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1981-06-03 第94回国会 参議院 農林水産委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年六月三日(水曜日)    午後一時開会     —————————————    委員異動  六月三日     辞任         補欠選任      大石 武一君     降矢 敬雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         井上 吉夫君     理 事                 北  修二君                 坂元 親男君                 鈴木 正一君                 川村 清一君                 中野  明君     委 員                 岡部 三郎君                 熊谷太三郎君                 下条進一郎君                 鈴木 省吾君                 田原 武雄君                 高木 正明君                 初村滝一郎君                 降矢 敬雄君                 三浦 八水君                 宮田  輝君                 村沢  牧君                 山田  譲君                 鶴岡  洋君                 中野 鉄造君                 下田 京子君                 田渕 哲也君                 喜屋武眞榮君    事務局側        常任委員会専門        員        竹中  譲君    参考人        全国農業協同組        合中央会常務理        事        榊  春夫君        全国食糧事業協        同組合連合会会        長        金山国次郎君        日本米穀小売商        業組合連合会理        事長       片岡 森寿君        北海道農民連盟        委員長      岡本栄太郎君        主婦連合会事務        局長       清水 鳩子君        日本経済新聞社        論説委員     山地  進君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○食糧管理法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、大石武一君が委員を辞任され、その補欠として降矢敬雄君が選任されました。     —————————————
  3. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 食糧管理法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本日は、本案につきまして、お手元の名簿にございます参考人方々から御意見を拝聴いたしたいと存じます。  この際、参考人方々に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多忙中のところ、当委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。本日は、食糧管理法の一部を改正する法律案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお伺いいたしまして、今後の委員会の審査の参考にさせていただきたいと存じます。よろしくお願いを申し上げます。  それでは、これより御意見をお述べいただきますが、あらかじめ議事の進め方について申し上げます。御意見をお述べ願う時間は、議事の都合上、お一人十五分程度とし、その順序は、榊参考人金山参考人片岡参考人岡本参考人清水参考人山地参考人といたします。参考人の御意見開陳が一応済みました後で、委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。  それでは、榊参考人からお願いいたします。榊参考人
  4. 榊春夫

    参考人榊春夫君) 全国農業協同組合中央会常務理事榊春夫でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  諸先生方にはわが国農業並びに農家実情に深い御理解をいただき、常々御指導、御高配を賜り、心から御礼申し上げます。  また本日は、食糧管理法の一部を改正する法律案につきまして、参考人として意見を述べる機会を与えていただきましたことははなはだ光栄に存ずるところでございます。  それでは、食管法の一部改正案についての意見を申し述べさせていただきます。  食管法は、御承知のとおり、国民食糧確保及び国民経済の安定を図ることを目的に制定され、今日までその役割りを果たしてきております。今回の法改正は、社会経済国民生活変化に対応して、この法律実態乖離を是正することを目指しているものと思います。この是正の必要性は十分理解するものでありますが、私は、法律問題以前の問題として、食糧農業についての基本的な認識がわが国においてはおろそかにされてきたことこそ問題だと考えております。申し上げるまでもなく、食糧安定確保、とりわけ自給力向上は、国と民族の安全独立に欠くことのできないものでございます。このことについての国政の基本国民的合意がなければ、どのように法律制度改正しても、その運用の万全を期することは不可能と考えます。幸い、先般本院におきまして食糧自給力向上について御決議をいただきました。また、食管制度目的とその役割り重要性についての国民的合意は保たれていると考えます。今後、本委員会の審議を通じ、さらにこれらの点が明確にされることを強く願うものでございます。  次に、今回の食管法改正についての私ども基本的な考え方立場について申し上げます。  このたび政府から提案されました改正案につきましては、私どもは長期的な視点に立って理解し、その改正が必要と考えますが、改正前提として、まず、この食管法の中で堅持さるべき基本原則の再確認について申し上げます。  食管法は、昭和十七年に制定されて以来、戦中戦後の異常事態を経験するとともに、戦後復興、高度経済成長期を経て安定経済成長を目指す今日まで、それぞれの情勢変化に対応してきわめて弾力的に大幅な運用改善を行いつつ、主要食糧安定供給を通じて国民生活発展向上に寄与してまいりました。このことは、食管法基本原則がきわめて重要な機能を果たしてきたからであります。幾多の激しい変動の過程を通じて食管法がよくその命脈を保ち得たのは、食管法が、過不足いずれの場合においても政府責任において流通する米の全量管理を行い、生産者に対しては、再生産確保するに足る価格を補償するとともに、消費者に対しては、家計の安定を旨とした価格安定供給確保してきたからであります。幾多歴史的試練を耐え抜いたこの基本原則の真価を十分に評価、再認識した上で、この基本原則確保前提として法改正に当たるべきであると考えます。  次に、改正法案内容について意見を申し述べさせていただきます。  改正法案は、現行第八条ノ二以降の削除により、厳格な配給統制を廃止し、新たに第八条ノ四に逼迫時における配給統制の復活を明記しております。逼迫時に、配給制により国民生活上重要な主食を確保する必要性は当然のことでございますが、問題は、生産者の利益を害することなく、また消費者の納得を得てそのような切りかえが実際に可能かどうかということであります。  したがって、そのような事態に至らないよう自給力確保を図るとともに、備蓄についてしっかりした考え方を法的に明らかにしておくことが必要であると考えます。現行全量回転前提とした備蓄方式を改め、一定量を、通常の需給とは切り離し、いわばたな上げした形で備蓄し、何事もなかりせばこれを他の用途に処分する方式制度化することが必要と考えます。  次に、新たに規定される第二条ノ二の基本計画についてであります。この基本計画は、改正法案による米の管理の文字どおりの基本となるものであります。この基本計画について三点意見を述べさせていただきます。  その一つは、この基本計画によって米の生産価格が抑制されるのではないかという不安があるということであります。この基本計画がどのような場で検討協議されるのか、特に生産者立場生産事情等がどのように反映され、また擁護されるのかといった点を明確にしていただきたいと思います。  二つ目は、政府管理すべき米穀数量等についてであります。  政府制限買い入れ方針をとっており、管理対象数量の中には、天候等によって発生する予約限度超過米や、改正法案によって新たに認められることになる縁故米等は含まれないというふうに聞いております。予約限度超過米といえども、現に流通する以上は、全量管理の当然の帰結として政府管理すべき米穀の中に明記すべきであります。これを正規ルートに乗せて管理する基本方針と、不正規流通防止具体的措置を講ずべきであります。  第三は米の消費拡大についてであります。  米作農家は、公平確保という名のもとにペナルティーを課された生産削減を余儀なくされております。このような中で、米の消費は年々その計画量を下回っております。このことがさらに生産調整強化生産者米価の抑制という形で生産者にしわ寄せされているのが現状であります。米の消費拡大の目標を基本計画に明示するとともに、加工原料向け等新規需要の開発、拡大を含めた積極的な拡大均衡策を推進されるよう要望いたします。  次に、自主流通米制度について意見を申し述べさせていただきます。  自主流通米制度は、発足十年にして米流通量の三分の一を占め、流通上大きな役割りを果たしているところであります。この自主流通米制度について、改正法案がその法的位置づけを明らかにしたことは、事態に即応した前進と評価するものであります。同時に、政府米自主流通米との基本的な性格づけや、その運用基本を明らかにすることが必要であります。また、自主流通米制度が所期の機能役割りを果たすよう、十分な配慮お願いする次第であります。  次に、流通業者の地位と責任明確化についての意見であります。  今回の改正法案では、現行法では明らかでなかった集荷業者位置づけを第八条ノ二で規定するとともに、第八条ノ三に販売業者を規定し、いわゆる流通ルート特定を行っております。集荷を中心とする系統農協として歓迎するところであります。  次に、食管法改正の契機と申しますか、その原因ともなった不正規流通規制についてであります。  法と実態乖離を是正するということから、末端流通規制が緩和され、個人間の無償の譲渡行為、つまり贈答米縁故米が認められることになります。この点につきまして、米の自由化ムードを助長するものとして、私ども組織内には警戒する声が多くあります。その適正な運用を強く要望したいところでございます。  特に、これら贈答米縁故米に名をかりた不正規流通米のみならず、流通業界においては正規米の横流しが恒常化し、一大自由米市場が形成されていると聞いております。このような事態をいかなる施策によって是正していくのか、その具体策並びに不正規流通取り締まり方針を明らかにし、管理体制確立等万全の対策を講じていただきたいと思います。もちろん、これらのことにつきましては、集荷販売の衝に当たる私どもが率先してその責任を果たすことをお誓い申し上げますが、やはり政府責任ある対応があってこそこれが生きるものと思います。  次に、法改正に伴う運用改善事項として、集荷販売面への競争条件の導入の問題についてお願い申し上げます。  米の消費拡大を図る見地から、卸、小売業者新規参入小売複数卸との結びつき等の施策を含め、販売面競争条件を導入することは適切な措置であると考えております。しかし、集荷面につきましては、円滑かつ適正に全量集荷する体制確立が重要でありますとともに、それ以前の問題がさらに重要となっております。それは言うまでもなく、需要に見合った米の計画的な生産、つまり、生産調整の遂行と良質米生産強化徹底であります。生産された米をどのように集荷するかという前に、どのような米をどれだけ生産するのか、その指導行政指導とも相まって、時としては農家を十分説得した上で行わなければならないのが実情であります。また、そのことが食管制度を守る基本でもあろうかと思うわけでございます。  この点を配慮せずに、集荷促進だけを念頭に置いて集荷面競争条件を導入するということは、いたずらに混乱を招くだけでなく、国の政策地方公共団体行政指導との整合性を欠くものであり、私どもとしてはとうてい承服できません。このような見地から、集荷業者事業区域拡大については慎重な配慮が必要であり、いかなる市町村集荷を行う場合でも必ずその市町村において指定を受けた上でその業務を行うよう、その基本を厳守されたいと考えております。  最後に、麦対策確立についてお願い申し上げます。  麦価規定に関する法改正が見送られたことは御案内のとおりで、われわれ生産者団体としても、適切な措置として賛意を表するものでありますが、麦については種々問題が山積しております。その第一は、麦は水田利用再編対策転作特定作物として増産が期待されておりますが、作期関係で、優良わせ品種の育成、輪作体系確立、特に需要に適合した小麦の品質改善等生産面の諸対策の立ちおくれが目立っておりますので、これらの促進を図ること。第二に、需要面の問題としまして、押し麦用大裸麦の需要の頭打ち、ビール原料用二条大麦の精麦施設の不足及び輸入モルトとの競合問題、飼料用麦制度上の制約等々、需要面において打開すべき幾多の問題があり、このままでは麦の増産現実の経済問題として全く先行き見通しが立たない実情にあります。このような実情を踏まえ、食糧用飼料用を含めた総合的な管理体系の見直しを行い、長期展望に立った麦政策確立を強く要望いたします。  以上で、私の意見開陳を終わりますが、諸先生方も御賢察のとおり、米は過剰、過剰と言われておりますが、事実は、昨年の冷害によって本米穀年度需給事情逼迫しております。ことしもまた、二年続きの冷害が懸念されておるところでございます。不幸にしてそのようなことになれば、食管制度運営も容易ならぬ事態に突入することとなります。いまこそ食管制度の健全な運用確保し、国民的課題にこたえるべきときであろうと思う次第でございます。  当委員会におかれましては、このような重要な使命を持つ食管法について、事態に即応した新たな流通管理の指針を早急にお示しくださるようお願いいたしますとともに、重ねて意見を申し述べさしていただきましたことを厚く御礼を申し上げます。
  5. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) ありがとうございました。  次に、金山参考人お願いいたします。金山参考人
  6. 金山国次郎

    参考人金山国次郎君) 全糧連の会長をいたしております金山国次郎でございます。  私ども組織は、昭和十七年、食糧管理法発足と同時に各県に出てまいりました食糧営団がその流れの源泉になっております。その後、二十三年に食糧配給公団に衣がえになりまして、二十六年に米の配給が民営になります段階で、私ども組織はそれぞれ卸、小売が結合いたしまして、全国食糧事業協組合連合会を結成いたしまして現在まで来ておるわけでございます。  それ以来の国内の配給のシェアは約七〇%でございます。昭和二十六年以来、約七〇%の配給を担当して現在まで来ておるわけでございます。なお、現在私ども組織卸業者二百二十六、小売業者四万三千七百、これで全糧連が形成されておるわけでございます。  日ごろ先生方からは私ども組織運営につきまして何かと御指導を賜っておりまして、まことにありがたく、厚く御礼申し上げる次第でございますが、さらに、今回食管法の一部を改正するに当たりまして、私ども意見をお聞きいただける機会をおつくりいただきましたことを、心から厚く御礼を申し上げる次第でございます。  約八点ぐらいに分けましてお願いを申し上げさしていただきたいと思います。  私どもは、米の流通だけにいわばタッチをいたして現在まで来ておるわけでありますが、米穀業者の私どもから見まして、いまの食管法改正は妥当であると考えております。国民経済実情、それから配給実情、こういう問題に照らし合わせまして、乖離がまことにはっきりいたしてまいっておりますので、基本的には食糧管理法改正には賛意を表しておるわけでございます。  なお、今回の改正案の構成、内容等については妥当なものであると考えておるのでありますが、心配いたしますのは、いかに妥当な改正案でありましても、現行法律から改正法律移行する場合、無用の混乱を起こしたり、改正法律が定着しないとなりますと画竜点睛を欠くことになりますので、移行時はもちろんでありますけれども移行後一、二年ぐらいは慎重な御配慮のもとに、特に流通問題につきましては運営に慎重を期してほしいと考えておるのであります。また、とかく米の流通面卸——小売——消費者、この米の流通のいわば流れは、生産段階から見ますと、生産集荷とはかけ離れている問題だと見る向きがあるように伺うのでありますけれども、もし流通面混乱をいたしましたら、この流通流れが崩壊をいたすとしましたら、米の生産集荷現状のような秩序が保てるとは思えないし、需給調整は不可能になるであろうということを考えております。  次に、食管法改正条文のうち、その第二条の需給調整及び基本計画の策定、公表について、業界は多大の期待を寄せております。それは、消費者需要にマッチした政府米並びに自主流通米の買い受けの方途が見出せると考えるからであります。  また、第八条で定めた供給計画につきましては、今回自主流通米法律上明定されたことでもあり、また米の流通の中で、最近自主流通重要性がますます高まってきている実情でもありますので、特に自主流通につきましては、政府におきまして適正な管理運用お願いしたいと強く念願をいたしている次第であります。  次に、今回の政省令問題として、米の流通改善事項を検討されるわけでありますが、この検討に当たりましては、流通上の混乱を起こさないために、また一日も休むことのできない配給業務実態から、連続性を十分に考慮してほしいと念願をいたしております。特に、許可される販売業者につきましては、現行業者を最優先にお考えおき願いたいのであります。なお、現行卸小売結びつきはこれは厳に踏襲していただきたいと存じておる次第でございます。  特に、ここで申し上げさしていただきたいのは、消費拡大努力をいたしておるにもかかわらず、年々米の売上量が減っておりますのは、国民の食生活が変化しているためであろうと思うのでありますが、それにもかかわらず小売の数をふやすということは、小売店経営をますます困難におもむかせるものでありますので、賛成はいたしかねるわけでございます。ふやす場合には人口増加地域に限って御措置願いたいと、かように存じます。  また、卸と小売結びつきにつきましては省令事項であるそうでありますが、実はこれが米の流通秩序を保っている基盤であります。卸と小売間の結びつきがあることによって、政府の定めた供給計画に基づく米が、あるいは古米、あるいは四類の米でありましても、多少の小売に不満はあるにいたしましても、末端まで売り渡すことができ、計画が消化されるという形で実施されておるのであります。また、これがあるために流通コストが比較的に低位に保っているのであると、かように考えますと、価格変動を少なくする意味におきましても、その結びつきはぜひとも現存させていただきたいと、かように念願をいたします。  特に、災害その他の異常時におきまして、従来、米の配給問題からは、災害時には消費者各位から非常な感謝の言葉をちょうだいすることがあったのでありますけれども、これも卸、小売結びつきがあってのことであったと、かように考えております。ぜひともこの点は重点的にお考えを賜りたいと、かように存ずる次第でございます。  なお、いわゆる縁故米贈答米についてでありますが、これはその取り扱いいかんによりましては流通秩序に乱れが生じ、ひいては食管法改正目的を損なうに至るのではないかと心配をいたします。これに名をかりた営業行為を非常に懸念をいたすものであります。したがって、個人の非営利的行為規制の緩和につきましては、政府はその趣旨の徹底を図られますとともに、関係機関への指導を十分に行われるように御措置願いたいと思います。  罰則適用の問題でありますが、罰則適用並びに取り締まりにつきましては、政府といたしましても責任を持って実施されるようにお願い申し上げたいと思います。  次に、不正規流通米に関連してでございます。不正規流通米販売業者経営に多大の影響を与えていることは御承知のとおりでありますが、何といってもこの根源の一つに、米の完全集荷が行われているかどうかという問題がその一部にはあると思います。ここ三、四年の米の生産集荷関係を見ますと、その関係は明らかであります。特に、本米穀年度正規流通米の米の売り上げが、昨年に比べ約三十万トンに近い増加が見込まれておりますが、これは生産量九百七十五万トンから農家消費等三百三十万トン、それに集荷量の六百五十万トンを引きますと、その残は、農家の手持ちはなくなるということによって、いわばいま申し上げた配給米増加現実に行われているということでございます。したがいまして、流通秩序の維持と、縁故米贈答米による流通上の不安をなくすためには、完全集荷を図る御措置を講ずることが必要であると考えるのであります。  なお、食管法の円滑な運営を期するためには、いわゆる集荷配給部門はそれぞれの役割りを重視し、分野ごと責任を持った活動をすることが必要と思われるのでありますが、現場面ではややもしますと混乱を生ずることがございますので、分野調整を図る基本的な考え方のもとに食管運営を進めることが必要であると考えます。特に、米穀卸小売は零細な業者が非常に多いのでございます。全国小売業者六万四千三百、このうち約五万に近い店舗は零細に近い規模であると見ておりますし、卸業者三百三十二のうち、経済連卸を除けばほとんどが規模の小さな卸であるのであります。したがって、販売面ではこのような零細企業と大きな組織の間でいたずらに競争をするといたしますれば、弱い立場の力の弱い企業が圧迫をされ、政府の意図する適正な商業活動が行われにくくなることは必至であると考えるのであります。この面での分野調整をぜひともお考えをいただきたいと、かように存ずるのであります。  以上が業界としての主な意見であるのでありますが、米の配給業務の大半を受け持つ私ども組織といたしましては、今後とも食管制度基本を維持することを強く願うものであり、また、消費者サービスに努めていくとともに、業界近代化体質改善を積極的に進めていくものでありますので、従来にも増して先生方の御指導と御協力をぜひちょうだいをいたしたいのであります。  以上、業界意見を述べさせていただきました。  ありがとうございました。
  7. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) ありがとうございました。  次に、片岡参考人お願いをいたします。片岡参考人
  8. 片岡森寿

