますということをさきの委員会でも言明されました。これはどうなんですか。
  40. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 複数卸問題は、かねてからの大きな流通上の問題として提案されてきた課題でございます。この問題につきまして、やはり小売におきます品ぞろえというような観点から、複数卸制をとるべきであるという御意見のあることは私ども十分承知いたしておりますが、また同時に、これにつきまして、卸、小売を通ずる流通ルートの特定をするということで、きちんとした流通秩序を確立するという観点からは、複数卸は現在では適当でないという意見も大変強く出ております。この問題についてまだ検討中でございますが、結論は出ておりませんが、こうした意見を踏まえまして私ども結論を出したい、目下そういう段階でございます。
  41. 串原義直

    串原委員 時間の都合でこの問題だけ議論しているわけにはいきませんから先に進みますけれども、私は複数卸はぜひ実現をさせるべきだ、こういう立場で考えていますから、ぜひ御検討を賜りたいというふうに思っています。  そこで、消費者の組織する生活協同組合あるいは米の販売を行っていない農協に対しては、小売販売の許可を与えるべきであると考えているのです。特に農協への資格付与につきましては、去る五月六日の本委員会での議論の中で、組合員の購買活動として認めていく考え方を実は明らかにされているわけです。どう対処しますか。
  42. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 その前に、いま全体の流通秩序につきまして、小売の対応について考えておりまして、ブランチ問題とか新規参入の問題等いろいろあるわけでございます。御指摘の点は、いわば新規参入に関する問題でございまして、この問題については、基本的には既存業者の経営安定にも配慮しながら調和を図っていかなければならない問題で、その販売店、いわゆる先ほど御議論が出ましたブランチと言われます販売所の設置で対応できる問題もかなりあろうかと思います。いずれにいたしましても、地域実態に応じまして、新規参入というような問題は考えていかなければならない、地域性に配慮して、都道府県段階で具体的に所要の調整の場を設けてきめ細かに対応すべきだろうという枠組みで私ども考えております。こうした枠組みの考え方に立ちまして、新規参入という問題が行われる場合には、申請者の営業の状態、組織のあり方等を考慮してまいるわけでございますが、御指摘の生協なりあるいは農協が小売業務に携わるという点も、私どもとしては認めてしかるべきケースであろう、こう考えております。
  43. 串原義直

    串原委員 いまブランチの問題も出ましたけれども、これはとりわけ都市地域にそういう要請、必要があるだろうということは理解ができるのですけれども、そこで一つだけ触れておきますが、ブランチというのをやろうとする場合に、一販売店で何カ所も許可をするというのはいかがという気も私はしないでもない。その辺はどうなんです。
  44. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 私ども、一店で一カ所ということが原則というようなことで取り決めする必要はないと思いますが、地域におきます消費実態に応じまして、ニーズにこたえられ得るような既存の業者と販売所の個所数なりを考えていかなければならないかと思います。具体的なそうした個別のケースにつきましては、都道府県段階におきます一つの調整の場なりを設けて調整を図っていくべきであろう、このように目下の段階では考えております。
  45. 串原義直

    串原委員 さきにもちょっと意見が出ましたが、食糧庁は大口外食産業の卸直販等について取り扱いを検討している、こういうことですね。私は、その取り扱いが小売販売業務に支障を与えるということではまことに好ましくないというふうに思う。これはもう一段掘り下げて、いまの考え方を長官からこの際伺っておきたいと思う。いかがです。
  46. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 先ほど申し上げましたけれども、最近におきます外食産業自体が目覚ましい発展を遂げておりまして、外食産業が米販という形で消費者に供給する米穀の量も相当の規模になっておる。私どもの推定で百万トンを超すようなものになっております。こうしたいわゆる外食産業実態というのも食糧管理上やはり的確につかんでおくべき必要もございます。かつ必要な規制なり指導を行って、米の消費拡大等にもつながるかどうかという点も私ども重要な関心事だろうと思っております。  そうした見地から、何らかの形で大口外食産業需要に応じました供給形態という道を開いていくことも考えなければならないだろう。そうした観点からいま問題を提起して、関係者意見を詰めておるところでございまして、ただ、これが流通の全体の秩序を大きく乱すようなことは私ども当然考えておりません。むしろそうした大きな需要と主食用なりとの調整を十分図って、しっかりした、かつ、きちんとした供給計画を立てていかなければならないだろう、このように考えております。
  47. 串原義直

    串原委員 そうしますと、政府は業界の要請にこたえて、大口外食産業の卸直販なんかも前向きに検討していこうとする、けれども、消費者の要請のとても強い複数卸の問題については大変後ろ向きだ、先ほどの答弁からしますとね。私は積極的に消費者の要請にこたえるべきだ、こういうふうに申し上げましたけれども、何か答弁から受け取る感じは後ろ向きである。こういうことになりますと、食糧庁、政府の顔というのは、まさに経済界の方に向いていて、消費者の方には向いていないという感じを持つわけです。私は、この姿勢はまことに遺憾だと思う。あと政令を公布する十二月上旬までは日数は余り多くありませんが、少ないわけですけれども、その期間内に積極的に省内で検討されて、消費者の立場を尊重するという方向で政省令を詰めてもらいたい、こういうことを強く要望いたしたいと思っているところです。それを強く要望して次の質問に移ることにいたします。  次は、畜産問題でございます。  いま畜産農家はまさに危機にございます。多額な負債を抱えまして破産寸前の農家は大変に多い。先祖伝来の田や畑、山林すべてを手放してもなおかつ大きな借金が残るだけだ、いまやめるにもやめられないという実情はまさに悲劇であると言わなければなりません。ここで数字を挙げて具体例を述べていく時間のないことを非常に遺憾に思いますけれども、私のところの長野県の現状もとっても厳しいわけでございます。一千万以上の負債を有してその返済が構造的に困難となっている農家は、私どもの県下でおよそ二百戸と言われている。重大なことは、本当に汗を流して努力している専業ないしは中核農家であるところに問題が存在しているわけです。長野県議会は農林水産大臣あてに、畜産経営危機打開に関する意見書を過般の九月県議会で決議をいたしました。そして大臣の手元にも送ったと言われていますから、お手元にも届いておられると思うわけでございます。しかし、この決議の中身は、実は長野県だけではないと私は思っているのであります。間違いなく全国的な傾向なのではないか、こう考えているのでございます。  大臣伺いますけれども、この畜産経営の危機というのはどこに要因があると判断をされていらっしゃいますか。
  48. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 畜産農家が非常な苦況にあるということは私も十分承知いたしております。各関係県議会あるいは知事さんあたりからも強く畜産経営対策について徹底的な強化策をとれという要請もちょうだいいたしております。  このような事態に立ち至った理由は何かということでございますが、これは、私は、やはり畜産関係の農家の諸君が戦後急速に経済の拡大、これに伴う国民の食構造におけるニーズ多様化等にこたえまして、そして急速に生産性を高めつつ経営の合理化を期していきたいということで、例は適切じゃないかもしれませんけれども、EC、ヨーロッパの酪農、畜産関係が百数十年の歴史を持って発展してきた、そういう過程を踏んでいるのに、日本の場合には非常に急速に規模拡大を図った、それには自己資金ではとてもこたえられませんので借入資金で規模拡大を図ったということでございまして、その規模拡大を図ったけれども価格の低迷等に基づいてなかなか経営が楽にならないで、現在、借入金で非常に苦労しておる、こういうことであろうと思うのです。非常に急速に近代化を進めようとしたその結果が、現在の畜産業界の苦悩のもとになっておるということと、やはり価格の低迷というのは、外国からの輸入が相当数量に及んでおるということも見逃し得ない現実であるわけでございます。  したがいまして、これに対して私も前々から申し上げておりますとおり、日本の畜産政策の基本はやはり長期低利の借入資金と申しますか、そういうものを提供をして、そして畜産農家の負債対策を適切にやってまいりませんと、本当にせっかく畜産農家の諸君が自己努力によって今日までの経営規模拡大を図り、相当な生産性の高い畜産経営をやることができるようになってきた、そういう努力に対して報いることがないということは、これはまことに申しわけないことでございますので、政府といたしましても農林水産省としましてもそういう面に重点を置いて、そしてここまで近代化され規模拡大化され、そうして経営の目標も立つという事態になりましたものを守り育てていくという対策をこれから進めてまいろう、こういうことで負債対策等も今年から打ち出しておるところでございますが、これらの制度をもっと強化してまいりたい、こう考えております。
  49. 串原義直

    串原委員 いま大臣からその要因について数点触れられたのですけれども、その中で価格の低迷もあってという表現もございました。私は、まさにそこのところを非常に重要だと思っているのでございますが、ずばり申し上げますならば、保証価格が安過ぎるのではないか。たとえば乳価の場合は四年間据え置きであった。それから和牛の場合は、安定基準価格を五年間で見ますというと、昭和五十二年が千三百三円、今年度が千三百九十九円、五年間でたった九十六円の値上がり、こういうかっこうですね。養豚の場合などは五十二年が安定基準価格六百二十七円、それが五年を過ぎた今日、六百円なんですね。けれども、諸物価は五年前と比べると三〇%以上上がっているということになると、畜産農家はまさに危機に瀕することは当然だ、こう思うのです。どうしても、輸入との関連も考えつつではあろうけれども、価格の問題に対していま一歩前向きに取り組むべきときではないのか。これは私、大臣の所見を伺っておきたいのです。
  50. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 これは、もう日本農業の宿命ともいうべきものかもしれませんけれども、やはりその価格の問題が非常に重要な要素を占めておるということはもうはっきりいたしておるところでございます。しかるところ、食料品の価格ということになりますと、消費者の側からいえば非常に高価な肉類あるいは食料品、こういうことになるわけでありまして、米にいたしましても肉にいたしましても、消費者側から見ればもっと何とかならぬかという気持ちをお持ちになる。しかし、いままではいろいろ米価を上げ麦価を上げ、あるいはその他の農産物の価格も若干ずつではありますけれども年々上げてきておるわけでありますが、それに対して消費者の方から厳しい反発が出てきておるということも、強くはなかったわけでありますけれども、最近は、そういう面で生活が厳しくなってまいりますと、そういう声も逐次出てきておることも串原委員承知のとおりでございます。こういう中で、この農産物価格、畜産物価格をどのように決定してまいるかということは、やはり農政上非常に大きなポイントと考えまして、農林水産省といたしましてもあらゆる努力をいたしまして、農家経営に光を与えることのできるような方向に持っていきたいものだ、こういう考え方で努力をいたしておるわけでございますが、思うように展開をしておらないというのが現状でございます。  したがいまして、これからも経営の合理化、さらには自給飼料の自給度の向上というような点に努力していただいて、そうして経営の安定に資していけるような対策をすると同時に、特に粗飼料等に関する牧草等の試験研究にも重点的な配慮を加えて、新品種の造成に努めていかなければならない。これらの問題について、私も先般畜産試験場に行って見てまいりましたけれども、逐次そういう方向に対する研究の成果が実りつつあるということでありまして、そういう点にも力を入れていくことによって畜産酪農家等に安定した経営の基盤を与えていくことになろう、こんなふうに考えてせいぜい努力をいたしておるところでございます。  価格問題は御指摘のとおり大変大事な問題でありますけれども、かといって、価格政策だけで事は終わるというものでもない、こうも考えて総合的な施策を進めておる、こういうことでございます。
  51. 串原義直

    串原委員 お話しのように、いま大臣も畜産農家がとても苦しいということは御認識なさっているとおりでありますから、この際申し上げたいわけでありますが、経営維持安定上、負債整理のために長期低利融資事業の拡充強化を図るべきではないか。今春、酪農を中心に若干の措置が行われたところでありますけれども、とても今日の危機を救済するというのにはほど遠い状況です。利子補給の問題を含め資金枠の設定、確保など思い切った施策を具体的に講じなければ畜産農家は破産してしまうだろうと私は思う。ぜひ前向きにこれに対処すべきではないか、こう思います。いかがですか。
  52. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 御指摘のように、負債が多額に上りまして経営が順調に回転しないような農家もございます。いま先生おっしゃいましたように、ことしの畜産物価格決定の際に、その中で特に問題の大きい酪農につきまして、貸付条件で申しますとかなり有利な、金利につきまして御承知のように五%、特に特認につきましては三・五%という金利でございます。償還期間が十五年、そのうち三年据え置きでございます。それから特認は、二十年の償還期間で据え置きが三年という有利な条件の負債整理資金というものをつくりました。これにつきましては改善計画を樹立していただくということで、現在その改善計画を積み上げておりまして、その積み上げが終わりました段階で現実の融資をいたすことにいたしておりますけれども、こういう制度も実は確立しておるわけでございます。  それから、そういう特段の負債整理を要するほどではないけれども、やはり若干そういう借入金の比重が多くて経営に問題があるという農家につきましては、御承知のように酪農と肉用牛につきまして、その経営の安定のための資金を創設いたしまして、これにつきましても御承知と思いますが、金利五%、五年の償還期間で据え置き一年、そういう一種の借りかえ資金を融通することにいたしておるわけでございます。養豚につきましては、昨年に養豚経営安定資金というのをつくりまして、これは金利五%の五年以内の償還期間ということをやっておりまして、そういう意味では酪農、肉用牛、養豚というものにつきまして、いずれもそういう資金を設けているわけでございます。  畜産経営の場合に、個別経営の中を分析してまいりますと、比較的初期に投資を行いまして順調に回転しているものと、投資の時期がおくれまして比較的価格が伸び悩んだ時代に多額の投資をしたというものによりまして、いろいろ内容の差がございますが、いま申し上げましたように、特にそういう負債が問題で経営が成り立ちにくいという経営につきましては、十分そういう改善計画を立てる、それからいろいろ言われておりますように経営以外に多大の資金を使わないようにというようなことの歯どめをかけながら、こういう資金を融通いたしまして経営改善が達成できるように誘導していくつもりでございます。
  53. 串原義直

    串原委員 時間が参りましたから急いで伺いますが、局長さん、いま言われた制度資金、各県から要請があったら枠だけは確保してやってください。やりますか。これが一つ。  それからもう一つ。いま豚価が非常に安い。心配をしておりますけれども、生産者団体等による調整保管、これはどう考えていらっしゃるか。この二点について伺いまして、時間が来ましたから終わることにいたします。
  54. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 最初に御質問の枠でございますが、経営安定資金等につきましては、県間で若干の調整をいたしております。これは申し出自身がやはり要望ということでございますので、物によっては要望額をそのままお分けしたところもございますが、肉用牛等につきましては若干その枠をオーバーする御要望がございましたので、県にも十分お話をして調整はいたしております。大体御満足いただいているのではないかと思います。負債整理資金につきましては、まだ枠を上げておる段階でございますので、これはその枠の状況等を見ながら判断さしていただきますが、そういう大幅なカットとか、あるいは全く問題にならないということではございませんで、各県との調整が終われば十分対応できると思っております。  それから、二点目の豚価でございますが、御承知のように若干低迷を続けておりますが、基本的には、消費拡大を図りますとともに、輸入についてメーカーなり商社を呼びまして自粛を要望さしておりますので、現在ほぼ六百円の水準を動いておるわけでございますが、状況を見ながらさらに出荷の調整をいたしますとか、いろいろやるわけでございます。ただ、いま御指摘の調整保管の場合も、自主的にやります場合、それから最終的には事業団が出る場合ということがございますが、そういうやり方自身が、実は事を誤りますと価格を引き下げる要因にもなります。実は毎日豚価を見ながらその対策関係者と鳩首協議してやっておりますが、私どもとすれば、これから十一月、十二月というのは需要期に入ってまいりますので、いままでの各種の努力を続けていくことによって何とかいまの豚価水準が維持できるのではないかと思っておりますが、これは事情を見ながら適宜適切な措置をとるということでございます。
  55. 串原義直

    串原委員 終わります。
  56. 田邉國男

    田邉委員長 島田琢郎君。
  57. 島田琢郎

    ○島田委員 五十三年七月に国有林野事業改善特別措置法、つまり特措法が制定、公布されて早くも三年半たつわけであります。第八十四国会は林業国会という名称にふさわしい大変大きな論議があったわけであります。わが党も再建整備法を対置いたしまして、当時この特措法に基づきます改善計画をめぐりまして、当時の国有林の置かれております状況を的確に判断しながら、十年間の改善計画がそごを来さないように目的どおり実績を上げていくようにという立場で一定の提案をしたのも記憶に新しいところでございます。  さて計画ということになりますれば、世間一般の常識からいえば長期計画あり中期計画あり短期計画があり、そして単年度ごとの計画を点検をしていくというのが常識でありまして、それぞれの時点における点検を行うという必要性は否定し得ないものがあると思いますし、あくまでも計画と実績というものが乖離しないように、そういう立場で、再建整備を目的とする改善計画においてはこの行為を大胆率直に行っていかなくてはならない、これが計画推進に当たっての鉄則でなければならぬわけであります。  たとえばことし一年の単年度で見ても、特にことしのような年はまさに例外だと言う人もおりますけれども、今後も、一定のこういう状況が起こり得るという可能性を持っておかなくてはならないような春先における大豪雪という災害に見舞われました。夏になってからは、思わないような低気圧、台風の襲来によってこれまた山林も大きな被害を受ける。また、最近では、十一月中にこれほどの大雪が来る、あるいはこんな寒波が見舞うという、こういうあり得ないようなことが次から次へと起こってくる、こういう環境の変化は当然これからも予測をしていかなければならないものでありますが、本年度一年を見ても、この例外と言われるような現象が著しく起こってまいりました。この状況環境の変化に的確に対応していかなければならないのは言うまでもないわけであります。  国有林はまさに国民の共有財産、こう言っても言い過ぎではないわけでありますし、私をして言わしめれば、国民有林あるいは社会有林という立場に立つ大変重要な山であります。つまり、こうした国有林に対する再建整備あるいは改善という問題につきましては、国民の立場に立てば、いわゆる自分の山のものとして、この計画推進に当たっての実態については重大な関心を持つのはこれまた当然であります。そういう意味で、国民の立場に立ち、国民の名によるこの改善計画の点検ということを、もう三年半たちましたから本席をかりて一定の点検を進めていく必要があると考えて、きょうはこの点にしぼっての質問をいたしたい、こう考えているわけであります。  さて、言わずもがなのことでありますが、特措法には三大使命が課せられている。一つは林産物の計画的持続的供給、それから森林の持つ公益的機能の十分な発揮、三つ目には地域産業活動を通じた農山村地域振興を進める、これが国有林に課せられた一つの任務であると同時に、そこを特措法でも明確にしているわけです。そこで点検を進める順序としては、現状どうなっているかの分析をしておかなくてはなりません。  そこで第一のお尋ねでありますが、経営の現状というのは一体どういうふうになっているか。その場合、年間における主要事業量がどのように推移をしているのかという点をお聞きしておかなくてはなりません。つまり、年間の主要な事業量についてこれまで、つまりこの三年半の間にどのように推移をしてきたかという点をお尋ねしておきたいと思います。
  58. 秋山智英

    ○秋山(智)政府委員 お答えいたします。  主要な事業量につきましての最近の推移を申しますと、まず伐採量でございますが、五十五年におきましては千三百七十八万立米でございまして、これは多かった時期に比べますと五九%に下がってまいっております。それから新植面積でございますが、これが四万四千ヘクタールでございまして、やはり一番多い時期に比べますと五一%、それから林道の開設につきましては千百十六キロメートルでございまして、一番多い時期に比べますと六四%、いずれも事業量はダウンしております。
  59. 島田琢郎

    ○島田委員 いま総体的にダウンをしたという御説明でありますが、特に伐採量がどういう推移をしたか。それから林道がどのように開設されていったか。それから造林事業、つまり切った後必ず植えていかなくてはなりません。いまちょっとお触れになっているようでありますが、もう少し細かに、造林事業が、新植面積がこの三年半の間にどのように推移をしたのかという点がお聞きしたい点でありますので、数字的な点でございますから長官からお示しを願いたい、こう思います。
  60. 秋山智英

    ○秋山(智)政府委員 まず、伐採量で申し上げますと、五十三年が千五百三十四万立米、五十四年が千四百七十五万立米、それから五十五年が千三百七十八万立米でございます。それから新植面積でございますが、五十三年が四万一千ヘクタール、五十四年が四万三千ヘクタール、それから五十五年が四万四千ヘクタール、かようになっております。
  61. 島田琢郎

    ○島田委員 そのお示しになった年度を比較いたしますと、改善計画以前の比較で言えばどの程度の推移になっているのですか。
  62. 秋山智英

    ○秋山(智)政府委員 時系列に申し上げますと、まず伐採量は四十五年、五十年、五十五年という三年間で対比させていただきたいと思いますが、四十五年が二千三十九万立米、五十年が一千五百十万立米、五十五年が千三百七十八万立米。それから新植につきましては四十五年が四万二千へタタール、五十年が五万四千ヘクタール、五十五年が四万四千ヘクタールという数量になっています。
  63. 島田琢郎

    ○島田委員 たとえば三十九年という、四十年でも結構ですが、この時期に比較いたしますと、伐採量においても五十五年が千三百七十八万立米だそうでありますから、ほとんど四十年当時の伐採量に匹敵するのでありますが、総体的には三年間におきます伐採量は著しく減っているということが言えると思うのであります。  そこで、そうした事業が落ち込んでいく状況の中でありますが、今後の見通しとして考えられる点は、改善計画では、六十年末になりますと伐採量が上向きに転ずる、こういう計画になっておるわけでありますが、私は、このままでいきますと、必ずそのような見通しのもとで正確に推移するかどうかには大変疑問がある、実はこういうふうに思うのであります。しかも、それらに付帯いたします大事な事業というものが、それぞれそれに伴って落ち込んでいくということになりますれば、これは改善計画とは言えないで、結果的には改悪の結果を招くことにもなりかねませんから、これらの事業量の推移というのは正確に点検して、余り大きく数字が違わないようにするということをやっていかなくてはいけないのではないか、このように指摘をしておきたいと思うのです。  さて、こうした点を考えますと、一応六十年代に入りまして後半、仮にいまのような状況から脱するということが言えるとしても、それに対応する組織とか要員というものの確保については、やはりそこを目標に定めた計画をいまからきちんと立てていかないと、そのときになって組織的にもあるいは山で働く人たちもいなくなってしまうような結果になれば一冒頭で申し上げました国有林の機能を十全に果たすことができないことになりますが、そうした組織と要員の推移についてはどのようになっているのか。特に、ピークはいつで、そのころにはどのぐらいの要員の確保を目指すのか、その辺のところを明らかにしてほしい、こう思います。
  64. 秋山智英

    ○秋山(智)政府委員 お答えします。  要員につきましては、過去におきまして一番多かった時期は昭和三十九年でございまして八万八千五百三十八名でございましたが、昭和五十五年におきましては六万六百四十八名でございます。これを定員内外に分けて申し上げますと、三十九年の定員内が四万四百八名。それに対しまして五十五年が三万三千三百四名。定員外職員が、三十九年が四万八千百三十名。現在が二万七千三百四十四名となっております。
  65. 島田琢郎

    ○島田委員 お話しによりますと大変な減り方であります。いまの説明では、三十九年の八万八千人に対しまして、五十五年では六万人でありますから一割以上減っている、こういう状況に相なるわけであります。仮にこのような状況で十年間減り続けていくということになったら、先ほど指摘のとおり、山を守ることはできないのではないか。ピークのときは何年て——ピークというのは、今後の改善計画の中で一体どの程度の要員をもってこの計画が達成できるかという見通しが一つあるのです。また、なければいけないのでありますが、一体どの程度をお考えになっているのですか。
  66. 秋山智英

    ○秋山(智)政府委員 現在、将来における要員規模につきましては検討中で、まだ数字が確定したものがございません。
  67. 島田琢郎

    ○島田委員 一番大事な点がまだしっかりした数字となってあらわれていないというのはきわめて心配されることであり、今後の国有林の再建整備に当たっての大事な人的な確保というものがなおざりにされていてこの計画が進められていくというのはきわめて危険だ、私はこういうふうに指摘をしておきたい、こう思うのであります。  さて、そこで財務事情なんでありますが、最近の財務事情について、その損益の推移というのはどのようになっているのでありますか。
  68. 秋山智英

    ○秋山(智)政府委員 過去を分析してまいりますと、昭和四十九年までは損益につきましては黒字でございましたが、五十年以降これが赤字になりまして、損益計算で申し上げますと、五十年が百三十五億の赤字、五十一年が五百四億の赤字、五十二年が九百六億の赤字、さらに五十二年が九百九十一億、五十四年が本材価格の高騰等もございまして三百十九億、五十五年につきましては六百五十七億の赤字になっております。
  69. 島田琢郎

    ○島田委員 ところで、林野特別会計の中に利益処分制度というのがありまして、かつては利益が上がったときには、極端に言えば国庫に召し上げられる、こういうような経過もあったわけであります。その辺のところを振り返ってみて、これらの話の素材として取り上げていかなくてはならない大事な点なんでありますが、いま私が申し上げました利益処分、それは、いままでの経過から言いますと内容はどうであったのか。たとえば九百二十三億円、これは治山やその他の林業振興のための経費として支出したとなっておりますが、これは本来内部で使うということはもちろんでありますけれども、いわゆるそうした経過から言いますと、利益のあったときと対比して、いま赤字の状態になったときとの比較から言えば、私はこれはきわめて身勝手というのかもしれませんが、利益が上がったときは端的に言えば取り上げる、しかし赤字になって困っているときには逆にいままでの分を返してくれるぐらいの気持ちに立ってもらいたいという気持ちがあるものですから、利益処分制度というのは今日時点の状況の中で逆に言えばもっと生かしてもらいたい、そういう立場で私は物を言っているのであります。この辺の経過について内容はどうであったのかを明確にしておきたいと思いますから、お答えを願いたいと思います。
  70. 秋山智英

    ○秋山(智)政府委員 過去におきます利益処分の推移を見てまいりますと、昭和三十五年以降、いま先生御指摘のとおり九百二十三億の外部処分をいたしております。一般会計の繰り入れがトータルで四百六十九億、それから森林開発公団への出資が四百五十四億、かようになっております。
  71. 島田琢郎

    ○島田委員 繰り返しますが、利益積立金、かつてありました九百億、これは後に述べますように国有林野事業が材価の動きによって支配されるという分野を非常に多く持っているわけであります。したがいまして、ときには損失は赤字を生むという場合もあり得る。その場合に損失補てん、あるいは幸いにしてよい成績で推移をするということになれば、その場合は企業でありますから資本充実のための積立金、こういうような性格を持ってしかるべきだ、こう思うのであります。そういう意味で言えば、この利益処分制度というのはもっと別な角度から検討されてしかるべきだ、こういうふうにも考えるのですが、林野庁当局としてはどういうお考えをお持ちになっているのか、この際承っておきたい。
  72. 秋山智英

    ○秋山(智)政府委員 現在は赤字でございまして、利益処分ができないわけでございますが、先生先ほどお話しのとおり、昭和五十三年に国有林野事業改善特別措置法を制定していただきまして、これに基づきまして自主的改善の努力をしながら、足らない分につきましては一般会計から御承知のとおり繰り入れをさせていただいておりまして、これを保安林等の造林あるいは林道等の基盤整備に現在投資をしている現状でございます。
  73. 島田琢郎

    ○島田委員 現状はわかるのですが、かつては、もうかったときには一般会計に入れて協力をしてきたのだから、困ったときぐらいはちょっとめんどうを見てくれてもいいではないかという姿勢に立っても悪くはあるまい。それは財政当局は何と言うかわからぬですが、そのために利益処分制度というのを設けている、こういうことでありますから、そういう意味で私は申し上げているのであります。  さて、現在は残念ながら借入金に頼る、まことに僅少でありますが、お見舞い金程度の一般会計からの繰り入れを求めて、それでいまの林野会計が進められている、こういうことでありますが、ここでこれまでの長期借入金、いまお話を申し上げました一般会計から繰り入れ、こういうものの推移はどのようになっているのか。最近の年次で結構でございますが、お示しを願いたい。
  74. 秋山智英

    ○秋山(智)政府委員 長期借り入れにつきましては、昭和五十一年から行っているわけでございますが、五十一年に四百億、五十二年に八百三十億、五十三年に九百九十七億、五十四年に千百八十億、五十五年に千三百四十億、本年度は千四百億借り入れる計画を立てております。
  75. 島田琢郎

    ○島田委員 借り入れの条件はどんなことになっていますか。
  76. 秋山智英

    ○秋山(智)政府委員 造林と林道で条件が違いますが、造林につきましては五年据え置きの二十五年償還であります。それは官行造林につきましても同じでございます。それから、林道につきましては三年据え置きの十年償還でございます。それから、利子でございますが、利子はそのときどきの状況によって変化がございまして、一番低いときは五十三年の五月から五十四年五月まででございますが、これが六・〇五%、それから高いのが五十五年の五月から五十五年の十一月でございますが八・五〇%、現在は七・五〇%となっています。
  77. 島田琢郎

