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1981-01-20 第94回国会 参議院 決算委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年一月二十日(火曜日)    午前十一時五分開会   出席者は左のとおり。     委員長         野田  哲君     理 事                 井上  孝君                 高橋 圭三君                 降矢 敬雄君                 円山 雅也君                 佐藤 三吾君                 峯山 昭範君     委 員                 伊江 朝雄君                 石本  茂君                大河原太一郎君                 河本嘉久蔵君                 坂元 親男君                 塚田十一郎君                 仲川 幸男君                 成相 善十君                 粕谷 照美君                目黒朝次郎君                 鶴岡  洋君                 安武 洋子君                 柄谷 道一君                 森田 重郎君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        運 輸 大 臣  塩川正十郎君    政府委員        警察庁刑事局長  中平 和水君        警察庁交通局長  池田 速雄君        運輸大臣官房総        務審議官     石月 昭二君        運輸大臣官房会        計課長      熊代  健君        運輸省鉄道監督        局長       山地  進君        運輸省自動車局        長        飯島  篤君        運輸省航空局長  松本  操君    事務局側        常任委員会専門        員        丸山 利雄君    説明員        環境庁企画調整        局環境影響審査        課長       森下 忠幸君        環境庁自然保護        局保護管理課長  田村久仁夫君        農林水産省構造        改善局農政部農        地業務課長    篠浦  光君        中小企業庁計画        部金融課長    米山 揚城君        運輸大臣官房観        光部長      角田 達郎君        労働大臣官房審        議官       倉橋 義定君        建設省計画局地        域計画官     沢井 広之君        建設省道路局高        速国道課長    鈴木 道雄君        会計検査院事務        総局第三局長   肥後 昭一君        会計検査院事務        総局第五局長   丹下  巧君        日本国有鉄道総        裁        高木 文雄君        日本国有鉄道理        事        藤田 義人君        日本国有鉄道理        事        半谷 哲夫君        日本国有鉄道理        事        繩田 國武君        日本国有鉄道理        事        橋元 雅司君    参考人        日本鉄道建設公        団理事      富樫 勘七君        日本鉄道建設公        団理事      片山  充君        新東京国際空港        公団理事     皆川 葉一君        新東京国際空港        公団理事     井辻 憲一君     —————————————    本日の会議に付した案件 一、昭和五十二年度一般会計歳入歳出決算昭和   五十二年度特別会計歳入歳出決算昭和五十   二年度国税収納金整理資金受払計算書昭和   五十二年度政府関係機関決算書(第八十七回   国会内閣提出)(継続案件) 一、昭和五十二年度国有財産増減及び現在額総計   算書(第八十七回国会内閣提出)(継続案件) 一、昭和五十二年度国有財産無償貸付状況計算   書(第八十七回国会内閣提出)(継続案件)     —————————————
  2. 野田哲

    委員長野田哲君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  昭和五十二年度決算外二件を議題といたします。  本日は、運輸省及び日本国有鉄道決算について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これらの決算概要説明及び決算検査概要説明は、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 野田哲

    委員長野田哲君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私は、関西空港建設問題について、昨年の九月二十六日から十月二十二日、十月二十四日、十一月二十七日、質問を整理して今日までまいりました。というのは、九月二十六日には、林野庁から和歌山市に森林公園建設問題をめぐって、百五十九万平方メーターを払い下げましたが、この森林公園周辺地域に、関西空港埋め立て用土取りがあって、利権屋が横行している、こういう具体的な事実関係提起をして、政府側にその解明を求めたところであります。  塩川運輸大臣は、議事録を検討して、事実関係を確認及び調査する旨答弁されました。その後、運輸省としてはどういう調査をしたのか、全然この半年間私に一言の御連絡もございません。また大臣は、この質問の締めくくりとして、そういう疑惑をつくってはいけないし、またその疑惑をうやむやにしておくということはよくございません、私たちも理想的な国際空港をもう一つ築きたいという、そういうやさきに、そういう問題が出たということは、非常にあってはならないことであります。十分に私たちも今後において真相をよく私たちの手で確かめていきたい、こういうような答弁をされておったことを大臣御記憶だと思います。  政治情勢利権屋に絡んではならない、そういう趣旨は私はきわめて当然な答弁だと思いますが、その後、先ほど言ったとおり、全然連絡がございません。確かに私も運輸委員の一人でありますから、国鉄再建法の問題をめぐって、運輸大臣が非常にてんやわんやされたと、そういうことについては私もわかります。しかし、だからと言って、九月二十六日に提起した問題を、いまだに何ら提起をした目黒議員連絡もなし、そういうことについてはきわめて私は遺憾なことだと、このように考えるわけであります。きょうは別な問題もやりますんで、次のように大臣にお約束願いたいと思います。  これらのいままでの事実関係について、いつ、だれが、どこで、だれと接触して、どのような調査をした結果、私の事実関係が誤っておったか、事実関係が合っておったか、そういう六点にわたって、早急に調査報告メモ目黒議員まで出してもらいたい。日時については、参議院の予算委員会関係がありますから、遅くも二月の二十日まで、この調査報告についてメモ提出をお願いしたい、また大谷問題をめぐって、一部刑事事件なり、法務省関係にも関連する問題を提起をしておるわけでありますから、法務省なり、警察関係においても、これらの報告メモについて御提出を願いたい。したがって、きょうは一々、この点はどうなった、この点はどうなったということは質問いたしません。この調査報告メモを二月二十日まで私に提出していただきたいということを提案しますが、いかがですか。
  5. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 御質問和歌山深山地区におきます森林公園の事業につきまして、事実関係所有権移転等は調べまして、これは大体御質問される先生のおっしゃるとおり、事実関係所有権移転しておると思っております。確認いたしております。したがいまして、いまお尋ねの件につきましては、和歌山県を通じまして調査いたしておるのでございますが、御指定の時日までに提出し得るように、最大の努力を重ねてまいります。
  6. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 大臣、私は森林公園関係だけで問題を提起したわけではありませんから、その周辺をめぐる四十八年、四十九年からのいろいろな土取りの移動ですね、それも全部提起してありますから、議事録に載っかっている問題についてひとつ関連する調査をして、これがわかったらわかった、わからないならわからない、そのとおりならそのとおりということを、きちっと、もう議事録を全部言いませんから、四回にわたる委員会会議録に全部載っておりますから、ぜひ報告願いたい。お待ちしております。  それから、九月十九日の朝日新聞の報道によりますと、淡路島洲本市長は、市の議会でこういう答弁をしておるわけであります。県の企画部の話では、近く六百万円の国の調査費がつく、調査が始まる前に環境破壊されない範囲で、どれだけ土砂を採取できるか、場所はどこがいいかなどを市、町ごとに調べてもらうことにしたと、その結果国に具体的な場所採取量などを調べてもらう、国が淡路島内の採取場所を内定しているということは、そこまではまだ聞いていない、こういう答弁をしております。また同じく昨年の九月三日、兵庫県議会におきまして、淡路の六市町が、十七カ所から約三億七千八百立方メーター埋め立て用土砂採取を希望している、こういう問題について、県議会県側はこういう答弁をしております。「泉南沖埋め立てには六億立方メートルの土砂が必要といわれ、近く運輸省調査にくる。地元から希望があるのなら県として積極的にとりはからいたい。ただし、土砂を取った跡地利用環境保全、防災など、きちんとした将来計画をたててからだと考えている」と、こういう答弁をしておるわけであります。淡路島をめぐる洲本市長答弁といい、あるいは兵庫県側答弁といい、相当程度この議論を聞いておりますと、私は進んでいると、このように見て間違いないと思うんであります。自治体は国にと、国は自治体同士でと、そういうお互いになすり合いをしながら、やはり現実には利権屋たちと話し合いで、具体的にこの問題が進んでいるということを示しているんではないでしょうか。この問題について、一体運輸省はどう考えているのか。また建設省も、跡地利用その他の問題について、こういう情報建設省はタッチしておるのか。また後で触れますが、環境庁も、淡路島環境保全という点から、こういう動きについて知っておるのかどうか。おのおの運輸省建設省環境庁から、この朝日新聞兵庫県議会の動向について、その情報的確度について、御見解をまず聞いておきたい、こう思います。
  7. 松本操

    政府委員松本操君) いま先生質問でございました、新聞の記事そのものにつきましては、私いま伺ったわけでございますので、的確なお答えをいたしかねるわけでございますけれども淡路島における土取りの問題について、私ども承知しております範囲についてお答え申し上げます。  昨年の二月の末ごろ、二月の二十六日でございます。淡路地域整備推進委員会、佐野さんという方が会長のようでございます。これは幾つかの淡路の市及び町、これの連合でできておるようでございますが、これが兵庫県知事に対しまして、要望書を出しております。「関西国際空港建設用土砂採取について」、こういう要望書を出しておるということは、私どもは県からコピーをいただきましたので、承知をしたわけでございますが、県の方からこの要望に基づいて、私どもの方に公式、非公式を問わず、淡路島土砂についてお申し越しのあった事実はございません、  次に、しからば、淡路島について現状がどうなっているというふうに運輸省として承知をしておるのかという点についてお答え申し上げますと、現在淡路島に六、七カ所の土取り場がある、これは現に大阪湾内その他において行われております埋め立て等に、ここから土砂が搬出されておるというふうなことも承知をいたしておりますし、なお、私どもが調べた限りでございますけれども、多いときは年間一千万立米程度土砂淡路島から搬出されておる、そういうふうな事実もあるようでございます。しかし、それに対して、私どもの方といたしましては、淡路島という特定の地域について、どうこうするというふうな具体的な案を現在持っているわけではございません。なぜかと申しますと、昨年の委員会においてもお答え申し上げましたように、現在私ども環境アセスメントの一環としております土取り関連調査と申しますものは、土取りをする場合、どういう点に配慮して土取りをすべきかという基本的な要件と、土取りをした後どういうふうな手当てをすることによって、環境破壊を防ぐことができるかという対策と、それから土取り作業中に、騒音、振動等による環境破壊をしないで済む方法があるのかどうかという工事上の配慮の問題、これらについての一般論的な調査は一応終わったわけでございますが、現在やろうといたしておりますのは、この土取りをした場所から、海岸まで土砂運搬しなければならないわけでございます。この運搬について、私どもは最初のころ、覆いのつきましたベルトコンベヤーで運ぶということを基本的に考えていたわけでございますが、その後いろいろと御意見もございまして、スラッジにして運ぶとか、あるいは何か別の方法で運ぶとか、もっと安く運べる方法があるのではないか、あるいは海上運送土運船でなくて、ベルトコンベヤーを海の上を走らしたらどうであろうかと、いろいろそういう御意見もございます。したがって、そういう点についてもう少し具体的に調査をしようということを企画いたしまして、その作業に手をつけかけておるのは事実でございますが、御質問の中にございましたように、たとえば、淡路島土砂取りに六百万円を払って云々というふうなことは、事実と違うように私には思えるわけでございます。  いま申し上げましたように、現在取りかかっております仕事は、土砂運搬につきまして、余りにも抽象的であっては答えがはっきり出てまいりませんので、やや具体的に、県及び府の方と御相談をしながら、どういうふうな前提条件で物事を考えたらよろしかろうかというふうな調査をこれから始めよう、こういうふうな段階でございまして、それは具体的な土取り場と直接結びつくものではないというのが現状でございます。
  8. 沢井広之

    説明員沢井広之君) お答えいたします。  関西国際空港建設に、相当量土砂が必要であるということは承ってございますが、先ほど指摘のような件につきましては、私ども承知いたしておりません。
  9. 森下忠幸

    説明員森下忠幸君) お答えいたします。  環境庁もそのような具体的なことで内容についてまだ伺っておりません。
  10. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 どちらも知らぬ存ぜぬで結構でありますが、それではひとつ、私はこの問題に大分関心を持ちまして、淡路島の選挙でお世話になった仲間の皆さんや、秘書の皆さん、私自身も淡路島を歩きまして、いろいろ調べてまいりました。  委員長、ここでは遠いから向こうに地図を張ったんですが、関係者が見えるようにあすこで説明していいですか。——じゃお許し願います。(図表掲示)  これが淡路島です。私が約四カ月ぐらいかかって調べたことです。三原町は約三千立方メーターですね。これはもう取っています。その前に、黄色いのは俗に日本土建屋さんで大手と言われる方々ですわ、これは土取り権をすでに確保したところもありますし、一部交渉中のところもあります。しかし交渉中のものもほとんどまとまる見込みと。そういうことでずっと拾ってみました。清水建設子会社東亜建設を入れて千五百万立方メーター、それから原浜三井建設、三井不動産千六百万立方メーター、それから東洋建設千八百六十万立方メーター佐伯建設はまだはっきりしませんでした。それから三菱鉱業セメント、大口で七千五百万立方メーター、これは大変なものですよ。それから佐藤工業、鹿島建設、これが込みで二千五百万立方メーター、鴻池組三千五百万立方メーター。竹中、佐伯建設、青木建設、もうめんどうくさいから書きません東亜建設、五洋建設、いわゆる熊谷組東洋建設、全部これはもう土取り権を取っているんです。これだけ取っているんですよ。このほかにも今度は淡路地場産業があるんですよ、それはもうめんどうくさいから書きませんでした。たとえば淡路総合開発、こういう地場産業ですね、小規模の。これもいっぱいありました。少なくとも日本土建屋さんで建設業含めて大手と言われる方々は、これだけ現実にもう土取り権を取っているんですよ。この総数が約三億立方メーター。大体関西空港の三分の一から二分の一、その中間ぐらいここで土取り権を取っている、現実に。こういうことを私は調べてきたんですが、先ほど建設省環境庁運輸省も知らないと。これだけの下地ができて、いわゆる洲本市議会議論があり、これを管轄する兵庫県議会議論が上がっているんですよ。机上の空論で議論やっているんじゃありません。現実にこれだけの事実関係の上に、洲本市なり、北淡町なり、あるいは兵庫県議会議論をされておるんですよ。これを知らないということは一体建設省も、環境庁も、運輸省もどういうことなのか、改めて私は見解を聞きたいと思います。この色については後でまた説明します、この色は色なりにまた理由があるんですから、私は、これだけの土取り権を取っているんですから、こういうことを知らないということは一体どういうことなのか。これでも知らないということが通せるのか。私やっぱり運輸省建設省環境庁に本当に真意を聞きたい。  以上です。答弁してください。
  11. 松本操

    政府委員松本操君) 先ほどお答え申し上げましたように、何カ所かについて現に土取りが行われておることは私ども承知をしておるわけでございますが、いま先生詳しく御指摘ございましたように、何々会社がどこに何立米の権利を持っておるというふうなところまで、実は私ども積極的に調査をしたことはないのでございます。それは怠慢ではないかというおしかりがあるかも存じませんけれども、そういった調査をするということではなくて、だれがどこに何を持っているという調査ではございませんで、先ほどお答えいたしましたように、ある一定の要件の中で見た場合に、取り得る土の量がどのくらいあるかと、こういう調査は確かに私どもいたしておりますし、その点についてはあちらこちらの御質問お答えもいたしてまいっておりますけれども、だれがどこにどれだけ持っているかということを、いまの時点で私どもが積極的に調査をするということは、かえって疑惑を招くおそれなしとしないのではないかというふうにも思いますし、またそういったようなことを調査して、どこからどろを取るのかということを確定をいたしますのには、まだまだその前に詰めなければならない仕事があるのではないかと、このようにも思っておりますので、先生指摘のような事実があるということは、全く知らないとは申しません。先ほどお答えしたように、そういう事実があるということは承知はいたしておるわけでございますけれども、いま御指摘ございましたほど、詳細に私どもの方から調べて、そこまでよくわかっておりますというお答えをするほどの資料を持っていない、こういうことでございますので、御理解いただきたいと思います。
  12. 沢井広之

    説明員沢井広之君) 先ほど答弁申し上げたとおりでございまして、私ども指摘のような件につきましては承知いたしてございません。
  13. 森下忠幸

    説明員森下忠幸君) 土取り場などにつきまして環境影響の問題、私ども大変関心を持っておるわけでございますが、これにつきまして運輸省からもお話ございましたとおり、いまいろいろと御研究なさっているそうでございまして、これが取りまとめられましたときに、私どもはお聞きするということにいたしております。いま先生指摘になりましたいろいろのことでございますけれども、こういったことにつきましては、個別の問題として私ども伺っておらないということは先ほど答弁と同じでございます。
  14. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 じゃ大臣にお伺いしますがね、大臣、あなたも関西の人、淡路島とか小豆島とか、地区わかっていますね。私も何回も行っている。こういう島にこれだけの日本土建会社大手土取り権を取って集中しているということは、政治的にどういうことなんですか。相当有力な政治家が、あるいは官僚が、ある程度のやっぱり感触といいますか、大体淡路がくるよ、この前の和歌山ではありませんが、和歌山がきますよ、和歌山がきますよと言って森林公園に払い下げて、森林公園の造成の過程で土砂を取っていくと。したがって、そのぐるわにざあっと利権屋が集中したということをこの前言いましたよ。これも同じことじゃないですか。何で東京関西大手土建屋さんが、土取り権をこんなに集中的に取るんですか。これはだれかが何らかの指図をして、何らかの利権をやらなければ、これはやれないことですよ。大臣はこういうことを政治的に、常識的に、何らかのやっぱりアクションがあるから、こういうことが出てきたんだというふうにお思いになりませんか。いま航空局長環境庁建設省のお役人が答えたことで済まされる筋合いの問題じゃない。完全にある政治家と、高級官僚と、利権屋が絡んでいると、私はそう思うんですが、いかがですか。
  15. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 政治家が、あるいは利権屋が絡んでおるかどうか、これは私たちの手じゃわかりません。そういうことを調査しろとおっしゃいましても、その企業とその民有地との間で話しておることだろうと思うんです。ですから、われわれはそういうことをどういう意図でやっておるのか、われわれも察知できませんが、しかし、まだ関西空港の土を取る場所につきましては、一つの基準をいま相談しておるところでございまして、それは航空局長が申し上げておるようなことで、個々の地点なんてわれわれ全然まだ考えておりません。でございますから、そのように土取り場を契約しておるということ、これは関西地区でいろんな工事がございますから、何のためにやっておるのか、あるいはそれは関西空港を直接ねらってやっておるのか、そこらの真意もまだ確かめてもおりませんし、そういうことを聞きますと、そうすると、その企業がそれじゃおれのところもまた注文もらえるのかなというふうな、よけいな誤解も招きかねぬと思うし、なかなかそこらむずかしい話でございまして、だけど、私は再三申しておりますように、後日土取り場を始めます、作業を始めます場合には、でき得るだけ公共的な観点に立っての土地、そういうところを対象にいたしたいと、こういうことはこの前も申し上げたことでございまして、いまこれから土取りが始まるについて、こういうふうに各企業が先手を打って用意しておるから、その利権問題に絡まぬようにしろよという、こういう御注意だろうと私は承って、先ほどから聞いておったようなことです。
  16. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 しかし、大臣ね、三井建設、三菱、竹中工務店、鴻池、熊谷組浄水組、これだけの優良土建会社が集中して買っているということは、それはそれなりの、やっぱり背景とポイントがあるんじゃないんですか。あなたは何ぼ言っても、それはきれいごとで逃げますが、じゃ、逆に言いますよ。私がそういうことじゃないという、あなたが注意せいと言うならば、もっと裏を返して、今後淡路島からは今回の埋め立て土砂をとらないと、そういう疑惑の持てる点、この前の和歌山市の森林公園淡路島のこういう問題、ここからは土砂は取らないよと、少なくとも、こういう国民疑惑を持つような問題提起土地からは、土砂は取りませんよと、こういうことを国民に向かって約束できますか。そうしないと、洲本市議会とか、隣の小さい町で議論されているのは、もう一回土地を買って、数倍か十倍もうけようやと、そういう話が現にこの地方で行われているんですよ。ですから、裏を返せば、こういう私が指摘した疑惑のところから土砂は取らないように、やっぱり行政の基本として考えていくということについて、大臣、お約束できますか、どうですか。
  17. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これは、私から申し上げるのも妙ですが、先生のおっしゃっている疑惑とは一体どういうことをおっしゃっているのか私わかりませんので、ですから、淡路から土一つも取るなとおっしゃっても、これは建設をする過程で、逆に言って、それじゃ大阪からばっかり取るのかということになりまして、大阪はそれは迷惑だと言った場合、やっぱり淡路からも多少は取らざるを得ないだろうと思いますし、どうもその点、結局どういうふうにするということに対する御提案があるのかどうかということを承って、われわれも参考にさしてもらいたいと思います。
  18. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そのやり方は、この前私は森林公園で十分言っているはずですよ。安く買っておって、二回、三回転がして、三倍、四倍、五倍に売って、実際土を取るころの値段は、もう買った値段の百倍ぐらいに上がっておるんでしょう。そういう土地転がしと、先行取得と、それが組み合わさっているから私は疑惑と言っているんですよ。何にもない原っぱを買っておいて、これは何年後にここから土を持ってくるとわかるのは政治家と特定の人ですよ。政治家と特定の人にはわかっておって、それでからくりやっておるんじゃないですか、土地転がしを。それを私はあえて疑惑と言っておるんですよ。ですから、森林公園の問題と、その周辺の大谷貴義に関する問題についても、今回の三菱、三井の問題も、大体買った値段は幾らか、現におたくがいろんな要件で、これを埋め立て用土地に使うという場合に、トン当たり、おたくでは幾らで買うのか、その差がいわゆる疑惑の具体的な提起ですよ。私はそうならないことをお願いして、原則として使うなと、こう言っているんですよ。それを、あなた一連の答弁をするなら、私はこれ以上時間が忙しいから言いません。そういう疑惑を持ってるということだけは国会を通じて私は明らかにしておきます。淡路の問題については大手土建屋にきわめて疑惑があるという点だけは指摘しておきます。  それから開拓の実例でも、これは私は朝日新聞の十二月十三日夕刊に出ておったわけでありますが、淡路島の開拓の実例ですね、これは四十四年に瀬戸内海の埋め立てを、先ほど航空局長が言っておりましたが、土砂採掘が始まって、大阪の土建屋さんがどんどん運んだと、そういう点ありました。四十九年オイルショックでぱたんとストップになっちゃって、そうしてそのまま、今度は放任されたまま、山は削られ、農道は削られ、灌漑用水もできない、荒れほうだいですよ。ここにはちょうど八十名のいま地主さんが集まって、もう青息吐息で、こんな開発の仕方であったらたまったものではないと言って嘆いています。地方自治体も、もちろん、大阪の土建屋も見てくれません。それは朝日工業の土地です。私行ってみました。ここです。さっき航空局長が言ったのはここです。四十九年のオイルショックで途中中止をして荒れほうだいですよ。だから土取り権を取ったという問題と、現実環境破壊の問題と、こういうことを考えますと、非常にやっぱりこれだけの土取り権についても、今後いろんな問題があるなということを私自身として目で確かめてまいりました。ですから、土取り権の行使ということは、こういう朝日工業の二の舞をやらないように、やっぱり十分な配慮をすべきだということを一つの教訓として私は皆さん提起をしておきます。  この関係については、できれば一回、建設省運輸省環境庁が時間を割いて、一回実態を見てもらいたい。今後の参考のためにも。要望をしておきます。  それから、私は淡路島というところは、開発の禁止区域、あるいは開発に許可を要する区域、それから自由地区、大体三つに分かれていますね、あの町は。これは環境庁よく聞いてくださいよ。また、いろいろな規制があります。自然環境保全地区、土取り規制地区、農業振興地域、都市計画地域、都市計画地域風致地区、自然公園地域、こういういろいろな規制が淡路島にあるわけでありますが、これらのもろもろの開発に関する規制について、建設省なり、環境庁は、いろんな諸規制について、どのように受けとめておられるのか、また、どのように今後の開発なり、土取りについて、基本的にどういうことをやろうとしているのか、この淡路島をめぐる自然環境保全と、防災との関係について、基本的にまず建設省環境庁からお答え願いたい。
  19. 沢井広之

    説明員沢井広之君) 建設省に関連する分につきまして御答弁申し上げます。  都市計画区域につきましては、淡路島におきましては、洲本市の全域、津名町、淡路町、南淡町並びに西淡町の一部地域が指定されてございます。  この都市計画区域につきましては、一体の都市として総合的に整備、開発、保全するという観点から、一定規模以上の開発行為につきましては、許可を必要とするということになってございまして、この段階で規制がかけられるということになってございます。  それから都市計画区域内の風致地区についてでございますが、この地区におきましては、都市の風致の維持に影響を及ぼすおそれのある、たとえば、土砂の採取でありますとか、宅地の造成というような行為につきまして、県の条例に基づいて知事の許可を受けなければならないということになってございます。これによりまして所要の規制が行われるということに相なっております。
  20. 田村久仁夫

    説明員田村久仁夫君) お答えいたします。  淡路島の面積が約五万九千三百ヘクタールでございます。そこの中に国立公園の面積が八百十一ヘクタールございます。これは瀬戸内海国立公園でございます。この地域は、先生承知のとおりに、南北の淡路島の海岸線及び山林の一部が指定されている区域でございます。このほかに、兵庫県の自然環境保全条例によりまして、兵庫県の自然環境保全地域が五地区ございます。これは面積にいたしまして非常に小面積でございまして、四十四ヘクタールほどございます。そういう実情で、自然環境の保全をしているというのが実情でございます。  なお、国立公園内で土石の採取をするということにつきましては、その計画が具体化いたしまして、自然公園法に基づきまして許可申請等が出された段階でこれを審査することになってございます。土地取得の段階でということは私どもの方でも把握いたしていない状態でございます。現在、それでは国立公園の特別地域の中で、土石の採取に対してどういう対応をしているかということでございますが、国立公園内の特別地域におきまして土石を採取する場合に、一つの審査の基準がございます。原則といたしましてその審査基準、審査指針と申しておりますが、これに基づきますと、新規については土石の採取、特に露天掘りについては原則として許可をしないという方向で現在対応している段階でございます。  以上でございます。
  21. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ちょっと参考までに。(図表掲示)  いま建設省環境庁から御説明ありました。私もそのとおりだと確認しております。それで、図面にあらわしますと、この紫の横の線、これが土取りの第一種規制、一番厳しい規制です。やってはならない、こういうところです。これが第一種規制、一番厳しい規制です。それから黄色、これが第二種規制です、それから白のところ、ここはどうぞ御自由にと、こういう地区なんです。これでおわかりのとおり、ここに別表というのがありますが、やはり土取り権を取得したところも大分やっぱり心配だと見えまして、企業みずからがこの各種規制図の一覧表をつくっております、御親切に。これを見ますともうおわかりですね。者かかっているんです、これは。鴻池組、鹿島建設、これは絶対にいま言われたとおり許可しないというところに皆絡んでいるんです。この辺も全部そうです、開発、災害との関係があって絶対許可しない。許可しないところをみんな取っているんですね、これは。どうぞ御自由に持って行ってくださいというところはさっぱり取っていないです、これは。これは運搬に不便だからです。やっぱり企業はばかじゃないですよ。航空局長の言うとおり、運搬に不便であるからここは絶対手をつけない。運搬に便利なところに手をつけて、許可をもらって強引に土取りをしようと、こういう意図ではないでしょうか。私はそう見ました。  したがって、環境庁建設省にもう一度伺いますが、こういう現状の段階で申請があっても、原則として防災その他から認めないと、こういう方針で臨まれるのかどうか。それから運輸省に対しては、こういう環境破壊までしてまでも、土取りについて積極的に取る意思があるのかどうか。そういう自然環境を守るという点から見れば、やっぱり私は先ほど運輸大臣の自覚の問題は別にして、災害防止と、自然を守ると、こういう点から非常に環境その他について抵触するところは、やっぱり原則として取らないという指導、行政方針は当然とるべきだと、こう私は考えるんですが、その辺の考えを航空局長ら、以上三人に簡潔にお答え願いたい、こう思います。
  22. 沢井広之

