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1981-04-08 第94回国会 参議院 エネルギー対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十六年四月八日(水曜日)    午後一時一分開会     —————————————    委員異動  四月七日     辞任         補欠選任      市川 正一君     神谷信之助君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         細川 護熙君     理 事                 亀井 久興君                 中尾 辰義君                 井上  計君     委 員                 大木  浩君                 熊谷太三郎君                 高橋 圭三君                 竹内  潔君                 福岡日出麿君                 阿具根 登君                 大森  昭君                 川村 清一君                 対馬 孝且君                 高木健太郎君                 神谷信之助君    参考人        新エネルギー総        合開発機構副理        事長       大永 勇作君        東京大学名誉教        授        横浜国立大学教        授        山村  昌君        東京大学教授   東   昭君        筑波大学教授   本間 琢也君        財団法人エネル        ギー総合工学研        究所専務理事   武田  康君     —————————————   本日の会議に付した案件エネルギー対策樹立に関する調査(新エネルギ  ー問題に関する件) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 細川護煕

    委員長細川護熙君) ただいまからエネルギー対策特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨七日、市川正一君が委員を辞任され、その補欠として神谷信之助君が選任されました。     —————————————
  3. 細川護煕

    委員長細川護熙君) エネルギー対策樹立に関する調査を議題といたします。  本日は、新エネルギー問題に関する件の調査のため、新エネルギー総合開発機構理事長大永勇作君、東京大学名誉教授横浜国立大学教授山村昌君、東京大学教授東昭君、筑波大学教授本間琢也君及び財団法人エネルギー総合工学研究所専務理事武田康君、以上五名の参考人方々に御出席をいただいております。  この際、参考人方々に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は皆様方には御多忙中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。  本委員会は、エネルギー対策樹立に関する調査を進めているところでございますが、本日、皆様方から新エネルギー問題に関する件につきまして、それぞれ忌憚のない御意見を賜りまして本調査参考にいたしたいと存じておる次第でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。  これより参考人方々から順次御意見をお述べ願うのでございますが、議事の進行上まことに恐縮でございますが、お一人二十分程度ずつ御意見をお述べいただきまして、その後委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。  それでは、御出席参考人方々に順次御発言を願います。  まず、大永参考人からお願い申し上げます。大永参考人
  4. 大永勇作

    参考人(大永勇作君) 新エネルギー総合開発機構の大永でございます。このような機会を与えていただきましたことに厚く御礼を申し上げます。  本日は私どもが現在行っております業務中心にいたしまして、新エネルギー開発の現状と課題といった点につきまして所見を申し上げたいと存じます。  最初に、新エネルギー総合開発機構事業目的でございますが、機構は次のような事業を総合的に行うことによりまして、わが国経済石油に対する依存度の軽減を図ることを目的といたしております。  一つは、これが中心でございますけれども、石油代替エネルギーに関する技術で、企業化を図ることが特に必要なものの開発ということでございます。若干注釈を加えますと、原子力につきましては、石油代替エネルギーではもちろん重要なものでございますが、これにつきましては、法律規定によりまして当機構は関与しないということになっておるわけでございます。原子力にかかわるものは除くということになっておるわけでございます。  それから企業化を図ることが特に必要なものの開発ということでございますので、いわゆる基礎研究段階のものは当機構では扱わないわけでございまして、基礎研究がすでに終わってそれをパイロットプラントその他で研究開発をして企業化につなげていくという中間段階にありますものを当機構としては扱うわけでございます。基礎研究につきましては大学とかあるいは国の試験研究機関等でやってもらうわけでございまして、それを実用化につなげていく段階を当機構仕事として行うということになるわけでございます。  それから、すでに実用化の域に達したものにつきまして、いろいろ普及促進業務があるわけでございますが、その中で、現在機構におきましては、地熱海外炭につきましてはその普及促進業務機構仕事の中に入っておりまして、地熱資源開発促進調査とか、あるいは海外炭開発のための各種の助成措置を当機構業務として行っておる次第でございます。  次に、当機構組織及び事業計画でございますが、まず人員につきましては、役職員を含めまして今年度三百五十五名でございます。その内訳といたしましては、管理部門が六十四名、新エネルギー部門が百二名、それから石炭鉱業合理化部門を引き継いでおりますが、この石炭鉱業合理化部門が百八十九名ということに相なっております。  それから、当機構組織特徴一つといたしまして、土光委員長以下七名の民間委員から成ります運営委員会法律規定に基づきまして設置されておりまして、機構運営に当たりまして民間創意工夫あるいは活力を広く取り入れることになっておるわけでございます。  次に、今年度の新エネルギー部門事業規模について申し上げますと、お手元に表が配付してあるかと存じますが、五十六年度六百九十五億円を予定いたしておりまして、五十五年度に対比いたしますと約二・三倍ということになっておるわけでございます。次に、当機構事業内容につきまして、新エネルギー技術開発部門に的をしぼりまして具体的に御説明をいたしたいと存じます。  まず、その一つ中心石炭利用技術開発でございます。石炭は御高承のように石油に比べますと可採年数が相当に長い。石油の可採年数は三十年ぐらいというふうに言われておりますが、石炭につきましては恐らく数百年の埋蔵量がありまして、資源的にも石油に比べれば豊富でございます。それから石油のように産出地が集中しておりませんで、アメリカ、カナダ、豪州、さらには中国、ソ連といったように供給源が分散しておるわけでございます。また、オイルショック後の石油価格の上昇に伴いまして経済性も相当出てきたというふうなことから、最近は石炭利用ということが非常に盛んになっておりますが、この石炭利用の仕方といたしましては、もちろんそのまま石炭火力等で燃やす生だきが一番手っ取り早いわけでございますけれども、同時に、石油代替エネルギーとして使うという観点から、石炭液化あるいはガス化ということが世界的にも注目されまして、当機構といたしましてもこれに非常に大きな力を入れておるわけでございます。  最初に、石炭液化技術開発でございますが、これはサンシャイン計画で進められてまいった技術を当機構が引き継いで開発を行っているものでございます。目途といたしましては、一九九〇年ごろまでに実用化プラント開発したいということでやっておるわけでございます。  現在行っております技術開発一つ溶剤抽出液化法というものでございまして、水素供与性溶剤石炭と一緒に加然いたしまして液化するという方法でございます。現在茨城県の波崎地区で五十六年度に一トン・パーデープラント建設するということで、現在建設中でございます。  それから直接水添液化法というのがございます。これは溶剤抽出法と異なりまして、水素を直接高圧条件のもとで添加いたしまして、触媒を使いまして石炭分解液化するという技術でございます。現在、二・四トン・パーデー実験プラント建設中でございまして、五十六年度には完成するということになっております。  それから、ソルボリシス液化という技術がございます。これは石炭を低い圧力条件溶剤に溶解いたしました後に高圧水素の作用で分解液化する方法でございまして、一トン・パーデー実験プラントが、これは建設済みでございまして、現在はその評価を行っているところでございます。  それから、いま申し上げました三つの方式はいずれも国内でやっているものでございますが、今後海外協力をしながら進めていくというものが幾つかございます。  一つは、溶剤抽出液化法の一環といたしまして褐炭液化しようとするものでございます。褐炭といいますのは、水分が非常に多い石炭でございまして、かつ自然発火のおそれがあるというふうなことで、従来から豪州あるいは中国に相当大量に存在するわけですが、その利用につきましては制限をされてまいってきたわけでございますけれども、これを活用しようということでございまして、五十六年度からは五十トン・パーデーパイロットプラント豪州のビクトリア州につくりまして開発を進めていきたいというふうに考えておる次第でございます。本件は今後予算的にもかなり規模の大きいものになってまいると考えられます。  それからもう一つは、国際協力案件でございまして、SRCIIがございます。これはアメリカ、ドイツと三国で共同開発しようというものでございますが、本件につきましては、米国政権交代によりまして米国内の扱いが変わることも考えられ、今後、日米独政府間の協議によりましてその取り扱いが決められることになると思います。予算の上におきましては、五十六年度約百五十億円の共同開発分担金は直接日本政府から米政府に払い込まれることになっておるわけでございますが、機構といたしましては技術情報等管理業務を行うということになっておりまして、そのための予算九千万円が計上されているところでございますが、先ほども申し上げましたように、今後のその進め方につきましては、政府間の協議によって取り扱いが決まってくるものと考えておる次第でございます。  次に、石炭ガス化でございますが、石炭利用のもう一つの柱といたしまして石炭ガス化技術というのがございます。このガス化技術一つが高カロリーガス化でございまして、いろいろな方法開発中でありますが、主として都市ガスに使うガス石炭からつくろうというものでございます。たとえばハイブリッドガス化法というのがございます。これは現在サンシャイン計画に基づきまして研究しているものでございますが、石炭アスファルトを混合したスラリーを使いましてガス化するというものでございます。現在、石炭田トンパーデー、それからアスファルト八トン・パーデー石炭一に対しましてアスファルト二でございますが、これを使いましてガス化するという実験プラントを福島県のいわき市に建設中でございまして、五十六年度末には完成予定になっておる次第でございます。  いま申し上げましたのは高カロリーガス化というのでございますが、低カロリーガス化というのがもう一つございます。これは石炭を低カロリー、具体的には約千数百カロリーくらいのガスにするという技術でございまして、石炭技術研究所北海道夕張で小規模プラントをつくりまして研究を行ってまいっております。これのねらいは発電用でございます。ガス発電用に使うということでございます。この低カロリーガス化につきましては、五十六年度からは一日の石炭処理量を千トンにスケールアップするための基本設計を当機構の方でやっていくという計画になっております。一日、千トンの石炭処理量と申しますと、発電規模に直しますと大体十万キロワットの発電所に相当するわけでございますので、これはかなり実用化に近いレベルのものであろうというふうに考えておる次第でございます。  以上が石炭利用技術でございますが、次に、太陽エネルギー利用開発について申し上げます。  太陽エネルギー利用開発一つは、太陽熱発電ということでございまして、鏡で太陽光線を反射させましてそれを集めて発電を行うというものでございます。現在、香川県の仁尾町におきまして二つの方式太陽熱発電プラント建設されておるところでございます。一つは、タワー集光方式ということで、鏡で光をタワーの頂上の一点に集めまして、その熱を使って発電するというものでございまして、千キロワットのプラントがつくられております。それから同じ場所でもう一つは、曲面集光方式というプラントがございまして、多くの平面鏡太陽光線を反射させまして、それを多数の凹面鏡に集めまして発電をするというものでございますが、これも同じく千キロワットのプラント建設された次第でございます。現在仁尾町に建設されておりますパイロットプラントにつきましては、キロワット当たり建設費は相当高くついておるわけでございますが、今後はこの発電プラントにつきまして二、三年をかけまして運転研究を行い、技術的、経済的な面につきましての検討を行ってまいりたいと考えておる次第でございます。  それから、いまのは太陽熱発電でございますが、もう一つ太陽光発電でございます。太陽光発電と申しますのは、太陽電池を使いまして太陽光から直接電気を取り出すというものでございまして、現在人工衛星あるいは灯台あるいは無線基地の電源といたしまして小規模のものが部分的には使われておるわけでございますが、これを規模の大きい発電用に使えないかというのがこの光発電システム開発問題でございます。  研究開発の主な課題コスト引き下げでございますが、コスト引き下げのポイントの一つは、太陽電池の原料でありますシリコンをいかに安くつくり、いかに歩どまりをよくするかということでございます。たとえば太陽電池素材であります薄い結晶シリコンの板をつくりますのに、これまでは円筒状の棒をスライスしてつくっておったわけでございますが、長いリボン状シリコン板をつくりまして、これを切断して素材をつくる別の方法がございます。このやり方でやりますと切りくずが減ってくるといった等の点におきまして歩どまりが非常に向上するわけでございまして、コストダウンが期待できるということで、こういった点の研究開発を行っておる次第でございます。また、同じくコストを引き下げますために光電池パネル等大量生産技術研究といったその他の技術研究開発を行っておるわけでございます。  次に、地熱エネルギー技術開発でございます。地熱エネルギー技術開発一つの柱といたしまして大規模深部地熱開発というのがございます。従来の浅部地熱開発につきましては、一カ所大体五万キロワット程度が限度でございましたが、いま申し上げました大規模深部地熱開発は二十五万キロワット級の開発をやろうというものでございまして、従来の浅部地熱よりもスケールも大きく深さも三千メートルから四千メートルぐらいのものになってくるわけでございます。そういたしますと、環境問題も含めましていろいろな問題が起こってまいりますので、とりあえずは技術的実証を得るための実証調査をやろうということでございまして、五十二年度から大分県と熊本県との県境地域におきまして調査を進めてまいっておるわけでございまして、目下三千メートル級のボーリングに取りかかろうとしているところでございます。  それから熱水利用発電ブラントというのがございます。これは原理といたしましては、現在未利用のまま地下に還元しております熱水エネルギーをフロンとかイソブタンとかといったような媒体に移動させまして、タービンを回して発電を行おうというものでございます。北海道の濁川、九州の大岳で千キロワット級のパイロットプラントをつくりまして、現在実験結果を出しておるところでございます。  大体の結果から言いますと、これを使いますと、現在の地熱発電所発電容量を大体二割から四割アップすることができる、また発電コストも二十円ぐらいでできるということでございまして、コストの面から言いますと、かなり実用の域に近いものであろうかと考えております。  そのほか発電用以外に、地熱地域暖房園芸施設など多目的利用する方法といたしまして、深層熱水供給システム開発というのがございますが、これも当機構といたしまして進めておるところでございます。  その次は、これから取りかかろうといたしておるものの一つ燃料電池がございます。これは水素と酸素をインプットいたしまして電力を取り出そうというものでございまして、燃料電池とはいいますが、やはりこれは発電設備の一種でございまして、五十六年度から部分的な試作をやることになっております。  それからメタノール利用試験でございますが、メタノールといいますのはメチルアルコールのことでございますけれども、メタノール火力発電所で燃やした場合にどういった環境安全上の問題が出てくるかあるいは経済性はどうかといったことにつきまして調査をしようということになっております。  それから、太陽エネルギーによります海水淡水化実証試験、これは太陽熱利用いたしました海水淡水化プラントでございますが、これをアラブ首長国連邦建設いたしまして実証試験をやろうという計画がございます。  さらに、五十六年度からは大型風力発電システム開発、当面は百キロワット級の発電能力を持ちます風力発電開発を行おうといたしております。  これらのほかに、電力貯蔵用新型電池システム開発あるいは高温高圧下での水電解によります水素製造のためのパイロットプラント開発を引き続き実施することといたしております。  時間の関係地熱開発あるいは海外石炭導入に関する機構役割りあるいは石炭鉱業合理化関係には触れませんでしたが、以上が当機構のやっております新エネルギー技術開発につきましての主な仕事内容でございます。  最後に二、三これからの開発を進めていくに当たっての当機構といたしましての考え方につきまして申し上げたいと存じます。  一つは、できるだけ民間活力利用する方向でまいりたいと存じます。機構自身は個別の技術開発プロジェクトにつきましてはプラント基本設計プラント開発総合管理等プロジェクトマネージメント中心に行いまして、プラント開発の具体的な実施につきましては委託あるいは請負といった形で開発能力のあります民間企業に行ってもらうという形で効率的な事業実施を図っていきたいと考えております。  もう一つは、エネルギー安全保障におきます代替エネルギー技術開発重要性に留意しながら技術開発を進めていくに当たりましては、二、三年ごとぐらいに研究開発段階に応じまして技術評価をやりまして、その結果研究開発の選択的な拡大強化を図ることによりまして、効率的な事業の展開を図っていきたいというふうに考えております。評価の中にはもちろん技術的な安定性あるいは安全性といったことだけではございませんで、エネルギー効率の問題、経済性の問題あるいは立地の適応性の問題など、いろいろな観点があろうかと存じますが、そういった評価を常に行いながら開発を進めていきたいと考えております。  さらに、代替エネルギー開発導入につきましては国際協力が重要でございまして、IEAのような国際機関の場におきます協力に積極的に対処するほか、開発促進に役立つ二国間協力外国実施主体との協力にも留意しつつ進めてまいりたいと存じております。  以上が新エネルギー総合開発機構といたしまして行っております新エネルギー開発の概要と考え方でございます。どうもありがとうございました。
  5. 細川護煕

