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1981-11-05 第95回国会 衆議院 科学技術委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和五十六年九月二十四日)(木 曜日)(午前零時現在)における本委員は、次の とおりである。    委員長 中村 弘海君   理事 小沢 一郎君 理事 小宮山重四郎君    理事 椎名 素夫君 理事 与謝野 馨君    理事 日野 市朗君 理事 八木  昇君    理事 草野  威君       伊東 正義君    伊藤宗一郎君       金子 岩三君    佐々木義武君       齋藤 邦吉君    塚原 俊平君       前田 正男君    村上  勇君       渡辺 栄一君    北山 愛郎君       上坂  昇君    城地 豊司君       広瀬 秀吉君    斎藤  実君       佐々木良作君    和田 一仁君       瀬崎 博義君 ――――――――――――――――――――― 昭和五十六年十一月五日(木曜日)     午前十時十四分開議  出席委員    委員長 中村 弘海君    理事 小沢 一郎君 理事 与謝野 馨君    理事 日野 市朗君 理事 草野  威君    理事 和田 一仁君       伊藤宗一郎君    木村 守男君       泰道 三八君    塚原 俊平君       村上  勇君    渡辺 栄一君       北山 愛郎君    城地 豊司君       関  晴正君    広瀬 秀吉君       草川 昭三君    瀬崎 博義君       田川 誠一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (科学技術庁長         官)      中川 一郎君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房長     宮本 二郎君         科学技術庁計画         局長      下邨 昭三君         科学技術庁原子         力局長     石渡 鷹雄君         科学技術庁原子         力安全局長   赤羽 信久君         大蔵省主計局次         長       窪田  弘君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       高橋  宏君  委員外出席者         原子力安全委員         会委員長    吹田 徳雄君         警察庁刑事局捜         査第二課長   森広 英一君         外務省国際連合         局原子力課長  金子 熊夫君         大蔵省主計局主         計官      日吉  章君         水産庁研究部漁         場保全課長   川崎 君男君         資源エネルギー         庁長官官房エネ         ルギー企画官  広瀬 勝貞君         資源エネルギー         庁長官官房原子         力産業課長   田辺 俊彦君         資源エネルギー         庁公益事業部開         発課長     渡辺 光夫君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電課長  戸倉  修君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電安全管         理課長     末広 恵雄君         資源エネルギー         庁公益事業部原         子力発電運転管         理室長     谷口 富裕君         運輸省港湾局計         画課長     御巫 清泰君         参  考  人         (日本原子力船         研究開発事業団         理事長)    野村 一彦君         参  考  人         (日本原子力船         研究開発事業団         専務理事)   倉本 昌昭君         参  考  人         (動力炉・核燃         料開発事業団副         理事長)    飯田 正美君         科学技術委員会         調査室長    曽根原幸雄君     ――――――――――――― 委員の異動 九月二十八日  辞任         補欠選任   和田 一仁君     西田 八郎君 同日  辞任         補欠選任   西田 八郎君     和田 一仁君 同月三十日  辞任   伊東 正義君 同日             補欠選任              田川 誠一君 十月三日  辞任         補欠選任   上坂  昇君     野坂 浩賢君   和田 一仁君     大内 啓伍君 同日  辞任         補欠選任   野坂 浩賢君     上坂  昇君   大内 啓伍君     和田 一仁君 同月十五日  辞任         補欠選任   上坂  昇君     山口 鶴男君 同日  辞任         補欠選任   山口 鶴男君     上坂  昇君 同月二十三日  辞任         補欠選任   上坂  昇君     水田  稔君   和田 一仁君     塚本 三郎君 同日  辞任         補欠選任   水田  稔君     上坂  昇君   塚本 三郎君     和田 一仁君 同月二十八日  辞任         補欠選任   上坂  昇君     山口 鶴男君 同日  辞任         補欠選任   山口 鶴男君     上坂  昇君 十一月五日  辞任         補欠選任   金子 岩三君     泰道 三八君   齋藤 邦吉君     木村 守男君   上坂  昇君     関  晴正君   斎藤  実君     草川 昭三君 同日  辞任         補欠選任   木村 守男君     齋藤 邦吉君   泰道 三八君     金子 岩三君   関  晴正君     上坂  昇君   草川 昭三君     斎藤  実君 同日  理事吉田之久君九月二十二日委員辞任につき、  その補欠として和田一仁君が理事に当選した。     ――――――――――――― 十月二十日  原子力発電防災対策に関する陳情書外三件  (第一一五号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事補欠選任  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  科学技術振興基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 中村弘海

    中村委員長 これより会議を開きます。  この際、理事補欠選任についてお諮りいたします。  理事吉田之久君委員辞任により、理事が一名欠員となっております。その補欠選任を行いたいと存じますが、先例によりまして、委員長において指名することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村弘海

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、理事和田一仁君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 中村弘海

    中村委員長 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  科学技術振興基本施策に関する事項  原子力開発利用とその安全確保に関する事項  宇宙開発に関する事項  海洋開発に関する事項 以上各事項につきまして、本会期中調査をいたしたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 中村弘海

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  6. 中村弘海

    中村委員長 科学技術振興基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  科学技術振興基本施策に関する件について、本日、参考人として日本原子力船研究開発事業団理事長野一彦君及び同専務理事倉本昌昭君、動力炉・核燃料開発事業団理事長飯田正美君から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 中村弘海

    中村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  8. 中村弘海

    中村委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。日野市朗君。
  9. 日野市朗

    日野委員 私、原子力安全年報をちょうだいいたしました。このような安全年報というような形で原子力安全委員会年報をお出しになるということは今回が初めてであります。私、この年報をちょうだいをいたしまして、まだ全部目を通しているわけではありませんけれども、非常に大部のものでもありますし、いままでの安全委員会が取り組んでこられた事柄、これが非常に要領よくまとめられているということについて、この御苦労をまず御慰労申し上げたいというふうに思うところでございます。また、このような年報が逐次出されていくということは、この原子力の安全問題についての原子力安全委員会考え方ということを広く国民に知らしめることになるということで、企画としてもいい企画であるというふうに思っているわけでございます。  そこで、このようなりっぱなものができたわけでありますが、このようなものをおつくりになる企画から、これを出されるに至った経緯というものがございましょうが、一応ここで、この年報を出すということについての考え方、それから、このような年報をこれから毎年ずっとお続けになっていくおつもりがあるのかどうか、そこらのところについてまず伺っておきたいというふうに思うわけであります。
  10. 吹田徳雄

    吹田説明員 お答えいたします。  安全委員会がスタートいたしましてから、私たちはぜひともこの白書のようなものを出したいと思っておりました。それは、私たち安全委員会に与えられた責務を私たちがどのように果たしておるかということをできるだけ客観的な事実の記録として残しておきまして、それを国民の前に示すのがやはり私たちの務めだと思いましたので、ごらんくださいましたらわかりますように、これはできるだけ客観的に事実を収録してございます。どちらかといいますと学術論文的なところもあろうかと思いますが、これはそういう趣旨でございまして、スタートして間がないときに、私たち自身がこれを評価するということは非常に困難であるというのが一つでございます。そうこうしておるうちにTMI事故が起こりまして、計画はだんだん延び延びになってまいりまして、ようやくことしの三月末、ちょうど二年半になりますが、それまでの記録を一応、先ほど申しましたように客観的に事実としてまとめてまいりました。  それから、毎年出すかどうかということでございますが、私たちは、続いてこれを出す考えでございます。
  11. 日野市朗

    日野委員 私も、これはやはり原子力、特に安全についての作業というものがどのように行われているか、そして、それを貫いている思想というものはどういうものであるかということについては、やはり広く国民の批判にたえるようなものであってほしいというふうに思いますので、このような企画はこれからも毎年ずっと続けていただくように、特に私の方からも希望を申し上げておきたいというふうに思うところでございます。  ただ、原子力の問題について、そして特に安全性の問題についてということになりますと、これはやはり国内におきましてもいろいろな意見があるところでありまして、私もこれを読んでみて、御苦労は多としながらもいろいろな感想もございますし、それから注文もあるわけであります。それで、私、この内容にわたりまして、これから若干の質問を申し上げたいというふうに思います。  まず、この原子力安全委員会ができて委員会位置づけをどのように考えていくかということにつきましては、安全委員会をつくるというときから国会の内部でも非常に多岐にわたる論戦がありました。特に、この安全委員会をどのように位置づけていくか、つまり、安全委員会については独立した行政機関としてこれを位置づけるべきではないかというような意見さえあったわけであります。他の国家機関とかなり独立した、独立性を持った委員会にすべきだという意見が非常に強くありましたし、また、その当時の委員会附帯決議の中においても、できるだけ独立性を保っていくというようなことがこの委員会性格として要請をされていたのではないかというふうに思ったわけであります。それで、この白書の中でその部分はどのように取り扱っているかという点について、これは読んでみたわけなんでありますが、その点についてはきちんとした位置づけについての記載がどうもないような感じがするわけでありますが、いかがでございましょう。
  12. 吹田徳雄

    吹田説明員 私たちもその点は最初いろいろ議論いたしまして、諮問機関であるということは皆様国会でお決めくださったものですから、その枠内でわりあい強い権限を与えられた行政的な性格も持っておりますので、私たち五人の委員が最初に相談いたしましたのは、このシステムを有効に、どちらかといいますと外国にもないようなシステム日本で育てていくにはどうしたらよろしいかということでございますが、いま先生が御指摘のように、原子力開発利用に関する政策のうちで安全確保のための規制に関する政策というのがその柱でございます。ですから、位置づけと申しますと、諮問機関であって行政的な性格も持ち、総理を通しまして各行政の長にわれわれいろいろ勧告する権限を与えられておりますが、その枠というのはやはり原子力開発利用に関する政策のうち安全の確保のための規制に関する政策でございまして、ここで言いますと十六ページに書いてございます。
  13. 日野市朗

    日野委員 この十六ページの記載についても私は拝見をいたしました。ここに書いてあることは実際そのとおりのところであろうというふうに思うのですが、ここに書いてあるように、安全委員会というのは、その権限が大きいとか強いとかというようなものよりは、そこにある権威性といいますかそういったものが他を動かしていく、そのようなものであろうかというふうに私考えるわけでありますが、そこら辺についての御感想はいかがでしょうか。
  14. 吹田徳雄

    吹田説明員 まさにおっしゃるとおりでございまして、組織をつくりましてもそれを構成する人間が実は大事でございまして、われわれ五人は専門分野は違いますが、わが国原子力施設安全性向上に対してはできるだけ努力をしてまいっておるつもりでございます。
  15. 日野市朗

    日野委員 私は、安全委員会というのはやはりそういった非常に強い権威を持っている、高い権威を持っているというところから、日本原子力行政に対して、特に安全サイドについての行政に対しての責務は非常に重大なものであろうというふうに思っているわけであります。そういう側面と、もう一つは、かなりの程度の独立した存在としての意味を持つわけでありますから——独立した存在としてこれは認められている。これは法文上いささか不満な点もないわけではありませんけれども、その立法の経緯等から見て、かなり独立したものとしての権威を発揮していただきたいというふうに実は私思っているわけであります。  ところが、私、この白書拝見をして非常に問題ではないかというふうに思った点がございます。それは白書の二十三ページに「安全委員会は、国民の健康と安全を確保しつつ、福祉と経済の向上を図るために必要なエネルギー源として原子力平和利用が行われるべきであり、このため原子力安全規制行政国民に信頼されるよう充実強化されることが重要である」、こういうふうに書いてあるわけでございますね。この点については何もいまさら事新しく言い立てるべき問題じゃないのかもしれません。というのは、昭和五十三年十二月二十七日の原子力安全委員会から出された「原子力安全委員会の当面の施策について」という部分の引用でありますから、この点はすでに五十三年段階で原子力安全委員会が出された方針をそのまま引き写したということであるのかもしれません。しかし、これが白書という形で当面の施策内容にこのような文言があるのだということが世間に広く知られるということになりますと、これはまた一つ問題点を提起することになろうかと思いますので伺いますが、私は、原子力安全委員会権威及び独立性からして、国の一つの大きな政策ではあってもそれにのめり込んでいくというような態度をとるのはいかがなものかと実は考えている者の一人であります。そういうことにのめり込むのではなくて、むしろそれを客観的に見ながら行政の進みぐあいにチェックをしていくというのが原子力安全委員会の持つべき責務ではなかろうかというふうに実は考えているのですが、いかがでしょうか。
  16. 吹田徳雄

    吹田説明員 御指摘のところ、少し読んでいただきますと、これは原子力基本法をわれわれも尊重するということなんでございまして、原子力エネルギーというのは国民福祉と生活の向上に資することを目的としております。ですから、もしも安全の確保ができませんとその目的を達成するためには矛盾を来すわけでございますから、それに述べておりますのは、御指摘のように推進に重点を置いて述べたのでございませんで、むしろ安全の確保の方が重点である。これは衆議院か参議院の決議で入れました「安全の確保を旨とし」というのを強調したつもりでございます。
  17. 日野市朗

    日野委員 安全委員長はそのようにお答えになるわけでありますけれども、この白書記載でございますね、私が指摘した部分記載を見ておりますと、これは、原子力基本法等に見られるものよりもかなり強い調子があるような感じがしてならないのであります。この白書記載を見ますと、原子力平和利用が行われるべきであるという一つ使命感のようなものが行間に漂っているような感じがしてならない。私、いまさらきょうこの場で原子力平和利用の是非についての長い議論、膨大な議論を蒸し返すつもりは実はないわけでありますけれども、やはりこの原子力平和利用というもの、特にエネルギー源としての平和利用というものは、それが必要だったとしても必要悪的なものでないかというふうに考えているわけです。そして、もっと別のエネルギー源開発利用の促進、そっちに力を入れるべきだという論を唱える者の一人なのでありますが、私は、安全委員会が、むしろこのような使命感を漂わせるかのごとき文言をこの白書の中に記載されるのはいかがなものかというふうに思いますので、重ねて委員長の御見解をいただきたいというふうに思うのです。
  18. 吹田徳雄

    吹田説明員 安全委員会は、先生も御指摘のように、この文章の最後のところだけお読みくださいますとそうなろうかと思いますが、実は車で言いますとアクセルブレーキの役目をしまして、やはり車を走らすということがなければアクセルブレーキも要らないという考えがございます。それで、原子力基本法というのは、国会挙党一致でああいうことをやるということを決めたのは、やはり原子力開発というのが日本では必要で、あろうということと、その前提にこういう安全確保というのが暗々裏に入っておったのをエクスプリシットに出した、そのために安全委員会がスタートしたものと私たち考えております。ですから、全然日本原子力予算もなし、原子力基本法もないという状態でありますと、恐らくこんな表現は出さなかったと思います。
  19. 日野市朗

    日野委員 いま委員長のおっしゃったことは私としてもよく理解できるような感じがいたします。というのは、安全委員会がいままでずっととってこられた施策、それからやってこられた行動を見ておりまして、私としては非常に高く評価をしたい一面もあるわけでございます。いや、本当に高く評価するところはしているわけでありますけれども、一面非常に意外な印象を受けるような委員の方々の行動であるとか委員会としての行動なんかもあるわけでございます。これは安全委員長と私が、スリーマイルアイランドの事故の直後の委員会でもずいぶん激しいやりとりをやったことは委員長も御記憶だろうと思います。あのときは私もずいぶん失礼な言い方もしたかと思いますが、しかし、そういった点での非常に強い不信感のような一面もこの両者ないまぜに実は私の中に委員会に対する感想としてあるわけでございます。  このような感想は単に私一人だけのものではないだろうというふうに思いますので、委員会としては、この際、安全ということをきちんと基礎に据える、これはもう当然のことでございますが、他の国家機関からのある程度の独立性、それから権威性ということをお考えになった場合、こういった国の政策や何かに対する配慮というものはむしろ無用なものではないか。国の政策としてある政策が提示された場合、それをどんどん進める、単にアクセルを踏み続けるという方向にいながら、たまにはブレーキも引いてみようかということではなくて、常にブレーキに足が乗っているような状態、これがむしろ安全委員会としては必要なのだろう。私は、もう安全委員会としては常にブレーキの踏み役に徹してもらいたいというような感じがあるのであります。アメリカの原子力規制委員会などの態度というのは、そこいらは非常に鮮明に、安全という目でだけ物事を見るという立場に徹しているように私なんかには感じられるのですが、そういう安全という立場に徹して、ここのところは「原子力平和利用」とかなんとかいうことを言う必要はないのではないか。国の側がそれを推進するならば、それについて、安全という観点から、問題があればいつでもブレーキを踏むのだという姿勢を貫かれることをぜひとも私は希望いたしたいし、そのような観点から言いますと「原子力平和利用が行われるべきであり、」というような白書文言記載はむしろ無用ではないかというふうに私は思うのですが、いかがでございましょうか。
  20. 吹田徳雄

    吹田説明員 そこだけとっていただきますと、ちょっとわれわれの意思と反する。「国民の健康と安全を確保しつつ、」というのが、いま先生のおっしゃいましたブレーキを踏みながらというのでございまして、ブレーキはいつも踏みながら行政庁の行う安全規制をダブルチェックしているのでございます。それで、前半の方にむしろ重点を置いておりまして、後の「原子力平和利用」というのはわが国の、皆さん方がお決めになりましたかさでございますから、そういう政策の中でわれわれに与えられた所掌を行っておるわけでございます。
  21. 日野市朗

    日野委員 私も、実はこの文章そのものだけを読んだ場合「平和利用」というのはこういう安全を考慮して行われるべきなんだよという一つ文章の脈絡であることはよくわかるのですね。だから、私が申し上げたいのは、これは顕著な例でありますから何度も何度も申し上げるわけでありますが、スリーマイル事故の直後に一部安全委員のとられた言動などについて私は非常に問題点感じますので、そういう点誤解のないように、ひとつ文章表現等にも意を用いていただきたいということを申し上げたいわけであります。  ただ、私がここで何度も繰り返して申し上げましたように、原子力安全委員会の持っている権威、それからある程度の独立性、こういったものを生かしながら安全の問題を考えていかれる、その施策を講じていかれる、こういうふうにぜひとも理解をしたいと思いますが、それでよろしいかどうかだけ一言。
  22. 吹田徳雄

    吹田説明員 先生のおっしゃるとおりでございまして、私たちはその線から外れてないと信じております。
  23. 日野市朗

    日野委員 では、今度は少し問題点を変えますが、私はこれを見ていて、一体、安全委員会イメージとして思い描いておられる安全というものが明瞭にこの白書の中に表現されているのかということになりますと、残念ながらそこいらの引き込みが、これは双関語でありますために、原子力安全委員会の思い描いている安全のイメージというものについてもっと鮮明にしていただきたかったというような感想を持つわけであります。私はそれが必要なことだと思いますから、この委員会の中でも常に安全ということについての発言をしてまいりました。そういう目から見ると、安全ということのイメージがもっとはっきり出てもよかったのではないかというふうに思います。これは、原子力を扱う場合における安全とは何かという抽象的な質問にしてしまいますとなかなか書けるものではないことは私はよく存じております。でありますから、安全ということを書く場合、いろいろな方面からアプローチをして外側から攻めていくといいますか、安全という概念を機能的に表現するというような手法などもとっていく必要があるのではないかと思います。  私こんなことを申し上げますのは、実は大分乱暴な議論をなさる方がいるわけですね。たとえば炭鉱ではずいぶん人が死ぬけれども、原子力では人は死ななかったではないかとか、そういう議論から、一切の放射能を完全に閉鎖すべきであるという非常にきついところまで——この二つが両極端かどうかはわかりませんが、そういう議論をいろいろなされるわけでありまして、安全という概念を構成していく事実関係というものはいっぱい考えられるだろうというふうに思うわけでありますが、次に出される白書にでも安全委員会イメージする安全というのはどういうものかということについてお書きになるというようなお考えはございませんでしょうか。
  24. 吹田徳雄

    吹田説明員 日野先生指摘の点はもっともでございまして、私たち安全委員会がスタートしたときにその点は検討を何回かやったのでございます。安全というものがどういうものであるかといういわば哲学なくして安全委員会は運営できません。それで、数回やりまして大体のコンセンサスは得ております。たとえば私が、TMIの二週間ほど前に原産で、安全の基本的考え方というのは安全、環境、人間、施設というのを正四面体の頂点に置きましてそれぞれ関係があるという一つの、いわば私なりの考え方を示しましたが、大体ああいう線である程度はまとまっておりますが、個々のものになりますと、御承知のようにセーフティーゴールというのはいまなおはっきりしておりません。つまり計算でアクセプタブルのような、ほかのエネルギー源とのリスクの比較をいたしましてそういう計算はある程度可能でございますが、すでにわれわれが容認しているリスクとどういうふうに関係するかとなりますと、これは非常に経験、時間を要します。そういうところで各委員はそれぞれある大枠で合意はしておりますけれども、個々の点になりますと各専門分野で少し違ってまいりますのでいまのところはうきりとしておりませんが、委員個人出してはそれぞれの適当な機会にそういう考えを述べております。いまのところ次回にそういうのをはっきりするかどうかしておりませんで、定量的あるいは定性的に十分煮詰まってまいりましたら適当な時期にはまとめたいとは考えておりますけれども、次回にすぐにどうこうということはいまのところは考えておりません。
  25. 日野市朗

    日野委員 私、委員長さんの図式化された安全に対する考え方というのもある程度勉強させてもらったことがあるのですが、私の感想としては、非常にわかりにくかったという感想は実はそのとき持ちました。ただ、これはやはり必要なことなんだと思うのです。これは非常に表現しにくいことは私は百も承知でありますけれども、安全委員会考えている安全というのは何かということをきちんと表現をしていく。むずかしい作業ではありますけれども、いろいろな形で表現をして、それについての国民的な理解といいますか、そういったものを得ておく。理解というのは、安全委員会考えておる安全というものはこういうものなんだ、われわれの考えておる安全というのはこういうものだという——それに対する反対サイドからの仕事ももちろん必要であって、われわれもそれに対する怠りがあるということを自省をも含めながら私自身も話しているわけでありますが、ぜひとも安全に対する哲学といいますか、そういったものの定立といいますか、言葉に、きちんとした表現に定着するというような一つの仕事はやっていただきたいという希望を私から強く表明をさせていただきたいというふうに思います。私の方もそれなりにいろいろな努力はしてみたいというふうに思っておるわけであります。     〔委員長退席、与謝野委員長代理着席〕  それで、安全の問題はそのくらいにいたしますが、もう一つ、私この委員会の中で常に言い続けてきたのは、安全ということについての一つのモラルでございますね。白書を読みますと、技術的な問題についての考え方というものは表現されているわけなんでありますが、そういった技術の点をどのように強調しても、それに関与する者のモラルというものが非常に大きな位置を占めてくるであろうというふうに思います。それが極端な例であらわれたのが敦賀の原発事故であったろうと思いますが、このモラルの点について強調する必要があるのではないか、こういうふうに私思いますが、いかがでしょうか。
  26. 吹田徳雄

    吹田説明員 先生おっしゃるとおりでございまして、原子力施設を運転してまいりますのはやはり人でございます。その事業者自身が人のモラルを十分上げるようにしてやることが第一前提でございます。それは同感でございます。
  27. 日野市朗

    日野委員 これはだれが考えても当然のことだと思います。しかし、こうやって話をしているときは当然だ、こういうことであるにもかかわらず、現実には、長い間それを取り扱ってきたという妙な自信であるとか、場合によってはそういったことについての認識の徹底を欠いたのではないかと思われるようなモラルの欠如というものが間々見られるわけでありまして、きょうの読売新聞なんかにも載っておりますけれども、動燃事業団の、あれは「ふげん」ですか、あそこの核燃料貯蔵プール建屋においてコンクリートの手抜き工事があったのではないかということを指摘する文書が出回っておるという指摘がきょうの読売新聞の中にも載っております。実は私はこれについては、こういうのが出ているのだというようなことを耳にはしていたわけでありますが、きょうはそこのところに深入りしようとは思いません。ただ、こういう点を見ますと、いまだ私が言っているモラルが日本において確立していないというふうに考えざるを得ないところが、そういった現象が間々見られる。これは私、非常に残念であると思いますし、ここらのモラルの定立なしにこういった原子力施設といったものの稼働ということは、果たしてこれが適当なのかどうかということについては、その点からも非常に重大な問題として指摘をせざるを得ないと思います。この点についていまここで安全委員長さんに伺えば、いやそれはそのとおりでございますというような答えにならざるを得ないような感じもするのですが、そこをもっと強調するという必要を感じておられるかどうか、何しろ安全という問題を取り扱っておられる、国のシステムの中での最高のところにおいでになるわけですから、ひとつはっきりした決意と申しますか、そういったものを伺っておきたいと思います。
  28. 吹田徳雄

    吹田説明員 おっしゃるとおりでございまして、その白書にも書いてありますように、原子力というのはマクロの多重防護とミクロの多重防護があります。いろいろな意味で多重防護というのは必要でございまして、特に御指摘のモラル、つまり人間に関することというのは常に、オペレートする立場、評価する立場、これに影響を受ける立場、いろいろございます。それをマクロの方から見てまいりますと政策のときから幾つかの段階がございますが、そういう段階の中でまた非常にミクロな多重防護がございます。そういうところで人間というのが必ず介在するわけでございますので、その点はマクロからもミクロからも人間の要素というのを非常に重視する必要がございます。したがって、敦賀の事故からわれわれが得ます一番大きなものは、やはり運転管理を含めました品質保証体制を徹底させることであろうと私は思います。
  29. 日野市朗