    説明員沢井広之君) 都市計画区域内におきます一定規模以上の開発行為でありますとか、風致地区内の建築、土砂の採取等の規制につきましては、これまでにも通達によりまして、具体的な規制が実効あるようにということで、地方公共団体に対して指導を行ってまいってきております用地方公共団体によりましては、条例等をもって、具体の規制措置を講じておるようでございますので、土砂採取に伴いまして、災害の発生のおそれがあるというようなことにつきましては、十分チェックされるものであろうというふうに考えてございます。
  23. 田村久仁夫

    説明員田村久仁夫君) お答えいたします。  先ほど国立公園につきましては、露天掘りにつきましては原則的に新規は許可をしないという方向で進めでございます。なお公園の中にいろいろ規制の区分がございます。従来、これは誤解を招かないようにと思って追加させていただきますが、いろいろ地元の地場産業その他につきまして、継続的にやっているものについては、ある程度許可をしているという例がございます。兵庫県が指定しております県の画然環境保全地域につきましては、兵庫県の条例で決めておるものでございまして、兵庫県が判断すべき問題であろうかというふうに考えてございますが、自然環境保全地域ということで、自然を保全する指定目的によりまして指定しておるわけでございますので、この指定目的に即した適切な対処がなされるよう、私どどもとしては期待しているわけでございます。  以上でございます。
  24. 松本操

    政府委員松本操君) 埋め立て土砂の採取の原則というふうなものを私ども決めておるわけでございますが、かいつまんで申し上げますと、国立、国定公園等の特別地域に係るところ、あるいは農業振興地域といったようなやはり特段の措置のとられておる地域、そのほかにたとえば非常に珍しい動物でありますとか、植物でありますとか、こういった主要動植物の生息地域、こういうふうなところは初めから考慮の外に置いてしまう。さらに環境の保全が十分にできるかどうか。これは山を削ることによって、たとえば地域的な徴気象が変わるというふうな問題もございましょうし、さらにはまた山を削ることによって、河川に対する影響等も変わってまいりますので、それによるはなはだしい環境破壊が行われ、回復しがたいような状態になるおそれがあるのかどうかというふうなことをまず十分に考えます。さらになるべく公有地が多いということを念頭に置いて、そういう前提のもとに関係の地方公共団体と十分に御相談を申し上げる。そうして土砂を取った跡が一体どういうふうに使われるのか、先ほど先生の御指摘にもございましたように、環境破壊されっ放しというふうなことは大変なことでございますので、その跡を一体地方公共団体はどういうふうに使おうとしておるのかというふうな点について、篤と御相談をした上で、完全な合意ができたところをその採取地として決めていくと、こういう基本的な考え方を現在定めておるわけでございまして、さらにこれに具体的な問題点を今後追加していくべきかと存じますけれども、この基本的な考え方というものは、今後変える気持ちは全くございません。
  25. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 私の調べた範囲では、和歌山県のこの前の森林公園の問題と比較して、いま航空局長が言った原則ですね、その原則から言いますと、きわめてこの淡路島のいま問題指摘したところは慎重に対応すべき多くの課題を抱えている。私も災害対策特別委員をやりましたから、その土砂削りが災害にどういう影響を及ぼしたかという過去の問題も知っておりますし、また現実に国会に来てからも、いろいろ災害の実情などで教えられております。そういう点もありますから、十分にこの淡路島の問題については、いま述べた原則というものを大事にして、ひとつ慎重にやってもらいたいということを要望しておきます。これは利権屋と別で、やはり住民を守るという点から、私は特に強く要望しておきたい、こう思うのであります。  次に、航空局長、十一月二十七日の運輸委員会で、周辺整備費を含めて、国鉄再建の金の使い方と、この国際新空港の金の使い方はこんなに差があるじゃないか、六兆円も金を使って云々ということを私が質問いたしましたら、そういう数字は聞いたことないとか、大臣は、そういう数字はどこから示されたか不可解であるという御答弁をなさっておりますし、航空局長は、別途の議論の数字ではないですかと、そういう記憶はありませんという点をお二人とも御親切に私に答弁されました。  私は、この大臣航空局長答弁に若干不審を抱きました。十一月六日の日経新聞にはこう言っています。十一月四日に運輸省が公表した計画案は、周辺整備費を含めて六兆八千九百億に上っている、こういうことを日経が報じておりましたので、これを一つの基盤としてお尋ねしたら、そのような返事がありました。これは変更ありませんな。どうですか航空局長
  26. 松本操

    政府委員松本操君) 空港そのものの建設の経費につきましては、さしあたって一兆五千三百億という数字を私どもはじいて、これはすでに公にされておるわけでございます。それから、最終的に空港ができ上がる状態、これに要する金が二兆三千億である、これも公にされておる数字でございます。  先生のおっしゃいます六兆前後の数字というものは、恐らく、それに対して、地域整備の名のもとに、道路をつくり、あるいはそれに必要な街路をつくり、こういうふうな金を一緒に勘定しているのではないか、こう思うわけでございます。しかし、私どもが現在までに勉強しましたところによりますと、たとえば近畿自動車道にいたしましても、あるいは湾岸道路にいたしましても、それぞれの長期計画がございまして、空港があるとないとにかかわらずあるところまではできるような計画になっておるわけでございます。これに要する金が幾らであるか私いま空に覚えておりませんけれども、こういう金を空港関連の経費の中に入れてしまうというのは、やはり勘定のベースが少し違うのではないだろうか。ですから、必要な金としては、こういった既存計画に対して、たとえば東西の道路をつくりまして、近畿自動車道から空港までアクセスの道路をつくらなければなりません。これは空港がなければ必要がない道路でございますので、直接的に空港建設にかかる金。しかし、この金は、現在まだ計画が確定しておりませんので、数字をはっきりと申し上げる段階ではございませんけれども、何兆というふうな数字にはならないというふうに私ども思っておりますので、国として動く金というふうな単位でとらえるとすれば、それは五兆とか六兆とかいう金があるいはあるのかも存じませんけれども、しかしそれは空港とは直接関係のない、既存の計画によって行われる部分も一緒に勘定してあるという点をぜひ御理解いただきたいと思うわけでございます。
  27. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 ちょっと航空局長に見せねばならぬのですがね。(資料を示す)  これは「関西国際空港を埋立集中方式によって建設することに対する疑問点について」、日本造船工業会海上空港プロジェクト木部、五十四年九月十七日。いま航空局長に示したら、余り覚えがない、こういう御返事です。ところが、この一番末尾に、御親切に、備考欄として、関西空港計画室の「上村室長に、九月二十七日航空局長との対談メモ、十月二日同室長との対談メモを提供し、同資料を松本局長にも託した。」と。あなたにちゃんと手渡しているというのです、この資料は。だから、見覚えがないということにはなりませんな、これをあなたがもらっているのですから。そういうことで、あなたの記憶違い、これは現実にあなたの手元に渡っているということを確認したいと思うのですが、いかがですか。
  28. 松本操

    政府委員松本操君) 申しわけございません、私ちょっと拝見した限りにおいて、おととしの九月のことでございますので、はっきりとした記憶が呼び起こせないのでございますが、御指摘のようなことであるとすれば、私目を通しておるはずでございます。
  29. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 これは埋め立て方式と浮体方式の生々しいやりとりが全部書かれておるのです、私もこれを見て、改めて驚きました。同時に、運輸委員会において民社党の柳澤委員が、この前しつこく運輸大臣に食い下がっておったその背景、問題点ということも全部これに書かれておる。私は、この激しいやりとりと、きわめて不明確なままに今回の埋め立て方式が決まったということが改めてわかりましたが、その問題については、また運輸委員会で議論します、ここはその場ではありませんから。  それで、航空局長がいまいろいろ釈明されましたが、経費の問題について、あなたははっきりここで述べているのですね。五十四年九月二十七日木曜日九時三十分から十一時半まで、あなたの部屋でですよ、松本局長室。プロジェクトの方からは中曽専務、大坪、林。この中であなたは、これは局長の言葉ですよ、「埋立建設費は五十四年価格で二兆円、必要最少限の施設・保安施設・金利を含む。うち埋立費は一兆一千九百億円である。仕切り価格ではない。施工法の具体案に基いて算出してある。工期は事実上の着工後七年で、交渉とか準備のような不確定なものは含まない。六十三年度末までの完工予定である。空港建設二兆、道路二兆、地域開発二兆、計六兆円の大プロジェクトとなる。」ということをあなた自身が二年前にはっきり言っているじゃありませんか。二年前にこれだけはっきり言っておって、いま私に対する答弁は、この前の運輸委員会の答弁よりちょっぴり軌道修正はしましたが大分食い違うじゃありませんか。国会議員をばかにするにもほどがある。全部二兆円、道路二兆円、地域開発二兆円。あなた方の自民党の航空対策委員会の副委員長である石井私案の中においても同じことが言われている。だから、六兆円の大プロジェクトでしょう、これを、あなたが言ったこの証拠、マル秘文書によっても、まだそれでも確認できませんか。  大臣、これどうです。これはマル秘情報です。提供者から了解を得まして私調査しました。これだけやっておって、なぜ、国会でいろいろな議論をするのに、言を左右にして一体ごまかすのですか。だから私は、あなたたちのやっていることは信用できない。これは大臣航空局長おのおの簡単に、あなたたちに時間かせぎを長々やられると、私の質問する時間がなくなるから。こういうことをやっていながら、なぜ私の質問に対してごまかしの一点張りで通すんですか。大臣見解を聞きたい。
  30. 松本操

    政府委員松本操君) いま私もお答えしましたように、全体の金として私が五十四年の九月にそういう返事を私の部屋でしているとすればそれは確かにそうでございましょう、私いまはっきり思い出せないのでございますけれども。全体の金でそのくらいかかるというのであれば、それは間違いないことかと思います、そう私自身が答えておるわけでございますから。ただ、二兆という数字はその後計算によって空港建設費は動いたというのは事実でございますが、全体の金でそのくらいかかるということであれば、それは先ほども私答えましたように、国全体の金として動くということで考えれば、六兆という数字もあるいはあるのかもしれませんと、こう申し上げたとおりでございます。ただ、空港建設のために、たとえば事業主体が、公団ができるのかどうか存じませんが、そういうものが直接的にかける金というものはそういう額にはなりませんと、こう申し上げているので、全体の経費について私はその六兆は絶対変わりませんとか、そういうことを申し上げているのではございませんので、その点は決してごまかしを申し上げているのではないというふうに御理解いただきたいのですが。
  31. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 そこまでまだ突っ張るんなら、時間がいたましいんですけれども、あなたは、与党である自民党の航空対策特別委員会というのがありますな、そこの石井副委員長が試算しているこの試算一覧表、これはこの関西泉州沖に空港を設置をするということに必要な直接経費ですよ、これは。この石井私案が説明している中身は。これも偶然に空港本体が二兆二千百六十億。アクセスの整備、これは全部空港設置に伴ってくる関係線ですよ、二兆九千四百五十億。周辺整備が一兆三千二百三十億、合計六兆四千八百四十億、やっぱり六兆円の大プロジェクトじゃないんですか。あなたは国の関連、あっちの関連、こっちの関連と、言を左右にして逃げてますが、現に空港設置に必要な経費でしょう、六兆円というのは。そこまで逃げるんなら、私はいよいよもって不信感ですよ、そういうことをやってあえてごまかすなら、成田空港も満足にやれなくて、燃料輸送も満足にやれなくて、三月三十日に汽車とめますよ、とまりますよ、燃料。そんなごまかしばかりやっているから私も怒りたくないところを怒るようになっちゃうんですよ。それでもしらを切るならこれ以上はやりません、今度は石井航空対策特別副委員長参考人として本決算委員会に出てもらって、その石井さんの証言とあなたの証言がどこが一致して、どこが食い違うのか、どこが本当で、どこがごまかしなのか、その関係をきちっと交通整理してから、改めてあなたの責任を追及しますよ。同時に、航空政策には私は絶対協力しません、運輸委員会においても、そんなでたらめ言うのなら。それだけは言っておきます。答えは要りません。——答え要らない。
  32. 野田哲

    委員長野田哲君) 要らないんなら質問を続けてください。
  33. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 いや、そういうでたらめを言う人を相手にやってもしようがありませんから、自民党の権威のある筋の方の出席を願って、それで双方合わせてから改めてあなたの見解を聞きます。それまで保留します。  次は、新空港調査費関係でちょっとお伺いしますが、今回の予算で二十一億五千万計上されたと聞くのでありますが、いままでの調査費を累計しますと、四十二年の百五十万を皮切りに逐次ありまして、私の概算では百億程度も調査費を使っているわけですね。この百億の調査費は何に使われたのか。私は、たとえばこの前五十五年の十一月の二十五日、去年の。和歌山市の加太町というところがありますが、そこの漁業協同組合の二階に、これは関西計画室長の上村さんが呼ばれていろいろお話があった際に、深夜の連続飛行テストをやってほしいという要望があったと、こうわれわれは承っておるわけでありますが、この空港をつくる際に、やはり飛行テストというのは一番基本になるものじゃなかろうかと、こんなふうに思うんですが、この飛行テストを現にやられておったのかどうか。話を聞きますと、この二十一億の金でボーリングやる云々なんという話も聞いているんですが、この二十一億五千万の当面の調査費は何に使うのか。それからいままでの百億の調査費はどういうことに使ったのか、後の方はひとつ別途資料で出してもらいたい。前段の方の二十一億の使い道と、飛行テストとボーリングということはどういうことなのか、この調査費関係でひとつお答え願いたい、こう思うんです。
  34. 松本操

    政府委員松本操君) 飛行テストについては、実機飛行テストについては二回実施をしたわけでございまして、いま先生指摘のは第三回目に当たる実機飛行テストを夜間連続してやってほしいという御要望があるわけでございますが、これは実は何らの無線施設もないところで飛行機を飛ばさなければなりませんので、いわゆる有視界飛行、目で見て飛ばなければなりません。そこで夜、非常に視野の悪いところで、しかも飛行場も何もないところで連続して飛ぶということは、安全上非常に問題がございますので、これはひとつ何とか御勘弁願えないかと、しかし早朝とか、あるいはなるべく夕方遅くとかいうふうなことで考えてみたいのでということを話しておるわけでございます。  それから二十一億五千万につきましては、まだ詳細まで詰め切っておるわけではございませんが、財政当局と議論しておりました時点での話でございます。現地におきますボーリング、これは軟弱地盤の上に埋め立てるということでございますので、その地盤がどうなっているかということを相当はっきりとつかんでおきませんと、空港そのものが問題があるのではないかという指摘がございますので、現地におきますボーリングをもう少し詳細にやりたい。それから軟弱地盤に対していろいろな地盤改良工法がございます。これらを前提として、いま幾らかかるとか、何年でできるとかいう議論をしておるわけでございますけれども、これもまた実験をしてというところまでの詰めがない、従来の経験に立って間違いないだろうというふうに私ども考えておるわけでございますが、小規模ながら実際の場所について実験をしてみて、確実にその工法でいけるということをやってみたい、そのほか、いろいろな細かな点を積み上げているわけでございます。
  35. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 このボーリングの関係は、ちょっと私も腑に落ちないんですがね。先ほどのこのプロジェクトの話ではないんですが、軟弱地盤の関係、その上に空港を組み立てる際の問題点については、問題ないというような意味の答弁をしておるじゃありませんか。それをいまになってもう一回ボーリングするということは、どうも何のために、私も技術屋の端くれですけれども、どうもその辺は組み合わない気がするんですよ。一回やってみたけれども、まだ問題があるから再確認のためにもう一回ボーリングやるというのならわかるけれども、その点は私はちょっと理解しかねますが、まあそれはいいです。また後でその二十一億の内容等についてお教え願うと同時に、百億の大体全体の枠の調査の中身について、これこれに幾ら、これこれに使ったということを、ぜひ後ほど資料でお願いしたいと思います。  あともう一つ、建設屋さんの自然破壊の問題についてやりたいと思っておったんですが、時間をとってしまいました。したがって、国鉄関係をちょっと呼んでおりますから、国鉄関係をちょっとやって、時間があればやりたいと思います。  一つは、これも簡潔にお願いしたいんですが、東北新幹線五十七年春大宮暫定開業という点がいろいろ新聞で騒がれておりますが、これについて、やはり大宮以北の開通については、赤字国鉄に対する収入の問題であるとか、そういう問題を含めておやりになるのかどうかということをこの際明らかにしてもらいたいと思うんです。同時に、いろいろな沿線の反対運動など聞きますと、上野−大宮間について投げてしまうんじゃないかと、そういう御心配の向きもあると聞いております。現実に、二日ほど前に上野駅の工事現場を公開して、大分工事が進んでいるという現況を見せてもらいましたけれども、こういう問題についても財政措置をきちっとして、約束どおり五十九年なら五十九年開通する考えあるのか、あるいは暫定開業の際に特急、急行の問題についての組み合わせというのは非常にむずかしいと思うんです。したがって、特急、急行との組み合わせについては、暫定開業の際にも十分に地元の意見を尊重してやると、そういうことであるのかどうか、この三点について暫定開業について見解を聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
  36. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) かねがね五十六年度中には完成をしたいということで取り組んでまいりました。しかし、まことに申しわけない次第でございますけれども、大宮から以北につきましては、ほぼ順調に進捗してまいりまして、本年一月一日現在、東北新幹線につきまして本体工事が九八%、それから軌道敷設は九五%まで完了をいたしました。ほぼ完成に近づいてまいったと申し上げられるかと思います。ところが、残念ながら大宮から上野の間につきましては、現在用地買収進行率が、埼玉県の南の三つの市におきまして約三〇%、東京都内におきまして四〇%という程度の用地買収進行率でございまして、どうも五十六年度中に上野まで完成するということは、見込みが立たない現状になってまいりました。実は、こういう事態は前々からも予測といいますか、ある程度考えておったわけではございますけれども、もし大宮で暫定的に開業するということになりますと、いま御指摘がありますように、大宮と上野の間の用地買収がかえって停滞をすることも考えられますので、つい最近まで大宮で暫定開業することにするか、少しおくれましても上野まで一挙に持ってくるかということで悩んでおるというか、判断をいたしかねておったわけでございます。ところが、十二月の段階になりまして、一番最後まで問題でありました埼玉県の一番南に当たります戸田市の長い間新幹線に反対しておられました方方が、公式に意見表明をされまして、ここまでくればわれわれも幾つかの条件はあるが、その条件のもとに反対運動をやめて協力いたしましょうというお申し出があったわけでございます。  それはどういうわけでそうなってまいったかと申しますと、新幹線だけが走ります場合には、沿線住民の方々は騒音の問題があり、振動の問題があっていろいろ御迷惑がかかると、しかも、そこには駅が全くないわけでございますので、メリットはと言えば何もないということになるので、長年反対を続けられておったわけでございますが、いまからさかのぼりまして、一年ないし一年半前に、新幹線に添えていわゆる通勤新線を引くということを方針として決めましたので、その通勤新線を本当に引いてくれるかどうかということについてやりとりがあったわけでございますが、先方も国鉄がはっきりそういう意思を持っておるということの確認ができたので、この際はいままでの反対運動をやめて、ひとつ協力をいたしますというお話があったわけでございます。そうなりますと、いままでのところ用地買収の進捗率はおくれてはおりますが、仮に大宮で暫定開業することにいたしましても、それから南の方はもはや用地買収ができなくなるという心配が九九%まで解消いたしましたので、そうしますと、大宮以北で今日までこれだけたくさんのお金をかけ、かつ大勢の方に御協力をいただいて、ほぼ完成しておるわけでございますから、大宮で暫定開業をしようということに決断をいたしたわけでございます。  ただ、その場合に、新幹線が走りましても、比較的遠方の方、たとえば盛岡の方とか、あるいは新潟の方とかには相当乗りかえをお願いしましても時間が短縮されますので、まあ乗りかえがあるのは不便だけれども、まあまあがまんしながら、しばらく利用しようと言っていただけるわけですけれども。たとえば宇都宮であるとか、高崎であるとか、あるいはもう少し北の関東と東北の境目ぐらいのところまでは、大宮で暫定開業しましたのではほとんどメリットがない。つまりスピードは先の方は上がりますけれども、手前の方で乗りかえ時間がふえますので、利用の立場から言うと余りメリットがないということで、余り暫定開業には賛成しがたいという御意向が強いわけでありますし、その中間の地帯におきましては、在来線のあり方のいかんによっては、かえってマイナスになるということでいろいろ御意見がございます。しかし、私どもといたしましては、在来線はそのままにして、新幹線も走らせるということになりますと、両方走りますので経費がよけいかかる、しかも収入の面ではさほどそう急にお客さんがふえるわけでありませんから、ふえないということになりますので、御指摘のように、よく関係の方の御意見を承りながら、つまり御迷惑が拡大をしないように注意をしながら、やはり相当部分は特急、急行をやめさしていただいて、そして地域によって余りにも不便が大きくなるような地域については、それを暫定的に残すということでやってまいりたいと思っております。  今後の問題といたしましては、いまの特急、急行を一まず新幹線の方に何本ぐらい走らすかということと、それとの関係で、在来線の方の特急、急行をどの程度やめさしていただくかという問題を具体的に列車計画を、運転計画を立ててまいりますが、その間におきましては、よく御相談申し上げたいと思います。  大宮から上野の間につきましては、いま申しましたような事情でございますので、鋭意これから用地買収の努力をいたしますが、まずまず五十九年、二年余りおくれますけれども、五十九年度中には上野まで開業が可能になるという見通しを、現段階で十分得ている次第でございます。
  37. 目黒今朝次郎

    目黒朝次郎君 わかりました。暫定開業、それから大宮以南、それから特急、急行のコントロールというやつは十分やってください。暫定開業して収入が減って、また決算で赤字になったんじゃ困りますから、そういうことのないように要望しておきます。  それから、時間が参りましたから、二つ、三つ答えてください。  一つは、ローカル線の政令問題、これ、われわれも事情がわかっておるわけでありますが、まあ決算委員会という点から見ると、地方自治体の負担というのがやっぱり大きくクローズアッブされてくる。したがって、ローカル問題は単に運輸だけの問題ではなくて、国全体の問題だと、こういう立場で急いでもらうことはいいんですが、余り急いで悪い結論ではどうにもなりませんから、地方自治体が、北海道開発庁が納得するような方向で努力してもらいたいと思うんでありますが、国会再開に余りとらわれないで慎重にやってもらいたいということで、これは要望で結構です、答え要りません。  それから、成田空港の燃料問題も、これも三月で切れるわけでありますが、もう一月末です。あと一カ月でまどまるかまとまらぬか知りませんが、これも航空局長運輸大臣、さっきのような不誠意きわまる問題であるとすれば、私は解決に努力する意思はありません。でありますから、やはり本当に解決したいならば、航空行政についてもやっぱり少しは腹を割ってきちっとした話をしてもらいたい。やはりお互いに心の触れ合いがあれば協力する用意がありますが、突っぱねたことであれば私も突っばねますから、成田で燃料がなくなってとまることのないように、これは大臣要望しておきます。  それから、二十分まであと三十秒一きのうの同僚の粕谷議員から買春ツアーの問題についていろいろありました。きょう、観光部長呼んでおったわけでありますが、時間がありませんから要望だけしておきます。  きょうの毎日新聞のこれ家庭欄に出ました。私はこれはきのうの質疑応答とこの家庭欄を見て、買春ツアーで使われた金が女の人には一割いって、二割はピンはねで、七割は日本に還流してきていると、こういう記事まで載っておることを見ますと、一体日本の観光政策はどうなのか、こういうことについて非常にやっぱり疑念と問題点があるなあと、こんなふうに私は感じました。  このほかに、修学旅行のピンはねをやっている旅行業者もいるわけですね。地方の議会で大分問題になっております。修学旅行の金をピンはねするというような、こういう私は旅行業者がいっぱい——いっぱいとは言いませんが、悪質な方がいらっしゃるという場合に、きのう何とかという課長が答えておったですがね、現存の旅行法とかそれだけではもうどうにもならぬと、したがってあなたの方では、こういう問題を機会に、そういう悪質な旅行業者については、免許を停止するとか、一定期間営業停止の期間を設けるとか、そういう認許可の問題と絡ませて、やっぱり法改正を含めて検討してほしいなあと、こう思うんです。同時に、こういう悪質な業者については、やはり旅行業界の業界紙があるわけでありますから、業界紙だけではだめでありますから、六大新聞、一般新聞に、しかじかこういう悪いことをしましたと一カ月に一回ぐらい公表して、それで国民がそういう業者を使わない、利用しない、そういう両面から、きょうは鈴木善幸総理大臣帰ってきて、どういう御質問受けたか知りませんが、ひとつ観光行政として十分な指導をしてほしいということを要望として言っておきます。時間がありませんから答え要りません。  以上です。
  38. 野田哲

    委員長野田哲君) 午前中の質疑はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時二十二分休憩      —————・—————    午後一時二十二分開会
  39. 野田哲

    委員長野田哲君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十二年度決算外二件を議題とし、運輸省及び日本国有鉄道決算についての審査を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  40. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 昨日の決算委員会で、国土庁から情勢を一応聞いたんですが、それによりますと、三十八年以来の豪雪で、大変な被害が出されておりますが、何よりもいま一番大事な点は交通機関の確保、そこに全力を挙げておるということで御報告ございました。  まず、そういう意味で、冒頭に、今日北陸、東北で災害に遭っておる豪雪に対して、国鉄、運輸両面の現況、被害、対策、こういった点について、まずお聞きしておきたいと思います。
  41. 藤田義人