    ○島田委員 いま借り入れを当て込んでおりますのは長期の財投の資金で、財投の金利に相当する部分が返済に当たっての利子ということになるのでありますが、これはいままで大臣とも幾度もお話をしてまいりましたが、こういう状況の中でありますから、もっと金利にも優遇があってしかるべきだ。比較を申し上げますなら、民有林並みの金利ということで考えてもいいのではないか。これはこの特措法が議論されたときにも大変大きな論議になったのでありますが、その後もこの問題についてはずいぶん大臣とも意見の交換をしてまいりました。大臣もいかにも高い、こういうふうにおっしゃっておるわけでありますが、率直に言って、これは何とかならぬのですか。こんな高い金利を払ってやっていくということになりますれば、たとえばの例で悪いのでありますが、われわれ家を建てましてローンの返済ができないでサラ金から金を借りた、そのうちにサラ金の方にも返済しなければならなくなってきた、担保に差し出した家はわが物ではなくて、人の手に渡ってしまうという結果になる。例としてはあるいは適当でないかもしれませんが、わかりやすく言えばそういう状況にいま置かれているということも言えるのではないでしょうか。  ちなみに、今年度の元金は幾らで金利は幾ら払わなければならないのですか。
  78. 秋山智英

    ○秋山(智)政府委員 五十六年度現在予定しております金利の支払い額は三百九十五億円でございます。それから償還金は五十六億円でございまして、合わせまして四百五十一億円となっております。
  79. 島田琢郎

    ○島田委員 少なくとも法定金利でございますから、金利をまけろという主張はなかなかこれは通らないでしょう。しかし、利子補給という道はあるはずであります。いまもお話にあったように、元本の五十六億に対して金利が三百九十五億、こういう状態では、いま私が卑近な例で申し上げましたような結果を招きかねない。その上さらに、民有林等に比較をいたしますと支払いの条件が非常に厳しい。据え置きも短いし、支払い期間も短い。これでは財政的にとてもじゃないが国有林の再建はできないのではないか。雪だるま式に大きくなっていく。それに追いつかない。それを補てんしてくれるような一般会計からの繰り入れがあればこれは話は別ですが、ことしの一般会計からの繰り入ればたったの八十七億円でありますから、金利の一部にもならぬという状態であります。  ここのところは、やはり大事な改善計画のポイントとして踏まえていかなければ、まさに私が冒頭指摘をいたしましたように、十年間の改善計画は大きく狂うばかりか、結果的には、国有林はまさに荒れなんとすという大臣の言葉のとおりの結果にしかならないのではないか。改めて大臣の所見を伺いたいと思うのです。
  80. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 ただいまの質疑を通じまして、国有林の現状というものがきわめて明らかにされたわけでございます。いろいろ、人数は若干減ってきておる、営林署の数も減らしておる、ところが伐採しておる量並びに特に新植、新たに植える面積というものが一時よりも半減しておる、こういうことを考えつつ、いま御指摘になりましたような赤字という問題を考えますとき、あるいは利払い等を考えますとき、本当に国有林というものは将来どうなるのかなという心配を私は就任早々持ったわけであります。  何とかこれを改善をする方策はないかということを一年間にわたって苦心惨たんやってみましたけれども、なかなか短兵急にいい策もあるわけではない。やはりこれは森林というものに対する一般国民の認識というところからスタートをし直さねばならぬのではないかな、いままで義務教育で、山は大事だ、森林は大事だ、木は大事だ、こう教えておった小学校、中学校の教育指導要領の中から、森林、山というものを切り取ってしまって、そして農業関係では、農業と水産業だけを教えるというようなそういう国全体としての構え方というものに、私はやはり大きな反省点を見出しているわけでありまして、そういう点を一刻も早く改善をして、そして日本の山は一億国民が全部でやはり見ていかないとこれは大変なことになるんだよということを子供のときから教えていかなければならない。  特に、ただいままでの質疑応答の中でも明らかになりましたとおり、森林の持つ、山の持つ公共的使命というものが非常に大きいわけであります。ある意味においては日本の山全部がダムの役割りをし、ある意味においては国土の保全をがっちりとやってくれており、ある意味においては酸素を供給するというようなはかり知れない大きな使命を果たしておるわけでありますから、こういう大きな使命を発揮しております森林に対する経営というものは、木を植えて、育てて、切って、売って、その売った代金で日本の山を見ていくという方式、それに対して植林の補助でありますとか、間伐の補助でありますとかいだしてはおりますけれども、やはりそれらのやり方というものがもっともっと重点的に行われていかなければならぬな、そういう感じを私は持つわけでございます。  そういう点について林野庁に聞きますと、植林の面積は目いっぱいなんだ、もう植えるところがないんだ、こう言うわけですけれども、福島県なんか行ってみますと、植える面積は幾らでもあるわけであります。そういう点を考えまして、国有林の中では——七百万ヘクタールの面積を持っておるわけでありますから、少なくとも一年に六万ヘクタール以上の植林をしてまいりませんと、収支決算が書きようがないんじゃないかという感じさえ持つわけでございます。七万ヘクタールで四十年、五十年としても、五、七、三百五十万ヘクタールの伐採し得る植林面積があれば、年間相当な伐採もできるわけであります。  また、一面、木材需要の面から考えていきますと、やはりコンクリート文明のこういう日本の家屋構造等になってまいりますと、果たして材木の需要というものの新規開拓とでも申しますか、そういう方面も新たに考えていきませんと、これはなかなか材木の価格維持等についても相当困難な情勢が増してくるのではないか、こういうこともございますので、若干の時間をかしていただきたい、こう思います。
  81. 島田琢郎

    ○島田委員 大臣は、大事な私の質問に対して、それを意識してはぐらかしていらっしゃるのか。大事なことをおっしゃっているから私は謹聴しておりましたが、私の求めておりますのは、こんな財政で大丈夫ですかと、この点についてお聞きをしたかったのであります。時間がもうどんどんなくなってまいりますから、先に進まざるを得ません。その問題認識を持っておられるということはわかったということで理解をしておきたいと思います。  さて、先ほど定員の問題に触れました。三カ年間で一割の要員の縮減、こういうことになっていますが、冒頭指摘をいたしましたように、せっかく山がよみがえっても、そこで働く人たちがいなくなってしまったのでは、その後の事業が進んでいかないという問題に突き当たりますが、このままで定員の縮減という傾向が推移してまいりますれば、私は大変なことになる。この際、やはり山については百年の大計ということを口にするわけでありますから、これに携わる定員、要員についてもしっかりといまから確保しておくという施策があわせて進められていかなければならないという点を指摘をしておきたいし、そのためには九欠一補だの十二欠一補だのといったようなそういう状態で次の世代、つまり山の担い手が確保されないというふうな状態であるとすれば、これはゆゆしき一大事になるということをこの際指摘をしておきたいと思います。  残念ながら時間がございませんから先へ進みますが、先ほど私は、国有林の持つ大事な役割りという点に触れました。いま大臣のお話の中にありましたが、そうした役割りを果たしていく上で、今度の特に特措法に基づきます改善計画を遂行していく上で、どうしても本来負っております国有林の性格というものの中で、つまり一定の解除を図っていかなければならない要件が幾つかあるにもかかわらず、実はどうしても自分たちの努力、つまり自助努力といいますか、そういうものでもこれを解決し得ないという問題を抱えているのが国有林の特徴だ。これはちょうど一年前の十一月五日にこの席で亀岡大臣と林野問題の初めての論議をいたしましたときにも私は触れました。たとえば、いま七割外材時代を迎え、しかしその低迷している、あるいは停滞している材価を国有林みずから打開するということができないという制約条件下に置かれている、これはまさに自助努力を幾ら力説してみても解決し得ない問題であります。  そのときに私は、三公社五現業の実態と比較をしてお話をしました。いまここで時間がないからその点に触れることができませんが、大臣の御答弁では、そのとおりであるという認識を持っておられたと記憶いたしております。そういういわゆる自主的努力と自助努力と、幾つか条件を突きつけられても、何とも国有林自体ではしようがない、やりようがないという問題が幾つかある。それは、国有林自体が大変山奥の方にあって、容易に木を切り出すことのできないような条件下に置かれておれば、それを無理やり出してくれば、引き出しのコストがかかる。つまり造材コストがかかってくる。しかし、一たん売ろうと思ったら、そういうコストを正確に国有林の立場から提示をして、そのコストに見合うような価格で取引されるかと言えば、これまたそうはいかない時代である。時代といいますか、そういう条件の制約がある。こういうことでありますから、こういう自助努力というものができない制約条件のもとに置かれている国有林の改善というものは、やはりそれなりの改善計画に基づかなければならないということは指摘するまでもないことであります。  そういう条件を考えてまいりますと、国有林というのは非常に大きな責任を課せられているにもかかわらず、実は身動きのできない分野もたくさん抱えているということも言える。そういう意味で、私はもとに戻ったお話をいたしますと、その分の補てんとして、財政上一般会計繰り入れという分野でいわゆるフォローしてもらわないと、国有林会計はたまったものじゃない、財政の再建はとてもできない、こういうことに相なるわけであります。  そういう点を考えますと、私は一つは、やはり大臣がいまおっしゃったように山の木を売って独立採算でりっぱに国有林の会計がもっていくようにするということがたてまえだと、こうおっしゃったが、そういうたてまえだけではいまの国有林の再建ができないということが明らかになったと思うのですが、将来に向かって木材価格がどのように動いていくのだろうかという点については、大変関心のある話であります。長官はこれをどういうふうに見ておられるのですか。
  82. 秋山智英

    ○秋山(智)政府委員 非常にむずかしいものでございますが、現在御承知のとおり七割が外材でございまして、残念ながら国産材三割という時代でございます。したがいまして、価格も外材との絡みにおきまして決められてくるということもございますが、もう一点、最近の木材需要動向を見てまいりますと、特に、最近の不況の原因がどちらかといいますと一過性でなくて構造的な問題を秘めております。したがいまして、木材需要、特に住宅の着工等がことしは百二十万戸前後になるのではないかというふうな見通し、あるいはそれよりも下がるのではないかという見通しもございます。それに対しまして私ども需要の開発に努力しておりますが、何にしましてもそういう構造的な側面があるだけに、これからの木材価格の見通しにつきましてはきわめてむずかしいところであります。  私どもといたしましては、やはり需要に見合った外材を入れまして、需給のバランスをとりながら価格を維持させていくような方向あるいは向上させていく方向に努力しませんと林業が停滞するということで、現在そういう施策も含めて検討している最中でございます。
  83. 島田琢郎

    ○島田委員 ちなみにアメリカで「西暦二〇〇〇年の地球」という表題で世界の森林資源の予測をいたしておりますのが最近発表になっております。これを見ますと、つまり西暦二〇〇〇年のところでどのような森林資源が予測されるかということでありますが、残念ながら大変危機状態に陥るということが指摘されています。たとえば一九七八年に二十五億六千三百万ですか、それが年間二千万ヘクタールの森林が消失をしていくというふうなショッキングな発表があるわけであります。細かく言えば一分間に三十ヘクタールずつ森林がなくなっていく。森林がなくなるということは資源がなくなるということであります。こういう状況が予測されているのであります。いま外材七割時代を迎えているから、こう言われますが、そうした外材の依存さえも今後は困難になる、こういうことでございますから、勢い国内における山をしっかりとっくり上げていくということがきわめて急がれるわけであります。  それに対します国内における実態は、先ほどお話を申し上げたように、国有林の要員確保にも問題があるばかりではなくて、日本の大事な林業の担い手さえもどんどん山から去っているという現状であります。林業就労者の動向というのも大変気になります。同時に、減っていくにもかかわらず、年齢構成を見ますと逆に今度はこれが高くなっていく。そういうことでありますから、これはシェーレの現象ではありませんが、非常に鋏状的な状況を山元に生み出しているということが言えるわけであります。私は事大主義に物を考えるつもりはございませんけれども、このままでいったら林業生産の担い手がいなくなっちゃうのじゃないか、そういう状態にあることは林野庁当局としても御認識になっていると思うのでありますが、この辺の対策についてはきょう時間がなくて細かに触れることはできません。問題の指摘だけにとどめておきますが、一言だけ長官からこの現状認識について、私がいま指摘をした点に間違いがないかどうか、お答えをいただきたいと思います。
  84. 秋山智英

    ○秋山(智)政府委員 先生御指摘のように、最近の木材価格の動向は、五十四年度を中心にいたしまして一時上昇しましたけれども、四十九年以降長期的に見ますと、やはり低迷の様相を呈しております。先ほど私が述べましたように住宅の建設状況も落ちてまいっておりますし、これが林業経営全般を大きく圧迫しております。特に国有林野事業特別会計の収入の大宗は木材収入でございますので、木材価格の低落が収入状況に大きな影響を及ぼしていることは事実でございます。私どもいままで経営改善に努力してまいっておるわけでありますが、国有林の現状を見てまいりますと、資源が御承知のとおり造成過程にございます。したがいまして、当分の間は伐採量を縮減ないし横ばいとせざるを得ない、そういう厳しい状況に置かれておるわけでございます。今後伐採量が上昇に転じますのは六十年代末以降になるというふうに見通しておるところであります。一方、この間におきまして各種の経営費用につきましてはだんだんと増加傾向が避けられませんし、また、要員面におきましても高齢化の進行に対応した要員措置も必要となってまいっておるわけであります。したがいまして、私どもといたしましては、各般にわたりますところの自主的な努力を実施すると同時に、一般会計からの繰り入れ、長期借入金等の財政措置に努力してきた、そういうことでこれからも改善してまいりたいという意識を現在持っておるところであります。
  85. 島田琢郎

    ○島田委員 そこで、昨年私がここでもこの問題を取り上げて大臣見解を伺ってまいりましたもののきょうは延長という立場で、重ねて幾つかの問題点をここに挙げてまいりました。特措法に基づく改善計画によりまして、これまで自主的な改善というものがなければ大蔵省は金をやらぬよとか、あるいは財源措置もしてくれないといったような厳しい条件があるということも十分承知はいたします。しかし、その結果、請負はさらに拡大されるという傾向にある。要員の問題も先ほど指摘をしたとおりの状況で縮減傾向をたどっている。また、営林局、営林署、事業所等の統廃合も、地域住民の反対にもかかわらず、これを強行してきた。こういう状態でありますが、しかし、そうした進行状況の中でも一向に一般会計の繰入額が思うようにふえていかない。確かに初年度は四十六億が約倍の八十億に伸びましたものの、そのまま八十億台で低迷するという状況ですから、一般会計からの繰入額というのは全く冷たい結果にしか終わっていない。財投資金は現在までに、先ほどお話がありましたように、六千百億円を超えるという状況にございますが、そういう中ですでに返済期に入って多額の利子を払っていかなければならぬという状況にあるわけであります。今後同じような状態になっていくとすれば、この時点で、もはや国有林財政というのは利子の返済だけでも破局の状態に進んでいるというふうに言っても言い過ぎではない。私どもはこうした状況を四年前のあの論議のときに正確に見通しました。まさにわが党指摘のような状況に置かれた。わずか三年そこそこしかたっていない状況の中でもそのことが言える。そのことを心配して私どもはあの法律の修正に対しまして附則をつけて——冒頭で私が申し上げましたような長期、中期、短期、単年度ごとの計画の点検を進めながら、必要な部分に対して計画に改善を加えていくという方向をとらなければならないということを指摘しながら附則をつけたわけであります。  今日、いままで議論をしてまいりました状況の判断、あるいは置かれている事態の認識というものはそんなに大きく大臣と私の間で狂っていないということも明らかになった。だとすれば、私は、もう三分の一終わったのですから、ここで一遍この改善計画を見直しするという態度が必要だと思うのですが、まず最初に、この認識において一体どのような見解を持っておられるのか、それをお聞きして、今後どうするかをその次にお尋ねをしておきたいと思います。
  86. 秋山智英

    ○秋山(智)政府委員 ただいまお話のございました国有林野事業改善特別措置法の制定の際におきまして、修正提案がなされまして附則の第二項がつけ加えられましたことは私もその経緯、趣旨等については十分承知しているところであります。  そこで、私どもといたしましても、御承知のように非常に国の財政事情が厳しい中でございますし、非常に困難になってきておりますのも事実でございます。しかしながら、先ほど私触れましたような大変いろいろな事情がございますので、これらを勘案してまいりますと、国有林野につきましては長期的な構造問題としてこれをとらえまして、経営の健全性を確立するという努力がどうしても必要であろうと思っております。私ども林野庁といたしましても、そのような情勢にかんがみまして、国有林野事業に課せられました使命達成のためにさらに努力を続けると同時に、今後一層外部資金の導入等財政措置の拡充、また来るべき国産材時代に対応すべき各種の林業施策の推進等に努めてまいる必要があると考えております。そのために、関係方面理解を深めながら、林政審議会の意見も聞きまして改善方策の路線を固めてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  87. 島田琢郎

    ○島田委員 もう時間がなくなりましたが、最後に大臣、昨年の私の問題提起、今回の幾つかの改善計画推進に当たっての問題点を指摘をいたしまして、いま長官から私の質問に対しての見解が示されました。先ほどもお話にあったように、大臣はかねてから国有林に対します考え方を強く持っている、歴代農林大臣としてはきわめて前向きに取り組んできた一人だというふうに私は理解しています。どうか、いまの長官がお答えになった点を大臣としてもしっかりこれを推進していくような立場で、政治家としての責任あるいは農林大臣としての責任を果たしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  88. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御指摘の点、十分理解できるわけであります。特に、この林業というものの特質からくる長期性という問題があるわけでありまして、農林水産省としてもまた林野庁としても、長期的な視点をどこに置いてどういうふうにするのかという問題について、この前の法律改正をいたしました際にやられたわけでございますけれども、その後の材木の市価の低迷と申しますか、そういう特殊事情等も起こってきておりまするし、さらに山からどんどん人がいなくなるという現実の問題、こういう点も考慮しながらその時点、時点においてあらゆる点から見直しをしながら、最終的な目標を達成することが計画をつくったゆえんでありますので、その辺は十分林政審議会等の意見等もお聞きしながら見直しをすべきではないかという感じを私は実は持っておるわけであります。その点を率直に申し上げておきたいと思います。
  89. 島田琢郎

    ○島田委員 終わります。
  90. 田邉國男

  91. 松沢俊昭

    松沢委員 いま島田委員の方から詳細にわたりまして国有林野の問題につきましての質疑があったわけでありますが、それと関連いたしまして、私も若干御質問申し上げたいと思います。  九月の十八日ですか、全国の七つの営林署を廃止をするところの案を公表されまして、私たち社会党といたしましてもこの七つの営林署管内をくまなく実は調査をしてまいりました。私は新潟県の長岡営林署の調査をいたしたわけでございますが、東京で林野庁の皆さんから聞いているのと、実際山の中へ入って見るのとでは大変大きな違いがございました。あそこは天然のブナの山であったわけでございますが、そのブナの林がほとんど伐採されて、天然更新ということで、どうするんだと聞きましたところが切りっ放しということなんです。だから、各町村を回ってみましたところが、営林署なんというのは山荒らしをやっているんだ、こういう批判が非常に強かったわけであります。入広瀬村のブナの林を見ましたけれども、これはものすごくいい林になっているわけなんです。ところが国有林の場合においては荒らしっ放しという状態になっているわけでありまして、大臣、この前もちょっと雑談の中にも私お話を聞きましたけれども、山というのは幾ら岩山であろうと何であろうと、そこへ、要するに木を植えていかなければ治山治水はできないのだ、こういうお話を聞きまして、私も全くそのとおりだと思いましたが、あのままでいきますと、これは大災害が起きる可能性があるんじゃないか。ましてや営林署を廃止するなんというそういう時期ではないじゃないか、実はこんな印象を受けて帰ったわけなんでありますが、この点どうお考えになっているか、まずお答え願いたいと思います。
  92. 秋山智英

    ○秋山(智)政府委員 国有林におきましては、戦後の外材の入ってないころの復興資材あるいは経済成長に伴いまして国産材でそれに対応しなければならぬ時代がございまして、積極的に木材生産と拡大造林を進めてまいったわけでございますが、その間におきまして大面積の皆伐方式をとっておった時代もございます。しかしながら、その後私ども反省に立ちまして、昭和四十八年におきまして新たな施業方法を導入いたしまして、以来伐区の縮小、分散、それから保護樹帯の設置、さらには高海抜地帯におきましてはやはり択伐によるところの天然林施業というものが重要でございますので、そういう施業方法を導入いたしまして活力ある健全な森林をつくるべく営林局署を挙げて努力しておるところであります。  いま御指摘になりました雪の多い地帯におきましては、この天然下種更新を選択している場所といたしましては、地すべりとかあるいはなだれ等の発生のないようなところ、それから気象条件が非常に厳しくて新植によって成林が期待できないところ、さらにはササ類が非常に少なくてブナ等の有用広葉樹の発生が非常にいいところなどにつきましては、天然下種更新をとっておるわけでございます。この御指摘の点のところでございますが、これにつきましてはそういう条件に合っておるということで、天然下種更新によるところの方法で更新をしたところであります。  現在の林地の現況でございますが、調査しますと、ブナ等の有用な広葉樹が、非常に稚樹が発生しております。したがいまして、私どもはこの稚樹を育てていい林分にしてまいりたい、かように考えております。  それから長岡営林署の造林地全般を見てまいりますと、やはり雪の多い地域につきましては根曲がりといいますか、どうしても曲がる傾向がございます。特に、国有林は民有林に比べますとやはり生産力が低うございますし、生育にも若干劣るところもございますけれども、現在悪条件下でいわゆるパイロット的に人工造林を実施しておるところにつきましては、倒木起こしあるいはすそ払い等を進めてまいっておりまして、なかなかいい成績も出てまいっておりますので、今後ともさらに、私どもの仕事はやはり緑の山づくりでございますので、りっぱな山づくりに努力してまいりたいと思っております。  なお、今回の統廃合によりましても、現場の管理組織につきましてはそのままにし、さらに充実するということで対処してまいりたい、かように考えております。
  93. 松沢俊昭

    松沢委員 杉の植えられたところを見てきましたけれども、ほとんど枝おろしはやっていない。ああいう要するに豪雪地帯でありますから、それをやらなかったらめちゃめちゃになってしまうのですよ。だから、はっきり申し上げますと人手が足りないということになる。営林署を統廃合することによって拡充するなんという話ではないでしょう。さっき島田委員の方からお話がございましたように、三十九年に九万人も人がおったのが六万人に減っているわけですからね。そういうぐあいにして順々に数を減らしていく、これが統廃合のねらいだと私は思うのですよ。そういう時期ではないのじゃないか、私はこういう指摘を申し上げているわけなんです。  そこで、お話によりますと、この統廃合は二月一日あたりでやりたいというお話も実は聞いているわけなんです。そうすると、この前五十四年ですかの場合におきましては、十二月八日に公示をなされたというお話でございますけれども、いま私たちのところへ陳情も来ております。もちろん大臣、林野庁のところへも陳情が行っていると思います。決して地元の住民の皆さんが統廃合に賛成だというところの声というものは聞かれないわけでありまして、私たち調査に行きましても、それは存置してもらいたい、もっと拡充してもらいたい、こういう注文がつく現状なんでありまして、これは林野庁の方針からしますと、地元の了解を得てから統廃合をやる、これは再三再四私も聞いておるわけなんでありますが、いまの現状からいたしますと、そういう声はまだ出ていない、こういうふうに判断しております。  そしてまた一方、たとえば長岡の例をとりますと、三十八人の職員がおりますけれども、これは村松と六日町、二つに割れる。こうなりますと、そこの職員の皆さん自身が通勤不可能という状態になってくるわけなんでありますから、当然のことながら労使の関係等におきましてもお互いに合意が成り立たなければ強行するというわけにはいかぬのじゃないか、こう私は思っておるわけなんでありまするが、一体二月一日から廃止をする、こういう方針というものは堅持をしていかなければならないというお考えなのか、それともいままで再三再四言ってこられましたところの、統廃合に関しては慎重にやはり取り扱って住民の了解を得る、そして労使の合意を取りつける、その上に立って進めていく、こういうお考えなのか、どっちなんだかはっきりしてもらいたい、こう思うわけなんです。
  94. 秋山智英

    ○秋山(智)政府委員 今回の統廃合計画の策定に当たりましては、五十三年度に実施いたしました経緯を踏まえまして、全国的観点に立ちまして慎重に検討してきております。今後、地元関係者方々の御理解、御協力を得るように最善の努力を払いまして、計画に従って実施してまいりたい、かように考えておるところでございます。  まだ、各方面に十分御理解をいただいている段階とは言えませんけれども、実施までにまだ時間もございますので、さらに、地元の営林局はもちろんでありますが、林野庁挙げまして、御理解、御協力をいただくように努力を重ねる考えでございます。その上で、できる限り円滑に実施してまいりたい、かように考えているところでございます。
  95. 松沢俊昭

    松沢委員 それでは聞きますけれども、地元の了解というのが得られない限りにおいては公示はやらぬ、こういうことですね。
  96. 秋山智英

    ○秋山(智)政府委員 最善の努力を払った上で実施してまいりたい、かように考えております。
  97. 松沢俊昭

    松沢委員 だから了解を得ない限りにおいてはやらない、了解を得てからやる、こういうことですね。  これは大臣にちょっと聞きますけれども、内閣改造がもう日程に上っているようでありますけれども、まさか亀岡大臣の時代に公示をするということはないでしょう。
  98. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私のときに一応の行政的な始末はしたいものだなという気持ち、率直に実はあるわけでございます。宙ぶらりんにするよりも、手がけたものはできるだけ結論を出して引き継ぎをしたいなというような感じを実は持っております。したがいまして、行政的な措置はそういうことにとらわれることなく、準備のできたもの、もちろん、いま行政改革国会を持っておる最中でもありますので、行政改革の一環としての営林署の整理統合、こういうことでもありますので、できる限り現地の御理解を得る努力をした上で処置をいたしたい、こう考えております。
  99. 松沢俊昭

    松沢委員 とにかく地元の了解、理解、これが十分になされない限りにおいてはこれはやらない。その努力は大臣はおやりになる。だけれども、留任されるかもしれませんけれども、内閣改造の後にはどうなるかわからぬが、大臣在任期間中は、いまの状態からすると不可能に近い、こういうふうに理解して差し支えないですね。
  100. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 まあ判断をされることは御自由でございますので、私どもとしては、最善の、最大の努力をした上で処理をしていきたい、こう考えておるわけでございます。
  101. 松沢俊昭

    松沢委員 次に、米の方にちょっと質問を移したいと思います。  ことしは、先ほども質疑がございましたが、大変なまた凶作でございます。十月十五日現在、稲刈りが大分おくれておりましたから、これだけでははっきりしないと思います。でありますから、平年作と比較して九六になっておりますのですけれども、もっとこれが相当下がるんじゃないか。そこで、下がった場合においては、一千万トンを割る可能性というものが出てくるわけですね。そこでいま問題になっておりますのは、一つは刈り取る以前の作柄というものと、刈り取った後の結果というのが大部食い違いがあるわけなんですね。まあ三割ぐらいの減なんじゃないかということで、共済でそれを把握しておったところが、実際はそれ以上であったというようなことで、共済金をそのことによってもらえないという農家というのが相当出ている状況であります。これはいまの制度からしてやむを得ないと思うわけなんでありまするが、もう二年連続の災害地、しかも共済には金があるけれども、その金がそういう決まりによって支払いが受けられないというようなものについて、何らかの特例措置というものを考える必要があるのじゃないか、こういうぐあいに思いますが、大臣どうでしょうか。
  102. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 その点につきましては、六月の冷温影響、天候が回復してこれなら大丈夫だなと思っておったところへの水害、台風、その後の冷温ということで、そのための被害がどの程度あるかということを調査しておることは先ほど申し上げたとおりでございますから、そういう被害の結果によりまして天災融資法の発動ができるほどの被害高になるかどうか、その辺を確認した上で処置をしていきたいな、こう考えております。恐らくそういうことができる程度被害高が出ているのじゃないかという感じを、いろいろな方々の話をお聞きし、また私も東北や青森、あちらの方を見てまいりました感じからいってもそういうふうな感じがいたします。したがって、共済金の受けられない方はやむを得ませんので、自作農維持資金なりあるいは天災融資法に基づく資金の融通等によって処理をしていただくようになるのじゃないか、そんなふうにも考えております。
  103. 松沢俊昭

