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1981-11-12 第95回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年十一月十二日(木曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 稲村 利幸君    理事 池田 行彦君 理事 内海 英男君    理事 中村  靖君 理事 村岡 兼造君    理事 木間  章君 理事 中村  茂君       鹿野 道彦君    鴨田利太郎君       桜井  新君    田村 良平君       竹中 修一君    谷  洋一君       登坂重次郎君    羽田野忠文君       堀之内久男君    村田敬次郎君       井上 普方君    小野 信一君       山花 貞夫君    横山 利秋君       薮仲 義彦君    林  保夫君       瀬崎 博義君    中島 武敏君       甘利  正君  出席国務大臣         建 設 大 臣 斉藤滋与史君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 原 健三郎君  出席政府委員         経済企画庁調整         局審議官    大竹 宏繁君         国土庁長官官房         審議官     川俣 芳郎君         国土庁土地局長 小笠原正男君         建設政務次官  住  栄作君         建設大臣官房長 丸山 良仁君         建設省計画局長 吉田 公二君         建設省都市局長 加瀬 正蔵君         建設省河川局長 川本 正知君         建設省道路局長 渡辺 修自君         建設省住宅局長 豊蔵  一君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局審査部第         一審査長    樋口 嘉重君         警察庁刑事局捜         査第二課長   森広 英一君         行政管理庁行政         監察局監察官  橋元 徹志君         経済企画庁総合         計画局計画官  岡田 靖夫君         環境庁水資保全         局水質規制課長 渡辺 一志君         国土庁長官官房         震災対策課長  小松原茂郎君         大蔵大臣官房参         事官      龍宝 惟男君         大蔵省主計局主         計企画官    田波 耕治君         大蔵省主計局主         計官      公文  宏君         大蔵省主計局調         査課長     伊藤 博行君         大蔵省銀行局大         臣官房企画官  鏡味 徳房君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       松田 篤之君         国税庁税部法         人税課長    渡部 祐資君         国税庁調査査察         部調査課長   草野 伸夫君         厚生省環境衛生         局水道環境部計         画課地域計画質         長       小林 康彦君         自治省行政局行         政課長     中島 忠能君         自治省税務局固         定資産税課長  湯浅 利夫君         消防庁震災対策         指導室長    松田 有弘君         会計検査院事務         総局第三局審議         官       小川 一哉君         日本国有鉄道事         業局次長    大石  理君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     持田 三郎君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     大城 金夫君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団総裁) 大富  宏君         参  考  人         (住宅都市整         備公団総裁)  志村 清一君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  救仁郷 斉君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  武田 晋治君         建設委員会調査         室長      升本 達夫君     ――――――――――――― 委員の異動 十月二十一日  辞任         補欠選任   井上 普方君     山口 鶴男君 同日  辞任         補欠選任   山口 鶴男君     井上 普方君 同月二十九日  辞任         補欠選任   井上 普方君     山口 鶴男君 同日  辞任         補欠選任   山口 鶴男君     井上 普方君     ――――――――――――― 十月二十日  国民本位住宅政策確立等に関する請願外九件  (山花貞夫紹介)(第一〇号)  公団住宅家賃値上げ反対等に関する請願(  山花貞夫紹介)(第六一号)  同(中島武敏紹介)(第一八四号)  住宅宅地政策に関する請願阿部助哉君紹  介)(第一四五号)  同(阿部未喜男君紹介)(第一四六号)  同(五十嵐広三紹介)(第一四七号)  同(池端清一紹介)(第一四八号)  同(稲葉誠一紹介)(第一四九号)  同(岩佐恵美紹介)(第一五〇号)  同(上田哲紹介)(第一五一号)  同(枝村要作紹介)(第一五二号)  同(小川省吾紹介)(第一五三号)  同(大原亨紹介)(第一五四号)  同(岡田利春紹介)(第一五五号)  同(金子満広紹介)(第一五六号)  同(川俣健二郎紹介)(第一五七号)  同(久保等紹介)(第一五八号)  同(小林政子紹介)(第一五九号)  同(上坂昇紹介)(第一六〇号)  同(佐藤誼紹介)(第一六一号)  同(佐藤敬治紹介)(第一六二号)  同外一件(沢田広紹介)(第一六三号)  同(清水勇紹介)(第一六四号)  同(新村勝雄紹介)(第一六五号)  同(関晴正紹介)(第一六六号)  同(高田富之紹介)(第一六七号)  同(竹内猛紹介)(第一六八号)  同(中路雅弘紹介)(第一六九号)  同(中島武敏紹介)(第一七〇号)  同(中村重光紹介)(第一七一号)  同(馬場昇紹介)(第一七二号)  同(平林剛紹介)(第一七三号)  同(不破哲三紹介)(第一七四号)  同(福岡義登紹介)(第一七五号)  同(藤田高敏紹介)(第一七六号)  同(細谷治嘉紹介)(第一七七号)  同(松本善明紹介)(第一七八号)  同(村山喜一紹介)(第一七九号)  同(八木昇紹介)(第一八〇号)  同(山本政弘紹介)(第一八一号)  同(米田東吾紹介)(第一八二号)  同(渡辺三郎紹介)(第一八三号) 同月二十二日  道路財源確保に関する請願東家嘉幸紹介)  (第二二五号)  住宅宅地政策に関する請願伊藤茂紹介)  (第二二六号)  同(田邊誠紹介)(第二二七号)  同(山本幸一紹介)(第二二八号)  不動産経営管理士業務資格認定に関する請願  (山崎拓紹介)(第二五七号) 同月二十六日  住宅宅地政策に関する請願鈴木強紹介)  (第三六〇号)  同(永井孝信紹介)(第三六一号)  同(野坂浩賢紹介)(第三六二号)  同(岩佐恵美紹介)(第四二八号)  同(加藤万吉紹介)(第四二九号)  同(沢田広紹介)(第四三〇号)  同(瀬崎博義紹介)(第四三一号)  同(正森成二君紹介)(第四三二号)  同(伊藤茂紹介)(第四六七号)  同(田中伊三次君紹介)(第四六八号)  同(中野寛成紹介)(第四六九号)  同(吉原米治紹介)(第四七〇号)  不動産経営管理士業務資格認定に関する請願  (坂本三十次君紹介)(第三六三号)  岡山県奥津町の苫田ダム建設に関する請願(平  沼赳夫紹介)(第四二六号)  公団住宅家賃値上げ反対等に関する請願外  二十六件(伊藤公介紹介)(第四二七号) 十一月二日  住宅宅地政策に関する請願小川省吾君紹  介)(第五二二号)  同(加藤万吉紹介)(第五二三号)  同(日野市朗紹介)(第五二四号)  同(山本政弘紹介)(第五二五号)  同(岩佐恵美紹介)(第五七七号)  同(角屋堅次郎紹介)(第五七八号)  同(小林政子紹介)(第五七九号)  同(寺前巖紹介)(第五八〇号)  同(中路雅弘紹介)(第五八一号)  同(不破哲三紹介)(第五八二号)  同(松本善明紹介)(第五八三号)  同(簑輪幸代紹介)(第五八四号)  同(山田耻目君紹介)(第五八五号)  同(横山利秋紹介)(第五八六号)  同(渡辺貢紹介)(第五八七号)  同外三件(金子満広紹介)(第六八二号)  同(中路雅弘紹介)(第六八三号)  同(正森成二君紹介)(第六八四号)  第六次治水事業五カ年計画推進に関する請願  (近藤元次紹介)(第五七五号)  尾瀬の水の広域的運用に関する請願長谷川四  郎君紹介)(第五七六号)  不動産経営管理士業務資格認定に関する請願  (竹本孫一紹介)(第六一一号) 同月六日  住宅宅地政策に関する請願伊藤茂紹介)  (第七一八号)  同(大出俊紹介)(第七一九号)  同(加藤万吉紹介)(第七二〇号)  同(沢田広紹介)(第七二一号)  同外一件(高沢寅男紹介)(第七二二号)  同外一件(山花貞夫紹介)(第七二三号)  同(山本政弘紹介)(第七二四号)  同外一件(湯山勇紹介)(第七二五号)  同外二件(和田耕作紹介)(第七二六号)  同(岩垂寿喜男紹介)(第七七九号)  同(高沢寅男紹介)(第七八〇号)  同(上原康助紹介)(第七八一号)  同(伊藤茂紹介)(第八〇五号)  同(森井忠良紹介)(第八〇六号)  同外二件(山花貞夫紹介)(第八〇七号)  同外一件(山本政弘紹介)(第八〇八号)  道路財源確保に関する請願小沢一郎君紹  介)(第七七五号)  第六次治水事業五カ年計画の策定に関する請願  (小沢一郎紹介)(第七七六号)  急傾斜地崩壊対策事業拡充促進に関する請願  (小沢一郎紹介)(第七七七号) 同月九日  住宅宅地政策に関する請願外一件(岩佐恵美  君紹介)(第九三二号)  同(金子満広紹介)(第九三三号)  同外一件(榊利夫紹介)(第九三四号)  同(中路雅弘紹介)(第九三五号)  同(中島武敏紹介)(第九三六号)  同(不破哲三紹介)(第九三七号)  同外一件(松本善明紹介)(第九三八号)  同(村上弘紹介)(第九三九号)  同(渡辺貢紹介)(第九四〇号)  同(寺前巖紹介)(第九四一号) 同月十日  住宅宅地政策に関する請願外一件(池端清一  君紹介)(第一二〇三号)  同(岩佐恵美紹介)(第一二〇四号)  同(上原康助紹介)(第一二〇五号)  同(加藤万吉紹介)(第一二〇六号)  同(金子みつ紹介)(第一二〇七号)  同(久保等紹介)(第一二〇八号)  同(佐藤誼紹介)(第一二〇九号)  同外一件(沢田広紹介)(第一二一〇号)  同(田口一男紹介)(第一二一一号)  同外二件(高沢寅男紹介)(第一二一二号)  同(辻第一君紹介)(第一二一三号)  同(長谷川正三紹介)(第一二一四号)  同(不破哲三紹介)(第一二一五号)  同(簑輪幸代紹介)(第一二一六号)  同(安井吉典紹介)(第一二一七号)  同(山本政弘紹介)(第一二一八号)  同(横山利秋紹介)(第一二一九号)  同(渡辺貢紹介)(第一二二〇号) 同月十一日  道路財源確保等に関する請願井出一太郎君紹  介)(第一四五〇号)  同(小川平二紹介)(第一四五一号)  同(小沢貞孝紹介)(第一四五二号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一四五三号)  同(倉石忠雄紹介)(第一四五四号)  同(小坂善太郎紹介)(第一四五五号)  同(清水勇紹介)(第一四五六号)  同(下平正一紹介)(第一四五七号)  同(中村茂紹介)(第一四五八号)  同(羽田孜紹介)(第一四五九号)  同(宮下創平紹介)(第一四六〇号)  交通渋滞対策のための堤防利用に関する請願(  井出一太郎紹介)(第一四六一号)  同(小川平二紹介)(第一四六二号)  同(小沢貞孝紹介)(第一四六三号)  同(唐沢俊二郎紹介)(第一四六四号)  同(倉石忠雄紹介)(第一四六五号)  同(小坂善太郎紹介)(第一四六六号)  同(清水勇紹介)(第一四六七号)  同(下平正一紹介)(第一四六八号)  同(中村茂紹介)(第一四六九号)  同(羽田孜紹介)(第一四七〇号)  同(宮下創平紹介)(第一四七一号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月二十日  山村振興施策強化推進に関する陳情書  (第七九号)  河川敷の有効利用に関する陳情書  (第一〇七号)  住宅政策確立等に関する陳情書  (第一〇八号)  本州四国連絡橋早期完成に関する陳情書  (第一〇九号)  国道五七号の改修に関する陳情書  (第一一〇号)  国土開発幹線自動車道建設促進に関する陳情  書外一件  (第一一一号)  道路財源確保に関する陳情書外三十三件  (第一一二  号)  国道一二三号のバイパス早期建設に関する陳情  書(  第  一一三号)  琵琶湖総合開発計画改定等に関する陳情書  (第一一四号) 十一月十日  過疎対策充実強化に関する陳情書外三件  (第二二四号)  モデル定住圏計画事業推進に関する陳情書外  一件  (第二二五号)  国土開発幹線自動車道等建設促進に関する陳  情書外一件  (第二二六号)  四国開発幹線自動車道建設促進に関する陳情  書  (第二二七号)  東海北陸自動車道建設促進に関する陳情書  (第二二八号)  東九州縦貫自動車道早期建設に関する陳情書  (第二二九号)  茨城県小貝川堤防改修促進に関する陳情書  (第  二三〇号)  瀬戸大橋架橋に伴う幹線道路網整備促進に関  する陳情書  (第二三一号)  下水道の整備促進に関する陳情書外一件  (第二三二号)  土木事業に対する国庫補助増額に関する陳情書  (第二三三号)  町村道整備促進等に関する陳情書  (第二三四号)  道路財源確保に関する陳情書外二百件  (第二三五号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 稲村利幸

    稲村委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として、住宅都市整備公団総裁志村清一君、理事救仁郷斉君、理事武田晋治君、日本道路公団理事持田三郎君、理事大城金夫君及び本州四国連絡橋公団総裁大富宏君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 稲村利幸

    稲村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 稲村利幸

    稲村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村靖君。
  5. 中村靖

    中村(靖)委員 まず冒頭に建設大臣にお伺いをしておきたいというように思います。  ここのところ連日のように、新聞、テレビ等官公庁発注にかかわる公共工事等に関する談合事件あるいは積算ミスとかあるいは贈収賄事件とか、月を覆いたくなるようなそういう大きな問題が次々と報道されておるわけでありまして、この問題に関する大臣の御所見をまず最初に、最も関係の深い建設委員会の場におきまして承っておきたいと思います。大臣、お願いします。
  6. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  先生御指摘の、昨今の建設業界入札にかかわる不明朗な報道がなされているわけでございます。従来から、建設省といたしましては、業界に対して厳しく、法を守ることはもとより、公共事業というその性格上からも厳正な指導をしてまいってきておりましただけに、大変遺憾なことと思い、これらの報道について反省をしながら業界皆さん方にもなお厳しく指導しておるところでございます。特に、もちろん報道のみでなく、国会においても御案内のとおりの状況でございますので、きのう業界代表を呼びまして、私直接お話を申し上ぐべきでありましたけれども参議院の方の行特の方へ呼ばれておりました関係上、次官を通じて篤とこの問題についての対応、対処、また、これからの問題として指導したところでございまして、今後とも厳しく指導してまいる所存でございます。
  7. 中村靖

    中村(靖)委員 伺うところによりますと、昨日、建設業関係の七団体代表を招いて、事務次官より厳重な警告といいますか、指示をされたというふうに伺っておりますが、私は、確かに建設大臣立場として国会を優先されることは理解できるわけでありますが、たとえ国会が終わって夜になっても、姿勢として、次官からの指示ではなくてやはり大臣から、みずから直接業界代表警告をなさるべきではなかったかな、私は、個人的にはやはり姿勢としてそういう姿勢をとっていただきたかったなということを感じておるわけでありますが、きのうの警告内容はどういう内容警告をなすったか、お伺いをしておきたいと思います。
  8. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  もとより私自身が直接申し上ぐべき問題としてその対応をしたわけでございますが、参議院の方の質疑がございまして、その機会を得られなかったわけでございます。私自身は就任以来常に、御指摘を待つまでもなく、業界方々には国の基幹的産業として発展した現業界のありよう、また、昨今のように内需が厳しい折でございますので、海外へ発展しなければならぬ体質等考えて、近代化合理性というような問題についてかの方々とはお会いするたびに申し上げておりましただけに、よくその意はくんでくれておったかと思いますが、しかし御案内のような違反事項、誤解を受けるようなことが起きておりますだけに、重ねてそうしたことについて具体的な対応をしなければならないというようなことで、時間的余裕がなかったものですから次官ということでありますが、今後とも機会を得てその都度なお徹底するようにいたしたいと思います。  きのうの私の指示でございますが、静岡県の建設業界あるいは神奈川県の問題東京都の問題を具体的に申し上げ、指摘されたことを示しながら、現下の急務である行政改革関連法案審議するために開かれている今国会においても、建設業界姿勢監督官庁発注官庁としての責任等につき質疑が数多くなされておる。今日、建設業界基幹産業の一つとして日本経済に大きな地位を占め、その技術力企画力世界的水準に達しているところであり、建設省としても業界と力を合わせて建設業界近代化推進し、さらにその地位の向上を目指しているにもかかわらず、業界全体に不信感が向けられることはまことに残念である。各団体代表者におかれましては関係法令を遵守し、いやしくも国民の信頼を失うことのないよう、傘下企業等に徹底されたいという趣旨をお伝えしたところでございます。
  9. 中村靖

    中村(靖)委員 大臣、いま御答弁でお触れいただいたように、たった一回の指示をしたということであとはもう業界任せということではないように、ひとつこれからも鋭意業界指導大臣みずから当たっていただきますようにお願いを申し上げておきたいと思います。  公正取引委員会、お見えいただいておると思うのですが、この九月二十八日に静岡県内談合事件等に関して立入検査をされたわけでありますが、こういった官公庁発注公共工事入札に関する談合問題等で、過去五年間ぐらいに公取として具体的に処分をしたケースがおありになるかどうか、お伺いをいたします。
  10. 樋口嘉重

    樋口説明員 お答えいたします。  公正取引委員会といたしましては、最近五年間に官公庁発注にかかわる入札に当たり、あらかじめ受注予定者を決定、実施していた行為独占禁止法違反しているとして、排除勧告等を行ったものにつきましては十件ほどございます。
  11. 中村靖

    中村(靖)委員 まだ九月二十八日に立入検査をされたばかりですから、この質問はあるいはお答えが非常にむずかしいかもしれませんが、今回のこの静岡に関する処分はいつごろになる見通しでしょうか。
  12. 樋口嘉重

    樋口説明員 お答えいたします。  本件につきましては、現在審査中の事件でもございますので、見通し等について意見を申し述べることは差し控えさせていただきたいと思います。一般的に申しますと、立入検査を行いますと、その後書類を留置したものを整理いたしまして関係人から事情聴取をいたします。そしてその結果違反が認められます場合には勧告を行うことになっております。そして事業者または事業者団体がこの勧告を応諾いたしました場合には、違反行為排除を命じる審決を行います。この審決確定いたしますと、カルテルに参加しました事業者に対して課徴金の納付を命じることとなります。結論を得るまでには、関係者の数も今回は多うございますし、またその協力が十分に得られるかどうかによって若干違ってはまいるわけでございますが、まだ相当の時間を要するものと思われます。  従来の同様の事件につきまして参考までに申し上げますと、事件が終結するまでには早くても三カ月、遅い場合には一年を超えるものもございました。
  13. 中村靖

    中村(靖)委員 いま伺いましたように、公取勧告が出るまでにいままでの事例からいってもかなり長期間を要する。今回の、特に静岡の場合には関係者も非常に多い、県ぐるみというような感じでございますから、もちろん慎重にされなければいけないでしょうし、恐らく相当時間がかかると思いますが、建設省としてはこの件について、公取勧告なり処分が出るまで待っておるおつもりなのか、あるいは早急に何か手を打つお考えがあるか、その点を伺っておきたいと思います。
  14. 吉田公二

    吉田(公)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御説明があったような内容でございますが、私どもの建設業法上の立場から申しますと、関係法令違反というものが監督処分の対象となるということは明記されているところでございますので、独禁法の違反が明らかになりました場合には、当然これは建設業法に照らしまして所要の措置をとるということでございますが、その間の問題といたしまして、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、機会あるごとに注意を喚起し、指導してまいるというつもりでございます。
  15. 中村靖

    中村(靖)委員 神奈川平塚市の小学校建築関係して贈収賄事件が発覚をし、そしてすでに建設業者関係者有罪確定をしたという事件があるわけでありますけれども、この平塚市の贈収賄事件について、これはもう業者側確定判決が出ておるわけでありますから、どういう措置をおとりになるか、お聞きしておきたいと思います。
  16. 吉田公二

    吉田(公)政府委員 御指摘のとおり、平塚市の事件につきましては、すでに贈賄側関係者有罪判決がございまして、判決確定しているわけでございます。したがいまして、現在建設業法の規定によりまして、関係企業に対しまして聴聞等の所定の手続を進めており、厳正な処分を行うことといたしたいと思っております。
  17. 中村靖

    中村(靖)委員 聴聞はいつごろなさる御予定でしょうか。
  18. 吉田公二

    吉田(公)政府委員 現時点でございますので、なるべく早い時点で行いたいと思います。
  19. 中村靖

    中村(靖)委員 この件では、判決確定した建設業者に対する聴聞はぜひ早急に行うべきであろうというふうに思いますし、同時にこれは、贈賄をした建設業者だけでなしに、どうも談合の疑いがあるわけでありますから、他の関係業者に対して何か建設省として措置を行う御予定がありますでしょうか。
  20. 吉田公二

    吉田(公)政府委員 一般論といたしまして、先ほど来申し上げておりますように指導の徹底を図るということはございますけれども、本件に関しまして申しますと、関係法令違反するということがはっきりいたしますと、これは当然建設業法に照らしまして厳正な対処をするというつもりでございます。
  21. 中村靖

    中村(靖)委員 積算のミスというような、主に発注者側の問題点もかなりいろいろと指摘をされておるようでございます。国あるいは都道府県、公団、調べてみますと会計検査院から大きく指摘をされるといういわば不祥事がかなりたくさん起こっているように思うわけであります。たとえば公団も、道路公団、水資源公団あるいは本四公団、首都高速道路公団というぐあいに、まるでほとんどすべての公団が積算ミスを、しかもかなりはっきりとした金額もかなり大きな積算ミスをされておりまして、建設業界の問題である談合だけではなしに、発注者側のそういった責任あるいは姿勢、そういうものが問われていかなければいけないというように思うのですが、会計検査院に伺いますが、こういった建設工事の検査をするに当たって一般的にはどのような観点から行っていらっしゃるでしょうか。
  22. 小川一哉

    小川会計検査院説明員 お答えいたします。  私どもの行っております工事の実地検査でございますけれども、工事がむだな計画に基づいていないかという計画の問題、それから設計の問題、それから工事費の入札に当たりましての予定価格の積算の問題、それから発注されました工事が設計どおりに施工されているかという施工の問題、大体そのように工事の全般にわたって検討をしております。これらの検討項目のうち、工事費の予定価格の積算の問題、それから積算が間違っていましたために工事費が割り高になっているもの、それから施工に当たりまして監督が十分でなかったために設計どおりの工事が施工されていない、そういうふうな事例が比較的たくさん指摘されてございます。
  23. 中村靖

    中村(靖)委員 いま指摘を申し上げましたように、談合とか積算ミスとか贈収賄とか、とにかく新聞を見るのがこわいくらいにいろいろと不祥事件がこのところ多発をいたしておるわけでありますが、建設省としていままでこういった建設業界に具体的にどういう指導をしてこられたのか。たとえば通達などをお出しになったことがあるか、そういう具体的な例としてお聞かせいただきたいと思います。
  24. 吉田公二

    吉田(公)政府委員 建設業の近代化を図っていくということを中心といたしまして、昭和五十二年に中央建設業審議会の御答申をいただきました線もございまして、建設業全体の近代化、合理化を進めていくという努力をしているわけでございますが、その一環といたしまして、建設業法はもとより、建設業に関連する諸法令の遵守ということは機会あるごとに指導しているところでございます。
  25. 中村靖

    中村(靖)委員 こういった一連の問題について、具体的に今後たとえば建設省として通達を出すというようなお考えはありませんか。
  26. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 基本法がありますし、独禁法もございますし、予決令もございますし、法律的には一応整っておるわけで、これを守るのは当然の義務として、いままでの場合は具体例を一々ケース・バイ・ケースとして直接関係者処分を行ってきたわけです。全体的な問題としては、当然法律がございますので、それぞれの業界の自戒はもとより、そうしたことが起きないように指導するというようなこと。一般的に申しますと、なまぬるいようではございますけれども、法治国家として、法律があるのですからこれを守るのはあたりまえのことであって、特に昨今の建設業というものは国の基幹的産業にもなっておりますし、国際的にも日本の建設業は企画あるいは事業執行につきましても、とにもかくにも最も進んだものとして認められておりますので、私はそういうようなことで会員の方々には十分徹底できるものと信じ、また、そのつもりで厳しく指導してまいったわけでございます。また、今後も通達等ということでなく、これはもう法律があるのですから、遵守規定があるのですから、そうしたことで十分徹底できる、私はこのように確信いたしているところでございます。
  27. 中村靖

    中村(靖)委員 いま公共工事発注というのはほとんどすべてが指名競争入札という形で行われておりますけれども、そういった発注の仕組みそのもの、これがいまのものが最善かどうか。こういった不祥事件が続々と出るということになりますとやはり反省をしなければならないのではないかなという感じもするわけでありますけれども、諸外国の例等も調べてみても、それぞれ国情が違いあるいは建設業界の体質なり環境なりが違うということで、必ずしも他国の制度をそのまま持ってくるわけにはこういう問題はいかないと思いますが、建設省として、発注の方法といいますか、方式といいますか、そういうものについての反省あるいは考え方がありましたらこの機会にお聞きしておきたいと思います。
  28. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 建設省関係公共工事発注につきましては、いまお話のございましたように指名競争入札制度をとっているわけでございます。この点につきましては、さきの通常国会でも一般競争に直せないか、こういう御質問がございましていろいろと検討したところでございますが、公共工事の重要性にかんがみまして、やはり十分な施工能力を有する業者に施工させる必要がある。たとえば河川工事の例をとってみましても、これが出水期までに間に合わないということになりますと大災害を起こす危険性があるわけでございますし、あるいは疎漏工事、手抜き工事が行われた場合にはこれも重大な問題になるわけでございます。  そこで、これを一般競争でやるということになりますと、業者の施工能力の審査を徹底的にしなければならない。また、一般競争でやります場合には工事監督等に相当の労力を要するわけでございますし、また何社来られるかもわかりませんから、入札事務その他にも非常に問題があるわけでございます。したがいまして、これらの労力、費用等を考えます場合に、なかなかこれを一般競争入札に変えるというのは困難ではないかとわれわれは考えているわけでございます。たとえば建設省の直轄工事だけの例をとりましても、これは五十五年度の例でございますが、年間に一万九千三百六十三件の件数があるわけでございまして、これにつきましてすべて一般競争で行って、業者の審査をすべて行うということは事務的にとてもむずかしい問題ではないか、このように考えられるわけでございまして、われわれといたしましては鋭意検討はいたしておりますが、なかなか結論が出しかねるというのが率直な現状でございます。
  29. 中村靖

    中村(靖)委員 聞くところによりますと、愛知県の岡崎市ではことしの五月から、いままで指名競争入札をやっていた発注方法をやめて一般競争入札制度に切りかえた、そうしたら落札価格が入札予定価格を一割から一割五分ぐらい下回ってきているというようなことも聞いておるわけであります。  確かにいまの御答弁につきましては理解できる部分がもちろんありますけれども、これが絶対理想の制度だ方式だというものはないと思うのです。やはり最善を尽くして努力をしていくことが大切だと思いますので、いまの以外にはもう全くやりようがないというのではなくて、ぜひ努力をされ、一歩でも前進をするようにお願いをしておきたいというふうに思うわけでございます。  次に、最近たとえば東京を初めとする大都市あるいは大都市周辺の都市化というものが非常に進んで、そしてちょっと集中豪雨あるいはまた台風といったようなときに、予想外な都市河川から水があふれて水害になる。私は選挙区は東京ですけれども、地方選出の議員の方から、いまどき東京の川で水害が起こるのかとむしろ不思議に思われ、また聞かれることがあるわけでありますけれども、こういった都市河川の改修整備というものは非常に大切だと思うわけでございます。ことしだけを例にとっても、七月の二十二日、十月の二十二日と二回にわたってかなり大きな水害が東京都内でも出ておるわけでありますし、特に台風二十四号の影響で、十月二十二日、二十三日には都内だけで三万戸以上の浸水をしておるわけでありますが、建設省としてこの都市河川の問題についていかなる対応をしてきたか、あるいはまたしようとしているか、伺いたいと思います。
  30. 川本正知

    ○川本政府委員 お答えいたします。  近年におきまする都市化の急速な進展によりまして、都市におきます浸水被害というものが増大する傾向があることは御指摘のとおりでございます。このために建設省といたしましては、都市河川につきましても一時間雨量五十ミリメートルの雨に対して安全になりますことを当面の目標といたしまして、都市河川の整備を鋭意促進しているところでございますが、特に都市化の進行が著しく、そのために治水安全度が低下しております河川につきましては、昭和五十四年度から総合治水対策特定河川事業というものを創設いたしまして、都市河川整備の促進に努力しているところでございます。今年度末におきまして都市河川のそういった当面の目標に対します整備率は三八%となる見込みでございますけれども、来年度からスタートすることとして要求をしております第六次の治水事業五カ年計画におきましても、都市河川に最重点を置きまして今後とも都市河川整備に努力をしてまいる所存でございます。
  31. 中村靖

    中村(靖)委員 今年度から都市河川緊急整備事業というのがスタートをされたわけでありますが、この事業の執行状況はいかがなものでしょうか。
  32. 川本正知

    ○川本政府委員 大都市の既成市街地内の都市河川のうち、排水メカニズムの急変によりまして特に緊急に整備を必要といたします河川について、先生ただいまお話しの都市河川緊急整備事業というものを今年度から創設したわけでございます。そういった制度を創設したわけでございますが、これは主として調節池あるいは分水路等の事業をおおむね五カ年を目途として概成させようということを計画的に推進する制度でございまして、必要に応じまして国庫債務負担行為の活用を図りまして、計画的な事業の推進を図ろうとしているところでございます。  五十六年度、今年度からの新制度でございますが、今年度からは、東京におきましては神田川、石神井川、神奈川県の帷子川、大阪府の平野川の四河川を対象に実施しておりまして、神田川等につきましては水道橋の分水路工事、こういったものにつきまして鋭意促進をしているところでございます。
  33. 中村靖

    中村(靖)委員 緊急整備事業の対象河川、たしか現在は四河川だったと思いますが、今後指定を追加するお考えありますでしょうか。
  34. 川本正知

    ○川本政府委員 お答えいたします。  五十七年度につきましては、愛知県の新堀川という河川を新しくこの事業に指定したい、そういうことで要求しております。当面は、五十六年度の四河川と合わせまして五河川になるわけでございますが、これの完成を目指して鋭意事業の促進を図ってまいりたい、そう思っております。
  35. 中村靖

    中村(靖)委員 もちろん都市河川対策として河川改修工事を促進するということは基本でなければならないと思いますが、たとえば神田川一つとりてもいまやっております神田川の改修工事は五十ミリ対策でございます。これが完成をしても、まあ非常に簡単な言い方をすれば、五十ミリ以上の雨が降れば水が出てしまうということですから、河川改修工事はもちろんどんどん進めていかなければならないが、同時に、遊水地のようなものをもっと力を入れていただかなければいけないと私は思うのですが、遊水地についてのお考えなり現状なり、簡単で結構でございますが、お聞かせいただきたいと思います。
  36. 川本正知

    ○川本政府委員 都市化の進展に伴いまして都市内の河川の改修、これは広げるとかそういうことがあるわけでございますが、そういったことは非常に困難になってきております。そういうために遊水地によります流出抑制、これが御指摘のとおり大変必要であり、効果のある手法であると思っております。建設省といたしましては、四十八年度から治水緑地事業というものを創設いたしまして、遊水地とともに緑地計画を合わせてやる、あるいは昭和五十二年度から多目的遊水地事業というものも創設いたしまして、都市公園等の都市施設とあわせて遊水地の造成をしよう、そういう努力をしているところでございます。
  37. 中村靖

    中村(靖)委員 遊水地は非常に大事だと思いますので、いま言われたようにふだんは公園として利用して、一たん事あるときには遊水地として利用する、あるいはげた履き式の住宅を遊水地の上に建ててお住まいいただくとか、あるいは運動場にするとか、何かそういう工夫をどんどんして遊水地対策も精力的にお進めいただくように、この機会にお願いをしておきたいと思います。  それから、それではいろいろな万全の対策をしたけれども、どうしても水害が起きてしまったというときには、やはり水災害の保険というものがそういった関係住民にとっての一つのよりどころになるのではないかと思うのですけれども、いまの保険制度を調べてみますと、普通の住宅とかあるいは店舗、そういったものについては、たとえば住宅総合保険とか店舗総合保険ということの中で、自然災害もカバーされているということが言えますけれども、工場とか倉庫とか事務所とか、そういうものには実はこの総合保険は適用されない。それで、全然制度がないわけではありませんけれども、こういったものについては普通火災保険に付する風水害危険担保特約というものと、独立した風水害保険というものが一応制度としては大蔵省に認められて、損害保険会社の一つの商品として存在はしておるわけでありますけれども、調べてみますと、風水害保険というのはわずかに二百九十一件しか契約がない。風水害危険担保特約というのですら一万二千件しか契約がない、このように聞いております。各企業等も保険に入りたい、一たん何かあったときにはというようなことを言われるのですけれども、いざ入ろうとすると損害保険会社の方でむしろ引っ込み思案である、非常に危険負担が大きい、そういうことでなかなか件数がふえない。せっかく認可されている制度も実際はほとんど役に立っておらない、こういう傾向があるように思えるわけでありますけれども、この点について大蔵省の御意見伺いたいと思います。
  38. 松田篤之