    説明員(藤田義人君) いろいろ御心配をおかけいたしますが、ただいま先生質問のごとく、三十八年の豪雪以来の豪雪でございまして、特色としましては、地域的に非常に三十八年を上回る豪雪でございます。場所によっては百五十年確率ということで、また三十八年の豪雪に比べまして、約五割増しというような地域もございます。特に問題になりますのは、米原から北陸線、金沢の方、また上信越の関係で新潟地区というところが、まず今日現在でも問題になっている地区でございます。その他の不通線区としましては越美南線、越美北線、只見線、そういうところが不通区間でございますが、越美南線につきましては、明日開通できるではないかという明るい見通しを持っております。  国鉄としましては、この雪害対策につきまして、三十八年豪雪以来、いろいろと対策を強化いたしてまいりまして、最近では四十八年の豪雪、また五十一年の暮れから始まりました豪雪、その都度いろいろといままでの計画を見直しながら、計画を進めてまいりまして、車両につきましても、昔はラッセル車が機関車に押されるような、押してもらって走るようなラッセルでございましたが、現在は機関車そのものがラッセルをつけまして、いわゆる自走できるラッセル車と、またロータリーも機関車を多く整備いたしまして、三十八年の当時そのような車両関係が二百五十二両でございましたが、中身としましては、機関車を相当装備充実してまいりました。  一方、モーターカーがございまして、機関車のほかにモーターカーとしまして、非常に小回りのきく車でございます。よく保線が保守するときに、いろいろと車両を引っ張ってまいりますが、そのモーターカーでございまして、これにいろいろと、いわゆるラッセル、モーターカー、またロータリーで雪を飛ばす能力を持ったモーター力ーロータリー、こういう、いわゆる車両と、このモーターカーを機械と言っておりますが、双方申し上げますと、三十八年当時は総計で約三百三十両程度でございましたが、今日現在では約六百七十両総計で配置してございます。  そのようないわゆる除雪車両、除雪機械のほかに、流雪溝、いわゆる貨物の操車場などは、雪を寄せてまいりまして、みぞに雪を流していく、いわゆる流雪溝と申しておりますが、この整備も今日現在全国で三百三十八キロという流雪溝を持っております。  それ以外にも、なだれ防止のためのさく、また最近では特に踏切道の問題がございますので、建設省の方と双方で分担するということで、踏切消融雪設備をつけてまいってきております。  また、一方いろいろと人の問題がございまして、いわゆる除雪協力員というものを各地方管理局がそれぞれの地域方々の御協力を得まして、この協力員制度をつくってまいっておりますが、今日現在、全国で五万七千五百人の方々が協力員となって登録されておりますが、これにつきましては、三十八年のころに比べますと、約七五%程度に数は減ったと、この数字そのものがです。そういうことで、特に今回の雪では、相当な豪雪でございますので、この点の出動についても、大体まあ二割程度というところが大体のつかみでございまして、そのように車両、また除雪機械、また地上設備、また周辺方々の御協力を得るこういう協力員制度、いろいろなことで、雪害に対する排雪、除雪の体制を整えております。  一方、こういうことを実施するために、所定の列車ダイヤではそのような作業が確保できません。つまりラッセル等は、いろいろな状況によりますが、時速が四、五キロというような状況になってまいりますと、やはり一般の普通列車よりは、非常に低速度になります。そういう意味で、列車をある程度規制をする——運転規制と申しておりますが、これにつきましても、先ほど申しましたその都度の雪害の中で見直しながら今日に至っているという体制で、今回の豪雪につきましても対応しております、また、ときにはほかからの、市からの協力とか、そういうことも考えております。
  42. 石月昭二

    政府委員石月昭二君) 運輸省といたしましては、去る一月八日に、今回の雪害に対しまして対処するために、雪害対策の連絡会議を設けまして、まず第一番目に、情報の把握に努めるということで、国鉄、私鉄、自動車、航空、港湾の各交通機関の途絶状況、その他障害状況等の把握に努めております。その結果、その途絶状況等を把握いたしまして、たとえば鉄道がとまった場合には、自動車、航空その他で代替できる場合には、そういうものに対して臨時便を指示するというような体制を整えております。  また、今後の雪の状況につきまして、気象庁に引き続き的確な降雪予報を行うように、また特になだれの発生についての予報に注意するように、気象庁が努めております。  それから、長期間交通が途絶いたしました場合に、民生物資の緊急輸送というようなものに支障が出てくる場合もございますので、そういう場合が出てきた場合には、都道府県知事の要請にいつでも対処できるような体制を準備するようにと、海上保安庁、それから海運局、陸運局等にその体制の準備を指示しております。  現在の国鉄以外の状況を申し上げますと、第一番目には路線バスでございますけれども、おおむね国道、県道は動いているようでございまして、市町村道というような毛細管的な道路につきましては、かなり不通個所がございます。  会社数で本日の八時現在の状況を申し上げますと、二十四社、路線数で四百四路線、本数で二千四百三十八本と、これによる孤立部落の数が約二百七市町村という形になっております。  この数は一月十四日がやはり最高でございまして、一月十四日には、これに対応した数を申し上げますと、会社の数で三十三社、路線数で八百四十二路線、本数で四千二百二十一本、市町村数で二百二十三市町村という形になっておりまして、まあ最近雪が小康状態にございますので、順次減っているような状況でございます。  なお、路線及び区域貨物の運行状況でございますけれども、これにつきましては、富山、石川、福井、岐阜、この四県に路線区域ともかなりの運休が出ております。大体二〇%から四〇%程度の運休状態が出ております。しかしながら、私どものところには、現在までのところ、都道府県知事から民生物資の緊急輸送等について、輸送事業者に対して要請してくるというようなケースはまだございません。  それから航空でございますけれども、航空は豪雪中でございましたけれども、おおむね正常に運航しておりました。一部視界不良というような問題で欠航したケースはございますけれども、除雪能力がございますので、大体朝の十時ぐらいまでには飛行場の除雪は完了するという形で行われております。  それから臨時便でございますけれども、新潟−東京間の臨時便が一便行われましたけれども、やはり豪雪になりますと国鉄がとまる。そうするとアプローチが悪くなりまして、飛行機の方のロードファクターも非常に低下しておりまして、余り臨時便の必要がなかったというのが実情でございます。  それから港湾等につきましては、アプローチの問題はございますけれども、おおむね荷役その他については支障がないというのが実情でございます。
  43. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 大体わかりました。  きのうの報告では、千七百戸ほどまだ孤立しておると、陸の孤島になっておるというお話でございましたが、いまお聞きしますと二百七町村ですか、恐らくそういうことだと思うんですけれども、やはり人の人命にかかわることでもありますし、緊急な対策に金を惜しんではならぬと思うんで、これは大臣ひとつ全力を挙げて対策を急いでいただくということを強く要望しておきたいと思います。  そこで、次に移りますが、五十四年度の決算報告を読ましていただきましたが、その中で、昨年国会で問題になりました鉄建公団の不正事件、この問題の処理がまとめられておるわけです。これは二百ページですか、そこで見ますと、特別超勤手当の問題の処理とか、それから法定福利費の予算計上の適正化の問題とか、いろいろ出されておりますが、これは具体的にはどういう内容なんですか、適正という中身の問題。
  44. 丹下巧

    説明員(丹下巧君) ちょっと申しわけないんですけれども、いま御質問の趣旨がちょっとよく聞き取れなかったんですけれども、五十三年度の指摘についてお話しでございましょうか。
  45. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうです。
  46. 丹下巧

    説明員(丹下巧君) 五十四年度に掲げましたのは、五十二年度に本院で指摘した事項の結果につきまして、特に処置要求事項につきまして、その結果を掲記することになっておりますので、五十三年度の指摘事項につきまして、給与関係につきまして、超勤の一律支給と申しますか、そういう点で実際の記録がないとか、そういったことがありましたので、給与規程に従ってやるべきではないかということを処置要求した結果、今後そういうふうなことで、給与規程に従って処置するということで、鉄建公団の方でそのような取り計らいになったということを掲記したわけでございます。
  47. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それはいまここに書いてあるとおりだと思うんで、どういう点を是正要求をしたのか、そしてそれがどう適正になったのか、そのことを聞いておるわけです。
  48. 丹下巧

    説明員(丹下巧君) これは鉄建公団の方におきまして、各いわゆる特別給与の支給時期におきまして、ある種の上積みといいますか、そういうふうなものをやっているケースがございまして、それを超過勤務手当などというふうな形で出していたわけですけれども、通常の超過勤務手当の場合ですと、その超過勤務手当に対して、超過勤務の記録があるわけでございますけれども、そういったものを私どもでは十分確認できなかったと、こういったことにつきまして、当然これは通常の給与規程に従ってそういう記録があり、そのものに従って超勤というものは支給すべきではないかということを処置要求をいたしました結果、これについて当局側においてそういう記録のある、実際の超勤の事実があるものについて支給するというふうなことになったということでございます。
  49. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 鉄建公団来ていますか。——どうも検査院の中身がよくわからないんですが、あの際の問題でたとえば超勤手当の問題というのは、労働組合と協定をして、一種のプラスアルファというんですか、増額とか、こういう形でやられておった部分もあると思うんですね。それからまあ不正超勤という部分もあると思うんです、カラ超勤というんですか。そういった問題がどのように検査院で指摘したのか。是正要求をしたと、こう書いていますけれども、その点なかなか中身わからぬのですが、それに基づいて鉄建公団で特別手当の支給について、それからこの法定福利費等の予算計上の問題について、適正な措置を講じたと、こういう文言があるわけでございますが、中身は一体どういうことなのか、同時にまた労働組合との関係はどうなっておるのか、この辺を聞きたいんです。
  50. 富樫勘七

    参考人(富樫勘七君) 鉄道建設公団の富樫でございます。先生の御質問お答えいたします。  検査院の方から御指摘をいただきまして、特別手当の支給について適正を欠いておったと言われました部分は、当方の特別手当の支給に関しましては、公団職員給与規程の規定によりまして、期末手当と勤勉手当を支給することになっておるわけでございますが、その支給につきまして、予算に措置した支給率のほかに、プラスアルファの部分として六月、十二月の二期に分けましてプラスアルファがついておると。それが傘としての部分と、それから定額の部分とがございまして、その部分の支給につきまして、公務員に準拠すると言われておりまする率よりも、異常に高い率で支給されているではないかということを御指摘を受けたわけでございます。この支給の仕方につきまして、私どもの方といたしまして、特別手当の支給に当たりましては、予算、それから給与規程の定める基準を著しく超えて支給しておったのは、この基準を設けた趣旨に反しておるから、それはまずいということの指摘を受けまして、その部分について適正な措置をとるようにということで、その御指導に従うということで、五十四年十月二十三日付の閣議了解の線に沿いまして、「公団等の特殊法人の役職員の賞与の取扱いについて」という了解の中で、本部の部長相当職以上の職員につきましては、国家公務員と同じと、それ以外の一般の職員につきましては、公務員に準拠して、それに著しく逸脱しない範囲内で支給するようにいたしますということをお答えして、その措置の適正化を図ったということなんでございます。
  51. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 法定福利費の予算計上不適正ということはどういうことですか。
  52. 片山充

    参考人(片山充君) お尋ねの点でございますけれども先ほど富樫理事から申し上げましたように、いわゆるプラスアルファの財源といたしまして、五十三年度の経理におきまして、法定福利費その他の費目を過大に積算をいたしまして、それを財源にして支給をしておったと、それは適正でないから適正にするようにという御指摘があったわけでございます。
  53. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 その法定福利費ということが過大ということはどういう意味ですか。ちょっと理解しにくいんですがね。
  54. 片山充

    参考人(片山充君) 御承知のように、法定福利費と申しますのは、健康保険あるいは厚生年金保険その他の費目でございまして、それぞれの保険その他の種類によりまして、やり方は違いますけれども、一定のたとえば報酬月額を基礎にいたしまして、それに一定の料率を掛けるという形で、福利費が徴収されるわけでございますけれども、この一番初めの五十三年度の状況から申し上げますと、率が相当に実行との間に開きがございまして、この辺も過大に積算をしてあったという御指摘の中身になっておるのではないかというふうに思っております。
  55. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 中身はそういう計算方法になると思うのですがね。これらを過大に積算するという意味は何ですかと私聞いておるわけですね。法定費用というのは、もうそれはちゃんと計上する前に基礎は決まっておるわけですからね、過大にするはずがない。それが過大になっておったということは、一体どういう理由なのかと、こう聞いているわけです。そしてまたそれをどういうふうに是正したのか。
  56. 片山充

    参考人(片山充君) たとえば具体的に申し上げますと、健康保険でございますけれども、実際に五十四年度あるいは五年度で実行しておりました料率は、千分の四十九であったわけでございますが、それが五十四年度予算では、五十五と積算をされておる。これは原因につきましてはいろいろな事情があろうかと思いますけれども、たとえば健康保険につきましては、法律改正その他いろいろなことに従いまして、年度中途で料率が変わるとか、あるいはまあグループによりましては、厚生年金基金その他の公団の中の組織で自主的に決定する部分もあるわけでございまして、そういうものが年度の中途で、いろいろな事情で変わってくると、そういった事情もありまして、こういう結果になっておったんではないかというふうに思うわけでございます。  是正措置でございますけれども、早速五十五年度予算から実績、実効を勘案いたしまして、御指摘なようなことがないように、適正な料率に改めております。
  57. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 わかったようなわからないような話ですが、まあこれらの問題は、恐らく私は組合との間に、特別超勤の問題にしても、それからいまあなたのおっしゃった福利厚生費の中で、公団の自主的なものについては、それぞれ話し合いが行われてきたと思うのでありますが、その是正措置について組合とは合意ができておるのですか。
  58. 富樫勘七

    参考人(富樫勘七君) いま先生の御質問でございますが、確かに合意はできております。
  59. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 わかりました。まあ私は、組合と合意ができた問題を、当局の方がいろいろからくりをして、それが検査院に見つかったと、そのために鉄建公団の職員の皆さんが大変な肩身の狭い一時期あったと思いますよ。ですから、そういった問題は、私は公団の総裁が、今後もあることですが、団体交渉できちんと決めたことの内容については、そういう不正なからくりで出すのじゃなくて、所定の手続をきちっととって、公然と出すと、こういうひとつルールをつくっていただきたいということをこの機会にひとつ要望しておきます。  次に、九十一国会で、本委員会で警告決議が出されまして、それに基づいた処理が幾つかございますが、その中で大分市の国有地の払い下げというんですか、処理の問題が含まれておりますが、これは国有地を大分市が大分の国鉄管理局に寄贈して、そうしてその管理が適正でないということで警告決議を出されたわけですが、この問題についてお聞きをしておきたいと思うんです。  あの際に、警告決議の中身を見ますと、これは確かに本院のこの警告決議が完全にやられてないということはけしからぬじゃないかということで御指摘があったわけです。しかし、その指摘の中身は、地方自治体である大分市が、地方財政再建促進特別措置法にいうところの、国または公団に一切寄付行為をしてはならないと、こういう規定があるにもかかわらず、当時はその法律がなかったもんですから、国鉄に寄付行為をしておる、そうしてその地代をずっと負担し続けてきておる、こういう自治体財政を圧迫するような措置は、速やかに解消しなきゃならぬじゃないかと、こういうことが昨年の本院で決議された警告決議だったと思うんです。そのために農水省、国鉄、自治体、三者で早急にひとつ話し合いをして改善措置をとれと、こういう内容だったと思うんでありますが、ところが、だんだん話の内容を聞いてみますと、そういう方に行ってない、本院の決議の趣旨の方に行ってなくて、むしろ地方自治体に全部がぶれと、こういう方向に、言うなら警告決議の趣旨に反するような方向で処理が進められておるというふうに私は聞いておるんでありますが、この点について、いまどこまでどういう話になっておるのか、国鉄並びに、農水省の報告をまずいただきたいと思います。
  60. 半谷哲夫

    説明員(半谷哲夫君) ただいま御指摘のありました、大分市の国鉄が現在使用しております宿舎用地でございますが、昨年この委員会で御指摘受けまして以来、私どもといたしましては、これは所管をいたしておりますのは大分鉄道管理局でございますが、管理局に指示をいたしまして、県の農政部、大分市等とこの問題について、何といいますか、私どもの方としては、この用地をかって大分市の方から寄付受けをしたという経緯のある土地ではございますけれども、いろいろ現在問題を残しておりますので、その問題の処理について協議を進めるようにという指示をいたしまして以来、昨来の五月以来現地におきまして、市並びに県の農政部と、この問題について何回か協議を持ってきたということでございまして、最近、この一月に入りまして、市の方からもこの解決策について、具体的なお話し合いが出てきているということで承知いたしております。  いま私どもが聞いております内容は、現在私どもが使っております用地約一万平米のうちで、国鉄がすでに昭和二十六年当時に移転登記を済ませて国鉄用地になっておるものが約二千八百平米あるわけでありますが、残る七千平米ちょっとございますけれども、その土地の処理につきましては、約半分ぐらいを市の方が農水省の方から土地を買い取って国鉄に寄付する、残る半分は農水省の方に返すので、国鉄の方で要るなら国鉄の方で処理してくれないかというようなお話し合いが出てきておりまして、これにつきまして、いろいろ事務的な問題もございますし、価格の問題もございますし、これらについていま細部現地で詰めているという状況でございます。
  61. 篠浦光

    説明員篠浦光君) ただいまの国鉄の方から御説明のありましたとおりでございまして、大分市それから大分鉄道管理局、それぞれの組織におきまして、所定の手続を経て、いまお話のような線で改善措置が決定されるということを期待しておるという状況でございます。
  62. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうしますと、七千平米の残った、これは金池の敷地の東の部分ですね。
  63. 半谷哲夫

    説明員(半谷哲夫君) そうです。
  64. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これについては国に返すので、国鉄の方と国の方で話をしてもらいたいということになって、大体国鉄の方はそれで了解しておるんですか。
  65. 半谷哲夫

    説明員(半谷哲夫君) 最終的な判断をいたすまでにまだ至っておりませんが、いずれにしましても、過去さかのぼりますと、市の方から寄付をしていただくというお約束になっている土地ではありますけれども、長い経緯もございますし、今日の状況を見ますと、私どもの方としても、単に昔の何といいますか、お約束履行をお願いするというだけでは解決にならぬという判断に立っておりますので、いま市からお話のありました約半分について、国鉄がみずから処理する、簡単に言いますと買い取るということになると思うんでありますが、これらにつきまして、いま私どもとしてはこの土地の価格につきまして、それなりの経緯を踏まえた御判断をしていただければ、こういう形で処理していきたいというふうに考えているわけでございます。
  66. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それは逆に言えば、国との間に価格の問題の話がつけば買い取りたい、こういうことに理解していいわけですね、半分については。
  67. 半谷哲夫

    説明員(半谷哲夫君) そういうことでございます。買い取るのは、これは結果として市と国鉄と両方で買い取るということになると思いますので、これらにつきましては、市と国鉄とお話し合いし、農水省並びに大蔵省の方にも関係するかと思いますが、その間の話し合いで決まるものと思っております。
  68. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そこで、農林省、これは昭和二十五年からの話ですが、この当時農地を国が買い上げた価格、それ以来ずっと大分市が地代として払ってきた地代総額、これはどの程度になるんですか。
  69. 篠浦光

    説明員篠浦光君) この農地といいますのは創設自作地といういわゆる創設自作地でございまして、農地改革のときに、自作農創設の目的で農地の売り渡しをした土地でございます。その土地につきまして、農地の耕作をやめるというときには、国が売り渡したときの価格で買い戻しをするということになっておりまして、売り渡した対価で買い戻したということで、その金額は七千二百三十円でございます。それから貸し付けてまいりました貸付料合計は約千二百万でございます。
  70. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 こういう農地の他転用の問題で検査院が三十六年に勧告して以来いまだに未解決な土地というか、大分市と大体同じような内容の問題についてどの程度あるんですか。検査院の報告では百六十二件というふうなことを聞いておるんですが、全国的にどういう実態にあるんですか。
  71. 篠浦光

    説明員篠浦光君) その後逐次解消しておりますけれども、その時点の数字とそれほど減ってはおらないという現状かと思います。
  72. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 ほとんどが自治体が相手ですか。
  73. 篠浦光

    説明員篠浦光君) 相当部分がそういうことでございます。
  74. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そこで、私はこの問題を調べてみて不思議に思ったのは、当時は自作農創設特別措置法というのがありましたね。したがって、この中で十六条ですか、条文を見ますと、農業用地という目的でなければ売買できないという仕組みになっておったんですね、法律上。ですから、国が買い上げる、他の転用の場合には国が買い上げて貸し付けするということで、同時に一時貸付規定というものを農林省が設けて、それを適用しておったと、そういうのが実態だったと思うんですね。ところが、今日までなぜこういう問題が長引いてきたのかということでいろいろ調べてみますと、大分市の例でございますが、国が七千二百三十円で買い戻したと、二十五年に。それでいわゆる自作農民が土地を手離すはずがないんですね。そうして調べてみたところが、その九十倍の、当時の金で九十倍の六十一万七千四百九十二円を市当局が農地を手離した農民に、自作農補償ということで支払っておるわけです。ですから、言うならば事実上市がその当時にもう買い上げておるわけですね。ただ、自作農特別措置法という法律があったために、それが市の方に転記できなかった。できなかったから、逆にそれに基づいて農林省、いわゆる国有地という所要の措置をとったわけですけれども、実際上この金額から類推してみますと、当時の関係者みんな亡くなったものですからわからないんですけれども、見ますと、いま言うように、事実上市が市の金を出して買い上げておることは間違いない。ところがその自作農特別措置法はなくなって、今度は農地法にかわって、昭和二十七年ですか、言うならば売買ができるようになってきた、ところが、その当時は自治体は未曾有の財政赤字の実態の中で、全国で都道府県だけで六百四十億という借金財政、自治体は軒並みに再建団体に転落するというような状態で、結果的には買えなかったと、こういうのがずっと私は続いてきたんじゃないかと思うんですけれども、この点に認識の違いございますか。
  75. 篠浦光

    説明員篠浦光君) いま大体先生がおっしゃったような経緯であるというふうに承知しております。
  76. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 だとすれば、そこを前提として話し合いが持たれていかなきゃならぬと私は思うし、本院の警告決議もそこにあったと思うんですがね。具体的にどういうところが話し合いが詰まらないんですか、いま現在。どこに問題があるんですか。
  77. 篠浦光

    説明員篠浦光君) 先ほど国鉄の方からお話ございましたけれども、おおむねの方向については関係者の間で合意を見ておるということで、価格の話ございましたけれども、価格を私ども一定の方式に従って算定をするわけでございますが、それがまた算定できておらないということで、市あるいは国鉄の方も、その価格に大変関心を持っておられるという状況でございまして、価格そのものについて、あるいはこの処置そのものについて、特に問題があるというふうには理解はしておらないわけでございます。
  78. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私もそういうように聞いておるんですがね、市の方もこの際ひとつ何とか正常化して、きちっと現行法のもとで処理をしたいという気持ちは変わらないと思うんですけれども。さっき国鉄さんもおっしゃったように、問題はそれを、あなたのおっしゃるこの一定の基準という、ここが折り合わない一番最大の点だと私は思うんですが、そこら辺の一定の基準というものを含めてこの問題についてはどういう話をしておるんですか。
  79. 篠浦光

    説明員篠浦光君) 現段階で国鉄それから大分市の半々程度で買い受けてもいいというような方向が示されましたので、私どもの方で価格の算定を始めておるという状況でございます。
  80. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 その場合に、市が大体許容できる範囲内というか、そういう話し合いになるんですか。私は、さっき国鉄さんも二十五年当時には寄贈されたんだと、一札ももらっておると、この土地は。しかし、諸般の情勢、今日の情勢から考えて、残りの半分の、七千平米の半分の土地については、これは国鉄で、財政は苦しいけれども負担をせざるを得ないと、こういうお話があった。ところが問題は国ですね、農林省。いまこの経緯を見ると、国は当時この土地については七千二百三十円しか出していない。その約九十倍の六十一万何がしという金は市が出しておる、自作補償ですね。そういう面から言えば、私はやっぱり、しかも約三十年間に千二百八十四万という地代も散っておる、国自体が。こういう経緯から見れば、この問題が解決するとすれば、国鉄もそうでしょうが、やっぱり院のこの警告の趣旨にもございますように、不当に地方財政に負担をかけておるじゃないか。それをなくして、言うならば地方財政に負担かけるような方法でなくて、適正な管理ができるような所要の話をしなさいというのが院の決議ですね。そういう方向に沿ってないで、あなたの方でやっぱり時価相場を持ち出して、そうしてその金を市が負担しなきゃならぬという方向に話を追いやっておるんじゃないですか。
  81. 篠浦光

    説明員篠浦光君) 先生がおっしゃいましたように、大分市がこの土地を国鉄の宿舎の用地として提供するというために、耕作者の人に離作補償として金銭を払ったと、そして離作について、耕作をやめることについて同意を得たということは承知いたしております。ただ、それは大分市と耕作者との間の問題だということでございまして、この土地につきましては、先生もお話がありました自作農創設特別措置法二十八条の規定によりまして国が買い戻して所有権を取得した、それで普通財産になっておる土地でございます。したがいまして、これを売り払いをするというときには、一定の方式によって価格を算定するわけでございますが、その概略を申し上げますと、まず更地としての価格を、これ細かく申しますといろいろございますけれども、いろんな要素を加味しまして、更地としての価格をまず出しまして、それから特殊事情による修正ということで、宅地の場合ですと、借地権の割合、あるいはこの土地につきましてもともと耕作者がいたという事情を踏まえまして耕作権の割合、そのいずれかを控除することができるということになっておるわけでございます。私どもとしましては、この土地の場合につきましては、耕作権割合の方が若干高いということもございまして、耕作権割合を控除するという方式で価格を決定したいというふうに考えておるわけでございます。
  82. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 問題は、耕作権割合というところで話がついてないんですね。どうなんですか。
  83. 篠浦光

    説明員篠浦光君) そういった問題で話がついていないということじゃございませんで、方向が決まって、所定の方式で価格が決まれば一応買いましょうという方向で、大分市と国鉄の方大筋御了解をいただいておるというふうに私ども理解しております。ただ、その価格が幾らになるかということにつきましては、いろいろ価格の評価の方式に従って若干時間がかかりますので、それをまだ御提示する段階に至っていないということで、市も国鉄も御承知ないわけでございますが、その決め方のいかん、あるいは耕作権割合を控除することがいいか悪いかというような問題で煮詰まっていないのではなく、方向は決まっておるけれども、まだ値段をお示しする段階になっていないということで、結論が出ていないという段階であるというふうに御理解いただきたいと思います。
  84. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 ところが、あなたは昨年の地方行政委員会答弁の中で、これは公明党の和泉さんの質問だったと思うんですが、五千万以上になると財務局と協議をしなきゃならぬ、したがって、大蔵省とも協議をしていくんだと、こういう回答されておりますね。私は、問題は、いまの物価と当時の六十一万なり、七千円というものがどういうものになるかわかりませんけれども、仮に賃金その他と比較して、三十三倍から三十四、五倍というところで見ると、この評価というのは約二千万近くなってくると、六十一万というのは。そういった問題とか、この地代を払っておる現状であるとか、しかも、それが何もほかに営利を目的としたところに使っておるわけじゃない。むしろ自治体が鉄道の管理局の誘致の関係で、宿舎敷地に提供したという経緯、実態ですね。こういうものを考えてみますと、当時はどうか知りませんが、国鉄もやっぱり鉄道省というか、国の一つの重要な機関だった。こういう経緯を見ると、私は、自治体の立場から見れば、ここでまたひとつ時価相場で算定されて、そして買い戻しをするということは、自治体にとっては踏んだりけったりということに私はなるのじゃないかと思うんです。だから、そういう意味で、これは、市の方もきわめておっくうになっておるし、話し合いがつかないところにあるんじゃないかと思うのですけれども、これはそういうことを配慮するとすれば、たてまえ、制度はありましょう、一般的にも。しかし、いま聞きますと、残っておる百六十数件というのは、ほとんど自治体が対象になっておる。自治体が対象になっていると大同小異やっぱりこういうものに類する内容じゃないかと思うのですけれども、そこら辺の問題の解決というのは、院の決議等もにらみ合わせても、私はもっと、たとえば耕作補償でも結構でしょう。いずれにしましても、そのことによって実質的に自治体にこの際払い下げるというか、売買するというか、そのときに不当な負担をかけさせないで、問題を片づけていくという基本姿勢がなくちゃならぬと私は思うんです。そういう意味で、あなたの場合に話を基本的に進めておるのかどうなのか、そこら辺をお聞きしたいと思うんです。
  85. 篠浦光