    松沢委員 できるだけ特例を考えていただきたいということをお願い申し上げます。  それから、さっきモチ米の輸入問題が出ておりましたけれども、減反をやって米の輸入をするというのは、農民からするならこれは納得がいかないわけなのですよ。結局、こういう現象が起きるというのは、モチ米というのは自主流通米に任せっ放し、こういうところから起きてくるのじゃないか。やはり政府も一定の量というのを政府米として確保する、そういう措置を講じないとなかなかこの問題は解決がつかぬのじゃないかと思いますが、モチ米対策をどのようにお考えになっているか、これをひとつお伺いしたいと思います。  それから、時間がありませんからもう一つ質問しますけれども、大臣、大分えさ米に力を入れられまして、予算要求で三億六千万ぐらい要求をやっておられるわけなのでありまして、私たちも非常に敬意を表しているわけなのですが、問題はえさ米の試験研究、実験というのは官側だけではなしに民間にもやらせたらどうか、国の金を使って。官民一体の形でこのえさ米の試験研究というのをやる必要があるのじゃないか、こう思いますが、三億六千万の予算というのは、民間の方にも使わせる、こういうお考えなのかどうか。もしそういうことがなかったならば、それはひとつ配意をしてもらいたい、こう思いますが、どうでしょうか。この二つをお伺いします。
  104. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 モチ米につきましては、実は毎年おしかりをちょうだいしておりまして、私もことしこそはおしかりをいただかなくても済むようなふうにしたいなと思って、実はことしの春ごろから食糧庁を通じて生産者団体の方ともいろいろと打ち合わせをやらしておるわけでございます。先ほど食糧庁長官から申し上げましたとおり、二十五万トン以上の予約等もいたしたわけでございますけれども、あのような冷害等がありまして、相当な減収ということも影響しましてなかなか農家モチ米を出していただけないような雰囲気も実はあるわけですね。それで、一面においては値上がりもしておるというような報道等もなされますとなかなか集荷に困難性を持ってくるということで、今年もお正月のもち等に対して、相当モチ米が値上がりするのじゃないかというような話もあるわけでございますので、これはやはりそういうふうに相なったのではまことに申しわけないので、全量集荷をして、政府は二万数千トンのモチ米を持っておりますので、それらの放出等も十分考慮して値上がりをしないようにということでやっておるわけでありますが、集荷の方がなかなか思うようにいってないということでございますので、御指摘のように米が余っておるのに米を輸入するというのは農民心理から理解できないというおしかりは覚悟の上で、やはり暴騰したのではこれまた物価政策上もいろいろ批判が出てまいりますので、輸入をせざるを得ないのではないかなということで検討さしておるところでございます。  それからもう一つは、えさ米は、これは具体的に、予算はゼロシーリングの中でありましたが、相当思い切って六倍近い額を要求いたしておるわけでございますが、その中身につきましては技術会議の方から説明をいたさせたいと思います。これは私の感じでありますけれども、ある程度固定しかけた品種等につきましては、これは農家の試作田なり何なりでお願いをした方がいいのではないかなという感じもいたしますので、来年、再来年といくに従ってそういう例が多くなるのではないかなと思いますけれども、これは素人の考えでございますから、技術会議の方から説明を申し上げます。
  105. 川嶋良一

    ○川嶋政府委員 いま大臣からお答えがございましたように、超多収稲の試験研究につきましては本年度から本格的に実施をしておりますし、また来年からはさらに力を入れてやっていきたいということでやってございます。しかし、この試験研究につきましてはいろいろなやり方がございまして、そういった点については国が中心になりましてやっていくということになっております。  いわゆる民間の試験研究については、そういったような関係もございまして試験研究費を出してやっていただくというような仕組みになっておりませんし、そういうことも考えていないわけでございますが、そう言ったのでは試験研究の推進上十分ではないということから、国の試験研究の参考になるという立場で、えさ米の試験をやっておられる方々については一定の要件のもとで転作カウントに算入をするという措置をとって、お互いに連携をとりながらやっていくということにしているわけでございます。  今後とも、実質的な意味で官民一体的な研究の推進ということで心がけてまいりたいと思っております。
  106. 松沢俊昭

    松沢委員 終わります。     —————————————
  107. 田邉國男

    田邉委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産業振興に関する件について、本日、小川国彦君の質疑に際し、日本中央競馬会理事長内村良英君を参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 田邉國男

    田邉委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十分休憩      ————◇—————     午後一時三十二分開議
  109. 田邉國男

    田邉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。新盛辰雄君。
  110. 新盛辰雄

    新盛委員 七営林署の統廃合の問題で、午前中に引き続いて、それぞれの各地域における実情調査に私ども参りましたから、その観点から二つ、三つ確認をしておきたいと思います。  私が参りましたのは、鹿児島県は大島群島、特に大島営林署の統廃合でありまして、立地条件、特殊な状況あるいはまた亜熱帯林業の経営振興、こうした水資源を涵養するためにきわめて重要な地域にある場所で、営林署、しかも離島という中にありながら鹿児島へ統合、これはどういう理由なのか不明なのでありますが、この奄美群島においての奄美群島特別措置法あるいは過疎地域振興法あるいは山村振興法などなど、特に特例地域の問題として、いま行革でも問題になっております。こうした個所を逆に突き落とすような、過疎化を早めるような状況をつくり上げる営林署の統廃合というのはどういう理由によるのか、それをひとつ聞かしていただきたい。  第二の問題は、営林署はなくなるけれども、営林署に似た形で行政、管理あるいは事業は行うのだ、こういうように説明はされておりますが、九月十八日公表されて、来年二月の実施というふうに言われておりますけれども、地元の理解は全然なされていないわけです。地元の市町村を回ってみますと、相談がない。何か相談すれば反対が強くなるので、これは少し考えなければいけないという五十三年のあの九カ所実施のときの状況に踏まえられたのかどうか知りませんが、今回は抜き打ちで発表されている。だから、この対応の仕方によっては、いまだに理解と納得ができない。  さっき大臣は、理解と納得を得るよう努力する、最善、最大の努力をして、できる限り現地の理解を得た上で実施したい、こういうふうに言っておられるのですが、ここのところは大臣、実は、五十三年のときに議論しました際、中川農林水産大臣は、このことについては明確に、一方的に強行しない、こういうことを明言されたのでありまして、今回もそういう趣旨に基づいてのことなのか、この点を明確にひとつお答えをいただきたいと思うのです。
  111. 秋山智英

    ○秋山(智)政府委員 お答えします。  統廃合対象の営林署の選定に当たりましては、全営林署の中から改善計画の趣旨に沿いまして、事業規模の非常に小さいところ、あるいは施業対象面積が小さいところ、さらには近距離に位置している営林署というふうなものを対象といたしまして、統廃合を行いましても森林の適正な管理や事業の適切かつ能率的な運営が確保されるかどうかというふうなことを検討し、さらには県庁などの他の行政機関との連絡調整の必要性など地域の事情を検討いたしまして、特に大島の営林署の場合には、全国的に見まして業務量がきわめて小さいということから、今後営林事務所を置きまして管理、経営をしていきますならば、地域のサービスの低下を来さない、こういう考え方でここを対象にいたした次第でございます。したがいまして、この地域の営林事務所には技術指導その他の行政のサービスを十分やらせながら、担当区の事務所と相マッチしまして、実質的に地域サービスに支障を来さないようにしてまいりたい、かように考えているところであります。  それから、事前に了解を講じなかったではないかということでありますが、私ども、今回の営林署の統廃合におきましても、五十三年度と同様に、地域の皆さんの御理解、御協力を得て最善の努力を払って実施していくということでありますが、この検討段階におきまして地元に了解を求めるということはかえって混乱を招くということでございまして、十八日の書面提示の段階までは林野庁で検討しておったわけでありますが、その後におきましては、地元の関係の皆さんの御理解、御協力を得るように鋭意努力しておりますし、これからも、時間が残されておりますので、ぜひとも御理解をいただくように、御協力をいただくように最善の努力を払ってまいりたい、かように考えておるところでございます。
  112. 新盛辰雄

    新盛委員 大臣お答えください。
  113. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 営林署の統廃合につきましては、午前中からの御審議でも申し上げてきておりますとおり、国有林事業の整備、近代化等を行いまして、健全なる国有林活動ができるようにということで計画を策定いたしまして、その計画に基づいて機関の統合整理という問題にも踏み切ったことは御承知のとおりでございます。いろいろ林野庁長官から申し上げましたような経緯を踏まえまして、全国的な観点から整理統合の個所を選定をし、実施をするというふうに踏み切った次第でございます。これは、もうそれぞれの地縁なり沿革なり、歴史的な経緯なりというものを十分私どもとしてもわきまえておるわけでございますので、そういう中でも、やはり国有林全般の整備促進という立場から、忍びがたきを忍んで、行政改革の一環としてもこのような措置をとらせていただいた、こういうことでございます。
  114. 新盛辰雄

    新盛委員 立地条件から見まして、今回の大島営林署の統廃合というのは、離島にあるということですよ。従来おやりになっていた五島の例を見ましても、そんなに遠隔じゃない。いま橋も渡っていますから近くなっているのですよ。だけれども、それでも事務所を置かれたけれども全然権限がない、サービスは低下している、もう現実このことに尽きているのですね。だから、今回こんな離島の方で、しかも、鹿児島の営林署に、もしこの位置を置きますと、名瀬まで三百七十九キロ、徳之島まで五百十八キロ、こういう距離になるのです。熊本局から見るとまだ遠いのです。そういうところで許認可が発生をするわけであります。国有林地の貸付地が百十八ヘクタールあるのですが、それに二百四十八件の許認可の業務があるわけですね。そういうものが、とてもじゃないが減退していくじゃないか。地元のサービスは非常に低下してくる。しかも過疎化を早めているこの地域で、それぞれ振興法ができているにかかわらず、それをあえて統合されるというその意図がわからないのです。だからここのところは簡単にひとつお答えをいただきたい。  そしてさらにこの事務所であります。代替機能を果たしているか、これは恐らく皆さん方の説明ではうまくいっているのだとおっしゃいますが、五島の例を見ましても現実はそうなってないのです。この辺は、権限がないために、もう半分になった要員削減を受けた人たち、こういう方々の仕事というものに、山を守ろうという気魄がもう見られなくなるのですよ。しかも山を破壊し、将来の資源を食いつぶしてしまうような形になったら、国有林を守るなどということばとても考えられない。しかも杉だとかヒノキだとかリュウキュウマツ、こういうものがあそこの地域は特別に違うので、育成が悪いというので、有用の広葉樹を中心にしていまから開発しよう、亜熱帯林業として試験、実験を繰り返して試行錯誤を重ねながらいまから伸びようというのに、これをつぶそうとするのですから、これでは一体どういうことになるのか。  しかもあの地域では、サトウキビと並んで大島つむぎというのが非常に重要な要素を持っています。あれを染める原料、これはシャリンバイと言いまして、これはもう十二年たてばなくなってしまうのです。いまは沖繩、種子島から持ってきているらしい。四十年、五十年もしくは六十年かかるものですから、地域振興政策の一つとして国有林でもってこれをいまから植栽をして育てていくという方向で、新しい角度でこれからの島業開発のために全力を挙げなければならないというのに、こういうものをつぶすというのはどうしても納得できない。その辺のことについて——これは机上プランでしょう。現地をごらんになっているわけじゃないでしょう。私も現地を見て、これは育て方によっては大変いいなと思ったのです。しかも、七〇%が山林ですから、そういう面では行政指導としてまずいのじゃないかと現実の問題として申し上げているのです。お答えいただきたいと思います。
  115. 秋山智英

    ○秋山(智)政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のように離島でございますので、私ども、やはり地域サービスの低下ということを来さないように、五島の場合にも配慮いたしまして、一定の範囲内の会計処理事務につきましては営林事務所長に任せておりますし、入札、販売等の手続につきましては直接営林署長が現地に赴いて行うとか、あるいは貸し付けの問題につきましては敏速に処理ができますように対処しておりますので、こういう点につきましてはさらに十分検討しまして、営林事務所段階で大部分が完結できるような方法をとってまいりたい、かように考えております。  なお、御指摘のシャリンバイの関係でございますが、これはきわめて重要な地元の産業でございます。これまでも民有林関係につきましてはシャリンバイの造林補助金等を出して積極的に進めておりますし、国有林におきましても従来、原木の販売をいたしますが、さらに今後地元の部分林等によりまして、地元の御要望に沿ってシャリンバイの造成等については積極的に御協力申し上げたい、かように考えておるところでございます。
  116. 新盛辰雄

    新盛委員 最後に大臣、ぜひひとつ明確にしていただきたいのですが、鹿児島に統合される営林署ですね、これからは一署に二つ一つは南西諸島地域施業の事業、片方では鹿児島を中心にした薩摩の地域の施業計画、異質のものがこれから鹿児島営林署で行われる。こういうことを見ますと、亜熱帯林業というのをこれで後退させる、やがてはなくさせる、こういうことにつながってくるのじゃないか。大島営林署の廃統合というのは、現実に離島における統廃合、こういうことになっているのでありますが、さっきから申し上げているように過疎地域振興をどう高めていくかという問題と触れまして、これからの国有林野事業の機能を確保し、また、これから逆に充実をしなければならないというときに、こうしたことを営林当局はどう考えているのか。また、大臣としても、けさほどから大臣がおっしゃっていることとは少し趣旨が違いますので、こうしたことに対して明確にお答えをいただきたいと思うのです。
  117. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 鹿児島営林署に統合されるわけでございますが、現地には事務所が残るわけでございます。したがいまして、鹿児島県内の農業のことを考えてみましても、本土と離島、南西諸島との気象条件に応じた適切な指導が行われておるわけでございますので、林業の面においても、国有林の面においても、そういうことが困難になるということはない、私はこう確信をいたすわけでございます。特に営林局を通じ、林野庁といたしましてもそういう点にはさらに細心の注意を払いまして、南西諸島の林業、国有林経営の実の上がるように強く指導をしてまいりたいと考えております。
  118. 新盛辰雄

    新盛委員 終わります。
  119. 田邉國男

  120. 安井吉典

    安井委員 ちょっと関連して伺いたいと思います。  今度の七営林署の統廃合という問題について、何のためにやるのかとお聞きすれば、改善計画による経営管理の適正化が目的です、そういうお答えのようですね。そこで、私も担当した北海道の旭川営林署、神楽営林署の分の調査に行ってまいりましたけれども、現地調査で受けた印象の第一は、治山事業が十分行き届いていないということであります。昨年、天人峡の岩石の崩落事故を私はこの委員会でも取り上げましたけれども、今度改めて現場を見まして、治山事業がいかに大切であるかということ、そして国有林の保安や治山の対策が十分に行き届いていればそういうような事故を未然に防ぐこともできたのではないかという感じがします。  それからもう一つ見ましたのは、この神楽営林署というのは人口三十五万の旭川市の外側をずっと取り巻いている国有林の管理に当たっているわけで、したがって、保健林、保養林というのが二万六千三百ヘクタールも占めているわけです。景勝地の神居古淵というところにハイキングコースが昭和四十六年に約十一キロできた。幅三メートルで、十一キロの延長で、七百十四万円をかけたというのでありますけれども、今度行ってみますと、利用されているのはほんの一部、七・四キロというのは全く荒れほうだい、完全に天然林に還元しています。何がレクリエーションのための国有林かという感じであります。  もう一つ見たのは、第八十三林班です。もともとこの神楽営林署の造林地は五十五年末に九千四百七十ヘクタールあって、管理面積の二八%を占めているというのであります。林班はストローブマツを四十三年から四十四年に植栽したものですけれども、いまは全く跡形なし、これも完全に天然林に還元していると言ってもいいわけですね。所長だったか業務部長だったかのお話を聞きますと、大体七%ぐらいが不良造林地だという話であります。つまり現在行われている造林そのものも管理が行き届いていないという実態をこういうふうに私どもは明確にすることができました。現在、神楽署と旭川署とがあって、署長が二人、職員も不足ながら配置されているわけでありますけれども、いまでさえこれなのに、一緒にしてしまって、署長が一人になって職員を減らして、どうして適正な管理ができるのですか。管理の改善ができるという言い方自体、私はおかしいと思うのですね。どうですか。
  121. 秋山智英

    ○秋山(智)政府委員 先生御指摘の天人峡の温泉の災害が発生しました。かねがね治山事業につきましては私どももやってまいっておりますが、あの災害につきましては岩石の崩落でございまして、これにつきまして事後措置としましては、浮石の処理とか警報機の設置等をいたしまして、対処していますが、さらに今後とも治山事業につきましてはできるだけ実施してまいりたいと思っております。これは、森林施業とは直接関係のないところでありますけれども、私ども国有林を管理するものとしましては十分配慮させにゃならぬと思っています。  それから、造林事業の関係でございますが、北海道におきますところの造林事業につきましては、御承知のとおり非常に厳しい自然条件のもとでやっておりますし、歴史につきましても御承知のとおり大分浅うございます。したがいまして、先生ごらんいただきましたところにつきましては、例の東大演習林の試験成績を見てストローブマツというのをやったようでありますが、当時カラマツの造林が先枯れ病等で大変苦労しまして、あれを導入した経緯がございます。これが非常に成績が悪くなっておりまして、その分につきましては、むしろ跡地に入ってまいりました広葉樹林と混交させた方が現地におきましてはより健全な山になるだろうという判断で、現在そういう天然林誘導の技術を使いながら対処しているというところであります。何と申しましても山づくりが林業の基本でございますので、私どもといたしましては、今後におきましても現場の監督事務所をさらに充実しながら森林の造成に努力してまいりたい、かように考えております。今回、神楽を旭川に統合するわけでございます。したがいまして、事業規模とか管理面積は相当大きくなりますけれども、いま申しました現場の事務所を充実しながら、さらに本署におきましてもそれなりの機構を充実しまして万全を期してまいりたい、かように考えております。
  122. 安井吉典

    安井委員 同じ建物の中に二つの営林署があることは間違いありません。しかも、経営面積が比較的小さいからということも理由に挙がっているようですけれども、小さいといったって二つ合わせれば五万七千ヘクタールになるわけで、全国の営林署平均管理面積の約五倍ですよね。ですから、いま狭い面積をやっていても行き届かない管理状況を、こんな広い面積を一人の署長に預けて、それで適正に管理が行き届くなどという言い方そのものが私は納得できないということになるわけであります。  そこで、五十三年のこの委員会で国有林野改善特別措置法案が審議されているとき、内閣委員会に農林省設置法案がかけられて、北海道の営林署の統合といいますかの問題が出されていたとき、私は偶然内閣委員でこの審議に当たったわけであります。こちらの審議とむこうの審議とが並行して、むしろ内閣委員会の審議が一足早かったわけですが、中川農林大臣とのやりとりの中で、今後営林署の統廃合というようなことがあっても、地元の理解と納得がなければだめですよということを、大臣はなかなかうんと言わなかったのですけれども、最終段階、そのとおりいたします、そういうことになって附帯決議もつき、農林水産委員会の審議の中にも、参議院の審議の中にも、それが幾度も幾度も確認されて、附帯決議その他になっているわけであります。きょうも何度も何度も言われましたけれども、当時の農林水産大臣と私がやりとりをして、はっきりした言明を受けた問題です。それだけに、亀岡農林水産大臣も、あの法律が通って初めて農林水産省になったのですよね。そういうお立場であるだけに、継続してこの約束を守っていただかなければならぬと思いますが、どうですか。
  123. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 国有林事業の活発なる発展を期してまいりますためには、もちろん地元の協力が大事であることは申すまでもありません。そういう意味から、国の要請と申しますか、法律を設定せられまして、国有林の整備を図っていこう、こういうことに相なったわけでありまして、それによって、午前中からも御議論いただいたような経緯の上に営林局を整備をし、さらに営林署も統廃合を行って整備をしてまいる、こういうことを決定をいたしたわけでございます。これを実施いたしてまいります場合にも、総論賛成、各論反対というようなことが、今日までなかなかこの行政機構改革の実が上がらなかったゆえんでもあるわけでございます。したがいまして、いままで以上に地元の方々とのお話し合いを十二分に進めまして、そして地元の御了解を得られないまでも、まあやむを得ぬかというくらいのところまでいく努力を私どもは傾けまして、そして整備をしていきたいということでありまして、あくまでも何が何でも強行してやるというようなことは、これはもうやるべきではないし、やってはいかない、こう考えております。そういうことじゃなく、やはり責任者が出向いていって、そしてとことんまで話し合いをして、御協力をちょうだいをできるように最善の努力をするということで林野庁も仕事に当たっておる、こういうふうに理解をいたしております。
  124. 安井吉典

    安井委員 最善の努力をそういう方向でやっているということはよくわかります。しかし、あの約束があるわけでありますから、地元の理解と納得がいかない限り、二月一日から見切り発車をするようなことはない、そう受けとめていいでしょうね。それまでに納得があればこれは別ですけれども、見切り発車はないということだけ確認しておきたいと思いますが、どうですか。
  125. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 その点もよく頭に入れながら、安井委員の言われたことを十分体しながら、地元と十二分な話し合いをしてまいりたい、こう思います。
  126. 安井吉典

    安井委員 ちょっと関連で、時間がありませんので、終わります。
  127. 田邉國男

  128. 吉浦忠治

    吉浦委員 私は、岐阜県の小坂町、萩原町等におけるカモシカの食害につきまして御質問をいたしたいと思います。  まず最初に、被害の現状ということでお尋ねをいたしたいわけでございます。十月三十一日に現地に参りまして、その被害の状況をつぶさに見たわけです。何としても狭い節囲でございますので、その全体がどうなっているのかということはわかりませんが、カモシカの食害が急激に激増しているというふうに聞いております。そこで地元の声を聞きますと、山を捨てるとか、山林経営にはもう自信がなくなったということで放棄してしまう傾向が出ているわけであります。そうしますと、もう下草の生えるに任せているという現状であります。植林されたヒノキの健全木と被害木を比較するために、健全木を探すのに骨を折るといったぐあいでございまして、しんや枝先がカモシカに食われておりまして、真っすぐ育っていない、用材価値がもうゼロになってしまうという現状を見てまいりました。私は大臣にその現物を見てもらいたいと思って持ってまいりました。ちょっと遠いてすけれども、見ていただきたい。−−これがやや健全木。これは探して探してやっと探したのです。これはややですよ。これだって食われてましょう、大臣。これが完全に食われている。ですから、これは食われたところ、調査した跡にこういう印をつけたのですけれども、これは三年木ぐらいじゃないかと思うのですね。食われたところからどうなるかというと、これは、新芽が食われますともうだめですけれども、今度横から出てくるのです。横から出てくると、これはもう第二次災害みたいな、雪や何かで倒れてしまって、後でちょっと写真をお見せしますけれども、これは使い物にならない。ヒノキは真っすぐ伸びなければならないのがぐるぐる曲がってしまって、これも大臣、この付近も食われて曲がってくる、またこれも食われてこっちへ曲がってくる、食われて曲がってくる、徐々に全部こうなっちゃう。長官は御存じでしょうが、せっかく持ってきたんだから、長官に記念に渡しておく。  そこで、私が調査しました場所は岐阜県の小坂町でありますので、有名な東濃ヒノキの優良銘柄の産地でございますけれども、三町歩ほどのヒノキを見てまいりました。この場所でも六十年後には、地元の話を聞きますと、時価で一億数千万円は収入があるだろうというところが全くゼロになってしまう、こういう現状でございます。ことしの五月から六月、この二カ月間にわたりまして、被害者同盟の方の依頼を受けられました東京大学の方で被害調査実施したものを調べてまいりましたところ、この三町歩のところで、五十三年に千五百本を植林しております。五十四年に四百本をまた補植したわけです。ところが、消滅した幼木が七百三十三本、残った千百六十七本のうちに食害のない健全木はわずかたった三十本しかない、こういうふうな現状でございます。植林しても食害に遭って、とてもこの状態では、山を放棄するというふうな状態がよくわかりました。  そこで、特別天然記念物であるカモシカが大変な食害を起こしているという現状がこれでもうおわかりだと思いますけれども、このまま放置しておりますと、森林の公益的な機能というものはますます低下してくるだけでございますが、ニホンカモシカの食害について実際どのように林野庁では把握をなさっているのか、その現状をまず簡単で結構でございますので、お知らせを願いたい。
  129. 秋山智英

    ○秋山(智)政府委員 先生御指摘のとおりカモシカによる被害が最近は大分出てまいっておりまして、特にいま御指摘の岐阜、長野、岩手県というようなところに集中的に出ております。いま見せていただきましたとおり、ちょうど先端部分が食われますとやはり大きな被害を受けまして、健全木に対しまして相当価値は下がってしまうと思います。最近におきますところのカモシカによりますヒノキの森林の被害面積でございますが、五十一年度には千七百九十一ヘクタール、五十二年度には二千二百六十三ヘクタール、五十三年度には二千百六十一ヘクタール、五十四年度には二千三十二ヘクタール、さらに五十五年度も千九百五十三ヘクタールという相当大きな面積の被害が出ております。
  130. 吉浦忠治

    吉浦委員 四十九年あたりから急にふえておりますけれども、五十一年、五十二年というふうに、この二年ぐらいから横ばいの状態ではあります。どういう現象で四十九年ごろから被害が甚大になってきたのか、どういうふうにとらえておられるのか、その点をお伺いしたい。
  131. 山口昭

    山口説明員 申し上げます。  主体は、文化財保護が決まりまして特別天然記念物ということで保護が徹底されたことであろうと思います。これに加えまして、最近人工林化がふえまして、幼齢人工林におきましては、カモシカがえさにします下草がふえております。えさがふえております。こういうこともあるのではないかと想像しております。
  132. 吉浦忠治

    吉浦委員 そうしますと、ニホンカモシカの保護と森林の食害というものが関係性があるわけであります、食害による被害ということになりますから。  ニホンカモシカそのものについてお尋ねをいたします。私は学者じゃありませんのでようわからないのですけれども、何でカモシカと言うのかから私は不思議でしようがない。かたかなでしか書いてない。そういうところからまず、どうも日本的なもので、しかもかたかなで書かなければならないようなカモシカというのは、何科であるかもわからない。私調査に参りまして、聞きましたら牛科だとおっしゃる。幻のニホンカモシカあるいは幻の云々、あるいは珍獣とか言われておりまして、種の保存とか維持が困難だからということで昭和三十年に特別天然記念物というふうに指定をされております。手厚い保護の結果、いま長官あるいは環境庁からの答弁でありますが、現在、日本の中にどのように分布しているのか、簡単で結構でございますので、その分布状況をまずお知らせ願いたい。
  133. 山口昭

    山口説明員 申し上げます。  カモシカは、北は青森県から南は宮崎県、三十都道府県に及びまして広く分布しておるわけです。しかしながら、地域をしさいに見ますと、東の方が多うございまして、西の方が比較的少ない。中部から東、東北地方にかけまして多くいるわけでございます。全国の推定総数は七万五千ぐらいいるだろうというふうに考えております。
  134. 吉浦忠治

    吉浦委員 カモシカが生息する生息地域というものは、私の調べたものによれば大変高いところに住んでいるというふうなことが書いてございます。調査に参りますと、高いところだけじゃないように思うのですけれども、生息地域が、どのようなところにいると言われていて、現在どういうふうに変化が起こっているのか、おわかりであればお知らせ願いたい。
  135. 山口昭

    山口説明員 申し上げます。  カモシカはいろいろなところにいるわけでございます。高山帯にもおります。主体は、ブナ帯といいますか、夏緑林と申しますか、ブナが生えておるところに住んでおります。東北地方では五百メーターから千メーターぐらい、関東地方では千メーター以下、中部では五百メーターから千五百メーターぐらい、近畿では千メーター以下というふうに言われております。しかしながら、最近におきましては山村、集落の周りでも見られるようになったという話を一部聞いております。
  136. 吉浦忠治

    吉浦委員 なぜそういうふうにだんだん民家集落の近くまでカモシカが出るようになっているか、どういうふうにとらえていらっしゃるかお答え願いたい。
  137. 山口昭

    山口説明員 これは、正確にはわかりませんけれども、若干数がふえたのではないかというふうに考えておりますが、これは確証があるわけではありません。最近では集落の周りでも見られるという報告がございます。
  138. 吉浦忠治

    吉浦委員 急激にふえてきているというのは、食べ物の問題かあるいは環境の変化か何かあるだろう、こう思うのですね。ですから、急激にふえたというのは、ただ天然記念物に指定されて保護をされたから、とらなくなったからというふうなことだけではないだろうと思う。そうしますと、とらなくなってくると日本国じゅう、七万五千頭どころじゃなくて何十万頭、何百万頭とふえたらこれはまた困るだろう。ですから、急増と保護の関係をどういうふうにとらえていらっしゃるのか、その点をお尋ねいたしたい。
  139. 山口昭

