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1981-02-12 第94回国会 参議院 予算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年二月十二日(木曜日)    午前十時一分開会     —————————————    委員の異動  一月三十一日     辞任         補欠選任      穐山  篤君     安恒 良一君      鈴木 和美君     村沢  牧君      田渕 哲也君     伊藤 郁男君  二月六日     辞任         補欠選任      村沢  牧君     大森  昭君  二月九日     辞任         補欠選任      青島 幸男君     山田  勇君  二月十日     辞任         補欠選任      堀江 正夫君     関口 恵造君      中野  明君     藤原 房雄君  二月十二日     辞任         補欠選任      谷川 寛三君     村上 正邦君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         木村 睦男君     理 事                 亀井 久興君                 古賀雷四郎君                 平井 卓志君                 宮田  輝君                 赤桐  操君                 和田 静夫君                 渋谷 邦彦君                 沓脱タケ子君                 柳澤 錬造君     委 員                 井上  裕君                 岩動 道行君                 板垣  正君                 岩上 二郎君                 熊谷  弘君                 藏内 修治君                 源田  実君                 下条進一郎君                 鈴木 省吾君                 関口 恵造君                 田代由紀男君                 竹内  潔君                 玉置 和郎君                 土屋 義彦君                 名尾 良孝君                 林  寛子君                 増岡 康治君                 村上 正邦君                 八木 一郎君                 山崎 竜男君                 小野  明君                 大木 正吾君                 大森  昭君                 志苫  裕君                 竹田 四郎君                 寺田 熊雄君                 安恒 良一君                 大川 清幸君                 桑名 義治君                 田代富士男君                 藤原 房雄君                 下田 京子君                 伊藤 郁男君                 前島英三郎君                 山田  勇君    国務大臣        内閣総理大臣   鈴木 善幸君        法 務 大 臣  奥野 誠亮君        外 務 大 臣  伊東 正義君        大 蔵 大 臣  渡辺美智雄君        文 部 大 臣  田中 龍夫君        厚 生 大 臣  園田  直君        農林水産大臣   亀岡 高夫君        通商産業大臣   田中 六助君        運 輸 大 臣  塩川正十郎君        郵 政 大 臣  山内 一郎君        労 働 大 臣  藤尾 正行君        建 設 大 臣  斉藤滋与史君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    安孫子藤吉君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       宮澤 喜一君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)       中山 太郎君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       中曽根康弘君        国 務 大 臣        (北海道開発庁        長官)        (国土庁長官)  原 健三郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  大村 襄治君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       河本 敏夫君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       中川 一郎君        国 務 大 臣        (環境庁長官)  鯨岡 兵輔君    政府委員        内閣法制局長官  角田禮次郎君        内閣法制局第一        部長       味村  治君        人事院総裁    藤井 貞夫君        人事院事務総局        職員局長     金井 八郎君        警察庁刑事局長  中平 和水君        警察庁刑事局保        安部長      谷口 守正君        行政管理庁行政        管理局長     佐倉  尚君        行政管理庁行政        監察局長     中  庄二君        行政管理庁行政        監察局監察審議        官        佐々木晴夫君        北海道開発庁総        務監理官     大西 昭一君        防衛庁参事官   岡崎 久彦君        防衛庁参事官   石崎  昭君        防衛庁参事官   上野 隆史君        防衛庁長官官房        長        夏目 晴雄君        防衛庁長官官房        防衛審議官    西廣 整輝君        防衛庁防衛局長  塩田  章君        防衛庁人事教育        局長       佐々 淳行君        防衛施設庁長官  渡邉 伊助君        経済企画庁調整        局長       井川  博君        経済企画庁物価        局審議官     齋藤 成雄君        科学技術庁研究        調整局長     勝谷  保君        国土庁長官官房        長        谷村 昭一君        国土庁長官官房        審議官      柴田 啓次君        国土庁地方振興        局長       四柳  修君        法務省刑事局長  前田  宏君        法務省訟務局長  柳川 俊一君        外務省アジア局        長        木内 昭胤君        外務省北米局長  淺尾新一郎君        外務省欧亜局長  武藤 利昭君        外務省経済局長  深田  宏君        外務省経済協力        局長       梁井 新一君        外務省条約局長  伊達 宗起君        大蔵大臣官房審        議官       水野  繁君        大蔵省主計局長  松下 康雄君        大蔵省主税局長  高橋  元君        大蔵省理財局次        長        楢崎 泰昌君        国税庁長官    渡部 周治君        文部省初等中等        教育局長     三角 哲生君        文部省大学局長  宮地 貫一君        文部省社会教育        局長       高石 邦男君        文部省体育局長  柳川 覺治君        文部省管理局長  吉田 壽雄君        厚生省公衆衛生        局長       大谷 藤郎君        厚生省医務局長  田中 明夫君        厚生省社会局長  山下 眞臣君        厚生省児童家庭        局長       金田 一郎君        農林水産大臣官        房長       渡邊 五郎君        農林水産大臣官        房技術審議官   山極 栄司君        農林水産大臣官        房審議官     矢崎 市朗君        農林水産大臣官        房予算課長    京谷 昭夫君        農林水産省構造        改善局長     杉山 克己君        農林水産省農蚕        園芸局長     二瓶  博君        農林水産省食品        流通局長     渡邉 文雄君        林野庁長官    須藤 徹男君        水産庁長官    今村 宣夫君        通商産業省通商        政策局長     藤原 一郎君        通商産業省生活        産業局長     若杉 和夫君        工業技術院長   石坂 誠一君        資源エネルギー        庁長官      森山 信吾君        資源エネルギー        庁石炭部長    福川 伸次君        中小企業庁長官  児玉 清隆君        運輸大臣官房総        務審議官     石月 昭二君        運輸省鉄道監督        局長       杉浦 喬也君        郵政省電気通信        政策局長     守住 有信君        労働省労働基準        局長       吉本  実君        建設省道路局長  渡辺 修自君        建設省住宅局長  豊蔵  一君        自治省行政局長  砂子田 隆君        自治省財政局長  土屋 佳照君        自治省税務局長  石原 信雄君    事務局側        常任委員会専門        員        道正  友君    説明員        日本国有鉄道総        裁        高木 文雄君    参考人        新潟南魚沼郡        塩沢豪雪災害        対策本部長    我田 大作君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○昭和五十五年度一般会計補正予算(第1号)  (内閣提出衆議院送付) ○昭和五十五年度特別会計補正予算(特第1号)  (内閣提出衆議院送付) ○昭和五十五年度政府関係機関補正予算(機第1  号)(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 予算委員会を開会いたします。  昭和五十五年度一般会計補正予算昭和五十五年度特別会計補正予算昭和五十五年度政府関係機関補正予算、以上三案を一括して議題といたします。     —————————————
  3. 木村睦男

    委員長木村睦男君) まず、理事会における協議決定事項について御報告をいたします。  審査を行う日は、今十二日及び明十三日の二日間とすること、審査方式総括審議方式とすること、質疑割り当て時間は総計百九十三分とし、各会派への割り当ては、日本社会党八十七分、公明党・国民会議四十八分、日本共産党及び民社党・国民連合それぞれ十九分、新政クラブ及び第二院クラブそれぞれ十分とすること、質疑順位及び質疑者等についてはお手元の質疑通告表のとおりとすること、以上でございます。  右、理事会決定どおり取り運ぶことに御異議ございませんか。    「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和五十五年度補正予算案審査のため、本日の委員会新潟南魚沼塩沢豪雪災害対策本部長我田大作君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、出席時刻等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  8. 木村睦男

    委員長木村睦男君) それでは、これより順次質疑を行います。竹田四郎君。
  9. 竹田四郎

    竹田四郎君 まず、鈴木総理政治姿勢から伺っていきたいと思いますけれども、鈴木総理は事あるごとに現在の平和憲法は守っていくと、こういうふうにおっしゃってきたわけでありますけれども、これはまた何回か総理にもいままで質問があったことであろうと思いますが、この点、天地神明に誓って平和憲法を守っていくつもりがあるのかどうなのか、ひとつお伺いしておきたいと思います。
  10. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 憲法は国の基本法でございまして、これを尊重し擁護するということが内閣の基本的な方針でございます。
  11. 竹田四郎

    竹田四郎君 最近、ある雑誌にこういうことが書いてありました。「鈴木内閣は明確な路線を示し得ないまま、ずるずると一つの方向に押し流されているように映る。なしくずし的な政治運営ほど危険なものはないが、鈴木政治はその傾向を一段と深めてきたようだ。」と、こういう評論がございます。私もまた、この評論はなるほどうまいことを言ったものだなと、こういうふうに思っているのでありますけれども、総理はこれは意識的にこういうふうに、流されていく、なし崩し的に積み上げ式で問題を解決をしていくと、こういうふうに意識的におやりになっているんですか、それとも意識的ではないんですか、どっちですか。
  12. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 具体的な点につきまして御質問をいただければ、私はそれに的確にお答えをしたいと思います。
  13. 竹田四郎

    竹田四郎君 いままで、総理に就任されてもう半年以上経過されたと思いますけれども、非常に権力影響力を持っているあなたとか政府高官とか自衛隊の幹部とか、そういう人たちが個人的に行動をする、あなたも靖国参拝は個人の資格で行ったとこうおっしゃられる。ほかの大臣もそういうことを言っておる。あるいは竹田統幕議長発言にしても、個人的な立場で話をしたと、こう言っている。奥野法務大臣にいたしましても、個人的な見解とか、自民党員として発言をしたんだと。こういうふうな形で改憲論が進んでおるし、あるいは文民統制もそうした問題で大変危機に陥っている、私はこういうふうに思うわけであります。  で、先ほどの雑誌は、「首相はあたかも根なし草のようで、足場がはっきりしておらず、ときどきの状況を見回しながら、右に左にぐらついている。それを「和の政治」という便利な言葉でカムフラージュしている」と、こう評しておる。これは私が言っているんじゃなくて雑誌が評している。これに対してあなたはどうお考えですか。
  14. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 私は、その雑誌なるものは読んでおりません。また、その雑誌に一々私がここでお答えするわけにまいりません。しかし、竹田委員がいま御指摘になりました靖国神社に対する参拝、これは、国民ひとしくだれでも思想、信条の自由また信教の自由がございまして、参拝をするということについてはだれからも制約を加えらるべき筋合いのものではない。それを制約をしようとしたらそれが間違いであるというのが私の考えでございます。  また、竹田統幕議長インタビューについての言動、これにつきましては、私は、行き過ぎの点があったという観点から、任命権者である防衛庁長官をしてあのような厳重な注意と措置をとらしたということで、折り目はちゃんとつけておるつもりでございます。  奥野法務大臣憲法に対する発言、これも御承知のように奥野法務大臣は、鈴木内閣はあくまで憲法尊重、擁護する、改憲の意思はないと、こういうことを閣僚の一人として銘記して、自分もそれをあくまで守っていくという前提の上に立っていろいろ発言をされておる。御承知のように、憲法尊重、擁護するということと憲法についていろいろ議論をするということは、これは憲法ではっきり認められておることであります。  また、先ほど雑誌お話がございましたから私も引例するわけでありますけれども、ある有力紙世論調査では、そういう憲法をいろいろ研究し論議するということは、これは当然のことであり賛成であるというのが七〇%近い、世論調査でも出ておると、こういうことでございます。
  15. 竹田四郎

    竹田四郎君 普通の人がそういうことをやるのなら私は結構だと思うんですよ。あなたは大きな権力を持っているわけです。統幕議長は軍を動かす権力を持っているわけです。こういう者がいたずらにそういうことを言うことは私はいけないと思うんですよね。これは衆議院予算委員会でありますか、奥野法相の最近の週刊誌インタビュー、これについてあなたは聞かれておる。そのときにあなたは、閣僚発言について事前相談するなど規制するようにしたいと、こう答弁しておるんですね。しかし官房長官はどうなんですか。そういう規制はしないと、こう言っているんですね。鈴木喜一内閣とすら言われている内閣ですからね。この二人の意見が違うということは、これは私は大変なことだと思うんです。あなたは規制すると言う。官房長官規制しないと言う。どっちが本当なのか。このような勝手なことをどんどんどんどん発言する、発言すると半分ぐらいはそっちの方向へ持っていかれているのが事実です。だから週刊誌も、「根なし草」とあなたのことを言っているんですよ。そういう点が実にはっきりしていない。だから、足場がはっきりしていないという点は、私はそういう点だと思う。たとえば竹田統幕議長のこの問題にしたって、隊員の発言については部内ではっきりした規制があるわけでしょう。五十五年十一月四日付陸幕人事部規制というのははっきりあるわけでしょう。これは防衛庁長官、そういう自分でつくったものに対して自分からそれを犯す、そういう者が、単なる注意程度円満退職と同じような結果になるということは、やはり鈴木内閣姿勢を私は問われると思うんです。そして、あなたが幾ら天地神明に誓って憲法を守ると言ったって、憲法を守らない方向へ守らない方向へと流されているというのが私は国民の見方だと思うんですよ。どうですか。
  16. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 憲法に対する私の姿勢は、明確に申し上げておるとおりでございます。先ほど申し上げますように、憲法尊重、擁護するということ、研究し論議をするということは、これは違憲でも何でもない、そういう考え方が国民の中でも私は理解をされてきておると、このように思うわけでございます。  なお、奥野法務大臣のことに関連しましてお話がございましたが、私は、重要な問題等について、インタビューであるとかそういうものをする場合には事前相談してもらいたいと、こういうことを言ったわけでございまして、それはチェックするとかなんとかいうようなことを申し上げておるわけではございません。私の希望を申し上げておるわけであります。
  17. 竹田四郎

    竹田四郎君 希望をあなたがそう言っているのに対して、閣僚がそれに沿わないということになれば、それはどういうことなんですか。
  18. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 私は、それぞれの閣僚良識を持ってやる問題でございますが、いま世論誤解を与えるような問題、重要な問題については、今後におきましては十分相談をしてもらいたい、こう思っております。
  19. 竹田四郎

    竹田四郎君 それでは、この間の奥野法相週刊誌インタビューは、あれは世論誤解を与えるものじゃないということですな。
  20. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) あれは事後に私も承知した問題でございますが、あの奥野法務大臣インタビューにつきましては、いろいろな批判、発言、追及等々が一部にあるようでございます。しかし奥野法務大臣は、鈴木内閣が絶対に改憲をしない、自分はその内閣閣僚として、あくまでそれを自分としても守っていくという前提ですべて物を申し上げておることであって、改憲などというようなことを自分は意図しておるものではない。こう言っております。
  21. 竹田四郎

    竹田四郎君 それでは、奥野法相発言について、総理事前相談をしてもらいたいというような——あのことを契機にですよ、そういうことを言う必要はないじゃないですか。おかしいじゃないですか。であるから私は、あなたがもう少し指導性を発揮しない限りは、鈴木内閣はどこへ行くかわからぬ。もう自民党の中ですら、鈴木内閣はことし中途で終わりじゃないかということを言う自民党の内部の人の発言すらあるというのは、私はあなたの指導性のないことを言っていると思う。税金問題にしても同じでしょう。財政再建やる財政再建やると言って、具体的に財政再建にどれだけ乗り出しているか、行財政改革は一体どれだけ進んでいるか。進んでいないでしょう。海を越えて向こうから意見があった。国内の防衛を強化するというようなことに熱心な人の意見があった。そう言ったら、閣議決定概算要求の枠以上にこれ認めているじゃないですか。いつもあなたのやり方はそういうやり方だ。これじゃ国民はついてきませんよ。逆に、あなたが竹田統幕議長を使ったり、奥野法相を使ったり、あるいはその他の人を使って憲法を形骸化さしていったり、日本軍事大国に進めていくような方向にあなたが陰でやっている、こういうふうにとる者すらいると私は思う。私も、このままあなたが進めばそう思わざるを得ない。どうですか。もう少しその辺をはっきり指導性を発揮すべきだと私は思うけれども、どのようにお考えですか。
  22. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 非常に良識ある、言動に慎重な竹田さんから、むしろ総理はそういう意図を持ってやっているというようなことは、ちょっとこれは、幾ら何でも言い過ぎではないでございましょうか。私はしばしば申し上げておるように、憲法はあくまで遵守し、そして平和国家として世界の平和と安定のために日本は寄与していかなければならないと、そういう方針でやっておるわけでございます。
  23. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は、余りきついことは言いたくないのですけれども、いまのままでいけば、そういうふうに思われても仕方がない。だから心配して私はいまこの問題を言っているわけです。あなたが善良な人だということは私も知っていますよ。善良な人であるだけにこういうときにははっきりと内閣の首班としての指導性を発揮すべきだ。そういういま危険な時期にあるというのはさっきの評論にもあった。だから私は言っているんです。私はあなたのことを、悪口を言っているわけじゃないんですからね、誤解のないようにしていただきたいと思います。  二番目に、いま世間を騒がせている千葉県の知事の問題について、これはあなたどう思いますか。これも政治家良識に任せるというふうな御発言のようでありますが、おたくの方の千葉県の組織は知事不信任案もこれは否決をした。また、調査委員会のこれも否決をした。千葉県という特殊性があるのか、あるいは自民党という特殊性のためかよくわかりませんが、私はこれに対して総理が、あるいは自民党総裁としてやっぱり見解を述べるべきだと思うんですが、いかがですか。
  24. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) いわゆる川上念書の問題でありますが、いろいろ究明もなされておるようでございます。しかし、まだ真相は明確になっておらないというように私は思うわけでございますが、いずれにしてもこの政治倫理の問題は、政治に対する国民の信頼をつなぐ絶対不可欠の要件でございます。そういう意味合いから、国会議員であろうと、あるいは県会議員であろうと、あるいはまた地方団体の首長であろうと、それぞれの立場においていやしくも国民の指弾を受けるような行為があってはいけないと、このように思うわけでございます。  私は、しかし基本的には政治倫理の問題は政治家各人の反省と自制、また常に十分な注意をしていかなければならない問題であると思います。私は、川上知事が各方面の批判を受けておるというそういう行為が、とにかく誤解を招くというようなことがあったこと、そういうことに対しまして私は遺憾にたえない次第でございます。私は、出処進退については、まずみずからがえりを正してその進退を考えるべきときであると、このように思います。  また、自由民主党といたしましては、県連を督励をいたしまして、いまいろいろ調査もし対応を考えておるということを、櫻内幹事長からも報告を受けております。私は、いましばらくその事態の真相の究明と事態の推移を見守りながら党としての決定を考えたいと、こう思っております。
  25. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は、もうその念書を書いたこと自体、一県の知事になろうともするような者が念書を書いて——念書の内容はいろいろあります。あるけれども、その念書を書いて五千万円の金を借りたのかもらったのか知りませんが、もうそのスタートから問題があるんじゃないんですか、政治家として。そういうことはいいんですか。鈴木総理はいいんですか。また川上知事が現在やっているのは、あの人の判断があなたの判断と同じだというふうに見てもいいんですか。私はとても見れない。一刻も早く知事の座というものを去るべきである、こう思うが、どうですか。
  26. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 念書を書くとか、あるいはそれによって大きな政治的なお金を授受するとか、そういうそれ自体誤解を招く行為でございますから、私はその点につきまして先ほども申し上げたように、こういうことが起こったことは大変遺憾であるということを申し上げた次第でございます。
  27. 竹田四郎

    竹田四郎君 私はいまの総理の答弁、非常に不愉快であります。もう少し明確に、この際しなければならない責務を、自民党の総裁であり、そして今日の日本の最高権力者として、さらに明確にすることを要求をいたします。  次に移りますが、金大中の死刑判決、そして減刑ということになった後で、あなたは日韓関係には問題はなくなった、こういうふうに発言をしておりますし、伊東外務大臣も韓国の措置を高く評価すると、こういうふうに新聞会見で言っているわけでありますが、私は問題は解決していないと思います。なぜ判決文の入手をすることをあきらめたんですか。判決文の要旨だけでなぜ満足して、高く評価するとか、日韓関係には問題はないということが一体言えるんですか。日本政治決着とこの判決文の関係というのは、必ずしも明らかじゃないんじゃないですか。どうして判決文の要求をあきらめたんですか。向こうの外務大臣は判決文を渡すと言っているじゃないですか、どうですか。
  28. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。  いまの御質問でございますが、金大中事件が起こりました当時から、日本政府としましては、これは韓国の国内問題ではあるが、拉致事件ということがあった関係上、金大中氏の身辺については重大な関心を持っていますということを何回も向こうへ伝えたわけでございますが、それが最終的に大法院の判決を政府が減刑をして無期にしたということは、われわれは日韓関係の将来、友好関係から見てこれは高く評価できることだということを、あの当時新聞にも言ったわけでございます。  判決文のことにつきましては、最後の判決が出るまで、これはどういう判決になるかわかりませんので、判決文を手交してもらいたいということは、要請を続けたことは確かでございます。その間に、判決の要旨というものを向こうから渡してきたことも、何回も御答弁をしたのでございますが、われわれは、この要旨によっても、日本の国内での政治活動が問われているんじゃないということを向こうからはっきり有権的に言ってきておりますので、それでこれは政治決着には反しないというふうに解したわけでございまして、いよいよ減刑、無期と、死刑が無期ということになったこの機会に、私どもはこれでこの問題は、われわれが重大な憂慮ということを言っていたことが回避できて、日韓関係の友好関係が損なわれなかったというふうに解しますので、今後も判決文を要求していくということは、そういう関係に私は決してプラスじゃないと思いまして、この際は、もう判決文の手交は要請はしないということの方が適当ではなかろうかと、こういう判断をしているわけでございます。
  29. 竹田四郎

    竹田四郎君 総理はどうなんですか。
  30. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 判決文の取り扱いにつきましては、ただいま外務大臣から御答弁申し上げたように私も考えております。
  31. 竹田四郎

    竹田四郎君 日韓関係に問題はなくなったということは私はないと思うんです。死刑の判決そのものには、やはり韓民統との関係というものが明らかにあるわけです。判決の中には、その起訴状から考えると、総裁になった後のいろんな通信連絡、それだけで死刑になっているわけですね。ほかの条項では死刑になる条項はないわけですね。韓民統との関係だけで死刑になっている。これと日本から拉致された問題というものと、きわめて深い関係が私はあると思うんですね。そういうことを考えてみると、私はこの死刑判決そのものにまだ問題がある。今後こういうことが起き得る可能性があると。  それで、その後どうなんですか。新聞によりますと、もうすでに百九十億の借款供与をすぐやる、何か砂糖にたかるアリみたいですな。何か早く韓国で金もうけをしよう、金もうけをしよう、だからこそ金大中の問題もいいかげんにしているんだろう、私はこういうふうに思うんですが、なぜこんなに早く借款供与をしなくちゃいけないんですか。なぜ日韓閣僚会議を早く開かなくちゃいけないんですか。どこからそういう問題が出てくるんですか。一昨日も新聞にありましたけれども、米国の上院の外交委員会は、去年の後半の韓国の情勢は民主的でないと言っているんじゃないですか。アメリカでさえ言っているんです。日本においては、金大中を拉致をされた、主権が侵された、そういう中でこういうことをするというのは、本当に韓国を利権にして一部の者が金もうけをしようというふうに想像をされても私は仕方がないと思う。  近く韓国の大統領が大統領に就任するんだそうでありますけれども、その就任式には、総理は行くんですか、行かないんですか。私は行くべきでないと思う。そのくらいはっきりこの問題にしても態度を私はとるべきだと思うんですが、どうですか。
  32. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) 経済協力の関係の御質問がありましたが、これは先生も御承知だと思うんですが、内容は、文教——学校の関係と病院の関係でございます。向こうの民生、教育に協力するということでございまして、この経済協力は本当に事務的な問題でございまして、毎年一月に大体最終的に決めているということでございます。ことしもこれは、学校——向こうの教育あるいは厚生関係の病院の借款でございますので、毎年一月にやっているということでございますので、これは事務的に取り扱った問題でございます。  あとの関係は、向こうの米の問題がございまして、十二月に要請があったもののうち、十五万トンの話し合いを決めたと。あとも、国内の滞貨事情、積み出し事情等を考慮して、いま話を進めているということでございます。これはほんの事務的な問題をやっているわけでございます。  それで、閣僚会議のことに御言及になりましたが、これはまだ、いつやるとかそういうことは決めておらぬわけでございまして、これから内部で相談をしようという段階でございます。  それから、大統領の就任式の問題でございますが、まだ大統領の選挙も行われてないわけでございますし、向こうからは正式にまだ招聘というものは来てないわけでございます。でございますので、まだだれがそれに出席をする——総理が行かれるとかほかの方が行かれるとか、いろいろ新聞には出ておることございますが、まだ内部では相談はしておりません。もう少しこれは時間の余裕がある問題でございますから、これから相談をしようという段階でございます。
  33. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は問題は、ここで時間のない中で論議をしているんですよ。そんな形式的な論議をいまここでしても私は意味ないと思うんですよ、国民に。実質的な議論をしようじゃないですか。  そういう意味では、だれが見ても全斗煥氏が大統領になるということはもう明らかなことじゃないですか。そういうことで、すでに須之部大使から来ているでしょう、就任式には総理が出てほしいという要請が来ているでしょう、向こうの要請を受けて。鈴木総理は、そういう要請が来ている中で、行きますか、行かないんですか。どっちですか。
  34. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 実質的な話をしたらどうかというお話でございますが、私は日韓の友交協力関係というのはアジアの平和と安定の上からきわめて大事であると、このように考えております。したがいまして、金大中氏の助命の問題も高次の判断から下された今日におきましては、今後日韓の友交関係をもとの姿に戻していきたい、こういう考えを持っておるのでございます。  なお、私の大統領就任式に出席するかどうかという問題につきましては、国会の方の状況、いま予算の編成の重要な時期でございますから、国会の状況等を十分考えながら、日韓関係の友交協力関係ということとを両方あわせ考えまして判断をしなければならない問題と、こう思っておるわけでございます。
  35. 竹田四郎

    竹田四郎君 日韓の友交関係が大事だということは、それは私もわかりますよ。わかるけれども、閣僚同士の友交関係やったってしようがないんですよ。両民族の友交関係を打ち立てるということが重要であって、閣僚同士や一部の資本家同士が友交関係を持つということは私は日本の将来を誤ると言わざるを得ないと思いますけれども、その辺はもう少し考えてひとつやっていただきたいと思います。  ASEAN訪問について伺いますけれども、あなたはバンコクですか、バンコク・ドクトリンというのか、バンコク・スピーチとかいうようなものをお出しになっているわけでありますが、これを拝見させていただきました。その中でよくわからないのは、カンボジア問題の平和的解決、この地域が当面する不安定な要因の除去のために一体日本は何をするのか。あなたのお話ですと、昨年の国連決議の実現に向けて日本は積極的に取り組む、こういうふうにおっしゃっているわけでありますけれども、この国連決議というものの内容は一体どうなのか。その内容が実現できるのかどうか。実現するためには、これはやっぱり中ソの問題もあるでしょうし、ベトナムとの問題もあるでしょうし、そういうものをどう解決していくつもりですか。大変りっぱなことを言われていて、言っていることそのものには私も感心しますけれども、現在の日本の立場でできるんですか、できないんですか。
  36. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) 総理のお答えになる前に私からお答えします。  特にカンボジアの、インドシナ半島の平和の問題について御質問がございましたが、総理にお供をしてASEANを回ったのでございますが、ASEANのどの国も声をそろえて言いましたことは、国連の昨年の決議が実施されて、そして国際会議が開かれる、カンボジアの問題のために国際会議が開かれるように国連の事務総長にぜひ働きかけてもらいたいということを日本にも強く頼むということがどこのASEANの首脳からも声をそろえてあったわけでございます。  それで、日本はこのインドシナ半島の平和の問題につきまして国連で去年もASEANの意見を支持してやったわけでございますので、ASEANの意見をひとつ強力に支持しようというのが日本のまず第一義的な態度でございますので、カンボジアの問題につきまして総理もバンコクでスピーチにそのことを言われたわけでございますし、バンコクで私に指示がございまして、ニューヨークの国連大使にもすぐに訓令を出して、事務総長に働きかけるようにせよということでございまして、バンコクからもすぐに国連の西堀大使に連絡をしまして事務総長にも働きかけ、ASEANも働きかけているというのが現状でございます。  ただ、この国際会議につきましては、先生のおっしゃるようになかなか困難なむずかしい問題はあると思います。ベトナムがそのテーブルに着くかどうか、あるいはソ連、中国との影響力の関係もございますし、いろんなむずかしい問題があることは私どもも知っておりますが、まず第一番には、事務総長がソ連にも中国にも国連として働きかけるということが第一番目じゃなかろうかというふうに思っておるわけでございます。中国とは、去年行きましたときも、この国際会議のことにつきまして中国の首脳と意見の交換をしたこともございますし、日本としましては、できるだけの機会を見つけまして、国際会議が開かれるような、側面的に事務総長を助けていくということをやるつもりでございます。
  37. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 外務大臣から詳細に申し上げたとおりでございます。
  38. 竹田四郎

    竹田四郎君 総理ね、いままで東南アジアへ行った田中首相、福田首相、今度はあなた。先に行ったということは非常にいいし、ASEAN諸国と日本との関係をよくするということは私は反対じゃないんです。ただ、いままでやってきたあなたの前の二人の大臣が、そのことが実現していないじゃないですか。共同プロジェクトにしたって余り進んでいませんね。こうした国々に対してできもしないことをできるような口ぶりでやるということは、私はむしろ信頼を失うと思うんですよ。何だ日本のセールスマンが来たかというふうなことになっちゃうんじゃないですか。だから、あなたがこれだけ約束したんだから、これは必ず実現しますね、近いうちに。国連の事務総長はそのための会議を招集することができますね。また、中国やベトナムはこの会議出席することができますね。約束してくれますか。
  39. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) 私からまずお答えしますが、これは日本としましては、ASEANの主張を支持して、それを強力に助けてやって、何とか実現するようにしたいということを総理も述べられ、日本も努力をするということを言ったわけでございまして、これからそれに向かって一生懸命努力をするということでございます。  ただ、先生おっしゃったように、なかなかむずかしい問題があることは、ASEANの諸国もこれはもう十分にみんな知っていることでございますし、われわれとしては何とか実現したいということで努力をするということを一生懸命やろうというつもりでございます。結果につきましては、これはいろいろどういう結果になるかわかりませんが、最善の努力はしてまいります。
  40. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 私の今回のASEAN訪問に当たりまして、まず第一に考えておりますことは、竹田さんからも御指摘がございましたように、約束したことはこれを実行をする。これをやらなければかえって信義に反する、信用を失うということになります。したがいまして、福田元総理、大平前総理がいろいろお約束したことにつきましては、私の内閣におきましても、これは責任を持ってそれを実行していかなければならない、こう考えてできるだけのことを実行に移したわけでございます。  それから私は、新たにASEANの諸国が自立、自助の精神を持っていま国づくりに取り組んでおります。そういう中で、一番大事なことは農林業の振興、農村の建設。人口はどんどんふえていっている。食糧問題に中長期的に見て非常に心配な面がある。そういう面から、日本としてこのASEAN五カ国の考え方に私も共鳴をいたしまして、できるだけの御協力を申し上げよう。それから中小企業の振興の問題、これもいずれも真剣に取り組んでおる問題でございます。こういう面につきましても、技術協力あるいは技術の移転、あるいはそういう面からいっての人づくり、そういう面について日本としてできるだけの協力ができるのではないかと。またエネルギーの開発促進の問題、またエネルギーのない国々におきましては代替エネルギーの開発の問題に取り組んでおります。こういう共通の重要な問題については、日本としてこれまたできるだけの協力をすると、こういうお約束をしてまいりました。こういう点は日本がASEAN五カ国と力を合わせればできることでございますから、こういう点は必ず実行してまいります。  それからその次の問題、いまのカンボジア問題、これは日本だけでできる問題ではございません。これはもう竹田さん百も承知の問題でございます。外務大臣からるるお話がございましたように、国際的に非常にむずかしい問題でございます。しかし、ASEANとともに考えASEANとともに行動しようと、努力しようという立場に立ちまして、日本としてはASEANの最大の政治問題でありますこの点につきましても、国連の非常任理事国にもなったことでございますから、事務総長その他にも働きかけ、国連等を舞台にしまして最大限の努力をしようと、こういうことでございます。
  41. 竹田四郎