    日野委員 また話題を変えさしていただきますが、この総論の第二章は「原子力施設安全確保を図るための技術的措置及び安全委員会の行う施策の基本方針」こういう表題になっているわけであります。私はいままでずっと考えてみて、安全委員会がいままでいろいろな方針を立てられる、それからいろいろな作業をされる中で、一貫したまとまったものというもの、安全確保を図るための技術的な一つの基準といいますか、それから施策を立てるについての基本的な方針についての基準、そういった基準を一つにまとめられたものというものはなかったような感じがしているわけです。これは、そのときそのときにおいてそれぞれの基準を定められてやってこられたので、ある意味では、これからの安全委員会の作業をするについての一つのまとまった基準をここの中に表現しているような感じがするのでありますが、そのように拝見してよろしいものでしょうか。
  30. 吹田徳雄

    吹田説明員 第二章のところでございますか。——「原子力施設安全確保を図るための技術的措置」というのがございまして多重防護の考え方でありますとかあるいは周辺公衆の放射線防護の考え方原子力発電におけるいろいろな立地等の指針等を通しましてこういう考え方は前からありましたのを一応まとめたものでございます。
  31. 日野市朗

    日野委員 いままでこういう考え方が折に触れ述べられてはいたけれども、一つの思想の体系というのもちょっと変ですが、安全を考えるについての思想というものがここに要領よくまとめられたものだなというふうに私も思いますし、これからの安全委員会の作業などを考えるに当たっても、やはり一つの指針的な意味を持つというふうな感じがいたします。そんなものとして受けとめてよろしいかどうかについて伺ったわけです。
  32. 吹田徳雄

    吹田説明員 ちょっとさかのぼりますが、先ほど安全とは何かという哲学の話が出ましたが、それを議論いたしまして出てまいりましたのが当面の施策でございます。つまり、哲学をバックにしながらわれわれはこういう施策をやっていく、実行することによってわれわれの考え方をあらわそうというのが前者でございまして、後者は、これまでの指針を一応まとめて、安全委員会として技術的措置としてこういうものにまとめたというのが後者でございます。
  33. 日野市朗

    日野委員 そういうものとして伺わしていただきたいというふうに思いますが、これの基本にある考え方は、やはり多重防護という考え方が非常に強く打ち出されているのだというふうに思います。十九ページの記載を読ましていただきますと、多重防護という考え方のもとにこういうふうな記載になっているわけですね。「原子炉施設のうち安全上重要な設備は、常にその機能を高い信頼性の下に維持するよう設計され、製作されるとともに、使用中もその健全性を確認し得る構造とすることとされている。」こういうふうに記載してございます。私、ここのところはまことにそのとおりだと思うのです。これは多重防護という考え方そして一番基礎にここのところがあるというふうな考え方であろうかというふうに思うわけでありますが、私なんかが考えてみて、この多重防護という十重二十重に一まあ十重二十重になっているかどうか別ですが安全という観点から何重にも安全装置を設けておく、これは考え方の上で安全装置を設けておくという考え方、これは正しいだろうと思うのですが、私なんかの考え方の中にはやはり依然として、非常に高い放射能にさらされるという状況下でいろいろな材質はどういうふうに動いていくのかとか、そういう状況外で発生する現象とそういう高放射能下で発生する現象との間のいろいろな違い、そこなんかについての十分な解明というのはまだできていないような感じが実は私、してならないわけなのであります。私なんかから考えますと、ここのところの記載については、こういった設備についてそれの信頼性というものをもっと高いものにするというところに非常に重点が置かれるべきではなかろうか。多重防護というような考え方からしますと、これはまずその異常といいますか事故といいますか、そういった現象は必ず起こるということを容認した上での防護ということの考え方にややもすれば傾いているような感じで私、読んだのですが、そのような読み方で正しいのかどうか、いかがでございましょうか。
  34. 吹田徳雄

    吹田説明員 先生指摘のとおりでございまして、これは二つのサイドを強調しておりまして、信頼性を向上させるというのが一つでございます。向上させましてもなおかつわれわれのやることというのはどこかに不完全さ歩残りますから、その非常に少ない不完全さをチェックして、それを非常に異常な状態に持っていかないようにするという両方をやる必要があろうと思います。
  35. 日野市朗

    日野委員 私、もっと研究とか実験とかそういう段階の必要さを非常に強く感じている者の一人なんでございます。もちろんそういうことがこういった文章の中から外れているとは思いませんけれども、そこいらを強調する必要性というものは委員長はお考えになっておられますか。
  36. 吹田徳雄

    吹田説明員 全く同感でございます。
  37. 日野市朗

    日野委員 それから、ちょっとここで用語について意味をはっきりさせておく必要があろうかと思います。ここではかなり頻繁に出てくる異常の発生という言葉、それから事故への拡大という言葉などが出てくるわけですが、ぜひともこれはきちんとした意味づけをここで与えておいていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょう。
  38. 吹田徳雄

    吹田説明員 それも確かにはっきりした定義を必要といたしますが、われわれといたしましては、安定な状態の前後にある幅を持って振動する、そういうのをたとえば異常という範囲を考えておりまして、事故はそれが発散してまいりまして、そういう発散性の要素がその中に含まれているのを一応事故考えております。
  39. 日野市朗

    日野委員 ここいらの読み方によって、たとえば敦賀の原子力発電所において起こったことに対する評価が実は変わってくるのだと思うのです。敦賀の原子力発電所の事故、私は事故だというふうに思うのですが、あれが事故なのか異常なのかというような問題が出てまいりまして、きょうは大臣がいれば大臣にもここらを詰めて聞かなければいかぬところなんですが、いませんから聞けませんけれども、あの敦賀で起こった一連のことは、あれは単なる異常なんだ、だからあんなことは大騒ぎする必要はないことだという評価が出てきたり、いやあれは事故である、これは非常に重大なことなんだというような評価が出てきたり、いろいろ分かれます。  それで、いま非常に抽象的な御説明は賜ったわけですが、たとえば敦賀の事故などを見た場合、私は事故だと表現するわけですが、あれなどは異常に入るのでしょうか、事故に入るのでしょうか。これは幾つかの例がありましたが……。
  40. 吹田徳雄

    吹田説明員 それは局長に……。
  41. 赤羽信久

    ○赤羽政府委員 御指摘のとおり異常、トラブル、事故というような言葉が使われておりまして、使う場所あるいは使う方面によって若干ニュアンスが違うことがありますことは御指摘のとおりでございます。ただ、われわれ安全委員会サイドで使っております事故と申しますのは、ただいま委員長申し上げましたような感じかと思います。これを別の表現で言わせていただきますと、通常の制御で対処できるような状態、通常の制御でもとへ戻せる、あるいは危険な方向に向かわないというような状態は、単なる異常かと思います。通常の制御のままでは不安全な方向に向くおそれがある、これを委員長は発散と申されたと思いますが、特別な対策をしなければいけない、特別な制御をしなければいけない状態に入ることを事故という、これも抽象的で恐縮なんでございますが、具体的に敦賀の問題についての御質問でございます。  これも、あのとき起きた事象のどこからどこまでが異常でどこからどこまでが事故とはっきり定義づけているわけではございませんが、安全委員会等の資料にはすべて事故という名前をつけて扱っております。では、あの中でどこにそういう事故の定義からする事故的要素があるかと考えますと、オーバーフローさせたということ自身は、まだ、せき等でとめられるとしますと、これは通常の作業でそれ以上の拡大を抑えられるわけでございますが、漏洩して知らない間に別のルートから流れていった、これは通常のコントロールの範囲を超えているわけでございます。程度の大小は別としまして、そういった性質から事故ととらえているわけでございます。
  42. 日野市朗

    日野委員 いま伺っていてわかったようなわからないような感じが実はするんです。それは、いまこうやって伺っていれば大体頭の中でわかるような気がするんですが、恐らく一般の人にはわからぬだろうと思うのですね。そして、異常という言葉から受ける印象というものは、これは非常に程度の低いものだったんだなというような印象を受けるでありましょうし、事故という言葉を使いますと、いまここで伺っている範囲では事故というのはかなりえらいことだぞという感じになりますが、また、一般の人は事故という言葉にかなりなれておりますから、日本語の通常の用語例で使われる事故というのはそれほど深い印象を与えないで過ぎてしまうのじゃないかというような感じがいたしますので、ここらもやはり、白書に辞書的な機能を持たすということは申しませんけれども、用語を明確にする必要があろうかと思います。特に、委員会でも科学技術庁の方はよく英語をお使いになるわけですね。私のような語学に弱い者から言わしていただくと、非常にわかりにくい。しかも議事録になったものをお読みいただけばこれが非常にわかりにくいものに見えてくるということも留意をしながら、用語の点、これはつまらないことのようですが、実は大事なんで、用語の点についてもひとつ御留意をいただきたいというふうに思います。     〔与謝野委員長代理退席、委員長着席〕  それから、いまの第二章の一というところに「原子力施設安全確保を図るための技術的措置」ということが書いてありまして、その(一)のところに「放射性物質を確実に管理することが、原子力発電における安全確保の基本的方針となっている。」こういう記載がございます。私は、この白書を書かれた基本的立場からすればそのとおりでもあろうかというふうにも思います。十八ページの(一)のところでありますが、私は、この「放射性物質を確実に管理する」というのは非常に基本的な思想になっているだろうというふうに思います。特に原子力を扱う場合、これは非常に重大な考え方であろうかと思うのです。こういう考え方は、燃料をつくっていくところから廃棄物の処理をするところまで、投棄をも含めてですが、これは非常に大事な考え方だと思うのですが、原子力を扱うということにこの思想が貫かれているかというと、必ずしもそのようにも実は考えられないというふうに思います。それは投棄の部分についてですね。特に、この放射性物質を確実に管理するという観点から言えば、海洋投棄というようなことはこういう思想から見るとずいぶん飛び離れたところに問題点があるような感じさえするのでありますが、そこいら、整合性といいますか、そういった観点からちょっとどのように考えればいいのかなという疑問を私、持つところであります。どのようにお考えか、お聞かせいただきたいのです。
  43. 赤羽信久

    ○赤羽政府委員 基本的な考え方としまして、原子力の利用では大量の放射性物質が発生する、それを厳重に閉じ込めることが利用の安全性の基本であるということは御指摘のとおりでございまして、そういう角度でやっておるわけでございますが、ただ、ゼロということはなかなかむずかしい。それの目安としましてICRPの基準等があるわけでございます。しかし、ICRPも指摘しておりますように、できるだけ被曝は小さくする、これもわが国安全性の基本方針として採用しているところでございますが、現実に原子力発電所につきましては、ICRPの基準の百分の一に相当します五ミリレム以下という目安で設計をしておりますし、実際の運用に当たりましては、さらにその百分の一程度の実績を現在上げているところでございます。要するに、基準に対しまして一万分の一、あるいは自然放射能に対しまして数千分の一、このレベルになるとほぼゼロに近づいたと考えていいのではないか、またそうなければいけないというのが現在の基本的な形でございます。  廃棄物の投棄に当たりましても、やはりほとんどゼロと言える状態ということを評価できない限り、してはならないというのが基本でございまして、現在評価した結果では、ゼロと言える、無視できる影響しかないということが出されておりまして、それを前提として海洋投棄を行うということでございます。
  44. 日野市朗

    日野委員 これは基準が低いからという説明の仕方をなさっておられるわけでありますけれども、要はその基準が非常に低いのだということで一応の海洋投棄の対象になる低レベルのものはこれは処理できるとして、さらに中レベル、高レベルということになると、問題はそのようには進まない、そういう説明では済まなくなってくる場合というのは十分考えられると思うのですね。高レベルのものを現実に、現在廃棄はしておりませんけれども、やがてはこれは廃棄せざるを得ないということが出てくるわけでありますが、そのような場合にも、こういう基本的な思想は貫いていかれるお考えかどうか。つまり放射性物質の確実な管理という思想を貫いていかれるかどうか、いかがでございましょう。
  45. 赤羽信久

    ○赤羽政府委員 国際的な基準を、数字を、すでに非常に下回った運営をしておるという現実でございまして、このことは法令的な形では出ておりませんけれども、わが国での原子力の安全に対する基本的な基準とみなすような運営が今後されていくものと思われます。現に高レベルの廃棄物につきましても、そういった考え方、すなわち一般国民あるいは周辺住民に対してほとんどゼロと言えるようなわずかな影響しか与えない処理方法、処分方法を見つけるべく努力しておりますし、また、それが可能でない限り、外へ出す、外へ処分するということは考えないという基本方針でやっていきつつあるところでございます。
  46. 日野市朗

    日野委員 では、時間が参ったようでありますから、これで質問を終わります。
  47. 中村弘海

    中村委員長 正午から再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時十五分休憩      ————◇—————     午後零時二分開議
  48. 中村弘海

    中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。関晴正君。
  49. 関晴正

    ○関委員 私は、さきの行革委員会において中川長官にいろいろと原子力船「むつ」のことをお尋ねしておいたわけですが、どうしてもなお聞かなければならないという問題がたくさんあるわけでございまして、きょうはその続きということでお尋ねをしてまいりたい、こう思います。  まず第一にお伺いしたいことは、私はこの日発言をする前に、「原子力船「むつ」の新定係港にかかわる海域調査に関する覚書」というものを現地において結ばれておるわけなんですが、その覚書を示していただきたい、こう申し上げたところ、覚書を示すわけにはいかないが要旨だけは差し上げましょうということで、要旨はいただきました。どうしても覚書の写しというものをいただけないものであるのかどうか、まずお尋ねしたいと思います。
  50. 野村一彦

    ○野村参考人 一般的に私ども、関根浜漁協と合意をした文書でございますので、私どもだけの判断では出しかねるということでそういうお答えをいたしたかと思いますので、相手方の御了承が得られれば文書そのものをお出しすることに異存はございません。
  51. 関晴正

    ○関委員 相手方の御了承を求めてもだめだというのですか、どうです。
  52. 野村一彦

    ○野村参考人 相手方の御了承が得られればお出しすることにやぶさかでございません。
  53. 関晴正

    ○関委員 私が求めたときに相手方の意を確かめた上で出せないと言ったのですか、確かめもしないで出せないと言ったのですか。確かめて、いいというのであれば、出すならば出してほしいと思うのですが、いかがですか。
  54. 野村一彦

    ○野村参考人 私ども、お役所を通じまして先生の御要求を承ったわけでございますので、いま申し上げましたように相手方のあることでございますから、私どもだけの判断でお出しするわけにはいかないということで、相手方の了承を得られるように、得られた上でお出しをするということが私どもの考え方でございます。
  55. 関晴正

    ○関委員 この覚書は当事者だけの捺印になっておりますか。
  56. 野村一彦

    ○野村参考人 私ども両当事者のほかに県、市、漁連のそれぞれの長が立会者ということで入っておられます。
  57. 関晴正

    ○関委員 そうしますと、今度はその立会者からも御了解をもらわなければ出せないということになりますか。
  58. 野村一彦

    ○野村参考人 これは地元の三者でございますので、地元と漁協が御相談なさるかと思いますが……。
  59. 関晴正

    ○関委員 これは大臣に伺っておきたいのですが、こういう簡単な覚書、しかも当時新聞にも出ている内容です。どうしてもそういうようなものをお出し願いたいというときに、素直に、ほいきたといって出せないのですか。どこに差しさわりがあるのでしょう。しかも、いまのお答えにも明らかなように、漁協と事業団だけでなくて県も市も漁連も入って立会人まで出ている、明々白々なものです。それでさえもちょっと見たいと言えば出せない。こういうことはおかしいじゃないですか。さっさと出したらよさそうなものだと思うのですが、大臣どう思いますか。
  60. 中川一郎

    ○中川国務大臣 出せないというのじゃなくて、地元と相談した上で出しましょうということであるのじゃないかと思いますので、特に隠さなければならぬ問題もありませんで、こういう問題はデリケートですからやはり相手の立場も尊重したい、こういう意思を申したにすぎませんで、そうむずかしいことはないと存じます。
  61. 関晴正

    ○関委員 大したことはないのです。大したことはないのだが、隠したがると何があるのかと見たくなる、調べたくなる。そういう点で私は素直に出すようにしていただきたいし、何でもあからさまにして事を進めるのだ、こういう姿勢が大事じゃないか、こう思うのです。そういう意味においてはひとつ出してほしい、資料、取り交わしたものについてはいつでも出せるようにしていただきたい、これは希望しておきます。  そこで、この覚書によってそれぞれお調べが始まっているわけなんですが、これまでのお調べの結果の中間報告、そういう程度のものがありましたらひとつ御報告してください。
  62. 野村一彦

    ○野村参考人 現在、九月から陸域及び海域の調査をいたしておりまして、いま立地環境調査を鋭意やっておるところでございます。しかしすでに終了したものもございますし、まだ調査中のものもございまして、調査終了した部分につきましてはその結果を踏まえまして、いま解析と申しますか、その調査の進行状況あるいは調査の一部結論といいますか、そういうものをいま勉強して解析をしているところでございますので、まだいま具体的にどの程度、どこがどうだということは結論を得ておりません。
  63. 関晴正

    ○関委員 どこに調査を委託しておられるのですか。
  64. 野村一彦

    ○野村参考人 調査につきましては陸域、海域それから一部空域がございまして、相当広範にわたることでございますし、それぞれ専門的な調査機関というものがございます。そういう調査機関、現在までのところ、団体、会社を含めまして全部で十三の専門機関に調査を依頼しております。
  65. 関晴正

    ○関委員 どのくらいの経費をそこに充て込んでいますか。
  66. 野村一彦

    ○野村参考人 現在までの調査を委託しました調査費は、十三社で合計八億ということでございます。
  67. 関晴正

    ○関委員 私は一昨日関根の浜に行ってきました。調査船でもやぐらでもあるものかと思って見ようと思ったのだが、少しもありませんでした。潮位測量計といいますか、あるいは波高計ですか、それはちょっと片すみにあったようです。ですから、ある程度それぞれにおいて調査をしたものがある、こう見てきたわけです。ですからあなたの方に、せめてこれまでで進んだところの内容、たとえば一千二百メーターまで掘ったところは沖合い何メーターあったとか、ボーリングかけたどころの深さは沖合いではどのくらいあったとか、そういうデータは出ているはずです。それから砂の量についてもある程度把握しているはずじゃないだろうか、こう思いますが、お調べになった結果が何も届いていませんか。
  68. 野村一彦

    ○野村参考人 現地におきまする実地の調査とその調査を踏まえました解析というものは、大体調査に要した日数と同じくらいの日時が解析にもかかるということでございまして、まだ私ども事業団にはその調査の解析を踏まえました結果についてのデータが届いておりません。
  69. 関晴正

    ○関委員 それでは、それらのお調べ、そしてそれらの解析等に基づいての結果はいつごろに出るのでしょうか。
  70. 野村一彦

    ○野村参考人 調査の結果につきましては、それがまとまれば、まとまりました段階でなるべく早く御報告いたします。まず地元の方に、関係者にお話をしてということになると思いますが、まだ現在までのところまとまった報告は参っておりません。
  71. 関晴正

    ○関委員 それぞれの調査委託に当たって、いつまでに調べを終わるようにお願いしてありますか。
  72. 野村一彦

    ○野村参考人 調査の項目と相手方によりまして、いま申し上げました十三社それぞれ区々でございますので、全般的に申し上げますと、調査の結果が取りまとまって解析が済みまして、そして、前回行革委でお答え申し上げましたような建設の技術的なめどが立つのは調査開始から大体半年ということで、年度末までには技術的なめどがつくようなデータがまとまるというふうに考えておりますが、相手の十三社の調査の範囲、項目それぞれ違いますので、どの社がどの程度かということはただいまわかりかねます。
  73. 関晴正

    ○関委員 調査委託に当たって、調査完了のめど、それは年度末で契約されているのですか。それぞれの項目においてあるでしょうから、では全部完了するのはいつごろになっていますか。
  74. 野村一彦

    ○野村参考人 もちろん調査の契約をいたします場合にはその調査の納期を各相手方ごとに決めるわけでございます。それは調査内容、項目によりまして違うわけでございますが、いわゆる私どもが港湾を建設するためにやっております調査全体が終わって、そして解析が終わるのは、調査開始からおおむね一年半ぐらいで完了するというめどでございます。
  75. 関晴正

    ○関委員 一年半というのはいつごろになりますか。
  76. 野村一彦

    ○野村参考人 調査開始から一年半でございますので、九月に一番早い調査が始まりました。したがいまして、それから一年半ということでございますと、来年度の半ばごろというふうに考えられます。
  77. 関晴正

    ○関委員 一年半といったら来年度の半ばにはならぬじゃないですか。あなた、どんな計算をしているのです。来年度の半ばといったら一年でしょう。それにもう半年加えなければならないでしょう。来年度いっぱいでどうにか、それも早いものででしょう。遅いものではどこまでいきます。
  78. 野村一彦

    ○野村参考人 ちょっといま考え違いいたしまして、九月から一年半でございますから、来年度でございませんで……(関委員「再来年の三月だろう」と呼ぶ)そういうことでございます。
  79. 関晴正

    ○関委員 大臣、お聞きのとおりだ、こう思います。  そこで、大臣は佐世保に、来年の八月三十一日に出港しますと言って約束をしてきた。こちらの方のお調べが進むのは、そうして解析が終わるのは再来年の三月、こうなるわけであります。そういうものが終わって初めて関根の浜の諸君が、仮に適だといって出した場合にその適に対して賛成するか反対するかという態度が出てくるわけです。大臣、そうしますと、佐世保から出港して、大湊には八月三十一日までにはそんなことにお構いなく行くんだ、こういうつもりですか。
  80. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 ただいま事業団の方から調査全般につきましての御説明を申し上げたわけでございますが、私どもはその調査も二段階に進めることを考えておりまして、まず今年度中には適地か否かの判断ができる調査をやってもらいたい、その上で建設を踏まえた調査を進めてもらいたい、こういうことで考えているわけでございます。したがいまして、五十六年度中には適地か否かの確認ができるという前提で物を判断している次第でございます。
  81. 関晴正

    ○関委員 そうすると、これは大臣に聞きたいんです。適、不適の判断をする、それは五十六年度のうちにする、来年の三月ごろまでにするというのですね。じゃ適であった場合に——恐らく私は不適になるであろうと思うのだけれども、もう不適であっては用がありませんから、あなた方の願いのとおり適だということになった場合に、その後どう進めるのです。適だ、こうなった場合に、その後の作業はどう進めるのです。
  82. 野村一彦

    ○野村参考人 先ほどからの私の答弁で、ちょっと先生に的確に申し上げ得なかったことがあると思いますので申し上げますと、現在九月から調査をいたしておりまして、その調査の結果、先ほど原子力局長が申しましたように約半年、すなわち今年度末ころまでには適、不適というめどを得るわけでございます。しかし調査全般は、先ほど申し上げましたように、その後さらに引き続いて調査をやりまして、それは調査の開始から一年半ぐらいかかるということでございます。したがいまして、適という技術的な判断を得ましたならば、それは五者の共同声明の線に沿ってそのことを関係者で確認をして、さらに調査を進めながら概念設計の取りまとめというものがその段階で行われる、そしてさらに本格的な調査並びに建設の準備が進んでいく、こういう手順になります。
  83. 関晴正

    ○関委員 とにかくその調査で恐らく不適と出るだろうが、よしんば適に出たとしても、じゃ適だからといって関根の浜の皆さん方が母港として受けることをよしとするかどうかという問題があります。この点はどう見ています。
  84. 野村一彦

    ○野村参考人 この点につきましては、五者の共同声明がございますので、調査をし、調整をし、そのことを五者で確認して、もちろん直接の地元であります関根浜並びにその近隣の漁協並びに一般の住民の方に対しては、建設をする適地であるという判断が出るものと私ども考えておりますので、そのことを十分御説明をしまして、そしてお話をして御納得をいただいて建設の準備に取りかかる、さらにその後の必要な調査をする、こういう段取りで進めたいと思っております。
  85. 関晴正

    ○関委員 五者共同声明の中にも、関根の母港に着手する、そういう見通しに立って初めて大湊港に入港することを了承する、また県としても、安全性を確かめた上でなければ大湊港に入れることはしない、こういう考え方があって臨んでいると思っています。  それで、関根の浜の諸君がこの受け入れに当たって、この間も申し上げましたが、協議会をつくりまして、二十八人のメンバーでいろいろ検討した結果、まあ調査ぐらいはさせておけ、しかし調査でもさせると、後がむずかしくなるから、そうせぬようにした方がいいのじゃないかというので、十七対十一という非常に際どいところで採決の結果が出てきたわけです。それで、反対した諸君たちはみんなりっぱに漁業を専業としてやっている方々だが、受け入れてよいという方々はほとんど漁業を専業としておられる方じゃない。ここの組合長だって網一つ一つないのですからね。そういう状態の方です。一年に二日か三日コンブとりに出ればいいところという状態でしょう。これがよろしいと言っている十七人のメンバーの内容です。断固反対だと言っている十一人の方々というのは漁業で生きているわけですよ。最低でも年間二千万から三千万です。多いところの事業体に至っては五億、六億です。これらの人たちは、どんなことがあってもこれは認めるわけにいかない、こう言っております。ですから、おしまいになると、二十八人で決めた線というのが二十八人じゃなくて、結果的には漁業権の消滅、それを認めるか認めないかということになってくると、また組合としての意見が出てまいります。過半数の採決というわけにもいかないだろう、こう思います。三分の二の特別の議決でいかなければならなくなるだろうとも思います。  そういうような姿、状態というものを考えますと、ここは自然的条件においても適しておらないし、また、漁民の立場を尊重すればやはりここは無理だというのが出てくる、こう思うのです。したがって、あなた方が来年の三月までに適であるか不適であるかどちらかを出す。不適となれば問題はない。では適だといった場合に、この適をめぐって漁業組合としてはどう判断するかというのが出てまいります。これは一カ月や二カ月で済む問題じゃないでしょう。そして、あなた方の方としては、漁業権の消滅が出てくるから消滅にかかわる補償の金額が出てくる。それが果たしてうまくいくかどうか。漁業補償というものぐらい長いものはありませんよ。えいやあと決まるものはほとんどない。長くかかります。そして、あなた方が初めてその場合に設計から建設の計画から示す段取りまでいかなければならないでしょう。設計図がそのころまでにできますか。
  86. 野村一彦