    参考人片岡森寿君) 私は、日本米穀小売商業組合連合会と申しまして、全国六万三千余の小売業者のみでつくっております組織でございまして、略称日米連と申します。私、その理事長を汚しておる片岡でございます。  今回の食管法一部改正についての意見を述べる機会を与えていただきましたことを心から厚くお礼を申し上げる次第でございます。  食管法についての周到な御努力に心から敬意を表します。ほぼ四十年の法律のもとにある私どもとしても、この法律がいまや満身創痍、守られぬ法律の代表のごとき批判にさらされているのははなはだ残念であります。改正によって国民各層が長い風雪に耐えたこの法律の価値を真に理解し、将来ともこれを遵守するよう、鮮やかによみがえることを願わずにはおられません。伝え聞くところによると、今回の法律改正についての政府の趣旨はまさにその方向にあると聞いておりますので、その推進に努力されることをお願いするとともに、改正に当たっては十分御留意いただくよう、この法律の中で生きてきた者としての意見を申し上げますので、速やかに御措置くださいますようお願い申し上げます。  制度運用の基礎というべき米の県別作付は、面積、単収、収穫量、ひいては予約限度数量、農家消費量等が実態と著しく乖離していると思われます。このままでは、これがいわゆる不正規流通米の大きな源泉となることは明らかであります。この際、御勇断をもって洗い直しを行われるべきだと信じております。  少なくとも改正の時点では現小売業者のみを特定していただきたい。ただし、不正規流通等にかかわり係争中の業者については除外されたい。いわゆる贈答米縁故米についてはあくまでも個人間の無償によるやりとりに限定されることが必要であり、いやしくもこれに名をかりて大量の売買行為が行われることのないよう、趣旨の徹底及び御指導に万全を期せられたいと考えます。  小売業者販売活動については、改正による米供給実施計画の策定、実施上からも、米需給逼迫時等の復元措置との関連からも、一定の地域を基礎としたものであることが基本的に必要でもあり、現行事業区域及び営業区域の考え方を原則として踏襲されたいと考えます。  いわゆる不正規流通規制については、取り締まり当局とも十分打ち合わせ調整の上、条文に明記し、かつ断固たる措置をおとりになることがぜひ必要と考えます。このことが十分行われない場合は、国民各層の改正食管法に対する遵法精神は全くゼロになることは明らかであります。制度崩壊が決定的になることを深く懸念いたします。また、不正規流通実態を最もよく把握しているわれわれ小売商業組合の代表者を中核とする仮称米商業調整協議会というものを設置し、この規制に協力せしめることとあわせて、新規参入小売、卸関係等の改正以後逐次拡大が予想され、いわゆる商業調整を行わしめることが適切と考えます。  なお、改正法律の公布に当たっては、法律施行までの間に混乱の起こらぬよう、たとえば改正事項の先取りあるいは適切な御配慮、たとえばマスコミへの周到な接触等が必要と考えます。  以上、簡単でございますが、御要望申し上げまして私の意見といたします。  ありがとうございました。
  9. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) ありがとうございました。  次に、岡本参考人お願いいたします。岡本参考人
  10. 岡本栄太郎

    参考人岡本栄太郎君) 私は、北海道富良野市で水田七ヘクタールを耕作しながら、全国農民総連盟中央委員、また北海道十二万戸農家のうち八万戸で組織する北海道農民連盟委員長をしている岡本でございます。  当委員会の諸先生方におかれましては、わが国農業の振興と農家経営の安定向上に御高配をいただいておりますことを心から感謝申し上げます。  また、本日は、食糧管理法改正に関する法律につきまして、参考人として意見を申し上げる機会を賜りましたことを心から厚くお礼申し上げます。北海道のおよそ六万戸の水田耕作農家の声を中心に、全国農民総連盟を代表して次の意見を申し上げたいと存じます。  私たちは、食糧管理法改正政府案が決定されて今日まで、道内米生産地を中心にいたしまして、約八十の市町村に食管問題キャラバンを行ってまいりまして、各市町村長、農業協同組合長に対し、食糧管理法改正案についての意見を聞き、協議をしてまいりました。改正案におきまして具体的な内容が不明確でありまして、地元選出の国会議員あるいは農林水産大臣、食糧庁長官に問題提起をして要請も行ってきたのであります。  端的に申し上げまして、食糧管理法改正案は、私たち水田経営農民に非常に大きな不安を与えております。農林水産省は、改正案現状追認的なものであると繰り返し述べておりますが、私たちは相当大幅な改正であることに驚きました。そして、この改正案が成立すれば、生産規制強化と、数年来強行されてきた米価抑制以上に生産者米価抑制がかなり長期に行われるのではないかという不安を抱かされたのであります。  また、第二条と第八条の需給基本計画供給計画運用いかんによっては、特定地域の生産抑制と価格拡大は避けられないのではないかと考えられるのであります。需要、供給両計画ともに、用途別、品質別、流通管理の態様別に数量の見通しを策定するとなっており、当然これは、米の流通に市場原理、競争原理を導入することを意味するものと考えられるからです。これは必然的に類別間に市場競争を起こし、類別格差拡大の方向が強まるであろうと憂慮させられます。  そうした中で、政府直接管理米の縮小、削減が進められ、部分管理、間接管理へと移行するのではないかという疑いを持つのであります。私たちが抱くこうした不安や疑いは杞憂にすぎないものであるかどうか。まず第一点としてはっきりさせていただきたいと思うのであります。  次に、北海道の農民が現在どのような状態で営農しているか、申し上げておきたいと思います。  今回の改正案は、米穀管理のことのみに終始していますが、これまでの需給不均衡、米の過剰は、現行食管法の不備によってのみ生じたとは思われないのであります。いま北海道農民が当面している困難は、わが国産業経済の構造と食糧農業政策との矛盾、乖離とに深く根差しているのではないかと思われるのであります。  御存じかと思いますが、第二期水田利用再編対策によって木地面積の五〇%に達する転作面積の割り当てを強制されています。この割り当ての根拠は、転作の難易度、良質米生産割合等、七項目により、全国的に見てもきわめて傾斜的かつ過重な割り当てが北海道に行われております。加えて、品質格差の導入によって、事実上四年連続の生産者米価の据え置き、引き下げで急激な経営悪化に追い込まれております。  また、生産調整は米だけでなく、牛乳も需給調整三年目になり、乳価の連続据え置き、実質手取り乳価の低下により、負債は年々増加し、経営は危機に瀕しており、畑作は輸入農産物との競合にさらされています。そして、米にかわる転作作物として、小麦、てん菜、飼料作物が作付され、小麦は既存畑小麦と合わせますと十万ヘクタールを超えております。恐らく今年度産は四十万トンに近いものになると思われます。現行の麦管理改善要綱による実需者との契約栽培に全部が対象になるか、心配されるところであります。小麦や大豆、それに大部分を輸入に依存している飼料穀物等の需給管理は、今回の食糧管理改正では触れられていません。米の需給均衡のために措置され明確化される、あるいは具体策は省令にゆだねられるとしても、買い入れ限度数量や転作割り当て等とのかかわりからしても、生産振興作物である小麦や大豆が主要食糧として食管法の中に位置づけられなければならないと思いますし、需給基本計画に組み込まれることが当然と考えるわけであります。このようなことでは、安心して生産に励み得ないのであります。  第九十一国会で食糧自給力向上の決議がされたのでありますが、食管法改正案がその方向に沿って立案されていないのではないかと感じます。酪農畜産のもとになる飼料穀物生産需給管理、転作で増加しているてん菜甘味資源生産も同じであります。  国民主要食糧の総合的な全体需給計画の中で、米、麦、大豆、その他穀物の需給を、国内産、輸入を含め、生産流通基本計画の策定のもとに、管理規制を行っていただきたいと思います。当然、米の消費拡大や転作穀物の生産流通の保障も必要であり、えさ米等の問題も同様と思っております。また、生産者価格決定については、営農計画をつくる以前に行うべきでありますし、農業者の所得確保経営の安定を期するよう配意されなければならないのでありますが、改正案では残念ながら明確にされていないと思います。  次に、改正案第八条の供給計画と第二条の需給基本計画に関連して、過剰米の累積と北海道米並びに備蓄問題について申し上げたいと存じます。  北海道米は過剰累積できわめて不利な扱いを受けています。不足のときは問題はないのでありますが、安定供給確保されると冷遇されていることは、一つには大消費地から遠隔であること、いま一つは低品質とされていることに起因すると言われるようであります。これは市場原理と言えば言えるとして、こうした北海道米、五類米と呼ばれる米を、四類の青森米とともにどのように需給基本計画に扱い、どのように供給計画に織り込んでいくか、大きな関心と不安を抱いていることは冒頭申し上げたとおりであります。衆議院における審議の経過で、農水委員方々政府当局も、特定地域の産米という言葉を質疑応答の中でされておりますが、政府答弁では、品質別数量の見通しは需要の動向のほか、特定地域の生産事情を配慮して行うとしてございました。  特定地域の生産事情とは、気候、風土と品種特性の点であろうと思います。私たちは、国立、道立の農業試験場で育種され奨励されている品種をつくっておりますが、さらに改良されたすぐれた品種の普及を強く期待しております。四類、五類の米に格づけされていますが、政府並びに府県が決めた奨励品種を作付しているのでありますから、生産された米を差別することは理解に苦しむのであります。特定地域の産米が、大きく生産規制されたり価格格差が拡大されることのないように配慮すべきであると思っております。  供給計画生産調整は連動させないと言われておりますが、改正案が指向するものは、日本経済調査協議会による食糧管理制度の抜本的改正、そして農政審議会の「八〇年代の農政の基本方向」答申という文脈の中では、部分管理、間接統制への移行と指摘する研究者、学者の方々も多い現実ですから、くどいようでありますが、不安、不満を表明せずにいられないのであります。  備蓄についても同様で、全国農協中央会などで要請しているように、これまでの回転備蓄を、一定のたな上げ備蓄にすべきものと思っております。  この機会に私は申し上げておきたいのでありますが、食糧管理会計の中に現在減反奨励金が含められておりますが、このことはどうしても生産者立場からは理解できないのであります。本質的に違うのではないでしょうか。  また、財界を初め、行政調査会が中心となって農業攻撃を華々しく行っているわけでありますが、一体何を考えているのでしょうか。一粒の種を大切に育てる努力、苦労を知っているのでしょうか。品質がよいとか悪いとか、値段が割り高だ、もっと輸入を拡大すべきであるという論議がありますが、農民の努力を正しく評価し、国民食糧の安定的な確保について、いまこそ真剣に取り組むべき必要があると考えます。そういう意味で、農業軽視と攻撃は断じて許されないのであります。  最後に私は、本委員会食管法改正審議に当たって、慎重に審議していただきたいことを特に要請を申し上げる次第であります。このことは、農民の不安解消につながるわけでありまして、この点深い御理解をいただきたいと思います。  そこで、ぜひお願いいたしたいことは、本改正案の中で二条並びに八条にある、「品質別」の字句の削除をお願いいたしたいと思います。また、北海道米に対する基本的な考え方もあわせて明らかにしておいていただきたいと思います。  それから、基本計画及び供給計画の策定に当たっては、生産の地域性を十分配慮すること。次に、自主流通米の数量については、適正な水準を維持することを求めます。また、縁故米不正規流通の発生につながるおそれがありますので、数量について具体的な規定を設けるなど、慎重に処置することをお願いいたしたいと思います。  本委員会の諸先生方におかれましては、以上申し上げました諸点につきまして、十分御審議の上、御高配を賜りますよう強くお願いを申し上げまして私の意見を終わります。  ありがとうございました。
  11. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) ありがとうございました。  次に、清水参考人お願いいたします。清水参考人
  12. 清水鳩子

