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鈴木内閣総理大臣 行政は、
時代の移り変わり、また
時代の求めるところによって、常にそれに対応するように改めていかなければならない、このように私は思うわけでございます。私どもは、常に
行政につきまして、どのような形で
国民の期待にこたえるか、こういうことを絶えず見直していく必要があろうかと思います。そういう意味で、
行財政改革は、いつの場合でも私は今日的な問題である、こう思っておるわけでございます。これでもう
行政改革は終わったという性質のものではない、このように思います。
いま
わが国の内外の諸
情勢はきわめて厳しいものがあるわけでございます。御指摘のように、国内的には安定成長の
時代に入ってきておりまして、
財政収入と、そして
行政に対する需要との間に往々にして大きな
ギャップを生じがちである。そういうような過程におきまして、今年度末八十二兆円というような大きな公債
発行残高も生じておる、このように思うわけでございます。また、急速に高齢化
時代が到来いたしております。高齢化
時代に対処して、
行政はいかにあるべきか、いかに機能していかなければならないか、こういう問題もございます。また、
国民の
価値観、これもいろいろ多様に分かれておるわけでございまして、こういうような
時代の変遷、変化に対応して
行政が常に機動的にこれに対処していかなければならないわけであります。さらに、対外的には東西間の厳しい対立状態もございます。また資源エネルギー、御指摘のようにそういう制約もございます。
環境に対する厳しい状態も生まれてきております。さらにまた、世界経済がこのように停滞をしております関係から、貿易、通商の面でも摩擦を生じてきておる。また南北問題、これも大変深刻な問題に相なっておると思います。
こういう面に対して自由陣営における世界第二の経済大国になった日本がどのように対応し、国際的な責任と
役割りを果たしていくか、こういう問題も
行政に強く求められておると思うわけでございます。私は、そういう厳しい中で一体われわれはどういうことを目標にして進んでいかなければならないか、こう考えました場合に、一つは、何といっても活力のある福祉社会を建設するということ、また国際的には日本に対する
役割りの増大、これを
要請されておるわけでありますが、それに対してこたえていかなければならない、こういうことであろうかと思います。
そういうことにこたえるために日本の
行政というものがどのように改革をされていかなければならないかという問題につきましては、午前中にも私申し上げました。機勅的な対応ができるようにする必要がある、また、簡素で効率的な
体制にしなければならないということも申し上げたところでございます。さらに、
行政は
国民の
信頼の上に立つものでございますから、常に自粛自戒をして
国民の
信頼をかち得るようなものでなければならない、こう思います。
それから、橋本さんから
行政と
財政は一体不可分のものである、自由民主党
行財政調査会においては、そういう認識の上に立ってこれに取り組んできたというお話でございました。まさにそのとおりだと思います。
先ほど私も申し上げましたように、とかく
行政というのは惰性に流れるきらいがございます。何かそこに突破口といいますか、一つの衝撃がないと
行政の改革になかなか入っていけない。今日、日本の
財政が非常に危機的状況にある、
財政再建のためにはどうしても
行政と
財政の思い切った見直しをこの際しなければならないということを
国民各層各方面に御理解いただいて、そしてこれを取り上げていこうということに
国民的なコンセンサスが生まれてきておる、このように考えるわけでございます。
そういう意味合いにおきまして、私は、五十六年度の
予算編成におきまして二兆円の
特例公債の減額を
内容とする
予算案を編成し、
国会の御承認をいただいたところでございます。しかし、この際、
行政水準を急速に落とせないということもございまして、現行税制の枠内ではございましたけれども、一方において一兆四千億の増税をお願いした、こういう
経過でございます。
五十七年度におきましても、私は、引き続き
特例公債の
発行等を思い切って減額をする必要があると思いますが、その際に私は、重ねて五十七年度も増税を
国民の
皆さんにお願いをするというわけにはいかない、そこで
行財政の思い切った
縮減合理化によってこれを達成しようという考え方でいまそれに取り組んでおるところでございます。私は、まさに
行政と
財政は表裏一体のものである、この際、五十七年度はぜひ増税のない
財政再建へ向かっての
予算編成をしたいということで取り組んでおります。
さて、臨調から第一次の
答申をちょうだいいたしました。これは、臨調は二カ年の時限で御調査を願うわけでございましたが、五十七年度
予算をそういうことで編成をしなければならないという考え方から、臨調に対しまして、当面緊急を要する
課題について、特に五十七年度
予算の中に生かすべき問題点について中間
答申をちょうだいをしたい、こういうことを
要請いたしました。第一次の
答申をちょうだいしたわけでございますが、それを最大限に尊重し、これを実現しようというのが今回の
国会に御提案を申し上げております
行革に関する
臨時特例の一括
法案であるわけでございます。
したがいまして、これにつきましては、なまぬるいとか、非常に小さい改革にすぎないとか、こういうことの御批判もあるようでございますけれども、これはこれから行います
行財政改革の出発点であり、第一着手である、これをなし遂げることによって、
国民の
皆さんに
行革に対する
政府の姿勢、
国会のこれに対する御熱意、こういうものもはっきりするわけでございますので、ぜひこの
国会で成立を図るように御
協力をいただきたい、こう思っております。