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1981-10-22 第95回国会 衆議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年十月二十二日(木曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 國場 幸昌君    理事 越智 通雄君 理事 東家 嘉幸君    理事 原田昇左右君 理事 森下 元晴君    理事 井上 一成君 理事 新村 勝雄君    理事 春田 重昭君 理事 中野 寛成君       伊東 正義君    植竹 繁雄君       近藤 元次君    桜井  新君       白浜 仁吉君    近岡理一郎君       上田  哲君    草川 昭三君       和田 一仁君    藤田 スミ君       楢崎弥之助君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 塩川正十郎君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      仲山 順一君         警察庁交通局長 久本 禮一君         防衛庁防衛局長 塩田  章君         運輸省船舶局長 野口  節君         運輸省港湾局長 吉村 眞事君         運輸省鉄道監督         局長      杉浦 喬也君         運輸省自動車局         長       飯島  篤君         運輸省自動車局         整備部長    宇野 則義君         運輸省航空局長 松井 和治君         海上保安庁長官 妹尾 弘人君  委員外出席者         総理府臨時行政         調査会事務局主         任調査員    田中 一昭君         警察庁交通局交         通指導課長   浅野信二郎君         防衛庁長官官房         法制調査官   長谷川 宏君         大蔵省主計局司         計課長     加藤 剛一君         大蔵省主計局主         計官      公文  宏君         大蔵省主税局税         制第二課長   新藤 恒男君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       松田 篤之君         文部省体育局学         校保健課長   森脇 英一君         建設省河川局都         市河川課長   萩原 兼脩君         自治省税務局企         画課長     渡辺  功君         消防庁予防救急         課救急救助室長 木下 英敏君         会計検査院事務         総局第三局長  坂上 剛之君         会計検査院事務         総局第五局長  丹下  巧君         日本国有鉄道総         裁       高木 文雄君         日本国有鉄道常         務理事     吉井  浩君         日本国有鉄道常         務理事     橋元 雅司君         日本国有鉄道地         方交通線対策室         長       岩崎 雄一君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     大島 哲男君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  中村 大造君         決算委員会調査         室長      黒田 能行君     ————————————— 委員の異動 十月二十二日  辞任         補欠選任   田中 昭二君     草川 昭三君   辻  第一君     藤田 スミ君 同日  辞任         補欠選任   草川 昭三君     田中 昭二君   藤田 スミ君     辻  第一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和五十三年度一般会計歳入歳出決算  昭和五十三年度特別会計歳入歳出決算  昭和五十三年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和五十三年度政府関係機関決算書  昭和五十三年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和五十三年度国有財産無償貸付状況計算書  (運輸省所管日本国有鉄道)      ————◇—————
  2. 國場幸昌

    國場委員長 これより会議を開きます。  昭和五十三年度決算外二件を一括して議題といたします。  本日は、運輸省所管及び日本国有鉄道について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として新東京国際空港公団総裁中村大造君、日本道路公団理事大島哲男君、以上両君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 國場幸昌

    國場委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 國場幸昌

    國場委員長 それでは、まず、運輸大臣から概要説明を求めます。塩川運輸大臣
  5. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 昭和五十三年度運輸省所管一般会計及び特別会計決算につきまして、その大要を御説明申し上げます。  まず、一般会計について申し上げます。  第一に、運輸省主管歳入でありますが、歳入予算額十七億一千三百二十万円余に対し、収納済み歳入額は二十億一千百七万円余であり、差し引き二億九千七百八十六万円余の増加となっております。  第二に、運輸省所管一般会計歳出でありますが、歳出予算現額一兆一千八百七十七億七千二百六十三万日余に対し、支出済み歳出額は一兆一千六百十四億六百十三万円余でありまして、その差額二百六十三億六千六百五十万円余のうち、翌年度へ繰り越しました額は二百二億七百六十二万円余であり、不用となりました額は六十一億五千八百八十八万円余であります。  次に、特別会計について申し上げます。  まず第一に、自動車損害賠償責任保険特別会計でありますが、保険、保障及び業務の三勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は一兆二千八百九十八億六百四十二万円余であり、支出済み歳出額は二千六百七十七億一千六百四十二万円余でありまして、差し引き一兆二百二十億八千九百九十九万円余の剰余を生じ、この剰余金は翌年度歳入に繰り入れました。  第二に、港湾整備特別会計でありますが、港湾整備及び特定港湾施設工事の二勘定を合わせて申し上げますと、収納済み歳入額は二千八百二億九百四十九万円余であり、支出済み歳出額は二千七百五十一億四千八百五万円余でありまして、差し引き五十億六千百四十四万円余の剰余を生じ、この剰余金は翌年度歳入に繰り入れました。  第三に、自動車検査登録特別会計でありますが、収納済み歳入額は二百七十四億一千七百十五万円余であり、支出済み歳出額は二百二十七億二千九百六十七万円余でありまして、差し引き四十六億八千七百四十七万円余の剰余を生じ、この剰余金は翌年度歳入に繰り入れました。  第四に、空港整備特別会計でありますが、収納済み歳入額は一千五百九十九億四千九百九十一万円余であり、支出済み歳出額は一千四百六十六億六千六百二十七万円余でありまして、差し引き百三十二億八千三百六十四万円余の剰余を生じ、この剰余金は翌年度歳入に繰り入れました。  以上が、昭和五十三年度運輸省所管一般会計及び特別会計決算大要でありまして、このうち重点施策については、お手元に配付いたしました昭和五十三年度決算概要説明書をごらんいただきたいと存じます。  最後に、昭和五十三年度予算執行につきまして会計検査院から不当事項として指摘を受けた点がありましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。予算執行につきましては、今後一層の配慮をいたし、その適正な処理に努めてまいる所存でございます。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。  引き続き昭和五十三年度日本国有鉄道決算大要を御説明申し上げます。  昭和五十三年度における日本国有鉄道運輸成績は前年度に比し、旅客収入は約六%増加いたしましたが、貨物収入は横ばいでありました。  決算内容勘定別に申し上げますと、まず、損益勘定におきましては、収入済み額は三兆一千九百四十一億九千二十八万円余、支出済み額は三兆一千七百四十億九千二百四十四万円余であり、収入支出を上回ること二百億九千七百八十三万円余となりました。これは予算上の区分による収支決算の結果でありまして、いわゆる損益計算上では八千八百六十七億三千四百十六万円余の純損失となっております。  次に、資本勘定におきましては、収入済み額は二兆九百六十五億五千八百五十四万円余、支出済み額は二兆一千八十七億九千四百四十七万円余であり、工事勘定におきましては、収入済み額は一兆一千二百三億八千八百四十六万円余、支出済み額は一兆一千八百二十六億四百七十八万円余となっております。  また、特定債務整理特別勘定におきましては、収入済み額は二千四百四十億七千八十三万円余、支出済み額は二千四百四十億七千八十三万円余となっております。  最後に、昭和五十三年度予算執行につきまして会計検査院から不当事項として指摘を受けた点がありましたことは、まことに遺憾に存じております。今後は、この種の事例の発生を未然に防止し、予算効率的運用を図るべく、一属の努力をいたすよう指導監督してまいる所存でございます。  なお、詳細につきましては、お手元に配付いたしました昭和五十三年度日本国有鉄道決算概要説明書をごらんいただきたいと存じます。  何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。
  6. 國場幸昌

  7. 坂上剛之

    坂上会計検査院説明員 昭和五十三年度運輸省決算につきまして検査いたしました結果の概要説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項二件及び本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項二件であります。  まず、不当事項について説明いたします。  検査報告番号七二号は、ファイル等購入価額が著しく高価となっているもので、運輸本省船舶技術研究所広島港、名古屋港、清水港各工事事務所において庁用及び港湾整備等事業用ファイル等の不当な価格での売り込みに対して、適切な処置を講じないままその購入を繰り返していたため、購入価格市販価格等に比べて著しく高価になったと認められるものであります。  また、検査報告番号七三号は、天気図等印刷版下作成請負契約に当たり、作業時間の把握が適切でなかったため不経済になったものであります。  気象庁では天気図トレース及び観測データ編集等を行い、印刷版下を作成する作業請負契約により実施しております。この契約単価予定価格積算について検査いたしましたところ、近年、トレース用紙の紙質が向上したことや、従来手作業によっていた作業が機械化されたことなどにより著しく作業能率が向上しているのに、その実態を調査することなく従来の経験値等に基づいて算定した作業時間により積算していたため、積算実態と適合しないものとなっており、その結果、契約単価割り高となり不経済となっていると認められたものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について説明いたします。  その一は、港湾改修等工事におけるセルラーブロック等型枠費積算に関するものであります。港湾補助事業のうち防波堤等工事に使用するセルラーブロック等型枠費については、各事業主体災害査定設計単価表に示されている型枠損料を適用して算定していましたが、この損料内容について見ますと、最近の施工実態に即応したものとなっていないため、型枠費積算が適切を欠いていると認められましたので当局見解をただしましたところ、運輸省では五十四年十一月に各港湾建設局等に対して通達を発し、補助事業審査に当たっては、これらの工事積算施工実態に適合した歩掛かりにより算定されているかどうかを特に確認することを指示するなどの処置を講じたものであります。  その二は、空港施設における電力ケーブル等保護用管路設計に関するものであります。東京航空局ほか八部局の三十三工事について検査しましたところ、管路敷設工事で設置したケーブル管路ケーブル保護とその取りかえを容易にすることを目的としているものでありますから、ケーブルを引き込むなど施工上可能な範囲の内径のもので設計すれば足りるのに、設計に当たって、これに収容するケーブルの量を考慮しないで管路内径の大きなもので設計施工しているため、空間部の多い不経済なものとなっていると認められましたので、当局見解をただしましたところ、運輸省では五十四年八月に設計要領を新たに制定する処置を講じたものであります。  以上、簡単でございますが説明を終わります。
  8. 國場幸昌

  9. 丹下巧

    丹下会計検査院説明員 昭和五十三年度日本国有鉄道決算につきまして検査いたしました結果の概要説明いたします。  検査報告に掲記いたしましたものは、不当事項四件、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項三件であります。  まず、不当事項について説明いたします。  検査報告番号一三〇号は、架空の名目によって旅費支出し、これを別途に経理していたものであります。  盛岡鉄道管理局ほか四部局が五十三年度に支払った連絡旅費現場調査旅費について調査いたしましたところ、旅行命令書等関係書類を作為するなどの方法により、出張の事実がないのに出張したこととして千七百十六件、千七百四十八万四千七十円の旅費を不正に支出しておりました。そして、これを前年度からの繰越額と合わせ別途に経理し、使途不明金を除く千七百四十七万九千六十九円を会食等経費に使用し、五十四年五月末現在七十七万七百二十二円を保有していたという事態でありまして、経理が著しく紊乱していると認められたものであります。  また、検査報告番号一三一号は、スラブ軌道工事の施行に当たり、レール敷設工事費積算を誤ったなどのため、契約額割り高になったものであります。  仙台新幹線工事局東北新幹線建設工事の一環として施行したスラブ軌道工事予定価格積算について見ましたところ、レールスラブとの間に挿入するレール調節パッキンの所要枚数などが過大に算定されており、契約額割り高になったと認められたものであります。  また、検査報告番号一三二号は、契約電力が過大となっていたため電気料金が不経済に支払われたものであります。  広島鉄道管理局では、新幹線広島駅西構内等高架下に入居している国鉄業務機関やテナントが使用する電力の供給を受けておりますが、入居者数予定より少なかったことなどのため電力使用実績契約電力相当下回っていたのでありますから、使用実績に適合した契約電力に変更し電力料金支払い額を節減するべきであったと認められるものであります。  また、検査報告番号一三三号は、トンネル工事に伴う水田減渇水対策費支払いが適切でなかったと認められたものであります。これは、国鉄中央本線塩嶺トンネル工事において発生した出水に伴う水田減渇水対策に要する費用を補償するに当たって、塩尻上田地区水田については同地区で施行することとしていた国庫補助事業圃場整備工事により対処できるものと考え、この事業費のうち地元負担金相当額国鉄が負担することとして、塩尻市に対し五十四年五月までに千四百三十九万円を支払っておりましたが、この土地改良事業を調査したところ、地中に浸透する水量を減少させることについて特別な対策はとっておらず補償の目的を達することにならないものでありまして、このような事業に対して国鉄が補償したのは適切でないと認められたものであります。  次に、本院の指摘に基づき当局において改善処置を講じた事項について説明いたします。  その一は、東北新幹線電気設備工事における通信・信号用ケーブル敷設工法に関するものであります。これは、仙台電気工事局が施行しているケーブル新設工事において、軌道完成前に敷設する場合に、ウインチを使用してケーブルを引き伸ばして敷設するウインチ引き工法を採用しておりましたが、この工法のほかに、ケーブルドラムを搭載したタイヤ式台車等により、経済的に工事を施行できると認められる区間もありましたので、当局見解をただしましたところ、国鉄では、五十四年六月に台車引き工法を採用して積算標準にこの方法による敷設歩掛かりを取り入れる処置を講じたものであります。  その二は、手小荷物等自動車輸送業務委託等に関するものであります。  国鉄では、手小荷物等を直営または部外の運送業者に委託し自動車による代行輸送をしております。そこで、その輸送状況検査しましたところ、各便の輸送実績自動車積載可能量の半分以下となっているなどの事態が見受けられました。  これらについては、輸送便の削減、使用車種小型化等を図り委託経費の節減を図るべきであると認められたので、当局見解をただしましたところ、代行輸送の全般的な見直しを行うなどの改善処置を講じたものであります。  その三は、客貨車用十二トン長輪軸利活用に関するものであります。  国鉄では貨物輸送近代化のため貨物列車を減量することとし五十三年度中だけでも貨車一万二百三十七両等の解体を行っておりますが、この解体に伴い十二トンの荷重に耐える輪軸二万四百三対を回収し、うち一万五千八百十六対をスクラップとして売却しておりました。  この輪軸は、一定の基準を満たすものについては新製車両にも使用できることになっており、検査当時保有していたものについて調査した結果から見て、売却したものの中には、この基準に適合すると認められるものが相当含まれていたと考えられます。  しかし、国鉄では、従来から新製車両にはすべて新しい輪軸購入して使用しており、五十四年二月になってようやく回収した輪軸を五十三年度発注の貨車等の一部である百両について試験的に使用することとしただけでありまして、大部分のものはこれを売却しておりました。  そこで、これらの回収輪軸利活用を図れば相当経費が節減できたと認められましたので、当局見解をただしましたところ、国鉄では、五十四年度以降の新製車両については、回収した輪軸を使用するなど改善処置を講じたものであります。  以上、簡単でございますが、説明を終わります。
  10. 國場幸昌

  11. 高木文雄

    高木説明員 昭和五十三年度日本国有鉄道決算につきまして、ただいま運輸大臣から予算区分に基づく収入支出決算状況の御説明がございましたが、日本国有鉄道法第四十条に基づく財務諸表により、経営成績概要を補足して御説明申し上げます。  日本国有鉄道の計理につきましては、昭和五十一年度から一般勘定特定債務整理特別勘定の二つに区分して計理いたしております。  まず、一般勘定につきましては、営業収入旅客収入一兆九千四百九十九億二千五百十九万円、貨物収入三千九十四億九千二百六十二万円、雑収入八百八十八億四千二百十万円、助成金受け入れ二千二百十九億六十八万円、合計二兆五千七百一億六千五十九万円となっております。  なお、助成金は、工事費補助金地方交通線特別交付金地方バス路線運営費補助金大都市交通施設運営費補助金臨時補給金合理化促進特別交付金及び特別退職手当補給金であります。  この営業収入を前年度と比較いたしますと、旅客収入千二百六十二億千六百九万円、率にいたしまして六%の増加貨物収入二十五億二百四十三万円、率にいたしましてゼロ%の増加雑収入九十二億四百八十二万円、率にいたしまして一一%の増加助成金受け入れ六百三十二億四千八十万円、率にいたしまして三九%の増加合計二千十一億六千四百十三万円、率にいたしまして八%の増加となっております。  旅客収入増加は主として昭和五十三年七月及び十月に実施いたしました運賃改定によるものであります。また、助成金が前年度より大幅に増加しておりますが、これは主として工事費補助金地方交通線特別交付金及び臨時補給金が増額されたこと並びに特別退職手当補給金が新たに助成されたことによるものであります。  輸送量につきましては、旅客輸送量千九百八十九億八百五十四万人キロ貨物輸送量四百十億四千五十六万トンキロと、それぞれ前年度に比べますと旅客は二%の減少貨物は一%の減少となりました。  営業経費は、極力経費の節約に努めてまいりましたが、仲裁裁定の実施、退職人員増加等による人件費増加のほか、借入金の増大に伴う利子増加等がありました結果、営業経費合計は三兆四千七百十三億八千十七万円と、前年度に比べまして七%の増加となりました。  営業経費内訳は、人件費一兆六千五百六十六億六千六十一万円、動力費千二百三十一億四千六百六十三万円、修繕費五千八再九十四億七千七百三十一万円、業務費二千五百六十三億七千八百十一万円、租税及び公課二百五十五億五百二十六万円、営業費計二兆六千五百十一億六千七百九十二万円、利子及び債務取扱諸費四千七百七十七億八百二十八万円、減価償却費二千八百八十七億千百四十万円、固定資産除却費二百六十億七千二十五万円、繰り延べ資産償却費二百七十七億二千二百三十二万円、資本経費計八千二百二億千二百二十五万円、合計三兆四千七百十三億八千十七万円であります。  以上の結果、営業成績は、営業損失九千十二億千九百五十八万円、営業外利益百四十四億八千五百四十二万円、純損失八千八百六十七億三千四百十六万円となりました。  なお、本年度から純損失について退職手当異常支出相当額特定退職手当損失、その他を一般損失として整理いたしておりますが、これによれば、一般損失八千九十九億千五百十二万円、特定退職手当損失七百六十八億千九百四万円であります。  このため、繰越欠損金は前年度から繰り越された欠損金一兆八千八十一億六千二百六十万円と合わせて二兆六千九百四十八億九千六百七十六万円となりました。  次に、設備投資概要を御説明申し上げます。昭和五十三年度は、東北新幹線大都市圏輸送対策主要幹線の電化及び複線化、安全・公害対策合理化等、並びに車両新製の諸工事を実施いたしました結果、設備投資額は一兆千八百二十六億四百七十八万円となりました。  なお、昭和五十三年度設備投資額事項別内訳新幹線四千百八十八億九百五十九万円、大都市圏輸送千百四十億二十万円、幹線輸送九百四十一億三千五自五十三万円、安全・公害対策合理化等三千八百七十八億九千五百四十六万円、車両千六百七十七億六千四百万円、合計一兆千八百二十六億四百七十八万円であります。  これらの設備資金等のために、新たに長期負債増加となる外部資金調達額は、資金運用部等からの借入金一兆四百六十七億円、鉄道債券発行額九千三百一億五千六百万円、合計一兆九千七百六十八億五千六百万円であります。一方、長期負債の償還に伴う減少額は四千十五億八千三百三十九万円でありまして、この結果、長期負債は前年度に比べて一兆五千七百五十二億七千二百六十一万円増加し、昭和五十三年度末において八兆四千六百十八億七千三百二十一万円となりました。  なお、新たに助成された貨物合理化施設整備費補助金十三億五千四百八十一万円、踏切保安施設整備費補助金二十九億七千七百二十万円、列車衛生施設緊急整備費補助金十二億二百八十万円、防災事業費補助八十六億八千五百万円は、その他負債に計上いたしております。  次に、特別勘定につきまして御説明申し上げます。  昭和五十二年度末の特別勘定長期負債残高は、特定長期借入金二兆四千百七十八億六千五百万円、財政再建借入金千二百二十五億四千万円、合計二兆五千四百四億五百万円でありますが、このうち、特定長期借入金六百八十一億五千四百万円を償還いたしました一方、その財源として、新たに同額の財政再建借入金を借り入れました結果、昭和五十三年度長期負債残高は、特定長期借入金二兆三千四百九十七億千百万円、財政再建借入金千九百六億九千四百万円、合計二兆五千四百四億五百万円で、合計では前年度末と同額となっております。  また、特定長期借入金に係る利子につきましては千七百五十九億千六百八十三万円でありますが、この利子は同額の財政再建利子補給金の受け入れにより支出いたしております。  最後に、昭和五十三年度予算執行につきましては、会計検査院から不当事項四件の御指摘を受けましたことは、まことに遺憾にたえないところでありまして、今後さらに予算効率的運用に一段の努力をいたす所存でございます。
  12. 國場幸昌

    國場委員長 これにて説明の聴取を終わります。     —————————————
  13. 國場幸昌

    國場委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。新村勝雄君。
  14. 新村勝雄

    ○新村委員 最初に私は、新東京国際空港についてお尋ねをしたいと思います。  この空港の建設については多くの問題がございまして、開港までに大変な混乱を重ねたわけであります。政府もそれなりに努力はされたと思いますけれども、そういう中で開港を強行いたしました。それ以来数年になるわけでありますけれども、その間におきましても、やはり基本的には問題の解決は何らなされていないわけであります。成田空港の現状について、大臣はどういうふうにお考えであるのか、まずそれを伺いたいと思います。
  15. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 成田空港について現状をどう認識しているかというお尋ねでございますが、開港いたしましてこれで四年目に入るわけでございますが、その間飛行場としての成績は、順調にはかどっておると思うております。  現在、外国からの乗り入れの希望等も相当ございますし、また、現在定期路線を持っております航空会社から増便の要請もございます。でございますから、成田空港を現在の滑走路一本の運営ではしょせん手いっぱいになってくると思うておりますので、できるだけ早い時期に、でき得ればそれを補完し得る滑走路の建設を急ぎたい、そうして成田空港が真に日本の玄関口としての機能が十分に果たし得るようにいたしたい、このような希望を持っておるわけであります。
  16. 新村勝雄

    ○新村委員 公団はおいでになっておりますか。公団の御見解をまず伺いたいと思います。いままでの経過並びに現状及び将来の見通し等についての認識ですね。
  17. 中村大造

    中村参考人 ただいま大臣からお話がございましたように、成田空港は五十三年開港以来、空港そのものの機能といたしましては順調に運営をされておるというふうに考えております。ただ、問題点といたしましては、パイプラインの建設が予定よりもおくれましたために、いまもって燃料輸送を列車で暫定輸送形式で行っておるということでございます。したがって、パイプラインの建設につきまして、私ども鋭意努力いたしまして、お許しをいただきました五十八年の十二月までに必ず完成させるように努力いたしておるわけでございます。私どもといたしましては、このパイプラインの早期完成と並行して、先ほど大臣のお話がございました安全な空港を建設するための二期工事についての準備というものも鋭意やっていかなければならないと思っておるわけでございます。
  18. 新村勝雄

    ○新村委員 同空港は世にいわゆる欠陥空港と言われておるわけでありまして、空港としての完全な機能は果たせないという現状だと思います。そういう中で開港が強行されたわけでありますけれども、最近、大臣は千葉県知事と会談をされたようでありますが、これはどういう意図といいますか、目的でおやりになったのか。大臣の方から知事を招いたのか、あるいは知事の方から会見を申し込んでこられたのか、まずそれを伺いたいと思います。
  19. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 御承知のように千葉県におきましては突然の知事選挙がございまして、沼田さんが選出をされました。そこで、私は沼田さんとは個人的には親しいのでございますが、知事に就任されてから一回も話をしたことがございませんので、それで知事さんに私の方から電話をいたしまして、一回お会いしたいなあということで電話いたしましたところ、知事さんも、いや、運輸省とはいろいろな関係がございますので、できれば私からお伺いいたします、こういうお話がございまして、それで私の方で時間をこの時間だったらということでお話ししましたら、お越しいただいて、いろいろな手業県全般のことについてお話をいたしたということでございます。
  20. 新村勝雄

    ○新村委員 千葉県知事と運輸大臣とがお会いになるということであれば、やはりその内容には当然空港問題が入ってくるということは常識であります。そして、先ほどのお話によりますと、パイプラインの工事も順調に進んでおる。順調じゃないですね、これは大分おくれましたけれども、五十八年四月には完成させたい、こういうことであります。この工事の進捗、それからまた二期工事との関係、それらがこの大臣、知事の会談とどういう関係があるのか、それらを踏まえて、それらを展望しながら御両者の会見が行われたのかどうか、そこらをひとつ伺いたい。
  21. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 仰せのとおり、約四十分ほどの話し合いをいたしましたが、そのうちの半分は成田の問題でございました。  そこで、私の方から最初にパイプラインの説明をいたしまして、工事状況を申しました。着工がおくれたものでございますから、予定は非常におくれておる、これは申しわけないと思うのですが、昨年の九月に工事期間の見直しをいたしました、その計画に基づく工事進行状況は順調にいっておりまして、見直しの予定どおりには完成していけると思う、このようなことを私から申しました。  それに対しまして知事の方から、パイプラインの早期完成をぜひひとつ希望するということと、それから私の方から、実は、ついてはパイプラインが完成し供給能力ができるのであるから、この際に空港の機能拡充を図りたいと思うております、それにはどうしても現在問題となっております滑走路の拡張につきまして、農民、地主の方々とまだ話し合いが正式にうまくいっておりません、でございますから、でき得れば知事さんの方もひとつ御協力をお願いいたしたいということを申しました。  それに対しまして知事さんは、それもできるだけの協力はいたしますが、しかし、千葉県との間で懸案の問題がいろいろございますが、それはどういうふうになりますかということでございまして、私は、開港当時に約束をいたしました百四十一項目のうち、百三十一項目は大体見通しがつき、また完成いたしました。あと残る問題は十項目ほどございますが、この中で色分けいたしますと、物理的にどうしても不可能なもの、それから他の各役所との関連の上でおくれておるもの、あるいは何か代替を考えていただかなければならぬものというふうに、未完成の問題につきまして詳しくこれを打ち合わせ、話をいたしたのであります。  それに対しまして知事の方は、いや、事情はよくわかるが、とにかくそういうものの後片づけも並行して、やはり地主との話し合い、農民、反対同盟の方々との粘り強い話し合いをやってもらうようにひとつお願いするという希望がございまして、成田問題の話は大体そういう内容で終わったようなことであります。
  22. 新村勝雄

    ○新村委員 そうしますと、パイプラインの工事の完成、これは五十八年だそうでありますけれども、この完成と二期工事とは当然関連を持ってくる、こういうことですか。
  23. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 パイプラインの建設は、要するに、御承知のように成田空港の基本計画全体を見回しての計画でございます。でございますから、このパイプラインができることによって成田空港の完全な整備というものは当然の課題であると思いまして、それに取り組んでおる次第です。
  24. 新村勝雄

    ○新村委員 伝えられるところによりますと、御両者の会談の中で、空港整備について新しい段階に入りつつある、したがって、国、県は真剣にこの二期工事について考えなければならない時期になっておる、こういうようなことで話し合いが行われたというふうに伝えられておるわけでありますけれども、いま大臣のおっしゃいましたように、地元に約束をした百四十一項目のうち十項目はまだ積み残しである、しかも、残っている案件の中には重要な案件が幾つかあるわけであります。これが残っておる、それからまた、反対派農民との話し合いがほとんど進んでいない、こういう状況の中で、ただ大臣と知事だけが会談をしても、これはなかなか先へ進まないのではないかということが一つですね。  それから、基本的な問題として、この工事の施行者、これは、直接は公団でありましょうけれども、国ですね。最終的な責任は運輸大臣あるいは内閣だと思います。いままでのこの仕事の進め方について見ておりますと、むしろこの当事者は前面に出ないで、県だけに非常な重荷を負担さしておるわけですね。第一期工事の施行の中で、代執行等もこれは県がやって——まあ代執行ですから県がやるのでしょうけれども、きわめて重い責任を地元の自治体に転嫁をして、国はどちらかというとその後ろへ隠れていて、県を前線に出してこの仕事を進めていくという形があるわけですけれども、これでは全く主客転倒でありまして、当事者がもう少し反対派農民とも話し合い、現地にも出かけて、そして本当に国の誠意を尽くして地元の了解を願う、こういう姿勢をとらなければいけないと思うのです。現運輸大臣は……(塩川国務大臣「ちょっと聞こえにくいのです」と呼ぶ)現在の大臣は、一期工事についての責任はおありにならないと思いますけれども、これから一期工事以上に重大な工事をされるわけでありますから、そういう基本的な姿勢をやはり固めていただかなければいけないと思うわけであります。そういう点で、現在の二期工事を展望しての現状認識についてもう一回大臣に伺いたいと思います。
  25. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 最初の方の質問をしておられる中身がちょっと、一生懸命聞いておったのですが聞き取りにくかったので、失礼いたすかもわかりませんが、要するに、二期工事に取り組む姿勢いかんという御質問だと判断いたしました。  私は、この基本的な姿勢につきましては、あくまでもやはり話し合いを重ねてやっていきたい。そのためには、もちろん、公団の総裁が後で答弁申し上げると思うのですが、公団の体制は十分にとっておるのでございますが、しかし、何といたしましても、関係市町村、自治体と県がやはり側面から応援していただくことがより以上にその進行を早める、こう思いましてお願いしておるのでございます。運輸省並びに空港公団がその責任を地方自治体に転嫁して、それのけつたたきだけで第二期工事を進めよう、そういうことは考えておりませんで、やはり公団が主体となってやっていくというその基本姿勢にはもう当然変更はございませんし、そのつもりで取り組んでおる次第です。
  26. 中村大造

    中村参考人 ただいま大臣から御答弁申し上げましたように、空港の建設並びに運営の責任は政府並びに空港公団にあるわけでございますので、公団といたしましては、政府の御指示、御指導を受け、また、関係地方公共団体の絶大な御支持、御支援をいただきまして、全力を挙げて努力をしてまいりたいと思っております。地方公共団体の御協力をいただかなければならないわけでございますが、また、そのような御協力をいただけるような条件をつくるためにも、公団がやらなければならないことは多々あると思っております。そういう点については、従来から私ども誠心誠意努力はいたしておりますけれども、さらに一層の努力を尽くす覚悟でございます。
  27. 新村勝雄

    ○新村委員 この工事については、これは自治体はもちろん協力しなければいけませんけれども、本質的には自治体というのはバイプレーヤーでありまして、当事者は公団あるいは運輸省でありますから、そういう決意でひとつ臨んでいただきたいわけであります。  それから、現状は残念ながら二期工事ができる状況ではないですね。そういった点についての知事との話し合いの中で、現状認識の問題あるいは反対派農民との話し合いの点、こういった点についてはどんなお話がされましたか。
  28. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 反対派の動向であるとか、あるいはこの見通し等について、知事からは具体的な話は全然ございませんでした。
  29. 新村勝雄

    ○新村委員 現状は直ちに二期工事ができる状況ではない、これは大臣あるいは総裁もそうお考えだと思いますが、その最大の問題は、やはり反対派農民との話し合い、これだと思うのです。ところが、一期工事の過程の中でもこの最も肝心な反対派農民との話し合いが十分なされなかった、こういう未熟な状況の中で警察権力を動員し、国家権力をフルに動員して強行したというところに流血の惨事を引き起こした原因があるというふうにわれわれは見ておるわけです。ところが、二期工事をいま想定した場合に、一期工事のときと同じような状況がまだ残っておるわけです。残っておるというか、同じような状況があるわけですけれども、こういう状況に対して大臣あるいは総裁はどうお考えであるのか、この農民との話し合いをどう進めていこうとされるのか、これをまず伺いたい。
  30. 中村大造

    中村参考人 先生御指摘のように、これからの空港の建設、整備を行ってまいりますためには、十分過去の経緯というものを踏まえまして、新しい観点に立っていろいろなことをやっていかなければならないわけでございます。特に、反対派といいますか、要するに地元の農民の方、これは二期工事の区域内の住民の方もおられます。それから、二期工事の区域の外でいわゆる騒音の下におられる住民の方もおられます。それぞれ立場立場は若干違うと思いますけれども、そういう人々との話し合い、腹を割った話し合いというものを積み重ねていくことが問題解決のポイントであろうというふうに私は信じております。  ただ、この話し合いをしからばどういうかっこうでやるのかということになりますと、なかなかむずかしい点はあろうと思いますが、ただ私どもは、そういう話し合いができる、そのための条件づくりというものは公団でやっていかなければならぬと思っております。どういう条件がそろえば話し合いの座についていただけるかという、そういうための条件づくりというものも公団は努力しなければならぬ。そのためには用地内の住民のいわゆる地主の方に対する対策それから空港の外、いわゆる騒音地域についてのたとえば農業をやっておられる方に対する農業振興策、成田用水事業の拡充振興、そういうことについて公団がやり得ることは全力を挙げてじみちにやっていく、誠意を持ってやっていく、その中から御理解、そういうものが得られてくるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  31. 新村勝雄

    ○新村委員 この問題については、ひとつ大臣、総裁、全力を挙げて農民との話し合い、了解を得るように努力をしていただきたいわけでありまして、万一にも前回のような流血の惨事を繰り返さないように、これは特段の御努力、御配慮をいただきたいわけであります。  まとめとしてお伺いしたいのは、二期工事の実施に当たっては、どういう条件であれば、どういう状況であればやるのかということですね。二期工事をやるについての条件、状況が必要なわけです。前回は、工事ができない状況の中でやったからああいうことになったわけですから、二期工事ができるためにはどういう条件をつくればいいのかということ、これをまずお伺いしたい。
  32. 中村大造

    中村参考人 まず、関係地方公共団体が二期工事について御理解、御支持をいただくということ、これは大前提であろうと思います。そのような御支持をいただくためには、大臣が先ほど申し上げましたように、かねがね御要望、そういうことについて、これに誠意を持って対処する、そうしてできるものについては具体的にこれを実施する、そういうことであろうと思いますし、また地権者並びに地元周辺の住民の方々の二期工事に対する御理解、御協力を得るということ、そういうことがやはり地方公共団体の支持を得るゆえんだと私は思います。また一面は、地方公共団体の絶大な御支援がなければ地元の地権者あるいは住民を説得し御理解をいただくということもできないだろう。したがって、そういう点は両々相まって努力をいたしていく。それができてきた段階で二期工事というものは前途が明るくなってくるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  33. 新村勝雄

    ○新村委員 農民の理解そうして農民の理解の上に立ったところの地元自治体の協力、これが絶対条件だというふうにおっしゃったわけでありまして、これはそのとおりだと思います。  そこで、反対反対と言いますけれども、反対農民と言いますと何か悪い印象を与えますけれども、別にそうじゃなくて、農家としては何百年来あそこで営農しておったわけでありますから、その農民の利益をまず守るということだと思います。そういった点で、関係農家の完全な了解とそれに基づく自治体の協力、これを絶対の条件にするというふうに総裁はおっしゃっておりますけれども、大臣もやはり同じお考えですか。
  34. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 こういう大型プロジェクトをやっていきますときには、その土地の関係者並びに周辺の居住者との合意が絶対的な条件でございます。  ところで、この成田問題を見ました場合に、そういう直接の関係者と、イデオロギーのためにする反対運動とが混同しておるところにこの問題の解決のむずかしさがあるわけでございまして、たとえば同じ地権者と申しましても、一坪運動で持っておられる地権者と、本当にそこに先祖伝来住んできておられて、いまなお農業を続けようと希望しておられる方々と、これはやはりわれわれの考え方も、またその当事者の考え方もいろいろ違うであろうと思うのです。実際その土地の関係者と、イデオロギー的に絡んでおります反対運動とがいま一体となっておる。そこで、この解決を見出そうといたします場合に、そういう双方がどのようにして話し合いの場についてもらえるかというその手探りをしていかなければいかぬ、こう思うておるのでございます。それにつきましては、先ほど総裁が申しましたように、じっくりとまず土地の関係者並びに周辺の方々の御意向を十分聞いて環境づくりをしてい善たい、これが私たちの念願しておるところであります。
  35. 新村勝雄

    ○新村委員 イデオロギーとおっしゃいますけれども、イギオロギーのない人間というのはいないわけですよ。思想のない人間というのはいないわけです。そこに住んでいらっしゃる農家の方も、基本的人権は守られるべきである、生存権もこれは最高のものとして守られるべきである、こういう考えを持っていると思いますね。それをしもイデオロギーと言うのかどうかということですけれども、これはそうじゃないと思います。そういうきちっとした憲法に基づく基本的人権は守られるべきである、これも一つのイデオロギーですよ。ですから、そういうイデオロギーもまた別だということであるとこれは問題だと思いますね。ただやみくもに空港建設に反対だということではまずいと思いますけれども、そうじゃなくて、正当な権利を守るために運動を進めておるということであれば、その立場は十分尊重しながら、相手の立場も尊重しながら話を進めていく必要があろうと思うのです。ですから、簡単にイデオロギーについては排除するということは問題だと思うのです。要するに、あそこで先祖代々農業をやっておった方々あるいはそれに関連する方々、それらの方々の生存権なりあるいは基本的人権なり、これは絶対に守っていただきたい、それからまた、その方々の納得も完全に得ていただきたいということを特にお願いしたいのですけれども、そういう点では大臣、御異存はないですか。
  36. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 いまおっしゃいました点については、全く私も同感でございます。
  37. 新村勝雄

    ○新村委員 ぜひそういうことでひとつ御努力をいただきたいわけであります。これから仮に話し合いが再開されるということになれば、大臣も第一線にお出かけをいただいて、直接農民と話し合いをするという姿勢でひとつお願いをしたいと思います。  それから次に、やはり空港関係で、パイプラインの工事の問題でありますけれども、この工事については、大分予定はおくれましたけれども、五十八年の十二月ですかに完成の予定だということであります。そして最近、一番難所である、難工事である千葉市の花見川の川底工事がありますね、トンネル工事、これが全通したという話でありますけれども、この川底工事に関連をして、地元では一つの心配をしているわけです。  というのは、この川底工事によって大量の土砂が搬出をされたわけであります。こういう土砂が搬出をされたわけでありますけれども、この土砂の中から強アルカリ性の物質が検出をされたということです。検査によりますとpHの値が一二ないし一二という、これは普通ならばそういう数値は出ないはずなんでありますけれども、そういう強アルカリ性の反応があったということで大変心配をしているわけです。この辺は関東ローム層でありますから、普通の状況であればpH値は四から五、弱酸性であるはずなんですね。これは全部がそうであるはずなので、一二から一三という強アルカリ性は出るはずがないのでありますけれども、それが出たということは、この工事で何らかの化学物質、薬剤が使われたのではないか、こういう心配を地元ではしておるわけなんです。ここに土のサンプルがありますけれども、これがpH一二ないし一三なんですよ。こういう事実があるのですけれども、工事内容について詳しくお話を願って、特にそういう化学物質、たとえば凝固剤であるとかそういうものを使っているのかどうか、これをちょっと伺いたいと思います。
  38. 中村大造

