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1981-03-26 第94回国会 参議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年三月二十六日(木曜日)    午前十時七分開会     —————————————    委員異動  三月四日     辞任         補欠選任      大木 正吾君     藤田  進君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         福間 知之君     理 事                 長田 裕二君                 成相 善十君                 長谷川 信君                 大森  昭君     委 員                 岩崎 純三君                 小澤 太郎君                 郡  祐一君                 志村 愛子君                 新谷寅三郎君                 高橋 圭三君                 西村 尚治君                 藤田  進君                 太田 淳夫君                 白木義一郎君                 山中 郁子君                 中村 鋭一君                 青島 幸男君    国務大臣        郵 政 大 臣  山内 一郎君    政府委員        郵政政務次官   渡辺 紘三君        郵政大臣官房長  奥田 量三君        郵政省電波監理        局長       田中眞三郎君    事務局側        常任委員会専門        員        酒井 繁次君    参考人        日本放送協会会        長        坂本 朝一君        日本放送協会副        会長       中塚 昌胤君        日本放送協会技        師長       高橋  良君        日本放送協会専        務理事      山本  博君        日本放送協会専        務理事      反町 正喜君        日本放送協会専        務理事      武富  明君        日本放送協会理        事        坂倉 孝一君        日本放送協会理        事        田中 武志君        日本放送協会理        事        海林澣一郎君        日本放送協会理        事        渡辺 伸一君        日本放送協会経        営総務室長    片岡 俊夫君        日本放送協会経        理局長      青柳 保夫君     —————————————   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認  を求めるの件(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 福間知之

    委員長福間知之君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る四日、大木正吾君が委員辞任され、その補欠として藤田進君が選任されました。
  3. 福間知之

    委員長福間知之君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  日本放送協会関係付託案件審査郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査のうち、放送に関する事項の調査のため、日本放送協会役職員参考人として必要に応じ随時出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 福間知之

    委員長福間知之君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 福間知之

    委員長福間知之君) 次に、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明聴取いたします。山内郵政大臣
  6. 山内一郎

    国務大臣山内一郎君) ただいま議題となりました日本放送協会昭和五十六年度収支予算事業計画及び資金計画提案理由につきまして、御説明申し上げます。  この収支予算事業計画及び資金計画は、放送法第三十七条第二項の規定によりまして、郵政大臣意見を付して国会に提出するものであります。  まず、収支予算について、概略を申し上げます。  事業収支におきましては、事業収入は前年度に比べ四十億五千万円増の二千八百二十九億七千万円、事業支出は前年度に比べ百七十五億七千万円増の二千七百十八億三千万円となっております。  この結果、事業収支差金は百十一億四千万円となっております。  この事業収支差金につきましては、七十五億円を債務償還使用することとし、三十六億四千万円を翌年度財政を安定させるための財源として、その使用を繰り延べることとしております。  資本収支におきましては、テレビジョンラジオ放送網建設放送設備整備等のための建設費として、二百七十億円を計上しております。  次に、事業計画につきましては、その主なものは、テレビジョン放送及びラジオ放送全国普及を図るため、放送網建設を行うとともに、放送衛星について必要な設備整備を進めること、視聴者意向に応じた豊かな放送番組を提供すること、受信料負担の公平を期するため、受信料制度周知徹底を図るとともに、受信契約増加受信料の確実な収納に努めること等となっておりますが、これらの実施に当たっては、極力合理的、効率的運営に努めることとしております。  最後に、資金計画につきましては、収支予算及び事業計画に対応する年度中の資金の需要及び調達に関する計画を立てたものであります。  郵政大臣といたしましては、これらの収支予算等について、慎重に検討いたしました結果、これをおおむね適当であると認め、お手元に配付されておりますとおりの意見を付することといたした次第であります。  以上のとおりでありますが、何とぞよろしく御審議の上、御承認のほどお願いいたします。
  7. 福間知之

    委員長福間知之君) 次に、日本放送協会から説明聴取いたします。坂本日本放送協会会長
  8. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) ただいま議題となっております日本放送協会昭和五十六年度収支予算事業計画及び資金計画につきまして、御説明申し上げます。  昭和五十六年度は、昭和五十五年度を初年度とする三カ年の経営計画の第二年度として、厳しい経営環境を踏まえ、財政の安定を図るとともに経営計画期間中を通じて収支の均衡を図ることを経菅基本課題としております。このため、収入の確保に全力を傾注するとともに、経営全般にわたり、極力業務の合理的、効率的運営を推進しつつ、放送全国普及とすぐれた放送実施に努め、公共放送としての社会的使命を果たしてまいる所存であります。  次に、昭和五十六年度の主な事業計画について、御説明申し上げます。  まず、建設計画につきましては、難視聴地域の解消をより効率的に推進することとして、テレビジョン局建設共同受信施設の設置、中波放送局の新設、増力及びFM放送局建設などを行うほか、放送衛星についても必要な設備整備を進めることとしております。  また、テレビジョン音声多重放送拡充に必要な設備整備放送番組充実のための機器の整備を進めるほか、老朽の著しい放送設備の取りかえ等を実施することといたしております。  次に、事業運営計画について申し上げます。  まず、国内放送では、テレビラジオ放送とも、視聴者意向を積極的に受けとめ、充足感のある番組実施放送番組国際交流を推進するとともに、ローカル放送についても地域特性に即して一層充実することとし、また、テレビジョン音声多重放送については、放送時間と放送地域拡充を行うことといたしております。  国際放送においては、放送を通じて国際間の理解と親善に寄与するとともに、海外の日本人に対する内外語情報の提供を積極的に行い、また聴取実態に即して受信の改善に努めることといたしております。  広報及び営業活動につきましては、地域特性に即したきめ細かい施策により、幅広い視聴者意向を積極的に吸収し、これを事業運営に的確に反映させ、また、受信料負担の公平を期するたり、視聴者生活態様に即した営業活動積的極に推進して、受信契約増加受信料の確実な収納に努める所存であります。  調査研究につきましては、放送番組放送技術の向上に寄与する調査研究を推進し、その成果を放送に生かすとともに、一般にも公開することといたしております。  以上の事業計画実施に当たりましては、業務全般にわたり効率化を積極的に推進して、経費の節減を図ることとし、要員については、事業計画遂行に必要な最小限にとどめ、年度内百二十人の減員を行うこととしております。また、給与につきましては、適正な水準を維持することといたしております。  これらの事業計画に対応する収支予算について申し上げますと、事業収支において、収入総額は二千八百二十九億七千万円、このうち、受信料収入については二千七百六十二億一千万円を予定しております。これは有料契約者数について、カラー契約増加等により、契約総数において五十五万件の増加を見込んだものであります。  これに対して、支出は、国内放送費などの事業運営費減価償却費支払い利息など総額二千七百十八億三千万円を計上しております。  事業収支差金百十一億四千万円につきましては、このうち七十五億円を債務償還に充て、三十六億四千万円を翌年度財政を安定させるため、その使用を繰り延べることといたしております。  次に、資本収支は、支出において、建設費二百七十億円、通信放送衛星機構への出資に二億七千万円、債務償還に八十二億七千万円、総額三百五十五億四千万円を計上し、収入には、これらに対する財源として、事業収支差金減価償却引当金放送債券及び借入金等を合わせて総額三百五十五億四千万円を計上いたしております。  以上、日本放送協会昭和五十六年度収支予算事業計画等につきまして、そのあらましを申し述べましたが、一九八〇年代における公共放送としての果たすべき役割りがますます重要になっていることに思いをいたし、今後の事業運営に当たっては、協会の総力を結集して協会に課せられた責務の遂行に努める所存でございますので、委員各位の変わらざる御協力と御支援をお願いいたし、あわせて、何とぞよろしく御審議の上、御承認賜りますようお願い申し上げます。
  9. 福間知之

    委員長福間知之君) 以上で説明聴取は終わりました。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  10. 大森昭

    大森昭君 まず、NHKの予算に入る前に、北海道テレビのことでいろいろマスコミが報道しておりますので、ちょっと質問したいわけでありますが、まず、電電公社経営委員でありますと同時に日本民間放送連盟の副会長の要職にあります岩澤靖さんが、誠備グループ関連株式投機で失敗をいたしまして北海道テレビ放送社長辞任するとともにすべての公職から身を引くということが報じられております。また同時に、三月二十四日の夕刊では、岩澤さんが自己名義でその株式の一〇%、さらにダミーを使って実質的には五〇%以上を所有しておるということが報道されておりますし、加えまして、これが金融機関担保に取られているということで、放送局免許の取り消しという事態にもなりますので、郵政大臣の方から事務当局調査を命じているということが報じられておりますが、まず、その実情はどうなっているか、御答弁いただきたいと思います。
  11. 山内一郎

    国務大臣山内一郎君) 岩澤靖氏の関係で、郵政省といたしましては、北海道テレビ放送社長であること、さらには電電公社経営委員である、こういう二点で非常に重大な関係があるわけでございます。したがって、この事件が発生して直ちに調査を開始すべく事務当局に指示をいたしまして現在極力調査を進めておりますけれども、非常に何か複雑な状況でございまして、社長の方はすでに辞任をされ、後任の社長も決められておりますけれども、なかなか実態は把握できない。こういうことで、実はさらに調査をもっと徹底的にやるようにということを進めているわけでございます。  そこで、もう一つ経営委員の問題でございますが、これは辞表を持って来られまして、その取り扱いについては近く閣議で決めるわけでございますが、そういうような情勢でございますので、いま直ちにどうなってどうするかということはここで御確答はできないわけでございますが、その株がどうなっているかということによって、いろいろこうなっている場合にはこうすべきであるというような検討はいたしておりますけれども、ただいま五〇%株を持っていられるようなお話も全然聞いておりませんし、調査の中にも出てきませんし、岩澤靖氏の株は一〇%である、こういうことに相なっているわけでございますので明確なお答えはいまのところできない、こういう状況でございます。
  12. 大森昭

    大森昭君 電波というのは国民のものですからね。しかも、いま指摘しましたように三月の二十日で社長辞任したということでありますから、きょうは二十六日、それでまだその会社の株がどこへ行っているかわからないとか、そういうようなことになってきますと、一体、常時監督もされているんだろうと思うのでありますが、いまの大臣発言でいきますと、これはいつごろになればわかるわけですか。
  13. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) お答え申し上げます。  ただいまの一〇%か五〇%かというようなことですけれども岩澤名義北海道テレビ株式はいま大臣も申しましたように一〇%、十万株で額面総額五千万円ということで、郵政省といたしましては岩澤氏が株式を五〇%支配しているという事実は了知しておりません。そういうことにはなっていないということでございます。  それからいろいろ御質問がありましたようでございますけれども北海道テレビ放送からの報告によりますと、同社株式借入金担保として、たとえば外国人外国法人等に渡っているようなことはないという事実はわかっております。  なお、先ほど申しましたように非常に複雑でございますので、詳しい事情についてはできる限り早急に聴取してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  14. 大森昭

    大森昭君 そうすると、まず、いまの答弁ではっきりしたのは、外国人に対しての担保はない、それからいわゆるダミーを含めて五〇%株を所有しているということはないということですね。
  15. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 岩澤名義株式は一〇%であるということでございます。  それから同社株式借入金担保として外国法人または外国人に渡っているというようなことはないという現在のところの調査でございます。
  16. 大森昭

    大森昭君 株式を五〇%持っていると私言っていないんですよ。もともと持てないんだから、個人が。問題は、岩澤さんの影響力が五〇%に及んでいるということについてどうかという質問をしているわけです。あなたが言うように一〇%でしょう、本人株式所有は。これが五〇%持っていたらおかしくなっちゃうわけですからね。そういう意味合いで私が言っているのと、それともう一つ、いろんな報道がされていますから、新聞の記事が正しいかどうかわかりませんが、いずれにしても、あるテレビ会社北海道テレビ肩がわりするという報道もありますが、この辺はどうですか。
  17. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 岩澤所有株式が仮に他の放送会社肩がわりするというようなことになりますと、マスメディア集中排除観点からも問題であるというふうに私ども考えております。先生先ほどから御指摘のように、放送の公平かつ能率的な普及を図るという観点からマスメディア集中排除というものはわが国の放送政策におきます基本方針一つとしてきたところでございまして、そのため一人の者が所有しまたは経営支配をするのは一局に限るということで、数局の所有は認めておりません。そういう観点からこの株の行方その他については厳しく見守りながら処理してまいりたい、調査を進めるとともに指導してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  18. 大森昭

    大森昭君 そうすると、肩がわりは問題があるからそう簡単にはいかないということですね。それははっきりしたわけですね。  それと問題は、世論的には幾ら電波監理局長そういうふうに言われましても、いずれにしても許可を与えているのは郵政省なわけでしょう。これだけ報道されていますと、一体許可を与えて、その後郵政省——監督というのは確かにそう郵政省が立入検査をしたりあるいは常時その決算に立ち会うなんということもできないんでしょうけれども国民の立場からいたしますと、電波行政というのは郵政省許可制でやっているわけでありますから、したがってそういうことになれば、今日このような状態が起きてまだいまだに——個人の問題の捜査をしろと言っているんじゃないんですよ。いわゆる北海道テレビの株がどこへ行っているかということですから、これは北海道へ飛んで行けばそんなに長くかかるわけじゃないです。一日もかからぬでしょう、株の行方ですから。そういうことが——彼氏がどういう株を買って幾ら損をしたとか、負債がどのくらいあるとか、そんなことを言っているんじゃないんですよ。個人の問題を言っているんじゃないですからね。いわゆる北海道テレビ岩澤さんが持っておる株の一〇%、さらにダミーがあるということだけれどもダミーがないとあなたは言うわけだけれども、一〇%はどうなっているんですかということぐらいはわかるんじゃないんですか、すぐこれ。
  19. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) まず、肩がわりすればぐあいが悪いというふうにお答え申しましたけれども、その人によるということで、こういうふうなことになりました場合に岩澤氏は株を持ち続けることはできないと思います。当然だれかが肩がわりすることになろうかと思いますけれども、それが他の放送会社等すでに所有していると申しますか、所有権を持っているというような場合にはぐあいが悪いということでございます。  それから先生指摘の、郵政省といたしましては、現在の法制下では言論報道機関でございます放送事業者自主性を高度に尊重するという観点からいたしまして民放経営者に対して自由な経営権というものを保障されているわけでございますけれども、このたび北海道テレビ株式投機に関連して多額の負債を抱え、社長辞任し、また会社に対する不信も持たれるようになったということについては、放送事業公共性の非常に高いものでございますので、きわめて郵政省としても遺憾な事態であるというふうに考えておるわけでございます。  それで、そういう観点からいたしまして、株式が特定の者に集中するというようなことは公正な事業運営観点から望ましくないということで、放送局免許審査あるいは再免許に当たりましては常に重視いたしまして審査いたしておるというわけでございます。
  20. 大森昭

    大森昭君 いま局長が言ったことは電波法を読めばわかるので、それはわかっているんですよ。問題はそうじゃなくて、いまこの岩澤さんという人が株を一〇%持っているでしょう。それで、それがどこにも担保にも入っていないで、個人が借財をして自分の理由でやめるというならこれは何も問題はないんですよ。問題は、その株式担保に入れちゃってあるところにまず問題があるんじゃないかということを一つ指摘をしているわけです。加えて、本人は一〇%だけれども新聞報道によればダミーを使って実質的には本人影響力は五〇%以上所有しているということなんだけれども、この点はどうかと言ったら、この点はないとあなた言うわけだ。しかも、ないと言うけれども、一〇%は外国人に少なくとも担保で行っているんじゃないかと言ったら、これもないと言うわけです。そうでしょう。そうなってくると、岩澤さんの一〇%も担保にも入っていないということになれば北海道テレビは問題としては何もないんだよ。岩澤さん個人がどこで借金しようと何しようと、そんなことはいいことじゃありませんが、公職にある人ですから。しかし、それはそれで電波行政とは直接つながらないんだけれども、そういうふうになっているんじゃないんじゃないですかという質問をしているので、わからなければわからないでいいんだけれども、わからないということになれば、いつごろまでにこういう状態処理をするかということもあわせて答弁していただかないと何が何だかわからぬということになるわけですよ。
  21. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) まず、岩澤氏が持っておりました一〇%でございますけれども、いままでのところ私どもにわかっておりますところでは、北海道テレビ会社そのものに対して差し出されるというふうに聞いております。  それで、何分にも同社はいま非常に混乱しておりまして、今後の対策を関係者間でどうするかというようなことで協議もいたしておるわけでございます。その合間を縫いまして私どももできる限り早く実態をつかみたいというようなことで調査しており、いままで申し上げました一〇%の件あるいは外国人にどうなっているかというようなところはわかっておりましたので御説明したところでございますが、非常に事は重大でございますので、先生指摘のようにできる限り早く実態を確かめ、善後策というものを見きわめた上で、マスメディア集中排除観点その他からして今後問題のないように指導してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  22. 大森昭

    大森昭君 現在調査をしておるということですから、これ以上続けても意味がないわけでありますが、いずれにしても、いま局長が言うように電波の問題というのは一日もゆるが世にすることのできない問題であるということを私ども認識しております。とりわけ言論報道機関でありますから、したがって速やかに問題の処理をしてもらわなければならないわけであります。  いずれにいたしましても、こういう問題がありまして調査をしているわけでありますから、先のことを聞いてもこれはまたなかなかむずかしいんだろうと思うのでありますが、こういう問題を契機として今後電波行政監督などについての特段の考え方というのはあるんですか。
  23. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 先生御存じのとおり、現行法制では放送会社株式譲渡関係というものは商法の一般法令で規律されておるということで直接郵政大臣がチェックするようにはなっておらないわけでございますけれども、その放送公共性あるいはマスメディア集中排除観点等々から非常に重大な問題でございますので、事あるごとにそういう面からの審査といいますか、監督、指導も強力に進めてまいりたいというふうに考えております。
  24. 大森昭

    大森昭君 次の問題に入りますが、しかし、いずれにしてもこの社長はもうやめたんでしょう。やめて一週間たつわけですよ。やめるときに北海道テレビ会社自身がどうなっているかわからないなんといったかっこうでやめるような人を大体社長に置いておくなんというのはけしからぬ話ですよ。しかも、やめた以上はだれかが引き継いでいるわけですね、これ。社長代行みたいなのがいるはずだと思うんですよ、これ少なくとも。ですから、少なくとも免許を厳しくして許可をして運営をしているのに、やめるときはどうなってしまうかわからないようなかっこうでやめていくような状態をこれまた何とも手がつけられないなんというんじゃこれはどうにもなりませんので、いま局長が言われるように、今後の問題として前向きで検討していくということのようでありますから、しっかりやっていただきたいと思いますけれども、しかし全体的に言えることは、どうも少し行政官庁としては対処の仕方が十分じゃないというふうに思いますが、もう一回、どうですか。
  25. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 一言だけ申し上げますが、岩澤靖代表取締役社長は三月十九日に辞任いたしております。新たに小林幸雄副社長が代表取締役に就任したという報告は受けております。
  26. 大森昭

    大森昭君 だから、そういうふうに十九日に受けているわけでしょう。きょう二十六日だから一週間たつわけでしょう。その間に当然その会社社長がやめたときの現在の財政はどうなっているか、経営状態はどうなっているのか、持っている株がどうなっているのか、そんなことがわからないで受ける小林さんという人もおかしいと思うけれども、恐らく受けるときには引き継ぎがあるんだろうと思うんですよ。そうなれば、二十四日の郵政大臣調査を命じるなんと言えば、だれか本省から北海道へ飛んでいるのかどうかわかりませんが、そんなに何日もかかる一問題じゃないんじゃないかと常識的に私どもは考えるわけですよ。ところが、いまのあなたのお話でも、いま調査中ではっきりしないというわけでしょう、複雑だと。複雑というのは何が複雑かよくわかりませんが、社長がやめて会社がそんな複雑ということはないはずなんですよ。しかも株の行方の話をしているんですからね。そうでしょう。そんなに時間かからないですぐわかるはずじゃないかというのが私どもの常識なんですが、あなたはまだ時間がかかると言うから、これはこれ以上委員会で質問が継続できませんが、そんなにかかるものじゃないでしょう、実際問題として。だからその点が私としてはなかなか納得できないわけだけれども、しかし局長はいま調査中で一生懸命やっているんですと言うんだからこれ以上話は進められないわけですけれどもね。しからばあと五日ぐらいになれば現地から行った者が帰ってくるから実情がわかる、実情がわかって善後策を立てるのにはやや時間がかかるということならこれまた話もわかるんですが、実情がわかるのもいつかわからぬというわけだから、どうも電波行政としては——電波というのは速いんですよ、これは。ですから、それにしては少し郵政省はお粗末じゃないかということを考えていますので言っているわけですよ。もう一回、答弁があるならあるで答弁してもらうし、なければないで次の問題に移りますがね。
  27. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 通常の状態でありますれば先生指摘のとおりだと思います。ただ、そういう状態ではなかったということで今度の事態も起こった、まことに困ったものだというふうに考えておるわけでございます。  それから事実報告につきましても、なおやはり混乱の状態でございますので、いろんな情報も入っておるわけですけれども、やはり善後策を含めた上での確認というようなものも必要であろうかというようなことで、いまのところわかっている部分につきましても全部はちょっと控えさしていただきたい、後日訂正を申し上げるというようなことになっても困りますので。何分にも一日もとめちゃならないというようなこともございますし、善後策を含めた上での御報告なり、そういうことにいま少しく時間をいただきたいということでございます。
  28. 大森昭

    大森昭君 通常じゃないから事件が起きるのでありまして、事件というのは大体通常じゃないのであります。しかし、そういうことが起きてもそれに対応する対応策を立てるのがやっぱり監督官庁の任務なんですから、どうかひとつ、そういう意味合いで速やかに実態を調べて一複雑複雑と言うから視点が少し私と違うのだろうと思うんですが、北海道テレビがどうなっているかというのはそんなに複雑じゃないんですよ。岩澤さん自身の問題というのは複雑なんでしょう、恐らく個人の問題は。よくわかりませんが、しかしテレビ会社自身はそんな複雑じゃないはずですよ。どうかひとつそういう点で、何か全体ひっくるめて複雑で捜査がおくれるなんということはゆるがせにできません、この問題は。早急にひとつ対処していただきたいと思います。  そこで、NHKの問題に入りますが、実は昨年、いずれにいたしましても、NHK側から千六百十億程度の資金が不足をするということで受信料の改定が提案をされました。しかし、たまたま政府の方から放送法の改正が出まして、暫定ということになりまして一カ月本予算の執行がおくれたわけでありますが、暫定で予算が組まれるということになりますと、もちろん収支のバランスが崩れることは当然でありますが、その中でもとりわけ、いろいろ今日NHKが置かれておる状況の中で難視の解消をやるとかあるいは多くのテレビ局の建設工事をやるとかということになっておるわけでありますが、継続工事だけしかこれは暫定の間はできないということになっておりますと、ことしは大雪も降りましたし、いろいろ大変御苦労されていると思うのでありますが、予算で提出をされました建設工程というのは大分消化がおくれているのじゃないかと思うんですが、どういう状況になっていますか。
  29. 高橋良

    参考人高橋良君) お答え申し上げます。  五十五年度の置局並びに共同受信設備建設工事につきましては、テレビの中継局が御高承のとおり百五土地区の建設でございまして、共同受信施設建設は五百五十施設の建設計画であったわけでございます。  それで、暫定期間中につきましては先生の御指摘どおりでございますので、五十四年度の着工分につきまして、これにつきましては五十四年度予算がついておるわけでございますので、いまお話ございましたように送信機の製作などは工事を継続してまいりました。これは百地区でございます。新規着工分についての五土地区につきましては、暫定予算期間中につきましては机上における検討、その諸準備を行いまして、本予算承認後直ちに工事に入れるように努力してまいったわけでございます。共同受信施設についても、置局の建設と同様な机上検討などの諸準備を取り進めておったというのが暫定期間中の工事の取り進め方でございました。
  30. 大森昭

    大森昭君 そこで、いまあなたが言う百五十と五百五十、これは年度末には完成できるんですか。
  31. 高橋良

    参考人高橋良君) お答え申し上げます。  本予算承認後につきましては、工事のおくれを取り戻すために放送局間の応援体制などをしきまして工事の促進に努力いたしました結果、二月末現在で計画の九〇%までこぎつけることができました。あと三月末でございますが、三月末には、この三月三十一日に一局の完工予定を残しまして無事に計画は完了する予定になっております。
  32. 大森昭

    大森昭君 いずれにしても二月で九〇%で、あと一カ月の間、一カ月といったって、しかし実際はきょう三月二十六日だから、最大の努力をして建設工程をいたしませんと国民に対するサービスが落ちますので、がんばっていただきたいと思います。  次に、五十五年度の営業の関係でありますが、NHKから出ておる受信料収納状況などは大体前年度の水準を確保しておりますが、受信契約の開発が少し目標を立てた割りにうまくいっていないんじゃないかと思うのでありますが、実績はどうなっているのか、そしてまた年度末まで見込んでおる状況はどういうふうに推移をしていくか、答弁していただきたいと思います。
  33. 海林澣一郎

    参考人海林澣一郎君) お答え申し上げます。  ただいま先生指摘のように、収納はほぼ前年度の水準ということでございまして、料額を改定いたしましたけれども一応の定着を見た、五十一年のときにございました受信料不払い運動とかいうような動きがほとんどございませんので、改定については定着したと思っているわけでございます。  先生のおっしゃいますように、受信契約の伸びでございますが、現在集計中で確たる数字、手作業的な数字でございますけれども、二月の末、一番新しい時点で三十二万から三十三万件に達しているというふうに私は読んでおります。年度末まであと本当に数日でございますけれども、現在全協会を挙げまして、営業のみならず放送、技術、管理部門も動員いたしまして契約増加の諸対策を進めておりまして、年度末には、提出してございます五十六年度予算の前提としております本年度増加数四十万件でございますけれども、これには是が非でも到達したいというふうに現在考えて施策を進めている次第でございます。
  34. 大森昭

    大森昭君 お互いに努力をして目標を達成することを目指してもできないことはやむを得ないんですけれども、ただNHKの認識の問題として、確かに五十五年というのは料金値上げをしたわけでありますが、五十一年の状況と勘案してみますと、同じく料金を上げた、しかも五十一年は五〇%も上げたんですから、そういう状況から見ますと、五十一年度の実績と、今回のいま答弁がありましたように二月末で三十二万から三十三万ということになりますと、五十一年当時から見ましても実績が少し低いのじゃないかと思うんですが、どういうふうに認識されておりますか。
  35. 海林澣一郎

    参考人海林澣一郎君) 先生のおっしゃいますとおり、受信契約増加ということについて申しますとおっしゃるとおりでございますけれども、やはり料額改定いたしまして、われわれとしては受信料の公平負担と世の中にやかましく言われております。その辺のところを何としても守り通す、したがって収納を上げなければいけないということでございまして、先生おっしゃいました五十一年度の上半期に、収納の面とうらはらでございます滞納でございますが、契約してもお支払いいただけないという滞納の方が四万八千件、年度を締めましたらおよそ十六万件増加したわけでございます。一方、五十五年度は上半期でその滞納増が三千ということでございます。下半期につきましても、現在集計しておりますけれども、上半期の三千を多少上回る程度に抑止し得る見通しがついたというふうに申し上げられるかと思います。したがって、その辺で公平負担を守るということでの五十五年度についての評価ということはある程度お認め願いたい。  私の方は、その辺は自信を持って相進めたということでございまして、五十五年度は事前の周知活動、新聞あるいは雑誌、放送などを通じましても積極的にいたしました。特に九月と先月、二月でございますけれども、営業特別月間というのを設けまして、先ほどちょっと触れました営業のみならず全協会的な努力を重ねてきたということで、その辺御了解いただければ幸いであります。
  36. 大森昭

