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1981-07-21 第94回国会 参議院 決算委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年七月二十一日(火曜日)    午前十一時十八分開会     —————————————    委員異動  七月二十日     辞任         補欠選任      藤原 房雄君     黒柳  明君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         和田 静夫君     理 事                 井上  孝君                 高橋 圭三君                 降矢 敬雄君                 円山 雅也君                 佐藤 三吾君                 峯山 昭範君     委 員                 石本  茂君                 北  修二君                 坂元 親男君                 内藤  健君                 仲川 幸男君                 成相 善十君                 福田 宏一君                 穐山  篤君                 粕谷 照美君                 安武 洋子君                 柄谷 道一君                 森田 重郎君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    安孫子藤吉君    説明員        内閣総理大臣官        房参事官     山田 晋作君        警察庁長官    三井  脩君        警察庁長官官房        長        金澤 昭雄君        警察庁刑事局長  中平 和水君        警察庁刑事局保        安部長      谷口 守正君        警察庁交通局長  池田 速雄君        文部省初等中等        教育局中学校教        育課長      福田 昭昌君        厚生省薬務局麻        薬課長      市原 久照君        労働省労働基準        局安全衛生部労        働衛生課長    福渡  靖君        自治省行政局長  砂子田 隆君        自治省行政局公        務員部長     大嶋  孝君        自治省行政局選        挙部長      大林 勝臣君        自治省財政局長  土屋 佳照君        消防庁次長    鹿児島重治君        会計検査院事務        総局第一課長   佐藤 雅信君        会計検査院事務        総局第五局長   丹下  巧君    参考人        公営企業金融公        庫総裁      首藤  堯君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和五十三年度一般会計歳入歳出決算昭和五  十三年度特別会計歳入歳出決算昭和五十三年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十三  年度政府関係機関決算書(第九十一回国会内閣  提出) ○昭和五十三年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第九十一回国会内閣提出) ○昭和五十三年度国有財産無償貸付状況計算書  (第九十一回国会内閣提出)     —————————————
  2. 和田静夫

    委員長和田静夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二十日、藤原房雄君が委員を辞任され、その補欠として黒柳明君が選任されました。     —————————————
  3. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 次に、昭和五十三年度決算外二件を議題といたします。  本日は、自治省警察庁及び公営企業金融公庫決算について審査を行います。     —————————————
  4. 和田静夫

    委員長和田静夫君) この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 質疑通告のない首藤公営企業金融公庫総裁は退席していただいて結構です。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 穐山篤

    穐山篤君 最初に、行政改革について伺いますが、御案内のとおり、十日の日に第二臨調から答申が行われました。  第一が行革理念二つ目緊急課題三つ目に今後の課題というふうになっているわけですが、そこで、少し整理をする意味でお伺いをしますが、公務員全体について共通行政改革、緊急に行わなければならない問題が指摘をされております。それから、各省庁独自の問題につきまして、全部ではないわけですが、自治省にしろ、厚生省、その他若干の省庁が、その省庁対象にした行政改革、緊急に解決すべき事項というものが報告をされております。閣議方向としては、原則的にこれを尊重するということで、これから具体的な事務作業が行われるでしょうが、認識をきちっとしておくという意味で、まず第一に公務員共通の問題についてお伺いをいたします。  それから、ついでで恐縮ですが、その次に自治省並び自治省関連の警察にしろ、消防にいたしましても、それにかかわります第二臨調報告をどういうふうに理解をされるのか。それから、当然のことでありますが、国民の全体の立場から言いますと、同床異夢でしょうが、総論的には賛成の空気が強いわけです。しかし、自治省としても、かねてから地方自治の問題について、いろんな提言なり、あるいは審査会答申というものを受けているわけでありますので、この際各論反対というふうなことを言う必要はないと思いますが、自治省見解というものをきちっと表明をしておいていただきたいというふうに思います。
  8. 大嶋孝

    説明員大嶋孝君) まず、公務員関係を私からお答え申し上げたいと思います。  御案内のとおり、第一次答申におきまして、国家公務員、それから地方公務員行政に関しまして、共通して指摘されておりますことは、定員合理化適正化、それと給与適正化、この二つであろうと思います。地方公務員行政に関しまして、まず定員合理化適正化につきましては、一つには国の施策関連する地方公務員の増員の抑制をする、二つ目には地方公共団体もみずから定員抑制に係る措置を講ずるということにされておるところでございます。また、給与適正化につきましては、国に準じた措置を講ずることによりまして、給料、退職手当等適正化を図るものとされておるところでございます。ただ、答申後まだ日も浅うございますので、十分に掘り下げて検討ができておりませんが、答申実施閣議決定を受けまして、できるだけ速やかに実効ある施策検討し、実施に移す考えでございます。その際「地方公務員定数給与等については、基本的には、各地方公共団体における自律機能の発揮によって改善されることが期待される。」というふうに答中でも言っておりますことに留意をして、具体的な方策を探ってまいりたい、かように考えておるところでございます。
  9. 砂子田隆

    説明員砂子田隆君) 今回の臨時行政調査会の第一次答申につきましては、すでに新聞等で御案内のことと存じますが、いずれにいたしましても、今回の答申は、国と地方と合わせまして、行政効率化を図りながら、支出の節減、合理化を図るという措置について触れられております。自治省といたしましても、地方公共団体行財政全体について、国と公共団体との間の機能分担適正化を図りながら、国、地方を通ずる行政簡素効率化を図っていくということは、前々から申し上げておりますし、そういう主張をしてまいりました。今回の答申の中にもそういう点が触れられてございます。  さらに、国庫補助金適正化でありますとか、あるいは先ほど公務員部長からお話を申し上げましたが、国において措置すべき中で、やはり地方公共団体に関する定数の問題、あるいは公務員抑制に係る補助金の問題、そういう問題もございますので、そういう適正化についてさらに措置をしなきゃいかぬだろうと思っておりますし、そういう点について関係省庁にこれからいろんな点で要請をしなきゃいかぬというふうに考えております。そういう意味では、地方公共団体におきましても、そういうものにならいながら、積極的に行財政改革を進めるようにお願いをいたしてまいりたいというふうに考えております。ただ、国の財政負担というものを、単に地方公共団体に転嫁するような措置というのは、どう考えましても行政改革趣旨に沿わないのではないかというふうな考えを持っておりまして、そういう見解は表明いたしてございます。  さらに、お話にございました、自治省が今後こういう行政改革に対して、いままでいろいろな調査会でありますとか、その他で述べられておることについてどういうふうにするのだというお話がございました。もともと今回の行政改革自身が、仕事減らしということが基本にあったように思います。その仕事減らしをいたしますには、少なくとも国と地方公共団体との機能分担適正化を図るということがやはり基本になければいけませんし、そういう意味において、国、地方を通ずる行政簡素効率化を図るということがやはりその基本であらねばならぬというふうに考えております。そういう意味におきまして、時代の要請に沿うたような、これからの行政事務の再配分といたしまして、中央の偏在というものを排しながら、少なくとも地方分権を進めながら、行政事務の大幅な地方移譲を図っていくというのが、これからわれわれがこの行革の今後の課題としてお願いをいたしていきたいところだと思っております。  さらには、許認可事務につきましても、国の関与というものをなるべく排除していくということが、やはり行政改革にとって大事なことでありますし、そのことが民間の活力をやはり利用するということにもなりますし、地方が独自でやはり自律的な精神に基づいてやっていくということにもなるわけでありますから、許認可事務の大幅な整理合理化をしていかなきゃならぬだろうと思っております。  さらに、先ほど申し上げました国庫補助金につきましても、その整理合理化を図りながら、中には零細補助金のようなものをなるべく排除していくとか、あるいは複合的な補助金をつくっていくとか、あるいは総合化メニュー化をしていくというような態度もこれから続けていかなきゃならぬだろうと思いますし、さらには国の地方出先機関につきましても、やはりこれから自治省考え方を述べていかなきゃならぬのだろうと思っております。  さらには、過般地方自治法の一部改正の提案を断念いたした経緯にかんがみまして、機関委任事務に対します監査の権限の問題でありますとか、これはオンブズマンとの関連が若干あるのかもしれませんが、そういう機関委任事務に対する問題でありますとか、あるいは公共団体側意見の開陳の問題等がもし含まれるなら、こういうところで少し議論をしていただいて、公共団体の側から見て、少なくとも行政簡素効率化というものが進められるというような形での答申がなされるように努力をいたしていきたいというふうに考えております。
  10. 穐山篤

    穐山篤君 そこでお伺いをしますが、共通をして定員の五%削減、あるいは給与につきましても、私どもとしては少し異論のあるところですが、人事院勧告体制というものがありながら、抑制をするという、そういう指摘の仕方は少し問題があるわけですが、それはそれで議論するにしましても、要員を減らしていく、片方でその方針がありますね。それから片方皆さん方は、自治省考え方としては、行政事務能率化を図るというふうなところから、事務の再配分、あるいは許認可事務地方移譲権限移譲ということになりますと、実際の問題として、そこの調整というのは非常に困難だというふうに考えざるを得ないと思うんです。現に国がいろんな事務地方自治体に依頼をしている事項があるわけですが、これに対します各首長、市町村からの抵抗も強いわけですね、現実に。そこは理屈理屈とし、片方方針方針としてあるわけですが、どういうふうに調整をして、法律改正なり、政策の変更に持ち込むかどうか、持ち込むことが可能かどうかというのを非常に懸念をするわけです。先ほどお話がありましたように、第二臨調には意見を申し上げてあったというふうにお話がありますが、結論としてこの答申が出ているわけです。答申を尊重するというふうに片方で言いながら、片方ではたくさんの問題を抱えている、主張を貫かなければならないという立場があるわけですが、どうやってそこを調整をされますか。
  11. 砂子田隆

    説明員砂子田隆君) ただいまのお話ですが、今回の答申は、この「行政改革理念課題」から、お話がございました最後の「今後の検討方針」まで、いろいろなことを述べでございます。しかし、今回の答申自身は、この中を見てみますと、この頭初にも書いてありますように、当面緊急を要する外科的な手術に関する部分だと、こう書いてございまして、財政再建をするのにどういうふうにやるかということに非常に重点が置かれてございました。今後の方針の中に、いま先生おっしゃられましたような、いろんな角度からの議論が出るものだと思っております。そういうことを含めまして、実は臨調の中でも自治省見解としてお示ししてございまして、そういうものが今後私たちは相次いで臨調答申として出てくるものだと期待をいたしております。そういう期待が背かれないような行動をわれわれしなけりゃいかぬとは思いますが、そういう中で今後各省との間の煮詰めのことをしていかなきゃならぬと思います。  ただ、たまたまいまお話がございましたが、公務員の五%削減の問題というのが、現実に法案の形で国家公務員について出てくるならば、それはやはり地方公務員についてもそういうことを要請をしていかなきゃいかぬだろうというふうには考えております。ただ、それのみならず、この答申の中にもございますが、要するに地方公務員がふえているという原因は、単に地方団体独自でふやしているのでないという状況がございまして、しかも、この中には国自身がやはり法令等で義務づけてふやしていっているもの、あるいは補助条件としてつけているもの、それが非常に多いんだということがこの中に書いてございます。ですから、地方公務員のところの定数赤ふえている主題になっているのは、むしろ国側抑制基調というのが大変これに強く出ておりまして、それに合わせて地方公務員もみずからやはり自主的に削減をしていくようにという努力が述べられておるわけでありますから、そういう線に沿ったやはりわれわれの今後の指導というのが必要であろうというふうに思っております。
  12. 穐山篤

    穐山篤君 少なくとも緊急課題と言われるものにつきましては、来年度の予算編成に間に合わせる、その立場から言いますと、少なくとも来月いっぱいぐらいが準備期間になるわけですね。そうしますと、当然行革臨時国会提案をされるのか、あるいは通常国会でその辺が提示されるのかよくわかりませんけれども、かなり時間的には急いで調整をして、しかるべきものは国会提出をするということになるわけですね。そうしますと、いまもごく抽象的にはお話がありましたが、自治省定員、あるいは文部省でもどこでも結構ですけれども定員削減をされるということは、またそれだけ人件費が下がるわけです。ところが、業務というものがそのまま残りますと、やっぱり何らか補強工作をしなきゃならぬ。もし補強工作ができないとするならば、その業務は切ってしまわなきゃならぬ、あるいは全く別なところに委託をする、あるいは一般市民の協力を得て、市民みずからがそれをやるというふうに、国民の前に明らかにしなければ、これは自治省意見が、意見としてはわかりますけれども国民賛成を得られるかどうかというのはよくわからないと思うんです。  そういう意味で、特徴的なことをお伺いをしますが、国民健康保険の問題は、本年末までに部内検討を加えて結論を出しなさいと、こうなっていますね。臨調答申でいきますと、財政的に保は自治体が肩がわりをすると、こういう筋になっているわけであります。これはいずれ法律で出てくると思いますが、その部内調整というものも、少なくとも来年度予算編成基本になります八月末ぐらいまでに、原則的な意見の交換が行われて、おおむね閣内で呼吸がそろわなければ、これは来年度の予算編成準備というのはなかなかむずかしいと思うんです。ですから、自治省としては、そういう肩がわり部分については絶対に受けないという考え方でいくのか、受けるとしてみても限界はこういうところにありますよと、あるいは受けないけれども、こういう方法があるじゃないかというふうな提案を一つ一つ行いながら、そこは調整を図っていかなければ、まとまるものもまとまらないと、こういうふうに私ども考えますけれども、その点いかがでしょう。
  13. 土屋佳照

    説明員土屋佳照君) 国庫補助金についても、いろいろな提案があるわけでございまして、ただいま一例として挙げられました国保医療費の一部を都道府県肩がわりさせるかどうかといったような問題につきましては、御承知のように、臨調としては結論的なことは申し述べてないわけでございます。いろいろな案があり、「一部を都道府県負担することも制度考えられるが、この問題については、なお財源問題もあるので、この点を含め政府部内において本年末までに検討を加え結論を得る。」と、こういうことになっております。私どもとしては、ここで長々と意見を申し上げるつもりはございませんが、基本的にこの保険の性格等々から、この点について現行制度のままで地方負担をするということについては、行政改革趣旨に沿わないものであり、地方団体としてはとうていこれはのめないといったような考え方が強いわけでございます。したがいまして、具体的にどういう形で今後進めていくかということになりますと、答申どおり政府部内において十分議論を尽くして検討を尽くすわけでございます。おっしゃいますように、八月末の概算要求がそろうころまでに、それがびしっとまとまるかどうかということについては、私どもはっきりした見通しは立てておりません。ただ、いろいろな議論があるにしても、いまの地方団体考え方、また私ども考え方から見れば、いまの形で都道府県負担をするということについてはどうもやはり納得をし得ない、当を得ないと考えておりますので、やはり実際問題としては、年末まで十分いろいろな問題も含めて検討をしながら、政府として最終的にどういった方法をとるかということは、それまでに結論を出すということでございまして、そう早急には結論は出しにくいというふうに考えております。
  14. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 ちょっと関連しまして大臣にお伺いしたいと思うんですが、昨日の国保連全国会議の中で、この問題についていろいろ質問が出されまして、そのことは逆に言えば、都道府県負担と言えば交付税にかかってくるんじゃないか、そうすれば結果的には市町村にも問題が出てくるじゃないか、こういう追及の中で、厚生省側答弁としては、いわゆる住民負担になるようなことはさせないと、都道府県から今度は市町村に波及することもさせない、したがって、都道府県負担をしてもらうと、こういう前提に立って今度の八二年度の予算要求については、都道府県負担分を除いて概算要求をやる、こういうことを明確にしたようでありますが、いま財政局長答弁聞きますと、年末までに調整すると言いますが、厚生省画体はもうすでにそこを割り切って、都道府県負担前提として予算要求やると、こういう方向を明らかにしておる。この点は若干いまの答弁としては食い違うんじゃないかと思うんですが、大臣のこの点に対する明確なひとつ見解をいただきたいと思うんです。
  15. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 国保の問題でありますけれども、これは行革全体を通じて行政簡素化、また当面の課題といたしまして、財政再建というふうな問題に取り組むという基本姿勢でいっているわけでございまするが、その際に、国と地方との関係、これの基本的な問題は、今後臨調において検討され、答申もされると思いまするが、当面、来年度の予算編成に関しまして、ゼロシーリングというものが出ました関係上、厚生省としてはなかなかゼロシーリングを組みにくい。その結果、どうしても府県国民健康保険の一部を負担させるというような発想が出てきたわけでございまするが、そもそも御承知のとおりに、厚生省府県負担をさせるということについては、かって非常に反対をしておった役所でございます。そういうことは保険制度全体から申しまして適切じゃないというような主張をずいぶん強く言ってきた役所でございます。ただ、ゼロシーリング関係上、窮余の一策としてそういう問題を今回新たに提示してきたということがあるわけでございます。それで、事の性質から申しますと、いま局長から申し上げましたとおりに、これは全く筋違いの議論だと。これをやるとするならば、つまり保険制度全般について基本的な問題というものを十分討議をした上で結論を出すべきものであって、五十七年度の財政の問題としてこれを取り上げるということは適切を欠くものじゃなかろうかと、こういうふうに思っておるわけです。  そういう関係上、臨調におきましても、年末までに政府にひとつ結論を出すようにと、こういうことの答申になったわけでございますが、年末までにということは、要するに、五十七年度の国家予算というものをどういうふうに組むか、そのぎりぎり決着のところでこの問題について結論を出すようにということが、この意見答申の背後に私は隠れていると思うんであります。したがいまして、この問題はいろいろ今後論議対象になるわけでございまするけれども最後におきましては、国家財政も成り立つように、あるいは地方財政も適切なものが組めるようにというような財源配分の問題も考えまして、そして、予算の末期におきましてこの辺の決着をつけるというのが、恐らく事の成り行きとしては自然なものじゃなかろうかと私は思っております。したがいまして、当面八月あるいは九月に厚生省がそういう予算、そういう方針を持って進むといたしましても、それで問題は解決するものじゃありませんので、やはり今年末におけるところの全体としての枠組みの中で、これをどう処理するかという問題に問題としては集約をされるだろうと私は予測をいたしておるのでございます。その際に私どもとしましては、繰り返すようでありまするが、これは保険基本の問題でございまするので、そう財政の問題からのみ論ずべき性質のものじゃないという立場において、十分大蔵あるいは厚生省とも論議を尽くして結論を出さなければならぬ、こう思っておるところでございます。
  16. 穐山篤

    穐山篤君 いまも大臣からお話がありましたように、国自身減量経営をする、効率のいい行政を行うということでは、どなたも余りその分野では反対ないと思いますが、具体的ないまのような話になってきますと、各省庁意見が違うわけですね。この問題は自治省のかたい方針があるというふうに、そこだけはきょう理解をしておきたいと思うんです。私ども医療保険制度そのものについて十分メスを加えて、その分野で十二分な努力をした結果どうにもならないというならば、また総合的な手段、方法もあろうと思うんです。考え方はわかりました。  それから、この答申にはないけれども自治省としてはかねてから、行政民主化、あるいは効率的な行政を進めていくという意味で、いろんな御意見があったと思うんですが、この際、答申にはないけれども、来年度の予算編成を踏まえて、重点的にこの項目だけは国会で審議をしてほしい、あるいは閣議方針の中に入れてほしいというふうな具体的な課題がありましたならば、言い残しがないようにはっきり言っておいてもらいたい。
  17. 土屋佳照

    説明員土屋佳照君) 緊急な課題としていろいろなものが出されておりますし、今後基本的な点について旭、さらに検討の上臨調答申が出るわけでございますが、当面の問題に絡んでも、私どもとしては、かねがねから言っておる点で、政府部内で検討してもらいたいと思っておりますことは、国庫補助等について、これの整理合理化ということはきわめて重要な問題でございますし、行政改革の一環として、実のある整理合理化が行われるべきだということの中で、率直に申し上げまして、いま御指摘のございましたように、制度そのままの単なる地方団体肩がわりということではなくて、補助金そのものを十分見直して、すでに地方団体へ定着しておる、同化、定型化しておるような仕事についての補助金はやめて、それを地方への一般財源に振りかえてしまうといったようなあり方、考え方、それから零細補助等もすべてこれは整理をしまして、そういったものはもう地方が自分の財源でやる。もちろんその間において財源の国と地方との間の調整をどうするかということはございますけれども、できるだけ地方の方へもやらすものはやらす、そういう形で補助金整理合理化が行われるべきではなかろうかということが、地方制度調査会等でも指摘をされ、私ども臨調への説明のときはそういうことも申しておりました。補助金整理合理化の中では、そういうことが地方の自主性を高めるという意味から大事じゃないかと思っております。そういった点も含めて、今後いろいろと各省との間でも相談をしたいという気持ちを持っております。
  18. 穐山篤

    穐山篤君 わかりました。  さて、その次に、警察庁、消防庁それから公営企業金融公庫、これは公庫・公団の問題は答申にありますから、それはそれで結構ですが、今度の第二臨調答申の中には、警察庁及び消防庁としては、定員給与の問題だけですか。それ以外のことについては指摘がないというふうに理解をしていいかどうか。  それから、共通事項ですから、定員削減給与抑制という問題について、警察庁及び消防庁としてはどういう見解を現在お持ちになっているのか、あるいはこれからどういうふうにしたいというのか、その点を明確にしてもらいたいと思うんです。
  19. 金澤昭雄

    説明員(金澤昭雄君) お答えをいたします。  警察庁関係の今回の臨調答申の点でございますが、各省共通のもので警察庁関係のあります部分を申し上げますと、一つは、一般行政経費の抑制の問題でございます。それに補助金整理合理化の問題、それから国家公務員定員合理化給与の問題、行政機構の簡素化、そういった問題がございます。そのほか地方の問題といたしましては、地方公共団体定数、給料、退職手当、そういった問題がございますし、それから許認可等の問題がございます。  こういった問題のほかに、警察独自の問題といたしましては、地方警察官の増員の抑制の問題、それに運転免許証に関する問題という点でございます。  これらの答申の点に関しましては、この前の閣議の線に沿って、もちろん私どもといたしましても対処するという方針でございますし、しかしその反面、警察といたしましては、治安の水準に直接関係のある問題がこの内容には多々含まれておりますので、そういった点を勘案しながら、その辺のところにそごが生じないようなことを考慮しながら、十分に検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  20. 鹿児島重治

    説明員鹿児島重治君) 消防庁につきましては、共通的な事項といたしまして、一般的に補助金抑制を図るということが一つ。また、二番目には、消防職員につきまして、厳に増員を抑制するということが第二点でございます。消防庁独自の問題といたしましては、許認可事項関連いたしまして、高圧ガスタンクにつきましての許認可事項についての簡素化を図るという三点の指摘がなされております。  補助金関係につきましては、これから概算要求にかかるわけでございますけれども、私どもこれから地方団体の要望を踏まえながら、重点的にこれにつきましては対処してまいりたいというぐあいに考えております。  増員の抑制につきましては、答申の中でも広域消防の育成強化を図る、あるいは自主防災組織の育成を図ることによって、厳に増員を抑制するということがうたわれているわけでございますが、御案内のように、最近の防災関係につきましては、いわゆる消防の広域化に伴います組合消防の常備化の平年度化という問題もございますし、救急需要の増大という問題もございますので、これらの問題につきましては、支障がないように配慮を加えてまいりたいというぐあいに考えております。  高圧ガスタンクにつきましては、関係省庁と速やかに協議をいたしまして結論を得たい、かように考えておる次第でございます。
  21. 穐山篤

    穐山篤君 一般的な補助金その他は除外をするとして、ごくわかりやすいという意味で典型的に問題申し上げるわけですが、定員削減、これはまさか警察署長の定員を減らすというわけにいかないと思いますから、逐次その影響というものは現場に行くわけですね。これは警察官の定員削減、不補充ということに理屈の上からなるわけです。私どもの聞いている範囲でいきますと、派出所をつくってくれとか、あるいは増員してくれとかといういろんな要求があるわけですが、現実の問題として、この答申皆さん方の仕事の量との兼ね合いが本当にうまくいくかどうか、その点非常に治安を担当している警察だけに懸念があるわけですが、その点いかがでしょう。
  22. 金澤昭雄

    説明員(金澤昭雄君) 警察官の増員につきましては、従来から人口の増加、それからいろんな犯罪の情勢の変化等々に対応いたしまして、毎年増員を認めていただいてきたわけでございます。これからの情勢といたしましても、人口一つとってみましても、昨年からことしにかけましては、約八十万人以上の人口の増加がございましたし、そのほか犯罪の情勢等をとってみましても、警察官の定数を減らすというようなことは当然考えられないところでございます。臨調のいろいろな審議の過程におきましても、増員を抑制はするというようなことはございましたけれども、やはり必要最小隈の人の手当て、警察力の確保、こういったことは当然必要だというような理解を示してもいただきましたし、私どもの方もそういった説明をしてきたわけでございます。したがいまして、今後いままでのような増員ということは、なかなかこういった財政事情のもとでございますし、非常にむずかしいということは重々私どもの方も承知をしておりますが、やはり治安力の低下を来さないような警察力の確保、こういった点については、各関係方面に御理解をいただいて措置をしていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  23. 穐山篤

    穐山篤君 行革関係最後にお伺いしますが、きょうは自治省関係決算ですが、第二臨調がこの三、四カ月いろんな御努力をいただいたわけですが、検査院としては、臨調に呼ばれたり、あるいは資料を提出したり、ヒヤリングをしたりして、過去検査院が積み上げてまいりましたものが第二臨調にどういうふうに生かされているのか、あるいは今回全く次元の違うそれぞれの機関だからということで、その点が詰められていないのか、その点ちょっとお伺いします。
  24. 佐藤雅信

    説明員佐藤雅信君) お答えいたします。  ただいまの御質問でございますが、突然の御質問で、私第一局長でございまして、人事とか、そういったことは直接担当しておりませんが、会計検査院から第二臨調の方へ一名出向いたしております。その出向した人を通じまして、いままでの検査の経過、そういったものは十分お話ししてあるというふうに私は考えております。
  25. 穐山篤

    穐山篤君 第二臨調と検査院という組織対組織のヒヤリングは全然ないわけですな。
  26. 佐藤雅信

    説明員佐藤雅信君) 直接はございません。
  27. 穐山篤

    穐山篤君 わかりました。まあ万全の措置をとったとは第二臨調は言うことはむずかいのじゃないかと、これは私の感想を申し上げておきます。これは検査院の機能、性格から考えてみて、第二臨調は十分検査院の意見というものを聞く必要があっただろうと思うんですが、正式にないとすれば、ないということで承知をします。これはまた別の場面で十分議論をしたいと思います。  次に、時間の関係がありますから、覚せい剤の問題に入りますが、先月——六月の後半に、御案内のとおり千葉の消防局、南消防署ですか、それで地方公務員としてはあるまじき事件が発生をしまして、公務員あるいは地方公務員国民の手本になるべき人の中で、こういう覚せい剤の犯罪に手を染めていたと、なおかつ、みずからも白い粉に汚染をされていたというふうなことが報道されまして、非常にショッキングな事件であったわけですが、消防庁としては、事件のごく概要を簡単にお話をしていただいて、それから、少なくとも消防署員の中で間違って火を消すどころか、火をつけるような場面が起きたんでは大変です。その意味でこれから予防だとか、規制だとか、あるいは規律だとか、いろんな問題があろうと思うんですが、特に消防庁の対策をとりあえずお伺いします。
  28. 鹿児島重治

