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1981-05-14 第94回国会 参議院 内閣委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年五月十四日(木曜日)    午後三時四分開会     —————————————    委員の異動  五月十四日     辞任         補欠選任      堀江 正夫君     吉田  実君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         林  ゆう君     理 事                 藏内 修治君                 竹内  潔君                 矢田部 理君                 藤井 恒男君     委 員                 板垣  正君                 岡田  広君                 源田  実君                 中西 一郎君                 林  寛子君                 桧垣徳太郎君                 堀江 正夫君                 片岡 勝治君                 野田  哲君                 山崎  昇君                 中尾 辰義君                 峯山 昭範君                 安武 洋子君                 秦   豊君    国務大臣        農林水産大臣   亀岡 高夫君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       中曽根康弘君    政府委員        臨時行政調査会        事務局次長    佐々木晴夫君        行政管理庁行政        管理局長     佐倉  尚君        農林水産大臣官        房長       渡邊 五郎君        農林水産省経済        局長       松浦  昭君        農林水産省畜産        局長       森実 孝郎君        農林水産技術会        議事務局長    川嶋 良一君        食糧庁次長    石川  弘君        林野庁長官    須藤 徹男君        水産庁長官    今村 宣夫君        資源エネルギー        庁公益事業部長  石井 賢吾君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木 源三君    説明員        人事院事務総局        給与局次長    林  博男君        国土庁大都市圏        整備局筑波研究        学園都市建設推        進室長      井上 良藏君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産省設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 林ゆう

    委員長林ゆう君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  農林水産省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案の趣旨説明は前回聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  3. 矢田部理

    矢田部理君 中曽根長官が後の予定があるそうでありますので、冒頭に質問しておきたいと思います。  第二臨調が動き出したわけでありますが、今後の日程と行革プログラム等について、まず概括的にお話をいただきたいと思います。
  4. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ただいま臨時行政調査会委員皆様及び専門委員皆様おのおの審議を開始されております。それで、専門委員皆様方はいろいろな専門部会に分かれまして、当面は八つの専門部会がつくられておりますが、七月のいわゆる第一次答申に備えるために第一特別部会、第二特別部会がつくられました。第一特別部会におきましては大体補助金問題や歳入歳出関係、第二特別部会におきましては定員機構問題等中心で、いま審議されております。それから、第一専門部会におきましては行革理念及び今次行革体系等が論議されております。  大体この三つの、特別部会専門部会等で、この七月に予定されておりまする第一次答申内容について精力的にやっておられます。特に第一、第二の特別部会におきましては、今週は三日、部会を開いたりいたしましてやっていただいております。それで、恐らく六月末ぐらいまでにまとめられて、調査会に案が提出されて、そして七月の初旬に調査会として見解をまとめられて、答申があるものであると期待しております。  そこで、この第一次答申は五十七年度予算関係する、影響するものが非常に多いと期待されておりますので、政府の側におきましてもそれに即応できる体制を整えておく必要がある。そういうことで、政府・与党で協議をいたしまして、ことしのいわゆる概算請求上限枠設定を早めようと、こういう計画で進めておりまして、恐らく六月初旬ごろ、いわゆる五十七年度予算概算請求上限枠シーリングと称せられるものに関する協議が正式に行われるのではないかと予想されます。これで各省庁がその心の用意をし、またどういう内容臨調の報告で出てくるか、おのおの想定もいたしまして、いろいろ計数整理項目整理の準備をしていただく。そして、そのいわゆる上限枠シーリング設定によって大体のグラウンドの地ならしをやっておいていただいて、そして臨調の七月第一次答申が出ましたときに中身が出てくる。そこで中身の盛りつけを行って、そして八月末ごろまでの概算請求を行う、そういう段取りで進められるものと期待しでおります。  これが現在の状況でございます。
  5. 矢田部理

    矢田部理君 きょうは農水省関係の議案なものですから、それに関連する行革の問題について二、三お尋ねをしていきたいと思いますが、一つは、第一特別部会主要対象事項として、農水省関係では農業基盤整備事業、それから食管の運営の問題、さらには稲作転換対策などについてその議題に供すると。明日には農水省からのヒヤリング予定しているようでありますが、これはどういう視点でこういう問題を取り上げようとしているのかということを大臣に伺い、かつ農水省はこれにどう対応しようとしているのか、両大臣から伺っておきたいと思います。
  6. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 第一特別部会におきましては、国の歳入歳出に絡む事項についていろいろ検討を加える勉強を開始いたしました。したがいまして、各省庁関係で国の歳出歳入に関することについていろいろヒヤリングを行っておるところです。農水省におきましても3K問題の中の一つの問題である米の問題あるいはそのほかの農業構造改善、そのほかいずれみんな歳出歳入関係の大きい部分でもございますから、それらにつきまして現状がどういうふうになっているか、それに対する判断をどうすべきかという意味におきましてヒヤリングが行われるものであろうと想像しております。
  7. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 農林水産省といたしましては、行革に対する今日までずっとやってきた経緯並びに農林水産業現状問題点、特にただいま御指摘のありました基盤整備とか、生産調整とか、あるいは食管の問題でありますとか、こういう点をありのままに、現状を第二臨調皆さん方に御理解いただいて、そうして筋道の通ったきちんとした答申をいただくことができるように全力を挙げて御説明申し上げると、こういう心構えであすから対処したいと、こう考えております。
  8. 矢田部理

    矢田部理君 いまのテーマが歳入歳出にかかわることは私もわかるわけでありますが、第一次答申が七月十日にも予定をされているという前提としてヒヤリングをするとしますれば、この三項目等については直ちにこの歳出削減などを行うことを含みとしてヒヤリングを行うと、こういうことになるのでしょうか。
  9. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 簡素にして効率的な政府をつくるということが今度の行革一つ目的にもなっておると思います。そういう面から歳出歳入おのおのについていろいろ洗い出してみるという作業が行われつつあるのでございまして、いま、どの相手もどうするかということは決まっておらぬと思います。総括的に各省庁からその現状がどうなっておるかということを調べておる段階でございまして、それがどういうふうに行われるかということは、もう少し臨調審議経過を見てみないとわからない状態でございます。
  10. 矢田部理

    矢田部理君 まだ内容的には詰められていない、これからの課題だということでありますので、もう一、二点伺っておきますが、補助金一括削減あるいは整理問題がもう一つの焦点になっているわけでありますが、これについてはその一括論という方向づけがなされているのか、それとも個別に内容検討して、たとえば不要不急のものであるとか、政策目的をすでに達成したものというような別の個別的、具体的な基準を立てて進められるおつもりなのか、その辺の考え方はどんなふうになっているのでしょうか。
  11. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) いま補助金性格あるいは補助金状況について勉強が始まったという段階でございまして、補助金をどういうふうに処理するかという考え方方針についてはまだ決まっていないと思います。
  12. 矢田部理

    矢田部理君 少なくとも一括削減ということになりますとどうしても弱いところにしわ寄せが来る、あるいはその内容を十分検討しないまま一律一括に減らすというやり方には多くの問題点があるだろうというふうに考えられるわけです。特に警戒心を強めておりますのは、財界主導型になりはしないのか、あるいはまた先ほど長官からもお話がありましたが、これから理念とか哲学についても検討を願うということになりますと、何かこの理念検討が少なくとも先行して決まったところで次のステップへ行くべき筋のものなのが、並行的に審議されることから理念と各論との間に距離が出てくることはないのかというようなことについても心配、懸念をされている向きがあるわけでありますが、その辺はどういうふうにお考えでしょうか。
  13. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) この点は同時並行的に進行しておりますが、専門委員の中には兼ねておられる方もございます。そういう意味におきまして、同時並行ではございますけれども、いろいろ連絡し合い、おのおの進行状態に応じておのおの内容を深めていくと、そういうことになると思っております。
  14. 矢田部理

    矢田部理君 もう一点、当面の緊急課題として公務員関係議題が出ております。その一つ国家公務員定員給与退職金合理化という項目があるのですが、現在国会では、特に衆議院内閣委員会中心にして退職手当の減額問題について法案が出されているわけです。一方でこれが出されておるのに、またこの退職金合理化という項目臨調議題に供される、論議に供されると、これはどんなことなのか、どういう視点でこういう問題が出されてきたのか、この点をお伺いしたいと思います。
  15. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 現在の法案は、いわゆる五十五年行革大平行革のときにすでに決められまして、先行列車となっていま軌道の上を走ってきたわけでございます。それで、五十六年行革におきましてまたいろいろな考え方で案をつくりましたが、いわゆる第二臨調という新しい観点から、さらに大きなスケールで国の歳入歳出やあるいは行政あり方等全般を見直すという新しい視野のもとに点検が行われているということでございまして、私は矛盾するとは思いません。第二臨調の場合は、さらに大きな視野からいろいろのものとの関連において今日的時点において検討を加えてみると、そういう新しい意義があると思っております。
  16. 矢田部理

    矢田部理君 この辺のやりとりは、また別の機会があるだろうと思いますからこの程度にとどめますけれども、本格的に新しい視野に立って給与退職金等についても全体的に洗い直すということであるとするならば、先行列車だけあわてて走らせることにはいささかの問題がありやしないか。むしろ、そこも含めてもう一度全体的な洗い直しなり見直しを考えてはどうなのかという感じがないわけではありませんけれども、それは私の意見にとどめておきたいと思います。  時間がありませんので、敦賀の原発問題に関連して何点かお尋ねをしておきたいと思います。  この原発問題がきわめて深刻な事故として、あるいは放射能漏れとして、社会問題あるいは政治問題になっていることは改めて私から申し上げるまでもありませんが、その中で一つ問題になっておりますのは、現地に通産省から運転管理専門官配置をされております。その人たちがよくその任務を達成したのかどうか、権限や保安に対する管理監督がどうであったのかというようなことが本質的な問題として問われている一方で、そのメンバーの一人に、農水省から省庁間配転通産省に行かれた方がおられます。そのことがマスコミにも問題にされ、とりわけマスコミ記事を幾つかながめてみますと、三人に一人は米検査官であると、あるいは原発配転された米検査官というようなことで社会面記事になってきているわけでありますが、どうもこの通産省筋の動きから見ますと、そういう人たちに問題の責任を転嫁する意図でこの種情報を流したのではないかというような疑問も出されております。事実はどうだったのかを、まず通産省の方からお答えをいただきたいと思います。
  17. 石井賢吾

    政府委員石井賢吾君) お答え申し上げます。  四月の二十一日、一部新聞記事としていま先生御指摘のような記事が掲載されましたが、私どもといたしましては全くかかる形での、あるいはわれわれの意思に全く反するような記事が出ましたことを非常に遺憾に思っておるわけでございます。  現実に十五名、現在各地の原子力発電所専門官を常駐させておりますが、数といたしましては、そのうちの五名は五十五年度におきまして農水省の御協力を得て配置転換をいたした者でございますが、これらにつきましては、現実にこれまで配置されておりました十名の運転管理専門官補佐役という立場において仕事をしていただく、要するに勤務条件等が合致し、かつ優秀な方でございますので、地元との関係の連絡及び事務記録体制整備、そういったことで現在仕事をしていただいているわけでございまして、そういった新聞記事のようなことは、私どもとしましては専門官制度に対する痛烈な批判だというふうに受けとめざるを得ないと思いますが、そういう表現での批判というのは、私どもの本意と全く反する記事であるというふうに思っております。
  18. 矢田部理

    矢田部理君 ただ、ある記者がたまたま書いたというだけではなくて、四月二十一日、一斉に各紙に掲載をされているんですね、その種記事が。毎日、朝日、日経など。としますと、単に観測記事で書いたとか憶測で書いたとかということではなくて、どこかから意図的に流したのではないかという疑いが強いのでありますが、その点いかがですか。
  19. 石井賢吾

    政府委員石井賢吾君) 私ども、そのような記者会見ないしそういう情報提供を行ったことは全くございません。そのような記事を見まして、二十一日、当日でございますが、夜七時からの記者会見におきまして、配置転換された者が米検査官ではないということ、それから、そもそも当庁においてそのような発表を一切してないわけでございますし、当庁としましては、現在、配置転換された方がきわめて優秀で地元でも歓迎を受けているという事実、それから私どもとしまして、さらに配置転換を受け入れていきたいということを考えておりますので、そういった基本的な考え方、あるいは敦賀発電所の事故問題と専門官、特に農水省から配置転換をいただきました専門官と全く関係がないということを二十一日の記者会見で私ども発表いたしておるわけでございます。  そういうことで、私どもとしましては、専門官制度に対する批判ということでそういう記事が出たということはきわめて遺憾であると思っておりますので、機会あるごとにこういうことの誤解を解くという努力をいたしていきたいというふうに思っております。
  20. 矢田部理

