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1981-09-17 第94回国会 参議院 公害及び交通安全対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年九月十七日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  六月五日     辞任         補欠選任      高杉 廸忠君     丸谷 金保君  九月十六日     辞任         補欠選任      沓脱タケ子君     近藤 忠孝君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         坂倉 藤吾君     理 事                 増岡 康治君                 青木 薪次君                 中村 鋭一君     委 員                 石本  茂君                 大石 武一君                 加藤 武徳君                 梶原  清君                 関口 恵造君                 森下  泰君                 戸叶  武君                 本岡 昭次君                 小平 芳平君                 中野 鉄造君                 近藤 忠孝君                 美濃部亮吉君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  鯨岡 兵輔君    事務局側        常任委員会専門        員        今藤 省三君    説明員        警察庁交通局長  久本 禮一君        環境庁企画調整        局長       清水  汪君        環境庁自然保護        局長       正田 泰央君        環境庁水質保全        局長       小野 重和君        文部省初等中等        教育局中学校教        育課長      福田 昭昌君        農林水産省構造        改善局建設部防        災課長      村山  昶君        農林水産省農蚕        園芸局農産課長  芦澤 利彰君        運輸大臣官房観        光部業務課長   石出 宗秀君        運輸省自動車局        整備部長     宇野 則義君        建設省都市局下        水道部公共下水        道課長      中本  至君        建設省道路局長  渡辺 修自君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○公害及び環境保全並びに交通安全対策樹立に  関する調査  (派遣委員報告)  (公害及び環境保全対策に関する件)  (交通安全対策に関する件)     —————————————
  2. 坂倉藤吾

    委員長坂倉藤吾君) ただいまから公害及び交通安全対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十六日、沓脱タケ子君が委員辞任され、その補欠として近藤忠孝君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 坂倉藤吾

    委員長坂倉藤吾君) 公害及び環境保全並びに交通安全対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、先般当委員会が行いました委員派遣につきまして、派遣委員報告を聴取いたします。中村君。
  4. 中村鋭一

    中村鋭一君 委員派遣報告を申し上げます。  去る八月三十一日より九月二日までの三日間、鳥取県及び島根県の公害及び環境保全並びに交通安全対策実情調査のため、坂倉委員長梶原委員関口委員本岡委員中野委員及び私中村の計六名の派遣が行われました。  なお、増岡理事及び沓脱理事も現地参加されて派遣団と同行し実情調査に加わっております。  日程の第一月は、鳥取県庁におきまして、県の自然環境保全公害対策概要交通事故発生状況交通安全行政概況及び境港港湾施設整備計画並びにマツクイムシ被害対策等について県当局より説明を聴取し、その後、東郷池汚染及び環境整備状況等現地視察、次いで大山鏡ケ成国民休暇村を訪れ、国立公園施設整備管理状況調査いたしました。あわせて、大山有料道路国道九号線を交通安全対策等説明を受けながら車中視察をいたしました。  また、「米子野鳥保護の会」の代表中海に渡来するハクチョウ等現状について懇談会を持ち、意見の交換を行いました。  第二日は、前日説明を受けた境港港湾施設、特に境港緑地計画に基づく公園整備地区現地視察をした後、中海干拓事業現況宍道湖中海水質状況及び大山隠岐国立公園島根半島東部地区美保関周辺視察、その後、島根県庁に赴きまして、島根県の公害及び環境行政概況交通安全行政概要について県当局説明を聴取いたしました。  また、ここでも「中海白鳥を守る会」の代表者懇談の機会を持ちました。  第三日目には、宍道湖及び斐伊川の水質状況現地説明を受け、また、大山隠岐国立公園島根半島西部地区日御崎周辺を見学、さらに船に乗りその海中公園視察しました。また、国道九号線の現況についても、その事故発生状況バイパス建築地点説明を受けました。  以下、これらの調査事項のうち、主要な点について若干報告をいたしたいと存じます。  まず、湖沼等水質状況について申し上げます。  山陰地方には工場等が少なく、工場排水による汚濁は目立っておりませんが、生活排水等による汚濁下水道の未整備などもあって進行しています。  東郷池は、鳥取中央部にあり、三朝東郷県立公園中心部を形成しています。同地に対する生活項目環境基準湖沼類型Aでありますが、PH、CODSSの三項目が、いずれもかなり超過する年平均PH八・二から八・三ppm、COD四・九ないし五・九ppm、SS一〇ないし一二ppmとなっており、類型B程度にまで汚れております。もっともこの一、二年は少しずつ改善されており、CODで言えば一・四から〇・八ppm程度よくなっておりますが、環境基準昭和四十六年度設定以降九年経過した現在も達成していない状況基準存在意義が問われるものと言えましょう。県当局は、環境基準達成のため、公共下水道整備促進を柱に、周辺環境整備合成洗剤使用合理化指導等施策を行っていくとのことであります。  島根東部宍道湖は、島根県立宍道湖北山自然公園の中核でありますが、これまた、昭和四十八年に指定された環境基準生活項目について達成されていない状況にあります。CODで見ますと、指定後一時的によくなっている年もありますが、五十一年以降趨勢的には悪くなっている点が注目されます。  島根県は、水質保全のため、湖へ流入する汚濁物質の量を制御するための環境管理計画を策定する方針を打ち出し、宍道湖等水質管理計画検討委員会を設置し、計画検討を始めております。なお、宍道湖流域下水道東部区域)が並行して施行されており、松江市の公共下水道事業の一部完成供用開始が行われ、水質改善に寄与するものと考えられており、引き続き西部区域早期着工が期待されています。  鳥取県と島根県の両県にまたがる中海は、宍道湖と大橋川でつながり、塩水道を介し日本海と接している汽水湖でありますが、中海干拓計画の進行とあわせて、中浦水門により海水の逆流を防ぎ淡水化して水利用を可能にすることが計画されております。現在、水門は完成しておりますが、この秋に実験的な操作を行うという段階であります。  淡水化計画環境にどのような変化をもたらすかは一概には言えないと思いますが、農林省の干拓事務所では、水質面では改善の方向に作用するとの説明があり、水質以外では、水中生物への影響が当然あるわけですが、それが生態系へどのような変化をもたらすかについては、専門家による調査研究が進められているとのことであります。いずれにしても、干拓による湖水面の縮少の景観への影響を含め、なお一層の検討が必要かと思われます。  なお、現時点で中海水質を見ますと、測定地点によるばらつきが著しいという特徴があり、たとえばCODでは〇・五ppmから二九・〇ppmとおよそ六十倍の開きがあります。特に汚濁しておりますのは米子湾付近であり、沈でんしているヘドロからの燐の溶解により富栄養化が急速に進むおそれが指摘されております。  以上、三つの湖沼についての水質状況を述べましたが、いずれも生活排水等中心汚染されており、環境基準設定後五年以上経過しているにもかかわらず達成されないでおります。両県とも下水道整備中心とする生活排水対策を進めておりますが、各県の責任者から湖沼水質保全のための特別立法が必要ではないかという意見が出されており、湖沼の危機が単に二、三の湖にとどまらず広く広がっていること、それにこたえる立法が求められていることが十分理解できたところであります。  さらに、中海わが国におけるコハクチョウ南限渡来地として有名になっております。これは中海干拓の途中においてその地域が波静かな浅瀬を形成いたしますからハクチョウに好まれるものと思われますが、干拓地が干陸化いたしますとバクチョウ生息地としての条件が失われるのではないかと心配されております。「米子野鳥保護の会」が、ハクチョウその他水鳥の宝庫となり得るとし、干拓地のうち彦名地区の三十ヘクタールを積極的に自然公園として整備するように、また「中海白鳥を守る会」も、白鳥海岸と呼ばれる地域保護干拓地域を設け、ハクチョウが渡来できる環境整備するように、それぞれ陳情されました。いずれの地が適切であるか、干拓地用途変更がよいか別途つくるのがよいかは断定できることではありませんが、ハクチョウが渡来する自然環境は、人間生活にとっても潤いをもたらす重要な価値があるのであり、ぜひその場を確保する方途を講ずべきであると感じた次第であります。  次に、国立公園整備利用状況について申し上げます。  大山隠岐国立公園は、中国山脈の最高峰である伯耆大山中心とする鳥取県、岡山県にまたがる山岳地帯と、島根県の隠岐島、美保関日御碕出雲大社を含む島根半島及び三瓶山を合わせた面積およそ三万二千ヘクタールを有する海陸の変化に富んだ公園であります。  この公園は、昭和十一年に大山地区指定が行われ発足し、昭和三十八年に現行のように地域拡大及び名称の変更が行われております。  大山地区では、大山を東から南、西へと三分の二周し、その間前述いたしましたように鏡ヶ成国民休暇村の諸施設視察いたしましたが、同施設は、中心となる宿泊施設のほか、休憩場キャンプ場スキー場施設があり、年間の入り込み者数二百五十万人と言われる大山の観光の中で健全なレクリエーション施設提供役割りを十分果たしていると拝見いたしました。  大山地区も御多分に漏れず空きかん等が散乱した時期がありますが、十年前から美化清掃事業が推進され、また、昭和五十二年に、民間団体の主唱で、国、県、町等行政機関を含む関係十九団体で「大山ごみから守る県民運動連絡協議会」が結成され、年二回全山一斉クリーン作戦の実施を初め、ごみ持ち帰りの呼びかけ、くずかごの点検等を行い、徒歩行動の範囲ではほぼごみを一掃するという成果を上げているようであります。成果原因としては、民間の創意を生かしたこと、県民大山への深い理解等が挙げられておりますが、今後の課題として、自動車からのかんのぽい捨て対策空きかんメーカーとの連携、他県の自然公園美化全国連動への拡大が言われております。  隠岐地区及び三瓶山地区視察はできませんでしたが、美保地区及び日御碕地区は駆け足でありますが視察をいたしました。  両地区ともすぐれた景観で人を魅了するのですが、特に日御碕地区は、島根半島の第三紀生成褶曲地帯でありまして、溶岩などの火成岩とその風や波による浸食で複雑な海岸線及び海中基盤をつくっており、海中公園地区として昭和四十七年に指定を受けているのももっともだと感じました。  海中公園利用グラスボートによるほかはないとのことでありますが、その利用数年間およそ一万五千人とのことであります。  海中公園施設としては、このグラスボート発着場整備等が行われております。また公園管理は、地元漁業協同組合がこの区域海中生物保護のために漁業権を自主規制しており、その漁協による定期的なパトロールが行われております。  ただ、非常に残念なのは付近の松に松枯れ病の被害が広がっている点であります。効果的な対策がなく、松の除去もできないため、景観を害するだけでなく蔓延を防げない面もあり、適切な対策が強く望まれます。  次に、交通安全について申し上げます。  国道九号線は、山陰地方を縦貫する基幹道路であり、その安全確保鳥取島根両県の交通安全行政の大きな柱となっております。  その事故発生状況を見ますと、鳥取県においては、昭和四十六年の一千百四十九件をピークに漸減いたしまして、昭和五十四年には四百二十九件と三七・三%にまで減ったのでありますが、昨年は五百五件と増勢に転じ憂慮されております。死者数も、昭和四十八年の四十三名のピークから五十四年には七名と六分の一に減じておりましたのが、昨年は十四名と一躍倍増しております。  その事故の内容を聞きますと、鳥取市、米子市の市街部で四九%強の発生があること、車両相互事故が八〇%以上となっていること、その中でも追突事故半数近くを占めているといった特徴があります。  それに対する対策として、本年度から第三次鳥取交通安全計画を作成し、それに基づく各種の施策が全体として推進される中で、九号線については、特に歩道設置率を一〇〇%とすること、交通事故多発地点の総点検を行い、その検討結果に基づいて交通安全施設整備を図ること、さらに大型貨物自動車事故防止対策協議会及び鳥取ダンプカー協会指導を強める等を重点とするとのことであります。島根県においては、昭和四十六年の事故数一千二百八十六件をピークに、昨年はその四六%の六百件と減じ、死者数も四十七年のピーク数五十四名から二十二名へと減じてはおりますが、最近減少傾向にかげりか生じているとのことであります。  事故原因では、わき見運転、速度の出し過ぎが多く、交差点、カーブ地点事故半数近く、また時間的には早朝及び薄暮が多いとのことであります。  今後の安全対策は、第三次の島根交通安全計画に基づきまして、現在の九号線の歩道設置率を飛躍的に高めることを中心に、五十六年度七億四千四百万円の道路管理者分安全施設整備計画しておりますほか、松江バイパス、現道拡幅など二十二カ所の抜本的な道路整備を進めております。  両県の道路事情は、県民皆免許となっている現状にふさわしいまでには整備されておらず、安全施設もまた同じである印象を受けたのでありますが、幸い、両県ともその整備のため力を入れると同時に、県民への交通安全教育の普及、安全運動の推進を図っておられる様子が拝見できたところであります。  以上のほか、大気汚染その他の公害現状、県の自然環境保全状況境湾緑地整備マツクイムシ対策大山有料道路交通事情等についても調査してまいりましたが省略させていただきます。  なお、島根県等より当委員会に対し、湖沼水質保全対策強化等について要望書が、また、自然保護団体その他からも要望書資料をいただいております。こうした要望事項説明資料につきましては、別途にその要旨をまとめてありますので、会議録末尾に掲載をしていただきたく、委員長のお取り計らいをお願いいたします。  以上、報告を終わります。
  5. 坂倉藤吾

    委員長坂倉藤吾君) ただいま中村鋭一君から発言がありました要望書等の取り扱いについてお諮りをいたします。  島根県知事等から提出をされております要望書及び自然保護団体から寄せられた意見要旨等は、本日の会議録末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 坂倉藤吾

    委員長坂倉藤吾君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  7. 坂倉藤吾

    委員長坂倉藤吾君) 引き続いて、本調査について質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  8. 戸叶武

    ○戸叶武君 鯨岡長官環境庁長官に就任されてから後は、前に大石武一さんが環境庁長官として思い切った実践を行いましたが、それ以後において、言葉だけでなく体で受けとめてこの公害対策環境整備問題等に取り組んでいる態度というものは、アセスメント法案が三回も流されて財界に弱い日本政府という一つ印象を与えている際に、環境整備の問題がグローバルな時代において明日への大きな政治課題であるということの認識の上に立っての行動として、私は称賛に値する面があると思うのであります。実行でいろいろ空きかん問題なり何なりとも取り組んでおりますが、長官が張り切れば環境庁に集まった優秀な人材も、このときやはり環境整備の問題を前進させなければならぬという決意で火の玉となって進んでいくことは必至だと思いますが、鯨岡長官は現在何をし、将来に対する展望はどうか。  少なくともこの次の国連の軍縮総会においては核兵器の根絶を目指しての軍縮の問題が大きな課題となると同時に、パリ・サミットにおいてはヨーロッパ先進国中心課題として取り上げるのはこの環境整備の問題と思いますが、鯨岡長官はこれに対してどのような御見解を持っておいででしょうか。
  9. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) 大先輩から大変御激励とおほめをいただいてまことに恐縮いたします。私は、就任以来一年を過ぎましたが、先生方の御激励と御鞭撻、それからわが役所の職員の精励並びに国民的な御関心とそれに基づく御激励によって今日まで環境問題について努力してまいりましたが、一九七〇年代は、先生方にも御心配いただきましたように、公害というのは、ある加害者があり、ある被害者があって大きな問題になりまして、そのことについてはいまでも引き続いてその患者に対する対策並びに患者の認定、そういうことに努力をいたしておるわけであります。  一九八〇年代に入りますと、まず大気、水、土壌、こういう方面汚染がだんだんと激しくなってまいりますので、先生方にお決めいただいた基準というようなもので、われわれはその基準を守ろうということで引き続いていま努力しているわけでありますが、先ほど御視察の御報告にもありましたように、いまだその基準が守られていないというような、守られていないというよりは守れないでいるというような状態が各所にありますので、このことについて引き続いて努力いたしているわけであります。  さらに進んで、国民要望は快適な環境のもとに生活をしたいと、当然のことでありますので、快適な環境すなわちアメニティーというようなことで、われわれは多くのこの方面に関係する人たちの御協力を得て快適な環境づくりということに、努力いたしております。  さらに進んで、もう御承知のことでございますから経過は省きますが、地球的な規模での環境、このままの状態でいけば二十一世紀というのは決してバラ色のものではないばかりか、とんでもない環境破壊になって人類の生存が危ぶまれるというようなことになるのではないかというような心配が学者から起こって、今日では非常に世界的に心配されているのであります。わが環境庁も去年の九月からこの問題について専門的に研究をいたしまして、十二月に一応のこれからの取りまとめの方針というようなものを御答申をいただいて、それを持って私はOECDやUNEPの方に行って、このことの警鐘を乱打してまいりました。  そういうことから、わが国の方で主として唱えまして、過般のカナダにおけるサミットにおいても共同宣言の中に一項、これからも長期的な経済の政策を進めていく上においては資源とか環境の問題に十分配慮しないととんでもないことになるという意味の一項が入れられたことは御承知のと、おりであります。  また、申し残しましたが、都市公害といいますか、これもいま御視察の御報告にありましたが、交通公害並びに生活から出てくる公害、たとえば空きかん問題とか都市騒音の問題とか、そういうような問題についても多くのこれを心配する国民並びに地方自治体の方々とも協力してこれが対策に熱意を傾けているわけであります。  戸叶先生の御質問の最重点はこれから先どうか、こういうことでございますが、私は環境問題、人間が生きていくためには環境がよくなければなりませんが、このことについては心配をしないわけにはまいりません。  第一審の心配戦争であります。戦争になればもう環境などめちゃくちゃになってしまいますから、特に核兵器を使う戦争なんていうものが起こるということになれば、これは問題にも何もなりませんから、絶対どんなことがあってもそういうことにならないように、これは外交方面に携わる方に特に御努力いただいて、そういうふうにわが国努力していかなければならないと思います。  戦争がなくても、それでも環境はだんだんとこのままやっていけば汚染されてまいりますから、そうなってくるとこれまた大変でございますから、そういうことにならないように、まず一人一人の人間がこの生活でやっていったのでは危ないんだなということがわかってもらえるように、一人一人がわかってくれなければしようがないですから、日本人だけと言わずに、全地球に住む人間一人一人が自分の生活がこれでいいのかと、特に先進国国民がそれをわかってもらえるようなことにならなければいけない、こう考えて、微力でございますが、全庁挙げて努力をいたしておるわけであります。  しかしながら力がまことに足りませんので、どうぞ今後とも御激励をいただきたいとお願い申し上げる次第でございます。
  10. 戸叶武