    竹田四郎君 いままでの総理がASEANを訪問して、言うことは結構いいことを言って、かっこうのいいことは言ってきたんだけれども、とにかく実行というのが伴っていないというのが歴代の総理大臣のASEAN訪問の点数だとぼくは思う。そういう意味で、いまのあなたの発言は私よく心にとめておいて、今後ひとつそのときそのときにまた申し上げてみたいと思います。  十日の夕方、総理はマンスフィールド大使とお会いになったようでございますけれども、どういうお話でしたか。
  42. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) マンスフィールド大使が私をお訪ねになりましたのは、レーガン新政権においても再任をされたということに対するごあいさつが主たる目的でございました。その際に、世界情勢、それに関連しての防衛努力の問題、あるいは日米間の通商貿易の問題等につきまして意見の交換をしたと、こういうことでございます。
  43. 竹田四郎

    竹田四郎君 新聞の伝えるところだと、米国はポーランド問題などの厳しい状況の中で、日本及び欧州諸国により多くの防衛努力を求めていると、こういうふうに述べたというんですが、こういうことはなかったんですか。
  44. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) レーガン政権発足後におきまして、国務長官等の記者会見、国会での証言等から、新政府としてはそういうことを今後努力をしていくと、また各国にも協力を求めていくというお話の御披露がございました。
  45. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうすると、ポーランド問題との関連は余りなかったということですか、どうですか。
  46. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 国際情勢が厳しいという一つの例としてお話があったわけでございまして、ポーランド問題に対して、起こった場合にどうするとかこうするとか、そういう具体的な話はございません。
  47. 竹田四郎

    竹田四郎君 ポーランド問題との関連、まあそれだけじゃないようでありますけれども、日本に多くの防衛力の増強を求めたということになりますと、ポーランドと日本との関係というのはどうなるんですか。
  48. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) ポーランドと日本との関係ということでございますが、これはいわゆる防衛の関係では何も関係のないことでございます。直接はございません。いま総理がおっしゃったように、国際情勢が厳しいという中に例として挙げられたということを言われたのでございまして、外交的に防衛の関係、ポーランドの問題とどうだということを私は一回も聞いたことが防衛の関係ではございませんで、むしろポーランドの問題で私が直接アメリカ関係と話が出ましたのは、もしもポーランドに軍事介入があるというようなことがあれば、日本もひとつ西側の一員として種々経済的な問題を考えてほしいということがあったことは確かでございます。これはもう去年からあった……
  49. 竹田四郎

    竹田四郎君 種々何ですか。
  50. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) 経済上の問題がございますから、そういう問題はかねがね西側の一員として協力してもらいたいという意味の話が去年にすでにあったわけでございますが、これは日本としてはアフガニスタンに対する軍事介入の問題のときに、日本も自由主義を守る、民主主義を守る、世界の平和を守るということで多少の犠牲は払ってもということを前の亡くなった総理が国会で申し上げたことがございます。その後経済措置、新しい信用供与についてはケース・バイ・ケースでやるとかやったことがございますので、もしもそういう事態があれば、日本としては西側の一員として、やれることやれぬこといろいろあるが、これは日本として検討もし、協力できることは協力するが、日本がこれは独自にひとつ考えてその場合には臨むということを私は言ったことがございます。防衛の問題では何もありません。
  51. 竹田四郎

    竹田四郎君 総理に基本的にお伺いしたいんですけれども、レーガン政権というのは日本に対してどういう形で出てくるというふうにあなたは評価しているんですか。
  52. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 私は、まだ発足後間もないことでございますので、いまから一つの予断を持って、既成観念を持ってこれに接するというようなことは適当でないと、こう考えております。しかし、米国は何といっても自由陣営、西側陣営の最も有力な国でございます。また、日本といたしましても日米関係が日本外交の基軸に相なっております。また日本防衛の観点からいたしましても、日米安保体制というものが日本の安全保障の重要な柱になっておることは御承知のとおりでございます。したがいまして、この日米関係が今後とも一層友好協力関係が発展をし強化されるということが望ましいと、こう考えております。と同時に、レーガン政権は自由陣営の中でやはり一貫性と信頼性を持たれる政権としてやってほしいということを強く願っておるものでございます。
  53. 竹田四郎

    竹田四郎君 いまの御答弁の中で、レーガン政権は一貫性と信頼性を持ってやってほしいという意味がよくわからぬのですが、どういうことなんですか。
  54. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 私は一般論としてそのように考えておるわけでございます。さっき申し上げたように、自由陣営の中における最も有力な指導的立場に立っておる国でございますから、私は方針やなにがやはり自由陣営全体から信頼をされ、またその政策が一貫性を持って行われるということが望ましいということを申し上げたわけでございます。
  55. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうしますと、裏側から言いますと、レーガン政権はまだ、いままでの彼の候補から大統領に当選し就任して今日まで、必ずしも彼の言っていることは一貫性がないと、あっちへ飛んだりこっちへ飛んだりしている、また世界各国から、レーガン大統領に対する信頼性はまだそういうこともあるから余り確立していないと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  56. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 私は、先ほど申し上げたように、レーガン政権は発足間もないことでございますから、その世界各国の期待を持って登場したレーガン政権がそういうことであってほしいという一般的な希望を申し上げておったわけでございまして、発足後間もないのにああだこうだと言うような段階ではないわけでございます。
  57. 竹田四郎

    竹田四郎君 確かに、レーガン政権がどういう方向を向いて、どういう外交政策あるいはアメリカのグローバルな防衛政策というものが私確立しているとは思えません。まだいろいろであると思います。ある雑誌によれば、あの人に一つのことを求めるのは無理だ、あの人はもともと俳優なんだから、いろいろなことをやる人なんだから、レーガンという本人を見つけ出すのはいろいろな俳優の中から見つけ出さなくちゃならないんだから無理なんだと、こういう皮肉を言った評論もあるわけでありますけれども、まあそういう状態の中で、何か総理の訪米は四月上旬を目標にしてということでありますけれども、それまでにレーガンの方もグローバルな政策がはっきりし、日本のそれに対する対応策というものはっきりするんですか。
  58. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) 私からお答え申し上げます。  いま日程的に詰めておりますのは、これは国会中でございますから、国会の御承認がなければできないわけでございます。これが大前提でございますし、相手側の米国の首脳の都合もあるわけでございます。そういうまだわからぬ要素がございますので、はっきりはしていないということを前提にお聞き取り願いたいのでございますが、私は三月末に、できればいまの前提が満たされれば行きまして、総理が訪米されるときの問題点等よく詰めて、向こうの首脳と意見の交換をし、相互理解をまずやり、その上に予算が国会を通りました後に、向こうの都合がよければ総理に行っていただいて、レーガン大統領と会って意見の交換、相互理解を深めていただきたい、こういうふうに私は総理にお願いをしているところでございます。  その前にいろんな政策が決まるかどうかという問題でございますが、私は、相手のことでございますから、いつごろ新政策がはっきりするということはわからぬわけでございますが、私どもの希望としましては、そういうものがはっきりして動かぬという後よりも、まだその途中の段階で、日本考えも十分、日本はこういうふうに考えているということを言って相手方にも理解をしてもらう、また相手方の考えも聞くというようなことの方が望ましいんじゃないかと私は思いまして、総理に、実は予算が終わりましたら、できれば国会と相手の都合さえつけばお願いしたいということを申し上げているところでございます。
  59. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は特に、ほかの総理ならばそれでもいいと思うんですが、鈴木総理であるだけに、私はこちらの政策もぴしっとし、向こうの政策も見定めた上でやってもらう方がいいのではないか。あなたのことですから、だれかがこう言えば半分ぐらいそっちへ譲っちゃいますからね。そうなると、日本の確固たる政策がないままで行けば、やっぱりずるずるとそっちの方へ引っ張られる、こういう可能性があります。そういう意味で、私はあなたが早く訪米することには反対であります。なるべくあなたはゆっくり、その分をやるのは外務大臣が一生懸命やればいいのであって、総理が私はやらない方がいいと、こういうふうに思います。  それから、この間のマンスフィールド大使との御会見のときに、いままでのカーター政権時代のやり方というものは余りよくなかった、太鼓をたたいて日本防衛力を押しつけるというようなやり方はよくなかったと、こういうふうに述べられたそうですが、どうなんですか。
  60. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) カーター政権のあり方をどうとかこうとかいうことではなかったように私はお聞きしたわけでございます。防衛の問題一つとりましても、こういう問題は、各国がそれぞれ国際情勢その他を見ながら、またそれぞれの国の置かれておる状況から判断をして自主的に決める問題であって、それを公に声を大にしてそれを要求するとか要請するとかいうようなことは決して賢明なやり方ではないと、こういうことをおっしゃっておったことは事実でございます。
  61. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうしますと、今度のレーガン政権の場合には、舞台裏の裏交渉という形で防衛力の強化が要求されてくるという可能性が非常に私は心配なんですが、総理はこの点では国民のコンセンサスを得ながらこの問題はやっていくんだ、こういうお話で、それは私大賛成です。  そうすると、舞台裏で裏交渉ということになりますと、国民が知らない間にどんどん事態は進んでしまうと、こういう心配が非常にあるわけでありますけれども、あなたがそういう意味で国民に対してコンセンサスを得ながらやっていくということは、裏舞台の話であっても事防衛力の増強に関する話は表舞台ですると、こういうことですか。
  62. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) これは外交のことでございますから、アメリカだけでございません。いずれの国ともいろいろ話し合いを十分に尽くすと、表に出ぬでも十分意を尽くして双方の立場を話し合い、理解し合い、そして最終的には自主的に判断をしてやっていくと、こういうことになるわけでありますが、その判断が自主的に決まった場合におきましては、国民の皆さんの御理解、御協力を得ながらやってまいると、こういうことでございます。
  63. 竹田四郎

    竹田四郎君 あなたはこの席上で、やはり日本は対外経済協力以外のことはしないと、ほかには。こういうこともおっしゃっていますね。そういうことは今後、ポーランドの情勢とか中東の情勢とか、いろいろレーガン政権から言われてきておりますけれども、いかなる場合でもそういう意味では経済協力しかしないと、こういうことですか。
  64. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) これはもう申すまでもないことでございますが、日本には平和憲法というたてまえがございます。また専守防衛に徹するということもございます。また日米安保体制におきましても、日本が攻撃を受けた場合におきましてアメリカはこの条約に基づいて日本に対して協力をする、こういうことでございまして、アメリカが攻撃を受けた、あるいは他国が侵略を受けた場合に日本がこれに手を出す、介入するなどということはあり得ないことであるわけでございます。そういう点は、私どもはあくまで日本の置かれておる立場、日本憲法の精神、そういうものを堅持しまして対処していく、そして日本が国際の平和と繁栄に寄与できる道は何といっても持っておる経済力あるいは日本の技術、そういう経済協力とか技術協力とか、そういうようなことを通じて世界の平和と繁栄に寄与していこう、こういうことでございます。
  65. 竹田四郎

    竹田四郎君 まだ対米関係のこと、いろいろ聞きたいことはたくさんありますけれども、今度本予算の席でまたお聞きするということで、きょうはこの辺でとどめておきます。  それから、日、米、西独で何かプロジェクトの開発がされているSRCIIの計画、これが西独がその計画に対する出資ですか、これをやめたという話でありますし、米国の行政管理予算局のストックマン局長もこの計画の予算を切るということだそうなんですが、これは一体どういう状況になっているんですか。
  66. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) いま先生の御質問の点は、アメリカの予算局がそういうことを言ったということがございますが、国務省の方ではまだそういうことは決めてない、最後に決めてないわけでございまして、予算局とそういうことでなく復活するように折衝するということを国務省の方では言っているということを聞いていますので、アメリカの予算として最終的にそういうことが決まったということはまだないわけでございます。  それから、ドイツは二月四日の閣議で決めたわけでございますが、これはドイツとアメリカ、日本——日、米、独で相互に受諾可能な解決案を見出すべく日米両国と協議するというような、受諾可能な案をつくるように協議するということを二月四日の閣議で決めたということでございまして、日本としましては、これは代替エネルギーとして非常に重要なプロジェクトでございますので、従来どおりの方針でいけるように、アメリカにもドイツにも外交ルートを通して話をするというつもりでございます。
  67. 竹田四郎

    竹田四郎君 これは通商産業大臣だと思うんですが、天谷審議官が八日の日にアメリカへ行っていますね。この結果はどんな結果が入ってきているんですか。
  68. 田中六助

    国務大臣田中六助君) この問題は、基本的にはただいま伊東外務大臣が答えたところでございます。  今週の日曜ですか、天谷審議官が出かけまして、向こうの通商産業大臣に当たる人など、あるいはその下部組織、行政当局と会ってお話をしているようでございまして、まだ正式な天谷審議官の回答は来ておりませんけれども、これについての情報は、向こうでの正式の予算ではないということです。ちょうど私どもが大蔵省内で予算案を検討し、それがいろいろその後討議され、決定されると同じように、行政管理予算局の案でありまして、正式には採用されてないというふうに聞いております。天谷審議官ももう数日で帰ってまいりますので、その点の詳細なことはその後わかると思います。
  69. 竹田四郎

    竹田四郎君 おかしいじゃないですか。もうすでにここの用地は買ったというんですね。日本だって二十億円出しているんでしょう。だから、これからこの予算が初めてアメリカで決まるというもんじゃないでしょう。もう支出しているわけでしょう。
  70. 田中六助

    国務大臣田中六助君) いま御指摘のように、五十五年度では七十数億のうち二十億出しておるわけです。新しい来年度予算、つまりいま審議していただいておる予算は百五十億円計上しておりまして、日本側はあくまでこれを貫くという方針には変わりないわけでございます。
  71. 竹田四郎

    竹田四郎君 アメリカの予算でも出ているんでしょう。
  72. 田中六助

    国務大臣田中六助君) 先ほどから申し上げておりますように、アメリカの行政管理予算局、そこが……
  73. 竹田四郎

    竹田四郎君 ことしのことで、新しいことで、去年の分はもう出ているんでしょう、土地買っているんだもの。
  74. 田中六助

    国務大臣田中六助君) アメリカも日本も西ドイツも、それは全部昨年度分は出ておるわけでございます。
  75. 竹田四郎

    竹田四郎君 もしこれが開発が中止になった場合に、日本の代替エネルギー計画というのはどうなんですか、関係ないんですか。
  76. 田中六助

    国務大臣田中六助君) SRClとそれからEDSという二つのプロジェクトがございまして、私どもの総合エネルギー計画の中にはもちろん入っております。
  77. 竹田四郎

    竹田四郎君 これが中止になった場合に支障を来すのか、来さないのかということを聞いているんですよ。
  78. 田中六助

    国務大臣田中六助君) もちろん計画をやっておりますので、アメリカがギブアップするようなことがあると支障を来しますので、私どもはあくまでこれの推進あるいはアグリーメントがすでにでき上がって発足しておりますので、そういう点はアメリカあるいは西ドイツ、これらはみんな先進国でございまして、でき上がっている協定を破るというようなことについては、強い抗議をしなければならないというふうに考えております。
  79. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は、恐らくこれは、カーター大統領とガルフ石油とのそうした個人的な関係からこれが出てきた。それをまあ日本と西独と三国の国際協定に去年ですか、なったわけですけれども、レーガン政権の方向として、私はこれは恐らく切られてしまう可能性が大いにある、そういうふうに見なけりゃならぬだろうと、こういうふうに思いますが、どうですか。そういうことはないですか、絶対に。
  80. 田中六助

    国務大臣田中六助君) 私どもはただいま申し上げますように、すでに三国で協定をし調印をした後のことでございますし、そういうことのないように、あるいはないというふうに考えております。
  81. 竹田四郎

    竹田四郎君 大蔵大臣に伺いますけれども、もしこれがだめになった、早期にだめになったということになれば、五十五年度には七十四億円組んで、いま五十四億円残っているわけですね。五十六年度には百五十億円が組んでありますね。これは修正する——まあ少なくとも五十六年度の予算は修正をしなきゃならぬと思いますが、どうなんですか。
  82. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) ただいま通産大臣からお答えのように、だめになったということがいまありません。したがって、そういうことがないものですから、われわれとしては修正することは目下考えておりません。
  83. 竹田四郎

    竹田四郎君 もしそれがだめになったときにはどうしますか、早期に。そのときのことを聞いているのです。
  84. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) それは仮定の話でございまして、仮定の話に全部お答えをするのもいかがなものかと、答弁を差し控えさしていただきます。
  85. 竹田四郎

    竹田四郎君 大蔵大臣補正予算関係のことを若干お聞きしたいと思いますが、今度も給与改善費を組んでいるわけですけれども、ことしの当初予算では給与改善費のアップ分というのは一体どれだけ組んでおりましたか。
  86. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 五十六年の当初予算ですか。
  87. 竹田四郎

    竹田四郎君 五十五年です。
  88. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 二%、当初計上しました。
  89. 竹田四郎

    竹田四郎君 五十六年はいかがですか。
  90. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 一%であります。
  91. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は予算というのは、予想されるものはもう当初予算に組むべきである。それを二%とか一%とかという数字はどうして出たんですか。
  92. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 御承知のとおり、給与改善費はかつては五%組んだこともあります。だんだん下がってきて、今回は一%ということであります。もともと国家公務員の給与を幾らにベースアップするかということは、もう説明するまでもなくて、人事院勧告が出されて、政府はここかなりの間それを尊重するという態度でやってきたわけでありますから、最終的には人事院勧告が出なければわからないというのが実際でございます。しかしながら、いろいろ議論がございまして、最初からかなりのものを組むということはいかがなものかという議論も実はあったんです。しかしながら、われわれは人事院勧告制度というものがある以上、やはりそれは尊重するというたてまえでやってきておりますので、これを全然組まないということもいろんな不安を与えるんじゃないかというようなこともありまして、非常に厳しい財政事情でございますが、ともかく一%を、財源的に見て今回は組めるということで一%を計上した。諸般の事象を考慮して計上したということでありまして、どういう根拠でどうでこうでと、細かい法的根拠があるわけでも何でもないのであります。ただ、一%を計上したという事実だけであります。
  93. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうしますと、ことしの政府の見通しですと、一年間の消費者物価の値上がりは五・五を考えているということでございますね。当然、そういう政府の経済見通しからいけば、一%組んだというのは五十六年度予算について補正予算をすでに考えている、こういうことですな。
  94. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) われわれは別に補正予算考えているというわけではないんです。ともかく五十五年度では補正で今回も給与改善というものが計上してあるわけでございますが、必ずしも補正でばかり計上するという問題でもなくて、既定経費の削減という場合もございましょうし、それはその幅によるわけであって、その幅は幾らに出るかはわからないというのが実情でございます。したがって、補正を考えているということもいま申し上げるわけにはまいりません。
  95. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は、恐らく予算をいかに小さく見せて、増税をしないとこんなにひどい目になるぞと。また、現実にことしの春の春闘でなるべく賃上げを低く抑えるというふうな誘導をする、こういう意図があると思うのですが、私はこういうやり方というのは、むしろ要るものははっきりと要るように計上をして、節約するものは節約をする、行財政改革をするべきものは行財政改革をする、こういうふうにすべきじゃないですか。
  96. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 予算につきまして、春闘のことまで考えて予算を小さくする、そこまで私は気は回らないんです、実際は。われわれは、ただともかく財政再建をしていくという点において、極力予算を圧縮していくということに意を用いたことは事実でございまして、御承知のとおり、一般歳出においては四・五%というような、切り方が足らぬの何のといろいろ御批判はありますけれども、しかし二十五年ぶりの圧縮をやったわけですから、その結果これはもう抑え切れないような地方交付税とかあるいは公債費とか、そういうようなものが上に加算になった結果九・九%になったということでございます。
  97. 竹田四郎

    竹田四郎君 大蔵大臣、大蔵省の主税局から出している税収の見積もりというのがありますね。これには、この後半の方に、一人当たりの収入がどのくらいで課税額がどのくらいでというような細かい数字が挙げられていますね。給与所得の中で源泉課税を払われている人間がどのくらいいてどのくらい税金を取られているかと、こういうふうな数字があるわけでありますが、これで物価との関係で、要するに手取りになったらどのぐらい目減りをこの一年でしているか計算をされたことがありますか。
  98. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 数字的な問題は主税局長から答弁をいたさせます。
  99. 高橋元

    政府委員(高橋元君) ちょっと御質問の御趣旨を取り違えておるかもしれませんが、五十五年度における一人当たり給与所得の伸びと、それから全体としての雇用の伸びとを掛け合わせましたものがそこの税収見積もりの中に入っておるわけでございます。それに対応いたしまして、所得収入階層別の分布をおよそ推定をいたしまして、納税人員を推定をいたしております。五十五年度の当初予算に計上いたしました納税人員に対して単価を推定しておるわけですが、単価については、実績見込みではほとんど変わりはありません。そこで、伸びておりますのは課税人員でございまして、課税人員が約四十五万人……
  100. 竹田四郎

    竹田四郎君 そういうことを聞いておるのじゃないんです。
  101. 高橋元

    政府委員(高橋元君) そういうことが伸びておるわけでございます。したがって……
  102. 竹田四郎

    竹田四郎君 そういうことを聞いているんじゃないんです。
  103. 高橋元

    政府委員(高橋元君) いま仰せのお話は……
  104. 竹田四郎

    竹田四郎君 そういうことを聞いているんじゃないんですよ。
  105. 高橋元

    政府委員(高橋元君) はい。
  106. 竹田四郎

    竹田四郎君 そういうことを聞いているんじゃないんです。答えが違うんですよ。
  107. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 仮に一人当たりの賃金が上がった場合に、幾ら源泉徴収税額がふえておるかという御趣旨の御質問かと思いますが……
  108. 竹田四郎

    竹田四郎君 違うんですよ。
  109. 高橋元

    政府委員(高橋元君) そういう計算であれば、いま至急お答えをいたします。
  110. 竹田四郎

    竹田四郎君 違うんです。聞いていないんです。  大蔵大臣、この間、これは労働省かどこかだと思いましたけれども、労働者の一年間の収入に対して、物価が上がって目減りが、マイナス〇・九あるということが発表になったでしょう。あれは労働省ですか、その発表があったのは。だから、去年に比べて五十五年は給与が実際それだけ目減りになったと、こういうことが出ておりました。これは税込みの話なんですよ、税込みの話。それから所得税を抜いて、住民税を抜いて、社会保険料を抜いて、自分のふところへ入るやつですね、ふところへ入るやつ。これはどのくらい目減りになっているかということを聞いているんです。
  111. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 実質の……
  112. 竹田四郎

    竹田四郎君 そう、実質どのくらい目減りになっておるか。
  113. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 五十四対五十五の数字はいま持ち合わせておりませんが、五十五と五十六で申し上げますと、給与収入が、経済見通しに従いますと、一人当たり雇用者所得の伸びが七・五でございます。七・五%伸びる、そういう前提で計算をいたします。そういたしますと、年収三百万円の、夫婦子二人の給与所得者が三百二十二万五千円という年収を五十六年に得られることになります。その場合の所得税、住民税合計が、五十五年度には十万九千六百七十円でございまして、五十六年度にはそれに当たる数字が十四万百六十円になります。手取りは二百八十九万三百三十円が五十五年でございますから、五十六年には三百八万四千八百四十円となりまして六・七%の増となります。これは経済見通しによる消費者物価の上昇五・五%を上回っておる、こういう計算でございます。
  114. 竹田四郎

    竹田四郎君 私はそういうことを聞いているんじゃないのですよ。主税局長は一体何を考えているのですか。そんなこと全然聞いていない。だめですよ、そんなの。そんな回答は。——では、わからないようですから、私の方で申し上げます。この中にある資料から私は計算したんですよ、大蔵省で出している資料から。五十四年度の一人当たり給与所得の源泉の給与額、これは三百七万、五十五年度が三百二十五万になっている。一人当たりの所得税、これもこの資料にある。十六万五千円、五十五年度が十八万四千円。住民税、これは自治省で出してもらいましたけれども、九万三千円の十万一千円。社会保障費、これは若干のあれがあるかもしれませんが、五十四年度が二十万、それから五十五年度が二十三万。可処分の所得は、五十四年度は二百六十一万二千円。五十五年度は二百七十三万五千円。これと物価の上昇率を考えてみますと、八%。去年の物価上昇で見ますと、実に実質可処分所得の目減りは三・一%です。  それから、企画庁が言っていたのか中山総務長官が言っていたのか、年度間七・七%という計算ですると、二・八%の目減りがしているのです。大変な目減りなんです。こういうことを大蔵大臣知っていますか。こんなに目減りしているのですよ。源泉所得税を取られている平均的な人。
  115. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 五十四対五十五で見ますと、数字は私細かくわかりませんが、物価の上昇があって、その分だけ目減りがするということは事実だろうと思います。結局、所得のアップ率と物価の問題ですから、その分だけ目減りは多少したということは私は事実だろうと思います。
  116. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあ大蔵大臣聞いてください。物価だけで計算しますと、税金を入れないと二・四%ぐらいですよ、物価だけですと。税金を入れるから三・一%になったり二%が二・八%になるんです。それは物価調整減税をしないからこういう大きな数字になっちゃうんです。いかに調整減税をしないためにこういう人たちが税金のために可処分所得が減っているかということをわかってほしいのですが、どうなんですか。
  117. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) それはよくわかっております。御承知のとおり、この狂乱物価の問題で、諸外国におきましても、問題は石油ですから、石油の急激な値上がりということで物価が非常に高騰している。日本は七%台と言っておりますが、アメリカでは一三%前後ですね。イギリスも大体同じ。イタリアが一九から二〇、ブラジルになると一〇〇%というようなことで、日本だけじゃなくて世界じゅうがそういうような状態になっております。その中で、物価以上に賃金の伸び率が追い越したという国は、私は寡聞にして知らない。この問題は非常にこれはむずかしい問題でございまして、日本だけが非常に何かへまをやっておって、そういうふうに物価を上げちゃったんだということじゃないわけなんです。世界的な一つのある意味では大変な問題でございます。そういうようなことを比べてみまして、日本は世界の非産油先進国と比較をすればまずまずいいところにいっているというようなこともあります。  竹田さんの言いたいことは、ともかくそういうふうに目減りしているんだから物価調整減税をやれというのが結論だと私は思うんですね。私もできることならやりたいという気持ちもあるんですよ。あるんですけども、また、日本は過去数年間非常に先がけて課税最低限の引き上げということを大きくやってまいりました。したがって、その課税最低限というものが先進諸国と比べてもう落ち込んじゃっているという状態でもないし、一方、非常に財政事情が厳しいという状況のもとですから、諸般の事情を外国の例などとも比較をいたしまして、諸般の事情を比べて、本年はひとつ物価調整減税については御容赦を願いたいということを言ってきておるわけでございます。
  118. 竹田四郎

    竹田四郎君 私はそんなことを聞いているわけじゃなくて、ほかの外国のことだってよくわかっておるんです。そんなこと聞いているわけじゃない。五十六年度の景気状況というのを考えてみますと、五・三%の成長の中で三%は内需に期待しているということですね、これは河本大臣、内需に期待しているのが多いとすれば、そのうちで考えられる問題というのは個人消費と民間の設備投資ぐらいしかないわけです。住宅もだめ、政府の方の公共事業もだめ、政府の財政支出もだめ。それなのにここだけこういう形にしておけば——それで、あなたたち二人は公定歩合のことについても意見が違っているわけでしょう、率直に言いまして。そういう中で、一体景気が上がってくるわけないじゃないですか、こういうことばっかりやっていたら。公定歩合を下げたって、大蔵省が国債をたくさん発行しているから長期金利は下がらないじゃないですか。片一方じゃ中小企業ばたばたいっているじゃないですか。デパートだってスーパーだって物が売れないで困っているじゃないですか。そういうのにあなたは、ただそんな外国のことを得々と言って、日本の国の経済や財政のことは余り考えてないと、こう言わざるを得ないんです。  今度のこの補正予算でも、七千三百四十億という自然増収をあなたの方は計上している。しかし、いままでの状況から見ますと、減税はやってないんですから、税収の補正をやっても、私はもっと税収あると思う。いままでは大体、ことしに入って二割程度ずつぐらいはふえているんです。そういたしますと、所得税で約千百六十億ぐらい余分に出てくるでしょう、補正以上に。法人税で千八百六十五億ぐらい出てくるでしょう。三千億ですよ。三千億減税に回したらどうですか。ほかの方いじらなくたっていいわけです。
  119. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) この自然増収の追加の問題については、これは非常にむずかしい問題なんですが、五十五年度の補正予算は最近の時点までの税収実績を基礎にいたしまして、そして、五十五年度の改定の経済見通しの経済指標、これを用いています。もう一つは、大法人に対するいろんな聞き取り調査等を勘案をいたしまして実は見積もったものだと。だから、今回七千三百四十億円の補正増を計上いたしましたのは、その見積もりの土台になっておる五十四年度の税収見込みというものを三千三百三十五億円上回ったことに加えまして五十五年度春の預金金利の引き上げ、去年の春預金金利を上げましてから、当然それによる利子の源泉所得税というようなものが大幅にふえてきている。それからもう一つは、雇用者所得の増大というものが土台になって計算をしておるわけでございます。  なお、さらに細かい数字の問題については主税局長をして答弁させます。
  120. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 大きな要因で税目別に御説明しますと、先ほど申し上げておりました雇用者数の増によります分、これによります給与所得税の増加が約千五百三十億円ぐらいございます。そのほかに、還付が減少しておりますので、源泉所得税の給与分が全体として千九百七十億ふえております。それから利子が三月、四月に二回にわたって約二割以上の引き上げがありましたので、利子の源泉所得税が二千三百六十億円上回りました。これは当初予算に織り込み得なかった三月、四月の利上げによる分でございます。そのほかの源泉所得税については収支とんとんでございます。実績と当初予算とはとんとんでございます。  それから申告所得税は、五十四年にもやはり土地の譲渡所得税がかなり、千億以上の増加をしておりましたので、五十五年度につきましても、土地を中心としまして譲渡所得税、その他所得の増を見まして二千五百二十億円、これは上回ることにしております。  法人税は、これはほとんど収益率が若干低下いたします見込みでございます等の事情がありますので実勢としては変わっておらないわけですが、五十四年度の土台が千五百億円上回りましたほかに、五十四年度末の税収が千億円ことしにずれ込んできたわけでございます。合わせまして二千五百億円の増加と、こういうことで、そのほか間接諸税は全体として二千億円の減収を見込んでおるわけでございます。  大変だらだらと申し上げましたが、まとめて申しますと、金利上昇による利子の増加が約二千三百六十億円と、それから土地の譲渡が思ったよりも好調である、一千百億円と、法人の延納によるずれ込み分千億円と、足しました四千五、六百億円というものが一時的な要因でございます。雇用の増による源泉所得税の増加と、法人の収益が五十四年に上回った千五百億円足しました約三千億円、これは五十五年度の実績にも出てまいりますし、五十六年にこれが反映されて、五十六年度の税収見積もりに織り込んであるわけでございます。  もう一言申し上げさしていただきますと、五十五年度の補正をつくりましたのは昨年の十一月でございます。その段階で、九月決算までおおむねわかっておりました。その段階で、補正後予算に対して前年度五〇・二%ぐらいの税収が入っておりましたので——七千三百四十億円の税収を追加いたしまして大体五〇・二%になる、補正後予算に対しまして十一月の実質税収が。そういうつもりで補正の全体のチェックをしたわけでございますが、その後、十二月、一月と税収は大体前年を一〇%または九%台しか上回っておりません。現在のところ一月末まだはっきりわかっておりませんけれども、かなり補正後予算に対する進捗率は前年を下回ってきております。  そういうことで、いま仰せのように、これからまだ全体の税収の三割が入ってくるわけでございますから、まだ確定的なことは申しませんけれども、先ほど仰せのありましたような大きな増収が補正後今年度生ずるというふうには私どもはとうてい考えられないというふうに思っております。
  121. 竹田四郎