    参考人清水鳩子君) ただいま御紹介いただきました主婦連合会の清水でございます。  特に本委員会におきまして女性の参考人をということで御配慮いただきましたやに伺いまして、改めてお礼申し上げます。  私は、制度のことについて、いままで御発言になりました参考人のように細かく存じておりませんので、場合によりましたら見当違いなことを申し上げるかもしれませんけれども、私たちが毎年調査をいたしましたり、それから全国の適正化協議会の消費者委員の会合をいたしましたりする中で出てきております、消費者の目に映った今度の改正点について幾つか申し述べたいと思います。  第一点は、改正が是か非かということでございますけれども、もう実態が相当法律と大幅に乖離いたしておりますので、このまま推移するということは、やはり日本の食糧の安全保障という観点からも、制度を維持するということからも、もう限界に来ているというふうに思っておりますので、改正ということには私たちは賛成だし、当然だというふうに思っておりますけれども、その改正現状追認ということにとどまらずに、現状からさらに、何というんでしょうか、制度の緩和の方向に向かうという改正であってはならないと思いますし、むしろ制度を、もう一度原点に返った基本的な見直しの意味での改正というところで歯どめをきちっとかけていただきたいというふうに思います。  それから、具体的に幾つか問題点として挙げてみたいと思います。  まず第一点は、非常に私たちは法律の文章は読みにくうございまして、法律というものがこんなに勝手に解釈できるというのは、今度の改正を勉強してみて痛切に感じたことでございます。政令、省令という言葉をどういうふうに使い分けるかということもよくわかりませんでした。ですから私たちは、今回も改正案の中に政令、省令にゆだねられる点が相当多うございます。しかし、これを行政なり政府の方が自由自在に動かすということではなくて、やはり明確に位置づけた上で改正すると。農林水産省に御意見を伺いますと、米価審議会ですとか適正化協議会の意見を聞いていくのだということでありますけれども、これは消費者参加が完全に制度的に保障されているわけではございませんで、あくまでも意見を聞くということでございますので、ここの政令、省令にゆだねる部分というものは、もう少し国民の前に情報が明らかになって、そして消費者参加のもとで納得づくで進められるような何とかした制度的な位置づけをしていただきたいというふうに思います。  それから第二点は、基本計画のところですが、これは現在の自主流通米制度政府米との関係にも大きく影響すると思いますけれども、一体いつ、だれが、どこでこれを決めるのかということでございます。需給の状況をということでございますけれども、私は長年この調査をやってきて思うのですが、消費者消費の動向というものは、消費者が積極的にそういう消費の動向をつくり出すというより、むしろ、そういうふうに追い込まれるというふうな色合いが大変強いと思うのです。  たとえば、自主流通米制度発足したときのことを思ってみますと、これはいまとずいぶん姿が違っておりました。むしろ弊害の方が大きくなっているのじゃないかと思うのです。たとえばササニシキ、コシヒカリというもの、名前をつければそれはいいお米なんだ、おいしいお米なんだというふうな、行き過ぎた銘柄嗜好が消費者の商品の正しい選択を相当大きく誤らせてきたと思うのです。この行き過ぎた自主流通米の銘柄嗜好というものは、ここら辺でもういいかげんやめていただきたいというふうに思います。  そして、先日も毎日新聞の埼玉西の版というのですか、五月十日のこれを見ておりますと、ロジャースというところのスーパーの新潟のコシヒカリの大量格安販売というのが出ております。これは十キロ三千九百円で四百袋とか五百袋を店先に山に積んで売りまくったそうですけれども、こういうようなことも、やはり、コシヒカリとかササニシキといえば消費者はだまされて、それが適正な内容であるかどうかも判別できないために安いと思わされて買ってしまうということがありますので、これが自主流通米の銘柄嗜好が往々にして不当な表示販売とそれからこういう虚偽、誇大な安売り販売に相当つながってきたと思うのです。  で、現在は政府管理米と自主流通米というものが、お互いに力を入れ合いながら何とかこの食管が守られてきておりますけれども、今度は改正によりまして自主流通米がきちっとした法律でお墨つきをいただくことになりますと、一体これがどういうふうになるのか。私はこれ以上、自主流通米がこういう形でのさばっていって、消費者の正しい商品選択を誤らせるようなことがあってはならないと思いますし、むしろやはりきちっと量とか価格政府管理した米というものが食管の本筋ではないかというふうに思っております。  主婦連合会が去年の十一月に調査いたしました千人の東京の主婦の集計結果を見てみますと、五千四百円、五千五百円、六千三百円、七千三百円というような自主流通米が売られているわけですね。これは、消費者の書き間違いじゃないかと言われまして、全部カードを起こしまして御本人に確認したのですけれども、間違ってはおりません。で、どういう形の米がこういう不当な値段で売られているかというふうに調べてみますと、やはり自主流通米もしくはそれから外れておりますやみ米になるんでしょうか、自然食品センター、健康食品センター、それから共同購入、行商、こういう形でやはりササニシキとかコシヒカリという名前で売られているわけです。それから玄米という姿で売られているわけですね。この実態が、自主流通米が法的なお墨つきを与えられた中で一体どうなっていくのかということは、大変不安でなりません。  そして四番目でございますけれども、やはり食管制度というものは、消費者がいつでも安心して米が買える、しかもその米の値段は適正な価格で保証されているということが原則だというふうに思います。標準価格米のことをちょっと調べてみますと、実際私たちの今度の調査では、標準米購入者が何と一〇%になってしまったわけですね。一〇%になったのだからもう標準米は要らないのじゃないかという御意見をおっしゃる方が大変多いのですけれども、私はそれは間違っていると思うのです。  なぜ間違っているかと申しますと、全国の各県で標準米がどのくらい売られているかということを調べてみましたところ、生産県では非常に標準米の購入者が多いわけです。一番多く買われているのが山形で六六%、それから二番目が秋田で六五%、三番目が岩手の六三%、四位が青森、福島の六〇%でございまして、東京の場合ですと、農林水産省の統計では二一%ということになっておりまして、私どもの調査よりは高いわけです。  これの数字をなぜここで申し上げるかと申しますと、本当に品質がよくてそして安ければ、六十何%の消費者は標準米を買いたいんだと、何も好きこのんで六千円も七千円もする米を買いたい消費者はいないと思うのですね。それから、それでは山形とか秋田と東京では所得水準が違うのじゃないかという御反論があるかもしれませんけれども、むしろ暮らし向きが苦しいのは東京の方だと思うのですね、いろんな物価が高いですから。そしてまた、東京とか神奈川とか大阪とか神戸とかと申しますこういう大消費地に、安くて、そしていい米が供給されることが本当に消費拡大につながるし、食管の本来の姿に立ち戻るのではないかというふうに思いますので、ぜひここで、食べないからこういうものは制度として抹消していってもいいのじゃないかと、だんだんだんだん政府管理は減らしていってもいいのではないかということは、ちょっと私は大変残念な考え方だというふうに思います。そして、物価の安定ということがいつの時代にも政府の最大な国民に対する仕事だというふうに思いますので、ぜひ物価の安定という意味からもこの自主流通米の無原則な拡大に歯どめをかけて、そして安くてよい品質のお米を消費者に提供するような制度改正であってほしいというふうに思います。  それから次に、贈答米のことでございますけれども、これは制度として今度認められていくようでございますが、同じく私たちの五十五年度の調査によりますと、よそからお米をもらったことがあるという人が四九%ございました。そして、去年は四六%でございますから、一年間で三%もふえているわけです。それから、もらいました回数は一年間に一回が最低ですが、最高の方は何と三十回という回数にわたっておりまして、それから量の方ですけれども、一世帯で最高三百六十キロ、平均いたしますと一世帯二十九・六キロの米をどこからかただでもらっているという数字が出てまいりました。この一世帯二十九・六キロという数字は去年よりも四・五キロふえておりますので、この傾向はだんだんふえていくのではないかと思うのですね。こういう質問に対して消費者の方は、一体食管というのはあるんですかと、まだ食管というのはあったんですかというふうな御意見をおっしゃっていらっしゃるわけですけれども、今度制度改正によりまして、贈答米ということに名をかりましてやみ米が横行するおそれはないのでしょうか。一体この一世帯平均二十九・六キロというこの贈答米、年間五キロ近くふえていっているこの姿が、改正によってどうなるのかということは、食管の制度を守るという意味からも、大変に私は心配している点でございます。  それから次に、表示制度でございますけれども、この表示は私たちも、米価審議会で消費者代表は口をそろえて二年くらい前から何とか米の袋に表示をしてほしい、表示のない食品なんて米以外にないじゃないかということで大分一生懸命主張してまいりまして、今度ようやく各地方自治体別に制度確立されたわけですけれども、やはりこの表示制度をまだ知らない消費者というのが大体四六%ぐらい調査で出てきたわけです。これはまだまだ行政のPR不足もここで指摘されておりますので、ぜひ表示を徹底させることによってやみ米をなくし、そして内容価格と品質がきちっと消費者にわかるような売り方をするということを、今度の制度改正の中でもきちっとしていただけるのかどうかという点も疑問でございます。  最後に、小売店の問題でございますけれども、これは私たちの調査によりますと、いつも決めた店でお米を買っているという人が八〇%と圧倒的に多いわけです、これはほかの商品とは全く姿が違っているのでございますけれども。ただし、ここで調査をずっと追ってみますと、いわゆるお店をあっちこっち変えてみるという人が毎年四%から五%ふえてきているわけですね。いま片岡さん、それから金山さんの方でこれ以上というお話がございましたけれども、私はやはり消費者がもう少し買いやすいという小売の状況をつくり出していくということが消費拡大につながるというふうに思います。小売りの業界消費減退の中で大変苦労しておられるので人口急増地帯にとどめてほしいというお気持ちも十分わかるのですけれども、やみ米が発生する背景というのが、やはりお米屋さんが近くにないとか、それから配達が、共働きの方なんかは夜配達してくれないとか、日曜米屋が休んでしまうからとか、それから五キロ、十キロ買わないと配達してくれないとかということがやはりやみ米を発生させている大きな原因になっておりますので、やはりやみ米をなくすためには、この際改正機会にして窓口をせばめていくというようなことは消費者ニーズにむしろこれは反することですので、やみ米を追放するという意味でも、もう少し消費者が買いやすいという状況を小売段階でつくっていただきたいというふうに思います。  以上でございますけれども、最後に、制度の問題とは直接関係いたしませんかもしれませんが、学校給食の米飯の値引きの問題ですけれども、行財政の改革でなかなかお金も、第一次計画が終わりまして来年の三月までは予算化されておりますけれど、それから先がどうも心もとないように存じますので、せっかく米が学校給食で定着し、ふえつつあるときでございますので、やはり五年で打ち切りなんということ、もしくは割引率を引き上げるというようなことは絶対しないで、もう少しこの成り行きを大切にしていただきたいということを重ねてお願いして、意見を終わらせていただきたいと思います。
  13. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) ありがとうございました。  次に、山地参考人お願いいたします。山地参考人
  14. 山地進

    参考人山地進君) ただいま御紹介いただきました山地と申します。  本日は、農林水産委員会意見を述べる機会を与えていただきまして大変光栄に存じます。  私は、今度の食糧管理法改正案につきましては、いままでの食管法がどのように運営されてきたか、その点から見て、今度の改正案はどういうふうに見るべきかという点から意見を述べたいと思います。  食糧管理法昭和十七年にできてから四十年ほどたつわけですけれども、その間の制度運営の特色というのは、大まかに言って私は二つあるのではないかと思います。  一つは、組織を終始安定させてきたということです。  戦時中から二十年代の混乱期、それから三十年代のおよそ需給が均衡した時期、それから四十年代以降現在に至るまでの過剰期においても、とにかく生産者、それから集荷業者——政府——卸——小売と、この形をずっと維持してきたわけです。その間経済環境の変化というのは大変に大きなものがあったことは御承知のとおりです。そしてまた、この運営に伴ってさまざまな問題が生じ、意見が生じてきたことも事実ですけれども、しかし、こういう一本の線を貫く、そしてまた、次に話しますけれども運用の改善ということとまじり合わせながら、これが社会生活の安定という点で大変に大きな成果を上げたということは言えるのではないかというふうに思います。  もう一つの特色は、やはり運用が非常に弾力的であったということです。むろんすべてがそうではありませんけれども、いままでの主なものを挙げましても、予約売り渡し制度ができたのが三十年です。それから自主流通米が四十四年にできて、それからまた買い入れ限度制というのが四十六年にできて、それから物統令の適用廃止が四十七年、生産者米価の品質格差の拡大が五十四年以降というふうなことで、全部が適正であったとは思いませんけれども、たとえば予約売り渡し制の時期のことを考えてまいりますと、それまでの十数年間、非常に厳しい供出の中で、私は、生産者方々は非常に飽き飽きしてきた、何かこれから解放されたいという気持ちがあったと思います。そのころたまたま需給も大変に緩んでまいりまして、やみ米と政府の買い入れ価格とがほとんど一致するような状態になってきたときに、予約売り渡し制という形で厳格な直接統制をやや改めてきたと。これは私の経験ですけれども、この局面転換に当たっての予約売り渡し制度の導入というのは、私は当時の生産者あるいはその他食管に関係する人たちとつき合ってみて、非常に適切であったというふうに、いまでもよく記憶しております。  それから、四十四年の自主流通米の導入につきましても、過剰が目立ってきた時期、そしてまた過剰が目立つと同時に、消費者の間からは量から質への転換というものが非常に強く起こってきた。それにうまく合わせてやってきたということで、これもその後十年たちましたけれども、私どもの見方では非常にうまく定着したのではないかというふうに思います。  食管法のそもそもの趣旨から言いましても、安定ということをまず第一に考える。非常にこれは広い意味で申し上げているわけですけれども、不足期にも過剰期にも適合するという形で、とにかくその中でさまざまなむずかしい問題を克服しながら安定を第一に考えてきたと。これは高度成長に貢献した要素として、たとえば生涯雇用とか年功序列制とか、あるいはリーダーシップの問題とか労働力の供給の問題、まあさまざまなことが挙げられておりますけれども、とにかく米だけは安心して食べられるということが社会的安定感の醸成に非常に大きく寄与したということが言えると思います。第一次石油ショックの後の四十八年の十月から四十九年の夏ごろまで、特に四十八年の十二月あたりの非常に不安な時期において、これで米の需給が不安定になる、あるいは買い占めが行われるということになると恐らく社会が崩壊すると。米騒動の二の舞というふうなことをわれわれ感じていたわけですけれども、それが無事に通過できたということも、やはり食管あったればこそだと思います。あのときには、四十五年ごろから始まりました過剰米の処理が意外に急速に進んで、政府の手持ちの米が非常に少なくなったときで、もちろん四十八年の新米はもう出始めておりましたけれども、いろんな意味で問題があった時期です。そういうときに管理が行われていたということは、社会不安を起こさなかった非常に一つの大きな原因ではないかというふうに思います。  その安定というものも、まあ弾力的なその運営があったからだと思うわけですけれども、それがまた行われて、とにかく政府によってやることができたというのも、私は、結局国会がこの食管法の問題について弾力的な考え方をとっていたからだろうと思います。私の見るところ、一般の産業の場合は、直接にせよ間接にせよ、大企業一つの統合の中心になっていろいろな産業が安定して、大きな振れを起こさないような仕組みに私はなっていると思いますけれども、米の場合にはそれがまあいま政府という形で行われてきている。  最近、食糧の安全保障ということが盛んに論議されるようになりましたけれども、この問題も、世紀末とかあるいは二十一世紀の半ば、世界の人口がやがて百億から百五十億になるというふうな時代に向かっての問題、つまり慢性的な問題に対処することを別にすれば、食糧の安全保障というのは結局輸出国における港湾ストライキの問題、あるいは海峡封鎖、その他さまざまな、三カ月から長くてもせいぜい一年とか二年とかというふうな、まあ危機管理という言葉に代表されるような形で物を考える事柄ではないかというように思います。そういう観点からいきましても、やはり食管制度一つ役割りを果たし得るというふうに思うわけです。  ただ、もう一つの視点である効率という観点で見ますと、私は非常に大きな問題を残してきたように思います。米価の相次ぐ引き上げ、それが技術革新と重なりまして収量が大きく上昇する。それに開田が加わる。他方、食生活の方では非常な構造変化を起こしまして、特に米の消費が減少してくる。それによって過剰が生じ、財政負担も非常に大きくなってきたわけです。もちろんその米価が農村市場を拡大する。それからまた機械化投資の資金を蓄積させる。それが労働生産性を高め、労働力を他産業に供給するという形で高度成長期の一つのはずみになったということは事実だと思います。  それからまた、過剰という問題につきましても、わが国が、早く言えば穀物につきましては米しかつくられないような風土条件なんです。しかも、その中で麦につきましてはかなり粗略な政策がとられてきた。たとえば麦の売り渡し価格につきましては、二十九年以来四十八年まで売り渡し価格を下げるという、最後のころはわずかですけれども、とにかくこうずっと下げてくる。そういう形で小麦粉価格を安定させ、麦製品を安定させるということをやってきたわけです。  これにつきましては、もっといろいろな問題を考えなければならないと思いますけれども、たとえば卸の問題を見ましても、かなり合併の進んだところはありますが、東京などでは非常にまだ乱立をしている。そして、まあペーパー卸的な卸というものもないわけではない。消費拡大という問題につきましても、生産者団体も、卸、小売団体も、それぞれ努力しているということはわかりますけれども、しかし、何となくその影が薄い。特に東京などを見ますと、大規模精米が非常に少ないというふうなことがございます。  それから小売の問題につきましても非常に停滞的で、私に言わせれば安住しているのではないか。皆さん町を通っていただくとおわかりになりますけれども、ずっと歩いていって何かさえない感じの店が出てきたら、まあほとんどの場合米屋さんと言っても——ここに代表の方がおられて大変に恐縮ですけれども、実際そういうことを感ずる。流通革新その他、そういうさまざまな大きなうねりに乗りおくれている面があると思います。それはやはり食管が安定第一ということに強く固執し過ぎて、もっと効率という点を考えなかったためではないかと。これからはもっとこういう点もしっかりやってほしいと思います。  以上のような見方から申しまして、食管の改革につきましてはさまざまな考え方がございます。三十年以来の、歴史的に見ましてもさまざまな意見があり、現在横断的に見ましてもさまざまな意見があることは御承知のとおりです。しかし、これまでの食管制度運用が安定という点でかなり効果をおさめてきたと。今後はさらにそれに効率の向上という点も加味されていくならば一つの使命を達成できるのではないかと思います。そういう点、今度の改正案は、配給通帳の廃止とか緊急時の配給制度の復活、流通ルート特定米穀業者あるいは配給店から、業としてのその米穀業者への転換というふうなことが説明されておりますけれども、さらに自主流通米の統制化というふうなことで、一つの妥協の産物と言えないことはないと思いますけれども、何しろこういう低成長の中であらゆることを手探りで進めていかなければならないような状況の中では、私は今度の改正案は一応妥当なものではないかというふうに考えます。
  15. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) ありがとうございました。  以上で参考人方々の御意見開陳を終わります。  これより参考人方々に対し質疑を行いますが、山地参考人には、都合により午後三時三十分に退席されますので、質疑のある方はあらかじめ御承知くださるようお願いをいたします。  それでは、これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  16. 村沢牧