    松田(篤)説明員 先生仰せのとおり、風水害と申しますのは大変に保険になじみにくい性格を持っております。風が吹いたり水が出る時期というのは、日本の場合台風シーズンがございまして、ある地域におきましては毎年決まって水につかるという地域もございます。こうなると、偶然の事故を担保するとはなかなか言えないという点もございますし、それから地域的な偏在性と申しまして、風がなかなか来ない地域もございますし、川が近くにない地域もございます。こうなりますと、当然保険の加入者というのは自分に危険が大きいものだけが参加をする、いわゆる逆選択ということが起きまして、民間の保険会社でも、先生御指摘のような風水害保険というのは商売になるなというものしかなかなか引き受けにくい、こういう事情がございます。また、それでは料率をかなり高くいたしまして、たとえば都市河川で三年に一ぺんか五年に一ぺんは水につかるという工場、倉庫がございますれば、そこでは当然保険料は保険価格の三分の一、五分の一にしなければいけない、こうなると商売をする側にしても大変高い負担で加入したくない、こういう事情から、そもそも保険になじみにくいという事情からこの保険が成り立ってないということだろうと思います。
  39. 中村靖

    中村(靖)委員 なかなかむずかしい問題だと思うのですけれども、アメリカではアメリカの連邦政府が実際に一種の国営水災害保険のような制度をつくって、国の責任において、一たん水害が出たときに補償していくという制度をすでに実施しておるわけでありまして、まあ事柄が水害と地震では少し違う面があると思いますけれども、たとえば地震については国の地震再保険特別会計というものを置いてそういった努力をしておる。水害においても工夫によってはできないはずはなかろうが、こう思うのですけれども、そういった損保会社だけに任しておかないで、国が乗り出してでもこういう不安におびえている住民あるいは企業の身になって努力をするお考えはないかどうか、建設省と、再度大蔵省に伺います。
  40. 川本正知

    ○川本政府委員 お答えいたします。  水害保険そのものにつきましては、いろいろといま大蔵省の方からもお話がございましたように問題点が多うございまして、一般のコマーシャルベースには乗りにくいいろいろな問題点がございます。私どもの方といたしましても、こういった水害保険制度が成り立つかどうか、創設の可能性につきまして調査研究を従来行ってきておるところでございますが、先ほどお話しのアメリカのケースにつきましても、四分の三程度は国が補助をしておるというふうな、国から非常に高額のお金が出ておるということもございますし、大変問題が大きいわけでございます。しかし、大変重要な問題だと私ども認識しております。これらの問題点に対してどのような措置をすれば保険制度として成立し得るか、一層の研究を重ねてまいりたいと思っております。
  41. 松田篤之

    松田(篤)説明員 いま建設省の方からお答えがございましたように、政策問題として、こういうものを取り上げてはどうかというのは建設省なり国土庁なりでお考えいただく問題と思いますが、保険を担当しております私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように大変保険になじみにくい性格を持っており、たとえばこういう状況を打破するにはやはり大幅な財政援助というふうなことが必要になるとか、あるいはパッケージと申しまして、いろいろなリスクを一緒に負担することによって分散を図る、たとえば住宅の場合、先ほど先生御指摘の総合保険と申しますのは、風水害だけではなくて、雪の害とかあるいは傷害であるとかあるいは水漏れであるとか盗難であるとか、そういった危険を含んだところで一つの保険にするということによって、いわばリスクを分散することができるという趣旨でできておるわけでございます。そういう工夫をするとか、アメリカの例を先生御指摘でございますけれども、アメリカの例で申し上げれば、たとえばそういった災害を起こしそうな地域については全員強制加入にする。加入しない人に対しては災害救助のいろいろな措置が受けられないということもかましたところで保険にするとか、大変いろいろな工夫が要るのだろうと思います。それともう一つは、先ほど申し上げましたように、果たしてそういう企業物件といったものに対して巨額の財政負担を伴うようなことをやるべきかどうかという判断の問題になろうかと思っております。
  42. 中村靖

    中村(靖)委員 大都市の再開発の問題について少しお伺いをしたいと思うのですが、たとえば東京都の二十三区、区部の建築物の平均階数を伺ってみますと、現状は約二・三階だというふうに伺いました。少し前は一・七階とか一・八階とか言われた時代があったと思います。東京だけではありませんけれども、こういった大都会の中心部についてはもう少し高度利用をする、もちろん住宅だけふやすということを言っておるわけではございませんで、高度利用してなるべく緑地なり公園を残していく、そういった環境づくりをもっと精力的に進める必要があるというふうに私は常々思っております。  たとえば用途地域の問題にせよあるいはいわゆる日照権の問題にせよあるいはいろいろな意味で制限が加わっている斜線制限の問題にせよ、斜線制限というのは日本だけにしかないというふうに、私の記憶が間違ってなければそういうことも聞いておるわけでございますし、余りにもそういった都心部の規制が強過ぎるのではないか。むしろいい意味ではそういう問題も少しずつ緩和して、その部分を公園づくりにつぎ込んでいくというような努力があっていいというふうに思いますけれども、まず一般的なこととして建設省の考えを伺いたいと思います。
  43. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 お答えいたします。  大都市の中心市街地におきまして、土地の高度利用の促進を図るということはまさに御指摘のとおりに必要であるわけでございます。御指摘の中で、たとえば東京の都心部に一種住専がかなりあるということで、したがって平均階数が少ないというような問題があるわけでございますが、こういったことの検討ということは御指摘のとおり必要かと思います。  東京都では本年、区部におきます用途の見直しを行いまして若干の縮小は行っております。今後におきましては、都市の再開発の長期的あるいは総合的なマスタープランでございます都市再開発法による再開発方針というものを速やかにおつくりいただいて、一種住専の見直しとか、大都市の中心市街地の合理的あるいは健全な高度利用というものを一層推進していくべきではないかと考えております。
  44. 中村靖

    中村(靖)委員 私は、こういう大都市の再開発の中で、たとえば国鉄が持っておる用地あるいは国鉄の駅が現在使用している用地の上空といったようなものの利用、もちろん国鉄だけではありませんけれども、代表的なこととしてお伺いしたいのですけれども、数年前に日本大学の理工学部の研究所が、国鉄の環状線、通称山手線の上空を利用して町づくりをしたらというような、かなり壮大な報告をされたことがあるのですけれども、そういった問題とか、大きな駅、新宿とか渋谷、池袋という駅はそれぞれ整備はされつつありますけれども、その線路をはさんで両側の駅を結び、かつその周辺まで巻き込んだ町の再開発というようなものが、実は具体的にはオランダのユトレヒトというところでホーフ・カタライン計画というかなり大きなもので、すでに成功を見ておるものがあるわけであります。私も見てまいりましたが、そういった点について、国鉄がお見えだと思いますので、国鉄として用地の高度利用についてどういうお考えか、時間がなくなってまいりましたので簡単で結構でございますが、ちょっとお聞かせください。
  45. 大石理

    ○大石説明員 お答えいたします。  線路の上空利用につきましては、ただいま御指摘ございましたように、トラポリス計画というようなことが提案されておりますが、そのほかにも国鉄の上空を利用すべきだという意見がいろいろ出ていることは承知しております。  国鉄としましては、五十一年の十二月に総裁の諮問機関として、学識経験者を中心に資産活用懇談会というのを設置いたしまして、その中で線路の上空利用というものを検討していただいたわけでございます。五十三年の六月にその意見をいただいております。それによりますと、まず、線路の上空というのは交通の空間だけではなくて、都市の防災あるいは公共空間といった観点からも考えるべきであろう、したがって、そういうことを入れるとより慎重に対処する必要があるというようなことが出されております。  それからもう一つ、経済性の問題でございますが、東京のような大都市の線路の上に構造物を建設するということになりますと、御存じのように列車が相当走っておりますので、これをとめるわけにいかぬとなりますと、仮の線をつくるかあるいは列車を動かしながらやるということになるわけでございます。しかし、都市の中で仮の線をつくるということは現実的でございませんので、列車を動かしながらやるということになりますと、いろいろな経費がかかるということで、工事費が多大になるという問題がございます。ただ、国鉄としましては、条件が許せばやるということで、たとえば駅改良と同時にやるというようなことの中で対応してきている例はございます。
  46. 中村靖

    中村(靖)委員 最後に国土庁と自治省にまとめて御意見を伺っておきたいと思いますが、宅地並み課税の問題についてであります。  これは三大都市圏の市街化区域内農地の固定資産税の問題で、旧年来実施をされてきておりますけれども、私が申し上げたいのは、約十年前のあの高度成長末期のころの状態と現在とを考えますと、社会情勢なり一般環境なりがずいぶん変わってきているのじゃないだろうか、あのころは何としても宅地を供給させたい、住宅をもっと建てさせたいということであったと思うのですけれども、いまや都市周辺にできるだけ緑を残すということが主体になってこなければいけない、そういう時代を迎えておると私は思うのです。  実は練馬区で九日に発表されたのですけれども、区民意識調査の中で、農地を残した方がいいかあるいは宅地に転換してしまった方がいいかということを端的に聞いたら、四人に三人は残してほしい、いや、宅地にどんどん変えろというのが四人に一人だったという結果も出ております。いよいよ見直しの時期に入ってきておりますので、ぜひそういう観点からも慎重に御研究いただきたいというふうに思っておりますが、国土庁と自治省の御見解を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  47. 原健三郎

    ○原国務大臣 御趣旨の点はわかるのですが、十年前と現在とは非常に変わっておるという意向でございますが、緑の必要なことは十年前も必要だし、いまも必要でございます。宅地をもっと供給してもらいたいというのは十年前もそうであったが、現在においてもなお宅地は不足しておる。だからこの需要も非常に多いのでありまして、練馬区の世論調査におきますと、現在もう家を持っておるし土地を持っておる人なら、このまま要らぬ人が入ってこぬ方がいいというようなもので、そういう考えの世論調査になると思いますが、国の立場から言うと、税制その他も考えまして、非常に誤解を受けますのは、農業を現にやっておる人、将来も引き続きやろうという人にはいわゆる宅地並み課税は課しませんとたびたび言うのですが、どうも宅地並み課税をかけるかける言うて、どういうところから出てくるか知りませんが、それはかけませんので、大いに農業をやってもらってよろしいし、緑も保存してもらって結構でございます。ただし、その土地、農地を温めておって値上がりを待っておる、そうして売らないという、これでは——御承知のように建設省住宅建設戸数も去年からことし非常に落ち込んでおります。それを早く解決して、一般の方々にも住宅を提供したいと思っておりますので、この点の間でいろいろ話し合いをして解決していきたい、こういうふうに思っております。
  48. 稲村利幸

    稲村委員長 簡潔にお願いします。
  49. 湯浅利夫

    ○湯浅説明員 明年度からの市街化区域農地に対する課税の問題につきましては、五十四年十二月の税制調査会の答申の趣旨に沿いまして現在検討を行っているところでございます。今後関係省庁や関係団体の御意見を十分踏まえまして、税制調査会での御審議を煩わしながら、適切な結論を得るように努めてまいりたいと思います。
  50. 中村靖

    中村(靖)委員 終わります。
  51. 稲村利幸

  52. 鴨田利太郎

    ○鴨田委員 景気対策と公共事業の促進につきまして、初めにお尋ねいたします。  現在、行政改革の一環といたしまして、赤字国債の解消を図る財政再建策が進められております。このために、公共事業等の縮減等、財政支出の見直しが行われております。公共事業は、重要な財政施策としてわが国の経済にきわめて大きな役割りを果たしております。近時、特にオイルショック以降の日本経済に果たしてきました公共事業の景気刺激効果並びに雇用創出効果等による功績は非常に顕著なるものがあります。  そこで、財政再建の要請とわが国の経済の現状を踏まえて、公共事業のあり方について問いたいのでございます。私がこう言いましたからといって、先般発表になりましたような、公共事業を通しての談合などのような不正なことが余りありましては困るのでございますけれども、どういうふうにこれに対してお考えになっておるか、お願いしたいと思います。
  53. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 公共事業につきましては、申し上げるまでもなく、まだ非常にやらなければならぬことが多いわけでございます。たとえば下水道につきましては三〇%しかできていない、道路にいたしましても五〇%程度、中小河川に至っては一八%、こういうような状況でございまして、非常に必要性はあるわけでございますが、一方、財政再建という苦しい問題もあるわけでございまして、この調整をどうやって図っていくかということが最大の問題点ではないかと考えております。来年度の予算要求につきましては、閣議決定によりましてゼロシーリングということが決められておりますから、われわれはその中でいかにして事業量をふやすかということに最大の努力を払ってまいりたいと考えております。  また、その実施に当たりましては、最近騒がれているような不祥事のないように、効率的に、それから重点的にこれを施行してまいりたいと考えているわけでございます。
  54. 鴨田利太郎

    ○鴨田委員 政府、特に大蔵省でございますけれども、その資料の「財政の中期展望」によりますと、五十六年度の予算では、経常部門三十八兆円の支出に対しまして三十二兆五千億円の収入で、その差額の五兆五千億円をいわゆる赤字国債で埋めており、この赤字国債による埋め合わせを五十九年度までにゼロにしようということですが、これは国の一般会計の中の経常部門の収支であって、長期的な日本経済の発展という観点からながめますれば、財政の収支はもっと広く、地方公共団体の財政状況等をも含んだ全財政について考えてよいのではないかという議論もあります。このような考え方からすれば、公共事業による社会資本整備の必要性やわが国経済の現状にかんがみますと、公共事業の抑制は必ずしも適切ではないと考えられており、また、それについては経済企画庁長官ははっきり言っておりますのですけれども、これについての財政当局の考え方についてお聞きしたいと思います。
  55. 田波耕治

    ○田波説明員 公共事業の事業それ自体の必要性、これは財政当局としても決しておろそかに考えているわけではないということだと思います。そこで、広い意味で先生がおっしゃっておられることは、公共事業を削減することによって一種のデフレ効果が生じるのではないかという御質問だというふうに理解いたしますが、そういう観点から考えますと、確かに先生おっしゃいますようにそういう効果がないということは決して言えないというふうに思います。ただ、こういう財政状況のもとで財政再建を図っていく、すなわち国債の減額を図っていくということにはそれなりの意味がございまして、国債を減らしていけばその資金が民間部門に行く、民間の活動が活発になるというような観点もございます。それから、長期的に財政の体質を強化していくことになりますれば、財政がいろいろな事態に対応を適切にやっていける、体質の改善も図られるということになる。場合によっては、こういう財政状況のもとでは増税をしなければいけないということまで考えますと、増税をすることによるデフレ効果とどちらがいいだろうかというようなことを総合的勘案いたしますと、いまのような財政状況のもとでは、公共事業を含めた歳出を極力削減していきたいというのが財政当局の考え方でございます。
  56. 鴨田利太郎

    ○鴨田委員 いまの大蔵省の意見は大体納得できるのですけれども、食い違いがまた出てまいりますから……。  経済企画庁の発表によりますと、昭和五十五年度の経済成長率は五%であるが、このうち三・八%は外需によるもので、内需は一・二%にすぎない、この状況は現在もほぼ同様であると思われます。また、近時は失業率の増加等、また、中小企業の倒産件数も増大というような状況にあります。このような外需依存型による経済発展が諸外国との間に大きな経済摩擦を生じさせていることは指摘するまでもないことでありますが、現在のわが国の経済の課題は内需の振興を図ることであって、このために個人消費を伸ばすとともに、住宅の建設を含む公共事業推進を図ることが大切ではないかと私は思います。内需対策としての公共事業の位置づけについて、経済企画庁の考え方をお聞きしたいと思います。
  57. 大竹宏繁

    ○大竹政府委員 公共事業及び住宅投資の内需刺激効果につきましては先生いま御指摘のとおりでございまして、需要としての景気の刺激的な効果、これはかなり強いものがあるということは御指摘のとおりでございます。したがいまして、公共事業につきましては、先ほど大蔵省の方からも御答弁があった次第でございますけれども、大筋においては私ども同じように考えておるわけでございます。  それから、住宅投資につきましては、これも御案内のとおり、さきに住宅関係関係閣僚会議におきまして今後の住宅対策、特にこの五カ年計画をどうやって具体的に実施していくかということにつきまして、住宅の建築及び宅地の供給、両面にわたりまして検討事項を掲げまして、関係方面におきまして御検討をお願いしておるという状況にあるわけでございます。
  58. 鴨田利太郎

    ○鴨田委員 財政再建は、単に歳出を抑制するばかりが能ではないということです。その前提として、歳入、特に税収の確実な増加ということがやはり求められなくちゃなりません。  「財政の中期展望」によりますと、五十七年度以降年率一四%、税額で毎年五兆円から六兆円の税収の増加が見込まれております。したがって、財政再建のためにも景気の維持、発展がきわめて大切だと私は思います。     〔委員長退席、池田(行)委員長代理着席〕 今年度の経済成長の見通しは五・三%、そのうち四%が内需で、外需は一・三%であると言われております。民間経済の伸び悩みの状況から見ましても、この見通しを達成するためには思い切った内需振興策、すなわち公共事業の増大を図らなければならないと思います。中期展望でも五十七年度以降公共投資を年率九・六%増大することを見込んでいるにもかかわらず、ゼロシーリングで公共事業を圧迫するとなると、経済の現状から見て、公共事業にかわる内需振興策が考えられるならともかく、中長期的な見通しどして大きく食い違う結果が生ずることが予想されます。公共事業を据え置いて財政の中長期見通しに支障が生ずることがないかどうか、大蔵省の意見をお聞きしたいと思います。
  59. 田波耕治

    ○田波説明員 確かに先生のおっしゃいますように、公共事業というのは経済を引っ張る大きな要素であると思います。ただ、先ほどるる御説明いたしましたように、こういうような財政状況のもとでそういういままでのような財政運営を続けていくということが非常に困難な事態に陥っておるわけでございます。  そういう観点からいたしますと、歳出を切るということによって、先ほど申し上げましたように、たとえば民間活動に対するよいインパクトを与えて、その結果として所期の税収を得るというルートというのは、もちろん組み合わせによるとは思いますけれども、決して不可能ではないというふうに考えておる次第でございます。
  60. 鴨田利太郎

    ○鴨田委員 社会資本の投資は、将来に向かって国と国民の財産をふやす、産業基盤を整備するという非常に大きな目的を持っております。したがって、政治とは何か。国民生活の充実向上、そして安定と、国の平和と安全の維持というのが国の政治の最大の目標であります。そのために未来に向かって国民に夢を持たせる。ここに政治の課題があると私は思います。それゆえに、財政再建はもとより重要課題でありますが、これもまた大きな目標の一つであります。その意義とともに、公共投資の意義もまた十分留意さるべきであると私は思います。これからのわが国の経済は雇用の増大、生活水準の向上を図るために当然拡大されなければならないし、また、財政収支の均衡を図るために縮小均衡を目指すものであってはならないと思います。  このような観点に立って考えますと、さきに政府が決定した新経済社会七カ年計画における公共投資の規模二百四十兆円を、またローリングして百九十兆円にしました。この実現を図ることがきわめて大切であると思いますが、この計画の今後の達成見通しについてどう考えておるのか、またこれを再度見直しをするのか、この点をお聞きしたいと思います。これは経済企画庁。
  61. 岡田靖夫

    岡田説明員 お答えいたします。  来年度予算におけるゼロシーリングは、五十七年度予算編成に関する措置でございまして、中期的な経済運営の指針を示すものではないということでございます。これに対しまして、新経済社会七カ年計画におきます五十五年度のフォローアップで出てまいりました、当面百九十兆円の公共投資でございますが、これは経済全体の整合性の観点から中期的な指針として示したものでございます。したがいまして、来年度予算にゼロシーリングが課されたということで、直ちにこの目標変更をするということにはならないというふうに考えられます。  それから中期的な経済運営のあり方につきましては、経済審議会におきまして毎年七カ年計画のフォローアップを行うことになっております。本年度につきましても、五十七年度の経済見通し等を踏まえまして、経済全体の整合性の観点から総合的に検討を行うという予定になっております。
  62. 鴨田利太郎

    ○鴨田委員 いまのお話だと、変更しないでやっていくんだというふうに聞こえる、それはわかります。ただし、これは要望になりますけれども、ぜひとも公共投資の拡大を図っていってもらいたいというのが念願でありますし、そのためにやはり付随してくる悪い、先ほど言いましたような談合みたいな問題が出てまいります。こういうことも今後とも建設省としてはよく御指導願いたい。ひとつこの点を要望しておく次第であります。  次に問題を移します。  住宅建設及び景気の見通し並びに住宅金融についての質問でございます。  住宅の着工戸数が落ちております。昭和五十六年度の建設戸数の見通し及び五カ年計画達成のため、今後いかに住宅建設促進策を図るのか、これをお聞きしたいと思います。
  63. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 お答えいたします。  昭和五十五年度に大幅な落ち込みを見せました住宅着工戸数は、本年度に入りましてもなお依然として低迷を続けておりまして、四月から九月までの累計では六十三万戸となっておりまして、前年同期に比べまして七・三%の減少を示しております。  その内容等を見ますと、原因といたしましてはやはり地価、建築費の上昇、あるいは金利の負担増加、あるいはまた実質家計収入の伸び悩みといったようなことが要因として挙げられようかと思いますが、最近では、建築費の関係につきましては反落傾向を示しておりますし、また地価も上昇率が鈍化するというようなことから、住宅建設を取り巻く環境につきましては一時に比べて明るさを見せておるように思います。特に最近、個人の持ち家あるいは貸し家につきましては回復の傾向も見えているところでございます。今後の住宅建設につきましては、もちろん経済のいろいろな要因、そういったようなものが関連いたしますので、なお不分明な点がありますが、全体としては緩やかな回復に向かうのではなかろうかというふうに考えているところでございます。  また、第四期の住宅建設五カ年計画の達成につきましては、五十六年度から発足いたしたばかりでございますので、今後のいろいろな施策を総合的にとっていくというようなことによりまして達成を図りたいと考えておりますが、去る七月二十八日に住宅・宅地関係閣僚連絡会議におきまして取りまとめました住宅に関する施策あるいは宅地供給に関する施策、これらを関係各省庁におきまして鋭意検討していただいておりますので、来年度に向かいましてこれらの施策を的確に実施することによりまして、その達成を図りたいというふうに考えているところでございます。
  64. 鴨田利太郎

    ○鴨田委員 五十六年度の六月の住宅着工件数、これは十万九千戸、七月が九万七千戸、八月が九万三千戸、九月が九万二千戸と下がっております。この下がっておるのをいまみたいに上がっておると言われると、また食い違ってしまう。これは経済企画庁の資料でございますから。
  65. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 私がただいま申し上げましたのは、九月までの上半期におきますところの建設着工戸数につきましては、六十三万戸ということで、対前年同期比七・三%減少しておりますということを申し上げたところでございます。ただ、その内訳を見ました場合、個人の持ち家であるとか貸し家関係につきまして、若干回復の傾向が見えているといったようなことを申し上げたところでございます。したがいまして、若干ばらつきはございますが、一時のような大きな落ち込みが若干ずつ修正されてきているというところで、今後につきまして明るさがあるのではなかろうかということを申し上げたところでございます。
  66. 鴨田利太郎

    ○鴨田委員 そのように少し住宅の建設戸数の拡大を図ってもらいたい。そのためにはどうしたらいいか。累進課税によって三百万から大体四百万の中流の所得者、一番住宅が欲しいこの人たちの、中間層の実質所得が目減りをしております。この点につきまして実質所得の拡大を図ることはできないか、この点をひとつお聞きしたいと思います。たとえば三百万と四百万の間では、所得は三三%の増加でございますけれども、実際税率は一五〇%になっておる。この点についての考え方、これを変えないとやはり住宅はふえないのじゃないかと思います。これについて大蔵省か経済企画庁ひとつ。
  67. 伊藤博行

    伊藤説明員 お答え申し上げます。  所得税につきましては、ただいま先生おっしゃいましたように、五十三年以来課税最低限を据え置いております。その結果、所得税負担が増加していることは事実でございます。しかし、同時にお考えいただきたいのは、先生御案内のように、たとえば五十六年度の予算で申しますと、歳出の六九%しか税収で賄っていないという面、それから所得税だけに着目いたしましても、確かに税負担はふえてはおりますけれども、国際的な水準で見てのわが国の課税最低限あるいは税率構造というのは相当まだ低いといいますか、諸外国と国際的に見た関係では低いというような状況がございます。もちろんそれがすべてではございませんけれども、全体の財政状況という点を勘案いたしますと、おっしゃるような減税というのは、歳出歳入両面を通じましての抜本的な見直し、それを通じての特例公債脱却の明確なめどがつくという事態にならない限り、なかなかむずかしい選択ではないかというふうに考えております。
  68. 鴨田利太郎

    ○鴨田委員 なかなかむずかしい問題ですね、この答弁も。住宅の建設は国民総生産のうちの大きな位置を占めております。国民生活水準の向上のために良好なストックを拡大していくことが大切であります。特に所得の目減りの中で、住宅ローンの金利が重要な問題になってまいります。今度の行財政改革法案におきまして、公庫の金利を五・五%から六・五%に一%上げる、これによってどれだけ住宅が減ってくるか。それからまた民間の住宅ローン、これにつきましてもやはり値上げというものも考えられると思うのですけれども、この点につきましてどういうふうに考えられますか。
  69. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 住宅建設におきまして影響がありますのは、地価とか建築費あるいはまた金利であるとか所得とか、そういったような要素が総合的に絡んでくるのだろうと思いますが、その中で金利が影響することもまた事実でございます。私どもの試算によりますと、住宅金融公庫の貸付金利を仮に一%上げました場合には、個人住宅建設につきましてもあるいはまたマンションの購入につきましても、大体返済額が一〇%から一二%ふえるということで、かなりの影響を与えるものと思っております。ただ、民間の金利につきましては、現在住宅建設を促進する観点から、他の金利とは若干違った取り扱いをしておりまして、八・三四%ということで据え置くことになっておりますが、いずれにいたしましても、これらの金利の影響というものによりまして、上がった場合には相当の戸数の低下が見込まれるだろうというふうに考えております。正確なその影響度というものはなかなか判断いたしにくいのでございますが、一つの試算によりますと、住宅金融公庫だけで考えました場合、約十万戸程度落ち込むのではないかというふうに言われております。
  70. 鴨田利太郎

    ○鴨田委員 いま住宅金融公庫だけでも十万戸というのですから、大変な数であります。ですから、そこのところをよく考えて、本当に欲しい方に住宅が与えられるようにひとつ努力してもらいたいと思います。  次に、宅地供給の見通しについてお聞きします。  五年間で六万二千五百ヘクタール供給しなければならないと新しいこの第四期住宅五カ年計画には書かれております。そのうちの三千三百ヘクタールは新しい施策をしなければ出てまいりません。どういうふうにしてこれを出すつもりでありますか。また、税制改正によってどの程度供給促進が可能であるか、これについてお聞きします。
  71. 吉田公二

    吉田(公)政府委員 お答え申し上げます。  先ごろ建設省審議会の議を経ました宅地需給長期見通し、ここでの宅地の供給量でございますが、先生御指摘のように、これまでの実績と制度を基礎といたしまして将来の推計をしました基礎推計量と、それから今後の政策努力等の内容を具体的に想定した試算を行った上での期待推計量というものを出してございまして、御指摘の三千三百ヘクタールというのは期待推計量に当たるわけでございます。これは基礎推計量の算定とかなり正確なコンピューターによるモデル計算を行っておりますので、安全度を見込んでいるわけでございますが、これに対します新しい施策といたしましては、宅地開発関連公共施設整備についての拡充でございますとか、宅地造成関連融資の充実でございますとか、あるいは線引きの見直し等を含めて考えられる宅地開発適地の拡大でございますとか、あるいは土地税制の改善でございますとか、農住組合等の宅地供給の推進、そういったものが考えられるわけでございます。  それで、税制の問題でございます。土地税制につきまして現在私ども鋭意詰めをしているところでございますが、税制改正によります宅地供給の促進効果というもの、これが現在まだ具体的な案がまとまっている段階でございませんことと、また、宅地の供給というのはただ税だけでございませんで、いろいろの社会的、経済的諸条件から複雑な影響があるわけでございますので、これを数量的にとらえますのは大変むずかしいわけでございますけれども、現行の土地税制自体が四十七、八年ごろの異常な土地投機というような事態に対処した投機抑制型の、ある意味では土地の流動化を抑えるというような内容になっている面もございますので、こういった点を是正することによりまして相当程度の宅地供給の促進があり得ると私ども思っておるわけでございます。
  72. 鴨田利太郎

    ○鴨田委員 何といいましても早く宅地供給をしてもらいたい。これは国民の念願でございますので、ぜひ安いよい宅地をお願いしたいと思います。  次に、地震対策についてお聞きします。  過日、平塚市におきまして警報装置の誤報がございました。現在、県及び市町村における警報装置の整備状況は一体どうなっておるのか。あるいはもしも完全に地震が来たよということが一人一人の耳に入ったなら、えらいパニックが起きる寸前だった、こういうふうに言われておりますので、この点について国土庁長官にお聞きしたいと思います。
  73. 原健三郎

    ○原国務大臣 これは大変な……(「むずかしい」と呼ぶ者あり)むずかしくはないんですが、大変なミスでありまして、平塚市においてはいわゆる警戒宣言の警報を発したのでありますが、それはテープにとってあるのを何も回さないでもいいのに、自動的に、知らぬ間に動き出した。     〔池田(行)委員長代理退席、委員長着席〕 まことに突発事故で、それが一般に報道されて、市当局は、まことに申しわけない、今後はこういうことはしません。それで、テープにとるのは結構にしても、自動的に回ったりするようなそういうことをしないように、あらかじめセットしておかなくても、いわゆる警報が発せられても実際にやるまでには何分間かある。だからそう急がなくてもいいから、平塚の市当局にも注意を喚起いたしておきましたが、その他の方面にもこういうことのないようにこれから指示をして、指導していきたいと思っております。これは突発事故で、非常に珍しいことでございますが、こういうことのないようにいたしたい、こう思っております。
  74. 鴨田利太郎

    ○鴨田委員 突発事故で都市がなくなっちゃったというポンペイのような例も過去にあります。それはあれでございますけれども、突発事故の起きないようによく管理体制をとってもらいたいと思います。  それから、震災のような場合には飲料水の確保が一番大切であると思いますが、これについていまどうなっておりますか。
  75. 松田有弘

    松田(有)説明員 お答えを申し上げます。  確かに先生御指摘のように、飲料水の問題が一番大事でございまして、消防庁といたしましても、防火水槽と飲料水兼用の百トンクラスの防火水槽の整備をただいま強化地域を中心に進めておるところでございます。ただいま整備状況といたしましては、五十五年から五十九年までの緊急整備計画に基づきまして実施をしておりますので、いまのところは順調に計画は進んでおる、こう申し上げてよろしかろうと思います。
  76. 鴨田利太郎

    ○鴨田委員 計画しているうちに地震が起きてしまっては仕方がありませんから、なるべく早くしていただきたいと思います。  次に、治水対策についてお聞きします。先般の小貝川の決壊は天災と言われておりますが、何ら前兆は見られなかったのか、また、管理体制はどうなっておるのか、これをお聞きしたいと思います。
  77. 川本正知

    ○川本政府委員 お答えいたします。  まず管理体制でございますが、堤防の維持管理につきましては、建設省におきまして各工事事務所の出先出張所が担当いたしまして万全を期しているところでございますが、この地区につきましても、毎日の河川巡視を午前、午後二回行っております。また、堤防の草刈りを年二回実施いたしますが、その際にも堤防の異常の有無を点検しております。また、出水期の前には一斉にその管内の再点検といいますか、そういったことを念入りにやっておるところでございます。  この災害につきましては、建設省あるいは地元水防団、消防団、そういった方々が出動いたしましてパトロールしておりまして、その直前まで巡視しておりましたけれども、その時点では異常がなかったということで、大変急激に起こった現象でございまして、前兆は見られなかったところでございます。
  78. 鴨田利太郎

    ○鴨田委員 警戒時には地元の水防団に守ってもらうとか、またはそういうふうなことによって動いてもらう管理体制ができているようでございますけれども、これをもっと強化してもらう、こういうふうな問題と、あとパトロールはどうやっておるのか、この点についてひとつまたお聞きします。
  79. 川本正知