    説明員篠浦光君) 院の御決議も尊重いたしまして、国鉄の方も無償で市から譲渡を受けるという話だったわけでございますが、半分程度は買ってもいいというような方向を出していただきましたし、私どもも借地権を控除するか、耕作権を控除するかという場合に、耕作権を控除するというような形で、極力市の負担を少なくしたいという姿勢でおるわけでございます。
  86. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 どうですか運輸大臣、あなた話のやりとり聞いておったと思うんですがね、この問題についてあなたにかかわる部分もあるわけですが、これは院の決議を照らして、自治体に不当にはね返りが来ないように、問題解決にひとつ農林省とも話を詰める、こういう方向で処理をするということについては、最後に大臣意見を聞いておきたいと思うんです。
  87. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) この土地は、恐らく自作農創設法に基づいて購入したんだろうと思うんですが、市側が離農資金として金も出しております。したがって、実質的に市側が購入したものであって、今回何か負担することはこれはまた二重負担になると、こういうことで問題になったと思うのでございまして、私たちはそこらはよく相談いたしまして、農水省、大分市、これはよく協議いたしまして、異存のないようにいたしたいと、こう思っております。
  88. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 あなた少し眠っておったんじゃないですか。まじめな話で、いまあなた現地では大変な問題になってきておるんだから、私は農林大臣とあなたが話をして、国鉄に関する問題でもあるわけですから、そうして自治体にひとつ迷惑がからぬように、許容の範囲内の中で話をつけるような努力をしてほしいと、こう言っておるわけです。自治体の立場は、先ほど申し上げたように、国が買い上げたと称する二十五年の金というのはわずかに七千円です。しかし、そのときに市は離作補償として六十一万円払っておるわけです。だから、実質的には市が金を出して買い上げておるわけです。ただ、自作農特別措置法というものがあったために、やむを得ず国有地にしたにすぎない。だから、そういう内容で、しかも市はそれに基づいて国鉄に寄贈して宿舎用地として提供して、その地代をずっとこの三十年間払ってきておるわけです、国に対して。その上今度は払い下げろということになると、また時価相場でもって金を取るということは、余りにも踏んだりけったりじゃないかという内容なんです。いま残されておる事件をいろいろ見ると、やっぱり大同小異自治体にかかわっている問題ですから、ここはこういった問題一つの先鞭をつけることになるかもしれませんが、大臣がやっぱりひとつ一半の責任として、農林省ともかけ合って、そしてひとつ院の決議も、地方自治体財政にこれ以上の負担をかけるべきではないという、そういう方向でひとつ適正な管理ができる措置をとれというのが決議の趣旨ですから、それに沿ってひとつ努力してもらいたいと、こういうことでいまあなたに発言を求めたわけです。よろしいですか。
  89. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) よく相談してやってまいります。
  90. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 わかりました。  そこで、時間がございませんが、二、三ひとつ運輸省に聞いておきたいと思うんですが、五十六年度の予算が今度再開国会に出されてまいります。それを新聞情報ですが見ますと、運賃値上げが二千十億円、七・九%計上されておる。何か運輸大臣と大蔵大臣が話をした結果、四月二十日から実施をするということで織り込まれておるということが報道されております。この中身は一体どういうふうなものになっておるのか。  特に私が聞きたいと思いますのは、あの国鉄再建の特別措置法の審議の際に、高木総裁が、地方交通線は五割増し運賃をやるんだと、こういう発言もあったようでございますから、これらが含まれておるのか、どういう形で含まれておるのか。  それからまた、雑収入が千二百八十一億ということで、これは前年度から比較すると、約二倍計上されておる。この中身は一体どういうものがどのように増額になっておるのか、これをお聞きしたいと思います。
  91. 山地進

    政府委員(山地進君) 国鉄の運賃の値上げの話でございますが、この予算に計上いたしましたのは、いま先生の御指摘になりましたように、四月二十日からということで、この金額は組まれたわけでございますが、もともとは四月一日から実施できるということも考えまして、国鉄の現在の競争力、あるいは利用者の負担というものを考えて、一〇%以下の値上げということを念頭におきまして組んだ予算でございます。ただ、総枠として、二千十億でございますが、この予算をいかなる形で実際の運賃値上げするか。と申しますのは、運賃で値上げするとか、あるいは料金で値上げするとか、貨物と旅客とどういうふうにするというようなことにつきましては、国鉄が現在検討中なわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、国鉄がくみ上げてくる予算というものを検討いたしまして、実現をしていく、認可をしていくということになるわけでございます。  それから、特別運賃につきましても、これは第一義的には国鉄が考えて申請に織り込んでくるという問題でございますが、いま先生の御指摘になりました法律の趣旨から考えまして、特別運賃につきましては準備のでき次第、さらに申請に加えてくるということになろうかと考えております。  それから、いま御指摘になりました雑収入の点につきましては、ちょっと私の方でもいま資料がございませんので、後ほどできましたらお答えしたいと思います。
  92. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) いまお示しの数字がちょっと私のみ込めないんですけれども、雑収入という費目で整理しておりますのは、五十五年度の予算が千百七十二億でございます。そして五十六年度の予定が千二百八十一億でございますから、私どもの整理によります雑収入の金額としては、増加額は百九億でございます。この百九億がどういうことでふえるかということでございますけれども、これはたとえば土地の貸付料金であるとか、あるいは広告料であるとか、あるいは構内営業料金であるとか、そういうものでございまして、まあ一割弱でございますから、いま私ども、年々そうした各費目について毎年もしくは何年か置きに改定をお願いをしているわけでございまして、これは決して達成不可能なものではない程度の金額だというふうに考えております。
  93. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 総裁、さっき鉄監局長の方から答弁ございましたが、その運賃値上げの中には国鉄の方で主体的に組んで、これから上がってくるという話があったんですが、あなたが法案審議のさなかに、地方交通線は五割増し運賃をやるんだというようなことを発表した経緯がありますね。そういう問題がこの中に含まれているのか、どういう形でするのか、そこをちょっと御説明いただきたいと思います。
  94. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 先ほどお尋ねもあり、鉄道監督局長から御回答もありましたように、私どもは、来年二千十億運賃改定によって収入を上げるべしということが五十六年度の予算で大枠として決められておるわけでございますので、これを具体的に、どういうフィールドについてどの程度上げさせていただくような案にするかということは、現在鋭意検討中でございますが、地方交通線関係といいますか、幹線以外の線の特別運賃の問題につきましては、先般の法律におきましても御承認いただいたわけでございますので、なるべく早い時期にそういうふうにさしていただきたい。  簡単に申しますと、全国一律運賃でありましたものを、今回改めさしていただいて、二段階運賃にさしていただきたい。一つは、いわゆる幹線の運賃。これは大体私どもの営んでおります営業のうちの一万二千キロぐらいについては幹線運賃ということにし、残余の九千キロ余りのものについては地方線運賃ということにして、コストが大変違いますので、二段階にさしていただきたいと考えておるわけでございます。実は現実の問題につきましては、どういう部分を幹線と考え、どういう部分を地方線と考えるかということにつきまして、これはあの法律に基づきます政令で基準が決められることになっておるわけでございまして、この政令も運輸省の方で非常に鋭意御検討中でございまして、そう遠からざる時期に決められることになるとは思いますけれども、まだ決まっておりませんものですから、私どもの方の運賃改定作業の場合に、いまこれをどこからどこの線ということが決まっておりません以上、なかなか具体的な案を立てにくい現状になっておりまして、いまの私の腹づもりとしては、今回近々にお願いいたします運賃改定作業案の中では、その部分を具体化することはちょっとむずかしいんじゃないかというふうに考えております。  ただ、二千十億という金額との関係では、やはり本年中にはぜひそうしたことの作業に入り、そしてその二段階運賃を年内には実現をさしていただきたいと思っておりますから、その部分は二千十億の中に含めて、そして、しかしいますぐ申請申し上げる案の中からは外すという二段作業にせざるを得ないのかなというようなことを、いまの段階では考えておりますが、なお、政令がいつ、どういう段階で決まりますか、私どもの運賃改定についての申請時期がいつになりますかということと関連して、最終には決めたいと思っておりますが、まあおおむねの方向としては、いま申し上げたようなことで取り組まざるを得ないのかなというふうに考えております。
  95. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうしますと、政令が決まれば、その中で二段階運賃に移りたいと。それが決まらなければなかなかめどが立たないと。そういうことになりますと、四月二十日というのは幹線運賃ということになりますか。地方線も含めての統一運賃と、段階運賃というのは年内に決めると、こういうふうに理解していいんですか。
  96. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) 大体そういう考えで進まざるを得ないかなというのが現在の考え方でございます。  なお、先ほど五割ということを、私が国会でのお尋ねにお答えしたということがございましたけれども、これは、私が当時お答え申し上げましたのは、いまの再建計画の目標年度であります六十年度段階において、五割ぐらいが限界ではなかろうかと申し上げたわけでございまして、仮にそうした制度を取り上げることにさしていただくとしましても、最初から一挙に五割というふうな大幅なものは考えておりませんことを申し添えておきます。
  97. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうしますと、五割もまだ固まったものではなくて、言うならば、一つの六十年をめどにした総裁としての考え方を言っただけでということであるようですが、そういうことですね。  私は、差別運賃が導入されるということ自体、これは問題があると思うんですが、これは当然今後国会の中で問題になってくると思いますが、しかしその前提であるこの政令の問題ですね、これはきのうの段階で、運輸大臣いろいろ言っておりましたが、なかなかこれはむずかしいんじゃないかと思うんですね。  そこで、時間ございませんが、一つ、二つだけ聞いておきたいと思うんですが、全国知事会が昨年の十二月に選定基準の決定について、七項目ですか申し入れをしておりますね。これに対して、運輸省は一体どういう考えに立っておるのか。私はこれが一つの政令を決める基準の、自治体側の集約された意見が出ておると思うんです。ここら辺がやられないと、私どもが一番あの法案審議の際に問題にしました、いわゆる自治体を抜きにした見切り発車をするんじゃないかと、いや、できるだけ話し合いで決めたいと言ってきた大臣の言葉が実行されなくなる、こういう気がしておるんですけれども、この七項目については、受け入れをして納得をするまでは、政令を当たるとかいうことはしないと、こういうふうに理解してよろしいのかどうなのか。  それから、五十六年度のバス転換交付金というのが十八億、六百キロ計上されておりますね。これはどういう基準をもとにして予算に織り込まれたのか、そこをお聞きしたいと思うんです。
  98. 山地進

    政府委員(山地進君) まず、知事会の緊急要望の点でございますが、私ども知事会に出席いたしまして、いろいろと意見の交換はやっているわけでございますが、現在の政令づくりというのは、各省間でいろいろといま非常にフランクに意見を交換しているわけでございます。その中には、この地方公共団体の監督官庁でございます自治省も入っております、それから、この御要望のいろいろの個々のケースについて、それぞれの監督官庁もおられるわけでございますから、私どもといたしましては、第一義的にはそういう所管官庁との間の協議を進めるということによりまして、この知事会の御要望というものについても、私どもが十分検討しているということになることと考えております。  それから、いまお尋ねの十八億の転換補償金でございますが、これは六百キロでございまして、キロあたり三千万円、それの五年分割の二分の一が約十八億になるわけでございまして、ただこの六百キロの根拠というのは、これはどれぐらいの出来高になるのか、どれくらい実際に転換ができるのかという予測でございますので、これは昨年の暮れの段階におきまして、私どもとしてのある一つの願望も含めまして、六百キロというものが入っているわけでございます。
  99. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これは所属官庁と話をするということはわからないでもありませんが、知事会が緊急に申し入れたということは、地方自治を預かるものとしてこれだけが補償されなければ責任持てないという意味で出されておる問題ですから、やはりこの問題について具体的にこたえていくという前提でないと、私は政令を一方的に決めても、話し合いが前向きに進まぬと思うんです、至るところでこじれてくると思うんでね。そこら辺はあなたは軽くいなしておるというふうなことはないと思うけれども、そういう答弁だったけれども、そこら辺はひとつぜひ尊重して、ここらの意見を含めた話し合いをひとつ進めてもらいたいということを強く要望しておきたいと思います。  そこで、もう一つ聞いておきたいと思いますのは、整備新幹線予算措置というのが百二十億、国鉄、鉄建を含めて計上されておりますね。これは、説明を読みますと、二十億ずつ、四十億は調査費として出すけれども建設のそれぞれ四十億、八十億ですか、これは法改正を伴うもので、それができなければできるまではひとつ留保するなどということを出しておりますが、これはいち早く自治大臣が、この寄付禁止の地方財政再建特別措置法や、地方財政の現状から、話し合いの余地がないということを鮮明にしておりますね。ここら辺の問題をあえて予算計上したという意味は何ですか。そしてまた、自治相との間の、これは運輸大臣が直接話をされたと思うんですけれどもね、自治大臣自体が明確にしておる問題について計上したということは、もうその時点で実行不可能だと思うんですが、どういう心づもりで計上したのですか。
  100. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) お尋ね二つございました。  まず最初に、知事会の要望でございますが、あれは私も十分検討いたしましたし、また知事会と鉄監局長並びに国鉄部長等の話し合いもしばしばやってまいりました。ところが、知事会の方の要望は、私たちもこれは深刻に受けとめて、その要望に沿うように努力もいたしておるのでございますが、要するに、政令の基準となるような形で要望というものが出ておりませんでした。たとえて一例申しますと、重要港湾は全部残せと、こうおっしゃるんです、重要港湾につながっておるところは。ところが、重要港湾全部これを認めるということをいたしますと、重要港湾の中でも荷扱いがもう何倍も違うところがございます。ただし、重要港湾の中で年間大体どのくらいの貨物を扱うとかという、そういう基準を決めたいと、こういうことでいま自治省と話をしておる。ですから、自治省と話をするにつきましてのベースとなっておるのは、知事会の要望で、それを一つの基準に直すのにどうするかと、こういう話をしておると、こういうぐあいにとっていただきたいと思うのでございます。  それから整備新幹線の話でございますが、これは私たちも、できるだけやはり国土の均衡ある発展という観点から見まして、新幹線の建設は急ぎたいと思っております。しかし、これの建設費は膨大なものでございますし、またその運営につきまして国鉄に過大な負担をかけてもいかぬと。そこで、これは国と地方と相談して、いわば国鉄に負担にならないようにして建設いたしたいと、これが基本的な考え方でございます。ですから、地方が単に負担するから、それじゃ建設いたしましょうと、そういうものではなく、国もこの財源をやはり考えようと、こういうことでございます。工事費を見積もっておるじゃないかということでございますが、あれは、そういうこの国の財源、そして地方もこれに協力していただける体制ができた段階で、あの工事費を使うと、こういうことになっておりますので、ただ予算にのってある、計上いたしたから、どの線から始めるというような、そういう意味ではございませんので、われわれ運輸省といたしましては、やはり鉄道をやっぱり新しい新幹線に変えて、近代的な鉄道に変えたいという意欲を非常に強く持っております。これはやはり予算上の折衝として当然われわれも努力して獲得してきたというものでございますが、使用につきましては、そういうふうな条件が前提としてあるということを御承知いただきたいと思うんです。
  101. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 もう時間がございませんから、要望だけしておきますが、いま言った内容について、自治大臣そのものが話し合いの余地はないというぐらいに問題提起をしておる内容ですから、ひとつこの問題について、一方的な見切り発車することなく、自治体意見を十分そんたくして、そしてこの問題の処理をしていくというその姿勢をひとつぜひ要望しておきたいと思います。  以上です。
  102. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、昨年の十月二十三日の社労委員会で、自動車運転車の適正労働条件の確立に関して御質問をいたしました。その質問を踏まえて、去る十二月五日、労働省の倉橋審議官、石川中央労働基準監督官と一緒に深夜の路線トラックに体験乗車をいたしました。東名、名神高速道路を走破し、長距離運送におけるトラック便の夜間労働の実態について調査をいたしました。  その結果、私が感じましたことは、間断なく深夜の高速道路を走り続けるトラックの列に、トラックが日本の経済の動脈として、日本経済の中に果たしておる役割りと重要性というものを再認識いたしますと同時に、昨年五月に、これは大臣もお読みになったと思うんですが、全日本トラック協会と、その関係団体が共同で行いました東名、名神高速道路のサービスエリア、パーキングエリア利用実態調査結果、これが示しておりますとおり、各エリアは満杯でございます。駐停車の余地は全くございません。したがって、バスストップやパーキング付近の路肩に違法駐車を余儀なくされている、この姿に接しました。私は、その中から東名、名神高速道路はいわゆる乗用車を中心とした昼の姿を前提としてつくられたものではないか、物流の大きな変化の中で、夜の顔、すなわち産業道路としてはきわめて不備であることを痛感させられたわけでございます。  このような改善が行われない限り、労働省より昨年十二月に通達されました、自動車運転者の労働時間等の改善基準を遵守することはきわめて困難であるという結論に到達せざるを得ませんでした。  東名、名神の利用台数を調査してみますと、大型車と特大車の合計は、五十二年で千七百七万九千台、五十三年は千九百四十七万二千台、五十四年は二千八十八万六千台と年々増大をいたしております。この中に高速道路が産業道路として果たしている役割りがいかに大きいかを、この数値は示していると思うのでございます。もう多く語るまでもなく、バスストップ、路肩に停車いたしておりますトラックが加速をつけて走行道路に入っていく、それには距離が短いわけでございますから、きわめて危険な状態が放置されている、また、適正労働条件確保の面からも大きな問題を抱えている、このように断ぜざるを得ないわけでございますが、本件に関する建設省と労働省及び運輸省のまず御見解をお伺いいたしたいと思います。
  103. 鈴木道雄

    説明員(鈴木道雄君) ただいま先生から御指摘いただきました高速道路の休憩施設といたしましては、パーキングエリアとサービスエリアというものがございまして、それで駐車の便に充てているわけでございますが、御指摘のとおり、当初よりも利用交通量——特に大型車の利用交通量が非常に増大が著しく、駐車場の設備がそれに応じれないということになりまして、昭和四十八年からとりあえず施設内の園地、アイランドを削りまして駐車マスに切りかえる作業をやってきたわけでございます。五十四年までに東名神全体で、当初に比較いたしまして四四%ほど増設を行ったわけでございますが、絶対値ですと四千台の駐車マスが六千台になるというようなことで、それだけではとうてい貯えないということで、五十五年度、今年度から東京に一番近い需要の高い港北パーキングエリアにつきまして、用地を買いまして、追加のパーキングエリアの拡大を行って、五十六年度も引き続いてやっていこうというように考えております。しかしながら、需要の多い東京周辺のところで駐車場をつくろうといたしますと、いまの港北パーキングエリアでも大体十三億円かかりまして、七十台ぐらいしかふえませんので、全体から見ますと、なかなかそういうものに対応することがむずかしい。したがいまして、いまの御指摘の二・九通達等を守るためには、東京周辺のみならず、全体の適地を探しまして、今後できるだけ関係の各省とも御相談をしながら、利用者の意見も聞いて、駐車場をふやしていくというようなことで進んでいきたい、かように考えております。
  104. 倉橋義定

    説明員(倉橋義定君) 先生の御指摘がありましたように、昨年の十二月五日から六日にかけまして、名神及び東名のパーキングエリア、サービスエリアの深夜の駐車状況を視察したわけでございますが、所要の地点におきます駐車工リアにつきましては、もう満杯の状態であるということの事実を承知したわけでございます。  私ども新しい労働条件を確保するための新二・九通達を徹底することは、運転者の安全、健康を保持するために、ぜひとも必要でございます。そのために所要の休憩をとるための駐車工リアの問題を解決すべき問題があるわけでございます。運輸省建設省、道路公団、全ト脇の方々連絡協議会を設けまして、この問題についていろいろ協議がなされると聞いております。これに大きく期待したいと思いますが、労働省といたしましても、労働者の労働条件の確保、健康の確保の面からも、この問題につきまして、視察の結果なり、現在出先の監督機関等におきまして、いろいろ調査等を行っております。その調査結果等に基づきまして、関係省庁と十分連絡をとりながら、この問題の解決に進んでいきたいと思っております。
  105. 飯島篤

    政府委員(飯島篤君) 新二・九通達の実施に関しましては、過労運転の防止の観点からも、運輸省としても労働省と連携をとりながら、その周知徹底に努めてまいっておるところでございますが、先生ただいま御指摘のとおり、守れる環境をつくっていく、条件をつくっていくということが非常に大事であると考えております。高速道路につきましては、建設省、道路公団、全日本トラック協会、それと私どもの方で、いま労働省から話がありましたような連絡協議会を設けておりまして、そこで逐次今後の方向について、要望なりをいたして、道路当局に御努力を願うことといたしております。  なお、この通達の実施に関連しまして、事業者自身でいろいろ措置をすべき問題もございます。たとえば路線事業者であれば、自分の営業所に施設を整備すると、あるいは荷役を機械化するというような問題も必要になってくるでございましょうし、協同一貫輸送も活用していくということも必要ではないか。また休憩施設の関係に戻りますが、関係の業界、労働団体とも協議しながら、運輸事業振興助成交付金という制度がございますが、これを活用いたしまして、トラックステーションの整備を推進いたしているところでございます。現在完成しておりますのは福島、浜松、北九州、尾道の四カ所でございます。さらに四カ所を計画いたしておりますが、その整備を今後も進めてまいりたいというふうに考えております。
  106. 柄谷道一

    柄谷道一君 運輸大臣、御努力されていることはわかります。港北パーキングエリアも見てまいりました。しかし、焼け石に水というのが実態なんですね。いま局長の言われましたトラックステーションにいたしましても、全国わずかまだ四カ所でございます。私は、労働者の適正労働条件を確保する、また交通安全を確保する、この立場からも、日本で最も整備された東名、名神高速においてしかりなんです。いま協議会が設けられておりますけれども大臣は、運輸、建設、労働、警察、さらに労使の意見を十分に外されまして、この協議会の機能をもっと強化をして、早急にこの解決のための対策というものが確立されるべきではないか、それについて大臣として積極的なひとつ姿勢をお示しいただきたいと思うんですが、いかがですか。
  107. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私も報告書を読みまして、実は自分でもびっくりしておったようなことでございます。  そこで、さっきおっしゃっておられますように、各省庁間の連絡、これをさらに強化いたしまして、その対策につき、財源もやっぱり協議しなきゃならぬと思うんですが、やっていきたいと思うております。それと同時に、私も大阪と東京の間、最近は乗りません、こわくって、このごろ乗れないんですわ。しかし、いままでは夜よく東京−大阪間自動車で移動いたしました。そのとき感じますことは二局速道路を確かに産業道路として利用されておることも結構でございますが、長距離トラックがあれだけやっぱり高速道路を利用しなきゃならぬのかどうかという点についても、われわれも十分やっぱり鉄道との関係を考えにゃいかぬのではないかと思うたりもいたします。現在では相当な量がふくれ上がってまいりました。私は、道路自体も、このまま放置しておったら、いつかは飽和状態が来ると思っておりますし、でございますから、トラックと鉄道とのジョイントというものをもっとよくすることによって一つは救済の方法があるだろうし、また船舶とトラックとのジョイントということ、そういうこともあわせてやってまいりたいと思うたりしております。
  108. 柄谷道一

    柄谷道一君 鉄道とトラック、鉄道と船舶とのジョイント問題につきましては、これ非常に多くの問題を抱えておりまして、これはまた改めての機会に私は問題を指摘いたしたいと思います。  そこで、私は、走っておりまして、数多くの白トラが深夜走っているこの状況を目撃したわけでございます。自動車運送事業は、今日国民の足としてまた物流の中核的な担い手として、生活と経済活動に大きな役割りを果たしているわけでございますが、それぞれの業界は、バス、タクシー、トラックとも、違法行為の横行によりまして、その秩序が乱されております。バス業界では、自家用バスによる営業行為、いわゆる白バス問題でございます。さらにレンタバスの違法行為、いわゆる違法レンタバス問題がございます。またタクシー業界では、運転代行業の違法営業行為が蔓延しつつございます。トラック業界では、自家用トラックによる営業輸送行為が拡大しつつある。これらについてその実態を運輸大臣としてはどう受けとめ、またこれらの違法行為に対して、どう対応しようとしておられるのか、まずその基本的な所見というものをお伺いいたしたいと思います。
  109. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 白バス、白トラ、それから白タク、こういうのがあることは承知いたしておりますし、これがやはり少しはふえてきておるという感じも私はしておるんですが、白タクの取り締まりを警察当局に依頼いたしまして、相当厳しく実施いたしましたら、これは一時減ってきたような傾向でございましたが、また取り締まりをゆるめるとふえてきておるというのが実情なんです。しかし、摘発件数と申しましょうか、いわば監察事件というものは、かなりな数をやっておるんでございまして、処分もかなりしておるんでございますが、まだ十分な点にはなっておりません。  そこで、一つはやっぱり業者自身、バスにいたしましても、トラックにいたしましても、白トラが、あるいは白バスが起こってくる、そういうやっぱり需要があるんだということを知ってもらって、これをそれに即応した営業を考えてもらいたいと思うんです。今日レンタカーによりますところの白バスでございますか、やっぱりああいう需要がある。ところがバス会社に言いましても、全然相手にしてもらえない。そうすると便利だからあれ使おうかと、こういうことになってしまうんで、そこらは業者もひとつ考えてもらいたい。と同時に、一面におきまして、私たちは、そういう根源となりますレンタカー業者であるとかというものには厳しく言っておるんでございますが、なかなか徹底しない、結局は取り締まりを強化するということ、これに重点を置いておる。でございますので、そういう情報をどうしてつかむかということに鋭意努力をいたしておるところであります。
  110. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、道路運送における違法行為に関しましては、昭和二十九年八月に、自貨第四五一号によりまして「貨物自動車輸送秩序の確立について」の通達が行われております。それから二十六年すでに経過いたしております。  最近の通達を拾い上げただけでも、五十一年十月十二日には、自派第二三一号による「運転代行会等による道路運送法違反の取締り等について」、五十二年十月二十四日官観業第〇〇八号の三による「道路運送法違反事犯にかかる旅行業者への周知徹底について」、昭和五十三年八月七日自旅第二三九号による「自家用バスを使用して行う貸切バス経営類似行為の防止について」、さらに五十五年五月十九日には、自貨第七〇号による「貨物自動車輸送秩序の確立について」等多くの通達は出されているんです。しかし、違法行為は絶えません。むしろ拡大しつつあるというのが実態でございます。  いま大臣が取り締まりの強化、需要に対応した業者の努力、これを指摘されました。それも当然やっていかねばならぬと思うんですが、私は、今日の自動車行政の最大の欠陥は、わが国の自動車保有台数の大多数を占める自家用自動車に対する行政的な対応が欠けているということではないかと思うのでございます。  ちなみに五十五年十月末登録台数は三千八百五十四万余台を数えておりますけれども、そのうち自家用車が三千七百五十四万余台でございます。営業車が百万台でございます。検査、登録を除く陸運行政の対象になっているのはこのわずか百万台の営業用車に限定されている。しかも、この営業用と自家用との区分というものが現実に適応していない。そこに行政の混乱と違法行為のはんらんというものがある。そこに根源があるんではないか。こう認識するんでございますが、いかがでしよう。
  111. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 大体おっしゃる点は私も同感でございます。
  112. 柄谷道一

