運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1981-10-30 第95回国会 衆議院 逓信委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十六年九月二十四日)(木 曜日)(午前零時現在)における本委員は、次の とおりである。    委員長 佐藤 守良君    理事 伊藤宗一郎君 理事 加藤常太郎君    理事 畑 英次郎君 理事 堀之内久男君    理事 阿部喜男君 理事 鈴木  強君    理事 竹内 勝彦君 理事 西村 章三君       秋田 大助君    江崎 真澄君       鴨田利太郎君    川崎 二郎君       田澤 吉郎君    渡海元三郎君       長谷川四郎君    早川  崇君       吹田  愰君    福永 健司君       森  美秀君    森山 欽司君       久保  等君    武部  文君       楯 兼次郎君    米田 東吾君       鳥居 一雄君    木下敬之助君       藤原ひろ子君    村上  弘君       依田  実君 ――――――――――――――――――――― 昭和五十六年十月三十日(金曜日)委員長の指名 で、次のとおり小委員及び小委員長選任した。  電波放送に関する小委員       秋田 大助君    伊藤宗一郎君       加藤常太郎君    佐藤 守良君       長谷川四郎君    畑 英次郎君       堀之内久男君    森  美秀君       阿部喜男君    久保  等君       鈴木  強君    竹内 勝彦君       西村 章三君    藤原ひろ子君       依田  実君  電波放送に関する小委員長  加藤常太郎君 ――――――――――――――――――――― 昭和五十六年十月三十日(金曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 佐藤 守良君    理事 伊藤宗一郎君 理事 加藤常太郎君    理事 畑 英次郎君 理事 堀之内久男君    理事 阿部喜男君 理事 鈴木  強君    理事 竹内 勝彦君       秋田 大助君    鴨田利太郎君       川崎 二郎君    丹羽 雄哉君       長谷川四郎君    吹田  愰君       森  美秀君    森山 欽司君       久保  等君    楯 兼次郎君       米田 東吾君    鳥居 一雄君       木下敬之助君    藤原ひろ子君       村上  弘君    依田  実君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 山内 一郎君  出席政府委員         郵政大臣官房長 澤田 茂生君         郵政大臣官房経         理部長     奥山 雄材君         郵政省電波監理         局長      田中眞三郎君  委員外出席者         総理府臨時行政         調査会事務局主         任調査員    稲葉 清毅君         外務大臣官房外         務参事官    渡辺 泰造君         外務省北米局安         全保障課長   加藤 良三君         大蔵省主計局主         計官      藤井  威君         会計検査院事務         総局第五局長  丹下  巧君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     坂本 朝一君         参  考  人         (日本放送協会         技師長)    高橋  良君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   山本  博君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   武富  明君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   坂倉 孝一君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     田中 武志君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     海林澣一郎君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     渡辺 伸一君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     荒井 治郎君         参  考  人         (日本放送協会         営業総局総局         長)      山中 城作君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   青柳 保夫君         通信委員会調査         室長      芦田 茂男君     ――――――――――――― 委員の異動 十月五日  辞任         補欠選任   田澤 吉郎君     丹羽 雄哉君     ――――――――――――― 九月二十四日  国際電信電話株式会社法の一部を改正する法律  案(内閣提出、第九十三回国会閣法第二〇号)  日本放送協会昭和五十四年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書 は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月二十日  郵便貯金業務拡大抑制等に関する陳情書外一  件  (第一〇三号)  郵便貯金現行制度存続に関する陳情書外四十  九件(  第一〇四号)  電話料金制度是正等に関する陳情書  (第一〇五号)  札幌鉄道郵便局滝川分局存続に関する陳情書  (第一〇六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  小委員会設置に関する件  参考人出頭要求に関する件  小委員会における参考人出頭要求に関する件  日本放送協会昭和五十四年度財産目録貸借対  照表及び損益計算書      ――――◇―――――
  2. 佐藤守良

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  この際、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  逓信行政に関する事項  郵政事業に関する事項  郵政監察に関する事項  電気通信に関する事項  電波監理及び放送に関する事項 以上の各事項について、本会期中、その実情を調査し、対策を樹立するため、小委員会設置、関係各方面からの説明聴取及び資料要求等の方法により、国政調査を行うこととし、議長にその承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐藤守良

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 佐藤守良

    佐藤委員長 次に、小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。  先日の理事会におきまして御協議願いましたとおり、電波放送に関する調査を行うため、小委員十五名から成る電波放送に関する小委員会設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 佐藤守良

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、小委員及び小委員長選任並びにその辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 佐藤守良

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  小委員及び小委員長は、追って指名し、公報をもってお知らせいたします。  次に、小委員会において参考人出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合には、参考人出席を求めることとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 佐藤守良

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  8. 佐藤守良

    佐藤委員長 次に、日本放送協会昭和五十四年度財産目録貸借対照表及び損益計算書議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件の審査が終了するまで、随時、参考人として日本放送協会当局出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 佐藤守良

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  10. 佐藤守良

    佐藤委員長 まず、郵政大臣から説明を求めます。山内郵政大臣。     —————————————  日本放送協会昭和五十四年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  11. 山内一郎

    山内国務大臣 ただいま議題となりました日本放送協会昭和五十四年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書国会提出につきまして、概略御説明申し上げます。  これらの書類は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院検査を経まして国会に提出するものであります。  日本放送協会から提出された昭和五十四年度貸借対照表等によりますと、昭和五十五年三月三十一日現在における資産総額は一千八百八十三億九千百万円で、前年度に比し一億六千九百万円の減少となっております。  これに対しまして、負債総額は八百三十八億一千四百万円で、前年度に比し百十一億三千五百万円の増加となっております。  資本総額は一千四十五億七千七百万円で、前年度に比し百十三億四百万円の減少となっております。  資産内容を見ますと、流動資産四百八億八千万円、固定資産一千四百三十九億六千五百万円、特定資産三十三億五千六百万円、繰延勘定一億九千万円であり、固定資産内容は、建物五百三十三億四千六百万円、土地百八十五億八千四百万円、機械三百九十億六千二百万円、その他の固定資産三百二十九億七千三百万円となっております。  また、負債内容は、流動負債二百九十五億二千三百万円、固定負債五百四十二億九千百万円であり、固定負債内容は、放送債券二百十三億円、長期借入金二百二十五億九千百万円、退職手当引当金百四億円となっております。  資本内容につきましては、資本七百五十億円、積立金四百八億八千百万円、当期欠損金百十三億四百万円となっております。  次に、損益について御説明申し上げます。  経常事業収入は二千百九十一億七百万円で、前年度に比し四十九億七千百万円の増加となっております。  これに対しまして、経常事業支出は二千二百九十六億六千四百万円で、前年度に比し百九十七億五千万円の増加となっております。  この結果、経常事業収支は百五億五千七百万円の欠損となっております。  これに特別収入四億三千九百万円及び特別支出十一億八千六百万円を含めまして、事業収入は二千百九十五億四千六百万円、事業支出は二千三百八億五千万円で、事業収支は百十三億四百万円の欠損となっております。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議のほどお願いをいたします。
  12. 佐藤守良

  13. 坂本朝一

    坂本参考人 ただいま議題となっております日本放送協会昭和五十四年度財産目録貸借対照表及び損益計算書概要につきまして御説明申し上げます。  まず、財産目録貸借対照表当年度末現在の資産総額は一千八百八十三億九千百万円で、この内訳は、流動資産四百八億八千万円、固定資産一千四百三十九億六千五百万円、特定資産三十三億五千六百万円、繰延勘定一億九千万円で、このうち固定資産内容は、建物五百三十三億四千六百万円、土地百八十五億八千四百万円、機械三百九十億六千二百万円、出資一億四千万円、その他の固定資産三百二十八億三千三百万円でございます。  当年度資産総額を前年度末と比較しますと、一億六千九百万円の減少となっておりますが、これは主として、当年度建設計画に基づくテレビジョン放送網建設放送設備整備等の実施及び通信放送衛星機構に対する出資により、固定資産が四十五億五千九百万円増加したが、前年度からの繰越金を当年度事業支出に充てて使用したこと等により、流動資産が六十三億一千四百万円減少したためでございます。  一方、これに対する負債総額は八百三十八億一千四百万円で、この内訳は、流動負債二百九十五億二千三百万円、固定負債五百四十二億九千百万円で、このうち固定負債内容は、放送債券二百十三億円、長期借入金二百二十五億九千百万円、退職手当引当金百四億円でございます。  当年度負債総額を前年度末と比較しますと、百十一億三千五百万円の増加となっておりますが、これは放送債券長期借入金増加等により固定負債が九十三億三千万円増加し、また、受信料前受け金等増加により流動負債が十八億五百万円増加したためでございます。  また、資本総額は一千四十五億七千七百万円で、この内訳は、資本七百五十億円、積立金四百八億八千百万円及び当期欠損金百十三億四百万円でございます。この資本総額は前年度末と比較し、百十三億四百万円の減少となっております。  次に、損益計算書により経常事業収支について見ますと、まず、受信料等経常事業収入は二千百九十一億七百万円で、前年度と比較し四十九億七千百万円の増加となりました。  これは主として受信料増加によるもので、極力受信者維持増加に努めた結果でございます。  なお、有料受信契約者数は、五十二万件増加し、当年度末には二千八百二十四万件となりました。  次に、経常事業支出は二千二百九十六億六千四百万円で、この内訳は、給与八百十億四千百万円、国内放送費六百十億六千七百万円、国際放送費十五億三千五百万円、営業費三百二十一億九千百万円、調査研究費二十九億二千四百万円、管理費三百十六億九千二百万円、減価償却費百六十五億六千六百万円、財務費二十六億四千八百万円となっております。  これは前年度と比較し百九十七億五千万円の増加となりましたが、主として放送番組内容充実刷新受信者維持増加対策推進及びこれらの事業遂行に伴う維持運用費等増加によるものでございます。  以上の結果、経常事業収支は百五億五千七百万円の欠損となり、これに特別収入四億三千九百万円を加え、特別支出十一億八千六百万円を差し引いた事業収支全体では、百十三億四百万円の欠損となりました。  これをもちまして、協会昭和五十四年度財産目録貸借対照表及び損益計算書につきましての概要説明を終わらせていただきますが、今後の事業運営に当たりましても、公共放送としての使命と責務を銘記し、一層放送事業の発展に努力してまいる所存でございます。  何とぞよろしく御審議のほどお願いする次第でございます。
  14. 佐藤守良

    佐藤委員長 次に、会計検査院当局から検査結果について説明を求めます。会計検査院丹下第五局長
  15. 丹下巧

    丹下会計検査院説明員 日本放送協会昭和五十四年度決算につきまして検査いたしました結果を説明いたします。  日本放送協会昭和五十四年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書は、昭和五十五年十月三十一日内閣から送付を受けましたが、その検査を終えて、同年の十一月二十八日内閣に回付いたしました。  同協会の会計につきまして検査いたしました結果、特に不当と認めた事項はございません。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  16. 佐藤守良

    佐藤委員長 これにて説明は終わりました。
  17. 佐藤守良

    佐藤委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部喜男君。
  18. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 協会の皆さん、お忙しい中を大変御苦労かけます。実は、協会昭和五十四年度決算等質問に入ります前に、最近、若干取りざたをされておる二、三の点についてお伺いをしておきたいと思います。  十月二十七日の読売新聞記事でございますけれども、元総理大臣田中角榮さんが金丸信代議士のお父様の法要に出席をされまして、追悼会場時局講演をなさった。その時局講演の中で、「「NHKも、国会予算が通ればよいという親方日の丸的な経営だが、民放全体と比べても、一万六千人という職員は多過ぎる。一万人でよい」などと述べた。」というふうに報道されております。いやしくも元総理大臣時局講演でございますが、NHK運営については経営委員会や、またこの委員会議論をし、妥当であるというふうにわれわれは考えてまいったところでございますけれども、元総理大臣がこれは間違っておるということになりますと、視聴者に与える影響も非常に大きいと思われますので、元総理大臣田中角榮さんの発言について、協会を預かる代表の会長はどういうふうにお考えになっておるか承りたいと思います。
  19. 坂本朝一

    坂本参考人 まことに申しわけないですけれども、私直接元総理の御発言については伺っておりませんので、正確な内容を存じ上げないで見解を述べるということはいささか軽率のそしりを免れないかと思いますので、直接お伺いしてないことについての見解を言うということは御容赦願いたいと思うのでございますけれども、ただ、少なくともNHK責任者として、NHK経営に当たりましては、従来とも当委員会でもしばしば御指摘いただきました点などを踏まえまして、効率的な経営推進をしてきたつもりでございます。  もちろんまだまだ足らない点もあろうかと思いますけれども、少なくとも昭和五十五年度から五十九年度までの要員効率化ということで、千二百名という目標を立てて現在は努力をしているということでございます。昭和五十六年度要員の総数は一万六千八百十人ということにはなっておるわけでございますけれども、今後ともこの要員効率化等につきましては努力を続けていきたいと思う次第でございます。  民間放送百十社の総従業員は現状では二万六千百九十七名ということでございますので、算術的に比較をすれば私どもの方が少ないわけでございますけれども、ただこれは、いろいろ職種等のこともございまして算術的に比べるということが正しいかどうか、そういうこともあるいは御議論があろうかと思いますが、この程度にとどめる次第でございます。御容赦願いたいと思います。
  20. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 もっと経営努力をすべきであるとかいうふうなお言葉ならばわれわれもそれなりに了解ができます。しかし、数字を挙げて一万六千は多過ぎるのだ、一万でいいのだと言われて、会長は一万でいいと思っておるのですか。さらに一万六千が多過ぎると思っているのかいないのか。そこのところを国民の前、視聴者の前にはっきり明らかにしておかないと、田中さんがおっしゃったのですから、事は重大ですよ。
  21. 坂本朝一

    坂本参考人 冒頭に申し上げましたように、一万六千が多いか少ないかということについてはいろいろ御議論もあろうかと思いますけれども、少なくとも一万でできるのではないかという、仮にそういう御発言がありとすれば、それは納得いたしかねると申し上げる次第でございます。
  22. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 われわれとしても、逓信委員として国民の負託を受けてここで議論をしてきて、大体この運営で妥当であろう、なお努力すべき点はあるということは附帯決議等でしばしば申し上げてまいりました。しかし、一万六千は多過ぎる、一万人でいいのだと言われると、逓信委員会は一体何を考え、何を議論してきたのか。これは国民の目から見てもおかしなことにならざるを得ない。この点はかねて私が質問をするということを申し上げておきましたから、田中さんの真意等を確かめて、たとえば新聞報道はこうなっておるが、直意はこうであったとかいう程度努力をなさらないと、ただ私はこう思いますと言うだけでは、なかなか視聴者の納得を得にくいと私は考えます。しかし、これ以上議論しても、会長としては現行が妥当であると考えておって、一万人などという数字は出てこないとおっしゃるのですから、私もそう思います。  そこで、郵政大臣に伺いますが、同じ内容ですけれども、所管する責任者として、いままで意見書としては運営について妥当であるという御意見をわれわれは聞いてきておりますが、元総理大臣田中さんがこういうことをおっしゃっておるのについて、政府としてどうお考えになりますか。
  23. 山内一郎

    山内国務大臣 私も新聞で見た限りでございますけれども、御発言につきましては、私は、NHK経営環境というものは非常に厳しい、しかも公共的放送機関として重大な役目があるというような点で、やはり企業努力合理化というものは努めなければいけない、こういうことを絶えず考えながら、NHKに対しましてもいろいろ御努力を願っているところでございます。したがって、これは想像でまことに申しわけございませんけれども、そういうふうに私は受け取ったような次第でございます。
  24. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それは大臣がどう受け取ろうと、新聞報道がうそでない限り——私が問題にしておるのは、なお努力せよとかいうお言葉なら結構だというのですよ。一万六千は多過ぎる、一万人でよろしいのだとおっしゃっているのですよ。大臣どうお考えですか。一万人でいいと思っているのですか。
  25. 山内一郎

    山内国務大臣 NHKも非常に努力をされて、いま一万六千何名でございますが、さらにひとつ一万六千名を御努力をいただいて、できるだけ少ない陣容で放送をしてもらいたいという希望を申し上げておきます。
  26. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私が聞いておるのは、一万六千はできるだけ経営努力をして減らしていきたいというのは、みんな同じ気持ちでしょうし、会長もそうおっしゃっておるのです。一万人でいいのだという言い方についてどうお考えですかと聞いているのです。
  27. 山内一郎

    山内国務大臣 何回も同じ答えになって恐縮でございますけれども、そういうふうに何名でいいということはここで申し上げるわけにはなかなかいきませんので、ひとつ努力を大いにやっていただきたい、こういう点を申し上げておきます。よろしく御了解をいただきたいと思います。
  28. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それでは、余り時間をとってもあれですから、さっき大臣がお答えになりましたように、NHKも非常に厳しい情勢の中で運営をしておるということをわれわれは受けとめて、今日まで郵政省がお出しになった意見大臣の御意見あるいは委員会附帯決議等をつけて議論してきた経過については、おおむねそれは間違いがないのだ、こう理解をして、監督官庁として間違いございませんか。はっきりしておいてください。
  29. 山内一郎

    山内国務大臣 いろいろと御審議をいただいた結果でございますし、郵政省としてもそういうふうに認めてまいりまして、しかし一層の努力はしてもらいたいものである、こういうことでございます。
  30. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 では次の問題に移りますが、これは週刊誌ですから私は全面的に措信をしているわけではございませんけれども、十月二十二日号の週刊新潮によりますと、NHKに関係する部分を申し上げますが、「まやかし人員削減計画」だというふうに、全体ではなく小さい見出しのところに書かれておるのですが、やはり週刊誌もかなり視聴者に与える影響は大きいわけでございますから、この機会に、まやかし人員削減計画だと言われておる内容について、実態を明らかにしておいていただきたいと思います。
  31. 武富明

    武富参考人 お答え申し上げます。  この記事につきましては、私自身も取材を受けましたのでございますけれども、この記事を拝見いたしましてまことに心外でございます。私どもまやかしというようなことをやっているつもりは全くございません。先ほどの議題でお話がございましたように、うちの要員数というのは、各年度予算事業計画の中で国会の御審議を得ながら相定めていくものでございます。  具体的に申しますれば、五十五年には五十人の減員をいたしました。それから、その年度にどうしても必要な五十人の増というものも、また効率化の中で生み出すべく努力をいたしまして、百人の効率化というのを実現したわけでございます。それから五十六年度につきましても、予算審議で御説明申し上げましたように、百二十人の減を実現をいたしたいと思っております。それから、この年度にどうしても必要な八十人の増要素というものは、この効率化の中から生み出すべくいま努力をしておりますが、私は、この合わせて二百人の効率化は実現できる、こう信じております。したがいまして、何をもってまやかしと言われるのか、私はこの記事を見てはなはだ心外だ、こう思っておりますので、先生にもそこを御説明をして御了解をいただきたい、こう思うわけでございます。
  32. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 その限りでは私も全く同感でして、削減計画を立ててみても、新しい年次、新しい年次に入っていくわけですから、仕事のふえてくる場合もございましょうし、当然そこに減員計画とは別な増員の必要が起こってくる、それは私はそのとおりだろうと思いますから、内容の可否は別にして、推移としてあり得ると思うのです。  問題はその次なんですよ。その次にこう書いてあります。「が、この程度のゴマカシに驚いてはいられない。さるNHKの幹部が教えてくれた。「削減したという職員にしても、実はかなりの部分がNHKサービスセンターなどの外郭団体に吸収されている。そして、今度はNHKからの業務委託という形で仕事を引き受ける。いわば表向きだけの人減らし、役人的なチョロマカシですよ」」こう書かれておるわけです。  したがって、この間の内容を明らかにするために、NHKから外郭団体へ派遣をしておる職員の数を団体別に明らかにしていただきたい、これがまず第一点です。  二点目は、NHKから外郭団体に対して行っておる補助、助成金等並びに委託料等と名がついて外郭団体へ支出しておる金額を団体別に、簡単でいいですから知らしてもらいたいと思います。
  33. 武富明

    武富参考人 お答えを申し上げます。  外郭団体へ職員が出向いたしております状況と申しますと、NHK交響楽団に三人、それからNHK厚生文化事業団に一名、それから放送学園に五人、それから日本放送協会共済会に十一人、それからサービスセンターに三十五人、インターナショナルに四人、それから美術センターに四人、テレビサービスに四人、株式会社プロモートサービスに四人、NHK文化センターに九人、合わせて八十人の出向を行っております。  それから財政的な関係につきましては財務担当から御説明さしていただきます。
  34. 渡辺伸一

    渡辺参考人 お答えいたします。  まず、いま申し上げました団体のお金でございますが、NHK交響楽団、厚生文化事業団、それから学園につきましては、先生御案内のとおり、放送法九条二項の業務に基づきまして助成金を出しておるわけでございます。  五十四年度で申し上げます。  NHK交響楽団は三億二千万円、NHK厚生文化事業団が二千百万円、日本放送協会学園が四億七千五百万円でございます。それから日本放送協会共済会、これは職員の福利厚生の業務を委託しているわけでございまして、これはNHKの分担金でございますが、これが五十四年度で三十九億九千三百万円、それからNHKサービスセンターにはいろいろな仕事を委託しております。委託経費でございますが、二十五億一千百七十六万一千円でございます。  それから、あと申し上げますのはいずれも一般の業者と同じといいますとなんですが、物の調達あるいは工事の実施ということでございまして、一般の契約に基づいてやっておるわけでございまして、支払い金と御了解いただいて結構でございます。日本放送出版協会が三千七百六十九万円、それからNHK美術センターが三十六億九千七百万円、全日本テレビサービスが三十三億四千五百万円、NHKプロモートサービスが二億七千七百万円、それからNHK文化センターが七百五十二万円。  以上でございます。
  35. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 いろいろ内容をもっと詳しくお伺いしたいのですけれども、時間もないようですから、特に問題になっておる点について伺いますけれども、サービスセンターへの業務の委託内容はどういうものですか。
  36. 渡辺伸一

    渡辺参考人 お答えいたします。  ただいま五十四年度のサービスセンターへの委託の金額を申し上げましたが、中身としましては、まず放送受信契約の取り次ぎ業務を頼んでおります。これが十五億五千万でございます。それからNHKホールの運営の一切をお願いをしておるわけですが、これが約四億でございます。それからグラフNHKの編集の実務を委託をしておりますが、これが二千万円。それから逓信博物館の運営を委託しておりますが、これが五千五百万。それからNHK放送博物館の運営を委託しておりますが、これが約一億。それから放送センターの見学業務を委託しておりますが、これが約一億三千万。そのほかに催し物でありますとか、あるいはNHKの録音教材を頒布する業務でありますとか、そういうものを委託しておりますが、これが二億四千万でございます。  以上が五十四年度サービスセンターに委託しております金額の内訳でございます。
  37. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 冒頭申し上げましたように、私は五十四年度決算の審査に入る前に一般論として問題になっておる点を先にお伺いをすると申し上げておきましたので、したがって、いまお答えいただいたのは五十四年度の分でございますけれども、私は今日の時点において問題になっておる点についてお伺いをしたいわけです。したがって、この週刊誌に指摘をされておるNHKからの業務委託という形で仕事を引き受ける、これはどういうことになっておるわけですか。
  38. 武富明

    武富参考人 御説明申し上げます。  この記事に戻りまして御説明をいたしますれば、この書かれました記事の中で触れられている部分というのは、今年度二百名の要員効率化をいたしました、そのうちの五十人は全国視聴者相談業務の中から効率化をいたしたいというのは事実でございます。しかし同時に、NHKサービスセンターがどういうものかと申しますれば、このサービスセンターは放送の周知普及あるいは視聴者業務サービスなどを本来業務として設立いたしました法人でございます。したがいまして、従来から視聴者関係の業務につきましては、催し物とかあるいは公開番組の実施とかあるいは放送センターの見学者サービスの問題とかあるいは放送博物館、逓信博物館等の運営、それからNHKホールの運用あるいはグラフNHKの発行、こういうふうに受信者に直接かかわります対応業務というものも、従来もNHKとともどもに共同しながらこれに当たってきたという任務を持っております。  今回、NHK効率化を図るにつきまして、今度は相談業務というものもこの協業体制の中に入れて、サービスセンターともどもにこれに当たりたい、受信者のサービスをそういう点で補いながら効率化をやってまいりたい、こう考えたわけでございます。したがいまして、その趣旨でこの業務というものを新たにサービスセンターと一緒にやる、こういう状況が起こったということが第一でございます。  うちの方は五十名の減員をいたしました。そしてサービスセンターでは、ちょうどことし定年退職もしくは近々のうちに定年退職を迎える、そういう職員の中から老練なこういう業務に向く人間というものを雇用をいたしまして、そしてそれをもってこの業務をやってくれる、こういうことになりましたので、その辺が誤解を呼びましてこのような記事になったものだというふうに私は考えております。これはサービスセンターとの基本的な契約、並びにうちの効率化というものをサービスを低下することなくどうやったらいいかということを考えましたときに、われわれがこれが一等いいと思いましてやりましたことで、その辺について誤解が生じましたことはまことに残念だというふうに思っております。
  39. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 老練な定年退職あるいはその前の方々をそこに振り向けられた、そのことは非常に結構なことだと私は思います。しかし、一番誤解を生んでおる原因は、視聴者センターの方ではNHKの職員の定数を五十名減員をした、しかしその仕事をサービスセンターに肩がわりをさせて、人件費として本来払われておったものが今度は委託料という形で払われるとなれば、それが果たして効率化であったろうかということについて疑問を受けるのは、これは疑問を持つ方が当然ではないでしょうか。そこに何らかのメリットがあるとか、この方がよりいいのだということがあれば、そのことを明らかにしておいてもらわないと誤解を生むと思いますが。
  40. 武富明