    ○川本政府委員 先生おっしゃいますように、出水のときにおきましては水防団の活動といったものが一番重要なことでございまして、河川の改修を進めることと同時に、災害が起こりそうなときの水防活動といったものが車の両輪のようになって初めて治水の安全が図られるものだと思っております。そういったことで、この水防団の強化育成といったことについては常々から努力しておるところでございまして、たとえば水防訓練、ちょうどこの地先のすぐ下流の取手市におきまして大々的な水防訓練を実施いたしましたし、また水防資材に対する補助、そういったものを通じてさらに強化を図っておるところでございます。  また、水防団によりますパトロールは、当時も現地の、災害を受けました地点のすぐ下流に水防団の詰め所を置きまして、建設省が出しました水防警報に基づいてパトロールを実施しておったと  ころでございます。
  80. 鴨田利太郎

    ○鴨田委員 小貝川の改修計画について、市街地が余りにも早く下の方で進展してしまったために、用地の買収が困難となってしまった。それで利根川との合流点を下流に持っていくことを断念したようでありますが、今後こういう改修を進めるにはどうしていくか。これは小貝川だけじゃないと思います。この点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
  81. 川本正知

    ○川本政府委員 小貝川につきましても、いま先生からお話がございましたように大変歴史的な経緯がございまして、いろいろな改修計画を立てましたが、地元の反対によってできなかった。昨年の暮れに新計画を立てまして、現在の合流点のままで改修を進めるということで、小貝川を利根川木川並みの堤防に補強するという計画に変えたわけでございまして、そういった用地の問題が各地方にもいろいろあることはあるわけでございますが、地元に対して十分御説明をし、また、今回の小貝川につきましても、新計画に基づいたといたしましてもいろいろと用地の問題がございます。そういったことについてさらに地元の御理解を得るように努力して河川改修を促進してまいりたい、そう思っておるところでございます。
  82. 鴨田利太郎

    ○鴨田委員 次に、準用河川の整備の促進についてお聞きします。  無秩序な開発のために都市河川のはんらんの問題が多くなっております。先日の新聞報道によれば、三重県の志登茂川の水害訴訟では、これは二級河川でございますけれども、河川管理についての行政側の責任が指摘されております。国及び県が管理する一、二級河川の整備はきわめて重要であると思いますが、これに流入する中小の河川の整備もまた重要な問題であると思います。下水道のサイドでは、流域面積二百ヘクタール未満は都市下水路として整備するものの、それ以上は市町村が準用河川として整備に取り組まなければなりません。準用河川に対する国の補助率はきわめて少ないんですね。ほとんど地方公共団体が負担しなければなりません。これら都市地域の準用河川の改修について国はどういうふうな姿勢をとっておりますか。
  83. 川本正知

    ○川本政府委員 準用河川は確かに河川の数も非常に多うございます。昭和五十年度から準用河川の河川改修の補助制度といったものを創設して、その河川改修に取り組んできているところでございまして、予算的には、昭和五十年度に創設いたしました当時は約十三億八千万円の予算でございましたが、それが五十六年度ではその約十倍に当たります百三十二億円ばかりの予算にしておりまして、重点的にその促進を図っておるところでございます。  ただ、現行の国庫補助率、これは先生御指摘のような三分の一でございまして、市町村サイドからの補助率アップに対する御要望もあるわけではございますけれども、現時点ではまだ事業率の拡大への要望が強うございまして、そういったことが必要でございますので、事業の拡大ということの方に力を置いてまいりたい、そう思っております。
  84. 鴨田利太郎

    ○鴨田委員 準用河川の自助限度五億円、補助率が三分の一、非常にこれでは少なくて、大体準用河川というのはどんどん都市下水路だとか公共下水道だとか多くなってきますから、うんとでかい金がかかってまいりますから、そういうことも考えて、今後余りしわ寄せが都市にいかないように、地方自治体にいったら金がないのですからかわいそうですから、ぜひひとつうまく指導していってください。  それから最後に聞きます。下水道整備について建設省の基本的方針についてお聞きしたいと思います。  公共下水道の整備に関しましては、建設省は分流式にすることを指導しております。ところがかつて整備したものは合流式のものが多いのでございます。というのは、そういうような指導をしたからであります。しかし、大雨の場合には屎尿があふれるとか狭い管径であるとか、管渠の流下の能力等に問題があります。このため分流式に改善することが重要であると思います。ところが、五次下水道整備五カ年計画では普及率の拡大が優先のような感覚がします。また、合流式のものを分流式にしますと金がかかってまいります。この点についてどういうふうにお考えになっているかお聞きしたいと思います。それから、分流式に改善する場合の国の助成策についてお願いします。
  85. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 新しく下水道を設置する場合は、最近では原則として分流式を採用するように指導しております。ただ、既設の合流式下水道の改善でございますが、これは地域の実情に応じまして分流式へ転換することも考えますし、あるいは分流式へ転換が不可能な、非常に整備の範囲が拡大しておるようなところにつきましては、管渠の容量の拡大とかあるいは貯留池の設置等の改善策を実施するように指導したい、こういうふうに考えておるわけでございます。こういった対策につきましては、相当な経費を必要とするわけでございますが、これは国庫補助の対象としております。
  86. 鴨田利太郎

    ○鴨田委員 最後に大臣にお聞きします。  先ほどから言っておりますけれども、景気対策と公共事業、それに伴うこの不祥事件、談合とかということにつきまして大臣の所見を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
  87. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 公共事業につきまして非常に御理解ある御質問をいただきましてありがとうございました。建設省立場から言いましても、また国務大臣としても、公共事業に依存する地域、日本国内におきましては東北、北海道あるいは山陰、四国、九州、こういうところを見ますると、公共事業に支えられている地域の地域格差というものを考えますと、どうしてもやっぱり公共事業というものに対する理解をもっと総体的に深めていかなきゃならない問題が第一点と、公共事業は、先生御指摘のように大きい経済波及効果がございます。たとえば住宅を申し上げても、住宅一つに二十八業種が関係するというようなことでございますので、こうした面についても十分な配慮をしていかなければならないかと思います。経済効果あるいは国民生活環境整備の上からも重要なことであると同時に、それだけに建設業界姿勢というものはあくまでも厳しくなくてはならないと思います。いやしくも不正なことがあってはならないわけで、常に指導しておるところでございますが、なおあわせて業界方々にも国民の信頼を失わないように努力するように、これからも指導してまいりたい、このように考えているところでございます。
  88. 鴨田利太郎

    ○鴨田委員 終わります。
  89. 稲村利幸

  90. 中村茂

    中村(茂)委員 私はきょうは土建建設業界の体質改善と談合問題について、一本にしぼって御質問をいたしたいというふうに思います。  連日の新聞、テレビに談合に絡む不正事件報道されております。私は、その中から特徴的なものをまず五点にしぼって順次質問いたしたいというふうに思います。  一つは、もう御存じのように静岡県の静岡、沼津、清水市の三建設業協会の独禁法違反に絡む談合事件、これについて簡潔にお答え願いたいというふうに思うのですが、まず最初に、公正取引委員会お見えになっておりますか。——調査がどこまで進んでいるか。それから次に建設省、どのように対応しているか。まず公取建設省からお答え願いたいと思います。
  91. 樋口嘉重

    樋口説明員 静岡県の建設業界入札談合事件審査についての進捗状況という御質問でございますが、最近関係人から事情聴取を開始したばかりでございます。そして現在調査中の事件でもございますので、この件について意見を申し述べることは差し控えさせていただきたいと思いますが、結論を得るまでには、関係人の数もかなりおりますし、また、関係人からの協力が十分得られるかどうかということにもよりますので、これから相当な時間を要するものと考えております。
  92. 吉田公二

    吉田(公)政府委員 お答え申し上げます。  去る九月二十八、二十九の両日に、公正取引委員会が御指摘のように社団法人静岡県建設業協会外四団体の事務所及び当該団体の役員会社三十三社に対しまして、独禁法第八条第一項第一号の違反容疑で立入検査を行ったわけでございます。違反容疑の事実関係につきまして現在公正取引委員会におきまして調査中でございますので、私どもといたしましては、その推移を見守りまして、独禁法違反が明らかになりました時点におきまして、建設業法の規定によりまして所要の措置をとろうということで現在考えておるところでございます。
  93. 中村茂

    中村(茂)委員 この静岡県の建設業界事件に関連して、十九日の衆議院の行革特別委員会で同僚の山花委員から次のように質問されております。それは、静岡県内の建設業協会から自民党静岡支部に多額の政治献金が行われた、県の建設業協会から五十四年、五十五年におのおの一千万円ずつ献金があった、五十四年度には県内十の協会から八十三万円から百二十万円の政治献金が行われている、しかし県の建設業協会の記録にはその政治献金は一つも記されていなかった、こういう疑惑の問題が出されました。県の建設業協会で記録が全然ない。しかし、協会の名前でそれぞれ政治献金が出されている。これは憶測ですけれども、企業から金を協会が集めて、協会素通りで献金がなされているのではないか、こういうふうに思われるわけであります。  そこで国税庁に御質問いたしますけれども、これは脱税になるのかならないのか、脱税の疑いがあるのか、御答弁いただきたいと思います。
  94. 渡部祐資

    ○渡部説明員 御質問の建設業協会が社団法人でございまして、社団法人の税法上の取り扱いは「公益法人等」ということになっておりまして、「公益法人等」の場合には一般の法人と異なりまして、収益事業を営んでおる場合に限って課税関係が生ずる、こういうことになっております。したがいまして、建設業協会自身は一般的には収益事業というものを行っておりませんので、課税関係というのは一切生じないということになっております。したがいまして、御質問のような政治献金等の事実があったといたしましても建設業協会自身は課税関係がもともとない、そういうことでございます。しかしながら、建設業協会に加盟しておりますそれぞれの企業、そこから出ました一定の会費が結局のところは政治献金になっておる、そういうような場合には、それぞれの企業に対しまして課税関係が生ずる。これは寄付金ということになりまして、寄付金の限度額を超えておる場合には課税関係が生ずる、そういうことがあり得るということでございます。
  95. 中村茂

    中村(茂)委員 調査を要求しておきたいというふうに思います。  それから、この事件に関連して自治省にお伺いいたしますけれども、談合が行われた、それに対して自治省として会計法の予決令それから地方自治法の施行令、これに、独禁法違反というふうに判定が出た場合には、いま申し上げた法令に違反するのかどうか。それからいままで特に予決令の問題についてどのような運用をしてきたか、御回答いただきたいと思います。
  96. 中島忠能

    中島説明員 御質問のありました関係法令の中で、予決令というのは私たちの所管している法令でございませんのでお答えできませんが、いま建設省とかあるいは公正取引委員会の方から御答弁がございましたように、それぞれの関係省庁で調査をしておられる、あるいはまた指導をしておられるということでございますが、私たちの方でも事実がはっきりいたしましたならば、所管しております自治法施行令に該当するということの確証を得ましたならば、それぞれの事業官庁と協議いたしまして、適正な措置をとるように指導してまいりたいというふうに考えております。
  97. 中村茂

    中村(茂)委員 次に移ります。  神奈川県の平塚市第二金目小学校の建設工事に絡む十社による談合事件、これは汚職絡みでありますけれども、独禁法違反の疑いも出てきている、こういう事件があります。  それから次に、やはり神奈川平塚市の土屋小学校の工事に絡む間組の汚職絡みの事件で、これもまた談合問題が絡んでいる、こういうふうに言われているわけであります。  まず、この二つの案件について、警察庁から見解をお聞かせいただきたいと思います。
  98. 森広英一

    森広説明員 お答えいたします。  神奈川県の平塚市の汚職事件につきましては、神奈川県警察におきまして捜査をいたしたわけでございます。本年の四月に前平塚市助役ら幹部職員三名、それから贈賄業者側五名、これを検挙をいたしまして、それぞれ検察庁に送致をいたしております。
  99. 中村茂

    中村(茂)委員 次に公正取引委員会、続いて建設省から見解をお聞きいたしたいと思います。
  100. 樋口嘉重

    樋口説明員 お答えいたします。  そのような入札談合があるというようなことを新聞報道で私ども承知しているところでございます。しかしながら、従来独占禁止法上問題といたしております入札談合は、一定の地域的な広がりにおいて談合についてのルールを定め、談合を継続して繰り返し行うなど、一定の取引分野における競争を実質的に制限しているものでございます。したがいまして、個々の入札談合を取り上げますのは独占禁止法上必ずしもなじまないというふうに考えているところでございます。
  101. 吉田公二

    吉田(公)政府委員 ただいま御指摘の件につきまして、汚職事件につきましては、すでに贈賄側関係者に対しまして一審で有罪判決があり、確定したところでございます。したがいまして、建設業法の規定によりまして所定の手続をとるわけでございますが、まず聴聞から始めまして所定の手続を進め、厳正な処分を行うことといたしたいと思っております。  そのほかの点につきましては、関係法令違反する等の事実が明らかになれば、建設業法等所管の法令の規定にのっとりまして対処するというつもりでございます。
  102. 中村茂

    中村(茂)委員 次に別な案件で、茨城県の牛久沼のしゅんせつ工事をめぐる三社、三社というのは常総開発工業、大都工業、株木建設、この三社による談合、裏ジョイント、一括下請、こういう問題と絡む不正事件、これは簡単に申し上げますと、発注者は茨城県、そして競争入札が行われた。先ほど申し上げました三社が互いに譲らなかった。結局三社の談合で裏ジョイント方式を採用することになった。常総開発がこの工事を落札して請け負った。しかし、工事はすべて大都工業が責任施工した。そして株木建設は工事契約に一切関係なかったけれどもこの利益配分、これは四〇%以上だったというふうに言われているわけでありますけれども、利益配分を株木建設が四〇%、常総開発工業と大都工業がそれぞれ三〇%ということで山分けした。こういう事件だというふうに伝えられているわけでありますが、これについて、まず建設省から御見解をお聞きしたいと思います。
  103. 吉田公二

    吉田(公)政府委員 お答え申し上げます。  御指摘の点につきまして十一月八日の朝日新聞に報道されたところでございますが、建設省といたしましても現在茨城県を通じまして事実関係調査をいたしているところでございます。調査の結果、法令に違反する等の事実が明らかになりました場合には、建設業法の規定に照らしまして厳正に措置をとる所存でございます。
  104. 中村茂

    中村(茂)委員 次に警察庁。
  105. 森広英一

    森広説明員 新聞報道につきましては承知をしておりまして、そのような事実があったかないかということにつきまして情報収集をいたすように茨城県警察の方へ指示をいたしております。
  106. 中村茂

    中村(茂)委員 次に国税庁
  107. 草野伸夫

    ○草野説明員 お答えいたします。  一般的に税務調査に当たっては、新聞報道等を含めまして内外の資料、情報の収集に努めて、課税上問題があると認められる事柄については十分検討し、調査の上適正な課税処理をするということでございますが。お尋ねの問題に関係していると言われる三社でございますが、このうち二社につきましては十月中旬から下旬にかけまして調査に着手済みでございます。それから残りの一社につきましては近々調査に着手する予定でございます。  その際におきまして、最近の新聞等で報道されている情報をも十分に念頭に置きまして調査を実施して適正な課税処理に努めてまいりたい、このように考えております。
  108. 中村茂

    中村(茂)委員 次、自治省。
  109. 中島忠能

    中島説明員 私たちの方も、ただいま関係各省からいろいろ話がございましたが、自治省としても非常に強い関心を持っておりまして、単独にそれぞれ関係者に自治省においでいただきまして事情聴取するとともに、速やかに実態を明らかにするよう指示しております。
  110. 中村茂

    中村(茂)委員 次に、別な問題ですけれども、日本道路公団発注の中央道恵那山トンネルの排気坑工事に積算ミスがあった、それも割り高の積算ミスである、しかもその割り高の額で入札価格と業者との落札とがほぼ一致していた、この事件について会計検査院から指摘された、こういう事件があるわけですけれども、まず建設省に見解をお聞きいたしたいと思います。  それから次に、会計検査院からどのような積算ミスであったのか、それからほぼ一致していたと言うけれども、そのほぼというのは何%ぐらいだったのか、この二点について会計検査院からお聞きしたいと思います。
  111. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 お答えいたします。  会計検査院からこの恵那山トンネルの立て坑に関しまして、積算ミスの照会があったということも私どもも聞いております。立て坑の工事というのは非常に数が少ない工事でございまして、道路公団としても何か二つ目だというふうに聞いておるわけでございまして、私ども大変遺憾なことであると思います。こういうことでございますので、その後も早速その間違いが起こらないようにするためにどうしたらいいかということをいろいろ考えてもらっておりまして、たとえば職員の研修であるとか、あるいは積算容量を間違いのないように電算化していくとか、あるいはチェックするやり方を決めるというようなことを内部で考えてもらいまして、これを実施していただいておるところでございまして、今後こういうことのないように努力いたしたいと考えております。
  112. 小川一哉

    小川会計検査院説明員 お答えいたします。  本件の道路公団の恵那山トンネルの工事につきましては、本年の四月に会計実地検査を施行いたしました。その際、総排気用の立て坑工事の機械器具の損料の積算につきましてミスが発見されたものでございます。その後五月に道路公団に対しまして質問書を発しまして、回答をその後いただきまして、現在会計検査院の内部で審理中の案件でございます。したがいまして、案件の詳細につきましては答弁を控えさせていただきたいと思います。  それから、先ほど予定価格に対して大体どの程度で落札がされたかというふうな御質問でございますが、詳細につきましては先ほども御答弁申し上げましたように控えさせていただきますが、落札価格と予定価格の開差率は大体のところ一%以内であったというふうな報告を受けております。
  113. 中村茂

    中村(茂)委員 五件ほどずっと質問してまいりましたけれども、その個々についてまだ意見もありますがここのところでは触れません。  このように、ここのところ集中して建設関係に絡む、特に公共事業に絡む問題、それから土建業界に絡む問題、言えばそういうもの全体の中から汚職とか談合とか積算ミスとか脱税とか政治献金とか、こういう不祥事件がずっと出ているわけでありますけれども、こういう状況に対して建設大臣はどのように考えるのか、そしてどのように対処しようとしているのか、見解を承りたいと思います。
  114. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 個々の事例を挙げられまして御指摘があったわけでございます。どうしてこういうような結果になったかといいますと、これはもう明らかにそれぞれの立場においての精神的なといいますか、緩みがあったことは否めない事実ではなかろうかと思います。およそ公共事業に携わる者として、いやしくも国民の信頼を失うような行為、行動があってはならないわけで、発注者側あるいは受注者側においても当然こうしたことは十分認識がなされていなければならない問題ではなかったかと思います。当初来私はそうしたことはよく承知いたしておりますので、また、常に総理からも綱紀の粛正という問題については厳しく示達されておりましたので、就任以来常に各関係者には厳しい綱紀の粛正を望み、また建設業界方々にも、これだけ業界というものが日本経済を支えるウエートを持ち、あるいは基幹的産業に発展し、国際的にも日本の建設土木事業というものは、技術といい企画といい世界的水準をもうオーバーするようなことになっておることにかんがみ、ぜひひとつ厳正な態度で臨んでほしいということは言っておったわけでありますが、残念だけれどもこうした問題が起きたことを心から遺憾に思うわけでございます。  さあ、今後どうするかということになりますと、これは当然御案内のように独禁法があり、建設業法があり、予決令あり、自治法がございまして、法律そのものは整備されております。したがって、関係者が法令に違反しないように、よく遵守するような厳しさにもう一度改めてもらう。そして業界というものの立場、社会的にも世界的にも経済的にも立場がいままでと違うのだということで近代化を図り、合理化を図り、またモラルの面からも自戒していただくように、両面から指導をしてまいりたい、このように考えるわけであります。
  115. 中村茂

    中村(茂)委員 私は、この種の問題は根深いものでありますし、ただ業界だけ責めても解決するものでもないし、ですから制度的にも検討していかなければならないし、多方面にわたって検討し、厳しい態度で是正を求めていかなければならないというふうに思うのです。その私の考え方は後ほど申し上げます。  最近、こういう問題が続々と出てきて報道されてきている。この政治的、政治的というよりも世論がこうなってきている背景、こういうものをこの機会に私は考えてみる必要があるというふうに思うのです。確かにこの春から行財政改革ということが言われてきた。そういう中で、まず一番世論がずっと高まってきたのは公費天国、こういうことが言われて、むだがあるとすればそういうものを節約して行財政改革をしていかなければいけない、こういうことが盛んに言われてまいりました。そして臨時国会になって行財政改革の一括法案が審議されているわけでありますけれども、この臨時国会の中で、二つ目の問題として税金のむだ遣いというのがこういうところにあるんじゃないか、もっと制度を改善していくことによって金を幾らも生み出すことができるんじゃないか、こういうことで上がってきたのがこの談合問題だ、こういうふうに私は理解するのです。ただ単にこういう事件があったからどうだというふうにひょいひょい上がってきたのではなしに、そういう世論と行財政改革という大きな枠の中で積み重ねてきたのがこの談合事件だ。非常に根深いものがあるのだ。そういう世論と背景があるとすれば、私はもっともっと真剣にこの問題について改善と是正について総力を挙げて対処していかなければいけない問題だ、こういうふうに理解するわけですけれども、背景というか、そういうものについて大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
  116. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  行財政改革で国民的視野が、公費のむだをなくするというようなバックグラウンドがあったということも事実でございます。そうした環境から起きた、また起こるべきことであったのかもしれませんが、これは非常にわれわれにとっても自戒するべき問題ではなかろうかと思います。公費天国という言葉にまつわる不明朗感を私たちはやはり払拭しなければなりません。公費であるがゆえにこそ正しさが求められるというようなことを考えたときに、こうしたことを契機に、一つの警鐘としてわれわれ自身もいままで以上の厳しい態度で業界指導し、また、国民に信頼を受けられるような形で努力してまいりたい、このように考えるものでございます。
  117. 中村茂

    中村(茂)委員 そこで私は、こういう問題を解決する、どういうところに緩みがあり、どういうところを解決していかなければならないか、この点について三点ほど私の見解を持っております。  第一点は、いまの入札制度、それから公共事業などいわゆる諸官庁の発注、契約、この制度が知らず知らずの間にゆがめられてきているのじゃないか。本当の公正にして競争していくといういわゆる公正な競争原理というものが損なわれてきているのじゃないか。ここのところをやはり正していかなければいけない、こういうふうに一点思います。  それから二点目には、いろいろ検討してみますと、官庁のこういう公共事業等に絡む契約行為の中から汚職が出てきているわけです。官紀粛正というか、そういうこと。  それから三点目には、業界と各省庁、業界と政治献金と続いた政治、言えば政財官の癒着構造、こういうものが背景をなしてきている、こういう点も正していかなければいけないのではないか、こういうふうに思うのです。そこで、こういうそれぞれの問題について入っていきたいというふうに思うのですが、まず行政管理庁にお伺いいたしたいというふうに思います。  皆さんのところで「行政事務運営の公正確保に係る体制及び手続に関する調査結果報告書」、昭和五十六年八月にまとめております。そこで、この調査結果報告書、これをまとめた趣旨、それからその背景、それについてまずお答えいただきたいというふうに思います。
  118. 橋元徹志

    ○橋元説明員 行政機関等における不正経理の発生等もありまして、行政事務運営に関する国民不信感が深まって、その公正確保が強く要請されております。内閣総理大臣からの指示がありまして、昭和五十四年十一月二十六日に「官庁綱紀の粛正について」という官房長等会議申合せが行われました。また、昭和五十四年九月五日には航空機疑惑問題等防止対策に関する協議会から行政の公正の確保のための対策としまして、大規模調達の厳正な執行、予防的見地からの監察の実施等についての提言が行われました。私の方では、このことを踏まえまして調査を実施したものでございます。
  119. 中村茂

    中村(茂)委員 いま私の手元に、これは膨大なものですからその要点を収録したのがありますけれども、その中身について若干御質問をいたしておきたいというふうに思います。  まず一つは、「不正事案の発生と官庁綱紀の保持についての対応措置状況」、昭和五十二年から五十五年度、この懲戒処分に付された国家公務員、まず横領、収賄等の関係が六百三十三人、不正経理等関係が二十八人、計六百六十一人。そして、横領、収賄等関係の六百三十三人は「契約事務等関係に多い」、こういう注釈が実はついているわけであります。私はこのことを非常に重視するわけです。十二日、きょうでありますけれども、東京都下の水道汚職ということで報道されております。これは、談合入札の裏に贈収賄があった、予定価格が漏れていた、その係と業者との間に物、金のやりとりが行われ、それが贈収賄というかっこうになった。これはもう公判になっているわけですけれども、言えば契約事務等の関係者に多いということは、談合等いま問題になっている点について十分対処していかなければならない項目ではないか、こういうふうに思います。     〔委員長退席、池田(行)委員長代理着席〕  そこで、この結果を報告した行政管理庁として、この点の評価、どのように解決していったらいいかという方針を持っているのか、どういう結果報告をしているのか、その点についてまずお聞きいたします。
  120. 橋元徹志

    ○橋元説明員 先生御指摘の契約に係るものが多いということは、報告書で報告済みでございます。それで、行政管理庁としましてこのことについてどういう所見を出したかについて御説明さしていただきたいと思います。  まず、随意契約につきましては、「他にも契約履行可能な業者が存在するもの等については、競争契約方式への移行を図るとともに、随意契約とせざるを得ないものについては、具体的な理由を記録・整理すること」。  それから、指名競争契約につきましては、業者選定の適正化を図るために三点指摘しておりますけれども、一つは、指名業者は「予決令に定める業者数を指名する」こと。二つ目は「指名の偏りを防止する措置を講ずること。」三点目は、契約の相手方選定のための、審議機関を設けることということを指摘しております。それからさらに、「契約の公正性及び経済性を確保するための措置の徹底を図るとともに、一般競争による契約方式の拡大につき検討すること」と指摘しております。  以上でございます。
  121. 中村茂

    中村(茂)委員 私、後段の方はもう少し後に触れたいと思います。  この報告によりますと、「契約事務の実施状況」「(一)契約方式別の契約実績」、そして「予定価格が百六十万円を超える物品調達、二百五十万円を超える物品製造・工事の契約方式別実績(昭和五十四年度)」、これによりますと、「一般競争契約一・六%(金額では〇・四%)指名競争契約六〇・七%(金額では四八・三%)随意契約三七・七%(金額では五一・三%)」となっております。  それから、「一般競争による契約方式の拡大」ということで、「原則として一般競争契約によるものとされている契約(予定価格三百万円を超える物品調達、五百万円を超える物品製造・工事)の契約方式別契約実績 一般競争契約」、前のと同じ「一・六%(金額では〇・四%)指名競争契約等九八・四%(金額では九九・六%)」、これでは一般競争契約が原則になっている。原則が一・六%だ。指名競争が九八・四%だ。金額などについては九九・六%だ。私は、こういうふうに成り下がってしまっているところに問題があるというふうに思うのです。これは指名入札というふうになっていきますと、指名ですからどうしてもそこへ参加する人がわかるわけだ。だから、そこのところに談合という温床が出てきてしまう。  きのう大臣警告されて、業界の人たちの談話を私はけさの新聞で見たわけですけれども、「「節度ある談合」なら許される」のだというような発言もある。「節度ある」と言うが、この談合というものは節度のつけようがないのですよ。それから法律に触れることがなければそれでいいのだ、それから「刑法や独禁法に触れないやり方を研究したい」、そこのところが非常に問題でございまして、実際に結果的にこのような指名入札に集中されてしまっているということは、いろいろ理由はあるというふうに私は思います。しかし、いずれにしてもこのような結果になってしまっている。  この報告書を見ましてもいろいろ報告で出ております。たとえて言えば、入札を二回実施したけれども落札者がなかった、三回やったけれどもなかった、四回やったけれどもなかった、こういう数字もきちっと上がってきております。しかし、一般入札をやってその入札者がいない、その枠の中に入らない、そうすると、二回、三回やって最終的には指名入札に移行しているのですね。しかも建設省は土建業界指導する立場ですけれども、中身を見ていくと、地方自治体で入札するのについて非常に汚職がらみになったり、こういう問題が起きているわけですね。ですから、こういう問題に対処する場合には建設省だけではなかなかむずかしいわけですよ。  ですから、まず一点として、これを本当に公正な原理が動くような制度、やり方にしていただきたい。それで大臣はどういうふうに言うかわかりませんけれども、そういうことをしていく研究とか制度というものを建設省関係のところでつくって、ただ業界警告するということよりも一歩踏み出してこの問題の是正に当たっていただきたい、こういうふうに思うのですけれども、大臣、いかがでしょうか。
  122. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 この問題解決には方法論としてはいろいろあろうかと思います。法律があるからそれを守ってほしい、あるいは精神指導、厳しい監視監督、それでもなお出るということにつきましてのそうした要因を追及するということにつきましては、機関をつくるということも一案かもしれません。ひとつどういう方法がいいのな研究はさせていただきたいと思います。
  123. 中村茂

    中村(茂)委員 それと、委員長にひとつお願いしたいのです。いまの問題に関連して、やはり新聞記事で申しわけないですけれども、岡崎市長の例が出ていますね。これはいろいろあったようですけれども、いずれにしても一般入札ということでやっていこう、こういうふうになってきてから、ここのところにも出ていますけれども、入札は三回目で打ち切ることにしているけれども、うち七割が一回で落札して、そのほとんどは市の予定価格を一〇%から一五%も下回る金額で落札している。ですから、私はやればできるというふうに思うのですね。この問題は、そこのところを委員長にお願いしたいのですけれども、これから委員会が開かれるかどうかわかりませんが、会期はわずかです。しかし、こういうりっぱにやっているところに参考人として来ていただいて私どもも聞きたいというふうに思うのです。それから、業界の考え方なども聞きたいと思うのです。ですから、理事会等で話し合って、参考人を呼んでやるような機会をひとつつくっていただきたい、こういうふうに思うのですけれども、その点、要求しておきます。
  124. 池田行彦