    大森昭君 努力とか努力じゃないとか言ったって、あなた方経営者なんですから、収納率を高め契約率を高めなきゃいけないわけですよ。そうでしょう。いまあなたはそういうふうに言われますが、実際問題として受信契約の開発、これ目標は五十五万でしょう。いまのお話だと三十二万とか三十三万でしょう。これだけの受信契約が、受信契約されなければ収納がないわけですからね。そうすると、これだけの目標を立てて、予算を立ててこれだけの差異が出てくれば収入の面で大分差が出てくるんじゃないですか。
  37. 渡辺伸一

    参考人渡辺伸一君) お答えいたします。  おっしゃるとおり、五十五年度の当初目標に対して受信契約が思うように伸びないということは収入に影響があるわけでございまして、いま先生おっしゃいました暫定予算による減収とともに五十五年度収支については最大の関心を持って収入支出両方とも点検を加えているところでございます。五十六年度にこれまた影響を与えるわけでございますから、その面につきましてもいま慎重に決算の見込みを検討しているところでございます。
  38. 大森昭

    大森昭君 いずれにしても三カ年計画でありますので、単年度で問題の指摘はできませんが、しかし五十五年度を見た限りは当初NHK側から出された事業計画では大変厳しいということで、これはそういう状況になっていますね。そこで、あなたの方も三年間の見通しの修正が行われているようでありますが、いずれにいたしましても、五十五年−五十七年度の三カ年の収支の見直しの概要で、おおむね五十五年度予算審議の際の計画でいけるというふうに判断をしていますか。
  39. 山本博

    参考人(山本博君) ただいまお尋ねがございました点につきましては、五十五年度予算の御審議をいただきました際にNHKから提出をいたしました三カ年計画の前提になりますもろもろの条件がございますが、いま御指摘がございましたように、収入の面では暫定予算からの収入不足、それからいまこちらから説明をいたしましたように受信料の契約が十分達成できないための収入不足、こういうものが前提としては非常に大きな変化がございます。それからもう一つの変化は物価の予想でございますが、これは六%で三カ年間の計算をいたしましたが、御承知のように五十五年度政府見通しといたしましても約七・八というような変動がございますので、この点も前提と違ってまいります。それから五十六年度予算編成に当たりまして物価をNHK側の三カ年間の計算では六%と見ておりましたが、政府では今度は五・五という指数をお出しになっておりますので、それで五十六年度予算を組んでございます。そういうような条件の変更がございますけれども、もう一つ、五十四年度の決算をいたしましたところが約三十八億円の節減ができましたので、これは借入金の返還をそれだけ少なくすることができました。  そういう条件を全部勘案いたしまして、約三カ年間の収入面の変更というのが七十六億ございます。これが不足でございます。これに対しまして、ただいま申し上げました三十八億円の借入金の返還を少なくできたということと、それから三カ年間の事業支出の節減、こういうもので約三十八億円の節減をすることにいたしております。その結果、七十六億の節減といいますか、収入の不足を補うことができますので、三カ年間全体といたしましては、一応収支相償するという形で考えられるということで見通しを修正しておりますし、同時に、事業計画の内容におきましても所期のとおり努力をしてこれを実現するという、国民にお約束をしたものは何とか守っていけるのではないかというふうに考えております。
  40. 大森昭

    大森昭君 ですから、いま山本さんからお話がありましたように、たまたま五十四年度の決算の見通しが幸いしたというお話ですけれども、ですから、そういう意味合いからいきますと、本来五十四年度の決算がNHKが見通したような状況では大変これまた厳しい状況だったんだろうと思うんです。しかし、いずれにしてもそういうことで三カ年の計画は何とか見直しをしていけるということになりますと、この国会が始まる前に、いわゆる受信料の支払い義務化を検討しております、検討しておりますという話で、まあ今度の国会では出さないということになりましたけれども、その三年間のもろもろの見直しでいきますと、おおむねこの受信料の支払い義務化というのは五十七年度はないというふうに見ていいですな。
  41. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 前国会に出しました受信料関係放送法改正案の再提出いかんということかと思いますけれども、いま先生もちょっとおっしゃいましたように検討を続けてまいっておるわけでございますけれども、いましばらく受信料改定後の推移等も見たい、あるいは多重放送等も非常に前面に出てきたというようなことがございまして、時間的関係からいたしましても今国会への提出はむずかしいというふうに考えております。さらに検討を続けてまいりたいということでございます。
  42. 大森昭

    大森昭君 検討されるのは結構なんです。検討されることは結構でありますが、いまNHK側のお話を聞きますと、たとえば契約についても目標の五十五万なかなかむずかしくて達成できないというお話がありましたりいろいろありますが、三カ年を見直し——三カ年といっても実質的には二カ年ですけれども、見直しをして計算をすれば五十五年の予算審議の際にいろいろ国民の皆さんに約束した内容はできますという。問題は、この支払いの義務化というのは、なかなか経営がうまくいかないんじゃないかという意味合いで義務化というような問題を検討されたのじゃないんですか。だから、NHK自身が五十七年度を見通していけるということになれば、五十八年、五十九年はどうなるかわかりませんが、一応五十七年は支払い義務化をやらずにいままで続けてきた状況実施ができるということで理解できるんじゃないですか。まずいですか、それじゃ。
  43. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) ただいま御指摘のようなことで、今度の郵政大臣意見の中でも、経営の基盤でございます受信料の確実な収納を図るということが非常に重要であるということで、また受信料の基盤は全視聴者からいただくというようなことになっておりまして、その意味からもNHK自身が努力、工夫をいたしまして、視聴者の理解と信頼を得るための施策がいろいろ重要であるというようなことで、この料金改定後の動きがどうなるかというようなことにつきましても非常に関心を持っておるところでございまして、滞納を抑止すると同時に新しい契約への開拓も非常に必要であるというふうに考えておる次第でございます。
  44. 大森昭

    大森昭君 いま五十六年度予算審議をしているわけですけれども、実質的にはこれは五十七年度までの問題を見通して議論しているわけですよ。いま電波理局長が言うように、支払いの義務化の問題をちらちらさしていたんじゃ腰が据わりませんよ。とにかくいま問題は、収納率を高め契約率を高めなきゃいかぬわけでしょう。それがなきゃ、五十六年はもちろん、五十七年も、三年間の見通しが完成されないわけでしょう。だから私は、そういう問題を検討していますとか、何かがあったら出すなんていうことではなしに、とにかく五十七年は現行体制でもって、いま言ったように収納率も高め契約率も高めてNHKは国民の期待のためにとにかくやってくれというようなことでなかったら、これから私ども審議する問題だって、何か支払い義務化をやれば一発で、契約したら無条件で金が入ってくるようなことを考えながらこんな予算審議なんかできませんよ、本当の話。そしてまた、NHKの皆さん方はそうじゃないと思いますが、そういうことを言うと失礼になるから言いませんが、しかし、やはり支払い義務の問題はなしでとにかく五十七年まではとりあえずがんばっていくという、五十六年度予算成立と同時に五十七年度事業計画を見通していくぐらいの気持ちをわかさなかったらこれは大変ですよ、これ個々の問題にずっと入っていきますと。ですから、少なくとも五十七年までは支払い義務化の問題というのは当分なし。それから今度は五十八年から三カ年計画を立てるのか五カ年計画を立てるのかわかりませんが、その際にはまたいろいろ問題を練り上げて支払い義務化の問題が提案されるかどうかわかりませんが、そこのところの基本ですから、これは。基本のところを郵政省の方でふらふらしておって、検討していますなんと言うのはあきらめが悪いですよ。とりわけ、私は一番初めに暫定予算の問題を指摘いたしましたけれども、支払い義務化の問題が同時に提案されたから暫定予算になったんでしょう。暫定予算になれば建設工程も順調にいかないし、一カ月間暫定でやりますから収入は減るし、大変な問題をこの支払い義務化の問題では経営自体に、経営の基盤を揺るがさないけれども大変なことになっているということを冒頭指摘したのは、少なくともそういうことも影響するわけだから、支払い義務化の問題というのはとにかく五十七年までなしということで、きょう電波理局長郵政大臣に回答を求めても無理でしょうけれども、早急にそういう結論を出して、五十六年、五十七年はとにかく従来どおりの営業方針でNHKはがんばれということにしてもらわなきゃだめですよ、それは。大臣、何かありませんか。
  45. 山内一郎

    国務大臣山内一郎君) 大森委員の私はおっしゃるとおりだと思います。いまNHKの方で一生懸命に受信料収納をおやりになっておりまして、五十七年まで一生懸命やります、こういうことでございますので、この前の出しました法律については、それによらないで現行法によってやっていけるということでございますので、その点を十分こちらも考えております。
  46. 大森昭

    大森昭君 おおむね大臣の決意で、先はわかりませんが、五十七年は現状のようなことでNHKに最大の努力をしてもらわなきゃいけないわけでありますが、そこで、財源確保は何といっても収納率を高めて契約をということなんでありますが、大体、最大の欠陥といいますか、この契約の率が目標に達しないというのはどういうところを問題点として把握しておりますか。
  47. 海林澣一郎

    参考人海林澣一郎君) 先ほど申し上げましたように、全協会的なということで努力しておりますが、先生のおっしゃいます契約の進まない状況ということをかいつまんで申しますと、移動世帯が非常に多く、それの対策が非常にむずかしいということ、それから特に先生御承知の大都市でございますけれども、不在世帯、特に単身であるとかあるいは御夫婦共働きの核家族というのでございましょうか、この辺のところの不在の方が多い。それから契約をしてくださらないことに理由を持つ契約拒否、NHKの放送を見ないとか云々ということで契約の拒否をされる方、われわれが仕事をしておりまして大まかにまとめますと大体そういうことでございます。
  48. 大森昭

    大森昭君 郵政大臣意見書にも受信料の確実な収納を図るべきであるという指摘をしておるわけでありますが、何か特段の具体策をNHK側に指示しておりますか。
  49. 山内一郎

    国務大臣山内一郎君) 意見書の第二項で「確実な収納を図る」ということを記載してございます。NHKが運営をされていく上におきまして最も重要なことは、やっぱり受信料を確実に取るようにいたしましてそれで運営するというのが基本でございますから、格別に具体的にどうしなさいということは——もう絶えず言っている点でございまして、いろいろと工夫をこらしていただいて、開発の点も含めて収納についてはひとつ全力を挙げておやりをいただきたい、こういう点を申し上げているわけでございます。
  50. 大森昭

    大森昭君 そこで、受信料収入の算定基盤ですが、どうもよく私どもにはわからないのでありますが、これを読みますと、五十六年度内に白黒の契約が五万件減ってカラー契約の増が六十万件、それで二千九百十九万件と見込んでいるわけですが、総理府の統計でいきますと、事業所などについても六百万カ所もあるわけですね。世帯、非世帯なども全部洗われてこれは算出されているんですか。
  51. 海林澣一郎

    参考人海林澣一郎君) 先生のおっしゃいます来年度五十五万という目標の数の設定についての御疑問ということでございますけれども、実は先ほどから先生おっしゃっております現在の五十五年度の五十五万あるいは五十六年度の五十五万ということは五十七年までのいわゆる経営計画ということで年間の増加目標を立てたということでございますが、その算定の考え方と申しますと、世帯におきますテレビ普及が限界に達している。先生のおっしゃいます非世帯についてはやはり八十数%は現在契約しておりますけれども、いずれにしましても受信契約数の伸びというのが次第に鈍化しております。今後は世帯の新たな増加に伴う——実は去年の暮れに国勢調査の速報がございましたけれども、あれによりましても、五年間の世帯の増、平均四十五万というふうに出ておりましたけれども、つまり世帯の新たな増加に伴うテレビ所有世帯の増加部分ということ、これが主たる受信契約の開発対象になるのでございますけれども、これは非常に少のうございます。  で、五十五年から五十七年度の契約の増加目標の設定では、いま申し上げました世帯数の増加に伴うテレビ所有推定世帯の増加数に相当する世帯の契約数を確保しよう、それから先生が御指摘の非世帯契約についても逐年増加を図り大体年々二万ずつふやしていこうということで計画を立てております。そういうようなことで、五十六年度五十五万、さらに努力値をそういった世帯、おっしゃるとおりそこにも据えての努力をしていきたいというふうに考えているわけであります。
  52. 大森昭

    大森昭君 時間がありませんからあれですけれども、いずれにしても鈍化していることは鈍化しているんでしょうけれども、たとえば単身世帯なんかはどのくらいテレビを保有しているかなんていうのを、聞くところによると五〇%だというんですけれども、しかし実際問題として、いま学生なんかの状況を見ますと、東京へ来まして、大学に受かって、テレビとステレオと何ですか、三種の神器なんかあるようでありますが、そういういわゆる単身世帯なんかも五〇%がどうかという問題と、とりわけ、いまお話がありましたように非世帯の事業所が二万件と言われるんですけれども、いまどこへ行っても、ホテルヘ行ったって各部屋にみんなテレビはありますし、それから旅館なんかでもそうでしょう。喫茶店なんかにもありますしね。そうなってきますと、これ数を必ずしもふやすことは私はいいとは言いませんが、しかし問題は、やはりテレビがどういう状態使用され、置かれていくかといういわゆる基礎がしっかりしていませんと、これは営業で目標を立てて開発計画を進めることも非常にロスが出てくるんじゃないかと思いますので、その辺のいわゆるテレビ所有率、あるいは事業所がふえることによっての占有率、そういうものはきちっとあるんですか。
  53. 海林澣一郎

    参考人海林澣一郎君) 御質問が二つかと思います。  一つは、単身世帯が五〇%は少しおかしいんじゃないかということでございますけれども、実はわれわれとしては、信類性のあるサンプリング調査と申しますか、単身世帯につきましては、経済企画庁が五十五年九月に行いました独身勤労者消費動向調査、これを基準にいたしまして算定している。東京都内でも、新宿であるとか池袋であるとか、非常にいわゆる小さなアパートと申しますか、下宿と申しますか、という形の中では、学生さんその他単身の方は意外に持っていらっしゃらないということも実際の調べでわかっておりまして、御疑問の五〇%についてわれわれは自信を持ってこの数値を算定しているということでございます。  それから先生のおっしゃいます事業所でございます。実は前回も、事業所のテレビ所有率が少し少ないんじゃないかということがございまして、私も、先生方の御質問を受けましてあるいはという感じもいたしまして、早速、昨年の五月でございますけれどもデータをつくりました。例の新宿副都心の高層ビルでございますけれども、この辺が一番ポピュラーかと思いまして、四棟に入居をしております民間の事業所二百七十七社でございますけれども、文書照会をして、それからうちの職員を派遣するということでやりましたところ、調査対象がいま申し上げた二百七十七で、テレビを設置している事業所は六十社でございました。つまり二二%。そしてテレビの設置の台数でございますけれども、一社平均一・八台。やっぱり日常本来業務といいますか、やっていらっしゃる事業所では、やはりテレビをごらんになるということは少ないということが去年の五月の時点で明確にわかりまして、私ども使用しておりますデータに間違いがないということが立証されたわけでございますけれども、さらに地方都市ではどうかということで、同じく七月に広島放送局に命じまして、調査対象七十二の事業所でやりましたけれどもテレビの設置事業所数は十八社でございまして、これもパーセンテージでやや、地方でございますから東京の二二%に対して二五%でございますけれども、この辺が実態調査の結果明らかになった。なお、広島のテレビの設置台数は一社平均一・三台でございました。
  54. 大森昭

    大森昭君 私なども素人ですからあれですけれども、ただ開発計画が肝心なんで、たとえばいま私ども旅行してビジネスホテルに泊まってもちゃんとありますしね、テレビは。そうでしょう。ああいうでかいホテルがぱっと建てば、テレビなんというのは少なくとも百台ぐらいついているんじゃないですか。よくわかりませんがね。各部屋をのぞいてみたことはないからわからぬけれども、恐らく自分の入った部屋にテレビがあるんだからどこの部屋にもあるのだろうと思うんです。そういうことで、実際にそういうでかいホテルみたいなのができる。そうすると、テレビが何台入っていてどのくらい払っているかというのは、これは抽出で——たとえば成田空港ができて成田にホテルができるとかいろいろあるでしょう。すぐわかるんじゃないんですか、これ。だから、そういう実態の中でも、実はそういうようにあるところはみんな取っています、しかしなかなかテレビの利用状況というのはいまあなたが言ったようにそんなにふえてないんですといろんなら話は理解できるんですが、そういう実態はどうなっていますか。
  55. 海林澣一郎

    参考人海林澣一郎君) 非世帯でございますけれども、確かに世の中に出ている数字ということで総理府の事業所統計調査というのがございますけれども、これで出しますと、五十五年度の見込み数で申しますと、六百四十三万事業所というふうに出るわけでございます。ところが、このうちわれわれが対象にいたしますのは、個人で営業している、たとえばたばこ屋さんであるとかあるいは住居と併設されているお酒屋さんであるとかいうようなこと、これはわれわれは個人の世帯で契約をする。いま申し上げた事業所統計調査の中にはそれがカウントされておりますので、そういう意味で積算をいたしますと、非世帯契約の対象の事業所数は、ただいまの六百四十三万に対しまして百五十二万、二四%というふうになるわけでございます。したがいまして、先生のおっしゃいますホテルその他、これは明確にわれわれの受信契約の対象になりますので、ここ両三年でございますけれども、特に最近では管理者を中心といたしますプロジェクトチームをつくりまして、部内的には非世帯と言っておるのでございますけれども、非世帯対策特別プロジェクトということで、管理職を各事業所に派遣いたしまして契約をお願いするという形でとっているわけでございます。  そういうことで積算していきますと、先ほど申し上げました新宿あるいは広島の例ということと並びながら考えますと、現在の契約率は八八%ということでまだまだ努力の余地十分でございますけれども、われわれとしては事業所に対する積極的な対策ということは一生懸命に続けているというふうに御報告できようかと思います。
  56. 大森昭

    大森昭君 大体毎回そういうような御答弁をいただいているわけですがね。決算書を見ますと、いま言われたような最大の努力と言われておりましても、これは数字というのはごまかしできませんので、ずっと見てまいりますと、五十年度はちょっとあれですが、後は収納率はずっと低下していますね。そういう意味からいきますと、いるいろ管理者が特捜班をつくったりフクロウ部隊をつくったりとか、いろいろいつも言われますが、もう少し抜本的に、どこかに欠陥があるんじゃないかということを討論されているのかされてないのかわかりませんが、仮にいま外部委託の人たちの、もう時間がありませんから、私の方で調べた資料でいきますと、たとえば契約の取り扱い一件で二百円の手数料でしょう、これもちろん、これはいま誤解されるといけないのでありますが、金を取り立てる方法ばっかり言っているんじゃなくて、基本的にはNHKが親しまれる番組もやらなきゃいかぬし、それからいずれにいたしましても、見ている方がNHKの受信料をという意識を持たせなきゃいけないことも一番肝心なんでありますが、しかし努力をしてもなかなかむずかしいという状況の中で、新しい契約を取り次ぎするのに二百円というのは何か根拠あるんですか。
  57. 海林澣一郎

    参考人海林澣一郎君) お答えいたします。  委託集金人の報酬ということにつきましては、ちょっとこの席で申し上げるには細か過ぎるデータなんでございますけれども先生のおっしゃいますように、契約については一件二百円である、それから収納ということについては七十何円であるというような、全体的なバランスの中でそれぞれの状況を積算しまして、たとえば現在状況の中では、契約をとってしまえばあと収納に行くのはわりあいに単純作業というといけませんけれども、厳しい中でありますけれどもスムーズに巡回して歩けるという場合の七十何円。それから契約については、契約をいたしますときにメモを記載するとかいうような手作業がございます。それからNHKのあり方、趣旨などの御質問が最近多うございますから、そういったロードもかかりますというようなことで積算しております。  先生の冒頭に言われました委託集金人の収入の構成ということでございますけれども、確かに五十五年度につきましては契約の増加計画数を下回っておりますけれども、これは先ほどから申し上げております受信料の改定ということで、集金取扱者が収納の安定ということに最重点の力をかけて業務遂行した、取り次ぎの業務の方に手が回りかねたという五十五年特有の状況がございました。五十一年も若干ございましたけれども。で、委託集金人によります契約の取り次ぎ数は、先生のおっしゃいます二百円というのが額として少ないから減ったというふうに私は受けとめておりませんで、ここ数年取り次ぎ数全体、五十四年度は三百四十万でございますけれども約六〇%と、これが両三年そのまま推移しておりまして、契約取り次ぎ数から転居などによる契約減少数を差し引きました純増と申しておりますけれども、この辺も過去五カ年間で世帯数を上回る実績と、先ほど申し上げました国調で二百二十四万五年間に世帯がふえているわけでございますけれども、いわゆる委託集金人を中心とします契約の増というようなことではその二百二十四万を上越しておりまして、二百二十四万に対して二百四十四万というふうな実績数字、データもございますので、二百円が少ないから契約が落ちるというふうには私は受けとめていない次第でございます。
  58. 大森昭

    大森昭君 いまたまたま二百円という問題を提起しましたのは、NHKの収納率が低下している、契約が余り拡大をしない。やっぱり変化しているんですよね、国民の皆さん方は。NHKですと入っていきまして、おたくテレビ入りましたから契約してください、あるいは今月は集金に参りました、ああそうですかという状況じゃないんですよ。これ、ずっと見ますとね。長期滞納者は依然として解決していませんよ。新たな変化の中で対応していないんじゃないかという意味合いで二百円という問題を問題提起しただけなんです、私は。契約をとるのに大変厳しいような状況なら、それに対する施策をしなきゃいけないでしょう。だから、そういうことから見ると変化をしていないんじゃないか。変化をしていないということは、認識が、先ほど言いますようにNHKですと言えばすぐ契約をしてくれる、NHKですと言えばすぐにお金を納めてくれるという状況じゃないわけですから、当然そういう変化の中で、仮にこの二百円の問題を一つの例として出したのでありますが、そのように、たとえば外部委託者の処遇の問題についても一体どうするのか。それから本務者との関係をどうするのか。あるいは郵政にも委託しているわけでありますが、郵政の委託をしている分野ではどういうふうになっているからよりそれを拡大してもらうのか、縮小するのか。いろんな面で、いずれにしても検討はされているんだろうと思うのでありますが、変化がないものですからたまたまいま二百円の問題で指摘をしただけなんです。  そこで、いずれにいたしましても振替口座をやっていますね。これは端的に言いますと、口座を設けていただきまして振替をやりますと取りにいかなくても済むわけでありまして、きわめてこれは有効なんですね。で、振替口座の状況を見ますと、一般のいまやられておりますガスだとか、水道だとか、電話料だとか、東京都内だけの数字をとりましても、どうも振替口座もそういう事業からいたしますと、もちろんそういう事業というのは金を払わなければ電話がとまっちゃうし、水道もとまっちゃうし、ガスもとまっちゃうという問題もあるかもわかりませんが、振替口座の状況ども類似産業から見ますと利用率は同じようになっていないんじゃないですか。
  59. 海林澣一郎

    参考人海林澣一郎君) おっしゃいます他の公共機関的な機関との比較でございますけれども、電気、ガス事業などの口座利用率については企業によってばらつきがあるようですが、私の持っておりますデータでは電力会社、東京電力が六二%でございます。それからガス会社の例では東京ガスが六八%、それから電信電話料金が七六%、それから都の水道局が六〇%、地方のデータがちょっといま手元にございませんけれども、大体そのような率というふうに承っております。
  60. 大森昭

    大森昭君 だから、そういう率だからNHKはどうなんですか。
  61. 海林澣一郎

    参考人海林澣一郎君) NHKは現在で四二%であります。
  62. 大森昭

    大森昭君 だから、四二%なら、ほかの事業から比べればずっと落ちるわけでしょう。ずっと落ちるのは、なぜNHKは、振替にしてもらえれば一番経営基盤が安定するのに、そういうパーセンテージが減っているんですか。数字だけ言ったってだめなんだよ、その所見を述べなきゃ。
  63. 海林澣一郎

    参考人海林澣一郎君) 他の機関が先ほど申し上げたような数字でNHK四二%、その辺を先生どういうふうにその差が出ているかということでございましょう。  実は電気、ガス料金につきましては、当然のことでございますけれども、払わなければ供給停止があるというような形あるいはわりあいに対価でございますので使えば払わなくちゃいけないという、いわゆる支払い意識と申しますか、というものが明確である。先生のおっしゃいますNHKの考え方としては、とにかくいい放送を出して、それを見ていただきいわゆる文化水準の向上に寄与するということでありますから、それを国民視聴者の方にわかっていただいて、ぜひコストも安定します口座振替ということでお願いするということが趣旨なんでございますけれども、やはりその性質の若干の違いがあるということで、どうしてもその辺の御理解がいただけない。したがいまして、手をこまねいているわけじゃございませんで、たとえばお気づきかと思いますけれども放送のステーションブレーク、あの一分のところで口座推進のお勧めであるとか、諸種のパンフレットをつくる、あるいはきのうも銀行協会あるいは金融機関の方に集まっていただきましたけれども、そういう方たちとも連携しながら、NHK独自の性格であるけれどもぜひわかっていただきたいという形で現在施策を進めている。特に五十六年度の営業の基本方針と申しますか、眼目の最大の一つにこの口座推進ということを入れまして積極的にやる。特に大都会におきましてはパートタイマー的な者も入れまして口座をとるということに努力しておるつもりでございます。
  64. 大森昭

    大森昭君 いや、私は別に、誤解されるといけないんですが、ビジネス一本でNHKの経営をやれと言うんじゃないのでありまして、いまあなたが言うように、それはNHKを理解していただいてという本質的なものは変わっていないんですよ。ただ、そう言われても、やっぱり契約率が高まって収納率が高まらなければ大体いいものができないでしょう。いいものができないという状態なんですよ、いま。だから、そこが、私はいまの認識、いわゆるNHKが発足をして、いま精神的なものを言われましたけれども、そういう状況であるのならそれはそれでいいんですよ。しかし、まさに支払い義務化の問題が提起されるように、そういう理解も一定の限度があるんじゃないか。私は支払い義務化反対ですけれどもね。一定の限度があるんじゃないかと言う人たちが出てきている世の中なんだから、御理解をいただいて、よく納得をしていただいてということももちろん必要でありますが、そういうことだけじゃなくて、やはりNHKを公平に運営していかなきゃいかぬわけでしょう、同じように見ていたって払わない人がいたりなんかしちゃいかぬわけですから。そしてまた、より受信料がスムーズに来るということになると、振替口座をやれば当然引き続き入ってくるというメリットもあるわけでしょう。そうなってきますと、仮に前納の割引なんかもありますけれども、端的に言いますが、さっき二百円のときにあなた何か七十何円とか言いましたね、一件当たりの収納。それをひっくり返して、そう単純にはいかないんでしょうけれども、振替口座をやっている私どもなんというのは大体毎月七十五円まけてもらったっていいんじゃないんですか。違うんですか。
  65. 海林澣一郎

    参考人海林澣一郎君) NHKといたしましては、先生御承知の前納につきましては、半年、一年ということで一応割引ということがございますけれども、この口座につきましては、やはり訪問する、しないということで格差がつくというようなこと、これも何かと思いますし、それから八百八十円という均一料金でございますので、その辺のところも問題である。それが基本的なNHKの性格に属することでございますけれども、割引をした場合にやはり減収を生ずるということに相なりますので、御指摘のとおりでございますけれども、口座についての割引については慎重に議論している。  それから口座振替を実施しております他の公的機関におかれましてもその例がないということでございますし、実はかなりアンケートなどを配りまして調べたのでございますけれども、たとえば割引制度を実施した場合にどうであろうかということで、現在口座振替でなく支払いの方に、勧奨すれば、ぜひ入ってくれと言えば入りますかという問いに対しては二四・六というのが出ました。その場合に、じゃ五%割引すればどうですか、三一%。一〇%割り引けばどうかという質問には三六%。どうも割引についての魅力というのがない。これは非常に抹消的なことでございますけれども、そういった諸種のデータを積み上げまして、現在といたしましては、やはり口座についての割引ということは今後の努力にまつというふうに考え、実施することは尚早であろうというふうに思っております。
  66. 大森昭