    委員長細川護熙君) ありがとうございました。  次に、山村参考人にお願いいたします。山村参考人
  6. 山村昌

    参考人山村昌君) 私は山村でございます。  現在、横浜国立大学教授といたしまして、あるいはその前には東京大学教授といたしまして長年の間電気機械の講座を担当しております。サンシャイン計画が、これは八年前になると思いますが、始まって以来、私は太陽エネルギー分科会の会長を務めまして、太陽エネルギー利用のための技術研究開発を見守ってまいりました。本日は太陽エネルギーについて所見を述べさしていただきます。  まず、太陽エネルギーの性格についてでございますが、まず第一に、太陽エネルギーは非常に豊富なエネルギーであります。地球全体に降り注ぎますところの太陽エネルギーのわずか四十分間の量は、世界の一年間のエネルギー消費量に相当いたします。それから日本に限って見ましても、日本の国土全体に降り注ぐ太陽エネルギーの全体の量は日本国内で消費いたしますエネルギー総量の二百五十倍以上にもなります。それから太陽エネルギーは尽きることのない、枯渇することのないエネルギーであります。それからまた非常にクリーンな清潔なエネルギーでありまして、これを利用することによって環境問題が起こるということはほとんどゼロでございます。また地域的な偏在性がほとんどなくてどこでも利用できます。こういう点が太陽エネルギー特徴であると思います。しかし一方で、地上で、地球の表面で利用する場合にはエネルギーの密度が低いのでありまして、ピーク値最大値で大体一キロワット・パー・スクエアメーターの程度であります。したがいまして、多量のエネルギーを集めるためには大きな面積を必要といたしまして、そのために面積効率が悪く、また夜間、雨天、曇天、さらに季節的な変動が大きい、こういうような短所がございます。  エネルギー利用法にはいろいろな方法があるのでありますが、サンシャイン計画におきましては有望な方法として研究開発を続けてまいりましたものは主として次の三通りでございます。  まず、太陽熱発電太陽光発電太陽冷暖房及び給湯でございます。これらにつきましては先ほども御発言がありましたので、したがいまして多少簡単にさしていただくかもしれませんが、まず、太陽熱発電につきましては、太陽の光をまず集めまして、それを熱に変えまして、その熱によりまして高温高圧の水蒸気をつくり、それによりまして、火力発電所と同様に蒸気タービンを回して発電機を回すという形式の発電でございます。これにつきましては、サンシャイン計画の当初から研究開発が始められまして、そこで開発されました要素技術基礎にいたしまして、先ほどお話がありましたように、千キロワットのパイロットプラントが二万式建設中でございます。香川県の仁尾町に建設中でございまして、今年度中に試験運転が開始される予定になっておると承っております。これにより収集されるデータは、将来の性能の向上とコストの低減を目指す研究開発に役立つものと思います。この太陽熱発電パイロットプラント建設は、外国の同様なプロジェクトに比べましても、スケールは多少大きい小さいがございますが、たとえばアメリカは一万キロワット、フランスは二千キロワット、ECは千キロワット、それからIEAでは五百キロワットと、そういうように、スケールは大きい小さいはございますが、その技術的な内容、それから時期的にも日本のこのプロジェクトは少しも外国におくれをとるものではないと考える次第でございます。  次に、太陽光発電につきましてでありますが、率直に申し上げまして、サンシャイン計画最初におきましては余り大きな希望が持てる状態ではなかったのではないかと私は見ております。それは、当時におきましては、太陽の光を熱に変えないで、光を直接に電気に変えるのでありますが、それに、先ほどのお話にもありましたように、単結晶のシリコンを使ったところの太陽電池が使われるのでありますが、そのコストサンシャイン計画のスタートの当初におきましては非常に高くて変換効率も低いものでありました。当時は、コストを百分の一以下にしませんと、用途を広げて利用するエネルギーの量をある程度確保するということは非常にむずかしいと言われておりました。したがいまして、サンシャイン計画の当初の研究開発は、コストの低減に向けられまして、リボン状シリコンあるいは薄膜のシリコン、さらに最近は、結晶性でない非結晶性アモルファスシリコンと呼ばれている太陽電池開発が進展しております。これらの技術の進歩によりまして、大幅なコスト引き下げが可能になってまいりまして、さらに、今後十年後ぐらいには、一ワット当たり百円以下にすることを目標にして研究開発を進める、そういう状態になっております。また、太陽の光のエネルギー電気エネルギーに変える変換効率につきましては、単結晶シリコン太陽電池で一四%以上、それからアモルファスシリコン太陽電池で七%に近い値がすでに得られております。これらの数値は、近い将来におきまして、太陽光発電の大きなスケール利用についてきわめて明るい見通しを与えるものでございます。そのほか硫化カドミウムなど、化合物を使いました太陽電池コストが非常に低いのでありまして、これの寿命を長くするための研究開発が行われております。  それから次に、太陽冷暖房、それから給湯についてお話を申し上げますと、太陽熱利用して暖房、冷房を行うところのソーラーハウスの実験は、サンシャイン計画の当初から行われまして、また民間における研究開発も活発に行われました。その結果、集熱器、貯湯装置など要素技術は非常に進歩いたしました。また、太陽温水器の性能も非常に向上されました。その結果、これらの一般民生方面への普及が徐々にではありますが始まっております。しかしながら、冷房に関しましては、まだコストが高く、暖房についても、さらに大きなスケールの普及をさせるためには、これらの装置の経済性を一層向上させて利用者に投資効果があることをはっきりと示す、そういう努力をさらに続ける必要があると考える次第でございます。太陽エネルギー研究開発について一言申し上げたいことは、これまでは主として要素技術開発に重点が置かれてまいりまして、システム全体としての経済性についてはっきりしたデータがほとんど出されていないということであります。スタートのときから経済性を余り重視することは研究の芽を摘み取ってしまうというおそれもありますので注意をしなければならないのでありますが、研究開発の成果を広く利用するためには、経済性に関するデータをもっとはっきりさせて、これをさらに向上させるための努力が必要であります。  次に、太陽エネルギー利用についてでありますが、もっと分散型の利用に重点を置くべきではないかと考えます。これまでのエネルギーは、石油でも電力でも集中的に一カ所で生産され処理されまして、これを輸送、伝送いたしまして、分散して消費されている。ところが、太陽エネルギーは密度が高くありませんので、集中して処理、生産しようとしますと、集中化のためにコストがかかり、大きな面積を必要といたします。エネルギーの処理、生産も分散型でやり、そのまま消費するという形式が太陽エネルギーには非常に有利であります。エネルギーの発生と消費ともに分散型でやることにもっと重点が置かるべきであると考える次第でございます。  たとえば太陽電池を住宅の屋根の上に置きまして、そこで発電し、それを部屋の中に入れて、そこで消費する、そういう形式の太陽エネルギー利用が有利でございます。その場合、もし余剰の電力エネルギーがありますれば、いままでとは反対方向に配電線を通じまして電力系統に電力を送り込むことも可能であります。それからさらに、こういう分散型の太陽電池でありますれば、その設置場所を見つけることも比較的容易であります。屋根の上のスペースでも利用できるということでございます。  さて、上述のように、現実のような現状を踏まえまして、太陽エネルギー利用の将来を考えてみたいと思います。  サンシャイン計画がこれまで進行してきました比較的短い期間におきましても、当初の予想とは違う進展があったと思います。たとえば太陽の光発電、あるいはそれの要素でありますところの太陽電池の有望性、将来性が著しく高まっております。当初に考えられたよりも非常に有望になり、将来性があると考えられるようになってまいりました。ところが、実はサンシャイン計画が始まって二、三年目だと私は記憶しておりますが、太陽光発電撤退論が出たことを覚えております。そういうように事情が非常に変わるということであります。これは、技術の進歩には予測のむずかしい面があるからであります。はっきりしていることは研究開発の努力をしないでは、手をこまねいていては新しい進展はあり得ないということであると思います。  太陽エネルギーは将来の新エネルギーの支柱の一つになると考えるものであります。新エネルギーというのは、先ほどの話とは少し内容が違いまして、私はこの新エネルギーには石炭は入れていないのでございますが、その他のいままでほとんど使われたことのないエネルギー、その中で太陽エネルギー中心エネルギーになるものであると私は考えるのでありますが、そういう意味の新エネルギーの将来のシェアの予測が現在各方面で発表されております。十年ぐらい後の日本国内の全体の一次エネルギーの中で占める新エネルギーのシェアの予測として二・五から五%ぐらいの間にある予測が多いように思います。この値の正否は別といたしまして、この二・五ないし五%のシェアという値は決して小さくないのであります。この値は、二・五ないし五%というのは小さいではないか、したがって新エネルギー重要性も将来性も小さいものであるに違いないと、そう考えることは私は誤りであると考えます。  新聞で拝見しておりますと、昭和五十五年度の石油の輸入総額は六百億ドル程度と見られておるようであります。石油のシェアは大きいのでありますが、他のエネルギーも含めました全エネルギーの生産コストは、恐らく一千億ドルに達すると考えられます。その五%は五十億ドル、現在のレートで約一兆円余になると思いますが、この数字は十年後にはインフレだけを考えてもかなり大きな数字になるものであります。したがいまして、年間一兆円以上の効果を毎年生むための研究開発として応分の予算を当然組むべきではないかと考える次第であります。  この数字につきましては、サンシャイン計画予算案の審議が皆様のお手元で済んだ直後でございますが、この数字は皆さんよく御存じだと思いますが、太陽エネルギー予算はこの一兆円の一%にも満たない数字でございます。地熱につきましても、やはり一%に満たない数字であると私は拝見しております。この数字は決して大き過ぎるものではないと考えます。  太陽エネルギーにつきまして最初に申し上げましたところの特徴から見まして、太陽エネルギー利用効率はこういうような単なる金銭上のものではなく、エネルギーの確保あるいは環境問題などの大きな効果をも主なものであります。  さらに申し上げたいことは、技術の予測は非常にむずかしい面がございまして、二・五ないし五%のシェアという予測は将来上方に向かって修正される可能性も非常に大きいのでございます。太陽エネルギーは将来の大きな夢と可能性を持つものでございます。  これで私の発言を終わらしていただきます。ありがとうございました。
  7. 細川護煕