    武富参考人 お答え申し上げます。  一つは、そういう定年退職をいたしましたその老練さというものを活用するということでございます。それからまたメリットといたしましては、そういう老練な人を起用するということが相談業務そのものにとってプラスであるというふうに私は考えておりますし、また同時に経営的に見まして、現役がいままで五十人それに当たっていたわけであります。今度新たに向こうに採用になった人間というのは、定年退職をいたしまして退職後の雇用という形になっておりますので、財政的に見ますとかなりのメリットがある、われわれとしてはこう信じております。その中でサービスを低下することなくこの視聴者対応業務というものを続けたい、これが私たちが考えたゆえんでございます。
  41. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 確かにその方法はサービスを低一下させないという意味ではいいかもわかりません。しかし、こういう誤解を与えるということも考えなければ、減員をした、減員をしたと言っても、減員をした一方で委託料という形でNHKから金が出ていったのでは、出ていく金が幾らか少のうございますという程度では減員をした意味が全くないので、それならば本来業務としてNHKの責任で視聴者センターを運営すべきであって、それでは、いま分けて視聴者センターの仕事を一部五十名分肩がわりをした、こうおっしゃるのですが、その五十名分の方々はどこでどういうお仕事をなさっているわけですか。
  42. 武富明

    武富参考人 お答え申し上げます。  視聴者サービス業務というのを分割してやることはできませんので、やはり一カ所に集めてやるということになりますが、定年退職者が新たに雇用されておりますので、そのまま引き続いてということではございません。  それから、先ほど先生がお触れくださいました給与費の問題でございますけれども、これは定年退職後でございますので、正直のところを言ってかなり差があるということもっけ加えて申し上げておきたいと思います。
  43. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 どう考えてみてもその辺が何か幾らかごまかしがあるように受け取られがちだと私は思うのです。本来、NHKの業務として視聴者に対するサービスはNHK自体がやるべきものなので、そのために視聴者に対するサービスを確保するためにはNHKの職員として定数をきちっと確保しておくべきであって、頭数をそろえるために、大臣、これは行革の悪口を言う意味ではありませんが、国の方の予算の収支だけ合わせるためにほかにしわ寄せをしてしまうのと同じように、定数を五十名減らすということだけを目標にして、財政上はそう大したメリットがないだけでなく、どうも誤解を生むような肩がわりをさせたような、頭数のつじつまだけを合わせたようなやり方というのが、正直言って将来のNHK運営にとっていいことなのか悪いことなのか。もし、いま専務理事がおっしゃるようなことがいいことだとするならば、視聴者センターそのものを全部委託にしてしまってもいいのではないか、そういう気もするわけですが、本来、委託業務というものは、その指示、責任の系統が明らかになっていなければならないと思うのですけれども、この場合は、委託業務と言いながら、指示、命令の系統はNHK協会直接でおやりになっているはずだと私は思うのです、それでなければできぬはずですから。そういう委託というものがあるだろうかというふうに私は考えますと、これは必要な人員として視聴者の納得をいただいて確保する人員の分に入るのであって、たまたま頭数だけつじつまを合わせるために、業務委託をしました、人員は削減しました、仕事を委託でやってもらうから委託料でお金を払いましたということになれば、合理化というものになるのかどうか、ましてNHKの長い将来を考えてみて、その視聴者センターという重要な仕事を一部形だけ委託にして命令系統は従来のままというふうな運営の仕方が妥当なのかどうなのか、それは大変疑問に思うのですが、会長はこれをどうお考えですか。
  44. 坂本朝一

    坂本参考人 阿部先生の御指摘の点について私も十分今後の問題として配慮しなければならないポイントの一つだというふうに、いまの御指摘をいただいて考えたわけでございますけれども、ただ、お言葉を返すようで恐縮でございますが、今回のこの措置は、一部週刊誌等でごまかしだというふうな指摘を受けましたけれども、そこで現実に働いておられました方々は非常に明るいお気持ちで新しいところへ移られて、そしてより一層協会のために協力してくださるというような、その現実論も片一方にはございますので、いい知恵だというふうに言うとおしかりを受けるかもしれませんけれども、やはり考える知恵の中の一つには将来といえども捨てるべきテーマではないんじゃなかろうか。しかし、そのやり方等によって御指摘を受けるようなことにならないように、あらかじめの御理解を各方面にいただくというような、そういう努力を重ねながら私は今後の経営に当たりたいというふうに思う次第でございます。
  45. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 一つは時期も悪かった。ちょうど定員の削減をするということを協会が約束をして、それをやらなければならない時期に五十名減員をしました、しかし仕事は委託として出しまして委託料として金を払います、言えばその頭数のつじつまを合わせるためにやったんじゃないかというような誤解を生む、そういう時期にやったということが一ついけないということと、もう一つは、大体この視聴者センターの要員は、私が知る限りでは百三十名程度だというふうに理解をしておりますが、その百三十名のうちの八十名は協会の職員でおやりになって五十名分を委託した。これは率直に言って、仕事を委託したのではなくて五十名分委託したかっこうになるのですよ。それならば百三十全部委託したっていいじゃないか、視聴者センター全部そのものを委託したっていいじゃないか。なぜ八十名は職員でやって五十名分だけを委託するというような妙な形をとったのか。一つの仕事の系列そのものを委託したというのならまだわかりやすいのです。仕事の系列を委託したのじゃなくて、視聴者センターという仕事の中で五十名分だけ委託した、そういう形になっておるわけですよ。だから非常に誤解を生むし、もう少しこれは内容を検討して、もしこれでいいというなら百三十名全部やってしまえばなおいいわけでしょう。しかし、そのことが必ずしもNHKのこれからの運営にいいと私は思わないのです。やはり必要な人間はNHKの職員として責任を持たせて視聴者対策をやるべきであって、五十名分の委託ということがいいかどうか非常に疑問がありますから、それでくどく質問をしておるわけですけれども、定年になられた方とか優秀な方々がそこにおいでになる、そのことは私は非常にいいことだ、率直に推奨します。その時期おやりになったことと、将来こういうやり方で視聴者センターというものを運営をしていいのかどうか、そのことが非常に疑問になりますので、これは検討課題として預けておきましょう。  次に入らしてもらいます。これは十月八日の読売新聞でございますが、十月七日に郵政省は第二臨調からお招きをいただいて、所管の特殊法人についていろいろな説明を求められたというふうに報道をされておりますが、本日は、その中の、NHKに対する第二臨調からどういう御質問があったのか、郵政省NHKについてどういう御意見をお述べになったのか、これを聞かしてもらいたいと思います。
  46. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 お答え申し上げます。  十月七日に臨調の第四部会でヒヤリングがございました。第四部会といいますのは、御承知のように官業と民業の役割り分担の確立ということで、三公社五現業あるいは特殊法人、認可法人、こういったものについて各省からヒヤリングを聞いているという状況でございまして、十月七日に郵政省のヒヤリングがあったわけでございまして、全体で時間が非常に短うございまして、郵政三事業とそれから郵政省所管の特殊法人についてごく概略的な説明を申し上げたということでございますが、NHKにつきましても、NHKの設立根拠あるいは組織、職員数あるいはNHKの役割りとか行っている業務、経営の状況、こういうようなことについて御説明を申し上げたところでございます。  なお、事業の運営自体が全国の受信者が負担する受信料によって賄われているとか、あるいは言論報道機関という特殊性から自主性の高い経営運営というものがなされているというような、NHKの特性等について御説明を申し上げたということでございます。
  47. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 新聞によりますと、そのときに、NHKに対しても、経営委員会が機能していない、経営改善、合理化努力が不十分であるなどというような意見が、これは臨調の側から、第四部会の側から出されたというふうに言われておりますが、そういうお話がございましたか。
  48. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 臨調の部会の審議の模様につきまして私から詳細申し上げる立場にございませんので、その点お許しいただきたいと思いますが、いまお話にございましたような点についての御質問というものはございました。
  49. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣大臣監督官庁責任者としてですけれども、われわれにもまた責任があるんです。もし臨調の方からながめて、NHK経営委員会が機能していないとかあるいは経営合理化努力が不十分だというふうな御指摘を受くるとなれば、一体国民を代表するわれわれ国会議員は何を審議してきたのか、さらには監督官庁として、機能しないような経営委員会合理化努力の足らないような協会に対して何を指導してきたのか、非常にこれは問題になるところで、どうも最近、臨調と言えば神様みたいに考えて、臨調が言ったといったら何でもまかり通るような不思議な世の中になっておるけれども、いやしくも国会でわれわれがこれは妥当であると認め、監督官庁郵政大臣がうまくやっておると考えておるのに、向こうで、いや経営委員会が機能してないだとか、経営努力が足らないとか、合理化が不十分なんて勝手なことを言われて、そうでございますかといってこっちは引き下がるわけにはまいらないのです。大臣どうお考えですか。
  50. 山内一郎

    山内国務大臣 いろいろと臨調でも調査をされているいま段階の途中かと思いますけれども、いま阿部委員の言われましたとおり、われわれとしては、もうNHKというのはりっぱな経営委員会において運営をされ、公共的な放送を果たしている、こういうふうに考えております。したがって、その点を十分に臨調の委員の人に御理解をいただくべく今後もひとつ努力をしてまいりたい、そしていろいろ審議をした結果、こういうふうに運営をされ、りっぱにやっているということを、さらに御理解を得るように努力をしてまいりたいと考えているわけでございます。
  51. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 会長は、この問題、いわゆる臨調からの設問につきまして、臨調あるいは郵政当局から意見を聞かれたことございますか。
  52. 坂本朝一

    坂本参考人 NHKはこれまで第二臨調から意見を聞かれたり説明を求められたりしたことはございません。したがいまして、十月七日の調査会の第四部会についてもNHKは呼ばれておりません。NHK自身は、しばしばこのところでも申し上げておりますように、その成立過程において他の公社、公団などとは性格を異にするのではないかというふうに考えておりまして、そういう点についての御理解を折に触れて申し上げておりますけれども、具体的に意見を求められたというようなことはございません。
  53. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これは大臣から明確な御答弁をいただきましたから、私どもそれで一応納得できるところでございます。しかし、さらに今後、臨調だからといって何も遠慮することはないし、行政府としての権威なりあるいは国会としての権威というものを明確にやはり示すべきであって、臨調がこう言った、臨調がああ言ったといって日本の国が動いていくんなら、もう政府も要らなければ、われわれ国会も要らないのでございまして、大体諮問機関みたいなものだと私ども思っておるのですけれども、その臨調がいまや神様みたいな存在になってしまいまして、これはわれわれ国会議員にも責任がある、臨調を設けることに賛成したわけですから責任があると思いますけれども、ひとつこれはわれわれはお互いに反省をしながら、本来のわれわれの責任というものを果たしていかなければならないと考えておりますので、その点については監督官庁としての郵政省大臣の方も十分御配慮を願っておきたいと思います。  それから、ちょっと議論が後戻って恐縮ですが、先ほどの御答弁の中でちょっと私聞き忘れたのですが、どなたかの御答弁で、NHKのサービスセンターの方でグラフNHKの編集を頼んでおる、こういう御答弁があった。片方では、グラフNHKの発行をやっておるのだという御答弁がありましたが、これは編集を委託しておって、できたものは全部NHKが買い取るのですか。それとも向こうが、いわゆるサービスセンターの方で全部販売されるのですか、これはどうなんですか。
  54. 渡辺伸一

    渡辺参考人 お答えいたします。  先ほど申しました金額は、編集実務をやる経費を委託しておりまして、発行も委託をしているわけでございます。グラフNHKを編集し発行するところまで委託しているわけでございます。
  55. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 編集のためのお金を出して発行してもらうまで委託をするということは、発行されたものの販売はNHKが直接おやりになっておる、そういうことですか。
  56. 渡辺伸一

    渡辺参考人 発行いたしまして販売をサービスセンターでやっておるわけでございます。
  57. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 編集等のお金まで出して、発行したものはサービスセンターが売るわけですか。そうすると利益はサービスセンターに入る。サービスセンターに利益の入る仕事を、協会の方から編集費を出すわけですか。
  58. 渡辺伸一

    渡辺参考人 お答えいたします。  NHKの業務のあるいは番組の周知という面でグラフNHKの中に盛り込んであるわけでございまして、NHKの編集の意図を示して、どういうふうに割りつけていくかという実務に関してはサービスセンターにお任せしているわけでございますので、全体としてはNHKのPRにかかわる問題だと考えているわけでございます。
  59. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私がお伺いしておるのは、発行して販売するのをサービスセンターがおやりになっておるのに、編集のためのお金を協会がお出しになるのですかと聞いておるのです。
  60. 渡辺伸一

    渡辺参考人 中身がNHKの番組及び事業の周知にかかわるものでございますから、NHKの周知費の一部というつもりで編集の実務経費を委託しておるわけでございます。
  61. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それだったら、出版協会というのがございますね。ここで出しておるものの中にもかなりNHKの宣伝等にかかわる内容のものがたくさんあるように私は思うのですけれども、それではその方にも編集実務とかいうようなことでお金を出しておるわけですか。
  62. 渡辺伸一

    渡辺参考人 出版協会につきましては、出版という一つの行為がございますものですから、それにかかわる権料として、権料に相応する分を収納しているわけでございまして、その点では編集手数料というものを収納しているのでございまして、サービスセンターのようにこちらから編集実費を出しているというかかわりではございませんけれども、ただNHK全体のPRという面にかかわる仕事でございますから、NHK自身が意図を示して、実際のレイアウトなどをNHKのPRにかかわるものとしてサービスセンターに委託しているわけでございます。
  63. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 どうもわかりにくい。これは、できたものをNHKが無料で配布か何かなさるわけですか。
  64. 渡辺伸一

    渡辺参考人 グラフNHKにつきましては、受信者から希望によって実費を送ってもらってサービスセンターから販売しておるわけでございますが、そのほかにNHKが実務上必要なものについては、必要な部数をサービスセンターから買い上げて配布しているわけでございます。
  65. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 どうも原価を償うような価格で希望者に売っておるわけですね、早く言えば。NHKに必要な部分はNHKが買うでしょう。何で編集のために金を出さなければならないのですか。
  66. 渡辺伸一

    渡辺参考人 NHKの事業のPRをより効果的にやるために、NHKみずからがやるかわりに、編集意図を示して編集の実務をやってもらうということでございますから、NHK全体のPRの金というふうに認識しているわけでございます。
  67. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 PRの金ならほかに出し方があるので、編集の実務に要る金だとかなんとか言って出すならそれはおかしいでしょう、出版協会だってそういう雑誌はたくさん出しておるわけですから。  これは部数がとみにふえていますが、NHKは直接関係ないと思うのですけれども、私が調べたところでは二十万部から三十二万部、いま五十万部ぐらいになっているのじゃないですか。しかも五十一年以降の日本経済が安定した時期に、この雑誌の価格は百円から百五十円にはね上がっていますね。御承知ですか。
  68. 渡辺伸一

    渡辺参考人 先生おっしゃるように、定価につきましては内容の充実とともに確かに上がっております。
  69. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 部数もふえているのでしょう。最近二・五倍にふえておるでしょう。
  70. 渡辺伸一

    渡辺参考人 グラフNHKにつきましては、通常の発行分につきましては五十四年度の実績よりも五十五年度さらには五十六年度若干減りぎみでございますけれども、先生のおっしゃいますところでは、つまり私どもの口座振替受信者に対する番組普及用の臨時号というようなものを含めますと、全体としては部数はふえております。
  71. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 NHKがそういう編集の目的を伝えて編集をしてもらうのならば、私が不思議に思うのは、ちゃんと外郭団体に出版協会というものがあるでしょう。その出版協会があるなら、そこにおっしゃるような必要なPRのためのお金を出して、編集の方針を伝えて、そこで出版するというのが、私から見ると常識的なのに、なぜグラフNHKだけがサービスセンターでやらなければならないのか、そこがちょっと私はひっかかるのですよ。どこか、出版協会の方にこれをやらせたら不都合があるのでしょうか。
  72. 山本博

    ○山本参考人 ただいまのお尋ねでございますけれども、出版協会は一般の株式会社でございますし、サービスセンターはNHKの業務のいわば委託を受けてもろもろの仕事をすることを目的にしておる公益法人でございますので、NHK自身が本来やるべき仕事を委託するという場合には、やはり公益法人の方が妥当ではないかという判断でこういうことになっておるということでございます。
  73. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 われわれから見ると、公益法人であろうと株式会社であろうと、どっちもNHKの外郭団体だと思っておるのですよ。出版協会にもかねては何人か出向の方がおいでになりましたね。いまはないようですけれどもNHKから出向していっておるぐらいのはやはり外郭団体だとぼくらは思うのです。出版協会という出版を業とするところがあるならば、そこにやらせる方が妥当で、そこでやらなくてグラフNHKだけを抜き出してサービスセンターの方がやっておるということ自体にも、率直に言って疑問なしといたしません。  それから、後からもう一遍質問いたしますが、発行部数がいろいろ変動しておること、それからもう一つは、途中で、内容の充実と言ったってぼくらはわかりませんから、そうですかと言う以外にないのですけれども、百円が百五十円になったことも間違いないのです。これはNHKが何ぼ事業用として買い取っておるのか知りませんけれども、特集号というのですか、それらはかなりの部数をNHKは買い取っておると思うのです。これは買い取っても結構ですけれども、なぜ本来の出版協会がやらなくて、サービスセンターがやるのだろうか、そこに私は大きい疑問を持っています。後からもう一つ関連質問があります。  さっきちょっと、いや委託しておるというような言い方と、いや発行業務をやっておるという言い方と二つあったから、念のために聞いておいたのですが、そこで、そうお考えならそれで結構ですが、やはり私はすっきりするところはすっきりさした方がいいのじゃないか。何でグラフNHKだけの出版をサービスセンターにやらせて、あとは出版協会がやるのだろうか、われわれから見れば、同じ外郭団体ではないのか、そこに疑問を持たれる余地が残るような気がしますから、ひとつ検討課題にしておいてもらいたいと思います。  そこで、それに関連をするわけですが、実はNHKでは、さっきちょっとお話がありましたけれども、特定の地域に対して受信料の口座振り込みとかあるいは前納された方々に、サービス協会で印刷をした、たとえば体操とか体育とかいうものについて冊子をお届けしておるというふうに聞いていますが、間違いありませんか。
  74. 荒井治郎

    ○荒井参考人 間違いございません。
  75. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 試みとしては私は必ずしも悪いと言うのではありませんけれどもNHK視聴者受信料を払っておる方々を地域によって差別扱いするというのはいかがなものでしょうか。  そこで私が聞きたいのは、どういう条件で、どの地域に、どのくらいの方々にただで配っておるのか、それをちょっと知らしてもらいたいのです。これは九州としては黙っておれませんよ。福岡だけくらいでしょう。
  76. 荒井治郎

    ○荒井参考人 お答えいたします。  受信料の口座前納の方々にそういう関係の方の冊子を配っております、その実態について御説明申し上げます。  現在、受信料の契約の総数がおおよそ二千九百万ほどございますけれども、そのうちの口座払いの方が千二百二十万ほど……(阿部(未)委員「四十何%だね」と呼ぶ)はい。それからそのうちに半年、一年前納をやっていただいておる方が八百三十万人ほどいらっしゃいます。この方々は、言ってみればNHKの財政の安定化を図る大変な基礎でもございますし、私どもの財政面での大きな支えになっていただいておるわけでございます。こういう方々に私どもといたしましては何らかの結びつきをさらに深めていかなければいけないのじゃないかという考え方、そのためにはこういうようなサービスをしたらいいのではないかというようなことで、先ほど先生のお話のございました冊子で、たとえば腰痛体操とか肩こり体操や何かのああいうものを中心にいたしまして、読んですぐ捨てるという感じじゃなくて、家庭に備えつけておいていろいろな意味でそういう簡単な体操が役に立つような、健康ガイドといいますか、そういうようなものを編集をして配ろう、こういうことを考えたわけでございます。  昨年度、五十五年度でございますが、これは考えてみますと大変経費がかかります。先ほどの八百三十万ということを考えますと大変経費がかかりますので、とりあえず口座前納の方々のうち、そういう方々が最も大ぜい集中して住んでおられるところ、東京、大阪、名古屋、ここのところの約二百万ほどでございますけれども、そちらの方々に昨年度は配ったわけでございます。  今年度はどうかということでありますけれども、今年度はその周辺でございます、東京でございますと神奈川県とか埼玉県とか千葉県、それからあと京都、神戸尼崎、そういうところの口座前納の方々に一応お配りする予定でございます。  中身は、ことしは衣食住の実用知識のものを中心に編集をして、一応何か家庭に備えつけておいてお役に立つものというぐあいに考えて、来年度もどういうものにすれば効果的な内容でサービスができるかということをいま鋭意検討いたしておる次第でございます。
  77. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 まず私は、六カ月とか一年前納を対象にしておるということについて頭にくるのです。六カ月、一年の場合は割引するのでしょう。本当に零細なお金で口座振替しておられる方々と、NHKの職員の皆さんがお顔を合わせないという限りにおいては同じなんですよ、どっちも口座振替ですから。むしろ毎月毎月、割引もないのに口座振替で払っていただいておる方々の方こそ視聴者として大事にしなければならない。六カ月、一年納められる人はかなり余裕があるし、また割引もあるのですよ。それが第一点私の不満な点です。  二点目は、なぜ地域を分けてそういうことをするのか、やるならば全部公平にやるべきであって、東京と大阪と名古屋は腰痛をやった、この次は食生活を埼玉県の方にやる。九州にやるころには一体何が来るのかわかりませんが、そんなばかな話がありますか。やるならば全部を対象にしてやるべきで、地域を分けてやるなどというようなやり方は妥当性を欠く。  目的はお聞きしましたが、これはどのくらい予算がかかるのですか。
  78. 荒井治郎

    ○荒井参考人 一応単価が三十円くらいでございます。送料を含めますと六十円近くになりまして、これが二百万ということになりますと大体一億三、四千万円くらいになって、結構な金額になるわけでございます。
  79. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 さっきの振替を利用しておる方々は千二百万世帯前後だったと思いますから、全国で四六%くらいだったと思うのですよ。それをやるなら、みんなやればいいじゃないですか。一億か二億の金で済むことならば全部やればいいので、特別の地域だけに特別のサービスをするというのは、視聴者の側から見るとまことに不都合だし、ましてや六カ月、一年を前納して割引をしてもらった方々だけを対象にするなどということは、認識不足もはなはだしいですよ。むしろ割引もないのに振替を利用して毎月毎月払っておる、そういう視聴者を私は大事にすべきだ、こう思うのですけれども、これはどうお考えですか。
  80. 荒井治郎

    ○荒井参考人 先生の御趣旨は大変よくわかるわけでございますけれども、先ほどの大都市の前納口座の方々からあれしておりますのは、少なくとも視聴者との結びつきというものをだんだんいろいろと深めていきたいということが考え方の一つの基礎にございまして、決して大都市以外を軽視しているわけではございませんけれども、そういうことを検討しつつこの計画というものを充実発展させていきたい。それで、まず第一に大都会の二百万の方々から始めまして、そのサービスの効果が一体どうかというようなことも、反応もいろいろ調べましてから、また次の、実はことしのその計画に入ったわけでございます。そして来年度はまたそういうようないろいろな手ごたえも勘案いたしまして、来年の案を一体どういう内容にしていくかということを私どもは内々考えているわけでございます。
  81. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 やるなら全員に差し上げなさい。何で差別をつけて、六カ月とか一年前納した人だけに上げるとか、特定の地域だけに上げるとか、そんな差別をつけるのですか。おやりになるなら全部おやりになったらいかがですか。全部おやりになれないなら、そのお金でむしろ難視聴の解消をなさった方がNHKの本来的な使命であると私は考えておるのです。一億と言えば幾つかの難視地域の解消ができるはずですよ。その方がむしろNHKの本来の使命であって、もしも私が言うように千二百万世帯全部にこれをお配りになるといったら莫大な予算になるはずですよ。それができないのに、一部だけおやりになってみて反応を見ながら来年の計画——来年の計画をお立てになるなら、難視地域の解消の方にもう少し重点を置いてもらいたい。あなたじゃない、これは会長です。どうですか。
  82. 坂本朝一

