運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1981-07-08 第94回国会 参議院 決算委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年七月八日(水曜日)    午前十時開会     ―――――――――――――    委員異動  六月五日     辞任         補欠選任      野田  哲君     丸谷 金保君  六月六日     辞任         補欠選任      伊江 朝雄君     松尾 官平君  六月八日     辞任         補欠選任      松尾 官平君     伊江 朝雄君  七月八日     辞任         補欠選任      黒柳  明君     藤原 房雄君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         和田 静夫君     理 事                 井上  孝君                 高橋 圭三君                 降矢 敬雄君                 円山 雅也君                 佐藤 三吾君                 峯山 昭範君     委 員                 石本  茂君                大河原太一郎君                 河本嘉久蔵君                 北  修二君                 坂元 親男君                 塚田十一郎君                 内藤  健君                 仲川 幸男君                 成相 善十君                 福田 宏一君                 穐山  篤君                 粕谷 照美君                 丸谷 金保君                目黒今朝次郎君                 鶴岡  洋君                 藤原 房雄君                 安武 洋子君                 柄谷 道一君                 森田 重郎君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        大 蔵 大 臣  渡辺美智雄君        文 部 大 臣  田中 龍夫君        厚 生 大 臣  村山 達雄君        農林水産大臣   亀岡 高夫君        通商産業大臣   田中 六助君        労 働 大 臣  藤尾 正行君        建 設 大 臣  斉藤滋与史君        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    安孫子藤吉君        国 務 大 臣        (内閣官房長        官)       宮澤 喜一君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)        (沖繩開発庁長        官)       中山 太郎君        国 務 大 臣        (行政管理庁長        官)       中曽根康弘君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       河本 敏夫君         ―――――        会計検査院長   大村 筆雄君         ―――――    事務局側        常任委員会専門        員        丸山 利雄君    説明員        内閣総理大臣官        房管理室長    海老原義彦君        公正取引委員会        事務局官房審議        官        奥村 栄一君        公正取引委員会        事務局審査部長  妹尾  明君        警察庁刑事局長  中平 和水君        防衛政務次官   山崎  拓君        防衛庁長官官房        防衛審議官    池田 久克君        防衛施設庁次長  多田 欣二君        沖繩開発庁振興        局長       藤仲 貞一君        法務省刑事局長  前田  宏君        外務省北米局長  淺尾新一郎君        大蔵大臣官房審        議官       矢澤富太郎君        大蔵大臣官房審        議官       金成 圭章君        国税庁直税部長  吉田 哲朗君        文部省初等中等        教育局長     三角 哲生君        文部省管理局長  柳川 覺治君        林野庁次長    小島 和義君        通商産業大臣官        房審議官     植田 守昭君        中小企業庁長官  勝谷  保君        運輸省航空局飛        行場部長     山本  長君        労働省労働基準        局長       石井 甲二君        建設省都市局長  加瀬 正蔵君        自治省税務局長  関根 則之君        消防庁長官    石見 隆三君        会計検査院事務        総局次長     肥後 昭一君        会計検査院事務        総局第一局長   佐藤 雅信君        会計検査院事務        総局第二局長   堤  一清君        会計検査院事務        総局第三局長   坂上 剛之君        会計検査院事務        総局第四局長   高橋  良君        会計検査院事務        総局第五局長   丹下  巧君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和五十三年度一般会計歳入歳出決算昭和五  十三年度特別会計歳入歳出決算昭和五十三年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和五十三  年度政府関係機関決算書(第九十一回国会内閣  提出) ○昭和五十三年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第九十一回国会内閣提出) ○昭和五十三年度国有財産無償貸付状況計算書  (第九十一回国会内閣提出)     ―――――――――――――
  2. 和田静夫

    委員長和田静夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る六月五日、野田哲君が委員辞任され、その補欠として、丸谷金保君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 次に、昭和五十三年度決算外二件を議題とし、本日は総括質疑第二回を行います。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 まず、官房長官に二、三お聞きしておきたいと思うんですが、秋の臨時国会について、政府与党の中でいろいろ議論がされておるようでございますが、大体いつごろに開く予定なのか。それから行革関連法一本の行革国会と、こういう議論がございますが、そういうことなのか。この点が第一。  それから二番目に、五月の日米首脳会議におきまして、共同声明が出されたわけですが、この共同声明内容につきまして、さきの国会鈴木総理軍事同盟ではないと、それから、アメリカの第七艦隊の中東に行く肩がわりをするものでもない、こういう点を強調したわけでございますが、その後に新聞報道をいろいろ見ますと、伊東外務大臣辞任から、ハワイの事務レベル会議、また、まだ大村長官帰っておりませんが、大村さんとワインバーガー会談なり、アレン会議なり、こういう会議一連内容を見ますと、共同声明を盾にしたアメリカ日本に対する軍事力強化の問題、防衛費の増額の問題、こういった点で、何か国民の目から見ると、摩擦というか、あつれきというものが非常に顕著になってきたようにあるわけです。決して軍事同盟でないという総理のお言葉にかかわらず、アメリカの方は逆に共同声明を盾にして、日本の軍備の増強なり、防衛肩がわりというものを強く求めてきている。あなたが一日の記者会見内容を見ますと、こんなアメリカ要求は無理だと、無理な注文であって、のめるもんでない、記者会見内容は尽きるところそういうことを言っておるようです。これはしかし、そういうこと言ってみても、この共同声明がある以上は、私はなかなかアメリカのこの要求というのは、むしろ国防長官という単位じゃなくて、国務省も、大統領も、議会も含めて、強い要求となってくるんじゃないかというような気がしてならないんです。長官はこの問題についてどういうふうに受けとめておるのか。園田外務大臣は六月二十日マニラの記者会見では、共同声明などというのはむしろ条約とは違って、言うならば軽視をしてもいいというか、批判をする、こういう声明を出さざるを得ないような状況にもなっておるようですし、こういうようなことから、与党の幹部の中でも、もう一遍やり直しをしたらどうだと、こういう意見もあるようです。そこで、オタワ首脳会議の際に、もう一遍首脳会議を開いて、そうしてこの問題に対して事実上の見直しをする、そういうお考えもあるやに聞いておるわけでございますが、ここら辺の問題について長官のひとつ見解をいただきたい、こういうふうに思います。
  5. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 第一のお尋ねでございますが、政府といたしましてただいま行財政改革について、いわゆる臨調の答申お願いをしているところでございまして、今月の十日には答申をしていただくことができるのではないかと期待をいたしております。その答申内容、またそれを政府部内で検討いたしました結果いかんによりまして、場合によりまして、通常国会以前に、国会の御審議を仰ぐ、そういうお願いを申し上げることになり得ると、なることがあるかと存じておりますけれども、ただいまのところ具体的にそういうお願いをするということをまだ決定をいたしておりません。  政府といたしまして、この十日にございます答申内容を十分検討いたしました後に、場合によってはそういうことをお願い申し上げることがあるかもしれないという程度でございます。したがいまして、仮にそういうお願いをいたしますことになりました場合に、関連法案をどういう形で御審議願うかというようなことにつきましても、一切ただいまのところ未定でございまして、答申を待ちましてだんだんに検討していきたいと考えております。  これが第一点でございます。  次に、日米関係に関してのことでございますが、共同声明同盟云々と申しましたのは、先進民主主義工業国家群の間で持っております共通の価値観が危殆に瀕するようなことがあってはならないので、十分お互いに協力をして、それを守らなければならない。こういう考え方同盟という言葉表明をしておるわけでございますけれども、もとより日米両国間には安保条約がございますので、この日米関係が全く非軍事的なものだけであるということは、もとよりあり得ないことであって、安保条約がございますことは、これは周知の事実と思います。  そこで、このような共同声明には拘束力がないと園田外務大臣が言われたということ自体は、外務大臣自身が自分はそういうことを言ったことはないと言っておられますので、それで明らかであろうと思います。日米両国としては、わが国としてはもとよりこの首脳間の共同声明の言っておりますこと、これはわが国としての考え方表明でございますから、そのことに責任を負わないというようなことではあり得ない、これは申すまでもないことでございます。  それから、最後にただいまの日米間の主として防衛問題をめぐるやりとりについてでございますが、ベトナム戦争以後の米ソ軍事バランスの変化というものは一般先進民主主義国家群の中でも認識されておるところでありまして、その点についてわが国とよその国――いわゆる西側と言わしていただきますが一の認識が異なっているわけではない、ただ、それにおのおのどのように対応するかは、それは当然のことでありますけれども、そのおのおのの国の与えられた立場によって、多少のニュアンスはあるであろう、しかし基本的な認識に相違があるわけではない、わが国わが国といたしまして、防衛計画大綱をできるだけ早い時間に達するための努力をただいまいたしておるところでありまして、このためにわが国は最善を尽くす考えでございます。このことは鈴木総理大臣がワシントンでも表明をいたしております。ただ、米国側はこれに対して伝えられるところによれば、それだけでは十分でない、ことに変化した国際情勢の中で十分ではないという意見を持っているやに承知しております。これは大村防衛庁長官がまだ帰ってこられませんので、全貌がどういうことであるかは明白でございませんが、防衛計画大綱を達成したところで、現在の国際情勢においてはなおそれでは十分ではないとアメリカ考えているらしく思われます。それはあるいはそうであるかもしれませんけれども、俗な言葉で私は、大阪へ行こうと思えばまず名古屋に行かなければ次へは行けないのであって、防衛計画大綱を達するそのためにいまは全力を尽くす、こういう段階であって、それを超えてのことは、それができてからの段階でなければわが国としては考えることがむずかしい、そういうふうに私は申しておりまして、このこともまたそれとして、米国としては十分理解をしておるところであろうと思われます。  そこで最後に、そのような状況において、オタワ先進国首脳会議でもし鈴木総理大臣レーガン大統領会談をする機会があって、仮にこういう問題が出るといたしますれば、鈴木総理大臣としては、わが国としてはただいまのところ防衛計画大綱を、できるならば発注ベース昭和六十二年までに達成していきたい、そのために全力を尽くすということを再度言われることになるであろうと思いますけれどもオタワにおける会談が仮に行われるといたしますと、それはそのような個々の問題はむしろ従でありまして、主たる会談内容日米間の問題一般及び日米が共同して当たらなければならない国際問題についての認識なり、意見なりの交換、それが主たる部分になろうと考えております。
  6. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そこで、いまあなた伝えられておるところだということで、大村さんが帰ってから状況を聞いて、ワインバーガーとの会談の内訳なり、アレンとの中身の問題について、最終的に確かめたいというお話のようですが、しかし、また、二日の記者会見であなたは早々と、日本通信電子機器軍事技術供与の問題については、これは前向きに検討する、こういう発言、発表をしておりますね。その根拠としては、日米相互防衛援助協定があるので、武器輸出原則に照らしても、普通一般の場合と違う意味でできるんじゃないかと、こういうような意味発言をしておるようですが、これは私は重大な問題があると思うんですけれども、この真意は何ですか。
  7. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 大村防衛庁長官に対しまして、米側からわが国の持っております最新技術を提供してもらうことはできないかという要請があったということについての問題でございますが、私の申しましたことは、わが国の場合、世界の平和に貢献するというその方法について、軍事的な面ではおのずから憲法の制約があるのであって、できることとできないことがある、できないことはできないし、できることはできるだけのことをするのが本当であろう、したがって、そういう平和目的に貢献する範囲内で、技術的に日本が貢献することがあれば、それは安保条約の定めておる目的にも寄与することであろうから、基本的にはできることは力を尽くすべきではないかということをまず申しました。  次に、ただいま佐藤委員が御指摘になりましたように、当然の質問として、しかし、その点は武器輸出禁止原則とどういう関係に立つかという質問がございましたので、これは実は非常に恐らく複雑な問題であって、防衛庁長官が帰られた後、関係省庁で十分に協議をしてもらわないと、私として軽率な結論は出せない、ただ一つ言えることは、昭和二十九年に日米間で締結をいたしました相互防衛援助協定がございますので、これとの関連をどう考えるかというのが一つの問題であろうと思うけれども何分にも急なことであり、また、技術的なことなので、私自身十分中身を解明するいま知識がないので、いずれ防衛庁長官が帰られてから、関係省庁でその点も検討してもらいたいと思っている、こう申したわけでございます。
  8. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これは九十四国会でもずいぶん議論になりまして、外務委員会の中で特別に決議をするという事態で収拾したような内容を持つ問題ですから、私は相互防衛援助協定ですか、これを仮において理由にしましても、明らかにこれは軍事供与を基本に置いた通信並びに電子機器輸出の問題ですから、提供の問題ですから、これは私は武器原則に照らしてみても問題のある内容だと思うので、そこら辺の扱いについては、きょうはもうこれ以上この問題を議論しませんけれども、何か総理通産大臣意見も慎重にこれは検討しなければならぬということですから、そこら辺はぜひひとつ誤りのない態度を決定していただきたいということを加えて、また後日この問題については触れていきたいと思います。  それから次に、日本電電の問題について検察庁にお聞きしておきたいと思いますが、七月六日に強制捜査に入って、管理職六名の背任容疑による逮捕に踏み切ったようですが、これはこの決算委員会の中でも議論の、追及のあったところですが、新聞によりますとカラ出張カラ会議背任罪に踏み切ったことは画期的だ、こういう記事が出ております。この踏み切った最大の理由というか、これは一体何か。同時にまた、今後の見通しについてどう考えておるのか。  なぜ私はこれを聞くかと申しますと、この種の例は一昨年の鉄建公団、国鉄、労働省大蔵省、これは御承知のとおり全部カラ出張カラ会議の問題が出されておるわけですけれども、これには強制捜査に踏み切ってない、こういう事例等もございますから、そこら辺との関連を含めて一体どう今後取り扱っていくのか、この辺も含めてお聞きしておきたいと思うんです。
  9. 前田宏

    説明員前田宏君) 近畿電気通信局関係いたしますいわゆる不正事件につきましては、ただいまお尋ねのございましたように、一昨日関係者合計六名を逮捕し、関係場所捜索等も実施したところでございます。  ただいま報道等によれば、こういう事件強制捜査に踏み切ったのは画期的であるとか、例がないとかいうような報道もなされておったわけでございますけれども、もし、刑事事件の場合に、証拠がありまして、犯罪の嫌疑があるという場合に、それなりの措置をとるのは当然でございまして、事案事案によって、その対処の仕方は異なるわけでございます。  先ほどお尋ねの中で、いわば類似の事件ということでお挙げになりました事件につきましては、やはり捜査をいたしました結果、証拠のないものがある、あるいは情状の点で考えるべき点があるというようなことで、それなり処理がなされたわけでございまして、やはり事案内容に応じまして、対応の仕方も違うということでございまして、それ以上の特段の理由はないわけでございます。  なお、今後の見通しでございますが、何分にもまだ一昨日関係者の身柄を逮捕したという段階でございますので、その関係の事実の確定ということに全力を注ぐわけでございますから、現段階におきましては、今後どのように進展するかということは、まだはっきりしたことは申しかねるわけでございます。
  10. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これはカラ出張カラ会議という行為そのもの一つの中に含まれておるのですか。それとも横領というところに背任罪関係があるんですか、どうなんですか。
  11. 前田宏

    説明員前田宏君) 何分にもいま申しましたように捜査中のことでございまして、事実の確定はこれからのことでございますが、逮捕時点におきます容疑といたしましては、逮捕しました合計六名の者がいわば私的な飲食費等に充てるために公社の金を知り合い等の口座に振り込ませてプールをした、そしてその中からいわば個人的な飲食等に充てておったというような事実関係、これを背任としてとらえておるわけでございます。
  12. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうすれば、先ほど私申し上げた鉄建公団の場合も大体同じだし、大蔵省労働省の場合だっても、中身としてはそう違いないように私思うんですが、そこら辺は今後の捜査の進展とも関連すると思うんですけれども、私は、この官庁はやるけれども、この官庁はやらぬとかいう、こういうあり方というのはけしからぬと思うので、そこら辺はひとつぜひ踏まえてこの問題の処理に当たってほしいということを一つつけ加えておきたいと思います。  そこで、日本電電がこれを機会監事監査強化の問題を取り上げて、機構改革を行うようになっておることは結構なことですが、その一連人事で、役所の不正の監査をする検査院総括副長、調査官ですか、こういった形で今後の監査体制強化するということについてはわからぬでもないですけれども事務総長がこの時期にかわって、そして前事務総長監事として行く、こういう一部の報道もあるわけです。これは率直に言って、先般の鉄建公団の際の常任監事ですか、これも検査院の天下りの中でああいう事件が起こっておる。こういうことにもなりましょうし、また、やっぱり情の問題で、そういう先輩、OBが行けば、手心を加えるということも出てきようし、いろいろな疑惑を国民に与えておると思うのですが、この問題について院長の方でどういう取り扱いをしておるのか、それを聞きたいと思うんですが。
  13. 大村筆雄

    会計検査院長大村筆雄君) ただいま電電公社監事監査体制充実強化関連いたしましての御質問でございますが、私ども松尾事務総長、先般後進に道を譲るということで勇退をされたわけでございますが、それに関連しましての電電公社監事人事のことがうわさされているようでございますけれども電電公社監事人事につきましては、御承知のとおり、公社経営委員会で任命されることでございますので、このことにつきまして私が申し上げることは差し控えさしていただきたいと存じますが、御質問公社監事監査体制強化という点につきまして、若干の経緯がございますものですから、あるいは公社側からお聞きいただく方が適当な面もあるかと存じますけれども検査院立場からどういうふうに考えて事を進めてまいったかということを御説明申し上げまして、御理解を賜りたいと存じます。  御承知のとおり、先般の私ども検査報告指摘に基づく不正経理に端を発しまして、本年一月民間から真藤総裁が並み並みならぬ御決意を持って公社総裁に御就任になられまして、その後公社経営刷新のために鋭意努力され、御苦労をなさっているところでございますが、真藤総裁は御就任後数カ月、内部のいろいろな諸点を検討の結果、経営刷新の一環として監事監査体制強化をぜひやらねばならない、そのためには、この際、外部の専門家を起用していく必要があるというふうな御結論を得られまして、その際、私どものスタッフの検査能力に着目されまして、これをぜひ活用したいので、必要な要員の割愛をしてもらえないかという強い要望が公社側からございました。  私どもは御指摘のような御批判の点もあろうかと思いまして、慎重に検討しました結果、こういう異例の事態の中で民間から起用されました真藤総裁が、民間経営者の厳しい目で内部点検をなさいました結果出された結論でもございますし、かたがた内部監査体制会計検査との関係、これは大変重要な密接な関係もございますし、後でまた必要であれば私からまた補足して御説明申し上げますが、大変これは検査結果を確保する、あるいは徹底するという意味におきましては、公社を問わず政府の各省、各局における内部監査体制充実強化はぜひともやっていただかなければならない点でございますので、この際、御批判の点はあるかと存じますが、私どもといたしましては、大所高所から前向きに御協力申し上げるべきではないかというふうに判断いたしまして、必要な要員の割愛を決心いたした次第でございまして、昨日付をもちまして、私どもの方の職員三名が公社監事室長以下の要員の発令もございましたし、また、公社側から、私どもの方にも必要な方を教育という意味も含めまして、受け入れることにいたした次第でございまして、この点私ども考え方を十分御理解賜りたいと存じます。
  14. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 大分苦しい答弁をしておるようですがね。私が言ったのは、鉄建公団の際にもそうだと思うんですよ、検査院からそういう趣旨で行ったんだと思うんだが、現実はどうかといえば、ああいう事件を引き起こしておる。こういうことで、やっぱり私は検査院は独立機関として、各省庁並びに公社、公団を含めて、公正な監査をしていく立場にあるわけですから、その意味では、天下りのようなかっこうをとるんではなくて、そこには癒着のにおいが残るような、何か疑惑を招くような、こういうあり方が私は問題だと思うんですよね。これは官房長官に直接かかわる問題ではないと思うんですが、私は、そういう意味で、この問題はやっぱり官房長官も、これは直接人事の問題を扱うところですからお聞きしておきたいと思うんですが、やはりいま言ったように、そういう真藤さんの強い要請があって、総括副長や調査官が行くということについては、私はこれはわからぬでもない、監査体制強化するために。しかし、検査院事務総長監事として天下らなければならぬという理由には、どうしても納得できないような感じがするんですが、ここら辺の取り扱いについて、官房長官の見解を聞いておきたいと思います。
  15. 宮澤喜一

    国務大臣宮澤喜一君) 特殊法人の役員の選考につきましては、昭和五十二年に閣議決定がございまして、なお五十四年にその上に閣議了解がございます。それで、このような方針に基づいて考えていかなければならないと存じております。  なお、いま特定の人事についてのお話でございましたけれども、まだ私実はその人事については伺っておりません。もしそういうことがございましたら、この閣議決定、閣議了解に基づきまして、要は適材適所であるかどうかということで判断をいたさなければならない、こう考えております。
  16. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そういうふうに私は強く感じますので、その際にひとつ十分配慮して、国民の疑惑を招かないように処理をしていただくように、私からもひとつ要請をしておきたいと思います。  それから、中曽根長官がおいでのようですから、臨調の問題で二、三ひとつお聞きしておきたいと思うんですが、いよいよ七月十日に向けて急ピッチで答申が進められておるようですね。ところが、内容については次々に新聞ではいままとめが出されておるようです。  そこの内容を見ると、特別部会報告と専門部会報告に対して、国民の世論が厳しい部分については若干修正を加えてやわらげる、こういう方向をとっておるようですが、大筋は変わらない、こういうような気がするんですが、これは出されてからでないと、なかなか正確には言えない議論だと思うんですが、私どもが見る限り、どうも行政改革の当初にこの法案を出す際に、長官総理国会において説明した理念、それから行革のポイント、こういった問題から大きく逸脱というか離れて、国民の期待する方向でなくて、むしろ赤字のツケを国民の福祉や教育、医療、こういうところに転嫁したり、また自治体の方に転嫁したり、公務員労働者いじめのところに重点を置いてみたり、何か本質を離れたような方向に内容がなっておるような気がしてならぬのですけれども、この点についてあなたの行政改革の理念とあわして、いま出されようとしておる内容の問題を含めて、どういうお考えを持っておるのか、まず聞いておきたいと思うんです。
  17. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 臨時行政調査会の専門委員や、あるいは調査会の委員の皆様方が、非常に自分たちの仕事も放てきしまして、この仕事に尽瘁して御努力いただいていることに非常に感謝しておる次第でございます。  いよいよ第一次報告につきましては、十日に報告を出すという予定のもとに、最終の調整の詰めの段階に入っておりまして、本日もその案文の調整のために四時から委員の懇談会を開いてまとめの作業をする、こういう状況でございます。  それで、専門部会、あるいは特別部会からの報告書は本委員会に提出されておるわけでございますが、それらの内容を拝見してみますと、短時間の間に非常によく御勉強なすっておると思います。  ただ一部に、いまおっしゃいましたような御批判が存在することもわれわれはよく承知しておりますが、全体としてはよく各方面に目を見張りまして、できるだけ公平にバランスがとれるような努力をしていただいているのではないかと思います。  ただ今回の一次報告は、財政問題が焦眉の問題として前面に出てまいりまして、増税なき予算編成を五十七年度にやろう、そういう大きな課題にこたえるという点もございますので、そういう部面が前面にかなり出てきたことも御指摘のとおり否定し得ないところであると思います。  しかし、臨時行政調査会全体としては二年間の仕事がございまして、今度の第一次報告だけが報告ではないのでございます。第一次報告におきましても、いま仄聞するところによりますと、やはり今度の行革の理念、体系等についてもはっきり所信を述べ、また当面の財政改革についても述べ、また臨時行政調査会として今後取り組むべき本来の長期的課題についてもその方向について述べる、こういう形でやっておるやに聞いておりまして、そういう点におきましては、専門部会、特別部会の報告とやや趣が違った、前進した内容になるのではないかと期待しております。  何はともあれ、おっしゃいましたように、行革には行革本来の仕事があるのでございまして、その線を逸脱しないように、かつまた二年間という時間の中で、幾つかの段階に分けて作業をしていこうというお考えでもありますので、少し長い目でこれをごらんになっていただけばありがたいと思う次第でございます。
  18. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 七月答申は、言うなら五十七年度予算を目指しておるために、いまあなたがおっしゃった部分もあると思います。しかし、あなたがこの国会の中で明らかにしておったように、第二臨調まで設けて行政改革をやる意味というのは、何といっても肥大化した国の行政機構、これをやはり整理しなきゃならぬ、効率化しなきゃならぬ、私もその点については意味合いとしてはわかるんです。特殊法人の問題、認可法人の問題、さらに二重行政の問題、五千という公益法人の問題、こういった問題については土光裁断で今度は見送りと、こういう内容になっておるようですね。それから、補助金の問題についても、あなたがなかなか盛んに当初は強調しておったけれども、結果的にはこれもしりすぼみの方向になってきておる。さらに一番肝心ないわゆる不公平税制の問題、この問題についても結果的には文章上は出ておりますが、中身としては出てない。私はやっぱり、今度の行政機構の問題の一番大きなメスを加えなきゃならぬ点は何かと言えば、やはり官僚によるなわ張り根性というか、なわ張り拡張競争というか、そういうものが次々に肥大化をつくっていった大きな点の一つだろうと思いますし、それから、農林大臣が経団連か、同友会の会議の中で言っておるように、補助金を削ればフランスのように社会党内閣ができると。まさに自民党内閣の安全弁が補助金だと、こういう表現にとれる、示される補助金の実態、こういったところに私はやっぱりメスを加えていかなきゃならぬと思うんです。同時にまた、大企業に対する租税の特別措置利子補給金、それから莫大な政策融資、こういう面が全然メスが加えられていない、こういうところに問題があるような気がしてならぬのですけれども、この点はいかがに長官考えておるのか、それが一つ。それからもう一つは、いわゆる五百二十二にわたる機関委任事務、約一万にわたる許認可業務、こういった問題について、これは全然具体的に出されてない。私は、そのほかずっともう前から問題になって、閣議でも何回も議論になって、国会でもなりました地方事務官の処理の問題、こういった問題が、これは何も議論をするまでもなく、直ちに出せる問題、そういった問題についても今回の場合何も出てない。それから、特殊法人の問題につきましても、これはまあ今回は当面見送りだと、大平行革の際の二十三法人については当然これはするんだと思いますが、第一臨調で出された船舶振興会、自転車振興会、こういったギャンブル法人については、この際廃止をすべきだという第一臨調のこの答申、これは今回の場合は全然生かされてない。ここについて一体どういうふうに長官として考えておるのか、これもひとつ聞いておきたいと思うんです。
  19. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 今回の臨時行政調査会の作業は、先ほど申し上げましたように行革本来の基本線、それから展望を貫きながら、当面財政問題の緊急的な問題を処理すると、そういうところで委員会が結成されて活動を始めましたのは、何しろ連休直後からでございまして、非常に時間が少なかったわけでございます。その中で非常に懸命の努力をしていただきまして、財政問題及び今後の長期的な展望の問題等についても取り組んでいただいているわけでございます。  それで、佐藤さん御指摘のような諸問題について、必ずしも十全に解決策やら、あるいは触れているということは少ないという点も御指摘の点が多々あると思います。しかしながら、それらの問題は、次の段階におきまして、必要なものはこれを実行していくとか、解決策を出すとか、そういう段取りになっているだろうと思います。  特殊法人の問題につきましては、特殊法人とそれから公益法人の問題がございますけれども、これらの問題につきましても、答申の中におきましては、特殊法人についてはまず役員の整理の問題がたしか専門部会の報告で触れてあったと思いますが、特殊法人の統合問題等につきましても、いずれ出てくるであろうと、こう思っております。  補助金につきましては、御指摘のように公平を旨としながら、かなり思い切った措置をやらなければならぬと思っておりますが、この点につきましても目下鋭意作業をしておられるところでございます。  それから、税の問題につきましても、一次答申、一次報告の専門部会の報告に比べまして、この問題はもう少し突っ込んだ方がいいという意見がある由でございまして、この点につきましても、いま突っ込んだ議論をなさっておられる由でございます。  官僚のなわ張りの問題は、まさに御指摘の病弊がございまして、これらの問題は行政制度や、公務員制度の基本に関する問題でございますが、いずれそれらの基本に関する問題も検討していただくことになるのではないかと思います。  それから機関委任事務、あるいは許認可の問題等々につきましても、これは中央地方の問題とか、あるいは簡素にして効率的な政府をつくるという面からも、多少これらはいま触れているところもあると思いますが、さらに深くこれを掘り下げていくべきときが来るのではないかと、そのように期待しております。
  20. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 総理長官ね、全国法人と言われる公益法人が約四千七百ございますね。これ実数があればちょっと発表してもらいたいんですが、これの内容を調べてみますと、非常に四十五、六年ごろから、いわゆる特殊法人に対する厳しい監視が始まったころから、急速にふえて、そのふえた公益法人見ると、補助金つきですね、国の補助金つき、天下りつきの公益法人が非常にふえてきておる。言うならば特殊法人、認可法人の隠れみのと、こういうきらいがある。しかもそれに大体理事長、会長どころを見ると、自民党の代議士や参議院議員が多い。しかも、そういうところで詐欺が起こったり、倒産が起こったり問題も多い、こういう実態があるんだが、ここら辺について総理長官として掌握をしておるのかしてないのか。同時にこの問題について今度の行政改革でどうするのか、この辺を聞きたいというのが一つ。  それからもう一つは、沖縄の特措法の問題がこの行革の中でも議論されておるんですが、この問題について総理府としてどういう態度で臨んでおるのか、以上二つについてひとつ。
  21. 中山太郎