    ○野村参考人 来年の三月ぐらいまでに調査項目の適地であるか否かの判断材料はそろうものと私は考えておりますので、その段階におきますと、港湾の大体の規模とか配置とかそういう概念設計と申しますか、おおよその港湾の具体的な内容が固まると思いますので、そういう問題について十分地元の漁民の方々とお話し合いをする、こういうことを考えております。
  87. 関晴正

    ○関委員 設計だとかそういうものが来年の三月までにできるのですか。解析の終わるのが一年半でしょう。終わらないうちに設計できますか。
  88. 野村一彦

    ○野村参考人 ですから、調査項目の中で適地かどうかということを判断するに必要な項目の調査は約半年で終わりますが、その段階において、概念設計、基本設計、詳細設計——一番最後には詳細設計というものが要るわけでございますが、その最初の段階の概念設計というものはその段階において固まってくる。そうしますと、おおよそのその港湾の態様というものが見当がつくわけでございますので、その段階でお話をすることができる、かように考えております。
  89. 関晴正

    ○関委員 ある程度のところまでは進むだろうけれども、それができると漁港に対する影響がどういうふうになるかという調査もしなければならないでしょう。影響調査、環境アセスメント。一体漁港はどうなるのだろう。漁港は残るだろうかつぶされるだろうか、漁港はどんな形で進められていくのだろうか、置き去りになるのだろうか含まれるのだろうか、どんな影響を受けるのだろうか、これについてはどう考えていますか。
  90. 野村一彦

    ○野村参考人 本件につきましては行革委員会でも先生から御質問ございましたのでそのときにお答え申し上げましたが、先生御案内のように隣に漁港があるわけでございます。大体あの東側の地点がいま私どもが考えております調査地点であり将来の建設予定地点でございますので、現在のあの漁港における操業なり漁船の出入というものに影響があってはなりませんし、影響がないように考慮してやっていけるというふうに考えてございます。
  91. 関晴正

    ○関委員 影響がないようにするというのは、それは心構えなんです。自然に作業を加えるのですから、影響必至です。その影響についてまたそれぞれ漁民の反応も出てくるわけですし、意見も出てくるわけです。そういうことを見ますと、調べだけでも、それから漁民に対して納得させる資料をつくることだけでも、とても三月までじゃ無理じゃないですか。ちゃんと三月までにそろえますか。
  92. 野村一彦

    ○野村参考人 先ほど申し上げましたような適地であるという判断をする材料が三月ぐらいまでに出そろう、したがって、その段階におきまして、現在すでに机上において研究といいますか着手しております概念設計という第一段階の設計もそのころになりますと大体一つのまとまりができる、そういう段階で漁民の方に説明をしお話を申し上げるという段階でございますので、先生おっしゃいました漁業権等を含めまして全部の話し合いが完了するとはもとより考えておりませんけれども、大筋の話、方向、それから漁港の影響じゃなくて漁業の操業に対する影響というものがどの程度出てくるかという大方の見当をつけて話し合いに入れるという段階であると私どもは考えております。
  93. 関晴正

    ○関委員 そういう推定をしていきながら、では関根の浜にはいつごろに着工できて、いつごろまでに完成させたい、どう思っていますか。
  94. 野村一彦

    ○野村参考人 いま申し上げましたような来年の三月ごろに概念設計ができまして、それからさらに次の段階として基本設計をやり、それから港湾建設の相手方、業者の選定等をして詳細設計というものがまとまるわけでございますので相当の時日はかかるかと思いますが、私ども現段階では、詳細設計を終えて、もちろんその段階で地元との話し合いは並行的にずっと進めていくわけでございますが、五十八年度のそう遅くならない時期にはもうそういう話し合いがついて、建設をスムーズに進めるという段階に持っていきたいと考えております。
  95. 関晴正

    ○関委員 五十八年度のうちに着工するようにさせたい——いつごろに完成させたいと思っていますか。
  96. 野村一彦

    ○野村参考人 現段階におきまして、いつごろまでに完成をするかということはちょっとまだ判断の材料がございませんので、ここで的確に申し上げることはできませんけれども、いろいろ地元との話し合い、対策というもので相当の日時がかかると思いますが、これもできるだけ早く完成させたいということで、現在具体的にはまだ申し上げる材料がそろっておりません。
  97. 関晴正

    ○関委員 大体のめどとしてどうですか。つくられて、そしてそこへ船が行くような時点というのはいつごろを目指していますか、考え方として。早いほどいいでしょう。せめてここまではと、そういうようなものを考えていますか。
  98. 野村一彦

    ○野村参考人 いわゆる原子力船「むつ」の港としてそれが全部機能を発揮するような状態になって、そこで「むつ」が本来の目的でありますいろいろな業務ができるというようになるのにはかなり時間がかかると思いますけれども、港として「むつ」がそこに接岸をして、補給とか人員の交代とかいろいろな面の業務ができるようになるのはそんなにかからないと思いますが、私どもとしては、まずできるだけ早くそういう状態になるように諸対策を講じたいということで、いま具体的な日時はちょっと判断できません。
  99. 関晴正

    ○関委員 私の聞いているのは、少なくともあなた方の計画からいって進めたいというところですよ。せめてこの年度まではつくられるであろう、それは本当になるかどうかわかりませんよ、あなた方の願い、どの辺を願っています。
  100. 野村一彦

    ○野村参考人 しばしば申し上げまして恐縮でございますけれども、現段階におきましては、いろいろな調査それからその調査の結果を踏まえました概念設計、基本設計、詳細設計それから地元との話し合い、そういう段階がございますので、ここで的確な日時を申し上げられないのは非常に申しわけないことでございますけれども、私どもとしては、できるだけ早くあそこは利用できるようにしたいということで現在せっかく努力中でございますので、もうしばらく時間をかしていただきたいと思います。
  101. 関晴正

    ○関委員 長官にお尋ねします。  原子力船「むつ」を来年の八月三十一日には佐世保を出港させて、そうして青森の方に向かうわけでしょうが、いまのような見通し等になりますと、青森側もなかなか来てよろしいというわけにはいかないのじゃないだろうか、こう思うのですが、長官、自信を持って納得させるものがありますか。
  102. 中川一郎

    ○中川国務大臣 来年の八月三十一日には佐世保を出るということは、これはもう確約でございますから必ず実行しなければなりません。  それから、佐世保の方から出て大湊にお願いすることになるわけですが、これは五者共同声明にありますように、新定係港を関根浜地区にするということであり、「新定係港の建設の見通しを確認のうえ」ということになっているのです。着工とかなんとかということは書いてないのです。ここに港ができるという確認をすればよろろしいということになっているわけです。何年になるのだとか、設計ができなければだめなのだとかいう約束じゃないのです。なぜ「確認のうえ」という言葉が入ったかというと、初めなかったのです。なかったのですが、政府がうそを言ってそこへつくると言ってごまかすのじゃないか、そういうことは中川さんはしないだろうけれども、そういう考えの人もあるかもしれぬから、本当にやるのだな、こういうことになったら入ってよろしゅうございます、こういうことになっておりますので、そうむずかしいことでこの「確認のうえ」という言葉が入っておるのじゃないのです。設計ができたらとか補償ができたらとかということじゃなくて、ああ政府は本当にやるのだなということの確認ができればよろしいということになっていますから、その確認の仕方については、相手のあることでございますので今後話し合いでいきますけれども、私は大湊に入れるような確認ができるもの、こう思っております。
  103. 関晴正

    ○関委員 そうしますと、長官は、これを大湊に入れてそうして出力上昇試験等も大湊で行う、あるいはそれはまた別として関根の浜ができるまでは係留するだけなのだ、どうお考えです。
  104. 中川一郎

    ○中川国務大臣 そういうことの取り扱いは今後話し合っていこうということでございまして、私が一方的に決めることではございません。話し合いですべて取り扱いは決める、五者共同声明に書いてあるとおりでございます。
  105. 関晴正

    ○関委員 そこで、これは話し合いといっても何にもむずかしいわけではないのです。話し合いの内容一つ二つ三つくらいあるでしょう。三様式くらいあると思うのです。ですから、どういう話し合いによってどうしたいのだとお考えになっているんですか、そこが聞きたい。何もない話し合いですか、あっての話し合いですか。
  106. 中川一郎

    ○中川国務大臣 一切、五者共同声明に書いてある以外は協議の上決める、こういうことになっておりますから、どういうことをどういうふうにするか、すべては五者の間で円満に話して協議していこう、こういう精神でございます。
  107. 関晴正

    ○関委員 そこのところです。大湊で出力上昇試験はやりたいとすれば、大湊を直さなければなりません。それから、できるまで待つというのであれば、できるまで待つしかありません。しかし大湊ができようができまいが、つくろうがつくるまいが、出力上昇試験は別個においてやろうか、こういう三通りの考え方があると思うのです。協議の上でということでぼかしているけれども、何も協議の内容がそう遠いものじゃない。何をどう協議するかというのは手の中にちゃんとあるわけだ。だから、その協議を調えた上でやるというのだけれども、どの辺の協議の運びをしようと思っているのか、これが聞きたいところなんです。
  108. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 先生ただいま御指摘の点が協議事項の最初に上がってくる事項であろうと思います。また、それ以外にも多くの協議事項が出てくると思っておりますが、まさに大湊港における「むつ」の取り扱い、そして現在の定係港そのものの取り扱いについての協議というのが最初の協議でございまして、いわゆる論点はおっしゃるとおり限られておりますけれども、現在のところそれぞれの立場意見も十分煮詰まっておりませんので、まさにこれから協議をすべき事項である、こういうことでございます。
  109. 関晴正

    ○関委員 だんだんのお話があって、じゃあだんだんうまく進んでいくのかということになりますと、残念なことに、これまでの原子力船を推進するという市長であった場合と——新しい菊池市長になりまして、この問題については非常に慎重な市長である、そういう慎重な市長であるだけに、まず大湊へ来るときだっていろいろとあなた方との経過の説明等よく聞くことになるでしょうし、その上でまた判断もされていくことでありましょうが、とにかくいままでやってきた内容等から見ますと、さきの市長の諸君たちはそうであったかもしれぬけれども、新しいむつの市長は、そう軽々にこの問題についてイエスを与えないだろうと私は思うのです。少なくとも別途協議するという別途協議の内容が、来てから協議じゃなくて、来る前に一つの協議というもの、方向というものがある程度なければならないのじゃないだろうか。そういう点からいきますと、地理的条件も悪い、そうして社会的条件も大きく変わった、この大きく変わったというものについて物を考えるとき、どうしてもこれは考え直すべきときに来ているのじゃないか、私はこう思っているのです。そういう点で、菊池市長は大丈夫受け入れてくれるものだ、そうしてこれまでの経過を理解してくれるものだ、こう考えて、そうして八月三十一日からの出港は大丈夫だ、こう長官は自信を持って言えますか。
  110. 中川一郎

    ○中川国務大臣 私は直接会ったわけではありませんですが、いろいろと伝え聞くところによれば、新市長さんも五者共同声明を出発点として話し合っていきたい、慎重な考え方ではありますけれども、私はベースはいま一緒であると思っているのです。そして、私は、誠意をもって話し合いをすれば必ず納得してくれるもの、こういう自信のもとに五者共同声明に基づく協議を続けていきたい、必ず実行したい、こう思っております。
  111. 関晴正

    ○関委員 もう一つ、最後に聞いておきます。  八月三十一日出港ということは、大湊に入ってくることを了とする諸君のイエスの後に出港するものか、イエスがなくとも八月三十一日にはもう出て、漂流するとしても出ることだけは出るんだ、こういうお考えですか。
  112. 中川一郎

    ○中川国務大臣 佐世保との約束は八月三十一日、いかようなことがあっても出る、こういう約束になっております。
  113. 関晴正

    ○関委員 そうすると、大湊側がそれまでによしとしない場合は漂流するしかないと思いますが、そう確認してよろしゅうございますか。
  114. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 そういうようなことにならないように最善を尽くすということでございます。
  115. 関晴正

    ○関委員 それは当然の話でしょう。当然の話だけれども、確認する青森県側がその八月三十一日までに了とすることができない場合は漂流するつもりか延期するつもりか、どっちかなのです。何といったって出るのだというのならば漂流するしかないでしょう。これは想定の話です。漂流しますか延期しますか、どっちですか。
  116. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 想定としての御質問でございますが、そういうことが起こらないように最善を尽くすというのが私どもの任務だと考えております。
  117. 関晴正

    ○関委員 この原子力船を修理してみたところでその内容はきわめて貧弱なものであるわけです。  それで、私はこの間のときにも言うておいたのですが、最大の問題は原子炉の実体にあるのじゃないか。遮蔽遮蔽にばかり金をかけ、力こぶを入れて、炉そのものについての検討を加えることのないまま進んでいるわけです。この炉は、この間も申し上げましたように、炉そのものが軽くて狭くて、燃料体と炉に入っておる水の量の比率が合わないからこういうような実態を招いのだ、こう見ているし、そう分析しているのでしょう。その点いかがですか。  あわせまして、スリーマイル島事件における非常用の炉心冷却装置の問題で、一部分パイプを太くしてみたところで、炉につながる部分は変わりのないパイプなのですから、その程度直してみたところで大した品物にはならない、役に立つようなものにはならない、こう思うのです。さらに、燃料体の被覆体にしましても、いまやステンレスから新しいジルカロイ製のものに変わってきておるわけです。そういうようなことを加えようといったって加えることができないでしょう。欠陥だらけでしょう。そんなものをいつまでも持っておって試してみて何の意味があるのです。そんなことを考えますと、どこへ持っていったってどうにもならないものなのです。  私は、あなたの責任において科学技術庁長官の生まれ故郷へ持っていけ、そうしたらだれにも言われなくて一番いいだろう、こう言うたこともあります。しかし、おれの方はだめだから中川長官のところへ持っていけといっても、これは、論としては悪いものはどこへ行ったって悪いのですから、そういうことも適当ではないだろうと思うのです。ですから、一番いいことは船と炉を切り離して再検討する、こんなにおくれてしまって、そして成功してみたところで何の意味もないということを考えて、じっくりと引き離して当たるのが筋じゃないだろうか、最もそれが科学的な態度ではないだろうかと思いますが、その点についてのお考えをいただきたいと思います。
  118. 倉本昌昭

    倉本参考人 「むつ」の原子炉につきましては、遮蔽改修、これは放射線漏れがあった、遮蔽体自身の設計に欠陥があったということで、これにつきまして原因の究明をいたしまして改修を図ってきたところでございます。また、この原子炉の設計、炉の安全性等につきましては、設計の見直し、解析のやり直し等、いわゆる総点検と称しておりますが、これを実行いたしてまいりまして、この安全性の点については私どもは何ら問題はない、かように現在でも考えておるところでございます。  また、この総点検の段階におきまして、もちろん炉の点検でございますから核設計それから核物理等の観点からも見直しをいたしております。さらにECCS等の問題につきましては、陸上の発電炉等におきますいろいろな検討等も参考にいたしております。これらを参考にいたしまして、この「むつ」の炉についても安全性をより向上させるという観点からこの補修工事をいたすことにいたしまして、これらについてもすでに安全審査を経て、設置変更許可をいただいて現在工事にかかっておるところでございます。  なお、この原子炉そのものにつきましてもいろいろ御議論がございます。型が古いとか燃料の被覆管云々の問題がございます。この設計は確かに古うございますけれども、安全性の点については何ら問題がないと考えております。燃料の被覆管の問題についても、これは当初その時点においてデータの豊富にあるステンレスの被覆管を使用いたしておるわけでございますが、現在の時点においても私どもとしては何ら問題はないと思っておりますし、このジルカロイの燃料につきましては経済性という面を特に重視をし、いわゆる商業用の炉として将来開発していく、目標としては私どももこのジルカロイ等の燃料についても今後あわせて研究を行ってまいりたい、こういうぐあいに考えておるところでございます。  また、ECCS等の関連につきまして、ただいま先生の方から一部配管等を太くするというようなお話が出ておりました。私どもも当初はそういった計画を持っておったわけでございますが、その後この点についてはさらに検討を進めまして、特に低圧系のポンプを新たに二基増設をするということにいたしまして、この配管等の一部を太くするというような工事は一応中止をいたしたわけでございます。  また、この炉心といいますか核封印の工事につきましてもいろいろ御意見がございますが、これについては、この原子炉の中にある燃料体また炉心構造物等については、これらの製造の過程またその後の維持管理等の状況から見て何ら問題はないという判断のもとに、私どもとしては現在この炉心については何ら心配をいたしておらないところでございます。  また、これらの状況を踏まえまして、現在進めております遮蔽改修及び総点検の結果の補修工事につきましても、私どもといたしましては、今後とも工事の万全を期し、また工事の安全等も図り、来年の夏には工事を終え、また入渠等の工事もいたし、将来の試験、実験までには十分達成できるものと、かように考えております。
  119. 関晴正

    ○関委員 時間がありませんので、内部の装置あるいは修理等、また炉全般にわたるお話は次回にしたい、こう思っております。結論的に申し上げたいことは変わりありません。とにかく、どこにも持っていけないようなものを青森県なら持っていって、そして始末しておけなんという考え方でやっているようなことについては容認できません。それが気に合わないというなら、進んで科学技術庁長官がおれのところに持ってくる、言われなくても任期中にそのくらいの腹を決めれば、やれないこともないと思う。あり方としてとにかく間違っている原子力船の行政の進めであると思いますから、次の機会にまた批判、検討を加えて申し上げていきたい、こう思っております。  もう一つ、どうしても質問しておきたいことがありましてお呼びしているわけですので、そちらの方を質問したい、こう思います。  それは青森県の車力の村における風力エネルギーを活用しての仕事の一つでありますが、どうして一番性能の悪い東海大学の風車を用いて風力エネルギーを使おうとするのか、この辺に疑問がありまして、資源エネルギー庁の担当者に資料を持ってこいと言いました。持ってきたところの資料は「風車の特徴比較について」であります。そうしてだんだん書いてあります。この書いている中に「性能」というのがありまして、括弧して一効率一というのがあります。「性能(効率)」という言葉の使い方も妥当なものではない、こう思っています。そうして、一九七九年の十月二日の午後四時から六時まで測定した結果の資料だというので私によこしました。ところが、この一九七九年十月二日の日は、金沢における実験では午前十時五十分で記録紙は切れているわけです。したがいまして、私によこしたこの資料というのは全くでっち上げのものだ。まず、そのことについて、当局の方からでっち上げであるということをお認めになりませんか。どうしてまたこういうでっち上げのものを私によこしたんだ。この間通産大臣は再検討すると言うので、では再検討が進んでいるのかと思ったら、何のことはない、再検討は答弁だけのようで、しゃにむに東海型でやってしまおう、こう言っている。日本の国の中で一番能力の低いものを青森県の車力の村に持ってきて据えつけて、そうして金を払ってやろうというのです。同じやるならば一番いいものをやったらいいでしょう。  この点については、科学技術庁で「風エネルギーの有効利用技術に関する調査報告(風トピア計画調査報告)資料編」というものを昭和五十五年十一月に出しています。この比較を見ますと、山田風車というのが稼働日数二百五十八で、発電電力の総量が百八十四・一三キロワット、発電効率が一六・三九と出ています。湯浅電池の風車が稼働日数二百五十四、発電電力四十五・九八、発電効率四・八一。東海大学のものが稼働日数二百四、発電電力量六・四一キロワット。これは自分で動けないものですから、起動用の電灯を使って動かすしかないしろものです。そうして、発電の劾率はマイナス七・三と出ている。電力を起こすのに電気に頼って、頼る電気の方が多いというしろものですよ。こんな質の悪いものを、能力の悪いものを、なぜ東海を選んでやらねばならないのです。チェックしたらどうです。なぜそんなものをやらせねばならないのです。なぜそんなものをちゃんと見る目がないのです。  そうして、私に対して持ってきた資料というのはでたらめな資料で、あなたの方の資料によると、一番いいのが東海型ですよ。二番目が山田で、三番目が湯浅です。しかも、一九七九年十月二日というのは十時五十分で切れて、記録紙によれば東海型というのは何も出ていませんよ。一番りっぱなのは山田風車で、その次が湯浅で、東海はゼロです。記録というのはごまかしができないのですよ。文書は幾らでもごまかしができるのです。そんなでたらめなことをして、金遣いさせて、そうして地方の住民を困らせるようなことはやめてください。  私はここにデータを持っています。金沢のデータですよ。このデータによると、いましゃべったとおりなんだ。東海はゼロですよ。そうして、けさになったら、先生、あれはうそでございました、九月十六日と十七日の間でございましたといって飛んできたでしょう。このざまは何です。人をばかにしていませんか。しかも、九月十六日と十七日のものだといってあなた方が持ってきたものでこんなグラフできますか。またこれもうそでしょう。これだってどんな仕事をしてつくったものかわかりませんよ。東海大学に関という先生がいますよ。関和市というのがいる。この和市という先生のもとにずっとやってきた。私は関という名がつくからみんないいだろうと思ったが、この関はとんでもない関だ。  しかも、これは群馬県の県庁屋上にやってみて、もう失格したものですよ。金沢においても同様に、発電量で比べたって比べものにならない。牛であれば低能の牛さ。お乳も出ないし子も産めないようなものだ。低能牛に子を産め、お乳を出せと言ったって無理じゃないですか。低能の風車をなぜ使わせて、そうして、もみがらのエネルギーの方に重点を置くようなものになぜエネルギー庁たる者が金を出すのだ。代替エネルギーというのは、自然エネルギーを取ってあげて、そうして産業部面にも生活部面にもプラスになるようにするというのが仕事で発足しているのでしょう。東海大学の請負機関じゃないでしょう。東海の風力実験のために金を出すのじゃないでしょう。科学技術庁にはりっぱな資料がある。エネルギー庁はなぜそれを学ぼうとしないのです。なぜそれを参考にして指導しようとしないのです。何と考えています。今後どうするつもりです。お答えください。
  120. 高橋宏

    ○高橋(宏)政府委員 お答え申し上げます。  まず、一番初めに御指摘ございましたが、私どもが補足資料といたしましてお手元に差し上げました資料につきまして日付の御確認がございまして、大変御迷惑をおかけしましたことをおわび申し上げます。実は十月二日と申しますのはこのお手元の資料を作成した日付でございまして、実際にはかりました日付は九月十六日であったことがけさ判明いたしまして至急お届けしたところでございますが、いずれにしましても、その過程におきまして御迷惑をおかけしましたことをおわび申し上げます。  御指摘のように、私どもこの石油エネルギーの代替化は非常に重要な課題と考えておりますが、原子力とか石炭火力といったような大規模集中型のエネルギー代替と並びましてローカルエネルギー、小規模分散型と申しますか、身近にあるエネルギーを有効に利用するということに大変重要性を感じておりまして、特にそういう場合にはそこの地方自治体の皆様方の発案と申しますか、そういう方々の事業計画というものを尊重いたしまして、それに国としてできるだけの助成をする、こういう立場にあるわけでございます。本件もその一つでございまして、実はこの車力村の村長さんあるいは県御当局のプロジェクトができまして、それにつきまして私どもに申請があった。これを審査いたしまして、補助金交付という運びになったものでございます。  よりによって一番悪いものをやらなくてもいいじゃないかという御指摘でございますが、私も科技庁の風トピア計画のデータは拝見いたしておりまして、その過程におきまして、このタイプ——私は、縦軸といいますのは、縦軸の中でもいろいろな今後の工夫があると思いますので、そこに書いてあるもの、それが即今度のプロジェクトになるかどうかは若干言えない点もあろうかと思いますが、しかしながら、いずれにしても東海型という御指摘につきましては、そのデータが、何といいますか他に比べて劣っているというデータは承知いたしております。  ところで、私ども思いますのは、やはりローカルエネルギーと申しますか、風力とかバイオマスとかソーラーとかいろいろございますけれども、こういうエネルギーにつきましては、その使う場所の特殊性それから使用目的等によりまして、いろいろ技術も千差万別であろうかと思います。そういう趣旨で考えますときに、この風力につきましても、私存じておりますのは、何といいますか万能のものというのはいまだございませんで、いろいろな一長一短といいますか、特徴のあるようなものであろうかと存じております。  そこで、科技庁のデータにおきましては、おっしゃるとおり私も確認しておりますけれども、地方自治体の皆さんがいろいろな勉強をされまして、このタイプを選んで申請してまいられまして、そういう観点から、何と申しますか、申請者の自主的判断を尊重しつつ、このプロジェクトの適確な遂行に努力していく、指導していくというのが私どもの務めか、こう存じて現在までに至っておるところでございます。  なお、時間がございませんので結論を申し上げさせていただきますと、先生の御指摘もるる承っておりますので、十分その点踏まえまして、車力村、青森県当局など関係者から再度計画遂行につきまして確認をいたしておるところでございます。今後事業実施に当たりまして、御指摘の点も十分頭に置きまして遺漏なきように努めてまいりたいと思っておるところでございます。
  121. 関晴正