    山口説明員 先生おっしゃいますように、確かに保護と被害というものは調整をする必要があると思います。いろいろな理由があると思いますが、主たるものは、先ほど申しましたように文化財保護法が決まりまして保護が行われたということがあります。このほかに、先ほど申しましたようにカモシカのえさがふえたということもあるのではないかというふうに考えております。
  140. 吉浦忠治

    吉浦委員 余り納得できませんけれども、私も調査に参りましたら、人里というよりも、もう民家のすぐそばまで来ているのです。それは写真をちゃんと撮ってありまして、カモシカというのは高い山の上でがけっ縁みたいなところで人間の行動を監視しているのかと思ったら、そうではなくて、だんだん人里のほんの隣まで来ていて、そこから民家をよく注目しているようですね。ですからそういう姿て——なぜわかるかというと、そこの方々が姿を見、それを報告する。現に食べた跡を調べてみれば、カモシカのそのままの被害が出ている。二次災害なり、それによるカモシカが食べた跡、写真も撮ってまいりましたけれども、これは後で差し上げますが、カモシカが食べたゆえに、今度は上に伸びられなくなった。先ほど現物をお見せしましたけれども、横に広がってくる。横に出て、それをまた食べられると横に出る。真っすぐは絶対いけなくなってしまいますから、横になればそれに雪が降ってくるとそのまま倒れてしまう。そのままに朽ち果てるというような形になります。植林をしたところで、いままではそのまま真っすぐの状態で伸びようとしていたものが、カモシカが荒らしたから山が荒れてくる。これはどうかわかりませんけれども、そこにがけ崩れみたいな状態が一昨年あたりから起こってきている。これは写真が余りよう撮れませんでしたけれども、これはたんぼですけれども、たんぼのすぐそばのところの山がこういうふうにがけ崩れみたいな形が二次災害で起こってきている。ですから、カモシカというのは、学説によれば、そんなに人里まで出てくるというふうなことが考えられなかったものが、現にそういう事態になってきているということをよく知っておいていただきたい、私はこう思う。学者やその他の意見を聞いてみますと、ずいぶん研究なさっておられるようだけれども、その実態が余り把握されていない、こういうふうに私は感じて帰ってきたのです。  そこで、五十五年の三月、予算委員会の、これは分科会だと思いますけれども、農林水産大臣、当時は武藤農林水産大臣じゃないかと思いますが、数がふえてくれば何が何でも保護保護というふうなわけにはいかないというふうなことをはっきりとおっしゃっておられる。これは私は個体数の調整を指しておっしゃっているのか、保護を今度はやめようということでおっしゃったのか、どういうふうな感触なのか、どういうふうにとらえ  ていらっしゃるか、お答えを願いたい。
  141. 山口昭

    山口説明員 前の大臣がおっしゃったことはよくわかりませんが、当然、先生がおっしゃいましたように被害があるということになれば、個体数の調整を必要とします。現在もやっておるわけでございますが、被害と数の調節ということは当然必要だというふうに考えております。
  142. 吉浦忠治

    吉浦委員 文化財保護法の第二条の中に「文化財の定義」というのがございますが、その中に、このカモシカが当たる動物、括弧して生息地あるいは繁殖地及び渡来地を含む云々と書いてございますが、わが国にとって「学術上価値の高いもの、」こういうふうな規定があるわけです。このカモシカが学術上価値が高いというふうに意義づけられてこの文化財の定義がなされているというふうに私も解釈をいたしますが、これはもうこのとおりでございますけれども、先ほどお答えになった個体調整をして、それを各大学に解剖なり調査なりに委託をしますと、もう大学の方じゃ持ってこないようにしてくれというふうな大学もあるのです。ということは、もう学術的な価値がないのかあるのか。ここにはうたってあるけれども、もうそれほど調べなくてもいいんだということなのか、煩わしくなっているのかわかりませんが、そういう点をどういうふうにとらえていらっしゃるのか、おわかりであればお答え願いたい。
  143. 小埜寺直巳

    ○小埜寺説明員 御説明申し上げます。  カモシカの学術上の価値の問題でございますけれども、先生御指摘になりましたとおり、私ども天然記念物としてカモシカを指定しておるわけでございますけれども、その考え方を申し上げますと、一つは、カモシカというのは日本固有の動物である、日本しかいない動物であるという点がつでございます。それから二つ目としましては、大型の野生の哺乳動物でありまして、生物の進化の研究にとって非常に貴重なものであるということ、それから先ほどちょっと先生お話がございましたけれども、生態的に見ますと、高地、寒地適応型で一定のなわ張りを持っているという特色がございます。そういう学術上の価値が高いということで、現在の文化財保護法ができ上がります前の法律でございますけれども、大正八年にできました史蹟名勝天然記念物保存法という法律がございますけれども、その保存法に基づきまして昭和九年に文化財、天然記念物ということに指定いたしまして、現在の文化財保護法に引き継がれておるわけでございます。  そういう観点から、私ども、これを天然記念物に指定しておるわけでございますけれども、いま先生からお話がございました個体数調整をした後のいわゆる死んだカモシカの処理につきまして、現在岐阜大学あるいは東京農工大学で研究をしていただいておるわけでございますけれども、いま私どもの方では、大学の方でそれが非常に不必要であるというようなお話はまだ承ってございません。  いずれにいたしましても、文化庁の立場といたしましては、天然記念物に指定したということは、それが非常に学術上価値があるという観点で指定したわけでございまして、現在の段階では、そういった大学の方でもう研究の必要がなくなったからということだけでカモシカが学術上の価値を失ったものだというふうには解しておらないわけでございます。
  144. 吉浦忠治

    吉浦委員 そうしますと、昭和九年に天然記念物に指定をし、昭和三十年に特別天然記念物というふうに指定をした。これは、調べてみますと、大体そのころに三千頭ぐらいに激減をしてきた。何としても保存をしなければいけないというのでこういう法律ができておりますが、そうしますと、現在まで昭和三十年からしても二十六年たっておりますが、学術的な研究というものは、私どもに納得できるような進め方じゃないように私は受け取ったのです。と申しますのは、カモシカは出産というのは毎年ですかと聞いたら隔年でしょうとこう言う。よく調べてみると、捕獲した雌ジカの体内には七〇%か八〇%ぐらい子をはらんでいると、こういうわけです。そうなりますと、これは毎年出産じゃないかとこうなってきている。ずいぶん学術的研究が進んでいる割合には、そのとらえ方というのは甘いんじゃないかというふうに感じざるを得ないわけです。ちょっとついてみますというと、ようわからないというのが現状のようでございます。七万五千頭も生息しているということも、どういうふうにして調査なさったんですかと言うと、全部数えたわけじゃないけれども、この範囲で何頭見かけると、大体その行動範囲が千メーター真四角ぐらいの中に一頭ぐらいの割合だからそうだろうというふうに、それは捜すのが容易でないことは私もよくわかりますけれども、これほど科学が進んだ中で、およそ七万五千頭、六万頭とおっしゃる方もあるし、それから上限は十二万頭と倍の数をおっしゃる人もある。この委員会でもそういう質問が聞かれているわけでありまして、漠としたものでつかみようがない。こういうことで、学術的な研究とはいえないんじゃないか。それは体内の問題だけじゃなくて、生態系の問題にしましても、これから種の保存にしても、あるいは保護する地域等についても余りにも研究がおくれているんじゃないか、また進んでいないんじゃないか、ほかのことが多過ぎるのではないか。  三庁合意というのがございますけれども、三庁でなすり合いをなさっているのかどうかわかりませんが、林野庁、環境庁、文化庁というふうな、そういう分野にそれぞれの立場がありまして、なかなかむずかしい問題がこのカモシカの問題である。そこで、それにまた自然保護団体等の要望等もありまして、非常に苦慮なさっているのは私もよくわかるのです。よくわかるけれども、現実に被害がどんどん進んでおることは、これはまた事実でございます。このまま放置できないのが現状でございますから、この対策等について最善の努力をしていただきたい、こう要望申し上げるわけでございます。申し上げながら、私は次に移らしていただきます。  カモシカの保護地域の設定について、三庁合意事項によりますと、計画的かつ可及的速やかにこれを設ける、こういうふうにされておりますけれども、五十六年、ことしの二月に文化庁の記念物課長さんおっしゃったのに、全国に十四カ所その保護地域の設定をするという、それにも六、七年を要すると、こういうふうに言われておりますが、岐阜県のようないわゆる災害の激甚なところに、いままでだってもう十年を経過しているわけでありまして、これからまた五、六年も待たなければならないということは、断じて心情的にも許されないような状態であります。被害者の立場からいたしますと、行政のあるべき姿は、被害激甚地にまず有効適切な施策を打つべきである、こういうように思いますけれども、その三庁合意で示されました可及的速やかな処置というものは、どういうふうにお考えになっていらっしゃるか、簡単で結構でございますのでお答え願いたい。
  145. 小埜寺直巳

    ○小埜寺説明員 御説明申し上げます。  三庁合意でございますけれども、先生も御承知のとおり五十四年の八月に林野庁、環境庁、私ども三庁でカモシカの抜本的な対策ということで設定をいたしたわけでございますけれども、ことしの五月のこの委員会でもお答え申し上げましたとおり、現在北アルプスと南アルプスと下北半島の三地区について設定済みでございます。現在北上山地と白山地区につきまして鋭意設定を急いでおるところでございますけれども、その後さらに北奥羽地区、鈴鹿山系、紀伊山系等の地区につきましても設定作業を急ぎまして、私どもといたしましては、昨日も三庁課長集まりまして、今後、全国地域の設定につきましてはできるだけ早く設定していこうということでまた申し合わせをしているところでございます。
  146. 吉浦忠治

    吉浦委員 だから、できるだけ早くというのは、五、六年もかかることができるだけ早くなのかどうか。たとえば私もこれはむずかしいとは思うのです。調べてみればわかります。民有林等について拒否された場合に、この地域を保護地域にはできないということはよくわかります。これは大変苦慮なさるだろう。けれども、それならそれで、十分な手だてなり方法なりというものはあると思います。現在、保護地域を設定なさったところから、その区域以外はどうするかという手だてもあるわけですから、そういうことを可及的速やかと文章はなっていても、遅々として進まないようなことを可及的速やかに手を打ちます、こう書いてあったのじゃ、これはだれが読んだって、これが五、六年もかかることが可及的速やかかどうか、こんなことは子供の論議みないになりますからやめますけれども、早くしていただかなければならぬという実情を十分おわかりになっていただきたい、こう思います。  次に、もう一点だけにいたしますが、三庁合意によりますカモシカ被害の補てんについてお尋ねをいたしたいのですけれども、現行制度並びに施策の適切な運用により対処するというふうにされておりますけれども、これは文化庁の方と林野庁の方でそれぞれの性格上できるものじゃないというふうなことで意見が違うようでございます。保護法第八十条五項の規定によりまして、この「損失を受けた者に対しては、国は、その通常生ずべき損失を補償する。」という一項がありますけれども、これをどのように補償されようとなさっているか、簡単で結構でございますのでお答えを願いたい。
  147. 小埜寺直巳

    ○小埜寺説明員 御説明申し上げます。  損失補償の点でございますけれども、これは文化財保護法の八十条の五項に損失補償の規定がございます。これにつきましては、たてまえといたしましては現状変更の許可申請が出てまいりました場合に、文化庁の方でそれを許可しなかった場合あるいは許可をしたけれども条件をつけたという場合、その二つの行為があった場合に、それに対しまして損害が生じたという場合に、損失補償の実は規定があるわけでございます。しかしながら、実はこの規定につきまして、これがいわゆるカモシカのような野性動物に対して具体的に適用できるかどうかという点ですけれども、実際の適用に当たりましては、その当該不許可行為と、それから損失との間の相当因果関係と申し上げますか、そういった関係を判断するというのが実はなかなか困難でございまして、現在のところ私どもといたしましては、この規定の適用はなかなかむずかしいというふうに判断しております。
  148. 吉浦忠治

    吉浦委員 もっと質問したいところでございますけれども、時間がございませんので、カモシカはこの程度にして、また後日にさしていただきたい。どうもありがとうございました。  続きまして、養鶏問題について御質問をいたしたいと思います。  簡潔にお答えをいただきたいのですが、鶏卵需給調整の三局長通達というものが出ておりまして、この基本的な考え方を申し上げて御答弁をいただきたいのですが、農水省は、おくれにおくれた鶏卵の需給調整に関する今年度の三局長通達を九月二十一日付で公布されておりますが、これは今後数年間この方針で進められることは間違いない、こう思うわけでございます。昭和四十九年五月以来農水省の行政指導によって進められてまいりました鶏卵の需給調整事業の今回における最大の問題というものは、過去七年間に行政指導に忠実に従ってきた者と、それから指導を無視して大規模なやみ増羽等をしてきて長期低卵価の原因をつくり出してきた者との不公平をいかに是正して、今後これをいかに公平な運営を図るかということだったと私は記憶しております。これは当委員会の五十三年六月における国会決議等にもありましたように解決されたものと私は思っておりましたが、今年度の通達内容は基本的な認識というものが非常に楽観的じゃないか、高卵価という点もあろうかと思いますけれども、楽観的な面で推移しているような気がしてなりませんが、そこで農水省は、この基本認識において現在の鶏卵の需給事情、これは当分高卵価が続くだろうというふうに楽観的な認識をお持ちじゃないかというふうに思います。  これを今後の計画生産の推進に当たりまして、一つは、過去のやみ増羽者は増羽分のわずか二五%の減羽、こうなっています。それから、少羽数の生産者の下限羽数が原則として従来どおりの五千羽、これを据え置き、こうなっています。この今後の運営について生産者団体にもその責任を分担させる、こういうふうにしておりますけれども、この中で私がお尋ねをいたしたいのは、二五%の減羽によって許そう、免罪をするという。そうしますと、行政指導にまじめに従ってきた者がばかをみるような結果になるわけであります。これは農水省自身がこれを認めたことになりはしないか、私はこう思います。そこで、このやみ増羽の二五%という基準が、基準というとおかしいのですけれども、二五%減羽するというふうなことになされた、この二五%というのを何でおとりになったか、このことが一点。それからもう一点は、それをどういうふうに指導監督なさってその減羽の状態を把握なさるのか、この二点を、簡潔で結構でございます、お答えを願いたい。
  149. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 先生御指摘のようなことで通達を出しておるわけでございますが、私どもも事態というものを楽観的に見ているわけではございませんで、今回の通達におきましても、総羽数を抑えるという新しい手法も入れながらこの計画生産を誘導したいと思っております。  御質問のございました二五%でございますが、これは実は何か理論値で積み上げるという性質ではございませんで、先生御指摘のように、増羽をしませんで計画を守った方にとりましては、増羽をゼロにするというような御要望があろうかと思います。しかし、実態的にその後において増羽されているという実態もございまして、増羽した者を全く計画生産の外側に置きますと、これは全体としての計画が調整できない。御承知のような鶏卵需給安定対策検討会というのを開きまして、その中で生産者の方々、学識経験者の方々、寄り寄りいろいろ御相談をいただきました結果、計画生産を守られた方についてもまあやむを得ぬではないか、それから逆に増羽をした者についてもこれくらいのカットはしなければ守った方の御納得がいただけないというその辺の数字を、四分の一カットという形で大方の合意を見たわけでございます。  もう一点の、そういうことをどうして守るかということでございますが、これにつきましては、今度の考え方といたしまして、この計画生産を守るのは生産者の組織みずからが守っていただくということが基本でございます。したがいまして、この需給の協議会に生産者団体の方もお入りいただきまして、そういう計画生産をみずから守り指導するということをやっていただくわけでございますが、ただ、これは当然役所もこれをバックアップしなければならないと思っておりまして、あの通達の中にも書いてございますが、これは行政庁も車の両輪のような形で応援をいたしますし、それから御承知のように、卵価の安定基金なりえさの安定基金なりあるいは政府の援助というようなものは、この計画生産に従われる方についてのみ行うというような形も含めまして、計画生産が達成できるように指導してまいるつもりでございます。
  150. 吉浦忠治

    吉浦委員 今度新しく鶏卵の需給調整事業、正式には鶏卵需給安定特別指導事業というものを始められまして、政府が二千万、それから民間の方で二千万、総計四千万の事業費でこの新規事業を始められるわけでありますけれども、ここにおいてやっぱりきちっとしておかないと、端的に言って、政府がきちっとした指導ができないような範囲のものを民間にゆだねようということになると、なおいけない、こういうことになると私は思うのですね。つくったものの、有名無実になってしまいはしないかということで、その権限たるやどういうものがあるのかといえば、恐らくこれは権限は何もないだろう、こう思うのですね。自主的なものですから権限はない。そうなると、これはつくったものの、自主的な話し合いによる協議の場所ということだけであって、やみ増羽がどんどん、やみ増羽をやる人たちはなおやりやすくなってくる。やった者に対するその調査権限も何もないということになれば、なお混乱しはしないか、こういう点、どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  151. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 いま先生おっしゃいました新規事業としていたしますものは、畜産振興事業団とそれから生産者団体の双方の金で動かすわけでございますが、これは生産者団体がみずからそういう組織をつくりまして、鶏卵の需給安定あるいは消費促進というようなことも含みまして生産者団体の活動を助成するという団体でございます。中身といたしましては、計画生産の推進なり指導なり監視といったことをやるわけでございます。  もう一方、従来からございますように各都道府県段階で都道府県の鶏卵需給調整協議会という組織を持っておりまして、これはどちらかというと官庁が主導するという形で、こういう行政指導というものも片側に持ちまして、生産者がみずからやります計画生産を誘導していこうということを考えておりますので、先生御心配になっていらっしゃいます、行政側が何か手を抜いて生産者だけに任すということではございません。そういう両方の機能を十分活用して、計画生産が達成できるようにやっていくつもりでございます。
  152. 吉浦忠治

    吉浦委員 最後に、時間になりましたので、いまの点できちっとしたものを詰めておきませんというと、ただ任せた形のもので、先ほど私触れましたように、正直者がまたばかをみるような結果がなお拡大されるようなことになりはしないかという不安感があります。これはその都度その都度私は詰めていきたいと思っておりますけれども、厳重なチェックポイントというものが——各県によってかなり差がある。まじめにやっている県と全くでたらめに近いような、それは、県で特色がこれほど違ったんじゃ行政指導のこれまた欠陥だというふうに私は考えているわけです。  そこで最後に、前にも私提起したことがありますけれども、養鶏安定法というふうな、これは仮称でございますが、こういうものができるものであるなら、法治国家でありますので、やはり先進国と言うよりも、その面における先進国のカナダでありますとかオーストラリア、ニュージーランド等において、生産者の要求による法律が成立している例等がございます。したがいまして、いま高卵価に推移しているときにこそ、きちっとしたその養鶏安定法なるものを望む声もあるわけでございます。こういう点について、最後にその決意のほどをお尋ねをして、終わりたいと思います。
  153. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 先生御指摘がございましたように、諸外国にいわばボードといったような組織を持っていることがあることにつきましては、私どもも検討いたしております。ただ、わが国の場合、御承知のように養鶏、特に鶏卵採卵の事業につきましてはかなり企業的色彩も持ちながら、かつ自主独立の形でやってきたという経緯もございまして、そういうものをいま申し上げました計画生産を誘導することによって発展的に伸ばしていこうということをいまやっている時点でございますので、御指摘の点はいろいろ検討させていただきたいとは思いますが、直ちに法制化といったようなことにつきましてはまだかなり問題があろうかと思っております。
  154. 吉浦忠治

    吉浦委員 終わります。
  155. 田邉國男

    田邉委員長 武田一夫君。
  156. 武田一夫

    ○武田委員 私は、冷害の問題につきまして、時間も余りございませんので三問ほどお尋ねいたします。  御承知のとおり、東北北海道を中心として、北関東地域でことのほか冷害あるいは台風による被害が大きいわけでございまして、稲作への打撃もはなはだしいものがございます。昨年も不作、農家は非常に深刻でありますし、ことしは昨年以上に農家への影響力は大きいものと考えざるを得ない。そのしわ寄せは相当のものがあろうと私は思うわけでありますが、こういう農家の実情をよくキャッチされまして、万全の対応をとっていただきたいと思うのです。今回、米価も余り上がらない、また災害、減収、そうすると農業所得、農家の所得も大幅に落ち込む、こういうことも必定だと思います。政府としましては、昨年もいろいろと御配慮いただいたわけでありますが、ことしも万全の対応をしていただきまして、天災融資法の適用、あるいは激甚災の指定等々の問題もありますし、あるいは共済金の円滑早期支払いの問題あるいはまた自作農維持資金等々と、これは毎年そのたびごとに出てくる課題もたくさんございますが、ひとつ十分なる御配慮をして救済に当たってほしい、こういうふうに私はお願いするわけでございます。  そこで、私は質問のまず第一に、農家の皆さん方、特に被害の大きかった東北北海道、あるいは北関東の一部という地域の皆さん方はことのほかにやはり来年度の米の生産調整の問題について非常に気を使っているわけでありまして、昨年の場合も冷害を考慮しまして転作面積を軽減、緩和されたということでありますが、ことしもやはりそういう被害の大きい地域に当たりましては同じような措置をして、こうした地域に対する配慮を示してほしい、私はこういうふうに思うわけでありますが、大臣のお考えとその方向というものをひとつお聞かせ願いたい、こういうふうに思います。
  157. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御指摘の問題につきましては、前向きの姿勢で検討してまいりたいと考えます。
  158. 武田一夫

    ○武田委員 前向きというのは、間違いなくそういう方向でやるというふうに伺っておきたいと思います。  ところで、ちょっと心配なことが出てくるのですが、ことしの米が最終的にどのくらいとれるものか。去年も非常に、九百万トン台ということで一千万トンを切ったということで、この状況で言うと、ことし、来年の十月までですが、米の需給の見通しはどうなのか。そしてもしまた来年ということがあった場合の国民に供給する米というのが大丈夫なのか、そういう心配があるわけでありますが、その点につきましてどのように見られているか、この点をひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
  159. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 五十七米穀年度の見通しについて申し上げますと、ことしの十月末に持ち越します在庫量が五十五年産米を中心にしまして九十万トン前後ございます。これに十月十五日現在の作況におきまして水、陸稲合わせまして千三十万トン生産量があるということになりますので、総供給量といたしましては、五十七米穀年度は千百二十万トンの供給量があるわけでございます。この五十七米穀年度の需要量の推計を千六十万トンと私ども見込んでおりますので、したがって、米穀年度末におきましてはおおよそ六十万トンの持ち越し量になろうかと思います。五十七年度の需給関係はそのような状況でございますので、安定供給面におきましては、国民の皆様方に御心配をかけるようなことはない、このように考えております。
  160. 武田一夫

    ○武田委員 そうすると、心配ない、これは安心して任せておけばいいと私は理解して、この辺にしておきますが、私は昨年も、ことしもまたあるんじゃないかと言ったときに、大方の皆さんが間違いなくないと言っていたけれども、あった。天候との闘いですから、いかに機械が優秀なものができようと、もう天候にはかなわないんだなとしみじみとその恐ろしさを味わっておるわけでありますから、もし万が一来年こういうような状況になったときに間違いなく十分なる対応ができる、そういう方向をやはり十分考えた上での需給の調整をしていかなければならぬということは、この際、心にしかと銘記しておいての対策を考えてほしい、こういうふうに私は思っております。  そこで次に、共済の問題をちょっとお尋ねしたいのでありますが、ことしは、一つは収量も非常に悪かったというだけでなくて品質が非常によくない、こういうことが指摘されていまして、二重の打撃です。一等米が三等に落ちたり、あるいはくず米が多量に出るんじゃないかということで非常に心配をしているわけでありますが、現実にいろいろと各地の状況を聞きますと深刻でございまして、こうした品質面の低下あるいは収量の悪さということで、農家にとっては非常に痛い被害でございますが、食糧庁としましてはその実態を、現時点とこれからの見通しでいまどういうふうにとらえているか、これをひとつ簡潔に説明していただきたい、こう思います。
  161. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 先ほどお答えしましたように、量的には心配はございませんが、やはり品質の低下する問題はなおあるかと存じます。そうした意味で、三等米等の増加というような問題につきまして、これを流通の方でどういうふうに対処するかというような問題はあるかと思います。  全体的な量の問題に返りますけれども、先生の御指摘のような状況から、すでに私どもといたしましては規格外米の買い入れの措置もいたしまして、かつ、県間調整、いわゆる出来秋調整をいたしまして、西日本の比較的作柄のよろしいところにつきましては、限度数量オーバー分につきましての調整を図る措置もとりまして供給の確保を図ると同時に、そうした品質面の問題につきましては流通段階で私どもとして工夫をしてまいらなければならない問題がある、このように考えております。
  162. 武田一夫

    ○武田委員 青森、北海道、岩手、宮城、山形、秋田、特に岩手、青森、宮城県もそうですが、品質の低下でもって非常に苦労をしているわけです。一例を申し上げますと、宮城県の例ですと、十月三十一日現在、一等米の比率が五一・五%だと報告されていますが、実際はこれは四八%くらいであろうというふうに言われておるわけです。これは前年同期に比べますと約三三%のダウンなんです。要するに二等米、三等米にいっている、こういうわけです。そうすると、一等米というのは六十キロ玄米で一万七千九百三十六円ですか、それが三等になると一万六千二百十六円、千七百二十円のダウンです。一類の二等米、これがまた三等に下がったとしても千四百円ほどの収入が減るということで、五%、一〇%ならいざ知らず三〇%も、また、岩手の場合などは昨年同期で八三・六%が一等だったのが、ことしはいまだ二〇・四%だ。しかも大体調査時点の統計はそのまま最終的な結果になっているということになりますと一米の生産県、生産農家にとっては、収量の落ち込み以上に品質の低下による収入減というのは痛い。これは何とか救ってやれないものかと聞いたけれども、その方策がない、こういうことでありますけれども、ずっと統計的に見ていますと、五十四年の場合に宮城県は一等がやはり二九%なんですね。ところが五十三年は六八%。大体いいところでは八割から九割が一等米です、宮城県の場合は。それが、平均すると五十三年の場合は七〇%が一等米ということですが、五十四年も二九%、そして五十五年が二七%、ことしはちょっといいようですが、現時点として四八%ぐらいかなという報告をもらっているのです。こういう問題、農家の皆さんにとっては大変苦痛の種だと思うのですが、何かこれについてそういう農家の対応ができないものかという問題が一つです。  それからもう一つ、最近問題になったのは、最初は見かけで一割や二割ぐらいの減収だろうと思っておった農家が、損害評価の届けを出さないで刈り取って、そして乾燥などをしていって調べてみるとガタンと品質が悪い、収量が落っこちた。予想以上の減収で、中には六分作ぐらい、あるいはもっとひどいところもある。山形、岩手などではそういうケースがあるわけですけれども、共済の損害評価を出さないで刈り取ったということで、これが共済の対象になるものかどうか、ならないのではないか。持に、個人でもって一切合財やった、よく集団でやっているライスセンターでの処理、そういうものの場合はどうかわかりませんが、個人で一切そういうふうにして刈り上げてしまったというような場合、これが共済としてどういうふうに見てもらえるのかという問題が出てきたわけですが、この二つの点につきましてどういうふうに対応なさって、農家の皆さん方を少しでも多くこういう被害から守ってやろうというふうに取り組んでいかれるか、その辺についてお聞かせを願いたいな、こう思うのですが、いかがでございましょうか。
  163. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 等級別の構成につきまして、私どもと実態のとらえ方について多少食い違いがあろうかと思いますので、その点から申し上げたいと思います。  確かに、五十三年産米におきまして、宮城県におきましては一等の比率は六八%程度でございましたが、ここ一、二年、五十四年にはこれが二九%、昨年産米が二七%、十月末までの検査の結果から見ますと、一等の比率が二一%程度、それほど大きなあれはないかと存じます。多少三等の比率は高まるかと思いますけれども、全体にはそういう状況だと思います。  等級別の価格については、すでに生産者米価の際に決定いたしましたもので、これ自体を変えるわけにはまいりませんし、かつ西日本の状況を申し上げれば、また逆に昨年三等の多かったところが一等が多くなっているという地帯もあるわけでございます。そうした状況からいたしまして、等級の変化に伴う価格政策上の措置は困難かと思います。実態と価格との関係はそのようになっておるわけでございますので、御了承願いたいと思います。
  164. 佐野宏哉

    ○佐野(宏)政府委員 先生お尋ねの第二点目のことについてお答えをいたします。  本年の被害の特殊性から、一部の地域では、先生御指摘のように被害申告をしないまま収穫後に被害が大きいということが判明した農家がいろいろあるわけでございますが、共済の仕組みといたしましては、元来、立ち毛の状態で損害評価をするというのが本則でございまして、本年のような特殊事情にかんがみて、圃場乾燥中のものについてまではその段階での被害の確認を行うことにいたしておりますが、そこから先の段階になりますと、どうも共済の制度になじむようなやり方で被害の確認をすることは困難なのではないかというふうに思っております。
  165. 武田一夫