    大森昭君 いまの議論では、それは五十六年度どう、五十七年度どうというわけにはいきませんが、その精神面の問題は抜きにして経営面からいくと、私がさっき言ったように、しかも長期滞納者、たとえばいつ行ってもいないという人は振替をやっていただければもう行かなくたって済むんだから。そうでしょう。それから委託の人に七十五円払っているんですか、七十幾らか知らぬけれども。銀行の振替だから銀行にも幾らか手数料取られるから、七十五円もともと返ってくるということにはならぬでしょう、手数料とか何かあるから銀行も取るでしょうから、あるいはそういう金融機関が取るから。しかし実際ビジネス的にいきゃ過払いしているんだよね、私なんか。そうでしょう。毎日毎日来てもらったっていいんですよ、正直言って。だから、そういうようにいまここで直ちに結論を出すことはむずかしいけれども、ほかの方にはそういうのがないとか言われたって、さっき言ったように、ガスだとか水道だとかというのはNHKと違った別な方法があるから七六%も六八%も口座をやっているわけでしょう。で、こっちはないものもあるけれども、あるものもあるというやっぱり問題を持って総体的にNHKを経営していかなければ、全部そういうものはないからないということでいきますと、こっちはテレビを消しちゃうわけにいかないから仕方がないんですと言ったら、これ何も目新しいものというのは発展していきませんから……。きょうはこれ以上時間がありませんから詰めませんが、どうかひとつ、きょうは郵政省の人も見えていますが、保険なんかは一カ月分ぐらいの掛金は新規契約をとれば——もちろん保険とNHKとは違うと言われるけれども、そういうのだってあるわけですよ。ですから、いろいろ検討してみてもらいたいと思うんです。  そこで、あなたが言うように愛されるNHKということになりますと、まず放送番組が一番問題だろうと思うんですが、これもちゃんと決められておりまして、会長が、中央放送番組審議会というんですか、そこへ諮問してということでありますが、NHK側が番組編成で問題を提起していろんな議論が出るのだろうと思うんですが、最近におけるこの番組審議会というのはどういうような状況になっているんですか。
  67. 田中武志

    参考人田中武志君) お答え申し上げます。  先生指摘のように、五十六年度番組編成に当たりましても、私ども、昨年の秋以来中央番組審議会あるいは地方の番組審議会に伺いまして、いろいろ番組に対する御意見、要望などをたびたびお伺いしてまいりました。その御意見、要望の一、二を御紹介申し上げますと、こういった国際化時代には海外取材とか海外の放送機関との共同制作、そういったものと十分タイアップしてやってほしいとか、あるいはニュース、報道番組に関しては一層の迅速、正確な報道を要望するとか、あるいは障害者年でありますので、こういったものについての障害者の自立を促すような番組につきましては、番組をいいものを出してほしいとか、あるいは教育の問題、あるいは娯楽の問題、ローカルの問題という多様にわたりましていろいろ御意見を出されております。こういった御意見を十分参考にしながら、先ほど申し上げましたように、私ども編成の基本方針というのを取りまとめていまやっておる最中でございます。  それで、その具体的な反映といたしましては、たとえば国際交流などを図ったらどうだという御意見に対して、私ども五十六年におきましてはいろいろ、海外の放送機関との共同制作の話を二つも三つも現在進めております、それから「シルクロード」などにつきましても、一応月一回の分は今月で終わりましたけれども、来月からは週一回三十分の番組でまた新しい素材をたくさんふんだんに入れて放送するとかいうことも考えております。  それからそのほか障害者年につきましては、すでに一月から「NHK特集」だとかそういったところでやっておりますし、この後も相次いでいろんな特別番組放送するようなこともやっておりますし、一分間の番組も大変好評をいただいているというようなことで、審議会の先生方の御意見というのはこういった具体的な番組の中にも五十六年度におきましては十分反映さしているというのが実態でございます。
  68. 大森昭

    大森昭君 NHKというのは単独で放送しているわけじゃないわけでしょう。チャンネルこうやれば同時に自由に見えるわけですね。そうなってきますと、仮に競争相手——競争相手という言い方はよくないのかどうかわからぬけれども、仮に民放ですね、民放がこの時間に何の番組をやっていると。いま必ず言うだろうと思ったんです、「シルクロード」がいいとかなんとかね。それはわれわれだって見ていますよ。しかし問題は、仮に五時から六時、六時半ぐらいまでというのは民放は大体児童向けなんかをやっていますね。そのときに少なくとも「シルクロード」を流して「シルクロード」を見るという人間というのは限られているんですよ。児童なんか見ませんわな。そうでしょう。砂漠でもってポカポカポカポカやって昔の遺跡があるなんというのを児童が見ますか。そうなってくると、当然番組編成するに当たっては、この時間帯で何をやっているということが当然頭の中に入らなけりゃいけないと思うんですね。そうでしょう。だから、単独で「シルクロード」がいい、評判がいいからいいのをやっていますとか、海外番組——海外番組だってそうでしょう。少なくとも中学生の高学年で海外旅行したいとか世界に目を広げてとか、高校生ぐらいでも興味ある人がありますけれども、最近は大学生でも漫画見ているという時代ですからね、ぼくもよくわかりませんが。だから、そういう特定な人が見るものを指していいものをやっていると言ったって、それは番組の正しい編成にはならないんじゃないかという感じがするんですよ。  一つの例といたしまして、たとえば三時間物というのは何があります、NHKで。常時とは言いませんが、三時間物。
  69. 田中武志

    参考人田中武志君) 五十五年度番組の中ではドラマなどで長時間の番組を編成いたしました。たとえば一月の初めのところで「男子の本懐」とか、それから継続物といたしましては、毎日やりましたものとしては「ザ・商社」、いままた再放送やっておりますけれども、そういったところでやっておりますし、それから討論番組ども、三時間という長いものではありませんでしたけれども、年間何回かにわたりまして二時間ぐらいのものは放送しております。
  70. 大森昭

    大森昭君 肝心なのが抜けているんだよ。九十日間相撲やっているんだよ、三時間。そうでしょう。いろんな事情があってやっているのだろうと思うんだけれども、余りこういう発言すると怒られるよという話もあるんですよ。相撲の好きな人がいて、それを見ている人がいるんだからというんだけれどもね。どうも正直申し上げまして、三時から六時まで相撲を見ている人というのは大変優秀な人だと思うんですがね。しんぼう強い人だと思うんです。ちょっとあなたの方からもらった資料でいきますと、これ一本当たり八百何十万かかっているわけですね。そうでしょう。そういうことなどについても、これ三時間物で九十日間国技と言われておる相撲を見るわけでありますが、こういうものというのはその番組審議会なんかには余り意見出ませんか。
  71. 田中武志

    参考人田中武志君) お答え申し上げます。  特に私も中央番組審議会あるいは地方の番組審議会にもできるだけ出るようにしておりますけれども先生方からは御意見がないようでございます。むしろ北海道とかあるいは九州の方の先生方からは、やはり地元の出身の方も多いせいでありましょうけれども、わりに早い時間からやってほしいというような御要望も数年前にはありまして、それでそういったことで三時間に昨年から延ばしたというような事情でございます。
  72. 大森昭

    大森昭君 意見がない意見を言うのは、私が変わっているわけだから余り言わない方がいいんでしょうけれども、ただ、いろんな権料といいますか、複雑なこともあるんでしょうけれども、前年度予算を見ますと四百何万で、今年度のやつを見ますと八百何十万でしょう。さっき山本さんから物価の問題が言われましたけれども、これはすごいんですね。倍ですから、十割増しですから。そうすると、どうもNHKが、いま言うように意見がないということはいいとされているわけでしょうから固執をしているんじゃないか。固執をしている限りは少しぐらい金をたくさん払ったって、固執しているからやりたがっているんじゃないかというように、こう言うことはちょっと乱暴かもわかりませんね。もしか失言があったら議事録を取り消してもらわなけりゃいかぬけれども、どうも私はいろんな事情でこの放送番組というものは編成されているんだろうと思いますが、少しこの辺も意見がないのを私が意見を言っているわけだから、私が変わっているんだから余り参考にならぬかもわからぬけれども、少し検討をした方がいいんじゃないかというような感じもしますし、さっき言ったいわゆる四時半ごろから六時半ぐらいまで児童向けがきわめて多い。しかしNHKを見ますと、多少、名犬何とかというのだとか、いろいろ十五分物ぐらいで苦労しているようですがね、犬をかわいがることも必要なんでしょうけれども。  なぜ私がこういうことを言うかといいますと、実はせんだっての予算委員会で非行青少年の問題とか、校内暴力の問題だとか、あるいは大変いま麻薬みたいのがはんらんしているようでありますがとか、こういう世上の問題についていろいろ対策を立てているけれども、言論の自由、報道の自由、いろんなことがあってなかなか規制をするのもむずかしいけれども電波というのは国民のものである、そういう意味からいきますれば、ある意味合いで電波を通じてそういう問題が起こらないようにというような、政府側のたしか総務長官だと思ったですけれども答弁があったようなことが頭に残っているんですがね。ですから、それほどいわゆる電波の持つ社会に及ぼす影響というのは非常に大きいのだろうと思うんですね。そういう意味合いで、とりもなおさず児童から社会教育しなきゃいかぬし、それから相撲の話もそうなんですが、三時間えっさおっさと、張ったの、座ったの——それは四十八手あるようでありますが、こういうことがいわゆるそういう社会的な影響の中で九十日間三時間やるわけだけれども、というような視点で、少しやっぱりNHKが今日、社会の中でもろもろな現象が起きている問題をやはりある程度役割りを担うということで少し違った角度で番組編成を、私はどの番組がよくてどれが悪いとかいうのは言いませんけれども、そういう視点で実はいまちょっと二、三例を出して質問をしたことについて理解をしていただきたいと思います。  次に、経営の合理化の問題でありますが、五十五年度においては五十人を削減する、五十六年度はということで、これも聞くところによりますと、五十九年までに六百人を効率化という名のもとに減員をするようでありますが、私ども、いまお話がありましたようにNHKの番組を豊かにしてということになれば、それなりにこれは新しい分野で事業を発展させなきゃいけないんだろうと思うのでありますが、どうもこの効率化の方を見ていきますと大変な人を減員するというようなことになっているのでありますが、いまは何でも財政再建だとかなんとかという言葉がはやってますからね、そういう流れの中で企業の合理化をするんでしょうけれども、こんなに要員というものを減らさなきゃならないようなことなんですか。
  73. 武富明

    参考人(武富明君) お答えいたします。  NHKの効率化計画は五十五年度から五十九年度まで、初年度百人、二年目に二百人、三年目に三百人、あとの二年間は三百人ずつ、合わせて計千二百人、五十五年にやっておりました現行業務、それを現在時点といたしますと、五十五年度の現行業務につきまして要員数を七%減らす、こういう計画を立てているわけでございます。  いまそれだけ減らさなきゃならぬのかというお話がございましたが、私どもといたしましては、この五十四年度の前、四十五年から五十四年まで十年間にわたって千百六十人の効率化というのをやってまいったわけでありますけれども、なおかつ受信者からの御要望というのは、いい番組を出してほしい、こういうこととあわせて経営を効率化してほしい、この二つの点があらゆる視聴者とのお話し合いの中で出てくる問題点でございます。これに対して協会としてはどうしてもこたえてまいりたい、こういうことでいまのような千二百人という目標を立てまして、そしていま効率化計画を進めているわけでございまして、決して楽な効率化ではございませんけれども、一方、どんなに苦しくても受信者の御要望というものにはこたえていかなきゃいかぬ、こういう決意でこの効率化に取り組もうとしているわけでございます。
  74. 大森昭

    大森昭君 何かお話を聞いていますと、一つの目標を立てて削減をしていくということになりますとやっぱりどこか無理がくると思うんですよ、そういうやり方は。やはり機械化なら機械化をしたときに、それに余剰の人が出ればそれをどうするというようなことだとか、あるいは組織規程の改正をすることによって人が要らなくなるとかという、そういう計画があって人を減らすというならわかるんですが、どうも聞いていますと、最初に減員計画を立てまして、それに合わしてやっていくというのはどうも私は——もちろん私が言うほど単純じゃなくて、いろいろ部内では検討されているんだろうと思いますが、先ほどから言いますように、新しく世の中も変化をしていますし、いい番組もつくらなきゃいけないし、とりわけ、ここでちょっと問題にしておきたいのは、女子の職員の採用などについても全くと言っていいほどしていないですね。
  75. 武富明

    参考人(武富明君) お答え申し上げます。  女子の採用は毎年行っております。毎年女子の採用につきましては、技能担務を含めますと、年間で計五十五名程度を採用いたしております。これはほぼ退職数に見合った人間というものを見込みまして、そして採用いたしておりますというのが現状でございます。
  76. 大森昭

    大森昭君 私の手元にある資料によりますと、NHKの女子職員は五十五年四月現在九百五十八名、全体の六%。多くは事務職で放送、技術に極端に少ない。特に取材はわずか三人、技術も三人しかいない。これからいい番組をつくるということになれば、女性は女性としての立場での取材をすることなども必要でしょうから、そういう意味からいきますと、三人ぐらいの新規採用では十分女子を活用して業務運営をしていくということにはならないんじゃないかという資料がありますが、あなた、大分採用しているような話をしておりましたけれども……。
  77. 武富明

    参考人(武富明君) ただいま御説明いたしましたように、確かに毎年五十五人程度の女子は採用いたしておりますが、それぞれ技能担務その他につきましては、毎年退職をいたしてまいります者がございますのでその都度補充をするというようなこともございますので、年間で見ますと五十五名になるわけでございます。  それからいま先生の御指摘がございましたけれども、私ども確かに非常に広い職場を持っておりまして、そしていま先生のお示しになりました資料と多少違いまして、五十五年度当初におきましては女子の要員というのは千八十名おりました。その中で放送が百六十二人、それからやはりおっしゃるとおり事務が六百三十三人、それから技能が二百八十人程度でございます。そういう分布になっておりまして、われわれとしては、やはりわれわれの売り物であります放送につきましてもこれだけの要員を使っておりますし、またこの人たちが女性であるがゆえの取材ができる、こういう利点も十分に考えまして、その特性番組に生かされるようなそういう配置をいたして、これだけの人間をいま採用しております。年々、急にふやすということは現在の情勢の中では非常に困難でございますけれども、現行はきちんと維持をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  78. 大森昭

    大森昭君 ぼくは純増しろと言っているんじゃないですよ。採用するときに、男子がやめたって女子を採用すればいいんだから、女子をふやす方法というのは。そうでしょう。そういう意味合いで言っているのでありまして、いずれにいたしましても、時間がありませんからあれですが、女子職員の、婦人年の中間年になるようでありますし、それから障害者の、ことしは国際障害者年でありますし、いろいろ一定の基準で障害者の方々を採用しなきゃならないという問題なんかも決められておりますし、そういう点でひとつ問題の処理をしていただきたいと思います。  そこで、さっき番組の問題もありましたけれども、たとえば再放送なんかもわりあい多いんですよね。また再放送は再放送で時間帯の方々によってということで恐らく答弁されるのでありまして、午前中やったやつを午後やったってそれが非常にいい番組だからという——多分そうだと思うんですよ、相撲の三時間も意見が出ないくらいですから。そこで問題は、そういう再放送絶対やるなという意味じゃないんですけれども、この間もちょっと、NHK主催の会議をやっておりましたら、女性の方が言っておりましたけれども、とにかく昔やったいい番組を再放送したらいいじゃないかという話も出ておりましたね。それにはやはり何といっても日々行われております放送番組をきちっと、ライブラリーというんですか、そういうことをやることが必要だと思いますが、そういう点はきちっとNHKは行われておるわけですか。
  79. 田中武志

    参考人田中武志君) お答え申し上げます。  いま先生指摘のように、放送で出ました芸能文化というのは、これは国民生活のあらゆる分野にわたる貴重な記録でございます。また国民の財産だというふうに私どもは認識しております。そういった意味合いで、こういった文化的な遺産番組を長く後々に残していきたいということでいろいろいま考えている最中でございまして、一つは、こういった貴重な番組をより広く系統的に活用できるようにという意味合いで、来月からNHK放送番組ライブラリーというようなものを発足させまして、このライブラリーの中でいろいろ貴重な番組を保存していきたいというふうに考えております。  こういった保存された番組につきましては、いま先生指摘のように、後々の番組制作に有効に利用できるというような意味合いのほかに、できれば外部の方に貸し出しをしたり、あるいは図書館とか公民館のようなところで公開をしたり、あるいは有償で提供したり、そういったようなことでいろいろ多様な利用をひとつ考えていきたいというふうに現在考えておるわけでございます。
  80. 大森昭

    大森昭君 いずれにいたしましても、社会の価値観の変化の中で大変NHKの皆さん方が御苦労していることは痛いほどわかるのであります。しかし、それは当然公共放送を守るという立場で御努力していただいているんだと思いますが、世の中の変化の中でやはりきちっと守っていくのにはこれからも新しい創意と工夫が必要だと思います。時間がありませんから多くの問題に触れられませんでしたけれども、どうかひとつ、御努力を多といたしますが、なお問題をより発展させるために御努力をしていただくことをお願いいたしまして、きょうの質問をこれで終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  81. 福間知之

    委員長福間知之君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      —————・—————    午後一時四分開会
  82. 福間知之

    委員長福間知之君) ただいまから逓信委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、放送法第三十七条第二項の規定に基づき、承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  83. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 きょうは、昨年のNHKの予算案の審議の際にも申し上げたのでありますが、そのときには放送衛星に関連する放送政策の基本的な方針について質問したつもりですが、大臣からは十分なお答えを得られなかったんです。その当時の大臣は、引き続いて研究をした上で来年の、つまり今度のこの予算編成に当たってその対策を立てますという答弁をしておられたのです。時間の制約もございますから、私はなるべく簡単に率直に自分の考えていることを申し上げますから、大臣もお考えになったところを率直にひとつ御答弁をしていただいて、わずかな時間の間にそういう方針がある程度明らかになるようなもとをつくっていただきたいと思うんです。  それで、前大臣からの引き継ぎもあったと思いますけれども、それについては御研究をしていただいたんでしょうか。
  84. 山内一郎

    国務大臣山内一郎君) はい。
  85. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それでは少し内容に入りますが、昨年来NHKの理事者の方々が放送衛星を活用して全国放送をしたい、それには去年の予算の中でも八億幾らかの放送衛星の衛星本体をつくるための経費を分担するために予算を計上しておられたですね。ことしもそうです。それに対して、全国放送を衛星によってやった場合には現在あるような地上設備はこれは漸次廃止していって衛星放送一本化するんだということをNHKの人たちは強調しておったんです。御承知のとおりです。で、これは現在でもそういう方針であるのかどうか。またそれに対して、郵政大臣としてそれはいいだろうというような、これは法律のあることですからあなた一人ではどうにもできないでしょうが、そういうような内諾を与えたり、あるいは承認を与えたりしておられるんでしょうか。これはNHKと郵政大臣、両方からお答えをいただきたいと思うんです。
  86. 高橋良

    参考人高橋良君) お答え申し上げます。  昨年度におきましても、衛星が上がる主目的といたしましては、NHKの考えとしまして四十二万ぐらい残るであろう難視の解消を主目的として打ち上げたい、それで第七条の関係を急ぎたいということを申し上げたわけでございまして、それが上がった場合においてローカル放送をやっておりますところの地上施設、これにつきましては衛星が上がった段階において現在の地上施設でやっておりますようなきめの細かいローカル放送拡充ということは行うわけでございますので、共聴施設につきましては現在におきましても地方自治体、場合によりましては共同受信者の組合の方からの要望がございまして割愛をし移譲を申し上げているのはございますけれども放送局そのものについてはローカル放送をやるという意味合いにおきまして廃止するという考え方は持っておらないわけでございます。
  87. 山内一郎

    国務大臣山内一郎君) NHKが難視聴解消ということで非常に力を入れておやりになっているわけでございますけれども、大分辺地、離島等に残りがなってまいりまして、これをできるだけ早くやるために衛星放送を利用したい、こういうお考えで今年度からその計画は進んでいるわけでございます。上がるまでは従来どおり地上方式でやらざるを得ない、こういうことでございますけれども、いよいよ放送衛星が上がりました段階において既存の地上施設をどうするかという御質問でございますけれども、私はローカル放送等もございますので、せっかくできたものはできるだけ維持していただいて御活用していただいたらどうか、こういうふうに考えております。
  88. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 放送協会会長ね、この回答は技師長じゃしようがない。だから会長から。  去年はそうじゃなかったんです。去年はそうじゃなかったが、高橋君の前任者の技師長はそうは言っていなかった、反対のことを言っていたんです。それは私に回答したんです。しかし、それはどちらでもいいです。いま技師長が言ったようなことについて会長はどう考えているんですか。
  89. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 先生も御承知のように、放送衛星の目的といたしましては、最終的に残る難視の四十二、三万の方々を地上施設でもって解消するのは困難であるし、また経費的にも増高し過ぎるというところでございますので、既存のローカル施設につきましては、やはり放送法に定められておりますきめの細かいローカル放送という観点から残させていただいて、両々相まちたいということでございます。
  90. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 当然そうだと思うんです。これはどういう角度から考えましても現在の放送法の四十四条、つまりローカル放送はこれはNHK、民放ともにやらなきゃならぬということになっているわけです。この法律を変えない限りはNHKがどんなにプラス・マイナスがあってもローカル放送から離れていくわけにいかない。それからさらに、われわれとしては、これは何も国会議員だけの問題じゃありませんが、公選法を先般改正したですね。いま現に公選法の百五十条、百五十一条で政見放送とか経歴放送というものをやっているわけです。これはローカル放送でないとできないでしょう。ですから、たてまえとしてはどういう放送衛星を使ってどういう放送をされようとローカル放送はやめるわけにはいかないということだと思います。私も、それは結論としてはそうせざるを得ないということにこれはだれもが同意すると思うんですけれどもね。  そこで、考えますと、そうなってくると、ローカル放送のために共聴施設、それから個人的な受信施設というようなものを拡張していきまして、結局いまの地上設備というものをそのまま維持していくわけですから、だから、いま難視だ難視だと言っておられるところでも、後で問題にしますが、放送法七条からいいますとそこまでやはりいまのローカル放送も届けなきゃならぬでしょう。それからあなた方が総合放送と言っているテレビの総合放送も届けなきゃならぬ。そうしますと、明瞭にこれは全国放送の部分に関しましては二重投資になるわけですよ。もちろん放送衛星を利用しますといろいろ付随的ないい点はあるわけです。たとえば離島の小笠原とか大東島とかそういう普通の波が届かないようなところ、これは衛星でやりますと真っすぐに届きますから、これは非常な利益ですね。それから非常災害の場合も同様だと思います。それからいままで余りあなた方言わないけれども、いまCATVなんか使って非常に各地で問題を起こして困っている問題もあるでしょう。都市の難視ですね、都市の難視なんかにもこれを使えば解消できる。そういった利点はあるんですけれども、二重投資になるんだからこれについてはやり方の問題、それからNHKの負担の問題、そういった点について、ただ、やるんだやるんだということでなしに、もっとやっぱりなるべく国民のためにもなるように、またNHKの財政を揺るがすようなことのないように精密にこれは計算をされまして対策を立てなきゃならぬと思うんです。その点はどうも私はまだ郵政省もNHKも研究も努力も足りないんじゃないか、率直に言ましてそう思うんです。  これは設備費については、実は私は宇宙開発事業団の担当の理事を呼びまして詳しく調べたんです。そうしたら二個の衛星を上げる費用ですね、これは単純に上げる費用だけですけれどもロケットの分を含めまして大体六百十二億かかる、それからNHKが六〇%負担するというんだから三百六十七億かかるということを言っています。ところが、これだけじゃ済まないんですね。そのほかに、NHKがもし仮にやるとすれば地上のいろいろ送ったり受けたりする費用がやっぱりかかりますね。二、三十億かかるでしょう。やっぱりこれどうしても四百億ぐらいのものがいまの中型の衛星であってもかかるわけです。その次の段階をお考えになると、これは今度は五百キロといいますね。それはロケットもそのときになるとそのくらいのものを打ち上げるだけのものはできるだろうということで考えていくと、この次の段階で打ち上げる衛星というのは大体八百億から千億ぐらいかかるんじゃないですか。やっぱりそれについても六割負担ということ。したがって二チャンネルはNHKが使うんだという大前提でお考えになっているのかどうか。もしそうだとすると、現在の衛星だけをもとにしていろいろの設備費がこうだとか、それから運営管理費がこうだとかいうようなものだけじゃ足りないんです。  ことに指摘したい問題が二つある。一つは、いまの衛星というのは大体五年もつようにしたい、こう言っているんでしょう。寿命が五年あるようにしたいと言っているでしょう。しかし宇宙開発事業団によると五年は努力目標だと言っていますよ、四年は確かですと。しかし、それは五年でもいいです。まあ一応五年にしておきましょう。五年間でやりながら——これは五十七年に打ち上げますね。そうすると六十二年にはその衛星はもう使えなくなるんですよ。使えなくなったらすぐにまた間隔を置いて上げるというわけにいかないんだな。これを本当に国内の全国放送に使うんだということになれば、いまやっているように五十八年ぐらいから次の衛星の製作にかからなければならない。NHKはそれを出すだけの計算をしていないですよ、まだ。先ほど大森委員がいろいろ言われた三十億倹約しましたとか、どこか三十億浮かしましたとかいうふうな話が出ていますけれども、年間やっぱり五十八年度から先毎年七、八十億から百億の衛星の関係の投資をしていかなければならない。それは計算外ですよ。そういったこともこれは考えておられるのだと思うんだけれども、率直にそういったものを計算に入れてあなた方衛星問題に取り組んでもらわないと、これはだれも何も言わないから問題が起こるまで黙っていようというようなかっこうじゃ、これは幾らNHKの財政基盤を確立してやろうなんという努力をしても、そういうかっこうじゃわれわれの努力のかいかないと思うんですよ。その点はどうなんです。NHKも郵政も考えていないことはないんでしょう。
  91. 山内一郎