    国務大臣(中山太郎君) お尋ねの特殊法人、認可法人と並んで、公益法人の実態を把握しておるかというお尋ねでございますが、詳細な数につきましては政府委員から答弁をさしていただきます。  私どもといたしましては、この問題につきましても、第二次臨時行政調査会の答申が出てくるのを見守っているというところでございまして、その点は御理解をいただきたいと思います。  なお、沖縄の問題につきましては、沖縄の補助率の問題等、戦後復帰後十年近くやってまいりましたが、いまだに沖縄の経済状態というものは、県民平均所得が本土の約七割でございまして、私どもとしては、沖縄はぜひひとつ特別な地域であるというふうなことで、御配慮をいただくように期待をいたしておるということを申し上げておきたいと思います。
  22. 海老原義彦

    説明員海老原義彦君) 公益法人の数について御答弁申し上げます。  民法三十四条の規定によりまして設立を許可された公益法人の総数は約一万七千でございます。内訳を申しますと、国の本省庁が直接所管しておるものが約四千二百、国の地方支分部局が所管しておるものが約一千、それから地方で都道府県知事所管のものが八千七百、都道府県の教育委員会所管のものが三千四百というふうに承知しております。
  23. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 いま実数が出ましたが、この中身承知していますか、いま私が申し上げたような中身は。
  24. 海老原義彦

    説明員海老原義彦君) これ以上の具体的な詳細については、私どもとしては十分調査しておりません。
  25. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これはやっぱり長官ね、どこの所管か、いろいろありましょうが、やはり総括的に総理府がここいらを把握すると同時に対処していかないと、いま申し上げたように、随所に倒産、詐欺、いろいろ事件が起こっておりますね、問題が。一々きょうは挙げませんけれども、時間がありませんから。そこいらの問題を含めてひとつぜひ今後検討していただきたいということを付け加えておきます。よろしいですね。
  26. 中山太郎

    国務大臣(中山太郎君) 先生お尋ねの点でございます。御指摘の点につきましては、総理府としても十分今後配慮いたしてまいる所存でございますが、本来それぞれの監督官庁が許認可権並びに監督指導をやるということが一つ原則でございますので、総理府といたしましては所管の官庁にも十分御注意の点を指示いたしたいと、このように考えております。
  27. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 次に自治省、自治省は国保の地方負担の問題、地方特例債の問題等で、昨日の新聞では断固反対の方向を出しておりますが、この点はそのとおりに受け取っていいのかというのが一つ。それから、九十四国会で各省庁が反対をして断念しました自治法の改正、特に機関委任事務の監査、さらにまた立法の際の地方団体の協議の問題、こういった問題について行政改革の中でどういうふうに対処しようとしておるのか、あわせてひとつ聞いておきたいと思います。
  28. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 国保の問題がいろいろ議論されておりまするし、臨調におきましても大変重要なテーマとして取り上げられておるわけであります。私ども考え方といたしましては、国民保険全般についても言えるわけでありますが、これは国の負担とそれから保険料、これでもって賄うというのが原則になっているわけであります。したがいまして、この際卒然と地方団体に一部を負担をさせるということは適当じゃないんじゃないかと、こういう考え方があります。それからまた一つ議論といたしましては、都道府県知事が指導監督の委任を受けておると、したがって、それは負担をするのは一つの方法じゃないかという議論もあるわけでございまするが、これは指導監督の委任を受けているのでございまして、それと負担の問題はこれは私どもは別だと、こういう考え方をいたしております。それからまた問題の本質が、制度自体の問題じゃなくして、国が大変苦しいから、その一部をひとつ地方団体に持たせようじゃないかというような考え方もないわけではなかろうと思いますが、これは行政改革の基本的な方向にはそぐわないものじゃないかと、こういうふうに考えておるのでございまして、その辺はるる申し上げております。したがいまして、臨調の委員におかれましても、十分その点の配慮をされた答申が行われるべきであろうと私ども考えておるわけでございます。  それから地方自治法の関係でございますが、各省との調整が非常に難航いたしまして、先般の国会においては提案できなかったわけでございます。この問題は、やはり非常に根深いものがございまして、なかなか調整というものは困難だろうと私は思っておりますが、しかし一段と努力をいたしまして、今後その調整にひとつ全力を傾けまして、次期通常国会以降において、何とか提案をいたすまでにこぎつけたいものだと、こう考えておるところであります。
  29. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 わかりました。ひとつぜひそういう意味で、誤りのないようにがんばってもらいたいと思います。  時間がございませんので次に移ります。  昨年の十一月二十日の川治の温泉大火で、六月二十七日に強制捜査に踏み切ったということが出されておりますが、これは当然のことだと思うのですが、この内容を見ますと、業務上過失致死傷の容疑と、こういうふうになっておりますが、消防法との関連は一体どういうふうにとらえておるのか。それから建築基準法の関係等についてはどういうふうにとらえているのか、お聞きしたいと思うのですが。
  30. 中平和水

    説明員(中平和水君) 御案内のように、去る六月の二十七日に、先年の十一月二十日に発生いたしました川治プリンスホテルの火災事件の刑事責任を追及するために、当該失火行為の原因をつくった者につきましては、業務上失火と業務上過失致死傷罪、それから社長並びに専務につきましては、防火の管理に手落ちがあったということで、業務上過失致死傷罪、それから中間の管理者として、ホテルの次長並びに課長クラスにつきましても、同様に業務上過失致死傷罪で、現在刑事責任を追及しておるところでございますが、なお御指摘の建築基準法の違反につきましては、すでに社長と専務につきましては、それぞれ建築基準法の第六条の第一項、建築物の建築に関する申請及び確認の懈怠、同法第十二条第一項の定期報告、検査等の懈怠の違反事実で送検をしているところでございます。  なお、御指摘の消防法の違反につきましても、私どもといたしましては一応刑事責任を追及するべく同法の第五条の防火対象物の改修等の命令、同法第八条三項、四項の防火管理者の措置命令、同法第十七条の四の消防用設備等に関する措置命令の違反について検討いたした次第でございますが、当該法規を指導いたしております消防当局の見解といたしましては、これらの措置につきましては、行政の指導の範囲にとどめたのであって、正式の措置命令は発していない、こういうことでございますので、したがいまして、同法の違反は一応成立しないものと、こういうふうに判断をしているわけでございます。なお当然のことでございますが、行政指導の内容を重視しなかったということは、管理者の業務上過失責任を追及する内容をなしているわけでございます。
  31. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私も新聞を見てちょっと奇異に感じたのでお聞きしたんですが、これはやはり当然消防法の観点と建築基準法の観点からも処理しなきゃならない問題だと私は思うんです。私も現地に入りまして、実際見ましてつくづくそう感じたんですが、消防庁、たしか川治の事件が起こったときに、これに類する建物が全国で一万二千ぐらいあったと私は記憶しておるんです。そういうところが一体どういうふうに今後措置されておるのか。いま言われますように指導、勧告だけでとどまったのが川治の事件を引き起こした一番大きな理由である。当然あれはやっぱり措置命令を出すべき内容であった。措置命令を出せば、消防法違反としてもきちっとすることができただろうし、事前にこれだけの被害を出さずに済んだことでもあろうと思うので、ここら辺の関係をまずひとつお聞きしておきたいということが一つ。  それから、その問題と関連をしまして、不良防火対象の建築物の改善について、たしか五年の期限で四十九年に改正になったと思うんですが、五十四年三月までにそういう意味で全国的にやられておる中で、東京消防庁が告発した渋谷の東口会館、これはいま訴訟になっておると聞いておるんですが、この扱いを一体どういうふうにしておるのか。  それからもう一つは、入院患者が多数おる聖路加病院、これについてはまだ告発を聞いてないんでありますけれども、これは東京消防庁の意見を聞きますと、予算の関係で候のとか聖路加病院の理事はりっぱな人がおるので信頼していいんじゃないかとかなんとか言っておるようですが、こんなことであいまいにされたんでは、これは私入院患者もおるだけに、もし万一が起こったときには大変なことになる。ここら辺の問題についてはどういうふうに処理しておるのか、あわしてひとつ聞いておきたいと思うんです。
  32. 石見隆三

    説明員(石見隆三君) お答え申し上げます。  御案内のとおり、昭和四十九年の消防法の改正によりまして、一定の猶予期限を付しまして消火装置、あるいは消火栓等につきましての遡及適用の制度がつくられたわけであります。その結果でございますが、現在と申しますか、昭和五十五年三月末現在の調査でございますと、特定の防火対象物の消防用設備の設置の状況でございますが、すなわち四十九年の制度改正の結果なんでございますが、屋内消火栓の設備につきましては、四万九千三百八十四件中四万三千百三十八件について設置ずみでございまして、設置率は八七・四%ということになっております。したがいまして、残りました六千二百四十六件がまだ全国的な数字として未設置であると、いわば不備であるという状況になっております。スプリンクラーにつきましては、設置必要件数六千八百五十三件中六千二百三十九件がすでに設置が完了いたしておりまして、設置率は九一%ということでございますが、なお六百十四件が未設置という状況に相なっております。  私どもといたしましては、このような防火対象物につきましては、建築構造上設置が非常にむずかしいというふうな建物も中にはあるわけでございますけれども、それに対しましての適切な代替措置というようなものも含めまして、一定期限までに改善が実施されますように、各消防機関に対しまして強く指導をいたしておるところであります。と同時に、先般の川治の事故にも反省をいたしまして、先般通達を出しまして、このようなまだ未設置施設につきましては、これをできるだけ早く進めていただくとともに、いわば悪質、重大なものにつきましては、消防法によります措置命令、あるいは場合によりますれば告発というような措置をとることもちゅうちょすべきでないということで、いま現在強く指導し、各消防機関に取り組んでいただいておるような状況でございます。  なお、個別の問題として御質問のございました、東京渋谷の東口会館の消防法違反によります告発事件の件であります。渋谷東口会館は、昭和四十年に建設されました建て面積延べ約一万一千平米余りの複合用途の防火対象物でございます。この建物につきましては、ただいま申し上げましたように、四十九年の消防法の改正によりまして、スプリンクラー設備等の設置義務が発生したわけであります。このような複合用途施設につきましては、猶予期間がございまして、五十二年三月三十一日までに完成しなきゃならないということに相なっておったわけでございますが、当該会館はこのような法律改正によります設置義務を履行する気配がございませんところから、東京消防庁におきましては、数度にわたりまして立入検査を実施し、その都度指導書あるいは警告をたび重ねて発したわけでございますが、一向にその気配が見えませんので、昭和五十三年二月十四日にスプリンクラー設備の設置につきまして措置命令を発したわけであります。この措置命令に対しましてまた履行がございませんので、同年十月十一日付をもちまして、東京地検に東京消防庁は告発をいたしております。これに対しまして、一方会館の方からは、このような行政処分は無効であるという、逆に今度は行政処分取り消し訴訟が東京消防庁を相手として起こされまして、入り組んだわけであります。この訴訟につきましては、十三回の口頭弁論が行われたわけでありますが、最終的にはことしの四月の一日になりまして、会館側がこの行政訴訟を取り下げました。したがいまして、本年七月四日に正式に着工届が出されまして、五十七年の末までにはこの工事が一切完成するということで一応決着を見まして、現在各般の工事が進行しておるという状況でございます。私ども今後引き続き注意をしてまいりたいと思っております。  それから、聖路加病院の件でございますが、聖路加病院につきましても、やはり同じような事態でございます。法に定めております消防施設が完備いたしておりません。そこで、これにつきましては、病院側といたしましては、数度にわたりまする東京消防庁の警告をよく理解いたしまして、現在計画書を提出いたしまして、五十七年十一月末をめどにして、一切の工事を完了するということで、現在着工届を提出し、工事が始まっておるところであります。なおこれにつきましても、東京消防庁といたしましては、この時期までに一切のことが完了いたしますように、厳重にいま指導を続けておるという状況であります。
  33. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 もう時間が超過しましたからこれ以上申しませんが、問題はこういった事態が起こっておるのは建築基準法に問題があるわけです。しかも、これは四十九年の改正の際に、自民、民社で修正したことがこういう事故を起こしておる一つの大きな原因にもなっておる。こういうことから、ビル防災法の提出を建設省が、大臣が約束しながら、最終的にはこの問題について行政指導ということになっておる。その行政指導が徹底しないのが、消防庁やその他の大きな負担となっておるということも事実でありますから、そこら辺はきょうは答弁を時間がございませんので求めませんが、建設大臣、ひとつぜひそこら辺を含めて検討してもらいたい。これは自治大臣にも先般申し上げて、建設大臣と相談するということになっておるわけですから、きょうはその辺の回答もいただきたかったんですが、時間がございませんので、私はこれで一応質問をやめますが、ぜひひとつその経過は私の手元の方に御報告いただきたいと思います。     ―――――――――――――
  34. 和田静夫

    委員長和田静夫君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、黒柳明君委員辞任され、その補欠として藤原房雄君が選任されました。     ―――――――――――――
  35. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 私学助成問題についてお伺いいたします。  私学助成問題については、第二次臨時行政調査会の中間答申があさってというふうに新聞報道されておりますが、この各種補助金の一律一割カットということが言われておるわけでありますが、私学に対する助成金についても対象になっているのかどうか。まず、文部大臣から簡単に、なっている、なっていないで結構でありますから見解を聞きたい、こう思います。
  36. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいま御質問の私学の助成金の問題でありますが、第二次臨調の対象となっておりますが、最終的な答申がまだ出ておりませんことは御案内のとおりでございまして、現段階におきましては、明確にお答えをいたしかねる次第でございますが、その経過を重大な関心を持って見守っておる次第でございます。いずれにいたしましても、近日中に予定されておりまする答申を待ちまして、これに対して真剣に対処いたしたい、かように考えております。
  37. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 この私学助成金につきましては、昭和四十年代の学園紛争から始まって、五十一年の私立学校振興助成法、こういう法律のもとに、五十六年の予算上の金額を見ますと、二千八百三十五億計上されておるわけであります。  それで私は具体的に大学の名前を挙げて質問しようと、こういう政府委員の方にはレクチュアをしておったんですが、何かいろんな事情があるらしいんで、固有名詞は避けますが、この二千八百三十五億円の中で、筆頭の補助を受けておるN大学ということにしましよう、Nと言えば皆さんわかるでしょう、早稲田はWだな、慶応はKだなと、こうありますから、N大学、一番補助をもらっている大学です。この大学の予算書を見てみますと、これは国の予算の伸び率が、イコール自動的に補助金の伸び率だという予算書をつくっていますね。だから、国の予算は私学の助成金の伸び率だと、これは当然既得権化するような考えで組んでいる。その大学の五十五年度決算の中を見てみますと、繰越金が三百十九億、当初予算では二百八十二億、ですから当初予算に比べて相当黒字決算をしているわけですね。この黒字決算をしているこの大学が、五十四年には百二十八億の助成を受けているんですよ。こういう点から見ると、どうもやっぱり大学別に私は洗って決定する助成に甘さがあるんじゃないか、このように考えるんですが、文部大臣はこの助成を決定する際に、各大学別に、いろんな経営状態などを全部洗って、個別審査をしながら適正にやっているのかどうか、その辺の経過だけを見解としてまず聞いておきたいと、こう思うんです。
  38. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいま御指摘のシェアでございますが、この貴重な国家の財源をちょうだいいたしておりまする私学の問題でございまして、これに対しましては、文部省といたしましては、慎重に審査をいたしておる次第でございますが、なおまた個別の補助金の算定基礎等につきましては、私学の振興財団を通じまして、各大学に対しまする個別の助成につきましては、十分私は厳重な審査の上出しておる、かように考えております。
  39. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 私は国鉄マンですから、素人でありますから聞きたいんですが、学校法人会計基準というのがあるらしいんですね。この学校法人会計基準の中で、収支決算をする際に、基本金組入額というのがありまして、それが総収入の四分の一程度カットして、残った中で財政のやりくりをすると、こういう制度になっておるという話なんですが、これは間違いないですか。  たとえば、この組入額が、いや四分の一でなくて五分の一だと、その点の幅は皆さんに任せますが、こういう制度自体があると、運用されていると、こういうことについては間違いないでしょうか。
  40. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 御質問の点につきましては、担当の政府委員からお答えをいたさせます。
  41. 柳川覺治

    説明員(柳川覺治君) 先生御案内のとおり、学校は教員と、それから校地、校舎、機械器具等の設備、これを活用して教育をするところでございます。したがいまして、常に校地、校舎、機械器具等教育研究に要する資産につきましては、これが永続的に保持されるということを図っていく必要が、設置者である学校法人の責任になっております。したがいまして、その面に立ちまして、文部省では学校法人会計基準を定めまして、この基準におきまして、基本金組み入れの制度を設けております。  この基本金に校地、校舎、設備等の教育研究に基本的に必要な資産を組み入れまして、これを永続的に保有していくということをとっておるわけでございまして、この面の基本金への組み入れにつきましては、おおむねその年度で四分の一程度組み入れられておるというのが実態のようでございますが、いま先生も御指摘のとおり、これがどの程度が妥当かどうかということは、学部、学科の実態によっても異なりますし、また学校の学校費全体の構成等によっても異なるわけでございまして、一概にこの面はどの程度が適当かということば即断できませんが、おおむね先生御指摘のような、四分の一程度がその年度年度で基本金に組み入れられておる。このことによりまして、教育研究の永続性を保持するということの役割りを果たしておるというように存じます。  なお一言、先生先ほど御指摘の三百十九億の組み入れでございますが、これは次年度支払いの組み入れとして繰り越しておりますので、これがそのまま直ちに利益金というようにはならない面を申し添えさせていただきたいと思います。
  42. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 私は、いま政府委員が言うとおり、学校の運営の基本的な問題に使われるというならば、何も私は文句ないんですが、しかし、いろいろな繰越資金が財産化されていくということについては、ちょっとこれは大蔵大臣も聞いてもらいたいんですが、そういう気配が私するんです。  それで、問題提起をする意味も含めて、私はこのN大学の五十五年三月現在の財産を拾ってみました。公簿面積約三千八十万平方メーター、坪換算で九百十万坪、これは東京都の板橋区全域に匹敵するような土地をN大学が持っておる。評価額は約三兆円とわれわれは評価しております。これがどういうふえ方をしているんだと思って、五十一年から五十五年、四年間を見てみますと、四年間だけで二十万坪ふえている。これは大学設置基準で学生を募集する際に、学生一人当たりのキャンパス幾らということもわからないわけじゃありません。しかし、学生の増募集をやって、そうするとキャンパスの関係で土地が必要だと。そうすると土地ブローカーが中に入って、土地ころがし化するようなかっこうになっているんではなかろうか、こんなふうに懸念を持つわけでありますが、こういう懸念をおたくたちが大学の補助金を査定する際の大学経営を洗ってみて、そういう節はなかったでしょうか、このN大学で。あったか、なかったかだけで結構です、結論だけ。
  43. 柳川覺治

    説明員(柳川覺治君) 学校法人での土地の購入に際しましては、それぞれの学校法人が、学内の正規の手続を経て、処理をしているわけでございまして、私ども特定の理事関係の関与等により問題は全くないというように受けとめております。
  44. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それで私は、このN大学の理工学部が五十二年の七月、千葉県で二カ所用地を購入または購入の契約をしています。一つは千葉市若松町と四街道市にまたがる約十一万五千平方メーターの土地で、買収価格は十五億二千万円、売り手は三井物産と勧業不動産。この土地は同大学の生産工学部が先に目をつけたんですが、水利が悪い、あるいは調整区域だと、校舎の建設には向かないということで、これは一たん同じ大学の生産学部が投げた土地を、同じ大学の理工学部が十五億二千万で買っている、これは一体どういうことなんでしょうか。われわれもこの現地に行ってみました。そうすると測量実施棟があるだけで、草ぼうぼうとなっている。開発申請も出されていない。しかし金は十五億円払っている。こういうことは一体どうなんでしょうか。  時間がないからもう一つ。船橋市と鎌ケ谷市にまたがる約十七万五千平方メーターの土地、買収価格は四十六億五千万。売り主は大成建設。この土地も測量実施棟があるだけであって、草ぼうぼうになって、開発申請もなされていない。そしてこの利用計画について、五十四年九月この理工学部の事務長がある新聞記者に、この土地は電子工学、航空宇宙工学、海洋建築工学の三学部を新設するためのものだと、こう言っておったと思います。しかし、このN大学の予算書あるいは予算執行計画、五十五年度の予算計画、どこを見てもこういう計画が出てこないんです。いわゆる土地転がしに買って投げておくと言われても仕方がないじゃありませんか。こういうものについて把握したことがありますか、御承知ですか。
  45. 柳川覺治

    説明員(柳川覺治君) 文部省に届け出を受けました先生御指摘の千葉市若松町の若松校地の当面の利用計画は、測量実習場としてでございました。また、御指摘の船橋市二和町の二和校地の当面の利用計画は運動場としてでございました。そこで、この面につきまして、将来の利用計画を大学当局に聞いておりますところでは、五十二年から始まりました十年計画によりまして、若松校地はグラウンドの建設を、また二和校地につきましては、用途変更の申請を行いまして、実習棟、講義棟及び体育施設の一部を建設するということを考えておるというように承っております。  なお、この土地の購入に当たりましては、先ほどお答えいたしましたような、学内の正規の手続を経ておるということを聞いております。
  46. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 だけど、いま昭和五十何年ですか、昭和五十六年ですね。四年間も全然ほうっておいて、草ぼうぼうで開発申請もしてない。開発申請もしてないくせに、私が質問通告すると、ぱっと文部省にあなたがいま言ったようなことを通告する。私にも来ましたよ。そんな用途なら、なぜ開発申請しなかったんですか。結局私がこの問題を取り上げる、あした大学の総長の選挙がある、そういう問題も含めて、これは一大事だと言ってあわ食ってやったんじゃないでしょうか。  それならばもっと追及します。この登記上の問題が私はどうもおかしいんですよ。これはこの大学の内部資料を見てみますと、このお金は市中銀行から借りて、全額払っていますね、一回で。全額払っているのに、登記の申請は五十四年の六月と、八月の二回に分けて申請しているんですよ。何で一括で払った土地を、私は素人で、自分の家しか持っていませんが、土地を買ったとき、庭の方は後で申請して、本屋の方は前に申請する、こんな、本当に十カ年計画というぴちっとしたものがあるならば、登記上のこんな二重のやり方を何でやるんですか。何かの思惑があったからこそ、二回に分割登記しているんじゃないですか。この分割登記も私はどうもこれはおかしい、こう思うんですが、これらについてはどういう釈明が関係大学から来ていますか。
  47. 柳川覺治