    矢田部理君 この点、まだお聞きしたいことがあるわけでありますが、中曽根長官との関係で少し次の質問に移ります。  もう一点だけ確認をしておきたいのは、農水省から省庁間配転通産省が何人かの方々を受け入れたわけですが、とりわけ、この原発という高度の技術、理論なり経験なりも必要とする分野に、どうも私が聞いたところによれば、一日程度通産省機構とか原子力関係についての研修を行ってそのまま配置をすると、後でしばらくしてから一週間程度研修を行ったということでありますが、全く専門外分野に、しかもこの原発に対する保安指導監督に当たるという重要な役割り、大ぜいの人たちがそこに配置をされているのならいいんですが、わずか三人の配置の中に位置づけると、仕事性格とか内容は配慮している向きはあるわけでありますが。ということが一体どうなんだろうか、本人の資質とか能力を超えてそういう省庁間配転配置をすることが一体どうなんだろうかという問題がもう一つ問われているわけです。  そこで、この省庁間配転を実は進めてきたのはほかならぬ行管庁であるわけでありますが、今度の問題に即して、行管庁としてこの問題をどういうふうに受けとめておられるか、その点、長官から伺っておきたいと思います。
  21. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 先般の敦賀発電所の問題につきまして、ただいま御指摘のような新聞記事が出ましたことははなはだ遺憾でございます。配転で来られた方々の名誉を傷つけることでもございますので、われわれの方も早速通産省真相を調べてわれわれの方へ報告してほしいと要請をいたしました。その後、全農林江田委員長から政府に対しても抗議がなされまして、私も直接お会いして抗議文を受け取ったものでございます。そういう経緯もございまして、この問題は看過してはならぬ問題で、行管庁としても配置転換を大幅に進めようとしておるやさきでございますから、この将来の配置転換に差し支えがあるようなことがあってはならない、そういうような名誉が汚されたというようなことが万一あればこれは救済しなければいかぬ、そういう考えに立って通産当局等についても厳重に真相説明を求めたところでございます。通産としてはいまのような答弁がございました。しかし、将来にわたってこの問題は大いに戒心すべき問題である、そのように考えております。  原子力発電所に対する専門官の派遣という今回の事案を見ますと、農水省から来られた方は非常に優秀な方で非常に勤勉でもあったようであります。したがって、通産省から来ておる、技術的なことをよく知っておるその専門官補佐官として一緒に働いてもらうという分については何ら差し支えがない、能力もあり、りっぱな人である、そう思いまして、この事件があったからといってこれを変更する必要はないと、そう考えております。ただ、今後配置転換をするに際しましては、民間の企業等においては一カ月以上の研修をやりまして、徹底的に仕事を教え、また職場に習熟させるということをやっておるのでありまして、そういう点について大いにわれわれもこれは検討を加えなければならぬと思った次第でございます。
  22. 矢田部理

    矢田部理君 職場労働組合もそうなんでありますが、日本の官僚機構縦社会であります。しかも雇用終身雇用制というような形が実態化しているわけでありまして、そういう中で全然別の分野配転をするということになりますと、本人の心身の苦労はもちろんのこととして、相当の条件整備をしなければこの問題がやっぱりスムーズに流れることはないと、そういう立場から、労働組合ども条件整備なしに省庁間配転をすることは困るということをかねてから主張をしてきたわけであります。  今回のケースにちなんで問題を指摘をしますと、わずか一日程度説明、しかも、これは十二月に配転をして、二月ごろに一週間程度また訓練をした、あるいは研修をしたようでありますが、原子力安全性管理監督保安についての指導というような、これはまあ個別の力量にもよりますけれども、高度の役割り、重要な任務をやっぱり負わせることはいささか無理があったのではないかというふうに実は考えられるし、特に今度のように米検査官云々というような誹謗中傷名誉棄損まで行われるということになりますと、省庁間配転には非常に一石を投じたのではないか、問題点を提起したのではないかというふうにも考えられるわけでありますが、農水省としてはどんなふうに受けとめているんでしょうか。  どうもこの行管庁が進めている省庁間配転は、私の理解するところによると、スクラップ・アンド・ビルド方式で、農林省がスクラップ化され、ビルド化しつつある通産省の方に人を渡すということが中心のように思われるわけです。五十五年度から始まっているわけでありますが、去年、全省庁省庁間配転が行われたのは八十九人のところ、農水省が実は八十五人なんですね。これまでのことは、どちらかというと本人希望中心省庁間配転をやったということでありますから、それはそれなりに経過としてはわからないわけではないんですが、ただ、これから相当大量に省庁間配転をやるという場合には、無理をして動かすということも実はあり得るわけですね、あってはならないと思いますけれども。そんな場合に、条件整備もなしにこういうことがどんどん推進をされることにはいささか問題があると。今度の事件に即して農水省としてこの点をどういうふうに受けとめておられるか、どういう考え方に立ったか、この点を大臣に承っておきたいと思います。
  23. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 私もあの新聞を見て、見たその瞬間には、せっかく農水省が骨身を削って他省庁協力をする体制をとっておるのに、こういうふうに取り上げられると今後なかなかやりにくくなるなという感じを持ったのが最初でございまして、すぐに聞きただしましたところ、御承知のように、昨年十一月から十二月にかけまして、八十五人の配転農水省からいたしたわけでございます。通産省に対しては、六人の希望者を募りまして、五人だけ通産省行きを希望をし、一人はこれは不成立になったわけでございます。その通産省に参りました五人のうちの四人は、地方局からの配転でございます。食糧庁からは一名の配転でございます。したがいまして、やはりそれぞれの各省庁配置転換が、この際は本人希望等十分調査をして、そうしていま矢田部委員指摘のような手続を十分に経て行われたものと私は承知いたしております。今後も手続としてはそのような処置をしてやっぱりやりませんと、そうやって行った先でもこのような批判を受けることもあり得るわけでありますので、やはり受け入れていただいた各省庁においては、十分なる教育訓練と申しますか、その職務に十分たえるだけの処置を講じていただいた上でやはり現場の仕事に当たらしてもらいたいなと、そういう希望を持っております。
  24. 矢田部理

    矢田部理君 これで中曽根長官関係は終わりますけれども、五十五年から始めてこんな重大な事件が起きますと、もう、今年度はまだ方針が出てないようでありますが、対応できないというような声すら農水省の中には実はあるわけであります。その点で、今後の問題の扱いについては、省庁間配転についてはとりわけ慎重にやっていくべきだということと、その前提として、この問題については、先ほど長官からもお話がありましたように、全農林からいろいろ申し入れ書なり抗議が出てきております。この始末といいますか対応をきちっとやりませんと、問題はより複雑になるということでありますので、長官としてはこの対応を今後農水省職員等に対してどんなふうになされようとしているのか、この点を伺って終わりたいと思います。
  25. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 今回の事件で、新聞の報道によりまして、農水省関係配置転換で来られた方々に大変御迷惑をおかけした結果になったことははなはだ遺憾でございます。しかし、これを頂門の一針といたしまして、配置転換につきましては、おっしゃいますように、条件整備それから研修そのほかにつきましては、万全の対策を講じて今後推進してまいりたいと思います。
  26. 矢田部理

    矢田部理君 農林水産大臣に伺いますが、言うならば農水省は被害者であり、通産省側は——犯人が特定できませんのでそういう言い方をしますが、言うならば加害者側という関係に立っているわけですが、大臣として通産省に何かこの問題について抗議するなり措置を求めるなりの対応はしているのでしょうか。
  27. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 事務当局を通じまして各省庁に、こういうことを、まず事実関係がどうなのかという問い合わせばすぐにもいたしたわけでございます。ところが、先ほど通産からお話のありましたとおりの回答が返ってまいりました。しかし、あのようなとらえ方をされるというその背景には、やはりどこか心の緩みなり何なりがあるからこそやられたんじゃないかと、こういうような感じを持ちまして、二度とこういうことのないように、本人たちが、もう配転を募りましても、ああいう取り扱いをされるようなことではもう希望がないというようなことであってはこれは困るわけでございますので、各省庁に対しましても、二度とああいうことのないような、やはり先ほど行管長官からも、私から申し上げましたような配転後の研修なり何なりに万全を期していただいてということを要請をいたしておるところでございます。
  28. 矢田部理

    矢田部理君 通産省の方で先ほどから幾つか問題点指摘しているわけですが、大変遺憾だったと、事実は違うということになりますれば、それを内外に明らかにし、その真相究明をすることはもとよりでありますが、今後そういうことが起こらないようにどういう措置をとろうとしているのか。  それから配置転換者、それを抱える全農林等の労働組合からもいろんな抗議なり申し入れがあるわけでありますが、文書で謝罪なり陳謝なりをすべきだと思うんですが、その点はどう考えておられるか伺っておきたいと思います。
  29. 石井賢吾

    政府委員石井賢吾君) 最初に専門官制度お尋ねでございますが、その前に若干釈明をさしていただきたいと思います。  昨年十二月に農水省からの配置転換によりまして受け入れました五名の方と、現地に赴く前に私時間をかけて懇談をいたしております。それで、なれない空気の中で仕事をしていただきますので、いろいろな問題があればもうすぐに私に言っていらっしゃいという形で激励してお送りしたわけでございます。その後、現地の仕事状況をまずはだ身で知っていただきまして、その上でそれぞれその仕事の間にお持ちになった疑問等をできるだけ次回の講習で解きほぐしていきたい。さらにそれに加えまして、原子炉運転等の専門的知識あるいは基礎的知識について講習をするという形で、実は私ども講習計画を立てたわけでございます。現在はオン・ザ・ジョブ・トレーニングと申しますか、それぞれの場所において専門官と一緒に仕事をしていただくということで進めておるわけでございます。  さらに御本人に対しましては、新聞報道がございましたので、直ちに私どもの運転管理室長からそれぞれに電話をいたし、かつ国会等でこの問題数回にわたりまして質疑が行われております。それぞれにつきましての質疑内容はファックスで御本人に送りまして、私どもとして配置転換された方々に、通産省としては全く記事と違った、基本的な認識はこうであるということを御理解いただけるような努力を払ってきておるわけでございますが、今回の専門官のあり方が問われておるという事故の発生によりまして、ただいま専門官制度の見直しを急いでおるところでございます。  これまで、言うならば電気事業者と規制当局——私どもとの関係で信頼関係の上に立って仕事をしようということで進めてきたわけでございますが、きわめて残念なことですが、信頼関係が必ずしも維持できてなかったという現実に逢着したわけでございますので、そういった側面を、法的規制を背景にしながら専門官制度が運用できるようなことで現在改正を考えております。そういう改正をした段階におきまして、専門官を呼び集めましてよくこの改正の趣旨及び今後の運用方針について十全を期するような打ち合わせを十分にいたしたいというふうに考えております。  それから、二十三日付で全農林からいただきました抗議申し入れ書に関しましては、私ども農林御当局の御協力を受けまして現在全農林お話し合いをいたしておるわけでございますが、私どもとしましては、大臣の指示を受けました任命権者としてのエネ庁長官からはっきりと謝罪し、かつわれわれの真意をお伝えするという努力をしていきたいというふうに思っております。
  30. 矢田部理

    矢田部理君 一応謝罪なり真相を明らかにするものを書面で全農林あてに出すということですね。
  31. 石井賢吾

    政府委員石井賢吾君) 私ども記事そのものが出されましたことがきわめて遺憾でございますので、その旨を十分にお伝えするということで考えておりますし、またわれわれとしまして、配置転換者につきまして今回の事故と全く関係ないということ等われわれの基本的認識はお伝えするつもりでおります。
  32. 矢田部理

    矢田部理君 近々農林水産大臣等にもお話をし、かつ労働組合に対してもその趣旨、意向を伝えるということで処理したいと、対応したいと、こういうことですね。
  33. 石井賢吾

    政府委員石井賢吾君) はい。
  34. 矢田部理

    矢田部理君 それは、私の希望では、できればやっぱり文書で態度を明確にしてほしいということを強く要望しておきたいと思います。  この点はこの程度で終わりたいと思いますが、やはりどうも農水省省庁間配転のターゲットにされているという印象が強いんです。ですから、安易に今度の問題に即して考えても私は応ずるべきでない。やっぱり慎重にやらなきゃならぬ。現にこの専門官制度そのものにも問題があるわけでありますが、原子力安全性管理監督指導を、その人の能力の問題、資質の問題を超えて全く別の分野にいた人がやるということが適切なのかどうかというようなことも、これは行管庁中心に進めているわけでありますが、もうちょっとやっぱりこれは慎重に判断しなければならぬ問題だと思うんですよ。だから、マスコミの中にもこんな記事まであるわけですね、恐るべきおざなり行革と。こっちに余ったから次のところへ人を移せばいいというやり方だけではやっぱり行革は進まない。そういうことで、とりわけ配置転換省庁間でやるということには大変問題があるということをやっぱり十分認識をしてこれから対応をしていただきたいという希望だけ申し上げておきたいと思います。  次の質問に移ります。  筑波の問題でありますが、筑波の研究学園都市は昭和五十四年に概成、おおむねでき上がったということになっています。そうしますと、今回問題になっております農業研究センターは、当初政府予定をした政府関係研究機関の筑波移転とどういうふうにかかわっているのか。位置づけその他についてまず御説明をいただきたいと思います。
  35. 川嶋良一