    中村参考人 御指摘の点につきましては、実はこの八月でございますけれども、隧道工事区間のある住民の方々、これはパイプラインの工事を心配する会といいますか、そういう方々が来られまして、先生御指摘のように隧道工事によって出ました残土でございますけれども、土のかたまりを調べたら非常にアルカリ性の強いものが出てきた、それだから、建設省でいわゆる暫定指針というものがございますけれども、それで規定されている薬剤、いわゆる凝固剤と言いますけれども、そういうものを使ったのではないかというふうな指摘がございました。したがって、直ちに工事を中止して合同で調査しろというふうな申し出があった、その点についてだと存じます。  私どもは、先ほど大臣からお話がございましたように、あのパイプライン工事というのはとにかく着工が大変おくれました。その着工がおくれた原因は、もちろん公団のいわゆる計画の甘さというものがあったことは率直に認めるわけでございますけれども、しかし、あの難工事をやるについては、もうあらゆる法的な規制について十分な吟味を行って、すべてをクリアにして初めて着工が認められたという経緯がございます。したがって私どもは、パイプライン事業法なりあるいは消防法はもちろんのこと、建設省が出しております薬物に対する暫定的な指針というものについても、全く違背しないように設計もし、また工事の管理もやってきたわけでございます。したがって、そのような指摘を受けるいわれは毛頭ないわけでございますけれども、しかし、そのような指摘を受けたことは事実でございます。  それで、同じような指摘を県にもされましたので、したがって県でこれを取り上げられまして、県が独自にその出てまいりました土、それから近所の井戸水、それから私どもが工事をいたした場合の設計書、それから私どもがいろいろ工事を発注して工事をやる場合の材料等を手配する資材伝票、そういうものについてもすべて県に提出いたしまして、県において徹底的な調査をされたわけでございます。その結果、そのようないわゆる薬物といいますか、そういうものを使ったということは認められないというふうな判定をいただいたので、私どもとしては、この問題は決着をしたというふうに考えております。  pH、いわゆるアルカリ性が非常に強いということでございますけれども、これは、あの区間の工事は、いわゆる石灰分、セメントでございますけれども、こういうものを多量に使っておるわけでございまして、そういうところのものは当然pHが高いということは考えられます。ただ、科学的なそういう成分のことについては、私もつまびらかではございません。ただ、私どもはそういうものを使った覚えはない。県においても、あるいは千葉市におきましても独自に御調査をいただいて、その疑いはない、このように御判定いただきましたので、この問題はいろいろ御心配をいただきましたけれども、その御心配は氷解していただいたのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  39. 新村勝雄

    ○新村委員 必ずしも氷解はしないと思うのですよ。というのは、一二ないし一三という数値が出たということ、これは間違いないのですよ。ですから、それがどういう原因のものであるのか。もちろん公団さんは国の諸規定に違反をするような工法はされないと思いますよ。思いますけれども、しかし実際に出たことは間違いないということであれば、どこかにそういう原因があるのではないかという、その原因の究明をやはりされなければいけないと思うのですけれども、それらについての調査の経過なり原因究明の努力をどうされたか、これを伺いたいと思います。
  40. 中村大造

    中村参考人 科学的な知識は私もわかりませんので、先生の御指摘に一々科学的に御説明することは不可能でございますけれども、確かにそのようなpHの高いものが出たわけでございます。しかし、そのpHの高いものというのは、世間にはたくさんあるわけでございます。したがって、その点も含めて県なり市なりで御調査をいただいたわけでございます。その結果が先ほど申し上げましたような、そういう薬物を使ったということは認められないという御判定でございますから、しからば、それは何であるかということは、これは土というものはいろいろな、本来の土にも含まれておるでしょうし、それから先ほど申し上げましたようにセメント類、それからこの立て坑をつくりますときに、あるいは隧道を掘りますときに石灰分の含んだものはずいぶん使っておるわけでございまして、そういうものが出たのではないかというふうに考えられるわけでございます。
  41. 新村勝雄

    ○新村委員 ですから、いまのお話からしましても、これはそういう数値が出たことは間違いない。出たわけですね。また、その原因も何だかわからない。しかし工事に関係あることだけは、これは間違いないと思うのですよ。ですから、もう少しその原因を究明をされて、もう少し確信のあるお答えができるような十分な調査を願いたいということと、それから、先ほどこの問題は解決をしたというふうにおっしゃいましたけれども、住民はまだ不安を持っているわけですよ。こういう一二、一三なんというものが仮に地下水に浸出をして井戸水にでも入れば、これは非常に困るわけです。そういう不安が現にあるわけでございます。ですから、そこらをもっと完全に調査をされて、完全に不安を除く努力をさらにしなければいけないのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
  42. 中村大造

    中村参考人 これも科学的な問題でございますので、私から断定的なことを申し上げるのはどうかと思いますが、住民の方が言われたのは、そのpHが高いから問題だということよりも、そのpHとくっつく他の物質、そういうものとの関係で、いわゆる薬物を使ったのではないかと、こういうお疑いで、pHそのものは、セメントを使っておれば当然高くなる、こういうことです。だから、公団において独自の調査はもちろんいたしております。しかし私どもは工事をいたしておる者でございますから、私どもが調査をして、しかも使ってないのですから幾ら使ってませんと言いましても、御運解いただけない。そうすれば、県で純粋に科学的に、あらゆる材料を集めて御調査いただいて御判定いただくのが一番客観的じゃないか。その判断が、私先ほど申しましたように、いわゆる心配する会の方が言っておられる、薬物を使ったということは認められない。しからばその商アルカリというのは一体何だ。これは、要するにセメントなどに含まれておるカルシウムであろうというふうな御判断もされておるわけでございますから、したがって、県としてはきわめて科学的に客観的にお調べになった結果の判定でございますので、私どもはその結果を信頼申し上げておると、こう言う以外ないのでございます。
  43. 新村勝雄

    ○新村委員 大臣、こういう問題が起こりますと、これは地元に心配をかけるわけでして、これがひいては公共事業の施行にも影響があるわけですから、国においてもひとつ調査を願って、これを完全に不安がないならないというふうに、もう少しはっきりとした結論を出していただきたいと思うのですが、どうでしょうかね、大臣。
  44. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 総裁が答弁しておりますように、公団でも十分な調査もいたしておりましたし、また県の方で、先ほど言っておりますように第三者的な御判断も仰ぎたいと言っておるので、御心配になっております原因探求は、さらに尽くしていくべきだと思うておりますし、同時に、そういう土質に対する被害が出ないような対応策も講じていくように、強く指示いたしたいと思うております。
  45. 新村勝雄

    ○新村委員 しかるべき対策を、ひとつぜひお願いをしたいと思います。  それから、時間がありませんので、あとはまとめて御質問しますので、まとめて御答弁をいただきたいわけです。  これは大臣でなくても、担当の方で結構です。空港対策として芝山鉄道というものを計画をしまして、これは最近会社ができました。しかし、これはだれが見ても当分の間、かなり遠い将来に至るまで大赤字の鉄道になるだろうということが言われておるわけですが、千葉県では、大臣の御決定によって木原線が廃止ということに決まりました。こういうことがある反面大赤字が予想される鉄道をまたつくっていいのかどうかという疑問があるわけなんですけれども、それに対するお考えを伺いたい。  それから、飛行機からしばしば物が落下をしてまいります。氷塊、あるいは油滴、これが非常に頻繁に落ちてくるわけですけれども、氷塊については、いままで六回ですか、七回ぐらい落ちている。それから油は、常時油滴が落ちて、その下のビニールハウスは、二年ないし三年もつのだけれども、毎年張りかえなければいけない。こういう被害が出ておるようであります。こういったことについて、その被害に対してどう対策をお考えになっておるのか。  それから、飛行時間でありますけれども、この飛行時間についても協定が守られていないようであります。特に貨物機のようでありますけれども、これがかなり頻繁に制限時間外に発着をしておるという問題がありますけれども、これについての対策ですね。  それから、二期工事及び空港関連工事をする場合には代替地が必要でありますけれども、代替地の確保を果たして国あるいは公団がやっていらっしゃるのかどうか、いま何アールぐらい用意しておるのか、その場所と面積、それから十アール当たりの単価はどのくらいであるのか、それから仮に代替地が用意してあるとすればその現況はどうなっておるのかということを伺いたいと思います。  それから、これも一つの条件になっておると思いますが、新高速鉄道、都心から、東京から空港に至る高速鉄道をつくるということでありましたけれども、これは果たして実現の可能性があるのか、いつごろまでに実現するのか。  まだたくさんの問題がありますけれども、とりあえずその点だけを伺いたいと思います。
  46. 中村大造

    中村参考人 ただいまの御質問の中で、代替地の問題と芝山鉄道の問題は私の方から御答弁申し上げます。  まず芝山鉄道でございますけれども、確かにおっしゃるように、芝山鉄道が黒字に転ずる時期はそう近いことはないというふうに、初めからそのような覚悟をいたしております。大体鉄道というものは、それが経営が成り立つまでには相当の期間を要するものでございます。芝山鉄道の場合は、これは単に営利的にこの鉄道をやるということだけではございませんで、地元の要望もございましたし、また空港から考えましても、この空港に来るいろいろな人々のアクセスとしても、また東京への交通機関としてもあらゆる意味で、それから地元の振興といいますか、そういう意味からいっても将来は非常にいろいろなメリットのある鉄道であるということで、千葉県あるいは地元の芝山町にも御協力いただき、その他金融機関、航空会社、それから京成電鉄等の御協力をいただいて会社を設立したわけでございます。  したがって、これをどのようなかっこうでつくるか、構造その他についていま詰めているわけでございまして、できる限り冗費を省いて簡素なかっこうで運用する、しかも、できる限り収益を上げるように芝山町なり県にお願いして、その周辺の開発をやっていただく、こういうふうにいたしますれば、私は、将来これは黒字に転ずる、それまではしんぼう、こういう覚悟でぜひとも建設をいたしたいと考えております。  それから、代替地のことでございますけれども、公団といたしましては、県にも御協力をいただきまして、かねがね代替地の確保をいたしておるわけでございます。  それで、どこにどのようなものがあるか、あるいは最近どのようなものを確保したかということについては、これは本来なれば地権者の御希望を聞いて、そして御希望があればそれに沿った条件の合う代替地をというのが筋であろうと思います。しかし、そのような地権者との正式な話し合いができない状況でございますので、私どもといたしましては、そのようなお気持ちもそんたくしてやっておる面もございますけれども、いまそういうふうな具体的な御希望をまだ聞いておる段階ではございませんので、したがって、どこでどういうというところまで申し上げる段階ではございません。ただ、私どもとしては、用地内の住民の方が移転をして経済的にも精神的にも安定した生活ができるような代替地はぜひとも確保していかなければいかぬ、またそのような手も打ちつつあるということだけを申し上げたいと存じます。
  47. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 ただいま総裁がお答え申し上げました以外の御質問に対してお答え申し上げます。  まず第一番が氷塊の落下対策でございます。御指摘のように、昨年末からことしの五月ごろにかけまして、航空機からのものと見られる氷塊が五件国際空港周辺に落下するという事例が発生いたしました。私ども、直ちにその原因の解明に当たるために専門の委員会を設けたわけでございまして、また同時に、運輸省から外国航空会社を含む成田乗り入れ各社に対しまして、落下物防止にかかわる警告を発出いたしました。さらに六月に至りまして、到着航空機の漏水あるいは着氷状況の総点検を行ったわけでございます。  その結果は、残念ながら航空機のどういう部分から氷が落下するかという原因を突きとめるまでに至らなかったわけでございます。ただ、この実施の時期が六月でございましたので、私どもといたしましては、さらにもう少し寒くなってまいりました時期をとらえ、つまりことしの十一月あるいは十二月というような時期に再度総点検を行って原因の究明に努めてまいりたい、かように考えております。また、落下物の分析体制というものを整備いたしまして、落ちた氷の水質等の検査を直ちに行うという体制をとっております。  また、第二の問題といたしまして、油状の落下物の御質問がございました。これはやや前でございますけれども、油状の物質によってビニールハウスが汚染されたという苦情がございました。この物質につきまして、千葉県の農業試験場と公害研究所に検査を依頼したわけでございますが、その結果は、航空機から排出される油状の物質は発見できなかったというふうに聞いております。  それから、第三の御質問といたしまして、成田空港のカーフューの問題がございました。御承知のように、成田空港は午後十一時までということで運用が行われておりますが、確かに御指摘のように機体の故障等の理由もございますが、五十四年度には到着、出発合わせまして、年間で二十三件の時間違反がございました。私どもといたしましては、特に遅いダイヤを組んでおります航空会社に対しまして、厳重に指導をいたしておりますが、五十五年度には前年の三分の一、年間で八件というふうに減ったわけでございまして、今後も各社を厳重に指導してまいりたいと考えております。  それから最後に、成田新高速鉄道の状況についての御質問がございました。これはすでに御案内と思いますけれども、新東京国際空港アクセス関連高速鉄道調査委員会というものを運輸省の鉄道監督局内に設置いたしておりまして、現在、成田新高速のルートなりあるいは工事費等につきましての調査をお願いいたしておるところでございます。私どもといたしましては、その委員会の結論が出ることを待っているという状況でございます。
  48. 新村勝雄

    ○新村委員 あと一点だけお伺いしたいのです。それは道路公団にお伺いをいたしますが、六十年の科学博を目指して常磐自動車道の工事が鋭意進められておるわけでありまして、その点大変御苦労さまですが、その工事の施行の方法をめぐって、特に住民との話し合いの問題をめぐっての問題がまだまだ解決をされていないわけであります。  千葉県の地域の中で、流山市については基本的に住民とも了解ができたというふうに伺っておりますけれども柏市はまだ全く話がついていない。しかも、地元住民及び地元自治体は当事者である公団と十分話し合いをしたいという希望を持っているのですけれども、公団がそれに応じないというごとなんですね。これは大変残念なことでありまして、地元では公団においでを願って十分話し合いをしたい、賛成できるか反対かはその結果でありますけれども、とにかく話し合いをしたいということを強く要望しているのですが、地元の所長を初め公団に話し合いの姿勢がないというふうに聞いておるわけです。これは大変残念なことでありまして、施行の当事者は公団でありますから、公団が率先して現地に赴いて、住民とも徹底的に話し合いを重ねて、そして納得を得て了解を得て仕事を進めていただく、これでなければまたまた不測の事態、あるいは無用の混乱を起こす、こういう危険もあるわけでありますけれども、この点について伺います。
  49. 大島哲男

    大島参考人 流山につきましては、先生御指摘どおり、一応の決着を見ております。柏につきましては、大方の了解に達しておりますが、最後の詰めが残っておる段階でございます。ただいま先生からは、公団は地元と話し合いをしないじゃないかという御指摘でございますけれども、私どもはそういう姿勢は決して持っておりません。絶えず地元の了解のもとに仕事を進めていくという姿勢で進んでいるわけでございまして、この十月十五日の市の建設委員会のときにも、議場にやってこられました市民の方たちに対しまして説明をいたしております。また、昨年から柏・流山の環境を守る会という連合組織ができまして、その組織とは非常に回数多く質問をお受けしたりこちらがお答えしたりいたしまして話し合いを進めておるのでございまして、決して先生のおっしゃるようなことはございません。
  50. 新村勝雄

    ○新村委員 柏市の地区につきましては、あと一歩というところでまだ了解に達していないわけですね。ですから、その最後の段階でいま一歩の住民との話し合いを率直に願いたいということなんですよ。地元と話し合いをしているといいますけれども、地元の自治体も地元でありますけれども、真の当事者は住民ですから、一方は公団、一方の当事者は住民なんですから、ですから自治体にだけその責任を転嫁しないで住民とも話し合う、もちろん話し合いは混乱した状況の中では困りますけれども、一定のルールのもとに住民とは徹底的に話し合いをして了解を得る、こういう姿勢をもう一回確認したいのですが、それを最後までおやりになるお考え、ありますか。
  51. 大島哲男

    大島参考人 最後の詰めが残っておるという段階でございまして、大方の構造につきましては、市の当事者あるいは建設委員会との間におきまして了解に達しております。先生のおっしゃるのは住民の了解がないではないかということだと思いますけれども、私どもといたしましては、秩序ある集まりのもとに説明をしたいと思っておりますが、これにつきましては、現地に工事事務所がございます、工事事務所におきまして、たとえば町会であるとか自治会であるとか、そういうまとまりのある組織を対象にいたしまして了解を求めたいと思っております。
  52. 新村勝雄

    ○新村委員 もう一回確認をいたしますけれども、地元の自治体に対する了解工作と同時に、真の当事者である住民との対話も最後までやるというお約束ができますか。
  53. 大島哲男

    大島参考人 ただいま申しましたように、現地の事務所をいたしまして、地元のたとえば町会か自治会か私存じませんが、そういうまとまりのある組織を通じまして了解を得て実施したいと思っております。
  54. 新村勝雄

    ○新村委員 終わります。
  55. 國場幸昌

    國場委員長 井上一成君。
  56. 井上一成

    ○井上(一)委員 私は、大臣に、今国会が行革国会と言われるほど、いわゆるむだのない行政、さらには社会全体がむだのない社会をつくり出そう、とりわけわれわれは国民に対する負担をこれ以上押しつけてはいけない、そういう国民の負担軽減の構想から行革に取り組むべきだ、こういうことを主張し続けてきておるわけであります。反面、物価の値上がりの問題だとか、あるいはその他のいわゆる経費負担増を一つの理由に、公共性のある料金形態が値上げの申請に入った。とりわけ航空四社が先日も値上げを申請し、その中には空港使用料等を含める公租公課、そういう負担増が要因の一つに挙げられております。  私は、ここで、特に高級官僚の天下りの受けざらになり、そしてその負担が国民に、いわゆる航空利用客、利用者に対しての負担増につながっているという一つの具体的な事例を提起して、運輸大臣の取り組み、さらには見解を承っていきたいと思います。  まず、羽田空港、ここには日本空港ビルがあるわけでありますが、この日本空港ビルデング株式会社、この企業の実質的な経常実体について、さらには株主構成等について、ひとつ運輸省の承知する範囲内でお答えをいただきたいと思います。
  57. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 お答え申し上げます。  羽田の日本空港ビル株式会社は、昭和二十八年に設立をいたしまして、資本金が三十六億円ということでございまして、その資本構成は、航空会社が七・七%、そのほか一括して一般経済界、これは鉄道会社あるいは金融機関等々でございますが、残りの八九・二%ということでございます。  事業といたしましては、御案内のように、空港ビルという建物を建てまして、そのビルのビル業という営業と、かつ、自分で売店あるいは食堂等の経営に当たるということでございまして、最近の航空輸送の活況を反映いたしまして、設立当初非常に業績が悪かったのでございますが、最近は業績はとみに向上をいたしております。
  58. 井上一成

    ○井上(一)委員 さらに、いわゆる高級官僚が企業に対してどのように天下りをしたか、何人の高級官僚がここに関連をし、現在運輸省さらには大蔵省を含めて何人の役員がいらっしゃるのか、その点についてもお答えをいただきます。
  59. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 お答え申し上げます。  現在の日本空港ビルデング株式会社の常勤役員は九名でございます。そのうち、公務員の経験者が四名ございまして、そのうち三名が運輸省、一名が大蔵省、こういうことになっております。  また、現在の役員ではございませんが、かつてこの会社の役員を勤めた者のうち、もうすでに故人になられました方を含めまして四名が運輸省の出身者でございます。
  60. 井上一成

    ○井上(一)委員 この空港ターミナルビル、いわゆる日本空港ビルデング株式会社が、わが国では羽田において民間資本で運営されている唯一の形態なんですね。その設立当時の情勢で民間資本だけで発足をした。いま大蔵一名、運輸三名という。しかし、私の調査では、ごく最近、元航空局長が顧問として九月十六日から空港ビルに入っているわけなんです。それを含めると四名ですね。そのことは後で指摘をしていきます。  さらに聞いておきたいのですが、今日までこの空港ビルに対して運輸省は経営の中身を含めて指導をされた経緯があるのかどうか。あるいは問題点をどのような指導の中で指摘をしていったのか。今日その指導に従って問題点は改善されたのかどうか。そういう点についても伺っておきます。
  61. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 お答え申し上げます。  私ども、空港ビルに対しまして、先ほども申し上げましたとおり、最近の航空大衆化時代を反映いたしまして利用者も大変ふえてきております。したがって、いわゆる公共性の度合いというものも高まっておるわけでございまして、常に適正な経営を行うようにという指導をしておるわけでございますが、過去、数年前になりますけれども、成田の国際線移転という羽田にとりましての一つの転機がございました。そのときに私どもといたしまして、まず第一番に、国際線のビルが、いわゆる国際線が成田に移ったためにそこがいわばスペースがあくわけでございます、その点を含めまして、羽田の空港ビルは建て増しに次ぐ建て増しを行ったということもございまして、かなり使い勝手が悪いという点もございますので、まず利用者の利便を考慮した施設の改善を図るべきである、それから、この空港ビルがかなりの子会社を持っておりますが、この空港ビル会社と子会社の役員の兼職の関係につきまして、その辺についてもできるだけはっきりするように、また、この会社の業務執行体制のさらに一層の効率化を図るようにというような指導をいたしたところでございます。  そういう指導と申しますか助言と申しますか、そういうことの結果、一部改善を見た点が見受けられますけれども、まだ残念ながら私どもの当初考えておりましたような完全なる改善には不足している面が多いというように考えております。
  62. 井上一成

    ○井上(一)委員 指導の中で不足している面、施設等については一部改善をされた、まだ十分でないという点はどんな点だと承知していらっしゃいますか。
  63. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 先ほども申し上げました幾つかの指摘いたしました点で、特にこの会社もかなり空港の発展に伴いまして規模が大きく、組織も大きくなってまいりました。先ほどもちょっと申し上げましたが、この会社の業務執行体制の効率化ということ、そういう点においてまだ欠ける面があるのではないだろうか。具体的に申し上げますと、私どもからこの会社に対しまして報告書類の提出を求めたりいたしますときの、それに対する対応ぶりというようなものにつきましても、私どもはまだ不満を持っておるという次第でございます。
  64. 井上一成

    ○井上(一)委員 大臣、運輸省の行政指導に応じないようなそういう企業に対して、空港長の権限——許認可を含めて、運輸大臣はすべてを与えているわけなんです。とりわけ成田空港開港についても、成田空港にも一定の権限委譲なり業務移転をちゃんと保障しているわけなんですね。なぜ運輸省のそういう指導に従わないか。これはいま航空局長がお答えになりましたけれども、あなたの先輩がここにいらっしゃるわけなんだね。社長もそうであるし、そして実質的には業務内容としては、社長にしても専務にしても、運輸省出の顔としてこの会社におるだけで、実際は酒井専務が切り回しをしているということが私の調査で明らかなんです。当時、三年前にたしか運輸省が、その企業の子会社との関連の兼職もよろしくないというようなことで指摘をし、あるいはそういうようなことを指導してきた関係の人が今度顧問で入るもとの航空局長だ。天下りの受けざらをきっちりと保障しておかないと運輸省の高級官僚が困るから、こういうようなことをやっておるのだという疑いを私は持たざるを得ない。東京エアポートレストランだとかコスモ企業だとかいろいろ関連の会社があるわけであります。その関連の会社がどういう仕事をやっているか。いわゆる空港関係の関連事業、機内食もそうでありましょうし、販売業もそうでありましょう。ありとあらゆる関連する事業に対して子会社を設立して、子会社をかまして、いわゆる利益を分散していく、こういうふうに考えられるわけなんです。  大臣、こういう企業の実態というものを大臣が承知したら、どういうふうにしなければいかぬか。明らかにもっともっと経営の実情を調査して実態を十分把握しなければいかぬ。その上で今度は運輸省としての強い行政措置というか指導というものが必要になろうと思います。この点について、運輸省の大臣の見解を率直に聞いておきたいと思います。もしあなたの答弁いかんによっては、具体的な問題も私自身指摘をしたいと思います。
  65. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私も、先ほど質問の中にございましたように、やはり先輩、後輩の関係が一番行政のしにくい関係じゃないかと思うのです。ですから、こういう公共事業関係の企業を絶えず第三者の目で監査する、そういうシステムがあったらいいのじゃないかなと思ったりもしております。ちょうどこの空港ビルの御指摘がございましたので——私も実は空港ヒルの中身を余り知らないのです。ですから、これはいい機会で、一度航空局とよく相談しまして、全国に空港ビルはあると思うので、それぞれの空港ビルがどういうふうな経営の実態になっておるか十分に調査もし、現状を把握して、その上で対策を考えていきたいと思うております。  ただ言えますことは、空港ビルでいままでいろいろな、いわば業務の失策あるいは不慮によるもので運航に支障を来したということは実はない。その点は私は一生懸命やっておると思うのです。しかし、先ほど御指摘の利益の管理とかあるいは人事の管理ということについては、ちょっとわれわれも配慮がしてなかったと思うのです。そういう点もあわせてよく検討をさせてもらいたいと思うております。
  66. 井上一成

    ○井上(一)委員 大臣、検討じゃないわけなんです。どうするかという決断が必要なんです。私は羽田の日本空港ビルデングを指摘しているわけなんです。過去にも行政指導があった。そしてそれに従わない。肝心なところですよ、肝心なところは従わない。施設の改善、そういうことから、肝心なことは従わずに、天下り官僚の受けざらになっている。そしていま行革を国会で論じているこういう時期に、運輸省がどんな言いわけしたってこれは言いわけにすぎぬし、言いわけにならぬ。実態を調査しなければいけない、します、あるいはしません、これはもうイエスかノーかの二つしかないのですよ。  それでは、先月に顧問で就任をされた元の航空局長ですけれども、名前を出して大変お気の毒だと私は思うのですけれども、しかしこれはやむを得ないわけなんですね、事実なんですから。さらには成田のいわゆる新東京国際空港公団の総裁をやっていらっしゃった方がいまは役員で入っている、あるいはさっきも指摘したように運輸、大蔵から半数以上が入っているのだ、こんなことで、先輩後輩の関係でなかなかやりにくいわけですよ。大臣がどうするかということを決めなければいけない。  もう一つ指摘しておきましょう。私はこの会社はいろいろな意味で問題を持っていると思うのですよ。たとえば具体的な問題として、法人のゴルフの会員権を個人的な部課長に与えた、これは経理上では経費として認められていくわけです。しかし、源泉徴収の中でそういう対応ができているか。これは後で大蔵に聞きます。そういう実態を知っているのかどうか。航空業務に支障を来さない——支障を来したら大変ですよ。しかし、中身の問題です。実態について調査をするか、大臣の見解を重ねて聞きます。
  67. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 それはこの際、実態調査はやるべきだ、それは私、先ほども言っているような次第でして、やりまして、そこでいろいろな問題がやはり出てくる、それを過去における指摘とそこらを照らし合わせまして、要するに経営の改善というようなものについて積極的に取り組んでいきたい、こう思うております。
  68. 井上一成

    ○井上(一)委員 さらに大臣、現社長が運輸族、運輸高級官僚ですね。うわさされるところによりますと、これはもう長うやっていますから、次官経験者、元次官が次期社長としての天下りの予定がうわさされているわけです。まさかそんなことはせぬでしょうね。そして大臣としても、そういうことはいまどき望ましくない、そういう考えを持っていらっしゃるでしょうね。
  69. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 突然のお話でございまして、私はそのうわさはまだ全然聞いておりません。ただ、こういう公共性のある企業ですから、私は役人がそれに全然関与してはいかぬとは言えないと思うのです。民間の人ももちろん入らなければいかぬ。これは当然突きまぜなければいかぬ。ただ問題は、公共の意識を持って経営に臨んでおるかどうか、そこが一番の問題点ではないか、こう思います。いま先生の指摘しているのもまさにそこだろうと思うのです。天下りをして公共性を忘れて、ただ解放された一民間人のようなつもりで何もかもやっておる、そういうことはけしからぬ、もっと公共性に徹底しろという御指摘もあわせて含まれておると私は思うのです。その点を中心にして、先ほども言うておりますように私はよく調べてみまして、改善すべきところを直していきたい、こういう気持ちです。
  70. 井上一成

    ○井上(一)委員 羽田沖合い展開の段階では、空港ビルに対する政府、運輸省見解がまた変わるのではないだろうかということが予想されるわけであります。それも含めて運輸省はどう考えるのか、この点についても聞いておきます。
  71. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど先生、全国の空港ビル会社のうち純然たる民間企業は羽田一社のみということをおっしゃいましたけれども、私どもの調査では、羽田のほかに北九州空港のビルディング会社がございます。ただ、それ以外は御指摘のようにすべて第三セクター方式と申しますか、地方公共団体の出資を仰いでビルを設立しておる、こういう実情でございます。  羽田の場合には、先ほどもお答え申し上げましたように、昭和二十八年という非常に古い時期に設立をされた、いわば空港ビルの草分けでございまして、その当時公的資金のそういう会社への導入というようなことが余り一般化されない時代でもあったということを恐らく反映したものだと思いますけれども、将来の羽田の沖合い展開に当たっての空港ビルの組織形態のあり方につきましては、先ほど大臣お答え申し上げましたような空港ビル会社の公共性あるいは最近他の空港において公的資金の導入が図られているという一般的な傾向あるいは過去からの長い経緯、そういうようなものをそれぞれ総合的に検討いたしまして、今後の沖合い展開後のビル会社の体制を慎重に検討していきたいと思っております。
  72. 井上一成

    ○井上(一)委員 大臣、いま私が指摘した点だけでも、常識的な判断として、運輸業務全般にかかわる企業としての位置づけというのでしょうか体質というのでしょうか、そういうものが好ましくない。今後どう改善されていくかという問題もありますけれども。だから、改善がなされない限りこれは不適格である、こういうふうにも私は考えるわけなんですよ。中身を調査をするということですから、ひとつ早急に調査をしてほしい。調査をすべきである。  さらに、天下りが必ずしもすべて否定できないような苦しい答弁を大臣はなさっていますけれども、実態は、向こうでどんな仕事をしているかということを、運輸省は、さっき私が経営の実態はどう把握しているんだと聞いたときに答えがないのですよ。答えられへんということは、わかっているとすれば大した仕事ではない。答えられないという、その理由も大体推測するわけですけれども、天下った人がどんな仕事、どんな役割りをしているのか、大臣、どう報告を受けていますか。
  73. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私は、まことに申しわけないのですが、この空港ビルのことを実際は知らなかったのです。きょう朝刊を見ましてこういう問題があったのかと思うて、これは委員会が終わったらすぐ一体どうなっておるのか報告しろ、こういうふうに言うたほやほやのところで、実際はまだわからぬものですから、早急に調査いたしまして実態を把握し、適切な措置はいたしたい、このことは申し上げたいと思います。
  74. 井上一成

    ○井上(一)委員 大臣も忙しいし、いろいろな問題を抱えているから、それでは私は航空局長なり大臣に。  公共性という問題がある、そのために運輸省で長年の経験を持った官僚がお手伝いをする、そのことも必要である、こういうお答えです。それでは、それに対する報酬というものは実態はどうなのか、ここが問題なんですよ、大臣。そういうことで私は、社長が七千万以上の年間所得を持つ、あるいはその他の役員も五千万以上あるいは二千万以上、いろいろ個人の所得をここでは申し上げにくいのですけれども、そういう高給を取って何が公共性ですか。私は、そこらにもやはり問題がある、こう思うのですよ。大臣どうなんです、高給と公共性との兼ね合い、かかわり。そんなに高い給料が適切だと大臣は思われますか。
  75. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 給料の実態はまだ私も見ておりませんで、新聞の報道を見ますと相当な額に出てきております。この所得が実際に全額空港ビル並びにその子会社から出ておるのか、あるいは個人の蓄積が生んでくる所得もそこに加算されておったのか、そこらが私はいま新聞を見た限りではちょっとわかりませんので、そこらを一回把握したい。これがいわば公益企業としての空港ビルから全額所得がつくられておるということは、これは相当な額だろうと私は思います。
  76. 井上一成

    ○井上(一)委員 私は午前中あと一分しかないのですよ。それでこの問題も含めて大阪空港の問題、関西新空港の問題、いろいろ私は指摘をしたいと思うのです。大臣、きょうは元総裁のお葬式があるということで中座をするということですから、できるだけ時間は厳守します。  いまこれは、空港ビル並びに関連企業からの年収なんですよ。だからそれは高い。それは後で報告を聞いて、違うなら言いわけをしてください。  もう一度確認をしますが、できるだけ早い機会に実態調査に入りますね。
  77. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私自身、直接関係者を呼んで調査いたします。
  78. 井上一成

    ○井上(一)委員 午前中のとりあえずの私の質問はこれで終えて、午後にこの問題も含めて再質問をいたします。
  79. 國場幸昌

    國場委員長 上田哲君。
  80. 上田哲

    上田(哲)委員 車検の延長問題とそれに関連する問題について伺いたいと思います。  この問題を審議しております運輸技術審議会の結論はいつごろ出る予定でありますか。
  81. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 運技審に諮問いたしましたのは、本年のたしか三月であったと思うのです。そこで運技審の委員の諸先生方と話し合いをいたしましたときに、最低一年の期間を欲しい、こういうお話でございました。しかし何分これは国民生活に非常に重要にしてかつ緊急な問題であるから、できるだけ急いでいただけぬかということで話をいたしました結果、来年の一月の末になれば実験的な検討も含めて完了するであろう、こういうお答えをいただいております。
  82. 上田哲

    上田(哲)委員 当初は三月ごろというふうにお伺いをしておりました。大臣もそのようにお話になっていたように思うのですが、それが一月末になったというのはどういう理由ですか。
  83. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 当初三月ごろということはなかったのです。大体一年の猶予を欲しい、こういうお話でございました。そこで、できましたら二月ごろにでもできませんかと言いましたら、二月、勉強してみましょう、こうなった。さらにもう少し早うできないですかと聞きましたら、ぎりぎり詰めても一月の末になるというお話で、では一月末によろしゅうお願いいたしますということで、現在一月末に答申をいただくということにいたしております。
  84. 上田哲

    上田(哲)委員 もう少し早くならないかと言ったのは大臣独自の発議ですか。それとも総理とか行管長官とかその他の要請というようなものがあったわけですか。
  85. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 これは私の判断であります。
  86. 上田哲

    上田(哲)委員 どうも私は、これは少し政治課題になっていないか、そういうにおいがしてならないのであります。そもそもこれは、去年の十一月に仙台で中曽根行管長官が記者会見をしたときにぽろっと出てきたのです。もともとは許認可事務の簡素化という項目の中にあったはずが一気に前に出てきて、これがどうも行革の目玉になってきたという感じです。後ろからドライブがかかっているような気がする。  そこで来年の本答申を前にして、総理も——このことだけではないけれども——いろいろそういう趣旨の話をする。そして先月行管長官と運輸大臣の相談があり、先般の中間答申にもなってきた。私はいま賛否の問題を言っているのではないのですが、どうもそのあたりで政治的なにおいが強くなってきたと感じる。この点はいかがですか。
  87. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 事は社会的に広い範囲に及ぶ、要するにユーザーというのが三千数百万人おられるわけでございますから、それだけにやはりどうしてもそういうにおいはすると思うのです。私はそれは否定いたしません。けれども、起こってまいりました根源は決して政治的な配慮からこの車検検討というものが出てきたのではないということは御理解いただきたい。これはなぜかと申しますと、鈴木内閣が発足いたしました昨年の七月、そのときに行政改革問題が出まして、たとえば車検の問題等ということがその当時から実は出ておったわけでございまして、昨年の十二月、予算編成時におきまして、車検の改正が強く閣議でも議題となりました。そのときに私の方から、これは技術的な問題であるから冷静な判断が必要である、であるからぜひひとつ運技審の諮問を終えた上で議論をしてもらいたい、それは政府も当然であるということで、その閣議では、運技審に一回諮問してその答申を待って対処しようということになりまして、そして年が明けまして三月に連枝審で正式に審議を開始してもらった、こういう順序でございます。
  88. 上田哲

    上田(哲)委員 車検延長問題が行革のにわかな目玉になっているというのは、お認めになっている。政治的なにおいもお認めの事実でありますけれども、いまのお話によると、運輸大臣運輸省としては、つまり所管省としては、そういう立場よりも、純粋に技術論的に国民生活上の問題としていま詰めているというふうに理解していいわけですね、念のため。
  89. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 ひとつ先に訂正さしてもらいたいのです。私が運技審に諮問いたしましたのは二月二日でございまして、運技審が審議を開始したのが三月、こういうことでございます。  そこでお尋ねの件ですけれども、われわれはまさにおっしゃるように、技術的な、何と申しましても公害それから交通事故、こういうものにも関係いたしますし、また自動車の仕様書、これにつきましては運輸省が指示しておるわけでございますし、そういう技術的な関連というものをきっちりと把握した上でないと対処できないということでございます。
  90. 上田哲

    上田(哲)委員 そうしますと、一口で言えば七月十日の臨調の第一次答申の中に「自動車の定期点検整備及び検査については、国民負担軽減の見地から」云々、この立場で純粋にいま進めていらっしゃる、こういうふうに理解していいわけですね。もう一度。
  91. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 仰せのとおり、自動車の構造なりあるいは機械、部品というものが相当進歩してまいりましたので、当然数十年前に決めました制度とはそこに若干の差はあろうと私は思います。けれども、それは恣意的に考えるべきではなくして、技術の現在の水準における検査はどうあるべきかということを冷静に考えるべきだと思うております。
  92. 上田哲

    上田(哲)委員 巷間ほぼ確信されているところは、車検の期間は延長されるだろう、こういうふうに考えられているわけです。見通しはいかがですか。
  93. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 これは何ともいま私から申し上げられませんけれども、機械がというか自動車そのものが非常に改良されてきた、改善されてきたということは一般論として言えるのではないか、それが、技術的にいま運技審でどのように出してもらえるかということを見た上でないと、いま判断は申し上げられないと思うております。
  94. 上田哲

    上田(哲)委員 巷間どのような観測があっても、当局、所管大臣としてはいま白紙である、客観的に技術的に、そして臨調の言う国民負担の軽減のために鋭意調査をやっておるというふうに理解すべきですか。
  95. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 臨調の精神、おっしゃっていることは私たちも当然、原則として見なければなりません。だからといって臨調の言うのに合わそうというつもりでわれわれやっているのではなくして、臨調が指摘されたのはいい見直しの機会であったというとらえ方でございまして、やるならばこの機会に一回技術的にきちっと調査もし、実験もしてもらった上で判断いたしたい、こういう次第です。
  96. 上田哲

