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1981-03-30 第94回国会 参議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年三月三十日(月曜日)    午前十時二分開会     ―――――――――――――    委員異動  三月二十日     辞任         補欠選任      喜屋武眞榮君     青島 幸男君  三月二十三日     辞任         補欠選任      中尾 辰義君     黒柳  明君  三月二十四日     辞任         補欠選任      福田 宏一君     梶木 又三君      青島 幸男君     喜屋武眞榮君  三月二十五日     辞任         補欠選任      梶木 又三君     福田 宏一君      安武 洋子君     小笠原貞子君      柄谷 道一君     小西 博行君  三月二十六日     辞任         補欠選任      佐藤 三吾君     小野  明君      小笠原貞子君     安武 洋子君      小西 博行君     柄谷 道一君      喜屋武眞榮君     山田  勇君  三月二十七日     辞任         補欠選任      坂元 親男君     長谷川 信君      福田 宏一君     下条進一郎君      小野  明君     佐藤 三吾君      安武 洋子君     山中 郁子君      山田  勇君     喜屋武眞榮君  三月二十八日     辞任         補欠選任      下条進一郎君     福田 宏一君      長谷川 信君     坂元 親男君     目黒朝次郎君     小野  明君      山中 郁子君     安武 洋子君  三月三十日     辞任         補欠選任      丸谷 金保君     寺田 熊雄君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         野田  哲君     理 事                 井上  孝君                 高橋 圭三君                 降矢 敬雄君                 円山 雅也君                 佐藤 三吾君                 峯山 昭範君     委 員                 伊江 朝雄君                 石本  茂君                 塚田十一郎君                 内藤  健君                 仲川 幸男君                 成相 善十君                 福岡日出麿君                 福田 宏一君                 丸谷 金保君                 鶴岡  洋君                 安武 洋子君                 柄谷 道一君                 森田 重郎君    国務大臣        外 務 大 臣  伊東 正義君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  大村 襄治君    政府委員        防衛庁参事官   岡崎 久彦君        防衛庁参事官   石崎  昭君        防衛庁参事官   上野 隆史君        防衛庁参事官   番匠 敦彦君        防衛庁長官官房        長        夏目 晴雄君        防衛庁長官官房        防衛審議官    西広 整輝君        防衛庁防衛局長  塩田  章君        防衛庁人事教育        局長       佐々 淳行君        防衛庁衛生局長  本田  正君        防衛庁経理局長  吉野  実君        防衛庁装備局長  和田  裕君        防衛施設庁長官  渡邊 伊助君        防衛施設庁総務        部長       森山  武君        防衛施設庁施設        部長       伊藤 参午君        科学技術庁原子        力局長      石渡 鷹雄君        外務省アジア局        長        木内 昭胤君        外務省北米局長  淺尾新一郎君        外務省中近東ア        フリカ局長    村田 良平君        外務省経済局次        長        羽澄 光彦君        外務省経済協力        局長       梁井 新一君        外務省条約局長  伊達 宗起君        外務省国際連合        局長       賀陽 治憲君        大蔵省理財局次        長        楢崎 泰昌君        運輸省航空局長  松井 和治君    事務局側        常任委員会専門        員        丸山 利雄君    説明員        大蔵省主計局主        計官       日吉  章君        通商産業省機械        情報産業局自動        車課長      西中真二郎君        会計検査院事務        総局第一局長   佐藤 雅信君        会計検査院事務        総局第二局長   堤  一清君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○昭和五十二年度一般会計歳入歳出決算昭和五  十二年度特別会計歳入歳出決算昭和五十二年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十二  年度政府関係機関決算書(第八十七回国会内閣  提出)(継続案件) ○昭和五十二年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第八十七回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和五十二年度国有財産無償貸付状況計算書  (第八十七回国会内閣提出)(継続案件)     ―――――――――――――
  2. 野田哲

    委員長野田哲君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  三月二十二日、中尾辰義君が委員辞任され、  その補欠として黒柳明君が選任されました、  また、二十八日、目黒朝次郎君が委員辞任され、その補欠として小野明君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 野田哲

    委員長野田哲君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  佐藤三吾君の一時委員異動に伴い、理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 野田哲

    委員長野田哲君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは、理事佐藤三吾君を指名いたします。     ―――――――――――――
  5. 野田哲

    委員長野田哲君) 次に、昭和五十二年度決算外二件を議題とし、外務省及び防衛庁決算について審査を行います。     ―――――――――――――
  6. 野田哲

    委員長野田哲君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 野田哲

    委員長野田哲君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 丸谷金保

    丸谷金保君 最初に、外務大臣に、アメリカからお帰りになって、いろいろ新聞その他でアメリカでの様子を見聞いたしておりますが、特にそのうちで、二十二日にヘイグ国務大臣との会談の際に、ヤンブルグ・プロジェクトヨーロッパヘ送る天然ガスの問題について、アメリカ側から「慎重に」という要請があった、こういう内容新聞記事がございます。それで、実は、これと前後して、日ソ商社との間の会談物別れになったというふうなこともございます、日本で行われておったのが。そのことについて、ヤンブルグ・プロジェクトというのは、ヨーロッパガスを送るということですから、直接的に日本の問題としては関連余り強くないというふうな感じでございますけれど、実は、北海道サハリン経由天然ガスソ連との間で結びたい、稚内市を中心にして苫東までも運んでくるというふうなことを官民挙げて熱望し、そういう交渉も続けられております。これに及ぼす影響が非常に大きい。これは大変だという空気が道内では、この推進を進めておる方たちの間で大変強うございます。したがって、「伊東ヘイグ会談で米「慎重に」と要請」ということでございますから、これについての内容をもうちょっと詳しく記憶をたどって御説明願いたいと思います。
  9. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) いま御質問のことは、ヘイグ国務長官国際情勢いろいろ話をした中で、対ソ関係のところで、穀物禁輸の問題でございますとか、あるいは日本側がいままでやっておる考え方とか、いろいろ話したことはございます。その中で、ヤンブルグ天然ガスのパイプラインで、ドイツとか、ドイツだけではありません。フランス、オランダ等たしかあったはずでございますが、そこへの話があったことは確かでございまして、ヘイグ長官からは、ドイツ担当者に対して、これは慎重に考えてほしいという意味のことを言ったと、しかし、ドイツはそれに対して、それもこの計画をやめるとか、そういうことは言わなかったと、慎重にやってくれということの話をしたが、ドイツはやめるというようなことは言わなかったということで触れたことがございまして、日本に対しまして、このヤンブルグ計画に対して、日本側が協力する、しない、それに対して意見を言うということは、これはございませんでした、ドイツのことだけで話が出ました。日本のことについては、これは話が出なかったのでございまして、新聞にいま先生のおっしゃったようなこと、何かヘイグ長官が私に言ったということであれば、それはございませんでした。ドイツの話で出ただけでございます。
  10. 丸谷金保

    丸谷金保君 大変微妙な問題だと思います。しかし外交上は、そういう間接話法というのは、しばしば使われますね。大臣はそれをどうおとりになりましたか。
  11. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 対ソの問題は、これは全般的に考えなければならぬ問題でございまして、昨年のアフガニスタン侵攻以来、ずっといろんな対ソ処置を考えておるわけでございますが、日本国内でもいろんな意見があることは御承知のとおりでございまして、日本がいままで公的な信用供与ということでやっておりますのは、シベリア開発森林資源でございますとか、あるいは、いま先生の言われました天然ガスとか、あるいは石油の掘削とか、探査とか、そういうようなことにつきまして、これは日本側でもエネルギーの問題、あるいは森林の問題で、必要性があるというような問題について、ケース・バイ・ケースで、御承知のように公的な信用供与をやっておるわけでございます。それで、本件については、これは日本ではまだイエスとかノーとか、業界の人から具体的な話を持ち込まれて、政府がどうするかというようなことまでの話は、この問題は実はいってないわけでございます。そして、私ども知っておりますのは、ヨーロッパで、ガスの量をどのぐらいにするとか、価格はどうだとかいう、そういう話し合いはされておりますけれども建設そのものに直接まだ商談が決まったとかいうことは、私はないというふうに聞いておるわけでございまして、先生のおっしゃるのは建設の問題だと思うのでございますが、まだ政府業界からこれについて、公的信用をしてもらいたいとかどうとかということはまだ持ち込まれておりませんので、私どもとしましては、これは関係省皆あるわけでございますが、まだ意見を言う段階にないということで、いままでは何もこのことについては触れてないわけでございます。今度もアメリカとの関係で、この問題について日本にどうだという意見は、ヘイグさんからはなかったということだけは、これはもう確かでございます。
  12. 丸谷金保

    丸谷金保君 実は、伊東ヘイグ会談が行われた後に、東京ソ連日本との商社の間で商談が進められておりました。それが外務省筋から、ヘイグ長官から慎重にという発言があったので、日本政府は慎重になったというふうにとられるニュースが流れたのでございます。そのため、結局この商談を進めるのには、日本輸出入銀行だとか、そういうものの長期借款というふうなものも必要だとして、要するに政府の対応の仕方によって、話が進むか進まないか、それがヘイグ長官から伊東外務大臣に対するプレッシャーがかかったので、さっと取りやめになったというような印象で流れておるのでございます、なぜこの時期に大臣がそういう話はなかったということが、外務省筋公式発表としてなされたのですか。ちょっと私これ問題だと思うのです。国内ではそういう話があったということで、外務省から発表になっているんですよ、
  13. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 私とヘイグさんの話では、日本がこの問題についてどうしてくれなんということは一言もございませんで、ドイツヘイグさんが話したという紹介はあったわけでございますが、日本に対してどうしてくれということはなかったわけでございまして、私はこのことについて、アメリカへ行っての会談の結果、こういうことだったというようなことを言ったということは聞いておらぬのでございまして、いまの御質問でございますと、外務省が何かそういうことを言ったらしいと、こういうことでございますが、私はいまここで初めて東京へ係が打った電報をとったのでございますが、そんなことは言ってないのでございますが、その点は調べてみます。しかし、私はそういう話は全然受けなかったのでございます。
  14. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは二十八日の毎日新聞です。「伊東ヘイグ会談で米「慎重に」と要請」と。中身は、確かに間接話法です。しかし、「外務省筋が二十七日夜明らかにしたところによると、」二十二日、東京時間で二十四日に行われた会談の席上、米側西欧各国との話し合いで「慎重に」ということを話しているという内容日本側に明らかにされた。だから、日本が三十億ドルというこれに対する商談の話をしていることをやめてくれとは言ってないんです。しかし、これは「日本側慎重対処を求めたものである。」という結びなんです。ですから、外交上はそういう間接話法というのはありますから、外務省専門家に言わせれば、これは日本に対する慎重配慮というふうに言ったという理解をしたのではないかと思いますよ。  そこで冒頭、私が間接話法で言われましたねと言ったのはここのところなんです。だから、受け取る側にしてみればプレッシャーだけれど、正面からそのことは言っていないと。しかし国内は敏感にそれに反応して、それと今度は北海道シベリアサハリン経由で持ってこようという計画で、盛んにそういう運動を進めておる。これに水をさす結果になって大変だ、こういうことなんです。しかし、少なくとも大臣シベリアサハリン経由北海道経済を潤すための天然ガス計画で、アメリカ側からプレッシャーが今後もかかる心配はないというふうに断言できますか。
  15. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) いま先生のおっしゃるプロジェクトは、前からこれ話の出ておる問題でございまして、パイプで来るか、船にするかなんていういろんな経過があったことは新聞等で私も知っておりますが、このヤンブルグのことが原因になりまして、日本にそういうことがかかるかかからぬかという御質問でございますが、実は、私ども対ソ措置をやっております場合に、これはいいとかこれは悪いとかいうことを、何も一々向こうと相談してやっておるわけじゃ私は全然ございません。日本経済上これは必要だと思うものは、日本で自主的に判断して決めるということで、石油の問題でございますとか、天然ガスの問題でございますとか、これは実はやっておるわけでございますので、私はこういうことが、ドイツにどう言ったから日本にということは私はないと思いますし、私はまた日本にそれが必要だということであれば、自主的にこれ当然判断すべき問題だということを思っておるわけでございます。
  16. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、大臣が二十二日にアメリカで会われた、間接話法で聞いたと。聞いたということは大臣からは出ているわけですわね。ヨーロッパドイツや何かに対して慎重対処せいというふうにアメリカ要請しているという話はお聞きになったんですね。
  17. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 会談内容は、アメリカから外務省の方へはこういう会談があったということは伝えておりますから、それは伝えております。ただ、そこにまだございまして、ドイツヘは話しているけれどもドイツはそれは何も納得してオーケーと言ったんじゃない、こういうこともついておるわけでございまして、やっぱりそういうことは自主的に私は判断する必要あると思うのです、ですから、日本が一々お伺い立ててなんて、そんなことはやっておりませんから、いままで対ソ措置の問題も。でございますから、これは日本の独自の判断で、いまの御質問の点は考えてまいります。
  18. 丸谷金保

    丸谷金保君 ちょうど軌を同じくして行われていた三十億ドルの商談が二十七日に壊れたんです。プレッシャーがかかる仕掛けのものでないと大臣がおっしゃる。ヘイグ長官から、そういう話があったという外電が入っただけで、外電というか、外務省に。このことは日本国内ではやはり大きな問題として取り上げられ、新聞にも報道され、進められていた商談は、全く関係ないと大臣おっしゃるかもしれませんが、軌を一にして物別れになってしまったという事実だけはあるんです、そして、そのことがそれぞれしたたかな国を相手の商売ですから、これを協力してくれればこちらにも乗るぞというような形の風聞は流れそおりました。それだけに決してこのヤンブルグプロジェクトというのが日本関係ないことでないんです。これに協力してください。そうすればサハリン北海道ルートの問題についても、一歩進めた話に応じてもいいというようなことが巷間伝わっておりますから、それで北海道内の推進をしておる人たちは非常に戸惑いしておる。ですから、関係ないと大臣言われているけれども関係があるんで、こういう会談のときの承るということは、承っただけでも大きなプレッシャーになるんだ。日本のことを言ったんでないということにはならないんです。ドイツ要請しているよという外交上の間接話法というのは、そういう影響力も持ちますので、私はそんなこと全然聞かなかったということでないというふうに、ひとつ認識を新たにしていただいた上で、さらに一体外務省どこからこういうふうに流れたのか、大臣は知らなかったということなので、また一日に予算分科会大臣と二時間やる時間がありますから、それまでにひとつ十分お調べいただきたいと思います。  それからもう一つ韓国との問題については、相当突っ込んだ話し合いが持たれたと承っておりますが、いかがでございますか。
  19. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 特に韓国ということじゃなくて、ヘイグ長官とやりましたときに、世界情勢認識――中東問題でございますとか、東南アジアの問題でございますとか、アジアの問題でございますとか、そういう話を、意見交換をした中で、アジアの問題の中で中国の問題、朝鮮半島の問題の意見交換をしたことは確かでございます。その場合に、韓国米軍の駐留ということを継続してこの間やるということを、米韓の首脳の会談で行われたわけでございまして、あのとき日本側としてはそれを評価しますということを言ったわけでございまして、朝鮮半島バランスという、力のバランスという意味でこれを評価したということは、言ったことは確かでございます。ただ、韓国はこれは日本との隣国で、日韓関係の友好ということを維持発展させなきゃならぬことは、これはもう当然でございますが、日本は軍事的なことは何もできない、経済協力とか、技術協力でやっていくんだということを言ったことは確かでございます。
  20. 丸谷金保

    丸谷金保君 ワインバーガー国防長官会談したことも含めてのいま御答弁のようでございますけれども、その中で竹島の問題というのは一度毛問題としては外務大臣の方から取り上げませんでしたか。
  21. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 韓国問題、朝鮮半島の問題をやったのは、ヘイグ長官ワインバーガー国防長官、たしかお二人でございますが、特に竹島の問題について言及してどうこうということは言いませんでした。
  22. 丸谷金保

    丸谷金保君 日韓の間で防衛問題を緊密にやっていくような形、あるいはアメリカ側が要求している日本に対する防衛上のエリアの問題その他を考えていく上で、私はやっぱり竹島問題というのは避けて通れない非常に重要な問題だと考えておりますが、この点に対する大臣の御認識いかがでございましょうか。
  23. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 竹島の問題が防衛上非常に重大だという御認識でございますが、私ども日韓関係を話しましたときに、これは特に竹島ということでなしに、朝鮮半島の議論をしたのでございまして、竹島日本の領土であるということで、日本はもう当然そういう主張をし、韓国との間に了解に達しておらぬという問題があることはそのとおり認めます。平和裏的な話し合いで、日本としては解決をしたいという従来どおりの考えでおることは確かでございます。
  24. 丸谷金保

    丸谷金保君 私は、この日韓の問題について、アメリカへ行ってそれぞれ国務大臣国防長官と話しながら、日本外務大臣から一言も出なかったということははなはだ遺憾であると思いますが、時間がございませんので、きょうはこれでとどめておきます。
  25. 峯山昭範

    峯山昭範君 外務大臣 大変お忙しいようですね。私たち決算委員会でやっぱり外務省関係をやる場合、少なくとも一日ぐらい時間をとりましてじっくりやりたいのですけれども大変お忙しいようでございますし、非常に短い時間でございますので、端的にいろいろとお伺いする以外ございませんので、二、三お伺いしたいと思います。  まず、大臣アメリカへ行かれまして、カーター政権からレーガン政権へかわったわけでございますが、いろいろとその違いやら、日本立場、あるいはアメリカ立場というのをそれぞれ感じられて帰ってきておられると思いますね。特に大きな違いは私はないであろうと思いますけれども大臣として、カーター政権からレーガン政権にかわって、特に感じたことを二、三ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  26. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 参りまして、いろんな要路に会って会談をしたわけでございますが、いまみんなどこでも口をそろえて解決しなきゃならぬと言っておられたことは、国内経済対策、御承知のような経済再建計画というのが発表になって、予算もいま国会に出、いろんな減税の法律とか、いろいろあるわけでございまして、まずアメリカが、自分自身が強くならなければいかぬ。失業あるいは景気の後退、インフレ、こういうことでは、みずからの足腰がしっかりしない。それで、こういうことをひとつ解決しなければならぬということで、歳出削減でございますとか、あるいは減税ということで、民間活力を活用しようとか、あるいはいろんな環境の規制を解くというような、なるべく政府関与を少なくして、小さい政府といいますか、関与を少なくしまして、民間活力というものを増大するのだ、インフレなき経済成長と、こういうことでしょうが、それに対して、もう全部がまずこれをやらなければいかぬということを考えておるということは、カーター政権当時出しました予算を大幅に削減するというようなことにあらわれているわけでございます。その中には、御承知のように歳出削減の中で、防衛費だけがふえているわけでございます。これは、やはりアメリカ一つ考え方のあらわれでございまして、外交問題等話しましたときも、米ソのバランスがどうも近い将来に崩れるというようなことになっては大変なんだと、まずソ連とのバランスということを図って、その上に立って、世界の平和というものに取り組んでいくんだ、米ソの話し合いもするんだ、しかし米国一国で世界の平和というわけにはいかぬので、友邦国と十分に協議を図って新しいパートナーシップを育て上げていくんだというような主張が、大体どこへ行ってもあったわけでございまして、米ソの関係につきまして非常に関心を払っておる。いままで、第三世界に対するソ連の進出、あるいは軍備増強ということに対して考え方が甘かったんじゃないかというようなことがよく言われたわけでございまして、そういう点は、国内経済をしっかりするのだ、あるいは米ソのバランスの問題とかということは、特に強調があったわけでございまして、前の政権のときにアメリカへ行ったときとの考え方の違いかなという感じを持ちました。ただ、国際情勢に対する認識等は、もう事実は同じなんでございますから、そう大きな違いはないというふうに思って帰ってまいりました。
  27. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣国内経済の再建をしようという点については、これは日本も同じだと私は思うんです。そういうふうな意味で、いま大臣おっしゃいましたように、アメリカがいわゆる小さな政府、そして歳出削減して、減税をやって、そして民間活力をつけよう、こういうふうに非常に努力をしていらっしゃるわけですね。日本は、これはどうも逆ですな。大幅ないろいろな増税をやって、民間活力はどうも殺してしまって、それで防衛費については、これはもちろんいま大臣おっしゃいましたように、防衛費だけは伸びておるわけでございますけれども、その点については、日本を初め、欧州諸国に大分アメリカも押しつける。そういう方向からいきますと、この国内経済の再建の問題については、レーガン政権と鈴木内閣との間には大分開きがあるみたいですが、ここら辺のところはちょっとかちんときませんでしたか。
  28. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 国内政策の考え方でございますが、日本はずっと経済成長も、高度ではございませんけれども、世界の中では経済成長を続けているのでございまして、その中で、もちろん物価が上がっていることは確かでございますが、ヨーロッパ、あるいはアメリカのような物価の上がりはないわけでございまして、失業もありますけれども、失業率から言うと非常に日本は低いということで、経済の事情は大分違うわけでございますので、これはそれぞれの国によって、私は経済政策というものはあってしかるべしだと思うわけでございます。日本は、御承知のような赤字な公債発行の累増ということがございますので、これ財政インフレになるおそれもあるということで、実は予算で増税のお願いもし、やっておるわけでございますが、アメリカ政府が、小さい政府にしようということで、歳出等を相当、カーターさんの出した予算を切って、歳出削減をやろうというようなことをやっておられる。あるいは、小さい政府ということで、いろいろな、日本で言えば許認可のようなものを少なくしていこうというようなことを、非常な決意を持って努力しておられるということは、私は日本としてもこれは学ぶべき点があるというような感じを持ってまいりました。
  29. 峯山昭範

    峯山昭範君 もう時間がありませんので、余りそこら辺のところは深く追及はするつもりはありません。  大臣、三月の二十三日のワインバーガー米国防長官との話の中で、端的にお伺いしておきたいんですが、防空能力と対潜能力の強化の問題について、正式に要請があったというような報道があるわけですが、特にワインバーガー国防長官との会談の概要、この二つの点について、どういうふうなお話だったのか、お伺いしておきたいと思います。
  30. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 具体的に防空能力とか、対潜能力を日本が強くしてくれというような期待表明は、これはございません。ワインバーガーさんが言いました中で、ソ連のバックファイアとか、潜水艦とか、こういうものが相当海域に来ているんだという一般的な説明はございました。ワインバーガーさんの話は経済再建計画防衛の強化ということで、レーガン政権が国民から信託があったんだという前提に立ちまして、ソ連とのバランスの問題でございますとか、あるいはアメリカがペルシャ、インド洋、南西アジア、東南アジア、それから北西太平洋という言葉も使いました。あるいはグアム以西、フィリピン以北という言葉も使いました。そういういろいろな言葉を使って、各方面で非常に防衛の努力をしているんだ、ついては、日本経済的に力強い国になったんだから、できるだけの防衛力強化の努力はしてもらいたいという抽象的な話で、防衛力強化の努力を日本に期待するということがあったわけでございます。その中に、一般的な説明として、さっきの飛行機の問題とか、潜水艦の問題が出たのでございまして、それに即応して、日本が対潜能力、防空能力を強化してもらいたいという、直にそういうことはございません。一般的な話であったわけでございます。これに対して、日本は憲法の制約、法令の制約もある、専守防衛だ、国民的コンセンサスというのはなかなか防衛についてはむずかしかったんだ、しかし、やっと議会に委員会もできて、国民的コンセンサスもだんだんできつつあるんだというような説明をしまして、そして、日本には防衛計画大綱という政府決定のものがあるので、その基準に達するよう努力しているんだというようなことを、私から一般的に説明したのでございます。具体的にという感じは、在日米軍の駐留経費、これについて許せる範囲でひとつ努力してもらいたいという話があったのが、まあ具体的と言えば具体的なことかもしれませんが、あとは、一般論としての防衛力強化の努力をしてもらいたい、こういうことでございました。
  31. 峯山昭範