    ○池田(行)委員長代理 ただいまの点につきましては、理事会で協議させていただきたいと思います。
  125. 中村茂

    中村(茂)委員 検討するということでございますから、まあ私の趣旨等を踏まえて、この対策についてひとつ慎重にしていただきたいというふうな思います。  それから、業界とそれぞれ官公庁との癒着の問題で少し触れておきたいというふうに思うのですけれども、ここのところに、人事院で発行した、いわゆる民間への天下り、こういうふうに私ども俗に言っているのですけれども、資料があります。  これは五十五年度のですけれども、これを見てみますと、この一年間に二百二十八件、そのうち建設省からは二十七人。そして、いままで建設省の関東地建に勤めていた方が株木建設に行っている。株木建設というのは、先ほどの茨城の事件で出てきている企業であります。そのほか、各省庁から土木建設業界に十九人の人が行っているわけですね。五十四年度のを見ると、運輸省から大都工業に行っています。それから、土木建築業界へはやはり同じくらいずっと行っているし、建設省からは二十六人の方が行っている。五十三年のを見ますと大体状況は同じでございまして、そういう中からも、北海道開発庁から株木建設に行っている。五十二年の中では国税庁麹町署長から間組に行っている。五十一年のを見ますと、農水省から大都工業に行っている。この大都工業というのも株木建設と同じように茨城県の事件の企業だ。  そういうふうにずっと検討をしていきまして、それではそれぞれの企業の相手になる地方自治体はどういう実態になっているかということを調べてみますと、問題になった茨城県、都市計画課長、河川課長、住宅課長、土木部長、こういう建設関係の人が八人建設省から出向している。それから静岡県のを見ますと、土木部長、河川課長、建築課長、八人の方がやはり建設省から出向している。以心伝心という言葉があるのですけれども、業界の方を見ても、まあ人事院で許可したのですからあれですけれども、その姿を見ると、確かに人事院規則に基づいて、建設省なら建設省にいた人が、行く企業に直接関係のあるものについてはいけないことになっていますね。しかし、行くところについては顧問だというようなかっこうで、企業の中で直接関係のないところへ行って、その期限の二年なり三年なりがたてば重役におさまってくるというケースが非常に多いわけですね。またはそこのところへ関係していく。  これは、いましている話とはちょっと横道へそれるのですけれども、趣旨が同じですから申し上げるのですが、先ほど麹町署長が間組に行っているという話があった。これも行ったときは顧問ぐらいだけれども、今度少したって中身を見ると、肩書きはいろいろありますけれども、担当は税務対策、こういうふうになっているわけであります。  ですから、先ほど言ったように、以心伝心ということがしゃばであるわけで、建設省がこういう民間に出していく。向こうの方もメリットがなければ民間ですからなかなか採らないと思うのですよね。そうすると、建設省の方は、これは採ってもらったということはやはりどこかにありますよ。それを私どもは、企業と官公庁との癒着と、こう言うわけだ。つまり構造的になっているわけだ。だから、これは私どもがよく天下りということで特殊法人等のやつを言うのですけれども、直せといっても、これはなかなか直る問題じゃない。やはりそうしたものを解決していかなくちゃいけないのですけれども、そういうところにこそ残っている人もまたそこへ行った人も、やはりきちっと自分の立場というものをわきまえて対処していかなければ、自分は前に建設省にいたんだから、ここの会社で御厄介になっている、何かやはり会社に役に立つことをしなければいかぬ、メリットになることをしなければいかぬという気持ちで、それこそ、先ほど大臣も緩みということを言いました。そういうことはやはり厳格にやってもらわなければならない問題だ、こういうふうに私は思うのです。  それから次に、静岡の例で政治献金のことを申し上げました。私は、こうずっと見ていて、建設業界の、地方から中央に至るまでの政治献金というものは最近非常に多いですよね。私は法律違反だとは言いません。正式に届け出た。そして正式にそれをもらった。これは私も、本当に資料的にきちっとしたもので申し上げるわけではありません。うわさ程度でいろいろ申し上げて、こういう席で申しわけないですけれども、こういうことを言われているのですよ。公共関係での建設、それから土木事業における落札価格の五%は政治献金に充てられるという風習になっている、こういうことがよく言われている。五%がいいかどうか知らぬけれども、私どもの見た目でも非常にそういうものが多くなってきている。  それから、これは先ほどの工費の問題と非常に関係があるし、行政改革の問題とも関係があるわけですけれども、私は非常に興味を持ってこれをずっと見てきたわけですが、二月十七日を中心にして朝日新聞で連載されました「開かれた政府を」ということで、第三部で「霞が関からの報告」ということで、そこのところにこういうふうに載っているのです。「わが国の公共投資は年間ざっと二十兆円、一人当たり二十万円程度の支出になる。これを正しく、効率的に使う手段として、国でも地方自治体でも、競争入札という制度を原則的に取り入れている。ところが、それはほんの建前にすぎないらしい。あえて「らしい」というのは、入札に関するくわしい資料が一般の目から隠されているため、全容を明かす術(すべ)がないからだ。元建設相の一人は「いや、ほとんど談合入札。業者間の事前の話し合いで、今度はどの社の番、と決まっていて、大臣も今じゃ介入する余地はまずないなあ」と苦笑いした。」これは新聞の記事で申しわけないのですけれども。ですから、なおこの事件を通じて私つくづくこういう点はどうかなと思ったのは、先ほども質問しましたように、静岡の例です。ほとんど官公庁公共工事を受け持つ、それは税金ですね。そして社団法人の建設業協会がその傘下の企業から金を集める。そしてそれを政党に献金する。言えば税金が一つの団体を通って政治献金に化けてしまっているわけですよね。化けたという言い方がまずいなら訂正いたしますけれども、その構造です。これは政治課題でもあるし、非常にむずかしい問題ですけれども、少なくとも公共工事を、何%でもいいですけれども、それを扱っているそういう企業が社団法人というようなところを通じて、そこで金を集めて、それが政治献金になってくる。先ほども、政治資金規正法でいけば、社団法人というようなところについては収益じゃないから、その傘下の企業のところは脱税の問題で調査できるけれども、社団法人という法人ですから、そこのところへは脱税問題についても手を入れることはできない、こう言っているわけですけれども、やはりそういうところを通じて、私どもが、山花委員調査したところによりますと、その業界の帳簿は、どこを出してもらっても公のところには出てこない。しかし政治献金の公報を見ると、建設業界という名前だけは載っている。恐らく素通りでしょう。集めたでしょう。だからその構造というあやいろいろなことを考えて見た場合に——それで私どもは政党人ですし、国会議員ですから、いろいろ地方選挙をやります。そうすると、あの橋は私がやった、この道は私がやった、私がここのところをやる、こういう話がよくあるんですね。私は長野県の上田市ですけれども、このごろ市長選挙がありました。そして、その建設業界の人たちが集まって、そこの一人から、この候補者を推さなければ市の工事の入札には入れない、こういう発言があった。だから私は、そういうもの全体を考えてみると、この政治というものと業界との癒着、それから業界官公庁との癒着、これはやはりあらゆる面でちょっと行き過ぎがあるじゃないか、こういうことを思わざるを得ません。  いま、入札のあり方それから構造的な問題、業界の体質的な問題について、私は本当にざっくばらんに私の考えていることをずっと言ってまいりました。大臣はどんな感想をお持ちでしょうか。
  126. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 いろいろと具体的なことを承知されて、いまの業界のあり方、政治献金の問題について触れられたわけであります。もとより私自身も政治家としてそうしたことの、国民の疑惑を招くような行為につきましては厳しく律しておるつもりでございますが、御指摘のような向きにつきまして、そうしたつくられる環境というものは、よく徹底してそれぞれが自戒しながら対処しなければならない問題ではなかろうか、このように考えるものでございます。  政治献金のことにつきましては、私、具体的にそこまで知りませんので、どういう方法をとられたのかは知りませんが、いずれにいたしましても現在公取調査中でございますので、それなりのプロセスにつきましては明らかになるであろうと思いますので、そうしたことを踏まえながら対応してまいりたい、このように考えるところでございます。
  127. 中村茂

    中村(茂)委員 中間ですけれども、国税庁にちょっとお聞きしておきたいというふうに思いますけれども、法人税の白書で、脱税全体として二千億円以上になってきた。この額は、行革でいろいろやって節約しようという額に半ば匹敵するということです。しかも土木建築業がこの脱税の三位を占めているわけですよね。そうすると、談合をやって、またはいろいろな中でうんともうける、片方で脱税する、それで片方で政治献金をうんと出していく。まあ言えば土木建築業界というのは談合の王様で、脱税の王様で、政治献金の王様で、三つの王様になっている。その法人の脱税というのはどういう傾向が多いでしょうか。簡単でいいんです。その傾向とこの白書についてお答えいただきたいというふうに思います。
  128. 渡部祐資

    ○渡部説明員 先般、私どもの方で昭和五十五事務年度の法人税の課税実績について発表いたしました。不正申告の割合の高い業種ということで、産業分類表に従いまして一応小分類ということで発表をいたしましたけれども、その中で先生御指摘のように、第一位が土木工事業、それから第二位が職別建築工事業、第三位が一般土木建築工事業というのがそれぞれ不正申告の割合の高い業種ということになっておるわけでございます。特にこの中で土木工事業は前年度も一位であったということでございまして、おおむね私どもの税金の方で見る限りにおきましては、全体として不正申告の割合が高い業種であるということが言えるわけでございます。  しからば、どういうことでそういうことになっておるかということでございますが、私どもはそれぞれ個別に調査をしておりますのでなかなかその集約をするのはむずかしいわけでございますけれども、全体を見てみますと、こういった土木工事業等を通じます特色と申しますのは、大体まず下請とかあるいは孫請とか、そういうかなり複雑な取引関係があるということが一つ、それからまた、それぞれかなり多数の労務者といいますか、作業をされる方々をたくさん使っておられるというような特色があろうかと思います。そういうことで取引形態がかなり複雑であるということ、それからそういった作業員等の数が多いというようなことを通じまして、その過程を通じて幾つかの不正が行われる事例が多い、そういうことではないのかな、そういうふうに考えておるわけでございます。
  129. 中村茂

    中村(茂)委員 最後ですけれども、いままでずっと土建業界の体質改善、それから談合を中心とするさまざまの問題について質問し、私の考え方を申し上げてまいりました。総体的に、特に談合問題について私は先ほど三つに分けて申し上げたのですけれども、それを要約してみると、競争原理が生かされるように入札方式を改善していく、それから二番目としては公正な競争契約ができるようその阻害要因を排除していく、それから三点目には官、財、いわゆる業界を含めての安易な姿勢というものを正していく、この三つがこれからの対処として非常に重要な問題だ、こういうふうに思います。  そこで、先ほどこういうものを検討する機構というか、そういうものを検討していただくようにお願いし、大臣も検討する、こういうふうに言っているわけですけれども、この問題については重大な決意をもって対処していただきたいというふうに思うのです。そこで、最後の締めくくりとして、私がずっと言ってきた課題について大臣の決意をお聞きして私の質問を終わりたいというふうに思います。
  130. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  いままでの先生の御指摘、御意見、これからの問題についての御発言につきまして厳しく受けとめて対処してまいる所存でございます。  なお、制度上の問題から来る競争原理の問題あるいは公正な事態に対する阻害要因の排除あるいは官、財の安易な姿勢を正すというような問題をも含めて、この問題につきましては研究をさせていただきたいと思います。
  131. 中村茂

    中村(茂)委員 終わります。
  132. 池田行彦

    ○池田(行)委員長代理 小野信一君。
  133. 小野信一

    ○小野委員 私は、住宅建設と家賃問題について質問をしますけれども、住宅建設を質問するということになりますと当然土地価格、地価の問題に触れませんとかっこうがつきませんので、最初に大臣の所見をお伺い申し上げます。  わが国の地価指数を見ますと、一九五五年から七三年までの十八年間で約二十八倍になっております。GNPは一九五五年約九兆円でありましたのが七三年には百三十二兆円になっておりますから十五倍です。日本不動産研究所の発表によりますと、一九七六年一平米の住宅地価格は、日本は三万五千円、イギリス二千百円、アメリカ三千九百円、西ドイツ六千百円です。日本の住宅地価格はイギリスの十六倍、アメリカの九倍、西ドイツの六倍ということになっております。いま第四期住宅建設五カ年計画がスタートをいたしましたけれども、初年度においてすでに二〇%になんなんとする建設減、ことしもまたかなり大幅な、それ以上の減少が予想されております。したがって、住宅建設に当たっての地価の高騰がいま日本経済に大きく影響を及ぼしている以上、これらに対する大臣の認識をまずお伺い申し上げます。
  134. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  住宅政策の中で地価の高騰が最も大きな問題であるというようなこと、先生、各国の地価と対比をしながら数字を挙げて御所見を伺ったわけでございます。私自身もその数字を伺っていまさらに驚いたわけでございます。そこまで私も実は調べておりませんでしたので、英国あるいは米国との価格差を知ったわけであります。  先生の御指摘を待つまでもなく、日本の住宅政策国民的課題として重要な問題であることは論を待ちません。私たちも政府の重要課題としてこの問題には取り組んでおります。いかんせんしかし昨今の住宅建設状況が悪化してきていることに憂慮しているものでございます。その一番の要因はまさに御指摘のように地価の高騰ではなかろうかと思います。したがって、一番の課題は高騰する地価をどのように安定させ、なお住宅用地が得られるかということに尽きていくわけでございます。したがいまして、私たちは先ごろ来住宅関係閣僚会議等も持ちまして、この問題については具体的に進めておるところでございます。特に、従来からやっておりましたけれども、公的民間機関による計画的な宅地開発の促進あるいは関連公共施設等の整備の促進、線引きの見直し等による宅地開発適地の拡大、都市の再開発による有効利用推進等の諸施策を総合的に講じてはまいりましたけれども、これらの問題についてはなお一層努力するとともに、農地対策の問題あるいは空閑地の利用の問題、都市再開発の問題等々をあわせ考えながら、この問題については一層の地価高騰の抑制と、土地取得のための環境について促進方を努力してまいる所存でございます。
  135. 小野信一

    ○小野委員 経済成長率も世界第一位でありますけれども、地価の高騰もまたそれ以上に世界第一位の地位を占めております。大臣に地価の高騰の要因を聞きますと、需給のアンバランスによって起こされたものだ、いつもこういう答弁を受けております。たとえば肉、魚が高騰した、なぜ高騰したのかと質問した際に、魚の需給がアンバランスになったために価格が高騰したのだ、こう答弁したとしても国民は納得しないのではないか。土地価格の上昇は需給のアンバランスによって起こされたと答弁すると同時に、なぜアンバランスが起こったのかということを答弁していただかなければ国民は納得しないだろうと私は思います。したがって、わが国の地価の高騰が世界第一位でここ二十数年間過ごした要因は何であったのか、大臣の所見をお伺いします。
  136. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 非常にむずかしい問題ではあります。御案内のように、住宅政策が具体的に政治の課題としてまいったのは、昭和三十年、住宅公団ができたころ、あるいは金融関係につきましては二十五年からであります。それも逐次進めてまいり、その当時日本の絶対不足数というのは約四百万戸と言われておりましたが、現在は、すでに空き家と称するものが国内で二百七十万戸、しかし、実際に住めるものが九十万一尺何とか手入れすればというものが九十万戸ということになっております。それから、戦後大体国内で新しく建てられたものは、二千五百万戸くらい建てておりますが、そのうちの一千万戸くらいは公的資金で建てているのです。しかも、国民のニーズはなお引き続き大きゅうございます。  御案内のように、日本の三十七万平方キロの狭い国土、しかも地形的な環境も、住民が住み得る環境というものはたかだか二〇%くらいのところ、しかも、これからの都市形成というものが河川流域に集中する、あるいは地方都市における現象等合わせますと、どうしても住宅は狭いところに集中するというような形になってきます。そういうことから需給バランスが崩れたという面もありますが、それでは答弁にならないという御指摘でございましたので、さすればどうするかといいますと、やはり高度利用しかないと思います。いままで平家であったものを中高層にするとか、あるいは具体的に申し上げますると、都市化の中の空閑地だけでなく、いま話題になっております農地の関係につきましても、私は都市の緑地としての農地については高い見識を持つものでございまして、なるべくこれは残しておきたいのですが、しかし、営農せずに、利害得失をもって温存されるというような方々もいらっしゃるわけで、そうした対策をも含めながら、あるいはまた山林、原野の開発、そうしたことを図っていきますると、私は、そろそろ地価の問題については一応のめどが立つのじゃなかろうか、こんなことを考えながら関係者指示をし、新しく出発いたしました住宅都市整備公団総裁方々にも申し上げているわけで、総力を挙げて先生御指摘の向きにつきましてもなお一層努力してまいりたい、このように考えているところでございます。
  137. 小野信一

    ○小野委員 なぜ需給のアンバランスが起こったか、その要因については質問を省くといたしまして、現象としては、わが国の経済の発展は、第二次、第三次産業用地が大都市周辺に非常に必要性が生じた、第一次産業から大都市にそのことによって人口移動が起こった、こういうことによって地価の高騰がもたらされたものだ、私はそう思います。大臣もこの事実を否定するわけにはまいらないだろうと思います。もしこの要因を否定できない、肯定していただくとすれば、戦後のわが国の経済政策なり社会政策のしわ寄せが土地問題に集中したと結論づけていいのじゃないか、私はそう思います。  要するに、地価の高騰は、地理的条件や自然現象によってもたらされたものではなくて、社会的政策、特にわが国の政府の政策によってもたらされたものだ。私は、わが国の経済政策、社会政策がすべて失敗だということを言うつもりはありませんけれども、少なくとも土地問題に関する限り、あらゆる政策のしわ寄せがこの点に集中したと考えていいのじゃないか。将来土地問題あるいは住宅政策を解決しようとするならば、土地の高騰は経済政策の失敗あるいはしわ寄せによってもたらされたものだという認識がなければ、今後もまた同じ轍を踏むのではないか、私はそう考えます。もう一度大臣の所見をお伺いします。
  138. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 ずいぶん厳しい御指摘といいますか、考え方であったわけでございますが、社会政策、経済政策のしわ寄せ、失敗が土地にという考え方につきましては、いささか賛成しかねるわけでございます。逆に、日本の国力が、戦後の活力を得たあの爆発的な国民意識というもの、すなわち、やはり農村よりも都市へというような意識の変革の結果、狭いところへ集中してこうした問題が起きたというように考えます。私は、社会政策、経済政策ということにつきましては、いまの日本の生活環境、これは企画庁長官あるいは大蔵大臣ならもっと的確に話があるかと思いますけれども、とにもかくにもいまの国民生活、社会生活、経済生活等を考えたときに、それほど政策の失敗はなかったというようにも考えます。しかし、事実として、都市に集中、土地の高騰というものが現実に起きておるわけでございますので、そうしたこともあわせてひとつ対処してまいりたい、このように考えるものでございます。
  139. 小野信一

    ○小野委員 三大都市圏の昨年度の販売住宅平均価格を見ますと、二戸建てで三千四百四万円、マンションで二千六百九十一万円になっております。前年度対比約四百万円の上昇です。この間、わが国の平均的勤労者の年収は、総理府の統計によりますと四百四十九万になっております。住宅専門家によりますと、住宅を購入し、円滑に償還のできる住宅価格というのは年収の四ないし五倍だ、こう言われております。建設省も国土庁もこの事実はお認めになるだろうと思います。ところが、昨年の東京山手環状線周辺の住宅価格は年収の十倍ないし十二倍になっております。要するに、三LDK七十平方メートルのマンションで五千万円から七千万円になっております。それにならって住宅価格が決定されておりますので、現在の四百五十万円前後の年収の日本の平均的勤労者にとっては完全に高ねの花となっております。したがって、住宅が売れるとするならば、現在の四百五十万円の年収の人々が買えるように住宅価格を下げるか、さもなければ四百五十万の人が六百万なり七百万まで年収がふえるまで住宅建築あるいは販売数量が停滞する、こう考えざるを得ないと私は思う。政府が国民に対して責任を持って生活を保障するとすれば、いまどちらかの政策をはっきり選択しなければならない時期だと私は思います。政府の住宅建設に対する基本的な方向はいまどちらを選択しようとしておるのか、所見をお伺いします。
  140. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 住宅環境につきましては私もほぼ同感でございます。したがいまして、その隘路、阻害要因をこれから排除するということになるわけでありますが、やはり土地政策と金利政策ということに尽きていくと思います。実際にいまの五百万、六百万収入の方が三千万、四千万という住宅を建てるということは、恐らく不可能に近いほど厳しい状況にさらされておることは事実でございます。したがいまして、これからの住宅政策ということにつきましては、そうしたことを勘案しながら土地政策なり金利政策を含めて対応する問題であろうかと思います。これからの課題として、関係者とそれぞれ協議しながら速やかなる対応を図ってまいりたい、このように考えるところでございます。
  141. 小野信一

    ○小野委員 住宅、土地問題に対する認識あるいはこれからの趨勢について専門家の分析を大まかに並べてみますと、一つは、世帯数を上回るストック数を重視した自然減退論、要するにストック量が多いのですから、住宅建設はこれから衰退していくだろう、こういう見方が一つあります。二つ目は、このまま放置しておっても国民の所得は何%かずつ必ず上昇するのだから、買える所得まで上昇したときに買う、そのことによって初めて住宅産業が回復するという自律回復論があると思います。三つ目は、地価の高騰が住宅産業の不振の最大の原因であるから、税制面からこれを是正すれば必ず回復するという税務対策優先論があると思います。四つ目は、金利を低下させれば自然に住宅産業が振興するという金融政策万能論があると思います。  先ほど住宅局長が、一%の金融公庫の金利を下げることによって十万戸の住宅建設が行われるだろう、非公式ではありますけれどもそのような発言をいたしております。住宅産業の今後の見通しについて、大臣はどのような方向をたどるとお考えになっておるのか。方向がわかりさえすればその対策はおのずから生まれるだろうと思います。昼時間でありますので大臣に対する質問はそれで終わりたいと思いますけれども、答弁をお願いします。
  142. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 住宅産業に対する思いやりといいますか、御懸念の御見解を聞きまして恐縮いたしております。私自身もその点は同感のところがございます。といいますのは、いままでのような形で住宅産業は発展の過程には行かないのじゃなかろうか。といいますのは、数よりも質の状況になってきておりますから、一応の道は開けてはおろうかと思いますが、数的な問題として国民のニーズというものは一応安定ストックの中で、がまんすればできるというところまで、満足感は得られなくても来ておる。したがって、こういうような状況でございますから、あわてて家を建てようとしないというのも住宅産業の落ち込みの一つの大きな問題ではなかろうかと思います。しかも住宅ニーズが、かつて四、五年前までの高齢者あるいは高所得者層から、いま若年層あるいは低所得者層にシフトしておるという住宅環境も見逃せない。したがって、構造的にも住宅産業というものが数よりも質、住宅を望まれる方も同じような思いでおられると思います。したがって耐用年数がございますから、何年が平均的に一番いいか、つまびらかにいたしておりませんけれども、一応安定的な産業ではあろうかと思いますが、いままでのような戦後の爆発的な住宅ブーム、一時は百七、八十万戸も建てられるというような状況はこれからは来ない。ある程度一定的な安定した建築戸数というのは百二、三十万戸ぐらいかなと私はいま考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、住宅産業の国の経済環境に占めるウェートは相当大きなものがございますので、この関係についてこれ以上退勢があってはならないわけで、国民住宅需要にこたえる上からも、また先生のお話のありました産業界のためにも、いまこれといった明確な答えは持っておりませんけれども、そうしたことを勘案しながら検討を進め、対策を立てていきたい、このように考えるところでございます。
  143. 小野信一

    ○小野委員 局長にお尋ねしますけれども、いまの大臣の答弁の中からは少なくともわが国の住宅政策の基本方針、方向性を読み取ることはできませんでした。要するに住宅需要実態調査から見ましても、先ほど二百七十万戸の空き家あるいは世帯数を上回る住宅がストックされておるといっても、住宅を必要とする人々、現在の住宅に対して不満を持ち、より広いより質の高い住宅を求めておる人々は四百七十万あるいは五百万世帯とあらわれております。したがって、二百七十万戸世帯数より多いとしても、世帯数とストックを比較するのではなくて、必要としておる世帯数とストックを比較した場合にはまだまだストック数は少ない、こういう判断に立つべきだと私は思います。したがって、ストック数が多いから今後住宅産業は伸びないだろうという見方はわが国の住宅実態からはかけ離れたものだ、私はそう思います。  自律回復論は現在の経済成長率なり地価の高騰と比較した場合には論外ではないのか、こう思います。  税務対策優先論、これは税金を安くするのか高くするのか、二つ方法があると思いますけれども、逆に地価の高騰を生む要因を税務対策は少なくともいままでのわが国の住宅政策、土地政策の中ではいつも含んでおりました。成功しなかりた理由であります。  金融政策万能論、これは民間住宅が七〇%を占めておるわけですから、三〇%しか政府関係、公団、公社の住宅がないわけですから、金融政策を中心に行ったとしても住宅政策に起死回生の政策になり得ないのではないか、こういう感じがいたします。  そうしますと、何をすべきかということを国民の前に現状分折しながら明らかにしなければ、政府は無責任だと言われてもやむを得ないではないか、こう考えます。住宅政策の不振、そしてそれに対する現状分析、どういう方向で今後進めれば国民のニーズにこたえられるとお考えになっておるのか、改めて局長の現在までの所見、政策をお聞きいたします。
  144. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 お答えいたします。  ただいま先生から御指摘ありましたように、現在住宅の総ストックといたしましては、五十三年度の住宅統計調査では世帯数を二百七十万戸上回っているということではございます。しかしながら、私ども昨年度これらにつきましての補完的な調査をいたしましたところ、おおむね三分の一程度の空き家が老朽化していて使いものにならない、また、三分の一程度は単身者の方ならば最低居住水準を維持することができるけれども、世帯持ちの方が使うにはとても耐えられるような広さがないというようなことでございましたので、非常にマクロの計算にはなりますが、本当に市場に供給して使えるというものはおおむね三分の一程度であろうかというふうに考えております。したがいまして、形式的な数が世帯数を上回りましても、今後私たちが目標としております最低居住水準の確保あるいはまた平均居住水準につきまして、約半数の世帯の方々にこれをクリアしていただくというようなことを考えました場合には、なお相当の努力が必要であろうかというふうに考えております。  また一面、先生からも御指摘がありましたように、住宅需要実態調査によりますと、約三九%の方々住宅に関しまして何らかの御不満を持っていらっしゃる、こういうようなことでもございますので、今後いろいろな対策を講じていかなければならないわけでございますが、その際、いま幾つかの政策についての方向を御提案になりましたが、私どもといたしましては、これらの政策は一つだけでもって万能であるというのではなくて、総合的にこれを実施することが必要であろうかと考えております。  去る三月二十七日に第四期の住宅建設五カ年計画を政府といたしまして閣議決定したところでございますが、その後、住宅・宅地関係閣僚連絡会議というものを持ちまして、七月までいろいろ検討をいたしました結果、住宅建設に関しまして、住宅金融の充実であるとかあるいは既成市街地における土地の高度利用、それによる中高層住宅の供給、あるいはまた都心部に散在しておりますいわゆる低質な木賃住宅の建てかえの促進等々を申し合わせ、また、宅地供給の円滑化につきましては市街化区域農地等の宅地化の促進、あるいはまた、これらの農地に係る固定資産税等の課税の適正化あるいは都市計画区域における区域区分の見直し、住宅宅地関連公共公益施設の整備、未利用地等の利用の促進、国土利用計画法の的確な運用等、実は御相談をいたしまして意見の一致を見たところでございますが、これらにつきまして関係各省庁におきましても現在鋭意検討中でございますので、総合的な対策といたしまして来年度の施策の中に反映することができれば、現在の住宅の落ち込みも相当程度回復するものと期待いたしておるところでございます。
  145. 小野信一

    ○小野委員 要するに、住宅価格の平均と勤労者所得の平均とのギャップが今日の住宅不振を招いている原因でありますから、もし土地問題を抜きにして住宅問題を解決するとするならば、所得を中心にして二千五百万から二千六百万、これは一戸建てでは無理ですけれども、マンションを思い切って大量に建設すること、最低居住水準なり平均居住水準を維持する二千五百万前後のマンションを大量に建設することが、いま国がやらなければならない最大の任務だろうと私は思います。問題は、二千五百万円前後のマンションを建てる土地がどこにあるのかという問題が私は最大のネックになるだろうと思います。私は、公共用地を思い切ってこのマンション用地に、平均年収の国民が買えるようなマンションを建設することによって国民に供給する、これが住宅政策の中心にならなければならないだろう、第四期五カ年計画の中心課題はこの一点に集中すべきだ、土地は公共用地を思い切って提供する、こういうことによって初めて可能であろうと思いますが、そのような思い切った政策をとる御意思がある、あるいは準備する御意思がないのかどうか、改めてお聞きします。
  146. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいま先生から御指摘がありましたように、特に大都市地域内におきますところの未利用地、この中には国公有地もございますし、また工場跡地等もあろうかと思いますが、先ほど申し上げました住宅・宅地関係閣僚会議におきましても、この未利用地等の利用の促進の項におきまして、工場跡地等の積極的な利用あるいは国公有地の積極的な利用といったようなことを掲げているところでございます。そういったようなことにつきましては、住宅・都市公団におきましても、たとえば国鉄との間で従来から種々協議を続けておるところでございますし、こういったような具体的な活用方策につきまして、私どもも関係当局と十分に御相談をしてまいりたいと思っております。また、先ほど申し上げましたが、低質な木賃住宅というものがたとえば東京都内において約百万戸あると言われておりますが、こういったようなすでに国民のニーズにマッチしないような形であるような住宅につきましては、これを民間の活力を生かしながら、国なり公共団体がお手伝いをさせていただきまして積極的な高度利用を図るということも必要かと思っておりまして、私ども来年度の重点施策の中に掲げまして、ぜひひとつこれを制度化し推進したいというふうに考えているところでございます。
  147. 小野信一

    ○小野委員 二千五百万前後の、平均居住水準を維持し国民が求められる住宅を提供するという観点を、政府も住宅公団も金融公庫の総裁も一致して新年度からの住宅政策の中心に設定することを強くお願いしておきます。  次に、住宅建設計画法第四条第一項の規定によりまして第四期住宅建設五カ年計画が策定になりました。持ち家五百五十五尺借家、給与住宅二百二十五尺七対三の割合になっております。単年度に平均しますと百五十四万戸になります。ところが第二次臨調の第一次答申によりますと、公営住宅の入居後の所得上昇による資格喪失者を厳重にチェックし、それによって生じた空き家を活用することによって公営住宅の新規建設を抑制する、こういう答申が出ております。どちらを政府は優先してお考えになるのか、非常に大きな問題になります。私は、いまの国民住宅に対するニーズを考える場合に、第四期五カ年計画を重要視すべきだと考えます。重要視してなおかつ三十万ないし四十万戸の落ち込みが出てまいるのであります。国民住宅に対する需要はますます高まっていくだろうと思います。いま政府ははっきりと、第二臨調の第一次答申の考え方と第四期五カ年計画と、どちらを優先するとお考えになっておるのか、局長の答弁を求めます。
  148. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 お答えいたします。  私どもが第四期住宅建設五カ年計画を作成いたしました段階におきまして、今後の需要動向等を考えまして、公共の賃貸住宅の建設戸数につきましては、この五カ年間におきまして約五十一万戸建設することが適当であろう、そういったようなことを前提といたしましてそれぞれの公共賃貸住宅の建設主体に案分をいたしたものでございます。その際、公営住宅につきましては、従来からもたとえば収入の高くなった方で、公営住宅の入居基準からいいますと相当にオーバーしていらっしゃるという方々につきましては、積極的に他の住宅等へ住みかえていただくというようなことを考えており、また、関係の公共団体につきましても指導してきているところであります。  そういったようなことから、ただいま申し上げました公営住宅なり公共賃貸住宅の建設戸数を策定いたします場合にも、当然のことでございますが、収入超過をしていらっしゃる方々が退去して、明け渡していただくという戸数も含めまして必要な空き家戸数の活用ということを考えた上で計算したものでございます。したがいまして、今後本当に住宅を必要とする方々に的確にこの公共賃貸住宅を使っていただくというような管理面の適正化と同時に、また一面、いま申しましたような総合的な賃貸住宅の必要戸数というものも十分、これは第二次臨調におきます答申とは矛盾しない、また、それは両方とも積極的にやっていくべきだというふうに考えているところでございます。
  149. 小野信一

    ○小野委員 第二臨調の第一次答申には、要するに資格設定を厳重に行って空き家を浮き出させ、その空き家の活用によって公営住宅の新規建設を抑制するとはっきり書いてあるわけですから、第四期五カ年計画と明らかに矛盾する、相反する答申だと私は考えます。ただ、いま局長がおっしゃっていますように、空き家が出たとしても、それは必要な人々に直ちに使用させることによって公営住宅の新規建設を抑制するなどという方法は絶対にとらない、こういう理解の仕方をすべきだと私は思いますけれども、そう考えてよろしゅうございますか。     〔池田(行)委員長代理退席、委員長着席〕
  150. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 先ほど申し上げましたように、私どもも五カ年計画を策定いたします段階で、いま申しました収入超過者の方々を含めて、ある一定の空き家の発生を考えておりまして、その空き家を一部は建てかえ等に使いまして、新しい規模、新しい需要にマッチするようなそういう住宅にいたしますが、現在の状況で十分使えるストックにつきましては、いま申しましたような必要とされる低所得階層の方々に利用していただく、そしてまた、そういうことを計算に入れてなおかつ相当数の住宅の建設が必要であるということで計算をさせていただいておりますので、大局的に見まして効率的な利用ということは一致いたしておりますし、戸数につきましては、やはり必要とする限りにおきましてなお建設の促進を図りたいというふうに考えております。
  151. 小野信一

    ○小野委員 空き家を発生させることによって公営住宅の新規建設を抑制するなどという方策は絶対にとらない、こういうことを強く要望いたしておきます。  次に、公営住宅の明け渡しの措置によって発生するだろうと思われる調査中の戸数は、現在幾らぐらいになっておるのか、ひとつ。  それから、五十四年度の新築着工戸数は百四十九五尺五十五年が百二十一万戸、これは一八・三%の減少。先ほど今年度の建設見込み数については総数としては局長は答えませんでしたけれども、現在のトレンドからいってどれほどの建築戸数と予想されておるのか、お聞きします。
  152. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 まず第一に、公営住宅に関しますところの、収入超過されている方々の概数ということでございますが、私どもが現在把握しております公営住宅の入居者のうち、いわゆる高額所得者といたしまして明け渡し基準というものに該当していらっしゃる方々は約二万七千戸ございます。  また、今年度の住宅建設の見通しでございますが、先ほど申し上げましたように、上半期におきまして約七・三%、前年度に比較いたしまして少なくなっておるというような点から考えますと、非常に厳しい状況にあるわけでございますが、個人の持ち家及び貸し家関係につきまして最近の数カ月の傾向を見ますと、徐々に回復いたしておりまして、九月におきましては若干対前年度同月を上回るような傾向も見えておりますので、今後の地価の動向あるいはまた建築費の動向あるいはまた所得等との関係等を見ないとなかなか即断はいたしかねるところでありますが、おおむね何とか昨年度並みくらいには回復できるのではなかろうか。もちろんこれも諸般の要因もございますのでなかなか問題はあると思いますが、その程度を期待しているというようなことでございます。
  153. 小野信一