    竹田四郎君 それは、やっぱり最終的に入ってこなけりゃ多いか少ないかわかりませんからね、いいですが、私は、いままでの政府のこういう計上の仕方から見て、まあ二千億から三千億くらいは必ず出てくるという確信を持っております。特に最近は、大蔵省の癖は、なるべく少なく税収は見積もって、増税キャンペーンの材料にしようという意図が、もうここ毎年明らかだと思います。そういうことがずっとあるわけでありますから、それは最後に、来年の勝負になるわけでありますけれども、私は必ず二、三千億はふえてくるというふうに確信をしております。  それから、政府でことしから「五十五年度補正予算の租税及び印紙収入見積概要」というような資料を出していますが、これは全然わからないですね、読んで。たとえばこれを五十五年の当初と比べて、いま九%が一〇%になったというのは説明があったんですが、一体それでは、申告のところでこれどういうふうにふえているんですか。営業、農業、その他事業、その他合計というのが、申告所得のところにはこういう数字を出しているわけでしょう。これに基づいて計算しているんでしょう。補正になったらこれがどういうふうに直っていくんですか。
  122. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 補正予算の税収見積もりの資料につきましては、さらに御趣旨もございますので詳細なものを今後提出するように勉強さしていただきたいと存じますが、そこに記載されておりません営業所得につきましては、当初一〇%の伸びを一三%というふうに見込みました。農業につきましては作況指数が八七と下がりましたので、当初の伸び前年同額をマイナス八%と見込みました。それから、主として自由業でありますその他の事業につきましては八%伸びを一二%伸びと見込んだわけでございます。それから土地につきましては、先ほど千百億円ぐらい増加したと申し上げましたが、土地を除きますその他の所得と申しますと、主として二カ所以上からもらっておる給与とか原稿料一講演料のたぐいでございますが、そういうものにつきましては八%伸びを九%伸びというふうに見込んだわけでございます。その結果、税収の増加額を申し上げますと、営業、農業、庶業を通じまして四百九十億の増、それからその他所得で八百五十億の増、土地の譲渡で千百億円の増でございます。
  123. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は資料をもらってわかりますが、こういうので大蔵大臣見たってわからぬでしょう。なぜ、たとえば法人のが一一二%程度と、こう書いてある。何で一一二%程度なんという、資料ないんでしょう、これ。あなたわかりますか。いま若干説明があったからわかるかもしれませんけれども。こういう資料をわれわれによこして、これでこの税収がこれ以上ありませんとか、過小見積もりだとか過大見積もりだとか言うことができますか。ここによこしたこの資料だって、鉛筆なめなめつくっている数字じゃないですか。ちゃんとした計算様式がありますか。こういう、さっき言ったようなマイナス八になったり一三になったり、一二なったり九になる確固たる資料ありますか。鉛筆なめなめでしょう。そうじゃないですか。
  124. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 計算の過程を資料に記載いたしませんでした点は今後改善をいたしますが、いま御指摘のありました法人税でございますけれども、法人税の算出の基礎は、これは当初予算にも書いてございますように、生産と物価を掛け合わせましてそれに経常利益率の変化率を掛けるわけでございます。当初予算で見ておりました生産、物価の相乗が二八でございますが、補正後予算では物価が上がりました関係で相乗が一二三となります。つまり二三%売り上げが伸びるはずである。しかしながら、経常利益率が五十四年の実績に比べて当初予算では五%下がると見ておりましたのが、三月決算がわれわれのやっております大法人調査でも九月を下回ります等の事情がありますので、九%減と見込みましたので、したがって全体としての法人税の新年税額の伸びは一二%伸びということは変わらないわけでございます。つまり、一一八に九五を掛けましたのが一一二でございますし、一二三に九一を掛けて一一二になると、こういうことで、もっぱら法人税の増収は、先ほど申し上げましたように、五十四年度の年度末のずれ込み分というものからできておるわけでございます。  申告所得税につきましても、営業、農業、庶業その他と、それぞれ納税人員を詳細に見積もっております。それに基づきまして先ほど申し上げましたような一三%とか九%とか、そういう数字を出すもとになります総所得金額を推計をいたしております。一例を営業所得にとって申し上げますならば、二百六万人が二百二十三万人にふえて、その所得が四兆七千三百億から五兆百億にふえるというような計算を細かく積み上げてやっておるわけでございます。それに適用されます控除を一々計算をいたしまして、これは所得階層が動くと控除額も動くわけでございます。全部計算をいたしまして差し引きました金額が、先ほど申し上げましたように百七十億円の増加になっておる。これはすべての申告所得税について同じような計算をいたしておるわけでございます。
  125. 竹田四郎

    竹田四郎君 大蔵大臣ね、ここでべらべらべらっと言われても、率直に言ってあなたはおわかりになりましたか、わからぬだろうと思うんですよね。あなたですらわからぬのですから、私にわかるはずがない。そうでしょう。こういうのはもっとはっきりした資料を出してくださいよ。これから税金取ろうというんでしょう。増税もしましょうと言っているんでしょう。納得できるような数値を出してくれなければ払う方はかなわぬですよ。出してくれますか、もっとはっきりしたわかる計算方式から、それからこのいま営業が幾らだとか農業が幾らだとかその他が幾らだとかという数値がこれにはないんですよね、これにはないんですよ。そういうものを出してくれますか。
  126. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 実際のところ、細かい話をだんだん聞けば聞くほどわからなくなってしまうというのもそれは実際なんです。私といたしましてもその方の専門家じゃございませんし、膨大な組織で、みんないままでの統計を持っておって、そこでいろいろ積み上げて計算をしてくるわけですから、私といたしましてはそれを反論する材料を持っていないです。常識的に考えて大体そうだろうなということで、私は税の見積もり等について特別にひどいとは思っていない、大体そんなことかなという考えなんです。これなどもしかし、いろいろそういう計算をしてみてもちょいちょい狂いが出るわけですよ、それは。二%とか三%とか、税目によってはもっと大きな狂いも出てくるのがあります、プラス、マイナス両方に。景気の動向その他によって違うわけですから。ですから、この見積もりというものは、経済の見通しもぴしっとなかなかうまく、自由主義体制——社会主義だってうまくいかないわけですから、自由主義体制でもなかなかうまくいかない。日本の場合は大体いいところ、当たっている方じゃないでしょうかね、これ、実際の話が。ですから、そういう資料について、どこまでの資料を出すかということも問題でございますけれども、できる限り、大体おおよそこうだということがわかるようなもう少し親切な資料を出したらいいじゃないか。予算書あるいは何と言うんですか、予算説明書ですか、財政法何条とかによる説明書というのがあるんですが、あれなども去年とことしと比べて見てください。それは去年から見たらかなり親切なものが、読みやすくつくってあります。全部一遍にできませんが、極力御趣旨に沿って、もっと親切でわかりいいものを今後とも出すように努力をしてまいります。
  127. 竹田四郎

    竹田四郎君 わかりいいようなものを出してくれるそうですから安心しているわけでありますが、その次に電電公社の納付金の問題をお伺いをしたいと思うんですが、四年間にわたって千二百億ずつ電電公社の利益ですか、これを大蔵省が召し上げるそうであります。私どもは、党の決定としてはそれには反対でありますけれども、どうしても召し上げるということであるなら、何で国だけで取るんですか。何で国だけで四千八百億を取るんですか。大蔵大臣承知だと思いますが、一般の会社やわれわれは、まるっきり固定資産税を市町村に納めているわけです。ところが、国鉄とか電電公社は半分しか納めていませんね。国で取るならば電電公社も民間と同じように、約五百億ぐらいになるでしょう、これを何で市町村に与えないんですか。国だけが赤字財政じゃないんです。地方だって大変な赤字なんです。大蔵省だけそれを取るというのは、これはひとりで取ってしまうというので、ひど過ぎませんか。これは自治大臣にもお聞きしたいと思うんですがね。当然私は、国へ納める金があれば地方にも満配してやったらいいじゃないかと思うんですが、どうですか。
  128. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) そういう考え方もあろうかと思います。しかし国家財政が、地方財政と比べまして、国債依存度もこちらはいままでは三三・五%というような状態、地方の方は十数%でございます。そういうような事情等も勘案いたしまして、国の方が非常に地方よりも全体的に見るというと苦しい状態にありますから、ともかく電電公社の問題につきましては、いろいろ御議論はあるでしょうが、今回は国の方だけの納付ということにさしていただいたわけでございます。
  129. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) お答えをいたします。  固定資産税については二分の一特例をやっているのは御承知のとおりでございます。そこで、今回の剰余金の納付金制度に関連いたしまして、やはり地方のこの特例措置についても再検討すべきじゃないかという議論が相当自治体から出たことも御承知のとおりだと思います。ただ、国の制度が暫定的な制度に変わってまいりましたので、しかしながら、状況から見ますと検討する必要があるんじゃないかと、こう思っております。十八次の地方制度調査会におきましても税財政のあり方についての答申を受けております。その中にはやっぱりこの問題を取り上げておるわけです。私どもといたしましては、やはり公社の公共的な性格と行政サービスの関係、それから公社の公的な負担のあり方というような問題をひとつ取りまとめまして検討いたしてみたいと、こう考えておるところでございます。
  130. 竹田四郎

    竹田四郎君 これは総理どういうふうに思いますか、いまの問題は。
  131. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 御承知のように、財政が大変厳しい、そういう中で極力歳出の洗い直しもやりました。しかし、一方においてどうしても財源が足らない、法人税その他の増税もお願いをせにゃいかぬと、こういうような事情からいたしまして、まず特殊法人等で余裕のあるところから政府部内として極力徴収できるものは納付せしむるというようなことをいたしましてやっておるわけでございます。この点を御理解を賜りたいと、こう思います。
  132. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は、電電公社も一人前になったら、やっぱり民間の一人前の会社と同じように市町村に対してはいろんな形で関係があるんですから、これはやるようにひとつ検討していただきたいと思います。  その次に、文部大臣に私立医大の入学寄付金の問題をお聞きしたいと思うんですが、北里大学等についてお調べになったと思うんですけれども、どういうことであったのか、ひとつお聞かせをいただきたい。
  133. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 私立医大の経営につきましては、経営が非常に苦しいということはよく御了承いただけると存じますが、それにつきまして不正不当なことが断じてあっては申しわけない次第でありまして、なお北里大学のことにつきましては、関係者を招致いたしまして担当官が詳細に報告を受け、目下調査中でございますので、担当局長からお答えをいたします。
  134. 吉田壽雄

    政府委員(吉田壽雄君) お答え申し上げます。  ただいま大臣から御答弁申し上げましたが、目下北里大学から詳細に事情を調査中でございます。現時点におきまして明らかになっているところを申し上げますと、北里大学におきましては、正規の学校法人会計とは別個に、入学者父兄名義の預金の形をとりまして別途会計を行っていることが明らかになりました。金額は総計三十二億五千万円余りでございます。学校法人会計基準に違反していることは明らかでございまして、この点につきましては、私ども十分その責任を追及してまいる考えを持っているところでございます。  この別途会計をなぜ三十二億もしたかということを現時点で大学当局が申し立てておりますところによりますと、第二病院、新しい病院を建設するための資金を蓄える必要があったということを申しているわけでございます。つまり、現在の附属病院だけでは十分な医学に関する教育、研究ができないということで、新しい病院をつくりたい、そのための資金が必要であったのでこういうようなものを募金したというふうに言っているところでございます。  学校法人側はこのように別途会計をいたしておりましたが、その後、私どもの指導あるいはまた世論のいろんな関係もあったと思いますが、つい先ごろ、父兄名義のこういう預金は全額返還すると言っているわけでございますが、しかし、返還するからといって大学側の、学校法人側の責任が免れるというものではございませんので、この点につきましては、私ども厳しく対処してまいりたいと、こういうふうに考えているところでございます。
  135. 竹田四郎

    竹田四郎君 文部省は、私立医大協議会ですか、その人たちと最近お話ししたそうでありますが、それはどういうことで、相手の対応はどうであったか。
  136. 吉田壽雄

    政府委員(吉田壽雄君) お答え申し上げます。  ついこの二月十日でございますが、私立医科大学協会の理事会が臨時に招集されました。そこに私ども文部省の担当官が参りまして、注意を喚起いたしたところでございます。その要点を申し上げますと、学校法人の会計経理は、先ほど申しましたように、文部省令で定めております学校法人会計基準に基づいて行われるべきものでございまして、別途会計は認められないということを強く指摘いたしまして、今後そのようなことのないように注意を喚起いたしたところでございます。  それから、先ほど申しましたように、こういう別途会計につきましては、仮に父兄にその分を返還したといたしましてもその責任は免れ得ない。またそれに関連いたしまして、経常費補助金、国の補助金の交付の面でも厳しく対処するということを私立医科大学協会の全員に申しておるわけでございます。  なお、大変重要な問題は、こういうような寄付金なりあるいは学校債の募集が入学に絡んだかどうかということでございます。これにつきましては、すでに文部省では昭和五十二年の通達によりまして、そういう寄付金なりあるいは学債の募集は一切入学に絡ませてはならない、仮にそういうものを募金する場合には入学手続完了後に行うべきであるということを強く指摘し、注意を喚起したところでございます。実際の北里大学等の場合におきましては、どうもその辺がきわめてあいまいでございまして、かなり入学者の父母に心理的な圧迫を与えた、結果的にそういうふうになったというところに大変大きな疑義を私ども持っておるわけでございまして、今後は入学手続完了後にそういう募集を行うようにということで強く指導したところでございます。  なお、この点につきましては、北里大学とまだ事実を詳細に調査中でございますので、いずれその結果が判明したところでさらに第二のいろんな措置を講じてまいりたいということで、ただいまいろいろと検討しているところでございます。
  137. 竹田四郎

    竹田四郎君 その五十二年九月の通達ですか、それで一千万円以上の金を集めちゃならぬと、こういうことを言ったわけですが、それが守られていなかった。もっと金がかかるんだと、こういうことで、学債あるいは寄付金にいたしましても、三千五百万円から四千万円ぐらい集めているところもあるということでありますけれども、なぜこういうことが起きるんですか。通達以上のことがされているということはどういうことなんですか。通達自体が、一千万円というもの自体が少な過ぎるということなんですか。こういうことをやって、それでも、実際に学校経営を非常に改革してもできないというんですかね。この一千万円という数字はどこから出たんですか、この根拠は。
  138. 吉田壽雄

    政府委員(吉田壽雄君) 現在、私立医科大学、文部省の通達どおりで学校経営が成り立つかどうかという御質問でございますが、私立医科大学の経常費は、各大学の沿革なりあるいは立地条件等によりまして一概には申せないいろんな状況がございますけれども、基本的には私ども学生納付金、つまり授業料とか入学料等、そういう学生納付金と、それから国庫補助金とその他の自主努力財源、つまり病院の事業収入とかあるいは金融機関から一時的に借り入れるとか、そういったような自主努力財源によって、この三者によって賄われるべきものであるというふうに考えておりまして、各大学におきましても、大体はそういうことで実際の運営を行っているというふうに理解しているわけでございます。  他方、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、第二病院を建設するとか、あるいは最新鋭の大型機器を導入する、そういうようなことになりますと、相当程度臨時的に財源を調達しなければなりません。そういうような関係で、ある程度寄付金なりあるいは学校債等に依存するということは避けられないと思っておりますけれども、問題はそういった寄付等を募集するに当たりまして、私どもは短期間にそれを調達すべきものではないということで指導をいたしているわけでございます。つまり、長期資金計画を立てまして、無理のない財源調達を行うように、各学校法人あるいは医科大学が慎重に検討を行いまして、できるだけ工夫をこらすということが望ましいわけでして、そのように各大学をただいま指導をしているところでございます。  いずれにいたしましても、私どもは学生納付金と国庫補助金と若干の自主努力財源、この三者をもって医学部の教育は大体賄われるものと考えております。問題は、医科大学というのは、大学設置基準によりまして附属病院を必ず持っていなければならないわけでして、その病院には大変金がかかる。ことに新しく病院をつくるということになれば、大体少なく見積もっても、土地を除きまして百五、六十億はかかるというふうに私ども見ておりますけれども、そういうような財源を、短期間に入学者の父母から集めるということにつきましては大変問題があるわけでございまして、なるべく綿密な長期資金計画のもとに、長年月をかけて各方面から寄付金等を募るというようなことは、これはあってもやむを得ないのではないかというふうに考えて、そういう趣旨でただいま各医科大学を指導しているところでございます。
  139. 竹田四郎

    竹田四郎君 一つは、文部省がそういう医科大学の設置のときの計画、資金計画、そういうものの調査がずさんであったということがあるんじゃないですか。金もないのに金を借りてつくらせる。したがって、後の借金利子の支払いに困るから弱い者から取る、こういうことが一つあったんじゃないでしょうか。  それから、もう一つは、こういうことが文部省でわからないはずはないと思うんですね。こういうものを毎年毎年一体どういうふうにしていたんですか。全く見過ごしていたと言ってもいいんじゃないですか。知っていながら知らないそぶりだったんじゃないですか。それが文部大臣の、経営者も大変苦労しているから気の毒だという発言につながっていくんじゃないですか。だから、もともと文部省の指導監督が悪かったんじゃないですか。適正な指導監督がされていないから、こういうことが行われたんじゃないですか。これが医療費に連なり、差額ベッドにつながっていくというこのからくりになっちゃう。こういう点で、私は医科大学をしかるのもいいけれども、文部省自体がもっと明確に自分自体をやっぱり自戒自粛する必要があると私は思うんです。  それから、いまちょうど私立医科大学も、恐らく入学試験をほかでもやっていると思うんです。北里大学だけじゃないと思うんです。まあ東海大学も順天堂大学も何もという形で毎日のように新聞に出てくるわけであります。こういうところでも恐らく大同小異だろうと私は思うんです。こういうものに対して、北里大学はことしは集めないということでありますけれども、これは文部省としてどういう方針でことしは臨むんですか。もう試験受けているんですからね、子供は。はっきり明確にしてやらないと、入学試験にも私は影響があると思うのです。その点をお聞かせをいただきたいと思うんです。
  140. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいま御指摘のごとく、今回のこういうふうな問題が出ましたことはまことに遺憾でございまして、深く監督の衝にある者といたしましておわびを申し上げる次第であります。  なお、私立医科大学の経営に多額の経費を要しますることは一応理解できまするが、創設時の債務償還を初めといたしまして、急激な施設の拡大への志向等の問題点がございます。なおまた、このために一時的に高額の寄付金等、学債等を入学生の父兄に過大な負担をさせる等のことはまことに好ましくない結果と相なっておりますが、しかも、このことが今回の行われようといたしております入学者の決定方法等に関連いたしまして、いやしくも疑惑を生ずる等の問題がないように特に厳重に監視してまいる次第でございますが、したがいまして、学校法人経営者は絶えず姿勢を正して、そして入試の公正の確保、入学時父兄負担の適正化につきましても真剣に取り組む必要がございます。  何と申しましても、文部省といたしましては、今回のこの事件を、禍を転じて福とするよう一層の指導を徹底し、また制度的に見ましてもいろいろな遺憾な点は改めてまいる所存でございます。
  141. 竹田四郎

    竹田四郎君 文部大臣、この次の参議院の普通の当初予算の開始までに、二十九ですか、私立医科大学の、こうした北里大学と同じような状況を調査して、ひとつ資料を出していただけませんか。
  142. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) でき得る限り御希望に沿えるように努力をいたします。
  143. 竹田四郎

    竹田四郎君 ことしは国際障害者年ですけれども、去年も私、この発泡インクによる目の見えない方の印刷問題というものをやりました。これは通産省も大変力を出して印刷機をつくったようでありますけれども、これが遊んでいるという状態で、厚生省のどこか所沢のリハビリで遊んでいるということですが、これは、ことし私の近くにいる青年がつくったドラえもんカレンダーというもので、これは二、三日前の新聞に出ておりましたね。さわると、こうここが飛び出ているわけですね。これはいま、もっぱらモニターによるところの手刷りでやって、こういうものができているわけですね。大変これは喜ばれている。地図にしても楽譜にしてもいいわけですね。こういうものを、私はただボランティアの活動だけに任せないで、厚生省が音頭を取ってこういうものをつくったらどうですか。そうすればこれを、せいぜい三百部か四百部ぐらいしか出していないんですが、もう全国からえらい反響がありました。これは新聞で御承知のとおりだと思うんです。こういうことをひとつ考えてもらえませんか。これ、総理、ちょっと見てくださいよ。(資料を手渡す)
  144. 園田直

    国務大臣(園田直君) ただいまの発言は、前々からしばしば発言されておるところでございます。これが現物でありまして、真ん中がでこの印刷で、それで上が点字、マーク、国際障害者年、下はテーマ「完全参加と平等」、こう言うといかにもあれですが、知らないくせに知ったかぶりをしているわけでありまして、私もいままで知らなかったわけであります。竹田さんからしかられて、そんなこと知らぬでどうするか、これ見ておけと、これも竹田さんからもらったものであります。こう読んだのも、実は後ろの方に小さく万年筆で書いているからすらすらと読めたわけであります。  問題は、発泡プラスチックのインクでありますが、これは、最初は発泡プラスチックというのは、御承知のとおりに品物が割れないように荷づくりに使ったものであります。そのころは、さわるとぽろぽろぽろぽろしておった。それがだんだん急速に進歩しまして、一年の間に弾力、それから強さなどだんだん変わってまいりまして、いまでは相当な形のものまでつくっているわけであります。同僚の諸君はこれは非常に複雑だと言いますが、正直に言うと、この発泡のインクと型さえあれば、素人でもこれはちょっとなれるとできるわけでありまして、あとは印刷にする技術の問題でございます。そこで、御承知のとおりに所沢において研究しておったわけでありますが、なかなかこれも欠点はあります。非常にさわりがいい、きれい、簡単にできる。しかし、発泡プラスチックでありますが、なおさわっているとぽろぽろっと、長く使っていると取れたり、場合によってはこれはべとつく。それからもう一つは、やっぱり亜鉛版の点字になれた、亜鉛版のでこぼこ印刷になれた目の見えない人は、どうもそれに合ってこれになじまないと、こう言うんですが、それは目の見えない人よりも、これを採用してどんどん変えていこうというお役所の同僚の諸君がなじまないということもあるわけでありまして、これは特徴は非常にたくさん簡単にできる、こういうことであります。特にいまのドラえもんカレンダー、それから絵本等つくられて、子供が泣きながら手紙を書いてよこしている、こういうこともあります。  したがいまして、ほぼこれは実用の域に達した、こう思いますから、所沢から中央に直して、これを展示をしたり利用者の方に配ったりして、なじんでもらいながら、同僚の諸君が、私の知ったところでは、これはもう発泡プラスチックの性能が変わっているわけでありますから、早急にこれは完全のものができると思いますから、これを実用に使う方に検討し、かつまた、ボランティアの問題がありましたが、こういう社会で運動してくださる方の創意や工夫も大変でありまして、こういう方がおられだからこそ、これに対する価値がわかってきたわけでありますから、これはとめないで、できればこういう方へも少しぐらいは補助金というか研究費ぐらい出しながら、将来ともこういう新しいものを見つけてくださるように、そしてこれがいいということになればこれを使うことに検討したい、こういうつもりでおります。
  145. 竹田四郎

    竹田四郎君 厚生大臣の前向きな姿勢、評価をいたします。もちろん、まだ十分だとは私も思いません。研究をしていかなくちゃならぬと思います。それができれば、とにかく音符なんかは全くいいものでありますし、またいろんな地図等もこれ利用できるわけでありますから、ぜひひとつ前向きな姿勢で取り組んでいただきたいというふうに思います。  去る昭和五十二年の九月二十七日の昼に、私の住んでいる近くの横浜市緑区荏田で米軍のジェット機が落ちて、二人の子供が死んで、そして七名の人たちがそのために大きな負傷をして、そしていまなおまだ完全に歩くことができないという状態は御承知のとおりだろうと思いますが、これについては、乗っていた大尉、中尉と地上整備していた航空兵、これが被疑者に一応なっていましたけれども、昨年の十二月二十六日、これが不起訴になったことはもう御承知のとおりでありますが、その間、神奈川県警はこの事故調査委員会に入りまして、この事故の追及をしたわけでありますけれども、このファントムの六一一号機というのは、二回にわたって米本土でこれが整備をされている。時と所というものは大体わかっているそうでありますけれども、だれがその整備をしたか、これがはっきりしないということで、神奈川県警は警察庁、外務省を通じて米側に数回にわたって照会をしたけれども、いずれも不十分な回答ということでありますけれども、もうこの問題は不起訴処分になっているわけでありますから、そうした往復文書というものを示す、公表するということが私は適当だろうと思います。日米のイコール・パートナーシップとか、先ほども日米関係は非常に重要だと言うならば、私は、後で明らかになったわけでありますから、そうすることによりまして、けがをした人、あるいは焼かれた人、あるいは亡くなった方、こういう人に対して当然その間の事情というものを明確にしていいと思うんですが、どうですか。
  146. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。  本件につきましては、いま竹田さんがおっしゃったように死傷者も出るというふうな重大性にかんがみて、警察庁とも連絡をとりまして、外交ルートを通じて米側にも協力要請をしておりまして、その間、回答が来たことはいま先生がおっしゃったようなとおりでございます。  これ、五十三年の二月でございましたか、事故分科委員会から報告書が公表されているのは御承知のとおりでございますが、捜査上の必要ということで、そういう性格で捜査当局の要請に応じて米側からいろいろ回答をもらったというような性格もございますし、そういう性格から考えまして、捜査上の途中のやりとりを全部公表するということはいかがかと思われますので、私どもとしましては、そういう文書の公表は差し控えさしていただきたい、こういうふうに思っております。
  147. 竹田四郎

    竹田四郎君 当時は事故調査分科委員会はこれは事故の調査だけで、この刑事責任を問うものではないというようなことで、はっきり事故原因がそういうふうにして、どこで整備をして、だれが整備の責任者だということはわからなかったわけですな。もういまはこの問題は解決しているんですからね、そういうものをはっきりすることがイコール・パートナーシップにふさわしいんじゃないですか。なぜ発表できないんですか。二人も人が死んでいるんですよ。
  148. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。  これは刑事問題は不起訴で終わったわけでございますが、たしか民訴の関係はまだ出ているその途中だというふうに私伺っているのでございますが、回答には部隊名とか場所とか年月日とか、そういうことは皆向こうの回答に入っておるということを私どもも聞いておるわけでございますが、やはり刑事問題として日米の間でやりとりした細かいことまで公表することはいかがかと思われますので、私どもはやっぱりその点は差し控えたいと、こういうふうに考えております。
  149. 竹田四郎

    竹田四郎君 この事故というのは全く初歩的なミスですよ。それが行われないというような形で、これから飛行機飛ばれたらかなわぬじゃないですか。両国の戒めのためにも、私はそういうのを発表すべきだと思います。それがイコール・パートナーシップだと、こう思うんですよ。それでなければ横浜の上なんか飛んでもらっちゃ困る、危なくて。はっきりしてください。
  150. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) お答えします。  いまお答えしましたように、事故分科委員会の報告書というのはもうはっきり出ておりますし、これは捜査当局等でも部隊名、年月日、そういうものは皆知っているわけでございますので、事柄の性質上、捜査のとき問題になったやつを一々全部発表するというのはどうかなとも思いまして、私どもはこれはそこまでは発表することは差し控えたいという考えでおるわけでございます。
  151. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 竹田君、時間が参りました。
  152. 竹田四郎

    竹田四郎君 これは私はこのままではちょっと下がるわけにいきませんから、今後これは続けてまたお聞きをしていきますから、それが本当の日米関係をつくるものだと、こういうふうに思います。  時間が参りましたので、ここで私は終わりにいたします。
  153. 木村睦男

    委員長木村睦男君) これにて竹田君の質疑は終了いたしました。(拍手)  午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十二分休憩      —————・—————    午後一時四十八分開会
  154. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 午前に引き続き予算委員会を再開いたします。  昭和五十五年度補正予算三案を一括議題とし、これより藤原房雄君の質疑を行います。藤原房雄君。
  155. 藤原房雄

    藤原房雄君 私は、公明党を代表いたしまして昭和五十五年度補正予算三案に対しまして質疑をいたします。山積する国内外の諸問題につきましていろいろ御質疑をいたしたいところでございますが、時間の制約もございます。しかしながら、多般にわたります問題につきまして政府の基本的な姿勢を中心といたしましてただしてまいりたいと思うのであります。  最初に、外交問題でございます。いろいろございますが、いま私どもが最も関心がございますポーランド情勢の悪化の問題でございます。憂慮するところでございますが、もしソ連軍がポーランドへ軍事介入するということになるならば一段と国際情勢は緊迫したものにならざるを得ない。このような情勢になったときに、わが国としましては新たなソ連に対する対応、こういうものを考えているのかどうか、まずお聞きしたいと思うのであります。
  156. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げます。  ポーランド情勢でございますが、昨年の十一、月、私ヨーロッパへ行きましたときも非常に緊張した状態でございました。また、最近も非常に緊張した状態が続いておりますことは先生御承知のとおりでございます。  ヨーロッパへ行きましたときも、EC各国の首脳が、もしポーランドに軍事介入をソ連がするようなことがあれば、デタントも軍縮も壊滅するというような、非常にこの介入問題につきまして憂慮し、重大な関心をみんな持っておられたのでございます。日本考えることよりももっと強烈にデタント、軍縮のことを心配しておったわけでございます。でございますので、そういう事態になれば国際的な緊張が非常に増してくるということは、もう火を見るより明らかでございます。  ちょうどヨーロッパに行っておりましたときにNATOの外相理事会がございまして、もしもそういうことがあったならばNATO諸国はどうするのだということの相談をしたということでございますが、しかし結論は出なくて、そのときの具体的な措置についてはNATO駐在のEC各国の大使が具体的なことを相談しておる。介入があればすぐに外相が集まってそれについて相談をするのだというようなことを、終わってから二、三の外相からそういうことを聞いたわけでございます。そのときにヨーロッパの首脳もみんな日本に対して、アフガニスタンに軍事介入のときにも、西側の一員として協調して経済的な措置等を日本にもやってもらった、今度もそういう事態が起こればまたそういうことを考えてほしいという話があったわけでございます。私は、日本としてやれること、やれないことはある、特殊な事情もあることだし、やれないことはある、やれることとやれないことがある、事前によくお互いに通報し合い協議し合うということは大切ではないか、一方的に決めてこういうことをやってもらいたいということは、われわれはとるところじゃない、ECの有力国等が事前相談をしてくれるということが必要じゃないか、NATOと日本とは何も関係がないのだから、ECの主要国とイランのときにやったように事前の協議が必要ではないか、というようなことを私答えたことがございます。その後具体的な、こういうものを決めているから日本もというような具体的な案をECの方からはまだ言ってきてはおりませんが、そういう場合にはやはり西側の一員としてどういうことができるか、どういうことができないかということで、日本としても協力できることは協力してやっていくというつもりでございます。
  157. 藤原房雄