    坂本参考人 もともとこの発想は実は私にございまして、しばしばこの委員会でも、先生のおっしゃる口座でお払いくださるあるいは前納でお払いくださるという方にはNHKから集金人の方が伺わない、したがって、NHKに対するリレーションが不足している、そういう点について、むしろNHKは払わない受信者に対する対応に明け暮れていて、黙って払っている人たちに対するサービスに目を向けないのじゃないかというような御指摘もいただいて、私も全くそうだ、むしろそういうふうに黙ってお払いいただいている方々にもっとリレーションの場を考えられないだろうか、はがき一枚でもアンケート用紙でもお配りして、御不満などがあればというようなことが考えられないだろうかということから、私が検討せいという指示を出しましたところが、やはりその二千九百万という膨大な受信者の中の一千万からになる方々に一斉にやるということは億という金がかかるので、段階的にどうだろうかという提案がございまして、私もやらないよりやった方がいいのじゃないかということで踏み切らせたわけで、全くそれは私の責任でございまして、いま先生の御指摘、やってそのことがかえって不公平感を逆に生んだりなんかするというようなことであれば、検討するということも当然かと思いますので、今後の問題として受けとめさせていただきたいと思う次第でございます。
  83. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 お答えいただきましたが、ただ申し上げましたように、やるならば、口座振りかえをなさっておって顔を合わせることがないという方々全部を対象にしなければ、九州で口座振りかえしておる者が恩典に浴しない、東京、大阪だけにやるなどと、そんなことをやるのだったら、かなりな金がかかるのですから、難視解消の方をおやりになった方がいいのじゃないですか、こう私の意見を申し上げておきますから検討をしてみてください。  それから、少し時間が足りなくなったので、委員長頼みます。  その次に、郵政省の五十七年度予算の編成に当たりまして、政府の方針でゼロシーリング、しかも補助金については一律一〇%の削減、これを受けて郵政当局では、放送法三十三条の国際放送の命令分についての国の負担分を削減するやに承っておりますが、大臣、まさかそういうばかげたことはないでしょうね。
  84. 山内一郎

    山内国務大臣 国際放送につきましては、当委員会においてもいろいろその重要性につきまして御審議をいただいており、われわれもその必要性を十分に認めているところでございます。  そこで来年度予算編成に当たりまして、国の財政が非常に苦しいので補助金を一律一〇%削減、これは各省別の総枠について一割削減、こういうことに考えているわけでございますが、そこでいろいろ検討いたしまして、国際放送は重要であるので一〇%削減して要求するということはいたしておりませんが、いろいろ検討しても、どうしても二・五%程度は削減せざるを得ない、こういうことで現在大蔵省に予算要求を出しております。
  85. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私が申し上げたいのは、今日までのこの委員会におけるいろいろな意見、あるいはまた放送法に基づく国の負担の責任、そういうものから考えて、この国際放送の負担金というものは本来減額するような性格のものではないと、私は思っておるのです。むしろまだ国の負担が少な過ぎるのじゃないか。だからその負担割合を明確にしていったらどうかということを私は前から申し上げておるのですが、たとえば国際放送の命令書を大臣はお出しになっています。かくかくの方法でやりなさいという命令を出しておりますが、これに対して国が一体幾ら負担をするのだということを、これは全然書いていないのだ。これではちょっと協会の方もやれませんね。したがって従来の慣行で、本来業務としてのNHKの国際放送と国の命令分をあわせてやりなさいよとは書いてありますけれども、同じように三十五条でございましたか、これに必要な予算は国が負担するのだというのも法律で書いてあるのです。ただ、国会で議決をした範囲を出てはいけないというのもあります。したがって、政府としてはこれだけの予算でもって国際放送をやってくれ、内容はこべだ。NHKがそれはできませんとかできるとか言うのは別でしょう。しかしその性格から言えば、命令した分について、補助じゃないのですから、負担金でございますから、負担金を削減するというのはどうも私は納得がいかない。いま大臣の御答弁ではかなり御配慮をいただいておるようですが、別枠という言葉がいいか悪いかは別にして、本来これは一般の補助金、助成金とは異なる性格のもので、国が命令してやらせておるわけですから、それを値切るというなら——これは建設省あたりでもぼくはあると思うのだけれども、土建業者に請け負わせて後で値切るというのは、大臣専門ですが、そういう契約は早く言えばないでしょう。それを値切ろうなどというに至ってはまさに私は言語道断だと思いますので、もう一遍この国際放送の負担についての郵政当局のお考えを、大臣が何ならば事務当局でもいいですが、明確に答えておいてもらいたいと思います。
  86. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 国際放送の交付金の性格でございますが、先生がおっしゃったとおりでございまして、今度の国の財政の関連におきまして、私ども当初一律削減というようなことで、一割削減するようにというようななにがきたわけですけれども、この性格の違いというものを十分説明いたしまして努力を重ねた。その結果、二・五%と申しますか、そういうところで極力削減率を少なくするようにというようなことで現在やっておる次第でございます。  そうすると、その命令分についてはそれだけ影響を受けるということになるわけでございます。その辺につきましては、この時期におきまして国際放送のような非常に重要なものに影響を与えてはならぬというようなことで、実際の面におきますと、周波数の面などにおきましても、一方向三波と、三台動かすというようなことをやっておるわけですが、その辺につきましても、何とか一時期については技術的に考えても二台で済まぬかというようなこと等、その他関係のNHKあるいは国際電電も関係しておるわけですけれども、十分協議いたしまして、全体の声価を落とさないように今後十分努力してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  87. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 電波監理局長がせっかく努力をしていただいているわけですが、大蔵省見えていますか。——いまお聞きのとおりで、これは長い経緯がありまして、当然放送法で定められて、郵政大臣が国際放送を命令する、命令した分については国がその費用を負担します、こうなっておるわけです。ただ申し上げたように、国の、国会予算決議の範囲で出すことになっていますが、大平さんが大蔵大臣のときにも私は質問しまして、要る金は出しますとお約束していただいて、一挙にはいかなかったけれども年々増額していただいて、この段階にくれば負担割合を明確にすべきではないかということまでこの委員会でしばしば申し上げてきておるのです。たとえいまいろいろな行革上の問題があったとしても、これは性格が違うのだということを認識していただいて、別枠という言葉がいいか悪いか別ですが、別枠で扱ってもらいたいと思いますが、どうですか。
  88. 藤井威

    ○藤井説明員 先生の御議論非常によくわかるわけでございます。来年度予算の話でございますので、いまここでどうするかということを御答弁するのは控えさせていただきますけれども郵政省とも十分相談いたしまして、今後十分検討してまいりたいと思います。
  89. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 きょうは大蔵省からいい人が来てくれました。では十分ひとつ相談していただいて、別枠という言葉は別にして、そういうお取り計らいを特にお願いしておきます。  委員長、ちょっと時間が過ぎましたが、もう一点。本来の五十四年度決算の中に入っていく時間がなくなってしまったのですが、一つだけ聞いておきたいのです。  営業費内訳、これをちょっと知らしてくれませんか。
  90. 海林澣一郎

    ○海林参考人 お答えいたします。  お手元の資料の中にある営業費、これでございますけれども営業費の中には広報費あるいは都市受信障害の受信改善費、それから契約収納費というようなものが含まれております。それが内訳でございます。
  91. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 その中で契約収納費は何割ぐらいになっておりますか。
  92. 海林澣一郎

    ○海林参考人 契約収納費は大体内容的には人的費用が六〇%、それから郵政委託の経費が一六%というようなことで、大体四分の三が委託集金人の手数料あるいは郵政委託の費用というような内容でございます。
  93. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 この前も海林理事にお伺いしたのですが、表を見ますと、さっき問題になりました口座振替の払い込みが年々ふえてきておるわけです。これは非常に好ましいことだと思うのですけれども、こっちの営業費の中の契約収納費がまた年々ふえておるのです。大体これは反比例すべき性格のものではないか。口座振替がふえていくほど契約収納費の方は、絶対額は別にしてパーセントでふえていくというのはおかしいのではないか、そういう気がするのですが、その辺の兼ね合いはどうでしょうか。
  94. 海林澣一郎

    ○海林参考人 口座がふえれば契約収納費が減る、これは先生の御指摘の感じなんでございますけれども、感じという言い方は失礼でございますが、実は部内的には、委託の方が口座をふやしていく、自分の受け持ちの地区の中で口座がふえるわけでございますけれども、ふえましたからといって、それがその後引っ越しもございます、いろいろございまして、自分の受け持っている範囲の中で、部内的には地域管理というような言葉を使っておりますけれども、それをフォローしなければいけないというようなことがございます。したがいまして、契約者の方がふえる、それがふえたから委託の方をそのままふやすというようなことは極力抑える。そのために先生のおっしゃる口座をふやしているわけでございますけれども、ふやしたから直ちに委託の方の労働がそれに正比例して減るというような形にならないところが営業部内としては頭の痛いところでございます。
  95. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大体わかりましたが、もう一つ、委託契約の場合、一件当たりの集金をしてきたそれに対して何ぼという手数料を払うということになると、振替がふえるほど委託料の収納が減るのか、あるいは口座振替になっても同じように払うのか、その辺どうなんでしょうか。
  96. 海林澣一郎

    ○海林参考人 おっしゃるとおり契約をとる、そして収納する。それが口座に変わっていく場合に全くその収入がなくなるというようなこと、これは私たちとしても委託集金人の方の生活も預かっているということでございますので、口座をとりましたら、それが何分か固定費の方にスライドするというような形をとります。したがいまして、口座をとったから直ちにそれが全くの減額になるということではないということでございます。
  97. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大筋わかりました。しかし常識的に言って、口座がふえていけばやはり委託の集金の方は経費が減っていくというメリットがあるのじゃないかというような気がしますので、そこのところいろいろ検討していただいて、ただ、委託の方々の収入が極端に落ち込むようなことはちょっと気をつけていただきたいと思います。  最後に、委員長もう一つお願いしたいのですが、放送大学が、これは私ども反対だったのですけれども放送大学学園法がとうとう成立をいたしまして、いよいよ発足するようでございますが、NHKとしてはかねてから、これに対応する何とかプロジェクトとかなんとかいうのをつくって対応策を練っておられたようですが、いよいよ発足するに当たって、予算上いろいろ問題があるようですけれどもNHKはどう対応されるのか、人的にどう対応されるのか、技術的にはどういう提携になるのか、そういう点どうお考えになっていますか。
  98. 坂本朝一

    坂本参考人 具体的なことは担当から答えさせますけれども放送大学に対する対応といたしましては、やはりNHK自身は今後とも国民的な放送機関として公共放送の使命を果たしていくんだ、そういうステータスに立って、放送法に許される範囲内において放送大学にも協力しよう、こういうことでございまして、御承知のように放送大学学園の非常勤理事として、われわれの先輩でもございました川上行蔵氏が就任いたしておりますし、田中放送局長が学園の運営審議会の委員として参加いたしておりまして、局内的なプロジェクト等につきましては田中君から答えをお許しいただきたいと思います。
  99. 田中武志

    田中参考人 いま会長が申し上げましたように、私がNHK学園の運営審議会のメンバーということでこれまで二回会合に出まして、いろいろいま審議を詰めているところでございます。まだ放送をどういうふうにしていくかというところまでこの審議会では入っておりませんで、事業内容はどうするんだとかというところまででございまして、また近いうちに第三回目があろうかというふうに思っております。  そのほか、私どもの方で学校放送関係、教育関係に大変長い間従事したベテランがおりまして、こういった者が放送大学学園放送システム検討委員会というようなところのメンバーにも入っておりまして、いろいろ過去のわれわれが蓄積いたしました教育番組についての経験と実績というもので寄与しているというところでございます。
  100. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大変時間が過ぎて申しわけありません。終わります。
  101. 佐藤守良

    佐藤委員長 阿部喜男君の質疑は終わりました。  鈴木強君。
  102. 鈴木強

    鈴木(強)委員 大変予定時間がおくれておりますが、若干の質疑をいたします。  最初に、FM放送の開設免許の申請状況は現在どのようになっておりますか、件数で結構ですから。それから、同時にこれに対する免許方針、これは何回も何回もここで私からも申し上げておりますが、どうなっておるか。この二つ。
  103. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 FM放送の免許申請の状況でございますが、周波数の割り当て、いわゆるチャンネルプランがなされているところについてまず申し上げますけれども、仙台地区八十五件、金沢地区二十五件、静岡地区百六十七件、長崎地区四十三件というふうになっております。なお広島地区については、つい先ごろ九十一件出ておりましたのですけれども、一本化を前提といたしまして取り下げられております。その他のまだチャンネルプランがなされていない地区三十三都府県ございますけれども、トータルで申し上げまして二百三十八件の申請がなされておるわけでございます。  それから二番目の御質問でありますが、民放FMの早期実現を望む要望というものを私どもよく聞いておるわけでございますけれども、県単位を原則といたしまして早期に民放FMの全国普及を図るということを申してまいったわけでございます。それで現在十一都道府県に割り当てが済んでおる。すでに電波の出ておる地区が四地区、それで一本化ができました会社の数が北海道、愛媛、それから先ほども申しました広島地区というようなことでございますけれども、これはまだ電波が出ていないわけでございます。  なお、新規割り当てについてでございますけれども放送番組の質の維持、向上といいますか、あるいは辺地までサービスを確保するというような必要性を考えてみますと、経営の可能性ということも非常に大きな問題であろうというふうな考え方で、いま申しましたように、すでに経験があり電波が出ておりますのはまだ四地区でございまして、その他の地区につきましては、一番早い愛媛の場合で来年二月、これが十数年ぶりに初めて電波が出る、また北海道の場合につきましては来年の十二月ごろに電波を出すというような計画で進んでおるわけでございますけれども、十数年間その辺の新しい局についての十分な資料がまだ出ていない、これからのそうした地区におきます経営の可能性についても判断の材料が十分得られないというような状況にございます。それが実態でございますが、やはりその要望にこたえまして、放送需要等総合的に勘案いたしまして、できる限り早急に普及を図るという観点から、積極的に検討を進める必要があると考えておる次第でございます。
  104. 鈴木強

    鈴木(強)委員 何度質問しても同じようなお答えしか返ってこないのですね。現行四地区が放送をやっておるわけですけれども、御指摘のように松山と札幌がいま予備免中ですね。静岡、仙台、金沢、広島、長崎、要するに七地区に対して追加免許をしたのですけれども、広島が取り下げるというような事態もありまして、まだ五つの地域が決まっておらない。それはそれとして、その地域におけるたくさんの申請者があるわけですから、それらの申請者の方々がよくお話し合いになりまして一本化の方向を見出していくことも大事なことでしょう。しかし、その他残された三十三府県、東京も北海道も進んでいるから三十三府県でありますか、この百三十八件の申請があるものについてできるだけやりたいということは何回も言っているのですけれども、具体的にそのめどがちっとも立ってないわけですよ。ですから、そういう問題についてはもう宝の持ちぐされなんですよ。非常に大事な電波があるわけですから、その電波を一刻も早く発射して、そして国民の文化向上に寄与するというのがやはり放送の公共事業たるゆえんであると思うのです。そういう意味からいって、郵政省は、残された地区についても免許をするという方針に立ってもっと積極的にやってもらいたいと思うのです。経済的に成り立つか成り立たないかということは、Uを免許するときもあったわけですよ。しかし、やってみれば結構ペイしてうまくいっているわけです。  NHKは全国すみずみまでFMが放送されている。しかし、民間においてはそれがとんざしている。こういうことでは不公平ではないですか。当初から全国にやるという方針のもとにスタートしているにかかわらず、いろいろな障害があったとしても遅々として進まない、これでは問題ですよ。  ある方に私はちょっと聞いたのですけれども、免許申請を持っていったら、それは申請しても許可になりませんというようなことを担当の人が言ったというのでえらい怒っておりましたよ、許可もしないものを何で受け付けるのだと言ってけんかしたと言っておりましたけれどもね。そういうような、申請者をばかにするようなことまで言われているということになると許しがたい。  したがって大臣、御就任以来私も何回かこの問題を取り上げているわけです。ですから、実態をもう少しよく見きわめていただいて、一本化できるところはどこなのか、あるいは経済的に成り立つか成り立たないのか、検討するならしてくださいよ。これはしていただいていいでしょう。そしてできるだけ早く、申請しているところに対しては免許をおろすという方向に一層事務当局を督励し、大臣も先頭に立ってひとつ任期中に解決してくださいよ。お願いします。
  105. 山内一郎

    山内国務大臣 私が大臣に就任いたしましたときには、たしか七県の周波数の割り当てがあったのでございます。そしてなかなか解決をしないというのを聞きまして、私も積極的に乗り出し、事務当局も督励して愛媛と北海道が仮免許になっている。もうすぐ広島もなる段階に相なっているわけでございます。     〔委員長退席、堀之内委員長代理着席〕 そこで、これを全部片づけてから次にというのも大変時間がかかる問題でございますし、いま先生のおっしゃった趣旨のとおり、一県一つ割り当てという原則論もございまして、取り残されたのも極力解決する努力をしますけれども、全部終わってからということでなくて次の新しい段階に進んでいこう、こういうことでいま準備中でございます。したがって、鈴木委員のおっしゃるような線でこれから進めてまいりたいと考えております。
  106. 鈴木強

    鈴木(強)委員 わかりました。ぜひひとつ促進方をお願いしておきます。  それから一九八四年の次期ロサンゼルスのオリンピック大会の放送権の問題についてちょっとお伺いしておきたいと思いますが、前回モスクワのオリンピックの際には、非常に残念でしたけれども、日本の公共放送民間放送との共同歩調がとれず終わってしまいました。この委員会でもこのことについては大変激しい論議も取り交わされましたが、いまだに当時の放送権料が幾らであったのかということも私たちは承知することができないでおるわけでございます。私どもは私どもなりにいろいろ情報をとってみますと、一説によりますと、八百五十万ドルから一千万ドルくらい払ったのではないだろうか、こういう憶測も行われておるわけであります。そういう中で、今度次期のロサンゼルスについては幸いNHK、民放が共同して行動できるということになりまして、まことに喜ばしいことだと私は思います。したがって、いまさら前回のことについてつべこべ言おうとは私は思いません。そういう経験を経て、また従来の共同でやってきた方がよろしいというところにみんなが非常に着目してそういう行動に出られたことは、大いに多とすべきだと私は思いますので、そんなけちなことは言いません。  ただ問題は、これから交渉される際に、アメリカ側が仮にモスクワの放送権料が幾らであったかということを知っているとするならば、それを基礎にして今度またロサンゼルスの組織委員会が各国との間に放送権と放送権料の問題で交渉に出てくると思うのです。そうなりますと、かなり値上がりされたものを基礎にして交渉のペースが始められてくるということになって、国家的な損失というものは当然われわれとしては心配になるわけでございます。  NHKとしてはすでにロサンゼルスの放送権の問題について交渉をおやりになっているようにも伺っております。せんだって十月七日の定例記者会見で会長がロスの五輪放送権問題についても述べられておりますが、いままで何回程度交渉なされたのか、そしてロスの組織委員会としてはどの程度の額を持ち出してきているのか、そういった問題について、差し支えのある部分は結構ですから、わかっている点がありましたら、ひとつここで示してもらいたいと思います。
  107. 田中武志

    田中参考人 ロサンゼルスのオリンピックの放送権につきましては、御存じのようにおととしの十一月に私ども会長と民放連の会長が共同記者会見いたしまして、ロスについては共同で交渉し共同で番組などもつくっていく方式をとるんだということをはっきりと表明いたしまして、その後、いま御指摘の交渉に入っております。  昨年の十一月に私、民放連の方の代表と二人でロサンゼルスへ行きまして交渉を進めたわけでございますが、そのときには、約四千三百万ドルというわれわれから見ましてもきわめて膨大な数字を示されまして、物別れということで帰ってきたわけでございます。それで、先ごろ九月の末に開かれましたバーゲン・バーゲンにも二回目として民放連の代表とともども行きまして交渉してまいりました。若干昨年の十一月よりはロスの組織委員会の方も下げた値段で言ってまいりましたけれども、まだまだ私ども考えておりますような数字とはかなりの隔たりがございますので、まだあとしばらく時間を置いたところでまた交渉を始めたいというふうに思っておるわけでございます。  ちなみに、ヨーロッパの放送連合の方もことしの五月に第一回の交渉をいたしまして、ここではモスクワで払った権料プラス四年間の物価値上がりを入れて四割ぐらいかさ上げをいたしまして交渉したというふうに伝え聞いております。それで物別れになりまして、今度ヨーロッパの方もこの十一月の中ごろにもまた第二回の正式の交渉を始めるやに聞いておりますので、私ども、ヨーロッパ側と放送連合の代表と十分その間連絡をとりながら、今後粘り強くひとつ交渉を進めていきたいというふうに考えておる段階でございます。
  108. 鈴木強

    鈴木(強)委員 ちょっと活字になっておるものがありますのでお伺いしたいのですが、このロス五輪放送権の交渉について、会長が十月七日に記者会見した席上で、「先月末、西独のバーデン・バーデンで、民放連の常盤報道委員長と共に、ロス五輪組織委のユーベロス事務局長と話し合った。席上、日本側は、モスクワ五輪の際支払った放送権料の四〇%増の額を回答したが、相手側も最初に示していた額よりも譲歩する感触を得たので、今後さらに交渉を続けたい。」こういう記事になっておるわけです。そうなりますと、NHKの方でもこの五輪の際支払った放送権料については大体知っておるのじゃないか。そして、その四〇%増し。たまたまいまEBUの方から五月に第一回交渉をやられた千四百万ドルというもの、四〇%増というものに大体合致するような気がするのでございますけれども、私たちはこの委員会でかなり放送権料について契約書等その内容を明らかにするように迫りましたが、当時これが明らかにならずに終わってしまいまして、いまでも公式によくわかりません。推測かどうか知りませんが、一応モスクワ五輪の放送権料というものは大体わかっていると判断していいのですか。
  109. 田中武志

    田中参考人 モスクワの放送権料が公式にどのぐらいであったのか、私ども正直言って入手しておりません。しかし、先ほど先生がおっしゃったような数字、それからロサンゼルス組織委員会の代表が交渉の経緯の中で言ったところを見ますと、大体先ほどの先生のおっしゃったような数字ではなかろうかと私ども推測しております。
  110. 鈴木強

    鈴木(強)委員 わかりました。  それで、私は要望があるのですけれども、ソウルの一九八八年オリンピックについてもロスと同様に民放、NHKが合同して放送権の交渉に当たるということで、先般、会長と浅野民放連会長と二人の共同会見がございました。これは非常に結構です。こうならなくちゃいけないと私は思いまして、慶賀にたえないわけです。  そこで、確かにモスクワの放送権料というものが飛躍的に上がりまして、そのために国益から見ると、これは正直言って損したのですよ。それが基礎になって今度も交渉が始まってくる、これは当然でしょう。したがって、まあアメリカですから話もよくわかるでしょうし、日本としては、まだ三年もあるわけですから、何回も何回も交渉を重ねていただいて、できるだけ放送権料を安くするようにやっていただきたい。  もう一つはEBUの方も恐らく積極的におやりになると思いますから、それらの方もにらみながら、なおかつABUの方については、これはそこの了承を得て日本は民放と一緒になってNHKがやっておられるのだと思いますけれども、そういう配慮もやりながら粘り強くひとつ交渉を続けて、できるだけこの放送権料を安くして、そしてロスのオリンピックは前回のようなことがないように、国民が期待しているわけですから、その期待にこたえるよう交渉を成功させていただくようにお願いしたいと思います。会長どうですか。
  111. 坂本朝一

    坂本参考人 私も先生とその点は全く同感でございまして、民放連の浅野会長ともフェース・ツー・フェースで話しまして、そして浅野会長の方も全く同感であるということで、先般の民放連の全国大会でいち早く御発言になって、それでわれわれと一緒にやろうということを民放連としても御決定いただいたわけでございますから、私は今度は前回のような失敗を繰り返さないという確信を持って事に当たりたいというふうに思っております。
  112. 鈴木強

    鈴木(強)委員 何と言ってもこれはNHKが主導権をとって、そして民放の皆さんと一緒にやっていくという姿勢がなければいけないと思いますので、ぜひひとつがんばってください。  それから、先ほど阿部委員からもちょっと質疑がございましたが、いまNHKでは長期ビジョン審議会をおつくりになりまして、公共放送事業としてこの事業体がどうあるべきか、長期にわたるビジョンの御審議をなされておると思うのでありますが、その審議の状況と、それから大体その結論はいつごろ出されるのでございましょうか、その見通しをお聞かせください。
  113. 山本博