    峯山昭範君 ストレートにそういうような話はなかったにしても、ソ連のバックファイアの配備や、原潜の配備等から、そういう客観情勢を説明して、それで、アメリカもこういうような努力をしている、それに対応して日本もそれなりの努力をしてもらいたいというふうな、いま大臣からいえば一般的な要請なんですな、言うたら。そうしますと、それぞれの立場から見れば、アメリカの正式の要請と受け取ってもおかしくない、こういうような感じなんですね、大臣、そうなんでしょう、大体。
  32. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 私が言いましたのは、一般的にそういう努力をしてもらいたいという期待表明がございましたときに、日本は狭い意味の軍事力ということのほかに、これは、日本としてはそれはもう制約があるんで、経済協力あるいは外交努力とか、そういう面等総合的に考えて総合安全保障ということをやるんだということを言い、具体的問題はいずれ、事務レベルの協議というのが御承知のように去年もやり、毎年やっておるわけでございますから、こういう協議もあるだろうし、ワインバーガーさんが大村防衛庁長官と会われる場合もあるだろうから、そういうときに中業の問題とか、そういう具体的な話はいずれされるでしょうということを私は言ったのでございまして、いま向こうが、そういう飛行機とか、潜水艦がこっちに来ているんだという説明があったこと、そのままそれが防空能力、対潜能力の強化を日本に期待したんだというふうには話をしていて感じなかった、一般的な努力の表明ということだというふうに受け取っております。
  33. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣、これは、ワインバーガー国防長官大臣にお会いして、その会談の中でそういうことを説明したというのは、レーガン政権になりまして、御存じのとおり、もうすでに新聞でも報道されておりますように、大臣が行かれる前でしょうけれども、三月の五日のアメリカの上院軍事委員会で、レーガン政権の八十一、八十二両年度の国防予算のいわゆる大幅増税修正案の説明の中で、もうすでにワインバーガー国防長官は、こういうふうに説明しているんですね。米国の軍備強化と並行して、同盟国にも分担を求めることは、レーガン政権の軍事政策の重点目標だと。同盟国というのはもう日本と欧州になってくるわけですね。しかも、その中で長官は、北大西洋条約機構諸国と日本にというふうに明確にもう出ているわけですね。そして共通の防衛のためにさらに貢献するよう要請することが必要不可欠だと、こういうふうにその報告の中で具体的におっしゃっているわけです。そしてそのために、こうした共同防衛のための方法として、具体的に一つ、新兵器や高度科学兵器の共同開発、生産を行うと、それから二番目に、戦略戦術訓練などの共通化を図ると。この二つの共同防衛努力の強化は米国、西欧、日本を柱にした対ソ共同戦線づくりを意味しており、日本で論議を呼びそうだというふうに報道されているわけであります。こういうふうな前提条件があって、やっぱりこういうことも裏にあって、そこら辺の情勢を説明しながら、アメリカ立場大臣にやはり説明したであろうと私は思うわけです。  そこで一つは、同盟国に分担を求めるというのが、レーガン政権の重点目標と、こうなっているわけですね。そしてその重点目標を議会で発表し、そして議論されたその後に、大臣アメリカへ行かれているわけですね。そこで、この重点目標の話が同じいわゆる国務長官、外務大臣の中で、話が出なかったというのも私はおかしいと思うし、ここら辺のところについてはどういうふうにお考えなのか。全く出なかったのか。私は、いまおっしゃったように大臣は一般的にと受け取っていらっしゃるかもわかりませんが、実際問題としては、そういうふうな中から、もうすでにそういうふうな外堀を少しずつ埋めて、もう大体話は来ていると、そうじゃないかと思うんですね、大臣。それが一つ。  それからもう一つは、兵器の開発や訓練という問題がありますが、こういう問題についてもすでにそういうふうな報告が議会の中であっているわけですね。そうしますと、そこら辺の問題については、具体的に話し合いはなかったのか、またそれらしい話はなかったのか、それを含めて大臣の御答弁をお伺いしたいと思います。
  34. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 同盟国に協力といいますか、そういう防衛力の強化の努力をということは、これは一般論としてワインバーガーさんだけでなくて、ヘイグさんもそういう話をしたわけでございます。それは対ソの問題で軍事バランスということを考えるが、一国だけで世界の平和というものを守るということはもうそういうことはできないんだと。やはり同盟国に十分に協議をして、新しいパートナーシップを育てていくんだという表現もございましたし、また同盟国が、ワインバーガーさんはそれぞれ防衛力の強化に努力してもらいたいんだという表現でこれはあったわけでございますので、これは一般的に出ている言葉でございます。ただ、ワインバーガーさんが言いましたことでちょっと注意すべきことは、基本的な考え方を同盟国の間でよく相談しようと。そしてそれが決まれば、そのおのおのの国がどういうことをやるかというのは、これは自主的に判断すべきことであって、アメリカが押しつけてこうしなさいとか、こういうものをこうしなさいとか、そういうことは言わぬと、それは自主的に各国が判断すべきことであり、それぞれ基本的なことはよく相談をしたいと、それで一%とか、二%とか、そういうことで、角突き合わせるというふうなことは、これはちっともプラスじゃないと。数字がひとり歩きするというようなことはプラスじゃないんで、自分らとしては、そういうやり方はやらぬつもりだと、押しつけはしないつもりだというようなことがあったわけでございます。  第二点の先生のおっしゃる高度技術の開発の問題、あるいは演習の問題が出たかということでございますが、これは話は出ておりません。しかし、こういう問題につきましては、防衛庁と事務的に向こうがいろんな話し合いをしている中に、去年のたしかリムパック演習の問題なんかすでに実施していることもあり、技術の相談とか、そういうことは私は事務的には当然やっていることだろうと思うわけでございまして、私のときには特にそういう問題は出ませんでした。
  35. 柄谷道一

    柄谷道一君 さきの日米会談内容につきましては、予算委員会の集中審議でも相当明らかになっておりますので、私は、本日は政府開発援助――ODAの拡充についてお伺いをいたしたいと思います。  言うまでもなく、わが国の平和と安全保障を確保するためには、国内的にはもちろん、国際的にも多様な施策が総合化されなければならないと思います。防衛力の整備につきましては、今後さらに国民のコンセンサスを求めつつ、基本的には憲法の枠内で、しかも財政事情を考慮しつつ対応していかなければなりませんし、エネルギー、食糧面での施策の拡充も必要でございます。同時に国際経済面における種々の対策が必要であることは当然だと思います。日本にとって必要なものは、平和で安定した国際環境を積極的対応によって構築することではないか。そのためには、世界の緊張緩和の上に決定的な重要性を持つ南北問題改善のために、わが国の経済力に見合った政府開発援助の拡大と、その質の改善に一層の努力を払うことが肝要であろうと思います。このような努力は、結局国際社会における日本の対外交渉力を強め、日本の主張がより効果的に国際社会に受け入れられる基盤をつくるという面からも、重視しなければならぬのは当然でございます。  昨年二月、国連事務総長に提出されましたプラント委員会報告を見てみますと、南北関係の再編成は軍備の競争抑制と並んで、今世紀の残りの期間人類が直面する最大の挑戦として、経済協力必要性を強調しているわけでございます。  そこで、まず外務大臣にトータルディフェンスという観点から、政府開発援助をどのように受けとめ、総合的安全保障を確保するために、どのように位置づけされるお考えなのか、まず、その基本的見解についてお伺いをいたします。
  36. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 御質問の点でございますが、プラント報告のお話がございましたが、これは開発問題というものが、今世紀で非常に重要な問題だということで、南北問題等があるわけでございますが、日本経済協力の私はやはり一番大きな目的は、南北問題ということを頭に置いて、発展途上国の開発でございますとか、あるいは食糧、エネルギーみんな開発の対象になりましょうし、あるいは民生の安定、福祉向上ということが、私は経済協力の基本にならなけりゃいけないというふうに考えておるわけでございます。もちろん人道的な考え方から、あるいは西側の一員としての相互依存あるいは二国間の依存とか、いろいろ総合的に考えなければならぬことは当然でございますが、やはり一番大きな問題は、南の方が、開発途上国が開発されずに不安定化しているということは、これは社会不安だけじゃなくて、いろんな政治問題にも発展する、南北の対立というようなことにもなりますので、南と非常に関係のある日本としましては、これはいまのような考え方を中心に、トータルディフェンスといいますか、広い意味のディフェンスでございましょうが、考えていく必要があるということで、経済協力を運営していくというのが基本的態度であるべきだと私は考えております。
  37. 柄谷道一

    柄谷道一君 そこで、世界銀行総裁の要請によりまして、一九六九年の第二十回世界銀行総会に提出された、ピアソン委員会の「開発のための共同事業」と題する報告をながめてみますと、持つものと持たざるものとがその富を分から合うことは道義的にかない、正しいものである、こう指摘しておるところでございます。  その報告書の中に、一九八〇年に四十二億九千万人の世界人口は、二〇〇〇年には六十億三千万人になる。この人口増加重十六億四千万人の九二%に相当する十五億人が開発途上国に集中し、全世界人口の八〇%が開発途上国に集中する姿がこの二〇〇〇年にあらわれてくるであろう。そして、このために途上国は労働人口の増加を吸収できずに、失業と不完全雇用が増大する。また、その都市における人口集中が生活環境を悪化させる。こうした展望は食糧不足と相まって、現在八億人もの人口が苦しむ絶対的貧困状態をさらに継続させ、深刻にさせると警告しておるわけでございます。  私は、こうした状況の中で、先進国の政府開発援助の必要性は今後さらに増大するものと思われます。人道的、道義的な理念というものが本報告に一貫されているわけでございますが、大臣のこれに対する御所見をお伺いいたします。
  38. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) いまピアソン報告を引かれたわけでございますが、先生おっしゃるように、一九六九年でございますか、十数年前の報告でございますが、やはり私はその精神はいまも生きているというふうに思うわけでございます。経済協力の理念といいますか、これは、まあ世界共通の考えだと思うんでございますが、やはり人道的な考慮というものを払うべきだ、あるいは相互依存ということも頭に置いてということでございまして、私は、そのピアソン報告の精神は、これは生きているというふうに考えます。いまほとんど先進民主主義国だけが経済協力で援助というようなことをやっておりますが、私は共産圏の国々も、いわゆる持てる国になっている国があれば、やはり共産圏の国々もそういう経済援助といいますか、そういうことをすべきだというような考え方を持っていますが、いまは先進民主主義国が中心でございますが、ピアソン報告の精神というのは、これはいまも脈々として生きておるというふうに思っております。
  39. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、当然政府開発援助は、人道的、道義的理念というものがその根底になければならない、こう思います。しかし、人道的、道義的理念というものは、完全に無私、無欲でなければなりません。しかし、それだけでは今後増大してく援助費用を負担する納税者のなかなか納得を得られず、膨大な援助需要にこたえ切れないという面が出てくるのではなかろうか、こう思うのでございます。  主要援助国の対外政策における政府開発援助の理念や、位置づけをいろいろ見てみますと、DAC諸国では、かなり基本的方向が明確になっていると思われます。  たとえば、スウェーデンにおきましては、積極的中立政策に基づく第三世界との連携を打ち出しております。フランスにおきましては、フランス文化の波及と、ユーロ・アフリカ共同体への指向という方向でございます。イギリスにおきましては、コモンウエルスの強化による国際的地位の維持向上とグローバルな国益の推進。西ドイツにおきましては、東方外交と並ぶ世界の緊張緩和のための政策。アメリカにおきましては、民主主義政治原理の擁護と、西側の安全保障。こういうふうに、人道的、道義的な理念にあわせて、納税者の理解といいますか、納得を得るための国民コンセサスというのがほぼ固まってきつつあるというのが各国の情勢ではなかろうか、こう思うわけでございます。  しかし、日本の場合は、現在のところ残念ではございますけれども、この問題について国民のコンセサスというものは必ずしも得られているとは思われません。  外務大臣として、この認識について、どういう認識をお持ちになっておるのか、お伺いをしたいと思います。
  40. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 先生も御承知のように、日本というのは特異な憲法を持ちまして、平和を求める、それから出ている平和外交、世界の平和、日本も平和国家ということで、これはそれに徹してやっていこうということでございますので、経済力が大きくなったということで、その経済力をいま申しましたような世界の緊張をなるべく緩和するように、そういうような平和のためにこれを使っていくということが、私は大切だと思うわけでございまして、先ほど申しました南北問題というのも、これは本当に世界の平和に私はこれはつながるものだというふうに思いまして、アメリカにも東西関係を主に考えるというようなことも新聞であるけれども、やはり南北――発展途上国を少しでも裕福にして、社会不安、政治不安をなくし、平和ということがこの経済協力の眼目でなかろうかということを、実はアメリカ側にも訴えたのでございまして、私どもはやっぱりいま申し上げましたような緊張をなるべく緩和して、平和ができるようにというのが、この経済協力の眼目でなかろうかと思っております。
  41. 柄谷道一

    柄谷道一君 外務大臣としての理念のほどは理解できるんでございますけれども、問題は、果たして外務大臣が言われたような理念が、国民的コンセンサスが得られているかどうか、それが重要でございます。  昨年十一月二十二日、外務省経済協力局、その実務担当者の間で組織されました経済協力研究会は、一つ意見を提示いたしております。  その中にも、わが国の政府開発援助は、その規模においても、運用に携わる機構人員においても、大幅に拡大整備をされてきたが、なぜ開発援助を行うのかという、援助の理念については種々の議論がありながら、わが国独自の理念について、必ずしも国民的合意が定着していない、こう指摘しておるわけでございます。  そして、この研究会で一つの方向を打ち出そうとしておられます。私は非常におくればせながら、国民的コンセンサスが得られることを願って動き出した外務省実務担当者の姿勢を評価するものでございますけれども、私は政府として、やはりこの提言を受けて、明確な一つの方針というものを打ち出すべきときではないかと思うのでございます。  具体的にお伺いいたしますが、それでは政府は、今後この国民的コンセンサスをどのようにして得ていこうとしておられるのか、その方策についてお伺いをいたしたいと思います。
  42. 梁井新一

    政府委員(梁井新一君) ただいま先生御指摘のとおり、昨年十一月に出しましたこの小冊子は、外務省の事務当局といたしまして、経済協力に関します国民的なコンセンサスを得る一助として試論を発表したわけでございます。今後これをどう進めるかという問題でございますけれども、私どもといたしましては、いままでいろいろな形で外務省のパンフレットあるいは講演、いろんな団体とのいろんな打ち合わせを通じまして、経済協力の重要性というものの国民的な理解を得るように努めてきたわけでございまして、実は昨年五月総理府の実施いたしました世論調査によりますと、八〇%の方が開発途上国に対する経済協力を行うことを支持すると、このうち四〇%の方がさらに経済協力を積極的に進めるべきであると、こういう御意見をお持ちのようでございます。そういう観点から、私どものそういう努力、国民的な理解を得るための仕事も多少の御理解を得ているかという感じを持っておりますけれども、今後ともこの小冊子をさらにわかりやすく、国民の皆様に、もっと若い方の皆様におわかりいただくような形で小冊子をつくりかえていくということも含めまして、現在検討している最中でございます。
  43. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、この実務担当者によってつくられました「経済協力の理念」、いわば試論でございますね、これをずっと拝見しておりますと、OECDのインターフェーチャーズ報告から導き出されたものではないかと、こう理解するのでございます。  私は外務大臣にお伺いいたしますが、いま事務当局としては国民世論を喚起するための活動をこれからもやっていきたいと、こう言われたわけでございますが、私はこの試論というものを、単なる実務担当者の段階にとどめるのではなくて、この際公式に政府として認めていく。たとえば閣議によって海外理念というものを明確にするということが、まず国民的コンセンサスを得る第一歩ではないかと、こう思うんでございますが、大臣どうでしょう。
  44. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) いま政府委員から申し上げましたが、実はこれ先生おっしゃるとおり、国民のみんなが大体それはそういうことじゃないかというようなところにもまだ十分いっていないことはたしかでございます。私も外務大臣になりましてから、国際協力の問題、この間総合安全保障閣僚会議で実はいろいろ意見が出まして、千ドルということで大体原則を立てているのは、GNPがふえた際に硬直性があるんじゃないかとか、地域の問題でございますとか、目的の問題でございますとか、実はいろんな議論が出たのでございます。ああいう議論はいままでなくて、初めてだったと思うんです、経済協力の問題について。私は総合安全保障閣僚会議でああいう議論が出たのは非常に結構だと思うのでございますが、先生、閣議でひとつ決めてというお話でございました。具体的にどうしたら一番いいかということはもう少し検討さしていただきますが、これは四省で関係ありますので、よく相談して、やっぱり国民に十分知ってもらい、そして日本はこういう考えでやるんだというようなことを、何かはっきりしておくことは必要だなと、私も同感でございますので、もう少しこれどうやったら一番いいかということは検討さしていただきたいと思います。
  45. 柄谷道一

    柄谷道一君 大臣冒頭に、やはりトータルディフェンスという中における政府開発援助の占める役割りというのは非常に重大である、重要であるということを指摘されたわけですね。しかも、この援助額というのはこれからふえていくわけです。わが国の財政事情というのが非常に厳しいものであることはこれ当然でございます。となりますと、今後この政府開発援助を拡充していくためには、どうしても国民の理解、コンセンサスというものがなければ、私はこれ単なる目標に終わってしまうと思うのでございます。いま大臣の答弁、現段階ではそれより一歩も出られないと思いますけれども、ひとつ閣内において、これを実務者の段階にとどめるのではなくて、政府としてやはり明確な方針を固めていく。また、その過程において、野党とも十分の意見交換を図っていく、こういう姿勢がやはり一番必要ではないか、こう思いますので、これは十分に今後大臣として配慮されるように、この際強く要請をいたしておきたいと思います。  そこで、具体的に金額でございますけれども、わが国の政府開発援助は一九七五年から七九年までの五カ年におきまして、金額、対GNP比率とも、中間で一時落ち込みましたけれども、増大をいたしております。一九七八年の四月、政府閣僚会議は、政府開発援助三カ年倍増計画を決定されました。七七年実績十四億二千万ドルを、八〇年までに倍増するという内容でございます。そして、七九年には二十六億四千万ドル、五千七百八十一億円の政府開発援助が供与されました。しかし、この供与実績の評価につきまして、私は政府部内に食い違いがあるんではないかと思うのでございます。すなわち通産省は、七九年の供与は対前年比一九・一%増、対GNP比も前年の〇・二三%から〇・二六%に増加しており、わが国の厳しい財政事情の中で、ODA拡充努力は十分評価できる、このように通産省は受けとめているわけですね。ところが一方外務省は、対GNP比率が国際目標の〇・七%に及ばず、DAC加盟国平均の〇・三五%をも下回っており、財政事情は苦しいとしても、なお十分と言い得ないと、これが外務省の評価ではないかと思うのでございます。私は、こうした政府部内において評価が異なる、それは今後のこの問題を対処するために、その根底でございますから、一つの大きな問題点ではないかと思いますが、大臣の御所見はいかがでございますか。
  46. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 三年倍増というのは、昭和五十五年度まででちゃんと実現をするわけでございまして、いまは絶対額では世界で四番でございますが、もうすぐアメリカの次、日本が絶対額では二番になると思うんです。それほど大きな、世界で二番にもなろうとするような絶対額の援助をやっておるわけでございますので、これは日本にとりまして、総合安全保障ということから考えましても、日本の平和国家ということから考えても、この経済協力の役目というのは、私は日本にとりましては非常に大きな役目だというふうに考えておりますので、今後とも拡充を図っていかなけりゃならぬというつもりでございます。今度はまた五年倍増計画というのを中期目標に立てたわけでございまして、そのときに各省集まって、いろいろ議論をして決めたわけでございますが、いま先生のおっしゃったまだまだ足りぬぞという見方と、相当これはやったんだという見方、これは物を右から見たか、左から見たかということぐらいの違いであって、政府部内で何も大きな違いがあるということじゃなくて、われわれとしましては、これに三年倍増ということに甘んずるわけでなくて、もっとやはり日本の役割りとしては、これは大きな役割りだと、軍事的には自衛権しかない、専守防衛というんでございますが、経済協力面でお役に立つことは立とうということでございますので、政府の中、心を一つにして、拡充、あるいは強化、その改善、こういうことには努力してまいりたいというふうに思っております。
  47. 柄谷道一

    柄谷道一君 政府開発援跡三カ年倍増計画の目標年次である五十五年度予算では、前年度比一六・四%増、八千四百二億円、仮に一ドル二百二十二円として計算をいたしますと、三十七億八千万ドルが計上されておりました、そして、本国会における河本経企庁長官の経済演説の中には、昨年三カ年倍増目標をかなり上回って達成されたと、こう国会に報告されておるわけでございます。現在までの支出額と、本年度末までの支出見込み額はどのぐらいになっておるのか、御説明願います。
  48. 梁井新一

    政府委員(梁井新一君) ただいま先生御指摘のこの三年倍増の目標の年次でございますけれども、これはOECDの開発援助委員会――DACと言っておりますが、DAC統計との関係で、われわれは暦年をとっておるわけでございます。したがいまして、昨年一年間、すなわち八〇年の支出額実績を見るわけでございますけれども、現在この支出につきましての統計を集めているところでございまして、まだ最終的な数字が出ておりませんけれども、私どもの推定では昨年は三十二億ドル、約六千五百億円でございますか、支出がございまして、倍増目標でございます二十八億四千八百万ドルを、かなり大幅に超過達成したというふうに考えております。
  49. 柄谷道一

    柄谷道一君 金額面はそうなんですけれども大臣、私は果たして政府開発援助というものが、質的にこれでいいんだろうかという問題を感ずるのでございます。たとえば、二国間政府開発援助約束額の分野別内訳を調べてみますと、七九年でございますが、公共事業が四九・九%、約半分を占めております。農林漁業が一九・七%、鉱工業、建設が一六・六%という割合になっておりまして、保健関係は五・一%、教育関係は二・一%にしかすぎません。私は、このような経済協力の実態が、日本人がエコノミックアニマルだと酷評される一つの原因になっているのではないだろうか。また、援助の贈与的要素を測定する概念であります、いわば援助の質をあらわす指標とも言われます、いわゆるグラントエレメント、七九年は前年の七五%から七七・七%に改善されておりますけれども、逆に、七八年のDAC援助条件勧告の目標である八六%には遠く及びません。また、DAC加盟国の七九年のグラントエレメントの平均九〇・八%を大幅に下回っております。そして、DAC加盟国中、グラントエレメントは前年の十六位から、最下位の十七位へと後退をいたしております。したがって、私はこういう内容を見ますと、開発援助はまだまだ量的にも質的にも不十分である、こう受け取らざるを得ないわけでございますが、大臣の御所見はいかがでございますか。
  50. 梁井新一

    政府委員(梁井新一君) ただいま先生御指摘の、日本の開発援助の中身が、公共事業に四九%、それから農林水産関係一九%云々という御指摘でございましたけれども、そのとおりでございます。ただ、ここで一言申し上げたいことは、日本の援助の特徴といたしまして、公共事業に日本のODAの約半分を出しておるわけでございます。と申しますのは、開発途上国におきまして、公共事業をやる上で、なかなか公共事業というのは採算性が少ない、非常に収益性の少ない事業でございます。たとえば、道路をつくるとか、港湾をつくるとか、橋をつくるとか、そういう点に日本はODAの半分を出しておるわけでございまして、実はこのDAC諸国の中で、この公共事業にこれだけ大きな割合の援助をやっておる国は日本だけでございます。日本がODAの約五〇%をこの公共事業に出しておる、その次はドイツが約三五%程度を出しておるということで、日本がこの経済開発の基礎部門でございますこういうインフラストラクチュアに援助を出すということについては、DAC諸国でかなり高い評価を得ているわけでございます。ただ、同時に、先生御指摘のとおり、また日本の農業関係とか、その他保健医療関係について、援助の少ないことも非常に今後改善すべき点でございまして、先ほど鈴木総理大臣がASEANを訪問されました際に、やはりこの農業援助であるとか、人づくりであるとか、あるいは中小企業という民衆の福祉に直結したような援助をしなければならないと、そういう方針で今後やっていくということをおっしゃったわけでございまして、私どもといたしましては、こういう経済発展の基礎部門でございますインフラストラクチュアに対する援助も続けると同時に、こういう人道的と申しますか、民衆の福祉に直結するような援助をやっていきたいと、こういうふうに考えております。
  51. 柄谷道一

    柄谷道一君 大臣、いま政府委員から御説明がございましたけれども、総理大臣がASEAM各国に行かれた、そのときに非常に人づくりの問題を強調された。また、いま開発途上国は非常に疾病も多い。そういう福祉、人づくり、こういうものに対する今日までの政府開発援助が、余りにも比率として少ない。これは統計が示しておるわけですね。こういう面についてはやはりもっと力を入れて、質の改善というものについて十分の配慮、検討を行う必要があると、こう思うんですが、いかがです。
  52. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 総理がASEANに行かれたときおっしゃったのは、農業開発でございますとか、農村の開発、あるいは人づくり、中小企業、エネルギーというようなことを、主として日本として協力すべきじゃないかということをおっしゃったのでございまして、私は農業国では、これは当然そうすべきだと、そうでないと安定しないというふうに思うわけでございます。ただいま先生おっしゃったように、案外教育とか、保健衛生とか、低いというお話がございましたが、発展途上国が発展していきます上に、港湾でございますとか、道路でございますとか、そういうような公共施設がまた社会経済開発の基礎になるということでございますので、そういうものがおくれているということで、それをまずやってくれと、そういうことをやれば、いわゆるその上に立った教育の問題とか、保健衛生の問題とか、そういうことに手が及んでいくんだということで、私はそういう面の需要が多かったんだろうというふうに思うわけでございます。  それで、経済協力は、こっちから押しつけるんじゃなくて、その国で何が一番経済協力としてやってもらいたいんですかという需要の方を出してもらって、それに基づいて経済協力をやるということをやっておるわけでございますので、どうしても発展途上国では、そういう社会資本の投下が少なかったということから、よけいになっているんだろうと私は思うわけでございますが、総理の言われた農業開発、農村開発、人づくりというような問題、いま先生のおっしゃる保健の問題、あるいは教育になれば学校等あるわけです。たとえばの話ですけれども韓国あたりは学校と、ことしは病院だけやったわけでございますが、国によっていろいろあると思いますが、そういうことをやっぱり十分気をつける必要があるということはおっしゃるとおりだと思います。
  53. 柄谷道一

