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1981-11-11 第95回国会 衆議院 外務委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年十一月十一日(水曜日)     午後二時七分開議  出席委員    委員長 奥田 敬和君    理事 青木 正久君 理事 川田 正則君    理事 松本 十郎君 理事 高沢 寅男君    理事 土井たか子君 理事 渡辺  朗君       石原慎太郎君    上草 義輝君       太田 誠一君    鹿野 道彦君       北村 義和君    佐藤 一郎君       坂本三十次君    平沼 赳夫君       井上  泉君    河上 民雄君       草川 昭三君    林  保夫君       金子 満広君    野間 友一君       伊藤 公介君  出席国務大臣         外 務 大 臣 園田  直君  出席政府委員         防衛庁防衛局長 塩田  章君         防衛庁装備局長 和田  裕君         外務大臣官房長 伊達 宗起君         外務大臣官房調         査企画部長   秋山 光路君         外務省アジア局         長       木内 昭胤君         外務省北米局長 淺尾新一郎君         外務省経済協力         局長      柳  健一君         外務省条約局長 栗山 尚一君         水産庁次長   山内 静夫君  委員外出席者         防衛庁防衛局運         用第一課長   萩  次郎君         外務大臣官房外         務参事官    渡辺 泰造君         通商産業省貿易         局為替金融課長 広海 正光君         外務委員会調査         室長      伊藤 政雄君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月十一日  辞任         補欠選任   栗原 祐幸君     鹿野 道彦君   中山 正暉君     平沼 赳夫君   古井 喜實君     上草 義輝君   大久保直彦君     草川 昭三君 同日  辞任         補欠選任   上草 義輝君     古井 喜實君   鹿野 道彦君     栗原 祐幸君   平沼 赳夫君     中山 正暉君   草川 昭三君     大久保直彦君     ――――――――――――― 十月二十日  婦人に対するあらゆる形態差別撤廃に関す  る条約早期批准等に関する請願串原義直君  紹介)(第三号)  非核原則堅持に関する請願粟山明君紹  介)(第七七号) 同月二十六日  婦人に対するあらゆる形態差別撤廃に関す  る条約批准促進に関する請願平沼赳夫君紹  介)(第四一〇号) 十一月二日  日米安全保障条約廃棄に関する請願瀬崎博義  君紹介)(第六〇三号)  同(辻第一君紹介)(第六〇四号)  同(藤田スミ紹介)(第六〇五号)  核兵器持ち込み反対等に関する請願浦井洋君  紹介)(第六四四号)  同(辻第一君紹介)(第六四五号)  同(東中光雄紹介)(第六四六号)  同(藤田スミ紹介)(第六四七号)  同(正森成二君紹介)(第六四八号)  同(三谷秀治紹介)(第六四九号)  同(村上弘紹介)(第六五〇号)  同(四ツ谷光子紹介)(第六五一号)  婦人に対するあらゆる形態差別撤廃に関す  る条約批准等に関する請願簑輪幸代紹介)  (第六五二号) 同月九日  核兵器持ち込み反対等に関する請願中路雅弘  君紹介)(第八五八号)  同(藤原ひろ子紹介)(第八五九号)  同(松本善明紹介)(第八六〇号) 同月十日  婦人に対するあらゆる形態差別撤廃に関す  る条約批准等に関する請願岩佐恵美君紹  介)(第一〇九二号)  同(小林政子紹介)(第一〇九三号)  同(栗田翠紹介)(第一〇九四号)  同(藤田スミ紹介)(第一〇九五号)  同(藤原ひろ子紹介)(第一〇九六号)  同(簑輪幸代紹介)(第一〇九七号)  同(四ツ谷光子紹介)(第一〇九八号)  婦人に対するあらゆる形態差別撤廃に関す  る条約早期批准等に関する請願(林百郎君紹  介)(第一〇九九号)  婦人に対するあらゆる形態差別撤廃に関す  る条約批准促進に関する請願野間友一君紹  介)(第一一〇〇号)  日米安全保障条約廃棄に関する請願栗田翠君  紹介)(第一一〇一号)  核兵器持ち込み反対等に関する請願榊利夫君  紹介)(第一一〇二号)  同(瀬長亀次郎君)(第二〇三号)  同(中路雅弘紹介)(第一一〇四号)  同(不破哲三紹介)(第二〇五号)  同(藤原ひろ子紹介)(第一一〇六号)  同(松本善明紹介)(第一一〇七号)  同(渡辺貢紹介)(第一一〇八号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十月二十日  金大中ら救出に関する陳情書  (第二二号)  婦人に対するあらゆる形態差別撤廃に関す  る条約早期批准に関する陳情書外七件  (第二三号)  朝鮮半島自主的平和統一促進に関する陳情書  外三件  (第二四号)  北朝鮮帰還日本人妻里帰り実現に関する陳情  書外四件  (第二五号)  米国原子力潜水艦による日昇丸衝突沈没事故に  関する陳情書(第二  六号)  日米潜合同演習による日本海マスはえなわ漁  業の被害補償に関する陳情書  (第二七号) 十一月十日  竹島の領土権確立等に関する陳情書外一件  (  第一四四号)  婦人に対するあらゆる形態差別撤廃に関す  る条約早期批准に関する陳情書外六件  (第一四五号)  高麗民主連邦共和国創立に関する陳情書外三件  (第一四六  号)  朝鮮半島自主的平和統一促進に関する陳情書  外二件(  第一四七号)  非核原則堅持等に関する陳情書外十四件  (第一  四八号)  日米合同訓練に伴う被害補償等に関する陳情書  (第一四九号)  米国原子力潜水艦による日昇丸衝突沈没事故に  関する陳情書(第  一五〇号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件      ――――◇―――――
  2. 奥田敬和

    奥田委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石原慎太郎君。
  3. 石原慎太郎

    石原(慎)委員 最近、日本防衛問題に関してなかなか世の中がかしましくなってまいりました。特に、アメリカ議会上院、下院で幾つかの決議案が出るようになりました。これらの動きについていろいろな評価があるでしょうけれども、たとえばヘルムズ上院議員決議案、その撤回、そして公聴会開会決定等について、外務省は特にヘルムズ氏の決議案は非常に非現実的であるというふうな見解をとっているようですが、私はちょっとそう簡単に片づけられない大きな意味合いがあると思うのです。決議案の中には、非常に一方的で、また非常に乱暴なものもありますけれども、総体に、私たちはこういった傾向一つの歴史的な必然としてとらえる必要があるのじゃないかという気がいたします。  ヘルムズ氏の決議案は、上院議事録を読んでみますと、決してパーシー上院議員に握りつぶされたのではなくて、公聴会を開くための一つ上院で慣習化された手続であるということをヘルムズ氏が言っております。これによって、一月あるいはことしの年末から開かれる公聴会に私たちは非常に注目しなくちゃいけないと思います。  私も近々、議会筋アメリカの友人に招かれて向こうへ行って話をするつもりでおりますけれども、そういうとき、私の意見を述べるその一つの素地に、改めて外務大臣並びに外務省当局幾つか基本的な見解についてお伺いしたいと思います。私は、日本国会で行われました議論を完全にフォローしてないので、重複する質問になるかもしれませんけれども、二、三お伺いしたいと思うわけでございます。  まず、外務省条約局長なり北米局長にお伺いしますが、日本の安全に非常に密接なかかわりのある極東あるいは東南アジアの友好国が、韓国あるいはフィリピン等アメリカ安保条約を結んでおりますけれども、たとえばアメリカ韓国あるいはアメリカフィリピンの間に結ばれている安保条約日米安保は、果たして等質等量のものであるかどうか、外務省見解をまずお伺いしたいと思います。
  4. 栗山尚一

    栗山政府委員 お答え申し上げます。  アメリカ韓国あるいはフィリピンと結んでおる安全保障条約日米安保条約を比較した場合に、等量のものであるかという御質問でございますが、条約の中身を計量化して比較するということは困難だろうと思います。  ただ、先生の御質問が、いわゆる条約当事国防衛義務というものとの関連で同じものであるかあるいは違いがあるかという御質問でございますれば、御案内のように、アメリカ韓国あるいはアメリカフィリピンとの間の条約は、いわゆる相互防衛お互い個別的自衛権及び集団的自衛権行使前提とした相互防衛義務を負っておる条約である。これに対しまして日米安保条約につきましては、御案内のとおり第五条におきまして、わが国の施政のもとにある領域に対する攻撃というものに対する日米共同対処義務を定めておる、アメリカが攻撃された場合に日本アメリカ防衛する義務を負っていない、そういう意味においての防衛義務上の相違というものは、日米安保条約米比あるいは米韓条約との間にはあろうかと思います。
  5. 石原慎太郎

    石原(慎)委員 私たちは、安保条約を含めて他国との国際関係の中に結ばれるいろいろな協定や条約というものを国会で審議し、評価するわけですけれども、国民の代表ということで国会議員がそういった仕事をしておりますが、国会議員が納得したから国民は何も知らぬでいいということではないので、私たちは、国民がわかりやすく物事を判断すべく、そういう議論をやはりここでも行いたいと思うのです。  いま安保条約五条を引き合いに出されて説明をされましたけれども、そういうものを持っている日米安保条約と、そういう拘束を持っていない対韓あるいは対比アメリカが結んでいる安保条約と、わかりやすくはかりに物がかかっていると考えた場合に、完全に均衡がとれているということはなかなかむずかしいかもしれませんけれども、つまり、韓国なりフィリピンアメリカと結んでいる条約というのは、はかりがそう大きく傾いていないと思うのですね。日米安保というのはかなりどっちかに傾いていると思うのです。どうでしょうか、外務大臣、ひとつ印象をお伺いしたいと思います。
  6. 園田直

    園田国務大臣 第一に、日米安保条約日米関係は、日本外交安全保障基軸であることは明確にしておかなければならぬと思います。軍縮、平和、極東の安定を唱えるにつきましても、日米安保というのは基軸であるということが第一であります。  いま御発言されました趣旨は、日米安保というものは片務的なのか双務的なのかということだと思いますが、これは先般の伊東外務大臣のときの答弁を拝見しましたけれども、御承知のとおり、日本憲法その他の制約がございますから、条約上から言えば、米国日本防衛義務を負っておるということについて、日本はやるべきことは制限されておるわけでありますから、ある意味から言えば片務的だと思います。  しかしながら、実質上から言えば基地提供その他の問題があるわけでありますから、これはそういう意味から言えば、両方お互いに助け合うという趣旨もある。しかし、条約上の意味から言えば片務的だ、こういうところにいろいろな議論もあるところでありますが、こういうところがまたよく日米双方が協議をしなければならぬところであると考えております。
  7. 石原慎太郎

    石原(慎)委員 まあおっしゃるとおりだと思うのですけれども、五月の中旬に「同盟」という共同声明の中の文言をめぐって行われた議論の中で、外務省当局外務大臣あるいは官房長官の、言葉のあやかもしれませんが、日米安保条約に対する評価と申しましょうか、一つのとらえ方が、双務と片務というのは完全に百八十度違う表現でありまして、外務省当局は、どなたがおっしゃったか知りませんけれども、安保条約双務条約であるとおっしゃっているようです。それは条約ですから、片方が全く責任を負わない条約なんてありっこないので、はかりがずり落ちる寸前まで大きく傾いていても、それは両方に物がかかっているから双務と言えば双務かもしれませんけれども、しかし、それはだれがどう見てもアンバランスなわけです。  そういう意味で、私は、日米安保条約というのは非常に片務的なもの、片務性が強いと思いますが、外務省当局は、外務省日米安保に対する評価といいましょうか、認識というものを一言でくくる場合には、これはあくまでも双務条約であるという表現をいまだにおとりになっているのか。そこら辺、外務大臣表現外務省当局表現が非常に、微妙じゃなしに対照的に食い違っている。私は、やはりこういう問題は国際化していくときに大事な一つ分岐点だと思いますので、外務省に再びその問題に対する姿勢というものをお伺いしたいと思うのです。いかがですか。
  8. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 お答えいたします。  要するに、何が双務的で何が片務的であるかというのは、どこに着目するかという点が中心ではないかと思うのです。いま言われたように片務的であるというふうに見るのは、先ほど条約局長が答弁いたしましたように、アメリカ日本防衛義務を負っている、しかし日本アメリカ防衛義務を負っていない、こういう点から見れば片務的であるということは言えるかと思います。  しかし、他方大臣がさっき答弁されましたように、日米安保条約のもう一つの柱は、安保六条によって日本側アメリカ施設区域提供しているということから、日米間のバランスはとれている、そういう意味では双務的であるということは言えるかと思います。  さらに補足すれば、安保条約がいままで果たしてきた意味、それは、日米間の関係基軸であるのみならず、アメリカアジア外交基軸として日本を位置づけているわけでございまして、安保条約が果たしてきた役割りというものは、やはりアジアの安定と平和のために役に立っているということが言えるのではないかと思います。
  9. 石原慎太郎

    石原(慎)委員 再び比喩を持ち出しますけれども、フィリピン韓国と結んでいる安保条約に比べてとにかく著しくはかりが傾いているというのが、私は日米安保条約だと思います。それは恐らくどなたも否まれないと思います。現にいま外務大臣も、片務性があるということを言われた。  再び外務省当局にお伺いいたしますが、対韓あるいは対比アメリカが結んでいる安保条約、とにかくそれに比べれば著しい片務性日米安保条約にはあると私は思いますけれども、この点、いかがお考えですか。つまり、片務性を全く認められませんか、認められるでしょう。
  10. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 いま委員お尋ねの片務性というものが、日本アメリカに対して防衛義務を負っていないという点においては、まさに日米安保条約というものは米韓米比条約と違う。そういう点においては、私たちもそういう共通の認識を持っておるわけでございます。
  11. 石原慎太郎

    石原(慎)委員 そのはかりで言えば非常に傾いた、非常に片務性の強い日米安保条約というのが、まさしく外務大臣が言われたように日米関係基軸になっているわけですね。つまり、非常にバランスの悪い条約基軸になっているということは、日米関係というのはそもそも非常に密接なものでありながら、非常に重要なものでありながら、そういう非常に傾いたはかりが基軸になっているということで、本質的には非常にもろいといいましょうか、危険な要素を持った国際関係だと私は思うのです。そう思われませんか、外務大臣
  12. 園田直

    園田国務大臣 御意見をよく承っておるところでありますが、問題は、安保条約五条わが国による集団的自衛権行使前提としていないという点に問題があると思います。したがいまして、米国日本に対する義務日本米国に対する義務とには、条約上から言えば差がある。少なくとも双務的なものではない。したがいまして、私が言いましたとおり、基地とかその他の施設提供でこれが見合うような形に持っていっている、こういうつもりでございます。
  13. 石原慎太郎

    石原(慎)委員 アメリカが太平洋を渡ってはるばる出向いてきて、日本を守ろう、日本の周辺を守ろうと言っているわけでして、そういう国に基地提供せずに安保条約を結べるわけはないので、基地提供しているからその片務性が非常に多くの部分埋められたというのは、やはりアメリカにとってみると当惑するような詭弁でしかないと思う。また、そういう詭弁を繰り返さざるを得ない日本の苦しい立場があるでしょうけれども、日米安保条約が持っている片務性というもの、それに対するアメリカ不満が高まっているわけでございます。  アメリカ不満条約が持っている片務性に向けられているわけですが、しからば、日米安保条約韓国フィリピンアメリカが結んでいる安保条約に比べて片務性が強いというゆえんは、五条拘束、つまり日本憲法ゆえんしている拘束だけでしょうか。アメリカから見た、あるいはわれわれが公平に見て考えるこの条約の持つ片務性というものは、憲法拘束によるものだけでしょうか。いかがにお考えですか。
  14. 栗山尚一

    栗山政府委員 先生承知のように、現在の安保条約五条というものが、先ほど御説明申し上げましたような形で日米間で取り決められましたゆえんは、まさにわが国憲法上、集団的自衛権行使前提としたそういう相互防衛的な条約上の仕組みというものは認められない、そういう憲法上の制約がありまして、それを踏まえて現在の安保条約五条という規定になっておるということでございます。
  15. 石原慎太郎

    石原(慎)委員 しかし、日米安保条約というのは、条文だけじゃなしに、現実運用というものの態様があるわけでございますね。その中には、核を搭載した第七艦隊のミッドウェーならミッドウェー日本に一時寄港する、領海を通る、その他いろいろな問題があると思いますし、私は、五条制約、つまりさらに遠いゆえんを尋ねれば、日本憲法からきた日米安保における拘束というものだけではなくて、その他いろいろ、たとえば日本における非核原則であるとか、それの拡張解釈であるとか、別に改憲をしなくても埋められ得る双務性というものが幾つかあると思うのです。  私たちは、やはりそういったものをできる限り是正していくことで、外務大臣が言われたような日米関係基軸になっている安保を、はかりは傾いたままかもしれないけれども、そのはかりをわずかでも起こし直すことで保ち、かつ、日米関係を保っていくことができると思うのですが、外務省は、片務性があるかないか、あるいは双務条約であるかということで、何もこれははっきり白黒という表現できめつける必要はないにしても、日米安保条約に見られる双務性というものを、やはり五条拘束だけととらえられますか。それとも、私が申しましたように、安保運用態様そのものの中にも、双務性、つまり向こう不満要因があると考えられませんか。
  16. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 アメリカに、日本に対する現在の議会動きを含めて不満があるとすれば、それは、何も日本集団的自衛権行使しろということではないということは、委員の御指摘のとおりでございます。そこで、安保条約を有効にかつ円滑に行使するためには、やはり施設区域整備等を通じて、有事の際にアメリカが本当に日本に来援するという気持ちをアメリカ国民ないし政府に持たせる必要があるということで、従来から政府としては施設区域整備ということを進めているわけでございます。  それから、最近の議会動きというものは、それに絡んで、アメリカの国内で自分たち防衛努力をしている、他方において財政の支出を切り詰めている、同盟国も同じように努力をしてほしいというのが第一点。第二点としては、最近の傾向として、片貿易というものがアメリカ議会の中で決議案が出るという一つの背景になっているのではないかという気がいたします。
  17. 石原慎太郎

    石原(慎)委員 もう一回、局長に念を押してお尋ねをいたしますが、外務大臣見解外務省と合っているようで合っていないということで、ちょっとはっきりしないのですけれども、五条に限らず、改憲をしなくても、向こうがある程度の満足をかち得る、つまり、非常に片務的な要因日米安保条約にあるということは、やはり外務省はお認めになるわけですな。
  18. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 アメリカの行政府に限って言えば、日米安保条約双務的にしろという動きは全くないわけでございます。  ただ、アメリカ側日本に期待しているのは、自衛力整備であるとか、安保条約運用上、駐留米軍の経費をより多く持ってほしい、そういう点はあるということは言えると思います。
  19. 石原慎太郎