    ○武田委員 共済というものの性格、いまおっしゃったことは私もわかるのですが、こういうケースが出てきた場合、六割もとれない、それでどうしようもなかったという人は、それではあきらめてもらうしかないということになるわけでしょうな。そうすると、山形や岩手県などは部落がまるまるそういうケースで、あと少し残っていた方々はそれであわ食って届け出たというようなケースがあるのです。大変苦労なさっている方々に共済の特例というようなもので救うなどという道は考えられないとすると、農家にとっては非常に痛い問題じゃないかと思うのですが、この点はよく検討していただけないものか、こういうふうに思うのですが、これはいかがでしょうか。
  166. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 その点は実は私も大変頭を痛めておるところでございます。したがいまして、共済は共済法に基づく手法によって共済金の支払いがなされるわけでございます。ただいま経済局長から申し上げましたとおり、取り入れを終わってしまった人にこれだけ被害がありました、こう言われても、それだけでは共済の支払いをすることはなかなか困難という問題もあります。したがいまして、午前中から申し上げておりますとおり、六月以来の冷温、それから台風十五号、二十四号以降の低温、冷温と申しますか、それが作柄に及ぼした影響、そういうものも非常に大きいものがあるんじゃないかということで調査をいたしておるわけであります。統計情報部が中心になりまして全国的に調査をいたしておりますので、その調査の結果が来週になりますとはっきりしてまいりますので、それらを見て処置を講じたい、そうすれば自作農維持資金等で減収した分をとにかくカバーしていける、そのくらいのことはしなければいかぬのじゃないか、こう言って事務当局に検討をさせておるところでございます。
  167. 武田一夫

    ○武田委員 それでは時間が来ましたので、終わります。
  168. 田邉國男

    田邉委員長 神田厚君。
  169. 神田厚

    神田委員 農業問題の全般的なことにつきまして御質問を申し上げますが、臨時国会の会期も十七日まで、それでその後の延長問題がありますけれども、場合によりますと、今会期におきまして農林大臣の御出席はきょうがあるいは最後になるかと思うわけであります。  昨年の組閣以来、日本の大変困難な農政の状況の中で非常にお骨折りをいただいたわけでありまして、農林大臣につきましては留任という、改造前のこともございますけれども、なかなかそういう形で続けて農林大臣を拝命するというのはまれなことでもございますので、あるいは今回の委員会を最後に農林大臣としての職務をあれかと思うのでありますが、昨年以来一年間農政に取り組みまして、大変いろいろなことがございましたが、ひとつ大臣として御感想をお聞かせをいただければ——大変失礼だと思うのですが、御答弁をいただきたいと思うのであります。
  170. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 諸先生の御指導、御協力によりまして、一年半に近い間農林水産行政の推進に挺身をさせていただくことができて大変幸せだったなという感じを持つわけであります。     〔委員長退席、菊池委員長代理着席〕  しかし、現実の農林水産面におきましては、年とともに、日とともに非常に厳しい環境にありまして、生産者が安心して農業、林業、水産業に取り組むことのできる環境をつくる努力をいたしたわけでございますが、なかなか現実はその方向にいかない。ましてや、厳しい天災、昨年、ことしと二年続きの冷害、豪雪あるいは凍霜害、風害、水害といったようなことがございまして、本当に席の暖まるいともなく体は動かしましたけれども、果たして、持っておった気持ちの何十分の一が実現できたのかと思うとじくじたるものを覚える次第であります。ただ、いろいろむずかしい、苦しい判断を要するときもあったわけでございますが、皆様方の御教導によって、その判断に大きな誤りがなかったのかなということが一つの慰め、こんなふうに感じておるところでございます。
  171. 神田厚

    神田委員 行革国会と言われる中で、特にこの農林水産業に対する、臨調を初めとする世間の目が非常に厳しいものがありまして、大臣といたしましてもそれに対しまして非常に御苦心があったかと思うのであります。行革はことしが初めてではありますけれども、正念場はこれからでございますので、そういう意味では、今後とも、農林大臣の農政に対する理解といいますかそういう力、影響を発揮し続けていただきたい、こういうふうに思っているわけでございます。  冒頭、私がなぜ大臣にこういうふうなことの感想をお聞きしたかといいますと、いま大臣がお話をしましたように、昨年、一昨年、一年半の中で、やはり農業というのが一つの転機に差しかかってきておりまして、それに対応するに行政の皆さん方も非常にいろいろ御苦心をなさっているけれども、どうもうまく対応ができない。これは農業という構造が持っている特徴的なことでありますから、それなりに時間をかけた形で、しかしながら未来に向かっての大きな目標というもの、これは見失わないで展開をさせていかなければならないというむずかしさがあったからだと思うわけであります。  そういうことで、今後とも、日本の農政の厳しさというのは、ともにお互いにその痛みを分かち合わなければならないものだというふうに考えているわけでありますが、幸いにしまして、亀岡農林大臣は農村出身の非常に農業理解する大臣としまして、いろいろな農政諸般にわたりまして力を尽くしていただきました。しかしながら、なおさらに今後とも、これからいろいろ御質問を申し上げますような諸点も踏まえまして、ひとつ精いっぱいの御努力をお願いしたいと思っているわけであります。  そこで、本日の質疑の中にもたくさん出てまいりましたが、一つは第二期転作問題の緩和措置の問題であります。この問題につきましては、農林水産省が先月二十八日に発表しました作況指数は、前回の調査時点よりさらに下がって、中部地方より西の地域はおおむね平年並み以上の作柄であるけれども、米どころである北日本の各県は、二年続きの不作となっているというふうに発表されております。特に、青森の六六を筆頭に、北海道、岩手、宮城、秋田は著しい不良、山形、福島、栃木、新潟なども昨年の作柄をかなり下回りそうな状況である。全体的な米の収穫量は水、陸稲合わせて約千二十九万五千トン、昨年に続いて、年間需要量、五十七年度は千六十万トンでありますけれども、これを下回ることになったということであります。約三十万トンの不足分についていろいろ論議がされましたが、在庫等の流用などで需給心配はないというふうに御答弁が繰り返されております。しかしながら、問題は二年続きの収穫不足、そしてその原因が、台風の災害もそうでありますけれども、いわゆる低温、昨年もそうでありましたけれども、低温による影響が非常に大きいということになりますと、これはやはりことしと昨年の問題ではなくて、将来に向かっても非常に心配をされるところになるわけでありますが、こういうことで一体米の需給に本当に心配はないんだろうか。来年度に対しましては気象予想やその他のいろいろな環境等で問題はないんだろうか、その辺はどういうふうにお考えでございましょうか。
  172. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 先ほど来申し上げましたとおり、五十七米穀年度内の需給につきましては、持ち越しの九十万トン、さらに五十六年産米をもちまして不安はないということで、私どもは安定的な供給を果たせると考えております。  今後の見通しにつきましては、来年の作況等各般の諸条件がございます。私どもは、そうした面も十分慎重に検討しながら対処いたすべき問題だと考えております。
  173. 神田厚

    神田委員 加えまして、同日発表されました五十五年度の農業所得は、前年比一五・五%、その前の年が約六%ぐらい落ちておりますから、二年間で二十数%の農業所得の落ち込みであります。このことは冷害やあるいは農産物価格の低迷、生産資材の高騰、こういうことで農業所得が非常に落ち込んでいる。片方でこの冷害という環境の中で非常に厳しい状況が考えられる。一方では、それに関連して、農産物価格等の問題でこれまた農業所得が大幅に落ち込む、こういう中で、現在、農家の皆さん方は大変な農業に対する展望を失って非常に困り切っているという状況であります。そして、そういうときでありますので、現在進められている米の生産調整、水田減反について見直しの声が高まっておりまして、すでに大臣あるいは農林省当局に対しまして市町村やそれから農協中央会等を通じまして陳情が出されていると思いますが、いわゆる冷害を特別考慮した昨年並みにこの転作の面積を凍結してほしい、こういうふうな要望が強く出ていると思います。きょうの質疑でも大部分の皆さん方がこのことに触れましたけれども、私といたしましても、農民の協力を得て転作を進め、そして農民の協力を得てこの大きな事業を推進している以上、こういう状況のときでありますからこそ、こういう多くの全国農民の人たちの考えを考慮することが転作を円滑に推進するこれから先の問題にもなるだろうと思っておりますので、この辺のところはひとつ十二分に御考慮をいただきたいと思うのでありますが、大臣の御答弁をお願いいたします。
  174. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 神田委員の御所見、私も全く考え方を同じゅうするものでありまして、今年の六月以来の低温、冷温、その前の豪雪からのもろもろの災害、さらには台風、出水等々の災害、またその後における異常な冷温、低温が及ぼした稲作に対する、農作物に対する被害は非常に大きいものがあったわけでございます。特に、私も、十五号台風の後に農村からいろいろの声が出てきておりますので、稲刈りをやってみたら、色は非常によかったんだけれども、品質が非常によくない、くず米が多い、青米が多い、黒色米が非常に多くまじっておるといったような声がございまして、したがいまして、私としては統計情報部の方に話をいたしまして、今年の冷害というものが最終的に農作物に及ぼした大きな影響というものを統計的に数字化できないものかということで、現在、その調査を続行中でありまして、来週にはその結論が大体出るんじゃないか、こう思うわけであります。  したがいまして、それらの情勢を見ました上で、被害を及ぼした農家収入の減少問題でありますとかもろもろの事情を十分勘案をいたしまして、そうして冷害対策一つとして、第二期水田利用再編対策の生産調整の面積緩和の処置というような方向に向かって前向きで取り組むべきではないか、そんな感じを持って事務当局に対しておいおいと検討をさせておるところでございます。
  175. 神田厚

    神田委員 ひとつそういう方向でよろしくお願いを申し上げたいと思います。  続きまして、宅地並み課税の問題につきましてちょっと御質問を申し上げたいと思います。  農地の宅地並み課税の問題は、いまや都市農業者にとりまして非常に大きな問題になっております。ところが、この宅地並み課税の、どういう方向でこれをやるのか、どういうふうな実施をするのか、どういうことを適用の対象除外にするのか等々の問題について明らかにされていない部分がございます。本日は、国土庁と自治省からおいでをいただいておりますので、まず、国土庁の方からひとつこの宅地並み課税の対象地域等の経過と今後の方針についてお聞かせをいただきたいと思います。
  176. 木内啓介

    ○木内説明員 お答え申し上げます。  昭和五十七年度以降のいわゆる宅地並み課税につきましては、税制調査会の「昭和五十五年度の税制改正に関する答申」の趣旨を踏まえまして、現在関係各省庁と協議しつつさらに具体的な検討を進めてまいっているところでございます。  現在までのところの検討を申し上げますと、国土庁といたしましては、前述の答申に述べられている「長期にわたり営農を継続する意思のある者に対する配慮」というふうなものを行いつつ、三大都市圏の一定の区域内の市街化区域内農地につきまして、現在のA、B、Cの区分にかかわることなく、ひとしくいわゆる宅地並み課税をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。  そこで、先ほど申しました「長期にわたり営農を継続する意思のある者」ということでございますけれども、これにつきましては、まさにその営農を継続しようとする方の主観的な意思とそれから長期営農が客観的に見てやむを得ないあるいは適当であるというふうな客観的な事実、そういったものを配慮しまして課税をしてまいりたい。さらに具体的に申しますと、検討一つの方向としましては、徴収猶予制度というふうなものを設けたらどうかというふうなことを現在検討しているわけでございます。さらに細かい内容につきましては、さらに詰めてまいりたいと考えております。
  177. 神田厚

    神田委員 これは、その前提としてなぜ宅地並み課税をするかという問題は、一つは、やはり三大都市圏を中心としたところにおきます住宅問題の解決のためにその宅地の供給を多くしたいということだろうと思うわけであります。ところが、三大都市圏のこの対象地域には、開発デベロッパーが保有をしている非常に宅地に適地な、まさに宅地そのものになり得るようなたくさんの土地があるわけであります。これらは、私どもの計算によりますと、宅地並み課税によって宅地を供給しようとするものの約一割程度は資本金一億円以上の開発デベロッパーが持っている土地であるという現在の状況でありますので、私は、むしろこういうふうなすでに宅地適地として保有されているこれらについての供給を先になさしめるような形を持つべきであって、いわゆる都市農業として現在使われている農地を、課税によってこれを営農できないように至らしめてしまうという形で宅地として供給させるということは非常に問題があるというふうに思っております。国土庁として、このいわゆる開発デベロッパーやその他の大会社等が持っているそういう宅地適地の面積といいますか、その数量といいますか、そういうものはどの程度あるというふうにお考えでありますか。
  178. 木内啓介

    ○木内説明員 お答え申し上げます。  国土庁の調査によりますと、資本金一億円以上の企業が三大都市圏の市街化区域内に保有する販売用の土地は、約七千二百ヘクタールございます。先ほど先生御指摘のように、同じような地域内の市街化区域内の農地が八万六千ヘクタール程度でございますから、たしか一割ぐらいに該当するのではないかと思います。それで、その七千二百ヘクタールでございますけれども、それをさらにつぶさに見ますと、この七千ヘクタールの中でその約六一%に当たる部分、これはすでに工事に入っているとか、あるいは一部は工事を終えているというふうな形で宅地供給に着手しているものでございます。したがって、残りのいわゆる未着手というふうな状態になっているものは二千八百ヘクタール程度になっているわけでございます。しかしながら、この二千八百ヘクタールというのも、見方によればかなりの数字でございますし、その開発を促進するということは、御指摘のように非常に重要なことだと私たちも考えているわけでございます。したがいまして、そういった未着手の宅地を、これは民間の企業が保有している土地でございますけれども、できるだけ速やかに開発に着手させるというふうなことに対しましては、いろいろな方法がございます。  そういった民間の宅地開発を促すというふうな意味で、現在私どもがとっておる施策としましては、国土庁のやっております土地利用転換計画というふうなものを策定しまして、これは市町村が策定するわけでございますけれども、デベロッパーが開発し市町村の計画に合わせるというふうな意味で計画をするものでございます。そういう土地利用転換計画の策定をさらに進めていくというふうなことやら、あるいは御承知の建設省の方の住宅宅地関連公共施設整備促進事業費、こういうふうなものもできるだけそういった地域に充てていくというふうなこと、さらには住宅金融公庫とか開発銀行の民間宅地開発に対する政策金融というふうなもの、さらには現行の税制としまして特別土地保有税の制度がございます。これは、企業が開発に着手せずに保有しているものにつきましてはかなり重い税金にもなっているはずでございますので、そういったもろもろの施策を総合的に講じ、できるだけその有効活用の促進をあわせてやっていきたいというふうに考えているところでございます。
  179. 神田厚

    神田委員 資本金一億円以上の開発デベロッパーで約一〇%持っているわけですから、資本金のもう少し小さいものまで入れますれば相当多くの宅地がそういう形で抱えられているわけです。いま国土庁の方から御説明をいただきましたが、それは宅地を一つの土地として、それはその市街地の中のものでありますけれども、一つの土地資産として経済的な効用の面から考えているわけです。ところが農地は、常識的な考え方は、市街化地域にありましても農産物をつくることによってしかその生産の効率というのはないわけでありますから、税制調査会がAB農地の課税強化とC農地への拡大という問題を出してきた場合に、国土庁の皆さん方は、農業生産物だけでこの課税に対応できるかどうか。たとえば一ヘクタールなら一ヘクタールで結構ですけれども、あるいはその部分について、後で自治省からお話を聞きますけれども、自治省や国土庁が考えているような課税をした場合に、果たして農産物の収入でペイできるのかどうか、払うことができるのかどうか、この辺のところはどういうふうに考えておりますか。
  180. 木内啓介

    ○木内説明員 お答え申し上げます。  宅地並み課税をした場合には、いろいろなケース、算定の方法で違うかと思いますけれども、現行の固定資産税より百倍ないしそれ以上の金額の税金になる可能性があるというふうに考えられるわけでございます。したがいまして、私ども専門ではございませんけれども、純粋に農業経営をやっていながら、それに対応する固定資産税を支払うということは大変むずかしい問題だと考えておるわけでございます。したがいまして、私どもが宅地並み課税というものの今後のあり方を考えるに当たりましても、政府税調の御答申にもありましたように、農業をこれから長期的に継続しようというふうな方々に対しては、十分これを配慮して制度をつくってまいりたいという方向で現在検討しているところでございます。
  181. 神田厚

    神田委員 確かに、だれが考えても農産物の上がりだけでは税金を払えないわけですね。そうしますと、営農の意思を確認をして、たとえばそういう者については宅地並み課税の猶予をするというふうな、いわゆる適用除外の条項について具体的な研究に入っているというふうに聞いておりますけれども、しかしながら、たとえば百坪でも二百坪でもどんなに小さくても宅地並み課税をかけられてしまったんでは、それは結局農産物の上がりでは税金を払えないわけですね。そういうことになりますれば、私は適用除外の条項の検討に入るということは、もちろんそうであるでしょうけれども、少なくとも営農をしている、現実に営農の意思があるというところについては、極端なことを言いますればそれは十坪でも二十坪でも、これらについては宅地並み課税の猶予の条件として考えていかなければならない。そうでなければ、それは百坪は悪くて千坪ならいいのかという問題にもなってくるわけですから、その辺のところはどういうふうにお考えになりますか。
  182. 木内啓介

    ○木内説明員 宅地並み課税でいま考えている方向は、徴収猶予をして、それから一定の期間が経過したら免除という形をとったらどうかという方向で考えているわけでございますけれども、その場合に徴収猶予の対象となる農地の問題でございます。これにつきましては、長期営農の御本人の主観的な意思と、それからもう一つはやはり客観的にそこで長期的に営農することが適当であるというふうなものが必要かと思います。  そういうことにつきまして、その客観的なものをどういうふうに決めるかということにつきましては、ただいまなお検討中でございますけれども、そういった客観的なものがやはりなければならないというふうな考えの裏には、何と申しましても市街化区域内の農地でございますので、たとえば調整区域内の農地、それからその他一般の農地等農転の問題とか、開発許可の問題とか、それから現実に実態上の地価、たとえば市街化区域が非常に高くて調整区域は非常に低いとか、いろいろな要素を考えますと、現行制度上も市街化区域内の農地であるということとそうでないということはやはりそこに歴然たる差があるのではないか、こういうふうに考えるわけでございますので、やはり御本人の意思だけでということについては若干問題があろうかというふうに考えているわけでございます。
  183. 神田厚

    神田委員 国土庁の方は、宅地並み課税をして宅地の供給をふやしたいという考え方ですから、それ以上のことについてあるいは言えないのかもしれませんが、やはり国土庁が日本国土の適正な、健全な発達ということを考えますれば、都市だけに住宅を集中して、いわゆる過密を非常に増進するというような国土政策というのは、本来間違っている。適正な都市を日本の地形に合った、生活環境に合った形で整備をしていって初めて意義があるのでありまして、三大都市圏をやみくもに宅地造成でつくりかえてしまうような土地政策、住宅政策というのは非常に問題があるだろうと思っています。私どもは、都市農業を守るという立場だけからでなくて、やはり都市の緑地空間というものはこれからもっともっと大事にしてこれを整備していかなければならないという立場をとりますから、国土庁の現在の宅地並み課税の進め方につきましては、あるいは宅地並み課税という形で農業をやめさせていくような方向をとることに対しましては強く反対をしているわけであります。  ところで、自治省に来ていただいておりますので、自治省といたしましては宅地並み課税の問題について、その経過と今後の方針をどういうふうにお考えでありますか。
  184. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 明年度以降の市街化区域農地に対する課税の問題につきましては、五十四年十二月の税制調査会の答申の趣旨に沿いまして現在検討を進めているところでございますが、今後、関係省庁や関係団体の意見を踏まえまして、税制調査会での御審議を煩わしながら適切な結論を得るように努めてまいりたいという考え方でおります。
  185. 神田厚

    神田委員 それでは、自治省といたしましてはAB農地の課税の強化とC農地の拡大の中で、具体的に数字的にどのぐらいの税率というものを考えておりますのか、その点をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  186. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 現在市街化区域農地の課税の問題の基本的な事項について検討を進めているわけでございますので、これに伴う税収入がどのくらいかというようなところまではまだ数字は詰まっていないわけでございます。いずれにいたしましても、先ほど来お話しの長期に営農を継続する意思のある方々に対しましては、五十四年十二月の税制調査会の答申にもございますとおり、十分配慮しながら税制の改正を進めていきたいという考え方でございます。
  187. 神田厚

    神田委員 それでは、減額措置や何かがとられないという形で、現在AB農地それからC農地の一反歩三百坪当たりの税額はどういうふうになっておりますか。
  188. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 三大都市圏のAB農地の十アール当たりの税額は、平均いたしまして約十四万円でございます。
  189. 神田厚

    神田委員 このAB農地の十アール当たり十四万円というのを数倍値上げをさせるというふうに私聞いておりますけれども、その辺はどういうふうに考えておりますか。
  190. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 ただいま申し上げました数字は昭和五十五年度の平均税額でございますが、御案内のとおり、昭和五十七年度は三年に一回の評価がえがございます。この評価がえは現在作業中でございまして、それに基づきまして、資産の価値が上昇いたします場合にはそれにある程度の伸びが出てくるかと思いますが、数倍というようなことは考えられないと思います。
  191. 神田厚

    神田委員 そうしますと、その五十七年度の評価がえはどういうふうなものを基礎として考えておりますか。
  192. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 五十六年度までのAB農地の評価額に新たに五十七年度の評価がえをするわけでございますので、この五十六年度の評価額に過去三年間一定の上昇率と申しますか、それを乗ぜられたものが評価額になるということになろうかと思います。
  193. 神田厚

    神田委員 五十六年度までの過去三年間の上昇率を乗ずるということでありますけれども、土地の値上がりその他いろいろな要素がそこにあるわけでありまして、平均的なところで結構でございますが、現在どのぐらいの値上がりになっておりますか。
  194. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 現在、市町村におきまして評価がえの作業を行っておりますので全体の姿はわからないわけでございますが、宅地につきましては、全都道府県の県庁所在地の一つの土地を基準地として評価がえの評価を行ったわけでございますけれども、その結果によりますと約二四%の上昇になっているわけでございます。
  195. 神田厚

    神田委員 そうしますと、価格は四分の一上がっているということですね。そういうふうなことでやっていかれますと、AB農地平均十四万ということでありますけれども、平均のところをとりますと、この十四万が二四%上昇するというような単純な考え方でよろしゅうございますか。
  196. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 これからの税制改正の問題がいろいろございますので、それを踏まえた上でないと明年度の税額が実際にどうなるかということは言えないわけでございます。たとえば五十四年度の評価がえのときには、税負担が一度に伸びないために負担調整率というようなものを乗じまして、評価がえのあった年に一度に税が上がらないような措置を講じたというようなこともございましたので、こういう措置が今後どういう形でとられるか、これはことしの税制改正の問題として税制調査会等で十分御審議いただくということになりますので、現在まだ予想はできないわけでございます。
  197. 神田厚

    神田委員 それでは、少なくとも自治省といたしましては宅地並み課税を、土地のこういう値上がり等のことを考えまして、現行のAB農地平均十四万というものをそういう特別な措置をとりまして抑えようとするのか、それとも税収入不足だというような形でここから税収を上げるような方向をとるおつもりなのか、その辺はどちらでありますか。基本的な考え方です。
  198. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 宅地並み課税の問題は単に税収を上げるという問題のほかに、いわゆる政策税制という問題が入っているわけでございます。そういうことで、土地政策全体の問題として宅地並み課税をどう位置づけるかということによりましてこの税収が決まってくるわけでございますので、単純に、通常の固定資産税のように増収ができればいいというような見地だけでこの問題を論ずることはできないのではないかと思っております。
  199. 神田厚

    神田委員 そうしますと、政策課税ということで考えていくので単に増収だけを目的にしないということであれば、現在、各地方自治体等でいわゆる減額措置等の問題があるわけでありますが、その地方自治体の特別な事情やその他のことを考慮して、こういう方向があるということについても自治省としてはやむを得ないというふうに考えるのでありますか。
  200. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 明年度以降の宅地並み課税につきましては、長期に営農を継続する意思のある方々に対してどういう措置をとるかという点につきまして、いまお話しのような減額措置のような形になるか、あるいは国土庁から御説明ございました徴収猶予の形になるかということによりまして、若干そのやり方が違ってこようかと思います。それらはこれから関係省庁とよく御協議をしまして、そして決めてまいりたいというふうに考えております。
  201. 神田厚

    神田委員 それでは、自治省に最後に御質問申し上げますが、現在十アール当たりA、Bの平均農地十四万、平均で十四万でありますから、高いところは三十万近くあるいはいっているかもしれませんし、そういうふうなことで、果たして農業生産物によって、それだけの税収が賄えるというふうに自治省では考えておりますか。
  202. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 固定資産税全体の中で宅地並み課税のウエートというものは、これはきわめて小さいわけでございまして、それぞれの市町村によりまして若干の影響はございましょうけれども、あくまでもこの問題は先ほど申しましたように政策税制として位置づけて、税の増収という観点だけでこの問題は論じないということで従来から検討をやっておりますので、そういう点で御理解をいただきたいと思います。
  203. 神田厚

    神田委員 大変前よりは前向きな答弁で、税の増収だけでは考えないということで結構なんですけれども、現在一反歩なら一反歩のところからの農業生産物で、果たして自治省が言っているような固定資産税が払えるのかどうか、その点はいかがでございますか。
  204. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 仰せのとおり、現在の宅地並み課税の税額を農業経営だけで払っていただくということになると、かなりきつい問題があろうかと思います。そういうこともございまして、現在でも現に耕作をしている農地につきましては、一定の条件のもとに減額制度を設けておりまして、営農を実際にやっておられる方々に対しましての支払い能力という点につきましての配慮はやっておるわけでございます。また、五十七年度以降の問題につきましても、先ほど来申し上げておるとおり、一定配慮をしていこうという考え方でこの問題を解決をしたいと思っているわけでございます。
  205. 神田厚

    神田委員 ただいま国土庁と自治省の御意見を聞きまして、大体宅地並み課税に対する両所管の考え方がわかりました、なお細かいところについてはわかりませんが。  ところで農林大臣にお伺いをいたしますけれども、農林大臣といたしましては、現在進められておりますA、B農地の課税強化、それからC農地への拡大というこの宅地並み課税の問題、ただいま国土庁、自治省からいろいろお話がございましたけれども、それらをお聞きになりましてどういうふうにお考えでございますか。
  206. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 農林水産省が主張してきております長期に営農をしておる限り宅地並み課税は納めなくともいいような形におさめたいというのが私どもの主張でございますので、その方向がやや入れられて検討されておる、こういうふうに理解しておりますので、来年度の予算編成の際に、政府といたしましては、いろいろの税制改正があるわけでございますが、その際にきちんとした結論を出すように努力したい、こう思っております。
  207. 神田厚

    神田委員 本来私は、この宅地並み課税というのは大変問題のある法律だと思っております。課税によりましてその職業ができなくなってしまう。それは一つは、憲法上から言えば基本的人権の問題であるし、生存権、財産権の問題にかかわってくる問題でもあるわけです。そういうことから、課税があるためにその職業が継続することができない、そして継続できないだけではなくて、それにかわる行政の何らの助成なり何なりもないということになりますと、これは非常に大きな問題だと思うのですね。  きょうは特に法制局に来ていただきました。法制局の方では、ただいま国土庁やあるいは自治省等から話をされております農地課税強化とそれからC農地への課税の拡大等の問題について、憲法上の問題として何か問題はないかどうか、ひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  208. 前田正道

    ○前田(正)政府委員 宅地並み課税の問題につきましては、租税法律主義を定めております憲法八十四条に基づきまして、地方税法の定めるところにより行われておりますので、特に憲法上の問題があるとは考えておりません。そして、宅地並み課税の問題につきましては、ただいままでの御議論にございましたように、農地という固定資産に対します課税をどうするかという、すぐれて政策的な問題であるというふうに考えております。  ただ、政策的な問題ではございますけれども、一定の政策がとられました場合に、それによってとられます措置の内容が合理的なものでなければならないということは言うまでもないと考えております。
  209. 神田厚

    神田委員 ですから、そのとられている政策の内容について現在検討がされておりますが、それらの中でやはり私は、この課税によってすべて同一職種の人間が、その職業を離れざるを得ないような状況に追い込まれるということは問題だというふうに思っているのですが、その辺のところは内容的にどういうふうにお考えでありますか。
  210. 前田正道