    説明員(柳川覺治君) 詳細は必ずしもつまびらかではございませんが、私どもお聞きしていますところでは、地主さんのいろいろ相続の問題がございますので、この面につきましては、それらの事情で登記が二回に分けられておるというように承っております。
  48. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 地主の都合というやつは、この前の自民党のだれ先生だか言っておったけれども、本当は地主の都合というのは、売買契約を結ぶときですよ。登記の段階で何が地主の都合というのがありますか。だからこれも私はくさいと、こう見ています。  それで私は文部大臣とそれから大蔵大臣にお願いしたいのは、このように、これは合計して約六十億ですよ、しかも開発申請されない、いまだに不毛の地だ。ところが片方では百二十何億ですか助成をもらっているわけですね、百二十八億。ですから、私学助成を洗う際に、私学が本当に国立系と同じようにということについては私は大いにもろ手を挙げて賛成であります、有効に使われるならば。しかし、土地転がしとか、そういうものに転用される、しかも全部土地ブローカーがかんでいるんですよ、この土地には。こういうものについては、私はむしろ、先ほどの同僚佐藤委員じゃないけれども、行政改革で、こういう補助金の問題についても、やっぱり私学全体のあり方について点検をして、その中でなるほどこれは国立に比べて大変だ、この点は必要だということについてはもろ手を挙げて賛成です。そういう点でやっぱりこの助成の見直しを行うべきじゃないか、こう思うんです。  このN大学につきましては、このほかに生産学部の五十四年八月の習志野の問題、それから芸術学部の移転候補地の問題から来る所沢の土地購入の問題、ずいぶんあっちこっちあるんですよ、この大学だけ拾っても。ですからほかの大学にもないとは言いません。やっぱり同じ可能性があるんではなかろうか、こういうふうに推定します。きょうは時間がありませんから、まことに気の毒でありますが、N大学だけ洗いましたけれども、YでもKでも、そういうことについて全般的な見直しをしてもらいたい。これが別な方に使われるというようなことがあった場合には、直ちに助成打ち切りというぐらいの強硬手段が必要ではなかろうか、こう思うんですが、これは文部大臣にはむしろ細部について検討願う、同時に大蔵大臣については、私学助成に対する毅然たる態度をひとつお願いしたい、こう思うのでありますが、両大臣の見解を簡単に聞いて次の質問に移ります。いかがですか。
  49. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) ただいま御指摘の件につきましては、われわれの関知するところにおきましては、正規の申請なり、手続をとっておると存じますが、なお本件につきましても、十分に御指摘の点並びにその他私学全般の助成につきましても、調査もいたし、また厳正な態度をもって今後臨みたい、かようにも考えております。
  50. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 私学助成の問題は重要だということで、できる限りのことをやってまいったわけでありますが、財政事情も非常に厳しい。税金の中からこれ助成しているわけで、借金しながら助成しているわけですから、その中でルーズな経営が行われておったり、あるいは助成される方が国立よりも豊かな給与を受けておったりというようなことがあれば、これはそこまでとても私の方ではできるような状態ではない。したがって、MだかNだかPだか知りませんが、それらの中身については、一層厳格に、実情を調べて、削減を図っていくという方向でやってまいりたいと思っております。
  51. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 調査の都合があれば、N大学の固有名詞については政府関係者に私の方から正式に通告します。きょうの委員会は諸般の事情がありますからN大学ということで、必要があれば固有名詞を申し上げますからよろしくお願いします。  次は、ヤクルト問題について、これは三月二十日、四月六日とずっとやってきたわけですが、これは大蔵大臣にもずいぶんテープなども渡したり、いろんな資料をやって御協力なり、あるいはお願いをしたわけですが、時間の関係もありますからポイントだけ申しますと、ヤクルト本社の株価操作の問題については、どうしても私はまだ納得できないんです。  それで、この冷やし玉のリストについて、非公式でもいいから、ぜひ目黒委員の方に提出願えないものかということを、大分証券局なども通じてお願いしておるんですが、なかなか明らかにしてもらえない。冷やし玉のリストをもらうと一遍にばれてしまうから云々ということも私はわからないわけではないんです。ところが、私は不愉快なことを聞いたんですがね。これはこの前の四月六日の質問の後、日本興業銀行から新日本証券に天下りした役員が、ある発言をしているのです、ヤクルト本社の役員に。内容は証券局に手を打っているから心配するなと、こういう意味のことを得得と言っているんですがね。これは人格を尊重して固有名詞は申しません。あるいはこの説明を受けたヤクルト本社の固有名詞は言いません、人格を尊重して。しかし、証券局に手を打ったから心配するなということは、これは社会通念で、政治の飯を食っているわれわれから見れば、どういうことかくらいわかるんですよ。こういうふうにやるくらいなら、むしろ私は冷やし玉のリストを出してもらいたいと、こう思うんですよ。それで、これは証券局に聞くよりも、大蔵大臣、あなたの政治判断で、あなた私に対して大衆投資家を守るということがやっぱり大蔵省の任務だと、こう言って私にきわめてりっぱな答弁をしたんですがね、この問題で。大衆投資家を守るために私はこの問題を追及するのですから、冷やし玉のリストを、公式、非公式は申しません。ひとつ目黒委員に、ぜひあなたの政治家としての判断で私に出してもらいたいと思うんですが、いかがですか、大臣、まずずばりここから聞きましょう。
  52. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 大衆投資家を守ることは私も大賛成で、できるだけのことはそれはいたします。この冷やし玉のリストというのは、大蔵省にはこれは来ないのでございまして、証券会社が、幹事証券会社から取引所に提出をされておるものだと、そういうふうに聞いております。
  53. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 それはこの前何回も聞いたんですよ。それはわかっています。わかっていますが、ヤクルトの株価操作だけはどうも解せない。そのためにあなたの方の力で出してくれませんかと、あるいは収集して非公式でも結構ですから提示してくれませんかと、こういうふうに私はお願いしているんです。いま大臣の言うことはわかっています。その努力をしてほしいということなんですよ。大臣、その点もう一回どうですか。
  54. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 法律の許す限り御協力いたします。
  55. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 じゃ政治家渡辺大蔵大臣のことを信頼して待ってますよ。ぜひ努力してください、お願いします。  それから、これもまた三月二十日と四月の六日に、いまの問題と関連いたしますが、従業員の持ち株の価格と、市場価格の差約五億、五億の金の流れについて追跡してほしいということを要請しましたが、その件。  それから、部長や役員にヤクルトの社長がこのもみ消しのために、五十万から最高一千五百万、これも百万もらった役員と一千万もらった社長の内部のこれでこれはばれちゃったんですが、この金の流れが一体どうなっているのか、これも調べてほしい。  それから、湘南食品とヤクルトが不自然な合併をした際に、四百万株の行方がどうも松園一族の中に入ったと、こういう指摘をしたんですが、これを追跡してほしい。  それから、これだけのぼろもうけをしておるにかかわらず、ヤクルトの労働者は非常にお粗末だ。したがって、ヤクルト労働者の労働条件については労働省が調べますと、こう言ったんですが、この四点について簡単で結構ですから、おのおの国税庁、法務省、労働省からその後の追跡結果について、やったかやらないか、やったらここまで、やらなかったらやらなかったと、その結果を簡単に、この問題について御答弁願いたいと、こう思うんです。
  56. 吉田哲朗

    説明員(吉田哲朗君) いまの御質問の従業員持ち株会及び御祝儀の二点についてお答え申し上げますが、お尋ねの資金の流れにつきましては、私どもの方でまだ十分実態を把握するに至っておりません。ただこの種の資金の流れにつきましては、株主、役員、従業員、さらには会社自体いろいろ関連するところが多いことでございますので、今後会社の法人税調査等を行います場合に、いま先生御指摘の点も十分念頭に置いて調査に当たりたいと、かように存じております。
  57. 金成圭章

    説明員(金成圭章君) いまお尋ねのございました、湘南食品とヤクルト本社との合併に際しまして、ヤクルト本社四百万株がどうなったかというお尋ねでございますが、これはわれわれは上場に際しまして、ヤクルト本社から提出されました有価証券報告書により承知しているわけでございますが、それによりますと、湘南食品とヤクルト本社は、五十四年の三月三十日に合併契約を結びまして、それぞれ総会の承認を経まして七月一日に合併したわけでございますが、その合併に際しまして、ヤクルト本社は普通株四百万株を発行いたしまして、これがお尋ねの株でございますが、これを湘南食品の株主でございます松尚に対しまして、その松尚が所有いたします湘南食品の株式一株、これは額面五百円でございますが、これに対しましてヤクルト本社の株式五株、これは額面五十円でございますが、の割合で割り当て交付をしたわけでございます。この結果といたしまして松尚はヤクルト本社の筆頭株主となっておるというのが私ども承知しておる状況でございます。
  58. 石井甲二

    説明員(石井甲二君) 労働省関係について申し上げます。  ヤクルトおばさんの問題につきましては、先生前から御指摘のように、その労働契約関係があるのか、あるいは委任または請負関係であるのか、その点が非常に問題になったわけでありますが、その後ヤクルト本社に対して、労働省が行政指導を現在やっておるわけでございまして、現在のところは、そのヤクルトおばさんの契約関係について、それが労働契約関係とするのか、あるいは委任または請負契約関係とするのかを明確にするように指導を行っておりまして、現在会社におきまして、その点についての調査検討を進めておるということでございます。
  59. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 労働省についてはもう少し積極的にやってほしいという要望をしておきます。  それから、先ほどの国税と法務局の関係については、もうどうしても明確にしないんなら、私たちは、情報提供者、いろいろな証拠物件を含めて、参考人をここに連れてきてもいいんですよ。会社の参考人と従業員の参考人の両方、あるいは販売店の参考人。そして、ここで、国会の場を通じて、やっぱり対決させますよ、あくまでも逃げて歩くんなら。したがって、そういう、場合によったら国会に、各党の了解を得て、会社、販売店、それから従業員の参考人の出頭を求めて、ここでむしろ対決をしてもらうというところまで私は考えているわけですよ、好むわけじゃありませんが。ですから、やっぱりもう少し正確に、悪かったら悪かったと、今後こう注意しますと、それならそれでいいと思うんですよ、やってしまったこと、五億をどう使ったか知りませんが。そういう点で、ひとつ一層の御協力をお願いしたいということを要望しておきます。  それからあと大蔵大臣、このヤクルトが、七月一日ですか、二部から一部に上がった、こういうことを聞いておるんですがね。二部から一部に上がったこのヤクルトが、どうもいろいろな強制割り当てをやっている。たとえば、新製品「タフマン」という、これはことし二月一日発売したわけでありますが、五十億円分を強制割り当てをしたけれども、販売会社は金がないんで、百八十日の手形で払っている。現在は二十五億分しか売れていない。それから、ヤクルト化粧品、この問題も、三十億分ほど残っておって、これも百八十日の手形の支払いで、決算上は、決算の段階だけは、売り上げたという形で、決算書をごまかしていると言ったら変でありますが、巧妙な決算をしているわけですね。また、ヤクルトの飲料品全体は、われわれの目ではいま三〇%売り上げが落っこちている。三〇%落っこちているものですから、ヤクルトの本社は、これを挽回する意味も含めて、さらに従来に比べて一〇%から一五%の強制割り当てをしている、こういう現状です。そうしますと、販売店が非常に苦しくなりまして、あの手この手で金の操作、物の操作をやっているんです。  これは大臣よく聞いてもらいたいんですが、四国の愛媛県の東部ヤクルトで、一日当たり五千から約一万本余るんで、これを何とか処理するためにヤクルトの容器はもらわないで、飲むあの液だけもらって、アルバイトを使って、どんどん、五千本から一万本分の液だけドラムかんに入れて、そして、それを吉野川の河原に持っていく。そうして、早く台風が来ないかなと言って台風を待っている。笑い話みたいなことですよ、これは。一万本分の液をドラムかんに入れて、吉野川に運んで、天気予報を見ながら早く台風が来ないかなあと、なぜそうなんだと聞いたら、最初は川とかたんぼに捨てておったそうですよ。ところが、農林大臣ここにいますが、あんな栄養のあるものをたんぼに捨てたら、たんぼの捨てたところはぽんと稲が成長するし、どこにヤクルトを捨てたかすぐわかる。それからもう一つは、やっぱりこれは県条例でいかぬと県から怒られた。そして、ドラムかんに詰めて、台風が来れば、あぶれた水と一緒にドラムかんの栓をあけて流してやればどこへ行ったかわからなくなる。これで決算上は一万本売れたと。これは静岡県の西部ヤクルトでもやっている。こういうことまでやって、販売会社をいじめつけて、それで公害をたれ流して、それで決算だけは売り上げがよくなった、それで二部から一部に上場するからくりをしている、こういうことは断じて、この経営方針は私は見逃すことができない。そのしわ寄せが販売店の資金繰りと、それからヤクルトおばさんに全部かぶさってくる、こういうことについては、いかに上場のこととは言いながら、余りにもひどいじゃないか。したがって、私は、これは大蔵省とそれから法務省にひとつ、この愛媛東部ヤクルト、静岡西部ヤクルトのドラムかん事件の実態を当たってもらう。それで、そういうことを確認した上で、こういうやり方では、やっぱり証券の上場の取り扱い並びに大蔵省の指導として、これはきちっとしてもらうということを要求したいんですが、各大臣及び法務省、それから強制割り当てをやっている点はやっぱりこれは公取に関係すると思うんですが、公取の見解を簡単に聞きたい、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  60. 金成圭章

    説明員(金成圭章君) 先ほど決算の点についてお尋ねがございましたのでお答えいたします。  いまヤクルト本社の、五十六年二月一日から七月三十一日までが中間決算になるわけでございますが、この中間決算に係る半期報告書は、この十月末に提出される予定でございますので、現状においては私どもとしては承知していないわけでございます。一般的に申しまして、有価証券報告書、あるいは半期報告書に記載されます財務諸表につきましては、公認会計士が監査を行う。その結果、監査報告書を付することになっておるわけでございます。公認会計士の監査につきましては、従来から厳正に行うよう指導しているところでございまして、本件につきましても会計士の適正な監査が行われることを期待しておるところでございます。  それから、二部から一部に移った点でございますが、これは新規上場銘柄は最初二部に上場いたしまして、その後一年を経過した時点で、株式の分布状況とか、資本金その他の状況を審査いたしまして、これは取引所が審査するわけでございますが、要件を満たしましたものについては一部銘柄に指定するということでございます。取引所からの連絡では、上場後一年を経過いたしまして、指定基準をすべて満たしておって問題もなかった、こういうことで一部に上場がえをした、こういうふうに聞いております。
  61. 妹尾明

    説明員(妹尾明君) 独占禁止法の中に、取引上の地位を不当に利用することを禁止する、不公正な取引方法の一部でございますが、これとの関係が問題になろうかと思いますけれども、問題につきまして検討してみたいと思います。
  62. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 私はそういう通り一遍のことはもうわかっているの。しかし、そういう通り一遍の報告書類審査で異常がないということはわかっていますが、しかし、実際の経営内容を洗ってみると、こういうことが幾らでもあります。これをどうするんですかということを要望しているんであって、そんな通り一遍の答弁なんて書物見るとわかることだ、二部から一部にといった条件整備はこうだっていうことは書かれているんだから。だけれども、そういうことを私は、問題のある会社であるからずうっと調査してみると、こういうドラムかん事件までやりながら、決算の利益を上げたかっこうをつくろって、そして証券の上場をかち取るということは悪らつじゃないかということなんです。だから、この点は政治の責任で、大臣調べてくださいよ。私が問題を提起したんだから、あなたが法務省にするか、証券にするか、民間にするか、県に聞くか、県条例ならば県もわかっているわけですね。それから稲がこういう波になったんだから、これは農水関係もわかっているわけですよ。ですから、そういうことをつかまえて、あなたがどこで調べるかは別として、そういう悪質なことをやるのはやっぱりけしからぬ、大臣の責任でもう一回調べてみる、そういう前向きの答弁しなければ、何を四国くんだりまで行って私が調べてきたかいがありますか。私は全国区ですからね、全部歩いているんですから、どうぞ行ってください、大臣。
  63. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) さあ、大蔵省はドラムかんの液をどこへ捨てたかということまでわかりませんがね。そういうような無理なことをして売り上げを計上しているとすれば――しかし、液を捨てちゃったら損してしまうわけですからね、なくなっちゃうわけだから、それで利益にどういうふうに計上しているのか、これはつながりがよく私わかりませんが、せっかくのお話でございますから、それは国税庁の方で調べると思っております。調べさせます。
  64. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 政治家渡辺さんを信頼していますから、調べてくださいよ。  それから、沖縄の水問題についてちょっとお伺いします。  これは私も先月の十日から十三日、沖特の委員として現場に入ってきました。また、社会党の調査でも何回か入っておりますんで、最初に総理府にお伺いしますが、沖縄本島の水資源、一日どのくらい使って、その使う水のたとえば半分以上は北部の地帯から持ってくるとか、あるいは二割は中南部の簡易水道から持ってくるかと、一日の使用量と、その水源別の大体の大枠ということを参考までにまず冒頭お願いします。
  65. 藤仲貞一

    説明員藤仲貞一君) お答え申し上げます。  沖縄本島における一日の水需要量は、昭和五十五年度の実績では、生活用水、工業用水合わせまして三十六万三千トン、日量でございますが、そういう数字になっております。これに対しまするお尋ねの地域別の取水の内訳いかんというお尋ねでございますが、この点につきましても、五十五年度の実績でございますが、北部ダムから十五万二千トン、中部地域にございます県企業局の三ダムから四万三千トン、その他河川の表流水等から十六万八千トン、かような内訳になっております。
  66. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 そうすると、やっぱりいま私は飲み水だけ、こう思って要求したんですが、農業用水も含めて全部で三十六万三千トン、それから北部が十五万、中部が四万、その他が十六万八千、これは宮古島とかみんなありますから、石垣島とか与那国島とか。ですから、本島で見ればやっぱり北部が大部分である。それで、この前行ったときも、これは県の方から正式にもらった、国会の沖特委員会としてもらった正式の要望書ですが、この要望書の十九ページにも「沖縄北部訓練場内における水源かん養保安林の指定について」、こういう要望書が、これは県議会の満場一致だという説明つきでもらっているわけなんです。したがって、沖縄県民としては各党派を問わず、各党一致で、この問題は共通の課題だ、こう私は見ておるわけでありますが、時間の関係ありますから、林野庁にお伺いしますが、農林大臣でも結構ですが、この森林法に水源涵養保安林という制度があるわけですが、沖縄の場合はこの森林法にかかわる問題については、どういう経過になっておるでしょうか。
  67. 小島和義

    説明員(小島和義君) 沖縄本島につきましても森林法は施行されておりますが、米軍に提供されております土地につきましては、森林法のうち保安林制度とそれから基地の使用目的ということの調整が非常に困難でございますので、ただいまこれを保安林として指定するという考えはないわけでございます。そのほかの造林、林道、治山、そのような助成につきましては、県の要望にこたえまして、十分な手当てをいたしております。
  68. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 あのね、米軍、米軍と言うけれどもね、この地図を見てくださいよ。この赤が米軍ですよ。米軍以外にもちゃんと福地ダムがありまして、その福地ダムは米軍じゃないでしょう、これダムそのものは。これはグリーンが国有林ですよ。白が民有林または公有林。ですから、あなた方が福地ダム周辺、大体第一林班、第二林班、この辺あたりを十分に水資源、森林法で指定する価値があるじゃないですか。この問題はなぜほうっておくんですか。いま仮に一歩下がって、軍用地の問題はあなたが答弁したのでいいとしましょう。軍用地以外の国有林とか公有林、私有林、民有林、なぜ指定しないんですか、福地ダムですよ。私は現に行って見てきました。これはどういう関係ですか。
  69. 小島和義

    説明員(小島和義君) お話のように施設外の森林につきましては、保安林制度に指定してしかるべきものと考えておりまして、準備を進めたいと存じております。
  70. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 農林大臣ね、十何日だったか、あなたも沖縄に行っていたと思うし、それから渡辺大蔵大臣もかっては農林大臣当時、沖縄に行って何回もダムの現地は見ている。私が行くたびに現地の人から、いや、渡辺さんも参りました、亀岡先生も参りましたと神様のように、おれみたいな全国区参議院議員はパアだけれども、あなた方は神様のように現地で言っているわけよね、まあ総務長官は別にして。これは直接親分だから。あなた方はこう見てきておって、いま進めますなんてなまぬるい答弁していますけれどもね、なぜこれだけそんな五年も十年も放任しておったんでしょうか。時間がありませんから、この怠慢は改めて追及します。  それからひとつ総務長官ね、この問題については、四十七年の五・一五日米合意メモにこの水資源の問題の項があるということも聞いているんです。  それから、この前沖縄に行って県知事に聞いたら、ことしの六月の四日に沖縄の三者協議会の幹事会で、沖縄県側から改めてこの問題が提起されているという経過は、沖縄県の方からいろいろ資料ももらっておるんですが、いろいろ聞くと、やっぱり三者協議で米軍の了解が云々ということがあるわけですよ。しかし、私は先ほど言ったとおり、県知事がこういう要望書を出す、あるいはことしの三月の七日、これは琉球新聞のシンポジウムの記事ですがね、時間もありませんから、きょうはやりません。このシンポジウムの記事を見ても、やっぱり北部の水がめは、これは沖縄県民の命だ、米軍の演習もわかるけれども、やっぱり沖縄県民の命を大事にしてほしいというのが本当じゃないでしょうか。  したがって、一つは林野庁、農林省なりが、いままで水資源の保安林指定ということに、米軍のためにという大義名分で全然取り組もうとしなかった、民有林さえ入れてないんだ、それはひとつ責められるべきだけれども、それは後でゆっくり責めます。今日の段階でやっぱり北部演習地のダムにかかわる水資源の涵養林、これを林野庁とか、農林省一体となって、即時日本政府は指定をした上で、米軍にやっぱり協力を求める、こういう姿勢の転換をすべきだ、こう思うんですが、これについてあなたの、長官として、あるいは保安林を管轄する農林大臣として、両大臣から私の言っていることが無理かどうか、ひとつ沖縄県民に答えるつもりで答えてもらいたい、こう思うんですが、両大臣。
  71. 中山太郎

    国務大臣(中山太郎君) 先生御指摘の沖縄の水の問題は、やはり沖縄県民にとっては最大の重要な問題だと私は考えております。私も就任以来水の解決ということに全力を払っております。  御案内のように、すでに給水制限も行われておるという現状の中で、水源涵養のためのいわゆる林野、森林の指定の問題については、関係省庁と十分連絡をとって、私どもとしては北部のダム開発とあわせて、水源の涵養のために努力をしてまいりたい、このように考えております。
  72. 亀岡高夫

    国務大臣(亀岡高夫君) これは目黒委員の御指摘のとおり、私も行って、実はあそこに営林署が一つございますので、営林署の署長を呼びまして、実態をよく聴取をいたしました。そういう意味で、沖縄における森林資源の培養というのはまことに大事であるということを確認をいたしまして、帰りましてから林野庁に対して保安林を初めとする沖縄における国有林の、いま管理だけいたしておるわけでありますが、やっぱりこれに対する管理の具体的な方法をいまのままでいいかどうかということの検討、さらには造林をもっとやるべきであると強く指導をいたしておるところでございます。
  73. 目黒今朝次郎

    ○目黒今朝次郎君 大臣ね、わからないわけじゃないですが、やっぱり森林法に伴う水源涵養保安林指定、これは県知事から申請するかっこうになっていますがね、法律上は。だけども、三者協議でやっておるんですから、もう申請されたと同じだと思うんですよ。ですから、やっぱり森林法に基づく水源涵養保安林の指定というところにやっぱり総理府と連携をとって一歩踏み込んでいくと、こういう積極姿勢をぜひお願いしたいんですよ。  時間がないから、これは私がアメリカさんに怒られない程度に入って撮ってきた写真ですが、これは赤土見えますね、これどがーんどがーんやった跡ですよ。それからこれ、これはもう山崩れていると、これは上流ですよ、これは。それからこれ、琉球松ね、私も大分体小さい方だけども、造林した琉球松が私の背と同じですよ、二十年物、――二十年物が私と同じでは、大分これは生育不良林だわね。こういうのがいっぱいなんですよ、これは、あの軍用基地の中は。だから、やっぱり大変な問題で、このままほうっておくと、水がめそのものが埋まっちゃうという状態になりかねないので、まあ怒られない程度に山見てきました。したがって、ぜひいま両大臣の実行をお願いします。  同僚に十分も譲ったんで、私の時間がなくなりました。それで、問題だけ言います。一つは同じ林野関係で、青森営林局の零石営林署、そこの桝沢苗畑の問題、これは私が投書を受けまして現地で見てきました。しかし、青森営林局から来た経理部長その他は、なかなか私に対しては資料協力については協力しませんでした。ですから、私はきょう決算委員会の名において林野庁に要求をします。  五十五年の五月一日、民間に苗を五万四千本売って九十三万四千二百円の代金を取ったはずでありますが、その後私に投書をした人の申し立てによって、七万三百五十円、七月三十一日追徴をしていると、こういう事件がありました。同時に八月一日、この問題を受けた営林署長、それから経理課長、それから苗畑の主任、三名を全部青森営林局はこれを首じゃなくて転勤さしていると、こういう事情があるわけでありますが、この真相と、前後の経過について、正式に資料要求いたします。決算委員として資料要求いたしますので、出してもらいたい、こう思います。  それからもう一つは、労働大臣をお呼びして申しわけなかったんですが、私は最近の中小企業における労使関係、それに非常に危惧の念を持っているものであります。私は動労の委員長やって暴れたから思っているというわけじゃありませんが、最近のやり方どうもえげつない。それで参考までにこれはナカバヤシという会社が、これは本社は大阪、島根県と関係市町村に誘致企業として七工場があるわけでありますが、この工場でいま不当労働行為が提起されております。したがって、不当労働行為のことについては私は申しません。ただ、大臣にお願いしたいのは、この組合が五十四年の十一月十五日結成して一年七カ月になっておるわけでありますが、賃金とか、勤務とか、そういう労働協約を締結せいと、一年半も要求しているにかかわらず、会社側は一切締結しようとしない、こういうことが一つ。  二つ目には、就業規則でやっているのであるからいいんだと、こう言っていました。じゃ、就業規則はどんなものかということについて、われわれ国会議員に見せろと言っても、会社側は見せない、組合に聞けと言う。組合に聞くと、組合は、会社に要求しても、会社はおまえら勝手にせいと言って言わない。それで監督官庁の労働基準監督署、労働基準局、署長、局長両方と会ってみました。会ってみましたら、これまたあいまいもこで、就業規則の持つ法的根拠、労働者を保護する背景、そういうものについてきわめて認識が足りないと、こういうふうに私は見てまいりました。したがって、やっぱり労働協約を結ぶ、労働協約を結ばない、では就業規則を準用すると、就業規則の運用については、関係労働者や労働組合の意見を十分聞くというのが私は法のたてまえだと、こう思っておるわけでありますが、それがなされていない。  それから、三つ目には、いわゆる事業所ごとに締結する三六協定、二四協定、勤務の変更協定、これが全然なされていない。そして反動的な工場長、あるいは大阪から派遣される人事部長、それが勝手にやっている。  最後に、私はこれは大臣によく聞いてもらいたいと思うんですが、人権無視もはなはだしいというんです。子供の学校のあれがありますから、きょう午前中だけ休暇ください、午後から半日だけ休暇くださいと言いますと、何でそんな子供を生んだと、子供を生むばかがあるかと言って、三十、四十の奥さん方をどなりつける、これが一つ。それからおふくろが病気であるから、家族が病気であるからちょっと病院に行ってきたいので半日休暇くれと、そう言いますと、そんな病人早く死んでしまえと、こういうことを言う。それから産前産後で休暇を申し出ると、そんな子供、勝手におやじといいことして生んだんだから、そんなものおろしてしまえ、流産してしまえと、こういうことを言う。農繁期で忙しいからと、ほとんどこの辺は農村地帯であります、農繁期でお願いしますと言うと、百姓などやめてしまえと。それで言うことを聞かないで休暇をとりますと、これも私驚きましたな、一日たった一枚のガラス、あれを一日みがいておるというんです。これ朝から五時までね、あの一枚のガラスをこうやってみがいてるというんです。ちょっとでも休むと業務をサボっていると言って、後ろからびっびっとやられると、こういう労務管理が平然と行われていると。  まあ、述べれば次々にあるんです、これ。したがって、私は大臣にお願いしたいのは、中小企業の労使関係を大事にしてもらいたいと。そのモデルとしてこのナカバヤシの労使関係について、労働基準局なり、あるいは県の労政部を叱吃激励して、十分に、労働者を優遇せいとは言いませんが、労働三法が保護する労働者の対策をしてほしいということを大臣に一音お願いしておきたい、時間がありませんから検討してもらいまして、来るべき七月二十二日の労働省担当の決算委員会では、十分にやらしていただきますので、それまで私の申し上げたことを、実態調査を含めて、把握並びに今後の対応について御検討方要請しておきます。これは両大臣に検討するということを御答弁もらえば結構ではないかと、こう思うんですが、いかがでしょうか。
  74. 亀岡高夫