    石原(慎)委員 言葉にこだわるわけじゃありませんけれども、それはある意味で、何度か何分か知りませんが、はかりの傾いたその一部になると思うのです。それは片務性と呼べると思いますね。つまり、完全に等量等質でない、エクイバレントでない要因というものがやはり安保条約にあるということを外務省もお認めになった上での発言だと思いますけれども、言葉にこだわらずに先に行きます。  先般、私の同僚の議員アメリカに行って、ある向こうの面識のある議員からの伝言を持って帰ってまいりました。それは、三年前に日米議員のシンポジウムが行われたときに、私も同じ小委員会で同席しましたホワイトというアメリカ議員でありますが、彼が、議論が行われた後で、三年前、捨てぜりふではありませんけれども、次にこの会合を持つ必要はなかろう、今度はチャーター便でたくさんわれわれを呼んでくれたけれども、次には君たちを私たちが招待しよう、そのときにはチャーター便に乗ってアメリカへ来ずに、ペルシャ湾の上を総理大臣と一緒にぜひ飛んで回って見て帰ってほしいということを言いました。そのときはかなり激しい口調でありましたけれども、今度、あのときに自分が最後に言った言葉を覚えているだろうか、いまになって私があのときに述べた言葉がますます現実性を増してきたと思うがどうだろうかということを仲間に伝えてくれということでありましたが、残念ながら世界の趨勢、日本の置かれた立場というものはそうなってきたような気がするのです。  ただ、私はここで繰り返して申しますけれども、ほかの安保特別委員会で申しましたが、アメリカなり、アメリカの要請を受けて日本防衛庁考えている軍備拡張というものもいささかどうかと思う節がある。いまの防衛体制の中でもずいぶんむだがありまして、そういう指摘をしても全くこだまも返ってこないのが現状です。  外務大臣、とっぴなことを言うようですけれども、決してこれは現実性のない提言ではないと思いますが、私、ことしの春先、二度ほどアメリカに行ったときに、向こう関係議員と話をしました。それは、どれぐらいお金がかかるか知らないけれども、日本の唱えている専守防衛にのっとった、いままでどこの国もやったことのない一つ防衛体制ができるはずだ、御存じのように日本は太平洋戦争で世界で初めて機動部隊というのをつくった国家でありまして、あれは戦闘的な攻撃的な一つ方法論でありましたけれども、今度の場合にはあくまでも専守防衛ということで、私たちの守るべき国体と申しましょうか、日本という国のエッセンス、単に九州、北海道、本土、四国という領土だけではなくて、そこの中で刮目すべき活動を遂げている日本の産業というものを支えているシーレーンである限り、こういったものを私たちがじかに守ることはなかなかむずかしいが、しかし、どこの国よりも多数私たちが所有している民間の船舶にあくまでも警戒用情報収集のエレクトロニクスを搭載しまして、一種の警備専門の海軍と申しましょうか、そういうシステムを海上でつくり、航路の安全のための情報収集日本の技術で行う、そういう構想を私、向こうで述べたことがあります。  そのときに返ってきた答えは、非常にアメリカ側はこういった問題にリラクタントでございまして、そんなことはせぬでもよろしい、つまり、言ってみれば余りそういう大事な、本質的な仕事を日本にやってもらいたくない、日本はあくまでもアメリカのかさの下、アメリカの手綱の下で、言ってみればジュニアパートナーのような役割りでよろしいというのが向こうの本音でありまして、私は憮然として帰ってきました。ですから、アメリカの言いなりの装備をこちらで拡充する必要は私はさらさらないと思います。  しかし、いまのようなことは、憲法論になってくるかもしれませんけれども、機能からいってもあくまでも防衛的な警備的な情報収集でありまして、私は、決してこういった構想を実現することは憲法違反にはならないと思いますけれども、いかがでしょうか。
  20. 園田直

    園田国務大臣 片務か双務かという言葉のとらえ方自体が非常にむずかしいわけでありまして、日本防衛上、集団防衛というものが前提としてあり得ない、こういうことがやはり憲法から出てきているわけであります。そういう意味から言えば片務的である。したがって、その他のことでつり合いがとれるようにやらなければならぬ、こういうのが一貫した方針だと思います。  いま米国でいろいろ日本の自衛隊の強化あるいは安保条約について意見があることを承っておりまするし、かつまた、これは無視すべき問題ではなし、十分関心を持ち、慎重に対応しなければならぬと考えておりますが、それによって、いまの条約を改正すべきであるとか、そういうことは考えておりません。
  21. 石原慎太郎

    石原(慎)委員 ちょっと私、声が変になりましたので、言っていることもお聞き取りにくかったのじゃないかと思いますが、お答えをもっとはっきりいただきたいというか、ちょっと御理解いただいていないような気がするので繰り返して申しますが、たとえばインド洋ならインド洋で一点にとまって見ますと、二十分、三十分置きに日本の民間船が来るわけですね。そういった船に海上なりあるいは水中の探査能力がある電子工学の器具を搭載して、とにかく水中なり海上に異物があるということだけを私たちは情報として収集する。それはアメリカ側に渡せばいいことで、それにどう対処するかということは、そういう攻撃能力なりもっと具体的な防衛能力を持ったアメリカなりほかの国に任せればよろしい。  私たちはその持っている民間の船舶を活用して、何も日本の近海だけでなしに、インド洋でも太平洋でも大西洋でも、特にそこにある異物、それはアメリカの原子力潜水艦かもしれません、ソビエトのものかもしれません、その判断は向こうに任せればよろしい、とにかく広範囲の情報を収集することを専門に私たちがやる。もちろん私たちのシーレーンであると同時に、自由国家群のシーレーンでもあり、共産圏のシーレーンでもあるかもしれません。それをウォーニングすること、情報的に収集して警備するということは、ある意味では集団防衛ということになるかもしれないけれども、私は、日本の平和憲法か何憲法か知りませんが、今日の憲法趣旨から逸脱するものじゃないと思うのです。外務大臣、いかがでしょうか。——それは政治家に聞いているので、ちょっとロマンチックというか、SF的な質問になるかもしれぬが、将来非常に現実性のある構想なので、外務大臣から……。  ちなみに、これは向こうではアラバードシステムと言って、十分研究されている方法論でございます。
  22. 栗山尚一

    栗山政府委員 私、いま先生が御示唆になられたようないろいろ情報収集の方法の技術的な効果とか、そういうものについては専門でございませんので、お答え申し上げる能力はございませんが、先生の御質問の一環でありました憲法との関係で申し上げますれば、憲法で禁止されている集団的自衛権というものはあくまでも実力の行使の問題でございまして、いま先生が御示唆になられたような平常の情報収集活動は、別に憲法上でわが国行使することが認められていない集団的自衛権行使には当たらないということは申し上げられると思います。
  23. 園田直

    園田国務大臣 いまおっしゃいましたようなことが憲法違反になるかどうかという解釈でありましたから、事務当局にまずお答えを願ったわけでありますが、いまのようなことで事務当局が答弁しておりますので、そういう問題は今後の両国間の協議の範囲内に属することだと思います。
  24. 石原慎太郎

    石原(慎)委員 時間が参りましたので、あと一問だけお伺いいたします。  またちょっと戻りますけれども、さきのヘルムズ議員決議案が出ましたときに、これに日本議員なり日本の評論家が関与しているという一幕がございました。そういう事実はなかったということのようですが、これが出ましたときに、驚くことにある新聞には、匿名でこういった人たちを売国奴呼ばわりするような論評が出ました。その言い分は、憲法非核原則にもとるのは背信行為だということですが、この非核原則なり憲法を絶対の前提とする人たちにはそうかもしれないけれども、しかし、これに疑念を持つ人もたくさんいるわけで、それは物の考え方の自由の問題ですから、これをこういうふうに一方的にきめつけるということは、私は、日本独得の非常に鎖国的な、閉鎖的な、結局世界から孤立した独善性の一つのあらわれだ、また、見方を変えれば、非常に屈曲したアメリカに対する劣等感のあらわれだという感じがしました。  ヘルムズ自身も言っておりますけれども、日本人が何人か行ってこれをけしかけたところで、けしかけ切れるものじゃありませんし、また、どういう会話がこれから持たれるにしろ、そういった日米間の民間人なりあるいは議員同士の会話があったにしても、それが両国政府間の物の考え方、進め方にもとるにしても、これを一方的に非難して好ましくないと言うことは、私は本来あるべき幅の広い、深い、自由な討論というものの阻害にこそなれ、何の利益ももたらさないと思うのです。  私は、一月から行われるアメリカ公聴会で、どんな証人がどんな証言をし、どういう意見を述べるか知りませんけれども、これが非常にアクティブに持たれて、一応歴史的な転換点に来ている日米関係安保基軸にした日米関係がそういう公聴会を基盤にして進歩し、進展し、より安定したものになっていくことを望みますが、たとえばこういった問題がうわさの域を出なかったとき、総理なり外務大臣が、これは非常にあるべきことではない、もしそうとしたら非常に残念だとかいうことを言われておりますが、これはちょっと考え方が違うのではないか。  これからアメリカで行われる公聴会に、与党の議員が出ていって証言するということはまずないでしょう。それから、政府のオフィシャルが出ていくこともないでしょう。しかし、退官された人あるいは民間の学者その他が、政府考え方、外務省考え方と違う意見を述べることがあると思うし、また、それはあるべきだと思いますし、民間のそういう交流が実は日米関係というものを健全なものにしていくのではないかと私は思います。  そういう点で、これから公聴会日本側の発言も含めて、私はこの公聴会が実りのあるものになることを望みますが、外務大臣、前回の御発言を踏まえて、これから行われるであろうアメリカ公聴会にどのような期待といいましょうか、どのようなお考えを持っていらっしゃるか。私はそこで日本側の発言も十分活発にあるべきだと思いますけれども、いかがお考えでしょう。
  25. 園田直

    園田国務大臣 いまの御発言は二つの問題があると思います。一つは、意見が違っておっても、あるいは対立する意見であっても、聞くべきものはちゃんと聞いて、お互いが理解し合ってこれに対応する道を考える。したがって、議員の方々が行かれる、あるいは民間人が行かれる、そういう場合に、政府意見が違ってもそれはそれで聞くべきものは聞くべきである、これはもう当然そのとおりだと思います。  総理が言いましたのは、この前のアメリカ国会議員の提案に日本外交評論家や国会議員の方が関係しておられるという事実はございません、こう言っただけでありまして、そういうことが、今後違った意見が述べられていかぬという意味ではございません。これは意見が違ってもお互いに聞くべきことで、日本にはとかく自分意見が違うと売国奴、非国民、こう言いますが、これはいけないことだと、あなたと同じように思います。
  26. 石原慎太郎

    石原(慎)委員 最後に、質問じゃございませんけれども、それを聞いて安心いたしました。私は、これからアメリカで開かれる公聴会が本当に幅広い討論をすることを期待しますし、日本の声もそこに反映されることを期待しますが、これをよも間違って背信行為であるという考え方は、やはり開かれた民主主義国家でそういう意見が出るべきではないと思うのです。これに比べましたら、要するに領土権のあいまいだった貝殻島に、どこかの議員がモスクワに行って、向こうへ頼んでソビエトに灯台を建てさせて、それが既成事実になって、そこからはかられて日本の領海を失ったなんという行為の方が、よほど国家に対する、民族に対する背信であると私は思います。  これで質問を終わります。
  27. 奥田敬和

    奥田委員長 井上泉君。
  28. 井上泉

    ○井上(泉)委員 若干の問題を質問いたすわけですが、後にはベテランの土井議員も控えておりますので、私の足らぬところは土井議員に補っていただくものと思って、安心をして幾つ質問をしたいと思います。  私は、日本の国の外交というものは、平和的な手段の中で国と国とのいろいろな問題を解決して、そしてそれによってもたらされた国民の被害を国が救済する、そういうことが大きな仕事ではないか、かように思うわけですが、大臣見解はどうですか。
  29. 園田直

    園田国務大臣 御発言のとおりであると考えます。
  30. 井上泉

    ○井上(泉)委員 恐らく内閣改造があって、あなたが外務大臣のいすを去られるかどうかは知りませんけれども、自民党が内閣を継ぐことは間違いないのじゃないか、こういうふうに考えるわけです。  それで、いま大臣の言われたその時点の中で、この間、はえなわの切断の見舞い金の名目で早期決着を目指す、こういうことが新聞に出ておったわけです。それと、またもう一つは、日昇丸、原潜の衝突でアメリカが全面過失を認めるということで、大臣も一応決着の意向、こういうことを言われておるわけですが、一体、決着というのはどういう意味なのか。日本国民のこれによって受けた被害に対して十分な補償がなされてこそ初めて決着だが、いま補償経過はどうなっておると大臣認識しておるでしょうか。
  31. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 本件の補償の問題につきましては、当委員会でも御報告しておりますように、当事者を代表する弁護士の方とアメリカの海軍の法務部との間で再三話し合いが持たれまして、人命関係について申し上げれば、松野下一等航海士については、すでに補償金が払われております。あと船長につきましては、まだ未解決でございますが、私たちの得ている話では、近く解決するということだと思います。それから、事件に遭われた方に対する慰謝料、この問題についてはまだ話し合いが続いている。  それから、物損でございますが、物損につきましては、まず九月の初旬に船体についての賠償について決着を見まして、引き続き十月に積み荷についての賠償問題が同じく解決したということでございますので、物損については、以上申し上げたとおりすべて解決というふうに承知しております。
  32. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それでは、解決をしてないのは、いま問題がどういう程度までいっておるのか、つまり、乗組員に対する慰謝料その他がどういうところで解決してないと外務省は把握しておるのですか。
  33. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 この点につきましては、再三申し上げておりますように、当事者同士の話し合いでございますので、私たちも細部までは承知してないわけでございます。ただ、慰謝料について相当の話し合いが行われているけれども、まだ解決してないし、いつ解決するかという見通しについても、私たちはまだ承知してないということでございます。ただ、船長さんの方は非常に話し合いが進んで、近く解決と、こういうふうに承知しております。
  34. 井上泉

    ○井上(泉)委員 当事者同士の話し合いだからと言っても、これは何も当事者が好きこのんでやった事故ではないでしょう。つまり、アメリカの原潜によって当て逃げされて沈没をして、いわゆる九死に一生を得て本当に命からがら帰ってきて、そして今日まだ肉体的な疲労といいますか、故障というものを訴えておるその乗組員に対して、当事者同士の話ということではなしに、やはり外交ルートを通じて、日本国民の被災者に対して、あなた、もっと温かい手で、問題が起こってもう半年以上経過するわけですが、これを早く解決しなければならぬ。  被害者が納得のいくような条件というもの、それをお聞きになっておるのですか。被害者はどういう点で話がついてないのか、その点は掌握しておるのですか。
  35. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 もちろん、外務省としてもこの問題については非常に関心を持っております。したがって、当事者同士で話し合いが進んでおりますけれども、私たちとしてはアメリカ側に対して、本件について早急に解決するようにということを再三申し上げているわけでございます。  なぜ決着がついてないかということでございますが、私たち承知している限りにおいては、金額の問題ということでございます。ただ、金額の問題について、これは当事者同士の話し合いでございますので、政府が介入する、政府としてその金額についてこうしろああしろと言う立場にはないのじゃないかというふうに考えておりますが、いずれにしても、本件が長い時間をかけて未解決であるというのは好ましくないということで、側面的に、早く話がつくようにということを随時アメリカ側に話をしておるということでございます。
  36. 井上泉

    ○井上(泉)委員 何か密室の中で行われておるような感じがして、アメリカ側にどの程度の話をし、どうしておるのかさっぱりわからないわけですけれども、被害者のこの乗組員たちがいま問題となされておるのは、向こうから提示をされた見舞い金と称する補償的なものが六百万円何がしであって、その中にはあの遭難当時からの給料も、いろんな経費も差し引いて、弁護料も差し引いてそれで支給というような話まで出てきて、それではあんまりではないか、こんなことでは困る、こう話をすると、今度は弁護士側が開き直って、そんなことなら弁護士としては手を引かしてもらわなければいかぬ、こういうふうな話までされておるわけです。  そこが私は、日本国民アメリカの原潜によってこういう被害を受けたのだから、弁護士がどうこうという問題ではなしに、なぜもっと温かい態度で補償関係についても話し合いをしてやらないのか、こう思って歯がゆくてたまらぬわけですけれども、あなたは痛くもかゆくもない気持ちで、アメリカへ話をしておる、話をしておると、こう言うのでは、いつまでたっても解決はしないし、結局弱い乗組員は、泣き寝入りする以外に道はないのですよ。私はその点からも、外務当局というものが国民の利益を守るためにも、こういうことについてはもっと強く積極的解決についての話し合いをすべきだと思うわけです。やっておる、こう言うのですけれども、まだ全然できてないじゃないですか。  最終的にアメリカにそういうふうな申し入れをしたのは、いつですか。
  37. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 具体的に、一番最近にいつ申し入れたかということについては、私、記憶しておりませんけれども、累次にわたってアメリカ側に督促をしているということは事実でございます。  ただ、委員に御理解願いたいのは、これはやはり金額の問題を含みますので、第三者と申しましては非常に冷たく聞こえるかもしれませんけれども、外務当局がこうしろああしろと言う問題でなくて、せっかく生存者を代表する弁護士の方と向こう側と話をしているので、アメリカ側としても本件を長引かせることは決して日米関係の観点からも好ましくないということですから、できるだけ早く解決してほしい、こういうことを言っておるわけでございます。
  38. 井上泉

    ○井上(泉)委員 これは外務大臣は一応決着の意向ということですが、決着するというのは、やはりこれによる被害者の問題が解決をして初めて決着と言えるわけで、一番被害を受けた者が納得せぬ中でもう政府は決着をしましたと言うようなことは、これはちょっと行き過ぎた見解じゃないか、かように思うわけですが、どうですか、外務大臣
  39. 園田直

    園田国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、こういう事故がなぜ起きたのか、あるいは経過、救助その他についての日米関係外交折衝が一応決着をつけたということで、その際にも、この補償の問題あるいは二度と再びこういうことが起きないようにという条件をつけて私は言ったつもりでございます。
  40. 井上泉