    藤原房雄君 仮定の話ですからその先までは問いません。  次に、ソ連のミハイル・キリアン陸軍中将ですか、共同通信との会見で、北方領土問題に関する最近の日本の強硬態度につきまして、力で解決しようとするならわれわれはこれにこたえなければならない、そうなれば戦争であると、こういう厳しい姿勢を示したのでありますが、これに対しまして政府としては、これはどのように判断していらっしゃいますかお伺いします。
  158. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) お答え申し上げますが、日本として力で対決するなんということは一回も言ったことがないのでございまして、これは平和裏に紛争は解決するというのが日本の立場でございます。総理も何回もお答えになっているように、北方領土の問題につきましても両国の話し合いで相互理解に立って何とか平和条約が結べるように平和裏に話し合いをしていくというのが日本の態度でございまして、力で対決するとか敵視するとか、そんなことは毛頭言ったこともないし考えていないのでございます。
  159. 藤原房雄

    藤原房雄君 次に防衛庁にお伺いするのでありますが、防衛庁はこれまでソ連軍の北方——日本等への軍の配備ですね、いままで一個師団規模に近づきつつあるという、こういう判断を明らかにし、また国会でもいろいろな議論がございましたが、今回のこのキリアン中将の発言、これに対して防衛庁としてはどのように受けとめていらっしゃるかお伺いしたいと思います。
  160. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。  北方領土のソ連地上軍の規模につきましては、防衛庁は五十四年初め以来の各種情報を総合いたしまして、現在は師団規模に近いと判断しているものでありまして、この判断は正確であると考えております。  キリアン中将は「幾つかの大隊」規模と表現しておりますが、「何個大隊かは言えない」と言っており、大隊の数いかんによっては、この表現も必ずしも正確ではありませんが、いずれにせよ師団規模に近いという防衛庁の判断は正しいものと考えております。
  161. 藤原房雄

    藤原房雄君 悲願でございました北方領土返還に対します運動、これも鳩山内閣また田中内閣、そしてこのたびの鈴木内閣に至りましても「北方領土の日」を設けられたということで非常に評価されておるわけであります。過日の国民集会におきましても強い決意のほどを述べておりましたが、しかし一方では、こういう、いま申し述べたような国際環境の中にありまして、このまま推移するということになりますと、日ソ関係というのは冷却するばかりといいますか、こういうことと判断せざるを得ないと思うのであります。総理は、ソ連側に具体的な対応を示すべきだというようなお話をしておりますけれども、それと現在のこの諸情勢の中でどのようにお考えになっていらっしゃるのかお伺いいたしたいと思います。
  162. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 日ソ関係でございますが、ソ連は何と申しましても日本の有力な隣国でございまして、日ソの友好関係を維持発展させるということは両国相互の利益であるばかりでなしに、アジアの平和と繁栄、ひいては世界の平和にも重要な意味を持つわけでございまして、私どもは日ソ関係が今後大いに改善をされる、友好関係が一層増進をされるということを心から期待をいたしておるわけでございます。  その日ソ関係を真に友好協力関係の基礎を確立いたしますためには、何といっても北方領土の問題を私は解決をし、そして日ソ平和友好条約を締結することが恒久的な日ソの善隣友好関係の基礎を築くものであると、このように考えておるわけでございます。私は、そのためには、まず少なくとも一九七三年の田中・ブレジネフ交渉におきまして、戦後未解決の問題を解決して日ソの平和条約締結の交渉を行うということをモスクワにおいて合意し、共同声明が発せられた、その線まで私はまずソ連が考えてもらう、これが日ソ友好関係の発展への交渉の出発点である、原点である、このように考えておるわけでございます。
  163. 藤原房雄

    藤原房雄君 中断されております日ソ外相定期協議とかまた日ソ事務レベル協議、こういうものがあったり、また日ソ経済協力プロジェクトの問題とかいろいろな問題があるわけでありますが、いま総理大臣のその決意といいますか、見解、それを推し進めるためには、やっぱり多面的な活動が大事なんだろうと思います。今後の運動論としてはいろんなことが考えられるわけでありますけれども、総理が北方領土を視察するということにつきましても、やっぱり真剣な取り組みの一つと、地元でも非常に関心を持っておるわけであります。  今後の活動面につきまして、一九八一年を北方領土元年として、ここから新しい出発が始まるのだという、こういう意気込みに燃えているわけでありますけれども、今後の具体的なことといいますとなかなかあれかもしれませんけれども、総理、また外務大臣の、今後の日ソ問題につきましてのお考えがあればお伺いをしたいと思います
  164. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) いま藤原さんの御質問でございますが、総理がおっしゃいましたように、ソ連というのは日本の隣国で、日ソ外交というのは非常に重要な問題だ、何とか相互理解のしに立って、平和条約ができて、そして恒久的な友好関係ができるということをわれわれも心から期待をしているわけでございますが、藤原さん御承知のように、向こう側のソ連のアフガニスタン侵入でございますとか、領土問題でございますとか、そこへの軍備の配備でございますとか、そういうことから冷たい関係になったことはもう御承知のとおりでございまして、われわれとしましては、そういう問題が少しでも解決の方へ歩き出すとか、あるいは総理がこの間おっしゃいました七三年の戦後の未解決の懸案ということを向こうが認めたという線で平和条約の交渉が始まるとか、何とかそういう少しでも前向きな態度をソ連もぜひとってもらいたい、それが善隣友好じゃないかということを私ども考えておるわけでございまして、外交は政府ばかりでない、民間外交もあることでございますし、いろんなルートでそういうような話し合いの緒ができることを私どもは心から期待しているわけでございます。ただ、通すべき筋はやっぱりはっきり通すべきだと思うわけでございまして、そこは原則はちゃんと踏まえて、今後ともソ連と息長く交渉をしていくというつもりでございます。
  165. 藤原房雄

    藤原房雄君 今後の国際世論を喚起するといういろいろな手だて等ひとつ積極的に進めていただきたいと思いますが、過日、国民集会でも魚がとれればという、こういう声がございました。内政的にも、根室市を中心といたします周辺地域の社会のよりよい発展が望まれるわけでありまして、政府でもこのたび予算その他でいろいろ御配慮したようでございますが、今度の予算で考えております具体的な対策をちょっとお伺いしたいと思います。
  166. 原健三郎

    国務大臣(原健三郎君) 藤原先生にお答え申し上げます。  御承知のように、昨年十二月の八日に農林水産省、建設省等十一省庁で連絡会議を設置して、それから北海道開発庁を窓口としてやっておるところであります。第一回の連絡会議は昨年十二月に開かれ、それで五十六年度予算にその対策はいろいろ入っておるわけでございます。現にいま進行中でございますが、開発予算のうち予算編成の段階で考慮しております点は、開発道路、中でも、これは北海道の地名はなかなかややこしいんですが、落石−初田牛線の新規採択が決まっております。第二は、中標津空港の整備促進などについても配慮をいたしておるところでありますが、その他具体的なことは、要望については関係省庁と協力をしてなおこれを一層進めていきたい、こう考えております。
  167. 藤原房雄

    藤原房雄君 各省庁の北方領土隣接地域安定振興対策関係省庁連絡会議、これが設けられておるということについては私ども大きな期待を持っているところでありますが、漁業振興は、二百海里以来、この地域に限りましても大変な打撃を受けております。漁業振興が何といっても大事なことで、道路が必要ないとは言いませんけれども、それはそれなりの意義はあります。空港の整備も大事だと思います。漁業振興を中心にひとつやっていただきたいと思いますが、地元の声としては、これはひとつ立法化してもっと強力に恒久的に進めてもらいたい、こういう声もあるのですが、いかがでしょうか。
  168. 原健三郎

    国務大臣(原健三郎君) いわゆる中長期的観点についてのその政策についてでございますが、いまおっしゃられました漁業の振興策あるいは基幹交通の施設の整備、教育・文化・生活施設の整備、開発関係施設の整備などを中心に積極的に取り組んでおるところであります。この線に沿って対策をやりたいと思って、いま直ちに特別立法のことは考えておりません。
  169. 藤原房雄

    藤原房雄君 今後としては考えられるのですか。
  170. 原健三郎

    国務大臣(原健三郎君) 今後は検討さしていただきます。
  171. 藤原房雄

    藤原房雄君 今度の補正予算につきましては、何といいましても昨年の冷害またこのたびの豪雪、こういうことが中心になっているわけで、私はやっぱり限られた時間でございますので、まずこの冷害また豪雪問題について触れてみたいと思うのであります。  去年の冷害につきましては各種の対策が講じられたわけであります。それぞれの冷害対策につきましての農作物被害に対しましてとられた対策について、細々しいことはよろしいんですが、大綱的なお話をひとつ農林大臣
  172. 亀岡高夫

    国務大臣(亀岡高夫君) 昨年の冷害につきましては、国会からいろいろ御協力をちょうだいいたしまして、天災融資法の発動さらには激甚災の指定等の手続を早急に行い、そうして年度内に農業共済金の支払いを完了するという目的のもとに事務当局を督励をいたしまして、大体臨時国会で答弁申し上げてきましたとおり、年内に冷害対策の諸措置を一応完了することができた。天災融資法に基づく融資の問題でありますとか激甚災の指定に基づくこれまた融資の問題でありますとか、これも各県の積極的な協力をいただきまして、いまのところ順調に冷害対策としての処置はとられておるものと、こう確信をいたしております。
  173. 藤原房雄

    藤原房雄君 十九項目にわたります施策、私も各地いろいろ回ります。地域差とか個人差とかございますからいろいろありますが、おおむね政府の施策によってそれなりの——まあしかしこれからどういうことが予想されるか、いろんなことがあろうかと思います。私はやっぱり当面の対策についてはそれなりに政府は施策をしていただいたと思うのでありますが、冷害というのは忘れたころといいますか、いつもこれは私ども念頭に置かなければならぬことで、去年の冷害で今後の恒久対策として考えなきゃならぬ、こういうことについては積極的に進めてもらいたいと思いますが、農林省としてはどうお考えでしょう。
  174. 亀岡高夫

    国務大臣(亀岡高夫君) 当面の対策につきましては、ただいま申し上げたとおりでございますが、恒久対策といたしましては、昨年の冷害の実態にかんがみまして、やはり基本的な技術的な稲作経営をやった農家は、あれだけの激甚の異常気象にもかかわらず相当な収穫を上げているという実例も実はあるわけであります。こういう点にかんがみまして、技術的な冷害に強い品種の造成でありますとか、さらには肥培管理の適正でありますとか、あるいは水管理の適正でありますとか、あるいは地力の維持、これはやはり金肥だけじゃなくて堆肥等の使用による地力の維持というような点に配慮をしていけばある程度の冷害は防げるというような実例もございますので、実はことしの一月の二十六日付で事務次官通達を出しまして、冷害対策の徹底を期そうということで、あるいは二年続くかもしらぬというようなことも言われておる折からでもありますので、一月の二十六日付細々とした技術的な面についての通達を出しまして指導をいたしておるところでございます。
  175. 藤原房雄

    藤原房雄君 それから、このたびの救農土木とかいろいろなことをやりましたが、出かせぎ者もこれは地域によりましては多うございました。この出かせぎなさった方々のお話を聞きますと、なれないといいますか、最近の仕事がだんだん変わってきたということでしょう。事故が多いということと、それからやっぱり未払いがあるということで、このことについては大臣掌握していらっしゃいますかね、事故のことや——未払いは労働省ですか。どっちも労働省になるのかな。言っていないからわからないかもしらぬけど、ここおわかりになりますか。
  176. 亀岡高夫

    国務大臣(亀岡高夫君) 出かせぎ者の事故防止対策につきましては、実は当初青森県からなれない農家の諸君が出てまいりまして、とうとい犠牲になった方もおられるわけでありまして、そういうことの再び起きないようにということで十分労働省とも緊密な連絡のもとにやりました結果、あの後の事故というものはいまのところ私ども報告を受けておりません。
  177. 藤原房雄

    藤原房雄君 それから、最近仕事がだんだん高度化といいますか、むずかしい仕事に変わりつつあるということで、これは労働省もひとつ十分に注意していただきたいと思いますし、また未払いのことについても、こういう不況の中でありますので十分なひとつ配慮をしていただきたいと思うのであります。  また、これから第二期の転作、水田利用再編対策が進められるということで、これは岩手県の久慈市でやっぱり相当大きな被害を受けましたが、ビニールハウスにかえることによって、転換したことが非常に功を奏したといいますか、ところが、非常に希望者も多くて、それなりの効果を上げているようでありますが、やはり構造改善事業も進めるということが何といっても大事なことだと思います。ことしの予算も相当組んであるようでありますが、やっぱり再編対策には、排水事業を中心といたしましての構造改善についてはより力を入れるということと、それから転作作物についてもそれなりのやっぱり指導体制というものがなければならぬと思いますが、今後の対策について。
  178. 亀岡高夫

    国務大臣(亀岡高夫君) 藤原委員御指摘のとおりでございまして、第二期対策を万やむを得ず進めさせていただいておるわけでございます。したがいまして、何といっても二期対策の進めやすい環境を整備をしてまいる、それがためには基盤整備等が大変大事なことは御指摘のとおりでございます。その御趣旨に従いまして、畑作転換等にできるような、あるいはまた水田にという時代が来れば水田にと、こういくような田畑輪換といったような配慮を今後十分土地改良の面において実施をしていかなければならないという御指摘につきましては、十分その意を体して今後進めてまいりたいと考えております。
  179. 藤原房雄

    藤原房雄君 そこで、いろいろなことを私ども申し入れをしたりまたお話をし、委員会でも論議しているわけでありますが、転作の実質的な定着化を図るということが私ども大事なことだろうと思います。地域の転作作物として定着するように計画的な生産と販売体制の確立、これがなければまたもとのもくあみに戻ることになると、こういうことで、これをしっかりひとつ進めてもらいたいと思いますが、いかがでしょう。
  180. 亀岡高夫

    国務大臣(亀岡高夫君) 相当な国費を投じてやっております第二期転作対策でございますので、これが定着をすることを私どもは願っておるわけでございます。そのためには、計画的に、また団地化をしてまいるという配慮も十分御指摘のようにしてまいろうということで、五十六年度の第二期対策からは新たな手法も加えまして御趣旨の点を実現をしてまいるというふうにいたしておりますので、御了承いただきたいと思います。
  181. 藤原房雄

    藤原房雄君 農家に対します諸施策については、また委員会等でいろいろ詰めていきたいと思いますが、この冷害がもたらす地域経済に及ぼす影響というものは非常に大きいものがございます。特に作況指数が県で四七、その中で青森県の南部地方は七というんですから、これは大変なことです。仙台通産局の試算によりましても、サービス関連とか製造業それぞれの影響というものは九百億というようにはじいておるようですけれども、これはいろんな試算の仕方があるんだろうと思いますが、こういう商工業者に対する影響というものは、これは非常に重大なものだと思います。これはこれからまた尾を引くものでございまして、これは通産省としてはどのようにお考えになっていらっしゃるか、対策を。
  182. 田中六助

    国務大臣田中六助君) お答え申し上げます。  通産省所管の調査によりますと、御指摘のとおりでございまして、私どもは、これに対する対策はすでに政府三機関の融資枠の拡大その他中小企業体質強化資金制度の活用というように決めております。
  183. 藤原房雄

    藤原房雄君 これは農作物とは違いまして、非常に地域経済に対する影響につきましては、通産大臣もいろいろお話しになりましたが、やっぱりこれは長期低利、また長くひとつ見ていただかなければならぬと思いますが、今後も一つしっかり見守っていただきたいと思います。また、小さい商工業者ですね。  次に、豪雪の問題でありますが、これは、豪雪は十二月の二十四日、昨年の暮れの暴風雪と、また年明けてからの豪雪といいますか、この二つの大きな被害がありました。いずれもこれは大きな甚大な被害を及ぼしたわけでありますが、あわせて、天災融資法とか激甚災とか、これはいろんな被害状況がわからなければならぬわけでありますけれども、いつごろ発令になるか、発動になるのか、その見通し等について。
  184. 亀岡高夫

    国務大臣(亀岡高夫君) 昨年の暮れに起こりました豪雪災害並びに一月、二月と続いて起きております北陸の災害等はまことに激甚でございまして、各県からの現段階における報告は、もうまさに千億になんなんとするという状態でございます。特に森林関係の被害がまことに甚大でございまして、折損木等のはなはだしさは、私も見てまいりましたが、山を仕上げてまいりました林業者の諸君は、山に卒塔婆が並んでおるという表現をもって説明をしておったくらいでありまして、私も本当に生まれて初めて見たという感じがいたすわけでございます。したがいまして、二月二日に天災融資法の方針も決定をいたしまして、各金融機関につなぎ融資の処置をお願いをする通達を出したところでございます。被害の情勢から見ますれば激甚災の指定も国土庁の方にお願いしなければならぬなという感じも持つわけでございますが、福島、宮城、岩手の方は大体雪が消えかかっておるところもございまして、そういうところはもうそろそろ片づけ作業に入っております。  さらに、ハウス関係の被害も非常に大きいわけでございます。これらはやはり春野菜の出荷等にも相当大きな影響を持ちますので、これの早急なる復旧を図ってやらなければならないということで、二日に天災融資法の方針を決めまして通達を出しまして、もうすでに融資の手続が行われておるという段階のところもございます。  北陸の方はまだ雪が消えておりません。現に、被害等も進行しつつあるというようなことでございまして、これはやはり雪が消えませんと詳しい被害状況が把握できませんので、詳しい被害状況が把握できた後において天災融資法、激甚災の政令公布という本格的決定になるものと、こういうふうに考えております。  しかし、それまでに便々と見ておるわけにもまいりませんので、とのような措置を講ずれば——雪が消えたらすぐに対策が講じられるようにということで、林野庁初め関係各省庁と連絡をとりまして相取り進めておるところでございます。
  185. 藤原房雄

    藤原房雄君 まだ被害の実態がわからないということのようであります。まあしかし、これを昨年の冷害でやりましたように、機動性を持って、しかもできることはひとつ手順よくやっていただきたい。雪が解ければすぐ次の仕事にかからなければならぬわけでございます。そこで、地方自治体としましては何といっても特別交付税におすがりするという、こんな形になるわけでありますが——おすがりというのは言葉は悪いんですけれども、五十五年度の補正予算で、交付税ですね、一体どういうふうになっておるのか、豪雪対策費としてはどういうふうに見られておるのかお伺いをしたいと思います。
  186. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 御承知のとおり、今回二百四十四億円をさらに特交財源として追加をいたしまして特交総額五千九十億円、これをもって処置いたしたいと思っております。  お尋ねの点は、冷害並びに雪害に関しての関連だと思いますが、冷害に関しましては十二月に百三十六億配分をいたしております。しかし、被害の実態から見まして、これでは十分でございませんので、今回交付税の関係が決まりましたならば、これに近いものは冷害関係で配分をいたしたいと考えております。  それから、冷害関係で地方の単独事業がございます。これも財源の問題がございまするが、この単独事業につきましては約百五十億程度、一〇〇%充当率のものを従来のに追加をいたしまして救農土木事業の単独事業については財源的な措置を終了しておるところでございます。  雪害に関しましては、今後被害の状況が判明いたしたならば最大限度ひとつ適用するように処置をしたいと、こう思っております。
  187. 藤原房雄

    藤原房雄君 雪国の山形で知事さんをやっていらっしゃったわけですから、雪国のことはよく御存じだと思いますが、これはやっぱり早急に対処していただきたいと思います。  また交付税の、特交のいまいろいろお話がございましたが、実際この特別交付税というのは二百四十四億ということですが、国税三税の九千九十億、これの三二%で二千九百九億円、その中で二百四十四億というのはこれはどういうふうにして算定したのか。地方自治体としましては、やっぱり特交で事情をよく見てやっていただきませんと、特にことしは例年にないこういうことであり、また早くに処置しなければならないことが山積しておるという、こういうことで非常に各都道府県、また各県や市町村からの要望が強いわけであります。ここらあたりの二百四十四億ということの試算とか、この辺のことについてお聞きしたいと思うんですが。
  188. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 御承知のとおり、特交の限度が六%になっております。その辺の算定の問題につきましては、政府委員からお答えをさせます。
  189. 土屋佳照

    政府委員土屋佳照君) 御承知のとおり、本年度の交付税の伸びは低うございまして、特別交付税は四千八百四十七億あったわけでございますが、その後非常に大きな冷害がございました。その当時私どもいろいろ検討したわけでございますが、冷害で相当な額が出るとなりますと、将来予想されます豪雪対策その他、新しい財政需要になかなか対応しにくいということで、全般的に見まして一〇%台の伸びがなければ対応しにくいということで、過去の五十一年度の雪害の際の状況その他、いろいろ実例等を勘案いたしまして、総枠の中で対応し得るためには一〇%以上の伸びがほしいということで、二百四十四億程度あれば可能であるということにいたしたわけでございます。  なお、いま大臣から六%ということがございましたが、今度の補正の六%程度が大体同じ額になるわけでございますけれども、別にそれにこだわっておるわけではございません。そういったこと等も含めていろいろ勘案した末に一〇%台の伸びを確保して対応しようということに相なったわけでございます。
  190. 藤原房雄

    藤原房雄君 この補正予算は去年の暮れですね、提出されたわけでありますから、豪雪はその後ということで、五十一年の比ではないわけでありますから、これは当然もうこれで十分といいますか、対処できるわけがございません。それで、地方自治体としてはこれは予備費からでも是が非でもひとつ認めていただきたいという要望が非常に強いんですが、いかがですか。
  191. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) おっしゃるとおりに、今回の特交だけで恐らく豪雪にすっかり対応できるというわけにはなかなかいかぬのじゃないかと思っております。で、五十一年度に予備費をもって市町村の基幹道等について補助をした経緯もございまするし、ぜひそれを、私どもといたしましては予備費支出を考えてもらいたい、こういう希望をもっていろいろと折衝しておるところでございます。
  192. 原健三郎

    国務大臣(原健三郎君) 政府でつくっております豪雪対策本部におきましても、これが非常に問題となって、最近もしこの降雪の事実を突きとめて、特交などで解決しない場合においては予備費もやむを得ないであろうというところまで話がきておるんですが、まだ被害が十分わかっておりませんので、その結果、これをそういう方面に向かっても進んでいきたいと、こう思っております。
  193. 藤原房雄

    藤原房雄君 それから、いろいろなことがありますが、やっぱり雪の降るところというのはどうしても過疎地であり、そしてまたそこは水源地帯として非常に大事なところである、こういうことなんですが、豪雪地帯というのは日本の面積のどのぐらいあって、人口はどのぐらいか、大体どういうふうにお考えになっていらっしゃるか。奥野法務大臣、ちょっとお答えいただけますか。——わかりませんでしたか。
  194. 四柳修

    政府委員(四柳修君) 委員長
  195. 藤原房雄

    藤原房雄君 いやいや、ちょっとちょっと、大臣の認識を聞いているのでちょっと。大体でいいです。どういうふうに考えるということで。本当に突然で申しわけございません。
  196. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 日本海地帯……
  197. 藤原房雄

    藤原房雄君 豪雪地帯が日本の面積のどのぐらいの割合で、人口はどのくらいかということ。
  198. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 豪雪地帯というと……面積ですか。
  199. 藤原房雄

    藤原房雄君 面積ではどのぐらい、そこに住んでいる方はどのぐらい。
  200. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 見当つきませんけれども、面積で言うと、北海道が入るか入らぬかで大分違ってきますので……
  201. 藤原房雄

    藤原房雄君 入ります。
  202. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 北海道は寒冷だけれども、雪の多いところと少ないところとありますし、三、四割でしょうか。
  203. 藤原房雄

    藤原房雄君 結構です。大臣、これは大変な被害の状況ですから、見てください。(資料を手渡す)いまのような認識じゃこれはちょっと……。  各大臣に本当はずっと聞きたいところなんですけれども、本当に失礼しましたが、およそ面積で言うと五三%ですか、人口で言うと一〇%台ですね、一九%と、こう言われておる。これはとった国調の年度によって違うわけですが、少なくとも国の半分が豪雪地帯であるということから言いまして、ちょっとどこかに雪降ったんだろうなんというこういう感覚でいられると物の考え方はちょっと狂ってくる。こういうことで、各大臣にぜひひとつ深刻にその辺のことは御理解いただきませんと、おれには関係ないみたいな、こういう人はいらっしゃらないからいいんですけれども、いらっしゃるとしたらこれは問題だろうと思うんです。ぜひひとつこういう現況にあることを、その中でさらに特豪地帯というのがあるわけでありますが、特別豪雪地帯、これももう二割近い地域を占めておるということですから大変なことです。それが水資源の豊庫であり、そしてまた水源涵養を初めとしまして、またよい米がとれるとか、こういうことですから、これは暖かいところにいらっしゃる方もそれなりに十分にひとつ御認識をいただきませんと、総合的な対策がどうしてもとれない、おくれる、こういうことになると私は思うんですよ。そういうことからいろいろ御質問申し上げているんですが、私しゃべると時間がなくなるからね。  特別豪雪地帯に対しての指定の基準についてもいろいろな議論があるんですが、積雪がどうこうという気象条件とともに、地方自治体の財政事情も勘案すべきだという、こういう豪雪の審議会の意見もあるんですが、どうですか。これは国土庁ですね。
  204. 原健三郎

    国務大臣(原健三郎君) その点はいろいろ議論がありまして、考えてやるつもりでおります。
  205. 四柳修

    政府委員(四柳修君) いまお尋ねの点、実は国土審議会の関係で豪雪関係の特別委員会がございまして、そちらの方でもいろいろ議論して検討しておりますが、いましばらく時間をいただきたいと思います。
  206. 藤原房雄

    藤原房雄君 大臣の答弁では、やるという非常に前向きのお話のようであります。これはいろいろなことがございますから、いままでも見直しもあったのですけれども、ぜひひとつこういう非常に——私しゃべると時間がなくなるからあれですけれども、機械化されて最近は変わりましたよ、三八とは違って。しかし、機械があるということはそれだけ金がかかるということですから、こういうことで財政力がないということはそれだけの対処ができないということですから、これも十分に勘案しなければならぬと思うんです。  それから、地方自治体で問題なのは豪雪対策事業債ですね。これを過疎債並みに見てもらいたい、これも非常に強い要望ですが、どうですか自治大臣
  207. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 希望を聞いております。十分検討してみたいと思っております。
  208. 藤原房雄

    藤原房雄君 これはもう雪国御出身の自治大臣ですから、大きな大きな期待をいたしております。  次は、積雪寒冷地域につきましては、積雪寒冷特別措置法、豪雪地帯対策特別措置法、これは二つあるわけですけれども、豪雪地帯対策特別措置法によりまして基本計画をつくることになっておるんですが、これはもう時代の大きな変化の中で見直さなきゃならない時代、見直すといいますか、前の基本計画を変えなきゃならぬと私は思うんですが、どうですか。これは国土庁。
  209. 四柳修

    政府委員(四柳修君) ただいまの御指摘の点、一応計画はつくっておりますけれども、この法律が実は五十六年度で時限切れになります。そういう関係も含めまして、いま審議会で検討中でございます。
  210. 藤原房雄

    藤原房雄君 この法律とともに、これは重大課題として検討するということで大臣よろしいですか、国土庁長官、基本にかかわる問題です。
  211. 原健三郎

    国務大臣(原健三郎君) 検討することにいたします。
  212. 藤原房雄

    藤原房雄君 検討じゃだめなんです。この特別措置法の中で基本計画というのは非常な基幹的な作業でありまして、これは時代の一つの大きな変化の中で、ぜひ検討してもらわなければなりませんし、そういうふうに受け取っておきます。  もう時間もありませんので次に進みますが、十二月二十四日の暴風雪で農林漁業に甚大な被害を及ぼしたわけでありますが、あのことこのこと、詳しいことはまた委員会で詰めることにしまして、それぞれ一、二点ずつお伺いしたいと思いますが、一つは、漁業共済のことでありますが、漁業共済は、これはもともと天然のものについていろいろ水揚げの少ないときにどうするかということでつくられたわけでありますが、養殖ができてまいりまして、これは組合単位で入る。納めるのはそれぞれ個々の漁業家が納めるということで、まず加入するときの共済のお金と、被害を受けたときのおりてくるお金を配分するとき、こういうことで漁業組合では大変な問題になっているのです。私は各地を歩いてきました。それから、組合で入りますから方向、風向きによりまして、ある地域は非常に激甚な大変な損害を受けても、全体として被害額が大きくなければ共済の制度に当たらぬという、こういうことで、これはもう直していただかなければならぬときにきているのじゃないかと、こういうふうに思うのでありますが、どうですか。
  213. 亀岡高夫

    国務大臣(亀岡高夫君) 御指摘のノリ、ワカメ、漁業等漁業協同組合の管理する漁場で行われる漁業につきましては、漁業権を中心にして共同的に操業が行われておる実態から、個別に加入する処置はとっておらないことは御承知のとおりで、集団的に加入をさしておる、そうしてその組合を単位として共済制度をつくり上げておると、こういうことでございまして、個人にしたらどうかという御意見でございますが、なかなか、個人にいたしました場合に漁業権との関係等々もこれあり、非常に困難な点もございまして、いまのところやはり共同操業という立場から組合を単位にしてやってきております点で、内容を充実してまいる、そういう方向をとりたいと考えておる次第でございます。
  214. 藤原房雄

    藤原房雄君 これは実態にそぐわない面がある。漁業権と——養殖なんかそんな大きな問題ではないだろうと思うのですよ。ぜひこれはやっぱりこういう時代に即応した、養殖が非常に大きくなった時点でひとつ検討する大きな課題だろうと私は思うのです。ぜひひとつ御調査いただいて、今後進めてもらいたいと思います。  次、森林のことでありますが、それはもうごらんのとおり大変な被害、およそ八万ヘクタールといいますから、大ざっぱに計算しましても佐渡島ぐらいということですから、まだ実態はわからぬわけですから、もっともっと広がるということで大変なことです。ですが、これに対しましての対策については、農林省もいろいろなさっていると思いますが、どうでしょう。
  215. 亀岡高夫

    国務大臣(亀岡高夫君) この折損木につきましては、先ほど申し上げましたとおり、すさまじい被害の現況を私も見てまいったわけでございます。したがいまして、当面の措置といたしまして、森林国営保険及び森林の災害共済にかかわる保険金の早期支払いという手続を進めさしております。と同時に、農林漁業金融公庫資金及び林業改善資金の融通、木材関連業界に対する被害木の利用促進、販路の確保についての協力要請等の措置をとった次第でございます。今後とも被害状況の早期かつ的確な把握に努めまして、激甚災害復旧造林の指定等を行っていきたいと考えて、いまデータの積み重ねもやっておるところでございます。と同時に、林業改善資金の貸し付け限度を引き上げろという声があるわけでございます。これにつきまして、林業改善資金のうちの被害森林整備資金は林業生産の高度化のための資金として被害木の伐採、搬出等を団地的に行うなどの要件を満たすものに貸し付けるものであるわけでありまして、限度額はヘクタール当たり百二十万円、これは被害地の様子を聞いてみますと大体これでいけるのではないかと、こう考えております。ただ、残念なことはせっかくつくってあります森林国営保険の加入状況がまことによくありませんで、一割程度しか入っておらないということで、このよき制度にやはり林業者は十分加入していけるような方向に指導もし、また保険の内容等も検討をしていかなければならぬのではないかというふうに考えておる次第でございます。いずれにいたしましても、造林者が今回のあのような惨たんたる災害を見てもう木を植える意欲がなくなった、こういう声が若い諸君に多いわけであります。こういうことでは国土の緑化保全というものが心配されまするし、またわが国の森林業につきましても大変心配な状態が考えられますので、造林意欲をいかにして起こしてまいるかという点に十分考慮をいたしまして施策の万全を期していきたいと考えております。
  216. 藤原房雄

    藤原房雄君 緑の効用が叫ばれておるわりには、この林業に対するいろんな施策というのは非常にむずかしいし、また具体的なものがない、いま大臣お話の中にもあったようであります。この造林には復旧造林事業、補助事業なんかもありまして、こういうものとかみ合わせて補助率とか、査定係数とか、実質補助率、こういうものをよく勘案しまして最大のひとつ手当てをしませんと、いま大臣のおっしゃったように、私も福島ずっと回りましたけれども、みんなもう茫然としておるのが実情です。  それから被害木の利用及び販売ですね、これを何とかしなければやっぱり再造林の意欲は出てこないということで、これについては何か手だてお考えでしょうか。
  217. 亀岡高夫