    ○山本参考人 ただいま審議会続行中でございまして、きょうの午後も報告書の作成を中心にいたしました審議会の総会を開く予定になっております。なお数回、最終報告書をどう取りまとめていくかという会合があるのではないかと思いますが、明年早々には報告書の御提出をいただけるのではないかというような段階でございます。
  114. 鈴木強

    鈴木(強)委員 この長期ビジョン審議会におきましては、多角的な立場に立っていろいろと調査研究をなされておると思うのですけれども、今回臨調との関連で、先ほど澤田官房長からもちょっとお答えがございましたが、NHK問題が臨調でも俎上に上る、そういうような事態もあるわけですね。特にわれわれは、後からもちょっとお伺いしますが、国際放送のあり方について、現行NHKが無線局を持ち、番組の編成権を持って、そして国際電電の協力を得つつやっておるわけでありまして、こういった国際放送を何か別の組織に切りかえていこうというような動きもあるように聞いておるわけでございますが、そういうことがあってはならないと思うのです。  そこで澤田官房長にお伺いしたいのですが、臨調にお出しになりました、まあ特殊法人といっても、会長がさっきおっしゃったように、これはちょっとほかの法人と違う性格を持っていると私は思いますが、日本放送協会はかくあるべしという二つのものを臨調に示したのでございましょう。経営形態については一体どういうふうにしたのですか。そこのところだけでいいですから、ちょっとここで答えてください。
  115. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 お答えいたします。  NHK経営形態につきまして、かくあるべしということではむしろなく、現状を御説明をしたということにとどまる程度だったと思うわけでございますが、ただ、現在の経営形態につきましては、わが国の放送事業形態、全国津々浦々に至るまであまねく放送を聴取できるように放送設備を設備して、全国民の要望を満たすような放送番組を放送する任務を持つ国民的、公共的な放送企業体としてのNHK、そして個人の創意と工夫とにより自由濶達に放送文化を建設する自由な事業としての一般放送事業者、この二本立てとして、そのおのおのがその長所を発揮するとともに、互いに他を啓蒙し合っておのおのその欠点を補い、放送により国民が十分に福祉を享受できるようになっているといういまの体制あるいは現在の経営形態というものについて、郵政省はこれが適当であると判断しているということについては御説明を申し上げているところでございます。
  116. 鈴木強

    鈴木(強)委員 大臣もこの点については、現在の経営形態というのが非常に適切妥当である、この認識は間違いないですね。
  117. 山内一郎

    山内国務大臣 そのとおりでございまして、現在の体制を堅持しながらやはり合理的な努力はしていかないといけない、そういうふうに考えております。
  118. 鈴木強

    鈴木(強)委員 NHKの方に伺いますが、このビジョン委員会というのでいまいろいろ審議をされていると思いますが、国際放送のあり方、こういうものについて何か特別の論議をいまいたしておりますか。もししておったらその経過を説明してもらいたいのです。
  119. 山本博

    ○山本参考人 ビジョン審議会の中に放送関係を専門に御審議をいただく小委員会ができまして、十回前後いろいろ諸般の問題について検討しておられますけれども、その中で国際放送についても御審議をいただいております。  いろいろな御意見ございますが、審議会としての御意見は、これまた最終的に報告書が出ておりませんけれども、いままでの御議論の段階においては、国際放送というのは、従来どおり政府からあるいはもろもろの勢力から一定の距離を置いたNHKが公正な報道をする、放送をするということが、ありようとしては一番望ましいあり方であるというようなお考えをお持ちのようでございます。
  120. 鈴木強

    鈴木(強)委員 ビジョン委員会でも、当然国際放送の問題については論議がされてしかるべきだと私は思っておりましたが、大体方向として公共企業体であるNHKがやっていくのがよろしい、こういうことには変わりはないと私は思います。  そこで、八月八日の毎日新聞を私は見まして、その記事の中に「NHKの国際放送に国の海外宣伝機関として役割を強めるために、郵政省と外務省が民間人を含めた委員会を発足させ検討を始めることを決め、」五十七年度予算でその調査費を要求する方針である、こういう記事が出ました。  なるほど現在NHKが三十七、八億の金を投じ、その中に国の補助、助成金が約十億円くらいあるわけですが、それによって日本から海外に向かって日本の政治、経済、文化、社会あらゆる問題について放送しておる。ところが、果たしてその放送を全世界の国民がどれだけ聞いてくれているのだろうか、そしてそれがどのように活用されているのだろうか、そのことがよくわからなければ、せっかく金を出して放送してみてもそれが生きてこないような気がするわけです。  そこで私は、そういう意味において民間人を含めた委員会的なものをつくって、郵政省と外務省も一緒になって全世界の受信の状況、これが果たしてどのように有効に使われておるか、そういったことの御調査等なさることについては賛成です。ですが、この委員会というのは一体どういう性格のものか。これは新聞記事でございますから、私はただその記事を信用し質問しているわけですから、こういう委員会を発足させて一千万円近い調査費をつけて一体それで何をしようとするのか、まずそこのところをお聞かせください。
  121. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  来年度予算要求を実は一千万ばかりしているわけでございますけれども、いずれにいたしましても、国際放送をより充実強化し、もっとよく聞こえるようにと、いろいろなことで私どももその充実強化の必要があると考えるわけでございます。  その調査費の使い方でございますけれども、まず国際放送につきまして制度面及び技術面の両方から調査研究を行いたいということで、その必要経費がほとんど一千万でございますが、予算要求を行っておるわけであります。  その内訳でございますけれども、まず制度面についての調査研究でございますが、わが国の国際的地位に応じました国際放送の規模あるいは放送のあり方、現状あるいは財源をどこから持ってくるか、こうしたものについての調査費が一つ上がっております。それから技術的な改善に資するための実験調査費でございますが、主として短波を使っておるわけでございますけれども、短波は現在のところDSB方式でやっておるわけですけれども、全世界的に波が非常に不足しておりますので、SSBと申しますか単側波帯ということで、一言で言いますと倍に周波数の利用度が高まるわけでございます。そういう国際的な趨勢がございますけれども、SSB方式を採用した場合の技術試験、特に電波伝搬調査実験というようなもので約五百万ということでございます。  それで、先生の質問の制度面についての調査、これをどういう形あるいはどういう会議——民間人を含めてというようなお話が現在ございましたけれども、私どもそこまでまだ詰めておりませんで、要するにそうした面での最も有効な調査費というものをただいま予算要求いたしたいということで大蔵に対しても説明しておる、こういう段階でございます。
  122. 鈴木強

    鈴木(強)委員 制度面、技術面の調査費ということですが、特に制度面で、規模といまのあり方、要するに制度のあり方、それから財源をどうするかというようなことであって、国際的に海外の方々がわが日本のラジオ・ニッポンをどういうふうに聞いておるかということについての調査はまるっきり調査費がない。     〔堀之内委員長代理退席、委員長着席〕 われわれがいまここでせっかく放送しておるので、その放送がどこでどのように聞かれ、どのように有効に使われているかということを知りたいわけです。これはNHKがかなりやってくれているようですけれども、いろいろこの資料を拝見しましても、それぞれの地域で特別に協力してくれる人たちがおればいいですけれども、そうでないと、投書とか何かを頼りにして世論調査的なものをやっておるのであって、じゃ的確にどれだけ見ておるか、どれだけ活用されているかという面がはっきりしていないのです。だから、そこまでやることですよ。制度面も必要だし、技術面で二百キロワットを三台を二台にするとかさっきも言っていましたけれども、それも必要だけれども、問題は聞いているか、聞いてないか、そこが問題なんだ。それを一番先に調査して、そしてその上に立って、じゃ技術的にはどうするとか制度的にはどうするということであって、逆じゃないですか。NHKの方としては恐らく調査をおやりになるだろうと思います。  そこで、外務省にも来ていただいているのですけれども、外務省もわが国の国際放送について調査研究するということで、何か三百万程度予算を五十七年度で要求していると聞いているのですけれども、外務省としてはその金は一体国際放送の何に使おうとしておるのか、これを先にお聞かせいただいて、次にまいります。
  123. 渡辺泰造

    渡辺説明員 お答えいたします。  いま御質問のありました予算要求項目につきましては、まだ大蔵当局からオーケーの返事が来ておりませんので、われわれの方の心づもりということでお聞き願いたいわけですが、われわれの方では、この国際放送に経験を有しているヨーロッパ、アメリカ等の国際放送当局者に人を派遣して現在の実情を調査するということに主眼を置いて調査したいと考えております。  それとあわせて、いま先生の御指摘になりました海外における受信状況の調査につきましては、われわれの方でもNHKからの報告を聞くと同時に、外務省としてはNHKの要請を受けて過去数回にわたって在外公館を通じて受信状況を調査しております。  それからまた、今度NHK国際放送の周波数が十一月に変更される機会に、NHKの要請を受けて再び在外公館を通じてアンケート調査を行い、受信状況及び内容に対する意見を把握したい、こういうふうに考えております。
  124. 鈴木強

    鈴木(強)委員 むしろ外務省の方が積極的に受信状況の調査をする、郵政省の方は技術面、制度面の調査をする、二つに分かれてやる、こういうことだと思います。  委員会をつくることについてはまだはっきりしておらない、そこまでいってない、こういうことですが、それは素直にわかりました。  そこで、こういう構想を持たれるに際して、これは何といったってNHKが主体でございますから、こういう調査費を組んでやることについてNHK側と十分な意思疎通をしておるかどうか、これをひとつ聞かせてください。これは郵政省ですか。
  125. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 現在NHKが行っております国際放送の状況が果たしてどうであるかというようなことにつきましては、常々NHKとも定期的な技術レベル、その上のレベルでの会合も持っておるわけでございます。そうしまして、現在要求しております調査費等がつきました場合においては、当然その相談の中といいますか、委員の中にNHKの方も入り、私どもも入り、また一般的な学識経験者も入れて、十分討議した上で実のあると申しますか、効果のある方法を考えてまいりたいと思っておる次第でございます。
  126. 鈴木強

    鈴木(強)委員 局長、そうじゃないのですよ。私が聞いているのは、今回こういう調査費を組むに当たって、いままでNHKは外務省にも要請をして在外公館の手をかりて受信状況の調査をやってきたことですから、それになお外務省も積極的にやってくれるということですから、これはありがたい次第ですね。それはそれでいい。したがって、そういった海外の調査とあわせて制度面、技術面の調査に対して、こういう方法でやりたいということについてNHK側と十分話をして、その上で調査費を請求したか、ここを聞いているのです。
  127. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 先ほど申しましたように、制度面の調査費と技術的な調査費がございますけれども、それぞれにつきまして担務レベル及びその上のレベルで御相談の上、要求をしておるわけでございます。
  128. 鈴木強

    鈴木(強)委員 会長、私がいま質問をしてきた段階まではよくわかるのです。少し杞憂かもしれませんけれども、ちょっと心配する点があるから、その前段について私はいま伺っているわけです。  今度の話がNHKの方に郵政省からあって、こういう構想で、それでは制度面、技術面は郵政省、それから外務省が受信状況調査についてやる、NHKとしてはその中でどういう立場に立ってこれに協力していくかというような具体的な話——将来展望を含めてそういう調査研究をするということは何か次に考えることがあるはずだ。そういうものを含めてNHKとしてはこれに乗っかってきたのですか。その辺をはっきりしておいてもらいたい。——いや、NHK会長に聞いているんだよ。
  129. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 その前に先ほどのお話、ちょっと訂正させていただきます。  事前に、こういう内容のことについて調査費を郵政省が要求するに当たって、特にオーケーをとるという形でNHKと十分相談したという段階にはございません。ただ、先ほど申しましたSSBの採用についての技術的な調査費については担当レベルで相談しております。
  130. 坂本朝一

    坂本参考人 NHKといたしましては、しばしば機会あるごとに申し上げておりますように、国際放送NHKが担当してやるべきであるという信念を私は持っておりますので、国レベルでいろいろな御調査をなさり、国レベルでいろいろな御検討をなさることについて一々私どもがとやこう言う必要はないのじゃないか。ただしNHKとしましては、従来どおりNHKが主体性を持って国際放送に当たる、こういうことの強い意思を持っているということだけはアピールしておくべきであろうと考えております。
  131. 鈴木強

    鈴木(強)委員 会長、つべこべ言うということじゃないのです、あくまでも。こういう国際放送に関して、少なくとも無線局をNHKが取得し、放送局は国際がやっているけれどもあなたのところの無線局だ、NHKの無線局。送信所があるのだ。そうしてあなた方が国際放送放送法に基づいてやっているわけです。そういう主体がNHKにあるわけですから、その主体者であるNHKを無視していろいろなことをやられては困るのです。どういうことをやるについても、やはり事前に、今度は国際放送強化のためにこういうふうにやりたいということでこれは始まっているとぼくは善意に解釈しているわけです。しかし、その後がちょっとこわいのだ。それがあるから私は言っているのです。  ただ単純にそれであれば、私どもも百点満点で双手を挙げて大いに賛成だし、また今日までそのことがやられないで四十億もの金が毎年毎年使われて、一体どう利用されていたかわからないようなことでは、全く体面がないような気もするわけですね。したがって、今回まずその調査をやって、そしてその上でもって技術の面でもやらなければならぬ。  これは技術面でも国際電電の八俣の送信所を使っているのですけれども、ここではきょうは触れませんけれども、国際電電は国際電電なりにかなりの負担をしているわけですよ。かつて短波がA1、A2、A3といってやられたときは、放送はその一角として送信所で片手間でやれば済んだ。ところがいまはみんな小山の送信所の方へ近代化されて移ってしまっているのです。だから八俣はまさにNHK専属の送信所になっているわけだ。そこでは真空管式の何か古いやつを使っているのですよ、二百キロで。ですから、それが悪くて受信できないということはないと思うのです。季節によって、昼夜によって短波はフェーディングがありエコーがあり、その地域である時間に聞こうといったって空中状態が悪ければなかなか聞かれないときがあるのです。しかしその三十分後に聞こえることもあるのだ。それが短波の性質なんですよ。ですから、機械をどんなにいじろうといったって、私に言わせればそっちの方が先なんだ。いい機械にかえる場合に、まずこれがどういうふうに使われているかということの調査が一番大事なんですよ。  NHKも人が足りないから十分な調査ができなかったことは、やはりNHKの責任だと私は思いますけれども、いまさらそれを言ってみたところで仕方がないわけですから、いまからでも遅くないから、まずそっちへ重点的に力を合わせて、技術、制度なんということは後でもいいのだ。郵政省がやるならば、まずそっちの聴取者の状態というものに全力を尽くしてやるべきですよ、外務省がやるよりも。そんなSSBに変えていくとかなんとかいうことをやってみたって、実際にどう使われているか、利用されているかわからないものをお先に研究するなんということは本末転倒なんだ。ですから、少なくとも会長が、NHKが主体でやっている海外放送、国際放送についていろいろな調査をされるときに、つべこべ言うのじゃないんだ、そのことを全部あなたと意思統一してやるべきだ。調査費を組んでこうやってやるということをまだ話していないという。NHKは侵されているじゃないですか。そんなことで会長務まりますか。  これは郵政省も外務省もNHKにもう少しそういうことをなぜ相談しなかったのですか。理解と納得を得て、そうしてこれをやらなければ成果は上がらないですよ。大臣、これはどうですか。
  132. 山内一郎

    山内国務大臣 鈴木総理がASEANに行かれましたときに、現地においてNHKの国際放送が聞き取りにくい、こういう話が閣議でございまして、そういうことの発端から、来年度調査費を要求しよう、こういうことに相なったわけでございます。したがって、NHKを外に置いていろいろ相談するということはあり得ない。ともに郵政省、外務省、NHKが一緒になって研究すべきものである、調査費が取れた上でございますけれども、それは当然のことである、こういうふうに私は考えております。
  133. 鈴木強

    鈴木(強)委員 大臣、ちょっと時間的な観念がないのですよ。私の言っているのは、もちろん通った場合、それはあたりまえです。しかし、調査費を組む前に、こういうふうな形で海外へ行った人たちもなかなか聞こえないと言っている。果たしてそれが、電波が出ておっても聞こえないのか、どこに原因があるのか、そこのところをやはり調査しなければいかぬでしょう。受信機だってどういう受信機を持っていかれたかわかりませんけれども総理が行かれるのですからかなり高性能の受信機を持っていかれたと思うのですけれども、受信機によっても違う。われわれも外国に行くときによく持っていって聞くのですけれども、時間をちゃんと調べてやってみても、ホテルでもって聞こえないときがあるのですよ。だけれども、その次に行った連中は聞こえたということも聞いているわけです。やはり時間差、季節差、いろいろなものによって違うと思うのです。だから問題は、そういうことがあって、どこに原因があるのかうまく伝わっていないんじゃないか、そのことをやるわけですからね。そんなのをNHKとも十分に事前に相談をして、調査費もこうして組みますよ、あなた方もそのつもりで一生懸命やってくださいよ、こういうことで、外務省、郵政省NHKが一体になって取り組まなきゃだめですよ。  いま聞いてみると、局長の話だと、調査費を組むことについてはNHKに相談しないでしょう。そんなことじゃだめじゃないかと私は言っているのですよ。当然初めからそれはやるべきじゃないですか。NHKの主体性が侵されているじゃないですか。そんなことじゃ海外放送もうまくいかないですよ。そこのところを聞いているのですよ。
  134. 山内一郎

    山内国務大臣 事前にどういうことになっているか私は知りませんけれども、要するに現地で聞こえなかったという、これは鈴木総理がお聞きになったのじゃないんですからその点あれでございますけれども、したがって、予算要求の段階からも当然すべきだと思いますけれども、相談しないで出したんでございますから、予算が取れた以上は十分そういう点を注意してやります。
  135. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それは事務当局によく注意しておいてくださいよ。そういうことではだめですよ。そういうことが大臣の一番大事なところですからね。  それで、さっき言った放送のあり方、NHKとの関連等については私は時期を見ていずれまた申し上げたいと思いますが、きょうは時間もありませんのでやめておきます。  そこで大臣、さっき大臣現行NHKの制度は適切である、こういうことをはっきりおっしゃいましたね。そこで、これは私の危惧であるし、若干いろいろなところに書かれているものですから気になるわけですけれども、たとえばNHKから国際放送を分離して国営的なものにしていこうというような動きも若干あるようなんですね。ですけれども、これは私は非常に問題だと思うのです。国営放送にするということに対してのデメリット、メリットというのは確かにあります。ありますが、やはり日本における国外放送、海外放送というものは、臨時放送関係法制調査会の答申にもありますように、これはもうNHKがやっていくのが正しい、こういうことできているわけですね。臨調でもそういうことを言っているわけですから、少なくともそういう考え方を大臣も今後お持ちいただいて、海外放送についてはいろいろな隘路を打開するための調査研究をなされて、そしてNHKの海外放送としてこれからもやっていく、こういう考え方であることについて大臣としては異論がない、こういうふうにお答えできますか。
  136. 山内一郎

    山内国務大臣 国際放送の実施の主体といいますか、それから財源等どういうのがいいかということもいろいろ議論されておるということも聞いておりますけれども、現在、実際に国際放送NHKが実施をしておりますし、かなりの評価も得ているわけでございますが、先ほど申し上げた点が問題点であるということで、郵政省としてはその点を中心にして検討してまいりたいと考えておるわけです。
  137. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それで、時間がないものですから失礼しますが、これから若干五十四年度決算について具体的にお伺いしたいのですけれども、その前に、会計検査院からおいでいただいておりますが、先ほど指摘事項はない、こういうふうにおっしゃられました。まことにこれは結構なことでございます。  そこで、念のためにお伺いをいたしますが、特に指摘事項はありませんでしたが、文書ないし口頭によってNHK側に注意したというようなことがありましたかどうですか、その点をひとつ伺いたいのです。
  138. 丹下巧

    丹下会計検査院説明員 検査の結果に基づきまして、日本放送協会意見を聴取すべく質問を発した事項が三件あります。  また、それぞれの検査に当たりまして、各放送局等の段階でその都度口頭による指摘をしているものもございます。
  139. 鈴木強

    鈴木(強)委員 口頭で指摘したのは何件あるのですか。質問は三件ですね。
  140. 丹下巧

    丹下会計検査院説明員 口頭の事項というのはいろいろありまして、それを何件というふうなことをこちらで申し上げるわけにまいりません。
  141. 鈴木強

    鈴木(強)委員 口頭で注意をしたことが何件あったんですか。ここでその件数までも言えない、こういうことですか。そういうことじゃないでしょう。そんな答弁はないでしょう。
  142. 丹下巧

    丹下会計検査院説明員 私どもの方では口頭で何件上げたかというふうなことを、一応記録にするものもございますけれども、記録にしないものもございまして、それを統計的にとっておりませんので、何件ということを申し上げることはできないということでございます。
  143. 鈴木強

    鈴木(強)委員 そうすると今度の場合は、口頭でやったけれども記録はしてなかった、結論的にはそういうことだな。
  144. 丹下巧

    丹下会計検査院説明員 口頭で何件という記録はございません。
  145. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それから、その三件については特に非違事項とかなんとかいうことでなくて、たとえば会計上の処理をAとやっている、ところがこれはBにした方がいいじゃないかとか、そういうふうな、要するに改善を含める、アドバイス的なものを含めた質問というか文書というか、そういうものであるというふうに考えてよろしいですか。
  146. 丹下巧

    丹下会計検査院説明員 おっしゃるとおりでございます。
  147. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それから、会計検査院は人が少なくて、実態から見るとなかなか現地で直接実態的に調査するということが不可能で、文書か何かの検査をやっているようですけれども、私ども会計検査院の強化ということを常に言っているのですけれども、これはなかなか実ってないわけでして、数少ない皆さんが大変御苦労いただいておるわけですから、NHKだけじゃなくて全国家会計を見るわけですから大変だと思いますが、実際の五十四年度NHK決算を皆さんが見た場合に、実際に検査した部門とそうでなくて書類でもって検査した部門、そのパーセンテージというのはどの程度になっておりますでしょうか。実際に検査した部門というのはどのくらいありますか。
  148. 丹下巧

    丹下会計検査院説明員 私ども検査には書面検査と実地検査があるわけでございますが、実地検査で申し上げますと、五十四年度決算検査に当たりましては、上席調査官ほか十三名で日本放送協会の本部ほか二十七放送局について延べ二百七十二人目で実施しております。  検査に当たりましては、収入については受信料の収納が適確に行われているかとか、あるいは支出については国内放送費の中での番組制作費あるいは営業費の中の収納経費、それから建設費の中の辺地共同受信施設等の各種の経費につきまして、これは適正かつ効率的に行われているかというふうな点について検査しているわけでございます。  それで、いまの実地検査個所数で言いますと、私どもが対象としているところが大体六十七カ所ぐらいございますので、全体的に四〇%ぐらいの施行率になっているんじゃないかと思います。  それから書面検査でございますが、私どもは計算証明規則によりまして毎月証拠資料をとっているわけでございますが、NHKにつきましては一千万円以上の工事、それから五百万円以上の財産の購入、これにつきまして契約書とかあるいは領収書あるいは予定価格の積算の基礎とか、そういう詳しい資料をとって検査しております。これの資料が年間で約一万三千枚ぐらいになるかと思います。  そのほか、実地検査の際には、その場所場所によりまして、百万円以上の工事とか百万円以上の物品の購入とか、そういったものを調書をとっておりまして、それについて見ておりますけれどもNHKの場合には、物品の購入につきましては本部調達が非常に多うございまして、かなり検査は行き渡っているというふうに考えております。
  149. 鈴木強

    鈴木(強)委員 時間が来ましたので、若干まだ残っておりますけれども——本来、放送法第三十七条によってNHKの収支予算事業計画、資金計画というのは国会承認をしておりますけれども、これは大筋の国会承認であって、あとは会長以下理事者の諸君にお任せして機動的に、有効的にやっていただく、こういうことになっておるわけですから、そう細かいことまで私はここで言う必要はないと思っております。ただ、午前中阿部委員からお話がありましたように、またわれわれが常に言っているように、附帯決議やあるいは大臣意見書等にもありますように、受信料をできるだけ確実に納める。そしてその効率的な運用をして、合理化できるところは合理化し、受信者の皆さんの受信料によって賄っているんだということをいつも忘れずに執行していただきたい、こういうことをいつもわれわれは願っておるわけです。そういう考え方で執行されておったわけですが、不幸にして五十四年度は相当な欠損金を生じまして五十五年度に流れておる、こういう経過を踏んでまいるわけであります。そういう意味で、いろいろな問題があるでしょうけれども、そのさっき申しました基本線だけはひとつ忘れずに、公共放送の使命を全うするために受信料を有効適切に使っていく、そして不偏不党、ひとつりっぱな番組をつくって国民になお信頼されるようなNHKになってほしい、こういうことだけ申し上げまして、これで終わります。どうもありがとうございました。
  150. 佐藤守良