    ○井上(泉)委員 これと相前後して起こったはえなわの切断補償、これについてもいまだに解決をしてなくて、新聞によりますと、八千八百万円で早期決着を目指すということを政府考えておる。そのお金を立てかえてやる。アメリカの原潜に当て逃げされた人たちに対してはそういう立てかえとかなんとかいうことは全然頭の中になしにやるわけで、私は政府が立てかえをすることが悪いということではなしに、立てかえをしてでも早く被害者の救済はすべきだという観点から物を申しておるわけです。もっと政府が、日昇丸でも何でも、こういう被害者に対しては、はえなわで立てかえをしようとする気持ちと同じような措置をとるべきだと私は思うわけですけれども、そういうことはせずに、はえなわの方については政府が立てかえて早期決着を図るという意向のようですが、これは間違いないですか。
  41. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 政府が立てかえないし補償金を払うかどうかという問題については、現在政府部内において協議中であるというふうに私たち承知しております。したがって、幾ら払うのか、いつ払うのかというところまでまだ結論が出ていないというのが現状ではないかと思います。
  42. 井上泉

    ○井上(泉)委員 政府というのは、政府の機関の中でこの交渉はどこが担当しておるのですか。
  43. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 関係している機関としては、水産庁、防衛庁、それから対外折衝の上で外務省ということでございます。したがって、補償金云々については私たちが直接その担当でございませんので、どこの省がということを明確に申し上げる立場にない点については御理解願いたいと思いますが、いずれにしても、政府全体としてそういう考えで検討しているということではないかと思います。
  44. 井上泉

    ○井上(泉)委員 ちょうど年末を控え、正月を迎える、そういう中ではえなわの切断をされた漁民の心情を思う場合には、私は一刻も早く国としては、これに対するアメリカとの交渉が長引けば長引くほど漁民の感情としては切実なものがあると思うので、それに対する立てかえということは当然してしかるべきだと思うわけです。その関係の省が防衛庁あるいは水産庁の関係というわけですけれども、やはり外務省関係しておるわけで、外務大臣としてはどういうお考えですか。
  45. 園田直

    園田国務大臣 この問題は、相手は米、ソ両国でありまして、米国の方は、損害を与えた事実、その費用がわかればこれに応ずる。ソ連の方は、そういう事実はない、こう言うので、ソ連の方に押し返しているところでございます。  米国の方は、そういうことで相当膨大ではありますが資料が米国に送られました。いまのところは主として防衛庁が折衝しているわけでありますが、いまおっしゃいましたように年末のことでもあるから、これが長引いておってはいけないから、何らかの方法で、まだ決まったわけではありません、立てかえという名目でするか、あるいは見舞い金を出すか、何らかの方法でやったらどうだ、こういう意見がいま関係省庁の間で行われているところでありますが、まだまとまらないところでございます。
  46. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そこで、私は、漁業者の立場というものを考えて、まとまらないといいましても、これは今月が終わり、来月新しい内閣が発足し、ごたごたして、年末にまたその処理ができないというようなことでは困るわけですが、一体いつまでにいまの協議中の事項を決着つけるという見通しを持ってやっておられるでしょうか、その点を伺いたい。
  47. 園田直

    園田国務大臣 参議院の行政改革特別委員会でも同様の質問が出まして、総理が、できるだけ年内に何とかできるように関係省庁を督励してやるつもりですという答弁をされたところでございます。
  48. 井上泉

    ○井上(泉)委員 それから、私は、水産庁の方に来ていただいておるわけですが、日本と朝鮮民主主義人民共和国との間における漁業の問題、これは民間協定ということになっておりますけれども、千四百隻から千五百隻の日本の漁船がこの共和国の沖合いで操業をしておるという事実、これはまた関係漁民にとっては生命線とも言うべき漁場であるということについて、水産庁はどういう認識を持っておられるのか、水産庁の見解を承りたいと思います。
  49. 山内静夫

    ○山内政府委員 北朝鮮水域に出漁しているわが国の漁船は、主としてイカつり漁業、マス流し網、マスはえなわ、ベニズワイガニかご漁業でございまして、操業実績は年間いろいろ変動がございますが、隻数にして千五百から二千隻ぐらい、漁獲量は三万トンから四万トン、こういう数字でございます。これら漁業の中でこの水域は非常に大きなウエートを占めているということでございまして、関係漁民にとって重要な水域である、こう理解しているわけでございます。
  50. 井上泉

    ○井上(泉)委員 来年の六月でその民間漁業協定が切れるということになっておるわけですが、これに対して、これは民間の協定であるから民間にお任せをするという姿勢で水産庁はのんきに構え込んでおるのでしょうか。
  51. 山内静夫

    ○山内政府委員 水産庁といたしましては、現在の民間協定による漁業の実績という問題につきまして、比較的友好裏に円滑に推移しておる、こう考えておるわけでございます。  先生指摘のとおり、現在の暫定協定は、来年の六月末、こういうかっこうで期限が来るわけでございます。残念ながらわが国と北朝鮮との間では国交がないわけでございますが、暫定合意の延長問題につきましては、関係業界、政府も水産庁も非常に関心を持っておるわけでございます。わが方としても、いろいろ関係業界に対してアドバイスするとともに、できるだけ早期に継続の交渉に入るようにというぐあいに指導しておるわけでございます。われわれといたしましては、今後この交渉が円滑に進展することを期待しておるわけでございます。
  52. 井上泉

    ○井上(泉)委員 共和国と日本とは外交関係がないということははっきりしておるわけですが、外交関係はないけれども、相手の国は日本に対して、日本の零細な漁民の状態を考えると千四百隻から千五百隻の入漁を認めざるを得ない、こういう配慮によっていわば無償で供与してくれておる、こう言っても何ら差し支えのない現状であるわけです。  私は勉強してないからわからないのですけれども、別に入漁料とかなんとかいうようなものは払ってないでしょう、どうでしょう。
  53. 山内静夫

    ○山内政府委員 入漁料は現在払っておりません。
  54. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そういう入漁料も払ってない、もう向こうの全くの善意の中にこの日朝の漁業協定というものが成り立ってやられておる。これがなくなると困るわけです。この協定を結んだ趣旨は、日朝両国の親善友好を促進するために結ばれたということがはっきり明記をされておるわけです。日朝両国人民間の親善と平等互恵、相互主義の原則に基づいて、とうたっておるわけです。  ところが、水産庁当局としてはそういう状態に対して、これは水産庁は関係がないからと言えばそれまでですけれども、いわゆる友好促進、平等互恵という形で北朝鮮側と何らか接触をしたことがあるのかどうか。
  55. 山内静夫

    ○山内政府委員 北朝鮮政府と水産庁がじかに交渉したことはございませんが、日朝漁業協議会関係の皆さん方が交渉に行く場合、あるいは帰りましていろいろ報告を受けた場合、これからどうしたらいいかという相談事には絶えずあずかっているわけでございます。したがいまして、交渉自体等につきましては政府は出ておりませんが、いろいろ御相談にあずかっている、このような実態でございます。
  56. 井上泉

    ○井上(泉)委員 外務省は、暫定といいながらもこういう協定が存在することは承知をしておるでしょうか。
  57. 木内昭胤

    ○木内政府委員 承知いたしております。
  58. 井上泉

    ○井上(泉)委員 承知をしておれば、この協定の趣旨、つまり日朝両国の友好親善ということについて、外務省としては具体的な行動をとったのかどうか。
  59. 木内昭胤

    ○木内政府委員 ただいま申された文言が暫定合意書にうたわれておることは承知いたしております。しかしながら、この問題は北朝鮮の民間と日本側民間当事者の問題でございまして、私ども政府としては、関心を持っておりますけれども、これを直接応援できない立場にあることは先生承知のとおりでございます。
  60. 井上泉

    ○井上(泉)委員 この協定を共和国の方が、もう民間の協定はだめですよ、政府間の協定でなければだめですよということになった場合に、外務省としてはそれを受け入れて話をする用意があるのかどうか。これは政治的な判断が必要だと思うので、外務大臣にその見解を承りたいと思います。
  61. 木内昭胤

    ○木内政府委員 政府といたしましては、従前どおり、民間の当事者がこの暫定合意書の延長を図られることを希望いたしておる次第でございます。
  62. 井上泉

    ○井上(泉)委員 政府としては、朝鮮民主主義人民共和国との国交というようなことについて消極的な姿勢であるから、そういう話が出てくると思うわけですが、これは大臣も政治家として、やはりそういうような考えですか。
  63. 園田直

    園田国務大臣 民間の協定がさらに話し合いを続けられて延長されることを期待するものではありますが、政府はただいま北朝鮮と外交を持っておりませんので、政府自体が交渉する立場にはございません。
  64. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そういう北朝鮮——これは略称で北朝鮮と言いますが、北朝鮮との間に外交関係がないからというふうな中で、北朝鮮側からはこういういろんな恩恵を与えてきておる。日本は北朝鮮側に、これに類似する経済的な便益を供与しておるでしょうか。
  65. 木内昭胤

    ○木内政府委員 通商交易の分野につきまして、政府間の取り決めはもちろんございませんし、政府が関与した意味での便益というものはございません。
  66. 井上泉

    ○井上(泉)委員 そういう両国の関係の中にあって、この間、総理が国会の行革のなにで、日本人妻が帰ることに北朝鮮側が応じない、このことはまことに遺憾だというふうなことを答弁をしておるわけですけれども、そういうことは、日本と北朝鮮との友好関係の上で、これだけ共和国の方は日本にいろいろな、千五百隻といえば千五百人の漁師以上ですよ。三千人あるいは二万人の命がかかっておるような、そういうものを無償で提供しておる。そういう相手国に対して、一つの事例をとらえて、まことに態度が悪い、遺憾じゃ、こういうことを一国の総理大臣が言うのはちょっと行き過ぎじゃないか、こういうふうに思うわけです。その辺を、行き過ぎだと思うかどうかということを外務大臣に問うても、どうとも答えられないだろう、こう思うわけですけれども、朝鮮民主主義人民共和国との間の関係をもっと緊密にする意思はないのかどうか、外務大臣見解を承りたいと思います。
  67. 園田直

    園田国務大臣 しばしば申し上げておりますとおり、文化その他の問題で、できるものから話し合いをしていくという気持ちはございます。
  68. 井上泉

    ○井上(泉)委員 気持ちはあっても実行しなければ、その気持ちというものは何にもならないわけです。  そこで、きょうの新聞だったと思うが、極東有事の際の日米共同研究ということで、朝鮮半島の紛争想定というようなことがアメリカのドネリー司令官の談話の中でいろいろ出ておるわけです。大臣もこの間、日韓閣僚会議韓国へ行って大変な接待を受け、板門店へも来られた。私どもはその前日に板門店へ行ったわけですが、共和国の方に脅威が存在をするとお考えになったでしょうか。
  69. 園田直

    園田国務大臣 北の方からの脅威があると主張しているのは韓国の主張でありまして、これに対してわが方は何らコメントはいたしておりません。ただ、南と北の緊張は厳しい、こういうことに同意をしただけであります。
  70. 井上泉

    ○井上(泉)委員 その南と北との緊張が厳しいというのは、私は何を根拠にそういうことを言っておるのか不可解千万です。現に朝鮮民主主義人民共和国の方は、国づくりの中で非常な奮闘をしておる。そのことは、外務大臣向こうへ二回も行かれて、向こうの現状をよく知っておる。私どもも大臣が行かれたその前に板門店の方からずっと行ったわけですが、ああいう平和な国づくりにいそしんでおる国が、一体どこに侵略するとかあるいは緊張を激化するような要素があると考えるのか。これは、韓国側の宣伝の中に日本が頭を突っ込んでおる。ということは、共和国と日本との間には外交関係がないから、そういうことがそのまま伝わってくる。現に朝鮮で操業をしておる日本の漁船の人たちは、しけが来るといえば元山の港へすぐ避難してきなさいよ、この港へ避難してきなさいよ、こう言われて、朝鮮側のありがたい好意に感謝しておる、そういう話を直接私は聞いたわけであります。北からの脅威があると韓国が言っておるが、緊張状態があるという考え方の根拠というものは一体どこにあるのか、その点を大臣が持っておるとするなら聞かせていただきたいと私は思います。
  71. 木内昭胤

    ○木内政府委員 御承知のように、軍事境界線を隔てまして双方百万の軍隊が対峙しておりまして、過去にもいろいろな紛争、トラブルがあったということをもちまして、私ども遺憾ながら厳しい緊張状態があるというふうに判断いたしておるわけでございます。しかしながら、他方におきましては、必ずしも成就いたしておりませんけれども、南北対話への呼びかけの提案もございまして、そのような努力が実ることを他方におきまして期待しておるものでございます。
  72. 井上泉

    ○井上(泉)委員 百万の軍隊が双方で対峙しておると言っても、一遍アジア局長も個人の資格ででも共和国の方へ入っていったらよく理解できる、こういうふうに思うわけです。大臣も靖国へお参りするときには個人の資格でお参りするから、ひとつ個人の資格で朝鮮へ行かれたらどうですか、大臣。  それはそれといたしまして、今度は防衛局長に。いま大臣が言われるような緊張状態が存在をする、アジア局長が答弁をしたように緊張状態が存在をするということ、さらにはアメリカのドネリー司令官が言ったように、朝鮮半島の紛争を想定して、極東有事の際の日米共同研究をやろう、こういうようなことが言われておるわけですが、防衛庁の方もそう考えておるのですか。
  73. 塩田章

    ○塩田政府委員 軍事的緊張が存在しておるということは、木内局長の答えられたとおりであると私も思います。  ただ、後で先生が、極東有事の研究で朝鮮半島の事態を想定してとおっしゃいましたけれども、ガイドライン第三項に基づく研究は、極東有事の事態の米軍に対する便宜供与の研究ということで近く取りかかりたい、進めていきたいというようなつもりでおるわけでございますけれども、別に朝鮮半島に有事が発生したという想定ということではございませんで、極東有事の際の米軍が出動じた場合の米軍に対する便宜供与のあり方というガイドライン三項に基づく研究のことでございます。
  74. 井上泉

    ○井上(泉)委員 行革で増員が非常に困難なときに、防衛庁は九百九十六人の増員をきのう国会へ提案されてきておるわけでありますし、そういう点からも軍事だけが膨脹していく中で、日本の平和というものを軍事に頼って守っていこうとする意識は、防衛庁はもちろんのことですけれども、外務大臣にも多分に存在をしておるのじゃないか、こういうふうに思うわけですが、大臣、どうですか。
  75. 園田直

    園田国務大臣 先ほどから申し上げましたとおり、三十八度線で両国の軍隊が対峙している事実を、緊張の状態、こういう表現をしておるわけでございます。したがいまして、この両方の対立に日本がとやかく言うべき筋合いではないと存じます。
  76. 井上泉

    ○井上(泉)委員 時間がだんだんなくなったので、また後で質問をしたいと思いますけれども、さっきの石原先生質問は、日米安保条約についていろいろと補強意見を言われたわけです。日本外交姿勢というものが日米関係基軸とする、あるいは日米安全保障条約基軸とする、こういうことをよく言われておるわけですけれども、一体なぜ日本外交アメリカ基軸としてやらねばならぬのか。なぜ日本外交日米安保条約基軸とした関係の中でやらねばいかぬのか。そのことのために日本はたくさんの軍事予算を計上せねばならぬような圧力がかかってきて、そこで軍事予算だけはふくらみにふくらんでいく。きのうも一千人に近い自衛隊員の増員が提案をされてきているわけです。  これは古い話でありますけれども、岸内閣の外交姿勢の中で三原則を打ち出しておる。その三原則は、国連中心ということ、自由諸国との協調ということ、アジアの一員としての日本ということを位置づけてやらねばならぬ。その中には、安全保障非常任理事国としての日本というものを考えてというようなことでいろいろ言っておるけれども、アジア外交ということがむしろ日米関係よりももっと日本外交の基調でなければならない、かように思うわけですが、大臣はどうお考えになっておるのですか。
  77. 園田直

    園田国務大臣 岸総理の時代の三原則、国連中心、アジア外交、そして自由主義という三つの原則は、いまも当然そのままであるわけでありまして、この三つの関連の中に日米安保があり、アジア外交があり、国連外交があると考えております。
  78. 井上泉

    ○井上(泉)委員 日本外交は岸内閣が打ち出した三つの原則をもとにして、こういうお話でありますけれども、これも岸内閣の外交方針から、あるいはその後、大平内閣、あるいはまた八十七国会におけるあなたの外交演説にいたしましても、「日米安保体制を基礎とした米国との友好協力関係は、わが国外交基軸」こういうことになっておるが、なぜわが国外交基軸であるのか、このことについて国民はだれしも納得をしないのじゃないか。  安保条約にわれわれが反対したときに、安保条約があるから、日本が軍事予算をそんなに組まなくても、日本は軍備を増大せずとも決して心配がない、アメリカが守ってくれるから、こういうふうなことで国民に盛んに宣伝をしたわけです。ところが、今日は、安保があるがために日本に対していろいろな要求が出されてきておる。この事実を大臣はどうお考えになって、日米関係わが国外交基軸考えておるのか、その点をひとつ国民にわかるように説明していただきたいと思います。
  79. 園田直

    園田国務大臣 今日の厳しい国際情勢の中で、非武装中立という哲学なら別でありますけれども、現実に即して日本を守っていこうとするならば、日米安保がなければもっともっと軍事予算は要っただろうと私は考えております。
  80. 井上泉

    ○井上(泉)委員 これはよって立つ思想の違いと言えばそれまでですけれども、少なくとも今日、日本日米安保条約のおかげで、原潜の当て逃げもアメリカの言いなり、はえなわの切り逃げ事件もアメリカの言いなりになって、ちっとも解決をしようとしない、こういうことから考えてみますと、むしろ安保条約は早期に廃棄すべきである、そのことを私は強く主張するものであります。  時間が参りましたので終わりますけれども、ひとつ大臣、そういう蒙を開いてもらいたいと思います。
  81. 奥田敬和

  82. 土井たか子

    ○土井委員 まず、外務大臣に確認という意味を含めてお尋ねをしたいのですが、去る十月十五日に当外務委員会が開かれました。その節、私が質問の最後の方で外務大臣お尋ねをしたことにお答えをいただいて、外務大臣答弁として、「憲法、武器輸出三原則国会の決議」「これに抵触しないように、どういう技術交流の要求があるのか、それによって検討すべきことで、主として通産省が所管で、われわれも意見を述べるわけでありますが、しかしいまおっしゃいましたように、憲法や三原則国会決議には抵触しないということは前提でございます。」と、こう明確にお答えになっているのです。園田外務大臣はその御見解がころころ変わる大臣では断じてないということを私どもは確信いたしておりますので、このことを再度ここで確認することも不必要かと思いますが、本日は、この後非常に大切な問題についての質疑をさせていただくということで、この点の確認を先にさせていただきたいと思います。これはこのとおりですね。
  83. 園田直

    園田国務大臣 土井先生からいつも同じ質問で確認をされるので、外務大臣はいつも答弁が変わる、こう言われておるわけでありますが、変わりはございません。
  84. 土井たか子