    ○戸叶武君 鯨岡さんがやはり体を張って、いまの内閣の中において公害問題の責任ある地位にあって、いま人類を破滅に導く危険な核兵器を最終的には使わない、戦争を食いとめること、もう一つは未来に対して公害による害毒を未然にいま防いでいくことが大切であるという点、この二点に要約しております。  私は、昨年の二月、ストラスブルクにおいて開かれたEC議会日本の国会の代表との懇談会ディスカッションの会に行きまして、その運営がみごとであって、フリーなディスカッションを行い、各国における多元的な一つのソサエティーなりコミュニティーの共同社会、文化的に経済的につくられているそのすべての要請を取り上げて問題を煮詰めていく態度に非常に打たれたのであります。そういう意味において、私はいままでのプロシャ的な官僚、軍閥の明治憲法的な政治行政単位よりも、もっと住民生活と直接結びついたところの多元的な国家観の上に立って、そうして住民の平和と生活を願う要請政府が受け占めなければ、その政府は必ず私は内から崩壊していくと思うのであります。  文明史観と哲学を持たない民族は必ず滅びるのであります。あの奴隷支配の上に築き上げた、市民の繁栄のみを事にしたギリシャの崩壊でも、あるいは外征によってから得た名声が悪い意味において祖国の政治体制を崩してしまったカイザリズムによるところのローマの末路を見ても、カルタゴの末路もそうですが、音を立てて崩壊していった実例、及び西洋的なルネッサンスが、あるいは法王の名によって、メディチ家におけるところの財宝の力によって、あるいはカイザリズムの野心ある帝国主義によってヨーロッパ社会に暗黒の時代をつくったことがあるのであります。  私たちいまアジアにおいて、あなたはこの一月に中国に行ってまいったはずですが、日本中国が本当に近代化の道を着実に大地に根をおろして歩むにしても、ヨーロッパ社会を混濁に陥れた、宗教の名による、神の名による、あるいはツアーの名による、あるいはカイザーの名によるインチキな奴隷支配国家体制というものがどれだけ中世期の暗黒をつくり上げたかわからないのでありまして、日本中国はいままで幾多の過ちを犯したが、この反省の上に立って、新しいルネッサンス、コペルニクス的な発想の転換、真理以外にわれわれの世界を救うものはないという信念を貫いてやらなければならないときと思いますが、そういう意味において、来年のサミットには、アジアを代表する唯一の先進国日本は、日本中国とが完全に自己批判と反省の上に立って新しい世界新秩序をつくり上げようと努力しているのだという実績をヨーロッパ社会に示さないと、私は日本自身がアジアの先進国としての役割りを果たし得ないと思うのであります。  そういう意味において大臣は、このごろは日本ではちょろちょろ内閣改造なんていう変な策謀が行われておりますが、大臣にだれがなるにしても、環境庁の衆知を集めて実績をつくって、日本はこうやってアジアにおける公害の巣とも言われて、東南アジア諸国を背景としながらもこれだけのことはやり抜いていくのだ、金を持ったから金を方々へばらまくのだというのではなくて、われわれはそうした意味における未来の先取りをする方向づけがいま日本に課せられた最大の任務だと思います。乃公出ずんばという気持ちで二十一世紀へ向かってのブリッジの役割りをするつもりで、環境庁においても長官自身においても、この一年間において実績をつくり上げて、ヨーロッパ社会日本の二十一世紀へ向かっての情熱、献身、世界に対する一つの御奉公はこのようなじみな問題から出発するのだということを示してもらいたい。  いまのようなゴキブリ政治家が横行して、軍事費をやるならばうまいリベートも取れるなんていう考え方でうろちょろする向きもありますが、ついでにこういうゴキブリ政治家も消すのには、やたらに首をひねるわけにはいきませんから、もっと真剣に——中国に私はこの四月と九月に行ってびっくりしました。マージャン賭博やあるいは赤坂にとぐろを巻いたり、そういう徒輩、ばくちや麻薬にうつつを抜かして、ついでに賄賂をも自由というような、アメリカのメジャーと軍需産業に毒され、ソ連の第五列の役割りをするような者はほとんど国民の中に存在しなくなったのであります。  日本中国とが一体となってアジアの新しいルネッサンスを、コペルニクス的転換によって新しい機運をつくろうとするときに、どこかにだれかこれを実践する以外に、真理は常に具体的に示す以外にないと思うのですが、私は大臣なんかなかなか適任者だと思うので、ひとつそういう意味において、あなたの個人のヒロイズムというのでなくて、いま各省から集められた精鋭とともに、この一年間で具体的な実績を示して国民的な支持を得、世界からも感謝されるような方向づけをやる役割りをしないと、一体日本人はどこを見てどこに向かって走っているのか、どっちが前でどちらが後ろなのかわからない海坊主のような存在であるというふうにされてしまっては大変だと思いますが、公害はゴキブリと海坊主を退治することから始めなければならないと思いますが、長官いかがなものでしょうか。
  11. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) 戸叶先生は私も学んだ早稲田大学の大先輩でありまして、その戸叶先生から広範な文明論に立脚してのお話でございますので、どうお答え申し上げてよいか窮しますが、私は環境庁を預かっているだけでもってきゅうきゅうといたしておりまして、なかなかその方面にまで手は伸びませんが、せっかくの先輩のお尋ねでございますので、政治家としての私の考え方を申し上げてみたいと思います。  私は先月、諸先生もごらんになったと思いますが、テレビで「マリコ」というのを見まして、あの中で日本の外交官と、その奥さんはアメリカ人で、それで戦が終わったときに、あの外交官が私の国が負けて君の国が勝った、こう言ったら、あの奥さんが、なぜそういうことを言うか、私の国もあなたの国もないということを言いましたが、それがあのドラマの中で最も私を感動させたところです。  考えてみれば、日本とかアメリカとかソ連とか中国とかと言っている暇に地球はどんどん破滅に追い込まれていくというような感じがしてならないわけであります。ですが、やはり国際政治ですから、順を追うてそれぞれ外交を展開していかなければならないと思いますが、その際にわが国は、アジアの繁栄の中にしか日本の繁栄はない、それからアジアの平和の中にしか日本の平和はないという考えに徹して、そしてアジアの国々ととことん話し合って、そうしてそれを踏まえて、もし先進国として七カ国ぐらいのサミットに出場できるとするならばやっていかなければいけない、こう思いますし、歴代内閣はその方針でやってきているものと私は思います。  その際に、ただいま先生のお話のように十億の国民を統治している中国というものは見逃すわけにいきません。それから日本中国との古い歴史的な関係からも、一衣帯水の関係からも中国とはそれこそとことん話し合って、そうしてサミットなんぞに臨んで、前段申し上げましたようなことで世界の考え方をリードしていくというような気概を持ってやっていくべきである、こう考えているわけであります。  お答えになりませんが、以上考え方の一端だけを申し述べてお答えとさせていただきます。
  12. 戸叶武

    ○戸叶武君 ぐっと下の方へ下がって現実の当面の問題で御質問しますが、ずっと関西では瀬戸内なりあるいは三重県なり愛知県なりいろいろな公害の頻発する土地で、琵琶湖でもそうでありますが、問題に各公害委員会人たちは取り組んでずいぶん具体的に前進を見ておりますが、一番人口がふくらんでいる東京都を中心として埼玉、神奈川、それから千葉、茨城、私の方の観光地の栃木県でもそうでありますが、公害問題はわりあいにやっているのでしょうけれども目に立たない面があるのですけれども、科学博が筑波に開かれるというような問題になってから、霞ケ浦の湖も長野県における諏訪湖のように死海になる危険性があるという警告も環境庁及び各当事者の県等からも出ておりますが、これは霞ケ浦だけじゃなくて、やはり千葉県の手賀沼でも印旛沼でもそうでありますが、どういうふうに具体的には対処しているか、これは大臣じゃなくても専門の方でよろしいですけれども、御答弁を願います。
  13. 小野重和

    説明員(小野重和君) 水質問題全般もさることながら、特に湖沼の問題にお触れでございますので申し上げたいと思いますが、関東地方といいますか、東京周辺の湖沼状況を見てみますと、たとえば霞ケ浦、印旛沼、手賀沼、こういう流域の都市化が著しい湖沼が一方でございますし、それから先生の地元であります中禅寺湖、湯ノ湖あるいは尾瀬沼のような観光地の湖沼、大別すると二つに分かれるかと思います。  前者の都市化の著しい湖沼につきましてはその水質汚濁状況が大変現在でも著しいわけでございますし、また年々悪化しているわけでございます。先般大臣が国立公害研究所に指示されまして、二〇〇〇年の湖沼といいますか、いまの対策のままであればどうなるであろうかということにつきまして、霞ケ浦と琵琶湖についてでございますが、霞ヶ浦の場合でございますとあと二十年たちますといまの手賀沼並みになるのじゃないかというような推測があるわけです。手賀沼は、御案内かと思いますが、この間も下流の上水につきまして大変くさい水道が出たというようなことになっておりますけれども、そういうような見通しも一つあるわけでございます。  それから、観光地内の中禅寺湖、湯ノ湖等でございますが、これは霞ヶ浦等ほどではございませんが、汚濁状況につきましては必ずしも環境基準を全面的に満足していない、すれすれ、年によって違うというようなことでございますが、傾向とするとこれもいまの対策を放置すれば非常に憂慮される、こういう状況だと思います。  そこで、いずれの湖沼につきましても汚濁原因は三つございまして、生活排水、それから産業排水、あるいは農畜産業排水、三つあるわけでございますが、こういうそれぞれの汚濁原因に即して総合的施策を講ずる必要があるというふうに考えるわけでございます。そういう意味におきまして、現在湖沼法案といいますか、湖沼水質保全のための法制化の検討をいま鋭意私ども行っている、こういう状況でございます。
  14. 戸叶武

    ○戸叶武君 もう時間もなくなったので、二、三列挙だけして答弁は後でもよろしゅうございますが、やはりいま環境庁で東京付近湖沼並びに河川の汚染に対して対処を急がなければならないのは、一週二日間の休みになると、やはり費用は余りかけないで家族連れで自然に親しむには家族連れの釣りなんかが一番安上がりということになっておりますが、東京の市長をやった永田青嵐が新劇役者の名前を拝借してぼろな洋服を着て釣りにいつも出かけたり、あるいは手賀沼で私のありし日の先輩である楚人冠があの湖沼の夕暮れを愛して、そうして船に乗って私を激励してくれたことなどもありますけれども、家族連れで自然と親しむ金のかからないで健康な方法は、やはりハゼ釣りかフナ釣りなんということが一番取っつきやすい問題だと思いますが、そういう問題に対しても、環境庁では家族連れで民家に宿泊できるような施設もすでに援助もしているということでありますけれども、また別な機会にそれはします。  レクリエーションの問題は、よく働きよき生活を家族連れで楽しむということがなされないと。年じゅう労働組合の幹部でも官僚のおえら方でも、かけゴルフ、かけマージャン、みんなばくちです、賄賂のもとです。ああいう不健康なことをやっていては中国から置き去りを食っちゃうのです。中国の復旦大学の日本近代経済史の権威者である呉杰君とは私は四十年前の若いときから彼に期待をかけてきたのですが、今度会って真っ白になっているのを見て、本当に戦争というものがどんなまじめな碩学でもこんなに痛めつけてしまうのかと思うと涙が流れてしようがありませんでした。そういう意味において、日本はまだ戦争に敗れたということに性こりもない面がありますけれども、どうぞこの公害対策人間の心の中に巣食っているところの公害までついでに掃除してもらう方がよろしいので、それには各個人の生活の趣味とあるいは家族におけるところの団らんということが素朴な形においてなされることが望ましいのです。  この機会に、関東はゼロ地帯が多くて、そうして干がたて、昔はカモがすんだり野鳥もすんだりしたところであります。鯨という名字も珍しい名字ですが、いまの鯨でなくて、鯨は陸地を意味するので、陸地の低地よりも少し高いところにあるから鯨岡なんで、栃木県においても一番古いところは徳次郎、日光における久次良という地名がいまでも残っているようです。どうぞそういう意味において、火山灰に埋められた重粘土地帯で伏流水が少ないところでありますから、ため池なり釣り堀なりいろいろなものをつくって、そうして自然と人間がなごんで、そうしていくところに人間と自然との融和ができるのだと思いますから、長官だけでなくみんなして細かいところにまで気を配って、説教ではなかなか言うことは聞かない、よけいなことを言いやがってなんということになるが、中国の太湖の湖畔における観光と釣りその他における施設を見て私は本当にびっくりしました、健康的です。  どうそそういう意味において、これは時間がありませんから答弁は後でまたお願いする機会を持ちたいと思いますけれども、民衆の生活に密着した公害対策の具体的な積極的な一つの記録をつくっていかれんことを切にお願いして、私の質問はこれで終わりたいと思います。
  15. 本岡昭次

    本岡昭次君 去る九月九日に湖沼環境保全知事懇談会という会議が開かれたということが新聞に報道されています。それに関連しながら湖沼環境保全問題について幾つか質問をさせていただきます。  長官のこの会議における基調報告をいただいて、いま繰り返し読ませていただきました。長官のおっしゃっていることは、清浄な淡水は人間の生存にとって一日も欠くことのできない大切なものであるというふうに定義されて、わけても湖沼は地表水の貯金箱である、将来の世代に託された貴重な国民的資源である、こう論を進められて、その貯金箱がいまや腐りかけている、将来に持ち越せないぎりぎりの段階にある、だからこのときに当たって国と地方自治体が力を合わせて総合的、計画的な諸施策を推進しようではないか、このような論旨で基調報告されております。まことにもりともなことであり、先ほどの戸叶先輩のお話じゃございませんが、大変力強くまた頼もしく私も感じたような次第でございます。先ほど先日鳥取島根両県に参って中海宍道湖視察したときの湖沼の問題についても報告があり、つぶさに実地を見て勉強をしてきただけに私もその感が深いわけなんです。  そこで、長官にお伺いするのですが、この九月九日という日に特別に意味があったと思いませんが、なぜこの時期にこうした会議——湖沼サミットというふうに新聞では呼んでいるようですが、この会議を開催されたのか、なぜこの時期にこうした会議懇談会を招集されたのかということについてひとつお考えをお聞かせ願いたい。
  16. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) 九月九日でなければならぬということはなかったのですが、この時期にというところには別に私としては意味はないのです。ただ、私は任期中今日までの間に琵琶湖へ二回行きました。それから霞ケ浦へも二回行きました。それから琵琶湖は御承知のとおり京阪神千三百万人の飲み水のため場所ですから、それが今日の状況のようなことで推移したら大変だ、こう思いまして、滋賀県は言うまでもありませんが、京都、大阪、兵庫の知事さん、それから関係の市長さんなどにお集まりをいただいて、京都の国際会議場で住民も交えてどうしたらいいだろうという会議を開きました。これを新聞では琵琶湖サミットとが言いましたけれども、霞ヶ浦でも二度目には知事さんとそれから地元住民と一緒に舟の上で対談をいたしたり、またおかへ上がってからも対策についていろいろ協議をいたしました。  そういう中で考えましたことは、これは琵琶湖と霞ケ浦は日本代表する湖ではあるが、これだけではだめだ、主要な湖を持っている二十二の県の知事さんにお集まりをいただいて、先ほどうちの本局長が話しましたように、あるいは汚れる原因だけを言えば、生活によって汚れるというのもあれば観光の状態で汚れるというのもありますから、そしてまた利用もいろいろ違いますから、それぞれ御苦労の質が違うだろう、一遍皆さんに集まっていただいて聞いてみようということを琵琶湖や霞ケ浦でやりながら考えたわけでおりまして、そうしたら国会が始まる前ということですから九月になった、こういうだけのことでございます。
  17. 本岡昭次

    本岡昭次君 そこで、二十二部府県にしぼって懇談会を開かれたのですが、いまも主な湖沼を持っているというふうにおっしゃいました。しかし、その前段の説明の中に、たとえば琵琶湖であればこれは近畿千三百万人の水がめだ、兵庫、京都との関連を抜きにしてこれは語れないということもおっしゃった。また、最近はダムというふうなもの、これは水道用であれあるいは農業の灌漑用であれ、ダムもいわば湖沼、水源地の汚染なんかがいろいろ問題になるわけで、そうしてくると、二十二部府県にしぼらずに、私の考えとしては、ダムなんていうのはいまもうすべての県にあるわけで、やはり四十七都道府県の知事を招集して、そしてこれだけの問題の警鐘を鳴らし、将来の取り組みについて意見交換を積極的に行うべきではなかったか。何か二十二県というのは湖沼を持っている、しかもそれは大きなというようなことですが、もっと広範囲にダム等も含めながら招集すべきでなかったか、こう考えるのですがいかがですか。
  18. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) 主要なものはダムも含めて実は二十二なんです。天然の湖や沼だけではないんです。しかしながら、それは全体ですわな、本当を言えば。将来は全体というふうに持っていかなければならぬでしょうが、とりあえずダムも含めて主要な湖を持っているところということを洗い出しまして二十二としたわけでございまして、もちろんそれ以外に関係がないというわけではありません。おっしゃられるとおり、琵琶湖でやりましたときにはあの水を利用するところまで考えたのですから、おっしゃられることはよくわかります。そのように今後も考えていきたいと思います。
  19. 本岡昭次

    本岡昭次君 ぜひこれは大きな湖とかいうふうなことに、限定せずに、四十七都道府県、すべての都道府県を集めてというふうにこれからはお願いしたいと思うのです。  それで、日程を見せていただいたのです。ところが、午後一時三十分開会、午後三時三十分閉会ということで、わずか二時間。湖沼サミットというからには二日、三日と言わずともせめて一日ぐらい開かれたのかと思ったのですが、わずか二時間の論議で果たして長官が基調報告をされた問題がどれほど深められたかということになると、非常に時間的に残念でたまらないのですが、長官として、この二時間の会議の中で長官がお考えになっていた懇談会でのねらい、そうしたものがどの程度まで満たされたか。いかがでございますか。
  20. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) おっしゃられるとおり、事の重大性から見て、二時間半でしたけれども、私は終始当然のことながらそこにいて皆さんのお話を承ったのです。従来この種の会合で、二十二の知事さんにお集まりをいただきたいと、そして私は自分で手紙を書いて、できるだけ代理でなしに御自身来ていただきたいということを書いてお手紙をいたしました。たとえば広島県の知事のごときは、出るという御返事をいただいたのですが、後日やむを得ざる事情で来られなくなったということをわざわざ自分で手紙を書いてよこしましたが、二十二のうち十二知事さんがおいでになって、副知事さんがかわられたのが五つでございまして、この種の会合では直接責任者が出席された率は非常に多かったと思うのです。  それだけにもっと時間をかければもちろんいいには違いないのですが、何せ知事さんたち皆さんそれぞれお忙しい。わざわざ東京へ出てきたときですから、ほかの用事も兼ねてというようなこともありまして、なかなか時間のとれなかったことは残念と言えば残念なんです。けれども、それだけに事前にいろいろ協議を重ねておきましたし、ですから知事さん方が言われるというようなことはおおむね項目などについては事前にお話がありましたしいたしますので、われわれもその知事さんのお考えに対してお答えをすべきものは用意をするようなこともできたというようなこともあります。  そういうふうに事前に相当準備をしたということと、それからあの知事さんの会議の結果、担当の部長さん方をメンバーとした会議ができましてね、即座に。その日のうちに引き続いて会議をやりまして、そして滋賀県の部長さんが会長さんになって、これから連絡を密にしてやっていこうと、それで霞ケ浦のある茨城県が副会長になったと私は承知しているのです。そういう会合をつくってこれからやっていこうというようなことになりましたので、その時間はなるほど二時間半で、事柄の次第からいって少し短い時間に過ぎないかという御指摘はわかます。けれども、それだけに努力をして中身の濃いものにできるだけしたというように御理解をいただきたい、こう思います。
  21. 本岡昭次

    本岡昭次君 そこで、環境庁としてその懇談会を開いたことによって新しく得た情報、これから湖沼環境保全をしていく上について新しく得た情報というふうなものがあったのかなかったのか。どのようなことをその会議を通して環境庁として新しい知識、情報として得たのかというようなことがあればひとつお聞きしたい。全部でなくてもいいですから、時間がありませんから主なものをひとつお知らせ願えればありがたいと思います。
  22. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) 四項目か五項目に分けてお答えをすればいいと思いますが、それは本局長の方から答えさせることにいたしまして、私は先生、あの会議一つの大きなねらいは、国民にわかってもらう、それでマスコミの方々にも御協力をいただいた結果になりますが、国民にこれはなるほど大変だなというふうに思ってもらうことが大事だ、こう思いまして、実はそれが一つの大きなねらいです。しかしながらそれだけではありません。その結果、まとまってはいませんけれども、こういうようなことを今後考えていきたいということは幾つかございますので、本局長から答えさせます。
  23. 小野重和

    説明員(小野重和君) 総括的に申し上げましていま大臣が申し上げたとおりでございますけれども、もう一つ、これは知事さんに後で個別に若干お伺いしたのですが、それぞれの県の知事さんがそれぞれに湖を持っておられまして、みんな問題があるわけでございますが、また非常にむずかしい問題でございますけれども、それなりにいろいろ各県の知事さん、各県が努力されているということがお互いによくわかったということを非常に評価されておりましたけれども、それはそれといたしまして、いろいろな御意見が出ましたけれども、それをまとめてみますと次のようなことになるのではないかと思います。  まず、湖沼によっていろいろ特性が違います。用途も違いますし、汚濁原因も違います。そこで、そういうそれぞれの湖沼の特性に応じました計画を立てまして、計画的にしかも総合的な対策、その中には特に窒素・燐対策、これを含めた対策を強力に講ずる必要がある。その場合に財政問題、下水の整備が最たるものでございますが、財政問題も十分国で考えてもらわなければ困るというのがまず第一点でございます。  それから第二点は、やはり国、県だけではいけませんので、市町村それから住民等々関係者が湖沼ごとに一体となった協力態勢、これがどうしても必要であるというのが第二点でございます。  それから第三点は、二点とも絡むのでございますが、やはり住民の協力が必要であるということで、そのために、湖沼環境保全についての教育啓蒙活動、これを一層強化する必要があるということでございます。  それから第四番目は、湖沼についていままでもいろいろ湖沼水質問題あるいは環境問題について調査研究いたしておりますが、まだまだ不十分ではないか。湖沼環境保全のための技術開発、あるいは調査研究の推進を一層進める必要があるということでございます。  それから五番目は、これは湖沼によって違いますけれども、上下流の関係、これが県がまたがる場合がございます。琵琶湖もその最たる例でございますが、あるいは相模湖、これは山梨と神奈川と関係がございます。東京の小河内ダムも山梨に関係があるというようなことでございまして、この問題はそういう各関係の知事さんからお話出ましたけれども、そういう湖沼につきましては、上下流相互の理解と協力のもとに、いわば水共同体というような、そういう意識の高揚に努めるべきであるというような御意見がございました。  以上五つ、新しいいろいろな情報といいますか、そういうものばかりでは必ずしもないかもしれませんけれども、一種の確認といいますか、そういう意味で貴重な御意見を伺ったというふうに考えております。
  24. 本岡昭次