    国務大臣(亀岡高夫君) チップとか、それからパルプにも利用できないかというようなことで関係業界に話をいたしております。と同時に、あの折損した木は木材として製材しても利用価値がないということでもございまして、あれを木くずにいたしまして、そうして敷きわらといいますか、畜産関係の敷きわらがわりに使ったらどうか、ただ単価の点がどういうふうになるかというようなことで、福島県等では県としてその機械を購入をして貸与をして試験をやる、それがよければ、単価的に間に合えばその点で十分畜産方面に活用していきたい、こういうふうに言うております。いずれにいたしましても、これはもう十分——一遍に出しますとこれまた材木の市況にも影響するというようなことで、市場に持ってまいりますとひびが入っているからということを理由にたたかれるというようなことで、そういう点は十分業界の指導もいたしまして、できるだけ被災林業家にキャッシュが入るように、こういう指導をしていきたいと考えております。
  218. 藤原房雄

    藤原房雄君 まあ新潟、北陸ですね、これは雪に対しましては無雪道路、これは水をいかに利用するか、使うかということに帰着するんだろうと思います。こういうことから流雪溝とか消雪パイプとかいろんなことを言われていますが、流雪溝は非常に威力を発揮しておる。これは大変なお金がかかるわけでございまして、ここしばらく、予算ずっと見ますと、これは建設省になるんだろうと思いますけれども、雪が少なかったというようなこともこれあり、また財政事情もあったのかもしれませんが、これは常日ごろのやっぱりこういう雪に対する対策を講じておりませんと、結局雪の処理のために大変なお金がかかるということになれば、長い目で見れば結局は大きな財政負担になるということになるわけです。今後のこの流雪溝、これに対しての、またなだれとか地すべり対策、こういうものとしてもひとつ強力にやってもらいたいと思いますし、さらにこの前のなだれによって亡くなられた方がいらっしゃいますが、あの守門村、この村長さんも言っておりましたが、やっぱり集団移転するようなことも考えなきゃならぬ、もう危険で村長としても寝てもいられない、そういうところが八カ所集落がある、こういうことです。これは集団移転の事業ということになりますと戸数に制限がある、この緩和を望みたい、こういうお話でございます。これらのことについて、建設大臣
  219. 原健三郎

    国務大臣(原健三郎君) 御承知のように集団移転をしていただかねばならぬようなところでは、このままでお住みになっても生命、財産の確保はできない、生活ができないというようなところでございます。それに、これは集団して移転していただいた場合に、これは市町村の事業としてたとえば道路をつけるとか水道の便を図るとか等々やるのでございますが、いまのところは集団で十戸単位にしてそれの道路や水道等々を敷設市町村で負担してやりたい、こういう仕組みになっております。これをたとえば世帯が二つでも三つでもやるかどうか、これは私も現地を視察いたしましたときに非常に熱望されました。で、むげに——おっしゃることも不合理はございませんので、一遍検討さしていただきたい、その対策本部においても十分研究していきたい、こう思っております。
  220. 斉藤滋与史

    国務大臣(斉藤滋与史君) お答えいたします。  流雪溝の問題でございますが、これは本当に除雪、排雪に非常に効果的だということは顕著にあらわれているわけであります。建設省といたしましても従来からこの問題につきましては積極的に取り組んでおりまして、五十五年度までに流雪溝としては、距離といたしまして二百八十六キロ、それからなお道路確保、それから通っておられる方々をなだれから守るためのスノーシェッドもこれは百二キロの延長キロ数がございます。なお、先生御指摘のように効果的な問題でございますので、五十六年度以降も第七次積雪寒冷地特別地域道路確保の五カ年計画をもちまして積極的に進めてまいりたい、このように考えているものでございます。
  221. 藤原房雄

    藤原房雄君 国土庁長官、がけ地近接危険住宅移転事業とそれから地すべり危険地域住宅事業というのがございますね。これはもう戸数じゃない。これは建設省の所管かもしれませんけれども、国土庁長官、こういう事業があるんですから、まあなだれというのはもう本当に雪のためにがけが近くに寄ってきたみたいなものですから、これはひとつ弾力的にといいますか、現状に即して御検討をぜひいただきたいと思いますが、どうですか。
  222. 原健三郎

    国務大臣(原健三郎君) 現地に行きましたら被害者等からそういう声をたくさん聞いております。よく検討いたして善処いたします。
  223. 藤原房雄

    藤原房雄君 前向きでですか、後ろ向き……。
  224. 原健三郎

    国務大臣(原健三郎君) はい、前向きにやります。
  225. 藤原房雄

    藤原房雄君 それから文教施設です。時間がございません、一点だけ。これは校内の消雪施設、こういうものに対しての国庫負担というの、対象にならないんですね。これはひとつぜひ現状に即するようにやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
  226. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 国庫負担につきまして、特に建設関係、危険校舎の分について多分御質問もお考えになっていらっしゃると思います。これが金額が減少しておるということがお気がかりかと存じますが、五十二年から危険校舎、危険建物の解消のための三カ年計画を立てまして、そして木造建築をセメント建築に切りかえるというような操作が行われておりまして、それが大変効果的になっております関係から、今回のあれにいたしましても、金額は減少しておりますけれども、調査いたしましたが、御心配は要らないようでございます。  ただ、もう一つ別に、いまの学校建築の建物の分以外に校舎が、体育施設なんかが九カ所ばかり倒壊いたしております。これは、御案内のとおりに、非常に積雪が多かった関係で、工法の点で耐雪性ですか、力学的な工法の点では問題があるんじゃないかというので、目下調査いたしております。
  227. 藤原房雄

    藤原房雄君 校内の消雪施設のこと。
  228. 吉田壽雄

    政府委員(吉田壽雄君) 消雪施設のことにつきましてお答え申し上げます。  学校建築、学校の建物の建築と同時に施工いたします屋根とかあるいはまた建物の周囲に設けます消雪設備につきましては、従来から国庫補助の対象といたしております。  なお、そういう新しい学校建物の建設と全く別個に、別の時期に消雪設備を施すというときには、ただいまの制度上は補助をすることは困難になっております。そういう実態でございます。
  229. 藤原房雄

    藤原房雄君 そういうことですから、これからでもひとついまの足りない、以前のやつについてこれ対処すべきだと思いますが、どうですか。
  230. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 十分に御意見を参考にいたしまして、善処いたします。
  231. 藤原房雄

    藤原房雄君 冬、雪に覆われて、運動するにももう学校の運動場しかない、こういう中です。ですから、運動場を二つつくらなければならぬという、こういうところもありまして、実際に実情に合っていない現状というものをよくひとつ把握してもらいたいと思うんです。  次は、今度は雑損控除で、税金の面で五万円ということがあって、それなりの評価はいたしますが、あくまでもこれは積寒控除ということで今日まで言ってきたわけです。それは一歩前進は前進かもしれませんが、これで事足れりとしているのかどうか。どうですか、積寒控除について、今度の五万円。
  232. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) いままでは御承知のとおり所得の一割以上の費用がかかった場合、超えた部分ということになりますが、非常に該当者が少ないということで、今度はそのほかに五万円以上の費用がかかった場合と、大体私はその程度でいいんじゃないかと、こう考えております。
  233. 藤原房雄

    藤原房雄君 これはまた委員会や機会がありましたらやりますが、これはお金で見てもらえばいいということよりも、基本的に積寒地帯というものに対する物の考え方をしっかりこういうものの中に組み込んでいただきたいということでありまして、これは先ほどの学校のことにつきましても、またいろんなことにつきましても、雪ということについてはある程度のことがだんだん見られたかもしれませんが、寒さについては、余り具体的なものについてはこれはなかなかむずかしいと思いますけれども、今後の課題としてこれはぜひひとつ検討していただきたいと思うんです。これは雪国とか寒いところの人たちはどういう生活実態の中にあるのかということで、もう少し生活実態の調査をして、そういう中からもっとひとつ科学的に見てもらいたいと思いますが、どうですか。
  234. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 御質問の趣旨がよくわからないのですが、要するに科学的に何を、雑損控除をやれということかと存じますが、雑損控除は要するに雑損をした人に対する控除でございます。
  235. 藤原房雄

    藤原房雄君 雑損控除ということ、そういう甘い認識じゃなくて、やっぱり積寒地帯の生活というのはもっと厳しいんだということで、特にきちっとした体系づけが必要だということがいままで言われているでしょう。長々言うと私は時間がないからあれなんですけれども、いいですわ、これはまた……。  雪のことについてのいろいろな研究があるんですが、実用化されないということについてもいろいろな問題がありますが、どうですか、科学技術庁。実用化の段階で少し、いろいろな研究をしているようですけれども、実用化になかなかそれが生きていないという、こういうこと、科学技術庁で研究していること、将来それが役立つのかどうか、これは実用化されなければ何にもならぬということ。
  236. 中川一郎

    国務大臣(中川一郎君) 昭和三十八年の豪雪を受けまして、昭和三十九年から国立防災科学技術センターに雪害実験研究所を、これは長岡でございますが、それと新庄に支所を設けまして、今日まで試験研究、実験をやっております。特にことしは大変でございますので、特調からも経費を回して研究することにいたしておりますが、かなり成果がいままで上がっているんじゃないかと思います。たとえば道路用高速ロータリーの除雪車の開発とか、あるいは先ほどお話のあった流雪溝の問題とか、なだれ発生機構の研究、建物の屋根構造の研究等々やっておりますが、まだ御指摘のとおり十分ではないと思いますので、今回の豪雪を契機にさらに一層促進して、地域住民の期待にこたえたいと思います。
  237. 藤原房雄

    藤原房雄君 こういう自然科学的な研究は比較的、それの実用ということになるとまだ問題ないわけではありませんが、人文科学的な研究ということになると、生活にどういう影響を及ぼすのかということに対しての研究が非常に少ない、少ないというか、把握されてない。そういう中から、やっぱり積雪寒冷なところにいらっしゃる方々の実態を知らないがゆえに、雑損控除をやっているんだからと、こういうことになるんだということを私は言っているんですね。これは今後ひとつ大きな課題として進めていただきたいと思うんです。  ところで、鈴木総理はこのたび国土審議会に対しまして、東北地方の開発の整備をどう進めるか、諮問なさった。私ども、これは大変な期待をいたしておるわけでありますが、これを諮問するに当たりましてのどういう動機といいますか、動機は決まっていることですけれども、諮問された以上は、それなりの御決意なり何なりおありだろうと思います。その点についてお伺いをしたいと思いますが、いかがですか。
  238. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 東北地方は国土資源も豊富でございます。また開発の可能性も非常に大きい、未来に対して大きな夢を持っておるわけでございます。しかしながら、一面におきまして、藤原さん御指摘のように、自然条件も大変厳しい、過疎地帯も多い、生活水準あるいは経済状態も大分立ちおくれておると、こういうようなことを総合的に勘案をいたしまして、しかも首都圏のすぐ隣でございます。私はそういう観点から、東北の総合的な開発ということは、八〇年代、二十一世紀を展望した場合において非常に重要な課題である、国土政策上重要な課題だと、こう考えまして、国土審議会に諮問いたしておるわけでございます。その答申を待ちまして、適切な施策を進めてまいりたいと、こう考えています。
  239. 藤原房雄

    藤原房雄君 これは、いろんなことがこれからまた審議、諮問の結果出るだろうと思います、答申が出るだろうと思いますが、いま東北で一番関心を持っておるのは東北新幹線の見通しでありますが、これと、また最近国鉄運賃を値上げするということでありますが、総裁にその見通しと国鉄運賃の値上げについての現状というものをお話しいただきたいと思います。
  240. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 東北、上越の新幹線につきましては、まことに残念ながら当初の予定どおり上野まで引っ張ってくる、東京駅まで持ってくるということができませんで、明年の春になると思いますが、とりあえず大宮駅からスタートをするということにさせていただきたいと思います。これは、地域によりましては時間が早くなるというメリットもございますけれども、地域によりましてはかえって乗りかえがふえるというようなことで御迷惑をかけることになりますので、何とか大宮開業後、一日も早く上野との間、東京駅との間をつなげるつもりでおります。また、東北の方々、上越の方々からのお話といたしましては、乗りかえがふえて不便になる面があるので在来線の特急その他をもう少し残せという御議論があるわけでございまして、これはある意味では大変ごもっともなことでございますが、私どもとしましては、輸送量を超えた輸送力を持った車両を走らせるというわけにもまいらないということで苦慮をいたしております。しかし、御不便をおかけするということも十分認識しておりますので、総体として東北の皆様方の御要請をよく承って対処いたしたいと思います。  運賃につきましては毎年連続値上げをお願いせざるを得ない状態でございまして、私ども自身としても非常に困っておるわけでございます。どうしてもやはり値上げということになりますとお客様の御利用が減るということになりますから、できるだけ避けたい、できるだけ低くしたいと思うわけでございますが、現在の経理状況あるいは昨年からことしへかけましての燃料費を中心とする諸コストの値上がりというようなものを考えますとどうしても避けることができないので、数日前に運輸大臣にお願いをいたしまして一〇%ちょっと切れる程度のかなりの高い率の値上げを今回お願いをいたしておるわけでございまして、しかしそのことがかえって経理を悪くしてはなりませんから、いろいろな形で営業努力と申しますか、そういう形で収入減を大きくは起こさないように努力をしてまいりたいと思います。大変御迷惑をおかけいたします。
  241. 藤原房雄

    藤原房雄君 時間もございませんので、最後に、国際障害者年ということもございますので、また福祉の公明党ということで、福祉の問題をひとつお伺いをいたしたいと思います。  自閉症児の施設のことについて、自閉症児対策、これは今日までいろいろ取り組んでいただいておりますけれども、今後の設置計画、また十五歳を過ぎた過年児対策もいま問題になっているわけですが、これどうですか。
  242. 園田直

    国務大臣(園田直君) 自閉症の問題では平素から格別御援助をいただいて感謝をいたしております。  第一に、自閉症の子供の数の把握、これは非常に困難でありまして、アメリカのカナー博士の文献によると大体一万人中二人から二・四人、こう言われておりますから、推計で七千人ぐらいだと考えております。  児童の自閉症の対策はいろいろやってきたわけでありますが、逐次関係方面の御理解を得て、児童に対する手当、それから一般の児童福祉法に関する問題等、それぞれ自閉症専門の施設等もできているところでありまして、五十六年度の予算では、それぞれ厳しい中ではありますが、財政当局の御理解を得て据え置きまたは引き上げを願ったところであります。  御指摘の子供から大人になった場合、これがまたなかなか大変すき間があるわけでございまして、これに対してもいま検討いたしておるところであります。この自閉症の子供が、あるいは大人が病気になった場合に、ほかの人と違いますので、これに対する特別の施設等も考えて検討しておるところでございます。
  243. 藤原房雄

    藤原房雄君 自閉症児を抱えた父兄が一番悩んでいらっしゃるのは、病気になったときに安心して診療を受けられる病院が少ないということでして、自閉症児指定病院とか専門の医療施設、これが非常に望まれておるわけでありますけれども、これについて厚生省としましては今後どのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  244. 園田直

    国務大臣(園田直君) 御発言のとおりでありまして、これに対する指定の病院等もやっておるところであり、それから今後、特にそういう方がかかりやすい施設、病院等をつくるよう検討いたす所存でございます。
  245. 藤原房雄

    藤原房雄君 文部省にお伺いしますが、これは自閉症児というのはいろんな立場があるわけでありますけれども、比較的軽度の方については、普通の学校に通って、そこに併設した情緒障害児学級ですか、こういうところに通っておるわけですね。施設についてはいま厚生省からお話ございましたが、文部省のこの併設したやつについての専門の教職員、それから施設の拡充、こういうことについて特段の御配慮をいただきませんと、非常に専門教職員の方々については過重な、何せすごい力で動き回るということでありますので、文部省としましてもこの点については十分な御配慮を——厚生省の方と文部省の方と両面から進める、こういうふうになっているわけですけれども、これぜひひとつ進めていかねばならないことだと思うのでありますが、どのようにお考えでしょうか。
  246. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 御指摘の自閉症を含みます特に情緒障害児の教育の歴史も日本では浅いのでございますが、それらの教育を担当する教員の問題につきましては先生御心配のとおりでありまして、経験豊かな現職の教員に教育を施すなどの方法を特にとりまして対応することといたしておりますが、このために主として現職教員を対象とする情緒障害教育教員養成課程、これは一年でございますが、国立の教員養成大学学部、これは東京学芸大学と愛知の教育大学、奈良の教育大学に設置をするほかに、国立の特殊教育総合研究所におきましても一カ年の長期及び三カ月の短期の情緒障害教育研究コースを開設いたしております。また、自閉症を含む情緒障害児については小中学校の特殊学級または養護学校で教育をすることとなっておりますが、学校に加わる教職員につきましては、今回も標準法の改正によりまして学級編制基準を引き下げましてこれらに改善を図ることといたしております。また、その職務の困難性にかんがみましても俸給あるいはこれらの者の職務上の調整も支給いたしておることになっております。  なお最後に、これらの入所をさせます施設でございますが、現在五カ所設置されております。なお、教育形態や教育内容につきましては当該施設と十分に連携を図りまして行うように指導いたしております。  以上でございます。
  247. 藤原房雄

    藤原房雄君 最後になりますが、いま私どもの身の回りの問題をしぼってしぼって申し上げたわけでありますが、特に冷害のその後のことについて、また豪雪につきまして、内閣総力を挙げてひとつお取り組みいただきたいことを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  248. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 以上で藤原君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  249. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 次に、志苫裕君の質疑を行います。    〔委員長退席、理事古賀雷四郎君着席〕
  250. 古賀雷四郎

    ○理事(古賀雷四郎君) 志苫裕君。
  251. 志苫裕

    志苫裕君 生涯を婦人の地位の向上と政治浄化のために尽くされました市川房枝さんが亡くなりました。総理は病床中の市川さんを見舞ったことがありますか。
  252. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 私は、市川さんが、今回国民の願望にもかかわらず他界をされたということにつきまして、心から哀悼の意を表しております。  わが国の婦選運動、女性の社会的地位の向上、あらゆる分野におきまして、今日まで献身的な御努力をいただきましたこと、深く感謝をいたしておるところでございます。私は政務の都合上お見舞いをすることができませんでしたけれども、お花を贈る等お見舞いは申し上げておったわけでございます。
  253. 志苫裕

    志苫裕君 官房長官はどうですか。
  254. 宮澤喜一

    国務大臣(宮澤喜一君) 私もお見舞いをそびれまして、心残りをいたしております。
  255. 志苫裕

    志苫裕君 報道によりますと、ASEAN訪問中の総理はジャカルタで、田中角栄氏倒れるの知らせを受けて一瞬色を失ったが、やがて回復の報告に生気を取り戻した、できることなら飛んで帰りたい模様であったと報ぜられています。あなたが、とつ思い、とつ考えた心の内は、推量以外にありませんけれども、総理、あなたにとって田中角栄さんとは何ですか。
  256. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ASEAN旅行中の模様につきまして、新聞がそのような報道をされたということを、私いまあなたから初めてお聞きしまして承知したわけでございます。  田中さんは、昭和二十二年に国会へ初当選をされた。私も昭和二十二年に当選をしてまいりました。自来、戦後の日本政治に長くかかわってきた方でございまして、私もある時期におきましては、田中さんが幹事長をやり、私が総務会長をやりましたり、いろいろ交友もあったわけでございます。何かそのことが……どういう御意味でございましょうか。
  257. 志苫裕

    志苫裕君 まあいいでしょう。親しい人の消息や安否を気遣うのは人間的なことです。しかしあれは騒ぎでした。人それぞれに人格や尊敬すべき点がありますから、あえて田中さんと市川さんを比べはいたしませんけれども、しかし国民が割り切れないのは、いまは無所属の一議員が、たんをのどに詰まらせたぐらいで、政権党ひいては政界がパニック状態になるということです。当の本人はおのれの存在感に幾らか得意かもしらぬけれども、総理大臣の犯罪として裁かれる人に大きな顔をされては、国民はやりきれぬのであります。鈴木内閣自民党は、田中角栄氏を核にしてバランスをとったり維持をなさったりしているんですか。
  258. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 田中さんはいま無所属におられるわけでございます。私は、自由民主党総裁として党員諸君に対しましては全く一視同仁、本当に親しみを持っておつき合いをいたしておるわけでございます。そういう意味で、いわゆる、いま御指摘になったように、田中派の諸君といえどもこれはわが党の党員であり同志であるわけでございますから、親しくおつき合いをし、また御協力もいただくということは党総裁として当然のことだと、このように考えております。
  259. 志苫裕

    志苫裕君 くどいようですが、しつこいようですが、あなたが内閣を主宰をしておることの意味を世間では直角内閣、こう表現しておりますが、元総理大臣とはいいましても、政治への信頼を失墜をされた方が党内に最大の派閥を形成をして内閣に大きな影響を与えるというのは、やはり民主政治のけじめがつかぬと思うんです。改めて御所見を伺いたい。    〔理事古賀雷四郎君退席、委員長着席〕
  260. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 何をおっしゃっているか私にはよくわかりません。私はいま自由民主党の諸君の協力を得て政権を担当し、運営をしておる、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  261. 志苫裕

    志苫裕君 まあこの問題いずれまたやりましょう。  で、ちょっと先ほど千葉県の問題について竹田委員との間に少しやりとりがございましたが、自民党が百条調査委員会の設置あるいは不信任を否決をいたしました。この点について何か所感がありますか。
  262. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 地方政界の議会運営にかかわる問題でございますから、私、詳細に承知をいたしておりません。しかし、いずれにいたしましても、川上千葉知事が県民を初め国民各方面からいろいろ誤解を持たれ、また批判も受けておると、こういうようないわゆる念書事件というようなものが起きたこと、これは私としては非常に遺憾に存じておるところでございます。政治の中におきましては、清潔な政治ということが政治倫理の原点であるわけでございますから、政治家たるもの、個々にそういう点に常に思いをいたし、自省を加え、身を正していかなければならないものだと、こう考えています。
  263. 志苫裕

    志苫裕君 自民党否決をしたことについて何か所感がありますかと聞いている。
  264. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) いま申し上げたように、地方議会の議会運営、そういうことにかかわる問題でございますし、内容的に私詳細を把握しておるわけでございませんから、いま申し上げたように、この事件全体として非常に遺憾なことである、こう思っています。
  265. 志苫裕

    志苫裕君 それから総理、ちょっとどうも私は気になるんですが、けさほどの質問もそうでしたが、川上知事が県民に誤解を受けるようなことをしたのは遺憾なことだと、こう言うのですがね。誤解というのは、いいことをしたんだが悪いようにとられたとか、何でもないのに別のことに考えられたというのを誤解というんですよ。だから、あなたのその誤解という言葉を聞きますと、川上さんは何でもないんだけれども何か人々に誤解を与えたというふうにとられますよ。これははっきりしているんですよ、五千万円念書をやったというのは。念書の文字について何だかんだ言うていますけれどもね。だから、誤解も八階もないんだ、これは。そこのところをはっきりしてください。誤解じゃないんですよ。疑念とか疑惑とか、これならちっとは当たるかもしらぬけれども。それをもうちょうとはっきりしてください。
  266. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) どうもあの念書事件というのは私にはよくわからないんです。ですから、かばう意味とか、かばわない意味とか、そういうことではございません。いい意味でも悪い意味でも大変なやはり誤解がある問題でございます。私は、この事態がいずれ究明をされるでございましょうから、そういう点を申し上げておる。あるいは、あなたから教えていただいたんですが、疑念という表現をした方がよかったなあというようなこともいま教えられて考えておるところでございます。
  267. 志苫裕

    志苫裕君 どうも余り、倫理感は薄いようですね。捜査当局はどういう対応をしていますか。
  268. 中平和水

    政府委員(中平和水君) お答えいたします。  私どもも、報道等によって千葉県でそうした問題が起こっておることは十分に承知をいたしております。当然、私たちの方でも、指摘される事実の中に刑事責任を問うべき事実があればこれは警察として厳正に対処してまいるのは当然のことでございます。
  269. 志苫裕

    志苫裕君 調査をしているんですか。どうですか。
  270. 中平和水

    政府委員(中平和水君) そういう話のあることは承知いたしておりますが、私ども、まだ事柄の全容を把握していないわけでございますので、したがいまして、捜査をするとかしないとかいう問題についてはこの席で答弁を差し控えさせていただきたいと思います。
  271. 志苫裕

    志苫裕君 私は、捜査をしているかと聞いているんじゃない。調査をしていますかと聞いているんです。
  272. 中平和水

    政府委員(中平和水君) 調査という意味がどういう意味か私どもも定かに承知いたしませんが、一応捜査の前段階として、私どもも、当然のことでございますが、いろいろな社会事象がございますればそれに対して当然のこれは諸般の情報収集等をしてまいるわけでございますので、そういう意味での関心その他は持っておるわけでございます。
  273. 志苫裕

    志苫裕君 参考人もおいでいただいておりますので、次に豪雪対策について少しお伺いいたします。  豪雪対策につきましては、関係法令の発動を初め、かなりの手が打たれておりまして、関係者の労を多といたしますが、先ほど藤原委員とのやりとりを聞いていた限りでは、総理が万全の手を打つと言ったのと比べますとかなり手抜かりがあるなという気がいたします。衆参それぞれのところで取り上げられておりますから、重複を避けてしぼってお伺いをいたしますが、どうかひとつ、この場で私に答えるというんじゃなくて、特豪地帯だけでも百万世帯、三百万人の人がおるわけですから、ひとつその人たちに答えるということで御答弁を願いたい。  まず、激甚災害の取り扱いですけれども、まあ若干、法適用の時期一雪が解けぬとだめだとか、いろいろな時期だとか、あるいはその基準に合うか合わぬとかという若干の問題はあっても、実態としては、必要な項目については適用を前提にして万全の手を打つということで御答弁いただけますか。
  274. 原健三郎

    国務大臣(原健三郎君) いまお話がありました降雪被害はまだ進行中でございますが、せっかくこの現状の把握に努め、激甚法に該当するものについては可及的速やかに適用する考えでおります。
  275. 志苫裕

    志苫裕君 たとえば中小企業の金融みたいに、少し基準に合うか合わぬかわからぬが、ひとつとりあえずやろうということで手を打っていますわな。こういう考え方でほかの項目についてもおやりになりますかと聞いているんです。
  276. 原健三郎

    国務大臣(原健三郎君) きわめて積極的に、前向きに対策をやる考えでおります。
  277. 志苫裕

    志苫裕君 関係自治体は、国の施策が、あるいは制度があろうとなかろうとやらねばならぬことは全部やらなきゃいけないんです。それだけに財政の追加需要も大きいわけでしてね。除雪費だけでもすでに当初計上額を上回ったというような実情を聞いておるわけでありますが、ひとつその辺の事情につきまして、きょうおいでいただきました我田参考人からお聞かせをいただきたいと思います。お願いいたします。
  278. 我田大作

    参考人我田大作君) 新潟は雪国、トンネルを越えた魚沼地帯、塩沢から参りました。町では県の災害救助条例、あるいは国でのいろいろ救助法、こういった施策、あるいは衆参両院の先生方、政府の国土庁長官を初め、皆さんから、いろいろ魚沼地帯のなだれを中心にした事故等もございまして、御視察をいただき、実態については御掌握いただいておりますし、早急な御対策をいただきましたことにまず御礼を申し上げます。  まあトンネルを越えたばかりのところでございますが、十二月十四日に初雪がございまして、昨日二月十一日現在で、平場の積雪が三百二十四センチ、一月の十四日がいまのところピークになっておりますが、例年この二月の中下旬にピークが来るように、そういう形でいままで進めてまいっております。現在のところ三百二十四センチでありますが、山手に六集落を抱えておる私どもの町といたしましては、きのう調べてもらったところ、六メーター十センチの積雪がある、こう申しております。まあ私ども累年平均の積雪深というのが二メーター四十七でございまして、必ずしも二メーターを超えたからといって驚いてばかりはおられない土地柄でございます。そうした中で、いわゆる三八豪雪というようなときには、私どものところはこの二月の十日現在までに降ったかさが四メーター五十五、本年は二月の十日現在で十六メーター九十五という非常に急速に降り積もった雪で、なだれなり、あるいはこの処理で非常に私ども対策に頭を痛めておるところでございます。  雪の原点とも言われている私たちの町で生んだ「北越雪譜」の鈴木牧之の言によりますと、天保五年には、尺で言っておりますが、メーターに直しますと五十五メーターの降雪量であったと、これは信じられないような数字だけれども、それぐらいのことは疑うべきではないというようなことを「北越雪譜」には述べておりますから、まだ、五十五メーターに比べればたまげるような状態ではないと思います。  まあ私ども克雪といいますか、雪に負けずに土地をりっぱなものにしていこうということで努力をしているわけでございますが、ことしにつきましては大変異常でございます。一月で二日降らなかった日がございました。二月に入りましては、いままでに四日降らないだけであとは毎日降っているという実態でございまして、この雪に呻吟をしているという現状でございます。  そういった中で、いまお尋ねの町道あるいは公共施設等の除雪を中心にした経費、これに大変頭を悩ましているわけでございます。道路の除雪延長が私ども約二五%程度でしょうか、全町道の。九十八キロ、除雪をして生活環境の維持に努力をしております。このうち、建設省で基準を出されました雪寒指定路線というのが五十九・九キロでございます。その他四十四キロを加えまして九十八キロ、無雪の状態を確保してまいっておるわけでございます。機械といたしましては町で四台、業者から三十台提供してもらいまして、それぞれ分担を決めてこの九十八キロの維持に努力をしているわけでございますが、ことしの場合、周りに三メーターを超える雪があるわけですので、ロータリーという雪を吹き飛ばすのでないと、いままで対応してまいったショベルドーザーや、あるいはブルではなかなか対応できないというようなことで、大変難渋をし、また経費もかかっておるということでございます。  経費、一月末で一応締めたわけでございますが、当初八千百万ほど用意をいたして計上したわけでございますが、一月三十一日で八千百万に対しまして一億五百万、約三〇%程度の増額を強いられました。これは私の専決でやらしていただきました。今後この二月、三月とまだかかるわけでございまして、全体では一億五千万はかかるだろうという見込みを現在立てております。平年は六千万ないし七千万の計上があれば過ごせたわけでございますが、約倍額の、道路維持については除雪経費が必要であるということでございまして、一に、専決をやるにしましても、特別交付税あるいは市町村道路除雪費に対する特別補助、これらを期待をしながら専決をしたような次第でございます。  なお、公共施設につきましても、先ほど言いましたような連続して降るというようなことでございまして、公共施設については、一般人家は七回以上やっているわけですが、四回ないし五回、学校あるいは保育所、幼稚園あるいはその他の施設について屋根の除雪をしましても、なかなか側をのけるのに、ことしは特に機械でまず家の周りの、家屋の周りをのけまして、そこへ入れるというようなことで倍増をしております。当初四百万ほど計上いたしましたが、一月末でやはり専決によりまして千四百八十万増額をしました。当初の三・六倍に至りました。なお、今後の経費を予想いたしますと、二千八百万程度は用意しなけりゃならぬだろうということになりますと、当初の約七倍程度は用意しなけりゃならぬということでございますし、そのほかに、冬の保安要員、あるいはなだれも出ました、建物も傷みました、そういったものに対する手当て、あるいは臨時の賃金、これらを約三百五十万程度も用意しなけりゃならないということで、全体では一億七千八百万程度の除雪関係の費用が要るんではないか。これにつきましては、九千三百万あるいは一億近い、当初の計画よりは増額をしないと切り抜けられないという実態を持っております。
  279. 志苫裕