    政府委員(川嶋良一君) 当初の計画にはなかったわけでございますが、その後の状況の変化によりまして農事試験場の一部というものを、農事試験場という形で農事試験場が移転をする機関に入ったわけでございます。この農業研究センターというのは、農事試験場その他の機関の廃止あるいは振りかえ等によって構成をされる予定になっておりますので、そのときには移転機関としてもろもろの計画の中に入れていただくということになっているところでございます。
  36. 矢田部理

    矢田部理君 これは国土庁に伺った方がいいのかもしれませんが、この農業研究センターの設置、移転が決まりますれば、政府関係の研究機関としては全部これで完了すると、あるいはこれが最後になるというふうに考えていいのでしょうか。
  37. 井上良藏

    説明員(井上良藏君) お答えいたします。  この筑波への国等の研究機関の移転につきましては、当初四十三の機関が閣議の了解をもちまして決定されたわけでございますが、その後二機関が追加されまして現在四十五の機関、これがすでにほぼ概成したわけでございます。今後の移転につきましては、現在政府でつくっております筑波研究学園都市建設推進本部というのがございまして、ここで議論をいたしまして、適正なものは了承して設置をしていくという形になっておりますので、その議論を待って進めていくことになっております。
  38. 矢田部理

    矢田部理君 従来計画したものはこれで終わりになるということですね。
  39. 井上良藏

    説明員(井上良藏君) そのとおりでございます。
  40. 矢田部理

    矢田部理君 そこで、政府関係の四十五でしたか、の研究機関については、今回の農業研究センターで一応終わることになるわけでありますが、この研究施設の移転につきましては、当初予定はいつごろ概成する予定だったのか、それから現実には、まだこれが最後ですが、残っているということで相当おくれているわけでありますが、どの程度おくれたのか、その点を伺います。
  41. 井上良藏

    説明員(井上良藏君) 国等の研究機関の建設につきましては、当初五十年に概成をするという予定で進めていたわけでございますが、その後経済問題等多々ございまして、それが再度五十四年に概成するというふうに変更をされました。その五十四年の決定どおり一応概成は終わった段階でございます。
  42. 矢田部理

    矢田部理君 いや、これが最後だと、農業研究センターが最後だということになれば、まだ終わっていないということになりはしませんか。
  43. 井上良藏

    説明員(井上良藏君) 概成というもののとらえ方でございますが、研究所の業務といいますものはいろいろ新しい部門も出てまいるわけでございまして、そういうことで概成という考え方は、従前の業務ができる内容の施設ができ上がるのをほぼ私ども概成と、こう申し上げておるわけでございまして、今後いろいろなそういう新しい研究等が加えられていきます場合の施設増設等は当然なされていくものであろうかと考えます。それから、全く新しいものの新設につきましては、先ほど申しましたように、国に設けております筑波研究学園都市建設推進本部におきまして、適切な機関の新設あるいは移転が出てまいりますればそこで議論をいたしまして対処していくということになっておるわけでございます。
  44. 矢田部理

    矢田部理君 ここの議論を余り空回りさせたくないのですが、今回の農業研究センターは、農事試験場の一部移転という、従来あった答申そのものではありませんが、それを土台にしてセンター的なものをつくるということですから、どちらかと言えば本来予定をされていた機関の移転、設置ということになりはしないのか。そうだとするならば、五十四年概成という概念のとり方にもよりますが、ようやくこれから法案審議をして最終的に仕切るわけでありますから、それに基づいて設置が決まるということになって初めて概成というか、一般落というふうに考えられるのではないのかと、こう聞いているんです。
  45. 井上良藏

    説明員(井上良藏君) 今度の新しいセンターにつきましては、われわれ農水省から聞いておりますところでは、すでに農事試験場の施設としまして整備されている施設及び共同施設として整備されている施設を利用して研究等がなされるというふうに聞いておりますので、そういう全く新しい新設というふうにはとらえていないわけでございます。
  46. 矢田部理

    矢田部理君 施設はすでにできている、そこを利用するので概成は五十四年というふうに受けとめていると、こういう趣旨ですね。  そこで、次の質問でありますが、そういうことで研究施設等は五十四年概成、今回でいずれにしても最後ということのようでありますが、同時に生活環境整備といいますか都市機能の整備といいますか、そういう視点では著しく実は学園都市の建設はおくれているというふうに私は受けとめているわけでありますが、これについての基本構想、これはどうなっているのか。どの程度の水準にまで達したのか。今後残されている課題、問題等はどんな点があるのか。それをまず概括的に説明してほしいと思います。
  47. 井上良藏

    説明員(井上良藏君) この都市の基本計画につきましては、先ほど申しました筑波研究学園都市建設推進本部におきまして基本的な大綱をつくりまして、その基本的な方向を示しますと同時に、都市の施設の整備計画の概要も本部におきましておおむね定めているわけでございます。そのうち、現在この都市につきましては、用排水施設あるいは交通施設等の先行的に整備すべき施設につきましてはほぼでき上がっているところでございます。しかしまた、人口見合いの施設につきましても、ショッピングセンター、小学校等それ相応の整備をいたしてきているわけでございますが、やはり何と申しましても、こういう大きな都市をつくっていきます場合の都市機能の完全な整備といいますものは、非常に長期間にわたるわけでございます。また、人口の増加に比例いたしまして整備すべき施設がたくさんあるわけでございまして、そういう意味で、購買施設だとか、あるいは交通関係の施設、医療施設等の不備もまだ残されているところでございますが、そういうものの整備について今後努力していきたいというふうに考えているところでございます。
  48. 矢田部理

    矢田部理君 少しく概括的なので個別的に伺いたいと思いますが、研究施設はあそこに移動をしましたけれども、どうも人が定着をしない。東京からの通勤者や単身赴任者、家族を前のところに残している、そういう人たちが実は多いわけであります。一体それはなぜなのかということになりますと、決定的と言っていいぐらい住む環境になっていない。都市機能の整備がおくれていることに大きな原因がありはしまいかと。たとえば交通機関でありますが、言うならばどんどん視察にも行くわけでありますが、八〇%の人たちがマイカーに頼らざるを得ない。バス等もないわけではありませんが、非常に時間の問題でも、それから間隔の問題でもまばらにしかない。したがって、どうしてもやっぱり個人の車に頼らざるを得ない。あるいは、研究者が多いわけでありますから、東京や大学に資料の収集や勉強、打ち合わせ等にやっぱりしばしば出てくるわけでありますが、もう帰りは交通機関がありませんから、言うならばもうタクシーに乗らざるを得ない。こういう交通機関が決定的に整備されていない。この点一体どう考えるのか。
  49. 井上良藏

    説明員(井上良藏君) 御指摘のとおり、人口定着がまだ十分ではございません。人口の計画はこの都市二十万でございますが、現在約十二万六千程度でございます。特に計画的開発を行いました研究学園地区十万の人口予定でございますが、そこに現在二万七千程度の人口定着でございます。  この原因といたしまして、御指摘の都市機能がまだ十分ではないという点も確かにございます。そのほか、やはり大きな原因といたしましては職場の問題があろうかと考えております。そういうことで、都心地域を整備して第三次産業人口を張りつける、あるいは周辺の工業団地等の市街地を開発いたしまして職場を確保するというような施策を講じてやっていく必要があろう。都市機能の向上ということと職場の確保というものを両輪のごとく打っていかなければいけないんじゃないかというふうに考えているところでございます。  特に御指摘の交通問題でございますが、確かにああいう場所でございますので交通の不便はかなりのものであるわけでございますが、国土庁におきましては、当初バスの無償供与あるいはバス路線の強化というようなことで努力いたしてきておりまして、また、特に五十四年度概成を控えましては、一年間に九系統のパス路線を強化するというようなこと、バス会社等と交渉しながら強化を図ってきたところでございますが、確かに言われるとおり十分ではございません。しかし、今後こういう問題につきましても鋭意関係のところと協議しながら、できるだけ強化していきたいというふうに考えているところでございます。
  50. 矢田部理

    矢田部理君 それは社会福祉施設や文化施設についても言えることでありまして、いろいろ当初都市機能の整備ということで立てられた計画もまだ、一部はもちろんできておりますが、十分にでき上がっておらない。たとえば、研究学園都市であるならば、当然当初予定の図書館などはこれはもう最低必要なものだということですが、いまだに具体化しておらない。もちろん医療の体制も、とりわけ救急医療の体制等がきわめて不十分というようなことから、言うならばあそこに住もうにも住めないというのが現実じゃないかというふうに思われるわけです。  その中で、では一つ中心的に取り上げていきたいと思いますのは高等学校なんです。当初の計画では高等学校を四校つくるという計画になっておったのですが、県立高校は一校しかできない。あと私立の高校がありますが、これは筑波の人たちを対象にした高校とは必ずしも言いがたい。むしろ海外に行っている人たちの子弟を預かるというふうなことを中心に、筑波大学系列の人たちがつくった高校であります。したがって、実際問題としてこの六町村の人たちが筑波学園都市の関係町村ということになり、将来町村合併を予定しているわけでありますけれども、ここの中にはいわば県立高校一つしかない。したがって、そこに住む人たちの、言うならば子弟のうち二割五分程度しか地元の高校に通えない、こういう実態なんですね。  したがって、研究施設はできたけれども、そういう都市機能なり教育、社会、文化諸施設等ができないために、言うならば定住しない、なかなかあそこに家族ともどもやっぱり住めない、こういう現状があるわけでありますが、高校問題について一体どういうふうに考えておられるのか、教育問題についてどういう取り組みをしようとなさっておるのか、その点を承りたいと思います。
  51. 井上良藏

    説明員(井上良藏君) 高校につきましては、この都市の計画におきましては四校つくるという計画になっておりまして、御指摘のとおり、二校すでにでき上がっているわけでございます。そのうち一校が県立、一校は私立ということになっております。その県立高校については五十四年度に建設したところでございますが、しかし非常に評判もよろしゅうございまして、土浦等からの学生の流入等もあり、確かに狭き門になっておるというような状況でございます。しかし、五十八年までの県の計画によりますれば、土浦に一つ県立の高校をつくるということになっておりますので、そういう意味でかなり緩和されるんじゃなかろうかというふうに考えております。
  52. 矢田部理

    矢田部理君 他町村に、ほかの地区にある高校に行けというのは少しく問題があるわけでありまして、やっぱり新しく移り住んだ人たちの需要をその地区で満たせるような都市環境の整備といいますか、教育問題を含む生活環境の整備をやる責任が政府としてあるのではないですか。もともと四校という計画もそのことを私は指していたものというふうに受けとめているんですが、そうじゃないんですか。土浦とか、もうちょっと遠いところに高校ができるからということで、そちらに乗るということにはならないんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  53. 井上良藏

    説明員(井上良藏君) 現在のところ、高校の学区といいますものはこの六カ町村だけの区域でございませんで、多少それよりも広い区域にまたがっておるわけでございまして、そういうことで現在、ここにできました高校はかなり評判がよくございまして、そういう外部の地域から流入しているという現状があるわけでございます。そういう意味で、先ほど申しましたように土浦に一校できますれば、そういう流入がなくなり、この地元方々の入りやすいものになるというふうに考えているところでございます。
  54. 矢田部理

    矢田部理君 一部は緩和されるかもしれませんが、移転者の二五%の子弟しかその移転地区の学校に行けない、あとは他の地区に通学せざるを得ないというのは、当初の移転計画からしても、それから今日的なやっぱり移転をした方々立場から見ても、いかにもひどいということになるんじゃないですか。もちろん、これは県立高校ですから県が負担すべきだという議論も一部にはないわけではありませんが、もともと県の施策として研究学園都市をつくったのではありません、誘致運動その他はやったかもしれませんけれども。高校は県が主としてあれは基本的には責任を持つことになるわけでありますが、こういう国の施策として研究施設を大量にやっぱりあそこに持っていったということになりますれば、県の負担ではなくて、むしろ国の負担として、あるいは政府の責任においてあそこに当初予定した四校ぐらいの高校は責任を持ってつくるべきだというふうに考えますが、国土庁いかがでしょうか。  それから、農林水産大臣にもぜひこの点は——農水省関係の施設、研究機関が非常に多いわけです。だから、何とかセンターをつくればそれで終わりだということではなしに、関係閣僚あるいは省庁が集まって推進本部もできておるわけでありますから、その都市機能、都市環境の整備のためにも一段の御努力をしてほしいというふうに考えるわけですが、国土庁と農林水産大臣の双方からこの点についての考え方を承っておきたいと思います。
  55. 井上良藏