    委員長細川護熙君) ありがとうございました。  次に、東参考人にお願いいたします。東参考人
  8. 東昭

    参考人(東昭君) 私は東京大学の宇宙航空研究所におきまして、主として回転翼、どちらかといいますとヘリコプターの回転翼を専門にやってきた者でありますけれども、同じような回転翼ということで風車のことを最近やっております。よろしくお願いいたします。  まず、風力が使えるエネルギーがどのくらいかということでありますけれども、ただいまの山村先生のお話にもございました太陽エネルギーのうちの約二%ぐらいが風になるということでありまして、つまり、その風を使って何とかエネルギーが取り出せないかと、そういうことでございます。その二%のうちのまたさらに一%、それの一%ぐらいが仮に取り出せるといたしますと、大体世界のエネルギー消費量と同じ程度のオーダーのエネルギーが得られるであろうというふうに言われております。わが国で仮に可能なところにたくさん風車を置いてそのエネルギーを取り出そうといたしますと、多分わが国で使われるエネルギー総量のまあ一〇%ぐらいは取り出せるのではないかというような試算が行われております。  しかしながら、風のエネルギーの特色といたしましては幾つかございますが、まず一番大事なことは、エネルギーの密度が大変希薄である。ただいま山村先生のお話にもございましたように、太陽エネルギーそのものが大変散っておりまして、決して一カ所に集中しているというものではございません。非常に希薄なエネルギーを取り出さなくてはいけないということ、それから地域的、時間的に非常に変動が大きいということも特色であります。場所によって違いますし、朝から晩にかけても時間的変動がございますし、常に一定の風が一定の方向から吹くということはかったにございません。地形、森林、建物等の障害物の影響も非常によく受けるようであります。それから、風速に勾配がありまして、地表間近ですとほとんど風速はゼロでございますけれども、高度が上がるとともに風速が増してまいります。そのように、高さ、方向によって速度分布が違うようなエネルギーを取り出さなくてはならないということがございます。  それから次は、水のように集めてためることが非常にむずかしい。わが国は非常に降雨量は多くて、しかも山岳が非常に多いものですから水はわりあいに豊富で、しかも急流が利用できる上に、適当に池、湖等にためることができますけれども、風の場合には通過するだけでなかなかこれをためることができません。ただし、太陽エネルギーがもとでございますから、やはり非常にきれいなエネルギーでありまして、それを利用することによってそれほど化学的な汚染あるいは熱の汚染等の問題は発生しないと思います。  さて、エネルギーそのものは、風速の三乗に比例して得られます。たとえば、二メートルの風が吹いているときに得られるエネルギー量と、四メートル、倍の風速が吹いておるときのエネルギー量は、二倍の三乗で八倍エネルギーが取り出せます。したがって、風のエネルギーを取り出すためには、風速の速いところを見つけなくてはなりません。  次に、取り出されるエネルギーは、たとえば風車で取り出そうとしますと、その受圧面積そのものに比例いたします。したがって、大きな面積の風車をつくれば、それだけ大きいエネルギーが得られる、そういうことでございます。  それから風速に変動がございますので、一般にある地点に風車を建てようと思いましてその地点の風速をはかっておりますと、これは先ほど申しましたように非常に変動がございますが、たとえば一例を挙げますと、秋田県の大潟村で風速をこの冬にはかった実測で例を申し上げますと、平均風速は六メーター・パー・セックぐらいでございます。その付近にエネルギーが集中しておりますが、十メーター・パー・セック以上の風速が吹く日というのがわりあいに少のうございますし、それから非常に低い、たとえば二メーター・パー・セック以下というような状態もわりあいに冬場だと少ないようでございまして、したがってエネルギーの大部分は風速六メーター付近に集中しております。したがって、それを取り出そうといたしますと、風車をつくる場合に、その風車というのは余り低い風速のところで回る必要はありません。つまり、エネルギー密度がそこには余りありませんから、低いうちから風車を回したところで得られるエネルギーは大したことはない。一方、十メーター・パー・セック以上のような高い速い風のところで仮にエネルギーを取り出せるような風車を設計したとしましても、そのような風が吹くときというのはわりあいに年間当たり少ない。結局これは、そのような風に耐える丈夫な風車をつくったわりには取り出せるエネルギーが少ないということになります。そこで、風車の設計としましては、一番エネルギー密度が多いあたりの風速をうまくつかまえてそれを利用できる、そういう設計がうまい設計というふうに言えると思います。台風のようなときには大変なエネルギーを風が運んでまいりますけれども、実はこれは年を通じますとそれほど数の多いものでありませんから、余り有効ではないということでございます。  風車利用の歴史を簡単にお話ししますと、紀元前から、エジプト時代に水をくみ上げるというようなことに使われておったようでありますが、その後中世になりましてこれがヨーロッパに伝わります。幸いにヨーロッパには台風のようなものがございませんので、わが国とかあるいはアメリカもそうなんですけれども、非常に強風の吹く、台風またはハリケーンがございまして、風車そのものは強風に対する対策というものが大事になりますけれども、ヨーロッパの場合にはそれが余りなかったものですから、わりあいによく発達したようであります。産業革命の動力源が出てくる以前には非常に有効に使われておったようであります。  それで、どういう風車がこれまでも使われ、かつ、これからも使われていくかということを簡単にお話ししますと、風車には、型で言いまして、回転軸が横になっている、水平になっている型のもの、ちょうどこういう模型を持ってまいりましたのでごらんに入れますと、たとえばこういうプロペラ型のもの、これは五月の節句の矢車のような、アメリカのインディアンなどがよく使うような、こういう横に回転軸がありまして、回転面が垂直に立っておる。風の方向にこの回転面を向ける、こういう方式のものがございます。この二つは、二つともこの塔に対しまして回転面が前方に出ておりますけれども、実は逆に風に対して回転面が後ろに向くものもございます。この場合には後ろに矢羽根が必要ですけれども、大きな特色は、これでは非常に羽根の数が多いことが特色、こちらは羽根の数が少ない、いわゆるプロペラのような形をしております。何が違うかと申しますと、こういう羽根の数の多いものは、同じ面積の中で同じような風速で働く場合でも、これはどちらかといいますと回転数を落として使います。そのかわり非常に大きな力、トルクが得られます。それに対してこういうプロペラ型の方は回転数を上げて使います。そのかわりトルクそのものは非常に少ない。全体として直径が同じで同じ風速下にこれを置きますとほぼ似たような効率が得られますけれども、どちらかというと大型になればなるほど、こちらのプロペラ式の羽根の面積あるいは枚数が少ない方が一般には効率がよくなります。それに対しまして、ここにありますものは回転軸が垂直になっております。このようなものは垂直の回転軸の回りにこのように回りますけれども、ここにありますサボニウス型、あるいはここにありますのはダリウス型と呼ばれるもの、あるいはこれはサイクルジャイロというふうに呼ばれておりますが、いずれも翼は垂直軸の回りに回転するということでトルクをかせぎます。こちらの方の型の特色は、風向がどちらから来てもよろしい。こちらの水平軸の場合には風の方向に回転面を向けてやらないといけませんけれども、こちらの方は回転面が回っておりますので、どちらから風が来ても回転をするという特色がございます。そのかわり、いずれもこの種の型のものは一般に低風速では回りづらくて、特に起動のための何か特別な装置が一般には必要になってまいりますし、一度回り出しますと相当高速で回る。したがって、トルクは小さいけれども高速でパワーをかせぐというような型のものでございます。  なお、この回転数そのものをちゃんと制御する場合と制御しない場合がございます。商用電源の中に入れようと思いますと、五十ヘルツないし六十ヘルツの一定の周波数で変動している交流電源として供用するためには、風車の回転数そのものを非常にきちんと制御しなければいけない。そのためのいろいろな機構がつきますので、これはどちらかといいますと大型の風車に使われます。それに対して小型の風車はそのようなことをやっていますと非常に高価になりますので、一般には回転数制御というものは余りやりません。したがって、風がゆっくり吹いているときには遅く回り、風が速くなりますと高速で回ってエネルギーの取り出し量が非常に多くなる、そういう形になっております。  それでは、よその国及びわが国でどういう開発が現在まで行われてきたか、またこれから行われていくかというお話を簡単にいたしますと、米国ではたとえば一九七九年の予算で約百二十一億円ほどをエネルギー省が使いまして、基本的なモデルO型、OA型、1型というような型の風車を設計開発し、これを実験しております。たとえば一番最初のO型でございますと、一九七五年にでき上がったものですけれども、百キロワットクラスのものであります。現在はこれをメガワットクラス、つまり百キロワットの千倍のオーダーのものを開発中でございまして、何カ所かに風の強そうなところに立てて実験を開始している最中であります。  そのほかにカナダでは、アメリカの場合にはこういうプロペラ型の方が主流となっておりますが、カナダではこちらにありますダリウス型のようなこういう型のものをやはり一九七八年ぐらいで一億幾らですか、何か億というオーダーのお金を使って開発を進めているようであります。  ヨーロッパでは、やはりもともと適当な発祥の温床があったといいますか、土壌があったせいか早くからやっておりまして、大型のものではたとえば西ドイツでは三メガワットから五メガワットの大型のものを計画しております。直径はメガワットのクラスになりますと数十メーターの直径、それからドイツの場合ですと百メーター、五メガワットの場合ですと直径百三十メートルの大きさの回転翼を使って発電をしようとしております。同じように大体デンマーク、英国、フランス、ソ連等もいまのところ百キロワットからメガワットクラスのものをねらって開発を続けようとしているようであります。  わが国では一つは、先ほどからお話が出ております通産省のやられておりますサンシャイン計画の中でやはり風車が取り上げられておりまして、百キロワットクラスのものがつくられて実験をされる予定であります。科学技術庁さんがおやりになっておりますのは、風トピア計画と呼ばれているものでありまして、これは非常に小型の一キロワットクラス、直径で言いますと、せいぜい四メートル前後ぐらいの小型の風車でございますが、これを幾種類がつくって実際にどういう問題点があるかというようなことを調べておられます。あとほかに幾つか研究用あるいは試作用というような風車が各所に現在つくられようとしております。  問題は値段でございますけれども、現在アメリカ計画しております目標値としましては、大体一キロワットクラスの風車でありましたらキロワット当たり三十万円ぐらいのものでつくりたい。八キロワットクラスのものであれば十五万円ぐらいにしたい。さらに、大型の四十キロワットクラスのものであれば十万円前後の製造費にしたいというようなことを考えておるようであります。どのくらいの大きさのものが一番値段的につり合うかというような検討もされておりますけれども、現在のところでは多分メガワット当たり、そのクラスのものですと直径が数十メーターぐらいのもので風速が十メーター・パー・セックぐらい吹くようなところでないとだめなんですけれども、そのくらいのものが多分一番経済的にできるのではないかというふうに言われております。そのために、実はメガワットクラスの発電用風車というのはほかの発電、たとえば火力発電、水力発電あるいは原子力発電等に比べまして二けたも三けたも小さな量でございます。それでいて直径が数十メーターというような大きなものを必要といたします。このために、多分それ以上のたくさんのエネルギーを取り出そうという場合にはメガワットクラスの風車をたくさん並べるという形になるであろうと予想されます。さらに大きな直径のものをつくることは、まず不可能ではないかもしれませんけれども、コスト的に無理ではないかというような気がいたします。  発電コストそのもので申しますと、一メガワット当たりの風車がもしうまくできて、かつその売れ行きが適当にあって規格化されれば、キロワットアワー当たり二十円ぐらいになれば、つまりほかの油を利用したものとコンパラブルになるだろうということで、それを目標に開発は進められるようでありますが、実際のところ果たして二十円クラスにいくかということは今後の開発をやらないと非常に無理だろうと思いますが、現在は多分四十円からもう少し下がったあたりをねらえるのではないかというふうに思っております。しかし、今後の材料の進歩や、何よりも数多くつくることによって経験が積まれれば、多分二十円の目標は達成されるのではないかというふうに考えられます。現在は何しろまだよちよち歩きといいますか、各所で実験的につくり出した段階で、またよくデータも集まっておりません。そのために、現在そのものの値段は非常に高いものになっておりますが、これは試作研究費というものと大量生産に入ったものとは明らかに違ってくるものでありまして、自動車でも、あれほど数が出ますと、あのようなものが百万円というようなオーダーで売られるようになりますけれども、現在一キロワットクラスの発電をやる風車が大体一番安いもので百万円クラスというようなことでございます。  風車を利用する場合に、あと問題になることを幾つか挙げてみたいと思います。  まず一つは、風車の安全性でございます。先ほど申しましたように、風の特色が風速変動が非常に大きいということ、それから高さ、方向によって風速が違うということは、回転翼に非常に変動する加重を与えます。これが材料の疲労をもたらしまして、長く使っておりますと疲労によってじわじわとやられることが、ございます。  それから、日本はやはり海に囲まれておりますので一これは航空機がそうなんですけれども、非常に塩害に冒されます。これは腐食という形で材料を冒してまいりますので、日本の空を飛んでいる航空機というのは、アメリカの空を常に飛んでいる飛行機よりもずっと早い状態で腐食がきますが、それと同じことがやはりくるだろうというふうに考えられます。  それから、もちろん地震、台風等も日本では非常にほかのところよりは多いということがありますので、安全性ということをよく考えないと危険だと思います。特に回転しているものでございますので、看板を立てておいて台風でやられたというような程度のものとは異質な、回転しているものでありますので、もう少し危険性の高いものでございますから、やはり使う側、管理する側が非常に注意をしないといけないと思います。幸いにこれは回転数が非常にゆっくりしたものでありまして、プロペラが約二千というようなオーダーで回しますし、ヘリコプターの回転翼が二百というようなオーダーで回しますが、幸いに普通この程度の風車ですと百rpm以下でございます。そのようにわりあいに回転数がゆっくりしておりますので、騒音による公害等も少ないであろうというふうに思われます。  後は、どうしてもエネルギーが分散しておりますから、これをうまくつかまえるということをやらなければいけないのですけれども、そのためには風車の設置場所をやっぱり選ばないといけない。常にコンスタントにいい風が吹く場所を見つけることも必要ですけれども、特に地形を利用しますと、風が海岸からすぐに山にくるようなところですと、風が相当なエネルギーを持ったまま山をかけ上がりますので、山の上の方に行きますとさらに風速が速くなります。そのようなうまい、エネルギーが集中している場所を見つけて、そういうところにうまく風車を配置するということが大事だと思います。どうしてもそういうものがない場合には、風のエネルギーを一たん集めるという努力が幾つかされております。  幸いにして風からこのような風車を通じてエネルギーが得られたとしましても、実はこの取り出し方が問題でありまして、機械的にそのまま利用する方法としましては、揚水とか製粉等がございます。これはわりあいに簡単でありまして、それほど効率の高いことを必要としませんので、手軽に使えるという方法であります。それから電力に使う場合には、特に商用電源に入れようとしますとこれは大変な制御を必要といたします。それに対して蓄電器、バッテリーに入れてしまうような場合ですと、これは余り回転数制御を考慮する必要はございません、というぐあいに取り出し方によって高くもなれば安くもなるということでございます。  そのほかには、熱として取り出し、給湯、暖房に使う、あるいは鉄を中心としました鉄チタン、酸素系のような金属とそれから水素とを一緒にさせたりあるいは乖離させたりするというような方法でためることもできますし、あるいはこまのようなものに運動エネルギーとして蓄えることも可能であります。まあ幸いに風車というのはある意味では分散型といいまして、先ほど太陽エネルギーそのものが分散しておるということでありましたけれども、風力も同じように分散しておりますので、集中して取り出すというよりは各地方地方でうまい場所を見つけてこつこつと取り出すという方法が一番よろしいかと思います。幸いに風車は意外と好かれておりまして、各地でわりあい皆さん歓迎をしてくれるようでありますので、うまい利用法をやっていきたいというふうに考えております。  一応これで時間が参りましたので終わりにしたいと思います。
  9. 細川護煕