    ○土井委員 しかし、それはいま異なことをおっしゃいましたね。私が確認をするたびに外務大臣意見が変るというような風評は、まさにおかしな風評でありまして、確認をしてお変わりにならなければ、それくらいはっきりしていることはないじゃありませんか。大臣、ちょっとおかしいですよ。しっかりお願いします。  それで、ここの中でずっと私が尋ねてまいりましたら、いま申し上げた部分でも、大臣がお答えになっている中身で、「どういう技術交流の要求があるのか、それによって検討すべきことで」こういうことをおっしゃっておりますし、それに先立つ答弁の部分でも、「米国から具体的な要求は来ておりませんので、一般的な技術交流だけでございますから、具体的な問題が出てくれば」云々ということがございますが、その後、アメリカ側から具体的な要求が出てまいりましたのですか、いかがでございますか。
  85. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 私の承知している限りで、具体的、個別的な要求は出てないと思います。
  86. 土井たか子

    ○土井委員 具体的な個別的要求は出てこない、わかりました。  ところが、同じくその十月十五日の外務大臣御答弁の中で、武器輸出三原則日米安保条約との関係政府内でいま見解を取りまとめつつあるという答弁が大臣が海外御出張中に別の委員会であったことに対して、答弁があったようだというふうなことをお答えになって、「その後だんだん検討しながらただいま関係各省庁と検討中でございます」ということをそこでお述べになっているのですが、関係各省庁というと外務省、通産省、防衛庁ということに相なるかと思いますが、このとおりでよろしゅうございますか。
  87. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 関係省庁というのは、そういうことでいいかと思います。
  88. 土井たか子

    ○土井委員 そこで、日米装備技術定期協議というのがございますね。一回、二回とすでに行われているようでありますが、一回目はいつ、二回目はいつ行われたのでございますか。
  89. 和田裕

    ○和田(裕)政府委員 お答えを申し上げます。  第一回目の装備技術定期協議は、昨年の九月の上句でございます。これはワシントンで行われました。第二回目が昨年の十二月十日、東京でございます。それから第三回目はこれから行う、こういうことになるかと思っております。
  90. 土井たか子

    ○土井委員 一回、二回、この協議の中で日本側の担当者はどなたなんですか。アメリカ側の担当はどこなんですか。
  91. 和田裕

    ○和田(裕)政府委員 日本側の担当といいますか、代表は、防衛庁の装備局長、私が行いました。アメリカの方は、アメリカの国防省の装備技術等を担当しております次官補代理のガーバー博士という方でございました。
  92. 土井たか子

    ○土井委員 そこで、けさの日経新聞を見ますと、これがまさに国民が読んでみて驚きあきれると同時に、その次には憤りを感ずる国民がたくさんあったに違いないと思うのですが、「「対米武器輸出」政府見解」の全文なるものが載っております。私は、新聞記事ですからまさかうそじゃないと思いますが、こういうものは本当にあるのでしょうね。いかがですか。
  93. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 当委員会でも従来から御答弁しておりますように、アメリカ側が求めているのは従来の一方的な武器技術の流れを両面交通にしたいということでございまして、その点について私たちは、一方で国会における決議、それから武器禁輸三原則あるいは政府統一見解というのがございます。他方において日米安保条約あるいは日米防衛協定というのがあるわけでございます。その点について、現在私たちの部内において内々事務的に検討しております。いま土井委員お尋ねに対する直接的な答えとして、そういう事務的な考え一つ考え方というものがいまお示しになったことではないかと思います。
  94. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、否定なさらないのだから、これは事実ある。一つ考え方であろうが、二つの考え方であろうが、こういうことの考えを練って、少なくともさっき確認をしたとおり、外務、通産、防衛関係各省庁でこういう案を持っている、これだけは確認できます、そのとおりなんですね、否定されないのだから。そのとおりでしょう。
  95. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 従来から他の委員会でも、この問題はなぜじんぜんと時間をかけているのだという御質問もございました。他方、私たちとしても、この問題を手がけてから相当の時間がたっているということで、外務省においては主として条約あるいは協定との関係について検討しているわけでございます。関係省庁である防衛庁については、外務省考え方というものについて内々相談をしているというのが現状でございます。
  96. 土井たか子

    ○土井委員 淺尾局長、いろいろ言いわけみたいなことはやめてください。今回のこの中身を見ると、技術供与の問題じゃないのですよ。汎用品の問題じゃないのですよ。武器輸出の問題ですね。飛び越えていっちゃっている中身なんです。しかも、中身は読めば読むほどこれは大変なこと。いつまで時間がかかるのかというふうな声も委員会の審議の中であったとおっしゃるけれども、早く結論を出しても、とんでもない結論だったらこれは取り返しがつかないですよ。  お尋ねをさらに進めますけれども、定期協議三回目というのはいつ行われるのですか。
  97. 和田裕

    ○和田(裕)政府委員 三回目につきましては、実は私のカウンターパート、向こう側の相手方になります国防省の次官補代理の方が、ごく最近御着任になったということもございまして、向こう側からの意向もよく徴しまして、それから決定したい、そういうふうに思っておりまして、いまの段階では全く未定でございます。
  98. 土井たか子

    ○土井委員 そうですか。十二月ごろというのが内々で話が進んでいるのじゃないですか。
  99. 和田裕

    ○和田(裕)政府委員 十二月ごろということで相談していることはございませんけれども、国会中はもちろんできませんので、仮に冬にやるということになりますと、十二月か一月ごろにやるということは一つのやり得る幅としてはあり得ると思いますが、しかし、十二月にやるということで話をしているということはございません。
  100. 土井たか子

    ○土井委員 これは恐らくこの政府見解の全文の中身というのをただいまの臨時国会中に公表するということになると、国会審議の上にも大変影響が多大なものが出てまいります。少なくとも、いまの行革国会はうまくいきませんよ。野党側からの反発は言うまでもない。社会党だけの話じゃないです。そうなると、何のために臨時国会を開き、いままで行革の審議をやってきたか、全部パアですよ。そういうこともおもんぱかって、少なくとも第三回の定期協議の席に持って出るべくこれが用意されておる。国会が終わるや否やこれを問題にしようという魂胆で用意をされてきたのではないかと勘ぐっている向きが非常に多い。私はこれは恐らく当たっているだろうと見ているのです。  お尋ねしますが、この意見というのは、それぞれ外務省も通産省もこのとおりでまことに結構だという全文の中身なんですか。
  101. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 まず、私から答弁させていただきます。  先ほど申し上げましたように、これはあくまでも一つ考え方でございまして、政府部内でまだまとまった見解というものはございません。
  102. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、外務省としてはどう考えておられますか。一つ見解、しかし、外務省としてはどう思う、というところがあるでしょう。
  103. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 御答弁が繰り返しになって恐縮でございますけれども、私たちの分野というものは、あくまで安保条約あるいは相互防衛援助協定との関連でどういうふうに考えたらいいのかということでございます。そういう関連でいま考え方を固めているのが現状でございます。
  104. 土井たか子

    ○土井委員 いまの御答弁は、外務省自身の具体的に何をしているかということについての説明に尽きている。全文内容についてどういうふうに理解をし、どういうふうに外務省自身は考えておられるかということについて、何にも触れられないじゃないですか、どうなんです。これは新聞に出て、いまこういうものが考え方としてあるということを否定なさらなかったのだから、淺尾さん、これについては外務省としてどう思うか言ってもらわぬと困りますよ。どうですか。
  105. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 再三同じような御答弁になりますけれども、先ほど申し上げましたように、まだ一つ考え方でございます。したがいまして、外務省としてどうかという御質問でございますが、これで将来防衛ができるのかどうかということもまた別の問題でございますので、ここでこれ以上この考え方について肯定あるいは否定ということを申し上げることは、将来の御答弁あるいは御質問に対してミスリードということになるかと思うので、それ以上の点については私がここで御答弁するのは控えさせていただきたいと思います。
  106. 土井たか子

    ○土井委員 外務大臣、これはミスリードと非常に気にかけて、意を尽くして心遣いのある御答弁になっているのですが、外務省も一緒に入ってこういうことに対しての検討を進められているのでしょう。だから、外務、通産、防衛ですねと先ほどから私は言っているのです。中に入って作業を進められた政府見解の全文がきょう出ている。こういうことはまさかうそだとは思わないがと言ったら、この存在を否定されてないのです。ならば、外務省も中に入って作業を進められているという立場ではありませんか。どう考えられているかということぐらいははっきりしてもらわぬと困りますよ。非常に重大な中身です。外務大臣、いかがでございますか。
  107. 園田直

    園田国務大臣 いま言われております案というものは、政府の案ではございません。また、外務省の最終案でもなくて、外務省で検討している経過でございます。一案でございます。
  108. 土井たか子

    ○土井委員 したがいまして、こういう考えの上に外務省も立っているということを、そうすると側面から肯定されている御答弁になるわけですか。通産省も同じくそういう考えでこの全文に臨んでおられるのですね。
  109. 広海正光

    ○広海説明員 当省といたしましては、基本的には米国につきましても武器輸出三原則及び政府統一方針に基づき対処するという考えでございます。  ただ、対米関係につきましては、日米安保条約等との関係もございますので、この点につき目下外務省等において検討中というふうに了解しておりますけれども、まだ最終的な結論が出たというふうには聞いておりません。  御指摘のいわゆる基本見解でございますけれども、このような考え方につきましては、いままでのところ、どこからも説明を受けておりませんし、わが省としても検討をしておりません。したがいまして、この考え方につきまして通産省としての考えを申し述べる状況にございませんけれども、いずれにいたしましても、武器輸出三原則及び政府統一方針を十分に踏まえまして慎重に検討をする必要があるというふうに考えております。
  110. 土井たか子

    ○土井委員 さあさあさあ、大変これは含みのある話になってきました。外務、通産、防衛、それぞれ全く意見が一致した上でのこれは中身じゃなさそうですね。大分ニュアンスの上でずれが出ています。  安保条約との兼ね合いがあるので、その点は外務省にいろいろと検討を進めていただいているということであり、まだ説明を聞かされてないと、こうですが、しかし、さっき外務省に対して私がお尋ねした限りでは、大体この政府見解の全文に対して外務省自身は否定も肯定もされないけれども、一つの案であるということを言いながら、あえて否定をされてないところは私は問題だと思うのです。というのは、武器輸出はそもそも三原則、統一方針が取り扱っている武器輸出とは次元の異なるものであると、こう書いてある。なぜこれは次元が異なるのですか。ここで次元の異なるということを言われている根拠になるものは何なんですか。この全文、それは関与なすっているから、私は一々その部分をこの新聞記事に従って読みませんけれども、おわかりになるはずだと思う。外務省、どうです。
  111. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 先ほど来申し上げておりますように、これはいわゆる一つ考え方でございますので、いまお尋ねの件についてコメントするのは妥当ではないかと思いますけれども、ただ、考え方として、片方に武器禁輸三原則あるいは統一見解がある。私たちとしても、これは基本的にはアメリカにも適用されるという考えでございます。ただ、他方において日米安保条約あるいは相互防衛援助協定というものがある。そこで、その安保条約なり協定なりとの関連とこの統一見解あるいは国会決議というものをどういうふうにして考えていったらいいのかということでございまして、他方のさっきも申し上げました政府の統一見解なり禁輸三原則というのは政策でございます。もう一つの方はいわゆる条約あるいは協定ということでございまして、そういう意味では次元が異なるということが言えるのではないかと思います。
  112. 土井たか子

    ○土井委員 淺尾さん、いま安保条約安保条約と言われているけれども、安保条約でも条約の条文がいろいろありますよ。何条を根拠に考えられるのですか。先日は、MDAの一条、これは条文としては義務規定じゃない、地位協定の十二条一項、条文としては義務規定じゃない、したがって、万事この問題に対しては政治判断にかかるということを当委員会で確認しているのですが、新たに今度は安保条約と言われ始めているのです。安保条約の第何条が問題なんですか。
  113. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 安保条約三条が「締約国は、個別的に及び相互に協力して、継続的かつ効果的な自助及び相互援助により、武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を」云々ということが書いてございまして、私が申し上げたいのは、すでに当委員会でも申し上げたように、個別的、具体的な件について日本側は権利義務を負っていない、しかし、こういう三条あるいは協定というものを考えれば、一般的に考えた場合に、それをすべて日本側が相互性という観点から考えて武器、技術の交流というものを否定することができるのかどうかという点がいま一つの検討の課題ということでございます。
  114. 土井たか子

    ○土井委員 淺尾さん、いま三条を根拠に挙げられましたが、いまの三条についての紹介の仕方は作為的ですよ。云々のところに何が隠れているか。いま文言を読みながら云々と言ってしまわれた部分、これは三条を読む場合に見落としてはならぬポイントですよ。云々と言われている部分は、「憲法上の規定に従うことを条件として、維持し発展させる。」と書いてあるのです。あなた、この点を軽く見たら大変なことですよ。憲法尊重擁護の義務があなたにあるのです。あなた自身の職務遂行から言うともってのほかですよ、そういう態度というのは。
  115. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 いま実は時間の節約上あとのことを落としたわけでございまして、「憲法上」云々、もちろんそれは私も十分承知しております。
  116. 土井たか子

    ○土井委員 そんな時間の節約云々の問題じゃないでしょう。時間があろうがなかろうが、こういうのは基本問題ですよ。あなたの姿勢そのものの問題だ。時間がなくとも、大事なポイントについては外してはならない。作為的だとしか私は言いようがない。そういうことが一つ一つ今回のこの共同作業として書かれている全文の中にも出ているじゃないですか。  さて、その安保条約第三条は義務規定じゃありませんね、いかがです。
  117. 栗山尚一

    栗山政府委員 お答え申し上げます。  三条が義務規定かどうかという御質問でございますが、ここの三条に書いてございます「個別的に及び相互に協力して、継続的かつ効果的な自助及び相互援助により、武力攻撃に抵抗するそれぞれの能力を、憲法上の規定に従うことを条件として、維持し発展させる。」ということは、こういう内容の一般的な協力義務というものはこの三条によって定められておるということだろうと思います。
  118. 土井たか子

    ○土井委員 あなたは外務省のお役人ですね。外務省が出した文書に対してはきちっと勉強して、忠実に御存じのはずだと思うのです。この安保条約を審議することに対して外務省が出された「新しい日米間の相互協力・安全保障条約」、三十五年七月という日付で出ているコンメンタールですが、三条のところでは、「どれだけ」という「具体的な義務を負っているわけではない。」「結局それぞれの国が自主的に決定すべきことである。」とちゃんと書いてあるのです。義務規定じゃないと言っていますよ。
  119. 栗山尚一

    栗山政府委員 私もいま先生指摘のものは承知しております。沿革的には、土井先生よく御承知のとおりに、第三条というのはいわゆるアメリカ上院のバンデンバーグ決議というものがございまして、その趣旨を盛り込むということで規定されたものでございまして、その一つの焦点は、三条の趣旨というのはわが国自衛力増強の自助努力というものを定めたものでございまして、これは累次安保国会のときから御説明してありますとおりに、具体的に日本防衛力をどれだけ増強しなければいけないか、そういう具体的な義務を決めたものではないということは、まさに土井先生指摘のとおりでございます。ただ、一般的にわが国といたしまして自分自分の国を守るというだけの努力をしなければいけないということが、まさに三条の前提になっておるということでございます。
  120. 土井たか子

    ○土井委員 ただしかし、いま言われたそのことからして、アメリカから言われることに対して、日本としてはそれを受けてそのとおりになるという義務はどこにもないのです。いまの問題に対して、必ずアメリカとの間でアメリカ側からの要求に従って話を決めなければならないという義務はどこにもないのです。アメリカ側にもそういう権利はないのです。ただ、この条文で義務というならば、「憲法上の規定に従うことを条件として」というのは、これ自身まさに義務ですよ。憲法上の規定に従って日本としては考えなければならない、これが義務なんです。  さあ、そこで、園田外務大臣に申し上げたいと思うのですが、五月二十九日に私は、国是ということに対して内閣総理大臣に対しての質問をいたしました節、あわせて園田外務大臣からも御答弁をいただいておるのですが、「国是という言葉、われわれ古い人間はよく国是ということを使ったのですが、国是というのは、私は、国民世論に支持されておる重要な政策である、基本的な政策である、こういう意味に国是というものを解しておる」このように総理が答えられて、そして重ねて私は、その国是について少しでもこの中身がゆがめられるような場合については国民に信を問うというのが当然だと思われるがどうかと言うと、園田外務大臣は、「その点は私もそのように思います。」と明確に答えられているのです。  いま、武器輸出三原則国会決議があります。これは国是ですよ。よって来るべきところはどこかと言ったら、日本憲法第九条です。第九条なかりせば、恐らく武器輸出三原則というのは国是になり得なかったであろう。このことを無視して、いまアメリカとの間で武器輸出の問題に対して云々するわけにはいかないはずなんです、安保条約第三条からすれば。どのようにお考えになりますか、外務大臣。これは政治問題ですよ。
  121. 園田直

    園田国務大臣 いまの問題、しばしばお答えをしておるところでありますが、第三条は具体的、制度的に義務づけられたものでないということは、私は数回にわたって答弁をいたしております。  そこで、いまおっしゃいました憲法の規定に従いながら、その間に日米の特殊関係でどのようにやるか、こういうことが本問題の処理の重点でございます、こういうふうに答えてきましたが、いまもそのとおりに考えております。
  122. 土井たか子

    ○土井委員 日米関係が大変大事だということは、私も百も承知いたしておりますし、そして、そのことに対してはそのように考えておりますけれども、しかし、そうだからといって日本憲法を曲げるわけにはいかないのです。憲法に従って、それを条件とするというこの第三条を考えた場合に、この安保条約憲法を曲げるわけにはいかないのです。そういう姿勢からすると、この安保条約三条からすれば、先ほどの政府統一見解にしろ、国会決議にしろ、武器輸出三原則とは別次元の問題で、アメリカとの間に幾ら武器輸出があってもよろしいなんということは許されてしかるべき問題じゃないと思いますけれども、外務大臣、どのようにお考えになりますか。
  123. 園田直

    園田国務大臣 しばしば答弁した方針に従い、関係各省庁と検討するところでございます。
  124. 土井たか子

    ○土井委員 したがって、きょう出たこの政府見解の全文なるものに対しては、このとおりを外務省としてはお考えになっていらっしゃらない、このように受けとめてよろしゅうございますか、外務大臣
  125. 園田直

    園田国務大臣 いま出ておるものは、外務省の最終決定案ではございません。
  126. 土井たか子

    ○土井委員 最終決定案ではないということと同時に、しかしながら、仮定でこういうものを一案だといってお考えになっているということ自身が問題なんです。きょうの外務大臣の御答弁をさらに生かして、そうすると、外務省としては最終決定案に向かうに際して、武器輸出三原則、平和憲法、この存在というものを前提としてこの問題に臨むということはどこまでもお約束なさいますね。いかがですか。
  127. 園田直