    佐藤委員長 鈴木強君の質疑は終了いたしました。  午後一時四十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十五分休憩・      ————◇—————     午後一時四十二分開議
  151. 佐藤守良

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  日本放送協会昭和五十四年度財産目録貸借対照表及び損益計算書議題とし、質疑を続行いたします。竹内勝彦君。
  152. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 超高層ビルなどの影響でテレビの受信障害がいろいろ出ております。それで、今回、こんな報道がちょっとなされておりますけれども、東京各地に広がっているテレビの受信障害を解消するために東京都、不動産業界、放送各社などが共同で第二東京タワーを建設し、抜本対策に乗り出していきたい、こういうような考え方があるやに報道されてございますけれども、この計画は一体どんなふうになっておるのか、状況を郵政省としてつかんでおりましたならば、御説明をいただきたいと思います。
  153. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 東京都内の都市難視については、先ほど先生が挙げられましたようなビル業者その他関心があるということは、私どももいろいろ陳情も受けております。ただ、いまおっしゃいました第二東京タワーということになりますと、ちょっと話が違いまして、多摩ニュータウンがございますけれども、多摩丘陵一円に地形難視がございます。多摩地区及びその周辺の難視を解消するために、現在、多摩地区に地形難視のための中継局を設置することを検討中であり、また開発公社等からも陳情を受けております。多摩地区は現在九千六百世帯の地形難視があると言われておりますけれども、ニュータウン完成時は六十五年だそうでございますが、その時点になりますと、一応の予測でございますけれども、二万二千八百世帯程度のものが難視になるのではないか、こういうことで考えておるわけでございますが、この多摩中継局の設置によりまして、やり方、場所、高さ等々によりましては、いわゆる東京におきます都市難視の一部が波及的効果として、副次的な効果としてある程度解消できる可能性がある、そういうようなところを第二東京タワーというふうな言い方で報道なりお話なりされているというふうに理解しておりますが、私どもが検討中のものは、多摩中継局というようなことで現在検討中でございます。
  154. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 いま申し上げた東京都あるいは不動産業界、放送各社などが共同、この辺の状況はどうでございますか。間違っておれば間違っておる、あるいはもっとこういう面があるとかいうものがあれば、それも教えてください。
  155. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 繰り返しになるかと思いますけれども、ただいま先生の挙げられたグループが、東京のビル陰障害についてCATVでやる方法、あるいはUHFが何とかならないか、あるいは私どもとしましてはSHFでやっていただきたい、CATVの場合にはどのくらい金がかかるというふうなお話がございます。ただ、第二東京タワーと先生おっしゃいましたけれども、そのグループが別にそういう言い方でビル陰障害のためのタワーなり局を建てるというふうには、私ども聞き及んでいないわけでございます。
  156. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 先ほどの、副次的に都内の方も受信障害が解消できるところが出てくるのではないかというのは、それはどの程度出てまいりますか。いまどんな実態になっておって、どの程度これによって解消できるのかというのもまた一つの興味ある重要な問題だと思いますので、その点御説明ください。
  157. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 先ほども申しましたように、地形難視として多摩ニュータウンを中心といたしましてかなりなものがございます。それで、それに関連しまして、副次的な効果があるということでございますけれども、どの程度救われるかということは、どこの場所にどの程度の高さの中継局をつくり、電力をどの程度にするかというようなことでかなり変わってまいります。そういうことで、一応そちらの多摩地区に近い方と申しますか、非常にざっとした言い方でございますけれども、新宿の西の方の部分、これは多摩ニュータウンにつくります地形難視を解消するための中継局の規模いかんによってはある程度救えるだろう、こういうようなことでございます。
  158. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そうすると、これは後で論議をしていこうと思うのですけれども昭和五十八年に放送衛星を打ち上げる予定でございますね。そうなってきますと、一応いまの障害が全国的に解消していくという面でいくならば、たとえば多摩地区にこれだけの費用をかけて、果たしてどれだけのメリットがあるのかという一つの問題点がございます。それと、いつできるかというのはまた非常に大事です。五十八年には星が打ち上がるということを考えれば、来年は五十七年で、もうすぐですからね。そういう意味では、果たしてこれがメリットがあるのかどうかという面からも考えをいろいろと検討していかなければならない点が出てくるのではないかと思いますが、その辺の御見解をお伺いしたいと思います。
  159. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 先生おっしゃるとおり、放送衛星は五十八年度に予定しておるわけでございますが、これが上がりますと全国的に見えることになりますし、またビル陰の障害と申しますか、いわゆる都市受信障害も技術的には解消するというわけでございますけれども、ただ、五十八年打ち上げ予定の放送衛星は、御存じのとおり、NHK放送の難視解消だということでございまして、一方、民放の難視解消と申しますか、それの即効薬にはならないという面があろうかと思います。  一方、多摩地区におきまして中継局を設置していただきたいという要望は、地元自治体あるいは開発公社等からも非常に強くなってきたということでございます。そうした観点から、やはり東京タワーに電波が出てから多摩地区はかなり苦労しておったわけで、見えない状態が続いておりますので、これを無視するわけにはいかないということで、ただいま鋭意話し中ということでございます。
  160. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 NHKにお伺いしますが、そうすると、多摩地区というのはもうNHKには関係ないようにも考えられますが、そういう考え方でいいのか、それまでの受信障害というものをどう解消していこうと考えておるのか、あるいはもう五十八年星を打ち上げるまではどうにもならぬのだというような方式でいってしまうのか、NHKの御見解をお伺いしておきたいと思います。
  161. 高橋良

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  まず第一番目の多摩の置局問題につきましては、これは部内的には昭和五十三年度から置局候補地区といたしまして検討してまいっておるところでございます。その理由といたしましては、先ほど電監局長からも説明がございましたように、多摩の丘陵一円の地形難視という形、いわゆる辺地難視という形で把握しておる世帯数が現在約一万世帯、九千六百世帯ほどは把握しておるわけでございます。さらに、六十五年ごろまで住宅建設が進んでいくと、多摩丘陵地帯の谷間に住宅が建つと、そういう意味の難視世帯の増というのが二万から三万世帯ぐらいの増になるのではないかという形で予測しておりますものですから、とりあえずNHKといたしましては、五十三年から多摩の辺地難視の対策用の置局という考え方で検討を進めてまいっておるわけでございます。  内容につきましては、現在は一万でございますが、早々に建設計画もあるやに聞いておるものでございますから、アンテナの高さなりパワーなりというものにつきましてはまだ決定してないが、今後の道行きにおいて検討してまいりたい、さように考えておるわけでございます。  それから先生の第二の御質問でございますが、確かに放送衛星が上がった場合に都市の受信障害対策にも効果があるという形につきましては、実験衛星でもって私たち実験をし、その成果というものは御報告申し上げたつもりでございます。われわれの予測では、昭和五十五年度におきましての難視の残存世帯数を約四十六万世帯というふうに把握しているわけでございます。ただし土地開発によりましての山間僻地の住宅開発による増というものが年間一万から一万五千の増があるということも把握しているわけでございます。それらを踏まえまして、五十八年のころには四十二万から四十五万世帯ぐらいの辺地における散在地域の難視が残るというふうに把握しておるわけでございますので、それにつきましてはかねがね御審議賜っているように放送衛星でもって抜本的に解決したい、さように考えておるわけでございます。  じゃ、その間どうするのかということにつきましては、ここ二、三年の例を示して御説明申し上げたと思うのでございますけれども、五十三年から五十四、五十五、五十六と、現在五十六年はこの計画を進行中でございます。五十三年のときには解消地区が千百あったわけでございますが、五十六年、本年度の計画が五百まで落ち込んでおりますのは、先ほど申し上げましたように、比較的まとまって難視の解決が図れるというような場所を置局並びに共同受信施設でもって解決しているわけでございますので、五十七年におきましても、現在来年度事業計画の一環として検討しているわけでございますけれども、難視解消地区としては、まとまった地域としてこの五十八年の衛星を打ち上げるまでには三百地区ぐらいの検討を要するのじゃなかろうかというふうに、われわれ判断しているわけでございます。  それからビルのいわゆる高層建築物による受信障害、これの対策は、衛星が上がるまでほっておけない部分がございます。したがいましてNHKといたしましては、五十四年が年度内の障害発生が四十五万あったわけでございますけれども、それを改善いたしましたが、年内に四十三万あったわけでございます。ところが、それまでに解決されてない部分の持ち込みがあったものでございますから、五十六万という未改善の都市の受信障害の世帯数を抱え込んで五十五年に参ったわけでございます。五十五年におきましては四十三万の障害改善をするという予定で進めたわけでございますけれども年度内に障害発生したのが四十五万という形がございまして、五十六年に引き継いだのが五十八万世帯、これがわれわれ現在全国の都市の高層物による受信障害世帯数というふうに把握しているわけでございますが、鋭意五十六年の計画といたしまして年度内の障害の改善に四十三万世帯を改善したい。したがいまして、年度内の発生数はここ二、三年の実績からまいりますと四十五万ぐらいはやはり出てくるのじゃなかろうか。そうしますと六十万という受信障害の世帯数を抱え込んで五十七年に入るということでございますので、これにつきましては、衛星が上がるのを待たないで、五十七年においても相当部分、現在の、先ほど局長のお話にもあったように、たとえば共同受信施設の形なりSHF放送局の形なりでもって解決を図ってまいりたい、さように考えているわけでございます。
  162. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 郵政省に伺っておきますが、こういうビル難視は東京だけじゃございません。大阪にしても名古屋にしても、都市におきましてはいろいろと出てきて、この対策には頭を悩ましております。原則としてこれは原因者負担ということでいろいろと対策を立ててまいりましたが、現状を見てみれば非常にその点は困難なものが幾つもございます。そこで、今後たとえばこのビル難視に対する何らかの措置として法制化まで含めて何か対策というものを考えておるのかどうか。星が打ち上がっても、NHKは解消しますが民放の方はどうもというのでは、相当やっぱり問題点が出てくるので、その点のお考えを聞いておきたいと思います。
  163. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 ビル陰については、東京の場合けた外れに規模が大きいわけでございますが、先生御指摘のように、大阪にも名古屋にもビル陰障害はあるわけでございます。それにつきましてどうするのかということでございますが、基本的には、前々から私ども申し上げておりますように、やはり障害発生の原因者でございます第一次的な建築主の費用負担の考え方、これは変えるわけにはまいらないと思いますけれども、非常にビルの様相あるいは建造物も態様が変わってまいるといいますか複雑化してまいりまして、一概に原因者といいましても非常に原因者が特定しにくいというような面もあるわけでございます。そうしたことで、従来当事者間の協議ということで鋭意私どもも指導もし、またNHKの技術力もかりていろいろ調整を図ってまいったわけでございます。また、根本的対策としまして、ビル陰障害の対策法案というようなものへのアプローチも進めてみたわけでございますけれども、いずれにしましても根本的な方策というものはいまのところ見つかっていないということでございますけれども、やはり社会的に大きな問題であるので、何らかの形あるいは何らかの関係者の合意を得た上で制度的な解消に持ち込めないかというようなことで鋭意協議も進めると同時に模索もしておるという形でございまして、先ほどお話に出ました、第二東京タワーと先生おっしゃいましたけれども、多摩のニュータウンにかけまして、副次的な効果の解消としてビル陰障害の一部でも解消できるものならそういう方向もあるだろう。その際にはやはりある種の考え方を決めて、関係者から御納得の上で拠出していただく、そういうことの積み重ねでもやはり法制化の方へ持っていく一歩近寄った効果になるのではないか、そういうことを期待して、現在説得と申しますか、調整を強力に進めているというのが現状でございます。
  164. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 この五十八年度放送衛星打ち上げということで、NHKの今後の難視聴対策、いまのはそれまでのものとしてビルの難視対策、こういったものの見解を伺わせていただきました。そこで一番問題なのは、いまだに全然見えない、いままで見たことないという山間辺地です。この前も京都におきましても、何しろ二十年間テレビが見えなかったのが見えたという、そういう地域もございました。そういう中で近畿の方面、全部聞くと大変ですから京都、滋賀、私の関係あるところだけでも結構でございますので、その状況を含めて今後、今年度はどこが解消され、来年度はどこを解消する予定なのか、大枠で結構でございますが、それを御説明いただきたいと思います。
  165. 高橋良

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  ただいま先生御指摘の京都、滋賀を近畿の例にとりまして御説明を申し上げたいと思います。  京都府につきましては、五十五年度末の施設の状況でございますが、これはテレビの放送局が五十七局で難視解消をやっております。なお、共同受信施設については二百七十六施設で解消しております。現在五十五年度末のこの施設でもって、あと残っております残存の難視世帯数は京都府は一万一千世帯でございます。  五十六年度の解消を予定いたしまして現在進行中の工事は置局が二局でございます。これは八幡町と網野町でございます。それから共聴施設は十九施設でございまして、亀岡市その他でございます。置局によりまして、若干ローカル難視の解消も含みますが、二千三百五十世帯の解消が図れるというふうに判断しております中それから共同受信施設におきましては、七百七十世帯解消できるというふうに判断しておるわけでございます。  五十七年度以降につきましては、現在京都局の技術部でもって鋭意これの調査に当たっておりまして、これを判断いたしまして、地元の要望も一番ございまして、また難視の非常に強いところ、さらに先ほど申し上げましたように効率的に置局ができるところを本部の方で判断しまして計画を立てたい、さように考えております。  それから滋賀県でございますが、五十五年度末の施設の状況は、テレビの中継放送局が三十二局でございます。それから辺地共聴施設が百三十六施設でございます。それで現在残存の難視世帯の把握としましては、われわれは四千世帯まだ残っておるというふうに判断しております。これについて五十六年進行中のものが置局が一局でございます。これは大津比叡局でございます。さらに辺地共同受信施設につきましては四施設、これは大津市の郊外を含めまして四施設でございます。これで置局でもって五百世帯、辺地共同受信施設で二百九十世帯の解消が図れる、そのように考えておるわけでございます。  五十七年度につきましては、先ほどの京都局と同じように大津の技術部でもって現在地元と対応をし、調査中である、これを受けまして五十七年度事業計画考えよう、そのようにいま進めているところでございます。
  166. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 放送衛星が上がると全国にあまねく電波が行き渡っていく。そういう意味で難視の解消をしていくわけでございますけれども、先ほどのところに戻りますが、民放の立場から見て、そういったローカルの面にも力を入れてやっていくという面から考えれば、この放送衛星に対してNHKの状況というのはわかりましたが、民放は放送衛星に対してどのようなかかわり合いを持っていくのでしょうか、どのような立場になるのか、郵政省としての見解を述べてください。
  167. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 いわゆる放送衛星が出現しました場合に、既設の民間放送がどうなるのかというところにつきましては、民間放送としても非常に関心が深くて、いろいろ研究も始めているようでございますけれども、ただいま進行中のBS2につきましては、先生御存じのとおりNHKの難視聴解消のための利用ということでございますが、それ以後、BS3といいますか、その段階において放送衛星をどう使っていくのかということで、いま放送大学への利用については大いに利用すべきだというような御意見もいろいろ出ているわけですけれども、あとチャンネルをどうするのか、民放の利用の可能性もあるわけでございますけれども、その段階において非常に問題になろうかと思います。BS3以降ということでございます。  そうした場合に、これは放送衛星の場合やはり全国放送というような形になりますので、重視してまいりました民放のローカル性の重要性との関係、あるいは既存の放送秩序と申しますか、民放の存在へどのような影響を与えるのか、非常に問題でございます。私どももいろいろ考えておるわけでございますけれども、先生御存じの放送の多様化に関する調査研究会議におきましても、問題点を私ども指摘すると同時に、それら先生方から十分御審議いただきたいということで、そうした検討状況を踏まえながらいま一層検討を進めるべき問題だ、こういうふうに考えております。
  168. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 ちょっとよく理解できないのですが、民放はこの放送衛星を最初は全然利用できないのか、それから今後利用するならばそれはいつごろ利用できるのか、そして星は幾つ打ち上げてどういうふうになるのかということも、もう一度その辺をわかりやすく教えてください。
  169. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  多少、放送政策あるいは法制的なものではなくて、技術的に利用できる可能性ということでございますが、現在進行中で五十八年度冬期、五十九年の二月ごろ本機打ち上げを計画しておりますBS2につきましては、民放の乗る余地はございません。それでBS3ということになるわけでございますけれども、このBS3についても現在研究開発中でございますが、その利用のあり方についてどうすべきかということで、一応乗っかる部分といたしましては、BS3は技術的には各チャンネルごと百ワット程度の電力でよろしいとなった場合には四チャンネル乗る能力を持っております。ただ、もう少し大きくてチャンネル当たり百五十ワット程度必要とするということになりますと三チャンネル、こういうことになります。仮に三チャンネルとなりますと、実用衛星でございますので、BS2から引き継いだNHKの利用に二チャンネルはとられるかと思います。それから、まだ最終的に文部省その他とも詰めたわけではございませんけれども放送大学学園法案等の審議中にもたびたび出てまいりました放送大学の利用というものがございます。これに使うとなりますと、百五十ワット程度の電力を三チャンネル出すということになりますと、BS3の段階においてももう一つチャンネルが乗ると申しますか、それが仮に民放の利用ということでありますと、BS3の段階でもまだ技術的には出てまいらない、こういうことになろうかと思います。ただ、一チャンネル百ワット程度でよろしい、そうしてもう一つ、四チャンネル分をとるべきだということになりますと、この四番目の利用については、民放と申しますかどういう形態になりますか、民放が一緒になってということになりますか。従来の民放的なものになるか、あるいはその他の形態、いずれにしましても一つだけ余裕があり得る、これの利用に当たって問題が出てまいる、こういうふうに理解しております。
  170. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 NHKにお伺いしておきます。この放送衛星に関連して、従来の放送が全国あまねく行き届いていくということは理解できます。今後クローズアップされてくる問題として、文字多重、音声多重、キャプテンシステム等いわゆるニューメディアですね、こういうものにこの放送衛星が打ち上げられることによってどんな影響が出てまいりますか、御説明いただきたいと思います。
  171. 高橋良

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  今後、いま検討しております地上の施設によりますニューメディアが、衛星を打ち上げることによってどういうインパクトを受けるかという御質問に承ったわけでございますが、これは衛星を使った場合に地上施設でやれるものは全部やれると考えていただけばよろしいわけでございます。その時代が来た場合には、これは地上施設でやった方が効果的であるか、衛星でやった方が効果的であるかというようなことを含めまして、地上と衛星におけるニューメディアの問題というものを現在調査している段階でございます。
  172. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 ここでNHK会長郵政大臣に、ちょっと基本的な問題でお伺いしておきたいわけでございます。  先般、放送文化基金の主催で権威ある人たちによるシンポジウムが行われて、各講演を私も読ましていただきました。放送制度の問題や電波を取り扱うもののあり方について、貴重な御意見等がございました。特にその中で、私ちょっと会長並びに郵政大臣にその見解を聞いておきたいのですが、その中にある、市民と放送との関係で人権、プライバシーという問題がございますね。たとえば最近日本で大きく報道された社会的スキャンダル、KDDの問題あるいは早稲田大学という伝統ある大学の内部に起きた入学試験の不正事件、あるいはもう少し古くなりますけれどもロッキード、グラマンの輸入に絡まる産業界と政界のスキャンダル。そういった中で、いずれもこの事件で被疑者及び関係者の間に自殺者が出てきておる。これはいま講演の中で言われたことを、私、言っておりますけれども、その「苦悩の末に書き残した遺書の中にはマスコミの取材に攻められた恨みごとが述べられておりました。また、これら被疑者や関係者の家庭をば朝から晩まで取材陣が監視して、家族は買物にも出られず、ジット息を殺して蟄居しており、その風景は毎日のようにブラウン管に映し出されていました。」こういうふうに講演しておるのですね。野村さんが言われておるものでございますけれども、つまり「個人の自由と権利、人間の尊厳とプライバシーは「報道の自由」の名の下に簡単に侵害されてよいものでしょうか。過当競争下の取材合戦にともすれば放送編集者が陥り易い落し穴だと思います。」、こう言っていますね。「一九七四年NHKの世論調査「憲法意識の構造」の結果では現代の社会の中で個人の自由や権利を侵しているものとして、大企業の名をあげた次にマスコミが並んでいる事実は比較的信頼を受けている放送の送り手としても深刻に考えなければなりません。」こう言っておりますね。「放送法第四条には確かに真実でない放送によって権利の侵害を受けた場合の救済措置についての条項がありますが、これが有効に働いたケースは殆んどありません。」  こういう意味から、どうでしょうか、今後非常に検討していかなければならない問題ではございますけれどもNHKのみならず民放においても同様、番組審議会の重要性、そしてまた人権、プライバシーの問題と放送の自由の問題、そういった問題でNHKとしてどういう見解を持っておるのか。また、郵政大臣として、最も大事な問題を所轄していく大臣として、どんなお考えを持っておるのか。この際明らかにしていただきたいと思います。
  173. 坂本朝一

    坂本参考人 いま先生が御引用になりましたのは、かつての私どもの仲間、同僚でございました、ジャーナリストでもあった野村氏の講演の一部でございまして、野村氏がその講演の中で指摘しておりますように、番組編集者がともすれば取材合戦の末、そういう個人のプライバシーを侵害するおそれなしとしないという指摘については、われわれ謙虚に受けとめるべきであろうというふうに考えておる次第でございます。  そういうことについて、放送事業者、編集者としていろいろと御意見を承る場としては、当然いま御指摘がございました番組審議会、これはNHKの中にいろいろございます会議の中でも法律によって定められた最高の権威のある審議会と認識いたしまして、私みずから、外国出張等で日本にいない場合を除きましては必ず出席して、委員の先生方からの御意見、御指摘を承っておるわけでございまして、ともすれば陥りやすいそういう点については、NHKとしては十分自戒してやっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  174. 山内一郎

    山内国務大臣 非常に重大な、むずかしい問題かと思いますけれども、いま竹内委員の述べられましたように、これは編成番組の自由の権利があるというような点と、なおかつ人権尊重の問題と、非常にむずかしい関連性があると思いますが、やはりいまの制度において、放送番組の審議会にこういう点を十分にひとつ討論をしながら活発に活動していただいて、人権尊重という点についても十分考慮して番組をつくってもらうようにやってもらいたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  175. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それでは、あともう一問お伺いして終わりたいと思いますけれども放送に関しては、この情報化社会の中でも公共性の高い最も有力なマスメディアであり、文化的、経済的、社会的、政治的に大きな影響力を持っております。こうした中で放送法制の整備はきわめてこれ重要であり、慎重に検討すべきことであります。が、わが国の放送の基本体制は、広告放送収入による民間放送と、広告収入が禁止され受信料収入によるNHKの二本立てになっております。  そこでNHKは、受信料制度を通じて国民の理解と信頼の上に成り立っている公共事業体である、これは言うまでもないことでございます。したがって、NHK視聴者との間に距離が生じ、あるいはNHKを国営化の方向に押しやる、そういうものには私どもは反対していかなければなりませんし、たとえばその中に、受信料支払い義務化、視聴者から信頼を得ていくというものではなくして、そこに距離が生じてくるというような形でそういうものを盛り込んだ放送法の改正、そういったものには私どもは反対しております。  そこで、このNHK現行受信料制度を維持し、経営の健全化を図るため、経営委員会の改善をしていかなければなりませんし、経営委員会の構成についても、常に国民的な立場に立って豊かな視野を持つ委員の人選をお願いしていきたいのと同時に、委員会の公正な運営というものを進めていっていただきたい。さらに、開かれたNHKにするために、この経営委員会、番組審議会に対する視聴者の関与、こういったものがまた重要になってまいります。そういう意味で、今後どういう努力をしていくのか、その御決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。
  176. 坂本朝一

    坂本参考人 放送法の改正の問題につきましては、先般の当委員会でもいろいろ御質問をいただいたわけでございますけれども、いわゆる支払い義務制というのは、権力姿勢ではなくて、放送法の中身と申しますか意味をより簡明にして、そして受信者の公平の負担という趣旨であって、決して権力姿勢ということではないという真意を御理解いただきたいとお願いしたわけでございますが、法案そのものが現在廃案になっておりますし、その後の協会受信料の収納等の状況等も勘案して、いま、これに慎重に対応しようということで、長期ビジョン審議会等でも御議論いただいている状況でございますから、その点はひとつ御理解賜りたいと思うのでございます。  その他もろもろの御指摘の点につきましては、先ほども申し上げましたように、開かれたNHKということで、受信者との距離を一歩でも二歩でも縮めたいということで、私は昨年、視聴者本部なるものを協会の中につくりまして、先生の御趣旨のような方向で格段の努力をしておる次第でございますので、今後といえどもこの努力を一層強めたいと考えておる次第でございます。
  177. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 終わります。
  178. 佐藤守良