    ○村沢牧君 山地参考人お忙しいようでございますので、最初にお伺いいたします。  きょうは参考人の皆さんお忙しいところを大変に御苦労さんです。貴重な御意見開陳ありがとうございます。  農政ジャーナリストの会が、昨年、「八〇年代の日本農業」というテーマで日本の農業のあり方を探求されている。山地参考人はその会の主催というか、まとめ役も務められたようなことを私は記憶しているのですけれども、そういう中で、いままでお話のあった食管制度についての分析があったわけです。ジャーナリストとしてはどういうふうにあるべきだというお話が出たでしょうか。皆さん方のジャーナリストの会では、八〇年代の農業というものを考えて、食管制度というものはどういうふうにあるべきか、そんなようなことが一定の方向づけ等をされておったら、ひとつお聞きかせ願いたいというふうに思うのです。  それから第二点ですが、これは榊参考人それから岡本参考人にも、後ほど山地参考人の後で、終わってから御答弁いただきたいのですが、私は食管法の根幹、基本ということをどういうふうにお考えになっていらっしゃるでしょうかということをお聞きをしたいのです。  政府は、今回の改正現状追認であって、食管法基本は守っていく、こういう見解を述べておるわけでありますが、たとえば第一条の「配給ノ統制」を「流通規制」に改めるとか、あるいは自主流通米制度を変えていくとか、いろいろかなり重要な部分について改正がされているというように思うのですけれども山地参考人としてはどのようにお考えになっていらっしゃるでしょうか。  それからもう一点、参考人は、食糧の安全保障について先ほどお話があったわけでありますが、そこで、食糧の安全保障を図っていくためには、先ほど岡本参考人も述べられておったのですけれども食管法の対象品目に米や麦だけでなくて、大豆やあるいは飼料穀物も加えて食管法位置づけをしたらどうか、こういう御意見もあるわけなんです。これについて、参考人としてはどのようにお考えになるでしょうか。  以上三点について簡単にお伺いします。
  17. 山地進

    参考人山地進君) 最初の農政ジャーナリストの会における八〇年代の研究テーマをめぐってどんな議論が出たかという御質問ですけれども、あのときは東京大学の佐伯先生をお呼びしまして、現在食管がどういうふうな状況になっているか、あるいは今後どうあるべきかというふうなお話を承って、それに対して質疑をしたということで、特にジャーナリストの会で特別な意見がまとまって、これが多くの人たちの集約的な意見だというふうに言えるようなものが出たようには思いません。したがって、あの当時まだ食管を中心テーマに据えて、それだけで何かコンセンサスをつくろうというふうなところにまでいっておりませんでしたから、テーマの設定の仕方も、安全保障とか食管の問題とか、農地法とか、その他さまざまな問題を取り上げたような形になっておりまして、特にお答えできるような形になっていなかったと思います。  それから、二番目の根幹の問題ですけれども、この点につきましては、もう何年来政府が公式的な形でさまざまな答えを出しておりますけれども、私はその基本的には米の流通あるいは価格、そういうようなものの安定に政府基本的にタッチする、それが最も重要な側面ではないかと思います。根幹、それこそまさに根幹の根幹であって、まあもちろんそれによってさまざまな形が出てくると思いますけれども、現在の今度の改正案が根幹を外しているとはもちろん思いませんし、私は根幹論議は幾らやっても、余り——三〇年代以来やっておりますけれども、余り意味がないと申しますか、定義から始まっても、むしろ実態の方で考えるべきではないかというふうに思います。  それから、安全保障の点につきまして、大豆あるいは飼料穀物を入れるべきだというお考えがございました。そういう主張があるのは存じておりますけれども、とにかく非常に大きな量、しかもその大きな量を、時々刻々変わる相場の中で調達をしていくということは、私は小麦などと違うやはり特別な性格を持っているのではないかというふうに思います。もちろん、この点につきましても、たとえばヨーロッパの欧州共同体の農業政策のように、大豆はやっておりませんけれども、飼料穀物について課徴金をかけて、それをファンドにして何か別の価格政策をやっていくと。またそういうふうにやっていくべきだという議論もあります。そして、私もかねてそういうことを言ったことがございますけれども、これも国際的な問題もございますし、急にやはりできることではない。ただ、農業基本法が制定されて以来、当時頭の中にあったのは米と麦だと思いますけれども、それ以来、御承知のように、五十四年度から米の消費量よりもトウモロコシの消費量が多くなるようなそういう事態になってきつつあるそういう中では、やはり政府として飼料穀物あるいは大豆というものが、どういうふうに実際に現在取引されているかというふうなことを一定の時期にきちんとつかんでおく、あるいは外国との関係についても調査、研究、それから相手国との接触というふうなことも十分重ねていく、そういうことが必要ではないかと思います。
  18. 中野明

    中野明君 どうも御苦労さまです。  それじゃ時間の関係山地参考人にお尋ねをいたしますが、いまの議論の中でも出ておりましたが、この先進国の中で食糧の安全保障ということを非常に真剣に考えなきゃならぬというのは日本の国が一番だろうと思うのですが、そういう観点から山地参考人にお尋ねをするのですが、食糧備蓄ですね、この点についてどの程度まで備蓄をしたらいいかという御意見をお持ちになっておりましたら。  それともう一つは、そういう観点から見て、この食糧の安全保障という上から見て、財政的にある程度の負担というものは国民のコンセンサスを得なきゃならぬと私は思うのですが、その点についての御意見、二点お願いします。
  19. 山地進

    参考人山地進君) 備蓄につきましては、先生がいまおっしゃったように、まず私は費用をかなりの程度政府が持たざるを得ないと思いますけれども、現在も実際そうですが、もちろんこれは政府が手がけている狭い意味の備蓄を言っているのですけれども、私は、できればその備蓄分というようなものが特定できるなら、食管の中に備蓄勘定というふうなものを設けて、政府備蓄というものに対してこれだけのことをやっているのだと。よく一般に食管赤字ということで一くくりされますけれども、そうではなくてこうなんだというふうなことをはっきりさせる必要があるのではないか。私はこの点については、過剰米の輸出に伴う援助、それに対してどういう負担が生じているかというふうなものも、食管赤字ということの中で全部ひっくるめてしまうのではなくて、やはり別にやったらどうか。そして援助のためにこれだけ使っているというふうなことがはっきりわかった方が、国民の理解が得やすいのではないかというふうに、そういうふうなことを素人ながら考えているわけです。  それから、ただいま御質問のありました量の問題につきましては、どのくらいがいいかということははっきり申し上げられませんけれども、飼料の問題につきましては、現在たしか二カ月持ちたいということだったと思いますけれども、まだ十分にそこまでいっていないと。米の場合は幸いといいますか、とにかく相当な量があります。三カ月がいいか六カ月がいいかということはわかりませんけれども、これは常識から言ってまず最低二カ月と。できれば六カ月ぐらい緊急のために持っているということは常識として言えるのではないかというふうに思います。
  20. 下田京子

    ○下田京子君 御苦労さまです。  山地参考人に一点だけお尋ねしますが、いまのお話の中で、現行食管法の評価は別にしまして、運用が非常に弾力的に行われてきたということがあったと思うのです。現在審議されているこの食管法が、またその運用によってはいろんな事態が予想されるかと思うわけで、いま現時点で固まっていない問題が多々あるわけですけれども、いろいろ幅広く研究されている中でどのような事態を予想されていますでしょうか。運用によってはどういう事態が起こり得るか、問題点だけ。
  21. 山地進

    参考人山地進君) これはやってみなきゃわかりませんけれども、とにかく私は基本的に言いたいことは、経済は生き物ですから、国会もさまざま食管法改正その他農地法の改正とかいろんな問題がかかって、それがまた一つの大きな意見、さらに高次な政治的な対立の中に巻き込まれてまた半年延びるというふうなことがよくございますけれども、とにかく経済法で、時々刻々需給関係その他が移っているわけですから、私は、経済は生き物だという観点で、特にこの米なんかの場合もそういう観点から考えていただきたい。したがって、まず現在の状況、これは一般的には現状追認と言われておりますけれども、まずここで出発してみて、また悪ければ改正する、あるいはまた弾力的ないろんな措置考えていくというふうなことでよろしいのではないかというふうに思います。
  22. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 山地さんがおっしゃいましたように、食管法が過去において、あるいは過去から現在に引き続いて、社会の安定のために非常に寄与してきた、そういう反面、効率の面では問題があったと、やはり私は功罪両面があると思うのです。私は、もちろんすべての政策がいい面ばかりというのは余りないわけで、いい面があれば反面それがすなわち悪い面になるというのが一般的ではないかと思います。そういう面で、山地さんのおっしゃったことには全く同感でありますけれども、問題は、現在財政再建の中で特に効率の問題というのが非常に問題視されるようになっておる。それから財政負担がこれからどんどんふえていくということが果たして許容されるかどうか、こういう問題が一つ生じておるわけです。そうしますと、今回の現状追認の食管法改正をしてみたところで、私は前途は決して楽観を許さないといいますか、たとえば過剰米の処理にしましても、あるいは食管会計の問題にしましても、非常に前途は厳しい問題が立ちはだかっておるような気がします。  そこで、私はこれからの日本の農業というものを考えた場合に、やはり新しい境地を切り開いていかなくてはならないのではないか。食管法というものが農業所得をある程度安定的に補償してきた、これは非常に重要なことですけれども、反面、米偏重でバランスが十分とれていない、あるいは農業そのものの活力という面をそいできた面もあると思うのです。アメリカは現在世界有数の農業国だ、世界随一の農業国というふうに言われておりますけれども、何十年か前は決してそうではなかった。アメリカの農業をこれだけ強大にしたのは、やはり政府政策として、農業人口の削減と競争原理の導入ということが行われたということが言われておりますけれども、もちろん日本とアメリカとは同様には論じられないと思います。しかし、日本の場合にこれからの農業をどう考えたらいいのか。食管というのは、私は日本の農政の一つ基本的な根幹だと思うのですけれども、そういう点について御意見をお伺いしたいと思います。
  23. 山地進

    参考人山地進君) 大変に大きな問題ですが、そういうふうに農業を転換させていく上でも、私は米穀経済というものの安定というのはどうしても必要になると思います。で、そういう中でさらにどういうふうにやっていくかということになりますと、これはもう私は農政に関係している人たちの大体のコンセンサスになっていると思いますけれども、やはり一つ規模拡大していくということだろうと思います。ただ、その規模拡大というふうなことが、現在第二種兼業農家が七〇%を占めているというふうな中で、非常にごり押しをしていったら一体どうなるか。ある論者に言わせれば、日本は兼業農家でいくことが最もいいのだと、専業農家はごくわずかいればいいのだという説もございまして、また先進国はほとんど第二種兼業農家が非常に多い。さらに社会主義国を見ましても、ある意味で言えばそういうふうな状況になっている。ポーランドの話を聞きましてもそうですし、ソ連の場合でさえ、自留地という形で新しい兼業農家的な要素が出てきた。こういう現状の中でやはりどういうふうに変えていくかということは、結局その村々で目の前にある耕地をどういうふうに使っていったら最もいいかということだろうと思いますね。それが話し合いがよく行われるということ。亡くなりました東畑四郎さんは、そのために肝入りどんという者がこれからの農村にとっては最も重要なんだと、みんなの世話をやいて土地の貸借についてある方向性を与えていく、経験と実力によってそういう権威を保ちながら何かやっていく。もちろんそういう者が農村に非常に不足してきているということも事実ですけれども、今後の低成長の時代に農村がどういうふうに生きていくかということを考えますと、私はまずそういうことがあって、第二種兼業農家で安定的に就業の場のある人たちはむしろ本当にそっちに一生懸命になる、何かしら生きがいのために一反歩でも二反歩でも欲しいという人はそういうことをやっていくと。それを残して、残りはその周辺の人たちのために何とか利用権を提供していくというふうなことを、これは私は徹底的にやはり話し合いの中で進めていく必要があると思います。  それからもう一つの問題は、転作をいかに定着させるかということですけれども、小麦、大豆、これについて進めていくことに異論はありませんけれども、何か昔覚えた技術というものが死んでいく、十分に腕をふるえないというこの不満は農村にうっせきしているわけでして、特に年とった人たちの間にあるわけで、それが一つえさ米という形で出てくるわけですが、この点につきましてもできるだけ新しい品種の開発を急ぐ、あるいは既存のものでも使えるものを使って、それからまた価格問題についても妥当性のある水準というものを考えて、財政負担も、同じお金を使うならそういうものとの調和の中で何か使っていくというふうな、これはまあ多少漠然としていて恐縮ですけれども、そういうふうなことでできるだけ腕をふるえるようにもっていく。そういう中でまた若い人たちもさらにやっていこうということで、恐らく担い手の人たちもそういう姿を見ながら自分たちの新しい未来を私は考えていくだろうと思うのです。何かそういう点、いまの農業政策の中にというか、農村全体に追い詰められた気分というのが非常にある。これが農業の将来にとっても非常に大きな後遺症になるのではないかということを私は心配しているわけです。
  24. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) よろしいですね。  山地参考人には大変お忙しい中を御出席いただきまして、まことにありがとうございました。先に退席をいただいて結構でございます。
  25. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 大変に貴重な御意見を伺わせていただきまして、非常に参考になりました。  そこで、二、三御質問をいたしたいと思うわけでございますが、最初に主婦連の清水参考人に、消費拡大の問題につきましてお尋ねをしたいと思うわけであります。  従来日本の農業は、御案内のように、需要にあわせて生産をふやしてきたということが実情だろうと思いますし、また、日本の農業をいままで発展さしてきた大きな原因の一つだと思いますが、ここへきて国民の所得水準の増に伴って、国内でつくる農産物よりも海外でつくる農産物をより多く国民が嗜好するようになった、それが結局国全体としては、食糧は不足しておるにもかかわらず、国内でできる農産物は米を初めとして非常に過剰なものが多くなってきていろいろ問題が起きておるという一つの大きな原因だと思うわけでありますが、そこで、政府は先般日本型食生活というふうなことを言っております。私もこの需要対策といいますか消費対策といいますか、そういうものが非常にこれからは大切である。やはり需要の方を、農業というのはやはりその国の風土、気象条件と無関係ではあり得ないわけでありますから、そういうものになるべく合わせていくということが必要だと思うわけでありますけれども、食生活というのはいわば個人にとって趣味、嗜好の問題であります。これを法律規制するとかなんとかいうことはなかなかむずかしい。せいぜい誘導をするという程度であろうと思いますが、そうした生産に見合った食生活を進めるということに対して、消費者立場でどういうふうにお考えになるか。また、もしそれが必要だとするならば、どのような政策手段を御期待になるか。また、これは何と言っても消費の問題でございますから、消費者なり国民全体の合意が必要でございますし、そうした民間の立場で、主婦連を初めとして、各種団体がそういった運動を展開していただくことが必要ではないかと思うわけでありますが、そういったことにつきまして御意見ありましたらお伺いをいたしたいと思います。
  26. 清水鳩子

    参考人清水鳩子君) お答えいたします。  まずどうしてこんなに消費が落ち込んでしまったかということなんですが、これはよく私どもの会員さんは、各地方自治体の行事とか国の行事にあわせてむしろ積極的に消費拡大運動をやっている人ばかりなんですね。その人たちが口をそろえて言うのは、やはり二十年か三十年前に麦の旗振りをやらされたというのですね。小麦の消費拡大の旗振りをやらされて、そして何か麦の会社から出してもらった車に栄養士さんを乗せて、それで町々、村々をぐるぐる歩いて、みんなでパンを食べましょうという運動をやったというのですね。それと今度の米の消費拡大運動とがどうもイメージの中でダブるんですね。で、また米の消費拡大運動をやると、いつの日かまた違うことの旗振りを政府からやらされるのじゃないかという、非常にこの不安が強いのですね。  そういうことではなくて、やはり日本の国でとれる食糧だからそれを大事にしていかないと、この前の石油パニックとかそれからニクソン大統領のああいう大豆の輸出制限とか、そういうことはもっともっとこれからひどくなるから、そうじゃないんだということをみんなで折々話し合いまして、そういう気分は大分薄らいではおりますけれども、幾ら運動しても消費の量の数字が出てこないのですね。アンケートでも毎年聞いているのは、あなたは去年よりもお米をたくさん食べていますかと、食べる回数をふやしましたかと聞くと、みんなふやしている、多くなっていると答えるんですね。ところが買っている量をとると減っていく一方なんです。これは私は消費の量を急激に回復するということは無理じゃないかということをいつも思っておりまして、やはりこの現状をこれ以上下げないということがせいぜいの消費拡大運動じゃないかなというふうに思います。  あとまだ米を使った加工品の技術開発とか、その他私たちも米を入れたパンとかいうものもいろいろ食べたり、うどんも食べてみたりいたしますけれども、決して消費者はきらいではないのでございますけれども、ただ価格の問題がどうも折り合わないので、そこら辺が一つの解決の道じゃないかと思うのです。  先生がおっしゃいましたように、生産に見合った食生活を進めるということは大賛成で、いま一生懸命やっておりますけれども、即それが消費拡大で米生産を急速にふやすということは私はちょっと無理じゃないか。余り無理なことをあわててやると、また過剰米処理のためにお金をいっぱい使わなければいけないというふうに思いますので、消費量というのはちょっとここぐらいがせいぜいじゃないかなという感じがいたします。  それから、合意の取り方ですけれども、一番最初政府考えた米の消費拡大運動というのは、食べましょう、食べましょうといって、ポスターなんかお相撲さんとか体操の選手を使ったのですね。あれは、もういち早く私たちが、あんなことをしたら食べないと、むしろ食べなくなると。使うのならモデルさんはもっとスマートな女の人がいいというふうなことを初めから言っておりまして、最近はすごくきれいなお嬢さんを使うようになりました。それから、一番最初に私たちが言ったのは、余っているから食べるというイメージがどうも強いので、やっぱり栄養が米中心の食生活は一番すぐれているので、いま日本人の食生活というのは、欧米型がいわゆる曲がり角に来ているから、この辺で外国の人が日本の食生活を見直すように、私たちもこのバランスのとれた日本型の食生活が大事だということをやっております。過去の消費拡大運動がどうもそういうことから最初にスタートすればよかったのですけれども、お相撲さんや体操の選手を使ったり、食べましょう、食べましょうと、もうこれでもかこれでもかと、電車の中でよくポスターが出たんですけれども、おちゃわんにこんなに山のように御飯を盛ってポスターにやったんですね。そうしたらあれを見て、いまどきあんなに山盛りにして御飯を食べる人があるのかというふうなことですね。それから農業団体の人が私たちに向かって、消費者が米を食べないからといってすごい勢いでおしかりになるので、あなたたちはどうですかと言って農村の青年と話し合って、一人一人にお米を何杯食べるかと聞きましたら、生産者の人もお米を食べていなかったわけですね。  そういうことで、最初の米消費拡大運動のスタートがどうも余りスマートじゃなかったと思います。まあいまは大分修正されておりますので、やはり日本型食生活を定着させるということでやれば着定する運動じゃないかというふうには思っておりますので、私たちも一生懸命やりたいと思っております。
  27. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 ありがとうございました。  次に、金山参考人にお尋ねをしたいと思いますが、私も、先ほどおっしゃったように、流通上の混乱を起こさないということが非常に大事だと。そのために、この現行流通組織というものをやはり重視をしていかなければならぬと思いますし、それからまた、流通業者もいまの人たちを優先をするということが必要だと思うわけでありますが、ただ、自由経済のもとで、この米の流通の面でもある程度の競争原理というものを取り入れていくと、先ほど山地参考人また清水参考人もおっしゃいましたけれども、こういうことも必要なのではないかと思うわけであります。先ほど清水参考人からおっしゃった、買いやすい小売店をもう小しふやすとか、あるいは小売と卸売との関係を、一元的なものじゃなくて、まあ全くフリーにするということはどうかと思いますけれども、ある程度弾力的に扱うとか、こういうことも進めていくべきではないかと思うのですが、その点いかがでしょうか。
  28. 金山国次郎