    説明員(井上良藏君) 高校の規模につきましては、現在、あちらへ移転、移住いたしました公務員に見合った分の、数量的には十分でき上がっているわけでございます。ただ、先ほどから申し上げましたように、それ以外の方々も多数に流入されるというのが現状でございまして、この辺は県全体の急増地域対策等もあり、なかなか高校の数が少ないという現状もあるようでございます。そういうことでわれわれもできるだけ早く、あの都市につくっていただくようにというふうにお願いして、用地の用意等協力をいたしておるわけでございますが、確かに言われましたような問題がございますので、今後ともその辺につきましては努力はしてまいりたいと考えております。
  56. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 国家事業として筑波学園都市を計画し、しかもこれを建設して概成を見たわけでございます。私どもも実はその環境の整備には人一倍神経を使い、また速やかな整備を図ることに全力を挙げておるわけでございますけれども、やはり地元県との関係等があって、いま御指摘の高校等は、これはやはり県の方でお願いをしなくちゃならぬという問題でございます。そういう点につきましては国土庁が中心になって、もう、四校建てますよと、こういう計画を決定をいたしておるわけであります。それがなかなかやはり実現できないということは、いろいろ事情はあるかとも思いますけれども、やっぱり日本きっての科学者があそこに集まって、そして将来日本が生きていくために必要な科学技術の開発をひとつ懸命にやろうという意思決定をして、あれだけの投資をしたわけでありますから、あれを国民のためになるような科学技術の開発をするためには、やはりあそこに技術者がもう本当に心の底からあそこを愛して、そして研究に没頭できるような環境を、これはもう政府としてもやはり全力を挙げてつくっていかなければいかぬ。そういう意味においては、私はいま国土庁の関係者の答弁を聞いておって、まことに心もとないと。これはやはり国土庁長官に私から申し上げまして、そしてそういう点の環境整備には、概成したんだからもういいんだといったようなことじゃなく、やはりあそこの成果が最大に発揮されるようにしていくことが私どもの務めである、こう考えております。
  57. 矢田部理

    矢田部理君 医療は自治体の責任だ、あるいは教育は県の責任だということではなしに、そこももちろんかかわることになろうかとは思いますけれども、やっぱり国家的事業として推進をしてきたわけですから、県は他の人口急増地帯等もあってなかなか手が回らない部分も実はあるわけです。その点ではやっぱり国自身の責任で高校の一つや二つはつくるというような構え、あるいはその進め方にしませんと、実際やっぱり人が移り住まない。そのことは家庭が落ちつきませんし、子供のことも気になりますから研究成果も上がらない。あるいは東京から通勤をせざるを得ないということで、勤労者に非常に無理を強いる。当然のことながら、いろんな面で出費がかさむ状況が今日も続いているわけです。その点でやっぱり十分に留意をしてほしいというふうに考えます。特に、笑い話みたいな話でありますが、商店なんかも非常に少ないために、商品の選択幅がないんですね。隣のうちに奥さんが遊びに行って、あら、うちのスリッパがこちらに来ているわと、こう言う。同じスリッパしか売っていないものだから、そんな笑い話まで出るような始末なんですよ。その点で、全体の生活環境の整備、都市機能の充実ということに特段のやっぱり御努力を今後とも関係政府筋でいただきたいし、とりわけ農水省関係機関が非常に多いわけでありますから、農水大臣がやっぱり積極的なプロモーターになってほしいというふうに考えます。  と同時に、農水大臣にもう一点伺っておきたいのは、そういう条件下にあるために、言うならば移り住んだ人たちあるいはその研究機関に勤めている人たちの出費がかさむと、交通費にしてもそうだと思います。ということはお認めになりますか。
  58. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 実は、私も就任しますとすぐあそこに行って、農水省の施設が御指摘のように十幾つかございますので、非常に多いわけでございます。やはりあそこの成果が日本の農政に及ぼす影響は大きいものですから、すぐにあそこに飛んでいきまして、いろいろ事情を聞きました。その中にいま御指摘のような線も実は訴えられたわけでございます。そういう点につきまして、帰ってまいりまして技術会議を中心にいたしまして検討を命じたわけでございますが、経費がかさむという点は確かに認めざるを得ないと、こんな感じがいたします。
  59. 矢田部理

    矢田部理君 そこで、人事院おいでになっておりますか。——人事院にお聞きをしておきたいと思うんでありますが、筑波に移転する人たち中心にして、ここ十年ばかりの間、筑波手当というのを支給してきました。給与に八%程度上乗せして支払うという方式でありましたが、その期限が当分の間ということでありましたが、当分の間というのは十年という理解で、どうも今年末あたりにその十年目が来るということになっておりますが、実際問題といたしまして、研究施設はできたが、いまるる論議をしましたように、都市環境、生活環境の整備が決定的におくれている。農水大臣も言われているように、そのために大変な出費がかさむというような状況が依然として続いているわけですね。  それからもう一つは、筑波に行かれた研究者や関係方々は、筑波に希望して行ったのではなくて、東京が過密で研究体制に支障が出ると、あるいは過密過疎対策の問題もあるということで、東京の一部がそのままあそこに移動したんだということで、いわば東京の一部なんだという認識もあるわけですね。そういうことから、東京に住んでいれば支給されてきた調整手当といいますか、それと同じ式のものを実は移転手当として当分の間支給されてきたが、これをこのまま打ち切られるのは大変困る。したがって、引き続きこれを今後とも恒久的に支給の体制をとってほしいというような要望が非常に強いと思うのですが、この点人事院としてはどんなふうな検討をされ、かつ対応をされようとしているのか、まず伺っておきたいと思います。
  60. 林博男

    説明員(林博男君) 先生御指摘のとおり筑波研究学園都市移転手当というものがございまして、これは試験研究機関が円滑に筑波の方に移っていただくようにという趣旨で昭和四十六年につくられたものでございます。それで、その当時の改正法の附則におきまして、十年をめどといたしましてこの手当の改廃に関する措置について人事院が国会と内閣に勧告するものとするというふうになっておりまして、ことしの十二月がそのタイムリミットと、こういうことになるわけでございます。  それで、検討の方向でございますが、先ほどからお話が出ておりますように、四十六年当時、大体昭和五十年に概成が終わると、その後若干の期間を置きまして十年と。こういうことで十年という期間が定められておると、こういうふうに私ども理解しておるわけでございますが、お話に出ておりますように、これがかなりおくれておる、こういうことでございますから、そういうことを頭に置いて検討をしたいというふうに考えておるわけでございます。
  61. 矢田部理

    矢田部理君 十二月のたしか十四日あたりがタイムリミットだというふうに聞いております。そうなりますと、その結論はいつごろ、どんな形で出される予定なのか。
  62. 林博男

    説明員(林博男君) まあ十二月でございますけれども、それまでの間には毎年給与について報告を申し上げて、必要と認めた場合には国会と内閣に勧告を申し上げる、こういう時期がございますので、できることならばそれまでに結論を得たいということで、いろいろ出ております生活環境の整備状況であるとか、あるいは職員の定着の状況であるとか、そういったものについて調査をやっておる、真剣に検討しておるということでございます。
  63. 矢田部理

    矢田部理君 八月ごろまでに何か結論が出そうだと。公務員給与の勧告がいずれにしてもその時期に予定をされていると思うのですが、そのころまでには結論を出すという考え方でしょうか。
  64. 林博男

    説明員(林博男君) でき得れば、せっかくの機会でございますから、そういうときまでに結論を出して何らかの措置を勧告申し上げたいと、こういうことでございます。
  65. 矢田部理

    矢田部理君 そこで、内容にかかわるわけでありますが、実態調査等も行っているということですが、あそこにおられる方々希望、要求としては、単に建設計画がおくれたからその分だけ暫定的に延長するということではなくて、恒久的なものにしてほしいと。名称はともかくとしても、言うならば調整手当、都市手当的なものの性格づけをしてやってほしいという点が一点と。それから、移転者には移転手当が出ておるけれども、その後採用になった者については実はこれは支給をされておらない。移転手当という名称からそうなってきたのでしょうけれども。ところが、同じ生活者の立場から見れば、不便さとか生活環境の整備のおくれとかということで出費がかさむことについては全く同じなんですね。加えて、同じ職場で同じ仕事をしていながら、他方は八%つく、そうでない人はつかないということになりますと、いろいろ人事管理上にも問題があるというふうにも言われているしするわけなので、恒久的なものにするだけではなしに、筑波研究学園都市の政府機関に勤める人々については全員に支給をすべしという要求。さらにはこの三年間の異動保障——筑波から転出する場合に、通常筑波以外なら行われるであろう異動保障的なものも考えてほしいというような要求が出されているわけでありますが、実態調査の中ではこの辺の検討も含めてやられているのでしょうか。
  66. 林博男

    説明員(林博男君) いま先生御指摘のように、これを恒久的な制度にすべきであると、あるいは地元採用といった方も含めまして全員を対象にしてもらいたい、あるいは筑波研究学園都市からさらに異動された場合にはこれを異動保障の対象にしてもらいたい、そういう三つの点につきましては関係の職員団体等の方からも十分に御要望を伺っております。ただ、制度本来の趣旨からいたしまして、やっぱり異動がないという地元の採用の方というのは、これは全国的ないわば市場から優秀な方を採用してくる研究者といったような方の場合と比べまして、やはり事情が違うということがございまして、付近にいろいろ官署がございますけれども、そこに勤務される方には手当がついておらないわけでございますから、研究学園都市周辺のそういった方々との均衡という問題も片一方ではやはり考えなきゃいけないということでございます。ただ、そういう御要望が非常にございますので、職員の定着あるいは採用の状況といったようなものにつきましても調査をいたしまして、そういった項目をも検討の対象に含めながら検討してまいりたいと、かように考えております。
  67. 矢田部理

    矢田部理君 農林水産省としては、いまの筑波手当を都市手当として恒久化すべし、あるいは全員支給にしてほしい、三年間の異動保障も考えてほしいということについては、どういう見解をお持ちでしょうか。
  68. 川嶋良一

    政府委員(川嶋良一君) 私どもといたしましては、各般のことについて関係省庁にお願いしているわけでございますが、本件につきましてもいろいろな段階に要望を申し上げておりまして、昨年の段階では調整手当に準ずる形の手当を支給してほしいと、こういう要望を出しておりますし、また先ほど来御議論いただいておりますような状況でございますので、本年等についてもいろいろとまたお願いを申し上げてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  69. 矢田部理

    矢田部理君 農林水産大臣にも、関係機関が多いという意味でその点特段の御努力をいただきたいと同時に、国土庁これで終わりますけれども、この学園都市建設のプロモーターあるいは世話役が国土庁であるわけでありますから、関係省庁にも働きかけて、そういうやっぱり待遇面、単に建物をつくるというだけではなくて、待遇面あるいは生活環境面の整備も一段とやっぱり努力をしてほしいということを特に申し上げておきたいと思いますが。
  70. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 御趣旨十分体しまして、善処してまいりたいと思います。
  71. 井上良藏

    説明員(井上良藏君) 御指摘の点いろいろ承りまして、努力をしてまいりたいと存じます。
  72. 矢田部理

    矢田部理君 それから、人事院にも申し上げておきますが、これは衆議院の附帯決議でも、いま私の質問に関連する部分が、「当該区域に勤務する職員の勤務条件の改善、特に筑波研究学園都市移転手当について適切な措置を検討すること。」という附帯決議がついているような状況もあるし、いま関係省庁の意向も、単に労働組合の意向ということだけでなしに、全体的なやっぱり意向となっているわけでありますから、単に改正がおくれたからしばらくは暫定的に検討してみようということではなしに、恒久化の問題も含めて、真剣に人事院として詰めてはしいということを特に強く要望しておきたいと思います。いかがですか。
  73. 林博男

    説明員(林博男君) ただいま先生のお述べになりました御意見等も十分に頭に入れまして、さらに附帯決議をちょうだいしておるということも腹に入れまして、真剣に検討いたしたいと、かように考えております。
  74. 林ゆう