    柄谷道一君 政府は本年一月二十三日の閣議で、一九八〇年代前半五年間のODA実績総額を一九七〇年代後半五カ年間の総額の倍以上とするように努める、このような閣議決定による中間目標が決められたと、こう聞いております。ところが、新聞紙上伝えられるところによりますと、この新中期目標は倍以上とするよう努めるという幅のある表現であり、しかも幾つかの前提条件を置いておるわけですね。こういう閣議決定がなされたのは、外務省の積極的な案を、大蔵省が財政難を理由に強く反発した、結局経済企画庁長官が調停案を出すという妥協の結果生まれたと、こう報道されているのでございますが、その事実関係について御説明願いたいと思います。
  54. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) この案つくる過程において、いろんな省がいろんな意見言ったことは、これは確かでございます。ただ、これは経済企画庁が各省の意見をまとめて、そして何としても、外に対しまして中期目標がこうだということが言えるようにということで、企画庁の長官に非常に御努力願ったということも確かでございます。われわれとしましてはその目標ができまして、倍以上という、以上というところに私どもは非常に意義を認め、また対GNP比を改善するというふうなこともあるわけでございますので、厳しい財政の中であることは私どもよく承知しておりますが、少なくとも倍以上ということで、対GNP比、また先生のおっしゃいました贈与関係をふやすとか、質の問題とか、そういうものをひとつ改善していくという努力を外務省あるいは関係者としてみんな努力してまいりたいというふうに考えております。
  55. 柄谷道一

    柄谷道一君 外務省案でさえ五年後に国際的目標の半分しか達成されないということでございます。長期的見通しとしてODAのGNP対比〇・七%、これは遠い将来のことでございます。そこで、この外務省の試算を私見てみたんですが、GNPの平均成長率を本年一月二十二日の経済審議会報告による新経済社会七カ年計画に示された一一%と前提を置いて、政府開発援助のGNP比を一九八五年に〇・三五%、これは一九七九年のDAC水準でございますが、それにするためのODA予算を八一年から八五年までに、一体平均どれだけ伸ばしていかねばならぬかというのが一六・四%であると、同様に、一九八五年にDACが平均に達するであろうというこの予測値である〇・三九%にするための平均伸び率は一九・〇%と、実務担当者会議では試算されているわけですね。〇・三五の場合は平均一六・四%伸ばさねばならぬ、〇・三九にするためには一九・〇%伸ばさねばならぬ。ところが、五十六年度予算を見てみますと、一般会計分の対前年比の伸び率は一二二八%でございます。私は、いま大臣は非常に意欲的な姿勢を示されたわけでございますけれども、五カ年倍増のこの初年度において、すでにブレーキがかかっているのではないだろうかと、こう受け取らざるを得ないのでございますが、どうお考えですか。
  56. 日吉章

    説明員(日吉章君) わが国の政府開発援助につきましては、それを財源的に見てみますと、先生すでに御案内のように、そのうちの約四五%程度がわが国の意思のみで決定できます国の予算でもって構成されております。ところが、残りの約五五%程度は、国際開発金融機関に対します出資とか、あるいは円借款に伴います財政投融資と、そういうふうなもので構成されております。ところが、この約五五%程度を占めます国際開発金融機関に対します出資国債なり、あるいは円借款につきましては、わが国のみの意思ではすべてを決定することができませんで、先進諸国の協調関係、あるいはまた援助受け入れ国の受け入れ体制、そういうふうなものに影響されるところが少なからずございます。したがいまして、中期目標を設定するに当たりましても、具体的な政策目標として決定するにつきましては、これらを含めましたODA全体で計画を決定することが、現在のように財政状況の非常に厳しいもとにおきましては、必ずしも適当ではないのではないかというふうな考え方もございまして、具体的な政策目標としましては、国の意思のみで決定し得ます国の予算を具体的な政策目標といたしまして、それで先生もただいまおっしゃられましたように、一般会計で申しますと、中期目標を達成するためには一一・八%ずつの伸びを予定しているわけでございます。この一一・八%の伸びは、経済社会七カ年計画の一一%のGNPの伸びの見込みよりも上回っているわけでございます。かつその初年度であります五十六年度の予算につきましては、この一一・八を上回ります一一・八%のODA関係予算の伸びを計上しているわけでございます。ところが、先生からお尋ねのように、これで果たしてGNP比が改善されるんであろうかという御指摘でございますが、GNP比につきましては、ただいまも申し上げましたように、国際開発金融機関の増資の状況をどう見込むか、あるいは借款受け入れ国の体制をどういうふうに読むかというふうなことによって、非常に試算のしにくい点がございます。したがいまして、先生ただいま御指摘になりました外務省の研究会で試算されましたのも、ある一定の前提を置いて試算をされているのだと思います。したがいまして、このような不確定要素が多い段階におきましては、必ずしもこのGNP比をどういうふうに見込むかという点を、具体的に判断することは非常に困難かと思います。したがいまして、財政当局としましても、いずれにしましても、中期目標の具体的目標であります国の予算、一般会計につきましては、ぜひこれを達成するように努力するとともに、受け入れ国側、あるいは関係先進諸国に働きかけまして、ODA全体をできるだけ拡大することによりまして、対GNP比も改善できるように努めていきたいと、一がように考えております。
  57. 柄谷道一

    柄谷道一君 いま大蔵省の見解を承ったわけですが、外務省にお伺いいたしますが、これ五十六年初年度ですよ、いまのような予算措置で、対GNP比率ですね、これが外務省の目標とされ、かつ関係閣僚会議で決定されましたこの目標を、このような状態で五年後達成できるという確信ございますか。
  58. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) いま大蔵省から説明ありましたように、この国際協力の中身が、予算でやるものと国際機関の出資とか、あるいは円借款の裏打ちの財政投融資とか、いろいろなものが入っておるわけでございまして、いま先生から御質問あったように、初年度低いんじゃないかと言われた御意見があった。私も実は同じ考えを持ちまして、もっと比率上がるようにしなければということで、自分なりにやったのでございますが、国際機関の来年の出資というものは、これは大体もう決まっておるわけでございまして、それが大幅に伸びるようなこともない。円借款の裏打ちになる財政投融資につきましても、来年はそう大きなものがないということで、こういう数字になりましたので、私も先生と同じような感じを実は予算をやったときに持ったわけでございますが、これは来年度でございますので、今後また国際機関の問題等も出てくる、円借款をまたことしやれば、その裏打ちも出てくるわけでございますので、これは倍以上ということに努力をする。対GNP比を改善するということで、案ができたわけでございますから、われわれとしましては、やっぱりそれが三年倍増計画が達成できたように、これは外国にも示して、これが目標だと、こう言っているんですから、それが達成されるように、上回るように、ひとつ今後とも努力していきたいというのが外務省考え方でございます。
  59. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、財源の確保を図り、ODAを拡充するためには、国民の理解と支持を得ることが不可欠の前提である、このことを強調してまいりました。私が国民合意の必要性を強調してまいりましたのは、DACの先進国水準に一日も早く追いつくためには、現在の予算経済協力のあるべき姿を予定したものではない。それをあるべき姿にするためには、国民の合意が必要であるとの考え方に立つがゆえでございます。  そこで、諸外国の実態をいろいろ調べてみますと、スウェーデン、オランダ、イギリス等では、文教当局の支援のもとに、初等教育の段階から成人教育に至るまで開発教育、これを広範に導入、推進をいたしております。私は、さきに、内閣としての理念の確定というものを求めたわけでございますけれども、私は、こういう先進国の例にならいまして、教育の分野においても、経済協力の理念というものの徹底のために、配慮を払わねばならない時期ではないかと、こう理解するのでございます。これに対する外務省の御見解、そして、外務省でこういう運動を、文務当局と連携をとって進めようということになりますと、当然これは予算措置を必要としてくることでございますが、大蔵省の見解をあわせてお伺いいたします。
  60. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) もともとこれは教育の問題になりますと、文部省の関係でございますが、教科書等の問題にも触れる問題かもしれません。いまここでそれをどうしますというお答えはできませんけれども、文部大臣とそのことは、先生こういう御質問だった、これについてどういうふうに考えるかというようなことにつきまして、相談はしてみたいと思います。  ただ、外務省としましては、やはり国民の間に、発展途上国の援助、あるいはそれが世界の平和につながるということでございますし、日本経済援助というのは、もうすぐ世界で二番目になる、本当に、アメリカに次ぐ大きな援助国でございますので、それが本当に有効に使われるように、国民に本当に理解してもらえるということは、これは今後の経済協力にとっても大切なことでございます。そのことは私もよくわかりますので、文部大臣ともその点はよく相談をしてみます。
  61. 日吉章

    説明員(日吉章君) 政府開発援助の重要性につきましては、財政当局も十分認識しているつもりでございまして、したがいまして、中期目標の中でも、たとえば本年度で申し上げますと、一般歳出の伸び率の三倍近い伸びを政府開発援助に予算計上したわけでございますが、こういうふうに厳しい財政事情の中で、政府開発援助を伸ばしていくためには、先生ただいま御指摘のように、広く国民の理解と支持が絶対不可欠だというふうに考えております。したがいまして、こういうふうなODAの重要性につきましての国民各位の認識を深めていただくための教育というものもぜひ必要かと思います。これにつきまして、もし予算措置が必要であるならば、どうするかという問題でございますが、この点につきましては、関係外務省及び文部省の方からいろいろ御要望等がございましたら、その段階でそれを聞きながら御相談に応じさせていただきたい、かように考えております。
  62. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は時間の関係がございましたので、政府開発援助の拡充問題について、主要な点のみの指摘にとどまりましたけれども、私は近く、本年行われますメキシコ・サミットにおきましても、この政府開発援助のあり方、そして、わが国は軍事大国化の方向をとらないとすれば、何をもって世界の平和に寄与するか、日本として、この政府開発援助に対する基本理念というものを確立をして、このことを各国に対して強くアピールする、これがメキシコ・サミットにおけるわが国がとるべき重要な外交方針の一つの柱になろうと思うのでございます。このサミットに臨む外務大臣の姿勢について答弁を求めまして、私の質問を終わります。
  63. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 南北サミットは若干延期になりまして、十月の下旬に延びたのでございますが、南北サミットの議題というのはまだ決まっておりません。八月一日、二日、関係国の外務大臣が集まって相談をすることになっているわけでございますが、南北サミットのまさに一つの大きな問題は、私は、この国際協力の問題だと思うわけでございます。でございますので、その際に、いま先生がおっしゃったような趣旨、私どももこれは経済協力の中心課題だというふうに思っておりますので、南北サミットの準備の外相会議では、こうした問題が取り上げられるように、私なりに主張しようというふうに思っております。
  64. 安武洋子

    安武洋子君 外務大臣は訪米をなさいまして、レーガン大統領とか、ヘイグ国務長官などと会談をなさっていらっしゃいます。当然私はいろんなやりとりがあったと思いますけれども、自動車問題につきましては、一部外部発表を控えるというふうなことで、合意をされたというふうに聞いておりますけれども、それ以外に、明らかにできない、こういうことで伏せておられる問題がおありでございましょうか。
  65. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 特に伏せておくというような問題はございません。大統領とも話したのは、西側の団結というようなことで一時話があって、あとは自動車の問題でございますし、ヘイグ長官とは、これは各面にわたっていろいろ話したのでございますが、特に秘しておくというような問題はない。ワインバーガー国防長官とも話しましたが、これは私は逐一内容を話しておりますので、特に両方が話し合って、これは出さぬ方がいいとか、そういうようなことを言ったことはございません。自動車の問題につきましては、これからの問題でございますので、これから話し合いをしようということで、いま向こうに電報を打って、向こうの使節団が来るようにということをやっているということでございます。
  66. 安武洋子

    安武洋子君 では、中東のペルシャ湾の防衛の問題、それから石油送路の防衛の問題、いずれも防衛に限っておりますけれども、その問題についての話は出なかったのでしょうか。
  67. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 中東の問題については、ペルシャ湾あるいはインド洋で、アメリカが追加的な防衛として努力をしてるんだ、非常に予算も使ってるんだという一般的な説明がございました。でございますが、だからといって、その分ペルシャ湾、インド洋で日本がどういうふうにしてくれという話は一切ございませんでした。それから中東問題では、そのほかにキャンプ・デービッドの話、あるいはもっとそれを超えた包括的な、永続的な和平ということで、パレスチナ人の自決権、PLOに対する考え方、そういう問題を議論しました。
  68. 安武洋子

    安武洋子君 済みません、大臣、私の時間とっても短いので、済みませんが、お聞きしたことだけにお願いいたします。  ペルシャ湾岸の防衛のために、米、英、仏で国際部隊をつくり、常駐さそうという、こういう構想がございますけれども、その構想に必要な費用を西側諸国で基金をつくって賄おうという基金構想がございますけれども日本がその基金の一部を負担してほしいという、こういう話はございませんでしたか。
  69. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 一切ございません。
  70. 安武洋子

    安武洋子君 では、今後話があれば、それは拒否なさいますでしょうか。
  71. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 将来どういうことかということは全然予想もつきませんで、従来、共同パトロールの費用が云々とか、いろいろ御質問もありますし、新聞に出ましたが、私はそういうことは一切ありませんし、そんなことを相談に来るほどみみっちいことじゃないじゃないかというようなことを答弁したことがございますが、将来どういうことを言ってくるか、それはもうわかりませんが、そういう話は一切ない、もしもありましても、日本は憲法の制約というものがありますから、そういう制約というものを十分頭に置いて考えるつもりでございます。
  72. 安武洋子

    安武洋子君 私は、そういう話がもしあれば拒否をされるというふうな態度をとっていただくということを強く申しておきます。  次に移りますけれども外務大臣はワシントンでスピーチをなさっておられます。防衛努力に言及されておられますけれども、その中で、西太平洋地域という言葉を使っておられますが、この西太平洋地域というのは一体どの地域を指すんでしょうか。その範囲はどこなんでしょうか、お教えいただきます。
  73. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 西太平洋地域というのは、一般に地勢的に言われているのを、常識的に用いただけでございまして、アジア地域、こちらの方が西太平洋地域とよく言われますので、そういう常識的な用語を使っただけで、ここからここまでが西で、ここからここまでは西北だとか、西南だとか、そういう厳格な意味で使ってはおりません。
  74. 安武洋子

    安武洋子君 アメリカに行かれて会談をなさった後でスピーチをなさっているわけです。ですから、アメリカが思っている西太平洋というのと、外務大臣が話されている西太平洋との概念が合わないとこれはとんでもないことになります。私は、いまの一般的な常識的に使ったというのは、これは通らないと思います、私は、きわめてこれは軍事的な概念だと思います、と申しますのは、アメリカがちゃんとこれは海軍の管区として西太平洋、東太平洋と分けている。ハワイのところで地球をすとんと二分するわけですね。ですから、アメリカ海軍で使っている西太平洋は、第七艦隊がいま配備されておりますし、東太平洋は第三艦隊が配備をされているということで、すぐれて軍事的な用語でございます。  防衛庁長官にお伺いいたしますが、防衛庁長官はいまの私のこのアメリカのそういう配備をされているということで、西太平洋地域というのは、私がいま申し上げたような地域であるということをお認めになりますか。
  75. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 外務大臣の演説のことなものですから、ちょっと私としてはお答えいたしかねるわけでございます。仮に先生がおっしゃいますように、アメリカの艦隊の配分がそうなっているといたしましても、外務大臣の演説で言われております西太平洋は、それと合っているのかどうか、その点はちょっと私はお答えいたしかねると思うわけであります。
  76. 安武洋子

    安武洋子君 スピーチは、防衛努力に触れて言及したいということで話されている中ですから、明らかに防衛問題について西太平洋の問題を問題にされているわけです。それが防衛問題なのに、アメリカの海軍の管区の分け方と違うということであれば、これはとんでもないスピーチになります、まずこのことを指摘しておきます。  そこで私は、これは明らかにいろいろおっしゃいますけれどもアメリカのこの管区の分け方、西太平洋第七艦隊の配備されているこの地域であるということでお話進めますが、外務大臣、それでよろしゅうございますね。
  77. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) そのときの、御参考までに申し上げますが、読みますが、「西太平洋地域は、わが国を始め、米国、ソ連、中国、さらに韓国、ASEAN諸国等、政治体制や経済・社会状況の異なる様々な国々の利害が係わりを有しており、地政学的にみて複雑な様相を呈しておりますが、その一角にあってわが国がこのような政策を推進していることは、この地域の安定に大きく貢献しております。」ということでありまして、アメリカの艦隊の守備範囲がどうだとか、私はそういうことを頭にびしゃっと置いて言ったわけじゃなくて、常識的に、地政学的に、西太平洋というところでは、米国とか、ソ連とか、中国とか、韓国とか、ASEAN諸国や何かの政治体制や、経済社会秩序の異なるさまざまな国の利害がかかわっておりますと、こういうことを言ったわけでございまして、アメリカの艦隊の区域がどうか、そういうことを頭に置いて私は言ったんじゃない、常識的に私は申し上げたということでございますので、私の率直な気持ちを申し上げます。
  78. 安武洋子

    安武洋子君 たとえ常識的に使われたとしても、アメリカ防衛の問題で話されて、その後に、いま、前の方抜かしておられますが、「次に」と段落ですね。「わが国の防衛努力に言及したいと思います。」ということで話されているんです。ですから、いま大臣がお読みになったところをちゃんと整理をいたしますと、こういうふうにして防衛努力について言うけれどもと、一つは、「わが国は、日米安保体制の枠組の中で所要の自衛力を整備し、自国の防衛を図る政策をとっている」ということを言われた。そうして第二番目に、いまお読みになった西太平洋地域というのを説明なさって、複雑なさまざまな様相を呈しているというふうに説明なさった。そうしてその後で、「その一角にあってわが国がこのような政策」というのは、最初に申し上げた、わが国がとっている「日米安保体制の枠組の中で所要の自衛力を整備し、自国の防衛を図る政策をとっている」。ということは、この西太平洋地域の安定に大きく貢献をしておりますと、こういうことになるわけです。ですから、大臣が言われたのは、私がいま読みましたように、これは、いま現在わが国の防衛力が西太平洋地域との安定に大きく貢献しているということで、これは過去形にも未来形にもなっていないんです。現在なんです。ですから、わが国の防衛力が西太平洋地域での安定に大きく貢献しているということでお話なさっているわけですね、確認しておきます。
  79. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 日本が自分の国を守るということで、自衛力の強化を行っていることは確かでございます。このことが、いま言いました西太平洋の地域の安定のためにも役立っているということは、これ当然だと私は思うわけでございまして、これは、日本防衛をやっているというのは、本土周辺の海域の安定に役立っているということでございます。
  80. 安武洋子

    安武洋子君 防衛庁長官、所信表明であなたは「西太平洋地域」という言葉をお使いです。防衛庁の場合も、そういう一般的、常識的なことで漠然と使われるわけですか。
  81. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) そのとおりでございます。
  82. 安武洋子

    安武洋子君 そういうふうに実にあいまいなことをおっしゃる。アメリカと一緒に防衛の話をされながら、西太平洋地域というのはあなたたちがそう言われるように、今回外交上初めて新しく出てきた用語なんですね。ですからそういうふうに固執なさると思います。  そこで私は、論を進めますけれどもアメリカのマンスフィールド大使は、三月の九日記者会見で、米第七艦隊の西インド洋への戦力転換に伴って、手薄になっている日本本土と周辺海域を日本が引き受けるよう期待していると、こう言っております。そしてアメリカとしては、ペルシャ湾、インド洋への第七艦隊の戦力転換に伴って手薄になっている日本本土と周辺海域を日本に受け持ってほしい、こういう認識を持っているということが、このことからもわかるわけですし、外務大臣も参議院の予算委員会で、三月十日に、この発言というのは、内政干渉ではなくって、これは期待表明だと思っていると答弁をなさっていらっしゃいます。そして一昨日、予算委員会の集中審議ですが、外務大臣は、ワインバーガー国防長官との話し合いで、長官が日本経済的に大きくなったので、自衛隊の強化、周辺海域の防衛努力をしてほしいと一般的な話があったと、こう言われております。マンスフィールド大使の発言といい、それからワインバーガー国防長官の言ったこの周辺海域、こういう発言というのは、結局はアメリカの第七艦隊が配備されている西太平洋地域と同じことになります。というのは、外務大臣はいろいろおっしゃいましたけれども、あなたのスピーチというのは、これは会談前に発表されたわけではないんです。会談をなさった後で、会談内容を踏まえてスピーチをやっておられる。ですから、会談の中で西太平洋地域の防衛の努力ということが出ない限り、外交上初めて新しく西太平洋地域とは言わないんです。いままでは極東とか、東アジアとか、こういう表現で言われていたわけです。だから、このスピーチの中で明確に外交上初めて西太平洋地域という言葉を使っていらっしゃるわけです。ですから、私は会談の中で西太平洋地域の防衛の話が出て、外務大臣もそれに賛意を表してスピーチをされた、こう考える以外に考えられないわけですが、どうなんですか。
  83. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) そういう短絡した考えも出るのかなと思っていま伺っていたところでございますが、そんな話は全然出ませんでした。ペルシャ湾、インド洋、東南アジア、西南アジア、それからグアムから東、フィリピンから北というふうな話がいろいろ出て、こういうところにアメリカは努力をしているんだと。日本は本土と周辺のためにひとつ防衛努力を強化してくださいということは出たんでございますが、いまおっしゃるように、そういうところの海域を皆日本防衛努力しろと、そんなことは一言も出ませんでした。
  84. 安武洋子

    安武洋子君 では伺います。  レーガン大統領は三月二十日に福田元首相との会談で、西太平洋の防衛体制を日本と共同で調整して行いたいと言明したと。これはアレン米大統領補佐官とボルドリッジ国務長官補が話しており、これはちゃんと報道もされております。これをお読みになって、西太平洋の防衛体制を日本と共同で調整を行いたいというところの西太平洋というのは、あなたは単に一般的にぼんやりとこれをおとりになる。そして、防衛庁の方もそういう受け取り方で、アメリカと大きな意思そごを来すかもわからないわけですよ、地域がちゃんとしていない、一致していない。いままでは極東だ、東アジアだと、こう使っていた、それが今度は西太平洋という言葉が出て、外交上初めて使われているのに、漠然と、そんな一般的に、常識的に使うというふうなことを、だれが考えたっておかしいわけです。いまの私のこの質問に対してはどう御答弁なさいますか。
  85. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) ワインバーガーさんとの話はもっと出たんです。北西太平洋という話が出ました。これも新聞に出ておりますが、北西太平洋という話も出たということでございまして、いろんな名前が出てきたわけでございます。私は、いま先生が御質問でございますが、いろんな名前が出まして、そこで一生懸命アメリカ防衛努力をしているんだ、日本防衛力の強化に努力してもらいたいという一般的な話があったわけでございまして、その名前が出たところ全部それは日本防衛努力をそこですべしなんというふうな全然話はなかったということだけは明瞭に申し上げます。
  86. 安武洋子

    安武洋子君 話があったとか、なかったとかというよりも、私はあなたのスピーチを問題にいたしております。ここで西太平洋地域は云々ということを出されている、そして、この地域の安定にわが国は大きく貢献をしております、過去形でも未来形でもありません。現在形です。こういうふうに言っておられる。じゃあ、あなたはこの西太平洋地域というのは、アメリカ会談をなさった後で、それを踏まえてということでも合意をされておりますね。それで、こういう話をされているわけです。いままでは極東と言い、東アジアと言った。北西太平洋とか云々とおっしゃいましたけれども、こういう太平洋の分け方というのは、西太平洋というのは、これは軍事的に分けたときの用語なんですよ。それ以外に東太平洋、西太平洋というのは、そういう概念ないわけですよ。南太平洋というのは、これはいろんな観光とか何とかというときには南太平洋という言葉も出てきます。しかし、明らかに西太平洋と言うときは、アメリカの管区の管轄に従って、防衛上の話をするときには言っているわけですよ。それで、私は重ねて何度もお伺いをしているわけです。五十五年の防衛白書を見てみましても、「わが国の防衛力は、東アジアにおける平和と安定の維持に貢献」と、こう言っているんです。明らかに重大な、拡大し、転換をしているわけなんです。私はそのことを指摘しているわけなんです。お認めになりますか。
  87. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) そういう推理は全然私は頭にも描いておりませんし、向こうとの話し合いもなかったことで、なかったということを前提にして、私はスピーチをしたわけでございますから、向こうもそんなことを日本に言ったつもりはないというふうに受け取っていると思いますし、私は常識的に西の太平洋と、こういうことを言ったわけで、日本が自分を守るということで、しっかりやることはそこの安定に大いに役立つことだと、自分はいまでもそう思っております。
  88. 安武洋子

    安武洋子君 日本がしっかり守るということは、そこの安定に役立つというふうにはこのスピーチはなっていないんです。西太平洋地域は云々で、その地域の安定にいま現在大きく貢献をしておりますと、わからないで西太平洋地域と言われた。じゃあ、一般的に、常識的に西太平洋地域というのはどこを指して言っておられるんですか。
  89. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 太平洋の西の部面でございます。
  90. 安武洋子