    ○関委員 きょうは大臣も、長官のお答えもなくて審議官のお答えでございますが、審議官、私は、こういうごまかしのものを持ってきて、これが基本になって事が運ばれているんですから、この計画を白紙にするべきだと思うのです。にせものです。詐欺文書ですよ。そういうようなものを持ってきて、しかもこの日においては記録紙が切れている。十時五十分で終わっている。十時五十分現在でいいものが山田、湯浅で、東海がゼロですよ。それを東海だけが一番一等に書かれておるんだ。こんな文書で事を進めておることについて、あなたどう思います。すべて公のなすことで、きずが一つでもあればやり直しというのが慣例ですよ。ましてこれは大うそつきだ。  いま、九月の十六日のものでございますと、けさになってそんな話をしたって、これだってどうかわかりませんよ。データというものは、一年、二年、三年、その上で資料になる資格のあるものなんだ。ありもしない一日の二時間をとってきて資料として、そうして目をごまかそうとしている。仕事する者がどこに目をつけておるんです。青森県の村長は何にも知りませんよ。村長に責任かけたってだめ。こちらは偉い人いっぱいいるんだから、こちらの目で指導したらいいでしょう。向こうに責任をかけて逃げようたってだめです、東海型にどっぷりつかっちゃっているんだから。これは何も向こうばかりじゃない、おたくの方だってきっとどっぷりつかっているんでしょう。それしか考えられない。こういうにせのものを持ってきて、そうして事を運ぼうとする者は処断したらいかがです。学校の先生がうそついているんですよ。私も学校の先生をやったが、うそはついたことはありませんよ。大体先生の資格ないでしょう。あなた方をだまそうとしている。しかも、これはことしの三月、群馬の県庁へかけたときに倒れちゃって、科学技術庁に謝りに行った人ですよ。申しわけないことをしたと謝っている。(「だましてないよ」と呼ぶ者あり)知らない者は黙っていろ。これは事実を言っている。  そういうことからいってひとつ十分に再検討して、そうして車力の人たちに——あそこの車力というのは、車の力と書く村ですから風車の力が本当によく、おかげさまでしたというふうに進めてください。私はその意味で申し上げているわけですから。どうぞ……。(「うそつきだの、にせ文書だの詐欺文書だの言われたんだから、はっきりしなければだめだ。問題発言だ」と呼ぶ者あり)
  122. 高橋宏

    ○高橋(宏)政府委員 まず文書の件でございますけれども、先ほどお話しいたしましたけれども、九月十六日付の測定データであるということをお話しいたしたわけでございます。十月二日は作表の日というお話をいたしました。九月十六日の測定データにつきましては、必要であればバックデータを差し上げたいと思います。事実そのとおりのデータなんでございます。  それから、全般につきましては、私ども、やはりローカルエネルギーにつきましては地元の事業主体の方の意見を最大限に尊重しつつうまく進めるという姿勢で、先生の御趣旨も踏まえまして今後とも指導してまいる、こういうことにいたしたいと思います。
  123. 中村弘海

  124. 北山愛郎

    北山委員 私の持ち時間というのは一時間と割り当てられてあります。そこで、いま重要な財政問題を中心としてやろうと思うのですが、その前に一言聞いておきたいことがあります。  それは、ことしの六月の七日に、イスラエルの空軍がイラクのバグダッドの郊外の原子炉を空襲をしてこれを破壊した、こういうことがございまして、これが世界に大きなショックを与えたわけであります。ということは、要するに、原子力発電所なりあるいは原子炉が通常兵器の攻撃によって破壊される場合がある、そうしますと、中にある放射能を帯びた物質が外れ漏れ出して広がるというようなことで、空襲そのものの直接の被害だけじゃなくて、非常に深刻な、まあ核攻撃を受けたと同じような被害を受けることになる、そういう場合があり得るということが実証されたわけでありまして、これが世界的なショックになった。日本においてもたくさんの原発を持っておりますから、しかも国が狭い、人口が稠密でありますから、そういう場合を考えますとこれは相当問題じゃないか。防衛庁は、その当時の新聞によりますと、そういう場合は検討しておらなかった、考えなければならぬことだというような感想を新聞には述べております。科学技術庁としては一体どのようにお考えなのか、これについてひとつ長官のお考えを聞きたいのであります。
  125. 赤羽信久

    ○赤羽政府委員 わが国に工業用を初めいろいろな施設がございます。かなり危険なものもあるわけでございますが、いずれにしましても、破壊を目的とする兵器の攻撃を対象とした防護策を講じているものは現在ないと思います。その意味では、すべて非常に危険なものも対策がしてない。むしろそういう事態にならないことに努めるというのがわれわれの方針かと思われます。  しかしながら、原子炉につきましては、これは別の意味でございますけれども非常に厳重なでき方をしておりまして、たとえば一番外側にあります建屋は、普通鉄筋コンクリートですと一メートルの厚さがあります。それから、その中には格納容器、これは普通は鋼鉄製で十分な厚みがございますし、さらにその中には圧力容器、これは非常に丈夫なものでございます。そういうことを考えますと、これは外側に対する防護のためにやったわけではございませんが、結果として日本にある施設の中では抜群に強力なものと考えていいと思います。  なお、これは念のために情報として説明させていただきますが、イラクの場合もまだ臨界に達してない炉でございましたので、放射性物質、核分裂生成物が発生しておったわけではございません。したがいまして、その爆撃の結果、周辺が汚染されたこともないという情報を得ておりますので、申し添えます。     〔委員長退席、日野委員長代理着席〕
  126. 北山愛郎

    北山委員 そうすると、原子炉は空襲の場合にも耐え得る構造を持っている、そういうことが言えるのですか。ある記録では、空襲に対しては、空からの攻撃に対しては弱いのだ、そういうふうに言われているように聞いております。  それから、イラクの場合は、幸いにしてそういう状態であったから放射能漏れというものはなかったわけなのです。しかし、いざというときに仮に運転をストップしても、やはり中にある放射能というのは漏れ出す。問題は、原子炉の特徴というのは、ほかの工作物であれば、破壊された後を片づけて修理したり復旧ができるわけですね。ただ、原子炉の場合、破壊されますというと手がつけられなくなるということなのです。スリーマイル島の問題もそうでしょう。原子炉が破壊されたそのことの被害というものが非常に深刻だということなのです。そういう点で、私はこの点については十分考えなければならぬし、地震に対して考えると同様に、あるいはより深刻な問題だと思うし、特に日本の国情、こういうことを考えますときに、その他の事情もございますけれども、この点だけから見ましても、原子力発電所をどんどんふやしていくということはまことに危険を増大するものではないか、いざというときに致命的な被害を受けるのじゃないか、こういうことを憂慮するわけなのです。そういう角度から、ひとつ長官から考え方を承りたい。
  127. 中川一郎

    ○中川国務大臣 いまも安全局長から答弁申し上げましたように、わが国には、ダムにしてもあるいは油のタンクにしてもいろいろと、爆撃されたら危険なものがたくさんあるわけですね。そういう意味ではあらゆるものが爆撃に耐えられるという構造物はない。御同様に、原子力発電所も爆撃を想定してなおかつ安全だと言い切れるものじゃないということだけは言えるのではないか。ただ、内部を守るためにコンクリート擁壁とかあるいは鉄の遮蔽壁というのですか、そういったもので、かなり外からの衝撃があっても耐えられる、結果的ではありますけれども。内部を守るためにそういうことをやっているのが外部からの障害に対しても耐えられる、こういうことになっておりますので、少々のことならば大丈夫であるが、直撃を受けてなお漏れない、こういうことを自信を持って言えるものではない。それに耐えられるようにやれということになったのでは、経済性その他からいってもなかなかむずかしい。技術的にも、どんなものが来るか、むずかしいことでありますので、イスラエル等のことから言って一〇〇%ないとは言えないかもしれませんが、そういったことのないような外交なり努力をして、原子力発電のみならず、一切爆撃ということがないという方に努力をするべきではないか、こう思います。
  128. 北山愛郎

    北山委員 私も、これは一面は平和外交なりあるいは防衛の問題だと思うのです。しかし、またこういう危険性があるものを特に日本の国情の中で、条件の中でどんどん増設をしていくということは避けた方がいいのであって、したがって、私どもは別な角度から言っても、原発は反対ですが、こういう点も科学技術庁としても十分検討すべきものじゃないかということを要望いたしておきます。  そこで、きょうの主題といいますか主たる問題なのですが、財政、会計の問題です。というのは、科学技術庁関係の特殊法人は、原子力研究所とかあるいは動燃事業団とか宇宙開発事業団とかいろいろございます。ところが、どれも共通して言えることは、政府が毎年毎年莫大な出資をしているということであります。そしてまた、共通して莫大な欠損を持っておるということであります。数字を申し上げますと、原子力研究所では、五十六年度のおしまいまでで三千七百七億円という政府出資の残高があるわけです。これに対して、累積した欠損金が二千一億円。二千億円を超しているわけですね。動力炉・核燃料開発事業団の方は、五十六年末で政府出資が六千九百八十億円、実に七千億円になんなんとしております。欠損金が四千四十億円出ている。それから宇宙開発事業団の方は、政府出資が五千九百九十億円、これに対して欠損金は四千五十八億円。その他、先ほど質問がありました原子力船「むつ」でも、少しでありますが出ております。この三つだけ合わせましても、政府出資は一兆六千六百七十七億円という出資残があるわけです。国の債権として財産目録には上がっておるわけですね。ところが、反面で累積した欠損金が三つだけで一兆九十九億円もあるのです。こういうことですが、このそれぞれの事業団、研究所の法律を見ますというと、収益が上がればその欠損というものは消して、そして余りがあれば積立金をするというふうにできております。このような莫大な欠損金を出して、これを一体どのようにしてその収益によって賄う、処理をするというめんどうがあるのでしょうか。どうですか。
  129. 宮本二郎

    ○宮本(二)政府委員 ただいま先生から当庁所管の特殊法人につきまして財務諸表上の欠損金が累積しておる、こういう御指摘がございましたが、そのとおりでございます。これらの特殊法人は政府そのほか民間等からも出資を受けておりますので、経理につきまして一般企業に準じました会計処理を行っておる、こういうことでございます。  こういう特殊法人は、原子力の研究開発でございますとか宇宙開発とか、成果は非常に長期的なものとして国民なり国家に返ってくる、こういう性格を持っておるわけでございますので、こういう経費によります開発成果は終局的に有形無形の資産になる、こういう判断に立っておるわけでございます。そういうことで欠損という形に諸表上出てくる次第でございます。こういうことで研究の成果は、はっきりした収益の上がるような成果というものはまだ非常に先のものでございます。こういうことで研究開発を続けておる、こういうのが現状でございます。
  130. 北山愛郎

    北山委員 財政とか会計のいろいろな本を見ますと、出資金というのは消費的な経費に使ってはいかぬので、これは資本的、投資的なものであって、将来償還の計画が立つような性質のものだ、あるいは利子その他の収入が予定できるような出指であるというふうな定義なんです、出資というのは。言うなれば資本であり、元手として出す金なんです。ですから、いま言ったように有形無形の効果が後で期待される、それはわからぬというようなことでは困ると思うのですよ。それならば教育だって何だって、社会福祉だってそうですよ。有形無形のメリットがあるでしょうね。だけれども、財政とか会計のルールというのは、具体的に法律で、原子力研究所法とか核燃事業団法あるいは財政法とか、そういうルールの中でやっているのであって、そんな有形無形のメリットを想定してどんどん出資金を出すというようなものではないと思うのです。財政のルールに従ってもらわなければ困るのですよ。ですから、いま言った法律の中にはちゃんと財政、会計の規定がございまして、そして原子力研究所などは収益で余りがあれば積み立てをする、それでもなお余りがあれば出資者に対して利益分配をするなんという規定があるのです。ですから、設立の当初は、団体としてこれを審議した場合に、この法人は結局何らかの収益が上がって、出資をしてもいずれは利子なり何なりで回収されるものだ、こういうたてまえで政府の出資というのはなされておるのじゃないでしょうか。いまのような空を切ったような、余り科学的でないようなお言葉はちょっと私は納得できないのです。ですからこの点について——主計局来ていますか、ひとつ出資金の見解を聞きたいのです。そんな考え方、科学技術庁のような考え方でいいのかどうかですね。
  131. 窪田弘

    ○窪田政府委員 この問題につきましてはかねて国会でたびたび御指摘をいただいておりますが、この科学技術庁の非常に基礎的な、しかも非常に経費を要する研究でございまして、その研究の成果というものは有形無形の資産として残ってまいります。しかも、国が責任を持って、主体性を持って進めていく研究でございまして、やはりそこに研究の成果というものが残るわけでございまして、私どもはこれを補助金というなくなってしまうような金の出し方よりは、やはり出資、国の権利がそこに残るという形のお金の出し方がいいのではないか、こういう考え方で出資をいたしておるわけでございます。直ちに資産が形成されなくても、長期的に見て国民共通の財産として将来国民がその利益を享受する、こういう場合に出資として取り扱うことは、必ずしも財政法の趣旨に反するものではないと考えております。ただ、先生が先ほど御指摘のように、現在収益を生みませんために、会計処理上欠損としてその見合いの勘定が残ってしまう、こういう点に一つ問題があろうかと思います。確かにその辺は問題であると私ども認識しておりまして、今後検討してまいりたいと思っております。
  132. 北山愛郎

    北山委員 大蔵省としては私は納得できない答弁だと思うのですね。有形無形の効果がいずれ期待されるというのであれば、一体原子力研究開発と教育とはどのような本質的な差があるのですか。教育費についても同じことが言えるんじゃないですか。出資金としてどんどん出して、そして、これは公債で支弁して……。区別がないじゃないですか、そういうことをメリットにするなら。財政とか会計のルールというのは、一つの団体があり出資がある、とすれば、それは何らかの回収がある。公債を発行するときだって償還の計画が必要だと言っているのでしょう。有形無形の効果があるから償還の計画が要らないというわけじゃないでしょう。そういうものが財政であり会計じゃないでしょうか。そんな大蔵省の科学技術庁と口裏を合わせたような答弁は私は納得できないのです。何のことはない、国からは多額の出資をして、補助金まで出して——補助金も出ているのです。補助金も出して、そしていま言ったような莫大な出資であり、国はこれは債権として、財産として表面は残っているのですよ。実際は事業団の方ではどんどん欠損で落としてマイナスになっているのです。これは非常に大きな問題だと思うのでず。よく世間では国鉄の赤字とか食管の赤字とかということを言っていますが、科学技術庁関係のこれらの特殊法人の経理のやり方というのは全くでたらめなんです。ルールがないのですよ。一体何でどういう収入が期待されるのですか。収益があれば、それでもって損害を埋め合わせて、余りがあれば積み立てをすると原子力研究所法に書いているじゃないですか、あるいは核燃事業団の法律にちゃんと書いてある。まるでインチキじゃないですか、先ほどじゃないけれども。そんな無原則な、非科学的な、あるいは財政の諸原則から言ってもそれを無視したような経理がまかり通るということじゃ大変なことなんです。どうですか、長官はいま私が指摘した問題についてどのような見解を持っていますか。
  133. 宮本二郎

    ○宮本(二)政府委員 先生の御質問につきまして、もう少し補完的に御説明申し上げたいと思うのでございますが、これは特殊法人の一つの会計の仕方である、このように考えております。そういう意味で、一つの法人の企業会計処理ということの範囲でひとつお考えいただきたいと存ずるわけでございますが、民間企業でございますと、研究開発費は一遍にコストで落とさずに、繰り延べ費用ということで五年間一つの資産的な扱いをいたしまして、五年で消していくわけでございます。     〔日野委員長代理退席、委員長着席〕 ところが、民間企業は、研究開発といいましても収益をねらった企業でございますので、大体五年くらいを研究開発のめどとして税法上やっておるわけでございますが、国の場合の原子力とか宇宙開発、これはきわめて長期的なものでございます。したがいまして、会計処理上欠損というぐあいには立つのでございますけれども、これはそういう意味での一つの研究の成果でございまして、それは研究の成果の持ち分を示しておるわけでございます。そういう意味で、これは資産的な性質を持っておるものではないか、こういうことを申し上げておるわけでございます。そういう意味で、これはやはり国が中心になって事業をやっていかなければなりませんので、この国の中心となった研究費用を出資という形で持ち分としてはっきり表示し、それに見合います無形のもの、これにつきましては欠損金という表示になるわけでございます。ただ、これはやはり資産的な性格を持ったものである、こういうのがわれわれの考え方なのでございます。
  134. 北山愛郎

    北山委員 教育なんかも同じことなんですね。私から言わせれば、そういう原子力の研究開発なんというような費用はさもさも対価が後で戻ってくる、回収されるというような財政の立て方、法律で決めている立て方が無理なのであって、ですから、法律のたてまえと財政、会計の規定がありますよ、あなたがおっしゃるとおりならばその法律を変えなければならぬ。法律のたてまえ、団体の性格としてはこのような財政、会計をやっていくのです、収益が上がるのですということ——収益が上がるように期待されているのでしょう、規定されているんでしょう。それで損害も補てんしていくし、積み立てもしていくんです。もともとそんな形のある収益が上がらないような運用をして、法律のたてまえは、そのように収益が上がるようなたてまえにしているんじゃないですか。そこに矛盾があるんじゃないですか。もしも具体的な対価なり利子とか、そういう果実として回収できないものであるならば、団体の性格をそれなりに法律で規定すべきなんであって、それをそうじゃなく規定しておきながら、実際の運用はいまのような変則な運用をしている。私は変則だと思うのですね。長官、どう思いますか。どんどん出資して、出資というのは元手ですから、出資証券になって国の財産になっている。それを消費的にどんどん使っちゃって、したがって経理上は欠損金になって、それがどんどん累積をしていく。毎年毎年欠損を予定しているんですよ、予算的に。そういう変則なやり方は改むべきじゃないのか、こう言うのです。
  135. 宮本二郎

    ○宮本(二)政府委員 お答え申し上げます。  当庁の所管法人は、先生御案内のとおり、研究開発を一つの事業目的にしておるわけでございます。法人自体が一つの金もうけをしよう、こういう事業を前提としておるものではございません。研究開発を事業としておるわけでございまして、その収益といいますか成果と申しますのは、広く国民経済的な成果を期待しておるわけでございます。そういう意味で、直ちにそこにそれに見合った収益が出てくる、こういうわけではございません。もちろん会計処理上、特許権などにつきまして民間に使用させた場合にそれについての収益が上がるとか、そういうことでの一つの利益金の処理の規定はございますけれども、事業として一つの収益を期待した事業ではない、もっと広い国民経済的な成果を期待した事業である、このように私ども存じておるわけでございます。そういう意味で、こういう研究開発事業につきましての会計処理のあり方の問題ではないか、このように考えます。現在は民間の人材も入れ、資金も入れておる関係で、企業会計の処理に準じたやり方をやる、そこでこういう問題が出てくるわけでございます。そういう意味で、こういう長期的な研究開発事業についての処理のあり方、こういうものにつきまして、私ども必ずしも専門家ではございません、財務当局とも先生のお気持ちをごそんたくしまして相談いたしたいと思っております。
  136. 北山愛郎

    北山委員 いまのような答弁ではいけないんですね。というのは、それは法律と反しているんです。法律では、たとえば原子力研究所法の第三十条でしたか、財務会計のところには、収益が上がるたてまえになっているんだよ。その収益で損害を埋めて、なお余りが出た場合には積み立てをするんだとか、なお残余が出ればそれは出資者に分配するなんということを規定しているんですよ。そうしておいて、いまのような答弁ではその法律に合わないじゃないですか。よく読んでくださいよ。原子力研究所法なんかも、利益が上がって出資者に分配するようなことが書いてある。ほかの核燃事業団のものはさすがに分配はないけれども、余りがあったら収益金で損失を補てんして、残余のものは積み立てをするんだというような規定があるじゃないですか。それがこの団体の財政運営の原則じゃないのですか。あなたのは勝手な解釈ですよ。そういう性格の、もっぱら原子力開発という国家的な事業といいますか、ですから大きなメリットがあるんだ、有形無形のメリットがあるんだからいまのような運営でも差し支えがないんだというのは勝手な解釈ですよ。  そういうことを言えば、たとえば大学の特別会計がありますね。あれなんか特別会計ではあるけれども、そう大した事業量とか大した収益がないから、あと大部分は通り抜けといいますか、国から出しているんですね。そういう経理の仕方でもいいんじゃないですか。何で一体出資金みたいな形で、さもさも収益が上がるようなたてまえにしておきながら、しかもいまのような勝手な、異例な運営というのは矛盾だと思うのですね。これは直さなければならぬじゃないですか、こんな形の、変則な財政、会計の運営の仕方は。いまの答弁というのは余り科学的でないですよ。また財政のルールにも従ってないんです。現在の制度と運営の矛盾だと思うのだ。だから何とかしなければならぬじゃないか。このままずるずるいったんじゃだめじゃないか。会計検査院からもいつか指摘されているはずですよ、あの原子力船「むつ」について。本当は大蔵省なんか、厳密にこういうやり方を直すべきなんです。許しちゃならぬのですよ。どうですか、長官。
  137. 中川一郎

    ○中川国務大臣 非常にむずかしい問題ではございますが、それじゃ、出資金じゃなくしてやるとすれば補助金ということになるんだろうと思うのです。補助金ということに踏み切るのには、財産ができるたてまえになっておるものに補助金でやってしまうというところにも何か問題があるというところから、妥協の産物として出資という形になり、収益が上がらないという結果欠損という形になってきているのだろうと思うのです。  そこで、補助金というふうに踏み切ってしまって欠損というものを出さないようにやるべきか、こういうことになるのだろうと思いますが、そこにまた、先ほど申し上げた、財産ができるところに補助金を出すということに踏ん切れないというような、非常にむずかしいところだと思います。しかし、北山委員指摘のような矛盾を私も感じますので、こういったことに対しては専門家、大蔵省が中心になるのだろうと思いますが、国民にわかりやすい方法を研究していく必要があるんじゃないか。しかし、どう踏み切るかはなかなか私も判断がつきかねる、こういうことでございます。
  138. 北山愛郎

    北山委員 長官も、このような実態を不合理な点があるとお認めになっている。出資金の中で資産的に残るような形になっているのもあるとぼくは思うのです。そういう範囲において出資金にすればいいのであって、消費的に使う部面については補助金の方がいいと思うのです。いつか科学技術庁の係官に私が聞いたところ、補助金というのはひもがついていて、条件がついていてうるさくてしようがない、出資金の方がどんどん遠慮なく使えるからいいんだなんて話をしていた。そういうことを科学技術庁の人たちが言っているのではこれはひどいと思うのですが、大蔵省、よく指導してやらなければだめだと思うのです。また、こういう問題は、ぼくは第二次臨調なんかでも当然問題にすべきことだと思うのですね。ですから、ひとつこれは制度的に法律を変えるなり、あるいはいまの予算の立て方を変えるなり、相当な改革が私は必要だと思いますので、長官が中心になって検討を進めていただきたい、このように要望いたしておきます。  それから、この研究所も特殊法人で、出資は政府だけじゃないわけですね。特に、半分以上といいますか、こういう規定のあるものもあればないものもございますが、民間の出資も予定しておるわけなんです。ところが、ばかに民間の出資が少ないんですよ。私の調べたところでは、原研の場合ですと、昭和三十一年の初めごろ、民間の出資というのは全体の三四・三%であったのですが、五十五年にはこれが三二%、要するに民間の出資は初めからふえない、どんどん政府出資ばかりやっていく、こういう形であります。それから、動燃事業団の場合は、四十二年には一・七%、現在は三・一%ですが、全体の比率からいくとたった三二%ですよ。三十億です。先ほど言ったように、動燃事業団に対しては六千九百八十億も国が出資をしているのに、民間の方はたった三十億でしょう。そうして、研究開発のメリットは民間の方へずるずるっと流れていっているでしょう。たとえば特許権を設定するとかあるいはノーハウだとか、そういうものを対価をもって民間に渡すのじゃなくて、民間にサービスしているのじゃないですか。したがって、民間が相当に出資をすべきものだと私は思うのです。初めのころの審議の中では、できるだけ国が金を出すようにしろという意見もございましたけれども、その後の実績を見ると、わずかにほんの一部民間が出して、最後は実用化されますから、そのときの研究開発のメリットだけは民間の企業が受けるということでは、これは少し妥当じゃない、このように考えるのですが、どうでしょう。
  139. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 ただいま民間出資の例といたしまして動燃事業団の例をお挙げになったわけでございます。動燃事業団におきましては、ウランの濃縮であるとかあるいは再処理さらには新型動力炉の開発といった相当長期的な、また規模として大きいプロジェクトを扱っているわけでございます。一件一件取り上げてみますと、とても民間ではしょい切れないという性格の技術開発でございます。しかしながら、一方先生指摘のように民間が利益を受けるということも実態上事実でございますので、それぞれのプロジェクトにつきまして民間の負担をも求めるということを事実やっているわけでございます。一例を申し上げますと新型転換炉「ふげん」、現在敦賀で実際発電を行い電気も売っているという実態にございますが、この建設六百八十五億円のうち半分を民間が負担した、官民半々でやったという事実がございます。また、これから進めようとしております高速増殖炉につきましては、全体の建設費四千億円のうち八百億円は民間が拠出するのだというたてまえで進めようとしているわけでございます。事実この出資が今年度にも計上されているわけでございます。また、再処理施設につきましても三十億円の出資を求めるということで、応分の民間の負担は求めているつもりでございます。さらに技術開発の段階が進みまして実用化に近づく段階、すなわち技術そのものが民間に移転していくという事態に至った場合には、さらに多くの部分の、できれば民間主体といったような形で次の技術開発の段階に移りたい、このように考えて進めているところでございまして、そういう意味では、いろいろ御意見はございましょうが、方向としては先生指摘の方向でやらしていただいているというのが動燃事業団についての実態でございます。  それから、原子力研究所について御指摘がございましたが、原子力研究所につきましては、やはり研究所自体の運営が原子力全般につきましての基礎的な部分を主として受け持つ、あるいは原子力安全性の基礎的な研究を分担するという性格でございますので、やはり民間に出資を多く求めるというのはその性質上無理がある、このように考えている次第でございます。
  140. 北山愛郎

