○砂子田
政府委員 まず最初の話でございますが、北方領土の三島六村の問題につきまして、形式的に存在をしておるということにかかわりまして、領土に対する意識が薄いのじゃないかというお話がございました。
実はそういうことではなくて、
地方自治法ができましたときに、現在の
市町村というのもその後もそのまま引き継ぎますよという
地方自治法の従前の例による規定によって、そのまま
市町村を引き継いでおるわけであります。その中でソビエトに占拠されております三島六村につきましては、しかしこれはわが国であるという前提に立って、従前の例の中からあえてこの六村をむしろ削除しなかったわけでありまして、私たちとしましては、むしろあれは
日本の領土だという意味でそういう形をとったわけであります。ですから、その点はひとつ誤解のないようにお願いをしておきたいと思います。
その証拠にも——証拠にもというと大変おかしい話ですが、現に
都道府県の面積の中にはあの三島は完全に入っているわけでして、
日本の国土の中の一部であることは疑いのない事実でありますから、そういう形として私たちはいま認識をしておるわけであります。
そういうことで形式的に存在をしておるというのは、御案内のとおり
地方自治法の中では公共団体というのは何を指すかというと、いまさらというお話もございますが、地域と住民がおるというのが前提の公共団体、しかもそれを
市町村という形でくくっているわけでありますから、区域はあるけれ
ども住民が住んでいないという村なりそういうものを公共団体だと言うことはちょっとできないというのが、形式的に存在をしているという意味なわけでもあります。
そこで、「
全国市町村要覧」というのは、そういう住民と区域とが存在をしている、そういう行政の
実態のあるところのものを執務の参考として実は掲載をしておるわけでありまして、何もこれをあえて
自治省が外しているということではないわけであります。
ですから、要するにその中で、この間も申し上げましたように、人口でありますとか面積でありますとか、そういうものがやはり公共団体の基準になっている、しかも、人間がおることによって初めてそこでいろいろな機関ができ上がって、
地方自治の行政運営ができるという形になるわけでありますから、現行のままではどうしても行政を執行するという
体制にないわけであります。
しかし、そういうことがあっても
日本の国の中身であります、領土の一部であることは疑いのない事実でありますから、国会の御議決もありましたし、そういうことを改めてもう一度認識し直そうかというのでいろいろなお話がございまして、実は凡例に入れたということになるわけであります。
では、なぜそれを本文に入れちゃぐあいが悪いのかと申しますと、いま申し上げましたように、本来は
市町村という
地方公共団体としての形のあるものを
市町村要覧に入れているわけですけれ
ども、その人たちだけ集めておいて、面積でありますとか人口とか、いろいろなものを平均を出しましたり対比をしたりというときに、全く人口のない部分をどういう形で平均として出すかというと、人口のないところをゼロにすればいいじゃないかとか、これはいろいろな議論はあるに違いありませんが、ゼロとして出す方が
実態に合うのか、あるいは現実に人の住んでおる、人口を持っておるという
市町村の平均を出すのが
実態に合っているのかという問題だろうと思っております。
ただ、それをいろいろな資料に使うときに、そういうものが全部参加をしているといいますか、そういうものが資料の中身として位置づけられているというものから資料として出すのはいいのですが、全くないものまで入れてゼロ計算をして、その分だけ、六つだけをゼロにしながら計算をするというのが本当に
実態に合った参考資料になるかどうかというと、大変疑わしいというところもあります。といって、それじゃ面積の方はあるからいいじゃないか、今度は面積を入れるとどうもそこにちぐはぐが起きるという問題がありまして、やむを得ずこれは凡例に移したわけであります。
ただ、いろいろなお話もございますし、ことし要覧をつくるときに直しましたし、来年また要覧をつくりかえますときに、もう少しそういうものを、六村を入れてうまく表示ができる方法があれば少し私たちの方も
考えたいと思っているわけでありまして、別にこれはかたくなに要覧というものを
考えているわけでは毛頭ありません。ただあくまでも、先ほど申し上げておりますように、行政の
実態のある
市町村と対比しながら執務の参考に供しようというだけの話でございますから、それをその中に入れないのは
自治省が非常にかたくなにがんばっているのじゃないかという御議論であるとすれば、そういうわけでは全然ございません。
そういういろいろな各方面からの御意見がありますれば、何かそういうものを表示することによってうまくいくものであれば、ひとつ私たちも、来年また編集し直しますから、毎年やっておりますから、そういうときにまた検討し直してみようというふうにいま
考えております。