    参考人金山国次郎君) 全く一部同感のような感じがいたします。ただ、いま私どもの反省といたしましては、先ほど清水先生からもお話ございましたけれども、特に共かせぎの御家庭などでは、もう主婦がお帰りになるときには米屋の店が閉まっているというふうなことで、不便をかこっているという具体的な話がずいぶんあるわけでございます。で、今後の、いわばそういった地帯の問題はあるのでありますけれども、いつでもそういう人も買える方途は何かという問題をやはり追求する必要があると思っております。その一つには、やはりもっと自動販売機を、これは自治体とも相談の上で、卸、小売とも相談の上で自動販売機の活用というようなことで、先ほど清水先生がおっしゃった買いやすい場所をふやすということを考えなくてはいけないと思っております。  それから、冒頭に先生のお話しの競争導入という点がございますが、今度の制度で、実は先ほど私申し上げていなかったのでありますけれども、心配がもう一つあるのであります。それは商業機能を活用してというくだりがあるのでございます。従来は私ども卸も小売配給屋であったわけでございまして、配給屋という立場消費者に米をお届けしておった。今度はそうでなくて、特に小売屋さんの場合には、商業機能を活用してとなれば、そこに競争が当然のことで入ってくるわけです。  ところが、一体いま米の供給が、卸にしても小売にいたしましても、競争できるような環境にあるのかどうかということでございます。実は、昨年は特に不作であったからでもあるわけでありますけれども、昨年は全体の配給量の相当量部分を五十四年産の四、五類で消化しなくちゃいけなかったわけであります。それが何とか消化していますので、いま大量の四、五類も順調に消化されておるわけでありますけれども、もしこれが卸と小売間の何らの制約もなくて自由にやっていいんだということになれば、これは恐らく自主流通米が優先してしまいまして、そして北海道、青森の地帯の四、五類の中心のその中核をなす米の流れはとまっておったろうと私は思うのであります。  ことしの秋がどうかということでありますけれども、私、実は山形県の出身でございますけれども、いま山形に帰るたびに農家の諸君と話し合っていますのは、稲が活着したかどうかということであります。この間来山形市内でもストーブをたいていたというわけでございます。きのう庄内の経済連の諸君が私のところに見えたのでありますけれども、いまだに活着しておらないというわけでございます。ことしの秋そういう状態の中で、私は特に冒頭、先ほど申し上げた中で、自主流通米も含めて政府が関心を持ってくれとお願いしましたのは、政府米自主流通米とをひっくるめてよほど計画的に配給考えていただきませんとつながらないという問題が私は出てくると心配いたしております。で、そういうような状態は一体競争し得る状態と見ていいのかどうかという考えを私は持つのでございます。政府のいまの生産の方向を見ておりましても、需要に見合った生産をするというわけであります。そこで、その競争し得るようないわば供給計画というものは政府考えているのだろうかと、そういうぐあいに私はならないのじゃないかと思うのでございます。
  29. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) お答えの途中ですが、質問者がたくさんおりますので、答弁の部分は要領よくお願いしたいと思います。
  30. 金山国次郎

    参考人金山国次郎君) わかりました。  そこで、競争の導入というのは、いまの需給の状態では強く期待することは私どもは無理であろうと、こう考えております。  以上です。
  31. 岡部三郎

    ○岡部三郎君 大変ありがとうございました。  次に岡本参考人にお伺いをいたしたいと思いますが、私も全国農業を見ておりまして、やはり将来とも残り得る最も生産性の高い、規模も大きな農業というのは北海道の農業が中心ではないかというふうに考えるわけでありますけれども、しかも生産費も非常に安い、その農村の北海道の水田の主産物がいまお話ありました四類、五類の米だと、これは率直に言って非常に需要も少ないということで、最も生産性が高くて希望の持てる北海道農業が、何となく水田農業に関しては日陰的なようにとられておるということは非常に残念だと思うわけでありますが、そうした面で、これは先ほど榊参考人からお話がありましたが、備蓄制度食糧の安全保障という面から考えましても、少なくとも短期的なトラブルに対応するためには備蓄政策強化する以外にないわけでありますが、その備蓄制度一つとして、たな上げ備蓄ということを榊参考人も言われましたし、政府も言っておるわけであります。このたな上げ備蓄用に北海道の四類、五類米を活用していくという案を前に全中が出されたことがありますけれども、これについてはどうお考えになるか。そのためには、ある程度再生産可能でなきゃならぬということはもちろんでありますけれども、その範囲内でやはり財政的な負担も軽減をしていくということも必要になってくるのではないかと思います。そういうことも含めまして、大変時間がなくて恐縮でございますが、簡単に御意見をお伺いしたいと思います。
  32. 岡本栄太郎

    参考人岡本栄太郎君) ただいま北海道の米に関して御意見をいただいたわけでありますが、端的に申し上げまして、私ども北海道の生産者は、北海道の米を五類に位置づけをされておるということについては非常に大きな疑問と不満を持っております。やはり北海道の米も、先ほど申し上げましたように、私どもは国の機関あるいは道の機関でつくった優良品種ばかりつくっておるわけです。それ以外の品種はつくっておらないわけであります。やはり品質の向上については、これは年年いろいろと研究をし、仲間内でも論議をしながら、全体の質的な向上についてはこれは非常に努力をしておるわけであります。したがいまして、そういうような状況の中で、北海道の米をたな上げ備蓄専用だということについては私どもは納得しかねます。これはやはり、そういうふうな考え方で北海道の米を見られるということは、生産者にとっては大変心外なことであって、これはあくまでもやはりたな上げ備蓄というのは、これは別な考え方に立って行われてしかるべきだと、このように思っています。  それから、生産性のことについてでありますけれども、確かに府県よりは水田耕作面積は広いわけでありますが、大体平均いたしまして四ヘクタールであります。そのうち二ヘクタールはこれは転作でありますから、やはりそういうことで米価は据え置きになっておりまして、いまは御承知のように、酪農経営は大変、一日に一万円赤字が出るという状態です。この次は水田農家に来るのじゃないかという心配を実はしておるわけです。と申し上げますことは、この十年間に北海道は土地基盤整備並びに近代化等に一兆三千億ぐらいの投資がされておる。この投資が、ほとんど近代化設備あるいは機械化等については、大幅な減反によって十分活用ができないと、こういう側面があるわけでありまして、そういう点も十分御理解をいただいて、やはりわれわれとしては投資をした近代化施設、そういうものをフルに活用できる生産体制というものを強く望んでおるわけでありますので、御理解をいただきたいと思います。
  33. 高木正明

    ○高木正明君 時間がありませんので、簡単に、榊参考人にお尋ねをいたしたいと思いますが、食管法の二条の基本計画の中にもありますし、それから八条の、基本計画に基づいて実施計画がつくられる、その中にもありますが、品質別という言葉があります。これはどう考えてもやはり将来危ないなという危惧の念を抱かれるのは、特定地域に生産調整されるのではないだろうかという疑問な点が起こる。これは率直に農民運動をやっている北海道の農民連盟の岡本委員長の話の中にもありました。この字句を削ったらどうだろうかという話がいみじくもありましたが、この点について参考人はどうお考えになりますか。
  34. 榊春夫

    参考人榊春夫君) ただいま御指摘の品質別の需給計画という問題でございますが、第一番に心配されるのは、ただいま岡本参考人がおっしゃったように、やはり四類、五類米というような品質の米に問題が出るのではないかという心配がもちろんございます。しかし、また一面では、一昨年、一昨々年ですか、良質米が過剰生産になって、良質米の需給がアンバランスになって大変困った事態もございます。そういうことからいたしますと、やはりそれぞれの品質別の需給ということを押さえてかからないといけないのじゃないかというふうに思います。またいま、備蓄の話もありましたが、品質の劣るものを備蓄にするということでは必ずしもなくて、多少余力のある集荷をして、卸、小売業界消費者に十分な対応ができるように需給操作をしていきながら、結果として余ったものを備蓄に持っていくというふうな弾力的な扱いというものも必要ではないかということで、品質別の需給といいますけれども、かなりそこは弾力的に考えていかないと、消費者なり、あるいは経済の実勢に合った運営がむずかしいのじゃないかというふうに私ども考えております。
  35. 村沢牧

    ○村沢牧君 先ほど私が山地参考人食管法の根幹について質問したところが、根幹について論議をしても余り意味がないというような御意見があったわけですけれども、そこで、榊参考人岡本参考人にお伺いいたしますが、食管法の根幹と言えば、主要食糧安定供給をすること、これはだれしも異議がないと思うのですね。問題はその手段ですね。いかにしてこの根幹を保っていくかということなんです。現に農協も今日まで、食管法を守るためにと言って生産調整にも協力してきたし、あるいはまた、米価の据え置きされたときも、食管法を守るためにがまんしてくれ、ということで指導してきたと思うのですね。しかし、今回の改正は、たとえば自主流通米にしても、買い入れ制限にしても、従来は政令でもってやっていたのを法的に認知をしていく、これは私は大きな問題だというふうに思うのです。岡本参考人は大変不安に感ずるといういまお話があったところでありますが、私も率直に言ってそういう感じがするわけでありますけれども、今回の法律改正によって間接的に生産調整価格抑制にも絶対ならないとは言い切れないと思うのですね。  そこで、私の意見を言うならば、食管法の根幹というのは、その手段として、米の政府による全量買い上げであると、二つ目には、参考人も言われましたように、二重価格制である、それから三つ目には、政府の直接管理である、このように考えておるのですけれども、一体全中としては、食管法基本を守る、根幹を守るという、いままで努力してこられたのですけれども、今回の改正に関して、食管法基本は守られておるだろうか、あるいはまた今後もこの改正で絶対大丈夫だと、そうお考えになっていらっしゃるでしょうか。  それから岡本参考人には、不安だというお話があったのですが、今回の改正食管法基本という問題に照らし合わせてどのように考えていらっしゃるでしょうか。  以上の点についてお二人の参考人にお伺いしたいと思います。
  36. 榊春夫

    参考人榊春夫君) ただいま御指摘の、食管法の根幹をどう考えているかという点でございますが、先ほども申し上げましたように、私どもとしては、現行食管法改正法案を通じて、これだけはぜひ守っていただかなきゃならぬし、また守られていくものというふうに考えております基本は、第一は、何といいましても政府全量管理という大原則であります。自主流通米だから政府管理外であるというふうな批判もあったわけですが、今回は自主流通米も明らかに政府管理下に置くのだというふうに明示をされた点において一歩前進であるというふうに考えております。とかくいままであいまいになっておりましたのは、限度超過米の管理について政府責任がどうもあいまいであるという点があったわけでございまして、その点も今度の基本計画なり供給計画の上ではっきり明示するようにしていただきたいというふうに思っております。それから第二の根幹をなす原則は、生産者価格、これは再生産を補償する価格というものは堅持してもらわなきゃならぬ。それから第三は、やはり消費者に対する家計安定価格を堅持してもらわなきゃならぬという問題。まあ第一の問題との関連で、輸出入についての政府管理ということもあわせて基本原則の中へ考えるべき事項ではなかろうかというふうに考えております。冒頭に申し上げましたように、今回の法改正でも、これは前提としてこれを守るという中での改善であるというふうにぜひ位置づけていただきたいというふうに思っております。
  37. 岡本栄太郎

    参考人岡本栄太郎君) 今回の法改正に伴っての私どもの抱いている疑問あるいは問題点等については先ほど申し上げたわけでありますが、ただいま御指摘のございました、本当にいまの法改正について、われわれ生産者としての考え方は、非常にいままでの現行法の中でも省令、政令でいろいろな形で変わってまいりました。これは自主流通米の導入であるとかあるいは生産調整の問題、あるいは買い入れ限度数量の問題、いろいろあります。そしてまた、米価の算定に当たっても、これは昭和三十五年だったと思うのですけれども、いま行われております生産費及び所得補償方式生産者米価決定の方式が採用されたわけでありますけれども、それについても非常に基礎的な数字を変えております。  したがいまして、そういうような経過から考えますと、これまで認知されておらなかった生産制限あるいは自主流通米の問題等が、現状追認という形でこれが取り入れられるとするならば、さらにこれが拡大運用がされていくのじゃないかという心配があるわけであります。そういうふうになってきますと、先ほども申し上げましたように、直接管理から間接管理あるいは間接統制というふうに大きく変身をしていく可能性もこの改正の中に秘められているのじゃないかという不安を実は持っておるわけでありまして、そういう点をやはりぜひ本委員会等でも明確にしておいていただきたいというのが私たちのお願いであります。  以上です。
  38. 村沢牧

    ○村沢牧君 次は、自主流通米について参考人の皆さん方の御意見を伺いたいのですけれども、まず榊参考人にお伺いいたしますが、参考人は、今回の改正によって自主流通米の法的な位置づけを明確にしたと、このことを大変評価しておられるわけでありますけれども清水参考人の先ほどの御意見では、非常に弊害が多いと、こういう御意見もあったわけなんです。私は顧みまして、農協が、昭和四十四年に、政府自主流通米制度を設けたときに、農協組織挙げてこれは問題があるんだと、これは賛成しがたいというような、こういうことを打ち立てたことも私は記憶しておるのです。現在、自主流通米のウエートが非常に大きくなって、改正自主流通米の比率は一体どのぐらいにするのだと政府に質問しても、答えがはね返ってこないのですね。それから、こうしたことが発展をしてくるとするならば、今後政府米の買い入れを少なくして自主流通米を多くしていくような心配があるのではないか。あるいはまた、自主流通米の買い入れ価格政府米に準ずるというような答弁を政府はしておるのですけれども、四類、五類も自主流通米に入れる。そうすると、あるいはまた自主流通米といっても銘柄米が単品で売られておらない現状、こういう中で価格にやっぱり問題がはね返ってくるのじゃないか。さらにまた、これは余分なことですけれども、第二臨調なんかでは、自主流通米の補助金も何とか言っているわけなんですよ。こういう中において、参考人が言われておりますように、法的な裏づけをされたのだからこれは大きく評価をする、そういうお考えであってよろしいのかどうか、その辺の見解を聞かしてもらいたいと思うのです。
  39. 榊春夫