    本岡昭次君 ところで、九月八日の新聞、ある一部の新聞でしたが、琵琶湖、霞ケ浦が二十年後、西暦二〇〇〇年の姿はこのようになっているというふうな非常にショッキングな報道がなされております。その中には、水飲めず、魚住めず、死の寸前と。それは環境庁が推計したらそういうことになったということで、実は私も湖沼問題についてそれほど知識なりあるいはまた現状というものを知ってなかったのですが、正直この新聞を読みまして、これは大変なことだというふうに本当に心の中で思ったし、新聞にもその後湖沼を見殺しにするなというふうな社説が出るという、これは環境庁長官のねらい、国民にわかってもらうということではまことにわかり過ぎるほどわかったような中身であるわけなんです。  そこで、環境庁推計というふうに新聞に出ておるのですが、残念ながら私たちは新聞の報道からしかこういう資料を得られないということで、この推計というふうなものが幾つか書いてあるのですが、二十年後琵琶湖なり霞ケ浦が死の寸前になるということについての現在恐らく研究もされており、やはりある種の経過から新聞が報道するような一定の推論というふうなものを立てられる状況環境庁はなっておるのではないかと思うのですが、その点ひとつこの場で公式に、このままずっといまのままの対策でいったらこうなるのですというようなことを、ひとつ長官の方から私たち委員に対して警告していただけませんか。
  25. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) お答えいたします。  私が湖沼の問題でいろいろびっくりしたりしたことはありますが、そのうちの一つは、初めて琵琶湖へ行きましたときに漁師にいろいろな話を聞きました。そうしたらその漁師はこういうことを言いました。いまから二十五年から三十年ぐらい前は、出てくるときに家内にお弁当をつくってもらって、お握りを舟の上で食べて、それで水筒を持ってこないでもよかった、舟べりから手ですくって水が飲めた。それがいまでは南湖においては飲めるどころか水泳も禁止です。それから北湖の方は南湖よりきれいですからこれは水泳場もまだありますが、そういう状態で、それから京阪神千三百万の水は南湖からずっと取るようになっておることは御承知のとおりです。それから先ほど申しましたように霞ヶ浦などへ行って、これもわれわれ子供の時分には遠足で行きましてあそこで海水浴をしたのですが、いま海水浴するところはどこにもないのです、泳ぎは禁止ですから。  そういうようなことで、細かく計算していけばいろいろあるでしょう。それはいま計算しております。いま計算しておりますが、その計算が成り立つ前に、やはり大変だというようなことを国民にわかりやすくわかってもらうのにはどうしたらいいかというので、私の責任においてあれは発表をいたしたのです。  わかりやすく言えば、いま霞ケ浦は非常に汚れて、茨城の知事さんなどが非常に一生懸命になって、土浦の市民もこれに協力してやっているのですが、いまから十九年たつと西暦二〇〇〇年になりますが、そのときはいまの手賀沼と同じようになる。手賀沼については先ほど本局長からお話を申し上げましたように、せんだって非常に臭い水が出た。手賀沼は、私事を申し上げて恐縮ですが、私が住んでいるところから一番近い。それでしばしば散歩になんかも出かけていたところですが、あそこはウナギなどは非常に優秀なウナギができまして、あそこの天然のウナギは貴重なものだったんですが、いまはあそこのお魚は食べられないのです。水道の水もなかなか臭いというような状態でございます。それで、あの近辺の人たちは一生懸命になってこれの対策に当たっているのですが、そういう状態です。十九年たって西暦二〇〇〇年のときにはその手賀沼と同じような状態に霞ケ浦がなる。それから、琵琶湖を南湖と北湖に分けて、南湖の方はいまの霞ケ浦と同じようなものになる。北湖の方はいまの南湖と同じような状態になる。  それは条件があるのです。いま考えているような対策でやっていけばという条件なんです。ですから、それに加えて何かをやればそれはもちろんいいでしょうが、ですから私の結論は、それに加えて何かやらなければだめなんです、黙っていて、きょうと同じようにあしたがあるんだと考えたらだめなんですということを一般にわかっていただこうというようなつもりで、多少冒険で踏み切ったところがないわけではありません。それは先生方にお許しをいただくとして、国民の皆さんにわかっていただきたい一心で、多少雑駁でございましたが発表いたしました。しかし全然根拠がないわけではもちろんありません。その根拠は、結局答えは同じようになると思いますが、いま詰めているさなかでございます。
  26. 本岡昭次

    本岡昭次君 そうすると、推計というのは、推測というのですか、長官が警鐘を乱打するために、ある程度科学的な根拠というのですか、数字上の論証を経たものでなく、こういうことになるという形であなたの責任で出された、後ほどこれを裏づける研究成果は出るはずだ、こういうことなんですね。
  27. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) 数字に基づかないわけではありません。数字に基づかなければやはり言えませんから、数字には基づいているのですが、一番冒頭に申し上げましたように、琵琶湖の状態が、いまから二十年か二十五年前には飲めたというのが今日の状態になったということをずっと伸ばしていってもそういうことになります。全然数字に基づかない話をしたわけではないのです。ただ、数字を非常に詳細に詰めたか否かということになれば必ずしも詳細ではない、こういうことでございます。
  28. 本岡昭次

    本岡昭次君 新聞に出ている「西暦二〇〇〇年の霞ケ浦はCODが一六−一七ppm、琵琶湖は三ppm以上に達する、との結果が出た。」というふうなことで、結局こういう状況になったら、水飲めず、魚住めず、死の寸前になる、こういうことで、この新聞の中にある一定の基準の数値が出ているのですが、これは大体推計ではこうなるであろうということですね。
  29. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) そのとおりでございます。
  30. 本岡昭次

    本岡昭次君 そこで、長官の方はなかなか結論をおっしゃらないわけで、いまのような対策でやっていったらそうなる、だから何か新しい対策をそれに加味していかなければならない、こういうことになるわけです。新しいこと、新しい対策とは何かということになります。  それはもうはっきりしているので、ことし一月二十七日、中央公害対策審議会から鯨岡長官に対して「湖沼環境保全のための制度のあり方について」という答申が出されているわけです。いまこの場でやりとりしていることは言ってみればこの答申の中身の問題であろうと思います。この答申は湖沼環境保全特別措置のための法律をつくれ、こういうことで、私も何遍もこれを読ませていただいたのですが、まさに何か新しい対策というのはそのことずばりであろうと思うのです。しかし、九十四国会では、何かそれが途中で水質保全法ですか、そのような形で薄められ、非常に内容を縮小されたような形で出そうとしたけれども、それすらも結局流産してしまった。私たちの立場からすれば、そんな薄めたりあるいはまた非常に権限を縮小したり、範囲を矮矮小化したようなものでは本当のいわゆる環境保全はできないのだという立場に立ちますから、そうした水質保全だけの法律であってはならぬ、こういう立場に立ちます。  だから、この臨時国会で何か新しい対策、新しいものを加味しなければならないという問題として、湖沼環境保全特別措置法とでも言うのですか、この答申に基づいたものをずばり環境庁として出して、文字どおり湖沼を見殺しにするなという問題について積極的に対応していこうとされているのかどうか、そこのところはいかがですか。
  31. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) いまの御質問に答える前に、私は先ほどのこのままでいけば西暦二〇〇〇年のときには湖沼は大変なことになる、何もしないでいれば。それじゃ何をすればいいんだと言えば、いろいろしなければならぬことはありますが、原因を分けてみますとやはり何といっても一番多いのは生活雑排水です。ですから、具体的には下水を完備するということが一番大事なことだということが言えるのです。そこで、私は閣議でも特に発言を求めて、このまま二十一世紀まで待てば湖沼は取り返しのつかないことになります、そして取り返しのつかないことになってからの対策では大変なお金がかかります、またお金かけてできるというものでもない、お金かけてもできないということになるかもしれません、そのためには下水を早急に完備しなきゃならぬ、特にいま財政的にむずかしい時期でありますから大変ですが、ほかを少しやめていただいても下水を促進するということをしなければならないと思うと、こういうことを申し上げたのです。  それで、これから先のことは申し上げたわけではありませんが、私は、およそ物をやるにはいずれも国民が利便になるように、喜ぶようにと思ってやるのですが、おくらせれば喜ぶことが遅くなる、利便が遅くなるということはあっても取り返しのつかないということにはならないものもあります。それから物によってはやらないと取り返しのつかないことになるというおそれのあるものもあります。この湖沼と下水の関係はまさにその後者の方に類すると思いまして、国民の皆様にも御理解いただき、その代表である先生方にもぜひ御理解をいただいて御激励を賜りたい、こう思っているわけであります。  さて、来るべき臨時国会でこの前出すことができなかった湖沼の総合法についてどう考えるかということでございますが、私どもは鋭意この法案を取りまとめて先生方の御審議をいただきたい、こう思っているわけでございます。ただ、これはもう先生方の方が十分御承知のとおり、今度の国会には大きな目的があります。そこで、国会の先生方の方の審議のやり方等によってはどういうことになるのかなと、むしろ私どもの方で心配をしておる、こういうことでございまして、そういうことを考えに入れなければ、私どもはどうしても法案をまとめて先生方に御提出申し上げて御審議をいただきたい、こう考えているわけでございます。
  32. 本岡昭次

    本岡昭次君 臨時国会の目的、これは行革国会と言われているわけですが、結局のところ財政問題が中心で、増税なき予算を編成するためにどのようにして現在の支出を抑えるか、削減するかということにかかっているわけで、この湖沼環境保全というものを進めていくということは、先ほども出たように、新しい対策をしようと思えば相当財政ががかるわけで、これは国が相当大がかりにこれに対応していかなければならないことなんです。しかし、いま鯨岡長官もおっしゃったように、いま放置しておけばこれは大変なことになる。いまぎりぎりのところだとあなたおっしゃっているんですね、いまぎりぎりの段階なんだと。いま財政的な問題が優先をしてもう少し待てと、三年も五年もたって少しお金ができたらということでは取り返しがつかぬとあなたは基調報告でおっしゃっている。一たん汚れてしまったらなかなかお金を投じてももとの美しい水にならぬと、こうおっしゃっているわけです。  ですから、臨時国会のそうした目的からすればなおさらのこと、この湖沼問題については中央公害対策審議会の答申も一月の二十七日に出ていることですから、まさにいまぎりぎり、ここで臨時国会から通常国会にかけて環境庁としてまず第一番に取り上げていかなければならない問題ではないか。国民の理解というのも、環境庁のそうした積極的な取り組みの意欲があって初めて財政問題と環境を守るという問題の兼ね合いについての十分な理解を示すのではないか、こう考えるのですが、やはりここではっきりと環境庁としてはこの問題だけはずらすことはできぬ、臨時国会にまとめて湖沼環境保全特別措置法という、仮称ですが、こうした形で一〇〇%答申の内容を盛り込んで出すという決意をまず示していただかなければ、先ほどからずっといろいろ論議してきたことは何かこう論議をもてあそんだということになってしまうのじゃないかと思うのですが、いま一度もう少しはっきりとしたお考えを示していただけたらと思います。
  33. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) 御激励むしろ心からお礼を申し上げるわけであります。  建設大臣の方にも私どもの方からいま先生が言われたようなことで話をしてございますし、引き続いてそのつもりでおります。そのためにも臨時国会に、未提出になっておりますこの法案を御提出願うべく努力をいたしておるわけであります。  どうも御激励まことにありがとうございます。
  34. 本岡昭次

    本岡昭次君 いま努力という言葉で終わりましたけれども、ひとつ万難を排して提出をしていただきたい。私もこの委員会の中でまさに長官の基調報告に立ってこのことを求めていきたいと思います。  そこで、先ほども会議の中でいろいろ確認されたことを五点ばかりお話しになりました。その中に、三番目ですか、住民の協力というものが二番との関連で非常に重要だというお話が出ましたが、そこで教育という場合に、学校教育、社会教育、家庭教育というふうな内容があるのであって、文部省だけにこのことを任して済むものじゃないわけです。きょうは文部省も来ていただいておると思うのですが、そこで環境庁として、この国民的な湖沼浄化運動の推進、私はこれがなければだめだと思うのです。これを抜きにして成功しないと思います。  そういう意味で、どういう啓蒙活動をこれから新しくいままでの啓蒙活動の上につけ加えていこうとされているか、いま何かありましたらひとつお伺いしたいと思います。
  35. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) 啓蒙活動の前に国民に事態を正しく認識してもらうということが大事だ、こう考えまして、先生方の御激励並びにマスコミ関係の御協力などもいただいて、折に触れてこの問題を提唱してまいりました。その結果、たとえば条例などで洗剤に燐を含まないようにというようなことをつくる前に、もう婦人団体などが洗剤から燐の入っているものをやめようというような運動が各所に起こっていることは先生方も御承知のとおり、国民がその事態に対して深刻に正しく認識をした結果だ、こういうふうに思っているわけでございます。  一方文部省の方でも子供のうちからこの問題については教えていこうということで、いろいろお骨折りをいただいていることを私は承知いたしております。  また、私どもの方の外郭団体環境協会があります。そこではいろいろな形でこの環境問題についての広範な啓蒙運動を実施しているわけでございます。
  36. 本岡昭次

    本岡昭次君 まあひとつ際立った形で啓蒙運動をやっていただきたいということを要望しておきます。  そこで、文部省がおられたらお聞きするのですが、先ほど長官も、文部省にも子供のうちからこうしたことについてひとつしっかり状況を認識して湖沼浄化そのほか環境保全ということについて積極的に考えていく、先ほどの戸叶委員のお話じゃありませんが、自然と人間が共存していくという条件をどうつくっていくかということ、これは一人一人の問題ですから、そういうことについて文部省も子供のうちからやってくれているだろうと、こうおっしゃっているのですが、私もそういう立場に立って小中学校の教科書の公害環境に関するところを全部引き出してみたのです。私の持っておる本の中から全部抜き出してみたのです。  そこで、公害の問題は相当よく書けています。環境も抽象的には書けている。ただ湖沼問題というのはほとんどない、湖沼に関して。ただ一つだけあったのが琵琶湖問題について、大阪書籍ですか、そこが小学校六年生で、琵琶湖の水が非常に臭くなった、これは琵琶湖の水が汚れているからだ、これは大変ですというようなことが書いてあるだけで、後は湖沼というものの持っておる特異性——私は長官の基調報告をこのまま教科書に載せたらいいと思うのです、ようわかりますよ、子供にも。全然ないんですよ、この本の中に。  結局のところ、公害とか環境とかという中で湖沼問題というのは取り残されているという事実。だから、そこに着目して公害対策審議会が打ち出し、今度は湖沼問題を前面に環境庁が出されようとすることは、現在の国民の認識の上から言えば非常に時を得た内容だと思う。  そこで、文部省にちょっと要望するのですが、環境庁も一緒に力を入れてもらわなければいけませんが、教科書にないとすればどうするのかということですね。学校は、これも論議されることですが、教科書をそのまま教えたら事は足れりということじゃありません。教科書で子供を教えるので、一つの教材ですから、ないとすればそれを補強すればいいわけです。補強する方法は、補助教材として湖沼問題のパン人レットをつくればいい。そして並行して環境保全のところでそれを使えばいい。しかし、日本全体の湖沼問題を取り上げても小中学校の子供ですからそれはだめなので、それぞれ各都道府県内にある湖沼の問題に関係して、そうしたものを副読本として教育委員会あるいは地方自治体、現場の教職員と協力し合って環境庁湖沼問題に関する副読本というものをつくらなければ、環境庁長官、子供のころからとおっしゃったって全然これに出てない。学校の教員もそこまでなかなか、よく書けているだけにそこが抜けてしまいますね。どうですか、やはり副教材をつくってというふうな具体的なものがなければ子供の認識なんて育ちませんよ。
  37. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) まことにごもっともなお話でございまして、先ほど言葉が足りませんでしたが、たとえば霞ケ浦につきましては、茨城県が小学校用、中学校用、高校用、それぞれ副読本を——かなりりっぱなものです、今度一遍見本を先生のところにお持ちさせます。それから滋賀県でも、やっぱり同じようなことをやっております。ただ、それはその県の教育委員会か何かがつくったものでございまして、その県だけでございましょう。湖沼を大事にするというようなことで全体として普及されているかどうか、それは文部省の方からお話しをいただくとして、それぞれの県知事は、自分のところの湖は、霞ケ浦は茨城県の財産である、われわれの湖であるというようなことを小学校用、中学校用、高校用、かなりりっぱなものをつくっている、滋賀県もやっておる、このことを申し上げておきます。  それから、私どもの方の環境協会は、それらについて、これはどの程度まで行き届きますか、だれかやってもらうとして、これも環境協会の方ではやっているのです。
  38. 福田昭昌

    説明員(福田昭昌君) 環境に関する教育につきましては、いま先生御指摘になりましたように、事柄の重要性ということにかんがみまして、公害の防止、環境保全に関する重要性というものを小学校から高等学校まで通じまして、社会科、それから理科、保健体育の保健分野、そういうそれぞれの立場からの教科におきまして発達段階に応じて教育をするようにいたしております。  これらの教育の目的は、次代の国民、次代の国を担う子供たちに基本的な基礎的なそういう考え方、環境教育についての重要性というものを身につけさせるというのが教育の目的でございます。したがいまして、学習指導要領でもいろいろ書いてございますが、具体的に海だとか川だとか湖だとか、そういう言葉は必ずしも出てきませんが、たとえば理科でございますと、そういう自然の生態系との関連での人間生活とのかかわり合い、それにおきます水の重要性というものを教えるとか、これは一つの例でございますが、そういったような教育の仕方をいたしますし、また教科書の場合は全国共通の教材ということで特定の場所が必ずしも出てこない、ある教科書では環境のよくない湖の地図なども入っているのも二、三ございますけれども。  したがいまして、具体的な教材、いわば補助的な教材ということになりますと、それぞれの地域によりましてその実態に応じて教材をつくっていく、補助教材をつくっていくということがあるわけでございまして、先ほど環境庁長官からも御紹介がございましたが、二、三の例を申し上げますと、たとえば千葉県でございますと「水のはなし」とか、あるいは「てがぬまをうつくしく」といったような教材をつくっている。あるいは茨城県でございますと「私たちの霞ケ浦」というものをつくって子供たちにわからせる。あるいは滋賀県の場合は「あおい琵琶湖」だとか「琵琶湖と自然」とかいったような教材もつくっております。そういうことで、それぞれ場所柄、川の方が非常に悪いところもございますし、また山が非常に悪いというようなところもございます。それぞれ地域の実態に応じて教育委員会あるいは場合によっては学校でもつくることによって教科書を補充して指導していくというようなふうに考えております。
  39. 本岡昭次

    本岡昭次君 琵琶湖あるいはまた霞ケ浦、手賀沼等を抱えている各県が当然またそういうことをされるべきだと思います。しておられてよかったと思いますが、文部省としても、いろいろな交流の機会に、あるいはまた指導、助言の立場から、この湖沼の問題について積極的にそうした副教材を環境庁とともに協力してつくっていって、ひとつ国民的な規模で湖沼を守ろうという立場を積極的に貫いてほしいということを要望しておきます。  時間もちょっと大分過ぎておりますので、もう少しこの問題でやりとりしたいのですが、また改めて文教委員会等でさせていただくことにして、次に進みます。  そこで、先ほど島根鳥取視察報告がずっとありましたので、直接そのことにかかわって幾つか質問をすることにいたします。  一番あの視察の中で私の印象として頭の中に焼きづいているのは、島根半島の枕木山の上から中海を一望したときでございます。中に大根島があって非常に美しい景観、そこに立った委員は皆、その美しいということとあわせて、そこに干拓が行われているということを非常に違和感を持って私は見たのじゃないかと思います。干拓事業が進められている、そしていま湖水になっているところが今度は陸地になって、そこが農業用地になるということなんですから、何年かして再びあの枕木山の上に立って下を見たときには、これはもう大変な変貌、地域の変貌があろう。地域の変貌ということは自然破壊が行われる。その自然破壊の功罪はいろいろあるにしても、自然が変わったことには間違いない、破壊されたことには間違いないのです。そういうことを見てきた。  そこで、その中海干拓事業というのは一九六八年から始まったというふうに聞いておりますが、公害防止基本法ができて、一遍改正されて、現在あるのは一九七〇年、環境庁ができたのは一九七一年でございますから、それ以前にあの中海干拓計画されて進行をしているわけです。そういう事実経過になるわけです。  そこで、中海自然環境を保全する、中海湖沼一つですから、その立場と、干拓がなお現在も行われている、また将来にわたって進んでいく、現在五〇%か六〇%しかできていないとかいうふうなことだったようなんですが、私はどうも納得がいかない。干拓干拓なりの意義もあるし目的もある。しかし、その自然破壊ということはまぎれもない事実なんですが、私は干拓は直ちにやめるべきだというふうに個人的には思いますが、しかしそれはずっと一つの政策として鳥取島根県とともに進められていることであり、やめろといってやめられるものではないと考えますが、環境庁として、環境庁ができる前から始まっているこうした干拓の問題について、湖沼自然環境を保全するということの関係から、それにどのようにかかわっていけるのか。それはもう環境庁ができる前から始まっておるのだからどうにも手がつけられないのだ、こう言うのか。そこらはどうなんですか、環境庁にお伺いしたい。
  40. 小野重和

    説明員(小野重和君) 干拓の問題は、湖沼のみならず海域についてもあるわけでございますが、二つの問題があろうかと思います。環境の面から言いますと、水質に対する影響、さらにはもう一つ自然環境に対する影響があるかと思いますが、私は水質関係を担当しておるわけでございますが、これは現在の仕組みでは干拓をする場合には具体的に環境庁に協議するということになっておるわけでございますが、そういう場合には当然水質に対する影響あるいは自然に対する影響を十分考えて、総合的に考えてどうかという判断をするわけでございます。  これはもう個々具体的なケース・バイ・ケースの問題ということで一概に言えないかと思いますが、たとえば瀬戸内海の場合でございますと厳に抑制すべきであるという一つの基本的な方針がございますが、具体的な問題になりますとケース・バイ・ケースの問題になるかと思いますが、いま具体的な中海の御質問でございますが、そういうもうすでに前から決まっていることで、着工されていることでございますし、いまさら、いまさらといいますか。それについて具体的にどうだこうだということは申し上げるわけにはいかないわけでございますが、一般的に申し上げますれば、水質問題と自然環境両方との観点から具体的なケース・バイ・ケースの問題として考えるということしか申し上げられないのじゃないかと思います。
  41. 本岡昭次