    説明員鹿児島重治君) ただいまお話がありました件につきましては、六月半ばに千葉県の警察本部によりまして、千葉市の消防局の消防士一名が覚せい剤の事件で事情聴取を受けたという報告を県を通じて私ども受けておるわけでございます。この事件につきましては、県の報告によりますと、逮捕された暴力団員との関連で事情聴取を受けたということでございまして、覚せい剤使用の疑いがあったということでございますが、その後の調査によりまして、当該消防士につきましては、事件とは関係がないという通告を受けたというぐあいに私ども承知をいたしております。
  29. 穐山篤

    穐山篤君 当該の消防士の方が白い粉の汚染を受けていないというのはどこで判定をいたしましたか。
  30. 鹿児島重治

    説明員鹿児島重治君) 私どもが県を通じて確かめましたところによりますと、捜査当局より消防局の方へ連絡があったということでございます。
  31. 穐山篤

    穐山篤君 それは尿の検査なり、血液の検査を行う、あるいはその他の検査を行った結果、確証があるということの報告ですか。
  32. 鹿児島重治

    説明員鹿児島重治君) 覚せい剤を使用したことはないという判断が下されたということでございます。
  33. 穐山篤

    穐山篤君 そこで、警察庁に最近の麻薬及び覚せい剤の——日本は国内市場が非常にオープンになっているそうですけれども、これの状況並びに犯罪の状況は、概況的にどんなものでしょう。
  34. 谷口守正

    説明員(谷口守正君) 覚せい剤事案は御案内のとおり四十五年ごろから急増をいたしまして、四十九年には、前年四十八年に法改正が行われまして、罰則が強化されたというような関係もありまして、一時減少したのでございますけれども、今日まで一貫して増加を続けているというような状況でございます。  昨年、五十五年中に警察が検挙したものは三万三千三百五十四件、一万九千九百二十一人でございまして、約百五十二キログラムの覚せい剤を押収したということでございます。これらは終戦直後のいわゆるヒロポン時代を除きまして、いずれも最高というんですか、最悪を記録しておるわけでございます。ちなみに十年前と比較いたしますと、検挙人員で十二倍、それから押収量では実に二十六倍というような状況になっておるわけでございます。ことしに入りましてもさらに増加をたどっているということでございます。  覚せい剤の乱用でございますけれども、最近では主婦だとか、あるいは少年を含む一般市民層にまで広がりつつあるということでございまして、特に問題になりますのが少年でございまして、昨年の場合、検挙人員中に占める少年の検挙人員でございますけれども、一〇%を超えるというような状況になったわけでございます。また、これまで覚せい剤事犯とは縁がないと思われていました公務員とか、あるいは開業医などにつきましても、検挙が見られるというようなことで、きわめて憂慮すべき状況にあるわけでございます。  覚せい剤の薬理作用による殺人、放火、強盗などの凶悪事件、あるいは交通事故でございますけれども、昨年中六百四十六件、五百五十三人を検挙しておるということでございますし、それ以外にも、覚せい剤購入代金欲しさから、窃盗あるいは詐欺、恐喝などの犯罪も、昨年の場合五百二十八件、二百五人を検挙いたしまして、そのほか取引をめぐっての問題を含めまして、合計いたしまして千二百七十七件、八百五十一人を検挙しているというような状況になっておるわけでございます。
  35. 穐山篤

    穐山篤君 これは厚生省になるかどうかですが、最近タイであるとか、香港だとか、韓国だとか、日本の係官が現地に駐在をして、この種の密輸入その他について十分監視をするという体制になっているにもかかわらず、日本の市場は非常にいい市場だというふうに言われているわけですね。たとえば韓国の場合でも、覚せい割あるいは麻薬使用者につきましては、死刑というふうな法律があるやに聞いているわけですが、そういうところは非常に厳しいと思うんですけれども、その麻薬、覚せい剤が日本にどんどんどんどん入り込んでいる。これはなぜそういう状況にあるのか、あるいはその状況の特徴的なことをひとつお伺いしたいと思うんです。
  36. 谷口守正

    説明員(谷口守正君) 覚せい剤は従来国内で密造されるという例が多かったわけでございますけれども、最近はそういう事例が影をひそめまして、全部と言っていいと思いますけれども、外国から密輸入されるというような状況になっておるわけでございます。私ども警察が検挙、押収した事例を中心にして見ますと、大体八割ぐらいでございますけれども韓国から密輸入されている、そのほか台湾とか、香港、その他の国々というような状況になっておるわけでございます。  先ほど申し上げましたように、覚せい刑事犯が激増の傾向を強めておるわけでございますけれども、これに対する対策いろいろあろうかと思いますけれども、取り締まり面から見ますと、需要と供給両面から押さえるということになろうかと思います。需要面につきましては、やはり覚せい剤を使わないという、そっちの方で押さえるということだと思いますけれども、供給面から言いますと、先生御指摘のように、覚せい剤が入ってくるのを防ぐということだろうと思います。この点につきましては、税関初め関係機関と緊密な協力をしながら、かつ外国の捜査機関ともいろいろな機会に情報を交換するとか、あるいは調査を共同でするとかいうような形で対処しておるわけでございますけれども、最近のように国際交流が非常に活発になってきておるだけに、なかなか水際でこれを封圧するということが困難でございます。しかしながら、私どもといたしましては、きわめて重要なことでございますので、関係機関とさらに緊密な協力をしながら、この面での取り締まりを強化してまいりたいと、こう思っておる次第でございます。
  37. 穐山篤

    穐山篤君 先ほども話がありましたように、検挙した数におきましても二万人というふうな大台に乗っているわけですが、厚生省にお伺いしますが、その覚せい剤、麻薬の中毒患者、なかなか捕捉することもむずかしいと思います。先日も例の川俣何がしという調理師が起こした不幸な事件があるわけですが、野放しにされていることに対してわれわれ心配をするわけです。この中毒患者、あるいは中毒者に対する捕捉、あるいは矯正というふうなものは現実どういうふうになっているんでしょうか、その点をお伺いします。
  38. 市原久照

    説明員(市原久照君) 覚せい剤中毒に対しましては、現在、精神衛生法に基づきまして措置入院制度、同意入院制度等の対策を行っておりまして、今後ともこれら精神衛生法の適用を充実いたしたいと、このように考えております。
  39. 穐山篤

    穐山篤君 そこで、手っ取り早い話ですが、末期的な症状をしている者がすべて収容、入院、措置をされているかといえば、そうでもないような気がするんですが、その状況は実際どうなっているんですか。
  40. 市原久照

    説明員(市原久照君) 現在、精神衛生法では自傷、他害の疑いのあるいわゆる慢性中毒症状、いわゆる精神分裂症状に類似しました幻覚、妄想、錯乱等の中毒性精神障害が出た者について措置入院制度が行われておるわけでございます。
  41. 穐山篤

    穐山篤君 そこで、先ほどちょっと数字も言われたわけですが、職業別に見ますと、最近一般主婦もかかわっているというふうに数字の上では発表になっているわけですが、範をたれるという意味から言いますと、国家公務員なり、あるいは地方公務員、あるいはこれに準ずるような者の中で、麻薬なり、覚せい剤を使用するというふうなことは全くけしからぬ話で、慎まなきゃならぬと思うんですが、公務員地方公務員、それから払いま準ずるということを申し上げたわけですが、準ずるという意味をこういうふうにとっていただいてお答えをいただきたいんですが、少なくとも人命なり、財産の輸送に従事する職業的なものですね、飛行機の操縦士あるいは国鉄の運転士を含めて、職業運転士は人命、あるいは財産の安全輸送という意味でいきますと、公務員に準ずるような立場の人ではないかというふうに思いますが、その点、正確な数字はおわかりになっていますか。
  42. 谷口守正

    説明員(谷口守正君) 昨年中に警察が検挙したもので申し上げますと、公務員につきましては五十人でございます。地方公務員あるいは教員などもございます。それから、職業ドライバーでございますけれども、合計いたしまして七百十九人でございまして、その内訳を申し上げますと、トラックのドライバーが三百三十二人、ハイヤー、タクシーが百四十七人、バスが三人、その他二百三十七人というような状況になっております。
  43. 穐山篤

    穐山篤君 公務員あるいは地方公務員で、麻薬なり、覚せい剤を使用しているというのはうまくないと思いますね。  そこで、これは公務員全体、地方公務員全体にかかわる問題ですから、総理府にお伺いをしますが、御案内のとおり、例の事件が起きてから、薬物乱用対策推進本部というものが設置をされて、各省は皆協力して参加しているんでしょうが、今月の下旬、何か二十四日ごろ本問題について政府方針を明らかにして、それぞれの分野努力をする、あるいは国民の協力を得るというふうに仄聞をしているわけですが、この推進本部ではどういうふうな課題を中心にやられているのか、その点をお伺いします。
  44. 山田晋作

    説明員(山田晋作君) お答えいたします。  覚せい剤問題につきましては、従来からも覚せい剤乱用対策推進本部、これは関係省庁がそれぞれ集まってできておるものでございますけれども、これらの関係省庁が協力いたしまして、いろいろと乱用防止対策を進めてきたわけでございますが、最近における覚せい剤乱用者の連続凶悪事件の発生というふうなこともございまして、去る六月二十六日の閣議で、薬物乱用対策推進本部で覚せい剤問題を中心にして緊急に実施すべき対策は何かということを検討するようにということでございましたので、これを受けまして薬物乱用対策推進本部では大体ほぼ一カ月、といいますのは今月中ということでございますけれども結論を得るという方針でただいまのところ鋭意検討しておるところでございます。  それで、ただいまお尋ねがございました、どういったことを柱にするのかという点でございますけれども、第一といたしましては、国民に対する啓発活動の強化、これは覚せい剤の乱用の実態とか、その弊害につきまして、十分に国民の皆様方に周知徹底を図る、あわせて覚せい剤の乱用を許さない社会環境とか、生活環境を形づくっていくというふうな点が中心でございます。  それからまた第二といたしましては、覚せい剤関係のいろんな事犯ございますけれども、そういったものに対する取り締まりの強化と、厳正な処分の実現ということを図ってまいるということでございます。  それから、第三といたしましては、覚せい剤乱用者等に対する徹底した措置ということでございまして、乱用者等についての実態の把握の徹底、それから覚せい剤中毒者等に対する保護観察の充実強化とか、それからまた、医療保護の充実だとか、あるいは相談体制の強化といったようなことを含めまして、ただいま作業を急いでおる段階でございます。
  45. 穐山篤

    穐山篤君 いずれ発表になると思いますけれども、政が乱れているからこういうことになるという説もありますので、これは政治にかかわる者としては十分に考えなきゃならぬことだろうというふうに思います。  私もこの種の問題でいろんなところで話を聞きますが、一般の市民ですね、良心的な市民に覚せい剤を使わないように、あるいは乱用してはいけませんよ、あるいは暴力団から買ってはなりませんよというのは、その程度のことはよくわかるわけですが、歯みがきの粉であるのか、白い粉であるのかよくわからないんですね、一般の市民では。麻薬販売所というふうに書いてあるわけじゃないんですよ。かぜを引いた、頭が痛い、じゃあこの薬を一服飲んだらどうかと、ごく軽いところから入っていって、慢性的になるわけですね。ですから、ごく事務的な、抽象的な宣伝啓蒙活動をやってみたって値打ちはないと思うんですよ。もっと一般の市民が手を染めないような、そういう誘いに乗らないようにするための宣伝啓蒙活動でなければ、本当の実のある効果は上がらないというふうに私ども思うわけです。そういう点については目下研究中でしょうけれども、何か特別にこういう方法をとれば、一般の人も十分に納得してもらえる、協力してもらえるというふうな事柄はありましょうか。ごく短い時間で結構ですが、お話をしてもらいたいと思う。
  46. 山田晋作

    説明員(山田晋作君) お答えいたします。  国民の一人一人に対して覚せい剤のこわさ、覚せい剤の弊害について知っていただくということが大変大事でございますが、その方法にはいろいろなものがあろうかと思います。私どもただいま検討いたしておりますものの中には、各種の方法、いろんなものがございますけれども、広報媒体を活用したテレビ、ラジオ、新聞、そのほかいろんな広報紙誌がございますけれども、そういったようなものを活用した広報活動の推進、さらにボランティアの方を初め、いろんな方面での指導者の方がございますけれども、そういった方の御協力を得る。さらに、いろんな団体がございますが、特に覚せい剤の乱用と関係の深いというんでしょうか、乱用者を出しやすいような職域とか、業界の方々の協力をも求めて、その他の団体もひっくるめてですけれども、運動を実施していく。それから、そのほかにも覚せい剤の撲滅運動とかいったような個別のものもやってございますけれども、そういった運動もひっくるめて、幅広くやっていくということでございますが、いずれにしましても、これは国民運動的なものでございますので、一人一人の方々に知っていただく、末端まで徹底するということが必要ではないかと思っております。
  47. 穐山篤

    穐山篤君 共通する事項ですから総理府にお伺いしますが、私は全部が全部そうだとは言いませんけれども、少なくとも公務員地方公務員で五十人の人が検挙されているわけですね、五十五年度に検挙されている。ということは、悪く言えば、その倍とか三倍以上の人が麻薬なり覚せい剤を使用しているということも想定をされるわけですね。これを発見するために具体的に何か措置をしなければならぬと思うんですね。労働安全衛生規則でいくならば、新規採用のときに健康診断をする。まさか大学卒業、あるいは高等学校卒業生が直ちにそういうものに染まっているとは思わないんですが、長年勤務した者の中でそういう人があったということでしょう。そこで、少なくとも国民の協力を得るとするならば、公務員が率先をして、そういう人は公務員には一人もいません、ありませんというふうな証明をする必要があると思うんです。どういう方法で確認をいたしますか、具体的な方法を明らかにしてもらいたい。
  48. 山田晋作

    説明員(山田晋作君) 覚せい剤の乱用防止につきましては、ただいま申し上げましたように、国民運動的なものとして推進することが基本ではあると思いますけれども、お尋ねのございましたような公務員の乱用事案、これは非常に残念でございますけれども、こういったものをなくしていかなければならないと思います。このために、今回の対策検討に当たりましても、これを機会に、覚せい剤乱用対策推進本部には関係の深い省庁がそれぞれ加わっておりますけれども、それ以外の省庁を含めて、公務員のこういった事案がないようにということをお願いしてまいり、また地方の段階では、都道府県の方にも同じような趣旨のことを要請いたしまして、覚せい剤乱用防止、公務員の中にそういった者を出さないということを徹底するように努めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  49. 穐山篤

    穐山篤君 全然具体性がないですね。たとえば密輸入をした現場を押さえた、それから売買をしているところを押さえたということならば、これは具体的につかまるわけですよ。注射をないしょでやっている、薬を飲んでいるというのは、現場でも見ない限りわからないわけですね、私は、人権の問題がありますから、直ちに血液検査をやれとか、尿検査をやれとは言いませんけれども、しかし、発見をするためには、その種の具体的な措置がなければ発見できないわけでしょう。現場を押さえる以外は発見できない仕組みにいまなっているわけですね。  それから、時間ありませんから労働省にはごく簡単に申し上げておきますが、最近、いまもお話があったように、トラック、ハイヤー、タクシー、バスその他あります。その中で、もし何か錯乱をしておって事故を起こした、あるいは衝突事故が発生をしたということになりますと、人命の上でも非常に問題だと思うんです。それから、最近都内でもしばしば見ますが、危険物の輸送のトラックが青ナンバー、白ナンバーかなり走っています。この中には核燃料もトラックで輸送をしております。あるいは低レベルの廃棄物の輸送も行っています。それから病院、研究所を含めると、アイソトープの輸送も現実に行っているわけですね。問題がいまのところないからいいようなものですけれども、もし東京都内なり、あるいは人口密集地帯で衝突事故が起きたというふうなことがありますと、放射能を東京都内にまき散らすという理屈に発展をするわけです。そういうことを考えてみますと、一般的な取り締まりだとか、啓蒙宣伝活動だけでは不十分ではないかというふうに私は考えます。大変危険なものが現実に輸送をされています。労働組合のあるところは、労使の間で健康診断をやったり、いろんなことを良心的にやっていますが、どうしても深夜便であるとか、あるいは特定の貨物輸送につきましては、白ナンバーが非常に多いわけです。こういうところでは健康管理、あるいは運行管理というのは十分でないというふうに思うわけですが、そういうことを考えてみますと、大変危険な状態に放置をされているというふうに思うのです。  そこで、抽象的な話でなくて、こういうふうにしてそういう運転手がないようにしたい、現にあるものは、そういうものをこういう方法で発見したならばこういうふうにしたい、公務員の場合についてもこういうようにしたいという具体的な提案がなければ、幾ら宣伝してみたって、実効ある効果は上がらないというふうに思いますが、その点どうでしょう。
  50. 福渡靖

    説明員(福渡靖君) お答えいたします。  確かに先生おっしゃるように、非常に重要な使命を持っている職業運転手の健康管理というのは、非常に大切だと思います。私どもの方も、労働者の健康を十分に確保するという観点から、労働安全衛生法に基づいていろいろな対策を講じておりますが、労働安全衛生法では、事業者に定期的に健康診断を実施をすることを義務づけております。この健康診断は結核、職業性疾病の予防または早期発見などを目的としておるものでございますが、覚せい剤の使用については、別の観点から見ますと、覚せい剤取締法で規制を受けており、一般には使用できないものと、このようになっておるわけでございます。  こうした意味から、覚せい剤の使用の有無を検査をする、これを健康診断の目的として、労働衛生法により実施をすることは、人権等の問題もございまして大変困難かと思います。ただ、おっしゃるように、一般的に労使の間で自主的にこういうものに対応するということについては、私ども非常に好ましい方向であると考えておりますし、むしろ一般的な適性といいますか、ドライバーとしての適性、不適性という判定をその前にやはりするべきではないだろうか、このように考えております。
  51. 穐山篤

    穐山篤君 時間がありませんので、締めくくりとして総理府にもう一遍私は申し上げておきますが、二十四日ごろ総合的な対策が出るわけです。十分に協力を惜しまないわけですが、少なくとも、いまも私が申し上げました公務員であるとか、地方公務員、あるいはこれに準ずるようなものについて、末期的な中毒患者であるとか、あるいは慢性的なものは、これはもうだれが見てもわかります。しかし、そうでない者を発見するのはなかなか困難だと思うのです。厚生省の方からのお話もあるわけですが、たとえばこの効果というのは、注射をして二週間ぐらいたつと消えてしまう、血液検査なり、あるいは尿検査でも発見できない。ですから御本人が十月の定期の健康診断の前一ヵ月やめれば発見されない。ところが、その定期検査の後で薬を注射をして、その後で犯罪が起きたという例も現実にあるわけですね。そういうことを考えてみますと、抽象論ではいけませんので、二十四日発表の際には、もっと具体的なことを明示をするように、私は強く要望をしておきたいと思うのです。  なお、運転関係のものにつきましては、あした労働省の決算もありますので、そちらの方に譲るといたしまして、ぜひそのことはしかと確認をしておきたいと思うのです。どうでしょう。
  52. 山田晋作

    説明員(山田晋作君) ただいま薬物乱用対策推進本部の方でいろいろと検討してございます。先生御指摘のございましたような点もしっかりと受けとめまして、できるだけいい結論を出すようにしてまいりたいと思います。
  53. 穐山篤

    穐山篤君 大いにがんばってください。  最後に、宝くじの問題についてお伺いします。  宝くしというのは自治省の所管になっております。昭和二十八年に政府の宝くじ、これがなくなりまして、地方くじに全部統一をして、当せん金附証票法という法律で目下行っているわけです。地方自治体がいろんな財源を確保する意味で、競艇であるとか、あるいは競輪だとか、いろんなことをなさっており、なおかつ宝くじの販売、発売もやっているということは承知をしております。  そこで、最近の傾向を見ますと、ジャンボ室くじが大勢を占めている、こういうふうに見受けるわけです。これは買う人の嗜好に照らして、売る方の地方自治体も、宝くじ協会も、これに十分こたえるという意味で出ていると思うんです。  それから、法律の上では、当せん金というのは五〇%以内である、こういうふうにありますが、現実は四三・五%。それから納付金、益金が三九%、その他経費が一七・五%というふうになっているわけです。競輪、競馬のように頭から二割五分経費を差し引いた残りを還元をするということにはならない。できるだけ当せん会もふやさなきゃいけないし、市町村の益金、納付金もふやさなきゃ困る、積み立てていかなきゃならない、なかなか工夫の要るところだと思うんです。それが二つ目の問題です。  それから、三つ目の問題として、発売券の金額の問題ですね、いまから二十年前に五十円ないし百円券であったんですが、いまは百円、二百円、三百円というふうな状況になっています。それから、当せん金につきましても、いまから二十年前一千万円であったわけです。最近はジャンボが出て三千万円というものができた。物価の上昇などに照らしてみまして、やっぱり発売券の一枚の金額の問題と、当せん金の金額のあり方という問題について少し工夫をする必要があるじゃないだろうかというふうに思います。  それから四つ目の問題として、これは長い間の慣習でしたからそう簡単にどうこうということにはならないと思いますが、第一勧銀がその取り扱い銀行、指名銀行、受託銀行になっているわけでありまして、過去の実績を見ますと、法律からいいましても受託をしたいというところに受託をさせる、法律上はそうなっていて、第一勧銀がずっと取り扱っております。ごく最近になりまして、この宝くじの性格から考えてみて、第一勧銀もさりながら、地方銀行なり、あるいは全国ネットのあります信用金庫の連合会にやらしてほしいという自治省あるいは大蔵省に対する申し出も現実にあるわけです。そのことについても、やっぱり宝くじの性格から考えてみて、この辺でひとつ検討をする要があるのではないだろうかというふうに思います。  それから、この宝くじの納付金、益金の使用方法について調べてみますと、大体三分の二は道路の財源に充てているわけですね。法律的には公共事業ということになっているわけですから、それは構わないと思うんです。しかし、道路に偏っているということになりますと、少し問題があると思うんですね。現実に道路につきましては五カ年計画もあって、これが年々税金で十分——十分といくかどうかわかりませんが、行われている。少なくともこの益金の使用目的というものを、もう少し特定をして努力をしてみる必要があるんじゃないかというふうに私ども考えます。たとえば、現に発売もしておりますけれども、僻地なり、離島の振興対策、医療の振興対策というふうなものに特定をしながら、国が一般的に補助金で出したり、あるいは交付税で出してやるものについては、できるだけそちらの方に任せるとして、少なくとも宝くしという性格から考えてみて、もう少し特定なものに金を使用していくというふうな内面的な指導があっていいんじゃないか、そういうことの方がもっと宝くじを買う方々の理解も求められるんじゃないだろうかというふうに考えるわけですが、時間の都合でまとめて一括お伺いをしましたので、その点についてまとめてお答えをいただきたいと思います。
  54. 土屋佳照

    説明員土屋佳照君) ただいまお示しのございましたように、宝くじは二十九年以来地方くしという形で毎年その発行額も伸ばしてきております。五十四年度では収益が六百十五億ぐらいになっておるわけで、まあ一県平均して十何億という程度のものではございますけれども、だんだん伸ばしてきております。その過程では、いまいろいろ御指摘がございましたけれども、やはり皆さんに愛されるくじということで、できるだけ売りさばきもうまくいくし、かつまた売れ残りが出ないような方法と、それから地方団体の納付金等がかなり上がるようにというようなことで、いろいろ中で検討もしてまいっておりますし、またときには一般アンケートというようなこともいたしまして、できるだけその合理化ということは図ってきておるつもりでございます。今後ともいろんなその発売方法等については御指摘の点もございます、いろいろ検討したいと思っております。  それから、特に仰せになりました発売主体の問題でございますが、この点については当せん金附証票法の六条によりまして、発売団体の意向によって受託銀行を決定することができることとされております。第一勧業銀行以外の銀行に委託することも法的にはもちろん可能でございます。ただ宝くじの歴史的な経緯、勧銀時代に政府くじをずっとやっておったというようなこと等もございます。それから技術的知識を有しており、体制も整っておるという実態から見まして、事実上第一勧銀が一元的に事務を受託しておるわけでございます。信用金庫については銀行法上の銀行に該当しないので現行法上は宝くじの事務を受託することはできませんけれども、宝くじの売りさばきは第一勧銀からの委託によりまして、信用金庫なり、地方銀行等の金融機関でも行われておるわけでございまして、窓口としても千三百五十ぐらいそういう売りさばきの窓口が金融機関に対しても設けられておるわけでございます。そういったことで、全般的に合理化を図りながら、私どもとしてはやっておるつもりでございます。  それから宝くじの収益金の使途の問題でございますが、これはお示しのございましたように、当せん金附証票法の四条の規定によりまして、公共事業の財源に充てるということにされております。現在、道路なり、河川なり公園、公営住宅、学校等々広く一般住民の福祉向上に役立つようなものに使われております。どうしても道路にかなり多くなっておることも事実でございます。もとより宝くじの収益金は国庫支出金あるいは地方債などの建設投資のための財源と比較をいたしますれば、あくまでもこれは補完的な地位にとどまるものでございます。額としてもそう大きいものではございません。しかし、社会資本の充足度合いもまた十分とは言えない状況のもとで、御承知のように今日の厳しい地方財政状況を考慮すれば、なおそれなりに貴重な収入となっておるわけでございます。  御提案として、僻地対策とか、離島対策とかいったような、そういった特定した目的に使うということも確かに一つの考えでございますし、現在一つだけでございますが、僻地医療振興自治宝くしというのを発行しておる例もあるわけでございます。ただ、その離島なり、あるいは僻地対策につきましては、国庫補助金のかさ上げ等の財政上の措置も講じられておりまして、実態に応じて手厚い対策がとられておるわけでございます。またその内容は、道路、港湾等の公共事業が主体となっておるという面もあるわけでございます。  そういうこともございますので、当面はこういった離島対策等も含めて、地方公共団体が地域の実情に応じて、その使途を自主的に選択できる現行制度が適当であります。十分効果を上げておるものと考えております。  ただ、おっしゃいますように、いろいろと社会経済情勢というのは変わっていくわけでございますし、いろいろな面ですべてのものについて、工夫をこらしていくべき必要があろうと存じます。いろいろ御指摘もございましたが、宝くじのあり方については、今後とも十分私ども実態に促した研究はしてまいりたいと存じます。
  55. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 午前の審査はこの程度とし、午後一時四十分まで休憩いたします。    午後零時四十一分休憩      —————・—————    午後一時四十二分開会
  56. 和田静夫

    委員長和田静夫君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十三年度決算外二件を議題とし、自治省警察庁及び公営企業金融公庫決算についての審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  57. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 地方自治一般について質問をいたします。  午前中穐山委員の方から会計検査院と第二臨調はどのような接点があったか、つまり会計検査院の果たす役割りというものが非常に重要であるという立場からの質問だったというふうに思います。私もそれを踏まえながら最初に質問いたしたいのは、とにかく今度の第二臨調との絡み、行政改革との絡みで、毎年毎年会計検査院は本年の重点目標をどのようにしぼってやっていくかというようなことを討議になると思います。ことしの重点目標といいますか、新しい基軸といいますか、そういうものはあるんでしょうか。
  58. 佐藤雅信

    説明員佐藤雅信君) お答えいたします。  これは年の初め、大体一月から三月にかけまして、第一局から第五局までございますが、各局で検討をいたしました結果を三月に検査官協議会にかけまして、その段階で各局、各課ごとの重点目標というのは一応決めます。そういう経過になっております。
  59. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 それで、本年の重点目標を決めた中で、とにかく新しい基軸といいますか、そういうものはあるんでしょうか。
  60. 佐藤雅信