    国務大臣(亀岡高夫君) 御指摘の資料は全部そろえて提出いたします。
  75. 藤尾正行

    国務大臣(藤尾正行君) 御指摘の問題非常に大事な問題でございますから、十二分に注意を払って検討いたします。
  76. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時十分まで休憩いたします。    午後零時九分休憩      ―――――・―――――    午後一時十一分開会
  77. 和田静夫

    委員長和田静夫君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和五十三年度決算外二件を議題とし、総括質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  78. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 中小企業庁、通産並びに公取に御質問申し上げたいのです。前半については政府委員からお答えを願って、後半まとめまして大臣にお願いいたしたいと、こう思っておりますので、そのようにひとつ御協力をいただきたいと思うわけであります。  まず、中小企業庁にお尋ねをいたしますが、中小企業の倒産が昨年、戦後最高のものになって、一万九千件近いものになりました。今年度三、四月には少し鎮静ぎみであったんですが、五月にまた危険水域の千五百件を超えたようであります。六月の統計はちょっとわからないのでございますが、そちらでわかっておりましたら、お示しを願いたいと思うのであります。  この問題は非常に原因もいろいろございまして、必ずしも一様ではないと思うのですが、この二、三年間、倒産防止の対策にどう取り組んで中小企業庁こられたのか。  もう一つは、出先の通産局にこの問題をどう取り扱わしておるのか、その点お伺いをまずいたしたいと思います。
  79. 勝谷保

    説明員(勝谷保君) まず第一に、先生御質問の中小企業の倒産の状況でございますが、昭和五十五年度の中小企業の倒産件数は一万八千百六十二件と史上最高、先生御指摘のとおりでございます。原因別に見ますと、販売不振、これが最も多うございまして、連鎖倒産等もそれに続いているわけでございます。  ごく最近の数字についていかがかというお話でございますが、私ども公式に手元に入手しておりますものは、五月の千五百三十七件という千五百件を超えた数字でございます。六月の数字につきましては、近く公式の数字が出るのではないかということでございますが、残念ながら私どもの手元ではまだ正確なものを発表する段階にないことをお断り申し上げますが、若干下回っているような感じがもろもろの状況から感じとられているということでございます。  どういう対策をとってまいったかということでございますが、昨年末から先ほど申しましたような、倒産が高水準に推移いたしましたので、中小企業庁といたしましては、政府全体の対策の中で、特に次の倒産防止対策を推進してまいりました。  第一が中小企業の倒産対策に対します融資の面から、金融の面からの貸付制度の活用でございます。第二の柱は、金融を裏づけるための補完措置といたしまして、倒産に関連いたします特例保証制度の実施を強力に進めてまいりました。第三は、中小企業倒産防止のための共済制度の普及を進めてまいりました。第四に、倒産防止の特別相談事業を拡充してまいったわけでございます。  特に、先生御指摘のような、本年に入りましても倒産が危機ラインを突破するというような状況等が推測されましたので、本年の三月の十七日に、総合経済対策を決定されましたが、それを踏まえまして、中小企業体質強化資金、これを使うことによります倒産防止のための融資制度、これを実は新年度の予算でございますので、四月一日から実際は実施すべきものでございましたが、これを繰り上げまして、直ちに三月の段階から実施をするという指示をいたしますとともに、関係各省庁をもって構成いたしまするところの倒産防止対策各省協議会というものを三月二十六日に開催いたしまして、連絡をとり合ってまいったわけでございます。  また、地方におきましても、倒産防止対策推進協議会というものを各通商産業局ごとに設置いたしまして、対策を図ったわけでございます。  御指摘のように、中小企業の倒産の推移はまだゆゆしき状態にございますので、景気の全般的な上昇機運とは必ずしも中小企業の状況がマッチしていないという状況に注目をいたしまして、警戒体制を厳重に進めてまいりたい、かように考えているところでございます。
  80. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 倒産の原因の中に、私はいろいろ先ほど申し上げたようにあると思うんですが、それは取引の銀行の態度、商社、メーカーの考え方が、倒産をさしたり、また倒産防止に役立っていただいたりということであろうと思うんですが、そのあたりのこともお伺いをいたしたいと思うのですが、いまや倒産防止というのは緊急避難という言葉を使ってもいいほどの問題になってきておると思うのです。中小企業庁の問題だけまとめてお尋ねをいたしますが、この問題について緊急措置を何か考えなければならぬのではないか。いま一通りのお話は伺ったのですが、それでいいであろうかどうであろうか、大変まだ心配をいたしております。  それから、中小企業倒産防止共済制度についてちょっと、ごく簡単でよろしゅうございますが、触れていただけませんか。この件が一つ。  もう一つ。この間、中小企業庁の方へお願いして、なかなか私の満足するような資料をいただけなかったのは、賃金ベース、年間の実質手取りないしそれに類するようなもので私がお願いしたのは、中小企業の賃金と国家公務員、地方公務員の賃金と大企業、メーカーの賃金との差を見さしていただきたかったのですが、十分理解ができるものをいただけなかったので、これは労働省お願いするのが筋であったと思うのですけれども、このことについてもあれからおわかりがいただいておれば、おおよそ、まあ私たちの感覚としては十分持っておるわけなのですが、中小企業庁いかが受けとめておられますか。  その三点まとめてひとつ御答弁願いたいと思うんです。
  81. 勝谷保

    説明員(勝谷保君) 倒産防止対策十分であるかというお話でございますが、先ほども申し上げましたように、連鎖倒産防止のための対策といたしましては、金融面、それから信用保証の面、共済制度の面、さらには最近の倒産は非常に小口になっておりまして、小規模企業の倒産が目立つわけでございますが、そういう方々に対して親身の御相談を申し上げるための倒産防止特別相談事業を全国ベースで商工会議所、商工会の連合会等に窓口を設けまして、専門の方々で御相談にあずかり、個別の折衝を進めておるところでございます。  さらに、それに必要な金融面につきましても、先ほども触れましたように、新年度から新たな制度を導入いたしまして、その金融面での裏づけもしようという制度を導入してまいりましたので、私ども景気全体が上向きながらも、特に小口の分野での倒産が今後も続くであろうということを考えまするならば、この新年度に導入いたしました制度を最大限に活用するということで対処いたしてまいりたいと、かように考えております。  次に、中小企業倒産防止の共済事業がどのような状況であるかというお話でございますが、五十三年の四月から今日までの状況でございます。加入者の累計は三万五千五百五十一件、共済金の貸付件数は六千八百六十六件でございまして、貸付額――共済金の貸付額でございますが、これが非常に倒産に対しての連鎖倒産を、特に小規模の方では防いでくれるわけでございますが、二百八十億八千八百万円の融資をすでにいたしております。私どもの現在の統計を見ますと、これが平均の被害額に対しまして、平均貸付額に対する比率が四八・三%でございますので、この共済金によりまして約半額の資金が充当できたということでございます。この制度につきましては、まだまだ十分ではないではないかというお話がございます。しかし、これは、先ほどのように、発足後直ちに五十五年五月にはもう早々と従来の千二百万円を二千百万円に貸し付けの限度額を引き上げておりますし、積立期間も六十ヵ月でございましたのを、四十二ヵ月に短縮をいたしております。これらにつきましても、なお、特に地方の商工会議所等ではさらに有利にしてくれないかという御要望はございます。ただ一方では、この共済制度が赤字である点もございますので、十分そこらの点を検討いたしまして、今後、中小企業の政策の中の検討事項の一つに加えてまいりたいと考えております。  最後に先生、給与の数字はどうなっているかというお話でございます。  私どもがお答えする正式な立場にはないわけでございますが、労働省の毎月勤労統計調査での現金給与総額、これは月間の一人当たりの平均額でございますが、五十五年度の規模別のデータがございますので、これで答弁をさしていただきたいと思います。  従業員が五人から二十九人の事業所で十八万九千八百四十三円、三十人から九十九人で二十二万三千九百五十五円、百人から四百九十九人で二十五万七千三百九十三円、五百人以上というものが三十万七千八百八十四円、千人以上になりますと三十二万一千六百三円、こういう数字がございます。  以上でございます。
  82. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 ひとまずそれで、通産省にお尋ねをいたしたいと思いますが、流通機構の近代化、合理化対策の問題でございます。  物流の簡素化というのはやらなければならない問題でしょうし、そのことは、物価にも、あらゆるものにもはね返ってまいりますのですが、通産省の物流簡素化の問題についてのお考え政府委員からお答え願いたいと思います。
  83. 植田守昭

    説明員(植田守昭君) 流通機構の簡素化につきましては、個々の物資につきまして、いろいろ対策を立てる場合もございますが、一般的な政策といたしましては、私どもといたしましては、三つの観点から進めているところでございます。  一つは商取引の合理化でございまして、これにつきましては、たとえば統一伝票をつくるとか、あるいは統一コードをつくる、そういったことの推進とか、あるいは最近非常に商業界に進みつつあります、いわゆるPOSシステムという販売の時点で即座に在庫とか、売り上げなどがつかめるような方式でございます。あるいは、さらにまた受・発注のオンライン化とか、そういったようなことの普及に努めているというのが第一の点でございます。  それから第二が実は物流の点でございますが、物流につきましては、従来から、たとえばパレットプールの利用促進でございますとか、あるいは共同で荷受けをするシステムとか、その他近代的物流拠点施設の建設等々につきまして、政策を進めているというのが現状でございます。  さらに第三の点といたしまして、この物流につきましては、業種の特性に応じた政策が必要だというふうな観点から、業種ごとに流通構造の実態調査をいたしまして、それでそれを踏まえて当該業種の近代化構想の策定を行うという作業をしておりまして、これは現在やはり毎年何業種というふうに業種を選びまして進めているというのが現状でございます。
  84. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 私が言うまでもない、生産者から消費者へ最も簡単な方法で渡るということが原則でありますし、理想であろうと思うんですが、ここで商社の問題について考え方をお聞きいたしたいと思うんですが、眠りマージンと大変いやな言葉なんですけれども、何でも経由、何でもマージン、こういう商社の姿勢というのは、やはり流通の中で大変問題があるのではないであろうか、こう思うわけであります。個々の取引の中で、総合商社と中小企業との関係、また弱小商工業者との中で、商社の位置といいますか、役割りというものか、そういうものが、いま申します物流の中で大変役割りを――反対の意味での役割りでございますが、役割りを果たしておるのではないであろうか。もちろん私は、商社の問題については世界的な問題も、また国内におきましても、大変貢献をしておりますことを認めることにやぶさかではないのであります。でございますが、一般では眠りマージン的なものが大変いろいろ取りざたをされております。このことについてひとつお伺いをしたいと思うのであります。  次のお尋ねも一緒にいたしておきたいと思いますので、公取においてもひとつお答えを願いたいと思います。  私は、公取の使命というのは、一つ一つの法律の示すものの取り締まり、そういう実施することにもあると思うのですが、本来、物流の公正を期して、そこから日本経済の正常化に尽くすということが大目的であり、そのことを公取に期待をいたしておるわけであります。  たとえば、取引の中で、一商社が中小企業の中へ役員を送り込んでいきます。そして、その中小企業が幾らかの期限を置いて倒産をいたします。そういたしますと、倒産の責任はいずこにあるかは知らないけれども、この中で、再建をしようとするときに、再建法をかけますから、管財人という者がまたその商社から送られるわけであります。そうしますと、中小企業者というのはその倒産を機にすみの方へ追いやられるわけであります。私は、ある意味ではこれは乗っ取りに類する感じがするわけであります、例を見ておりますと。そういうものに対しては、法的なものはもちろんそういうところでございますから、十分検討をしてやっておられるので、法的にはかからない、非常にかかりにくい問題。ところが見ておりますと、営々と築き上げた、長い間中小企業が親の代からそこに築き上げた、それが一時点大変不幸せな形で倒産の憂き目を見た、そこに商社の資本が入った、商社から役員が来た。次に再建法で再建はできたけれども、結局後見てみると商社のものになっておった。昔から築いてきたその人たちはすみの方へ追いやられておった。ちょっとこういう例が少し多過ぎるのではないであろうか、こういう気がいたすのであります。通産省にもあわせてお答えを願いたいと思うんですが、公取はこういう場合に何か出番はないのであろうか。先ほどの基本精神から言うと、何かこのあたりに公取という出番があってもよさそうなものだが、ないのであろうか。大変漠然とした質問になりますけれども、もう十分皆さんそのあたりのこと御承知でございますから、その上に立ってお答えを願いたいと思います。
  85. 植田守昭

    説明員(植田守昭君) いわゆる総合商社につきましては、ただいまも御指摘のございましたように、いろいろな機能を持っているわけでございます。たとえば、金融機能でございますとか、あるいは情報の収集機能でございますとか、さらにはまたいわゆるいろいろなコンビナート、センター等々を、大規模の基地をつくる等のオルガナイザーとしての機能等、これは外国貿易におきましてのみならず、国内におきましても、いろいろな機能を果たしているというのが現状だろうと思います。ただ、ただいまも御指摘ございましたように、こういった多面的な機能を果たすだけに、またそのいろいろな影響も大きいわけでございまして、仮にもそれが悪い形で出るということは、私どもとしても十分注意しなければならないというふうに考えているところでございます。  そういう見地から、私どもといたしましても、総合商社業界を指導いたしまして、昭和四十八年に「総合商社行動基準」というものを策定いたさせまして、これに基づきまして、いろいろと指導しているわけでございます。その中にもいろいろなことが書いてございますが、たとえば中小企業とのかかわりにつきましても、「中小企業に対しては共存共栄の実を挙げつつ共に社会的な要請にこたえるべく努力する。」というふうにうたわれているわけでございますが、私どもはこの行動基準、これを守らしていくという立場から、たとえば毎年定期的に商社に調査あるいはヒヤリングをする、あるいはまた問題の都度、その都度ヒヤリングをしていく、あるいは指導していくというふうなことをやっているわけでございます。  ただいま、たとえば眠り口銭とか、あるいは商社倒産のときの問題等が例示として挙げられましたが、私どもも、個々の事例につきましては、その都度当該商社を呼ぶなり、あるいは調べるなりいたしまして、そのケース・バイ・ケースでこれを指導していくというのを現在やっているわけでございまして、今後ともこの行動基準の精神に基づきまして、そういった形で十分指導していきたいというふうに考えます。
  86. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 いまのところでちょっと一点だけお伺いをしておきたいと思うのですが、総合商社の行動基準についてお伺いをしようと思っておりましたら、いまお話がございました。このことについて一点、どういうふうに、いまお話ございましたけれども、総合商社の皆さん方はこのことをどう受けとめておられるのだろう。これが十分受けとめておられると、いろいろの問題が起こらないのですが、これがどういうふうに現在総合商社とそれの指導機関である通産省とでやっておられるのでございましょうか。一点あわせてここでお答えを願っておいたらと思います。
  87. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 奥村審議官、さっきの答弁ちょっと。
  88. 奥村栄一

    説明員(奥村栄一君) 御説明いたします。  先生の方から御質問がございました、いわゆる乗っ取りでございますが、乗っ取り自体が直ちに独占禁止法上問題となるというわけではございませんで、役員兼任とか、株式保有によりまして、競争が実質的に制限される場合、あるいはそれが不公正な取引方法を用いて行われる場合、そういった場合に独占禁止法上問題になるわけでございます。そこで、具体的な違反事件のもし端緒に接しますれば、これはもちろん厳正に対処してまいるということになろうかと思います。  それで一般論といたしましては、日本の流通機構の中で、大手商社の果たしている役割りは非常に大きいものございまして、これまで公正取引委員会といたしましては、総合商社に関する調査なども行いまして、その活動の独占禁止法上の問題点の把握に努めてきたところでございますが、今後とも大手商社によります優越的な地位の乱用、そういった独占禁止法違反が行われないよう監視を続けていくとともに、先ほども申し上げましたように、違反行為がございますれば、厳正に対処してまいりたい、このように考えているわけでございます。
  89. 植田守昭

    説明員(植田守昭君) 先ほどのような問題につきまして、商社あるいは私どもがどういうふうに受けとめているかというふうなお尋ねでございますが、商社につきましては、先ほど申しましたように、いろいろな機能をできるだけ効率的に発揮しようということで、商業活動を行っているということであろうと思いますが、ただ大きな商社になりますと、その社会に及ぼすインパクトも大変大きいわけでございますし、またこの数年来、あるいは十年来大きな企業の社会的責任というふうなことも各方面から言われているわけでございまして、その点は商社自身も十分受けとめているというふうに私どもは思っております。  具体的には先ほどの行動基準をどうやって実施していくかということにつきましても、たとえば商社によりましては、社員に何か社員手帳的なものを活用するというふうなことも聞いておりますし、あるいはまた、研修等でこういったことをいろいろとよく徹底を図るというふうなことも聞いております。そういうふうなことを通じまして、現在ではこういった大企業、あるいは大商社として社会的責任、これを果たしながら、かつ商売の道で効率的に実績を上げていく、こういった観念、考え方というものは、十分であるかどうかはいろいろとまたあれもあろうかと思いますが、相当進んできている。私どもも、またそういう見地から先ほどのような定期的な調査、あるいは随時行うヒヤリングというふうなことを通じて指導しているわけでございまして、足らざる点があろうかと思いますが、今後ともこの方向をさらに進めていきたいというふうに考えるわけでございます。
  90. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 公取は先ほど私がさきの質問の前半で申し上げました眠りマージンということに対して、どういうお考えを持っておられますか。そういう言葉がかなり流通の中で、特に中小企業の中では、中小商工業者の中ではその言葉が、眠りマージンという問題については、公取はどう取り組むことでございますか。おわかりになっていらっしゃるでしょうか。
  91. 奥村栄一

    説明員(奥村栄一君) 流通問題につきましては、先ほども申し上げましたように、経済的な強者がその地位を乱用するというふうなことで、競争制限的な行為が行われていないよう十分に注視いたしておるところでございます。  御指摘のような眠りマージンの問題につきましては、よく言われているところでございますけれども、眠りマージンそのものの持ついろんな機能もございまして、その言葉だけで直ちに独占禁止法上どうかということは、具体的なその事実関係承知いたしておりませんので、直ちには申し上げかねるということでございます。
  92. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 大臣にひとつ流通機構の問題でお尋ねをいたしたいと思うのでございますが、製造メーカーから直接に消費者ないしは中小の卸売業者に物が渡って行って一つも障害のないところに、惰性でしょうか、慣例でしょうか、もちろん必要なものもございますので、あえて一列に物を申し上げておるわけではないのでございますが、どうしても商社を経由しないと渡らないという機構になっておるように思うのであります。大変大きな例の一例、これそうであるかどうかも確認をいたしたいと思うのですけれども、鉄鋼のメーカーから鉄が一つの、かなり日本で大きい自動車産業の会社へ流れるのに、そればもちろん経済的危険性も全然ございませんものが、やはり一応商社を渡らないと、伝票が商社を通過しないと流れないと、こういうことのように聞いておるわけであります。ごく弱小企業のところへまいりますと、支払いの危険性というものの保証ということで、商社ということもまた私たちは十分理解ができるのでありますけれども、その必要もないところに、これは長い間の慣行かもしれませんが、そういうものがあるようであります。いかがでございましょうか、大臣。
  93. 田中六助

    国務大臣田中六助君) 流通機構、流通というのは非常にデリケートな証拠には、ドラッカーの有名な言葉に、流通は経済の暗黒大陸であるということを言っているわけでございまして、流通機構、あるいは流通という問題は、わが国だけの問題じゃなくて、世界全体にこれはまだまだ未開と申しますか、暗いところがあるんじゃないかという気がしておるわけでございます。日本の場合、先ほど私のところの事務当局から答えましたように、商社の行動基準というようなものがございまして、自主的にいろんなことをやっておるし、私どもは行政指導をやってきておるわけでございますけれども日本の場合だけじゃなくても、たとえば西ドイツ、イギリス、その他につきましても、アメリカもそうでございましょうが、それぞれの伝統と申しますか、しきたりと申しますか、経済、社会、あるいは政治、文化、そういうものを含めたもののそれぞれのお家の事情、お家の長いしきたりというようなものがあるんじゃないか。したがって、日本には日本としての流通あるいはそれに伴う商社というようなものが、必要があってそういうようなしきたりという、あるいは商社というものが生まれたんじゃあるまいか。具体的に申しますと、商社が日本になかった場合どうだっただろうかということを逆に考えてみますと、やはり商社の役割りというのは非常に大きかったんじゃないだろうか。日本人は日本語というものを持っておりますけれども、非常に外国語に弱い。そういうようなものを彼らがぺらぺらしゃべって、いろんな商談をうまくやっていく。商談にはやはり駆け引きがございますし、そろばんがございます。そういう点、向こうの言うなりになるわけではない、向こうの言うなりをまたたたいていろいろやるというようなこと、だから悪い面を考えますと、いろいろマージンをどうした、あるいはアンダーテーブルがどうだというようなこともございましょうけれども、その機能の有効な部分を考えますと、私は非常に日本経済の今日ある中に大きな役割りをしたんじゃあるまいか。アフリカのだれも行かないような大陸とか、あるいはいろんな、中東でもそうでございますけれども、東南アジア、そういうところに商社マンが行っていろんなことをやってくるということ、日本の現在の貿易立国というようなことも考えますと、私は商社の役割り、流通機構における、国内でも国外でもそうでございますが、商社の役割りというものは大きいんじゃないか。外国が日本の商社をまねしたいと、日本のある商社をそのまま買いたいというような笑えないような具体的な話があるわけでございまして、私はそういう点で悪いところは、行動基準もあるし、私どもも十分チェックしていかなければなりませんけれども、やはりそれのいいところ、いい機能、あるいはそういう流通機構における大きな役割りというようなものも考えることも必要じゃあるまいかということを現時点では考えております。
  94. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 私も、申し上げたように、商社の功績を否定するものではございません。足したり引いたりしながら、長い期間かかってつくり上げられたものですから、そのことについてはまた後ほど第二臨調の問題との絡み合いの問題でお尋ねをいたしたいと思いますので、大臣のお考えと私もいささかも違っておるわけではございません。  それでは、第二臨調と中小企業の問題について大臣にお尋ねをいたしたいのですが、第二臨調がいよいよ明後日第一次の報告が出るようでございますが、あの中に中小企業対策費抑制、節減、そういうものが打ち出されておるように思うのですが、これは先ほどからお尋ねをいたしました前段の、中小企業がこれほど緊急避難体制をとらないかぬではないかという言葉を使わなければならないほどの中小企業の現状の中で、いやしくもこの臨調の中に、そういう字句が実際うたわれたとするなれば、私は大変残念であると思うのであります。恐らく日本の中小企業の人たちは、私たちのことをそれほど知ってくれないかと思うでありましょう。ひとつ大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  95. 田中六助

    国務大臣田中六助君) 第二臨調の答えというのが出るわけでございますけれども、具体的にまだ私どもの手にも入っておりませんし、具体的なことは言えませんけれども、いろいろな予測は確かに仲川議員御指摘の点があるようでございます。しかし、中小企業対策、日本の中小企業というのは、御承知のように件数にいたしまして五百八十一万件ございますし、これは全製造業の九九・四%でございます。かかわっておる従業員は三千四百二十九万人ですか、それは昨年の数字でございますから大分変わっておるかもわかりませんけれども、基本は変わっていないと思います。製造出荷率が五三%、そういうような日本の経済における――全く先ほどから仲川委員指摘のように、日本の中核と申しますか、日本経済を大きく支えている母体でございます。ギリシャ、ローマ時代から中産階級の安定は即政治、経済の安定になっておりますけれども、私は日本の経済、日本の社会がいま世界で一番安定しているのは、やはりこれらの中堅企業、中小企業に従事している人々の安定の度合いによってはかられ得ると確信しております。  したがって、こういう人たち、あるいはこういう中小企業に従事しておる人々に対しては、過保護ということはいけませんけれども、これをどういうふうに私どもが政治あるいは政策として取り扱っていくというビヘービアの根幹をなす考え方が常にあっていいと思うんです。したがって、五十六年度予算では全部を含めまして、約二千五百億円程度の予算が、私どもプロパーだけじゃなくて、他の省にも波及したものをトータルしますと、その程度でございますが、その程度でいいのか。いろいろな点を考えまして、まだ私は本当は不足しているんじゃないかと思いますけれども、しかしやっぱり人間のなす行為でございますのでロスがあるでしょう、あるいは批判を受ける点もあると思います。しかし、それはネセサリーイーブルみたいなものでございまして、多少のロスは人生あるいは私どもの社会ではあると思います。  したがって、臨調あたりでここはこうだという、なるほどそういう点もあるかもわかりません。しかし、それをそのままうのみにして、私どもがそれを行動あるいはそれをそのまま口移しに実行できるかどうかという点は、私は疑問でございますので、そういうものが具体的に出ますと、私ども十分検討の上、余り誤りのないような措置、態度を行っていきたいというふうに考えます。
  96. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 本日私は大臣の口から一番聞きたかったことを大臣が力強くお答えをいただきましたが、大臣やはりこれが字句になって、一つの文字になって出てきますと、大変中小企業の人たちは、今度の臨調というのをみんな見詰めておるわけでございます。私も臨調については、もう商社にいたしましても、労働界にいたしましても、また評論家にいたしましても、日本の最高のスタッフで、そして、私心を捨てて日々やっておられることももう目に映っておるわけでございます。ここで申し上げたいのは、中小企業のことを少しお知りないのではないだろうか。そのことはやはり通産省がどういう接触をするかは別として、アドバイスをしていただかなければならないのではないだろうか。いま大臣のお答えをいただきましたように、それはそれで出てきても、いまこの中小企業の、日本の産業を支えるこの大事なときに、一歩も許すんではないぞという――表現はちょっと悪うございますが、そういうお気持ちの御開陳がございました。大変私はありがたいと思いますし、恐らく中小企業の皆さんが、そのことに期待を持っておると思うわけでございます。それでもやはり字句になって、文字になって出てこないのにこしたことはない、こういうことでございますので、なおひとつ御努力のほどをお願いを申し上げておきたいと思うわけでございます。
  97. 田中六助