    本岡昭次君 ちょっと、何もわかりゃしません、それじゃ。前から進んでおるものはもう環境庁はお手上げなんですか。それとも、ずっと進んでいることについて、水質の問題といまあなたのおっしゃった自然環境の問題について、環境庁として、干拓が現在行われていることと、中海水質問題とそれから自然環境を保全するという問題の関連をどのようにきっちり押さえておられるのかということなんですよ。それは仕方がないということでしたね、いまの話であれば。もう前から進んでおるんだからどうなるかそれはようわからぬというふうな、ちょっとそれじゃいかぬと違うんですか。  私たちそこへ視察に行ってきたのですよ。農水省の視察に行っておるんだったらよろしいよ。私は公害・交通安全、いわゆる環境庁の所轄の方で行ってきたのですからね。当然その上から見れば自然環境の破壊、保全をどうするのだという問題について、それは環境庁として、いや中海干拓とその水質、そうした問題のかね合いはこう考えているのだというはっきりしたものがなければぐあいが悪いじゃないですか。
  42. 正田泰央

    説明員(正田泰央君) ただいま先生のお話しの点は、私どももそういった問題意識は持っておりましたが、水質保全の問題以外の自然環境、自然保護という面だけ限って申し上げますと、原則的には国立公園とか国定公園とか、私どもが法律上所管している地域につきましては、既着手行為と申しまして、制度ができる前の、あるいは物を指定したり、そういう場合の行為はすでに継続して行うことができることになっておりますが、私どもの公園でない地域においては当然なことながら何でもできるわけでございますが、自然環境保全地域として、環境庁ができる前に単なる地域としていろいろな工事が行われている地域がございますが、これについては現在のところ法律的な規制の方法は行えぬわけでございます。  しかしながら、環境庁ができました以後、そういった地域におきまして自然環境、特に中海につきましては、一般的な自然環境、風景というよりは鳥の問題とか、そういった問題について幾つかの問題が出ておりますので、そういったことについて対策を考えていくと、こういう問題を思っておるわけでございます。
  43. 本岡昭次

    本岡昭次君 同じ質問していてもわからなくなってしまうので、そこで基本的に公害対策審議会の答申にははっきりと書いてありますね。「湖面の埋立・干拓湖沼環境影響を及ぼすので、必要止むを得ざる場合に限って認められるべきである」、はっきりこう言い切っていますね。だから、そういう立場に立つときに、私らこの間見てきた中海干拓というものが、一九六八年時点に農地を拡大するというそれだけの意義はあったにしても、いまの時点においてなおさらそれをずっと推進していかなければならない、一方には減反あり、米ができ過ぎたといって青田刈りしてせっかく実ろうとしている米を放棄するというふうなことまでもしておきながら、さらに干拓をしていくというふうなことは、まことに政府の政策として整合性を欠くものである、一方では水田破壊をやっている、こういうことになると思うのです。  もっとはっきりと、どうなんですか、干拓問題、なおさら莫大な費用をかけてそれを推進して、そしてその環境といって何もコハクチョウが来るとか来ぬとかいう問題じゃないでしょう。そういうことですか、長官湖沼自然環境を保全するということはそんな鳥が来るとか来ぬとかということじゃないでしょう。昔のままの自然として持っておる湖面なり周辺の状況を言うのでしょう。その流域の状況全体を守っていこうというのでしょう。だから、埋め立てや干拓あるいは山を削ったりすることについてのいわゆる規制をやろうとするわけなんだが、これはどうなんですか。
  44. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) 私は自然の環境というものをこれ以上壊していくということには原則的に同意できない。これ以上山を削り海や湖を埋めていくというような必要があればわれわれの後世の者がよく考えてやればいいので、われわれの代に何もかも全部やらなければならぬということではない。できるだけわれわれはこれに手をつけることなく、自然を破壊することなくそれを子孫に譲っていきたい、これが私の基本の考えであります。  ただ、両局長からの話がありましたところで御了解をいただきたいと思いますが、環境庁には環境庁の分野が当然ございます。それは国立公園であるとか国定公園であるとかということになれば、言うまでもなくわれわれがこれに対して許可を与えるというようなことをしなければ何もできませんし、それ以外のところはわれわれが余り口を出すということでない仕組みになっていることはもう御承知のとおりであります。しかしながら、こういう仕組みになっておりましても、やはり同じ世帯の中ですから、われわれの意見を申し上げて、できるだけわれわれの基本の方針に沿うようにやっていくことがわれわれの子孫に対する務めである、こう考えておりますので、やっていきたいと思います。  いま御指摘の場所は、環境庁ができるより前にそういう計画ができて、いまだに農水省の方はそれをする必要があるということでやっているわけでありますから、いま自然保護局長が言いましたように、われわれがいろいろ気にしているような問題、たとえばその一つハクチョウの問題などがありますが、それにどういう影響があるかなどというようなことで気をつけてそれを見ているということでございます。見ているだけではありません。それはしばしばその県の県知事さんなどにわれわれの意見を申し上げて、そしてそれに沿うように御協力をいただくというようにやっているわけであります。  最後にもう一遍基本の方針を申し上げます。これ以上海を埋め、湖を埋め、山を削るというようなことはもうしたくないというのが私の基本の考えであります。
  45. 本岡昭次

    本岡昭次君 だから問題は、いま湖沼問題を中心にしてやっているのですが、干拓というふうなものが行われる、あるいはまた埋め立てが行われる、その湖沼の流域にある山が削られたり、あるいは木が伐採されたりして、自然そのものが破壊され姿を変えていくというふうな状況をさせてはならないといまおっしゃっている。そのことは何かによる規制をしなければならないわけで、現在の環境庁の力量から言えば、いまのお話からすると、まあ国立公園等はやれてもそのほかのところについては規制が直接的には及ばないということなんですね。だからこそ中央公害対策審議会も答申しているように、湖沼環境保全特別措置法というふうなものが制定されて、そして環境庁の所轄する対象区域というものが、単にそこの水質を調べてどうのこうのということだけじゃなくて、湖岸の状態も含めて全体として環境保全をする力を持ちなさいというのが私はこの答申の言わんとしているところじゃないかと思うのです。  だから、逆に言えば、今度はそれに直接かかわってくる農水省とか通産省とかあるいは建設省とかがそれはちょっと越権じゃないかといって反対してあやふやになってしまって、湖沼水質保全といって水質だけの問題にしぼられようとする力関係が生ずるのだと私は思うのです。まさにいま長官のおっしゃったことを実現するためには、湖沼水質保全でなく湖沼環境保全という問題にやはりしぼって、法律による国家的な一つの規制というものの網をかぶせなければそれは守れない、こういうふうに私は考えるのですがいかがですか、再度同じようなことを言いますけれども。
  46. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) 私は先生の考え方に全く同じなんですよ。ですから、たとえば必ずしもいい例じゃありませんが、この部屋の中の環境を非常によくしようということを考えていく場合には、この部屋だけじゃないです、もうあの玄関から始まってこなければならぬ。ところが、玄関の方には玄関の方で担当している人たちがいるわけです。そんな玄関の方まで君口出ししないでくれろと、こういうことになりますからね、これは時間をかけて、いや別に口出しするわけでありません、ここをよくするためには玄関から始まらなければだめなんですということは時間をかけてやりますが、ここの状態がもう一日もゆるがせにできませんから、そこでここの状態をよくするということにしぼるということは事のやりとりの経過上やむを得ないことだと思って私はこれを認めているわけなんで、向こうはどうでもいいと考えているわけじゃないのです。  これからも先生方の御協力をいただいて、別にわれわれが口出しするんじゃないんだ、だけれど向こうからよくなってこなければ本質的にここがよくなるということにはできないんだということをわかっていただこうとはしますが、とりあえず早くやらなければならぬということになればこの中をということに、まあ後退といえば後退ですが、そうせざるを得ないこの苦衷をひとつお察しいただきたい、そして御理解をいただきたい、こう思うわけであります。
  47. 本岡昭次

    本岡昭次君 苦衷は苦衷としてお察しいたしますけれども、それではだめだと。だから、ひとつその周辺の問題も十分これは根回しをして、ぜひとも矮小化された水質の問題だけの法律規制ということにならないように、それでもやはりしないよりましたという論議は、やらないよりましなんだ、現状より一歩前進だということになるんですが、しかしあなたもおっしゃったように、入り口の方から悪い空気がどんどん入ってきているのにこの中だけを浄化するいろいろな装置をつけましょうといったって、入り口から悪い空気が入ってこないようにする一つの特別な装置がなければ、これはそこで幾らお金かけたって何の意味もないということになりますね。抜本的な解決にならない。これは子供が考えたってわかる理屈なんですから、そこのところをひとつしっかりとやっていただきたいと思います。ここでわかっておられる長官とやりとりしたって仕方がないですから、わからない人とやりとりしなければいかぬわけで、それはまた別のところでやらなければならないと思います。  そこで、もう少し具体的な問題で、いまもハクチョウの問題が出ましたから、私たちハクチョウの渡来する条件をそこに確保してくれと、こういうことの要請を受けました。このことについていまも知事からもいろいろ聞いているとおっしゃいましたけれども、環境庁としては基本的にこの問題はどうとらえておりますか。
  48. 正田泰央

    説明員(正田泰央君) ハクチョウにつきまして簡単に申し上げますると、来月の十月から来年の三月まで、つまりハクチョウが渡来して生息する時期、この地域においては初めてでございますが、私どもと島根県、鳥取県と両県とあわせましてまず調査をしたい。これは土地利用とねぐらの問題が一つ、それから土地利用と渡来する数の問題が一つ、それからえさの分布状況、そういった三点についてわりと細かい調査をしたいと思っております。といいますのは、ハクチョウにはオオハクチョウというのとコハクチョウというのがございますが、オオハクチョウというのは日本では数のふえ方が強含み横ばい、それからコハクチョウの方はむしろ二千二百から三千四百というふうにふえておるわけでございますが、青森、宮域、福島、それから秋田、新潟、あのところを横断して、それから飛び離れて島根鳥取ということになっております。  なぜこの地域が若干少なくなったかということでございますが、最近の状況では、先生ごらんになったと思いますが、宍道湖の方に多くなっている。そういう移動の状況がはっきりいたしません。これをきちっと調べて、これはやはり開発その他土地利用の関係の影響なのか、あるいは別途もう少し違った自然状況影響なのか、よく見きわめまして、それで、先ほど委員派遣の御報告がございまして、その御報告の中に大変適切な問題意識が提起されたように伺っておりますが、そのいずれかを採用して進んでいくか、そういうふうに考えている次第でございます。
  49. 本岡昭次

    本岡昭次君 しばしばこの答申を引用して申しわけないのですが、この中央公害対策審議会の答申の七番目に「湖辺の環境保全のための措置」というところがありまして、言わんとするところは湖なら湖、中海なら中海の周辺の自然環境をそのまま残しておけということのみならず、より積極的にやはり人間と自然とのかかわり合いというものをつくっていけと、こういうことなんですね。だから、何もコハクチョウがそれでは宍道湖中海になぜ来たかということがわからぬ、やがて来なくなるかもしれないというふうな論議をしておると、これはコハクチョウに聞いてみなければわからぬ。あんたどこへ行くんや、来年どっち行くんや、そんなこと言ったって答えるすべもないんで、問題は、現にコハクチョウがそこに渡来をしてきている、そこに自然と人間との新しいかかわり合いが生まれようとしている、そのことを大切にしようとする、それを大切にせよというのが中央公害対策審議会のこの答申の中身の意味するところだ、私こう思うのです。  やはり自然と環境との新しい一つの関係、かかわりというものをつくっていくという意味を持たなければ、保全というのが現状をただ守るということでなしに、新しく起こりつつある自然に対して積極的に働きかけて新しいものをつくっていくということがなければ、私は環境庁の仕事というのは、何か力、意味からいって大したことないと思うのですよ。だから、ハクチョウがそこに来ているという現在の事実を大切にして、より積極的な意味を持たせていく、それがやはり教育の問題であり、啓蒙である、私はこう思うのです。もう時間もありませんから、これは私の要望にかえておきますが、ぜひ積極的なそういう意味でもってこの問題をとらえて解決してもらいたい、こうお願いをしておきます。  それから最後の質問になりますが、中海宍道湖水質保全の問題は、これは琵琶湖の教訓に学ばなければならないと思うのですが、やはり多くは、生活雑排水という言葉が出ましたが、それによる汚濁というものが進んでいく状況にあると思うのです。  そこで、米子湾のヘドロのしゅんせつ等が行われておるという話も聞きましたが、やはり問題は、先ほど環境庁長官も言われたように、生活雑排水、これは炊事、洗たく、屎尿、すべてのそうしたものをまとめて処理していくところの下水道の完備、これを急がなければならぬ、こういうことだと思うのですが、その中海あるいは宍道湖の周辺にいま進行中の下水道事業、そうしたものが、湖水の汚濁というものが進行するであろうという状況下水道整備されるであろうという状況、これ競争関係にあると思うのですが、一体どういうふうになっているのですか。  下水道事業というものが水質汚濁を防ぎ得る条件下にあって工事が進行しているのか、そんなことと全然かかわり合いなく、ただもう金が出ればするし、なければしないというふうなことになっているのか、そこらはいかがですか。
  50. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) これはそのところばかりではございません。どこでもそうですが、当然水がこの状態では汚なくなる、その原因生活雑排水である、だから下水をつくらなければならぬというのであればマッチしてやらなければならぬですが、主として財政上の事情から必ずしもマッチしてない、それはそこだけでなしにどこでもそういうことが言える。まことに残念ですが、そういう状態だと認識しております。
  51. 本岡昭次

    本岡昭次君 そこで、建設省来ておられると思うのですが、いま何も中海宍道湖だけを取り上げたから問題解決するのじゃなくて、そこに視察に行ったから私はこのことを言っているので、私は兵庫県出身ですからできれば兵庫県の問題を取り上げたいんですが、あそこに視察に行ったからその関係でやっているのです、同じような状況だと思うのでね。  中海宍道湖の沿岸の各市町村の下水道事業の進捗状況というのはどういうことになっていますか。
  52. 中本至

    説明員(中本至君) お答え申し上げます。  中海水質宍道湖もかかわる問題でございまして、特にこの地域が全国的に下水道がおくれておるわけでございます。鳥取県側の方といたしましては、米子市と境市が影響するわけでございますが、米子市の方は、昭和四十四年度から着手しまして、すでに四十九年には通水しております。現在、普及率一一%程度でございます。それから、境市につきましてはこの第五次五カ年計画の中で着手する、そういう方向でいま計画を進めておるところでございます。  それから、島根県側でございますけれども、これは宍道湖東部流域下水道というのと宍道湖西部流域下水道という計画がございます。宍道湖東部流域下水道につきましては、松江市それから安来市等二市二町、これはすでに事業を進めておりまして、本年通水を開始しております。その成果が出まして、この流域下水道の普及率は六%、わずかでございますけれども成果が出てまいっております。  それから、西部流域下水道の方でございます。これは出雲市とか平田市等の二市四町の流域下水道でございます。との方は、処理場の方はこれからでございますけれども、管渠の方をすでに五十五年度から着手して六十一、二年度には通水をしたい、かよう。に考えております。  そういうことでございまして、非常におくれてきた地域でございますけれども、先ほどから御論議ありましたように、水質問題に対して下水道関係者といたしましては第五次五カ年計画の中で特に重点的に進めたい、かように考えておる次第でございます。
  53. 本岡昭次

    本岡昭次君 いま流域下水道というお話がずっと出てきていますが、個別の各市町の公共下水道ということを先行させるということの方が大事じゃないかと思うのですが、そこらの見解を聞かせてください。
  54. 中本至

    説明員(中本至君) 流域下水道公共下水道の採択に当たりましては、県、市町村等と協議しまして、一番最適な方法で採択してきたわけでございまして、いまさっき申し上げましたように、米子市と境市の方は個々に単独の公共下水道でやってきている。それから、いまさっき申し上げました松江市とか安来市とか東出雲町というのがございます。これらは流域下水道の中で、それから関連公共下水道でこの流域下水道に接続きす、そういうことで進めておりまして、御指摘の公共下水道については松江市がかなり進んでおりまして、いまさっき東部流域下水道の普及率六%と言いましたけれども、松江市の方は九%、このように市単独といいますか、単独公共下水道としては普及率をすでに上げてきている次第でございます。
  55. 本岡昭次

    本岡昭次君 これも時間がございませんから、最後は要望のようになるんですが、何か最近、下水道事業について、流域下水道の着工の方を優先して、だんだん公共下水道の方が少なくなっているというようなことを聞きます。私は余りここのところはよく知っていないのですが、流域下水道と言って非常に広範囲にわたって、それは単に生活排水だけでなく工場排水も何かも含めて、結局ある一定の広範囲な地域の下水を集めようということであろうと思うのですが、私のような素人が考えても、やはり汚水処理の問題として果たしてさまざまなそういう汚水が一個所に集められて完全な処理ができるのかどうかということについていちいろ疑問を持ちますし、下水道自身の実施についても、広範囲であるために幹線が引かれてそこから恐らく支線が引かれる、こういうふうなことになって、工事全体がおくれて、結局湖沼水質保全ということにかかわっては手おくれになっていくというふうな懸念なきにしもあらず、こう思うのです。  だから、やはり公共下水道というものを優先させ、またそういうものがない段階でそれぞれの個人においてそういう浄化槽というふうなものを設けてやっている向きも非常にこのごろふえてきているのですが、言ってみれば、そういったところに対する補助とか支援、そうしたことも総合的に含めながら、この下水道事業が湖沼、河川、海、そうした全体の水質保全という立場から積極的にひとつ考えていかれるべきではないかということを思います。これは改めてこの問題にしぼってまた質問させていただきます。きょうは私の意見のようなものだけに終わらせておきます。  最後に、長官、問題は、いまの下水道にしましても、第五次、そういう計画を進捗する財政の問題として、今回臨時国会が始まりますと、補助金等の削減というふうなことがあって、一律に一割カットとかいういろいろなことで、環境庁公害防止あるいは環境保全を進めていくについて非常に困った問題が起こってくるのじゃないかと思うのですね、一律一割カットとか一割予算削減。そういうやり方でいくと、せっかくここまで積み上げてきた公害防止なり環境保全の問題、下水道問題一つにしても、やはり一斉に後退をしていくのではないか、環境の問題に関しては手おくれということを招くおそれも私はあると思うのです。  環境庁長官として予算の一括削減ですね、補助金の一律削減、そういうようなものをまさか賛成しておられるのじゃない、こう思うのですが、どこも言えば、いやおれのところはおれのところはになって、それぞれお家の事情があるにしても、先ほどから出ているように、やはり環境というものはいまは人為的に守らなければ、これは後世に対して、子孫に対してわれわれは大変な過ちを及ぼすという事態に立つことを考えれば、環境庁長官として、やはり閣僚の一員であったとしても、予算の一律削減とか公害環境問題が後退をするようなそういう予算編成問題について闘ってもらわなければいかぬと思うのですが、いかがでございますか。
  56. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) 私は、いま問題になっている行政改革の問題、そしてその問題を中心としてまさに開かれようとしている国会、この問題については鈴木内閣の閣僚の一人として全面的に賛成をして、それを先生方にお願いをすることにしております。しかしながら、いま申されたようなことは、先ほどからだんだん申し上げておりますように、そしてこれからちょっと申し上げて御理解をいただきたいと思いますことで御理解いただけますように、一日もゆるがせにできない問題でございますから、この問題についてはひとつ進めていきたいとこう考えておりますので、このやり取りは大蔵省の方ともいたしておりますので、企画局長から私の話が終わってから答えさせたいと思います。  下水の問題について先生方のお耳を通じて全国民に知ってもらいたいと思いますことは、いま先生は、御視察をいただきましたのであの島根県の方面のことを中心として、それを例にしてお話しいただいておりますが、これはどこでも同じことでございまして、たとえば私は東京のずっと北の端の方に住んでおりますが、私の住んでいるようなところはつい先日までは農村地帯だったのです。ですから肥だめというのが方々にあったのです。それでわれわれのところの町場まで来てふん尿を取っていって、頼んで大根やなんか置いていって、それで持っていってそこへ入れていたのです。それを寝かせておいてお百姓は肥料に使ったのですが、いまはそれは一つもないのです。肥だめはないのです。われわれ子供の時分には危なくてその辺跳んで歩けなかった、あれがいっぱいあって。それが一つもないのです。それで農地の方は金肥を使います。化学肥料を使います。それでその屎尿は全部下水に流れてくるということになってまいります。  ですから、これは建設省にもよく聞いておいてもらいたいのですが、下水が完備してないと、それがもろに川へ流れてくるということでございますから大変なんです。特に茨城県の霞ケ浦の近所へ行きますと豚をたくさん飼っている。豚のふん尿というのは人間の三倍ぐらい出るのです。だから、茨城県は二百五十万人の人口だとか言っていますが、これは一千万の人口と同じなんです、ふん尿のことから言うと一千万の人口と同じなんです。  それがもろに出てくるというようなことでございますから、何はさておいても、道路も新幹線も全部とにかくちょっとおくれて不便だけれどもがまんしていただいて、あげて下水にかかるというぐらいのことをしなければならぬと言うのは、私が何も自分の仕事だから特に重要視して言っているのではないのです。それはおくれますと後から幾ら金をかけたって始末がつかなくなってくる、それでたくさんの金が要る、また幾ら金かけてもできないという状態になりますので、これは急がなければならぬということを言っているのですが、実際言うと、ここで申し上げるのはまことにはばかりますが、物には順序がありますよ、何も下水だけじゃありませんよ、道路だってありますよ、何がありますよということにされたのでは、私はやはりわが国の将来の生活に大変な問題を起こすのではないかということで、建設大臣にも直接に文書をもって申し上げたり、あるいは閣議で発言して総理大臣初め各閣僚の御認識を深めていただくようにして、そういう気持ちになっていただいているわけであります。  そういうわけでございますから、行政改革、大事ですよ、これは。来年の予算などはゼロシーリングというようなことで補助金のカット、かさ上げ分のカットというようなことで非常に大変でございますが、だからと言って十把一からげに同じように考えるということはいかがなものであろうか。いかがなものであろうかということよりは、そんなことじゃだめなんだというようなことで考えておりますが、そのことについて具体的なことは企画局長からお答えさせます。
  57. 清水汪