    園田国務大臣 いま出ております案は事務当局の一案でありまして、今後、いま申し上げましたような方針に従い、これをさらに検討してまいります。
  128. 土井たか子

    ○土井委員 事務当局の一案だから、つまり、これ自身は政治判断ではない。政治判断なさるのは言うまでもなく大臣ですから、そういうことからすれば、大臣大臣として、いまお答えどおりのことをしっかり、平和憲法と武器輸出三原則というものを前提にして、これを大切にして取り扱いを考える、大変繰り返しになりますけれども、そのようにわれわれは理解しておいて間違いはございませんね。
  129. 園田直

    園田国務大臣 たびたび答弁申し上げましたとおり、憲法、三原則、こういうものを考えながら検討、処理をしてまいります。
  130. 土井たか子

    ○土井委員 時間の方が気になるのですが、少し私はここで、防衛庁も通産も御出席ですから、はっきりさせたい問題がある。MDAの一条の内容は義務ではない。ところが、このMDAの一条に従って細目取り決めを取り交わしてしまえば、日米間相互において細目取り決めの合意内容については権利義務関係が生ずるというふうに理解されているのかどうか、いかがなんですか。
  131. 和田裕

    ○和田(裕)政府委員 防衛庁という御指名でございますので、私から答弁させていただきます。  先ほど来外務省の方からお話がありますように、対米技術供与と安保条約等との関連につきましては、現在三省庁間で話し合いを進めるという段階になっておりますので、私どもの方からそれが固まる前にそれについていろいろ論評することは差し控えさせていただきたい、そういうふうに思っております。
  132. 土井たか子

    ○土井委員 あなた、何をおっしゃっているのですか。それが固まる前にって、すでにあるのじゃないですか、細目取り決めというのが。これからの問題じゃないですよ。すでにありますよ。何を聞いていらっしゃるのです。
  133. 和田裕

    ○和田(裕)政府委員 細目取り決めといいましてもいろいろあるかと思うのでございますが、その個別の問題につきまして、具体的に武器輸出三原則関係する事案ができました際に、私どもとしては考えさせていただきたい、そのように考えております。
  134. 土井たか子

    ○土井委員 わけのわからぬ答弁をなさいますね。それが三原則と抵触するかしないかはだれが判断するのですか。これは先日この細目の取り決めが結ばれていることに対して資料要求をすれば、外務省からは、防衛庁アメリカ側の国防総省との当局間のいわば細目の取り決めが結ばれているけれども、日米間で不公表扱いということですから、具体的な文書は提出することはできないということを従来防衛庁の方から申し上げておる次第でございますと言って、これは防衛庁なんです。一体抵触するかしないかというのは、これはだれが判断するのですか。
  135. 和田裕

    ○和田(裕)政府委員 二つございまして、政府所有の技術の場合と、それから民間に属する技術の場合がございますが、防衛庁関係いたします場合は、恐らく土井先生は、資料交換取り決めにうたっておりますところの技術資料、技術情報のことを言われているのではないかと思います。これは防衛庁が持っております技術情報、技術資料ということでございますので、その関係をお話しするわけでございますが、それにつきまして私どもも、その運用をするに当たりましては、関係いたします武器輸出三原則及びその統一見解、それからことしの国会で通りましたところの国会決議等を念頭に置いてやっております。
  136. 土井たか子

    ○土井委員 局長、あなた自身がいまの武器輸出三原則なんというものはそこのけで問題をいつも展開されておっしゃっているんですよ。通産や外務と協議した上でアメリカに行ったとおっしゃるけれども、あの九月二十四日の防衛庁での記者会見の席で、民間用として開発された技術で軍事目的に転用可能な汎用の技術については武器輸出三原則制約なしに対米提供できるとおっしゃっているのは、あなたなんです。武器輸出三原則というものはどこにひっかかってくるのですか。そんなものに関係なしに何でもできるとおっしゃっているのは、あなたじゃないですか。  そうして、しかもこの中で、細目取り決めの中身というのは全部秘密だから外に出せない。国民は全くこのことに対して知る機会なんというものは奪われて何もないのです。国是というのは国民の信託にこたえた重要な国の政策だということを、外務大臣もお認めになっている。総理大臣もお認めになっている。これで国民の信託にこたえますか。一局長ごときがこういう問題に対してしんしゃくすべき問題でない。要は政治判断ですよ。あなた、にやにや笑っているが、この問題は政治判断だということを、先日来審議を重ねる中で外務大臣も明確に答弁されている。  非常に大事な部分についてこれを秘密事項扱いし、アメリカとの間での取り決めがあるからというのが理由でありますけれども、しかし、少なくともこのMDAの三条からすれば、「この協定に基く活動について公衆に周知させるため、秘密保持と予盾しない適当な措置を執るものとする。」大変意を使っている点があるのです。しかも、このMDA自身も、日本憲法の規定に従ってMDAという協定を実施するということも決めている。日本憲法では、国民は知る権利がある。条文の個所にそれが明確に書いてある。この点からすると、この細目取り決めの中身について、外務大臣、これは防衛庁所管だから知らないとあなたはおっしゃるかもしれませんけれども、いまのやり方というのは余りにもひどいということになりはしませんか。間違っていはしませんか、国民の目から見れば。何のための武器輸出三原則なんですか、こうなりますよ。どういうふうにお考えになりますか。
  137. 園田直

    園田国務大臣 関係省庁とよく相談をし、検討いたします。
  138. 土井たか子

    ○土井委員 外務大臣自身は非常に消極的になっていらっしゃるのだけれども、園田外務大臣が一たんおっしゃり、そして確信を持ち、園田外務大臣自身の崇高な理念を他の大臣に比べるとお持ちになっている大臣だというふうに私はいままでも確信してきたのです。いま、非常にこれは大事な問題です、大事なときですよ。大臣として責任を持ってこれに思い切った対処をなさるということを私は要望したいと思います。私は、いまこそ本当に外務大臣の真価が問われているとすら言いたいのです。外務大臣、いまの御答弁でよろしゅうございますか。
  139. 園田直

    園田国務大臣 大事な問題でありますから、関係省庁と十分意見を交換し、検討いたします。
  140. 土井たか子

    ○土井委員 検討検討とおっしゃるけれども、外務大臣自身がどういうお立場で検討なさるのかもさっぱりわかりません、そういうお答え方なら。園田外務大臣の本領が本当にどこかへ飛んでしまいますよ。いまこそ発揮していただきたいときだと私は思います。三たび御答弁をお願いします。
  141. 園田直

    園田国務大臣 しばしば答弁しております方針に従い、関係各省とよく検討をいたします。
  142. 奥田敬和

    奥田委員長 もう持ち時間ですから……。
  143. 土井たか子

    ○土井委員 心得ております。あと一問だけ、通産に。中身は二つに分かれますが、これは簡単に答えていただいて結構だと思います。  高速演算素子、低損失光通信用ファイバー、これをつくっている日本の企業はどこでございますか、それが一つ。  あと一つは、防衛庁外務省が、きょうの私の質問に対しても非常に歯切れの悪い答弁に終始しているわけですが、武器の対米供与、輸出を一生懸命にいま考えておられるわけです。将来、日本の民間企業がノーハウを開発してまいりまして、そうしてこの制度でアメリカに供与しなければならなくなったら大変だと思うのですけれども、通産省としてはどのようにこのことについて考えていらっしゃるか、御見解を聞かせていただいて、私は終わりにします。
  144. 広海正光

    ○広海説明員 まず最初の御質問でございますけれども、ちょっと私、その担当じゃございませんものですから、お答えできかねます。
  145. 土井たか子

    ○土井委員 それじゃ、後で知らせてください。
  146. 広海正光

    ○広海説明員 はい。  それから、後者の方でございますが、これは先ほど申し上げましたように、基本的にはやはり武器輸出三原則政府統一方針、それから先般の国会の決議というものを踏まえまして対処していきたい、こういうことでございます。
  147. 土井たか子

    ○土井委員 終わります。
  148. 奥田敬和

  149. 草川昭三

    草川委員 公明党・国民会議草川昭三でございます。  一九八八年の開催を目指しました名古屋オリンピックが敗退をした、幻と消えたわけでありますけれども、それから約一カ月余たつわけでございます。私は、この件については後ほども申し上げますが、いわゆる衆参の国会決議あるいは昨年の閣議の招致決定という問題を踏まえておるわけでございまして、この問題でけじめをつける意味でも、きょうは外務大臣を中心に、二十七対五十二票という予想外の大差で敗れた真の原因は何かということについてお伺いをしたいと思うのです。  そこで、きょうは時間が余りございませんので、所管の文部大臣はどのようなことを言っておられるのかということをまず冒頭に御紹介を申し上げて話を進めていきたいと思うわけでございます。  過ぐる文教委員会で田中文部大臣は、オリンピックを名古屋市、東海地域に招致できなかった原因を直ちに究明することは困難だが、現段階では、情報収集が不十分であったために、情勢の変化に対応した招致活動が十分できなかったことを非常に大きな柱として話をしておられます。  そこで、ひとつ外務大臣の方から、一体どのような敗因を考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。
  150. 渡辺泰造

    渡辺説明員 お答えいたします。  われわれといたしましても、昨年十一月の立候補以来、鋭意招致活動を行ってきました名古屋が選に漏れたのは、まことに残念なことであったというふうに考えております。側面的に名古屋を応援してまいりましたわれわれといたしましても、いろいろ反省すべき点は謙虚に反省し、これからの指針の参考にしてまいりたいと考えております。  われわれの見るところ、いろいろ原因が考えられているわけでもございますけれども、一番大きな原因は、ソウル側が投票直前に、これは先生も現地でよく御存じのとおり、全力を集中して招致活動を展開し、オリンピック開催に寄せる熱意を強く印象づけた、その際に、韓国、特にアジアの開発途上国で初めてのオリンピック開催、こういうような点を訴えたことが、IOC委員各位に強いいい印象を与えたというふうに承知しております。
  151. 草川昭三

    草川委員 私はいまの答弁では納得しないわけでして、外務省として、私が申し上げたように、情報収集が十分であったかどうか、自信があったかどうかということをお伺いをしておるわけであります。自信がありましたか。
  152. 渡辺泰造

    渡辺説明員 いま申し上げましたとおり、オリンピック名古屋招致につきましては、招致委員会が設けられ、これが前面に立ちまして招致活動を行ったわけで、私ども外務省といたしましても、在外公館で、たとえばオリンピック委員関係者が先方にお会いしたいというときには立ち会いあるいはアポイントメントをとったりして、側面的に御援助いたしました。そういう意味では、われわれは、情報としては入っておりましたけれども、名古屋招致について政府として何か票読みを行ったというようなことはございません。われわれに入った情報は、招致委員会の方にできる限り全部通報してございますが、われわれとして票読みというようなことはしてございません。
  153. 草川昭三

    草川委員 いや、私は別に票読みをしたかという質問をしているわけじゃないのですよ。先走って答弁をしていただかなくても結構です。私がいま申し上げたいのは、昨年の暮れに閣議で招致決定しておる、そして、衆参で誘致決議をしておるわけですよ、この重みを一体外務省がどのように考えられるのかということを私は指摘をしたいわけです。  そこで、外務大臣にお伺いをいたしますけれども、国会決議というものは形式的なものか、あるいは昨年の十一月二十一日の閣議了解を外務大臣は一体どのように理解をなすっておみえになるのか、お伺いをしたいと思います。
  154. 園田直

    園田国務大臣 閣議は、御承知のとおりに、名古屋にオリンピックを招致すること、国でなすべき予算その他もございますから、これを決定したということであります。国会の決議は当然非常に大事な問題でありまして、決議されたことについて全力をもって努力するというのは当然のことであると考えます。  いま名古屋の問題でいろいろ御注意がありましたが、私は正直に外務省自体のことを反省しますと、情報が甘かったとかなんとかではなくて、オリンピック招致そのものに対する考え方が、少なくとも私自身が甘かった、こういう反省をいたしております。     〔委員長退席、松本(十)委員長代理着席〕 大体、名古屋オリンピック招致に決まったときに、まあ大部分は名古屋に来るのであろうという根拠のない考え方がどこかにあった。  もう一つは、オリンピックの問題は文部省でありますから、外務省は応援団であればいいというような実に甘い考え方を持っておった。そういうところから、省内の事務当局も、命がけでやるべきところが、応援団的みたいな、頼まれたらやるとかあるいは義理を果たすとかという程度でやってきたのが、外務省としてはこれがうまくいかなかった原因ではないかと反省しているところでありまして、今後こういうことがあってはならぬ。特に、後のことではありますけれども、最終の数日前からの状況を見まして、韓国政府がとった行動等を承って、その念を厳しく反省するわけでございます。
  155. 草川昭三

    草川委員 いまごろ外務大臣ともあろう方がそういうような見解を表明されることについては、私は、中部三県下の方が聞いたらこれは大変頭にくる腹立たしい問題だと思うのですよ。これは承知できない答弁だと思います。  実は私が言いたいのは、外務省全体の態度でございますけれども、外務省の主として情文局、ここが情報を集めたのですけれども、他の外務省の幹部は、これは十月一日の朝日新聞でございますが、日本外交にとって名古屋開催は何のプラスにもならない、ソウルに譲ってあげればいいんだがと漏らした、こういうような記事が出ているわけです。ですから、これは名前は挙げませんけれども、かなりの局長クラスが明確に水を差す意見を言っておるわけであります。  あるいは同じように、これは終わってからの記事でございますけれども、毎日新聞の十月四日号にも同じような記事が出ておりまして、何とかソウルにオリンピックを持っていく手はないものか。しかし、うちの大臣は名古屋オリンピック招致委員会の最高顧問だから、そうは何ぼ何でも旗は振れぬ。そうか、最高顧問とは知らなかった、というのが外務省見解なんです。  招致委員会の方の三宅会頭がバーゲンバーゲンに行く前に、ロンドンの大使館に寄った。ロンドンの大使館に寄ったら、バーゲンバーゲンの件については全然知らないというような冷たい反応だったということが言われております。一体、外務省全体がどのように情報収集に協力をしたのか、あるいは招致のために努力をしたのかということについて、私はかなり疑問を持つわけです。  具体的に、いま私の手元にことしの七月十六日現在のいわゆる票読みというのがあります。これは先ほど参事官から、票読みはいたしていないという答弁でございますが、私の手元にありますのは、いわゆるIOC委員八十三名中五十六名の方に接触をいたしました。そして、二重マルという完全支持が十八名ありました。そして、まあちょっと弱い支持、これが二十一名ありました。計三十九名、十八と二十一で三十九ということになります。三角形の不明、未定という方が十七人あるというので、これは各国駐在の大使、公使が先頭に立ちまして、さらに文部省体育局の幹部だとか清川IOC副会長、竹田同委員らが加わって直接打診をしておるわけであります。  これによりますと、八十三人のうち七割弱の四十七カ国五十六人に接近をしたわけでありまして、二重マルのところがタイ、マレーシア、ニュージーランド、ブラジル、キューバ、メキシコなど、東南アジア、中南米諸国を中心に十六カ国十八人になっています。一重マルの方の支持がレバノン、カナダ、アルゼンチン、フランス、イギリスなど十八カ国二十一人となっておるわけでありまして、名古屋招致支持が非常に多い、こういう報告が招致委員会の方にも寄せられておるわけです。  中身を読むと、たとえばレバノンの場合は山口大使、あるいはモンゴルの場合も秋保大使がIOC委員に接近をしておみえになります。あるいはニュージーランドも橋本参事官、二重マル。あるいはカナダの場合も須磨大使が一重マルで接近をしておるとか、メキシコの場合も松永大使が二重マル。しかも、これは清川さんも同行なすっておみえになる。あるいはペルーも伊藤公使が二重マルというような、きれいな票読みがずっとあるわけです。  これはまた、なければおかしいわけでありますし、このこと自身はおかしいと言うわけではありません。この情報が最後まで続けられておればいいのですけれども、実は最後まで続けられずに、七月十六日にこの票読みが終わったところに私は外務省の態度がおかしいと言いたいわけであります。一体外務省は、この七月十六日以降も票読みをやったのかやらないのか、もう一回簡単にお伺いします。
  156. 渡辺泰造

    渡辺説明員 お答えいたします。  ただいまの先生の御質問の中で、外務省全体として熱意が疑われるかのごとき質問がございましたけれども、情報文化局といたしましては、局長から課員に至るまで、時には徹夜までして、このオリンピック問題について懸命に努力した事実はございます。  ただし、いま御質問にありました、在外公館等を通じて先方に対していろいろ情報収集に努めたのは、オリンピック本来の精神からいっても、招致委員会がイニシアチブ、それから音頭をとりまして、その依頼に基づきまして在外公館がいろいろ御協力申し上げた。いま先生の手元にもいろいろ情報があると思いますが、清川さん御自身がいろいろ大使館の手をかりずにやったこともございます。そういうような情報も、われわれたまたま手に入ったということで、担当官がまとめてはいたようであります。  いずれにいたしましても、七月までにどのような活動を行うか、七月以降どのような活動を行うかというのは、あくまでも招致委員会がいろいろ主導権をとりまして、外務省としてはその意向に従ってやっていた。したがいまして、七月までは招致委員会の方からも頼まれまして、われわれの方は情報を十分入れましたが、その後は招致委員会の方でかなりやっておられた、こういうふうにわれわれは承知しております。
  157. 草川昭三

    草川委員 だから、私は、七月十六日以降、外務省としてどの程度協力をしたのかということを言いたいわけですけれども、率直なことを申し上げまして、余りやっておみえにならぬようであります。  たとえばソウルからの情報ですけれども、八月に韓国のスポーツ課長が更迭というのですか、やめられておるわけです。これはなぜやめたのか、あるいはそれが日本にとってどの程度重要なのかというのは、当然のことながら私は韓国の大使館の方から日本外務省なり招致委員会の方に寄せられなければいけないと思うのです。しかし、現実には招致委員会承知していないわけです。九月に入ってからぎりぎりのところで、韓国のスポーツ課長がやめたという情報を外務省から得ておるわけです。その点については、どうですか。
  158. 渡辺泰造

    渡辺説明員 ただいまわれわれが聞いているところでは、そのような情報をその時点では入手しておりません。それは先生の御指摘のとおりでございます。ただ、われわれの方ではその後その情報を入手している。時間的に、ちょっといま担当、ハンドルしておる者がおりませんので正確なお答えができませんが、その時点においては承知していなかった、こういうことになると思います。
  159. 草川昭三