    志苫裕君 いまいろいろと実情をお聞かせいただきましたが、とにかく公共部門でとても当初の予定では足りない。いまお話を聞きますと、結局大どころを突き詰めて言うと、市町村道の雪を取り除く除雪の費用と、補助と、それからあと特別交付税その他でまとめてめんどう見てくれぬかという要望になるようなんですが、ひとつこの点について、市町村道の除雪、それから特交による財源手当て、これについて建設、自治、それぞれ見解を聞かしてください。
  280. 原健三郎

    国務大臣(原健三郎君) まず私から先に。  ただいま参考人の方々がいろいろ切々として訴えられまして、その御労苦のほどもわかりますし、私も現地へ行ってその苦労をお聞きしたし、見てもまいりました。それから経費の莫大にかかるということも予想以上にあるし、すべての点において三八豪雪以上であるということを私どもも認識しておるところでございます。  それで、一番問題になります道路の除雪経費であります。これはいまもお話のありましたように大変なものでありますし、むろん特別交付税は配付もあるのでございますが、そんなことではらちがなかなか明かないというわけでございます。それで、除雪費の費用の方が多額に上っていることにかんがみまして、政府の豪雪対策本部としては、こういうことに一応の意見をまとめております。  第一は道路の除雪、第二は公共施設の除雪と、二つに分けまして、第一の国とか県道の除雪、排雪に要する費用については、今後の降雪部分を含め、財源確保に努めております。次は、国、県以外の幹線の市町村道の除雪、排雪の費用についても、必要に応じて考えております。どういうことをやるか。昭和五十一年度に実施した予備費の中から支出せなければこれは解決しないという結論に達しまして、豪雪対策本部としては予備費から支出する方針だけを決めております。  第二に、また同様に、今度は公共施設の除雪費用についてどうするか。公共施設除雪法という法律がありまして、その法律の豪雪指定政令をこれから公布する考えでおります。その方針を決定いたしたく、いま豪雪指定政令の公布のための準備を進めております。これが公布されましたら、それらのいわゆる公共施設に対しても経費が出ると、こういう仕組みになっておりますので、きわめて積極的に万遺漏なきを期したいと思っております。
  281. 志苫裕

    志苫裕君 わかりました。建設、自治、いいです。私、次のことでお願いします。  そこで、積極的に前向きに万遺漏なきをと、こう三つ重なったんですがね。市町村道の除雪の補助について、五十一年あるいは三八のことも考えて予備費を使ってもやるということはわかりました。しかし、これは幹線に限られているんですよね。先ほど町道の長さの話がありましたけれども、幹線道だけではやっぱりだめなんですよ。細い道にだって消火施設もあれば何でもあるわけですからね。そこは行かないからというわけにいかぬので、町はみんなそれをやるわけ。建設大臣、これどうですか、幹線道だけにしぼらないで、もっと道路の幅を広げる、枠を広げるということはどうですか。
  282. 斉藤滋与史

    国務大臣(斉藤滋与史君) お答えいたします。  豪雪地帯の道路確保は最も重要課題であります。生活あるいは経済流通機構に欠かせない生命線でございます。したがいまして、既存の都市計画だけではいかない面も出てまいっている現況を考えますと、先生御指摘のような形で、これからの町づくり、都市づくり、道路交通網の整備についてはその面についても配慮しながらやっていかなければならないのではなかろうかと思います。ただ、今度の場合は、三十八年以来の豪雪でありましたけれども、一応、国、県道の確保につきましてはいち早く対応いたしまして、多少のトラブルがありましたけれども、とにもかくにも生活流通道路としての確保ができたものと考えております。ただ、市町村道における対応について先生御心配なさっておられることと思います。これはもう災害主管大臣である原長官からもお話がありましたように、いろいろの予算面につきましても、これからの対応として万全の措置をして、こうした降雪を重ねて地元の方々に災害被害を受けないような対応をしていかなければならない、このように考えるものでございます。
  283. 志苫裕

    志苫裕君 ですから、万全だと言うから、市町村道の除雪は従来の例だと幹線に限られておる。それだとなかなか——狭い道だって自治体はやるわけですから幹線からもうちょっと枠を広げないかということを要望しているんです。いかがですか。
  284. 斉藤滋与史

    国務大臣(斉藤滋与史君) お答えいたします。  幹線市町村道以外の市町村道のことについての御質問、御配慮であろうかと思います。これについては地域全体の除排雪としてとらえることが適切と考えられますので、普通交付税、特別交付税によることがより合理的とは考えられますが、建設省といたしましては、もちろん交付税等々の配慮はさりながら、市町村道の除雪用機械の補助等を配慮しながら、現在もやっておりますけれども、なお積極的に継続して進めてまいりたい、このように考えるものでございます。
  285. 志苫裕

    志苫裕君 いろいろ言っているけれども、だめだと言っているわけ、だな。  そこで、それならちょっと別にやりますが、結局建設大臣は幹線道ぐらいにしてもらってあとは特交でというのですが、先ほど特交の話で藤原委員とのやりとりがありましたが、ざっと聞いておると、二百四十四億用意をして十二月に冷害分として百三十六億やって、これから後もそれに近い分を冷害に回さなきゃならぬということになると一二百四十四億のうち百億しか残っていませんよ。この点大丈夫ですか。
  286. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 二百四十四億というのは、ことしは大変に特交要因が多いのでございまするので従来の特交の枠では足りぬ。そういうことで二百四十四億を追加をいたしまして総額を五千九十億にしておるわけでございます。そのうち十二月に千二百三十億配分済みでございます。その差額が今後の配分の総枠になるわけです。そのうち、先ほど申し上げましたように、冷害についてはまだ追加をしなくちゃならぬ問題もございまするから、これには百三十億弱どうしてもとらなければいかぬだろうと思っております。そのほかに各種の特交要因がございますから、しかも、なお豪雪の問題につきまして相当配慮をしなくちゃならぬ。これにつきましても被害総額がまだ判明いたしませんので、それを集計し判明した暁において、残された財源等についてこれを配分していきたいということで最大の努力をしたいと思っているわけでございます。しかし、それにいたしましても恐らくはこれは足りぬのじゃないかという感じがするわけです。したがって、その足りない分、特に町村の基幹道については従来の例もありますから、予備支出をしてもらうことによって雪害対策についての一つのまとまりをつけ得るのではなかろうかと、こんなふうに考えていまいろいろ検討しておる、こういうことでございます。
  287. 志苫裕

    志苫裕君 ですから、私は交付税は素人じゃないのですからごまかしてもだめですよ、あなた。五千九十億というのは通常のベースで考えておったんですよ。そこへこの大雪が来て、それに対する追加需要というのがどんどん要望があるわけで、二百四十四億というのは私は必ずしも雪を考えた額でないということを主張しているのです。そうすると、この大雪による需要はこれからこれに上積みをしなければ実際は賄えぬだろう。この枠内で賄おうとすれば、雪国にお金を回した分だけほかの雪のない県が減るだけなんですから、そういう仕掛けになっておるのですから。それではだめで、雪に見合う分を全体としてもう少し確保しなければならぬのではないか。交付税の性格からいって一から十までめんどうを見るものじゃありませんから、交付税でめんどうを見れるかといったら、残りの分はいまお話があったようにいわば予備費でも繰り入れて必ずめんどうを見るという手もありましょうけれども、二百四十四億で足ります候というようなことを言っているから私は言っているのです。  大蔵大臣にお聞きしますが、来年の地方財政対策として二百四十四億が決まった、それは十二月二十日だ。十二月二十日に雪は降っていましたか。こんな大雪になる想定がありましたか。雪は考えていなかったでしょう。いかがですか。
  288. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 特別に考えておりません。
  289. 志苫裕

    志苫裕君 これは、いま大蔵大臣が言いましたように、今度の特交の追加というのはこの大雪を特に考えていなかったと、こう言っているでしょう、大蔵大臣。これでは自治大臣、ちょっとあなた万全を期しますということになりませんよ。
  290. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 除排雪の経費につきましては、御承知のとおりに普通交付税におきましても約六百六十億ほど入っておるわけでございます。それから、特交要因を考える場合に全然雪害の問題を考えなかったわけではございません。やはり相当の豪雪であるということをある程度認識をいたしまして、しかも冷害の問題もございまするから二百四十四億というものをひとつ追加して処置をいたしたいと。しかし、雪害の総額というものはいまだ判明しなかったわけでございます。したがいまして、配慮はしたけれどもこの特交財源で必ずしも十分に対応できないのじゃなかろうかという私ども懸念をしておるわけでございます。その点については予備支出というものをぜひ考えてもらわなければいかぬ、こういうふうに考えているわけです。
  291. 志苫裕

    志苫裕君 大蔵大臣、何か発言がありますか。
  292. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 私簡潔に申し上げましたが、ただいま自治大臣の言うことと内容は同じでございます。したがいまして、できるだけ既定の経費の中でやっていただく。それから特交も重点的な配分ということは当然あるわけですから、そういうようなものは、どこかに災害があった、こっちがあった場合はこっちがないとか、何かあるわけですから、だからその中である程度やりくりはもちろんつくわけなんです。しかしながら、余り規模が大き過ぎるということになればつかない場合もあるでしょう。そういうような最終的な問題については自治大臣や関係各省庁と相談に応じます。
  293. 志苫裕

    志苫裕君 これ、あると言えばあるしないと言えばないみたいな話ですけれども、特交はある程度そういう性格ですが、ただ私が言いたいのは、とにかくこの大雪というのは当初の需要で算定されていなかったわけですからね。ここでがたっときて追加需要が要るという事情が先ほどお話があったのですから、これはやっぱりそういうものに対応するには私はもう少し、二百四十四億と言わぬで枠が大きい方がいいと思うけれども、まあ予算を持ち出したって衆議院を通ったんだから変えられないというようなことになるのかもしれない。  私は、この点についてまとめて言えば、とにかく特交でいろいろ工夫してみるが、その不足する分は、不足する自治体の追加需要というのは、ほかの法制や、交付金や、補助金や、そういうもので予備費を取り崩してでもとにかく自治体には迷惑をかけぬようにめんどうを見るということを確認していいですか、大蔵大臣。あなたからこれはぴしゃっと答えてくださいよ。
  294. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) それは先ほど答えましたように、法律の許す範囲内において私は相談に応じたいと、そう言っているわけです。ですから大体同じことじゃないですか。
  295. 志苫裕

    志苫裕君 くどいようですが、大蔵大臣が法律の許す範囲内においてと言うと枠を小さく小さく、大体何でもそうだけれども、豪雪対策で各省庁みんな一生懸命ですよ。一生懸命でないのは大蔵省なんだな、やっぱり締めるものだからね。それだけに、それはとにかく、先ほど言ったように総理も言う万全を期すというこの姿勢でひとつあらゆる工夫をするということでもう一度。
  296. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 当然、災害については万全を期します。
  297. 志苫裕

    志苫裕君 あと、農作業の問題やら除排雪、その他いろいろありますが、一つだけお伺いしておきますと、農林大臣、これどう見ても五月になってもなお一メートル以上の雪がありますわ。そうしますと、農作業のおくれ、苗代から本田から、その他の問題出ますし、それに対する対策は万全かということと、雪が冷たい水になりますから、事実上の冷害、減収ということになりますね。そうすると、買い上げ限度数量はあってもそこまでもいかないという凶作になる、しかし減反だけは先にやっちゃうということになりますときついですから、要は限度数量が合えばそれでいいんですから、減反の割り当てについてもこれはやっぱり考えるということでどうですか。
  298. 亀岡高夫

    国務大臣(亀岡高夫君) 融雪がおくれるということによる農業生産に影響が出るのではないかという御指摘でございます。これに対しましては、一月二十六日、先ほど申し上げました冷害の後始末のための農業経営に及ぼす影響排除のための通達、さらには豪雪によるただいま御指摘のような点を排除していくための技術的指導、あるいは苗管理の方法等々、さらには消雪——雪を消すという努力、幸いこの稲に関しましては御承知のように、いままで苗代というよりもむしろ畑苗代あるいは機械植えのためのうちの中での苗代をつくり上げるという技術が進んでおりますために、この点についてはほっとしているところでありますけれども、何としてもやはり早く、春になれば農作業にかかれるという態勢をつくらなければなりませんので、そのための通達はすでに一月二十六日に事務次官通達で、各普及所を通じ、各県、農業団体等にも御連絡申し上げているところでございます。と同時に、豪雪なんだから、告産が上がらないんだから、その分減反を減らしたらいいんじゃないかという御指摘、まあ理屈はそうでありましょうけれども、私どもとしてはあらゆる努力をいたしまして、需給のバランスをとるための本当につらい思いをしてやりました計画でありますので、いまここで豪雪のために割り当てを変えるというようなことは考えてはおりません。
  299. 志苫裕

    志苫裕君 生産調整というのは生産量を抑えればいいわけでしょう。現実にことし割り当てた分いきませんよ。二十年から二十一年の統計によれば一割ないし一割五分の減収ですね。そうなれば当然買い上げ限度数量にもいかぬじゃないですか。それがわかっているのにさっさとたんぼをつくるのだけやめちまったら減った分どうなりますか。ですから、そういう点については県間調整でもいい、県内調整でもいいけれども、その辺をうまく調整を考えるというのが弾力的なやり方じゃないですか。
  300. 亀岡高夫

    国務大臣(亀岡高夫君) 昔から大雪のときには豊作という言葉も実は雪国地帯に伝わっているわけでございます。私も雪の問題は大分長く取り組んできた立場でございますので、一部には本年は豊作だぞという指摘をする方もおるわけであります。両論に分かれておるわけであります。百年この方の統計を見ましても、二年続いて冷害になった例、さらには冷害の次の年は豊作であるという例、これが相半ばするということで、私どもといたしましても冷害による減反調整に対する軽減措置を四万六千ヘクタールやっておるわけでありますので、この豪雪による分は特に配慮をせずとも十分需給のバランスはとっていける、こう確信をいたしておる次第でございます。
  301. 志苫裕

    志苫裕君 マクロの意味ではそうでしょう。当該地域は減るんですよ。もうふえるか減るかというのはやってみぬとわからぬということになっちまうかもしらぬが、それは大臣違いますよ。マクロの数字はそうでしょう。当該地は減るんですよ。周りはふえるんですよ。全体の数字を見て増産でございます、そんなの話になりませんよ、あなた。この問題をやっていたのではとてもじゃないがあれですから、次に参りますが、いずれにしても万全を期してください。  雪の対策いろいろとまだお伺いしたいことありますが、いずれまた機会を別にしまして、総理、豪雪対策というのは何といっても、先ほどもお話がありましたように、膨大な雪ね、これどう始末するかということに尽きるわけです。それはほかの災害のようにがっとやって来て、めちゃめちゃに被害を与えてさっといなくなるというのが災害の概念ですけれども、なだれとか、地すべりとか、風とか、火事とかですね。しかしこれはちょっと違う。先ほど言いましたように、六メートルも七メートルもというそれ自体が、どうもこうもならないということですから、これの始末がやっぱり基本だと思うんですよ。このうち道路とか、公共施設などにつきましては財源さえあれば制度的にも技術的にも何とかなるところまで来ました。これは雪国の諸君の長い努力もあるし、重い腰を上げた政府がいろいろ歩いたせいもありますけれども、とにかくそれは結構だと思うんですが、個人の領域にある雪の始末は残念ながら手が及んでいないんです。政治の手が及んでいないんです。いかに人々をさいなむか、悲惨という実態だかというようなことは後ほど参考人からお伺いしますけれども、とにかく現行制度でほかの災害並みのものをちょっと別にしますと、雪の始末の個人の領域にめんどうを見ているのは所得税から雑損として除雪費用を控除する分と経済的な弱者に雪を障害物として除去するという災害救助活動と、それから雪国の固定資産税の評価減免措置ですね、評価の減額と、この三つしかないんです。そのうちのまず雑損控除ですが、さっき大蔵大臣大体いいところへいけそうですなんてなことを言っていますが、しからばお伺いしますが、これで一体どれくらいの人々が該当できると思いますか。
  302. 高橋元

    政府委員(高橋元君) 雪がどのくらいの何というか深さで降りますか、それに伴って雪おろしを何回するかというようなことが具体的にわかりません。天候のいかん、それから災害に関連してどのくらいの方が雪おろしをなさるか、その程度がどのくらいか、実は予算の積算をするときにはその辺のところがわかっておりませんものですから、したがいまして、予算の中には減収額として計上いたしておりませんが、従来特別豪雪地帯あたりの実情を見ておりますと、一年間に平年の雪のときに大体五回、一回当たり三人ぐらいの人手を使っておられるようでございます。そういうことから考えましてどのくらいの人数ということは私どもにはわかりませんけれども、十万人の方が対象になるとすれば十億弱というぐらいの減収になろうかというふうに考えております。
  303. 志苫裕

    志苫裕君 十万人が対象になれば十億でしょうと、それは算術の話でありまして、どれくらいの方が対象になると思うかと聞いているんですが、予算上は減収見込んでいないと言うのだからわからないということですね。大臣お話がありましたように、この雑損控除の制度は仰々しく言っていますけれども、実質的には適用ゼロという制度だったんですよ、適用ゼロ。それじゃってんで五万円の足切りということになったんでしょうが、これはとても余り対象にならないと思いますけれども。もう一方の救助法に基づく障害物の除去、すなわち除雪ですね。これは該当者どれぐらいですか。パーセンテージで言ってください。
  304. 山下眞臣

    政府委員(山下眞臣君) 災害救助法の障害物の除去につきましては、一応みずからの資力では障害物を除去できない者というのを一応の原則的な取り扱いにいたしておるわけでございます。今次の災害はまだ進行中でございますし、市町村の実情に応じた取り扱いにしますものですから、確実な数字はつかんでまだおらないところでございますが、非常に大胆にそのみずからの資力では除去できない者というのを、仮に市町村民税の均等割以下の世帯というふうなことでもし考えてみますと、厚生省の国民生活実態調査の全国平均での均等割以下の世帯が二二・二%程度でございます。そうしますと、現在災害救助法を適用いたしておりますのは三県四十一市町村ございますが、この中の世帯数がおおむね十七万五千世帯程度。そういたしますと、先ほどのようなもし推定をいたしますれば約三万九千世帯程度は対象となり得るというのが非常に大胆な画一的に取り扱った場合の推定でございます。
  305. 志苫裕

    志苫裕君 参考人にお伺いしますが、所得の上の方の人は税金で控除してめんどうを見る、所得の下の人は災害救助活動でめんどうを見る、真ん中の人はどこからもいかぬわけですが、こういう仕掛けになっていますが、果たしてこの雑損控除あるいは障害物の除去がどれぐらいの人を対象にできるものか、実際にはどのような効力を持つと考えるのか、この機会にひとつ豪雪地帯のその除雪等の、個人のですよ、実態とあわせてこの制度の問題点についても御意見があればお聞かせいただきたいと思います。
  306. 我田大作

    参考人我田大作君) 排雪の実態につきましては、いまほどお役所の方からいろいろお話もございました。平年は四回程度屋根の雪おろしをしているというのが実態でございます。山地は七回程度。本年の場合は平均しまして七回、山地の場合は十回、これぐらいが私どものつかみ得ている実態でございます。先ほども申し上げましたように、非常に急激に連日降ったというようなことから、ことしの特徴としては機械力に非常に頼ったと。家が全部埋まってしまっているというような状態の中では掘り出すという仕事には人力ではどうしようもないので、機械力、ユンボとかブルとかこういったようなものの非常に要請がありまして、私どもこれには難渋をいたしましたが、大した被害、つぶれるというようなことなしに過ごさしていただきました。したがいまして、非常に経費の方もかさんでまいっておるわけでございますが、助けてくれという、災害救助法というのですから、そういうのを行政面に出されるのはもっともでありますが、私どもは自衛態勢で守る以外にないということを指導の方針にしながらいろいろ対応をしてまいった内容でございますが、除雪の経費といいますと、当初家の一階部分については雪が入り込まないように冬囲い、雪囲いというのをしっかりした丸太なり板なりで組みます。こういった資材もかなりかかるわけですが、これには普通一人ないし二人の人夫賃が要るわけでございます。私どものところでは平均賃金六千円程度でこれが賄うことができます。一月二十日からは人力が払底しまして七千円にはね上がっておりますし、一万二千円払ったという方もおるわけですが、平均値をとりまして六千円という計算で言ってまいりたいと思いますが、屋根の雪おろし、これ、いまほど三人という計算の基礎もございましたが、平均しまして当初は一人、その次は三人、四人とかかりますが、二人と一応いたしましょう。これ山地の場合十回やるわけですから、そうしますと六千円の二人の十回で十二万。それから機械を借りましてこれが大体、当初は要りませんが、いま申しましたような事情の場合、機械の借り上げ料五万円の三回程度、これらが山地の場合でございますが、借りております。公共施設の場合もこの機械力を使うわけでございますから、そうしますと約これに十五万、合わせて二十七万六千円というような数字が一応出るかと思います。これは平均値でございまして、大きな家になればまたこれに応じて多くなるはずでございます。  そういった実態でございますが、先ほども申しましたようにほとんどの家庭が婦人あるいは家の留守を守っている老人、これらが屋根に上りまして必死の除雪作業をやった。若い者はそれぞれ職場で働き、また職場も大変なわけですから職場で除雪をさせられる。初めは元気のいい諸君は皆職場から帰って夜除雪をやったんですが、職場でへとへとになってきた上に自分の家を守れないというようなことで、だんだん動員がされまして婦人あるいは老人が屋根へ上がるという結果になりまして、事故もしたがって転落事故というのがいままでになくお年寄りあるいは御婦人の方、私どもの町で十名転落による骨折事故でただいま入院しております。そんなことで必死で守り通しているという実態がございます。  これにつきまして所得税のお話が先ほどございました。私ども五千足らずの世帯数でございますが、このうち、明確にはつかみ得ないわけでございますけれども、所得税を納入しているという家庭は大体三千ぐらいではないかというふうに見ております。六割程度は多分所得税を納めているだろう。これもその証拠といいますか、自分、自力ではだめなわけでして、頼んでのけてもらったその証書なりそういうものを提示するという必要がございますので、これができているというのは法人なりあるいはいままで伝統的に頼んでおった人を頼むというのが通例になっている方々がこれに適応できるということでございまして、きわめて少ない数の方しかこの恩典にあずかれない。こういった制度そのものはいいわけなんですけれども、私ども地帯は本当に新潟県内でも一番所得のレベルの低い地域柄等もございまして、これはだんな様の応援をするだけでわれわれにはほとんど縁がないというような陰口も私の耳にも入るような状態でございます。制度そのものは大変前向きにお取り組みいただいていいわけでございますけれども、自分で難儀をしているこれらの者の怨嗟の種になるというような面もなきにしもあらずで苦慮いたしておるところでございます。  なお、生活困窮者といいますか、生活弱者、災害救助法による対象者といいますか、こういう生活弱者、先ほど主税局長さんのお話ですと、町民税の平均割、これを納めていない者と仮定がございました。私どもとしますと、それは約五千近い中で約八百人程度おります。しかし、これも線をどこに引いていいのか実態がなかなかつかみにくいわけでございまして、積極的に、おれは平均割に達していないんだから該当するというおっしゃり方で積極的に来る方と、いや必死で、助けてくれなんていうことは口が腐っても言わないというような意気盛んな人とがございます。そうしたバランス、これは知事から町村長に対して、裁量はおまえに任せるという言われ方をしておるわけですが、非常に町民の融和というような線から、この設定には苦慮をするところでございます。  一月末までで第一次の査定を終えておりますが、八百人のうち私どもが認定いたしたのは百十八世帯でございまして、この金額をトータルしますというと四百二十五万二千円、これらについて県と協議をし、決定をし、現在配慮を願っておる点でございます。これとても、これで完璧でないわけでございまして、みんな同じ難儀をしているのに、そういった恩典の受けられる者と受けられない者との差、これらについて大変苦慮をしている段階でございます。制度そのものができましたことにつきまして、大変ありがたく思っておるわけでございます。
  307. 志苫裕

    志苫裕君 大蔵大臣、いまいろいろお話がありましたけれども、ちょっといまの数字あれですが、私が調べた、たとえば新潟県小千谷市の場合でいきますと、世帯主一万九百いるんですが、そのうち税金を納めていない人は五千五百四十四ですから五〇・七%、約六割ですね。六割が税金を納めてないんです。山へ入れば入るほど農業の占める割合が大きいですから、七割ぐらいまでが税金払ってない。税金を払ってない人は、まず対象にならない。対象になっている人でも、自分でよっこらさと掘っている者は全然めんどう見てもらえない。そうなってまいりますと、いまもお話がありましたように、所得があって人が雇えて大きな屋敷の者、この者しかこの恩典には浴せないんです。数えるほどしかないんです。朝から晩まで、本当に朝掘って夜掘ってといったって全然救われないという、こういうまさに金持ち優遇的なところが出てくるんですね。だから、この場合にはどうしても、自分で掘っておるこの労力を何らかの形で見込めないかというのが率直に言って熱望なんですよ。この点どうですか。
  308. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) もともと税金は所得のある人しか取らないんです。したがいまして、六〇%も税金払ってないという人に、仮に別な経費を、自分の労力を認めても、その人は損失がふえるだけで別に何の得もない。ですから、税制でやることはむずかしいですね。
  309. 志苫裕

    志苫裕君 いや、それは違う。
  310. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) いや、そうじゃないですか、六割の人は税金払ってないんですから。
  311. 志苫裕

    志苫裕君 対象になる四割の人でも、自分でやっている者はだめなんです。そこを言っているんですよ。
  312. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 六割の話ばかりぼくは聞いておったものですからね。  四割の人は税金を払っておると。払っておる人は、要するに五万円以上の雪おろし費用がかかれば、五万円を超えた部分は所得から引きますから、税金払っている人は、それはそれだけの恩典があるわけです。
  313. 志苫裕

    志苫裕君 だから、あなたわかってないんですよ。まず、この制度にまるまる恩典があっても四割しかいない。その四割の中で、人を雇える人——人が雇えぬから自分でよっこらさとやっておる、言うなら貧乏人は恩典がないんですよ。自分がいても、だんな様で、人を雇って、人夫を雇ってやる人しかこれは控除の対象にならない。だから金持ち優遇だと言うんですよ。いかがですか。
  314. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) これは税法から言いまして、自分でやったものを必要経費に認めるということになると、それは農業のような場合、専従者控除というものを家族の者がやったものを認めておりますが、本人の働いておるものまで経費にしちまうということは、いまの税法の体系からして、それはむずかしいと私は思います。
  315. 志苫裕

    志苫裕君 まあ結びにしますがね、結局私は現行法で少しでも大ぜいの人の除雪の苦労に報いるとすると、自家労賃なども見込んで、できるだけ控除の対象者が多くなるように上の方から攻めてくると。それから、所得の低い人には障害物の除去でできるだけ幅を広げ、両方からこうきますと大分救われるんですが、現行法でいくと体系上からも理念上からもやっぱり無理が出てくるという問題に、はたとぶち当たります。現行体制に無理があっても、現実に先ほどお話のあったそういう状態で放置をされている三百万人以上の人たちがこの国にいるという事実は否定をできない。  そこで、雪というものの概念について新しく規定をしまして、新しい体系をつくらぬ限りは、結局は救えないということになる。徳川の昔から、いや祖先伝来ですね、降るところには降るんでしようがないという、こういうことがまかり通れば、まさに現代の差別だと思うんだ、私は。皆さんは雪をとって大きく積んだところばっかり見ていますけれども、私がいま申し上げておる雪がどんな状況かということを——委員長、これ写真見せますけれども、いいですか。(写真を示す)総理、見てください。雪を掘れるという状況じゃないんです。この下に家があるんです。これが状況でしょう。雪を掘るとこうなるんです。六メーター、七メーターといったらこんなものなんですよ。これは、そこに降る雪の量を計算したことはないけれども、新潟県の国道について言えば、新潟県の国道だけで、実は延長が新潟県の国道は六百二十三キロあるんですけれども、このうち除排雪量が通常の場合で二千二百万トンです。ダンプカーにしますと十四万七千台。霞が関ビルの四十四杯分です。これが国道だけです。それが県道、市町村道、ほかの宅地と、こうなったら、この膨大な量を実は公共以外の分は自前でやっておるということについて、これはやっぱり政治は目を向けるべきだ。目を向けるべきだ。現行法体系でいろいろ工夫してもやっぱり無理があるから、雪というものについて新しいこの際立法体系なり位置づけを明確に考えるべきだ。これにどうしても手をつけるべきだ。総理、どうですか。これは総理から……
  316. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) どういう対策をやるか、何か助成でもするか、さらに税金をまけるか、そこで私も考えてみたんですよ。あなたの言うように、それじゃ雪が降るところを、自分でやっても人がやっても関係なく、何か雪控除みたいなものをこしらえて、それで引けばみんな恩典あるじゃないかと。税金払う人は、少なくとも一律に、自分がやっても人がやっても恩典あるじゃないかということも考えたわけですが、こういうような大豪雪というのは実は毎年あるわけじゃない。ある地域で雪が降っているところは降っているけれども、ことしは特別でしょう。仮に、雪でそういう控除をつくれば、それじゃ台風が毎年毎年来る地域もあるわけですよ。そこには台風の被害というのは必ずあるわけですから、そこにはそれじゃ台風控除というものをつくるのかという議論は当然起きてきますね、これは税金の話ですから。そうなってくると、そのほかにもいろいろありまして、非常にこれはむずかしいということなんです。  そこで、そのほかの何かうまいということは何かないかと考えましても、いまのところ雑損控除ということで、いままでは所得の一割というんですから百万とか、みんな百五十万ありますよ。それがなくちゃ食べていけないんだから。しかし、それで十万、十五万以上の部分ということになると、ごくわずかという話になってメリットがない。だから、該当者が少ないというので、今回は五万円ということの最低基準を設けて、それを超えれば、仮に三十万かかったら二十五万円は経費になりますということをしたわけでございまして、それ以上の問題は私、所管外でございますから、この程度にさしていただきます。
  317. 志苫裕

    志苫裕君 もう一度言いますがね、大臣、そうなんですよ。やっぱり税からこの問題始末しようと思ってもやっぱりだめなんです、だめなんですね。毎年降るんですけれどもね、あるときにどかっと降ったのはいまの災害の概念で決まりがつくんです。しかし、年がら年じゅう、毎年ね、祖先伝来三メーター、五メーター、六メーターというのはこれ決まりがつかないんです。ですから、雪についての新しいその位置づけというようなものをしないとこれは救えないというところにぶつかっておるわけですね。だから、これについて、これはやっぱり検討に着手すべきだと。今日この文明の時代になって依然としてそれは降るところは降るところで、しようがないよと言って放置できる問題じゃないということを、これは総理考えてください。
  318. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 志苫さんが御指摘の点は確かに一つの大きな課題でございまして、いま対策本部におきましても各省庁集まっていろんな角度から検討をしております。どのような知恵が出ますか、せっかく政府サイドにおきましても問題点として取り組んでおります。
  319. 志苫裕

    志苫裕君 雪について最後ですが、先ほど除雪が多いところは十二回、十数回。三月、四月になればこれは二十回を超すわけですね。こういう状況になりますと、どうしても除雪のための休暇制度、まるまる一日なくても朝でもいいんですよ、夕方でもいいんですよ、この除雪休暇について特別休暇制度を考えないかということを前に人事院あるいは労働省にもお尋ねをしたわけですが、まあ、いまもう一回研究するということでした。人事院総裁、どうですか。
  320. 藤井貞夫