    安武洋子君 そういうふざけた御答弁をしていただいたら困るわけですよ。  じゃあ、その地域にどんなところが含まれているんですか。
  91. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) ここに書いてありますように、常識的に使ったので、その地域では、米国も、ソ連も中国も、韓国も、ASEAN諸国も、政治体制や、経済社会状況が異なるさまざまな国の利害がかかわっておりますということで、例示して言ったわけでございます。
  92. 安武洋子

    安武洋子君 それは私の言っている地域の御答弁と違いますよ。それはいろんな利害関係がかかわっているんだ、その地域ではということで、地域はどこどこをお指しになったんですか。
  93. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) でございますから、太平洋の西側の部分を西太平洋と常識的に言っただけでございます。
  94. 安武洋子

    安武洋子君 防衛庁もいろんな防衛問題でそういう言葉を使っておられますか。そして、今後もそういうことで、ただ漠然と、アメリカのそれと合わせないで使っていかれるんですか。
  95. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) ただいまのお尋ねでありますが、いろいろな場合があると思うのでありますが、今回の場合は外務大臣がお述べになったとおりであるというように考えております。
  96. 安武洋子

    安武洋子君 今回の場合じゃなくて、今後、そして現在も、そういうアメリカと概念の合わないままで使われるんですかと、ただ漠然と使われるんですかということを聞いています。
  97. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 先生お尋ねの、アメリカの海軍の区域と申しますか、境界、そういったものとは違うと思っております。直ちにつながるものとは考えておりません。
  98. 安武洋子

    安武洋子君 私は重大なことだと思います。そういうアメリカのあれと全然つながらない、直ちにつながらないということで、あなたたち防衛の問題をアメリカと話されて、西太平洋ということを漠と使われる。私は非常に危険だと思いますね。私は、でも本質は、西太平洋というのはやっぱり意識的に使われていると思いますよ。アメリカの第七艦隊の配備されているあの地域、そこと合わさないことには、いろんな話進まないですからね。  私はここで一つ申し上げておきます。そういう話がなかったとおっしゃいますけれども、いままでの極東とか、東アジアを、西太平洋地域と外交上初めて公式に転換されたわけです。拡大されたわけです。ですから、私はこういうことで、防衛分担の拡大強化の要求を外務大臣が受けてこられたのではなかろうかというふうに推測いたします。そこで、総理の訪米がありますけれども、こういうふうなもし要求があったとしたら、アメリカの要求を受け入れるべきではない、このことを厳重に申し入れますが、この点はいかがですか。
  99. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) どうも御答弁、的外れになるかもしれませんが、何か従来の日本防衛の区域を私が変えたんだとかなんとか、そういう意思は全然ございませんので、提言をいただいても、私はぴんとこないのでございますが、アメリカとの話し合いで、全然そんなことは考えて話したことでもなし、向こうも先生おっしゃったようなことは、全然ないのでございますから、ないものの上に立ってのいろんな議論をされるのは、はなはだ私は迷惑だと思って伺っていたところでございますが、私の考えはさっきから申し上げたとおりでございます。
  100. 安武洋子

    安武洋子君 大臣の意思を聞いているわけじゃない。それでしたら、今後外務省は公式にそういう場で、防衛庁も西太平洋という言葉は使わなくて、従来どおり極東、東アジアと、こう限られますか。
  101. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 厳密な意味での御質問でございますれば、スピーチしたり、演説をしたり、何かのときに法律用語そのまま使えとか、概念の別なものは使っちゃいかぬとか、そういうことでございますれば、そうかな、そんなにやかましいことかなと思うわけでございますが、事防衛庁と私どもに関することでございますれば、それは、よく防衛庁と相談します。ここは、文学的表現と言っちゃ何でございますが、常識的な意味で西太平洋という言葉を使ったことは確かでございます。
  102. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 外務大臣の言われたとおり理解しております。
  103. 安武洋子

    安武洋子君 防衛庁が文学的表現を今後お使いになるんですか。私は厳密な意味防衛庁が、いまの御質問は、私は西太平洋ということでこれだけ私がいろいろ言ってるんですから、じゃそれなら、もうそういうことでなくて、極東、東アジアに限られる、こういう言葉遣いにされますかということを聞いているわけです。
  104. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 外務大臣のお話でございますので、外務大臣の言われたとおり、これまでのあれを拡大するものでないと外務大臣が言われましたので、そのように私どもは理解しているわけでございます。
  105. 安武洋子

    安武洋子君 ちょっとわからない。どういうことですか。私は、西太平洋というのは防衛庁も、あなた御自身も使われた、今度は外交上初めて外務大臣が使われたと。しかし、これでは大変誤解があります。私は、アメリカの管区はハワイからずどんと東西に分けている、そちらを西太平洋だと、こう言っているわけです。そして、外務大臣のこのスピーチを、そういう、この地域の云々というのは、ここに貢献しているというのは、こういう西太平洋だと理解しているわけです。ですから、そうでないなら、こういう言葉はもう今後使いませんと、従来どおり東アジア、極東という言葉、これを使われるべきだと思いますが、そうされますかということを、もとに返ってそう使われるかどうかということをお二人に聞いているわけです。
  106. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 防衛庁が西太平洋という言葉を使っているという御指摘でございますが、私の記憶が誤りないとすれば、最近第七艦隊の航空母艦を中心とする機動部隊が、西太平洋にしばらくおらなかった事実があるというときに、西太平洋という言葉を使ったことはあると思うんでありますが、防衛庁の守備範囲をそういう意味で用いた記憶はないわけでございます。いま外務大臣の演説で言われました西太平洋の意味は、いま外務大臣が言われたとおり、防衛の範囲を自主的に拡大するものでないとはっきり言われておりますので、そのとおりに理解いたしているということを申し上げているわけです。
  107. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 防衛庁にいろいろ先生から御質問になるのは、防衛庁はなはだ、私がスピーチで使ったことでここに並べられて、御質問あるのは御迷惑だと思うんで、これは私が使ったのでございますから、私がお答えすればいいことで、私はそのことについて、それほど厳密な意味先生がおっしゃるのであれば、私は防衛庁とよく相談して私が返事します。
  108. 安武洋子

    安武洋子君 どう返事してくださるのですか。
  109. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) ですから、相談をして返事しますということを申し上げたのです。私がここで使ったのは、先生のような意味じゃ全然ございませんと、そんな話は全然出ませんでしたということを言ったわけでございまして、その言葉について御質問があるなら、私が防衛庁と相談して、私がまた同じことを答えるかそれは別でございますが、私が答えるのがいいと思う。防衛庁に私が使った言葉を余りいろいろ御質問になるのははなはだ防衛庁が迷惑だと思うんで、私が相談してお答えします。
  110. 森田重郎

    ○森田重郎君 私に与えられました時間はわずか十分間でございますので、三問か四問、特に外務大臣にお尋ね申し上げたいと思います。  今般、大臣訪米されて大変御苦労いただいたわけでございますが、自動車の対米摩擦の問題につきまして、向こうの大統領初め関係者といろいろお会いになりましたその経過、結果の中で、大臣御自身がお考えになっておられるこの自動車摩擦の問題は、言うなれば期間的に申しまして、大体どのくらいの期間を要すれば解決されるであろうか、その辺の率直な大臣の御見解を承りたいと、かように思います。
  111. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) いま自動車の問題で御質問でございますが、実は向こうへ行きまして、いろいろ向こうで自動車産業の特異な地位、経済界あるいは労働界で特異な地位、あるいは国会の保護立法の動きと、いろんな話が向こうから出たのでございますが、それをどうするかということにつきましては、具体的な話は一切実はしませんでして、数量の問題でございますとか、あるいはいま先生がおっしゃった期間の問題でございますとか、やり方の問題でございますとか、そういうものには実は一切私は立ち入らなかったのでございます。そして、アメリカ側から代表が日本にも来て、アメリカはこういうふうに考えて、自動車産業に対してこういうことをやるのだということをよく説明してもらいたいという話をしただけでございまして、数量とか、期間とか、そういうことには一切私は触れなかったということでございますので、今度向こうから来た人がどういう説明をしますか、それを大来君あるいは田中通産大臣等が、外務省、通産省というところが受けてどういう判断をするかということでございまして、期間どのぐらいどうかという問題は、まだ全然私は向こうと話もし、向こうから感触を聞くということは一切ございませんでしたので、いまここで私からそういう、どのくらいと言われましても、ちょっと御返答はいたしかねるというのが本当でございます。
  112. 森田重郎

    ○森田重郎君 それでは、通産当局どなたかお見えでございますね。この自動車摩擦の問題でございますけれども、この問題は、よく言われておることですけれどもアメリカ自体の言うなれば経済の不況とでも申しましょうか、高金利、物価高、そういった一連の問題が主であって、必ずしも全面的に日本からの輸出ということだけが、そういう意味でのプレッシャーをかけたのじゃないというようなことも言われておるわけですが、その辺で通産当局としてどんなふうに考えておられるのか、簡単で結構ですから、ちょっと御答弁賜りたいと思います。
  113. 西中真二郎

    説明員西中真二郎君) ただいま先生の御指摘ございましたように、確かに、アメリカの自動車産業の現在の不振と申しますのが、日本の自動車の対米輸出というものが実質的原因ではないということにつきましては、昨年の十一月のアメリカのITCの審決におきましても下されているわけでございまして、その辺は私どもその裁定の結果というものを評価いたしておるわけでございます。いずれにいたしましても、今度アメリカから人が参りまして、向こうの実情等も詳しく聞きました上で、その辺の関連につきましては、私どもなりに判断してまいるということになろうかと存じます。
  114. 森田重郎

    ○森田重郎君 ちょっと具体的に伺いたいのでございますが、八一年度の対米輸出の乗用車の台数と申しましょうか、その辺は通産当局どんなふうに把握をされ、また業界といろいろ打ち合わせをなさっておられるのか。すでに業界との自主規制の問題等について、行政指導的な立場でいろいろお打ち合わせなさっておりますか。どうでしょうか。
  115. 西中真二郎

    説明員西中真二郎君) まずアメリカの状況の見通しの把握でございますけれども、御承知のように、昨年のアメリカの乗用車の販売高がたしか八百九十八万台だったかと思いますが、九百万をちょっと切るレベルでございました。ことしがどうなるかということにつきましては、もちろんはっきりした断定的な見通しができるわけじゃございませんけれどもアメリカの中のいろんな見通しによりますと、九百六十万台でございますとか、一千万台でございますとか、あるいは人によっては一千万台を超えるのじゃないかというふうな見通しもあるようでございますけれども、その辺につきましては、向こうから人が来ました際に、またいろいろ話を聞くということも必要になってまいろうかと思っておる次第でございます。  それから、業界との接触でございますけれども、もちろん私ども、今度の対米問題に限りませず、自動車関係業界とは常時いろいろ情報交換等は行っておるわけでございますけれども、今度の対米自主規制というふうな問題につきまして、仮に行うということになるといたしましても、それはアメリカからのいろいろ説明を聞きまして、その上で具体的にいろいろ業界と相談していくということになろうかと存じます。
  116. 森田重郎

    ○森田重郎君 通産大臣が、二十八日の予算委員会でございましょうか、自動車問題は緊急避難的なものであって、そう長期的な意味での懸念、心配はないというような意味での発言がちょっとあったように私承知しておるんですけれども、これから業界といろいろ打ち合わせをなさって、具体的な詰めをしていくというような観点から、業界自体の意見というものもずいぶんあろうかと思うんですね。その辺で、そういった短期的な解決というようなものが果たしてできるのかどうか、その辺に非常に大きな疑問を持つのでございますけれども担当者としてその辺どんなお考えだか、お聞かせいただきたいと思います。
  117. 西中真二郎

    説明員西中真二郎君) もちろん今後の成り行きによるところも多分にあるわけでございますけれども、私どもとしましては、アメリカ側から十分説明を聞きまして、その上仮に必要があるということであるとすれば、最大限早い時期に決着できるように、最大限の努力を果たしたいということでございます。
  118. 森田重郎

    ○森田重郎君 大臣にお伺いしたいんでございますけれども、EC諸国、それから、ヨーロッパ等からいろいろ輸入規制の問題が云々されておるようでございますが、その辺多少具体的な情報が現在入っておるということでございましたら、ちょっとお聞かせをいただきたいと、こう思います。
  119. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) ECの方は、先生も御承知のように、ECと一本に言いますけれども、国によってうんと違うわけでございまして、フランスあたりは業界同士で大体三%ぐらいとか、イタリアは二千二百台でございましたか、イギリスはシェアの一一%ぐらいとかというふうに業界同士が話し合いをしていられる問題がありますし、ドイツとか、ベルギー、オランダになりますと自由とか、いろいろあるわけでございまして、ヨーロッパといいましても、非常に違うのでございますが、最近ベルギーあたりが非常にやかましく、何とかしてもらわないと自分の国の産業がということで意見を言ってきていることはあるのでございますが、EC全部としましては、どこの国の主張が強くなるかということでいろいろ複雑な事情があるわけでございますが、一般的には貿易のアンバランス全部含めまして、日本が非常な出超でございます。その中で自動車、テレビ、工作機械等につきしまて、何とか日本の方で自主的なことを、規制といいますか、そういうことをやってもらいたいという空気が非常に強いということは、何回も向こうのECの外相会議等であるわけでございます。しかし、台数がどうとか、期間がどうとかいう具体的なことについては、私はまだ伺っておらぬわけでございます。ECは全般的に日本の貿易につきまして非常な向こうが赤字だ、日本の出超だということで、いろいろな面でいろいろな意見が出ているということだけは確かでございます。
  120. 森田重郎

    ○森田重郎君 時間がもう経過いたしましたので、ちょっといささか私見を申し述べてみたいと思うのでございますけれども、ただいまECの問題につきましては、ベルギーの問題等がちょっと出ましたけれども、そのほかには特段変わったそういうニュースは入っておらぬというふうに、私自身いまの大臣の御答弁で理解をしてよろしいかどうか、同時にまた冒頭申し上げましたように、この輸出問題というのは、あながち、先般通産大臣の御発言にもございましたけれども、非常に輸入規制というものは緊急避難的なもので、短期間に解決するというふうな意味合いの御発言の要旨を踏まえて考えますと、ちょっとその辺が外交的に、そしてまたある意味では一つの通商政策上の面からいきましても、若干甘いんじゃなかろうかというような個人的な感覚が強かったものですから、あえてそういった意味質問をさせていただいたわけでございます。
  121. 伊東正義

    国務大臣伊東正義君) 一言だけ。EC全般的にやっぱりいろいろ意見があるんです。ただ、中を洗ってみますと、フランスとか、イタリーとかは、もう実質上は輸入はある一定はしないというようなやり方をやっておるわけでございまして、全般的な声は日本の輸出について自粛を求めるということでありますが、中を洗えば、国によっていろいろ違うということだけはこれはもう確かでございます。
  122. 丸谷金保

    丸谷金保君 自衛隊が引き続き使用することになりました帯広空港の跡地問題についてお尋ねいたします。  当初自衛隊と共用しておりました帯広空港は、一つは大型機の乗り入れが不可能だということと、もう一つは騒音問題の市民運動が起きまして、移転をし近々に開港いたしました。その跡地につきまして、帯広市は、当初財務部と折衝して、滑走路を含めた全空港跡地を国から譲り受け、各種施設をつくる考えでおったんです。一方、第五師団の小林師団長は、五十五年春以来二度にわたって自衛隊が使用したいと発言、市と競願になりましたが、市長は、国の壁は厚い、これも大事なことなんだ、国の壁は厚いと断念をして市有地と国有地等価交換をし、交換をしたところにはテニスコートだとか、野球場をつくるということで、一応形の上で一件落着というふうに見えるんです。しかし、私はこの問題を掘り下げて、まさに日本列島の縮刷版だなと、一帯広地方の問題でないということをしみじみ実は感じた次第でございます。当時なぜこれがこれだけで済まない問題に発展していったかというと、自衛隊が使用を決定した直後に、移管が行われた直後から、非常にこれに対する市民の反対が高まってまいりました。たとえば新聞の論調を見ましても、八〇年の十二月十二日、読売が「跡地利用バラ色の構想どこへ」、それから道新が「市民に開放せよ 帯広空港跡地四団体が請願」、こういうふうなことで、それぞれ一斉に市民団体の反発が出てきたわけでございます。なぜそういうことになったかというのは、市は当初ずっと市が跡地利用したいということを掲げてきておって、それから自衛隊が使用したいというふうになったのは五十五年になってからです。その間ずっと、市民感情としては当然これは市の跡地利用計画が進んでいるというふうな理解を持ったんです。それで、そのことで実はお伺いいたしたいんですが、昭和五十年に二回帯広市長から防衛施設局の帯広支局長あてに公文書で、これに対して、自衛隊側としては計画がございますか。現空港跡地の取り扱いについてということで文書が出ております。特に二回目は、五十年の六月二十日付の文書に対し、いまだ回答を得られず、重ねて御依頼申し上げますというふうな切々たる文書で市長から出ているのに対して、なしのつぶてなんです。五十四年の十一月ですから四年たっているんです、満四年。四年たってから、現空港は道東地域唯一の陸上自衛隊飛行場として併用していたんであるから、今後は管理したいと、こういう返事が来るのに四年かかった。私はこれはびっくりしたんです。普通市町村長から公文書で、しかも二回にわたって早く知らせてくれといったら、大体、たとえば計画がなかったらいま計画作成中だとか、使用はまだ煮詰まっていないとか、何とか返事があってしかるべきなんです。四年間ないんですよ。一体長官、こういうことで地方との間がうまくいくと思いますか。いかがです。
  123. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 帯広空港の移管の問題につきましては、ただいま先生御指摘のとおり、いろいろな経緯があったわけでございます。地元の帯広市等におきましては、同空港跡地の一部を利用したい意向を示しておられます。一方においては、防衛庁計画もございます。そこで、防衛庁といたしましても、同市を初め関係公共団体と十分話し合いをし、理解を得るように努めてきたところでございます。その結果、昭和五十五年十一月の国有財産北海道地方審議会において、着陸帯の防衛庁への所管がえが了承され、五十六年三月一日から、十勝飛行場として運用を開始したものと承知しているわけでございます。そこで、途中の経過における文書のやりとりの関係についてのお尋ねにつきましては、担当の政府委員から御答弁さしていただきたいと思います。
  124. 丸谷金保

    丸谷金保君 いま長官が読み上げました経過はよく知っているんです。私はいまそのことを答弁を求めたんではないのです。よくこちらの話を聞いてください。  私は、通常市町村長からの公文書に対して、四年間も返事をしないということが一体それでいいのかと。これはいいと長官が思われるならいいと言ってください、あとのことは聞いていないのですから。質問に答えてください。
  125. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 関係地方公共団体と十分話し合って、理解を得るように努めてきたということを私は報告で聞いているわけでございます。そこで、先生御指摘のような文書のやりとりがあって、四年間も返事がなかったということにつきましては、私よく聞いておりませんので、その辺につきましては経緯に詳しい政府委員に御答弁さしていただきたいということを申し上げた次第でございます。
  126. 丸谷金保

    丸谷金保君 その事実だけはひとつ御理解ください、御承知ください。  それと、これがその後一件落着しているように見えた、いま長官がおっしゃったように、審議会の議を経て決まりましたと見えた帯広空港跡地問題が、いま大きな問題になってきているという一番の原因なんです。言うなれば、防衛庁が地方を大事にしないで、市長のそうした再三の早く返事くれというのを四年も投げたということがいま吹き出しているので、跡地問題についての大きな責任は私はこれをずっと調べてみて、防衛庁側にあるなど、こう思うんです。ですから、市民は期待感を持っちゃったんです、その間に。このことをまず理解をしておいていただいて、どうしてこういうことになったかというのは、事務当局の方からひとつ御説明願います、
  127. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 私は就任以来防衛施設につきましては、関係地方公共団体の理解と協力を得て進めるということを強い方針として臨んでいるわけでございます。帯広飛行場につきまして、それに合わないような経緯があったというような御指摘でございますので、もしそういうことがあったとすれば、私から見ましてきわめて遺憾だと思うわけでございます。経緯につきましては、お許しが得られれば政府委員から御答弁さしていただきたいと思います。
  128. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) ただいまの先生御指摘の五十年の二回の文書照会にもかかわらず、防衛庁側から何ら回答なく、五十四年の十一月に至ってその回答があったという事実関係につきましては、先生御指摘のとおりでございます。ただ、何がゆえにこれだけの時日を要したかという点につきましては、まことに恐縮でございますが、ただいま確たる理由を詳しく御説明する資料を手元に持っておりませんけれども、この帯広空港跡地の利用につきましては、防衛庁としてはかねてから、従来ここは陸上自衛隊の航空地として使っておったということがあり、また、民間空港がほかに移転したならば、その跡地はこちらで使いたいという強い希望がある。また同時に、そこには航空大学校の跡地というものの利用もまた大きな問題として絡まっておった。いろいろな問題がそういう時期に絡まっておりまして、そして公文書で御回答するということは、いとたやすいことではございますけれども、一応公文書でお答えする以上は、地元の御要望に合った形でお答えをしたいという希望を持つのは、これは現地局として当然のことでもございますし、また、私どもとしても、関係方面ともいろいろ折衝を重ねたわけでございますけれども、それやこれや重なりまして、かように数年の時日を要するという結果に相なりましたことにつきましては、まことに残念に存じておる次第でございます。
  129. 丸谷金保

    丸谷金保君 残念だということは、遺憾だということじゃないんですよね。結果は残念だということで、まことに申しわけないということとは別なことですね。地方がそのためにいろんなトラブルが起きてきたということに対して、防衛庁側として、事務当局としては残念だということですか、申しわけないということですか、こんなに長引いたということは。
  130. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) 返事がおくれたことにつきまして、地元に大変御迷惑をおかけしたということでございますれば、まことに遺憾なことでございます。
  131. 丸谷金保

    丸谷金保君 しかも、十一月八日に防衛施設局の帯広支局長からの公文書、これにはまた御丁寧に、五十年六月二日付、五十年九月二十五日付の文書を参照としてと書いてあるんですよね。だから、明らかにこの間何にもなかったこと間違いないんです。  そこで、市は困っちゃったんですよ。このころになってこういうもの来たものだから困ってしまいましてね。この新聞の報道によりますと、「防衛庁回答ひた隠し、議会軽視と野党追及」ということで、昨年の暮れからもめ出したんです。  私は、どうして困ったかなというのは、第一では確かに自衛隊が使うということになってた文書なんです。しかし、二で、したがって、空港ターミナル及び航大分校区域については利用計画はありませんとなっているんです。この時点ではなかったんですね。ありませんと書いてあるんだからなかったんですね。どうですか、事実を確認していきたいと思いますんで。
  132. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) この時点におきましては、航空大学校の分校区域、あるいは空港ターミナル等につきましての利用計画がなかったというこの文書は、そのとおりでございます。
  133. 丸谷金保

    丸谷金保君 そこで、「が」以下になるんですけれどもね。それが五十四年の十一月ですよね。五十五年の春になりますと、第五師団の小林師団長が、自衛隊が使用したいということを盛んに発言しているんです。わずか数カ月の間になぜここで変わったのかということを実は私は知りたいんです、どうしてこういうことになったのだろうか。
  134. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) この御返事をお出しいたしました時点におきましては、航空大学校の分校、これが今度できます新空港に移転をするかどうかということが、必ずしも当方としてはっきりしておりませんで、現にそこに航空大学校の分校がございまして、日々活動を続けておるわけでございますので、それに言及するということもできませんし、そういうこと等から言いまして、この時点におきましては、こういう返事を差し上げたわけでございます。
  135. 丸谷金保

    丸谷金保君 運輸省来ておると思いますけれども、航空大学校を新空港に移すという計画は、どのようになっておりますか。
  136. 松井和治

    政府委員(松井和治君) 航空大学校の帯広分校の移転につきましては、新空港をつくることが決まりましてから、地元帯広市、あるいはその周辺の町村と、いろいろと相談をしてまいったわけでございますが、最終的に新空港に移転をするということをはっきり決めましたのは、昨年五十五年の七月十六日でございます。
  137. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうしますと、大臣お聞きになっておわかりのように食い違いますでしょう、五十四年の十一月八日時点では、帯広航空大学校分校の移転が決まらないし、まだ現に使っているんだから、こういう表現になったと、こうおっしゃったんです。  ところが、五十五年の春、これは三月の何日だったかと思いますが、五師団長は全部使いたいということを公式に新聞なんかで発表しているんです、新聞記事ここにありますけれども。それから、運輸省は七月でしょう、決めたのは。そうすると答弁食い違いませんか、参事官の答弁は。
  138. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) 帯広支局長から帯広市長にあてた私どもが航空大学校分校区域について利用計画はありませんという御返事を差し上げたのは、五十四年の十一月八日でございます、その後、私どもといたしましては、この航空大学校分校が移転するという状況が明らかになりましたので、そこの跡地はターミナル区域と現にりっぱなものがございますし、そういうようなものを利用したいという希望を持つに至ったわけでございます。そのことにつきましては、国有財産担当の部局、大蔵省の方にもその後正式に文書で申し入れるという経緯になってございます。したがいまして、この文書をお出しした時点におきましては、航空大学校はまだそこに活動中であるということでございました。
  139. 丸谷金保