    上田(哲)委員 先ほどいろいろなプレッシャー、政治的なにおいと申し上げた意味は、——私はここでは車検の延長の賛否を主張しようとするのではありませんが——そもそもこの一年の流れの中では、社会の風潮にもひとつ乗りながら、政府には延長という結論が先にあって、その結論に向かって、言葉は悪いけれども、つじつま合わせの技術的検討その他がただ手続として進んでいるということになるのではないかという一つ懸念がある、ということです。これに対して御答弁は、つまりそうではなくて、全く客観的に技術的にいまは白紙の立場で、つまり延長される場合もあり、されない場合もあるということで御審議になっている、それまでは結論が口に出せる段階ではない、こういうふうに理解していいのですか。
  97. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 まさにそのとおりでございます。よく議論されておりますことは、要するに自動車が非常によくなったということ、これはみんながはだで感じておるものですから、車検の延長という要望がユーザーから非常に大きい声で出てきておる。だからといって直ちにそういたしましょうというわけにもいかない。これはやっぱり技術的に考えてもらわなければいかぬ。技術的に結論が出ましたら、やっぱりこれは行政でございますので、ただ技術の検討だけでもって答えとするわけにもいかない。この技術的なものはやっぱりこれをベースにした上で、現在の車検を取り巻きますいろんな環境がございます、その兼ね合いはどうするのかということ、これは行政当局者として当然考えなければならぬ。けれども、そんなことを考える前に技術的にどうなのかという、何遍も言って恐縮ですが、その結論を先に得なければ、そういう環境問題、環境という取り巻きます周辺問題とあわせて検討するという段階に入らない、こういうことであります。
  98. 上田哲

    上田(哲)委員 第二次的表現ではありますけれども、大臣から周辺の問題を十分配慮しなければ、技術論だけではいかぬのだという御判断が出たことは結構だと思います。私は、まさにそのことをきょう中心の問題にしたいわけであります。  繰り返しますけれども、いま白紙だとおっしゃるわけだから、車検延長についての賛否をきょう議論しようとするのではありません。しかし、多分それが延長されるのだといういま社会の一般の観測からしますと、そこから起きてくるさまざまな問題が現実ここにあるわけであります。整備業者の問題、整備専業業者の問題です。町のモータースのおやじさんの問題です。その死活の問題です。  ここに私のところに来た手紙が一つあるのですが、これで事情が一番わかると思うのでお読みします。大臣の御感想を承りたい。都内の自動車整備業春の中野浩さんという方から来た手紙であります。そのまま読みます。   私は大田区内で整備業を十九年間営んできた  者です。従業員十名。その平均年齢三十二歳。  年収は二百二十万円しか待避できません。毎日  油にまみれて働くこの業界が何と恵まれないも  のだろうと常々考えている者です。   企業体質もきわめて脆弱で、うわさされてい  る三年車検が実現すれば、一たまりもなくつぶ  されてしまうと心配でなりません。   私は次のように叫びたいのです。   現在の自動車行政が私たち整備業者を法制度  の中に組み込んで成り立っていることは明らか  です。整備業は、車両法の整備の部門で法の実  行行為者であり、同時に行政機関の下請業務と  して少なくとも次の三つの役割りを果たしてい  ます。一つ、自動車税完納の確認。二つ、自動  車重量税の徴収。三つ、自賠責保険付保の促  進。これは一つでも欠けると車検が受けられな  いのです。   こうして今日のモータリゼーションの中で私  たちが果たしてきた役割りと社会的責任は正当  に評価していただきたいところですが、運技審  はこの辺をどうお考えになっているのでしょう  か。   制度の変更が私たちの弱い業者をつぶす。そ  れが行政改革というのであれば、私たちはどう  しても納得できません。運輸大臣は私たちの生  活の不安をどう考えておられるのでしょうか。  手紙はこういうことなんですね。生の声だと思うのです。感想をひとつ伺いたいのです。
  99. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私は、それは確かに業者の声であると思いまして、いま謙虚に承っておきます。
  100. 上田哲

    上田(哲)委員 その謙虚の奥ですが、つまりここで言っていることは、今日のモータリゼーションの行政的な枠組みを整備業者が果たしてきたではないか、こういう問題が十分に検討されているのかということなんですね。  いま三つの問題がありましたから、これは後から事務当局に具体的に詰めたいと思いますが、運輸大臣に踏み込んで聞きたい。大臣からさっきいいところの話が半分出ました。運技審に任せているモータリゼーションの技術論の検討はあるけれども、その周辺の問題というのはなおざりにできないと言われた。整備業者の生活権の問題です。ここをどれくらい考えるか、つまりもっと具体的に言えば、五人以下が実に七八%という中小零細の典型的なモータースの生活の不安感、これをどのくらい強くお感じになって、またこれをどう救済しなければならないとお考えになっているか、そこのところです。
  101. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 車検をめぐる周辺の環境問題と言いましたのは、まさにそういう問題も含んでおりますし、それから行政的にこれにかみ込んできております徴税問題、こういうようなものも絡んできております。したがいまして当然われわれは、業者の問題なり徴税問題というものは車検問題と一体として考えなければならぬ。けれども、くどいようでございますが、その問題を議論する前に、やはり自動車がどうなっているのかという、この根本を技術的にはっきりしてもらいたいというのが私のいまでも変わらざる意向でございまして、いろいろと御意見を、ユーザー側から言ってくるのもございますし整備業者の方から言ってくるのもございます。私たちは、それらはそれなりの立場からおっしゃっておると思って承っております。けれども、何はともあれ答申を待って、そういうようなものも含めて検討をいたすべきだと思うております。
  102. 上田哲

    上田(哲)委員 進歩した自動車の技術論的な検討を一生懸命やらなければならぬじゃないかということは同意しましょう。だから、これは共通項にしておきましょう。しかし、そのことだけではいけないのだ、周辺問題がそこにあるとおっしゃったことを私は評価するわけです。だから、ずばり言って、そういう方針が技術論的に出ることによって、いままで一生懸命まじめにやってきた——まじめでなかった人がいればこれは別問題、この間の中間答申のようなモラルの問題は別問題——しかし、まじめにやってきた、いや、やらせてきた行政指導もあったのですから、その人たちが行政方針の変更によって食えなくなるということは政治の責任としてなおざりにできないことであるという点ははっきりお答えいただけますね。
  103. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 上田先生のは仮定の上に立っておると私は思います。しかしいずれにしても、制度が現状のままなのか、あるいは改正するのか、いろいろな変更がある、それはどういうふうになろうが、運輸省としては整備業者のいわば指導監督の責任があります。それは十分に配慮していかなければならぬ、これは当然のことであります。
  104. 上田哲

    上田(哲)委員 言葉にこだわるようですが、指導監督ではなくて、生活保障というものです。寝ている者を救えとは言ってませんよ、いままでまじめにやってきた者が政府の方針の変更によって食えなくなるのであれば保障の処置をしなければならない、その面ですね。
  105. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 行政指導の中には当然そういうものも——丸抱えで救済、そういうことはどんな業界においても、またどんな事態になってもあり得ない、けれども業界が混乱をするというようなことのないような行政はやはり心がけなければならぬ、こういう意味にとっていただいたらと思います。
  106. 上田哲

    上田(哲)委員 結構です。したがって、まじめな整備専業業者たちは十分に食えるようにするのだ、こういうこととして受け取ってよろしいですね。
  107. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 余り激変をしないように、私たちは十分そういう業者の立場も考えなければならぬと思います。
  108. 上田哲

    上田(哲)委員 そうなりますと、確かめますが、運輸技術審議会の調査検討項目の中にそのことが含まれておりますか。
  109. 飯島篤

    ○飯島政府委員 お答えいたします。  運輸技術審議会におきます検討事項の中に、先生がいま御指摘のような中小企業対策とか近代化の問題とかいうようなものはずばり入りにくい事柄ではございますけれども、先般検討事項を運輸技術審議会で決めました際に、関連する項目として審議はしよう、問題点があれば提言をしようという段取りになっております。
  110. 上田哲

    上田(哲)委員 つまりそれは五十六年の七月十六日の運輸技術審議会第四回検査・整備小委員会の審議材料の中で「(5) その他」のうちの「2整備事業に対する中小企業対策」、その中で「制度を変更した場合の影響とその対策」と出ておりますが、その項のことですか。
  111. 飯島篤

    ○飯島政府委員 おっしゃるとおりでございます。ただ、対策につきましては、運輸技術審議会の限界がございますので、どこまで具体的なものが出せるかはおのずから限界があるというふうに考えております。
  112. 上田哲

    上田(哲)委員 さっき大臣にしっかりお約束いただいたように、まじめにやっている者は絶対見殺しにはしないのだという、これは政治として当然なことですね。それが今の答弁では、運輸技術審議会の中では、項目にはなっているけれども、温かいものは出ないかもしれないよ、こういうことになる。これは運技審が出すのだから仕方がないということですか。現段階では言えないとしても、もしおっしゃるようにそこで出てこないとすれば、今度は運輸省が政治の責任を負わなければならないですね。そこのところを、もし運輸技術審議会からそういうものが出てこない場合にはそのことを十分に補っていくということを、あらためて大臣、お約束いただけますね。
  113. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私は、その点につきましては先ほどお答え申したとおりでございまして、それは明確に申しておる。要するにそういうような技術の問題が解決した上で、それを土台にして行政処理、その行政処理の中にはそういう周辺問題も皆含んでくるのだ、こういうことを申し上げておりますので、御理解していただきたいと思います。
  114. 上田哲

    上田(哲)委員 わかりました。それは大変結構なことであります。  そこで次に心配になるのは、運輸技術審議会の答申を待っている姿勢です。初め三月だと思っていたら一月末にこれが出る、答申は運輸大臣のところへ行く、閣議決定する、法改正の問題に移る、次の通常国会で行くとなりますと、これは今の時点で十分に話しておかないと間に合わない問題となります。つまり心配になるのは時間差ですね。いい悪いは別にして、延長なら延長がとにかく出たとして、それが技術論的にさっといってしまうと大変です。中小企業というのは、タイムラグが起きてしまったらその途中でだめになってしまうわけですね。これにはいろいろな数字が出ているわけです。たとえば東京都の自動車整備業者検討対策協議会というのが出したパンフレットがありますけれども、この中では、このままいったらパニックが起きると書いてあるのですね、非常に零細な業種でありますから。  その心配から、行政の当然の配慮として確認しておきたいのは次の点です。運技審の技術論は一生懸命調査してやるのだ、その中には中小零細の整備業種の救済のことも考えているのだが実際には出てこない場合があるだろうといわれる。その場合は政治が責任を持って万遍漏なきを期するのだとおっしゃるのだが、このとき保障策に時間差が出てきてしまう。延長という方針が出て、だっと制度が変わってしまう。そのとき救済策が一緒に出てこないと、その途中で整備工場はだめになってしまうという心配があるのです。そこはどうなさいますか。
  115. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 とりあえず私たちは、答申を得ましたら早急にそういう関係業者の方々と十分話をいたしたいと思うておりますし、その事前調査といたしまして、いま自動車局では、整備関係の業者の内容と申しましょうか、技術問題なり営業問題なり、そういうようなものをこの機会に把握するということで鋭意調査をいたしております。でございますから、整備業者との話し合いの段階になりましたら、そこから運輸省が調査をするのだ、そういうことのないように事前に十分に業界把握をしておきたい、それは私たちも心得ております。
  116. 上田哲

    上田(哲)委員 確認いたしますと二つなんですね。行政上は車検延長という技術論の、これは仮定ですけれども、技術論の結論と整備業者の救済という問題とはタイムラグを置かないよう努力をするという約束が一つ、それからそのためには業界と十分に話し合う、こういう二つのお約束をいまいただいたと考えてよろしいですね。
  117. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 制度が改正されるときにはやはり業界にも十分な説明と納得を得るように努力しなければならぬと思うております。その努力はわれわれといたしましてはいたしますが、ただ、よくあることでございましてこれは御承知のとおりだと思うのですが、納得というのが全員が納得ということではなく、やはり整備業界としてこういうふうに将来に不安がないという理解をしてもらったら、やはりそれをもって納得としていただかなければいけないのではないか。それは十分に努力していきたいと思います。
  118. 上田哲

    上田(哲)委員 そうしますと、くどいようですけれども、仮に延長問題が出る場合には、遅滞なく業者との話し合いや救済策は行政責任としてお出しになる——非常にくどいようですけれども、これは死活の問題ですから、もう一遍確認しておきたいのです。
  119. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 それは当然やらなければいかぬと思うております。
  120. 上田哲

    上田(哲)委員 大変結構でございます。前向きな御答弁をいただいているので大変ありがたいと思いますが、実情を言いますと、実際には、日整連と言われているこういう人たちの代表が行政当局にお目にかかれるのは陸運局か陸運事務所が精いっぱいなんですね。大臣がひとつ会っていただけるという、しょっちゅう会えとは言いませんけれども、本省の局長なんかに会えるということなどかつてはなかったと聞いてもいるものですから、ぜひ今度は窓を広げてください。この問題は十分に風通しをよくすることが、さっきおっしゃったような理解の前提であるということを、ぜひお願いをいたしておきます。大臣、一言。
  121. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私も、もちろん逃げているわけでも何でもないのですが、御承知のようにきょうも、見せますとスケジュールがこんなでございまして、スケジュールが連日こんなでございますので、時期を得ましたら私もなにしてみたいと思うておりますが、ただ、私の時間的なスケジュールがなかなかつかないものでございますから、その点はよく自動車局長とも打ち合わせいたしまして、機会がつくれるようだったらいたしたいと思います。
  122. 上田哲

    上田(哲)委員 大臣が非常に努力をされていることはよく了解します。ひとつ大いにがんばっていただくことを約束していただいたということで、ちょっと技術的な問題に移っておきたいと思います。  そこで、仮定ですけれども、もしこのまま三年に延長になりますと、いいか悪いかは別問題です、どういうことが起きるかをどういうふうに把握しておられるかの点です。さっき中野さんの例を挙げましたけれども、中野さんの従業員十名というのはまだ大きい方でして、五名以下というのが八〇%近いわけであります。従業員平均年齢の三十二歳は業界の平均です。若くありません。このままいくと三分の一が倒産して、東京都だけで二万の企業と十九万人の従業員が路頭に迷うと試算されているわけですね。データをたくさん挙げる余裕はありませんが、ちなみに五十六年度版の自動車整備白書を見ると、整備工場数は前年対比で九百十四工場が増加しているのだが、企業数は六十七企業が減少する。そしてこの白書によると、一般整備工場の「淘汰の時代を迎える予告として受け止めるべき」である、こう書いてあるのですね。東京二十三区の場合に限定して考えると、五百八十一平方キロメートルの土地面積の中に人口が約八百三十五万人、約二百十四万台の自動車並びに六千百六十八の認証工場が存在する。こういう中ですでにディーラーにぐいぐい押されてきている零細整備業者、これは業者の言葉をかりるとビルディングの基礎をこわされているようなものだ、こう言うのですが、大変孤立している整備専業業者は、現段階でも五十四年及び五十五年中に三百五十二工場、全体の五・四%が倒産あるいは廃業しているという実態があるのですね。だから、このままいくと東京都はパニックの状態が整備産業業界に起こる、こういうふうにデータが叫んでいるわけですが、これは御同意になりますか。
  123. 宇野則義

    ○宇野政府委員 お答えいたします。  整備業の状況につきましては、かなり前から、やはりこの整備需要のふえ方がだんだん減ってまいりまして横ばい状態になるという状態が始まっておるわけでございます。そういう状況のもとでこの整備業が健全に運営されるためにはどうしたらいいだろうかということで、私どもも行政を続けてまいったわけでございますけれども、その一つの具体的な方策といたしまして、四十年からこの整備業界全体を……
  124. 上田哲

    上田(哲)委員 時間がないから、ぼくの分析にあなたは同感かどうかをしっかり言ってください。
  125. 宇野則義

    ○宇野政府委員 失礼いたしました。非常に深刻な状態になりつつあるというふうに感じておるわけでございまして、さらにこの問題を何とか解決すべく業界等の意見も聞きながら、これからの行政の推進を図っていきたいというふうに考えております。
  126. 上田哲

    上田(哲)委員 結構です。深刻な事態をお認めいただければ、それでいいのです。  そうなりますと、この事態と行政責任との関係です。一般に時の流れで業者がつぶれるのは仕方がないのじゃないかというのも、この競争社会にはあるかもしれないが、少なくともこの整備業者の問題については、これまでの行政指導の経過があるのですよ。つまり運輸大臣から昭和四十六年度を初年度とする構造改善五カ年計画が承認された。そして四十六年度から五十一年度まで業界ぐるみで事業の協業化、協同化の企業集約による適正規模化というのが行われているわけですね。だから平たく言うと、一つの工場について整備士が六人以上、車を九百台扱わなければだめだ、このあたりが適正規模だと指導してきた。今日までの高度成長で車もふえて売れてきたであろうけれども、さっき言われた技術革新の問題、技術能率の向上だけの問題でなくて、整備の業界では追いつけぬ面がいろいろあって、それに適応させるような行政指導を運輸省がしてきたわけですね。その運輸省が、今度は行政改革というものの中でこの人たちをばさっと、いまお認めになったような危険な状態に追い込むということになれば大問題です。これは政治上、行政上の責任として救済策を積極的に講じなければならないのだという点はお認めになりますね。
  127. 飯島篤

    ○飯島政府委員 先生御指摘のとおり、現在、構造改善計画、総合型でございますが、第四次の計画を推進しているところでございます。制度の改正によってどうなるかという問題でございますが、大臣が何回もお答えしておりますように、まだ結論が出ていない段階で、どういうことを考えたらいいかということを申し上げる時期ではないと考えておりますが、激変を避けるという大臣のお話もありましたように、われわれとしては制度の改正を見守りながら、同時にどのような対応措置が必要かどうか考えてまいりたいと思っております。
  128. 上田哲

    上田(哲)委員 行政上の指導を行ってきたという体系の中に整備業者があった。さっきの手紙でありませんが、まさに行政の、平たく言えば下請として支えてきたということがあるわけですよ。それをお認めいただいたから、その上で御努力をいただくということは当然ですが、さて、具体案はいま腹の中にありますか。
  129. 飯島篤

    ○飯島政府委員 現在のところ具体案は申し上げるようなものを持ち合わせておりませんが、いままでのたとえば不況になった場合の産業政策等がいろいろありますから、事務的には勉強をいろいろいたしております。
  130. 上田哲

    上田(哲)委員 ちょっと頼りない感じがするけれども、これはさっきの大臣の再三の約束もありますので、運輸省の趣旨を前向きに受けとめて、ぜひひとつ御努力をお願いしたいと思います。  そこで、さきほど一つ問題を残しておきましたけれども、自動車税の問題、それから重量税の問題、それから自賠責保険の問題、実際はこの三つがそろっていなければ車検が前へ進まないわけですね。車検のときのいわば義務事項になっているわけですから、その前提で車を扱う整備業者にしてみれば、お客にこれを確認をする仕事が先にある。場合によっては大変な金額の立てかえ払いということにもなっておるわけですよ。これで実は国の方は穴があかないで済んでいる、こういうことが実態なわけですね。したがって、もしこれが延長になった場合には、こうした問題、税務上の問題も出てくると思いますね。この辺のところは、大蔵省、自治省、どういうふうにお考えになるのか、法改正が必要ならば、どういうことも考えなければならないのか等々についてお答えいただきたいと思います。
  131. 新藤恒男

    ○新藤説明員 お答えいたします。  車検制度につきましては、現在運輸省の技術審議会の方で検討をされているという状況でございますので、法制上の問題につきましては、その結論を待ってから具体的な検討をするということになろうかと思います。
  132. 渡辺功

    ○渡辺説明員 自動車税は道府県の税金でありますので、私の方からお答えいたします。  自動車税につきましては、御承知のように、毎年毎年賦課いたしまして、毎年普通徴収の仕組みで徴収する税金でありますので、基本的には、その仕組みは車検期間に関係しませんので変わらない、こう考えております。  ただ、御指摘のように、どういう税金でも滞納ということが起こり得るわけでありまして、その滞納が起こりにくいような形といいますか、その面では現在の、車検のときに滞納がないということを証明する書類を添付する制度は非常に役立っていると思っております。したがいまして、車検がないなんということになりますと、これは大変なことでございますけれども、車検期間の延長そのものによっては大きな影響はないのではないかと考えているところでございます。
  133. 上田哲

    上田(哲)委員 車検制度が非常に役立っているとおっしゃるのは、国にとっては徴収するのに手間が省けて実に効果的であるのであって、これは業者がかわいそうだと思いませんか。私どもが聞いてみると、零細な業者が、従業員の賃金を払わなければならない金を立てかえに回して、小切手を持って走ったなどという話がいっぱいあるのですよ。それで国の方は大変ぐあいよくいっていると言っているのでは、これはかわいそうじゃないか、どうも、少し平たい言い方になり過ぎるかもしれないけれども、考えなければならぬじゃないかという問題については、一言どうですか。
  134. 渡辺功

    ○渡辺説明員 お答えいたします。  重量税と違いまして自動車税は地方税でありますが、これは毎年普通徴収で、納税通知書を送りまして、納税者がこれを納めます。そうすると納税済みの証明書というのをもらえるようになります。それを添付するという仕組みになってございまして、したがいまして、基本的にそこは違うのではないか、こう考えております。
  135. 上田哲

    上田(哲)委員 そんなことを言っているから血が通わないのですよ。その納税済み証明書を持ってこなければできないので、証明書がなかったらとってきてくださいということをモーターズのおやじがやらなければいけないのですよ、国がやることを。それは、役所のきめた手続では添付することになっております、で済むでしょう。しかし、添付することをちゃんとしてこない人がいたって、これがないから車検できませんのでお帰り下さいなんということはお客さんには言えないでしょう。そこのところを苦労しているのを、国としてはうまくいっている、手続的にはそうなっているなんて説明していちゃ困るのです。これを議論すればまた一時間やらなければならないから、そんなことでは困るのだということを厳しく一言言っておいて、もう一つの問題に移ります。幾つかの心配が指摘されています。  これが延びると暴走族がもっと野放しになるのではないか。それから、交通安全上の問題が出てくるのではないか。あわせて、路上故障というのがいまかなりあるのですが、その実態はつかんでいるのかどうか。JAFだけじゃだめですからね。これがふえると日本坂トンネルのような事故が心配ではないか、こういう問題も指摘されています。それぞれ関係省庁から答えてください。
  136. 浅野信二郎

    ○浅野説明員 お答えいたします。  私どもの方では、この車検の期間の問題については交通安全の見地を十分考慮した上で御検討をしていただいているものと考えております。そういうことでございますので、現在のところ、特に交通安全上問題が出てくる、そういう結論が出てくるとは考えておりません。  なお、暴走族の問題は、特に不法改造車両の問題であろうと思いますが、これは現在でも相当大部分の者が不法改造車両を運転しておりまして、厳しく取り締まっておりますが、そういう意味では、チェックの機会が少なくなればそれをしやすくなるということは考えられます。しかし、もともとこういう大変悪質な車両上の問題でございますので、今後とも厳しく取り締まるということで対処していきたいと考えております。
  137. 上田哲

    上田(哲)委員 さっきのお話に私は大変不満がある。それに関連するのですが、全部弱い業者の方に役所の仕事を振りかえさせておいて、こっちはうまくいっているというやり方、それがだんだん下へいくほど上意下達の体制がうまくできているというふうに思えます。その例になるのかどうかを含めてお伺いしたいのだが、整備業者が使っているこの保安基準適合証、保安基準適合標章という三枚複写五十組つづりのがありますね。大蔵省印刷局製造という用紙ですね。これはいま日整連、日本自動車整備振興会連合会からでないと末端業者は買えないのですな。これはどういう行政的な枠組みになっているのですか。民間業者が民間の——これ、きのうも資料を取り寄せて調べてもらったのだが、日整連というのは純民間の機構であって、もちろん政府のものではない。それが、そこを通さなければ——大蔵省印刷局と書いてあるからですか——これが整備業者は買えない。しかも、これは一種の、何といいましょうか、いい言葉は見つかりませんが、割り高になっている。これはどういう役所の指示や仕組みでそういうことになっているのでしょうか。
  138. 宇野則義

    ○宇野政府委員 ただいま先生から御質問をいただきましたその証・標章につきまして、ちょっとわからない点があるので確認をさせていただきたいと思うわけでございますが、恐らく指定整備工場で使われておる保安基準適合標章という形のものではなかろうかと思うのですが……。保安基準適合証というのと保安基準適合標章というものがセットになった様式のようでございます。これは、指定整備工場で扱いましたいわゆる民間車検の手続をするために陸運事務所に提出する書類であり、また、その手続をする間に車を動かすという便宜を図るための票になっておるわけでございますが、私どもの方でこの記載項目については法定化してございまして、様式そのものといいますか、製作だとか販売だとかということは特に法律的には規制しておりません。
  139. 上田哲

    上田(哲)委員 そうしますと、それは一般の業者が日整連から買わなくてもいいわけですね、有効なわけですね、書式さえちゃんと整っておれば。明確にしてください。
  140. 宇野則義

    ○宇野政府委員 規則の上では特に定めておりません。
  141. 上田哲

    上田(哲)委員 ほかで買っても、つまり直接買ってもいいわけですね。
  142. 宇野則義

    ○宇野政府委員 規則に従った様式になっておれば構わないわけでございます。
  143. 上田哲

    上田(哲)委員 はい、わかりました。  その辺のところが、何とはなしに行政の方から締めつけられて、こんな書類一つまで自由には買い取ることもできないような形の中で、この整備業界が、もし行政からの上意下達制度を貫徹しているのだとすれば問題です。しかも、いま行政の方針変更によってパニック状態とまで言っているほどの生活危機が見舞うかもしれないという不安の状態に、お役所に一声も出せないということであってはいけないと思います。これは一例でありましょうけれども、行政の方からは思ってもいなかった問題が起きているかもしれませんから、そういう立場でぜひ十分に御配慮いただきたいと思います。  最後に。運輸大臣を初め運輸省当局は、車検延長にいまは白紙だ、純技術的にやっているのだ、こうおっしゃっているわけですけれども、七月十日の臨調の答申の中に「国民負担軽減の見地」ということがうたわれているわけです。その「国民負担軽減の見地」ということになると、一体、このことによって国民負担軽減はどれだけできるのか、それから、財政効果としてはどれだけのものが見込めるのか、これはひとつ明確にお示しいただきたいと思います。
  144. 飯島篤

    ○飯島政府委員 臨時行改調査会の答申の中に「国民負担軽減の見地から」と入ってございますが、それはあくまでも、臨調の答申でございまして私どもとしてはその精神はよくわかるのでございますが、実際にどれだけ国民負担が結果として軽減になるのかという点については、いま具体的な見通しは持っておりません。したがいまして、また財政的に云々というお話についても、いま申し上げる段階ではないというふうに考えております。たとえば先般の中間答申につきましても、整備制度の適正化ということの方がもっと大事ではないかということも考えられます。結果として国民負担の軽減ができれば非常にいいのではないかということで、車検問題につきましても、先ほどから、まず技術的な検討をしていただいた上で臨調の御指摘がどこまで生かせるか考えてまいりたいというふうに思っております。
  145. 上田哲

    上田(哲)委員 これはひどく頼りないですね。これじゃ困るのです。臨調で始まっているのです。鈴木総理はそう言っているのです。そこで国民負担の軽減と言っているのに、これはよくわからぬ、そんなばかなことはない。技術論的な結論が出たからといって、それだけで踏み込んだのでは政治ではありませんよ。データは当然基本に向かってそろえるべきです。もう一つは、これには財政効果はないのでしょう。初めから財政効果はないのですよ。そこのところははっきりしておかないと、また後で大変困ることになりますよ。しっかり答弁してください。
  146. 飯島篤

    ○飯島政府委員 「国民負担の軽減の見地から」という点については十分尊重して、先生御指摘のように効果があるような方向で考えるべきものではあるというふうには考えております。  それから、財政的な効果につきましては、どういうことをおっしゃっているのか具体的によく把握できないのでありますが、恐らく、たとえば仮に車検期間が延びた場合に、陸運事務所の要員等を減らすことができるのかどうかというような問題であるとすれば、これまた答申の結果を見ないとわかりません。ただ、よほどの変化がない限り、検査場は施設に対応して人が張りついておりますので、それほど大きな要員の変更等は期待できないのではないかとわれわれの方ではいま考えております。
  147. 上田哲

    上田(哲)委員 これでは全然終わりませんよ。財政効果という言葉が何を言っているのかわからぬというのじゃ役人が勤まらない。行革をやっている政府側がそんな用語を言葉としても理解できないようじゃ話にならぬでしょう。これは財政効果はないのですよ。あるのならあるようにすべきでしょう。鬼の首を取ったように言ったらいいじゃないですか。言えないのは、ないからですよ。ないものはないと言っておいた方がいい。しかも国民負担の軽減になるのかならぬかについても異論が出ている。はっきりさせなければならない。私はきょう賛成でも反対でもない。問題は、そういうことを乗り越えてしまって、臨調が初めに言っていた話とは全然違ったところへ事態が動いてしまっていることです。実は財政効果も経費軽減もないままに今回の行革の政治的目玉商品として走っていくようなことになって、しかも業者が切り捨てられるなんということで、それに文句も言えないということであったら、これは政治の喪失ではありませんか。運輸省はしっかりしてくれなければ、日本の政治を失いますよ。そこのところを厳しく申し上げておきます。(「しっかり答弁せい」と呼ぶ者あり)ほら、自民党でもそう言ってくれているじゃないですか。これは政治の問題ですよ。あなた、もう一遍しっかり答弁してくれないと質問は終わりませんよ。
  148. 飯島篤

    ○飯島政府委員 大臣が先ほど御答弁いたしましたように、政治の問題というのではなくて、自動車の技術の進歩それから自動車の使用形態の変化等に対応して、時代に即応した検査、整備制度のあり方について検討する時期が来ているものと考えて審議会で審議をいただいているのでありまして、先生の御指摘の国民負担軽減あるいは財政効果等について関連してどうかということにつきましては、審議会の答申を待ってわれわれの方もはっきり物が言えるようにいたしたいと考えております。
  149. 上田哲

    上田(哲)委員 これじゃ全然答弁になりません。いま理事とも相談しましたけれども、この質問の答弁を基本的に不満として質問を留保いたします。後刻大臣から明確にお答えいただかなければなりません。こんなことがいまごろわからぬということにはならないです。したがって、私、一つ例をここに出しておきますけれども、ここに雑誌「トランスポート」の対談があります。宇野整備部長と桶谷繁雄さんのものです。ここで宇野さんは大変率直におっしゃっていることがある。   二年を三年にするといろんなところに影響が  出てまいります。自動車の安全性の維持、公害  防止の問題はもちろん、行政の簡素化という趣  旨でこういう話がスタートしたわけでございま  すけれども、検査の面では業務量が減るわりに  簡素化できないんです。人を機械に張りつけま  すんで業務量が一割減ってもそのまま一割の人  は減りません。ところが、収入はそのものずば  りで減ってくるわけですね。そうすると、コス  ト的に言いますと割り高になります。そういう  問題点がございます。それから、いま整備工場  がこれだけあって整備需要が伸び悩みだという  話もしておりますが、整備工場に与える影響が  非常に大きくなります。   国の歳入もものすごい変動が出てくるわけで  すね。もう一つの問題は、いま二年分払ってい  ただいている税金等をそのまま一年余計に延長  することはとても考えられない、そうすると三  年分前払いということになりますとユーザーの  一時負担の感覚はかなり高負担の感じになって  まいります。そういうような問題が大きいんで  ございます。と、これは非常に率直に素直に言っていますよ。これほど影響が大きい。したがって、この問題を単に世の中の風潮に乗せて政治論的に解決してはいけない。ぜひ担当省として、行政効果がどれだけ出るのか、国民の負担軽減はどうなのかという、臨調答申がはっきり書いている大きな活字の目的に対する行政当局としての回答をきちっとした形で大臣に上げて、大臣からしっかり回答をいただくことを留保して、きょうの私の質問を終わります。
  150. 國場幸昌

    國場委員長 この際、午後一時十五分まで休憩いたします。     午後零時五十七分休憩      ————◇—————     午後一時十七分開議
  151. 森下元晴

    ○森下委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。植竹繁雄君。
  152. 植竹繁雄

    ○植竹委員 私は、今回の国会が行財政改革国会と言われ、今後わが国が二十一世紀に向かって飛躍するための重要な国会であることを認識し、本委員会において質問をいたすものであります。  わが国は、二度にわたる石油ショックを乗り越え、いまや国際的にも最も安定した国になりましたが、今後の展望は、わが国を取り巻く内外の情勢はなお厳しいものがあります。かつて将来大きな問題となるであろうと予想された高齢化社会も現実の問題となってきており、また資源・エネルギー、世界的治安、軍事力の増強、食糧及び国際協力の課題等、問題は山積されています。これらに弾力的に対応するためには、わが国の基盤をより強固なものに確立せねばなりません。今日のこの繁栄をもたらした高度成長による影響は、行政機構を肥大化させ、また財政上の収支の不均衡は拡大し、今年末国債発行高は八十二兆円に及ぼうとしております。そして財政の健全化が失われておりますが、われわれはいまこそこのぜい肉を落としていかねばなりません。鈴木総理大臣はその施政方針演説の中で、行財政改革こそが「二十一世紀を展望する国家の大計であり、避けて通れない国民的課題」と言っております。私どもといたしましては、この行政改革と財政再建は不可分の関係にあり、財政収支の不均衡を是正することによって行政改革が効率的に行われ、また、行政改革によって財政再建がなされることは自明の理であります。  五十七年度予算は、八月に各省の概算要求が出されましたが、増税なし、公共事業ゼロシーリング、歳出の削減、圧縮が行われ、きわめて厳しいものと考えられます。第二臨調第一次答申にもありましたが、わが国の三大赤字の一つと言われ、昭和五十五年度も八千三百億円の赤字を計上しております日本国有鉄道の再建問題は、この行財政再建においてまことに重要課題であるものと考えます。私は、本委員会において、この日本国有鉄道の財政再建問題をもととして質問をしてまいります。  第一に、肥大化しました国鉄の要員の合理化についてであります。昭和五十六年五月、新しい経営改善計画によっていろいろとその改善方法が計画されておりますが、先般発表されております昭和五十四年四十二万四千人が六十年には三十五万人に減員すべく計画されたことにつきまして、現在の進行状況等について伺いたい。また、それに伴った節減額はどのくらいになるか、お答え願いたいと思います。
  153. 吉井浩

    ○吉井説明員 お答えをいたします。  ただいま先生御指摘のように、今回の経営改善計画におきまして国鉄の力の及ばないといいますか、私どもだけでは解決できがたい問題、いわゆる構造的な諸問題につきましては、政府、国民の各位からいろいろと御配慮をいただきたい、ただ、国鉄としては、この御要望にこたえるべく、またわれわれ自身が生き残るべく最大限の減量化努力をいたしますということが今回の経営改善計画の大きな内容でございまして、その中で、私どもといたしましては、昭和六十年度に三十五万人体制を確立しようということで、計画の中でもお約束を申し上げ、その体制に進んでおるわけでございます。  ただいまお尋ねのございました昭和五十四年度四十二万四千人になっておるものがいまどのように経過しておるかということでございますが、まず今回の経営改善計画、正式の計画としてお認めいただきますに先立ちまして、五十四年の七月に私どもなりに再建計画ということで運輸大臣に御提出をいたしまして、その御承認をいただきました。この中で三十五万人ということをお約束を申し上げたわけでございます。当該五十四年度におきまして諸種の施策を講じまして、実際増減差し引きいたしまして四千五百人の縮減を実現いたしました。また、昭和五十五年度、昨年度でございますが、十月に貨物を中心に相当大きな減量化を中心といたしましたダイヤ改正を行いました。これをも含め、五十五年度中に一万一千名の縮減をいたしました。したがいまして、ただいま五十六年度に入っておるわけでございますが、五十六年度首には四十万八千五百人、こういう要員の規模でございます。さらに今年度中には二万二千人の減員を果たし、自今三年にわたりまして三十五万人に向かって進めてまいる、こういうことでございます。  ただいま、今年度の一万二千人につきましては、各対応の組合と所要の施策につきまして交渉をいたしております。今年度は特にダイヤ改正というふうな大きな目玉はございませんので、細かな積み上げ並びに今後に向かっての大きな展開という両方を含めまして現在交渉をいたしておりまして、九月の二十一、二十二の両日、関係各組合に対しまして今後六十年に至る非常に大きな項目につきまして包括的な提案をいたし、また、その後もそれぞれの組合との間に内容的な詰めをいたしまして、今年度中に一万二千人の縮減、さらに六十年に三十五万人を何としても達成をいたす、こういう所存でおるわけでございます。     〔森下委員長代理退席、越智(通)委員長代理着席〕  これによる節減額いかんというお尋ねでございました。これは六十年度現在の人件費単価をどのように推定するかという問題もございます。大体いろいろなはね返りその他含めまして、私ども一人の要員を節減することによりまして約五百万円の縮減にはなるであろう、今後さらに単価増の部分につきましてはそれに上乗せをすることができるであろう、このように考えておりますので、七万四千人の縮減に見合いますものとしては、少なくも四百億円以上の縮減がこれによって可能である、このように考えておるわけでございます。
  154. 植竹繁雄

    ○植竹委員 続きまして、いまの運賃体系を見ますと全国単一的なキロ当たりの単価になっております。しかし、私鉄というのはかつて国鉄より高く、国鉄が安い時代があったわけでございますが、今日これが逆転しまして、国鉄の運賃というのは非常に高くなってまいりました。地方交通の場合を見ますと、いま国鉄は二千三百七十五億円の収入に対し五千二百七十七億円の経費がかかって、したがって損失は二千九百二億円である。これを百円にしますと、百円の収入を得るのに大体二百二十二円かかる。したがいまして百二十二円が赤字ということになります。こういうようなやっていき方ではどうしてもこの国鉄の赤字は解消されない。したがいまして、私鉄のように地域別の原価主義をとるような方法は考えられないのか。これは先般の経営改善計画にもございましたが、これをぜひ実行していただきたいと思うのであります。  現実に私がいま住んでいる栃木市から東京の内部までの運賃を見ますと、東武鉄道では栃木から浅草までが六百四十円、所要時間は快速電車で一時間二十分で参りますけれども、これを国鉄にとってみますと、栃木から小山経由上野まで参りますと運賃が千百八十円、急行料金が五百円、計千六百八十円と私鉄の二・七倍の料金がかかるわけです。こういうふうに約三倍近い料金を払って国鉄に乗るということは、よほど特殊な人じゃないかと思う。こういう運賃体系でやっていけばどうしても国鉄離れということになって、赤字をさらに上乗せしていくのじゃないか。したがいまして、国鉄においてもこういうような地域的な原価主義に基づいた通貨体系に改められないか、もし改められるなら、いつごろからどういうぐあいにやっていくかということを伺いたいと思います。
  155. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 先生いまお話しのように、私鉄、特に大手私鉄と国鉄の大都市交通関係におきましては、非常に運賃の格差が目立ってまいっております。国鉄の運賃の改定が毎年必要になってまいりまして、全国一律的な運賃改定が実施をされておるわけでございますが、そうしたものが重なりまして、現在の大都市におきましてそうした運賃格差が見られるわけでございます。一方、これは別な話でございますが、地方におきましてはむしろこれが逆でありまして、中小私鉄と国鉄では中小私鉄の方がうんと高くなっているというような、いわば全国的な目で見ますと、地方と大都市の間では逆の形で運賃格差が出てきているというような状況でございます。  これらを全体的にどう考えるかということでございますが、国鉄の財政がこういう状況でございまして、何とか運賃収入で効率的に増収を考えたいということでございますので、現在のような運賃の形をそのまま将来続けるということはなかなかむずかしくなってまいっておることは事実でございます。したがいまして、きめの細かいやり方をしていきませんと、単純な運賃改定では所期の増収が得られないということも事実でございますので、今後は、いま先生御指摘のような観点も十分考えまして、地域ごとの配慮というものも徐々に検討していく必要があると思っておるわけでございます。  その中で特に地方の問題で、地方交通線につきましては、これは法律によりまして特別な運賃が設定できる、このようなことが可能になっておるわけでございます。そこで、今後はそうした特別運賃の導入をぜひやってまいりたいというふうに思っておるわけでございますが、それとちょうど対比的な大都市の運賃あるいはその中間的な運賃というものをどう考えていったらいいか、いわば全国一律制運賃の制度の見直しというようなことも、これは先般の運輸政策審議会の答申でもそうしたことが検討が必要であるというふうにされておりますので、直ちにというわけにはまいりませんが、そうした観点から今後十分検討をしていきたいと思っておる次第でございます。
  156. 植竹繁雄