    説明員佐藤雅信君) お答えいたします。  本年の重点目標を決めます場合に、やはり基本になりましたものは、現在の国の財政事情というものを踏まえた上で、いろいろな観点から決めております。
  61. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 いろんな観点から決めているということをなぜ具体的には報告をいただけないんでしょうか。
  62. 佐藤雅信

    説明員佐藤雅信君) これは各局にまたがることでございまして、私ちょっとただいま手元に資料がございませんので、各局の各課でどういうふうに重点を持っておるかということ全部は記憶いたしておりません。
  63. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 結構です。  二月十五日の毎日新聞を見ますと、「地方交付税4月から本格検査 21年ぶり不正取得摘発へ会計検査院」という大きな見出しが載っているわけですね。  それから、「会計検査情報」という第三種郵便物認可の冊子があるわけですが、その中を見ますと、これは二月十九日の日付になっておりますけれども、「地方交付税交付金の配分にメス 検査院が”新検査”の展開で」と、こういうことを取り上げているわけです。その中を見ますと、「検査院が、重点検査の一環として新規テーマにかかげているもののなかで、地方交付税交付金の検査は、なかでも”異色”の検査として進展状況が注目されているが、従来からも都道府県検査の過程のなかで検査した経緯もある。」というような書き出しで始まっているわけであります。この地方交付税交付金に会計検査院がメスを入れるということが異色として注目をされるというその原因は一体何だろうか、こう私は非常に疑問に思うわけです。会計検査院としてはどういうふうに把握をしていらっしゃるのでしょうか。
  64. 佐藤雅信

    説明員佐藤雅信君) お答え申し上げます。  地方交付税交付金につきましては、過去に財源不足額を過大あるいは過少に算定しておりました地方団体がございまして、交付が不均衡になっているという事例を決算検査報告に掲記したことがございます。ですが、その結果当時の自治省ではなくて自治庁でございましたが、自治庁当局におかれまして、地方交付税法を改正されまして交付税の額の算定に用いた資料についての自治庁、それから都道府県の検査に関する規定をこの地方交付税法の中に入れられましたので、会計検査といたしましてはその効果に期待してきたところでございまして、また、事実不正受給といったような事態の発生もずっとなかったわけでございます。ところが、近年地方団体の中に交付税の算定に用いる資料に作為を加えましたり、虚偽の記載をいたしますことによりまして、不当に多額の交付税の交付を受けていたという、いわゆる国と地方団体の相互の信頼関係を損なうような悪質な事例が一、二ございましたことは先生も御承知のとおりでございます。会計検査院といたしましては、こういったような不正な事態がほかの地方団体においてもあるいは生じていて、ひいては交付税の交付が不均衡になっているのではないかといったような危惧を持ったのでございまして、会計検査の必要をそこに認めて本年会計実地検査を実施するということにしたわけでございます。
  65. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 一、二ありましたと言うんですけれども、そうすると、昭和三十五年からになりますか、初めて会計検査院が町村段階にメスを入れるというのは。二十一年ぶりということになろうかと思いますけれども、その間に一、二であったという具体的な例は挙げられてますけれども、その他に類推を及ぼすようないまの発言になっているわけですね。ちょっとその辺が気になりますので、もう一度正確にお話をいただきたい。
  66. 佐藤雅信

    説明員佐藤雅信君) お答えいたします。  その計算の根拠が非常に複雑でございますので、錯誤によって間違っている事例は、これは自治省検査のときにいろいろお話も伺っておりますし、まああったというふうに申し上げて間違いないと思います。  ただ、先ほどお話し申し上げましたように、作為を加えたり、虚偽の記載をしていたという事例は、私申し上げました一、二の事例を除いては現在までございません。
  67. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 自治省にお伺いをいたしますけれども、いま会計検査院が一、二の例を除いてほかには考えられないと、こういうふうに言われたわけですけれども、その一、二の例というのは、具体的に言えば、一つは奈良県の香芝町の問題だというふうに考えますけれども、この地方交付税の不正取得と言っていいんでしょうか、不当取得と言っていいんでしょうか、違法取得と言っていいんでしょうか、それの実態について御報告をいただきたいと思います。
  68. 土屋佳照

    説明員土屋佳照君) 御指摘のございましたように、不当に交付税の交付を受けていた事例というのが最近あったわけでございまして、一つは昭和五十一年の四月三十日に高野口町の工事をめぐって、職員が県警に収賄容疑で逮捕されました。それを契機にいろいろと県、国庫補助事業の水増し請求等を洗っておる間に、地方税の違法経理の事実が出てまいりました。交付税について虚偽の記載によって、不当に交付税の交付を受けておったという例がございました。  もう一つは、いまお示しのございましたように、五十五年の八月に、奈良県の香芝町において、住民からの事務監査請求がございまして、それに関連して、奈良県が香芝町の地方交付税の検査を実施いたしましたところ、町税の中でも、主として町民税と固定資産税の一部を正規の歳入科目に入れませんで、財産収入及び寄付金という別の科目に歳入処理をするという違法な会計処理を行いますとともに、普通交付税の算定に用いる資料に作為を加え、また虚偽の記載をすることによって、不当に交付税の交付を受けていたという事実が判明をしたものでございます。  すべてそれぞれ処理はいたしておりますけれども、この二つがお示しのあったような事例でございます。
  69. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 その具体的な額、それからそれに対してどのような措置がとられたのかということをお聞きします。
  70. 土屋佳照

    説明員土屋佳照君) 五十一年の和歌山県の高野口町の例でございますが、これは五十二年の九月二日に返還命令を出しました。返還額が六千万円、それに対する加算金が千七百万円、合わせて七千七百万円の返還を命じております。  それから、香芝町についてでございますが、これは奈良県知事の検査結果の報告に基づきまして、昭和五十六年——本年の三月十二日、地方交付税——普通交付税でございますが、の返還と加算金の納付を命じまして、三月二十五日に加算金を付して返還をされたものでございますが、その返還額は、本来の返還すべき額が十六億六千百七十一万四千円、それに対する加算金、年利一〇・九五%で計算をいたしますが、その加算金が五億一千百二十万二千円、合わせまして二十一億七千二百九十一万六千円ということでございます。すでに返還をされておるところでございます。  なお、これに関連して、いろいろな刑事的な責任等も問題になっております。またそれは結論は出ておりませんけれども、そういった面での捜査当局の捜査もまだ続いておるように承っております。
  71. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 この香芝町の返還額は、昭和五十年度から五十一、五十二、五十三、五十四、五十五と、こうなっておりますが、そうしますと、この不当取得が始まったというのは、昭和五十年から始まったと、こう理解してよろしいわけですね。
  72. 土屋佳照

    説明員土屋佳照君) すでに不当に交付を受けておったもので、事実がわかったものがこの五年間でございまして、それについて返還を命じて返還されたわけでございますが、だんだん捜査されていくにつれて、それ以前にもやはりあったのではないかということがございました。いろいろといま県当局を通じて検討がされておりますが、何分非常に古い時代でございまして、書類等も十分でないということでございますけれども、これは最終的にきちんとしてもらいたいということで、目下それはまだ中身について検査をしてもらっておるという状況でございます。
  73. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 昭和五十年も大分古いことのように思うのですけれども、その一年前のものがまだわからないというのも私にはどうも納得がいかないし、話によれば、昭和四十八年ぐらいからもう始まっているということもあるわけでして、そういうことがなぜいままでわからなかったんだろうか、こういう疑問を持たざるを得ないのですが、どうでしょう。
  74. 土屋佳照

    説明員土屋佳照君) 交付税の検査につきましては、都道府県と指定都市については自治大臣実施するということになっております。その他の市町村については、都道府県知事に委任して実施をしておるわけでございます。  私どもとしては、検査は少なくとも、かなり地方団体の数が多いわけでございますけれども、二年あるいは三年ごとに必ず一回は実施をして、結果について自治大臣報告をもらうようにしておるわけでございます。  それ以外に、毎年度交付税算定時におきましても、都道府県知事が基礎数値の審査を行っておるわけでございますから、基準財政収入額算定の場合におきましても、税収入の実績と対比すれば、誤りがあればこれはもう通常の場合に必ずわかるはずのものだと思っております、小さな数字の錯誤は別といたしまして。そういう仕組みになっているはずでございますが、香芝町の事例は、町民税と固定資産税という基本の税目につきまして、これを他の歳入科目に振りかえていたというわけでございまして、しかも長期間、決算書だけでなくて課税状況調べ等の統計資料そのものの数値にも作為を加えておった。大もとのところで作為を加えておるというような状態でございましたために、事前に発見できなかったという結果になっておるようでございます。  もちろんその後いろいろ人もかわったのでございましょうが、非常に古い時代にそういう大もとの課税台帳そのものから手を加えておる。そのときにわかったものですから、それをもとにして対比していく限りにおいては、なかなか大きく異なってきたところが把握できない。そういった実態もあったようでございますが、仰せまことにこれは遺憾な話でございまして、こういった不正行為については、関係者のモラルの問題もございますが、あわせて地方団体内部のチェック機能が十分に発揮できなかったということについて反省をしておる次第でございまして、どういうふうにしたらいいかということで、その後私どもいろいろ検討もいたし、それなりの対応を考えておるわけでございますけれども、ちょっと率直に申し上げまして、常識的に考えられないほど古いときに、また基本的な台帳から変えてしまうという考えられないようなことでございまして、しかしそんなことを言ってもおれませんし、今後そういったことがないように、常にチェックができるような体制というものをつくらなければならない。私どもとしては、先に申し上げて恐縮でございますけれども、事件後、直ちに次官通達等も出しまして、その他具体的なまた地方団体への指導というものもいたしております。今後ともそういった点については、十分対応できるように、交付税課そのものでもプロジェクトチームをつくったりいたしまして、いま検討を進めておるところでございます。
  75. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 いま、わかるはずのものだ、こういうふうにおっしゃいましたね。わかるべきはずのものがなぜわからなかったのか、ここのところがやっぱり私は問題点だと思うんですね。そして、本来の収入の数値そのものが改ざんされるということは考えられないことだというけれども考えられないことが現実にあったわけですから、そういう答弁というのは私は言い逃れだというふうに思うわけです。具体的に、なぜこういう事件が出たのかという、そこのところを明確に分析していただきたいと思います。いかがですか。
  76. 土屋佳照

    説明員土屋佳照君) おっしゃるとおり事実があったわけでございますから、私どももそこのところについてとやかく言うつもりは毛頭ないわけでございます。私が申し上げましたのは、通常の場合においては、そういうものは当然チェックができるし、わかるはずのものでございますが、率直に申し上げまして、その衝におる者が、ある作為をするために心を合わせて一定の行為を行うということになった場合に、なかなかそれが漏れにくかった、把握できなかったという結果であると言わざるを得ないわけでございます。結果的には、そういうことによって、私どもが聞いた限りにおいては、個人的にそういった金を使用するといったようなことではなかったようでございますけれども、実際上、当該町の歳入をふやそうということでやったようでございますが、いま申し上げましたように、関係者がみんなでしめし合わせてやるということになれば、なかなかそれがチェックをしにくいということは、これはもう事実そういうことがあったわけでございますから、否定し得ないわけでございます。したがいまして、それをどういうふうに防止するかということを検討しなきゃなりませんが、私が遺憾だと言っておりますのは、そんなにかなりな人が心を合わせてやらなければ、通常の場合は当然わかることなんでございますから、謀議という言葉がいいかどうかわかりませんけれども、相当みんなでしめし合わせて作為的なことをやった、レアケースだと私どもとしては思わざるを得ないわけでございます。しかし、事実でございますから、それを決して否定したり、逃げたりするつもりはございません。対応策を十分考えなければならないというふうに思っております。
  77. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 相当の人数がしめし合わさなければそういう作為はできない、こうおっしゃったわけですね。その相当の人数——人数だけではなくて地位もあるというふうに思いますけれども、具体的に香芝町の事件は、どのあたりまでしめし合わせたからやれたのでしょうか。
  78. 土屋佳照

    説明員土屋佳照君) 私ども細かい中までそれを掌握しておるわけではございませんが、先ほど申し上げたことからいたしますと、課税をする台帳を整理する立場の責任者、そういうところから、さらに町全体の責任をとるべき立場におる人まで、ある程度複数の人がかかわり合っておったのではないかと存じます。ただ、その点についてのいろいろな調べが行われましたけれども、これもまた御承知のように、昨年の暮れに香芝町の町長が当選されました後に、不幸にして火事で亡くなられてしまったものですから、そこらのところもよくつかめない点もあろうかと思いますが、現在、公文書偽造とか、そういったようなこと等の容疑もございまして、いろいろと捜査当局で検討されておるようでございますから、いずれそういった点は明らかになるものだと思っております。
  79. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 昨年のたしか九月の定例議会で、当時の町長は、作為は三役が相談して行った、監査委員に事前に説明をして了解をもらったということを答弁をしているという新聞記事が載っているわけですね。もう町の上層部でもってしめし合わせて、絶対に秘密を外に漏らさないというような体制でもってこういうことをやってきたわけですけれども、それがわからないということ自体がやっぱり問題があるから、会計検査院が入るということになったというふうに自治省としては理解をするのでしょうか。どうでしょう。
  80. 土屋佳照

    説明員土屋佳照君) 確かに地方交付税の会計検査による検査につきましては、三十五年度から今日まで行われてないわけでございますが、私どもとしては、いままでそれが国のこういった取り扱いをされてまいりまして、自治大臣の検査で、あるいはまた委任された知事の検査によって運営をしてきたというようなことは、地方交付税の一つは性格からきておるものだと思うのでございますが、交付税は他の国の支出金とは性格を異にしておるということでございまして、交付税地方公共団体の固有の財源と見るべきものでございますから、その使途については国は検査の対象にできないというふうに考えてきておりましたし、また、算定に用いる数値に錯誤等がありました場合でも、当該地方団体の基準財政需要額、あるいは基準財政収入額を増減し、あるいは交付された地方交付税を返還するということになりますが、その返還額等は、地方交付税の総額に再び加算されるということであって、加算された上で適正にまた使われていくということでございます。他の補助金、交付金等のように、不正が見つかったら国庫に返納するというようなたぐいのものではないわけでございます。そういったこともございますので、共通財源ということで、国と地方団体の相互信頼の上で運営をされてきておるということでございます。  それがあえて今回検査院によっても検討をするということになりましたのは、そういうものであるけれども、香芝町のような大きな問題が起こったので、実態がどういうふうになっておるのかということに関心を持ってやられたものだと思っております。  会計検査院法から見て、それができないわけのものではございませんが、いま申し上げた交付税の性格等から見まして、いままではそういうことになっておった、それがこういうことになったということは、やや通常考えられないような、こういった事態が起こったから、それがやっぱり発端になったのであろうというふうに考えております。
  81. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 この香芝町の問題については、県の審査でもって発覚をしたということよりは、住民の監査要求で発覚をしたという経緯があるわけですね。  それから、和歌山の高野口にしましても、先ほど御説明があったように、職員の汚職に端を発したというところから事件が明らかになってきている。  私は、そういうことになりますと、非常に知事としましてはまことに残念無念といいますか、そういう気持ちがいっぱいだろうというふうに思うわけです。それで、こういうことが起きたことを、元知事経験者の自治大臣としては、どのようなお気持ちでいらっしゃるか、お考え伺いたいと思います。
  82. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) はなはだもって残念なことでございまして、われわれから言えば、こんなことはあり得ないことだ、こう思っているわけでございまするが、現実にこういう問題がある、そうすれば、われわれといたしましても、こういうことのあることを前提として、いろいろな方策を講じていかなければいかぬのじゃないか、こう思っているところでございます。  現在、自治省並び都道府県知事が検査をやっているわけでございますけれども、これをさらに的確に、確実に、しっかりした検査をするというような体制をとることがまず第一だろう、こう思っているわけでございます。  同時にまた、いま財政局長からお話ありましたとおりに、これは地方団体自治省との間の信頼関係というものが基本にあるわけでございますが、これを裏切るような形になったということは、いかにも残念でございまするが、事案が発見されました以上、やはりさらにこの点についての地方団体の自覚、検査の適正化、こういうものも強化をしていく必要があるだろう、こんなふうに思っておるところです。
  83. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 私は、先ほどの御説明で、わかるべきはずのものだと、こういうふうに言われたことが非常にひっかかるわけですよね。県税においても収入が減っていたわけなんですから、県の審査でわかるべきはずのものがわからなかったということになりますと、案外県は知っていたのではないだろうか、こういう疑惑が国民の前に広がってくるわけですけれども、その辺はどうでしょうか。
  84. 土屋佳照

    説明員土屋佳照君) そこらの事実関係は私が的確に申し上げるわけにはまいらないわけでございますけれども、かなり古い、昭和四十年代のことでございまして、そのときにどういった人がこういったことの相談をして、どういった形でやったかよくわかりませんけれども、県にしてみれば、結局共通で取ってもらっております住民税が少ないということで、納付されるものも少なくなるということになれば、まさに損するわけでございます。そういった点を安易に見逃すはずがない、一緒に相談するはずがないわけでございまして、ある時期に非常に共謀してやった事柄が発覚しなかったと、それがもとになっていきますから、次の年、次の年はその数字の上に積み重なっていきますから、余り大きな変化がないのでなかなかチェックができなかったということだろうと思います。したがって、私どもの想像ですが、いつからが最初かわかりませんが、最初のときはかなり変動があったはずだと思うんであります。そのときなぜわからなかったかということがいまでもどうも納得できないわけでございまして、この点については、当時にさかのぼってできるだけいま捜査もされておるようでございますが、理由が明らかにされることを期待をしておるわけでございます。引き続いて、県としてもこれは非常に遺憾の意を表しておりまして、どの程度までわかるかわかりませんが、できるだけさかのぼって綿密にいま調査をしておると、こういった状況でございます。
  85. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 そのことについてはぜひ徹底的な監査、検査、これをお願いをしたいというふうに思いますけれども、こういうような事故を、不正取得というような暴挙が行われたその原因ですね、手段ではなくて原因、なぜ香芝町がそのようなことをやってきたのか、こう考えるものあるでしょうか。
  86. 土屋佳照

    説明員土屋佳照君) 率直に申し上げて、これがわかれば、加算金までつけて返すわけでございますから、全般的に見れば、そういうことまで考えれば、単に一時的に財政上得をするということを考えるはずもないと思うのでございますが、その理由はと言われても、ちょっと私も的確にはお答えしにくいのでございますけれども、あるいはこれは予想でございますけれども、いろいろと仕事を進める上において財源が足りないと、一般的なことをやっておれば足りるにしても、ある特定のことをやりたいためにあるいは財源が欲しかったのかどうかわかりませんが、少なくとも何らかの形で財源を浮かして、一定の仕事か何かやろうということになったと思います。その原因は、財政が十分でなかったからかどうかということも、一つの考えとしては浮かんでくるわけでございますけれども、ここの団体がそういうことをしなければならないほど財政的に困っておったかということになると、それは必ずしもそうではないように思うんであります。だから、どういう気持ちでやったのかとなれば、それは金を浮かすことによって、あるいは不当に取得することによって、何かをやろうとしたことには間違いない。何かそうしなきゃならぬほど金が足りなかった、あるいは財政が十分でなかったというのは、結果としては言えるのでございましょうけれども、ほかの団体との比較において、それほど本当に財源が不足しておったのかとなると、これはどうも私としてもそうであるとは言い切れない面もございます。なかなかその点について納得されますようなことは私としても言いにくいわけでございます。あれこれ当時のことを想像する以外にはないわけでございます。
  87. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 財政制度そのものについては、わが党も一定の考え方を持ち、法律なども提案をしているところですからおわかりだと思いますが、きょうはそのことには触れませんで、いろいろな記事を読んだり、あるいは奈良県の香芝町の人々にお伺いをしたりいたしますと、こういう反応が返ってくるわけですね。住宅が建って人口がふえれば、快適な生活環境を確保するのは町の責任だと。ところが現行の財政制度ではとても追いつかないんだと、私が悪いことをしたわけではないんだと、こんなような言葉がぽんぽんはね返ってくる。それがまた住民に受け入れられているという部分が一つある。それから、額の大小はともかく、よその人口増加自治体もやっていることなんだというようなことが公言をされている。そういうことになりますと、何も香芝町や高野口町だけでなくて、どこでもそういうことが行われているのではないかという感じを国民は持つと思いますけれども、そういう暴挙の原因について、あなたは非常にえんきょくな物の言い方をおっしゃったわけですけれども、しかし、現実には不正取得に人口増加論のベールをかけて、合理化をしようというようなことを、私たちは許すわけにはまいらないと思うわけです。  それで、この三月十二日付の自治事務次官の都道府県知事あての通知ですけれども、大きく言って二つの柱になっているのではないでしょうか。それは一つは、地方交付税基本的な性格及びその役割りについて、市町村に対する周知徹底が不十分であったということをきちっと指導して、二番目には、地方交付税配分の公正を確保するために、適正な算定事務の執行に関する指導が不十分であった、こういうことに原因があったように読み取れるわけなんですけれども、私はもう少しこの原因に対する分析が自治省としては足りないのではないか、こういう感じを持ちますけれども、自治大臣としてはあの指導でよろしいと、こういうふうにお考えでしょうか。
  88. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 当面はああいう指導方針で私はまずやむを得ないと、こう思っているわけでございますが、結局これは自治体の交付税に対する認識、そういうものが基本だろうと思っておるんです。それで、これはその自治体だけでなくて、全体の一つの共通の問題でもございまするし、それにおれのところだけはごまかしてでもよけい取っていいんだというような考え方を持つこと自体が、はなはだもって不適切なものだろうと私は思っておるわけであります。それは各自治体の責任者もその点の認識はあるだろうと思うのでございますが、香芝の問題では一体どういうことであったのか、そして、どういう連中が参画をして、どういう意図でやったのか、この事態がまだ明白でないわけでございまするので、これは徹底的にひとつこの点をはっきりさして、そして、その事実の上に立ってまた適切な施策を講じなければならぬのであれば、その措置を講じていこうと、こう思っているところであります。
  89. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 それでは、不正取得の防止対策をきちっと講じていくという自治大臣の御答弁を私は了承いたしまして、次の問題に入っていきたいというふうに考えます。  この香芝町でこの事件を起こしました町長さんが、五選目の当選を果たされて、そしてお正月に亡くなられるという、非常に不幸な、そしてちょっと考えられないような事件が起きたわけでありますが、この後任人事をめぐりまして、大変問題になっていたことがありますね、この辺について御説明いただけますでしょうか。
  90. 大林勝臣

    説明員(大林勝臣君) 香芝町の町長選挙をめぐりまして、不慮の死去をされると、こういう問題が起こりましたために、繰り上げ補充の問題がかなり大きな話題となってきたわけであります。いろいろこの繰り上げ補充制度をめぐりまして、地元で意見が分かれます。最終的には解釈問題ということになってまいったわけでありますけれども、結局現行法のもとでは繰り上げ補充しか道がないと、こういう結論になりまして、いろいろ県の方とも協議をしながら、地元で解決をお願いをしてきたわけであります。  ただ問題は、こういった制度面の問題というのが、今回のケースをめぐりまして起こりましたゆえんのものが、昭和二十五年の公職選挙法当時から、実はこういった制度になっておりますので、確かに複数の方を選ぶ議員の場合には格別といたしまして、独任制の首長につきまして、繰り上げ補充制度というものを考えること自体が合理的でないんではないか、こういう御意見が各方面から出ております。恐らくは当時の立法の際には、確かに議員と違って、独任制の首長については繰り上げ補充を認めるのはおかしいけれども、しかしながら選挙を終えまして、身分を取得するまでのきわめて短期間の間にこういった事例が起こるのは恐らく希有のことに属するんではないか、むしろ選挙の直後にもう一遍選挙をするというのも大変だと、こういう考え方が立法の趣旨であったろうと思いますけれども現実問題として、今回のようなケースが起こりました以上は、これはやはりもう一度制度考え直さぬといかぬ、こういう気持ちでおるわけであります。
  91. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 この香芝町の町長就任のことについて、朝日ジャーナルが現地調査をしているのを私読んでみまして、非常に何かどろどろとしたものがたくさんあるなという感じがするわけですね。そういう中で、きちんといつも法律を守らなければならないと、こう指導している人の発言が何か異常な発言をしているような記事になっているわけです。そのことについてちょっと私の意見を申したいと思いますけれども自治省としてはこれは繰り上げで結構だと、こういう指導をされたのですか。
  92. 大林勝臣

    説明員(大林勝臣君) 私どもの方でもいろいろ研究をいたしまして、現行法の解釈といたしましては、繰り上げ補充しか道はないと、こういう指導をいたしたわけであります。
  93. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 そうしますと、指導したら、普通であればそれはその指導に従うのが当然の責務であるというふうに思いますけれども、その辺についていかがですか。
  94. 大林勝臣

    説明員(大林勝臣君) 地元の別のいろんな町長選挙をめぐります政治情勢というものがあったようでありますけれども、同時に、やはりこういった制度自体に対する疑惑、合理的でないんではないかと、こういうお考えというのがまた同時にあったと、こういったことが一緒になりまして、なかなか地元での解決が手間取ったというふうに理解しております。
  95. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 それと同時に、このジャーナルの記者に会って私は確かめればよかったんですが、その時間もありませんでしたのであれですけれども、記者会見で言明をされたというのですから、相当真実だというふうに判断をいたしますけれども、奥野法務大臣がそこに出られまして、法規よりも円満解決が大切であると、こういうふうに話をされたというのですね。法律よりも円満解決が大事だというのは、私は法律の番人である大臣のおっしゃる言葉ではないと、こういうふうに考えているわけですけれども、もともといろいろな意見がある、その法律の部分でありますから、これを何とか変えていかなければならないといういまの御説明はわかりましたけれども、その具体的な進捗状況とか、見通しとかというものについてはどのようになっておりますでしょうか。
  96. 大林勝臣

    説明員(大林勝臣君) この問題につきましては、事件が起きまして解決を見る直前に、自由民主党の中におきましても、選挙制度調査会でいろいろ論議をされまして、確かに独任制の首長に関する繰り上げ補充問題については見直しの方向検討しようと、こういう意思決定がございました。その後私どもとしましていろいろ御意見を伺っておるわけでありますけれども、確かに私ども自身としてもやはりきわめて短期間の例外ケースであると言いましても、おかしいものはおかしいと、やはりこの際、独任制の機関に対する繰り上げ補充制度というものは改めるべきであろう、できるだけ早い機会に改正をいたしたいと、こういうふうに考えております。
  97. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 見通しを伺ったんで、できるだけ早い機会というのは一体いつかということも含めて質問したつもりなんですが、まだその段階に至っていないようでありますので、この辺についての明らかな解釈というものをきちんとしていただきたいわけですが、法律ができたらこのようなどろどろした香芝町の例なんかを見ましても、それは直るものでありましょうか。その辺のところはどうでしょう。
  98. 大林勝臣

    説明員(大林勝臣君) もちろんこういう繰り上げ補充の問題に限って申し上げますれば、こういった独任制の首長選挙について繰り上げ補充制度というものも考え直して再び選挙をするということにいたしますれば、これは非常にはっきりするわけでありまして、住民の方々の納得は非常に得やすいというふうに理解しております。
  99. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 再選挙をするということになれば住民の方の納得も得られるし、またこういう疑問に対する解決もきちんとすると、こういうことになっているわけでありますけれども、これは終わったことについての質問でおかしいわけですけれども、もしその法律がきちんとできる間に、これから香芝町のような例が出てくると、そして自治省の指導はあっても再選挙というようなことになるというようなこともあり得ると思うのですね。そういうふうになりますと、これは法律的には違反になりますか。どうでしょう。
  100. 大林勝臣