    国務大臣田中六助君) 私の考えの一部を申し上げたわけでございますけれども、臨調でそういうものが具体的に中小企業関係でどうしろこうしろというものが出てきた場合、これは先ほどから申しますように、私どもでも人間のなす行為でございますし、政策が時代時代によってやはり適応できる部分、あるいはそれがまた全く違ってくるようなこともございますし、出てさましたらそれを十分検討して、できるだけ私が申しました中小企業というような立場を勘案の上、そごのないように私ども全力を挙げて、通産省はその答申、あるいは出てきたものについて検討を加え、また批判された部分についても十分考えて、そしてみんなで研究の上それにこたえたいというふうな考えでございまして、全面的にそれをもう何もかも否定してしまうということではございません。十分検討して、それにだれも納得できるような措置をとりたいというふうに考えます。
  98. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 それでは、先ほどの商社、メーカー、企業、そういう日本で言う大産業の問題でありますが、第二臨調でそれぞれの人たちの代表者が行っておられます。私は、第二臨調というのは、言うまでもなく国民総がまんのことで、みんながひとつぜい肉を落としてやろうでないか、こういうことであろうと思うのであります。  そこで、長い臨調の期間でございますから、これからの一年半なり、二年なりの問いろいろなことが続くでありましょうが、一つこういうことを大臣思うんですが、いかがでございますでしょうか。先ほど流通の問題も必ずしも万全でないことには間違いはございません。  もう一つ、私が中小企業庁に賃金格差をお示しくださいと言ったのは、大企業と中間に公務員がおるわけですが、公務員と中小企業との格差を表面にあらわしていただきたかったわけなんです。最近の例で、航空会社がストをやると言う。そうすると、ボーナスの金額がニュースで流れます。中小企業で働いている人は、とても自分らの世界の話ではないということで、そねましいというよりも、あきらめの境地になっておるほど、もう二分の一や三分の一ではございません。ここに日本の産業の中の格差というものがはなはだひどいわけであります。それはそれで一応おいておきまして、その会社が国の原資を使ったり、また国がその運賃値上げに許認可をやらなければならぬ、運賃値上げだけでございませんが、許認可をやる権利を持っておるものについて、国の原資が補助金であろうと、出資金であろうと流れたりすることについては、私はこの臨調のときを外しては、やはり全国民総がまんのこの命題の中に立ってやらないと、そのことの改正、是正ができないのでないだろうか。言いかえれば、おまえ方の航空会社は運賃値上げをしたいと言うけれども、よく見てみないか、公務員よりこれだけ、ベースが三四%高いでないか、会社経営の中にも保留金あるでないか、そして現時点会計において赤字だから運賃を上げろということには、これは大臣の領域でございません。運賃値上げの問題はございませんけれども、商社との物のつながりのお話でございますし、質問でございます。また、大臣も通産大臣ということのみでなしに、鈴木内閣を支えております経済通の私は重鎮であると思っておりますから、このこともあえて申し上げておるわけであります。そういう現時点会計において赤字だからということをそのままうのみにして、国が運賃値上げの許可をしたり、外国の協力を――後ほどお尋ねをしようとするイランの問題にいたしましても、そういう協力を国がしなければならないという、そういうことがあってはならない。国民が納得しないのではないだろうか。そして、やはり総がまんのときにこそ、そのことにメスが入れられるのではないであろうか。こう思うのですが、このことに対していかがでございましょうか。
  99. 田中六助

    国務大臣田中六助君) 仲川委員指摘の、全く私もそのように思うんです。やはり行財政改革というものは、私が記憶しているだけでも吉田内閣以来ずっと見ましても、口にしてもなかなかそれが実行できない。しかも、私どもいま緊縮財政と申しますか、財政改革というようなことの至上命題を持っており、さあ増税をしなければならないかどうかというようなときに、やはり私どもみずから政府行財政改革、中央、地方を通じてこれを断行して、そして次の、増税かどうかは私はまだわかりませんけれども、いずれにしても財政を健全化するための前提として行財政の改革をしなければならないといういま現時点に立っておるわけでございまして、そうしなければ国民も、次の私どもの財政政策、あるいは経済に絡むそういう諸政策について納得しないと思うんです。したがって、私どもは、鈴木総理が政治生命をかけてやるということを言明しておる行財政改革については、鈴木内閣の閣僚の一人といたしましても、私はこれを実行しなければならない、断行しなければならないという気持ちでございます。したがって、先ほど中小企業の問題を申し上げましたけれども、やはりぜい肉を落とすというか、何かを私どもが落とさなくちゃいけない、国民が納得しない、補給金などに浮き浮きしておる段階じゃないという認識は強く持っております。したがって、そういう観点から臨調の問題が出される場合、私は中小企業の問題にいたしましても、十分それは検討しなければならない。答えは、私ども中小企業は大事で、いろいろやらなくちゃいかぬけれども、どの省も、それからどの部門も、まして私ども、中小企業あるいは私どもの担当の通産省関係が、そのらち外にあるということはできないと思うんです。したがって、そういう点も踏まえて、仲川委員の御指摘の点も私どもも十分考えて、この問題は対処しなければならないというふうに考えております。
  100. 仲川幸男

    ○仲川幸男君 地方公務員につきましても、大臣先般から御承知のように、東大阪市を筆頭に、大変給与のアンバランスになっておるものについては、ひとつ国家公務員並みに近づけよ、近づけないと経済制裁をするぞと、こう言っておるわけであります。そういう姿勢でございますのですから、私はやはり国の権力が及ぶところには、いま大臣からお答えがあったようなことをひとつ強い力で行う。いままでも行わなければならないものがたくさんあったのですが、惰性もございましたし、なかなか一つのものが決まっておるものを改革するということは、特にそれに利益、利潤が伴っておるということで、大変むずかしいと思いますが、ひとつ特別な御配慮をお願いして御努力を願いたい。  私は、この第二臨調のときに、商社、特別な企業、そういうあらゆる――表現は悪うごさいますけれども、大企業のぜい肉を落とさないと落とすときはない、こう思っておりますので、あえてお願いを申し上げておきたいと思うわけであります。  この問題については、もう少し細かくお聞きをしたいものもございましたが、最後に、大臣十三日間もヨーロッパ、サウジアラビアを訪れまして、大変御苦労でお疲れであったと思います。その中において、いろいろの問題がそれぞれの国で理解をせられたと思います。特に二国間協定問題につきましては、御苦労さまであったと思います。特記すべき収穫がたくさんあったと思いますが、ひとつその問題をお聞かせをいただきたいと思うのであります。  最後に、サウジアラビアへ大臣行かれまして、私はどうしても大臣わかりませんのは、イランヘなぜあのような投資をしなければならないのかという、ちょっとそれがどうしても前々からわからないのでございますが、イラン石油化学を例にとりましても、アメリカの人質問題、この間の内戦のような状態、後ほど大臣からお話をいただけると思うのですが、イランのような情勢の中で、なぜ出て行かなければならぬのであろう。そして、なぜ商社が出て行くために国家的メリットと商社のメリットと、そのあたりに国の資金がそれぞれに流れておるわけでございますが、そういうことがなぜ行わなければならぬのであろう。アメリカの人質一つとってみても、とてもおつき合いができる国ではない。もう一つ、先般来のあの爆破事件前後の問題を考えましても、とてもとても日本のいまのこの治安のできておる国では想像もできない。そこへなぜ出て行かなければならないのであろうか。通産の領域の問題もございますので、ひとつお考えがございましたらこのことについてはお教えを願いたい、こう思うわけであります。  以上、時間ももうございませんので、大臣の外遊の十三日間の成果と、イラン問題もあわせてお答えをいただきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  101. 田中六助

    国務大臣田中六助君) 十三日間、具体的に申し上げますと、十二日から二十四日まで、IEAの会議と、これは第七回IEAの会議がパリで行われまして、エネルギーの会議でございます。それから第三回の日サ――日本とサウジアラビアの定期の会議、その二つに出席し、その間日米自動車問題と関連いたしまして、EC諸国が自動車その他洪水のようにどんどん日本の製品が向こうに行きますので、貿易のインバランス、そういうものの是正、非常に口やかましく言っておるので、それの鎮静化と申しますか、総理が先に参りまして、後は通産大臣が来るからということをずっと残していっておりましたこともありまして、その穴埋めと申しますか、その話し合いをずっとやってきたわけでございます。  IEAの会議は第一次、第二次オイルショックがあった。しかし、現在御承知のように石油は世界の需給関係が非常に緩んでおりまして、これは各国の節約あるいは代替エネルギーというような問題もあったでしょうけれども、全体に不況というようなこともあり、いろんなことが折り重なって、石油の需給関係が緩んでおります。したがって、今回のIEA会議は、昨年私が出席したときと違いまして、非常に緊張感が薄らいでおる。したがって、私は冒頭に発言いたしまして、第一次、第二次とあって、もうこれでいいというようなことじゃあるまい。石油関係というのはいつどういうふうにどうなるかわからないから、私ども消費国といたしましては、第三次がいつあってもいいような対処をしなくちゃいけない、もう少し緊張した態度が必要じゃあるまいか。したがって、具体的にはどうするか、それにはやはり備蓄というものを考えていく、備蓄があればまた消費国同士でそれを十分カバーできることがありますし、そういうことを強調いたしましたけれども結論として声明にはいろんなこと、そういうことを織り込んでおりますけれども、私の感じでは非常に緩やかな緊張感の薄い会議であったというような気がいたします。  それから、貿易のインバランスにつきましてのEC関係の十ヵ国でございますけれども、これはECのハフェルカンプ、あるいはダビニョン、トルソというような副委員長委員長あたりの連中と七時間にわたって私は会議を持ったんですけれども、これらのECのそういう本部では、EC十カ国を中心にやってくれまいか、つまり窓口を一つにした交渉態度をやってくれ。というのは、おまえの日本は、西ドイツ、あるいはベルギー、あるいはその他各個撃破しているじゃないか、それはひどいというわけですね。しかし、私は、それならばあなたのところは十カ国を一つに、非常に平たいようなことにしてくれなければ交渉のしようがない。たとえば自動車問題に例を引いてみましょう、イタリーは年間日本の車を二千二百台に抑えているんです。それからフランスは三%以下、イギリスは多少の話し合いはございましたけれども一一%以下、そういうふうに非常にでこぼこがある。これを一つの窓口にどういうふうにするんですと、あなたの方こそまあ顔を洗って出直せというようなことじゃないんですけれども、そういう私の気持ちがあったわけです。したがって、あなたのところがもう少しフラットにしたような形で持ってくればできる。しかし、私どもは特定の地域に集中豪雨的な輸出というものは、これからも気をつけましょう。むしろ、皆さんの国国の製品輸入、皆さんの国からインバランスをなくするためにどんどん輸入いたします。それには日本の国からの輸入ミッション、あなたたちのところからの輸出ミッション、あるいは製品を輸入するというディクレア――宣言をしましようというようなこと。それからフェア、つまり見本市を開こうというようなことなどを具体的に話し合ってまいりまして、かなり鎮静化されておりますと思います。しかし、それはあくまで私は表面的なことであって、まだ氷山の一角であとの下の方ではぶすぶすぶすぶすくすぶったものがたくさんありますので、実はサミットの今回のオタワの七カ国首脳会議でも私は心配になることばかりでございます。その点はまだまだ私どもの努力をしなければならない部分があるじゃないかというふうに思っております。  それから、日サの第三回定期会議は、私どもが石化の問題が日本の出資が五〇%向こうは望んでおったんでございますけれども、いろいろのことで四五%になって、しかしそれでも解決を見ておりましたので、非常にサウジアラビアとの会議はスムーズにまいりまして、御承知のようにサウジアラビアは日本が一番油を依存している第一の国でございます。したがって、これらの国々とは仲よくしなければならないということから、いろいろアプローチいたしましたが、非常に私は好結果を生んだんじゃないかと思います。  それから御指摘のイランの問題でございますが、これは日サとの関係はむしろほとんどないわけで、イランの三井の石油化学のプラントの問題でございますが、これはどうしてそう熱心なのか、イランの国情から考えてちょっとおかしいじゃないかという御疑問、確かに現時点ではそうでございます。昨年の九月のイラン革命と申しますか、内紛、それからイラン・イラクの紛争、そういうようなことで、もう世界の紛争地帯になっておるわけでございます。そこに日本のそういうプラントがある。これは御承知のようにそういう革命以前の約束で、八五%ぐらいでき上がっておるさなかで革命があり、そういう紛争があって、戦争があっておるわけでございまして、私どもは、これを国家プロジェクトにいたしたことについて御疑問があるようでございますけれども、これもサウジアラビアに次いでイランから私どもは石油を輸入しておりますし、石油依存度の大きな部分を占めておる国でございまして、向こうの方からこういうことをやってほしいということを言ってきて、それからそれはやはり民間会社だけでは、向こうの政府が非常に要求している安定度というようなことから、私どももナショナルプロジェクトに格上げをしてやってきたわけでございまして、これはイランに対してではなくて、まあ先ほど申しましたサウジアラビアもそうでございましょう。それからブラジル、アルゼンチンその他のいろんなところにナショナルプロジェクトというものはございますし、こういう国々がやはり大事な国である、しかも向こうが非常に熱望しておるというようなことで、こういう事態になっておるわけでございまして、私どもは戦争があっておるから、これをもうぽいと捨てるということは非常に簡単ではございますけれども、そういう国々、あるいは周辺の国々が日本の態度というものをながめておるわけでございます。どうするんだろうか、日本は簡単にそうしてしまうのかというようなこと、いろんなことを勘案するときに、私どもは慎重にやはり対処をしていかなければならないと思っております。しかし、こういう紛争が長引いたり、いろんなトラブルがいつまでもあるさなかで、いつまでもじんぜんと日を送るわけにはいきませんし、国家に対しても、国民に対しても私ども責任がございます。したがって、そういうものを勘案して、十分考えた上で対処しなければならないという考えは常に持ち続けておりますし、われわれもこれを等閑視しているわけじゃなくて、強い関心を持って検討していくということを現時点では申し上げておきたいと思います。
  102. 藤原房雄

    藤原房雄君 最初に現在進められております行政改革の問題について二、三お尋ねをいたしたいと思うんであります。  まず行政管理庁長官にお伺いするのでありますが、新聞の報ずるところでは、行政改革に伴います臨時国会、これが九月中にということもいろいろ言われておるわけであります。まあ閣議でのお話、断片的に入ってまいります報道しか私ども聞く機会はございませんが、現在この行政改革の進行状況の中から、行政改革のための臨時国会というものはいつごろ開けるような状況見通しを持っていらっしゃるのか。また、この臨時国会提出する法案、これもまあいろいろ論じられておりますが、二の法案の本数やまた法案の種類とか、こういう基本的な問題につきまして、現在閣議等で決まり、また話し合われている現状というものについてお聞きしたいと思います。
  103. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 先般政府与党連絡会議を開きまして、臨時行政調査会の第一次報告の取り扱いについていろいろ相談をいたしました。その際、答申を見た上でそういう諸般の御質問のような問題は決めることになるであろう、そういうことで意見は一致したわけでありまして、答申内容によりまして必要あらば臨時国会を開くことも必要であるかもしれぬ、いろいろ答申内容をいまのところ第一次の専門部会の報告等調べてみますと、法律改正を必要とするもの、あるいは予算措置でいくようなもの、あるいは閣議了解ということで行政ベースでやるもの等々のいろいろなものがどうも出そうだと、そういうような情勢も踏まえまして、いずれもし国会を開く必要があるという場合には、与党並びに野党のいろいろなお考えも踏まえてやらなければならぬことでありますので、一応はそういう必要があろうという心組みで進むと、そういう状態で十日の答申それ自体を待っておるという状態でございます。
  104. 藤原房雄

    藤原房雄君 十日の答申、その後に判断するということのようでありますが、この行政改革につきましては、私ども公明党も賛成をいたすところでありますが、行革を口実といいますか、こういうことで福祉とか教育、こういうものが削減されるということには反対の態度を示しておるわけであります。国民がこの行政改革に期待しているところのものは、国民の血税のむだ遣いを省けということであり、肥大化しました官僚機構というものを合理的な効率的なものに改める、こういうことが基本にあるんだろうと思うんでありますけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  105. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 行政改革につきましてはいろいろな理念がございますが、当面緊急措置として取り上げられておりまする考え方の中には、簡素にして効率的な政府をつくる、そういう面からも行財政の肥大化した部分を簡素にし、効率化するという考えが出てきておりまして、そういう面のいろいろな対策が講ぜられていると思います。  その趣旨の中には、御指摘のように、税金を大切にしなければならない、乱費を許してはならない、そういう基本的な考えが貫かれておることも御説のとおりでございます。福祉、教育の問題につきましても、いま臨時行政調査会でいろいろ検討されておるところでございますが、適切な措置が勧告されるであろうと期待されております。
  106. 藤原房雄

    藤原房雄君 どういう立場の方々も行政改革に反対の方はいらっしゃらないわけでありますが、総論賛成各論反対ということがよく言われるわけでありますが、当面予算編成ですね、こういうものが絡んでまいりますと、いろいろな議論が出てくるわけであります。  歳出の削減という大命題の中にあって、いまいろいろな議論が沸騰しているわけでありますが、予算上の問題で、歳出削減案というのは、やっぱり政府がイニシアチブをとりまして予算案をつくり、それを国民のサイドからいろいろな論議をする、この予算というものにつきましてはそうでなけりゃならぬと思うんです。臨調がこういうふうに言っているからということで、臨調を隠れみのにして使うようなことがあってはならないというようなことが識者の間にも言われておりますし、私どももまた今後の来年度の予算編成に当たりましては、非常にそういう点を危惧をいたしておるわけでありますけれども、歳出削減、このことにつきましてはやっぱり政府が責任を持ってこの予算をつくるべきであり、臨調を絡らませて、そしてそれを隠れみのにするようなことがいささかもあってはならないと思うんでありますけれども、いかがでしょうか。
  107. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 臨調というものを隠れみのにするという考えは毛頭ございません。国民の皆様の御納得を得る適切な簡素にして効率的な政府をつくるためのいろいろな諸施策が各方面に具体的に勧告されると、そういうことを期待しておる次第でございます。
  108. 藤原房雄

    藤原房雄君 いまの問題については、大蔵大臣いかがお考えでしょうか。
  109. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 私もさよう考えております。
  110. 藤原房雄

    藤原房雄君 時間もありませんので、次に進みたいと思います。  私は、環境緑化事業ということについてお尋ねをしたいと思うんでありますが、緑化事業には各家庭の生けがきに始まりまして、街路樹とか、都市公園、森林等の国土緑化等の非常に幅広い意味が含まれているわけでありますけれども、そこで、きょうは公共性を有する都市緑化事業、この問題にしぼってお尋ねをしたいと思うんであります。  いまさら申し上げるまでもなく、この緑は国民の健康を取り戻し、また都市防災、暑い寒いを調節する気象の緩和等、多様な機能、効果は広く知られているところであります。したがって、国も自治体も民間も、都市緑化を推進しているわけでありますが、この都市緑化事業について、まず大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  111. 斉藤滋与史

    国務大臣(斉藤滋与史君) 昨今の都市化現象が起きている中で、緑化問題について取り上げていただきましたことを、むしろお礼を申し上げる次第でございます。と申し上げますのも、いささか昨今の都市化現象を急ぐ余り、地域住民の方々が緑化問題についてこのところ寒心――心を寒くするような状況が起こりつつありますので、何とか私たちも所管する問題については、たとえばマスタープランの策定等々を示して、地方の都市において緑化問題に取り組むように、いささか指導をいたしておるわけであります。わけてもきょうは都市緑化のことについて中心にということでございまして、昨今のように災害を考慮した緑化という面と、先生おっしゃった生活環境をりっぱにするという緑化問題と、私たちの健康を守る緑化と、いろんな総合的な意味合いから、この問題は進めていかなければならない問題ではなかろうかと思います。したがいまして、国民意識の高揚をいただきながら、何とかいろんな面でプラン等を策定して指導してまいるというようなことで心組んでおるわけであります。特に、都市公園の整備、あるいは緑地保全、あるいは道路周辺の問題、あるいは公共公益環境の整備というようなことは、いませっかく取り組んでおるわけでありまして、基本的には恐らく先生のお示しするであろう方向で、これからも前向きで緑化問題については取り組んでまいる所存でございます。
  112. 藤原房雄

    藤原房雄君 都市緑化事業の実施官庁というのは建設省が中心になるだろうと思います。まず、基本的な認識といいますか、把握についてお尋ねをするわけでありますが、緑が人体に及ぼす効用ということについては、研究報告がたくさんあるわけでありますが、緑の豊富なところでは、緑の乏しいところに比較して、一・五倍から二倍近く早く疲労が回復をすることは実験の結果からも明らかにされております。また、都市緑化は都市防災、気象緩和にも非常にその機能を発揮している、こういうことも実験の結果明らかになっておるわけでありますけれども、建設省といたしましてはこれらの問題についてはどのようにとらまえていらっしゃるか、お尋ねをしたいと思うんであります。
  113. 加瀬正蔵

    説明員(加瀬正蔵君) 先生御指摘のように、都市緑化の効果にはおっしゃるようなもろもろのものがございます。私どもといたしましても、良好な風致、景観を備えた生活環境を形成し、あるいは自然との触れ合いを通じまして、心身の健康の保持、増進を図り、豊かな人間形成に寄与するとともに、公害の緩和、あるいは災害の防止、おっしゃいましたような大気の浄化、水源の涵養、気象の緩和など、多くの効用があることを十分認識しておりまして、これらを踏まえまして、総合的な都市緑化施策を推進しているところでございます。
  114. 藤原房雄

    藤原房雄君 いま申し上げたことでありますが、さらに気象緩和ということが最近言われておるわけであります。こういう観点からしまして、特に北海道とか、東北等の寒冷地帯では、寒風をやわらげることによって気温も上昇し、身体に感ずる温度はさらに大きく違ってくる。北海道とほぼ同じ気象条件にあるアメリカのカンサス州の防風帯による家屋保温の実験、これによりますと、枝葉が密生する防風帯が完全であれば、三五%から四〇%もの冬の暖房燃料が節約できる、こういうことが報告をされておるわけであります。こういうことも含めて緑化事業を推進しなければならない。  先ほど建設省からもお話ございましたけれども、気象緩和という観点につきましても、建設省では十分に御理解いただいていると思いますが、いかがでしょうか。
  115. 加瀬正蔵

    説明員(加瀬正蔵君) おっしゃいますように、緑化事業を行うに当たりましては、そういった気象緩和の機能を含めました植栽の目的、立地条件、あるいは所要経費等につきましては、十分検討をまずいたしますとともに、御指摘のとおりに、もろもろの古くから人々に伝えられておりますような、生活の知恵ともなっているような樹林の持つ気象の緩和効果、あるいは防風効果、こういった機能を十分に勘案していくことが望ましい、かように考えております。
  116. 藤原房雄

    藤原房雄君 このように、都市防災とか、気象緩和という効用から見ますと、北海道や東北地方での現在の植栽内容については、落葉樹がほとんどということで、ところどころに針葉樹が使用されておる、こういう植栽状況ということで、これは考えなければならない一つの大きな問題だろうと思います。落葉樹では寒風を緩和する効果はきわめて少ない。また、針葉樹は火に弱い。  建設省にお尋ねするんでありますけれども、都市緑化用の樹木の選定ということについては、樹木の種類もさることながら、樹木の持つ特性、それから機能が、たとえば火に強いとか、寒さに強いとか、乾燥に強いなど、重要な選定基準になるんだろうと思うんでありますけれども、こういう樹木の特性、機能、こういうものについてはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  117. 加瀬正蔵

    説明員(加瀬正蔵君) 都市緑化用の樹木の選定についてでございますが、植栽の目的とあわせまして、立地条件とか、あるいはおっしゃいますような樹木の特性、それから植栽後の管理、あるいは樹木の供給体制、こういった点を総合的に勘案いたしまして、こういった条件に適した樹種を選定する必要があると考えております。
  118. 藤原房雄

    藤原房雄君 建設省にお尋ねするわけでありますが、植栽工事等の失敗で枯れるものは、植栽後保証期間のおおむね一年間ぐらいで枯れる、こういうふうに言われております。植栽された場所の気候、風土の条件等に耐えられないで枯れる樹木は年々衰弱し、植栽後四、五年で枯れると言われている。弱いものといいますか、そういうものは大体は、枯れ保証期間というのは一年あるわけですけれども、その間に大体枯れるんですけれども、条件等に合わない弱いものは、植栽後四、五年の間に枯れるものが非常に多い。たとえば、樹木には、植物の分類学上は同一樹種であっても、暖かいところで自生した樹木と、筑波山以北から青森県地方までに自生した樹木では、その樹木の耐寒性においては五度Cからの差がある、このような研究結果が言われておるわけです。これは常緑樹においては特にそういう傾向が強い、暖かいところで生産されたものは、いかに寒さにならす養生をしても、限界には差がある、同じ樹種であっても、暖かいところで育てたものを寒いところへ持ってきましても、どうしても育たない。その自生した樹木の育成した場所に非常に大きく左右される、暖かいところに育ったものを寒さにならさせるようなことをしましても、どうしても限界がある、こういう研究の結果も発表されておるわけであります。  このような樹木の特性が十分チェックされないで植栽されていることから起こる枯損は非常に多い。建設省のいろいろな予算の中でこの枯損率、また枯損というものがどういうふうに計算されているか。また、会計検査院でもいろいろなことが検討されたことも私どもお聞きしておるわけでありますけれども、樹種が同じでありましても、その育てたところ、自生したところがどこかということが非常に大きな影響を持っておるわけであります。同種の樹木で形体的にはよく類似している、見分けがたいというものであっても、寒さや乾燥など悪条件に対しては、その耐性において、どこで育ったかということによって非常に大きな差異がある、こういうことについてもいろいろ研究発表がございますし、そういう事実についても担当の方については十分に御理解をいただいていると思うのでありますが、このように樹木の特性は、その樹木の発生の段階で決定されてしまっているものでありまして、その植栽系統のチェックがその樹木の特性を把握する重要なポイントになる、どこで生まれたのかということが実は大事なことで、同じ種類の木だからどこへ植えてもいいということにはならないんだということがいろいろな研究の結果明らかになっておるわけであります。  しかし、現行の植栽については、その企画によりますと、このような配慮が何らなされない。しかも、それらの契約書では保証期間が一年ということになっておるわけでありまして、植栽後数年を経て枯損等生ずるものについては対応できないような現行の制度といいますか、それは今日までそういうことでやってきておるわけであります。植栽に当たっては、このような樹木の特性を明確に使い分けて行わなければ、事業の質的な向上というものは図られない、このように思うわけであります。  こういう点については、今日まで都市緑化に携わってまいりました建設省としましても、十分にこういう問題について研究結果を初め、今日までの施行の中でお考えがいろいろ討議されたと思うんでありますけれども、こういう樹木の特性ということについては、どのようにお考えになり、また、今後の対処についてはどういうふうに御検討なさっていらっしゃいますか、お伺いをしたいと思うんであります。
  119. 加瀬正蔵

    説明員(加瀬正蔵君) おっしゃいますように、植栽樹種の選定に当たりましては、同じ仲間の樹木でありましても、樹種ごとに一般的な特性あるいは植栽地の自然条件、土壌条件等への適性、あるいは一般的用途、それから移植する場合の時期の問題、流通状況の問題、価格等、こういった諸条件を勘案いたしまして最も適切なる樹種、こういうものを選ぶようにかねがね努力しているところでございます。したがいまして、植栽工事の発注に際しての植栽樹木の樹種の指定に当たりましては、たとえばツツジの場合にはオオムラサキツツジ、ヒラドツツジ、サツキツツジ、キリシマツツジというように、なるべく細かく区分いたしまして、気候、風土等に適切な樹種が選ばれるように心がけているつもりでございます。なお、枯損等の問題につきましては、天候いかんで非常に何といいますか、危険負担の多い事業でもございますので、こういった点につきまして、今後とも、たとえば損害保険に付する方途、その他を含めまして十分に検討していきたい、かように考えております。
  120. 藤原房雄