    草川委員 だから、それはいま私が申し上げましたように、外務省全体の支援体制がないわけです。国会決議というものが非常に無視されておるわけです。それで、私がいま申しましたように、実はこれはただ単なる韓国のスポーツ課長がかわったということではなくて、非常に意味のある行為を向こう向こうでなすってみえるわけです。だから、そういう情報を早く招致委員会に出して、韓国側の対応もかなり強烈になっておるということを日本全体の体制で考える必要があると私は思うのです。  事実、外務省は昨年十月の国連安全保障理事会の非常任理事の選挙では、日本が第一位で当選しておるでしょう。あるいはことしの十月の経済社会理事会の理事国選挙では、日本アジア・グループで百三十票集めて、第一位なんですよ。だから、アジア局が本気になって、あるいは他の局が本気になって情報を集めたとするならば、私は日本がこのような惨敗を喫すということはないと思うのです。  しかも、非常に不思議なことは、実は園田外務大臣が交代されたのが五月十八日ですか、それから、これは率直な私の意見でございますけれども、いわゆる名古屋オリンピックというのは、大平さんがまあいいからやってみろというような意向があって、わあっと地元の方では盛り上がってきたわけです。そして、伊東外務大臣のときも、その意を体してかなり熱心に外務省全体でフォローしていただいたことは事実です。私どもその一員ですから、外務省はよくやっていただいた。ところが、七月から八月になり、しかも須之部さんが韓国から戻られまして、若干の期間を置いて今度須之部さんが次官になられた。これは七月二十八日です。そのころになってまいりますと、非常に外務省が冷淡になってきたことは事実だということであります。  しかも、鈴木さんもアメリカへ行かれまして、日米共同声明というのもあったわけでございますけれども、これはやはりアメリカ韓国安保重視の立場から、ちょうど六〇年安保時代、五年後に東京オリンピックが開催されるというときに、アメリカは東京オリンピックにも大変な応援をしてくれたわけです。事実、今度の場合にはアメリカは名古屋に入っておりません。ソウルに入っておると言われておるわけでありますけれども、積極的にソウルの応援の方になったと伝えられております。  これは六五年の東京オリンピックと同様な戦略的な判断があったと思うのですが、外務省はそういう意を体して、名古屋オリンピックについてはその後急速に情報収集については非協力的になったのではないだろうか。事実、情文局長外務省の中で総スカンを食っておったという情報を私どもは聞いております。全体に各国の大使館からの情報というのは現実にとまったわけですよ。イギリスのロンドンの大使館でもそうなんですよ。私どもは詳しい話を一々申し上げませんけれども、負けたからくやしいから外務省に当たり散らしておるというようなものではないのです。  しかも、本当にそういう情勢が悪ければ、いま外務大臣がおっしゃったようなことだったら、私はオーストラリアのように率直に地元に提言をすべきだと思うのです。そういう態度がなぜ外務省にとれなかったのか。笛を吹いて踊ったのは愛知県と名古屋市と中部三県だけじゃないですか。それは地方べっ視じゃないですか。東京オリンピックのときに、外務省はどのように協力したか。大阪の万国博のときに、どのように協力したか。こういう問題については、名古屋が負けたからそれでいいだろうというコメントを出す外務省局長局長だと思うのですよ。一体このことについてどのように思われますか。
  160. 園田直

    園田国務大臣 先ほど私の答弁でおしかりを受けましたが、私は答弁をしたつもりではございません。名古屋オリンピック招致が事敗れたこの際、外務省はこうもやった、ああもやった、こういうこともやりました、しかし名古屋は負けましたと言うようなことは、私の人柄ではできません。したがいまして、私は反省を申し上げたわけで、一言で言えば、名古屋に来ると思い込んでおったからでございます。しかしながら、いまから言えばいろいろ手落ちがあった、甘く見ておった、こういうことをおわびをしておるわけで、答弁ではございません。  最後に、アメリカとの会談で韓国の話が出たから、あるいは須之部君が帰ってきて次官になったから、それ以来外務省が冷淡になった、私が外務大臣になってから冷淡になった、これだけは、先生のようなお人柄の方のおっしゃる言葉では余りむごいお言葉だと思います。そのようなことは断じてございませんから、これだけはお許しを願いたい。  なお、決まった後で言いましたのは、これは決まった後で言ったかっこうづけでありまして、まあまあソウルに決まったのはよかった、成功を祈る、こう言うのは、これを外交辞令だと私は心得ております。お許しを願います。
  161. 草川昭三

    草川委員 私どもは、いまも申し上げましたように、これは地元としては実につらい話ですよ。それは天下に大恥をかいたとか、県知事が外務省の、それは外務省だけとは申し上げませんけれども、そういう情報を中心にして、まさか負けると思わぬから腹を切るとまでおっしゃり、大変な責任問題も県議会なりあるいは市長を中心として出たわけです。これが一たんはおさまっておりますけれども、私は、地元としては実にこの情報のこわさ、判断のこわさというものを痛感しておりますから、外務大臣に、やはり国際的な窓口でありますから、いまのようなことを申し上げておるわけであります。  この問題についての最後になりますけれども、韓国の方は、当然のことながらいま日本との関係で六十億ドルの大変巨額な申し込みがあるわけであります。いわゆる安保絡みの経済協力ということについてはなかなか日本の対応というのがむずかしいということを、この委員会でも何回か議論になっておるわけでございますけれども、問題は、安保経済協力よりはオリンピック経済協力の方がやりやすいというような意見現実にはあるようであります。  私どもも、一たん決まった以上は日本としても積極的に協力をし、そしてこれはりっぱな大会にしなければいけないわけでございますけれども、いわゆる六十億ドルの借款絡みとこのオリンピック経済協力との関係について、大臣の現在のところの御見解を賜りたいと思います。
  162. 園田直

    園田国務大臣 韓国のオリンピック開会と経済協力と、韓国の経済問題がどのように影響するか、私にははっきりわかりません。わかりませんけれども、やはりおっしゃったように、決まった以上は韓国のオリンピックが成功すればよいと考えております。したがいまして、一般の経済協力、日本の経済協力の基本方針のもとに行える経済協力、及び韓国のオリンピックについてもいろいろお話があればできるだけの御協力をするのが当然であると考えているところでありますが、いまのところはそのお話はございません。
  163. 草川昭三

    草川委員 その上に立ちまして、実は昭和六十年になるのですか、神戸で今度は世界学生スポーツ大会、ユニバーシアードというものがあるわけです。これは十一月二十七日にローマで決定をされるのではないかということが言われておりますし、あるいはまた、六十五年に広島が第十一回アジア大会の招致についての活動を続けておみえになります。これは今度のロサンゼルスのオリンピックの際、これが決まると聞いております。この二つの国際大会が目の前に控えておりますけれども、ぜひ名古屋オリンピックの二の舞にだけはならないように、単なる情文局なら情文局だけのことではなくて、外務省全体がフォローしていただくことを、私は今後のためにぜひ強く要望を申し上げておきたい、こういうように思います。  その次に移りますけれども、時間がなくなってしまいましたので、いわゆる経済協力予算の推移について少しお伺いをしようと思っておったのでございますが、問題点をしぼりまして、鈴木総理がASEAN訪問によって約束をしてきたASEAN五カ国に対する人づくりセンターの援助協力について、どのようになっておるのか。これはシンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、いろいろとあるわけでありますが、私もかなりの現地を回ってまいりまして、実際この協力隊の人たちがどういうような苦労をしておるのか、あるいは専門の方々がどういうことかということをつぶさに見てまいりました。  これは予算規模も大分ふえておりますけれども、私、要望を申し上げておきますと、外務省というのは現地の要望をどの程度聞いているか、ここが一つです。現地の要望というのは、一体だれか本当に使っている人の声なのか、こういう問題があります。  たとえば、りっぱな農業試験場があります。日本と同じような建物ができておるわけですが、向こうはガラス窓を破られて、簡単にかぎがこじあけられますから、機材が全部盗まれるわけです。だから、わざわざ現地で金網を張らなければいかぬとか、ドアを全部改造しなければいかぬ、これなんかはやはり現地へ行かないとわからぬ事件だと思うのです。  あるいは、せっかく一つのプロジェクトを与えましても、単年度予算ですからフォローアップというのができていない。だから、今度はいわゆる機材、部品を、修理のためにパーツを日本から購入しようと思いましても、予算がない。青年隊の方々が自分の給料からそのパーツを購入する、そうすると今度は輸入関税が四倍も五倍もかかってしまうというような悩みも私ども聞くわけです。  教育の面についても、私は紙芝居という言い方をするのですけれども、目で見る、耳で聞く、いわゆる聴視覚教育ということを中心にしないと、とても日本の現在のレベルの、メーカー品のトップの一番新しいものを持っていっても、それは現実には使われていないという実情をよく見てまいりました。だから、まさしく、この人づくりのためには先生をつくることだ、その先生のための先生をつくることだ、それには聴視覚教育というものについて、私は、専門家の方々の意見を聞いて、もう少し人づくりのプロジェクトに協力をされたらどうなのか、こう考えるわけですが、その点についての見解はどうでしょう。
  164. 柳健一

    ○柳政府委員 お答え申し上げます。  わが国が経済協力の案件を拾いまして開発途上国に供与いたします場合に、相手国のニーズをしっかりつかんでやれというお言葉、まことにごもっともだと思います。私どもといたしましては、案件を拾いましたときは、まず事前調査団を派遣いたしましてできる限り現地の実情をよく把握する、それからまた、在外公館を通じまして現地の事情を把握するという努力をいたしております。この後、現実にプロジェクトが発足いたしました後も、今度は実際にそのプロジェクトがどの程度の効果を上げているか、うまくいっているのかどうかという効果の測定もいたしまして、その結果によりまして改めるべきところはさらに改めていくという努力をいたしております。  それから、第二のアフターケアをしっかりやれとおっしゃる点、これも大変ごもっともな点だと思います。援助の実施そのものはあくまでも開発途上国の自助努力をこちらが助けるというたてまえでございますから、たとえば建物を建てたときに、その後の運営とか管理というものは開発途上国側で負担してやるべきものではございますけれども、実際には貧しい国があったりしてなかなかうまくいかないということもございますので、私どもの方でも、発足した後でも維持に関してのスペアパーツを送ったりというやり方もやっておりますし、技術協力につきましても、アフターケアのミッションを出して、四年、五年たったもので、わずかなところでうまくいってないようなことがあるときはこれを助けるということにしております。  なお、協力隊のいまのお話の件、これもときどきそういう話を私ども耳にいたしますが、そういうようなことがありましたときは、これは些少なことではございますが、後から協力隊の隊員に若干それを補償する、つまりリファンドするというシステムを最近つくって実行いたしております。  最後に、視聴覚の問題でございますが、視聴覚を活用しろ、これもまことにごもっともなことでございまして、私ども特に近年、無償援助、それから技術協力のプロジェクト援助におきまして、視聴覚器材を次第に増加いたしまして使っております。さらに、先ほどちょっとお話のございました総理大臣のASEANプロジェクトの一つ、シンガポール、これはまさに視聴覚器材を中心に運営するというプロジェクトでございまして、今後視聴覚器材というものはさらにもっと活用していかなければならない、こういうふうに考えております。
  165. 草川昭三

    草川委員 時間が来ましたので、これで最後になりますが、いまおっしゃったようなことを私ども十分現地で聞いてきておるわけでございますので、ぜひひとつ対応を考えてもらいたいということと、それから、いろいろな器材も、実はこのメーカーの方が先取りをしまして、いまは一つ一つの部品ではありませんでトータルシステムになっておるわけですから、メーカーの影響力というのはものすごくあるわけです。ところが、そのメーカーだけの意見を聞きますと、一体これは日本全体の教え方がどうかという問題も出てきます。  だから、私は、せっかくこの聴視覚教育等についても、文部省なりあるいは労働省なんかの職業訓練等では公益法人もあるわけですから、ぜひそういう方々の御意見を十分参酌をして今後の対応を図られたいということを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  166. 松本十郎

    松本(十)委員長代理 林保夫君。
  167. 林保夫

    ○林(保)委員 短時間でございますけれども、年末も差し迫り、また新年度、まあ行革時代で大変な国内の情勢でもございますし、なおまた、連日のように外務省マターの記事が新聞社の皆さんから、あるいは国民の間にも出ており、しかもそれらが、一件一件とってみて、日本の新しい方向といいますか、転換を示すような問題ばかりでございます。  ただいま同僚委員質問もそういう視点でたくさん質問があったと思いますが、これはひとつじっくり大臣から承ることにいたしまして、まず外務省の方が、私もこれで二年間外務委員を務めさせていただいて、いろいろ問題を提起し、またお答えもいただきながら、なお、先ほどもありましたように情報活動が十分じゃないとか、あるいはインド並みの外務省にもなってないとかというようなこともまた聞いております。  そこで、もう本当にポイントだけで結構ですが、伊達官房長に、来年度予算はどれくらいを要求し、そしてまた重点はどこか、ひとつ事務的にお答えいただきたいと思います。
  168. 伊達宗起

    ○伊達政府委員 お答え申し上げます。  ただいま外務省の概算要求を提出している段階でございますけれども、総額にいたしまして三千二百九十五億の要求を提出いたしております。定員の方では、これは昨年の定員要求の五割という閣議決定に縛られまして、まことに私どもは残念ではございますけれども、二百三十二名の半分、すなわち百十六名という枠いっぱいを要請、提出しているわけでございます。  したがいまして、この予算が今後これからの外交機能に十分であるかというお尋ねでございますれば、私どもとしては何とかこれをもって全能力を挙げて取り組む以外に方法がないわけでございまして、そのために、今度のゼロシーリングの予算の中におきましても、特に外交実施体制の整備強化ということを重点事項として、いろいろな工夫をこらしたものを組んでいるわけでございます。  しかしながら、いわゆるODAの予算もその三千二百九十五億の中に入っているわけでございますけれども、そのODA、政府開発援助を除きます部分の中で、旅費でございますとか、庁費でございますとか、それから情報収集費というものはゼロシーリングのもとで組まれているわけでございまして、しかもこれが、ただいま申しましたような費目というのは一般経費としか観念されないおそれがございます。したがいまして、各省一律に削減されるというようなことでは非常に困るわけでございまして、実はこれは一般経費、つまり旅費、庁費と申しますものの、単に旅費とかいうものではなくて、外交活動そのものに関係のあるいわば事業費的なものであるということで、私どもは要求の全額、満配をいただくように努力をいたしたいと思っているわけでございます。  いろいろ申し上げましたけれども、ただいま申し上げました要求がどうしても来年度における必要最小限度の要求であると考えているわけでございますので、これでもって有効に外交を対処していくというためには、われわれといたしましても財源の有効利用に一層努める決意でございますが、おのずと限界があることでございまして、やはり今後とも、来年度に限りませず、外交経費の増額、なかんずく定員の増強ということには力を尽くしてまいらなければならないものと考えております。ぜひ諸先生の御理解、御支援を得たいと思うわけでございます。
  169. 林保夫

    ○林(保)委員 時間がありませんので、細目は資料要求として官房長から出していただきまして、細部にわたって私なりに勉強させていただきたいと思います。  そこで、大臣に、行革時代で非常に厳しい状況で、いま官房長お話しのようになかなか取りにくい状況だと思います。しかしなお、目をつぶっていろいろ考えますと、西も東も南も北も問題ばかりでございます。したがいまして、来年度どういう布陣をしていくか、また布石をしていくか、予算をどうそれにつけていくかという問題は、大臣として腕のふるいどころといいますか、本当に大きな問題だと思います。どういうところをポイントにいたしまして大臣はこれからそういう陣立てをしていかれますか、このことを承っておきたいと思います。
  170. 園田直

    園田国務大臣 外務省の明年度の予算その他についてお心尽くしや激励をいただいて、感謝をいたします。  日本としては、軍事的貢献というものができない、ある程度制限をされておる状態においては、やはり外交というものは、世界から孤立しないように各国に貢献するということ、及び自国の安全を保つためにどのように方針を過たないでいくかという、この二つだと思います。一つは各国に対する経済協力を中心にした貢献、一つ情報収集を重点にした外交機能の強化、この二つを中心にして努力をしたいと考えております。
  171. 林保夫

    ○林(保)委員 またこれも後で予算審査のときに詰めたいと思いますけれども、いま一つ。  これから援助をふやすということをいろいろおっしゃるのですけれども、何か自分のこと、日本の安全の問題、平和の問題をやらないで、しかも外ばかりやっておるという逆の手法が、これでいいのだろうか。そのことのために、日本の国際的な信義、日本国民の資質まで問われるような問題が、私は率直に言って今日、日米間で起きていると思います。  私は、いまの日米関係は、戦後私もいろいろつたない体験ですけれども言論生活を踏まえまして三十年、やはりよくないと思うのでございます。以下、この問題につきまして大臣に御見解を承りたいと思いますが、大臣、いまの状況をどのように御認識なさっておられますか。それからまた、時間がございませんので、ついでに、どういう打開の方法があるのか、まず承っておきたいと思います。
  172. 園田直

    園田国務大臣 国際情勢はだんだんと非常に激しくございまして、その国際情勢の変化の中に、日米の置かれたる責任、役割りというものも非常に重大になってきておると思います。  まず、日米関係でありますが、日米関係は、それぞれ両国が一貫して自国の外交の重要な柱の一つと位置づけ、両国の友好親善のためにそれぞれたゆみない努力を続けてきた結果、今日は、おっしゃるようなことではなくて、日米間には問題はいろいろあります、経済摩擦の問題あるいは防衛の問題、問題はたくさんありますけれども、両国関係はきわめて良好であると私は確信をいたしております。今後とも、日米関係日本基軸でありまして、軍縮を叫ぶにしましても、平和を願うにしても、日本の安全を願うにしても、その土台が日米関係であることは間違いないところであります。  先般、五月の総理の訪米の成果を基礎に、また、その後、私はヘイグ国務長官とは十数回近く会談をしておりまして、いろいろな問題で具体的に緊密に連絡をとっているわけでありまして、いま起こっておる問題も、その両国の信頼と相互理解の関係から、逐次解決をしていかなければならぬと考えております。国際情勢が厳しければ厳しいだけ、わが国の果たすべき役割り日米が協力をしながら国際社会に対する貢献をすべきであると考えております。日米関係はまた、わが方、西側自由主義の団結の中核でもある、このように考えておるところでございます。
  173. 林保夫