    丸谷金保君 航大分校は、五十五年の七月時点までは、移転するということは決まってなかったわけですよ。いろんな問題があるんです、これには。近隣町村としては、何回も墜落事故なんかありまして困ると。いままでは帯広の上で墜落してくれたからいいけれども、こっちに持ってこられたら近隣の今度は町村の方にいくかもしれぬというふうな心配もありまして、なかなか決まらなかったんです、そして、決まったからとおっしゃいますけれども、決まらないうちに師団長がこういう発言をしているんです。これは一体どういうことなんです。
  140. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) 師団長がどういう情報に基づきまして、どういう知識に基づきまして、そういうことをどういう場所で発言したかということも、実はまことに申しわけないんでございますが、事情つまびらかにいたしておりませんので、必ずしもお答えが御納得いただけるかどうかわかりませんけれども、いずれにいたしましても、こういう大きな用地の利用、その後の動きというようなものは、大変地元の方々、あるいは現にそれを利用しております者にとりましては、これは一般論でございますが、大変関心の深いところでございますので、特にこういう航空大学校の移転というようなことにつきましては、いろいろな情報が出てくるということは容易に想像されるわけでございますので、それらを総合いたしまして、その師団長のそういう発言になったものと考えております。
  141. 丸谷金保

    丸谷金保君 これ師団長は一度ならず二度までやっているんですよ。ですから、それが上の方との意向が適じないで、上の方の意向が決定してないのに、師団長がそういうことを言うんですか。師団長の独断でそういうふうなことがどんどんと言えるような防衛庁というのは現地主義なんですか。
  142. 上野隆史

    政府委員(上野隆史君) 師団長といたしましては、自分の師団の活動上、その分校が移転した場合には、そこも使いたいという、そういう希望を持つことは容易に想像されるわけでございまして、この時点におきましては、師団長はかねてからのそういう要望、希望というものをその席で発表したものと思われます。
  143. 丸谷金保

    丸谷金保君 長官、これでまた地元心配したんです。それは使わないんだと、文書でその後公式に使いたいという申し入れがないのに、師団長がばかばかとやる。これはやっぱり自衛隊本当は文書ではこういうふうに言ってきているけれども、使いたい気持ちなんだなと疑心暗鬼になるわけです。しかし、市長は、いやそれはちゃんとこういうことで自衛隊の方からはこういうことになっていると。それでこれを出せばいいんですが、また市長もこの文書をひた隠しに隠しちゃった。市長が隠したんじゃなくて、助役が何か金庫の中へ入れて忘れてしまったということで、これが今度問題になるまでこの文書出てこなかったんです。その経過は御存じですわね。それで疑心暗鬼が二つ重なってきたんです。  そこで実はもう一つ問題があるんですが、現在の防衛庁の敷地内に、所有権の移転登記の行われてない土地があって、それがいまおたく防衛庁の方が原告で裁判になっておりますね、この経緯をひとつ説明していただきたい。
  144. 伊藤参午

    政府委員(伊藤参午君) 本日詳しい資料等いま手元に持っておりませんが、帯広駐とん地並びに訓練場の買収経緯について、現在のところ国有地でありながら、なお登記薄上現所有者の方の登記になっているというものがございますのは先生の御指摘のとおりでございます。
  145. 丸谷金保

    丸谷金保君 いま詳しい資料ないというのもちょっとおかしいんですけれどね、この問題については、私の方で二十七年の登記ミスの問題ということで質問要求しておりますわね。それに対して何にも持ってこられないんですか、そんなはずないでしょう。
  146. 伊藤参午

    政府委員(伊藤参午君) 現在帯広駐とん地を自衛隊として使っておりますが、その帯広駐とん地の中の二筆六万四千平方メートルの土地につきまして、昭和三十年の三月に、実は売買契約終わっているわけでございます。その際に、所有権移転登記の手続が、他の購入した土地と異なりまして、所有者の方の住居等の問題もございまして、登記手続が行われないままに経過したようでございます。当庁としまして、登記手続を下していないということでございますので、昭和五十二年ころ改めて現所有者の方といろいろお話し合いを進めたわけでございますが、協議が得られないということで、現在所有権移転登記手続の履行を求めて提訴しております。
  147. 丸谷金保

    丸谷金保君 きょうは決算だから、会計検査院どなたか来ていると思うのですがね。登記しないで、ですから所有権の移転登記が行われないで、こういう財産の支払いが行われるということは、会計検査院としてはやむを得ないというふうにお認めですか。
  148. 堤一清

    説明員(堤一清君) 財産の登記というのは、当然にやるべきであると考えております。
  149. 丸谷金保

    丸谷金保君 わずかでしたらね、これ何かで見えなかったというふうなこともあるかもしらないんですが、この場合、相当の面積なんです。これ支出命令は防衛庁長官がやるわけですね。こういうときの文書は、一体未登記のやつを支払いできるような文書の書き方というのは、私は寡聞にして知らないんで、そういううまい方法を教えてください。
  150. 伊藤参午

    政府委員(伊藤参午君) 先生御指摘のように、私どもの方で一般の私人の方から国有の演習場、訓練場といった形で買収するときには、当然通常の売買手続に従って、売買契約も結びますし、それから国有財産としての所有のための手続一切とります。その段階で、国有財産に移しがえする、国有財産としての手続をとるわけでございますが、本件につきましては、昭和三十年に帯広駐とん地、帯広訓練場を開設いたしますときに、それぞれの手続とったようでございますが、たまたまこの二筆がほかの土地と違いまして、所有者の方の住所等の問題もございまして、手続がおくれていた。それで、どういった手違いか、今日まで国有財産としての、国有財産台帳等への登載手続は済ましておりながら、登記簿上の手続をとっていなかったということでございますので、私どもとしましては、この辺につきましては手続上にそごがあったというように考えております。
  151. 丸谷金保

    丸谷金保君 こういう問題が出てきたんです、一連の流れの中で、しかもこれ二十何年たっているんです。移転登記が行われないで、住所が確認できなかったためにこういう問題が起こった、一体だれに払ったんですか、金は。払ってないんですか。
  152. 伊藤参午

    政府委員(伊藤参午君) 実は一団の土地として、当時の所有者の方々、複数の方々から売買等を行いまして、今日まで訓練場として、その意味では平穏無事に使わしていただいておるわけでございます、私どもとしましては、この件につきまして、先生御指摘の手続上のそごにつきましては、確かに御指摘のとおりだと思いますが、売買契約が行われ、土地代金が支払われたということに関しては、国側にも、もとの所有者の方にも同様の認識があったものとして、長年月経過したものというように理解しております。
  153. 丸谷金保

    丸谷金保君 あなたの方理解しても、私は全然理解できないんだけれどもね。そういう問題が一つあるということで、これは会計検査院の方もちょっとよく調べてください。そんなうまい方法あれば、私も教えてもらいたいと思うので、登記しないで金をもらえると、結構なことだと思うのです。  こういうことが次から次へと出だしたんです、一件落着しないで。長官ね、その一番はやはり騒音問題なんですようるさくてかなわないから空港を移してくれ、これが移すときの市民運動の大きな原因だったんです。しかもあいまいに来て、突如として自衛隊が使うんだということが前面に出てきた。しかも、この地域というのは付近に畜産大学あるいは帯広農学校、南町中学校、稲田小学校とか帯広工業高校というふうな、文教地区としてずっとひしめき合っているんです。ここにせっかく民間が出ていったと思ったら航空自衛隊入ってきたと。これは大変だということになったわけです。そしてこのことについては、市長は再三にわたっていま前のような騒音を起こすようなことは絶対させないように防衛庁に申し入れていると、こう言っているんです。しかし、議会答弁になりますと、CI型輸送機の乗り入れは直ちにはないというような、こういう答弁しちゃうんですよ。直ちにはないということはあるということですよね。それで、ますます付近の住民はいきり立って、いま署名運動が、あそこ自衛隊の航空隊出て行ってもらわなきゃならぬというふうな話にエスカレートしつつあります。私はつい最近聞いたんですけれども、要するに、ここへ自衛隊がこんなに飛行場そのまま居座られたら困るということで、騒音問題の署名をしたら、署名に応じないのは警察官と自衛隊の隊外居住ですか、だけだというんです。そのくらい付近住民を中心にして、ぼくは市長さん非常に困ると思うんですよ。直ちにではなくて、現況以上、現況もヘリコプター九台と輸送機が一台あるんです。これ以上はふやさないと市長は再三にわたって防衛庁に申し入れている、ふやさないでくれと、こう言っているんですが、これはひとつふやさないということをお約束いただきたい、そうするとおさまるんです。
  154. 石崎昭

    政府委員(石崎昭君) 旧帯広空港を使ってきましたのは、おっしゃるとおり、いままでのところ十二機の飛行機で、いずれも小型のものであります。ヘリコプターが十一機、プロペラの小型機が一機ということで、当面今後もこの機数がふえるということは予想されておりません。  それから従来使ってきたような使い方、つまり離発着の訓練であるとか、飛行方法の訓練であるとか、災害派遣であるとか、緊急の病人の輸送であるとか、そういった用法においても従来どおりというふうに私どもは考えております。
  155. 丸谷金保

    丸谷金保君 これいつでも当面がつくんで困るんですよ。当面外してください、どうです。当面というんだったら市長も答弁しているんですけど、納得しないんです、みんな当面では困ると。文教地区で住宅地区なんですから、これ以上ふえられたら困ると、当面では困るんです。もう一度ひとつ。
  156. 石崎昭

    政府委員(石崎昭君) 当面と申し上げましたのは、防衛の任務の内容が将来長期にわたって全然動かないということは考えられませんので、正確を期して当面と申し上げたわけであります、何年か先、遠い将来のことはちょっとここで申し上げるわけにはまいりません。
  157. 丸谷金保

    丸谷金保君 現地でもそう言っているんです、同じことを。特に飛んでくるやつは上の声だから、現地では抑えようがない。長官どう思います、これ環境問題とか、いろいろ大蔵省の問題とか、基地交付金の問題とか、いろいろこれから派生してくる問題たくさんありますけれども、そういういま以上騒音を起こさない、市長が切々としてそういうふうに市民にも約束しているんです。  防衛庁も将来のことはわからないと言わないで、環境を見れば長官だってやはり、ぼくはここに、戦争中はあったんですけれども、帯広に空港もありました。しかし、あれだけ町の真ん中になったところへ、自衛隊の空港があるということ自体非常に問題だと思うんですが、もう少しひとつはっきり、このことについて、長官、現況おわかりにならないから何とも言えない、事務局答弁に頼ることになるかもしれませんが、現況を見れば、それはとてもあすこにどんどん飛行機飛んでこられるようになったら、遠い将来にわたっても、市民は大変迷惑するし、困ると思うんです。これらに対する長官のひとつ配慮ある御答弁をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
  158. 石崎昭

    政府委員(石崎昭君) 事務的な御説明を先にいたします。  地元の方が騒音問題その他で非常に関心をお持ちだということは私どもも大変よく理解できます。そこで、旧帯広空港を使うについては、なるべく地元民の住民の方々に御迷惑がかからないように、安全確保はもちろん、騒音についても十分配意していままでも使ってきましたし、今後も使うつもりでおります。
  159. 丸谷金保

    丸谷金保君 時間ないから、そこまででいい。
  160. 石崎昭

    政府委員(石崎昭君) よろしいですか。詳しく必要があれば申し上げますが、騒音がなるべく立たないように十分配意してやっております。
  161. 丸谷金保

    丸谷金保君 ちょっとそういうことを言うと、時間がないので、やめようと思ったんだけれども、騒音がないと言うけれども、新帯広空港は、七十五ホンから六十五ホンなんです。ですから六十五ホン以上になると、時着料というので国から払っているんです。国が認めて航空会社から取っているんです。しかし、いまは十勝飛行場ですね、自衛隊使っている十勝飛行場になった方でも、ヘリコプターというんだって昔大きいですよ、あれ。付近で測定したら六十五ホン以上上回っているんですよ。そういう測定がもう出ているんです。どこを注意しています。
  162. 石崎昭

    政府委員(石崎昭君) どこを注意しているかは先ほど申し上げようと思ったわけであります。  飛行場の周辺で着陸の前に、たとえば滑走路の周りを回る場周経路というような名前で呼んでいる経路がありますが、このようなものの設定に当たっても、この十勝飛行場においては、住宅密集地、学校とか病院とか、そういうもののたくさんあるところを避けて、それがない方に場周経路というものを設定をしておりますし、それから夜間飛行に当たっては、市街地の上空を飛ばないようにするというような、騒音防止のための努力を払っているところでございます。
  163. 丸谷金保

    丸谷金保君 ちょっと時間がないので、本当はそういうことを言われるともう少しやらなければならぬのだけれども、いまの十勝飛行場、今度かわりましたけれども、あすこであれですか、人家が密集してない方へ、どっちへ向かって飛ぶんです、そんなところありますか。町の真ん中になって、周りずうっと住宅地や、文教地になっているからに、どっちへ向かって飛んだら人家のない方へ飛べるんです。
  164. 石崎昭

    政府委員(石崎昭君) 地図があると大変わかりやすいんでありますが、御存じのとおり市街地で建物が密集している町の中心になる部分が片方にございます。そうでないより密集してない方という意味で申し上げているわけです。
  165. 丸谷金保

    丸谷金保君 そうすると、前のあれは、ない方へ飛んでいくというのは、それはない方はないということは認めますね。ないんですよ、あの周りで。よりというならわかります。それはうんと密集しているところと、より少ないけれども密集しているところとあるでしょう。だから、よりその少ない方にというならわかるけれども、密集してない方にというじゃ、現況を全然把握してないんだ。書いたもので、そういう報告きているから読んでいるだけで。  長官、そんなようなことなんで、大変地元は、これほっておくといろいろこれから問題になるし、市長さんも大変苦労しているんで、もう少し市民が安心できるような前向きの答弁をお願いしたいと思います。
  166. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) お答えします。  騒音対策につきましては、騒音の実態を把握した上で、その対策を講ずる必要があると考えられますので、その点は十分調査の上対処してまいりたいと思います。また、御指摘のありました管理、運用に当たりましては、これまでの経緯もございますし、また、地元の不安ということもございますので、そういうことを招かないように十分話し合いや調整を行ってまいりたいと考えております。
  167. 野田哲

    委員長野田哲君) 午前の審査はこの程度とし午後二時まで休憩いたします。    午後一時一分休憩      ―――――・―――――    後二時二分開会    〔理事佐藤三吾君委員長席に着く〕
  168. 佐藤三吾

    理事佐藤三吾君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、丸谷金保君が委員辞任され、その補欠として寺田熊雄君が選任されました。     ―――――――――――――
  169. 佐藤三吾

    理事佐藤三吾君) 午前に引き続き、昭和五十二年度決算外二件を議題とし、外務省及び防衛庁決算について審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  170. 野田哲

    野田哲君 まず、外務省の国連関係の問題についてお伺いいたしたいと思います。  昨年一九八〇年の国連の第三十五回総会におきまして、ワルトハイム事務総長から核兵器に関する報告が行われております。この報告の中で、三百七十五項の日本に関する部分が記述されておりますが、この三百七十五項の日本に関する部分を、ちょっと国連の担当の方で読み上げていただきたいと思うんです。
  171. 賀陽治憲

    政府委員(賀陽治憲君) お答えをいたします。  ただいま野田委員の御指摘の点でございますが、御質問の点は広島、長崎に関する記述というふうに拝聴しております。広島、長崎における原爆投下による焼死者数に関し、両市長報告というのがございまして、一九四五年十五万人、五〇年二十万人死亡等が記述されておりますが、これが引用されておりまするとともに、核兵器保有に至らなかった事例として、わが国の例が挙げられまして、わが国の核兵器に対する国民感情等について記述されている部分と了解しております。
  172. 野田哲

    野田哲君 いまの部分で、こういうふうに書いてありますね。  一九七六年の核拡散防止条約の批准に先立つ国民的論議の中で、もし日本が核兵器を取得した場合には、日本の安全保障は強化されないだろうという多くの理由によるコンセンサスが存在をしていることが明らかであったと。それで、五つの理由を挙げています。  まず一つは、日本の場合、人口が過密であるために、日本は核攻撃に対して非常に脆弱である、それから、二番目に、核兵器は日本が持つ場合にはそれゆえ中程度の能力のもの、すなわち、しっかりと防護されて、高度の通信と支援のシステムを含めたものが必要である。それから三番目には、その費用は非常に高くなる。四番目には、そのような兵器の開発はその上に長いリードタイムを要する。それから五番目には、完成のときまでには兵器工場は高度なシステムが必要になっているかもしれない、こういう見通しもあった。こういうくだりがあると思うんです。もっとも、英語ですから、私の方が正しいかどうか。趣旨としてそういう趣旨があると思うんですが、その点いかがですか。
  173. 賀陽治憲

    政府委員(賀陽治憲君) ただいま野田委員の御指摘になられました部分は、非常に正確に表現されたわけでございますが、三百七十五項にございます。
  174. 野田哲

    野田哲君 そういう表現が日本に関する部分で、国連の報告の中にあるということは、日本において核兵器の開発について、かなり具体的な検討が行われた、そういうバックグラウンドがあって、この事務総長の報告の中にその記述がされているんだ、こういうふうに思えるわけです。日本で核兵器の開発について何らのバックグラウンドがない状態の中で、こういう記述が出るはずはないと思うんですが、そのバックグラウンドについては、どういうバックグラウンドがあったのか、国連局長御存じですか。
  175. 賀陽治憲

    政府委員(賀陽治憲君) ただいま御指摘の点でございますが、この専門家グループは、専門家が個人として出席をしております、専門家の数は十二名でございますが、わが国からは、当時まだ民町におられまして、現在クウェート大使でございますところの今井さんが出席をされておるわけでございます。  私もこの報告の作成過程におきまして、お話を伺ったこともございますが、この報告書は二つの部分から成りまして、一つは、やはり客観的事実を正確に把握するということ、一つは政策論的な部分、このように分かれておるわけでございますが、これは私が完全にあらゆるセッションをフォローしておりませんので、あらゆるセッションについてどういうことであったかということを申し上げる立場にないわけでございますが、今井さんが、特に原子力の技術的な専門家であられたという方が、非常にうんちくを持っておられたということは事実でございますので、その立場から、今井さんからもお話がございましたでしょうし、あるいは専門家委員会でございますので、専門家委員会としてのスタッフが各国についていろいろな調査をしたということはあると存じております。
  176. 野田哲

    野田哲君 専門家部会で日本からは現在クウェート大使をやっている今井隆吉さんが参加をしたということで、したがって、いまの記述は今井さんがこの専門家会議の中での日本を代表しての参加、こういう中で書かれているということだと思うんです。  そこで、ざらにお伺いをしたいと思うんですが、昨年の夏にアメリカの上院の外交委員会の報告書が発表されております。これはむしろ外務省よりも防衛庁の方がフォローされているんじゃないかと思うんですが、この外交委員会の報告書によりますと、日本が核武装に踏み切る可能性として四つの条件を挙げております。まず第一は、中ソ間の軍事紛争が発展をして、ソ連日本を中国の同盟国とみなして、日本への軍事圧力を強化をした場合、二番目には、アメリカアジア政策が変化をして、極東の安全保障に空白を生じた場合、三番目には、朝鮮半島で大規模な軍事衝突が発生した場合、四番目は、韓国、台湾が核武装に踏み切った場合、こういう点を挙げて、こういう状態が起これば、日本は核兵器の開発に踏み切るのではないかと、こういうふうにアメリカの上院の外交委員会の報告書は述べていると思うんです。この点は間違いないですね。防衛庁の方で承知されておりますか。
  177. 岡崎久彦

    政府委員(岡崎久彦君) 突然の御質問でございますので、私、資料は持っておりませんけれども、たしか昨年提出されましたグレン報告、グレン報告という名前になっておりますけれども、これは実はグレンも上院もあるいは軍縮管理局も自分の責任のない紙であるとはっきり言っている紙でございますけれども、その報告書の中に、日本が急速に防衛力を増強するとすれば、そのような条件があるのではないかといった条件と、いま先生が御指摘の条件がかなり合致しているように私は記憶しております。
  178. 野田哲

    野田哲君 さらに総合研究開発機構というのがありますが、この中で「二十一世紀への課題」という最終報告書がされているわけですが、この中で「国際環境の変化と日本の対応。二十一世紀への提言」、こういう項があるわけです。それによりますと、日本がいつまでも核兵器非保有国であるという認識は一現在では国際的には持たれていない。世界で、近い将来核兵器保有国になるだろうと、こう予測される国の一つに挙げられていると述べています。そしてその決意さえすれば、計算どおりの威力を発揮する原水爆と、非常に進歩した非脆弱な運搬システムを持つことが可能な国だと、こういうふうに挙げられているわけです。  現在、日本が核兵器を持たない根拠としては、私たち立場から言えば、憲法九条を挙げているわけですけれども政府は憲法九条ではなくて、国内的な要因として国会での決議、非核三原則を挙げています。さらに国際的な要因としては、核拡散防止条約の加盟国である、こういう点を制約として挙げているわけであります。そこで、日本が核兵器の保有国になる国際的なきっかけとしては、幾つかいま挙げられておりますように、韓国がまず核兵器の保有国として走り出した場合に、これにおくれないように日本も走り出すのではないか、こういうふうに国際的には見られているわけです、もう一つは、アメリカのプルトニウムの規制措置の緩和があった場合、これが一般的には日本が核兵器を持つきっかけになるのではないか、こういうふうに言われているわけです。  そこで、現在の状況を考えてみますと、韓国はすでに核兵器保有国に向けて走り出している、こういうふうに見てもいいのではないかと思うんです。その韓国日本の間では、済州島に日韓両国の原子力発電所から出る使用済み核燃料の再処理工場を共同でつくるという話も出ているわけであります。さらにまた先般の伊東外務大臣の訪米で、アメリカのプルトニウムの規制措置について緩和の話が出ているということも大きく報道をされているわけです。すなわち、こういう状況というのは、巷間言われているところの、日本が核兵器の保有国になる国際環境というのがつくられつつある、できつつある、こういうふうに言われているわけであります。  そこで、まず大村防衛庁長官に伺いたいのは、鈴木内閣の防衛庁長官として、自衛隊の核武装については絶対に考えていない、こういうことが明確にお答えできますかどうか、この点をまず伺いたいと思います。
  179. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) わが国が国是とも言うべき非核三原則を堅持していくということは、繰り返し申し上げているところでございます。この原則を堅持してまいりますので、これからもこの原則を逸脱するようなことは、防衛庁としては一切考えておらない次第でございます。
  180. 野田哲

    野田哲君 国際的な制約としての核拡散防止条約の批准国としての制約、それから、もう一つは、国内的には非核三原則、これを国是としているということですが、私たちは憲法第九条こそ日本が核武装できない最大の制約だと、一番重い制約だと思っているわけですが、政府はいままでこの問題について憲法上の制約ということは言っていないわけです。  重ねて伺いますが、国会決議の非核三原則のこの制約がなくなったとき、それから、国際的な制約がなくなったときには、日本はどういうふうにこの問題について対処されようとするのか、重ねて伺っておきたいと思うんです。
  181. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 非核三原則がなくなった場合、あるいは国際的な制約がなくなった場合という仮定のお尋ねでございますので、ちょっとお答えにくいわけでございます。防衛庁といたしましては、国会決議に基づく非核三原則が現存いたしておりますし、また国際条約にも加盟しておりますので、現在の時点におきましては、こういった原則等を遵守してまいるということを、繰り返しで恐縮でございますが、申し上げる次第でございます。
  182. 野田哲

    野田哲君 先ほど国連局長にお伺いをしたわけですけれども、昨年のこのワルトハイム報告、日本の核問題についての記述、これを見ても、今井隆吉さんが専門家会議委員として参加をした、こういうふうにお答えになっているわけですけれども、実際のバックグラウンドなしに参加をしたのであれば、当然このワルトハイム報告の中での日本に関するくだりは、日本国会で非核三原則という核は一切持たないし、つくらないし、持ち込ませない、こういう国是があるということと、核に対しては非常に強い国民感情がある、こういうことから、日本では一切核の問題については持ち得ないんだ、こういう記述になるはずのところが、非常に高くつくであろうとか、中程度の規模のもの云々とか、こういうような表現が出てくるということは、すでに国内において、今井さんが参加をしたこの記述に反映をされるような政府部内での議論があった、こういうことが推察されるわけなんです。  そこで、私は防衛庁に伺いますが、政府の部内で核武装についての可能性、能力について、すでにこのころから検討を始めているのではないか、こういう疑惑を持っているんですが、この点はいかがですか。
  183. 和田裕