    藤原房雄君 私の申し上げておるのは、樹木の特性というものをよく熟知した上で対処しなきゃならぬということであります。暖かいところで育てれば成長も早い。同じ種類の木でありますと、成長の早いところで育てる方がいいに決まっています。しかし、そういう暖かいところで育ったものは、寒いところで植えましても、同じ姿、形をしておりましても、それは寒さには耐え得ないという、差があるんだという、こういう研究結果があるわけでございますので、その点を十分に配慮をした上での今後の施策というものを考えるべきではないか。これは業者にとりましては、一年間の枯損保証期間というのがあるわけでありますから、自然条件の厳しい中でのことでありますから、なかなかこれは自然条件のためなのかどうなのかという判定というのはむずかしいし、またお仕事をなさる立場上非常にこれは困難な問題だろうと思います。しかし、樹木の特性というものを十分に配慮をせずして今日までやっておりましたことに対しまして、当然これはそういう研究結果が出た以上は十分に配慮をし、少しでも枯損率を少なくするということは、国政上もまた重要なことだろうと思うわけでありまして、建設省でもそういう点についてはいろいろ御検討なさっていらっしゃるようでありますが、そういう点の配慮を十分にするべきであるということを私は申し上げているわけであります。  それで、会計検査院にお聞きいたしますが、いまいろいろお聞きのとおり、都市緑化というのは今後の重要な課題でありますが、都市緑化に使用される樹木の選定、流通にはいろいろと問題が指摘されておるわけであります。たとえば植栽し、枯損を出してしまう。国費による都市緑化の樹木は種々の悪条件下にも耐えられる樹木を使用し、枯損率を少なくする、こういうことに努力をするようにしなければならない、こう思うのであります。いままではそういうことについては、同じ樹種、同じ種類の木であれば、それがどこで育ったのかということも十分に勘案せずしてそういうものが使われ、結局それが枯損率の増大を招く。枯損のために負う国の負担というものも非常に大きい。会計検査院でもいろいろ調査をなさったことがあるようでありますけれども、こういう問題については、これから都市緑化というのは推進しなければならない大事な施策だろうと思いますけれども、それに伴いまして今後の会計検査院としての枯損というものに対してのお考えをお聞きをいたしたいと思うのであります。
  121. 坂上剛之

    説明員(坂上剛之君) お答えいたします。  都市緑化のために植栽いたしました樹木は、先生御指摘のように、数年足らずして枯損いたしまして、所期の効果を上げていないというようなことを聞きまして、はなはだ遺憾に存ずる次第でございます。こういう事例が生じておりますその原因といいますか、いま先生御指摘のように、樹木の選定、あるいは流通等に問題があるやにお聞きいたしましたけれども、先生の御指摘もありますので、今後の検査に当たっては十分注意してまいりたいと思っております。
  122. 藤原房雄

    藤原房雄君 林野庁にお伺いをするわけでありますが 大きな意味での国土緑化ということになりますと、これは林野庁が関係をするんだろうと思います。港湾とか、道路とか工場、こういう都市緑化につきましては、建設省とか、通産省とか、こういうところが担当するようになっておると思います。したがって、都市緑化用の樹木の研究開発、こういうことについては建設省が担当し、樹木の生産農家に対する養苗技術の指導、こういうことについては林野庁が担当するというふうに理解をするのでありますが、この辺はどうでしょうか。
  123. 小島和義

    説明員(小島和義君) 緑化木もその生物的な特性なり、あるいは生産形態から見ますと、林産物とか、あるいは農産物という範疇に入るものでございますので、私どもの農林水産省の方でその生産の指導なり、あるいは流通面の指導なりをする、こういうたてまえになっておるわけでございます。また、お話にございましたように、都市緑化とか、工場緑化ということになりますと、それぞれ建設省、通産省というところの所管になるわけでございまして、当然需要官庁としてそれぞれの使い道に応じまして、必要なものの選定に当たられる、そのために必要な研究をなさる、場合によりましては私どもの方なり、あるいは生産業界そのものに対して直接的に御注文なり、御指導があるということもあり得るわけでございます。したがいまして、各省またがって対処しなければならない面が多々ございますので、そういう分野につきましては、各省力を合わせて対処していく、こういうふうな進め方をこれまでもいたしておるわけでございます。
  124. 藤原房雄

    藤原房雄君 各省にまたがる部門が多いといいますか、私どもは常識的に考えますと、緑化木というのは、これは林野庁が主体になって推進するんだろうと、こういうふうに考えるわけでありますけれども、実際都市の緑化用の樹木等についての研究とか、開発とかというのは、建設省が実際やっていらっしゃる。こういうことで、林野庁としましては、樹木の生産農家に対する養苗技術の指導とか、こういうことについてはいろいろ指導なさっているんだろうと思います。それの流通とか、現実的にそれが必要性がある中で、生産、研究開発というか、こういうことを都市緑化の樹木についてしなければならない立場にあるのは建設省であって、実際、林野庁の立場と建設省の立場とは、具体的には、行政上の交差する点はもちろんあるだろうと思いますけれども、やっぱり建設省が独自に樹木の研究開発やいろんな問題についても進めており、これは決して林野庁としても無関係なことではないのかもしれませんけれども、いろいろな研究の経過についてはお互いに資料を持ち寄ったり、またいろいろなことの話し合いもあるのかもしれませんが、いずれにしましても、これは林野庁の分野というのは、建設省が実際使用する立場という観点からしますと、系列的には林野庁の手を離れた立場で建設省がいろいろ研究開発に取り組んでいるというふうな形にはなりませんか。
  125. 小島和義

    説明員(小島和義君) その点はおっしゃるとおりでございまして、需要官庁のお立場で、使い道なり、あるいはその使う場所に応じまして、どういう樹種が適当であるかという御判断をなさり、あるいはそのために必要な研究をなさるということは当然あってしかるべきものと考えております。
  126. 藤原房雄

    藤原房雄君 建設省も都市緑化に対する研究開発とか、こういう問題については、今日まで実際に進めてきておるわけでありますけれども、現状、都市緑化の研究開発、そしてまた需要にどう対処するかというようなことの中では、こういう立場としましては、今日までいろいろ対処してきておるわけでありますけれども、これはやっぱりいま私が申し上げたようなことだろうと思いますが、どうでしょう。
  127. 加瀬正蔵

    説明員(加瀬正蔵君) ただいま林野庁からも御答弁がございましたように、私どもといたしましては、都市緑化事業を進めるという立場で、おっしゃいますようなことについての研究もさせていただいているわけでございます。私どもといたしましては、都市公園整備五カ年計画を初めといたしまして、都市公園のほかにも、あるいは道路、河川、下水処理場、そういった公共施設の緑化、あるいは緑地保全地区、あるいは保存樹林等の都市内の緑地の保全を推進すると同時に、市街地の半分ぐらいがいわば民有地でございますので、そういった緑化の指導をするという立場もございまして、街路樹等公共用樹の育成の指導等につきまして、建設省という立場で都市緑化全般に関することも勉強させていただいているわけでございます。
  128. 藤原房雄

    藤原房雄君 建設省では、本年の四月ですか、公共用緑化樹木の品質、寸法、規格基準、こういうものを発表されましたですね。こういう基準を設けるに至りましたその趣旨とその中身について、その背景とか、それらのことをまとめてひとつ御説明いただきたいと思います。
  129. 加瀬正蔵

    説明員(加瀬正蔵君) 先生おっしゃいました公共用緑化樹木の規格というものが、本年四月に建設省から発表されたわけでございますが、この基準は、都市緑化のための公共用緑化樹木のうち、わが国で最も一般的に用いられている樹種につきまして、その品質、寸法、規格基準を決めまして、各種公共施設緑化事業の適切な執行を図ることを目的としているものでございます。この基準の内容は、具体的には木の形、樹形、それから生育、病虫害等十二項目のチェックポイントよりなります品質規格と、それから樹高、幹回り、枝張りの三項目の寸法規格とで成り立っておるものでございます。この基準は、現在一部樹種六十七種につきまして申し上げました品質、寸法の基準化を行ったものでございまして、地域あるいは計画上の特性によって、これ以外の樹種、あるいは寸法規格の仕様というものが必要である場合には、当然そういったものをお使いいただくことを妨げるものではございません。なお、今後も必要に応じまして、樹種あるいは規格について、適宜追加的な改定を進める方針でございます。
  130. 藤原房雄

    藤原房雄君 この公共用緑化樹木の規格、こういうものが制定されたということは、都市緑化事業に適した樹木の選定ということからいたしまして、確かにそれなりの一歩前進といいますか、そのように思うのであります。しかしそこで、先ほど私も申し上げましたが、樹木の有する機能とか、特性、こういうことも、これはことしの四月いろいろな必要性の中から、この規格という、基準というものを設けたわけでありますから、あすにあさってにということではないんですけれども、先ほど申しましたように、姿、形は同じでも、それがどこで生まれ育ったのかということが、植えるところが寒さとか、いろいろな特性上大きな違いが生じてくるということ等も考えあわせますと、樹木の有する機能、特性、こういうことも選定の基準となるように、検討を加えるべきではないかと私は思うのです。さらに、今後都市緑化に必要な樹木の開発、あるいは発見された場合には指定樹木に指定する、こういうこともなければならないと、こう思うんでありますけれども、その間のことについてはいかがお考えでしょうか。
  131. 加瀬正蔵

    説明員(加瀬正蔵君) おっしゃいますように、樹木の有する機能、特性につきましては、先ほどから御指摘のように、すでに諸研究機関で明らかにされておるわけでございます。またそういった選定を通じて、枯損が少なくなる等のメリットもあるわけでございます。したがいまして、公共用緑地樹木の選定に当たりましては、樹木の機能とか、特性に配慮するよう指導し、従来からも普及を図っておるつもりでございます。  なお、この基準につきましては、現在一部樹種について基準化したものでございまして、対象樹木につきましては、やはり全国的に流通するようなもので、今後需要が広がるというようなものがあれば、適宜追加を検討してまいりたいと、かように考えております。
  132. 藤原房雄

    藤原房雄君 いま御答弁あったわけでありますけれども、優秀な樹木等が開発された場合には、たとえば林野庁では林業種苗法がございますね。それから農水省では種苗法、こういうふうにございまして、それぞれ制度化しているようですが、その開発者の立場を保護し、その品種の重要な特性が損なわれずに生産され、あわせてその普及がなされるよう建設省は積極的に取り組み、より優秀な樹木の開発を推進するということが必要ではないかと思うんでありますが、これは種子というのは、樹木に限らず非常に重要であり、その開発が世界的にもいろいろ取りざたされ、進められていることは周知のことでございます。南北に長い日本列島の中で、それぞれの地域に適した優秀な樹木というものが開発されることは望ましいことでありますけれども、そういうことで、これからもまたいろいろな樹種につきまして研究開発をされるでありましょう。そういう中でやっぱり開発なさった開発者の立場を保護するということや、その品種の重要な特性が損なわれずに生産される。そしてまたそれが普及される、こういうこと等についても十分に今後も配慮を払わなければならないのではないかと思います。これは緑化事業を推進する立場にあります建設省としましても、こういう優秀な樹木の開発、こういうものについてのより強力な推進というものが大事になってくるのではないかと思うんですが、どうでしょう。
  133. 加瀬正蔵

    説明員(加瀬正蔵君) おっしゃいますように、各種公共施設の緑化に優秀な公共用緑化樹木というものが当然必要でございますので、おっしゃいますような開発がなされることは、私どもとしても当然望ましいわけでございます。したがいまして、その生産及び育成等につきまして、関係業界等を積極的に指導してまいりたいと、かように考えております。
  134. 藤原房雄

    藤原房雄君 お聞きのように、この都市緑化というのは、都市の防災とか、気象緩和、こういうことによります省エネルギー、それから大気汚染、騒音、こういうものの公害防止、さらには人体の疲労回復、こういうものに大きな効果があるということがそれぞれ研究者によって発表されております。また周知の事実でもあるわけでありますが、先ほどどなたかのお話にもございましたが、人体にとって疲労回復は十分でない。またそれが蓄積される。そういうことによって、健康上いろんな悪影響がもたらされ、さらにまた精神的ないろいろな病気を引き起こす、そういう一つの大きな要因にもなる。緑の効用といいますか、こういうことがいろいろな角度から論じられておるわけであります。特に、昭和四十年代以降の都市は、人口急増に伴いまして、近代的な都市化というものが急速に進みまして、緑が著しく失われてきたことは御存じのとおりです。こういう国民の健康とか、都市生活の安定性、こういうものを取り戻すためには豊富な緑を確保しなければならない。こういうことは私が長々申し上げるまでもないことだと思います。  こういうことからしまして、この都市緑化樹木等につきましてはいままでの既成概念を大きくひとつ打ち破って、新しい視点でこれは見ていかなければならないと私は思うのです。公共用地のみではなくて、各家庭でも生けがきの植栽を積極的に奨励をするとか、公共性の高い樹木を植栽させ、その生けがきに要した用地、面積、こういうものに対して税制的な優遇措置を講ずるとか、また生けがきの植栽に要した植栽費用に対しましても税制的にもうまく優遇措置を講ずるとか、こういうことで都市の緑を確保していく施策を積極的に進める必要があろうと思うのであります。こういうことから考えますと、建設省もいろいろ都市緑化の推進のためには、税制も含めていろんなお考えがあろうかと思いますが、私ども地方自治体でいま行っておりますこととか、また現状の現制度の中で見ますと、地方自治体につきましては、固定資産税の面でこれは何とか対処はできないものか。固定資産税の免除、こういうようなことでこういう施策については推進ということの一つの方策として考えられないか。また大蔵省につきましては、植栽費等について雑損控除の対象というような形で見れないかどうか。雑損控除ということが適当であるかいろいろ議論があろうかと思うんですが、いずれにしましても、自治省では固定資産、また大蔵省としましては雑損控除ということに当たるか、まだほかのまた税体系の中で何か見られるか。自治省、それから大蔵省、それぞれの立場で都市緑化推進のための、税ということから見ますと非常に厳しい環境の中にありますから、これは一遍にそんなことはできませんということになるかもしれませんが、先ほど来申し上げておりますように、都市緑化のもたらす効用というものが、非常に省エネルギーの上から、また人の心に及ぼす問題の上からいきまして、非常に大きな公共性を有し、そして大事なことだということの上から、これを推進するという立場で、こういう問題についてはそれぞれどのようにお考えになっていらっしゃるかということと、それから建設大臣には総括的に税控除も含めて、今後の都市緑化推進のために、どのような推進策というものをお持ちになっていらっしゃるのか、自治省、大蔵省、それから建設省、それぞれお考えを承りたいと思うんであります。
  135. 関根則之

    説明員(関根則之君) 生けがきの敷地につきまして固定資産税の免除は考えられないかというお話でございますけれども、御承知のように固定資産税というのは、市町村の財政を支えるきわめて重要な基幹的な税目でもございますし、市町村の行政に要する経費を広く住民に負担をしていただくための税でございますので、これの減免に当たりましては、負担の公平の観点から慎重に考えていかなければならない問題でございます。具体的の問題につきましては、実際に敷地、宅地はいろいろな形態のものがございますが、中には敷地が小さいために、必ずしも生けがきを植える余地のないような敷地もあるわけでございます。そういったものとの負担の公平等の問題を考えますと、この問題は実際問題としてなかなかむずかしい問題であるというふうに私どもは受けとめております。
  136. 矢澤富太郎

    説明員矢澤富太郎君) 税制上の措置でございますが、まず雑損控除制度の対象になるかならないかという点でございますが、雑損控除制度は御承知のように災害、盗難、横領等によりまして、生活用資産について損失を受けた場合、あるいは災害に直接関連して支出された費用があるという場合に、納税者の担税力がそれだけ減ってしまうということを配慮いたしまして、一定の金額以上のものについて控除を認めようという制度でございます。したがいまして、御指摘のような都市緑化促進のための植栽費用、これをなかなか雑損費用の対象とするということはむずかしい問題であろうかと思います。  もう一つ、ある政策目的を推進するために、税制上の配慮を加えるという意味では租税特別措置の制度があるわけでございますが、これは緊要性の問題いろいろ御要望がございます。そういった緊要性の問題でございますとか、効果の問題、あるいはそのときどきの財政事情の問題、こういったものを配慮して、総合的に検討すべき問題ではございますが、最近の事情から申し上げますと、大変厳しい財政事情のもとで、毎年租税特別措置の厳しい見直しを行っておりまして、そういった環境のもとにおきまして、租税特別措置の新設、拡大、原則として認めないというような状況にございますので、なかなか税制面で御要望にこたえるのは困難な状況にあるということを御理解いただきたいと思います。
  137. 斉藤滋与史

    国務大臣(斉藤滋与史君) 都市緑化につきまして、非常に御卓見を伺っておりまして、本当にありがたい限りでございます。なお総括的に御意見をということでございまして、先生御指摘を待つまでもなく、都市化する中における緑化問題は、先ほど来先生おっしゃっておられますように、気象の緩和、あるいは健康保持、防災の問題、あるいは海洋資源の問題、諸環境の整備というありとあらゆる問題で意義の深い問題でございますので、われわれといたしましては、もちろん御指摘のような樹種の研究等を考えながら、何とか緑化運動を進めてまいりたいと、このように考えているものでございます。したがいまして、関係省庁とよく連絡をいたしまして、最もよい樹種等を選びながら、民間の御協力をも得て、この問題について前向きで進めてまいる所存でございます。  なお、都市計画審議会からも答申をいただいております固定資産税の問題等々につきましては、いま所管庁からお話がありましたので、私からは割愛させていただきます。  とにもかくにも協力をして、御心配の向きにならないように、都市化する環境整備のための緑化について、今後とも強い指導、もちろんみずからもって強力に推進してまいる所存でございます。
  138. 藤原房雄

    藤原房雄君 この緑化問題については渡辺大蔵大臣が農林大臣のとき一回予算委員会でちょっとお話申し上げたことがあるんです。農林大臣を経験でありますから、こういう農林省全体の中でも林野行政、またこういう緑化問題についても非常に御関心を持っていらっしゃったことだろうと思いますし、まただれの心にもこの緑化事業の推進ということはあることでもございます。特に農林大臣経験者としては、そういう問題については、ほかの経験のない方からしますと、大きく心の中には抱いていらっしゃると思うんですが、何せこういうことを進めるに当たりましては、財政的なことがどうしてもふりかかってくるわけであります。これも先ほど申し上げましたように、人体に及ぼす影響や、それから気象緩和とか、寒暖の差とか、いろんな問題等を考えますと、現在も工場における省エネルギー対策ということで、いろんな施策が行われておりますけれども、個々の家庭とか、都市全体とか、こういう総合的な見方でそういう問題に取り組んでいこうという考え方がないわけでありまして、機械の効率化という、そういう機器の効率化ということによっての省エネルギー対策というものは、目に見えてそういうものは効果をあらわす。樹木は年数がたつ。こういうことでなかなか効果というものについての判断というのは時間を要するということで、どうしても二の次、三の次になるんだろうと思います。私は何も税制面だけで云々しようということじゃございませんが、いま建設大臣が強い決意を申されておりましたように、非常に大事なことでもあります。この推進のためには財政的なものも当然かかわってくるわけでありまして、十分な深い理解の上に今後の都市緑化というものについても、ぜひひとつ大蔵大臣もいろんな角度から御検討いただきたいものだと、強い理解者の一人として推進方をお願い申し上げたいものだと思いますが、いかがでしょう。
  139. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 私も緑化事業は非常に重要だと思っております。しかし、これは財政負担をかけなければできないということでもございませんし、林野庁あるいは建設省の中でその重要性がわかれば、その順位に従って、既定の予算の中で何かできないか、また、国民運動としてやってもいいことでございますから、各人の庭に木を植えることは別に金を出さなきゃ植えないというはずでもないし、私はやっぱりそういうようなことは、国民の生活水準が高くなると、ひとりでにやることでもございますが、何かそこにちょっと、火のところへうちわであおぐようなことを何かできないかどうか、それぞれの官庁考えてもらいたいと思っております。
  140. 藤原房雄

    藤原房雄君 それは会計検査院でも大々的な調査はない、局部的な調査かもしれませんが、都市緑化に使われた樹木の枯損率というのは非常に高うございまして、建設省の予算の中にも都市緑化のための予算というのは相当な金額に上るわけであります。先ほど申し上げましたように、同じ樹種でありましても、暖かいところで育てたものを寒いところへ、暖かいところで育てますと成長が早いですから、同じ形、姿をしましても寒いところに持っていきますとそれは同じようには育たないんだということを先ほど申し上げました。そういう研究結果もはっきりしておるわけであります。そういうことで最初の一年は保証期間があるわけでありますが、その後にやはり枯れるものが非常に多い、その金額もある人の試算ですと、何百億、何千億という金額になるというふうに、これは本当に大変な国費のむだ遣いといいますか、大きな損失である、こういうこと等も考えあわせますと、当然これは先ほども申し上げました樹木の特性とか、いろんなことで、企図しなければならぬことの一つでありますし、また、これを推進するに当たりまして、お金がないからということではなくて、その実態をよく把握した上で、これを推進する道は、特別のこういう国費のむだ遣いということを極力省く施策をするならば、大きな財政負担なくして進める面もこれはあるわけです。これは会計検査院でどこか部分的ではありますけれども、調査した結果がございましたですね、建設省ですか。枯損率とか何か相当な金額になるということについては、ちょっと数字的にもこれ言っておかぬとならぬと思うんですけれども、金がない金がないという話ばかりで、どこか局部的なところで調査した結果だけでも結構ですから、どういう状況か、概略でもちょっと御説明ください。
  141. 加瀬正蔵

    説明員(加瀬正蔵君) 私ども、数年前に異常気象の際に、非常に枯損が多く発生いたしましたことがございまして、そのときに、全国的に非常に粗っぽい調査でございますが、調べた例はございますが、その数字ですとたしか五%程度の枯損率というふうに聞いております。
  142. 藤原房雄

    藤原房雄君 これは五%といったら大変なことです。いろいろな試算がございますから、何百億ということ、何千億というお仕事の中で、五%といってもこれは大変なことです。こういうむだ遣いの方は目を覆って、むだ遣いをいかに改善するかという努力なくして、新しい事業についてということじゃなくて、総合的にひとつこれはお考えいただきませんと、看板だけは緑の効用だけは高らかにうたいながら、現実的な問題になりますと進まないということになりはしないか、こういう行革がらみの中でこういう大事なことが片すみに押しやられることのないような配慮を私は各大臣にお願いをしたいと思うのであります。  時間もありませんから次に進みますが、いま申し上げましたように、都市緑化事業というのは運輸、通産、建設、文部、こういう各省庁にばらばらに分かれ、そしてそれぞれ取り組んでおるという現状です。各省庁間の調整を図って、都市緑化の本来の効果を発揮できるよう、総合的な立場から指導しなければならない、そういう中でむだを省くようなこともこれは行政改革の一つではないかと、こう思うわけでございますが、行政管理庁長官、先ほどからいろいろお聞きだと思いますけれども、都市緑化ということは各省庁にまたがっていることであり、それぞれに研究機関を設けてやっておるということであります。これらの総合的な調整ということについても、行政改革の大事なことの一つと思うのでありますけれども、どのように御認識なさっていらっしゃるか、また今後の取り組みについてもぜひひとつこれはお考えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  143. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 基本的に考えまして、私も緑化という問題につきましては、先生の御意見に非常に同感でございます。日本の社会の成熟度がこの程度までまいりますと、今度は緑化問題について本腰に力を入れる段階ではないかという気がいたしまして、これは個人にいたしましても、公共団体にいたしましても、手を相携えて真剣に考えなければならぬと思いますし、為政者といたしましても、それを刺激するような何らかの方法を検討した方がいいようにお話を承って感じた次第でございます。  それで、いろいろな各省庁が分かれておやりになっていますが、都市計画であるとか、あるいは臨港地帯であるとか・あるいは工場地帯であるとか、あるいはスクールゾーンであるとか、さまざまなところでさまざまにおやりになっておりますが、やはり一つの地区、地域というものを見ますと、統一的な計画のもとにおのおのがその自主性を発揮して、調和して行うということは、やはり大事なように思います。そういう点につきまして、行政管理庁におきまして、よく調べさしてみたい、そして改革すべき点があれば、改革するように努力してみたいと思う次第でございます。
  144. 柄谷道一

    柄谷道一君 行財政の改革は、私は単なる財政のバランスづくりの作業であってはならないと思います。政治的、社会的弱者や、地方自治体に対する振替であってもならないと思います。また、行財政の改革は、それ自体に目的があるのではなく、わが国の目指す国づくりの基本目標、ビジョンを実現するための手段であるという基本認識が必要であると思うものであります。いわば、政治哲学の再構築にも通ずる重要な課題である、このように認識をいたします。  ところで、第二臨調の第一専門部会の中間報告の中には、変化への対応、簡素効率化、信頼性の確保を前提として、その基本方向は国内的には活力ある福祉社会を実現し、対外的には国際社会に対し平和的に貢献することにある、こうしております。  まず行政管理庁長官としての基本認識及びこの第一専門部会の中間報告に対する評価についてお伺いをいたしたいと思います。
  145. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 第一専門部会の報告はいま臨調の本委員会において検討されておるところでございますが、第一専門部会の皆様方が非常に御苦心をなさって理念を御研さんになりました成果については敬意を表しております。そして行革というものはやはり主であって、財政再建というものはその枝であり、花である、そういう考えに立っていることは正しいと思いますし、それから今次七月十日答申の中に、やはり二年間かけてこれからやる仕事、今次行革全体でカバーすべき仕事、それをどういう段階でやっていくかというような展望もお書きなさるようなことでございますが、それは当を得たことであると思います。  それから、国づくりという意味の行革の点で、日本的福祉社会の建設と、それから国際社会に対する平和的貢献、そして活力ある国をつくっていく、そういう考え方は妥当ではないかと思います。
  146. 柄谷道一

    柄谷道一君 行財政改革に関する基本認識及びその理念がいま長官のおっしゃられたようなところであるとするならば、私はそれを実現していくためには、公務員のモラルの確立と、サービスの向上による行政への信頼性の向上、行政の簡素、効率化と、重点的な行政施策の展開、国と地方の適正な役割り分担と、地方分権の推進、官業に対する民間活力の積極的な導入、官民格差の是正、国民立場からの行政監察制度の強化といった諸原則に立って、肥大化した行財政の体質に抜本的なメスが入れられなければならない、こう考えますし、またそれを通じて、今後の行政が志向する方向、すなわち、たとえば急速な都市化に追いつかず、住宅、交通、環境などの行政が立ちおくれているのを取り戻す、高齢化社会への適応を急ぐ、また過度の中央集権を改め、地方分権を進める、さらに従来の縦割りで硬直的と批判をされております行政組織を、横翻りかつ機動的な組織に改めていく、そうした目的の実現というものがこの理念を達成する大きな中心に据えられなければならない、こう考えるのでございますが、重ねて長官の御見解をお伺いします。
  147. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) いま御指摘になりました諸項目はみんなおおむね妥当な対象である、そのように考えます。
  148. 柄谷道一