    国務大臣山内一郎君) 難視聴解消の問題でございますけれども、地上方式で徹底的にやっていくか、それから衛星放送でやるかという場合には、いま新谷先生おっしゃったように、次の五年後にまた次のやつを上げないといけない、そういう計画も一応頭に入れておりますけれども、それでは経済的な問題ですね、それからいつになったら地上方式はでき上がるか、こういう点も考慮に入れないといけないと思うわけでございます。  すると、地上方式と衛星方式の今後かかる経費というものは、いろいろ不安定な要素はございますけれども一応計算をさせまして、衛星の方も二つ上げることとする、地上方式はいまのペースでやっていくということで、おのおのが十三年間にどのくらい金がかかるかという試算をさせたわけでございます。地上方式では建設費で約一千億、これは前から言われている数字ですが、いま直ちにやればという話でございますからこれも上がるかもしれない。運用費等で、これは後ほど、私専門家でもございませんので事務当局から説明してもようございますが、九百五十億円で、十三年間の総経費では千九百五十億円地上方式がかかります。それから衛星放送の方は三百七十億、これはNHKの持ち分ですね、これを二倍する。仮に二倍です。もっと上がるかもしれません。あるいは技術の開発によって単価が下がるかもしれない。というようなことと、地上局で七百六十億円、これに運用費等十三年分いろいろ計算をいたしますと千四百三十億円ということで、これは一応の試算でございますからこのとおりいくかどうかわかりません。ただし、衛星放送でやる方が難視聴解消が早いということだけは私間違いないのじゃないか、こういうふうに確信をしておるわけでございます。
  92. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 大臣ね、その資料私も持っていますから、それは詳しく要りません。そういうこともあるけれども、これは私さっき申し上げたように、いまの地上施設の方は、ローカル放送を廃止できないということになればいまの形の地上方式を伸ばしていく以外にないでしょう。現在の難視だけはこの地上方式はもう要らないんだということになるんですか、ならないんですか。その点が一つのやっぱり放送法の七条及び九条の解釈上問題になる点なんです。そこを跳び込えておっしゃらないで、基本的な方針をやっぱり出される必要がある。  それからもう一つの問題があると言ったのはこういうことです。個別受信の場合と共同受信の場合と両方ありますね。これはこの前の委員会でも申し上げたから数字は言いませんけれども、相当に量産すれば何万とかいう数字で片づくんですけれども、いまの状態では二けたの施設費がかかるわけです、難視の人たちが出さなければならない設備費ですね。衛星から波を受けてそれを画にしようと思うと現在の受像機だけじゃいけない、そこにアンテナもつけなければならないしアダプターも要るでしょう。これは幸いにしてNHKがSHFのを開発されたので、これは世界的にも進んだ技術開発と私も思っているんです。それはいいんですけれども、しかし現在難視で困っている国民が出さなきゃならない設備費というのは相当大きな額になるわけですね。現在のレシーバーよりもまだ高いでしょう。一体これに対して、これは政府が何か考えるのか。あるいはNHKはそういう波を届けなければならぬという義務を課せられているんだから、NHKがそういった違った方式でやる場合にこの費用を負担しなきゃならないのか。あるいは各世帯がこれをしんぼうしても買わなきゃ見えないというふうにするのか。何かやっぱりここで新しい工夫がないと、ただ衛星から波を送りましたよというだけでは難視解消にはならないでしょう。それについての何か政府部内の話し合いとか、NHKと政府との話し合いとか、あるいはまだそこまでいかなくても、郵政大臣としてはそれに対してはこういう手段、方法をとって、場合によっては法律改正してでも波は届けるようにいたしましょうとおっしゃるのか。何かやっぱりそこで放送衛星について——ことしだって、いま審議中の予算の中にNHKの負担する放送衛星の部分が四十七億三千万円でしょう。こんなものを知らぬ顔して出しているんですよ。それで肝心の基本的な政策については考えられておるのか知らぬけれども、一向われわれにもお示しがないし御説明もないということでは、これはどうも将来に対してどっち向いていっているのかわからないという心配があるわけです。だから、こんな質問しているんです。これはどっちからでもいいです。答弁してください。
  93. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 冒頭申し上げましたように、現在のテレビ情報の非常に豊富な現時点において、なおかつテレビを見ることができないというそういう方々に何とか早くテレビの文化をお届けしたいというところが発想の根本でございまして、そしてそれには地上施設で十年かかって一千億というそういう数字でなしに考えられないかというところから放送衛星の利用ということが出てきたわけでございます。これは先生のおっしゃるようにローカル放送のかかわりの中では確かに弱点があるわけでございますけれども、これは将来の放送衛星の技術革新の中で、いまのような形でのローカル放送は無理ではあるかもしれないけれども、多重その他の方法論でそれらの方々へのローカルサービスも可能性があるのではないだろうかというような技術的な問題、それからもう一つの問題は、NHKの将来の経営の中でやはり技術革新との対応、これは放送衛星そのものを考えずに考えるべきではないのではないだろうかというような、そういう考え方から協会経営の中でいろいろ現在議論を重ねておるわけでございまして、一番の問題点はやっぱり先生の御指摘のその点にわれわれがどう誤りなく対応するかという認識は持っておるつもりでございますので、御理解賜りたいと思う次第でございます。
  94. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 郵政大臣、どうですか。
  95. 山内一郎

    国務大臣山内一郎君) 幾ら衛星放送といいましても、やはり特別の装置が要ることはもちろんでございます。そこで、郵政省でいま考えておりますことは、御承知かと思いますけれども、個別受信用のものは六万円から八万円、共同受信用のものは一世帯当たり四万円から七万円、こういうことでございまして、これをできるだけ量産あるいは技術的にどうやって安くしていくかということに私は重点を置いていきたいと思っております。
  96. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それは、あなたのいまおっしゃったのは量産した場合ですよ。その量産は、仮にいまの難視聴の四十二万世帯ですか四十四万世帯ですか、四十万余りのそのくらいの量産ではそこまでいかないと言うんです、メーカーは。いまはもっと高いですよ。だから、その高い低いは別として私は制度として、そういう非常な高い設備費を出さないとテレビが見られないというような世帯に対しては、何かやっぱり政府なりNHKなりがそれに協力をするような制度を考えてやらないとこれは普及するはずないですよ。山の中の一軒家の世帯やっぱり欲しい、そのときに二けたの費用を出さないとこれは見られませんよということでは、私はこれは政策としてせっかく難視解消難視解消と言っていても、衛星を出して衛星から波を送ったらそれで能事終われりというようなかっこうでは、これは私は政治じゃないと思うんです。だから、何かお考えになっているのか、いまは考えてないならこれから考えられるのか、その点、郵政大臣、もう少しはっきり言ってくださいよ。何もなければないてしょうがないということでもいいですよ。
  97. 山内一郎

    国務大臣山内一郎君) 現在のところはそういうことを考えています。先ほど御説明したとおりのことを考えています。
  98. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 これは宿題にしておきましょう。私は自分の意見を主張するわけじゃありませんが、ただ波を出したからこれで難視解消したんだというようなそういう単純な考え方じゃ、私はいまの放送行政の上でもこれはほめた行政ではないと思うのです。あなたと意見が違うかもしれません。これは宿題にしておきましょう。この次までにまた郵政省の方で十分お考えいただきたいと思います。  それから大臣はあと十分ぐらいしかいないというから、ちょっとしりはしょって一、二の問題申し上げておきますが、これは放送法の七条、九条の問題なんですね。七条と九条の問題。結局NHKは全国民電波を届けなければならない。その内容は九条で、ラジオについては標準放送かFM放送、それからそれに加うるにテレビ放送も届けなければならない、こう書いてありますね。これは九条の方は途中で十数年前に修正された案ですね。その意味が、初めはラジオだけでよかったんだはれども、今度テレビが出てきたからテレビもということでしょうね。  そこで、NHKがいま放送しているラジオ二チャンネル、それからFM、テレビは総合と教育のニチャンネルですね。それからそのほかにUHFのローカル放送をやっておられる。それで考え方なんだけれども、このいずれの波も全部の波を全国民に届けなければならぬというふうに郵政省もNHKも考えているのかどうか。テレビ一チャンネル、ラジオ一チャンネル、それでは七条や九条の要求を満たしていないとお考えになっているのかどうか。これは相当これからの問題になると思うんですよ。いまでも問題にしてもいいくらい。今度の放送衛星でNHKは二チャンネルを度わしてくれということを言っておられる。総合と教育と両方でしょうね。この七条及び九条の解釈、運用について、これは郵政大臣が有権的にどういう解釈していられるのか。これはいままで余り問題になったことないんですけれども、こういう問題が起こったのでやはりこいつはひとつはつきりしておかないといけないだろうと思って問題を提起したわけです。
  99. 山内一郎

    国務大臣山内一郎君) 第九条一項のハでは、ただ「テレビジョン放送」と書いてございまして、第七条では公共の福祉のために日本全国受信できるように放送を行うことを目的とするということでございまして、NHKがいま二つおやりになっていますけれども、これが両方ともか片っ方かとということは法制上私は明確じゃないと思うのです、これは。テレビジョン放送ということでございますので、二ついけばもちろんようございますし、一つでは法律欠格事項になるのかどうかということは非常に解釈上むつかしいところじゃないか、こういうふうに考えております。
  100. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 これも法律改正の機会があれば明瞭にする必要があると思うわけです。しかし、それ以前に、法律改正ができる前にやっぱり政府が有権的な解釈をしておかないと、行政裁判にでもなれば別ですけれども、そうでない限りは政府の有権解釈に従ってNHKも行動するという以外にないでしょうね。だから、やっぱり中心は郵政省ですから、これは法律改正の前にも大体そのことをお決めになっておかないと、今度のこの放送衛星なんかの場合に、NHKがどんな費用がかっても全部の放送を全国民に提供しなきゃならないんだというようなことになりますと大変なことになるんですよ。これは研究してください。問題を提起するだけにしておきます。  もう五分ぐらいありますからもう一つ。これは別にNHKの不利になるようにということを意識して言うんじゃないけれども、NHKは放送法七条によりまして、一方で受信料をああいう税金に類するような形で取って、そして全国放送を、全国民に波を提供しなきゃならぬということに法律上なっていますね。当然の義務ですわね。ところが、ちょっとこれはどういうふうに考えたらいいのか。たとえば今度の放送衛星で、いまの中型の実用衛星、これではテレビのチャンネルが二チャンネルしかとれないでしょう。NHKはその二チャンネルとも使いたい、こう言っているわけでしょう。そうすると、これは料金で取るかあるいは出資で取るか、これは問題いろいろありますけれどもね。とにかくNHKのために今度の放送衛星を上げたようなものになっちまうわね、利用面から言いますと、それに対して、これは宇宙開発事業団の方も郵政省の担当者もNHKが六〇%で四〇%は国費だ、こう言っているわけです。国費だと言うけれども、難視解消のために放送衛星を上げなきゃならないんだという前提からいきますと、NHKが一〇〇%出してもいいのじゃないかと思うんですよ。あとの四〇%というのは、何かこれは技術開発費を含んでいるからと、こういう説明なんですね。技術開発費だと。一体そういうことでこれいつまで技術開発が続くのか。そうすると、その次に上げる衛星についてはNHKが技術開発が大体済んでしまったら——済んでしまったらということは、済む段階になれば一〇〇%出すのか、こういうことにならざるを得ないでしょう。私は、七条からいうと技術開発とおっしゃるのをこれはそのとおり受け取ってもいいけれども、開発段階が済んでしまえばNHKの全額負担で衛星を上げるんだということにならざるを得ない。そういうことを前提にしていま考えておられるというふうに思うんですけれども、それでよろしいか。  それからもう一つは、わずかですけれども二億円ぐらいの難視聴解消の補助金を郵政が取っているわけですね。その対象にNHKの共聴が入っているんですよ。これはいまの立場から言いますとおかしいんじゃないですか。NHKの共聴に対しては、NHKは当然法律の規定によって、一方では受信料を取るかわりに、そういったものには当然の義務として波を届けなきゃならぬということが書いてあるわけですよね。補助金をやらなきゃ届かないんだということは、これはどういうふうな根拠でやっておられるのか。もしそれが許されるのなら、もっと方々にいまの難視問題、国費でもって補助金を出してどんどんいまのような地上設備を進めていきゃできるわけですよ。どうもその点、私は割り切れないんです。郵政大臣から、その点についてどういうふうなお考えだか、聞きたいんです。
  101. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 先生の御質問ですけれども、NHKは本来難視解消の義務がある。ところが、NHKの電波受信するために受信共聴設備政府の方で二億一千万程度のわずかな金であるけれども補助しているのは矛盾しているではないかというお話かと思いますけれども、かねてからNHKは難視聴解消のためにいろいろ努力しておるわけでございますけれども、そのテンポに比べまして国としても五十四年度から共聴設備について補助金を出すというようなことになりましたわけですけれども、やはり国民の要望が非常に強いというようなことで、まず中継局による方法を、中間をある程度飛ばしまして国の過疎対策というような形で、三十軒、四十軒足らずのところについてはとても放送による手段では届けられないというようなことで、あわせて、その際に地方公共団体とも一緒になりまして民間放送の分も見られるようにというような考えから出しておるものでございまして、国の過疎対策の一環というふうに考えておる次第でございます。
  102. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 民間放送のその分にこれは法律上別に規制をしていませんから、これもやっぱりいま私から言うまでもないが、NHKの視聴率といいますか視聴者と民間放送視聴者を比べますと、大体民間放送の方が一日じゅう全体見ると倍ぐらいになっているでしょう。だから、へんぴなところでも民間放送を見たいという国民の声が非常に強いんですよ。だから、それには法律上の規制はないから、早くそれを全国民に提供する意味ではそういう助成施設を講じるんだということは、私はこれは一つの行き方だと思うんですよ。しかし、そこにNHKが入っているので、どうもこれはNHKはそんなところへ入れなくてもいいんじゃないか、当然受信料でやるべきじゃないかということに理屈の上から言うとならざるを得ないので、民間放送とNHKと一緒にして考えられることは、これは私はいまの法制上少し批判を受けてもしようがないような行政措置だと思うんですよ。これは電波理局長に言ったってしようがないから大臣に言っておいてください。いいですか。こういうことを続けて、さらにそういう制度を拡大していきますと、これはどうもいまの放送法のたてまえを崩すような結果になりかねないと思います。  まだ時間をいただいていますから、これは主としてNHKの方に伺いますけれども、さっき大森先生からいろいろ御質問があって聞いていましたが、受信料の改定以来どうも予期の収入が上がらない。どうも非常な努力をしておられるけれども、何だか知らぬけれども頭打ちのようなかっこうになってきていますね。そこで、私が心配しますのは、いまの受信料制度というのをこのままでこれからやっていけるだろうかということ。しかも、私は技術者でないからよくわかりませんけれども、いまやっておられる放送というもの、いろいろ多様化していくだろうと思うんですよ。ただいまの音声とか、いまの画像というような単純なものでなしに、もっと多様化したものが出てこなければならぬと思うんです。そういったものは外国でもいろいろ試験を始めているということを聞いています。それは私は技術者でないからわかりません。わかりませんが、そういったものも、国民の要望も出てくるだろうし、社会事情も変わってくるだろうし、どうしても日本としてもそういったものを取り入れなければならぬような時期はそんなに遠くはないと思うんです。  ところが、現行法でいきますと、NHKの収入の源泉というものはテレビ受信料だけですね。しかも、それが伸び悩んでいるということですね。果たしてそういうものに対応していくのにはNHKの財政基盤をどうしたらいいだろうかということについて私は心配しているんです。NHKでも長期ビジョンとかいうのでいろいろ内部でも検討しておられるということを聞いておりますけれども、それについて、ただ、さっき御答弁になったように、一生懸命やって契約をふやして受信料増加させるようにいたしますというだけで本当にこれかも先対応できるかどうかということは非常に私は疑問だと思っているんですが、それについて坂本会長ね、あなた、どういうふうな考えを持っておられますか、先の問題だけれども
  103. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 先ほどもちょっと先生の御質問の答えの中に含めましたように、先生指摘のように、技術革新にどう経営が対応し、場合によればそれがどう増収という道につながり得るのか、そこら辺のところがやはり協会経営としては大きな課題ではないかということでございまして、いま先生いろいろと新しい技術革新があるようだとおっしゃいましたが、そのとおりでございますので、実は私どもの中に、高橋技師長を長といたしまして新メディアに対して協会がどう対応していくかという研究会を開きまして、つい先般、副会長のもとでそれを集約してさらに検討を続けよう、こういうことになったわけでございます。  それで、かたがた、いま御指摘の外部の先生方にお知恵をおかりする長期ビジョン審議会でも、この問題は当然いろいろとお知恵をおかりし御議論いただこうということでございますけれども、やはり協会自身がどう対応するかということを決めていくべきではないだろうかという考え方から、いまそういう形で検討をしておるという現状でございます。
  104. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 いま内容をここで具体的に話してくださいと言っても、これは非常な問題になるから、その内容を尋ねようと思っていないんですけれども、結局現在までの放送法電波法ができてから今日までの経過を見ていましてやり得ることは、いまの受信料を、法律の文面からいけば受信機を持っていればその方々から間違いなく受信料を払ってもらうというその努力を続けていく以外にないということですわね、いまは。しかし、それだけで全部払ってもらってもなおそれに追いつかないと私は思うんですよ、これは素人考えですけれども。それに対応してどんなことを考えたらいいのか。これは外国の例を見ても、いままでの公共放送でもある限度において広告をとったのがある。広告だけがいいんじゃないんですけれども、何かそういう新しい財源を用意する方法を考えておかないと、せっかく技術開発が進んでもそれを実用化できない、国民のためにはならないんだということになりかねないので、何かそういったことについてお考えがあればと思って聞いたんですけれども、具体的に言うとこれは問題になるから。そういうことも研究しておられるんですか。
  105. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 先生の御指摘のとおりでございまして、受信料そのものの問題もさることながら、当然技術革新が協会のいわゆる副次収入というような分野においてどういうメリットを生じ得るだろうか等々かなり広範囲にわたりまして、いま先生のおっしゃるような受信料制度を守りつつ、なおかつ協会の自主、独立を保ちつつ国民放送局としてのステータスを確かなものにするというその一点にしぼりまして、いま御指摘のところを勉強しておるという状況でございます。
  106. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 この問題はこの程度にしておきましょう。しかし、これは真剣に取り組んでください。これは非常に遠い免じゃなくて近い将来に問題にしなきゃならぬ重大な問題ですから、これはあなた方の方も郵政省の方も真剣にもっとスピードを速めて研究をされないといかぬと思います。  それからついでにということですが、もうちょっと時間がありますので、これは郵政省電波理局長に聞くのはどうかと思うけれども、前から都市難視の問題、大体いろいろ中に入って相談をされて、たとえば新宿の問題とか、池袋の問題とか、江戸川の問題とか、だんだん解決してきているようですね。しかし、これは名古屋とか大阪その他の大都市にも当然同じような問題が起こるわけなんですね。それで、かつての郵政省はこういう問題の解消のために調査会をつくって調査会の答申もあった。私もそれを読みまして、その当時早く基本的な法律をつくりなさいということを言ったことがあるんですけれども、今日になっても——むずかしいことはわかるんですよ。むずかしいことはわかるんだけれども、基本的な法律を出そうとしない。何かもう投げやりになってしまったですね。かつてそういったことが問題になったことがありまして、私もある場合に閣議で、水と空気の汚染と同じように電波についてもやはり公害が起こって困る人があるから、それを何かの方法で防除するような基本的な法律をつくる必要があるんですというようなことを話したことがあるんですけれども郵政省は初め非常に熱心だったけれども、このごろ忘れちゃって、そして何か具体的なCATV何とかとか、あそこはこういうふうにして補償を出して何とかというようなことで一つ一つ片づける方向でやっておられるけれども、基本的には水や空気のように原因はどこにあるか、したがって原因者が負担をしなきゃならないんだという大原則をやっぱり法制上確立しておかないと基本的にはこれは解決策にはならないと思うんですね。これは公害基本法みたいに電波公害基本法みたいなものを早くつくって、建物が原因なら建物、新幹線が原因なら新幹線、飛行場が原因なら飛行場というふうに、公害の起こってくる原因をつかまえて、その原因をなしているものが第一次的な補償の責任に当たるというような法制を、どうしたってこれがないとこれから困るんじゃないかと思うんですよ、都市難視については。郵政省で何か考えていることがあったら言ってください。
  107. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 先生ただいま御指摘のように、私どもも制度的解消方策が何かないかというようなことで法制化につきましていろいろ、たとえば建築基準法などに入れていただくというようなことで精力的にやってまいったわけですけれども、ただいまのお話にもございましたように、基本となります建築主なりあるいは放送事業者関係者の責務、費用負担のあり方というような基本的な見解につきまして差があるというようなことで、その面での検討は現在御指摘のとおり困難と申しますか、進んでいない状態でございます。ただ、この都市難視は一日もほうっておけないといいますか、いろいろ事例が出てきておるということで現在当事者間の解決を進めると同時に、一方、じっとしているわけではございませんで、非常にこの都市難視の態様も複雑になってきておることもあるわけですけれども、そういう制度化のためにはいろいろ基盤整備も必要だということで、今年度実は受信障害の程度というものを客観的に見ても納得いただけると、従来は実は見えにくいとかあるいは障害があるとかいうことは専門家の主観的評価によっておったわけですけれども、ここらあたり何とか第三者的にも御納得いただけるような客観的方法は、受信障害の認定基準に関する調査研究ということで、実はこれにつきましてごく最近答申を得ております。いただいたばかりでございますけれども、これにつきまして、それを目に見える測定器で受信障害を自動測定処理システムというようなものに進めたいということで、引き続き五十六年度はそうした基盤整備も行いたい。  また一方、受信障害の紛争解決の事例を積み重ねることも必要だというようなことで、実は昨年九月になりますけれども、各地方電波監理局にも受信障害対策官というようなものを設置いたしまして、いろいろ受信についてコンブレーンをお持ちの方、あるいはそういう事例が発生した場合にはたらい回しにするようなことなしに一元的に少なくともお話を伺い、紛争解決を促進するというような姿勢と申しますか体制づくりも行っているようなわけでございます。いずれにしましても、非常に問題がふえてきておりますので、私ども前向きに検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  108. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 これで終わりますが、いまの問題ね、あなたのおっしゃったのは、そういう補償をしなけりゃならぬ場合にどういう基準でもって補償するかというそういうようなものをお決めになったので、そのもとになるだれが責任を負うかという問題が、肝心のところが抜けているわけですよ、まだ法制上は。だから、その点をはっきりしないと、いまいったような技術的ないろんな基準を決めてもそれを強制するような力はどこにもないわけですから、やっぱり基本的な法律が要ると思います。これはひとつ郵政大臣にも相談されて、なるべく早く国会に出して、そういう基本的な方針を確立しておくように努力をしてもらうように希望しておきます。  これで終わります。
  109. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 それでは、いま議題になっておりますNHKの五十六年度予算につきまして御質問さしていただきますが、午前中からのいろいろな先輩、同僚委員質疑と多少重複する点があるかもしれませんが、質問さしていただきたいと思います。  三カ年計画収支の見直しについて最初にちょっと御質問さしていただきますけれども、NHKは五十五年度から五十七年度までの三カ年計画を立てられましてその収支見通しを立てたわけでございますけれども、今回のこの五十六年度収支予算はこの三カ年計画の第二年目に当たるわけです。第二年目というのは非常に重要な年になってくるわけでございますけれども、この三カ年計画は、最初のスタートから五十五年の四月からの受信料の値上げを前提として行われてきたわけですけれども、これはいろんな諸般の事情によりまして一月おくれてしまったわけですね。五月からになっているわけです。したがいまして、この計画の完全な実施ということは非常に厳しいと私たちも思うわけですけれども、今回の資料を見ますと、三カ年計画収支見通しの見直しをまたしているわけです。この五十六年度収支予算はそういった点からいろいろと見ますと、どういうような基本的な課題のもとにこれが策定されておるのか、あるいはその特色は何か、その点の御説明を願いたいと思います。
  110. 渡辺伸一

    参考人渡辺伸一君) お答えいたします。  いま先生指摘のように、五十五年から五十七年までの三カ年間の計画を立てまして、五十五年度に料金の改定をいたしたわけでございますが、その初年度において暫定予算等によって大きく収入の欠落を生じたわけでございます。それで五十六年度は一層環境が厳しくなったわけでございますが、五十六年度予算を立てます場合の基本的な課題としましては、五十五年から五十七年まで三年間の均衡をとるというお約束をしているわけでございますから、財政的な事情の変更はございますけれども、五十六年度収支の安定を図りつつ、しかも五十七年までの収支の均衡をもう一回取り戻すということをこの五十六年度予算編成に当たりましては最大の課題として考えたわけでございます。  それが五十六年度収支の基本的な課題でございまして、もう一つ、五十六年度の特徴は何かというふうにおっしゃっていますのでお答えいたしますが、いま申し上げますように、五十七年までのNHKがお約束しましたサービスは何一つ落とさずにやるということを前提に考えているわけでございまして、五十六年度はその重点として一応五つのことを考えているわけでございます。  一つは、何といいましてもNHKの大事な使命でございます番組でございますけれども、この番組につきましては、視聴者意向を十分に受けとめた充足感のある番組をつくってまいるということでございます。  二番目は、地域社会に密着しましたローカル放送の充実を掲げているわけでございます。  三番目は、NHKのよって立っております受信者の理解と信頼、その上に契約の増加を図り、そして収納の実を上げていくというのを三番目の重点に掲げているわけでございます。  四番目は、視聴者との結びつきの一層の強化ということで、地域の実情に即しましたきめの細かい対話活動を中心にしてこの視聴者活動を展開していくというわけでございます。  五番目は、テレビジョンの難視解消を効率的に実施していこうということでございまして、五十六年度は以上五つの点を重点項目として掲げているわけでございます。  以上でございます。
  111. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いまいろいろとお話しいただいたわけですけれども、五十五年度受信料改定が一カ月ずれ込んだわけですし、あるいは五十四年度の決算結果などから見ますと、当初立てられました三カ年計画は修正をされてきているわけですね。この収支見通しの修正の理由とその数字的な根拠、またそれが三カ年計画の基本的な部分にまで影響を及ぼす結果になっているかどうか、その点についての御説明をいただきたいと思います。
  112. 山本博

    参考人(山本博君) けさ方も概括的には申し上げましたが、三カ年計画を立てましたときの収支に影響してまいりましたのは、ただいま御指摘がありましたように、五十五年度第一年度目に暫定予算の結果四十四億の収入不足が生じておりますし、それからこれも午前中の質疑の中にございましたように、五十五年度には五十五万という新たなる受信契約の増を予定しておりましたけれども、これは最終的に四十万ぐらいで終わらざるを得ないという見通してございます。そういうもろもろの収入の不足というものを考えますと、さらにそれを二年度——五十六年度、それから五十七年度、こういうものに影響いたしまして、反面、収入の方では預け入れの利息が変わってまいりまして予定よりも少し高くなったということもございまして、収支全体を調整して考えますと、三カ年間で七十六億円の収入不足が生ずるだろう、こういう見通しを立てております。これは見通してございますので、今後の、たとえば物価の変動とか人件費の変動とか、こういう大きなところに変動がございますと、これはまた適当な時期に修正いたさなければなりませんが、現在の時点では約七十六億円の収入不足が見込まれます。  この七十六億円の収入不足に対しまして、支出の面におきましては約三十八億円の事業支出の増の抑制をいたしまして、三十八億円だけそこで収入不足の一部を回復する見込みにいたしております。さらに五十四年度の決算の結果、厳密に申し上げますと三十九億円、しかし三カ年間の借入金その他のもろもろの手だての中で五十六年度一億円よけいに借りなければならないということも差し引きますと三十八億円の五十四年度からの借入金の返済をしないで済むという部分が出まして、両方合わせまして支出の面におきまして七十六億円当初計画に比べますと支出が少なくて済む、こういう結果になりまして、三カ年間計画としましては収支相償をすることができるのではないかと、五十六年度予算を立てる段階においてはそう考えて収支の見通しを立てておりました。したがいまして、三カ年間の当初に立てました事業計画は予定どおり実施することが可能であるということを現在見通しとしては持っております。
  113. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いまいろいろとお話がございましたんですが、三カ年計画収支見通しで最初五十五年度の資本支出充当は百七十一億円と見込んでみえましたけれども、見直しを見てみますと百三十二億円になって、三十九億円減額されておりますね。これは五十四年度の決算結果、長期借入金の見込み額であった四十四億円が五億円で足りた、その差額の三十九億円減額したものと、このように見られるわけですけれども、具体的にどのような対策によってこういったものが生み出されてきたのか。その点について、たとえば支出項目別に節減の内容と額とか、あるいは受信料収入との関係とか、あるいは要員削減の効果などについて、おわかりになりましたら説明していただきたいと思います。
  114. 渡辺伸一