    佐藤委員長 竹内勝彦君の質疑は終了いたしました。  木下敬之助君。
  179. 木下敬之助

    ○木下委員 参考人の皆さんは、長時間御苦労さまでございます。  本日議題となっておりますNHK五十四年度決算に関して質問をいたすわけですが、会計検査院検査の結果も別に意見はないということのようですし、決算としては別にとりたてて申し上げることはございませんが、この際、附帯決議に対する取り組みについて、その項目に沿って質問してみたいと思います。  最初に「放送による言論、表現の自由と不偏不党を確保すること。」となっておりますが、具体的にはどういったことをやっておるのか、お聞かせ願いたいと思います。
  180. 田中武志

    田中参考人 五十四年度の当委員会におきまして、御指摘のような附帯決議がつけられたことにつきましては、私ども、これを十分認識いたしまして番組の編集にこれまで当たってきたわけでございます。  この表現の自由と不偏不党ということは、御存じのように放送法の第一条に定められた、放送実施に当たって最も基本としなければならない理念でございます。私どもは、この精神を毎日毎日の番組編集の中で、公共放送としての自覚の中で十分その中に組み入れて考えてまいっている次第でございます。この不偏不党の問題を含めまして、番組の公正の確保ということについては、部内にも考査機能なども整備いたしまして、現在十分その辺の万全を期してやっているという次第でございます。
  181. 木下敬之助

    ○木下委員 その考査機能と言われましたのは具体的にはどういうことですか。
  182. 田中武志

    田中参考人 番組の放送の事前あるいは事後などにつきまして、私どもの経験豊かな者がそれを見ましていろいろサゼスチョンをしていくというようなことでございまして、これについては現場とは十分意思の疎通を図りながらやっている、強権的にはならないようにというような注意を払っております。また、審議会にもこういった問題がいろいろ出ておりまして、審議会の先生方からも御意見もいただいているというようなことでございます。
  183. 木下敬之助

    ○木下委員 せっかく取材したのが、そういう考査の機関によって放送ができない、こういったこともあるのじゃないかと思いますし、また、その考査の機能を本当に発揮しようとすれば、そういったことが起こらなければ逆におかしいようなことになります。NHKとしてはそれが不偏不党にやっていると思っても、国民から見たときにはまだまだいろいろな不満があるのではないかと思います。国民から出た不満というのはやはり率直にくみ上げていっていただきたいと思います。  ちょっと気がついたのですが、この間新聞を見ていましたら、紅白歌合戦のようなものでも、出場者についてその選考方法を変えたとかいう感じで書いておりました。これはどういった点にその反省があって変えたのですか。
  184. 田中武志

    田中参考人 先ほど言いましたように、放送番組の内容、編成というものについてはできるだけ公正にということ、それから視聴者の御意見ども十分入れながら、反映させながらやっていくというようなことを心がけております。そういった中で、いま御指摘の紅白歌合戦につきましても、これまで各種の全国的なアンケート、視聴者の皆さん方一万人ぐらいの方々からアンケートをもらったり、あるいは全国の放送局のものからアンケートをもらうというようなことをやっておりました。それで、今回、いま御指摘の、新たにしようというところは、この十月に全国的にいろいろ世論調査をいたしました。これは、あなたの好きなタレントというようなことで、いろいろ出演者の皆さん方、そういったものについての世論調査でございますけれども、その中で出てまいりましたデータを今度は紅白歌合戦などの選考につきましては十分反映さしていこうということでございまして、いままでこういったものにつきましては、歌手の皆さん方のその後の活動その他についていろいろ影響があってはということで余り公表しておりませんでしたけれども、今回からこういったものについても事前に公表して、こういうデータに基づいて選考したのだというようなことを一部公開していこうということでございます。
  185. 木下敬之助

    ○木下委員 そうしていろいろな検討の過程等を公表するというのは大変すばらしい姿勢であり、また、NHKとしては義務ではなかろうかと考えております。そういった意味で、政治的な面等でも幾らか疑惑のあったような——疑惑というのは、政治的配慮で取り消したのではないかとかそういう国民の疑問のあるような問題についても、どういう観点でしたのかということを今後ともその中身について公開できるような方向を検討してもらいたいと思います。この不偏不党ということはNHK国民から最も要求されていることで、小さな疑問にも答えていく義務があると考えております。今後とも謙虚な姿勢を失わずにやっていただきたいと思います。  その次に、「協会は、厳しい経営環境を認識し、長期的展望に立って、企業努力に徹し、財政基盤の健全化を早急に図ること。」と附帯決議にございますが、協会はどのような具体的な取り組みをなさってまいりましたか。
  186. 渡辺伸一

    渡辺参考人 お答えいたします。  附帯決議が出ました財政的環境としましては、五十一年に料金を改定させていただきました料金計算期間五十三年を過ぎまして、なお料金改定を一年延ばして五十四年度予算を編成したわけでございまして、したがいまして、かなりの赤字を五十四年度は抱えておったということでございます。それで御指摘を受けましたように、財政の健全化を図るべきだということでございました。  NHKの財政としましては、私は基本的に二つのことを考えております。まず、公正中立な番組編成を可能にする、NHK全体の使命を円滑に遂行できるだけの財政であるということが一つでございます。それから、やはり受信者の負担が最少であるという、この二つを財政の二つの原則として考えておるわけでございますが、これをめぐって私どもももちろん検討いたしました。そして、あわせて基本問題調査会の皆さんに諮問をいたしまして、いろいろと貴重な御意見をいただきました。その要するところは、収入を最大限に上げるべし、それから事業計画の基本はやはりやむを得ないものを除いては現行の規模でいきなさい、そして物価上昇分における最少の経費を増していきなさいということでございます。  それらの意見を入れまして、私どもとしては、五十五年から始まる三カ年計画の基本といたしましては、受信契約者は可能な限り増加を図りますが、そのほかに副次収入、これにつきましては三年間で二十七億図るというかなり大幅な増加を見込んだわけでございます。そのほかにNHKとして初めてやりました要員の減員を実際に行うということ、たびたび申し上げておりますが、この計画を実行いたしたわけです。それから、節約につきましては期間中に七十億ということでございまして、これらのものを基本といたしまして、受信者の理解を得て最低限の受信料の改定をいただいて財政の健全化を図ろうということで、五十五年にお願いしました料金の政定につながるということでございます。なお、五十四年度自体につきましても実行上改善を図りまして、三十九億の収支の改善を図ったということを申し添えさせていただきたいと思います。  以上でございます。
  187. 木下敬之助

    ○木下委員 いろいろな努力をなさっておられることには十分評価をしておるつもりです。しかしながら後から考えてみますと、五十四年度に早急に健全化を図るということは、五十四年度の間に早急に値上げの態勢をつくっていったように思いますし、五十五年度から実際に受信料を上げておるわけですが、財政基盤の健全化は値上げによってするというような安易なパターンができてしまっているような雰囲気を受けるのですが、この点どういうふうに考えますか。
  188. 渡辺伸一

    渡辺参考人 いま申し上げましたように、少なくも受信者の皆さんの理解を得られる最低の値上げあるいは最低の料金改定ということに関しましては、どの年度においても最大の注意と努力を払っておるわけでございまして、今後ともその精神は変わりはございません。
  189. 木下敬之助

    ○木下委員 こういった問題が何度もそのたびに考えられるのは、最初に言われたように、こういった公共放送としての職務が果たせる最少でやりたい、しかしどれだけやれば公共放送としての職務が果たせているか、この辺には考え方に大きな差があるのではないかと思います。そういった意味で、きょうの朝、阿部先生の質問にありました田中総理が一万六千人が一万人でもいい。これは現在の状況を維持するのに一万六千要らない、一万でいいとは言えないにしても、一万の体制であっても国民の要望にこたえられるものができるというふうに解釈すれば、考え方はいろいろなふうにとれると思います。ですから、こんな問題についても、先ほども話が出ましたが、どういう考え方でそんなことを発言したのか、真偽をただすというより真意を聞いてくるぐらいのことはして、本当に長期的な展望を立てられたらどうかと考えます。  長期ビジョンの審議会も審議されておるようですが、その審議状況というのはどうなっておりますか。
  190. 山本博

    ○山本参考人 けさほども概括的には御説明申し上げましたが、昨年の七月から審議会が発足をいたしまして、ほぼ一年数カ月になりますが、その間、項目別に小委員会をつくりまして、放送関係、技術関係、財政関係それから制度関係、さらにその後に新しいメディアの関係、そういうそれぞれの小委員会をつくりまして、その小委員会がおのおの十回前後の会合あるいは委員会相互の連合の小委員会、そういうものをつくりまして審議をしていただきました。その小委員会におきましては、相当具体的な問題それから大きな問題、皆関連するものを取り上げていただいて審議をしていただきました。  それで、現在はその小委員会ごとの審議の結果を踏まえまして、全体の報告書の作成という段階に入っております。現状におきましては、その内容の審査をしておられますが、最終的にいままでの審議の総合的な報告書という形で私の方へいただく予定は来年の一月ごろになるのではないか、そういうふうに考えております。
  191. 木下敬之助

    ○木下委員 いろいろな項目というのはありますけれども、その中に、そういったNHKの根本的な問題、どんな規模でやったらいいのかとか、そういった問題というのは入っておるのですか。
  192. 山本博

    ○山本参考人 いろいろ御審議いただいておりますけれども、その具体的な問題の中に、いまお尋ねがございましたようにNHKの規模が何人くらいでよろしいのか、財政的にはどのくらいの金があればよろしいのかというような、そういう具体的な問題は御審議をしていただいてございません。要するに、NHKの現在の社会におけるあり方として、本当に国民の期待に沿えるようなNHKというのはどういう姿でなければいけないのかというような問題が今後のNHKのあり方についての御審議の主題でございまして、人間の数とかお金の規模とか、こういうことにつきましては、値上げの問題を御審議いただいた過去の調査会その他ではある程度具体的な問題の御審議はございましたが、今度は、相当長期にわたったNHKの日本の社会の中におけるありようというような点に主眼がございますので、具体的な問題は御審議いただいてございません。
  193. 木下敬之助

    ○木下委員 先日NHKをいろいろと見せていただいたわけです。最先端の技術等研究しているところを見ると本当にすばらしいなと思うのですけれども、やはりそれなりに費用もかかることで、一体どこまでやったらいいのかというのが何かなければ、これはやればやるほど役に立つことは間違いないのですけれども、じゃ一体いま現在急いでそういったことをやらなければならないことなのかどうかという、そういったところをどこかが監督していなければと思いますし、NHKだけでやられておったのでは、本当の意味で国民全部の公平な声を反映したような形になれるかどうかというのに疑問があるわけでございまして、何か機会があったらこういった問題もまたゆっくり質問させていただきたいと思います。  その長期ビジョンの審議会の内容についてもう一つ聞きたいと思うのですが、やはり朝の阿部先生の質問にもありましたが、集金にかかる費用ですね。この集金にかかる費用が、自動振替にしても余り減っていかないのじゃないか。それはそのはずで、振替になってもその集金人の収入が減らないように基本的に繰り入れる、そういう答えだったのですけれども、これは非常に疑問に思うのですね。明快な答弁を本当はいただいていないと思うのですが、一体これは一件振りかえると一件につき幾らぐらい、最初はどのくらい払っていたのがどの程度基本で積み上げたことになるのですか。
  194. 海林澣一郎

    ○海林参考人 お答えいたします。  口座に振りかえるということで経費を節減する、これは基本的にはその方向で、多少の日月は要しましてもコストの軽減ということは当然志向しているわけでございます。ただ午前中にも申しましたように、当面の問題として、委託集金人、約四千人おります。その方たちの生活ということもございまして、それから実際に仕事を進める中で、これも申し上げました一つの受け持ち区の中で口座がふえましても、くしの歯が抜けるようにふえていく、それをやはり管理しなくてはいけないということで、現実問題としては急速に手が抜けないということでございますけれども、重ねて申し上げれば、両三年の方向づけとしては当然それでコストダウンをしていくということでございます。  それから、御質問にございました、契約をし収納するという経費でございますけれども、細かくなりますけれども、契約には一件につき二百円という事務費がある。それから収納に関しましては、これは平均値でございますけれども、たくさん持っている方、少なく持っている方で差がございますけれども、お一人大体八十円から九十円というような契約及び収納の事務費というものを支給しているという形でございまして、それが口座になっていけば当然その分については減っていくわけでございますから、これもちょっと申し上げた、一応委託集金の人の生活のことも考えて固定給に振り向けますけれども、その固定給の割合はほぼ四〇%でございます。あとの六〇%は出来高ということでございますので、重ねて申し上げれば、将来方向の中で必ずやコストということについて軽減を図る方向にいくというふうに認識して仕事を進めているわけであります。
  195. 木下敬之助

    ○木下委員 一番聞きたかったのは、その二百円なり八十円、九十円かかっているのを口座の自動振替にすると、その二百円が幾らになって積み上げられていくのか、一件ずつ自動にかえたら幾ら変わっていくのかが知りたかったのです。——きょういただけなければ後ほどでも結構です。
  196. 海林澣一郎

    ○海林参考人 まことに御無礼いたしました。いま手元に資料がございませんので、後ほど先生に御報告いたします。
  197. 木下敬之助

    ○木下委員 いや、私もそんな細かいところまで通告しておりませんでしたから、私の方こそ失礼しましたけれども、気持ちとしては、やはり手を煩わせていたのが二百円だったり何かしている。自動にかえて、それは相当の分を生活の保障なりに考えてもいいけれども、その問題に関してやはり相当安くならないと変わっていけないんじゃないか。また逆に言うと、自動振替にかわっても余り数字が変わってないじゃないかという感じも持っているわけです。  長期的にお尋ねしますと、そうやって自分の固定に積み上げられたその人は、結局いつそれを返上するようになるのですか。自動振替にすることによって、実際はもう手数がかからないけれども、所得を保障するような意味もしくはそれへの道の功績等でその人の固定収入になってしまっているわけですね。それが一体、その人の年齢で言えば何歳まで続くのかとか、それから若い人なら——もちろんお年寄りの方はお年寄りの方で年齢制限がなければ亡くなるまでなのか、もしくは更新があるのか、そういった長期的な展望を聞かしていただきたい。
  198. 海林澣一郎

    ○海林参考人 お答えいたします。  非常にむずかしい御質問でございます。確かに現在は、委託集金人の口座に振りかえた場合の目減りというものをある程度防ぐという意味でさっきの四〇%の中に組み入れるということでございます。しかし、現在の施策といたしましては、できるだけ口座化を図るということが施策でございまして、その中でいつまでもアンバランスをそのままにするということはよろしくないと思います。したがいまして、現在実は具体的な施策ということでここですぐお答えできないわけでありますけれども、将来方向の中で、再度申し上げますと、委託の方たちの心情も十分くみ取りながら、しかし経営としての考え方があるわけでございますから、そのバランスの中で考えていきたい。具体的なお答えになりませんけれども、そういう考え方を現在持ち合わせているということであります。
  199. 木下敬之助

    ○木下委員 私も、その人たちの生活のことは十分に考えていただきたい。しかし、やはり長期的な展望は必ず要るだろうと思っております。その長期ビジョンの審議会ではこの問題はどういうふうに扱われているのですか。
  200. 山本博

    ○山本参考人 ただいま担当理事が申し上げましたけれども内容がいわば非常に専門的な内容になりますので、その部分を取り上げて御審議をいただくということはございませんが、一般的に受信料を契約し収納をしていくまでの現在までの状況から、次第に受信料全体の収入額に対して契約なり収納なりの経費がだんだんに累増していっているではないか、こういう点についてはNHK側が今後一つの重要な課題としてこれをどう改善していくか十分考えるべきではないかという意味の問題の指摘はされておりますが、これをどういうふうにということは、NHK側の今後の努力に任せられておるということになっておるようでございます。
  201. 木下敬之助

    ○木下委員 それは専門的であったり、一部分の質問にはなっておるわけですけれども、金額からいうと大変大きな数字、もう御承知と思います。ですから、この問題の具体的なものを避けて通るわけにはやはりいかないだろう、かように思っておりますので、むずかしいからと言うだけではなく、根本的に勇気を持って改善していく道を早急に考え、結論を出されてほしいというふうに思っております。どうぞ今後の御努力を期待申し上げておきます。  その次に、「協会は、視聴者の理解と信頼を深め、確実な収納を図るとともに、国際放送交付金の増額、受信料減免措置の改廃など、協会の負担の軽減を図る措置を検討すること。」と附帯決議にございます。この「受信料減免措置の改廃」についてはまたどういったことをなさったか、ちょっとお聞きしたいと思いますが、「国際放送交付金の増額」については、先ほど阿部先生等からもいろいろな質問があったようでございます。そのとき聞いておったのですが、補助金は一律一〇%の削減となっているけれども、これに関しては二・五%の削減ぐらいに交渉でとどめるようにしている、そんな感じで聞こえましたし、また、少し削減されたとしても実質的な内容は下がらないように努力したい、こんなふうな答弁に聞こえたのですが、これでよろしかったのでしょうか。
  202. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 先ほど申し上げましたのは、実は五十七年度予算要求の際に五十六年度とどうであったかということで、そのとおりでございますが、一応五十四年度と五十五年度の間で申しますと、五十四年度においては一億四千四百万円、五十五年度におきましては五千四百万円という、これは実増でございます。そういう形で国際放送交付金の増額に努力したつもりでございます。
  203. 木下敬之助

    ○木下委員 「受信料減免措置の改廃」について……。
  204. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 これはNHKの方とも相談いたしまして、また関係者とも相談いたしまして、五十五年の五月から、大学及び高等専門学校に対する免除といろいろな免除があるわけでございますけれども、その免除を廃止したわけでございます。
  205. 木下敬之助

    ○木下委員 大臣、教えていただきたいというか、お聞きいたしたいのですが、国際放送の交付金の増額については、附帯決議でほとんど毎年のように決議してきた。附帯決議の重みというもの、これは何か臨調で出てきた一律一〇%で削るということで、その削減を二・五%に抑えたとはいいながら、削減である。増額を毎年毎年附帯決議として決議してきた、それが削減されるという。附帯決議の重みというものに非常な疑問を感じるのですが、その点どうお考えでしょうか。
  206. 山内一郎

    山内国務大臣 附帯決議については当然これを最大限に尊重しないといけないと思います。したがって、御決議をいただいた後、毎年増額をしてまいったのでございますが、来年度の編成に当たりましては、まことに残念でございますけれども、財政の再建というような国家的な財政の緊迫にぶつかりまして、補助金は一律一〇%削減ということでございましたけれども、その重要性でいろいろ検討しました結果、二・五%はどうしてもやむを得ないということで、いま大蔵省に予算折衝をいたしている段階でございます。しかし実施に当たりましては、いろいろ工夫をさしていただきまして、実効が落ちないようにやってまいりたいと考えております。
  207. 木下敬之助

    ○木下委員 御努力と附帯決議に対する考え方は結構でございますけれども、現実に削減されるということに対してはやはり非常な不満を感じるものであります。今後とも折衝に対する態度をよろしくお願いいたします。  大臣、いま一つ。臨調でもNHKに対していろいろな問題が出てきますが、行政改革ということでこれから何年間かにわたって大きく論議されていくだろうと思います。NHKを行革の対象として、全体的に見てどういう位置づけをして、どんな考えでおられるのか、大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  208. 山内一郎

    山内国務大臣 いま臨調でいろいろ調査審議をされておりますけれどもNHKも特殊法人である、こういうような観点からその中に入っていると思っているわけでございます。しかし、ちょっとNHKはほかの特殊法人と違いまして、言論を報道する機関としてまことに重要な機関でもあり、その経営のやり方、本質についても違うわけでございます。だから、こういう点はひとつ十分に臨調においても、われわれも説明する必要はございますし、御理解をいただいて正当な御判断をいただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  209. 木下敬之助

    ○木下委員 どうもありがとうございました。  それでは、四番目に「テレビジョン放送の難視聴及び都市受信障害について効率的な対策推進し、その早期解消に努めること。」とございます。全体的なこともお聞きしたりしたいのですが、少し時間の関係もありますので、まず、都市受信障害についてお聞きしたいと思います。今後ますます増加すると思われますが、その改善策とそのための費用負担のあり方について、どんな考え方がまとまっておるでしょうか。郵政省NHKにそれぞれお伺いしたいと思います。
  210. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 都市障害の改善策でございますが、いろいろ技術的にもあるわけでございまして、共同受信施設の設置の仕方、あるいはSHF放送を使って解消してもらう、あるいは高性能アンテナによる対策等いろいろ考えておるわけでございます。ただ、費用の捻出の仕方につきましては、従来から郵政省考え方といたしましては、やはり障害の責任者が、原因者が第一義的に負担すべきである。ただ、それで実際問題としてはいろいろな複雑な要素が出てきておるということで、一歩でもそうした考え方に関係者が近づいていってもらうというようなことで努力もし、また場合によっては、と申しますか、予算要求の中でも、そうした形が出るようにということで、受信障害対策の制度的な解消まで一気にはなかなかむずかしいわけですけれども、そちらの方に一歩でも近づけるという方策を考え出したい、またその方向で努力しているというのが現実でございます。
  211. 高橋良

    ○高橋参考人 NHKといたしましては、電波監理局の都市受信障害解消の指導要綱がございますが、これはあくまでも原因者責任主義によるということになっておりますので、これの直接対策費につきましては、原因者による対策負担、経費を負担をしていただくという方向でやっております。ただし、受信の相談に応ずることという中で、受信障害に関する相談が年間約一万件ぐらい寄せられておりますので、これに対します指導費並びに調査費につきましては、NHKが経費負担をしまして協力しているというのが実情でございます。
  212. 木下敬之助

    ○木下委員 NHKに重ねてお聞きしたいのですが、原因者負担ということでやっていて、現場でいろいろな折衝をしていて、差しさわりというか、これじゃやれないんじゃないかという疑問みたいなものはお持ちになりませんか。
  213. 高橋良

    ○高橋参考人 先生御指摘のように、高層物による受信障害が非常に複雑多岐にわたってきておりますので、特に複合障害その他におきましては、そのような測定器は開発しておりますけれども、それによって確実に物理的な測定と受信者の方々の心理が一致しない。これを調整するというようなことにつきましては大変困難の状態にあるということは否めない事実でございます。
  214. 木下敬之助

    ○木下委員 この都市障害で、サンシャイン、SKKビルの複合したいろいろな障害について前にお聞きしたのですが、あのときにも、原因者負担にはもう限界があるんじゃないかということで申し上げてきております。その後あそこのサンシャイン、SKKの障害は幾らか改善されてまいりましたでしょうか。
  215. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  サンシャインビルによる障害でございますが、障害世帯数は十一万一千という形でございますが、そのうち約一万五千世帯の対策は完了いたしまして、九万六千世帯が依然未解消という状態でございます。SKKと申しますか、新宿副都心ビルによる障害でございますが、これは約十五万世帯というふうな把握をいたしておりますけれども、そのうち約二万六千世帯の対策は完了していて、残り十二万四千世帯が未解消ということでございます。サンシャイン関係で対策経費は約九億円使っております。新宿副都心関係につきましては約十五億円、こういうことでございますが、いまも申しましたように、複数の建築物の反射による複雑かつ非常に大規模な障害でございますので、いつも申し上げるわけですけれども、サンシャイン側、あるいはSKK、建築業界、建設省、放送事業者というような関係者と、どうすればいいのだろうかというようなことで話し合いを進めておるわけでございます。何とか早急な調整を図りたい。あるいは抜本的な対策、あるいは先ほどお話にも上りましたけれども、多摩中継局の辺地難視を解消するに当たっても、幾らかでもこうしたSKK等の障害に対して、仮に副次的な効果であったとしてもかなりのものが期待できるのではないか。そうした場合に、どうした形で先ほど申しました関係者が参画してもらえるか。やはり中継局の場合にもお金が要るわけでございます。中継局をつくるに当たりまして、副次的な効果の期待としてのビル障害の解決についても、それなりのお金は要る。そのときに、分担といいますか幾ら負担するか、そうした考え方の中に関係者としての分担責任の感覚というものが出てまいるわけでございまして、その辺についてのお話し合いというものを積極的に進めておるということでございます。
  216. 木下敬之助

    ○木下委員 その原因者負担というだけでは先に進まないだろうというふうな長期的な感じを持っております。何か抜本的な法律の見直しみたいなものが要るのではないかと考えております。  いま一つ、難視受信障害対策でちょっと気になることがあるのですが、障害対策として他人の土地に共同受信施設をつくっておるような例もたくさんあると思います。NHKでは土地建物所有者とどんな契約をしてやっているのでしょうか。
  217. 高橋良