    柄谷道一君 いま、大臣も同感の意を表されたわけでございますが、わが国の道路運送法、これは営業用と自家用の区分から出発いたしまして、営業用については、事業免許等の事業規制を行うと、それがたてまえになっております。しかし、自家用自動車は野放しにされております。したがって、脱法的な事業活動への参入がきわめて容易である。また、必要な車両の所有が容易であり、かつその運用についてのチェックが十分に行われていない。また、違法行為に対する取り締まりも必ずしも徹底されているとは言えない、そういう背景の中で、自家用自動車が種々の形態で、各種の事業規制を受けている営業用の分野を侵害いたしまして、交通安全上、また輸送秩序維持の上から、大きな問題を引き起こしている。これが今日の私は自動車行政の現実であると思います。  したがって、私はこのような現状を踏まえますならば、当然この際道路運送法の根本的見直しと、その対応というものが必要ではないかと、こう思うんですが、いかがですか。
  113. 飯島篤

    政府委員(飯島篤君) 現在の道路運送法は、営業用は他人の需要に応ずるものであると、自家用とは自己の需要に応ずるということで、需要の主体によって、事業を分離いたしまして、有償性のみによって規制内容に差異を設けるほかに、自家用自動車につきましては、有償運送の禁止等の規定を置いて対応しているわけでございます。基本的には、現在の道路運送法を適切に運用いたしまして対応できるのではないかというふうに考え、取り締まり体制も整備いたしまして、取り締まりに努力をいたしておるところでございます。  道路運送法の改正の問題につきましては、いろいろな方面から御意見も出ておるところでございまして、全く問題がないとは言い切れないのではございますが、基本的にそれではどうあるべきかという問題につきまして、諸外国の例等も勉強をするべく努力をいたしておるところでございますが、なかなか外国の法制も細かいところまでつまびらかにすることができません。今後もできるだけ人を派遣したり、あるいは資料を請求したりしまして、外国の実態、法制等も参考にしながら、勉強してまいりたいというふうに考えております。
  114. 柄谷道一

    柄谷道一君 いま局長は、現行法制の中で対応できる、こう言われたんですが、現実は現行法制では対応できなかったという現実がもう明らかに示されているわけでございます。  レンタ業者が運転手つきでマイクロバスの貸し出しを行っておる。しかも、かつて読売新聞の紙上に、運転手が覚せい剤を使用して、それを常用しつつ長距離運転をして荒かせぎをしておるという事例も発表されております。  私は、これは松江の例でございますけれども、代行運転の、これ領収書とらしてみました、後でこれごらんください。ところが、この中の領収書によって、明らかな白タク行為が横行しているんですね、代行する場合でも、飲食店から駐車場までお客を乗せていかなければなりません。これ営業行為ですね。こういうものが蔓延しているということは、この一覧の領収書の中で、これ一地方でございますが、明らかになっております。これ写真もごらんください。堂々と無線基地を設け、しかも路上に駐車して客待ちをしておる写真でございます。しかもまだ、自家用ダンプを見ますと、現在ダンプの保有台数十八万台中、何と十六万台までが白ナンバーですよ、これ。わずか営業用として登録されているダンプは二万台にしかすぎません。沖縄、奄美大島では、軽貨物自動車によるタクシー行為が蔓延しつつあるということでございます。  私は、このような実態をきょうは時間の関係で  一々指摘できませんけれども、しかし、これでは現行法規の中で対応することはとうてい不可能だという現実を示している、こう思うんですね、大臣、御認識どうでございますか。
  115. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私もそういう例よく知っておりますし、もう御指摘されること、当然私も行われておると思っております。
  116. 柄谷道一

    柄谷道一君 いま局長が申されましたけれども、アメリカの自動車運送法では、自家用、営業用の区分について、単にわが国のように有償か無償かで判断するんではなくて、業務内容に着目いたしまして、新しい判断基準を採用していると承知しております。また、西ドイツの場合も、貨物自動車運送法で、事業区分を明確にいたしまして、自家用運送が許容される要件というものを厳格に定めている。このように承知し、私はその資料も持っております。これらの諸外国の例を参考として、この際、自家用、営業用の新しい判断基準を打ち出す必要がある、それが迫られているんではないか、こう思うんですがいかがですか。
  117. 飯島篤

    政府委員(飯島篤君) 先生いま御指摘のアメリカあるいは西ドイツの法制でございますが、アメリカでは主業務テストということで、営、自を判断しているというようなお話がございますが、残念ながら主業務と従業務との明確な区分をどういうふうにしているのか、それによって何か問題が生じないのかというようなことにつきまして、もうひとつはっきりした資料を入手できない状態でございます。実はそういう御意見について、私どもの方へ参った方もあるわけですが、中身をお伺いしても余り詳しいことはつかめなかったというようなことでございます。また、西ドイツにつきましては、長距離の自家用につきまして規制をしているようでございます。  ただ、一般的な諸外国の傾向は、どちらかといいますと規制緩和の方向に向かっておりますし、国内でも事業規制の見直し等の意見も別の方面からは出てきたりいたしております。私どもといたしましては、先生の御指摘でもございますし、近く課長をヨーロッパに派遣して、関係の資料をもう少し詳しく入手したいと考えております。また、アメリカに対しましても、早速資料の請求をいたしまして、もう少し実態とその規制、両方について勉強をした上で考えさせていただきたいと思います。
  118. 柄谷道一

    柄谷道一君 局長、アメリカで法の大改正が行われたのは一九五八年ですよ。だから、資料の入手がまだしてないということを言われるんですけれども、その資料の入手に、もう大方三十年近く期間がかかって、なおその資料が十分入手されていない。私はそこにやっぱり自動車行政の怠慢と言っては失礼かと思いますけれども、姿勢というものが如実にあらわれているんではないかと思うんです。遅きに失しますけれども大臣ひとつ早急にアメリカ及びヨーロッパの法規の実態を正確に把握されて、やはり参考になるべきものは積極的にわが国の法制の中に取り入れていく、そういう姿勢があってしかるべきだと思うんですが、大臣いかがです。
  119. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) それは仰せのとおり、われわれも早急に十分研究いたします。しかし、これはヨーロッパも皆困っている問題ですから、余り知恵がないんではないかなと思うたりもするんです。私は、やはりここで基本的には自家用車とそれから営業車との間で、要するに経費の負担、経費の額をある程度考慮していくという、つまり自家用車というのは社会的負担やっぱり大きいんです、社会的に負担をせしめておることが大きい。そうすると、やはり自家用車には社会的負担はある程度持っていただくというようなことを、政策的にも考えるべき時期ではないかと思うたりいたします。
  120. 柄谷道一

    柄谷道一君 次に、車両の所有制限についてお伺いしたいと思います。  普通自動車、いわゆる乗用車は別にしましても、いま大型トラック、ダンプカー、バス等は個人の資格で簡単に所有できるという仕組みになっております。そこに基本的な一つの問題がありはしないか、乗用卒以外は一定の要件を整えて、当局の認可を得たもののほかは個人としての所有は許されないという制度を確立していくことも必要であろうと、こう思われますし、法人等が所有する場合でも、所有後の運用が適正であるのかどうか、このチェックをすることが必要ではないか。そうしませんと、簡単に大型車が手に入るわけですから、しかも営業用、自家用のあいまいが脱法で幾らでも通り抜けられるという知恵を働かせば、いま私が申しました違法営業行為が蔓延していくことはやむを得ない一つの情勢になってきておる。車両の所有制限に関してお考えをお伺いしておきます。    〔委員長退席、理事佐藤三吾君着席〕
  121. 飯島篤

    政府委員(飯島篤君) 自家用自動車の所有の制限等何らかの規制を強化するという問題については、大部分の自家用自動車というものは、本来の目的に従って正当に使用されておるということでもございますし、自家用乗用車にしても、自家用のバスにつきましても、生活水準の向上に伴いまして、国民生活の重要な一部分となっておるのが実情でございます。また自家用トラックにつきましても、わが国の産業界における自由な経済活動との関係で、強い規制を加えることについては、いろいろ問題があるんではないかというふうに考えております。現行の法制下におきましても営業用トラックは、逐年発展をしておる実情もございますので、今後なお慎重に検討をすべき課題だというふうに考えております。
  122. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は自家用車が本来の目的に使われているなら、何も問題として取り上げるものではないんです。それが営業類似行為、いわゆる違法行為を行っているというところに問題があると、こう思うんです。大臣は、運輸省はこの取り締まりを厳正にしてきたと言われるんですけれども、行政処分を行った件数は五十二年度千五百八十、五十三年度千五百十一、五十四年度千三百件にしかすぎません。私は氷山の一角であると言ってもこれは過言ではないと、こう思うんです。  そこで、運輸省では自家用トラックによる営業類似行為を監視して、輸送秩序を確立するために、五十五年度で十七名の貨物輸送監理官が各陸運局に配置されておると承知しております。十七名の監理官によって、どの程度の成果を上げ得ると、これで万全であるとお考えになっているのかどうか。また、    〔理事佐藤三吾君退席、委員長着席〕 私は十月二十三日の社労委員会質問したのに対しまして、運輸省は旅客部門における違反行為の監視体制を整備するために、専任の職員を各陸運局に配置したいと、そのように努力したいと私に答弁されました。しかし、五十六年度政府予算案を見ますと、これはゼロでございます。これが実現できなかった理由は、一体那辺にあるのか、お伺いいたします。
  123. 飯島篤

    政府委員(飯島篤君) 先生のお話にありますように、貨物輸送監理官現在十七名でございます。主な仕事の内容は事業者に対します監査、その計画の策定、それから営業類似行為を行います白トラの取り締まり、それから行政処分等々輸送秩序の改善に関しまして、いろいろな仕事をし、かつ関係機関との連絡にも当たっておるものでございまして、行政処分そのものよりも、全体として輸送秩序の維持改善に非常に大きな役割りを果たしていると考えております。したがいまして、今後ともその拡充に努力してまいりたいというふうに考えてはおるのでございます。旅客部門につきまして、御指摘のように、確かに来年度予算において四名の要求をいたしましたし、貨物部門についても五名の要求をいたしたわけでございますが、残念ながら現下の財政状況下増員が厳に抑制されると、私どもの方も施設ができて、それにどうしても必要な増員がまず優先するというようなこともございまして、残念ながら実現できなかったわけでございます。しかしながら、今後とも問題解決に向かって、引き続き努力をしたいと考えております。
  124. 柄谷道一

    柄谷道一君 大臣、業界秩序化のための要員の配置もしくは増員というのは、全くゼロ査定で終わってしまっているわけですね。現行法規の中で運用できる、取り締まり件数はきわめて氷山の一角である。いま大臣も取り諦まりをもっと強化してと言われたけれども、そのマンパワーの面においては全く前進がない、これが実態でございます。これはもう意見として申し上げておきますけれども、来年の予算編成まで大臣でおられるのかどうか承知いたしませんけれども、これはやはりもっと力を入れて、こうした体制の強化について御努力を願いたい。強く要請をいたしておきたいと思います。  それから、労働省にお伺いするんですが、自家用トラックにおける営業類似行為を放置しておけば、それでなくても過当競争体質の激しいトラック業界においては、運転労働者に過酷な労働条件を結果的に強いるということになると思うのでございます。その点労働省は長時間運転の労働基準法違反事犯の摘発について、営業用トラックに限定するのではなくて、自家用部門においても厳しくこれを行うべきではないか、こう思うのですが、いかがでございますか。
  125. 倉橋義定

    説明員(倉橋義定君) 雇用関係のありませんいわゆる一人親方の方が白トラ等を運転する場合につきましては、労働基準行政のらち外でございますから、直接労働省がそれに対する対策を打つということは非常にむずかしい問題でございます。こういうような具体的な問題が生じましたら、関係官庁と連絡をとりながら、その解決を図ってまいりたいと思いますが、雇用関係のあります運転手の方が、会社の自家用トラックを運転する場合、こういう場合につきましては労基法の適用がございますので、私ども三六協定の締結等の指導の中で、長時間労働にならないような指導を強めてまいりたいと思います。また、新しい改善基準につきましても、自家用運転につきまして、たとえば木材、紙パルフの運送だとか、鉄鋼材、鉄筋等の運搬をする場合につきましても適用しているわけでございます、そのような特定の事業者につきましては、改善基準によりまして、強い行政指導を今後とも続けてまいりたいと思っております。
  126. 柄谷道一

    柄谷道一君 雇用関係のない長距離運転者に対して、労働省が直接関与できない、それはたてまえ上そのとおりであることはよく承知しております。しかし、そのような状態を放置することが結局労働基準法を適用の労働者に大きな影響を与えるということでございますから、労働省としても、関係省庁と十分連携をとられまして、その面から雇用されている労働者の労働条件の確保が妨げられないというためのひとつ努力は、大いに側面的にお払いを願いたい、これは要望いたしておきます。  警察庁にお伺いいたしますが、労働省はそういう事情でございますね。私は、営業用自動車につきましては運転手の資格制限、それから運行管理者の制度など、交通安全確保のための措置がいろいろとられております。しかし、自家用自動車については、これらの規制が全くないと言っても過言ではございませんし、しかも、野放しの状態にございます。これは私が東名、名神の事例を挙げましたように、交通安全上も非常に私は危険な状態だと思うんですね。万が一加速がついていない自動車の後ろに、走行車線を走っている貨物自動車が追突した場合どうなるのか。幸い今日まで事故は起きておりませんけれども、これは大事故に発展していく危険がございます。  こうして考えますと、警察当局も本腰を入れてこれらの違法営業行為というものに対して、その取り締まりを強化する必要がある、こう思うんですが、いかがでしょう。
  127. 池田速雄

    政府委員(池田連雄君) いま御指摘の、自家用車の運転者によります営業類似行為につきましては、輸送秩序を乱すという道路運送法違反の観点だけでなくて、ややもすれば、さらにまたこの点も御指摘ございましたけれども、過労運転等重大な事故を惹起するおそれがある違反行為を伴う場合が多いというふうに考えますので、警察といたしましても、関係の当局と御協力申し上げながら、取り締まりに重点を置いてまいりたいというふうに素、えております。  それから、なお自家用車一般につきましては、営業車の場合には運行管理者の制度がございますが、自家用車の場合にも、車両等の使用者の責任を道交法で規定いたしておりますほか、マイクロバス以上のバスをお持ちの方につきましては、安全運転管理者を設置する必要がある。あるいはまた、車五台以上お持ちの方につきましては、安全連荘管理者を設置する必要があるということで義務づけておりまして、現在そういった義務づけが行われております事業所が、全国で二十二万八千カ所ほど、管理者が同じく二十二万八千人ほど、副管理者が二万八千人ほど、その傘下におられます運転者の方が三百二十万人ほどおられるわけでございます。対象になっております車が二百六十万程度というふうに理解いたしておりますが、そういう安全運転管理者の制度等を通じましても、さらに安全運転の管理に努めてまいりたいというふうに考えております。
  128. 柄谷道一

    柄谷道一君 警察当局に対して、これまた厳正な取り締まりを求めておきたいと思います。  そこで、私は、労働省、陸運局、警察の取り締まり体制は当然強化しなければなりませんが、何しろ三千七百万台という膨大な自家用車のチェックを完全に行うということは、これは不可能であろう、こう思うんです。このためには業界や、関連した運転手で組織しております労働組合の協力が不可欠であろうと思います。たとえばトラック業界では、現在、輸送秩序改善専任指導員を全国に九十六人配置しておりますけれども、その身分や権限は明らかにされておりません。私はこれらの方々に対する役割りと任務をまず明確にすべきであると同時に、その他違法レンタバス、違法バス、違法トラック等の問題につきましては、これらのトラックに準じたひとつ労使一体の行政に対する協力体制、それの確立と、その役割り、権限というものを明確にする、そういう必要があると思うんですが、いかがでしょう。
  129. 飯島篤

    政府委員(飯島篤君) 先生指摘のとおり、運輸省や警察だけの取り締まりではなかなか実効が期せない面がございます。したがいまして、御指摘のとおり、全ト脇で配置しております自動車輸送秩序改善指導員とも十分連携をとりながら、違法行為の防止に努めているところでございます。  また、業界団体、あるいは労組の団体、荷主の団体等との懇談会等に当たりましても、輸送秩序問題についての徹底に努力をしているところでございまして、公労使で物流政策懇談会というようなものを設けておりますが、昨年の十二月に開催して、トラック関係の諸問題について意見交換を行っております。また十一月には、それに国会議員の方も加わっていただいて、政公労使の間で意見交換もいたしております。今後とも広くできるだけいろいろな機会に御意見を伺うなり、御協力をいただきたいというふうに考えております。  それから、先ほどの輸送秩序改善指導員の身分と権限を明確にすべきであるという問題でございますが、目下、他の行政におきまして民間指導員というような者をたとえば委嘱したりしているような例もございますので、早急にその辺を勉強いたしまして、でき得れば前向きに検討したいというふうに考えております。
  130. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は時間の関係で、大臣もちょっと触れられましたように、需要のあるところに営業類似行為が起きてくる。その一面に対応するために業界もまたどのような対応が必要だろうか、これに対して運輸省としてどのような行政指導が必要なのか、これも重要な一つの課題であろうと思います。  また、私はエネルギー問題について、貨物輸送のエネルギー消費量の構成と輸送トンキロの分担率、これを対比する資料を持っておりまして、これも指摘しながら、この自家用トラックがいかにエネルギーという面において大きなむだを生じておるか、こういうことも指摘したかったわけでございますが、これはまあ時間の関係で省略をさしていただきたいと思います。  最後に、私は大臣お答えをいただきたいんですが、私がいまいろいろ質問してまいりましたように、どうしても基本的には道路運送法に混乱の根源があると思えて仕方がございません。現行の道路運送法は、戦後混乱期の昭和二十六年に制定されて以来、抜本的な改革が行われることなく今日に及んでおります、当時、わが国の自動車保有台数はわずか三十八万台、それがいまや三千八百万台と大幅な伸びを示しておりますし、その使用形態また物流の様相も大きく変貌しておるということは、もう多くの説明を要しないと思います。にもかかわらず、こうした社会の進展、変化に合わせた法改正が行われていない。そこで実態と乖離し、法律が形骸化してしまっていると断じてもいい状態になっていると思うんでございます。  私は、業界秩序確立の観点から見ますと、第一には、営業用と自家用の分類、そして主として営業用に必要な規制を加えるという現行法は事業管理法規であると受けとめられるわけでございますけれども、それでは自家用と営業用を区分する基準は何かといいますと、自己か他人かという需要の対象と、自家用の有償運送を禁止するという規定から、いわゆる有償テストによってその区分が行われている、これは一見もっともなようでございますけれども、これだけであれば、たとえば自家用車による貨物の売買問題、つまりダンプトラックによく見られますように、その貨物を買ったことにし、輸送先で売ったことにする、これは明らかに輸送行為ではございますけれども、これが輸送業とはとられずに、自家用という扱いになってしまう、私は貨物という南流の流れの中で、法制当時に考えられたような単純なものでなくなってきておる、ここに一つの大きなメスを入れなければならない。このためには先に指摘しましたような諸外国の事例、さらに労使の意見を十分体した法改正への動きというものが活発に行われるべきであろう。  免許制につきましても、現行の事業免許制度は、輸送市場の需要構造に対応するための性格を持つものでありまして、被免許者が真に営業上の能力を有するかどうかを判定する資格免許制の機能を持っておりません。こうした面につきましても、大きなメスを入れなければならない。  また、免許区分については、貨物における路線と区域という区分は、積み合わせ行為の増大という現在の社会的要請の中で、もはやナンセンスなものになりつつあるんではないか。  時間の関係で、多く触れられませんけれども、道路運送法はこのほかにも多くの矛盾点、問題点が現在表面化してございます。  私は、この際今日の事態に対応できるように、道路運送法をこの際見直して、その抜本的な改正を図るべきである、少なくとも今日、たとえば交通労連等が建設的な提言を運輸省にしばしば行っておりますけれども大臣はこの際公労使の三者構成による法改正のための研究会、もしくは諮問機関を設置いたしまして、現行法規の問題点にメスを入れ、そして秩序確立と運転者の適正労働条件確保のために、積極的に取り組むという姿勢をぜひお示しをいただきたい、こう思うわけでございます。大臣の明確な答弁を求めまして、時間が参りましたから、質問を終わります。
  131. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 先ほど自動車局長お答えいたしましたように、政労使あるいは公労使になるんですか、の会合も開いております。ですから、これを諮問するとかいう前提といたしまして、その前にもう少し話し合ってみたいと思うております。私も現在の法制のもとではなかなかいわば営業秩序の確立を保護し得ないと、私もそういう感じがしておるのであります。しかし、これを下手に、妙なことで規制をいたしますと、逆に運送統制になってしまうおそれもありまして、いまやはり自由な活動が、あらゆる部門に自由な活動が許されておるので活気があるんですけれども、下手なことで交通統制みたいになってしまってもいかぬような感じもいたします。けれども、といって、これで輸送の秩序を保てるかといったら、どうも危なっかしい感じもいたしますから、そこらはよく一度、改正するしないという、そんなことの前提としての検討を十分さしてもらいたいと思っております。
  132. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 先ほど佐藤委員の方からちょっとお話ございましたが、このたびの豪雪で多数の方々が亡くなられたことはまことに同情にたえません、と同時に、罹災者の御冥福をお祈りするわけでございます。  順次質問をこの豪雪の問題についていたしたいと思いますが、政府は、北陸地方を中心とした日本海側のこの豪雪による被害を重視して、原国土庁長官を本部長とする豪雪対策本部を設置されました。本来は対策本部より被害状況について報告を願うところでありますが、きょうは何か滋賀県の方へ視察に行かれたと。また国土庁の担当者の方も、衆議院の災害対策特別委員会の派遣で北陸に同行しておられると、こういうことでございますので、きょうは国鉄関係にしぼってお聞きしたいと思います。  まず、国鉄側から今日までのまとめた北陸地方の豪雪被害状況、五十億とも六十億とも新聞には出ておりますが、今日まとめておられるだけで結構でございますので、現状を御報告願いたいと思います。
  133. 藤田義人

    説明員(藤田義人君) お答えします。  まず、減収額について申し上げますと、昨年の十二月二十七日から本月一月十六日までの客貨の減収額、これは一応いままでの過去の実績等考えまして、また旅客につきましては、昨年十月から一カ月前売りというような状況変化がございます。それ等の条件を考えまして、マクロ的に計算したものでございますが、旅客につきましては三十三億、貨物につきましては二十七億、都合六十億の減収になっております。なお損害額として、あといわゆる駅間に旅客列車等がとまりまして、旅客に対する食事を供する供食の問題、または宿に泊めたその宿泊料等の問題につきましては、まだ十分な精査ができておりませんので、相当の減収額だけで御勘弁願いたいと思います。  なお、列車の運休本数につきましては、この期間におきまして、旅客列車につきましては七千本、貨物列車につきましては五千本、都合運休の列車本数が一万二千本という状況でございまして、いろいろと御心配かけますが、そのような状況で現在推移しております。  なお、線区としていろいろと豪雪で列車を規制しておりますが、その規制以外で、いわゆる不通区間で申し上げますと越美北線、越美南線、只見線、三線区が現在不通でございます。飯山線は昨日開通しておりますが、いま一部でなだれの警戒があるので、いろいろと午後のローカルを確保するかどうか、つい先ほどまた電話して状況を把握したところでは、そのような状況でございまして、一応不通区間としては三線区というのが現状でございます。
  134. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 いまお話あったように、現時点で六十億の被害が出ているわけです。これは近来にない、三十八年以来の大豪雪だと、このようになるわけでございますけれども、このような大きな被害になった。これは雪が多く降ったからそうなったわけですけれども、これだけの被害をこうむるというのは、そのほかにいろいろな点があると思うんですけれども、どんな背景でこのような被害が出たのか、国鉄側としてはどう認識されているか、その辺をお伺いしたいと思います。
  135. 藤田義人

    説明員(藤田義人君) いろいろ御心配をおかけいたしますが、先生御案内のように、三八豪雪以上ということがいろいろ報道されておりますが、場所によりましては、たとえば高山線の猪谷−坂上間でございますが、このところでは百五十年確率の豪雪であると、また場所によっては五十年とか、またところによっては三八よりも五割増しの豪雪とかということで、三十八年の豪雪は、御案内のように新潟から金沢にかけまして、長区間のところに約一週間から十日の豪雪が続いたという特色でございます。今回の雪はいま申しましたようないわゆる豪雪が非常に局地的に動いておるという一つの特色もあると思います。  われわれとしては、三八以来いろいろと対策を進めてまいりました。本社には事故防止対策委員会がございますが、その下部機関に雪害対策専門委員会がありまして、毎年雪に対する状況、除雪、防雪等の対策を検討して、年々投資を進めてまいり、除・排雪に対する力をつけるようにしてまいってきておりますが、今回の雪はそのようなことで非常な豪雪が、われわれとしてのまだまだ力の足りないところを反省しているわけでございます。そういう面で、細部にわたってはまた御質問の中でお答えいたしますが、いろいろといままでも力をつけた中で、今回の豪雪というものがまだその点でいわゆる反省を必要とする点を多々持っているということをいま感じております。
  136. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 私もこの豪雪に関しては、国鉄の規模の大きさとか、それから汽車の本数がいままでよりも多くなった、過密になった、そういう点も考えられますし、それから、除雪するのに機械化は進んだけれども、実際に人海作戦でやらなければならない部分もたくさんあるわけです。そういう点で人手不足、それから経済の発展と同時に、線路のすぐそばまで民家がきている、そういうことで除雪作業が非常に以前よりは厳しくなってきた、こういう点もいろいろ考えられると思いますけれども先ほど話があった只見線初め、この見通しはどうですか。
  137. 藤田義人

    説明員(藤田義人君) 越美南線につきましては、ただいま報告を受けているところでは、二十一日——明日には何とか開通できるのではないか。越美北線につきましては、一応全線がまだいつ開通できるかということがわかっておりません。  只見線につきましては、現在の不通区間が小出−会津川口でございますが、これにつきましてはただいま盛んに除雪を小出方から進めておりまして、只見までは何とか早く開通すべく現在進めております。しかし、只見線は先生御案内のように、非常に豪雪、またなだれの多いところでございまして、毎年約二、三カ月中央で不通になっている。ちょうど只見と会津川口のあたりでございますが、非常にそういう区間でもございますが、現在只見線につきましては、小出方から只見までは何とか開通させたいということで、努力している最中でございます。
  138. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 いろいろな事情があって、これほどの大きな被害になったわけですけれども、備えあれば憂いなしということですが、きのうあるテレビで夜やっておりましたけれども、天明のあの大飢饉と八〇年の昨年の農水産物の被害、冷害ですけれども、それに続いて今回の豪雪ですが、それを比較していろいろ苦労して統計を出したようですけれども、それが放映されておりました。内容は、確かに天明のあのときの被害というのは相当な被害があった。被害状況からいけば、昨年の、八〇年のこの農水産物の被害よりははるかに倍も多かった。しかし気象状況を調べてみると、天明の飢饉のときの方が八〇年の気象状況から見るとまだ緩やかであった、こういうデータが出ている、これが結論でございましたけれども、そういうところから見れば、やはり豪雪に対しては、毎年来るわけではございませんけれども、備えはきちっとしておかなければならない。それである程度助かるんじゃないか、こういうことも言えるわけです。  そこで、いずれにしても早急に対策を立てなければなりませんし、いま国鉄側でも除雪作業に努力をされているわけでございますけれども先ほど言いましたように、いろいろな条件の中でやはり人海作戦をどうしてもやらなければならない。ある新聞によれば、この人海作戦がおくれたために被害を大きくしていると、こういう報道もございます。そこで現在、国鉄で確保されている除雪の協力会員、これは管区別にどの程度になっているか、教えていただきたいと思います。
  139. 藤田義人