    説明員(清水汪君) 大筋の基本的な考え方はただいま大臣からお話がございましたとおりだと思いますが、ただいまもありましたように、この行財政改革が現内閣におきまする最も緊急な課題であるということにつきましてはわれわれも等しく認識をしなければならない。しかしながら、ただいまも大臣からお話のございましたように、環境行政の立場でも全力を尽くしてその重要性を強調するということもまたわれわれの責任でございます。  そのような考え方から、七月に臨調から答申がありまして以後今日に至るまで幾つかの段階がございました。閣議におきましても大きな段階として二回ほどの方針の決定があったわけでございますが、その過程におきましては極力主張いたしまして、その結果、これはまだ法案が正式に決まってもおりません。大筋的な経過として申し上げる以上には私どもの立場で申し上げられませんけれども、大体のところを申し上げますと、いま御指摘の公防財特法におきまする通常の補助を上回る地域的なそういうかさ上げ、そのかさ上げ率を何らか削減をするというのが問題の焦点でございますけれども、これにつきましては、大体のところが一般の市町村についてはそういうことをやらない、したがいまして残るのは都道府県及び政令指定都市ということに限定をされるように大体進みつつあるわけでございます。  そういう点が一つと、それからもう一つは、通常の補助、法令に基づくような補助を上回っていわゆるかさ上げされている補助、その部分のどれぐらいを削減するのかという点が問題でございますが、これが六分の一を削減するということに大体の方針ができているわけでございます。しかしながら、六分の一といえども切られる方の立場にしてみれば重大なことだというわけでございますが、そういうことによりまして、当該予定されました事業が支障を来すことのないように財政金融上の措置を講ずるというようなことも同時に確保されるということでございます。かつこれは五十七年度からの三年間に限る臨時の特例だと、こういうようなのがお話の筋でございます。  そこまでいきますと、これは大きな二つの要請をその辺のところで調整を図るというのが一つの結論ではなかろうか、このように考えているわけでございます。
  58. 坂倉藤吾

    委員長坂倉藤吾君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。    午後零時十七分休憩      —————・—————    午後一時五分開会
  59. 坂倉藤吾

    委員長坂倉藤吾君) ただいまから公害及び交通安全対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、公害及び環境保全並びに交通安全対策樹立に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  60. 小平芳平

    ○小平芳平君 私は、三十分という非常に限られた時間でありますので、八月二十日に公明党が主催して行った第三回シンポジウムについて、「湖沼の危機と環境保全」をテーマにしてシンポジウムを行いましたが、そのときの集約した意見をもとにして、限られた時間でありますので質問したいと思います。  第三回といいますのは、毎年やっておりまして、おととしと去年とことしというわけであります。それで、自発的に参加を申し入れてきたものが二十八都道府県に上っておりました。概略の意見としては環境庁長官にお目にかかってお話をいたしましたが、きょうはまたこの委員会を通して質問したいと思います。  まず第一に、午前中に出た質問とも関係するわけですが、私たちのシンポジウムは「湖沼の危機と環境保全」ということをテーマに開催したわけであります。環境庁長官としても、湖沼の危機それから環境保全の重要なことは午前中にもるる述べておられましたが、こうした環境保全の立場から湖沼問題に取り組まなくてはいけないという趣旨は賛成だと思いますが、いかがですか。
  61. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) 環境問題から湖沼についてのシンポジウムをお開きになりました話はこの前も承りました。御熱心なことに敬意を表します。  いまお話しのように、環境問題から湖沼の問題というふうに考えていかなければならないという基本の態度については全くお話のとおりであります。
  62. 小平芳平

    ○小平芳平君 水質の問題ももとよりゆるがせにはできませんけれども、その水質を守るためには環境整備が必要だ、環境を守ることが必要だということ、これは環境庁長官も御同様の御意見でありますし、入り口とか玄関とか部屋の空気とかいうお話も先ほどなさっておられましたが、政府部内でなぜそういう基本方針に乗ってこないのかということですね。政府部内で乗ってこない。反対する省庁がありましたならば環境庁長官からもっと厳しく意見を主張してほしい。つまり水だけきれいにしようとして取り組んでいてもしり抜けになってしまったのでは何にもならないから、そういう意見を強力に推進していただきたい。
  63. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) お答えいたします。  午前中も申し上げましたとおり、それはおっしゃられるとおりでございます。おっしゃられるとおりでございますが、われわれの方のまた説得が足らないといえばそうかもしれません。引き続いて説得といいますか、御理解をいただくために努力をいたしておるわけでありますが、まあ終局するところ、当面は何としても水質をきれいにしなければならぬということがありますから、それでは水質の問題に焦点を置いてとりあえずやろう、こういうことになっているわけでございますが、お話のように環境問題全体から考えていかなければならぬ。環境問題全体を健康としますれば、水質は血圧という一つのことでしょう。ですから、健康全体を考えながら血圧の問題を考えていかなければならぬのは当然のことなんですが、どうもいろいろ支障がありますから、血圧だけを一つ取り上げて考えていこうという次善の策として御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  64. 小平芳平

    ○小平芳平君 長官と同じ意見ですが、いまの例で申しますと血圧と健康じゃ全く、血圧だけ下げようとしてかえってほかが悪くなったりしますからね、強力に推進をしていただきたい。  それから、湖沼法に関連して、一日の排水量が五百トンという話あるいは五十トンという話がありますね、これはどうですか。それから、言うまでもなく瀬戸内海環境保全特別措置法では五十トンが基準になりますが、五十トンと五百トンでは事業所が五分の一、五倍というような違いが起きてくるわけですが、その点について御説明願いたい。
  65. 小野重和

    説明員(小野重和君) 私ども考えております湖沼法案の中のいろいろな規制の強化の制度の中で、許可制度を湖沼の周辺について導入しようという項目がございます。新たに施設をつくる場合に知事の許可にかからしめる、こういうことでございますが、ただいま先生お話しになりましたように、瀬戸内の法律に前例があるわけでございます。  問題は許可の対象とする排水量をどうするかということでございますが、私どもは瀬戸内の例がございますので五十トン以上ということを主張し、それからこれは具体的に申し上げますと通産省でございますけれども、五百トンとか千トンとかということを主張しておったわけでございます。これは通産省の立場というのは中小企業に配慮すべしと、こういうことでございます。私どもは、中小企業の問題もさることながら、やはり水質保全ということでございますので、その辺の調整に、この前の通常国会の末期でございますが、調整に努力したのでございますけれども、つかなかったということでございます。  引き続き調整をするということで、現在もいま折衝中でございますが、そこをどうするか。水質保全という問題と中小企業対策、どういうふうに調整するりか非常にむずかしい問題でございますけれども、調整の努力をいま行っている、そういう状況でございます。
  66. 小平芳平

    ○小平芳平君 これは長官、やはり相手のあることであって一概には言えないでしょうが、瀬戸内海環境保全特別措置法というすでに前例ができておりますから、これに合わせなければ意味がないのじゃないでしょうか。
  67. 小野重和

    説明員(小野重和君) やはり水質保全、特に湖沼水質保全ということが基本でございますので、これが保全されないようなそういう制度ではこれはよろしくないのは当然でございまして・したがいましてそういう基本的な観点から調整するということでございますが、ただ排水量をどうするかということ以外にもいろいろ問題がございますので、そういう点を総合的に考えて、私どもは基本的に水質保全という点に着目してこれが保全されるようなそういう制度にしたいということで調整しているところでございます。
  68. 小平芳平

    ○小平芳平君 長官からひとつ。
  69. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) 先生のおっしゃるとおりだと私も考えております。
  70. 小平芳平

    ○小平芳平君 したがいまして、湖沼法を作成する場合に当たりまして、公明党は御承知のように前国会に提案をいたしましたが、こうした法律は各党一致で成立させることが望ましい。したがって、中身として次の点を取り入れた湖沼法であってほしいという考えを持っております。  それは、一つには湖沼周辺の環境を含めた保全地域を設けること、これは先ほど第一に申し上げたとおりです。  それから、富栄養化対策を進めるものでなくてはならない。その富栄養化対策として窒素、鱗の規制が始まりますか、いかがですか。
  71. 小野重和

    説明員(小野重和君) 窒素、燐などの富栄養化対策の問題でございますが、私どもが考えております湖沼法では直接この窒素、燐の問題に触れておりません。と申しますのは、窒素、燐問題というのは湖だけではございません。いわゆる閉鎖性海域、伊勢湾、東京湾、瀬戸内海でも同じ問題があるわけでございまして、私どもはそういう閉鎖性水域全般の問題として富栄養化対策を考えたい。そのためには窒素、燐についての環境基準設定することが必要である。環境基準は御案内のようにその根拠は公害対策基本法でございます。基本法に基づいた環境基準設定をしたい、こういうふうに考えております。  そして、その当面の問題でございますが、まず湖沼についてその設定をしたいということで、現在その調査検討を急いでいるところでございまして、今年度、つまり五十六年度中には中央公害対策審議会に湖沼についての窒素、燐の環境基準の諮問をいたしたい、かように考えております。
  72. 小平芳平

    ○小平芳平君 従来は窒素、燐は技術的に無理があるということでやってきているわけですね、環境庁としては。もっと早く環境基準を決めるべきであった、環境基準がなくてはおかしい、しかし除去する技術が問題であるということで延びてきたように思うのですが、燐の場合は十分技術開発もできたというふうにお考えですか。
  73. 小野重和

    説明員(小野重和君) 非常に技術的に問題があることは事実でございまして、そのための技術的検討も従来ずっと続けてきたわけであります。と申しますのは、環境基準設定と申し上げましたが、これは排水基準設定、これとうらはらの関係にあります。したがいまして、この排水基準を守れるような技術的基礎がなければいけませんので、そのための検討検討会を開きましていろいろ検討してきたわけであります。私どもは可能であるというふうに判断しておるわけでございますが、そういうことも踏まえまして環境基準の諮問をいたしたい、こういうことであります。
  74. 小平芳平

    ○小平芳平君 窒素についても燐についても排出規制が可能であるということですか。
  75. 小野重和

    説明員(小野重和君) これは私どもは可能ではないかと思いますが、いろいろな見方、考え方がございます。そういう意味で、各省との折衝問題もあるわけでございますが、私どもはできるのではないかというふうに考えておりますが、私どもはそういう方向で進めたいと思っております。
  76. 小平芳平

    ○小平芳平君 それから、これと関連しまして、洗剤を規制するという意見に対してはどう考えておられますか。また、洗剤の規制一般について環境庁の対処の仕方はいかがですか。
  77. 小野重和

    説明員(小野重和君) 洗剤問題でございますが、有燐洗剤、これが富栄養化対策として大きな問題であることはそのとおりと私どもも考えておりますが、これを具体的に規制するかどうかということにつきましては、私どもまだ結論を得ておりません。  ただ、私どもの感じとしましては、湖沼なりそれから閉鎖性海域なり特定の地域の問題になりますので、そういう問題からしまして、国全体の問題として、国の中の特定の地域についての規制というのはなかなかむずかしいのじゃないかというふうに思っておりますけれども、最終的に別に結論出しているわけじゃございません。今後の検討課題だと思いますが、とりあえず、ともかく自主的に製造しないように、そういう要請をしている段階でございます。
  78. 小平芳平

    ○小平芳平君 長官、窒素、燐を排出規制するというそのことと、それから富栄養化を急速に助長する物質としまして窒素、燐がずっと指摘されるわけです、ほかにもありますけれども。それで、しかし洗剤だけが原因じゃないのだ、何も洗剤だけ規制されてもちょっと話が違いやしないか、こういう意見があるわけですね。しかし、この湖沼の危機を目の前にしまして、特に閉鎖性水域においてはこれだけが原因じゃないといって何もしなかったら結局何もできないわけですね。いかがでしょうか。
  79. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) 湖沼が汚れてくるというのには幾つもの原因がある、そしてその中の一番大きなものはいまの段階では生活難排水であるというようなことは午前中からもしばしば申し上げたとおりであります。しかし、これが対策を立てる場合に、その当面の当てられた人が、おれもそうかもしらぬけれどもおれだけに言ったってしようがない、私よりはもっとひどい人がいるんだというようなことを言ってたのではこれはおさまりつきません。ですから、そういうことは言わないことにしてもらわなければ困りますし、言わせないことにしなければこれは解決できない、こう思います。
  80. 小平芳平

    ○小平芳平君 したがって、有燐洗剤は当然規制しなければなりませんですね。
  81. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) そのように思います。
  82. 小平芳平

    ○小平芳平君 それから第三には、湖沼環境保全のための事業に対しまして国の特別の補助制度を設けること、これは長官がおやりになったサミットでもそういう御意見が強く出されたと思いますが、私たちの会合でもそういう意見がずいぶんありました。  それで、たとえばヘドロをしゅんせつするというのはいまは何の事業でやっているのでしょうか。それはいろいろな事業でやっているんですね、統一的に一つ湖沼を守るという事業としてできないのじゃないですか、そういうものがないから。したがいまして、いろいろな形でやっているようですが、しかし自治体負担には限度があるので、国でそういう事業ができるように補助制度をつくってほしいという意見がありました。これはいかがでしょう。
  83. 小野重和

    説明員(小野重和君) ヘドロのしゅんせつ事業でございますが、これにつきましては事業の実施官庁は建設省関係でございますが、河川環境整備事業という事業がございまして、この事業として湖沼についてもしゅんせつ事業を行っているところでございます。やはり下水道もそうでございますけれども、具体的なその事業は各それぞれの所管官庁がございますので、この関係の省庁に対しましてそういう事業をさらに一層推進するように要請してまいりたいと思います。
  84. 小平芳平

    ○小平芳平君 複雑な事業を仕組んでおりますけれども、環境庁でできるような仕組みにしてほしい、つまり湖沼法は予算関連法案として扱われてないですね、それを予算関連法案として扱うようにして。ほしい、こういう意見なんです。
  85. 小野重和

    説明員(小野重和君) 具体的なその事業に係る補助の問題でございますが、たとえばこの湖沼に係る下水道事業につきまして補助率のかさ上げというような点があるとすれば、それはその法律の中に当然書かなければいけませんし、あるいは扱いとして予算関連事業、予算関連法案ということになるのかと思いますが、このかさ上げ問題につきまして各都道府県等から御要望があることは私どもも十分承知しておりますけれども、何分にもこのような財政事情でございますのでこれは非常にむずかしい、で、法案の中に盛り込むということはできなかったわけでございます、まあ原案でございますが。私どもはそういう事情があることは十分わかっておるわけでございますが、補助率かさ上げという問題ではなくて事業量をふやしてもらう。全体に、たとえば下水道でございますと下水道の予算があるわけでございますが、その実行の問題として、特にこういう問題の水域について十分配慮するようにという要請を建設省にいたしたいと、かように思っております。  また、その各事業いろいろございますけれども、これがばらばらに行われたのでは確かに問題がございます。そこで、私ども考えております法案の基本でございますが、いろいろな規制、いろいろな事業、これを、湖沼によって違いますけれども、各その湖沼の特性に応じて知事さんに計画をつくっていただきまして、その計画の中にいろいろな事柄が入るわけでございます。そこで計画的に総合的に進める、そういう仕組みを湖沼法案の中で考えているわけでございまして、そういうことで全体として整合性のある施策を進めてまいりたい、かように思っているわけでございます
  86. 小平芳平

    ○小平芳平君 ずっともう意見がたくさんありまして、とても全部お聞きし切れませんですが、重立ったものを申して終わりたいと思います。  次に、赤潮、アオコ等の発生実態、要因、メカニズム、そういうものが十分な究明ができていない。まあ私の田舎で言えば諏訪湖ですけれども、これはボートが走りますと波が立つわけです。緑の波が立つ。それから湖水というのは水の色を想像しますけれども、湖水というのはある部分は緑だと思っているんですね、絵をかかせるとそういう絵をかいてしまうというふうな。ただ緑だけならそれほど住民に感じませんけれども、臭いことですね、それこそもうそばにもおられない。ですから花火大会で花火を見るのに鼻つまんで花火を見ているというような光景なんですが、こういうものは十分な研究をし、防止対策を早くしなければいけない。それこそ午前中にもお話があったように、早くやらなくてはどこまで悪くなっていくか底知れないわけですから。そう思いますが、いかがですか。
  87. 小野重和

    説明員(小野重和君) アオコなり淡水赤潮についての科学的究明が必ずしも十分ではないのではないか、こういう御指摘でございますが、確かに完全に解明したとは言えないと思います。たとえば、具体的な例を申し上げるわけですが、霞ケ浦にはアオコが発生しますが、あのそばに小さな潮で牛久沼というのがございますが、ここは汚れのぐあいは霞ケ浦より悪いのでございますけれども、アオコが出ないわけでございます。なぜかというのがなかなかよくわからないわけでございます。しかし、いずれにしましてもそのアオコなり淡水赤潮が出る原因富栄養化問題であることはわかっておるわけでございまして、そういう意味富栄養化対策を進めれば、これは淡水赤潮なりあるいはアオコもなくすることができるということははっきり言えるわけでございます。そういう意味でそういう点に着目した施策を進めてまいりたい、かように思うわけでございます。
  88. 小平芳平

    ○小平芳平君 最後にお尋ねしますが、環境庁長官、いままでの環境問題、公害問題は住民運動が先行しているんですね。ですから、住民のこうした熱意を行政は生かしていかなくてはいけない、これは当然のことと思いますね。で、いろいろな問題、たとえば下水道建設とかあるいは湖沼周辺の開発とかいろいろな問題があるわけですが、一一指摘はできませんけれども、住民参加の行政ということについての基本的な態度をお尋ねしたい。
  89. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) 午前中も申し上げましたけれども、日本公害というのは、簡単に言えば、一つの企業が生産の過程において何か有害なものを出している、初め気がつかなかった、それによって被害者が出た。そこで、特定のわかっている加害者、特定のわかっている被害者、こういう形で公害問題が起きて、国民に迷惑を与え、先生方の御心配をいただいている。そういう過程の中から環境庁が生まれてきた、こういうことでありますが、いまやだれだかわからないとにかく大ぜいの加害者がいて、これまた必ずしも特定できない大ぜいの被害者がいるという形になってまいりまして、公害の形もずいぶん複雑になってきたわけであります。  したがいまして、私は午前中からしばしば申し上げましたように、いろいろな事態について、たとえば水の問題について言えば、このままにしておいたらば人間は生きられなくなるんだというようなことを御認識をいただいて、国民一人一人がこれは大変だ、大変な中で自分がなさねばならぬことはどういうことか、自分ができることはどういうことか、そういうことも実はお考えをいただいて、そのためには教育もその方面に向けて熱心にやって、それを受けてわれわれは施策を推進していかなければならぬ。ですから国民の方を向いて常に環境行政は進めていかなければならぬ、こういうふうに考えているわけでございまして、これを住民参加と言えばその意味住民参加でなければならぬと、こう思っております。
  90. 中野鉄造

    中野鉄造君 私は今日の交通行政についてまずお尋ねをしたいと思います。  すでに御承知のように、今日わが国のモータリゼーションの巨大な波は、六輪車時代と言われるような新しい新語が生まれるほどマイカー・プラス・セカンドカーとしてのバイクが非常にふえております。これは何と申しましても、わが国道路事情といい、また価格の面あるいは省エネというような面からもこれは必然的なものでもあろうかと思いますが、こうした傾向は昭和五十二年ごろから次第に始まったわけでございまして、昨年だけでも百二十五ccから五十ccまでのバイクが約二百万台売れております。先ごろデビューしたあの軽スクーターといいますか、ミニバイクもことしで約七十万台の売れ行きを見込んでいるということになっておりますけれども、こういうブームに乗ってまた交通事故も非常に急憎いたしておるわけでございますが、こうした傾向は今後もさらにこれはますますふえていくのじゃないかと思いますが、この対策と申しましょうか、どのようにお考えになっておりますか、警察庁。
  91. 久本禮一