    説明員(大林勝臣君) 現行制度を改正しない以上は法律の違反ということになります。
  101. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 了解いたしました。それでは次に移ります。  最近、地方自治体の長が任期半ばで病に倒れて辞職をするという例が続いております。私の新潟県の志田新津市長もその例なんですけれども、全然意識がない、法律によれば非常に困難だということで、長野の例をとって、長野方式でやっていこうと、こういうことになったわけですけれども、長野県の西沢知事、あるいは最近では京都市長の船橋さん、こういう例もあるわけで、非常に不幸にして志半ばで倒れた、こういう方々の問題について、具体的に辞意の確認がどういう経過であったかということをお伺いしたいと思います。
  102. 砂子田隆

    説明員砂子田隆君) 京都の船橋市長の問題につきましては、現地から聴取したところによりますと、市長から退職願が出てまいりまして、それを議長なり、弁護士なりが確認をして、本人の意思だということで、退職の申し出をなされたというふうに聞いております。
  103. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 長野はどうですか。
  104. 砂子田隆

    説明員砂子田隆君) 長野の件につきましては、やはり議長と家族の方が本人の意思だということを確認をしておるというふうに聞いております。
  105. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 この二つの例を伺いましても、きちんとした基準というのはないんですね、それぞれ違うわけですから。その違う方法によってその辞意が確認されたということでありますけれども、これで自治省としては自治法の第百四十五条にいう本人の退職の意思の確認がなされたというように理解をしていらっしゃるのでしょうか、どうでしょうか。
  106. 砂子田隆

    説明員砂子田隆君) 御案内のとおり、地方自治法の百四十五条の規定というのは、長がみずから退職の願いを出してきて、それに同意を与えるという形のものであります。一般的に長の退職については、本人以外にだれも意思の表明のしようがございません。そこで、出されてきたものが本人の意思であるということを現地において確認をしておるというのであれば、それは本人の意思である以上それを尊重するのが当然であろうということであります。
  107. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 そういうふうにおっしゃればなるほどと思いだがらも、現実にそういう実態を知っている人たちにしてみれば割り切れないものがたくさん残ってくるわけであります。また逆に言うと、この手続を決めても逆に混乱をもたらすおそれがあるという考え方もあるわけですけれども、この辺の一番問題になるところ、むずかしいところ、それを御説明いただきたいと思います。
  108. 砂子田隆

    説明員砂子田隆君) 御案内のとおり、長が選出をされるにつきましては、住民の選挙によって選ばれているわけであります。この選挙で選ばれている人が、どういう理由でやめられるかということにつきましては、やはり安易にやめるということに対するいろんな問題点がございます。そこで、やはりある程度その長がやめるについての本人の意思の確認ということが大変大事になっておりまして、その本人の意思の確認がなぜまた大事かと言いますと、先ほど申し上げましたように、選挙で選ばれた人の意思というものというのは、ある程度やはり住民の意思がかかっているという部分が大変ございます。しかも一度選ばれた人の長たる者の得喪変更と申しますか、そういう地位に関します問題の得喪変更というのが、むやみやたらと法律の規定によってやれるものでもないだろう。そこの間におきましては住民と長との間の信頼関係、選挙によって結ばれているということが当然あるわけでありますから、そこを法律でどういうふうに書き分けるかというのは大変むずかしい問題だと思っております。そういう意味で、単に病気でありますとか、そういうことだけではなくて、いろんな問題がこれによって派生をしてくる問題が出てまいりますし、現在のところでは、そういういろんなことを考えましても、やはりやめるについて、本人の意思の確認、あるいは本人の意思が確実にそういうふうにやめたいんだと言わない限り、これをやめさせるという方法というのをとることは、大変そういう選挙がらみにおいてはむずかしい問題だと思っております。
  109. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 この法律をつくるときに、そういうようなことについての想定があったのかなかったのか、何か記録的なものでもありますでしょうか。
  110. 砂子田隆

    説明員砂子田隆君) 病気が、現代医学のように発達をしてきたかどうかということについての想定しているようなものは何もございません。  ただ、地方自治法の精神というのは、公共団体というのはやはり一つの長のもとに継続的に行政を行っていくということが大変大事でありますから、長に事故がある場合どういうふうに処置をしていくのか、住民に行政の停滞を招かないようにどうするかということの方が大変大事でございまして、そのために地方自治法の百五十二条の中にも、長に事故がある、そういうことのために、あるいは欠けたというときには、だれがその事務を遂行していくかということが書いてありまして、地方自治団体にとりましては、行政がやっぱり遅滞なく進まれる、渋滞のない行政が常に行われていくということが大事でありますから、そういう点について、長に何か起きましても、そういう規定の適用によって、行政というのが行われていくということが保障されれば、それで十分ではないかという形においてつくられているものだというふうに理解をいたしております。
  111. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 そうしますと、たとえば長野にしても、新津にしても、京都にいたしましても、皆さんの総意の集まりで、本人の辞意が確認をされたと、こういうことでありますが、確認をされない場合もあるわけですね、いろいろな政治情勢が絡みまして。あの香芝の問題なんかにも見られるように、本当にいろいろな問題が重なって、それがなかなか確認できないということがある。そうすると、そういうことが許される範囲というものは一体どのくらいの期間というものを想定しておりますか。
  112. 砂子田隆

    説明員砂子田隆君) 大変むずかしい問題でして、どのくらいの期間があれば行政が問題が起きるかということになるわけでもあります。要するに、どのぐらいそういういろいろなごたごたがあったときに、住民の方から問題が起きないかということの問題があろうかと思います。ですから、たとえばそういういろんな問題が起きてまいりまして、仮説の問題にお答えするのは大変申しわけないんですが、要するにいろんなことが起きてまいりまして、行政がそういうことになると乱れてまいることになろうと思います。スムーズにいっておる間はそういうことはあり得ないわけですから、それが政治絡みになりまして、そういうことに利用されてそういう行政が乱れる、あるいはそういう行政の停滞を招くということになりましたときに、議会がこれをどう判断をするかという問題もさらにありますし、地方自治法の形の中におきましては、長に対します住民からの意思表示としての長のリコールの問題がございますし、議会にとりましても不信任の問題がありますから、そういう方法によって片づいていくということになろうと思います。
  113. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 そういうことを行えば非常に長期間かかるというようなことも自治省としては御存じなはずで、なおかつその答弁をされているんだと思いますけれども、逆に言えば、住民の意思によって選ばれた首長であるから、こういう意見もありましょうけれども、住民の意思でも、全然意識がなくなった方に、なおかつ十分安心して療養に専念することもできないような状況の中でがんばっていただきたいという、それほどの何というんですか、強いものというのがあるんだろうか、こういうことを考えますと、私はやっぱりそういう事態に適応できるような法律を整備するということも考えていい段階に来ているんではないかと、こういうふうに考えているわけであります。自治大臣としてはこの辺についていかがお考えでしょうか。
  114. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) いま御説明申し上げましたように、選挙によってその地位を得た知事なり、あるいは市長でございまするので、これを本人がやめるという意思がないのに、そいつを想定をしてやめさせるということはなかなかむずかしい問題だと思うんです。本人が意識不明になった、その場合に、あるいは意識不明になったから、それはやめるんだというわけにもなかなかいかぬ、いつ回復するかもわかりませんし。そこで結局、現実の問題といたしましては、いろいろな方法によって、そのやめるという意思が確認されるような条件を整備いたしまして、そうした条件の整備によって、それを扱っておるというのが、苦しいことではありますが現実の姿と思うんです。そいつをだから一刀両断的に、こういうことであったならば本人の意思は確認したということでやめさせてもいいんだというような立法というものは、いろいろなケースがございまするからなかなか私はつくりにくいんだろうと思うんです。  そこでいまのやり方が、いまの現行法を前提として考えますと、まあこれしか方法はないんじゃないか、しかしながら、それ以外の何か方法や、あるいは立法技術があるかと申しますと、これもなかなか見つけにくい。こういうことで、いまさしあたりその法律をいじるという考えもありませんし、また今後そういう事態が発生いたした場合には、やはりその事態に即応して、地域社会の方方のいろいろな考え方、そしてまた本人の意思が、やめるということが確認できるような状態、そういうようなものはどういう形で出てくるかは別といたしましても、そういういまの法律の制度に基づく条件を満たすような形をつくって処置をすると、これしか方法は当分はないんじゃないかと私は思っておるところです。
  115. 粕谷照美

    ○粕谷照美君 英知が働いでそのような状況がつくり出されていく、こういうことは私も望ましいというふうに思うわけですけれども、必ずしもそういうことではないと、先ほどからの質問の中でもおわかりになると思いますけれども、私はそういう点についての明確な指導の体制というものをきちんととっていただきたいという気持ちでいっぱいでございます。  時間がまだ残っておりますけれども、以上でもって私の質問を終わりたいと思います。
  116. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは初めに行政改革の問題についてお伺いをしたいと思います。  午前中も同僚議員の方から質問がございましたが、私は重ねて質問したいと思っております。  まず、この臨時行政調査会の方からこの七月の十日に答申が出たわけでございますが、この答申関連をいたしまして、特に初めに一言だけ大臣の感想をお伺いをして、そして、その後中身に入りたいと思います。  これはいろんな問題が指摘されておるわけでございますけれども閣議ではこの答申を誠意をもって実行する、そういうようなことを決められたわけでございますが、大臣は所管のこの問題につきまして、大体大まかに見て、どういうふうに感じていらっしゃるかということを初めにちょっとお伺いしておきたいと思います。
  117. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 私も政府の一員でございまするから、その立場に立って御答弁申し上げます。  今回の行革の問題は、いろいろ議論があるのは私も承知をしておりまするが、五十七年度の予算をひとつ増税なくして編成をいたしたい、この点について当面改革すべき問題はどういう点であろうかというような観点に立っての答申理解をしておるわけで、これは皆様方も御承知のとおりだと思うのでございます。  そこで、この答申に基づきまして、自治省立場においてどう措置をするかという問題、あるいはこれから臨時国会もあるかもしれませんし、また予算編成の問題も絡んでくるわけでございまするが、その過程においていろいろと論議を重ねてまいる必要があると思いまするが、一つは先ほどお話がございました国民健康保険の問題があります。これは先ほど御答弁申し上げたような考え方で私は対応していくつもりでございます。  あとまた補助金の問題があります。補助金の率を下げるというような問題があるわけでございまするが、そうしたことについてもいろいろと工夫をこらしていかなくちゃならぬ面があるだろうと思っております。と申しまするのは、要するに、行政改革というものは、また財政上の問題も、国家財政並びに地方財政両方を含んで私ども考えるべき立場にあると考えておるものでございます。ひとり国家財政だけでなく、地方財政というものをもやはり並行して考えて処置をすることが行革の本旨だろうと、こう思っておりまするので、補助金等の問題については、そういう点についてさらに臨調答申を尊重しながら、その辺の調整をどうとっていくかという問題が一つあると思っております。  それから、公務員の人員の問題、定員の問題、あるいはまた給与の問題、この点についてもやはり地方自治立場がございまするので、地方自治立場というものを十分に認識をしながら、行革答申に基づいたことをいかに実行するかという点について、いろいろと工夫をこらしていかなくちゃならぬだろうと、こう思っておるところでございます。  大変簡単でございますが、一言申し上げます。
  118. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 確かに大臣、これは自治大臣という立場でなくても結構です。あと二つほどちょっと大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。  これは私たちやっぱり行政改革はどうしてもやらなくちゃいけないと思っておりますし、それが総論賛成各論反対なんというふうな立場にならないようにしたいと思っているわけです。  私たちも第一次の、昭和三十九年に行われました臨調答申を受けまして、内閣でも行革本部ができましてずいぶんやったわけでありますし、大臣も御存じのとおり、例の三省のいわゆる地方委任事務ですか、あの問題でも三省の申し合わせがありながら、なかなか実際実施できなかったいきさつもあります。そういうふうないろんな観点から見まして、私たちは今回の答申を見て、特に三点ぼくは非常に何といいますか、不本意な答申になっているなということを感じるわけです。  それは、いま大臣も少しおっしゃっておりましたけれども、やっぱりこの福祉や教育という面について非常に手厳しいというか、そういうふうなことがありますし、またある面では、農業や、公共事業という面については案外この抜け道や甘い点がある。そして、特に防衛問題についてはやはり聖域扱いをしているというのがまず第一点であります。  それから二番目に、この初めの部会報告よりは多少は厳しくはなっておりますけれども、やっぱり社会的不公平、特に医師の優遇税制等について完璧なメスが入れられていない。こういう点はもう少しばっちりやるべきではなかったかなという感じをしているわけです。  それからもう一つは、三番目の問題としましては、歳出削減という問題に焦点をしぼり過ぎて、結局行政改革の本当の理念というのが失われているんじゃないかというふうなことを私は感じるわけです。これは政府がこの問題を実施するとかしないとかいう問題は別にして、大臣、やっぱりひとつ一人の政治家としてこの問題をとらえた場合に、そういうふうな見方もあるということは知ってもらいたいわけですけれども大臣はこの点についてはどういうふうにお考えになっているか。いや、私はおまえと大分考えが違うぞと、こうおっしゃるかもしれませんが、そこら辺のところについてはどういうふうにお考えなのか、一遍ちょっとお伺いしておきたいと思います。
  119. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 今回の答申は、さしあたり五十七年度の予算を増税をしないで何とか編成をすべきであるという点に焦点を合わせまして問題を提起し、また問題のあり方、所在を明らかにし、その点についての一つの方向というものを示唆をして答申が行われておるわけでございます。  本来から申しますと、よく議論がありまするように、もっと基本的な問題を中心として、そこから展開をしてそういう結論を出すべきであろうという議論もあるわけでございまするけれども、何せ国家財政が非常に危殆に瀕しておる、五十七年度は何とか増税なくして予算編成しなくちゃならぬという、非常にせっぱ詰まった状況にありまするので、今回のああいう答申がやむを得ないものであると私どもは思っておるわけでございます。  この答申についていろいろの御意見がありました。その御意見の多くの部分については、新聞、雑誌、その他の論調においてもいろいろと述べられておるところでございまして、この点は私どもは十分承知はいたしておりまするが、そういう点をも十分に踏まえて、今回の臨調答申が行われたというふうに私は理解をいたしております。
  120. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 やっぱり私は、大臣もおっしゃっておりますように、これは行政改革の必要性というのが叫ばれましてずいぶんになるわけです。確かに民間の企業ではあの石油ショック前後ですね、あれ以後皆さん御存じのとおりもう会社の経営におきましても、経常経費の切り詰めを初め、人員整理等、相当減量経営を実際やっているわけですね。そういうような中でやっぱり国民の生活というものも、その石油ショック以後の、いわゆる財政経済状態に相当耐えてきているわけですね。そういうような中でやっぱり政府がこの高度経済成長のまま、そのまま経費の切り詰めとか、そういうようなことを何にもやらないでそのまま過ごしてきている。そのために結局日本の経済、国の財政が破綻の状態になってきた。そこで、結局それを立て直すためにそのしわ寄せを受けるのがまた国民の特に弱い人たちであるというのでは、やっぱり一番そういう人たちがかわいそうでありますし、またそういうことではいかぬのでありまして、一番痛みを感じなくちゃならないのは政府そのものですし、官僚機構そのものでなければいかぬわけです。そういうふうな意味で、私たちはこの答申期待していたわけでありますけれども、実際この答申のいきさつ、新聞報道等、われわれは今回の調査会の第一次答申しか表へ出た資料はないわけですけれども、この答申の中身は、結局昨年の大蔵省のいわゆるゼロ査定、ゼロリストということでさんざん騒がれた問題で、あのときに問題になったところが全部この中にうたわれておりまして、結局官僚——特に大蔵官僚による予算編成の問題点を、ことしはこの臨調が先取りしたんじゃないかと、こういうふうにわれわれは感じるわけです。本当はこれ臨調の皆さんに直接お伺いしてもいいぐらい私は思っているわけですけれども国民の側に立った行政改革というこの土光さんの精神が本当にそういうふうになっているのかということについては大変私は疑問を感じるわけです。そういうふうな意味で、これはやっぱり本当にこの行政改革というものが、国民の側に立った、そして本当に国民賛成をしていただける行政改革でなければいけないと思うんです。こういう点については、大まかで結構です、大臣どういうふうにお考えでしょうか。
  121. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) おっしゃるとおりに、非常に肥大化した日本の行政機構、それからあらゆる分野におけるところの支出の問題、そういう点について、どうしても今後の日本の経済の発展、あるいは日本の将来を考えますと、メスを入れにゃならぬということは、これは事実だろうと思うんです。これはどうしてもやらにゃいかぬ問題だと思うんです。その際に、やはり国の行政機構のあり方とか、あるいは定員の問題もありまするし、それからいろいろな政策の問題、そういうものの基本的な問題を提示をして、それに関連をいたしまして、来年度の予算編成というようなことになることが一つの道筋ではあろうかと思いますけれども、仰せその議論をやっておりますと、非常に若干時間もかかる、そこで、当面五十七年度予算編成をするための財政上のつじつまを合わせる、国の予算編成できるような形にしようという点に今回力点を置いて答申が行われたので、そういう御批判を受ける点もあるわけでございまするが、臨調といたしましては、引き続いてその基本的な問題について最大の努力をいたしまして、できるだけ早くその問題についても答申をひとつ提示をいたそうというふうに、土光さんが中心となりまして努力をしておるわけでございまするので、私どもはそれに大きな期待を持っておるところでございます。
  122. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それでは次に、先ほど大臣からも御答弁ございましたが、やっぱり自治省関係で一番ひどいところというと幾つかあるわけですけれども国民健康保険のいわゆる給付費の一部を、国から都道府県肩がわりさせるという問題ですね。これは先ほど局長の方からもいろいろと答弁がございましたが、この点については自治省としてはどういうふうにお考えなんでしょうか。
  123. 土屋佳照

    説明員土屋佳照君) 臨調答申で、国民健康保険医療費の一部を都道府県負担すること等も含めて、結論的には政府にゆだねられたという形になっておるわけでございます。その中で、一つの考え方というものが示されておるわけでございますが、そういう点を踏まえて私ども考えを申し上げますと、国民健康保険はもともとこれは国の政策であります国民保険の一環として行われているものであって、市町村は国からの委任を受けて事業主体となっている、そういった意味で、地域医療と言われておりますけれども、そういう国民保険の一環として国からの委任を受けて事業主体となっておるという状況であろうかと思うわけであります。そしてまた、制度的に見ました場合に、国民健康保険を含めて、すべての社会保険というのは制度保険料と国庫負担で運営するという仕組みになっておるわけでございますから、国民健康保険のみに地方負担を導入するということは、現在の社会保険制度全体の体系から見て不合理である、本来どうあるべきかということを十分議論を尽くした上で、そういった問題は検討さるべきものであって、財政上の問題からのみで結論を出すべきものではあるまいというふうに考えておるわけであります。と同時に、また議論の一つとして、都道府県財政負担をすることによって、医療費の総額抑制等にも役に立つのじゃないか、府県は現在事務的に指導監督の責任を持っておるということであるから、負担をさせることによって、総額の抑制にもつながる、こういった考え方もあるようでございますが、それはより根本的な見地から、いろいろな総合的な、レセプト審査の問題その他含めて検討さるべきであって、いまの立場において直ちに一部を負担するから、それが医療費の総額の抑制につながるといったようなことではない、どうもやはりそこのつながりというものが、私どもとしては納得できないというふうに考えておるわけでございます。  そういうふうに考えると、国庫負担の一部を都道府県肩がわりさせるということは、いわば府県への負担の転嫁にすぎないし、どうも行政改革趣旨から見まして、制度をそのままにして、また根本的な検討がされないままに負担が転嫁されるということには問題があるように思われるのでございます。  なおまた、地方財政と国の財政との関連については、今後いろいろと議論されるわけでございましょうけれども地方財政そのものも四十兆円にも上る地方債なり、交付税特別会計における借入金を抱えておりまして、その償還自体が大きな負担となっておるような状況でございますから、そういった全体を含めて検討をさるべきだと思っておるわけでございます。  そういったことで、臨調それ自体で結論は出ていないわけでございますが、今後いろいろ議論される過程においては、私どもとしてはいま申し上げたように、根本的な社会保険制度検討のないままに来年度一部を負担するような方向へ持っていかれるということは、これは自治省としてはどうも賛意を表しがたいということでございます。
  124. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この問題、詳細細かい点につきましては次の機会に私は議論をさしてもらいたいと思っております。  それでは次に、機関委任事務の問題につきまして一言お伺いしておきたいと思います。  この機関委任事務の問題につきましては、前々からいろんなところで問題になっておりましたし、また今回の臨調でもいろんなことが言われているわけでありますけれども臨調答申には「今後の検討方針」の中で、国と地方公共団体機能分担、費用分担及び財源配分を述べているようでありますが、基本的には分権を想定していると思いますが、具体的には何も触れていないようであります。  そこで、機関委任事務の問題について、現在の時点で自治省はどういうふうに考えていらっしゃるのか。第一次の臨調のときにもこの問題は相当大きな問題として出てきたわけでありますけれども、これからこの問題をどういうふうに処理しようと考えていらっしゃるのか。この点私の手元でこの間資料を集めてみましたら、相当の委任事務があるわけですけれども、これを整理しない限り、きちっとした行政改革も進まないようにも私は思うんですけれども、ここら辺のところはどういうふうにお考えなのか、聞いておきたいと思います。
  125. 砂子田隆

    説明員砂子田隆君) おっしゃっておられることはまことにごもっともなことだと思います。実は第一次の地方制度調査会以来、この機関委任事務の問題というのは、いろいろな形で提起をされておりまして、住民の身近にある行政というのは、あとうる限り住民の身近なところで行うというのが、非常に大事なことだということを言われておりました。特に第一次の臨調におきましては、特に現地性の問題でありますとか、総合性の問題でありますとかということが、大変高く掲げられておりまして、そういう点から申し上げますと、この機関委任事務のような問題というのは、もっと早く解決をさるべき問題であったと理解をいたしております。われわれの方の力が足りなかったということもあるいはあるのかもしれませんけれども、国全体としてやはり中央の権限というものは余りにも集中をし過ぎている。この問題をもう少し分散をしながら、行政を簡素、効率化をしていくというためには、どうしても分権の方向にいかない限り、国の行政というのは簡素、効率化されないことは自明の理でありますから、機関委任事務については、あとう限りやはり公共団体側におろしていくという姿勢を示すことが大変大事であろうと思います。  そういう意味で、実はここ二、三年来から、なかなか国が機関委任事務地方におろさないということもございまして、県自身が国の機関委任事務市町村事務移譲するという形によって、若干そういういら立ちを示したということがございました。しかし、これはひとり県や市町村の間のみならず、やはり国と公共団体の間におきましては、この機関委任事務の解決をしていくということが大変大事なことだと思っております。そういう意味で、いまおっしゃられておられましたが、これからもこの機関委任事務というものを公共団体に移譲するような方向努力をしていきたいというふうに考えております。
  126. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もう一点だけお伺いしておきたいと思います。  特に、公共事業に係る例の国庫補助負担率の地域特例の問題であります。大臣、これはこの第一次答申を見ますと、大分中身は「補助負担率の地域特例については、終期到来時には廃止を含め」というふうになっておりまして、部会の答申のときには、「廃止を原則として」というふうになっておりましたから、多少緩やかにはなっておりますけれども、これは特に地方の貧乏な県ですね、非常に大変厳しい情勢にあるわけですけれども、この問題については、大臣どういうふうにお考えでしょうか。
  127. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) これもきわめて地方団体にとっては切実な問題でございます。大体がさ上げをしておる案件が十幾つあるわけでございますが、それぞれの目的を持って、それぞれの必要性に応じてこれができてきたものであります。そうしてまたその背後には政策的な課題を控えておるいずれも問題があるわけでございます。したがいまして、答申としては廃止を目途としてということにありまするが、まあここ一、二年の間に廃止などというわけには実際問題としてはいきにくい問題でもありますし、そうかといいまして、これがそのままでいいかということになりますと、また国の財政の事情もございまするし、この点も政策課題をどういうふうに、またどういう方法でこれから進めていくかというその裏づけの問題もこれには絡んでくるわけでございます。単にこの問題は、地方財政の問題だけじゃなくて、日本の今後における国土経営の問題というものをどうするかという、そうした広い観点からの政策的課題として取り上げる面が非常に多い案件だと思っておるわけでございます。しかし、そういう議論をいたしましても、当面の財政上の問題について、やはり何か措置をしなくちゃならぬという問題もあるいは出てくるかもしれません、今後の検討方向におきましては。この点は地方団体が本当にこの問題にメスが入ることによって成り立ちにくい、あるいは混乱を生ずるというようなことがないように、私どもは十分な配慮をしてこの問題に取り組んでいく必要があるだろう、こう思っておるわけです。    〔委員長退席、理事佐藤三吾君着席〕
  128. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この問題は非常に重要な問題でございますので、慎重にお取り扱いをお願いしたいと思っております。  次に、最近の、火災だけではございませんが、火災を含めた都市の災害という問題についてお伺いしたいと思います。  特に、最近は人口が都市に集中をいたしておりますし、また建造物につきましても複雑、多様化いたしております。そういうふうな中にあって、いわゆる都市の建物や、構造物が、災害や火災に十分対応できるようになっているかどうかということは、これはもう非常に重要な問題でありますし、都市に住む住民の生活という面から考えてみましても、非常に大事な問題であろうと思います。そこで、実際問題としては危険性が非常に強まっているんではないかということもあります。そこで、消防庁としましても、こういう問題について大変努力を払っていらっしゃると思います。  そこでこの都市の災害、特に火災等を含めまして、そういうふうな対策ですね、これは現在どういうふうになっているのか、十分な対応があるのかどうか等を含めまして、一遍最近の消防の実情についてちょっとお伺いしておきたいと思います。
  129. 鹿児島重治