    説明員(藤田義人君) 先ほど先生申されましたように、いろいろと機械を整備しましても、やはり人海戦術によらなければならないところも結構ふえてきております。そういう面でいわゆる雪害を受ける各管理局では、いろいろと地元の方々の協力を得て、除排雪に協力していただくということで、除雪協力会というものをつくりまして、そこの会員に登録していただいて、そういうようなときには協力していただくということの制度がございます。全国では五万七千五百人が現在この会員として登録されているというのが現状でございます。
  140. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 これはふえているんですか、減っているんですか。二年前、三年前あたりからちょっと教えていただけませんか。
  141. 藤田義人

    説明員(藤田義人君) これは現在の協力会の会員数でございまして、三十八年ごろに比べますと、三十八年の当時の七五%程度にこの会員数は減ってきております。
  142. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 三十八年の当時から比べると七五%、そういうことで減っているということでございますけれども、この減った原因というのはそれでは何なんですか。
  143. 藤田義人

    説明員(藤田義人君) われわれとしては、いまの減少した原因というものを、第二次、第三次産業の増加に伴いまして、このような力仕事、単純作業の除雪に従事できるような、そういう総数がまず減少してきているということが一つ言えると思います。また、道路が相当発達してまいりまして、その方の道路除雪という問題も各地でいわゆる量的に増加してまいりまして、鉄道側に協力していただけるその量が減ってきた。また今冬は特に豪雪でございまして、自分の家のいわゆる屋根の雪おろしとか、いろいろと自分の家を守ることにも追われているというようなことが実態でございまして、このような減少原因として三点が考えられるというふうに考えております。
  144. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 いま三点がその減少原因だと言いますけれども先ほどの五万七千五百人というんですが、これは一月八日の読売新聞ですけれども、ごらんになったかと思いますが、いわゆる農家の人たちを中心に、冬の農閑期を利用して協力してもらってきた。会員数は年々減る一方で三八豪雪の三十八年には約二万三千人、五十一年には二万人、今冬は目標を千三百人下回る一万六千七百人、どんどんどんどん減ってきているわけです。理由はいま理事の言われたような理由もあるかもしれませんけれども、私はもちろん自分のうちの屋根の雪を払わなきゃならない、そのために、国鉄は動いてもらわなければ困るけれども、そちらの方に手が回らないということも確かにあると思いますけれども、私は賃金が問題じゃないか、こういうふうに一つは思うわけです。  私の調べたところによりますと、新潟県下の市町村、ここで除雪作業員というのは、一日当たりいま相場として一万円、それに弁当がつく、こういう相場になっているそうです。国鉄側から聞きますと、大体日当というのはいま三千九百五十円から四千九百五十円、こういうことになっているようでございますけれども、そうなると大体半分ぐらい、賃金が物価の上昇もあって、本来ならば一万円とは言わなくとも、そういう約束になって協力してもらうということですから、これも考えなきゃなりませんけれども、一万円と三千九百五十円なら、これは当然一万円の方に行ってしまいます。そこに原因が一つはあるんじゃないか、こういうふうに思うんですけれどもいかがですか。
  145. 藤田義人

    説明員(藤田義人君) いま先生が申されましたように、新潟地区一般の方と国鉄がおっしゃるような賃金で行われておりますが、われわれの方としましては、ちょうど三十八年ごろは一人一日の日当が六百円、それが経済企画庁の資料でございますが、三十八年と五十五年、給与額の比較を見てみますと指数として七・五倍ということが言われております。また、やはり経済企画庁の方のデフレーターの方で見ましても、三十八年一として五十五年が二・九五。三十八年当時約六百円ということから、先ほどの給与の比率でいって八倍ととして四千八百円。確かに町の方では一万円とか、また所によっては二万円などと、いろいろな額が聞かされておりますが、われわれの方としてはいろいろな財政上また長期間いろいろな問題がございますし、これ以上にいま出すという考え方にはなっておりません。
  146. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 なっておりませんはいいけれども先ほど言いましたように、除雪用の機械、これを駆使して除雪するのは、機械化の時代でこれ当然でございますけれども、それをやって、たとえば日本の鉄道というのは軌道が狭いわけですから、そこでラッセル車を走らして、そうして雪を道路に吹き上げると、それをまた機械でやると、これは非常にむずかしいことだと私は思うんです。そこで壁になったところを、それこそ人海作戦で早急にそれを処理しないと、かえってそれが今度またその上へ雪が降るということになると、それが原因で被害を大きくするんじゃないか、こういうふうに地元の人も言っておりますし、物理的にそうなるわけですが、ですから、もちろん国鉄は私たちのいわゆる経済生活の基盤にもなりますし、国鉄が動かないということになると国民生活に大きな支障を来すわけです。そういった意味で、極端に言えばその被害によって人命にもかかわる問題ですから、これからも今月の末から来月にかけて気象庁の予報によると、さらに寒気団がきて雪が多くなるだろうと、こういうふうに予想もされているわけです。そういった意味で、この除雪費、賃金ですか、これを何とか考えてやらなければならないんじゃないか。人が集まらない、人が集まらなければ除雪ができない、除雪ができなければそう言っちゃ失礼ですけれども、赤字の国鉄もますます赤字になると、こういうことになるわけなんで、ぜひともこの点については考えていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  147. 藤田義人

    説明員(藤田義人君) 先生がおっしゃるとおりでございまして、ただわれわれとして別にそれだけで手をこまねいているわけでございません。いままでも三八以来毎年、この雪害に対する対策を見直しながら、力をつけてまいってきております。今後とも人手というものについては、いろいろと減少の傾向にございますし、機械、設備、また車両等の増備を図ってやっていきたい。今日までそれでまいっておりますが、ただいま盛岡鉄道管理局管内からロータリーを応援に出さしております。また旭川からロータリーを一台応援に出さしております。そのように各地域にあるものだけで対応するのではなくて、そういう降雪等の状況等を見ながら十分対応し、人を有効に使うといいますか。そういうように配置するということ等を総合的に考えながら、列車の確保に今後とも進んでいきたいという考え方をしております。
  148. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 しつこくなりますけれども、この除雪費のいわゆる賃金について、上げる気持ちがあるかどうか。もう一回お答え願います。
  149. 高木文雄

    説明員(高木文雄君) この種の問題は、実はほかにもいろいろあるわけでございまして、確かにおっしゃるとおり、少しよそに比べてどうも安過ぎると、これではいろいろお願いするにもしにくいという面もあるんではございますけれども、国鉄というのはやはりそこは長い歴史を持っておりまして、国鉄に愛情を持っていただいている方々に、ふだんから協力会というようなものを組織していただいてお願いをしておりまして、そして、必ずしも雪のときだけではなくて、たとえば夏場におきます緊急除草というような場合にもいろいろお願いをするということで、本当の臨時にお願いするというんじゃなくて、ふだんからある種のつながりを持ってお願いをしておりますので、実はいささかそれに甘えて低い賃金でお願いをしているという実態でございます。  おっしゃるように、非常に一人でも手伝っていただきたいという意味では、もう少し賃金の水準を上げた方が集まっていただきやすいということは事実なんでございますけれども、どうも私もよくわかりませんけれども、協力してくださる方々も、ほかの方が高いのに鉄道の方へ出ていくということについては、ただ金だけの問題でなくて、愛情を持ってやってくださっているということもありますので、もちろん御指摘のように、今後いろいろ考えなければいけませんけれども現状はそういうことで、そこにおすがりをしながらやっているという現状でございます。  それと、やはり何といいましても、年によって非常に変動があるわけでございますが、協力員の方々につきましては、その日ごろからお願いしているという関係もありまして、特に雪が降りましたからといって急にそこがふえるというわけになかなかいきません。また臨時にお願いしました方と協力員の方々との賃金差があってもぐあいが悪いというようなことがいろいろございまして、まあ御指摘の点はわれわれの中でもしばしば議論にはなっておるんでございますが、毎年多少ずつは改定はいたしておりますけれども、やはり低目低目で決めさしていただいているということでございまして、今後の課題としてはもう少しいろいろ研究をいたしてみたいというふうに考えますが、いま直ちにこれを改定するかどうかということについては、そうした事情もございますので、しばらく御猶予願いたいという感じでおります。
  150. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 まあ愛情だけでは、一万円と五千円の差はこれは埋まらないと思うんです。まあおらが村の国鉄ですから、そういうこともあって、確かにいま総裁の言われるようなことも話はわかりますけれども、この点については努力をしていただきたいと、このようにお願いをしておきます。  そこで、除雪の対策予算ですけれども、この点についてお伺いしますが、除雪対策予算としては毎年どの程度見込んでおられるか、お教え願いたいと思います。
  151. 繩田國武

    説明員(繩田國武君) お答えいたします。  私どもの方の除雪対策費は、いま先生指摘のように早く復旧するということで、これを命題にしておりまして、雪害も含めましてでございますが、災害に対応できる復旧費用をあらかじめ年初から既定の経費として計画しております。大体四十億円ぐらいでございます。
  152. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 ここにデータをもらっておりますけれども、雪害対策費、五十年は八十億、それが七十二億、百三十二億、五十三年百五十七億、五十四年百二十七億と、もちろんこれは除雪費ばかりではなくて、それに関連した機材の購入等があると思いますけれども、この中で除雪対策費として、これは実績ですけれども、御存じのように五十三年は四十二億、五十四年は六十二億と、こういうふうに出ているわけなんですけれども、これは聞くところによると、予備費からも充当されていると、このように私聞いておりますけれども、そのとおりですか。
  153. 繩田國武

    説明員(繩田國武君) おっしゃるとおりでございます。お手元に提出いたしました除雪対策費の五十年のうちの四十六億、この中に予備費が約九億入っております。それから、飛び飛びで恐縮でございますが、五十四年度の除雪対策費の六十二億、この中に十八億円予備費が入っております。それからなお、先ほど答弁先生除雪対策費とおっしゃったやに勘違いしたかと思いますが、雪害対策費でございましたんでしょうか。
  154. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 雪害対策費。
  155. 繩田國武

    説明員(繩田國武君) 大変失礼いたしました。雪害対策費は工事経費から出しておりまして、特に最近は四十八年のいわゆる四八豪雪で、私の方、すぐ対策を考えまして、四十九年の九月に五カ年計画でこの雪害に対する対策を立てたわけでございまして、お手元に提出いたしております五十年度から八十億円でございますが、五十四年度まで約五百七十億円、雪害対策費に工事経費から投入いたしております。先ほどちょっと答弁間違えまして失礼いたしました。
  156. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 これはおたくからい。ただいたわけですけれども、五十二年は予備費が四百億、それで除雪対策費が六十二億、そのうちいま十八億とおっしゃいましたけれども、いただいたのは十七億になっていますけれども、いずれにしてもそれが充当されている、そのうち二十九億がこの除雪の人の賃金、こういうことになっているようです。五十三年は四百億、それで四十二億、そのうち九億、そして除雪の人件費が十五億、こういう数字が出ているわけですけれども、それじゃ四百億の予備費ですけれども、これは除雪には多少関係ありますけれども、この四百億から約五百億、この予備費の使われている内訳ですけれども、これはどういうふうになっていますか。
  157. 繩田國武

    説明員(繩田國武君) 手元にちょっと細かい決算のを持っておりませんが、いま申し上げました雪害に対しますものとか、あるいは風水害、それから仲裁裁定の実施に大臣の御承認を得ましたり、そういうものに使っております。  それから、先ほど予備費の使用は私五十四年度で申し上げまして大変失礼いたしました。五十四年度が十八億でございます。五十二年度は先生おっしゃるとおり十七億でございます。
  158. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 間違わないようにしてもらいたい。五十二年が予備費が四百億で除雪対策費が六十二億、それで十七億と。そうですね。
  159. 繩田國武

    説明員(繩田國武君) さようでございます。
  160. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 五十四年が六十二億で十八億と、こういうことですね。  それじゃ予備費はいろいろな対策に使われているようですけれども、この中から、たとえば例を挙げれば、先ほど言ったように十八億は除雪労働人員の賃金に使われていると、こういうことですけれども、予備費はそれじゃ余っているんですか、それとも足らないんですか、全体から見て。
  161. 繩田國武

    説明員(繩田國武君) その年々によって違いますが、大体これでいろんな面に充当させていただきまして、理想的な数字でございます。
  162. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 私がなぜこれを申し上げるかというと、先ほどから総裁からも答弁ございましたけれども、やはり機械化の上にこの人海戦術で除雪をやっていかなければならないところが多分にあると、またそれが原因でこのような災害を招いていると、こういうことでございますので、ぜひとも先ほど申しましたように、この賃金の面については考慮をしていただきたい。そういうことでこの予備費の問題もいま私取り上げたわけなんです。予備費ですからいろいろな面に使われるのはこれは当然ですけれども、結論としては先ほど言ったように、賃金のことについては考慮をしてもらいたいと、このようにお願いを申し上げる次第でございます。  それで、最後でございますけれども、この国鉄同様トラック輸送の方も雪害で大変な被害を受けているわけでございます。集配等がおくれて、トラック業者そのものも被害を受けているし、また生活している住民も被害を受けているわけでございます。この点についてどういう手当てをするか、この点についていかがですか。
  163. 米山揚城

    説明員(米山揚城君) お答え申し上げます。  今回の豪雪によりまして被害を受けている中小企業につきまして、やはりまず当面その資金の確保が大事ではなかろうかということで、去る十二日付で次の二つの対策を講じておるわけでございまして、第一番目は政府系の中小企業関係三機関、中小企業金融公庫、国民金融公庫、それと商工中金でございますけれども、これに対しまして災害復旧貸し付けの発動方を指示しております。これが行われますと、通常の限度を超えまして、たとえば中小企業金融公庫でございますと、通常一企業当たり一億五千万しか融資を受けられないわけでございますけれども、これにプラス四千万受けられると、そういったことで、通常の枠を超えまして融資が受けられるといったことにもなりますし、また手続面でも普通の貸し付けに優先しまして実施をするというような便宜が図られるわけでございまして、これをまず発動しております。  それから国と県とが協力いたしましてやっております体質強化資金助成制度というのがございまして、この際これも積極的活用を図ろうということで、関係の都道府県に指示を行っておりまして、大体きょうあたりでほぼ各県出そろいまして、一斉に融資の実施に踏み切っておると、こういう状況になっております。
  164. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 運輸省いかがですか。
  165. 飯島篤

    政府委員(飯島篤君) 金融措置についてはいま中小企業庁から答弁がなされたとおりでございます。私どもといたしましては、問題となっております地域の各県のトラック事業者は、県のトラック協会を中心に、これらの救済措置の積極的活用を図るべく検討を進めさせているところでございます。私どもの方も、中小企業庁と連絡をとりながら、これらの措置が円滑に運用されるよう、地方陸運局、あるいは全ト協、各県トラック協会等と連絡を密にしてやってまいりたいと考えております。
  166. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 話はちょっと変わりますけれども、先日の新聞、金沢鉄道管理局で、雪害対策本部の課長さんですか、九人が一月八日から香港旅行に出かけたと、こういう報道がございましたけれども、これは前々からの計画であり、予定であったと聞いておりますけれども、初めにこの経過を報告していただけませんか。
  167. 藤田義人

    説明員(藤田義人君) 非常に御心配をかけて失礼に思います。ちょうど金沢の局の職員、九名でございますが、この一月八日から一月十一日の三泊四日の香港の旅ということで、その内容が報道されたわけでございますが、その背景としましては、大体この九名の人間は、主として労使交渉の当事者で、昨年の五十五年十月、時刻改正のいろいろな作業に従事し、またそういう交渉が一月上旬ごろは大体いつも少ない時期でございますので、昨年十一月下旬ごろにこの旅行を計画したようでございます、一月の上旬ごろを選んで計画していた。大体いままでの金沢地区管内の降雪は、一月の下旬ごろから始まっておりましたので、そういう面でその時期を選んだのではないか。また、その近くになって、この時期においていわゆる一時的な小康の兆しもあったというふうなことで、一応それぞれの、課長に対しては部長でございますし、係長等につきましては担当の課長になりますが、そういうところが休暇を許可した。ただ、このような管内各地の豪雪で、いろいろと除排雪にがんばり、またダイヤの混乱を何とか早く正常化することに努力しておるわけでございまして、非休、公休を利用して、ちゃんと定められた手続を経て出発したとはいいますが、しかし、このような輸送の確保に当たるべき時期であっただけに、この時期に休暇を承認したということ、非常にわれわれとしても、社会的な通念に照らしても時期が適当でなかったと考えておりまして、非常にまことに遺憾に思っている次第でございます。
  168. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 いま遺憾に思っていると、こういうことでございますけれども、私も非常に遺憾に思うわけです。何も旅行に打っちゃいけないとか、やってはいけないとか、そういうことを私は言っているわけじゃないんです。時期が時期でありますし、自衛隊まで出動して、ましてやこの行った人は指揮をとらなきゃならない幹部です。そういう人たちがこの時期に行くということは、私はそこに非常に怠慢というか、また綱紀粛正が言われている時期に、それは自分のお金で行ったかもしれませんけれども、正すべきことではなかろうか。また、時期を考えて、変更するなり、何なりして、その時期にはこの雪害には対応しなければいけないんじゃないか、こういうふうに思うわけです。今後御注意をお願いしたいと思います。  これと関連してもう一つ、昨年の暮れには国鉄の東京北、西、南の三鉄道管理局の係長らが、半額公費ということでございましたけれども、アメリカ、ハワイに九日間の観光旅行をしております。このように相次いで不祥事を起こす、指導体制がどうなっているのか、この赤字国鉄を抱えてどういうふうにみんなやろうとしているのか、その辺が非常に疑問に思うわけです。大臣、どうですか、この点は。
  169. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 先ほどお話しございました金沢鉄道管理局のは、本当にタイミングが悪くて、私も遺憾だと思っておりました。だからといいまして、これはその一事を持ちまして国鉄が何か非常にだらけてしまってやっておると、そう即断してしまうことは私はできない。特に今度の雪害対策につきましては、原団長といたしまして、調査団で行きました方々の報告を聞きましても、必死になって列車を通そうと思って一生懸命やっておったということの報告を受けておりますし、その場に臨んでは懸命にやっておるんですが、しかし、一部にそういうようなものもございますが、今後とも一層緊張いたしまして、国鉄再建がいま一番問われておるときでございますだけに、再びこういうようなことが頻発しないように、一層緊張してやってくれることを私からも非常に強く望んでおるところであります。
  170. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 よくその辺は大臣からも注意をしていただきたいと思います。雪は冬降るんですから、夏降るんじゃないんだから。それは確かにその時期が一番適当であると、こう判断したかもしれませんけれども、もしこういうことになった場合には、変更をしてもそれに当たるのがあたりまえじゃないか、こういうふうに私は思うわけです。そういうことでよろしくお願いいたします。  次に、私は成田空港の問題でお伺いをしたいと思います。  まず、わが国が国際社会の一員として交流をする上で、航空輸送がすでに国民の足として定着していることを考えれば、空港の必要性、これは当然であると、このように私は思います。しかし、新東京国際空港、今後公団と政府で明確な計画を示されない限り、問題になる点がたくさんあるんじゃないか、こういうふうに私はいま思っております。どういうことかというと、財政再建の名のもとにことしも国民は苦しい生活を強いられているわけでございますけれども、成田空港が開港されたのは五十三年の五月、今日まで二年と八カ月になります。この成田空港が開港されてから今日まで、当時損益を計算で見てみると、五十三年度が百五十八億七千八百万円、それから五十四年度では九十四億五千八百万円、こういうふうにわずか二年八カ月でこれだけのいわゆる赤字が出ているわけです。こういう点について、今後もこういうふうに推移するということになると、これは大変な問題だ、見逃しておくことはできない。行政面においても、営業努力といいますか、行政努力といいますか、こういう点に力を入れて考えていかなきゃならない。まだ開港になったばかりでございますので、こういう点は国民皆さんはよく知らないと私は思います。もし、これがこういった形で推移していくと、それこそ第二の国鉄にならないとも限らない、一年間に約百億近い赤字を出しておるわけですから。結論はこれが一千億、二千億になった場合に、単純計算で十年で一千億になる、こういうことになってきた場合に、それではそれを賄うことになるとどういうことになるか。結局また国民にしわ寄せがくる、私はこういう結果になるんじゃないか。どういう点について大臣いかがですか。
  171. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 東京国際空港、これの赤字、私も頭を痛めておりますが、いまのうちにやっぱり健全経営に立て直っておかぬと、まだ大丈夫じゃないかというような空気を持っておると、私は雪だるま式になってしまう、これは十分私も心配しておるんです。  そこで、着陸料の問題も検討はいたしておるんでございますが、世界的なやっぱり相場というのもございますし、IATAでそう簡単に承認されるもんではない。そうすると、何とかして経費の節減ということに努力をいたさなきゃならぬと思うのでございますが、しかし周辺対策と同様に、警備関係なり、思わぬ出費が要ります。これをできるだけ節約する方向に持っていって、財政の立て直しを図ってまいりたいと思っております。  それと同時に、一刻も早くこのパイプラインの建設を急ぎまして、それによって第二期工事へと入り、いわば空港自体の生産性をどうして上げるかということに主力を置かざるを得ないと思って努力しておるところであります。
  172. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 この収支のバランスの均衡、また増収するまでの期間といいますか、見通し、これはいま立てられますか。
  173. 松本操

    政府委員松本操君) 詳細については、公団の方からお答えいたすべきかと存じますが、いま私どもが考えておりますのは、この収支の均衡を現在失しております最大の要因は、開港の時期が適切でなかった、つまりおくれてしまっておるというところに非常に大きな負債をしょい込んで開港せざるを得なかったという点がございます。  そこで、大臣先ほどお答え申し上げましたように、収入の増というのを図ってまいりますためには、やはり着陸機数をふやしていかなければならないということが一つございます。そのためには、現在鉄道輸送に依存しております燃料輸送というものを、できるだけ早く本来の計画でございますパイプラインにいたしまして、そういった燃料面からの不安というふうなものをなくさなければならない。それと同時に、やはり空港周辺との間の調和ということに最大の努力を払いまして、多少の増便があっても、地元の方がそれを納得して受け入れていただけるという状況にしておいて、まずその収入をふやす。次に、収入の単価をふやさなければなりません。これも大臣お答え申し上げましたとおり、IATAと申します国際的な組織との間の議論があるわけでございますが、現在公団といたしまして、鋭意これらの代表と議論を重ねておるところでございます。少しでも収入をふやしていくという方向の努力を図ってまいる。三番目には、当然のことながら、経費の節減ということに尽力いたすべきでございますので、この点につきましては、公団といたしましても十分な自覚のもとに処置をしておると思います。  しからば、見通しはどうか、こういうことになりますと、需給の様子をどう見るかといったような問題が入ってまいりますので、私正確にここでお答えするほどの確実性の高い数字を持っていないのでございますけれども、大体三十年前後というところで収支相償うような形に持っていけるのではないか。それを少しでも早く仕上げるようにいたしたいということで、公団の方を督励しておるのが実情でございます。
  174. 井辻憲一

    参考人井辻憲一君) 公団の将来の収支見込みにつきましては、ただいま大臣並びに局長からお話ありましたとおりでございます。私どもといたしましては、一番大宗をなしております着陸料等の収入確保につきましては、現在IATAとさらに適正な料金に改定すべく交渉中でございますし、家賃等につきましても、昨年四月から一部テナントの方の御協力を得まして、値上げをするというふうにやってまいりました。  ただ、先ほど来お話がございますように、国際的なレベルの比較の問題がございますので、単価の増額ということにつきましても、非常な困難がございます。御承知のように最近の石油事情、つまり価格の騰貴等によりまして、エアラインの経営収支が非常にまた悪化しておりますので、交渉は非常に難渋をいたしておりますけれども、しかし、適正な経営のもとにおける適正な原価を償うだけの料金というものは、公団といたしましては、基本的には独立採算のたてまえでございますので、いただかなければならないということで、最大の努力をいたすつもりでございます。  経費の節減につきましては、先ほど夫お話ございましたように、昨年来の油、電力料等の値上がりを漫然と待っておりますと、私の方では本年度だけでも関連経費等合わせまして三十億以上の増加になるわけであります。これらにつきましては、各部課の非常な協力を得まして、省エネ対策を初めとする非常にきめ細かい徹底的な節減対策をやると同時に、私どもの方の仕事はやはりサービス業でございますので、パッセンジャーその他の利用者の方々の基本的なニーズというものを壊すわけにはまいりません。それを害しない限度において、できる限りの節約を図るということで、電力、油等につきましても、数億円の節減を見るべく本年度努力中でございますし、その他諸般の経費につきましての効率的な使用、適正な運用ということにつきまして、最大の努力をいたしておるところでございます。  結論的に申し上げますと、私どもといたしましては、現在がかっておりますコスト、並びに開港おくれに伴いましてたまってまいりました遅延の利息等の要回収額を、必ず二十数年の間に回収するというめどを立てて努力をしておるところでございまして、構造的に申しましても、収支がこのままいけば拡散するということはないと思っております。ただ、需要動向等は油の状況その他世界経済の動向に非常に左右されますので、私どもといたしましても、力の及ばない点が相当ございますので、これらの動向を見ながら、さらにあらゆる面で努力をいたしてまいりまして、絶対に国庫に御迷惑をかけて、税金で補てんをしなければいけないというふうな事態にならないように、職員一人一人が公団の経営ということを頭に置いて努力するように、部内一丸となってやっておるところでございます。
  175. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 国民に迷惑をかけないようにする、これは間違いないですね。私は、経費の削減というのは、これはよくわかります。増収という点については、これは私が考える範囲においては非常に無理だと思うんです。  それじゃ、お聞きしますけれども空港にはテナントが入っておりますけれども、見学者等の入場制限等があって、いろいろな事情はわかりますけれども、この賃借料、この点についてはどうなっていますか。
  176. 井辻憲一