    ○植竹委員 いまのお話ですと、地方ですと中小鉄道がより高いということですが、何といっても首都圏、近畿圏、中部圏というものが一番交通量が多いわけですから、そこの場合において国鉄の方が高いということは、やはり国鉄離れ、ひいては赤字というものがふえていくわけですから、早急にこれは手を打たなくてはならない問題かと思うのです。そういう意味におきまして、地域別の運賃導入ということを一刻も早くやっていただきたいと思うのです。  次にまた、赤字路線の問題について伺います。  先般発表になりましたように、第一次、第二次の赤字路線の撤廃ということで運輸大臣の認可がおりたわけであります。しかし、この中には本当にいろいろな、たとえば地方でございますと工業再配置とかそういうことによっていろいろ状況が変わって、必ずしも先般決めた赤字路線であっても見直していいのじゃないかという問題があると思います。さらにまた、福島県の例を見ますと、ちょうど西若松−滝ノ原間というのが第二次計画の六十年度までに廃止ということになっておりますが、しかし一方では、栃木県、福島県をつなぐ野岩線というものがあるわけです。野岩線が先般第三セクターによって運営されることになったわけですが、この福島県側の一部が廃止ということになりますと、先般の決定に矛盾を生ずるわけです。したがって、こういう問題、後から出てきた問題は、当然廃止路線というものを再検討しなければならないということだと思いますが、その点、見直しを今後どういう観点に立ってやらなくてはならないか、当局の御意見を伺いたいと思います。
  157. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 野岩線と会津線との関係でございますが、野岩線が現在免許申請がなされておりまして、今後いわば第三セクター方式として最初にスタートがされることになると思います。そうした形になりますと、現在凍結しておりますAB線の建設資金を投入いたしまして建設を行うということでございますので、昭和六十年度までにはこれはでき上がるであろうというふうに想定をされます。そうなりますと、これに接続いたしております会津線、現在の輸送需要が算定をされておりますけれども、これが野岩線と通しで運行されますと、常識的には当然輸送需要増というものが生じるであろうというふうに思われるわけでございます。そうした輸送需要増が見込まれる場合は、現在の基準におきまして、基準期間の算定された輸送需要にプラスいたしまして、その増加部分というものを加えるというふうに当然に考えていくわけでございまして、その場合に一体どのような基準が適用されるか、これは今後の問題といたしまして私ども検討をしてまいらなければならないと思うわけでございます。なお、そうした観点につきましては、野岩線の設立に伴います総合的な観点ということが必要になってくるわけでございますが、会津線の方は第一次選定から外れておりますので、今後の課題といたしまして検討をしていくことになろうかと思います。
  158. 植竹繁雄

    ○植竹委員 そうしますと、ほかの部分、つまり第一次、第二次にかかっておる分でもこういった第三セクターのような事態があれば見直しということも考えられるわけですか。
  159. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 野岩線のような例で代表的に考えられるわけでございますが、六十年度までに確実にこれが建設が完了いたしまして、そこで在来線と通しで運行されるということが見通しがはっきりしておる、しかも、普通でございますと単独で存在するよりは通しで運行される場合の方が当然に輸送需要がふえるということが常識的でございますので、そうしたふえるというふうなことが確実なものにつきましては、これはどの線に限らず、新線建設と接続した当該在来線の輸送需要の算定につきましては、これをプラスするという方向でございます。
  160. 植竹繁雄

    ○植竹委員 実はそういう件について、第三セクターではないのですが、ある町村におきまして、役場に通勤するマイカーをやめまして、すべて鉄道を使い、また町内の旅行とか一般の修学旅行にしましても、できるだけその赤字路線の分だけ乗って、それから先はバスで行くというように町村も指導している。そうしますと、これはもしいまのようなお話で廃止が撤回されたということになったらまた赤字路線に戻ってしまう。そういうような人為的にされているような場合、非常に問題ではあると思います。それと一方、実際に生活路線でもって私の方の栃木県に烏山線というものがありますけれども、これも第二次に決定されておるわけですが、これは朝晩の通勤というものは本当に大変な、生活になくてはならない路線であるわけです。ただ、日中これは確かに乗らないで、日中の移動はほとんどバスまたはマイカーでなされている。こういう生活路線、それから真岡線のように茂木、益子、真岡、それから下館と行くわけですけれども、茂木から真岡間というものは通勤も通学も非常に多い、しかし真岡−下館間は非常に利用度が少ない、したがって、全体の利用度が少ないから赤字路線の対象になっていくというようなところはどういうふうに処理していくか。むしろこういう路線については、実際地域から見ますと、茂木から真岡まで来て、真岡から宇都宮なり石橋なり最寄り駅に近いところへのバス、路線バスでも専用バスでもつくった方が地域の発展になるのではないかということが考えられるわけですが、赤字路線の廃止というよりも代替のバスとかそういう交通機関を考えられる、そういうことを考える余地が国鉄の方ではあるかどうか、お答え願いたいと思います。
  161. 岩崎雄一

    ○岩崎説明員 ただいまお話がございました真岡線の件でございますけれども、この区間を分けてみますと、確かに真岡を中心にいたしまして輸送密度が少し違っておりますが、原則的なことを申し上げて恐縮なんですけれども、特定地方線の基準の適用というのは任意に区間をとるということではなくて、やはり一つの営業単位としてまとまっている区間について行う必要があるというように考えておりますので、それはすでに政令の別表に定められておるとおりでございますが、それに基づいて区間全体について輸送密度を算定をし、つまり利用実態に基づいて転換の可否を決定していくということが適切ではないかというように考えておる次第でございます。  それからもう一つ、白棚線の例にならった専用道路的な輸送ということが考えられないのかという御趣旨かと思いますが、ただいまのところ、これから協議会が始まるわけでございますので、どういうような要望が出てくるかわかりませんが、白側線の例にならい、軌道敷を専用道路にして、そこに専用バスを走らせたいという希望が出てくる可能性も十分あるというふうに思っております。ただ、白棚線がバス専用道路になりましたときとは時代も違っておりますし、条件もかなり違っておるというように考えておるわけです。つまり、道路整備が非常に進んでおる、しかも専用道路にするには工事費もかかることでございますので、道路が整備されているのにさらに専用道路をつくるということには問題もあろうかと思いますので、具体的に会議の中でそういう要望が出てまいりました時点でよく検討いたしまして対応したいというように考えております。
  162. 植竹繁雄

    ○植竹委員 それからまた、国鉄のバスがいろいろ走っておりますのですが、こういうバスの中にはかなり赤字的なものも見受けられるのですが、こういうバス路線というものは、ある意味では地方においては民間会社の権利というか、そういうように運行されている路線バスもかなり見受けられるわけです。したがって、この国鉄バスというものが民間に肩がわりしていく件についてはどうか。しかしその中でも、いわゆる通勤通学、生活のための路線と、たとえば塩原とか観光地で国鉄が専用している部分もあるわけです。そういうバスについてもどうかというのがこの対象になるわけですが、国鉄バスの民間利用についての当局のお考えも伺わせていただきたいと思います。
  163. 橋元雅司

    ○橋元説明員 先生御承知のように、国鉄バス事業は私どもの営んでおります鉄道事業目的を十分達成するために必要かつ合理的な範囲で運営をいたしておるわけでございます。創業以来、鉄道の先行、代行、短絡、培養そして補完という五つの機能を持っておるということで、鉄道事業と有機的に結合してこそその機能を十分発揮できるというふうに考えております。  そこで、私どものバス事業でございますが、現在一万四千キロ全国で路線がございまして、車両数が二千五、六百両ございます。それに従事しております従業員は大体九千五百名程度おるわけでございます。  この自動車部門の収支状況でございますが、最近まとまりました昭和五十五年度で、収入で四百十億程度、経費で七百五十億ということで、三百四十億ばかりの赤字を出しておるわけでございます。したがいまして、今般の改善計画におきましては、このバス部門の合理化問題、改善施策というものも非常に大きなウエートを持っておるわけでございまして、民営バスのいろいろな手法を十分取り入れながら強力に施策を推進してまいりたいと考えておるところでございます。私どもの努力によりまして、六十年度ではこの三百四十億の赤字をプラスに転ずることができると確信をいたしております。  そこで、先生御指摘の民営バスとの協調問題でございますが、私どもの路線は主として過疎地帯を走っておる生活維持路線が多うございまして、そういった意味では民営バスとは必ずしも競合しないわけでございますが、一部御指摘のような地域でそういった競合もございますので、民間バスとも十分お話をしながら、地域のお役に立つような輸送サービスをやってまいりたい、こう思っておるところでございます。
  164. 植竹繁雄

    ○植竹委員 そうしますと、そのバスというものはほとんど鉄道の補完的役割りを果たすために、すべて廃止というか民間に移管しないということですね。
  165. 橋元雅司

    ○橋元説明員 移管ということについて具体的なお話し合いがございますれば、十分それについてお話を申し上げたいと思っておりますが、いまのところはそういう具体的なお話はちょうだいしておりません。
  166. 植竹繁雄

    ○植竹委員 次に、こういう赤字対策としまして、現在国鉄が持っているいろいろな土地があるわけですが、こういう土地を早く売却することによって赤字を埋めていくということが考えられるわけです。現在国鉄が土地及び建物を保有しているのは、これはたとえば駅とかレールがあるとかそういうところ以外に使われている土地ですが、昭和五十三年、五十四年、五十五年を見ますと、土地が全国で六十五万六千三百五十七平米ですか、そしてその簿価が三千九百五十二億円。そして建物数量延べ二万二千三百四十二平米、そしてその原簿価一兆四百十二億円ですか、あるわけですが、こういうような国鉄の使ってない財産とか遊休資産というのは現在どのぐらいあるのでしょうか。
  167. 吉井浩

    ○吉井説明員 まことに申しわけございません。ただいまちょっと資料の持ち合わせがございませんのですが、この未利用地と言う場合に、現在利用していない土地、それからまた現在利用しておるけれどもきわめて不経済な利用の仕方をしておる、こういうものについては、より有効な、より立体的な使い方をすることによりまして用地の生み出しを図る、たとえば宿舎の用地にいたしましても、平家建ての宿舎を高層化する、それによって用地を生み出すというふうなこともいろいろとこれまでも進めてまいりましたし、今後もさらにそういう方策も強力に進めてまいりまして、そのようなことをあわせ行いながら、できるだけ土地の生み出し、それによる有効活用あるいは売却による収入増を図る、このような所存ではおるわけでございます。
  168. 植竹繁雄

    ○植竹委員 実際に私も、国鉄の土地でもって全然使われてない土地を数多く知っているわけです。いまのお話だと、ほとんどが今後利用すべき土地とかあるいは現在空き家であっても将来使うとかいうお話ですけれども、確かに遊休資産的なものはずいぶん見るわけです。これは私の方で先般いろいろそちらから伺った資料でお話ししているのですけれども、現実にあるわけなんですよね。これをどういうような計画でもってやっていくか、これは非常に大事なことだと思うのですよ。  あるいは利用の仕方で、民間に使われるか官系で使われるか、具体的なことは今後の方策としまして、とにかく現在計画になかったら、一刻も早く赤字というものを解消していくのが根本の姿勢ではないかと思うのですが、いまのお話だとその点についてちょっと私にも納得いかないものがあるわけですが……。
  169. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 土地の問題、その他の施設の活用あるいは売却という観点は、非常に重要な経営改善計画の一環の問題でございます。経営改善計画におきまして土地の売却は、六十年度までに五千億という一応の目安を持っております。  それから、一方では土地の活用によりまして、いわば関連事業収入増加というものを考えておるわけでございまして、これも六十年度までには五千億をかせぎ出すというようなことを一応の目安にいたしております。したがいまして、個別の用地なりを国鉄が具体的に対策を講じていくわけでございますが、現在の目標といたしましては、売るものは売りそれから活用できるものは活用するということで、合わせて相当膨大な収入を得るというのが改善計画上の目標になっておりますので、この線に沿いまして毎年度着実に収入増加さしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  170. 植竹繁雄

    ○植竹委員 それから、ついでに関連しまして、長期貸付財産におきまして、実際上たとえば借地権が設定されておりまして将来国鉄で利用が考えられないというような土地については、積極的に借りている方に売却するとかそういうことはやらないのですか。これは、いま言われました六十年度までに土地を売却で五千億、活用において五千億、一兆円返済という中に入っているのかどうか。それはどうなんでしょうか。
  171. 杉浦喬也

    ○杉浦政府委員 具体的ないろいろな問題が個々にはあると思います。過去の長い経緯がありまして、借りておる土地がいわば一つの権利として肯定化されてしまっておるような実情も各地にあるわけでございます。こうした点でその土地をあなた買いなさいと言いましても、なかなか一気にそういかないという事情等もございますけれども、今後の新しい土地の貸し方につきましては新しい制度で対応していきたいとは思っております。いままでのものにつきまして、これは即座にできるというふうには言えませんが、国鉄収入に一番効果的になるように国鉄は努力するというふうに私ども期待しているわけでございます。
  172. 植竹繁雄

    ○植竹委員 次に、国鉄の職員でありながら実際に市町村議員の方々がかなりいるわけです。いま全部でもって市会議員が二百八名、町会議員が三百五十九名、村会議員が二十七名、合計五百九十四名の方が国鉄職員でありながら市町村議会の議員になっておられる。資格問題につきましては国鉄法二十六条ですかによって規定されておると思いますが、市町村議会議員と国鉄職員というのは法的には兼職は許されていても、国鉄の職員であれば国鉄を主体とするのが本来の姿勢ではないか。また、今日のように町も大きくなり、あるいは市というのは特に巨大化しまして、県会議員に匹敵するぐらいの日数と仕事量があるわけです。そうした場合はどうしても本来の国鉄の職務というのはおろそかになるのではないか。そうなりますと、こういう時期におきましては一人でもこういう兼職の方々は御遠慮を願う、本来の国鉄の再建のためには、こういう方々に支払われる給与その他の額は、先ほどのお話ですと普通の人が五百万もかかるということであれば、大変な数になるわけですから、こういう点について今後の国鉄の考え方を教えていただきたいと思います。  また、その法的根拠も、国鉄法第二十条によりますと、市会議員はいい。「国務大臣、国会議員、政府職員又は地方公共団体の議会の議員」となっておりますが、県会議員はどうして抜けているのか、その辺も疑問ですけれども、この点についてはきょうは聞きません。いずれこれは聞きたいと思いますが、時間の関係で、いまの点だけちょっとお教え願いたいと思います。
  173. 吉井浩

    ○吉井説明員 ただいまの御質問にお答えいたします前に、一言おわびと訂正をさせていただきます。  先ほどの先生の冒頭の御質問、五百万円で七万四千人の人件費の節減額幾らというのを四百億とお答えしたようにいま思い出しましたけれども、これは四千億が正答でございまして、大変に申しわけない錯覚をいたしました。  ただいまの御質問でございますが、この兼職議員問題につきましては、立法の経緯あるいはまた法解釈の問題等々いろいろむずかしい問題がございます。過去にさかのぼりまして私どもも何度かこの問題を検討してまいったわけでございますが、大変にむずかしい問題がいろいろございまして、歯切れのよい結論を見出すことに大変に苦労はいたしておるわけでございます。ただ、そういった法的問題とは一応離れまして、ただいま先生御指摘のように、また冒頭の先生の御質問にお答え申し上げましたように、国鉄はこれから大いに減量化を進めなければならない。現在おります職員を二割方減らして三十五万でやっていくということは、現場におきましてただいま十人でやっておる仕事を八人でやっていく、あるいは七人でやっていく、こういうことになるわけでございます。したがって、そういうさなかには、国鉄職員たる者職務に専念をする、そしてまた本来の勤務時間として利用すべき時間をその他のことに割愛するということは極力避けてまいらなければならない、こういう趣旨から、もうすでに数年にわたりましてこの議員兼職、これは総裁が承認する場合に限って可能であるということになっておりますが、総裁が承認をいたしますにつきまして、全面的にこれをしないというわけにはまいりませんけれども、承認に当たりましていろいろと条件を付しております。  その条件の最たるものは、ただいま先生御指摘のように、それを兼職することによって非常に多くの時間をそれに食われるということに相なっては差し支えがございますので、そのようなことを事前に十分に御本人に確かめまして、国鉄業務に支障がない、こういう範囲で市町村議員としての活動をしてもらう、もしそれができないということであれば、国鉄職員の身分を辞してそちらの方へ行っていただく、こういうことをこれまでの運用としてやってまいりました。  かつては千人以上の兼職議員を数えたわけでございます。ただいま先生御指摘のように、今年度当初におきましてはおおむね半数近いところまで縮減をしてまいった。改選の都度そのようにして縮減してまいりましたので、今後の厳しい職場における要員状況ということと絡めて、そのような指導をさらに徹底してまいりたい、今後ともそのような形で先生の御趣旨に沿ってまいりたい、このように思う次第でございます。
  174. 植竹繁雄

    ○植竹委員 この点については、私も今後あらゆる機会を通じまして、あるいはそういう市町村議会議員の先輩の議員の方々などにもお願いしまして、政治に対する業務と、それから本来の国鉄業務とを分けていただくように、良識ある先輩の先生方にも努力いたしますが、国鉄の方においてもそういう方向でもってお進み願いたいと思うのでございます。  さて、現在国鉄には全国でいろいろ管理局が設置されておるわけですが、この管理局が設置されましたのは昭和二十五年だと思いますが、しかし、あの当時と現状というものはいろいろ変わってまいりました。たとえば私ども関東地方の例で見ますと、いまは高崎管理局とそして水戸管理局とございますが、かつては宇都宮にもありました。当時、宇都宮が廃止されまして高崎と水戸の方に管理局が置かれておる状況は、国鉄の東北本線というのは蒸気機関車でありまして、蒸気機関車の場合、エネルギーの関係からこれは時間がかかるということで、どうしても常磐線回り東北地方が優先されました。したがいまして水戸が中心になったわけでありますけれども、今日では東北新幹線が出てまいりましたわけでございます。そうしますと宇都宮の管理局の設置というものは非常に重要になってまいりましたので、この点について今後管理局の変更といいますか、そういうことは考えられないのか、当局にお伺いしたい。そして管理局設置に伴って、いろいろな今後の、たとえばダイヤ改正とかそういう問題について検討を進めていただきたいと思うのですが、まず管理局の移動ができるかどうかということについて伺いたいと思います。
  175. 吉井浩

    ○吉井説明員 ただいま先生御指摘のように、現在の管理局の大きな姿は昭和二十五年の八月にできたわけでございます。その後、東海道あるいは山陽新幹線の開業というふうなもろもろの情勢、また客観情勢の変化等々ございまして、一部管理局の持ちを変えましたりというふうな是正措置を講じましたり、あるいは東京の局を管理上の観点から三つに分けるというふうなことを行ってまいりまして現在に至ったわけでございます。     〔越智(通)委員長代理退席、委員長着席〕 この管理局のあり方につきましては、一面におきましては、これから三十五万体制を進めますために、中間組織と申しますか、こういった管理組織についても簡素化すべきではないか、こういうふうな観点も一方にございますし、また先生御指摘のように、地域との密着をさらに図る意味で、現在の管理局の姿では必ずしも十分足らないのではないか、こういうふうな御指摘もございますし、それぞれに検討すべき問題点を含んでおるというふうには私ども考えるわけでございますが、ただ冒頭の御質問にもございましたように、これから昭和六十年にかけまして、やはりこの経営改善計画を達成してまいらなければならない。そのためには特に要員の減等々につきましても、あるいはまた今後の輸送問題につきましても、管理局が中心となって事を進めてまいる、こういう観点から、やはりそれまでの間に管理局の姿を根本的に変えるということは、その間の、少なくも一定期間、混乱もございますし、事務的な停廃ということのおそれが生ずるわけでございまして、そういった意味で私ども、やはり昭和六十年、この改善計画を所期の姿のように達成するまで、それまでは少なくも現在の管理局のといいますか、全体の姿についてはこのままで参りたい。管理局の内部のあり方につきましては、またいろいろと検討する必要があろうと思います。  そしてまた、ただいま先生御指摘ございました宇都宮の問題につきましては、現在もほかに余り例のございません出張所というものを宇都宮に設けまして、できるだけその所長の段階で、地域の実情に即したいろいろな御相談、ダイヤ改正の問題その他地域振興の問題等々、いろいろと御相談をしていく、こういう体制をとってまいったわけでございますし、今後さらに新幹線の開業というふうなことで、より頻繁に、また密に御連絡をいたす、こういう面で特にこの出張所というものを質的にも十分活用して、先生の御要望の姿の方に進んでまいりたい、このように思うわけでございます。
  176. 植竹繁雄

    ○植竹委員 来年の六月、東北新幹線がいよいよ開通することになりましたけれども、それに伴いまして在来線との関係で、これは在来線が減るようなことになっては——たとえば大宮から乗るわけであって、東京−宇都宮間というのはわずか五分しか違わない。非常に不便で、在来線が減りますと、どうしても栃木県、関東北部地域というものは不便になってまいります。それで、在来線が減らないような方策、あるいは新幹線の停車駅は、いままでとまっていなかった特急の停車というものも併用して考えるのが普通ではないかと思うわけでありますけれども、この点はどういうふうにお考えになるか。  それと同時に、この新幹線開通に伴って貨物の集約化ということになりまして、いままで各駅で取り扱っていた貨物というものが、東北線の場合ですと、石橋の近所の東宇都宮駅というものに集中されるわけでありますけれども、しかし従来両毛線におきまして栃木あるいは葛生といった山の中から出てくるセメントや石灰というものが全国で、国鉄貨物量の石油に次いで二番目の貨物量であるので、こういう貨物駅が新幹線開通に伴って集約された場合に、運賃にして二倍あるいは貨物輸送量にして二分の一、結局四倍にも負担がかかるわけです。こういう地域振興、産業振興のためには、どうしてもこれら産業のために貨物駅というものが必要になってくる。したがいまして、貨物駅をもう一つどこか高崎、小山あたりに一つつくれないか。そうすることによって、全国に出回っております、たとえばドロマイト系統のようなものが非常に安くて済む。これは物価の方に影響を大きく及ぼすもので、こういう点におきまして、貨物駅をもう一つ、暫定的でもいいからつくれないか、道路整備がなされるまでできないかということを当局にお伺いしたいと思います。この二点伺います。
  177. 橋元雅司

    ○橋元説明員 明年六月の東北新幹線の開業、そして同じく十一月の上越新幹線の開業時におきまするダイヤの骨格につきましては、目下勉強中でございます。六月の東北新幹線開業時期におきましては、新幹線では大宮−盛岡間に「ひかり」タイプの四往復の列車、そしてまた大宮−仙台間につきましては「こだま」タイプの六往復の列車をセットすることになっております。一方、在来線でございますが、この新幹線の本数に見合いまする上野−盛岡問運転の特急「やまびこ」というのが現在走っておりますが、これの四往復、そして上野−仙台間の特急「ひばり」号六往復を廃止する計画でございます。先生御承知のように、また上野−大宮間のアクセス列車を可能な限り御利便に供するよう設定するように考えておるわけでございます。  なお、新幹線につきましては、夏の多客期には数往復の運転をさらにふやすように計画をいたしているところでございます。それから十一月でございますが、上越新幹線を含めまして本格的な開業になるわけでございますが、在来線の全国的なダイヤ改正をそれと同時に計画をいたしておりまして、新幹線と並行して走る区間につきましての列車につきましては、やはり原則として特急列車等は廃止させていただくということで現在計画を進めております。しかしながら、当面大宮開業という事情もございますので、新幹線開業に伴って時間短縮効果のきわめて乏しいと申しますか、薄い地域につきましては、在来線での輸送方も十分考慮いたしまして、実情に即したダイヤとするように勉強いたしたいと思っております。  先生御指摘の宇都宮、小山地区のお客様につきましては、別途十分勉強いたしたい、このように考えておるところでございます。  それから、負物の問題でございますが、先生御承知のように、かつて昭和三十年代には三千六百から八百くらいの駅がございました。その後、取扱数量のきわめて極端に減ってまいりました駅につきましては集約を進めておるわけでございます。現在、本日時点で千百九十数駅になっております。したがいまして、当時、かつては駅間距離が大体四、五キロでございました。いわば荷牛馬車に対応する駅配置となっておったわけでございますが、いまは十六キロ強に延びております。この集約と申しますのは、やはり取扱量の少ないところへ貨物をお持ちいただきますと、どうしても速達性において問題が出るということで、できるだけ自動車の機動性を利用いたしまして速達に御便利な拠点駅に持ってきていただく、そしてまた数量も増加させていただくということで、拠点間の血行速達輸送ということを目的に進めておるわけでございます。  先生から御指摘のございましたこの栃木、小山、宇都宮地区でございますが、現に栃木の駅について申し上げますと、発送トン数が、かつて二十万トンくらいございましたものが、現在六万八千トンくらいに落ち込んでおります。ただ、先生おっしゃいますように希石灰、ドロマイトといったような非常に特殊な物資の輸送がございますので、承りますと栃木駅周辺の高架化事業と関連いたしまして、これをどのようにやるか、いまいろいろ地元とお話を進めておるところでございます。  なお、この東武線内の第三会沢あるいは上白石といったところから出てまいりますセメントとかドロマイトは、先生御承知のように専用貨物列車で非常に効率的な輸送をやっておりますので、これは将来ともぜひ鉄道輸送を御利用いただきたいということでいろいろ荷主とお話をしているところでございます。
  178. 植竹繁雄

    ○植竹委員 いずれにしましても、国鉄は国民のための国鉄という共通の使命感を持っておるわけでございますから、この財政再建は労使とも真剣になって考えていただきたいと思うのでございます。  私は、以上をもって質問を終わらせていただきます。
  179. 國場幸昌

    國場委員長 御苦労さんでした。  井上一成君。
  180. 井上一成

    ○井上(一)委員 大臣と私は選挙区が同じ大阪でもありますし、大阪が抱える問題、関西新空港、さらには、それにかかわる現大阪空港、この問題について私から質問をしたい、こういうふうに思います。とりわけ、大阪現空港へのエアバス導入にかかわって空港周辺地域の家屋に被害が続出をしている。その被害状況等を含めてお尋ねをしてまいりたいと思います。  航空機の通過と同時にテラスの柱がずれたりあるいは屋根がわらが崩れたりめくれたりといった、いわゆるつむじ風による被害が大阪空港の周辺において随所に続出をしているわけであります。これはエアバスの航跡乱流による被害と考えられるわけでありますけれども、このことについて運輸省はすでに調査をされたと聞き及んでおりますが、どのような調査をされたのか、さらには、調査結果はどうであったのか、まずはこの点から尋ねておきたいと思います。
  181. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 お答え申し上げます。  大阪国際空港の周辺の、ただいま御指摘がございました民家の屋根がわらに被害が生じたというのはことしの三月でございまして、私ども、この被害が何によって起こったのかということを考えまして、この被害が生じました家屋が航空機の着陸進入経路のほぼ直下という地域でありましたことと、また被害が、気象条件から見まして比較的静穏な時期に発生している、こういうことから見まして、先生御指摘の、航空機が通過した後に発生いたします航跡乱流が地上に影響を及ぼしたという可能性がある、こういう観点から航跡乱流の強さの調査を行ったわけでございまして、たまたまその調査を行いました日に、別の場所でございますが、同じく着陸進入経路の直下の地域に再び被害が起こった、こういうような状況でございます。  私どもの調査は、その被害が起こりました土地の周辺、場所は九カ所を選びまして、この九カ所につきまして、屋根がわらの被害でございますので、民家の二階建ての屋根の高さ、この高さに等しい、つまり高さで申しますと六メートルないし十メートルというところに塔を建てまして、そこにおける気流の調査を行ったということでございまして、調査はすでに終了して、現在中身の分析中でございますが、残念ながらまだ結果が判明するまでには至っておりません。
  182. 井上一成

    ○井上(一)委員 私の調査では、すでに去年の八月にも、洗たく物が舞い飛んだりあるいは干してあったかさが吹っ飛んでしまった、こういう事実があるわけであります。いま九カ所の調査という話でありますけれども、私は、さらに調査地点をふやして、あるいは高度等についても十メーター以上の地点もとらえ、より変化を持たせた調査をすべきではないか、さらには困果関係等についても、学術研究いわゆる学問的な分野での専門家から知恵を拝借するとかあるいは助言をいただくとか、そういうことが当然必要だと思うわけであります。もうすでにそういうことを運輸省はやったのかどうか、あるいはやってないとしたら、今後はそういうことも含めてより深い調査をすべきだと私は指摘をしておきたいのでありますが、運輸省のお考えを聞かしていただきたいと思います。
  183. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 今回、調査に先立ちまして、航跡乱流の発生メカニズムあるいはその強さ、それから発生した航跡乱流がどのような動きをするかということにつきまして、学識経験者の助言はすでに得ております。また、調査結果の解析につきましても、学識経験者の意見を十分聞きながら、今後原因の究明を進めてまいりたいと考えております。  それともう一つ、この現地における調査と全く別でございますけれども、別の観点から、同じようなエアバスが世界各国の空港に就航しておるわけでございますので、世界各国で同様の状況があらわれているところが一体あるのかどうか、こういうことも調べる必要があるのではないかという観点から、現在世界各国の主要空港においてそのような事例があるかどうかということを照会中でございます。
  184. 井上一成

    ○井上(一)委員 すでに空港周辺の十一市の自治体が取り組んでいる十一市協では、エアバス導入に際しては、特に航跡乱流について触れているわけでありますし、中心では毎秒六十五メーターの強風があるという指摘もしているわけでありますが、運輸省は、地上十メーターの地点では航跡乱流は影響なし、そういうような言い逃れをしているわけであります。私は、このエアバス導入については、地域住民は低公害ということで受け入れたという理解をするわけであります。そういうことであれば、先ほども指摘しましたけれども、屋根が壊れたり壁が落ちたり、いわゆる非常に危険な現実が今日起こっているわけでありまして、いままでは物損で済んだ、しかし、これから人身事故が起こり得る可能性もあるわけなんですね。道を歩いているときに突然その横のへいが航跡乱流によって壊れてきた、子供がそのそばを通って下敷きになったという、本当に考えられることなんです。考えるだけでも非常に恐ろしいことなんですね。これは、大臣、一日も早く住民の不安感あるいは不信感を払拭するために対策を講ずるべきである、こういうふうに私は強く指摘をするわけでありますが、大臣の考えを聞かしていただきたいと思います。
  185. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 先ほど航空局長も、航跡乱気流が起こり得るという可能性は十分にあるということを言うております。やはりそういうことが原因になっておると思いますので、実態を早急に調べ、それに対する対策を立てさすようにいたします。
  186. 井上一成

    ○井上(一)委員 こうした被害続発という状況が生まれてきたという裏には、運輸省の空港周辺地域の環境整備対策の不十分さが私は指摘されると思うのです。今回の被害も、移転補償が十分でなく、移転対策地域における歯抜け状態になった、そういう地域での家々が被害をこうむっているというのが顕著に見受けられるわけなんですね。そういう意味では、地域整備対策というものを、もっと十分な力をより強く入れていくべきである、こういうふうに思うわけであります。運輸省の取り組む心構えもこの際聞いておきたい、こういうふうに思うわけです。
  187. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 ただいま御指摘ございました移転跡地のいわば虫食い状態になったことがこの屋根がわらの被害をもたらしたのではないかということでございますが、私ども、航跡乱流というものは飛行機が飛ぶ以上必ず発生するものでございまして、それがこれまで被害が生じなかったものがことしになってなぜ生じてきたのか、この辺の原因究明が非常に重要な問題だと考えております。それがあるいは先生の御指摘のような移転跡地の状況、その地形の変化等が複合した要素となってこのような被害をもたらしたのか、あるいはそういうことは関係がないのか、この辺の原因究明を急ぎたいと思っております。  もちろん移転補償地がすべてきれいに移転が終了するならばこれはもう屋根がわらの被害が起こらないことは当然のことでございます。そういう意味で、移転補償の促進もいたしてまいりたいと思いますし、それと同時に、移転補償跡地の緑地化というようなものを進めるということも、まだ原因究明がついてはおりませんけれども、恐らくその気流にいい影響を与えるのではないだろうかという考えもございますので、今後移転補償の促進と移転跡地の緑化というものにさらに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  188. 井上一成

    ○井上(一)委員 さらに私は、住民の不安を取り除く一つの提案として機種の選定ということも検討に値するのではないだろうか、こういうふうに思うわけであります。公害の少ない機種を限定して、いわゆる現大阪空港には公害をなくするのだという運輸省の姿勢、そういう取り組みの誠意、そのことが住民からの信頼感を求められる一つの要因にもなる。あえてここで、機種の問題も含めてこの対策は検討に値するという私からの指摘をしたいと思うのでありますが、運輸省見解を聞いておきたいと思います。
  189. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 確かに航跡乱流は、先ほども申しましたとおり、航空機が飛ぶ以上は必ず発生する現象でございますが、御指摘のように、種によりその強さが変わってくるということもまた事実だと思います。一般的に申しますと航空機の重量が重いものほど航跡乱流は強くなるということが言えます。また、スピードが遅くなれば航跡乱流は強くなる、こういうことも言えるわけでございます。いま世界各国で、航跡乱流は後ろを飛ぶ航空機に及ぼす影響という観点からいろいろな対策が講ぜられているわけでございまして、私どもも各国と横の連係もとりながら各国の情報も集め、どういう機種がどういうような航跡乱流を起こすのかというような検討も当然のことながら今後調査をしてまいりたいと考えております。
  190. 井上一成

    ○井上(一)委員 当然そういう対策を立てていただければなお結構だと私は思います。  さらにここで私は、因果関係が明確にされるまではやはり時間がかかる、しかしながら、被害の起こっているこの事実、これに対しての取り組みは一体どうなのか。私自身は明確にエアバスの航跡乱流によるものだ、こういう判断をしているわけでありますけれども、ここで指摘をしておきたいのは、調査のおくれを理由に補償をおくらすというようなそういう勝手な解釈は運輸省としてはしてはなりませんよ、こういうことでございます。  現在、いわゆる被害を受けた家歴に対して折衝しているのは何件くらいあって、航跡協から代払い補償がなされているわけでありますが、いままで何件くらいすでに支払われているのか、このことについても聞いておきたいと思います。
  191. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 昨年の夏以来、大阪国際空港の進入直下の住民から航空機通過後の気流の変化について訴えがございまして、私どもが実地に確認をいたしました被害は、この三月利食に発生いたしました二件、あるいは九月二十日に服部で発生しました一件、あるいは九月二十二日に同じ服部西町で発生しました一件、それから十月九日に服部寿町及び利倉で発生した二件、合計六件でございます。  これらの被害のうち五十六年三月に発生いたしました件につきましてはすでに措置済みでございます。九月及び十月に発生いたしましたものにつきましては、現在個別に被害者と修理に応じる方向で話し合いを行っているという段階でございます。
  192. 井上一成

    ○井上(一)委員 それらについてはいつをめどに支払われるのですか。
  193. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 これは被害の状況についての話し合いを行っておるわけでございますので、話し合いが済めば直ちに支払うつもりでございます。
  194. 井上一成

    ○井上(一)委員 さらに、現在までは被害の申し出のあった方々に対しての補償ということでありますけれども、いままで申し出のなかった家屋については一体どういう取り組みをするのか。さらに今後起こり得る問題なんですね。それらについてもやはり同様な対応をしなければいけないし、もっと根本的なこの問題に対する取り組みが私は欲しい。運輸省はそういう取り組みをいましなければ周辺居住の住民に何と言いわけをするのか、私はそう思うのです。そういう点について運輸省見解をここで承っておきます。
  195. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 すでに申し出のあった方々に対しては先ほど御答弁申し上げましたが、これまでお話のなかった方というものが果たしてあるのかどうかということについて、私どもといたしましてはむしろないと断定してよろしいのじゃないかと思いますし、もし仮にあった場合に、いつの時点でどういう事実が起こったかという事実の認定がかなり困難だろうと思っております。ただ、それはあくまでも私どもがそう思っているだけでございまして、具体的にどういう事実があり、そしてそれがいつ発生し、こういう被害があったのだという訴えがあれば、私どもはその実情について調査をする用意はございます。  それから、今後の問題でございますが、私どもとしましては、先ほど申し上げましたとおり、この屋根がわらの被害が一体どういう原因で起こったかという原因究明に努めるのが第一だと思っております。したがいまして、先ほど申しました、現在行っております調査の取りまとめ、これをできる限り急ぎたい、これがまず第一の対応だと思っております。  そして、もし仮にその屋根がわらの被害が航空機の航跡乱流によるものである、つまり航空機の飛び方と屋根がわらの被害との間に因果関係があるという証明ができましたときには、その次には今度、どういう飛行機がその被害を及ぼしたかという、飛行機が特定できるかどうかという次の段階に移るわけでございます。もちろん航空機が特定できれば、その特定された航空機の運航者が支払いに応ずるということになろうかと思いますけれども、現在の大阪国際空港のいわば込みぐあいから見まして、非常に頻繁な離着陸が行われているという状況から見ますと、その被害を起こした航空機を特定するということは、これまた現実の問題としてはなかなかむずかしいのではないだろうか。といたしますと、航空機と被害との間に因果関係が証明される、しかしその被害を引き起こした原因者が特定できない、つまり原因者が不特定多数というような被害という新しい公害が出てきたというふうに見ざるを得ませんので、その場合、私どもといたしましては、やはりそういうものに対応した新しい救済制度というようなものを検討せざるを得ないのではないだろうかというふうに考えておる次第でございます。
  196. 井上一成