    ○小野委員 私どもの調査によりますと、大体百十万戸くらいになるのじゃないのか、少なくとも四月から九月まで、上半期のトレンドを見ますと百十万戸程度にとどまるのではないか、こう予想されます。住宅建設が非常に少なかったのは、昭和四十三年の百二十一万四主日四十九年の百二十六万一千戸になります。もし百十万戸に落ちつくとするならば戦後最大の落ち込みになります。この落ち込みの原因は、もちろんいままで申し上げた種々の原因の総合的なものでありますけれども、その中の一つとして、住宅建設計画が景気浮揚策に非常に大きく作用されたのではないのか、こう思います。要するに、住宅建設を景気浮揚策に使わないでおるとするならば平均的な建設数が長年維持できたものを、景気浮揚策に住宅産業を使うために、そこに金融政策なり税制対策を単年度で集中するものですから、前倒しの形がここ数年続いておる。前倒しの住宅政策が長期にわたって維持できるはずがありませんので、現在の落ち込みの一つは景気浮揚策としての住宅建設の前倒しの大きな結果ではないのか、そういう気がするのです。したがって、前倒しの効果がなくなるまでは住宅建設不振は当分続くのではないのか、それも一つの大きな作用をしておるのではないのかと考えるのですけれども、もしその事実をお認めになるとするならば、前倒しの効果が何年くらい作用するとお考えになるのか、局長の見解をお聞きいたします。
  154. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいまお話がありました、住宅建設というものを景気対策として前倒ししているんではないか、あるいはまたその結果、現在の住宅建設が落ち込んでいるんではないかというようなお話でございますが、いわゆる国なり公共団体等が直接発注いたします公共事業と違いまして、住宅の場合は、もちろん一部公的機関が直接発注するのもございますが、総じて言えばその大多数は民間の方々の自力建設といいますか、そういったものであるわけでございます。したがいまして、景気対策としての過去数年間の要因というものがないとはいえませんが、現在の落ち込みがすべてそのことによっているということでもないと思います。また、景気対策で幾ら融資等の措置をとりましても、これを阻害する土地問題とか建築費の問題等がありますればこれは伸びなかったと思うのでございます。したがいまして、やはり基本となる土地の価格なり住宅の建設費なり金利の問題なり、あるいはまた、それを購入し建設する個人の所得の問題、そういうものが総合的に関連しているのではないかと思うわけでございます。  ことしの四月に日銀の調査統計局の方で発表されておる資料等によりましても、やはり昨年度の落ち込みの最大の要因というのは何といっても土地価格の上昇である、その次が第二次オイルショックに伴う建築費の高騰である、その次が高金利、そういったものが大きく影響しているというような一つの分析もございます。やはり経済全体の流れの中での戸数のあり方かというふうに考えているところでございます。
  155. 小野信一

    ○小野委員 次に、第二次臨調の第一次答申を私なりに要約いたしますと、住宅政策の方向は、第一に公庫金利の引き上げ、第二に公団住宅の新旧家賃格差の是正、第三に公営住宅の入居資格の厳正によって空き家をつくり、公営住宅の新規建設を抑制する、第四に市場における自由な家賃形成を促進させるために地代家賃統制令を廃止する、私はこの四つであろうと思います。  ところが、住宅宅地審議会の答申によりますと、昭和五十年度の答申のポイントは、住宅基本法を政府は早急に設定すべきだということだろう、昭和五十五年度のポイントは、住宅部門に重点的に資源配分を行って、わが国の住宅問題を早急に解決すべきだ、三つ目は、最低居住水準及び平均居住水準を昭和六十年度までに達成する、私はこの三つが住宅宅地審議会の答申のポイントであろうと思います。  そうしますと、第一次答申の方向と住宅審議会の答申は矛盾はしないといたしましても、かなり相反する方向が打ち出されておると私は思います。したがって、住宅局はどちらかの答申の重点政策を、より住宅建設を促進するために選択して行わなければならない立場に立たされておると私は考えます。これらの第一次答申の四つの方向と、住宅基本法の制定、住宅建設のために資源を重点的に配分する、そして居住水準を六十年度までに達成するというこれらの政策を、どのような選択基準によって政策化しようとしておるのか、局長のお考えをお聞きします。
  156. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 いま御指摘の臨時行政調査会におきます本年七月の第一次の答申は、昭和五十七年度の予算を頭に置きました、財政再建のためのいわば緊急提案というふうに考えられると思われます。これに対しまして、昨年七月の住宅宅地審議会の答申は、一九八〇年代を展望いたしました、いわば中長期的な住宅政策の基本的な方向を示したものであろうかと思います。もちろん一部につきましては、住宅政策推進してまいる場合のその政策の的確化、効率化ということにつきましては、両答申の間で共通する面がありますが、また一面におきましては短期的な対策と中長期的な対策といった意味において、取り扱っている年次なり事項はおのずから差があると考えております。したがいまして、この臨調の答申に盛られました効率化というような面で、必要な面は私どもも施策に移していかなければならないかと思いますが、また一面において、住宅政策上どうしても必要な問題については、今後この住宅宅地審議会の答申の趣旨に従いまして、中長期的にしっかりした安定した住宅政策を実施していくべきであり、また、そのことは両答申間に矛盾はないと考えているところでございます。
  157. 小野信一

    ○小野委員 五十年度の答申、住宅基本法の制定は第九十四国会でも見送られました。それから住宅部門に重点的に資源配分を行うという方向も、第四期住宅建設五カ年計画の中で着実に実行されておるという感じは私は持ちません。それから最低あるいは平均居住水準も六十年度に目標を達成するというスピードで進展しておるとはこれも考えられない。第二次臨調の答申だけが過去の重要なこれらの答申を置き去りにして実行されることになるとすれば、私は建設省姿勢を疑わざるを得ないのです。したがって、住宅基本法は早急に、十二月末から始まる通常国会に提出することこそが私は第二臨調の精神にも沿うのではないかと考えるのです。住宅基本法に対する現在の住宅局の審議進捗状況をお聞きいたします。
  158. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいま申し上げました第二次臨調につきましては、この七月にはいわば緊急提言ということであったと思います。したがいまして、その後引き続いて関係の各部会において、政府の重要な政策の各項目について現在御審議をいただいているところでございます。承りますと、来年の五、六月ごろには主なものについての答申があると聞いておりますが、その中で、住宅宅地政策についても重要な課題の一つとして現在検討が進められているところでございます。この段階におきまして、恐らく中長期的な住宅政策のあり方といったようなことについても御答申があるのではないかと私は考えております。  また一面、住宅基本法案につきましては、せんだっての通常国会において準備のためいろいろと検討させていただいたのでございますが、各項目についていろいろな問題がありまして、政府部内においてもなかなかまとめることができませんで、提案を見送らせていただきました。その際にも、実は次の通常国会を目途といたしましてさらに検討を進めるということを申し上げてきたところでございまして、現在でもその考えには変わりはございません。ただ、何分にも問題が広範多岐にわたり、また非常に重要な項目を含んでおり、十分なコンセンサスを得るには相当の努力を必要とするという現状にあることもまた事実でございます。
  159. 小野信一

    ○小野委員 現在、わが国の家賃を調べてみますと、平均的な二LDKあるいは三DKの家賃は、社宅に住んでおる方々は光熱費を除いて一万円以下、公営住宅方々は三万円内外、公団住宅は五万から七万円の間、民間住宅は十万円以上、こういう基準で分けられていると私は思います。民間住宅は、その持っておる性格からして原価プラス資本利潤、こういう計算が成り立つだろう。公営住宅は国家資金が導入になっておりますから原価よりも家賃の方が安い。公団は前者の中間であろう。実際現在の家賃はそのようなランクづけがなされておると私は思います。  ところが、臨調の答申あるいは八月六日に行われた住宅宅地審議会の答申によりましても、この各住宅の、公営、公団、公社、各家賃の格差をできるだけなくそうとする、民間相当という言葉が使われて、家賃の格差をなくそうとする方向が打ち出されているように私は思われてなりません。改めて公営、公団、公社各賃貸住宅の役割りを、以前の認識と変わらないように現在も持っておられるのか、将来ともに変わらないように維持していこうとしておるのか、政府のお考えをお聞きします。
  160. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいま御指摘の公営住宅あるいは公団住宅の役割り、中でも家賃についての考え方でございますが、この点につきましては、私ども、公営住宅につきましては、いわば適正な負担限度いっぱいの努力を行っても、御自分の力では最低居住水準を確保することができない方々に対して、その住宅確保するというような立場に立っておりまして、具体的には所得五分位に分けました段階のいわゆる下位から三分の一程度の方々が適正な負担で居住できるような家賃体系ということで考えているところでございます。また、住宅都市整備公団の供給いたします賃貸住宅につきましては、この公営住宅第一種階層から、いわば所得五分位で言います第三分位の上位くらいまでをカバーするような政策として建設を行い、また供給するということで、家賃体系につきましてもおおむねそのような考え方で供給をしていただいているところでございます。
  161. 小野信一

    ○小野委員 住宅保障を生活保障という憲法の精神に沿って実現しよう、こう考えるならば、私は、家賃は所得の何%までである、何%まで支払っていい、こういう合意を国民に求めるべきだと思います。家賃がその合意より高いとすれば、その差額を国家が補償するのが少なくても近代国家の役割りであると私は思います。したがって、住宅政策の大きな柱の一つに、収入の何%が家賃として妥当であるかということの国民合意を求めることが大切だろうと思います。建設省としてこの作業を早急に進めて、住宅需要者に対して早急にこたえる御意思がないかどうかお聞きいたします。
  162. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 住居費の負担がどのくらいが適正であるかということにつきましては、なかなか問題が多くてむずかしいところでございますが、私どもは昭和五十年におきますところの住宅宅地審議会で御提示いただきました負担のバランスによりまして一応現在は考えております。  しかしながら、なおその際に応能家賃という問題についても御提案をいただいておりますが、その応能家賃の問題を解決いたしますためには、家賃の評価システムと、また、適正な住居費負担の問題とをやはり解決いたすことが前提であろうかというふうに考えておりまして、その家賃の負担につきましては、実は五十六年度から適正住居費負担調査というものを実施しておりまして、こういう調査等に基づきまして、将来適正な家賃負担のあり方というものをわれわれなりにも考え、また、それをもとにいたしまして十分合意が得られるものをつくり上げていきたいというふうに考えております。
  163. 小野信一

    ○小野委員 国民が合意し得る所得に対する住居負担率を早急に求めるような努力を住宅審議会なり関係団体に諮問すべきだ、私はこのことを強く申し上げておきます。  次に、住宅宅地審議会の「現行家賃制度の改善についての答申」が八月六日に行われました。この答申の最後に、家賃改定のルールづくりという言葉が出ております。この答申の家賃改定のルールづくりとはどのような内容を持っておると建設省は受け取っておるのか、その受け取り方をお聞きいたします。
  164. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 去る八月六日に住宅宅地審議会から「現行家賃制度の改善についての答申」をちょうだいいたしたところでございますが、その中で、「公共賃貸住宅の管理主体は、定期的に既存家賃の見直しを行うこととし、それぞれの公共賃貸住宅の性格に応じた適切な手続きに基づく必要なルール作りを行い、家賃の変更が公正かつ円滑に行われるよう配慮する必要がある。」というふうに出されております。  私ども、このルールにつきましては、一般的に言いますれば家賃変更の判断基準であるとか、あるいはまた、その家賃の変更額についての算定方式であるとか、あるいはまた、実施に際しての入居者の方々に対する周知方法、そういったようなこと等が考えられるというふうに思っております。
  165. 小野信一

    ○小野委員 その中で、地方住宅供給公社の賃貸住宅については、家賃変更の規定が整備されておらない、こういう答申があります。  ところが、住宅金融公庫法施行規則第十一条には、住宅の維持管理上必要とあるときに、維持修繕費、管理事務費を物価スライドさせ、さらに、公租公課、保険料等を実情に合わせて変更できることになっております。  公社賃貸住宅家賃変更について、この規定だけでは不十分であるためにこのような諮問がなされたものなんですか、その点をお聞きいたします。
  166. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいま先生から御指摘がありました住宅金融公庫法の施行規則の関係でございますが、いまお話がありましたような維持修繕費だけでなくて、やはり物価その他の経済事情の変化というものも十分考える必要があろうかと思われます。その他の公共住宅につきましてはそのような規定が存在いたしておりますが、この公社関係につきましてはそういったような規定がないというような意味で、制度上のアンバランスがあるというふうなことで、この審議会から御指摘をいただいたというふうに理解いたしております。
  167. 小野信一

    ○小野委員 十分御承知のことなんですけれども、公社住宅家賃構成は、要するに住宅金融公庫と公的機関からの借入金の返済に充てられる部分と、私が先ほど言いました維持管理上必要であると思われるものと、二つに分けられるだろうと思います。その中には公租公課、保険料も当然含まれます。したがって、物価の上昇あるいは外的条件によって変更されるという部分は非常に小さいはずです。返済金は当然家賃の中に含まれておって、それは耐用年数その他の条件で均等割りされておるはずですから、それらの処置をとらなければならない理由は、そこからは生まれてこないと私は思います。生まれてこないのに住宅家賃を上げるとすれば、当然返済金に相当する部分を上げるという考え方を持っておるのだと私は疑わざるを得ないのですけれども、そのような考え方は全然持っておらない、そうお考えになりますか。
  168. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 現在の公庫法の施行規則からいたしますところの考え方は、ただいま先生から御指摘がありましたとおりでございます。しかしながら、また一方、地方住宅供給公社の賃貸住宅家賃の年度別の出納を見てみました場合、古い時代に建設いたしましたものと、ごく最近に建設いたしました同じ公社の賃貸住宅間に相当の家賃の格差があり、また、公営住宅と公社住宅というのは、設立団体との関係におきまして、その政策的なバランスをとっていく必要があろうかと思いますが、現在の状況では公営住宅の一種の家賃より公社賃貸住宅家賃の方が低くなっているのもあるといったようなことで、アンバランスが出ておる、そういったようなことからこのような答申が出たと考えておるわけでございますが、お話しのように、借入金の償還という面に関しましては従来どおりで償還できるわけですが、しかしながら、再建築ということを考えました場合におきますところの再評価というようなことを考えますと、やはり相当のアンバランスが生じているのではなかろうかと思っております。
  169. 小野信一

    ○小野委員 不均衡、アンバランスを是正するために家賃の値上げをする、こういう言い分でありますけれども、一方では空き家家賃割り増し制度を導入しようとしておる。同じアパート、住宅に入っても、先に入った人と後に入った人とでは格差が出る、これは明らかに人為的に不均衡、不公平を生んでおる制度であります。したがって、いまの答弁は明らかに混乱いたしておると考えます。  建設省では、この答申に沿って家賃見通し、改定のルールづくりをいま進めておるのですか。進めておるとすれば、いつごろまでにつくってこれを実施しようとしておるのか。もし実施するとすれば、そのような作業は、早急に空き家家賃割り増し制度とそれらのバランスをとって、われわれに十分納得できるような方策の後に行うべきであって、直ちにやめるべきだと私は思いますけれども、いかがですか。
  170. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 去る八月六日に住宅宅地審議会から答申をいただきまして、これを受けまして、建設省といたしましては九月に関係の公共団体なりあるいは公共住宅管理主体に対しまして、この答申の趣旨に基づく通牒を発したところでございます。  いま御指摘のルールづくりにつきましては、それぞれの公共住宅の管理主体が行うことであろうかと考えております。当然のことでございますが、それらの住宅の性格あるいはまた地域の実情、また設立団体等の方針、そういったようなものによりましてもそれぞれの地域にふさわしいルールづくりというものが考えられるのではないかというふうに考えております。
  171. 小野信一

    ○小野委員 家賃変更のルールは現法規の中でも十分達成できる。特に地方公共団体住宅についてはそのようなことがスムーズに行われておるわけですから、十分な配慮をお願いいたしておきます。  厚生省、環境庁を呼んでおりますので、時間がありませんけれども最後にお聞きいたします。  全国産業廃棄物処理業者許可事業計画状況、厚生省の調査によりますと、昭和五十一年度で収集運搬業者は九千百十三件から二万三千二百二十六件、全体では八九%、約倍に伸びております。ところが、最終処理場は逆に減少いたしております。産業廃棄物の最終処理場は、関東には現在ないのではないかと思います。一方で収集業者が五年間に倍も伸びておるのに、最終処理場が減少し、しかもその稼働率がわずかに四〇%である、こういう実態を厚生省はどのように判断いたしておりますか。
  172. 小林康彦

    小林説明員 お答えいたします。  産業廃棄物の処理業者の許可件数につきましては、五十五年の四月一日現在、総許可件数二万六千百八十八件でございまして、そのうち八・七%の二万三千二百二十六件が収集運搬のみの許可業者でございます。最終処分に関します許可件数につきましては、ここ数年の間横ばいないし多少の減少傾向を示しておりまして、現在千百三十三件の許可業者ということになっております。
  173. 小野信一

    ○小野委員 答弁にならないわけです。要するに、特定施設に設定された施設から出る排水は、水質汚濁防止法で十分耐えられるものを流しております。残った汚泥を中心とする廃棄物は運搬業者によって最終処理場に運ばれて処理しなければならないものであります。この予想される処理量も非常に増加いたしております。ところが実際処理される量は、最終処理場では四〇%の稼働率を持った、なおかつその件数は減少いたしております。一方では、収集運搬業者は約倍に伸びております。どこに汚泥が、産業廃棄物が運ばれて処理されておると考えておるのか、そのことをお聞きしたいわけです。
  174. 小林康彦

    小林説明員 お答えいたします。  産業廃棄物の汚泥は、中間処理をいたしました後埋め立て処分をいたしておるもの、あるいは中間処理をした後海洋投入処分をしたもの、処理をしないまま最終処分をしておるもの、この三通りございます。
  175. 小野信一

    ○小野委員 大臣、多分去年の十一月十九日の質問だったと思いますけれども、要するに特定施設の産業廃棄物がバキューム車によって吸い取られて下水道に捨てられている。したがって、下水道の終末処理場だけは非常に稼動率が高く、いろいろなものが入ってくるものでその能力は逆に減少いたしております。不法投棄が行われておるわけです。したがって、処理証明を必要としなければバキューム車一台五千円で収集してくれる。処理証明が必要だというと三万円だ。それを処理場に持っていきますと、ある金属が入っておると十万円かかる。そうしますと総計で一トン十五万円かかってしまう。このような金額が不法投棄によって三千円なり五千円で済むわけですから、夜、東京じゅう、大阪じゅう、各都市で行われておるわけです。したがって、この不法投棄をチェックしない限り日本の河川も全然きれいにならないということです。  もう一つの問題点は、霞ケ浦の洗剤による燐の含有量は汚染度の〇・六%だと言われております。この洗剤に含まれる燐の汚染度寄与率〇・六%はいま国の問題、国民の大きな課題となって解決の方向に動いております。しかし、各ビルの暖房、冷房のかんを洗う清かん剤、それにはJIS規格を見ましても明らかに大量の燐が含まれております。暖房、冷房から吐き出される水量は恐らく全国で何千万トンであろうと思います。これが規制されることなしにすべて下水道に入り、あるいは河川に入っております。したがって洗剤の〇・六%の燐をチェックしたとしても琵琶湖も諏訪湖も霞ケ浦の各湖も全然よくなりません。私はここに大きな問題があると思います。なぜ燐を規制しなければならないといって処理場その他で国民的課題として行っていながら、清かん剤の中に含まれる大量の燐、強酸性、これらを放置しておるのか、まことに大きな疑問と言わざるを得ません。これらの清かん剤を売っておる各大手メーカーのカタログを持ってまいりました。堂々と燐の含有量、強酸の含有量を書いております。どのパンフレットも同じであります。私はこの問題に早急に取り組むことなしには湖、河川、下水道の浄化は底抜けであると思います。改めてこの問題に対し、河川、湖沼の管理者である建設大臣の奮起を心からお願いしますと同時に、これに対する答弁、御感想を求めて終わります。
  176. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 河川、湖沼の汚染が非常に進んでおります。したがいまして、下水道を含めて管理者として厳しい指導と、なお具体的な例につきましては、今後とも監視を強めながら対処してまいりたい、このように考えるものでございます。これはもう国民的課題としていま手をつけなければならない大きな課題であろうかと思います。  なお、先ほど住宅産業云々という御質問がございまして、私は一般論として、これからの住宅産業としてはノーマルには一般的に百二、三十万戸ぐらいで推移するのじゃないかという発言をいたしましたけれども、いま私たちは四期五計、五カ年計画をもって七百七十万戸の住宅を建てることで努力中でございまして、地価対策、金利等そうした阻害要因を排除しながら目標達成、一応単年度百五十四万戸になりますか、これを達成するというような目標で対処して努力しておりますので、あわせてつけ加えさせていただきたいと思います。
  177. 小野信一

    ○小野委員 終わります。
  178. 稲村利幸

    稲村委員長 薮仲義彦君。
  179. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、冒頭にまず、本年度予想以上にといいますか、ある意味では戦後最大と言われるような災害が連続的に発生をしたわけでございまして、今日のような行政改革あるいは財政再建の財政事情の非常に厳しい折から、この問題に取り組まれる国土庁あるいは建設省、両大臣のこの災害復旧に対する決意をお伺いしたいと思うのでございます。  本年は、御承知のように六月から七月にかけまして豪雨、また七月末から八月初めにかけての台風十号、十二号と、暴風雨があったわけでございます。さらにまた、八月下旬に入りまして台風十五号、それから首都圏を中心としまして記録的な豪雨をもたらした台風二十四号、このように連続的な大きな被害をもたらした災害が続いているわけでございます。昨年の冷夏あるいは豪雪等に引き続いて、このように日本全土を襲った非常に災害の多い事態でございまして、この事態にかんがみまして、国土庁長官は所管の大臣として全国各地の被災地を視察、激励に回られましたことに対して私は敬意を表するものでございます。  その上に立って、国土の健全な、また均衡ある発展という立場から、国土庁長官としてこの災害をどう認識なさっておられるか。特に現在判明しておるだけで、国土庁としては公共土木施設あるいは農地、農業用施設等の被害の総額は大体どの程度になると見通されておるか、これが第一点であります。  また第二点は、先ほども申し上げましたように戦後最大級の被害とも言われておりますけれども、過去の被害に比べて本年度の被害はその規模、被害額等において長官はどういう認識に立っておられるか、その点をまず国土庁長官にお伺いしたいと思います。
  180. 原健三郎

    ○原国務大臣 薮仲先生からいまお話がありましたように、本年は予想以上の災害が多数発生し、しかも非常に甚大な被害をもたらしておることは御承知のとおりであります。一月には豪雪、それから梅雨前線、北海道の大雨、台風十五号等々大変なものでございまして、それで、いまお尋ねでございましたが、被害も非常に甚大でございました。私も現地視察をして、目を覆うようなものもございました。  いま第一にお尋ねの、公共土木施設及び農業被害等々被災の総額がどのくらいになっておるかということですが、大ざっぱに申し上げますとおよそ八千億円、一兆円近い大災害でございまして、それで第二の点で、これを速やかに復旧して国土を守り、それからいわゆる国民の生命財産を保持するために全力を挙げてやっておるところであります。  御案内のとおり、災害というのは一年ではなかなか、数年にわたってこれを復旧しなければならぬ、また原形復旧だけでなく、改良も加えなければならぬという性質のものでございますので、ぜひこの性質を踏まえて予算編成等におきましても、本年度だけではなく来年度も、こういう非常に財政再建の折でございますが、これは特に緊急を要するし、国民生活に甚大な影響のあるものでございますから、そういう財政再建のときであるにかかわらず、われわれとしては来年度も再来年度もこの復旧には万遺漏なきを期したい、内閣全体といたしましてもその方針でいま進んでいるところでございますから、そういう方針で行くということをここに言明いたしておきます。
  181. 薮仲義彦

    薮仲委員 長官にもう一点だけお伺いいたしますけれども、いま長官いみじくもおっしゃられましたように、確かに来年度はゼロシーリング、財政再建という中での災害復旧でございますので、ある意味では、災害に対してどう評価するか、いわゆるどのようなものがどうだこうだということは申しませんけれども、被害を受けた方にとっては直接的に生命、財産を脅かされる、こういう事態でもございますので、やはり財政再建の中でもこの災害復旧というものは十分早急な復旧をしていただきたい。もしもこれがおくれますと、長官お話しのように翌年度にはさらにその被害が口を広げるということもございますので、予算編成、いわゆる予算確保に対する国土庁長官の取り組みというものは、被害を受けた方々はもちろんのこと、国民のひとしく来年度予算編成において注目いたしておるところでございますので、大臣の御決意、災害復旧に対する認識といいますか、改めてお伺いしたいわけでございますが、いかがでございましょう。
  182. 原健三郎

    ○原国務大臣 御説のとおりでございまして、いかに財政窮迫のときであるし、財政再建のときでありましても、この災害復旧は急を要するし、また、再びこういうことを繰り返さないような対策もやらねばならぬし、現にそれを私なんかも閣議で報告した場合でも、だれ一人として異議を申す閣僚もなく、全部賛成である、速やかにやってくれ、こういう意向でございましたので、本年度中はそれで一応やりましたが、まだ来年にまたがってやる工事もございますので、抜本的にこの対策をやりまして、さらに単なる原形復旧だけにとどまらず、また改良復旧もやりまして、大変皆さん、国民が非常に心配しております対策をやりたい。さらにまた、こういう災害が再び三たびと起こらないような対策もやる考えでございますので、その点を御了承のほどお願い申し上げます。
  183. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣の力強い御答弁を聞いて多くの方が非常に期待もし、また安心もしていると思いますので、どうか今後関係省庁を督励し、大臣の御尽力を篤とお願いするわけでございます。長官、どうも御苦労さまでございました。     〔委員長退席、中村(靖)委員長代理着席〕  それでは次に、いよいよ本物の建設省関係建設大臣にお伺いしたいわけでございますが、やはり災害の一番の大宗は、建設省関係公共事業が最も大きい。建設省からいただいた資料によりますと、五十六年度の災害だけで、十月三十一日現在で六千六百八十一億の被害が発生しておる。これは過去五年間の平均よりも五割も多いし、また戦後最高と言われた五十一年度の三千九百三十七億円をもはるかに上回っておるわけであります。戦後最大級の被害が起きた。いま国土庁長官お話しのように、災害復旧というのはもう大臣御承知のように、この仕組みといいますか、直轄は二年で、補助事業は三年でという仕掛けになっております。御承知のように、直轄は一年目が五〇%、二年目が五〇%。補助事業は、おおむね一年目が三〇%、二年目五〇%、三年目二〇%、こういう目途で事業を手がけ、原形復旧から改良復旧へと進んでいるわけでございますけれども、さてそこで五十六年度、このように予想以上、予想を上回る被害が出てまいりますと、建設省が当初予想した災害復旧の予算をオーバーしているんじゃないか。五十六年度に手当てしなければならないのは、御承知のように基本的な点で言えば直轄では五十五年災の二年目の手当て、五十六年度の初年度の分、補助事業では五十四年度からの事業分がたまってくるわけでございます。手元にいただいた資料では、それが約三千百八億円であります。このような資料をいただいております。ところが建設省が本年度の予算要求しておりますのは二千三十八億、さしあたって一千七十億必要になる。ある意味では予想を上回っておる。こういう中で、非常に厳しい財政事情の中でこの災害復旧をやらなければならない担当大臣として、この事業を完全におやりになる御決意があるのかどうか、その辺をちょっとお伺いしたいのです。
  184. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 災害に対する御質問でございまして、特に本年度が多いということは御指摘のとおりでございます。いま先生挙げました現在までのトータルとして六千六百億、国土庁長官からもお話がありました恐らく一兆円近くなっていくであろうというようなことであります。予算の仕組みはいま先生からお話があったとおりでございまして、しかしこれは人命、財産を守る上からも緊急欠くことのできない事業でございますので、予算は予算として予算編成期に参りますので、このことに関する限りは万全の措置をやってまいる所存でございます。
  185. 薮仲義彦

    薮仲委員 問題は、来年度の予算編成もなおかつ本年度以上に厳しいと思うのです。しかも来年災害が起きないという予想といいますか、断定はできないわけであります。あるいはまた、思わぬ災害がなければいいと願いつつも、その不安はぬぐい去れないものがあるわけでございますが、来年度、五十七年は一体どうなっているか。建設省が大蔵省に概算要求しました災害復旧の手当ては一千四百二十三億、ところが五十六年災が非常に多発になっておりますので、もう現時点でこれでは足りませんよ。どのくらい足りないかと伺ったところが約千六百四十億、倍近い金額を手当てをしなければなりません。こうなってまいりますと、もう概算要求の段階で五十六年災が非常に大型であったために、来年度の災害復旧は非常に厳しい情勢にある。このゼロジーリングなどという一般公共事業すら見直されなければならないという中で、建設大臣は、一般公共事業、ゼロシーリング、この災害というものをどう認識し、災害はその復旧のために優先させるのかどうか、あるいはそうでなければどのような位置づけでこの災害復旧に取り組まれるのか、具体的にお答えいただきたいのです。
  186. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 数字的なことはまた政府委員からお答えいたしますけれども、私といたしましては、先ほど申し上げましたように災害が起きたその個所といいますか、その現地、現況はもう一日も早く復旧しなければなりません。しかもなおその後の改良という問題も当然起こるわけであります。ゼロシーリング、財政再建で厳しい折でありますけれども、何としてでも財政当局とよく話し合って、この問題については優先的に配慮するというようなことで努力してまいりたい、このように考えているところでございます。
  187. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは大臣にちょっと、ここまでしつこく言うのもいかがかなと思うのですが、その可能性もありますのでもう一点だけ大臣にお伺いするわけでございますけれども、たとえばいま一番問題になっておりますのは、来年度の税収見通し、あるいは思わぬ減額があるかもしれません。ということは、景気の問題もあるわけでございまして、先ほどからいろいろな問題が指摘されますけれども、大臣おっしゃるとおり公共事業の持つ景気浮揚といいますか、経済に及ぼす影響というのは非常に大きいわけです。それが来年度もしも景気が浮揚せず、税収が落ち込んだというような、ゼロシーリングよりも削りなさいというようなことに、最悪の事態になったときでもこの災害復旧予算といいますか、こういうものをやはり最優先なさるのかどうか、これは非常にむずかしい問題かもしれませんけれども、最悪の事態を考えたときに、大臣はこの災害復旧というものをどのような位置づけになさるか、大臣のお考えを伺っておきたいのですが。
  188. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 厳しい情勢の上でなおかつどうするかということでございます。もう厳しいことは周知徹底をして、ゼロシーリングということは決まっておるわけでございます。しかも思わざる災害、まあ七千億、八千億というふうな状況で、御懸念であろうと思いますが、いずれにいたしましても災害を受けられたその現況をそのままにしておくということは、これはできないことでございますので、これは優先とか優先でないという問題ではなく、一日も早くまずそこから手をつけるというのが本来的な問題ではなかろうか、また、そのような考え方で対処してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  189. 薮仲義彦

    薮仲委員 まあ大臣はそのぐらいにして、これは一言で言えば、別枠にするのかどうかぐらい聞きたいのでございますけれども、非常に言いにくい点でもございましょう。  そこで私は、大蔵省お見えだと思うのでございますが、主計官にお伺いしたい。  いま、両大臣、もちろんここに農林大臣等をお招きすれば、同じことをここで御発言になられるかと思うのでございますが、私は、建設省が来年度の公共事業関係予算として概算要求しておりますのは四兆五千五百六十五億、こう伺っております。この中で、やはり災害復旧というものをたとえば最優先するというときに、もう入ったお金の中でしか使いませんよ、決まったお金でしか大蔵省としては出さないのですから、そうなれば、一般公共の道路、河川、下水道、住宅といった事業は削ってもらいますよ、こういうお考えで対処をなさるのかどうか、この点がまずお伺いしたいところでございます。  と同時に、この災害という問題を単にその所管の、あるいは建設省、一番大きいのは建設省と農林水産省であろうかと思うのでございますけれども、その概算要求の中で処理しなさいという考え方では私は非常にいかがかと思うわけでございます。災害というのは、いろいろな災害がありますけれども、河川にしても、海岸にしても、建設省はそれなりの高水流量あるいは標準波高というものを考えて、防潮堤、海岸堤防、河川の護岸をやっておるのですが、それを上回る雨量があり、あるいは大きなエネルギーで海岸の堤防が吹っ飛んでいってしまうというような事態であります。これは、建設省の施行がよかった悪かったという点もゼロとは言いませんけれども、この出た事態をその主務官庁である建設省や農林水産省だけで責任を持つということ自体、非常に無理があるんじゃないか。災害というのは、やはり国家、国民全体の問題として国の総枠の予算の中でこれは手当てをすべきである。お金がないし、ゼロシーリング、あるいはもっと削らなければならない中であっても、国民の財産として国家を守る、国民生活を守るという観点から、関係省庁の予算を切り込むのではなくして、全体の予算の中でこの災害というものを、予算の中で聖域だとか別枠とかいろいろ論議されますけれども、私はそういうことは申し上げない。事災害に関して、やはり私は大蔵省として特段の配慮をしていただきたいと思うのでございますが、主計官のお考え、いかがでございましょう。
  190. 公文宏