    ○林(保)委員 それならば、なぜ伊東外務大臣がやめて園田外務大臣が誕生され、ここへおいでいただいたかという問題も私はあろうかと思います。いいのだったら、そういうことになるはずはありませんね、両方ともちゃんと約束を守ってやるということであれば。国内事情がそうさせたのかもしれませんけれども、しかし、なお私は、やはり大変心配しておったことが出ていると思うのです。  ここに私も議事録を持ってまいったのですが、ことしの二月九日に、伊東外務大臣、総理がお出かけになる前の予算委員会でも質問しました。大臣もおられました。  それから、その後、三月二十日に国際情勢審査で、これは伊東外務大臣でしたけれども、いろいろと質問させていただきまして、日米会談をやれば、どうも私どもの感覚からしますと日本と感覚が違い過ぎる、要求が違い過ぎる、認識が違い過ぎる、そのことのためにかえってその距離の違い、差異が出てきて、いろいろな状況を検討しますと、何か日米関係のギャップの大きさが、大臣が行かれてかえって余りはっきりし過ぎるのじゃないだろうかという懸念を禁じ得ないのでございます、こう申し上げたのです。そうしますと伊東外務大臣は、私が行きましてかえって差が大きくなって信頼感が薄くなっては、これはまことに行ったかいがないことでございますので、ひとつそういうことがないようにやりますと言って、帰ってこられたら、辞任です。そういうことがなくてうまくいったのなら、どうして辞任されたのだ、こういう問題でもあろうかと思います。  これは情勢の変化で、強くつきたいとは思いません。しかし、なお、五月の共同声明以後出てきましたのは、御承知のように、時間がございませんのではしょりますけれども、核の持ち込みの事実の有無について、ライシャワーさんあるいはジョンソンさん、これは大変な知日派ですが、あそこからああいう問題が飛び出してきた。エルズバーグさんの問題もございました。  そして、今日は、連日新聞で出ておりますように、読み上げてみますと、ヘルムズ上院議員の十月二十二日の安保条約改定決議案、これは引っ込めましたけれども、そういうものが用意された、こういう事実。そしてまた、十月二十八日のニール下院議員日米安保税要求決議案、ザブロツキ下院外交委員長防衛支出をGNP対比一%の水準に持っていくべきだという下院本会議に対する提議、それから、きょうはまた、レビン上院議員の同じようなGNP対比一%の軍事費を求める決議案など、いろいろ出ております。これはまさに、両政府間のきれいな友好関係言葉の上と違って、国民的なものから出てきておるのじゃないだろうかと思いますが、その辺のところを大臣はどのように御認識なさっておられますか、まず承りたいと思います。
  174. 園田直

    園田国務大臣 私、詳細は存じません。弁解もいたしませんが、よく米国の方から、伊東外務大臣はなぜやめたのですかと質問されることがあります。これからして、日米間の問題でやめられたのではなくて、首脳者会談における共同声明をめぐる国内的な問題でああいういざこざがあったのではないかと私は考えているわけでありまして、日米意見が食い違ったり、日米の問題があって、騒動があってやめられたことでは絶対ございません。  かつまた、いまおっしゃいましたように、まず経済問題をとらえても非常な予想以上の黒字、ほっておくと来年もふえる、これまた大変な問題でございます。また、防衛の問題でいろいろな決議案とかその他の案がアメリカ国会議員の中で出されていることも御承知のとおりであります。私もよく承知しております。日米間でありますから、まじめに相談をし、まじめに議論し、まじめに理解し合うならば、両国の間に問題が幾らも出てくることは当然であります。それは真剣であります。問題があるからぎくしゃくしていると言うことは適当ではないと私は考えております。この起こってくる問題をどのように心から打ち解けて相談し合って、どのように解決していくかということが、日米間の相互理解ができておるかどうかということでありまして、いま起こっている問題も、貿易の非常な不均衡、それから日本防衛に対する米国側の議員の中のいろいろな意見、かつまた、これは日本だけではなくて、米国が、東西の対立の中に西側陣営のそれぞれの防衛自助努力に対する熱意などのあらわれ等でありますので、そういう問題は軽視すべきではなくて、十分これを拝聴して、今後どうやっていくか、これは米国とも相談し、また政府部内でも検討すべきことであると考えております。
  175. 林保夫

    ○林(保)委員 じっくり議論したいところでございますが、一言だけ私なりの見解を申し上げますと、今日、経済摩擦と防衛摩擦と二つあると思いますけれども、私は、経済摩擦の主たる原因が防衛摩擦を起点にして起きておる、そのことのために声が大きくなっている、大臣と御意見が多少違うかもしれませんが、こういう感じを持っております。  時間がないので次にいきたいのでございますが、先日、淺尾北米局長さんは鈴木総理にお会いになって、アメリカ議会のいろいろな動きの問題について御報告されたやに聞いております。それについて局長はどのような御見解を持っておられるか、事務方の立場として、またこれは大臣と違った御意見を私はむしろ期待したいのでありますが、御説明いただきたいと思います。
  176. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 いま林委員から御引用になりましたヘルムズ決議案、ニールの決議案あるいはザブロツキの決議案というものがアメリカ議会に提出されまして、そこで私はこの前、総理に対して、この決議案の内容、それからなぜそういう決議案が出てきたのかという背景、それから今後の見通しについて御説明したわけでございます。  決議案の内容についてはもう先生承知で、先ほど御引用になりましたので、ここで繰り返す必要はないかと思いますが、背景としては、一つには貿易不均衡の問題、それから防衛の問題、この二つがある、これは事実だろうと思います。しかし、貿易の不均衡がなくなったからといって対日防衛期待がなくなるというふうには考えておらない。逆に、防衛問題がなくなって、そうすると赤字があっても、対日赤字に対する不満というものは消えないであろうというのが私の個人的な考え方でございます。  あと、今後こういう問題がどういうふうになっていくかということでございますけれども、それぞれの決議案については外交委員会に付託されております。今後の見通しについて述べるのにはまだ若干時期尚早でございますけれども、少なくともヘルムズ決議案については、決議案を撤回する条件として公聴会を開くということになっておりますので、なるべく早い機会に開くということをパーシー外交委員長が約束しております。そういうことを総理に御説明した次第でございます。
  177. 林保夫

    ○林(保)委員 私はかりじゃなくて、外務委員の皆さんあるいは同僚の議員の皆さん方は、この問題について非常に心配していると私は思います。そしてまた、いろいろな情報をとりたがっていると思います。  そこで、北米局長にぜひお願いしたいのでございますが、ヘルムズ上院議員あるいはニール下院議員、ザブロツキ下院議員、それからいままだないかもしれませんけれどもレビン上院議員のと、あり得るものだけで結構ですけれども、ぜひ四つそろえていただきたいのです。提案の全文と、それを提案した理由書でございます。持っておられるはずでございます。持っておられたから、総理にそういう説明を分析して事務的にお話しになったと思いますが、ぜひここで出してくださることをお約束いただきたいと思います。
  178. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 ある決議案については、書面によって出しております。したがって、その決議案の内容についてお出しすることができます。あるものについては、書面でなくて、アメリカ上院あるいは下院で口頭で説明しております。したがいまして、その説明についてはアメリカ議会議事録というものがございます。いずれも英語でございますので、若干の日にちをかしていただければ、その点についてはお出しすることができると思います。ただ、ヘルムズとニールの決議案そのものについては、日本語訳というものはわりあい早くお出しできると思います。
  179. 林保夫

    ○林(保)委員 そのことをまずお約束いただけますね。  それから、私は非常に困った問題だなというふうな感じを持つのでございますが、ヘルムズさんの提案の内容、もう一つは、理由書がございますね。大臣はあれをお読みになられましたか、その点を伺いたいと思うのです。
  180. 園田直

    園田国務大臣 情報を電報で拝見をしております。
  181. 林保夫

    ○林(保)委員 大臣がお読みになっておられることは当然だと思うのでございますが、実はあの中に、いろいろとまさに国益に反するような問題が出ております。私が資料を要求したいのも、そういう日本立場をしっかりと向こうに説明するという立場からぜひ見たい、こういうことでございます。大臣承知のように、これは鈴木総理、あるいは大臣の場合は、安保条約に二度こういう態度をとられたということが出ておるわけです。一アメリカ人といっても、国会議員でございます。それが理由書としてこういうものが出て、日本の政治情勢までも疑っている。私は本当かどうかよくわかりませんけれども、そこに書いてあるのだからあれしますと、名前は差し控えたいと思いますけれども、責任者が国内の多くのいろいろなグループからやや遊離していることは全く疑いの余地がないというところまで書いておりますね。  選ばれ、そしてまた国会が選んで出られた方々がこういうふうに外から言われるいわれはないと思います。そういう視点からも、是は是、非は非として私はただしていかなければならぬ。そういう視点で、これを決して奇禍としないで幸いにできるように、建設的に日米関係がこれから修復できるような形でやはり勉強していかなければならぬと思いますので、重ねて資料の要求をお願いいたしますが、大臣、これをお読みになってどういうふうにお感じになられましたでしょうか。
  182. 園田直

    園田国務大臣 いろいろ日本国会意見があるように、向こうにも御意見があるわけであります。しかし、そういう御意見を軽視してはならぬので、十分拝聴して、自分の真意、真実、日本立場というものを理解願うように努力をしなければならぬと感じた次第であります。
  183. 林保夫

    ○林(保)委員 ぜひそういうことで、一番心配されるのは、さっきも申し上げたように、経済摩擦が先か、防衛摩擦が先かという問題はいろいろ見解が分かれると思います。しかし、なおきっちりと努力しないで、人様のことをめんどう見てやるというような姿勢自体が、はっきり申し上げまして私はちょっと問題だと思います。と同時に、アメリカの圧力という名目でもって、日本の政治ができないことをよそから手助けしてもらうというような政治は、私は全く不信任を投じたい、こういうような気持ちでいっぱいでございます。ぜひ日本日本なりの自主的な立場を貫いていかなければならぬと思います。そのことについて大臣も先ほどいろいろと御答弁がありましたけれども、なおどういうふうにお感じになっておられますか、その辺を承っておきたいと思います。
  184. 園田直

    園田国務大臣 全く同じ意見でありまして、防衛にいたしましても何にいたしましても、日米関係を本当によく持っていこうと思うならば、アメリカの圧力で日本がどうこう動くということはあってはならぬことだ、そういうことを国民に感じられてはならぬことだということが私はしょっちゅう念頭にございます。在京のマンスフィールド大使が、日本防衛努力を言いながらも、かつまた、米国の方からこれに圧力をかけることはよくない、こういう主張をしていただいておるのも真実であると思います。私が絶えず防衛問題等で向こう議論をし、日本の限界あるいは日本のやるべきことは自主的判断によって相談ずくでやろうと主張しているのも、そのとおりでございます。
  185. 林保夫

    ○林(保)委員 そこで、いまも冒頭申し上げましたように、日本人の真意、国の根本を揺さぶるような問題がいろいろと提起されておる。それは結局、日本政府の態度、この外務委員会で見ましても、先般大臣にも御質問申し上げましたけれども、いろいろとニュアンスが変わってまいりますね。  いまも私はちょっと議事録をそこから取り寄せて日米安保条約の問題を見たのでございますが、大臣は私に対しては、先般九月二日の外務委員会で、あの問題は五分五分であるかどうかという問題なんで、やはりこれは片務的なものであるというふうに一刀両断で御答弁なさっておるのですね。先ほど答弁しておられるのは、大分違っておりますね。どういうふうに言われたかというと、私のメモでこれは間違いないと思いますけれども、条約上は片務的である、実質上は双方助け合うということで、双務的とはおっしゃいませんでした、しかし、このことは実質は双務条約じゃないか、こういうことに解釈されなくもない御答弁であったと思うのです。大臣、どっちが本当なんでございましょうか。  時間がございませんので、私なりにちょっと先に私見を言わせていただきますと、これは名前のとおり日米相互安全保障条約でございますから、むしろ名のとおりの双務条約である、しかし内容的には重さの違いがあって、それこそ実質上は片務的になっておるのだ、これじゃないかと思うのでございますけれども、いかがでございますか。
  186. 園田直

    園田国務大臣 答弁そのままでございまして、いささかの変更する点もないと存じますが、日米安保条約というのは集団安全保障ができないという前提から言えば、日本は、条約上の形式から言えばこれは片務的である、ただし、実質的には基地提供施設その他相談をしているわけでありますから、双務的になるように努力をしているところである、こういうのが私の答弁であります。
  187. 林保夫

    ○林(保)委員 双務的になるように努力されるということは、言葉じりをとらえるわけじゃございませんけれども、大臣、そういう方向に持っていくという御決意と理解してよろしゅうございますか。
  188. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 大臣の言われましたことを若干補足さしていただきますけれども、何が片務的であり、何が双務的であるかというのは、着目する点によって違ってくるのだろうと思います。したがって、日本アメリカ防衛義務を負っていないという点においては、ほかの条約と比較してこの安保条約は片務的であるということは言えると思います。それじゃ全くこの条約は片務的であるかというと、そうでなくて、やはり日本としては米軍に施設区域提供している、そういう点では双務的である。  先ほど私が石原委員質問に対して御答弁しましたように、そういうふうに日本としては施設区域提供している、その施設区域が円滑にかつ効果的に利用されるためには、やはりわが方としては米軍に対して施設経費の負担というものを従来やってきたけれども、今後もさらに負担していく必要があるだろう、こういう点を申し上げたわけでございまして、いまの林委員に対しても同じ答えになるかと思います。
  189. 林保夫

    ○林(保)委員 その辺が、国民立場からいたしますと本当にわかりにくいですね。日本双務的であると思っている人も、日本人の中でかなりおります。学者の見解を聞きましても、一般の国民的な感覚から見てもそうだと思いますね。それをあえて政府が片務的だ、片務的だと言うから、いま国民の間では、いざというときにはアメリカは助けてくれぬのではないか、こういう疑問もはっきり出てくる。このことは外務委員会議事録で、大臣の言われたときに私も質問いたしております。これは伊東外務大臣でした。今度は、逆にアメリカから言いますと、片務的だ、片務的だという日本政府認識があればこそ、これを双務的にぜひしたいという期待が出てくるのは当然であって、外交戦略上、私は素人でございますけれども、やはり余り得策のような答弁にはなっていない、こう言わざるを得ないと私は思うのです。  そこで、ヘルムズ議員のこの中にも、こういうくだりがあります。アメリカの圧力に抵抗することは政治上大きな利益がある、このような日本の政治風土だという書き方をしております。防衛問題についても同じようなニュアンスのことをいっぱいいろいろと書いております。読んでためになる理由書でもあるような感じがいたします。そして、その中で、いみじくも大臣は、先ほど来何回となく憲法上の制約を同僚委員質問に対して答えられました。それはそれで私は結構だと思うのです。しかし、なおこういう言い方をその中でしております。憲法上の制約ということはささいなことである、たとえ二倍の防衛力増強スケールを持っても、日本側は長年にわたる憲法上の解釈からして何もそれに抵触することはないような状態だというところまで言われて、この提案理由書が出ている。  私も直接もらったわけじゃありませんから、間接的に、そういうところまで来ているという、まあ私にとっては大変深刻な、目の覚めるような状況であったと思うのでございますが、大臣、私が最初、予算の問題を聞きましたのも、そこらのもつれをきっちりと外務省が解いていただかなかったらだれが解くのですかと、こういう問題でございます。大先輩の議員が、しかも大臣立場におられる間にぜひひとつやっていただきたい。  このことはいつか御質問申し上げたけれども、大臣の時代でございましたね、これは二年前の議事録がありますけれども、日本は持てる力をすべて尽くして政治的な影響力を含めてやるというのは、大臣の出されました外交青書の中に出ておった言葉でございます。その辺から申しましても、やはりこの辺の糸を解いていただきませんと、私どもも、さらには国民の心配も解けないと私は思うのです。いかがでございましょうか。
  190. 園田直

    園田国務大臣 御意見はよく拝聴しておきますし、今後も勉強いたします。ただし、いまの米国の提案された問題につきましては、今後どうなるかわかりませんので、ここで私が一々コメントすることは避けたいと存じます。
  191. 林保夫

    ○林(保)委員 また大臣に細部にわたりまして御質問さしていただくことを期待いたしまして、きょうは終わりたいと思います。ありがとうございました。
  192. 松本十郎

    松本(十)委員長代理 野間友一君。
  193. 野間友一

    野間委員 四月九日の原潜の当て逃げ事件について、まずお伺いをいたします。     〔松本(十)委員長代理退席、委員長着席〕  八月三十一日に最終報告を外務大臣は受け取られた。この事件については、何度も各関係委員会でも論議がされまして、あそこでジョージ・ワシントン号が何をしておったのか、なぜ急浮上したのか、あるいは衝突後なぜ見殺しにされたのか、さらに日本に対する通告がなぜおくれたのか、幾つかの重要な問題が論議されました。そして、八月三十一日に外務大臣は受け取られた、こういう経過を有するわけでありますけれども、この最終報告書について、園田大臣は、これを了とする、たしかこういう態度をおとりになったと思うのですね。この真相究明について一貫して、われわれの納得のいくような調査をし、そして究明を進めたい、こういうふうにずっと言っておられた。そして、この最終報告書の中身についての検討をされたかどうかはわかりませんけれども、その受け取った日に、了解するというふうなこれに対する評価がされたと思いますけれども、それはそのとおりでよろしいわけですか。
  194. 園田直

    園田国務大臣 私が言いましたのは、ちゃんと条件がついておりまして、日本が疑問とする点あるいは向こうに問いただした点、それから両方の言い分が違う点、こういう点についてはそれぞれ詳細に回答がしてあり、かつまた、すべての責任を向こうが負うという各個所についてのあれがありましたので、その説明を了とし、これに対する補償の問題が一日も早く解決をし、このようなことが二度と起きないようにという二つの条件をつけて受け取り、アメリカの誠意を了としたわけであります。
  195. 野間友一

    野間委員 そうしますと、補償はまた別の問題として、事故の原因なり究明について、この最終報告書で日本政府は了とする、こういうことでしょうか。
  196. 園田直

    園田国務大臣 事故の起きた原因はすべてアメリカの責任であると明瞭に書いてございましたから、その回答には了としたわけでございます。
  197. 野間友一

    野間委員 私はこの報告書を読みました。素人ですから、軍事的な、そういう技術的なことについてはよくわかりません。しかし、私がこれを読む範囲においてもいろいろと疑問が出てきた。この事故の原因は一体何なのか、あるいは、事故後、この乗組員を救済する要件があるにもかかわらず、これを見殺しにしたのじゃないかというようなことについて、私はどうしても疑惑を払拭することはできないわけです。その点について、いまから少しお尋ねをしたいと思います。  まず、防衛庁にお聞きしたいと思いますけれども、P3Cが対潜哨戒のために運航する場合に、乗員は何名で、どういう役割りを持った者がおるのか、この点について。
  198. 萩次郎