    政府委員(藤井貞夫君) お答えいたします。  除雪のための休暇制度の問題でございますが、これは現在特別休暇の制度というのは先生御承知のような内容になっておりまして、除雪のための特別休暇の制度は現在のところ認められておりません。したがいまして、大変お気の毒で実態はよくわかるんですが、現在のところは年次休暇をこれに充ててやっていただいておるというのが現状でございます。  しかし、前にも御指摘がございました。私たちの方も休暇制度全般について、現在鋭意検討を加えておる段階でございます。したがいまして、その検討の枠内におきまして、いまお話しの除雪のための特別休暇制度といったものを開くことがいいのかどうなのか、その場合の一つの枠というものについて、たとえば災害救助法の適用を受けておる発動地域とか、そういう限定を置きながら前向きにひとつ検討していってはどうかというふうで、現在総合的に取り組んでおるという段階でございます。
  321. 志苫裕

    志苫裕君 労働大臣、どうですか。
  322. 藤尾正行

    国務大臣(藤尾正行君) お答えをいたします。  ただいま人事院総裁が公務員についてお答えをいたしたわけでございますが、私どもの方でも労働基準法によりますと、これは年次休暇でおとりをいただくということが原則になっております。しかしながら、政治といたしましては、事情特別ということが十二分にあり得るわけでございますから、弾力的にこれを考えるということが私は政治の要諦であろう、さように考えます。
  323. 志苫裕

    志苫裕君 いま労働大臣、ちょっと煙に巻いちゃったということですね……。わかりました。  いずれにしても、災害が起きれば交通が途絶する、その間は休んでもよろしいということもあるわけですから、それと同じように、雪を掘らなきゃ家がつぶれちゃうんですから、それも年次有給休暇二十日しかないのでして、大雪が二十回、三十回となりますと、それでも足らぬのです。本来年次有給休暇はそういうもののためじゃなくて、もう少し自分の労働力の再生産とかエンジョイするための休暇なんでありまして、こういうことから言っても、いま労働大臣の言やよし、人事院総裁の研究も結構ですが、人事院総裁、少しニュアンスが違うけれども.あなたの答弁は昭和五十三年三月十四日からあんまり変わってないな、これは。ひとつせっかく研究してください。  参考人、どうもありがとうございました。
  324. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 我田参考人には、御多忙のところを当委員会に御出席くださいましてありがとうございました。御退席くださって結構でございます。
  325. 志苫裕

    志苫裕君 ちょっと時間が詰まってきましたが、総理自民党国民運動の一環として、自主憲法期成議員同盟の指示によりまして自民党系会派多数を占める地方議会におきまして憲法改正を求める内容の議決が行われておるところがあります。御存じですか。
  326. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 私もそういう県議会等において動きがあるということを聞いております。
  327. 志苫裕

    志苫裕君 地方公共団体の機関が憲法改正について機関意思の決定を行うということは妥当でしょうかね。
  328. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 憲法の改正問題につきましては、私は鈴木内閣における方針、現行憲法はこれを尊重、擁護する、改憲考えていない、こういう点は繰り返し明確にいたしておるところでございます。しかし、一方におきまして、憲法の条章の中にも改正を前提とした規定がございまして、憲法の問題についていろいろ研究をし、論議をし、いろいろの活動をするというようなことは違憲でない、これも明確に相なっておるところでございます。したがいまして、団体の中でそういう推進の運動をするというようなことは、私は違憲ではないと、このように見ております。
  329. 志苫裕

    志苫裕君 自治大臣、これは自治法第何条の行為ですか。
  330. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 地方自治法九十九条の規定に基づくものでございます。これによって意見書を提出できると、こういうことになっております。
  331. 志苫裕

    志苫裕君 この憲法改正を求める決議の議決要件は何ですか、どうですか。
  332. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 政府委員から答弁させます。
  333. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) ただいま自治大臣からお答え申し上げましたとおり、地方自治法の九十九条の第二項に、地方公共団体の議会は、当該地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を関係行政庁に提出することができるという規定がございます。したがいまして、公益に関する事件につき意見書を提出するわけでございます。
  334. 志苫裕

    志苫裕君 議決の要件は。過半数ですか。
  335. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 一般の議決でございます。
  336. 志苫裕

    志苫裕君 自治法上、他の議決要件にはどういう種類のものがありますか、かいつまんで説明してください。
  337. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 自治法の議決の中には単純なる議決というものと多数の議決を要するものと、この二通りがございます。
  338. 志苫裕

    志苫裕君 それはわかっているから、どういう例があるかということを説明してくださいと言っている。
  339. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 自治法上は、たとえば長の不信任の議決をするというときには議会の定数の三分の二以上が出て、四分の三で議決をするとか、そういうことで多数決で議決をするということがあるわけでございます。
  340. 志苫裕

    志苫裕君 私がこの問題をお伺いをしますのは、地方公共団体の機関が意思を決める、意思を決めるには、出席議員の過半数の場合もある。事務所の位置を決めるときには出席議員の三分の二です。副知事等のリコールをするときには三分の二以上出席して四分の三の議決です。あるいは同僚の議員の身分に関するときにも四分の三の議決です。法制局長官、議決に三分の二があったり二分の一以上があったり、何分の一以上、出席四分の三というのがあるのはどういう意味ですか。
  341. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) 一般に加重議決を要するというふうな定めは、そのこと自体が非常に重要なことであると同時に、その法律効果も非常に重要な法律効果を持っていると、そういう点から恐らく加重議決になっているんだと思います。
  342. 志苫裕

    志苫裕君 そこで総理にお伺いします。  いまお話ありましたように、重要度に応じて議決の要件がきつくなっていますね。位置を決めるのに県庁をどこどこにするとか、何々事務所をどうするとかというのは、これは三分の二です。副知事をリコールに基づいてやめろと、これは四分の三です。ところが憲法を変えてくれというのは、出席議員の過半数ですから、出席議員が半分で成立して、その半分と言えば四分の一です。二五%で機関意思として、当該地方公共団体の機関の意思として憲法変えてくれということの議決ができる。何とも矛盾だと思いませんか。
  343. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) 先ほど私が申し上げたのは非常に重要な事項であるということと、重要な法律効果を伴うという二つの点を申し上げたつもりでございますが、ただいま御指摘の憲法改正に関する機関意思を決定するというようなことが事柄として重要であることは言うまでもないと思います。ただ御承知のように、地方自治法の九十九条の二項ではそれを決議いたしまして、意見書を関係行政機関に提出をするということで、長の不信任とか、あるいはそのほかの議員の除名であるとか、そういうような非常に重大な法律効果を伴うものではないというようなことから、現在の自治法ではそういう区別をしているものだと考えます。
  344. 志苫裕

    志苫裕君 九十九条について伺いますが、なるほど地方自治法九十九条には「議会は、当該普通地方公共団体の公益に関する事件につき意見書を関係行政庁に提出することができる。」。公益の幅をどこまでとるかという問題にも絡みます。われわれは原則としてこの公益のスタンスを広くとるということに異存はありません。しかし、公益そのものを規定しているのは憲法ですね。しかも過半数議決、事実上四分の一、憲法改正について地方公共団体がそれを公益の問題として過半数で議決をするということはもともと地方自治法は想定をしてないんじゃないですか。
  345. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) 御指摘のように、まず憲法改正あるいは憲法に関する事柄が公益に関する事件であるかどうかということについて問題があるわけでございます。具体的な決議の内容について、私つまびらかにしておりませんので、かつまたそういうことは当該地方公共団体の議会が自主的な判断、責任に基づいて決めるべき事柄だろうと思います。  ただ、まあ一般論としてあえて申し上げれば、憲法には、御承知のように、地方自治に関する章もございますし、それからまた地方公共団体の住民、つまり国民でありますが、その国民の権利義務に関する事柄も詳細に規定しておりますから、当該地方公共団体の議会としていろいろな機関意思として憲法に関する問題を決めるということは、これは地方自治法自体が全然予想していない問題だとは言えないと思います。ただ、その議決の要件につきましては、先ほど申し上げましたように、単純議決になっているわけでありますが、その点については、結局、先ほども申し上げたような法律効果の点も考えて、そういう仕組みになっているのだと存じます。
  346. 志苫裕

    志苫裕君 まあ法律論になりますと、公益に該当するかどうかも問題のあるところだ。しかし、いまは私は法律論だけで物を詰めるには少し時間も足りませんし、学説もあるでしょうからあれですが、ちょっとこれ自治大臣、あなた担当だから聞きますがね、さっき公益の問題が出ましたが、「意見書を関係行政庁に提出することができる。」、関係行政庁という意味はどういう意味ですか。
  347. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 関係する行政機関でありまして、国会でありますとか裁判所とかを除くわけでございます。
  348. 志苫裕

    志苫裕君 故意に答弁避けちゃだめですよ。  関係行政庁とは権能を有する、意見書の内容に権能を有する関係行政庁でしょう。どうですか。
  349. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) そのとおりでございます。
  350. 志苫裕

    志苫裕君 しからばお伺いしますが、憲法改正について権能を有する関係行政庁とはどこですか。
  351. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) 憲法九十六条の規定によれば、当然のことでございますけれども、憲法改正について発議をするのは、これは国会の両院でございます。ただ、その発議のもとになる原案を提出することにつきましては、これは両院の議員がそれをお持ちであることは言うまでもないところでありますが、従来から政府の解釈としては内閣もそれを持っているというふうに解しております。したがいまして、憲法改正についての原案というものを出す権限を持っているという意味においては、内閣がその憲法改正に関する関係行政庁に当たろうかと思います。いま申し上げる意味は、内閣と言う以上はそれについてその傘下にある役所というものを含めた意味で申し上げているつもりでございます。
  352. 志苫裕

    志苫裕君 いや、これは長官ね、余り私は憲法論議したくないですけれどもね、改正発議の発案権が内閣にあるかどうかは学者によって議論はありますよね。議論はありますよ。それを決めてかかってですね、決めてかかって発案権はおれのところにあるから、権能を有するのは内閣だから大いに持ってこいという、こういう見解はいま初めてですか、それは。それは認められませんよ、それはあなた。議論はあるところでしょう。
  353. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) いわゆる発案権について学説が分かれていることは、これは御指摘のとおりであります。しかしながら、内閣としてそういう発案権を持っているということはきょう初めて申し上げるわけではございませんで、これはもう昭和三十年以来そういうことを申し上げております。  ただし、いま最後に言われましたように、だから持ってこいなどということは、私は言った記憶は全然ございません。
  354. 志苫裕

    志苫裕君 いや、あなたは持ってこいと言ってなくてもですね——あなたは入ってないんだ——鈴木総理は自主憲法期成議員同盟に入っておって、決議して持ってこいと指示をおろしているんですから、だから聞いているんですよ。
  355. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 確かに、議員同盟というのは自由民主党の多くの議員がこれに加入をいたしております。しかし、自由民主党はいま憲法調査会等において憲法について勉強をいたしておるわけでございます。どういう点に問題があるのか、どういう点を改正するとすればしたらよろしいのか、改正すべきでないのか、こういう点をいませっかく勉強し議論をしておる。しかしそれには大前提がございます。平和主義、民主主義、基本的人権の尊重、こういう憲法の基本理念、これを堅持しながらと、こういうことに相なっておるわけでございます。勉強いたしておる段階でございまして、まだ何らの結論を得ておりません。したがいまして、その本体の党の方の機関が何も結論を出していない。こういうことでございますから、あの点をこうすべしというようなことを、議員同盟がこれを提案をし推進をするというようなことは私は聞いておりません。
  356. 志苫裕

    志苫裕君 それはあなた、聞いておらぬじゃだめですよ。昭和五十五年九月二十四日、自主憲法期成議員同盟から出している文書を読みましょうか。いろいろありますけれども、「地方自治法九十九条等により頭記の趣旨の決議をあげて、内閣総理大臣並びに衆・参各議長宛御提出下さるようお願い申し上げます。」という指示文書がおりているじゃないですか。だから、それに基づいてやっておるんですよ。  いまあなたは、いままで国会で絶えず、憲法については改正規定もあることでもあるから、調査し研究をする、これは構わないということは言いました。しかし地方議会の機関意思としてまとめて持ってこいということになれば調査、研究のレベルじゃないでしょう。食言ですよ、あなた。どうなりますか。
  357. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 私は自由民主党の総裁としまして、自由民主党につきましては指導もし、また指示もすると、こういう立場にございます。しかしいま自民党の議員が多数入っておっても別個の団体でございまして、私がこれに対してあれこれ注文つけたり要求をしたり指示をしたり、そういう立場にはございません。
  358. 志苫裕

    志苫裕君 あなたは自主憲法期成議員同盟に入っておられるでしょう。
  359. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 私はこの議員同盟につきましては、単なる一会員ということで過去において入っておりますが、これに対して影響力を持つ立場にございません。
  360. 志苫裕

    志苫裕君 もう一度聞きますが、地方公共団体の議会は国会に請願を行うことができますか。
  361. 砂子田隆

    政府委員(砂子田隆君) 国会法に従いますと、請願については個人または法人となっておるようであります。したがいまして、地方公共団体がおやりになるならよろしいのですが、議会が請願をするということは許されていないと考えております。
  362. 志苫裕

    志苫裕君 総理、おわかりでしょう。地方公共団体の機関は国会に請願をすることができないんです。請願法に基づいて権限がない。権能のないたとえば、いろいろ私は議論があると思うけれども、地方公共団体の機関が議決をする、そのこと自身も私は妥当ではないと思うけれども、仮に議決をしても、九十九条による議決だと言うんです。関係行政庁として内閣に提出するのも私は疑問だと思う。国会に請願をする権能はない。そういうことをやれやれ、やれやれと言って議決をしておる。私はこういうこと自身がやはり憲法尊重、遵守義務に違背をする、このように思えてなりません。これはひとつ、あなた影響力を持ってはいないとは言うけれども、自由民主党の国民運動の一環として、これは議員同盟もあり、またそれの指示もあり、やられておるんですからね。あなたが日ごろ言われておる、仮に百歩譲って憲法について議論をし研究することは構わない。しかしあからさまに地方公共団体機関の意思をまとめさしておるじゃないですか。しかもたかだかぎりぎり四分の一で住民の、県民の意思を僣称をして、地方公共団体の議会の長の名前をもって国会に請願を堂々と行っておるじゃありませんか。違法ですよ、無効ですよ、これは。そういうことについてどうして行うんですか。
  363. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 私が別に行っておるわけでもございませんし、そういうことを指示しておるわけでもございません。指導しておるわけでもございませんことは先ほど繰り返し申し上げておるところでございます。私は、この憲法は国の基本法であって、この取り扱いについては慎重の上にも慎重でなければいけない。憲法改正に対するところの国民世論というものが十分成熟した上でこれは政治日程に上るべき問題でございます。いまはそういう段階でない。私はそういうようなことで、憲法改正問題につきましては慎重を期しておると、こういうことをはっきり申し上げておきます。
  364. 志苫裕

    志苫裕君 その趣旨を総裁として自民党の下部機関にも徹底してください。よろしいですか。
  365. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 自民党はいませっかく勉強中でございまして、その外にある外郭団体に私からあれこれ申し上げることはできないということを先ほど来申し上げております。
  366. 志苫裕

    志苫裕君 法務大臣、何か所見がありますか。
  367. 奥野誠亮

    国務大臣奥野誠亮君) 憲法を守ることは非常に大切なことだと思います。同時に国の発展を考えますならば、憲法を研究し討議していくこともきわめて大切なことだと考えております。
  368. 志苫裕

    志苫裕君 もう一度聞きますが、地方公共団体の機関意思を決めることは研究調査の段階ですか。
  369. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) 言葉だけで申し上げますと、機関意思を決定することは調査とは言えないと思います。ただ、私ども従来公的な言い方として申し上げているのは、憲法九十九条の尊重、擁護義務と、それから憲法の改正についていろいろ論議をしたり主張をしたりすることは、憲法九十九条の尊重、擁護義務とは違反をしないということを申し上げております。主張という言葉になりますと、あるいはその機関意思を決定するというようなことも入ろうかと思います。
  370. 志苫裕

    志苫裕君 何ですか、入るんですか。機関意思を決めることは調査研究の範囲内だと言うんですね。
  371. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) 日本語の言葉としては、調査研究ということが直ちに機関意思を決定して関係行政庁にそれを提出するというようなことは含まないと思います。ただ、政府の見解としては、一定の主張をすることは差し支えないということを申し上げております。
  372. 志苫裕

    志苫裕君 とてもこれはまだ決まりがつきません。私はいずれこの問題を契機にこれからもやりますが、あとは時間もありませんから一つ二つに限りましょう。  徴兵制違憲の根拠について衆議院の方で何かいろいろ問題になっているようですが、ごく簡単にずばっと聞きます。志願制は十八条に該当をしますか。する、しないでいいです。
  373. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) 志願制というのは自分の意思に基づいてという意味だと思いますが、それは憲法十八条には違反しません。
  374. 志苫裕

    志苫裕君 徴兵制は該当しますか。
  375. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) 簡単に申し上げますと大変誤解を生ずると思いますが、先日の衆議院で申し上げたことを繰り返して申し上げますが、昨年の幾つかの政府答弁書で申し上げたような意味における徴兵制度は、憲法十三条、十八条等の規定の趣旨に照らして憲法上許されないと、こういうことでございます。
  376. 志苫裕

    志苫裕君 簡単も何もないんです。志願制は十八条に該当しますかと。しません。徴兵制は該当しますかと。しますとかしませんで言ってください。
  377. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) 憲法十八条には、徴兵制という、制度という文字はないわけでございます。したがって、それに該当するというおっしゃり方がよくわからないので、憲法上許されない、その趣旨は憲法十八条の規定の趣旨に照らし合わして許されないと、こういうふうに申し上げております。
  378. 志苫裕

    志苫裕君 ですから、許されないというのは該当するということですね。苦役、奴隷的拘束に該当するということですね。
  379. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) 私どもは、徴兵制度といえども十八条の奴隷的拘束に該当するというようなことは申したことはございません。
  380. 志苫裕

    志苫裕君 だから、徴兵制は苦役、奴隷的拘束に当たるかと聞いているんです。
  381. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) ちょっと説明が長くなるんですが、よろしゅうございますか。
  382. 志苫裕

    志苫裕君 私は簡単に答えてもらう方がいいんです。
  383. 角田禮次郎

    政府委員角田禮次郎君) いや、簡単では非常に誤解を生ずるので、私ども衆議院でそのために大変誤解を与えたわけでございますから、とても簡単には申し上げられない。  それでは結論だけ申し上げますが、憲法十八条に規定する奴隷的拘束というものは、これは非人道的な方法による自由の拘束を意味するものというふうに解されております。その意味では、自由な人格者であることとおよそ両立をしないようなそういうものが奴隷的拘束になると思います。したがいまして、どんな場合でも徴兵制度というものがそういうものに達するほど人格の自由を認めない制度であるというふうには私どもは考えておりません。その点が一つであります。  それから、その次の十八条に、「その意に反する苦役」という言葉がございます。この言葉は、衆議院でも申し上げましたけれども、苦役という言葉は、非常に苦痛の高い労役というふうに日本語としては解されがちでございますけれども、この点につきましても制憲議会のときから、「その意に反する苦役」というのは、一息に読んで、そしてそれは要するに強制的な役務の提供であるというふうに解すべきであるというのが政府の見解でございます。徴兵制度は一定の兵役に強制的に従事させるわけでございますから、そういう意味ではその意に反する苦役に当たるわけでございます。これはしかし、だからといって現在の自衛隊というものが奴隷的拘束やその意に反する苦役に当たるというわけではございませんし、その上、仮に徴兵制を——仮にでございます、しいた場合でも、普通の意味でその仕事が非常に苦痛を伴う苦痛度の高い仕事であるというふうには私どもは考えておりません。ただし、その意に反するという点、強制的であるという点は、これはもう徴兵制度は強制的であることは間違いないと思います。
  384. 志苫裕

    志苫裕君 長々言うからわかりにくいのであって、徴兵制は強制的苦役に当たるということを、あなた、言ったらそれでいいんですよ。ごたごたすることはないわけです。  総理は、ASEANを歴訪して、ベトナム問題解決に日本が役割りを果たすことを強調して、伊東外務大臣は一月十四日シンガポールで行われたダナバラン外相との会談で、カンボジア内の第三勢力の育成を図る必要があるとの認識で一致したとされますが、真意を聞きたい。
  385. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) お答えします。  それはどこでそういう間違いが起きましたのか、これは完全な誤解でございます。私はそんなこと一言も言ってないのでございまして、カンボジアの中で第三勢力の話が出ましたのは、確かにダナバラン外相とタイのシティー外相から出たことは確かでございます。しかし日本としてやれることは、カンボジアの難民あるいは被災民の援助、第一線にありますタイの援助あるいはASEANの意見を支持して国際会議を開くように事務総長に話しかける、これが日本としてやり得ることだということを私は言ったのでございまして、カンボジアの第三勢力を育成するとか、そんなことは私は一言も言ったことがないわけでございまして、だれがカンボジアの政府の代表になるかは、これはカンボジアの人々が自身で決定する問題だと私は思います。育成とかそういうことは一切言いませんので、これは完全などこかの誤解でございます。
  386. 志苫裕

    志苫裕君 まあ誤解だと言うのですから……。誤解を与えるようなことはあったんですか。
  387. 伊東正義

    国務大臣(伊東正義君) 一切そういうことは私はなかったと思うんですが、どういうことでああいうことが出たのか不思議に思っております。全然誤解を与えるような発言はしておりません。
  388. 志苫裕

    志苫裕君 まあないと言うのだから。  時間がなくなりましたので、一つ、二つだけにしますが、「日米防衛協力のための指針」いわゆるガイドラインと言われているものですが、それに基づく共同作戦計画の研究は、すでに第一段階がまとまったとこう言われておりますが、それで幾つかの研究項目もあるわけでありますけれども、公表できるものがありますか。
  389. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) お答え申し上げます。  日米共同作戦計画の研究は、防衛庁側は統合幕僚会議事務局が、米側は在日米軍司令部が中心となり、わが国に関する侵略の態様を設想の上、自衛隊、米軍の作戦上の要領及びこれに関連した後方支援の手順等の研究を実施しているものであります。  この種の研究は、本来常に継続していかなければならないものでありまして、いつまでに完了するというようなものではございませんが、五十五年度末ごろには一応の概要が固まるのではないかと考えております。  なお、公表についてお尋ねがございましたが、すでに「日米防衛協力のための指針」そのもの及びこの指針に基づく作業方針等についてかなり詳細に公表しております。現在の作業はこれを受けて細部についての具体的な検討を行っているものでありまして、研究作業の成果については、直ちに日米双方に対し何らかの政策決定を行うことを義務づけるものではなく、また、自衛隊と米軍の共同作戦計画を中心とする研究という事柄の性質上、さらに相手方もあることから、公表は差し控えたいと考えております。
  390. 志苫裕

    志苫裕君 ちょっと時間がないから一問だけにしておきます。  指針の後方支援活動に挙げられておる「補給」、「輸送」、「整備」、「施設」の取得、協力、提供、共同使用等の対象は、自衛隊法百三条の対象物件、要員とは異なるものかどうか。別の言い方をすれば、百三条で収用された物件または命令下に置かれた者が米軍のために用いられるということはないか。あるいはそうできるような研究なり立法の準備なりというものを行っておるかどうか、この点お答え願いたい。
  391. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) ただいまの御質問に関しては、政府委員から答弁させます。
  392. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 百三条に関連いたします研究は、私どもいま有事法制の研究としてやっておりますが、日米ガイドラインに基づきます、いまおっしゃいました後方の支援関係、それとは一応別個のものであるというふうに私どもは考えております。米軍との間の後方支援関係につきましては、今後の検討課題として私どもは考えておるところでございます。
  393. 志苫裕

    志苫裕君 じゃこれだけ確認しておきますが、百三条で収用された物件または命令下にある者は米軍のためにいまのところは全然用いられない、考えてない。用いるとすれば新しい立法が要りますか。
  394. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 新しい立法が要るかどうかということもまだいまの時点では考えておりませんので、米軍との後方支援関係についての研究が進んだ段階でその問題は考えなければいけない。いずれにしましても、いまの百三条は関係ないというふうに考えています。
  395. 志苫裕

    志苫裕君 終わります。
  396. 木村睦男

    委員長木村睦男君) これにて志苫君の質疑は終了いたしました。(拍手)     —————————————
  397. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 次に、大川清幸君の質疑を行います。大川君。
  398. 大川清幸

    ○大川清幸君 私は、限られた時間の中で青少年問題、とりわけ校内暴力、それから思春期の青少年にいま出ております脊柱側湾症、この二つの問題について関係大臣の御所見を伺いたいと思いますが、まず本論に入る前に、午前中から総理との間にやりとりがありましたが、この千葉県の知事問題は、世間ではいろいろ青少年問題が取り上げられると、身の回りや一般社会の大人たちの世界の問題も関連して取り上げられるわけでございまして、青少年に対する影響というものは大変憂慮されるわけでございまして、総理は午前中から御答弁なさっておりましたから、この点について教育に最も関係のある文部大臣の御所見を伺いたいと思います。
  399. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) お答えいたします。  ただいま御指摘のように、青少年の非行問題が論議の的になっておりまする現時点におきましても、まずもって世道人心を正すというこの大本に基づきまして、われわれ大人の世界、あるいはまたわれわれの先輩、同僚、知友のあり方というものは、これまた青少年には非常に敏感に影響するだろう、こういう点で非常に憂慮いたしておる次第であります。
  400. 大川清幸

    ○大川清幸君 それでは本論に入りたいと思いますが、初めに青少年の非行化の状況をお伺いしたいわけですが、とりわけ最近三年間ぐらい、刑法犯少年の補導状況等について御報告を願いたいと思います。
  401. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 最近激増しておる状況でございまして、詳細につきましては警察当局から御報告させます。
  402. 谷口守正

    政府委員(谷口守正君) 少年非行の状況でございますけれども、現在まさに戦後第三のピークにあると言って過言ではないと思うわけでございます。  御案内のとおり、戦後第一のピークは昭和二十六年でございました。それから第二のピークが三十九年でございましたけれども、第三のピークにかかっているということでございます。  具体的に申し上げますと、昨年一年間の刑法犯少年の補導人員でございますけれども、十六万六千七十三人でございまして、第二のピークの昭和三十九年の十五万八千百三十六人を超え、ついに戦後最悪の記録になったということでございます。また、同年齢層千人当たりの人口比でございますけれども、これも十七・一人ということで、戦後最高となっております。また、全刑法犯検挙人員中に占めます少年の比率でございますが、これも四二・四%ということで戦後最高になっておるということでございます。内容的にも低年齢化が進みますとともに、校内暴力事件や暴走族事犯を中心といたしました凶悪犯、それから粗暴犯の増加が著しいということでございまして、少年非行は量、質ともに、まことに憂慮される状況にあるということでございます。
  403. 大川清幸

    ○大川清幸君 それでは、この青少年の犯罪の、補導を受けているのが全体の刑法犯のうちで四二%、半分に達するということは大変深刻なこれは結果が出ていると思うわけですが、とりわけ最近のテレビあるいは新聞等、毎日気をつけて見ておりますと、いわゆる校内暴力について報道されない日はないと言ってよいほどでございますので、この青少年犯罪のうち、特に校内暴力にかかわる事犯について御報告を願いたいと思います。それは件数と、それから特に生徒指導担当あるいは生徒の指導に熱心な教師が被害者になるケースが多いということでございますので、その辺の中身についても一緒に御報告を願います。
  404. 谷口守正

    政府委員(谷口守正君) 校内暴力事件の発生状況でございますけれども、昨年一年間に発生いたしました校内暴力事件は千五百五十八件でございます。補導されました生徒の数が九千五十八人となっております。前年、すなわち一昨年に比べまして発生件数で二九・〇%、それから補導人員で三四・八%と大幅な増加になっておるわけでございます。このうち、特に問題になりますのが、やはり教師に対します暴力事件でございます。この発生件数が三百九十四件でございまして、前年に比べまして六九・八%、約七割の激増というような状況でございます。このうち大部分、九四%が中学校で発生しているという状況でございます。  そこで一最近の検挙事例を通じて見ました特徴的な傾向でございますが、まず第一に犯行の手段、方法というのがきわめて凶暴で重大な被害を及ぼしているというケースが多くなってきております。それから第二には、校内のいわゆる番長グループと申しますけれども、粗暴グループの背後に卒業生の元番長だとか暴走族、あるいは地域の不良グループ、最近では暴力団の構成員などが存在いたしまして、それとの関連において犯行が行われるというケースが多くなってきております。それから第三は、こういった事件を引き起こす生徒でございますけれども、学校の授業についていけないといういわゆる落ちこぼれ組が多いわけでございますし、また家庭的に見ましても、放任あるいは過保護などの問題のある生徒が目立ちます。それから第四に、先生御指摘のとおりでございまして、被害に遭われた先生でございますけれども、生徒指導担当の先生とかあるいは生徒指導にきわめて熱心な先生が多いということでございます。それから第五には、地域的に見ますと、都市部はもとよりでございますけれども、最近は農村だとか漁村などを問わず全国的に発生しておるということでございますし、時期的に見ましても、従来は卒業時期前後に多発するということでございましたけれども、最近はオールシーズン的に発生するというのが最近の特徴的傾向でございます。
  405. 大川清幸

    ○大川清幸君 まあ深刻な状況にあるわけですが、そこで一月二十八日か九日ですか、警察庁長官が何かこの青少年問題について御発言をなさったことが各紙に報道されておったんですが、これ真意に間違いがあるといけないんでちょっと確認をしておきたいと思うんですが、何か厳しい態度で臨まなきゃならぬというような報道だったと思いますけれども、いかがですか。
  406. 谷口守正

    政府委員(谷口守正君) 警察庁長官が去る一月二十九日の記者会見で、非行少年の処遇に関しまして説明があったわけでございます。この点につきまして一部の新聞で報道されておるわけでございますけれども、長官といたしましては、この校内暴力問題を初め少年非行問題につきましては、当然のことでございますけれども、関係機関団体とよく連携をとって、そして慎重に取り扱わなければならぬという基本方針を打ち出されて、それを踏襲すべきであるということでございます。その一つの問題といたしまして、家庭裁判所などのいわゆる非行少年の司法処分につきまして、やはり警察といたしましても問題となった少年の悪性の立証、これに努め、家庭裁判所など関係機関とも十分な連絡協議をとりまして、その御理解をいただいた上に適切な処遇の実現が図られるよう警察の内部努力をさらに続けていく必要があるということを述べられたわけでございます。つまり長官発言の趣旨は、最近の少年非行の実態にかんがみまして、家庭裁判所等の処分に関し警察の内部努力の重要性を強調したものでございます。
  407. 大川清幸

    ○大川清幸君 警察庁の立場というか全国の第一線の警察の立場で言うと、校内暴力が発生した場合に、それが問題になり事犯になるかどうかということで行動を起こされるのが本来の職務的なあり方であろうと思うのですけれども、こうした重要な校内暴力の発生の経過から見て、当然そうした取り締まりとか補導とかそういうことだけでなく、学校側ともこれの防止の方でも対応されているのではないかと思いますが、その辺は具体的にどのような対応をされておりますか。
  408. 谷口守正