    北山委員 無理があると言ったって、原子力研究所の法律には国は半分以上ですから五一%以上、ということは民間にも相当な負担を予定しているわけですね、研究所の性格上。それが初めのころは三〇%ぐらいあったわけだ。それが民間の方はほとんどやらない。ずっと経過を見ると原研の場合は減っているぐらいですよ。たとえば昭和三十一年には民間の拠出金というのは二億四千八百万円あったのですね。現在では二億三千三百万円ですか。減っているのですね。三〇%が〇・四%に下がっちゃっているのです。要するに国の方だけはどんどん出資をして民間はそれにつれてやってないということなんだ。あなたはいろんなことを言うけれども、結果はそうなんだ。それから事業団にしてもそうだ。国が七千億もやっているのにたった三十億だ。そしてメリットだけは民間へずるずるっと持っていかれてしまう。何かいまの話だと、その研究開発した成果、ノーハウなり何なり、それを民間に譲るときにはというようなことを言われましたが、ずるずるっと譲っているのじゃないですか。そこに仕切りがないのじゃないですか。何か対価を求めて渡すとかそういうことがないのですよ。ですから、どうしても出資の上で同じような犠牲を払ってもらわなければ困る。ところが、出資の上でも、いま申し上げたようにほとんど国が出して、そしてほんのわずかしか民間は出していない。研究開発の成果はいずれはみんな民間へ行っちゃう。これじゃ少しだらしがないのじゃないですか。余りサービスのし過ぎじゃないですかね。しかも、民間はただでサービスしているわけじゃないので、それぞれ商業的に発電なり何なりやっているわけですからね。ですから、私はやっぱりこのような民間の拠出というものが少な過ぎると指摘せざるを得ないのです。どうでしょう、来年度予算あたりでもう少し国の出資の方を減らして民間出資をふやすというような、予算編成についてそういう方針はとれないですか。
  141. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 最初のころ原研に対する民間出資が高く、途中で非常に低くなったということでございますが、途中で動燃事業団が設立されまして、その時点で、実用に近いと申しますか開発の程度の進んだプロジェクトを取り出して動燃事業団をつくったという経緯がございまして、したがいまして、残りました原子力研究所は基礎研究が主体となった、それにつれて民間からの出資が減った、こういった歴史的な傾向がございます。それから、従来の経緯もございますのでそうにわかにということではございませんが、基本的な考え方といたしましては、先ほども申し上げましたように、研究が進み、開発が進み、実用の段階に近づく、したがってその研究成果を使って民間がある商業活動に移れるという事態になってまいりましたので、民間の出資というか負担と申しますか、大きくは官民の分担といったものが、だんだん方向として民の負担がふえていくという状況に移っていく方向にあるということだけは申し上げられると存じます。
  142. 北山愛郎

    北山委員 あなたのおっしゃるようなことがさっぱり実際の実績の中へあらわれていないのですよ。いま言ったように比率が下がってきているでしょう。絶対数からいったって、物すごい出資を国がして、そしておいて民間の方はほんのちょっぴりですよ。動燃事業団だってたった三十億だもの。たとえば電力会社なんかは去年の電力料金の値上げでもって物すごくもうけたでしょう。去年に比べると一兆円以上利益が上がったはずです。ですから、この際研究開発について民間が相当な出資をする、出資をふやすということは当然じゃないですか。五十七年度の予算案でひとつ具体化しなければ……。どうですか、長官。
  143. 宮本二郎

    ○宮本(二)政府委員 当庁所管の研究開発の特殊法人に対しまして民間出資が少ないという仰せでございますが、これらの研究は、国だけあるいは民間だけというわけにまいらない非常に大きな研究開発プロジェクトでございます。政府関係の研究者のみならず大学、民間、すべてを集めまして総力を結集してやる、こういうことで民間の資金も当初集めておるわけでございます。ただ、このような長期的なプロジェクトでございますので、そのリターンがすぐにあるわけじゃございません。民間といたしましては、どうしてもこういうのに対して出資は出しにくい状況がございます。ただ、原子力局長が申し上げましたように、その中でも実用化に近づいてまいりましたたとえば「ふげん」の原子力発電所とか、こういうところになりますれば、当然当面それをすぐ利用する可能性のあるようなたとえば電力が半分を出すというように、個別にその状況は異ならざるを得ない、このように考えております。  なお、原子力研究所におきまして研究の特許権とかそういうものにつきましては、ずるずると渡すというようなことは絶対にございません。これは十分管理いたしまして、がっちり原子力研究所の権利として、それを使用するときにはちゃんとそれなりの対価との関係において使わせる、こういうことをちゃんと管理いたしておる次第でございます。
  144. 北山愛郎

    北山委員 長期的と言うけれども、結局研究開発した結果、国が原発なり何なりをやる方針じゃないから民間へおろしちゃうでしょう。おろしつつある段階じゃないですか。ですから、いま「ふげん」の研究費なんかは民間に出させると言うけれども、「ふげん」についてすでに研究開発費を相当出しているはずだが、一体それはどのぐらい出しているのですか。
  145. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 「ふげん」はすでに建設が終わりまして、試験操業の段階でございますが、総建設費六百八十五億円のうち、ちょうど半分の三百四十二億円を民間が負担したという実態がございます。
  146. 北山愛郎

    北山委員 その三百四十二億円ですか、それは国の収入というか、出資なり何なりの形、どういう形になって入ってきているのですか。
  147. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 建設費のちょうど半分でございまして、建設費に充てられたわけでございます。あと、現在発電をしておりまして、その電力は売っているわけでございますが、年間約五十億円の収入になっているわけでございます。これも動燃の収入の一部といたしまして全体の予算に貢献しているということでございます。
  148. 北山愛郎

    北山委員 時間もありませんので、もう少し詳しく別な機会にやりたいと思うのですけれども、いずれにしましても、いま言ったような話の経過なんです。ですから、この研究開発の成果が直接にはやはり民間の経営する事業のあれになるのですから、大きく言えば国民全体ということになるかもしれぬけれども、具体的にはそうなるでしょう。しかもそういう会社が相当力がある、たとえば電力会社なんか力があるのですから相当まとまったものを、仮にいまの形であれば出資なら出資の形で、国の出資分を減らして民間の出資をふやすとか、そういう方向で具体化してもらわぬことには私は納得できないですね。長官どう思いますか。
  149. 中川一郎

    ○中川国務大臣 財政が厳しい折からでもあり、また法律のたてまえからいっても応分の民間出資ということが必要であろう、こう思いますので、御趣旨を体してできるだけ努力をしていきたい、こういう方向で進んでいきたいと思います。
  150. 北山愛郎

    北山委員 私は、その出資分をむしろ——いま科学技術庁の研究開発というのは大部分原子力ですよ。科学技術というのは原子力、この委員会でも原子力の問題ばかりだ。科学技術というのはもう少し広いものじゃないですかな。エネルギーの問題にしても、もう少し自然エネルギーあるいはローカルエネルギーの研究開発あるいは普及とかそういう面に使うべきじゃないか、こう思うのです。いま技術庁関係で自然エネルギーの開発研究費というのは五十六年度予算でどのくらいですか。
  151. 下邨昭三

    ○下邨政府委員 お答え申し上げます。  新エネルギー、省エネルギー、いろいろなものがございますけれども、合わせまして非原子力の研究開発費で二十三億余りでございます。五十六年度予算といたしましては、そういう数字でございます。
  152. 北山愛郎

    北山委員 まるきり問題にならないですね。百分の一ぐらいなものだ。だから、先ほどの青森県の風力発電なんかもちゃちなことをやっておるですね。あるいはせんだっての各地の風力調査なんかも全国でたった三カ所でやっている。むしろ私は地方自治体を使って、頼んで、各地域の風力調査を全国的にやったらいいと思うのです。そして、風力利用の適地というのは自然出てくるわけですから、その適地に実際やらなければいけないわけです。要するに、若干の調査費なりそういうものを援助してやれと言えば喜んでいま各都道府県はやりますよ。私の手元に自治省が調査をしたものがあるのですが、各地方自治体がローカルエネルギーの問題についていろいろやりかけておるのですね。何も風力だけではありません。中小水力だとかアルコールだとか、いろいろなものがございますが、そういう意欲を持っているのです。持っているときに、こちらがそれに対して多少の援助をする、あるいは技術研究の情報を流してやるとか指導してやる、そういうことがいま非常に必要なんだと思うのです。そういう重大なローカルエネルギーの問題、非常な可能性を秘めている——トータルからいえば原子力よりももっともっと大きい可能性を持っているこの自然エネルギーの開発に、わずか二十何億なんというようなもので間に合わせておるというのは、私はどうしても科学技術庁として妥当なものじゃないと思うのです。  これは私は毎年やっておるのですが、いままでも宇野長官のときも、台風の調査研究、台風エネルギーの利用について調査研究したらどうだ、台風なんというものは疫病神のように言われているけれども、やはりその被害を抑えて、そしてむしろメリットがあるのだから、あれはエネルギーのかたまりなんだから、これを利用するための調査研究をしたらどうか、こういうことを言ったのです。アメリカその他の外国では風力の調査だって相当やっておりますし、すでにアメリカあたりでは二千五百キロワットぐらいな、あるいは四千キロワットというような相当でかい風力利用の開発計画、プロジェクトが進行しているのですよ。そういうものをどんどん積極的になぜやらないのか、なぜ原子力だけにこだわっているのか、私はおかしいと思うのですが、長官どうでしょう。ひとつ頭の切りかえをしてもらいたいと思うのです。
  153. 中川一郎

    ○中川国務大臣 まあ、反論するわけじゃありませんけれども、自然エネルギーは確かに量的には無限に近いほどあるのだろうと思うのです。しかし経済ベースからいくと、ローカルエネルギーとしての特殊な利用の目的以外は基本のものとして使えるというわけにはいかない。それに比較して原子力発電というようなものは、研究開発を進めることによって、経済性においてあるいは量的に非常に大きな国民的な利益をもたらすエネルギーになる。こういうことから、投資効率からいっても国民に説明のできる使い方だと思いますし、ローカルエネルギーあるいは自然エネルギーに莫大な金を投資してみても、全体として開発される量というものは国民経済的に見て先々そう大きなものではない、こう思いまして、そう大きなものは得られるとは言えませんけれども、自然エネルギーも大事なローカルエネルギーとして研究の余地がありますので、今後とも努力していきたい。私も金沢の風力発電所なんか行ってみたのですけれども、これは一基一キロワットですから、もう熱帯魚だとかテレビの熱源になる程度であって、家庭はおろか工場というようなところに持っていくのにはまだまだ、事態の経済状況が変わってこなければ、現在のような状況で実用化というところまで行くのにはまだ相当むずかしい点があり、研究だけでこれを克服できるかという感じは持ってきております。しかし、せっかくの御指摘ですので、自然エネルギーも大事にして努力をしていきたいと思います。
  154. 北山愛郎

    北山委員 金沢のような——どうして金沢を選んだんです。そういうものをどういう物差しで選んだか知らぬけれども、愛知県のところとか三ケ所くらいやったでしょう。何ら科学的な基準なんかないんだな。やはり風のよけい吹くところを調査しなければならぬですよ。それにはどうしても、関君の郷里である青森県あたりは、あの下北から北海道にかけて津軽海峡というのは風の通り道なんですから、そういうところを調査したらいいんですよ。そんな風の吹かないようなところを調査して、それはだめでしたなんて、それこそ非科学的ですよ。ですから、私は、全国に調査をさせろと言うのです。風力を利用できる適地というものは、やはりどこでもいいというわけじゃないんです。西ドイツなんかとうの昔に風力調査をやって、全国の中で二、三百カ所が適地というものを決定しているんですね。調査もしないで、入り口のところで自然エネルギーはどうですかなんていうのは、それこそまるで積極性がないですね。中川長官としては、これは全くおかしいと思うんですね。  それから、原子力にしても、調査研究すればするほど、果たして経済的に成り立つものかどうか。よく言われているように、原子力はコストが安いといいますが、いま調査をされようとしている廃炉の問題にしてもどのくらい金がかかるか。あるいは廃棄物の処理だって、まだ方法すら決まってないじゃないですか。そういうものを入れますと、決して原子力だってそんな経済的に見ても、私は引き合うものではないと思うのです。  だから、私は、このいまの予算にあらわれた科学技術庁の考え方、自然エネルギーに対するむしろ遍見だな。自然エネルギーを奨励しますと、この地域の住民というものは、これは皆参加しますよ。住民ぐるみでやったらいいんですよ。中小水力で小さな川であろうが何であろうが、あるいは農業用のメタンガスであろうがあるいはアルコールであろうが、総がかりでやれるんだ。ところが原発の発電所なんというものは幽霊屋敷みたいなもので、いやがるものをしゃにむに過疎地帯なんかに持っていって、札でほっぺたをひっぱたいて、それで無理無理おっつけようとしている。そんなことをしないでも、自然エネルギーというものは地域の人たちはみんな歓迎するんですから、そういう熱意に乗ってその仕事を進めるということが必要ではないかと思うんです。そういう意味で、私は風力調査、少なくとも風力調査をまず来年度予算あたり要求して、そして、全国的に風力の調査をするとかそういうことを進めてもらいたい。再度、ひとつ長官からお考えを聞きたいのです。
  155. 中川一郎

    ○中川国務大臣 デンマークとかああいうところでは風が通年あるという非常に有利性があるのですね。日本は、私も北海道ですけれども、津軽海峡に近いところですが、通年吹いているとは言いがたい。なかなかむずかしい。金沢もなかなか、丘の高い、かなり風の吹きそうなところを選んでいるようでしたが、私が行ったときはまだ風が吹いておりませんで、先ほどお話があったように、電気でもって風車を動かしておったというようなことで、むしろ電気を食うものだという、効率はマイナスというような日を選んで行ったものですから、どうもこれは日本ではローカルエネルギーとしてはあっても、エネルギーの主軸をなすものではない。しかし、御説でございますから、その点についても今後十分関心を持ってひとつ努力をしていきたいと思います。
  156. 北山愛郎

    北山委員 最後に、この点は大臣初め科学技術庁の人たちも頭をひとつ切りかえてもらいたいと思うのです。外国ではいろいろ大規模なものも進めておるのですね。風車にしても、先ほど申し上げたとおりです。日本だって民間の研究機関では、千メーター以上の山に三千キロワットぐらいな風車を相当つくれる。三菱の研究所の調査では、理論的には三万基ぐらいつくれると言っているのです。三万基つくったら三千キロでもって九千万キロワットじゃないですか。それだけでも原子力なんかよりもずっと多いんだ。しかも、そういうふうに集中的な大きなプロジェクトも可能性があると同時に、非常に身近な住民の生活と結びついた開発ができるわけです。ソーラーハウスにしてもそうですし、そういうものをどんどん奨励していく。そういう問題をひとつ科学技術庁もよく考えていただいて、そして、後になって諸外国におくれてしまったというようなことのないようにしてもらいたいし、そしてそういう技術開発という、やはりいろいろ研究がありますから、能率的な風車をつくるとか、そういう研究開発自体が、今度は仮に石油のないような非産油国なんかの開発についての援助、そういうものと結びつくわけなんです。大きな問題なんです。何も外国で開発された原子力の後を追っかけ回すというのでなくて、新しいものを開拓していくのが、これがいわゆる本当の開発の精神だと思うんで、その点はひとつ十分お考えを願いたい。そういう要望をして、私の質問を終わります。
  157. 中村弘海

  158. 草川昭三

    草川委員 公明党・国民会議草川昭三でございます。きょう、お許しを得て日本原電のフォローアップの問題から動燃の問題を御質問させていただきたいと思います。  まず最初に、たび重なるあの放射能漏れと事故隠しの問題が出ております敦賀の発電所の問題についてお伺いをいたしますが、保安管理体制と設備の改善措置がいろいろと指摘をされてきておるわけでございますが、未報告事故を総ざらえにした総点検の結果がまとめられていると思いますけれども、いわゆる事故隠しは何件になっておるわけですか、お伺いします。
  159. 谷口富裕

    ○谷口説明員 昭和五十六年六月二十五日付で日本原子力発電株式会社より当省に提出されました総点検報告書によりますと、報告しておくべきであったと考えられます事象としましては、五十二年三月以降で十二件ございます一事故、故障の報告につきましては、敦賀の事故の教訓にかんがみまして、関係省令の改正により、法令による事故、故障の報告対象範囲の明確化を図ったところでありまして、今後、事故の報告漏れがないよう電気事業者を指導監督してまいる所存でございます。
  160. 草川昭三

    草川委員 総結果、トータルは何件ですか。
  161. 谷口富裕

    ○谷口説明員 総結果は、五十二年以前のものが七件ございまして、総計十九件となっております。
  162. 草川昭三

    草川委員 十九件ということですね。  では、第二番目の質問でございますが、今回の事故についての補償の問題ですけれども、いわゆる原賠法の適用は今回の事故についてはあり得るかどうか、お伺いします。
  163. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 お答えいたします。  原賠法でございますが、原賠法による賠償責任を負いますのは「原子炉の運転等により原子力損害が生じた場合」ということでございます。そこで、原子力損害とは何かということでございますが、核燃料物質等の放射線の作用あるいは毒性的作用による損害を意味しておりまして、敦賀事故の場合には、周辺海域での放射能汚染はなかった、また魚類からも放射能は検出されなかったというふうに承知しておりますので、風評による魚価低落あるいは民宿等のお客さんが減ったといったような損害をこの原賠法による原子力損害と認めるのは困難であると考えております。
  164. 草川昭三

    草川委員 事故の総費用の請求が出ていないから特にそういうことになると思いますが、いわゆる基本的な原賠法の適用はない、こういう答弁ですね。  では、三番目の質問になりますけれども、この原発の運転再開の見通しでございます。来春というのですか、年内にある程度の整備というのですか、その準備段階を経ていると思いますけれども、再開の見通しはいつごろになるか、お伺いします。
  165. 末広恵雄

    ○末広説明員 敦賀発電所でございますが、六月二十五日に私どもの方に提出されました総点検報告書の中で、日本原子力発電の保安管理体制及び敦賀発電所の設備の改善を行うということが示されているわけでございます。この保安管理体制及び設備につきましての改善措置は現在進行中でございまして、たとえば保安管理体制の改善につきましては、組織の見直しだとかあるいは社内の内規等の見直しということを行っておりまして、設備の改善につきましても、所定の法的手続をとりまして順次改造工事が行われているところでございます。現在のところ、日本原子力発電としては、年内を目途ということで鋭意やっているようでございますが、いつ完了するかということはまだここで申し上げられる段階ではございません。
  166. 草川昭三

    草川委員 では、この問題についての最後の質問になりますけれども、いわゆる放射線障害がずいぶん問題になったわけであります。ICRP、国際放射線防護委員会の勧告という新しい勧告も出ておるわけでありますし、これは、年の線量というのですか、これが年間五レムに厳しくなっております。これは現在審議会等で御審議になっておるというお話でございます。  実は、私、この五月に衆議院の社会労働委員会で、外国人労務者がかなりの数、この原発の定期検査に従事をしておる、いかがなものかという問題提起をしたわけでございますが、通産省としては今後とも外国人労務者の労働という問題を認めるのかどうか、あるいは過去の外国人労働者の原子力発電の定期検査工事に従事した数を、わかれば教えていただきたいと思います。
  167. 末広恵雄

    ○末広説明員 原子力発電所の定期検査の期間におきまして原子力発電設備の、特に外国から輸入いたしました製品等の保修につきましては外国人技術者が従事するといったケースがございます。外国人技術者が請け負った作業といたしましては、具体的には沸騰水型炉での給水スパージャーの取りかえ工事等がございますが、これはいずれも熟練した技術を必要とする炉心部の改良工事であったと聞いております。  私どもが把握しております人数でございますが、昭和五十一年度におきまして福島第一原子力発電所で百十八名、五十二年におきましては敦賀発電所におきまして八十六名、福島第一発電所で六十六名、五十四年度は東海第二発電所で二十三名、福島第一原子力発電所で九十名、以上でございます。
  168. 草川昭三

    草川委員 いま通産省の方からも非常に率直な答弁があって、それはそれで結構ですが、御存じのとおり、日本の出入国管理令は外国人労働者というのは原則的には認めていないわけであります。非常に卓越したというのですか特殊な技術を持つということに適当するかどうかでございますが、現実にはブルーカラーの労働者が多いわけであります。いわゆる技能指導者ではないわけです。もしこれが定着をいたしますとするならば、日本に外国人労働者というのはかなりブルーの形で入ってくるということになりますが、これは本来労働省にお伺いをしなければいかぬ点でございますし、きょうはその場でございませんから議論はいたしませんが、いわゆる現地での作業はなれておるからさせるということではございますけれども、この放射線障害の対応がアメリカの方はかなり緩いと聞いております。もちろん日本の国内では日本の法律を守るということになるわけでありますけれども、現実はその点はかなりあいまいであります。そういう点で、いつまでも——たとえば日本GEを下請として雇い、日本GEがアメリカGEにさらに労働者を直接呼ぶということのないように基本的に考えるべきであるというのが私の意見であります。これはぜひそのようにお考え願いたいと思います。  では、その件は終わりまして、次に、通産省が出しました「エネルギー’81」という新しい本があるわけでございますが、これは最初に田中通産大臣がことしの七月に署名をいたしておりますから、非常に新しい本だと思うのです。これは非常にわかりやすく書いてありますし、私も大変勉強になります。かなりこれは書店でも売られておると思うのですが、私もこれからは原子力問題については基本的にスタンスを変えて勉強しなければいかぬという立場があるわけでございますから、私どももこれについて非常に興味を持って読んでおるわけでございますが、中身が納得できない点があります。  たとえば「なぜ原子力か」という、先ほども御意見があるわけでございますが、いわゆる原子力発電のコストが安いということを非常に強調しているわけであります。具体的には発電コストの比較、一キロワットアワー、原子力は八円から九円というような原価計算がしてありますし、しかも、この利用率は七〇%稼働ということで計算をされておりますが、これは果たして正確なものかどうか。これは五十五年の試算ということになっておりますが、これは、科学技術庁あたりの資料を見ましてもあるいは通産省の他の資料を見ましても、そぐわないと思います。あるいは東京電力の資料等もございますけれども、東電の資料なんかを見ても十一円から十二円ということになっておるわけですが、お考えはどうでしょう。
  169. 広瀬勝貞

    広瀬説明員 お答え申し上げます。  この「エネルギー別」という本でございますけれども、できるだけエネルギー問題につきまして平易にかつ簡潔にあらわすことによりまして、国民の皆様の御理解を得ようということであらわされたものでございまして、その点なかなか筆が足りない点もあったかと思いますけれども、御指摘原子力発電コストにつきましては、その当時の一番新しい資料で試算されておりますコストをこのまま載せた次第でございまして、また最近の試算によりますと若干上がっているかもしれませんが、その分ほかのものもある程度上がっておると思いますので、経済性において原子力発電コストが非常に安いということについては現在も変わっていないというふうに考えております。
  170. 草川昭三

    草川委員 では、建設コストの上昇についてどのようにお考えになっておられますか。たとえば昭和五十四年の福島原発は一キロワットに約二十四万円、これが最近の柏崎の一号あるいは五号機、同じくこれは百十万キロでございますけれども、四十二万円、こう上がってきておるわけですが、その辺はこの本の中にどのように書かれておりますか。
  171. 広瀬勝貞

    広瀬説明員 先ほども申し上げましたように、できるだけ平易に簡潔にということで書いておりまして、この中に建設コストは書いていないわけでございますが、いずれにしましても、建設コストというのはこの発電コストの中で償却という形で織り込んでこられるわけでございまして、そういうものを含んだ全体のコストとして発電コストというのを一つの比較の例として出したまででございます。この発電コストの算定の基礎になっております建設コストというのも、この本を出版した当時の一番新しい資料で試算したものでございます。
  172. 草川昭三

    草川委員 わかりやすく書いていただくのは非常に大切ですし、役所がこういう本を書くことは非常にいいことですから、私は賛成です。ですから、私もまともにこの本で勉強しようと思うのですけれども、こういうように突っかかってくる点がたくさんあるわけであります。一番新しい資料、資料とおっしゃっておられますけれども、たとえば建設単価についてもそれから送電ターミナルの発電単価につきましても、資源エネルギー庁は五十六年の七月で新しい資料を片一方では出しておるわけですから、これは私は親切ではないと思いますし、本当に国民の方々も原子力発電の現状と将来というのを興味深く見ておるわけでありますから、もう少し触れていただきたいと思うわけです。  同時に、この放射性廃棄物の処理につきましても、これは非常に重要な問題になるわけでございますが、放射性廃棄物の処理については、これは非常に簡単にしか書かれておりません。たとえば「放射性固体廃棄物貯蔵庫に厳重に保管される。」とか、あるいは低レベルのものについてはドラムかんに詰めて安全に保管をされているということだけです。実はこの廃棄物の処理については大変重要な問題があるわけですよ、これは皆さんの方が専門でございますけれども。そういう点について何ら触れられていません。廃炉処理の問題についてもそうですが、私はこれは非常に残念だと思います。これはひとつ、せっかく放射性廃棄物の処分についても「適切に処分する必要がある。」と書いてあるわけですが、適切に処分することこそ実はわれわれは勉強したいわけですよ。適切な処理とは一体何かというのがここの中にあればあるほど国民の合意をとることができると思うのですが、その点はどのようにお考えになっておられますか。
  173. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 廃棄物の処分に関しましては、先生指摘のように適切に処分していくという方向で、いま具体的な考え方を詰めております。低レベルに関しましては、海洋処分ということが一つの方策でございます。それから陸地における処分と、二つございます。これは原子力委員会の決定にございまして、私どもは、その方向に沿いましていま具体策を詰めているという段階でございます。  それで、海洋処分は別途また議論、御質問があるかと思いますが、陸地処分をそれじゃどう進めていくのかということにつきまして私どもの考え方を述べさせていただきますと、低レベル放射性廃棄物……(草川委員「それはまた後でいいです」と呼ぶ)よろしゅうございますか。
  174. 草川昭三