    説明員(久本禮一君) 警察庁の交通局長でございます。  バイクの問題についてのお尋ねでございますが、先生が御指摘になりましたように、近年バイクの運転が非常に一般国民に普及いたしまして、それに伴いまして交通安全上の問題も幅広く生じているということは御指摘のとおりでございます。特にバイクにつきましては手軽に利用できるということでございますので、いままでのようにいわゆる専門のドライバーとしての教育ということでは行き届かない、幅の広い、すそ野の広い対策が必要であるというふうに考えておりますが、率直に申し上げまして、これは息の長い、特に教育の面にすそ野を置きました広範な対策が必要であると思うわけでございまして、警察はどちらかと申しますと街頭における指導取り締まりというものをいままで中心にしてきたわけでございますけれども、こういった免許を取って運転するという階層が広くなった現状におきましては、特に安全教育指導という点に力を入れていかなければならないというふうに考えているわけでございます。  現存、各種の民間団体等の組織を拡大をし、かつその活動を強化させまして、こういったことの中から息の長い事故防止を図りたいというふうに考えておるわけでございますが、特にそういう点で比較的問題の多い、たとえば老人であるとかあるいは女子であるとかあるいは少年であるとか、そういった対象をできるだけしぼって、効果のある教育のシステムの拡大と組織の拡大を進めてまいりたいということを考えまして、そういった点に現在多くの重点を置いておるという現状でございます。
  92. 中野鉄造

    中野鉄造君 いまの御答弁では、教育に重点を置いて今後指導を強化していくということなんですが、果たしてそれだけでいいものかどうか。いまも申しますように、件数から言っても、昨年が原付で二万八千三百五十五件の事故発生件数でございますし、前年度と比べると実に千二百九十六件の増でございます。その率から言うと四・八%、死亡事故発生件数では五百七十二件の増、こういうようなことになっておりまして、これが先ほどから申しますように今後ますます急増していく傾向にあるわけですけれども、ただ果たして教育指導ということだけで事が足りるかどうか。もうすでにいまも実施されておりますように、五十cc以上のバイクはヘルメットをかぶるとか、そういったようなことが言われておりますが、五十cc以下のものについてはそうした規制がない。こういうことはこのままでいくわけですか。
  93. 久本禮一

    説明員(久本禮一君) 先生御指摘のとおり安全教育だけで十分だとは決して思っておりません。おっしゃいましたように、多面的な施策の一端として、事故が起こってもけがが少なくて済むようにというような形で、ヘルメットをかぶらせるという点もすでにほかの部門では実現しておるということでもございますし、また私どもとしてもそういうことはできるだけ強調し、そのような癖をつけてほしいという気持ちは持っております。ただ、これを制度としてどのようにするかという点につきましては、若干手順と期間と積み上げが必要かと思いますので、すぐこれをするという形のお答えは現在のところ申し上げる用意がございませんが、そういう点は十分に今後の指導項目の中に入れましてその辺の徹底を図りたいという気持ちを十分に持っております。
  94. 中野鉄造

    中野鉄造君 バイクの運転者に関連いたしますけれども、いまもちょっと御答弁の中にもありましたように、今後わが国は急速に高齢化社会が進んでいくということはもう数年前から言われていることですけれども、私も地方に行けば行くほど目につくのが、老人の方がバイクに乗ってもうあっちこっち走り回っている。地方に行けば行くほどこの光景は多く見受けられるところでございますが、老人の方がバイクに乗って走っているあの光景を、それこそカメラか何かでずっと追跡して家族の人に見せたならば本当にはらはらして見てはおれないのじゃないか、こういう情景があちこちに見受けられます。車の直前を斜めに突っ切っていくとかなんとか、老人の方はやはりそういうようなところの交通のマナーといいましょうか何というか、そういうのが比較的余り守られないというような状況下にある。それと言い、またとっさの場合にこれはもう肉体的にも反射運動神経というか、そういうものも鈍ってくるのは当然でございますし、しかも冒頭申しますように、これからどんどん高齢化社会に向かっていく。私の田舎では先月も七十八歳のお年寄りの人がやっぱりバイクで即死いたしました。  こういったようなことから考えても、かといってバイクの免許制に定年制を設けるなんていうようなこともこれはできかねるとは思いますけれども、そうした老人の方のとうとい命を少しでも守っていく、そういったような意味から、初心者の方には四輪車の場合初心者マークというのをつけておりますけれども、それと同じように他の運転者の注意を喚起する、そういったような意味からお年寄りの特にバイクならバイクを対象として、そういうシルバーマーク的なものをつけて他の運転者の注意を喚起するといったような、そういう何か施策というものは考えられないだろうかと思いますけれども、そういう高齢化社会に対する交通行政のあり方というか、そこいらをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  95. 久本禮一

    説明員(久本禮一君) 御指摘のとおりお年寄りの運転には、非常にいまの交通行政の中から見て危険だというふうに思われる節は多々ございます。ただ、これはもちろんお年寄りが比較的運動機能が鈍ってこられたという面もあると思いますけれども、日本のモータリゼーションが非常に急速に発達をいたしましたので、いわゆる感覚的になじんでこられた地域環境変化に必ずしもついていけないという面も実はあろうかと思います。したがいまして、現在お年寄りの交通事故が比較的成人に比べて、非常にとは申しませんが、少なくとも多いことは間違いない。これは数字でもはっきりしておりますけれども、いわゆる力が落ちたからというだけではなかなか言い切れないという複雑な面もございます。  これは私は一線にかなり長くおりましたけれども、数十年間無事に過ごしてきた道にそんなにいまさら特別な注意する必要がないと言って、親族の注意にも耳をかさずに道の真ん中を堂々と歩いて車にはねられたというお年寄りも現実におられたと、そういう現状でございます。そういった気持ちが、おれはいままで何十年もここに住んで何もなく過ごしてきたんだ、そういったような、いわば一つのプライドと申しますか、自負と申しますか、そういったようなものが新しい情勢に対応した変化にいま一歩お年寄りなんかはついていけないという面もございます。  そういたしますと、やはり非常に気長ではございますけれども、いまのこういった交通環境は昔とは違ったんだということをいろいろお年寄り特有のお集まり等の機会に粘り強くいろいろお話もし、広報もしていく、こういった努力が実は一番現在肝心ではないかというふうに思っております。もちろんおっしゃったような形のいろいろな行政施策を講ずるということも必要でございますが、やはりこれはという特効薬というものはございませんで、幾つかの組み合わせを考えながら総体的にいまの時点で効果の高いのは何であろうかということを考え考え進めていくということのほかはなかろうかというふうに思っております。  御指摘のたとえばシルバーマークというようなものも確かに一つの提案であろうというふうに考えます。そういった考え方もいままで出たこともございますけれども、やはりそういったシステムに反射的に生じますところのプライドの問題というようなことから、どの程度有効に作用するかというような点が十分自信が持てなくて、なかなか具体的な話になってこないという面もございますが、そういう点につきましても、今後もひとついろいろ考えてまいる所存ではございます。
  96. 中野鉄造

    中野鉄造君 いまおっしゃったように、確かにお年寄りにはお年寄りのプライドがあって、そういう変な、年寄りだというようなマークをつけられるのに自分のフライドが傷つくというような面もあるかと思いますが、また一面やはりおっしゃったように、歩きなれた道だからといって歩いておって事故に遭うというようなこともありますので、ある面においてはそういう変なマークをつけてまで乗る気はないといったようなことで、またお年寄りのそういう運転もあるいは多少は減ってくるかもしれないという面もありますし、これはただお年寄りのプライドを傷つけるということよりも、やはり命を守るという面からひとつ前向きに大いにまた検討をしていただきたい、こう思います。  いずれにいたしましても、この高齢化社会に対応する早急なやはり交通行政のあり方ということを、ただ指導、教育面のみならず、ひとつもっと深く今後検討していただくことをお願いいたして、次に移ります。  同じくこれも交通問題になりますが、トラックの積み荷事故が最近非常にふえております。実は、昨日も都内でガードにトラックの積み荷がぶつかったというような事故が起こっておりますし、ことしに入ってからでも、二、三の大きな事故を挙げますと、山口県の国道二号線で大型トレーラーに積んでいたキャタピラが乗用車に転落して一家四人全員が死亡する、こういうような事件だとか、あるいは福岡ではコンテナが転落した、あるいは首都高速道路では積み荷の鋼材が下の道路に落ちた、これはもうつい先日のことなんですが、こういう非常に積み荷の事故が起こっております。  こういうことについては、たとえばこの車が青ナンバーであればこれは運輸省の管轄、白ナンバーであればこれは警察の管轄、それ以外の建設省の管轄というのもありますけれども、こういう積み荷事故に対する対応はどういうふうになっておりますか。まず警察庁の方から。
  97. 久本禮一

    説明員(久本禮一君) 積み荷の関係につきましては、御指摘の関係はいわゆる重量物を積載する場合のことと思うのでございますが、現在、警察の措置といたしましては、道交法に基づきまして制限外の重量の許可の制度がございまして、これを執行いたしまして必要な出発地におけるチェックを行うというシステムになっております。  なお、これが現実に町を走っている場合におきましては、警察といたしましては、一般の交通外勤警察官の指導取り締まりの過程で危険なものを発見し、必要な指導取り締まりをするというシステムでございます。
  98. 中野鉄造

    中野鉄造君 運輸省。
  99. 宇野則義

    説明員(宇野則義君) ただいま先生から御指摘のように、同じ自動車の中でも運送事業用の自動車につきましては私ども運輸省の方で管理監督をいたしております。私どもの対象にいたしております運送事業者の事故につきましては、一般論と積み荷事故の問題があろうかと思います。  積み荷事故に関連いたしましては、私どものつかんでおります死傷事故、死傷者を発生したような事故ということでつかんでおります関係上、警察でつかんでおる数字よりもかなり少ない数字になっておりますが、先生いま御指摘のように今月に入りまして二件の事故がございました。少なくともこの事故に関しましては、私ども早速通達を用意いたしまして、先週、第二回目の事故発生した直後でございますけれども、ちょっと続発ということもございましたので、私どもの出先でございます全国の各陸運局長及びトラック運送事業者の団体に対しまして積み荷事故の防止につきまして通達をいたしたところでございます。  その中身につきましては、一つは積み荷の荷崩れが起きないように十分ロープ等で捕縛をするということの励行方について。それからもう一点は、運転の途中におきます交差点だとかあるいはカーブ等におきますところの安全速度の励行ということで指摘をいたしております。それからもう一つは、車の配置でございますが、山口で起こりました事故につきましては、先生御承知のように二十トンの車に三十数トンのキャタピラを積んでおったということもございますので、こういう重量物を運搬するに際しましては、それに適した積載量を私ども与えておりますが、その積載量に合うような車を使うということの徹底ということを指摘いたしまして、先週トラック業界の方に指示をしたところでございます。なお、個々の事業者に対しましては必要に応じまして特別の監査をいたしまして、運行管理等が十分行われていたかどうかというチェックをして、それなりの措置をとってまいりたいというふうに考えております。  なお、一般論的に申しますならば、事故防止につきましては、私ども運送事業者に対して監査というようなこともやっておりますし、それから運行管理の責任者でございます運行管理者の研修ということをやっております。そういう中に研修の際等で時宜に適したそれぞれの問題を取り上げつつ指導していく、こういうやり方をやっておるところでございます。
  100. 中野鉄造

    中野鉄造君 建設省。
  101. 渡辺修自

    説明員(渡辺修自君) 道路法におきましては、この道路の構造の保全、それから交通の危険の防止という意味で、車両の幅、長さ、重量等についてある制限を設けておるわけでございます。しかしながら、積載する貨物が非常に特殊な場合、それからそういったものを運びますために特殊な車両を使わなくてはいかぬというような場合、これにつきましては、やむを得ないと認められるものにつきまして、特殊車両通行許可制度によりまして申請を受けました上で、通行経路、通行時間、それからその運行の方法等いろいろ伺った上で条件を付しまして通行を許可するわけでございます。  ただ、中に許可を受けないで通行される方がありましたり、それからその許可を受けておりましてもその条件に違反している場合、この間の山口の事故につきましては、どうも当方で許可をいたしました条件に大分反しておるようでございます。そういった方もあるわけでございますので、これにつきましては警察関係とも協議をいたしまして、時折管理をしております道路におきまして重量計等を利用した調査、それから指導取り締まりといったことをやっておるわけでございます。
  102. 中野鉄造

    中野鉄造君 もう私の持ち時間がありませんので、もう少し質問したいところでございますが、この積み荷事故に関する今後の事故続発というようなことがないように、ひとつ大いにこの点は取り締まりを強化していただきたいと思います。  次に、最後でございますが、最近の海外での旅行者の死亡事故というのがとみにふえているような気がしてならないわけですが、最近のまだまだ耳新しいところでは、この間の台北での遠東航空の事故だとか、少しさかのぼりますと、五十四年十一月にはニュージーランドでエレバス山に激突して旅行者二十三名が全員死亡したとか、あるいはことしに入ってからはアンカレジフリータイム六日間の旅、これでもやはりセスナ機で遊覧飛行中にマッキンレー山に激突して四名が死亡した、あるいはまたイタリア国内をバス旅行中に、ことしの七月三十一日に四名亡くなり重傷八名、あるいは先月の二十二日にはいま申しました遠東航空の事故、また同じ二十二日には台湾旅行中の四名の人が台北から高雄に行くやはり遠東航空機の事故に遭って死亡したと、こういう海外での死亡事故が続発しております。  現在、海外旅行取扱業者が全国で約四百五十社あるわけですけれども、その中で海外旅行傷害保険に加入をしているのが全体の約七七%と聞いております。残り二三%の業者においてはいまだ加入していない。そうしたことから、旅行者保護の立場からこれはもう非常に寒心にたえないわけですけれども、こういう万一のときの傷害保険については、これは義務化するか、または何らかの方法でこの加入を促進していくといったようなことがやはり望ましいのじゃないかと思います。やはり事故が起こってから取扱業者の責任だとかいろいろな問題が派生しているようでございますが、この件についてはどういうようにお考えでございますか。
  103. 石出宗秀

    説明員(石出宗秀君) 御説明いたします。  現在、旅行業者が付保しております海外旅行傷害保険でございますが、これは旅行者を被保険者といたしまして、傷害保険の保険料を旅行業者が負担するという制度でございます。この制度におきましては、旅行中の事故でありますと、交通機関の責めによって発生した事故、また先ほどの事故の例にもございましたけれども、自由時間中の行動中に発生した事故等、旅行業者がその事故発生につきまして責任がない場合でも保険金は支払われる制度でございます。したがいまして、このような保険を義務づけるということにつきましては、自分に責任のない場合についてまで旅行業者にその負担を強制するという問題があるわけでございまして、これを義務づけることにつきましては慎重な検討が必要であるというふうに考えております。  また、現在加入率が七割強でございますけれども、この加入を促進すべきではないかという点でございますが、現在旅行業者と旅行者が締結しております旅行契約の中ではここまでは契約の対象にはなっておらぬわけでございますけれども、したがいまして営業政策上の問題もあるわけでございますが、先生御指摘のように旅行者保護のためには非常に貴重な御意見かと思われますので、持ち帰りまして十分加入促進方につきまして検討させていただきたいと存じます。
  104. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 最初に大臣に行革と環境行政の関係について総論的にお伺いしたいと思います。  これからこの問題は国会で議論されていくわけですが、第一次答申の中身は、軍事費、それから海外協力費、エネルギー対策費、そこだけがふえて、あとは軒並みに削っていく、あるいは抑えていくということです。はっきりと「はじめに」というところでも国民に痛みがあるという指摘があるわけです。行革の理念を見てみましても、幾つかの問題で環境行政との関係で気になるところがあるのです。そういう点で大臣は、これがこれからだんだん具体化されていく中で環境行政は後退させないと、こうはっきり言えましょうか。
  105. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) 環境行政は後退させてはならぬ、こう考えております。
  106. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 させてはならないという大臣の決意と、それから現実に後退する可能性とやはり違うと思うのですね。特に私が心配しますのは、この理念の重要な一つに「変化への対応」ということが言われておるんです。「変化への対応」、それから第二に「簡素化、効率化」、第三に「信頼性の確保」。この「変化への対応」ということを注意深く見てみますと、そういうことを環境行政ではっきりおっしゃってきたのですね。  先ほどあそこにおられた自民党の環境部会長の森下議員ですが、おられて聞いてもらえば一番いいのですが、これは五月十三日付の新聞記事によりますと、「政策は時代とともに変わるべきものだ。現在はエネルギー問題もあり、(公害対策と)経済との調和が大事で、当時のままになっているのはおかしい。経済との調和条項は元に戻すべきだ」。それから行政改革に関連いたしまして「時代要請が終わった役所はスクラップにすべきだ。」。これは有名なスクラップのことですね。そして環境庁を指しているわけです。  環境行政現状に関しては「効果がないことに投資することは問題だ。(現在の環境行政には)行き過ぎの場合があり、自民党環境部会がそれをチェックするのは当然だ」「今後は公害健康被害補償法の見直しやカドミウム汚染問題の検討などを環境部会が課題として取り上げていく」。これは野党ではなくて与党で、しかも大臣が所属する政党の環境部会長の発言、個人的発言か部会全体の発言かようわかりませんけれども、もしそれが自民党の一つの方向となれば当然党員として拘束を受けますね。こういう指摘がされている。そういう中で本当に大丈夫なんだろうか、このことを改めてお聞きしたいと思います。
  107. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) 先ほども申し上げましたように、わが国公害問題、環境問題というよりもまず先に公害問題から始まったのです。これは一つの企業が生産に励んでいる過程で何かこう毒物が流れ出た、それがわからなかった、それで被害者が出てきた。ですから、特定の加害者と特定の被害者という関係で公害問題が世の中にあらわれてきた。それからだんだんと環境問題というふうになってきた。ですから、いろいろの世の中の移り変わりによって対応も変わってくるということは、これは環境ばかりじゃなく、何だってそうだというふうに考えます。それが変わらないと考えることはちょっとかたくなだと思いますね。しかし、今日どうでしょう、環境問題を度外視して考えていいというものはないのじゃないでしょうか。それはだれが何を言おうと世間がそれを許しますまいと私は思いますよ。  ですから、私は、どういうお話があったかそれは別として、それは人間いろいろ言いますよ。人間がそれぞれ違うようにいろいろ言いますが、環境問題を考えないでいいなどというような考え方が国民に受け入れられるはずがない。それで、国民に受け入れられない問題がわれわれ政治家として考える対象にならないことは言うまでもない、こう思っていますから。
  108. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 それじゃ具体的にお聞きしますが、先ほどのような意見が出てくる中には、環境問題は過去の問題であるとか、あるいは公害問題は終わったとか、こういう意見があるわけですね。そこで、大臣の認識としてお聞きをしたいのです。湖沼問題をめぐる中心としての環境についての大臣の見解、先ほどお聞きしました。まさに緊急の問題であり、取り組まなければ大変だということですが、公害もまさに公害被害者が現実に存在し、これもまさに緊急の問題として政治としては真っ先に取り組まなければいけない問題だと、こういう御認識はありますか。
  109. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) これも先ほど申し上げましたとおりであります。まだ片がついていないのです。いまだに苦しんでいる人がいるのです。そしてまた、その苦しみの状態がわれわれが対象としていることが原因となっているということはわかっている人もいます。それからそれがわからない人もいます。その認定作業はわれわれに課せられた仕事であります。一つも終わってないのです。ですから引き続いてやっていかなければならぬ、こう思っています。
  110. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 私も公害被害者と一緒に大臣に何度もお会いしまして、それに対する大臣の応対、まさにそういう立場で臨んでいるということはよくわかります。  ただ、被害者は大臣の言葉に感激しながらも何か割り切れないものを持って帰るんですね。それでこう言っておるんです。この間会ったとき、公害被害は非常に気の毒であり、患者のいる限り環境庁は全力を尽くす、少なくとも鯨岡長官でいる限り心配要らない、こう述べられて皆さん感激して帰ったわけです。ところが、しかしいろいろな状況を見てみますと、これは長官というよりも個人的な発言だったのじゃないかな。果たして本当に政府の一機構としての大臣としてそのことを信頼して、本当に政治を進めてもらえるのだろうか、こういう一抹の不安も持っておるんですよ。ですから、先ほどの環境庁スクラップ論に対してきっぱりした発言があってしかるべきだし、こういう被害者の不安についてはっきりとお答えいただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  111. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) いつのときにそういうふうに申し上げたか私いま記憶に定かではありませんが、被害者の方などが思い余って私のところへおいでになったときにはそれと同じような趣旨の話をしております。そして、それは鯨岡個人の発言というのはないですよ。私は環境庁長官で、この役所を預かる大臣ですからね。私、それは個人の考えです、いやこれは長官としての考え、そんなのはないですよ。私個人の考えというのは、私が家へ帰って私の家内なんかと話をするときには個人でしょうが、それ以外は個人ではないですよ、そういうものは。どうぞそのようにひとつおくみ取りください。
  112. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 それじゃそうくみ取りまして、そこで、しかし公に環境庁スクラップ論がやはり責任ある立場の人から出ておるんですね。それに対してどうも直接大臣の見解が聞けてないのですけれども、どうでしょうか、この場で。
  113. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) これも前にこの委員会などでも、また衆議院の委員会などでも何回も申し上げましたが、人いろいろ話しますよ、それは。十人十色というのですからいろいろ話をしますが、それは気にしていませんよ。だってそうでしょう、国民全体が環境問題は要らぬなんというふうに考えている人はいないんですもの。いまや西暦二〇〇〇年、いまから十九年ですよ。もう戦後三十五年もたってしまったのですから。十九年というのは、いま生まれた子が二十になったときは、いまの四十二億の人口は六十三億五千万人になって、砂漠がふえて森林が減って、食糧問題はどうなるんだ、大気はどうなるんだ、水はどうなるんだと考えると、一体人間は生きていかれるのだろうかということすらも心配しているときに——これすべて環境であり、自然破壊ですよ。そういうときに環境庁は要らぬのだというようなことは、どういうことでおっしゃったのかよくわかりませんが、一々それを気にしていなくたっていいじゃないですか。私全然気にしないです。
  114. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 それじゃ、それを基本としてまた臨調の答申の問題に戻りたいのですが、この答申の中で、世界の一割の経済力にふさわしい国際的対応ということで経済協力費、これがふえるわけですね。確かにその面があると思うのですが、しかし、この経済力、世界の一割の経済力というのは、国民の勤勉さももちろんありますが、公害世界一という国民の犠牲によってつくり上げた部分が相当多いと思うのです。そうしますと臨調の中で、ふやす部分は軍備、経済協力、エネルギー対策となれば、環境庁長官としては、この世界第一の経済力をつくった国民の犠牲としての公害世界一であれば、むしろこのときに対外費をふやすのであれば、もっと環境関係もふやせと当然言ってしかるべきだったと私は思うのです。  ところが、新聞記事によりますと、総理大臣との個別会談でやはり他省庁と同じように減らすということで同意をされてきたといいますと、先ほどの決意は決意としてお伺いしますが、こういう立場から見てどうなんだろうか。その点どうですか。
  115. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) 経済協力ですが、これは閣僚の間でも、閣議でも私は申し上げた記憶があるのですが、また総理大臣にもしばしば進言しておりますのは、経済協力と言っても、いまや地球的規模の環境の破壊というような問題に重点を置いて、そういう面にやはりお金が使われるような、そういう経済援助に経済援助の質は変えていかなければならないのじゃないかなというようなことを申し上げているのです。これはいまあなたの質問に直接答えたことにはなりませんが、お含みおきをいただきたい。経済協力の質の変化ということを、環境の面からわが国先進国として重視していかなければならぬというふうに考えておるということをお含み願いたいと思います。  それから、私はこれは国民全体にもわかってもらわなければならぬと思うのですが、わが国は三十七万平方キロしか国土がありません。これはイギリスと比べればまだ大きいですよ。西ドイツと比べても大きいですよ。フランスと比べるとちょっと小さいですが、それでも大した違いはないですよ。それにもかかわらず、かの国よりも大分小さく見えるのは何かと言えば、山地が多くて可住面積が少ないからです。だから、可皮面積当たりでエネルギーの消費料を考えても、物の生産量を考えても、もっとわかりやすく言えば自動車の台数を考えても、これはもう全然問題にならなく日本は稠密な、小さいところでもって仕事をやっていることになります。たとえば自動車の生産なんか日本を一〇〇としますとアメリカは三ですからね。ですから、環境問題に対してもっとよその国よりもうんとお金を使わないとよその国並みのことはできないんだということが言えるのです。ただ、そうなっていないことは事実上残念ながら認めざるを得ません。  ですから、今度の行革の問題は、総論賛成、各論反対で、これはお話としては結構ですが、ただし、私のところは私のところはとみんながそれぞれ言っていたのでは、それこそ総論賛成で各論反対では成るものも成りません。また、国会の皆様方に対してだってそれじゃ申しわけないと思いますからそれをあえて言いませんけれども、本音には、このぐらいのお金の使い方でよそ並みの環境対策ができるかというとなかなかできないぞということは私は申し上げておきたい、こう思います。
  116. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 経済協力の質については私は全く同意見です。そういう意味では海外協力をふやすべきだと思うのですね。  それから、国内の問題については、これは大臣の苦衷だと思うのですね。大臣の決意や熱意にもかかわらず妨害や圧力が多い、これは事実だと思うのです。先ほど私も取り上げた発言もその一つだと思うのですが、しかしそういう中で環境庁に対する応援団もいるんですね。環境庁に対して本当に期待している層もあるわけです。その一番最たるものは私は公害被害者だと思うのです。  ところが、この公害被害者に対する環境庁の扱いが余りよくないのです。大臣のところに行くまで相当手数がかかるんです。まず人数制限ですよ。門のところでまずチェックされて限られた人数、個々の面会も局長さん連中に会うのでも人数制限。実は私は二十一日にまた会うのですよ。これまた人数制限なんです。せっかく環境庁を応援しようと思って一番期待して行く人に対する態度としては余りよくないと思うのです。  そこで、私は入門規制と人数規制はひとつ大臣の環境公害問題に対する熱意の一つのあらわれとして撤廃をすべきじゃないかと思うのです。かと言って、何も二百人も三百人も行って混乱が起きるようなことはいまの公害被害者は決してしません。全国的にしっかり組織をつくって代表が全部指揮してやっているわけですから、そういう点は御心配せずにそういう措置をとるべきだと思うのですが、どうでしょう。
  117. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) これは二つの面からそう思ってもなかなかできない。私は賛成ですよ、およそ日本国民の政治をやっているんですから、日本国民が訪ねてきたときに、あなたどこの人ですかと言って、これは日本人に違いないですからね、それをいろいろチェックしてあなたはいいですとか悪いですとかいろいろなことを聞く必要はない。そんなことは要らないと思いますが、まず大蔵省という特別の建物がありますね。あれはまた特別ですから、大蔵省はやはり少し制限するようなことがあってもしかるべきなのかなと思いますが、あれは同じ敷地なんですよ。表から入ってくると大蔵省ですが、裏から入ってくると環境庁であり、行政管理庁、そして廊下を隔てて向こうへ行くと大蔵省に行っちゃうのです。ですからその面でなかなか建物の立地条件がうまくない。今度越すそうですから、そうしたらまた形を変えればいいと思うのですが、それが一つです。  それからもう一つは、われわれは限られたやはり時間内にやっていますので——どなたにでもお目にかかることに私はしてますよ、うちの局長たちもみんなそうですよ、ですが、次から次へとお客様が来て、それで余り短い時間で、五分ですよなんていうようなわけにはいきますまい。そうしますと仕事も何もならないのですよ。これはひとつお察しいただきたいと思います。そういう意味で、多少制限をするというようなこともできるだけ避けたいと思いますが、ひとつ御了解をいただきたい。公害被害者の方々にもできるだけ会うようにしますから、われわれの都合のいい時間を打ち合わせて来てくださるように先生からひとつ言ってください。
  118. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 胸の内はわかりました。大蔵省関係の管理の問題ですが、これは私も大蔵委員だから、ひとつ渡辺さんにも話をしようと思うのです。あの方もさばけた人だから、大臣同士だったらうまくいくはずだと思うのです。だからひとつ鯨岡長官からもざっくばらんにそういう問題を話をしてほしい、こう思います。  時間の関係で次に進みますが、行政のむだということ、これは確かにあるのです。特に各地の開発で、県などがずいぶん投資をして、売れないでそのまま草ぼうぼうになっている、これなんか最たるものだと思うのです。そういうものをやはりこの機会に見直しをしていくということは大変大事だと思うのです。  そのことと関連しまして、ひとつこれは企画調整局長にお聞きしたいのですが、土壌復元問題、これについての費用負担の問題です。特に神通川流域についての費用負担、これはどうなっていましょうか。
  119. 清水汪

