○鶴岡洋君 私は、公明党・
国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました
昭和五十三
年度の
決算について、
鈴木総理並びに
関係大臣に
質問いたします。
初めに、当面する緊急
課題二点についてお伺いします。
春闘は、今週、最大の山場を迎えているわけでありますが、昨日、金属労協に平均八%の回答が示されました。この回答は五十五
年度消費者物価
上昇率七・八%をわずかに超えましたが、本
年度の実質賃金の目減り等を
考え合わせると、個人消費の低迷、景気回復の停滞は今後も続きそうでありますが、
総理はいま、春闘の成り行きをどのようにとらえておられるか、お伺いいたします。
次に、日米自動車問題など貿易摩擦についてお伺いいたします。
総理は、五月上旬の日米首脳会談を目前に控え、この貿易摩擦の主な
原因は何であるのか、また、自動車の輸出自主規制はやむを得ないという見解をお持ちなのか。この解決への
基本的姿勢はどうするのか、
総理及び通産
大臣の
考えをあわせてお伺いいたします。
〔
議長退席、副
議長着席〕
さて、
昭和五十三
年度における
政府の
財政経済政策を振り返ってみると、今日の深刻な
財政危機の芽は、そのときすでに大きくなりつつあったことを知るのであります。
財政破綻を起こした
原因は何か。その根源は、
昭和四十八年の石油ショック後における
政府の対応の不手際と、その後とり続けた大幅な
公共事業の
拡大を主軸とした放漫な
財政運営にあるということはだれしも知るところであります。
昭和五十三
年度では、
公共事業関係費について、その
効果が不十分であるにもかかわらず、前
年度当初
予算比三四・五%と大幅に
増加させ、その後も相変わらず安易な国債発行に頼り、
財政規模の
拡大を続け、その結果として今日のごとき空前の
危機を招くに至ったと断ぜざるを得ないのであります。この点について、
総理及び
大蔵大臣の御見解を伺いたいのであります。
次は、
行政改革についてであります。
総理は
行政の減量化を
改革の
中心に
考えておりますが、確かに肥大化した
行政は改めなければなりません。しかし、それを無原則に
行政改革をすればよいというものではありません。
国民生活を守る、教育及び福祉等は断固確保するという
基本的な視点は失ってはならないと思いますが、
総理並びに
行政管理庁長官の御見解を伺いたいのであります。
第二に、
行政改革の実効性についてであります。第一次臨調の答申の実現はほとんど不発に終わり、大平行革も実効の伴わない「見せかけ行革」にとどまり、行革問題は大山鳴動してネズミ一匹出ない結果に終わったのであります。
鈴木総理は行革に「
政治生命をかける」と意気込んでおられますが、早くも総論
賛成、各論反対の動きが見られ、本当に決意のとおり
国民の期待にこたえる行革ができるかどうか、一に
鈴木総理の指導力にかかっているのであります。
総理の行革に対する決意のほどをここで改めてお伺いいたします。
さらに、補助金の削減方式についてでありますが、
総理は
国会答弁で「補助金カットは一律でなく、各省庁に応分かつ公平な犠牲を求める」との
考えを示し、これを受けた大蔵省は、重要度に応じた点数制の導入を検討していると伝えられますが、この重要度の
算定基準を明らかにしていただきたい。
次に、天下り問題について
お尋ねいたします。八日発表された天下り白書によると、公社公団役員のうちに占める天下り官僚は実に七六・二%となっており、高額給与と高額
退職金を受けている渡り鳥官僚がいまだに後を絶ちません。
政府は、補助金カット、特殊
法人の整理、統廃合など、
行政改革の推進をしている立場から、この天下り官僚についても厳しい規制と強化を図るべきであると
考えますが、
総理並びに
行政管理庁長官の見解をお伺いいたします。
次に、医療
行政について
お尋ねいたします。
昨年の富士見病院の乱診乱療や京都十全グループの株買い占めなどの医療機関における不祥事事件が相次いで起きております。
厚生大臣は、
国民の信頼を回復するため、医療機関に対する指導監督の強化、医療に関する諸問題について全面的な見直しを約束されました。
政府はこうした背景を踏まえて医療法の
改正案を
社会保障
制度審議会に諮問しておりましたが、その答申案が本日間もなく提出されると聞いております。今日のこの荒廃した医療
行政を立て直し、
国民の信頼を回復することが急務であります。今
国会にこの医療法の
改正案を提出する決意があるかどうか、
厚生大臣の御見解をお伺いします。
さらに、最近は医師、医療機関の不正所得をめぐる
国民の不信が日増しに強まっております。五十四年には医師優遇
税制の必要経費の控除率が引き下げられると同時に、所得隠しのための第二薬局を設立したり、薬品の仕入れがないのに伝票操作だけの医薬品卸会社をつくるなど、いわゆるトンネル卸や、さらには営利を
目的としてはならないはずの病院が税金逃れの方策として医療会社をつくるなど、暴利に走る医師が後を絶っておりません。
これらは全体から見れば一部の者であるかもしれませんが、
国民の医療に対する不信感を強め、ひいては医療
行政に対する信頼の失墜にもつながるのであります。特に、医療
法人化の問題は、税金逃れに対し厳しい
措置を講ずべきであるとともに、医療法の精神からも大きく逸脱しているものであります。これらの問題をどう受けとめ、今後はどのように対処されるのか、
厚生大臣及び
大蔵大臣の御見解をお伺いいたします。
最後に、
会計検査院の
権限強化についてであります。
先ほど
総理から、いまだ結論を得るに至っていないという
答弁がありましたが、肥大化する
財政に対処するために
会計検査院の
権限を
拡大強化する必要性については、すでに衆参両院において六回も決議を行ってきたところであります。しかし、
政府は相変わらず部内における
意見調整ができぬことを理由にあいまいな態度をとり続けており、これはまさに
国会を軽視する重大な問題であります。
政府部内における主な反対理由は、中小
企業等に対する
政策金融が有効に
機能しなくなるおそれがあること、また、現在の肩越し
検査でその
目的は十分達せられており、この上、民間
企業の活動を阻害するような
検査院の
権限強化は必要ないということのようであります。しかし、実態はそうではありません。中小
企業等は積極的に
検査に協力する姿勢をとっており、
検査を拒否しているのはむしろ大
企業であって、
政府の言いわけは融資額も多い大
企業の言い分であることが明らかであります。これら融資の原資は
国民のものであることを思えば、利用する者がその使途を明確にするのは
国民に対する当然の義務であります。
政府は、
検査院の
権限強化について早急に結論を出し、融資を受けた者は正々堂々と
検査を受け、いやしくも
国民の疑惑を受けることのないよう
措置すべきだと思いますが、
総理の明快なる
答弁を求め、私の
質問を終わります。(
拍手)
〔
国務大臣鈴木善幸君
登壇、
拍手〕