    ○萩説明員 お答えします。  米軍の場合、P3Cが通常の運航を行います場合は、乗組員は十一名ということになっているという報告を受けております。そのうち士官が五名、下士官が六名でございます。それで、士官五名のうちパイロットが三名、戦術航空士が一名、航法通信士が一名。それから下士官の六名につきましては、機上整備員が一名、対潜音響機器操作員が二名、それから非音響機器操作員が一名、武器員——武器担当者でございますが、これが一名、それからコンピューターの担当者が一名、下士官六名、計十一名でございます。
  199. 野間友一

    野間委員 外務大臣にぜひ聞いてほしいところですけれども、いま所用なので、またあとでお越しになったときになにするとして、そうすると、いま言われたことから、アメリカ側の説明の中で、日本政府というか、防衛庁としては、十一名要るというふうに理解をしているということになるわけですね。  さあ、そこでお聞きしたいわけですけれども、この士官が五名、下士官六名、それぞれ対潜訓練をやるわけですね。パイロットから、いまいろいろと、職務分担何、何名という話がありましたけれども、この対潜哨戒訓練を行う場合に、この一名でも欠ければ、対潜哨戒訓練は効果的なものができない、通常はこれだけの者が最低必要だ、こういうことですね。
  200. 萩次郎

    ○萩説明員 先ほど士官五名のうちパイロット三名というふうに申しましたが、このうち一名は予備パイロットでございますので、その一名を削ることは可能でございますが、通常の訓練の場合には最低限十名は必要であろうというふうに考えております。
  201. 野間友一

    野間委員 いま最低限十名が必要だというふうにお話しになりましたけれども、もしパイロット一名を含めて三名とか五名で対潜哨戒訓練をすることができるでしょうか。
  202. 萩次郎

    ○萩説明員 対潜と申しますのは、海に沈んでおります潜水艦を発見するということでございますので、パイロットだけでは見つけることはできません。したがいまして、音響関係の人間、武器の関係、コンピューター、最低限十名がないと訓練は不可能であろうかと思われます。
  203. 野間友一

    野間委員 それでは、大臣質問を続けますが、先ほど私が防衛庁の方に伺っておったのは、P3Cが対潜訓練を行う場合に、乗組員は一体最低何名要るのか、こう聞いたわけです。それに対しては十一名、予備のパイロット一名を仮に省くとしても十名、これが最低限必要な人員だという話がいまあったわけですね。ですから、三名とか五名で対潜訓練はできない、こういう防衛庁のいまのお話です。  そこで、外務省にお聞きしたいわけですけれども、この最終報告書の中で、これは御案内のとおりまさに対潜訓練ですね。原潜をソ連のものに見立てて、そしてP3Cが上を舞ってこれを発見するという訓練をしておったわけですけれども、この最終調査報告書には、P3C一機が共同訓練に参加しておるという記述があります。このP3Cには一体何名乗っておったのか、どういう記載になっておるのか、これは大臣が了とされたわけですから、大臣もし御存じなら、これを聞かしていただきたい。
  204. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 そこのところの記載は、P3Cには第三グループの乗組員が乗っていたというのが正確でございます。したがって、野間委員が恐らく疑問とされているのは、ここに書いてある訳が、P3Cには三名の乗組員が搭乗しているという個所ではないかと思いますが、これは英語から見ますと完全な誤訳であると思います。
  205. 野間友一

    野間委員 さあ、その問題ですよ。この訳では八十七のところに「このP13Cは、VP147の三名の乗組員が搭乗し」と訳していますね。これは誤訳だと言うのですか。
  206. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 これは日本訳も、もちろん英語もそうでございますが、アメリカ側が訳したわけでございますが、英語から見ますとVP47の第三グループということでございますので、この日本文は、より忠実に訳すれば、VP47の第三グループの乗組員が搭乗しているというのが正しいかと思います。
  207. 野間友一

    野間委員 英文では、私が前に見たときに第三グループじゃないと思いますが、スリーとなっているのじゃないでしょうか。
  208. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 それがさっき申し上げましたようなクルー・スリーでございますが、それは三名というふうに訳するのではなくて、VP47の第三のグループということが正確だろうと思います。
  209. 野間友一

    野間委員 何でそんなことが言えるのですか。あなたの方で英文の原文も持ち、それから邦訳したものも持っておられるわけですね。いままでずっと国会でこの点についての指摘はなかったのですね。原文ではこれはスリーとなっているのですよ。スリーというのは、三名ですよ。数ですよ。何でこれが第三グループになるわけでしょうか。そんな言い方はないでしょう。
  210. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 ここで英語の論争をするつもりはございませんが、スリー・クルーということであれば三人ということでございますが、ここではクルー・スリーというふうになっております。
  211. 野間友一

    野間委員 いや、その点についてはさらに私の方も原文に当たりまして、これはいろいろ専門的な訳文の問題になりますけれども、しかし、それは後の問題にしましても、少なくともこの和文を読んだ範囲で、あなたは誤訳というふうに一遍に片づけますけれども、「三名の乗組員」とはっきり書いてあるわけですね。しかも、この中には名前がちゃんと書いてあるわけです。パイロット、それからTACCO、具体的には名前も書いてあるわけですね。この中で、P3C対潜哨戒訓練は原潜を目がけてやっている。原潜のそれぞれの乗組員のさまざまな行動については、いろいろと記述がありますね。これはP3Cについてもあるわけです。つまり、現場を知っているのはP3Cと原潜ジョージ・ワシントン、こういうふうになるわけですね。  そういうことを前提とした上で考えて、この調査書のP3Cのいろいろな対応、行動について記述があるのは、三名のことしかないじゃないでしょうか。ほかにありますか。
  212. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 いまお尋ねの件は、そのときの訓練をしていた人の中で特定の人を列挙しているのであって、乗組員全部の氏名というものをそこに書いてあるということにはわれわれとしては理解していないわけであります。
  213. 野間友一

    野間委員 それならそれでいいですよ。それぞれが任務が違いますから、パイロットは運転する、それから中の機械を整備する者とか、あるいは計器を整備する者、いろいろあります。それはわかりますよ。そして、それぞれの人がどういうことをしたのか。つまり、このP3Cと原潜とのかかわり、演習のそれについての記述がこれにあるわけですね。しかも、この中で原潜を発見するためにはさまざまな行為がとられている。その中で、これはとにかく三名しかないわけですね。あなたの方でもこれを素直に読めば、このほかには乗っていないという記述になっているということは前後の関係からして常識じゃありませんか。違いますか。
  214. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 先ほど来御答弁しておりますように、そこで活動している人たちについての記述は明確にある、それは事実でございます。しかし、それ以外に乗っている人についての記述はないということが第二点。第三点としては、先ほど申し上げましたようにクルー・スリーという言葉を使っている。これは英語の言葉遣いからして三名ということには限定されないのじゃないか、むしろ第三のクルーというふうに訳すのが正しいのじゃないかということでございます。
  215. 野間友一

    野間委員 それはあなたの判断でしょうか。外務省の判断でしょうか。それとも、アメリカに照会されてそういうふうにされたのですか。もし照会されたとしたら、いつ、どのようにして照会されて、そして第三グループとなったのか。そして、仮に第三グループとするならば、じゃ何名乗っておったというふうにあなたの方では理解しておるのか、この点についてあわせて答えてください。
  216. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 いま私がお答えしたのは文理上の解釈でございます。したがって、アメリカに対して照会はしておりません。
  217. 野間友一

    野間委員 そうでしょうが。  大臣、いかがでしょうか。正式にこれは誤訳だと言うわけですよ、三名と書いてあるのが。これを正々堂々と国会の中で出しておる。そして、いまの淺尾局長の話によると、これは誤訳だと言う。じゃ、これは国会で訂正しましたか、いかがですか。対外的に発表しましたか。
  218. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 これはあくまでもアメリカ側の訳でございます。  それと、対外的に訂正したかというお尋ねでございますけれども、私たちとしては、いまここで初めて野間委員から提起されたわけでございまして、国会の場で訂正するという機会はもちろんなかったわけでございます。  それからもう一つ、私、わからないのが、それがこの衝突の原因とどういうかかわり合いが実際的にあるのかということでございます。非常に実質的なかかわり合いがあるということであれば、もちろん大問題であろうと思います。
  219. 野間友一

    野間委員 外務大臣、そういうことでいま淺尾局長は、実際この英語の訳からすれば第三グループということで、三名ではない、こういうように言われるだけで、アメリカに照会もしていない。これをあなたが受け取って、それから各委員会でみんなこれを見ておるわけですね。これは何の訂正もいままでないわけですよ。こんなばかなことがありますか。いま私が言って初めて気がついた、こういうことでしょう。それは誤訳かどうか、私はわかりません。わかりませんが、少なくとも私も原文に当たりました。そして、これもつぶさにP3Cの動きを検討しました。その結果が三名としか考えようがない。これは誤訳ではなくて、訳そのものはまさに正確な訳じゃないかと思うのです。  淺尾さんに言いますけれども、私はここでなぜこういうことを言ったかといいますと、一つは、衝突をし、二人の船員を殺し、十三名を十八時間もあの寒い冬の海の中に漂流させた、これは確かにジョージ・ワシントン号の責任であります。これについてはいろいろなハプニング、これは私は真相だと思いませんけれども、いろいろなことが書いてあります。  と同時に、問題は、P3Cがその上で共同で訓練しておったわけで、一緒に行動しておったわけですから、いまの防衛庁の話ですが、これが正規の十一名なりの乗組員がおって、そしてその乗組員が所定の仕事をしておったとするならば、この衝突直後からあれだけ大きな事故になる前に当然に発見されて、そして救助されている、そうなるわけですね。  パイロットは運転しますね。整備する者あるいはレーダーを見る人、あるいはソノブイといいまして、上から電波を発信してそのはね返りの音によって潜水艦かあるいは海上を走っておる船かどうかをさらに分析するとか、さまざまの係の人がおるわけですね。そういう人たちが正規に仕事をしておったとするならば、衝突についての責任は仮に原潜にあるとしても、その後は直ちに容易にこれは発見できる。まずレーダーで発見できますね。ソノブイで発見できますね。それからあと磁気探知機がありますね、これでも発見できる。肉眼でも発見できるわけです。  ところが、この後の記述、淺尾さんも見たらわかりますように、ソノブイの関係についても、ナンバー一から三まで打った。そうして衝突したときから、日昇丸から、いろいろな音を皆記録しております。しかし、この記述は、二と三に気をとられておって一を見ていなかった、こういう記述があるのです。つまり、それだけ人間がいなかったということが前提でこのP3Cの行動については書かれている。これはもう文脈からして当然そうなるわけですね。そこで、私は疑問に思っているわけです。  P3Cは果たして三名だけで訓練することができるのだろうかどうか。フルに人間を乗せて、そしてこの共同訓練に加わっておった、まさに淺尾さんが言うようなものが私は正しいと思う。だとすれば、いま申し上げましたような理由で、これは容易に衝突した後の乗組員についての手当てができた、こういうことが当然出てくるわけです。  そこで、第三のグループかあるいは三名か、私は三名というのは虚偽だと思いますけれども、これが非常に重要になってくる。これは単に誤訳とかいう問題じゃないと思うのです。第三グループであれば、果たして何名乗っておったのか、それが所定の任務に皆ついておったのか、これが当然日本政府としての真相を究明する非常に大きなかぎだと思うのです。もし三名しか乗っていないとすれば、そういう表現があるとするならば、これに対して疑問を持つのは私は当然だと思うわけです。そこで私は聞いているわけです。  大臣、いかがでしょうか、この点は非常に重要な点であります。見殺しにしたのか、あるいは過失によって発見できなかったのか、この点が非常に大きなかぎになると思うのです。ですから、容易に発見し得たにもかかわらず手当てをしなかったということになりますと、これは不作為の行為犯に私はなると思うのです。非常に重要な点であります。その点について、いま淺尾さんの話によっても、アメリカにはまだ照会をしていないということでありますから、これはぜひ問い合わせて、真相を明らかにしていただきたい。これは私が指摘しなければこのまま通用しておった、こう考えますと、私は慄然とするわけです。いかがでしょう。
  220. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 野間委員も御承知のとおり、その報告書の中には、なぜジョージ・ワシントン号が人命救助がおくれたかという個所が別のところにございます。その中で一番大きなのは、艦長あるいは当直士官、それからその他の乗組員が、重大な事故が起きたという自覚がなかったという点が第一点でございます。その点に関連して、P3Cに対して救助の要請をする時間もおくれているわけです。  それから、P3Cの行動についても記述がございまして、P3Cの飛行状態は、ちょうど衝突のときは大体高度五百フィートで、ジョージ・ワシントン号に対して磁気探知機によって想定攻撃行動の最中であり、計器による飛行中で機内での作業に専念しており、まれにしか外を見ないという状態であった。それから、当時の気象状況は、視界がゼロから二マイルということで、雲も低くたれ込め、南東の風二十ないし四十ノットであったという記述がございます。  いずれにしろ、アメリカ側は、P3Cの活動を含めて今回の事件については全責任を負うということを言っているわけでございまして、私たちはそのアメリカ側が全責任を負うということについて評価をしているわけでございます。
  221. 野間友一

    野間委員 私はそんなことは聞いておりません。聞きたいのは、いま言ったとおりなんです。実際にP3Cが所定の任務について、そして所定の行動さえとっておれば、ああいう悲惨な状態に落とし込めることがなく救済できた、これは当然なんです。いま申し上げたように、レーダーの問題から、あるいはソノブイで発見する問題から、皆そうなんです。それも、ソノブイでとらえておったという記述もあるわけです。あなたはまとめの評価のところを読んでおりますけれども、そのときP3Cのとった行動、それから原潜がとった行動、それとのかかわり合いはどこでどうなっておるのかということ、これは具体的な事実関係の中で明らかにされておるわけですね。だから、そこで三名であるのか十三名であるのかが大きな問題になってくると私は思うのです。三名であるというのは、私は虚偽であると思うのです。ですから、それも問い合わせていただいて、そしてもし十二名であるとするならば、これは何名かわかりませんけれども、それが所定の行動をとっておればこれは当然に救済できたということに相なると私は思うのです。十三名だということになりますと、中の記述が相当変わらざるを得ない。これは前後の関係、いろいろあります。  そこで、大臣、いまの淺尾さんの話でも、こういう大事な点についてアメリカにまだ問い合わせたことがない、ただ文章を、英文と訳語を考えた場合には第三のグループというふうに自分認識する、理解する、こういう話だけですね。納得いかないものは、やはり大臣はきっちり納得いくような説明を求める、これは大変大事なことだと思うのです。これは政治的な問題ですね。いかがでしょう。
  222. 淺尾新一郎

    淺尾政委員 P3Cの乗員が何名であったかについて、いま私の判断を申し上げたわけでございますけれども、これについて私の判断が正しいのかどうか、あるいは野間先生が言われたように十三名乗っていたのかどうかということについては、われわれとしては今後もう少し検討して、より必要な資料をとりたいと思います。ただ、それが即人命の救助とかかわり合いがあったかどうかということについては、そう一概に、簡単に結論が出る問題ではないのではないかと思いますが、いずれにしても、クルー・スリーであったかどうかということについては、もう少し確認させていただきます。
  223. 野間友一

    野間委員 この中にもすでに認めておりますように、原潜そのものも、軍事機密を優先させて結局また潜航していった、こういう記述がはっきりありますね。私は、日本人の人命よりも軍事機密を優先させるというアメリカの本件に対してとった態度、これが問題だと思うのです。原潜については、少なくともその点は認めております。  ところが、私が申し上げるように、それと一緒に訓練しておったP3C、これが所定の行為をとっておれば当然わかるにもかかわらず、とっていない。そこにさまざまな不作為の行為的な問題が出てくるのでないか。そうなりますと、慰謝料の問題よりも、演習そのものと衝突後の救済措置との関係、これをもっと究明して真相を明らかにしなければならない義務日本政府にあるのじゃないか。これは当然だと思うのです。私は決して十三名とは言っておらぬわけで、三名でないという仮説、前提の上に立って物を申しておるわけですけれども、その点についてぜひ早急にこれを調査して、問い合わせしていただきたい、このことを大臣に要求したいと思いますが、いかがですか。
  224. 園田直

    園田国務大臣 事務当局が申し上げましたとおり、その事実についてはアメリカによく照会をして、事実を確かめることにいたします。
  225. 野間友一

    野間委員 もう時間がなくなりましたので、極東有事の問題から、さまざまな問題を用意しておったのですけれども、予測しない答弁が返ってきて紛れてしまいましたが、私は、もし問い合わせをされる場合には、大臣、あなたみずからがやはり目を通していただきたいと思うのです。正直に申し上げて、あなたはこれを受け取って、そのまま了承されたのだと私は思うのです。しかし、これだけじゃなしに、さまざまな疑問点があるのです。  一つたとえて言いますと、原潜の場合でも、人工衛星からの電波を受信するために浮上、これが理由になっております。しかし、その場合にはかさ型のアンテナを水面に出さなきゃならぬ。訓練して、いわば隠れんぼうしておるわけです。だから、見つかるように何でわざわざ演習の途中でかさ型のアンテナを水面に出さなければならぬか、これが真相かどうか、これについても私は疑問を持っております。あるいはレーダーが故障した、ちょうど衝突前後の三十分ぐらいが故障したというように記述があるのですね。果たしてそれが正しいかどうか。レーダーが仮に故障しておった場合に、ほかの手段で遭難した者を発見することが私は可能だと思ったわけですけれども、そういうことが可能かどうか、この点についてもやはり専門的に十分検討していただいて、真相の究明をしていただきたい。  いま大臣はお約束いただきましたけれども、あわせてこれをもう一度お読みいただいて、疑問な点は率直にただしていただくということを強く要望したいと思いますが、その点について答弁を求めて、終わりたいと思います。
  226. 園田直

    園田国務大臣 御発言承りました。了承いたしました。
  227. 野間友一

    野間委員 終わります。
  228. 奥田敬和

    奥田委員長 この際、土井たか子君から発言を求められておりますので、これを許します。土井たか子君。
  229. 土井たか子

    ○土井委員 本日の私の質疑の中で、けさの新聞に報道されておりました対米武器輸出政府見解案の全文について、外務大臣は、事務レベルでの一案であり、まだ政府見解ではないというふうな趣旨の御答弁をされたわけでございますが、事の重大性にかんがみまして、これはやはり国民もこの成り行きを憂慮し、大変な注目をしている問題でもございますから、ひとつ政府見解がまとまりました段階では、直ちに当委員会に対しまして内容を報告されるように強く要望したいと存じます。外務大臣、よろしゅうございますか。
  230. 園田直

    園田国務大臣 御希望の趣旨は承りました。
  231. 土井たか子

    ○土井委員 終わります。
  232. 奥田敬和

    奥田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会をいたします。     午後五時四十二分散会