    柄谷道一君 それではそうしたお考えと、今回の中間答申関係、その位置づけについて、どう理解しておられるのかお伺いします。
  149. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 今回の中間答申は、仄聞するところによりますと、第一章で大体理念、体系等をまず考え、第二章で財政問題あるいは定員管理、機構問題等を考え、第三章で今後の改革の展望等を考えるやに仄聞しておりますが、そういうような構成でもし出てきた場合には、それぞれに従ってよくわれわれも検討してみたいと思っております。大体三部会が答申しまして、いま本委員会におきまして検討を加えているポイントや方向というものは、いま新聞でいろいろ報ぜられたところで読んでみますと、大体いいところへ行っているのではないかと、そのように感じております。
  150. 柄谷道一

    柄谷道一君 総論段階では行財政の改革に対する異論は全然出されませんでした。しかし、明後日臨調の中間答申がなされようというこの段階に至りまして、各論で相当の反対論が出ておることは長官承知のとおりでございます。  五月三十一日の毎日新聞の社説に、中曽根長官が、行政改革に反対する人は反国民的であるとの雰囲気をつくらなければならない、そう述べられて、総論賛成、各論反対を封じ込める姿勢を示されたことは聞き捨てならぬ発言である、行革に消極的な官僚を牽制したものとも受けとめられるが、しかし、官僚を抑え込むために行革論全般を封じ込め、批判者を非国民扱いにするような言動は戦前の言論断圧を想起させる、こういう社説が出ておるわけでございます。  私は、この臨調の中間答申を契機として、むしろ冷静で建設的な意見を闘わせる、そして国民の合意をつくり上げる、そこに臨調の答申を実現させるスタートが生まれるのではないか、こう思うのでございますが、長官のお考えはいかがでしょう。
  151. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 日本は民主主義国家でございますから、言論の自由もございます。表現の自由もございます。したがいまして、臨時行政調査会や、あるいは行政改革でこれから進められること、また、過去にやってきたこと等につきまして、いろいろ御批判が生まれたり、あるいは反対が生まれたり、あるいは痛いところを補いと言うということは自然なことで、それまで抑えるということはできないと思います。やはり長続きのするりっぱな改革というものは、国民の支持を得て初めて長続きのするものになり得るので、そういういろいろな御議論は、自然発生的なものについてはよく耳を傾けて、そしてよく話し合いをして、十分理解をして、そして自分たちの間違っているところは直すし、相手の考えの足りないところも直していただく。そういうことで忍耐強く説得と話し合いによって、最終的には解決していく。それで、大体皆さんがこの辺がいいだろうと思われるところがきたら、これは小異を捨てて大同についていただく。そういうことでないと実際は進まないだろうと思うのです。ただ、その大同というものが、筋の通らぬことや、あるいは著しく不当なことというようなことは絶対これは避けなければなりません。特に大事なことは、皆さんに公平かつ公正にすべてのことが行き渡る。恩典もいくし、犠牲もいく。そういうあり方が一番大事でありまして、そういう点を考えたならば、やはり小異を捨てて大同につくということは、最終的にはやっていただかぬと行革は進まない、こう思います。
  152. 柄谷道一

    柄谷道一君 私もその行財政の改革は何としても実現しなければならぬ大きな政治課題であると、このことに対して否定するものではございませんし、積極的な姿勢を持っております。しかし、このことに関して、私はこの毎日新聞の社説を読みまして、長官の真意がどうも曲解されているのではないかという感じさえ受けたのでございます。むしろ、予定されております行革臨時国会においては、冷静かつ建設的な意見をこの議会内で闘わせ、そのよきを取り大同につく、いわゆる超党派の姿勢というものをつくり上げていかない限り、この国家的大事業というものをなし遂げることはできない。こう考えておるわけでございまして、今後ともそのような姿勢に立ってわれわれの意見を主張してまいりたい、このことを申し上げておきたいと思います。  そこで、私は去る五月十一日、本決算委員会で増税なき財政再建のための行財政改革について質問をいたしました。  その際の政府答弁の多くは、第二次臨調の中間答申待ちという逃げの姿勢が感ぜられたわけでございます。内閣改造は行革臨時国会後の十一月と新聞報道されておりますので、本日御列席の大臣は文字通り行革を推進する責任者であろうと思います。その意味におきまして、時間の関係で全大臣にお伺いができませんが、本日御出席の大臣に忌憚ない御意見をお伺いしたいと思います。  まず、大蔵大臣でございますが、ただいま長官も公平、公正、これが行革を貫く柱である、こう述べられました。私は、増税なき財政再建を実現するために、歳入確保の施策を拡充する必要がある、これは論を待たないと思うのでございます。  経団連は四月三十日、財政金融委員会を開きまして、五十七年度予算に反映させる行財政改革案に対して意見を交換したが、その中で、増税なき財政再建はあらゆる税を対象としており、租税特別措置の企業減税の部分はすでに法人税収全体の二%弱まで減っており、おおむね整理は一段落しているので、これ以上の改廃は企業増税につながるとして、反対の態度を決定した、こう報道されております。  しかし、このことに関しまして鈴木総理大臣は、四月二十七日、首相官邸に大蔵省の主税局長を呼び、現行の租税特別措置を五十七年度税制改正で可能な限り整理するよう指示したと報道されております。まだこの内容については明らかにされておりませんが、大蔵大臣は、交際費課税の特例等の企業優遇税制や、医師優遇税制などの租税特別措置に対しまして、五十七年度予算編成に当たり、その是正措置を総理指示に従いとられる決意をお持ちか否か。なお、租税特別措置の中には、少額預金の利子の非課税や、住宅取得控除などの民生向けのものも含まれておりますが、これらも洗い直しの対象にするお考えをお持ちかどうか、この二点についてお伺いします。
  153. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 今回は増税のない財政再建をやろう。収入の方を先に出しますと、どうしても歳出の方が緩むということでございますので、私としてはまず歳出のカットを最優先として考えていただきたい。それから、公正、不公正と一概に申しますが、不公正なものがあれば、当然そういうものは別に行革でなくとも直していかなければならない。特別措置については、御承知のとおり、企業関係約二千億円、そのうちの八百億円以上は中小企業関係のものでございます。あと細かいものがいろいろごたごたございますが、金額は細かくとも、すでに目的を果たしておると思われるものや、もう長年月やっておるというものや、そういうようなものについては私はいつも見直しが必要だ。  医師税制の話が出ましたが、これは取るものは取ったけれども、出るものがそれぐらい出ちゃったということもこれも困る、両方の一それ以上出ても困るわけでございまして、三十数年ぶりに二年前に直したばかりだというので、いままでの姿勢としては当分手をつけないという姿勢であることは御承知のとおりでございます。  しかし、この問題は、これは医療法との関係もございまして、そういうようなものの中で全部普通と同じ課税方式をとるということになれば、開業医についても労務の提供と資本の提供とを分離して課税するという道を開いてやらないと不公平になるということも出てくるわけでございますから、一人法人というようなものについて、医療法を改正しても厚生省がやるという場合においては、私は、それは同調はしないとは申しておりません。したがって、総合的にそれらは検討さるべきものだ、そう考えております。
  154. 柄谷道一

    柄谷道一君 ただいま大蔵大臣は、不公平なものがあれば是正するにやぶさかでない、こうお答えになりました。  私は、昨年十月二十二日の決算委員会で、徴税面における執行体制の強化と厳正な所得の把握について質問いたしましたけれども、私は、税の不公平に対する国民、特に勤労者の不満はうっせきしているものと受けとめております。  たとえば、所得の種類別に納税者の割合を見てみますと、五十四年度でサラリーマンは約三千八百七十万人中その八〇%に当たる三千四十万人が納税者でございます。これに対して事業所得者は七百万人中三六%の二百五十二万人、農業所得者は百四十万人中の一五%に当たる二十一万人が納税者であるにすぎません。これは、家計調査などによります生活実態と大きくこの納税者の割合はかけ離れておる、こう思わざるを得ません。  また、国税庁の五十三年度分申告所得税調査によりますと、調査対象になりました十三万九千人のうち、九〇・七%に当たる十二万六千人が合計四千億円の所得をごまかしていた。正直に申告していた者は十人に一人という割合であると調査結果が出ております。  さらに、五十五年度の所得税収は、源泉分が前年度比一九・八%増加しておるのに対し、申告分は八・三%増にとどまっております。  このように挙げれば際限がないわけでございますけれども、クロヨンないしはトーゴーサンピン税制の矛盾がこれらの資料の中に浮かび出ていることは否定できないと思うのでございます。  これはサラリーマンの所得が一〇〇%捕捉され、源泉徴収され、しかも必要経費の申告も認められないのに対して、事業所得者及び農業所得者は申告に際して経費の控除が行われ、しかも収入や経費の経理操作が行われていることを物語るものであると思います。  私は、税の基本は公平の原則であろうと信じます。これを抜きに税収面からだけの税制論議がいつまでもまかり通るとするならば、現実の税負担の不公平はますます拡大をし、社会不安の温床にもなりかねないと憂えるものでございます。  アメリカにおきましては、内国歳入庁、IRSが特別チームをつくりまして、一昨年、個人所得税にかかわる無申告所得の推計研究、別名地下経済報告、アンダー・グラウンド・エコノミー・レポートを発表いたしました。  これによりますと、合法、非合法を含め、無申告者の所得が全所得の一五%にも匹敵する額であったと公表されております。  私は、このような実態を考えますならば、私は日本におきましても、この個人所得にかかわる無申告所得の実態把握のために、大蔵省としては本腰を入れてその実態調査に乗り出すべきときではないかと、こう思いますが、いかがでございましょう。
  155. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) 無申告者、それが脱税をしておるというものについては当然見つかり次第課税をすると、あたりまえのことでございまして、極力やらなければならないと思っております。ただ、その前提となるたとえばクロヨンという言葉は私はおかしいと思っているんです、これは。ヨンというのは農家のことを指しているんですね、普通は、そういう場合は。農業所得者が、申告が数の割合に少ないというけれども、これは脱税のしようがないんですよ。たんぼや畑を隠しようがない、現実の問題として。それから、米や何かの生産高についても大体把握できます。しかるに何で申告者が少ないかと申しますと、農家の八割近い者がすでに兼業所得者なんです。六八%ぐらいの者が第二種兼業で、実は勤労者にみんな入っているわけです。ともかくおじいちゃん、おばあちゃんが農業の名前になっておって一緒に暮らしておっても、娘や息子は学校へ行ったり、役場へ行ったり、農協へ行ったり、うちの中に一緒に暮らしておるわけですから、そういう者は実は生活としては一体で楽な生活をしておりますが、実は分類するとそういう人は勤労所得者になっていると、それが現実の姿でございます。出かせぎに行った人は日雇いの源泉徴収をちゃんと取られておるわけでございまして、これは私は実は余り賛成できない議論である。しかしながら、農家の方が総合所得が同じだとすれば、財産のない人よりも楽な暮らしをややしているということも事実。これはまあ家屋敷がもともとただで昔からあるとか、そういう点がございます。しかしながら、中にはごく一部おかしな者もそれはあるかもしれないから、それは目を光らしていきたい。それから、事業所得者についてはこれは一概に私も自信を持って全部一〇〇%青色申告でやられているというようにはなかなか断定できない面もございます。したがって、これらにつきましては、極力今後とも地方税その他の機構を充実していって、一方、納税道義の確立を図ってきちっとした申告を慫慂していきたいと。制度的には不公正なことはございません。問題は脱漏がどれぐらいあるかというところに問題があるわけでございますから、これは極力執行面においてカバーしていきたいと。また、アメリカの歳入庁のやっているやり方等については十分参考にしたいと思いますが、事務当局から技術的な問題なので答弁をさしたいと思います。
  156. 吉田哲朗

    説明員(吉田哲朗君) 御質問のあったアメリカの内国歳入庁が、一九七八年に所得の捕捉問題につきまして、総合的な研究を行ったということは私ども承知しております。これは大変各方面の協力を得て、総合的に行ったものでありますが、これをいまわが国で同じようなことができるかどうかにつきましては、アメリカ日本との国情の違い、あるいは税に関する制度の違いもありまして、いまわが国でこのような調査を取り入れるのは困難ではないかというふうに考えておるところでございます。ただ、いま大臣の御答弁にもありましたが、所得税の申告水準の実態調査をするということは、私どもも必要だというふうに考えておりまして、この点は先般衆議院の大蔵委員会で御質疑のあった点でございますが、国税庁としてはできる範囲内でそういう調査を行いたい、そういう考えで、現在具体的方法について検討を進めているところでございます。
  157. 柄谷道一

    柄谷道一君 ただいまの御答弁にありましたその内容は、大体三千人を対象としたヒヤリングと、無申告者調査を実施すると、こういう準備を進めていると、こう理解いたしておるわけでございますが、時間の関係で簡潔にお答えください。その結果がどのようなものであろうとも、その全貌を公表することをお約束願えますか。そして、その結果に基づいて、不公平税制是正のバネにするという決意をお持ちですか。この二点をお伺いします。
  158. 渡辺美智雄

    国務大臣渡辺美智雄君) これは総理府がやる世論調査、これは意識調査みたいなことだろうと思いますが、それは十分に参考にしたいと。したがって、これを全部報告するかどうかということについては、私所管が違いますから申し上げられません。  それから申告、無申告の解明を目的とした調査については、できるだけ公表したいと思っております。
  159. 柄谷道一

    柄谷道一君 私は、さきにも申し上げましたように、勤労者の税の不公平感、これは本当に根強いものがございます。いま制度的には矛盾がないと、こう大臣言われたんでございますけれども、近所隣に事業所得者も住んでるんですね、農業所得者も住んでるんです。実感としてそれらの人々の生活内容はわかっております。しかし、それらの人は税を納めないで、勤労者は税を納めている。これはいかなることかという素朴なこの勤労者の疑問、これを解消しない限り、私は公平を旨とする税制というものが、国民理解を得られるものでは決してない。私はアメリカどおりの方法でやれとは言っておりませんけれども、しかし、この実態をやはり調査をして、それを国民に公表して、矛盾があれば勇気を持ってこの是正に立ち上がる。この姿勢が私は行財政改革と相並行して進まない限り、問題の解決にはならぬという点だけを強く指摘いたしておきたいと思います。  そこで、経済企画庁長官にお伺いするわけでございますが、新経済社会七カ年計画につきましては、本年一月二十二日フォローアップ五十五年度報告が発表されました。しかし経企庁では二度にわたる石油危機を克服する中で、わが国のGNPが世界全体の約一割に達したこと、高齢化社会の進行、エネルギーの安定確保、行財政改革の実施などの解決に長期展望を必要とする重要課題がふえたこと等を背景としまして、新たに経済の長期展望を一年がかりで作成することとなったと、こう聞いております。  その内容につきましては時間の都合もあり、また別の機会質問したいと思いますが、私は経企庁が従来政府経済見通しの作成や、景気政策の効果測定のために使っております短期経済予測モデル、すなわちSP18乗数、これを土台に行革のデフレ効果を試算しますと、大蔵省の財政中期展望で示しておる二兆七千七百億円の歳出カットを行えば、実質成長率はおおむね〇・八%程度減速する、財政再建の前提となる税の自然増収をこの面から確保できないという行革デフレ論が経企庁の中で問題とされている。もちろん長官は行革を行わずに増税に頼る方が悪影響が大きい、こう述べられ、かつ第二臨調の専門部会もそれを指摘しておるところでございますけれども、私は住宅建設の促進、設備投資のてこ入れ、プラント輸出の拡大等々、財政デフレ効果を埋める経済政策の展開というものが必要な時期になっているのではないか。この財政デフレというものを埋める経済政策について、長官としてどのようなお考えを持っておるのか、そして、その政策を盛り込んだ上で、実質経済成長率をどの程度行革が行われても確保するお考えをお持ちなのか、この点についてお伺いします。
  160. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) 行革の内容がまだはっきりいたしませんので、企画庁ではその影響については試算はいたしておりません。ただしかし、ここで基本的な考え方を申し上げますと、御承知のようにわが国の経済は、第一次石油危機で非常に大きな打撃を受けました。その後いろんな対策を進めまして、昭和五十三年の後半にはおおむね健康体に回復したと考えております。たまたまその時期に第二次石油危機が起こったということでありまして、第二次石油危機による影響は相当大きかったのであります。特に五十四年と五十五年に石油代金が約二百億ドル強支払っておりましたものが、六百億ドル弱と、こういう非常に大きな数字になりました。差し引き四百億ドル見当のものをよけい支払わなければならぬ。かくかくの上昇がなければ、その分は国内で投資に、あるいはその他に使えたものでありますけれども、それは外国へ行ってしまったということで、当然大きな影響がこれによって出たのでございますけれども、経済の活力が回復をしておったと、景気がある程度よくなっておったということで、このデフレ効果を完全に吸収をいたしまして、約八兆というデフレ効果を二年間の間に完全に吸収してしまったのであります。したがいまして、わが国の経済の規模はことしは二百六十五兆と想定をしておりますが、来年はざっと三百兆弱と、このように想定をしておりますので、経済の活力を維持するという政策をずうっと展開をいたしますならば、行革の内容がどの程度になるかは別といたしまして、過去の経験から申しまして、数兆の内容であるならば、これは十分に吸収できるであろうと、このように考えております。ただ、そのためには、いまお話がございましたように、住宅投資が非常に落ち込んでおりますので、この住宅投資をもう少し積極的に考えていかなければならぬと思います。この三月二十七日に、政府の方では第四次住宅建設計画を正式に決定をいたしておりますが、これがいまのところまだ軌道に乗っておりませんので、これを早急に軌道に乗せる必要があろうかと考えております。それから、同時に、消費者物価の方はただいま安定の方向に行っておりますけれども、さらにこれを一層安定させると、そのことによって民間の設備投資が拡大しやすいような環境というものをつくり上げたい。さらに同時に国民の消費活動を盛んにすると、そういう前提条件としての物価政策を進めてまいりたいと考えておりますが、何分にも大きな経済の規模でありますから、いろんな対策を総合的に進めますならば、成長率の落ち込みもなしに、十分今後ともやっていけると考えております。  それから、来年以降の経済成長率をどの見当に置くのかということでありますが、この一月、七カ年計画を相当大規模に修正をいたしましたけれども、やはりわが国の経済成長の目標は、これから六十年までの間、毎年平均五・五%と考えております。名目成長から言いますと、一一・六%ぐらになりますが、実質成長は五・五%平均――もっとも年によりまして五・五%を超える年もありましょうし、五・五%以下の年もあろうかと思いますが、平均この程度の成長を持続することによりまして、わが国の雇用問題を解決し、同時に国際競争力を維持拡大できるような、そういう設備投資ができるような環境を整備し、あわせて財政再建が可能になるような税収を確保していくと、このための五・五%見当の成長は十分可能であると、このように考えております。
  161. 柄谷道一

    柄谷道一君 長官にもう一問お伺いしますが、私は行革が中・長期的には少なくともマイナスにならないというこの理論武装が、需要は供給を生むというケインズ理論で確立できるのかどうか。この際、ただしたいのは減税でございます。減税と財政再建は矛盾するように見られますけれども、レーガン政権が打ち出した経済再建計画の理論的バッグボーンとして一躍脚光を浴びておりますのは、供給重視の経済学――サプライド・サイド・エコノミックス、いわゆるSSEの理論でございます。私は抑えるだけでは行革も財政再建も不可能であります。長官はこのアメリカの新しい理論武装のバックボーンについて、どう評価をされておるのか、これをお伺いいたしますと同時に、建設大臣にお伺いいたしますが、明後日出されてくるであろう中間答申は、公共投資について厳しい抑制の姿勢が打ち出されるものと予測されます。一方、建設省では、公共投資が横ばいであれば、実質成長は〇・九%低下、公共事業関連の補助金を一割カットすれば、新たに十四万四千人の失業者が発生する、こういうことが新聞を通じて発表されておるわけでございます。公共事業がSP18乗数表によりますと、他の経常支出や移転的支出に比べまして、景気に及ぼす影響が最も大きく、削減額の一・三四倍の乗数効果があると、これが定説でございます。こういう状態の中で、建設大臣の公共投資抑制に関する率直な御見解をお伺いをいたしたい。
  162. 河本敏夫

    国務大臣河本敏夫君) レーガン新政権の新政策についての考え方を述べよということでございますが、私はアメリカの新政権が行財政の改革と、大規模な所得減税並びに企業減税、これを並行して進めていこうとしておる決断に対しましては、私はこれは敬意を表しておるものでございます。政策そのものには、外部から考えますと若干の整合性を欠くような、そういう印象を受ける面もなきにしもあらずでありますけれどもアメリカの現状を打開して、新しい力を回復するということのためには思い切った決断が必要であると、そういうことからあれだけの大きな決断ができたのだと思いますが、いずれにいたしましても、アメリカの政策が成功することを私どもは期待をいたしておるわけでございます。特にアメリカのやらんとしておりますことは、これから三年間に財政規模をGNPに対する二三%から一九%に圧縮をすると同時に、一方で二五%の大減税をやろうと、こういうことでございますから、あらゆる分野に非常に大きな影響が出てくるであろうと思います。先ほど申し上げましたように、この間の整合性がどうなっておるかということについて、私どもはつまびらかに承知はいたしませんけれども、その決断に敬意を表して、ひたすらその政策が成功することを期待しておるというのが現状でございます。
  163. 斉藤滋与史

    国務大臣(斉藤滋与史君) 公共事業関係につきましておただしがありました。先生御発言のように、特別部会の報告が公共事業に対して相当厳しいということは承知いたしております。しかしながら、答申前でもございますので、あえて公共事業のありよう、あり方、社会的意義というものを、なお調査会の方々に御理解をいただくためにいろいろと申し上げているわけであります。国民生活をなお一層充実してまいらなければならない、社会資本の充実度が諸外国に比べておくれているということは、どなたも存じ上げている問題であろうかと思います。しかも、昨今のような経済環境における公共事業のあり方というものは、従来と違った意味国民経済活力の非常に大きい基盤を持っておるということであります。私も北陸、東北、山陰地方を回ってつぶさに現地の方方、もとより四国、九州の方々のお話も聞いておるわけでありますが、国土の均衡ある発展、国民の方々が平均的に同じような環境を享受しながら、収入も生活環境も、また全体的に日本も欧米諸国に比していくには、まだまだ立ちおくれておる社会資本の充実ということを考えることと同時に、申し上げるまでもなく地方においては、民間企業というものはほとんどありません。公共事業がもしここでなくなったら、全く経済活力というものは火の消えたようになってしまうわけで、そうしたことを考えますと、経済面からも公共事業については相当の配慮がなされてしかるべきであると。しかし、基本的には内閣の最重要課題でもありますし、行政財政再建につきましては、いささかも協力することに、私たちは過ちなきように積極的に協力する所存でございます。したがいまして、答申が出た場合におきましては、その意見をよく踏まえまして、効率的に重点的に執行を図ってまいると、このような考え方で進んで、また対処してまいりたいと、このように考えるものでございます。
  164. 柄谷道一

    柄谷道一君 時間が参りましたので、せっかく防衛庁、外務省をお呼びいたしておりましたが、質問をすることができませんで、この点はお許しをいただきたいと思います。改めての機会にまた質問をいたしたいと思います。  いま二、三の質問をしただけでも行財政改革の前途、大変むずかしい問題が介在していることが明らかになったと思います。私は鈴木総理のリーダーシップ、ガバナビリティーで果たして行財政の多難なこの問題が解決できるのかどうか、これを危ぶむ者は私一人ではないと思います。この点に対する政府の勇気ある決断、選択を求めますと同時に、経済の河本としてその名も高い経済企画庁長官として、やはり経済そのものに活力を失わせしめない、このための補完経済政策というものが確立されるよう強く要請いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  165. 安武洋子

    ○安武洋子君 私は、行政改革の問題についてお伺いをいたします。  第二臨調は十日に向けまして、第一次答申のまとめ作業に入っておりますけれども、すでに六月の二十二日に提出されました三部会の報告内容、これを見てみましても、きわめて国民に犠牲を強いる内容になっております。私はこれらの項目の中で、きょうは時間に制約がございますので、とりわけ憲法の理念に照らして、国の社会的使命なり、あるいは教育の権利、あるいは地方自治の基本原則、こういうものを強化するどころか後退、空洞化させるというふうなものが含まれていることを大変懸念いたしておりますので、この点で幾つか担当大臣の御見解をお伺いしておきたいと思っております。  最初に自治大臣お願いいたします。  第一特別部会の報告では、「地方公共団体は、単独の老人医療無料化ないし軽減措置を廃止すべきである。」と、こういうふうにいわゆる地方自治体の上乗せ福祉の廃止、それから禁止、これを国の側から押しつけるというふうな措置が求められております。これは八割近くの自治体がいま自主的に行っている無料化、軽減措置、これを国の力で廃止させようというふうなことで、これは地方自治の破壊であるというふうに思います。自治大臣はこの点、地方自治の本旨から見て、どのようにお考えになっていらっしゃるのでしょうか、それをまず第一点お伺いいたします。  そしてその次でございますが、さらに国民健康保険の給付費の一部、これを都道府県に負担させるなど、現行の制度、これはそのままにするけれども、費用負担を地方自治体に転嫁していくというふうな内容も検討に上っております。これは制度上から見ましても、また地方財政を一層窮状に陥れる、そして地方自治体に財政面からも制約を加えるというふうな点から見て、私は大変問題だというふうに思っております。自治大臣としてこのような方向に対してどのような見解を持っておいででございましょうか。二点お伺いをいたしとうございます。
  166. 安孫子藤吉