    委員長細川護熙君) ありがとうございました。  次に、本間参考人にお願いいたします。本間参考人
  10. 本間琢也

    参考人本間琢也君) 私は筑波大学エネルギー変換関係研究をやっております本間でございます。おととしの十一月三十日まで通産省の電子技術総合研究所におりましてやはりエネルギー変換の仕事をしてまいったわけでございます。きょうは海洋エネルギーについて私の意見を述べる機会を与えていただきましたことに御礼申し上げます。  海洋エネルギーに関しましてまず最初に資源のお話を申し上げまして、それから利用技術について分けてお話し申し上げたいと存じます。  それできょうお手元に資料がお配りしてあるかと存じますが、海洋エネルギーといいますのは、もともとは太陽エネルギーの変換された過程でございまして、ちょうど海洋が地球の表面積の七一%を占めておりますから、それだけの大きなコレクターになっておる、そういうふうに考えられるかと思うわけでございます。それで、本日山村先生の方から太陽エネルギーの陸上での利用の話がございましたけれども、実は海洋エネルギーも海洋というものを一種のコレクターと考えて、これは自然のコレクターでございますけれども、そのコレクターと考えてそこにためられた太陽エネルギーを使う、そういう意味では広い意味での太陽エネルギー利用であろう、そういうふうに解釈できるかと存じます。  それで、まず地球の大気圏に参ります太陽エネルギーを量で申し上げますと、資料にございますように百七十三兆キロワットという量になりますけれども、まずその資料の点線がございますが、これはちょうど大気でございまして、大気圏に入る前に約三〇%は短波長で反射をいたします。結局、地球の中には入ってこないということになるわけでございます。大気圏の中に入ってきました七〇%のうち二つに大体分かれまして、そのうちの一つ海水が蒸発をいたしまして雨が降る、そういう水系に蓄えられるエネルギー、水系のエネルギーに変換されるエネルギー分が四十兆キロワット、これが全体の二一二%に当たっております。その利用方法でいきますと、たとえば水力発電ですとか、海水濃度差発電という、この海水濃度差発電が海洋エネルギー利用一つになっておるわけです。  それからその次に、風波とか対流といったようなそういう空気のエネルギー、さらに空気のエネルギーからその海洋に波が起きますけれども、そういうエネルギーが三千七百億キロワットという量になっております。これはもちろん地球規模でのお話でございます。  それから次に潮汐でございますけれども、これは太陽地球と月の関係で相対比の関係によりまして、引力の差によって、引力の時間的な変化によって出てくるエネルギーが潮汐エネルギーでございますけれども、これは非常に少なくて三十億キロワット。それから非常に大きい部分がわれわれが地球の表面で太陽光として感じます、あるいはそれが熱に変換されて感じますのがこれが非常に大きくて八十一兆キロワット、全体の約四七%、つまり五〇%近い値になっております。  それで、その風波とか対流に相当いたします海洋エネルギーが、いまの東先生の風力発電はこれは陸上と考えますと、波力発電それから海流発電がこれに相当することになるわけでございます。それから潮汐エネルギーに対応しますのが潮汐発電、それから熱に対応しますのが海洋の場合ですと海洋温度差発電というふうな形で海洋エネルギーとして利用されておるわけでございます。  あと光合成のエネルギーでございますけれども、これは後ほど武田さんからお話があるかと存じますけれども、これはバイオマスということで、バイオマスも海洋の中にも植物は生育いたしますので海洋エネルギーの一種でもあるわけでございますけれども、きょうは私の特に担当じゃございませんので余り申し上げないことにいたしたいと思います。  それで、このように海洋エネルギーと一口に申し上げましてもこのエネルギー形態が非常に多岐にわたっております。たとえば波力発電それから海流、潮汐、そういったような発電、あるいはそのエネルギー利用ということになりますと、これは主として力学的なエネルギーでございますし、それから海洋温度差発電といいますのは熱のエネルギーでございます。海水にためられた熱のエネルギーでございます。  それから海水濃度差発電といいますのは、これはちょっと原理的にはわかりにくいかと思いますけれども、海水の中には塩が溶けております。大体標準的には一リットルの海水中に三十五グラムぐらい溶けておりますけれども、そういう海水と淡水とまぜますともっと海水の薄い溶液ができるわけでございますけれども、そのできた溶液のエネルギーというのはもとのエネルギーを足したエネルギーよりも小さい、それだけエネルギーが外へ取り出せるわけです。それが海水濃度差発電の原理でございますけれども、これは一種の物理化学的なエネルギー。  そういうふうに、海洋エネルギーといいますと非常に多岐にわたったエネルギーでございますので、一口に海洋エネルギーと申しましても体系的に論じるのは非常にむずかしい。そこで、その一つ一つにつきまして技術の種類あるいは問題点が全部変わってまいりますので、一つ一つに分けてお話を申し上げたいと思います。  その利用技術でございますけれども、まずこの中で一番その見込みがあると思われております技術といいますのは波力とそれから海洋温度差発電、その二つでございます。  そういうことで、まず波力から申し上げますけれども、波力エネルギー利用の原理といいますのは、三枚目の図がございますけれども、それの図1あるいは図2にございますように、波によりまして海面が上下に運動いたします。それをパイプの中に取り込みますとそのパイプの中でやはり海面が外の海面に従って上下運動をするわけでございます。それがちょうどピストンのような形になって海面が上がるときにはそのパイプの中の空気を外へ吐き出す、それから逆に海面が下がりますと外から空気を取り入れることになるわけです。そのときに一種の空気の流れができますので、それを弁でうまく整流いたしまして一応交流に直しまして、その直した上でタービンを回転させる、それが波力発電の、特に空気タービン式波力発電の原理でございます。  これは日本では非常に進んでおりまして、もう二十年ぐらい前から数十ワットぐらいの小型のものはすでに実用化されておりまして、大体千五百個ぐらいはもうすでに売れているのじゃないかと思いますけれども、ただ問題は、これを大型化することができるかどうかということが技術的な問題でございまして、最近、海洋科学技術センターにおきまして「海明」という波力発電ブイを試作いたしまして、これを実験しておるわけでございます。これはたしか昭和五十三年八月から五十四年の四月まで、それから五十四年のやはり八月から五十五年の五月末まで二回実験をいたしました。初年度は日本だけで実験をやりましたけれども、二年度につきましてはIEA協力テーマになっておりまして、アメリカ、イギリス、カナダ、それからアイルランド、そういう国が参加いたしまして、国際協力で実際の実験つまり実海域での実験をやったわけでございます。  それで、まず波力につきまして、一体どういう問題が生じたかと申しますと、これは実際実験いたしますと、実験データで最大が、大体七つの発電機を積んでやった場合でございますけれども、七つの発電機で、これは一つ発電機の定格が百二十五キロワットです。それで最大で七百キロワットが出ております。しかしこれを平均いたしますと、大体六分の一ぐらい、これは平均の時間のとり方によりまして非常に変わってまいりますけれども、数百秒ぐらいの間隔で平均いたしましても非常に変動が大きくて、ピークと平均をとりますと大体六分の一ぐらい、つまり平均値が最大値の六分の一ぐらいになっている。そういうことで出力の変動が非常に大きいということ、これが一つの問題かと思います。ですから、今後これをエネルギーの資源として定常的に利用しようといたしますと、この変動の問題を何とか平滑化するような工夫が必要であろう。もちろん電力系統に入れますと、若干の変動は許されるわけでございますけれども、余り激しい変動をいたしますような電力を送電網に入れますと、やはり電力会社さんの方でもお困りになる、そういうことがあるかと思いますので、波力発電の範囲内でなるべく変動を小さくするような工夫が必要かと思います。  それから、あと大規模化の問題につきましては、これは実際に波力発電機を船なんかに積んでやった場合に、今度は船の運動が入ってまいりまして、船の運動と波力発電の特性が相関関係を持ちますので、この運動が非常に複雑になる。そういうことで、たとえば一基のユニットを十基積んだからといってこれがちょうど十倍になるというふうなことはございませんで、十倍以下にしかならないわけです。そういうことからいきまして、今後大規模発電しようとする場合にどういう問題があるかというようなことが一つ技術的な問題点かと思います。  それで、先ほど資源量につきまして世界の資源量を申し上げましたけれども、わが国の資源量についてちょっと触れさしていただきますと、最近科学技術庁で詳細な計算をされまして、あと運輸省の港湾技術研究所とか、あるいは東京大学の前田先生かんかが計算されまして、最近、多分これが正しいと思われておりますのが、大体一メーター当たり十キロワットでございます。日本の海岸線の長きが約三万キロメーターございますので、もし一メーター十キロワットで計算いたしますと約三億キロワットの発電量があるということになるわけでございますけれども、その海岸線をまさか全部波力発電で埋めるというわけにいきませんので、仮にこの一%が利用できるとすれば三百万キロワットになりますし、一〇%であれば三千万キロワット、そういうふうな数字になって、今後海岸線がどれぐらい利用できるかということが一つの問題点になろうかと思います。  それからその次に、海洋温度差発電でございますけれども、海洋温度差発電は、これは二枚目の四ページの図にございますように、この図6に深度に対する水温の分布がございますけれども、これは海水太陽光を受けまして、その太陽光によって表層の海水が温められるわけでございます。それで、ちょうど深度百メーターぐらいまでがほぼ一定の非常に高い温度を示す。たとえばこれは熱帯地方でありますと三十度近いような海水温を示します。しかし、海水は熱伝達性能が非常に悪いものですから、なかなか熱が伝わりませんで、深度四百メーターぐらいになってまいりますと、非常に温度が下がって、大体六百メーターから千メーターぐらいのところで六度ないし七度ぐらいの温度で非常に安定いたします。ですから、その間に高いところで二十五度の温度差を持つわけです。  その図7の上の方にフラスコの図が書いてございますけれども、右の方のフラスコに温水を入れまして、それから左のフラスコに氷を入れまして、それをつないで真空にいたしますと、その温水からどんどん蒸気が発生いたしまして、それがフラスコ1の方、つまり氷片を入れたフラスコの方に流れてきて凝縮して水になる。そういうことで絶えず左のフラスコから右のフラスコに一種の空気の流れができます。ですから、そこにタービンを置いておきますと、タービンは常に回転する、そういうことで発電できるわけでございますけれども、ちょうどこのフラスコ2の方、つまり温水に海洋の表層水を入れまして、それからフラスコ1の方に、これは氷じゃございませんけれども、大体深度五、六百メーターのところから非常に冷たい水を入れまして、片方蒸発させて、片方凝縮させる、そういう形で発電するのが海洋温度差発電の原理でございます。  それで、この図7の下の方にございますのが、これがいまのちょうどフラスコの原理をそのまま陸上に持ってきたタイプでございまして、これはオープンサイクルの海洋温度差発電というふうに言っておるわけです。つまり、オープンサイクルといいますのは、海水を入れてそれを直接蒸発さしてその水蒸気でタービンを回転させる、そういう意味でオープンサイクルになっておるわけです。ところが、実際に海洋温度差発電をもっと効率のよいものにするためには、どうもクローズサイクルの方がいいらしい。クローズサイクルといいますのは、いまのは水蒸気を直接使ったものでございますけれども、水蒸気じゃなくて、たとえばアンモニアですとかあるいはフロンですとかといったような沸点の非常に小さくて密度の非常に大きい、つまり単位体積当たりの質量の非常に大きい作業流体を使った方がずっと装置が小型化される、したがって非常にコストも安くなるわけでございます。そういうことでクローズサイクルというものが出てきたわけでございますが、それの原理を図8に示しております。  一番左の方に表層温水というのがございますけれども、これを温水ポンプで引き揚げまして蒸発器というところに入れます。蒸発器の中にはアンモニアが入ってきておりまして、そのアンモニアが蒸発するわけです。それから片方、右の方に凝縮器というのがございますけれども、この凝縮器には深度五、六百メートルの深層の冷たい水を取り入れまして、そこでアンモニアを冷やして、蒸気になったアンモニアを液化する、そういうことで蒸発器から凝縮器の方にアンモニアの流れができます。その流れを利用いたしましてタービンを回転させる、これがクローズサイクル、つまりアンモニアのルーフが一つ閉じておる、そういう意味でクローズサイクルと呼ばれておるものでございます。それが海洋温度差発電の原理でございます。  それで海洋温度差発電の問題点といいますのは、これは温度差が非常に小さいために効率が非常に小さいわけでございます。大体四%以上の効率というのは不可能なわけです。もちろんこれは普通の燃料を使います場合にはそんな小さい効率ではとても実用化いたしませんけれども、たまたま自然のエネルギーでございますので、効率が低いということは余り問題じゃございませんで、むしろコスト的に合えばよろしいわけです。そういう意味で効率が低いということから必然的に海水の処理量が非常に多くなってまいります。ですから海水の処理をする量をなるべく小さくしたい、海水の処理が多いということは大体機器が非常に大きくなりますし、まずポンプ動力が特に深度五百メーターぐらいのところから海水を引き揚げますと、大体一万キロワットぐらいのポンプ動力が要るわけです、これは出力十万キロワットのブラントを想定いたしました場合でございますけれども、そのときに一万キロワットぐらい要るわけです。ですからいわゆる普通の火力発電なんかと違いまして所内動力が非常にたくさんかかる。所内動力がかかりますと、その分だけネットの出力は減少いたしますので、それをなるべく小さくと。そういうことで熱交換器を非常に高性能化しまして、なるべく海水の処理量を減らすということと同時に、熱交換器自身を非常に小さくしたい、そういうことが一つの大きな問題でございまして、そういうことで熱交換器の開発ということが一つのポイントになっております。  それからもう一つは、海洋温度差の場合は深度が千メーターぐらいの海に浮かべるわけでございます。これはできれば陸地からなるべく近い方がよろしいわけで、たとえば百キロメーター以内というふうな海域を想定いたしまして、一体日本でどういうところにその海洋温度差発電の立地があるかということを図に示したのが図の9でございます。これはもともとの図はカラーが入っておりまして非常にわかりやすいのですけれども、これはコピーの関係で全部黒くなっておりますので陸と設置場所の区別がつきかねますけれども、陸を除きまして、海の中にあります黒く塗った場所がこれが大体海洋温度差発電の設置可能な場所というふうに考えております。  そういう海域でございますけれども、大体深度千メーターぐらいの海域に五百メーターぐらいの冷水管をぶら下げたものを設置いたしますと、特に日本の近海におきましては必ず台風が参りますので、その海洋構造物の受ける力というのは非常に大きくなってしまう。大体出力十万キロワットのプラントを設置いたしますと、最大で千トンぐらいの力が働くわけです。これは波とか海流あるいは風と、そういうふうな力が働くわけでございます。そこでこういうしかも十万キロワットの出力ですと、大体二十万トンぐらいの海洋構造物になりますから、そういう二十万トンぐらいの海洋構造物を深度千メーターの海域に設置するということがまた非常に大きな問題でございます。これが二番目の問題かと存じます。  そういう問題が解決いたしますと、海洋温度差発電といいますのは、前に申し上げました波力などと違いまして、かなりスケールメリットがございますので、ユニット当たりの出力が十万とか五十万とか、そういう大きな単位のユニットになりますから、かなりベースロード用の電力を安定して供給するのには向いているということになるわけです。そういう点が一つの大きなメリットでございます。波力と違いまして余り変動がございませんので、そういう点では海洋温度差発電というのはもし実用化いたしますと、ベース用の電力供給の機器としては非常に有望なものである、そういうふうに考えられております。  この資源量でございますけれども、この資源量につきましては計算の方法は省略させていただきますが、前の一ページ目の資料にございますように大体二十億キロワットというふうに、これは比較的少な目な数字でございまして、非常に多い人は六百億キロワットぐらいの量を言っておる人もございますけれども、大体二十億キロワット、これは電力に換算した場合の二十億キロワットでございますから、これは効率も入った値でございます。これは世界でございますが、日本の中だけで見ますと、多分三千万キロワットぐらいはそう無理なく可能であろうかと、そういうふうに考えております。  以上が海洋温度差発電でございます。  それからもう一つ海洋温度差発電につきましては、昨年の八月に、アメリカのミニオテックという小さな実験装置がございますけれども、これがハワイ沖で実験をいたしました結果五十・二キロワットの出力を出しました。もちろん所内動力、つまり冷水をくみ上げたりあるいは温水をくみ上げたりあるいはサイクルに必要な電力が約四十キロワットですので、正味は十キロワットないし十五キロワットという小さいものでございますけれども、こういう小さい五十キロワットぐらいのスケールですと、どうしてもそういうポンプ動力は相対的に大きくならざるを得ない、そういうことで一応実験といたしましては成功であろうというふうに考えております。ですから、将来いま申し上げました海洋構造物の設置の問題等が片づきましたら、たぶんその海洋温度差発電実用化するという見込みは非常に高いというふうに一般には評価しております。  あとは海流、潮汐でございますけれども、海流の場合は、日本の場合は黒潮という非常に大きな海流のエネルギーがございます。大体海流の定義といいますのは、ある程度の幅と長さ、厚みを持って、ある程度以上の速さでほぼ同じ方向に動いている海水の流れというのを海流と定義いたしますけれども、ほぼ安定して同じ方向に流れておる、そういうことでよく海洋中の河川にたとえられます。海流の中でも黒潮というのはアメリカの東海岸のガルフストリームと並んで非常に規模が大きいものでございまして、世界最大の河川はアマゾン川ですけれども、そのアマゾン川の三百倍ないし五百倍ぐらいの流量を持っておる、つまり一秒間に三千万ないし五千万トンぐらいの海水が流れておるわけでございます。それの平均流速をとりましてエネルギーを計算いたしますと、約千五百万キロワットという数字が出てまいります。もちろん千五百万キロワット全部を利用するというのは不可能でございますけれども、それぐらいの資源の潜在量がある、そういうふうに考えられまして、現在科学技術庁を中心といたしまして海流の利用技術について調査が始まっておりますけれども、まだ具体的なプロジェクトを設定するというところまではまいっておりません。  それからその次に、潮汐エネルギーでございますが、この潮汐エネルギーの場合は、実はフランスのランスの潮汐発電所がすでに実用化されておりまして、これが二十四万キロワットというふうになっておりますけれども、日本は潮の干満差が非常に少なくて、九州の西海岸で非常に高いところがございますけれども、これも最大が五・五メーターという小さいものでございます。ランスの場合は十メーターを超しますけれども、そういう小さいものでございますのでちょっと経済的にペイするような条件にはならない。  それから、海水の濃度差発電でございますが、これは図の13あるいは図の14に示しておりますように、これは浸透圧、浸透圧といいますのは、図の13で申し上げますと、淡水の中に海水を入れた容器を入れまして、その容器の底に半透膜をつけておきます。この半透膜というのは海水の淡水化に使われるような半透膜でして、水の分子だけは通すけれども塩の分子は通さない、そういう半透膜をつけておきますと淡水がだんだん中に入ってまいりまして、Hというふうに示してございますけれども、これが約二百五十メーターぐらいまで上がってそこでとまるわけです。ですから、それだけの水筒ができますので、途中に穴をあけて水を噴出させて水車を回転させればそこで回転力が得られる、そういう原理が使われます。  あるいはその図の14にありますように、これは濃淡電池と言っておりますけれども、海水と淡水とを別々な試験管に入れまして、その間をイオン交換膜で隔てる。そうしますと、その間に起電力が発生いたしまして電流が流れる、そういう形で図15のような形で電池が働くわけでございます。これの問題点はこの膜が非常にいま高いものですから、膜の面積を大きくしませんとなかなかその出力が得られないということがございまして、その膜が非常に高いということでちょっとそう簡単には実用化できるというふうには考えられておりません。ですけれども、勉強はあちこちでされております。  以上が生物を除きました海洋エネルギーの全般でございますが、もう時間が参りましたので、また後ほど御質問があればお話ししたいかと存じますけれども、一応私のお話を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  11. 細川護煕