    ○前田(正)政府委員 宅地並み課税の実態につきましては十分承知しておりませんけれども、ただいまお話しのような点が出てまいりましたならば、案が出ました段階で十分審査してまいりたいと思います。
  211. 神田厚

    神田委員 それでは、時間がありませんので、次にやみ米の流通問題につきまして食糧庁及び警察庁の方からお考えを聞きたいのでありますが、ちょっと時間が少なくなってきましたので、簡潔にお願い申し上げます。  やみ米問題につきまして食糧庁が通達を出しておりますね。「米穀の不正規流通防止について」という文書でありますが、この現状と今後の食糧庁の方針を、かいつまんで御説明いただきたいと思います。
  212. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 やみ米の取り締まりを現に行っておりますが、現状と現在の対策状況について簡単に申し上げます。  不正規流通米と言われますいわゆるやみ米につきましては、私ども二つのルートがあろうかと思います。一つは、生産者から自由米取扱業者等の手を経まして消費者段階に渡るものと、もう一つは、遺憾でございますが、政府管理米として販売されたものの一部が売れ残る等によりまして横流れされる、こういうような問題がございます。  御存じのように、改正食管法におきましては、守られる制度といたしまして、実態と制度の乖離をなくしまして、きちんとした流通秩序を形成するということで、十月に通達を発しまして、全国にこの不正規流通米の防止対策をいたしたわけでございます。農林水産省としても、非常に重要な課題であるという判断のもとに、都道府県知事及び食糧事務所長に対しまして発したわけでございますが、これによりまして、販売段階につきましては都道府県と食糧事務所が協力いたして対処する、また集荷段階につきましては食糧事務所が中心となりまして、無登録なりあるいは無指定の正規業者以外の者、いわゆるやみ業者につきましてはリストアップ等をいたしまして、直ちにやめるように勧告するとともに、さらに追跡調査をいたしまして、これらに対する対処をいたしたい。かつ、いやしくも正規の業者が不正規流通に関与していることのないよう、実態の把握と、場合によっては指定許可について今後これを取り扱わないというような強い方針をもちまして、強力な指導を並行して行っておるわけでございます。幸い、関係団体も決意を新たにしまして、これに協力する旨の申し合わせをいたしておりますので、私ども、関係者と一体となって、効果的な防止対策を進めたいと思っております。  さらに、以上のような方向で指導をいたしましてもなお従わない特に悪質な者に対しましては、私ども公表等の手段を講じますが、必要があれば警察当局の協力も得て厳しく対処しまして、不正規流通防止の実を上げてまいりたい、このように考えております。
  213. 神田厚

    神田委員 一般的に相当数のやみ米が流通をしているというふうに言われていますね。食管法も、守られる食管法という形で改正をして、来年一月から施行されるわけでありますから、ひとつこの際、そういう問題について厳しく行政指導をしていただきたいと思います。  それで、警察庁の方で、食糧庁とも相談をなさっているようでありますが、また、ある程度、昨年あたりも悪質業者についてはこれを追及しているというふうなことでありますけれども、警察庁当局として、食管法違反の問題で、やみ米流通の問題について今後どういうふうに対処をしていくのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  214. 内田文夫

    ○内田説明員 お答えいたします。  米の流通秩序の維持という問題につきましては、第一次的には所管行政庁の行政措置によって対処をすべきものと考えているわけでございますけれども、その所管行政庁の行政施策が十分に効果を上げることができるようにという立場に立ちまして、米の正常な流通を著しく阻害するとか、あるいは国民に重大な被害を及ぼすとか、あるいは所管官庁の行政指導に従わず悪質なものというふうなものにつきましては、警察といたしましても、これを積極的に取り締まってまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  215. 神田厚

    神田委員 従来も取り締まっていたわけですね。これは取り締まるのは当然ですから。しかしながら、今後、食糧庁がそういう通達を出したという段階の中で、新たに従来とどういうふうに違う体制で取り締まりをするつもりなのか。現実に百万トン近くやみの流通があるというふうに言われているものについて、警察庁として、いままでももちろんその取り締まりは続けていたわけですね。しかしながら、その取り締まりの実というものは余り上がっていない。こういうふうなことも事実でありますから、今後の対応として、どういう決意でそれを行うつもりなのか。その点をお聞かせいただきたい。
  216. 内田文夫

    ○内田説明員 現在、食糧庁の方から御説明ありましたように、食糧庁でも実態調査をやっているところでございますが、警察といたしましても、食糧庁と十分な連絡をとりながら、不正規流通実態をつかむべく努めているところでございます。  そして、現在、この改正法の施行を前にいたしまして、食糧庁で強い行政指導がなされているところであり、われわれとしても、その行政指導に基づきまして、この新しい法律の実効が上がるということを期待しているところでございますが、先ほども申しましたように、今後とも所管行政庁と十分な連絡をとって、悪質な事犯については適確な対応をしてまいりたい、こう思っております。
  217. 神田厚

    神田委員 終わります。
  218. 菊池福治郎

    ○菊池委員長代理 寺前巖君。
  219. 寺前巖

    寺前委員 先ほどから、昨年に続く冷害に加えて、春先の低温なり風水害で、東北なり北海道なりの稲作にとどまらず、小麦や豆類なりあるいは果実などの被害が広範に及んできている、事態は非常に深刻だ。このような異常気象が頻発していくということになってきたら、わが国の食糧事情そのものにも重大な影響を与えることになるじゃないか。そういうことから、来年の転作の条件の緩和という問題が、当該する町村なりあるいは農協などから要望として強く求められてきているところでありますが、米作減反のこの際に本格的な見直しをやって、排水改良など土地条件の改善なり、耐寒品種と技術の開発なり、適地適産の促進なり、日本の食糧供給体制の問題全面にわたっても検討しなければならない段階に今日来ているんじゃないだろうかというふうに、私は二年続きのこの冷害問題を見ながらつくづく感ずるものです。  そこで、先ほどから大臣は、町村会なりあるいは農協などの御要望について前向きでぜひ検討していきたいという御答弁がありました。私は同じ角度からの問題を避けまして、他の面からこの問題について二、三聞きたいというふうに思うわけです。  それは、ことしの食管法の改正が問題になりましたときに、附帯決議でも、「備蓄については、将来にわたる国民食糧の安定供給に不安なからしめるよう現行方式の見直しを行うとともに適正数量を確保すること。」という附帯決議を当委員会としても上げているところであります。備蓄問題というのは、そういう意味では非常に重要だ、適正な数量を確保するということが重要だ。先ほど食糧庁長官は、六十万トンございますから御安心くださいとおっしゃられたわけです。数字そのものはそうだろうと思いますが、しかし、私はそれだけでは気になると言わざるを得ないと思うのです。  たとえば、ここに当農林水産委員会会議録の昭和五十年十一月六日の当時の大河原食糧庁長官の発言を持ってきております。これを見ますと、こういうことが書いてあります。「内外の食糧需給その他から見まして、計画的に二百万トンまで在庫造成をいたしたいということで検討」している、そういう方針でわれわれはやっているのだということが書いてあるのです。そして、その二百万トンという数字はどういう意味を持っているのか、その後に意味についての解説が載っております。これを見ますと、食管の比較的楽な需給操作を二カ月分と考えると、百万トンあると大体やっていけるのだということが一つと、それからもう一つは、四十年代の最大の不作の年、四十六年の作況指数を見ると九三だ、減収量が八十万トン減というような数字が出ている。「最近十年で経験いたしました不作が二年連続続いても十分ゆとりが持てる」ということを考えると、二百万トンという数字をそこから考えざるを得ないんですという方針を当時の食糧庁長官は当委員会で発言をやっております。  私、ことしの食管の審議をするに当たって、いろんな分野にわたってお話を聞きました。おたくの方の、ことしの三月段階ですが、国会に法案を出すに当たっていろいろな準備をされた。その中の参考の資料として私ここにいま食糧庁の資料を持っていますけれども、これを見ますと、こういうことが書いてあります。「新備蓄案の仕組みの概要」ということで、 備蓄水準   これまでに発生した国内産米の不作事例(頻度とその程度)と備蓄米の回転のための売却用途等を勘案して、仮りに作況指数九〇程度の不作が二年連続しても対応し得るものとして、備蓄目標水準を二百万トン程度とし、その内容は、一年古米百二十万トン、二年古米五十万トン、三年古米三十五万トン程度とする。  音符という形で備蓄水準の案を参考として検討されたということを私聞きました。そして備蓄米の回転のやり方としては、  備蓄米は原則として全量低温保管することとし、通常年においては、次により操作するものとする。  ア、一年古米 百二十万トンのうち七十万トンを主食用に売却する。  イ、二年古米 五十万トンのうち十五万トンを業務用に売却する。  ウ、三年古米 三十五万トンは工業用需要に充当する。 以上のとおり、毎年百二十万トンを売却し、  新たに一年古米百二十万トンを補充することに  より備蓄米の回転を図る。こういうような内容で備蓄米の検討をやっているということを参考の話として聞かせていただきました。お持ちでなかったらお渡ししてもいいですよ。おたくの方のあれですから。お渡ししましょうか、念のために。——いいですか。  そうすると、当委員会において提起されました、二百万トンという考えておられる備蓄のあり方の問題といい、それから食管の審議の過程でおっしゃいました二百万トンを目途としての備蓄の水準を考えるという問題は、これはやはりわざわざ解説があったように、意図を持って提起された内容でありますから、それから比べると、六十万トンで御安心くださいと言えた柄じゃないんじゃないでしょうかということを私は思うのです。そういうふうに位置づけて考えてみると、五十八米穀年度、来年の秋の問題ですね、五十八米穀年度の場合を、備蓄状況を考えてみると、先ほどのお話では、こういう考え方の中に割り当ててみると、一年古米は六十万トンというかっこうになります。二年古米はゼロになります。三年古米もゼロです。要するに、こういうふうに「新備蓄案の仕組み」ということで検討された内容というのは、すでに二年連続の今日のこの事態の中から考えても、これはやり得ないやり方にもうすでに到達しているのではないか。こういうことを考えてみたときに、食糧の備蓄という考え方から見ても来年度の強制的な減反、二期転作ですか、二期転作のあり方において、六十万トンしか備蓄ができないという状況から考えてみたら、二百万トンを直ちに二年連続で、来年の作況はどうなるかという問題は別としても、平年作と考えたって、ともかく二百万トンを準備するということになったら、緩和策というのは去年程度ではだめじゃないか。否、そんな二百万トンと言わなくても、操作上二カ月分の備蓄、すなわち百万トンぐらいは要るんだということを答弁でおっしゃっておった。その百万トンを準備しようと思ったら、それは去年四万六千ヘクタールの緩和をやっているけれども、これでは二十二万トンしか備蓄にならないことになりますから、そうすると、六十万トン来年度持ち越し備蓄ということが、先ほどの数字から聞いておりますと、百万トン備蓄ということになると、すなわちざっと倍の九万ヘクタールの減反をやらなかったならば、もう一年続くか知らないところの冷害に対する対応策にならないんじゃないだろうか。これは、私は、ここの委員会なり、おたくの方が参考のためとして計算された資料に基づいて検討すると、私は、そちらの分野から考えても、来年の減反の政策というのは、この前の緩和どころではなくして、いまからやる減反ですね、減反ではなくして、倍くらいのことまで計算に入れた緩和を見ておく必要があるのではないか。こういう数字になるんじゃないかと思うのですが、いかがなものでしょうか。
  220. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 まず二百万トンという数字でございますが、これは、御指摘のように、これまでも申し上げましたが、過去の趨勢から見ましても、二年の凶作にも耐え得る備蓄の水準として二百万トンという数字があることは事実でございます。先生のお手元の資料、恐らくこれは、かねがね食糧庁で一部検討しておりましたのは、そうしたものを目安としまして、一年古米、二年あるいは三年古米というようなものも持ち合わせて、そうしてまいるというのは、いずれそうした二年、三年古米に達した段階におきましてこれを工業用等に処分する、加工原料用等に処分するという目安を考えながら組んでいくという一つの備蓄の、たな上げ備蓄の回転を考えているわけでございます。そうした考え方につきまして目下検討をしていることは事実でございますが、まだ具体化に至っておりません。  と申しますのは、現在こうした加工原料用等の米につきましては過剰米処理の中で対応する、年三十万ないし三十五万トン程度の工業用は目下五十四年から手がけました六百五十万トンの過剰米の処理の方でいたしております。これが五十八年度までそうした処理は続くと思いますので、そうしたものの原料がなくなった場合にそうした問題を考えるべきではないかという一つの考え方として出ております。私ども、そうした観点で現在なお検討いたしております。  もう一つ、いま九十万トンなり六十万トンというのは、私の方は備蓄とは申しておりませんが、持ち越し在庫がことしの十月末で九十万トン、来年の十月末で六十万トンに達するだろう。これは前年産米でございます。前年産米と当年産米とを合わせまして、当面のそれぞれの年の需給に対応していくという考え方が、やはりいまの消費実態からいたしますと、そうしたものを中心にして私ども操作をいたしてまいりたい。そういう考え方で当面、操作はしてまいるつもりでございますし、これによりまして五十七米穀年度の需給上の心配をかけるとは私ども決して思っていないわけでございます。  今後の問題として、いま備蓄の問題をではどう考えるかというのはまだ残っているわけでございます。先ほど申しましたような考え方も一つの考え方といたしまして、かつ、ほかに価格政策等の各種の問題を絡めながら、五十八年度まではそうした工業用等の対処もございますが、今後を考えますと、備蓄のあり方というのはやはり早急に詰めてまいらなければならない。当面私ども来年の法施行と同時に基本計画ができますので、基本計画におきましては今後の食糧政策の重要な事項としての備蓄についての基本的な考え方は私ども整理をいたしたいと思っております。この具体化につきましては現在官房を中心にいたしました食糧の安全保障の考え方、それらと組み合わせながら慎重に検討をしてその具体化を急いでまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  221. 寺前巖

    寺前委員 そこで私が言うのは、来年の秋の持ち越しは六十万トンになるのでしょう、それより古いお米は、食べられるお米というのはもうないのでしょうと言うのですよ。それは五十三年米以前の状況のものが三百五十万トンですか、先ほど説明がありましたね、それは残っています、これは食べられるようなものじゃございませんということでしょう。これは、従来からそういうものをそういうふうに扱いますと言うてやってきたのだから。そうすると六十万トンしか来年は持ち越しはないんだ。それでは、通常、従来から言われておったように二カ月分、百万トンはなかったら操作は困難です。これがもう一年冷害という事態が続く、あるいは作況が悪いという事態が続くということになってきたときにやはり大変なことになるのじゃないだろうか。少なくとも従来百万トンと言っておられた数字くらいは——二百万トンの備蓄と言わなくても半分の百万トンと考えたときに、百万トン分ということを考えると四十万トン不足ということになるから、だから来年つくるお米については四十万トンたとえば余分に新しく確保できるようにしようと思ったら、大体九万ヘクタール分ぐらいはなかったならば、それは新米として確保することにならぬじゃないか。来年の秋の話ですよ。そうすると、この緩和策というのは、去年は四万六千ヘクタールですかやりました、ことしもまた冷害が続いている、せめて去年並みにやってくれという意見が町村会長なりあるいは農協の皆さんから出ている。しかし本当に需給操作をやる政府の側から言うたら、そんな程度ではなくしてもっと緩和をしないと百万トンという部類には入らぬじゃないか。従来皆さん方が操作上は二カ月分、百万トンぐらい要りますと言っておった数字との関連から見ると、減反の面でも、やり方としてはもう少し思い切ったことを——二期転作のあり方の問題そのものは別としても、さしあたっての問題としても、そういうことを考える必要があるのではないかということを聞いているのです。
  222. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 お考えは私も御意見として承りますが、先ほどの三年古米ということになりますと、五十三年産米は百万トン程度ありますが、私ども現在の需給事情といたしましては、大量な三年古米を主食用に充てなくても、当年産を中心に前年産を加えましてやればよろしいのじゃないか、それほど窮迫してないというふうに見ておるわけでございます。三年古米を使えば在庫がふえることは当然でございますが、ただ御指摘のありましたような点は過去にもそうした問題がございまして、来年の作況等の見方にもよるわけでございますけれども、過去におきまして減反の緩和の問題が出まして、かなりの豊作が発生した、その結果が現在六百五十万トンの過剰米の処理の大きな要因にもなっております。今日三百五十万トンに及びます過剰米の処理、これも国民の税負担で実施しておりますし、かつまた、潜在生産力も相当の大きさを持っておりまして、単年度需給というものを中心にいたしました二期対策を進めている現段階におきまして、余り生産を刺激的な方向をとるべきではないというふうに考えますが、なお来年の作況等を見ながら私どもは慎重に対処し、国民に安定供給を果たすべき私どもの役割りもありますし、その上に立ちまして御心配をかけないように進めてまいりたい、こう考えております。
  223. 寺前巖

    寺前委員 来年の作況というのは、平年作で計算しなかったら計画にはならない。べらぼうに豊作になるというようなことを前提に置いて仕事をしておったら仕事にならぬだろうというふうに思うのですね。そんなことはないと思うのです。  いずれにしたって、二年連続でこういう事態になってきているのだから、農民の皆さんの側から考えても、大臣がおっしゃっているように十分期待にこたえられるようにされる必要がある。それから国民全体の食糧の確保という点から考えても、二年連続した今日の事態においてまた冷害という状況は、ヨーロッパの姿なんか見ていますと、五年もずっと続いている状況も考えてみたときに、私は、日本の食糧の安定確保ということを考えたときに、そういままでのように二期転作を強行していくという方向では大変な事態になるのではないか、十分に御検討いただきたいということを申し上げたいと思います。  時間の都合もありますので、次に行きます。  いよいよ食管の政省令が先ほどおっしゃったように出されようということになってきているのですが、簡単に二、三の点だけこの政省令を進められる上に当たって心配しておられる向きに対してお答えをいただきたいと思うのです。  まず、小売屋さんが従来でも最低取り扱い数量を割っているところが東京ではずいぶんあるという事態が、町がスプロール化するところでは起こってくるわけです。そういう人たちに対して特別めんどうを今日までも見てきておるわけだけれども、そういう人たちに対する取り扱いは今後どういうふうにされるのか。営業が引き続きちゃんと保障されるようになるのかどうか、これが一点です。  それから二点。これは先ほど出ておりましたけれども、消費者の要求にこたえる、ニードにこたえるというやり方からするならば卸屋さんは複数でやらしてもらえぬかという声があるけれども、  これについてどうするのか。  第三番目、大口需要者の問題。これは先ほど出ておりましたけれども、従来は、当然のことながら小売業者から持ち込まれるということになっていたわけです。そういう小売業者から入るという体制が崩されてしまうことにならないのかという心配、これに対してどうこたえられるのか。三番目ですね。  それから四番目に、やみ業者の問題が先ほども出ていましたけれども、要するに調査するにしても何をするにしても、都道府県に権限が全部あるわけです。したがって、都道府県の側では人的にも大変だ。たとえば東京都の米穀課というのはたった九名しかおらないのです。東京都で九名ですから他の府県へ行ったら推して知るべしです。そこで、その九名で新しい認可の問題から、やらなければならないことをこの間聞いたらずいぶんたくさんあるのですよ。こんなもの九名でやれますかと言われた。私もあっと言わざるを得ぬのですよ。食糧事務所の方へ行きますと三百二十九名もおられる、あちらの方はどういうお仕事をされるのですかなんてひやかされました。  そこで、やみ業者の取り締まりの問題だけではなくして、現に都道府県に権限が持たれていろいろされる。先ほどからの答弁を聞いてみても、地域の実情に合うようにと、地域地域と何回も出てくる。地域ということは都道府県の側に仕事が移っていくということになるわけですよ。そして都道府県の側が民主的に仕事をするためには、適正化協議会など積極的な意見を聞いていろいろな処置をしていってもらうということをしてもらわなければならぬ。そういうことになってくると都道府県はたまったものじゃない。ここに対してどういう対処をされるのか。  以上、四点について簡単にお答えをいただきたい。
  224. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 改正食管法政省令検討は、現在進めておるところでございます。  まず御指摘小売販売業者の許可要件に関する件でございますが、まだ成案を得る段階には至っておりません。概括的なお答えを申し上げますと、おおむね現行要件を基準に考えて支障はないというふうに考えておりますが、ただ、現行要件でも、地域の実情に応じまして差を設けておりますし、山間僻地あるいは離島等の特殊な条件等を考えたきめ細かい運用が可能となっておりますので、大方はそれで対応できると思います。  ただ、御指摘がありましたなお要件に満たない欠格小売と申しますか、そうした小売販売業者、全国的に見ますと約一割近く存在すると思います。こうした実際的な問題としては、経過措置として特例的に許可を与えるような方向で検討いたしたい、こういうふうな感じを持っておりますが、なお、とは申しましても、許可後一定の期間内には許可要件を満たすように経営努力をしていただきたい、こういうことも条件として考えて、先ほど申し上げましたおおむね現行要件を基準に考えてはいかがかという段階でございます。  二番目に、複数卸の問題が出ております。かねてからの懸案の事項でもございまして、これによりまして小売販売店におきます品ぞろえを確保するという点で積極的に導入すべきだ、複数卸制をしくべきだという御意見もございます。一方、卸、小売を通じます流通ルートの特定化をするのは、やはり今度の改正食管法の趣旨でもございまして、この趣旨からすれば、従来どおりの結びつき登録であるべきだという強い意見もあるわけでございます。  なお、そうした間の意見としましても、私どもが問題意識として持っております卸間の玉融通という問題もございます。卸間におきます玉融通が非常に有効に機能いたすならば、消費者への品ぞろえ等にも十分対応できるのではないかという御意見もございます。この問題についてはまだ検討中でございますが、こうした意見を踏まえまして、今後さらに煮詰めまして結論を出したい、こういうように考えております。  第三点でございますが、大口外食産業の問題につきまして、先ほどもお答えしましたが、相当流通量に達しておりまして、私ども食糧管理をする立場から申しますならば、その業務内容を的確に把握して必要な規制なり指導を行うことも必要だと考えておりますし、一面では米の消費拡大という見地からも、やはりこの種の大口外食産業需要に応じた供給の道を開くことも必要ではないかと思っております。目下、関係各方面意見を聞いておる段階で、まだ具体的な成案に到達はいたしておりませんが、御指摘の点につきましても、検討の際には十分配慮しつつ対応いたしたい、このように考えております。  最後に、第四点でございますが、御指摘の点は恐らく販売事業段階、これは許可、指導等の責任者は都道府県知事になるわけでございますので、都道府県知事、部局が表立ってやっていただかなければならないというふうになりますけれども、御指摘のような食糧事務所の要員もおりますので、できるだけ食糧事務所の要員を活動をさせまして、都道府県を十分補うようなあるいは補う以上の働きをするように私どもから命じております。  具体的には、大都市府県につきましては、食糧庁の幹部もそれぞれ都道府県の幹部と会いまして、そうした協力体制について私どもの意向もよく伝えまして、業務の運営に支障のないように十分な協力をするように指導しております。また、今後もそうした点を遺憾のないように措置したい、このように考えております。
  225. 寺前巖

    寺前委員 なお、もう一点だけちょっと聞いておきたいのですが、ブランチの小袋販売ですね。これは小売屋さんが小袋をやるということも当然認めることになるのでしょうねということと、それからブランチの配置が、先ほども出ておりましたけれども、これは店そのものも十分小売屋さんや消費者意見も聞いて、すなわち適正化協議会などでよく聞いてやってほしい思うのですが、このブランチの配置についてもよくそういう意見を聞いて配置をするように指導されるのかどうか、この点だけつけ加えて聞いておきたい。
  226. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 ブランチ問題につきましてもまだ結論は得ておりませんが、おおよそ御指摘のような問題意識は持っておりまして、何にいたしましても小売の中心は配達販売を主体とします米穀専業店が中心であろう。この経営安定というものを中心にしながら、やはり店頭持ち帰りという販売なり新しい需要形態にも対応しなければならない、多様な店舗展開をしてもらいたいということでブランチ問題が出ておるわけでございます。その際には、私どもとしましては、全国一律ではなくて、一定地域既存小売業者なりがその市町村内において小袋詰めの精米なりを販売する出店販売店ブランチを設置することができるような方向で検討してはいかがかと考えております。  なお、その基準については、全国的な考え方での基準と、一方では、ただいま御提案のありましたような県段階での適正化協議会と申しますか、商業調整等をあずかります審議会などを設けることも検討中でございます。そうした審議会なりの意向を反映しながら、実態に即応した店舗展開が図れるように私ども措置したい、こう考えております。
  227. 寺前巖

    寺前委員 時間も大分過ぎましたので、この程度で終わりたいと思います。  次に、ちょっと林野庁お見えですか——済みません。  先ほどから統廃合問題をめぐっていろいろ意見が出ておりました。私も、統廃合というまた新しい作業をされるようですから一言聞いておきたいと思います。  五十四年の段階において、九営林署の統廃合が行われました。これが一体今日どういう役割りを果たしているのかということを見ないと、法律があるから、あるいは行政のいろいろな処置をしなければならぬかということだけではいかない責任があると思うのですね。過去のやったことがどうだったかということを反省した上で、次への段階というふうにやるべきだ。そういう点で、この間うちからわが党も野間議員を先頭として、いろいろ過去に統廃合されたところとかあるいはこれからやろうと言われているところなどについて調査に行ってもらって、私その報告を聞いたのです。過去にやったところの例で言いますと、長野県の妻籠営林署というのが三殿営林署へ統合されているのですね。そこで聞いてみますと、南木曽町というところでは床浪地区、三ツ又地区など当時から不良造林地が相当あったんだけれども、その後ヒノキの造林地でカモシカによる被害にかかっている。五十三年当時の当局の調査によると、六十七・三九ヘクタールであった。ところが、ことしの六月十日の調査によると、三百三十四ヘクタールと五倍からふえているわけですね。地元の人たちは、少なくともこの被害を受けている七割の二百二十ヘクタールは改植をする必要がある。ところが、現在の方針は、そのまま放置して天然更新でいくというふうに言われている、こう言うのです。私は、こういう山の管理の仕方でおって、この統廃合、ますます一番の幹部がおるところが減っていくというやり方でもって、山の管理はこれでいいのだろうかということが気になって仕方がない。こういう問題について、過去に統廃合したところが悪い管理になっている以上は、まずここのところをどう改めるのかという方針をちょっと一回聞かせてほしいな。これが統廃合問題をやる上においてまず聞きたい一つなんです。  それから、いまの山の被害状況が六倍から広がって、天然更新だと言っているだけじゃなくして、この統廃合前の五十三年七月一日では百四十二人の職員がおった。統廃合の時点になるとそれが八十八人に減っている。そしてその後、自然淘汰か何か知りませんけれども、ことしの一月一日になると八十三人になってきている。こうなってくると、五十三年当時の六割になってしまっているわけですね。職員の配置の面からも、こんなことで管理が果たしていいのだろうか。この統廃合後の現実というものは、山の管理のあり方として適切を欠いているのじゃないかというふうに私は率直に感ずるのだけれども、この点に対する見解を聞かせてほしいと思うのです。
  228. 秋山智英

    ○秋山(智)政府委員 五十三年に九営林署の統廃合を実施した次第でございます。私どもの考え方といたしましては、これはあくまでも間接管理部門を合理化いたしまして効率的な事業運営をやろうということでやっておるわけでございますので、長期的に見ましてこの管理部門が簡素化するわけでございますし、また間接管理部門が簡素化されることによりまして経費も節減されることでございますので、直ちにそのまま財政的に改善につながるとは考えていませんが、あくまでも長期視点に立ちましての改善合理化でございますし、さらに現場部門につきましては、その余力をもって充実していこうというふうな基本的考え方に立っております。  そこで、いま御指摘の長野営林局の妻籠を三殿に合併した件でございますが、ここにつきましては私も当時現地へ行ってまいりまして、確かにカモシカの被害が出ておるわけでございます。このカモシカの被害につきましては、環境庁、文化庁と私ども三者で今後どう持っていくべきかということを現在検討し、全国に十カ所ぐらいの保護地区をできるだけ早くつくりましてその対応をしながら、一般の林地につきましては頭数調整をするというような形になっていますが、実はいまだ妻籠地区につきましてはそういう地区ができ上がっておりません。したがいまして、このカモシカの被害防止につきましては、いろいろと防止の方法をとっておりますが、現在なかなかできないという段階にありますので、防止対策を抜本的にとりながら進めてまいるということでありまして、私ども決して手を抜いているところではございません。  それから、この妻籠地区につきましては、かつての伊勢湾台風で大分荒れた跡が出てまいったのですが、こちらの治山事業につきましては、従前に対しまして二・五倍の経費を投入しながら、森林の造成の基盤をよくするべく努力していることも申し添えたいと思います。  以上です。
  229. 寺前巖