    草川委員 陸地処分の問題はまた私、これからお伺いをするつもりでございますが、その前に、やはり大きな問題では廃炉処分という——廃炉処分ではなくて廃炉処理の問題でありますけれども、これも五十五年十一月二十八日に原子力委員会のもとにこの対策専門部会が設置をされておるわけでありますが、ことしの十月まで、これを目途に報告書を取りまとめる予定だと言われております。ひとつここら辺の展望もお聞かせ願いたいわけでありますし、せめてこの「エネルギー81」の中では、廃炉処理についてはあと十年か十五年で第一号の問題も処理しなければいかぬわけなので、どういう考え方かということも出してもらいたいと思うのです。そして、原子力発電は安いとおっしゃるなら、廃炉処理は大体建設費の一〇%なのか二〇%なのか。あるいはアメリカのペンシルバニアの知事が言っておりますように、スリーマイルの二号炉の除洗、これは洗う方、除く方ですけれども、約七億六千万ドルもかかるよ、日本のお金に直して千七百億円もかかるよということを一方の新聞報道では私ども見るわけです。これは五十四年に稼動した福島原発の六号機の建設費に相当するわけですが、こういうような廃炉処理がもう目の前に来ておっても、やはり原子力発電は安いものかどうか、その主張で今後とも通産省は国民に教育をなされるのかどうかお伺いします。
  175. 戸倉修

    ○戸倉説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、廃炉の対策というのは非常に重要であることは申すまでもございませんが、わが国原子力発電所は、一番古いものでも稼動いたしましてから十数年でございます。原子力発電所の寿命は通常三十年ないし四十年と言われておりまして、最終処分というのは当面具体的な問題にはなっていないということでございます。  ただ、この廃炉の問題につきましては諸外国でもいろいろの実例がございまして、具体的に申し上げますと、解体撤去方式あるいは密閉管理方式、遮蔽隔離方式といったようないろいろな方式があるわけでございますが、小型炉におきましては、すでにアメリカを初めといたしましてヨーロッパ各国でも相当の実績がございます。こういった技術的な蓄積が、今後大容量の原子力発電所の廃炉につきましても十分技術的には適用できるものというふうに私ども考えているわけでございます。  ただ、この問題、非常に重要でございますので、通産省といたしましては、より安全な処理処分の問題、より経済性の向上を目指しまして、通産省の中に原子炉廃炉の調査委員会を設けまして、廃炉方式も含めまして現在検討を行っているところでございます。  なお、廃炉費用の問題につきましていま先生からお話がございましたけれども、廃炉費用というのは、どの方式を採用するかによりまして大変コストが違ってくるわけでございます。したがいまして、現段階でこれをどのように発電コストの中に組み入れていくべきかにつきましては、上記の検討結果を踏まえて私ども廃炉コストの見通しが得られた段階で判断をすべき問題だというふうに考えております。
  176. 草川昭三

    草川委員 結局、具体的にはまだ出ない。そのとおりだと思いますけれども、再処理費用の問題を含めて将来の負担を先取りしなければいけない、電力料金にも織り込まなければいかぬという議論が一方ではもうそろそろ出てきておるわけですよ。そういう段階の中で、いまのような答弁を続けておられていいのかどうかという疑問が私には率直にあります。  またアメリカの方も、いろいろな論文の中では、原発のコストというものは競争力を喪失しておるのではないだろうか、一九七八年、ちょうど三年前になりますけれども、アメリカの下院の政治活動委員会では、原子力発電のコストを出しまして、原子力発電はもはや安いエネルギー源ではないと言っておるわけです。そこら辺については一体どのようなお考えを持っておみえになるのか、お伺いをします。
  177. 渡辺光夫

    渡辺説明員 先ほど来先生から御指摘いただいておりますように、原子力発電のコストが本当に安いのかどうか、これは大変重要な問題でございまして、通産省といたしましても従来からいろいろな試算をいたしております。先ほど先生から御指摘いただきました「エネルギー’81」にございます数字は、その資料をつくりますときに一番新しい数字を使わしていただいたわけでございますが、その後また幾つかの事情も変わってきておりますので、私どもの方でも新しい数字での見直しをしているわけでございます。それが先ほど先生から御指摘のありました五十六年七月の数字でございます。  これによりますと、これは最近運転開始をする発電所の例を参考にして、モデル的に大体どのぐらいの発電原価になるかというものを試算しているものでございますが、原子力発電の例で申しますと十一円から十二円、これは送電端のキロワットアワー当たりのコストになるわけでございますが、そういうものだと試算しております。これは石油火力などの例から考えますと半分強ぐらいの水準になるわけでございます。ただ、いま先生のお話にございますように、建設費の方はどうかというので見ますと、これはほかのエネルギーの場合に比べまして割り高と申しますか、キロワット当たりにいたしますと高い水準になっております。この試算のときの数字で申し上げますと、原子力発電の場合はキロワット当たりの単価が二十四、五万円でございます。  最近の事情で申しますと、ここ一、二年に運転開始をいたします原子力発電所は、ちょうど第一次のエネルギーショックの直後に工事に取りかかったというような事情がございまして、当時の建設価格全般の大幅な高騰の影響が全面的に出てくるというようなことで、ここ毎年の見直しの傾向から申しますと、最近急激に上がってきているというような状況にあることは事実でございます。ただ、これはいま申しましたようなエネルギーショック後の全体の物価の急騰ということを背景に起こったものだと思われますので、今後ともこういう形で建設費が上がっていくということではないと私どもは見ておるわけでございます。
  178. 草川昭三

    草川委員 やはり非常に重要な問題ですから、安いからやるんだというスタンスは変えるべき時期が来たのではないだろうか。わが国にとって必要なら必要だという前提、戦略的なエネルギー対策でこの原子炉に取り組むなら取り組む方に、そろそろ通産省としては考え方を変えないといけないのではないだろうかと私は思うわけです。  特に、いわゆる廃棄物の処理についてはほとんどこれはもう対応がないわけです。また、非常に膨大な予算も計上されておるわけでございますが、ちょっとここで、長官お暇そうでございますから、話を変えまして長官の方にお伺いをしますが、いわゆる海洋投棄の問題です。いろいろな議論がありますからその議論は全部捨てまして、特にミクロネシア諸地域で、カマチョ知事も日本にお見えになっておられるわけでございますし、デービス教授の非常に強烈な海洋投棄についての問題提起ということについて日本なりの反論もしておるようでございますが、私は、世上言われるように、やはり今回は長官はいかに忙しくても現地へ行って、るる現状を説明される、安全性ということを指摘されるべきではなかったかと思いますが、本当に仕事があって多忙で行かなかったのか、あるいは非常に政治的な配慮から避けられたのか、率直な御意見をひとつ賜りたいと思います。
  179. 中川一郎

    ○中川国務大臣 どっちかと言えばやはり日程がつかなかったということだと思います。当時イギリスのエネルギー大臣でしたかも見えておりまして、お約束もしておりましたし、いずれ長官として行かなければならない時期が来るだろうということでございまして、まああのとき行けばよかったのかもしれませんが、チャンスがなかった。現地の人とも十分話し合ってこの問題は解決していきたい、こう思っております。
  180. 草川昭三

    草川委員 外務省の意見をお伺いします。
  181. 金子熊夫

    金子説明員 ただいま大臣の方から御答弁がございましたように、私どもとしましては、中川大臣の政治的な御日程、公的な御日程の関係で行かれなかったというように承知いたしております。
  182. 草川昭三

    草川委員 外務省としても、関係各省庁と調整をしていずれこの対応を迫られると思うのですが、これは長官も御経験者でございますけれども、農水の特に水産庁の見解というのは、カツオ・マグロの漁場が非常に豊富なところでございますので、また一つの見解があると思うのです。その点について農水省の御意見を賜りたいと思います。
  183. 川崎君男

    ○川崎説明員 先生指摘のように、南方諸国で本件投棄問題に対する反対の動きが活発になっておるわけでございますが、水産から見ますと、南方水域はわが国のカツオ・マグロ漁業等の非常に重要な漁場になっております。したがいまして、本件の投棄計画の推進がこれら諸国との漁業交渉等の妨げとならないよう慎重に対処する必要があると考えております。
  184. 草川昭三

    草川委員 いま水産庁の方は、まことに正直な御意見が出ておるわけですよ。この問題は、実は言葉が余りいい言葉ではございませんけれども、本当のふん詰まりの状況が来ておるのではないだろうか、こう思うのです。だから、いま長官はどっちかと言えばとおっしゃいましたけれども、これはどっちかと言えばという程度の話ではないと思うのですよ。ちょっとこれは言葉としては問題があると私は思うのです。もう少し積極的に対応を立てる必要があると思うのです。  これをもう少し具体的に詰めてみたいのですけれども、放射性固体の廃棄物の増加予想というものが二十二基の原発からどの程度出てぐるのか。過去の累積が約三十三万本だと言われております。将来年間の見通しというものも明らかにしていただきたいわけでございますけれども、六十年先の見通しは約六十二万三千本になると言われておりますが、どうなんでしょう、このような数字で。アバウトな話で結構でございますが、大体そういう方向かどうかだけお伺いしたいと思います。
  185. 末広恵雄

    ○末広説明員 ただいま原子力発電所に貯蔵しております量でございますが、今年の八月末現在で二十五万三千七百本、これは二百リットル・ドラムかんの本数でございます。  それで、今後の見通しでございますが、炉型によって出てまいります量が異なっておりまして、沸騰水型炉ですと年間三千本とか四千本といったオーダーになっております。それから、加圧水型炉ですと千本というオーダーになっておりますが、今後はドラムかんの本数をできるだけ減らすということから、たとえば焼却するとかアスファルト固化をやるといった方法で、減容を考えているところでございます。
  186. 草川昭三

    草川委員 私、通産省の方で事前に聞いたのは、いま原子力発電所の構内以外の分を含めると三十三万本、そして六十年の見通しは六十二万本を超すと言われておるわけですから、大変なことになります。  そこで、財団法人原子力環境整備センターというものができておるわけでございますが、五十七年度の予算で集中貯蔵する陸上施設の建設を計画しておる、こういうことを言っておりますが、聞くところによると約二千三百億円、百二十万本を貯蔵すると言われております。これは一本二十万円の経費になるわけです。大変な経費ですけれども、これがすべてコストにはね返ってくるということになると大変なことになりますが、この点についての考え方を、時間がございませんので、ごく簡単にお伺いします。
  187. 田辺俊彦

    ○田辺説明員 先生指摘の低レベルの陸上における処分でございますが、従来陸地における処分といたしまして、地中の処分をするための安全実証等の勉強を進めてまいりましたけれども、御指摘のような将来の低レベル廃棄物のサイトにおける蓄積ということを考えますと、できる限り速やかに安全な方法でサイトの外に処分していく、あるいは貯蔵していくという考え方が重要であろうかと思います。これは総合エネルギー調査会の原子力部会におきまして、六月五日に答申を受けまして、私ども、いまその線に沿いまして具体的な政策を立案中でございます。  御指摘の投資額につきましては、いま精査しておりますけれども、大体千六百億円ぐらいと予測しております。そして、その中で貯蔵できるドラムかんの数は約百二十万本、これは私どもの予測で二〇〇〇年ごろ、昭和七十年に約三百万本ということでございますが、その中の四割は陸に、そして六割は海に処分するという方向で考えますと、そういう数字でございます。百二十万本を一カ所の施設で貯蔵するという立場でございますと、そういう数字になります。私どもとしましては、いま財政投融資等の支援を民間産業界にすべくいろいろ検討中でございます。低レベル廃棄物でございますから、これは発生者の責任において処分していただくという方向で、国としましては実証試験等で応援するとともに、融資という観点から支援をしていきたいと思っております。  それから、御指摘の千六百億なり二千億の建設資金の負担をいたしましても、実際上の発電原価に占める割合といいますのはごくわずかでございます。発電コストにはそれほど大きく響かない程度でございます。
  188. 草川昭三

    草川委員 そこで問題は、時間がないのできょうはこれはやめますけれども、日本原燃サービスの場所設定等もあるわけですけれども、いずれにいたしましても立地対策が非常にむずかしいということが出てくるわけです。  そこで、電源開発促進対策の特別会計というものがあるわけですけれども、いわゆる略称電源立地勘定、それから同じく電源多様化勘定、こういう特別会計があるわけでございますが、歳入は電源開発促進税という税があります。一キロワット当たり三十銭でございますか、一般家庭で平均年間六百八十四円を負担するわけでありますが、これがいわゆる未消化、不用額として非常に大きく出てくるわけです。不用額と繰越額は、普通の場合だとそのまま国庫に戻るわけでありますけれども、特別会計でありますから、そのまま二年ごとにこの繰越不用額が横になっていきます。これが、昭和四十九年からずっと数を挙げますと大変な金額になります。五十年度は百二億、五十一年度は二百八十六億、五十二年度は四百十七億、五十三年度は五百四十一億、五十四年度は六百十三億、これは決算ベースです。五十五年度も、予算でありますけれども、これは二百八十九億といういわゆる剰余金の受け入れになっておるわけです。中身はいわゆる不用額と繰越額です。未消化なんです。私は、過日の行政改革特別委員会の場で大蔵大臣にも申し上げたのですが、不用額が出ることは決して大蔵省としては責めてはいけませんよ、むりに予算を消化するから。返せば返すほどメリットシステムがあってもいいじゃないかということで、行管長官のそういう答弁も得ました。しかし、それにしてもこの特別会計はひど過ぎるんじゃないか。こういうように毎年のように百七十億とか二百億を超すような繰越金額が出るとするならば、電源開発促進税を下げるべきではないだろうかという意見が当然出てくると思うのですが、これは通産ではなくて大蔵省にお伺いをしていきたいと思います。どうでしょうか。
  189. 日吉章

    ○日吉説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘のように、電発特会の中の立地勘定におきまして毎年不用額が生じておりまして、前年度剰余金として計上されているのは事実でございます。主としてこれは、先生指摘のように、電源立地促進対策交付金の交付実績が予算で予定いたしました計上額を下回っているということにございます。このように実績額が予算額を下回ります理由としましては、一つには、電源立地が地元調整等の困難性から遅延しているということがございます。また、遅延いたしておりません場合にも、自治体側の要因としまして、交付金は交付基礎となります整備計画の作成があって初めて交付されるというふうな仕組みになっているものでございますから、その公共団体側におきます整備事業の執行がとかくおくれがちである、こういうふうな二つの理由に基づいているものでございます。このように前年度の剰余金が多額に上っておりますことは、先生指摘のとおり、私たち財政当局といたしましても決して好ましいことではないというふうに考えておりますけれども、何分にも電源立地が、政府といたしまして予定いたしておりながらも、他律的な要因に基づきまして延引しているというような事情があります点は御理解を賜りたいと思います。  ただ、今後の問題といたしましては、これまでの推移も、先生指摘のように大変多額の不用額、繰越額を計上しておりますけれども、その交付額は逐次年々増加してきております。特に五十五年度におきましては電調審の電源立地決定規模が非常に大きくなっておりますので、今後その交付決定が次第に増加してくるのではないかと思われますし、また、電源立地の促進を図ります観点から、本年度の予算におきまして新たな交付金制度も設けておりますので、今後はこれまでのような多額の剰余金というものも徐々に減っていくのではないかと、かように考えておりまして、いずれにいたしましても、政府で決定いたしております電源立地の計画が実行されていく限りにおきましては、これらの交付額は予算上どうしても計上しておかなければならない関係がございますので、この点は直ちに税率の引き下げというふうな形で処理することはいかがかと、かように考えております。
  190. 草川昭三

    草川委員 大変大蔵省としては温かい配慮で、今回の行政改革全体の中で非常に厳しい査定をしておる態度と少し異なると私は思います。これは、私はそれなりの、エネルギーという戦略的な問題があるからいまのような答弁があると思うのですが、それにしても、これはやはり他の行政に比べて少し甘過ぎはせぬか、こういう差別行政を私は感ずるわけであります。これはきょうは問題提起だけにしておきまして、いずれこの特別会計の問題については、来年の予算委員会等でも問題になるわけでございますからきょうは避けますけれども、いまのように毎年毎年多額の繰り越しあるいは不用額を出すということは、これはどこか欠点があります。過日の行革国会の中における委員会での大蔵大臣の答弁といまの主計官の答弁とは明らかに食い違います。この食い違いの点については、いずれまた解明を求めていきます。  最後になりますが、動燃の「ふげん」の問題に移ります。  動燃の新型転換炉の「ふげん」と東海再処理施設が故障のために、昨年来から停止をしておるわけでありますし、一年近くたって発電開始となっておりますが、原子力開発の大型プロジェクトの相次ぐ故障というものは、動燃の事業団としての技術開発体制に問題があったのではないかと私は思います。特にこの故障の内容を見ていきますと、過去の経験が十分に生かされていない。たとえば「ふげん」は昨年の十一月に水漏れがあり、調べてみると二十カ所の配管の損傷が発見されたと言っておりますけれども、これは数年前に軽水炉型の原発で多発をした例があるわけでありますから、そういうものを、クイックアクションというのですか早く対応を立てるならば、二度とこういう繰り返しをしなくても済んだのではないかと思うわけです。世上いろいろと言われておるわけでありますけれども、新型転換炉はいま原型炉から次の段階の実証炉へ移る非常に重要な時期だけに、焦ったのではないだろうかというような意見もありますし、何か事業団全体の動きを見ておりますと、小手先細工で問題を処理しようとする態度が濃厚ではないだろうかと思います。  実は私がいまから質問をしようという問題点は、ことしの五月の衆議院の社会労働委員会で一時問題提起をしようと思ったわけでありますけれども、明確な答弁がないまま終わっておりまして、私がきょうここで質問しようと思いましても、いろいろと外部の方から、動燃事業団の幹部の方から質問についてのいろいろな御意見が寄せられているというわけで、私も非常に不愉快でございます。不愉快でございますけれども、正直に問題点を動燃が認めることが将来の展望——動燃が将来実証炉にどのように取り組まれるのか、あるいは電源開発の方が実証炉をやられるのか、それはわかりませんけれども、事は非常に重要でございますから、私の問題提起について正直に現状を説明していただきたいと私は思うわけです。  たまたま私の手元に、敦賀の動力炉核燃料の貯蔵プールの建屋のコンクリートの強度に関する工事に手抜きがあったという内部資料というのですか、かなり詳しい資料が入ってまいりました。これはかなり以前でございますけれども、私も私なりにそれなりに調べてきたわけでございますが、時間も余りございませんから簡単にお伺いいたしますけれども、貯蔵プールの工事はどこの建設会社がやられたわけでございましょうか。
  191. 飯田正美

    飯田参考人 鹿島建設でございます。
  192. 草川昭三

    草川委員 コンクリートはどこのコンクリート会社がやられたのですか。
  193. 飯田正美

    飯田参考人 三谷コンクリートでございます。
  194. 草川昭三

    草川委員 それであとは、建物、設備は日本の有数なゼネコンの方々がそれぞれやられておるわけでございますけれども、  これは専門的になりますけれども、この建物の略称F2W−1及びF2W−3と言われる壁があるわけでございます。この壁のコンクリートの打ち込みは昭和四十九年の十一月九日施工、同じく四十九年の十一月十五日から十六日施工という工程表になっているわけですけれども、その点は事実でございましょうか。
  195. 飯田正美

    飯田参考人 九日はそのとおりでございますが、十五、十六は、実際に施工いたしましたのは十一月二十一日でございます。
  196. 草川昭三

    草川委員 工程表について私が質問したのですけれども、工程表には十五日、十六日、そして実際は二十一日から二十三日にコンクリートが打ち込まれたというのが私どもの調査でございますから、これはまず間違いのないことだと思います。  問題は、その打ち込んだコンクリートというのが五十三立米——これは十一月九日の打設分です。私は建築屋でございませんから、打設分という言葉が適当かどうか、ちょっと疑問に思ったわけでございますが、建築屋さんはコンクリート打ち込みと言わずに打設と言うわけですから、私の手元に来たのはやはり技術屋さんの一つの文書だと思います。  これは、六トンミキサーで約九台の搬入があったと伝えられておりますけれども、問題は、打設された部分は基礎から十八メートルの地点にある非常に高いところで、二階建てのようなところになっておるわけでございますけれども、ここにコンクリートを打ち込んだのだけれども、約一年後、これは私の手元の資料ではありませんけれども、正確には約半年ぐらい過ぎた時点で、荒壁のコンクリートですから、そこにパイプだとかブラッケットというのですか、いろいろな配管工事をするわけです。当然、配管工事を支えるためにコンクリートにアンカーボルトというものを打ち込むわけですが、打ち込んだときに、たまたまぽっかりあいてしまった。私、これはよくある例だと思うのです。いわゆる鉄筋ですから鉄の骨が入っている、そこにコンクリートを流し込むわけです。よく建設現場を見ていただくとおわかりのとおりに、ときどき職人さんがいろいろとバイブレーターをかけてその穴、ブロホールがあかないように詰めるわけですが、寒いところですから、部分的にあくというのは決して手抜き工事とは言いません、そういうことはあり得ると思うのですが、たまたまそういうことがずいぶんあったようであります。  「別図2に示す部分 FCSFAの間の壁一Fプラグより四メートルないし五メートル上部のコンクリートの強度が弱体過ぎるとの各下請業者からの不信の問いが同建設会社の現場所長に届いていたにもかかわらず何らの処置もなされていないばかりか同所長より各下請業者に対して口止めの作為がなされた。」それは、いま申し上げましたようにアンカーボルトどめの必要から、壁に奥行き約五十ミリの穴、また別の壁に奥行き五百ミリの管、パイプを通すために穴をあけたところ、写真一から六にあるような側の壁に崩れが起きて、管を通したりブラッケットをとめることができなかった。これは、設計どおりの設備工事をしたのだけれどもそれができなかったという内容でございます。このようなことがあったかどうか、お伺いをいたします。
  197. 飯田正美

    飯田参考人 実は私たち六月ごろ、ある報道機関からいま御指摘のような話がございまして、徹底的に調査をいたしました。ちょうどコンクリートを打設した日それからその場所もはっきりいたしておりましたので、その当時の記録を出してみました。  先生指摘のとおり、原子力発電所の建物工事というのは、コンクリートの強度というのが非常に重要でございます。したがって万全の管理をいたしておるわけですが、コンクリートを打ちます場合には、必ずテストピースというものを同じコンクリートからとります。そして、実際にそのコンクリートを破壊して、破壊強度というものを出しているわけです。その記録が残っておりましたので全部調べましたところ、いずれも規定値を相当上回っておりまして、全然異常はございません。  それから、アンカーボルトを打ち込んだときに壁が崩れたとか、あるいはパイプを貫通のときに壁が崩れたとかという話につきましては、当時の建設所長あるいは実際に工事を施工いたしました鹿島建設、また工事の監督を依頼しておりました電源開発にいろいろ聞き合わせましたところ、全然そういう事態はなかったという返答を受けております。
  198. 草川昭三

    草川委員 いまおたくの方で検査をされたというのは、ことしの七月三十日じゃないですか。
  199. 飯田正美

    飯田参考人 いま申し上げましたのは、建設当時の記録を調べました。建設当時の記録は十分規定値を上回っておった。それから、もう一度七月になりまして、現在の既設のコンクリートを壊さないでその強度を調べることのできるいわゆるシュミット・コンクリート・テスト・ハンマーというものがございます。それを使いまして問題のところ四十三カ所について現地で調査をいたしました結果、これもすべて規定値以上の強度を示しておりました。
  200. 草川昭三

    草川委員 四十三カ所も事実でございますし、もう少し詳しく説明すれば、動燃側と鹿島側が二つに分けて検査をされたわけです。シュミットハンマーというのはこう打ちたたくわけですけれども、たまたまシュミットハンマーをやられたのは背の高さのところだけをやられて、上部、肝心のそのブロホールがあったところはほとんどさわられていないという報告が私の方に入ってきておるわけであります。  この建屋というものはいわゆる炉心のすぐ隣にある建屋でございまして、ここの中には使用済みの燃料貯蔵があるわけでありますから、これはそれこそ放射線ではなくて放射能そのものの被曝のおそれがあるわけでありますし、非常に重要な点でございます。特にこれからの天災、人災等が起きたときに来る危険性、これはもう貯蔵される燃料の危険ということが非常に重要でございますから、念には念を入れてこの問題の処置をしなければいけないと私は思っております。ですから、そのテストピースも、本当に必要ならば一回打ち砕いてでもいいから全部手直しをやるべきではないだろうか。このシュミットハンマー程度で、しかも足場も組まなくて、自分の目のところだけをハンマーでやられるようなことではいかがなものかと思うわけであります。  事実、そういうやられた方々からのいろいろな問題提起を私は持っておるわけでありますから、それはいま絶対ない絶対ないとおっしゃいますけれども、これは一体どこから何の目的にこれが出たのか。これは建設会社のいわゆるテリトリーの問題からかなり複雑な要因があるやに私は伺っております。簡単なものじゃないのです。非常に重要な流れの中からこの問題が出てきておると私は聞いておるだけに、私の言ったことをただ単に事業団の方が否定をされるということだけでは事は済まない問題があるように思っております。私の方もテストピースの何気圧は全部持っております。それだけに私が申し上げることには十分な対応を立てるべき必要があると思いますし、それから、伝えられるところによりますと、この問題とこの写真を中心にかなり高額な金額の恐喝事件が起きておるというように私どもの情報では聞いております。事実この問題はそこらのブラックジャーナリストが言っておるのではなくて、文芸春秋に田原総一朗という高名な評論家が具体的な金額まで書いて報道されておるわけでありますから、これはわれわれも簡単に無関心でうち過ごすわけにまいりません。こういうようなことで企業犯罪がますますふえるとするならば、これはまた別の事件で重要な話だと思うのです。警察庁の方もお見えになるので、その点についての見解をお伺いしたいと思います。
  201. 森広英一