    ○井上(一)委員 大臣に確認をしておきたいと思います。  いま局長は、因果関係を明確にし、なおかつ不特定多数の原因者というそういう状況の中では新しい制度を検討して救済措置を講じる、こういう答えなんです。大臣もこの考えを明確に、ここで意思を明らかにしてもらって、確認をとっておきたいと私は思うのです。
  197. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 現在起こっております被害に対しましては、まず早急に対処しなければならぬと思います。  それから、この乱気流から起こってくる被害というものが、先ほど航空局長が言うておりますように、どういう理由で来ておるのかという原因の探求とあわせて制度の改正ということを言うておりましたが、その中身につきましては私もまだ承知いたしておりませんので、原因が究明いたしましたら、それに対する対応策は根本的な対応策を講じなければいかぬと思いますが、その際、制度というものがどういう意味なのか、その点につきましては十分に航空局と打ち合わせいたしまして対応をとりたいと思うております。
  198. 井上一成

    ○井上(一)委員 大臣、被害が出た方々に対して救済をしていく、被害補償をしていく、それは一定の基準というものにのっとって取り組むのですから、航空局と相談をしてなんというようなことじゃなく、大臣は、そういう被害を受けた住民に対してはちゃんと補償をすべきである。そういう新しい制度を考えなければいけない、そしてその制度にのっとって救済していくのだというお考えを航空局長は言われたわけなんですよ。だから私は大臣に、あなたもそういう考えを持ってくれますね、こういうことを尋ねたわけでありまして、何もむずかしいことじゃないわけです。いま現実に救済を、いわゆる補償をしているという事実もあるわけなんですから。そうでしょう。ただ、航防協が代払いをしているという、そういう事実ではあるけれども。そのことについて大臣、重ねてあなたのお考えを聞いておきます。
  199. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私は、先ほど航空局長が新しい制度と言うておりましたので、その制度の中身を聞いてみましたら、いろいろな制度の活用と、それから新しい補償の対象を考える、そういう意味だということでございますので、そういうことであったら私も十分理解できます。対応をとっていきたいと思うております。
  200. 井上一成

    ○井上(一)委員 ぜひそのような因果関係の究明を一日も早く解決し、被害住民に対する十分な手だてと対応を強く望んでおきます。  さらに、この因果関係が明確になった場合に、現在までに支払っている航防協の予算支出、いわゆる支払った予算というものについては、運輸省は後でどういうような措置を講じるのか。
  201. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 ただいままで航防協が支払っておりますものは、現実に屋根がわらに被害が生じた場合のその屋根がわらの修理費でございます。ただし、これは先ほども申し上げておりますとおり、航空機によって引き起こされたものであるということが確定していない現在におきましては、もし仮にほかに原因が判明したということであるならば、その際にはその立てかえた金を被害者の方から返していただくという条件つきでその被害の補償に応じておる、こういうことでございます。ただ、先ほども申し上げましたとおり、気候の静穏なときに起こっておるということから見まして、他に原因を求めるというのはかなり困難な状況じゃないかと思っておりますので、恐らく返還というような事態には立ち至らぬと思います。またそういうことで航防協から支出されました金額につきましては、特にその後特別の措置をとるという考え方は現在持っておりません。
  202. 井上一成

    ○井上(一)委員 現空港の周辺対策について大臣から、現空港存続をほのめかすような発言がちらほら伺われるわけでありますので、そこらも踏まえて地域対策を十分検討、充足をしていかなければいけない。大臣の見解をもう一度聞いておきましょう。
  203. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 大阪国際空港は、日本全国にあります空港の中でも特に過密の中にあるというので非常に特徴のある空港なんであります。これを活用していくのには、周辺の住民の方々と絶えずトラブルが起こっておるというようなことでは十分に活用できない、したがいまして、それの周辺対策というものには十分な措置を講じるように、これは私が申すまでもなく運輸省はもう懸命にいままで努力してまいっておると思うております。  ただ、そこで、これの対策で、先ほどもお話しございましたように、地形もちょっと虫食いなんかになって変わってくる、こういうことが一つの原因なんじゃないかなと思うたりもいたしますが、そういういろいろな新しい事故が出てくるその原因の探求に追われておる。だから、そういうものを、なぜ起こってくるのかということをつかみましたら、それに対する措置は速やかに講じて、それによって、あの空港の活用をやはり地元も協力してもらうような体制をとっていきたい、これは私は一貫した考えであります。
  204. 井上一成

    ○井上(一)委員 ここで私は、現空港とは深い結びつきにある関西新空港の問題について尋ねておきたいと思います。  四次空整で、閣議了解をすでに三月に終えているわけですけれども、その後今日までの作業内容はどこまで進んでいるのでしょうか。さらに、いわゆる三本柱、羽田の沖合い展開、成田の二期工事、関西新空港の建設、とりわけこの関西新空港はどういう位置づけになっているのか、さらに閣議決定はいつごろをめどにしているのか、この点について伺います。
  205. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 第四次空港整備五カ年計画につきましては、昭和五十六年度を初年度とした六十年度までの計画でございまして、御指摘のとおり本年三月十三日の閣議におきまして投資規模一兆七千百億円ということが了解されたところでございます。通常のケースでございますと、その閣議了解後半年ないし七、八カ月程度で閣議決定に持ち込むというのが通例でございましたけれども、本年度は財政再建との絡みもございまして、現在作業がおくれておるわけでございます。  私どもといたしましては、今度の第四次空港整術五カ年計画は三つの柱、つまり首都圏、近畿圏における空港の整備と地方空港のジェット化の推進、それと第二に環境対策の推進、第三に安全対策の推進、この三本の柱を掲げまして第四次空整五カ年計画を組み立てるということを現在検討しておるわけでございまして、目下財政当局と折衝中のところでございます。  めどにつきましては、財政当局との折衝の経過を見ませんと必ずしも明瞭なことは申し上げられませんが、本年度予算との絡みで本年末ないしは年明けというようなところで閣議決定に持ち込めればというふうに考えております。
  206. 井上一成

    ○井上(一)委員 五十六年度概算要求では、関西新空港についての四十一億円のうち三十七億円が異調の分であったわけであります。ところが来年度、五十七年度概算要求は四十五億円を計上して、着工を前提とした実施設計調査費は五億円という数字になっているわけです。これは昨年度並みの予算要求の取り組みから見ますと、少なくともこの概算要求で見る限りにおいては後退の姿勢ではないか、こういうふうに受けとめるわけであります。考えが変わったのか、あるいはほかに理由があるのか、その点についても聞かせていただきたいと思います。
  207. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 御指摘のとおり、五十六年度予算につきまして実施設計調査費三十七億円と調査費四億円を要求した次第でございますが、予算の決定に当たりまして二十四億五千万円の調査費ということで決着をいたした次第でございます。その中身は、先生もつとに御案内のとおり、土質、地盤の調査あるいは地盤改良工法施工実験調査等がその中心になっております。五十七年度予算要求に当たりまして、私ども五十六年度予算で決定を見ました土質、地盤調査あるいは地盤改良工法の実験調査等を引き続き行う必要がある、こういう観点からこれを五十六年度予算科目と同様の調査費として要求をした、そしてその調査をいたしました後で護岸あるいは埋め立て等の基本設計に要する経費、これはその性格上実施設計調査費に分類するのが至当であるという観点から五億円の要求をいたしました。合計四十五億円の要求となった次第でございまして、私ども決して中身から見まして後退をしたというふうには考えていないところでございます。
  208. 井上一成

    ○井上(一)委員 形の上では後退だという受けとめ方ができますね。
  209. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 予算科目が五十六年度予算におきましては空港整備事業調査費ということでございますので、実施設計調査費ではなかった、来年度予算要求では同じ空港整備事業調査費と実施設計調査費ということでございますので、五十六年度予算に比較いたしまして五十七年度要求が後退しているとは毛頭考えておりません。ただ、五十六年度の要求に比べて形式上どうかというお尋ねであるならば、確かに形式上、数字の上での多い少ないという点では、昨年とは要求の内容が変わりました関係上、そういう見方もできないことはないかと思います。
  210. 井上一成

    ○井上(一)委員 大蔵省は見えていますね。  いま運輸省からの答弁があったわけですけれども、一点は、四次空整についてのすり合わせがあったのかどうか。さらに一点は、五十六年度と五十七年度との運輸省予算要求の出てきた形の数字、このことについて大蔵省の受けとめ方を聞かせてください。
  211. 公文宏

    ○公文説明員 まず、第四次空港整備五カ年計画の中身についての協議の状況でございますけれども、先ほど航空局長からお答えございましたように、本年の三月に閣議了解をしておりまして、投資規模は一兆七千百億円、その中身をいま詰めておるという段階でございます。それで、内容といたしましてはかなり大きなプロジェクトも入っておりますので、このプロジェクトの扱いについては特に慎重な配慮が必要であろうということもありまして、いま運輸省と鋭意協議をしておるという段階でございます。  それから、五十七年度予算要求に関連する話でございますが、これも航空局長からお答えございましたように、要求として調査費四十五億円で、うち実施設計調査費五億円ということでございます。これにつきましては、私どもはこれから五十七年度予算編成の過程を通じまして中身あるいは方向づけについて十分議論をしていきたいと考えているわけでございます。
  212. 井上一成

    ○井上(一)委員 それでは大蔵は、四次空整については三兆三百三十億が一兆七千百億に削られた、その中での三本柱——いまの試算では一兆七千百億ぐらいではないか、さらに新空港については三千億円ぐらいが限度ではないだろうか、私はこういう受けとめ方をするわけですけれども、これは大きく崩れるでしょうか。
  213. 公文宏

    ○公文説明員 総投資規模一兆七千百億円、これにつきましては閣議了解をいたしておるわけでございますけれども、その中身をその時点であらかじめ私どもとしては御相談を受けておりません。先生のおっしゃられましたような大きなプロジェクトも含めて、その投資規模をいわば白紙の段階でいま相談中であるということでございます。
  214. 井上一成

    ○井上(一)委員 白紙で何の相談をするのですか。私の指摘しているのは、関西新空港のプロジェクトについては今日運輸省とどういう折衝をしているのだ、どこまでの作業ができたのだ、これからはどうなんだということです。
  215. 公文宏

    ○公文説明員 まだ投資規模をどの程度に決めるかという段階までは至っておりませんで、関西新空港をこの五カ年計画の中でどのように取り扱うかということについて議論をしているということでございます。私どもは、ことしの七月に臨時行政調査会で関西新空港につきまして「慎重な調査検討を行う。」べきであるというような答申もいただいておりますので、この点は、そのことも含めまして十分慎重に考えなきゃいけないだろうということで議論をしておるわけでございます。
  216. 井上一成

    ○井上(一)委員 塩川運輸大臣、あなたは四月の二十七日に地元大阪、兵庫、和歌山の三府県を訪問して、三点セットを提示されたわけなんですね。少なくともそれからもう半年たつわけなんです。いまの大蔵とのプロジェクトの総額においての詰めも白紙の状態であるというような中で、たとえば地元からの運輸省に対する要求、大阪府を通していろいろ地元自治体が運輸大臣にも問題点について指摘をして、回答を欲しい。そういう中で、地元が、建設する、しないということを明確にしているわけではありませんけれども、少なくともこの問題について取り組みとしては一生懸命やっている。地元の車輪は一生懸命回っとるのに、中央での車輪は一つも回っとらぬじゃないか。そんなことで運輸大臣として政治的な責任が果たされますか。とりわけ大阪の選出代議士ですよ。余りにも地元民に対して、地元の地域に対しての説明あるいは理由づけというものが貧弱過ぎるし、無責任過ぎる。だからこそ、たとえば泉大津からもあなたに十数項目にわたっての質問書が出てくるわけなんです。そして、これに対してもきっちりと答えられない。開港の時期がいつなのか、それも示せない。あるいは示したところで、いまの大蔵との折衝の中では可能性が薄いわけでありますから、そういうようなことで絵にかいたもちになるというようなたとえに通ずる。全くもって無責任きわまりない運輸省のその姿勢、これを私は強く批判をしたい。運輸大臣は一生懸命取り組んでますと言うて、あなた一人が一生懸命はしゃいでいるかのように見えるわけです。しかし、ひとつも仕事は進んでおらぬ。そういうことについて、私の疑問が解けるようにひとつ回答をしてください。
  217. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私も運輸省も一生懸命やっておりますが、財政事情ということで、財政的な裏づけというものは十分にまだとれておらない、これは私も承知いたしております。しかし、私は就任いたしまして以来、関西空港に関係いたします調査というものは非常に組織的に調査してまいっておりまして、航空審でいろいろと検討されたデータをもとといたしまして、それに新しい調査実績をつけ加えて、いわば建設への準備というものは停滞しておらない、進んできておると思うております。したがいまして、実際に設計する上に必要な調査、土壌改良の実験とか、そういうようなものもこれから進めていかなければならぬのですが、これらは財政の許す範囲内で極力とにかくやっていきたいと思うております。  それと、地元からいろいろと意見の申し入れがございました。これは私たちは全部謙虚に聞いております。今回と申しましょうか、四月に私は三県を訪問いたしまして、いままでの計画を提示いたしました。その主眼は何にあるかといいましたら、空港問題を一緒に考えてもらうために、運輸省におきまして今日まで努力してきたアセスメントを中心とした空港の計画と、それからアセスメントを公表し、そして一緒に空港問題を考えてもらいたい、こういう願いを込めて行ったのであります。でございますから、その時点におきまして運輸省は、この関西空港建設へ、もう発足するという決意を持って行っておるのでございまして、これはやはり地元の方でいろいろ疑問があるのは当然だ、どうぞひとつ真剣に地元も考えていただいて、合意を見、その上で一挙に着工への準備を完了いたし、建設に踏み切っていきたい、こういうことには変わりございません。
  218. 井上一成

    ○井上(一)委員 大臣、時間が余りないので、あなたの決意というか意欲というものはもう前々から私が言うように理解しているのだから、よくわかっているのです。しかし、具体的にもっと冷静に、それでは五十五年九月の航空審答申では五十七年度着工ということが明示されておったのに、いま着工の時期はいつなんですか、運輸省はいつをお考えなんですかと私は聞いているのですよ。答えられないでしょう。答えてください。答えられないのか、答えられるのか。
  219. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 航空審では確かに五十七年度と言っておりますが、われわれは五十七年度着工はむずかしい、できるだけ早くということ以外申し上げられないと思います。
  220. 井上一成

    ○井上(一)委員 できるだけ早くとはいつを指すのか、五十八年、五十九年、六十年。一応いまの財政状況から、大蔵省との折衝、各省庁との関係から、せめてこれぐらいはという、それすら地元に示さずに、言わずに、何をあなた、地元に協力、協議なんというようなことできますか。いつなんですか。大体これくらいと考えているんやと……。
  221. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 その時期については、何年ごろあるいは何年何月ということは申し上げられませんし、できるだけ早くやるということがもうわれわれの精いっぱいの答弁であろうと思いますが、だからといって、それではそれがいつから着工するということがわからない限りは地元は賛成できないとおっしゃるならば、やはりわれわれもそれに対する考え方もとらざるを得ないと思います。
  222. 井上一成

    ○井上(一)委員 これは何も地元が先に決めるのじゃないのですよ。国の空港なんですよ。これは運輸省が地元にお願いに行き、あるいは協議に入ってほしいということで、それで地元が一生懸命やっているのですよ。だから私は、運輸省、中央の車輪は一つも回らぬじゃないかと指摘をしているのですよ。何をあなた、地元が決まらなければその考えがあるのだ、何を開き直っているのですか。逆に、どうして決めないのだ、どうして言えないのだ。
  223. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 国家の財政上の問題から、いつから着工できるということは決められない状況です。
  224. 井上一成

    ○井上(一)委員 それでは、さっきのは本音なのかどうか、つい口が滑ったのかどうか知りませんけれども、地元が決めなければということよりも、まずは中央、運輸省が、国が先に決める、地元に提示をする、先に予定を、着工、開港、すべてそういう期日を国の方が先に提示をいたしますということは約束できますね。これは本来のことなんですよ。本来のことなんですから、このことについては約束できますね。(塩川国務大臣「もう一度」と呼ぶ)  地元が着工だとか開港の時期を決めるものじゃないと私は言うのですよ。時期は、それは運輸省が先に出すべきだ、決めるべきだ。それは大蔵との話でできるだけ早い機会と言うてはるわけですけれども、地元が先に出すのじゃなく、国の方が先に決めるべきだという、こんなもの原則論なので、決まったことなんですからね。そのことをここで大臣に、国が先に出しますね、示しますね。
  225. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 地元でもこのプロジェクトに賛成の意向が明確になってきたら、私は、当然国がそれにこたえて着工の時期あるいは着工の方法、主体、そういうものも明示しなければならぬと思うておりますが、いま先ほども申しましたように、空港を、こういうことをつくりたいと国の意思表示はしたのでございますが、地元がこれに対する意思決定をまだしておりませんので、地元の意思決定もその方向に向かっておるということが確認でさましたら、相並行いたしましてそういう政府内における手続はとっていかなければならぬと思うております。
  226. 井上一成

    ○井上(一)委員 これは、その着工時期云々の問題について地元が賛成、反対——もっと具体的なことを地元に提示してあげない限り賛成も反対もできぬですよ、判断の資料を与えてあげない限り。あなた判断できますか。そんなことで本当に地元を真剣に考えているということにつながりますか。だから私は、塩川運輸大臣、それは本当に一生懸命やりたいというその気持ちだけで物事は進みませんよということを指摘しているのですよ。もっと具体的に、地元が受け入れられるか受け入れられないか、それは地元が判断をします、そういうメニューをやっぱり国が出してあげなければいけない。  さらに私は、着工の時期の問題、あるいは開港の時期も含めてそういう期日の提示をいま質問したけれども、頼りない話です。それじゃ具体的に工法的な問題で、埋め立て工法をした場合には、そうしたらどういう実態がここに出てくるか。  先日も学者グループで、いわゆる埋め立てをした場合に大阪湾は全く廃液の状況になる、さらには、国の提示した資料に海水の濁りについて若干の過小評価をしたきらいがあるということが堂々と日本海洋学会で指摘をされておるわけなんです。こんなことについては、国はどう弁解をしていくのか。  さらに、大阪湾を埋め立てた場合には大阪湾は死滅する可能性、いま少し言いましたね、しかし、それだけでは済まぬ。どういうことが起こる予想として考えられるだろうか。いわゆる潮流による還流関係が阻害されていく。そういうことになると、大阪湾は工場排水のみの流れ込みになってしまう。その結果水温が上がる。あるいは海水の温度が上がっていくということによって気象条件が、気象状況が変わっていく。大阪の気温が上がりますよ。大阪の気温が上昇するということになればどういうことになるのだ、いろいろなことが予想されるわけです。スモッグ発生はいまよりふえますよ。あるいは農産物に対する影響というものも、これは大きな影響をもたらしますよ。あるいは、そういう気温の変化によっての省エネ対策、これは時代に逆行しますよ。まあ科学的な分析とか調査という、そういう客観性を持った資料をみんな出してこの問題についての判断をしていかなければいけない、私はいま具体的にこういうことを指摘したわけなんです。どうなんですか、これに対して答えられますか。
  227. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 そういうデータ、いわゆる環境変化に伴う調査結果というものは、この前各府県に提示いたしました。それでなお疑問がある、私は当然だと思うのです。でございますから、その疑問は地元でやはり十分審議をしてもらいたいと私は思うております。それに対する質問の形で知事からも来ておりますし、それに対しましてはわれわれも調査をし、それに対する答えは提示しておる、それでもなおかつまだ疑問があるだろう、私はそれで当然だと思うのです。でございますから、そういう点はやはり忌憚なく質問を出してもらい、話し合いをし、そしてそこで意見の一致を見るという努力はやはりすべきだと思うております。(井上(一)委員「私の質問に答えなさいよ」と呼ぶ)
  228. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 先ほど先生から御指摘ございました、ある大学の先生から、私どもの行いました環境影響評価の特に濁りに関するアセスメントが過小評価であるという御批判が紹介されましたので、その点につきましてお答え申し上げます。  私どもその先生方の御指摘を拝見いたしまして、私どもの技術陣で検討したわけでございますが、この先生の御発表になりました実験、これは私どもとかなり前提が違っております。海面で工事を行います際に濁りが生じます。このしゅんせつによる濁りは、これはもう濃度は数百ないし数千ppmという実験値が得られておりますが、この発表されました先生の採用されました数値は一〇〇ppmという現実に発生しない数値を用いられまして、特にそれを海面に近いところで発生をするという前提をとっておられます。まずその点が、私ども実際の工事を行った経験を持っております者にとっては、どうもその前提がおかしいのではないだろうかという疑問を持っております。  それから、もし仮にその前提が正しいと仮定いたしまして、それじゃそれが水産資源にどのような影響を及ぼすのかというその結果でございますけれども、これは水産資源保護協会等が発表しております基準によりまして二ppmの範囲内が影響が及ぶ、こういうことでございますが、ただいま申し上げましたこの教授の御発表になりました数値は〇・四ppmまでをその影響の及ぶ範囲というふうに、私どもと前提の違う数値を使っておられまして、その限りにおきまして、私どもの影響の及ぶ度合いと、この先生の発表されました影響の度合いとはかなりの違いがございますけれども、私どもの計算は、これはあくまで何らの防止措置をとらないで行った場合の数値を発表したわけでございます。現実の工事におきましては、濁りの拡散防止膜というような別途の防止装置をつけますので、さらに拡散は防止できるというふうに考えておりますので、なおこの先生方との間で私どもさらに意見の交換を行ってまいりたいというふうに考えております。(井上(一)委員「気象条件については、気温については」と呼ぶ)  ちょっと私、技術の専門でございませんので詳しい内容についてお答えいたしかねますが、私どもの環境アセスメントを行います際には、それぞれの分野の専門家の御助言をいただき、御指導をいただいてやっております。
  229. 井上一成

    ○井上(一)委員 助言をいただいたからどうなんですか。私の言っていることについて答えられますかと言っているのだからね。答えられなければ後で答えてくださいよ、この委員会の中で。  それから大臣、府は何項目かにわたっていわゆる問題提起をし、質問をしている。これは府は府なんですよ。私は着工の時期についてもいま聞いたので、そういうところには入ってない。それは物の考え方があって、気象条件、気温等も踏まえて、いろいろ変化があって、埋め立てについての後の変化、影響というのは非常に大きいですよ。そんなことも考えて、工法一つをとらえても全部を明らかに府民に知ってもらうべきであり、その中から選択をしてもらって正しい判断をしてもらうべきである、こういうふうに私は言っているわけです。その資料あるいはそういうことに対する働きかけというものが運輸省には見られない。まあ大蔵に締めつけられているから大変それは困っているんやという内面もあるでしょうけれども、そういうことは、たとえば関係自治体、市町村については町づくりそれ自体に影響するのですよ。だから、唐突にばんと国から言われたからといってすぐにそれが受け入れられるものでもなければ、その市のそれぞれの固有の財源に合った町づくりを考えていかなければいけないし、いま持っている町づくりにどうそれが乗っかってくるか、そういうことも考えたらもっと親切な対応というものが必要である、私はこういうように思うのです。  それから、航空局長、大阪府は何か空港周辺地域の限定、いわゆる二酸化窒素の基準を決めるというのでしょうか、そういうことの含みの中で地域限定をしたというふうにいま承知をしているのですけれども、とりわけ堺、高石、いわゆる泉北のコンビナート基地を外した地域を限定したというふうに承知しているのです。これは承知しているのかどうか。そのことは関西新空港の環境基準値の問題について一定の府の姿勢が、いいとか悪いとかは別として示された、私はこういう受けとめ方をするのです。これは運輸省は知っているのかどうか、あるいはそういうことについて何らかの協議なり話し合いが持たれたのかどうか。全く知らなければ知らないで結構です。
  230. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 そのような地域を限定したというような話は聞いておりません。
  231. 井上一成

    ○井上(一)委員 さらに私はこの問題についても質問を続けたいわけでありますが、一応の約束の時間が来ましたので、この問題についてはいずれかの機会に続けて質問をいたしたい。  それから、午前中指摘いたしました問題について、大臣は、社長のいわゆる高給が実際の空港ビルと空港ビルの関連する子会社からの収入であるとするならば高い、あるとするならばということで、いまは承知してなかったということでしたから、関係者から聞いて、これはやはり事実そのとおりであると私は指摘をしておいたのですけれども、この認識だけははっきり、きょうのこの私の質問の時間の中で、いやそうじゃないというならないと言ってほしい。ぼくの調査では、子会社、いわゆる関連会社の収入、それ以外の雑所得は入っておらぬ。公示額を見た上でぼくは申し上げているのですから。ひとつそういう点について関係者からお聞きをいただきましたか。
  232. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 まことに申しわけないのですが、まだ関係者から聞く時間がなかったものですから、それで……(井上(一)委員当局の方は」と呼ぶ)当局から聞きました。一度子会社並びにその空港会社の経理内容を早急に当たって調べる、こういうことでございまして、私は、おっしゃるように、これが空港関係のそういう会社からの給料である、恐らくそうだろうと思うのですけれども、しかし、まだ持っておられる配当金が入っておるのだとかなんとかいうこともあるかもわからぬものだから、一度その関係会社に十分調査をしてくれ、こういうぐあいに言うたのです。これできよう終わりまして、あすにでも早急に関係会社を呼びまして、実際の額を掌握して報告するようにいたします。
  233. 井上一成

    ○井上(一)委員 それでは、その問題については、一応子会社を含めたいわゆる空港ビルの関連会社からの収入であれば高過ぎる、高給過ぎるという大臣の朝の答弁を私は了として、とりあえず質問を終えます。
  234. 國場幸昌

  235. 草川昭三

    草川委員 公明党・国民会議草川昭三でございます。  まず最初に、新東京国際空港公団の燃料基地の拡充について質問を申し上げます。実は、私は昨日も行政改革特別委員会の方で、鉄建公団の見通しのない工事をなぜ実施したのかという問題提起をいたしたわけでございますけれども、本日も、いまから申し上げるいろいろな事例の中で、常識的には非常に理解に苦しむ工事がこの燃料基地拡充について行われておるわけでございますので、その立場から質問したい、こう思うわけであります。  まず最初に、公団の方にお伺いをいたしますが、成田空港への航空機の燃料は、現在パイプラインの完成が延び延びになっておるために、鹿島、千葉の二ルートで貨車輸送で行われておるわけでございます。特に成田市内の土屋基地というのですか、ここで一たん貨車からおろされまして、暫定的なパイプラインで空港に送られておるわけでございますが、現況はどのようになっておるのか、お伺いします。
  236. 中村大造

    中村参考人 お答え申し上げます。  現在、成田空港への列車による燃料の輸送は、鹿島ルートと千葉ルート、二つのルートから輸送いたしております。千葉ルートにつきましては一日千二百キロリットル、鹿島ルートにつきましては一日四千三百キロリットル、したがいまして、合計五千五百キロリットルを輸送いたしておる、こういうことでございます。
  237. 草川昭三

    草川委員 続いてお伺いをしますけれども、でございますとするならば、いま貨車輸送で一日に何列車ずつ運ばれておるか、お伺いします。
  238. 中村大造

    中村参考人 千葉ルートが二列車、鹿島ルートが五列車、合計七列車でございます。
  239. 草川昭三

    草川委員 国鉄の方にお伺いをしますけれども、現在この列車の編成は最大限で何両ということがこの場合に当てはまるわけでございますか。
  240. 橋元雅司

    ○橋元説明員 お答え申し上げます。  鹿島ルート五本の内訳でございますが、十三両編成の列車が二本、十四両編成の列車が一本、そして十八両編成の列車が二本でございます。なお、千葉ルートにつきましては、十二両編成の列車が二本ということでございます。
  241. 草川昭三

    草川委員 列車の最大限の編成の車両については後ほどお伺いをするとして、公団側にもう一回お伺いをいたしますけれども、公団は現在の燃料備蓄量に強い不安を持っておるということが言われておるわけでございますけれども、貨車輸送を増量するために土屋基地の拡充を計画をしたということが言われておりますが、それはいつごろ計画をされたわけでございますか。
  242. 中村大造

    中村参考人 五十四年の当初、春ごろでございます。
  243. 草川昭三

    草川委員 五十四年の春というお話でございますが、そのときの計画の内容について少し詳しくお伺いしたいと思います。
  244. 中村大造

    中村参考人 当時、五十四年の春ごろの状況は、先ほど申し上げました現在輸送量よりももっと少ない輸送量でございまして、千葉ルートは千二百キロリットル、これは変わりませんけれども、鹿島ルートにつきましては三千八百キロリットル輸送をやっておったわけでございます。したがいまして、両方合わせますとマキシマム五千キロリットルということでございます。当時、開港以来輸送需要の伸び等を考えますと、この最高限五千キロリットルの輸送量では非常に不安であるということで、何とかして十キロでも二十キロでも増量をしなければならないということで、五十四年に入りましてその増量計画というものをわれわれも立てまして、国鉄に対しまして、あるいは沿線の地方公共団体、これは鹿島ルートに例をとりますと、七つの地方公共団体をこの鉄道は経由しておるわけでございますので、七つの地方公共団体に対しまして増量ということについてのお願いを始めたわけでございます。そのときに私どもは、列車につきましては二十二両編成ということを考えまして、ただ、これは一挙にそのように持っていくことはむずかしゅうございますでしょうから、段階的にそのように持っていっていただくということで、そういう線で地方公共団体にもお願いを申し上げ、また国鉄に対してもお願いをしたというのが実情でございます。
  245. 草川昭三

    草川委員 その国鉄との関係をぜひ私、お伺いをしたいわけでございますが、先ほどの答弁で、国鉄の方は現在十二両編成だということをおっしゃいましたね。これはもう一回お尋ねをいたしますが、それで間違いないのですか。
  246. 橋元雅司

    ○橋元説明員 お答え申し上げます。  先ほどお答え申し上げましたように、千葉ルートにつきましては十二両でございますが、鹿島ルートについては輸送開始の当初、先ほど申し上げました十三両二本、十四両一本、十八両二本という形でございました。実は、その後御要請がございまして、昨年の十一月一日から、鹿島ルートの五本の内訳でございますが、十八画編成の列車を四本、それから十四両編成の列車を一本、こういうことに現在なっております。
  247. 草川昭三

    草川委員 では、いま十八両というものが四本運行されておるという立場から、いわゆる四両ふやして最大限二十二両ということを国鉄と相談をされて工事が進んだ、こういうことですね。そして問題は、当然のことながら列車の長さが長くなるわけですから、その長い分からその燃料を受け取れるようなデッキというのかプラットホームというのですか、そういうものを設備をしなければなりませんし、油を集める集油管あるいは貨車とつなぐ取り入れ口、バルブというのでしょうか、取りつけ口を発注をしなければいかぬわけですが、公団はその発注をいつごろなされたわけですか。
  248. 中村大造

    中村参考人 五十四年の六月に発注をいたしました。
  249. 草川昭三

    草川委員 六月に発注をして、工事は十一月ごろに本格着工されたというわけでございますが、工事の着工がいつか、完成がいつか、総工費は幾らかということをお伺いします。
  250. 中村大造

    中村参考人 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、契約は五十四年六月、着工が五十四年十一月、完成が五十五年七月でございます。総工費は六億五千六百六十万円でございます。
  251. 草川昭三

    草川委員 問題はここから始まるわけでございますけれども、これでスムーズに公団が要請をした二十二両編成の貨車輸送が行われるならば問題ないわけでございますが、われわれが聞く範囲内では、国鉄は五十四年十月に、二十二両の編成は絶対やれないということを返事をしてきたというわけでございますが、これは国鉄側からお伺いしたいと思います。
  252. 橋元雅司

    ○橋元説明員 お答えの前に、先ほど、昨年十一月一日と申し上げました鹿島ルートの増結でございますが、これは誤りでございまして、一昨年五十四年でございます。訂正させていただきます。  一般貨物の牽引両数と申しますのは、申し上げるまでもなく積車であるか空車であるかということから始まりまして、当該線区の線路条件、これは勾配であるとかカーブであるとか、あるいは機関車の牽引両数であるとか、これは重連であるとか単機であるとか、あるいはブレーキ性能、さらには貨車の自動連結器の力がございますが、そういった自連の力等を考慮いたしまして総合的に判断をいたしております。  この線区につきましては、いろいろ総合的な検討を加えた結果、やはり二十両以上積車で引っ張ることは無理であるという結論に達しまして、その旨、公団に申し上げたところでございます。実は、事務的には五十四年の当初、二十二両案というものも打診がございまして、いろいろ相互に検討をいたしたわけでございますが、その過程で私どもとしては二十両以上はむずかしい、十九両までだということで公団に最終的に回答申し上げた、こういう経緯でございます。
  253. 草川昭三

    草川委員 問題は、これは公団に責任があるのか国鉄に責任があるのかという問題になるわけであります。少なくとも六億五千万円のとうとい金が使われて基地の拡張が行われておるわけでありますし、公団の方も、当然のことながら国鉄に何らの相談なく計画を立てたわけではないと思うのですね。国鉄も、当然のことながら、いま御答弁がございましたように、五十四年の初期から相談はしたけれども、最終的に十月に、これはやれない、二十両以上は無理だという総合的な判断をした。ところがこれが、いま申し上げましたように六月にはすでに集油管の発注をしておる、工事が十一月に着工しておる、しかし国鉄は十月に、それは無理だ、こう言っておるわけです。だから、国鉄が早くだめだという連絡を公団側にすべき責任があるのか、あるいは公団側は国鉄に全然関係なく、自分たちの身内だけでこれができると思って工事の発注をしたのか、どちらに問題があるのか、この点について、まず公団からお答え願いたいと思うのです。
  254. 中村大造

    中村参考人 この点につきましては、実は、昨年、会計検査院検査に際しまして会計検査院から御指摘がございました。それに対して私どもお答えを申し上げたわけでございますけれども、実は、先ほど申し上げましたように、五十四年当初から二十二両化について国鉄に対して事務的に打診をいたしました。それに対しまして国鉄といたしましては、機関車の牽引能力とか、あるいは線路の強度とかそういう面からいってそれは無理だ、むずかしいという反応は、われわれは承知しておったわけでございます。しかし、われわれといたしましては、増両の願望というものがきわめて強かったわけでございまして、とにかく空港の運営を確保するためには何とかして燃料の輸送を確保しなければいかぬ。たまたま私どもの中にも若干そういう面では知識を持っておる者もおりますし、いろいろ内部で検討してみると、二十二両は必ずしも不可能ではないのじゃないかというふうな意見もございました。しかし、国鉄は、それはむずかしいぞ、こういうふうなことでやりとりをしたわけでございます。六月に発注いたしましたときには、国鉄からは、やはり非常に無理だという意向はわれわれは承知しておったわけでございますけれども、しかし、そのような非常に強いわれわれの願望のために発注をいたしたということでございます。十月に至りまして、国鉄としては二十二両化はもう絶対無理であるという最終的な回答を得たわけでございます。したがって、われわれとしては、十一月着工のときには、二十二両化というものを十九両化に計画を変更いたしまして、可能な限り十九両化に修正して工事を始めたということでございます。  その場合に、完全に十九両化に圧縮できた分と、それから材料の発注あるいは工場の生産等がすでに進んでおりましてそれが修正できない部分がございましたために、先生御指摘のように、集油管という、列車から油を一度入れます管でございますが、その長さが二十二両分と十九両分では約四十メートル短くなるわけでございますが、この分は修正ができなくて長いままで工事を始めて完成さした。しかし、その集油管と貨車を結ぶ導管、管がございますが、これは十九両化にするために三両分はこれを撤去いたしまして、十九両化で工事をした、こういうことでございます。
  255. 草川昭三

    草川委員 総裁、それは話にならぬですよ、いまの答弁は。強い願望があるならば何でもできるのですか、問題は。とにかく列車で油を運んでいただくのは国鉄ですから、国鉄に対する事前の折衝があったことは間違いないと思うのですよ。いまの答弁は、何だか国鉄の態度をかばっておるような発言にも伺えるわけでございますけれども、ここの場で幾ら国鉄をかばったってだめですよ。国鉄は当初ある程度オーケーのサインを出したのでしょう。だからこそ公団の方は仕事をやったわけでしょう。もしも全然国鉄のオーケーのサインのないまま公団が二十二両分の集油管等を発注したとするならば、これは完全に公団側の勇み足なんというものではなくて、全く何の熱意かわかりませんね、これは。税金をいかにむだ遣いをするかという熱意の表明にすぎぬわけですよ。そうじゃないですか。
  256. 中村大造

    中村参考人 先ほど申し上げましたように、国鉄からは、二十二両化は無理だ、こういう事務的な感触は得ていたわけでございますが、しかしわれわれは、最終的に絶対に二十二両はだめであるというところまでの判断はしないで、さらに折衝をすれば二十二両化は可能なのではないかという期待を持ったことはまことに不明の至りでございます。しかし国鉄としては、そういうふうな二十二両化が非常にむずかしいという意思表示をされておったことは確かでございます。しかしわれわれは、二十二両化はできるのではないかということで、引き続いて国鉄と折衝をしながら、しかし当時といたしましては、この暫定輸送というのは五十六年三月、ことしの三月でもう打ち切りということでございまして、それまでにとにかく早く工事を済ませて、早く百でも二百キロでも燃料をよけい運ばなければいかぬ、そういう気持ちが強く、何とか国鉄に一はだ脱いでもらえるだろうという期待を持ったことはわれわれの不明の至りであったというふうに感じております。
  257. 草川昭三

    草川委員 言葉じりをつかまえるわけではございませんけれども、じゃ国鉄に頼んだらできそうだという感触があったから工事の発注をした、機具の発注をした、こういうことですね。だとするならば、国鉄出身者がこの公団の中にもいたようでございまして、類似線で調査をしたならば二十二両の搬送は可能だ、こういう意見があったわけでございますから、類似線で二十二両の搬送をした事実があると思うのですが、これは国鉄側からお答えを願いたいと思います。そういうことがあるのかないのか、それだけ簡単にお答え願います。
  258. 橋元雅司

    ○橋元説明員 私ちょっと技術的なことは余り十分知悉しておりませんのであれでございますが、このもろもろの条件のもとでは二十両以上は無理でございますし、また現在までのところやった経験はないと承知しております。
  259. 草川昭三

    草川委員 その総合的な判断の中に、いわゆる単純な線路の重圧だとか、あるいは牽引力の問題以外にいわゆる労働力というのですか、まあ国鉄の組合の関係もあるでしょうね。あるいはまた地域的ないろいろな自治体との関係もあるわけでございますし、とかくこの輸送ルートの問題についてはわれわれもいろいろな話を聞いておるわけでございますが、そういう問題も含まれた総合的な判断なのですか、どうですか。お伺いをいたします。
  260. 橋元雅司