    説明員(清水汪君) ただいまお尋ねのイタイイタイ病の関係の土壌改良復元の問題でございますけれども、これは御案内の事業者負担法に基づきまして第一期事業ということにいまなっておりますけれども、たしか昭和五十八年までという事業計画だったと思いますが、民間側では三井金属が負担者でございますが、これは負担の基準が法律にも基づいて決められておりまして、そういう決められた仕組みのもとで現在事業を、これは富山県が施行主体になりますけれども、その事業を実施中である、このように承知をいたしております。
  120. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 この問題、あるいは大臣には初めてお耳に入れることかもしれませんけれども、神通川流域につきましては、イタイイタイ病裁判判決の翌日に本社交渉がありまして、そこで土壌復元に関する費用は全部三井金属が負担する、こういう協定ができたのです、私も弁護士で立ち会いましてもっとも、これについてはずいぶん三井金属側も抵抗したんですよ、金もかかることですから。理屈としては、その被害地域にあるカドミウムは全部自分のところだけじゃない、自然からもある、だから全部は負担できない、こういう抗弁だったんですね。それに対して弁護士というのはまた理屈を考えまして、それならよろしい、自然のものはいいからおまえのところで持ってきたものだけ持って帰れと、こう言ったら社長も困りまして、それで全額負担するという経過があって、そして協定ができたのです。  ところが、いま局長からはっきり出ませんでしたけれども、いま進んでいる事業の企業負担は三五%です。全額負担するということを住民が約束させても三五%しか負担させないのです。これは県がやっているというので、企画調整局はいつもそう言って弁解しておるんですが、しかし国からの補助が三分の二ですから、そうでしょう、この事業に対するね。全額負担させれば事業はもっと進むんですよ。もっともっと促進するんですが、企業に三分の一しか負担させないで、そして国が残った分の三分の二を負担するという、これなどは明らかな行政のむだではないでしょうか。そのために住民は、税金からじゃ申しわけないというので苦労して協定書をとったわけですよ。大臣初めて指摘したことかもしれませんけれども、そういう問題、どうお考えですか。
  121. 清水汪

    説明員(清水汪君) 大臣の前に私からもう少し補足的に申し上げたいと思うのですが、私、裁判の判決そのものは余りよく詳細には調べておりませんけれども、恐らくそこで会社が言ったのは、まさにいま先生のお言葉の中にあった表現で言えば、会社の責任に帰すべき部分については自分が負担しましょうということがその裁判、当然損害賠償の訴訟だと思いますから、前提はそういうことになろうかと思います。  ところで、事業者負担法というのは、ケースにもよりますけれども、そういうような、たとえば本件のような土地汚染というような場合には、非常に原因が複合している可能性があるというようなことから、現在あります法律自体におきましても、当該負担すべき汚染者の負担に帰すべき部分——全部の場合にはもちろん全部になるのでしょうけれども、それがそういうふうにはっきりしない場合にはどうする、どれぐらいまでを持つというようなことを政令も含めて定めるようになっている、そういう体系であるわけです。そのもとで富山県におきまして審議会にも諮っていまのような負担関係で仕事を進めておる、こういうことだと思いますので、その審議経過自体について私の方でとやかく言う立場にはないと思いますけれども、そのように御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  122. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 その話は全然やはり理解できないことです。というのは、いま申し上げたようなそれぞれの汚染の寄与率についてはいろいろ意見があったのです、しかし、自然界にあるものだけであれば病気なんか発生しないのですよ。ところが、世界で一番たくさん悲惨な死が発生した場所ですからね。だから、上流から鉱山が流さなければ出てこないんだということが判決にも書いてあり、それをもとにして議論して、そして会社側もそれを了承した上で約束ができたのです。  それで約束の中身は、農用地の土壌の汚染防止策に関する法律に基づいて、被害地域に農用地復元対策事業が行われた場合に、原因者として事業費用総額を負担をするという、まあその他ありますけれども、ともかく事業費全体を負担をするというのです。そこまで約束したのですよ。それをいろいろな理屈を後からつけて、企業の負担部分なんていうものをつくって、そして割合を少なくしているのです。いま局長説明なんていうのは、あたりまえでしょう、企業の負担分を全部出しますなんていうのは。それはあたりまえのことなんですよ。しかしそれだけじゃだめだというのが、被害住民が苦労して、いわばこれは大臣にかわってやったようなものですね。それをいまそのようにねじ曲げるというのはとんでもないことなんです。  ところが、現にもう四十九年の八月に私がその問題を指摘したときに、当時の水質保全局長は、費用負担問題についてはここは解決済みでありますとはっきり答弁しておるのです。ということはその協定があることを知っておったからです。それをいまごろこういう解釈を持ち出すということは、環境庁自身が企業側に立って企業側の負担を少なくする、いま行政改革が問題になっているときそのむだをそのままにする、不要なところに三分の二も大事な税金から出していくと、こういうことになってしまうのじゃないでしょうか。
  123. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) 環境庁が企業側に加担をするいわれはないのです。そんな必要もありませんし、そういうことをしておりません。  ただ、せっかくのお話でございますが、私にはどうも理解できない点がありますので、十分後で検討して適宜の機会にお答えをいたしたいと思いますが、PPPの原則というのがありますから、ある企業の行為によって損害を公に与えた場合には、それはその企業の全部負担によって復元するということは当然過ぎるくらい当然のことなんです。そういうことが、いまの先生のお話では、裁判で決まっているのに県と企業との間では三分の一しか企業は出さなくてもいいようになっているということは不可解です、これは。不可解と言えば不可解です。しかしそんな不可解なことを県と企業がやるわけはないと、そう私はいまここで話しながらも思いますので、どういうわけでそういうふうになっているのか、それは私が責任を負って調べて後日お答えをいたします。
  124. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 不可解だということは、この問題が持ち上がってからずっと指摘をしてきた問題であります。  時間の関係で次へ進みますが、農水省、この復元事業、全体はちょっと省略して結構です。神通川流域の第一次が最初三年という予定で始まったのですが、これがちょっと遅れているということと、二次以降がどうなるのか。どうでしょうか。
  125. 村山昶

    説明員(村山昶君) ただいまの御指摘の神通川の地区でございますが、これは御承知のように五十五年の二月十六日に採択された事業をいま実施しているわけでございます。したがいまして、これは事業主体が富山県でございまして、計画は九十四ヘクタール、十分御承知と思いますが、これにつきまして五十四年度に採択して、初年度はいろいろ計画をまとめる、詰めるということでございますので、五十五年か七本格的に事業を実施しておるという次第でございます。  それで、ただいま先生の御指摘になられました本事業を三年でまとめてしまえという御指摘につきましては、当初そういうことが県等からも要望されたわけでございます。しかしながら、私どもこの事業というものを非常に私の関係しております防災事業の中でも最重点という形で進めているわけではございますけれども、なかなか現地におきまして非常に気象的な制約がございます。気象条件の制約がある。それからこの地区の場合には年間約六万立米内外の土を運んできて客土をしておるわけでございまして、事業をするサイドにとれば非常に有益な仕事でございますが、一方におきましては、たとえばダンプ公害というようないろいろな問題がございまして、これは県、市町村を含めていろいろと調整をしつつ仕事を進めておるわけでございます。  したがいまして現在まで、五十六年末までまだ完了でございませんけれども、約四〇%弱ということではございますけれども、たとえて申し上げますと、五十六年度の予算でございますが、国費で二億三千六百万円、事業費で約三億五千五百万円でございますけれども……
  126. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 時間がないので簡単にしてください。
  127. 村山昶

    説明員(村山昶君) はい。  これは対前年比で一七四%ということでございます。これは御承知のように非常に厳しい一〇〇%予算の中で非常にがんばったつもりでございます。  それから来年、五十七年の予算も現在予算要求中でございますが、これにつきましても、この地区について幾らとはまだ申し上げかねますけれども、この公害防止事業につきましては一二〇%強の予算を要求しておるわけで、これも全体では一〇〇%出るか出ないかという予算でございます。したがいまして、当初の御要望に対して必ずしも十分満足できなかった点につきましては申しわけないと思いますけれども、何しろ私としては非常にがんばってやっているつもりでございますので御了解願いたいと思う次第でございます。
  128. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 大変苦しい中で努力したということは評価をします。  ただ、大臣聞いていただきたいのは、指定された汚染地域が千五百ヘクタール、第一次が始まったのが百なんです。しかし、実際まだ第二年目で着手面積で三十四ヘクタール、完成面積では二十一ヘクタールなんですね。だから三年じゃまず無理ですね。百ヘクタールがそんなに時間がかかるんですよ。本当に千五百できるのかどうか、百年かかってしまうのじゃないか、そういう心配があるということ、だから特に促進してほしいということです。  そこで、最後に一つお聞きしますが、そういう状況ですから、第一次が終わってから第二次着工じゃ、これはとても進まないのですよ。だから、県はそう言っているそうですけれども、並行して第一次と同時に第二次も途中から始めるようにできないかと、こういう要望があるのですが、どうですか。それで終わります。
  129. 芦澤利彰

    説明員芦澤利彰君) 神通川流域の残っている汚染地域の第二次以降の計画の問題でございますが、これは御案内のとおり計画策定は富山県知事が行うわけでございまして、その際、農用地の土地利用区分をどうするかというふうな問題だとか、あるいはまた汚染除去のために採用する対策方法はどういう方法が最も適するかとか、あるいはまた客土母材、客土する場合の母材の採土地が確保できるか、あるいはまたその採土地の中で利用できる土の量がどのくらいあるかというふうな問題等々につきまして具体的な計画を立てなくてはならないわけでございますけれども、中でもなかなかむずかしいのが御案内のような市街化区域を含む地域でございますし、そこにおける土地利用計画をどうしていくかということについてなかなか関係者の間での意見も必ずしも一致しがたい面もあるようでございまして、富山県の方が現在当該市町村等と相談しつつ、その土地利用計画についての地元の意向の把握、あるいは意向の調整等を進めてい、そういうふうな問題の調整をしつつこの事業の推進を、計画の樹立を図っていこうというふうに考えているというふうに聞いておるわけでございます。  私どもも、当然環境庁等とも連絡をとりながら、土壌汚染対策を円滑に推進する、そういう立場からその調整が早期に図られてできるだけ早く第二次の計画が立てられるように、また同時に、第一次の計画の結果を踏まえつつ、いい事業計画が立てられるように引き続き富山県の方を指導してまいりたいというふうに考えております。
  130. 近藤忠孝

    近藤忠孝君 あと石炭火力問題がありましたけれども、ちょっと時間がなくなったのでやめます。
  131. 中村鋭一

    中村鋭一君 湖沼サミットがございました。朝から本岡委員もお尋ねでございましたけれども、この湖沼サミットに、午前の質疑ではたしか二十二県の中で十数県の知事さんが出られたということですが、鳥取県、島根県の両県の知事さんあるいは副知事さんはお出になりましたですか。
  132. 小野重和

    説明員(小野重和君) 鳥取島根につきましては部長さんが出席されました。
  133. 中村鋭一

    中村鋭一君 全国三位、四位の大きな湖を持っている両県なんですが、なぜ知事さん、副知事さんはお出にならなかったのでしょうか。何か理由はおっしゃいましたですか。
  134. 小野重和

    説明員(小野重和君) 私どもも余りしさいにお伺いするのもいかがと思いますので、予算編成等いろいろ忙しいのでどうしても手が離せないのでというふうに承っております。
  135. 中村鋭一

    中村鋭一君 これは朝日新聞ですけれども、「湖沼サミット 知事、副知事とも欠席 首かしげる環境庁「深刻さに気づかず?」」ということですが、これは長官首をおかしげになって、そのことに対しては知事さんがお出にならない、副知事さんがお出にならないということば鳥取島根両県が環境行政に対して熱意がないと受けとられて、それについて不快の念は表明されたのでございますか。
  136. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) 私、特に不快の念を表明したことはありません。私以外の人のいるところで俗に言う不快の念を表明したということはありません。ただ、事柄が事柄だっただけに知事さんに直接お出ましいただきたいと思いまして、私自身が署名をいたしましたお手紙を差し上げておきましたし、おいでにならなかったのは島根県だけじゃないのですから、何か特別の御事情があったろうと私は理解しております。ただ、残念なことは残念ですね。そう思っているだけで、別にだれかのいるところで不快の念を表明したことはありません。
  137. 中村鋭一

    中村鋭一君 先日、われわれ委員視察に参りまして、私も両県の知事さんと親しく懇談をされていただいたのですが、私の非常に個人的な印象を申し上げますと、鳥取県や島根県の知事さん初め幹部の皆さんは、あんなに美しい自然があって、たとえば島根県、緑化率が八三%だと伺いました、それを自慢はなさるわけですね。鳥取島根両県は公害がありません、非常に美しい湖があります、海岸線は弓ケ浜がありまして国立公園が全県の何%を占めておりますということをおっしゃるのですが、しかしその美しい自然がそのまま放置しておけばどうなるかということについての深刻な思い込みというのですか、そういうものが私欠けているような印象を受けたのですよ。  それでお尋ねするのでございますが、これは午前中の質問でも本岡委員がいたしましたけれども、島根県の中海干拓ですけれども、これについても島根県は、知事さん初め、中海干拓はお国がやっていらっしゃることですから、だからわれわれとしてはそのことについてとやかく申し上げる立場にはないというようなことで、たとえば中海水質問題等についても島根県としてこうやるんだということについての熱意が欠けているように私感じ取ったのです。  そこでお尋ねするのですけれども、中浦水門というのがございまして、あそこが、きのうですかきょうですか、もう作動を開始していよいよ中海の淡水化に踏み切ったわけでございますが、自然保護局長にお尋ねいたしますが、中海が淡水化いたしますと、現在あそこは塩水率がおよそ六〇%ですね、宍道湖が一二%ぐらいだったのじゃないか、ちょっと数字はあいまいですけれども、それが全面的に淡水化いたしますと、あの湖にすんでいる魚、それから湖に飛来しております水鳥、百種を超えると伺いましたが、そういうものについてどういう影響があるかについての環境庁としてのアセスはおやりになりましたですか。
  138. 正田泰央