    森広説明員 警察といたしましては、当然のことではございますが、暴力団の動静につきましては平素から強い関心を持っておりまして、犯罪情報の収集に努めておるところでございますが、いま御質問に出てまいりました記事ということについては承知をいたしております。
  202. 草川昭三

    草川委員 われわれが聞いた範囲内では、警察庁の方もこれは組織を挙げて調査をされたのかどうかわかりませんけれども、この種の情報でかなり当局の方も情報収集をなされたという話を私は聞いております。もちろん常に情報収集というのは基本的にやられることでありますから、されたことがそのまま立件になるとは限りませんけれども、原子力問題等についてこういう話が出ること自身にどこか異常な問題があると私は思うのですよ。これは非常に残念なことでございますし、特に新型転換炉でございますし、いわゆるわが国の国を挙げてのプロジェクトでございますね。それだけに事業団の取り組まれておる対応というのは、私が問題提起をしたことを契機に、もう一回徹底的にこの問題について洗い直しをしてもらいたいと私は思うのです。洗い直しをされる気持ちがあるかどうかを、総裁きょうはお見えになりませんけれどもお聞きをし、そして、最後に長官の方からも、私がいま問題提起をしたことについての見解をお伺いして終わりたいと思います。
  203. 飯田正美

    飯田参考人 あの場所は使用済み燃料が入っておりまして、足場など非常につくりにくい場所でございますので、前回は足場をつくらずに調査をいたしました。と申しますのは、五メートルまでの高さを一気に打ってしまいますので、一メートル、二メートルのところではかっても、五メートルのところではかっても、同じ質のコンクリートであると私たちは判断したわけでございます。しかし、ただいま御指摘のとおりもう一度徹底的に調査をしたいと考えております。よろしくお願いいたします。
  204. 中川一郎

    ○中川国務大臣 聞いておりまして、どなたがそういう情報を流しているのか全くわからない幻のような話ではございますが、原子力、特に新型転換炉は安全第一でございますから、仮にうわさであってもそういうことがあるかどうか、初めてのものでもあり大事でございますから、調査には万遺憾なきを期したいと思います。
  205. 草川昭三

    草川委員 以上で終わります。     〔委員長退席、与謝野委員長代理着席〕
  206. 与謝野馨

  207. 瀬崎博義

    瀬崎委員 四国電力の窪川原発問題をめぐってリコールがありましたときに、大臣あるいは自民党の有力者が次々応援に入られた、国会で問題になった。そのときに中川長官は、政府の立場と政党の立場は明確に区別をしなければならぬし、しているのだ、こういうお話がありました。ところが、敦賀原発事故以後その問題を扱った幾つかの宣伝物を見ますと、たとえば週刊女性の八月号に「原子力発電安全確保について」という題で科技庁、通産省連名の政府広報が出ている。それからまた「御安心ください 敦賀の海も人間も安全です」という自民党敦賀支部のビラも出ている。それから、ごく最近でありますが自由新報、それに「原子力の未来、日本の将来」というふうに題して、中川長官と生内玲子氏の対談が載っているわけですね。これらを読んでみると、たとえば政府広報で言えば、あの敦賀事故の後、漏れた量は微量で安全なんだということをいろいろPRしたんだけれども、マスコミが全然取り上げてくれなかった、マスコミは非常に偏っているという論調。また、自民党の方のビラを見ると、事故は小さいんだけれども、マスコミが騒ぎ過ぎたので大きくなっちゃったのだ。全く共通の論旨がここに見られるわけですね。  科学技術庁の原子力安全行政というのは、われわれが見ていると、完全に自民党の原発積極推進策に従属しているように見受けられるのですよ。改めて伺っておきたいのですが、自民党の議員が大臣になっているのだから、あるいはまた、自民党は与党なんだから政府の安全行政が自民党の原発推進策に従属してもあたりまえなんだ、こういうお考えなのかどうか伺っておきたいと思います。
  208. 中川一郎

    ○中川国務大臣 従属という言葉は、自分の意思とは違っているけれども従うというのも私は従属だと思っておりますが、自分の意思と違って自民党に従属しているなんということは断じてありません。科学技術庁は科学技術庁独自の判断を持って安全であるということを言っております。
  209. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ことしの二月四日の予算委員会でわが党の不破書記局長は、地震による原子力発電所の危険性について、るる触れたわけであります。幾ら構造物を丈夫にしてもだめなんです、地盤がその支持力を失うのですから、これは静岡県が調査に基づいてまとめた地盤の液状化地図です、御前崎、浜岡はこのど真ん中にある、観測区域として地震学者が心配して予知体制をつくろうとしているところへ、大体日本の原発の半分ぐらいがいま据えられているのです、そのことをよく考えて真剣に対処をしてほしい——ちょっと省略した部分ありますけれども、こういう質問をしたわけですね。このとき、この質問に対して中川長官は、御指摘の点はよくわかりました、地震対策は一番大事です、念には念を入れて納得のいく審査をして、着工できるものならできるということにしていきたい、こういうことで御了承願いたいと思います、こう答弁されているのです。  その二週間後の、今度は二月十八日の予算委員会で、自民党の原田昇左右議員が質問するのです。不破議員の質問を引用しながら、耐震工学の技術も進歩しておることだし、原子力立地についてはその点を十分考慮して——その点とは地震のことです、十分考慮して施工されていると確信するわけなので、この点について科技庁の見解はどうか、要旨、こういう質問ですね。これに対して、中川長官の答弁というのは「非常に強い地震を想定した上で岩盤の上にきちっとやりますから、そんな状況は」つまり不破委員指摘したような状況は「さらさらないとはっきり申し上げておきます。」こう断言しているわけなんです。地震対策は一番大事で、念には念を入れて納得のいく審査をする。一方ではそう言っておったものが、非常に強い地震を想定してやっているから地震によってどうのこうのということはさらさらない、こう百八十度変わってしまったわけですね。二週間で、どんな慎重な検討をされたのか知りませんけれども、百八十度転換して答弁したということは、そのこと自体無責任だと言わなければならぬと思うのです。  しかし、同時にこのことは、二月十八日の自民党の質問なるものが、不破議員の質問が科学的にも社会的にも核心をついたものであって、政府もそれを認めざるを得なかった、しかし、その影響、反響が非常に大きかったことに驚いて、改めて不破質問を打ち消す発言をする場をつくるために科学技術庁がわざわざつくって原田議員にやってもらった、こういう質問ではないか、こう私には思えるんですが、大臣、いかがですか。
  210. 中川一郎

    ○中川国務大臣 不破委員から聞いたのが最初の方でございまして、十分の勉強をしないといいますか、一般的なことを申し上げた。その後一週間たちまして非常に勉強したところ、原田議員のときには、そういう心配のところでやるようなことはしないという専門家のお話でございましたから、専門家の知識を得た上で答弁したわけでございます。共産党には従属ということがあるかもしれませんが、自民党には従属ということはございません。
  211. 瀬崎博義

    瀬崎委員 ちょっと委員長の了解を得てこの資料をお渡ししたいのですが……。全部に渡るだけはないのですが、渡してください。——いまお渡しした資料を見ていただきたいのです。  「原田昇左右先生 先般の御意見を踏まえ、不破先生の質問の発言振りを引用した質問(案)をつくりました。内容は先般通産省からお届けしたものと同じですが、何ら御参考までに よろしくお願い申し上げます。科学技術庁原子力安全課長  辻栄一」となっております。そして、この文章とともに以下問一から問八まで八つの質問が書かれているわけであります。  まず確認をしておきたいのでありますが、辻栄一氏は、ことしの二月の予算委員会当時はここに書かれているとおりの原子力安全課長、そして現在は科学技術庁の官房審議官、間違いありませんね。
  212. 宮本二郎

    ○宮本(二)政府委員 辻栄一はそのとおりでございます。
  213. 瀬崎博義

    瀬崎委員 順次いまの科学技術庁のつくった質問を見ていただきたいと思います。  この科学技術庁のつくった質問の第一問では、通産省に対し、「同委員は」不破委員は「原子力発電所が建設される浜岡の地盤について、「三百ガル以上の圧力が加わったら、あそこは液状化する。新潟地震で御承知のように地盤が地盤でなくなるというのですね。」と指摘している。この地盤が液状化してなくなってしまうというようなことが本当に起るのか。また原子力発電所は、そのような地盤の上に建設されるものなのであるか伺いたい。」要旨、こうなっているでしょう。  第二問では、同じ内容を今度は科学技術庁に聞くことになっているのですよ。     〔与謝野委員長代理退席、委員長着席〕 原田議員はこのシナリオどおり、まず通産省に対して、不破委員は、大地震が発生すれば浜岡原発の所在する静岡県の御前崎、浜岡地域では地盤が液状化してしまう、そのような地域に新たな原発を建設することは危険で大問題だ、こういう指摘をしておりますが、私はこれは事実誤認もはなはだしい、この際ひとつ明確に通産省から御説明いただきたい、実際はこう質問するのです。趣旨は一緒でしょう。続いて科技庁の見解をただしているわけなんです。これに対して中川長官が、先ほどの答弁、「そんな状況はさらさらないとはっきり申し上げておきます。」と答えていらっしゃるわけですね。  科学技術庁のつくった第三問、これは通産省に対し、「通産省の浜岡原発の安全審査書によれば、同原発の耐震性は、震度五以上を想定して行ったと記述してある。不破委員は、この点について、」「「震度五以上を考えて最高の七も入っているんだ、これは全く詭弁だと思うのです。」このように述べているが、これはその通りであるのか。本当に、震度七は想定しなかったのか。東海地震については、マグニチュード八クラスの規模の地震が想定されているが、これによって、浜岡原発の立地点では如何なる震度が予想されるのか。」「マグニチュード、震度、地震の加速度(ガル)との関係を明快に答弁されたい。」と質問することになっているのです。これが科技庁の方がつくった質問です。一方、原田議員の質問というのは、浜岡三号炉の安全審査で、不破委員は震度五までしか想定しなかったと言い、通産省は震度五以上を想定したと言っているが、どうなのか、そして、あとマグニチュード、震度、ガルの関係をただしているわけなんですね。  続いて、科学技術庁のつくった第四問は「(対通産省) 三号炉の耐震性については十分な検討がなされたことが分ったが、しからば、既に運転中の一、二号炉の耐震性についてはどうなっているのか。」と質問するものなんですが、原田議員はもう全くそのとおり「よくわかりました。ついでに伺いますが、それでは、いますでに運転中の一号炉、二号炉はその基準に合うかどうか。」こうなっているわけであります。  その後、科学技術庁の第五問は、「(対通産省)十分な地震対策がとられていることは分った。しかしながら、浜岡のような地域に原発を建設しても耐震設計などでコストが高くなり、結局は割高の電力になってしまうのではないか。」こういうものなんです。これを受けて原田議員の質問では「私は、安全の上にも安全をということで、地震地域に建てられる原発はコストの面から言うと高くなって、消費者に高い電気を供給することになりはしないか、」となっていくわけです。  科技庁のつくった質問の第六問は「(対通産省)  不破委員は、」「「そういう特定観測区域として、地震学者が心配して予知体制をつくろうとしているところへ、大体日本の原発の半分ぐらいがいま据えられているわけですよ。そのことをよく考えて真剣な対処をしてほしいと思いますね。」と指摘しているが、安全上問題はないのか。」これを受けて原田議員の質問の方は「およそわが国原子力発電所は、浜岡に限らず、そのほとんどが地震危険地帯の上にあって危険だということをこの前の不破委員指摘しております。私は、それに対しても十分な安全上の考慮がなされておると理解いたしますが、いかがですか。」こうなっていくのですね。  科学技術庁のつくった第七問というのは、この同じ内容を科学技術庁に質問することになっているのだが、この部分だけは原田議員の質問で省略されている。  そして最後、科学技術庁のつくった第八問は「(対通産省、科技庁)」となっておりまして「我が国のエネルギー事情を考えれば、原発の推進は、極めて重要である。誤まった認識が流布されるようでは、原発立地は進まない。政府は、国民に誤解が生じないよう正しい知識の普及に十分努めるべきではないか。」というものです。これに対応する原田議員の質問は、一字一句と言ってよいほど同じなんです。議事録をごらんになったらわかります。そして、答弁の方もこのシナリオどおり、通産大臣、科学技術庁長官、こうなっているのですね。中川長官は、不破質問打ち消しのために科技庁は質問をつくらしたことはないという意味のことをおっしゃった。しかし、原田議員の質問は明らかに科学技術庁でつくられておった。これはもう紛れもない事実であります。  そこで伺います。与党自民党の質問については、すべて科学技術庁でつくっておったのかどうか、また、野党に対しても質問をつくったことがあるのかどうか、伺います。
  214. 赤羽信久

    ○赤羽政府委員 ただいまの資料は初めて見まして、いきさつはちょっとわからないのでございますけれども、記憶でたどりますと、原田議員から、先日の不破議員に対する政府側の答弁ははなはだ不十分であるし、またそれだけの機会を与えられるような質問の仕方でなかった、あの答弁を完結するために質問をしたいからどういう質問をするかというようなお話があった記憶がございます。それに対する一つのメモであったのかと想像するわけでございます。  この点につきまして、いろいろな御質問が各党の各先生方からございまして、その都度できる限りのお答えをしているわけでございます。資料を差し上げるなり、メモを新しくつくって差し上げるなり、党派によらずそういうお答えはしておるわけでございまして、特に自民党の先生ですから特別なことをしたということではないと、私の経験の範囲では申し上げられます。
  215. 瀬崎博義

    瀬崎委員 さらに申し上げますが、こっけいにさえ思える点は、この質問は八つありますが、すべてこれはまず通産省に聞くことになっているのです。その一部が同じ内容を科技庁に聞くという、まあせんじ詰めて言いますと、科学技術庁が通産省に質問し、通産省が科学技術庁に答えている、こういうスタイルなんですよ。かつて牧村原子力安全局長がこの委員会で、科学技術庁の大臣が規制法等の総括者である大臣として、通産大臣よりも上に立つと申しますか、指導的立場をとらなければならない、こう言われたことがある。いまの通産省となれ合っている科技庁の姿といい、また辻課長が先ほどの文書にはっきり「通産省からお届けしたものと同じ」と書いているそのことといい、いつから科学技術庁は通産省と同じ立場あるいは下に立つ立場になったのか。ダブルチェックすべき機関として科技庁の存在意義があると言われてきた。それが、こんななれ合い質問をつくって、安全の上にも安全に留意していると何遍言ったところで、国民が信用しますか。「むつ」、敦賀問題などで、大体科学技術庁の安全行政は信頼を失っているのだけれども、こういう事実があるということは、まさに国民の信頼をゼロにするものだと思いますよ。もしこのダブルチェック機関の科学技術庁がこんな形で通産省と全く同一立場、一心同体、こういうことになってくると、その存在意義は本当に失われて、それこそ行革の対象に科技庁がと、こんなことになりかねませんよ。結局、政府には原発の開発行政はあるけれども安全行政はない、このことをこれは示したものじゃないかと思うのですが、大臣どうですか。
  216. 赤羽信久

    ○赤羽政府委員 二月の時点では、通産省の浜岡三号の炉でございますが、通産省の一次審査が終わりまして、安全委員会にダブルチェックの諮問がなされたばかりのときでございまして、したがいまして、当時の安全審査の結果を持っているのは通産省である。したがいまして、不破議員に対するお答えも通産省が主にしたわけでございます。ただ、予算委員会という時間の限られた場所でございますので、かなりのところ、不破議員の御指摘に対して通産省が審査の結果を十分に答えてなかったという印象が私、残っております。詳しいことは覚えておりません。そういう段階で、進んで通産省に対する質問という形でメモが出されたものではないかと想像いたします。ダブルチェックの結果は、当時はまだ始まったばかりでございまして、ダブルチェックの内容をお話しする段階にはなかったわけでございます。
  217. 瀬崎博義

    瀬崎委員 結局、不破議員の質問に対する政府の答弁がきわめてまずかったということをみずから認められたようなものなんですね。弁解ばかりやっている。いま、そういう資料としてお出ししたことは経験として言えますという話があった。  そこで、科技庁の不見識さを示す事例を示します。  この辻原子力安全課長がみずからつくったのかどうかは知りませんが、とにかく辻課長の責任において出されていることは紛れもない事実。この質問の特徴は、課長自身が「先般の御意見を踏まえ、不破先生の質問の発言振りを引用した質問(案)をつくりました。」と述べているように、これは完全に特定政党の意向を受けて、それに沿う立場に立っていることなんですよ。この中で科技庁の辻課長が「通産省からお届けしたものと同じ」と言っている。  では、この通産省の文書はどんなものか。これはちょっとお配りするだけの部数をコピーしてないのですが、ここにある。これは「浜岡原子力発電所三号炉の地震対策について」という表題で、提出は「昭和五十六年二月六日資源エネルギー庁公益事業部」これはちゃんと一明記されています。資料の形式をとっています。そして内容は「一、衆議院予算委員会昭和五十六年二月四日)における指摘事項」として「(一)浜岡のような地震多発地帯に原発を作るべきではない。浜岡三号炉を通産省で審査し、パスさせたのは誤りではないか。」等、三項目に分けて不破質問の要点をこれは通産省なりに整理しているのです。次いで二として「通産省の見解」その中がまた細分化されておって、「(一)浜岡三号炉に関する通産省の安全審査について」これに説明がある。「(二)浜岡三号炉の安全審査における想定地震動について」これに説明がある。「(三)地盤の安定性について」これに説明がある。こういうふうに項目を立てながら通産省の見解がるる述べられている。そして最後、三としてまとめが書いてある。確かに、これなら一応国会議員の要請を受けて政府が資料提出した、この資料の範囲です。  ところが、ごらんなさい、いま手元にある科技庁が出したのを。これは質問そのものなんですよ。そして、そのとおり質問されているのです。ここが全く形式、性格を異にしているんですね。だから、科技庁の文書というのは、政府みずからの答弁を念頭に描きつつ、それに合わした質問をつくった。だからこそ、よく言われる八百長の台本づくり、こういうことになってくるんですよ。憲法には「内閣は、行政権の行使について、國會に對し連帯して責任を負ふ。」としているわけでしょう。また「すべて公務員は、全體の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」こうも明記されているわけでしょう。そういう点からいって、私は、国会に対して責任を負っているはずの内閣に質問をつくらして、そのまま質問する、これは国会権威、役割りを著しく失墜したものだと思う。しかし、特に長官に伺いたいのは、政府の立場と政党の立場は区別すべきだ、こういうふうにおっしゃった。また、先ほどの不破質問に対する答弁の違いについても、わざわざ質問をつくってまでやったのじゃない、一週間勉強してそういう答弁にしたのだ、こういう話です。しかし、現に自民党議員の意向を受けて、その意向に沿った質問をつくり、答弁が行われている。こうなってくると、自民党が政府を私物化している、あるいは政府が特定政党に従属している、客観的にはそう見られても仕方がないんじゃないですか。
  218. 中川一郎

    ○中川国務大臣 あのときは、不破委員がたしかテレビを利用していたのじゃないかと思いますが、言ってみれば、危ないんだ、危ないんだ、危ないんだということを故意に国民に——そういう意思があったかどうかわかりませんが、聞いている側としたら、必要以上に危ないものだと言われた感じを私は持っております。これでは国民の認識が実態以上に危ないと思われては原子力行政上支障があると考えたのは、自民党であれ、科学技術庁を担当する私であれ、当然責任者として考えるところでございます。そこで、実態はどうなんだということを国民にまた知ってもらいたい、こういうことは、自民党であれ、また科学技術庁であれ、考え方は一致しておったのであって、自民党に従属したものでもなければ科学技術庁が押しつけたものでもない、あうんの呼吸で、国民に知らせる質問というものはどういうことがあったらいいか、こういうことから出てきたことであって、これはやはり国民に知ってもらう、こういうためのメモをつくったのではないか。つくったかどうかわかりませんよ、仮につくったとすればそういうことがあったのであって、決して従属したものではない。国会を通じて、国民の皆様方に原子力、浜岡の発電所を正しく認識していただきたい、こういうところが根底にあっただけ、こう思います。
  219. 瀬崎博義

    瀬崎委員 予算委員会の総括質問でその質問の采配を振っているのは自民党の委員長なんですよね。そのときに政府が十分答弁しようと思うことはできるんです。それが自分たちの手落ちで、あるいは不破議員の指摘が正しかったから結局は十分に反論し切れなくて、そこで後になって、チャンスをつくるためにわざわざ科学技術庁がつくって、原田議員が質問して、政府が答弁する、こういう仕掛けと見られるわけなんですよ。そのことを私は事実を挙げていま申し上げているわけですね。ただ単なるメモじゃないですよ。完成した質問なんですね。こういうことを政府がやっているところに事の重大性があるということがおわかりになっていないですよ。  それでなくても、最近の新聞の論調をごらんになっているでしょう。国会の質問について、なれ合いとか、八百長とか、じゃれ合いとか、いろいろな批判が出ているときですよ。こういうことは大臣も御承知のとおりだと思う。そういう中で、ただ単なるなれ合いどころか——国会調査室がつくったとかなんとかいうならいざ知らず、あるいはまた通産省が出した、こういう通産省の独自の見解形式で出している資料ならいざ知らず、完全な質問原稿です。このとおりおやりください、そのとおりやりましょう、そして予定した答弁をする。こういうことが横行したら一体どうなるのかということを私は聞いているわけなんです。もしこういうものが明るみに出て、これを大臣がいいとして放置されるとすれば、今後他の政党や他の国会議員が、じゃおれの質問を全部つくってくれよ、こういうふうに言ってきたらどうしますか。全部それに応ずるのですか。また、そんな仕事をする余裕のあるぐらい政府はそれこそ暇なのか、こんなことさえ勘ぐりたくなりますよ。ですから、そういう点では、こんな完全な原稿を渡してそのとおり質問が行われたこの事実に対しては、大臣としてはけじめをつけておいてほしい、見解は明確にしてほしいと思います。
  220. 中川一郎

    ○中川国務大臣 私どもとしては、安全は原子力行政の一番の大事なことですから、科学技術庁の安全委員会としてはダブルチェックとしての任務を十分果たしたいということが第一点でございます。第二番は、国民に実態を理解してもらいたい、必要以上に不安がられることはこれまた困ったことだ、こういう面もあるのです。  共産党の場合に多いのですけれども、前に資料を渡すとか、質問とか——、渡さないで突然としてやるものですから、きょうみたいに。ですから、本当の答弁ができない場合があるのです。こういう趣旨の質問をするからよくやっておけ、こう言っていただければ言えるのです。科学技術庁全部あそこへ行っているわけにいきませんから。専門でない人がいる場合もあるでしょう、実態問題として。ですから、十分な説明のできない場合も実態上あるのです。  そこで、国民に必要以上の誤解を与えては困る、こういうこともありますので、国会を通じて原子力というものはどういうものであるかということを知ってもらいたいと願うのは、国会議員であれ、役人であれ、当然のことだと思うのです。これが文章までつくったか、いいか悪いかは別として、安全のことについて認識をしてもらいたいという、ただその一心からやった行為であって——やったかどうかは別ですよ、やったとしても、仮に共産党さんから、こういうことで質問したいがどこに問題があるんだとお尋ねがあれば、詳しく書くか柱で書くかは別として、御協力申し上げて、国民の理解を得ることがいいことだと思っております。
  221. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私が言っているのは、通産省の資料とそれから科学技術庁のつくったものと二つを皆お知らせしたわけでしょう。いいか悪いか別として——そういう表現で、最後は、いいことだ、こうおっしゃった。だとすれば、こういうことがいいことだとなれば、つまり、国会議員の質問を、答弁する側の政府がもう最初からしまいまで、質問するとおりにつくっていく、こういう行為が今後一般化することになる、そんなことを大臣はお認めになるのか、こういうことを私は聞いているのです。そのことについては逃げているのであって、はっきりした御答弁をなさっていませんよ。これは単なるメモじゃないですよ。不破質問に対する、単なる政府の見解を示した資料ではないですよ。まさにこのとおり質問せよという、質問そのものなんですね。こういうことがいい、こういうふうに大臣の考えを受け取っていいのですか。
  222. 中川一郎

    ○中川国務大臣 それは役人側の問題ではなくて、御依頼があれば、役人というものは議員さんに親切に御協力申し上げるということは一般的なことであって、これがいい悪いじゃなくて、御協力申し上げる精神というものはあっていいのじゃないかと思っております。(「感謝すべきだ」と呼ぶ者あり)
  223. 瀬崎博義

    瀬崎委員 感謝は、自民党が感謝すべきことでしょう。  こういうふうな質問づくりが、いわゆる御協力という言葉で表現されたわけですね。ここにやはり、現在の政府の姿勢が根本的にあらわれていると思うのですよ。しかし、こういうふうな事実がはっきりしたということは、私はきわめて貴重なことだったと思う。いろいろと今日、国会の質問そのものについても疑問が持たれておるときに、事実、裏にこういうことがあったんだ、こういうことがはっきりしたということは、私は、今後の国会論戦にとってプラスになる、こう思っております。
  224. 中川一郎

    ○中川国務大臣 これがはっきりあったということを私が認めたのではなくて、あったとしても、という話ですから、その点は誤解のないように。私は、ありましたとは申しておりませんので、共産党式のきめつけは御勘弁願いたいと思います。
  225. 瀬崎博義