    説明員鹿児島重治君) 最近の災害の状況につきましては、火災を中心として申し上げますと、御案内のように大体年間六万ないし七万件の火災がございます。これによって生じます損害額が約千三百億ということで、火災の発生件数なり、あるいは損害額につきましては、毎年ほぼ横ばいという状況で推移をいたしているわけでございます。しかしながら、ただいまお話がございましたように、都市を初めといたしまして、災害の危険性と申しますのは年年増大をいたしておりまして、特に社会、経済の進歩によりまして生活環境がいろいろと変わってまいっております。たとえばガスの使用量でありますとか、あるいは灯油の使用量、あるいは複合建物が続々とふえているというふうなことがございまして、危険性そのものはますます増大していると言っても決して過言ではなかろうと思います。  このような状態に対応いたしまして、私どもといたしましては、今後さらに消防力を充実強化させる必要がある、かように考えているわけでございますが、その方向としましては、大きく分けまして三点あろうかと思います。第一は消防力の機械化、近代化を図るということでございまして、たとえば、高層ビルができますと、はしご車をもっと整備する必要が出てまいります。ガソリンスタンド、あるいは石油コンビナートができますと、化学消防車、こういうものを一層充実する必要が出てまいります。こういう形で消防力の近代化を図っていくということが一点でございます。  第二点といたしましては、最近の大きな災害をごらんいただきますと、静岡駅前のガス爆発でございますとか、あるいは愛知県におきます毒劇物の火災でございますとか、こういう特殊な火災がふえている実情にございます。したがいまして、このような火災に対応いたしますためには、やはり消防職員なり、消防団員の資質、能力の向上を図る必要があるということで、こういった面の能力の向上のための強化を図ってまいりたいということが第二点でございます。  第三点は、何と申しましても、消防機関だけで十分災害に対応できるわけではございません、特に地震等を考えてまいりますと、地域住民の対応というものが必要になってまいります。こういった観点から、地域ぐるみの防災体制を整備するということで、都市、農村を問わず、地域住民が一体となって地域の防災に当たるためのいわゆるコミュニティーづくりというものを推進している状況でございます。  以上三点、私どもとして重点を置いて施策を進めてまいっております。
  130. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 最近の都市の建物が相当高層化されておりますね。いわゆる高層化された建物の火災ですね、これは実際問題としてどういうふうにして対応していらっしゃるわけですか。特に何階から上はもうだめとか、何階ぐらいまでは対応できるかというのは、現在の東京の実情から見てどういうふうになっておりますでしょうか。
  131. 鹿児島重治

    説明員鹿児島重治君) 高層ビルについて申しますと、まず基本的には予防体制を充実強化するということが中心でございまして、高層ビルを建築するに当たりまして、これは建築基準法とも関係がございますが、スプリンクラー、あるいは消火栓等の消防施設をまず整備させるということを一定の建物につきましては義務づけるということで、予防措置をまずとることにいたしているわけでございます。  それから、万一火災が発生いたしました場合には、高層ビルの場合にはやはりはしご車というものが必要になってまいります。現在平均的には三十メートル級のはしご車があるわけでございますけれども、三十メートル級ですと、大体十階まで届くという形になっておるわけでありますが、最近では十階を超えます施設が多々できております。そういう観点から、現在は十一階以上の通常の建物につきましては、必ずスプリンクラーをつけさせるということで、これは御案内のように遡及適用を実施いたしまして、その必置義務を課している、こういう状況でございます。
  132. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そうしますと、はしご車で十階としますと、スプリンクラーつけるとか、先ほどおっしゃったように、予防的な措置をちゃんとするということが、設置者に対しての義務づけみたいにやっていらっしゃると思うんですけれども、そこへ勤めていらっしゃるいわゆる従業員の人たちですね、そういう人たちの安全というのは、これは実際問題として、火災が起きた場合、スプリンクラーで間に合わないということも実際あると思うんですよね。そういうふうな場合はどういうふうな教育をしていらっしゃるのか、あるいは、消防庁としてはその対応策はどういうふうに考えていらっしゃるのか、そこら辺のところは一体どういうふうになっていますでしょうか。
  133. 鹿児島重治

    説明員鹿児島重治君) ただいまお話がございましたような、たとえばかなり高層ビルでございまして、それが複合用途であるとか、あるいはオフィスであるとか、こういうような建物につきましては、基本的には自主防火管理体制というものを整備させるということで、これは法令なり、あるいは条例によって義務づけを行っているわけでございます。その場合、一定の消防計画に基づきまして、火災の際の避難訓練でありますとか、消火訓練を実施させるということで、これは予防行政の一環といたしまして、各消防署が指導を行っているわけでございますが、しかしながら、これが万全かと申しますと、いわゆる複合用途施設——多数の事業主体が入っておりますビル等につきましては、必ずしもその徹底ができてないという部分もございまして、そういった点をより現在以上にどのように普及徹底させるかということが、現在の消防行政課題ではなかろうか、かように考えております。
  134. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 実際問題として十階以上のビル、これはたくさんあると思うんですね、そういうふうなビルのいわゆる安全対策といいましょうか、そういうふうな教育といいましょうか、そういうふうなことについては、やっぱりもう少し本格的に踏み込んで、消防庁としても、これは消防庁じゃなくて自治省全体としてやるんですか、やっぱりこの災害、火災というものを含めまして、実際火災が起きてしまって、たとえばいまはもう四十階、五十階建ての建物がいっぱいあるわけですね。そういうふうな建物でそういう実際火災が起きた場合に、どういうふうにして対応をしたらいいのか。また、たとえば十階以上の従業員の皆さんはどういうふうにして逃げたらいいのか。火事を消すこともあるかもしらぬけれども、逃げにゃいかぬということもありますからね、そこら辺の指導とか、監督なんていうものはどういうふうになっておるんですか。
  135. 鹿児島重治

    説明員鹿児島重治君) 最初に申し上げましたように、消防、防災の基本的な問題は、何と申しましても、自主防災体制を整備するということが基本でございます。こういう観点から、たとえば東京消防庁におきましては、消防条例によりまして、いわゆる自衛消防組織というものを、一定の施設につきまして必置の義務を課しているわけであります。こういう自衛消防隊ができますと、いざという場合の避難はもちろんでございますが、消火体制につきましても、かなりの程度の対応ができるのではなかろうかというぐあいに考えております。現在東京都がそういう条例をつくっているわけでございますが、自主防災体制の整備ということで、東京のみならず、他の都市につきましても、そういう条例をつくっていただくように指導をする、こういうつもりで現在作業を進めている段階でございます。
  136. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 大体わかってきましたけれども、そういう超高層ビルで火災が起きた場合は、もう燃やしっぱなしですか、これ。消す方法は何かあるんですか。    〔理事佐藤三吾君退席、委員長着席〕
  137. 鹿児島重治

    説明員鹿児島重治君) かなり具体的なお話でございますが、現在の予防法規の考え方といたしましては、高層ビルにおきまして火災が発生いたしました場合には、当該階で火災を食いとめるということを基本にいたしまして、消防設備を整備さしているわけでございます。いろいろ事例ございます。たとえば、最近アメリカあたりでホテル火災がございますけれども、アメリカは地域によりまして予防法規が異なっておりまして、予防法規が緩やかな、たとえばこの前のラスベガスのホテルの火災のような場合には、当該階以外にも火災が延焼するという形をとっておりますが、予防法規がある程度完備いたしますニューヨークの火災の場合には、これはウエストバコビルというビルの火災でございますけれども、二十階から火が発生いたしまして、二十階と二十一階の一部分だけで消しとめる、こういう形になっておりますが、日本の場合は一般的に申しましてこのニューヨーク型を採用しておりまして、火災が発生いたしましても、当該階でとどめるということを基本にいたしまして、予防規制を行っているところでございます。
  138. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それはそのくらいにしておきましょう。  そこで、今回臨時行政調査会答申が出たわけでございますが、この答申を受けて、消防庁としてはどういうふうに受けとめていらっしゃいますか。
  139. 鹿児島重治

    説明員鹿児島重治君) 消防関係につきましては、共通事項といたしましては二点ございまして、一つは、他の補助金と同様に、補助金につきまして抑制措置をとるということが一点でございます。二番目は、消防職員の増員の問題でございまして、これにつきましては、消防の広域化を図り、あるいは自主防災体制を整備することによって、厳に増員を抑制する、かようにうたわれているわけでございます。これが共通事項でございまして、それ以外に一点事務的な問題でございますが、高圧ガスのタンクの検査につきまして、現在労働、通産、消防、三者が、一部のものにつきまして検査が競合するという形になっておりますが、これを調整するようにということが三点目として指摘をされているわけでございます。  以上の三点につきましては、まず補助金につきましては、これは従来から重点的に配分をいたしているところでございますが、先ほど来お話がございましたように、都市につきましてはやはり都市の高層化とか、あるいは複合用途施設がふえるとか、こういう問題がございますので、こういう災害に対処し得るような近代化、はしご車でございますとか、あるいは化学消防車、こういうものに重点的に対応してまいりたいというぐあいに考えておりますし、また、農山漁村につきましては、非常に消防体制が広域化をしているということもございまして、農山漁村の消防体制の機動力を増加するということで、たとえば小型ポンプでありますとか、この小型ポンプの積載車につきまして重点的に配慮をして補助金配分してまいりたい、このように考えているわけでございます。  次に、増員抑制の問題でございますけれども、増員抑制につきましては、常備の消防職員につきましては、御案内のように国といたしましては一定の消防力の基準を定めておりますが、これは単なる指導指針でございまして、基本的には各地方公共団体が自前の条例で職員数を決定するという仕組みになっておりまして、これが他の職員と違う点でございます。  そこで、具体的な考え方としましては、全体的に国も地方も大変財政の厳しい折でございますから、増員をできる限り抑制するということは大変ごもっともなことだと思いますが、しかしながら、一つには、従来から広域消防ということで、常備消防化をしているところがございまして、年次計画によって人員を現在充足中のものがあるわけでございます。これはやはり、何といたしましても年次計画に基づいてその充足は達成しなければいけないということが一つございます。それから二番目には、都市化が依然として進展いたしておりまして、都市化いたしました消防につきましては、やはり都市化に対応いたしまして近代的な体制を整える必要があるということ。第三番目には、消防が三十八年以来実施いたしております救急業務関係でございますが、年率五ないし六%の割合で救急業務が増加いたしておりまして、これに伴います増員というものも、現在の体制からいたしますと欠くことができないということで、全体的な基調といたしましては、私どももできる限り増員を抑制するという体制で臨みたいとは思いますが、必要最小限の増員につきましては、これを確保いたしたい、こういう考え方でおるわけでございます。  それから高圧ガスタンクにつきましては、従来から指摘されている事柄でもございまして、関係省庁の間で至急検討を進めたい、かように考えております。
  140. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いまおっしゃることよくわかりました。  第二臨調答申を踏まえまして、特に国民の間にも行政のむだをなくしたいというふうな動きが強いわけであります。そこで、きょうは私よけいなことを大分先に聞きましたけれども、消防車等のいわゆる廃棄処分のあり方という問題について、きょうは一言だけお伺いしておきたいと思います。  私の手元にあります新聞の報道によりますと、東京消防庁が古くなった化学消防車二台を廃棄処分にした。それで、この廃棄処分にした消防車は、購入時点で千数百万円のものが、いわゆる四十万円程度で廃棄処分された。そしてその廃棄処分された消防車が廃品業者の手に渡りまして、さらにある企業がそれを買い取って改修して、自衛消防用の化学車として使っていることを東京消防庁が知ったというわけですね。そして、関係者から、本当にすぐそれは使えるようなものを廃棄処分にしたのかということで、実情をよく聞いてみたら、結局そこではタイヤを交換しただけでまだ十分使えるということであったということで、それではということで、今度は消防庁が耐用年数からいってもそんなはずないだろうというんで徹底的に調べたら、分解調査をやったというんですから相当やったんでしょう。その結果、シリンダーライナーとかピストン・エンジン・バルブ等の部品交換が必要なだけであった、そして、結局十分使えるものであったというようなことが、東京消防庁はそういうふうにやったというふうになっているわけですから、これはおたくの方でちゃんとやったんだろうと思うんですが——これは新聞に報道されたのがことしの五月十一日ですからほんの最近であります、こういうようなことが実際あるのかどうか。そして、この問題についての実情がどういうようになっているのかというのが一つ。  それからもう一つは、先ほどおっしゃった消防の機器化というのは、非常に大事な問題でありますし、また補助金等の問題も非常に重要な問題でもありますので、最近いわゆる消防力はどういうふうな状況になっているのか。一番新しいあれで結構ですから、消防ポンプ車とか、小型動力ポンプ車とか、化学消防ポンプ車とか、はしご車というのは大体どのくらいあるのか。これわかりましたら一遍教えていただきたいと思います。
  141. 鹿児島重治

    説明員鹿児島重治君) まず、お話がございました化学車二台の廃棄処分の話でございますが、お話がございました新聞記事は必ずしも正確ではございませんで、東京消防庁が化学車二台を廃棄処分をいたしましたけれども、これは廃品業者が引き取ったわけではございませんで、この廃棄いたしました化学車をある企業が直接買いたいということで、東京消防庁から払い下げを受けたという事実はございます。その結果、その企業——これは倉庫業だと私理解いたしておりますけれども、この倉庫業者がその工場敷地内におきます——したがって車検は要りません、敷地内におきますところの自営用としての活用ができるかどうかということで実験をしているというぐあいに東京消防庁から聞いているわけでございます。一  化学消防車、お話のように大変高い金額でございますが、この払い下げを受けました企業におきましては、二台につきまして約二百万円の改造費を加えまして、実験的にその敷地内のみ走行させているというのが実情のようでございます。  なお、この際消防車等の再生利用につきまして申し上げますと、その新聞記事が出ましたもとになりましたのは、全国の消防長が集まっております消防長会というのがございますけれども、その消防長会の中に技術委員会というものがございまして、この技術委員会で東京消防庁のある職員から、こういうリサイクルを行ったらどうかということが提案されたのが始まりでございます。現在、この全国消防長会の技術委員会におきましては、小委員会を設けまして、全国の消防本部にもいろいろと問い合わせをいたしながら、このリサイクルが果たして可能かどうかということを検討している段階でございます。  ただ、私どもは現在承知しております一般的な考え方で申しますと、各消防本部によって実情はまちまちでございますけれども、おおむね現在の消防車につきましては、大体十数年利用しているというのが実態でございまして、走行キロ数、特にポンプの性能、これを十分に精査いたしませんと再生利用できるかどうかということは必ずしも明らかではございません。ポンプの性能が八〇%以下に落ちてまいりますと、このポンプによって、車の走行を行い、なおかつ放水をするという仕組みになっておりますので、放水機能に支障が生ずるようでございますと、再生をいたしましても余り使い道がないというぐあいに私ども承知をいたしておりますので、金属の疲労度等もあわせ考えながら、この再生利用の問題につきましては、現在全国消防長会の技術委員会で検討中でございますので、その結論を待って私ども判断をいたしたいというぐあいに考えております。  なお、お話がございました現在の機械力の状況でございますが、正確な数字ではございませんけれども、現在の自治体消防が発足いたしました二十三年、二十四年ごろにおきましては、消防力の中心はすべて人力を中心とした体制になっていたわけでございます。腕用ポンプでありますとか、あるいは手押しの動力ポンプというものが主体をなしておりまして、たしか私の記憶では当時消防車の台数というものは、七千台程度ではなかったかというぐあいに記憶をいたしております。現在消防ポンプ自動車につきましては、一万九千六百八十台全国に配置をされております。  それから、消防団等を中心といたしまして、これは正確な数字ではございませんが、小型動力ポンプ、これが約五万基あるというぐあいに私ども考えて一応理解いたしております。  それから、最近特に非常に需要がございますはしご自動車と化学消防ポンプ車につきましては、おおよその数字でございますが、全国でそれぞれ八百台ずつ配置されている、かように承知いたしております。
  142. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 次長、もうちょっと詳しく、さきの廃品業者という問題ですな、これは要するにあなたの話によるとある企業、倉庫業と、こうおっしゃいましたが、この消防車は購入時にはこの新聞に報道されておりますように、やっぱり千数百万円するもんでございますか、そして実際これ幾らで払い下げられたんですか。
  143. 鹿児島重治

    説明員鹿児島重治君) 現在化学車の標準的な国庫補助の単価が、お話しのように千数百万円でございますから、恐らくその程度の金額で購入したものではなかろうかと思います。  それから、現在消防車を初めといたしまして、化学消防車につきましても、これを廃棄処分いたします場合には、完全なスクラップ価格でございますから、恐らく数十万円という単位ではなかろうかと思います。
  144. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 この数十万というのをちょっと正確に言ってほしいわけですけれども、新聞では十七、八万円とはっきりこう書いてあるんだけれども。  それからいまの私の手元にあります、次長先ほどおっしゃったポンプ車とか、そういうふうないろんな台数ですね、昭和五十四年度で、これはおたくの資料から調べたんですから、私正確だと思いますけれども昭和五十四年度で消防ポンプ車が二万二百五十台、小型動力ポンプ車というんですか、これが四万九千八百四十三台、化学消防ポンプ車が八百二十四台、はしご車が八百五十四台、これはおたくの資料から調べたんですから、おたくがおっしゃった資料と余り違いませんので、結構です。  それでいまリサイクルという問題が出てまいりましたので、当然それは必要だと思いますが、消防機械の廃棄の状況ですね、これは大体どういうふうになっているのか、資料のあるところで結構ですから、一遍教えてください。
  145. 鹿児島重治

    説明員鹿児島重治君) 実は消防費・機材の廃棄の状況につきましては、私ども正確な調査は行っておりません。そこで、推計でございますけれども、消防ポンプ自動車について申しますならば、現在のところ年間約一千台消防ポンプ自動車を廃棄しているもの、かように推計をいたしております。
  146. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これもえらい中途半端ですな、そんな大まかなつかみ方ですか。これは新聞の報道によりますと、消防機械の廃棄台数というのがこれに載っておりまして、ポンプ車が五十三年が千六百二十六台、五十四年が五百九十二台、こういうふうに載っております。  それから、小型動力ポンプが五十三年が五千五百九十八台、五十四年が千四百十二台、もちろん化学車とか、はしご車等も含めまして載っておりまして、国庫補助金の額が合計で五十三年が九十億、五十四年が百七億、こういうふうな記事が載っておりますが、これは大まか合っているんじゃないですか、どうですか。
  147. 鹿児島重治

    説明員鹿児島重治君) 残念ながら私どもはそういう数字は持っていないわけでございまして、およその数字で先ほどポンプ自動車につきましては千台程度廃棄されているということを申し上げましたが、実は消防ポンプ自動車につきましては、第一線で使用する台数につきましては、私ども報告をとっているわけでございます。現実には第一線を引退いたしましても、三年ないし四年というものは予備車という形でなお使用しているという場合がございますので、そういう関係もございまして、私ども正確な数字を現在つかみかねております。先ほど申し上げましたように、おおむね年間千台ぐらいは廃棄されているんじゃなかろうかという推計を立てているにすぎない状況でございます。
  148. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 これは非常に大事な問題でありまして、次長、私は決しておたくを責めるわけじゃないですが、これは国庫補助金が出ているんですね、これは。どうですか、出てますね。
  149. 鹿児島重治

    説明員鹿児島重治君) 新車の購入につきましては補助金を交付いたしております。
  150. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ですから、新車で買うているわけですから、これは補助金が出ているわけですよ。国庫補助金が出ているこういうふうないわゆる消防車が現在どのくらいがあって、それでどのくらい毎年廃棄しているとか、そんな実情はやっぱりもう少しつかんだ方がいいのと違いますか。つかんでいてしかるべきじゃないですか。そして、しかも使えるものが廃棄されているという実情が現実にこれはあるわけですからね。これはやっぱりぼくは国費のむだ使いとか、いろんな問題から見ても、もう少しきちっとしないといけないと思うんですよ。これは私決して消防庁を責めるわけじゃありませんが、現実にこれは新聞報道にもありましたように、ある倉庫業に払い下げた千数百万円する消防車が、いろいろオーバーホールして、二百万円でオーバーホールして実際使っておるということがあるわけですから、ですから、私はそういうようなことも含めまして、こういうふうな中古車には補助金が出ないと言いますけれども、要するにあなたの答弁だけで言いましても、ポンプ車が大体千台ぐらいと言いましたね、千台ぐらいとえらい簡単に言ってますけれども、これはやっぱりたくさんの補助金が出た消防車ですし、はしご車ですし、あるいはポンプ車ですし、そういうようなものをきちっと、耐用年数にいたしましても、私が調べたいろんな資料によりますと、ある国ではいま十数年とおっしゃいましたけれども、二十数年の国もあるわけですよ。ですから、そういうふうな点から考えてみましても、ポンプ車の使い方ですね、廃棄の仕方、あるいは再利用の仕方というのは、やっぱりもう少し具体的に実情に合ったように考えた方がいいんじゃないかということを私はしみじみと思うわけですけれども、ここら辺のところはどうですか。
  151. 鹿児島重治

    説明員鹿児島重治君) 何分にも消防自動車は非常に高価なものでございますので、お話しのようにこれをできる限り有効活用し、利用するということは当然のことだと思いますし、そのように今後も指導してまいりたいと思います。  なお、お話がございました廃棄の状況等につきましては、私どもも全国消防長会を通じまして、いずれその実情をもう少し詳しく調べてみたいと、かように考えております。
  152. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 確かに私の手元にある資料によりましても、廃棄する時点で、ポンプ車の平均走行距離が二万九千八百九十キロ、ポンプの平均使用時間三百三十一時間とかいうふうに出ているわけですよ。はしご車については平均二万四千六百八十二キロ、そういうふうにいろいろ出ておりますが、これはどこの資料か私詳しくはわかりませんが、いずれにしましてもこういう資料が出ているということは、それに近いあれであろうと思います。そういうふうな意味で、そのほかいっぱい問題点があるわけですね。ですから、これはぜひ、こういうような問題は財政緊迫した折でもありますし、また財政再建をやらなくちゃならないときでもありますし、あなたがおっしゃるように、たとえばポンプの性能が八〇%に落ちている。それじゃもう使いものにならないと、それは当然それはそうだと思いますね。ですけれども、そういう点もやっぱり配慮しながら、たとえば消防車を大きな町で使っていたものを今度はもう少し小さな町で使うとか、それはそんなことができるかどうかわかりませんが、いずれにしてもそこら辺のところは十分配慮して、千数百万円するものを十万円、二十万円というスクラップとあなたおっしゃいましたね。スクラップで払い下げて使用するというよりも、もう少し使い方はあるんじゃないか。しかも年間千台というのですから、あなたの言うとおりにしても千台、私の資料だともっと多いのですよ。ですからそこら辺のところはもう少し考えるべきじゃないかと私は思うんです。  そこで、最後にこれは大臣、これは先ほどから聞いておられたと思いますが、これは消防車の問題は、先ほどから私いろいろお伺いして、消防庁も掌握しにくいところもあるのかもわかりません、全国いろんなところにわたっておりますし。ですからやっぱり国庫補助金が出た消防車というのはやはり掌握をし、耐用年数とか、いろんな点も十分配慮をして、そして使えるものはどんどん使うと、そこら辺のところは、多少のオーバーホールで済むものなら済むようにすると、そこら辺のところは十分配慮してやれば、何もスクラップで、いま次長の話ですと、私はスクラップでそういう業者と言いましたけれども、ある企業で倉庫業とおっしゃっていますから違うのかもしれませんが、やっぱり売った値段はスクラップと同じ値段で売ったということですから、どこへ売ったって同じことなわけです、結局は。ですからそこら辺のところも配慮して、十分こういうふうな問題も、いわゆる行政改革の一環としてやっぱり生かしていった方がいいんじゃないかと私は思いますが、この点大臣どうでしょうか。
  153. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 相当高価なものでございまするから、補助のついているやつは、買うときははっきり台数はわかるわけですが、これを一体いつどの程度廃棄をしたかというようなことについては、消防庁としてはしっかり数字は押えておくべき性質のものだと思います。そしてまたこれをどう活用するかということについても、やっぱり消防庁としては十分検討してみなくちゃいかぬ問題だと私は思います。
  154. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 ぜひこの問題についてはそれぞれ掌握をお願いしたいと思います。  もう一点、最後にこれは警察庁の方へお伺いしたいと思います。  交通反則というのはあれはどういうふうな精神でやるものですか。その基本的な理念と言いましょうか、考え方という、これはどういうところから発生しておるわけですか。いわゆる交通反則というやつですね、たとえばスピード違反とか、これはどういうことですか。その理念を一遍お聞かせいただけますか。
  155. 池田速雄

    説明員(池田速雄君) 交通違反の取り締まりについての御質問だとお伺いいたしましたんですけれども、御案内のとおり反則金制度ができましてから、すでに相当の時間たつわけでございますけれども、制定されますときのいきさつをもう一遍考えてみますと、道交法違反の、秩序を維持します場合に、すべてを刑事罰として処分すると、こういうことでなくて、俗な言葉で言いますと、重さは重かるべく、軽さは軽さに従ってと、こういうことでございまして、刑事処分の範疇にいたしますものは、スピード違反でございますと、二十五キロ以上のものにつきましては刑事罰にすると、それ以下のものにつきましては、反則通告制度に乗っけると、こういうことになっておるわけでございます。したがいまして、この考え方を通じていきますと、やはり交通の違反というものをないようにして、交通秩序を維持いたしまして、しかも安全、円滑かつ公害のない交通社会を築くということが大事だと思いますので、それぞれの危険度、たとえば安全という面から考えますと、危険な場所、危険な行為あるいは危険な時間帯、そういうもの等を重点に、危険な行為をまずなくするということに一つ重点があると思います。  それから、またそれのみならず、運転者の立場から見ますと、一つの行為で重大な過ちあるいは行為によりまして事故を起こすという面と、それから小さな違反、そういったものの積み重ねが事故につながると、こういったような面もございますので、行為の面で制約を加えますと同時に、運転者という立場から見ますと、少しでも危険性があるとしますと、そういうものを早期に是正するようにと。こういうことから、そのためには刑事罰で臨むのじゃなくて、反則通告制度に乗っけて十分注意をしてもらうということが基本精神になっていると思うわけでございます。したがいまして、ただいま御指摘のございました反則の通告制度とそれから行政処分の場合のポイント制度、この両者が相まちまして、交通の秩序を維持すると、こういうことで運用しているつもりでございます。
  156. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 よけい言ってわかりにくいですな。要するにスピード違反をつかまえたり、それで罰金を取ったりするのは何のためにするんですか。どういうためにああいう制度があるんですか、もうちょっとわかりやすく言ってください。
  157. 池田速雄

    説明員(池田速雄君) 交通秩序を維持することによりまして、安全で円滑、かつまた場合によりましては公害のない交通社会をつくると、こういうことが目的でございます。
  158. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 安全で危険度のない、公害のない——だれがですか、だれが安全なためですか。運転している人ですか、周りの人ですか、だれの安全を守るためなんですか、だれの危険を防止するためなんですか、詳しく教えてほしい。どういうことですか。
  159. 池田速雄

    説明員(池田速雄君) 被害を受けられます方は、場合によりましては歩行者の場合もございますし、他の車の運転者、その他道路利用者でございますし、それから場合によりましては付近の住民の方が被害を受けられる場合もあるわけでございますので、安全という面からいきますと、受益者は道路利用者並びにその周辺にお住まいになっている住民の方だと、こういうふうに理解するわけでございます。
  160. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 交通局長ね、まああなたのおっしゃるとおりなんでしょう、私、専門家じゃありませんから。そうでしょうけどね、そんなこと言ってたらそれはだれも交通規則守りませんよ。やっぱりね、運転しているその人の安全を守ると、要するに人のことより自分の安全というのが一番大事でしょう。あなたがあなたの命を守るために、こういうふうな規則があるからきちっとそれを守らにゃいかぬのやと、何かあれこれあれこれ、こういう場合はこう、ああいう場合はこう、それはあなたのおっしゃるとおりだと思うんです。けども、やっぱりそういう説明を聞いて、ああなるほどな、そりゃそうやなというふうに、ぱしっと決まるような、納得のさせられるようなものでないといかんのと違うかなと私は思うんですよ。これが一つ。  それからもう一つ。いわゆる交通規制というのがありますね、スピード四十キロというやつ、あれは何ですか。要するにスピードの規制というのは、あれはオーバーしてもいいんですか。私の手元にある道交法の教本によりますと、要するに四十キロというのは、四十キロ以上飛ばしちゃいかぬとなっているわけやな。これ違いますか、これ、そうでしょう。ところが、現実はこの四十キロを守っている人はおらぬのや、警察の車も含めて。この間私たちパトカーの後ろずうっと走ったんです。全部四十キロの道を五十キロで走ってるんです。何であれ五十キロで走るんですか、四十キロの道を。事実ですよ、これ。どない思います。いや、私はその車が悪い言ってんのと違うんですよ、事実を言うとるわけ。これはどういうことなのか教えてもらいたいわけです。
  161. 池田速雄