    ○高橋参考人 ただいまの御質問の共同受信施設につきまして限定して申し上げますと、先生御承知のように、共同受信施設につきましては、NHKと地元の共聴組合との共同建設、共同運営でやっておるというのが基本でございます。したがいまして、土地の所有その他につきましては「テレビジョン共同受信施設の設置運用管理に関する覚書」ということで——これは全国にございます辺地の共同受信施設一本でございます。これは同じものでございます。その覚書によりましてこれの土地問題を解決しているわけでございます。  現状、その覚書で申し上げますと、土地の所有につきましては共同受信施設組合の方、これは御承知のように共同受信施設でございますから山の上に受信点がございまして、それをアンプでもって民家におろしまして、そこから引き込むという工事になるわけでございますので、受信点のところにつきましても、それからポールを打ち込むその場所につきましても、共聴組合の方が確保するという形の中で覚書を取り交わし、地元に御協力をいただいておるような状況でございます。
  218. 木下敬之助

    ○木下委員 その土地を提供した人が後でのけたいとか言い出したことで何かトラブルが起こったりする例がいままでございませんか。
  219. 高橋良

    ○高橋参考人 御指摘のようなことがこれまでに二、三件起きております。  それはどういうことかといいますと、山岳地域、山林地域になりました場合の境界線の問題でございます。大体の場合におきましては、それは地方自治体がお持ちのような土地を借用する場合が多いわけでございますが、それが個人でお持ちの山林で境界線が明確じゃない、そのために個人の方の土地の方にケーブルが入っておった、また、その土地が個人の方の方に少し入っておる、要するに借用した土地が個人の土地の方に入っておるというようなことが二、三ございまして、はっきりした場合には動かした例もあるわけでございます。
  220. 木下敬之助

    ○木下委員 時間も少し足りなくなりましたので、私の申し上げたい趣旨をちょっと説明させてもらいますが、そんな大きなアンテナではなくて、小さなもので、何十軒くらいのビルの陰になっているところが小さいものでも立ててよく聞こえるようにしょう、どこの土地に立てようか探しましたが、みんなの持っている土地の中にはなくて、全く第三者の庭のすみっこにでも立てさせてもらえばうまくいく、こういうことになって、その第三者の土地に立てさせてくれないかというお願いに行くわけです。そのときに、そういうお願いをされた土地を持っている人にとっては、自分のところはテレビは普通に見えているわけです。ただお隣、近所の不自由なのを幾らかでもよくしてあげたいから、負担がなければ提供してもいいという気持ちになりますけれども、いざ契約という感じになりますと、一体どういう契約書なら、自分のところがほかに転売するようになったとか、ちょうどその立てているところにほかのものを建てたくなったといったときに、全くトラブルなしに解消ができるのかということで非常に迷うわけです。この辺について、そういった業者や民間のそれぞれの人たちだけの話し合いに頼らずに、こういった契約ならばいつでものけたいときにはのけられる、こういう契約書なら安心して土地の提供をなさっても構わないのじゃないか、こういうモデル的な何かがあれば、もっとスムーズに土地の提供が図れるのではないか、こう思っています。  こういった問題は、これから障害がどんどん進んでいくと、個別に小さなところでたくさん起こってくると思うのですが、郵政省としてはこういった契約について幾らか責任を感じられるのか、それとも民間で勝手に契約してやっていることだというふうに思われるのか、その辺ちょっと聞かしていただきたいと思います。
  221. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 共同受信の設置に当たり、その規模によりまして私どもの方に許可あるいは届け出になるわけでございますけれども、許可施設の場合は、私どもよく調査するわけでございます。その施設を見まして、後々そういうトラブルが起こる可能性のあるところを受信点にしているかどうかというようなことも審査いたしておるわけでございます。数多い、五百端子以上の場合にそれはやっておるわけですが、私ども見ました実例ですと、比較的公共的な建物、たとえばその近くにある公民館のようなものと申しますか、先生御指摘のようなことの比較的起こりにくいようなところに立てるように指導もし、また実際そういうのが多いようでございます。ただそれが私人の土地に属する場合は、場合によりましては先生も御指摘のようなことも起こり得るかと思いますけれども、なるべくそういうトラブルの起こらないようなところに受信点を選定するような指導をしてまいりたい。  何かルールのようなものをつくるのは、それぞれケース・バイ・ケースで余りに対応が異なり過ぎますので決めにくいかと思いますが、選定に当たりましては十分、そういう可能性の少ないところを選ぶというか契約するというふうに指導をし、またやっていってもらいたいというふうに考えておる次第でございます。
  222. 木下敬之助

    ○木下委員 もう少し前向きに、善意で土地を提供してもいいと思っている人が安心して出せるようなことを考えられたら、もっとスムーズに難視聴の解消ができるのではないかという感じがいたしますが、きょうは時間もございませんので、またの機会に質問させていただきたいと思います。  最後に、NHK努力は十分評価しておりますけれども、幾ら努力してもし足りないほど国民の期待は大きいと思いますので、より一層の御努力をお願いしまして私の質問を終わります。ありがとうございました。
  223. 佐藤守良

    佐藤委員長 木下敬之助君の質疑は終了いたしました。  藤原ひろ子君。
  224. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 NHKの総合放送研究所の全国調査によりますと、五十五年度NHKテレビの学校放送を利用いたしております小学校は、全国二万五千校のうち二万三千四百四十校、全体の九四%に当たるわけでございます。これは五十五年度からのNHKの新しい試みなどの成果があらわれて、学校放送が小学校教育の中に定着してきているということを物語っていると思います。同時に、この高い利用率は、学校放送番組を電波に乗せているところのNHKの責任の重大さを示す数字でもあるというふうに思うわけでございます。もちろん、どの子にもよくわかり、生き生きと楽しい授業を進めていくためには、直接教育をつかさどっております教師の番組に対する事前研究とか、番組の特性に応じた手だてが大切であるということは言うまでもございません。そこで、私はきょう学校放送「理科」の問題について質問をさせていただきたいと思います。  先日、十月五日と七日と九日に放映されました六年生の「理科教室」「炭酸水」の教材ですが、これをもとにラムネをつくる実験をした。その教師や児童などがけがをするというふうな事故があったわけでございますが、これについての問題はどこにあったのでしょうか、お答えいただきたいと思います。     〔委員長退席、畑委員長代理着席〕
  225. 田中武志

    田中参考人 いま御指摘のように、小学校六年生の「理科教室」「炭酸水」というテーマの理科実験の中でいろいろ事故があったわけでございます。この実験は、私ども、子供たちが理科の実験への興味を引き起こすようにというように考えまして、事前にこの理科の番組の番組委員会というものを七人の先生方、現場の小学校の先生あるいは大学の教授といったような専門家によって構成いたしまして、いろいろ内容について検討してやりました。特に、この実験を番組に取り入れる前には、十数回にわたりまして担当者とかあるいは実験操作者がいろいろ予備実験をやりましたのですが、その安全性と可能性を十分確かめて番組を制作したつもりでございます。しかし、事故が起こっていろいろその原因などを調べてみますと、やはりいま御指摘のように、この実験は学校の先生用のテキストの中に書いてあったわけでございますので、先生あてにということで非常に概括的なことしか書いてなかったというような点が一点ございます。  したがいまして、そういった中で、もう少し番組の中でドライアイスの量だとかあるいは操作の手順だとかといったような細々とした注意事項を呼びかけておけばよかったのではないか、その辺の点が不十分ではなかったかというふうに現在反省しているところでございます。
  226. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 今日、子供たちは自然に触れる機会が大変少ないというふうな状況に置かれておりますばかりか、自然に触れようとすれば危険が伴うというふうな自然破壊の中で生活をしております。こういう中で、映像的な情報というのは、現実では体験できない生物の育ち方の様子がわかります。また、実際行ってみることのできない土地の典型的な地層なども一目瞭然でわかります。そのほかいろいろあるわけですけれども、そういった時間的な経過による生物の変化であるとか空間的な学習を理解させるというためには大変役に立つと思います。また、学校放送といいますのは、経費の面でも、専門家がお金と手間をかけて結果のきちんとした実験が見られるというふうな利点であるとか、あるいは出演をしております子供のやりとりは大変論理的で、疑問を持つというふうな態度など視聴者側に立つ子供たちが見習う点も大変多いのではないかというふうに私は考えております。しかしながら、テレビは基本的には視覚メディアでありまして、話し言葉も聞くことはあるわけですけれども、あくまでこれは重要な意味を持つことにはならず、視覚メディアが重要な位置を占めるのはやはり絵でございますね。ですから書物が教えるというふうな内容をテレビが伝達をし、教えるというふうなことはできないわけです。つまり物事の理念を伝えるというものは、基本的には言語、言葉であり、文章であるわけなんですね。そういう中で、今日ただでさえも視覚によりますところの経験が余りに多いわけです。物の実態にみずから触れたり、実感に浸る、こういう生活から遠ざけられているという状況にあります。その上に言語能力が大変低下をしているという子供たちであるわけです。この子供らに本物に触れるというふうな意欲を持たせるために、学校放送の理科番組というのは私は私なりに非常に重要だというふうに考えているのですが、NHKとしてはどういった方針で制作をしておられるでしょうか。
  227. 田中武志

    田中参考人 いま御指摘のように、テレビの学校放送というものは視覚に訴えるというところに大変重要な意義があろうかと思います。特に先ほどの理科番組といったようなものにつきましては、実験などを通して目で見るというところに非常に大きなポイントがあろうかと思います。  それで、私ども現在こういったような学校放送の制作に当たりましては、大体三つぐらいの基本的な役割りを考えております。そして番組を制作しているわけでございます。  まず第一点は、若干いまお触れになりましたけれども、やはり子供たちに、経験してないことあるいは非常に経験、体験がむずかしいというような事柄とか現象というものに対して、教室で、生きた資料手に入らないような資料を通じていろいろ勉強してもらうというようなことが一点あろうかと思います。  それから、子供たちが目で見るというような、感性に訴えて、ひとつこれを勉強してみようというような興味を起こし、動機をつけるというような一つの役割りを果たすということもあろうかと思います。  それから三番目は、こういったようなすぐれた先生たちの実践とか研究というものをその番組の中でできるだけ生かすような内容にして、それで指導をしていくということが大変必要ではないか、こういったような点でこの三点を柱に私ども現在学校放送の制作の方針として、それぞれが学校の教室の授業に少しずつでもお役に立てればというふうに考えております。  まず大体十五分ぐらいがいまこういったような中身で、テレビで放送しております。したがいまして、四十五分の授業でございましたら、残り三十分はひとつそれを契機にしていただいて、これを見た上での先生方の指導、実践というふうにしていただくような方向でも考えておるわけでございます。
  228. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いまおっしゃいました三つの点は賛成なんですが、ちょっとひっかかりますのは、目で見るところにポイントがあるということですね。確かにそうですが、私は、この「炭酸水」の放映を見まして、それにとどまらずに、この放映は、テキストを見ますと、もっとたくさん二酸化炭素を水に溶かして炭酸水をつくろうというふうに記述してあったり、二酸化炭素を固体にしたドライアイスを使って炭酸水つくりに挑戦しようなどと、子供の意欲をそそり、実際に体験させようとねらっているものがあるというふうに理解をしているわけですね。見ることだけがポイントでなくて、あとの三つの中では言われたんですが、それを通して実体に触れさせようというところにねらいがあるのだということを理解したわけです。そういうところからラムネびんを使ってということになったわけですが、確かに子供の生活に密着したものを使うというアイデアはおもしろいというふうに思います。しかし、気体を扱うのだという点から見ますと、やはり配慮が欠けていたというふうに指摘せざるを得ないと思うわけですね。  私は、このたびのラムネ事件の災い、これを転じて福としなければならないというふうに思って質問をさせていただいているわけですけれどもNHKは、この問題からどのような教訓を得て改善をしていこうというふうに考えていらっしゃるでしょうか。
  229. 田中武志

    田中参考人 私ども、今回の事例は、これからの学校放送、特に理科の勉強について改善をしていく一つの大きな教訓を得たというふうに思っております。理科の実験の中で今回は不幸にも事故が起こりましたけれども、理科の実験の、先ほどもちょっと触れましたように、少しでも子供たちに興味を持たせるとか、少しでも身近なものにしようというねらいそのものについては、私どもは誤りはなかったのではないかというふうに思っておりますし、今後とも、いま申し上げたような点で方向づけながら、理科実験番組をつくっていきたいというふうに思っております。また、今回の事故によりまして、専門家だけがこの番組を利用しているのではないということに十分配慮いたしまして、慎重な番組の制作を心がけるつもりであります。  この上に立って、より独創的な、より効果的な理科の実験というものをこれを契機に開発いたしまして、日本の理科の教育の前進に努力していきたいと思っております。
  230. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 このたびの事故で、今後の番組制作や企画という上で、危険を伴う実験は避けるんだ、やめてしまうんだ、つまり君子危うきに近寄らず番組というふうなことになってしまっては、学校放送をやる価値はなくなるというふうに私は思うわけです。消極的な解決の方法というのは、科学的な認識とは似ても似つかぬ態度だというふうに思います。災いを科学的に分析をして、未来に生きる子供たちへの幸せに転じていくことが重要であるというふうに思うのですね。  それにはいまの改善点は非常に具体性がないなというふうに思います。ねらいは誤りがなかった、そのままいく、それから、専門家が利用しているばかりではないから心がける。心がけやねらいの文言をいろいろ言っているのではなくて、さっきおっしゃった、テキストが概括的だったからここへの工夫が必要だという点とか、いろいろあると私は思うのですが、いま現場の人たちも、一番必要だし、これを改善するためにはどうしても要るんじゃないかなという点は、小学校の理科の教材制作のスタッフです。ここに理科の専門家をふやすという必要がある。中学校や高校ではいらっしゃいますけれども、小学校の理科のスタッフ、企画とかそういうメンバーだけではなくて、実際につくるという点についての理科の方をふやさなければならないのではないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  231. 田中武志

    田中参考人 いま御指摘のように、テキストの面、手順の面、それからはっきりと文字でいろいろな量を明示するというような注意事項、そういったものについても、私どもこれからの制作の中で十分その辺は配慮していきたいというふうに思っております。  それで、御指摘の現場でのこういった実験につきましては、私ども、現在大変経験豊富な学校放送担当者がおりまして、それと、先ほど言いましたように、学校放送の番組をつくる場合には、必ずそれぞれの専門の現場の先生とか大学の教授といったような専門の先生方の委員会をつくりましていろいろ指導していただいております。そういった面で、こういった今回の事柄を今後災い転じて福となすという立場で十分考えていきたいというふうに思っております。
  232. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 この学校放送の中のメンバーを見ましても、いろいろ専門家がいらっしゃることはわかるわけですが、会長さん、いま申しましたスタッフ、ここに理科の方が小学校では必要だという意見を申し上げておりますので、ぜひ後々の検討に入れていただきたいということを要望だけさせていただきます。  同時に、私は今後の改善にぜひ役立てていただきたいと思いまして、ラムネ事件がありました後、現場の先生たちに直接会いましていろいろと意見を聞いてみたわけです。  そうしますと、中学校では、学習をより理解させやすくするためにテレビを補助手段として使っているわけです。そのために空き時間の先生たちが交代でビデオをとって、理科の授業に取り入れているというふうなところが多いわけですね。  ところが問題は、小学校では全教科を一人の担任が教えているわけです。たとえば体育の時間には、子供と一緒に転げ回って汗をかいて運動をするわけです。その後すぐに理科の時間ということで理科が追いかけてくる、そういう現状であるわけです。そこには理科の専任教師もいません。補助教師もおりません。小学校では空き時間があるなどというのは夢のような話であるわけですね。だれが見ましても、これではどうして実験の準備などができようものかということは理解できると思うのです。しかも、行政改革ということで四十人学級もほど遠い。こういう現実の中で全国九四%の小学校が学校放送を利用しているのだ。NHKの「文研月報」を見せていただきますと、その中でも、とりわけ理科教室の利用率が各学年とも第一位を占めております。そうすると、事は重大だと思うのです。  私が先ほどからるる述べましたところの、全国大多数の小学校現場の条件を考慮するということなしに企画や制作がされるならば、幾ら専門的な方がやっておられても、視聴覚教育というものが、さっき視覚教育というのは見ることがポイントだとおっしゃいましたが、子供たちに物体に触れさせない、実体を認識させない、すなわち見ておしまいという教育、つまり教師の主体性を損なうというふうなことに手をかすことにさえなるのではないか、こういう点を強調したいわけです。ですから、きれいごとではいかない現場の姿、これをNHKも知るという努力をぜひともしていただきたい。それから、その上に立って未来を担う子供たちに電波を最大有効に送っていただきたい。この点を私は強く要望したいと思うのですが、会長さんいかがでしょうか。
  233. 坂本朝一

    坂本参考人 それは藤原先生の御指摘のとおり、学校放送NHKとしては非常に重要な責任のある部分でございますから、できるだけ人の問題その他についても手当てをして、これにこたえなければいけないというふうに思っておる次第でございます。ただし、それはやはり全体の経営の中での判断ということもございますので、多少のケース・バイ・ケースということはあり得ようかと思いますけれども、基本的なお考えとしては了承する次第でございます。
  234. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは次に、行政改革に関する問題についてお尋ねをしたいと思います。  今月の七日に第二臨調の第四部会は、郵政省と科学技術庁の所管いたします特殊法人について現状説明を求めたというふうに言われております。私どもは、汚職や不正をなくして国民に開かれた行政を行うということや、天下りであるとか政官財の癒着を断ち切るための行政改革はぜひ必要だというふうに考えております。しかし、残念ながら、いま進められている行政改革というのはそのようにはなっていないというふうに私は思うんですね。むしろ、自衛隊などには手をつけないで四十人学級を先に延ばしていくというふうにしたり、児童手当を制限したりということで、真の行政改革とは似ても似つかぬ状況になっているというふうに考えているわけです。こういう中で臨調は、特殊法人の一つだということでNHKについても現状説明を求めたというふうに聞いているわけです。  そこでまずNHKにお尋ねをいたしますが、NHK効率化ということについていまどのような姿勢で、また今後も取り組んでいこうとしていられるのでしょうか。
  235. 武富明

    武富参考人 お答えいたします。  協会がいま計画をいたしております効率化計画は、五十五年度から始まります現行経営計画の中で、それをさらに二年間延ばして五年間のうちに、五十五年には百人、五十六年には二百人、五十七年から五十九年までは三百人、こういう計画を立てておりますが、これはあくまで受信者との対応の中で——NHK経営というのはあくまでコンパクトであるべきだと思います。効率的な経営をやってほしいという声とあわせまして今後よりよいサービスを望む、こういう非常に強い御要望にこたえまして、協会としてはコンパクトな経営をつくる。また、いずれにしても増大していく業務というものを何らかで賄っていかなければいけない、その人力というものもまたこの効率化の中で賄っていきたい、こういう考え方の中から、将来に対する基盤整備としていま独自の考え方でこの計画を立てているわけでございます。  けさ来御説明申し上げておりますけれども、五十五年度につきましては計画の百人という効率化は実現できましたし、また五十六年度につきましても二百人という効率化はできる、こういうふうに確信いたしております。しかし、これから先ますます苦しい効率化になっていくわけでございますけれども、これはみずから課した計画でございますので、自分たちの考えで立てたこの効率化計画というものをあくまでも実現をしてまいりたい、こういう考え方で今後とも対処いたしたい、こういうふうに思っているわけでございます。
  236. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それじゃ郵政省にお尋ねをいたしますが、現在特殊法人と名のつきますものは百を超えてあるわけですね。私はNHKと他の特殊法人とは非常に大きな相違点があるというふうに考えているんですが、その認識についてお聞きしたいと思うわけです。  そこでまず、相違点はあるというふうに考えていらっしゃるのか、それともないと思っていられるか。あるとすれば、その点はどういう点なのか、お答えをいただきたいと思います。
  237. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 お答え申し上げます。  NHKは法律に基づきまして設立された法人である、そういう意味では特殊法人でございますけれども、その持つ任務と申しますか、言論、報道機関としての性格があるということで、他の特殊法人とは非常に違った性格を持っておるというふうに考えております。  特に一言でその差異を申しますと、NHK自身高度な経営の自主性を保障されておるというふうに考えております。また、されるべきものであるというふうに考えております。
  238. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは臨調の事務局に来ていただいておりますが、ここはNHKと他の特殊法人との違いについてどのように認識していらっしゃるでしょうか。
  239. 稲葉清毅

    ○稲葉説明員 お答えいたします。  ただいま臨調では百六の特殊法人すべてにつきましてヒヤリングを実施中でございますが、この百六の特殊法人はあらゆる点において少しずつ違っているわけでございます。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕 特にNHKにつきましては、ただいま御説明ありましたとおり、言論、報道の自由がございまして、高度の経営の自主性が保障されているということでございまして、臨調といたしましては、この点は十分認識している次第でございます。
  240. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 郵政省は去る七日の第四部会への説明の中で、NHKの場合は現行経営形態が適当であるという説明をされたようですけれども、その理由を答えていただきたいと思います。  また、国とNHKの関係はどのような形が望ましいというふうに考えておられるのか、臨調にはどのようにその点を説明されたのか、お尋ねをしたいと思います。
  241. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 お答え申し上げます。  NHKの性格あるいは概要についてごく簡単に御説明をしたということにとどまるわけでございますが、いまお尋ねの点でございますが、私ども説明を申し上げた主なる点は、わが国の放送事業の事業形態、これが全国津々浦々に至るまであまねく放送を聴取できるように放送設備設置して、全国民の要望を満たすような放送番組を放送する任務を持つ国民的、公共的な放送事業体としてのNHK、個人の創意と工夫により自由濶達に放送文化を建設する自由な事業としての一般放送事業者、この二本立てとしておのおのその長所を発揮するとともに、互いに他を啓蒙し、おのおのその欠点を補い、放送により国民が十分に福祉を受けることができるようになっておる。こういう現在の放送体制と申しましょうか、またそういった現在の経営形態というものが適当であるということについて御説明をしたところでございます。
  242. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 いまのお答えのとおり、現在の経営形態が適当であるというふうに説明をされたにもかかわらず、十月八日付の新聞報道によりますと、経営委員会が機能していない、経営改善、合理化努力が不十分であるという意見が出されたと言われておりますし、また別の報道によりますれば、番組の制作に費用をかけ過ぎているのではないか、こういう指摘があったというふうに報道されているわけです。これが事実だとすれば、臨調がNHKの番組をどのようにしてつくるべきかといった点にまで踏み込んだ議論がされているという点につきまして、言論、報道機関は重大視をしているというふうに思いますし、私もこれは大変なことだと思います。  先日、係の方に部屋へ来てもらって聞いたのですが、いや、この論議はいろいろ郵政省説明した後雑談のようなやりとりの中で出たのですから、一言で言えば大したことはありませんというふうな御説明を受けたのですけれども、私は、あと五、六分とか二、三秒とかそういう問題ではない、そこに一言でもやはり質問が出たということは、言論、報道機関がそこを重大視して書いたということはもっともだし、私は、大変だなと思います。もしこんなことが大手を振ってまかり通るのであれば、これは行政改革どころか、行政改革に名をかりた言論、報道機関への介入、こういうことに道を開きかねないというふうに思うのですね。  昨年の通常国会で行政管理庁設置法の改正、ここですべての特殊法人の行政監察が行えるように改正をしましたときに、参議院の内閣委員会では、「言論、報道、研究、学問の自由に立ち入って調査することのないよう配慮すること。」と、NHKに対する行政監察については条件をつけているわけです。郵政省はもちろんのこと、臨時行政調査会としてもこのことは正しく理解をしておいていただきたいというふうに思います。NHKというのは行政機関ではありません。政府の国策を遂行するための機関ではありません。公共の報道機関であるわけです。したがって、私はNHKを他の特殊法人と同列視したり、あるいは同じ土俵の中で議論をすることに反対です。この点を申し上げておきたい。臨調事務局からもお見えですから、このことを強く申し上げたい。御答弁は結構でございます。  次に移りたいと思います。次は在日米軍の受信料の不払い問題についてお尋ねをしたいと思います。  NHKは五十四年と五十五年続けて米軍施設内の居住者に対して契約勧奨をやってこられたわけですが、これはことしも続けてやる予定なのかどうか。  それから、次にこの契約勧奨による契約の見通し、この点はどうなのか、簡単にお答えいただきたいと思います。
  243. 海林澣一郎

