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薮仲委員 いま
大臣のおっしゃった後段部分の、国民のニーズというものが最近は大分変わっているんじゃないかということは、後ほど、お手元に配りました資料等でお示しいたしますが、それはさておきまして、いまの三期五計、これが計画を下回っておる。さらに、この三期五計に引き続きましての四期五計の表も見ていただきたいわけでございますが、この点は、いま言うなれば非常に深刻な問題を抱えているんじゃないか。いわゆる住宅建設が近年とみに落ち込んでおる。
三期五計を具体的に申し上げますと、この建設計画が民間自力等を合わせまして八百六十万戸の建設目標で、これを年度で割りますと年間百七十二万戸の建設計画になるわけでございますけれ
ども、この三期五計をずっと見ていっていただきたいのですが、本来一年間百七十二万戸という目標を掲げながら、五十五年度は新設着工件数で言えば百二十一万四千と、五十万戸ほど建設が落ち込んでいるわけでございます。
さらに、手元の資料の四期五計を見ていただきまして、五十六年度着工戸数、四月、五月、六月、——八月まで出ておりますが、この戸数を見ましても五十三万八千戸、対前年同月比では七・六%の落ち込みであります。四期五計では建設総数が七百七十万戸でございますので、これも年度で割りますと年間、本年度当初百五十四万戸の計画でありますが、いま八月までの経過を見ますと本年度は百千万だ、四十万戸ぐらい建設着工件数が落ちるのではないか。これは建設業界並びに関連産業にとっては非常に深刻な問題ではないか。ここ連続して年々、建設戸数が予定よりも五十万戸あるいは四十万戸というふうにどんどん減ってくる。
建設
大臣初め大蔵
大臣にちょっと御認識いただきたいのは、このように建設戸数が非常に減っているという点でございます。それの要因は、いまありましたように
一つは所得が減だ、乖離している、一番大きな問題は土地の問題になったわけでございます。
これは
国土庁長官にお
伺いしたいのでございますが、余り時間がありませんのでこちらで具体的な数字は申し上げますけれ
ども、それも資料がついております。「
昭和五十六年地価
調査 圏域別・地方別・用途別平均変動率」、これは国土庁の資料でございますが、これでいきますと、国土庁は地価が鎮静化の
方向と言いますが、三大圏に限って申し上げますと、三年連続の二けたの上昇になっておるわけでございます。このように、国土庁では全体的には地価は鎮静していると言いますけれ
ども、ここにありますように五十四年度は一二・六、五十五年は一六・〇、五十六年が一〇・二と、五十四、五十五、五十六とずっと二けたの地価の高騰でございます。この地価の高騰に対して抜本的な施策を講じませんと、これからの住宅事業はもちろんのこと、一切の公共事業も大変な事態に陥るのではないか、こう私は考えるわけでございます。
時間がありませんので要点だけちょっと申し上げますと、もう
一つの資料を見てください。公共事業にかかわる用地費、これも建設省の資料でございますが、特に住宅
対策事業、五十一年度から五十六年度までの資料がそこにあると思いますが、公共事業のいわゆる住宅
対策事業では用地費が約三割、平均三〇・四%が土地代にかかっておる。
こうなってまいりますと、
政府としてこの地価上昇にはよほど真剣に取り組みませんと大変なことになるのではないか。先般、正木委員が申し上げた用地費のかからない公共事業というのは、こういう点からも、この
行革の中でもやはり地価の鎮静化を図らなければ公共事業はやりにくくなってくる、大事な国民の税金が土地代にだけどんどんと食われて、事業そのものが進まなくなってくるのではないか、こういう点が私は非常に懸念されます。
そして、そういう地価の鎮静化の
方向と同時に、これは
総理にも住宅事情をよく知っていただきたいのでわざわざ住宅局の資料をここにつけたのです。これは五十四年の、五年に一度やる住宅需要実態
調査でありますが、それを見ますと、日本の国全体で住宅に困窮している方が三八・九、約四割の方が困窮しているわけです。特に東京圏、大阪圏ですと、四二・四、四三・二というように四割を超えています。
しかも困窮の一番の理由は何か、住宅が狭いということがお手元の資料に出ていると思います。しかも、公営住宅あるいは公団住宅は住宅が狭いという理由が六四・一です。六割以上の方がいまの公営住宅——都営、市営、県営件宅に対して狭いという認識を持っていらっしゃる。
さらにもっと大変な問題は、公営住宅に永住したいかどうかという資料、やはりここについていますね、見てください。公営住宅、公団住宅で永住したい方、公営住宅が二〇・二%、八割近い方はもうすぐ出ていきたいという気持ちを持っていらっしゃる。公団・公社住宅では永住したい方が一〇・三、一生住み続けたい。九割方の方はもうよそへ出ていこう。これが日本の住宅の実態です。
しかも、これは貯蓄増強中央委員会「貯蓄に関する世論
調査」これもちょっと
総理、見てください。いわゆる貯蓄をしてお金をためておりますけれ
ども、四十六年からの資料がございますが、五十六年、家を建てますかというアンケートに対して、今後は予定はやめた、家を建てるのはあきらめた、五三・〇です。さっき建設
大臣が持ち家とおっしゃったけれ
ども、もう家を建てられないという方が五三・〇。これは所得、地価の高騰、資材の高騰、庶民には家を持つことが高ねの花になってきてしまった。
これはまだあります。まだ資料をお示ししますと、時間がありませんからこちらで言いますと、たとえばいま国税庁の試算ですと、五十五年度のサラリーマン平均給料、年収二百九十五万でございます。ここにあります社団法人の都市開発協会、ここが出しております民間企業による宅地建物の値段が出ています。これも指摘だけしておきますけれ
ども、建築面積が百平米、一月建ての平均価格が五十五年では何と三千六十五万です。
〔藤波
委員長代理退席、
三塚委員長代理着席〕
これは三大都市圏に限っておりますけれ
ども、一戸建て平均が所得の十倍です。
同じようにマンション。マンションは六十五平米の建物、これは大体三Kくらいになるかもしれませんけれ
ども、この平均価格が二千四百四十九万です。そうすると、これは年収の何と八・一倍です。土地の値上がり、資材の高騰等で、もうサラリーマンには家を建てることが——年収の十倍あるいは八・一倍という数字がここに出てきているわけです。
こういう事情を考えて、きょうは時間がないので指摘だけしておきますけれ
ども、地価の鎮静化というのは、
総理、これはどうしても
政府として真剣に取り組んでいただかなければならない重要な課題です。
そこで、時間がありませんので、こういうことを踏まえて私が何を申し上げたいかといいますと、いま住宅金融公庫の金利を一%上げる、弾力化ということが論議されているわけでございますが、大体結論から言って、住宅金融公庫の金利を一%上げますと、建設
大臣、これは正確な数字を出すということは非常に無理かもしれませんけれ
ども、もしも一%上げると大体何万戸くらい落ち込むのか、おわかりになれば御答弁いただきたいのです。