    説明員(池田速雄君) 第一の点は、運転者自身が納得して守れるような、そういうものにすべきじゃないか、要するに国民の共感に支えられないと、こういった交通の秩序というのは守られないんじゃないかと、こういう御指摘だと存じますが、そのとおりでございますので、その点につきましては私どもも十分留意してまいりたいというふうに思います。  第二の点につきましては、御指摘のとおり最高速度の規制でございますので、それは当然守るべき筋合いのものでございます。ただ問題は、交通の実態というものが大変に流動的な点があるということは一つございます。そういった点等も踏まえながら、実際の指導、取り締まりの場合には、ある程度の、たとえば四十キロの制限でございますと、それを若干超えるものにつきまして厳重な取り締まりがなされてないという点はあろうかと思いますが、私どもといたしましては、規制をやります場合には、そこの場合でどうやったら安全が期せられるかというようなこと、それから、交通の実態が一体どうなっておるのか、そういうようなこと等を総合的に判断いたしまして、また、場合によりましては公害対策の問題もございまして、そういった考慮も加えなきゃいかぬというような場所があるわけでございますので、速度の規制そのものにつきましても、そのこと自体が果たして適切かどうかという点につきましては、十二分に検討を重ねてまいりたいと思いますけれども、一遍決めました以上は、それに対してはできる限り努力を払いまして、そういう規制が遵守されるよう努力してまいりたいというふうに存じます。
  162. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いやいや、だからその精神論とか、そんなことを言っているんじゃなくて、現実の問題として四十キロの道を五十キロで走っていいのかと言うんだ。走っておるんや、警察の車も全部、それでいいんですか。
  163. 池田速雄

    説明員(池田速雄君) 規制があります以上、それを上回ります速度で走るということは慎まなきゃいかぬというふうに思います。また、さらに規制に問題があるということでしたら十分これは検討を重ねてまいりたいというふうに思います。
  164. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 いや、ぼくは局長ね、あなたと決してけんかするつもりもどうするつもりも全くないんですけれども、要するに守れる交通法規にせにゃいかぬのと違うかと、私こう言いたいわけですよ。やっぱり四十キロと出したらみんな四十キロで走ると。五十キロを出すともう十キロもオーバーしているわけですからこれはアウトと。ところが、最近の常識では、四十キロのところは五十キロぐらいで走らぬといかぬわけですよ、実際問題としてもうみんな五十キロでだあっと走っておるわけやから、お巡りさんの車だけ四十キロで走ってもらうと物すごく渋滞してしまうわけですよ。それは警察の車もやっぱり五十キロでずうっと同じように走らぬとぐあい悪いわけですわ。だから、ぼくはそこをちゃんとしてもらいたいわけだ、そして、信号でとまるでしょう。五十キロでみんな走っているわけです。そこで、信号がぱっと変わってとまるわけです。そうすると、前ずうっと車があくわけですよ。あくとやっぱり運転手さんは前があいているわけですからちょっとスピードを出しますよね。そうすると、そんなときは大体何キロぐらいになるかというと、五十キロでみんな走っているわけですから、大体五十五キロとか、五十六キロとか、そんなになるんですよ、スピードが。そうすると、そういうときにぱちっとスピード違反でつかまるわけ。これ、どないします。四十キロでずうっと走っていたら大変ですよ。交通が渋滞してもう大変なことになるわけ。やっぱり日本の交通法規というのは守れる交通法規にしていただきたいと私は思うんですよね。そして、何のための交通法規かということをはっきりしていただかぬと、これからの交通行政のあり方というのは大変な問題だと私は思うんです。もうちょっと詳しいことを言うたらまた差しさわりがありますからこれ以上言いませんけれども、これは本当に大変な問題だと私は思いますよ。やっぱりきちっとしてもらいたいと思います。  それから、きょうは具体的なやつを十件ほど持ってきましたからちょっと幾つか聞いてみたいと思います。  この間パトカーが盗まれましたね。これは御存じですね。先ほど私のところへ課長さんが見えましていろいろ言っておられましたけれども、この運転手さんは道交法には違反していないんですか、これ。どういう処置をされたんですか。
  165. 池田速雄

    説明員(池田速雄君) 先般パトカーが盗まれるという大変な失態をしてかしましたことにつきましては、大変申しわけないというふうに思っております。  この事案につきましては、すでに御案内のとおり、警察官三名ほどが乗務いたしておりまして、被疑者を同行していたわけでございますけれども、ちょうど逃走されました際には、自動車をとめまして、エンジンをとめ、サイドブレーキはかけていたわけでございますけれども、二人が捜査に出かけまして、監視役の警察官一人が被疑者と一緒に乗車していたわけでございますけれども、被疑者の頼みをそのまま聞きまして飲み物を買いに出たとそのすきに逃げられたと、こういうことでございます。したがいまして道交法上の問題といたしましては、車が停車する場合の問題が規定してあるわけでございますが、車両等を離れます場合には、原動機をとめて完全にブレーキをかける等、必要な措置を講ずることというのが一つございまして、この点には罰則も付せられておるわけでございますが、いま一つ、自動車を離れますときには、その車が他人に無断で運転されることがないような必要な措置を講ずることというのがございまして、たとえばエンジンキーをつけたままで車を放置いたしますと、そのこと自体は遵守事項に違反するわけでございますが、この条項につきましては訓示規定でございますので、罰則は付せられてないわけでございます。  今回の場合には、中に警察官が一人残っておるわけでございますから、そういった他人に無断で使用されると、こういったような状況にはないわけでございますけれども、肝心の警察官が車を離れると、こういったような残念な、遺憾な事態になったわけでございます。したがいまして、道交法上の問題というものは、直接には出てこないと思いますけれども、結果的には、車を被疑者にそのまま使われるような状態に置いたということでございますので、道交法上の問題はないにいたしましても、大変な失態でございまして、その点を含めまして厳しい部内的な処分が行われたわけでございます。
  166. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 そう言うやろうとぼくは思ってましたんです。そのことを警視庁にさっき電話を入れて聞いたらね。要するに、あなたそう言うやろうということだったから、直接御相談をしたわけですがね。要するに、車から離れるときの義務として、あなたは罰則規定はないとおっしゃいました。確かにないんです。しかしながら、この中には、「「停止措置義務違反」とは、法第七十一条第五号の規定に違反する行為をいう。」というふうになっているから、五号の一とか五号の二とか書いてないから、あなたはないとおっしゃるかもしれませんが、停止措置、車から離れるときの義務というのには二つありましてね。あなたは専門家ですが、私専門家じゃありませんからね。危険防止のための措置というのが、一、二、三と三つあるわけですな。七十一条の五の項の一に当たるところですな。それから、五の二に「盗難防止のための措置」として、エンジンキーを抜きとること。ドアをロックすること。ハンドルにどうこうすること。これは七十一条の五の二ですわな。  それから、罰則規定は、七十一条の丑としか書いてないから、二はかからないと、そうあなたはいま解釈した、そうなんですか。これは教習所で教えておる本を持ってきたが、これを見ると、あなたは義務違反じゃない、義務違反にだけひっかかって、道交法の違反にはひっかからないとおっしゃっていますが、それなら、一般の人がいろんな措置をして、キーを入れて行ったってどうっていうことないと、それでいいわけですな。
  167. 池田速雄

    説明員(池田速雄君) この関係条文の罰則につきましては、百二十条の一項の九号に書いてあるわけでございますけれども、ここに挙げられておりますのは、一号、四号から五号までと、それから第五号の三及び第六号につきましては三万円以下の罰金という規定でございまして、五の二につきましては、そういう意味で罰則はかからないと、こういうことでございます。罰則がかからないというのは、それを守らなくてもいいということでなくて、当然守るべきであるけれども、罰則を付してまでは強制をいたさない、こういう趣旨でございますので、守らなくてもいいということでなくて、当然守っていただくべきことであるわけでございますが、したがいまして、先ほど申し上げましたように、そういう点も含めて厳しい内部処分がされたものというふうに考えているわけでございます。
  168. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 それはそれで結構です。この問題は、これは時間が来ましたから、もうこれ以上は細かい問題はやりませんけれども、いずれにしても道交法の問題等を含めまして、これは局長、いわゆる反則金というのを毎年予算に見込んで、そうして年間たとえば五百億近くの反則金が入る、そのことを予算にちゃんと組んで、そうしてそれに見合う反則金を取る。それで、その反則金のいわゆる取り方、たとえば、いま言うネズミ取りなんというのですね、これは地行の委員会でも何回もやっているそうでありますけれども、一遍その精神を聞かしておいてもらいたいのですけれども、ネズミ取りなんというのは、だれもわからぬところで、お巡りさんがぱっと出てきて、あなたいまネズミ取りにひっかかったと、要するにスピード違反なんだからこうなんだと、そういうふうにやるものですか。初めからやっているということがわかっているなら、そんなことはやるわけはないのですがね。とにかく突然飛び出してきて、スピード違反だからと。私は運転しませんから、ですからこれは私の経験ではないわけです、全部。ですけれども、そこら辺の精神ですね。私国の予算のいろいろの書類を見ていますと、反則金が全部予算に組まれているわけですから、これは各警察に反則金をあなたのところ幾ら取れと割り当てがあって、そのノルマを達するためにがんばっているのじゃないかと。これはお巡りさんもかわいそうだなと私は思うのですけれども、そこら辺のところの精神の基本的な考え方理念というのは、お巡りさんに実際問題どういうふうにして教え込んでいるのかということを最後に一言だけ教えていただいて、私の時間が来ましたから、これで終わりたいと思います。
  169. 池田速雄

    説明員(池田速雄君) 先ほど来御指摘がございましたとおり、交通指導取り締まりにつきましては、真に実効が上がるものでなければならないと思いますし、また同時に、それは国民皆さん方の共感を得るものでなければならないというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましても、取り締まりにつきましては、そういった基本方針を持って臨んでおりますので、反則金の額云々ということは毛頭考えてないわけでございます。ただ、金額として歳入で入る関係もございますので、過去の例によりまして、予算上の計上はいたすわけでございますけれども、先生御案内のとおり、これは一応の額でございますので、後でこの金額に見合う額が特別交付金として自治省を通じて支出されます場合には、二年前の金額を精算する、こういうことになっているわけでございます。したがいまして、現実には五十二年度の額が最高でございますけれども、それ以降は減少しておるというような実態にあるわけでございまして、金額云々によりまして取り締まりが左右されるようなことは絶対にないということを申し上げておきたいと思います。  私どもといたしましては、ただいま御指摘のありましたような点を十分踏まえまして、今後の交通指導取り締まりの運営に当たってまいりたいというふうに考えます。
  170. 峯山昭範

    ○峯山昭範君 もう一言。いまのネズミ取りの話ですが、どういうような考え方でやらないといかんのですか。具体的には、もうちょっと前もってわかるようなところで、交通取り締まりをやっていますよというように前もって表示をして、その後でやるとか、そういうようになっていないのですか、あれは。突然ぱっと飛び出してきてやるようになっているのですか、あれは。私実際は知らぬのですが、どうなっているのですか。そこらのところをやはりもう少しわかりやすく教えてくれませんか。
  171. 池田速雄

    説明員(池田速雄君) スピード違反の取り締まりにつきましては、いろいろな方法があるわけでございますけれども、恐らくいまお話しの点は、レーダースピードメーターを用いての取り締まりのことだろうというふうに思います。したがいまして、私どもがそれを運用いたします場合には、できる限り交通事故の多発区間、その他につきましては、十分広報を行っておるつもりでございますし、それから、最近ではお気づきだと思いますけれども、警視庁等におきましても、重点的な取り締まりをやります場合には、事前広報ということで、看板のみならずラジオ等を通じまして、場所的なものも含めまして広報いたしておるのが実情でございます。私どもといたしましては、そういった違反の実態がなくなる、大変危険なスピードを出した実態がなくなるということが理想でございますので、今後ともそういった広報も重ねながら、しかも、なおかつ大変危険度の高い違反につきましては、徹底した取り締まりをやると、こういうような考え方で今後とも臨んでまいりたいと思います。
  172. 柄谷道一

    柄谷道一君 六月二十二日に第二臨調特別部会の報告が出されました。といたしますと、自治省地方自治団体は一斉に「行政改革本来の課題である中央・地方を通じた事務、事業の見直しがほとんど盛り込まれていない」、事務と事業の整理合理化仕事減らしを伴わない補助金削減地方や住民に負担を転嫁するにすぎない。一斉に批判の声が沸き起こり、同日の記者会見で近藤事務次官は、中央、地方を通じての行政の減量化という視点が欠落していることに不満を持つという意思の表明をされております。このような経緯を経た上で、第二臨調の第一次答申が出されたわけでございます。同僚議員のただいままでの質問を聞いておりますと、自治省としての立場はわかるんでございますけれども、この第一次答申というものに対して、大綱これを尊重して実施するのかどうかという点について、自治省側の批判のみが強く打ち出されている感がございます。  そこで、大臣にお伺いするわけでございますが、行財政改革に政治生命をかけると言われました鈴木内閣の閣僚の一員でございます。第一次答申に対する評価と、今後の対応について大臣としての決意をお伺いいたしたい。
  173. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 臨調の第一次答申につきましては、私どもはこれは誠心誠意をもって、最大限度にこれを尊重して実行していかにゃいかぬと、こう考えておるものであります。ただ、申し上げますことは、本来ならばその前提といたしまして、地方と中央との事務の分担でございますとか、あるいは補助金整理合理化でございますとか、いろいろ基本的な問題があるわけでございますが、それが第二臨調といたしましては後に回ったわけでございます。それが前提となって、そして今回の答申でありますともう少しすっきりした形になったかもしれませんが、五十七年度の予算編成を非常に急いでおる関係上、その点が逆になっておる。その点について、ひとつ第二臨調においてもその基本的な問題について、早急にひとつ結論を出していただきたいということを希望しておるわけでございますが、しかし、出ました第二臨調趣旨につきましては、これは最大限度に尊重して、来年度の予算編成に取り組もうと、こういう考え方をいたしております。
  174. 柄谷道一

    柄谷道一君 基本的な問題と緊急問題が逆になったということでございますけれども、これはそもそも内閣の諮問の仕方が、とりあえず五十七年度予算にかかわりのあるものを先に出してもらいたい、そして臨調としては、引き続いて基本的な問題の討議を深めたい、こういう順番で進んできたわけですね。これはもう当然の帰趨であろう。総論から始まって各論まで、一貫して答申を出すということは、この臨調発足の当初から不可能なことであったと思うんです。  そこで、具体的にお伺いいたしますが、国保法上都道府県の義務、権限として、第四条第二項で国保事業の健全運営のための指導、第七十五条で国保事業に対する補助及び貸し付けの条項が決められております。また、都道府県の知事の権限として、第四十一条及び四十六条で医療機関、医師等の指導監督、四十八条及び四十九条で医療機関、医師等の登録の取り消し、第百八条及び百九条で保険者、国保連合会の監督、これが都道府県知事の権限にゆだねられておるわけでございます。  そこで、これは厚生省側意見でございます。これは改めてまた厚生大臣にとくとただしたいと思うんでございますが、厚生省側意見としては、法律上そのように運営について指導の責任を都道府県が負っているのであるから、医療費適正化を図る上から、給付費の一部を都道府県負担することは適当なのではないか。また、児童扶養手当、特別児童扶養手当につきましては、他の類似手当、すなわち児童手当、福祉手当等については地方負担がすでに導入されている。さらに、地方負担の導入は受給資格の認定の適正化に寄与するのではないか。本日の朝刊によりますと、離婚率と児童扶養手当との関連というものが必ずしも整合性を持っていないというような記事も厚生省側から発表されております。  そこで、この問題について政府委員の方からはどうも否定的な答弁が今日まで本日続いたわけでございますけれども、自治大臣として、特に年々急増する国保医療費の適正な抑制また児童扶養手当及び特別児童扶養手当等の資格認定の適正化という問題は、どこが経費を負担するかは別として、これは当然なさねばならぬ合理化の道であろうと、こう思うんです。現状のような制度でそのような適正化が果たして可能なのかどうか、このことに対する御所見をお伺いしたい。
  175. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 医療費の問題については、いろいろの方法があるだろうと思うんです。今度の薬価基準の問題もその一つでありまするし、またレシートを患者に渡すとか、いろいろな方法があり得るわけですね。そういうものをひとつ厚生省としても最大の努力をしてもらわにゃいかぬ。これが前提になるだろうと思うんです。安易にこの問題だけを都道府県に五%かぶせるということだけで問題解決するものじゃないんで、本質的な問題はほかにあると私ども考えているわけです。この点はひとつ厚生省としても十分取り組んでいただくべき問題だろうと、こういうふうに認識をいたしております。  それから、児童扶養手当の問題も、いろいろ類似の制度がございまするが、それにおきましては、全額国でやっておるわけでございまして、単にこの問題だけ地方団体府県にあれするということは、制度の横並びの関係から言ってもおかしい問題があるんじゃないか、こういうことを考えておりますが、その認定については、これは財政負担するから認定が非常に厳重になるという性質のものじゃないだろう。これは一つの委任事務でございまするので、この点は必ずしも財政負担の問題とすぐ絡む問題じゃない、こういうふうに考えております。
  176. 柄谷道一

    柄谷道一君 それでは、もっと端的にお伺いしますけれども、私は厚生省も医療支出の適正化、このことに対しては大きな責任を持つ。しかし、法の上でその指導監督という権限を負う地方自治体もまたその共同の責任を負わなければならないと、こう思うんですね。両者これ一体になってその適正化に努めなければならぬと、こういうことになると思うんです。  そこで、これ端的にお伺いしますけれども地方財政の自主財源というものが何らかの形で確保されればいいというお考えなのか、本質的に一部を地方自治体が持つということは間違いであるとお考えなのか、もう簡潔で結構ですからお伺いします。
  177. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 本質的に私はこれは国の政策としてやる問題でございまして、国とそれから保険者と、その財政負担関係において解決するのが本筋だろうと、こう考えております。
  178. 柄谷道一

    柄谷道一君 この問題は年末にかけまして、厚生、自治省双方が火花が散る一つの大きな課題だと思いますし、またゼロベースシーリングの結果をどうするかにもつながっていく問題であろうと、こう思うんです。  これ以上の本日は質問をいたしましても、前へ進んだ答弁は得られないと思いますから、改めて行革国会の中で両大臣を並べて質問をしたいと、こう思いますので、質問を一応留保いたしておきます。  次に、自治省は、国家公務員と比較いたしましてラスパイレス指数で六・九%も高い地方公務員給与水準を是正するために、特別交付税減額の対象を、すでにカットされている期末・勤勉手当の上積み分以外に、他の手当にも広げる、また、給与水準が国と比べて著しく高い自治体には、特別交付税や起債を制限するということを検討していると、こう新聞に報道されておりますが、その考え方や、その検討の進め方について、この際明らかにしていただきたい。
  179. 土屋佳照

    説明員土屋佳照君) 御承知のように、臨調の第一次答申では、行政合理化効率化の一環といたしまして、地方公務員給与退職手当等適正化を取り上げておりまして、「国家公務員給与水準を著しく上回る地方公共団体に対しては、財政措置を講ずる。」といったことが述べられておるわけでございます。  いまお示しのございましたように、私どもとしては、現在までも期末・勤勉手当等で著しく国家公務員の支給水準を上回っておる団体については、財政的に余裕があるということで、特別交付税の算定の際にそれを差し引くという措置をとっております。今回、こういった答申が出ましたことは、お話のございましたラスパイレス指数が高いとか、いろいろなこと等含めて、著しく高いところに対応すべきであるという御意見だろうと思いますが、私どもとしては答申指摘を待つまでもなく、地方公務員給与については、適正化を進める必要があると存じます。  ただ、その方法といたしましては、給与の水準が著しく高い団体に対しましては、その運用等の状況について報告を求めて、地方団体みずからが計画的に適正化を図るように個別的に、具体的に指導していきたいというふうに考えておるわけでございます。そして、そういった計画の実施状況を見ながら、必要に応じて財政上の措置を講じていくことを検討してみたいと考えておりますが、具体策についてはなお研究を要する点も多々ございますので、引き続き検討を加えてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  180. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、地方財政計画の国並みの減量、そして地方公務員給与水準の適正化、これはやらねばならぬ政治課題であろうと認識いたしております。しかし、一面、こうした構想を実現しようといたしますと、一つにはラスパイレス指数が余りにも概括的であって、果たして制裁に踏み切る指数として適当なのかどうか。また第二には、制限するかどうかの境界をどこで引くのか、こういう技術的な問題が出てこようと思います。さらに、高賃金水準の自治体の起債を制限するということは、許可権の乱用になるのではないかとか、自治省による市町村に対する個別的、直接的な是正指導は憲法の地方自治の本旨に反するのではないかといったような反発が出てくることが予想されるわけでございます。しかし、給与水準の適正化はやらねばならぬ、しかしこういう反発は予想される。こういう中で、自治大臣としてこの適正化に対して具体的にどういう決意を持って臨まれようとするのか、明確にお答えをいただきたい。
  181. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) とにかく相当高水準の給与を出している地方団体が一部にあるわけですね。その結果、ラスパイレス指数が相当高い段階に入っておる。それからまたボーナスその他についてもかさ上げをしている。いまの公務員制度から申しますと、大体地方公務員国家公務員に準じてやるというのが一つの原則になっているわけです。これを恐ろしく逸脱しておるという団体につきましては、その是正方を私どもとしては求めていかなくちゃならぬと、こう思っておるわけであります。  その求めるやり方でございまするが、お話しのとおりに地方自治という観点の配慮もする必要があるだろうと思います。しかし、結論といたしましては、なかなか並み大抵のことでは是正に応じないという問題もあり得るだろうと思うんです、実際問題といたしまして。  そこで、第一には、やはりその地域団体の多くの住民がこの問題を意識して、議会もありまするし、首長の責任もあるわけでございまするから、そうした世論形成というものが私は非常に必要なことじゃないかと、それこそ自治の本来の姿じゃないかと、こう思うわけでございます。そういう方法も一つあり得ましょう。  それからまた、結論から申しますと、そういう団体は財政運営におきましてやはり余裕ある団体であると、財政的には。そういうふうにも見ることができるわけでございます。一々詳細を議論すれば、各団体ごとにいろいろの事情があるだろうと思いますけれども、総括的に申しますれば、そうした財源の余裕があるからそういう措置を講じ得るんだという大局的な認識に立って、これの問題を取り扱っていくということも一つの方法だろうと、それがいま地方自治の侵害であるとか、なんとかいう議論の誘発するところのやり方の一つでございまするが、起債の問題とか、あるいは特別交付税の問題とかについて手をつけますと、そういう議論が出てくる可能性はあると思っております。  しかし、何にいたしましても、その団体がそれだけの財政的な余裕があるからそういうことをやり得るのでありまして、その点については、やはり財政運営の方向といたしましては、問題として私ども考えていかなくちゃいかぬ問題じゃなかろうか。しかし、基本的にはやっぱり地方住民がこの問題に非常に関心を持って、そうして、この点について団体内部の努力によって是正をしていくという方向が一番望ましい姿だと私は思っております。
  182. 柄谷道一

    柄谷道一君 時間の制限がございますので、大臣としての決意を伺って質問を前へ進めたいと思います。  第二臨調の特別部会に対しまして、消防庁は全国三千三百の市町村中常備消防力を持っているのは五百弱しかない、常備消防力に対する地方要請はきわめて強い。また、都市を中心に救急活動の必要性が高まっている。また、消防組織法に基づく職員の充足率が八〇%弱である、こういう事情を説明をいたしまして、消防職員の増員は不可避ではないかと、こういうことを強く特別部会に意見を反映されたと、こう新聞に報道されております。そうした経過を経て臨調答申が出されたわけでございますけれども、消防庁としてこの答申に対しどのように対処されようとするのかをお伺いをいたします。
  183. 鹿児島重治

    説明員鹿児島重治君) 第二臨調の第二特別部会に対しまして、私ども消防力の基準につきまして説明をいたしたわけでございます。  基本的には、いまお話しがございましたように、たとえば、昭和四十二年当時は全国の市町村のうち、六百五十六市町村が常備消防を置くにすぎなかったわけでございますけれども昭和五十五年現在、二千七百九十二市町村が常備消防を置くに至っているわけでございます。これは全市町村数の八六%、人口にいたしますと全人口の九七%をカバーする、こういう状況でございます。このような経過を経まして、常備消防の職員数というものも、昭和四十二年当時は全国で五万三千八百五十七名でございましたけれども、五十四年には十一万七千六百五十七名ということで、二・二倍に増加をしていると、従来こういう経緯で増加をしてまいったということを説明したわけでございます。  そして、今後の見通しといたしましては、先ほどもお話し申し上げましたけれども、一つには、やはりまだ常備化されておりません町村が四百十二全国にございます。これは離島とか、ごく山村でございますとか、まだ必ずしも常備化ができない町村もございますけれども、この四百十二の中には今後常備化をいたしたいという町村もございます。これが一点。  それから、現在の消防職員の充足率、これは消防力の基準に対します充足率でございますが、大都市におきまして八六・一%、大都市以外の市町村におきましては現在七四・七%でございまして、平均いたしましても八〇%を割るという状態でございます。したがいまして、現在常備化しております町村につきましても、今後なお職員の充足を図る必要がある。  それから次には、いまお話がございました救急業務でございますが、現在年間約百九十万回の出動ということでございまして、これは年率にいたしまして、大体五%ないし六%という形で出動回数が増加をいたしております。  こういう趨勢にかんがみまして、私どもといたしましては、今後もある程度の人員増はやむを得ないというぐあいに考えているわけでございますが、先ほどもお答えいたしましたとおり、現在の厳しい財政事情のもとにあるわけでございますので、資材、人員の合理化効率化を図りまして、できる限り基調といたしましては、人員増を抑制するということを基本にいたしがなら、必要最小限度の増員はやむを得ないものと、かようにいま考えているわけでございます。
  184. 柄谷道一

    柄谷道一君 行財政改革の問題は、国政だけの問題ではないと思います。国民の目はむしろ身近に接する地方自治体に注がれていると言っても過言ではございません。私たち民社党は、地方の時代にふさわしい分権と自治と、こういう考え方に立った上で、公正で効率的な自治体行政の確立を求めております。そのために定員削減給与、退職手当の適正化、機構の簡素化事務事業の見直し、公営企業の経営改善、補助金の見直し、民間活力の導入、窓口業務の改善、監査委員制度の改革、住民参加の推進等十項目にわたりまして、具体的かつ建設的な提言をいたしておるところでございます。  これらの細部につきましては、行革臨時国会で十分ただしたいと思うわけでございますけれども、私は、やはり行革というものは中央地方を通じて推進しなければならない。やはり縦割りのエゴにとらわれたのでは行革は進まないと、こう思うのでございます。冒頭、大臣の決意をお伺いいたしましたので、これは質問としてではなく、今後の自治大臣としての具体的な行革推進の実績を見守ってまいりたい、このことを申し上げておきたいと思います。  次に、通り魔事件について質問したいと思います。  去る六月十七日、都内深川で起きました通り慶事件は、ささやかな家庭の幸せを一瞬にして崩す事件でございました。行きずりの男が、ほんの数分間に四人もの命を奪う、二人を傷つける。加えて人質をとり籠城する。しかも、新聞で報道される限り、犯人には一がけらの反省もない。もう一ヵ月経過したわけでございますけれども、私も、妻子を殺害された夫、父が男泣きをする、母を失った遺児がいたいけに幼い手で合掌する、その姿を今日もなお忘れることはできません。何としても、二度とこのような残忍な無差別殺人を許してはならないと思いますし、法治国家として確たる防止対策を立てて、善良な国民が安心して暮らせる社会づくりをする必要を痛感しておるのは私一人ではないと、こう思うのでございます。  そこでまず、この事件の概要と警察措置について簡単に説明を求めますと同時に、この事件の犯人は、犯行の動機を就職を断られたとか、覚せい剤使用の幻覚作用などと報ぜられておりますけれども、犯行の動機、環境など、事件の背景の捜査結果について、この際明らかにしていただきたいと思います。
  185. 中平和水