    説明員(正田泰央君) 問題の所在は先生いまおっしゃったとおりです。で、先ほど本岡先生にお答えを申し上げましたが、十月から三月までの飛来と生息の状況について土地利用の観点から調査いたしますので、その際にきちんと、いままでこの種の調査は全国的にもやったことがございませんので非常にむずかしい調査であることはわかっておりますが、その飛来状況、生息状況調査にあわせてそのときにやりたい、こう思っております。
  139. 中村鋭一

    中村鋭一君 私、申し上げましたのは、地方自治体である鳥取県、島根県がどうももうひとつ、自然保護とは何か公害とは何かについて、深刻な推察というのですか、調査とか、そういうことを余りおやりになってないように思うのです。ですから、やはりその辺は環境庁がよほどしっかりしないとえらいことになる、こう思うのです。  それで、あの干拓の完成は昭和五十九年度ですね。この間の説明を伺いますと入植九十五戸を予定しているという説明でございました。その九十五戸は全部畜産農家を予定しているわけですね、農水省は。先ほど本局長おっしゃいましたように、湖を汚すのは生活雑排水もありますけれども、農家の、特に畜産農家の排水というものが湖の富栄養化に大きな影響があるというのはお認めになると思いますけれども、干拓して九十五戸全部畜産農家を予定している、こういうことなんですね。  しかも、その畜産農家が、五十九年に完成をして、現在完成率六〇%ですけれども、五十九年度に完成をして実際にそれだけお入りになるかというと、その見通しも県当局説明等では非常にあいまいでございまして、だから農水省がせっかくあの中海を埋め立てて干陸化して、さあ農民の皆さんどうぞお入りくださいと言ったって、実際に入ってくれるかどうかもわからない。それで入ってもらう農家は全部畜産農家、こういうわけですね。畜産農家は当然ながら排水によほどこれは気をつけませんとえらいことになりますね。しかも、午前中の質疑でもありましたように、たしか島根県の下水のすでに施行されております部分はわずか一一%ぐらいですね、これは大変なことだと思うのです。  長官、この中海干拓、私もう一度お尋ねさせていただきますけれども、長官としてはこの干拓が大変結構なことであるのか、それとも余り好ましくないことであるのか、その辺のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  140. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) これは前から計画があってその計画に基づいて所定の手続を経てやっていることでございますから、私がその問題について好ましいとか好ましくないとかと言うことは穏当でないと思います。ただ私は、午前中も申し上げましたように、そこだけでなしに、一般的に山を削ったり海を埋めたりするのはもういいかげんにしようというのが、一般的な問題としては考えているということを先ほども申し上げたわけであります。
  141. 中村鋭一

    中村鋭一君 二月二十二日付の朝日新聞ですが、「白鳥舞い戻る海岸に 買い取り含め対策環境庁長官保護へカツ」、こういう大変大きな見出しで、長官中海宍道湖にもう一遍ハクチョウが戻るようにしたい、その場合は買い取りも考えてもいいのじゃないかというふうな記事が出ております。これはこの新聞に報ぜられているとおりでございますか。
  142. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) 細かくどういうふうに言ったか覚えておりませんが、そこに書いてある趣旨のことは言いましたし、いまでもそう思っております。
  143. 中村鋭一

    中村鋭一君 「環境庁は、コハクチョウが減ったのは、中海宍道湖干拓、埋め立てが多過ぎることと関係があるのではないかと見ており、島根県の自然保護行政のあり方そのものにも再検討を求める方針でいる。鯨岡長官は、アメリカの環境保護運動の標語「トゥデイ・バーズ、トゥモロウ・メン」(いまの鳥の運命はやがて人間の運命)をひき合いに出して、事務当局に「中海白鳥が来なくなるような事態は絶対に避けるように」と強調し、国による海岸線の買い取りも含めた幅広い対策を立てるよう要求した。」、このように出ておりますが、これはこのとおりでございますか。
  144. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) 言葉遣いはどうか忘れましたが、その趣旨のことは申しました。
  145. 中村鋭一

    中村鋭一君 ぜひ、陳情もあったのですけれども、ハクチョウ宍道湖にも中海にもやってくるようにひとつ私からも要望をしておきたい、こう思うのです。地元の自然保護団体の方に伺いますと、あの湖には百六十種ぐらいのいろいろな鳥たちがやってきている、こういうことなんです。それがもう年を追ってどんどん減っているわけなんです。ですから、国が海岸線の買い取りも含めたとかそういう対策長官検討してもいいとおっしゃっているわけですね。それからまた、島根県の自然保護行政のあり方そのものにも再検討を求める、こうおっしゃっている。わけですね。  私、そういう姿勢がやはり鳥取県や島根県の知事さんがあの重大な環境サミットにも欠席をされる、そういう姿勢につながっているのじゃないか。それが非常に私残念なわけなんですけれども、したがってここで環境庁がやはり勇気を持って、たとえば中海干拓も、環境庁ができる以前にもう埋め立てが始まっているんだから、午前中も本局長おっしゃいましたけれども、いまさらわれわれとしそはとやかく言えませんと言うのじゃなくて、長官ひとつ事あるごとにそういった自然破壊、われわれの貴重な財産である湖が埋め立てられていくことについて懸念を表明をしていただきたい。これは国民に対しても、またたとえば閣議の席上においてもそれをぜひお願いしたい、こう思うのでございますが、いかがでございましょう。
  146. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) ハクチョウの問題にしても、ハクチョウが渡ってこないような状態、巣を奪ってしまうというようなことがないようにというようなことから先ほどお話しのようなことを申しました。いまでもその考えに違いはありません。環境庁ができる前から計画ができていて、その計画に基づいて諸般の手続を終えてやっていることですから、いまその問題について要らぬことだとか要ることだとかそういうことを言う立場にわれわれはありません。ありませんが、いまだにお金をかけてやっているところを見ると、当初の考えのとおりで関係者はやっているのだろうと思いますが、私は、時代が変わってきたらばやはり考え直すということがあってもしかるべきだろう、そういうことがあればしかるべきだろう、それでそういうことにちゅうちょする必要はない、こういうふうに考えておりますので、われわれがもし気づいたようなことがあれば遠慮なく関係者に申し上げてみたい、こういうふうに考えております。
  147. 中村鋭一

    中村鋭一君 ぜひよろしくお願いいたします。  たとえば、これは建設省がつくった「みずうみの水質」というパンフレットなんですね。で、中海干拓いたしまして淡水化すると非常に生態系にもいい影響が出てくるということを建設省がおっしゃっているわけです。中海にもたくさんの、監視塔というんですか、水質の検査をするための施設を建設省が設けてやっておられるわけです。そうして、こちらの農水省の図を見ても、締め切る前はこうだけれども締め切って淡水化すれば非常に美しくなる、「淡水化は湖内の生態系を安定させます。」と。現況は、酸素がなくなる、赤潮が発生する、燐酸が底に沈でんする、したがってヘドロが堆積する。これを締め切って淡水化いたしますと、遠いのでちょっとわかりにくいと思いますが、釣りをしている少年の絵がかいてありましてね、酸素はいっぱいになる、底生生物はよみがえる、プランクトンはいなくなると、いいことずくめのパンフレットを農水省の中国四国農政局がつくっていらっしゃるわけですね。ということは建設省や農水省は、中海を締め切りまして淡水化することによって湖は生き返るということをPRしていらっしゃるわけですね。  環境庁は、これまでに、この中海を締め切って中海宍道湖を淡水化すればこんなによくなるというふうに考えていらっしゃるのか、そういう調査をすでにされておるのか。それとも、そのことについてはこれまで何にもおやりになっていないのか。その辺をちょっとお聞かせ願いたいのでございます。農水省はきれいになると、こう言っておられますが。
  148. 正田泰央

    説明員(正田泰央君) 水質の面と別な面でちょっとお答えを申し上げたいと思いますが、この干拓計画昭和三十年からたしか計画がございまして、昭和三十八年、ちょうど十八年ぐらい前から始まったものでございまして、当初、ちょうどその昭和三十八年ごろですか、島根県の島根半島という、現在大山隠岐国立公園指定されていますが、そこに追加になりまして、そのときにこの辺一連の地域について自然の面からの検討が行われました。そして、その後陸地の方で新しく県立の自然公園になったものもあります。その際、私どもの方の面からだけ申し上げますると、この中海という地域は自然景観というような面で一級であるということにはならなかったわけでありまして、そこで現在のような状態になっておるわけでございます。したがって、自然の景観という面からは、あるいは自然保護という面からは、二十年前でございますから、そういう検討は行われておりません。
  149. 中村鋭一

    中村鋭一君 私が申し上げたいのは、農水省や建設省は、干拓事業を推進するために、恐らくは予想されるであろう反対意見、たとえば淡水化することによって湖が汚れるじゃないか、そういうことの機先を制するためにこれだけの努力をしているわけですよ。淡水化したらこれだけきれいになるとりっぱなパンフレットをつくって国民にPRしているわけですよ。だから、そのことについてやはり環境庁はもっともっと農水省や建設省に負けないくらいの努力を傾注して、農水省や建設省は干拓を完成させるためにこういう調査をし、りっぱなものになりますと、こう言っておるわけですが、環境庁はそういうことを離れて、現実に淡水化したらどうなるかということについてこれまでにもっと努力をすべきであったし、これからも努力をしていただきたい、それが私の申し上げたい点でございます。  それから、実際にもうこれは工事すでにやっているわけでございますから、再々おっしゃいますようにこれを環境庁がやめさすわけにはいきません。しかし、一方で長官、たとえば湖沼法あるいはアセスメント法が成立をいたしますと、現実に干拓が完成いたします、そうして広い地域が干陸化されます、農家が入植いたします、湖は淡水化いたします、その段階において、たとえば湖沼法、アセス法を適用することによって湖が非常に水質がよくなる、自然環境が良好な状態で保たれるという、そのことについての確信といいますか、それはあるのでしょうね。
  150. 小野重和

    説明員(小野重和君) 締め切りによる水質への影響でございますけれども、正直に申し上げまして私ども中海について具体的にどうかということについての調査はいたしておりません。ただ、一般的に言えることは、プラスマイナス両方ありまして、マイナス面ということになりますと、締め切れば当然のことながら閉鎖性水域になるわけでございます。それからまた、潮による薄まりぐあいですね、潮が入っているわけですが、潮がなくなりますから、やはりこれは淡水化すれば水質自体としてはよくないということが言えるかと思いますが、一方では、まあ若干技術的なことになりますけれども、水の上から下、下から上の移動ですね、潮が入ってきますと潮は下の方に行きますので上下の移動が余りないわけですけれども、淡水化しますと今度は移動が出てくるというようなことで、これはむしろプラスの要素、若干技術的なことで恐縮でございますけれども。  まあ、結論的に言いますとケース・バイ・ケースということになろうかと思いますが、私ども中海について特に調べておりませんので、中海については何とも申し上げかねますけれども、いずれにしましても、締め切られることはもうそういうことになりますので、そういう場合に一体どうなるかという水質の予測、そういう点、あるいはそういう予測を前提として具体的に水質保全のための対策、法律的に言いますと水質汚濁法の適用問題もありますし、湖沼法ができますれば湖沼法の適用ということでございまして、いずれにしましても水質保全には万全を期したい、かように思います。
  151. 中村鋭一

    中村鋭一君 これもこの間の視察のときに島根県庁で映画を見せていただいたのです。「湖とヘドロ」という大変よくできた映画でございました。御作が中国地方建設局の出雲工事事務所、したがって建設省がつくっておられるわけですね。長官、私はやはり環境庁にこんなもので負けてもらいたくないわけですよ。これは金をかけたりっぱな映画でした。このままほうっておいたら日本全国の湖がもうヘドロは堆積するし富栄養化してどうにもならなくなる、いろいろな豊富な例を引いて映画をつくっているのです。環境庁がつくっているのじゃないのですよ。結論を先に言えば、建設省というのは、まあ言い方は悪いですけれども、自然を破壊して国土を改造していくための役所という側面もあると思うのですが、それがこういう映画をつくっているわけでしょう。言葉をかえれば、どろぼうが防犯の映画をつくっているようなものじゃないですか。  ですから、中海に例をとりましても環境庁は何をやっておるんだと。農水省や建設省は国民に対してこういう映画をつくったり、パンフレットをつくったり、一生懸命PRしているわけですよ。目的があってしているのです。ところが、環境庁の目的というのは、先祖から預かったすばらしい自然をそのままわれわれは子孫に残さなければいけない、そのための役所でしょう。それが私はこういう怠慢は許されない、こう思いますから、せっかくひとつ御努力を願いまして、建設省のつくる映画に負けないような映画もどんどんひとつつくっていただいて国民の理解を得るようにしていただきたい。  それから湖沼法、アセスメント法案も、長官ぜひひとつ来るべき国会には御提出を願いまして、本委員会も真剣に質疑を重ねてぜひこれを成立させたい、私はそのように考えるのでございますが、この二つの法案についての長官の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  152. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) 二つの法案については、午前中も申し上げましたように、この前アセスメント法案は国会に継続審議の扱いにしていただいたわけでございますから、国会が始まりますれば私から提案理由の説明を冒頭申し上げて御審議を進めさせていただきたく思いますが、その扱いはやはり国会の方でお決めくださることでございますので、ぜひそう願いたいと思っているわけでございます。  湖沼法案の方は、法案をまとめなければなりません。これはわれわれの方でいま全力を挙げてかかっておりまして、国会に提出して御審議をいただきたいと、こう思っているわけでございます。  先ほどのパンフレットの件は、パンフレットは私見ておりません。元来そういうパンフレットを私が見てないというのはおかしいのでございますが、見ておりませんからとやかく言えませんが、先生これに負けないでとおっしゃいましたが、まことに恐縮いたしております。一言もありませんが、負ける負けないじゃないのです、これは同じ政府なんですから、よその国の政府じゃないのですから。だから、建設省の言うことや農水省の言うことと全く別なことを私の方がパンフレットで出したら、見た国民はどっちが本当なんだろうかといって迷ってしまいます。それが行政改革じゃないでしょうか。いま言っているのは来年度の予算についてのお金合わせの問題もずいぶんありますが、本当の行政改革というのはそういうところに、それがむだというものだと私は思うのです。  ですから、それは干拓なら干拓事業をやろうという立場から言うのでしょうが、そうだとは思いませんよ、そうだとは思いませんが、幾ら立場が立場でも、うそのことを言うわけにはいきません。私は入口をふさいできれいになるということは私の常識では考えられません、それは。しかし、そういうことが言えるのかどうか、それは見てみなければわかりませんけれども、そういうようなものは会社にもしたとえることができるとすれば、これはまあ不謹慎なことですが、片方は製造の方をやっている、片方は広告の方をやっている、片方は販売の方をやっているというだけの話で、同じ目的ですから、それがばらばら別々のことを言っていたのじゃその会社はつぶれてしまいますよ。私はそういう意味でいまの先生のお話を重大な御提案と受けとめまして厳重に注意したい、こう考えます。ありがとうございました。
  153. 中村鋭一

    中村鋭一君 一転して今度は苦情というわけじゃないのですが、これも午前中本岡委員が尋ねましたけれども、琵琶湖、霞ケ浦が死の寸前だ、西暦二〇〇〇年の姿、環境庁推計、これを見ますと、琵琶湖は、「今世紀末には、水道用水に適さないばかりか、漁介類の生息も困難な゛死の湖゛になる可能性が強い、との惨たんたる未来像をまとめた。」と、こう出ているわけですね。  大筋において午前中も本局長はたしかそれをお認めになったと思うのですが、私実は滋賀県の出身でございます。滋賀県の全面積の六分の一を占める日本一の大湖琵琶湖、この琵琶湖で全国で初めて琵琶湖の富栄養化の防止に関する条例を制定いたしました。この中で、「琵琶湖とともに生き、琵琶湖を愛し、琵琶湖の恵みに感謝する県民環境保全の意識に目ざめ、今、ひたむきに創造的な活動を繰りひろげている。」、「一体となって琵琶湖を守り、美しい琵琶湖を次代に引き継ぐことを決意し、その第一歩として、ここに琵琶湖の富栄養化を防止するための条例を制定する。」と、こういうりっぱな条例をつくり、県民もこれに歩調を合わせて、もういまは滋賀県民のだれ一人としてリン剤の洗剤を使っている人はないわけですよ。実効が上がっているのです。  それなのに、これを見ますと、私霞ケ浦のことは知りませんけれど、こんなにりっぱな条例をつくって知事以下県民挙げて努力している琵琶湖、その琵琶湖が「惨たんたる未来像」というのはちょっとこれはおかしいのじゃないか、こう思うのです。これについて滋賀県からは抗議は来なかったですか。
  154. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) 恐縮しますが、抗議は来ておりません。御理解いただきたいことは、私は滋賀の知事を初めとする県、それから住民、ことさら住民、これは知事もしばしば言っていますが、住民、これが琵琶湖を何とかしようということで熱意に燃えて一生懸命やっていることに対して、知っているばかりでなしに、平生非常な敬意を払っているわけであります。  それで、その惨たんたる何とかというのは、それは新聞の文章ですから、これは別に「惨たんたる」と私が書いたわけではない。そのことについてはもちろんそういうふうに御理解をいただいたとみえて、まだ滋賀県の方からおしかりや抗議のことは何もありません。ありませんが、あれだけの御苦労を重ねているにかかわらず、これ以上のことをしないでそのままでいれば、これはやはりよい方面に向かうよりはだんだんと悪い方面に向かってくるだろうということは、その心配は滋賀県の武村知事もしているわけなんです。  ですから、午前中も申し上げましたように数字に基づいてはいるのですよ。数字に基づいてはいるのですが、それを細かく検討して科学者のようにやったわけではない。強いて言えば、私が一日も早くこの湖沼の問題について全国民にわかってもらいたいという、この焦りにも似た気持ちから、わかりやすい物の表現は何だろうと言えば、先生いま申されたとおり、日本代表するのは琵琶湖です、それからその次が霞ケ浦ですから、二十年たてばいまの霞ケ浦はいまの手賀沼のようになるだろう、それから琵琶湖の南湖はいまの霞ケ浦ぐらいのことになるのじゃないか、それから北湖の方はいまの南湖のようなことになるのではないかということを言ったわけでございます。これをさらに国民に強く訴えたいと思った人が、これは「惨たんたる」というようなことになるのだと思いますが、どうぞひとつ御理解をいただきたいと思います。
  155. 中村鋭一

    中村鋭一君 まあ、おっしゃるとおりなんですが、ただ「環境庁は「生活排水対策下水道普及への努力がいま考えられているペースで進められ、特別の対策を打たなければ、こうなる、という姿をまとめた」」ということなんですが、しかし現に何度も言いますように、滋賀県は富栄養化に関する条例をやって、いま考えられている対策をすでに実施して、琵琶湖はいまどんどんきれいになっているわけですよ。だから、私は滋賀県民の一人として、「いま考えられているペースで進められ」と、いま考えられているのは、琵琶湖の場合は霞ケ浦とは違うのですから、現に十二分の対策をやって南湖はきれいになっているわけですからね。それをある程度数字をもとにしたとはおっしゃいますが、二十年後にはこのようになるというそのサンプルに琵琶湖をお選びになることはいかにも不適当で、ほかにもそういうのにちょうど当てはまる湖が幾らでもあるのですから、何もそれだけ努力している住民を白けさすような、努力に水を差すようなサンプルに琵琶湖をお選びになったという点について、やや私も不快の念を表明させておいていただきたいと思います。  まだいろいろお尋ねしたいことがございますが……
  156. 鯨岡兵輔

    国務大臣鯨岡兵輔君) ちょっと補足して。
  157. 小野重和

    説明員(小野重和君) 数字の根拠なんでございますけれども、概数でやっておりますけれども、実はこの琵琶湖につきましては、五十四年八月に滋賀県で発表した資料、これに基づいておるわけでございます。実はこの富栄養化防止条例の施行前の数字をベースにして、それまでの努力といいますか、施策、それがそのまま推移すればということでございまして、実はこの富栄養化防止条例の効果というのを見通しがカウントしてないわけでございます。数字上カウントできませんもので、その点をもっとはっきり琵琶湖については申し上げるべきであったかと思いますが、反省しておりますが、事実はそういうことでございます。
  158. 中村鋭一

    中村鋭一君 最後に一言だけ。  動物が自然がどうなっているかを教えてくれると思うのですよ。たとえば、明治末年まで生息しておりましたニホンオオカミ。もうおりませんね。ニホンカワウソ、ほとんど絶滅に瀕しています。イヌワシの生息個体も非常に激減しております。ですから、そういうふうに日本固有の動物が減っていくということは、同時に日本の自然がどんどん住みにくくなっていっているということをあらわしていると思いますので、保護局長、ひとつその点こういった、特に、特別天然記念物等の護等に当たっては、さらにまた格段の配慮をしてくださるようにお願いを申し上げておきたいと思います。  それから長官、私、長官には国民的な人気が集まっていると思うのですよ。戸叶先生も朝から長官のことをそういうふうにおっしゃっていたと思うのです。そこで、これは私の個人的なお願いでございますが、長官、ひとつ環境庁長官としての体験を本におまとめになりまして、環境庁長官奮戦記とでもいいますか、こういうものでひとつ大いに国民にやっているんだということをPRしていただく。それは行政上の長官としてのことと同時に、やはり非常に国民が親しみを持って環境行政というものに接することができる近道でもあると思いますので、早晩ひとつ本をおまとめになることをお願いいたしまして私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  159. 坂倉藤吾

    委員長坂倉藤吾君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時十二分散会      —————・—————