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長谷川信君 次に、文部大臣にちょっとお尋ねいたしますが、この前も教科書問題いろいろ、かなりいろんな激論——激論というか議論があったわけでございますが、日本の教育、明治維新にちょんまげを切って刀を抜いて何をやろうかと思ったら、当時の政治家は教育をやったんですよ。そして山のてっぺんから谷底まで小学校、もう
予算もないし何にもない日本の国が本当に津々浦々まで小学校をつくった。その後、中学あるいは専門学校を各県につくるとか、私は明治の先覚者のあれはまさに本当に頭の下がる思いがする。今日の日本の繁栄は、やっぱり明治維新以来の教育の成果だと私は思うんです。極端に言えば、それ以外何ものでもないと思うんですよ。
昨今の教育を見てみますと、やっぱりいろいろ御批判が出ている。この間も四国で中学生が学校の中で暴力をしたら警官導入、百五十人も動員したと、やる方もやる方だし、入れる方も入れる方だが、そんないまの状態。いろんな新聞に毎日非行の問題が出ておりますが、いま建物はどうやら、戦後やはり六・三制あるいは教育の改革でわが国の戦後の教育の施設については私は百点を上げてもいいと思う。まあどんな山の中へ行ったってりっぱな学校がありますもの。
ただ、問題は内容ですよ。その内容の
一つの問題の中に教科書問題が私はやっぱりあると思うんです。この間、私がいろいろお聞きをしましたら、教科書の中でやっぱりいろんなことが書いてあるのをいろんな人がいろいろ御批判をなさっておりますが、あの原本をいろいろ聞きますと、わずか二百五十ページぐ
らいの本、主として
社会科、公民の本であります。高校、中学、小学校——小学校の低学年は公民があるかないかわかりませんが、少なくとも高校、中学、小学校の高学年で七、八冊の公民、
社会の教科書が出ているようでありますが、そのうちのどの教科書を見ても、一番大きいところは千五百カ所削除してありますね。少ないところで二百カ所もしくは三百カ所。そんなに削除しないところの方が少ないんだもの、ばらばらとこうあれしましてもね。何でそんな原本を使う必要——文部省がよりによって。私はいろいろ係に聞いたら、そのように書く人がございませんと言っていましたがね。日本国だって学者がこれだけいるんだから、検定のときにわずか二百五十ページの中で千五百カ所も削除するような人にわざわざ金を払って、高い原稿料を払って頼むことはいささかいかがなものかと思うんですよ。
まさに今日の教育は私はそれをやらないと——文部省、その教科書の中の一例で、これは私が読んだんじゃなくてある雑誌を見たのでありますが、親は年をとったらこれは
厚生省が養うのがあたりまえなんだというふうな——
厚生省と書いてあったかどうかわかりませんが、
社会福祉の
予算で
政府が養うのがという説明で、子供が親を養えというふうなことは書く書かぬは別としても、やっぱりそれは、親を大事にするとか、兄弟は仲よくするとか、あるいは年寄りはいたわれとか、その種のことはやっぱりいまの教科書の中に入れてどこが悪いのかと思う。そんなことを
一つも書いてないと同時に、それと逆のことが書いてあるのが千五百カ所から三百カ所も削除してある。その削除したのが全部一〇〇%そうだということであるかないかわかりませんが、だからその削除しない残ったところだけ継ぎ合わしても、これは学校の本には私はならぬと思うんだな。
私は新潟県でございますが、わが新潟県の小学校、中学校の子供の成績、体力は大体各県並みなんですよ。高等学校へ入るとがたっと落ちて、全国でビリから二番目になってしまっている。いまの教育は
社会が悪いとか親が悪いとかと、いろんな議論もございますが、親がいいとか悪いとかと言う前に、本当に悪かったら小学校からストレートで悪くならなきゃならぬわけだ。それが高校になったら急にがたっと下がるということは、やっぱり何かそこに教育上の作用が私はあったと思うんですよ。
これはこの際、文部大臣ね、文部省いろいろ私ども聞いてみましても、
答弁がとんちんかんで、どうも私ども理解のできる説明をなかなかしてくれない。いまも後ろの方でちょっといろいろ話したんですが、その教科書出せと言ったら、いやそれは秘密で出せない——何が秘密なんですか、そんなものは。防衛庁の飛行機のプロペラの長さだとか、大砲の弾の長さとか、そんなものと違うんだから、何が秘密でありますか、そんなものは。絶対に出せないと言っている。
国会でやっぱり調査権で請求したら、それは防衛だとか出せないもの、これは仕方がありませんが、そういうものを出せないということは私はどうも理解ができない。
これは教科書問題を含めて、いまの教育
制度というものは、文部大臣、もう本当に命がけでひとつやっていただいて、私どもがみんな戦争に負けて菜っぱ、大根から芋のしっぽまで食って今日の日本の繁栄をつくったんですから、だからこれがもし将来の子供がだめになって日本の国が低下した、あるいは落ち込んだということになりますと、本当になにしたかいがありませんよ。この繁栄を永続させるには、私は教育の内容の改革以外にないと思う。その辺はひとつ文部大臣から本当に、失礼な話でございますが、命をかけてひとつやっていただくく
らいの気概を持って、この教科書問題なんかも、これはもう大臣から真っ先にいろいろ
国会に御相談をいただいて、改めるべきはどんどんどんどん改めていただいて、まさに教育元年をことしからひとつつくっていただきたい。
財政再建だけが日本のあれではございません。やっぱり教育の再建もやらなきゃならない。教育再建という、元年という意気込みを持ってやっていただきたいと思いますが、文部大臣の御見解と御覚悟のほどを御
答弁をお願い申し上げたいと思います。