    ○橋元説明員 私の承知しております範囲では、全く技術的な判断に基づきまして結論を出したと承知しております。
  261. 草川昭三

    草川委員 じゃ、そういうことならば、これはますます公団の方に責任がありますね。単純に技術的な範囲内でだめだと言っておるものを強引にお願いをするということは、今度は逆に安全性の問題が出てくるわけですね。そういう態度というものが終始一貫公団の混乱につながるわけでございますし、今日、公団の累積赤字というのは四百二十億にも及んでおるわけでございます。そういう基本的な反省がない限り、私は、この問題は、幾ら熱意があると言っても、国民経済の立場からいってもこれは重大な問題になると思うのですけれども、これはひとつ監督官庁の方から、こういう事実について一体どう考えるのか。  その前に、ひとつこれは、会計検査院の方から指摘もあったということを言っておりますから、会計検査院の方からお答えを願いたいと思います。
  262. 坂上剛之

    坂上会計検査院説明員 それではお答えいたします。  この工事は六億五千六百万円にも上る非常に金目の張る工事でございます。そういうことでございますので、私ども、こういう施設の工事に当たりましては、工事の計画、それから設計積算、それから施工の当否、そういうものについて検討をいたすわけでございます。  ところが、この施設は、全量貨車による輸送によって受け入れるというのでございますから、その受け入れ先の受け入れる能力があるのかどうか、これがまず問題でございます。私どもの調査官にも鉄道検査をした経験者もおりますので、そういう点から国鉄の成田線の線路容量と申しますか、操車能力、そういう面を検討いたしましたところ、この計画では無理であるということをもちまして、昨年の五月に第三局長名で照会を出しました。それ以降のことにつきましては先ほど総裁からお話のあったとおりでございますけれども、当局とされましても十九両化ということで対応されまして、三両分にかかわるものについては集油管をふさぎますし、それからローダーにとりましては撤去するという、そういう方針で臨まれております。  以上でございます。
  263. 草川昭三

    草川委員 検査院の指摘のとおりであります。  だから、これは監督官庁の運輸大臣にお伺いしますけれども、問題は、何回か申し上げますけれども、国鉄がだめですよと言ったのは十月ですよ。その以前にすでに集油管の発注をしてしまっておる。そして本格的な工事に入ったのは十一月ですから、だめだと思えばやめればいいのですよ。これは民間なら直ちにやめるわけですよ、民間なら、えらいことだというので。あるいは発注をした集油管についてもキャンセルをするわけですよ。キャンセルをしてペナルティー払ったって私は発注したよりは安いと思うのですよ、これは。少なくとも現在は十九個で残りの三個は補充用として倉庫にあるわけでしょう。デッドストックですよ。全く使われないものが倉庫にあるわけですけれども、これは少し民間的な発想を持っていただくとするならば、国民の税を使っていただくという立場ならば、いかに熱意があろうとだめなものはだめなんだから、国鉄がもう運べませんという以上は、私は工事をやめるべきか、あるいは注文をしたものについてはキャンセルをすべきであると思うのです。その点については、総裁に幾ら言っておってもだめですから、運輸大臣から御答弁を願いたいと思います。
  264. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 国鉄のこの問題に関する公団に対する返事と申しましょうか、それと公団との間で若干時間的なすれがあってそれを強行したということにつきましては、私はこれが全く車両用の増設に間に合わないというものであるとするならば公団もやはりその時点でやめるべきだったと思うのです。ところが、私はこの事情を聞いてみましたら、公団でまだそれを増結以外のものに使いたい、それは何を意図したのかと聞きましたら、夜間作業をやってまで積みおろしをやっておるのを、積みおろしの能力を高めるためにも使いたい、こういう気持ちもあったものだから予定どおり設置をした、こういうことを聞いております。もちろん、草川先生お尋ねのように、これはもう増結できない、しまった、注文してしまったのにえらいことしたという段階で、そこでやめるべきだと私は思うのですけれども、しかし、注文したものがもっとほかにも使える、これをこのように活用したいというものがあったものですからそれを活用した、私はそのように報告を受けております。  そこで、その報告を聞きまして、こういう食い違いが再び来ないように十分注意しなければいかぬということを私は指示したようなことでございますが、公団の方から見ますと全く使い物にならぬものではなく、有効にこれを使いたいという気持ちがあってやったということを御理解していただきたい。当初の用途に使おうと思うておったものと若干目的は違うけれども同じように使っておるのですが、そうすると当初の効果と現在使っておるものの効用との間に差はあるじゃないか、その分はむだになるじゃないか、こう仰せになると、私はその分についてはまさに不当な、むだとは申しませんが、不当なものであったなと思うて反省をいたしておるところです。
  265. 草川昭三

    草川委員 大臣、悪いことは悪いといって言い切らなきゃだめですよ。特にとにかくいまは行革の時代ですから。集油管なんというのは本体が壊れるわけはないのですよ。集油管に付属をする部品はメンテナンス上壊れる可能性はありますけれども、貨車に直接する大きな口ですからね。そんな本体が簡単に壊れるわけがないでしょう。現実にその三個は倉庫に眠っておるわけですから。だから、きのうも私は行革特別委員会で言ったのですが、予算がついたらそれを消化をしないと、いわゆる官僚というのですかお役人の気質としては、もしも不用額として未消化ということになると次の予算が取れないものだから、何はともあれとにかく発注をしてしまう。ここにいまの体質の問題があるのです。だから、よく聞いてみたらだめだったとかというのでなくて、やっぱり大臣は、明らかにこの問題については、いけない、悪いことは悪いと言い切らなければ、こんな公団の体質なんかよくならぬですよ。もう一回答弁してください。
  266. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 それは全くおっしゃることは私もそのつもりで、全く意見は一緒でございます。ですから、それをせめて活用したことについて私は先ほど申しておるようなことで、それは当然目的が違ってまいりましたら切るべきであるということ、そしてそれに対する財政当局の配慮——私も議員をやっておりましたときはそういうことは何遍も経験いたしまして、これはやっぱり政府全体がその体制にならなければいかぬ。私は意見としては同じでございます。しかし、先ほどくどくど言いましたのは、全くむだには使っておらないのでせめてもだなという気持ちが私にはあるものですから、あえて答弁をいたしたような次第なんです。それはもう計画変更の時点において計画の変更に伴う措置をすべきだ、これはもう当然であろうと思います。
  267. 草川昭三

    草川委員 この問題についてはこれで終わりますけれども、大臣も自分で企業を持ち経営なすっておみえになったとするならばこんなばかげたことはやらないことは事実だと思うのですよ。公団だからそれを認めてかばってみえると思うのですけれども、そういう態度である限り行政改革は成功しないと私は明言を申し上げて、この問題については終わります。
  268. 中村大造

    中村参考人 ちょっとお許しを得まして、ただいま大臣からお話がございましたので私からもちょっとそれを敷衍させていただきたいと思います。  まず、どれだけむだであったかということでございますが、これにつきましては、会計検査院からの御指摘は、総工事費六億五千万でございますが、むだの部分というのは、いわゆる集油管二十二両分というのは三百二十五メートル、十九両分というと二百八十五メートル、したがって、二百八十五メートルでいいものを三百二十五メートルのままの長い集油管をつくったから、その差四十メートル分についてむだである、金額にすると約二千万円弱、こういうのがむだであるという御指摘をいただいたわけでございまして、この点については、私はもう全くそのとおりであるというふうに思っております。  ただ、むだであるかどうかということにつきましては、確かに燃料をたくさん運ぶ増量という目的はまだ達せられておりません。しかし、その集油管を新しくつくったことによりまして、一つは、この十月から国鉄のいわゆる燃料列車のダイヤが従来夜間運行しておったものを全部昼間のダイヤに改正していくことができたわけでございます。従来すでに三回程度この沿線では過激派の襲撃を受けまして、鉄橋を切られたりあるいは燃料列車が襲われたりということでございまして、それをすべて昼間ダイヤに移行できたということは、これはこの工事をやったがためにできたのではないかというふうに考えております。それからもう一つは、いままで設備の関係で月に二回休まなければならなかったものを休みを一日でいいというふうな余裕が出たということで、増量の目的はまだ達しておりませんけれども、輸送の安全、安定という面につきましては私どもは有効に使っておるということで、これは弁解にはなりませんけれども、大臣が御説明されましたので若干敷衍させていただきたいと思います。
  269. 草川昭三

    草川委員 時間がないのであれですけれども、それは抗弁ですよ。強弁というのですか。せっかく大臣が一つの結論を出しておるわけですから、公団がいまさらくどくどと最後におっしゃったようなことは、問題を指摘をされたからそういう話が出てきたのですよ。だから予算執行という立場を忠実に守るとするならば、私はやはり役所は役所、公団は公団として正しい予算執行はしてもらいたいと思うのです。それは予算執行の原則を踏みにじっていますよ。そうじゃないですか。余ったものは余ったもの、使えないものは使えないものとして不用額に挙げなければいかぬのですよ。そういうものを自分の判断で公団という立場から、しかも国鉄がだめだと言っておるものを見込み発注をする、前倒し発注をする。しかも指摘をされると、そうは言うけれども安定をしておる、こんなものは私は全く公団の態度はなっておらぬ、こう思います。  時間がございませんので次に移ります。公団の総裁は御苦労さんでございました。これで結構でございます。  二番目は、運輸省にお伺いをいたしますが、自動車損害賠償責任保険特別会計について質問をするわけです。問題は、運輸省は毎年一兆円の赤字に悩む国鉄財政を支援するために、五十七年、次の予算編成にこの自賠責再保険特別会計の方から百二十四億という支出予定をしていると言われております。しかも中身は無利子で九十億円を貸し付ける、三十億円の補助金を出すというわけですけれども、いまの自賠責にそれだけの余裕があるのかないのか、簡潔に当局から答弁をお願いします。
  270. 飯島篤

    ○飯島政府委員 お答えいたします。  先生よく御存じのとおりでございますので、運用益の状況を申し上げますと、五十五年度末の決算で累計が二千九百五億円となっております。純利益の過去の累計がほかにございますので、いまのは保険勘定でございますが、保険勘定で五千三百八十二億円ということに相なっております。収支の状況につきましては、年々確かに悪化の傾向にございますが、年々生じます運用益をもって五十六年度予算予定におきましては若干の黒字が生ずるという状況になっております。
  271. 草川昭三

    草川委員 では、余裕があるならば給付を引き上げるか、たとえば死亡災害の場合の上限の二千万ですか、それを引き上げるか、あるいは強制保険と言われる自動車賠償保険保険料金を下げるということになぜ運輸省当局は頭がいかないのか、あるいは業界との関係がある大蔵省はそのように指導をしないのか、こういうように思うわけでありますし、そもそも自動車損害賠償保障法という法律には「被害者の保護を図り、あわせて自動車運送の健全な発達に」云々というような目的があるわけでありますし、自動車損害賠償責任とは一体何か、この何かという目的がこの法律の根拠になっておるわけでございますが、何も国鉄の赤字を支援をするために私どもは強制保険に加入をしていないわけですよ。これは強制保険ですから税金と同じなんですよ。いやおうなしにこの保険に入らなければ、とにかく車の運転ができないわけですから。そういう人が掛けなければいけないのが、なぜ国鉄にこのような助成をしなければいけないのかという素朴な私は問題提起があるわけでございますが、ここら辺をどのような議論をして運輸省の方は概算要求をなされたのか、お伺いをします。
  272. 飯島篤

    ○飯島政府委員 お答えいたします。  自賠責保険の給付内容につきましては、従来から裁判等におきます賠償水準、それから物価、賃金の水準、他の損害賠償制度の推移、保険収支の状況等を勘案しながら、被害者の保護に欠けることのないように適時適切に改定を行ってきているところでございますし、また支払い基準につきましても五月一日に改定を行っております。  運用益についてでございますが、こういった短期の損害保険におきましては一定の運用益というものを確実に見込むということができないとされておりまして、これをもって直ちに給付水準の引き上げとか保険料の引き下げに還元する取り扱いは従来行われてはいないのでございます。しかしながら、先生御指摘のように、この使い方については慎重を要するものでございまして、自賠責保険審議会の答申を踏まえまして、従来から保険収支の改善に資するための財源として留保するほかに、自動車事故の発生防止及び被害者救済に活用してきているところでございます。国鉄に対する助成につきましても、その助成が自動車事故の防止に資するという観点から予算要求として考えたわけでございます。
  273. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 議論の内容でございますが、これは草川先生御指摘のようにずいぶん議論になったのです。私たちもずいぶん悩みまして、本質論の議論がございました。ところで現実問題に立ちました場合に、ちょうど草川さんも一緒だったと思うのですが、交通安全対策特別委員会で今後立体交差なんかをやっていけというきつい要望があって、国鉄もその計画を持っておりますが、国鉄工事資金計画を見ますと、やはり国鉄の財政が悪いのでどうしてもその費用が出てこない、どこかで捻出してくれということで強い鉄監局の要望が出てきたことは事実でございまして、私たちその仲裁役をいたしましたときに、それでは交通安全対策なんかで貸し付けと補助ということでやろう、しかも運用益で若干まだ余裕があるし、自動車事故防止という観点であるならば保険加入者の方も納得してもらえるだろう、それ以外の国鉄の補助だと思うならばこれはなかなかできないけれども、踏切改造、そういうことのみにしか使えないということであったならば理解もしてもらえるだろうということが最終結論となって、こういう処置をしたということでございます。
  274. 草川昭三

    草川委員 運輸大臣、それはだめですわ。運輸大臣自身も車を持っておみえになると思うのです。自分の車にいわゆる強制保険を掛けて、それでいまのような答弁を聞いて、ああそうですか、御苦労さんですと言うわけにいきません。貸して、国鉄だって返す見込みがあるのですか。いまの国鉄に貸したら、もう永久に貸しっ放しですよ。そんなのは国民だって信用しません。それは返済計画いかんという問題についてはまた別の機会にやりますけれども。  それから踏切道の改造とおっしゃいますが、踏切道の事故については、昭和三十五年、四十年、四十五年、五十年、五十五年というように五年ごとの踏切道の改良の数あるいは事故数というものを平均して見てまいりますと、事故数もずっと減ってきておるわけでございますし、それから、私どもも整備計画の中でずいぶん手を入れてきておるわけでございまして、一定の進歩があることは事実でございます。  しかし、それはそれ、これはこれで、全く財布が違うわけですよ。隣のうちが赤字だからといって、こちらの隣のうちのたんすから荷物を持ち出してそれを質屋へ入れると同じことですよ。私はこれは史上最大の失政だと思いますよ。全国のドライバーといったら、もういまほとんどの世帯には一台の車があるわけです。そういう方々が全部この自賠責強制保険に入っているわけですから、そういう方々に、あなたの保険料は実は踏切に使うんですよ、赤字の国鉄に貸し付けて返ってこないんですよ、こう言ったら、だれだって保険料を下げてくれと言いますよ。そんなことのために保険料を払うわけじゃないのですから。きょうは決算委員会ですから、これはいわゆる決算上の問題とはなじみませんけれども、私はこれはきわめて重大な問題ですので、問題提起だけきょうはしておこうと思うのです、せっかく大臣がそういう御答弁をなさいましたから。これは交通安全特別委員会だとか運輸委員会とかあるいはまた大蔵委員会等でも問題になることだと思いますが、これはそう簡単にはわれわれは承服できません。それだけは申し上げておきます。続いて、自賠責の今度の管理運用についてお伺いをいたしますけれども、実は自賠責の管理運用についてはきょうの決算報告の中にもございますように、差し引き一兆二百二十億ですか、相当大きな金額になっておるわけでございますし、これは資金運用部の方でいろいろな運用をしていただいておるわけでございますが、たまたま私どもは、いわゆる民間の損保会社に掛金をして、そのうち事務的な手数料を引いた六割が国の方に入っていくわけです。再保険になるわけですね。四割は民間ということになるわけです。これはいろいろな意味で非常に業務がダブるわけでございますから、今度の臨時行政調査会の中で、業界の方はどうも経団連の方のアンケートに答えたようでございますけれども、この自賠責の管理運用についてもう少し合理的な処置というものはないのだろうかというような意見反映をしておるやにお伺いをするわけでございますが、この点について大蔵省の方はその業界の担当になるわけでございますので、どのような問題が出ておるのかお伺いしたいと思います。
  275. 松田篤之

    ○松田説明員 先生御指摘のお話は、この八月にある新聞に報道されて一般に知られるところとなったものでございますが、これは、経団連がこの四月に臨時行政調査会に対して意見を申し述べることがないかということを、各業界に対して意見を聞くためにアンケートをいたしまして、そのときに損害保険業界から経済会の中の意見としてそういう自賠責保険特別会計についての意見を具申したという内容の一部が報道されたものと思います。したがって、その内容自体、公にすべきものということではなくて、経済界の中でどういうものが果たして行政改革にふさわしいかという議論をしたということで取り上げられたものでございますので、こういう席で詳しく御説明するのが適当かどうかはわかりませんけれども、私の承知しているところを申し上げますと、保険業界の考え方と申しますのは、自賠責保険特別会計の中での再保険、国へ再保険することは、昭和三十年、この特別会計ができて以来やっておるわけでございますけれども、そのときの目的というのはおよそ二つあるだろう。  一つは、昭和三十年当時、車の台数も大変少のうございましたし、こういう強制保険というものをやった経験もございませんので、大変に巨額のリスクが起こるかもしれないということで、果たして民間で十分責任のある負担をできるかどうかという心配があった。したがって国でそういう再保険をして支払いが十分できるようにするという要請があったということが一点。  それからもう一点は、先ほど来お話のございましたように、この保険は強制保険でございまして、車を持っていれば全員が掛けなければいけない。そういう意味で税金に非常に近い性質を持ったものでございますし、その目的も被害者の救済という大変公共的な性格が強いものであるということから、適正な運営が行われる必要があるという意味で国が監督をする必要がある。この二つの原因があったのではないだろうか。  そこで損保業界が考えますのに、この第一番目の危険の分散という意味で保険業界で持てるかどうかという点は、その後二十数年を経過して、十分保険業界の方でも蓄積ができたし、いろいろ経験を積んで統計もできたので大丈夫やっていけそうである、第二点の方についても私どもは適正にできるというふうに言っている。できれば先生のおっしゃる重複といった面を簡素化する意味でも、国に再保険をしないでやったらどうだろうかという提言をしているわけでございます。  ただ、私ども考えますのに、第一番目の点はそのとおりだと思いますけれども、第二番目の点につきましては、やはり強制保険であり、なおかつ被害者救済で公共的な色彩の強いものでございますから、その適正な運営の確保ということは非常に大切なことでございまして、その意味から何らかの形でその適正さを図る必要がある、要請は依然として残っているものではないか、かように考えているものでございます。
  276. 草川昭三

    草川委員 いまの業界の方は、せっかくの臨調ですから、もうわれわれの方も全国で一世帯一台ぐらいの車を保有をするような段階になってくると十分やっていけるのではないだろうか、少なくとも保有台数から言えばそういうことが言えるわけでありまして、こういうようなダブって民間が四割持ち、国が六割を持つというようなことを一元化したらどうだろう、こういうことを言うのは当然だと思うのですね。  そういう運営を改善をするということについては、実は昭和四十八年に、これはむずかしい専門用語ですけれども、再保険全件明細通知方式というめんどうくさい、ボルドロ方式と言うのですけれども、これをある程度改善したらどうだろうという行管の方からの提言が一つあるわけです。これは非常に厳格にやるという意味では非常にいいのですけれども、たえとば七万件ぐらいある中で四件ぐらいの間違いがあるわけですね。そうすると、七万の件数を一々調べて四件の間違いを発見する経費、コストから考えるとするならば、それに大量の職員が、特に運輸省の職員がかかわることは行政改革上いかがなものか、こんなような提案もあるわけであります。これを延長いたしますと、いわゆる民間、官界全部集めますと、約百二十人の人が簡素化される。経費も、これで十三億円の経費が節約をされるというような言い方をなすっておみえになるわけです。これは私は、今次行政改革の立場から言いましても非常に興味のある問題だと思いますけれども、行政管理庁としてはこの趣旨の問題についてどのようなお考えを持っておみえになるのかお伺いをします。
  277. 田中一昭

    田中説明員 私は、臨時行政調査会の事務局から参ったのですが、いま先生のおっしゃる問題につきまして直接お答えする立場にはございませんので、御質問に対する御答弁は御勘弁願いたいと思います。  臨時行政調査会として本件をどういうふうに扱うかと……。
  278. 草川昭三

    草川委員 そのように、臨時行政調査会としてこの民営、官営の問題等についての考え方はどうか、こういうように質問を訂正しましょう。
  279. 田中一昭

    田中説明員 臨時行政調査会におきまして、三公社五現業等を初めとします政府直営事業及び特殊法人等の問題、これは非常に大きな問題でございまして、検討することになっておるわけでございますが、第四部会というところで担当しております。そこでは、五現業と政府直営事業につきましては、民間事業との役割りの分担を洗い直し、民営移行を含む整理合理化あるいは経営の合理化を推進する、こういうふうになっておるわけでございます。  そこで、政府直営事業と言いましても多種多様でございまして、どこまで取り上げることになるかいまのところはっきりしておりませんが、考え方としましては、いまお話しの自賠責保険も一応調査、審議の対象になる、こういうふうに考えております。
  280. 草川昭三

    草川委員 対象になっておるわけでございますから、この種の問題については非常に与える影響力が大きいわけでございますし、行政改革の中で簡素化をし、そして国民の方々に有利な保険を与えるようにしていただきたいということを申し上げて、時間が来たようでございますので、これでこの問題は終わります。  最後になりますが、これはいずれ交通安全特別委員会等でもお伺いしなければいけないと思いますけれども、いわゆる救急医療と言うのですか、交通事故の方から来ます救急対策について若干お伺いをしたいと思います。  時間がございませんからごく簡潔に申し上げますと、厚生省は救命救急、いわゆる患者が搬送されてからの受け持ちであります。ところが、事故の前の問題については総理府が安全教育をする。そして事故があった場合には、自治省のいわゆる消防隊の方から救急車が出てくる。そして交通規制あるいは交通事故ということについては警察庁がそれぞれ所管をなすってみえるというわけでございまして、交通事故によるところの救命救急というものについては行政管庁も非常に入り組んでおりまして、一本の明確な教育というのはなされておりません。きょうは文部省の方もおいで願っておるわけでございますが、実は私、きょう、細かい中学校、高校の学習指導要領なんかも持ってきておるわけでございますけれども、交通事故によるところの応急処置、救急対策ということについての教育内容もほとんどございません。あるいは免許証を受け取る場合の事前の教育ということについても、交通の教則がここにございますけれども、わずか一ページで、交通事故のときのごく簡単な応急手当ての処置の教育しかいたしておりません。こういうことでは問題があると私は思うわけでございます。ぜひ学校においても、児童に小さいときから救急法というものを教える、ただ交通事故に気をつけましょうというだけのことではなくて、あらゆる面からの対策が必要ではないだろうかというのが私の意見でございます。そのことについて警察庁、消防庁、文部省、総理府それぞれ簡潔に御答弁願って、私の質問を終わりたい、こう思います。
  281. 久本禮一

    ○久本政府委員 自動車の運転者に、免許取得あるいは更新の機会に救急の問題について十分教育せよという御指摘は全く同感でございます。  具体的にどのような形で盛り込むかという点につきましては、現状は先生御承知のとおりでございますが、これをどのように進めるかという点につきましては、現在、専門家の意見を徴してこれの内容の検討をいたす過程にございます。この点につきましてなお精力的に進めてまいりたいというように存じます。
  282. 木下英敏

    ○木下説明員 御承知のとおり、現在のところ救急隊員は単に搬送するというのみならず、一定の範囲内で応急処置を行っているところでございますが、まだまだ十分な教育訓練を行っておりませんので、今後一層教育訓練に力を尽くしてまいりたい、こう思っております。
  283. 森脇英一

    ○森脇説明員 学校における救急法についての教育でございますが、中学校の保健体育の中の保健分野におきまして、応急処置の基礎的技能を習得させるということを目標といたしまして、これらを実践できる態度、能力を育てる、応急処置を適切に行うことによりまして急病や傷害の悪化を防止することができるような指導をするということで、各学校において教育を行っておるところでございますが、先生御指摘のような学校における救急処置の基礎的技能の習得という教育につきましては、さらに一層充実を図らなければならないというふうに存じておるところでございます。
  284. 仲山順一

    ○仲山政府委員 救急救護は非常に重要なことでございますので、総理府におきましても、第三次交通安全基本計画の中でこれを取り上げまして、また交通安全シンポジウムを行いまして、そこでもこれが大きな問題として取り上げられました。そこで、本年八月から交通事故に係る救急救護等の関係省庁連絡会議を開いて、特に学校教育従事者、免許取得、更新時講習担当等につきまして救急救護関係の教育を積極的に行ってもらうという御協力をいただくように、関係の諸官庁、また関係団体等と連絡をとりながら先生の御指摘のような方向で努力したい、こう考えております。
  285. 草川昭三