    参考人井辻憲一君) テナントの方々につきまして、いただいておりますテナント料は、一般の方につきましては全体のコストを計算いたしまして、それを償うに足るだけの家賃という形でいただいておりますし、飲食店あるいは物品販売につきましては、売り上げ比例によるコンセッションという形でいただいております。しかしながら、一般的な家賃の相場ということもございますので、原価とその相場を勘案の上、適正な家賃をいただいておるということでございまして、ただ、特に空港に協力されました旧地主の方々等地元の公団に対する協力者の方々等につきましては、そのテナント料は、たとえば五階の見学者等につきましては入場制限をやっておりまして、しばしば入場禁止、お客さんが一人も来ないという日もございますので、全体といたしまして、家賃並びに管理費あるいは空調費等は八割引き、つまり一般の方々の二割相当分だけをいただいておるということで、その実態に即した措置をやっておりますし、売り上げ比例のようなコンセッション方式はとらずに、そういう方々につきましては、固定家賃で頭どめにいたしております。さらに、入居のときにいただいております入居保証金と申しますか、建設協力金は、一般の方々の半分しかいただかないというふうなこととか、あるいは昨年四月に家賃の値上げ改定をいたしましたが、これらの方々につきましては据え置きをするというふうなことで、全体としてはきめ細かな配慮をいたしておるわけでございまして、一般テナントの方々は当初予期いたしました収益ほどは、入場制限その他いろいろ特殊な事情もございますので上がっていないかもしれませんけれども、大部分はまあまあ黒字でやっておられる。それから先ほど申しました地元の方々につきましても、大幅な優遇措置を講ずることによりまして、過半数の方は、詳しい報告はいまちょっと持っておりませんけれども、大体まあ当初の予定ほどのことはもちろん上がっておりませんけれども、非常に苦しい方もいらっしゃいますけれども、そこそこやっておられるのではないか。したがいまして、これらにつきましては、さらに今後の家賃負担等の増大につきましては、やはり先生おっしゃいますように、慎重な配慮を実情に即してなすべきものと考えております。
  177. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 それが一つと、それを上げろというんじゃないんです、私は。行政面で努力をする、また営業努力をすると、三十年後にはバランスがとれると、こういう話でございますけれども現実の問題として、このバランスのとれるのは、最初の計画でいけば、いま四千メートル一本しかないわけでしょう、二期工事は全然されてないと、こういう点から言って、二期工事の見通しがつかない。だから、先ほどからいろいろこういう努力もします、こういうふうにいたしますというお話はございましたけれども、私は正直言って、均衡のバランスはいまのところ見通しがつかないんじゃないかと思うんです。それが一つ。  もう一つは、たとえばその空港の給油施設使用料でございますけれども、この点をとってみても、成田のこの然料ですけれども、これはそちらからいただいた資料によると、成田では一キロリットル当たり二千百五十円、これが一律で二千百五十円、こういうことになっているわけです。しかし、羽田へ行くと上限が千八百四十九円、だんだん量が多くなれば安くなっていき、最低は一千五十六円と半分になっているわけです。伊丹でもそうです。二千五百九円から、だんだん使用量が多くなれば一千五十六円と、こういう割り安になっているわけです。まあ極端に言えば、成田は離着陸だけであって、そうして外国に飛ぶ飛行機が成田から給油をしないで、飛ぶには給油しなきゃいけませんけども、伊丹へ行って給油をして、また外国へ飛ぶと、安い方がいいに決まってんですから、そういうこともあり得る、また事実そういうのが何機があると、こういうふうに私聞いておりますけれども、こういうことになると、なおさら成田のいわゆる新国際空港公団として、収益は上がらないし、ますますピンチになってくると、こういうふうに思うんですけども、この給油施設の使用料についてはいかがですか。
  178. 井辻憲一

    参考人井辻憲一君) 給油施設の使用料につきまして、成田、伊丹、羽田等の数字につきましては、先生おっしゃいましたとおりでございます。われわれといたしましては、伊丹、羽田と一つ違う点がございまして、飛行場の中のハイドラントは同じでございますけれども、私どもの方といたしましては、そのほかに成田の近くの土屋基地というところがございますが、そこから暫定的に空港まで約七キロパイブラインを引いております。そのパイプラインの使用料も含めて二千百五十円ということでやっておりますので、これでも実際は厳密な原価計算から申しますと、まだ償っておらないわけでありますけれども、その使用の実態を考えますと、パイブライン込みのハイドラント費用ということになりますと、そんなに高くはないのではないかと考えております。
  179. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 もう一つつけ加えれば、第四次空港整備五カ年計画、これは五十六年度から始まるわけですね。運輸省はこれに対して三兆三百億ですか、この予算の要求をされたと、しかし、これが大幅に削られて、最終的には一兆七千百億、これは間違いないですね、こういう程度に縮小したわけです。そうすると、成田の今後の予算として、二期工事全然行われていないわけですから、六千億のいわゆる予算が必要である、この六千億というのは整備の面で四千九百億、関連で一千百億と、こういうふうに聞いておりますけれども、これにしても、この三兆円ベースでやったならば、この六千億も当然、これは各地の空港の優先性もあるでしょうけれども、成田空港は最優先ということになるかもしれませんけれども、いずれにしたってこれは減るわけです。三兆円ベースからいけば六千億、これが一兆七千百億ですから減るわけです。そういうことになると、先ほど申しましたように、二期工事も当然またこの額の面で、予算の面でずれてくるのじゃないか。そうなると、先ほどから言っているように、ますますピンチになってくるんじゃないか、私はこういうふうに思うんですけれども、この点いかがですか。
  180. 松本操

    政府委員松本操君) 確かに私どもが昨年の八月に、概算要求の形で第四次五カ年計画を要求いたしました時点で、三兆三百三十億という総額の中で、もちろんこの成田もとらえておったわけでございます。しかし、御案内と思いますが、その後いろいろないきさつがございまして、二百四十兆という総公共投資額が百九十兆というふうに狭められてまいったというふうなこともあり、御指摘のように、一兆七千百億のうちに、さらに九百億の調整額を含んでおりますので、即座に使える額としては一兆六千二百億と、こういう数字になってございます。こうなりました理由は、結局のところ、六十年度までの七カ年計画というものを一年半程度延ばすということが基本にあるわけでございますので、これからの議論でございますが、私どもが抱えておりますこの成田空港の問題でございますとか、あるいは空港周辺の対策の問題でございますとか、そういうものもおしなべて一年半延ばしていくのか、それとも全体のバランスをとりながら定められた額の中で適切な額をはじいていくのか、これから議論を詰めなければならない段階でございますので、いまの時点でどういうふうに考えておりますということをお答え申し上げかねるわけでございますけれども、しかし、確かにその外枠が小さくなっておりますので、その枠の中で相当の苦労をいたしませんといかぬだろう、もっとはっきり言いますと、当初考えておったような形で、二期工事そのものを動かすということは非常にむずかしくなってきているというふうに思うわけでございます。そこで、二期工事に着手いたしますための前段階というものも、これは非常に大事な問題でございますので、そういう点についての努力を最大限まずしていかなければならない。そういうふうな努力の成果を踏まえた上で、二期工事にできる限りの精力を投入していかなければならないと思っておりますが、全体の額の小さくなりました分だけ、二期工事の終わりの時期というものが多少延引せざるを得ないのではなかろうかということを危惧しております。ここら辺のところは、先ほど申し上げましたように、今後数字の中身を積み上げていかなければなりませんので、その過程において篤と検討して、最も適切な答えを出していきたいと、こう考えております。
  181. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 大臣に監督官庁の責任者として、いま何点がやりとりいたしましたけれども承知おきいただいて努力をしていただきたいと、こういうふうに思うわけです。  時間がございませんので、簡単にお答え願いたいんですが、空港問題はこれで終わりです。  近距離の国際チャーターの問題ですが、一月の九日に、運輸大臣の私的諮問機関である航空政策懇談会が、近距離国際チャーター問題等について意見を取りまとめまして、大臣提出いたしましたけれども、その内容について、全日空の行う近距離国際チャーターに限って御答弁を願いたいと思います。
  182. 松本操

    政府委員松本操君) 一月九日に航空政策懇談会の七回目の会合が行われました、これは決して諮問したわけではございませんので、大臣に答申をしたという形ではございません。懇談会としての意見の取りまとめということでございますが、御質問の全日空の国際チャーターにつきましての懇談会の考え方を要約して申し上げますと、全日空の行う国際チャーターというものは、近距離国際チャーターであるということと、余裕機材を活用するということ、この二つの前提のもとで運用されている。この前提のもとで、これをさらに合理的にするためにはどうしたらいいかという点について、懇談会として議論を重ねた結果、たとえば地理的に東南アジア、東アジア地域というふうに近距離の範囲を考えるというのも一案であろうし、あるいはまた一定の時間内に行ってこられるところ、あるいは一定の距離の範囲内、こういうふうな決め方もあろう。しかし、いずれにもせよ、簡単に近距離という概念を決めてしまうということにもいろいろ問題があろうかと思うので、今後の近距離国際チャーターの扱いについては、いま申し上げましたようなこととか、あるいは過去の実績でございますとか、さらには基本的にチャーターは定期便の公共性を失わないようにするという問題であるとか、そういう点を十分に勘案した上で、ケース・バイ・ケースで結論を出すべきであろう、これが懇談会としての結論であったわけでございます。私どもはこれを受けて、これは懇談会の御意見でございますので、私どもはそれを十分にそしゃくをいたしまして、われわれなりの行政のやり方というものを詰めているのが現在の段階でございます。
  183. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 いま懇談会の意見の内容を局長からお話しありましたけれども、私の手元に届いているこの記者発表の文書によれば、こういうことになっているわけです。近距離国際の範囲についていろいろな案が出されたが、結論としては行政当局において同懇談会における意見を参考にして云云、ケース・バイ・ケースで処理することが適当であるとされた、こういうふうになっているわけです。ここで、同懇談会の意見については全く、こういう意見もあった、そういう意見もあったということは、これは述べられておりません。私も知りません。どのような意見があったのか具体的にお伺いしたいわけですけれども、時間がございませんので、もしできれば私の方にこの懇談会であった意見等を知らしていただきたいと思いますけれども、いかがですか。
  184. 松本操

    政府委員松本操君) いま私がお答えの中段で申し上げましたようなことが、実は懇談会の中の議論であったわけでございますが、懇談会の先生方の意向としては、余り公にこの議論はしてほしくないというふうな意向があったようでございます。しかし、先生に対して別に隠し立てすることもございません、御説明に上がらしていただきます。
  185. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 いろいろな点でお聞きしたいんですけれども、結論からいいますと、私はロッキード事件もございました。こういうことで、端的に言えば近距離というのはそれじゃどこなんだ、どこからどこまでなんだと、こういうことになるわけですけれども、恐らくこの近距離という範囲が、運輸省当局としても、確固たる、こういう理由でこうなんだと、それはないんじゃないかなと思うんです。したがって、いままで近距離はここまでである、いやここまでである、こういう議論が繰り返されてきた。たとえば四十五年の閣議了解があった、そして四十七年に大臣通達があった、そしてインドネシアからハバロフスクですか、そこまで全日空が飛んだ。ところが五十四年の森山運輸大臣になって、この近距離というのはボーイング727、これが給油しないで飛べる範囲と、こういうことになったわけです。したがって、バリ島にも行けなくなった。それが今度二転して、先ほど言ったこの文章からいくと、これは新聞にも出ておりますけれども、五十六年の一月これが発表になった、現大臣が発表したわけですから。そうなると、今度は東南アジア全域、サイパン島までもグアム島までもと、こういうことになるわけです。これを考えると、大臣がかわるたびに近距離というのはこっちへ行ったり、ここまで行ったり、下がったり、こうなっているわけです。こういうことになるということは、国民から見れば大体意見書がどういう意見があったのかわからなければなおさらのこと、疑惑を抱くわけです。大臣がかわったから近距離が変わったのかと、こういうことになるわけです。そこでまたロッキード問題も出てくるのじゃないかなと私は懸念をするわけです。そういったことで、この意見はこういう意見があった、またこういう学識経験者の提案もあったと、そういうことで、できれば二千キロまでが近距離であるとか、三千キロまでが近距離であるとかと、こういうふうに決められればいいんですけれども、それもなかなかむずかしいと思います。したがって、オープンにして、国民の納得のいくような近距離というものを決めていただきたいと、私はこういうふうに思うわけです。そうじゃないと、意見書はわからない、懇談会でどういう話があったのかわからない。またこの経緯から見ると、大臣がかわるたびに近距離の距離が変わってきている。新聞には当時のこといろいろ出ておりますけれども、ロッキード事件があって、全日空の若狭社長が、これがやめなければそれはそれなりの対応をするとか何とかというこういう記事も出ておりましたけれども、これは余談ですが、いずれにしても国民皆さんにわかるようにしなければ、やはり疑惑というものはこれはぬぐい去れないと、こういうふうに思うわけです。大体その近距離というのは、局長はどういうふうに思っていますか。
  186. 松本操

    政府委員松本操君) まず大臣がかわるたびに近距離が変わるのはまずいではないかという御指摘は、私ももう御指摘のとおりだと思います。ただそういうふうに実態は実はなっておりませんので、四十五年、四十七年と呼ばれておりますこの体制のもとで、近距離というものは香港、マニラあたりからだんだんと実績を積み上げる形で広がっていったわけでございまして、御指摘のようにデンパサルもございました。しかしこれは過去十年間の間に四回あっただけでございますので、そこに盛んに飛んでおったということでは決してないわけでございます。たまたま五十四年の時点で、包括旅行チャーター、ITCと呼んでおりますが、包括旅行チャーターというものをひとつ全面的に試験導入をしようと、五十三年の暮れに決めたわけでございますが、五十四年の春ごろからチャーターシーズンにもなったこともあって、それが非常に出てまいりました。そういう雰囲気の中で、近距離の問題をどうするのかという議論が当時あったわけでございますが、たまたまインドネシアとの間にちょっとした問題、インドネシアに関するチャーターについていささか問題の点もございました。そのときの判断として、しからばこのチャーター、特にITCというものにつきましては、定期との競合も非常に懸念されるところから、先生先ほどおっしゃいましたように、727を使って無着陸で行ける距離、こういうふうに押さえますと、大体香港、マニラあたりまでに入るわけでございます。もちろんその距離でももうちょっと別のところにも行けるわけですが、しかし、現実には香港、マニラに集中的にチャーターが行われたわけでございます。五十四年、五十五年と二カ年かかって実績を踏まえたわけでございますけれども、心配したほどの定期に対する影響も出てこなかったというふうなデータをもとにいたしまして、さらに先ほどざっとお答えいたしましたけれども、この懇談会の意見どもいろいろと参考にして、これからしっかりしたものを決めていくわけでございますが、あえてどこだと、こういうふうにいまここで御質問お答えするとすれば、やはり非常にわかりやすい範囲としては、東南アジア、東アジアに含まれる範囲、ここら辺のところが近距離という、近距離の国際チャーターという概念では非常にわかりいい範囲ではないかと思います。じゃなぜ目の前のサイパンやグアムが入らないのか、これも確かに距離は近うございますけれども、御案内のように、日本とアメリカとの間では、チャーター問題について過去何年となく実は意見の相違をもって争ってきております。そして、われわれとしてはアメリカの方から指定航空企業以外の企業によるチャーターについてはお断りだという強い態度を示しておりますので、したがって、具体的にどういうことかといえば、アメリカからはパンアメリカンまたはノースウエストあるいはコンチネンタル、日本からは日本航空、これ以外のチャーターは日米間ではやめようじゃないかと、こういってがんばってきておるいきさつもございますので、日本側の方からサイパンに別の航空会社が飛んでいくということになりますと、アメリカの方もそれじゃおれの方も別の航空会社を飛ばすよと、こういうことになって、大変議論がややこしくなってくるというふうなこともあって、サイパン、グアムといったようなところが除外されているわけでございますので、これも日米間のそういった議論が解決をしてまいりますと、おのずからまた別の答えも出てくるであろうかと思います。当面の議論といたしましてはいま申し上げたようなことであろうかと、このように考えております。いずれにもせよ、わかりやすい行政をという御指摘はごもっともでございますので、鋭意そういうふうな方面に向かって、いま努力をしておるという段階でございます。
  187. 鶴岡洋

    ○鶴岡洋君 委員長、時間来ましたけれども、最後に大臣に一問だけ、すみません。  そういったいろいろな事情が含まれた航空行政のむずかしい問題がございます。事業分野の問題、それから貨物輸送の問題、総合的に研究、解決を図らなきゃならない問題がたくさんあるわけです。ですけれども先ほどから言いましたように、やはり国民の納得のいくように、このオープンの行政をやらないと、ますますロッキード問題を含めて、疑惑が深まるばかりですから、この疑惑を払拭するためにも、運輸政策委員会や航空審議委員会などにかけて、この際航空全般の見直しを行う必要があるんじゃないか、大臣の決意をお願いして終わりたいと思います。
  188. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) これはオープンに議論する、これはもうわれわれもできるだけ公開の話をしたいと思っております。しかも、この航空の権益というのは、国民の貴重な権益を航空会社に代行さしておると、そういう考え方をやっぱり忘れてはいかぬと思うんです。それともう一つは、日本では航空会社は数少のうございまして、大手と申しましょうか、三社しかございませんが、これが不公平になっては私はいかぬと思うんです。ですから、その航空会社なんかも、やっぱりお互いがそれぞれの営業の利益というのがございますから、それなんかやっぱりバランスがとれるようなことをしなければいかぬと、私は大体そんな原則で物事を進めてまいりたいと思っております。
  189. 安武洋子

    ○安武洋子君 私は買春ツアーについてお伺いをいたします。  このたび総理がASEAN諸国を歴訪されておられますが、そのときにフィリピンとか、タイなどで日本の観光業者が組織します買春観光ツアーに対する強い抗議が行われております。総理もこれに対して、マニラでの記者会見の中で質問に答えられて、わが国での行政指導の強化などを約束されております。  大臣にお伺いいたしますけれども、旅行業を所管なさる運輸大臣として対処をなさらないといけないと思いますが、どのような対処をなさるでしょうか、お伺いいたします。
  190. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) まず、業者の対策でございますけれども、過去においてそういう疑わしきものがあったとするならば、これはやはりその業者に対しまして厳しい指導をする。万一それが明確にそういう違法的なことをやっておるということになれば、これはもう取り消しをせざるを得ないと思いますし、それと同時に、私はこの買春問題というのは、実はこれは国民の文化程度をあらわしておるようにも思いまして、ですから、やっぱり日本はこうして経済の先進国になった。そうならば、それにふさわしい行動をやっぱり旅行者もしていただくように、旅行者にもやはり何か呼びかける方法を考えていきたいと思っておりまして、総合的にいろいろの措置をとってみたいと思っております。
  191. 安武洋子

    ○安武洋子君 大臣に後でまたお伺いいたします。  運輸省は昨年の十月の二十一日の通達で、不健全な旅行に関与したことが明らかな場合は、当該旅行業者名、事案を公表すると、こういっておられます、また、昨年の末には、旅行業法に基づいて業者への立入検査を集中的に行われたというふうに聞いております。この検査の状況と、その結果についてお伺いをいたします。
  192. 角田達郎

    説明員(角田達郎君) 先生いまお話しのように、昨年の十月に通達を出しまして、買春に万一関与した業者があった場合には、その事案の概容、業者の名称等を公表すると、こういう通達を出したわけでございまして、それ以後私どもとしては、業法に基づく立入検査をできるだけやりまして、業者の指導の徹底を期したいと、こういうことで、立入検査を実施してきたわけでございます。現在までといいますか、五十五年度で立入検査をしました相手の数でございますが、業者数でございますが、五十数社でございまして、そのうち特に重点的にこの問題について、この問題を焦点に当てまして検査した事業者の数は三十数社に上っております。その立入検査をしました結果につきまして、現在いま整理中でございまして、果たして業者の名前を公表できるだけのデータが集まっているかどうか、いまのところまだ明確にはお答えできる段階には来ておりませんが、いずれにしましても、精力的に取り組んでると、こういう状況でございます。
  193. 安武洋子

    ○安武洋子君 では、そのときに、さきの一月の十二日、日本旅行業協会とそれからフィリピンの観光協会が共同声明を発表しております。その中でフィリピン側から、現地での案内人が不健全な場所に案内することを禁止したと、こういうふうに述べておりますけれども、今回の立入検査でそのような案内を禁じられているような場所に、旅行者をナイトツアーなどで案内とか、あるいは紹介しているかと、そういうことを詳細に把握されましたでしょうか。
  194. 角田達郎

    説明員(角田達郎君) いまお話しの点は、今月の十一日に日本旅行業協会、通称JATAと言っておりますが、その代表が四名十一日に参りまして、向こうのフィリピン側の旅行関係の業者と、この問題の防止についての協議をしたわけでございます。その協議をしました結果、共同声明というものを両者で出しておりますが、その中でフィリピンの側としては、マニラの側としては、日本人の旅行者を不健全な場所へ案内するとか、あるいは宿泊させるとか、そういうようなことは禁じておると、あるいはしないようにしておると、こういうようなことを共同声明の中で言っております。したがいまして、それは向こうの業者の側の話だと私ども理解しておるわけでございまして、もし万一私どもが現在やっております立入検査の中で、日本の旅行業者が、あるいは日本の旅行業者の添乗員等がそういうようなところへ案内したと、したがいまして、関与したというようなことがはっきりしますれば、私どもとしては、先ほど申し上げました通達の線に沿って、厳正に処置すると、こういう心構えでおるわけでございます。
  195. 安武洋子

    ○安武洋子君 もう少し私の聞きましたことに的確に短かく答えていただきたい。  私は日本の旅行業者がそういうところに案内したかどうかと、不健全な場所にね、そのことを把握されたかどうかということをお聞きしているわけです。ですからイエスかノーかで答えてください。
  196. 角田達郎

    説明員(角田達郎君) 現在までのところは、はっきりと把握しておりません。
  197. 安武洋子

    ○安武洋子君 大変大きな世論になっているわけです。ところが、国内で検査をなさったと、いま現在ではそういうことは出ていないと。しかし不健全ツアーの痕跡は出ないにもかかわらず、問題が起きて、各国から日本の観光業者による不健全な行為への批判というのが後を絶たないわけです。これにも私は巧妙な仕組みがあるからだと思います。  たとえば、マニラの場合ですと、現地でのナイトツアーなどで案内されるクラブとか、あるいはサロン、こういうところの多くが女性紹介の場であって、売春に直結していると、こういう実態がございます。これは私は運輸省もよく御存じであろうと思います。さらに現地でのオプションツアーなどで旅行客がおみやげを買ったり、あるいは飲食をしたり、こういうことで支払った料金の一定額がキックバック——つまり紹介手数料として旅行業者に割り戻しされる仕組みになっております。ナイトツアーなどの場合も、三分の一とかあるいは二分の一という金額がキックバックされていると。しかも、驚くべきことに、これは新聞とか、週刊誌など、現地を取材されて報道されておりますけれども、これには売春料までもこのキックバックの対象にされていると、こういう報道がございます。「売春問題ととりくむ会」の方が入手をされております文書を拝見いたしますと、タイ国の場合、これはナイトツアーでキャバレーに行った場合、飲み代それから花代、まくら代を含めまして、一万五千円をお客が払うことになっております。これに対して二十ドルのキックバックが業者に払われております。また、フィリピンの場合、この場合は、高級キャバレーでは飲み代と花代で二万円です。それに対しまして一万円のキックバックが支払われて、まくら代というのは別にキックバックするという、こういう条件になっております。  そこで、問題はこの手数料払い戻し条件があって、不健全な内容、すなわち売春によって払われるこういうものに対して、払い戻し手数料収入が、これが何と旅行業法二条四項、すなわち「旅行者のため、運送及び宿泊のサービス以外の旅行に関するサービスの提供を受けることについて、代理して契約を締結し、媒介をし、又は取次をする行為」、こういうことで正規の旅行業務による報酬として堂々とまかり通っております。売春の手数料のキックバックが法によって保証されるということで、私は大問題だと思います。こういう問題について大臣はいかがお考えでございましょうか。
  198. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) その出所は多分週刊誌かなんかですか、それとも調査された結果でございましょうか。私はこの委員会終わりましていずれお聞きいたしたいと思うたりいたしておりますが、いずれにいたしましても、そういう業者をわれわれはキャッチいたしましたときには、直ちに厳正な処分をいたしたいと、こう思っております。
  199. 安武洋子

    ○安武洋子君 大臣、もうちょっと質問を聞いていただかないとだめなんですけれども大臣が言われるように、事が簡単なら、各国からこれほどの抗議がくるというふうなことはないわけです。しかし、国内で立入検査をなさっても、不健全ツアーの痕跡がないとおっしゃるにもかかわらず、各国からの抗議が相次いでいる。そして新聞でも、週刊誌でも、私がいま申し上げました「売春問題ととりくむ会」でも、実際に現地に行かれて取材をなさっているわけです。ここでは、各数字は多少ずつは違いますけれども、このキックバックの問題も取り上げておられますし、売春に対して七十ドルであるとか、あるいは六十ドルを値上げしたとか、細かい数字まで挙げて、たくさんの報道があります。こういうことが御存じないというのは、私はやっぱり大臣としては困ると思うのです。私が申し上げたのは、こういうふうな売春の手数料のキックバックが、旅行業法の二条四項、先ほど申し上げましたこの二条四項によって、正規の旅行業法による報酬として堂々とまかり通る。法によって保護されて、そうしてこれが収入として旅行業者のふところに入るということは大問題ではないか、ここにメスを入れないでどうするのかということでお伺いをいたしております。
  200. 角田達郎

    説明員(角田達郎君) 旅行業者が受け取る旅行関係の経費についての手数料でございますが、これは旅行業者がお客様から旅行経費についての手数料を受け取ると同時に、運送機関なり、あるいはいま先生お話しのように宿泊業者、たとえばホテルとか、旅館の側から手数料を受け取る、あるいはみやげ品屋から手数料を受け取るということは、これは旅行業法上の一つの仕組みになっております。  ただし、いまお話しのように、先ほど来私どもお答えしておりますように、不健全な行動に関連しての手数料、こういうものが具体的にもし発見されれば、私どもとしては、これは現在の旅行業法のたてまえでは、登録の取り消しなりあるいは営業の停止なりという処分はできない仕組みになっておりますけれども、行政指導として公表をしまして、そういうような悪質な業者を業界から実質的に追放する、こういうような立場でいろいろと努力をしている、こういうことでございます。
  201. 安武洋子

    ○安武洋子君 このキックバックの中に、売春の手数料があるかどうかということは、私はもっと運輸省現実を見詰めてほしいと思うのです。これほどたくさんの新聞の投書にも、じかに自分が見聞きしたことで投書が出ております。新聞の報道、週刊誌の報道、それが全部うそとおっしゃるなら、私は各国から日本がこんな抗議を受けないと思います。しかし、私は現実を見詰めていただいて、やっぱりやっていただかなければ、単に立入検査をなさっただけでは、こういうことはわからないと思うのですよ、仮に日本側の添乗員が直接案内したものでなくとも、現地の業者とか、案内人がツアーを募って、そうして飲食費とか、みやけ物代とかとともに売春料まで一括して手数料として払い戻す、こういうことをしますと、立入検査をして伝票を見る、あるいは日程表や会計簿を見る、こういうことだけでは全然わからないわけです。売春料が含まれているかどうか、だから私は問い詰めたとしても、これは健全なツアーのキックバックでございます、こう言われればおしまいになるわけなんです。ここをひとつ運輸省に考えていただきたい。やっぱり運輸省としては、この不健全な内容による手数料、これは認めないと言われても、やはりいまのような仕組みの中ではわからないわけですから、これがちゃんとわかるような仕組みをお考えいただかなければならないわけです。そのことを真剣に検討していただけますか。
  202. 角田達郎

