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神谷信之助君 私は、やる気があるかどうかだけではなかなか解決しないと思うんですよ。それであれば、たとえば農林省ですともう三十七年当時からずっと一貫してやっている、さっき報告があったように。こんなにようけ、
全国のほとんどの県で起こるような
事態にはならない。確かにいろいろの要件があります。いまおっしゃったように、交付決定をもっと迅速にするとか、中間検査とか、工事の進行
状況をちゃんと監視をしてやるとかいうようなこととか、業者の施工、管理能力を
——大体このころは県が直接やってない事業が多いですからね、民間に委託しているのが多いですから、そういう管理能力も向上させないかぬとか、いろいろな問題があると思います。だからそういうことも私は必要だろうと思う。
それから、県の方でも
——滋賀県がそうやって出されましたから滋賀県へ行って私も聞いてきましたが、五十四
年度百七十七件、うち工事のおくれが百二件ですね。その理由を聞くと、労務者不足が二十九件、積雪、融雪で三十一件、その他、他の事業との競合や文化財の発掘、河川法など他の法律の関係の手続などのおくれ、これが四十二件というようにあります。
ただ、もう一つ、そこで聞いているうちに問題だと思ったのは、その百二件のうち七十五件は工事が完了しているんですね。ところが、完工検査ができないわけです。それで、検査担当職員は何人やと聞いたら、農水関係で、土地改良が二人、林務が一人で計三人。建設は五人です。それで、検査をする時期というのは大体
年度末のところへ集中するわけでしょう。だから、工事が
年度末、三月末までに完成しても、完工検査に一週間ないし二週間かかりますから間に合わぬという
状況ですね。
それで、滋賀県の場合は、事実、指摘されたやつが四月じゅうにほとんど全部完了して、五月に二件持ち越しているぐらいで終わっています。ただ、会計検査院のこっちの報告を見ますと、翌
年度の
年度末ぐらいまでかかってやっているやつもあるし、全然実施してないのにしたことにして金を取っているのもありますわね。そういうひどいのもありますけれ
ども、全体としてやっぱりそういう
状況で、問題は、そういう
体制が伴っていない、職員の数なり
体制ですね。こういった問題も一つの
原因になっているだろうというように思うんです。
時間がありませんから急ぎますが、したがって、私はこの点で、私も
地方公務員の経験があります、直接こういう仕事をやったことはありませんけれ
ども。また、
大臣は知事の経験が長いからよく御承知だと思いますが、繰り越しをすることについて本省の方が好まない問題が一つはありますね、繰り越しをすると。これは使用不能額になるわけですから、だから結局大蔵省の来
年度予算の折衝をするときに実績が減る、こういうことになりますから、予算獲得の上では大変損な要因になる、不利な要因になる。だから本省
自身もなかなか、何とかせいということで、実際上は目をつぶって
処理をしてしまうという傾向が全くないとは言えない。そういう話は何遍も私も耳にしているし、恐らく
大臣も経験されているんじゃないかと思うんですね。だから、ここのところ、予算を組むのにそういう実績主義でいくのがいいのかどうかという問題が一つあります。
それで、ことし
年度末になって用地買収やらそんなことで難航しておくれて来
年度へ持ち越す、それで繰り越しの手続をするとした場合に、来
年度の新規の補助事業を認めてもらえないという心配も
自治体側には起こる。だから、そういう実際上の
住民の要求にこたえなきゃならぬという
自治体当局の気持ちと、それから本省のそういう口に出して言われているのか言われていないのかしらぬけれ
ども、そういう
態度というもの、この辺、予算編成の
方法とも相まって根本的に検討をしなければ、なかなかこういう問題はなくならぬのではないかというのが一つ表に出ない問題として私は感ずるんですけれ
どもね。この辺、ひとつ知事の経験者の
大臣の率直な
見解を。これは私は大変なことだと思うんですよ。だから、そこのところをやっぱり解決しなければ……。
それで、もう一つあります。補助手続の事務の簡素化あるいは繰り越しの承認を求めるその承認事務の簡素化の問題があります。たとえば、建設省の場合だったら地建で
処理ができるけれ
ども、農水省の場合は農政局へ行って話しをして、それから
地方農政局がオーケーと言ってからその農政局の人と一緒にまた東京まで出てきて本省の了解を得ぬことには繰り越しを認めてもらえないでしょう。だからそういう問題もあります。そういう繰り越しの手続の簡素化ということも
考えなきゃならぬ。
滋賀県の場合でもう一つつけ加えますと、二月の十五日段階で、県としては
年度末までにできるかどうかという判断をして、それで百二件のうち五十五件は一応議会の承認まで取っているわけですね、できないとわかっているやつは。それで繰り越しの手続やっているわけです。しかし、これはできるだろうと、二月中旬段階でできると思うとったのが、結局、いま言ったような完工検査やその他のおくれのために繰り越しになってしまうというような
実態もあるようですね。ですから、そういう点を
考えると、ぼくは、本省のそういう大蔵省との関係、この辺の関係にメスを入れなければ、私はなかなかこの問題解決しないと思うんですが、ひとつ
大臣の
見解をお聞きしたいと思います。