    草川委員 以上で終わります。
  286. 國場幸昌

    國場委員長 中野寛成君。
  287. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 大阪空港と関西新空港について、先ほど来の同僚議員の質問に続いて、かつできる限り重複を避けて質問をさせていただきたいと思いますが、まず先ほどの大阪空港への着陸コース下の航跡乱流のことについて若干加えて質問をしたいと思います。  先ほど来、その被害の状況等については御説明がありました。これに基づいて九月二十一日から六日間、日本気象協会に委託をされて調査をされたわけでありますが、その後も地域住民の皆さんの不安感というものはますます拡大をされていって、地元自治体もその応対に大変困惑をしているというのが今日の実態であります。この調査の結果が早く出されて、そして地域の住民の皆さんにその対策が講ぜられ、安心して生活をしていただける状態を一日も早くつくりませんと、その不安感は増幅をされて、地域の皆さんの生活に大変悪影響を与えていくということが今日ますます心配をされているわけであります。この調査につきましては、来年二月末ごろまでに集計する見込みであるが現在のところは未定だというふうに聞かされているわけであります。しかし、これは一日も早くその結果を出すようになお一層の努力が払われるべきだと思いますが、今日どのような見通しを持っておられますか、まずお聞きしたいと思います。
  288. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 お答え申し上げます。  私ども、先ほどの井上先生の御質問に対してもお答え申し上げましたが、できるだけ早く原因の究明を行いたいという気持ちは先生と変わりはないつもりでございます。この原因究明に当たりまして、先ほどお答え申し上げましたとおりのデータを現在分析中でございまして、黙っておりますと、御指摘のように来年にならないと答えが出てこないということでございましたけれども、私どもといたしましてはそれをできるだけ早めてほしいということを、これは技術者に対してある程度無理な注文なのかもしれませんけれども、技術的な面で許される限りできるだけ早く提出をしてほしい、こういうことを要望しておる次第でございます。
  289. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 先日、地元市長からも切実な要請が運輸省へ寄せられていると思います。同時にまた、いまでき得る限り早くということでございましたけれども、それなりに私も実は結果が出るまでにとりあえず応急措置をして、そしてその結果、もし因果関係がはっきりすればそれをそのまま追認をする、もし万一無関係であるということがあった場合には別途の措置をするというふうなこと等も含めて考慮なされていること、そういう意味では、運輸省にしては比較的迅速に取り組まれたという印象を持っていることは事実でございます。しかしながら、全体の住民の不安感を払拭するにはこれでは全く不十分なわけでありまして、やはり、いま申し上げたように、因果関係、原因がはっきりする、そしてその対策が講じられるということ、そのことが何よりも肝心であります。そういう意味では、調査結果の分析と同時に、もうおよそ、私自身もそうですけれども、これはやはり航跡乱流が原因だとはっきり断言してもはばからないと思います。ただ、公の仕事でもありますから念のために調査をしている、こういうことだというふうに受けとめているわけであります。そういう意味で、引き続いてやはり対策もあわせて並行して講じていく、その研究、段取りがなされていなければならない、こう思いますけれども、いかがでしょうか。
  290. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 先ほどもお答え申し上げましたが、私ども、原因究明を第一に急ぐべきであるという立場は変わっておりません。ただ、先ほども申し上げましたが、この対策と申しますのは、大きく言って二つあろうかと思うのです。  その一つは、もし仮に航跡乱流が原因であると仮定いたしましても、その航跡乱流を減らすとかあるいは地上への影響を減らすというようなことができるかどうか、つまり航空機の運航面の対策がとれるかどうかというのが一つ。もう一つは、それがどうしてもできない場合には被害者に対する救済制度を講じる、これも一つの対策である、こう思います。  航空機の運航の面の対策といたしまして、航跡乱流を減らすというようなことについて、各国とも技術的な研究がなされておるわけでございますけれども、これは先ほども申し上げましたとおり、航空機の重量あるいはスピードというようなものでおのずから決まるものでございまして、これを減らそうといたしますと航空機の安全にかかわりかねないという非常に微妙な問題をはらんでおりますので、こちらの方の対策は今後も研究を続けてまいりますけれども、早急に結論を得るというわけにはなかなかまいらないのじゃないだろうかというふうに考えております。  また、補償制度につきまして、これをどうするかということにつきましては、これはあらかじめ研究をするということはもちろん不可能ではございません。私どもも、どういう制度が考えられるのかということについてはこれから検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
  291. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 そこで話を進めたいと思いますが、昭和五十二年四月三日に、航空局長と地元自治体の市長、知事との間に交わされた十項目の覚書、それに基づいて周辺整備のいろいろな施策が検討をされ、そしてまた講じられてきたと思います。その中で、ことしの四月三十日に「大阪国際空港周辺の騒音等激甚地区における地区整備の基本的な方向(大綱)」が大阪国際空港周辺整備計画調査委員会によって策定されたわけであります。昨年も、そしてまたことしの春も、これらのことについて委員会で質問をしたことがあります。服部、利倉、勝部の各地域について地区整備計画案が図面化されて、そしてより具体的な、そして一つのビジョンを描きながら、地域住民とともにその作業を進めていく、その段取りであったはずであります。しかしながら、今日、そのような、絵も一たん出たけれども地域住民から大変な失望を買って引っ込めざるを得なかった。改めてつくり直す、そのつくり直すに当たって、この大綱というのが改めてつくられた。そういうことではないかと思うのであります。  しかし、この大綱を読んでみて、なるほど大綱だと思いました。その文章等々は、ただ一カ所「緑地の整備に関しては、昭和五十六年度に施設配置計画の策定等を含めた緑地計画調査を実施する。」それだけがいわゆる断言的に書かれてあるだけで、ほかはほとんど「検討する」という言葉が羅列されているばかりであります。「都市計画手法による緑地整備事業等を通じて近接地域への移転を可能とする方策を検討する。」等々、まさしく検討、検討、検討が並んでいるわけであります。もう十数年来この問題に私自身も取り組んでまいりました。そしてその結果、地方自治体も含めて、法律改正等の新たな立法措置が必要だというのがおおよその結論になっていると思います。たとえば、都市計画の手法だとか、そしてまた税制面での特別措置だとか、そのようなことを考えるに当たっても、すべて制度や法律との絡みが出てくるのであります。ところが、もうすでに具体的な図面が設定をされて、そして具体的に事業に入る、そういう時期であっても早くない、むしろ遅きに失するぐらいの時期を迎えて、今日なお基本的な方向、大綱をつくって、そして検討するとなっているわけであります。     〔委員長退席、新村委員長代理着席〕  このような状態が今日まで続いてきたがために、地域住民の運輸省に対する不信感というものが、裁判とは別に、常に根強く今日まで続いてきた。そして、そのことがひいては新空港をつくる場合にも、その新空港の予定地に設定をされた地域の皆さんが、大阪空港周辺を見てみろということでますます不信感をあおり、その作業を困難ならしめるという状態等があるわけであります。これらのことについてどのように考えておられるのか、お聞きしたいわけでありますが、少なくとも、この内容が余りにも抽象的であり、検討という言葉が並んでいるように、余りにも誠意がなさ過ぎるということから、この大綱を示されても、地元自治体も、まして住民も白けてしまって、もはや航空局と話をしても何にもできないのだという印象の中で、いまその作業はデッドロックに乗り上げていると言っても過言ではない状態ではないかと思うのです。こういう事態をどのようにお考えか、お聞かせをいただきたいと思います。
  292. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 ただいま御指摘の、本年四月三十日に決定をいたしましたいわゆる大綱でございますけれども、確かに、御指摘のような「検討」という項目が入っていることも事実でございますけれども、「事業の実施」というところに三項目が掲げられておりまして、そのうちの一項目が先ほど先生御指摘の「調査を実施する。」ということでございまして、そのほかの二つにつきまして、地区整備計画策定の進捗状況が異なりますけれども、これが策定された地区から必要な調査を行って逐次事業に着手する。また「地区整備計画が策定される以前であっても、住民の生活環境の向上を図るため、計画案に盛り込まれた個別事業で実施可能な条件が整ったものについてはその段階で事業を行う。」こういうことを決めたわけでございます。  もちろん、この大綱を決めるに当たりましては、地元自治体とも十分な連絡をとった次第でございますが、現在、御指摘のように勝部地区、服部地区あるいは野田地区というようなところからそれぞれ個別の要望が出てまいっておりまして、少し前の状態に比べますと、かなり具体的な案が出てきたわけでございます。     〔新村委員長代理退席、委員長着席〕  現在、これについての実現のための努力をしておるわけでございますけれども、なお、直ちに事業に着手するというところに立ち至っていないのは残念でございますけれども、今後、全体地区地区整備計画についての地元意向の集約と合わせまして、積極的に事業の推進に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  293. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 ところが、先ほども申し上げましたように、地区整備計画も、結局このような大綱がいまごろ出されるような状態では当てにならないという気持ちから、それをつくる熱意さえもう地域住民はなくしている、そういう状態があるわけであります。もちろん被害住民ですから、不満はますますうっせきをしていきます。そしてそのことが、その日けた気持ちと合わせて、運輸省に対する不信感となってつのっていく。そして今回のようなつむじ風の問題が起こると、それ見たことかという話になっていく。今後のいろいろな作業にまた支障を来すことになっていくということではないかと思うのです。  そして、結局なぜこういう状態が進まなかったか。たとえば予算を組んだって、その執行率が低いというのはなぜなのか。そしてその原因が、いわゆる制度や法律の改正ということにまで結局結論づけられていくほどの経緯を経たわけであります。それらの問題についてどのような認識をしているのか。いまの御答弁のような答弁ではなくて、もっとこの問題については、こういうふうにこういうところへ働きかけていくのだ、またたとえば法律や制度の問題についても、春の予算委員会等での私どもの質問に対しては、もう少し、時期的な面もはっきり明言はできなかったにせよ、むしろかなり前向きの御答弁があったはずであります。その後一体どうなっているのか、私どもは全くその後何らの反応が得られないままに今日に至っているわけであります。これらのことについて、いまネックとなっているものはないのか、地域住民との相談だけがネックなのか、その話がまとまらないことだけがネックなのか。そうではないはずです。むしろ問題は国の方にあるはずなんです。その認識の上での御答弁をお願いしたい。
  294. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 お答え申し上げます。  この地区整備の問題につきましては、この春にもたしか私、御答弁申し上げた記憶がございますが、いろいろな現行の手法を組み合わせ、あるいは活用しながらこの事業の実施に当たっていくということが一番現実的ではないかという観点から、現在の法律を所管しております特に建設省でございますけれども、建設省とも十分な相談をしておるわけでございます。  また、先ほど御指摘予算執行の問題がございますけれども、これまた予算制度の問題が、若干その予算執行の率を低くしておるということに影響があるのではないかという観点から、私ども、来年の予算要求におきましても、現在の補助制度の拡充というようなことにつきまして、財政当局にも要求をお出しして、現在議論を重ねておるという段階でございます。
  295. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 制度上の問題についてやっと議論が開始をされたということであります。まさしく遅きに失すると思いますけれども、しかし、なされないよりはなされる方がいいわけでありますから、その議論が前向きに検討され、そして必ずや実現することをわれわれとしては強く要望をしておきたいと思います。  あわせて、その執行率について毎年問題点が指摘されます民家防音工事の進捗状況、それから環境基準の達成状況、五十八年度にまた一つの区切りを迎えるわけでありますけれども、これらについてその達成目標は実行できるのかどうか、そのこともあわせてお聞かせをいただきたいと思います。
  296. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 お答えいたします。  環境基準の目標達成を図るために、まず第一に、エアバス等の低騒音機材の導入という発生源対策に努力いたしておりますことは御承知のとおりでございます。と同時に、御指摘の民家の防音工事を鋭意進めておるわけでございまして、本年度も環境関係の予算といたしましては、私どもの特別会計の四割を占める一千億というものを投入する予定にしておりまして、現在WECPNL八十以上の区域を対象に民家防音工事を行っております。これは全国各空港共通でございますけれども、これらにつきまして、五十八年度までに対策を完了させる予定でございます。現在改定作業中のWECPNL七十五までの区域、つまり七十五から八十までの区域につきましても、大阪空港、福岡空港並びに名古屋空港、この三空港を除きますその他の空港につきましては、同じく昭和五十八年度までに対策を完了させることができるというふうに考えております。
  297. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 ことしの民防の予算と、そしてその執行状況、執行のめど、執行率、昨年とことしのそのめどがいまわかりましたら御答弁をお願いしたいと思います。
  298. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 実は手元執行率という、その率を出したものがございませんで、まことに恐縮でございますが、五十六年度の民家防音工事対象世帯数といたしましては一万九千七百二十七戸を実施する予定にいたしております。
  299. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 たとえば、これも数字を、今日までの五年間の実績でいきますと、四十九年から五十四年までの実績で、手元にある数字では三万八千七百十二戸、これが民防の目標世帯数であったはずです。それが一万六千二百三十一戸、半分以下というのが今日までの数字としてあらわれているわけであります。移転補償にしても、三種区域で二千七百戸中七百二十四戸、二種区域で八千二百三十戸中千五百四戸、このようにしていろいろな作業が、ほとんど五〇%を割るどころか、もっともっと低い数値しか出てこないという実態があるわけであります。それはなぜかと言えば、やはり制度上の問題にすべてが戻っていくわけであります。そういうことを考え合わせますと、私たちはもっともっと運輸省が真剣にこれらの問題と取り組んでいかない限り、その実行はむずかしいのではないか、こう考えるわけであります。これらの全体的な努力と熱意の問題について、私は、運輸大臣からお聞きをしておきたいと思います。
  300. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 制度の改正というお話でございますが、これは四月のあの大綱の中にもうたっておりますように、必要とするならば制度の改正、法的な措置ということもうたっておるのでございますが、その以前の問題といたしまして、私はまずそれぞれの地区におきます事業計画をできるだけ早急に立案してもらいたい。たとえば土地区画整理事業によってやれるところはそれによってやってもらいたいし、それから緑地関係の整備あるいは街路というものもございましたら、その上で全体が一体どのように変わっていくのかということの策定も同時に必要だろう。と同時に、概括的に申して恐縮でございますが、もう少し自治体と航空局、特に大阪航空局との間で詰めなければならぬ問題が相当あるだろう、ついては、自治体の方も、法律ができなければ相談にならぬのだというのではなく、いろいろな制度の活用を一応して打開し得るところは打開していただいたらどうだろうかという希望を私は持っております。ついては、私もよく大阪へ帰りますので、大阪局長ともこの問題の進行について十分の打ち合わせをいたしたいと思います。
  301. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 大臣のせっかくの御答弁ですから、私はそのことをできるだけ早くやっていただきたいと思います。  私はこれまで十数年間、地域の実態、たとえば地方自治体がどういう苦労を重ねて、地域住民と運輸省との間に入って苦労をしているか、その実態をいつも目の当たりに見てきました。そして、いつも当惑をし、行き当たり、困って困り果てて結局運輸省へ要望していく。そして、ある意味ではそういう研究と努力のあげく、法改正や制度の改正要求という形になって出てきたということ。そして、そのことと相まって地域整備計画の図案づくりができるのです。その図案をつくる場合に、制度の改革を前提としなければその図案そのものが絵にかいたもちになってしまうということもあわせてみんな知っているわけです。  虫食い状態になっているという話がいつも出てきます。いつまであれが放置されているのだろう、地域の住民は折に触れて営業がやりにくくなった、やれ野犬が出る、下水道の問題が出てくる、そういう小さな問題、しかし切実な問題にいつも直面しながら、これらの問題を、日も早く進められるよう熱望をしているわけです。ですから、いまの運輸大臣の御答弁は、私どもがお聞きすると、せっかくの御答弁ですけれども、何か事態の今日までの流れやその深刻さというものを十分御認識にならないで御答弁になっておられるような気がしてならないのです。そういう印象で受けとめるのです。大阪の御出身ですから、むしろ現地を実際に見ていただき、そしてまた地域の皆さんや自治体の皆さんとも話をしていただき、その深刻さの実態というものをすでに御存じだとは思いますけれども、なお一層肝に銘じていただく必要があるのではないだろうか。内閣改造も近いようですから、御無理な面もあるかもしれませんけれども、しかしながら、私はやはりそのことが政治家として国民のために物事を処理していくためには必要ではないかと思います。いろいろな期待を込めて大臣が留任されることを希望いたしますけれども、もしそれがかなわない場合にもそのようなことを十分申し送っていただきたいと思いますが、いかがですか。
  302. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 今後も最大の努力を重ねていきます。そして地元の民防対策は当然のことでございますが、地域整備につきましても私はいろいろな手法を用い——その制度が新しくできなければということ、それを待っているのだというお話でございますが、まさにそうなのかどうか、あらゆる手法を使って周辺整備を部分的に進めていくことができないのかどうか、それなんかにつきましてももう一段の私自身の勉強もさしてもらいたいと思うし、私はかねてから民防は予定どおりいっておるということも聞いております、少しはおくれておると聞いておりましたけれども。問題は、やはり周辺整備ということ。その周辺整備について、先ほど申しましたように、地方自治体それから航空局当局との間でもう少し具体的なものを詰めてもらいたいという希望を持っておる。これにつきましては私も積極的な努力を自分自身でもやってみたいと思う次第です。
  303. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 ひとつ積極的に指揮をしていただきたい。私は心から熱望したいと思います。  次に進みます。先般、大臣、高石で地元の地方議員の皆さんを前に、またあわせて自民党大阪府連の大会等でも御発言があったようでございますけれども、現空港の存廃について地元の意思が明確にされなければ新空港の作業に入っていけないという趣旨のことをおっしゃられたように聞いておりますが、その発言の真意とその趣旨についてお聞きしたいと思います。
  304. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私が発言いたしましたのは、これは私は信念として持っておるのですが、現在の伊丹空港の存廃が明確にならない限り泉南の新空港に入っていけない、そうは私は言っておりません。ここは誤解でございますので訂正願いたいと思うのです。  私が言っておりますのは、伊丹空港の存廃が泉南空港の建設に重大なかかわり合いを持っておる、であるから、もし泉南空港の建設を早期に着工するとしても、伊丹空港を活用するのか、これを完全に廃止するのかということによって泉南沖空港の建設のいわば進め方それから中身は当然変わってくるのではないか、だから、泉南の空港を基本計画どおりやるとするならば、とりあえず伊丹空港の存廃が明確にならなければならない。で、ここは皆さんよく聞いてほしいのですが、もしも伊丹空港を何らかの形において、完全な周辺整備をして存置をするとするならば、伊丹空港の活用と泉南空港の活用をあわせてその用に合った泉南の建設をやればいいではないか、そうすることで航空の総需要に応じた体制がとりやすくなってくるので、現実的な解決としてわれわれは一歩前進していくではないか、こういうことを言っておるのでございまして、伊丹の方がはっきりしない限りこちらの作業に入れないということは言っておりません。現に泉南沖の調査等はいま懸命に努力してやっておるところでございますので、御理解はいただけると思います。
  305. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 そこで大臣、もう耳にたこができるくらいに今日まで聞かされたのだろうと思いますけれども、四十八年七月九日の内村書簡。「現大阪国際空港の将来のあり方については、新関西国際空港との関連において十分検討を要するものであるが、その開港時点にこれを撤去することをも含めて可及的速やかに検討するものとし、その検討に際しては地元公共団体の意志を十分尊重するものとする。」こうなっておる。  続いて五十五年六月二十日の公害等調整委員会の調停条項の中では「本件空港の存廃については、被申請人」すなわち国は「その責任において、関西国際空港開港時までにこれを決定すること。」こう書いてある。存廃をどうするかその意思の決定をする、またはリードする、それは国の責任においてとなっているわけであります。すなわち、運輸省なり運輸大臣の御意思というものがそこに明確にされ、それを了解するか否かの検討を地元がするというのがこの今日までの経過からいって筋道ではないだろうか、こう思うわけであります。大臣の御意思がいかがかは別にいたしまして、地元の方は大臣にげたを預けられたような印象でいま受けとめているわけであります。ゆえに、いま大臣としては、このような経緯も含めてどのようにお考えなのかをお聞きしたいと思います。
  306. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私たちの認識といたしまして、飛行場の周辺に住んでおられる方の意識とわれわれとは違うかもわかりません。要するに、周辺におられる方々が騒音という被害を受けておられます。私どもの家も上を通りますから、被害者の一人でございます。若干意識は違うかもわかりませんけれども、一般国民の目から見ましたら、伊丹空港はずっと未来永劫に使われるものであろう、だから、周辺整備もやり、構内の施設も充実しておるのだろう、これが一般の見方だろうと思うのです。  ところが、それではなぜ存廃問題が出たのかということになれば、伊丹空港廃止という声が余りにも一時強かった。その声はどこから出たのか、北海道から出たのでもございませんし鹿児島から出たのでもない、その周辺から出たということなんです。でございますから、改めてだれが考えてもあれは残るものであろうと思うておるのに存廃問題が起こってきておる。  そういたしますと、これはいずれにいたしましても、地元の人の意向を聞かないで運輸省が独断で決めるということは将来にトラブルを倍加するもの以外にないと私は思うのです。でございますから、決定は、先生がおっしゃるように確かに運輸省が決めるのです。決めるための条件といいましょうか前提というものを明確に運輸省自身が理解して、その上で決断しなければ、決定しなければならぬ。その理解をするための前提を整備するために、どうしても一回地元の意向というものをそんたくしなければなりません。その地元の意見のそんたくをするということは、やはり地元の人との間に話し合いをしていかなければならぬ。これに対しまして、地元の方々がその意思を明確にしてくれなければわれわれもそれをそんたくしたということにはならない、こう思うものでございますから、われわれは地元の意向がどうであろうかということをいま諮っておるところであります。
  307. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 率直に申し上げます。  地元の皆さんの受けとめ方もそうでありますが、結局、国と地元でお互いの腹の探り合いをしているというのがいまの実態ではないのか、これが一般的な見方といいますか印象として受けとめられているわけです。だから、結局地元が必要だと言うならば残してやろうかというふうに運輸省は思っているのではないか。たとえば、関西新空港にしたって、地元が意思を結束させて、そしてどうしても必要だ、地域整備計画も地元でやりますというくらいのことを言って国に要求すればやってあげようかというふうに国は思っているのではないかというのが地元的感覚です。しかし、そういう感覚があるとするならば、空港はむしろ国のものだ、地元にもメリットをもたらすかもしれないけれども、これは国のものだ。もう一つ広げて言えば、国際的な航空行政の一環としての存在としての空港というものの位置づけ、そういうものを考えれば、むしろそこで被害が起こった場合のその被害は、そういう広範な、広い意味での航空行政の中から生まれた被害なんだという感覚が地元には当然あるわけであります。  ちなみに、新空港もそうですし、現在の空港もそうであります。現在の空港についても、地方の県知事さんがわざわざお見えになって、私どもの県にある空港から大阪空港への乗り入れを認めてもらえないかという陳情が重ねられる。すなわち大阪のための大阪空港ではないのであります。日本の航空網の一環としてそれは存在をするものなのであります。国際的な意味でもそういうことが言えると思います。新空港の必要性や緊急性もまた同じ意味から論じられているのだと思います、航空需要の見通しから考えて。言うならば、あくまでもその意思決定のリーダー、主体はだれであるかと言えば、国でなければならない。そして国の意思というものを明確にし、それに対して地域住民の皆さんがオーケーをするか否かを決定していく、それを聞いていく、それがいわゆる地元の意思を尊重することのやり方ではないでしょうか。こっちの意思ははっきりしないで、とりあえず地元の皆さんで意思決定をしてください、こっちは白紙で臨みます、皆さんの意思に沿ってやります、いかにも地元の意思を最大限に尊重しているような、いかにも民主的であるような印象を与えるけれども、そのくらい無責任な態度はない、私はそう思います。民主政治、そして政治とは、行政とはいかにあるべきかの意思、見通し、計画を立てて、それを提示し、それに対して意見を聞いていくということが政治の本来のあり方ではありませんか。だとすれば、今日までのやり方は、私は、少々無責任というか、ずるいというか、そういうやり方に思えてならないのです。  そういう意味で、現在の空港の問題と新空港の問題、時間の関係もありますので、両方合わせて日本の航空行政のあり方、その中でのその二つの空港の位置づけ、それが結果として近畿圏や大阪圏に対していろいろなメリットをもたらすこともあるのだということから考えるべきであり、そして、そういう意味から地域の要望も盛り上がりつつあるということ、反対決議をしておった自治体の議会も、いまそれを要望決議に変えつつあるということ、いろいろな動きはそういう渦の中で行われている。あくまでも基本は、大臣を初めとして政府であり、運輸省であり、航空局がその具体的な提案をしていく責任者なのだという御認識をお持ちいただいて、その計画や方向づけについて、むしろ大臣の御意見をお聞きしたいのであります。
  308. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 先ほど申しましたように、伊丹空港は、運輸省は当然これを運用するという責任があるものでございますから、これがなくなるとか廃止するというようなことは、本当は頭からないのです。ないのにかかわらず、なぜ存置か廃止かという問題が起こってきたかというと、これは地元に廃止しろという声があったものですから、そこでこういう議論が起こってきたのです。でございますから、私たちの感覚から言いましたら、妙なことが議論になるのだなあと、実は思うております。実際の認識はそうなんです。もともとあるものを廃止しろということが起こったから廃止か存置かという議論が起こるので、そうでなければ何にも廃止か存置かという議論は起こらなかったのです。  そこで、そういう廃止をしろという声が起こってきた原因は何なのかと言えば、われわれ公害を受けているではないか、これは、おっしゃるのはそのとおりだ。確かに飛行機によって航空被害を与えておる。そこで周辺整備ということが始まったわけでございます。このように周辺整備を進めていきましたら、これに対し、廃止ということは撤回してもらえますかということがいま問われておるわけでございます。われわれの立場というのは、せっかくこうして飛行場ができ活用されておるものでございますから、決して、廃止をしようという意向なんか初めから持っていないのです。しかし、廃止という声が出てきたから、廃止か存置かということを一回問うてみろと言うて運輸省に責任がかけられておる。運輸省はその当事者でございますから当然決定をしなければなりませんが、といって、なぜこんな問題が起こったかというその原点を考えるならば、そこの周辺整備等をきちっとした上で、どうですか、どうされますかということで一回住民の意向を聞くというのは手続上起こってくる問題であります。  でございますから、私たちの本旨は、これからどういう手続をとって運輸省がこれの決定をするかというところに来ると私は思っております。その順序として十分に地元の意向を聞いてやりたいということでございまして、私は、運輸省が存置かあるいは廃止かということの決定の責任を地元に転嫁しよう、そういうことはさらさら思っておりません。現にいろいろな意見がございまして、それでは伊丹空港を廃止して全部泉南空港に集結したらいいじゃないかという意見もあることはあります。しかし、そういうことはわれわれはいま考えていないのです。それは勝手におっしゃっている意見でございまして、現にある空港を活用するということにわれわれは努力しておる。それは明確に申し上げられると思うわけです。したがって、それを補完する国際空港、純然たる国際空港としての泉南沖空港というものを考えておる、こういうことでございます。しかし、それじゃ伊丹空港を早く決定すればいいじゃないかとおっしゃいますけれども、先ほども何遍も言っておりますように、なぜ廃止という声が起こったかというその原点の問題に対応して、それに解決と誠意を示した上で意見を聞かなければいかぬ。それがいままでわれわれのとってきた過程でございますので、その点も御理解はいただけると思います。
  309. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 私は大臣の感覚と違うのです。今日までこの問題に私自身、地元の市会議員当時から携わってきた。当初、たとえば航空審議会等に新空港の問題で諮問された段階の論議の最初のきっかけは、あの公害が多い欠陥空港、結局これをほっておけない、これにかわるものをどこかでつくらなければいけない、ゆえに新空港をつくるかどうか、つくるとすればどこにつくるか、どういう方法があるか。むしろその話のきっかけは現在の空港を撤去するところから始まった。しかし、今日段階では財政の問題やいろいろな問題がある。また地域整備等々も、いま大臣がおっしゃったように、私どもの感覚では遅々としてしか進まないけれども、二千億、あれだけのお金を投入してこられた。そういう状態の中でいま大臣がおっしゃったような、それに近い感覚は現実には持ちます。しかしながら、歩初あれを撤去するというところから新空港の建設の話が始まったといういきさつがあるだけに地域住民は、大臣が最初からあれを撤去する考えは持っていないと言えば、それはむしろだまされたという気持の方が先に立つかもしれません。むしろもっと率直に、新空港はこういう事情でこういう工程で、どのくらいの時期までかかって、そしてそれは先の見通しがなかなか立たない、そういう中で新しい投資を最小限度に抑えるためには現在の空港の供用が必要だ、そのためには地域の皆さん認めてくれないかという提案を運輸省からなされる方が、いままでの経過からいって、賛否は別にして素直に聞けると思います。  私は今日までの経過からいってそういう感覚を持っておりますし、航空審議会等が論議を始めた最初のいろいろな文書があります。その文書の冒頭に、むしろ現在の空港の撤去の発想から物事が始まっていることは明言されているはずです。私は、そういう率直な態度の方がむしろいいのではないか、こう思うのであります。いかがでしょうか。
  310. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 この空港は、私は大阪に住んでおりますのでその経過はよく知っておるつもりでございますが、御承知のように、あの滑走路を延ばしましたときは万博のための対応として拡張したのです。そこでこれを合わせて国際空港に使いたいということの念願が一応かなった。これは御承知のとおりです。ところがそれ以降急激に人口がふえまして、その人口の増加というものはまさに日本でも有数の人口増加状況であった。そのときに、いわば公害対策というものがとれなかったものでございますから、人口がふくれ上がり、それが大阪空港のいわばあり方を変えてしまった。私はそう見ておるのです。でございますから、公害問題を解決するということがあの空港にとっての一番の問題。けれども、あれだけ苦労してつくった空港でございますからこれを活用するけれども、将来それじゃ国際空港として大きくあそこで拡張できるかといったら、あれ以上の拡張はもう絶対できない。そうであるとするならば国際空港の受け入ればどこでやるのか、こういうことが原点であった。ところがちょうどその時期、すなわち昭和四十七、八年のときに公害問題というのがいわば非常に熱心な運動として展開されてきました。そうであるならば、もういっそのこと泉州へつくるのだったらこちらもひっつけたらどうだ、ついでにこうしたらどうだという意見が出てきたのでございまして、私はずっと時の経過を見てまいりますと、初めから伊丹はもうだめなんだからこれをやめてこっちをつくろう、そういう話ではなかった。それは私は言明できる。ちょうど私たちが昭和四十二年に当選してまいりました。そのときに一番われわれがかかった仕事は何か、伊丹空港を万博用のためにつくり直さなければだめだ、こういうことでした。そしてこれを将来国際空港として神戸も大阪もちょうど一番理想的な国際空港をつくるのだという意欲に燃えておったのです。ところが、やはり公害の被害というものが現実の問題になってきた。そうするとこれは拡張できない。そして、新しく国際空港をつくろう、そんなに伊丹が反対が強くて廃止しなければならぬのだったらこっちへ持ってきたらどうや、こういうことになった。私はずっといま経過をたどってまいりますとそういうことになってきた。  でございますから、中野さんのおっしゃる、そういう声があることは私も承知しておるのです。そういうことがあるのです。よく承知しております。だけれども、私たちの基本的な考えというのは、伊丹空港というものは現にあるではないか、そしてこれをいままで活用してきておるではないか、だけれども被害を与えておる人たちにはやはり対応しなければならぬ、これは行政として当然の義務、であるから、そういう被害に対する措置をしたならば当然空港は残るべきではないのか、われわれはそう思って今日まで一生懸命やってきておる。しかし廃止の問題があるので、存置か廃止かということが改めて議論になる、こういう事態になってきておるのだ、そういうことは御理解願いたいと思うのです。
  311. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 新空港の設置の発想の原点の認識についての違いがある。これはいずれ改めて具体的に明らかにしたいと思いますが、しかし、そのことが本質的問題というよりも、むしろいま大臣がはっきりおっしゃられた、現空港を廃止する意思は運輸省サイドには毛頭なかったのだ、地元に反対運動があったからというその御発言で、それはそれとして真意はわかったということでこの問題は終わりたいと思いますが、時間が参りまして恐縮ですが、最後に一点だけお聞きして終わりたいと思います。  二十一日に行革特別委民会にわが党の米沢委員国鉄に対して要請をいたしました。いわゆる国労、動労のストのごまかし処分のことについて、その調査結果が提出をされたと聞きました。昨年のこの委員会において、この違法ストの問題については、かなりの時間をかけて、その処分を信賞必罰、明確にしてやるべきだということを私はここで主張をし、質問もいたしました。その同じ事例であります。今回そのことが具体的に出されました。時間がありませんので、端的なその概要と、そして信賞必罰の姿勢で臨む決意について国鉄運輸大臣からお聞きをしたいと思います。
  312. 吉井浩

    ○吉井説明員 まことに今回の結果お恥ずかしいことで、深く反省をいたしております。全国を早速に調べてその資料を提出するように、こういう御要求がございました。昨日委員会の方に御提出をいたしました。もう時間がないようでございますから、内容的には細かい数字は省略させていただきますが、停職、減給、戒告、こういう処分につきまして、当初、通告を七千百五名に対して行いました。今回の調べによりまして、実際に発令いたした者は三千二百六十四と半数に満たない結果でございました。その大半は訓告の処分の方に移っておる、こういう現状でございました。  昨年、先生からも御質問いただき、私どもとしては、特に、五十四年度処分凍結ということを当時の運輸大臣の助言に基づきまして行った後のことでございまして、従前の処分に対しましておおむね二段階程度の厳正処分ということでこの通告の基準を定め、各管理局ともよく意思を通じて行ったつもりでございまして、結局このような結果になりましたことにつきまして、私ども自身の指導の至らなさを深く反省いたしますとともに、今後これを苦い薬といたしまして特にこのような事態の厳正に努めたい、このように考える次第でございます。
  313. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私も事実を聞きまして実際はびっくりしておるのです。国鉄に今後とも厳しくその指導は続けていきたいと思うております。
  314. 中野寛成

    ○中野(寛)委員 終わりますが、処分すべきものを軽くし、処分をしない、そして制度上からいえば払ってはならない賃金を払い、そしてそれはまさに国民の負担、税金から結局は支払われているということにもなるわけであります。私はまさにこの決算委員会のテーマでもあると思いますし、いまの行革の感覚で考えても本当にこれは心底反省をし、二度とこのようなことがあってはならない。そういう信賞必罰の気風がしっかり生まれて初めて労使間の正しい慣行も確立されるということ、変な妥協の中から正しい労使関係は生まれないということ、そのことを私はやはり肝に銘じて認識していただきたいと最後に強く要請をして、終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  315. 國場幸昌

  316. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 きょうは新空港問題、先ほどからも出ておりますが、私は、関西新国際空港の問題についてお尋ねをしたいと思います。  質問に入ります前に、私は新空港予定地のところから選出されておりますので、先ほどからの大臣の御発言でどうしてもその先が聞きたいなというふうに思ったことが一点ございますので、まずお尋ねをしたいのですが、先ほどこういうふうに大臣は発言されました。着工の時期がいつかわからぬなら地元の協議がそれでできぬというのならそれに対して考え方があるのだ、こういう発言をされたわけです。別に揚げ足を取るわけではありませんが、しかしそういうことなら、どういうお考えがあるのか、そこだけはお聞きして質問に入りたいと思います。
  317. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 もし逆のことを考えていただいて、政府が成田空港で大変な苦労をいたしておりますのはまさにそこなんです。地元の意向を聞かないでここだここだとがっががっがやって、結局はああいう事態になっておるのです。私はああいう事態を起こしてはいかぬと思うので、だから、地元の方々がこういうことだったらまあ賛成だ反対だということをちゃんと話を聞かしていただきたい、その上で政府は、それでは地元が賛成いただけるのだったらいつごろからやらしてもらいましょう、こういうことを言うべきであって、それは当然のことだと思います。それが、いつからやるのだということを決めろ、決めたらわれわれ賛成か反対か言う、それでは成田と同じ二の舞を起こす。私はその二の舞をやってはいかぬ、こういう考えから言うておるのです。ですから、やはり地元の意向を聞いた上でそれではいつからやらしていただきますということは言明すべきでもないか、こう思うておる、それだけのことです。率直に素直に私は言うておるのですから、ひとつ素直に受け取ってください。
  318. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 それでは三点セットの目的は何ですか。大臣の率直なところで、三点セットの地元に示された一番の目的は何でしょうか。
  319. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 これは先ほども申しましたように、われわれ調査してきたらこういうことですと先生方よくおっしゃるでしょう。アセスメントわからぬのにもう話にも相談にもならぬじゃないかとおっしゃる。だからアセスメントを持っていったのです。こういうことでございますから検討してください、そして一緒に勉強してください、疑問があったら聞いてください、こういうことを言うて持っていっておるのです。親切でしょう、これは。そこから始めなければ賛成か反対かも言いようないと私は思います。だから、持っていったからさあこれからやりまっせ、そういう意味で私は持っていっているのではないのです。これで一度十分に勉強して検討してください、そして疑問があるならば疑問はこちらにも問い合わしてください、そうして納得していただいて了解していただけるならば、そしたらいつからやらしていただきましょう、そういうことをはっきりしよう、こういうことでございますので、ひとつその手順は、これも率直に見ていただきたい。
  320. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 もう一つ確認をしておきたいのですが、これは五十二年の九月百に関係府県知事に対して運輸省航空局長の名前で六項目の確認事項というのがございますね。大臣覚えておいでだと思いますが、私はしばしば六項目の確認事項についてはそれを実行するのかということを尋ねてきたつもりですが、その点についてはいまもって変更はないということでよろしいでしょうか。
  321. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 そのとおりでございます。
  322. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 それでは、臨調答申との関係でお伺いしますが、これは先ほどの質問にも出ていたかもしれませんが、今度の答申ではプロジェクトに対して、関西新国際空港の建設については慎重に調査検討する、こういうことになっておりますが、大臣はこの答申に対してどういうふうに受けとめていらっしゃるのか、お伺いします。
  323. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 これは臨調の答申でございまして、私はやはり尊重して対処すべきであると思うております。
  324. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 三点セットを提示されたときに大臣は、目下政府及び地方公共団体は財政再建に全力を挙げて取り組んでいるところである、したがって当省としてはこの事情を十分踏まえて意見交換を行っていく必要がある、こういう趣旨のことをお述べになっていらっしゃるわけですが、そうしたら、臨調の言うその慎重な検討というのは、つまりは言いかえてみたら、財政問題に非常に大きなウエートを置いた慎重な検討ということを言っているのではないでしょうか。
  325. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 臨調の慎重な検討というのは、財政も入っているかもわかりません。それは、現在は財政再建の時期でございますから、当然財政事情を横にらみしておると思いますが、それよりも以上に臨調の言っておられるのは、いわばずさんな計画でやってはいけませんよ、そしてまた、地元との関係等もあやふやな状態で着手してはいけませんよ、そういうふうに私は受け取っております。でございますから、財政問題も全然無関係とは私は申しません。しかし、財政だけで臨調は慎重にと言っておるものではない。財政を横にらみしておることは事実でしょうが、しかし先ほど言いました、計画の完璧を期していくようにしろ、こういう趣旨に私は受け取っております。
  326. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私は去る八月に渡辺大蔵大臣にお会いしたのです。そして新空港問題についての御意見をお伺いしたのですが、建設経費についてはもっと詰めていかなければならないのだ、そうでないとしっかりした計画がつくれないのだということを繰り返しそのときおっしゃいました。きょうも投資の規模がまだ決められないということをたしか大蔵省が御答弁されたと思いますが、大臣も、三点セットというのはあくまでも運輸省の素案であって、当省としての成案を作成してまいりたいということをおっしゃっていらっしゃるわけですね。そうしますと、結局三点セットというのはあくまでも素案であって、なお今後財政問題も絡みながらいろいろ流動的に変化していくものなのかというふうに考えざるを得ないわけなんですが、どうでしょうか。
  327. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 その三つの中で、御承知のように、基本計画というのと周辺整備計画というのは確かに素案でございます。ですから、これからまだまだ煮詰めていかなければならぬと思います。けれども、環境影響評価というものは素案というものではなく、それは現在までわれわれが調査してきた結果でございます。でございますから、これは素案という性質のものではないわけでございます。  そこで、まだ調査項目あるいは調査内容で不足があるならば、それは補足していかなければなりませんが、われわれとりあえず今日まで多額の国費を使って調査した結果、環境影響評価についてはこうでございます、しかし基本計画なり周辺整備計画というのは、これはまことに煮詰め方は足らぬとは思いますけれども、運輸省としてはこういういわば素案を持ってまいりました、こういうことで説明いたしておりますので、先ほどのお言葉に中身をそういうふうにつけ加えていただいたら理解していただけると思います。
  328. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 とすると結局は三点セットというのはかなりどうにでもまだ形が変わっていくもの。評価案は大きくは変わらない、私もそれはそうだと思いますが、しかし、にもかかわらず環境影響評価というのは、この計画によってどういうふうに変動するのかという部分ではなおかつ流動的なものであると考えざるを得ないわけです。この点については聞きませんが、今度のこの三点セットでは財源問題、採算問題については全然触れられておりませんね。もちろん先ほどからの話を聞いておりますと触れられない状態にあるということはよくわかるわけですが、しかしこれでは国民は正確な判断ができないと思うのです。事と次第によっては、この関西新国際空港というのはとてつもなくお金がかかって一層財政に負担をかけていくかもしれない。政府が言われる言葉ですが、ひとしく痛みを分かち合うという、その分けられる痛みの方が国民はきゅっともっと痛く感ずるような状態になりはしないか、こういうふうな気持ちというのは率直に出てくるわけです。そういう点で私は、単に大蔵省と運輸省とがこれから鋭意そういう問題を詰めていくということだけではなしに、財源問題は一体どうするのか、採算の見通しは一体どうなるのか、こうした点も含めて国民に明らかにすることが、いま臨調だとか財政再建だとか言っている中では特に基本に属する問題じゃないかというふうに考えるわけですが、どうでしょうか。
  329. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 それは気持ちは私もよく理解いたします。ところで、空港建設というのはいわば道路とかあるいは河川と若干違うところがございます。それはなぜか。従来から空港整備特別会計の枠内において進めてまいりました。しかもこの空港整備特別会計の財源というのは全部航空利用者からいただいておる税金。でございますから、航空需要の変動というものが実はこの財源に一番大きい問題がある。ですからこの見通しをしっかり立てなければいかぬ。これが一つの問題。  それからもう一つ、先ほど御質問の中にございました、建設の費用のめども立たないじゃないかとおっしゃいます。これは、まさに調査がそこまで完璧にできておらない、土壌改良の実験データを見なければどういう土壌にするかということもわからない、そういう状況でございますので、あくまでも過去の経験に基づいたいわば試算をしたのでございまして、それが当初私たちが発表いたしました、金利も合わせまして約一兆五千億円という数字が出てきた。金利も含んでおるわけです。ところで、この土壌の調査であるとか工法の新しい開発等、いわば努力することによってこれをさらに引き下げていくべきだと主張しておるのでございます。そういうようなものをやろうとするならば、まだ十分な調査が必要になって調査しなければならぬ点がございますので、そこはことしの予算でできるだけ調査に努力しておる、そういう次第でございます。
  330. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 大臣、航空財源でやるのだからというようなおっしゃり方をしたら困るのですよ。国鉄だってそうでしょう。赤字になった、これは特別会計でやっていて赤字になった、結局そのはね返りは国民にくるのですから、余りそんな無責任な言い方をされたら困るわけです。  それから、そこまで調査ができていないということなら、地元の方としては、では建設可否を決める、いまその三点セットではとてもとても、こういうことになってくるわけです。そうして結局、先ほどおっしゃったように、何となく地元の要求している空港だという雰囲気をずっと醸し出して、そしておまえたちが要求した空港だからということで、あとは煮て食おうと焼いて食おうとというようなことになるのじゃなかろうか。これは本当に地元の気持ちなんです。  話はもうこれ以上しませんで進めていきますが、三点セットの中身なんです。これも問題があり過ぎてとても時間が足りないのですが、きょうは二、三の問題だけお聞きしたいのです。特に騒音問題ですが、C滑走路の東向き発進です。陸へ向けて発進していく、この問題についてお聞きをしたいと思います。  三点セットによりますと、C滑走路での東向き発進はやらない。この間、十月五日、泉大津市へ回答された中にもそのことは確認していらっしゃるわけですが、間違いございませんか。
  331. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 間違いございません。
  332. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 現大阪空港でも風向きによって逆発進が年に三%ぐらいあると聞いています。これが一番住民にとっては悩みの純なんです。だから、議会でもそのことが一番大きな問題になるわけですが、こういうふうな風向きによる逆発進は新空港の補助滑走路の場合絶対にやらないというふうにもう一度再確認をしたいわけですが、どうですか。
  333. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 私ども、空港を設置する場合には、当然のことながら風向きについては綿密なデータをそろえるわけでございます。現在の関西新空港の候補地におきまして、過去の気象観測データから判断いたしますと、問題の横風滑走路を東に向かって離陸することなしに九九・七%の利用率を確保することができるというふうに考えておりますので、あえて東に向かって離陸するというような飛行経路は全く考えておりません。
  334. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 それではお聞きしますが、主滑走路一本、補助滑走路一本という状態は、三点セットでは計画が全然明示されておりませんのでよくわかりませんが、修正計画では、六十九年以降少なくとも十年以上主滑走路一本と補助滑走路一本という状態が続くということになっておりますが、どうでしょうか。
  335. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 そのようになっております。
  336. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 この三点セットの中に、主滑走路を二本とした理由としてるる書いております。主滑走路を二本にしなければならない理由ということで書いているわけですね。その中には、「東京国際空港及び新東京国際空港の過去の実績をみると、事故、工事等の理由により、いずれも年間相当の期間滑走路は閉鎖されているが、」「国際及び国内航空の拠点となる二十四時間運用の空港として計画するので、事故、維持補修工事等による滑走路の閉鎖あるいは離着陸能力の著しい低下という事態は極力避ける必要がある。」こういうふうに述べております。そして、一本とした場合には問題が生ずるのだということを言っているわけです。それは年間七〇%にしかならないということも言っております。この補助滑走路一本、主滑走路一本という状態の中ではそういう状態が頻繁に起こるというふうにこれを読んでいたら思わざるを得ないのですが、これはどうですか。
  337. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 主滑走路を一本より二本にした方が確実な運航が確保できるということは、これは当然のことでございます。したがって、主滑走路が一本の間、主滑走路一本と横風滑走路が一本という状態のときに仮に主滑走路の修繕を行う必要があるというときで、しかも東から風が吹いておるというようなケースの場合に東へ飛ぶのじゃないかという意味のお尋ねかと思います。  私どもといたしましては、主滑走路が一本の間、この場合の維持修繕は極力夜間に行う等の工夫をすることによって、その点は切り抜けられるというふうに考えております。
  338. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 夜間に行うと言うけれども、夜間も使う空港でしょう。だから、結局非常に制約されてくるということになるのじゃないですか。このデータの中にもそういうことがちゃんと数字で出ておりますね。
  339. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 もちろん関西新国際空港は二十四時間空港でございますけれども、夜間は、使うとはいいますものの便数は非常に少なくなるということでございますので、夜間に維持補修工事を行うことは可能だと考えております。
  340. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 ここの三点セットの中には、こういうふうに言っているわけですよ。「主滑走路が閉鎖された場合、補助滑走路への離着陸は東側から西に向って行うこととしているので、この場合の滑走路の利用率は、気象条件が最も好ましくない十月の場合に六〇%程度に、また、年間平均で七七%程度に低下し、年間を通じて安定した空港の運用が困難となる。」こういうふうに言っているのです。安定した運用が困難になることを承知の上でやられるということは、併用ということを前提に置いてやられることになるのじゃなかろうか、現空港との併用も考えた上で、運用の上でそういうふうに非常に困難が多いけれどもこういうことでやるのだと、もう前提で考えていらっしゃるのじゃなかろうかと思いますが、どうですか。
  341. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 現在地元に提示しております三点セットの滑走路の方向別利用率の数字につきまして、伊丹空港を念頭に置いて考えているのじゃないかというお尋ねでございますが、これは純粋に現地の空港から測定をした数字でございまして、おっしゃる数字は御指摘のとおりでございますけれども、先ほど申しましたように、その場合、主滑走路が全く使えない状況になるというケースはかなりまれなケースでありまして、先ほど申しましたような維持補修というようなことによって制約を受けるというケースが考えられるわけでございますので、その際には、主滑走路が二本になるまでの間は、二木のような完全な姿で運用はできませんけれども、先ほど申しました工夫をこらすことによってその間はしのいでいくということを考えているわけでございます。
  342. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 東京国際空港の場合でもあるいは成田の場合でも、平均しましたら特に夜間で年間百六十日というような補修工事が行われて閉鎖されているという数字も出ているわけです。そういう中であえて欠陥を承知でやられるのか、あるいはまた現大阪空港も併用しようということを前提に置いているからそういうふうにかなり困難があってもとにかくつくっておけばというようなお気持ちなのか、そこは本当に地元としてはっきりしてもらいたいということを、この三点セットを見ていると思わざるを得ないわけです。  次に移りますが、いわゆる土取り問題です。この土取り問題については、ことしの春以来、参議院でも大阪府議会でも、土取りに関する情報が大企業に筒抜けになっている、それによって大企業が土地買い占めをどんどん行っているのではないかという数々の疑惑が指摘されてまいりました。私は、国民に知らされずに、そしてまともにアセスメントもやっていないのに、その一方で大企業が自由に情報を手に入れて利権をあさるということはきわめて重大な問題だと思っておりますが、運輸大臣はどういうふうに考えていらっしゃるのか、土取り地選定の作業はどこまで進んでいるのか、改めてお伺いをしたいと思います。
  343. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 関西新空港の具体的な土取りの場所につきましては、空港計画の決定後に設立されます事業主体が土砂採取あるいは運搬に関する環境アセスメントあるいは跡地の処理に関する基本的構想というようなものについて関係地方公共団体と十分に協議を行って決定すべきものと考えております。現段階では、したがいまして何ら具体的な場所を決定しておるわけではございません。土砂採取、運搬に関しまして、私ども幾つかのケーススタディーをいたしたことはございます。ただ、これは技術的な検討を行います際に、ある程度具体性を持たせた検討をする必要があったということでございまして、そのケーススタディーを行った場所に土砂採取地をしぼるというような目的で行ったものではございません。
  344. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 大企業に全部秘密が漏れておるとおっしゃいますけれども、われわれはそういうような秘密を漏らしておるということもございません。大企業といいましょうか、それに関心ある中小企業もそうでございますが、なべてそういう関心のある方は一生懸命情報を収集されるので、そういうことはある程度承知しておられるのだろうと思うのですが、先ほど航空局長言いましたように、どこが一番有利で公害が少なくて取れるのか、どこから取るのがいいのかということについては、まだ鋭意検討しておるところでございまして、ここから土を取る、そしてこういうルートで運ぶ、そういうことはまだ一切何にも決定しておりませんので、御信用を賜りたい。
  345. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 九月二十六日の朝日新聞によりますと、運輸省は今年度日本海洋開発建設協会に「土砂採取・輸送・埋め立て工法調査」という委託調査をされている。そして、その海洋協会から出たマル秘資料というのがこの新聞に載っているわけですが、その資料によりますと、土取り候補地を五カ所にしぼって大体どこから幾ら取るというようなことまで決まっているように報道されておりますが、それじゃ、これについてはどうお考えでしょうか。
  346. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 先ほども申し上げましたとおり、土砂採取とかあるいは運搬に関しまして検討を行います際に、すべてを机上で行うわけにはまいりません。それぞれの特殊性もございますので、ある程度具体性を持たした検討が必要でございます。そういう意味で、より的確な検討をするために幾つかのモデル地を選定いたしましてケーススタディーを行っていただく。そうして、それを実際に土砂採取場所が決まりました段階で、それがすべてそのまま適用できるかということになりますと、必ずしも、また地形が違うためにぴたり適用するということは困難かもしれませんけれども、私どもが今後土取り場所を考えていくというような場合の大変貴重な参考にはなると思っております。したがいまして、そういう現在ケーススタディーを行っている場所が今後の土取り場所になるということでは決してございません。
  347. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 あくまでもケーススタディーだ、こういうふうにおっしゃるわけですが、私はこの点についてはきわめて疑問に思っているわけです。  運輸省にお聞きしますが、土砂採取をするときにはいろいろな対策、騒音や振動あるいは土砂の流出、出水対策というのが必要になってくると思うのです。このような点は三点セットの中にも項目を挙げて示されているわけですが、出水対策の一つとしては堰堤だとかあるいは調整池というのですか、そういう調整池の設置などと合わせて土砂採取に先立って河川の改修もどうしてもやっておかなければならない対策の一つだというふうに考えますが、どうでしょうか。
  348. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 これは土砂採取地によりまして異なると思いますけれども、御指摘のように調整池をつくった場合、当然河川にも影響が出てくるものと考えております。
  349. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 河川改修というのは、三点セットの中にも条件の一つとして入っていましたね。
  350. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 先ほど私御答弁申し上げたのは、あるいは誤解を招いたかもしれませんが、河川に影響が及ぶわけでございますけれども、それは土砂採取地付近の河川でございまして、その河川の最下流まで全部の改修が必要だというふうには考えておりません。
  351. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 何を警戒しておられるのか、もう少しはっきり言われたらいいと思うのです。三点セットの六百二ページの123456というふうに並べて、その8の中に「河川改修を実施する。」ということは入っておるわけです。それはもちろんここにも書いているように、「下流に悪影響を及ぼすことのないよう」にということで書かれておる。当然のことでしょう。そこできょうは建設省にお願いをしているわけですが、河川改修というのは、改修の全体計画をつくってから改修が終わるまで相当の期間を必要とすると思うのですが、どうでしょうか。
  352. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 お答えいたします。  河川と申しましても、利根川クラスの一万平方キロをはるかに越える大きな川からたった五平方キロくらいまでの川がございますので、一概にどのくらいの長さということはあれでございますが、やはり他の公共事業と比べますと比較的工事期のかかるものかと思っております。
  353. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 席に戻らぬとその辺におってください、続けざまに聞いて終わりますから。  同時に、最近茨城県の小貝川で大水害が起きたように、河川改修というのは非常におくれているのじゃないですか。河川改修は全体におくれているのじゃないですか。
  354. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 お答えいたします。  公共事業の場合、何と比べておくれている、おくれてないという判断をするかということが非常にむずかしいわけでございますが、私ども河川を担当している者としましては、年間あれだけの災害が出ておるということから考えまして、もっと公共事業の中で仕事をやらなければいけないものと考えております。
  355. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 そこでお尋ねをしたいのですが、二級河川を中心とした中小河川の改修率、またその中で都市河川の改修率はそれぞれ何%になっていますか。
  356. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 二級河川だけを取り出しての数字を手元に持ってございませんが、俗に中小河川と呼んでいますもので御勘弁いただきたく思いますが、今年度末つまり五十六年度末で、改修をしようと思っています延長比率で一八%くらいが所定の目標、五十ミリ対応と俗に言っておりますが、それに対して完成するのではないかと思っています。また、その中から都市河川を抜き出しますと、たしか三八%くらいでなかったかと思います。
  357. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 大阪の改修率はわかりませんか。
  358. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 手元に詳しい数字を持っておりませんので、確かなお答えはできませんが、大阪の場合は、私ども都市河川の目で見ますと、府県別に言いますと全国で一番改修費を入れている府県に当たりますので、そうおくれているということはないと考えております。
  359. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私の調べたのでは大阪南部、中小河川が寄っているところは大阪の場合は大和川から南、それを二つに管区を分けまして、鳳土木管理事務所内とそれから岸和田土木管理事務所内とあるわけですが、岸和田の方は六三%ですかになっていたと承知しております。  そこで続けてお聞きしますが、国の補助事業である中小河川対策事業、都市河川対策事業に対する希望というのは、先ほどのお話からも一八%、三八%ですから改修率は非常に低いわけです。したがって、当然要求は非常に強いと思うのですが、予算上の制約があるわけでして、どのようなものを補助事業として採択していらっしゃるのかお聞きをしたいと思います。
  360. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 お答えいたします。  現在、河川改修として予算上補助しております費目の総数はもう二十に近くなるわけでございますが、代表的なものは御存じのように中小河川改修、小規模河川改修、局部改良と申しております三本になるかと思います。それぞれの別は大体事業の規模によって分けております。もちろん中小河川改修費と申しますのが中小河川の改修の中では一番大きゅうございまして、局部改良というのが一番小さい規模の改修になるわけでございますが、それぞれに採択基準というものを設けておりまして、その採択基準に適合しますものを年々府県からの申請に基づいて出していただきまして、それをまた選びました上で概算要求とあわせて財政当局の方へ提出いたしまして、いろいろ御相談した上で年度年度で採択を決定しておるわけでございます。
  361. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 いろいろな基準を定めているとはいっても、私は流域に、まだ基準に満たないからなんということで措置すべき川を放置しておいたらいいなんてちっとも思ってないわけで、一件でも被害があったら困るし、それは人命にもかかわることですから改修はどんどん進めていくべきだと思っておりますが、現在こういうふうにおくれている中では、国の補助を受けようとしてもなかなか受けられない、大阪でも都市河川改修事業として新規に認められるのは二、三年に一本だというふうに聞いているわけですね。そういう状況の中で大阪府泉南市の金熊寺川が昨年の六月に大阪府岸和田土木事務所管内としては初めて国の河川改修事業として採択されたと思うのですが、採択されたかどうかお伺いします。
  362. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 おっしゃるとおりでございます。五十五年度の新規の中小河川改修事業として採択をいたしました。  ただ、大阪で二、三年に一本と先生おっしゃいましたですが、北部、南部、中部といろいろございますが、最近は大阪府内で大体一年に二、三本ずつ採択しておるのが実情でございます。
  363. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私は、この金熊寺川が都市河川改修事業に採択されたことにつきましては、地元議員として決して非難しているわけではないのですよ。結構なことだと思っているのですが、大阪府の担当者にこの金熊寺川のことについて、過去どういう水害があったのかということをまず聞いてみたのです。そうしたら、昭和二十七年に災害があって以来三十年間大きな災害はなかった、被害らしい被害はなかったというふうに言っているわけですね。ここは被害というよりも他事業との関係なのだというわけです。もっとも大阪府の担当者は、他事業との関係というのは建設中の第二阪和国道の橋をかけるので、それに合わせてという要素が補助対象の事業として認められたのだ、したがって、この河川改修そのものの本来の意味よりも国道建設、すなわち他事業との関連があったからだというふうに言っているのです。先ほどの御説明にもございましたが、私は国のこの採択基準をいろいろ見せていただいて、他事業との関連というのはないなというふうに思ったのですが、間違っているでしょうか。
  364. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 お答えいたします。  ただいま申し上げましたように、中小、小規模、局改という三つに分けておるわけでございますが、それが明記されております採択基準の中には他事業との関連において採択するという書き方はないかと思います。
  365. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 それではお聞きしますが、金熊寺川の改修の総事業費——おたくからいただいた改修による補助対象採択基準のようなものを見て言っていますので、ちょっと生意気な言葉を使いますが、年便益、つまり想定被害額のようなものでしょうか、すなわち年平均の想定被害はどれぐらいに計算されたのかお示しください。
  366. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 お答えいたします。  大阪府の方から私どもの方へ提出いただいております資料によりますと、土木施設関係の年平均被害額が約七千万、それから一般資産の被害額の、これはおっしゃいますように想定計算をしてございますが、それでいいますと一億五千七百万ほど、合わせまして二億三千万弱ということになってございます。
  367. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 それで、採択基準に対してはどうなんですか。採択基準というのがここにありますね。
  368. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 お答えいたします。  これは中小河川のケースでございますが、都市河川の中小河川の場合ですと、まず総事業費が二十億以上というのが全体にかかる条件になってございます。あと二つの条件がございまして、そのいずれかを満たすことということになってございますが、一つは、たとえば農耕地でいいますと二百町歩以上の土地について災害軽減効果が出る、家屋ですと二百戸以上に災害軽減効果が出ること、それともう一つは、おっしゃいます事業の便益比率が十七分の一以上になること、このどちらかを満たせばよろしいという採択基準になってございます。  それで、この例の場合はいずれも満たしておるかと考えてございます。
  369. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 私が調べましたところでは十六・八分の一で、その採択のラインが十七分の一だ、十七分の一に対してここの想定被害額二億三千万円弱、これは結局十六・八分の一という数字になるので両方を満たしている、こういう数字になっているのだということを建設省の方からも私は以前にお聞きしたのですが、府の担当者は、ここは被害が大したことなかったのだ、三十年間なかったのだと言っていることから比べると、えらいつじつまの合わせた話だなと考えざるを得ないわけです。ここの改修に際して、流入量の想定というのはこの周辺をすべて開発した場合にどうなるかということを想定しているのだということも府の担当課では言っておりました。  いろいろ聞いていて、何を言いたくてさっきから建設省に聞いているのか大体おわかりいただいたと思うのですが、この金熊寺川の上流は関西空港調査会や日本海洋開発建設協会などいずれの調査によってもしょっちゅうケーススタディーの対象になっているのですね。そして、朝日新聞の記事によりますと、この地域は第一期工事分として、すなわち着工すれば真っ先にここから土を一億五千万立米取ることになっております。土取りに先立って河川改修をしていかなければならないということは私はもっともだと思うのですが、これは土取りを見込んで改修までやっているということの、ある意味ではまた裏づけにもなってまいりますので、こういうふうになってくればあくまでもケーススタディーなんだ、まだ全然わからないのだ、どうなるかわからないのだというふうに隠し通さないで、はっきりと公開資料で土取りに関する資料というのは明らかにするべきじゃないか、こういうふうに考えざるを得ないわけです。一切国民に対しては機密にして、さっき言いましたけれども、大企業には筒抜けなんですよ。だから、そういうふうな中で、こういう河川改修の問題についても、住民は結構なことだ、金熊寺川がはんらんしたら困るし、災害なんかいつ何どきやってくるかわからないから、改修していただくのは大変結構なことだと私もともども喜びますが、もろ手を上げて喜んでばかりいられへんような問題があるんじゃなかろうかということで大変不安になって、手放しに喜ぶわけにはいかないというようなことになるわけです。だから、もはや土取りの資料は大企業にだけ筒抜けにするような状態を放置するのではなく、住民にも公開をし、かつ、きちっとしたアセスメントをやって住民に可否を問うていくべきではなかろうかというふうに考えますが、どうでしょうか。
  370. 萩原兼脩