    説明員(角田達郎君) いま先生がおっしゃいましたように、私どもが立入検査をしている対象は、あくまでも日本の旅行業者でございまして、フィリピンの観光関係の業者に直接権限を及ぼすということは不可能でございます。したがいまして、先生がただいまおっしゃいましたように、われわれの立入検査なり、行政指導というものは、確かに一定の限界はあろうかと思います。しかし、われわれは、われわれのできる範囲内で努力をして、そういういまお話しのような不健全な手数料が入っているかどうか、この辺について、知恵をしぼって発見したい、こういうことで努力をしているわけでございます。  それからもう一つは、そういう私どもの立入検査のほかに、やはりこういうような事態は、現地側の旅行関係の業者の良識といいますか、そういうものに期待しませんと、こういうような現象は防げないわけでございますので、そういう観点から、私どもは前々から日本旅行業協会に申し入れをいたしまして、その結果、旅行業協会の代表が、先ほどお話ししましたように、今月の十一日から十三日まで、マニラに出かけて、相手の業界とこの問題について真剣に話をしてまいったと、こういうことでございます。したがいまして、私ども、これからその辺の業界の動きも十分に注目しながら、あるいは指導しながら、われわれのできる範囲内でもっともっと知恵をしぼって、努力してまいりたいと、かように考えております。
  203. 安武洋子

    ○安武洋子君 もう少し具体的に私は言っているわけです。キックバック、手数料の詳細な現実、これを掌握しない限り、こういうことはやっぱりとめられない、識別のしようもないわけです。  海外のこの売春料のピンはねを行うようなことが、業法に基づく旅行業者の正規の業務としてやられると、こういうことで報酬を得るということ、これは問題だと思うんです。ですから、たとえば手数料の内容について正当なものであること、これが確認できる仕組みを私はやっぱり真剣にお考えを願いたいと、この点について大臣の所見をお伺いいたします。
  204. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) キックバックの報告をどこでとるかということも私は考えなきゃならぬと思う。一々精算書を出せと、そういうわけにもまいりませんでしょうし、おっしゃることはようわかっておるんですよ。しかし、それをどうしてつかむかということについては、これいま先ほど光部長が言っていますように、研究すると、こう言っておるんですから、しばらく研究さしていただきたいと思うんです。それは業者から、おまえがフィリピンヘ行ったときの明細書を全部出せと、そうしたらキックバックも載っておる、これはけしからぬと、これは幾らでも言えます。しかし、それはこちらの方にそういう報告はわからないんですから、ですから、それは向こうの業者がキックバックで取っておるかもしれぬ。キックバックってバックペイのことでしょう、そうじゃないんですか。それは向こうの業者が取っておるのか、こっちの業者が取っておるのか、それも私らにはわからぬから、だからそれがつかめるようにさしてもらいたいと、こう言っておるんです。そして、大体こういうことを日本人がわざわざ行ってやっておるというならば、むしろこれが過ぎるようだったら、フィリピンならフィリピンと、そういうところがひどいんだったら、観光旅行を一時停止する、そのぐらいのことをやっぱり考えなきゃならぬだろうと思いますよ。
  205. 安武洋子

    ○安武洋子君 キックバックは業法によって認められている。そこに売春料が入ると、そのことをちゃんとつかめるようにしないとだめですよということを私は言っているわけです。だから大臣は思い違いをなさっている。  私はここにリーフレットを持ってきているんですよ。これをごらんいただいたら、マニラは五日間、ホテル、昼食一回、観光つき五万五千五百円なんです。これは東京−沖縄間の往復運賃だけでいま六万二千四百円です。ところが、マニラ五日間、昼食一回、観光つき五万五千五百円。私は安いから買春ツアーときめつけるものではありません。高くても売春がないとは言いません。しかし、いかに業者のダンピングが激しいときとはいえ、このような低料金で営業が成り立つ。こういう背景には、やはりキックバックによる手数料の収入を見込むということとか、あるいは現地の業者に安く頼むとかと、こういうことにつながります。そういうことは、不健全なツアーを誘発する結果になりかねないというふうに私は心配しているわけです。  いずれにせよ、旅行業法を悪用するような不健全なツアーを、現地の案内人を隠れみのにしてやるというふうな、こういう巧妙な手口に対して、有効な規制を私は真剣に考えるべきだというふうに思います。そして、さしあたり、立入検査を内容的にも量的にも一段と強化をすべきだと思います。こういう点について御所見を伺います。
  206. 角田達郎

    説明員(角田達郎君) 私ども、その不健全な旅行に関するキックバックといいますか、その手数料、こういうものを発見しようとして、立入検査をしながら懸命な努力をしているわけでございまして、もし、具体的にそういう不健全な旅行に関する手数料を発見した場合には厳正な措置をとると、こういう考え方でおります。  それから、先生先ほど来おっしゃっておりますように、その巧妙な手口をどうやって解明するかということでございますが、いろいろな資料あるいは情報、そういうものをもとにしまして、これからさらに知恵をしぼって努力してまいりたい、かように考えております、
  207. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私はそういうダンピングをやって、それが買春ツアーであろうと想像される、これは想像されておるわけですわね。だから、これは私も同感です、あんた先ほどそうおっしゃった、想像すると。そうでなければこんな安くできぬはずだと、こうおっしゃった。だから、私はそういうことを私も同感します。ですから、今後フィリピンあるいはタイ、そういうところへ旅行する観光団体に対して明細をきちっと取って、もしそういうものがあったら、全部観光旅行ができないように、許可をしないように、あるいはわれわれで方法で何か考えてみたいと思っております。
  208. 安武洋子

    ○安武洋子君 時間がないので、ちょっと急いで地方線対策に移らせていただきます。  これ、前国会で成立しました国鉄再建法について、昨年末に施行されておりますけれども、今日に至ってもなお政令作業が続けられておりまして、聞くところによりますと、運輸省関係省庁との意見の隔たりが大きいというふうに聞いておりますが、この点はいかがでしょうか。
  209. 山地進

    政府委員(山地進君) 昨年末に成立いたしまして、その後関係各省で私ども誠心誠意、それぞれの所管官庁において関心がございますので、各省間でいま努力して、政令最終案を固めている段階でございます。
  210. 安武洋子

    ○安武洋子君 法案の審議の過程でも指摘されておりますように、廃止路線の選定が政府に白紙委任をされております。それから、政府の部内でも意見の一致を見ないままに法案という枠組みだけが提案されるというふうな、国鉄再建法の根本的な欠陥がいまでもなお政令作成ができないという事態を私は引き起こしていると思います。  国鉄の路線というものは、運輸省とか、国鉄が机の上の計算で、はいなくしましょうと、こういうことでやれるものではないということなんです。行政の各分野とか、あるいは国民の日常生活、それから国の経済活動というのはもちろんのこと、自然や環境、こういうものまでも含めまして、非常に地域に密着しているものなんです。  ですから、私は先日、兵庫県内の輸送密度一日二千人以下、こういう路線でございます三木線、鍛冶屋線、北条線、高砂線、これに関係します自治体とか、住民の方々に実情をお聞きしてまいりました。共通して言われておりますことは、廃線には絶対反対なんだと、困るんだと。廃線になれば、産業や観光など、地域開発に大きな影響が生じるのはもちろんのことですけれども、通勤とか、通学とか、お年寄りの足がなくなる。それからバスを走らすなど、代替の輸送が大変困難であるというふうなことを訴えられております、  私、きょうここに持ってきておりますけれども昭和四十八年現在、国鉄副総裁の馬渡さん、これは大鉄局長を四十八年当時なさっておられますけれども、公文書を出しておられます。これは四十八年当時の合理化を見切り強行するときに、三木線、鍛冶屋線、北条線三線について、各自治体に、地域開発の進展と関連して、複線、電化、線路の延長等の早期実現を図りますと約束されております。そうしてそのために計画調査に関する体制も強化しますと、こういうふうに約束されているわけです。だから、各自治体はこの約束を信じまして、これに沿った地域開発を計画し、進めようともし、進めてもきているわけです。その後、ところが、ダイヤ改正もよくしますと言いながら、ダイヤ改正のたびに利用しにくくなってしまう。その上に運賃は上がるということで、残念ながら国鉄離れが進んで、今日では廃線対象にまでなってしまっているというふうな現状です。これではいままで立ててきた地域開発が挫折するという自治体の言い分ですけれども、私は全くそのとおりだと思います。  それからまた、昨日私豪雪で質問いたしましたけれども、今回も豪雪で国鉄地方線のストップしたところが、ピークどきはずいぶんと数多く出ております、運輸省の選定基準案では、代替輸送道路が積雪で一冬延べ十日以上遮断されるところは、廃線対象外とすると、こういうふうになっておりますけれども、審議の中では、その対象というのは一、二線程度だと、こういうふうに言われておりましたけれども、この冬だけでも私はピークどきは六、七線ぐらいというふうに思っておりますし、まだ今後の事態でどういうふうになるかもわからないと思います。そして、なお、ことしだけでなく、今後についても、日本の気象上、この数がふえていくということもあり得ると思っております。路線を廃止してしまってからでは遅いわけです。だから、選定に当たりまして、十二分に地域の実態を反映させられる私は弾力的な基準と条件をつける必要があると思います。このことをお伺いさせていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  211. 山地進

    政府委員(山地進君) いろいろな御質問ございましたけれども、代替道路の点、雪の点につきましてまずお答えいたしますと、ことしの雪は三十八年以来の豪雪でございます。私どもの政令で、どういう道路が代替道路としてバス輸送に転換することが適当であるかという判断をする場合に、ことしの、いま先生のおっしゃったとおり、鉄道もとまっているわけです。道路もとまっている。どちらもとまるわけです。私どもとしては、やはり十日間というのは、鉄道も十日ぐらい平均して雪の降るところではとまっているという事実に一つの論拠を持って、道路の方も十日ぐらいはとまるということはやむを得ないんじゃないだろうかということで十日ということを設定しているわけでございます。したがいまして、今回の豪雪については、それで道路もとまるし、鉄道もとまるという関係では、相対的な関係になるんじゃないだろうか、かように考えているわけでございます。  そのほか、地元の事情ということにつきましては、陳情とか、あるいはわれわれの方の調査とか、そういうことについて十分配慮しながら、今回の基準づくりをいたしているわけでございまして、関係各省もそれぞれのお立場から、その基準というものはこうあるべきじゃないだろうかということで、現在真剣に検討しているわけでございます。
  212. 橋元雅司

    説明員(橋元雅司君) 先生からただいま加古川線と三木線、北条線、鍛冶屋線のサービス改善について御質問がございましたので、一言申し上げますが、四十八年以来改正の都度いろいろきめ細かい輸送サービスの改善をいたしておりまして、昨年の十月でございますが、ダイヤ改正の際にも、線内のスピードアップ、あるいは接続駅の待ち合わせ時分の改善、あるいは一部通学、通勤のための列車を延伸するといったような措置をいたしておりまして、地元の御意向は十分承知いたしております。今後とも改善に努力をいたしてまいりたいと、こう思っております。
  213. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 山地鉄監局長が言ったので、大体それで意は尽くされておると思うとったんですが、つけ加えて申し上げますと、確かに国鉄の特定地方交通線、特にこの廃止につきましては、それはもう地元の気持ちはよくわかるのでございますが、それだけに先ほど言いました代替道路の基準というもの、これは確かにむずかしいと私は思うんです。たとえあっても、それが機能しないという場合に、国鉄はやっぱりどうするのかという、そのことだと思うのでございまして、そこらは特殊な地点でございますから、特殊な地点については、私は人口の張りぐあいだとか、あるいは地形、そういうようなもの等もいろいろ勘案して考えねばならぬと思っております。  それから、おっしゃいました地元の兵庫県の陳情は、ずいぶん私も聞かされておるのでございますが、なお道路の事情等は他の地域に比べまして比較的整備されておるところでもございますしいたしますので、私はその実情をもう少しよく調べてみます。  しかし、いずれにいたしましても、個々の問題でわれわれは政令を考えるべきじゃなくて、やはり客観性で記載したいと、こう思っておりますので、その点につきましては、ひとつあしからず御了承いただきたいと思うのであります。
  214. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は運輸行政の立場からお尋ねいたしたいと思います。  運輸行政にとって大事なことは、いろいろ考えられますが、私は一つには人間尊重を大事にする、二つには安全確保を大事にする、三つにはスピード化、この三つが大事ではないでしょうかと、こう思っておりますが、大臣いかがお考えでしよう。
  215. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 当然私も同感でございます。
  216. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それで、その観点から、空のダイヤ、陸の国鉄、これを中心にして幾つかお尋ねいたしたいと思うんですが、先ほど来豪雪の雪の被害の問題が出ましたが、実は南国沖縄の私もその被害を受けた経験を持っておりまして、去る一月の十一日、十二日に桜島の災害委員としての調査に行きまして、名古屋から飛行機が那覇空港に来て、それを乗り継いで鹿児島に向かう、こういう予定で実は定刻どおり行ったわけでありますが、名古屋の空港が雪で飛ばないと、こういうことで結局予定どおり立てませんで、夕方鹿児島に着いてべそをかいた、こういう経験を持っておるわけですが、雪の被害は沖縄までという、みんな大笑いしていただいたわけでありますが、私がこれを申し上げたいのは、雪というのは毎年のように降ることが予想される、そこから来る物心両面から、あるいは国民生活を大変なマイナスに追い込むということは、莫大な損失があるということは、いまさら申し上げるまでもありません。そういう観点から、ぜひこの雪の対策については万全の策を講じて、国鉄が狂わないように、空のダイヤが狂わないように、そしてまた交通、生活道路も困らぬような、こういった対策を十分講じていただきたい、こういうことをまず要望いたしておきます。  次にお尋ねしたいことは、いま空のダイヤでジェット化が、何割程度ジェット化しておりますか。
  217. 松本操

    政府委員松本操君) お答え申し上げます。  ジェット化の率のとり方がいろいろむずかしいわけでございますけれども、路線の数で申しますと、大体半数でございます。旅客の数で申しまして八十数%がジェット化をしていると、こういうふうに申し上げてよろしいかと思います。
  218. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次にお尋ねしたいことは、空港設置の基本条件、どういう条件をつけておられるか、その点お聞きしたいと思います。
  219. 松本操

    政府委員松本操君) 空港設置の要件といたしましては、まずもってその空港に必要な機材が安全確実に出入できるだけの空港としての機能が確保できること、第二に、その飛行機が出発進入するに当たりまして、低い高度で周辺を飛ぶわけでございますので、空港周辺に騒音その他の障害を及ぼすことがなるべく少ないこと、あるいはあるとしたらば、それを軽減する可能性がなるべく高いこと、三番目に、その空港と、それから必要な旅行目的地との間の交通手段が、なるべく確実に用意されていること、この三つが非常に大きな要件ではないかと、このように考えております。
  220. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 お尋ねしますが、どの空港でもいま問題になっておりますのは騒音公害。それでは、その騒音公害は何ホンを基準にして、そしてそれの対策をいまどの程度実際に対策を講じておられるか、その予算が幾ら計上されておるか。
  221. 松本操

    政府委員松本操君) 航空機の騒音につきましては、去る昭和四十八年に環境庁が基準を出しております。それによりますと、人家のある場所におきましてWECPNLという、まあうるささ指数とでも申しましょうか、この数字を使いまして七十五というのを目安にすると、こういうことになっております。現在のところは七十五まで至っておりませんで、八十のラインで線引きをいたしまして、その中に入っております民家に対する防音工事なり、あるいは一定の要件にかないまする学校等の防音工事なり、こういうものについて鋭意努力をしておるわけでございます。  予算の額につきましては、申しわけございません、ちょっといま手元に資料持っておりませんので、第三次空港整備五カ年計画の数字を覚えておりますので申し上げさしていただきますと、九千二百億という総額の中で、三千五十億円をこういった空港周辺対策に投入するということで、ほぼその目的どおりの形で作業が進められておる。しかし、まだ十分地元の御納得を得るには至っておりません。四十八年に決められました環境庁の基準の達成目標というものが、大方の空港におきまして、昭和五十八年の暮にやってまいりますので、それまでには大方の空港について何とか目標が達成できるように、鋭意努力をしている状況でございます。
  222. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それじゃ、七十五ないし八十ホンを超える空港、それはどこどこですか。
  223. 松本操

    政府委員松本操君) 私の説明があるいは不行き届きかと存じますが、空港そのものから出ております騒音の大きさというものは、いまのうるささ指数で申しますと、九十五あるいはそれを超えるような大きな数字でございますが、空港から距離が遠ざかるに従いまして、九十五が九十になり、だんだんと下がっていって、七十五まで落ちていくわけでございますが、私がいま申し上げましたのは、七十五のうるささ指数の範囲に入るところは、しかるべき手当てがされなければいけないというのが環境庁の基準になっておると、こういうことでございますので、恐らくほとんどの空港で七十五あるいは八十を超えるというのは、空港の滑走路の近くに行けば行くほど、数字は高くなってまいりますので、ほとんどの空港で測定をいたしますれば、恐らくそういう数字になっておろうかと思います。私が申し上げましたのは、それをそのままで放置しておくのではなくて、民家の防音工事をいたしますとか、あるいは学校、病院等に防音工事をいたしますとか、あるいは移転補償を促進いたしますとか、そういうふうないわゆる周辺対策というものを行うことにより、あるいは飛行機につきましても、できるだけ音の低い飛行機を、音が大きく出ないような飛ばせ方をするというふうなことによりまして、現実にその家の中で暮らしておいでの方に、そういった騒音の被害が及ぶことがないようにしていく、こういうことでございます。
  224. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 抽象論でなく、具体的に基準以上にいま問題になっておるのは、成田、羽田、大阪、百ホン以上が一日何百回とある沖縄、こういうように指摘してもらいたかったわけですがね。その点はまた今後にいたしたいと思います。そういった音の被害ということはいかに人間の健康に、命に影響があるかということをいまさら私が申し上げるまでもないはずであります。十分御承知だと思うんです。  そういうことで、次に聞きたいことは、空港と都心との距離、これはどのぐらいが適当だと、調査されたことがありますか、あるいはまた基準を持っておられますか。
  225. 松本操

    政府委員松本操君) 空港と都心部の距離ということについて、特段の基準というものを私どもは持っておるわけではございません。しかし、まあ羽田の例で申しますと十数キロでございます。成田が非常に遠いと言われておりまして六十数キロでございますので、まあ大体二十キロとか、二十数キロとかというあたりのところに空港があるというのがまあ理想的な形ではなかろうか。羽田のように、わずか十数キロではございますけれども、その三万が海に面しておるというふうなことがあって、いま御指摘ございましたけれども、騒音の被害の及ぶ範囲というのは実は陸岸部かなり限られているというのは、むしろ恵まれた立地条件ではなかろうかと、このように考えます。
  226. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私の海外調査のついでに調査したのでは、いまおっしゃるように大体二十キロ以上が多いんです。近くて十キロ。ところが、沖縄は何キロでしょうか。もう申し上げるまでもありません。道一つ隔てて人家がありますね。嘉手納にしても、普天間にしても、那覇空港にしても二キロ足らず。こういう状況。あるいは日本全国でも恐らく十キロ以上という特殊な距離の空港もあると思いますが、その爆音、騒音に悩まされておるという、この実情を無視してはならないと思うんです。  それでは、次に進みたいと思いますが、離島区の解消はまず三つあると思います。これは交通網の整備、通信網の整備、医療施設の整備、この三つあると私は常に強調いたしておりますが、きょうは特に交通網の整備と、こういう点から大臣にお尋ねしたいんですが、先ほど冒頭に申し上げました安全性の確保という面から、いま那覇空港は民間空港と航空自衛隊、時にまたアメリカ空軍が不時着したり、こういった混線した形で使用されておりますが、これをどうお考えですか。
  227. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 那覇空港につきましては、私ちょっと記憶が定かではございませんが、たしか滑走路が二千七百メートルだったと思うておりますが、それがまあ都心に近いということ等もあり、これをさらに拡張して整備しようという要望と、それともう一つは、完全な国際空港をつくろうという要望とあることも知っております。この那覇空港のそういう要望に対しまして、私たちは一度那覇空港の将来の航空需要の予測、こういうものを見きわめて、先ほどのお尋ねの安全対策なり、騒音なり、そういうようなものを絵合的に一回考えてみなきゃならぬだろうと、こう思っておりまして、準備はいたしておるところであります。
  228. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 特に、那覇空港につきましては、まあいきさつを御存じかと思いますが、一応復帰の時点で、これは開放の目玉商品だったんですよね。それがまたもとに返って、そうして航空自衛隊基地になって共用と、ところが、これは那覇の都市計画の一環として、その開放を前提にして計画はされておる。こういった都市計画の立場からも問題があるでしょう。一たんは開放したのをよりを戻したということにも問題があるし、そしてこれを民間と自衛隊基地とを分離せよと、こういう強いまた要望もありますし、そこを開放せよという強い要望もあるわけなんで、このことは十分御承知だと思いますが、そこで百尺竿頭一歩を進めまして、こういった軍事優先的にいま使用されておる現状なんですよ。それを沖縄がいま国際センターとしての脚光を浴びつつあるわけなんですね。鈴木総理も東南アジアでそれをぶっておられる。こういうことと思い合わせて、沖縄が国際交流センターになるということであるならば、当然国際空港としての一級の空港があるべきである。こういう観点から新しく国際空港にふさわしい、この規模の国際空港をつくってほしいとこういったまた強い県民要求があるわけなんですが、そのことについては、先ほどもちょっと触れられましたが、もう一遍ひとつ御所見を承りたいと思うんですが。
  229. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 先ほど先生のおっしゃるような要望を私たちも聞いておりますし、また那覇空港がそういう、特に東南アジア地域に対しましてのセンターとしての役割りを果たす上においても、空港の整備は当然必要だろうと思っておるんです。けれども、これからの航空需要はどうなるかということなり、あるいは沖縄と各国との関係をどう持っていくかということ、あるいはまた立地上どういうふうにするのがいいかということ等総合的に考えさしていただきたい。私たちは何も那覇空港現状のままでいいとは思っておらないんです、やはりこれを改善すべきだとは思うておるんですが、だからといって、いまこういうぐあいにせよというような案は持ち合わせしておりませんので、これを十分煮詰めた上で、いろんなアイデアとしては持っておりますけれどね、ここで発表さしていただくような計画としてはまだ持っておりませんので、これを早急に詰めさしていただくようにいたしたいと思います。
  230. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまのひとつ線で前向きでぜひ検討を進めていただきたい、一日も早く具体化することを期待いたしております。  次に、いま日本全国で国鉄の恩恵のないのは沖縄県だけであるわけなんですね、それで、結局、空をあるいは海をと、こういうことになりますが、特に大臣のお立場からは、ぜひ国鉄の延長としての沖縄、これが抜本的な離島区の解消にもつながるわけですね。それで夢のような話と思っていただいたらいけないと思うんですが、夢は希望の苗床であるということを私は信じておりますので、それで鹿児島までは国鉄が来ておるわけですね。それを陸につなぐという、こういうことも私は現在の日本の技術、知能で十分立証されておるわけですからね。鹿児島から、そして奄美大島伝いに島々があるわけなんですから、それを海底トンネルをぶっ通すという、こういうことはお考えになったことはありませんかどうか、大臣
  231. 塩川正十郎

    国務大臣塩川正十郎君) 私はまだそこまで考えておりませんで、どうも申しわけないんだけど、まあそういう御提案きょう聞いたということで、私も受けとめておきたいと思います。
  232. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 それで、いまでっかいことを申し上げたかとも思うんですがそれならば現実の問題として、いま鹿児島から先は国鉄のつながりがないわけですね。琉球海運を通じて那覇港までの一応契約はあるわけなんですが、ところが、県民要求として特に宮古、八重山、平良港と石垣港、特に那覇と平良港、那覇と石垣港を国鉄並みの恩恵を与えてほしいと、こういう強い要望があるんです。このことは国の配慮があれば当然実現できることだと私は思っておるわけなんですが、いかがでしょうか。
  233. 橋元雅司

    説明員(橋元雅司君) 手小荷物を沖縄の先島地区と申すんでございますが、宮古、八重山の地区へ運送してほしいという御希望十分承知いたしております。  また、国会におきましても、いろいろな先生からすでに御質問をちょうだいいたしておるわけでございますが、この輸送、先生ただいまおっしゃいましたように、連絡運輸の方式によっておるわけでございます。連絡運輸方式と申しますのは、複数の輸送機関が相互に協定をいたしまして、それぞれに連帯して利用者に責任を負うという方式でございまして、この場合には、鹿児島までの、あるいは鹿児島からの輸送は国鉄が責任を持ち、鹿児島から那覇に至るまでの間の輸送につきましては琉球海運が責任を持っておるわけでございます。そこで、那覇からの先の輸送につきましては、海上運送のための費用であるとか、あるいは発着の関係費用というような点を、どなたがどのように持つかということで、従来いろいろ問題があったわけでございます。実は率直に申し上げまして、琉球海運の方は余り明確な御意思がなかったようでございましたんですが、昨年の末に至りまして、十二月の十六日の日付で、琉球海運の方から協議に応じたいという書面をちょうだいいたしました。そこで、そういった問題を十分協議いたしまして、できれば御要望に沿うような方向で、いろいろ考えてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  234. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 需給の関係がございますので、あるいは完全に国鉄並みとはいかぬにいたしましても、少しでも現状より前進するような、こういうひとつ理解と愛情を持って進めていただきたい、こういうことを要望いたします。  次に、特に沖縄が離島県であると同時に、多島県であるわけなんですね。ですから、那覇空港を中心として、島には人間輸送は飛行機で、貨物の輸送は船でと、こういうふうに考えておるわけなんですが、その沖縄の島々への空路の開発計画、これがございますか。ございましたらひとつ聞かしていただきたいと思います。
  235. 松本操

    政府委員松本操君) 私いまここで申し上げるほど正確な記憶を持っていないわけでございますけれども、現在沖縄県の方からの御希望があって、空港のつくられております島につきましては、ほとんどのサービスが行われておるわけですが、とりわけ一番西のはじにあります与那国島につきましては、現在双発の小型機が飛んでおりますが、これを昔のようにYSに戻すための整備を、五十六年度から着手するようにしたいということにいたしました。  それから、これらの航空路の整備と申しましょうか、先ほど先生のおっしゃいました通信網というのも、これまた飛行機を安全に飛ばすために非常に大事でございますので、そういう面で、航空機を飛ばすための通信網の整備、これにつきましては、沖縄は、特に南大東のようなところは非常に遠いものでございますので、なかなか難渋しておったわけでございますが、こういう点につきましては特段の工夫をして、従来よりははるかに安全度を高くするような努力をしてきておるわけでございます。  それから、さらに、レーダーを現在沖縄の八重岳だけにしかございませんけれども、これを宮古島にもレーダーを設置するということにいたしまして、わりあいに東西と申しましょうか、長い範囲にまたがっております沖縄県の空域の航空交通の安全というものを向上いたしまして、定時運航なり、あるいは航空機の確実な運航なりというものが確保できるようにしていこう、こういうふうな努力をいましてきておるわけでございます。そのほか南西航空自身といたしましては、宮古、石垣をすでにジェット化したわけでございますけれども、最近幸いにして旅客の数も多いようでございますので、可能な限り機材繰り等を図って、便数の増加なり、何なりということでサービスの向上を図っていきたいということに努力をしておるようでございますし、私どもとしても積極的にこれに対しては支援をしていきたいと、こう考えております。
  236. 野田哲

    委員長野田哲君) 他に発言もないようですから、運輸省及び日本国有鉄道決算についてはこの程度とし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十一分散会      —————・—————