    委員長細川護熙君) ありがとうございました。  次に、武田参考人にお願いいたします。武田参考人
  12. 武田康

    参考人武田康君) エネルギー総合工学研究所の武田でございます。このような機会を与えていただきまして大変光栄に存じております。厚く御礼申し上げます。  私自身バイオマスのハード的に扱う研究者ではございませんが、エネルギーシステム全体あるいはエネルギー技術全般に関心を持っておりまして、そこでバイオマスが今後のエネルギー経済でどんな役割りを果たすのであろうかというようなところに特に関心を持って前々からバイオマスとのおつき合いをしているわけでございます。そんなような意味でバイオマスの活用と技術開発につきまして私の考えでおりますところを述べさせていただきたいと思います。  まずバイオマスの資源でございますけれども、実はバイオマスという言葉がこの数年来の新しい言葉でもございますので、その定義は人によってやや異なっているかと思われます。私は次のようなことでバイオマスを理解しているわけでございますが、そのあたりからお話をさせていただきたいと思います。  バイオマスのもとは、先ほど本間先生のお話にもございましたが、太陽エネルギーでございまして、太陽エネルギー利用にもいろいろございますが、先ほど山村先生のお話は直接的な利用でございますし、それから葉先生、本間先生のお話はある意味で間接的な利用でございます。バイオマスも一種間接的な利用でございますけれども、これは植物なり動物なりに蓄積され、あるいはそれを経由するというような形の間接利用でございます、そういう点では一ついいところがございまして、太陽熱をある意味ではやや使いやすい形の化学物質の形にためてくれているわけでございます。非常に超長期にためますと石油とか石炭のような化石燃料になるわけでございますが、バイオマスの場合には植物なり動物経由でございますので、数カ月あるいは一年、十年、二十年、数十年というような期間ためていてくれているというわけでございます。  さて、バイオマスの資源としてどんな種類があるだろうかということでございますが、非常に広く考えますと、次のような十通り近くのものがもととして考えられるわけでございます。  第一は、日本でも国土の十数%、二〇%近くが耕地でございますが、そこでいろいろな農産物をつくっております。農産物も一種太陽エネルギーをそこに光合成を通じてためていてくれるわけでございます。これがどこまでエネルギー利用できるかという問題はもちろんございますが、その辺を構わず考えますと、栽培したり自然にできている農作物が一つの種でございます。それから荒れ地みたいなところあるいは牧草地みたいなところがございます。ここでいろいろな草木が育っているわけでございますが、これもバイオマス資源の一つでございます。それから日本の場合には多分国土の三分の二近くが森林でございますけれども、これまた木材あるいはその枝葉の形でもバイオマスの一つのもとでございます。これまたそういう木の一種でございますけれども、たとえばユーカリとかあるいはアオサンゴとか、石油植物というようなことの表現をするようなものがございます。油分を中に含んでいるわけでございますが、これまたその有望な一つの源資であるかなというふうに考えられているわけでございます。  それから海のお話が先ほど本間先生からございましたが、地球上の面積の七割方が海でございまして、特に陸地に接した部分は栄養分が豊富でございますので、植物プランクトンをベースにいたしまして、あるいは海草などというものでずいぶん太陽熱を生物体の中にためているわけでございます。そういった海草などもエネルギーとして利用できないかなというようなことが考えられているわけでございます。  これが太陽熱を直接植物体に変換しているものでございますが、それからさらにそのステップを一つ二つ進みますと、農業の方でのもろもろの廃棄物がございます。たとえば日本の場合で考えますと、米をつくりますともみがらができたり稲わらができたりと、これまた用途を構わずに考えますとエネルギーに変え得るものでございます。同時に林産関係の廃棄物がございますし、それから畜産業を通しますと畜産の関係の廃棄物、また都会あるいは一部の産業を経由いたしまして都市廃棄物なり産業廃棄物というようなものも一種バイオマスの源資として考えられるわけでございます。  さて、こういうバイオマスのもとというのがいままでどんなぐあいにエネルギーとして使われてきたのだろうかと、こういうことについて話を進めさせていただきます。非常に昔から考えてみますと、石炭とか石油とかいう化石燃料が大いに使われるようになりました前には、木材あるいはまきの形かもしれませんが、薪炭のようなかっこうでいろいろ植物が使われていたわけでございます。日本でも、ちょっとうろ覚えでございますけれども、昭和二十年代の統計でございますと、総エネルギー供給量の五%かあるいは一割近かったかもしれませんが薪炭の形でエネルギーが供給されております。現在はずっと減ってきてしまっているわけでございますが、ただ諸外国まで目を伸ばしてみますと、特に発展途上国では現在でもかなりな比重を占めているわけでございます。ただ、その形はまきなりあるいは廃棄物のようなかっこうでございますけれども、ほとんど全部がコマーシャルなものでなくて、非コマーシャルといいますか、自家生産、自家消費的な形で使われておりまして、必ずしも明確な統計がないようでございますけれども、発展途上国の一部では過半がこういう形のバイオマスを非商業的に利用しているというようなことも聞いているわけでございます。  さて、その新しい商業的な意味でのバイオマスのエネルギー利用も幾つか最近出てきておりますが、たとえば有名な例はブラジルのアルコール計画あるいはアメリカでのアルコールのガソリンへの混入でございます。これらのもとがサトウキビであったりトウモロコシであったりいたしますけれども、これを発酵過程を通りましてエタノールの形にして、それをガソリンに五%なり一割なり、あるいは一五、二〇%ませるというような形の使い方でございます。ブラジルの場合にはすでにかなり普及いたしているわけでございまして、それから東南アジアでもインドネシア、タイ国等、そういうようなことでプランを進めている国があるわけでございます。  それから、もう一つ別の例を挙げますと、もろもろの廃棄物のメタン化でございまして、これは日本国内でも行われておりますし、外国でもそうでございますが、都市なり農業なり畜産の廃棄物を発酵させてメタンガスにして、それを燃料に使うというようなことでございます。これからそういう新しい意味の商業的なバイオマスがどんなぐあいに利用され、どんなぐあいに生産されるかというのが考えるべき課題かと思うわけでございます。  そこで、そういう新しい意味のバイオマスの生産から利用までのフローと、そこに存在している幾つかの課題を——課題といいましても、どちらかといえば技術課題中心にお話ししたいと思いますが、そのあたりにつきましてお話を進めさしていただきたいと思います。  まず、バイオマスの生産でございますけれども、たとえば耕地にしましても、それから牧草地にしても森林にしましても、従来から栽培の技術なり収穫の技術なり品種の改良なりがいろいろ行われていたわけでございますが、これは食糧生産として、あるいは材木をとろうという角度から、またはパルプ用材をとろうと、そういうようなそれぞれエネルギーとは別目的のためにいろいろ行われてきたわけでございます。そこで、仮にエネルギーとしての利用を考えます場合には、栽培技術、収穫の技術、あるいは品種の政良等につきましても、まだまだこれからなすべきことがたくさんあるのではないかと思われるわけでございます。  そうやってバイオマスのもとが生産されますと、これを集めなければいけないという問題がございます。先ほど太陽エネルギーにしても風力にしても分散型であるというお話が出ましたけれども、バイオマスも植物の形に太陽熱を集めて蓄積はしておりますけれども、やはり分散型でございまして、集荷または収集というような仕事が必要でございます。これがまたなかなか手間暇のかかることでございまして、そのあたりも、これは技術よりもシステムかもしれませんが、工夫をこらさなければいけないわけでございます。  廃棄物の場合についても同様なことが言えまして、やはり廃棄物はそれを出すもとの農作物の生産高とか、あるいは畜産の飼っている頭数とか、または人口とかに比例して出てまいります。それぞれ一人当たりとか一頭あたりでは大した量ではございません、したがって、それを集めて分別するというような作業がなかなか大変でございまして、この辺もまたいろいろこれからなすべきことがあろうかと思うわけでございます。  さて、そうやってもとを集めますと、これを使える形に変えなければいけないわけでございます。一番簡単なのは、たとえば、まきのかっこうの利用であればただ送るだけでいいわけでございますし、直接燃焼が可能でございます。しかし、もう少し使いやすいかっこうに変えようというふうに考えますと変換過程が必要でございまして、これはバイオマスを何らかの形でエタノールとか、あるいはメタンガスとか、そういうふうにいわば工業プロセスを通して変えるわけでございます。その過程では微生物を使ったり、あるいは酵素を使ったり、または化学的なプロセスとして熱化学的な分解をするというようなことが必要でございまして、このあたりの変換過程につきましてもいろいろこれから技術を進歩させるべき要因があろうかと思っております。  今度は利用でございますけれども、利用場所まで変換した後運んでいかなければいけない、それから恐らく何かのかっこうで貯蔵することが必要であろうかと思いますし、また流通のシステムをつくらなければいけないかと思います。利用そのものにつきましても、これをどんなかっこうで燃やすのかということがございます。たとえば先ほどのガソリンにアルコールをまぜるということで考えますと、それをうまく燃やしてちゃんと走ってくれるような車がないといけないわけでございます。またほかの形でも恐らく利用のための設備なり機器なりを現在のものと変えてリプレースをしなければいけないというケースが起ころうかと思います。同時に経済性等の面を考えますと、バイオマスをエネルギー化して使った場合にも途中でいろいろ廃棄物的なものが出てまいります。これを廃棄物と考えますと、その処理に大変手間暇がかかるわけでございますが、もしそれが副産物というようなかっこうで有効に利用できれば、これはまた非常にメリットのあることでございまして、そういった方向の検討も現在も行われておりますが、さらに必要であろうかと思うわけでございます。  ただいま申し上げましたような生産から利用にわたりまして幾つかの課題があるわけでございますが、ちょっと別の角度の課題にも一つ触れさせていただきたいと思います。  それは、もともとが太陽熱を植物にためてもらうということでございますので、そこでは土地が必要でございます。日本の三十数万平方キロ、世界の一億三、四千万平方キロの土地は、ある意味ではすべてきょう現在有効に利用されているわけでございます。そういう土地の配分を少しエネルギーの方にも向いてもらわなければいけないわけでございます。やや具体的に申し上げますと、食糧の生産なり飼料の生産なりあるいは木材なりパルプ用材というようなものの生産のための土地と、それからバイオマスというエネルギー、バイオマスをエネルギーにするために使える土地との間の調整といいますか、競合といいますか、こういう問題も考えておかないといけないということが第一でございます。  それから同時に、これは食糧生産あるいは木材等でも同様でございますけれども、自然の循環をちょっと変えるわけでございます。エネルギーの場合には最後には取り出して燃やしてしまうというふうに自然の循環を少し変えるわけでございますが、その自然の循環を少し変えることと環境問題との調和ということにも配慮をしなければいけないかと思うわけでございます。  それから三番目に、変換過程のあたりでの問題でございますけれども、バイオマスという植物または廃棄物を使える形のエネルギーに変えるわけでございますが、その過程で一つはたとえば発酵などでは蒸留をしたりなんかするというようなことが必要でございまして、そのためにエネルギーが必要でございます。やり方次第では出てくるエネルギー量よりもそこに変換をするために投入すべきエネルギー量の方が多いというようなプロセスもあるわけでございます。もちろん使いにくいものを使いいい形にするわけでございますから、考え方次第では余分にエネルギーを投入してもそれだけ価値が上がるのでいいという考え方も当然あるわけでございますけれども、その辺のバランスも考えなければいけないかと思うわけでございます。  それから先ほど副産物というような形でちょっと触れましたけれども、そういう生産、収集、変換の過程で、場合によりますと利用の過程で廃棄物なり廃水という問題も生じてまいります。そういったことにつきましても、さらに考えるべき要素の一つであろうかと思うわけでございます。  先ほど来、太陽熱利用あるいは海洋、風力の利用につきまして、コストのお話が出ておりますが、きわめて単純に言ってしまえば、いままでこういったバイオマスが大量にあらゆる人に使ってもらえていなかったのは、商業的なバイオマスはコストが高かったと、非常に単純に言えばそういうことが言えるかと思います。利用面でのコスト比較、そしてそのコストが安くなるようなもろもろの措置をこれから考えていかなければならないかと思うわけでございます。  さて、以上を踏まえまして、私自身が考えておりますバイオマスへの取り組みと期待につきましてもちょっとお話をさせていただきたいと思います。  いろいろ伺っているところによりますと、バイオマスはエネルギーの将来の供給見通しの中でも新しい燃料油とかあるいは新しいエネルギーの中の一つに組み込まれているようでございます。その量は明示されておりませんけれども、これから十五年先、昭和七十年に約六千万キロリッターの新しい燃料油なり新しいエネルギーを期待したいといううちの一部を構成しているわけでございまして、そして国レベルでも技術開発あるいは利用促進のためにいろいろな措置をなさっておられます。一般的な意味のあるいは全般的なフィージビリティースタディー、それから生産技術なり変換技術利用技術の進歩というような面に、たしか私の記憶しておるところによりますと、昭和五十六年度の予算では二十数億円。これは、通産省、農林省、科学技術庁等々の、私にバイオマスかなと思わせる部分でございますけれども、そういう予算を計上されているようでございます、また、各種の企業、大学研究機関等々でもいろいろな研究を進められております。  それで、私のかなり個人的な感じになりますけれども、バイオマスにどれだけのものが期待できるだろうかということに関連して、まず基礎的な資源量としては、先ほど本間先生のお話にもちょっとございましたけれども、非常に大きな量でございます。太陽エネルギー太陽熱総量の千分の一オーダーあるいは一万分の一オーダーぐらいでございますので、そうすると考え方次第では、いまのエネルギー消費量ととんとんのオーダーというふうに考えられるわけでございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、自然の循環を損わないとかあるいは食糧なり木材等々の別の意味の有用な利用と相互の調和をとるというようなこと。そして、これからさらにコスト的にも発展しないと、もう少しいいものにならないとそう広く利用はできないであろう。その辺を考えますと、究極的にはかなりな大きなものであり得るわけでございますが、さしずめこの十年、十五年でエネルギー全体に比べましてパーセントオーダーになるかどうか。パーセントオーダーになるかどうかというのは、一%を占めるようになるかどうかというのがまず最初のターゲットかなというふうに感じているわけでございます。  ただ、そういうレベルまでまいりますと、その先十年、二十年、三十年で全体のうちの数%を占めるというようなことになり得るその素地ができるわけでございまして、先ほど山村先生のお話だったかと思いますけれども、二・五とか五%というのは非常に大きな数字であるというようなお話がございましたが、それ並みの期待を私自身はバイオマスに対して持っているわけでございます。ただ、射程は五年、十年でなくてもう少し長いということでございます。  さて、それを実現するためにどんなことが必要なのかということとも関連いたしますが、一つは現在でもいろいろなところで進められておりますけれども、さらに多様な技術開発活動というもの、そしてその重点は既存の技術コストダウンなり省エネルギー化が一つで、それから新しい革新的な技術を考えるということが第二かと思いますが、そういったものをさらに大いに進めなければいけないのではなかろうか。そして同時に、少し有力なものが出てまいりましたならば、モデル事業なりデモンストレーション的ないわば普及活動の前段階のようなことを技術開発と並行して進めるのがバイオマスの利用促進することになるのではなかろうかと思うわけでございます。その場合に日本全体なのか、あるいはある特定の地域なのかわかりませんが、その地域の条件になじむかどうかということも一つ課題であろうかと思います。  さて、世界全体でながめますと、特に発展途上国では現在使っておられる非商業的なエネルギーというものがだんだん商業的なエネルギーにかわっていくわけでございますが、バイオマスの利用というのは、石油を取得あるいは購入することがなかなかむずかしいという問題を緩和し、発展途上国の発展に寄与して、結果的には回り回って世界のエネルギーバランスにも寄与するというようなことになろうかと思いまして、その場合にはそれぞれの国の農業政策なり雇用政策なりあるいは所得配分政策、または地域開発政策とのかね合いがなかなかむずかしいことだとは思いますが、日本としましても、発展途上国の共存のための国際協力というような角度でバイオマスをながめることも必要なのではないかと考える次第でございます。  少し重複することになるかと思いますけれども。私の考えでおりますことを全部要約いたしますと、第一には現在のフィージビリティースタディーなり技術開発をさらに促進すべき対象の一つではないか。第二に、有望なものについてモデル的なあるいはデモンストレーション的なことを、ローカル的かもしれませんけれども、進めていったらどうだろうか。第三に、発展途上国との協力といいますか、わが国が技術的な面で、あるいは経済的な面でどんなぐあいに貢献できるのかということを考える種の一つにバイオマスも位置づけられてもいいかもしれないなということでございます。そして、量的には大いに期待したいわけでございますけれども、ただ先ほどちょっと数字を申し上げましたが、非常に過大な期待をするのはまだ時期尚早で、その辺を技術の進展なりシステムの勉強なりを通じまして、もう少しクリアなものにしていったらどうかということでございます。  これで、私の話を終わらしていただきます。どうもありがとうございました。
  13. 細川護煕

    委員長細川護熙君) ありがとうございました。  以上で参考人方々の御意見の開陳を終わります。  それでは、これより参考人方々への質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  14. 大木浩

    ○大木浩君 自由民主党の大木でございます。  本日は五人の参考人の皆さん方、わざわざおいでいただきまして大変充実したお話を伺ったわけでございます。  私ども新しいエネルギーと申しますと、やはり現在のエネルギー問題というのが直接的には石油の不足といいますか、そういうところから発生しておるものですから、どうしても石油に対する代替というようなことで考える、しかも将来は別といたしまして、さしあたって現段階で経済的にすぐに利用できるものということになりますと、どうしても原子力とかあるいはほかのエネルギーの中では石炭とか、そういったようなものが非常に優位を占めるのじゃないかということで、新エネルギーというのがあくまでもいろいろと、将来性は別といたしまして、現在では非常にマージナルな位置しかないのじゃないかという感じは持っておるわけでございますけれども、先ほどからの諸先生方のお話で、やはりそれぞれの新エネルギーと申しますか、エネルギーが持つ特性、長所というようなものもあるわけでございますし、それから山村先生がおっしゃいましたように、仮にそれが全体のエネルギー需要の数%にとどまるとしても、それはやはり相当大きなものでございますし、今後の将来を見通して研究を進めていくということは非常に重要じゃないかというふうに考えるわけでございます。  きょうは、それぞれ各先生方からお話を伺いました。大変御専門の分野からのお話でございまして、私ども素人から言いますと、なかなかお話を伺った内容を完全に科学技術的に理解したかどうか、多少危ういところもございますので、私どもの質問の方もいささかプリミティブな質問があるかと思いますが、ひとつお許しをいただきたいと思います。  そこで、せっかく五人の先生方からお話を伺いましたので、各先生方に一遍、多少飛び飛びになりますけれども、質問をさしていただきたいと思いますので、お許しいただきたいと思います。  大永先生には全般の立場からいろいろお話を伺いましたので、むしろ後でまとめてお伺いした方がいいかと思いますが、まず太陽エネルギーにつきましての山村先生のお話でございますが、先ほど先生が太陽エネルギーと申しますか、いままでのあれとは違って、分散型のエネルギー、あるいはエネルギー利用でございますか、ということをちょっとおっしゃいましたが、私、そこのところが少しよくわかりませんで、非常に何というか、常識的に太陽エネルギーというものを利用する場合に、従来のように大きな発電所をどこかにぼんとつくるというようなことでなくて、むしろその太陽エネルギー利用する場所をいろいろなところにつくって、そこで発電装置なり何なりつくるというように私は理解しておったのですが、たまたま先生は、先ほどは何か一つのところで利用する場合に、いろいろと分けて使うというようなお話もあったのですが、ちょっとその分散型云々のところを、多少もう少し御説明願いたいと思います。  それからあと、まとめて山村先生に対する質問をさしていただきますが、先ほど太陽の光エネルギーの方でございますが、光発電ということで、アモルファスシリコンでございますか、あれはたしかもうかなり実用化されておって、何か市販しております計算機なんかにもアモルファスを使っておるのがございますのですが、あれは結局、いまおっしゃっております光発電というのは、結局原理的には同じようなことを考えておられるのか。そして、それをかなり大型化して実際に使おうというようなふうにお考えになっておるのか。仮にその場合、先ほどちょっと、またコストのお話が出ましたけれども、ほかのエネルギーと比べまして、あるいは設備などを考えまして、どういういまコストとしての位置にあるのか、ちょっともう一遍お伺いしたいと思います。  それからもう一つ、ついででございますけれども、冷暖房、これも温水器の性能が大分向上しているということで、最近もうたしかいろいろな会社が温水装置の方は新しいものをつくり出しておるようでございまして、何か真空ガス管ですか、使っての温水器というようなものがあって、これもかなり何といいますか、性能が高くなっておるようでございますが、これも一体どの程度経済性をこれからよくすることができるのか。たまたま私はアメリカの方ではかなり太陽利用の温水器あるいは発電、各個々の家での発電というようなことも少しやっておるように感じておりますのですが、まだ非常にコストの方が難点があるというふうに理解しておりますけれども、どういう形でコストをもう少し下げることができるのか、その辺について多少造血的に御説明いただければありがたいと思います。
  15. 山村昌