    寺前委員 それで地元の人たちは、少なくとも七割くらいは改植をしていかないかぬのと違うか、当局では十五年くらいの生育したものをそのまま放置して、天然更新でいく方針だというようなことを言っておられるけれども、それでは山の荒廃につながるのじゃないか、もとここに営林署を置いていただいておったときは、そういう話がずいぶんいろいろやれたものだけれども、いまでは、おらぬようになってからというものは、そういう態度のままで山の荒廃が放置されているというて非常に心配しておられる。だから、過去にやったところでこういう事態が生まれてきているということから、これらの問題については山の天然更新という方針であるとするならば、それは全面的にもう一度見直してもらう必要があるのじゃないだろうか。それは人の面においても、六割くらいの人になってしまって、これでいけるんかいという問題も同時に伴っているんだから、これは私はぜひとも個別の問題としても見直していただくということをひとつ提起をしておきたいと思うのです。これが一つです。  それから、これからやられるという長岡の営林署、これは報告を聞きました。単に報告を聞いただけではなくして、おまえ行かなかったのだから写真見せたるわ言うて写真まで持ってこられた。カラー写真で持ってこられたんですが、どういうことかというと、新潟県の下田村大谷というところの山ですね。国有林と民有林——これは国の土地を借りて民有林があるというんですよ。同じところで、ともに十五年の杉が生えている。ところが民有林の方は幹の直径が二十センチ、国有林の方は十センチだ。写真でも見たらわかりますけれども、民有林の方は杉が明確にだあっと写るんですよ。ところが国有林の方になってくると、これはいろんなものが巻きついておって、杉の木が見えなくなってしまう。これは一体どうなっているんだ。そこで、その村の人に聞いてみたら、国有林の下刈りとか倒木起こしとかのやり方と、県が指導している林業改良指導員というのですか、あの方が指導して、そして民有林をやっているやり方との間には大きな差がある。たとえば下刈りの場合は、民有林は七年間、国有林は五年ないし六年、倒木起こしは、民有林の方は十三年、国有林の方は二年、五年、六年、七年というふうに間引いてやって、この十三年の間に結局四回。そういうやり方の違いまで出てくる。何でこんなやり方の違いが出てきますのやと言うと、これは人の問題ですわ、そこまで力が入れられない体制になっている、これてはしゃあないなと、私、——委員長、ちょっと写真使わしてもらいます。(写真を示す)これ、杉が国有林の中でかぶってしもうて、全然見えへんようになっているんですわ。  それから、同じところで、これは十五年生ですが、いまの新潟県の状況でいいますと、これは私、何ももみじを見に来ているんじゃないんで、この青々しているところは、同じところでも民有林、このもみじの非常にええところは国有林。何でもみじになっているんや、杉はないのか言うたら、杉はこの中にありますよ、手入れが悪いとこうなってしまいますと言う。こういう事態になってしまうんだ、手入れの問題というのは非常に重要なんだということ。現状でもこうなのに、これを統廃合して、従来の経験からいうと人まで減っていきょる。しかも、最も有能なのかどうか、私知りませんが、やはり幹部職員というたら有能な技術者でしょうな。署長さんやら課長さんやらというのは経験豊かな人なんでしょう。そういう方々が遠いところに一人行ってしまって、そこの署がなくなっていったら、そういう管理部門の非常に有能な技術者が現地にますます行かぬようになってきたならば、これは管理のあり方としても困ったことになるのじゃないだろうかと私は思う。しかも、長岡で見ますと、管理面積が四万八千ヘクタールのうちで保安林が三万六千ヘクタールだというのです。公益機能面から見ても、この長岡の営林署管内の山をどう管理していくかという問題は私は非常に重要だと思う。だから、そういうことを考えてみると、ここの市町村から待ったをかける意見書が出てくるというのは当然だということになるわけなのです。  営林署というのは、大体いろいろなところを調べてみてもそうです。山形県の古口という営林署を見てみると、昭和十五年に営林署をつくるときには、当時村から三万二千円のお金を出して、そして経費の五〇%、三万二千円のうちの五〇%、一万五千円を集めてこの営林署をつくったものだ。そして、村内の七〇%が国有林で占めておって、村の雇用は延べ一万六千五百六十九人なんだ。営林署がなくなっていったら過疎に拍車をかけることになるではないか。だから、村長を先頭として何とかしてくれということで、私、電話で聞いてみても、聞くところ聞くところ、先ほどおっしゃったようによく理解をいただきましてどころじゃなくして、こんなこと理解ができませんというのが共通した意見となって統廃合に対する反論が出てくる。先ほど新盛先生がおっしゃったように、ああいう奄美大島みたいなところになってくると、私は大変なことになると思う。しかも、過去に行われたところで営林署があったところには事務所を置いておきます、こう言うけれども、事務所へ行ったって権限がないんだから、相談にならないからといって、結局署に行かなければならぬ。だから、事務所に訪ねてはきませんよということをちゃんとみんな言うわけなんですよ。そういうことを考えてみると、この間うち聞いてみたら、いや、事務所を置いて用事があったら私の方から権限のある者が行きます、こう言うけれども、何、そんなことしてくれたことない、こう言いますよ。そうすると、いまのままで納得のいくようなやり方が果たしてできるのだろうか。このことについてお答えをいただきたいと思うのです。
  230. 秋山智英

    ○秋山(智)政府委員 お答えします。  先ほどの妻籠の関係につきまして、若干数字で恐縮でございますが申し上げますと、定員内職員が五十四年三月に三十七名でございましたが、五十六年九月、三十九名でございます。それから、定員外職員が五十四年三月、五十一名でございましたが、現在退職等もございまして四十一名ということになっておりまして、全体的にはほぼ横ばいであるというふうに御理解いただきたいと思います。国有林全体も、現在要員を適正化している関係もございまして、若干落ちているわけでございます。  それから次に、生育不十分な造林地の早期解消の関係でございますが、五十四年四月一日付でこの数字を前国会で申し上げましたが、そのときに対しまして五十五年度末には四六%は一応解消したわけでございますけれども、残りの部分につきましては、カモシカの被害もございますので、これとの関係におきましてこれから対処してまいりたい。  それから次に、早期に保育を要する造林地でございますが、これにつきましては五十五年度末八四%解消しておりまして、五十六年度中には全部解消する予定で現在仕事を進めておるところでございます。  なお、私どもの一番の使命は、先生も御指摘でございましたが、緑の活力ある森林をつくるということでございますので、その点につきましてはできるだけ現地に職員を、余力を充当していくということでございまして、現場の監督事務所等につきましては、さらに要員を充当するということであります。あくまでも間接管理部門の簡素化でございまして、現地の山はよりよくすべくこれからも対処してまいりたい、こういうことであります。  なお、地域の監督事務所等におきましては従前同様事業を進めておるわけでございますので、地元の皆さんを雇用いたしまして、造林事業、治山事業、林道事業をする場合におきましては従来と全く変わりなくやってまいりたい、かように考えておるところでございます。
  231. 寺前巖

    寺前委員 お約束の時間が来たのですが、一言だけ、せっかくの機会だから山の話を聞きたいと思いますのは、マツクイが依然として猛威をふるっている、どうするんだということと、それから、マツクイと違って今度は、実際の住宅にも関係する杉、これの分野に対してタマバエとかスギカミキリとか、大変なこれまた被害が発生しつつある、これに対する対応をどうするのか。聞いてみたら、林試の九州支場というのですか、あそこでちょっと研究しているということのようですけれども、これは予算もきっちりつけて特別研究を緊急にやらなければいかぬ段階に来ているんじゃないだろうか。私は、松も大切だけれども杉は直接的な面からもいま軽々しくこれを見ておくわけにはいかない。これについてどういう対応をしておられるのか特別に聞きたい。  それから同時に、山が間伐をしなければならぬ段階にずっと来ているわけですが、これが、金にならなかったら切らないことになってしまうのです。金にしようと思ったら、切った木をマーケットで物になるようにしなかったらだめです。そのマーケットまで持ち出すところの対策は一体どうしているのか。このことだけ聞いて終わりたいと思います。
  232. 秋山智英

    ○秋山(智)政府委員 まず第一は、マツクイムシ対策でございますが、マツクイムシ防除の特別対策のための法律が来年の三月で一応失効いたしますので、今度は、空中防除等ももちろんやるわけでございますが、重要森林等につきましては、地上におきまして伐倒、チップ化、焼却等によりまして徹底駆除するというふうな方法をとりますし、さらに、地元市町村の協力を得ながら総合的に実施するということで、現在それの法的措置につきまして検討を進めておるところでございます。この法律は御審議をいずれいただくことに相なると思いますが、何といたしましてもわが国の松はきわめて重要でございますので、これの万全を期すべく今後さらに検討してまいりたいと思っております。  次に、ただいまございましたスギザイノタマバエの被害でございますが、御指摘のとおり九州地方におきまして約一万七千ヘクタールの被害が出ております。これの性格を申しますと、虫が皮の中に入りまして形成層に何と申しますか消化液を流しまして、それで色が着きまして材木の価値を下げるということでございます。したがいまして、現在これにつきましては間伐等の方法によりまして空気の流通をよくするということを当面やっておりますが、さらに現在試験研究といたしましては、国立林業試験場、都道府県立の試験場等におきまして、この害虫の生活史の解明あるいは基礎的研究をいたしまして、特に、何と申しますか産卵木の選択後どうなってくるのかというメカニズムの問題あるいは発生環境等がきわめて不明確でございますので、これにつきましては五十六年度から実は試験をしておるところでございます。これは非常にむずかしい面もございますが、杉材につきましてはきわめて重要な木材でございますので、ぜひとも早急に解明したいということで現在努力をしておるところであります。  なお、今後の研究対策につきましては技術会議の事務局長の方から答弁をお願いいたします。
  233. 川嶋良一

    ○川嶋政府委員 ただいまお答え申し上げましたようなことでございまして、五十六年度から九州五県に補助金を出して研究しておりますが、この結果等も踏まえまして今後さらに本格的な研究に進展をするよう検討してまいりたいと思っております。
  234. 秋山智英

    ○秋山(智)政府委員 次に、間伐材につきまして御説明申し上げます。  先生御指摘のとおり、わが国におきましては戦後拡大造林を大々的にやりまして、すでに人工林が一千万ヘクタールぐらいに達しておりますが、その中で間伐を要する面積はきわめて多うございます。特に緊急に要するところがやはり百万ヘクタール等はございますので、私どもといたしましては、五十六年度の予算におきまして間伐対策の総合事業というのをいたしまして、いわゆる間伐から素材生産業、伐倒して搬出する林道というふうな、そういう総合的な助成大綱をつくったわけでございますが、さらに明年度にかけましては、間伐の需要情報と生産情報をマッチするシステム化が必要でございますので、そういう情報流通システムの対応の問題と、もう一つは間伐をするための資金が非常に必要でございますので、この間伐促進対策資金というのをファンドとして設けることによりまして全体的な総合対策としてまいりたい、かように考えて現在対策検討中でございます。
  235. 菊池福治郎

    ○菊池委員長代理 小川国彦君。
  236. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、第二臨調の作業が進んでいる中で、これからいよいよ来年度においては特殊法人のあり方の問題がただされてくると思うわけであります。それに先立ちまして、国会の中でもこの特殊法人のあり方というものが徹底的に解明されていかなければならない、こういう観点から、中央競馬会の問題について質問をいたしたいと思います。  最初に、きょうは参考人の出席で大変御苦労をおかけしましたが、自民党の皆さんの大変な御理解理事長に御出席願って、まことに御苦労さまでございます。しかし、私は、今後、こういう委員会には、やはり特殊法人の理事長が各省庁の局長あるいは課長並みに気軽に出てこられるような慣習が国会の中につくられるようにお願いをしてまいりたいと思います。  最初に、私が十月二十一日の委員会で競馬会の理事長に質問をいたしました答弁の中で食い違っている面がございますので、まず、これの訂正をお願いしたいと思うのでございます。  私が、昭和五十五年のハイヤー、タクシー代、これを質問いたしましたときに、三億一千万、こういう答弁をいただきました。その中で、役員のハイヤー代が年間四千八百十六万円に上っている、こういうことについて内村参考人の答弁は、「ハイヤーの使用はすべて総務部で管轄しておるわけでございまして、総務部の使用額がそこに上っているわけでございます。したがいまして、お客さんが見えたときお帰しするとか、その他のものも入っておりまして、全部役員が使っておるわけではございません。」ということで、この答弁でまいりますと、私が指摘いたしました役員室の金額というものは総務部の方で掌握している、こういう答弁をなすっているわけでございますが、その後、私が資料で調べましたところ、役員室として昭和五十五年度ハイヤー代は四千八百十六万円、総務部として四千百五十五万円、合わせて八千九百七十一万円使っているわけでございますから、この点は役員室と総務部のものは別個である。このことをまず答弁でひとつ明確にしていただきたいと思います。
  237. 内村良英

    ○内村参考人 ただいまの点につきましては、御指摘のとおり、役員が四千八百十六万、総務部が四千百五十五万でございまして、私のノートのとり間違えでございましたので、訂正いたします。
  238. 小川国彦

    小川(国)委員 その場合、そういたしますと、総務部の掌握しているハイヤー代というのは、人事部、経理部、審判部、業務部、投票部、施設部、馬事部、環境保安部、電算部、トレーニング・センター計画室、こういうものが総務部のものになってまいるわけでございます。そうしますと、役員室の四千八百十六万というのは、私が指摘したように、役員の方々でこれが使われている、こういうふうに判断したいと思うのです。そうなりますと、やはり八人の役員で使えば一人当たり五百万のハイヤー代になってくるわけなんですが、その点、役員だけでこれが使われているのか、あるいはおっしゃるようにこの中にお客さんのが入っているとかあるいは報道関係のが入っているとか、そういうふうにおっしゃられるなら、私が聞くところでは報道関係の方はこういうのは使ってないと言われておりますが、一体これは役員だけで使っているのか、その他のものがどの程度入っているのか、この点をはっきりさせていただきたい。
  239. 内村良英

    ○内村参考人 役員のハイヤー代につきましては、ただいま申し上げましたように四千八百十六万円でございます。競馬会は、数年前までは各役員が車を持っておりましたけれども、現在競馬会で役員用の車は二台しかございません。したがいまして、ハイヤーを使っているわけでございます。ちゃんとした車を持ち運転手を持ちますと相当の経費がかかるわけでございまして、その点からいって合理化されているわけでございます。  それからさらに、役員だけかと申しますと、役員のお客さんが来た場合にお送りするとか、そういう経費もこの中に入っております。
  240. 小川国彦

    小川(国)委員 至極当然のような答弁をされているわけでありますが、私は、常識的に考えまして三億一千万というハイヤー、タクシー代は、一般の企業と比較しても他の諸官公庁と比較してもきわめて高い使用代である。したがって、こういうものの使用額については、千八百人の職員のうち最高に使用いたした者はだれであるのか、上位の者から少なくも百名ぐらい挙げてほしい、どういう部門でハイヤー、タクシー代が大変にかかっているのか、そういうことを求めたわけでありますが、これは不明でございますね。
  241. 内村良英

    ○内村参考人 先生御案内のように、日本中央競馬会は土曜、日曜日大体一月三カ所の競馬場において競馬をやっておりますことは御承知のとおりでございます。したがいまして、通常の特殊法人とは違ったいろいろな面の経費がかかるわけでございます。タクシーの場合もそうでございまして、大体役員は各月三カ所の競馬場に開催委員長として行っておりますし、土曜、日曜休まずにやっておるわけでございます。したがいまして、そうした業務の特殊性から普通の特殊法人、いわゆる事務をやっているだけの特殊法人とは違ったいろいろな経費がかかることは御了解願いたいと思います。
  242. 小川国彦

    小川(国)委員 私は、その支出の経費がかかるというものは、それは当然かかっていいわけなんです。ただ、明細が明らかでないというところに問題が出てくる、こういうことを申し上げておるのです。なぜならば、電電公社において近畿電気通信局で大変な空出張の問題が起こった。五十三年に一億四千五百万、五十四年には一億二千三百万、近畿電気通信局でこういう空出張があった。あるいは東北電気通信局でも、五十三年に五百万、五十四年に六百八十万という空出張の旅費日当、こういったものの不正使用、不当使用が問題になってきている。昨日も私は電電公社の方に電話をして、こういう事態が起こった一番の問題はどこにあったかということを伺ってみましたら、中央競馬会のように手書きの伝票処理でこういうものをやっていて、総合的にどの部、どの課が幾ら使ったのかという掌握がコンピューターの中に入っていなかった、そういうことが電電におけるあのような大変な不祥事件の原因になっている。そういうことから考えますと、皆さんの方のハイヤー代もいろいろ、ああ使った、こう使ったという理由はわかる。だけれども、ハイヤー代で言えば役員室で四千八百十六万出てきて、総務部で四千百五十五万出てきて、あとそれぞれの部でどう使ったのか、個人でどう使われたのか、企業ではこういうところがコンピューターに明確に入ってきている。電電もこの反省の上にこれをコンピューターに入れたのです。競馬会はこういった三億一千万のハイヤー、タクシー代が各課ごとにはわからない、いわんや個人においてはなおさらわからないという状態で、私が、膨大な使用量なんだからどういうところで本当に必要があって一番たくさん使われたのかということを出してほしいと言ったが、三カ月たっても資料が出てこないというのは、コンピューターを入れながら手書きでやっていんるという前近代的な競馬会のやり方が問題だからなんです。理事長は、この間、これをコンピューター化するという考え方を述べられたのですが、私は、具体的にいつこれの改善に取り組む考えがあるか、それを明確にしていただきたいと思います。
  243. 内村良英

    ○内村参考人 先般も御答弁申し上げましたように、コンピューター化の時代に入って競馬会がまずやらなければならなかったことは、勝馬投票券のいわゆるトータリゼーターの機械化であったわけでございます。その後、事務の面につきまして現在コンピューター化を進めておりますけれども、まだソフトの開発をやらなければならぬような面もございますので、なるべく早く機械化はしたいと思っておりますけれども、まだ来年というようなわけにはまいらない状況にございます。
  244. 小川国彦

    小川(国)委員 来年でなかったらいつになるのでございますか。
  245. 内村良英

    ○内村参考人 トータリゼーターのユニット化と言われている問題が片づくのが五十九年でございます。したがいまして、私どもといたしましては、それと並行してやらなければならないわけでございますが、なるべく早くということで、ここでいつということを申し上げるわけにはいかない、現在いろいろ準備中でございます。
  246. 小川国彦

    小川(国)委員 あなたのおっしゃられることは、私どもも調査をしている。あなた方が勝馬投票券のユニット化を進めていることは私どもも十分承知している。あなた方はすでに職員給与人事管理システムという、勝馬投票券とは全く違う内部処理の、事務処理のためのシステムを五十三年に一千万円、五十四年に九千六百万円、五十五年に六千四百万円、合計一億七千万円かけて完成しているのですね。この中には当然給与、あわせてこうした旅費、日当あるいは交際費、食糧費それからハイヤー、タクシー代、こういうものもシステム化できる状況をも備えているわけです。一億七千万もの金をかけて内部処理のためのコンピューター化を終えているはずなんです。この中になぜこういうものを組み込むことができないのかということなんです。
  247. 内村良英

    ○内村参考人 御指摘のとおりソフトウエアの開発を私どもはやっているわけでございます。そこで、体系ができたときにどういう項目をプットインするかということについてさらに現在検討中でございますので、先生から御指摘のありました個人別の旅費の問題につきましても、できればプットインしたいと思っております。
  248. 小川国彦

    小川(国)委員 プットインするという考え方を示されたのですが、それはそれで、ぜひそういうことで第二のKDDや電電事件を引き起こさないように速やかな処理を図るべきだと私は考えます。  なお、この職員給与の人事管理システムの業者発注額ですが、これは私どもが調査いたしましたら、法外に高いソフトウエアの開発費を払っているわけです。私は、これについて民間の企業三社にソフトウエアの開発費の内情を調査していただきました。さらに、専門家によってもこれを調査していただきました。そうしましたら、こうした職員給与の人事管理システムのソフトウエアの開発というのは、普通一年以内で終わるのが世間の常識。それに三年もかけて一億七千万円をかけ、それから五十六年度もまた三千七百万円の改造費を計上しているわけです。しかも本年はベースアップのための改造費ということを言っているのですが、一年で済むソフトウエアの開発を三年をかけて、しかも一般的には、三社の見積もりを聞きましたところが、いずれも四千万円かどんなに高くても五千万円でこの開発はできる。しかも一年でできる。これを皆さんの方は三年で一億七千万円かけてやって、またことしも三千七百万円の改造費をかけて改造をしようとしている。ことしの改造は一体何のためにおやりになるんですか。
  249. 内村良英

    ○内村参考人 競馬会の人事管理システムの開発は、一般人事管理面でも特に労務管理統計資料に比重をかけたこと、それから最近開発されました管理システムを採用したこと等によりまして、従来の管理システムよりも、ステップ数というのはプログラムの数量でございますが、約二〇%増加する等によるものでございまして、五十四年度、五十五年度の見積もり開発量は二十三万四千七百八十ステップになっておるわけでございます。システム設計からシステムテストまでの一人当たりの標準作業量は月当たり八百ステップで、この基準を適用いたしますと、大体二百九十三人月を要することになっておるわけでございます。しかし、委託契約につきましては二百六十三人月でやっておりまして、所要人数を少なくしておるわけでございます。  以上のような状況で、特に過大な支払いをしているということは全くないわけでございます。それから、時間をかけておりますのは、そういったようなことがございまして時間がかかっておるわけでございます。
  250. 小川国彦

    小川(国)委員 五十六年の改造費は何のために組まれておりますか。
  251. 内村良英

    ○内村参考人 五十六年の改造につきましては、税額表の改定、保険料の算定表の変更、職員、従事員の追加登録、削除等に伴う維持作業について追加をしておるわけでございます。
  252. 小川国彦

    小川(国)委員 これが非常におかしいわけです。普通どこの民間会社に聞いても、皆さんのように四年もかけて人事管理のコンピューターをいじっているところはないと言うんですよ。一年間で、たとえば四月に労災保険の算定基礎届けをやる、八月に社会保険のやつをやる、暮れに年末調整をやる、税金の調整もやる、これは一年度で全部入ってしまうと言うんですよ。それを三年かけてやる。それからまた税額表、保険表というのは一遍機械に入ればその修正は必要ないんだ。それから皆さんの方は五十六年度はベアのためと言っているんですが、ベアは初年度に機械をつくるときにそのベアを予想したものがもうプログラムに入っているはずだというんですね。だからこれはまさに、金が余っているからたくさんな金をトータリゼーターに払いたいために、あるいはトータリゼーターじゃなくてこの場合には情報産業研究所という名前だと思いましたが、そこに支払われたのは四年度にもわたって、しかもこれからやるということも常識では理解できないというんですね。その三つの企業、それから専門家、皆さんが異口同音にこんなことをやってどうなのか。いまそのステップ数が多くなっているとおっしゃいましたが、確かに昭和五十四年、五十五年契約の皆さんのプログラムのステップは二十三万四千七百八十ステップになっている。これはどこの関係者に聞いても十万ステップで間に合うと言うんですね。たとえば人間の言葉で表現するのに、何々「です」と言えば二字で済むものを、「というわけでございます」と言うと十一字になると言うんですよ。だから、「です」で済むプログラムの開発を、「というわけでございます」という十一字にくどくする。それから、たとえば犬に対して石をとってこい、こういうときに、最初に石をとってこいと言うからただ石をとってくる。今度その犬に、じゃ石は黒い石だから、黒い石をとってこいと言う。とってきたら、今度は大きい石をとってこい、とってきたら、それは何センチの石だ、今度はどんなにおいのする石だ、こういうふうに一回ごとに注文をつける。最初に、どういう大きさの石で、そして何色の石で、そしてどういうにおいのしている石だとか、最初にぴしっと言って一回で来て済むものを、何回も何回も往復させているから皆さんの方がステップが多くなって、見方によれば通常の三倍、少なく見ても二倍のステップを踏んでステップ数が高くなるから当然経費も高くなる、こういうことで一億七千万余の金を払い、そこにまた初年度において繰り込んでおかなければならないベースアップのものをまたことしも追加して、三千七百万も払おうとしているのですね。これは大変なむだ遣いだということなんです。  会計検査院の方、おいでになりましたら、こういうソフトウエアの実態について検査院として検査なさっているかどうか、ちょっと御意見を聞かしていただきたい。
  253. 中北邦夫

    ○中北会計検査院説明員 お答えいたします。  競馬会におきましてソフトウエアの計画を進め、急激にふえておりますので、検査におきましてもソフトウェアはほとんどが人件費でありますので、他団体と比較した経費面に重点を置いて検討をいたしておりますが、ソフトウエアの内容についてはまだ詳細な検討は行っておりません。しかしながらここ数年、ソフトウエア開発が著しく増加している状況にかんがみまして、今後はより一層ソフトウエアの検査につきましては強化していく所存でございます。
  254. 小川国彦

    小川(国)委員 競馬会の方は私のいま指摘してきた点についてはどういうふうに内容を把握されておりますか。
  255. 内村良英

    ○内村参考人 ソフトウエアの開発の点でございますが、ソフトウエアの開発を依頼する場合には、同時にわが方のいろいろな面について、業務の面について、事務処理の面について詳しい職員が一緒に協力しなければできないわけでございます。  そこで、そういう通常業務を担当する職員が少なかったために、初年度はいわゆる基本設計しかできなかった、本格的なソフトウエアの開発は二年度に行いまして、三年度から本格的な実施に入っているというようなケースが多いわけでございます。したがいまして、ソフトウエアの開発をやる場合には必ずこちらのいろいろな事務処理についてよくわかってもらわなければなりませんので、そういうことで多少時間がかかった面はございます。それから、さらにいろいろ変わることがございますので、それを新たにまた組まなければならないということになるわけでございます。
  256. 小川国彦

    小川(国)委員 理事長、それは勘違いをなすっているのじゃないですか。皆さんの方で、先ほど競争馬の投票システムなどについては富士通とか日立とかトータリゼータの間で皆さんの内部にそういう熟知の職員がいなければならないということですが、職員給与の人事管理システムについては、三年も四年もかけてやっているというところは日本じゅう探してもないということなんですよ。ですから、そういうことについて四年もかかって職員に熟知させなければならないという理由は、世間において通用しない理由だということなんです。ですから、皆さんの方でこれが正しいというふうにおっしゃるならば、いま私が申し上げたように、皆さんのステップの内容というものを専門家につぶさに検討してもらうと、大変な回り道をしてステップを踏んでむだ遣いをしている、こういう指摘がもう周知の事実なんです。この点については皆さんの方で、じゃなぜこういうふうな一億七千万になり、さらに三千六百万円を必要とするか、こういう理由、経過、どういう形でこうなったのかという、かかった経費の内容ですね。いま答弁では、労務統計が入っている、あるいは管理システムがある、税額表が入った、保険表が入った、何が追加で入ったと言いましたが、じゃ、初年度はこういうことをやって、二年目、三年目、四年目にはなぜこういうふうにやってきてこれだけかかってしまったのか。こういう職員給与人事管理システムというのは、各業界の人に聞きますと、パッケージで売っていると言うんです。既製品で十分済むものだ。それでいけば三千万か四千万で済むと言うんです。それを皆さんの方は、新規開発と称して四年もかけてやって、いま理事長の答弁したことでは、世間的には通らない答弁だと思うのです。ですから、いま私の指摘していることをお考えになって、また会計検査院もこれから検討するという段階なんですから、だから皆さんの方でもこれについて内部検討して、なぜ四年かかるのか、こういう経過を報告してもらいたいと思います。
  257. 内村良英

    ○内村参考人 ただいまの御指摘の四年という点は、多少誤解がおありなんじゃないかと思うわけでございます。  職員給与人事管理システムにつきましては、五十三年の四月——九月に基本設計を行いまして、五十四年の一月に開発開始、それから実際に五十五年の一月に動いているわけでございますので、一年半ぐらいで実施に移しているわけでございます。
  258. 小川国彦

    小川(国)委員 いや、そういうことじゃなくて、それをつくって翌年に改造しなければならない職員給与人事管理システムはないと言うのです。一般には、あなたの言われた税率ももう決まっているものだし、保険表も決まったものだし、そういうことはもう当初から決まっていると言うのです。一それをあなた方のように、仮に一歩譲っても、二年もかけて基本設計をやっているところもなければ、稼働して五十六年にすぐ修正をしなければならない、そういうところはないと言うのです。  ですから、これについては、私はあなたと押し問答しても仕方がございませんから、納得のいく、じゃ、あなたの方はどういうふうに基本設計でプログラムの作成をやってきたのか、それでこういうふうに金がかかってきて、また、なぜ改造をしなければならなくなったか、それをひとつ説明する資料を出していただきたいと思います。
  259. 内村良英