    委員長林ゆう君) 人事院、もう結構だそうですから……。
  75. 矢田部理

    矢田部理君 農林水産省中心に話を伺っていきたいと思いますが、先ほど中曽根長官からも伺いましたが、農林水産省として行革に対する取り組みの姿勢について、言うならばいろんな議論が出されているわけです。たとえば農林水産大臣が消極的で、鈴木総理から特別おしかりを受けたとか、何とか圧力団体ができて云々とかいうことも指摘をされているわけでありますが、さらにまた農林水産省は、件数の点から見ると補助金の問題などについては一番件数が多いということもあって、どちらかというと攻撃の矢面に立たされていることもわからないわけではないし、また余り弱いところにしわ寄せされるのはどうかという見解も私自身持っているわけでありますが、今後の行革への取り組み、とりわけ補助金の整理等については何らかの具体策、対応策を考えているのでしょうか。
  76. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 鈴木内閣が財政再建を中心として、とにかく行革を強力に進めていこうという方針を決定いたしましたので、私としても農林水産省において検討をもういたしておるところでございます。これはもう常に行政改革に心がけることは当然なことであるわけでございます。幸い非常にいま国民的世論が盛り上がってきておるわけでありまして、この機会を逃しては真の行革はなし得ないのではないかと私自身も考えております。したがいまして決意を新たにして、第二臨調答申等がございましたならば、これを中心にしてこれが実現をしてまいりたいと、こう考えております。  しかし御承知のように、農林水産業というものは、自然的な条件あるいは経済的な条件あるいは社会的な条件を考えてみましても、非常に不利な面を持っておることは、これはもうだれしも否定し得ないところでございまして、こういう条件下において、国民の命から二番目の大事な食糧を生産をしておるという、そういう実態を正しく認識した上において日本の農林業、水産業というものの現状が、いま国際的な環境の中にあってどういう立場に置かれておるのかということを正しくこれを把握をして、そしてやはり筋の通った答申があるものと、こう私は期待をいたしておるわけでございます。  ところが、その私自身農林水産大臣でございますから、日ごろ農林水産大臣の職責を声高らかにこう言明いたしますと、行革に消極的になったという活字が次の朝出てくると、こういうことであるわけでございまして、これはよほどしっかりして取り組まないととんだことになるぞと、こういう感じも持っておるわけでございまして、自来、まあ機会あるごとに筋の通った行革答申と、第二臨調答申ということを申し上げておるところでございます。そのかわり、筋のある答申が出ました限りにおいては、これは断固として実行をしてまいると、こういう姿勢をとっておる次第でございます。
  77. 矢田部理

    矢田部理君 行革の問題は、いずれまたいろいろな議論の機会があると思いますからその程度にいたしまして、農業と食糧の問題について、大臣の基本的な考え方なり受けとめ方を伺いたいと思いますが、八〇年代の世界における農産物の需給見通し、これはどんなふうに見ておられるのでしょうか。
  78. 松浦昭

    政府委員(松浦昭君) 八〇年代における食糧の需給の見通しでございますが、世界的な状況でこれを把握して申し上げますると、現時点におきましては、熱波がアメリカに起こりましたとかあるいはソ連の二年連続の不作とか、いろいろな状況がございまして、昨年はかなり需給が逼迫するという状況であったわけでございます。しかしながら、本年に入りまして、アメリカの小麦の豊作が予想され、あるいはアルゼンチンその他の諸国におきましてもかなりの作柄の好転が見込まれておりまして、さよう状況でやや食糧事情は昨年に比べますと好転の状況にございます。  しかしながら、これを中長期の観点から考えてまいりますと、やはり世界の今後農業に投下される資源的な面、特に土地の面といったようなものは制約がございますし、また一方におきまして、開発途上国におきまするところの人口の増あるいは飼料穀物等がより将来需要が増すであろうといったような観点がございまして、このような観点を総合いたしますと中長期的には食糧の世界的な需給事情は楽観を許さないものというふうに考えておる次第でございます。
  79. 矢田部理

    矢田部理君 七〇年代前半がどちらかというと逼迫した状況、後半になって持ち直したが、八〇年代に再びそういう情勢が出てくる。不安定要因もいろいろある。加えて、人口増なり開発途上国の問題などを考えてみますと、全体的に食糧問題は長期的に見れば容易ならざる状況にあるという認識が私自身にもあるわけでありますが、そういう中にあって、日本の食糧の自給力が大幅にやっぱり落ち込んできている。そこで、自給力をどう向上させていくかということが、農業団体あるいは農家のみならず、政治の世界にとってもきわめて重要な課題になっていると思われるわけでありますが、いまの自給力の実態、それから問題点と、今後の農水省としての自給力向上に向けての取り組み、展望等について大臣からお話をいただきたいと思います。
  80. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 食糧自給力が年々低下をしてきている、これは大変だということで、農政に対する政府の姿勢を正さなければいかぬ、こういうことで、昨年、衆議院、参議院において食糧自給力強化に関する決議というものがなされたことは私も十分承知をいたしております。  この国会決議を踏んまえ、なおかつ昨年答申を急いでもらって出してもらったところの農政審議会の「八〇年代の農政の基本方向」並びに「農産物の需要と生産の長期見通し」というものの閣議決定等を通じまして、やはり国内で生産し得るものはできるだけ国内で生産をするという体制をしく、同時に、どうしても国内で生産しても需要に追いつかないという面、たとえばこれは主に飼料でございますが、えさ、そういう飼料穀物、そういうものについては安定的な輸入の体制を確立をする、この両々相まって食糧の安全保障の体制をつくり上げていく、こういうことでございます。  しかるところ、とにかく食糧関係に関して見ますれば、十年後、今日においても自給率の方は大体の横ばいで七十数%の線をずっと維持してきておるわけでございまするし、今後の見通しにおいても食糧の方はそういう心配はない。ただし飼料穀物、これがやはり肉の消費が伸びていく関係をどうしても見逃すわけにいかないということで、この面が若干需要がいまよりも多くなる。国内で小麦とかあるいは大麦とか豆類とかを生産をいたし、あるいはトウモロコシ等を生産をいたすといたしましても、千六百万トンに及ぶ飼料穀物を全部賄うなんというようなことはとてもとてもできない。どうしてもその面についての需要が伸びる。こういうことで、飼料穀物を含めた穀物自給率は三四から三〇にならざるを得ない。  この点は、私も責任大臣として、何としてでもこの数字は横ばいなり何なりに維持することはできないかということを農政審議会の方にも再三検討をお願いしたわけでございますが、これはやはり国民の需要構造、食生活の態様等からいって、どうしてもその点はこれはやはり自給率が落ちざるを得ないんだ、そういう厳しい認識を持って農政に取り組んでもらった方がいいということでああいう長期見通しの数字に相なったわけでございまして、これは国会の方からもたびたび御指摘を受け、弱腰じゃないかという御指摘も受けているわけでありますけれども、それがぎりぎりの線である、こういうことでございます。  この長期見通しと農政審議会の答申、それから国会の御決議、これを基本にいたしまして、国内で生産——米はこれはもう一〇〇%どころじゃない、古米処理に非常な財政支出をせにゃならぬといったような状態でございまして、この米については需給のバランスをとるという強い方針を打ち出し、施策を打ち出しておるわけでございます。そして、大豆はほとんど輸入に頼っているわけでありますが、日本で納豆とか豆腐とか、そういうものを日常食料にいたしております大豆の六割は日本でつくろう、小麦も自給率を少し上げよう、こういうことで生産奨励の道を展開をいたしておる、こういうことでございます。  一面、魚離れと申しますか、ことしの漁業白書でも指摘されておるわけでありますけれども、畜産物が伸びまして、魚が若干下降線をたどっておる。やはり魚は、最近二百海里時代に入りまして入漁料という金を払わせられるところが多くなってきておりますけれども、これはほとんど、畜産物よりもどちらかというと格安に生産することができるわけでありますが、畜産物は非常に高いものにつくわけでございます。そういう意味においては、魚の消費というものをダウンさせないようなやはり日本型食生活というものをこれは定着をさしていかなくてはならぬ、これが基本である、こういうことでいま懸命の努力をいたしておる次第でございます。
  81. 矢田部理

    矢田部理君 総括的にお答えをいただいたわけでありますが、大臣も言われておりますように、全体としては七割前後の自給率になっているわけではありますが、やっぱり穀物が大きく落ち込んでいるというところに一番問題点があるように思われます。  同時に、それをどうして高めていくのかということになりますれば、一つは過剰と過少の問題がある。さらには、外国の輸入農産物とのかかわりを抜きにしてはちょっとやっぱり自給の問題は考えられないという課題がある。そしてまた、いろんな方策、方途を講じたとしましても、何といってもやっぱり価格の問題の裏打ちを実際どうやっていくのかというようなことがこれはかねてから言われていることでありますが、非常に大事だという感じがするわけでありますが、その辺の問題をもうちょっと具体的に説明いただけませんでしょうか。
  82. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 御指摘の線、もうそのものずばりを御指摘いただいたわけでございますが、やはり昭和五十四年度の数字でございますけれども農林水産物で輸入いたしておりますのが二百八十九億ドル——三百億ドルに近い物を買うておるわけであります。そのとき、五十四年度の輸入総額がたしか千百億ドルをちょっと切るくらいだったと思うんですが、そのような状態でありまして、もうとにかく現在でも、ECにしてもアメリカにしても、カナダにしても南米にしても、アジアでもどこの国でも、日本に参りまして、私のところにおいでになる方々は、顔を見ると、われわれの方が安くできるんだからわれわれの国の農産物を活用してくれと、それが日本のためになるんですよということで、特にニュージーランドの総理とか豪州の皆さん方とかというのはその点非常に強うございます。さらに、英国の皆さん方も、日本に売るのは食料しかないということで、チョコレートの関税を安くしてほしいとか、とにかく日本に対して農林水産物資をいかにして売りつけるかというのがもう日本に駐在しておる外国の大使さん方の主要な任務じゃないかと言われてもいいほどの、外国からのこの農産物のやっぱり輸入要請というものが強いわけであります。  そういう中で、やはり日本の農民の諸君が生きていくためには、相当思い切った外国との折衝をやらにゃいかぬと、こういうふうな感じを私は持ちまして、実は畜産物でニュージーランドと長い間ごたごたがございました。ECともやはり畜産物関係で、酪農品関係でごたごたがございました。したがいまして、私も強く、しかも日本の実態をありのまま相手にぶっつけまして話し合いをした結果、今後、当分日本に対する農産物の輸入の増大は言わないと、そのかわり減らさないでくれと、こういうところで話をつけることができたわけであります。  そのようにして、やはりこれは漁業においても畜産においても、その他の農産物、アメリカがまた柑橘類をもっと買えと言ってくるに違いありません。そういう際に、日本の農家の立場を相手によくわからせる、これが私はこれからの農政の一つの大きなポイントであろうと、こう思います。弱気になってやっていったんでは追いまくられると、こういうことと同時に、それだけの情勢を納得さして相手に同調を求めていくためには、やっぱり日本の農業も努力をして、そうして相手の国に弱みを見せないという努力をしていかなけりゃならぬということをしみじみ感じました。  ニュージーランドのマルドーン総理が、われわれは日本からテレビや自動車やあらゆる物を買っていると、それは日本が上手にいい物をつくってくれるからだと。ところが日本は、われわれの方が上手につくっておるバター、われわれの方は日本に比べたらチーズのつくり方も数等上手だと、それだから、上手な者のつくる物を買って下手な物はやめたらいいと、こういうことを言うわけでありますね。しかし、それは困りますよと、日本はやっぱり牛を飼いたいという農家がいるんだから、牛を飼う以上は、乳をしぼってバターとチーズをつくらにゃいかぬのだ、それをチーズをつくっちゃ困るなんと言われたんじゃこれは内政干渉ですよ、日本には日本の立場があるんですから、その辺は余りむちゃを言ってもらったんじゃ困りますよと、日本だってずいぶん年々金額にしておたくの方の物を買っているんですからということをよく話しましたら、最後にはわかってもらうことができました。  そういうようなことで、これはもう非常に厳しい中でありますほどに、日本の農業者の皆さん方も団体の皆さん方も、そういう点を真剣にやっぱり考えて、相手を説得するだけの努力を日本もやっていくということを私は要請をいたしたいわけでございます。今回、繭糸価格等においてもその点をずいぶん国会の方からも御指摘をちょうだいいたしまして、あの線におさめたわけでございますが、やっぱりああいう努力をすることによって、私は二国間で話し合いをする際に、日本もこれだけのとにかく厳しい体制をとったんだ、だからあなたの方も少しは遠慮してくれと、こういうことで、話し合いで農産物の輸入の増大を防止をしていくというのがやはり一番大事だと、こんなふうに考えていま指導をいたしております。
  83. 矢田部理