    参考人渡辺伸一君) お答えいたします。  結果的には五十四年度に予定しました赤字が三十九億ほど減りましたので、借入金の借入額が減ったということになるわけでございますが、いまおっしゃいますように、どういう状況からそれが可能になったのかということをお話しいたします。  まず、事業収入でございますけれども事業収入につきましては、途中に災害の免除がございましたり、年度内の増加のテンポというような問題が予定しておりましたより遅かったというような事情がございまして、二十億ほどのものが当初より減ったわけでございますけれども、いわゆる副次収入というようなものに精力的に努力をいたしまして、あるいは老朽いたしました社宅、そういうものの売却等も極力急いでやったというふうな状況でございまして、事業収入としましては十五億弱の減収というところにとどめ得たわけでございます。  それに対しまして事業支出の方は、約五十億ほど事業支出を詰めたわけでございますけれども、これは全体としまして二・三%程度のものに当たるわけでございますが、これは総じて申し上げますと、三つに分かれるかと思います。  一つは、この年度もかなり物価の上昇を見ておったわけでございますけれども、公共料金の値上げの時期が私ども予定しておりましたよりおくれたというふうな状況。それから資材の購入につきましても、一つ一つ吟味をして買ってまいりまして、結果的には当初予定よりも安く買い得たというものがございまして、これがかなり大きな数字を占めておるわけでございます。  そのほかに、当初予定しました各事業計画実施するに当たりましての節減をさらに強化してまいったわけでございます。  それから結果的ではございますけれども減価償却費の若干の精査をしました後で残ってまいりましたり、あるいは幸いに予備費が残ったりというようなことで約二・三%の事業支出を詰め得たということでございまして、当初予定しましたものに対して三十九億の収支差を圧縮することができたという次第でございます。
  115. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 先ほども同僚委員からも御質問ありましたが、やはりNHKの今後の長期ビジョンについてお伺いしたいと思うんですけれども、現在の第二次基本問題調査会というのは、五十五年から五十七年までの三カ年計画をつくりましてこれに対処しているわけですけれども、一方、長期ビジョン審議会というのがNHKに設置されておりましたが、この審議会の検討の状況及び今後の方向性についてどのように考えてみえるのか、お伺いしたいと思うんですけれども
  116. 山本博

    参考人(山本博君) ただいまの状況を申し上げますと、今度つくられましたビジョン審議会は——従来の基本問題調査会は何回かつくられましてやはりNHKの基本的なあり方について御検討を願ったわけでございますけれども、今回のビジョン審議会は、現在のNHKの置かれている状況から見まして、現在の法制とか放送体制とか、そういうような基本的な問題についても広く御審議をしていただいて、NHKの今後のあり方万般について御審議を願うということになっております。  現在におきましては、審議会をさらに四つの小委員会に分けまして、一つは、NHKのあり方の基本に関する問題について御審議を願っております。ここではNHKがいまの社会の中において持つ責任なり機能なり法制上のあり方なり、こういうようなものを御審議願っておりまして、すでに数回回を重ねております。  もう一つの小委員会は、財政の問題でございます。これは御審議をいろいろな形でいただいておりますような問題全部を含めまして、さらに受信料のあり方あるいは受信料以外にNHKが今後の財政の基盤を確立するのに必要な手だてというもの、そういうものはどういうふうに考えていくべきかということについての御審議を願っております。  それからもう一つ放送の問題でございます。これも現在NHKが五つの波を持って国民にいろいろなサービスを提供申し上げておりますけれども、これがそれぞれの波の、これからの社会にどうそれぞれの道をもってサービスをしていくか、その内容においてはどういうあり方が望まれるのか、こういうことも含めまして、放送のあり方、この中には無論ローカル放送とか、それから国際放送とか、NHKが責任を持って行っております放送のあり方について御審議を願っておるという小委員会でございます。  それから四つ目の小委員会が技術の問題でございます。これはいろいろお話がございましたように、放送衛星の問題も含めまして、今後の技術革新というものが放送にどういう影響をしてくるのか、それがまたどういう形でNHKと結びつきができ、またNHKのサービスの中に取り入れられていくべきであるか、またそれが財政上どういう形でNHKにプラスなりマイナスなりを与えるのだろうか。  こういう形の小委員会を四つつくりまして、それぞれ御議論願っておりまして、まだ最終の結論までは至っておりませんが、七月ごろまでにはそれぞれの小委員会におきましてある程度の中間的な取りまとめをしていただきまして、この秋にはほぼ全体としてまとまった答申をしていただけるのではないか、そういうのが現在の状況でございます。
  117. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いまお話が出ましたが、いろいろ審議を願っている最中だということでございますが、放送、技術、財政、制度の四部門の小委員会というお話でしたね。やはりビジョン審議会でいろいろと問題になっておりますことがいまいろいろと問題になる点でございますけれども、けさほどから同僚委員からもお話がありましたように、やはり受信契約受信料収入ということがNHKの一番の財源でございますし、若干の副次収入があるとしてもこれが基本的なことであることは間違いございませんし、その点について御質問さしていただきたいと思うんですけれども、五十五年度五十五万件の受信契約増加を見込んでみえましたけれども実質的には十五万減の四十万件の増加、このように修正をされているわけです。さまざまな理由がそこにあったにしましても、十五万件の目標の減というのは率にして約二七・三%、こういう減少になってくるわけですね。五十五年度は五月から料金改定がされたわけでございまして、その料金改定をされた結果、新規契約の増加を図るよりもむしろ契約をしている方から徴収する方に力が入ったんじゃないか、このように考えるわけでございますが、受信契約増加についてどのような努力をされてきたのか、お伺いしたいと思います。
  118. 海林澣一郎

    参考人海林澣一郎君) けさほどから御質問を受けておる点でございますけれども、五十五年度につきましては、先生のおっしゃいますとおり料額改定があったということで、何としてもその収納というものを安定させなければいけないということでございまして、特に先生おっしゃいますように、伸び率が五十五万を目標としながらも四十万であるということでございますけれども、この辺につきましては、裏側から申しますれば滞納をできるだけ少なくするということで、例年に比べまして、ことし上半期九月締めましても増加が三千ということに抑えたわけでございますけれども先生のおっしゃいます、どんな対策をやったかということでございますが、まず申し上げますれば、九月とそれから二月に営業特別対策月間というものを設けまして、これは営業のみならず、放送、技術、管理、この辺の管理職を動員いたしまして、まずNHKの基本的な考え方、放送に対する理解というものを深めなければいけないというような対話活動を行うということを中心にして、これを眼目にしてやったわけであります。具体的には、滞納になっている方にはお会いできない時間を避けまして、たとえば朝であるとかあるいは夕方であるとか、あるいは文書を発送するとかいうような個々のケースを一つ一つ忠実に推し進めまして、先生のおっしゃいます契約の増及び滞納の抑止ということに力を尽くした次第でございます。
  119. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 営業特別対策月間ということで管理職を動員して対話活動を展開したといういまのお話でございますけれども、そこで何回ぐらい行われて、懇談会を通してどのような視聴者からの要望がございましたでしょうか。
  120. 海林澣一郎

    参考人海林澣一郎君) まず、いま例に引きました対話活動でございますけれども、管理職が回りました後リポートを出させまして一つ一つ分析いたしましたけれども、やはりNHKの基本的な体質と申しますか、放送法一条、三条及び四十四条三項、不偏不党の放送を出すということに対する御理解をまずしていただく。それにはいい放送を出すということが基幹であるということでございまして、その辺を、派遣いたしました要員の中にはたとえば有名プロデューサーと申しますと何でございましょうが、テレビその他でかなり視聴者の方々からお見知りおきいただいているそういった者を出しまして、じかにお会いしてお一人お一人とそういう対話をする。したがいまして、平均的に、滞納していらっしゃる方、大体一日二十五件ぐらいお訪ねするわけでございますけれども、お会いできますのが大体五件から六件。ただいま申し上げましたようなことで、最近の「シルクロード」はなかなかよろしいというようなことで、いままでお支払いが滞っていた方から一年分いただいてきたというような報告も出ている次第でございまして、そういった活動が中心でございます。
  121. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 わかりました。  次に、受信契約数の推移を見てみますと、五十四年度カラー契約七十万件の契約増という問題が、決算では六十九万四千件と一〇〇%近くこれは達成されているわけです。しかし五十五年度では六十五万件と見込んだものが五十万件とこれが計画ダウンしておるわけですけれども、過去の経験から、受信料を値上げした後二年目の契約の増加についてはどういう状況になっているのかを含めて、今後の目標達成の見通しについてお伺いしたいと思います。
  122. 海林澣一郎

    参考人海林澣一郎君) 確かに先生の御指摘のような状況でございますけれども、五十一年に前回の料額改定をやった。そのときには契約が六六%ということで終わったわけでございますけれども、しかしやはり料額改定のときに収納の安定ということに力を注ぐ。もちろん契約をいただき、そしてそれが収納につながっていく、これが営業の基本の車の両輪でございますけれども、そういうことがございます。ただし、おっしゃいますように、五十二年、翌年に車の両輪の活動を続けまして翌年の契約の率は九七%を超えた次第でございます。  したがいまして、先生の御質問でございますが、今回五十五年度が、先ほど申し上げました五十五万の目標に対して三十二、三万、われわれとしては予算で設定いたしました四十万、これに向かってしゃにむにいま努力しておりますけれども、これをやりおおせた後、五十六年につきましては車の両輪諸施策を動員いたしまして、五十二年にあらわれたと同じ、つまり正常な体質に返りまして契約及び収納に励むということで、五十六年度目標の五十五万件を達成すべく諸施策を講じているということでございます。すでに現場の各部署に幾つかの目標を示しまして、たとえば午前中も出ました収納の安定のためには口座化を図る。口座化が図られればそれだけその辺の手がすきます。契約の方にも手が回るだろうというようなことでございますので、諸施策を動員いたしまして五十六年度五十五万達成に向かって進みたいという決意でございます。
  123. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いろいろと決意を述べられましたんですが、特に大都市圏がやはり収納率を上げるについてはいろいろ困難な点が多いのではないかと思うわけですね。これは昨年でも、委員会の附帯決議にもこれはございましたけれども、それに対しても、いま万全のいろいろな施策ということでおっしゃっておりましたけれども、特に大都市圏、先ほどお話のあったような懇談会等も今後も継続されて行われていくだろうとは思うんですけれども、その点の特に確保、収納率を上昇される対策等は何かありますか。
  124. 海林澣一郎

    参考人海林澣一郎君) 仰せのとおりでございまして、大都市圏における契約、収納ということがきわめて困難をきわめている。したがいまして、具体的な施策としましては、昭和五十二年の十月からでございますけれども、東京、大阪、それから一年おくれまして札幌、ここに特別営業対策員、百四十人現在ございますけれども、これを設けまして、先ほどちょっと触れました、御不在の方でお会いしにくい時間を避けて行くとかいったことを現在行っているわけでございます。特に大都市圏におきましてお会いしにくい時間を避けて伺うというようなことの対策、いまデータがございますけれども、訪問対策ということで五十四年度には百九十七万一千件、これをお訪ねする。それから手紙でございますけれども、文書によりまして九十五万通の文書を出す。実は滞納の数が九十七万というような数でございますので、訪問の百九十七万とかあるいは文書対策の九十五万、お一方に対して二回とか三回とか継続的に接触を試みるというような、非常に細かい御説明になりましたけれども、そういった具体的な施策を積み重ね、特に先生のおっしゃいます大都市圏につきましては、きめの細かいそういった対策を講じているという次第でございます。
  125. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いま特別営業対策員のお話がございましたけれども、これは職員の方ですか。
  126. 海林澣一郎

    参考人海林澣一郎君) これは職員ではございません。先ほど申しました、五十一年の十月から一応臨時にお願いをしたという形で、年齢も五十五歳以上の社会的経験の豊富な方を嘱託という形でお願いしている次第でございます。
  127. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 けさほども同僚の大森委員からお話が出ておりましたけれども受信料収納は外部委託をされておりますね。この外部委託も委託のAとか委託のBとか二種類あるようでございますけれども、これらの方々の手当についてもお話があったわけでございますけれども、この外部委託の外務職員の方々は受信料収納に行かれるわけでございますけれども、言うまでもなくNHKと視聴者を結ぶ大切な窓口じゃないかと思うんですね。そういった点で、この外務職員に対する教育、研修ということは相当力を入れてみえると思うんですけれども、その点についてどのようになっておりますか。
  128. 海林澣一郎

    参考人海林澣一郎君) まず、具体的なことから申し上げますと、先生のおっしゃいます委託、受託の関係におります四千人余りでございますけれども、NHKにお勤めいただくときに集金員に対する講習会というのをやります。大体受け持ち件数というのは、先生のおっしゃいます委託B、これは都市周辺、農村地帯というようなことでございますけれども、その方たちは三百件とか四百件、都会になりますと九千件から一万件というような数を持つわけでございますけれども、したがいまして、五千件以上持つ方には、お入りいただきましたときに、二十五日間でございますけれども、NHKの性格あるいは訪問のやり方、事務処理の仕方、視聴者意向の吸収の取り次きあるいは視聴者との応接の方法、これは部内的にVTRなどに模範を示したものなどをつくりまして、そういうことをお教えする、あるいは三千件以上の方は十日間というようなことでございます。  それから委託、受託の関係で一期二カ月にわたりましてお願いするわけでございますけれども、都会地におきましてはしばしば営業部・所の方に上がってまいります。そのときに質問に答えながらいろいろな点についてお教えをする。また私なども各営業部・所に伺いまして、そういった方たちが視聴者との対応の中でどんな問題を抱えているかというようなこともできるだけ吸収をする。幾つか例を挙げますと、それらを含めまして委託の方たちの教育と研修ということに相努めている次第でございます。
  129. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 NHKではときどき首都圏を中心として外務員の募集を行っておりますね。なかなか募集しても集まってみえないし、集まってもすぐ欠員が出るということもお聞きするわけでございますが、受信料が唯一の収入源であるNHKとしては、こういう外務員の待遇改善ということも考えてやはり定着化を図っていかなければならないんじゃないかと思うわけです。また、大都市圏ばかりでなくてやはり過疎地域を担当するような委託の方々もおみえになるわけですが、やはりこういう委託の業務につかれましても身分保障もないし、あるいはボーナスもないし、あるいは退職金もないということで、待遇の改善を希望されている熱心な方々もおみえになるわけですね。そういった点についての考えをお聞きをしたいと思うんですが。
  130. 海林澣一郎

    参考人海林澣一郎君) 委託の方たちの処遇と申しますか、これにつきましては全体的に見まして社会的な水準を維持しているというふうにまず申し上げられると思います。特にその内容につきましては、いわゆる固定給的な部分というものとそれからその他の部分ということのバランスをうまくとりまして、報酬については適正を期するということで努力をしております。
  131. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 次に、国内の放送番組についてちょっとお尋ねしますけれども、第二次NHK基本問題調査会の報告によりますと、五十五年から五十七年は事業計画の重点事項として「国内放送番組の充実刷新」を掲げているわけです。ことしはこの二年目に当たるわけですから、国内放送番組の充実刷新のために具体的にどのようなことを考えてみえるか、お聞かせ願いたいと思います。
  132. 田中武志

    参考人田中武志君) 私どもの五十六年度番組の編集の基本的な考え方といたしましては、内外の政治、経済、社会のいろんな諸動向について的確な報道、情報を提供していくというようなことが一点ございます。それからそのほか夜間の番組の編成の一部見直しとか中身の充実。それから学校放送、これは御存じのように五十五年度、五十六年というようなふうに小学校、中学校、高等学校と順次教育課程が変わっておりますので、そういった意味合いからの学校放送番組、社会教育番組の刷新充実。それから最近御好評をいただいておりますいろんな特別企画番組、そういったものに特に力を入れていきたいとか、あるいは海外の放送機関との連係プレー、国際交流というようなものを促進していくとか、それから国際障害者年の関連番組を編成していくとか、それからローカル放送の内容の充実といったようなことなど、それから災害関連放送の編成とか、大体八つの基本的な計画をもちましていろいろ番組の編成、内容の充実を考えている次第でございます。
  133. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 国内放送番組の充実ということは大事なことでございますけれども視聴者との懇談会の拡充ということがこれから重要になってくると思うんですけれども、NHKはこの二月を営業特別対策月間としておりましたけれども、東京視聴者センターというところでもこの月間の一環として三月三日に渋谷区の主要共聴施設代表者と懇談会を行った。このように聞いておるわけですけれども、ここではどのような視聴者からの要望が出されておりましたか。
  134. 反町正喜

    参考人(反町正喜君) 視聴者の多様な御要求を、いかに、どういう方法で吸収するかということで前々から、各都道府県に視聴者会議、その他視聴者懇談会でありますとか、いろんな方法でやっておるのでございますけれども、特に最近、先ほどからお話が出てまいりますけれども、大都市圏の問題でございます。東京、大阪、名古屋等におきまして、昨年度から放送懇談会のような小型の視聴者会議みたいなものを全部で四十七カ所ぐらいで実施してまいっておりまして、そのほかに先生指摘の渋谷区で一回、区会議員の方でありますとか、町会長さん方でありますとか、福祉関係の方でありますとか、きめ細かく、幅広く一人でも多くの方ということで会合を開かせていただいております。  特に渋谷区あたりの方ですと、地元でもございますので一番多く出ましたのは、あとは大体ほかの方々と同じような御要望でございましたけれども、特に地元の関係なので非常災害時のいろんな処置ですね、あそこに放送センターがございますけれども、広場もございますし、いろんな意味で放送はもちろんのこと、具体的なそういう避難その他の関係でもぜひ役に立ってもらいたいということが、ちょっと特殊な、地元であります関係上の御要望がございました。
  135. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 田中放送局長は一月の記者会見の中でお話しされておりましたけれども、来年度の基本的な番組改定は国際障害者年関連の番組と中学校の教育課程改定に伴う学校放送番組の改定が主である、大幅な改定は五十七年になると思う、このようにお話しされておるわけでございますけれども、ことしの障害者年にはどのようなことが検討されておりますか。
  136. 田中武志

    参考人田中武志君) 私ども昨年の十月からすでにことしの国際障害者年の取り組みにつきましてプロジェクトを設けまして、番組の編成とかいろんな催しについてのそれの関連の活動、広報、こういったようなことについて検討してまいりました。先ほども申し上げたように、ことしの編集の基本計画の中にもこれが入っております。こういったことで、現在われわれといたしましては、テーマでございます「完全参加と平等」という精神を広く視聴者の皆さん方にも理解していただこうということで、定時の番組はもちろん、いろんな特別の番組を数多く編成いたしましてすでにこの一月から放送していることは先生御存じのとおりでございます。  特に定時番組の中では、五十六年度の中には障害幼児を持っておられる家庭の皆さん方を対象にいたしました「障害幼児とともに」という番組を新しく設けました。そのほか定時番組の中では、先ほど申し上げましたように障害者の自立を促すとか、あるいは障害者みずからが問題の解決に参加できるような社会的条件を整備するとかいうような点を重点的に組番をつくっていきたいというふうに思っております。  さらに特別番組につきましては、これは先生この一月から見ておられると思いますけれども、一分間のキャンペーン番組で「地球の仲間」ということで何種類も放送しておりますし、またそのほかには、一月に放送いたしました「こずえさん−二十歳の青春」という特別番組あるいは教育テレビでは「あすに挑む」というような番組もすでに放送済みでございます。このほか、ここ一、二カ月のうちに取り組みたいと思っております特別番組につきましては、日曜日の夜「ドラマ人間模様」の中で、みずからも障害者であられる作家の直井さんの自伝的なドラマを、お互いに夫婦が助け合っていくというドラマを五回ほど連続で出していきたいというふうなことも考えておりますし、またドキュメンタリーでは、五月五日の子供の日に特集の中で、ことし五歳になる里見元さんという聾児の方とお母さんが一生懸命努力して闘っておられるという「聾児と母親の五年間」というようなテーマで放送するというようなことを考えておりまして、この後ずっと一年を通じましていろいろ番組を積極的にひとつ取り上げていくつもりでおります。
  137. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 いろいろと御計画も進められているようでございます。その中で、これは一つの団体の方でございますけれども、口や耳の御不自由な方々の団体からの御要望も手元に来ているわけです。いま衛星放送についてもいろいろとお話がございましたし、あるいはせんだってもNHKではニューメディアの開発についてのいろいろな研究動向についての放映もされたようでございます。これからますますそういった新しい技術革新への方向に進んでいくわけでございます。また、その中における放送サービスのあり方についてもいろいろとまたこれは検討もされていかれると思うわけでございますが、ここに手元に参っております皆さん方の御要望は、これはいま早急に検討してもらう問題と、また将来皆さん方の新しいメディアの多重放送等の研究の中で検討されていただきたいと思うものでございますが、一つ一般テレビ番組に字幕あるいは手話通訳を挿入してもらいたい、こういう御要望でございます。民放では一部これはテレビに字幕やあるいは手話通訳の挿入がされておるようでございますが、耳の不自由な方々あるいは口の御不自由な方々の、そういった面で要望に沿っていただきたい、こういうことでございます。  ちょっと申し上げますと、   音の世界から閉め出されている聴覚言語障害者が、情報を得、生活をうるおいのあるものにする手段は、文字と手話による以外、方法がありません。  現在のテレビは、日常的な情報と娯楽や文化がすべてといってよいほど集約され、その恩恵に浴することのできない聴覚言語障害者は、災害時の情報源に不安をもち、娯楽や文化に対する希求心も「テレビに字幕や手話通訳が挿入されていれば」とむなしい気持での諦めとなっています。  本年は、国際障害者年であり、障害者の精神面の不安をとり除き、豊かな生活を可能にするなめの種々の提言がなされています。  民放における一部の放映や、NHKの「聴覚障害者の時間」に依存せず、また近く実用化されるという文字多重放送とは別な視点で、一般番組への手話や字幕の挿入を実現して下さるようお願い申しあげます。 これが一般テレビ番組への要望です。  それと同じように、「文字多重放送テレビ)のろうあ者向け利用に関する要望」もいまここに出されているわけでございますが、その点についての御検討をお願いしたいと思うんですが、その点どうでしょうか。
  138. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) お答え申し上げます。  テレビ放送番組に手話や字幕を入れてほしいと申しますか、そうした番組拡充するということでございますけれども、すべての方々が放送文化の恩恵を受けるということは大変望ましいことでございますので、その意味におきましても各放送事業者の方々がそれぞれの自主的な努力でひとつ拡充していただきたいというふうに考えておる次第でございます。  それで、新しい手法でございます文字多重放送でございますけれども、これは非常に有益なものであると申しますか、テレビ画面に関連いたしまして一行程度の字幕をスーパーして表示すると申しますか、そういうことがございまして、そうしたものが導入されますと聴力障害者の方々にもきわめて有効な方法であるということで、実はあす、電波技術審議会というものが私どもにございますけれども、この文字多重放送についての技術基準の答申も得られるということで、こうした新しい技術開発の成果というものは早急に社会に還元されるべきものであろうというような考え方でございます。  ただ、この文字多重放送でございますけれども、少し詳しくなりますけれども、実は画に伴いました文字のスーパー以外に十番組程度の情報が加えられるというそういう技術であるというようなことでございまして、この文字多重放送の実用化に当たりましては、いま申しました字幕放送以外の利用についても考える必要があるだろう、実施主体あるいはそうした番組をやる場合に経費負担のあり方をどうするかというような問題もあるということで、私どもといたしましては関係者意見というようなものも聞きながら、具体的成果をできるだけ早く得たいというようなことで検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  139. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 時間もなくなりましたんですけれども、ひとつお伺いしておきますが、ロサンゼルス・オリンピックの放送権について、モスクワ・オリンピックのときはいろんな問題がございましたが、次のロサンゼルス・オリンピックの放送契約は本年決定される、このように聞いておりますけれども、NHKでの対応をお伺いしたいと思います。
  140. 田中武志

    参考人田中武志君) ロサンゼルスの放送権につきましては、昨年私と民放連の川手代表と二人でいろいろ第一回の交渉をしてきたわけでございます。それより以前、御存じだと思いますが、一昨年の十一月には私ども会長と民放連の会長が共同記者会見をいたしまして、このロサンゼルス・オリンピックについては、モスクワとは違ってNHK、民放が共同で交渉し合意をしようというようなことを発表しております。これにのっとって交渉してきたわけでございますけれども、向こうの方はなかなか放送権料、自国のABC放送放送権を盾にとりまして、あるいは受信機の数の配分なども出しまして、非常に高い要求をしてまいりました。したがいまして、私どもといたしましては、とてもそういう高い放送権料には乗れないということで一応物別れということで帰ってきたのが実情でございます。ただ、この後、ことしの九月にロサンゼルスの後の開催地も決まりますし、またそういった折も含めてヨーロッパの放送連合の方のこの権料に対するいろんな動きも出てくるだろうと思いますから、そういったところの十分動向を見きわめながら、私どもといたしましては十分民放連の方ともお話し合いを進めながら今後の交渉を慎重に進めていきたいというふうに現在考えている次第でございます。
  141. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 最後になりましたけれども、五十五年度受信料値上げ以前に、NHKは赤字になるからといって直ちに受信料を値上げするというふうな安易な方法は現在考えていない、業務効率化受信料収納の徹底などの経営努力を最大限に行う、このように話をしていたわけでございますし、また、わが国の放送制度というのを検討してみえた臨時放送関係法制調査会は、昭和三十九年の答申の中で。NHKの受信料の性格につきましては、「NHKの維持運営のため、法律によってNHKに徴収権の認められた「受信料」という名の特殊な負担金と考えるべきである。」という受益者負担のことを明記しているわけですね。  しかし、この受信料の制度の問題につきましては、午前中も同僚委員からもお話がございましたけれども、ややもするとこの受信料の義務化という問題が何となく政治権力と結びついて、あるいは政治権力が放送に介入するというような裏の面を持ちながら放送法改正案の中で働いているような感じもするわけでございます。当然NHKとしては、今後も経営の努力を進めながら財政の基盤を確保するための努力は当然続けていかなければならないと思いますし、またそういう決意も聞いているわけでございますが、五十五年から五十七年までのいわゆる収支見通し、一応これが五十七年度には収支相償と申しますか、バランスがとれたということになるわけでございますが、それ以後の問題についてはこれはなかなかわからないことでございますが、先ほども申し上げましたようなNHKの基本的な考え方、これは五十七年以降についても当然堅持していただきたい、このように思うわけですが、その点どうでしょうか、会長
  142. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 先生指摘のとおりでございまして、赤字になったから値上げたという、そういう安易な経営姿勢で視聴者の理解は得られないということは私も十分認識しておるつもりでございます。したがいまして、協会の将来についてのいろいろなお知恵をおかりしたいということで長期ビジョン審議会もお願いして現在御議論いただいているようなわけでございますので、その点につきましては私も十分認識して対応すべきであるというふうに覚悟をしておる次第でございます。
  143. 太田淳夫

    ○太田淳夫君 最近NHKの経営とか番組に対して直接国民発言できる場を考慮せよという声が多くなってきているわけですね。これもかつてNHKの基本問題調査会の調査報告の中にも、「国民の声に謙虚に耳を傾け、意見や批判に柔軟に対応できるようにNHKの体質改善を図り、真に国民のための放送機関としての実を上げるよう努めるべきである。」、こういう調査報告もございました。当然これは開かれたNHK、開かれた経営についていろいろ努力されていることと思います。  先ほどのお話の中にありましたけれども、やはり管理職関係の皆さん方が実際に滞納されている方々といろいろとお話し合いする中で滞納も少しずつ解決されているという部分もありますように、これからは国民の皆さん方と直接いろいろな面で接触をされながら開かれたNHKの建設のために、また受信料収納の確保のためにこれは当然努力されるべきじゃないかと思いますが、その点で、やはりそういういろいろな意向を吸収されるだけじゃなくて、実際に管理職の方も出られてみえて、またそこにお見えになる皆さん方もやはりどんどんとこれから大衆の中に入って国民の生の声を聞きながらそれを経営に生かしていく、こういうことが私は必要ではないかと思います。  最近いろいろな批判もあるようでございますけれども、そういったことにあるいは耳を傾けなければならない部分もあろうかと思いますが、そういった点も含めまして、今後の健全な開かれたNHKを目指しての努力を、最後にもう一言お聞かせいただいて終わりたいと思います。
  144. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) ただいま申し上げましたように、私を初めとしてそういう国民の皆様方の声に謙虚に耳を傾ける、そのためにお邪魔するところにはお邪魔してお話を承るという姿勢をとるべきであろう、そう考えておりまして、全国で開かれております視聴者会議等につきましても、私を初め役員ができるだけ現地にお邪魔してお話を承るという努力をしておる次第でございます。その点につきましては、今後の御叱正をまたお願いしたいと思います。
  145. 山中郁子