    参考人榊春夫君) 自主流通米につきましては、生産者団体の中でも批判的な意見のあることは事実でございます。それは主として、御指摘のように、これがなし崩し統廃につながるのではないかという不安からする意見が主なるものであると思います。そういう意味において、そういう不安を絶対起こさせないように歯どめをしっかりしていかなきゃならぬというふうに考えておるところでございます。  で、積極面の評価といたしましては、やはり消費者の、需要サイドの需要に応じて供給ができるということは、米の流通の上で大変大きな機能だと思います。政府米の売却というものは、やはり公平を旨として、だれにでも同じように売却をしてやらなければいかぬということが原則でございますけれども需要実態からいたしますと、消費者によって、あるいは卸、小売りの業者の業態によって、それぞれ必要とする品質、内容が、そういう構成が違うわけでございます。そういうことに弾力的に対応できるのは自主流通米であろうというふうに思います。そういう対応が弾力的にできたことによって、相当量良質米がやみに流れておったというのを防いで、正規ルートに乗せることができるようになったと。この自主流通米が果たしている機能というのは大変貴重な機能であるというふうに思っているわけでございます。
  40. 村沢牧

    ○村沢牧君 次は、金山参考人、また関連をして片岡参考人にもお伺いをいたしますが、今回の改正によって基本計画で米の需給計画を立てるわけなんです。そして政府米自主流通米の数量も決めるわけなんです。その際どういう形にして決めるかというと、需給の状況を見て決めるというふうに政府は言っているわけですね。しかし、米を扱っている皆さん方から見て、消費者のニーズに合った需給計画を本当に立てられるというふうにお考えになるでしょうか。たとえばコシヒカリ、ササニシキの需要が非常にある、また需要者もそのような要望が多い、そうした場合に、その要望にこたえて必要量が、皆さん方米を扱っておって入手できる現状でしょうか。さらに、銘柄米といっても、実際にはブレンドされて消費者販売されているのですけれども、なぜやっぱりブレンドしなければならないのか、この辺についてはどういうお考えでいらっしゃるでしょうか。
  41. 金山国次郎

    参考人金山国次郎君) 明確なお答えになるかどうかでありますが、お尋ねでございますので、考えていますことを申し上げたいと思います。  基本計画及び需給計画は、大体、まあ大まかな考えでありますけれども、期待に近いものは、計画は私はでき上がると思っております。と申しますのは、たとえばいま自主流通米配給計画実態でございますけれども、大体基本的には各県で自主流通米の消化できるであろう数字は政府が把握されております。それから自主流通米の実際の集荷は、これは単協なり経済連がするわけでありますけれども、その全体の掌握は全農さんが一手に握っておられます。それを配給する方の計画は、全糧連、それからもう一つ米の団体があるのでありますけれども、全米商連、それに全販と一緒になった場所で、そこで自主流通の配分計画政府基本の中で行われるのであります。各県から出てまいりますいわば自主流通に対する欲求の数字がそれぞれの団体にずっとしぼり上がってきます。その段階で、これは卸の連合から出てくるのでありますけれども、その段階で大体この程度の品種のものがこの程度ほしいという数字が各県からおよそ出てまいるわけであります。その要求の数字と全販が集めてきた数字との調整をそこでいたしまして、そしてそれぞれいま配分をいたしておるというわけでございます。  そこで、消費者との関係は一体どうなるかというお尋ねも入っているのだと思いますけれども、各県の卸の連合から出てまいりますその数字は、小売屋さんの欲求を受けた数字であるわけであります。小売屋さんが卸に反映してまいります数字は、消費者から小売に出てまいりましたその反響を受けて自分の販売の予想を立て、それを卸に持ち込むという仕組みになっているのであります。したがいまして、いまそれに近いものが現実に、特に自主流通については行われておるわけでございますので、それにさらに生産の方も見合ってくるのだということになれば、私はこれは軌道に乗るものと思っておりますし、販売業者からいたしますと、どうしてもこれは軌道に乗せる努力をしなくてはなるまいと、かように考えております。
  42. 片岡森寿

    参考人片岡森寿君) ただいま金山参考人から自主流通の点について細かくお話がございましたので、最初の出発してからもう数年たっておりまして、現在においては自主流通が非常に軌道に乗ったわけでありまして、金山先生のおっしゃるとおりでございます。まあ先ほど主婦連の清水先生のお話もあったとおり、政府管理米の、つまり標準米でございますね、これは生産県においては六〇%、消費県においては大体四〇というお話がありましたが、そのとおりでありまして、東京においては大体自主流通米が六〇%、それから政府管理米が大体四〇と、確実な数字ではありませんがそんな程度で自主流通米消費者は要望しております。これにこたえるために、われわれは直接食糧事務所から買うのでなく、やはり卸を通じて実はお願いしているわけで、標準米にしてもまた自主流通にしても卸を通じて入れているわけでありますが、大体大消費県、十大消費県とも、いま現在ではスムーズな運営ができておるわけでございます。  ただ、先ほど来のお話のとおり、非常にいま食生活が変わったと申しましょうか、もういまから五、六年前は大体年間八十一キロから八十八キロぐらい食べたのが、現在では八十キロを割っているわけです、一年間に。特に東京を申し上げますと、この六〇%あるいは七〇%の自主流通を食べておりますが、それもつまり東京都民の一人にしますと現在では一カ月四キロ八百ぐらいきり食べておりません。それも業務用を入れてでございまして、もし業務用を省いたならば、あるいは家庭の赤ちゃんまで入れて一人が平均四キロを割るのではないかというようないまの消費量でございますので、私はやはりこの自主流通米とまた標準米の二本立てでしばらくはいっていただきたいと、こう考えるわけでございます。  以上でございます。
  43. 村沢牧

    ○村沢牧君 清水参考人にお伺いいたしますが、自主流通米価格は高い、高いけれども、やっぱり消費者がうまい米を求めたいという要望から、コシヒカリだとかササニシキ、こうしたものを買いたいと思っても、実際、市場で、米屋からすぐ買えるような状態になっているでしょうか。  それからもう一点は、逆に標準価格米を求めようとすればいつでも、どこの米屋さんへ行っても買えるようになっているでしょうか。その辺はどのようにお考えになっていますか。
  44. 清水鳩子

    参考人清水鳩子君) 自主流通米価格ですけれど、これは先ほどから先生方のお話に出ていますように、単品で買えないわけですね、私たちは。ですから、自主流通米消費者が好んでいるからというふうに一概に決めつけられても、私たちは、単品の自主流通米を買っている人というのは本当に限られた人だけで、あとは自主流通といえどもブレンドを買っているわけですから、それと生産の、どのものをつくれば消費者のニーズに合っているかということは余りぴっといかないと思うのですね。単品で売っているのでしたらその消費生産とを結ぶということはできると思いますけれども、都度、都度いろんな米がまぜてありますから、それがどういう形で生産に反映されているのかというのは私いつでも疑問に思うところなんです。こうずうっときて、最後に私たちの意見が一番反映されて生産に移るということですけれども、だったら、単品販売をしない限りはそういうきれいな形で整理はできないというふうに思うんですね。それからまた、政府米と自主米がまざっても売られておりますのでよくわからないわけです。これは表示制度がスタートしたばかりですから、これからだんだん表示がきちっとしていけばそういう生産との、いまのお話のようなきれいな結びつきというのは出てくると思いますけれども、いままでの経過ではそういうことは私はないと思うんですね。  やはりお米屋さんにしても、何というんでしょうか、いまマージンが非常に標準米の場合は少ないですから、これは大変御苦労だと思いますので、消費量は伸びないということになれば、やはり単価が高いものをお売りにならないと経営が成り立たないというところも一つあると思うんですね。  それから標準米が買えないじゃないかということですけれども——先生のお話の二番目はそうでございましたか。これは私どもの調査では、買えないというのはある一時とらえるとあるのですけれども、ずうっと買えないということはないんですね、数字の上で押さえますと。それから苦情で標準米が買えないというお話がよく参りますのですぐ調べますが、それはたまたまそのときはないけれど二、三日待っていれば来るという状況で、全く買えないという状況はないと思います。ただ、私みたいに気が強い主婦ですと、何遍も標準米持ってこいってがんばりますけれども、ちょっと気の弱い奥さんですと、やっぱり高いものを勧められると、何か米屋さんも上手で、余り標準米は売りたくないみたいなんで、気が弱い人はもうみんな高いものを買っているみたいなのでございますけれども、その辺は、やはり他の中小企業の産業のマージン率から見ても、標準米のマージン率というのは極端に低いですから、それはまた改善していかなければいけないと思いますけれども実態はそういうところではないかと思います。
  45. 村沢牧

    ○村沢牧君 ありがとうございました。  次に、備蓄について榊参考人にお伺いしたいんですけれども参考人の言われましたたな上げ備蓄ですか、これも理解できるわけですけれども、農協中央会として日本農業を見るときに、食糧事情を見るときに、一体備蓄の量というのは、米はどれぐらい持ったらよろしいというふうに常日ごろ考えていらっしゃいますか、たとえば何カ月分と。  それからもう一点、先ほど参考人の御意見の中で、本年の米の需給量はさま変わりとなって新たな事態に直面をしている、こういう陳述があったわけですけれども、実際に日本農業の一番中心になってやっている全中から見て、一体ことしの米というのはどういう心配をなさっているのですか。二点について。簡潔でいいです。
  46. 榊春夫

    参考人榊春夫君) 備蓄につきましては、これは短期的な危機状態に対処するという以上のことはなかなか、備蓄でもって長期間自給を賄うということはむずかしいと思います。そういう意味におきまして、私ども備蓄のことも大いに言っておりますが、その前にやはり自給力の涵養ということをまずもってぜひとも考えていただきたい。    〔委員長退席、理事坂元親男君着席〕 その上で短期的な問題として備蓄考えるという考え方をしております。  その備蓄の量はどの程度がいいかということは、通常の回転備蓄をどの程度持つかということとのやはりかね合いで考えていただきたいと思いますが、まあ三カ月分くらい——三カ月分というと大体二百万トン以上ということになると思いますが、最低そのくらいはたな上げ備蓄でやっていただきたいというふうに私どもとしては考えております。  それからもう一つは……。
  47. 村沢牧

    ○村沢牧君 申し上げますが、ことしの米の生産なり需給は大変心配だというお話があったのですけれども、農協としてはどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  48. 榊春夫

    参考人榊春夫君) 今年度の五十五年産米の生産減は百三、四十万トンに及んでいるわけですが、消費の方の減退もありますので、大体百万トンぐらいが通常の需給よりもショートしているというふうな見方をしておりまして、恐らく十月末の端境期においては八十万トンをやや割る程度の年度持ち越ししかないであろうというふうに思います。その程度の数量ですと、配給操作上、まあ貨車に積んで走っている数量に少し毛が生えたぐらいの数量しか五十五年産米は残っていない、こういうことになろうかと思います。    〔理事坂元親男君退席、委員長着席〕  ただ、政府のおっしゃっているように、五十三年産米も百万トン以上あるわけですから、食べるに困るようなことはないと思いますけれども、きわめて窮屈な需給操作にならざるを得ない、その需給操作を緩和するためには、五十六年産米の早食いを相当織り込まないと円滑な需給操作ができないのじゃないかというふうに想定されるわけでございます。  そういうことからいたしまして、もしもことし計画どおりに生産できないというようなことになったら、これは本当に大変な事態が起こるというふうに考えているわけでございます。
  49. 山田譲

    ○山田譲君 まず最初は清水参考人にお伺いしたいのでございますけれども、先ほどお聞きしまして実は愕然としたのですが、七千三百円もするお米を買っている人もいる、こういうお話でございました。やはり自主流通米ができたことによって非常に消費者の中で銘柄嗜好が強くなったために、何でもとにかく銘柄のものを買おうとする傾向が出てきているというお話で、これは事実だと思うのですけれども、この七千三百円というふうなお米を買う人は一体どういう気持ちで買っておられるのかどうか。三千五百円のお米よりも二倍もおいしいというふうに思って買っておられるかどうか、その辺の実態をまずお聞きをしたいと思うのです。  それからもう一つは、標準価格米は東京あたりでは一〇%ぐらいしかない、そして、山形とか秋田とかという産地においては六〇%以上もいっておる。これは、先ほどのお話で何となく感じられますことは、産地の方は標準価格米であってもおいしいのだ。東京都に来ている標準価格米というのはおいしくないから一〇%程度しか買わないのだというような感触のお話でございましたけれども、本当に産地のお米の方がおいしいのか、こちらの方がまずいのか。それとも、本当に流通米の方がおいしいから少し高くてもそっちを買おう、七千三百円でも構わないというふうなことだとすると、やはり消費者の側にも問題があるのではないかという感じがいたします。  それから、先ほどちょっと川越のスーパーのお話もございました。コシヒカリが三千九百円だ、日曜日になるとさらに百円まけて売っているというふうな状態があって、飛ぶように売れたというふうな新聞記事を私も見ましたけれども、これなども、やはりもし表示等が誤っていれば別でございますけれども、表示通りの内容であったとすれば、それはおいしい米が安ければこれは当然じゃないかという気持ちもするのです。ですから、その辺についての参考人のお考えをもう一遍お聞かせいただきたいと思うのです。一応それでもって御返事をお願いしたいのですが。
  50. 清水鳩子

    参考人清水鳩子君) まず、高い米をなぜ消費者が買うかということなんですけれども、これはそんなに多い消費者じゃございませんので、こういう私から見れば賢くない消費者というのもございますので、必ずしもこれが消費者の大半ではないのですけれども、そういう一つの例があるということで、やはり自主流通米のいわゆる高値に対する行政指導というのはいまないわけですね。指導価格というのはありますけれども価格指導というのがないものですから、やはりどうしてもどの辺の値段が自主流通の最高の目安なのかということが一般の消費者にわからないわけです。そこら辺が、これから自主流通米の、昔はたしか価格指導ですか、指導価格ですか、ございましたが、そういうものがこれからは必要なんじゃないかというふうに思うのです。それは高値安定になるというおそれもあるかもしれませんけれども、ただその一つの情報としてこのくらいの値段が適正なんだということと、もう一つは、政府の統計では東京都の上米の平均価格は四千何がしでございますので、余り乖離しているものについては指導強化するという体制をもう少しきちんとしていただきたいと思うのですけれども食糧庁が調べられますのは私たちとはちょっと違う調べ方なんですね。私たちは実際に買いますけれども食糧庁の場合には電話で聞いたり意見を歩いて聞いたりするものですから、実態でない数字が出てくるのですね。ですから、やはりその実態の数字を正しく把握するという体制の整備というのが欠けているのではないかと思います。  それから、標準米は私たちもずいぶんあれしてみますけれども、確かに新潟県の標準米とか鳥取の標準米というのは物すごくおいしいんですね。なぜ東京の消費地の標準米がこんなにまずいかということを去年私たちは意見を聞いたのですが、その時期によってすごくばらつきがあるということですね。自主流通米ですと、いろいろ管理その他に非常にお金をかけておられますから、そういうふうに大事にお米を売ろうとしておられますから、品質的にも上手に管理されているのですね。そこへそんなに何種類もがまざらないわけですけれども、標準米の場合ですと、やはり政府米だということで非常に品質の管理の面に手落ちがあって、そしておいしいときはとてもおいしいから自主米を買う必要はないのだけれども、まずいときになると物すごくまずいわけですね。どうも消費者というのは、最高の味というよりも、ずっと均一化した米の味というものを求めているように私は調査の中からうかがえるんですね。余りまずいときがあったり、政府米だからまずくたってあたりまえだというふうなことがまだ尾を引いているのじゃないかと思いますので、やはりいろいろな管理の面を少し整備して、年間均一的な品質を政府管理米の中で位置づけていけばいいと思います。  それで、生産地の標準米がおいしいというのは、東京のようにそんなにたくさんの種類をブレンドしておりませんし、生産県の中のお米、比較的おいしいお米で標準価格米を調達していますので、おいしいことははるかにおいしいです。  それから、埼玉の話ですけれども、これは新聞報道だけですけれども、表示がなかったというので、あれは私は本当の新潟のコシヒカリですか、そうではないのではないかと思うのですね。表示がなかった米だという。ですから、食糧事務所が食管法が死に法だから取り締まれないと言って手を引いたように書いてありますけれども、やっぱり表示違反ということでも私は取り締まれたのじゃないかと思うのですね。
  51. 山田譲

    ○山田譲君 どうもありがとうございました。  次に、若干いまの問題にも関連するのですけれども片岡参考人お願いしたいのですが、いま出ましたように、一種の不正規流通といいますか、やみ米といいますか、そういったやみ業者的な人が結構多くいる。やはりそれが問題で、皆さん方から自主的といいますか、そういったところを監視するような一つ組織をつくる必要があるのじゃないか、こういうようなお話も先ほどちょっと伺ったわけでありますけれども片岡参考人から見られて、実際にこのやみ業者というものはどんな実態にあるのか、どうしてそういう人たちが発生するのかということについてお考えをお聞きしたいと思うのです。
  52. 片岡森寿