    瀬崎委員 あったかなかったかは、これは現物のコピーそのものなんですから、筆跡も見ればすぐわかることなんです。ここまできて、なおそういうふうな逃げ口上をいろいろされるのはどうかと思います。  次に、原子力船「むつ」問題を質問します。  原子力船「むつ」は、むつの市長に新しく菊池渙治氏が選ばれたことによって新しい事態を迎えたと思います。中川長官は、ことし四月二十一日の当委員会で、新母港候補地を選定した経緯に触れて「青森県の知事さんから、」「外洋決定に当たっては」「特に大湊のむつ市長さんの意向を尊重してほしい、この点は自民党県連からもぜひそうしてほしいという要請がありましたので、県内の、しかもむつ市長さんの意向を尊重して外洋を決める、」「県内のどこがいいか、むつ市長さんの意向を尊重しようということでございます。」と繰り返し答弁されているわけですね。原子力船「むつ」歓迎派の河野市長だったから市長の意向を尊重する、「むつ」慎重派の菊池市長になったから市長の意向は尊重しない、そんな矛盾した態度はよもやとられないと思うのですが、改めて、あくまで菊池新むつ市長の意向の尊重を貫くかどうか、伺っておきたいと思います。
  226. 中川一郎

    ○中川国務大臣 五者声明によって関根浜に新母港を決める、それまでの間は大湊港に入港し停泊をする、こういう決め事は、個人の市長さんではなくて、市長としての前任者と決めたことでございまして、このことは新しい市長さんも、菊池市長さんも五者声明をベースにして、出発点として話し合っていきたいということですから、従来同様、市長さんとよく話し合って進めたい、こういう姿勢でございます。
  227. 瀬崎博義

    瀬崎委員 その五者声明ですね、先ほども関議員が触れられておりましたが、その第一項では、新定係港は「関根浜地区を候補地として調査、調整のうえ、決定する」こうなっていますね。ここで言う調査は、港の適、不適を決めるための調査で六カ月間だ、来年の三月には一応調査の結論が出る、こういうふうに言われておりましたね。その調査結果についてなんですが、一般的に公表するのか、それとも五者の範囲内に提示するのか、だれに提示するのかということと、この事業団の出された調査結果に対して、別途に、いや、おれのところも一遍やってみたいと、たとえばむつ市とかあるいは漁協から申し出があった場合、そういう独自調査をお認めになるんですか。
  228. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 調査結果につきましては、まず当事者でございます五者、特に地元の三者に十分御説明をするというのが第一かと存じます。それ以降の扱いにつきましては五者の相談の上で決まるのであろうというふうに思っております。  それから第二の、独自の調査ということでございますが、調査結果の分析という意味であるのか、あるいは別途またボーリングなり何なりということであるのかはっきりいたしませんが、その分析結果についていろいろ御意見ということでございますれば、すでに県としても安全を確認のための委員会をつくりたいという御意向もお持ちでございますし、あるいは、今後新市長の御意向でそういうこともあるのかもしれませんし、そういうことは十分御相談して進めてまいりたいと思っております。
  229. 瀬崎博義

    瀬崎委員 一応、実地上であれ書類上であれ、また別の学識経験者に頼んで調査してみたい、こういう申し出があった場合には、基本的にはそれは受け入れる、こう理解してよろしいね。
  230. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 地元と十分御相談した上で決めることになるかと存じます。
  231. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これもあいまいですね。調査結果が出てから決定に至るまで、つまり決定とはどういう手順、手続をもって決定ということにしようとしているのですか。
  232. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 五者共同声明におきまして、その前文で「むつ」の新定係港は青森県内の外洋に設置するという方針は合意されているわけでございます。したがって、第一項におきましては、外洋の新定係港の候補地に関根浜を選び、同地の調査及び所要の調整が終了すれば、関根浜に新定係港を建設するための諸条件は整うということになると考えておりまして、最終的に決定されるというプロセスが示されていると理解しております。
  233. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私は、具体的な手順、手続を聞いたのだけれども、その説明にはなっていないですね。この五者声明の第二には「「むつ」は、新定係港の建設の見通しを確認のうえ、大湊港の定係港に入港し、」云々となっているわけですが、この建設の見通しの確認とは、これは具体的にはどういう手続、どういう行為を指しているのか、もう少し具体的にはっきり言ってください。
  234. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 新定係港の建設の見通しを具体的にどのようにして確認していくかということ自体が、五者共同声明の五者の間で今後十分相談していきましょうという問題の一つになっているわけでございます。
  235. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それじゃ、この確認の方法もこれからである、と。それでは、第一項目目にある「決定」ということと、それから第二項目目にあるこの建設の見通しの「確認」ですね、これは一体違うのか、同じなのか。違うとすればどう違うのか説明してください。
  236. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 共同声明におきましては、その前文におきまして「むつ」の新定係港は青森県内の外洋に設置するという方針が合意されたわけでございます。第一項では、この方針にのっとって、どのような手続でむつ市関根浜地区を候補地として新定係港の建設に進んでいくかということを明らかにしているわけでございます。すなわち、立地に関する調査を進めますとともに、関係者間の話し合い、御相談の中でいろいろな合意を積み重ねていくことが必要だと思っております。これを「調整」という言葉で表現しているつもりでございます。(瀬崎委員「聞いていることだけ……。「決定」と「確認」とどう違うの」と呼ぶ)こういう調整が終了した段階で新定係港が関根浜というところに最終的に決定されるわけでございます。これに対しまして、第二項におきましては「むつ」は現在の法律的な定係港である大湊港に「入港し、新定係港が完成するまでの間は、大湊港の定係港に停泊するものとする。」その入港に当たっての新定係港建設の見通しの確認が必要であるということを別途明らかにしたものでございまして、本質的には別の話というふうに理解しているわけでございます。
  237. 瀬崎博義

    瀬崎委員 局長自身、読んでいて、それが何を言っているのかわかっていますか。  それじゃもっと端的に聞きますがね、建設の見通しの確認はしたが、その後決定できなかったというケースもあり得る、そういうことを想定してこれは一と2に分けたのですか。そこだけ答えてください。
  238. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 1と2は別の話が書かれているわけでございますが、最終の修文の段階で、新定係港の建設の見通しの確認のためという条項が入りましたので、本年度中に得られます適地調査の結果から、五者が適地であるとの合意を得る必要がある、そういう考えが加えられたわけでございます。つまり、見通しの確認は、第一項の調査、調整及び決定が行われる過程で五者間の納得の上に行われるという段取りになるかと考えます。
  239. 瀬崎博義

    瀬崎委員 だから、そういう仮定をされるのなら、同じ仮定として、建設の見通しの確認はできたけれども、その後いろいろな調査、調整の結果決定はできなかった、こういうケースもあり得る、こうなるのでしょう。それでなかったら話が合わぬでしょう。
  240. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 新定係港建設の見通しの確認ができましたならば、その後の問題というものは十分話し合い、御相談によって解決できるというふうに私どもは考えております。
  241. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これは全く詭弁だと思うんですよ。結局、建設の見通しの確認ができたら必ずこれは決定できるもの、こういう前提を置くとするならば、これはもう建設の見通しの確認そのものが決定そのものになってくるわけなんですよ。だとすれば、やはり第一項目で言っている調査と調整を行った上でないと本当の意味での確認にならないわけです。これは全くごまかしですよ。  この五者声明の解釈をめぐって政府、事業団と菊池市長との間には相当考え方に開きがある。このことは大臣お認めになっていますね。
  242. 中川一郎

    ○中川国務大臣 まだ当たっていませんから、よくわかりません。
  243. 瀬崎博義

    瀬崎委員 菊池市長の方から、いろいろと記者会見その他を通じて意思表明なされていることは当然御存じだと思うのです。河野市長とはずいぶん考え方を異にしている。いまの一連のお話を聞いていても、説明している者自身が一体何を説明しているのかわからないような内容になっている。また、具体的な決定に至る方法とかあるいは確認に至る方法、手順というものについては、全部これからの話し合いで決めることになっていて、いま決まっているものは何もない、そうなんでしょう。青森はそういうふうな状況です。すべてがこれから話し合って決める状態にある。そして、従来の五者声明に直接加わった河野市長さんよりははるかに慎重な態度をとる菊池市長さんが新市長に選ばれている、こういう条件が加わっている。青森はそういう状況。ところが一方、長崎側に対しては、来年八月三十一日を日限に確定して「むつ」出港を約束しているのですね。片方はそういうふうに非常にきちっと約束している。片方はもうすべてがあいまいもことしている。これはだれがどう見たって矛盾した、無責任な態度じゃないですか。
  244. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 佐世保におきましては、五十三年十月の入港以来いろいろな経過がございまして、予定どおり工事が進まなかったという実態を踏まえまして、それならばこれだけの期限の延長をお願いできればということで期日を明確にしてお約束をしたわけでございます。  一方、大湊の方につきましては、外港に移転という新しい話としてまとまったわけでございますので、私どもはもちろん、地元におかれましても十分な状況の把握がなされていないという段階でのお約束でございました。そういう意味で、基本的な考えとしてこの五者共同声明がまとまった、こういう経緯でございます。
  245. 瀬崎博義

    瀬崎委員 予定されている関根浜港は原船事業団の専用港で建設しようとしているのですか、港湾法上のいわゆる公共港湾として建設しようとしているのですか、どっちですか。
  246. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 政府といたしましては、新しく建設いたします新定係港につきましては、将来のあの地域の発展ということを考えますと公共的な性格のものとして活用されていくことが望ましいというふうに考えております。しかしながら「むつ」の新定係港を最初から公共港湾という位置づけをするにつきましては地元の御意向がまだ固まっておりません。むしろ専用港で早くスタートしてほしいというお気持ちが強いというのが現状でございますので、今後この辺は両者、特に県、地元、私どもと十分御相談してその性格を決めてまいりたい、このように考えております。
  247. 瀬崎博義

    瀬崎委員 まあ原子力船「むつ」が定係港として使用するのは、政府の思惑どおりいったとしてもせいぜい数年間、第二船の計画はいまのところ具体化なし。その後こういう莫大な国費を投入した港を放棄することはとうていできない話なんです。だから、いま局長が言われた話は当然だと思うのですがね。その上中川長官もお認めになっていらっしゃるように自然的条件はきわめて厳しいのですよ、社会的条件も厳しくなってきたけれども。しかも、船自体は六千トン余りではあるけれども、原子力船であるがためにああいう自然的条件の厳しいところでは安全に十分配慮して港は建設しなければいかぬ。相当困難な事業になりますね。そういうふうな点では港湾建設としては決してたやすい事業ではない、きわめて難事業である、こういうふうに考えなければならないのじゃないですか。大臣、いかがです。
  248. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 外洋でございますので、大湊港に比較して自然条件が厳しいということは十分認識いたしております。しかしながら、その近くに大畑港あるいは建設中の港もあるようでございまして、厳しくはあるが何とかりっぱなものをつくっていきたいというふうに考えているわけでございます。
  249. 瀬崎博義

    瀬崎委員 大畑港などと同列に置くこと自身がもう常識外れですね。片方は原子力船なんですから、燃料棒の取りかえその他きわめて危険な作業が伴うのですよ。  そこで、原子力事業団の定係港のうち純粋の港湾部分の建設に直接携わるスタッフ、現在の事業団の機構でいきますと新定係港建設推進本部の港湾建設担当部門ですね、ここのいわゆる専門技術者は何人ですか。
  250. 野村一彦

    ○野村参考人 新定係港建設推進本部という部内の組織をつくりましてやっておりますが、そこには港湾建設の専門家が中央に三名、それから最近でございますが、むつ事業所内の青森事業本部に一名ということで、合計四名の専門家がおります。
  251. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これは運輸省に伺いますが、すぐ近くでむつ小川原港建設が行われていますね。この建設工事は、運輸省が直接工事を受け持っている部分と管理者である県がやっている部分と両方あるのですね。運輸省が受け持っている部分はどういう部分であるのか。また、工事費で見た場合の管理者と運輸省の分担割合はどのくらいになっていますか。
  252. 御巫清泰

    ○御巫説明員 ただいま御質問ございましたむつ小川原の港湾でございますけれども、これは大体全体で千七百億円くらいの事業費になろうかと思いますが、防波堤あるいは泊地あるいは大型の岸壁等、自然条件の厳しい中で国の技術力でやった方がいいということで、港湾管理者と協議の相調いましたものにつきまして国が直轄で事業を行っている、こういうことでございます。(瀬崎委員「いや、工事費で見た割合は。言うたことをちゃんと答えなさいよ」と呼ぶ)全体がまだ確定いたしておりませんので明確にお答えできませんが、これまでの実績で申しますと大体二百億くらい事業を行っておりますが、そのうち直轄でやっておりますのが百七、八十億でございます。
  253. 瀬崎博義

    瀬崎委員 むつ小川原港というのがいまの関根浜と自然的条件がきわめて似ているのですね、私も視察をしてまいりましたが。全くどちらも砂浜で、しかも外洋太平洋岸、荒波に面しておって、しかも、やませその他気象条件もよく似ている。こういうむつ小川原港建設については、いま説明がありましたように全体工事費の八割から九割、すなわち海上施設のほとんどは運輸省が受け持っているわけなんですね。そういうものを運輸省が受け持たなければならない理由、主として技術的な面なんですが、お答えをいただきたいと思います。
  254. 御巫清泰

    ○御巫説明員 お答えいたします。  むつ小川原のように自然条件が厳しい、あるいは事業規模が非常に大きい、それに至るまでに周辺に工事基地がないというような場合、国がこれまで港湾建設の技術力を生かしておりますので、そういう技術力を生かそうということで、港湾管理者と協議相調った場合には港湾法に基づきまして直轄で事業を行っておる、こういうことでございます。
  255. 瀬崎博義

    瀬崎委員 このむつ小川原港の建設に当たって、いわゆる立地可能性調査というのですか、適、不適調査というのでしょうか、事前の調査というのでしょうか、その調査。第二は港湾計画の策定作業、別名計画調査ともおっしゃっていますね、この調査。第三に具体的に工事を行う場合の実施設計の調査。それぞれにどのくらいの期間をかけられましたか。
  256. 御巫清泰

    ○御巫説明員 むつ小川原港の場合でございますけれども、港湾計画が五十二年に港湾管理者においてつくられまして、同時にまた中央において審議されたわけでございますが、その港湾計画策定に至るまでいろいろな調査を行っております。これは自然条件の調査あるいは企業立地あるいは荷役等の違う面の調査も含んでおりますけれども、技術的な調査といたしましてはポーリング調査あるいは気象、海象調査、波浪、潮流、漂砂あるいは海生生物、陸上生物あるいは大気、水質こういうような調査を行っておりますけれども、昭和四十五年からこの調査を行っておりまして、いま申し上げましたような港湾全体の開発計画のための調査の一部といたしましてこういう調査を行っております。  なお、これを取りまとめるに当たりましては、いろいろ取りまとめの調査あるいは取りまとめ作業ということが必要でございますけれども、これに要した期間はおおむね一年半程度でございます。
  257. 瀬崎博義

    瀬崎委員 いや、三つの調査それぞれについて。
  258. 御巫清泰

    ○御巫説明員 いろいろな計画がまざっておりますので、そのように明確に分けることができません。  それから、もう一つお聞きになりました実施設計ですけれども、この件につきましては五十二年に国の直轄で実施設計調査というのを行っておりまして、その後五十三年から着工いたしておりますけれども、この実施設計調査と申しますのは実態的には工事着工と同じでございまして、それに伴う波浪ないしはボーリングあるいは漂砂というような調査を行っているという意味でございます。
  259. 瀬崎博義

    瀬崎委員 計画の概念によっていろいろ違いは出るでしょうけれども、港が実際にできるかどうかという点から見るならば、これは昭和四十五年当時から調査に入って五十二年の着工になる、具体的な港湾計画の策定作業というだけをとっても一年半ぐらいはかかっている、こういうことから見て、先ほどのわずか六カ月間で関根浜の適、不適を決めようなどというのは、素人だからそういうことを言うのか、政治的にそう言っているのか、すぐ隣のむつ小川原と比べてみても私は無謀な感じがする。  先ほど事業団の港湾建設スタッフ四人ということを言われましたね。この四人というのは結局こうなんでしょう。港湾担当の推進本部の副本部長が運輸省第一港湾建設局次長だった人、いま一人が第二港湾局青森工事事務所長、それから第二港湾局京浜港事務所専門官、それから第二港湾局青森工事事務所専門官、この四人で、最初の三人がことしの七月に出向したばかり、それから最後に申し上げた第二港湾局青森工事事務所専門官、これは十一月に出向したばかり、そうなんでしょう。いずれも運輸省のいわば第一線の技術幹部なんですよ。  運輸省に聞きたいのですが、一挙にこういう第一線の幹部級技術者を送るほど運輸省に余裕があったのでしょうか。
  260. 御巫清泰

    ○御巫説明員 ただいま先生が仰せのとおり、七月、十一月にそれぞれ三名、一名の出向があったわけでありますけれども、原子力船事業団から、この新定係港建設の可能性についての検討が必要である、こういうような情勢になった折に、事業団にはそういう港湾関係の専門家が不足しているということから高度な技術力を有する技術者を出してほしい、こういうお話が私どもの方にありまして、非常に重要な原子力船事業団の事業にかんがみ、私どもの中でも余裕があるというわけではございませんけれども、その一部を割いて出向をいたさせた、こういうことであります。
  261. 瀬崎博義

    瀬崎委員 文字どおりこの原船事業団の場合には過去に港湾建設の何の蓄積もないところに、急に運輸省の応援で現在調査に取りかかった。予備の、事前のいろいろな調査も何の蓄積もない。そういうところから出発しておるのですよ。これも念頭に置いていただきたい。  結局関根浜定係港の港湾部分について言うならば、むつ小川原と一緒なんですよ。運輸省が直轄工事をしておるのと何ら変わりがない、運輸省の出向職員ばかりでやっておるのですから。港湾法上は、重要港湾にさえ指定すれば管理者の委託によって運輸省が直接工事がやれるし、それが現にむつ小川原でやれておるわけです。先ほども、将来のことを考えれば公共港湾にしたい、こう言っていらっしゃるのでしょう。おまけにこの原船事業団というのは、すでに法律によって昭和六十年に廃止、他の原子力研究機関と統合することも決まっている。複雑な事情を持っておる。だから関根浜を本当にりっぱな港にするとさっき局長もおっしゃった。そうすると言うならば、一方では、政府の立場をとってなんですが、原子力船が利用するという国策と将来の公共利用をあわせ考えるならば、当然港湾法上の重要港湾に指定して、通常のルールに従ってやるのが筋ではないかと私は思うのですが、いかがですか。
  262. 石渡鷹雄

    ○石渡政府委員 長期的な観点からいたしますれば公共港湾として、もちろん将来の原子力船開発も含め、公共的に使用させたいという考えでおりますので、その点を含めまして地元側と十二分に御相談して意見をまとめていきたいと思っております。
  263. 瀬崎博義

    瀬崎委員 大体きのうまで港湾建設の技術者が一人もいなかった、そういう事業団に突如として本格的な、しかも気象条件、自然条件の厳しいところに原子力船という大変危険なものを扱う困難な港湾事業をさせる。そのために運輸省から、運輸省だって大変なのに急遽幹部技術者を四人も同時に動員出向させる。  あの大山委員会調査報告、御存じだと思いますけれども、こうした未知の科学分野を開拓するナショナルプロジェクトというのは、一貫した理念と方針に即して進めなければいかぬというこの重要性が強調されておるのですが、余りにも行き当たりばったり、場当たり主義だと思うのです。これで本当にまじめな国家プロジェクトの研究開発か、こう言いたくなるのですね。この点についての大臣のお考え方を聞きたいことと、それから、先ほど来事前の調査が六カ月で適、不適がわかるとか、あるいは調査結果の提示は本年度末、来年三月にできるとか、建設の見通しの確認は来年六月とかいろいろ言われておるけれども、これは技術的にそれが最善だからというのではない。また、青森の関係者の間ですでにそれがスケジュールとして合意されておるからではない。結局は来年八月三十一日には「むつ」は佐世保を出港するという約束が長崎サイドにはある。ここから逆算すればそうならざるを得ない、それだけのことではないですか。
  264. 中川一郎

    ○中川国務大臣 いろいろ無理があるというお話もございましたが、新しい仕事、開墾の時代には厳しいというのと同じように「むつ」もなかなか厳しい新しい仕事でござ、います。しかし、国家プロジェクトとしてどうしてもやっていかなければならないとするならば、いまたどっている道を誠意をもって進めていきたいと思っております。  それから、五者共同声明についていろいろ言いますが、これは五者で話し合うことで、第三者からいろいろ言われてみても、私たちだけが一方でこうするのだ、ああするのだと言えないのです。これは五者で紳士的に話し合って決めていくことであって、科学技術庁だけが、これはこうだああだ、こういうものだ、何月だ、三月だと言えるものじゃないのです。五者共同声明の精神は、新定係港をこうつくってください、それにはホタテのいない外洋なら結構です、そしてそれは関根浜がいいと思う、関根浜ができるまでは大湊に置いて差し上げましょう、こういうことなのです。  そこで一つ問題になるのは、その新定係港があいまいになってしまうのではないか、しかも技術的とかなんとかじゃなくて、政府がただ大湊に入るのにそうやって見せかけでやっているのじゃないかということがあってはいけないということで、建設の確認の上ということであって、本当にやるのだということさえ確認できれば、それは建設であるとか調査であるとかいろいろおっしゃいますけれども、精神はそういうことなんです。その精神を生かして今後どう具体的に話を詰めていくかということであって、五者の間のことは五者で話していきますので、しばらくひとつ温かく見守っていただきたいと思います。
  265. 瀬崎博義

    瀬崎委員 最後なんですが、まさにいま長官の言われたお話の中に矛盾があるわけなんです。五者共同声明というのは、それで解決したのではなくて、これから五者で話し合っていきましょうということが決まっているだけなんでしょう。すべては今後の話し合いの結果で、いま言われたように、政府がこうすると言ってもできないところにその重要なポイントがある一方、長崎の方ではすでに八月三十一日には出ていきますということを関係者にきちっと合意してしまっている。この矛盾、これをほおかぶりしていこうというところに大体問題がある、私はこう思うのです。  実は、これは壱岐の島の小さな町、石田町、人口五千八百人です。ここが今回町議会で意見書を採択したのですね、御存じと思いますが。それは、確たる将来の見通しも立たない「むつ」に、行財政改革が叫ばれている今日、これ以上の多額の経費を投入することは住民感情として許されない、要旨こういう内容なんですね。これは私はもっともだと思う。耳を傾けるべきだと思うのですよ。この石田町の場合、今回のいわゆる政府が進めている行革で、離島振興法の国庫補助五億二千万円と過疎振興法による国庫補助三千六百七十万円、これは五十六年度ベースです、これの六分の一がカットされる。その金額は九千二百七十八万円、一億弱であります。まさに石田町にとってはこれが死活問題なんですよ。こんなものを削っておきながら「むつ」となると、いや修理に三百億、関根浜に五百億、こんな巨費が将来の見通しもないままどんどんつぎ込まれるのは全く矛盾だ、がまんがならない、こういうことなんですね。これが国民の気持ちなんです。だから「むつ」が国の事業で大事だと言われるのなら、こういう地方自治体を救っていくのも、これも国の大きな国策であるはずなんですね。  こういうような状況のもとで、港一つにとっても、港湾を建設する場合の法律上、技術上、体制上の通常のルールを無視した形でいま関根浜は進められようとしている。こういうことは結局また新たな困難にぶつかるに決まっていると思うのですよ。だから、そういう点では関根浜は、定係港建設計画についても通常運輸省が中心となってやっていく港湾建設のルールに乗せて慎重にやっていくべきだと私は思う。いまの性急な科技庁中心のやり方については、私は本当に真剣に検討し直してほしいと思う。そのことは同時に「むつ」についての政府計画全体についても再検討がなされるべき新段階を迎えていることを意味していると思うのです。国民と地方自治体に行革の名において犠牲を押しつけておきながら、「むつ」だけは聖域ですと「むつ」を聖域化する、そしてまかり通ろう、これは許されないと思うのです。これはひとつ賢明な大臣の反省を十分に求めたいと思います。
  266. 中川一郎

    ○中川国務大臣 これはいろいろ御議論のあるところですけれども、エネルギー問題に対する認識の違いだと思うのです。これからはエネルギーがどういう厳しさが来るか、当面値上がりしただけでも世界の経済が混乱しているわけです。もし日本原子力発電というものがなかったら、国民の暮らしというものはもっともっと、電気料金が高い等、沖繩あたりは原子力発電がないために大変に厳しい、こういう実態もあるのです。ましてや石油は有限である、こういうことを考えたら、二十年、三十年先のこともわれわれは責任を持ってやっていかなければならぬのです。そういうときに、世界じゅうがもう舶用炉というものについて成功しているのに、科学技術立国を目指す日本が舶用炉について試験研究の持ち合わせがないということでは、将来そういった不測の事態に国民に責任を持てない、こういうところからやっているのであって、何かむだなことをやっているように指摘されるのは間違いでございますし、また、ルール違反なんというルール違反はいたしておりません。公共港湾とすることがいいと思っておりますけれども、これは五者の間の話し合いですから、皆さんがいいというものを国が無理やりやっているのではなくて、やはり民主主義ですから、多くの皆さんの合意の中でやっていることであって、決してルール違反とかそういうことはやっておりませんから、独特の言い方で誤解が国民に当たらないように、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  267. 瀬崎博義

    瀬崎委員 反省が全くないのはきわめて遺憾であります。  終わります。
  268. 中村弘海

    中村委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十七分散会