    ○山中郁子君 五十六年度のNHK予算審議に当たりまして、幾つかの点についてNHK並びに郵政当局のお考えをただしたいと思います。  初めに、放送報道の基本姿勢についてですけれども、後ほどお伺いすることとの関連もありまして、放送法第一条に言う「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること。」、ここの点について、一番放送、NHKの姿勢の根幹になるというふうに思います。で、国民の知る権利にこたえるためにも、また日本の民主主義の発達に資するためにもそこに基本的任務がありますけれども、それが貫徹されるためには権力に対するおもねりや追従があってはならないということは当然のことですし、権力に対する批判的精神、あるいは科学的合理的精神の堅持や高揚が組織としてのNHKの生命力の土台になるというように私は考えております、またそのようにあるべきであるというように考えておりますが、このあたりのNHKの哲学というんでしょうか、会長からまずお伺いをしたいと思います。
  146. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) これも先生指摘のとおりで、そのことが放送法の一条、三条、四十四条等に明らかに明記されておるわけでございますから、そういうことを守るのが私どもの基本的な姿勢でなければならない、そういう認識に立って現在もまた将来も覚悟を新たにしてやっていきたいというふうに考えております。
  147. 山中郁子

    ○山中郁子君 そこで、前会長の小野さんが五十一年の八月に刑事被告人、保釈中の田中角榮の見舞いと称して会長専用車に乗って訪れて、これが大きな国民の批判を浴びました。国会でも大きな議論になりました。このことはやはり二生懸命がんばっていらっしゃるNHKの職員の方や、それから事業そのものにも大きな困難をつくり出したと思います。そうしたことも契機になって坂本さんが会長になられたわけですけれども、このことを坂本さん自身どういうふうに受けとめていらっしゃるか、どういう教訓として受けとめていらっしゃるか、ちょっと改めてお伺いをいたしたいと思います。
  148. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 小野先輩のことをどうこう言うことは私はこの席では差し控えたいと思いますけれども、冒頭申し上げましたように、NHKの会長として国民の負託にこたえるということの姿勢を貫くには、第一条、三条、四十四条というそこにポイントを置いて努力すべきであろう、そういう認識でございます。
  149. 山中郁子

    ○山中郁子君 ところで、これは新聞報道によりますと、三月の十三日、自民党の櫻内幹事長、新谷議員、それから水野代議士など、逓信関係議員に呼ばれて、原子力発電の安全性について偏った報道が目立つとか、報道内容や大事にまで特定政治家が介入しているなどということを厳しく追及した、つまりNHKの幹部が追及された、NHKは事実を否定しつつも調査と再度の話し合いを約束したというように報道されております。私は、こういう問題について、いま初めに申し上げましたNHKの姿勢、基本的な態度、それは毅然として貫かれなければならないし、NHKの姿勢がそうしたものに追従するあるいはおもねるような形での弱さを持っていてはならないと考えておりますけれども、この報道をめぐっての事実はどういうものであったのか、お知らせをいただきたいと思います。
  150. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) この会合は私どもの主催による会合でございませんので、私の口からその内容を申し上げることはお許し願いたい、そういう立場にはないというふうに考えております。  ただ、多少具体的に申し上げれば、自民党の放送関係の議員の方から放送法制に関連する問題について有志議員でいろいろ懇談をしたいので出席してもらいたいという御要請がございましたので三月十三日に出席したわけでございますので、その具体的な内容を私がこの席で申し上げるそういう立場ではない、こういうふうに御理解いただきたいと思います。  ただ、その原発の報道がどうのこうのということにつきましては、私は一般論として、NHKは原子力発電に対する基本的態度について何らどうこうという点はない、そういうことで努力して報道しているつもりでございます。
  151. 山中郁子

    ○山中郁子君 この読売の報道によりますと、一調杏を約束、近く再び会合を持ち、話し合うことになった。」と報道されておりますけれども、それはそのようになっているわけですか。
  152. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) それもただいま申し上げましたように、そういう具体的な内容を私が申し上げる立場にないということだけは御理解賜りたいと思います。
  153. 山中郁子

    ○山中郁子君 決してそんなことはないと思うんです。あなたの立場として、国民の財産でもあり国民の機関であるNHKを預かっていらして、そこの経営の最高責任者である方が、当然の立場としてそれらのことはむしろ国民の前に公にすべきことであって、いまの坂本さんの立場というふうにおっしゃっているそれらのことをお話しできない、国会においてもお話しできないということについては全く納得できませんし、大変重要な問題をつくり出しかねないというふうに思います。  そこで、こういうことと関連するんですけれども、私はもちろん、だからNHKが独善に陥ってはならない。たとえばいろいろな介入を拒否するということは当然であるけれども、また逆にそれで独善に陥ってはならないということも当然のことだと思います。ですから、国民参加の番組づくりにもっと改善をしていったらどうだろうかということを私はここで提起をしたいわけなんです。ぜひ積極的に考えていただきたいと思うんです。  たとえば新聞ですね。新聞を見ますと、御承知のように普通のいわゆる投書欄というのがありまして、読者の投書をそれぞれ載せています。そのほかに、さらに具体的に申し上げますと、朝日で言いますと「私の紙面批評」という欄があります。毎日では「新聞を読んで」ということで、これは毎週月曜日ですね、マスコミ診断。東京新聞の場合は「私の注文」ということでこれは毎週日曜「ひろば あなたと編集」、そういうような企画があって、そこにいろいろな内容が出ますけれども、かなり率直な、ある意味では新聞にとっては大変厳しい批判的なものも載せられている。私も全部に日を通しているわけではありませんけれども、そういうものも紹介をされていますし、論評が載っております。NHK自身もラジオで「新聞よんで」というマスコミ批評をやっているわけですよね。私はこういうものをNHK自身がたとえばテレビ番組でNHKの番組そのものに対する批評ですね、きれいごとの要望ぐらいなものじゃなくて、新聞なんかがやっているこういう批評ですね、そうした番組を少し本格的に考えるべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょう。
  154. 田中武志

    参考人田中武志君) 私どもテレビ番組の中で、毎日曜日に午後九時三十五分から「NHKの窓」というところがございます。この中で、毎週ではございませんけれども、たびたび視聴者の皆さん方のNHKの番組それからその他につきましての大変手厳しい内容の御意見を紹介しております。それからまた、年に何回かは子供たちの中へ入って子供たちのいろんなNHKの番組、子供番組とかいろんな番組に対する意見もその中で紹介するとか放送しております。  そのほか、先生御存じのように各地に視聴者会議というのがございますけれども、その中でも私の経験ではきわめて厳しいNHKに対する番組批評、そういったものがありますので、そういったものをローカルの放送の中で随時取り上げて、いま先生がおっしゃったような新聞の紙面批評に当たるような部分のところを放送しているというようなことが実態でございます。  また、そのほか、見ていただきましたかどうか、昨年のちょうど一年ぐらい前でありますけれども、「受話器の向こうのNHK」という特別番組を設けまして、そこに受信者なり視聴者の皆様方の番組その他についての生の厳しい批評を赤裸々に出した放送もございました。  こういったことでございますので、十分今後こういった枠の中でより一層視聴者のそういった御意見放送していきたいというふうに存じております。
  155. 山中郁子

    ○山中郁子君 まだまだそれはおっしゃっている番組が、それはないとは言いませんけれども、なかなかやっぱりきれいごとなんですよね。  それで、たとえば私が先ほど質問いたしましたけれども新聞報道によれば、自民党から、原発に関する安全性や環境問題についてNHKの報道は偏っている、こういうようなことを言われた、そして坂本さんは、NHKとしてはそのことに関して言うならば中立、公正な報道をしていると自負している、こういうお話でした。こういうものを自民党本部の密室の中でやりとりするんじゃなくて、テレビの場に、公に、太陽のもとに出すべきだと思うんですね。ですから、そういうきれいごとの批評とかいうだけじゃなくて、むしろこうした争点になっている問題あるいは議論になっている問題、こういうものを、自民党からそういう意見が出てきた、しかしNHKとしてはこういうふうに考えている、視聴者の人たちにも参加してもらって、そこで一定の時間をとって討論の画面をつくるとか、そして全国に放映するとか、むしろそういうことが本当に国民によって支えられるNHKの番組をしかるべきものとして維持もするし、また視聴者としての国民との結びつきも一層強めていくものだ、反論があるならばきちんとそういうふうにして太陽のもとでガラス張りで報道もし、その反論も伝えるというように、少し思い切ってテレビというものをテレビ自身の問題として番組の上に登場させていくということをちょっと考えていただいたらどうかと思っておりますんですけれども、これは坂本会長からお考えを伺っておきましょう。
  156. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) そう申すとおしかりを受けるかもしれませんけれども、ともかくすべてのそういう御提案についてやはり私どもは謙虚に受けとめて検討しなければならないという姿勢でございますから、先生のこの御提案をこの場でできるの、できないのということはいささか僣越かと思いますので、承らせでおいていただきたいというように思います。
  157. 山中郁子

    ○山中郁子君 承ってくれるだけでは困るので、ちょっと考えてくださいよ。私の言う趣旨はおわかりになるでしょう。いま程度のものじゃない、もう一歩踏み込んだ、ひとつ思い切ったそういう取り組みですね。いま、しますと言えとは言いませんけれども、ひとつぜひ研究もしていただき検討もしていただくということではいかがでしょうか。
  158. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 番組の編集にかかわることでございますので、先生のおっしゃる編集権の独立ということもございますので、そこら辺のところは御提言を謙虚に受けとめるということで御理解賜りたいと思います。
  159. 山中郁子

    ○山中郁子君 NHKの内部の問題として、いま最初に申し上げましたように、そして坂本会長自身もそれは当然の基本的な立場であるとおっしゃいました不偏不党、真実、自律をNHKの組織として保障するために、内部の問題として、そのためにどういうところに注意をし力を注いでおられるかということをあわせてお伺いをいたします。
  160. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 多少御質問の御趣旨を取り違えておりましたらおわびいたしますけれども、やはり何と申しましてもNHKは放送を出すということが大使命でございますから、そういうことで放送を出すということにどうあるべきか、そのことの組織等にかかわる問題とすればどうあるかということが一つのポイントかと思いますし、それからもう一つは、やはり視聴者との緊密な、何と申しますか、理解をいただくというところでの組織上の問題が一つのポイント、あとは技術的なこと、営業的なことということになるのではないだろうかというふうに思います。
  161. 山中郁子

    ○山中郁子君 国民の知る権利にこたえて放送法の理念に言う放送を維持、作成していくという上で、やはり非常に旺盛な取材活動、自由濶達な論議、民主的な討論、そうしたものがそれを支える大きな支柱であると私は考えております。そのことが保障されないということは、勢い言論報道の仕事の命取りになりかねないというそういうものを生み出すわけですね。ですから、かりそめにも内部での強権的な運営だとか、あるいは自由な発言が思想や信条によって差別的に弾圧をされたりあるいは特別に優遇されたり、特定の思想あるいは特定の政党を支持する支持者が差別的な扱いを受けたりあるいは優遇されたりというようなそういう事態はあってならないことで、あくまでもその内部的な力を全面的に発揮していく上での自由濶達な仕事のありようが確保されなければならないと私は思っておりますけれども、その辺についての御認識はいかがでしょうか。
  162. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) それは先生のおっしゃるとおりで、何と申しましても言論報道機関のNHKのことでございます。いろいろな創造性その他についても自由に濶達に議論し事が行われるということであってしかるべきかと思ますけれども、しかしながら、NHKとしては国民に責任を持つことでございますし、それは強いて言えば最終的には会長の責任ということにつながるわけでございますから、その秩序ということは当然なければならないというふうに考えております。
  163. 山中郁子

    ○山中郁子君 先ほどもちょっと田中角榮の話をいたしましたけれども、先日マスコミなどを大変にぎわせました田中元総理の復権と言われる日本政界の異常な事態に対する番組ですね。これは国民の関心も高まっている、それにこたえる計画としてされたものだと私は思いますけれども、「ロッキード事件五年−田中元総理の光と影」という番組放送当日の昼になって突然没になったということでいろいろ取りざたをされました。この特集部分は、被告田中角榮の立場、ロッキード五年という部分は放送されて、そして復権を取り扱った部分のみが没になったというふうに報道されております。私はたまたまこの報道を直接自分で見てはおりませんでしたけれども。こういうことは余りないことで、その日の昼間になってずっと準備してきたものが突然没になるということで、相手の三木元総理も大変怒って納得できないということで伝えられておりますけれども、こういうことからも国民は、NHKがやはり田中元総理の隠然たる権力あるいは結びつく自民党の中でのさまざまな力におもねったりなんかしているのではないか、そこから左右されているのではないかという危惧が出ていることも事実だし、かなりそうした報道もされております。これはどういう具体的な経過であったのか、お答えをいただきたいと思います。
  164. 田中武志

    参考人田中武志君) お答え申し上げます。  二月四日のNC9の特別企画としてこの問題を取り上げまして、ちょうどその日はロッキード事件が起こりましてからちょうど五年ということになりますので、部内ではどういうような企画ニュースを出せば一番いいのか、適切なのかというようなことで議論をしたわけでございます。それで一応いろんな材料を集めまして、その編集過程でもいろいろ議論をしていったわけでありますけれども、その日になりまして、ちょうど公判がありました内容をよく見てみますと、われわれの意図したようなところにつきましては、公判が非常に新しく、一つの被告人に対する最終公判というようなことでもありまして、その日になりまして、やや時間は先生指摘のように迫りましたけれども、最終的な編集の判断といたしまして、当日の裁判の内容とかあるいはこれまでの経緯あるいは今後ロッキード裁判がどういうような成り行きになっていくのだろうかというような、いわば裁判そのものに焦点をしぼったような企画にした方がいいだろうということを最終責任者である者が判断をいたしまして、そういうような形にしていったということで、先生指摘のように終わりの方で取り上げる予定でございましたインタビューその他が落ちたということでございます。  なお、これはあくまで私どもとしましては、その編集の責任において判断したものでございまして、外圧とか自己規制とか、そういったものについては一切ないわけでございます。
  165. 山中郁子

    ○山中郁子君 自己規制は一切ないと言われてもそれはそうですかと言うわけにいかないですよね、いろんな経過から言っても。それで週刊誌にも、これはサンデー毎日ですか、かなり詳しく日を追って発言したような内容なんかもずっとドキュメンタリー風に書かれているんですけれども、この経過は大体そんなものだったわけですか。そんなような感じだったんですか。一々私言う時間ないからいいませんけれども、経過としては大体こういう経過だったわけですか。
  166. 田中武志

    参考人田中武志君) その週刊誌の記事につきましては、その週刊誌の方が独自の立場で取材されたものであり、私としては直接コメントするのは避けたいというふうに思いますけれども、私どもの読んだ感じでは当たっているところもあり当たっていないところもありということで、われわれとしましては、先ほども言いましたように、この問題については部内ではいろいろ編集過程で議論いたしましたけれども、最終的には編集上の判断ということできちっとやったものでございます。
  167. 山中郁子

    ○山中郁子君 それが自己規制ではないと言われても、そうですかというふうにすぐにならないだろうと私が言うのは、やっぱり理由が、いま田中さんがおっしゃった理由が、国民の関心だとか問題の筋からいって当然そうだろうというふうに納得しかねる内容もあるということだけを指摘しておきます。  私は、先ほど会長にもこういう番組をつくったらどうかというふうに言いましたけれども、たとえば、これはこれだけ大きな問題というか話題になったり、それからマスコミでも報道されたり、たくさんの視聴者がみんなどういうことになっているんだろうというふうに思っているわけでしょう。こういう問題を、たとえばこうであった、こういうふうに大きな問題になったわけですから、だからこのことについてはこう考えているんだ、こういう理由でこうしたんだ、それに対して視聴者意見番組に登場させて、そして番組批判という形でも貫いていけるというふうに私は思うんですよ。それは申し上げておくだけで、別にお答えをいただくつもりはありません。  これまでも私はいままで逓信委員会でNHKの予算、決算に際して何回か指摘をしてまいりましたけれども経営委員会の公開の問題とか、それから任命過程の改善だとかということについて、視聴者参加あるいは国民の前にガラス張りに一層していくということについて申し上げてきました。きょうは経営委員長においでいただいておりませんので、具体的な一つの提起でございますけれども視聴者会議に、経営委員の方が地方代表的に選任されているわけですから、こうした地方の視聴者会議にその地方の代表という形で経営委員会に入っておられる方たちが直接に参加をして視聴者意見を聞くとか、それからそれをやはりNHKの経営、番組編成に反映していくとかいう、そういうようなことも大いに考えられてよろしいと思うんですが、きょうは経営委員会に伺うということじゃなくて、NHKの側からそういうことを経営委員会に進言なすってもよろしいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
  168. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) いま先生がおっしゃいましたように、これは経営委員会の問題かと思いますので、先生からそういう御発言があったということは伝えて、経営委員会で御検討いただいたらどうだろうかというふうに思います。
  169. 山中郁子

    ○山中郁子君 それは伝えていただくというだけじゃなくて、視聴者会議を主催して扱っていらっしゃるのはNHKなんだから、NKHの方からそういうことを経営委員会に進言なさるということも大いにあると思うんです。そしてまた、そういう視聴者会議をNHKのテレビに実際に番組として放送するというようなことも、一番最初に申し上げた問題として考えられていってよろしいんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  170. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 経営委員が御出席になる、ならないは別として、いま御指摘視聴者会議の模様等は、私もついせんだって松山と仙台へ参りましたけれども、その一部は録画されまして「6・4〇」でかなり詳しく放送されておりましたのをこの日で見てきたようなわけでございまして、かなり地方局はそういう点については積極的に対応しているかと思います。
  171. 山中郁子

    ○山中郁子君 かなり詳しくというふうにおっしゃいましたけれども、やはり報道なんですね。その視聴者会議やりましたよという報道ではなくて、視聴者会議の中で実際にNHKのいろんな番組について議論をしているその問題ですね、それをそのまま視聴者に全部放映するというようなことを考えたらどうかというのが私の趣旨です。それはそのように御理解をいただいて、ぜひ積極的にお考えをいただきたいと思います。  次に、けさほど大森委員の方からの御質問がありまして、一応郵政省の現状の考え方というか取り組みとかというのがはっきりしないということも含めて私としては一応わかったわけなので、ダブらないように一点だけ岩澤靖氏の問題について郵政大臣の見解というのか対応をお伺いしたいと思うんです。  この人は、私が調べたところによりますと、五十二年に五百万、五十二年に五百万、五十四年に六百万というかなり多額の、こういう同規模のところの社長というふうなところから考えますと、ちょっとずば抜けて多額の政治資金を自民党の政治資金団体である国民政治協会に献金しているんですね。それで、公共の電波を使う言論報道の機関である民放といえどもそうした放送事業者が、それを株の利殖の、しかもこういう大問題になった誠備グループの無謀投機に絡んでこういう事態になってきているということについては、私はやはりこの北海道テレビ社長ということ、その人に実際上の免許を与えているということと同時に、昨年の十月にこの人が電電公社経営委員になっているんですね。そういうところはやはり郵政省郵政大臣の見識が問われるところじゃないかと思うんです。私どもは、国会の承認事項になっております人事案件につきましては一人一人について詳細にいろいろ吟味をいたします。そして反対をすべきは反対をし、賛成すべきは賛成をするという態度を一貫してとってまいりました。で、この岩澤氏につきましても、私ども電電公社経営委員にはふさわしくない人材であるという立場から反対をいたしました。  こういうことになっているわけなんですけれども、この点についての見識が問われるだろうということは改めて指摘をいたしますけれども、同時に、実際に北海道テレビ放送で働いている従業員、それから何よりも地域の公共的な電波を使うローカル放送視聴者、そうした国民的な視聴者の立場から、労働者の立場からこうした問題がよりよく対応され解決をされていかなければ在らない、その視聴者や働いている労働者に多くの損失を与え、さまざまな困難を与えるような結果にしてはならないと私はごく基本的に思いますので、その辺についての郵政大臣の御見解なりお考えなりをお伺いしておきたいと思います。
  172. 山内一郎

    国務大臣山内一郎君) けさもお答えをしたのでございますけれども、何しろ非常に複雑な問題でございますので、まず実態を把握するということに重点を置いて、極力早く調査をするように、こういう指示をいたしているところでございます。したがって、いま山中委員のおっしゃった点がどういうことになるか、またその調査の経緯につれてわかってくる問題でございますので、ただいまのところは実態調査に全力を挙げている、これ以上は申し上げようがないわけでございます。
  173. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は昨年の臨時国会で、郵便法の値上げを審議しました逓信委員会で、山内郵政大臣大臣になられて出身地である福井県にいわゆるお国入りをなさった際の奥田官房長が同行した問題その他についていろいろ質疑をいたしました。この折のことなんですけれども、昨年の審議の際には触れていなかった問題なんですが、郵政大臣が福井へいらして記者会見をなすった報道に、福井県でFM局認可の用意がある、こういうことをおっしゃったということが報道されているんです。これは八月の二十四日の福井新聞です。まず、これが事実であるかどうか、ちょっと教えてください。
  174. 山内一郎

    国務大臣山内一郎君) FMの問題でございますけれども、これは全般的にまず申し上げますと、原則として県域を単位として全国普及を図るということは基本方針に相なっているわけでございます。ただ、どこもというわけにもいきませんで、中波の混信の状況、あるいは周波数事情の問題、また地域の経済事情、これはやっぱり経営が絡んでまいりますから経済事情の問題、こういう点の見通しが得られる場合には周波数の割り当てを行っていきましょう、こういう点で福井に直ちに——こういう点がまだ調査されておりませんので、こういう点は調査してからひとつ考えてみましょう、こういうことを申し上げたわけでございます。
  175. 山中郁子

    ○山中郁子君 じゃ、ちょっとこの報道が違うんですね。報道はこうなっているんですね。「本県関係では地元から申請の出ているFM局について「免許を出す用意はある」としながらも「申請者同士の話し合いでまとまることが前提となる」」、一局にまとまるという意味ですね。だから、一局にまとまりさえすれば免許を出す用意があるというように大臣がお答えになったというのは、これは報道が違うわけですか。
  176. 山内一郎

    国務大臣山内一郎君) 前半の問題は、先ほど申し上げたような、これが事実でございます。  それからその次の問題。申請者も大分出ておりますけれども、認可をおろす場合には、やはり申請者が話し合いをされましてまとまらないことにはこれ出しようがないわけでございますので、次の問題としてはそういう点がございますよということを申し上げたわけでございます。
  177. 山中郁子

    ○山中郁子君 調査をしてみなきゃとおっしゃるけれども、私は、昨年、奥田官房長がどうして政治家としての山内さんのお国入りについていったのかということを申し上げましたときに、奥田さんは、郵政大臣としての仕事だから、その部分があるから補佐するために行く必要があったんだ、それで行ったんだと、繰り返しおっしゃいました。それだったら、これはまさに郵政大臣としての仕事の範疇に入る問題ですよね。  それで、いまこのFMのチャンネルプランなんていうのははっきりしているんです。福井県なんていうのは出てくるはずがないんですよ、いま。当面の問題としてもそうですし。おたくの方で全然そのプランなんかもともとないんですね、いま現在福井については。だから結局それを調査して何とかできるみたいないうふうなことはあり得ないはずなんだと、私は郵政当局から伺ったチャンネルプランによればそう言わざるを得ないと思うんです。で、いままで開設したものがどこであって、第二次のチャンネルプランがどこであって、第三次のチャンネルプランがどこで、それがどういう進捗状況になっているのか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  178. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) お答え申し上げます。  FM放送につきましては、たしか四十四年ないし四十五年だったと思いますが、このときに多少時間は違っておりますけれども、名古屋が一番最初だったかと思いますが、東京、名古屋、大阪、福岡というところでFM放送会社ができ、もちろんその前提でチャンネルプランがあるわけでございますが、その地区から開始をいたしたわけでございます、その後十年近く置きまして五十二年の十二月の十五日に、札幌、仙台、静岡、広島という四地区につきましていわゆるチャンネルプラン、FMを開設するならばこういう周波数が使えますという発表をいたしております。次に、五十五年の六月二十日に、金沢、松山、長崎につきまして、これ第三次と申しますか、そういうようなことでチャンネルプランを発表いたしたわけでございます。  それで、現実に現在波が出ておりますのは、四十二年ですか、四十四年当時から電波の出始めました四地区でございますが、このうち五十五年六月二十日に発表いたしました松山地区については、申請者間の話し合いがつきまして一本化されたというようなことで郵政省としても予備免許を与えたということで電波を発射すべく準備中であるという時点になっております。もう一度繰り返しますが、チャンネルプラン上はFMについては全国で十一地区が開放されているということになります。
  179. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうしますと、福井県にチャンネルプランを出せる状況にはないわけでしょう、現在。
  180. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 現在ただいまチャンネルプランは出ておりません。ただ、五十二年当時から何とかFMを普及させようという観点からいたしまして、考え方といたしまして、県域を単位として全国普及をできる限り早急に図るという一つの方針が立てられております。そういうことで、具体的には、先ほども大臣も申しましたように、中波の混信状況、あるいは周波数事情、地域の経済事情等を勘案した上で、そういう条件が整えばチャンネルプランの策定ということもあろうかと考えるわけでございます。
  181. 山中郁子

    ○山中郁子君 郵政省で出されている「超短波放送用周波数割当計画」の方針によりますと、先ほど出ている中波の混信のないところには進めていくけれども、混信があるとそれはFMで代替するという方針で、どうしたってそれは混信があるところはよけい後になるということになる方針になっていますよね。これはその点は間違いないのかどうかということと、福井は混信のあるところでしょう、はっきり。
  182. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) まず、中波とFMの関係でございますけれども、中波の混信対策といたしましてFM移行というのが一つの方法であると考えております。ただ、具体的にFM放送で中波の放送区域をカバーする、代替するというふうなことになりますと、多数の中継局中波以上に、FMでございますのでその周波数の足が短いというようなことで、置局上数がかかるというか、したがいまして経済的な負担も大きくなる、またこれを受けます側のカーラジオと申しますか、中波の受信機に比べましてFMの受信機がまだそれほど普及していないというようなことでございますが、一応中波の混信対策としてFMという考え方はございます。  次の御質問でございますが、福井の中波民放は外国混信を受けているかどうかということでございますけれども、現在外国混信を残念ながら受けております。ただ、これは中波に対する国際会議は五十三年の十一月二十三日だったかと思いますけれども、いわゆる九キロヘルツといいますか新しい放送体制に移ることに国際的になっておるわけでございますけれども、たまたまこの現在福井の中波に混信を与えております相手側がこの会議で話し合いをつけたとおりにしてくれていない、そのために不幸にして混信を受けておる。もう一度繰り返しますと、契約どおり、規定どおり相手国がこの協定を守っていただければ、計算上は混信はなくなるというふうに、そういうような諸元で相手方が放送を行っておるというのが実情でございます。したがいまして、その是正方を国際的にも強く要求しておるのが現実でございます。
  183. 山中郁子