    説明員(中平和水君) まず、事件の概況と警察措置を簡単に申し上げますと、ただいま御質問にもございましたように、事件は六月の十七日の午前十一時三十五分ごろに、東京都江東区森下二丁目の路上で発生をいたしております。通行中の四人の方が次々に犯人の持つ柳刃包丁によりまして腹とか胸とかを刺されまして、いずれも死亡いたしております。なお、通行中の二人の方に対しましても、同様に刃物を持って襲いかかりましたが、この方々はけがを負わされて、幸い一命を取りとめている状況でございますが、さらに犯人は、通行中の女性を人質にとりまして、中華料理店に立てこもりまして、約七時間立てこもったわけでございますが、警視庁ではすきを見まして現場に突入をし、被害者を救出したと、こういう次第でございます。  非常に特異な事件でございまして、警視庁としましては全力を挙げてその事柄の真相の解明に当たっているわけでございますが、現在被疑者は、非常に事件の特異性にかんがみまして、東京地方検察庁で精神鑑定のために七月の十日から九月九日までの六十日間を東京拘置所で鑑定留置の処分に付しまして、この被疑者の犯行前、犯行時並びに現在の精神状態及び知能の程度、その精神状態に障害があるか、性格に特異な点があったかどうか、もしあれば、その原因とか程度はどのようなものであるか、そういうことを現在医学的に慎重な鑑定を実施中でございます。  私ども取り調べの結果の犯行の動機といたしましては、ただいまこれも御質問にございましたように、本人はことしの四月に刑務所を出所した後、これはすし屋の店員としていろんなところに働いておりましたが、いずれも長続きをしない。事件の前日にも、新聞の広告を見てすじ屋に就職の申し込みをいたしましたが、犯行のちょうど直前、十一時半ごろに、のすし店に電話をいたしますと、もうあなたは要らないと、こういうことを言われたんで、非常にかっと頭にきまして、就職をすれば結婚して妻や子供を養うことができると思っておったが、妻子を持つこともできない。幸せそうな親子連れを見ると腹が立って、やけになって犯行に及んだと、こういうふうな供述を繰り返しやっておるわけでございます。  なお、覚せい剤の施用の関係につきましては、この被疑者は、五十二年の三月ごろから五十三年の十月ごろまでと、それから五十五年の四月ごろにそれぞれ覚せい剤を使用した事実を認めておるわけでございますが、ことしの四月に府中の刑務所を出所してからは覚せい剤は施用してないと、このように申し立てをいたしております。しかしながら、逮捕時に採取いたしました血液とか、あるいは尿の検査の結果からは、覚せい剤の含有成分でございますフェニルメチルアミノプロパンというものが検出をされておりますので、この点につきましては、さらに警視庁で鋭意裏づけ捜査をやっておると、こういう段階でございます。
  186. 柄谷道一

    柄谷道一君 九月九日までの二カ月間の鑑定留置がされておるということでございますが、本人の供述は別として、本件の事件について、覚せい剤の使用が直接または間接的に関連ありと、このように警察は考えていらっしゃいますか。
  187. 中平和水

    説明員(中平和水君) 覚せい剤の影響があったかどうかということは非常に微妙なことで、非常に慎重に私ども現在対処しているわけでございますが、いずれにしろ、尿検査あるいは血液検査からそうした成分が出ておるということになりますと、これは影響は全くなしとはしないというふうには考えておるわけでございます。  しかしながら、犯行時の状況とかいうものを検討いたしますと、私どもは、責任能力はこれは十分にあった、刑事責任を問うに足りるだけの能力は十分に備えた人間であると、しかしながら、慎重を期するために医師の鑑定を経る必要があると、こういう立場で臨んでおる次第でございます。
  188. 柄谷道一

    柄谷道一君 昭和五十五年中の覚せい剤に係る刑法犯は九百二十六件五百六十九人に上っております。そのうち、殺人、放火、強盗、強姦、傷害、暴行等のいわゆる凶悪犯罪は百三十九件百三十六人に達していると、これは警視庁の統計で出しておるわけでございます。また、覚せい剤取締法違反の検挙者は、昭和四十四年までは年間大体千名未満であったわけでございますが、五十五年には一万九千九百二十一名と、約二十倍に増大をし、しかもそのうち再犯者の率は三九・七%に及んでいると承知いたしております。  ちなみに昭和五十五年以降のいわゆる通り魔事件発生の現況を見てみますと、五十五年二月八日、小倉南区における連続女性殺人事件以来、ただいまの六月十七日の江東区における連続殺人、傷害並びに人質立てこもり事件に至るまで、十二件の事件が発生いたしておるわけでございますが、その原因、動機等を見てみますと、未検挙の三件はこれは原因がまだわかりませんけれども、判明いたしました九件のうち、シンナー、覚せい剤の使用によるもの三件、精神分裂症四件、その他二件と、こうなっております。私は、このように過去の通り慶事件の多くがシンナー、覚せい剤使用などの精神に異常を来しての犯行であるということは、きわめて重大な問題を含んでいるのではないか。今日までのその実態と、特徴的な傾向について、警察当局の御見解をお伺いいたしたい。
  189. 谷口守正

    説明員(谷口守正君) 先生御指摘のとおり、覚せい剤というのは、その乱用によりまして、薬理作用から幻覚、幻聴、妄想などの精神障害を起こします。それから、最近特に問題になっておりますのが、覚せい剤中毒者が長期間その服用、使用をやめておっても、少量の再注射とか、あるいは不眠、精神的疲労などをきっかけにしまして、乱用時の症状が突然あらわれるというフラッシュバック現象というのがあるわけでございます。そういうようなことで、殺人、放火などの凶悪な犯罪とか、あるいは交通事故、これを引き起こすという例が多いわけでございます。また、一たん覚せい剤乱用を始めますと、やめられなくなりまして、覚せい剤購入代金欲しさに窃盗とか、詐欺等の犯罪を犯すというような例が多いわけでございます。  そういうことで、昨年一年間、覚せい剤に係る事件、事故の検挙状況は、八百五十一人ということでございまして、一昨年に比べまして六十人、八%の増加というような状況になっております。特にこの中では、先生も御指摘になられましたように、殺人につきましては、未遂を含めてでございますけれども二十六人、それから放火が十人、強盗が十二人検挙していると、こういうような状況でございます。
  190. 柄谷道一

    柄谷道一君 この対策というのは非常にむずかしいことは承知いたしておりますけれども、検挙者のうち再犯者の率が約四〇%あるということは、いかにこの問題の対応が重要であるかということをこれは示唆していると思うのでございます。一般の犯罪はもとより、特に通り慶事件の防止対策上、シンナー、覚せい剤使用の取り締まり強化という問題が当然重要になってくるわけでございますけれども、警察としての対処方針について、具体的にお伺いしたいと思います。
  191. 谷口守正

    説明員(谷口守正君) 覚せい剤をめぐる厳しい情勢に対処するために、現在総理府にあります薬物乱用対策推進本部におきまして、覚せい剤問題を中心といたしまして、政府として緊急に実施すべき対策が審議されておるところでございます。  警察庁も、そのメンバーといたしまして、関係省庁と協力しまして、その対策の充実を図っているところでございますけれども、私どもとしましては、取り締まりの主管官庁ということになるわけでございまして、そういう面ですでに全国の都道府県警察に対しまして、覚せい刑事犯取り締まりの強化を示達しております。  具体的に申し上げますと、まず密輸入事犯の水際での検挙、それから暴力団を中心といたしました密売組織の壊減とか、それから末端乱用事犯の徹底的検挙を柱にいたしまして、需要と供給の両面にわたって、取り締まりを従来にも増して一層強力に推進してまいりたい、こう思っておるわけでございます。さらに、覚せい刑事犯は広域化、組織化、潜在化する傾向があるわけでございます。そういうことで、各都道府県警察、それから管区警察局に薬物事犯捜査共助官という者を置きますとともに、登録事件、指定事件制度というものを設けまして、広域にわたります覚せい刑事犯の効率的、組織的捜査の推進に努めているところでございます。  最後に、これらの取り締まりとあわせてでございますけれども、警察独自に、あるいは関係機関、団体と協力いたしまして、各種の啓発活動を強力に推進いたしまして、覚せい剤の乱用を拒絶する社会環境づくりに努めているところでございます。
  192. 柄谷道一

    柄谷道一君 今後も一層その対策を強化していただきたいと思いますが、大臣はこの江東の通り慶事件の直後、覚せい剤犯罪者に対する監視制度強化のための法制化を求めていく、こういう発言をされたと報道されております。これは非常に人権問題ともかかわる問題でございますけれども、私は犯罪者に人権があると同時に、またその被害を受ける国民にも人権はある、こう思うんですね。その整合性をどうしていくか、これは非常にむずかしい問題ではあると思いますけれども、公安委員長として、この法制化の問題を含めて、シンナー、覚せい剤使用の取り締まりを含めたこの通り慶事件の防止策に対する所信をこの際お伺いしておきたいと思います。
  193. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 麻薬については、事後の監視制度があるわけでございますけれども、覚せい剤についてはそれが欠けておるわけでございます。これがやはりいろいろ問題を起こす一つの要因にもなっていると私は考えておりまするので、所管としては厚生省になりますけれども、厚生当局に、この点については十分ひとつ検討して、でき得べくんば法制化の線で考えてもらいたいという希望を申し述べておるところでございます。今後も十分接触をしていきたいと思います。
  194. 柄谷道一

    柄谷道一君 さきの九十一通常国会におきまして、犯罪行為等により不慮の死を遂げた方々の遺族、または重障害を受けた方々に対しまして、国が犯罪被害者給付金を支給するために、犯罪被害者等給付金支給法が制定されました。本年一月一日から施行されたわけでございます。  これも新聞報道でございますけれども、東京都公安委員会は本月の十日、具体的にはこの長野さん一家ですね、これは奥さんとお子さん二人合わせまして七百五十万円、二本松さん、これは奥さんを亡くされたわけでございますが、三百七十万円を給付するということを決めたという報道がされております。これはこの法の最高限の給付金でございまして、たとえ苦情の申告を受けましても、国家公安委員会としては、これ以上の措置は法律上できないものと思いますけれども、この事実間違いございませんか。
  195. 金澤昭雄

    説明員(金澤昭雄君) いまお話のございました長野さんに対します給付金の決定額が七百五十万円でございます。二本松さんに対しましては三百七十万円、そのとおりでございます。七月十日に東京都の公安委員会が裁定をしております。
  196. 柄谷道一

    柄谷道一君 現行法ではこれ以上に見ることはできないと、いわゆる金額を減らす方を全部取り除いて、法の限界いっぱいの給付をされた、それがこの金額である。しかし、私は人間の命というものが、法律を通すときはよかったんですけれども、こういう事件が起きますと、果たしてこの給付金額そのものが適切であるのかどうかということについて、この金額を見たときに一つの疑問を感ぜざるを得なかったわけでございます。同法案に対する地方行政委員会の附帯決議にも、「給付水準については、被害者等の実情に即し、また他の諸制度との均衡、物価水準の変動等をも参酌し、所要の改善が図られるよう配慮すること。」、こういう附帯決議がついております。もちろんこれだけを引き上げるわけにはいかないわけですね。犯人逮捕のために協力した一般市民の、そのために受けた被害というものに対する補償の内容とか、そういうものと横にらみしなければならないわけですけれども、横にらみしても全体の水準そのものが低いということをこれは物語っていると思うんです。  そこで大臣、一つの法案が成立しまして、施行されて、普通常識でいけば、数年間はこの水準が続くというのはこれ行政の常識ではございますけれども、私はこの見直しというものは、これを一つの契機として、早急に行われるべきではないだろうか、そしてその金額の適正な引き上げというものを図られるべきではないか、このように痛感する一人でございますけれども大臣いかがでございましょう。
  197. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) おっしゃる意味はよくわかるわけでございますが、この制度ができました当時の物価水準その他を横並びの関係も考慮いたしまして、こういう基準にしたわけでございますが、成立早々でありますけれども、どうも実情に合わないんじゃないかというような感じを持つことは、これは否めない事柄だと思うんです。したがって、今後この問題を検討する必要はあるだろうと思います。ただ、率直に申し上げますと、いま財政再建の渦中でございまして、そうした問題というものは非常に通りにくい環境にあること、これは否めない事実でございますが、しかし事態を率直に考えますと、やはり若干の考慮を払ってもいい問題じゃないかと、こう考えておりますので、今後ひとつその方面に向かっての努力をしてみたいと思っております。
  198. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、大臣行財政改革というのは何もけちけちして、すべてを削るというものじゃないんですよね。なぜ経費を節減するか、節減された原資というものを有効にどこへ使っていくのか、これは第二臨調の冒頭理念にも書かれているわけですね。弱者に対してはより重く見なければならぬ、そのために行革はやるべきだと、こううたっておるわけですから、大臣余り行革行革——これはやるべきものと、もっとかさ上げしなければならないものは峻別を願って、大臣ひとつ自信を持ってその見直しの作業をやってもらいたいと思います、どうです。
  199. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) まあそれはおっしゃるとおりだと思いますが、しかし行革となりますと、細かいことまでけちけちするのがこれは常識でございまして、それだけになかなか抵抗は私は多いだろうと思っています。率直にその点は申し上げたわけです。それからもう一つ弱点といたしましては、成立早々じゃないかと、いまそう言うのはおかしいじゃないかという議論だって当然出てくる議論だと思うんですが、しかしそういうことをひとつ十分に考えながら、この改善方については努力をしたいと、こう思っておるところです。
  200. 柄谷道一

    柄谷道一君 さらに通り魔犯罪の被害者の遺児などを救援するために、犯罪被害救援基金制度ができたわけでございます。しかし、今回の事件、これは御主人が亡くなっておればその対象になったと思うんですけれども、亡くなられたのが奥様とお子さんでございますから、この基金の適用は受けないわけですね。そう理解していいですね、  そこで、これに関連しまして現在の基金の実態ですね、どれくらいの金がいま集まり、どのようにそれが運用されているのか、簡単で結構ですからお伺いします。
  201. 金澤昭雄

    説明員(金澤昭雄君) 財団法人犯罪被害救援基金でございますが、五月の二十一日に内閣総理大臣と文部大臣の設立許可を受けまして、財団として正式に発足をいたしております。それと同時に、この財団が行います募金活動、これにつきましては、その後大蔵省の方から特定寄付の指定を受けまして、現在活発にこの募金活動を行っておる最中でございます。予定としましては、この事業開始に必要な金額十六億円ということで予定をしておりますが、現在、十八日現在でのこの募金の集まりぐあいでございますが、約七億円ちょっとというところでございます。現在リーフレット、ポスター等を多量につくりまして、鋭意その広報活動をやっておる、こういう状況でございます。
  202. 柄谷道一

    柄谷道一君 大臣、広報活動をやっておられるのはよく承知しておるんですけれども、現在の募金の集まり方から見ると、まだまだ広報に十分と言えない面があるんではないかと、こう思うんですね。これ公安委員長であり自治大臣国務大臣でもあるわけですから、やはり内閣を挙げてこの事件というものを一つの不幸な事件ではございますけれども契機として、さらにその募金の実績が進捗するように、大臣としても積極的に御努力を願いたいと、これは強く要請をいたしておきたいと思います。  時間がございませんので、私は青少年の問題、さらに暴走族問題につきましても御質問したいと考えておったわけでございますけれども、ちょうどこれ夏休みですね、やはりこういう暴力事件の芽生えは夏休み期間中に生まれると、こう言われております。この問題に対するひとつ一層の御努力お願いいたしますと同時に、交通事犯の理念などにつきましていま同僚議員からの御説明があったんですけれども、私は現在警察が実施しております取り締まり、指導について一応の評価はいたしますけれども現実に街へ出てみますと、暴走族の無法ぶりが目につきます。果たして警察は真剣に暴走族を取り締まっているんだろうかという疑念を持つのは私一人ではないと思うんです。平穏な生活を求める国民の保護と、正直ドライバーだけが違反取り締まりを受けるという不公平な違反取り締まりに対して、私は批判を持たざるを得ません。また、国会周辺の右翼のデモでございますけれども、これも明らかに条例違反であり、あそこで警官に阻止されて堂々とUターンやっているわけですね。一般の自動車があそこでUターンすれば完全にこれは道交法違反でございます。どうも弱いところにだけ取り締まりの手が伸びて、依然として強き者は無法ぶりを示しておる、こんなことではならないと、こう思います。この点警察当局に対しましてひとつ苦言を呈しまして、今後の善処方を要望いたしておきたいと思います。  最後に、私は警察といえども行革の聖域ではないと、こう思います。しかし一方、主要国における殺人、強盗、強姦等の凶悪犯罪事件の検挙率はわが国は群を抜いております。また、警察官一人当たりの負担人口は日本の場合五百五十人、先進各国に比べまして一人の警察官が負担する人口は多いという実態も出ておるわけでございます。国民の権利と自由の保護、公共の安全と秩序の維持はきわめて重要な問題でございます。質量ともに複雑多様化する警察事象に対処するためには、私は適正な警察力の維持は図らなければならないと思います。また、警察庁予算における補助金性大部分が犯罪捜査、防犯活動、交通取り締まり等の警察活動に必要な都道府県の経費に対する補助金か、または警察施設、警察官待機宿舎、交通安全施設等治安の物的基盤の整備費というのが非常に多いわけですね。私はこうした警察予算の実態というものを考えますと、合理化できるものは合理化してもらわなきゃならない。しかし、ただ財政にのみとらわれて、日本の治安というものを悪化させるということは断じてこれは阻止しなければならぬ、こう思うわけでございます。  最後に、公安委員長として警察に関する行財政改革に対する基本的な認識をお伺いいたしまして、時間が参りましたので、私の質問を終わりたいと思います。
  203. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 警察の分野ももちろん臨調の範囲外だ、財政改革あるいは行政改革の範囲外だと私は申しませんけれども、しかし、これは性質が少し違うと思っております。治安の問題を支えておるのが警察力でございまして、日本の警察力というものは世界にも誇るべきような業績を上げておるわけでございます。  そこで、一つは定員の問題があります。それから活動費の問題があるわけであります。定員の問題についても、やはり警察の使命、警察機能というものが国家存立の基礎といたしまして、きわめて重要だという点に認識を置きまして、やはりその線に沿うた配慮をいたすべき問題と、こう考えております。  それから、都道府県に対する補助金でございますけれども、これはほとんど活動費なんですね。それに地方団体が継ぎ足しまして、警察活動が行われておるわけでございます。そういうものが非常に減りますというと、警察官はそろっておりましても、活動費がないために活動ができないという憂慮すべき事態が出てくるわけでございます。したがって、この補助金性質も、一般の補助金とはよほど性質が違うものだという私は認識を持っておるわけでございます。したがいまして、この点についても相当の配慮をしていかなくちゃならぬ問題だろう、こう考えておるところでございます。    〔委員長退席、理事佐藤三吾君着席〕
  204. 安武洋子

    ○安武洋子君 けさから同僚議員の質疑も行われておりますけれども、私も臨時行政調査会の第一次答申関連して、幾つかの点でお伺いをいたしたいと思います。  答申は各論の中で随所に地方自治体に関する改革方向、これを提起しておりますけれども、最初に答申の示している地方自治基本認識について私はお伺いいたしたいと思います。  臨調の第一次答申を見てみますと、行政改革の一つといたしまして、行政民主化を掲げて、その第一の部分で「行政は、国民が便利なようにできるだけ国民の身近なところで、国民の批判を受けながら実施し、国民のために実情にあった行政が行われるとともに、なるべく国民負担を軽くすることが必要である。このため中央集権主義の行き過ぎを是正し、地方自治を強化する方向で、」云々、こういうふうに述べられております。行政改革基本方向を提起をいたしております。  ところが、今回の答申を見てみますと、その基本に当たる総論でございますね、ここで地方自治制度の現状とか、それから改革の基本方向など、こういう理念の展開、これが全く見当たりません。答申の言う「活力ある福祉社会の実現」、この上で地方自治の役割りなり、あるべき姿など、こういうものが全く位置づけられていない。そして、もっぱら簡素化効率化、こういう名のもとに地方自治体に減量経営を迫まるものというふうになっていると思います。私はこれは明らかに地方自治体の本旨への認識が後退したものになっているというふうに思いますけれども、自治大臣としてはいかがお考えでございましょうか、お伺いをいたします。
  205. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) その点について、地方分権、あるいは国と地方との権限の分離、それから委譲すべきものは委譲する、そして効率化を図っていくというような基本的な問題は、第二臨調において、次の答申において至急に出したい、こういう構想でもって進められておるわけでございまするから、私どもはそれに期待をしているわけでございます。  今回の答申は、繰り返して申し上げますけれども、五十七年度の予算編成に関して、当面とるべき方策についての答申でございまするので、そのことはそれといたしまして、次にそうした基本的な問題についての答申が当然行われるべきものであろう、こう考えております。    〔理事佐藤三百君退席、委員長着席〕
  206. 安武洋子

    ○安武洋子君 なるほど五十七年度の予算編成に合わせての答申であってみても、私はやはり基本的な考え方の土台に立って、五十七年度の緊急的な答申も成り立つものだというふうに思っております。  この総論の中にやはり目指すべき方向として現時点においては、「国内的には「活力ある福祉社会の実現」」というふうにうたってありますし、そしてこの中では、「同時に、家庭、地域、企業等が大きな役割を果たしてきた我が国社会の特性は、今後もこれを発展させていくことが望ましい。」というふうになりまして、「個人の自立・自助の精神に立脚した家庭や近隣、職場や地域社会での連帯を基礎としつつ、」というふうなことになって、それで「福祉の充実を図ることが望ましい。」、やはりこの中間に私は地方自治体の果たすべき役割りが抜けていると思うんです。ですから、答申地方自治分野における行政改革課題、これは単に簡素化とか、効率化とか、こういうことに矮小化してしまいまして、行財政権限の強化、こういうことを内容とした地方自治の拡充という、こういう観点が総論部分で無視をされてしまっている、否定をされてしまっているというふうに私は思うわけです。こういうふうな総論のもとで、地方自治体に対して、各論ではこれは補助金削減、それから国の費用負担義務を地方自治体に転嫁するという、こういうことの列挙がずっと出てくるわけです。しかも、補助制度から地方一般財源への財源の委譲というふうな、地方自治を拡大していこうというふうな上での必要な措置ですね、これは示されていないわけです。私は国の財政再建とか、いま申しました国際社会に対する貢献のための活動を高めること、こういうことを名目にしまして、地方自治体と住民に一方的に犠牲を押しつける、こういうふうな地方自治を無視したやり方というのは、いまの地方自治体を発展させる、それから地方自治体を発展させるというふうなこの地方自治制度に求められている行政改革方向ではないというふうに考えますけれども、この点大臣はいかがお考えでございましょう。
  207. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 第一次答申というものは、焦点を五十七年度予算編成に向けての当面の問題について取り組んだ答申でございまするので、いまお話のありましたような点について、若干欠落している面はあると思います。しかし、基本理念としては、やはり国も地方自治も、ともどもにそれぞれの機能を発揮して、そして効率的な、そして簡素化された行政体制をつくるということに焦点があるわけでございまするので、次の答申においては、この点についてしっかりした答申が行われるであろう、こう期待をいたしております。また、第一次答申を取り扱うにつきましても、私がいま申しましたような観点から、最大限度にこの第一次答申を消化していきたい、こう考えておるところであります。
  208. 安武洋子

    ○安武洋子君 私は、やはり総論部分でこの基本的な考え方が欠落をしている。このままでいきますと、自治省というのはあくまでも地方自治を発展させる省でなければならないと思うわけですけれども、これではまるで自治体を監督するような省であるというふうな位置づけになってしまわないかと思います。やはり国民の要望にこたえて、地方公共団体がその役割りを適切に果たしていくために云々というふうなことで、国民要請にこたえ得る地方公共団体であらねばならないという考え方をいままで自治省はお示してございますから、私はそういう立場を踏まえて、地方自治を発展させるということでいろいろのことに御対処をいただきたいということを強く要請を申し上げます。  そこで、個別方策に対する御見解を伺っておきたいと思います。  私は先日の委員会で、国保の給付費とか、あるいは児童扶養手当の一部負担の問題とか、あるいは老人医療に対する地方の単独事業についてお伺いをいたしました。  そこで、きょうは公共事業関係費の地域特例の引き下げについてお伺いをしたいと思うんです。答申では、地域特例につきましては、「終期到来時には廃止を含め抜本的な見直しを行うとともに、財政再建期間中現行の嵩上げ率を引き下げる。」、こういうふうに述べております。答申ではどの地域特例をどのようにせよとは述べてはおりません。しかし、補助率のかさ上げの地域特例の対象事業というのは、これは私が申し上げるまでもなく、住宅とか、道路とか、下水道とか、河川、海岸あるいは港湾、都市公園というふうな、非常に生活に密着した公共事業です。このかさ上げの廃止とか、あるいは引き下げとか、こういうふうなことになりますと、公共事業が減少するというふうなことで、地方経済やそれから住民生活に大きな影響が生じるというのは、これは明らかだと思います。  そこでお伺いいたしますけれども、いま全国の地方自治体がかさ上げを受けている特例の件数の合計、そしてその金額、それは一体どれぐらいございましょうか、そしてそのうちに自治省の所管分は一体何件あって、金額にすればどれくらいでございましょうか、お伺いをいたします。
  209. 土屋佳照

    説明員土屋佳照君) 地域財政特例によりますかさ上げ額の総額につきましては、法律の所管が御承知のように国土庁なり、通産省なり建設省といったように、各省庁にわたっておりますし、予算計上とか、執行も各省庁に分かれておりますので、正確には把握しておりませんが、主として昭和五十五年度ベースでおおむね五千三百億円程度となるものと承知をいたしております。数として、特例のこの法律は十八件ぐらいございます。そのうち自治省所管のものが五件ございまして、これについての総額は合わせまして、主として五十五年度をベースに置きまして二千九百八十億円程度になっております。
  210. 安武洋子