    参考人山村昌君) それでは、ただいまいただきました御質問にお答えしたいと思います。  まず、太陽エネルギー利用形態といたしまして、分散型がいいということを私申し上げたのでありますが、その分散型という意味はどういうことだという御質問だと思いますが、私ばかりではありませんで、ほかの参考人の方からも太陽エネルギーというものは密度が非常に低い、そういう意見でございましたが、地表では、一平方メートルでありますが、これぐらいのところに、かなりよく日射がある場合で一キロワットぐらいの割合でございます。    〔委員長退席、理事亀井久興君着席〕 したがいまして、現在の火力発電所規模の出力を出すためには、太陽エネルギーを受ける面積はかなり膨大になります。百万キロワットの出力を出すためには、仮に変換効率一〇〇%といたしましても百万平方メーター。実際は、太陽エネルギーはいつもそんなにかんかん照りではありませんから、その意味からもさらにその数倍要りますし、それからさらに、変換効率のことを考えますと、百万キロワット当たり百万平方メートルの恐らく十倍以上の面積が要ると思います。それだけ広い面積を見つけることは、狭い日本ではかなりむずかしいことではないかということでありますが、先ほど私の話にも例を申し上げましたように、各家庭でありましたならば一キロワットあるいは二キロワット程度の出力の太陽電池でも、それは家庭のエネルギーとしてはかなりの分が賄えるのであります。しかも、そのための太陽電池の設置場所は屋根の上でも十分乗ります。そういうことでありまして、そんな大きな発電形式にしないで、小さな太陽電池をそこらじゅうに設置する、そういう方がやりやすいのじゃないか、経済的じゃないかということで、そういう点を分散型と申し上げたのでございます。そういう分散型のものにいたしますと、現在はまず遊んでおると考えられるようなスペースにでも設置が可能ではないか。まとめて百万キロワット用のスペースを見つけるのは日本ではかなりむずかしいのじゃないか、まずそういう点を御指摘申し上げたいと思った次第でございます。  それから、光発電につきましての御質問でありますが、現在、光発電に使われます太陽電池でございますが、太陽電池コストを下げる面で非常に有望視されているのは、御質問の中にもありましたように、アモルファスのシリコン、非結晶型のシリコンでございまして、その原理は、御質問にもありましたように、計算機その他の小規模の装置に使われておりますところの太陽電池と全く同じであります。それをある程度大きくして、キロワットのオーダーあるいはさらにもっと大きな出力を持った太陽電池開発する努力がされておりますが、その一つ一つのエレメントは小さな計算機用あるいはクオーツ時計の太陽電池と全く同じものでございます。  現在、コストがどれくらいになっておるかという御質問もあったと思うのでございますが、コストのことは計算がなかなかむずかしい面がありまして、それから一方、なかなかそういう数字を出していただけない面があるのでありますが、アメリカの雑誌なんか見ておりますと、もうすでに一ワット当たり一ドルに近づいておるのだというような数字も見られるのでありまして、そういう数字が本当に実現されておりますならば、サンシャイン計画の当初に言われましたところの、あの百分の一にコストを下げるという目標はそんなに遠くない将来に実現可能ではないか、そういう感じがいたします。  それから温水器につきましての御質問がございましたのでありますが、これも真空のコレクターなどが開発されまして、御指摘のように性能が非常に向上しております。温水器につきましても私、資料あるいはカタログ、新聞の広告なんか、できるだけ見ておるつもりでございますが、正確なコストの発表がどうも十分でないような点を感じまして、本当に温水器を、現在もうすでにマーケットにも出ておるようでございますが、それを使って各家庭の経済に本当にプラスになるかどうか、その辺の数字を的確につかむことは非常にむずかしいように感じます。  それから、さらにその場合に、温水器の寿命が一体どれぐらいあるのかというような点につきましてもはっきりした数字がないのでありまして、私、大ざっぱな私見でございますけれども、現在の温水器を取りつけて本当にペイするように、家庭の経済にプラスするような成果を上げるには、少なくとも十年以上、あるいは二十年ぐらいは使わないと、なかなか本当にペイさせることはむずかしいのではないかというような感じをしております。その辺はいろいろな補助金とかなんか、そういう政策面も入ってまいりますのでありますが、そういう面をもう少しはっきりさして、本当に利用者の方々が、これは有利なんだということをはっきりつかめるような体制をつくり出す努力をさらに続ける必要があるのではないか、そういうふうに感ずる次第でございます。  少し御質問の趣旨を取り違えた面もあったかと思いますが、一応これで御回答にさしていただきたいと思います。
  16. 大木浩

    ○大木浩君 どうもありがとうございました。  それでは次いで東先生にお伺いしたいのですけれども、先ほど御説明の中で、ちょっと私これもまた聞き違えたかもしれませんけれども、風力エネルギーによって何か需要の一〇%ぐらいは一応計算上賄えるというお話がございましたが、ちょっとそこのところをもう一遍御説明いただきたいということと、それから余り風のないところで回してもしようがない、しかし非常に強いところで回してもまたなかなかいつもそういう状況じゃないというようなお話でございましたけれども、たとえば日本でございますと、沖縄の台風とか、ああいう非常に爆発的なエネルギーがあるわけなんですが、そういうものは全然利用できないのか、ちょっとそこら辺のところを教えていただきたいと思います。
  17. 東昭

    参考人(東昭君) お答えいたします。  一〇%と申しますのはあくまでもわが国にある風を非常にうまく使った状態で多分そのぐらいは出るのではないかという試算があるという程度でございまして、実際この試算に関しましては実はアメリカでやはりやられて、アメリカ国内でどのくらい使えるかというような話でも、委託した先でもって計算が一けたぐらい違うようなこともございますので、うまく利用すれば多分そのくらいまではいくのではないか、そういう予想と言ってよろしいかと思います。余りそれほど科学的にきちんとした計算根拠があるものではございません。  それからもう一つは、台風の話なんですけれども、やはり一年のうちに何遍か参りますけれども、やはりまれなケースでありまして、エネルギーの年間を平均した密度で言いますと非常にわずかなものでございます。平均が先ほどちょっとお話しましたけれども、たとえは五メートルぐらい風が吹くようなところではもう十メートル以上風が吹くというようなケースというのはエネルギーの密度で言いますと数パーセントというようなことでございます。いつも十メートルぐらい吹くようなところでは、今度は逆にまた二十メートルぐらい吹くという場合は非常にわずかでありまして、というぐあいに実際確かにその吹いている瞬間エネルギーは非常に膨大な、先ほども申しましたように速度の三乗で効きますから大変ありがたいのですが、年間平均してしまいますと密度としては余り大したことはないので、それを当てにしていたのではそれほど有効なエネルギー取得技術といいますか、そういう機構というものはないであろうと、そういうことでございます。
  18. 大木浩

    ○大木浩君 ありがとうございました。  順番にお聞きして恐縮ですが、それで本間先生、先ほど波力のお話がございまして、非常に変動が多いということで何か一対六というような数字を言っておられたと思いますけれども、そういうの調節するのに一体どういう方法が——理論的にかあるいは実際的にですが——考えられるかということが一つ。  それからもう一つ海水の温度差利用による発電というのも、先ほどもお話がございましたように、何かハワイですでにある程度実験としては成功しているということで、それとの関連で三千万キロワット云々でございますか、とおっしゃいましたですね、ちょっとあの辺の数字をひとつ御説明いただきたいと思うのです。
  19. 本間琢也

    参考人本間琢也君) 御質問の第一点は、波力発電の変動の大きいのをどういうふうに処理したらいいかという御趣旨と存じますが、これは二つございまして、一つは機器の中で解決する方法でございますけれども、これは現在海洋科学技術センターで基礎実験をやっておりますが、先ほど御説明申し上げましたのは、一つの空気タービンユニットについて申し上げたわけでございますが、それを複数個並べまして、複数個が並びますと各ユニットから空気の流れが出てまいります。つまりプレッシャーが高くなってくるわけですけれども、それを数個並べますと若干フェーズがずれることになるわけですね。そのフェーズがずれた幾つかのユニットからの空気を一たんどこかにためまして、そこで一定の圧力をつくり出すという方法、ですから空気だめ方式というふうにこれを呼んでおりますけれども、そういたしますとある程度の平滑化、ある程度の平滑化と申します意味は、変動の周期をどれぐらいのところをならすかということなんですけれども、まあそのユニットの置き方によりまして分ぐらいのオーダーの平滑化はできる。ですけれども、時間あるいは日にち、さらに月単位の変動ということになるとこれはとてもどうしようもございませんで、そういうことである程度の平滑化ができるかと思います。ただし、そのときのデメリットと申しますと、これはフェーズがずれたのを一つの空気だめで調整いたしますから効率はどうしても落ちるということで出力は若干犠牲にせざるを得ない、そういうことがございます。  それからもう一つは、システム的に解決するという方法がございますけれども、これは電池を内蔵させまして、波力はもうそのまま最大出力を出さしておいてその電池に電力を一たん蓄えてそれを使う、あるいはそれをさらにインバーターで交流に変換いたしまして系統に送る。そういたしますと、その電池の容量によりまして平滑化の時間の単位というのは幾らでも変わり得るわけでございます。ただし、このときの問題点は、電池というのは非常に高こうございますので、そういう電池をシステムの中に内蔵いたしますと、波力発電コスト全体が非常にはね上がる、そういうことでコストの問題と平滑化の問題のトレードオフといいますか、どこで最適な条件を見つけるか、そういうことが問題になると存じます。  それから、御質問の第二点の海洋温度差発電の資源量につきまして私がざっと三千万キロワットというふうに申し上げましたけれども、これはどういう計算かと申しますと、先ほど時間の関係で余り詳しく申し上げなかったわけでございますけれども、もともと海洋温度差発電の資源量、この資料の一番上に載っておりますが、二十億キロワットぐらいは世界であるだろう。その計算の根拠というのは、これはアメリカのスクリップス海洋研究所及びカリフォルニアユニバーシティーの教授が学会に出した論文の中の数字でございますけれども、これはどういうことかと言いますと、先ほど申し上げましたように、海洋温度差の場合は表層水だけ非常に温度が高い。これを地球規模でモデル化してわかりやすく見ますと、大体地球上には非常に冷たい海水の層でずっと覆われておりまして、そのごく上の表面に百メートルぐらいの非常に薄い層なんですけれども、その薄い層に熱が蓄えられているのだと、そういうふうなモデルを想定するわけでございます。それを世界的に平均いたしますと、約十二度Cの温度差がございます。先ほど申しました二十度とか二十五度といいますのは、赤道直下ですとか、あるいは日本の場合ですと夏とか、そういう温度の高いときには二十度ないし二十五度ございますけれども、冬になりますと海水の温度は非常に低くなりますので、それを全世界的にあるいは時間的に平均いたしますと十二度C、その十二度C温度が高い熱量を計算いたしますと、まあある地球上に蓄えられている熱エネルギー量が出るわけです。  ところが、これは蓄積されたエネルギーでございますので、その蓄積されたエネルギーというのは全部使うわけにいきませんで、再生量を計算しないといけないわけです。その再生量にどういう計算をするかといいますと、海水がずっと対流をしまして、たとえば赤道直下で太陽熱によって温められましてそれが北とか南へ対流で流れてまいります。極で下へ下がってまた赤道に戻ってくる。そういう循環をしておりますけれども、循環によってその海水が入れかわる時間が大体千年というふうに見ておるわけです。千年というのは、三掛ける十の十乗秒になりますけれども、それを蓄積のエネルギー量をその時間で割りますと単位時間当たりの出力というのが出てまいりますけれども、それが二十億キロワットという数字になるわけでございます。    〔理事亀井久興君退席、委員長着席〕 それが計算の根拠でございます。それをわが国の経済水域に当てはめまして、大体経済水域の温度差を見まして、それと同じような計算を当てはめますと三千万キロワットという数字が出てくると、そういうわけでございます。これは一種の潜在的な資源量ということかと存じます。もちろんその中に、いま言い忘れましたけれども、変換するときに四%の効率でしか変換できませんので、その四%は掛けた数字でございます。  以上でございます。
  20. 大木浩

    ○大木浩君 時間が大分迫っておりますので簡単にさしていただきますが、武田先生の先ほどのバイオマスのあれで、結局いまからバイオマスの分野でいろいろ新しい、何といいますか、バイオマスのプロセスを促進させるために、やはり基本的にはケミカルの分野でいろいろな新しいことを考えると、こういうふうに私お聞きしたのですけれども、そういうことでよろしいのでございましょうか。  それからもう一つ、土地が非常に要るというお話だったのですが、何か新たにそのために土地が要るということなのかどうなのか、ちょっとその辺も一つお聞きしたいと思います。
  21. 武田康

    参考人武田康君) ただいまの二点、第一の点でございますけれども、バイオマスを生産し変換し利用するわけでございますが、すべての分野で技術開発が必要でございますけれども、実は私自身がやや、特に関心を持っていますのが、どう変換しどう利用するかということでございまして、変換の過程では、微生物を使ったり、酵素を使ったり、あるいは熱化学法で分解するというようなことをいたしまして、その分野ではいわば化学工学的な技術開発が必要だということでございます。そして、たしか現在新燃料油の組合等でセルローズを分解、発酵する技術あるいは酵母を固定化するような技術、そういったあたりにつきまして、かなり長期のプランをもって進めておられますけれども、そういったあたりでかなりコストが安く、省エネルギー的な技術が出てくるということがバイオマスを利用する上で、あるいはそれを促進する上で大変大事なことではないかと思いまして、先ほどそういうことを申し上げたわけでございます。  それから、第二点の土地が要るということでございますけれども、現在、たとえば日本の例で申し上げますと、これは先生方の方が私よりもよく御存じかと思いますけれども、三十七万平方キロの国土の中で、約二割足らず、一割六分ぐらいが農地でございます。農地は何かのかっこうで利用しております。それから、六割か七割ぐらいが森林でございますが、これまたそれぞれ何かのかっこうで利用しております。それから、荒れ地みたいなところが一割ぐらいあろうかと思いますけれども、これもある意味ではそこを自然のままにしておくことも一種の利用形態でございます。  そこで、そのバイオマスを通じてエネルギーをとるということで、何らかの植物を育てる、そしてそれをその場所から取り去ってエネルギーにするということは、そこから何かのものを持っていくことでございまして、その意味でエネルギー用に新しい土地が要るということでございます。ただ、必ずそうかどうかというと、一つだけ、農業なり林業なりの生産技術、あるいは品種改良等で同じ場所で、一定の土地でたとえば五割増しなり倍の収量があるというようなことができるといたしますと、これは各地の農事試験場等のお話を伺いますと、非常に手を加えいろいろ考えてやれば、平均的な生産高に比べて、ある場所では何割増し、場合によれば倍ぐらいのものがとれるというようなお話もあるようでございますけれども、そういうかっこうを考えますれば、すでに利用している土地から出る産物の一部をエネルギーにも使わせてもらえるということでございますので、したがいまして技術進歩を考えれば、新しい土地でなくてもいいケースがあろうかと思います。しかし、いずれにいたしましても、土地に日が当たって、それを光合成で植物の形にかえる、それがバイオマスエネルギーのもとでございますので、その意味ではかなりな土地が要るわけでございます。  ちなみに、ちょっとした計算をさせていただきますと、たとえば現在、ブラジル、アメリカ等の例のまねをして勘定すればのことでございますが、カンショからアルコールをつくろうと考えますと、カンショの生産というのは一ヘクタール当たり二十トンとか、もうちょっとかもしれませんが、そんなオーダーでございます。それで、二十トンからアルコールにしますと六分の一ぐらいの量、つまり三キロリッターかもうちょっとぐらいのアルコールがとれるわけでございます。それを百倍いたしますと、三百キロリッターのアルコールをとるために一平方キロの土地が要る、単作ででございますけれども。ですから、生産技術等が改善されましてもっと収量が上がるということももちろん考えていいわけでございますけれども、結構な場所の広さが要るということは言えるわけでございます。  以上でございます。
  22. 大木浩

    ○大木浩君 最後に大永さんに一つ聞きたいのですが、先ほどからのお話で大永さんの方の総合開発機構、さしあたりいろいろ計画、これを読ませていただきますと、むしろ石炭液化の方に中心があるようでございますけれども、今後十年あるいは二十年ということを見通して、いろいろ新しいエネルギーのお話もいま出ましたので、今後に向かってどういう総合的な御予定なり構想なりで新機構の方をやっていかれるか、ちょっと何かまとめとしてお伺いできればいいと思います。
  23. 大永勇作

    参考人(大永勇作君) 先ほど申し上げました開発項目、いずれも重要でございますけれども、今後十年ぐらいを見ましたときに、やはり大きなウエートがあると考えておりますのは、先ほど申し上げました石炭液化ガス化といった石炭関係の問題と、それから太陽、ことに光発電というふうなことであろうかと思いまして、予算的にも五十六年度予算等におきましてその辺につきまして最重点が置かれておるわけでございます。もちろん、風力その他につきましてもやっていくわけですが、大きいものとしてはそういうことではなかろうかと思っております。  ただ、早急に、何といいますか、実戦力になり得るようなものといたしまして、たとえば石炭にいたしましても、低カロリーガス化でございますとか、あるいは燃料電池でございますとか、あるいはメタノール利用といったようなものにつきましても、今後やはり、長期の問題とは少し別に、早急に効果を上げるという意味合いにおきまして、やはり重点を注いでいく必要があろうかというふうに考えておる次第でございます。
  24. 大森昭

    ○大森昭君 社会党の大森であります。  参考人の皆さん方には大変貴重なお話をいただきましてありがとうございました。  大永さん、あなたの新エネルギー総開発目的を伺いますと、基礎研究大学だとか研究室だとか、それから企業化しているというのはいわゆるコストが見合うということですね、ということになると民間だと。まあ中間をやっておられると言うのですが、大体きょうお見えの参考人の先生方の専門というのは、もうコストは、さっき、共通してコストは合わないということですね。そういうことで言うと、基礎研究から試作に入っているものもあるし、実験に入っているものもあるということになりますと、何か感じとしては、大永さんのところで新しくできた新エネルギー総開発がめんどうを見るのかなというふうに感じるのですが、お話の中では科学技術庁がやっておったり、それから工業技術院がやっておったりというようなかっこうなんですね。したがって、まあきょうは政府委員が来ておりませんが、大永先生は政府委員みたいなものですから、総体的にいわゆる総合開発機構ができた関連でどういうふうにこの辺は整理されていますか、
  25. 大永勇作

    参考人(大永勇作君) 基礎的な段階のものはどこからで、それから企業化につなげるプラント段階というのはどの辺の規模からだというのは、なかなか限界はむずかしいわけでございますが、たとえば先ほどお話のございました風力につきましても、従来一、二キロワットクラスのものは、これは基礎的ないろいろな研究ということで行われたわけでございますが、特に発電用をねらいとして百キロワット級のものをつくるということになりますと、これは実用化へ向けてのワンステップだというようなことで、これは私どもの機構の方でやるということに相なるわけでございます。  それから先ほど出ました、たとえば海洋温度差発電でございますが、サンシャイン計画におきましては五十八年から五十九年ごろに千キロワットクラスのパイロットプラントをつくろうというふうな長期計画がございますが、そういった段階になればこれもやはり新エネルギー機構でやらしていただくということになるのではないかというふうに考えておりまして、どの辺からがそういったプラント段階かというのは個々のケースによりまして違うわけでございますが、一応基礎的なものが終わってそれを実用化につなげる、そのつなぎをわれわれとしてやっていく、言ってみれば役所あるいは大学民間とのちょうど中間に立って実用化につなげていくという段階がわれわれの仕事であろうかと思っております、
  26. 大森昭