    ○公文説明員 いま御質問ございましたように、五十六年の災害は非常に大きなものになっております。これに対してどう対処するかということでございますけれども、財政当局といたしましても、災害復旧につきましては、これはやはり緊要な事業であるという基本的な認識に立ちまして、十分配慮をしながら進めてまいりたいというふうに思っているわけでございます。  災害復旧そのものはそういうことであるといたしまして、それではほかの事業にどういう影響があるかということになるわけでございますけれども、この点につきましては、まあ先生も御承知のように、五十六年度及び五十七年度の財政事情につきましては、いまの時点では非常に不透明でございます。申し上げるまでもなく、いま先生からもお話がございましたように、五十六年、五十七年を通じまして所要の税収が確保できるかどうかという問題もございますし、あるいは人事院勧告の取り扱いがどうなるか、それから災害復旧費の増高要因をどうさばくか、その他もろもろの追加財政需要もございます関係で、これをどうさばくかということは、いま財政当局として大変頭の痛い問題でございます。その点が不分明な間は、ちょっとどういう形に相なるかについてはいまの時点では申し上げかねるということでございますけれども、いずれにいたしましても、限られた財源の中で適切な対処ができるように財政当局としては努めてまいりたいというふうに思っております。
  191. 薮仲義彦

    薮仲委員 きょうはこの問題、このぐらいにしておきますけれども、建設大臣、大蔵省との折衝は当然のこととして、また、大蔵当局も、われわれ国民の側に立ってまいりますと、お金がないから直しませんよというようなことでは済まされない。不安におびえておりますので、どうかその点、くどくは申しませんが、十分な御配慮を重ねてお願いをして、この問題は終わりたいと思います。  それでは、次の問題に入りたいと思うのでございますが、これは大臣。  先ほど来、諸悪の根源は土地の高騰、土地の需給のアンバランス、この建設委員会を開きますと、いつも指摘されるのは土地の問題でございます。建設省として、深刻な宅地供給不足の打開策として、市街化区域内の農地の宅地並み課税、いわゆる農地にかける宅地並み課税を五十七年度から完全実施なさるのかどうか、また、もしも実施なさるとするならば、大臣、具体的にはどのようなお考えでこの宅地並み課税を行われるのか、その辺をお伺いしたいのです。
  192. 吉田公二

    吉田(公)政府委員 この問題につきまして、土地税制につきましては現在まだ検討中でございまして、正式に固めるところまで参っておりませんので、私から御答弁さしていただきます。先生御指摘のとおり、都市、特に大都市地域におきます住宅問題その根底にございます土地問題非常に大きな課題でございまして、先ほど来大臣が御答弁申し上げているように、いろいろな角度から対応しているわけでございますが、この市街化区域内農地に対します固定資産税の適正化も一つの対応でございます。  この問題につきましては、去る昭和五十四年末の税制改正に関します税制調査会の御答申におきまして、「長期にわたり営農を継続する意思のある者に対する配慮を行うなど必要な措置を講じつつ、新たにC農地を課税の適正化措置の対象に加えるとともに現在課税の適正化措置が講じられている」ものについても、その実効ある実施を図れという御答申もいただいておりまして、私ども、そうした線に沿いまして、税制の実効ある実施を図るべく、現在検討を進めているところでございます。
  193. 薮仲義彦

    薮仲委員 私の聞いたのは、五十七年度実施するのですかと聞いているのです。
  194. 吉田公二

    吉田(公)政府委員 五十七年度に実施を図るべく現在検討を進めているところでございます。
  195. 薮仲義彦

    薮仲委員 ということは、実施するというふうに理解してよろしいのでしょうか。問題が整理されなければさらにそれを延ばすということですか。どちらですか。
  196. 吉田公二

    吉田(公)政府委員 関係方面と調整をして、五十七年度から実施いたしたいということでございます。
  197. 薮仲義彦

    薮仲委員 それではもう一点お伺いしますけれども、この宅地並み課税に伴いまして、いわゆる線引きの見直しもやろうというのを建設省がいわゆる宅地供給の一つの方途として考えておられる。いつまでも市街化区域としておいてはむしろ不適当である、営農を続けたいような方のためには、逆に市街化調整区域に編入してしまえ、逆線引きということが言われておられるようでございまして、これもあわせて五十七年度実施というように伺っておりますけれども、この逆線引き、いわゆる線引きの見直しもおやりになるのかどうか、その点いかがでしょうか。
  198. 加瀬正蔵

    ○加瀬政府委員 宅地並み課税が実施される場合はやはりそれに応じまして線引き制度についての検討というのは当然必要かと思っております。内容を申し上げる必要ございますか。——検討したいと思っております。
  199. 薮仲義彦

    薮仲委員 もう一点伺います。いまいわゆるAB農地の宅地並み課税に対して、地方自治体の減免措置を認めておりますけれども、五十七年度実施に当たってはこの減免措置は認めるのか認めないのか、どうでしょう。
  200. 吉田公二

    吉田(公)政府委員 いわゆる宅地並み課税、先ほど来申しておりますように決定的な案を出しているわけではございませんが、現行の地方税法に基づく減額制度につきましては、廃止する方向で関係省庁と協議してまいるつもりでございます。ただ、長期にわたりまして営農を継続する意思のある者に対する配慮といたしまして、これにかわる制度として徴収猶予制度というものを設けることを検討しておりますので、この内容につきましても、具体的内容についてはさらに検討を進めているところでございます。
  201. 薮仲義彦

    薮仲委員 いま答弁の中で長期というお話がございました。仄聞するところでは、十年間営農を続ける方はいわゆる免税の対象にする、こう聞いておりますが、その期間というのは大体どの程度をめどに考えていらっしゃいますか。
  202. 吉田公二

    吉田(公)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、最終的に詰めるところまでまいっておりませんので、長期というものは何年か、現在十年あたりを一つの目標として考えていることは事実でございます。
  203. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは最後に、これは大臣にお伺いしますけれども、この問題、一番避けて通れないのは農業団体の皆さんとの調整であろうかと思います。大臣は農業団体の皆さんとの調整といいますか、この辺はどのように対処なさるおつもりか、お伺いしたい。
  204. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 いま政府委員からお答えいたしましたとおり、まだこれは具体的なプランとしてテーブルの上に乗っておりませんし、党においても、また、当省においてもせっかくいま詰めのところでございまして、私が農業団体といま接触するというところまでまいっておりません。ただ、問題は住宅政策という基本にかかわる問題でございますので、宅地対策につきましては当然農業団体が反対されておるということも聞いておりますので、その時点になって何とか御理解をいただいて進めさせていただきたい、このように考えているところでございます。
  205. 薮仲義彦

    薮仲委員 宅地並み課税といいますのは、この建設委員会で絶えず問題になります住宅宅地政策、特に三大都市圏における宅地の供給が不十分であるという点の中で出てくる問題でございまして、対象地域が七万五千ヘクタール、三大都市圏で約二十年近いといいますか、十数年にわたる宅地供給を十分賄うに足りる農地がありますということは再三ここで指摘されておるわけでございますが、その実施に当たっては十分関係者意見等も踏まえて、好ましい形での実施にかかっていただきたい。このことは要望をいたしておきます。それでこの問題は終わりまして、次の問題に移らしていただきます。  次の問題は、先日、十一月二日付の日経新聞に、きょうお見えの大臣住宅都市整備公団総裁のお二人の写真が載った記事が出ておるわけでございます。これはいい方のお話ですから御心配なく。さっきから胸を痛めていらっしゃるようですが、それはやりません。「千葉県で第一号」「借地式の宅地供給軌道に」という記事が載っておるわけでございますが、私は、住宅宅地の一番根幹は宅地問題の解決が非常に大事だろうと思います。このような借地方式による宅地供給のあり方というのは、私は一つの問題解決の方向としては非常に好ましい方向ではないかなと思っているわけでございますが、まず冒頭にこういう借地方式に対する大臣及び総裁の見解をお伺いしたいと思います。
  206. 志村清一

    志村参考人 借地方式というのはなかなかいい考え方だと思うわけでございます。新公団の前身である住宅公団におきましても実は借地方式を大分やっておりました。それは市街地内の住宅でいわゆるげたばきというものでございますが、下に店舗を建てて上に住宅を建てるというようなかっこうで借地をしたり、一部所有権を買ってその上に住宅を建てさせていただくという方式で、いままで全面借地、一部借地を含めますと四万七千戸ほど建てておるわけでございます。また、最近におきまして、そういうげたばきでなくて一般団地につきましても、福岡で約四百八十戸分の借地をいたしまして、うち三百五十戸ほど賃貸住宅の建設を行っております。  ただ、ここで問題になりますのは、借地権をどうやって取得するかという問題、いわゆる権利金というような金額の問題もございますし、地主さんに納得していただく問題もございます。地代をどうやって設定していくか、それから長い間お借りするわけでございますから地代の変更をどうするかとか、いろいろな問題がございまして、大変いい制度ではございますが、具体の展開に当たってはなかなかむずかしいことがございます。しかし、御指摘のとおり用地の取得が非常にむずかしい現況におきましては、借地方式につきましてもさらに一段と検討を進め、しかるべきところは積極的に活用してまいりたい、かように考えておる次第でございます。(薮仲委員建設省のお考え。大臣か局長、どちらでも結構ですよ」と呼ぶ)
  207. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいま先生から御指摘がありました借地方式につきましては、私どもといたしましても、地主の皆さんの立場から考えますと、所有権を留保して長期にわたって安定した収入を得られるという利点がありますし、また、住宅を建設する事業主体といたしましては、一時にそう多額の土地取得費が要らないというような利点があろうかと思います。そういうふうな観点から、昨年七月の住宅宅地審議会からも借地方式につきまして勉強して推進をしろという御答申をいただいております。私どもといたしましても、住宅都市整備公団あるいは公営住宅の建設に当たりましてもこれらの借地方式というものを積極的に進めるように考えてまいりたいと思っております。  公営住宅についても一部、たとえば五十五年度では約六百戸余り、五十六年度は六百六十戸程度の借地方式の住宅を建設いたしておりますが、まだまだ不十分でございます。本年度からスタートいたしました市街地住宅供給促進事業制度というものがございますが、これなんかもその借地方式にきわめてなじむものと考えておりまして、これらの活用も図りたいと思っております。
  208. 薮仲義彦

    薮仲委員 じゃ総裁、ちょっと私、確認させていただきたいのですけれども、千葉方式というのは新聞の内容ですと、地主との賃貸契約についてこう書いてあるのです。期間は七十年間お借りしますよ、権利金はゼロです、地代はその土地の固定資産税評価額の八%、毎年三%の範囲内で値上げを認めるというようなことが出ておりますけれども、これは記事の内容で大体間違いないかどうか、それだけ、いかがでしょうか。
  209. 救仁郷斉

    救仁郷参考人 先生ただいまお読みになりました日経新聞の記事は大体合っております。ただ、若干違っておりますのが、先ほど総裁からお答え申し上げましたように、地代を上げた場合に家賃にどうはね返させるかという問題が非常に大変な問題でございます。この場合には地主さんといろいろお話をしまして、最初固定資産税評価額の八%ということで設定しておりまして、三%ずつ十年上げたという仮定をとりまして、その平均値でもって十年間は固定するというような方式をとっております。そういうことで、少なくとも十年間は地代は安定的に、改変しないというようなことで対処しているところでございます。
  210. 薮仲義彦

    薮仲委員 問題はいまおっしゃったような問題。特に予想される一番困るなと思うのは現在の借地借家法。私さきの行政改革の委員会でも建設大臣にお伺いというよりも要望しておいたのは、木造賃貸住宅を建てかえたらどうですかというお話をしました。しかし、その中の一番のネックは何かというと、入居者の中の一人でも反対しますとなかなか改造に着手できません。しかも現行の低廉な家賃が改築することによって何倍かに上がるということは、入居者にとっては賛成しかねる課題でございますというようなことがありました。そこでの問題は、入居なさる方が一人でも反対するとという法律の壁があるわけです。その借地借家人の御意見を尊重しなければならないという法体系の中で、七十年という年度を切ってございますが、その時点で地主さんとの貸借関係を今後継続するかどうするか。あるいは地主さんが途中でかわってしまったとなってまいりますと、現行法制の中ではいろいろなトラブルが起きてくる。遺産相続あるいは売却、このときには公団に第一義的に売ってくれというような契約になっておりましても、現行法制の中ではなかなか簡単に1七十年先の問題、ここにいるほとんどの人はいないからいいだろうと言えばそうかもしれませんけれども、そうはいかないのが政治の場でございまして、現在考えて七十年先のそういうトラブルを解消するということは非常に大事であって、その改正の中にこの借地方式を進めなければ多くの地主さんからは安心して貸してはいただけないし、入居する人も決して好ましい結果は生まれないと私は思うのです。  そこで、これはいま即座にということは申しませんけれども、大臣にこういうことをお伺いしたいと思うのです。  一つは、このような借地というもので、まず地主さんがどういうときに一番貸したくなるかなと思えば、現在土地の神話があるわけです。資産運用では最も有利であるという土地神話がある。持っていれば上がる。ならば、建設省が直接はできません。当然公団等だろうと思いますが、公団にこの土地を貸すのについては、地主としては最も安定した資産運用の方法である、これがいま最も安定した資産運用ですよということを地主さんが判断すればこの話に乗ってくると私は思う。  二番目は、今度は入居する側に対して制限ができないか。現行の借地借家法でやりますとどうしても借りている方が強い。そうではなく、私はこの借地借家法を全面改正とかそんな無謀なことを言うのではなくして、公団の行う事業なら事業というふうに特に限定をして、しかも低廉な家賃で快適な、しかも広い居住環境を確保するということを大前提にして、いまの三大都市圏の住宅問題を抜本的に改正するためには、現行の借地借家法が、そこに入居する人に限っては御自分の権利が制限される分がありますよ、私権の制限がありますよということを前提条件として入居を認める。たとえば地主さんから今度は継続はやめますとかあるいはもう出ていっていただきたいという、七十年目あるいは百年先になるかもしれませんけれども、その時点においてトラブルが起きないような手だてをいまのうちから大臣のところで検討できないか。私は、この検討ができれば借地方式というのは非常に好ましいし、そこである程度の公共性と私権の制限ということを十分配慮してこの施行をやればうまくいくのじゃないかなと思うのでございますが、大臣いかがでしょう。
  211. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいま先生から御指摘がありましたように、借地方式につきましては、借地関係という民事上の契約から来る借地法の制約がございますし、また、借家関係につきましても借家法の問題がございます。かねてから住宅・宅地関係閣僚連絡会議においてもその問題についていろいろと御議論があったところでございます。ただ、そうは言いましても、借地借家法というのは民法関係におきますところの重要な基本法でもありますので、直ちにこれを改正することがいいかどうかという問題がございます。  ただそうは言いましても、これらのせっかくの借地方式を推進していきますためには、やはりそこにまつわりますいろいろな問題を整理いたしまして、これをうまく運用することを考えなければいけませんし、また、借家関係につきましても、一定のルールのもとに建てかえをするといった場合における措置もいま考えなければいけないかと思っております。これらをあわせまして、私ども住宅宅地審議会の答申をいかに生かすかということで現在関係局とともに、また、学識経験者の方々にもおいでいただきまして、鋭意検討を進めさせていただいておるところでございます。
  212. 薮仲義彦

    薮仲委員 いま私の言った、検討はいいんですが、方向性についてのお考えはいかがでございましょう。賛成ですか、反対ですか。
  213. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいま先生から御提案がございました方法についても、有力な案として私ども検討の対象にさせていただきたいと考えております。
  214. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣、私から篤と、せっかく公団が努力しようとしておることでございまして、いろいろな制限がございますけれども、公団が本当に国民のため低廉で快適な住宅を提供するためにどうすればいいか。ネックは土地なんですから、土地問題を解消せずしてこの住宅問題は解決しませんし、また、このゼロシーリングの厳しい中で、最も大事なのは用地費のかからない公共事業ということになってまいりますと、これはまことに時宜を得た政策であろうと思います。私はこれがある程度の時限立法でも構わない、何とかその公共性という問題を十分に踏まえて、入る人も納得、貸す人も納得というような形で、この借地方式については十分今後検討していただきたい。ちょうど子供がよく遊ぶ中でこの指とまれというふうに、公団がこういう条件を示して、こういうようなやりやすい方法を建設省が道路づくりをしてあげたら、安心してみんながその指にとまってくれるような方向で、トラブルなく、喜んで住宅問題解決のために、みんなが積極的に国の施策に協力できるような方法をどうか考えていただきたいことを重ねてお願いをする次第でございます。大臣よろしく。  それでは今度はがらりと問題を変えて、大臣が視察なさった場所について何点か御質問をさせていただきたいと思います。  いろいろな問題があろうかと思いますが、私は静岡でございますが、地元の問題を通じて何点か指摘をさせていただきたいのですが、いま静岡の大幹線といいますか、国道一号が静岡のど真ん中を走っておるわけでございます。この大幹線が最近非常に交通渋滞ということがございまして、いろいろなバイパスについての意見が出されているわけであります。この一号線の交通渋滞緩和のために静清バイパスが昭和四十三年に事業採択になり、総延長二十四・二キロ、現在昭和五十六年ですから約四分の一世紀になんなんとするわけでございますが、何とその事業の進捗率、総延長二十四・二キロに対して三二・六%、金額ベースは三四%と三分の一しか進んでおらないわけでございます。地元では二十一世紀になってしまうのかなということも言われておるわけでございますが、現在国道一号の抱える日本の経済、産業の上に果たす役割りを考えますと、このバイパス完成に建設省は真剣に努力していただきたいと思うわけでございます。これは大臣もよく御存じなところでございますので、進捗おくれに対するいろいろな問題はあろうかと思いますけれども、一号線という主要大幹線の解決のために、大臣篤と進捗を図っていただきたいと思うのでございますが、いかがでございましょう。
  215. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 先生の御指摘を待つまでもなく、私も現地は十分知悉いたしておりますので、昨年でございましたか、視察でなく静岡へ行ったときに、たまたまその関係する先生方から、国の方でもいま少しくてこ入れをして早期に完成するように促進方を依頼されました。先生からもそれより先にお話があったかと思いますけれども、それを踏まえてどういう状況になったかと聞きましたら、やはり地元の反対。しかもその反対の方々に対する説得が、市または県の方もいささか、反対が強過ぎたせいでございましょうかどうでございましょうか、少しおくれているように見受けましたので、すかさず私、知事にも申し上げました。市長にも申し上げて、積極的にこうしたいいことは反対される方々によく納得していただいて進めたらどうかということを申し上げて、これはすぐ行動に移りまして、現在は一応地元の方々の了承を得たやに聞いております。これは全部が受けたかどうかはまだ報告を受けておりませんけれども。したがいまして、地元の御了解さえ得られれば、これは全くひどいものでございますから、地元が解決すれば、これは既定路線でございますので、早急に進めさせていただきたい、このように考えておるところでございます。
  216. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうか、この主要幹線一号線の将来のために、建設省で篤とこの事業を督促していただきまして、地元の要望、問題等を十分御承知の大臣でございますので、促進方を重ねてお願いをいたす次第でございます。次に、これは完全に大臣が視察なさったことでございますけれども、なぜ質問するかといいますと、いまの一号線にほぼ並行して走っております海岸線がございます。主要地方道でございますが、これは来年四月には国道に昇格するという大臣御承知の視察なさった静岡−久能−清水線、いわゆる静岡海岸でございますけれども、これは大臣も見るに見かねて現地の視察をなさったと思うのでございますが、この久能海岸はここ四、五年、再三再四にわたって被害を受けた。台風が来る、高潮が来るといいますと、道路が決壊し、海岸がずたずたにやられてしまう。五十六年災だけでも三月二十五日の低気圧、八月二十一日から二十三日の台風十五号、九月に入っての台風二十二号あるいは台風二十四号、その都度この沿線はずたずたにやられまして、被害金額は五十三年から通算しますと三十億を超えるんじゃないか、このように言われております。余りにも台風や高潮で海岸が五十三年以来ずっと、毎年毎年やられておりますので、これは確かに国の直轄ではございません、国の補助事業でございますけれども、国道昇格を目前にして、いまの静清バイパスも通らない、こういった中での静岡−久能−清水線というものの重要度というのは高まっておるわけでございます。特にそこは有名な久能イチゴの産地でもございますので、海岸線の完全な施工というものを、おくれによって次年度にはむしろ被害が大きくなっているのではないかという感すらするわけでございます。そういうことで、現在の工法自体に問題があるのかどうか、そういうものも十分検討なさった上でこの海岸線、道路の確保に御努力いただきたい、こう考えるわけでございますが、いかがでございましょう。
  217. 川本正知

    ○川本政府委員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘の久能海岸でございますが、今年に入って確かに先生おっしゃるように、何度か繰り返し災害を受けておるわけでございます。五十四年に一度大きな災害を受けまして、台風十一号でございますが、また今年の三月に低気圧によって災害を受けました。その災害の被害が激甚でございましたので、海岸の災害復旧助成事業ということで鋭意促進を図ってきておったところでございます。  工法といたしましては、海岸堤防をブロックによります斜堤方式に変える、その前面に消波ブロックを置く、そういった工法で促進を図ってきておるところでございましたけれども、その途中段階で大変大きな波力を受けまして再度災害を受けたというかっこうでございました。極力その災害復旧の早期完成というものを目指してまいりたいと思いますが、五十四年に受けました災害助成事業、これは来年度で完成をさせたいと思っております。それから五十六年の災害助成事業につきましては、五十六年度中に消波工を概成いたしまして、それから来年度には消波工を完成いたしまして、堤体工の方は五十七年度の早期に完成いたす予定でございまして、五十八年以降堤体の根継ぎ工をやって全体を完成させたい、そういうふうに思っておりますが、早期に完成を図ってまいりたい、そう思っております。
  218. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは道路局長にお伺いいたしますけれども、いま冒頭に静清バイパスをちょっとお話いたしました。一号線の渋滞緩和のために静清バイパスをつくろう。それもいま遅々として進んでおらない。残念なことでございますが、これは地元の問題が多々あることを私も十分承知しております。と同時に、今度もう一木の並行している百五十号線、いわゆるこの久能線は百五十号線として国道昇格になるわけでございますが、一号線の渋滞をバイパスもしくは百五十号線でフォローしょうと思っても、バイパスの進捗率が悪い、海岸線は台風の都度、高潮の都度渋滞してしまう。こうなってまいりますと、これに対処するために道路局としても久能線といいますか、久能街道の道路の確保というものは非常に大事だろうと私は思いますし、この際、静清バイパス等が非常に工事がおくれるんであれば、いま百五十号線の沿線は国有地も多分にございまして、地元では路線の拡幅、いわゆる片側二車線ぐらいに広げて道路の確保ということもいま要望が出ているわけでございます。こういう点で、現状にかんがみましてこの車線増ということも十分検討いただきたいと思うのでございますが、その点いかがでございましょう。
  219. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 お答えいたします。  現地の事情に即した先生の御質問だと思いますが、御指摘のように来年の四月から百五十号線の延伸ということで国道に昇格する予定の道路でございます。ただ、この海岸につきましてはいろいろ御意見をお持ちの方もあるようでございまして、まだまとまっていないような面も若干見えるわけでございますが、確かに、通過交通は別といたしまして、地元の方には非常に便利な道路にもなろうかと思いますので、静岡県当局に今後の改良計画を早急に詰めるように私の方から指示をしておきたいと思っております。
  220. 薮仲義彦

    薮仲委員 時間が参りましたので最後にまとめて質問します。大臣、これはよく聞いておいていただきたい。これは地元のバイパスを通じて今後のいわゆるバイパスのあり方、大臣のお考えを伺いますし、道路公団にお伺いしたいと思いますので、よろしく。  まず具体的に申し上げましょう。日本道路公団がつくっていただいたいまの主要幹線一号線が渋滞しております。一号線でございますから、本来なら建設省の直轄事業として渋滞解消に当たるのが当然だと私は思う。それをバイパスという公団方式をとった。そのことによって結果がどうなっているかということを具体的に大臣にお話しいたします。  これは建設省道路局は当然御承知で、道路公団からいただいた資料、また、関係業界調査資料等をざっと申し上げますが、まず藤枝バイパスにつきましては一日当たりの計画交通量一万五千三百台、ところが実績の交通量は四月から十月の平均が四千六百十九台、パーセントで言いますと計画に対して三〇・二%、掛川バイパス、一日当たり一万七百台、それが実績は二千八百九十六台、二七・二%、磐田バイパス、一万一千八百台に対し三千八百四十七台、三二・五%。このように、バイパスはできましたけれども乗らない。しかも地元住民は、このバイパスによって騒音とか夜間の振動、夜間の安眠を確保するために夜間乗ってほしい大型トラック。ところが、夜間の実態はどうかというともっとひどい。磐田バイパス、夜間国道一号線は七千八百八十四台。ところがバイパスを通るのは千百五台。国道一号を通る車七千八百八十四台に比べて一四%。そのうち営業用トラックは二百十九台、九%。掛川バイパスは、一号線五千二百八十台、バイパスの上を走るのは六百八十八台、一三%。営業用トラックは二百六十八台、一〇%。藤枝バイパスも同じ。一号線の方を夜間七千二百四十七台走ってバイパス上は七百三十四台、一〇%。営業用トラックは何と二百二十三台、八%。みんな一〇%台という実態です。これになぜ乗らないのか。バイパスというのは、単なる枝葉の幹線にバイパスをつくったのと、日本の国道一号線にバイパスをつくったのでは根本的に考え方を変えていただかなければ困る。本来国が責任を持って主要幹線を守るべきなのに、実際には乗らないのはなぜかというと、一つは料金の問題なのです。料金が高過ぎる。公団方式ですと、法制によって三十年間で償却ということになっている。これは時間がありませんから、こちらで指摘します。  国費の投入が非常に少ない。三バイパスともほとんど公団でやっておりますので、その償還のために非常にお金がかかり過ぎる。藤枝バイパスが五百円、掛川バイパスが二百円、磐田バイパスが同じく二百円。この三バイパスが細切れです。大臣御承知のように、もしも東名高速に乗ったらどうなる、続けて東名高速に乗った方が得だという考えが出てきます。しかも、静清バイパスが開通しておりませんから、細切れのバイパスに乗っても静岡に来るときには渋滞に遭って、バイパスに乗っても乗らなくても時間的なメリットは何にもありません。高いお金を出して、しかも時間的には何にも変わりなければ乗らなくなってくる。地元住民の要望もこれでは満足できない。  そこで私が、きょうは時間がありませんから指摘したい点があるわけです。  一つは、まず建設省としてここの実態をよく調査していただきたい。二番目は、特に国道一号のような主要幹線で公団方式をやるときに、皆さん方プロですから、これをつくったときにどの程度の料金が予想されるかというのは、料金の算定はわかるわけです。全国のバイパスを調べてみて、キロ当たり幾ら以上になると乗らないというのがわかるわけです。ならば、利用率が低くなるようなおそれがある場合には、国費を投入してこれ以上の料金には上がらないように考えて公団方式を採用すべきだ。でき上がってから料金を算定するからこのようなことになるのであって、やはり道路をつくる前段でバイパスの適正料金はキロ当たりどこが適正かという料金を建設省が提示して、それを超えないようにすべきである。しかも主要幹線の一号線などは国が責任を持つべきだ。地元の方で言っています。富士川にかかっているバイパスは夜間開放した、これは大臣御承知だ。しかし、だれが負担したかというと県が負担したのだ、私はおかしいと思う。県が負担する必要はさらさらない。これもいま地元では夜間を無料にしてくれないかという住民の強い要望があります。国が金を出さないで料金を高くしたのですから、その分は建設費に当然充当すべきを予算措置をしなかった。一号線の渋滞なんですから建設省が責任を持って、少なくとも静清バイパスが開通するまでは国が予算措置を講じて料金を低廉にすべきである。しかも一号線というのは関西やあの大動脈としての利用ですから、静岡県民はむしろ夜間の公害や騒音の被害者だ。その被害者に負担しろというようなことを平然と言う考え方は間違いだと私は思う。国の一号線なんです。直轄道路なんです。ならば、地方自治体に負担したらどうかなどということを間違っても言えたものじゃないと私は思う。これは国が責任を持って適正な料金で利用に耐えられるように、回数券を何枚出しました、そんなお粗末なことでは全然問題の処理になっていない。私は篤と大臣に、このバイパスの料金のあり方、どうやったら利用できるか、全国の実態を調査して適正料金のあり方を出して、その上で地元住民の利用しやすい、喜んでいただけるような道路をつくることが建設省のあり方だと私は思う。そうでなければ単につくってもらったって、こんなのは本当のりっぱな行政とは言いがたいと私は思う。無責任過ぎると思いますので、この点は大臣に検討していただきたい。  それから、道路公団が来ていますので、道路公団、特にいけないのは磐田のバイパスだ。標識が千メートル手前から後ついていない。不親切きわまりない。地元から要望があってもいまだに直そうとしない。あの有料道路と一号線との分離について、天龍川の先につけろということを私も言っておったけれども、この席で正確に、あの地元の要望である、道路構造が非常に不便である、磐田のバイパスはおりにくい、また標識が悪いという点について改善していただきたい。また、特に藤枝のバイパスなど地元にきらわれるのは、原付の自転車を乗っけないあるいは自転車の通行を禁止する、そんなことをするからよけい地元にきらわれる。なぜ乗せてあげようとしないのか、その点公団にお伺いしたいと思います。  以上の点で質問を終わりたいと思いますので、大臣と公団の答弁をよろしくお願いします。
  221. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 道路に対する問題でございまして大変恐縮いたしております。ただ問題は、道路整備の問題は全国的に見て整備率が非常に悪いわけであります。しかもそれに伴う財源は御案内のとおりであります。したがいまして、それでもなおかつバイパスができるところはよろしいところでございまして、できないところが多いわけでございます。その点の事情はよくわかっているだけに、御指摘をいただいてただ恐縮する以外何物も私にとって方途がないわけであります。ずいぶん私も、全国的に見て、場所によって高いところと低いところとあるということで一応ただしましたけれども、いろいろと算出方式がございまして、とにもかくにもやはり公共的、公的な問題でございますので、当事者といたしますればあえてそうした事情になっているのではなかろうかと思います。  なお、料金の問題、これからのバイパスのあり方、高速道路ということにつきましては、こういう事情のときでございますので、やはり一度全国的に精査する必要があるのじゃなかろうか。もちろん国の責任を回避するつもりはございません。そうした事情を勘案しながら対処してまいりたい、このように考えます。
  222. 持田三郎

    持田参考人 お答えいたします。  現在天龍川の橋の手前一・五キロと一キロのところに案内標識をセットしてございますが、ただいま先生の御指摘のとおり、非常に道路利用者の利便に事欠くというところがございますので、道路管理者といろいろ協議いたしまして早急に立てたいと考えております。よろしくお願いします。
  223. 薮仲義彦

    薮仲委員 バイパスの上の自転車は。
  224. 持田三郎

    持田参考人 自転車のことはちょっと私……。
  225. 薮仲義彦

    薮仲委員 このバイパスの問題は改めて大臣ととっくりじっくりと別な機会にやらさせていただきますので、きょうはこれで終わります。
  226. 中村靖

    中村(靖)委員長代理 林保夫君。
  227. 林保夫

    ○林(保)委員 きょうは建設行政基本施策国土行政基本施策についての問題でございますが、今日、建設行政の当面している問題というのは先ほど来いろいろと意見が出ましたように多過ぎるほど多いと思います。その中の一つは、過般、十月二十日の行革委員会大臣に御質問申し上げましたように、行革時代にどのように国土、社会資本の充実を図っていくかということが非常に大きな課題だろうと思います。と同時に、またきょうも出ておりますように、談合の問題その他いろいろとあってはならないことが出ております。その二つを計量いたしますと、まさにこれは転機じゃないか、このようにも私は思われてなりません。その間にあって、さきに申し上げました第一の使命をどのように達成していくかということ、まさに建設大臣のお力に期待せざるを得ないと思います。きょうも地元の問題にちょっと絡みますけれども、質問させていただきたいと思います。  こういう段階に立ちまして、建設省はたしか五つの五カ年計画を持っておると思いますが、大臣はこれからどのようにやっていかれる自信があるのか、まずその点だけ承って、個別の質問に入りたいと思います。
  228. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  林先生が常に公共事業を一つの柱として、日本の社会資本の充実について御理解をいただいておりますことに敬意を表する次第でございます。さきの御指摘にもございましたが、引き続いて公共事業に対する姿勢でございますが、それぞれの五カ年計画は、財政再建、ゼロシーリングというような厳しい状況ではありますけれども、いわゆる先進国の仲間入りをした日本として、諸外国に比べて社会資本の充実は、それぞれの五カ年計画に示すとおり、非常におくれておるところでございます。したがいまして、時限的な財政再建、五十九年まででございますが、それを踏まえて、何とか事業量の確保を図りながら、財政当局の理解を得て、前向きでこの問題については対処してまいりたい、またそのような所存で臨むつもりでおるところでございます。
  229. 林保夫