    ○安武洋子君 いまお伺いいたしましたように、地域特例、こういう補助率のかさ上げとか、これが廃止、引き下げ、こういうふうになりますと、非常に国民生活に密着した部門でございますから、そういう公共事業ですから、こういう公共事業が減少していくということはこれは必至です。この代替の財源措置、こういうふうなものがとられますとこれは別ですけれども、こういう代替の財源措置がとられない限り、国民生活に密着した公共事業が減少していくというふうなことで、関係自治体の財政、こういう点はもちろんでございますけれども地方経済とか、あるいは住民生活、こういうところに重大な影響が生じるということは、これは明白なことだと思うわけです。沖縄などではほぼ全事業の十割のかさ上げが行われているというふうに聞いておりますし、それから北海道などでも大変な地域経済に影響を及ぼすのではなかろうか。地域経済を揺るがしかねないというふうにも思います。また、このほかにも秋田のように幾つかの地域特例を重ねて受けているというふうなところもあるわけですから、いよいよこういうところは深刻になろうかと思います。こういう点を一体どのようにお考えでございましょうか。それからまた、自治省の管轄だけではないので、こういう点については各省庁にもいろいろとお願いをなさらないといけないと思うわけですけれども地方自治を守るという立場から、私はいろんな要望を出していくべきだというふうに思っておりますけれども、こういう点二つ、あわせてお伺いをいたしとうございます。
  211. 土屋佳照

    説明員土屋佳照君) 七月十日の臨調の第一次答申におきましては、お示しのございましたように、地域特例につきましては、終期到来にかかわるものは廃止を含め抜本的に見直しを行うといったようなことが言及されておるわけでございます。ただ、地域特例というのは、いまもお話のございましたように、国土の均衡ある発展を図る上でそれぞれの政策目的を持ってつくられておるものでございますから、地域特例の見直しにつきましては、それぞれの特例の政策目的、あるいは事業の円滑な実施方向関係地方公共団体財政運営、あるいは地域経済への影響といったことなどを総合的に十分考慮する必要がございますし、そういうことを考えますと、地域特例制度基本的な仕組みというのは、これはやっぱり維持されていくことが適当じゃないかと考えられますので、私どもとしては、いろいろ見直しに当たっては慎重に対処すべきものだと思っております。いろいろと今後検討されるわけでございましょうけれども、そういった立場に立って、関係省庁にも、私どもとしてはこういった見解を申し述べて、それぞれのところにおいて、十分実態を見きわめた上で対処していただくようにお願いをしておるところでございます。
  212. 安武洋子

    ○安武洋子君 では少し具体的に、自治省の所管の地域特例、これは首都圏、近畿圏、中部圏と後進地域、それから公害防止地域、新産工特地域、こういうふうな特例があると思いますけれども、これらの多くはさきの国会にかかったものがほとんどでございます。これらについては答申との関係で、自治省としてはどのように対応されるおつもりでございましょうか、お伺いをいたします。
  213. 土屋佳照

    説明員土屋佳照君) ただいまお示しのございましたように、自治省所管の特例に関する法律は、新産工特地区、首都圏の財特、それから公害財特法、こういったものと、あと後進地域その他若干ございますけれども、そういうものが主でございます。  最初に申し上げたもの、そしてまたいまお示しのあったものについては、すでに五十六年度から新しく見直した上で発足をしておりまして、それぞれ若干財政力等に応じて見直しも行ってきたところでございます。そういった意味では、私どもとしてはすでにこの特例については見直しはしたと思っておりますけれども、そういったものも含めて、今回の臨調答申においては、全般的に見直しをするような方向が示されております。そういったことが示されておりますから、私どもとしては全般的な検討の中で取り上げて議論はしてみたいと思っておりますけれども、その対応の仕方は、先ほど申し上げましたような、いろいろな点から総合的にいろいろな影響を考慮して考える必要がございますので、基本的な仕組みをそう変えるわけにはいかないと思っております。慎重に対処していくべきだという考え方は変わっておりません。
  214. 安武洋子

    ○安武洋子君 大臣ね、いま基本的な考え方は変わっていない。自治省が、やはり自治省所管の地域特例に対して、どういう態度をおとりになるかということで、私はやはり各省庁にいろいろお願いをされるわけですし、各省庁の態度も変わってくると思うのです。やはり地域経済に、そして住民生活に大きな影響を与えるわけですから、この地域特例による補助率のかさ上げ、これが廃止、引き下げというふうなことで、非常に国民生活に大きな影響を与えることのないように、慎重な私は取り扱いをしていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  215. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 関係省庁がたくさんあるわけでございまするから、自治省考え方について同調してもらうように、各省庁とも十分連携をとって、この問題には対処していきたいと考えております。
  216. 安武洋子

    ○安武洋子君 次に、答申では医療保険とか、各種の公的年金に対する事務費国庫負担保険料財源への切りかえ、これを求めておりますね。これは、地方自治体にとってみれば、国民健康保険とか、それから国民年金等の事務費の国庫負担という原則が崩されることになるわけですね。特に国保などでは一部で一般財源をつぎ込まざるを得ないというふうなところもあるような実態です。ですからこういうふうな実態から見てみましても、この答申の医療保険や、それから各種の公的年金に対する事務費の国庫負担保険料財源への切りかえなんというふうなことになりますと、地方自治体はもろに事務費用の肩がわり、これをしなければならない、地方自治体にもろに事務費用の肩がわりを強要するというふうなことになりかねないわけなんです。私は、この事務費への補助金なり、交付金というのは、地方財政法の十条の四の「(地方公共団体負担する義務を負わない経費)」であって、全額国庫負担すべきものだというふうに思いますけれども、これが筋ではないでしょうか。自治省としてはいかがお考えでございましょうか。
  217. 土屋佳照

    説明員土屋佳照君) 先般の臨調答申におきましては、国民健康保険なり、国民年金の事務費、国庫負担保険料財源への切りかえについて指摘がされておることはお示しのとおりでございます。そういった意味では、直接的にはこれは地方肩がわりという問題にはつながらないわけでございますが、問題はたとえば国保について、その事務費を保険料財源に切りかえるということになってまいりますと、ただでさえ国民健康保険というのは御老人が多いし、退職者が多いし、きわめて低所得者が多いといったようなこともございますために、保険事業として制度的、構造的に財政基盤が脆弱なものになっておるわけでございますから、そういった意味では保険料の徴収でさえなかなか容易じゃないという状況のもとに、国民健康保険について新たに被保険保険料を徴収して財源とするということには、国保に関しては私は大変無理があるような感じを持っておるわけでございます。  それから十条の四の規定でございますが、まさにそこにございますように、健康保険等に関する、あるいは国民年金に関する経費については、地方団体負担する義務を負ってない、これは現行法上さようでございます。したがって、いろいろ変えるとなれば、法律改正までいかなければならないだろうと存じます。もしこの原則を外すということになれば、法律を変えなければできないということになろうかと思います。
  218. 安武洋子

    ○安武洋子君 法律を変えてこれをおやりになろうという、そういう姿勢じゃございませんでしょう。
  219. 土屋佳照

    説明員土屋佳照君) そういう姿勢で申し上げたわけではございませんで、基本的には最初に申し上げたようなことでございます。現行法ではこうなっておるので、いろいろ提案が出ておりますけれども、それをやるとすれば、法律段階で十分検討し、そして法律改正をしなければならないものであるということを申し上げただけでございます。
  220. 安武洋子

    ○安武洋子君 私はやはりそういうことはすべきでないと、そういうことはやってはいけないということを強く申し上げとうございます。大臣それでよろしゅうございましょうか。
  221. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) そのとおりです。
  222. 安武洋子

    ○安武洋子君 それでは次に、自治省、七月十八日に各省庁事務次官にあてて「昭和五十七年度の地方財政措置について」という要望を出しておられます。これを拝見しますと、従来要望されておりました国保事務費の補助金とか、それから国民年金の事務取扱交付金などの超過負担解消の要望がことしは書いてないわけですね、消えてしまっているんですね。これはどのような一体理由なんでしょうか。補助金への非常に攻撃が厳しいから、超過負担まではなかなか言えないんだというふうなことで、出しにくいから出さなかったのか、あるいは事務費とか、国庫負担の取りやめもやむを得ないというふうなことで出さなかったのではないとは思いますけれども、一体これどういうことでこれが消えてしまったのかというふうなことをちょっとお伺いしたいんですが。
  223. 土屋佳照

    説明員土屋佳照君) 今回の各省申し入れについては、過去からいろいろやっておりましたものを見直しまして、ちょうど行革の時期でもございますし、全般的に見直しまして、必要なものを拾い上げて各省庁お願いをいたしたわけでございますが、五十七年度地方財政措置についての超過負担の解消については、これはもう共通事項として、最初に「超過負担の解消等」という項目を設けまして、速やかに実態を把握して、完全解消に努めてもらいたいということ、それから、補助単価等についても、実態に留意して適正な単価を設定されたいことといったようなこと等を精細に書いてお願いをしておるわけでございます。それぞれのところで共通したものを一々繰り返して書かなかったということではございますが、基本姿勢はもう十分私どもとしては示しておるつもりでございます。
  224. 安武洋子

    ○安武洋子君 いままではやはり共通項と、それから個別項というふうなことであらわされていたので、私はやはりこの超過負担については、いま地方自治体が非常に重荷に感じているわけですし、いままで国保事務補助金についても、それから国民年金の事務取り扱いの交付金についても、いろいろと改善をしてきたけれども、国庫の支出額と、それから実支出ですね、この間にまだ乖離が生じていると、引き続き改善をしてほしいと、こういうことを強く要求をなさっていらっしゃるわけです。やっぱりこういう項目が消えますと、私ども等にとっては、いま御答弁いただいたので、強い姿勢を持っているんだということで安心はいたしましたけれども、そういう点でやはり一つずつに丁寧に書いていただいた方がよかったのではなかろうか、超過負担解消については、やはり私どもも大きな関心を持っておりますので、その点もう一度確認をさせていただきます。
  225. 土屋佳照

    説明員土屋佳照君) まあ超過負担といえば非常に広い分野にわたるわけでございまして、たとえば先ほどからお尋ねのございました国民健康保険財政の改善に関しまして、国民健康保険事務補助金については、引き続き実態に即した単価に改める等改善、合理化を図られたいということを個別事項でも取り上げております。国民年金の事務取扱交付金についての改善も個別事項で取り上げておるわけでございます。ただ、全般としては重複を避けるというかっこうで整理をしましたので、御懸念のようなことが見受けられたかもしれませんが、基本的に共通事項で大きな形で打ち出しておるつもりでございまして、姿勢を後退さしておるつもりはございません。
  226. 安武洋子

    ○安武洋子君 私はいま事務費の問題などをお伺いいたしましたのは、やはり地方財政法の第十条の、国が進んで経費を負担する必要があるという、これらの負担の原則、それが崩れていく問題であるからということで、重要視をしてお伺いをしたわけです。こういうことはやはり見直していって、崩してしまいますと、これは国民健康保険の給付費とか、あるいは児童扶養手当の一部負担とか、こういうものが地方に押しつけられてしまうというふうな突破口にもなりかねないわけです。そういうものだけに、私は自治省がここの中で、五十七年度の地方財政措置についての要望の中で、「財政負担地方公共団体へ転嫁することのないよう特に配慮していただきたいと存じます。」というふうにきちっと書いてなさるわけです。こういう原則、姿勢を私はちゃんと持っていただいて、毅然として、いま財政難とか、いろいろ行革とかと言われておりますけれども、やはり私は自治省としては、い文言いました財政負担を、地方公共団体へ転嫁することのないようにというこの立場は堅持して、毅然としてやっていただきたい、このご之を最後大臣にお伺いをいたしまして、時間が参りましたので質問を終わりたいと思います。御答弁をいただきます。
  227. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) おっしゃるとおりの方針で私は進んでまいりたいと思います。
  228. 森田重郎

    ○森田重郎君 私は最近の青少年の非行化の問題につきまして、何点かの質問をさせていただきたいと思いますが、まあむしろ質問を申し上げるというよりも、現在の青少年の非行化の実態をつぶさにお聞きしながら、その対策等の問題について、いろいろ皆さんのお知恵を拝借したいというような感じの中で質問をさせていただきたい、かように思います。  ちょうど実は私この十日ほど前にさかのぼりまして、ずっといろいろ新聞論調で青少年の非行化問題等が取り上げられておりますけれども、そういうふうなものを見ておりまして、もう少しこの問題につきましては、これは将来のやはり国の命運にもかかわる大きな問題であろうというようなことで、こういった意味の青少年問題に対する一つの国の姿勢というふうなものを改めて考え直す必要があるんじゃなかろうかというような感じを非常に強くしておる者の一人なんです。  たとえて申し上げますと、去る十三日に、中学校のこれは体育関係の教師でございましょうか、教育に自信がなくなったというようなことで首つり自殺をされております。それから、翌日の十四日には、これは中学の女教師が、やはり教える自信を喪失したというようなことで自殺をしておる。十五、十六、十七、十八と連日このような青少年の粗暴犯というか、凶悪犯というか、こういったようなものが実は連発しておるわけでございます。  きょうの、これはサンケイ紙の夕刊ですが、九州の私立の九州工業高校の校長先生ですが、生徒の非行に責任が持てないというようなことで、突然辞意を表明されておる。これはきょうのサンケイでございます。  それから、きょうの朝日新聞を見ますと、これは投書欄でございましょうか、ひどいんですね、こういうことが書いてあるんですね。これは中学の女教師のお母さんの投書ですが、「教育実習を終えた娘から、長い手紙がきた。読んでいくうちに涙が出た。」こう母親が言っておるんです。「娘は、東京都内の公立中学に実習に行った。その娘の文面によると、音楽の時間というのに、生徒は窓から入り、教室内では走り回る。先生には「テメェ」と呼びかけ、なにかというとヤジを飛ばす。「先生、男を知ってんの?ぼくたち、そんなことを聞きたい年ごろなんだよナ」」、こういうようなことを言ってるわけです。恐らくは警察当局等におきましても、こういった最近の児童語録というようなものがずいぶん情報として入っておられるかと思うんですが、最近特に児童、生徒あたりが、教師に向かつて同じようなことを言っておられると仮にするならば、そういったような問題を幾つか事例を挙げてひとつ御説明願いたい、かように思います。
  229. 谷口守正

    説明員(谷口守正君) 私どもが特に問題にしておりますのは、校内暴力事件ということになるわけでございますけれども、御案内のとおり昨年来大変増加してきております。ちょっと数字を申し上げたいと思いますけれども、昨年一年間で校内暴力事件が全国で千五百五十八件でございまして、前年比で二九%の増加ということでございます。このうち先生御指摘になりました教師に対する暴力事件でございますけれども、三百九十四件でございまして、前年比で六九・八%、約七割増というような状況になっておるわけでございます。このような増加傾向が本年に入りましても依然として続いているということでございまして、三月末現在でございますけれども、校内暴力は四百二十七件で、前年同期比で二八・二%の増、うち教師に対する暴力事件が百二十五件で、前年同期比で四二%の増というような状況になっております。  そこで、検挙事例を通じて見てみますと、犯行の態様というのがいよいよ凶悪、粗暴化してきております。教師の顔を殴ったり、ひざげりにして骨折させたり、あるいは竹刀でめった打ちにすると、最近の例では、犬の鎖がございますけれども、それで先生の首を絞めるというような事例さえも起きておるわけでございます。また、給食の中に下痢剤だとか、あるいは農薬、こういった薬物を混入するというような陰湿な事件も発生しておるということでございます。教師に対する脅迫の言辞でございますけれども、けさほどの朝日新聞の投書欄に出ておるような例が数々あるわけでございまして、たとえばでございますけれども、先生に対して、てめえなんかぶっ殺してやるとか、おまえの子供がどうなってもいいのかと、家を焼くぞなどということで、まるで暴力団員まがいで、悪質きわまりないものが数々見られるというような状況でございます。
  230. 森田重郎

    ○森田重郎君 御指摘のように、非常にその辺は私どもの常識ではちょっと判断できないような感じを受けるわけでございますが、これから児童、生徒が夏休みを迎えるわけでございます。もうすでに入っておりましょうか。先ほども同僚委員の方からちょっと御質問があったようでございますが、この夏休みに向かって文部当局としまして、学校にあるいは生徒にどういうような姿勢、考え方でこの暑中休暇を過ごすか、その辺の御指導がどんなふうになされておるか、ひとつ文部当局にお伺い申し上げたい、かように思います。
  231. 福田昭昌

    説明員福田昭昌君) 非行の問題、特に校内暴力等の問題を含む非行の問題につきまして、実は五十五年の十一月に、特に最近の非行、校内暴力の増加という状況に着目いたしまして、各都道府県教育委員会に非行防止についての強化をお願いする通知を出したわけでございますが、それ以降、本年一月以降、各都道府県の教育委員長、あるいは教育長の総会の会議、さらに各学校、各市町村の教育委員会を指導いたします県の指導部課長会議、さらに全国の中学校の校長会、高等学校の校長会、あるいは市町村教育委員会の教育委員長会議等を、最近までいろんな会議の場を通じまして、この十一月に出しました指導通達を踏まえまして、非行防止について、特に取り組みについて指導をいたしておるわけでございます。当然、夏休みを控えての問題も含めまして、この指導の強化をお願いしておるわけでございますが、もちろん教育の問題でございますので、何と申しましても学校教育におきまして、教育活動という全体を通じまして、問題行動に子供が走ることのないように、教育活動をとにかく充実するというようなこと、さらに学校として、全教師が一体となって取り組んでいくと、これはあたりまえといえばあたりまえなんですが、なかなかそういう状況に必ずしも全体がなっていないという状況もありまして、そういったこと。それから、最近の状況考えてみますに、学校だけというのではなくて、特に地域あるいは関係団体との連携を強化することによって、全体として取り組んでいただくと、そういったような趣旨の指導を続けてまいっておるところでございます。
  232. 森田重郎

    ○森田重郎君 そういった点につきまして、文部当局と、それから同時にまた警察御当局、その辺の横の連動はどのような形でなされておるのか、これ文部省そしてまた警察御当局、御両者にお伺いしたいと、こう思います。
  233. 福田昭昌

    説明員福田昭昌君) まず、政府レベルでございますが、この校内暴力等の非行を防止し、青少年の健全な育成を図るという観点から、関係省庁が連絡、協力を図るということは、これは非常に現在大事なことであるというふうに考えておるわけでございますが、現在、各省庁の連携を図りますために、総理府が、ここは青少年問題につきましての連絡、調整を行う機関ということで、総理府が主催いたします非行対策関係省庁連絡会議というものが設けられておりまして、文部省としましてはこれらの場を通じまして、関係省庁との連携、協力を密接にしながら、校内暴力等の非行の防止について努めておるところでございます。  なお、地方におきましては、これは県レベル、あるいは市町村レベルにおきまして、学校あるいは教育委員会と警察、あるいはPTA、あるいはそのほかの関係の団体とのいろんな連絡会が設置されております。これが従来、必ずしも十分機能していなかったという面も恐らくあることであろうかと思いまして、先般の通達でも、特にそのあたりの連携を十分にしていくようにという指導を行っておるところでございます。
  234. 谷口守正

    説明員(谷口守正君) ただいま文部省から答弁があったとおりでございまして、中央それから地方それぞれのレベルにおきまして、緊密な連絡を保っておるところでございます。特に校内暴力問題につきましては、本来的には学校当局の生徒指導ということが第一義的に対処する問題だろうと、こう思うわけでございますけれども、警察といたしましても、学校教育の限界を超すような事案につきましては、そのケース・バイ・ケースで対処してまいりたいと、こういうことでございまして、校内暴力の未然防止、それから不幸にして発生した場合の措置を含めまして、今後とも学校当局、あるいは教育委員会、さらには文部省御当局とよく連絡をとりまして対処してまいりたいと、こう思っておるわけでございます。  先ほど先生から御質問がありました、本日から大部分の中学校、夏休みに入ったわけでございますけれども、この関係でも、夏休みに入る前に、各地区に設けられております学校警察連絡協議会、これを開催いたしまして、いろんな点につきましてすでに検討、協議済みの問題でございます。
  235. 森田重郎

    ○森田重郎君 これは警察庁で七月に出された「最近における少年非行の概況」、これを拝見いたしますと、四項目ほどに大体分かれておりまして、「刑法犯少年が著しく増加し、人員、人口比とも戦後最高を記録した。」ということ。それから二番目に、「全刑法犯検挙人員に占める少年の割合が四割を超えた。」と、こういうようなことになっておるようでございますね。それから粗暴犯、凶悪犯が著しく増加した。それから第四項目でございますが、ここが私は大変問題のところじゃないかと思うんですが、「低年齢化傾向が一層顕著となり、特に中学生の増加が目立つ。」と、こういうことのようですが、実はもう十数年も前になりましょうか、当時ときどきアメリカなぞに私ども行っておりまして、よく現地の方から、もうとにかくアメリカでも、一九六〇年代でございましょうか、当時から青少年問題というのは上院、下院ともにもうお手上げの状態だというようなことを、すでにもう十数年前あたりからよく耳にしておったわけでございますが、日本も何かそういう傾向に入ってきつつあるような感じがしてならないわけです。アメリカあたりの感覚でいきますと、少年犯罪といいますと、もう高校生の犯罪というのは社会人の犯罪のジャンルに入ってしまう。こういうことらしいですね。それで、じゃ中学生かと思うと、そうじゃない。校内暴力というのは、もうすでに小学生ですね、十一歳ぐらいまでの。小学生を対象にして校内暴力という言葉が生まれておる、生まれつつあるというようなことを私どもはよく見たり聞いたりするわけでございますけれども、日本の場合は、この報告書等にもいろいろございますとおり、現在校内暴力というと、その中心は中学生を対象にした言葉であるかのような感じがしてならないんですが、その辺いかがでございましょうか。
  236. 谷口守正

    説明員(谷口守正君) 教師に対する暴力事件、先ほどお答え申し上げましたように、昨年一年間で三百九十四件発生しておるわけでございますけれども、この大部分、九四・四%でございますけれども、中学校で発生しているということでございます。残りの約五・六%、これが高等学校というような状況でございます。確かに先生御指摘のとおり、アメリカではすでに高校から中学、中学から小学校にだんだん波及しつつあるというようなことでございまして、先般も私どもの係官をアメリカにこの校内暴力の実態と対策を視察に行かせたわけでございますけれども、一言だけ申し上げますと、ニューヨークでは年間三千九百五十六件発生しておるそうでございますけれども、このうち教師に対する暴力事件が二千百二十七件でございます。ニューヨーク一市で日本全国の二・五倍、教師に対する暴力事件では実に五・四倍というような状況になっております。これを高校、中学校、小学校で見ますと、高校が千九百五十五件、中学校が千百六十四件、小学校で八百三十七件発生しておるわけでございます。その八百二十七件のうち、教師に対するものが六百三十二件も起きておると、こういうようなことでございます。もちろんアメリカにおいても校内暴力を含め、少年非行問題が大きな社会問題になっておりますので、その対策については鋭意推進されておるわけでございますけれども、日本も残念ながらその少年非行が激増の一途をたどっておりますので、やはり欧米諸国の轍を踏まないように、いまから家庭、学校、あるいは地域社会、それから関係機関がやはり総力を挙げて取り組んでいかないと大変なことになるんだなというような感じを強くしておる今日でございます。
  237. 森田重郎

    ○森田重郎君 警察庁長官並びに国家公安委員長のこれらの問題に対する所感の一端といいましょうか、今後の姿勢、あり方というようなものをちょっとお伺い申し上げたいと、かように思います。
  238. 三井脩

    説明員(三井脩君) 今日、わが国の治安が比較的外国よりいいと言われておるわけでありますが、その中で将来に向けて一番の問題の一つというのが、先生御指摘のように少年でございます。もう四割を超えるようになったわけでございます。そういう意味で私たちはこの問題を大変重視して取り組んでおるわけでございますが、そのよって来る背景、原因というものを見ますと、なかなか単一にはいかないと思うわけでございます。学校教育あるいは家庭生活のしつけ、そしてまた少年に有害な刺激を与える社会環境と、こういったもろもろのものが複合して、競合した結果というように考えるわけでありますが、警察といたしましては、暴力はこれを認めないということを基本といたしまして、やるべきことをやっていくと、同時にただいまのような背景に着目いたしまして、関係の機関、団体あるいは地域というものと十分に連携をとって、その背景に切り込んでまいりたいというように考え努力をしてまいりたいと考える次第でございます。
  239. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) この問題はきわめて頭の痛い問題でありまして、警察当局はもちろん、文部当局にも十分考えてもらわにゃならぬ問題でございますが、この傾向を見ますと、いま詳細のことは警察当局から申し上げましたが、これが小中学校、公立と私立というものを分析してみますと、私立にはほとんどないですね。ほとんど公立なんです。ということは、いろいろな原因はありますけれども、公立における教育の現場的環境がやはり一つの大きな問題点じゃないかという感じがするわけです。もちろんそのほかに家庭の問題もあります。社会の問題もありますけれども、やっぱり教育の現場的風潮というものがこういうものを育て上げてきたと申しますか、発生をさした一つの要因になっておるんじゃなかろうかということも、公・私立の関係を見ますと考えられるわけですね。この辺にもやはり文教当局はもちろん、警察当局としても十分留意をいたしまして、この問題に対処していかなくちゃならぬと、こういうふうに考えているところでございます。  一言だけ申し上げておきます。
  240. 森田重郎

    ○森田重郎君 時間もないようでございますが、ただいまの長官のお話を伺っておりましても、また公安委員長お話を伺っておりましても、長官は複合的というようなお言葉をお使いになりましたか、また委員長は学校教育の場だけでなしに、家庭の問題等考えながらというようなことで、言うなれば、一つの地域ぐるみと申しましょうか、周囲の環境というものが一斉に青少年の指導に向くような、そういう場づくりの中で、こういったものを総合的にとらえていくというような御趣旨の発言ではなかったかと思うんでございますが、私は資源エネルギーの問題にしても、これは国家百年の計を考えれば、総合安全保障的な意味から大変大事な問題、同時に食糧の問題もそうでございましょう。しかし、考えてみますと、やはり青少年問題というのは、これは人間づくりの問題になるわけでございますので、ある意味ではこの問題こそ大きな一つの政治課題として、われわれが今後取り上げていくというようなことを当然考えなくちゃならぬ。そういうような意味からいたしますと、これは政府筋のそちらに向かって言うことではないかと思うんですけれども、たとえていえば、国会あたりに青少年対策特別委員会、あるいは青少年非行化防止調査特別委員会、その名称はともあれ、そういう一つの特別委員会的なものでも——性格的にちょっと特別委員会といいますと、その問題が解消すれば、すぐそれで結局解散ということになりますから、それは特別委員会をさらにまた常任委員会に格上げする。そういうことも考えられるかと思いますが、そういう形の中で、たとえば青少年の問題に対して非常に関心を持っておられる先生方、あるいは教育、警察関係、そういった関係に精通された委員の方々、そういうような方々でも委員のメンバーとなり苦して、そういった特別委員会のようなものでも設置するようなこと、これはそちらに向かって申し上げることじゃないかと思うんですが、国家公安委員長という立場を離れてでも結構でございますが、いかがなものでございましょうか。
  241. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) この問題は大変むずかしい、しかしながら、ほっておけない問題でございまするので、私あるいは総務長官等が中心になりまして、文部省もひとつ一緒になりまして、この問題の総合的な施策を確立をしてやっていこうじゃないかという集まりを一、二回持っておるわけでございます。いまお話のように、あるいは国会におきましても、この問題の重要性にかんがみまして、そうした仕組みをお考えになることもきわめて重要な問題じゃなかろうかと思っています。政府といたしましては最大の努力をして問題の解決のために当たるつもりでございます。
  242. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 他に発言もないようですから、自治省警察庁及び公営企業金融公庫決算についてはこの程度といたします。  次回の委員会は明二十二日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十六分散会      —————・—————