    ○大森昭君 参考人の先生方のお話を聞いていますと、それぞれの分野で大変御苦労いただいているわけですけれども、どうも役所というのは日本の場合には縦割りなものですから、それぞれの分野がこうなっているのでしょうけれども、やはり一つのものを仕上げていくということになりますと、役所の機構自体はそうは変更はできないにしても、総合的に対策を立てる必要があるのじゃないかということをきょうお話を聞いていて感じたわけでありますが、とりわけこのサンシャイン計画というのは四十九年度から予算化されたようでありますけれども、私も中身は十分じゃないのでありますが、最近聞くところによりますと、サンシャイン計画を少し加速化して実現しようじゃないかというお話などもあるのでありますが、新機構がこのサンシャイン計画を担当する部分として大きな役割りを持っていると思うのですが、この計画についての御意見などおありですか。
  27. 山村昌

    参考人山村昌君) 私は大学にずっと職を奉じておるものでございますので、そういう機構のことに対してはちょっと不案内の面があるのでございますが、やはり日本の行政機構が縦割りになっているということにつきましては、大学人としても率直に申し上げましてときどき悩まされておる点があるのでございまして、たとえばサンシャイン計画におきましても大学関係もかなり研究開発をやっておりますけれど、大学への研究開発への資金の流れというのは主として文部省からでございまして、その他の省庁からの資金というのは、全然大学に流れないわけではございませんけれども、それをやりますと研究開発が非常に大学ではやりにくい、手続が非常に大変だというふうなことをよく痛感いたしますので、そういう面は大学人といたしましては各省庁間の縦割り主義というものはできるだけ改めていただきたいということをまずお願いいたしたいと思います。  それから、ただいまの御質問の中にありましたように、サンシャイン計画は加速化しようという動きがこの二、三年来あるのでございますが、これは私が加速化を全部責任を持ってやっておる立場ではもちろんございませんので、そのものずばりのお答えはしにくいのでありますけれど、やはり御指摘のとおり、四十九年からスタートいたしておりますので、何とかこのエネルギー危機のときに役に立ちたいということは関係者の一人として感ずる次第でございます。私そのような点をやはり今後は純技術的な面ばかりじゃありませんで、経済性というような点の検討ももう少し重点を置いてやっていただいて利用者の側がもう少し評価をして、そしてその評価をした上で安心して利用したい、そういうことを感じますので、加速化ということを私は別の意味でやはりもう少し経済性ということを重視した努力をやっていただきたいということを申し上げたつもりでございます。  御質問に少し沿わないかもしれませんけれど、お答えにさしていただきます。
  28. 大森昭

    ○大森昭君 時間がありませんから、特に私御指名しませんので、先生方で、あったら御発言いただきたいと思うのですが、共通点を私ちょっといま問題点としてやっておるわけでありますが、たとえば太陽エネルギー山村先生のお話ですと、太陽熱発電外国に劣らない、風力の東先生のお話は、ヨーロッパがどういうふうに発達をして、いまアメリカで、カナダでというお話がありましたけれども、それぞれの研究の分野でわが分野は外国に劣るというような分野のところはありますか。
  29. 東昭

    参考人(東昭君) お答えいたします。  私の方の風力関係で、たとえば風車を設計し製作し、これの実用試験をやるという面では特に外国に何かおくれているというようなことはないと思います。ただ実際問題として、アメリカとドイツがわりあいに早くから手をつけておりまして進んでおりますが、大型のものができておりますけれども、特に新しい特別な技術があるわけではなくて、これは十分われわれでもお金と場所と機会さえあればつくれるものだというふうに思っております。
  30. 大森昭

    ○大森昭君 どうもありがとうございました。  いや実は新しい開発でありますから、お互いに試行錯誤があればいろいろな状態が出てくると思うのですが、さっき山村先生のお話で少し予算が少ないというお話がちょっとありましたので、実は共通してどうも外国と並んでもっと外国がすぐれて、研究しようとしてもなかなか予算がとれないのじゃないかなというふうに実は私感じたものですから、外国と比較してどういうぐあいだろうかという御質問を実はさしていただいたわけでありますが、それは大体外国と余りひけをとらないような研究がされているようでありますから、それはそれでいいのでありますが、そこで、アルコールのお話が出ましたのですけれど、これは前からブラジルのアルコールの問題だとか、いろいろこれは国会の中でも議論されているのでありますが、大永先生にもちょっと関係しますが、閣議決定によりますと、アルコール専売は新機構にいくという閣議決定になっておるのでありますが、大体この新しい機構でアルコールの開発といいますか、生産といいますか、そういうのはやられるのですか。
  31. 大永勇作

    参考人(大永勇作君) いま先生から御指摘のありましたように、五十四年十二月、一昨年十二月二十九日の閣議決定におきまして、アルコール「製造部門については、二年以内に「新エネルギー総合開発機構」の事業部門とするとの基本方針の下に、所要の施策を推進する。」という閣議決定がございまして、現在政府におきましてアルコール製造部門の移行に伴う問題点あるいは所要の対策、対応措置等につきまして鋭意検討が行われておるというふうに聞いておる次第でございまして、われわれといたしましてはその検討結果を待ちまして対応するということになっておる次第でございます。
  32. 大森昭

    ○大森昭君 共通しているのは分散型というのもいろいろな意味合いがあると思うのですが、ローカル的に利用するということも非常に重要なことだと思うのですが、たとえば地熱が出ると、そこのところで、いわゆる風力の場合も波力の場合もあれですけれども、そういうローカル的なエネルギーを使用する場合に何か法的に——きょうは政府委員じゃないのですので参考人の先生方じゃ申しわけないのですが、何か問題点みたいなものはないのですか。
  33. 大永勇作

    参考人(大永勇作君) ローカルエネルギーでございますと、当然各地域において行うわけでございますが、地域開発をいたそうといたしますと、十分御承知のようにいろいろな法律との関係、たとえば自然公園法との関係でございますとか森林法との関係でございますとか、いろいろな手続等が非常に煩瑣だという問題があることはもう御指摘のとおりでございまして、われわれといたしましては、そういった制約の一つ一つに適切に対処しながらできるだけ早く進むようにやっておるというのが偽らざるところでございます。これをどういうふうに考えるかという問題につきましては関係御省庁等で検討していただく問題であろうかと思いますので、私からのコメントは差し控えさしていただきたいと思います。
  34. 大森昭

    ○大森昭君 さっき石炭液化の問題で、アメリカと西ドイツと日本ですね、どうも最近聞くところによるとアメリカ予算を削ったというわけでありますから、なかなかむずかしいのじゃないかと思うのですが、新エネルギー総合開発機構としての分析はどういうふうに分析されておりますか。
  35. 大永勇作

    参考人(大永勇作君) 先ほども御説明申し上げましたが、この石炭液化というのは新エネルギー開発の中で非常に重要な柱でございますし、またSRCIIといいますのは一日六千トン級の石炭処理量ということで実用化にかなり近い規模のものをやろうというものでございますので、われわれは非常に重要なプロジェクトであるというふうに認識をいたしておりまして、従来どおりの計画どおり推進されることがぜひ望ましいというふうに考えておる次第でございます。
  36. 大森昭

    ○大森昭君 委員会の時間がおくれているようでありますから協力いたしましてこれで質問を終わりにいたしますが、いずれにしても、参考人の皆さん方にはそれぞれの分野で大変御苦労いただいておりますが、どうかひとつ、先ほども言いましたように、なかなか新しいものをつくり上げるというのは容易じゃないわけでありますから、新機構であろうと通産省であろうと工業技術院であろうと、補助金の問題じゃないのですが、少し声高らかに物を言いませんと動かない役所があるわけでありまして、どうかひとつ今後の御健闘をお願いいたしまして、会議に協力したいと思います。どうもありがとうございました。
  37. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 最初に、新エネ機構の大永副理事長にお伺いいたします。  新エネ機構も新しいエネルギー開発ということを大きく期待されてスタートしたわけですけれども、そこで二、三お伺いしたいのです。基本的な問題です。  政府が発表いたしました「長期エネルギー需給暫定見通し」、総合エネ調の答申に基づくものでございますが、その中で、新エネルギーその他で昭和六十五年度で三千八百五十万キロリットル、これは全エネルギー構成比の五・五%、七十年度で六千百万キロリットル、全エネルギーの構成比の七・六%、こうなっておりますが、この暫定見通しにつきましても当委係員会で何回も議論があったのですけれども、この達成について、政府が発表したのですが、これについて新エネ機構の核心のお考えをまずお伺いしたい、これが一つ。  それから次は、民間活力を十分に活用するというお話がございました。また、これは運営委員会民間の方から入っておりますけれども、実際にどのように機能していくのか、どういう方針でどのような対策を講じていかれるのか、それが二点。  それから三点目は、いまもお話がございましたが、新機構は長期的な研究開発計画、それを石炭液化に置いていらっしゃるようですけれども、それが一体、この液化のめどはどうなっているのか、必要な資金はどの程度お考えになっていらっしゃるのか、まずこの三点をお伺いします。
  38. 大永勇作

    参考人(大永勇作君) 最初に御指摘のございました長期エネルギー需給見通しとの関係でございますが、六十五年度で三千八百五十万キロリッターとございますが、この中には私どもが直接やっておりません、たとえばオイルサンド、オイルシェールあるいは薪炭といったようなものも含むわけでございますけれども、われわれの担当いたします新エネルギー関係がもちろん重要な位置を占めるわけでございまして、われわれといたしましてはこの目標を達成すべく最善の努力をいたしたいというふうに考えておりますが、いずれにいたしましてもこの新エネルギー開発技術開発の問題でございまして、かなりな予算と人と、それだけでなくて関係者の協力一致が必要なものでございますので、そういった予算とか人員につきましてはぜひよろしくお願いいたしたいと思う次第でございますが、われわれといたしましては、もう与えられたものの中で最善の努力を尽くしましてこの達成に遺憾なきを期したいというふうに考えておる次第でございます。  それから、開発に当たりましては民間活力を活用するということで、先ほど運営委員会の設置が当機構の中になされておるということは申し上げましたが、こういった民間の有識者の方の助言、指導をいただきながら、われわれといたしましては、特に基本的な方針といたしまして次の三点を基本姿勢として考えておる次第でございます。  一つは、研究開発評価開発段階に応じまして十分に行いまして、最も適切で効果の早い開発の仕方を展開していくというのが第一点でございます。  それから、先ほども申し上げたわけでございますが、やはり開発を能率的なものにいたしますためにも国際協力ということを重視してやっていきたいということが第二点でございます。  それから、第三点といたしましては、やはりこれは民間活力の問題でございますが、われわれの立場としては、プロジェクトマネージングということで、なるべく民間の能力を最大限に発揮するような形でやっていきたい、これが三点でございまして、この三つを基本的な姿勢として開発を進めてまいりたいと存じておる次第でございます。  それから、液化のめどはどうかということでございますが、石炭液化につきましては大体一九九〇年ごろまでには実用化のできるようにぜひ持っていきたいというふうに考えております。  全体の金額につきましては、長期の金額が全体で幾らぐらいになるかということにつきましては、現在ちょっと手元に資料がございませんが、かなり大きなものになるわけでございまして、たとえば、先ほど申し上げました豪州褐炭夜化につきましては、五十六年度の予算は三十五億でございますが、全体では大体四百三十億円程度かかるであろうというふうに見込まれておりまするし、また、SRCIIにつきましては、五十六年度の政府分担金百五十億円でございますが、これは、アメリカ、ドイツの分担しますものを含めまして大体十数億ドル、したがいまして、三千億ぐらいでございますか、というふうな金額が想定されておりますので、やはりこの石炭液化プロジェクトにつきましては相当大きな予算をお願いしなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  39. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 私が聞いたのは、このエネルギーの見通しの私が挙げました数字が妥当な数字なのか無理な数字なのか、それを聞きたかったのですけれども、これの目標に向かって全力を挙げてがんばると、そういうことですけれども、これはどうですか、妥当な数字なのか。それは、この委員会でもこの数字が問題になったのですよ。原子力問題にしても、一応数字は出ておりますけれども、実際、これはちょっと無理じゃないか、実現不可能じゃないかとか。だから、ちょっと私は聞いているので、御参考までにひとつ、新エネルギーのところだけ。
  40. 大永勇作

    参考人(大永勇作君) この新エネの内訳というのは必ずしもはっきりしないものでございますから、どういうふうに評価するかというのはなかなかむずかしいのですが、いずれにしても、相当努力を要する数字であるのは間違いないと思うわけでございますので、われわれといたしまして最善の努力をいたしたいと思っている次第でございます。
  41. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それから、武田参考人にバイオマスエネルギーの件で二つだけお伺いしますが、先ほどもお話がございましたが、バイオマスで現在最も有望なのは自動車用アルコール燃料、これはブラジルあたりもかなり進んでおるようでございます。それと、もう一つは、都市ごみ、農畜産物廃棄物等のメタンガス利用、この二つと言われておるわけですが、それについて、アルコール自動車の実用性と今後の見通し並びに日本国内での普及の可能性はどうだろうかということです。  それから、二つ目が、いまのメタンガス利用についての実用化の可能性と経済性についてどうお考えになるのか。以上です。
  42. 武田康

    参考人武田康君) まず第一に、自動車用アルコールでございますけれども、先生からお話のございましたように、ブラジルでは現実に、ガソリンの全体で二割ぐらいになっているかと思いますけれども、混合して使っているわけでございます。アメリカはまたやや別の形態でございまして、どちらかと言えば民間主導ベースで進んでいるかと思いますが、現実に、ガソホールとして売っていて一部では好評を博している、そして、いずれも政府のてこ入れ等、あるいは税制上のてこ入れ等もあるようでございますけれども、コスト的にも、あるいはお値段的に従来のガソリンとそう違わないレベルでやっているわけでございます。したがいまして、現実に自動車が走っているわけでございますので、そういう意味で見ますと、アルコール自動車あるいはアルコール混合燃料による自動車というのはすでに実用の域に達しているということが言えるかと思います。  車がアルコール燃料またはアルコール混合燃料で走るという現象に着目いたしますと、当然日本の中でもそういうものが使い得るというふうなことが考えられるわけでございます。ただ、ブラジルの場合には、未開拓の土地を開拓いたしまして、そしてアルコール燃料のもとになる植物をつくり、それからアルコール製造工場をたくさん配置いたしまして、それを地元でそれぞれ自動車用に使う。アメリカの場合には、一種余剰農産物とも言えるかもしれませんが、トウモロコシからアルコールをつくって、それをガソリンの販売屋さんが混ぜて売っているということでございます。  同じような状況を日本国内で考えますと、じゃ、何をまずアルコールにしようか、そうして国内では外国と比べましてやはり農産物のお値段は高こうございますが、同じようなことで考えますと、そうすると、その原料の点でもあるいはお値段の点でも、日本国内の源資を使ってそのまま車を走らせて、一体ガソリンと太刀打ちできるだろうかというようなコスト上の問題といいますか、価格上の問題が生じてくるかと思います。したがいまして、その辺につきましては、やはり一方では今後の技術開発でいろいろコストを引き下げることを考え、他方では、これはあるいはエネルギー政策の問題であるのか、あるいは農業政策的な問題であるのか社会政策的な問題であるかわかりませんが、そういう自動車にアルコールを混合して使ったときにうまくいくかどうかという新しい生産、それから転換、加工、流通システムを考えなければいけないという問題がございます。きょう現在の状況はそういうことで、どんなぐあいにしたらうまいぐあいにアルコールをたとえば自動車用燃料に使えるであろうかというような個別の技術プラス総合システムの勉強をもう少し詰めてみる時期であろうかと思います。そして、そういうものがもうちょっと煮詰まりますと、そうすると日本国内でどこまで普及できるのか、あるいはコスト的になかなかむずかしいのかといったあたりの問題がもう少しクリアになってくるのではないかということが私の考えでございます。  第二点の、都市ごみなり廃棄物からメタンガスというのは、現実にいろいろな市町村あるいは民間の機関もございますけれども、部分的にはすでに実用化しております。したがいまして、この点につきましても、実用性という点でまさにサンプルがあるわけでございますので、現実に実用していると考えてもいいわけでございます。ただその場合でも、たとえば、ごみの発生量というのは、たとえば都市ごみでございますと都市によっていろいろタイプがあるようでございますし、また季節によって違うようでございますが、一人当たりたとえば五百キロのごみが出る、そういうような勘定がございます。ところで、やはり、ごみを集めて燃やすあるいはメタンガスを出すというようなかっこうで考えますと、あるかたまりが集まらなければいけません。そのかたまりを集めるためには、多分、その都市なりそれぞれの地域でそのごみを集めてくるというような作業が必要でございます。これは現在、地方公共団体等々でその仕事をなさっておられて、もともとそういう仕事がある上に、それを集めたものの、ただ燃やしたり、ただ埋め立てに使ったりするのではなくて、部分的にはエネルギーを取り出そうというようなことで使っておられますので、実は、その経済計算のベースがなかなかむずかしゅうございます。もっぱらエネルギーだけに使う場合にコスト的に成り立っているのかどうか、エネルギーを副産物として取り出す場合にうまくいっているのか、その辺のところがどうも実は私自身もクリアでございません。ただ、言えますことは、すでにサンプルが出ておりまして、そしてその限界もいろいろな技術なりシステムの工夫をそれぞれの方がなさってだんだん広がっていると思います。したがいまして、一遍にたくさんのエネルギー供給力になるかどうかという点については疑問がございますが、これから徐々にそういうものが広がっていくということになろうかと思っております。ちょっと御質問に真っ正面からお答えになっているのかどうかなにでございますけれども、そんなのがきょう現在の現状であろうかと思っているわけでございます。
  43. 神谷信之助