    政府委員(和田裕君) 核兵器を開発する目的での研究というのは一切行っておりません。
  184. 野田哲

    野田哲君 私の手元に「わが国における自主防衛とその潜在能力について」、こういう二百ページを超えるかなり長文のレポートがあります。これはどこでつくったか、そういう点は一切書いてありません。書いてないからこそ、実は問題なんです。かつての防衛庁あるいは政府部内で秘密でやられていた研究――三矢研究とか、その他ずっと秘匿されていた資料のスタイルというのが大体こういう形になっているんです。  そこで、まず、中身は後で私の方から要点を披露して、それぞれの見解を伺いたいと思うんですが、この表題について一つ非常に特異な表現を使ってあるわけです。  それは、「わが国における自主防衛とその潜在能力について」ということで、「自主防衛」という表現を使っているわけですね。この「自主防衛」という表現は、防衛庁の文書でも一時的にしか使われていない、現在ほとんど使われていない用語なんですけれども、この用語はいつごろ使われましたか。たとえば防衛庁の公文書等でこの「自主防衛」という言葉が使われたのはいつごろですか。
  185. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 御指摘の「自主防衛」と  いう言葉を、防衛庁の文書で使ったのはいつごろかということでございますが、正確にすべての資料で検討していつごろかということは、ちょっといまわかりかねるわけでございますけれども、いまはっきりいたしておりますのは、昭和四十五年の第一回防衛白書当時、中曽根長官の当時のことでございますが、の第一回の白書におきまして、「自主防衛とは、国民のひとりひとりが自主独立の気概をもち、国の防衛は、第一次的にはみずからの力で行なうというもの」という国会での当時の佐藤総理大臣の説明を紹介をいたしたくだりがございます。  そこで、いま申し上げました防衛白書の中では、その総理の言葉を紹介した後、「自主防衛は必ずしも単独防衛ではない。自主性を確保して国益を守るために相互に提携するなら、集団安全保障体制も自主防衛の一形態である。」というふうに述べた部分がございます。私どもいま気がつくのはそれが第一回目じゃないかと思います。
  186. 野田哲

    野田哲君 昭和四十五年の防衛白書に確かに初めてこの「自主防衛」という用語が使われておりますね。それ以降も余り使われていない、それ以前はほとんどそういう言葉は出ていない。こういう状態ですから、大体それとこの「自主防衛」という言葉が使われているこのレポートというのは同時期なんじゃないかな、こういうふうに推察されるわけです。  そこで、前文ではこういうふうに書いてあるわけです。前文全部読むわけにいきませんが、趣旨として、   現在の非核国の中で、核兵器生産の技術的能力を保有する国として、わが国は西ドイツとともに最上位にランクされているようである。  しかし、その能力の実態についてはほとんど知られていない。この報告は、わが国が自主的な防衛政策を行った場合、核兵器生産の技術的能力がどの程度あるか、という問題について検計を行ったものである。  つまり、わが国における核武装能力について、検討を行ったものである、こういうふうに述べているわけなんです。  そして、その内容は、まず「第一章 わが国の原水爆生産能力」、「第二章 ウラン資源とわが国の原子力開発」、「第三章 運搬手段の生産能力」、つまりロケットとかミサイルとか、それから潜水艦、こういうふうな運搬手段の生産能力。「第四章核兵器と憲法、原子力基本法および国際条約について」、「第五章 各国の核兵器開発の経過と現状」、こういうふうに述べているわけです。  これだけのことが網羅された核兵器の開発能力、このレポートでありますから、これは当然防衛庁で所持をされているものだと思いますが、いかがですか。
  187. 夏目晴雄

    政府委員(夏目晴雄君) ただいま先生御指摘のレポートにつきましては、防衛庁としては全く承知しておりません、したがって、中身について一々どういうふうに書いてあるか、それが防衛庁がどういうかかわりを持っているかということも一切答弁いたしかねるというものでございます。
  188. 野田哲

    野田哲君 幾らここで私が押し問答しても、長官も官房長も防衛局長も持っておりますとは恐らく言えないでしょう、これは。言える筋合いのものでないわけですから、しかし、この内容としてはかなり詳細をきわめているし、そしてこれだけのものをつくるとすれば、これは政府の部内でつくる以外にはないわけでありますから、以下、書かれている内容について、主要な点について内容を披露しながら、それぞれの所管の政府委員の見解を伺ってまいりたいと思うんです。  まず第一章の「わが国の原水爆生産能力」、この点について、主要な点ではこういうふうに書かれています。核兵器の生産能力を見積もるための基本的条件としては、必要とされる厳しい仕様を満たす核分裂物質の生産、二番目には核弾頭の組み立てとその実験、三番目には運搬系統の開発とコントロール、こういうふうに挙げているわけであります。やはり基本的条件としてはこの三項、これが当然基本的な条件になると思うんですが、装備局長それから科学技術庁の原子力局長、御見解はいかがですか。
  189. 和田裕

    政府委員(和田裕君) まず、レポートにつきましては、いま官房長から申し上げましたとおり、防衛庁は一切関知しておりませんので、レポートとの関連ではなしの御質問と理解するわけでございますが、私どもはさっき申し上げましたとおり、核兵器を開発する目的での研究、あるいは核弾頭を運搬するための手段等につきましての研究は、一切行っておらないということでございますので、それ以上のことについては申し上げられない、こういう状況でございます。
  190. 石渡鷹雄

    政府委員(石渡鷹雄君) 科学技術庁におきましては、「平和の目的に限り、」という原子力基本法第二条の大前提のもとに原子力の研究、開発、利用を進めているところでございます。したがいまして、これを兵器としてということにつきましては、一切検討したことがございませんが、きわめて一般論といたしまして、材料も非常に厳しい規格を要求されるであろうというようなこと、あるいは私どもは一切経験はないわけでございますが、核弾頭の技術あるいは運搬技術といったものが、非常にむずかしい技術だろうということは、技術の一般論として推測できることかと考えます。
  191. 野田哲

    野田哲君 「ウラン型原爆」という項目が次に記述をされているんです。「ウラン型原爆 高濃縮ウランの生産について」、そこではこういうふうに書かれているんです。   天然ウランから 原爆級の高濃縮ウラン  (九八%以上濃縮)を得る方法には、ガス拡散法、超遠心分離法、熱拡散法、電磁分離法、化学的分離法等がある。しかし、純度の極めて高い高濃縮ウランを相当量まとまった形で得るには、ガス拡散法か超遠心分離法が適しており、そこで、ガス拡散法によるウラン濃縮、わが国の技術水準について、わが国では京都大学工学部原子核工学教室の大石研究室が研究を続けている。工業化の決意をすれば、基礎的データはそろっている。こういうふうに述べて、以下ガス拡散法の原理をずっと説明をされています。そして問題点として、天然ウランの入手の問題。わが国の天然ウラン埋蔵量約三千トン。日本じゅうのウランを残らず掘り出して手に入れられる原爆は一千発。実際に採掘可能な天然ウランは数百トン、原爆二百ないし三百発。長期的な計画として、天然ウランの乏しいわが国としては海水中のウランの回収を考える。現在専売公社、工業技術院、動力炉・核燃料開発事業団によって検討中である。埋蔵資源の採鉱については技術的問題はない。こういうふうに記述されているわけですが、これ政策の問題は別にして、技術的な純粋な問題として、原子力局長いかがですか。
  192. 石渡鷹雄

    政府委員(石渡鷹雄君) 現在世界的に実用化されております濃縮ウランの製造方法につきましては、先生ただいま御指摘のように、ガス拡散法とごく少量ではございますが遠心分離法と、この二つが実用化されているわけでございます。恐らく相当初期の時期に日本におきましても自主技術によるウラン濃縮ということが大分広く検討されたわけでございますが、私、不勉強で、京都大学の大石研究室の研究につきましてはちょっと詳細理解しておりませんが、現在わが国がとっている方向といたしましては、遠心分離法でいこうということでございます。ガス拡散法が日本においてとれなかった理由と申しますのは、まず大量生産方式であるということでございまして、日本の場合、原子力発電の開発に歩調を合わせて、濃縮能力も徐々にふやしていくということがよろしいのではないかという判断があったと思うわけでございます。  それから、技術的に隔膜の開発ということが非常にむずかしい技術的難点であったと承知しておりますが、日本の場合、京大よりも理化学研究所におきまして、一時この基礎的な研究が進められたという実績がございますが、結局大きな規模での工業化ということについては、わが国はとても踏み切れないということでございまして、遠心分離法に向かっていったという状況でございます。  なお、遠心分離法につきましては、日本及び欧州におきまして、現在研究開発が進められておりまして、規模は非常に小さいわけでございますが、少なくとも原子力発電に使う低濃縮につきましては、相当実用化のめどが立っているという状況でございます。
  193. 野田哲

    野田哲君 一般的にはガス拡散法とそれから超遠心分離法、わが国では超遠心分離法、こういうことですね。  超遠心分離法の問題の記述についてはまだ後で伺いますが、六弗化ウランの供給の問題というのが述べられております。これによりますと、旧原子燃料公社の東海里錬所は、ウラン金属生産のために四弗化ウランの製造を十年間にわたって行った実績があり、その技術を六弗化ウランに適用することは容易である。また民間企業でも大手の化学工業会社ならば、その潜在的能力は十分持っている。  とくにダイキン株式会社は政府資金の援助を受け、六弗化ウランの製造プロセスの確立に成功している。   六弗化ウランの供給は、技術上も、工場容量も全く問題はない。  こういうふうに述べられているんですが、これはこのとおりですか。
  194. 石渡鷹雄

    政府委員(石渡鷹雄君) ウランの、特に濃縮の場合、先生御指摘のように弗化物の形で、ガス拡散にしろ、遠心分離にしろ、弗化物の形にいたしまして、これ少し温めますと気体になるものですから、この気体の形で濃縮をしていくということでございます。その辺でこの弗化物をどう扱うか。むしろつくり方よりも、弗化物でございますので、非常に危険なものですから、扱い方の技術ということが当時恐らく議論になったんだろうと思います。現在この辺の四弗化ウランから六弗化ウランヘの転換につきましては、動燃事業団の人形峠におきまして研究は続けられておりますが、大体もう完成しているというふうに理解をしているところでございます。
  195. 野田哲

    野田哲君 次に隔壁ですね、バリア。バリアの製造について、これは国産化はかなり努力を要するんではないか。しかし、実用バリアの生産に成功して、フランスがわが国の関係筋に対してバリア製造技術の売り込みの運動をやっている。したがって、バリアの製造に関する技術の問題は、フランスからの技術導入を行えば、解決が早まるだろうと、こういうくだりがあるんですが、大体そんなことなんですか。
  196. 石渡鷹雄

    政府委員(石渡鷹雄君) バリアという御指摘でございますが、恐らくガス拡散法におきます隔膜のことかと存じますが、米国並びにフランスあるいはイギリス等で、むしろ原爆用に大量の濃縮を行うということで、相当開発されているわけでございますが、この技術はやはりそれぞれの高度の機密になっていると思いますので、なかなか国際的な移転ということは考えにくい技術ではないかと思うわけでございます。  それから、日本におきましても、したがいまして、初期におきまして、基礎的な研究の段階で、先ほど申し上げました理研で研究をされたという事実がございますが、これは中断をしたままになっているわけでございます。なお、その段階で日本の研究のレベルは非常に高いなという評価を得たことがあるというようなことを記憶しております。
  197. 野田哲

    野田哲君 次に、この資料は経費の点を計算しているんです。いまから約十年ぐらい前だろうと思うんです、これ年次を示してないんですが、大体いまから十年ぐらい前だろうと思うんです。経費について次のような見積もりをやっているんです。   濃縮工場の処理能力を年間天然ウラン五百トンとし、九八%濃縮のウラン約二トンを生産するものと仮定する。その場合、アメリカなど海外の前例から工場建設費を推定すると、つぎのような数字を概算できる。  天然ウラン五百トン処理  五十億円  設備費  五百億円  運転費  十億円  電力料金  百億円  年間固定費  五十億円  生産量  二トン   従って、原爆一発分の原価は、約一億円程度になるものと考えられる。   この程度の規模のガス拡散工場――まあガス拡散法は日本では兵器の問題を離れても余り使われていないということなんですが、ここではそういうふうな記述があるわけですが、   この程度の規模のガス拡散工場であれば、その建設工期は二年ないし二年半で十分である。こういう記述があるわけですが、この価格の見積もりはいかがですか。
  198. 石渡鷹雄

    政府委員(石渡鷹雄君) こういう勉強をしたことがございませんので、原価と申しますか、コスト計算についてちょっと意見を申し述べられないのでございますが、私どもが持っております唯一の経験といたしまして、人形峠におきまして、三%ぐらいまでの濃縮ウランを年産約五十トンほどつくろうというパイロットプラントがこの秋に完成するわけでございますが、そのパイロットプラントの建設だけで約六百億円かかっているということでございます。したがいまして、まあ十年前の数字ではございますが、この数字ではとても今日はおさまらないだろうという感じはいたします。
  199. 野田哲

    野田哲君 次に、先ほど原子力局長から御説明のありました「超遠心分離法による濃縮」という記述が行われているわけです。内容を読み上げてみますと、   この方式は、アメリカ、西ドイツが過去十年余にわたって研究を続けており、わが国においても理化学研究所で研究が行われた。その資産を引継いで旧原子燃料公社のウラン濃縮研究施設で研究実験が行われてきたのである。原子力委員会の核燃料懇談会は、昭和四十三年三月十五日、遠心分離法を中心にウラン濃縮の研究開発を行うことを決定した。政府がその方針を承認すれば、総額九十億円を投じて昭和五十年までに「工業化するかどうか」の結論を出すことになっている。   一九六七年、アメリカ政府から非公式ではあるが、成果の公表を差控えるよう要請があったようである。遠心分離法の最近の進歩についてアメリカがとくに重視しているためだと考えられる、こういう記述があるんですが、これは時日の経過としては正確になっているわけですか。いかがですか。
  200. 石渡鷹雄

    政府委員(石渡鷹雄君) 事実の部分と、どうもちょっとはっきりしない部分とまざっている記述のように思いますが、現実にはそこに書かれておりますスケジュールがずっとずれ込んでおりまして、遠心分離のパイロットプラントの建設を決意したのが五十一年度、そして五十六年度に約七千台、能力としまして大体三%濃縮が五十トンぐらい生産できるパイロットプラントが完成すると、こういうことでございます。まあいろいろ研究開発の段階で非常にそれぞれ難点、むずかしい点が技術的な問題に逢着したわけでございまして、それを克服しつつ、やっとパイロットプラントの完了のめどがついたという段階でございます。
  201. 野田哲

    野田哲君 アメリカから何か物申してきたという記述があるんですが、この点はどうですか。
  202. 石渡鷹雄

    政府委員(石渡鷹雄君) この濃縮の一番の問題は、やはり効率のいい非常に超高速の遠心分離をやるわけでございまして、この辺の機械的あるいは電気的な技術が非常にノーハウと申しますか、技術的な難点であり、またポイントであるわけでございます。そういう点については、むしろ各メーカー、東芝、日立あるいは三菱といったメーカーがその辺を担当しているわけでございますが、間接的にそういうデータの公開については注意してほしいといったことがあったというふうに私ども承知をいたしております。
  203. 野田哲

    野田哲君 次に、超遠心分離法についての「わが国における研究の現状」として、   理研時代、東京工大学長大山義年教授をはじめ同大学の高島教授らの協力で、第一号超遠心分離装置を完成し、これを運転していたが、その研究目的や経費の問題などから、これは田原子燃料公社に引継がれることになった。  旧原子燃料公社では、引続き大山、高島教授らの協力を得ながら第一号機の改良を行い、第二号機の試作運転を行ってきた、現在は第三号機の設計を終り、製作にとりかかる段階である。  これらの製作は、東芝および石川島播磨によって行われたが、これまでの運転経験を通じての問題は、   長時間高速回転を与える電動機の開発   振動を伴わないような回転ドラムの製作   長時間高速回転に耐え得る軸受けの開発   長時間高速回転に耐え、しかも気密を保ち得るシールの開発適切な潤滑材の開発   高速回転によって発熱するドラムの適切な冷却法   六弗化ウランの強腐食性に耐え、しかも超遠心力に耐えるドラム材料の開発こういうふうにずっと例記をされ、「その研究の経過」として、わが国における超遠心分離法の研究の経緯は、昭和三十五年から四十年までの基礎研究期と、昭和四十一年から五十年までに予定される開発研究期、そしてそれ以後の実用期の三期に大別できる。  こういうふうな記述があるわけですが、これは事実として正確なんですかどうなんですか。
  204. 石渡鷹雄

    政府委員(石渡鷹雄君) 技術的難点が予想される、また研究開発で克服しなければならないポイントと申しますか、それにつきましては、先生ただいま御指摘になりました項目はそれぞれ当たっていると思います。
  205. 野田哲

    野田哲君 それから超遠心分離法の経費について述べているわけです。   ガス拡散法で推定したのと同様の工場規模で、工場建設および一年間の諸経費を推算すると、つぎのような概数が得られる。   天然ウラン五百トン処理 五十億円   設備費 八百億円   運転費十億円   電力料金 三十五億円   年間固定費 五十億円   生産量 二トン  こういうふうになっているわけですが、非常にまあこれは現状とは大分違うと思うんですけれども、いかがですか。
  206. 石渡鷹雄

    政府委員(石渡鷹雄君) 現在私どもが、まだパイロットプラントの段階でございますが、経験している数字とは大分違っているかと思います。まず、これは将来の大きな課題なんでございますが、やはり遠心分離機そのものが非常に高くつくというのが最大の難点になっております。それから、電力料金の問題がございますけれども、逆に遠心分離法の利点と申しますのは、電力消費が非常に少ない、ガス拡散法の大体十分の一ぐらいの電力消費であるという点が大きなメリットになっておりまして、このスムーズな回転を確保できれば、電力もほとんどそう食わないわけでございますので、電力につきましては、恐らく当時の見込みよりは改善されているのではないかと考えます。
  207. 野田哲

    野田哲君 次に、「プルトニウム型原爆」、こういう記述があるんです。持つ持たないは別にして、この見解を伺いたいと思うんですが、   プルトニウムは、天然には存在せず、人工的に造り出されるものである、これは、天然に存存するウランのうち、その大部分(九九・三%)を占めるウラン湖に中性子を吸収させることによって生産される。ウランの濃縮では、天然ウランのうち、わずか〇・七%しかないウラン湖を、天然ウランから分離濃縮することによって利用することを考えたが、プルトニウムの場合は、逆に大量に存在するウラン湖を利用するのである。  プルトニウムは、ウラン脳に中性子を吸収させるとできるが、この方法によってできたプルトニウムには、プルトニウム239、24〇、241、242等の多種類が存在する。原爆に使用できるのは、この中のプルトニウム湖だけで、これを選択的に造り出し、取り出すことが必要である。ウラン湖を分離する場合と違って、プルトニウムの場合は、同位元素間の質量差が少いので、いったん239、24〇、241、242が不都合な混合の割合いで生産されてしまうと、必要な239だけを単独で分離することはほとんど不可能である。  ウラン脇に中性子を吸収させてプルトニウムを造るには、ウラン郷を取出すときに必要たつたような、ガス拡散工場等の特別の施設は必要としないし平和利用目的に使用されている通常の原子炉の運転法を変えるだけで十分なのである。従って、この原爆型は、世界の多数の国々が可能性をもっていることになる。  こういうふうに述べているんですが、技術的に見て、これはどうですか。
  208. 石渡鷹雄

    政府委員(石渡鷹雄君) ただいまの記述は技術的に見て大体正しい記述であると思います。
  209. 野田哲

    野田哲君 次に、わが国の原子炉でプルトニウムを生産する場合のことがかなり詳細に述べられています。   わが国の原子炉でプルトニウムを生産する場合を考えてみる、   現在わが国に存在する原子炉、および建設中、計画されているものは、下表の通り決して少い数ではない。しかし、軍事用のプルトニウム生産を目的とする場合は、天然ウラン金属と黒鉛、または重水の組合せのものに可能性がある。つまり、原子力研究所のJRR-3および日本原子力発電会社の東海炉があげられる。しかし、原研のJRR-3は   一、原研自体の内部事情   二、出力が小さく、大量生産に適しない   三、燃料は天然ウラン金属であるが、燃料棒 の形式がプルトニウム生産用としては不適当である。   四、運転中の燃料連続変換が不可能。   などの理由から、プルトニウム生産用としては適当ではない。   東海炉は、この目的に適しているが、その理由は後述する。  こういうふうに述べているわけでありますが、大体これも間違いないわけですか。
  210. 石渡鷹雄

    政府委員(石渡鷹雄君) わが国でプルトニウム生産ということを考えたことがございませんので、にわかにその正確さについて判断はできないわけでございますが、一般論として、ガス炉あるいは重水型炉の方が、ウランの湖がプルトニウムに変わるという率が高いということが言われております。  それから、これは全く仄聞するところでございますが、やはり発電用のような操業をやってしまいますと、燃料の中にできたプルトニウムに、先生先ほど御指摘になりましたプルトニウム24〇、241、242といったものが相当入ってしまって、プルトニウムとしては、不純なプルトニウムになってしまう。また、それの分離が不可能である、こんな事情が背後にあるかと存じます。
  211. 野田哲

    野田哲君 技術的な問題をいろいろ記述されているので、一々見解を聞きたいわけですが、時間の関係もありますから、飛び飛びで、「水爆生産の問題」という項がありますので、技術的な面から、これについてお答えをいただきたいと思うんです。   水爆の形は、第九図のようなものであると了解されている。材料の点からみれば、原爆と比較して大きな差は、重水素化リチュームの使用という点だけである。その材料の開発には二つの問題がある。その一つは、重水素一二重または三重水素一の分離である。この分離は、昭和電工などが電解分離の副産物として生産しているが、主目的ではないから効率の良い方法ではない。わが国では需要が少ないことと、特殊の技術を必要とするので、ほとんど開発の努力は行われていない。コンパクトで、しかも効果的な水爆装置を造るには、できるだけ純粋に重水素を分離することが必要だが、その技術は、多くの研究開発を必要とする。  こういうふうに述べられているわけですね。この点はいかがですか、技術的に見て。
  212. 石渡鷹雄

    政府委員(石渡鷹雄君) 重水素の分離それ自体技術的にそうむずかしい技術ではないはずなんでございますが、ここにも記述ございますように、需要がございませんので、現在日本で重水炉の開発等に必要な重水は、カナダ等から輸入をしているというのが現状でございます。
  213. 野田哲

    野田哲君 次に、三十七ページを見ていただきたいと思うんです。「核弾頭の組立」という問題がありますね。これによりますと、   核弾頭の組立   (a)同原爆の組立 プルトニウム型であっても、ウラン型であっても、原爆の構造は同様である。  プルトニウムあるいはウランの臨界量以上の量を、それぞれが臨界量以下の数個の小片に分け、それぞれの小片に高性能火薬を装着する。この高性能火薬の爆発によって、数個の小片を瞬時に集中させて臨界量を越える塊とし、核分裂反応を起させるのである。   そこで第一の問題は、プルトニウムやウランの小片を、設計図通りに加工整形する技術である。この課題は、住友金属、三菱金属が手掛けている核燃料加工の技術であるし、動力炉事業目も、すでに旧原燃公社時代に加工に関する経験をもっている。   第二は、小片の組立てあるが、爆発の装置には、ガンバレル方式とインプルージョン方式の二万式がある。前者は、筒状の容器の両端に爆発材料を入れ、火薬の爆発によって、両側から(あるいは一方から他方に)押しつける方式である。後者は、球状の容器の内面に数個の小片をはりつけ、外側に装着した火薬の爆発によって、中心に臨界を越える量に集中する方式である。後者の方が技術的にはむずかしいが、効率は優れており、とくに水爆の起爆用の原爆は、ガンバレル方式ではうまくゆかないようである。  それから、あと中略して、「水爆の組立」という項があります。   水爆は、起爆剤となる原爆の周囲に、重水素化リチウムを置けばよいのであるが、重水素化リチウム自体は、サラサラした粉末である、このようなものの成形、加工は、わが国にとっては全く未知の分野である、例えば、加熱加工成形を行えば、分解してしまうであろう。  こういう記述がありますが、これは専門家から見ていかがですか。
  214. 石渡鷹雄

    政府委員(石渡鷹雄君) 爆弾になりますと、私ども専門家いないわけでございますが、気になりますのは、住友金属、三菱金属等が手がけているという燃料加工技術でございますが、これはあくまで三%濃縮での原子力発電用燃料の技術は持っておりますけれども、プルトニウムをいじるということについては、現在民間では一切技術を持っておりません。それで、非常に試行的に動力炉核燃料事業団がやっておるわけでございますが、プルトニウムの扱い方ということにつきましては、今後非常に慎重に技術開発、あるいは習得に努めていかなければならない技術である、このように考えております。  なお、爆発の装置あるいは水爆の組み立てにつきましては、とても意見を申し上げるポテンシャルを持っておりませんので、御容赦を賜りたいと存じます。
  215. 野田哲