    参考人片岡森寿君) このやみ米についてはいろいろ出場所には原因があると思います。つまり、やみ米においてよく調べてみると、ほとんどが検査米。検査米となれば、要するに政府管理米と想像するわけでありますが、それが要するに無登録の業者が扱っているわけでございまして、そういうつまりやみ米を取り締まってほしいということを都庁を通じて常に要望しているわけでありますが、いまの制度では取り締まりができないと。つまり、お耳にしているでしょうが、現在の制度としては、米穀通帳のないものを販売してはいずれも、売る方も買う方も違反だと。今度の法律改正によってこれがなくも売買してもよろしいとなればこれまた取り締まりができると。それは現在は調べる検事さんの立場においても、一億国民全部が違反しているわけだ。であるから、なかなかわれわれ業界から告発してもこれを受理してくれないというのが現実でありまして、まあまあ今回私たちの法律改正についての一応条件はついておりますが、賛成は、まずやみ米の取り締まりがこれでまずできるだろう、やってもらえるだろうというのがわれわれの制度改善に対する賛成でありますが、とにかく私が冒頭申し上げたとおり、現在の、つまり農家の保有米からまず考えていかなきゃならないのじゃないかと思います。農家の保有米は御承知のとおり、先生方もおわかりでしょうが、三百二十万トン要するに保有米として割り当てられる。恐らくこれはほとんど変わらない。昨年十万トン減っただけです。少なくとも私の考えでは百万トン多いんじゃないか。この多い米がやみに流れていくことはこれは事実だろうと私は思います。これは役所もまた先生方もある程度御承知じゃないかと思います。これらからまず根本からひとつ直してもらいたいと。  それから中には、はっきり申し上げますが、新聞紙上にも出ておりますが、要するに卸す正規の米屋さんが——東京とは申し上げません、要するにどうしても売れない米を横に流す、こういうものも入ってくるらしい。でありますから、必ずしもやみは農家の軒下から来るものでなく、政府管理米にもあるだろう。また一方は、そういった生産者消費の余った米もあるんじゃないか、こう思いますが、いずれにしても、今回の法改正についてはこういう方面からも賛成しているわけです。  それから、立ったついでに申し上げますが、いま、私清水先生に反駁するわけではございませんけれども政府としては都道府県知事を通じて指導価格を非常に強くやっております。現在東京は大体新潟のコシヒカリを十キロ四千九百円前後で売るように指導されておりますので、これも組織を通じてお願いして、中にはなかなか守らぬ人がそれは先生あるかもしれませんが、大体指導価格としては一応本庁から都庁を通じて実は組織に流しております。これだけ一言。
  53. 山田譲

    ○山田譲君 どうもありがとうございました。
  54. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 きょうは御苦労さまです。大変貴重な意見をありがとうございました。  最初に金山参考人にお伺いしたいのですけれども、先ほどお話の中で、不正規流通米が三十万トンふえていると、こういうお話……
  55. 金山国次郎

    参考人金山国次郎君) 違います。
  56. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 片岡さんだったですか。——そうですね。
  57. 片岡森寿

    参考人片岡森寿君) 百万トン多いんじゃないかと、こういうわけです。
  58. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 百万トンですか。  それでいまお話ございましたけれども、この数字の上からいくと、これは数字の上ですけれども、五十三年度は生産量が千二百五十九万トン、それから集荷量が八百七十九万トン、残りが三百八十万トン、これは恐らくいまおっしゃった保有米と種米、こういうふうになると思うのです。五十四年は千百九十六万トンで集荷量が八百三十五万トン、それで残りが三百六十一万トン、こうなっているわけです。五十五年は九百七十五万トン、六百五十万トン、それで三百二十五万トン、こうなっている。この数字からいくと減っているわけですね。さらに五十五年産米のときには、去年は冷害であったので、非常に自分の食べる飯米もないというような現象もあったわけです。それにもかかわらずこの三十万トンですね、やみ米がふえているというようなお話でございますけれども、いまお話あったように、それだけ食べないのだと、こういうことでございますけれども、何かほかに根拠があるのですか。
  59. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) どうもいまのお話ですね、最初お述べいただいた金山参考人のお話の終わりの方に、不正規流通米が三十万トンぐらいふえてきているというぐあいに言われたことへの質問だと思いますので、金山参考人
  60. 金山国次郎

    参考人金山国次郎君) 言葉じりがはっきりしなかったと思うのでありますけれども、去年より正規のものが三十万トン売れていると申し上げたわけで、不正規のものでなくて、正規のものが昨年より三十万トンよけい売れていると。これは農家の手持ちが減ったせいで、東北地帯を中心としてこれだけが三十万トンよけい正規のものが売れてきていると、こう申し上げたわけでございます。
  61. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 了解です。  それから主婦連の方にお伺いしたいのですけれども、先ほど山田さんの方からお話がありましたけれども、ブランドの件ですがね。これは法律改正には直接関係はございませんけれども政府の表示制度ができたと。それでありますけれども、私もたまにお米を買うんですけれども、お米を買う場合に、ブランドによる買い方と、それから大体高い米はおいしいだろうと、こういう感覚の方が強いわけですね。このブランドがいま何十あるか何百あるか何千あるかちょっと私わかりませんけれども、このブランドに対する消費者側としての御意見をお伺いしたいのです。どういうふうに思っておられるか。たとえば経済連のブランドだけ調べてみても、もちろん経済連のほかにたとえば全糧連、それから全米連と、全部ブランドがあるわけです。全農は「パールライス」、それから全糧は「水晶米」とか、それから全米連は「ダイヤ」とか、これが基本になっていますけれども、これを見ると、たとえば経済連の場合、同じ関東でも上、中米とありますね。中米の二番目に「ゴールド」というのがあるのです。それから隣の県で上米の一番いいのが「ゴールド」になっているわけです。同じ「ゴールド」なんですね。それから中には、上米の一番目が上米のA、それから上米の二番目が上米のBと、それから中米の一番いいのが中米のA、その次がB、Cと、こういうふうに表示してある県もあります。いま言ったように、隣の県で中米の二番目が「ゴールド」、上米の一番いいのが「ゴールド」、こういうのもあるわけです。中には「ケンちゃん」だとか「ユリちゃん」とか、こういうのがあるわけですね。これはわれわれちょっと判断つかないわけですね。それから「ヒスイ」だとか「オパール」だとかありますけれども、「ヒスイ」と「オパール」がどっちが高いのか、これもちょっと判断しにくいわけですね。大体先ほどお話ありましたように、主婦の方が買われるのは一定範囲内で、まさか隣の県へ行って買う人はいないでしょうし、大体一キロか二キロ範囲内で買われるのじゃないかと思うのです。そこで私心配するのは、たとえば隣の県へ行ったとか、また買うのに錯綜しておりますから混乱するのではないかと。大体ブランドを見て、そして高いのはいい米だと、こういうふうにわれわれはちょっと買う場合にそうなるわけです。そこで混乱するのではないか、これが一つ。  もう一つは、今度は逆に範囲は決まっているわけですから、何か八〇%の人がいつも買う店から買うと、こういうお話でございます。ですから、もしそこでこのブランドからいって不当表示をされた場合に、もちろん政府の方の表示制度はございますけれども、不当表示をされて、われわれだったら松、竹、梅というブランドもありますけれども、松、竹、梅といったら松が一番よくて、竹が二番目で、梅が三番目と。金、銀、銅と言えば金が一番いい、こういうふうになりますけれども、いま言ったように混乱するのではないかと。  それから表示を「ゴールド」一辺倒でこういうふうにやった場合に、このある範囲内で買っているわけですから、うまい米は「ゴールド」だと、こういうふうに決めつけて大体買うのが多いのじゃないかと、こういうふうになってくるわけです。  まあ長くなって恐縮ですけれども、たとえばトマトなんかの場合も、これはいまいわゆるハウス栽培で年がら年じゅうあるわけですから、正月でもあるわけです。そうした場合に、いまの主婦の方々というのは、トマトというのはこういう味なんだというふうに思い込んでいるわけです、というのが私ほとんどだと思うのです。われわれは露地栽培を食べていますから、露地栽培の方がうんとおいしい、トマトというのはこれが本当の味なんだと、こういうふうに覚えておりますけれども、その範囲が決まっておってやっていると、そこに不当表示がもしあった場合、これはこのぐらいの値段で適当なんだというふうに思いがちであると、こういうふうに私思うのですけれども、このブランドについてどういうお考えか、御意見お聞かせ願えればありがたいと思います。
  62. 清水鳩子

    参考人清水鳩子君) ちょっと不勉強で余りよくわからないのですけれども、たしか農林水産省の指導では、いまおっしゃったようなわかりにくいブランド表示をやめて、たとえば一、二、三とか甲、乙、丙とか、そういうふうなだれでもがわかるような方向で表示するようにという指導があると思うのですね。その上に「ゴールド」とか「水晶米」とか、いろんなのが出てくると思いますけれども、私たちがいま消費者側として買い方でみんなが勉強しながらなるべくそういう方向で米を買おうとしておりますのは、表示改正によって決められました類別表示ですね、一類、二類、三類、四類、五類とあの類別表示を見て買おうということで、先ほどおっしゃったような、「オパール」とか「ヒスイ」とか、そういうことで商品を買うのはやめようというふうなことをやっておりますけれども、先生がいまおっしゃったように、まだまだ消費者のお米の注文の仕方も、いつものお米とか、高いお米とか、おいしいお米と言って買う人が多いことも事実でございまして、せっかく類別表示が法律で義務づけられてまいりましたので、だんだんそういう買い方をする消費者がふえてくるというふうに思うし、それからそういう全国的に統一した表示を徹底させていくような運動も私たちでしながら、両方でやっていきたいというふうに思っております。  それから、おっしゃったように、こちらとこちらとの区別があれだというのは、ほかの参考人の方は御承知なんでしょうか、私よくわかりませんけれども、農林水産省はなるべく隣接のところは余りちんばにならないように、一つ整合性を持たせた表示内容にするようにという指導をしておられると思うのでございます。いまおっしゃったたとえば「ユリちゃん」とか「ケンちゃん」というのは、いまはもういけないんですよね、たしかそうだと思います。ただ、実施期間がまだその期日に達していない都道府県があるのかどうか存じませんけれども、農林水産省の指導はそういうことはやめるようにということが出ていると思います。
  63. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それじゃ榊参考人にお聞きしたいのですけれども集荷事業の区域拡大についてですが、従来どおり市町村を原則とするが、完全集荷ということでやるためには何らかのいわゆる競争条件を導入すると、こういうふうに政府考えているようですけれども、また先ほどのお話の中で、拡大した場合には混乱が生じると、こういうお話もございました。このいわゆる競争条件を導入することについてどうお考えなのか、これが一つ。もう一つは、混乱が起こるというのはどういう混乱が予想されるのか。この点についてお伺いしたいと思います。
  64. 榊春夫

    参考人榊春夫君) 私ども事業区域拡大について特に御意見を申し上げております最大の問題点は、うわさに聞いたところでございますから政府の真意かどうかわかりませんけれども、たとえばAという市町村において集荷業者の資格を持っている者は、その隣接の市町村において集荷活動をやってよろしいと、こういうふうな事業区域拡大考えておられるというふうに聞いていたわけです。最近の考え方はちょっと変わっているようですけれども、当初そういうお考えでございました。  そういうことになりますと、私どもは、全量集荷ということはもちろんきわめて大事な第一義的な集荷業者としての業務でございますけれども、しかし、その業務を完全に行うためには、むしろ計画生産なり、あるいは作付の指導なり、そういったことを完全にやっていきませんと、本当の集荷はできないわけでございます。そういうことをおろそかにして、ただでき上がったものをかき集めるというふうな仕事の進め方になることは大変問題であるというふうに考えまして、基本的に反対を申し上げているわけですが、しかし、多少刺激的な条件もあった方がいいというふうな考え方も、別にわれわれそれをそうどうこうというほどのことでもないと思いますが、およそたとえ隣接であろうと何であろうと、集荷活動をやる以上は、とにかく大臣が指定をして政府が直接買い入れるものですという、そういう重要な仕事をするわけですから、その市町村の行政と関係なく隣の村で資格を持っているから集めていいのだというような、そういった粗漏な扱い方は絶対に困る。やはりそれぞれの町村において、隣接といえどもそこでちゃんと指定を受けて堂々と仕事をする、そういう体制は絶対不可欠であるというふうに要望を申し上げておるところです。
  65. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 混乱が起こるとすれば、もしそういうようになった場合に混乱が起こるとすればどういう……。
  66. 榊春夫

    参考人榊春夫君) だから、生産面を無視して、ただ集めればいいということになったらこれは大変なことだと思います。生産調整なんかが非常に混乱を招くことになりますし、先ほどもお話が出ておりますように、計画的な品質別の計画生産というようなことは相当立ち入った指導をやりませんとうまくいきませんので、その辺は十分御理解をいただきたいと思います。
  67. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 わかりました。  全糧連と日米連にちょっとお聞きしたいのですが、自主流通米のことです。政府は今度法文化していくということですけれども、恐らくこれはふえるのじゃないかなと、こういうふうに思うわけですけれども、そうした場合にどんな売り方をされるのか。恐らく混米ということはないと思いますけれども、ただ数字の上から見ると、これは米審の資料でございます。この数字の上からいくと、たとえば政府から卸に売却するのは、自主米と銘柄米、ある県によると五九・八%、こうなっているわけです。それで、いわゆる上米と中米で小売から消費者に売られるのが、これが六九%になっているのです。ということはそれだけふえているということです。ひどいところは、この政府から卸に売られるのが六三・八%、それが上米、中米となると、これが八〇%、こうなっておるわけです。この差があるわけです。いわゆるつくったのより売る方がいい米が多いと、こういうことになるわけです。もちろんこういうことも考えましてどういう売り方をされるのか、その辺をお聞きしたいと思います。
  68. 金山国次郎

    参考人金山国次郎君) 大体数量がどんどんふえていくのじゃないかというふうなお話がございますけれども、ことしは相当政府の米に四、五類あるいは前年産のものが多かったということもございまして、どうしても卸の立場から申し上げますと、小売屋さんの要求を満たすためには、やはり四、五類なり、古米を消化するためには上質のものがなくちゃいけないということで、ことしは自主流通に対する非常に欲求が多かった。そういうこともございまして、全農と私どもで十分相談いたした上で集荷をしてもらって、これが二百四十万トンぐらいにはなったと思うのでございますけれども、常識的に考えて、これは勘でありますけれども、これは無制限にふえるというものでは決してないと、私はかように考えております。特に今年度あたりはいわば端境のものが足りのうございますが、ことしは政府から売却になるものはいわば古米はなくて全部新米だけなわけでございます。そうなりますと、先ほどお話がございましたように、標準価格米もオール新米でございますから、昨年のような古米が入っておらない。四、五類もそう入っているわけではないということになりますと、やはり標準価格米が相当に消化が促進されると。そういうことは結局は自主流通もそう二百万トンベースがことし二百四十万トンベースになったようなことでふえていくことは私どもはあるまいと、こういうふうに考えております。  どういうふうな売り方をするかということでありますけれども、いま全糧連とそれから全農との話し合いの中で、先ほども申し上げましたのでありますけれども、各県の卸の段階からのつまり積み上げの要求を、それを全農との話の間で各県に配分をして、それを政府の全体の供給計画の中で府県に割り当てをして卸していくというわけでございます。それで卸が受けた分については、いわば結びつける小売屋さんからの要請に応じてそれを適当に売っていくということになっているわけで、特に卸から小売屋さんに対して、自主流通がこれだけ入ったからどっさり買ってくれとかいうふうな、そういうふうな作業は現実の問題としては行われておらない。ただ、ことしは、いま申し上げますように、古米が多かったとか、あるいは先行きの問題がありますので、消費者からの小売屋さんへの要求、小売屋さんはそれを受けて自主流通米を欲しいという要請が例年よりはことしは強かったと、こういうわけでございます。  それから売り方の問題に関連して先ほどお尋ねのございました件に、私もお答えをこれは失念してしなかったのでありますけれども、いまお話の中に、ブレンドという問題が私はやっぱりあるのだろうと思います。ブレンドと申しますが、これはたとえば東京で言いますと、東京の年間の消費量はざっと百万トン弱、八十万トン程度でございますが、政府米とそれから自主流通米で入ってくる米の県産別を見ますと東京では二十県から入ってくるわけでございます。二十県から入ってくるのでありますけれども、たとえば新潟のコシヒカリと申しますけれども、新潟のコシヒカリは昨年産で検査した数量は十二、三万トンにすぎないのでございます。これが東京、神奈川あるいは静岡、大消費地に配分されるわけでありますから、東京でその県の単品銘柄を年間を通して供給するということは本来無理な話でございます。  しかも、申し上げるまでもないのでありますけれども、栃木、千葉、茨城、これは硬質の地帯でございます。東京の小売屋さんの苦労は、消費者に対して年間通じて平均のものを供給するというのが小売屋さんの苦労であり、いわば卸の配分の計画の苦労であるわけであります。東京ではいまそれを消化した数字から見ますと硬質米が三割、そして軟質米が七割というので、全体から見ますとそれが消化されて消費者流れておる。小売屋さんから言えば、その消費者が年間を通じて余りうまい、うまくないというのができるだけないようなものを供給することに腐心するというわけです。しかし、管理米についてはやはり一方的に政府から売ってまいりますから、先ほど清水先生からお話のあったように、標準価格米についてはたまにそういうことがあり得たのかなという感じがするわけでございます。それが自主流通が出たことによって相当にそれが調整されて、大体似たような、たとえば東京であれば東京都と小売の連合会の間で調整された価格で大部分のものは消化されている。しかもそれは政府の指定した表示が厳密に行われて、そして年産別、類別、それから産地別、これがきちっと入って流れていると、こういうことでございます。  以上でございます。
  69. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 片岡さんにちょっとお聞きしたいのですけれども、さつきやみ米の話が出ましたけれども、このやみ米と無登録店ですけれども、現在どのくらいあるか、と言ってもこれは無登録店ですからわからないわけですけれども、このやみ米と無登録店について、この間千葉へ視察に行ったときにもそういう話がございました。それをチェックする、取り締まるという取り締まり方法がないと先ほどもおっしゃっておりましたけれども、私も現実問題として聞きましたところ、そういう人が横行した場合には県の方へ連絡をとる、県の方は今度は警察の方へ通告すると、こういうふうになっているわけです。こういうことだと現実の問題として取り締まれないわけですね。まあ大型トラックでどんどん来るならば、あいつはいけないぞということで、これは現行犯かなんかでできますけれども、細かいところ、小さいところは全然できないと私こういうふうに思うのです。こういう取り締まりについてどういうふうにしたらいいと思いますか、御意見をお聞きしたいと思います。
  70. 片岡森寿

