○小西博行君 確かにこの中に、
放送大学をやるための
目的みたいなものですね、設立の
目的ですか、この中に「新しい高等
教育システムとして、」というのが書いてありますね。私はこれに非常に興味を持つわけなんですが、現実に
テレビを見せ、
ラジオを聞かして、そしてその自宅研修をやってというのは、そんなに新しい私は試みではないような気がするのです。むしろ、その中のもっともっと練っていかなくてはならないような、同じ
テレビを見ても、
テレビそのものの有効な活用の仕方というものが恐らく出てくると思いますから、むしろそっちの方が、私は今後これが施行された場合でも大きなウエートになってくるんではないだろうかなあ、そういうふうに考えますので、何か言葉にいたしますと、非常に簡潔に書かれるわけですけれ
ども、実はこの中に非常に工夫の要るところではないかと、そのように考えます。
ところで、この「
放送大学の基本計画に関する報告」というのがございますね。これ五十年十二月十七日、
文部省の
大学局から出ております。この中にアンケート調査がありますね。つまり
放送大学をやった場合に、見ますか、どうですかとか、あるいはその単位をとって四年間で
大学の資格をもらいたいですかとか、そういうようないろいろな
質問があるのです。で、私はこれはちょっと非常に危険だなという感じがいたしました。つまり五千人という方々を全国からランダムにサンプリングいたしまして、そうしてその中から実際どうなのという
質問なんですね。その結果八%という数字が出てきております。それをそのまま全国の十八歳以上ということに当てはめて、六百二十万人ですか、六百二十万人はぜひ
放送大学といいますか、
放送を聞いて勉強したいという
一つの前提がありますね。実際はそうもないだろうと、その中の数%だろうという前提を置いてまあ四十五万人構想というのは正当な数字ではないか、こういうような
一つの煮詰め方をやっておられますですね。私はこういうアンケートというのは、非常に危険性があるというふうにまず提言したいわけです。つまり
質問内容であるとか、あるいは実際に自分がその学校へ入って一週間でもやってみて、そうして、あっこれなら勉強したいと、こういうふうに考える人が実際にこれだけおれば私は問題ないと思うのですが、現実このアンケートで、それを全部信じておるわけじゃないでしょうけど、問題点があるんではないかなあと。
そういった
意味で、ちょっと私間違いが多少あるかもわかりませんが、時間をずっととってみたんです。このカリキュラムといいますか、一応提案されておりますこの教科ですね。三つのコースがあって、その中にそれぞれ基本科目、基礎科目でしょうか、外国語、保健体育あるいは専門科目ということで、たくさんのことが書いております。それぞれの科目を全部とりまして、これは全部条件がありますけれ
ども、百二十四単位とれば卒業ということになるわけですね。そうしますと、大体どの
程度の勉強するのかなあということで、これは先ほど申し上げましたように、また
文部省の方から詳しいもの出していただきたいと思うんですが、たとえば科目にいたしますと四十五分の
テレビを週に二回見るわけです。四十五分を二回です。それを十五週間やりますとこれが三単位もらえるわけです。ですから一年間は、百二十四単位を四で割るわけですから三十一単位とらなきゃいけませんね。だから毎週、最低三科目はとらなきゃいかぬわけですね。これは最低です。三科目じゃ足らないわけですから、大体四科目はとらなきゃいかぬ。そういうことになりますと、これかなりその時間が必要になってまいります。私の計算では大体毎日予習、復習というのが実はこれ大変なんです。その
テレビを見るのはそれでいいわけなんです。だけれど、予習、復習という時間を見ますと、大体四十五分間
テレビを見て、これを二回見るわけです、一科目で。それで、三時間ぐらい予習、復習が要るわけですね。そういうように書いていますね。それを少なくともさっき申し上げたように三つか四つの科目をとるわけです。ですからもう毎日毎日
授業を聞くというような感じになると思います。それにそれぞれが自宅研修するわけですが、一週間に九時間ぐらいは少なくともかかると思います、いわゆる予習、復習が。これは
テレビを見るのとは別です。つまり通信
教育のように家にいろんな資料送ってきますから、それ見たりいろんな勉強するわけですね。
ですから、この間のアンケートでは、数字をもらいましたが、この前ちょっと私いつか
質問したと思うんですが、特に奥さん方の勉強したいという希望が非常に多いということでした。その普通の家庭の奥さん方が毎週九時間から十時間ぐらいの予習、復習をして、しかもその
テレビを毎日四十五分は見なければいけないと、大体こういう計算になると思います。そして、一週間に一回はスクーリングに出かける。そして、これ大体全部四・三時間くらいですか、週当たり。一回行きまして四・三時間ぐらいの補習
授業といいますか、面接
授業を受けると。こういうよう実態の中で果たして——さっきのアンケートで奥さんが非常に多いとか、あるいは別の資料を見ておりますと、そうじゃなくて、むしろ高卒以上のわりあい事務、技術職といいますか、
大学を出ている人も含まれると思います。そういう方々が社会人になって、もっと勉強したいと、むしろそういう方々の方が多いんではないかという資料もちょっとあったわけなんですけれ
ども、その辺が非常に私はデータとしても本当に信頼性がどの
程度なのかなということがちょっと不安になっているわけなんですが、かなりのそういう時間を要して、しかも勉強して、しかもそれだけ
講義をやって——
講義というか、
テレビを見て自分が勉強して、そして全部通過じゃなくて、もう一回厳しい試験があるわけですね。その試験を通過していく者はさっきの話では大体一〇%ぐらいが落ちていくだろうという、これは非常に私は甘いデータだと思います。実際それは先ほど
局長も言われましたが、ある
大学ではという話を聞きましたが、まず四年間でまともに卒業するのは五〇%ぐらいじゃないでしょうか。日大の場合もそうじゃありませんでしょうか。私は法学部ぐらいだったら大体五〇%は四年間で何とか出られると思いますが、それ以上は無理だというふうに考えるんです。ましてや、
一般教養の英語、ドイツ語というのが入っているわけですね。こういうようなものをやっていって果たして——さっきの計算で多少間違いがあるかもわかりませんが、ほぼ毎日勉強するようなかっこうになると思います。しかも、家庭の奥さんですから
テレビは一台自分が独占します。独占してしかもそれはもう別部屋ですね。しかも一時間、まあ四十五分ということですが、そういうことが技術的に果たしてどうなのかなと。
私は真っ正面から
放送大学に反対しておるわけじゃありません。そういう
意味じゃなくて、現実の問題としてこういうものがあるんだということを認識した上で効果的なやり方というものを考えていく必要があるんじゃないかなあ。その辺のところを実はぼくは
委員の方も、自民党の先生方も余り見てないじゃないかなと。一遍実際時間割りを組んでみて、ああなるほど月曜日、火曜日、こうなるんだなと。これは自分で組んだらいいわけですから、そういうものでやっぱり一回審議をしていかないと困ると、恐らくその辺のところが人によってさまざまではないか。だから、
大学でそういうことをやっている人というのは非常に細かいことまでやっぱりつくと思います。そうじゃない人は通ったら何とかなるだろうという概念もあっていいと思います。そういう面が私はちょっと不安なものですから、その辺に対してのお答えをちょっとお願いしたいと思うんです。