    野田哲君 局長、七十ページから七十一ページをちょっと見ていただきたいと思うのですが、この技術者の数について触れておりますね。   原子力科学技術者の数   日本の原子力関係科学技術者の数について科学技術庁原子力局編「原子力開発長期計画」は昭和四十年度現在の実数と、今後の所要数を次のように示している。 表がそこに書かれています。   核兵器の生産に必要なスタッフの数として、原子力科学技術者五百人、関連技術者千三百人とされている。前者は、上の表で原子力専門と核燃料関係の合計とすれば、日本の現有数は約千百三十人であり、後者は二千七百人であるから、核兵器生産にとって最大の条件である人的な問題は、日本では充分まかなえる。すくなくとも量的には、日本は潜在核保有国の名に恥じないものがあるといえる、ただし、これらの技術者をひとつのプロジェクトに動員できるか、どうかには問題がある。  こういうふうに述べて、つまり、原子力科学者の数は、核兵器の生産のために動員すれば可能な数を持っている。問題は、各企業にそれぞれ分散をしているのであるから、一つプロジェクトに集めれるかどうかが問題なんだと、こういうところまで触れているわけですが、これは約十年前の数でありますけれども、科学技術庁でつくった資料をもとにして書かれているわけで、これは正しいわけですね。
  216. 石渡鷹雄

    政府委員(石渡鷹雄君) 七十一ページの表でございますが、昭和四十年当時に予想いたしました原子力利用が計画どおり進んでおりませんので、恐らく実数はこれよりも下回っているかと存じますが、年々この関係の技術者が充実されてきているということは事実でございます。  なお、やはり原子力関係に携わります者は、まず第一に原子力基本法の精神をたたき込まれるわけでございまして一何かこういったプロジェクトでどうかといっても、まさにここに指摘しておりますように、とてもこんなことでは人が集まるとは思えないわけでございます。
  217. 野田哲

    野田哲君 今度は運搬手段の方に問題を移したいと思うんで、防衛庁の方でひとつ八十三ページからちょっと目を通していただきたいと思うんです。  「運搬手段の生産能力」について第三章で述べています。第一は「弾道ロケットの開発能力」、その(1)が「能力見積りの設定条件」として、   わが国の核運搬手段開発の能力を見積るに当って、当然核を既に保有、あるいは保有を計画しつつある先進国のそれと比較して論ずる必要があるが、アメリカあるいはソ連のそれとの比較はもちろん困難であり、相手は強大かつ進み過ぎている。イギリスのそれは自力開発の部分はかなり旧式化し、ポラリス型潜水艦のそれは大部分アメリカに依存している。  したがって当面わが国の核運搬手段開発能力を見積る上での最適モデル国としては、国民総生産高においてもほぼわが国と等しいフランスをあげるのが適当だと考えられる。フランスは、現在進めている弾道ロケットの開発を手がける前に、一応超音速の有人爆撃機ミラージュ4型を中心とする戦略空軍を保有した実績があり、この点わが国の能力と比較する上で問題として残されるが、フランス戦略空軍の活動は北大西洋条約軍およびアメリカの早期探知警報システムからの情報提供という前提なくしては考えられない。したがって、フランス戦略空軍は一応NATO軍の枠内においてのみ有効とみなしてよいものと思われる。  以下ずっと述べて、八十四ページで、「フランスが現在保有し、またはこれから保有しようとしている核兵器は次の四種類に整理される」という記述があって、結局モデルとしてはフランスを考えると、こういうふうに述べているわけですが、防衛庁ではそういう議論はやったことはありますか。
  218. 和田裕

    政府委員(和田裕君) 先ほども申し上げたとおり、私どもは核兵器を開発する目的での研究は一切行っておりませんので、したがいまして、核弾頭はもとより、核の運搬手段につきましての検討も行ったことがございません。
  219. 野田哲

    野田哲君 いろいろここで運搬手段についての検討が行われ、それの記述があるわけですが、「ミサイル発射プラットフォームの検討」、こういう項目があるわけです。この「ミサイル発射プラットフォームの検討」の中では、わが国が弾道ロケットを開発することを決意した場合、五種の発射プラットホームが考えられる。すなわち、一つは原子力潜水艦、それから地下サイロ基地、陸上移動式、海上移動式、空中移動式、このうちのどれを選択するかが問題となってくる、地下サイロ方式は、技術的、経済的に見て比較的容易であるが、地震の多発、それからわが国の人口密度など解決困難な問題が多い。それから海上航行艦船は、少数艦船の行動では、潜水艦や航空機の好餌となる。しかし、一応わが国の場合検討の対象にすべき型式であろう。それから陸上移動式、これはわが国の鉄道が狭軌であることが問題である。また無数のトンネルの高さが制約を受ける。それから電気供給ステーションが破壊された場合には全面ストップの可能性が高い。ディーゼルにしても鉄道が寸断される公算が大きいと、こういうことでの難点を述べています。それから、航空機は新規に爆撃機を開発せざるを得ない。わが国航空技術及び産業規模の現状を考えると、ネガティブな要素が強い。結論として、原子力潜水艦は「わが国にとって潜在能力を発揮しうる型式と考えられる。」と、こういうふうにして、「ミサイル発射プラットフォームの検討」については、結論としては原子力潜水艦を使うのが一番いいと、ここまでいろんな条件を挙げながら述べているわけですが、持つことを考えたことはないということでなくって、技術的に見てこの検討はどう考えられますか。
  220. 岡崎久彦

    政府委員(岡崎久彦君) ただいま御引用の、フランスの開発しているロケットでございますけれども、いま御引用になりましたSLBMあるいはその前のIRBM、これいずれも二千七百五十あるいは四千キロメートルぐらいの射程を持っております。それで、この種類のロケットの開発というのは、これは別に、もちろん軍事目的でございませんけれども、この種類のロケットを日本で開発しておりますのは科学技術庁でございまして、防衛庁としてはその方面の研究は一切いたしておりませんです。
  221. 野田哲

    野田哲君 研究しているとかしてないとかということでなくって、プラットホームとして、どういう方法が一番いいのかという点では軍事的に見ていかがなんですかと、こういう点を伺っているわけです。
  222. 和田裕

    政府委員(和田裕君) いま五つのプラットホームにつきまして、いろいろコメントがあったようでございまして、それのどれが一番いいかということについて検討しているかどうかと、こういう御質問だろうと思いますが、そういったようなことの検討も一切したことはございませんので、コメントはできない、こういう状況でございます。
  223. 野田哲

    野田哲君 検討している答えを私は聞いているんではないんですよ。純粋な技術論として、問題提起されたことに対して、もし採用するとすれば、ここに書かれているようなことを採用することになるんですかと、こう言って聞いているんですよ。
  224. 和田裕

    政府委員(和田裕君) 純粋な技術論という御質問でございましたが、私ども自衛隊の装備品につきまして研究開発をしているわけでございまして、全く考えたこともないようなものでございますので、それについての検討もしておりませんので、したがいましてコメントをすることもできない、こういう状況でございます。
  225. 野田哲

    野田哲君 時間が参りましたので、大村防衛庁長官に、いま政府委員の皆さんとのやりとりを聞いておられて、長官の認識を伺いたいと思うんです。  大体、いま私が主要な点だけ時間の制約の中で駆け足で、中に書かれていることについて、内容を披露をしながら、技術的な面からの政府委員の見解を伺ったわけですが、まずいまから約十年ぐらい前に、このレポートはつくられているということ。中身については、これは政府の資料を集めてこれを駆使しなければできない。同時にまた、民間の資料についても原子力関係については、相当な詳細な資料を収集したものでなければできない。  それから、技術的な面から憲法上の制約、国際的な制約、そして軍事技術的な面、これはかなりのプロジェクトチームでなければできない。そしてまた、この資料の収集作業には相当の資金を必要としているだろうと思うんです。そして、年代としては、用語等からして、そしてまたここに出てくる資料、一九六八年ぐらいまでが大体資料としては取り上げられているわけですね、昭和四十三年ごろまでが。だから、大体それから四十五年ぐらいの間、そして、使ってある用語が「自主防衛」云々という言葉で、昭和四十五年に防衛白書等で特徴的に使われた言葉を使われている。こういう面からして、総合的に考えて、どうしてもこれは政府の部内でつくられたものだ、こういうふうに私は指摘をせざるを得ないと思うんです。  同時にまた、昨年発表されたワルトハイム国連報告、ここにおける日本の核兵器の問題についての記述もある程度関連をしているんじゃないか。全くのこういうバックグラウンドがなしに書けるはずはないと思うんです。そういう点からして、明らかにこれは昭和四十年の前半において、政府の部内でプロジェクトチームをつくって、あるいは政府が、どっかの機関が学識経験者等に委託をしてつくらせたか、このことしか考えられないと思うので、その経過等について、恐らくこれは防衛庁にも資料としてあると思うんです。私が指摘をしてもないと言われているんですが、あるはずですから、それらのいきさつ等について調査をして、どこの機関でだれが責任者になって、こういう検討をやったのか、そして、これがどういうふうに使われようとしているのか、これを調べて明らかにしていただきたい、こういうふうに考えるんですが、長官としてどうお考えになりますか。
  226. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) いろいろ詳しいデータに基づいてのお尋ねでございますが、防衛庁といたしましては、先ほど政府委員がお答えしましたとおり、非核三原則堅持という点もこれあり、核兵器を開発する目的での研究は一切行っておらない次第でございます。したがいまして、経過を明らかにせよというせっかくの御要望でございますが、やってないものを出せと言われましても、せっかくの御要請にこたえるわけにはいかないのではないか、大変恐縮でございますが、これをもってお答えにさせていただきたいと思うのでございます。
  227. 野田哲

    野田哲君 長官、つくられるはずのない――日本はいま長官が言われたように、非核三原則という国是を持っている、だから、つくられるはずはないということですが、そのとおりなんです。つくられるはずのないものがつくられているからこそ、私は問題にしているんですから、こういうものが秘密でつくられるような状態を放っておくわけにいかないから、これはもう一遍調べてもらいたい、政府の部内でどこでこんなことをやったのか、調べてもらいたい、こういうふうにお願いしているんです。
  228. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 重ねて政府部内で調べてみる、こういうお話でございますが、防衛庁に関する限りはそういったものに関係したことはない、やったことはないというふうに私承知しておるのでございますので、再度調べてみいというお話ですから、調べてみるにはやぶさかでございませんが、私といたしましては、せっかくの御要望でございますが、御期待に沿うような答えが出てくるものとはとうてい考えられないわけでございます。  その他の官庁に関する限りは、私の方でお答えする限りではございませんので、以上申し上げておくわけでございます。    〔理事佐藤三吾君退席、委員長着席〕
  229. 峯山昭範

    峯山昭範君 きょう私は防衛庁の、特に物品の管理の問題についてお伺いをしたいと思います。  特に先般の予算委員会におきまして、わが党の馬場委員が、艦船の備品について質問をいたしました。それに関連をするわけではないんですけれども、あのときとは多少違った意味質問をしたいと思っております。  そこで初めに基本的な問題で、関係の法令の問題についてお伺いをしたいと思います。  まず、防衛庁は物品管理につきまして、どういう法律に基づいて物品の管理をしていらっしゃるのか、この点をちょっとお伺いをしておきたいと思います。
  230. 吉野実

    政府委員(吉野実君) 物品管理法及びその施行令に準拠いたしまして、物品管理を行っているところであります。
  231. 峯山昭範

    峯山昭範君 それをもう少し詳しくおっしゃってくれませんか。まず、物品管理法の第何条のどういう点に基づいて管理をしていると、そして、その管理法のどういうふうな点からどういうふうになって、どうなって、具体的に筋書きを詳細にお願いします。
  232. 吉野実

    政府委員(吉野実君) 物品管理法の第八条で、「各省各庁の長は、政令で定めるところにより、当該各省各庁所属の職員に、その所管に属する物品の管理に関する事務を委任することができる。」こういう規定がありますので、物品管理官を任命をいたしまして、物品管理を行っているところであります。  また、先般物品の供用の問題、先生先ほどちょっとお話しになりましたので、それに関連する条文を申し上げますと、物品管理法の第二十条に……
  233. 峯山昭範

    峯山昭範君 それじゃ局長、私が申し上げますから、それが合っているかどうかということだけおっしゃっていただければ。  先ほどおっしゃった第八条に基づきまして、物品管理法の第三十七条があります。三十七条は、「各省各庁の長は、国が所有する物品のうち重要なものとして政令で定めるものにつき、毎会計年度間における増減」等を、いわゆる翌年度の七月三十一日までに大蔵大臣に送付しなければならない。そういうことですね、これは。
  234. 吉野実

    政府委員(吉野実君) はい。
  235. 峯山昭範

    峯山昭範君 そして、いわゆるこの三十七条に言う政令ですな、この政令というのは物品管理法施行令(政令第三亘二十九号)、これを見てください。それで、それの四十二条、これは「法第三十七条に規定する政令で定める物品は、」というふうに、前の物品管理法を受けておりますので、これであろうと思いますが、「物品は、機械及び器具のうち大蔵大臣が指定するものとする。」こういうふうになっています。そうですね。そうすると、それじゃ「大蔵大臣が指定するもの」というのは一体どういうことかということになるわけです。そのどういうことかというそれは、「物品管理法等の実施について」という昭和四十年四月一日大蔵省主計局第七百七十一号大蔵大臣から各省各庁の長あてに提出された、いわゆる「大蔵大臣の指定するもの」、これの第三項に、「令第四十二条第一項に規定する「機械及び器具のうち大蔵大臣が指定するもの」について」という指定があります。その指定によりますと、「令第四十三条第一項に規定する「機械及び器具のうち大蔵大臣が指定するもの」は、取得価格が五十万円」、注がありますからずっといきまして、「以上の機械及び器具とする。」一般の省庁におきましては、取得価格が五十万円以上の機械器具をこの政令に基づいて報告をする、ただし防衛庁については当分の間三百万円以上の機械及び器具を報告すると、こういうふうに私の調べたところによりますと認識するわけでございますが、防衛庁はいま私が言いました一連のこういう法律、施行令等に基づいて、物品管理をしていらっしゃるのかどうか、これはもし違うということであれば、こういうふうに違うというふうにおっしゃっていただけば結構ですが、どうですか。
  236. 吉野実

    政府委員(吉野実君) いま先生がおっしゃったような基準で物品管理をいたしておるところであります。
  237. 峯山昭範

    峯山昭範君 一般のお役所は五十万円以上ですが、防衛庁は三百万円以上、これもこのとおりでございますか。
  238. 吉野実

    政府委員(吉野実君) そのとおりでございます。
  239. 峯山昭範

    峯山昭範君 実は私、防衛庁の物品管理の問題につきまして最近非常に不信を持ち出しましたので、あえてこんなことを言い出したわけであります。  そこで、まず昭和五十四年度の会計検査報告によりますと、物品の管理の上でいろんな問題が指摘をされております。私は非常にこれは大事な問題ですし、これはもう本当にわれわれ聞いておりまして、納得ができないという問題なんですが、会計検査院が特にいまのこの物品管理の上で、物品の増減の問題ですね、この問題について、検査院がこの物品管理法に基づきまして指摘をし、処置を講じていらっしゃいますけれども、この問題についてどういうふうに指摘をし、どういうふうな処置をとられたのかお伺いしておきたいと思います。
  240. 堤一清

    説明員(堤一清君) この問題の発見の端緒となりましたのは、長い間ドルで表示されている物品の価格があったわけでございます。そこで、それが正確に表示されているかということを調べたわけでございますけれども、その過程において合わないものが出てきた、そういうことで洗い直してみましたところ、先ほど先生も御指摘のような大蔵省の通達によることになっておるわけでございますけれども、それが新規の物品を取得しました場合に、その品目を報告対象品目として追加指定するのを忘れていたり、物品報告書に記載すべき機械及び器具と認められる通信部品、航空計器のたぐい、こういったものを落としていたりしたわけでございます。そして、こういう計算書をつくる過程といたしましては、補給統制所で毎年度報告対象物品を指定した管理状況報告品目表というのを作成します。この管理状況報告品目表を各部隊の分任管理官に示して、分任管理官で詳細をつくらせるわけでございますが、その指示の仕方に、何といいますか、品目の指示の仕方に具体性が欠けるというような面がございまして、ばらばらになっておったというところがあるわけでございます。したがいまして、防衛庁当局としましては、私どもの指摘に基づきまして、この具体的な品目をはっきりさせることによって是正をいたしております。以上でございます。
  241. 峯山昭範

    峯山昭範君 それをもう少し具体的におっしゃっていただきたいと私は思うんですけれども、いま検査院の方から大体三点に分けておっしゃっていただきました。従来所有していなかった品目を新しく取得した場合、それがその報告対象品目としていなかった、こういうふうを言い方をしていらっしゃるわけですけれども、要するに防衛庁の場合は、普通の省庁と違いまして、金額も大きいわけでございますし、そういう点からいきますと、私はこれはそういうようなものが落ちていて、最終的には結論の方だけで結構ですが、航空自衛隊から始まりまして、陸上、海上等含めて、どういうふうなものが記載漏れとなっていたのか。どういうものといいますと、これは非常にいろんなものがあるんでしょうから、言いにくいと思いますが、件数と金額だけとりあえず三自衛隊分分けておっしゃっていただければと思います。
  242. 堤一清

    説明員(堤一清君) 陸上自衛隊で金額で申しますと、個数で三千四百二十二個、金額で二百八十八億八千七百八十万六千三百四十円でございます。海上自衛隊で百七十九個、二十二億二千九百七十九万三百六十円でございます。航空自衛隊で六千九十二個、七百一億六千七百八十五万八千円でございます。全部合計いたしますと、九千六百九十四個、一千十二億八千五百四十五万四千七百円でございます。
  243. 峯山昭範

    峯山昭範君 いまの数字ちょっと違うみたいですけれども、いまのは減の方を引いていっていますね。ちゃんと正確にお願いします。
  244. 堤一清

    説明員(堤一清君) 失礼しました。お答えします。  誤計上が海上自衛隊で百五十二個、百三十九億五千八百九十二万四十九円でございますので、その分を加えますと九千八百四十六個の一千百五十二億四千四百三十七万四千七百四十九円になります。
  245. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは自衛隊の方へお伺いいたしますが、特にこの記載漏れの分ですが、非常に大変な金額になっているわけでございますが、まず特に陸と空ですか、大分金額も多いし、個数も多いわけですが、主な記載漏れの品物というのを、金額の大きい順番に十個ぐらいずつ言ってくれませんか。
  246. 和田裕

    政府委員(和田裕君) 主なものを自衛隊別ということでございますが、ちょっと自衛隊別に至急に割り出させていただきまして申し上げさしていただきたいと存じますが、基本的には、電気通信機器及び航空機用の機器等、それから若干の艦船等の関係のものがございます。これにつきましては、記載漏れを自衛隊別かつその物品別というふうにしておりませんもので、ちょっといまこれにつきまして精査してみまして、すぐお答えさしていただきます。
  247. 峯山昭範

    峯山昭範君 いずれにしましても、これは相当金額が、最低が三百万でございまして、ですからこれは相当私はこういうふうな記載漏れというようなことが、あること自体が本当はおかしいのでありまして、これはやっぱり相当慎重にこういうふうな問題はやらないといけない。何でかといいますと、これはこれから詳細時間かけてやりたいと私は思うんですけれども防衛庁長官御存じですかね。要するに装備の調達という問題で、この間のうちの馬場議員がやりましたときには、大臣の答弁や私後で会議録を精査してみましたが、要するにこちらの船で使う備品を、お金が余ったから余分に購入したと、その備品をお隣の船でまた流用して使ったと、こういうこっちゃ、言いましたらね。だから、いわゆる備品を節約して使っているからいいと、こういうふうな感じですね。ところが、実際問題隣で使う船があったからよかったけれども、隣で使う船がなかったら、これ余分に買うたものは完全にいわゆる余分に買ったということでありまして、検査院がかねてから指摘している不当事項に当たるわけです。そういうふうな点からいきますと、私は、防衛庁がそういうことを堂々と予算委員会で答弁しているということ自体が問題なので、きょうはあえてこの問題やっているわけです。というのは、そういう傾向にずうっとあるわけです。何でかといいますと、たとえば私たちの検査報告、今年度昭和五十二年度をやっておるわけでございますが、この五十二年度にもたとえば現在問題になっておりますP2Jの問題について、いわゆる備品をよけいに購入し過ぎたと、こういうことをしてはいかぬということがもう検査院から指摘になっているわけです、ところが、ことしの昭和五十四年度の検査報告でも、同じように同じP2Jの問題について余分に備品を購入しておると、これはいかぬと、こういうふうに指摘されているわけです。ということは、自衛隊の備品の管理というものが、いわゆるそこまできちっとしていないということを如実に物語っているわけですね。そういうふうな意味で、これはいずれにしてもこの一つ一つ精査をして、こういうふうな問題に取り組んでいかなきゃいかぬと思っているわけです。大臣初めに、これからもうちょっと詳しくやりますが、いまちょっとだけやったあれですが、感想を一遍お伺いしておきたいと思うんですがね。
  248. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) いろいろ御指摘があったわけでございますが、防衛庁関係の装備品、あるいは材料、部品等含めますと、広範多岐にわたるわけでございますが、これらの物品の管理につきましては、やっぱり法令の規定に基づいて、厳重に管理運営しなければならないということは申すまでもないところだと思います。ただいま御指摘のありましたような記載漏れとか、そういった法令並びにこれに基づく、通達に基づく事務が適切に行われておらないという点につきましては、今後厳重にやはり注意して、法令の規定どおり行われるようにすべきではないか、さように考えておる次第でございます。
  249. 峯山昭範

    峯山昭範君 ぜひそういうふうにやっていただきたいと思いますが、ここで大臣少しずつ具体的にやってみたいと思います。  これは装備局長、先ほど私具体的な数字が検査院の方からも出てまいりましたので、これは装備局長ですか、経理局長さんの方ですか、要するに検査院の方から、初め空幕の方が調査ありまして、そして二百六十六品目、八百十八個、百十億七千五百九十万近くの指摘があったわけですね。そしてその後具体的にいろいろ検査院の方から指摘があって、先ほども話ございました九千八百四十六個、千百五十二億という記載漏れが出てきたわけでございますけれども、ここら辺のいきさつ、これはどういうふうになっていたのか、一遍ちょっとこれ具体的に御答弁をいただきたいと思います。
  250. 和田裕

    政府委員(和田裕君) 会計検査院の御指摘は、所有する物品がどのぐらいあるかという物品増減及び現在額の報告に際しまして、一部報告漏れがあったというものでございますが、ただいま防衛庁長官からも申し上げましたように、自衛隊の保有する物品は、総計約二百万品目にも及んでおりまして、それらのうちには修理用として保有しているおのおのの部品等でありまして、報告の対象とされております機械及び器具に該当するか否かの判断をするのに大変困難なもの等が、率直に申しまして数多くあるといったような理由によりまして、結果におきまして報告すべきか否かの判断に適正を欠いたものがあったということでございます。より具体的に申し上げますと、御指摘を受けました点は三つに分かれるかと思います。一つは米国政府から無償で譲渡を受けました物品、いわゆるMAP物品でございますが、この系列のもの、それから第二番目でございますが、機器の修理用部品等であって、私どもは部品でございますと考えておったんでございますが、検査院あるいは大蔵省等との御指導、協議等の結果、今後は報告の対象である機械及び器具ということとみなすことにしたもの、これが第二の系列でございます。  それから第三番目に、種類的に申しますと、五十三年度に報告しなかったもので、新しく報告する、これはいろいろ落ちたものもありますし、入ったものがあるというようなことでございます。これは通例、通常のものでございますが大体パターン別といいますか、大きく分けますとそんなような感じになろうかと思います。
  251. 峯山昭範

    峯山昭範君 これはいずれにしても、防衛庁長官が先ほど防衛庁の管理する備品は広範多岐にわたると、こう長官はおっしゃいましたが、広範多岐にわたればわたるほど、この管理をちゃんとせにゃいかぬのであって、数が少なきゃ多少ずさんにやっていてもすぐわかるわけですよ。また、しかもよその省庁は、一番初めに申し上げましたように、五十万以上なんですよね。防衛庁は三百万以上なんですよ。そういう点からいきましても、これは少なくともそういうような管理の仕方、何ぼ広範多岐にわたったにしても、一つ一つの金額も非常に大きいわけですし、ですからそこらのところはやっぱりきちっとすべきである、そう思うんですね。そこのところは、やっぱり私たちと同じようにきちっとすべきだという認識に立って、今後この問題を処理していただかないと、いやうまいこと運用しているんだからいいんだというんでは困るわけです。この点はどうですかね、そこのところをまず認識を一致して話を進めないと話は進まないと私は思うんですけれどもね。
  252. 和田裕

    政府委員(和田裕君) まことにそのとおりだと思っておりまして、ただ、私がそのように申し上げなかったのは、私の直前に長官の方から、いやしくもこういったような物品の管理につきましては、法令に規定するとおり厳重に管理すべきであるというふうに、防衛庁を代表しまして御説明があったから、私はあえて申し上げませんで、原因だけ申し上げた次第でございますが、私の申し上げ方が非常に多いと、広範にわたるという点を強調したように聞こえたとしましたら、それは私の真意ではございませんで、先生おっしゃるとおりに、非常に大事な国民の税金を扱っているものでございますので、法令に従い、きちんと管理するというように、今後とも十二分に努めていきたいというように考えております。
  253. 峯山昭範