    政府委員(谷口守正君) 校内暴力事件の未然防止につきましては、学校、特に大部分が中学校という義務教育の場で起きる事犯でございますので、本来学校当局が対処すべき問題だと、こう思うわけでございますけれども、ただ最近の事例を見ますと、教育現場に大きな混乱を及ぼすような悪質なケースが発生しておるわけでございます。それに当たりまして、何といっても早期にその徴候があらわれた段階においてそれを把握し大事に至らないように未然防止することが何よりも肝要かと存ずるわけでございます。  そこで警察といたしましては、大きく言いまして次の三点に重点を置きまして未然防止に努めておるところでございます。  第一は、先生御指摘のとおり、学校あるいは教育委員会などとの連携についてでございます。学校、教育委員会等と警察とが校内暴力に関する対策会議等を開催しますとともに、これはすでに小中高校の約九割が参加していただいておるわけでございますけれども、学校と警察の連絡会議というのがございます。これを積極的に活用する。また学校との連絡責任者、これを指定してパイプを太くしておくというようないろいろな施策があるわけでございますけれども、そういったことを通じましてただいま申し上げましたように徴候段階での情報の連絡、それに基づく的確な未然防止措置を講じてまいりたい、こういうことでございます。  それから第二は、校外補導活動の強化ということでございます。先ほど御説明申し上げましたように、やはり校外のいろんな不良グループとの関連があるわけでございます。そういうことでこういった生徒を対象といたしました校外補導活動というものを強化いたしまして、校内のいわゆる番長グループと校外の不良グループとの関連性を切断する、またそういった不良グループの解体補導、これに努めるということでございます。  それから最後、第三でございますけれども、PTAとかあるいは地域社会に対する働きかけについてでございます。何といっても学校とあるいは警察だけで対処できるものではございません。やはり校内暴力に関する保護者あるいは地域社会の人々の意識というものを高めて地域ぐるみの防止活動が促進されることが肝要でございますので、こういった点につきましても努力してまいりたい、こう思っておる次第でございます。
  409. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) ただいま政府委員から申し上げましたけれども、警察が第一線に立って処置すべき問題ではないのであって、社会的な背景あるいは教育関係者、そうしたものの努力、そういうものによってこの問題を解決していかなければならぬと思うのでございまするが、事態はそういう補導だけでおさまりそうもないということが数多く出ておるわけでございまするので、警察としては無関心でおるわけにはいかぬのでございます。したがって関係団体、ただいま政府委員から申し上げましたようなそうした団体が、常に警察を忌避することなく警察と十分連絡をとって、そして事態が悪化した場合に適切な処置がとり得るような体制を地域社会ごとにつくっていただきたいというのがわれわれの念願でございます。一言申し添えておきます。
  410. 大川清幸

    ○大川清幸君 そこで、青少年が非行化したり、中学生あたりが意欲がなくなっていろいろな問題を起こす、これがいわゆる落ちこぼれと一口でくくられておるんですけれども、後ほど論議したいと思いますが、落ちこぼれは本当は小中学校時代、義務教育段階で発生をしておりまして、高校の入試でたまたま顕在をするということなので、これは教育制度の問題にもかかわることでございますが、その論議に入る前に、まず全国の高等学校の生徒、この生徒のうち進級または卒業できない生徒というのが、これ数を聞くと驚くほどの数字になるわけですが、この実態について、文部省、大臣から御報告していただけますか。
  411. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) お答えいたします。−青少年の非行の問題といたしまして、ただいま先生が御指摘になりましたみんなと一緒についていけないという、いわゆる落ちこぼれの問題でございますが、しかし、この落ちこぼれの問題につきましては学校教育といたしましてのあり方、あるいは補導その他万般の問題とのあくまでも全体的な把握のもとに推進していかなければならぬと存じます。  ただいま御要望のございました計数につきましては担当者からお答えいたします。
  412. 三角哲生

    政府委員(三角哲生君) 高等学校におきまして進級及び卒業ということができなかった者の実態でございますが、これについては学校基本調査の数値によりますと、昭和五十四年度におきまして全日制、定時制を含めまして約十万人おる、こういう数値になっておりまして、内容的にこの中には病気でございますとか、あるいは家庭の事情とかあるかと思いますが、この中にただいま問題にされております学業不振等の理由によって卒業できなかったという者がかなり含まれておると見ておりまして、大体二%強というふうに理解しております。
  413. 大川清幸

    ○大川清幸君 これはいま政府委員から御説明があって、数字が十万そこそこというようなことがありましたが、これは文部省の高等学校教育課からいただいた資料で見てみたんですが、五十二年度全日制、定時制で合わせて九万三千八百九人、五十三年度九万八千二百十人、五十四年度実に十万一千六百九十人、毎年単年度で十万人近い者が脱落をするわけです。家庭の経済の事情とか病気によって退学する者もあるでしょうが、その大部分が学業に意欲がなくなったり——後ほど現場の詳しい数字も申し上げたいと思いますが、これは大変深刻な数字でございまして、十万人の生徒たちが進級しなかったり卒業しない、このうちの——警察庁に聞きませんでしたけれども補導をした青少年のうち、後一生懸命働いたり、また気を取り直して勉強に行ったりという生徒もいるんですけれども、補導した中の大体二五%強はぶらぶらしていて成年に達してしまうというような状況があるそうでございます。そうすると、この数字は大変これ深刻に受けとめていただかなければならない数字でございまして、この数字に対する所見といいますか、まず文部大臣の所見を伺いましょう。
  414. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいま御指摘のとおり、落ちこぼれと称せられる者が約十万とお答えいたしましたが、御指摘のとおりに進学率が高等学校の場合に九四%にも達しております現在の高等学校におきましては、一人一人の生徒の能力とか適性等に応じましたきめの細かい指導の行われる必要がございます。また、このために学習指導要領の改定におきましても基礎的、基本的事項の精選を図りますとともに、多様な生徒がその興味なり関心なり進路等に応じまして選択のできる科目を拡大してまいりたい。これは御案内のとおりに、非行少年が高等学校からだんだん年齢が低下してまいっておるというこの現状に対しまして、この義務教育のあり方並びにその教科の関係におきましても、その指導に当たりまする学校当局といたしましては真剣に取り組んでおるような次第でございますが、いまもってその成果が十二分に上がっておりませんことはまことに申しわけない、かように考えております。
  415. 大川清幸

    ○大川清幸君 総理、毎年十万人前後脱落者が出る高等学校の実情について、どのようにお考えになりますか。
  416. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいま文部大臣からお話を申し上げたところでございますが、生徒の能力、適性に応じまして高等学校の教育は個々の、その個人の持っておる能力を引き出す、また学習に対する興味を持たせる、学校生活に対する愛着、興味を引き出すと、そういうようなきめの細かい柔軟な教育と指導が私は必要であると、このように考えておるわけでございます。  学習指導要領等におきましてもそういう点に十分配慮をして文部省におきましても指導をいたしておるところでございますが、これは学校だけで十分成果が上がるものではなしに、やはり家庭であるとか、社会であるとか、各方面の理解と協力を得ながらこれを進めていかなければならないと、このように考えておるわけでございます。
  417. 大川清幸

    ○大川清幸君 まあそれはもう御心配になるのが当然のことでございますが、そこでまあ政府の方もこうした問題を何らかの措置をしなければならない、現状で放置できないということだろうと思うんですが、去る一月二十日、青少年問題審議会に、この校内暴力にかかわる非行問題について基本的な問題で諮問をなさっておりますが、このねらいについて御説明ができれば詳しく御説明願いたいと思います。
  418. 中山太郎

    国務大臣(中山太郎君) お答えをいたします。  この青少年の非行問題は、実は昨年鈴木内閣発足当時、暴走族の問題が非常に大きな問題になりまして、早速八月を暴走族の取り締まり月間と、こういうことで教育団体、各市町村、警察等にも連絡をいたしまして、それのリーダー格の方々に連絡をして解散を勧誘するということから取り締まりを強化したために、暴走族事件というものはその後急速な減少を来しました。一方、その減少と時を合わせるように問題になりましたのは学校内暴力の問題でございますし、また先般両親をバットで殴り殺すというような少年が逮捕後平然として留置場で食事をすると、こういうふうな異様な子供たちの心理が一体どこから出ておるかと、こういうことをとらまえまして、早速これは政治問題だということで閣議で皆さん方御意見が一致しましたので、総理府の青少年対策本部が中心となりまして検察庁、警察庁、それから文部省、労働省、それから厚生省と関係各省庁の局長会議を十二月の十九日に総理府で開催をしたようなことでございます。  そういう時点でいろいろと各省から御報告をいただきましたが、特に私どもこの戦後の三つの波、先ほどもお話がありました二十六年のいわゆる戦後の混乱から起こった中での少年の非行、あるいは三十九年の高度成長過程における所得のアンバランスにおける社会の格差の中から起こった青少年の非行問題、今回の第三の波は、豊かな社会における忍耐心の欠除、いまよかったら将来のことはどうでもいいという少年の調査の結果も、現在主義の少年が余りにも多くなって未来に希望を持っていない。こういうことで、私どもとしては関係省庁の意見を尋ねたわけでございますが、その中で、特に警察庁の報告では、いわゆる収容された少年たちは、自分たちが家庭でもっと厳しいしつけを両親から受けておればこんなことにならなかったという陳述がきわめて多かったということも、私どもは留意をせなければならない一つの大きな問題であろうと思います。この背景には、やはり親の放任主義、あるいは核家族の一人っ子の問題、あるいは学校放課後の少年たちの遊びの問題、こういうことで関係各省からの意見をいろいろ求めましたが、具体的な政策として打ち出せるものは、先ほど警察庁からの報告がございましたような、いわゆる学校と警察との連絡によって学校内暴力を未然に防止するということが当初出てまいりました。  私は、それだけでは政府としての責任ある政策はとれないということで、これは十二月の十九日でございましたが、さらに今度は一月の十六日までに、いわゆる戦後における青少年非行の問題と、戦前の日本における青少年非行の問題の対照はどうなっておるか。もう一つは、情報化社会におけるいわゆるテレビの影響でございますね、テレビ、漫画の子供たちに与える影響はどのようなことになっておるか。また、先進国における青少年非行の実態はどうなっておるかということの宿題を出しまして、それを一月十六日に第二回の関係省庁の局長会議を開きました。その結果、一つの大きな姿が出てまいりましたが、それは、先進国が軒並みこの青少年非行が増大の傾向を示しておる。その中では日本がまだ一番低いところにあるということ。それから、西ドイツは最近ポルノを解禁したために非常に青少年犯罪、特に性犯罪の増加が証明されたわけでございます。こういう問題が一点存在をしておる。もう一つは、世界じゅうの子供たちのいわゆる一日の生活パターンの中で、いわゆるテレビを見る時間、漫画を読む時間が一体どうなっておるかという調査の結果が出てまいりましたが、その結果、驚くなかれ、日本の子供たちが一番テレビと漫画を見る時間が多いということが報告されたわけであります。  こういうことから見まして、昨年の総理府青少年対策室の調査の状態から一つの方向として出たものは、少年たちは一体何を望んでいるかというのは、戸外における放課後の健全ないわゆる運動をやるような場所が大都会にきわめて少ない、これをふやしてほしいというのが少年たちの希望としても出てきておることも見逃すことのできない大きな問題でございます。特にいわゆる一般の義務教育あるいは高等教育を受けた大人と、それから教育もまだ受けていない子供たちとが家庭の中で同じテレビの情報を受け取る、新聞とか雑誌というものは文字が読めなければこれはわからないわけでございますけれども、漫画とかテレビというものは文字がなくてもいわゆる画面で判断ができるわけでございまして、こういう問題を今後どう取り扱っていったらいいのか、今年度の予算で総理府は青少年の情報化社会における非行の問題点についての予算をお願いしておりますけれども、これは一党一派に関する問題ではございません。全政党あらゆる階層の家庭に最も深い関係のある問題でございまして、まさに社会全体の問題だと私どもは考えておりますが、どうかそういう意味で、私どもとしましては、やはり議会においても徹底的にこの問題については御論議をお願いしたいし、政府といたしましては、この青少年問題審議会の答申を受けつつ、しかも中間答申をどんどん上げながら、具体的に政策として実行できるものは実行してまいりたいと考えておるところでございます。
  419. 大川清幸

    ○大川清幸君 大分いろいろな諸般にわたってお答え願いまして、大変恐縮でございます。私もこの問題いろいろ調べてみて、いま御答弁がありましたとおり、いろいろな社会の環境、それから思想とかその他の点でも、未成熟な青少年に対するマスメディアの影響、もちろんそういうこともありましょう。それから先生と生徒の関係、あるいは先生の質の問題とか家庭のしつけの問題、こういうようなことが今日までその都度論議をされてきたことはよく承知をしておりますが、まあ学校教育問題に限って言いますと、落ちこぼれの生徒の人たちをどうフォローするか、吸収するかというようなことで、仕組みの中で救える者があればなるべく救いたい、こうお考えになっているだろうと思うわけでございまして、そのあらわれの一端が五十三年六月、弾力化、多様化を柱とした新高等学校指導要領というのが発表されまして、これによって五十四年の春ですか、鹿児島の城西高校、ホテル科を設置なさって、第一期生が四十名入ったというようなことが報道されたことがございますけれども、文部省の方では教育制度といいますか、いまの高校まで入れてこの六・三・三制の中で、職業教育等でももう少し幅広く弾力的に対応したら、何とかこれら落ちこぼれの生徒を吸収できるというようなお考えがあってこのようになさったのかどうかということが一点。それから、鹿児島の城西高校で四十名収容した後の経過、どんな効果が上がっているか、わかれば御報告を願いたいと思いますし、もう一つ、文部省の理科教育及び産業教育審議会に答申を求めておって、これ一年半か二年後にこの答申が出るようになっておると聞いておりますが、これのねらいもあわせてお答えを願いたいと思います。
  420. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 具体的な現場の指導並びにその他の問題につきましては担当官から申し上げますが、概説といたしまして、ただいま御指摘のような学習指導要領の改定を行いまして、そうして弾力化を図っておりますが、生徒の興味とか関心に応じました多様な教育の活動の展開をされて、そうして実態に即した指導が一層なされるようにいたしたいと思いますが、同時にまた、高等学校の修業年限の延長でありますとかあるいは弾力化についての、学校教育の制度全般にもわたります高等学校教育の制度的な問題等々は、非常にまた義務教育を終わりました多様化いたしまする社会に対する対応の問題でもありまして、なかなかむずかしい問題で、目下慎重にこの問題については検討を加えております。  なおまた、御指摘の学校等につきましては責任者からお話しいたしますが、同時にまた、文部省といたしましては、ただいま警察関係の治安関係あるいはまた青少年教育の関係の総理府の関係、これと相対応いたしまして、われわれといたしましては、あくまでも教育というものが青少年に対して愛情を持っていたさなきゃならぬ。同時にまた、そこには信頼感、さらにまたしつけその他の厳しさという問題がなけりゃならぬ。かような意味から、学校教育以外の家庭教育におきましても、あるいはまた社会教育におきましても、全体的な教育行政としてこれと並行して両々相まっていきたい、かように存じております。  それでは担当官からお答えいたします。
  421. 三角哲生

    政府委員(三角哲生君) 先ほど御指摘のホテル・観光に関する学科、まあ一つの例でございますが、そのほかに書道に関する学科、演劇に関する学科、写真に関する学科といったような学科を当時できるようにいたしましたのは、やはり先ほど大臣から申されましたように、九四%からの子供が高等学校に上がるわけでございますので、多様化を図る、そしてやはり目的意識を持って勉学に励むというようなことでそういう措置をいたしたわけでございます。  なお、恐縮でございますが、鹿児島における実態については、いま手元に資料がございませんので、また調べさしていただき、聞いてみたいと思います。  それから、そういったことにあわせまして、今回の新しい学習指導要領の改正におきまして、高等学校の必修科目とその単位数というものをかなり大幅に減らしまして、そして高学年になりますれば、むしろその子供の適性、能力、興味等に応じて選択科目をとることができるようにして、そういう意味での弾力化を図りますと同時に、時間数等につきましても、週当たりの時間数なども減らしまして、そのほかに特別活動その他のことが行えるようにというような配慮をいたしたわけでございます。  それからさらに、学校の運営として習熟度別のクラス編制というようなものも取り込めるようにいたしました。これは、数学なら数学、国語なら国語、これに若干まだおくれがあるような場合にはクラス編制を分けまして、そして一生懸命やってまたよくなった場合にはまた別のクラスに入るというような、そういう運用もできるようにいたしたということがございます。そのために……
  422. 大川清幸

    ○大川清幸君 いまの御説明は中学段階のことですか。
  423. 三角哲生

    政府委員(三角哲生君) いいえ、高等学校でございます。  それで、自治省の御協力も得まして、このための定数改善なども今年度から取りかかっておるところでございます。  そのほか、勤労体験をするような学習も取り込んでくるというようなことで、いわば国民的な教育機関とも申すべきほどに大ぜいの、大多数の子供が行くわけでございますので、いろいろな取り組みができるように図っておるところでございます。
  424. 大川清幸

    ○大川清幸君 大変苦労して、多様化に応じようという御努力をなさっていることは、ただいまの説明で推測がつくんですが、ところでこの、いまお答えの中にもありましたけれども、書道とかその他まで入れて、単位科目の時間も減らして弾力的な教育をするということですが、職業高校の教育になじむものは職業高校の中に入れて幅を持たして教育をさせ、その職業に行こうと進路を決めた生徒が張り合いを持ってやることはいいんですが、職業局校の科目になじまないものがただいまの御説明の中にもあったので、これらの高校生に対する教育をどうするかということだと思うんです。  職業高校だけで幅を広げてもまずいだろうというのは、実は東京都の教育研究所のまとめました過去三年間の調査結果によりますと、工業高校の場合、五十二年度の入学生七千人、このうち留年または退学者が二五・六%も出ておりまして、普通高校の四%に比べるときわめて高いわけであります。これは、きょうは時間がないので論議できるかどうかわかりませんが、いわゆる偏差値で持ち上げられてきて、自分の意に反する学校へ押し込められなければならない、こういうようなことがありまして、学習意欲の喪失とか学力不振など、こういうのが原因でやはり退学ないしは除籍をされてしまう、こういうことでありますので、職業同校だけの対応策だけではどうもだめでありまして、いま御答弁のありました書道、スポーツその他、工作でも結構です、水泳でも結構ですが、十分やれるように、いまの普通高校の教科課程、時間の中で、三年間の中でさばきがつきますか、おさまりがつきますか、どうですか。
  425. 三角哲生

    政府委員(三角哲生君) 東京都の例をお示しになりましたが、若干府県によりまして、普通高校と職業高校、あるいは職業高校の中で工業、商業、農業とございますが、それの収容定員の状況が果たして実際上の必要とどの程度マッチしているかというようなことがあろうかと思います。ただ基本的には、ただいま委員御指摘のように、普通高校の中でどういうぐあいに多様な子供たちの要求に応じていけるかということがあるわけでございまして、その点は先ほど私がちょっと御説明申し上げましたように、必修科目の単位数を限定することによりまして、学校の規模によりますけれども、その他の選択科目の領域でできるだけいろいろな工夫をしていただくということであろうかと思っております。  先ほど、前の御質問に対してちょっとお答えを漏らしましたが、先ごろ、文部大臣の諮問機関でございます理科教育及び産業教育審議会に、今後の高等学校における職業教育のあり方について大臣から諮問をいたしましたが、その趣旨は、いろいろございますけれども、まあ日本におきましても、先進諸国と同様に非常に産業構造、就業構造の変化が起こっておりまして、特に第三次産業の方の比率が高まってまいっておりますが、そういう状況もにらみ合わせて、今後の職業教育の内容をどうするかということが一つございます。  あわせて、ただいま先生御指摘のことに関連いたしますが、普通科の高校がいまわりとふえてきております。それは、やはり大学進学を志向するということから、普通科の希望者が多いということが一つでございますが、もう一つは、やはり高校生の急増する都道府県、十県ないし十一県がそれに該当しておると思いますが、これが新しくつくります高等学校あるいは増設します高等学校の学級には普通科が多かったというようなこともございまして、普通科が非常にふえてきております。そういう中で、普通科の教育の中にどういうぐあいに職業教育的な内容を盛り込んでいくかというようなこともあわせて御検討をお願いした。さらには高等学校へ行かない子供が十万人ぐらいおりまして、そのうちのかなりの者が各種学校、専修学校等に行っておりますが、高等学校教育とそういう専修学校の教育との関係と申しますか、あるいは提携、協力関係をどういうふうにしたらいいかというようなこともあわせて御審議、御検討をお願いしたい、こういう趣旨で諮問をした次第でございます。
  426. 大川清幸

    ○大川清幸君 状況はわかるんですが、もう一つ、後の質問にも関係があるので、もう一回くどいようですが念を押しますが、普通高校教科課程三年間、この中で、いわゆる志望すれば単位を取って大学を受けるわけですが、その単位を取るような、何といいますか、勉学が三年間の中におさまるように——職業学校はいいですよ、さておいて、いま言ったようなことを取り入れて幅を持たせてやるとするときに、スポーツなりその他を教科課程で何時間か入れると学科の方が少なくなりますね。そういうさばきが現行の普通高校、全日制の中でできるのかと聞いているんです。
  427. 三角哲生

    政府委員(三角哲生君) ただいま新しい教育課程では、週当たりの授業時数を三十時間ということにしまして、その中に学習指導要領で必要とする内容を盛り込むことにいたしておりますので、三年間で高等学校の教育課程を履修することは十分できるように考えておると思っております。
  428. 大川清幸

    ○大川清幸君 それでは次の質問に移りますが、これもちょっと東京都の例ですが、大体全国同じ傾向にあるというふうに新聞にも出ていますのでちょっと数字を挙げてみますが、五十二年度の都立、十六万四千二百九十人、都立の高校生です。このうち退学または除籍をされた者が実に二千二百九人、まだこれ低い方です。私立の方は、在籍数が二十四万三千百四十二人おりまして、退学または除籍された者が、これは驚くなかれ五千七百七十九人、二・四%、在籍者の。こういうことで、これはこういう席ですから余りえげつないお話は遠慮をしたいんですが、高校生が都内で大体四十万人いて、私学の方に六対四ぐらいの割りでめんどう見てもらっているわけで、その私学の方でこうした退学者がかなりの数に達しているわけでございます。これは落ちこぼれと言ってはどうか知りませんが、いろいろ学校へ寄付をしたりして、いわゆる落ちこぼれを私学側がしりぬぐいをしている形なんですが、先ほどもちょっと触れたように、実は小中学校の義務教育段階で実際には落ちこぼれが潜在をしておって、たまたま高校の入試で顕在をするのですから、義務教育段階での現象とすれば、国の責任の方がむしろ大きいんで、この責任論を余り論議したことがないのではないかと思うのですが、文部大臣はこの実態についてはどのように受け取っておられますか。
  429. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 大変重大な分析をいただきましてありがとうございます。  いまのような問題は、いまの減数だけではなく、先生の御主張のもう一歩次の段階といいますか、高等学校の制度上の問題を反省したらどうだという御意見があるだろうと私は思うのであります。それは確かにそこに帰着する点も多々ありますけれども、現在の義務教育の六・三制の問題をあるいは六・五制にしますとか、あるいはその他のいろいろな制度の改変、それと上級大学との連携の問題や職業訓練なんかの問題もございます。この点は、そういうふうな御意見があるということをわれわれもよく承知しておりますので、制度の問題としましてもこれと取り組んで研究いたしつつございます。
  430. 大川清幸

    ○大川清幸君 前向きに取り組んでいただくことが望ましいわけでございます。  そこで、進路というか、それの選択をする時期の問題にかかわるのですが、先ほど言ったように、偏差値で普通高校へ入れないから商業高校なりあるいは工業高校なり農林高等学校に行くというようなことになる。その中から脱落者がパーセンテージで言うとよけい出ている。こういうことから考えて、職業高校になじむ者については職業高校の幅を、中身を充実していただけばいいと先ほどから申し上げているんですが、実はいらっしゃる大臣方にもお考え願いたいのです。皆さんの御子息、仮に、高校卒業というと十七、八歳です、これまでに、本人はもちろんのこと、父兄にしても、その子供たちの進路の選択を決定的にできる時期じゃないのですよ。そういう点から考えると、幅の持てる高校教育の仕組みの中でこれは吸収してあげなければならぬと思うのですが、実際、お子さんを持って十七、八で進路が全部ばたばた一〇〇%お決まりになりましたか。大臣方どうですか。——皆さんに聞いてもますいから、文部大臣いかがですか。
  431. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) その問題は大変むずかしい問題でございまして、どこの学校でも進路補導という問題を大変先生方も苦慮しておられます。われわれ胸に手を置いて考えましてもじくじたるものがあることは事実でございます。
  432. 大川清幸

    ○大川清幸君 この時期で偏差値で方向を決められることは大変過酷です。しかも試験科目といえば国語と数学と英語でしょう。これがたまたまできが悪かったために方向を決められちゃったり、大きく言えば社会の脱落者みたいに扱われること自体が私は教育の上から言って残酷だと思う。九四%余りも高校へ行くのです、義務教育化段階だと言われているのですから、これはぜひ仕組みの中で対応できる方法を考えていただきたいと思うわけでございます。  時間がなくなってきましたから、所見を交えながら大臣の所信を伺いたいと思うのですが、御承知のとおり、現在の高校教育は学校教育法の第四十六条で、全日制の修業年限は三年にすると明確に決められておるので、これは法律を改正しないと教育期間を延ばす、修業年限を延ばすことはできないかもしれませんが、現行の制度の中で能力があって公立なり私立の高校へ入れる方は結構です。しかしそれから脱落するような方々を収容するような全日制の高校、まあいままでの高校を第一種と言えば仮に第二種と言っても結構ですが、ここへ入った方が、まあ試験なしで入ってもいいような種類になるかもしれませんが、その中で水泳を半日やるとか、野球を半日やるとか、書道とか、絵を半日やる、あるいは何時間かやるということで、張り合いを持たせれば、これは四年間のうちにいまの普通高校と同じように単位が取れるようにしておいてあげれば、やがて意欲が出れば大学へも進学なさるでしょうし、そういう生徒の中から世界的なスポーツマンやあるいは絵の名人等が育つかもしれないので、これが私は最良の策だとは言っておりません。先ほどから申し上げているように、職業局校の中でもいまの商業や工業だけじゃなく、もっと幅をふやしたホテル科などを入れた職業高校があっても結構。しかし、普通高校の方に希望者が多いので、こういう三年なり四年間の進路を選択する余裕期間を持たせるような高校の制度の中で吸収していただけないかということですが、これに対する——これは早速御返事できないでしょう。どこかへ諮問したり時間をかけなきゃならぬことだと思うんですが、積極的に検討していただければ大変ありがたいと思うので、御答弁願います。
  433. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 先ほども申し上げたように、進路選択の問題はその人の人生の将来を決定してしまう問題でもございますし、なかなか重大な問題でございます。同時にまた、それは制度の問題とも関連いたしまして、四十六条の問題とも関連いたしまして、高等学校の修業年限の延長ないし弾力化という問題につきまして学校教育制度の全般にもかかわる問題でございます。御意見はよく承りました。また、われわれの方も真剣に研究いたしたい、かように考えます。
  434. 大川清幸

    ○大川清幸君 真剣に検討するという文部大臣の御答弁をいただいたので、私も期待をいたしたいと思いますが、最後に、この学校問題でも念のため申し上げておきますが、実は二月一日、読売新聞に、全国学校図書館協議会と読売新聞が主催をしている行事がありまして、その中で、絵本の部で「ねずみとお月さま」という作品、これは日立市の伊藤幸子さんという二十二歳の、脳性小児麻痺の方が、実は手じゃない、足でおかきになった作品が入賞いたしまして、選考に当たった先生方も足でかいたということで大変びっくりしたそうです。いま社会参加、身障者の方々でも積極的に一生懸命やっておられて、ボランティア活動なんかもやっておられるけなげな方がいます。  先ほどから論議をしてまいりましたように、五体健全であるが、学校の教育のそうした組織の中で吸収できないために、たまたま高校進学のときに国語とか英語とか数学ができないために脱落をしてしまう、落ちこぼれになる。しかも、それが非行化の温床になっているということから考えると、この制度の問題も含め、職業高校のあり方をも含めて真剣にこれは検討願った上、多様化する経済社会に巣立っていく青少年が健全に育っていくようにしてもらいたい。もし考え方や性格がゆがんだまま大ぜい世の中へ出てこられちゃ困る。先ほど十万人脱落、そのうちの二五%、二万五千人、十年だと二十五万人、それが性格や考え方がおかしくなって出てきたら社会は大変困った問題になるので、真剣にひとつ取り組んでいただきたいと思います。  時間がなくなりましたから、最後に、総理の御見解だけ聞いておきましょう。対応について、文部大臣は前向きにとおっしゃっておりましたが、お願いいたします。
  435. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) きわめて重要な御提案がございました。文部大臣が申し上げたように、政府としても十分前向きで検討さしていただきます。
  436. 大川清幸

    ○大川清幸君 次に、御通告を申し上げておきました、特に青少年の思春期にあらわれる新しいこれは病気だと思われますが、脊柱側湾症といって背骨が曲がる。姿勢が悪いために前に曲がるのならまだ普通ですが、姿勢を直せということになるのですが、これは横へ曲がる。これは五十四年に文部省から定期健診の中に入れるようにと小中学校等に通達が出ているようですが、実情は把握できておりますか。どうですか。
  437. 柳川覺治

    政府委員柳川覺治君) お答えいたします。  御指摘のとおり、五十三年に学校保健法施行規則を改正いたしまして、従来、脊柱、胸郭の異常の有無につきまして定期健康診断で実施してまいりましたが、その際、特に脊柱側湾症につきまして十分注意するよう改正をいたしてまいりました。その結果でございますが、学校保健統計調査によりますと、この脊柱、胸郭に異常がある者につきましては次のとおりになっております。幼稚園一・〇八%、小学校〇・九二%、中学校一・二三%、高等学校〇・五九%でございまして、このいまの数字の中には胸郭の異常がございますので必ずしも側湾症そのものの数字ではございませんが、かなりの数値の異常の有無が認められるという状態でございます。
  438. 大川清幸

    ○大川清幸君 もう時間がなくなりましたので、これは文部省にも問い合わせたら余りきちんとした数字挙がっていませんでした。これは脊髄は万病のもとなんですし、それからこれに熱心な父兄は、たとえば甲府市とか、東京では江戸川区ではちゃんと学校の定期健診で実態を把握して大変詳細なデータも出て、対応策も熱心なようですが、全国的にはまだ不熱心です。文部省から通達が出たという程度で、文部省もきっちりデータを押さえていない程度です。しかし、これは成年に達してからいろいろな病気のもとになるわけです。ただ問題は、発生した生徒の七〇%がその病気の原因がわからぬということなんです。父兄の方は難病に指定してくれというような大変心配をしております。これは難病に指定するかどうかについては厚生省にも関係があると思うし、文部省でもっと対応をきちんとしてもらって、この病気の実態を把握していただくと同時に問題の解決に力を入れてもらいたいと思いますが、厚生大臣、文部大臣の御答弁をお願いいたします。
  439. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいま体育局長から御報告申し上げたような実態でございまして、われわれの方も今後ともにこの究明に努力いたします。
  440. 園田直

    国務大臣(園田直君) 御指摘のとおりでありまして、文部省ともよく相談をして、厚生省では心身障害研究費の中で昭和五十年度からこの脊髄の疾患について研究をしてもらっておりますが、御発言のとおり、生活様式その他でということもありますが、七〇%はいまなお原因不明でございます。かつまた、この治療法等もまだ的確でありませんが、生活環境あるいはこれに補助具をつけることによってこういう人の治るように準備しておりますから、今後ともひとつその研究費をふやし、文部省と相談をして努力したいと思っております。
  441. 大川清幸

    ○大川清幸君 最後に一言。  いま両大臣から御答弁がありましたが、実はこの病気は思春期の男よりは女性に多いんです、発病の状態が。これは婦人の成年に達してからの膠原病と体質的に何か関係があるかと私は思っておりますので、専門じゃありませんが、これは十分対応していただきたい。最後に、総理の御答弁を聞いて私の質問を終わります。
  442. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) これはまだ調査等につきましても不十分な点があるようでございます。実態をよく把握をいたしまして、いま文部大臣、厚生大臣から申し上げましたようなことで、政府としてもよくこの実態を把握しながら取り組んでまいりたいと思っております。
  443. 大川清幸

    ○大川清幸君 終わります。(拍手)
  444. 木村睦男

    委員長木村睦男君) 以上で大川君の質疑は終了いたしました。  明日は午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時四分散会      —————・—————