    ○林(保)委員 本四架橋公団の方来ていられますか。——御苦労さまでございます。  先に個別の問題から入らせていただきたいと思いますが、個別じゃございません、大変大きな、日本経済にとっても、特に四国地方にとってはいい影響をもたらすところの本四架橋のDルートの問題でございますが、臨調答申の中にも一ルート四橋だけは優先的にやる、こういうことでございますが、大臣、これは変わっておりませんね。
  230. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 変わっておりません。
  231. 林保夫

    ○林(保)委員 間違いなく大臣そうおっしゃいますので、私どもそう理解しておきます。  そこで、本委員会で私も一緒にこの夏実地を見てまいりました。大変地元の期待が大きいということもよくわかりましたし、また、尾之内総裁ほか職員の皆さんとも御一緒に歩きまして、金さえつけばこれは六十二年を待たずにやるし、やりたい、そのことが公団の使命である、これをかけずして何が私どもにあるのですかというような情熱も聞きましたが、そういうお考えでやっておられるかと思いますが、副総裁、いかがでございますか。
  232. 大富宏

    大富参考人 お答えいたします。  いまお述べになりましたとおり、大型プロジェクトが問題になりましたけれども、臨調でも現在着工しております一ルート四橋については大方の合意は得られております。私どもはいま児島−坂出ルート、いわゆるDルートについては六十二年ということを言っております。予算も順調にいただいておりますし、おかげさまで工事も順調に進んでおります。私どもは、国民の皆さんが期待しておりますように、六十二年達成を目指して今後ともがんばりたいと思います。
  233. 林保夫

    ○林(保)委員 実際に仕事をやるわけですから、そのためには地元もしっかりやらなければならぬのですが、とりあえず一つお聞きしたいのでございますが、五十七年度の概算要求、そのほかいまどういう段階になっておりますか、数字的にもちょっと御説明いただきたいと思います。
  234. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 お答えいたします。  本四連絡橋の児島−坂出ルートにつきましては、これは当面完成をする一つのルートでございます。したがって、これはいつまでもだらだらと工事するのではなく、所定の計画期間内に完全に仕上げて、早く供用を開始するということが採算上もいいわけでございまして、私どももそういう意味で計画的に進めてまいりたいと思いまして、来年度はこの児島−坂出ルートにつきましては七百九十二億余り、これは道路と鉄道を合計した額でございますが、約六割増しの要求をしておるところでございます。これによりまして計画どおり六十二年度に完成をさせてまいりたいと思っておりまして、これが認められました場合には、五十七年度に南北備讃瀬戸を初め岩黒島橋その他全面的に工事にかかる。また、陸上部につきましても、鷲羽山のトンネル工事を継続するというようなことに相なろうかと存じます。
  235. 林保夫

    ○林(保)委員 それで、具体的に来年度やる主な工事というのは大体どんなところになりますか。ひとつ稗田ルート、鉄道、橋、この三つについて御説明できる範囲でお願いしたいと思います。
  236. 大富宏

    大富参考人 お答えいたします。  ただいま道路局長からお答えになりましたとおり、五十七年度事業におきましては、私ども目下海上で盛んに工事を進めておりますところの南北備讃瀬戸大橋の上部、下部工事、それから下津井瀬戸大橋の玉部、下部工事、それから岩黒島の上部と下部工事、それから問題になっております鷲羽山のトンネル工事等を継続してやりますほか、櫃石の下部工事、それから与島の工事にも新規に着手する予定でございます。  さらに、お尋ねの本四備讃線につきましても、予讃線のつけかえ、それから岡山側では福南山のトンネル工事についても鋭意進めたいと思っております。
  237. 林保夫

    ○林(保)委員 大臣、六割増しの予算、大丈夫ですね。いかがでしょうか。
  238. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 一般会計が非常に抑えられている関係上、われわれといたしましては財投資金で最大限に努力して事業を促進したいと考えております。しかしながら、郵便貯金の伸びが非常に渋いということを聞いておりますから、この実現はなかなか困難だと思いますけれども、大臣を先頭に、全力を挙げて確保したいと思っております。
  239. 林保夫

    ○林(保)委員 ぜひそれを期待したいのです。  それから、私が先ほど申しましたように、やはりああいうものは両方やらぬといけませんね。  ここで印象深かったことがこの間大変たくさんあったのですけれども、一つだけ申し上げますと、坂出の市会議長さんでしたかね、人口が六万八千、七万五千の車が毎日入ってくる、反対もあったんだ、しかし起工式はきっちりやりました、表面だけでした、いまはもうそういうことはございません、そのかわり後はよろしく頼みます、こういうことでございましたが、そういう決意がわが岡山の方にもみなぎっております。つきましては、現在、公団が実際に仕事をおやりになられて、この点とこの点だけはひとつ協力してもらわなければできぬのだがと、こういうものがございましたら、ひとつ率直にお話しいただきたいと思います。     〔中村(靖)委員長代理退席、委員長着席〕
  240. 大富宏

    大富参考人 お答えいたします。  いま海上部は非常に気象条件にも恵まれまして順調に進んでいるわけでございますけれども、陸上部分につきましては何しろ用地買収で非常にむずかしい問題がございます。これにつきましても県御当局と市御当局の協力を得ながら大いに進めているところでございますが、お述べになりましたように若干問題なきにしもあらずでございまして、主な点だけを申し上げますと、稗田の地区、これは御案内のとおり、このDルートを始めるに当たりましては初めてというぐらいの大規模の環境影響調査をやったわけでございますが、これのアセスメントの際に地元で相当強い環境保全の要望が出まして、公団といたしましても約三年ほどかかりまして計画の見直しをやりました。これをこの五月に地元説明、発表いたしまして、現在、各部落に立ち入り調査の御了解を得るための地元説明会を行っております。一部もう御了承も得られまして立ち入りをやっているところもございますけれども、まだ若干問題が残っておりますので、鋭意地元の協力を得ながら進めてみたいと思います。それが第一点。  もう一つは、下津井大橋のアンカレジの部分の田之浦のところで、漁民の十七戸の集団移転の問題がございます。これは移転先を確保するのに非常に苦慮をいたしておりまして、現在県ともおいおい協議いたしておりますが、これも早く片づけまして所期の工事を進めたいと思っております。  その他若干でございますけれども、いずれにいたしましても用地買収というのはなかなかむずかしい問題でございますから、これは誠心誠意私ども地元とも協力しながらやって、片づけたいと思っております。
  241. 林保夫

    ○林(保)委員 時間がございませんので、またひとつそういう問題がありましたら、みんなでこれはやらなければできませんので、いろいろと問題提起いただきまして、実地に解決するようにひとつやりたいと思います。  先ほど御答弁のありましたように、郵貯の問題があるのだそうでございますけれども、それはそれとして、大変力強い御答弁をいただきまして、私は六十二年でなくて、総裁の言われるように一年でも早めるということで、もう橋はでき上がった、こう理解いたしまして、この質問は終わります。  なお問題は後背地の問題でございます。この点につきましては今年度の予算委員会の中で道路局長さんからも、東西南北の道路、しかもそれが大変おくれている、大臣もそのことをお聞きいただいておりますが、どうしてもこれをやりませんことには、今日渋滞しておるのがなお大変な状況になってしまうということ。これはどこの地域もやはり同じだろうと思いますけれども、何しろ道路の改良率がたしか全国四十六番目でございますか、そういうような状況。舗装率は中間くらいでございますけれども、なお、舗装の状況にしましても、よその県から目をつぶってタクシーに乗って入ってくると、岡山に入ったなという実態がわかるような状況だということでもございますし、交通罰則金は中国圏下随一、十四億円、十三億円、去年がたしか一月までで十億円も岡山県民は払っております。大変遵法精神が足りないのじゃないだろうかという反省もございますし、なお取り締まりが厳しいのじゃないだろうかという問題もございます。しかし、どうもとどのつまりはやはり道路が悪いからこういうことになるのだ、何しろ二十キロ、三十キロ制限でございますので。こういう関心がようやく高まっておるところに経費引き締めの行革でございます。公共投資は別だ、こういうことで大臣にもたびたびお願いもしているわけでございますが、これから、橋はかかったのでございますから、どうして山陰と四国とを結ぶかという問題、それから東西の道路をつなぐかという問題でございますが、この見通し、現況について、横断道からひとつ御説明をお願いしたいと思います。
  242. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 この本四の架橋ができました場合の、陸上の道路の問題のお尋ねでございますが、御承知のとおり、本四の児島−坂出ルートの岡山側につきましては、早島インターチェンジまで本州四国連絡橋の道路が延びてくるわけでございまして、山陽自動車道と早島においてインターチェンジで連結をする、こういうことになるわけでございます。山陽道の岡山−福山西間についてはすでに整備計画を出しておりますので、鋭意工事を進めております。岡山周辺におきましてまだ残念ながら立ち入りができないところがございますので、まだ六十二年の岡山地区の見通しはちょっと立っていないわけでございますけれども、西の方につきましては大体橋と一緒に完成が見込まれるわけでございます。  さらに、この中国横断道につきましては、それから北へ上りまして落合に至って中国縦貫道に達するわけでございますが、この区間は御承知のようにまだ基本計画の段階になっております。地方建設局におきましていろいろ整備計画に上げるための調査等はいたしておるわけでございますが、その辺まだ若干調整を要する問題もあるようでございます。  なお、横の、東西の方でございますが、この橋の完成とあわせまして国道二号線の岡山バイパスにつきましては所要の整備を終わる、それから山陽自動車道につきましては、まだ備前−岡山間が基本計画でございます。これもまた適当な時期に整備計画に格上げをしなければならぬということでございますが、これも同様に中国地方建設局におきましてそのための調査をいまやっておる、こういう段階でございます。
  243. 林保夫

    ○林(保)委員 さっきの横断道のところはちょっとひっかかったのですけれども、何か調整を要するというのはどんなところなのですか。調べなければならぬというような問題とか、あるいは地元がごねておるとか、そんな問題でもあるのでございましょうか。
  244. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 岡山地区におきまして若干用地の立ち入りの反対があるというように伺っておるわけでございますが、詳細につきましては公団の方からお答えをいただきたいと思います。
  245. 大城金夫

    大城参考人 お答えをいたします。  岡山市内につきましては環境問題を理由に山陽道の通過の反対がございまして、事業説明会を開くことができない、こういう地区がまだ三地区ばかりあります。そういうことでまだ余り動きを見せておりません。今後とも県、市初め関係機関の御協力を仰いで、私らといたしましては話し合いの場を設けるように全力を集中し、六十二年度本四供用と同時にやるように目下努力をしておる次第でございます。
  246. 林保夫

    ○林(保)委員 ありがとうございます。ぜひひとつ六十二年までにやっていただきたいのですが、その三地区というのはどこどこでございますか、ちょっと教えていただきたいのでございます。
  247. 大城金夫

    大城参考人 岡山市内の津高、一宮、高松、こういう三地区でございます。
  248. 林保夫

    ○林(保)委員 私もかねて聞いておったところでございまして、私も県民の一人といたしましてそれなりの対応をしたいと思うのですが、何かもう少し県民に、こういうことでやって、これがこういう経済効果があるのだという、まあ説明会ができないとどうせできませんですね。説明しようにも集まらなければできぬわけですが、どういう方法をそういう三地区についてはお考えになっておられるか、教えていただきたいと思います。
  249. 大城金夫

    大城参考人 お答えいたします。  県とか市にお願いいたしまして事業説明会を開いていただくように、そういうことで努力をお願いしているわけでございます。
  250. 林保夫

    ○林(保)委員 理事さん、いろいろとこれからやっていくに当たりまして、予算は大丈夫ですか。
  251. 大城金夫

    大城参考人 お答えいたします。  調査関係の予算につきましては、地元の受け入れ体制に応じて準備できるわけでございます。建設費につきましてはいろいろ厳しい時代でございまして、全国的な見地でいろいろ決められることと思います。
  252. 林保夫

    ○林(保)委員 これは建設省にお答えいただきたいと思うのですが、地元としては国土開発幹線自動車道建設審議会でございますから、あれを開いて早く基本計画を整備計画に上げてもらいたいということとか、いろいろ期待して、実はもう過ぎ去ったのでございますが、十月初旬ないし少なくとも十月いっぱいということで大変待っておった。それができないので、過般も朝食会で二日にわたって、横断道並びに山陽自動車道の建設期成会みたいなものがありまして、建設省の方にも御苦労願ったわけでございますが、これをいつごろどういうふうにしておやりになる御予定なのか、お聞かせいただきたいと思います。
  253. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 国土開発幹線自動車道建設審議会は、前回は昭和五十三年の十一月に開催をいたしておるわけでございます。その後もうすでに三年を経過をいたしたわけでございますので、高速道路の建設というのは非常に長期にわたるものでございますから、そういった長期的な視点に立ちまして計画的、継続的に整備を進めるという意味から、もうそろそろ次の幹線自動車道建設審議会を開いてもいい時期ではあるというふうに考えております。また、他事業との関連で整備計画を出す必要のある区間もございますので、大変厳しい情勢ではございますけれども、私ども何とかそういう長期的な視点に立ってこの審議会を開き、次の整備計画を決めていただくようにいたしたいと思いまして、ただいま非常に慎重にいろいろ検討を進めておる最中でございます。何分にも臨調の方で今後の高速道路の建設につきまして、採算性等を十分考えて厳しく見直せと、こういうことになっておる関係がございますので、その辺慎重に取り扱っております。
  254. 林保夫

    ○林(保)委員 公団からもお話がありましたように、六十二年度に間に合わせてくださるということで、私非常に感謝いたしております。ぜひそうしていただきたいと思います。  ついては、ここに地元からの具体的な要望が、建設省にも先般参ったと思いますが、出ておりますが、第一に中国横断道の整備計画路線への組み入れ、落合−岡山間、第二に山陽自動車道の整備計画路線への組み入れについてとございますが、いろいろと私なりに建設省の皆さんと接触して勉強させていただきますと、できれば十二月中、遅くとも一月中ごろにはこれをやって両方とも入れていただくというふうに理解しておりますが、それでよろしゅうございましょうか。
  255. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 ただいま申し上げましたように、審議会を開くべく最大の努力をしておるところでございますが、内容につきましては、今後の高速道路の建設につきましては、ただいま申し上げましたように利用交通量、採算性等の観点から厳しく見直すということになっておりまして、その辺の意味から、全国的にかなりしぼりまして、最も効果がある、あるいは最も必要だというものにしぼって整備計画を追加する必要があろうかと思います。その意味合いにおきまして、ただいま先生から二本の道路についてのお話がございましたが、いろいろ全国的に勘案をいたしますと、両方ともというのは若干無理があるのではないかという気が私はいたしておりますので、なお関係方面と十分協議をさしていただきたいというふうに思っております。
  256. 林保夫

    ○林(保)委員 大臣、そういうことでございます。どうしてもやっぱりやらなきゃいけませんし、どんなことがあっても、地元も協力する体制がやっとできたと言っては申しわけございませんけれども、できております。六十二年に橋がかかったときにああしておけばよかったということにならないように、ぜひひとつお願いしたいのでございますが、もう一つ大臣、間違いなくやりますということを、さっきちょっとお言葉の中に若干ということがあったのですが、大臣ぜひひとつお願いしたいと思いますが、御答弁をお願いしたいと思います。
  257. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 御熱心な御要望でございます。架橋の方は一応それなりの進め方をいたしておるわけでございますが、大きなプロジェクトでありますだけに、私たちはあくまでも背後地の道路がついてこそ初めて一体として有効な効果を上げ得るものと考えておりますので、何とか同時に関連道路も一体化して完成するような方向で進めさせていただきたいと思います。担当局長はやっぱり財政難の折、あるいは審議会の関係等々ありますので、多少はその点の含みを持たせたお答えがあったかと思いますが、これはもう林先生御同様、政治家としてこれだけ大きなプロジェクトを中国、四国関係の期待に沿うためには、投資額も大きいわけですから、それだけまた効果も期待できるわけでございますので、でき得れば関連道路もあわせて有効適切にでき上がることが望ましいことで、そういうような方向で努力してまいりたい、このように考えるところでございます。
  258. 林保夫

    ○林(保)委員 ありがとうございました。私もがんばりますので、ぜひ大臣はより一層ひとつ、局長は財政の面をよろしく、くれぐれもお願い申し上げたいと思います。県の要望は、ここでごらんのように、第一が横断道、第二が山陽道ということではっきりいたしておりますので、そういう視点も踏まえられましてぜひお願いしたいと思います。これを外しますともう一年延びるか二年延びるかわからないようなことになってしまったのでは、せっかく絵にかいたりっぱな、六十年に橋がかかるということもふいになってしまうような感じもいたしますので、ぜひ重ねてお願いしておきたいと思います。  続きまして、先般公共事業の予算で大臣に御質問申し上げたのでございますが、大蔵省から変な情報が流れてまいりまして、四ないし五%カットというようなことまで出ておって、大蔵大臣はそれを知らぬと言われたのでございますが、その後、大臣、そういうことは出ておりませんですね。もう一度ひとつ、御決意は聞いておりますけれども、五十七年度の公共事業確保について。  もう一つは、道路、住宅その他五つほど長期プロジェクトを持っておりますが、大体いまの行革国会を終わる段階でいけるのかどうか。建設省関係が全部合わせますとたしか百九十兆くらいになると思いましたですね。確保のめどはいかがでごりざいましょうか、承りたいと思います。
  259. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 お答えいたします。  四、五%カットということは、大蔵大臣の発言もありましたとおり、私も承知いたしておりません。ゼロシーリングでありますので、これはあくまで並行的な波であるように承知いたしておりますので、何とか引き続き事業量を確保して、五カ年計画が五本ございますが、その計画どおりの達成を考えながら努力してまいっているところでございます。もとより毎年フォローアップして多少の修正はいたすような経企庁関係、財政当局の考えもあるようでございますが、私たちはやっぱり計画実施庁として、五カ年計画は五カ年計画として何とか完成するような努力をすることが務めでございますので、そうした向きに向かって努めてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  260. 林保夫

    ○林(保)委員 これからの問題でございますので、ぜひがんばっていただきたいと思います。  続きましては、先ほど来いろいろと御意見が出ておりました不祥事件といいますか、談合を主とする問題でございますが、何と申していいのか、一口で言うと慣習化しているような状態があったという疑いがございます。税にそういうお話がこの席でも大分出ておりました。したがいまして、これは問題をしっかりと提起、把握するということも必要でございましょうし、なお、これから建設行政をどういうことでやっていくのか、制度あるいは方式、そのほかいろんな問題にかかわってまいろうかと思います。そういう視点につきまして承りたいのでございますが、まず昨日の建設業団体に対する建設大臣指示についてお伺いしたいと思います。これは稲田次官ですかね、御出席になられたときで、大臣は御不在だったように聞きますので、事務当局から、次官がこの御説明をされて業界からどういう話が出てきたのか、これを承りたいと思います。
  261. 吉田公二

    吉田(公)政府委員 昨十一日、主要な建設業団体代表者建設省に呼びまして、建設次官から、要約いたしますと、関係法令を遵守して、国民の信頼を失うことのないよう傘下企業等に徹底方を指示したところでございます。これに対しまして業界側の方は、建設大臣より関係法令を遵守し、いやしくも信頼を失うことのないように厳しい指示を受けたところでありますが、建設業者団体としても関係法令の遵守はもちろん、契約関係の改善、労働災害の防止、労働福祉の改善等、建設業の近代化、合理化に真摯に取り組み、業界の社会的地位の向上に努めてきたところであり、今回の立入検査など国民の疑惑を招く事態が生じたことはまことに遺憾である。業界団体としては直ちに傘下企業に大臣の御趣旨が徹底するよう、具体の措置をとることとするというような答えがございました。
  262. 林保夫

    ○林(保)委員 それだけでしょうか、会合の中では。と申しますのも、きょうここに新聞記事を持ってきておりますが、記者会見をやっておりますが、その後いろいろと国民の疑惑を招きまことに遺憾千万であるとか、直ちに具体的措置をとる、上部団体としてまことに申しわけないというお話がリーダーの方からあったやに出ております。と同時に、その後で談合は公然の秘密と言われているがという質問に対して、刑法や独禁法に触れるようなことはやっていないはずだと歯切れが悪いあれがあったとか、中には法に触れない限りはやっていいんだというような雰囲気が非常に強かったということを、間接的でございますが聞いておるのでございますが、本当に会議の中ではそのとおりでございましたでしょうか。
  263. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 いまのお話は、次官から業界に対して指示をしたときに出た話ではございません。その後で記者会見をやりまして、このときには業界代表次官と共同の記者会見をやったわけでございますが、そのときに記者クラブからの質問に答えましていろいろな意見が出たわけでございますけれども、談合がよろしいとか、いい談合があるとか悪い談合があるとかいうような話は出ておりませんでした、私はその場に立ち会っておりましたけれども。
  264. 林保夫

    ○林(保)委員 これは大臣にお聞きしたいのでございますが、大臣、この前行革の委員会で聞いて恐縮でございましたけれども、十月十六日でございますか、大臣が閣議後の記者会見で談合やむを得ぬ面もと発言されて後で取り消されたという記事でございます。そこで私真相をお聞きしましたら、大臣は、ここに議事録がございますが、「談合はいけません。従来から厳しくこの点につきましては指導いたしておるところでございます。ただ、先ほど公共事業につきまして御理解ある御質問がございましたけれども、あのとき公共事業はこういうような状況であるということ」、これまでは結構なのでございますが、その後でございます。「東北あるいは四国、九州のように非常に零細企業の方々が困っておるというような状況から、談合の起こり得るバックについて」、このときだと思いますけれども、一般的なお話をされたのでございますか、私それなりに理解いたしますけれども、この「談合の起こり得るバック」が東北あるいは四国、九州のように非常に零細企業のところにある、これは事務的にひとつ渡辺局長からでも、どういうバックがあるのか、大臣が言われる以上はそういうことは承知しておられると思いますので、お答えいただきたいと思うのです。
  265. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 こういう発言をするから誤解を受けるのです。わかりました。お答えいたします。  すでに記者クラブのときの発言については取り消してございますので、それにかかわることについては消しておりますので、答えることができないわけでありますが、その議事録を見ますと、バックのことについて話が若干つながっているように受け取れますが、前段の談合はあくまで法律で禁止されているわけでありますから常に厳しくしておるということと、それから公共事業関係のことがございましたので、公共事業の依存度の高いところで非常に倒産件数も多いというような意味合いを含めての発言がそんなような形になったのだと思います。あくまでも談合云々のことにつきましては取り消し、そのことに触れる限りは一切いけないことであるし許されないことであるというような考え方で、業界にも対処しているところでございまして、その発言についてのとられ方でございますが、もしそのようにとられるならば、それは明らかに私の考え方とは違っておるということを申し上げたいと思います。
  266. 林保夫

    ○林(保)委員 ですから私は、先ほど大臣のこの取り消された分はもう了承いたしまして、それで実はこういう質問をいたしました。しかしなお大臣がこういうふうに言われておるわけでございますから、そういう零細企業の方々が困っておる、確かにいまいろいろな面で不況でございますね。困っておるが、大臣の責任を問うているのじゃないのです。そういう状況があるなら、そういう状況を教えてもらわなければどうにもなりませんので、事務当局の方へどういうバックがあるのだ、こういう質問をしたわけでございます。いかがでしょう。
  267. 吉田公二

    吉田(公)政府委員 お答え申し上げます。  大臣の発言を私がそんたくするのは恐縮でございますけれども、わが国の地域の経済構造の中で、比較的県民所得が低いと申しますか、比較的開発のおくれている地域において建設事業、特に公共事業に依存している率の高いところが多いわけでございます。先ほど大臣申されました東北とか山陰とか四国とかいうようなところに、そうした建設産業に依存してかつ全体的に県民所得が低いところが多い。そういうところで建設業と申しますか、公共事業の需要なんかが低下してまいりますと、地域経済にも影響がきついし、そうしたところの公共事業に依存している建設関係産業の影響もきついのだというところの状況を、大臣が非常に心配されて言われたのではないかと存じます。
  268. 林保夫

    ○林(保)委員 そういうことでございましょうかね。「談合の起こり得るバック」と大臣言っておられますからね。私これを申し上げるのも、本当にしゃくし定規に、委員会で聞きますと、本会議でもそうですけれども、談合はいけません。きょうもそういうことで話しておりますね。しかしなお建設業の実態を踏まえたらということになると、何かこうきのうの記者会見でも新聞社の皆さん言っておりましたが、すっきりしない、やはりそういう体質があるのかなと疑われるような状況が出ているわけです。いじめて言っているのじゃないのです。私が申したいのは、そういう体質があるのに、これは私がやった問題ですが、この間なぜいままでそういう指導を明確に、通達でも出したかと聞きましたら、何もしていない。これでよかったのかということを私は聞きたいわけです。大臣の御在任中の問題じゃなくて前の問題かもしれません。この点どういう指導をされ、また、改めて通達なり何かをおやりになったかどうか。この点をはっきりひとつ事務当局からお聞きしたいと思います、事務的な問題でございますので。
  269. 吉田公二

    吉田(公)政府委員 建設業者建設業法はもとより、関係の法令、これはたとえば刑法でございますとか、安全衛生法でございますとか、独禁法でございますとか、いろいろな関係法令がございますが、こうした法令に抵触してはならないということは法律上明らかでございますので、関係法令を遵守して過ちなきを期するような指導機会あるごとにしてございますが、先般の御質問のときに、たとえばこういった談合の問題に対してそういうものはいかぬという指導をしたことがあるかという御指摘でございましたので、それはもう当然いけないことでございますので、そういったことを特に取り上げて指示あるいは通達をしたということはございません、関係法令違反するようなことのないようということを、機会あるごとに申しておるというふうに申し上げたわけでございます。
  270. 林保夫

    ○林(保)委員 これはまず聞きたいと思いますが、そういたしますと、きのうの警告大臣決裁をとられましたか。それからもう一つ、省議に諮られましたか。どういう会議の御決定でお出しになりましたか。
  271. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 決裁はいただいておりません。しかし、大臣のところで御相談をして文章をつくったものでございまして、その相談の席では次官並びに私、計画担当の計画局長で相談したものでございます。
  272. 林保夫

    ○林(保)委員 それでいいのでしょうか。法律はどういうものに準拠しておやりになられましたのでしょうか。
  273. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 これは、建設業法に基づく指示とか処分というようなものではございませんで、業界団体の長に協力を要請したものでございます。
  274. 林保夫

    ○林(保)委員 目くじら立てて言う必要もございませんけれども、本日の新聞によりますと、建設業法第二十八条によってということが明記されていると思います。読みます。「建設業界監督官庁である建設省は、建設業法二八条(建設大臣による指示及び営業停止)により、他の法律に触れたものは営業停止などの処分ができるとの規定に頼り、」というように、これの根拠になっているかどうかという点がちょっとあいまいですけれども、そういうことが書かれております。官房長、その関連はいかがですか。
  275. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 強いて申しますと、建設業法の四十一条に、建設大臣団体に対して指導ができる、こういうことがありますから、これに基づいたと言っても結構だと思います。
  276. 林保夫

    ○林(保)委員 それを出される場合には、大臣の決裁がなくて出せるのでしょうか。
  277. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 決裁というものは形式の問題でございまして、この問題は大臣指示に基づいて行ったものでございますから、決裁を得るまでもなく、大臣の御意思によって行ったものでございます。
  278. 林保夫

    ○林(保)委員 それは了といたしまして、いろいろと疑わしいような記事があって、私、新聞を疑っているわけではなく三説明の問題もあると思うのですね。建設業法によってやったんだとか、何か部内の不統一があるのではないかと思われましたので、省議で決定なさったのか、大臣決裁をとられたのかということで聞いたわけです。こだわるようですけれども、こういう問題はきっちりやっていただきませんと、後へ誤解を残すようなことがありますと、これはまた大変な問題になりまして、私も本会議で大きな声をしなければならぬというようなことになりかねませんので、こういうときでございますから、その辺をひとつきっちりやっていただきたい。  同時にまた、私はお願いしたいのでございますけれども、ここに、業界全体に不信感が向けられるということはまことに残念であるということで、建設業が大きくなり、基幹産業の一つになってようやっておる、こういうことが出ておりますが、この注意を喚起しております中で、建設業界姿勢監督官庁発注官庁としての責任などにつき疑義が数多く出されておる。  それで、ここに出ております「関係法令を遵守し」というのは、建設業の場合、どれとどれとどれがあるのか。頭だけ念のために伺いたい。
  279. 吉田公二

    吉田(公)政府委員 たとえば安全衛生法でございますとか、独占禁止法でございますとか、そうしたものが代表的なものでございます。
  280. 林保夫

    ○林(保)委員 それだけじゃないと思いますけれどもね。
  281. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 いま申し上げました安全衛生法、建設業法、独禁法、予決令、関係する法律はもっとあるかもしれません。私が承知しておる限りでは、直接的にはこの独禁法、建設業法、予決令、これが一番関係する法律、法令ではないかと思います。
  282. 林保夫

    ○林(保)委員 これもいじめようと思って言っているわけではないのです。建設的にこれからどのような制度あるいは方式があるかという問題に入っていこうといたしますと、それらを全部ひっくるめて検討した上で一般入札でいけるのか、指名競争入札でいけるのか、あるいは随意契約でいけるのかというものを出すために、これらを全部調べてみなければどうにもならないのではないでしょうか。逆に言うと、いまのやり方がいいのなら、関係法令の改正を国会にでも出さぬ限りは建設業界はとまってしまいますね。逆に言うと、国の仕事、民間の仕事もとまってしまうということになると思うのです。  つきましては、こういう事態に対処されまして、先ほど来御答弁がございましたが、建設省としてはこの警告を出す一方で、入札制度そのほかどの点どの点について、いま問題点をまだお出しになっておる段階かもしれませんね。あるいは出しておられないかもしれませんが、これから検討していかれようとしておるのか、その辺をひとつ事務的にお話しいただけたらと思います。
  283. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 まずこういう事態がどう起こったかということを考えてみますると、制度の問題よりは、むしろ業界のモラルの問題にあるとわれわれは考えているわけでございます。したがいまして、昨日、大臣の命令によりそのような措置をとったのでございますけれども、けさからもいろいろ御質問のありますように、競争入札のあり方あるいは予定価格の決め方その他、今後検討すべき問題はいろいろあると考えておりますので、これらにつきましては今後とも十分検討を進めてまいりたいと考えております。
  284. 林保夫

    ○林(保)委員 それで、いろいろあると思うのですが、ぜひそういう形で御研さんの上、結論を早く出していただきたいことを期待いたすのでございますが、まず何よりも、新規参入を抑えるわけではございませんけれども、業者が多いという問題が一つあると思いますが、これについて事務当局の御判断はどのようになっておるのでしょうか。余り出し過ぎて認可し過ぎたという問題なのか、それとももっともっと欲しいということなんでしょうか、お答えいただきたい。
  285. 吉田公二

    吉田(公)政府委員 建設業者の数は、現在概数は四十九万程度ございます。これは十年前の四十五年ごろに比較いたしますと、三倍近くなっているほど数としてはふえております。これは高度経済成長期におきまして建設業全体として伸びてきたということはあるわけでございますが、現在のように建設業全体のキャパシティーがそう伸びないという時期になりまして、同じようなスピードでふえることはどうかというような感じはいたすわけでございますが、ここ数年はそのふえ方はかなり鈍化しております。
  286. 林保夫

    ○林(保)委員 それで、勉強のためにひとつ資料がなければ資料要求でもいいのですが、四十九万のこの業者の方々が、平均してどのくらいの仕事を年間量として持っておられるのでしょうか。
  287. 吉田公二

    吉田(公)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、建設業者の数が約四十九万と申し上げましたが、これに対しまして、建設業の建設投資額でございますが、大体五十五年で約五十兆でございます。五十兆で五十万でございますから、五十兆を五十万で割りますと、平均いたしますと一億ということになります。
  288. 林保夫