    神谷信之助君 共産党の神谷でございます。  参考人の皆さん御苦労さまでございました。時間の関係もありますから、私は大永参考人に二点、それから武田参考人に一点、三点についてお伺いいたします。  大永参考人にまず二点ですが、その第一は、新エネルギー総合開発機構の活動を民間サイドからバックアップする新エネルギー財団がつくられておりますが、その財団の機構の概要と事業内容、それから機構との協力の具体的な進め方、こういった問題についてお聞かせいただきたいと思います。  第二点の問題は、石炭液化の問題でありますが、この国会でもSRCHのプロジェクト問題というのが大分議論になってきていますね、アメリカ政府の態度変更に基づいて。それはそれといたしまして、この計画自身についての評価あるいは今後の取り組みについてどのようなお考えがお伺いしたいと思います。  それから武田参考人にお願いしたいと思いますのは、エネルギー総合工学研究所で国分市をモデルケースとしてローカルエネルギーシステムについての報告を出しておられますが、この新エネルギー太陽あるいは風力など期待が大きいわけですが、実用化までにはかなりの期間がまだ必要だし、研究開発を必要としています。そこで、このローカルエネルギーシステム利用の現状と解決すべき問題点、それと、さらに地方自治体のローカルエネルギー開発利用に対する国の助成のやり方等について御意見があればお聞かせいただきたいというふうに思うのです。  以上でございます。
  44. 大永勇作

    参考人(大永勇作君) 新エネルギー財団ができましたのは大体新エネルギー機構と軌を一にいたしまして昨年の九月二十九日にできたわけでございます。やります仕事といたしましては、一つは新エネルギーの普及促進ということで、ちょうど原子力につきまして原子力産業会議というのがございますが、そういった産業会議のような性格が一つでございます。それから、具体的な仕事といたしましてローカルエネルギー普及促進業務、それから地熱の中の一部の仕事、それから小水力、これもローカルにございます小さな水力の調査といったような具体的な仕事もございますが、簡単に言いますと、一つは新エネルギーの普及促進のための産業会議としての性格と、それからすでに、大体技術的な開発の終わりましたものの普及促進業務ということがその仕事内容でございまして、当機構とは密接に連絡をとる必要がある業務内容を持っておるわけでございまして、具体的には毎月一回両者の首脳部の連絡会議を持ちまして連絡に遺憾なきを期しておる次第でございます。今後とも十分協力をいたしてまいりたいと存じております。  それからSRCIIでございますが、これは先ほども申し上げましたように一日六千トン処理量の石炭液化をやろうというものでございまして、これがうまくいきますと、その次は六千トン五基で三万トンの商業化プラントをやっていこうというものでございますので、実用化一歩手前のものでございます。技術といたしましては溶剤液化法を使うわけでございますが、特に触媒を使わないで、石炭の中に入っております鉄分を触媒としてそのまま使うというふうな点で、経済的にもうまくいきますとかなり採算ベースに乗りやすい計画ではないかというふうに考えておりまして、非常に重要な計画であるというのがわれわれの認識でございます。
  45. 武田康

    参考人武田康君) 先ほど先生からお話がございましたように、私の属しております研究所では、昨年の三月でございますけれども、鹿児島県の国分という町につきましてローカルエネルギーのケーススタディーということで、どんな需要があり、どのような資源がどのように分布しており、そしてそれを組み合わせた場合にどんなぐあいに使えるだろうか、そしてそれは開発プランとして、まあ一種のモデルでございますけれども、開発プランをつくるとどういうようなことになるのだろうかというようなのをケーススタディー的に勉強したものをまとめたわけでございます。  さてその経験から、先ほどお話のございましたローカルエネルギーについて解決すべき問題点あるいは自治体なり国の自治体に対する助成について何か意見がないかということでございますけれども、私の考えでいますところをちょっと申し上げさしていただきたいと思います。  ローカルエネルギー内容を構成いたしますのは資源的には先ほど山村先生からお話のあった太陽熱とか、あるいは東先生からお話のあった風力、それから大永副理事長からお話のあった地熱、といっても地熱は大発電所ではなくて、熱水を近くでどう利用できるかというようなこと、そして私が先ほど申し上げましたバイオマス等々を包含しているわけでございます。  さて、それの現状は、先ほど山村先生、東先生、本間先生等がお話になったようなのが技術の現状と目下の実用化の現状でございますが、そういったものはそれぞれの地域で利用するということでございますと工夫の仕方次第では何とかなるものが現実にもあろうかと思っております。しかし、重要な、これからてこ入れしなければいけないものが四つ、五つ指摘できるかと思います。  第一は、先ほども出ておりましたけれども、コストをいかに引き下げるかという技術開発の問題でございます。小さな規模のものでございますから、見方次第では高度な技術ではございませんけれども、しかしお値段を引き下げるというのはそれぞれなりになかなか大変なことでございます。それが第一点でございまして、そこの段階でも物によりますと国のてこ入れが必要な部分がたくさんあるのではないかと思うわけでございます。  それから第二は、各地域でそれぞれの方が自分でお使いになるわけでございますので必ずしも専門の方ではございません。したがいまして、こういう需要があってこういう使い方をしたい、こういう資源がここにあるのだけれどもどう結びつけるかというあたりの結びつけ方、システムのつくり方につきましていろいろな情報がないとなかなかうまくまいりません。またはプランを組むのにも情報が必要でございます。そういった意味では基礎的な情報もあれば、どんな資源があるかという情報もあれば、あるいはどんな利用システムがあるかという情報もございますが、その辺の情報を、紙切れだけでなくて具体的なモデルなりサンプルなりとしての物として提供することも非常に大切でございます。きょう現在の段階ではあらゆるものが経済的というわけにもまいりませんので、そういう資料、情報を提供し、サンプルとしてのモデルを提供するのも国なり地方自治体の役割りが非常に大きいのではないかと思うわけでございます。  それから第三番目に、小なりといえども土地に手をつけるわけでございまして、そういたしますと、その地域、これが市町村単位なのかもっと小さい単位なのかわかりませんが、その地域の方々のコンセンサスが必要でございます。小なりといえ、いろいろやりますと環境問題も、見方によれば環境を壊すということにもなるかもしれませんし、従来からある土地に対する権利等々につきましても手を加えなければいけないケースが起こってまいります。そういったあたりのコンセンサスづくりはやはりその地域の地方自治団体がかなりな精力を注いでおやりにならなければなかなかうまくいかない問題かなという感じがいたします。と同時に、その分野でも国からのてこ入れというものが必要であろうかと思うわけでございます。  四番目に、実は太陽エネルギーにしましても地熱にしましてもバイオマスでも風力でもいずれも同じでございますけれども、ある設備が必要でございます。その設備は、太陽熱そのものはただでございますけれども、太陽熱利用ならコレクターが必要でございますし、風力なら風車が必要でございます。バイオマスの場合でも何かの変換装置が必要、それから、そのもとを集めたりするようなものが必要でございます。その相当部分は初期投資がかなり大きなものになります。もちろん小規模でございますから、大きなものをつくるのに比べれば小さいのですが、お使いになる方の人数も少のうございますので、一人当たりであれば結構大きなものになるわけでございます。したがいまして、その初期投資を何とかカバーするということを考えませんといけない。これは資金的な面でございますが、やはり資金のもとも地方自治団体なりあるいは国からのてこ入れというのがあれば促進剤になるかなと思うわけでございます。  いま申し上げましたように四つ五つの問題点がございまして、その解決には、いずれもその地域の地方自治団体または地域の集まりないしはそのバックアップとしての国のてこ入れが必要であろうかと思います。私の聞いておりますところによりますと、国の方でもローカルエネルギー促進をするために、いろいろな基礎的な調査をなさり、モデル的な事業をなさり、あるいはデモンストレーション的なことをお考えになっておられますし、それから、それを離れても、先ほどもお話が出ましたけれども、たとえばごみ処理等でエネルギーに転換できないかというような、地方公共団体あるいは民間企業の個々の努力あるいは個人でもなさっていらっしゃる方がおられます。そういったものも非常に参考になるわけでございまして、そういった参考データをたくさん提供しうまいコンセンサスづくりをするというところで、地方公共団体あるいは国のてこ入れをより一層ふやしていただくことが、そういうローカルエネルギーあるいは新しい地域分散型のエネルギー促進する非常に大きな要素でなかろうかと思うわけでございます。
  46. 井上計

    ○井上計君 民社党の井上でございます。  参考人の方、大変長時間御苦労さまでございます。限られた時間でありますから、簡単に武田先生にお伺いしたいと思います。  その前に、皆さん方からお話を承っておりまして、一番やはり大きな問題としては、コストの面ということが大きな隆路であろうというふうに思いますけれども、もう一つは、お話の中に出ておりませんですが、私は、今後の新エネルギー開発という中で、総合安全保障の面からやはりこのエネルギー問題も考えていかなくてはいけない、こう考えており、これらについては特にお答えは要りませんが、当然お考えであろうと思いますけれども、新しいエネルギー開発の中でそのようなことも今後大いにひとつ重要視をしていかなくてはいけないのではなかろうか、これは私見でありますが、こう考えております。  そこで武田先生にお伺いいたしますけれども、いろいろとバイオマスの問題について伺いました。そこで、これは私自身のこれまた考えておることでありますけれども、お話の中にありました廃棄物の再利用、それによっての新しいエネルギー開発ということでいろいろな問題が多いと思いますが、現在の法律あるいは行政等が隆路になって、先ほどお話しになりましたけれども、それらの廃棄物の収集あるいは貯蔵というふうな面についての問題点も実はお話がありました。  一例でありますけれども古タイヤがありますね。三年ほど前でありますが、タイヤの販売業者が非常に大きな問題としておりましたのは、販売した場合に、古タイヤを回収する、それについての古タイヤの廃棄の費用が大変高くかかる、それをメーカー負担にすべきか、あるいはディーラーが負担しておるが、あるいは消費者に負担を転嫁したのではなかなか売れないということでメーカーに負担をというふうな非常に強い陳情、要請があったことが二年半ほど前まで続いておりました。当時私は確信があったわけじゃありませんけれども、もう半年か一年待ちなさい、いまに古タイヤが値が出るころがありますよということを言ったことがあるのですが、そのとおり、最近では古タイヤそのものがそういうふうな回収費ということは問題にならなくなったわけです。  ところが、やはりそのころから問題になっておりますけれども、古タイヤを輸送するためには産業廃棄物の取扱業者の許可がないと実は古タイヤの輸送ができない、こういう問題があるんですね。それらのこともやはり先ほど武田先生は言われましたが、廃棄物の収集あるいは貯蔵ということに大きな隘路になっておるのではなかろうか、こう思います。これはほかの先生方もいろいろと御研究の中でそういうふうな法律だとかあるいは行政という面が隆路になっておることがあるのではなかろうか、そういう面については積極的なひとつ御提言をぜひいただきたい、こう思います。  そこで武田先生、いまのこと等から、そういうふうな面で、先生のところでバイオマスについてのいろいろ御研究になった中で、いわば各家庭なり事業所なりが、コストの面がありますけれども、直ちに利用しようと思えば利用できるような、そういうものも研究の過程の中で出てくるのではなかろうかと思うのですが、そういう面をぜひひとつ一般に早く指導するような形、そういうふうなことをおやりになることができるのかどうかという問題。  それからもう一つは、二十年代にはいわば総エネルギーの五%ないし一〇%が薪炭であった、こういうお話がありました。確かに便利さあるいはコスト、いろいろな面から考えますと、いま再び国民生活の中に木炭だとかあるいは練炭だとかあるいはまきだとかを取り入れることは、これはもう事実上不可能だと思いますけれども、しかし、いわば地方の特に山村等へ行けばまだそういうふうなことは可能だと思うのです。ところがほとんど山村でもプロパンガスを使って、そういうふうないわばエネルギーをもう完全に見捨てておるというふうな状況、それらについての啓蒙といいますか、これは省エネルギー対策ということになろうかと思いますけれども、そういうふうな面まで武田先生のところでは研究、同時に指導というふうなことをおやりであるかどうか、またおやりになるのかどうかということを伺いたいと思います。  なお、先ほど申し上げた古タイヤの問題ですけれども、御承知かと思いますけれども、従来は古タイヤを何とかコストが高くても廃棄物として困難であるから再使用しようという研究を進めておりますが、あるところで、ちょっと私まだ見ておりませんけれども、古タイヤをもう一度燃焼して、たしかC重油であったと思いますけれども重油をとる、それから燃えかすを利用して練炭をつくる、その練炭が一酸化炭素が出なくて大変無害な練炭で、火もちがよくて非常に有利だと、こういうふうな研究をして実用化されておるということを聞いておるのですが、そういうふうな面についての御研究といいますか、御承知かどうかひとつお伺いをいたしたいと思います。  取りとめのない私見を交えてのお尋ねでありますけれども、ひとつお聞かせをいただきたい、こう思います。
  47. 武田康

    参考人武田康君) 第一点のごみ等の収集、輸送、そしてそれの法律なり行政なりとのかかわり合いということでございますけれども、私が先ほど収集、輸送というのがなかなか大変だということを申し上げましたのは、実はある量を集めますのに、または運びますのに非常にコストがかかるというような感覚で実は申し上げたわけでございます。先生が御指摘のようにいろいろ法律あるいは行政面とのかかわり合いというのがあるのじゃないかと思いますけれども、実はその辺私自身詳しく調べたことがございません。したがいましてちょっとお答えをする能力をいま現在持っていないわけでございます。  それから第二に薪炭等でございますけれども、地方の山村では可能と思うけれどもというお話でございましたが、実は私どもの研究所で、先ほどもちょっと申し上げましたが、鹿児島県の国分について勉強しましたときに、その町の中を回ってみますと、どうもずいぶん燃料の使い方が少ないなというような御家庭がたくさんございます。よく伺ってみますと、どうもそういうところではまきを使ったりオガライトみたいなものを使ったりなさっていたようでございます。余り数量的にどうこうということは申し上げられないのでございますが、そういうことから考えまして、日本全体で現実にも油のお値段が上がったことを契機にして、あるいは前々から続けておられたかもしれませんが、現実にそういうものを使っておられる方がかなりおられるようでございます。ただ、それが必ずしも統計に出てきていないというようなことであるかもしれません。したがいまして、今後エネルギーのお値段がもしこれからもほかのものと比較いたしまして相対的に上がっていくとすれば、自然のうちにもそういうものをより一層使うようになっていくのではないかと思うわけでございます。それにつきまして、さらに啓蒙的なことが加わればこれは促進されることかと思いますけれども、実は私どもの研究所自身ではなかなかそういう個別の問題で個別の方々にそういうようなことを啓蒙するまでのところまではとてもその能力がございませんで、きょう現在そういうことは現実に必ずしもやっておりませんで、ただし、先ほどのローカルエネルギーの勉強等はいろいろな方に使っていただきたいなというような意味で、関係の機関等にはお求めがあれば差し上げているというようなのが現状でございます。  以上で、お答えになったかどうかあれでございますけれども、これでお答えを終わらしていただきます。
  48. 井上計

    ○井上計君 古タイヤからの重油の再生産は御承知ですか。
  49. 武田康

    参考人武田康君) 何か前に新聞記事で読んだような気がいたしますけれども、正確なところは存じておりません。
  50. 細川護煕

    委員長細川護熙君) 他に御発言がなければ、参考人方々に対する本日の質疑はこれにて終了いたします。  参考人方々には、御多忙中、長時間にわたりまして御出席をいただき、貴重な御意見を拝聴させていただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして心から厚く御礼を申し上げます。  どうぞ御退席いただきまして結構でございます。どうもありがとうございました。(拍手)      —————・—————
  51. 細川護煕

    委員長細川護熙君) 次に、参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  エネルギー対策樹立に関する調査のため、参考人出席を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 細川護煕

    委員長細川護熙君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 細川護煕

    委員長細川護熙君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十二分散会