    国務大臣安孫子藤吉君) 老人医療の問題についてかさ上げをしたり、あるいは年齢の引き下げをやっておると、こういう事例があるわけでございます。私は元来、こうした問題を地方の責任者が処置する場合には、その行政効果、あるいは将来にわたる財政の状況、それからいろいろな施策の選択、そういうものを十分に勘案をいたしまして、そしてこれはやるべき問題だと、こう思っておるんです。そういうものの判断の上に立って、各地方団体のある団体の責任者がそういう措置を講じておるのは事実でございます。これには相当私は慎重な配慮を責任者はとるべきであろうと、こういう見解を持っておるものです。  そこで、今回の臨調の部会答申に、これを廃止するというような方向を打ち出されておりますることも、やっぱりそうした十分なる配慮をしなくちゃならぬという意味を持つものだと、こういうことでございまして、それが直ちに自治権の侵害であるというようなふうには私は理解をいたしておりません。これを第一点申し上げておきます。  それから、第二点の国民健康保険の問題でございますが、午前中佐藤さんにもお答え申し上げましたとおりに、現在の国民健康保険を含めての社会保険の仕組みというものは、保険料と国の負担というようなものによって成り立っておるわけでございます。そうした仕組みになっておりまするから、国民健康保険の負担の一部を都道府県に転嫁をするということは適当じゃないと、こう考えております。それからまた、ある議論といたしましては、都道府県が国民健康保険の指導監督の任にあるから、したがって、負担をしてもいいのではないかという議論もありますが、それは全然別の問題であると、こういうように考えております。医療費の増高の問題については、やはりいろいろなもっと徹底した措置を講ずべき面があるわけでございまするから、単に都道府県に負担を転嫁したからといって、医療費の低減という問題の解決にはならないだろうと、こういうふうに思っておるわけであります。いずれにいたしましても、国の財政あるいは地方団体の財政、地方財政計画、これは元来から言えば一体のものでございまして、その中にあって、国が負担しておるものを単に地方団体の方に転嫁をするというだけでは、行革というものの趣旨からいっていかがなものであろうか、やはりこれは全体的に、総合的に考えてしかるべきものじゃなかろうかと、こういうことで考えておるわけでございます。この問題については、臨調の委員の皆様方にも十分御理解を願いたいと思いまして努力をしてきておるわけでございまするが、十分この点は配慮を願いたいものだと、こういうふうに思っておるところです。
  167. 安武洋子

    ○安武洋子君 老人医療費の軽減、無料化措置については、その地方自治体が政治判断をして、行政効果を考えて慎重にやっているというふうにおっしゃいました。私はそれならやはり地方自治体のそういう判断を尊重するのが、地方自治を尊重していくことではなかろうかというふうに思います。ですから、臨調の言っているように、国の側からそういう措置を一方的に強制して、廃止をさせるというふうな方向を打ち出すというのは、私は地方自治を尊重するという立場に真っ向から反するというふうに思います。そういう点で私はさらにいまの御答弁では納得できません。考え直してやはりやっていただきたいと思います。  この点につきましては、また論議をさせていただきとうございます。きょうは時間がありません。  次に、文部大臣にお伺いをいたします。  部会報告では教育の分野、これでは幼稚園から大学までさまざまな切り捨ての方向が打ち出されております。とりわけ義務教育の国庫負担の抑制と、こういうことを理由にいたしまして、第五次学級編制及び教職員定数改善計画、いわゆる四十人学級、この計画でございますけれども、これを一時停止するほか、児童の自然増、これに伴う教員増すら大幅に縮減すると、こういう方向が打ち出されております。四十人学級というのは私が申し上げるまでもなく、子供が基礎的な学力を身につける、教師との人間的な触れ合いの中で行き届いた教育を行うため、こういうことで国民が非常に強く要望した、こういう中で計画されたものでございます。政府は五十五年度の予算編成の過程で財政再建、これを口実にして、従来の五カ年計画、これを九カ年にする。そしてさらに十二年計画、これに後退させてしまっております。ところが、いままたこの臨調報告で、この不十分な十二年計画、これさえ凍結する。そればかりか、児童、生徒の自然増、自然増に伴う教員増も抑制するというふうな方向が出ているわけです。これでは逆にいま行われている四十五人学級、これさえ維持ができないというふうなことになって、四十六人以上の学級すら生まれかねないわけです。また専科の教員がかけ持ちでやらなければならない、こういうふうな、いま国民が求めている行き届いた教育どころか、全くこれに逆行するというふうなことが生まれるわけです。文部省としても、このような動きに対して、私は憲法とそれから教育基本法、この理念を守ってやはり国民の教育権を保障するという立場に立って、落ちこぼれとか、いま大きな問題になっている非行、これを克服するという立場に立って、やはりいま臨調の出している方向にはきっぱりノーを言うふうな態度をとっていただきたい。そういう態度で臨むべきだと、こういうふうに思いますけれども、文部大臣いかがでございましょうか。
  168. 田中龍夫

    国務大臣田中龍夫君) 文教行政をお預かりいたしまする者といたしまして、教職員定数のあり方というものは、児童、生徒の行き届いた教育を行う上で、まことに重要な問題でございますと認識いたしておりますが、ただいまの行財政の改革もまたわが国にとりましてはなし遂げなければならない重大な案件でございます。したがいまして、文部省といたしましては、第二次の臨時行政調査会の中間答申が出されましたその段階において、政府全体としての基本的な対処方針を踏まえて、具体的な先生の御指摘のような、いろいろな問題について真剣に検討してまいる、かような考えでおります。
  169. 安武洋子

    ○安武洋子君 何よりも大事なのは、いま社会的にも大きく問題になっている子供の落ちこぼれをなくして、非行をなくしていくというふうなこと、財政の私はしわ寄せを子供に持っていってはいけないと思います。ですから、いま文部大臣の御答弁、できるだけ私のいまの要望を入れて、この臨調の答申に臨んでいただきたいということを重ねて要望いたします。  そこで、まだ文部大臣にお伺いいたしますけれども、臨調報告、これは同じく国庫負担金の抑制の中で教員の給与に関連いたしまして、「国庫負担金の算定に当っては、現行の実支出額基準を改め、国並みの給与水準を基準とする。」こういうふうに言っております。一体これはどういうことなのか、私は理解に苦しみます。  そこでお伺いいたしますけれども、現在国庫負担は国の給与水準を基準に算出されていると思いますけれども、そうでないんですか。
  170. 三角哲生

    説明員(三角哲生君) 現在のやり方といたしましては、原則として国がその公立の義務教育諸学校の教職員給与費につきましては、実支出額の二分の一を負担するということを原則としておりますけれども、特別の事情があるときは、各都道府県ごとの国庫負担の最高限度を政令で定めることができると、こうなっておりまして、そうして教育公務員特例法第二十五条の五の規定によりまして、この公立学校教員の給与については、国立学校教員の給与の額を基準とすべきものと、こういうぐあいになっておりますので、政令で私ども技術的ないろいろな算定をいたしまして、基本的には国の教職員の額を基準とした運用をいたしておる次第でございます。
  171. 安武洋子

    ○安武洋子君 ですから、国の給与水準を基準に算出されているのに、私は臨調は何を削減せよと言っているのかさっぱりわかりません。  臨調報告は、地方自治体の公立小・中学校の教職員の給与が、国立学校の教職員の給与水準を上回っていても、その実支給額の二分の一を国庫が負担しているというふうな誤解をしているのではないかというふうに思います。よしんば、政令の中に百分の百五の限度、これがございますけれども、これは百分の百にせよということであるとすれば、これは定昇とか昇給による増加分、これを算定している五%を削減せよということになります。ですから、これを切り捨てよというのは暴論です。そして地方自治体がこれを肩がわりするというふうなことになりますと、こういう支出を地方自治体が負わなければならないということにもなるわけです。私は、このような形で国の負担を抑制するというのは全く現状に合わないというふうに考えますが、文部省、いかがお考えでございましょうか。
  172. 三角哲生

    説明員(三角哲生君) 義務教育費国庫負担金のあり方は、私から申すまでもございませんが、教育の機会均等と、その水準の維持向上を図るという上で、重要な問題であるというふうに考えておる次第でございますが、今回のこの行財政の改革も、また先ほど大臣から申されましたように、国としての重要な課題でございますので、第二次臨時行政調査会の中間答申が出されました段階で、文部省も政府の中の文部省でございますから、政府全体としての基本的な対処方針を踏まえまして、具体的な対応については検討、善処してまいりたいと、こう思っておる次第でございます。
  173. 安武洋子

    ○安武洋子君 そんなことを聞いておりません。私は、臨調のこの「国庫負担金の算定に当っては、現行の実支出額基準を改め、国並みの給与水準を基準とする。」ということが全くナンセンスだと、こういうことはあり得ない、実情に合わなさ過ぎるということを申し上げております。こういうことが一体理論として通るんですか。これはやはり誤解であり、また私が先ほど申し上げたように、誤解でないとすれば定昇分とか昇給による五%、これまでも削減してしまえと、地方自治体に肩がわりせよと言っているのかもわかりませんけれども、大変な暴論なわけです。こんなことがまかり通ってよいのでしょうか。おかしいとお思いではないんでしょうか。
  174. 三角哲生

    説明員(三角哲生君) 私ども臨調の中の具体的な御論議の一々について、これをすべてつまびらかにしておりませんのでございますけれども、そしてこの問題につきましても、そう私ども議論とかなんとかいうことではないわけでございますけれども、必要な資料は全部提出してございますので、ただいま委員指摘のような、そういう全くの誤解ないしは誤った認識の上での御議論ではなかろうと、こういうふうに思っている次第でございます。  ただ、現在、先ほど申し上げましたように、原則実支出額の二分の一負担と、そういうぐあいに定められておりますが、そういう問題についてはどういうとらまえ方をするかとか、あるいはただいま御指摘になりましたような百分の百五というようなやり方について、なおこれについて、それを直ちに百にするとかなんとかということではございませんまでも、なお吟味する余地はないかとかいうことについては、これはお考えをいろいろなさる余地はあるだろうと、こう思っておりますけれども、私ども立場としましては、先ほど申し上げましたようなことで、現在も国の教職員の給与の額を基準として運用しておる、こういうことでございます。ただ臨調の中でどういう御議論を進めておられるかにつきましては、冒頭申し上げましたようなことで、私からは一々申し上げられないのでございます。
  175. 安武洋子

    ○安武洋子君 臨調の中の論議なんて問題じゃないんですよ。出ていることがおかしいから言っているわけで、大変苦しい御答弁ですから、臨調がいかにずさんな答申を出しているかということだと私は思います。  時間がありませんので、そこをもっと詰めたいんですけれども、次に私はこういうことを文部省にお願いしておきます。こういうずさんなやり方で出してきているものについては、こんな現行制度になじまないものは受け入れないという態度ははっきりしてもらわないと困ると思います。  厚生大臣、お伺いいたします。臨調報告では社会福祉分野の第一で、児童手当の公費負担に係る支給を低所得者層に限定すると、こういう制度の抜本的見直しを行おうといたしております。児童手当制度というのは、これはわが国の社会保障制度の中では、年金とか、あるいは医療に比べまして一番新しいわけです。まだ諸外国に比べて立ちおくれているわけです。昨年の中央児童福祉審議会の意見書でも、社会の将来の担い手である児童は、これは「社会の子」として社会的配慮をする立場から、児童手当は所得制限なしで義務教育終了前の全児童、つまり第一子から支給すべきだと明白に述べております。また、単なる財政的観点からの福祉の見直し論に対しても疑問を提起しております。厚生省も、当時は、第一子から、そして全児童、所得制限なし、こういうことで全力を挙げると言ってこられております。今回の臨調報告は、このような審議会の意見、これをないがしろにしております。憲法の社会福祉の増進という国の使命にも反します。厚生大臣はこういう動きに対してどういう御見解をお持ちでございましょうか、お伺いをいたします。
  176. 村山達雄

    国務大臣(村山達雄君) 児童手当は御案内のように、四十六年に創設されたものでございまして、立法当時はそれはそれなり理由があり、そして今日でもそれだけの理由を持っておると思うわけでございます。しかしまた、同時にいま第二臨調を中心にいたしまして、行財政の改革をやるということもまたそれだけの意味があると思うのでございます。各種の議論がいま展開されているわけでございまして、昨年中央児童福祉審議会からの意見承知しておりますし、また特別部会からの意見承知しております。しかし、最終的に臨調がこれをどういう答申を出してまいりますか、それを十分見定めまして、いま言った両方の観点から、と申しますのは、今日の行財政の必要性、そしてまた、児童手当を出すには出すなりの理由があって出しているわけでございますから、その辺を比較勘案いたしまして、現時点における妥当な結論を求めてまいりたい。いずれにいたしましても、正式の臨調の答申がどうなるか、これを見きわめましてから適切な対応をしてまいりたいと、かように思っております。
  177. 安武洋子

    ○安武洋子君 私はやはり行革というのは、国民が望んでいるのは、そういう報告ではないわけです。軍備とか、国民弾圧部門、これを聖域扱いにして、子供とか、お年寄りにしわ寄せをすべきでないので、私はそういう点を踏まえて、ちゃんとやっていただきたいと思います。  時間が参りましたので、最後行政管理庁長官にお伺いをいたします。情報公開の問題についてお伺いをしておきたいわけです。  臨調の第一次答申、これは来年度の予算編成への反映を中心課題としてまとめられようとしておりますけれども国民が本当に求めている、清潔でむだのない簡素な行政については、これは単に理念とか、長期的な課題とか、こういうことで据え置くのではなくて、私は政府としては臨調の答申をまつまでもなく、実行できる点についてもう実行に移していくべきだというふうに思っております。今回電電近畿の不正経理事件がついに刑事責任を問われることになったわけですけれども、過去の一連の航空機の疑獄とか、あるいはKDDの事件とか、政府や特殊法人などの構造的な汚職、腐敗、これを未然に防止するためにも、情報公開の促進とか、あるいは行政監視の強化、これが私は一層求められていると思うんです。行管庁長官としても、国民の行政への信頼、これを確保していく、こういうお立場から、これらの課題にどのように取り組んでいかれるのか、この点をお伺いいたしとうございます。
  178. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 情報公開の問題につきましては、参議院におきましても、私委員会等で表明した次第でございますが、政府としてはこれを前向きに取り組んでみたい、検討してみたい、そういう態度で、行管庁におきましてもすでに検討はしておる次第でございます。また、各党から法案の用意もございますし、そういういろんな点も踏まえまして、今度の臨調の検討項目の一つには入っておることになっておりまして、ただ、いま七月の緊急答申につきましては、結論を出すという段階ではございません。まだそこまで手をつける余裕がないのでございますが、いずれこれは中・長期の課題として慎重に検討がなされるものと期待しております。
  179. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 初めに防衛庁にお尋ねします。  日米共同声明の後を受けて、わが国に大きな変化が起こりつつあります。わけても米軍基地の五三%を占める沖縄においても大きな変化が起こりつつあります。その変化をどのように認識しておられるか、まずお聞きしたい。
  180. 池田久克

    説明員(池田久克君) 先般の共同声明を受けまして、わが国としても今後とも防衛力整備に努力するということをわれわれは考えておりますけれども、在日米軍及びその基地等について今後どうなるかという点については、われわれはしかとは承知しておりません。
  181. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 防衛庁は防衛庁として共同声明の後を受けて、どのような変化が起こっておるかということについては、それなり認識を持つべきであると思うんですが、いまの答弁に対してはまことに遺憾に思います。  それで、先を急ぎますので、このような変化が起こりつつあるということを私はまとめて申し上げます。  第一点、核の疑惑と不安がエスカレートして毎日高まりつつあるということ。次に大きくまとめて、第二の一つに、強化されつつある沖縄の基地ということなんです。基地が強化されつつあるということ。第二点、軍事演習が活発化しつつあるということ。第三点、その軍事演習の規模も大きく、そして基地の中から住民地区にこれが広がりつつあるということなんです。第四点、いわゆる事前通告なるものがあったわけですが、それが当日の朝通告があったり、あるいは前日の遅くあったり、全くこの事前通告なるものは形式的にすぎないということなんです。第五点、兵隊の態度が、米軍の態度が非常に横着で、挑戦的で、威圧的になっておるということ。これがアメリカ側の大きな変化であります。それを受けて、沖縄側におきましては、基地に関係する市町村にはそれぞれ議会内に基地関係特別委員会が設置されたということなんです。そして、その委員会の中で議会においては超党派決議が次々となされつつあるということ、これは従来にない動きであります。このように大きな変化があるということなんです。  さらに、きょう実は私がこの委員会に臨んでおる間に、私の秘書から次のことが知らされました。昨七日、昼過ぎ、きのうの七日、昼過ぎキャンプ・シュワーブの基地の周辺であります。金武町一〇二二八の一の宮里さんという方の庭先に米軍機から落下した、落ちたものはジュラルミン製で、二メートル四方の飛行機のドアと思われるものが離脱して宮里さんの庭に落ちてきた。幸いに人身に被害はなかったけれども、これがもし当たっておるとするならば、死傷者は間違いなかったと私思うんですが、このように、いつどこで命にかかわる事件が起こらない保証はないわけなんです。これが最近の沖縄の情勢なんです。それに対して防衛施設庁どう思うんですか。
  182. 多田欣二

    説明員(多田欣二君) 沖縄の基地は、御承知のように日米安保体制の中軸をなす、これは本土もそうでございますが、米軍基地というのは存在でございます。そういう意味で、先生最近特に演習が激しくなったとか、規模が拡大したとかおっしゃいましたけれども、やはり在日米軍としては、常に有事即応の体制をとるということで常時訓練に励むということは当然のことだというふうに私どもは感じております。特に最近共同声明を契機にして、そういうものが強化をされたということでは私は必ずしもないんではないだろうか。やはり米軍は米軍として、日本国に駐在する以上、常に有事即応の体制をとるということで、従前から演習もやっておりますし、現在も続けておるということではないかと思います。  それから昨日飛行機から何物かが落ちてきたということでございますが、これは昨日の昼過ぎ、沖縄県の金武町の中川区の民家の庭先にジュラルミン製の物体が落下をしたと、私どもその情報を得まして早速米軍に問い合わせをいたしましたけれども、その結果、同地先に落下した物体は、嘉手納基地に着陸をしようとしましたアメリカ海軍のEA3型機の主脚の収納とびらであるということが判明をいたしました。落下の原因につきましては現在米軍において調査中という通報がございました。  私どもとしては、米軍の訓練あるいは演習における安全措置ということにつきましては、常日ごろ機会あるごとに米軍にも注意を喚起をし、地元の皆様に御迷惑をかけないように留意しているところでございますけれども、今回幸い人身には被害はございませんでしたけれども、何か庭先に積んでありました空きびん数本を破損させたということでございますが、まことに遺憾なことでございますので、この件につきましても、現地におきまして早速米海軍の当局者に局の方から、あるいは本庁におきましても在日米軍司令部に対しまして、今後この種の事故を起こさないように、事故原因をはっきり究明をして、安全対策を至急とるように申し入れをしたところでございます。
  183. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 最近の沖縄の変化が必ずしも日米共同声明関係はないということに憤りを感じます。  それではかいつまんで言います。  最近における名護市キャンプ・シュワーブの演習場における実射訓練、この問題。これは結論を申し上げますと、狭いところであのように演習をされたんじゃ、周辺の住民の生命にかかわる危険と不安が絶えずまとわりついておるということをどう思いますか。たとえば、例を申し上げましょう。本土における北富士の面積は四千七百十二ヘクタール、東富士が八千九百五十二ヘクタール、矢臼別が一万七千ヘクタール。これに比べて沖縄のキャンプ・シュワーブが千八百ヘクタール。このような比較の中で、激しい演習が行われている。だから流弾や跳弾や、そして誤射が起こるのは当然のことである。訓練であるからして、この過ちは当然予想される。このことを何と見るか。  第二点、読谷飛行場における降下訓練。これまた人口稠密な町の真ん中に、村の真ん中に、そして周囲には小学校、中学校、高等学校、六つの学校がその近在にあるということを御承知だと思うんです。そこへ六月二十二日に十七機の大型ヘリが二時間も爆音、騒音をばらまいて不安と危機感に追い込んでおるというこの事実を何と見るかということなんです。  第三点は北谷町における米軍人の犯罪。もう二の句が継げないぐらいの激しい憤りを感ずるんです。人身事故、高校生への暴行未遂傷害事件、そして物損事故、漁船漁具の盗難及び破損、社会不安、たまったものじゃない。そして、宮古空港におけるあのブロンコ飛行機の給油のなし崩し恒常化の問題、このような変化に対して依然として変わらないというこの認識のずれを私は厳しく追及したいんです。そして、そのような危機迫る思いの沖縄の情勢に対して、あのような防衛庁のよそ行きなこの認識に対して憤りを感ぜざるを得ない。これを見てください。(資料を示す)これがキャンプ・シュワーブの訓練の実情でしょう、これが読谷村における「爆音で授業中断」の訓練の状況でしょう、どうですか。そしてこれが、先ほど、北谷町の、あの米兵の、「黒人兵、女子高校生に乱暴 包丁手に寝込み襲う」「米兵、無断で漁船乗り回す エンジンも盗む 北谷町の漁民「操業に支障」と抗議」「米兵同士100人が乱闘 海岸で飲酒後部落になだれ込む」このような騒然たる事件に対して、いまの答弁は一体何なんですか。  次に、宮古空港への米軍機のブロンコの給油の問題。なぜ米軍機は民間空港に給油基地を求めたんですか、お聞きします。
  184. 山本長

    説明員(山本長君) 私たち運輸省の立場から、米軍機がなぜ給油をそこで必要としたかということについて、その理由をつまびらかにはいたしておりません。沖縄の基地からフィリピン方面に飛ぶ、あるいはそこから帰ってくる、こういう経路において、その飛行距離との関係、航空機の性能との関係から、給油が必要になったというのではないかというふうに推定はいたしますが、明確にはわれわれといたしましては存じておりません。
  185. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 そういったあいまいな答弁をされるところに問題があるということなんです。民間空港を米軍があのようになし崩しで使用することに対して、運輸省としても重大な関心を持ってもらわなければいけないはずであります。防衛施設庁も、もう答弁は私、予期しておりますから尋ねません。  それで、私が言いたいことは、いまの問題、必ずはね返ってくることは、沖縄の基地は、安保と提供基地の義務があるということを必ず隠れみのに言うんです。たまったものじゃないということなんですよ。それじゃ、私が言いたい結論は、このような状態で民間空港がなし崩しで、提供の義務があるとか何とかいうことで使われたんじゃ、沖縄の民間空港は将来、そのような一つの既成事実によって、すべて米軍基地、自衛隊基地に使用される可能性があるということを思うときに、どうしてもこれは歯どめしておかなければいけない、はっきりさしておかなければいかぬ、こういうことを私は言いたいんです。
  186. 淺尾新一郎

    説明員淺尾新一郎君) いまお尋ねの宮古の件でございますけれども、まず法律的に申し上げれば、地位協定の五条の一項あるいは二項に基づいて、アメリカの軍用機ないしは公の目的で運航される飛行機については、日本の空港に着陸することができるということでございます。したがって、地位協定上アメリカはそういう権利を有しているわけでございます。ただ、ほかの委員会でも私たちが申し上げていることでございますけれども、こういう民間の空港をあたかも施設区域と同じように使うということは、施設区域として他の空港を提供しているということがございますのでそれは望ましくないということでございまして、宮古の場合においても、米軍がその飛行場を使うということについては、緊急やむを得ない場合、あるいはその他の理由でどうしても宮古に着陸せざるを得ないという場合に限ってほしいということを申し入れているわけでございまして、米側がなし崩しに宮古を施設区域として使うということを考えているというふうに私たちは考えておりません。もしそうであれば、当然地位協定によって、合同委員会の了承を得て施設区域として提供をしなきゃならない、こういうことでございます。
  187. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 事実は緊急という名のもとに隠れみのでやって、それがなし崩しで恒常化してきておるということは、あの宮古の民間空港の一例からもはっきりしておるんですよ、その手でいくならば、沖縄の民間空港すべてそのような手でみんな基地になるということなんです。そのことを私は強く指摘をして、よもや今後そういうことのないように、いま八重山のあの新空港の問題が問題になっておりますが、八重山の石垣の新空港が軍事基地に利用される心配があるということが、反対の理由一つになっておるんですよ。すぐ周辺ではそのように影響してきておるんです。それは当然だと思うんです。そのことを私は強く指摘しておきます。  最後に、沖縄振興開発について開発庁長官お願いします。  復帰十年目になるわけですが、第一点、一次振の成果をどのように評価しておられるか。そして、一次振で目標に届かぬから、達成しないから、いま二次振の問題が、年限の問題や、補助率の問題が問題になっておるわけでありますが、そうすると、その達成しない理由は、根拠はどこにあると認識しておられるか。
  188. 中山太郎

    国務大臣(中山太郎君) 本土復帰してからちょうど九年目を迎えて、第一次振興開発計画を終わるわけでありますけれども、復帰当初、十年後を見通し一つの目標が掲げられておりましたが、人口に関しては当初の目標であった百三万人を、すでに百万人をオーバーしたということで、人口はそれで一つの目標が完成された。ただ、まことに残念ながら、県民所得が本土に比べて七〇%、ここが最大の沖縄開発としては問題点であります。また、失業率が本土の二倍半、特に若い人たちの失業率が非常に高い、ここに最大の問題があろうかと思いますが、その背景をなすものはやはり沖縄本島を中心に離島がきわめて多いこと、また二回にわたる石油ショックによる経済活動の低下、あるいは水不足、こういうふうなものが重なりまして、第一次振計の計画が、所得の面においては大きく落ち込んでおるというところに最大のわれわれの悩みがあると考えております。
  189. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 いまおっしゃったことは否定はいたしません。しかし、私はその落ち込みの一番大きな理由、原因は、復帰の時点で公約でありました基地の計画的整理縮小ということが予定どおりなされていないというところに、大きな落ち込みがそこに発生しておるということを、県当局もちゃんとそのことを指摘しておりますよ。「広大な米軍基地が存在し、土地利用上大きな影響を受けている。」、このように、特にこの基地あるがゆえに沖縄の開発が予定どおり進んでいかない。その盲点をついておるわけなんです。その点を復帰後、一体それぞれの関係省庁からどれだけ沖縄に国庫支出されたかということをずっと検討しておるわけですが、時間がありませんので一例だけ申し上げます。  まず、五十六年度の予算額を分析してみますと三千二百三十億四千万円ですね。ところが、それに対して防衛施設庁予算が八百十二億五千四百万、農林省関係の予算が百三十五億七百万、その他の省庁が百九億四千七百万、こうなる。そうすると、これをパーセントで分類しますと、何と防衛施設庁関係で二五・一%を占めます。農林省が四・九%、その他が三・四%。この農林省とその他を加えても、二百四十四億五千四百万ですから、パーセントで八・一%しかならない。そうすると防衛施設庁予算の三分の一そこそこである、こういうところに沖縄の開発の復興が立ちおくれておる重大な原因があるということを私は指摘いたしたいんです。それをどうこの二次振に向けてカバーしていくかということで、また、二次振の焦点はいまいろいろありますが、問題は補助率の問題をいま県民挙げて問題にしておるわけなんです。そのことについて長官の所見を求めまして、私時間が来ましたんで終わります。
  190. 中山太郎

    国務大臣(中山太郎君) 沖縄の補助率につきましては、格段の御配慮をいただいてまいりましたが、県民の方々にいま最大の関心を持っていただいておるのは、臨調でどういうふうな意見が出てくるだろうかということであろうと思います。私どもとしましては、臨調の専門部会の先生方にも沖縄のいわゆる戦後の状態、また本土復帰後のあらゆる状態を十分説明を申し上げておりまして、私どもとしては沖縄に対する十分な御認識をいただいた中間答申が出るというふうに期待を申し上げておるわけでございます。
  191. 和田静夫

    委員長和田静夫君) 本日の質疑はこの程度といたします。  次回の委員会は七月二十一日に開会することとし、これにて散会いたします。    午後四時五十四分散会