    矢田部理君 少しく私も議論したい各論的な問題も幾つかあったのですが、日本の農業が確かに国際競争力は弱いということは事実だと思いますが、これはやっぱり狭い国土というようなことも含めて、農民自身の責任ではなくて、やっぱり地理的、客観的な条件、制約があるということがあるわけでありまして、そういう問題はあるにしましても、また短期的に見ますといろいろ外国との貿易摩擦その他もあることもわかりますが、どうもやっぱり、さっきお話があったように、長期的に見ますと世界の食糧供給はきわめて不安定である。あるいは人口増やいろんな問題を考えれば、将来いろんなことが予想をされるわけでありますから、やっぱり長期的に見れば食糧の自給力を強めていく、高めていくということに格段の努力をしていきませんと、たとえばこの二十年間で農業就業人口は半減してしまった、しかも専業農家は少なくなって、ほとんどが兼業農家、農外所得に依拠をしているという現実があるわけでありますから、そうなってくると農業の担い手そのものがやっぱりなくなってしまう。  国際的な食糧危機が出てきたときにどうなるのかということも含めて考えると、内閣委員会ですから、これは食糧の本当は安全保障というような角度からもう少し実は議論を詰めたい点も幾つか資料的にもあるわけでありますが、その点はもう私から言うまでもないとは思いますが、十分にやっぱり心してやってほしいし、とりわけ外国とのかかわりについて農家の人たちは、やっぱり輸出立国である、工業製品の輸出の犠牲にされているのではないかという、まあ事実そういう面もあろうかと思うんでありますが、かなり厳しい受けとめ方をしているんですね。兼業農家から農外収入へ、こちらに重点が移ってしまって農業の担い手そのものがやっぱりなくなってしまう、これをどうつくるかということも一つ大事でありますし、また同時に、自給力の向上、強化ということに意を尽くしてほしいと思うんであります。  一点だけ具体的な問題について申し上げると、たとえば飼料用の穀物、これがほとんど輸入に頼っている、何とかこれを日本で生産できないのかということが農家自身からもやっぱり問題が提起をされているわけでありますが、特に最近では、このえさ米を減反あるいは作付転換の後につくろうという動きが各地で起こってきているわけであります、飼料用穀物として。ところが、これが農水省が余りバックアップしないで、どちらかというと農家のカンパでやっている。みずからこの資金を集めて零細資金でこれをやっていく、まあ、試験田的なものでありますけれども、現段階は。こういうことではやっぱりいかぬと思うのですが、この点の見解だけちょっと伺っておきたい。
  84. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 実は私が就任早々筑波に参りましたのも、そのえさ米のことを見たいばかりに行ったわけであります。やっぱり水田の地力を活用して生産できるという強みがあるわけでございますので、ただ、その多収穫品種の南方系の品種は非常に脱粒性が強くて、実が入りますとちょっと動かしてもぼろぼろぽろぽろ落ちてしまうという脱粒性があるということ、それと、えさとして果たして採算に乗るかどうかということ、それから採算性がとれるようにするためには多収穫品種でなけりゃならぬということ、これらの条件をそろえて奨励しなけりゃいかぬわけでありますが、いろいろ、全国から集まった技術者の諸君の多収穫米、いわゆるえさ米に対する意見等も十分私としては自分で確認をしたつもりでございます。  したがいまして、この水田を活用できるという意義を将来大きくやっぱり生かさにゃいかぬと、そのためには新品種の造成が一番だと、遺伝子の組みかえというようなこともできる世の中になったわけでありますから、そういうことを駆使して、ひとつ技術陣を挙げてこのえさ米の開発、品種造成に努めろと、こういうことでいま予算を計上いたしまして、国を挙げて実は乗り出しておるわけでございます。したがいまして、国の、県も通じての品種試験、そういう品種改良の試験に提供してもらうところのいわゆる試験田等につきましても、これは生産調整のいわゆるカウントをしてもいいじゃないかと、そのくらいのことをしなけりゃなるまいと、こういうことでいま検討をさせ、近く通達を出していきたいなという気持ちでとり進めております。えさ米に全く農水省が冷たいなんていうようなことはございませんので、その点はひとつ御理解をいただきたいと思います。
  85. 矢田部理

    矢田部理君 時間がなくなりましたので、これは外務省にも実は過剰米、古米の処理問題で一輸出、無償援助等の問題について、少し私の希望、提案もあり、話をしたかったのでありますが、ちょっと申しわけないのですが、外務省、後で別の機会にあれしたいと思います。海外技術協力との問題もあったのですが……。  そこで最後に、時間が来てしまいましたので、農林水産大臣に三点まとめて伺います。  全部研究センター関連でありますが、当初、研究センターをつくるに当たって二十一名の新規増を大蔵省に要求していたようでありますが、実際にはこれは削られて実現しなかった。その結果、研究室を五つ削減をしたというような経過があるようでありますが、そうなってきますと、今後の人員配置と研究体制を一体どうするのか、当初予定しておったものをどういうふうに賄っていくのかという問題が出てくるわけでありますが、その点は現場の意見等も十分に聞かれて、今後研究体制等に支障がないよう前向きに充実、検討を図ってほしい、その点の考え方を一点伺っておきたいことがあります。  それから二番目には、鴻巣の農事試験場からの移転が予定をされているわけでありますが、この移転問題については労使間である程度協議はなされておるわけでありますが、今後やっぱりどうしても移転できない地元方々とか、あるいは計画がおくれたためにいろんな障害、支障も出てくることも予定をされているわけでありますので、出血とか強制配転はしないという前提に立って十分に組合との話し合いをしてほしい、この点についての見解を承りたいのが第二点であります。  それから三番目には、全国的な研究センターの意味を持つ今度の農業研究センターの今後の役割りについての要望でありますけれども、当然いままで個別的にいろんな試験場なり研究機関があるものを、総合性それから中心的な役割りを担わせるということでは私も十分理解できるわけでありますが、それだけではなしに、開かれた研究機関として、地元や県との連携も密にしながら、地域的なメリットについてもひとつ研究の成果を地域のやっぱり農民の方々や自治体等にも十分にプラスになるような方向で役割り考えてほしい、こういうこと。  以上、要望と質問を兼ねたような話になりましたが、三点について農林水産大臣の見解を承って、私の質問を終わります。
  86. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 研究センターの機構整備機構充実につきましては、今後も厳しい財政事情の中ではありますが、省内の配転等を十分きわめまして、試験研究にいささかも支障を来すことのないような体制をつくっていきたい、そのために全力を挙げたいと思います。  それにつきましては、農水省というところは技術は余り重んじない省と言うと怒られるかもしれませんけれども、とにかく東京大学を出ても、農学部を出た人は局長になれないというようなことがまだあるわけですよね。私も行ってみてびっくりしているんです。ですから、やっぱり私はこれからの農林水産行政というものは、技術と法律関係事務と、ソフトウエアとハードと渾然一体となった中から生まれ出してくる、にじみ出てくる活力がやっぱり推進力となって農民のための真の農林水産行政が生まれてくるものと、こういうことを行きますとすぐにいろいろ話しまして、そうして五十六年度の予算技術総括審議官というものを設置していただきました。そうして、これが官房長とよく打ち合わせをしながら、やっぱり管理者としての技術者を養育して、訓練をして、そうして高級理事者、高級管理者としての仕事ができるようにしていかにゃいけません。そういう人をやっぱりセンターの所長ぐらいにしませんと、技術者は技術者でもう下ばかり向いちゃったような形になっちゃって、本当に建設省あたりと比べますと何かこう——おしかりを受けるかもしれませんけれども、私率直に感じたわけでございます。したがいまして、そういう点を是正していくためにも、この研究センター等の人事の充実につきましては心してやっていきたいと考えます。  鴻巣の試験場の移転につきましては、これはもういろいろな事情も聞いておりますが、犠牲者の出ないように、出血のないような方策でおさめていきたい、進めていきたい、こう考えております。  私も筑波に参りまして、地元方々にもお集まりいただきまして、地元の試験場の皆さん方にもお集まりいただきまして、一緒に市町村長さんやあるいは協同組合長さんや農業関係者の方々、あるいは普及員の皆さん等も集まってもらいまして、そしてここは皆さんの試験場ですよと、ですから筑波の試験場の所長さん、場長さん方も、とにかく研究データが本当に農家のために光を放つようなことをするためには、やっぱり開かれた、いろんな人の意見を聞いていくことが大事だからということで、やかましくその点は言うてございますので、これからもそういう点に十分気をつけてやってまいりたい、こう思います。
  87. 山崎昇

    ○山崎昇君 きょうの私の質問時間は大分削られてしまって、予定より三十分ぐらい少なくなってしまいましたから、後日に大半譲ることにして、二、三お聞きしておきたいと思いますが、実は私の手元にことしの三月、財団法人行政管理研究センターというところで行政ビジョンに関するアンケート調査というのが行われまして、それの結果報告の書類を持っているわけなんですが、そこでまず農水省関係の分についてあなたの感想を、大臣ひとつ聞いておきたい。  これを見ますと「今後力を入れたい生活分野」という中で、第一位が住生活——住むところ、これが二四・七%。二番目が食生活二一・四%。三番目が教養・文化一六・三%。四番目がレジャー・余暇生活一四・一%。大体こんな順序で並んでいるわけなんで、そういう意味で言うと、食生活が二番目でありますから、このアンケートに応じた方の五人に一人は食生活を重大視をしているということになれば、言葉をかえて言えば、その最も身近な担当省としては農林水産省が最も重要だという考え方に立っているんじゃないだろうかというふうに思います。また、重ねて中央官庁の印象についてこれがアンケートをとっておりますが、最も親しみを感じる官庁はどこかと——農林水産省が第四位というんです、建設省は七位ですね。それから、最も強力であると考える官庁はどこですか——農林水産省が十位、建設省が十二位。頼りにしている官庁はどこか——農林水産省が第三位、建設省が第十一位なんですね。  だから、住生活が重要だというわりあいに建設省には余り高い評価はない。二番目であります農林水産省に対して親しみを持っておるし、強力であるとも考えてもおるし、かなりアンケートに応じた人は頼りにしているんではないかと、こう思うんですね。そういう意味で言うと、大臣能力いかんは別といたしまして、私は農林水産省という官庁というのはきわめて国民生活にとりまして重大な官庁であると、こう判断して間違いないんじゃないだろうか、こう思うんですね。  いま、ざっと私は二、三御紹介申し上げたんだが、このアンケートの結果について、まずあなたはどんな感想をお持ちか、それからまずお聞きをしておきます。
  88. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 率直に国民の意向を表明したものとして、もう私どもはそのような国民の気持ちを大体中心にして農林水産行政を進めておると、こういうような気持ちを率直に申し上げたいと思います。
  89. 山崎昇