    ○内村参考人 いずれにいたしましてもコンピューターのソフトウエアの開発その他に関する問題でございまして、きわめて技術的な問題でございますので、私どもの方から技術的に御納得のいただけるような資料を出したいと思います。
  260. 小川国彦

    小川(国)委員 続いて会計検査院にお伺いをいたしたいわけでございますが、会計検査院ではやはり中央競馬会の関係で日本トータリゼータに対しての検討をしてきているわけでございますが、この日本トータリゼータに対する保守料というものが大変な額に上っておりまして、五十一年二十三億、五十二年二十八億、五十五年は三十六億と、大変な保守料になってきております。皆さんの方の検査でも、五十四年の検査では、四億円中央競馬会が日本トータリゼータに払い過ぎた、こういう是正措置といいますか、不当であるという指摘をしておりますが、これは五十四年度だけで、五十三年、五十二年、五十一年と、この日本トータリゼータは中央競馬会から払ってもらったお金で大変な利益を上げておるわけなんです。五十二年では十億二千万、五十三年で十二億、五十四年で十六億、五十五年で十七億八千二百万ともうかってまいりまして、十七億八千二百万の剰余金があり、このほかに、剰余金と書かずに、隠し利益を特定引当金というので六億一千八百万円計上しているわけなんですが、こういうような実態にまでお触れになったかどうか。四億円をとり過ぎたという指摘だけでは、検査院の指摘としてはきわめて弱かったのじゃないか。そのために、こういう競馬会が子会社に大変な払い過ぎを続けて十七億もの剰余金をつくり、六億もの隠し利益を持っている。両方合わせると二十四億、これを中央競馬会が払い過ぎないでやっていれば、そういう中から国庫納付金もできるであろうし、ファンのサービスもできるであろうし、あるいは生産者の問題も解決がつくであろうし、そういうことにもなったであろうというふうに思うのですが、会計検査院としては、この点のさかのぼっての調査あるいはこういったトータリゼータがそういうことのために大変な剰余金まで持ってしまっている、こういう実態については、検査院としては御検討の中に入らなかったのかどうか。
  261. 中北邦夫

    ○中北会計検査院説明員 お答えいたします。  五十四年度決算検査報告には、先生御指摘のとおり日本トータリゼータ株式会社との契約につきまして保守整備が割り高であったとの指摘でございますが、そのような事態が五十三年度以前にあったということは私たちとしても十分わかりますが、私たちの検査では五十四年度の会計検査で処置要求をするたてまえで検査いたしましたし、そういう指摘をしますと、競馬会で早速契約を変更いたしましたので、処置済み事項としました経緯でございます。  いま十七億八千万プラス四億で非常にもうけ過ぎではないかということですが、五十四年において検討した限りにおいては、経費の中にこういう指摘をした以外には特に問題は見当たらなかったということです。
  262. 小川国彦

    小川(国)委員 会計検査院としては大変歯切れの悪い答弁で、私はソフトウエアの問題、ハードウエアの問題含めて、こういうコンピューターシステムの問題はまだ皆さんの方も態勢不十分というふうに伺っておりますが、結局これが子会社のもうけ過ぎになっていく。そういうことが、たとえば福祉財団の専務理事の場合には年俸一千百十三万という高給与を取る、あるいは財団法人畜産近代化リース協会でも年俸一千四十二万、さらに馬匹輸送という会社などでは社長が退職金を九千四百三十三万六千円と一億近い退職金を取る、そのために会社が五十五年度においては赤字になってしまう、こういう実態を生み出しているわけですが、農林大臣、こういう競馬会の子会社に対する過剰支払いの問題、これは会計検査院としても取り組みがまだ不十分な状況で、これから取り組んでいただく問題でありますけれども、農林省としても畜産局あり競馬監督課あり、こういうものをしっかりした監督指導の中で適正な運用をしていかなければならないというふうに考えますが、こういう子会社の経営の問題について、農林省として実質的な監督指導はどういうふうに取り組んでこられたのか、それから今後どういうふうに取り組むお考えがあるのか、それをお答えいただきたいと思います。——農林大臣質問しているのですよ。この間も私が大臣質問したときにあなた答弁に出たのだけれども、これは農林大臣見解を伺って、足りないところをあなたが補足するのはわかるのです。この間も私が聞いたときに、ほかのことを聞いているのにあなたが答弁に出ているのですよ。局長に聞いているんじゃないのだから、だれの耳でも農林大臣と私は言っているのだから、大臣に答弁をしていただいて、そして足りないところを補足するところがあれば局長が出てきて答弁する、それが常識なんですから、そういうふうにやってもらいたい。
  263. 石川弘

    ○石川(弘)政府委員 最初に事実の問題だけ答弁させていただきます。  いま先生御指摘の、各子会社と申しますか関連企業につきましては、たとえばいま先生御指摘の給与の水準等につきましては、中央競馬会の役員を退職してまいりますような場合に、平均的に六割ないし七割程度の給与水準に大体ならすとか、あるいはいま御指摘の退職金の問題につきましては、この方は実は三十四年間という非常に長い役員歴がございまして、先生から四月九日でございましたか御指摘がありました際にも、私は内部的に検討させていただきました。民間の給与水準というようなこと、あるいは民間の退職金水準というようなものも実はいろいろ調べてみたわけでございますが、なかなか役員歴三十四年というような対比すべきものが見当たりませんで、実は公庫、公団等の退職金の算定方式をとりますとあのような比較的高い金額が出るわけでございます。ただ、これは三十四年という非常に長い役員歴の方に特に出た事例ではないかと思いますので、私どもとすれば、いわゆる給与水準として一定の限度、それからそれの退職金の算定の仕方につきましては、やはり現在の公庫、公団の水準というものを大体頭に置きまして、それから最初に先生の申されました全体としてのいわゆる関連企業のあり方につきましては厳格に内容を見、あるいは契約の仕方等を見ていくつもりでございます。
  264. 小川国彦

    小川(国)委員 局長、答弁を買って出たけれども、私が指摘した内容を聞いておられたかどうか。私としてはまだまだ内容的にはかなり競馬会の運営は、あなた方の畜産局長のもとに競馬監督課というのがあるのですが、もう少ししっかりやってもらわないと、開催場を回っているだけではこういう子会社に対する過剰支払いの実態もわからないし、大臣によく説明しないから大臣も答弁されないのですが、大臣、いかがですか。大臣もまた、留任されるか、あるいは今国会で終わりになるかという立場でございますが、ひとつこのあり方について最後に一言大臣見解を承れればと思います。
  265. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私が辞令を渡した理事長が責任を持って日本競馬会を統括しておるわけでありまするから、私は理事長以下それぞれの任命された役職員が自分の職責を十二分に果たしておるということがひいてはこれだけの大規模の競馬が遅滞なく円滑に、円満に運営されておる、こう考えておるわけでございます。  そういう中であっても、やはり零細な庶民のふところから出てくるお金が集まって巨大な競馬会の収入になるということを考えて、批判を受けるような、常軌に外れたようなことはしておるまいというふうに私はあくまで善意に解釈すると同時に、それだけ、競馬監督の機構を預かっておる私といたしましても、十分合理的な経済的な、しかも倫理的な感覚を持ってその仕事を達成していただくようにいま強く要請すると同時に、畜産局長に対しましても、ことのほか批判の厳しい競馬会でもございますので、きちんとした指導をするように今日まで取り進めておるところでございます。
  266. 小川国彦

    小川(国)委員 終わります。
  267. 菊池福治郎

    ○菊池委員長代理 竹内猛君。
  268. 竹内猛

    竹内(猛)委員 私は、午前中にも質問があったと思いますが、最近の食糧事情並びにモチ米等の問題加えて食管法の改正に伴う政省令にかかわる問題等についての質問をしたいと思いますが、まず、ただいま競馬の問題について小川委員から質問がありましたが、この問題はもうしばしば新聞などに出て、中央競馬会のあり方、農林省の指導の仕方について非常に不十分な点があるということでいろいろ問題が出ております。私どもは委員会をつくって、これについて悪い点については徹底的に直さなくちゃならないし、それからまた内部について正すべきものについては正していくということでないと、金が余っているからという形でどんどんまた取られていくということになると、やるべきところに十分に回っていかない点もあるということですから、これは直すべき問題については、すでに明らかになった問題については十分に反省をしながら直してもらいたい、こういうことを要請したいと思うのです。社会党としても小委員会をつくって、これについては党としても対応してまいります。小川さんはずいぶん資料を集められていろいろと努力をされておりますけれども、やはり世間からいろいろな批判を受けないようにしてもらいたいということを要請をしたいと思うのです。  そこで、すでに質疑が進んでおりますが、現在の食糧需給事情というものは安心する状態にあるのかどうなのかという問題については、先ほどから食糧庁長官の話を聞いていると大丈夫だとこう言う。去年もことしも米の産地が冷害であり、不作なんですね。来年も豊作だという予告は余りない。やはりよくないという声が強いのですね。そういう中で、一体備蓄を含めて食糧需給状態というのは大丈夫なんだろうか、どうなのか、まずこの点についてはっきりした答弁をもらいたいと思います。
  269. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 先ほども御答弁申し上げましたが、この五十六年十月末の前年産の古米の持ち越し量は九十万トンに達しておるわけでございます。御存じのように、このほかいわゆる過剰米と言われる在庫分、これは備蓄になっておるわけですが、これは三百五十万トン、十月末現在の時点でございます。この前年産米になります九十万トン前後と、さらに五十六年産米の最近の統計情報部の作況等からいたしますと、水、陸稲を合わせました総生産量は千三十万トンになっております。したがいまして、この両者を合わせますと、五十七米穀年度の総供給量は千百二十万トンとなるわけでございますが、五十七米穀年度の需要量を私ども千六十万トンと推定いたしますので、差し引きこの五十七年度末、五十八年度の当初になるわけでございますが、六十万トンの古米の持ち越しとなる勘定でございます。したがいまして、私ども、五十七年の需給関係については、前年産、当年産米をもちまして、十分供給について心配はない、このように考えております。  今後の備蓄の問題につきましては、先ほど御答弁申し上げましたが、現在、備蓄の方式等について検討を深めておる段階でございます。来春予定されます基本計画におきましても、この基本的な考え方については私どもとして明確にいたしたい、具体的な方式についてはなお若干時間をかけて、具体的な備蓄の方途は考えてまいりたい、このように考えております。
  270. 竹内猛

    竹内(猛)委員 三百五十万トンというその米は、もう古々米で、これは使えない米でしょう。つまり食用にはならない米でしょう。どうですか。
  271. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 現在、三百五十万トンの過剰米は、輸出用それから工業用さらにえさ用というようなことで、用途を仕向けております。まあ加工用あるいはえさ用というのは、全く主食用と違いますが、輸出用というのはやはり不足国からわが国に要望があった場合、これらの海外の不足国におきましては主食として提供しておる分でございますので、必ずしもこれらの分がすべて主食ではないということではございません。
  272. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それはまあ言葉はそういうふうに言えるかもしれませんが、その米は実際古い米で、五十二年産の米でしょう。したがって、それに新しい米をまぜて配給する、そうすると今度は味が悪くなって消費者が米から離れていくという形になる。そういうことじゃないですか、言わんとすることは。
  273. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 先ほど申しましたように、三百五十万トンの過剰米の中には、五十三年産米が百万トン程度ございます。これは海外におきまして主食用として輸出する分でございますが、私ども、でき得べくんば、先ほど申しましたようにできるだけ前年産及び当年産米をもって当該米穀年度に供給いたしたい、そうした方が需要に合うのではないかという観点で、そういう操作をいたしたいと思っておるわけでございます。それで、これらはその際にも私ども新米だけを中心に食べていくというような形になりますと、非常に古米の処理に困る、この辺は私どもとしては消費者理解を深めながらこれらの米の消化をいたしていかなければならないだろう、このように考えております。
  274. 竹内猛

    竹内(猛)委員 現在、私どもの周辺を回ってみると、農協の倉庫に米がないというときに、依然として減反は引き続いてやれ、こういうことでは農家が、一体これはどうしたことなんだという形で実際は非常に心配をしているわけです。  それで、きょうの午前中の答弁あるいは新聞などによると、農林水産省が来年は減反をやや緩和をする、こういうようなことが出ている。本当に緩和をして米を増産をするという気持ちがあるかどうか、これはひとつはっきり言ってもらいたい。
  275. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 実は私の気持ちとしては緩和はしたくないのです。六十七万七千ヘクタール本当はやりたいのです。しかし、皆さん方から、冷害でひどい状況だから何とか緩和できぬか、こういう声がだんだんと高まってきて、私も現場に行ってまいりましたり、知事さんや市長さんやあるいは町村長さん、さらには農協の関係者の皆さん方の話を聞きますと、これでは余りにも米作農家がかわいそうじゃないか、こういうお話でありますので、だんだんと心が動いてきている、こういうことでございます。と同時に、竹内委員一番よく知っておられてそういう御質問をなさるのだろうと思うのですが、何しろわれわれ一番古米処理に苦しんだわけでありまして、それが六百五十万トン以上もあった時代があるわけであります。そういう時代にはどこの農協の倉庫に行っても、端境期のときでも倉庫に相当米があるなという感じを受けているわけでありますが、私もこの間千葉の方をずっと各農協の倉庫を見てまいりましたが、五十三年米とか米はあるのですよ。特に低温倉庫なんかにはまだまだあるわけであります。したがって、味がどうかということで農林省で試食会等もやったわけでありますけれども、何年産米でたいた飯かなかなかわからぬようなほど貯蔵には気を使って食糧庁としてはやっておる、こういうことでありますので、その点もひとつ御理解をいただきたい、こう思う次第でございます。
  276. 竹内猛

    竹内(猛)委員 確かに何年か前には米が相当余ったことを知っています。その努力もわかるが、いまのように、食糧の倉庫に本当に食べられる米がないということで、農家の人たち、農協やあるいはその関係者が大変心配をしているし、それから減反をしたところのたんぼに草が生えて非常に荒れている。これにかわるべき作物というものがないのですね、実際の話が。それですでに五年もたってしまった。そこへきて今度は二年続きの不作という、来年もどうもそういう声が濃厚ですね。そうなると、どうしてもここでもう一度米をつくるような努力をする、だから減反の緩和というものをはっきりして、ときどき変わらないようにしてもらいたいという要求が強い。これについてもう一度どうです。
  277. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 先ほども申しましたように、五十七米穀年度の需給には私ども不安はないと思います。全体に米の需給の関係を見ますと、一つは、大臣お答えになりましたように、過剰米が現在でも三百五十万トン、もとは六百五十万トンありましたが、これらの全体の処理に一兆数千億の費用をかけて目下処理をしておる段階でございます。片やかなりの潜在生産力を持っております現在の水田の状況におきましてこれを緩和するということは、第二期対策実施している立場からは、やはり第二期対策は第二期対策としての枠組みで推し進めるべきであろうという考え方を持っておるわけでございます。具体的な調整の問題等については大臣からの御指示を受けていま検討をいたしておりますが、単年度なりの、それぞれの減反についての調整はあり得ても、基本的にはそういう方向で考えてまいりたい。不足の事態も大変でございますが、同時に、過剰という事態がまた農政自体を非常に狂わせるという基本的な問題も抱えておりますので、その点は御理解をいただきたいと存じます。
  278. 竹内猛

    竹内(猛)委員 きょうの日本経済新聞だと思ったが、減反を緩和する、こういう記事が出ている。だから、新聞に記事が出ていて、この委員会でそれが言えないということはおかしいじゃないですか。
  279. 小島和義

    ○小島政府委員 農林水産省といたしましては、本日、大臣からお答え申し上げましたようなところが現在の対処方針でございます。新聞に出ておりますのは、各方面からの要望が盛んに出てきておりますので、そういうことを踏まえましての推測記事、私どもはそのように理解をいたしております。
  280. 竹内猛

    竹内(猛)委員 じゃ、新聞はうそを書いているということかね。
  281. 小島和義

    ○小島政府委員 うそという意味ではございませんで、推測記事というふうに考えております。
  282. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そこまで言うなら言ったらいいじゃないの、新聞に出ているのなら。緩和する、こういうふうにわかりやすく。
  283. 小島和義

    ○小島政府委員 午前中来大臣お答えいたしておりますように、この問題について前向きに取り組む方針を打ち出しておりますので、決してうそではないと思いますが、何かの方針がすでに決まったという報道であるとすればそれは推測である、こう申し上げておるわけであります。
  284. 竹内猛

    竹内(猛)委員 それ以上は言わないけれども、それじゃ次に、モチ米の長短期の方針は一体どうなのか。いつでもモチ米というのは問題になる。言うたびにぼくは不愉快なんです。実に不愉快です。どうです。
  285. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 モチ米の五十七年度の需給状況につきまして当初私どものとっております数字は、予約申し込み数量が二十二万四千トン、あと、政府の手持ちなりもございますので、供給量としておおよそ二十五万トン程度五十七米穀年度はある、これに対しまして実需者団体等からの申し込みも二十五万トンということで、おおよそ需給上の不安はないという当初見込みでございましたが、御承知のような作況なりあるいは集荷のおくれ等から、必ずしも十分な集荷実績になるかどうか危ぶまれております。  私ども、五十七米穀年度のモチ米の確保につきましては、一層集荷に全力を挙げるように、目下、関係集荷業者並びに食糧事務所も一体となって努力いたしておりますが、そういう努力をしてもなおかつ足りない面が出ますれば、外モチの輸入も考えなければならない、機を逸せずそうしたことも考えてまいらなければならない、当面このように考えておるわけでございますが、モチ米につきましては従来から暴騰、暴落というような事態が見られるという点からも、生産対策並びに流通上の対策なり基本的な対策もやはりあわせて、このような事態を招来しないような需給調整対策を基本的に立てなければならないだろう、それを早急に私どもとしては検討いたしたい、こう思っております。
  286. 竹内猛

    竹内(猛)委員 一方で頑強に減反の問題についてはがんばって、一方ではいつでも外国からモチ米——モチ米というのも米ですが、入れてくる、しかも国内のモチ米は一俵三万円もする、こういう状態をそのままにしておいていつでも同じことが同じように言われるというのは行政指導に問題がある。だから、モチ米に対しては確固不抜な対策を立ててもらいたい。どうです。
  287. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 私どもはそうした趣旨で基本的な対策を樹立すべく、早急に検討いたしたいと思います。
  288. 竹内猛

    竹内(猛)委員 そこで、米の問題に関してさらに申し上げますが、ここでもいつでも申し上げてきたのだけれども、日本の土地条件はいままで品種改良、土地改良それから機械も技術も、ほとんど米をつくるように、米のために努力してきた。そして東北でも北海道でも関東でもそうですけれども、米のとれるところは排水の余りよくない湿田地帯ですね、これは小麦も植えられない。まして大豆も植えられない。どうしても米以外は育たないところなのです。そういうところにこれからも依然としていまのような惰性の農政が続くとすれば、農家が悩み、行政が信じられないという形になる。だから、ここで食糧用の米、えさ用の米あるいは工業用の米等々について、あるいは酒米もそうですが、それは一つの米についてこういうふうに使用目的を変えろなどというそんなうまい話はできないということになるかもしれない、そこは研究しなければならないけれども、草を生やして補助金を出すというようなものは外国から見たらおかしいですよ。たくさんの物を輸入していながら、草を生やしてそこに補助金をくれるなどという、そんな農政というのはおかしい。そういう農政から抜けるためには、少なくとも食糧生産基本法のようなものをつくって、そしてお互いに自分の場所ではこれをつくっていくのだと確信を持って長期の展望に基づいてやっていけるような、そういう考え方を持たないかどうか。社会党では過般、総合食糧基本政策を出して、これは審議未了になってしまったが、なおこれは続けて検討していきますけれども、政府としてもそういう問題について考えてはいないかどうか、伺いたい。
  289. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 竹内委員の言われることもよくわかりますので、私ども政府といたしましても、やはり水田からよくとれるもので、しかも日本で足りないもの、そういうものをつくるにはどうしたらいいかということになれば、やはり多収穫、超多収穫といったようなところに目をつけて、最近非常に進んできております植物の遺伝子の組みかえというようなことも縦横に駆使して、そして新しい品種、超多収穫の品種を造成をしようという方針を決定して、あらゆる水稲関係の技術者が全力をしぼっていま研究に取り組んでおる、こういうことでございます。できるだけ短い期間でいい品種を造成をする、こういう体制をとっておるゆえんもそこにあるわけでありまするし、今年から初めて予算を計上したわけでありますが、役所の諸君は最初はなかなか気が進まなかったようでありますけれども、皆さん方の御推進の結果、今年も来年度予算概算要求としていままでの数倍にわたる額を要請することのできるような雰囲気もできておりますので、この気分の上がったときにやはり徹底した基本的研究を進めて所期の目的を果たしたい、こう考えておるわけでございます。そうすることによって、考え方によってはえさに直接する前にアルコールをつくる、そうしてそのかすを家畜に回すというようなこともしていけば、単収の上からも相当なプラスになってくるというふうな議論も最近になって出てきておりますので、そういう点も十分検討をして、やはり豊葦原の瑞穂の国なんでありますから、そしてしかもすべての、何といいますか、いわゆる農地に対する投資というものを見ておりますと、十二兆円近い土地改良の予算がありますけれども、そのほとんど大部分が水田向きになされてきておるという特徴を忘れた対策を進めると、いい効果が出てこないことは当然じゃないかと思われますので、そういう点はやはりオオクサキビとか、いま、北海道の畜産試験場でこの間見てきたわけでありますけれども、ヨシクサといったようなものでありますとか、やはり新品種で水田に適する作目をつくり上げていくという努力をしてまいりたいと考えております。
  290. 竹内猛

    竹内(猛)委員 これはぜひそういう努力をしてほしいと思うのですね。  そこで、時間もあれですから、先般の食管法の改正に伴って政省令をつくらなくちゃならぬ。大分おくれているのですね。政省令の出し方がおくれている。先ほどの、午前中の質問を見ても、まだ答弁が非常に不十分だ。なぜ一体この政省令がおくれ、不十分でまごまごしているのだ。どこにひっかかるものがあるのか、それをちょっと。
  291. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 現在、政省令につきましては、関係団体等の意見調整をいたしております。私どもできるだけ早く、こうした調整の結論を急ぎたいと思っておりまするが、なお若干問題点が残っておりまして、数点の問題点の目下整理をいたしておる段階でございます。かなりの部分については私どもは成案を得ている部分もございますけれども、若干そうした問題を残しております。できるだけ早く成案を得たい、こういうふうに考えております。
  292. 竹内猛

    竹内(猛)委員 いつまで待ったら成案ができますか。
  293. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 政令につきましては、十二月初めにはこれを公布したい、このように考えております。実施は一月早々ということで現在作業をしておるところでございます。
  294. 竹内猛

    竹内(猛)委員 前段の質問を聞いておると、卸の複数制の問題、これがどうもひっかかっているようだ。なぜそれがひっかかる。つまり、農家から米を集めて卸が一元化して、そして小売についてはまたいろいろ注文があるようですけれども、いま卸は三百三十二ですか、そして小売が六万二千六百ですか、そういうふうになっていますね。だから卸を二元に複数にして少しサービスをよくしたらいいんじゃないですか。なぜそれが悪い。
  295. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 複数卸の問題は、かなり以前からの課題としてこの業界の中でも議論をされてきたところでございます。複数卸自体が持っているメリットと申しますか、利点といたしまして、消費者に対する品ぞろえを小売がいたします際に、やはり複数卸の方が対応しやすいし、かつ、消費者の多様なニーズにもこたえ得るという考え方でございますし、そういう意見でございます。  一方、食管法の改正の過程でも再々申し上げましたように、今回の改正流通の特定化ということで、きちんとした新しい流通秩序を確立するという、ルートを特定化するという趣旨からすれば、従来のような結びつき登録、一本登録になるわけでございますが、結びつき登録を維持すべきだという意見もかなり強いわけでございます。  なお、そうした意見ともう一つ消費者の二ーズにこたえていく、品ぞろえという問題として、これは卸間における玉融通と申しますか卸間での米の融通によりまして、かなり消費者ニーズにこたえ得るような方法もあるのではないか、こういう意見もございます。まだ結論は出ておりませんが、そうした意見を私ども総合的に勘案して結論を出したいと考えておるわけでございます。
  296. 竹内猛

    竹内(猛)委員 集荷の方から言えば、農協が九五%を集荷をする、あとは米商ですね、これが五%、全国ではそうなっている。それから今度販売から言うと、これは卸がいま言うように三百幾つかの卸に、二十ぐらいの小売一つの卸に関係をするというような形になっている。その中間に、古い公団なんかの関連があるかもしれませんが、全糧連とかあるいは全米商連、全農というようなものがある。全糧連の扱いが大体六〇、全米商連が二〇、全農が二〇という形になっている。いま時間がないからこれは何とも言いませんが、この機能を協同組合法によってやっているんですけれども、これがどういうサービスを消費者にしているのか、あるいはどういう人的構成をしているのか。あるいは、このサービスをするためにプラスになっている面と、それがどうも邪魔になっている面もあるのではないか、こういう声もある。だから、ここでは時間がないからそれは言わない。  それからもう一つは、大口消費者に対しては、卸が直接に小売を抜きにして十トン以上のものは渡すわけだ。ところが、今度は消費者には、その小売に払うべき手数料というものがないから安く売ってくれるかと思うと、必ずしもどうも安く売らないようですね。だれもそれを見る者はない。ここら辺はどういうような調整をされるのかということについては、これは一言やっぱり聞いておかないといけない。
  297. 渡邊五郎

    渡邊(五)政府委員 お答えいたします。  全国卸売事業者約三百三十ございますが、これは全国団体として、御指摘のような、通称で申しまして全糧連、全米商連、全農というような団体がございますが、この団体自体が米の流通の直接の当事者、売買の当事者なりにはなっておりません。これらはやはり卸売業者なり構成員自体、一般の全国団体と同様な団体でございまして、業者間におきますそれぞれの指導なりあるいは情報の提供、共済その他のサービスというようなことを主にして構成されております。経費につきましても、基本的には構成員からの拠出によりまして運営しているという性格でございまして、直接の流通上の担当者ではございませんので、その点はお含みおきいただきたいと存じます  それから大口外食産業という問題でございますが、従来の米飯提供業者というような形での登録の制度は、私ども今後廃止したいというふうに考えております。ただ、最近におきます大口外食需要というのは相当め量に達しております。年間にいたしまして約十万トン程度消費量に達しておりまして、食糧管理の観点から、やはり無視し得ない状態にもなっております。そうしたものを私どもとして適切な指導なり規制を加える必要もあろうかと思います。そうした点での大口外食産業に対します一つの登録なりという問題はあろうかと思います。  もう一つ、そうした際に消費拡大等、一般家庭の消費と比べますと、一般家庭の中での外食への依存と申しますか、それも拡大しておるような状況もございますので、こうした点についてのこれからの供給の方法として卸直売、部分的には小売へのそうした直売もあり得るかという問題が現在出ていることも事実でございます。ただ、まだ結論は出ておりませんが、やはり卸、小売販売業者の世界におきまして調和のとれた形で結論を導きたい、このように考えております。
  298. 竹内猛

    竹内(猛)委員 時間がないから、これは後で資料というか、出してもらいたいのですが、一つは集めて消費者にわたるまでのマージン、手数料の決め方、一体だれがどこで決めるかという手数料の決め方、これが第一です。  第二の問題は、米の小売の商人が成立する基盤と条件、一体どのぐらいの米を取り扱えば米屋をやれるのか。米だけではなくて氷を売ったり、過去においては炭を売ったり、いまは炭なんか使う者がないから油を売っているけれども、そういう条件はどうなっているのか。  それから三つ目の問題は、いまの全糧連、全米商連、それから全農というこの三つのものが、どうしてもぼくは邪魔になるんだな。だから、その果たしている人的構成、役割り、任務については、これは後でいいからどうしても聞きたい。  それから、新規に店を持とうというときに三%ないし五%の移動があった場合にそれに対して許可をする、こういうわけでしょう。だからその点についても、いまのように混合社会、住宅になってくると、たとえば、農協の肩を持つわけじゃないが、大型商店なり生協というようなものが出てきて、そのところへ行けば米が買えると思うとそこには米がないということで、大変不便ないまの小売のところに行かなければならないということで、そういう消費者ニーズにこたえるとするならば、やはり混合社会における末端のあり方というものについても考えてもらわなければ困る。これは後で話し合いをしたいということで注文として出しておきます。  以上で終わります。
  299. 菊池福治郎

    ○菊池委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。午後六時四分散会