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政府委員(梁井新一君) まず、
先生の御
質問の第一点の、現在サケオにございますわが方の医療センターからカオイダンのキャンプまで約百二、三十キロでございますか、一時間半近くかかるわけでございますけれ
ども、そういう
観点から、サケオのセンターを決める場合の土地の選定がまずかったのではないかという御
質問かと思います。
実は、昨年センターの場所をどこにするかということを非常に検討したわけでございますが、当時、サケかとカオイダンの間にアランヤプラテートという町がございまして、カオイダンのキャンプで働いておりますヨーロッパのボランティアのドクターはこのアランヤブラテートに宿泊しているわけでございます。私
どももこのアランヤプラテートの近くに何か場所がないかということで探したわけでございますけれ
ども、その当時すでにこのアランヤプラテートのホテルはいっぱいでございまして、どうしてもアランヤの方でプレハブ住宅の宿舎、小さな病院をつくらざるを得ないということで、
タイ政府と交渉の結果、
タイ政府から現在のサケオの場所に土地を無償で供与されまして、そこにセンターをつくったわけでございます。
ただ、
先生御指摘のとおり、このサケオのセンターからカオイダンまで非常に遠いということでございまして、確かに一時間半近くバスでドクターと看護婦が通勤されると、非常に肉体的な負担になっておることもよく承知しております。最近におきましてはこのバスの中をちょっと改造いたしまして、バスで通勤される場合になるべく、リクライニングシートと申しますか、ゆったりとしたシートでやるということにしているわけでございますけれ
ども、今後の問題といたしまして、たとえばカオイダンにつきましてわれわれとしては引き続きこの難民医療を継続すべきであると思っておりますけれ
ども、ヨーロッパのドクターの一部には撤退する動きもないわけではございません。国際赤十字の方は引き続きやるということを言っておりますけれ
ども、まだ最終的に決まっていないような状況でございます。
その結果、このアランヤプラテートの町の現在ヨーロッパのドクターが住んでおります宿舎がどうなるかということもございますけれ
ども、そういう点も含めまして、なるべくカオイダンにおいでになりますドクターと看護婦さんがお疲れにならない方法を
考えたいというふうに
考えておるわけでございます。
それからその次に、
先生の御指摘になりました指揮系統の問題でございますけれ
ども、大使館といたしまして、たとえば患者のどういう人にどういう手術をするという
日本のドクターの判断に干渉したことは全くございません。私
どもいろいろな例を見ておりますと、
日本のドクターのきわめてまじめな献身的な救護活動というものは、
現地におきましても非常に高く評価されておるわけでございますけれ
ども、たとえば数カ月前の例で申し上げますと、ドクターがたとえば骨のがんみたいなものを発見された。しかし、
現地にはその検査の施設がないので手術すべきかどうかよくわからない。そこで
日本に標本を送っておいでになりまして、その結果、ドクターの所属先の病院でその標本をチェックしたところが、やはりがんである、すぐに手術する必要があるということで、JICAから大使館に電報を打ちまして、大使館から
現地に無線電話でその結果を
連絡して直ちに手術したということでございますけれ
ども、そういう点から、大使館といたしましては、ドクターの判断に一々干渉するということはやっておりませんし、なるべくドクターのお
仕事を側面からお手伝いをするという形でやっておるわけでございます。
最後に、
先生の御
質問の、今後難民救護活動を続ける必要があると思っておりますけれ
ども、
日本政府内部と申しますか、
外務省、それから文部省、厚生省あたりとももう少し
連絡体制をよくすべきではないかという点でございますけれ
ども、実は、
鈴木総理が一月に
タイを御訪問されまして、そのときに、難民救護に対する活動をどうするかという問題を
日本が検討するということをおっしゃったわけでございまして、二月の末に
外務省から調査団を派遣いたしまして、確かにここ一年の間に難民の医療状況は非常に変わってまいりまして、かつてのような緊急事態に対する医療という必要は減ってまいりまして、医療の態様も都市型の病気に対する医療というふうに変わってきているわけでございます。ただ、
タイにはカンボジア難民以外にラオスの難民もいるわけでございますし、今後どういう
対応をすべきかという点につきまして、現在文部省あるいは厚生省を初め各省と検討中という段階でございます。