    ○山崎昇君 そこで、いま矢田部委員から、一部国際的な食糧の需給問題に関連して方針を伺ったわけなんで、ダブッてお伺いすることになるんですが、一九八〇年代を迎えて、一体これからの農政の基本というのはどこにあるんだろうか。大ざっぱに私は中身を四つほどに分けてお聞きをしたいと思うんですが、一つは農業政策、二つ目は林業に関する政策、三つ目は水産業、そして四つ目は畜産、大体この四つぐらいに大ざっぱに分けて、どういうあなたは基本方針でこれから臨もうとするのか。これは後日、行政機構改革がいま重要な段階にありますだけに、私は農林水産省機構のあり方とこれは関連をしてくると考えて、あなたのまず基本的な考え方をきょうはお聞きをしておきたい、こう思うんです。
  90. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 先ほども触れたわけでありますけれども、昨年、国会で食糧自給力強化に関する決議が出されたということ、それによって農政の位置づけを国権の最高機関の国会でやっていただいたという認識を持っております。  次には、二、三年かかってなかなか答申が得られなかったわけでありますが、私も就任いたしまして、第二期生産調整を進めるには、八〇年代の農政の基本方向並びに長期見通しというものがなければこれはもう農家に生産調整協力を呼びかけれないよと、こういうことで生産調整答申を急いでいただいたわけでございます。この八〇年代の基本方向という答申、長期見通し、これらを踏んまえて、とにかく生産並びに輸入の食糧の体制を図るということを基本にしていかなければならないと。それにいたしましても、日本でつくれるものはできるだけつくらなければいけないということで、自給力を維持、強化をしていくという姿勢を基本としなければならない。  その際何としても、米を食わなくなったわけでありますので、その食わない米をつくっていいのかどうかという問題、これは私はもう食わないものをつくっていったんでは農家はやがては大変な事態になるわけでありますから、これは多少厳しくとも生産調整で需給のバランスをとるような方向にリードしなければならぬと、こう思いまして、この点を強く打ち出しております。そして、日本でできるものはできるだけあの十年後の長期見通しに基づいた目標のもとにやってまいる。そのためには、えさ米の研究も大々的に、積極的にやる。同時に私は、えさ資源の、草資源の開発というものが、これがもう日本は非常におくれております。学問的にもおくれております。もう大学で草問題を研究する大学というのは数えるほどしかございません。国立大学ではほとんどやってもらえない。こういうことでありますので、やっぱり草資源の開発、これに全力を尽くす。  幸い、酪農とかそれから施設園芸とか、養鶏とか養豚とかについては、非常にやっぱり農家の諸君の積極的な姿勢が出てきておりまして、もう酪農のごときは形の上では一応ヨーロッパ並みの酪農ができ上がりつつある。しかし、内容は非常な無理をしてやっておりますので、その内容は厳しい、苦しい状態でありますから、この厳しさ、苦しさをこれからの施策によって取り除いてやれば、酪農あるいは養豚、養鶏、そういう面においてはこれは十分国際的に対応できる体制ができると。にしても、やっぱりえさ資源をもっともっと積極的に開発していかなければならないということで、その面に力を入れさせております。それから養豚、養鶏につきましても、これは何といってもえさでございますので、このえさを安定的に求めることのできる体制、それがためのASEANに対する経済協力、南米に対する経済協力、そういうふうにいたしましてえさ資源の確保をしてまいりたい、こういうことで大体やっております。  林業については、これは私はもう率直に言わしていただくならば、やっぱりこの辺でもう少し林業に対する国民の意識を強くしてもらいたい。そのためには、就任しました次の日に文部省にお願いして、小学校の学習指導要領、中学校の学習指導要領、あの中に残念ながら治山治水に対する、森林に対する、林業経営に対する重要さというものを教えるようにというところが一つも書いてない。これはもう全く私は驚きまして、これは文部省にお願いをしてこれをやっていただかにゃいかぬ。日本はいま山が非常に荒れております。荒れておりますために、マツクイムシ等の跳梁を許しておるというふうにも見ることができるほど荒れております。  それと、林野庁に言わせるといろんなことを言いますけれども、やっぱり造林面積が年々減っております。これは私は大変なことだと思うんです。二千四百万ヘクタールのこの林野面積に植林がどんどん進んでいって、一時は四十万ヘクタール以上の造林をしておったわけでありますが、現在は二十万ヘクタールを割るというような状態、こういう状態ではいけませんので、私も林野の組合員の皆さん方とも話しているんですが、やっぱり林業というのは郵便と同じで、手を使わにゃ木は植えられないんです。どうしても農業のように機械化できない。そういうことでありますので、やっぱり山から人をおろさない、減らさない。  それには、国有林が幸いにああいうふうな体制であるわけですから、これをもっともっと林野の皆さん方にも働いていただいて、日本の山を美林にして子々孫々に渡していくという処置をいまとらなければ大変なことになる、こういうような感じがいたします。山に木がなくなりますと水が切れてきます。四国の川のごときは、もう雨が降らなくとも茶色になって流れておる。こういうような事態も出てきておりますので、そういう面を五十六年度の予算編成にも、大分大蔵の諸君をあれしまして、拡大造林というような線を打ち出していただいた。造林をこれから積極的に展開をしていきたい、こう思います。  それから水産でございますが、これはもうなかなか大変なあれでありまして、一千万トンの漁獲をこの厳しい情勢の中で上げております。これは私は大変なものだと思います。これを維持してまいりますことがやっぱり食糧自給力を高めているゆえんであると、こう思います。ところが油が高い、もう入漁条件、二百海里の中における漁業の条件が非常に厳しくなってくるということ、こういう問題について、やはり外交的な体制をとって、そうしてできるだけ信頼関係を打ち立てて漁業の展開を進めてまいると。  同時に私は、捕鯨業というものはもう日本からなくしちゃいかぬと思うんです。ところが私の部屋に、農水大臣の部屋にうず高くアメリカから来た陳情書を積み上げてあります。十何万通かになっております。いまでも毎日来ております。それは、鯨をとってはいけない、鯨を食べてはいけないという陳情書なんですね。近く国際捕鯨委員会が英国で開かれますが、あそこの会議に参りますと、捕鯨関係方々が非常な苦労をして、やっと一船団だけの捕鯨の情勢を確保しておる。これによっても雇用は相当なものを持っておるわけでありますので、これを今後も存続していくために、やっぱり皆さん方の御協力もちょうだいしたいという感じがいたすわけでございます。農水省といたしましても全力を挙げてやってまいりますので、この点を申し上げましてやってまいりたい。  畜産につきましては先ほど申し上げましたので、これからは酪農関係では、特に今度の予算で確立いたしました、乳価決定の際に確立さしていただいた長期低利の資金を豊富に酪農者の諸君に届くような施策を講じていきたいと、こう思っております。  以上でございます。
  91. 山崎昇

    ○山崎昇君 いまお聞きして、聞けば聞くほど明るい材料は一つもない。  たとえば農業で言えば、減反政策がいまわんわん大騒ぎですね。それから食管法の改正でこれからまた大変なことですね。畑作転換やらせていろんなものをつくらせりゃ、それは価格で全然だめになる。それから農業の基盤整備が一体どうなっているかというと、これもそううまくいってない。そして私は、この間ある農業関係の方に聞くと、昔と大変な違いは、たとえば水田一つとってみても、昔は稲わらというのが使えたですね。いまは機械で刈って、そのまま根っこだけ残りますから、四年もたつと水はけが悪くなるというんですね。結局、だからそのたんぼを手入れしなければだめになってくる。そういう意味で言うならば、あえて減反政策やらぬでも、四年に一遍ぐらいは四分の一ぐらいずつ転換できるではないかという意見もあったりしました。  しかし、私は専門でありませんからその点よくわかりませんが、いずれにいたしましても、農業もいまのままでいったら行き詰まっちゃって、一体これはどこへ行くんだろうか。いまあなたの説明を聞いておっても、どうも私はよくわからない。そういう意味で、本当にこれは農業一つ考えても、相当根本から改めなければどうにもならぬのじゃないだろうか。ただ、米だけに終始しまして、そして減反減反で大騒ぎやっていればいいというものじゃないんじゃないんだろうか、こういう気がします。  それから林業にいたしましても、ようやくいまごろになって、山が坊主になって、それによってマツクイムシも発生してみたり、あるいは大変だという話ですね。学習指導要領に治山治水のことが何も書かれてないとか、いまそんな話であります。小学校から教えて、これからやっていくなんていったら気の遠くなるような先の話ですね。一体今日まで林業政策というのは何をとってきたんだろうか。私は、やっぱり素人でありますけれども、疑問に思いますね。  それから、いま水産業の問題も出ました。私も水産業の問題については、これも専門外でもありますけれども、かつて中国を約一カ月半ほど私は社会党の漁業視察団長で視察したことがありまして、中国の場合はほとんど養殖ですね。沿岸は少しやりますけれども、日本のような大資本がおりまして、世界の海をまたにかけて、とれるだけ、とり上げるだけとるなんていうそういう漁業はやっておりませんね、中国の場合には。あれを見て私は、いまからこれ十年ほど前でありますけれども、そのころから中国はもう養殖にかなり力点を置いて、育てて、つくってそれを食べる、そしてたん白資源というものを大事にしている。  こういうことを私は見るときに、日本の水産のあり方一つとってみましても——また少し私のことで恐縮ですが、河野謙三さんが参議院の議長時代に一遍一緒に私は外国へ行きました。スペインの沖にラスパルマスという島がありまして、あそこでいろんな話を聞いたときに、日本の日本水産だとか大手の水産会社が一体外国の海で何をやっているか、それはもう底びき船で根こそぎとって、それでとり上げたもので要らないものはその海で捨ててくる。だんだん、十年もたちましたら漁獲高が半分に減る。出漁の距離が倍行かなければとれなくなった。こういう説明をぼくら受けてきました。  言うならば、日本の水産というのは、これは技術もいいんでしょうけれども、乱獲もいいところですね。そういうことについてもほとんど何にも政策らしいものがない。いまお聞きしまして、鯨の話聞きました。鯨の話どころじゃないんですね。しかし、実際問題として二百海里の問題が起きたり、さまざまなことありましたけれども、水産資源そのものはそんなに、かつてのようにとれないわけじゃないんですね。そういう意味で言うと、私は水産の政策についても相当これ考え方というのを変えなければ、いまのような大資本に任せておいて、そのままとりたいほうだいだけとらしておいてやらせるというやり方はどうだろうかという気がいたしますね。  また、最後の畜産でありますが、私は畜産は少し経験があります。中学出るまで私は農家でありましたから、当時でありますけれども、豚五十頭ぐらい飼っておりました、私自身で。いまのように買ってきたえさで私どもは育てませんでした。一軒一軒私ども残飯もらって、残飯を煮て食わした。いまそんなことすぐできるわけでありませんけれども、いずれにいたしましても何か養鶏、養豚に力を入れるような話で、飼料の問題が大変重要だと。確かに重要でありますけれども、そういう意味で言うと、いまの畜産行政そのものについても私は何とはなしにそぐわない感じを持ってしようがないんです。  そういう意味でいまあなたの——きょうは私は聞く程度にしておきますけれども、いずれにいたしましても、先ほどのアンケートでありませんが、国民の五人に一人は大変皆さん方行政というものに目を向けながら、そして強力な官庁だというふうに信じながら、これからの日本の食生活というものをやろうとしているわけでありますから、当然これは行政機構とも絡みますけれども、どうぞひとつ農政の全般についてもう少し、私、いままでの何かちょこちょこっといじくるようなやり方だけではしようもないんじゃないんだろうか、そういう気がいたします。  そこで、一つだけ具体的にお聞きしますが、私はいま社会党で責任者でもありますために、北海道の貝殻島のコンブ漁の問題について、四年ばかり毎年モスコーへ参りまして、漁業相あるいはまた貿易相あるいはソ連共産党中央委員会の国際局ともかなり激論やっているんですが、ここ三年ぐらいとだえちゃってどうしようもないわけなんですが、一体農林水産省としては、この貝殻島のコンブ漁についてどういうふうにいま把握をして、今後これをどういうふうに打開をしていこうというのか。本来なら、これは外務省にも来てもらって私は聞きたいと思っておりましたけれども、とても全体的な時間がありませんので外務省呼んでおりません。したがって、農水大臣から現状と今後の方針についてお聞きをしておきたいと思います。
  92. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) 御指摘のように、貝殻島のコンブにつきましては、五十二年のソ連の二百海里水域の設定のあおりを受けまして、ソ連側が民間協定の延長に応じないということで出漁はできなくなっております。いろいろ関係者の皆様方にお骨折りをいただいて、いろいろと各方面とソ連との交渉を行っておりますが、日ソ双方の立場が折り合いませんで、出漁できない状態が続いておるわけでございます。私たちとしましては、貝殻島の周辺水域におきますコンブ漁は零細漁民の生活にかかわる問題でございますから、今後ともコンブ漁が早期に再開できるようにできるだけの努力をいたしたいと思っておるわけでございます。  交渉の現状でございますが、私もこの前、日ソサケ・マス交渉が終わりました後、クドリャフツェフ第一次官とこの問題について議論をいたしましたが、ソ連の提案は三つ、問題としてございます。一つは、島の名前をどういうふうに表示するかという問題でございます。それから第二は、許可証をどうするかということでございます。第三番目は、違反をした場合の処分をどうするかという問題でございます。この一、二につきましては何とか私はこなす方法があるんではないかというふうに見ておりますが、第三番目の裁判管轄権の問題は、これは領土にかかわる問題でございますからなかなか処理がむずかしい。で、クドリャフツェフも、コンブはソ連では食べませんからこれは日本でとってもらって結構なんですと、そういうしろものですから入漁料はお心任せで結構ですと、しかし出漁した場合に、違反をした場合にはソ連の法令によって処罰をするということを明記をしてもらいたいということでございます。これを協定に明記をするということになりますと、裁判管轄権がソ連に移るということでございますから、領土の問題として日本としてなかなかこなせる問題ではないわけで、この点がいま最大の問題になっておるわけでございます。  旧協定によりますれば、御存じのように、ソ連の法令に従って操業しなければいけないという趣旨も書いてございまして、私は、恐らく領土問題は避けて通るとすれば、その旧協定のような表現が限度ではあるまいかというふうに思いますが、ここら辺のことにつきましてどういうふうに将来これをこなしていくか、これが問題だと認識しております。  同時にまた、そういう出漁できる前までには、たとえば第二貝殻島と言って魚礁を入れておりますが、これで大体いままでとれましたところの半分ぐらいはとれるようになると思うんですが、ただ品質が悪いという話がございまして、さらにまた魚礁をほうり込むかということになりますと場所がないと、こういうことになりまして、第二貝殻島をさらにつくっていくということについても問題があるのでございますけれども、強力かつしんぼう強く交渉を続けると同時に、漁民の方々希望に沿って水産振興対策としてやり得ることがあれば、これは水産庁としても積極的に取り組んでいきたいというふうに考えておる次第でございます。
  93. 山崎昇

    ○山崎昇君 この問題は私もむずかしさは承知をしております。ただ、先般根室地域の漁民の方々、漁協の方々たくさんおいでになりまして、もう幹部としては、このまま推移をすればもうどういうふうに言っても出ていくと言うんですね、とめられませんと。もうそういういま状況にございますと。これは生活の問題でありますからなかなかとめにくいわけでありますが。  そこで、もうそういう方向に行ってしまえば、中央でいろんなことを考えたといたしましても、現地は領土感覚というのは逆になくなりまして、そして自分の生活を守るためにはやむを得ませんということにこれは突っ込んじまう。そういういま状況にあるわけですね。ですから、これは農水大臣、よほどきちっとして政治力を持ってやりませんと、現地は一触即発のいま状況にある。こういう状態なんですよ。その辺は水産庁の長官御存じだと思いますけれども、私どもいろいろあの方々に聞いたら、なるほど本文で明記をすればいろいろ問題があるけれども、たとえば書簡でありますとか、まあ外交用語で言えば交換公文でありますとか、そういう形ででも何らかの形で向こうの言い分は言い分で聞く、われわれの見解は見解で述べておく、そういうような形でもこれできないものだろうかというような意見等もございまして、これは外務省でも詰めてもらわなきゃなりませんけれども、これは中心になりますやっぱり農林水産省といたしましても、この現状を十分ひとつ見詰めてもらって、早くこれやりませんというと、ことしでこれ四年目になりますので、大変な状態が起きてくるんではないか、こう思いますね。  それからさらに、これを放置いたしますというと、御案内のように、レポ船問題とかもうあらぬ方向に走るという点もやっぱり私ども心配をしています。私も北海道でありますだけに心配をしているわけなんですが、その点について重ねてひとつ長官大臣の見解を聞いておきたいと思います。
  94. 今村宣夫