    ○山中郁子君 いずれにしても、外国電波による中波放送の混信対策を要しないと認められる地域のうちから放送需要の態様を勘案して周波数割り当てを進めることがあなたの方の方針なわけでしょう、FM割り当てについては。おたくで出されている。そうなんでしょう。
  184. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) そういう方針でいままで進んでまいっております、これはかなり早く立てた方針でございますけれども。と申しますのは、中波の国際会議、数年前に非常に大きな会議があったわけですけれども、その会議の影響するところは、わが国の中波に及ぼす影響は大変大きいだろうというような段階で立てましたわけで、それで、先ほど申しました第一回のFMを四十三年ごろにやりまして、次に第二回目をやるのを五十二年まで待ったということについては、この国際会議で中波の行方がどうなるかわからない、FM放送で代替しなきゃいけないというようなことが多くなるだろうというようなことで立てた方針でございまして、一応やはり中波の混信状況というものは、切りかえを済み、中継局を置き、ただいま中波独自での解決というものを基本的には図っておるということで、場合によりましてはFMという問題も出てくる。ただ、FMにつきましてはそういう方針でございますけれども、先ほど申し上げましたように、実際に中波の代替で使うのには中継局も多い、経済的にもかかる、あるいは受信機の側もそれほどは普及していないというような現状にあるというのがただいまの実情でございます。
  185. 山中郁子

    ○山中郁子君 だから、いろいろおっしゃるけれども、FMの第二次チャンネルプランにも、第三次チャンネルプランにも福井は出てこない。しかも郵政省の方針として、外国電波の混信対策を要しないと認められる地域のうちから放送需要の態様を勘案してということが方針になっている。それは変わっていない。福井は中波で混信がある。それだったら福井県にFMの免許を出すということは、いま現在どこから考えても出てこないわけでしょう。そのことを私は言っているんです。出てこないでしょう。それとも、大臣の出身地で、大臣がそういうふうに約束したから、いろいろ理屈をつけて割り込ませて福井に免許を早く与えようというふうに考えていらっしゃるんですか。
  186. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 私の理解では、大臣はそういうふうにおっしゃったのではないというふうに思います。一般的に申しましてFMの全国的普及は早急に図るべきであろう、その際に順番としてどういうことを考えるかということにつきましては、中波の混信状況とか周波数事情あるいは地域の経済性も考えなければならぬということで、そうした条件が整えば、極端に申しますと、十一件といいますか、十一カ所出ておりますので、それ以外の三十数局については皆候補になり得るというふうに考えておる次第でございます。
  187. 山中郁子

    ○山中郁子君 福井地区でFM免許の申請はどことどこがしているんですか、いま。
  188. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) お答え申し上げます。  福井県のFM局の申請については、ただいまチャンネルプランは出ていないわけでございますけれども、現在のところ六件受理いたしております。
  189. 山中郁子

    ○山中郁子君 福井から六件申請が出ているわけですか。それはどこが出ているのかということを伺っているんです。
  190. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 社名でございましょうか。
  191. 山中郁子

    ○山中郁子君 はい、そうです。
  192. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 福井エフエム文化放送株式会社、福井テレビジョン放送株式会社株式会社エフエム福井、四番目が福井エフエム株式会社株式会社FM福井、それから第六番日が福井FM放送株式会社、以上の六件でございます。
  193. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうしますと、山内さんがおっしゃったのは、こういうふうに具体的に出ているこの人たちに対して、一本になってくれるのが先決であって、それで免許を与えますというふうなお話なのか。先ほど釈明的なことをおっしゃったけれども、どう考えても具体的なプランとして出てきようがない福井のところで、本当の外交辞令で、それは福井はまだまだだと言うわけにいかぬということでおっしゃったということなのか。それとも実際問題として、実際にこのように申請が出ていることに対して何らかの積極的な具体化を図るということでおっしゃったのか、その辺もう一度お伺いします。やはり私はこれは大事な問題だと思います。
  194. 山内一郎

    国務大臣山内一郎君) 私、福井で言いましたのはいわゆる原則論ですね。FMというのはできるだけ各県に出していくように、これは原則が決まっております。しかし、いろんな条件がありますというのは、先ほど申し上げたとおりでございます。そのときには、だれが出ているかということ全然知りません。しかしだんだん、こういうのは全国の例を見ましても、波が出ますと申請者がたくさん押しかけてきまして、その話をつけるのに大変困難いたしておりますけれども、そういう話し合いがうまくいかなければ波が出てもこれはなかなか進みませんよということを申し上げたわけでございます。
  195. 山中郁子

    ○山中郁子君 いずれにいたしましても、この免許郵政大臣の専決事項であるということから、いろいろかねてから議論になっているところなわけですね。ですから私は、やはりこうした問題が大臣の地位というか、権力というか、力ですね、そこでもって左右できるような、郵政省が一応公にしてきている順番もあるし、チャンネルプランもあるし、方針もあるし、そういうものと余りにもかけ違って安易にすぐそれができるような、そういうような結果になる発言というものは大変重大な不信を招くし、事実としても問題の多いところだと思いますので、そういうことのないために奥田官房長もいらしたというお話のはずだったんですけれども、そのことについては、今後の問題もございますから、慎重なそして厳格な大臣としての対処が必要であろうということを指摘しておきたいと思います。
  196. 山内一郎

    国務大臣山内一郎君) いまいろいろお話ございましたけれども大臣がよろしい生言えばこれは出るものではないのですね。事務当局がいろいろと調べて、これは出してもしようがないといった場合には大臣が決裁をする、こういったてまえでございますので、逆に私が、これよろしいから何とかしろなんということはこれは絶対言っておりませんから、その点は念を押して申し上げておきます。
  197. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は、大臣の専決事項であるという、そういう免許のあれに照らして申し上げております。そこのところを御理解いただければと思います。  それから田中局長が記者会見で話されたことの報道として、これが三月十日の電波タイムズに報道されているんですけれども、「民放FMについても、「三月末の電波監理審議会には、少なくとも一地区、うまくいけば二地区の予備免許を諮問できそうだ。基本方針どおり、早期全国化を進める」と述べ、既プラン局の免許処理を急ぐとともに、これをにらみながらプラン割当てを考慮している。いずれにしても、早ければ今国会閉会後に、テレビ、FMの新プラン割当問題が表面化するものとみられている。」、こういう報道になっているんですけれども、記者会見のときにほかのこともいろいろお話しなすっているようですけれども、民放FMの問題につきまして、今後計画を国会が終わった後で何らかの形で出すというふうなことになっているのかどうか、その辺をお伺いいたします。  それから中波の混信対策、先ほど申し上げましたけれども、これをどう進めるのか。国際的な先ほどのお話はありましたけれども、FMに代替するということは変更なさらないと思うんですけれども、さっきのお話ではね。中波の混信対策としてFMに代替する、だからその混信地域はFMがラジオに代替されるんだという、そういう方向が変わるのか変わらないのか、そのこともお伺いをいたします。
  198. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) まず、何日でしたですか、電波タイムズの報道ということでございますけれども、先ほど御説明申し上げましたように、四つの電波がいま出ておる。あと七つのチャンネルプランで、これは紙の上で出ておるわけでございますけれども、いわゆる一本化ということで十数年ぶりにようやく電波を出す会社一つできたというようなことで、私どももいろいろチャンネルプランを出しておりながら、なかなか電波が出る形といいますか、視聴者がその恩恵に浴するという形にならないのは郵政省の怠慢ではないかというような御批判も受けておるわけでございまして、十数年ぶりに五番目の局が出るようになりましたということでございます。  残りの六地区でございますか、これらにつきましても、私どもとしましてはお使いいただけるという形でチャンネルプランも公表いたしておりますので、何とか地元の申請者の方々の間の合意ができて二番目なり三番目なりの電波が出るようにしていただきたいということで、いろいろ各地の動き、地方の局長あるいは担当の放送部長あたりから耳に入ってまいります。そうした意味で、希望的観測といたしまして、残っておる六つのうちの幾つかがまとまるのではないかという希望を申し上げたわけでございまして、逆に申しますと、一つはまとまったわけですけれども、もう少しまとまらないままにその次に新しくチャンネルを出すというのはいかがなものだろうか、これをどうとるかということでございますが、私どもの方としては、せっかく六つはすぐにでもお使いいただける状態になっておりますので、そういう動きにぜひともなっていただきたいものだというふうな希望でございまして、その次には、先ほども申しましたように、できる限り早期に全国的普及を図るという方針もございますので、そうしたものが二つ三つとまとまっていけばまた新しいチャンネルの開放と申しますか公表というものもあり得るかもしれない。裏返しに申しますと、幾つかまとまらなければその次にやるという、その次まとまらないままに新しいプランを出すということはいかがなものかというのが私の真意でございまして、それ以上につきまして、ともかく二つでも三つでもまとまってほしいというようなことで、恐らく記者の方は、これは国会中は忙しそうだから国会中はないだろうというふうに判断したのをそういうふうに書かれたのではないかというふうに思う次第でございます。
  199. 山中郁子

    ○山中郁子君 時間の関係がありますので次の問題に移りますけれども、これは五十五年、昨年の五月十三日のたしかこれはNHKの五十一年度の決算だと思うんですが、そのときに米軍の軍人・軍属の受信料の問題ですね、これに関して当時の逓信委員会の矢田部委員長が「逓信委員会としての要望」ということでおっしゃっていることの中に入っているんですね。「郵政省及び日本放送協会は、米軍基地関係放送受信料収納確保について、さらに努力すること。」ということです。これに対して当時の大西郵政大臣が、「ただいまの当委員会の御要望につきましては、郵政省といたしましても十分尊重して対処してまいる所存でございます。」というようにお答えになっています。坂本会長も努力をするということをおっしゃっておられます。  そこで、お伺いをするんですが、まずNHKではこの問題についてその後どういう取り組みをされていらっしゃるかをお尋ねいたします。
  200. 海林澣一郎

    参考人海林澣一郎君) お答え申し上げます。  先生のおっしゃるとおり、昨年の国会審議の場で出ましたその状況を踏まえまして、米軍人等の受信料問題の解決のために、あの後でございますけれども、五十五年の五月、協会としましては、私が当時の郵政省の平野電波理局長をお訪ねいたしまして、口頭で問題の解決について政府の御協力をお願いしたということでございます。  申し上げました内容は、協会としては、その節も御報告しました郵送などによります契約勧奨に努力してきておりますけれどもおのずから限界ありということで、かつほかに有効な方法が見出し得ない状況でございますので、米軍当局のいわゆる基地内の立ち入りの許容と申しますか立ち入らせていただきたい、どんなふうにテレビをごらんになっているかということはわからないわけでございますので、それを政府レベルで打開策をお考え願えないかと、積極的な協力を要請したということでございます。
  201. 山中郁子

    ○山中郁子君 それで、NHKの資料によりますと、いわゆる不払い、未契約数のうち契約拒否者というのが一番新しい数字で、五十五年九月で十万四千件という数字になっていると思いますけれども、これとの比較で考えたいのですが、米軍の軍人・軍属、基地関係者、常識的に言えば全部テレビあると思うんですね、基本的には、しそういうようなことを前提として、大体の推定はどのくらいだというふうに考えておられるでしょうか。
  202. 海林澣一郎

    参考人海林澣一郎君) 基地内の受信料額は、年間について——大体住宅としては一万一千戸ではないか。NHKの受信可能テレビの設置数はそのうち概算六六%。先ほどちょっと申し上げませんでしたけれども、その後NHKとしては郵送のほかに電話でちょっと問い合わせをするというようなことをいたしまして、電話で三百三十四件基地内におかけいたしましてアンケートをとったのでございますが、それのデータといたしましては、設置数六六弘ということでございます。
  203. 山中郁子

    ○山中郁子君 一万一千戸ですか。
  204. 海林澣一郎

    参考人海林澣一郎君) 一万一千戸でございます。
  205. 山中郁子

    ○山中郁子君 そうすると、全体の契約拒否者の数というのが十万四千件あるという状況のもとで、これとの対比でいつでも米軍関係の未契約による問題というのはかなりなやはり数字に上るわけですよね。私はそういう点でNHKからお伺いしたんですけれども、七千件を対象に勧奨の手紙を出したら四件の契約がとれたとか、それから三百三十人に電話で働きかけたら一件の契約がとれた、こういうお話で伺ったんですけれども、そういうところなんですか、
  206. 海林澣一郎

    参考人海林澣一郎君) おっしゃるとおりでございます。電話の内容をもうちょっと申し上げますと、対応の数が三百三十四、そのうち在宅していた方が百三十人、それから不在の方が百三十八、それから通じないという方が六十三、その他。そして先生のおっしゃいますように、いわゆる契約締結を承認してくださったのは七名でございましたけれども最終的に契約してくだすったのがお一人、しかもその方は日本人の奥さんでいらっしゃるということが電話の対応の内容でございます。
  207. 山中郁子

    ○山中郁子君 私は、やはりこれじゃらちが明かないと思うんですね。それで実際問題として、米軍が指示を出してこれは税金の一つなんだから払う必要ないんだ、こうなれば幾らNHKがそういうふうにして努力したってそれは契約が進むということはむずかしいというふうに思います。  で、やはり問題は、国として、この無法な米軍の言い分ですね、これをやはり外交のルートに乗せて道理ある解決を図るというもっと積極的な対応をしなければ打開できないと思いますけれども、その後の御努力をどのようにされたのか、郵政省の取り組みの経過をお伺いいたします。
  208. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) この問題は、先生もいま申されましたように、根底に日米地位協定についての日米間の解釈の食い違いというものが一つございます。  それから何と申しましても、ただいま推測の数字はNHKの方から申されましたけれども、米軍人・軍属のテレビ受信設備の実情についても不明であるというようなことで解決が困難になっているというふうに理解しておるわけでございますが、先ほどやはりNHKの方から申されましたように、前通常国会終了後、NHKの方から私どもの前局長に対しまして協力要請がございました。それはNHK自身でいろいろ努力しておるけれどもやはり困難性があるということで、政府間レベルでの打開を一般的な表現で要請されたものでございますが、私どもといたしましては、長い期間たっておるというようなこともございまして、やはりNHK自体としてもさらに粘り強い勧奨なり努力なりもお願いしたいというようなことで、これも先ほどお話のありましたような何度目かになるわけですけれども、NHKの方からも昨年十一月から十二月にかけて郵送あるいは電話での勧奨を実施されたところでございますけれども、いずれにいたしましても、繰り返しになりますけれども、直接的に契約勧奨するにいたしましても、テレビ受信設備の実情、実際に何台あるのか、そのうちに中にはUSチャンネルしか受からないというふうにおっしゃるものもございます。NHKを受信できる受信機が何台あるのか、そうしたものを把握するためにもNHKの人が直接基地内に入れるということが必要だろう、それから直接勧奨もできるようにというようなことで、私どもといたしましては、外務省に対しましてそうした実情調査あるいは勧奨のための基地立ち入りというような点で米軍の協力を得られるよう交渉してもらいたいということで、郵政省から外務省に対しまして要請いたしました。今後とも外務省とその結果等連絡をとりながら努力をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  209. 山中郁子

    ○山中郁子君 私はNHKが努力しなくていいとは言いませんけれども、NHKに努力を求めるのはどっちかといえば筋違いだと思うんです。というのは、もしそういうことで立入調査ができるようになったとしても、向こうは、米軍が払う必要はないんだというこういう地位協定の解釈をしてそういう指示を出しているわけですよ。だから、実際にテレビがありますね、受信していますね、お払いくださいと言っても私の方はそれは払わなくていいんだということで、そういう指示を受けているわけですから、そのこと自体は、幾らNHKがそこで調査して勧奨したって余りにも限界のある話で、らちの明かない話なんですね。だから、もちろんそういうことで中に入って見るというふうなこともできるようにするということと同時に、地位協定で税金と同じだなんという無法な解釈をして払う必要ないんだと言っているそのことに対しての交渉を国としてしなきゃいけない、これが本筋でしょう。そこのところはどうなっているんですか。どういうふうにされているんですか。
  210. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) その辺がまず基本的なこの問題を困難にしているという認識はあるわけでございます。ただ、やはり条件といたしまして、ただいま申し上げましたような受信設備一体何台あるのか、それがUSチャンネルじゃなくて日本のテレビを受けられるのかどうなのか、それからやはり日本の受信者に対しても同じでございますけれども、一応たてまえとしましてはNHKが勧奨してNHKが契約をした上でいただくというようなことでございますので、やはりそういう面からの困難の打開と申しますか、前進をしたいというようなことで、外務省に対して正式に要請をしたということでございます。なお、その結果等を見ながら困難の解決に向かって前進してまいりたいということでございます。
  211. 山中郁子

    ○山中郁子君 郵政大臣にお尋ねもするし、またお約束もいただきたいと思うんですけれども、いま局長が言われたようなことももちろん必要でしょう。実際にどういう受信状況になっているのか、しているのかしてないのか、そういうことを調べるために中に入らせてくれとか、そういうことも必要だけど、要は、払う必要がないんだという米軍のアメリカの考え方について外交ルートの上で、折衝の上でやはりそれを解決しないことには、幾らそこへ行ってNHKが実際受信されているからここで契約をしてくださいと言っても根元のところが解決してなきゃそれは進まないんですよね。だから七千人かけても一件だとか何だとかという結果になっているので、それはぜひ郵政大臣として、いま私が申し上げました昨年の逓信委員会委員長の要望というものもそういう趣旨であるはずですから、ぜひそこのところは外務省にもっと具体的に、そういう米軍の考え方自身の間違いだとか矛盾だとか、そうしたことについて外交折衝のルートに乗せて解決を図るという姿勢をさらに一歩前進をさせていただくということが大事だと思います。  ということは、受信料制度の問題そのものが、やはり未契約者の問題だとか契約拒否者の問題とかということでいろいろNHKの財政自身の問題になって、そこに予想されるかなりな数の未契約者が、未契約者というよりも契約拒否ですね、逆に言えば気にしなくていいと言っているわけだから、そういう部分として米軍の実態があるわけですから、ぜひそこのところは、もう一つ郵政大臣に積極的な力のある対応をしていただかなければならないと思いますけれども、いかがでしょうか。
  212. 山内一郎

    国務大臣山内一郎君) 長年の問題でございまして、大変むずかしい問題であると思うのです。これは地位協定の解釈の問題でございますから、よほど外務省と米軍と話し合ってもらって粘り強くやらないといけない問題だと思っているわけでございます。長年の問題が本日までできなかったというのはまことにわれわれとしても力が及ばなかったかもしれませんけれども、御趣旨は全く同感でございますので、さらに外務省の方に話をいたしまして一層粘り強く米軍と交渉してもらうようにしたい、こういうように考えております。
  213. 山中郁子

    ○山中郁子君 最後の問題でございますけれども、先ほど太田委員も取り上げられたんですが、私もこれはたしか昨年のNHKの決算の委員会で申し上げたと思いますが、手話通訳の導入の問題ですね。ことしは国際障害者年でもあるし、かねてからの懸案でもあり要望である手話通訳の導入をぜひとも実現されたい、またそれが公共放送たるNHKの使命ではないかということを申し上げました。それで研究もなさるというお話だったと記憶しておりますけれども、この点について、やはり大変国際障害者年を意義あるものにするためにも、キャンペーンその他の番組のいろいろな御努力は存じておりますけれども、この手話通訳の導入というものをぜひとも実現を図るべきだと思いますが、いかがでございますか。
  214. 田中武志

    参考人田中武志君) お答え申し上げます。  先生御承知のように、NHKといたしましてもこれまで手話につきましては地域差とかあるいは単語の問題だとか、そういったようなことをいろいろ調べまして、それをもとにいろいろ実験を重ねましたところ、やはりテレビ番組につきましては正確な情報の伝達とか内容理解という面から手話だけではなかなかむずかしいのではないかという考え方に立ちまして、御存じのようにトータルコミュニケーションということで手話と口話と字幕スーパーという組み合わせで現在も聴力障害者の時間で放送し制作しているわけでございます。  ただ、今後の問題といたしましては、こういった問題につきまして聾唖者の皆さん方からもわれわれのところへもいろいろニュースとか一般番組のサービスをふやしてほしいとか、いろいろ文字放送の導入もやってほしいとかいうような御要望等も来ておりまして、私どもも真剣に受けとめております。そういった意味合いからも今後文字放送の実用化の方向に向けての展開なども見きわめながら、制作体制とかそういった番組の中での取り組みを十分積極的に検討していきたいというふうに思っておりますけれども、特にことしは御指摘のように障害者年でもありますので、われわれとしては、まだ実験的あるいは模索の段階ではありますけれども、何とか五十六年度の後半ぐらいのところでいままでの枠を少しでも超えたような形での何かサービスができないかということをいまいろいろ部内で考えている最中でございます。
  215. 山中郁子

    ○山中郁子君 いろいろ考えていらっしゃるのはわかるんですけれども、これは大分前から要望がずいぶん出ているわけで、ことしは絶好のチャンスなんですよね。手話通訳の導入ということはそれはできるんです。もっといいものもできるかもしれない。そうしたら、もっといいものができるようになったらより十分なものにしていけばいいのであって、そういうことからぜひ具体的に積極的にお考えをいただかなければならないと思います。  それで、いまお話もありましたし先ほどお話が出たんですが、文字多重放送ですね、これはそういう意味ではテロップで流すということで、より普遍的な機能を持つということになりましょうし、この点についても先ほど監理局長の方から積極的に対応していきたいとお話がございましたので、その上に立って、最後に、私は文字多重放送の実際の実用化になると、運営形態だとか、それから利用目的など、いろいろ問題がありますし、私どももそれについてはそれぞれのそれなりの意見を持っておりますけれども、この問題に関してだけ先取り的に、国際障害者年というそういう意義ある年にするためにも、それからまた障害者の方の切実な希望にこたえるためにも先取り的にテロップの文字多重放送を考えていくということができないのかどうか。私は技術的にいえばできないことはないと思うんですけれども、その辺も含めて郵政省のお考えとお約束をいただきたいと思います。
  216. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 文字多重放送でございますけれども、これは聾唖者向けの字幕放送ということにいたしますと、いわゆる補完的利用になろうかと思います。そうした観点から、いわゆる実施主体をどうするのかというような複雑な問題もない、それから番組政策上からも特別の問題はないというふうに考えております。  ただ、実際にそうしたことで望まれているということで聾唖者のみの字幕放送を先行いたしたと仮にいたしますと、取り越し苦労というようなところがあるかもしれませんけれども、やはり受信機の普及というところから見ますといかがか。したがいまして、受信機の低廉化というもの、やはり通常量産化が図られませんと、あるいはおもしろい番組だと聞く人、利用する人も多いということからやはり普及をいたしますので、そうした面から問題があるだろう。それから送りの側が、どなたがそうした経費を持つか、経費負担の問題等もあろうか。そういたしますと、仮にそんなに多くないということになりますと事業者の方も熱心にはなれないのかというような、先ほど老婆心と申しましたけれども、そうした問題はあるだろう。しかしながら、いずれにいたしましても、いまそうした放送というものが一日も早く実施されることは望ましいということで、私どもとしては、先ほどNHKの方も申されましたけれども、そうしたことも考えながら前向きに取りかかって検討してまいりたいということでございます。
  217. 青島幸男

    ○青島幸男君 NHKが真に公共放送として国民の皆さんから信頼され親しまれるというふうにしていくためには、基本的にその経営の最高責任を担当する経営委員会のありようにかなり左右されるのではないかということを私がねがね申し上げておりまして、そのためには経営委員会の人選がもっと開かれたものになっていなければならないんじゃないかということを再三申し上げてきているわけでございます。大臣がおかわりになられるたびにそのことを申し上げて、経営委員の方々の人選のありようについてもう少し開かれた御配慮はなされないものだろうかということを常々申し上げております。  一番極端な例で申しますと、NHKの受信料の領収書をもって一票の権利とするということで選挙制度にしてみたらどうだろうかというような提言まで申し上げておりました。しかし、ほかの経営委員会のありようとも比較いたしまして検討しますと、ただいまの郵政省の、常日ごろ適当な方を人選をして、それを推薦をなさって、国会で承認を得て内閣総理大臣が任命をする、こういうあり方が一番民主的であろう、従来そうなっているんだからそれでいいじゃないかという御見解をいつもいただいているわけでしてね。それはそうなんです。それで手続としては間違いなかろうと思いますがね。私、電電公社などの経営委員のあり方とちょっと違うと思うんです。と申しますのは、電電公社というのはある種の設備産業でして、端末機からワイヤーを経過いたしまして、あれは交換機ですか、それを通じまして相互に安全確実にお話し合いができるいう設備を提供して、それの使用料の対価として料金をお支払いいただいているわけですね。ですから、ハードウエアとして提供して、内容は御自由にお使いくださいと。確かにその意味で文化的貢献はしているんですが、放送のように朝から文化的な内容あるいは報道面のものを間断なく流して、大きく文化に寄与して、国民の生活に直接文化的に結びついているというようなケースの場合とおのずと違ってくると思いますね。ですから、ハードウエアを上手に管理運営するということと、実際に国民の方々の日常の精神、哲学にもかかわり合うような文化の面で深く結びついているNHKのありようとはおのずと違うものがあるので、その経営委員の人選のあり方についても多少違ったお考えをお持ちいただいてもこれは納得できるんじゃないかという考え方がもともとありまして、毎回もう少し開かれたお考えをお示しいただくようにはならないものかということを御提案申し上げているわけです。私が常々そういうことを申し上げているせいか、一般の方々にもそういう考え方がかなり普及しているように私拝見しまして、ときどき新聞や雑誌などでもそういう意見を開陳なすっている方のものを拝見します。  いかがなものでしょう。受信料の領収書をもって一票の権利として即座に公選制にしろというような極端なことは申し上げませんが、もう少し開かれた人選のありようが考えられないものだろうかということでお考えをお伺いしたいと思いますが、いかがなものでございましょう。大臣、ひとつお願いします。
  218. 山内一郎

    国務大臣山内一郎君) 青島委員から御提言ございましたけれども、いまの制度については御承知のとおりでございますから申し上げませんけれども、私は、いわゆる一般の方が参画する必要があるのは主として番組の問題じゃなかろうかと思います、それ以外にもあるかもしれませんけれども。そこで、いろいろNHKにおいても御苦労されまして、番組の編集会議、また視聴者の会議等をお開きをなされて、一般の方々のニーズというものを十分お聞きになってやっておられるというふうに私はとっているわけなんです。その点が不十分であれば一層御勉強いただかなければならないと思いますけれども、そういう会議を通じていまの制度の経営委員の方に何か反映するそういう方策をとっていただければいいのじゃないか、こういうことで、いまの経営委員会のあり方というよりも経営委員会の構成、経営委員の選出の問題、こういう点については現在のとおりやってまいりたいといま考えておるところでございます。
  219. 青島幸男

    ○青島幸男君 それでは、もう少し広げて考えまして、省で日ごろ適当だと思われる方をあらかじめ人選なすっておいでになって推薦なさるというかっこうになっていますね。そうすると、改めてNHKの視聴者会議みたいな場所からこういう方がどうだろうかという推薦が省にあったと。しますね。それをお取り上げいただけるものでございましょうか。どんなものでしょうか。
  220. 奥田量三

    政府委員(奥田量三君) 申し上げるまでもなく、NHK経営委員の人選につきましては、政府の責任でこれを選びまして、それについて両議院の御同意をいただくということになっております。したがいまして、人選の責任は言うまでもなく政府が負うべきものだというふうに考えますが、積極的に、ただいまおっしゃいましたような国民の各位から要望とか意見とかいうふうなものが出ましたときにこれを聞くことを拒否するということはなかろうかと存じます。
  221. 青島幸男

    ○青島幸男君 そうしますと、いまの考え方をもう少し広げて敷衍してまいりますと、もう少し視聴者の方の考え方が経営委員会の人選に反映するというめどもチャンスもあるというふうに考えてよろしゅうございますね、やりようによっては。つまりは、ある団体がこういう方々がNHKの経営委員になるのが望ましいんではないかと御推薦申し上げますがいかがなものでございましょうという意見に対しては、これは拒否なさらないというお考えと受け取ってよろしゅうございますね、
  222. 奥田量三