    参考人片岡森寿君) 非常にこのやみ取り締まりの件については、東京都庁にはずいぶん御迷惑をかけているわけなんです、東京としては。大変都庁においても相当の骨を折ってもらっております。千葉県のときに皆さんおいでになってどういうお話が出たかわかりませんが、東京としては、現在の調査ではやみで無登録で売っているお店が大体四百軒前後あると思います。しかもいま各組織、つまり東京の連合会としましては各行政区単位に支部がありまして、その支部長さんが現在販売している無登録業者の調査をいま実施中でございまして、はっきりした数字が今月の中旬には出ると思います。都庁からもはっきりとわかって警告文を出されたのが三百人をちょっと超しております。最近その警告をしてくれたのです、販売してはいけないと。しかし、それでも警告文を出してやめるのがまず一割。何としてもやめない。非常に都庁でも困っておる。  でありますから、まあ私たち参考までに申し上げますと、昨年の十一月に、先ほどちらっと申しましたのですが、品川区の支部長が代表で実は告発したわけです、やみ屋さんを。ところが現在の警視総監が、やはり私も弁護士と一緒に同道しましたが、待ってくれ、いまの段階ではこの書類を受理するわけにいかない、強い行政指導をひとつお願いしてくれ、都庁によく頼んでくれ、あなた方も協力してやってくれと逆に頼まれちゃった。これ警視総監がおっしゃることで、間違いないんです。あるいは業界紙で見た方もあるでしょう。また本日御列席の方でお耳にした方があると思いますが、昨年もそういう状態で、現在の取り締まりは、先ほどお話ししたとおり、やはり米穀通帳がなくて裁判官も食べているわけですね。でありますから、やはり取り締まる方が取り締まれないというのがいまの制度なんですよ。今度それがつまり廃止になれば、当然今度は取り締まりができる。都庁においてもそれを期待しているわけでありまして、われわれとしても、何とかこの不正規米販売を今度の制度法律改正によって一掃していただきたい。  しかし、それには私は各東京の、特に東京の幹部にはお話ししているのです。やみを取り締まるにはただ役人ばかり頼んでもだめなんだ、われわれもともに協力しようじゃないか、われわれが協力してこそ初めてやみの取り締まりが一〇〇%成功するんだ、これを強く私は要望しております。そうしてそれには私が最後にお願いした、きょうの要望書にありますとおり米商業調整協議会というものをつくっていただいて、そうしてそこにわれわれ業界、卸、小売、役所と話し合いの場をつくって、そうしてやみの問題、あるいは新規参入の問題、あるいはのれん分けの問題、そういった方面に米商業調整協議会をつくってほしいというのが要望書にも出ているわけでありまして、私はこのやみ米の一〇〇%の取り締まりはなかなか困難と思いますが、われわれもともに協力して、まあ今回の法律改正がもし先生方のお骨折りで通過したならば、ともに協力してこれをなくすような方向に努力したい、こう考えております。
  71. 下田京子

    ○下田京子君 参考人の皆さん御苦労さまでした。  最初に清水参考人にお尋ねいたしますが、先ほどのお話の中で、お米の消費動向というのが、消費者みずからつくるというよりも周りの条件によってつくられているということは大変教訓的に受けとめたわけなんですけれども消費者というものは基本的にやはり安くておいしいお米をというのが何よりの願いだと思うんですね。ところが消費者米価がどんどん上がっていますし、それからまたおいしいお米ということになると、自主流通米で市場原理でどんどん値段が高くなる、一方標準価格米はまずい、こういうふうなことがある中で、今度の法改正によりまして品質別の需給ということを強く主張していくわけですね。そうしますと、お尋ねしたい点は二つあるのです。いろいろお話になりましたが、一つは表示のあり方なんですけれども消費者にわかりやすく、しかもその表示が信頼されるものであるためにはどうしたらいいんでしょうかという点で、具体的な御意見があったらまとめて聞かせてください。  それから二つ目の問題は、標準価格米のお話なんですけれども、いろいろお米の生産地と消費地の比較等がありましたが、なぜ標準価格米の購入が減ってきているというふうにお考えなのか。さっきちょっとお話にもありました、標準価格米というのは本来なら消費者がほしいと言えばお米屋さんは売らなきゃならないのだけれども、マージンがかなり低いというようなこともあったりしてという話もありましたが、なぜかということ。  それから同時に、標準価格米をどうしたらおいしくしていくことができるでしょうか。以上ですけれども
  72. 清水鳩子

    参考人清水鳩子君) まず表示の問題でございますけれども、これは都道府県によりまして多少表示の内容が違います。たとえば東京の場合ですと五〇%以上、五〇%以下というふうな大きなくくり方で類別が表示されておりますけれども、大阪のようなところは、実数で何%、何%というように類別のその混入割合をきちっと正確に書くように大阪はしております。これは私は本当の表示のあり方とすれば大阪みたいなのが一番いいと思います。そういう方向で東京都にもお願いしましたけれども、先ほどもお話にあったように、東京の場合には非常に入荷の米の種類が特定されないためにそういう細かいことができないということで、五〇、五〇という大きなくくりになりました。  この表示は消費者にとってわかりやすいかわかりにくいかということをアンケートでとってみましたら、大体三割ぐらいの人はこれでいいというお考えなんですね。ただ、表示制度改正されたということを知らない人がもう半分以上あるわけですから、ここのところをもう少し上手にやらないといけないと思いまして、一体表示の改正はだれに教わったか、どこから知ったのかと聞きましたら、大半の人がテレビとか新聞で知ったというのですね。これは行政の指導としては大変まずいことで、本当は行政が消費者にそういう制度を丁寧に説明するべきで、それがちゃんとされていれば、行政から教えてもらったという人が一番多い割合で出てこなければいけないのです。やっぱりどうして行政指導がうまくいかないかというのは私たちも調べたのですけれども、たとえば東京都の場合には表示を指導する行政の生活文化局というのがありまして、そこで消費者行政と一緒にお米もやっておりますけれども、ほかの府県では農林部とか農政部とか、全然消費者と無縁のところでやっているのですね。生産者指導のところでやっているものですから、表示の指導がいわゆる消費者行政の枠の中に入ってこないという問題があるので、これは末端の方で消費者行政の範疇に入れないと指導徹底しないと思うのです。それは米屋の段階でとまってしまうし、消費者の側には届かないと思いますので、そういう改善があれば表示というものはだんだん定着していくのじゃないかと思います。  それから、標準米がなぜ購入が減っているかというのは、先ほど先生のお話にもありましたように、消費者の、ただ名前さえ有名ならおいしいんだという、そういう誤った消費態度というのも否定できないと思います。これは前に化粧品の調査をやりましたときにも、いわゆる大手の有名化粧品メーカーのものであれば百円化粧品よりはるかに品質がいいと思っているけれども、中身を調べてみたらほとんど変わらないという運動が展開されましたけれども、やがてお米にもそういう運動が展開されて、名前が通っていれば必ずそれはおいしくていい米ということではなくて、本当に安いお米の中にもおいしいのがあるのかもしれないというふうな運動をこれからやっていきたいというふうに思っております。
  73. 下田京子

    ○下田京子君 どうしたらおいしいお米になるか。
  74. 清水鳩子

    参考人清水鳩子君) 標準米ですか。それはやっぱり先ほどちょっと申し上げましたけれども消費地の品質の管理の問題があると思うんですね。ですから、大分、生産地の方も、いわゆる標準米しかつくっていない生産地の方は、いかにおいしくして消費者に届けるかという御努力を最近されているようでございますけれども、いままではとにかく政府に売る米だからということで、せっかく産地で低温倉庫に入れられていても、普通の貨車で運んで都会へ来るともう普通の倉庫に入れられている。ところが、自主流通米は高く売らなきゃいけないから大事に大事にして東京まで運んでくる。こういう保管とか流通の問題を改善していけば、先ほどの数字にあるように、標準価格米、いわゆる政府管理米の三類でも結構おいしく私たちが食べることができるのじゃないかというふうに思っています。
  75. 下田京子

    ○下田京子君 ありがとうございました。  次に、生産者側で北海道農民連盟の岡本さん、それから全中の榊さんにお尋ねしたいのですけれども、今度の政府案によりますと自主流通米が法制化されますね。今後の方向としては質的な充実だというふうなことになるわけですが、一方では四類、五類の自主流通米、つまり特別自主流通米拡大していくというふうな話も出ている中で、このことについてどういうふうに評価されているか。つまり一般的に、いままでは自主流通米と言えば、これは政府買い入れ価格より以上に売るということで生産者にメリットがあったわけですが、特別自主流通米ということになりますと、これは政府売り渡し価格がベースになるけれども、それより値引きされてということの事態も出てくるわけですね。そうしますと生産者に一体どうなんだろうという問題があるので、この評価について、まず岡本参考人から、次いで榊さん、お願いいたします。
  76. 岡本栄太郎

    参考人岡本栄太郎君) 自主流通米についてでありますが、ただいまお尋ねのありました四類、五類のいわゆる特別自主流通米、これは昨年北海道では大体最初の年でございまして、冷害等の影響もあったわけでありますけれども、三万トン余りがこの特別自主流通米のルートに乗ったというふうにわれわれ承知をしております。それは全道の生産農家が一俵二百円、これは全員の農家が負担をしております。出荷米六十キロ一俵に対して二百円でございまして、これは生産者の中には、特別自主流通米として売っていくことについてはいろいろな意見がありますけれども、いつまでもこういうふうに生産者が負担をして売っていくということについては大きな疑問を持っております。いわゆる悪いんだから安く売ってあたりまえだ、こういうふうに言われるわけなのですけれども、それをやらないと北海道の米は売れないよ、こういうふうに逆に言われております。しかし、先ほども申し上げましたように、私どもといたしましては、これは全体の品質のレベルアップといいますか、品質をよくする努力はこれは一生懸命続けてきておるわけです。そういう中で類別が五十四年度から実施されて、われわれ北海道の農民としては、何か北海道米は悪いんだというレッテルというか、烙印を張られたような感じがするわけでありまして、実際問題として非常にわれわれとしては不満を持っております。しかし、そうは言いながら制度として強行されておるわけでありまして、われわれとしては四類、五類といえどもこれは品質をよくして、こういうものをなくしていくようにしなきゃならない、こういう取り組みをこれからも一生懸命やっていかなきゃならぬだろうというふうなことも一つ考えておるわけであります。  しかし、今回の制度の中でこの自主流通米を法的に認めるということは、われわれとしては政府が直接管理するものをだんだん減らしていく出発点になるのではないかと。いままでのやはり落とし子を認知をして、そしてそれがだんだんだんだん大きくなっていくのじゃないか。そうなると、やはり食糧管理制度の根幹を守るとは言いながら、これは守れなくなるきっかけがここから出発するのじゃないかという心配は、これは依然として強くあるということをひとつ御理解をいただきたいと思います。
  77. 榊春夫

    参考人榊春夫君) 四類、五類米の特別自主流通扱いの問題でございますが、先ほども申し上げましたように、自主流通米というのはやはり政府の一律的な販売になじまないような良質米で、価格は少々高くてもこれが欲しいと、品質に対する要望にこたえると、こういうことで始まったものでありまして、これは政府の方から言っても生産者の方から言っても消費者の方から言ってもそれぞれ都合がいいということで成り立っているものだと思うのです。ところが、この四類、五類米の特別自主流通扱いということになりますと、明らかに生産者が非常な負担になることはただいま岡本参考人から説明のあったとおりでございます。しかし、そうは言いながら考えなきゃならぬことは、北海道の米が内地各県に、配給されている県は十一、二の県にとどまっている。それがさらに、わが県は要りませんぞというふうな県が次々出てくると、こういうふうな状況になっておりまして、そういった県ベースなりなんなりの扱いとは別に、個々の卸屋さんとすれば、その持っている需要、抱えている需要によってそういった米も使っていい、実は欲しいんだというふうに考えられる向きもないわけじゃないのですね。そういった需要を見つけ出してくる、言うならば市場リサーチをやるという意味において、やはり北海道が五割になんなんとするような生産調整を強いられている実情に対して、消費者の理解を求めて需要確保されるのならばそれもやはり努力する必要があるだろうと。しかし、いまお話がありましたように、生産者の大きな犠牲のもとにやらなきゃならぬことですから、生産者の理解と協力の得られる範囲でそういった試みの扱い方として市場リサーチをやっていくと、こういうふうなことでわれわれとしては取り組んでいるということでございます。
  78. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 時間が余りないようですから、一点だけについてお尋ねをしたいと思います。  不正規流通米の件ですけれども、この発生源は生産者から出るものと、それから流通段階から出るものとあると、このような御説明があったわけですけれども、これの——もちろんやみ米ですから中身はなかなか正確にはつかみがたいと思いますけれども、大体の推定で割合はどういう割合になっておるのか。  それから、生産者から出るやみ米というのは、保有米の余ったものとか予約限度超過米とか、大体はっきりしておるわけですけれども、この流通段階から出るやみ米というのは大体どういう理由でどういうものが出てくるのか。それから、そういうやみ米の発生を防ぐにはどうすればいいか。この点について、金山さんにお伺いをしたいと思います。
  79. 金山国次郎

    参考人金山国次郎君) はっきり実は申し上げるほどの資料がないわけでございます。ただ、感じから申しますと、生産者から出るであろう分については先生おっしゃったとおりでございまして、政府の調査でもいま百万トンぐらいは余っておると。その中で、ある程度のものは本当の縁故米として親類縁者に流れていくのであろうと。残ったものは、場合によればいわばやみ米というような形でそれが流れていくと。流れていった先で、まあ管理米を押し出すか、自主流通米を押し出すか、それが押し出す材料になってそっちからはみ出てくるというのが一つございましょう。  もう一つは、これは想像でありますけれども、いま政府管理米につきましては、いわば需要者の要請に応じて出しているのではなくて、計画で出しているわけでございます。たとえば、ことしはその計画の中で四類、五類というのが大都市でも相当配給されたわけでございますけれども、たとえばある卸し、たとえば下町ならば四、五類でも相当消化できる地帯があるけれども、山手の方になりますとなかなか消化する相手が多くないと。政府米の売却は画一的でありますから消化できる卸しにも消化できない卸しにも場合によればそれが同じ数量が行くと。そうするとこっちは消化できない。そうすれば、どうしてもこれは自主流通米に振りかえて、この分だけはだれかに引き取ってもらわなくてはいけないという形で、それが管理米がはみ出ることはあり得ると、こういうわけでございます。それがまあ言ってみれば、平年におきましても大消費地で政府の画一的な売却から来るやむを得ないひずみと申しますか、になるのではないだろうかと。ところが、今度の制度ではできるだけ需要にマッチしたもので供給計画を立てるというわけでありますから、それにわれわれは冒頭申し上げましたように非常な期待をしているということでございます。不正規流通米は私は減ってまいるのではないかと、こう思っておるわけでございます。
  80. 井上吉夫

    委員長井上吉夫君) 以上をもちまして参考人方々に対する質疑を終わります。  参考人方々に一言お礼を申し上げます。  本日は、皆様には、御多忙中にもかかわらず当委員会に御出席をいただき、大変貴重な御意見を述べていただきましてまことにありがとうございました。本委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十七分散会