    政府委員(今村宣夫君) ただいま御指摘のございましたような現地の事情につきましては、私も現地の方々あるいは現地の指導者の方々から十分状況を聞いて承知をいたしております。したがいまして、何らかの方法において早急にこの問題を解決していきたいという気持ちはもうやまやまでございます。先ほど申しておられましたたとえば協定書と議事録とを別々にするとか、何か方法はあるじゃないかということなんですが、そういう提案も——提案と言うと語弊がありますが、話もいたしておりますが、しかし、それは協定書であろうと議事録というようなものであろうと、とにかくそのソ連の領土であるということを明記をすれば向こうはいつでもとらせますよというところに非常に問題があるわけで、これを何とかそういうことでないような形でソ連が話に乗ってきてくれれば片づくんですけれども、その点につきましてはまあいろいろな、一つは表現の方法の問題があると思うんです。これは外務省ともいろいろ私たちは打ち合わせをいたしておりますが、表現の方法によって避けて通れる問題かどうかというところがなかなかむずかしい問題でございまして、いずれにしましても、そういう問題につきましては私たちは鋭意外務省と詰めていきたいというふうに思っております。
  95. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) 私も現地の方々の声を十二分にお聞きをいたしておりますので、事情もよくわかっております。したがいまして、先般水産庁長官がモスコーに参りますときにも、その辺の話し合いもしてくるように申したわけでありますが、ただいま報告申し上げましたような線で、事やはりお互いの国家の基本に関する問題を含むというような問題がございますものですから、なかなか解決の道を見出すのに苦労をいたしておると。しかし、やはり気長に根気よく、外務省とよく連絡をとりまして、善処してまいりたいと考えるわけであります。
  96. 山崎昇

    ○山崎昇君 きょう時間ありませんから、食糧の自給率とか食糧安全保障問題、次回にしたいと思いますが、次に、先ほどもちょっと大臣からも触れられましたけれども、マツクイムシの対策についてお聞きをしておきたいと思うんですが、今日までの対策の実績についてお伺いしたいことが一点と、それからマツクイムシの対策特別措置法がありますが、これも時限立法でありますために、これが延長という形をお考えになっているのかどうか。それからあわせまして、このマツクイムシはもう大変な状況にあるようでありますが、今後一体どういう対策を講じてこの絶滅を期していくというのか。この点、三点にまとめてお聞きをしたいと思います。
  97. 須藤徹男

    政府委員(須藤徹男君) まず、このマツクイムシ防除の実績でございますが、五十二年度以降の民有林の特別防除、つまり空中散布ですね、の実績面積は、五十二年度が八万七千六百ヘクタール、五十三年度が十万三千七百ヘクタール、五十四年度が十二万一千二百ヘクタール、五十五年度が十三万二千六百ヘクタールということになっておりますが、この面積は被害面積の二割強というような数字になっております。その他の被害地につきましては、地上散布、伐倒駆除等の防除措置を実施してきたところでございます。  なお、このマツクイムシの被害は五十一年度、五十二年度と逐年減少したわけでございますが、五十三年度におきます夏季の異常気象の影響もございまして、五十三年度及び五十四年度ではそれぞれ民有林、国有林合わせまして二百七万立方メートル及び二百四十三万立方メートルというような状態になっておるわけでございます。しかしながら、保安林等の公益上非常に重要な松林につきましては、特別防除が計画的に実施されておるという松林におきましては十分効果を上げているところでございまして、なお五十五年度の被害量につきましては現在取りまとめ中でございますけれども、おおむね二百万立方程度になるものと見込まれております。  このようなことから、いまお話ございましたように、特別措置法は五十六年度で切れるわけでございますので、現段階ではこの五十六年度単年度で終息させるというわけにはなかなかまいらないということでございます。したがいまして、今後の問題につきましては、今後の被害状況を踏まえまして、またマツクイムシ対策全般についての広く各分野からの方々の御意見もいただいた上で、その取り扱い等について検討を進めるということにいたしておるわけでございます。  なお、マツクイムシ防除問題懇談会というのがございまして、各界の有識者にお集まりをいただきまして、先般最終的な取りまとめをいただいたわけでございますが、今後の防除の対策に資するためにいまの懇談会を開いたわけでございますけれども、マツクイムシ被害の程度、態様が地域によって著しく異なっているという現状でございまして、これらの地域の実態に応じました多様な防除戦略を構築する必要があるというふうに言われておるわけでございまして、薬剤の空中散布、あるいは地上散布、被害木の伐倒駆除など各種の防除を合理的に組み合わせて実施するとともに、被害木の利用や被害地の自主転換の促進並びに被害材の移動制限措置にかかる監視体制整備を図るなど総合的な防除対策を講ずる必要があるということが言われておるわけでございまして、私どもといたしましては、この法律の取り扱いにつきましては、この線に沿ってどのようにいたしますか、現在検討中の段階でございます。
  98. 山崎昇

    ○山崎昇君 いずれにしても、このマツクイムシについては絶滅しているわけでもないし、それからいま御説明ありましたけれども、幾らかはそれは効果があるのかもしれませんけれども、これはまた容易でない状態であることも明らかである。そして五十七年度予算が、おとといも大蔵大臣に聞きましたら、シーリング枠は六月の上旬前後に決めて、そして臨調の意見等も参酌して、後は通常ベースと言いましたから、八月いっぱいぐらいに予算査定等々に入っていくんじゃないかと思うんですね。そういう意味で言うと、この特別措置法の扱いもそのころまでにやっぱりある程度結論を出さなきゃならぬのじゃないか。いまお聞きしますというと、何か延長するというような方向にかなり傾いているというふうにも受け取れるし、その辺、いまの段階では言えないのかもしれませんが、私の受け取り方としては、やはり絶滅させるためにはとりあえずこの特別措置法を延長してやっていく以外にないのではないかという気もいたしますが、その点重ねてひとつ聞いておきます。
  99. 須藤徹男

    政府委員(須藤徹男君) いまの検討段階は、お話ございましたように、この特別措置法をそのまま延長するかどうか、あるいはこれを一部修正しまして、いろいろな御意見ございますので、いろいろな今後の防除手段等を盛り込んで装いを新たにして出すか、いま鋭意検討しておりますし、お話ございましたように、なるべく早急に結論を出したいというふうに考えております。
  100. 山崎昇

    ○山崎昇君 それではきょうはもう一問だけ、ちょうど林野庁おりますから、聞いておきますが、俗にいう振動病ですね、白ろう病。これはいま国有林関係はどんな状況にあるんでしょうか。  それから、先般私のところへ民間林業の方々がたくさんおいでになりまして、労働大臣にも実は要請書を出しておるようでございますが、この民有林関係の振動病について、林野庁としてもこれはやはり相当関心を持たざるを得ないんではないか。そういう意味では、いま現状が大体どういうふうになっておって、そしてそれに対して林野庁としてはどういう対策を講じようとするのか、その点お聞きをしておきたいと思います。
  101. 須藤徹男

    政府委員(須藤徹男君) まず、国有林関係でございますが、結論から申し上げますと、毎年減ってきておるということでございまして、一番多かったのは昭和四十九年の七百八十八人の認定でございますが、五十三年は八十七人、五十四年は七十三人と、逐次減ってきておるわけでございます。それから、民有林関係でございますが、労働省が振動障害者として認定し療養中の者は、五十五年三月末現在で四千八百九人、新規非認定者延べ数でございますが、同日現在で五千七百二十五人というふうに聞いておるわけでございますが、民有林につきましては残念ながら認定患者がふえておるという実態でございます。  そこで、この振動障害につきましては、当然のことでございますが、これが発生しないということにすることが基本的に重要であるとともに、罹病した者に対する治療に努力することが肝要であるというふうに考えておるわけでございます。このために、関係省庁によります振動障害対策推進関係省庁連絡会議を設置いたしまして、連絡調整を密にしながらそれぞれ振動障害対策を実施しておるわけでございますが、林野庁といたしましては、五十六年度におきましては、林業振興の立場から予防対策の一環といたしましていろいろな施策を講じることによりまして、この対策の推進を図るということにしておるわけでございます。  まず一つは、前々から決められております振動機械操作時間規制等の予防措置を徹底する。それから二番目に、振動の少ない機械、大分開発されておりますが、及び代替機械等を開発導入する。それから特殊健康診断、治療実施体制整備。それから振動機械使用者に対します振動障害予防のための巡回指導。こういうものを五十六年度さらに徹底をしてやってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  102. 山崎昇

    ○山崎昇君 いまのあなたの説明を聞きまして、国有林関係が減ってきて四十九年ころには七百八十八人、五十三年には八十七名ぐらいまで減っている。ところが逆に民有林がふえている。一体これ、どういうふうに私ども理解をしたらいいんだろうか。チェーンソーなんかもずいぶん改良されたとも私ども聞いておりますし、それからかなり国有林の場合には、あなた方も組合との話し合いもあって、いろんな手だてを尽くしたんじゃないかと思いますが、まだまだ問題はあります。しかし民有林がこれだけふえてきて、五十五年の三月現在で四千八百九人が認定患者で、非認定が五千七百二十五人もまだ残っておって、そしてさらにふえつつあると、これはよほど私ども心してやりませんと大変なことになるんではないんだろうか。これはやっぱり労働条件が相当私は悪いんではないんだろうか。そして、一たんこういうものになったらもはや雇用ができない、生活安定ができない。だから、私どもへ参りましたこの陳情書を見ても、あわせまして雇用安定というものについてかなり強く述べられておりますね。こういうものについて、一体大臣、これどういうふうにお考えでしょうか。  林野庁がもちろん窓口でやるわけでしょうけれども、私はいまの数字聞いてもびっくりするんです、これ、本当に。そして、さっき大臣から日本の林業はもう大変でございますと言われた。山から緑なくなるようなさっきのお話でした。それが治山治水にもかかわってくれば、あるいはマツクイムシにもあなたはかかわると言った。そういうことを考えるときに、その林業で働く労働者、特に民有林の労働者でだんだん白ろう病の患者がふえてきておる。これは私は放置できない、これは根本的にひとつ考えてもらわなきゃならぬじゃないかと思うんですが、どうですか。
  103. 須藤徹男

    政府委員(須藤徹男君) ただいま先生から御指摘ございましたように、民有林におきましては林業労働者の多くが短期的な雇用であると、事業主間を移動するということが多いわけでございまして、そういう面から安全管理体制が総じて浸透しにくいという状況にあったというふうに考えられるわけでございます。また、いま環境が非常に悪いという御指摘がございましたが、労働者が暴露を受けました振動や騒音の蓄積に加えまして、作業環境が寒冷であるというようないろいろなそういう要因が複雑に絡み合って発現すると言われておる本障害の特性があることなどから、振動障害の予防対策の効果が直ちにあらわれにくいということが主要な原因であるというふうに考えております。  また、先般林野庁が実施いたしました林業における振動機械使用者の実態調査報告によりましても、二時間規制がいまだに守られてないというのもまだ若干あるわけでございます。また、この健診を受けていないというのもあるわけでございます。そういうことで、新たに発生するというよりも、むしろ潜在患者の発掘が非常におくれておるということが実態ではないかというふうに考えております。
  104. 山崎昇

    ○山崎昇君 大臣どうですか、これ林業政策上から見ても。
  105. 亀岡高夫

    国務大臣亀岡高夫君) この問題につきましても、林野庁長官から御報告申し上げましたとおり、懸命に患者の発掘ということに、森林組合あるいは都道府県、さらには市町村の協力を得まして努力をいたしているわけでありますが、先生御指摘のごとく、やはり生活がかかっておるというような立場で、なかなか積極的に、よほどもう悪くなってからじゃないと申し出てこないという面があるんじゃないかなと思われる節もございます。したがいまして、この点につきましてはいままで以上に努力をいたしまして、早期発見、早期治療、早期にすればそうひどくならないで済むわけでありますので、その点もよく関係団体、自治体等とも協力して、少なくしていく方向に、絶滅を期してやっていきたいと考えます。
  106. 林ゆう

    委員長林ゆう君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十三分散会