    ○林(保)委員 またこの辺、分析させていただきたいと思います。  これと関連して承りたいのですが、この間、これは丸山官房長の御発言だと思いますが、利益率についてのお話がございました。私は、あれは率直に申し上げて、税引き前でしたか、三%、それから税金が取られるんだ、一般業種に対してはちょっと低いと思ったのですが、建設業の工事の規模が大きいことからすると大きいのかなということでございますが、この辺の関係につきまして御説明をいただきたいと思います。
  289. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 先般御答弁申し上げましたように、建設省の公共土木請負工事費の積算基準におきましては、利益率は、予定価格の中で税引き前で三%程度と決めております。これは、去る四十八年に実態調査をいたしまして、その結果に基づきまして、学識経験者等から成ります土木工事積算研究委員会というものを設けまして、そこで十分検討した上で、この程度がよろしいのではないか、こういうことで決めたものでございます。いま先生のお話では低過ぎるのではないか、こういうお話でございますが、これは完工高に対する利益率でございますから、資本金に対する利益率ではございませんから、この程度が適切ではないかと私どもは考えております。
  290. 林保夫

    ○林(保)委員 官房長、しつこいようですけれども、いまそれを見直したりなんかするようなあれはございませんのですか。
  291. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 時代の変遷に伴いまして見直していく必要があると存じます。たとえばいままでは高度成長でございまして、非常に大きな事業をこなして、それから薄利でも成り立っていく、こういう時代であったわけでございますが、公共事業費が余り伸びない、あるいは一般の民間工事も伸びないということになりますと、この利益率はある程度上げてやらなければならないとも考えられますが、国の方も非常に財政難でございまして、なかなかこれを見直すということはむずかしいんではないかと考えております。むしろ業界の企業努力によりまして利益を上げていただきたいと考える次第でございます。
  292. 林保夫

    ○林(保)委員 そのとおりだと思います。それと同時にまた、これらがバックグラウンドと言えば、そういうもののファクターのABCDの何番目かのあれになるかと思いますので、やはりそういう不祥事件の起こらないような背景だけは建設行政の中でちゃんととっていくというのは当然だと思います。とる一方で、またきっちりとこういうことをやってはいかぬのだ、こういう法律があるのだというぐらいはメニューをそろえておいていただきたい、このようにも特にお順いしたいと思います。  最後に、さっき姿勢と言われました。どの点が事務当局は姿勢が悪い、よそに比べてどうなんだ、こういう点なんだと御認識になっておるか、その認識の問題をお伺いしたいと思います。
  293. 吉田公二

    吉田(公)政府委員 相次いでこういう指摘を受けるというような業態にあるということは、とりもなおさずそういったものを反映しているということでございまして、もう少ししっかりと、しゃんとしてもらいたいということを申したわけでございます。
  294. 林保夫

    ○林(保)委員 まさにそのとおりだと思います。  そこで大臣、最後でもう時間がございませんのですが、一言だけ承りたいのです。  これから御留任になって、あるいは今度かわられましても、継続性のある問題でございますのでお答えいただきたいのであります。ぜひ御留任になっていただいて、こういう気持ちでも御質問するのですけれども、どういう行政指導、さらにはまた、個別の指導建設省として強めていかれるのか、その方向だけでもきょうお話しいただいておきたいと思います。
  295. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 いろいろと御指摘をいただいたわけであります。当初から遺憾に思い、この事態を大変心配いたしておるわけでございます。従来から厳しい姿勢をまさに要求し、厳正な監督、対処をしてまいったつもりでございますが、なおこうした事態が起きたわけで、加えて現実に即して一々いままでは個々に対応してまいりました。しかし、業界全体の代表を呼んで、大臣指示でこうした改革についての意識づくりをやったのは初めてでございます。それだけに、業界の受けとめ方もふだんと違った対応があったやに聞いております。私みずからお会いしてやる予定ではございましたが、参議院の方へ審議で呼ばれまして、時間をいただけなく、やむを得ず次官が会ったわけでございます。それだけに、これだけ初めての大臣指示で、通達以上の口頭でやったということについて、業界も恐らく厳しく受けとめていられると思います。法治国家でございます。法律がございます。これを守るのが国民の義務でございますし、ましてや公共事業に携わる業界というものは、それだけに公金を使う事業でございますので、みずからもってえりを正さなければならない。人に言われるまでもなく、建設業界もそれなりに、国家的にも国民的にも国際的にも社会性を持っておるわけでございますので、今後とも過ちなきように厳しい監督、指導をいたし、また、業界みずからもえりを正してやってまいるような形で進めてまいる所存でございます。
  296. 林保夫

    ○林(保)委員 以上で終わります。
  297. 稲村利幸

  298. 中島武敏

    中島(武)委員 建設省は、きのう、建設業界の七団体代表を呼んで、談合問題で異例の警告をしたといいますけれども、建設省としての警告の中身はどんなものでしたか、また、業界代表の態度、対応はどうだったか、建設大臣、これをまず伺いたい。
  299. 丸山良仁

    ○丸山政府委員 計画局長の所管でございますが、局長、きのう国会に呼ばれておりまして、私が立ち会いましたから、私から答弁さしていただきます。  まず、業界に対します指示は、大臣の命によりましてこのようなことを申し上げるということで申したわけでありますが、九月の二十八、九日の静岡県建設業協会に対する公取の立ち入りその他、いろいろの事件が発生しているのはまことに遺憾である。さらに、国会でもいろいろとこの問題が御議論をいただいていることも皆さん方御承知のとおりである。建設業界は、いまやわが国の非常に重要な産業となっておるのにもかかわらず、このような不信を受けることはまことに残念である。どうぞ皆さん方におかれては、傘下の企業にこういうことを今後絶対しないようにしてもらいたい、こういう要望をいたしたわけでございます。  これに対しまして、業界代表方々からは、私ども団体といたしましては、いままでも関係法令の遵守につきましてはいろいろと努力してきたところでありますが、このような事態の生じたことはまことに遺憾に存じます、今後この指示に従いまして傘下企業に具体的に早急に措置をとるようにいたします、こういうことでございました。
  300. 中島武敏

    中島(武)委員 いま中小企業の倒産がどしどしふえております。非常に、いま深刻な問題になってきている。こういうときに、いまも呼びつけて厳重に注意をしなければならないというような事態が起きて、公取から手入れもされているということであります。ですから、事は二重に深刻であります。談合が体質化している業界の体質というのは、言うまでもなく厳重に正されなければならぬわけです。特に問題なのは大手建設業における談合入札の問題であります。  そこで大臣伺いたいのですが、国や公団の工事で大手業界が談合入札をしているということはないかどうか、大臣はどう考えておられるか、伺います。
  301. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 ないと信じております。
  302. 中島武敏

    中島(武)委員 大臣はないと信じているという答弁でした。しかし、私はここに具体的な事実を持っております。本四架橋の建設工事に絡んで談合入札をしていた疑いが非常に強いのであります。ちょっと資料を……。  私がいま大臣にお渡しいたしましたのは、二つありまして、一つはB社と仮に呼んでおきます。B社の社内営業担当部長会議の資料であります。それから、裏に地図がついているのはA社が作成した本四ルート図であります。それで、これが作成されましたのは一九七三年の十月なんです。この時期はどういう時期かというと、工事発注はおろか、まだ本四公団で指名業者の選定作業が完了していない、こういう時期のものであります。  これで見ますと、神戸−鳴門ルートの大鳴門橋、これの鳴門側はどこが工事を受けるか。西松、青木、東洋ジョイントベンチャー、それから淡路側は熊谷、飛島、若築ジョイントベンチャー、こうなっておるわけであります。  大臣伺いますが、これが実際に落札をした業者はどこですか。
  303. 渡辺修自

    渡辺(修)政府委員 お答えいたします。  先日先生の方からおただしがございまして、本四公団で従来契約をしました内容を資料として差し上げておりますが、これによりますと、大鳴門の橋梁につきましては、鳴門側が西松、青木、東洋建設のジョイントベンチャーが落札をしております。それから淡路側につきましては熊谷組、飛島建設、若築建設ジョイントベンチャーが落札をいたしております。
  304. 中島武敏

    中島(武)委員 ここには大鳴門橋だけじゃない、児島−坂出ルートについても書かれている。北備讃瀬戸大橋、これは大成、大林、前田、東亜ジョイントベンチャー。それから南備讃瀬戸大橋。それから尾道−今治ルートの因島大橋は清水、フジタ、銭高。これはいまそちらから答弁があったように、まだ指名業者の選定も完了していないという時期のものなんです。実際にこれの受注が決まったのはそれからはるかに後の一九七六年六月以降のことである。つまりこれはどういうことか。これは本四公団がまだ何も決めていない、その時期にもうすでに決まってしまっている。そして実際に入札がやられてみたらこのとおりに出てくる。これはこういう中身のものなんです。しかもこの本四架橋ルート図、ここにも一目瞭然わかりやすいように全部これは記されている。  大臣、さっき国や公団関係ではそういうことはないと信じているという答弁をされたけれども、これは黙っておけますか。一体大臣はこれについてどうされるか。いまそちらから答弁があったように事前の談合がやられて、そしてそのとおりになっている。これは少なくとも早速調べてみる必要はあると思うが、どうですか、大臣
  305. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 ただいま資料をいただいて、いまこれを拝見いたしておるところでございます。私は、この種大きな事業につきましては、技術的にも工法的にもあるいは実力的にもいろいろな面で大変な事業でありますだけに、そういう疑惑を受けるような形で工事の入札等々が行われたというようには信じたくはないわけでございます。いまお示しいただいたばかりでございますので、関係者に一応調査をさせてみたいと思います。
  306. 中島武敏

    中島(武)委員 調査を早速やってみてください。どうも大臣は歯切れが悪いね。重大な問題だ、すぐ調査すると、こうこなくちゃうそだと思う。でも調査をすると言っているのですからきちんと調査をしてもらいたい。  それから、重ねて言いますが、実はいまお話をしました本四架橋の建設工事で落札した建設会社、これは鹿島建設とか大成建設、清水、大林、熊谷、前田建設工業、いろいろ大企業ですけれども、実はこれが多額に自民党などに政治献金を行っています。たとえば本四架橋三ルートのうちの神戸−鳴門間、これはさっき言いましたように、熊谷組とか飛島建設が落札しているわけですけれども、熊谷組は五十一年から五十四年までで総額一億一千百四十万円の献金を行っている。あるいはまた、児島−坂出間のルートに落札した鹿島建設は、五十一年から五十四年に一億四千七百十五万円の献金を行っている。大成建設は一億八千二百九十二万円の献金を行っている。大林組は一億五千二百七十二万円、いろいろとこういうふうにやられているわけであります。さっきの大臣の答弁といいますか、そちらからお話があったのですけれども、厳重に注意をするということがやられているのですけれども、どうでしょうか。こういうような政治献金を自民党がもらっていて、そうして厳重に注意するということを言っても本当に正されるかどうかという問題であります。私はその点についてもう一度大臣の見解を聞きたいと思うのです。
  307. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 政治資金は政治資金規正法の所要の手続をもって法的にやっておる問題でございますので、これは別にとやかく言及する問題ではなかろう、かように考えているところでございます。  なお、そのことと業界のモラルといいますか、法令を遵守する、あるいは厳しい態度で臨むということは別問題でございまして、先ほど来申し上げましたように、国民的信頼を受けるような形で業界が従来も真摯にやってきておるものと信じますし、また、これからもそういう方向で進んでいくであろうことを期待して監督、また業界代表を呼んでお話を申し上げたわけでございまして、これだけの大きな日本の発展の支えとなった業界のそういう面につきましても、あわせて御理解をいただきたいと思います。
  308. 中島武敏

    中島(武)委員 多額の政治献金を受け取っておって、厳重注意も生きないのです。いま問題になっている行政改革の最大の問題は何か。やはり財界や業界や官界が醜く結びついているというこの事実をただして、清潔な政治を確立するということこそが国民が望んでいることだと思うのであります。そしてそういう点から言えば、企業や団体からは政治献金は一切もらわない、こういうふうにならなければならないのじゃないかということを私は強く指摘をしまして、次の質問に入ります。  次は、空き家家買値上げ問題です。  今回の空き家家賃の値上げ申請がされましたのは十月二十一日、承認が十月三十日、この間九日間で、異常なスピード承認であります。四十一年の空き家家賃値上げは、申請が四月十四日、承認が五月三十一日、この間一カ月半あります。五十一年の空き家家賃の値上げは、申請が一月十四日で承認が四月十六日、この間三カ月あります。その上今回の場合、居住者つまりその代表であるところの全国公団自治協にも相談をしない。国会でも意見を聞くというような余地もなく承認を与えておられる。私は、これはこの種のことを決めていく上で、居住者や国会を無視しているものではないかと考えますけれども、大臣はどうお考えですか。
  309. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 家賃の改定につきましては、あくまでも国民的視野に立って、不均衡にならないという基本的考え方で臨んでおるところでございます。特に私たちの預かっておる公的資金による家賃等につきましては、目的が低廉で良質のということがございますが、長期間にわたりますとどうしてもアンバランスになってまいっております。したがいまして、過去もそうした状況を踏まえて是正を図るために改定をやっておるわけでありまして、この種の問題を一々国会で御審議することの是非を考えますと、そこまでしなくても、やはり所管省であるわれわれを信じていただいて、私たちは国民的環境の中からこうした問題に取り組んでおるわけでございまして、そういうようなことで進めておるところでございます。五十一年度に見直しを行って今回ということになりましょうか。社会の推移から見て時宜を得ている、私はこのように考えているところでございます。
  310. 中島武敏

    中島(武)委員 国会なんかで審議しなくてもよろしい。端的に言えばこういう答弁、私はずいぶんいただけない答弁だと思う。公団空き家家賃の値上げ、これは国民生活に重大な影響を与える。言うまでもないのです。だからこそこの種のことは国会で本当に審議するべきなんじゃないですか。四十一年の空き家家賃改定、値上げ、このときにもこの点は問題になったのです。当時建設大臣は瀬戸山建設大臣であります。この問題に関してどう答弁しておるか。「法律によって行政機関にまかされておる」と言いながらも、「もちろん国会でいろいろ意見を聞くということは、私は非常に好ましいことであると考えます」、そういうふうにはっきり国会意見を聞くことの重要性を認めておるわけであります。また、五十三年に公団家賃の一斉値上げが行われた。このときに参議院建設委員会で、委員長から建設大臣に対して七項目の要望がなされました。大臣も御存じだと思うのです。その第七項には、「日本住宅公団は入居者の意向を聞くなど、民主的な配慮をすべきである。」と書いてあるわけであります。これを受けた当時の櫻内建設大臣は、「御要望の趣旨を十分尊重しつつ最終的な判断を行いたいと考えております。」と、非常に明瞭に答えておるわけです。私は大臣の答弁を聞いていて、こういう答弁からしても残念ながら今回は後退したんじゃないかという気がしてならぬわけであります。再答弁を求めます。
  311. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 国会審議しなくともいいということを申し上げたわけではなく、現在御批判をいただいておるわけでございまして、それで御理解をいただけるのじゃなかろうかと思います。この種空き家家賃関係につきましては、申込者の方々の様子を拝見しても住民の方々の御理解ある納得を得られておるものと思いますし、さらに整備公団法施行規則第五条に基づいて承認した、そうした手続上の問題もわきまえながらやってまいっておると確信いたしておるわけでございまして、その点につきましてはぜひ御理解をいただきたいと思いますし、こうしたことを是正しながら、さらに住宅対策を進めていくという大きな基礎にもなるということに思いをいたして、御理解をいただきたいと思います。
  312. 中島武敏

    中島(武)委員 はなはだ残念であります。私は、こういう問題というのは、繰り返して言いますけれども、国会で十分議論して、これは妥当なのかどうなのかというようなことがやられて初めて、値上げが仮にやられる場合でも国民的な納得を得ることができるんじゃないかということですね。このことを私、重ねて言いたいと思うのです。  それで引き続いて、もうすでにこの空き家家賃の承認を与えられているわけですが、これはちょっと公団総裁の方に伺いたい。この文書ですね、つまり承認申請を十月二十一日付でやられた文書。これによると、「家賃の変更を行いたいので、住宅都市整備公団法施行規則第五条の規定に基づき、承認を申請する。なお、今後、「家賃については、原則として、三年毎に見直すこととし、家賃の適正化の徹底を図ることとする。」こうあるわけです。それで、私が聞いただけじゃないんですが、公団の方で公団自治協に説明された説明の仕方などにも端的にあらわれているわけですが、この「今後、空家家賃については、原則として、三年毎に見直すこととし、家賃の適正化の徹底を図ることとする。」つまり空き家家賃については、これからはこの文言を含めて建設大臣の承認を得たものだから、三年ごとに見直しを行うが、そのときには承認申請をしなくてよろしいんだ、公団が独自に値上げをやっていくことができるんだ、こういうふうに言っておられますけれども、公団の解釈はそういう解釈なんですか。
  313. 志村清一

    志村参考人 私、自治協にどのような説明をしたかつまびらかにしておりませんが、私が考えておりますことを申し上げます。  原則として三年ごとに見直すということにつきましては、申請事項には含まれてないのではないかというふうな御指摘だと存じますが、公団としては今後三年ごとに見直しを行い、家賃の適正化に努めたいと考えております。しかし今後の問題として、その都度監督官庁である建設省のチェックも必要かと思われますので、三年後には新たな申請をすることにより、より客観的妥当性を図ってまいりたい、かように考えております。
  314. 中島武敏

    中島(武)委員 いま総裁のお話では、三年ごとに見直しを行う、そしてまた、そのときには申請をして承認を得る、そういうことだというお答えですね。ところがいまも言いましたんですけれども、公団自治協の代表に対してもそうじゃないということを言っておられる。それから私も直接そういうふうに聞いていたんです。それで、これはずいぶんおかしな文書だ、承認申請したのは一体何を承認申請したのか、このなお書きで書いてあるものまで承認申請の中に入っておらぬじゃないか、おかしな解釈してくれちゃ困るということを私は言っておったわけであります。いま公団総裁の解釈を聞きますと、そうじゃないんだ、こう言うんだけれども、一体いつから変わったのかな。これはまことにわかりにくい話なんです。解釈はいつから変わったんですか。
  315. 志村清一

    志村参考人 私が公団の責任者でございまして、私の言うとおりでございます。
  316. 中島武敏

    中島(武)委員 建設省の方は、建設省にも伺ったら、実は三年後見直し、そのときにはもう申請をしなくてもよろしいんだという解釈をとっておられた。建設省はいまはどういう解釈をとっておられるのですか。これもはっきりさせてもらいたい。
  317. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいまの御質問の件につきましては、なお書き以下につきましては公団の今後の方針の一つのあらわれを出したものというふうに理解しておりますが、現実の申請の内容につきましては、これは含まれていないものと考えております。
  318. 中島武敏

    中島(武)委員 いま言われているのはそうなんだということはわかります。わかりますが、最初の解釈と、いま変えられましたね。ちょっとはっきりしてもらいたいのです。こういうのはみんなに流布されているんですよ。流布されているだけじゃない。直接そういうふうに、いや、もう三年後は見直しをやらなくてもいいんだ、包括的承認を与えたんだ、こういうふうに私らは説明を聞いているんです。ところが、いま聞いてみるとそうじゃないと言う。私は解釈を変えるべきだと思うのです、私の主張は。そうなんだけれども、これは言うことが何やらはっきりせぬのだ。これは委員会ですから、委員会で言っておられるのですから間違いないということはわかるんですけれども、一体どこで変えられたのか、どうもすっきりせぬ。
  319. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 事務当局の関係者が、十分な意思疎通あるいは意思の徹底が行われていなかったといったような点があったかと思いますが、私どもの解釈といたしましてはいま申しましたような解釈でありますし、また、公団の方でも統一された同様の見解を持っておられます。
  320. 中島武敏

    中島(武)委員 公団総裁並びに住宅局長の解釈が公認の解釈であるということを確認をして次の問題に行きます。  今度の値上げは、改定家賃の算定方法として公営限度額方式を採用しておられる。償却費から始まって引当金に至るまで七項目にわたってそれぞれ計算して家賃を算出することになっております。それで、修繕費や管理事務費等が物価の値上がりとか人件費の値上がりによって当初見込みより高くなるというのは理解できないことではないのです。しかし、償却費だとか地代相当額が変動するとは考えられないのです。ところが、この部分も値上がりするものと計算されているわけですね。これは考え方としてどうなんですか。私どもは非常に納得しにくい考えなわけです。実際には値上がりなどとはかかわりのないものが値上がりしたものと計算されていく、そして値上げ幅は大きくなるというこのやり方は正しくないのじゃないかと考えるのですけれども、これは申請している総裁はどうですか。
  321. 志村清一

    志村参考人 先生にもお届けしてございます省令の第五条に、公団家賃の変更について、経済事情の変動、家賃の不均衡あるいは改良というようなことがあった場合には増額の申請ができるということになっております。その省令の規定に沿いましてお願いをいたしたわけでございます。
  322. 中島武敏

    中島(武)委員 省令の規定に沿ってやっておられることはわかるのです。私はそのことを問題にしているんじゃないんだ。そうじゃなくて、償却費というのは当初住宅をつくったときにもうすでに七十年償却でやっていくということは決まっているものでしょう。それから地代相当額についても、土地を買って、そのときにもう決まってしまっているものじゃありませんか。実はこれは動かない部分なんですね。変動しない部分。ところが、その省令にはそういうふうに書いてあるから、動かない部分だけれども、値上がりにも別に関係ないのだけれども、その分もこういうふうに計算するということにすぎないわけでしょう。その点は実はこの値上げ幅を大変大きくしていく根拠になっているんじゃないですか。これは正しいと思うかと私聞いているのです。
  323. 志村清一

    志村参考人 空き家家賃の改定は、先ほども御説明しましたように、建設年度の古い住宅と最近建設された住宅家賃相互間の不均衡是正というのも一つの目的でございますから、私は正しいと思っております。
  324. 中島武敏

    中島(武)委員 不均衡是正という観点からいって正しいというのであって、このやり方が現実に即したものであるかないかという点については答弁を避けていらっしゃる。私はそういう点からいってこれは実態を踏まえてないものだということを指摘して、次のことを伺いたい。  それは今度値上げしたこれの使い道、使途ですね、この点について伺いたいのです。この申請書によりますと、空き家補修のための修繕費等維持管理費と、それから家賃抑制に要する費用に充てるということが書かれております。家賃抑制に今年度は一体幾ら充てるのか、また平年度は幾ら充てるのか、これについて伺いたい。
  325. 志村清一

    志村参考人 お尋ねではなかったかもしれませんが、皆さんにちょっと御説明したいと思います。  今回の値上げ対象になる住宅の平均家賃といいますと二万九百円でございます。最近できます公営住宅、三分の二あるいは二分の一国から補助金をいただいている住宅でも三万くらい、あるいは場合によっては四万ということでございます。それを九千三百円上げまして、平均でございますけれども三万二百円にする、そういうことでございますので、一応御説明させていただきます。  なお、どういうふうな使途かということにつきましては、担当理事から説明させます。
  326. 武田晋治

    武田参考人 お答えいたします。  空き家家賃の改定に伴います増収額とかあるいは使途の関係でございますが、先生お尋ねの五十五年度につきましての内訳につきましては、修繕等維持経費関係に百三億円……
  327. 中島武敏

    中島(武)委員 五十五年度を聞いたのじゃないのです。これからのことを私聞いている。今年度と来年以降の平年度ですね、それをお尋ねしたのです。
  328. 武田晋治

    武田参考人 今年度は空き家家賃の対象になります戸数から計算いたしまして約九千万程度になります。それから五十七年度につきましては二十一億程度が増収になると考えております。  家賃の抑制については、五十五年度につきましてはございますが、五十六年度以降につきましては現在のところまだ計算をいたしておりませんので、ちょっとここではお答えできない状況でございます。
  329. 中島武敏

    中島(武)委員 計算してない、答えられないというのはおかしい。だって家賃抑制のためにも今度値上げしたのでしょう。それで今年度の分をどうするかも考えてない、来年どうするかも考えてないわけですか。補修だとか維持管理費に幾ら回すのだ、家賃抑制には幾ら回すのだ、こんなことは何も決めてないのですか。何も考えないで今度値上げ申請したのですか。何のために値上げ申請したのだか、私はあなた方の値上げ申請について認めているものではないが、ちょっとばかりふまじめじゃないでしょうか。きちんと答えてもらいたいのです。
  330. 志村清一

    志村参考人 何遍も申し上げて恐縮でございますが、空き家家賃の改定は住宅家賃相互間の不均衡是正をして、最近できます賃貸住宅、昨年で五万五百円でございます、片方が二万くらい、こういう不均衡を合理的な線で是正していきたいということでございまして、それが目的でございます。
  331. 中島武敏

    中島(武)委員 そんなことは聞いてない。聞いたことに答えてもらいたい。目的はそういうことの目的に値上げをした、したがってここに承認申請をしているところの使い道、これについてはどういうことを予定しているか、これは全くまだ決めてないということですね。先ほどの答弁はそういうことでしたね。
  332. 武田晋治

    武田参考人 先ほど答弁が足りなくて申しわけございません。確定した額までは計算をいたしておりませんが、主といたしまして維持修繕費等に中心的に使用していきたいと考えております。
  333. 中島武敏

    中島(武)委員 じゃあ過去のことについて聞きます。四十一年の空き家家賃の値上げのときに、瀬戸山建設大臣は、家賃の抑制に八割、それから修繕費などに二割、こういうふうに答弁しておられる。実際には一体家賃の抑制には何%くらい充てたのか、これをお尋ねしたい。
  334. 武田晋治

    武田参考人 お答えいたします。  四十一年からの空き家増収額に対応いたしますところの使途といたしまして、修繕等維持管理費等に六百二十億程度使っております。その修繕等維持管理費の中には、住宅改良費と申しまして、汚水処理施設とかあるいはUHFの受信設備等の改良あるいはまた特定防火対象物の改良整備というようなことで、いわゆる改良面に関します前向きな修繕費でございますか、そういうものに使っております。それから家賃の抑制ということで百九億円を使用いたしておりまして、約一六%がそれに該当するかと思います。
  335. 中島武敏

    中島(武)委員 四十一年当時瀬戸山建設大臣が八割充てたい、こういうふうに言ったものが、現実には一割六分という結果が出ているということですね。それで四十一年から五十五年まで、はっきりしているのは五十五年までですから、五十五までの増収額、それから修理などの維持管理費、それから家賃抑制、これを各年ごと、歴年に明らかにしてもらいたいというのが私の要求なんだけれども、これは資料が出せないというふうに言っておられるけれども、いまもその態度は変わりませんか、出せるのだったら出してください。
  336. 武田晋治

    武田参考人 後日早い機会に出させていただきたいと思います。
  337. 中島武敏

    中島(武)委員 私は公団の方からもらった不完全な資料で、なかなか出せないというものですから、ちょっと試算したのです。四十一年から五十五年、管理開始戸数が各年どういうふうになっているかということがこの資料からわかります。それで五十五年に管理開始住宅が一万二千戸あるうち、家賃抑制を行っていない戸数は二千戸だ、つまり一万戸に家賃抑制のためのお金をを回している、こういうのです。そして大変荒っぽいことなんですけれども、この点で各年ごとに同じ率で家賃抑制に回されていると仮定をして計算しますと、それは二百四十円ぐらいなんです。月、戸当たり二百四十円ぐらいにしかならないのです。これは実際に家賃抑制という効果を果たしているものだろうかという疑問が出てくるわけであります。その点で、後日資料を出すという話だからいまは無理ですけれども、これは私の乱暴な計算ですよ、違いがあると思うのです。あると思うのですけれども、出された資料をもとにして忠実にやってみると二百四十円という数字が出てくるのです。大体当たっていますか。
  338. 武田晋治

    武田参考人 お答えいたします。  先生のお話のように、実は四十一年ごろから家賃抑制のために年次ごとに使用されていることは事実でございます。しかしながら、家賃抑制に使われてまいります対象の住宅等につきましては、いろいろ年次ごとに事情が実は変わっておりまして、一戸当たり平均が先生のいまのお話にございましたようなことで、正確な数字であるかどうかということにつきましては、現在ちょっと答弁を省かせていただきたいというように思います。
  339. 中島武敏

    中島(武)委員 では、正確な資料をできるだけ早く出してください。ですから、二百四十円というのは確認できないわけですけれども、先ほど言ったように、八割を家賃抑制に回すという話が実は一六%だった、こういうふうになっているのですね。この点ではやはり抑制の効果を事実上ほとんど上げているとはいえない。まして、これから入る人が将来の団地の建設のためにお金を出す、これは全く筋も何も通らない話だと私は思うのですね。だから、こういう値上げの仕方というのは改めなきゃいけないんじゃないかということを私は指摘したい。  もう一つ聞くのですけれども、今度は維持管理費がたくさんかかるという話がありましたが、特別の補修もやると言っているのです。特別の補修で何をやるかということは聞いております。私は値上げに賛成じゃないのですよ。値上げに賛成じゃないのだけれども、これを決めるときに何を特別に補修すればよいのかということで、公団自治協とか居住者とか、そういう人たちの意見を広く聞いてみましたか。
  340. 志村清一

    志村参考人 私どもは各支所、各営業所を持っておりまして、住宅管理を末端までやっておるわけでございます。そこの責任者がそれぞれ住民と常に接触を保っておりまして、おおむねその方々の御希望なども承知いたしておるものですから、それらを集約いたしましてかような措置をとりたい、かように思ったわけでございます。
  341. 中島武敏

    中島(武)委員 壁をクロス張りにすると見ばはよいかもしれませんけれども、実質の中身を考えることの方が大事じゃないでしょうか。たとえば公団住宅でも浴室は木製の戸でできている、これは石けん水がかかって腐ってしまう、これはアルミにかえてもらいたいものだという希望、意見がずいぶんあります。あるけれども、これなんかは実際はやはり木製のままでいく。あるいはまた、窓枠も木製なために、台風のときなんか大変な目に遭っている住宅があるのですよ。たんすから何から持ち出して、突っかいをやっておきませんと本当にたわんできていつ破壊されるかわからない、下からどんどん水が吹き上げてくる、こういうので一晩じゅうまんじりともしないでやっている。こういう苦労をしている公団に入居している人たちの気持ちが本当にわかっておるんだろうか、そういうのこそくみ上げるべきなんじゃないか、そういう姿勢を私はこの問題についても総裁に望みたいわけであります。  次にお尋ねしたいのは、これは一斉値上げの問題なんです。これは臨調の答申におきましてもあるいは住宅審の答申におきましても、新旧の格差是正ということがうたわれている。さらに、今度実際に皆さんが公団の空き家家賃を値上げした。同じ団地にいながら実は大変な不公平が生まれてきている、格差が人為的につくられている、こういう事態でしょう。格差是正が一方でうたわれる。しかし、同じ団地で格差が実際にはできてくる。では、格差是正だということで人為的につくった格差を是正するんだといって今度は値上げやるのか。この一斉値上げというものは一体いつごろやろうというふうに考えているのか、いや、そんなことは絶対やらないというのか、まずこの点をお尋ねしたい。
  342. 志村清一

    志村参考人 先生御指摘のとおり、宅地審議会の御答申におきましても、五十年、五十五年と既存家賃の的確な見直しということが指摘されておりますので、私どもといたしましても住宅相互間に家賃の不均衡が生じる場合には一斉家賃の改定もいたしたい、かように考えております。
  343. 中島武敏

    中島(武)委員 いつごろ一斉家賃の値上げ、改定をやる考えですか。
  344. 志村清一

    志村参考人 いままだはっきりとした予定は立っておりません。
  345. 中島武敏

    中島(武)委員 こういう値上げはやらないでもらいたいということが第一。  もう一つは、私がそう言ったって、あなたはいま値上げすると言っているんですから値上げすると思うのですよ。そのときに、今度のように、ぱっと申請しました、はい、一週間で承認しました、こういうことだとか、値上げの理由も不均衡是正ということで、実際の中身は、実は計算に入れるべからざるものが計算に入れられているとか、値上げに当たっては居住者と十分話し合いをやるべきだと思うが、こういうことも無視してやっていくとか、こういう姿勢でいくのかどうか。今度の空き家家賃の値上げ問題についての経緯を見ていて、この点を公団総裁建設大臣から伺いたい。
  346. 稲村利幸

    稲村委員長 所定の時間を過ぎていますので、簡潔にお願いいたします。
  347. 志村清一

    志村参考人 省令の規定に従いまして大臣に御申請を申し上げて、御承諾を受けて行う、かように考えております。
  348. 斉藤滋与史

    斉藤国務大臣 公団の意を受けて慎重に対処してまいりたいと思います。
  349. 中島武敏

    中島(武)委員 このような一斉値上げ、これは先ほどの言明ではやるという話ですけれども、国民生活に及ぼす影響というのはきわめて重大ですからやらないように、このことを私は最後に強く要求しまして、きょうの質問を終わります。
  350. 稲村利幸

    稲村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時散会