    政府委員(奥田量三君) 繰り返しになりますが、最終的には人選は政府の責任で行うものでございまして、当然のことながらたてまえといたしましていろいろな意見、要望に左右をされるという筋合いのものではなかろうと存じます。しかしながら、いろいろな御意見、御要望が起きましたときにこれに耳をふさがなければならないかということについては、これは必ずしもそうではないのではないか、かように考える次第でございます。
  223. 青島幸男

    ○青島幸男君 そうすると、何かやりようによっては望みがありそうな気もするんです。これをまたNHKの方々に申し上げるのもちょっと筋違いの感じかもしれないと思いますね。NHK自体でこういう方が経営委員になられたらいいんじゃないかということをいまの働いているメンバーの方々から御推薦いただくなんということはそれは全く筋違いのお話だと思いますが、しかしNHKに直接入ってくるそういうニーズというものは感触としてはおありになるんじゃないかというような気がしますがね。その辺のことは御答弁いただけるんじゃないかと思いますが、いかがなものでございましょうね。    〔委員長退席、理事大森昭君着席〕
  224. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 当然NHKは放送をしていろいろと視聴者との対話をしておりますから、そういう中で先生指摘のようなことがないとは申しませんけれども、現時点でNHK会長として経営委員会制度についてどうあるべきだというような発言は差し控えさせていただきたいと思います。
  225. 青島幸男

    ○青島幸男君 当然そういうお言葉が返ってくると思っておりましたけれども、そのとおりだと思います。しかしNHKが本当に国民のために信頼される開かれた公共放送として信頼に足るものになるためにはそうあるべきだというふうに私は考えますし、国民のニーズを一〇〇%反映するようなことができればそれが理想だと思いますし、そういう声も出ておりますし、そうあるべきだと思います。契約拒否者なんという方のかなりの部分は、経営委員会が内閣総理大臣の任命というようなかっこうになっているのが気に入らない、開かれたNHKじゃないじゃないかという御認識の上に立って拒否されている方もかなりの数おいでになると思うんですね。そういう拒否者も御同意がいただけるに違いない。そういうところまで理解が広がるところが真にNHKが国民のものになるためのものだというふうに考えます。ですから、私どもも何らか工夫をいたしまして、郵政省も全く拒否できないような民主的な方法で御推薦申し上げられるような工夫をしたいと思いますが、その際はぜひひとつ御考慮いただきたいと思いますが。
  226. 奥田量三

    政府委員(奥田量三君) お言葉をお返しするようなことになるかもしれませんが、先ほどから申し上げておりますように、経営委員の人選については最終的に政府の責任で選ばなければならないと考えております。    〔理事大森昭君退席、委員長着席〕 そういった意味におきまして、ただいま先生おっしゃいましたような何らかの組織による推薦等といったことを何かのルールあるいはシステムとしてこれを受け入れる、あるいは樹立するということについては、率直に申しましていかがかと存じます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、事実上国民の声というものを聞けということにつきまして耳をふさがなければならないとは考えておりませんということでございます。
  227. 青島幸男

    ○青島幸男君 かなり慎重にお言葉を選んでの御答弁ですが、それはそれで結構でございます。  それともう一つ、これはNHKに要望しておいたはずなんですが、せんだっての審議のときにキーテレビのお話を申し上げました。あらかじめ局で電波を発するときにある種の信号を付して発信しまして、普通の受信機ではこれは映らない、その暗号と申しますか、暗号を付した電波を局から出して暗号解読機を受信機につけないと受信できないというのがキーテレビの基本なんですけれども、こういうかっこうのものをつくって——もともとこの契約のありように問題点がございますのは、歴史的経過から見ましても、ラジオが一番最初に発明されまして鉱石ラジオで聞いているころからいままでのことを考えますと、いつの間にか今日になってしまったということでございまして、その間放送料というものは、これは税金みたいなものなのか、あるいはNHKに対する賛助金みたいなものなのか、あるいは鑑賞料なのかということが非常に明確でないまま五十年も六十年もたってしまったわけですね。  いまだにそのかっこうが根本的に解決がついてないものですから、契約のありようにいたしましても、受信機を設置したら協会放送受信について契約をしなければならない、こういうふうに三十二条でなっているわけですが、これがむしろ憲法にも抵触するのじゃないかみたいなかっこうになって、とりあえず見たくもなくとも電気屋さんで受像機を買ってくれば映ってしまうわけですね。で、映ったら見ているんだからおまえ払え、契約しろと、こういうことになるわけですね。この辺に契約のむしろ基本になるものは何もないという感じが常々私しているわけですね。ですからさっきの、進駐車なんて言うと年を疑われますけれども、米軍基地の関係なんかでも地位協定の何のと言って話がまとまらないのはそのせいだと思いますね。  つまりはNHKの放送自体がすべてキテレービであって、そういうものを付さなければ見られないというふうなかっこうにすれば、当然これは契約の基盤がそこに成り立つわけですから、いやな人は契約しなければいいわけですし、契約をしなければNHKの放送は見られないという契約の基本的な条件がそこで整うわけですから一層すっきりするので、その辺御検討いただいたらどうでしょうかということを申し上げておいたんですが、NHKさんは大変すばらしい研究所もお持ちですし、始めるとなればいま契約なすっている受像機全部にこれを及ぼすわけですから、初めから大変な数ができるということは想像にかたくないと思います。ですから、いきなり千万単位の数をつくるということでオーダーを出せばかなり安いものができるんじゃないかという気がしますし、いまの料金を徴収して歩いている方たちが少し講習を受けられるというような状況がもしできれば、またこれから発売されるテレビには、そういうものが簡単に装着てきる端末をキャビネットの中に装備してあるものをあらかじめつくって売り出すような事態になればわりあい簡単にいくんじゃなかろうかという気がするんですがね。そうなると受信料の問題のいざこざが一切解決するのじゃなかろうかという気がいたしますが、いかがなものでございましょう。
  228. 高橋良

    参考人高橋良君) ただいまの先生のスクランブル方式の技術を導入しました契約のあかしということについては、先生のお話もわからぬではないわけでございますけれども、また技術の進歩で、先生がよく御承知のように簡単に着脱することもできるし、簡単にまた機械をどこからか持ってきましてくっつけることもできるというようなこともございます。これは技術的な問題です。それに現在の受信料制度という考え方と放送法とのかかわりもございますものですから、技術的にはいろんな研究をやっていることは事実でございますけれども、これを公共放送のNHKがこのあかしとして採用するか採用しないかという問題については、十分検討を要するところじゃなかろうかというふうに判断しております。
  229. 青島幸男

    ○青島幸男君 そうですね。いまの法制上からいうといきなりこれに切りかえるというわけにはいかないかもしれませんね。しかし検討の余地はあると思います。むしろ支払いを法律で義務化するというようなかっこう視聴者に迫るということの方がもっと危険が大きいと思いますね。  それで、視聴者の方にNHKのあり方を理解していただくためには、非常にNHKのあり方自体を民主化していって、そういう故意に契約を拒否する方々に深い理解と協力を求めるというやり方で、経営委員のあり方なんかもそうですが、NHK自体のあり方を民主化して開いていくというかっこうか、あるいは法制化して義務化して罰金でも何でも取る、訴訟にもあえて踏み切るぞというようなかっこうで強権をふるって臨むか、あるいは先ほど私申しましたようにキーテレビというシステムにして契約をしない方は見られないというふうにしてしまうか、幾つかこのほかにも道は考えられると思いますが、一番避けなきゃならないのは、私は、法律で義務化して訴訟もあえて辞さないぞというようなかっこうで臨むということはNHKの体質、公共放送としてのあり方としては一番望ましくないやり方だというような気がするんです。選ぶとすれば民主化して開いていって御理解を求めるか、幾ら理解を求めるといっても全く理解なさってくださらない方もいると思います。しかし、それは拒否する権利というものは人間には基本的にありますから、権利の一つとして。幾ら法治国家といってもどろぼうも存在する世の中ですから、どうしても払わない方というのはおいでになるのはこれはいたし方ないことだと思いますが。  それにしても、いまのNHKの収納率というのはいろいろ批判はあるかもしれませんけれどもかなり上手にいっていて、皆さん方の御努力がかなり実っているということで私はかねがね敬服はしているんです。しかしキーテレビというようなことにすればその契約のあり方の基本が明確になるということで、私はるるお話を申し上げているわけですけれども、もしこういうかっこうにさえなれば、それは確かにたくさんつくって安くできる、あるいは簡単に装着して、たとえば受像機に一々ナンバーを付して、コンバーターみたいなものにもNHKのナンバーを付して一々照合して歩けば明確にできるでしょう。やみルートから出てくるようなものを、日本人というのはわりあい器用ですから、たとえばこれをつければNHKも受信料を払わないで見られますなんというのをすぐ御徒町あたりで売ると思うんですね。それが数百円ぐらいで出てくることは目に見えているんですが、しかしそんなものが出たからといっても、基本的なNHKとの契約の基盤になるという考え方を確立する上では私は明確になっていくので、そんなものが出てくることはむしろ誤差の範囲でほうっておいていいことだと思うんですが、そういうキーテレビみたいなかっこうでいくことが一番望ましいと思います。  ですから、きょう、あすというわけにはまいりませんでしょうが、法のたてまえとしてこれをどういうふうに導入していったらいいだろうか、あるいはハードウエアの方でどうしたら現実の問題としていま受信していただいている視聴者の皆さんに御理解を得ながらその機械を装着して、しかもいつになったら暗号入りの電波を流すことができるかというようなぐらいの筋合いの検討は、経営基盤の確立あるいはNHKの民主化につきましてはさまざまな手だてもおありでしょうが、そのさまざまな手だての一つとしてただいま私申し上げているような方法を検討していただくというのも一つの道ではなかろうかと思うので申し上げているんですが、いかがなものでしょう。その点についての御意見をまず承りたいと思いますが。
  230. 高橋良

    参考人高橋良君) ただいまの先生の御意見は承っておきまして、調査してまいりたいと思います。
  231. 青島幸男

    ○青島幸男君 実際にアメリカではキーテレビはかなり普及しておりまして、そんなに機械も高いものじゃなくなっているそうです。ニュースばつかり流しているところがある。娯楽番組ばっかり流しているところがある。新着の映画ばっかり流しているところがある。それも喜んで契約者がそれこそ向こうから申し込んでくるわけですね、ですから、隠れて見ている人がいるんじゃなかろうか、あの人はどうして拒否しているんだろうかということを一々こちらから出かけていって、再三いないのを訪ねていって、るる説明して契約していただいて、しかもその折その折文句言われながら受信料いただいてくるということではなくて、向こうからぜひ契約したい、何年契約でもいいから前払いするというようなかっこうで向こうから言ってくるというような状況に実はあるわけですよ。現実の問題としていまアメリカであるわけでしょう。  ですから、架空の話を私は申し上げているわけではなくて、あすからというのは無理かもしれませんけれども、そういうかっこうで現実のものになるということも夢の話ではないので申し上げているわけです。もしそういうふうになりましたら郵政省としても法のたてまえから、このキーテレビについては、キーテレビ局が民放として発足したり、それから民放がキーテレビを設けて改めて業務を行うとかいうことならまた別途考え方がありますが、このやり方をNHKが採用するということにつきますと法的にもかなり考えたり詰めたりしなけりゃならないところが出てくると思いますね。将来そうなることのためにもいまのうちから検討を進めていただきたいと私は思うんですが、いかがなものでございましょう。
  232. 田中眞三郎

    政府委員田中眞三郎君) 先生のただいまの御提言非常に、私技術屋でもございますし、興味と申しましたら失礼かもしれませんけれども、いまいわゆる国民の理解を得て、テレビ受信できる装置を備えたものから御賛同を得てNHKの基盤が成り立っているわけですけれども、そうした不公正を物理的と申しますか、技術的に防ぐという意味からも、キーテレビというアメリカに一つございますけれども、そうしたアイデアも考えたらどうかということでございますが、いろいろ基本的な問題もございますし、またいつの時点で仮に切りかえるといたしました場合にどんな問題があるだろうかというようなことでお聞きしておりましたわけですけれども、十分検討さしていただきたいというふうに考えております。
  233. 青島幸男

    ○青島幸男君 さまざまな問題が残ると思いますが、こういうかっこうででもやってまいりませんと先々NHKの経営基盤を脅かすような事態になりはしないかということを大変憂慮する一人です。ということは、雨の水から金を取るような感じなんですよね、NHKのいまのあり方というのは、雨の水と水道の水とは違うわけでして、同じ水でも。水道の水は水道管をしいて水道局へ料金を払わないと水道が出てこないわけでしてね。しかも金払わないと水道局はとめてしまいますから、取りっぱぐれはないことになっているわけで。電話にしても近いところなんですけれども。雨の水はざあざあ降ってくるわけですね。ですから、民放のも回せば見えるしNHKのも見える、両方見えるのにNHKの分だけ払え、こういうことになるわけですから、平たく考えてもちょっと無理があるような気がしないでもないんですよね。ですから、後で発足した沖縄なんかの場合は、いままで払わないでずっと見ていたのに、NHK来たからといって金を払わなきゃならないというのは不愉快だというような意味が腹の底にあるのかもしれません。沖縄で非常に効率が悪い、徴収の上で、ということになっていると思いますけれどもね。その辺のところも御配慮いただいたら……。  その経営基盤のもととしては受信料収入しかないんだということを考えますと、だんだん不払いがふえてくる、そういうことの事態のためには早急に検討しなければならない筋合いのものだと思いますが、会長の御感触としてはどうでしょうね、いまの話は。
  234. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) 青島先生に対してはいささか釈迦に説法でございますけれども、ともかく昭和二十五年に放送法が施行されて以来、やはりNHKと民放という二本立てで今日まで来ておりまして、その基本的な体制というのは私としては受信料制度というものを軽々に揺るがせてはいけないという認識に立っております。しかし現実の問題としては、その問題を解決しなければ将来につながる道はないんじゃないかという御指摘もまことにそのとおりだというふうに思いますので、その方法論としてそのスクランブルの問題はやはり検討に値するテーマの一つではあろうかと思いますけれども、やはり相当慎重に対応しなければいけないのではないだろうか。あすの問題ではないというふうに青島先生もおっしゃってくださいましたけれども、そういう点につきましてはやはり慎重に検討すべきであろうというふうに認識しております。
  235. 青島幸男

    ○青島幸男君 確かにNHKのありようはおかしい、だから団体で不払い同盟をつくろうなんという考えをお持ちの方もおいでのようですし、そういう方がどんどんふえてまいりますと、そういうことの対策のために頭を使って放送の内容が劣悪化するというようなことでもあればこれはまた国民の信を失うことでもございますし、いままでせっかく喜んで御契約いただいて、お支払いいただいている方々にも迷惑がかかるということですし、そういう意味合いから考えましても、公平にきちっと、しかも契約の理念というものの基本がしっかりあるというかっこうで相互に十分な理解の上に契約が成り立って、しかもそれがきちっと履行されるというような筋道の立ったありようになることが、たとえばキーテレビ一本じゃないにしても、そういう方針でお考えになることが一番NHKの基盤を確実なものにするゆえんだと思いますので、ほかにもさまざまな手だてがあるかもしれませんので、NHKは優秀な方が大ぜいそろっておいでになるんですから、その辺のところもお考えいただきまして、収納が確実にきちっと行われるようにしていただきたいというふうに御要望申し上げます。この辺のことはぜひ検討をしていただきたい。これは要望しておきます。  話は変わりますが、昨年受信料の値上げの際に、制作費合理化のために一部の番組を下請に制作させるというふうな発言があったように記憶しておりますが、その後、その辺はどうなっておりますか。
  236. 武富明

    参考人(武富明君) お答え申し上げます。  昨年四月二十四日の本委員会で先生から御質問を受けまして私がお答えしたわけでありをすけれども番組制作業務についてもわれわれいま効率化をやっている関係から一層効率的な業務の運び方はないかという点で検討いたしております、こうお答えをいたしたわけでありますが、さらに同時に、しかし民間放送がいま行っておられますようないわゆる制作分離ということは私どもとしてはやる気がございません、こういうふうにお答えをいたしたつもりでございます。したがいまして、現在でも長年積み重ねてまいりました番組のつくり方その他にもうちょっと見直すべき点はないかということは考究しつつも、昨年、非常にわずかでございますけれども、増員要素として要員を考えました際にも大型番組には人間を見ておりますし、また現在でも番組を社外の制作プロダクションに任せる、こういうことは全く考えておりません。  以上でございます。
  237. 青島幸男

    ○青島幸男君 合理化合理化といって経費節減ばかり図っておりますと労働条件も劣悪なものになりますし、それからでき上がるものも粗悪なものになってしまうということでは本末転倒になろうということで、その辺を懸念しまして乱そういうことを申し上げたんですけれども、そういう危険性がないような手だてで節減が図られるというようなふうに御努力いただきたいと思います。  それからNHKの番組を見ておりますと、民放の番組に比しまして制作スタッフのタイトルなどが実に大まかと申しますか、細かく出ていないという番組があるやに思うんですけれども、何か基準があっておやりになっていらっしゃるんでしょうか。その辺はいかがなものでございましょうか。
  238. 田中武志

    参考人田中武志君) お答え申し上げます。  私どもいまスタッフのタイトル表示につきましては二つの側面から考えております。一つ視聴者サイドの方に立った考え方でございます。これは視聴者の方から見ました場合に、タイトルに制作スタッフの氏名がたくさん出てまいりますと大変わずらわしいという意見ども視聴者会議その他でも出てまいりますし、またより多くの視聴者の関心の度合い等も含めてこの辺は私ども配慮してスタッフのタイトル表示をしているわけでございます。  それからもう一つは、制作サイドの内部の立場からいいますと、機械的にどの分野の番組をこういうふうにタイトル表示をするというようなことじゃなくて、機械的に分けるのではなくて、番組のその持っている性格あるいは規模とか、あるいは演出との中で占めるいろいろな役割りとか、そういったことを総合的に勘案いたしまして番組個別にタイトル表示をいまやっているというような、二つの考え方で現行やっているわけでございまして、これをもう少し具体的に申し上げますと、表示する場合のスタッフの範囲につきましては、制作に当たって果たしている役割りとかあるいは放送効果、そういったものを勘案して、中でたとえばテレビの場合でしたら比較的単純なスタジオ番組そういったものにつきましては制作、演出、美術、技術というような表示をしております。また、大変ドラマでいろんな技能が要求されるというようなものにつきましては、こういったいま申し上げたほかに、カメラとか効果、照明、音声とかいうようなものをつけ加えて表示をしているということでございまして、大体特別番組などにつきましてはその番組の、私が先ほど言いましたような制作の実態を十分考慮しながらその都度表示を決定しているというのが実態でございます。
  239. 青島幸男

    ○青島幸男君 よくわかりました。そういう基準で結構だと思います。余りたくさん出るのもわずらわしいと思いますし、また先ほどのお話のように下請に出したりしていらっしやらないというふうですと、そんなに細々と書かなくても責任者の立場が明らかになるというようなかっこうになればいい番組もあると思います。しかし制作に当たっている者によりますと、その創造力の根源とかにかかわってまいりますし、責任の所在を明らかにするという意味もありまして、やっぱりタイトルというのは制作に当たっている人間にはわりあいシビアに受けとめられる筋合いのものだと思いますので、創作意欲をそいだり、あるいは責任の所在があいまいになったりしないような範囲で御配慮いただければそれでいいと私は考える次第でして、そういう基準を設けてそういう方針でやっていらっしゃるなら、それはそのようで結構だと思います。  それからNHKの番組予算の例を見ますと、民放なんかに比べてちょっと安過ぎるんじゃないかなという考え方があるのがあるんですが、民放なんかで発表しております制作費の基準と違った基準を設けておられるように思うんですが、どんなふうな相関関係になっているんでしょうか。
  240. 渡辺伸一

    参考人渡辺伸一君) お答えいたします。  いま先生おっしゃっています番組制作費と申しますのは、私ども説明資料の中に掲載していることをおっしゃっているのかと思いますが、ここに掲載しました金額は国内放送費番組制作費の各番組別に割ったものでございまして、具体的に言いますと、番組をつくりますに必要な出演料でありますとか、委嘱料でありますとか、美術費であるとか、そういう番組制作直接費を示したものでございます。
  241. 青島幸男

    ○青島幸男君 直接費だけを制作費として充てていればそういうかっこうになりますわね。その結果、妙に制作費が安いので粗悪なんじゃないかというような誤解さえ生むような面が出てくると思うんですが、これは人件費とかその他の費用も込みで民放の制作費予算と——これも扱いによってはどうともなるんですが、たとえば制作費がNHKはばかに潤沢じゃないかといっておしかりを受けたりあるいは安過ぎるから粗悪なんだろうという批判する方々にはどっちともとれるような計算基準にあるわけです。ですから、その辺を明確に打ち出すにはどうしたらようございましょうね。たとえばほかの局が人件費込みで、直接制作費でなくて間接費まで含めて制作費として出している表がある、NHKさんの場合は人件費を外している場合がある、これを突き合わせてNHKの方が安過ぎるんじゃないかと言われるのも筋の通らない話ですし、そういう批判をする方は向こう側に責任があるわけでして、それに一々NHKがどうこうしなきゃならないという対処の仕方もないと思いますがね。一貫したそういう計算の基準というものをはっきりと打ち出して、そのことを明確にしておく必要があると思いますね。その点はいかがなものでしょう。
  242. 渡辺伸一

    参考人渡辺伸一君) いま先生のおっしゃいますことは、番組制作費に限らず一般的にNHKの事業計画予算であらわすときの問題としてお話しいたしたいと思いますが、NHKの事業計画予算であらわします場合の整理の仕方でございますけれども、これはただいま定めによりまして、費用形態別と申し上げてよろしいかと思いますけれども国内放送費国際放送費、営業・調査研究費、それで人件費は一まとめに表現をしておるわけでございます。これはただいまの定めによってやっているわけでございますけれども、これでは一つ事業計画遂行するのに人、物、金で一体幾らかかるかという観点からお尋ねになる場合に非常に不便でございますので、参考までに私はこの説明資料の中に人、物、金を総合いたしまして国内放送を組むのに幾らかかるかということを示しているわけでございます。  いまお尋ねの、番組ごとにそういう考え方をとれないかということになるわけでございますけれども、いま番組制作に当たっております要員は、複数の番組要員が同時に担当しているという制作体制でございますので、個々の番組について人的要素を量的にはかるということは大変むずかしゅうございますので、現実に番組の制作者に渡しております番組直接経費をもって便宜上示さしていただいておるわけでございますけれども、人件費を割ることは現実に非常にむずかしいのでその方法をとらしていただいているわけでございます。
  243. 青島幸男

    ○青島幸男君 そうですね。わかりました。  それから先日、NHKさんの「四季」という番組を拝見しましたけれども、大変感動しました。いままでの映像作家がつくったのと違ったつくり方をなすっていらっしゃって、海外でもかなりの評価を受けたように伺っておりますけれども、ほかの民放とか映画製作会社でできない、本当にテレビでしか効果が十分にあらわれないんじゃないかというような大変みずみずしい作品だと思って評価をしておるんですがああいう番組がたくさん出てくることが、それは好みの問題もありますけれども視聴者の方々にかなり支持されるんじゃないかと思います。そういう作品を生むために、ただNHKの中だけでかたまってしまわないで——外部にユニークな制作者がおいでになるんですね。たとえば、それはベテランであろうと若手であろうと、そういう肩書きを問わず大変に意欲的なものを発表していらっしゃるというような方に委嘱をして、NHKの中においでいただいて血の交流を図ると申しますか、中だけでかたまってないで外部のそういう方をお招きして、新しい制作意欲なり情熱なりを中に組み込んでいって、新しいユニークな作品で皆さん方に問うというようなことをお図りいただいたらそれもよろしかろうと思いますが、その辺は御検討をいままでにもなすっておられますでしょうか。それとも、そういう考え方は全くないというお考えでしょうか。いかがなものでございましょう。
  244. 田中武志

    参考人田中武志君) いま先生の方からドラマの「四季」についてお話がございましたけれども、これは私どもの口から言うのもあれですが、手づくりのドラマといいましょうか、長年発酵させながら手づくりでつくった意欲的な作品であったということで、海外の賞も二つもらいましたし、国内の賞も四つも五つももらったということでございます。こういうユニークな作品というものは、やはりいま私が言いましたように制作者個人が発想してそのアイデアがある年月をかけて発酵してでき上がっていくというようなところもございます。  それで、後段の御質問のように、こういった作品にあるいは番組につきまして、外部の映像作家といいましょうか演出者を起用してみたらどうかというお話でございますけれども、私ども番組そのものにつきましては、放送文化の発展という意味合いから、いま申し上げたようなきわめて実験的な、野心的な映像作品というものを制作もしておるわけでございます。試みもしているわけでございます。ただ、外部の演出者を起用するかということにつきましては、すでにテレビの時代になりまして御存じのように四半世紀を経過しまして、NHKの中にも、先ほど言いましたような非常にユニークな作家といいましょうか演出家も育ってきておりまして、内部のスタッフによります制作というものにまたこれからいろんな分野で取り組んでいくという可能性が十分ございます。そういったことで、決して閉鎖的あるいは排他的ということではなくて、内部に抱えております多くの才能をもっともっと私どもとしては花を吹かしていきたいという気持ちを強く持っております。  それからもう一つは、共同作業というような要素がテレビの制作につきましては大変強うございますので、こういったところもあわせまして、われわれといたしましては、今後ともこういった演出につきましては内部の人間を充てていきたいというふうに考えております。ただし個人的な作業の色彩の大変強い脚本だとかあるいは作曲、そういったものにつきましては、現在もやっておりますけれども、今後とも外部の大変才能のある方々にできるだけ門戸を開いていきたいというふうに思っております。
  245. 青島幸男

    ○青島幸男君 そんなかたくななことをおっしゃらないで、十分優秀な方おいでになるのもよく承知しておりますが、たとえばそういう方々とまたその交流の上で新たな意欲がわいたりするということもございましょう。たとえば黒沢明さんを呼んで二時間物を振らせるとかいうようなこともあれば、またそれを楽しみにごらんになる方もあるかもしれませんし、また黒沢明さんといま名前を出しましたけれども、そうでないにしても、そういう優秀な方をお招きしてそこで共同作業をすることから新しい発想も生まれたり、そういうこともあろうかとも思いますので、今後の検討の課題にひとつしていただきたいと思います。  ちょっと時間は余りましたが、定時五時になりますので、私この辺で終わらせていただきますけれども、ただ最後に一つ、先ほどから山中委員なんかも御指摘になりましたけれども、NHKの放送というものは本当に国民の将来の、あるいはわが国の将来の民主的な行く末にも深くかかわり合っておりますので、間違ってもある種の圧力とか権力とかにおもねるあるいは押されるというようなかっこうで編集権が侵される、あるいは放送がゆがむというようなことがないように十分お心がけいただいていると思いますが、少なくともそういう誤解あるいはそういうことが話題になるということすらゆゆしき問題だと思います。ですから、これは本当に心から会長にお願いを申し上げますけれども、いままでるる御決意も承りましたけれども、今後とも毛筋ほどもそういう疑いを視聴者の方から抱かれるというようなことのないように重々御配慮いただくことがNHK百年の礎だと思いますので、最後にその御決意だけ承りまして、終わりたいと思います。
  246. 坂本朝一

    参考人坂本朝一君) いろいろなことでいろいろ先生方に御心配をかけることが多々あってまことに申しわけないと思っておりますけれども、私といたしましては、NHKの基盤はあくまでも国民の支持の上に自主、独立の編集権を守って公共放送の使命を果たすというところに、その一点にあるという認識のもとに今後も努力してまいりたいと思いますので、御支援のほどをお願い申し上げます。
  247. 福間知之

    委員長福間知之君) 本件に対する本日の審査はこの程度にとどめます。  次回は三月三十一日午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時散会      —————・—————