    ○海林参考人 お答え申し上げます。  いままでの対策の実施状況から見ますと、いま先生御指摘の五十四、五十五年、四次にわたって手紙を出した、去年のちょうどいまごろ三百件以上の電話をかけたというようなことでございますけれども、おのずからそれには限界があるというふうには認識しております。しかし、やはりNHKとしては少しでも受信料制度について理解を得るということ、それから視聴状況を資料とするためアンケートをする、こういうことで契約勧奨を実施したいというふうに考えておりまして、現在準備を進めております。  それから、二番目のこの問題の解決の見通しでございますけれども協会といたしましては、米軍基地内の受信契約の促進のためには、米軍基地内におきまして協会放送受信が可能な受信機の設置状況はどんなことか、電話のアンケートなんかで若干わかりましたのは、日本の国内の放送でなくてアメリカだけの放送を有線テレビで見ているというような状況もある。そういった番組視聴の状態をこれから調べていく、これらの実態を把握することが先決であるという考え方にいま立っております。そのため、従来も郵便や電話によってテレビ受信機の設置状況の把握を実施したわけでありますけれども、さらに、この実態を正確に把握するに至っておりませんので、これらを進める上では、今後基地内に入れていただいて契約勧奨しながら実態を把握するという努力をしたい。政府にもお力添えをいただきながら、この方針で粘り強く理解を取りつけていきたいというふうに思っているのが現状でございます。
  244. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 田中電波監理局長はこの春の通常国会で、実情調査あるいは勧奨のための基地立ち入りということも必要だろうというふうに答弁されているわけですから、この春以来具体的に動いてこられただろうというふうには思うのです。それを受けて外務省は、この基地への立ち入りができるように米軍に交渉してもらいたいという要請を郵政省から受けているというふうに思うのですが、これを受けて外務省としては米軍に対してどのように働きかけてこられたでしょうか。
  245. 加藤良三

    加藤説明員 お答え申し上げます。ちょっとかぜで声が出にくくなっておりましてお聞き苦しい点があろうかと存じますが、よろしくお願いいたします。  外務省といたしましては、本件受信料問題についてすでに御答弁にもありましたとおり、米側はNHK受信料が租税公課であるので地位協定上支払う義務はない、こう主張し、他方日本側の方では租税公課に当たらないので米軍人等にも支払いについては免除されないということで、その解釈が対立して今日に至っているわけでございます。このため当面はやはりNHKによる契約勧奨作業を続けていくことが適当である、こういうふうに考えておるものでございます。  この観点から、私どもといたしましては、目下契約勧奨のためのNHK職員の施設区域への立ち入りについて郵政省の方から御相談を受けている段階でございます。このような立ち入りの態様というか、そういう点についての事務的な調整が整い次第、私どもといたしましては、米側に対してNHK職員の施設区域への立ち入りについての要望を伝達する、そういうようにいたしたいと考えておるわけでございます。
  246. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 NHKは郵送で契約勧奨してもほとんど効果は期待できないというふうに言っているわけです。立ち入りというのは、それができたからといって基本的な解決にはなりませんけれども、少しは前進するというふうに思います。立ち入りが実現するというのは見通しとしてどうなんですか、あるのですか。
  247. 加藤良三

    加藤説明員 お答え申し上げます。  施設区域は、御承知のとおり日米地位協定の規定によりまして米側にその管理権がある。これは三条に明記されておりますので、その許可不許可は各施設区域の基地司令官の権限に属する事項である、これが大前提でございます。しかしながら、先ほども申し上げましたとおり、私どもといたしましては、米側に対してNHK職員の立ち入りの要望を、事務的な調整がつき次第伝える用意がある、こういうところでございます。
  248. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 私が国会で初めてこの問題を取り上げましてからすでに四年と半年たっているわけです。担当の郵政大臣も五人目になられたわけでございます。それでもなおなかなか解決がされません。一体政府は本気になってこの問題を解決する気があるのだろうか、いいかげんにしてくださいと腹立たしくさえ思っているわけです。基地への立ち入りができるようにしようということも大事なことでしょう。しかし、もし仮に立ち入りができたとしても、どれだけの人々が契約に応じるのかどうか、これもまた疑問であるわけです。それは五十四年の二月七日在日米軍司令部のラビング司令官から中塚副会長あてに来ましたこの文書にもはっきり書かれておりますように、米軍としては、米軍関係者は日米地位協定第十三条によって受信料は免除されるという見解、これがある限り基本的な解決はできないわけです。この見解を変更しなければ、米軍関係者が次々と契約に応じるということにはならないというふうに思うのです。この点につきまして外務省は米軍と話し合う考えはあるのですかどうですか。米軍は日本政府が正式に話をしなくても、日本政府の解決を理解してくれているとでも考えていらっしゃるのでしょうか。その点お答えください。
  249. 加藤良三

    加藤説明員 外務省といたしましては、当面まずNHKによる契約勧奨作業を続けていく。その観点からNHK職員の立ち入りにつき、具体的な態様を詰めた上で必要に応じこれを米側に伝達する、こういう考えをとっております。
  250. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 それでは四年半前から一歩も前進をしていない。NHKがやってほしいと言うてきたらやってやります、これが四年半前の答弁ですけれども、逆に後戻りしているというふうな状況にさえあると思うのですね。私は何たることぞと思うわけですが、米軍の言いますように、NHK受信料が地位協定十三条に言う「租税」ということになれば、これはNHKの性格を根本的に変えてしまう大問題だというふうに思うわけです。だから私は、この問題を重視して取り上げているのです。これを木で鼻をくくったような外務省の答弁はけしからぬ。同時に、皆さん方が友好国だと言っているアメリカがわが国の国内法を勝手に解釈をしている。それに対してそれは間違っていますよということを公式の場で主張する、このことなしに問題は解決しないというふうに思うのですね。  これはことしの三月二十六日に参議院の逓信委員会でわが党の山中委員も指摘しているとおりです。時間がありませんからこれ以上詳しくは申しませんけれども、五人目の大臣であります山内郵政大臣努力をするというふうにこの三月二十六日にもお答えをされているわけですし、あれから六カ月たっているのに外務省はまだあんなことを言っています。この点について改めて郵政大臣のお考えを聞いて私の質問を終わらせていただきます。
  251. 山内一郎

    山内国務大臣 非常にむずかしい問題でございまして、努力は引き続いてやらせていただいておりますけれども、まず地位協定の解釈の問題が第一、それから米軍の基地内の受信状況の実態が把握できなければ話はできない、こういう二つの点から、いろいろ外務省とも連絡をしながらNHKにもひとつ大いにやっていただいて、引き続いて努力をさせていただきたいと思うわけでございます。
  252. 藤原ひろ子

    ○藤原委員 終わります。
  253. 佐藤守良

    佐藤委員長 藤原ひろ子君の質疑は終了いたしました。  依田実君。
  254. 依田実

    依田委員 きょうは、主にNHKの業務の中の国際放送、そしてまた文化交流、こういう面について御質問をさせていただきたい、こう思うのであります。特に国際放送をめぐりましては、これを国有化しろとか、そういうような議論が最近ひょこひょこ出ておるわけでありまして、そういう意味でこの国際放送のあり方、この問題についてひとつ率直な御意見を伺わせていただきたい、こう思うわけであります。  まず最初に、NHKがやっております国際放送の番組編集の基本方針、これについて伺いたいと思うのであります。     〔委員長退席、堀之内委員長代理着席〕
  255. 田中武志

    田中参考人 NHKの国際放送の番組の編集につきましては、十分御存じのように放送法の四十四条の五第一項に番組編集の基本方針が書いてございますが、これに基づきましてNHKが自主的に行っているということでございます。この中身はもう御存じのとおりでございまして、国際放送を通じて諸外国の相互理解を深めるとか、文化、経済交流の発展に資するとか、国際親善と福祉に貢献するとかいうようなことがこの中にいろいろうたってあるわけでございます。したがいまして、私どもとしてはこういった番組の編集基準の示す方向に従いまして、それぞれの時点におきますふさわしい情報の提供ということを基本に心がけております。そして国際的な地位の向上、役割りの向上というようなことなども十分考慮しながら報道していくということでございます。  現在行っております五十六年度につきましては、重点事項に従いまして特にエネルギー危機の問題、それから深刻化する貧困の問題、そういった今日の世界が当面しております重要な問題について日本がどういうような対応をしているか、どういうふうに的確に報道するかというようなことに努めておるわけでございます。特に東南アジア、アジア情勢の報道については力を入れておりますし、また、最近非常に多い海外の日本人の方に対しても、日本の最も迅速な情報をお伝えしようということで、こういった関連の情報を集中的に報道するようにいろいろ努力をしておるわけでございます。     〔堀之内委員長代理退席、委員長着席〕
  256. 依田実

    依田委員 いまの御説明は、この国際放送番組編集の基本計画の一から五に詳しく書いてあるわけであります。確かにこれでいいのではないかと私は思うのでありますが、これを放送されておりまして、一つは番組内容について、こういう点が足りない、こういう点は困るということ、もう一つは、受信の状況からこの国際放送についてのクレームがあるのかどうか、この二点について海外からの反響はどういうふうになっているか、お知らせをいただきたいと思います。
  257. 田中武志

    田中参考人 番組の内容についての反響につきましては、現在、海外の聴取者からの投書が一年間に五万件ぐらいということでございます。その中に番組に対する要望とかいろいろ書いてあるわけでございますけれども、私どもそれらの投書の内容の分析だとかそういったものを行いまして、番組の制作に資しているわけでございます。  その重立ったところを申し上げますと、まず報道番組につきましては、日本政府の立場とかあるいは世論の動向とか、そういったものを迅速に伝えていく、しかもその際、扱い方が公正でなければならないということを私ども心がけておりまして、そういう点につきましては、こういった投書を通じてみますと、特に発展途上国というようなところの方々からは高い信頼を得ているというふうに思っております。  また、インフォメーションの番組につきましては、社会、文化、日本人の生き方といったような日本の国情を詳細に紹介するような番組をやっておりますけれども、これについても、日本人の生き方といったものがよくわかるというような評価がこの投書の中からとらえられます。  特に投書のたくさん来ますのはアジア大陸あるいは北米、大洋州というところからで、そういった反響が非常に活発でありますけれども、またそのほかに、先ほどちょっと触れましたように、最近非常にふえております海外へ出ておられる日本人の方々からの投書もたくさん来ておりまして、この中には、たとえばイランのときにはラジオ・ジャパンを通じて非常に貴重な情報をいろいろ得たということで、われわれもその際には集中的にニュースを放送いたしまして、そういった方々に対する理解を深めるような放送をしていったというようなことでございます。
  258. 依田実

    依田委員 いまの二点目の受信状況についての意見はどうなっておりますか。
  259. 高橋良

    ○高橋参考人 お答え申し上げます。  NHKの国際放送の受信状況につきましては、NHKの技術職員が出張した際の測定調査並びに受信者の方からの求めております技術報告によりますと、アジア大陸、大洋州、北米西部におきましては、中級程度の受信機で、五段階評価で言いますと、これは五が一番いいわけでございますが、平均三程度の安定した受信が可能であるというふうに把握しております。また欧州及び中東地域につきましては、ポルトガルのシネスの送信による中継放送を受信すれば、中級程度の受信機を用いまして評価が三から五というふうに良好に受信できるという報告をもらっています。  一方、北米の東部並びにアフリカ方面でございますが、ここは電波の減衰、フェーディングがあり、また混信によって受信状況が不安定、受信機の周波数の同調に困難性がある。しかし、高級な受信機を用いますと評価が二から三くらいで聴取できるというような報告を受けております。
  260. 依田実

    依田委員 一部に、中継所がないために受信状況がよくない、こういう意見が出ておるわけでありますけれども、この海外放送の受信中継施設について、NHKではどういう予算を組まれて、あるいはまたそれに対する政府からの助成をどういうふうに期待をしておるのか、その辺について伺います。
  261. 渡辺伸一

    渡辺参考人 お答えいたします。  受信状況の改善のために海外に中継所を設けましたのは、御承知のとおりのシネスでございますが、これは一日一時間、一年分で約一億の予算を持ってやっております。
  262. 依田実

    依田委員 私は、このNHKのやっております海外放送について、その放送出力あるいは中継設備、そういうものについてはもう少し改善したらいいのじゃないか、こういう点があるわけでありますけれども、番組の内容については、他の国がやっております国際放送に比べてもまあまあ劣るところはないのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。しかるに、どうも最近の世論の中に、国際放送NHKから分離して、もう少し政府の直轄のもとに置いたらどうだという議論が出ているやに聞いているわけであります。通常の言葉で言えば、いわゆるNHKの海外放送の国有化、こういう議論が出ておって、私はまことに残念だ、こう思うのであります。  きょうは外務省の方にいらしていただいておるはずでありますけれども、海外の国際放送の形態などをいろいろごらんになりまして、いまのNHKの海外放送というものが何か特別欠点を持っておるかどうか、この点についてお伺いをさせていただきたいと思います。
  263. 渡辺泰造

    渡辺説明員 お答えいたします。  世界の主要各国の実施している国際放送については、東側、西側の区別なく大勢として運営経費は政府予算ないし政府交付金として確保されております。それで五十一年に、私ども外務省が中心になって国際放送受信改善調査団を派遣しまして、とりあえず西独、オランダ、イギリス、ポルトガルについて調査しました結果では、各国により若干の違いはございますが、政府放送事業者の関係は、政府が必要経費のほとんど全額を交付金という形で支出し、業務の運営については事実上放送事業者の自主性を尊重しているというたてまえが共通に認められます。この関係のいろいろ細かいことになりますと、たとえば西独では国内の送信施設はすべて政府の所有であるとか、英国では番組内容、時間等について外務省がかなり入り込んでいるとか、オランダは文化省が国際放送を担当しているということはございますが、大勢として見ればいまのNHKの方式と大差はない、このようにわれわれ承知しております。
  264. 依田実

    依田委員 いまの外務省のお答えにもありますように、海外のいろいろの放送の形態、どこでもそうだろうと思うのでありますが、共産主義国は別でありますけれども、自由主義国では政府はある程度、補助金、交付金の金は出すけれども、その番組内容運営については自主的に放送業態に任せる、これが普通じゃないかと思うのであります。これが自由主義国のあり方である。VOAといえども、そういう意味ではいわゆる国有放送からソフトな、国の宣伝色というものをだんだん薄めていく、これが世界の大勢だろうと思うのであります。  ところが最近は、自由民主党の通信部会の中で、これを国有化してみたらどうだ、もっと政府の権限を強くしたらどうだ、こういう議論が出ていると言われておるのでありますが、私は、これは全く時代に逆行する議論だと思うのであります。郵政省はこれについてどういうふうにお考えになっておるか、大臣からお答え願いたいと思います。
  265. 山内一郎

    山内国務大臣 国際放送に関する調査費を来年度要求いたすことにいたしておりますが、これは先ほどもお話しいたしましたように、ASEANにおいてよく聞こえないじゃないか、どうやればもっとよく聞こえるようになるか、こういう点を主にして調査をやりたいということで要求しているものでございます。したがって、いまのNHKの形態そのものをどうするかということについては、これからもいろいろな議論が出るかもしれませんけれども、いまのような形態でよく聞こえればそれで目的は達せられるというふうに現在のところ郵政省としては考えております。
  266. 依田実

    依田委員 いまの大臣のお答えは、私もぜひ記憶させておいていただきたい、こう思うのであります。放送が聞こえるか聞こえないか、この技術の調査についてやっていただくのは結構でありますけれども放送内容なり形態についてはいまのところはNHKでいい、この考えをぜひ貫いていただきたいのでありますが、そうなりますと、来年度予算に入りました一千万はどういうふうにお使いになるのでしょうか、具体的に説明をしていただきたいと思います。
  267. 田中眞三郎

    田中(眞)政府委員 来年の調査費は大きく分けまして技術面の検討と制度面の検討のためのお金、こういうようなことになっておりますが、技術面についてはおわかりだと思いますので省略いたしますけれども、制度面ということになりますと、わが国の国際的地位に応じた国際放送の規模がこれでいいのかどうか。それから放送のあり方、特に財源でございます。これは現在NHK自身の自主放送によります分、それから政府交付金というものでございますけれども、私ども長い間かかりまして毎年予算の中で逐次これの増強を図ってまいったわけでございますけれども、一昨年、昨年ようやく二六・六%というようなことでございまして、来年度はやむを得ず二・五%ダウン、こういうようなことでございますが、特に中継基地を必要とする、あるいは送信機につきましてもかなり古くなっているというような問題、それから電力にしますと、非常に聞こえにくいと申しますか、日本は場所的に極東に偏在しておるために効果が上がらない。  繰り返しますと、従来の方式の政府交付金の増額の方法においては、十数年努力してきたわけだけれども、限界に達しておる、これでいいのだろうか、実際に聞こえにくいという問題、それから自分の国を理解してもらうために使っておる諸外国のこうした金の規模に比べてこれで適当かどうか、そうしたものについてもっと強化すべきだという御意見がかなり強く私どもに入っておるわけでございます。特に皆様が外国へ行かれました場合に相当聞きづらい、これについては技術的な問題もかなりございます。短波の特性もございますし、受信の仕方というものもございますけれども、やはり十分ではない。先ほど技師長の方から二ないし四というようなお話がございましたけれども、やはり十分ではないのじゃないだろうか。そうしたときに、この国際放送の重要性が叫ばれるときに、抜本的な改正と申しますか拡充を図るためには、従来方式の政府交付金の出し方、それを含めて、NHKの自主的な費用、このままでは飛躍的な拡充は図れない、そうしたものを制度的にどうしたらよくなるんだ、こういう意味での調査費というふうに私ども理解しております。
  268. 依田実

    依田委員 いまのお話のとおりに、主に技術的な面を中心にこのお金が使われる、こういうふうにわれわれは理解をしたいのであります。また、さっきの外務省のお話にもあった、世界の海外放送の今日の傾向に逆らうようなことのないようにぜひひとつ注意をしていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  それでは二番目の、文化交流、番組交流、これについてお尋ねをさせていただきたいのでありますが、時間が余りございませんので文化交流の方をお聞きをいたしたい、こう思うのであります。  NHKの文化交流は、前はよくN響、あるいはカラヤンが向こうから来るとか、いろいろ大型イベントをやっておったわけであります。最近はそれが少し停滞しておるのじゃないだろうか、こう思うのでありますけれども、今日のNHKの文化交流はどういうふうに行われておるのか、御説明をいただきたいと思います。
  269. 田中武志

    田中参考人 NHKでは、御存じのように海外の芸術家を招きまして、広くすぐれた芸術家を紹介していく、いわゆるいまおっしゃいました文化交流に役立てるということで毎年招聘を実施しております。  ただ、御指摘のように、最近こういった大きな事業の催しが減ってきているのではないかということでありますけれども、確かに、昭和五十年度にはウィーン・フィルハーモニー、五十一年度にはイタリア・オペラというような大がかりな招聘がありましたが、それ以降若干小型になっておりまして、五十三年度がイギリスのフィルハーモニア、五十四年度は西ドイツのジェームズ・ラスト・オーケストラ、それから五十五年度は中国の放送民族楽団というように、一応こういった海外からの招聘を行っております。特にことしは、ショパン・コンクールで第一位を取りましたベトナムのダン・タイ・ソン氏のピアノの演奏会といったものを開きまして、これも大変たくさんの観客が見えまして高い評価を受けました。来年以降につきましては、ヨーロッパの方の大きな交響楽団とか、合唱団を合わせたような招聘をすることも考えております。また五十八年度は、テレビの放送が始まりまして三十周年に当たりますので、そこら辺についてもいろいろ検討を加えているのが現状であります。  なおちなみに、ことしはNHKで初めての美術展、アングル展を開きまして、これは予想以上に大変好評をいただきまして、新古典派のアングルの作品を日本に紹介できたというふうに思っております。
  270. 依田実

    依田委員 なかなか予算が大変だと思いますけれども、しかし、民間の交流プロといいますか呼び屋がやれば、カラヤンは二万六千円ぐらいの券になるわけであります。NHKがやれば一万五千円ぐらいでわれわれは聞けるわけでありますし、あるいはまた、そういう文化に接しない地方にまでNHKですと公演を持っていってくれる、こういうこともあるわけでありまして、ぜひこの面は、予算上の問題が絡むかと思いますけれども、鋭意努力をしていただければ、こういうふうに考えます。  さて、近く、たしか十一月十日でしたか、日本賞の表彰があるわけであります。あれは前田義徳会長のときにいろいろおやりになりました。もちろん世界各国の番組を入れるのでありますが、特に開発途上国の方を多く招聘をした。それもNHKでいろいろめんどうを見て差し上げて招聘をしておったのでありますが、最近はその辺が少し少なくなっておる、こういうような気がするのでありますが、この点はいかがでしょうか。
  271. 田中武志

    田中参考人 御存じのように、昭和四十年からこの日本賞というのが発足いたしまして、最近は二年に一回ということでやっております。きょう開会式がありまして、御指摘のとおり、十日まで十二日間放送センターで開くということであります。  今回は、五十四カ国九十八の放送機関から、百五十六という非常にたくさんの番組が寄せられております。いま御指摘のように、先進諸国よりはむしろ発展途上国からの参加が、この教育番組の国際コンクール日本賞に多いというのが大変特色でございまして、今回もモロッコとかそういったところの新しい参加国の初参加がございました。  初等、中等、成人教育という三つの部門に分けまして、私どもこれから十日までの間いろいろ審査をいたしまして、よりよい番組がその中に含まれていることを祈っているわけでございますが、これが特にこれからは生涯教育の面に対して非常に幅の広いいいコンクールになっていくのではないかというふうにも思っております。
  272. 依田実

    依田委員 あと五分ばかりしかございませんので、質問ではございませんけれども、最近のNHK経営の皆さん方にぜひお伝えをしたいことがあるのであります。  それは、つい先日一部の新聞に出てしまいましたけれどもNHKのNC9の職員が万引きをした、こういう記事がありました。彼を私はよく知っているのでございます。札幌時代に一緒に働いた同僚でございまして、あの人がああいうことをするというのは考えられないことだ、私はこう思っておるのでございます。  そこで、最近NHKの私たちと同期の人からいろいろお話がありました。ちょうどテレビが始まりました昭和二十八年にわれわれは入局しておるわけであります。そのころは非常に大量に職員が入りまして、そろそろ、あと二、三年で定年を迎えるわけでございますけれども、最近はこのNHKの人事交流、特にトップの方のあれが非常に詰まってきておる。外郭団体が、御承知のように、サービスセンター、共済会あるいは出版協会、そのほか美術センター、全日本テレビ、いろいろありますが、もういっぱいになっておりまして、昭和二十五年ぐらいに入局の方ぐらいでもう後は入れない、こういう状態になっている。ですからいま五十から五十二、三の方は、どうしようかというような非常に心配をお持ちになっておる。これがいろいろ日常の作業の中、そしてまた生活の中でたまりたまっておるんじゃないかと思うのです。本田さんの件はもう少し調べないとわかりませんけれども、もしそういうものが背後にあるとすると、経営者の方々に大いに考えていただきたいと思うのです。  NHKはせっかくいろいろな分野で、他に追随を許さない業績を上げておるわけであります。たとえば世論調査。世論調査所がりっぱなのがあります。放送に関する世論調査だけじゃなくて、ギャラップじゃございませんけれども、世論調査については、NHKの世論調査所のノーハウというのは世界に誇るものを持っておると私は思うのであります。そういうものを大いに活用される、そしてそれによって事業を広げていくということが大事だろうと思います。また、これからいろいろな新しいメディア、音声多重だとか衛星放送だとかいろいろあるわけであります。そういうような面でこれからNHKがどういうような放送をしていこうかという基本的な構想がまだ十分に立っていないのじゃないかと思うのであります。これを早急におつくりになることによって、いまどうしようかなと将来に不安を持っていらっしゃる方々の先行きの職場について、広く新しい窓口を開くことが大事じゃないか。こういうことをやりませんと——いまこの二、三年がNHKの勝負どきだと思うのであります。そういう意味で、外郭団体の方は外郭団体なりにいろいろやられております。しかしながら、私はNHK本体にいらっしゃる経営理事の皆さん方がもう一つがんばられて、続く職員の皆さん方に不安のない、希望のあるNHKの将来をおつくりいただくことが大事だろうと思うのであります。いろいろ法制上の制約はあるかと思いますけれども、しかしNHKの持っている技術研究所あるいは世論調査所、いろいろあるわけでありまして、民間とタイアップされることも結構です。広く事業を広げられて、そういう職員の不満を解消されるということが大事だろう。  これを一言だけ言わせていただきまして、きょうの質問は終わらせていただきます。ありがとうございました。
  273. 佐藤守良

    佐藤委員長 依田実君の質疑は終わりました。  これにて質疑は終局いたしました。     —————————————
  274. 佐藤守良

    佐藤委員長 討論の申し出がありませんので、これより採決に入ります。  日本放送協会昭和五十四年度財産目録貸借対照表及び損益計算書について採決いたします。  本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  275. 佐藤守良

    佐藤委員長 起立総員。よって、本件は異議がないと決しました。  なお、ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  276. 佐藤守良

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————  次回は、来る十一月十一日水曜日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十二分散会      ————◇—————