    峯山昭範君 それから、先ほど装備局長は、大体その経過とか、どういうふうなものにそういうふうないわゆる何といいますか、記載漏れの品物が多かったのかというふうな質問をしましたら、その経過等をあわせて聞きましたら、一つは、例の相互防衛援助協定等に基づく無償でもらったものが第一番目だと、それで第二番目は、要するに修理用の備品であると、そういうふうなことからずっといろいろおっしゃっておりますけれども、やはりこれはそういうような備品であったにしても、相当な金額になるわけですし、それなりにやっぱりきちっと管理すべきである、そう思うわけです。  そこで私は、これは問題を全部さらけ出してしまって、その後で詰めてやりたいと思うんですが、先ほど検査院の第二局長さんがちょっとおっしゃいました、いわゆる謀計上というやつですね、非常にこれは謀計上なんと言いますとわかりにくいわけでございますが、海上自衛隊の分につきましては謀計上分があったと。それで先ほど海上自衛隊の数字を発表されるときに、少ない数字をおっしゃったわけでございますが、この謀計上分というのは、先ほどの話では、千三百二十一個、百二十一億ということでございましたですね。
  254. 堤一清

    説明員(堤一清君) 御指摘のとおりでございます。
  255. 峯山昭範

    峯山昭範君 誤計上というのはどういうことですか。
  256. 堤一清

    説明員(堤一清君) 航空機に組み込まれまして、すでに国有財産として上げなければいけないものを、物品として誤って、そのままの形で物品の管理計算書に上げたというものでございます。
  257. 峯山昭範

    峯山昭範君 要するに、国有財産として計上すべきものを、物品として上げたということですか。もう少しちょっとそこのところ詳しく。
  258. 堤一清

    説明員(堤一清君) 御指摘のとおりでございます。国有財産として計上すべきものを、物品として上げておったということでございます。
  259. 峯山昭範

    峯山昭範君 逆に言えば、物品には計上する必要はないということですか。
  260. 堤一清

    説明員(堤一清君) そのとおりでございます。
  261. 峯山昭範

    峯山昭範君 しかも、その誤計上の中の何か大部分がP2Jに関するものであったというふうに聞いているわけでございますが、これはそうですか。
  262. 堤一清

    説明員(堤一清君) P2Jに関しますものは、一千三百二十一個のうち五百八十五個、金額で百二十一億七千七百万のうち約三十八億でございます。
  263. 峯山昭範

    峯山昭範君 ということは、誤って計上した分、いわゆる物品報告書に計上しなくてもいいものをあえて計上したもの千三百二十一個のうち、いわゆるP2Jに関するものが五百八十個あった。パーセントで言えば約四二、三%になりますかね。大体そのくらいのものがP2Jに関するものであったと、そういうことですね。
  264. 堤一清

    説明員(堤一清君) そのとおりでございます。パーセンテージにしますと四三%程度になるかと思います。
  265. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは装備局長、どうしてこういうことになったんですか、
  266. 和田裕

    政府委員(和田裕君) 先生恐らくどうしてこういった問題がP2Jに集中しているかといいますか、P2Jの絡みできているかと、こういう御質問かと思いますが、確かにおっしゃいましたように、P2Jに関します問題点二点御指摘いただいておりますが、これにつきましては、確かに自衛隊側での要因もあろうと思われますが、それ以外の要因、やはり検査におきましても、それぞれいろいろ重点を置いてお調べいただくというようなこともあるようでございますが、そういったような要因によるものもあるのではないかと思われます。いずれにいたしましても、P2Jといいますか、これは海幕の関係でございますが、これに関するものが出ておりますので、こういった点につきましては、いま御指摘を受けまして、いろいろ改善をしているところでございますが、こういったことにつきましては非常に遺憾と考えておりますので、今後とも十二分に私ども注意し、こういうことが起こらないようにやっていきたいというふうに考えおります。
  267. 吉野実

    政府委員(吉野実君) いま装備局長のお話にちょっとつけ加えさしていただきますが、不動産だと国有財産になりまして、船も一緒ですけれども、物品は物品管理するわけですけれども、物品管理していたものが、飛行機の中に積みますと、それは不動産といたしまして国有財産の方に入ってしまうわけです。ですから、そこを部品を持っておって、部品を買って飛行機に積み込んだやつを、部品のまま管理していたということでございまして、いずれ時期が来ればそれはもう不動産の方にいってしまうといいますか、飛行機の機体の中に入ってしまうと、そういう性質のものであろうと思います。
  268. 峯山昭範

    峯山昭範君 大体物品管理というのはどの局長がこれ担当なの、装備局長の話を聞いても全然この話がわからないですよ。さっきの答弁聞いても何言っているかわかりませんよ。  それで検査院ね、これは要するにどういうことなんですか、同じ質問を検査院の方にしてみますけれども、海上自衛隊の謀計上ということはどういうことなのか。いま経理局長さんのおっしゃったとおりなのか、ちょっと一遍そこら辺の認識、ちょっと私どうも違うように思うんですがね。
  269. 堤一清

    説明員(堤一清君) 一般的に申しますと、物品の管理の事務を担当しております人たちが、関係法令に対する認識が不十分であるというようなことだと思いますけれども、先ほど私ちょっと間違ってお答えしましたけれども、国有財産に計上すべきものを物品のままとしておったという以外に、金額とか、そういった面とか、物品の種類によって計上しなくてもいいものを計上しておったというケースもあるようでございますが、一般的に言いますと、やっぱり先ほど申しましたように、関係職員に関係法令を十分知らせるというようなことが必要じゃないかというふうに考えます。
  270. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは検査院の方も何となく奥歯に物のはさまったような言い芳してあれしていますが、これは装備局長、先ほどおたくの答弁を聞いておりますと、たまたまP2Jのところの検査が多かったから、要するにこういうふうなP2Jのやつがよけい出たんじゃないか、こういうふうな意味の答弁もあなたの答弁の中にあるわけですがね。それにしても、これは計上しなくてもよかったものを計上していたんだから、これは管理のし過ぎだから、いわゆる逆に言えばいいじゃないかと、こういうふうな考え方にもし少しでも立っていたりするとすれば、これはまた逆に大変な問題であると私は思います。また経理局長さんも、物品であっても飛行機の中に積み込まれてしまえば、国有財産になっちゃうんだから、それをそのまま物品報告ということでやっていたというふうなあなたの受け取り方ですが、これは検査院そのとおりなんですか。これは私はそういうふうには聞いてないんです。
  271. 堤一清

    説明員(堤一清君) 私どもといたしましては、特にP2Jというものの物品の管理に関して、そこに重点を置いて検査をしたというようなことはございませんものでございますから、特にそういう指摘が、うちが故意にそこをやったんではないかということについては、そういう事実はないとお答えするしかないと思います。
  272. 峯山昭範

    峯山昭範君 それ和田局長、装備局長違いますよ、これ。何もP2Jにかかわって検査したんではない。しかしながら、現実の問題としてどうだったかは私は詳しくは知りませんけれども、現実に五十二年度、五十四年度の会計検査報告の中でも、P2Jの問題がよけいに指摘をされているわけですね。しかも、謀計上の中の約半分近く――半分とはいきませんが四三%、先ほど会計検査院の報告によると、それだけの個数のいわゆる謀計上があったということは、それだけやっぱりP2Jの備品の管理がずさんであるということにもなるわけです。ここら辺のところはどういうふうに受けとめていらっしゃるのか。現実に、たとえば五十二年の会計検査報告の指摘事項では、このP2Jの燃料セルが不要なものまでも、材質が変更になって本当は使わないものまで注文しているというふうな指摘がありましたし、またことしは同じくP2Jにつきまして、やっぱり同じように今度はいわゆるディフューザーというんですか、それからプロペラドームですか、こういうふうなものが、従来のいろんなあれから考えて余分に注文されている。これはもう不当事項として指摘されているんですから、これは要するに艦船みたいに、次に違う飛行機があって、それじゃそこで流用できるというようなものじゃないわけだ、今度はもうこのP2Jについては、まず防衛局長にちょっと聞いておきましょうか。  P2Jは大体いつごろまで御使用になるんですか。そしてP3Cと交代されるわけですね。そのぎりぎりの年度と、そこの切りかえのぐあいを一遍説明してくれませんか。
  273. 塩田章

    政府委員(塩田章君) P2Jは現在八十機ばかり取得しておりますが、飛行機は御承知のように、何年間使うということじゃなしに、使用時間でいっております。大体P2Jの場合七千時間ということでございますので、運用の実態によりまして一何年間もつかということが決まってくるわけでございますが、従前の実績等から判断いたしまして、四十二年から導入いたしまして、五十二年まで導入しておるわけでございますが、大体七千時間ということは二十年以上使用できるということでございますので、早い飛行機で六十二、三年ごろからリタイアが始まるかと思いますが、そういう状況でございます。
  274. 峯山昭範

    峯山昭範君 耐用年数二十年、そういうふうにおっしゃってますけど、実際問題として、P3Cと切りかわっていくわけですから、ただ耐用年数だけというわけにはいかないんでしょう。それで防衛庁としてはどの程度を考えていらっしゃるか。昭和何年ぐらいまでとお考えなのか。
  275. 塩田章

    政府委員(塩田章君) おっしゃいますように、耐用年数だけでいきますと、二十年以上あるわけでございますが、実際には途中の損耗といったものもございますので、それを見ながら、次期P3Cに転換を考えていくということでございますが、いまのところ、先ほど申し上げました、現在持っております八十機と、P3C、中業で予定しております、見込んでおります四十五機、この導入によりまして、当分の間は運航していきます。したがいまして、今後どういうふうに切りかえていくかということは、五三中業につきましていまP3C四十五機という線で来ておりますが、それから先のことはまだ具体的に、どういう時期にどういうふうに切りかえていくというふうにはまだ計画を立てておるわけではございません。
  276. 峯山昭範

    峯山昭範君 私の手元にある資料は多少違っているのかもしれませんが、昭和六十三年ごろには大体もうP2Jはほぼ姿を消すんじゃないかと、こういうふうに記載されているわけですが、そうじゃないですか。
  277. 塩田章

    政府委員(塩田章君) 先ほど申し上げましたように、六十二、三年ごろからリタイアが始まりますし、それ以前の損耗等が起これば別でございますが、いま御指摘のように六十二年にはP2Jがほとんどなくなるというふうには考えておりません。お手元の資料に何機とあるのかちょっと私存じませんが、そんなにすべてなくなるといったようなことは、六十三年の時点でそうなくなるとは考えておりません。
  278. 峯山昭範

    峯山昭範君 わかりました。大体そういうふうな実情ですね。そうしますと、実際問題としてこのP2Jの備品の導入という問題は、やっぱりこれは現実の問題としてP3Cにかわった場合、これは転用は全くできないんでしょう。
  279. 和田裕

    政府委員(和田裕君) 先生御指摘いただきましたエア・ディフューザー・アンド・クランプの件でございますが、指摘を受けました過剰調達分につきましては、五十四年度国債契約分の調達を取りやめるとともに、五十三、五十四及び五十五年度の航空機の製造あるいは修理にかかわる契約におきまして、官給品として支給すると、これは数で言いますと、エア・ディフューザー・アンド・クランプ、それからプロペラドーム各十個でございますが、そういった官給品としての支給をするほか、これらによってもなお余剰となるエア・ディフューザー・アンド・クランプ五個につきましては、五十六年度以降の契約に充当することを考えております。なお、こういった部品の所要量の算定方法につきましても、部品使用の実態に沿った配慮を行いまして、今後かかる事案の再発を防止するつもりでございます。
  280. 峯山昭範

    峯山昭範君 それはもうわかりました、  それで、先ほども申し上げましたこの謀計上の問題につきましては、これは先ほど説明ありましたけれども、和田局長これはどういうことか、もうちょっと一遍わかるように説明してくれませんか。
  281. 塩田章

    政府委員(塩田章君) ちょっとその前に一言訂正させていただきたいと思います。  先ほど、六十二、三年ごろかもP2Jのリタイアが始まると申しましたが、六十年ごろから始まりますので、恐縮ですがその点を訂正さしていただきます。
  282. 和田裕

    政府委員(和田裕君) 先生の御指摘になりましたのは、セルの関係で、より軽く、より丈夫な燃料セルというものが実際上できておりまして、それを、USIあるいはSPIに用いていたものを、P2Jに使わなかったではないかと、それによって問題が起こっているのではないかという点のことかと思いますが、それにつきましては、御指摘をいただきましてから直ちに改めまして、五十二年の末から、新しいものを使用するように改定しているところでございます。
  283. 峯山昭範

    峯山昭範君 いや違うね、それはわかっている。いまおっしゃったのは五十二年の燃料セルの話でしょう。それじゃない。先ほどから申し上げております海上自衛隊のいわゆる謀計上分について、検査院の方も、あえてこのP2Jの問題だけを検査したんではないと、こうおっしゃっているわけですよ。その点について、これはどういうことだったのか、先ほど局長の説明が非常にあいまいだったので、もうちょっと明確におっしゃっていただきたいということです。
  284. 和田裕

    政府委員(和田裕君) 海上自衛隊におきますところの謀計上の問題でございますが、さっきちょっと申し上げましたことにも関係するんでございますが、機械及び器具に該当するかいなかの判断が非常に困難でありましたために、たとえば、航空機用の尾翼、ドア等の機械部品につきまして、これは計上していたものにつきまして、今回の見直しで報告の対象とすべきでないという判断基準によりまして、計上を取りやめることにしたものでございます。  なお、こういったことにつきましては、多額の掲載漏れが生じまして、非常に遺憾だと考えておりますが、私どもとしましては、こういったものは別に意図的に起こったものではもちろんございませんで、事務的に十分にそこら辺詰めてないために起こった問題だと考えておりますが、こういったことにつきましては、今後は内部規定に基づきます手続を十分に踏むといったようなことによりまして再発を防止したいというふうに考えておる次第でございます。
  285. 峯山昭範

    峯山昭範君 局長ね、後段の意味はよくわかるんですが、さっき言った前段の意味がちょっともう一つ明確でないように私は思うんですよ。  それじゃ、もう一つ違うふうな意味質問をしますと、何でP2J関係がこんなに多いのか、これはどういうことですか。
  286. 和田裕

    政府委員(和田裕君) 問題は航空機部品に非常にかかっておりますが、海上自衛隊の持っております一番主な、数も多くかつシステムとしても大型な、したがいまして、部品等が多く存在します航空機等はP2Jであったということも原因していたかというふうに考えております。
  287. 峯山昭範

    峯山昭範君 いずれにしましても、その理由等はいま説明がございましたけれども、いずれにしても、これは防衛庁の物品管理並びにいわゆるこの補与部品の発注システム、そういうことも含めまして、これはいかにこれから備品や物品の数が多くなろうとも、特にその管理という問題は重大な問題でありますし、私もきょうは時間の関係もありますので、そんなにたくさんは物を言いませんけれども、これは長官を含めまして、まとめて最後にお伺いしておきたいんですが、これはやっぱり防衛庁自身の姿勢にもかかわってくる問題であると、こう思うわけです。特に、何といいますか、運用の方面を非常に重視をして、経理とか、あるいは物品の管理というふうな問題を軽視しておると、それじゃ私はいかぬと思うんですね。現実の問題として、旧軍においても、やっぱりこういうことは現実にあったわけです。特に、兵器の運用というものを重視して、そして経理並びに物品管理というふうなものを軽視する、そういうふうな傾向、悪い習慣というのは現実にあったわけです。そういうふうな残骸みたいなものが、いまの自衛隊の中にも残っているみたいな気がするわけです、こういうふうなものを見ておりますと。そういいふうな意味では、やっぱり特にこの兵器の消耗といいますか、減耗していく兵器というのは非常に多いわけですし、そういうふうな意味で物品管理というのは非常に重要な立場に立たされているわけであります。そういうふうな意味では、これは物品管理の責任者というのは、まあ全体に言えば防衛庁長官なんでしょうが、これをきちっと管轄する局長は一体だれなのかということも含めて、今後のいわゆる物品管理というのをきちっとする、そして防衛庁の兵器の調達、それから備品の調達、こういうふうなものに再び重ねて会計検査院やいろんなところから、同じような指摘がされないようにきちっとすべきである。備品が残っているからそれを有効に運用するというのは、これは残ってしまった物は有効に運用する以外にないと私は思います。しかしながら、有効に運用するところがあるからいいのであって、有効に運用するところがない備品というものは、全くこれは死蔵品になってしまうわけです。しかも、国民の税金という点から言いますと、非常に高い備品をそれぞれ購入せざるを得ないという立場防衛庁自身があるわけですから、そういうふうな意味でも、特に今回、私はきょうの質問を通して、この物品の管理、調達、並びにそういうふうな具体的な法規の面からも明確にして、今後二度とこういうふうな指摘を受けないようにしていただきたい、こういうふうに思うんですが、最後に長官の御答弁をお伺いしておきたいと思います。
  288. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) ただいま峯山委員から、物品管理の重要性について、貴重な御指摘を受けたわけでございます。私もその点は痛感をいたしているわけでございます。とかく金銭関係に比較いたしまして物品会計の扱いがなおざりにされがちである、これは私のささやかな行政官の経験からも考えられる点でございます。ましてや、防衛庁におきましては、日進月歩の技術水準に適合した装備品、材料等の調達もしなければならない、そういった立場にございますので、ただいま御指摘にございました物品管理の扱いを責任を明確にして、また扱いに実際担当している職員がよく知らないために御指摘を受けたというような点を今後なくすようさらに努力してまいりたいと思う次第でございます。
  289. 森田重郎

    ○森田重郎君 長官にお伺いしたいんでございますけれども、これまでの御答弁で何回かお話は伺っておるんでございますけれども防衛海域の拡大問題について、再度長官のお考えをちょっとお伺いしたいと思います。
  290. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) お答えいたします。  ただいま防衛海域の拡大の問題というお尋ねがあったわけでございますが、最近訪米いたしました伊東外務大臣ワインバーガー国防長官会談した際に、ソ連の海上軍事力増強に言及した際に、西太平洋とか、グアム以西、フィリピン以北等の表現が用いられたことがあるというふうに聞いておるのでございますが、防衛庁といたしましては、日本防衛に直接関係のある周辺海域について、今後とも防衛力の向上に努力するよう期待したものにすぎないというふうに理解いたしているわけでございます。  先生承知のとおり、防衛庁といたしましては、わが国から数百海里、航路帯を設ける場合はおおむね千海里程度の周辺海域について、自衛隊がそこにおける海上交通の安全を確保することができることを目標として、海上防衛力の整備を行ってきておるところであり、今後もこの線で努力してまいりたい、さように考えている次第であります。
  291. 森田重郎

    ○森田重郎君 お話の筋は前々からそのように私理解をしておったわけでございますが、四月五日でございますか、リチャード・アミテージ次官補代理が来日されるというようなお話を伺っておりますが、それは予定どおりそういうことでおいでになるんでございましょうか。
  292. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) アミテージ次官補代理が日本に見えるということは、最近聞いておるわけでございますが、これは日本を含めてのアジア諸国を視察する、その途中立ち寄られるというふうに聞いておるわけでございます。
  293. 森田重郎

    ○森田重郎君 その際、防衛問題に対するかなり詰めたアメリカサイドの考え方というようなものも当然私は出るんじゃないかと思うんですけれども、ただいま御質問申し上げました海域拡大の問題等も踏まえて、その辺に対して何か防衛庁御当局としてお考えになっておることはないのか、また、単なる視察ということだけにそれを受けとめてよろしいもんかどうか、その辺について御答弁をちょうだいしたいと思います。
  294. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 私どもはいまのところ単なる視察旅行というふうに理解しておりますので、具体的な提案はその際あるものとは考えておりません。
  295. 森田重郎

    ○森田重郎君 実は私、長官大変この防衛問題というのは、長官も御苦労の多いことだと思うのでございます。たしか二十八日の参議院の予算委員会の集中審議でございましたか、記憶に間違いがあればこれは失礼するわけでございますが、たしか公明党の渋谷委員が、この防衛問題というのは、これは憲法、専守防衛、それから非核三原則、この辺の姿勢がはっきりしないということにおいては、どうしても空回りするというような、非常に核心に触れたようなお話があったように、私なりに承知しておるわけでございますけれども、今回伊東外相が訪米をされて、その会談そのものはまさに当初自動車問題一色だったというようなお話が、実は後からぽつぽつと、ただいまの海域問題等についても出てきたというような事態を踏まえまして、これはまさに私の私見と申しましょうか、私的な感覚でございますけれども、今回五月でございましょうか――五月総理が訪米されるという折には、むしろその自動車問題の方がこれは全く影をひそのて、その総理訪米の中心的な課題というものは、防衛問題に集中するんではないだろうかというような感じがしてならないわけでございますが、そういった折にたとえばこの「防衛計画の大綱」見直しというふうなものは、これはもう従来どおりでなさらぬ、こういう御方針のようでございますけれども、その辺それでよろしいものなのかどうか、再度ひとつ長官のお考えをお伺いしたい、かように思います。
  296. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) わが国の防衛の基本方針が、日米安保体制を堅持するとともに、平和憲法、専守防衛、非核三原則といった基本的な方針を前提にして、わが国の自主的な防衛力を進めていく、その場合の目標となり、基礎となるものが「防衛計画の大綱」であるという点は、しばしば申し上げている点でございます。  また、先般の予算委員会におきましても、鈴木総理大臣が「防衛計画の大綱」はまだ達成されておらないので、これを実現するために努力するんだ、すぐ見直すということは考えておらないというふうに申されておるのでございまして、私どももこの方針に従って、日米間の意思疏通を図りながら、わが国の防衛力が充実できるようにやっていかなければならない、そのように考えている次第でございます。
  297. 森田重郎

    ○森田重郎君 その辺の結局時点でのお話の中で、この防衛問題が詰められるということであれば、これはまあ大変結構なことかと思いますけれども、どうも何か大きな次にわが国の命運にでもかかわるような問題が提起、提案されないかというふうなことを私なりに懸念をいたしておるもんですから、あえてそういう質問をさせていただいたわけでございますが、話題を変えまして、この有事法制研究が現在どのような形で進められておるのか、その辺をちょっと御答弁ちょうだいしたいと思います。
  298. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 有事法制の研究は、三年ほど前からスタートしているわけでございますが、なかなか対象が広範にわたるわけでございます。  そこで、防衛庁といたしましては、防衛庁所管の法令の研究をまずできるだけまとめたい、他省庁の関係は若干おくれてもやむを得ないということで、防衛庁所管の法令の研究を急いでいるわけでございます。それが相当程度まとまりましたならば、この国会中に御報告できるようにしたいと思っていま鋭意検討中でございます。
  299. 森田重郎

    ○森田重郎君 何か中間報告が、これは新聞紙上で私拝見したのでございますけれども、まとまった、しかし、全面的にこれがまとまったということではないと思います。今後の課題として残されるべき問題、これから詰めなくてはならぬ問題、多々あろうかと思いますが、その辺はどうなっておるのでございましょうか。
  300. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 中間的な報告もまだ十分固まっておらないわけでございまして、鋭意検討中でございます。防衛庁関係の法令につきましても、いろいろ問題があるわけでございます。たとえば法律の根拠規定はあるけれども、まだ政令が制定されていないという問題もあるわけでございますし、現在の法律の規定に追加してはどうかと、こういう問題もあるわけでございます。さらに新しい立法措置を講じてはどうかと、いろいろな問題があるわけでございますから、そういったものをできるだけ取りまとめて、中間的な報告として報告できるようにいたしたいというもので、いませっかく努力中であると、こういう状況でございます。
  301. 森田重郎

    ○森田重郎君 いわゆるガイドラインと有事法制の関連というのが、実は私余りよくぴんとこないんでございますけれども、この辺をひとつちょっと事務的で結構でございますから御説明をちょうだいできればと思います。
  302. 塩田章

    政府委員(塩田章君) ガイドラインといま話題になっております有事法制とは、私ども直接関係はないというふうに考えておるわけでございます。と申しますのは、ガイドラインは御承知の日米の指針に基づきまして、現在作戦計画等を中心にした研究を進めておりますが、これは基本的に現在の法体系を変えることを考えずに、現在の法体系の中で作戦計画を中心にした研究をするということでございまして、いまの有事法制とは関係なく進めておるということでございます。むしろ防衛庁が別途やっております防衛研究の方が、これは有事法制と中身が結びついた面が出てくるわけでございますが、ガイドラインにつきましては有事法制とは別個であるというふうに御理解賜りたいと思います。
  303. 森田重郎

    ○森田重郎君 長官は七月にいらっしゃるんでございましょうか。
  304. 大村襄治

    国務大臣(大村襄治君) 時期はまだ決まっておりません。
  305. 森田重郎

    ○森田重郎君 実は、できますればこれは非常に防衛問題というのは、国の命運をかけての問題でもございますし、現下喫緊の問題というようなことから、なるべく早く長官が渡米をされまして、その辺の問題を大いにひとつ詰めていただきたいということを、私なりの希望として申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  306. 野田哲

    委員長野田哲君) 他に発言もないようですから、外務省及び防衛庁決算についてはこの程度といたします。  次回の委員会は四月六日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十四分散会      ―――――・―――――