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伊藤(茂)
委員 財源の方は後ほどちゃんと案を申し上げますから、認識のところ、ようやく気持ちくらいのことはいまおっしゃいましたが、私はもう
一つ申し上げておきたいのです。
大臣、いま減税したい気持ちはあるが減税できない。後ほど私から申し上げますが、財源がないからやれないというよりも、やらない、やりたくないみたいな気持ちの方が強い、そういうふうな気がしてならないわけでありますが、大臣、減税じゃないと私は思うのですよ。
前に都留さんなんかもいろいろな論文を書いておりましたが、国際的ないろいろな例があります。大臣御承知かもしれませんが、OECDからもこの問題についてはずっと前にレポートが出されています。そのレポートもあなたの
言葉で言うならば物価調整減税という
意味でしょう。しかし、そんな
言葉は使いません。このOECDのレポートでもアジャストメントですよ。「ジ アジャストメント オブ パーソナル インカム タックス システムズ フォア インフレーション」、そういうタイトルで出しております。要するに、いろいろな国の例を見ましても、物価の上昇に伴うさまざまの税の不公平の構造が起きることに対するアジャストメント、是正
措置としてという考え方とタイトルのもとに対策がなされている。いわゆる減税、まけろ、安くしろという話ではないのですね。取り過ぎる分を是正するあるいは不公平な問題が起きないようにする。私は極端に言ったら憲法八十四条の問題にこれは関係してくると思います、租税法定主義。要するに、本乗取られるべきものでないものまで、ことしは九〇・五でしょう、サラリーマンの把握率が。所得税の支払いですね。こういうことになってくるわけですから。
そういう
意味で、もう一枚の紙をごらん願いたいと思いますが、国際的にどんな常識になっているかというのをここに簡単に紹介してございます。
上の方に国の名前がいろいろ書いてございますけれ
ども、合計十七あります。これらの十七の国では、それぞれ物価調整
措置が行われている。一番最初の完全自動調整
措置、その典型はカナダ。私もカナダ、この夏ずいぶん勉強してきました。大臣もサミットで行かれたわけですから、本来でしたらこういう大きな問題についてはカナダの大蔵大臣に、一体こういう
制度がどうなのかお聞きになってもいいだろうと思いますし、私が聞いているところでは、どんなに政権がかわってもこういう
制度は引き返すことのできない
制度として定着をしているということに伺っているわけであります。カナダの場合には七四年から導入をして、そうして考えられるすべての調整項目に自動的にこれは連動する。基礎控除、配偶者控除、扶養控除等人的控除と連動、それから税率ももちろん消費者物価指数にも連動ということで、それぞれいままでなされてきたこの
措置に関するところの、言うならば減税ではない、調整
措置の実績も出ているわけであります。これらのことをずっと各国調べてみますと、確かに幾つかいろいろ例の違いがあります。完全自動調整
措置が法律で決まっている国は、カナダ、アルゼンチン、ウルグアイとかいう例がございます。それから、不完全自動調整
措置という表現にいたしておきましたが、若干連動するものを限定してという
意味でありますが、イギリス、スウェーデン、オーストラリア、ペルーとか、あるいはまたそれに準じたような
措置としてはフランス、オランダ、イスラエル、ルクセンブルク、その他大体いろいろな形を併用したような問題の例としてブラジル、チリ、デンマーク、アイスランド、それからここにも書いてありますが、アメリカの州税があります。レーガン大統領も、これは前から、カーター当時から連邦議会で
議論がされておりました。二本か三本それについての
法案が連邦議会にすでに提案をされている、そして間もなくの時期にインデクセーションを導入するということをすでに明確に公約しているという
状態になっているわけであります。言うならば、このような国際的な動向から見ても欠かせない課題であり、世界の大勢、もうちょっとはっきり言いますと、こういう
方向は政策的にも理論的にも世界の常識、ひとり
日本政府のみか大蔵省のみの非常識という
状態ではないだろうか。これは現実の問題であります。
私はそういう
意味で大蔵大臣に答弁を願いたいのですが、私はそれらの
状況についてこの夏じゅうかがっていろいろな人に協力してもらって調べました。なぜ
自分で調べたかといいますと、大蔵省にこの春の審議のときに資料を要請したわけであります。これは世界じゅういろいろな、OECDからもちゃんとしたレポートが出されている。こんなことぐらいは翻訳して読んでいるでしょう、主税局
調査課だって何だって専門家がいっぱいいるのですから。ところが、審議の参考にもしたいからと言って頼んだら、大蔵省で持ってきたのが紙一枚です。ざら紙一枚に一覧表にして、しかも五つか六つの国を書いて、ほとんどの国はやられておりませんみたいに書いてあります。完全にやられておりませんと書いてあります。私はこれは問題だと思うのですよ。ここにありますけれ
ども、あなた方が前にやろうとして失敗して、
国民から不信任されて、国会でも否決された一般消費税、世界じゅう走り回ってこんな本をつくっていますよ。同じようなものが、一般消費税に関する資料であなたの方からもらったものが私の机の中に五十センチぐらいありますよ。世界でも二十カ国近くが採用している、しかもこれからやろうとしている、国際的にもOECD、いろいろなところで儀諭されている。紙一枚。しゃくにさわるから破って捨てようかと思ったけれ
ども、いまの主税
局長の前ですから、大臣は同じですけれ
ども。
私はそういう
意味で、これは大変問題がある、要するに、
国民がこれだけ関心を持つ税制についてフェアでなくちゃならぬと思うのですよ。あなた方はどういう税制をこれからやろうとするか、
国民に理解を求めるように資料提示をしてよく説明をする、
政府税調その他いろいろな機関の場でもできるだけオープン・ドア・システムで
議論をする、これは民主三義に基づいて当然必要だと思うのです。
自分に都合のいいことは山ほど資料をつくって、世界じゅう走り回って本をつくって、
日本じゅう走り回って説明会をやって、都合の悪いことは、世界じゅうこれほどあるのに紙一枚しか持ってこない、何にも知らそうとしない。私
ども夏じゅうかかっていろいろな人に協力してもらって各国の例を調べましたよ。私はこの点について
反省してもらいたいし、とにかく一般消費税はもう国会決議で死んじゃったんですから、それではない、いま
国民的な課題となっているこういう問題について、少なくとも
国民の前にフェアに資料を集め、提供して、そしてまたこれからの八〇年代の
福祉型
社会その他に必要なあるべき税制というものをどう考えていくのか幅広く意見を求める、匹敵するような資料をつくってください。
政府税調にもあるいはまた関係する
委員会にも、大蔵
委員会は当然ですが、提示をする、そういう努力をするという約束をぜひはっきりさせてもらいたいと思います。こういう国際的な
一つの常識になっているわけですから、私は、言うならば、いまのような調子で
国民には何にも知らせない、目をつぶっている、そして調べもしない、こういう
状態が続いたら、国際機関、OECDなどのレポートも出されているわけですから、渡辺大蔵大臣はニューリーダーの一人と言われているわけでありますけれ
ども、事税制については、世界の先進国大蔵大臣が比類なき不公平を断固としてやっているという印象になってしまうのじゃないだろうかと思うわけであります。いかがですか。