    ○萩原説明員 先にちょっとお答えをさせていただきますが、先生はどうも関西空港の土取りに関連して私どもが新規採択したようにお話をなさってございますが、私どもの方としましては、そのような思い込みで採択を決定した経緯はございませんので、よろしく。
  371. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 よくわかってます。  簡単にお願いします、時間が参りましたので。まだ残っているのです。
  372. 松井和治

    ○松井(和)政府委員 先ほども申し上げましたとおり、今回行いましたケーススタディーで個所を五カ所選定したといいますのは、運輸省が選定したわけではございませんで、運輸省は基本的な条件を示して、なるべく条件の違うところを受託者に選ばせたわけでございまして、私どもはそこをあたかも土砂採取の候補地というような受け取られ方をされますのはまことに心外でございまして、決してそのようなことはございません。
  373. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 最後に、四月七日の参議院の運輸委員会でわが党の沓脱委員が取り上げました問題ですが、大臣もお聞きだと思います。運輸省の委託調査費が温泉旅行などに使われた疑いがあるということで、会計検査院から検査をやりたいという御答弁をいただきました。その後どういうふうになったのかということをお聞きしたいわけです。再質問できませんので、できるだけ丁寧にお答えいただきたいと思います。
  374. 坂上剛之

    坂上会計検査院説明員 それではお答えいたします。  去る七月七日から十一日にわたりまして大阪航空局の会計実地検査を行いまして、近年とみに委託費の額が上っておりますので、お話のありました件も含めまして相当のウエートを置いて私たち調査をいたしましたところでございますけれども、その際は、当局に提出されておりまする書類について検査をいたしまして、それから説明を求め、さらにその下のブレークダウンをした書類も求めましたけれども、今日まで提出を受けました書類によりまする限り、お話のあったような事実は見受けられなかったというのが実態でございます。
  375. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 ちょっとおかしいのですがね。もう少し詳しく言ってください。この調査で解明ができなかったのか、わからなかったのか、そこのところが非常にあいまいだと思うのです。解明ができなかったのですか。
  376. 坂上剛之

    坂上会計検査院説明員 ちょっと検査内容にも入るかと思いますけれども、お話のありましたくだんの経理ですね、そういう経理が行われております場合は、そこの行われておる場所に参りましてじかにそれらの帳簿とか帳票類を見るというのが最も手っ取り早い話でございます。ところが、経理が行われておるところは私どもの検査の対象にはなりません。したがいまして、航空局は委託先と契約によりまして報告を求め、あるいは関係書類の保存、調査に当たるということができる立場にございますので、当局に私どもはその書類の提出を求めたわけでございます。ところが、そのくだんの経理というのはその帳票そのものが出てくるわけではありませんので、事態の解明が非常にむずかしいということでございます。
  377. 藤田スミ

    藤田(ス)委員 これで終わります。委員長、ごめんなさい。  大臣、この前の沓脱さんの質問のときに、大臣は「こういう大きいプロジェクトを私たちはいま真剣になってやっておるのに、その補助金の委託費とかいうものがどのように使われているかということについて、これは同様に非常に重大な関心を持たにゃいかぬと。監視監督をし、そしてその目的のとおり使われておるかどうかということをわれわれも今後懸命に追及」をいたしたいというふうに答弁されていらっしゃるわけです。にもかかわらず、先ほどの検査院のお話では、委託事業ですので直接この問題のあるところに行けない、だから航空局の方にこの調査についての協力を求められたようだけれども、そこのところがどうもうまくいかなかった、そういうことでこのことが解明できなかったというふうに言っていらっしゃるわけです。これは私は非常に大事な問題だと思いますから、このまま了解したとかなんとかいうことで話を終わりませんが、残念ながらもう持ち時間が過ぎてしまいましたので、一応この問題は後日また別の場所でお伺いさせていただくことにして、私はゆゆしき問題だと思う。議会でこの問題を十分聞いていらっしゃりながら、会計検査院に対してどうして協力をされないのか、そしてどうしてはっきりとそういう問題が解明できなかったのか、このことは後日またお尋ねすることにして、これで私の質問を終わります。
  378. 國場幸昌

  379. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 運輸省は、有事の場合、すなわち自衛隊法第七十六条第一項、防衛出動下令下及び同七十八条一項、治安出動下令下、この有事の場合における法制の研究をしていますか。
  380. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 有事法制につきましては、現在海上保安庁としては特にいたしておりません。
  381. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 海上保安庁に聞いているのじゃないです。運輸省はと聞いているのだ。
  382. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 有事即応に対する研究はいたしておりません。
  383. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは必要ないからか、それともまだそこまで手が回らないという意味なのか、どちらでしょうか。
  384. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 まだ具体的な有事というもののとらまえ方そのものが明確になっておらないという、そういう認識でおります。
  385. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 防衛庁はそれでよろしいか。
  386. 塩田章

    ○塩田政府委員 防衛庁といたしましては、有事に関する法令の研究をいまいたしておりますが、当面防衛庁所管に係る法令についての研究をいたしておりまして、中間発表もいたしたわけでございますが、今後他省庁に関連をする有事法制につきましても逐次研究を進めていきたいと思っております。まだ各省庁に具体的にお話を申し上げる段階には至っておりません。
  387. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 先ほど申し上げました自衛隊法第七十六条第一項、防衛出動下令下、海上保安庁は防衛任務を持つことになりますか。
  388. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 自衛隊法第八十条の規定によりまして、内閣総理大臣の統制下に入り、防衛庁長官の指揮下に入るということでございますけれども、その際、海上保安庁の任務そのものには何ら変更はないということに考えております。
  389. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 海上保安庁法の改正なしにそれができますか。
  390. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 海上保安庁法の改正なしに、したがいまして、私どもは防衛庁長官の指揮下には入りますけれども、海上保安庁法に規定されている海上保安庁の任務というものについてはいささかも変更はない、このように考えております。
  391. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 防衛庁はそれでよろしいか。
  392. 塩田章

    ○塩田政府委員 私どももそのように理解しております。
  393. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 昭和四十一年二月におたくの法制調査官室が試案をつくった。その中には海上保安庁の法の改正が必要であるという指摘ですが、どうなんですか。おたくの試案です。
  394. 長谷川宏

    ○長谷川説明員 御説明いたします。  御指摘の時期にいわゆる有事法制の研究が行われましたのは事実でございますけれども、これは成果の取りまとめということもなく打ち切られたものでありまして、残っております資料も部内限りの研究資料の域を出なかったものばかりでございまして、具体的にいまのような内容があったかなかったかということにつきましては御勘弁願いたいと思います。
  395. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 試案であろうと何であろうと、これはおたくのですよ。法制問題を研究しておるその調査官室の一つの見解だと思うのですよ。防衛庁全体の正式の見解でないかもしれないけれども、そういう考えがあることは事実ですよ。それを私は聞いているんだ。  じゃ防衛庁は必要ないという見解ですね、この点については。調査官室の見解と違うわけですね。
  396. 長谷川宏

    ○長谷川説明員 いま先生もおっしゃいましたように、そのときの作業過程での資料にそのような内容があったと仮にいたしましても、それは防衛庁において正規に決定された……
  397. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それを聞いているのじゃないんだ。あなたはどう考えるのだ。
  398. 國場幸昌

    國場委員長 法制官としての考え方……。
  399. 長谷川宏

    ○長谷川説明員 私は現在、先ほど防衛局長がおっしゃいましたように、新しい観点から有事法制の研究を進める作業に参加しておりますけれども、本件につきまして、まだ他省庁関連事項でありますから具体的に詰めたことがないわけでございます。現在問題点の拾い出し、洗い出しをしておりまして……
  400. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 時間がございませんから、そういうことを聞いているのじゃないんだ。あなたはどう考えるかと聞いているのだ。わかりませんならわかりませんでいいのだ。経過を聞いているのじゃないんですよ。
  401. 長谷川宏

    ○長谷川説明員 わかりました。  防衛庁といたしまして、現在その点については結論を得ていないというのが正しいお答えだと思います。
  402. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 じゃ局長と違うじゃないですか。局長と違うじゃないですか。
  403. 塩田章

    ○塩田政府委員 私がお答えしましたのは、現在の認識は、現行法上どうか、先ほど申し上げたようなお答えをしたわけでございますが、有事法制の研究として先生が先ほどおっしゃったような四十一年当時の経過も、途中経過としてはあったことは承知しておりますが、先ほど申し上げましたように、各省庁関係はいまから研究します、こう申し上げておる段階でございまして、現行法上は先ほど申し上げたとおり認識をしておる、こういうことを申し上げたわけでございます。
  404. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私がお伺いしたのは、海上保安庁は海上保安庁法の改正なしに防衛任務をできる、自衛隊法の八十条があるから。そういう見解ですよね。で、それを聞いたのです、あなたもそういう見解ですかと、海上保安庁法の改正は必要ないのですかと。それを聞いているのです。
  405. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 私、先ほど申し上げましたのは、自衛隊法八十条により防衛庁長官の指揮を受けますけれども、海上保安庁の任務、すなわち、海上の治安の維持あるいは人命、財産の保全、こういった海上保安庁の任務にはいささかも変更がないと申し上げておりますのは、海上保安庁として防衛任務を持つということではない、さように考えております。
  406. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 非常に明らかになってきましたね。つまり、自衛隊法八十条によって防衛庁長官の統制下に入っても防衛任務はしないのだ、仕事は海上保安庁法の範囲内の仕事だ、だから海上保安庁法の改正は必要ないのだ、そういう見解ですね。それだと非常にわかりやすいのです。  じゃ次に、海上保安庁は、同じように防衛出動下令下に入るわけですが、そのときに必要な武力の行使ができますか。
  407. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 先ほど申しましたように、海上保安庁の任務そのものには変更はございませんので、海上保安庁といたしましては、幾分の小火器を持っておりますけれども、これは依然として治安維持のために警職法七条の制約下に置かれる武器の使用ということしかできない、かように考えております。
  408. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これも防衛庁の法制調査官室の見解とは違うわけですね。防衛庁の法制調査官室の見解としては——防衛庁の見解と言っていませんよ。やはり改正が必要であろうというそういう見解です。——ちょっと待ってください、ずっと聞きますから。  自衛隊法七十八条の治安出動下あるいは八十二条のいわゆる警備行動下、有事じゃないんですね、このときに防衛庁長官の統制を受けますか、海上保安庁。
  409. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 自衛隊法八十条によりまして私どもが防衛庁長官の指揮下に入りますのは、命令による治安出動の場合とそれから防衛出動の場合、二点に限られているわけでございます。
  410. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それで、八十二条のもとにおける警備行動下で統制を受けることにするためには、いわゆる法改正が必要である、逆に言えばですね。
  411. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 もしそういうことになれば法律の改正が必要であると、かように考えます。
  412. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 その場合は、自衛隊法あるいは自衛隊法施行令の改正が必要ですね。
  413. 塩田章

    ○塩田政府委員 御指摘のような目的の形成をするためには必要でございます。
  414. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこで、海上保安庁は資源輸送ルートの安全確保というのを非常に大きく出されてきました。その背景となっておるものは、やはり日本というこの国の立地条件がいわゆる貿易なくしては生きていけないという、そういう背景があってこの強化に踏み切られたと思うのですけれども、けさも新聞に載っておりましたが、今月の二十日の農政審議会専門委員会に農水省が提出をいたしました資料、つまり、農水省官房企画室暫定試算というものですね。私は、同じように四十九年に当時の農林省の官房参事官がつくられた試案の方がよほど具体的であり、整備されている感じがしますよ。私はこれを読みまして、その四十九年のときの試案よりも劣っている、まことにちゃちな案である。たとえば防衛庁海幕の防衛部防衛課分析班が五十一年九月一日に発表している「国民生活に基づく所要輸入量に関する研究(食料編)」、こちらの方が非常に緻密ですよ、同じ食糧問題で輸入が削減された場合の想定としては。しかも防衛庁海幕がやった分には、運輸大臣、輸送をする船がどういうことになるのかというような仮説も入っている。私はここまで仮説を広げないとだめだと思うのですよ。農水省来ておられるので要望しておきます。  それで、たとえばいま原油や鉄鉱石以外の諸物資を輸送している一般貨物船も、有事の際には三割から四割の貨物船を全部食糧輸送に充当する必要がある、そういうふうになっているのです。これは運輸省とも非常に関係がある。これは恐らく専門委員会に提出された試案だから、来年の五月ごろをめどに専門委員会で最終的な結論が出ようと思うが、そういう仮説、あるいは食糧の輸入がとだえるあるいは影響を受けるというときには、当然石油なりあるいは鉄鉱石なりそういったものも影響を受けるのですよ。そういう総合的な点も防衛庁の試案の方はそれを出していますよ。だから、私はこの防衛庁の試案は非常に権威ある試案だと思いますよ。これは単なるだれかが研究しているという試案じゃないのだ。これは分析班がちゃんとやっている。  この防衛庁の方の一番最後の後書きに何と書いてあるかというと、「本研究の対象としたような事態が生起しないことを切に望むものである。しかし万一の場合に備え、行政官庁、諸研究機関等において予めこの種の研究をしておく必要があり、そして行政立案の参考のためにもその成果の交流が望まれよう。本研究がこの種の研究の端緒になり、「有事日本における一億総飢餓からの脱出」がさらに広く真剣に検討されることを期待する。」こういう貴重なお金を使ってやっている研究だから、防衛庁だけのものにしなくて、やはり農林省もこういうことをやっているのだから、大いに研究の成果を交流し合ってより確かなものにする必要があるのではないか、こういうふうに思いますが、どうですか。
  415. 塩田章

    ○塩田政府委員 いま具体的な交流のお話があるわけでございませんけれども、いま先生の御指摘の御趣旨は、私、全く同感でございます。
  416. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 さらに、これは参考のために運輸大臣に申し上げておきますけれども、これは一防衛庁の法制調査官室の見解であっても、有事の際に運輸省にこういうことをしてもらいたいという要望が非常にたくさん出ているのです。先ほど申し上げました海上保安庁の防衛任務に関するもの、それから船舶の運航の統制に関するもの、あるいは民間船舶の管理、使用または収用に関するもの、あるいは船員及び船体の損失補償または損害補償に関するもの等々、有事の際にぜひ運輸省で研究してもらいたい項目が非常にたくさん挙げてありますよ。私がこれを非常に心配するのは、ただユニホームの方だけがこういう研究が進んで、実際に国民生活に関係のある各省のそういう研究が進んでない。だから、これは農林省はすでにやっていますから、運輸省もその辺の研究は一応しておく必要があるのではないか、このように思いますが、どうでしょうか、運輸大臣
  417. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 私は、非常にいい御提案をいただいたと思っております。現在運輸省におきましては、海上保安庁ではなく、官房の中に総務審議官というのがございまして、そこで政策関係を全部やっておるのですが、その一部局の中に総合安全保障対策の一環として船舶の保有状況、いま先生もおっしゃったそういうものを絶えず扱っておるセクションがございます。つきましては、そこで早急にそういう農林省との関係の連絡をとらしめまして、われわれも一緒に研究してみたいと思っております。  そこで、一言ちょっと一分だけでいいですが。ちょうど数年前でございましたけれども自国船の保有率が非常に下がってまいりました。これはやはり安全保障上危険ではないかと思いまして、そういう観点から計画造船をしたという経過もございまして、われわれは絶えず自国船の完全な掌握、そして配置、転用ということについては意を用いておるということもひとつ御理解いただきたいと思います。
  418. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは、その種の有事法制研究に農林省とも協力をしてやってみたいということですから、その成果を見守ってみたいと思うわけです。  次に、いわゆる資源輸送ルート等の安全確保、こういうことがきちっと任務として具体的に浮上してきたのはいつからですか、海上保安庁。
  419. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 資源輸送ルートと申しましても、たとえばペルシャ湾のインド洋とか、そういうようなことを考えているわけではないわけでございます。私どもは初めは、海上保安庁の実力から申しましても、大体領海を中心とした日本近海の航行安全ということをやっていたわけでございますが、その後新しい海洋法秩序というようなことで二百海里という、これはわが国は現在漁業専管水域ということだけで先取りをいたしておりますけれども、二百海里体制というようなことでは遠洋をもだんだんと管轄するようになってきた、しかし片や新しい、たとえばSAR条約とわれわれ申しておりますが、海上捜索救難条約が昭和五十四年に成立いたしました。わが国はまだ批准いたしておりませんけれども、これが発効いたしますと、わが国が担任させられる水域というものは、東方及び南方には約千二百海里ぐらい延びるであろうということが予想されるわけでございます。この条約は、各国が責任ある海上捜索救難機関を創設する、わが国の場合には海上保安庁があるわけでございますが、その担任区域について捜索救難について責任を持ち、あるいは船位通報制度ということで船の位置を的確に把握する、こういったことを各国協力してやっていこうじゃないかというのがこの条約の趣旨でございますが、そういった条約に加入してまいるということになりますと、わが国としてはどうしても非常に長距離の遠海に巡視船艇を出しておく必要がある。そういったようなことから、私どもは資源輸送ルートの確保という表題を一項目出したわけでございますけれども、そういった事態に対応してまいりたい、かような趣旨でございます。
  420. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そのSAR条約、まだ参加していませんね。それでいまお話しのとおり、千二百海里程度等の哨戒任務、そういったものが出てくる。そうすると、いわゆる自衛隊が目指しておるシーレーン、藤西、南東航路それぞれ一千海里、こういう防衛庁の防衛水域、これは平時ですよね、有事もそうでしょうけれども。これとは全然無関係なんですか。
  421. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 いまのところ、その関連性については私ども承知いたしておりません。関連性はないと考えております。
  422. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それもおかしいんですね。ことさらにそうおっしゃっているのじゃないのですか。むしろよく関連させて——防衛庁も同じような任務を持っているのですよ、警備行動でですね。そうですね。平時に人命救助とか、つまり海上保安庁の手に負えなくなったときには海上自衛隊の任務になってくる、こういうことですから、そこは連係するのです。いま言ったように、海上保安庁の手に負えなくなったときに海上自衛隊が出るというようなときには、当然保安庁もおるのですから、巡視艇が、船艇あるいは飛行機が。だから、連係しなくてはならぬでしょう。私は、連係しなくてはおかしいと思うのですよ。
  423. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 平時における海上保安庁の任務につきましては、海上の治安維持あるいは捜索救難というような任務につきましては、第一次的に海上保安庁が責任を持つ、そして自衛隊につきましては海上保安庁の後方支援と申しますか、海上保安庁の船艇、航空機のみでは対処できなくなったときに応援をお願いする、こういったシステムであるわけでございます。
  424. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 だから、そういう場合連係しなくてはいかぬでしょう。あたりまえの常識じゃありませんか、それは。何か言われやしないかと思って警戒しているのじゃないですか。
  425. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 捜索救難業務につきましては、日ごろから自衛隊との間では、たとえば非常に遠距離で航続距離の長い飛行機を自衛隊が持っておられるといった場合に自衛隊の応援を求めるというようなことはしばしば行っておるわけでございまして、私どもとしては、平時においてもそういう点につきましては鋭意協力して協議をしているということは、おっしゃるとおりでございます。
  426. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 保安庁法によりましてもちゃんと条文あるじゃないですか、そんなこと。他省庁の協力を求められたときはやるのだとなっているでしょう。他省庁の中には防衛庁も入っているのですよ。そんなことを言っちゃいけませんよ、あなた。はっきりその辺は言った方がいいのですよ、何も悪いことじゃないのだから。  それで、時間がありませんから次に進みますけれども、広域哨戒態勢というのをとられるそうですが、この哨戒水域というのはどの範囲を考えておられるのですか。
  427. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 非常に遠距離の地点で申し上げますと、野島崎東方約千二百海里、それから南方におきましては南鳥島でございましたか、わが国の一番南の島よりさらに南でございまして、約千海里ぐらい南だったと思います。大体そういった水域というものがSAR条約を締結した場合にわが国の担任水域になるだろう。これは航空の方の東京FIRと申しまして、わが国が担任させられている管制の区域がございます。大体それと一致するのではないかという予想でございます。私どもといたしましては、そういった地点においてできるだけ常時監視体制ができるというようなことを目標といたしておるわけでございます。
  428. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私がさっき有事のことをいろいろ聞いたが、そんなことは全然研究の課題にもなっていない。では、今度新造される六千六百トンの大型の巡視船、二百五十人乗る、通常は五、六十人しか乗っていない、ヘリも置く、ソナーも備える、機関砲も備える。大体どういうことを想定しておられるのですか。それで私は、それとの関連を含めて聞いているのですが、いま広域哨戒態勢、大変広い範囲のようですけれども、この六千六百トンの大型ヘリ搭載巡視船とともにもう一つお伺いしたいのは、それで千海里以遠まで迅速に進出することが可能な大型飛行機三機を装備するとなっていますね。これはその哨戒に使うのだから、いま自衛隊で言えばさしあたり脚光を浴びているのはP3Cですわね。——いや、現実に浴びているのは。この大型哨戒機というのは大体具体的にはどういうものを想定されておるのか、及び、大型船は輸送に使う、だから二百五十人収容能力を持っているのだというようなお考えのようですけれども、それじゃ飛行機の方はどうなるのか、大型輸送機というものを今後目指されておるのか、たとえばこれまた脚光を浴びている自衛隊ではC130といったようなものもあるのだけれども、この大型哨戒機、大型輸送機について具体的にどういう機種を頭に描いておられるのか、それをお伺いしたい。
  429. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 船を大型にしますのは、これは専門家である先生よく御存じのように、海上保安庁というのはそう敏捷に行動する必要はなくて、むしろ大洋に出て、そこでできるだけ長い停船といいますか哨戒任務をしておる方が省エネルギーの点から言いましても効果的であろう、そのような対応性を持った船をつくりたい、そういうことから六千トンクラスということを想定したのです。そこで、ヘリコプダーの足を長くするということもその哨戒面積を広くするということ、これは釈迦に説法みたいになってまいりますが、そういう趣旨でございまして、あくまでも哨戒、警戒がわれわれの任務でございまして、直接的なそういう自衛行動とか、そういうものとの関連はない。でございますから、これは平時においても当然安全保障対策として、いわばわが国の商船隊の状況を絶えず把握し、また危険を知らしめていくということがわれわれの任務でございますので、そのように心得てやっておるわけです。
  430. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私が言っておるのは、聞かれておるとおり、どういう具体的な機種を大型哨戒機及び大型輸送機については考えておられるのでしょうかと言っているのです。
  431. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 飛行機につきましてはまだ機種決定に至っておりません。現在候補に上っておりますのは、いわゆるロッキードL100型というようなもの、あるいはカナダで開発されておりますチャレンジャーというようなもの。そのロッキードL100というのはたしか四発のターボプロップだったと思います。それからチャレンジャーというのはジェット機でございます。それで私どもは、たとえば去年の暮れからことしの初めにかけまして、野島崎東方千海里というようなところで大型船の遭難が相次いだわけでございますが、その際、SOSを発信されまして、こちらからそこまで飛んでいく足のある飛行機がない、こういう状況でございますので、ともかく現場へ行ける飛行機がほしい、こういう感じで足の長い飛行機ということを考えておるわけでございます。
  432. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 時間がなくなりましたから、最後、二問にいたしたいと思います。  ソナーを備えるというのはおかしいですけれども、その意味ですね。このソナーは、普通、潜水艦探知のためですよね。それを何か変えて、海底の地質とか底質とかいうようなものを調べるようなものにしたいということですが、しかし、そうしてみたところで、そんなことなら魚探みたいなものでいいのでありまして、やはり潜水艦等の探知もできる——まさか海賊が潜水艦でやってくるなんということを空想されておるわけじゃないでしょう。  かつてあなた方は、前科がある。つまり、第一管区で特別哨戒という業務をやっておったはずです。これはスパイ行為ではないかということで国会で問題になった。その種の情報収集もやっておる。だから、これが私どもはすぐ連動するのです。そして、先ほどお話のありました、アメリカのいわゆる沿岸警備隊が実施しておりますアンバーシステム、これに集められるわけですね。このアメリカの沿岸警備隊というのは、もう第五海軍と言われておるぐらいですから、ペンタゴンとも関係が深い。だから、そういうことに利用されていく可能性があるのではないか。つまり、あなた方の意図とは別に軍事的に利用される、そういうことになる可能性がある。ソナーなどは私は必要ないと思う。これは誤解を与える。  それからさらに、私が先ほど言ったとおり、武器使用の問題について予算委員会で少しやりましたけれども、訓令ごときでああいう大事な問題を決めるというのは、国会の審議権を無視したやり方である。前回も言いましたとおり、自衛隊の場合は武器使用について厳しくコントロール下にあって、奇襲時の武器使用問題について統幕議長の栗栖さんがやめたのです。それほど厳しくやっておるのに、海上保安庁の方は訓令ごときで——あれ、見てごらんなさい、四条、五条。たとえば、外国の港に入って邦人を救出する、何か現地で紛争があって。そういうときも状況判断によって必要やむを得ないときは外国の港でも武器使用ができることになっている、あるいは公海上でも外国艦船に威嚇射撃することができるようになっている、五条で。相手から見れば、威嚇射撃と思わないかもしれない。これは国際紛争の種になり得るような重要な内容を持った訓令です。だから、この訓令についてはもう一遍考え直す必要がある、厳格に。残念ながらきょうも時間がないけれども、この訓令というのはそういう危険性を持っておると私は思います。  昨日、予算委員長の許可を得て、この訓令第十四号が配られた。その内容を見て、私は非常に危険なものを感じるのです。で、この訓令は、もう一度、国会の審議にたえるようなもの、訓令でなしに法的な根拠——これももうここでは言い合いしませんよ。あなたたち海上保安庁の四条、そして、その四条の根拠になっておるのは何ですか。警察官職務執行法第七条、そしてまた、その根拠になっているのは警察法の第六十七条。こういうふうにややこしい法的な根拠をたどって、そして行き着くところが警察法第六十七条だ、これは小型の武器でしょう。つまり、ピストルでしょう、機関砲じゃないのです。だから、そういう機関砲を使用するというためには、国会のシビリアンコントロール下にある法律として出す必要がある。つまり、もしそれがどうしても必要ならば、海上保安庁法の改正をする必要がある。そしてわれわれの厳重なシビリアンコントロール下に置いてもらいたい。審議の対象に堂々としてもらいたい。これを要望しておきます。どうでしょうか。
  433. 妹尾弘人

    ○妹尾(弘)政府委員 まずソナーの点でございますが、これは先ほども先生ちょっと御指摘になりましたけれども、ソナーについて私どもが整備しようと思っておりますところのものは、いわゆる防衛用のソナーとはかなり性質を異にしたものでございまして、沈船の調査とか海底地形の調査、それから保安庁の船といいますものは、捜索、救難に当たりましては海図のないところにも行かなくちゃならない、自分自身の安全を守るためにもソナーが要る、こういったようなことで、たとえば防衛庁型のソナーですと非常に遠方の敵を索敵するというような性格を持っているわけですが、私どものはむしろ直下型のものが必要であるというようなことで、かなり性格の異にしたソナーを考えておるわけでございます。  それから、次に武器の使用の件につきましては、先ほどからお話がありましたとおりに、私どもとしては根拠規定を、常に装備するものにつきましては四条に求めており、その規定は、準用される警職法七条による。そして、その七条のみでは権限の委任の範囲が広いので、それを制限する意味で、さらに訓令を内部で通達しているという立て方になっておりまして、これは警察の場合もあるいは防衛庁の場合も——防衛庁でも、たとえば、もちろん防衛出動の場合には武器を使うわけでございますけれども、私どもの後方支援とかあるいは治安維持といったような警備行動の場合にもこれは警職法の七条の準用がなされて、自衛隊法でもなされておるわけでございまして、私ども委細は承知しておりませんけれども、恐らく自衛隊の中でも武器の使用についての内部規定というものはある、同じ立て方になっておるのではないかと思っております。
  434. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私はやめようと思ったけれども、そういうことを言うなら言わざるを得ないようになるのです。しかし、きょうは時間がないから——その点は私は承服できないのですよ。いまあなたがおっしゃったような法律を基礎にして機関砲を使用するというのは、何としても無理がある。私は、先ほどの六千六百トンの大型の巡視船の必要性についても疑問がありますから、これは五十七年度予算に出てくるので、いずれ予算委員会で私はもう一度これは問題にしたいと思います。  運輸大臣最後にお願いしておきたいのは、海上保安庁は、いやしくも近隣諸国に海上自衛隊の予備軍だというような印象を与えるようなことだけは極力避けてもらいたい。運輸大臣にそのことをお願いいたしておきます。大臣の決意を聞いておきたい。
  435. 塩川正十郎

    塩川国務大臣 海上保安庁長官が何遍も答えておりますように、海上保安庁の任務はやはり警備、救難が主体であり、そして水路の維持、それから航行の安全を守る、われわれはそういう任務に徹してこれからも努力精進いたしてまいりたい、こういうことでございます。
  436. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 終わります。
  437. 國場幸昌

    國場委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十九分散会